◯湯口史章議長 日程第2、議案第1号平成26年度鳥取市
一般会計予算から議案第65号鳥取市
教育委員会委員の任命についてまで、以上65案及び日程第3、報告第1
号専決処分事項の報告についてから報告第8
号専決処分事項の報告についてまでを一括して議題といたします。
提出者の説明及び報告を求めます。
竹内市長。
〔竹内 功市長 登壇〕
◯竹内 功市長 おはようございます。
私は、平成14年4月に、多くの市民の皆様の御支持をいただき、市長に就任して以来、3期12年にわたり「市民の立場に立つ」「
市民生活を大切に」「まちに魅力と活力を」を政治信念として掲げ、人を大切にするまちを理念として、市民が主役の市政の実現に一貫して取り組んでまいりました。広く市民の皆さんに直接お会いして、多くの声をお聞きし、ともに語り、ともに歩む市政の実現に全力で努力してまいりました。
本市は、政治・行政・社会・経済・文化などの各方面において、この12年間に大きく変化し、次の時代に山陰の
中心都市として発展し続けるための基礎を築くことができたと認識しています。
私は、来る4月14日の任期満了をもちまして、市長の職を退任いたします。
これまでの市政の推進に当たり、
市議会議員の皆様を初め、市民の皆様からの多くの温かい御支援、御指導をいただきましたことに改めて深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
この12年間の歩みを振り返り、主な
取り組みを総括してみたいと思います。
まず、第1は、
市町村合併と
地方分権の推進です。
地方分権時代を迎え、
市民生活を維持・向上させ、地域を発展させるためには
市町村合併が必要であるとの信念のもとで合併に
取り組みました。平成14年11月に
合併協議会を設置して以来、関係者の御理解と御協力をいただきながら協議を進め、平成16年11月1日、9市町村の合併により、山陰最大の20万都市として新しい鳥取市が誕生しました。
合併時より、各地域に総合支所と
地域審議会を設置し、それぞれの地域における特色ある
地域づくりの推進と
行政サービスの確保を図るとともに、合併は最大の
行財政改革であるとの認識のもとで、全般的な改革を計画的に進めました。
平成17年10月には、山陰初の特例市に移行し、平成23年5月には、
全国特例市市長会会長に就任し、以来、2期3年間にわたり、
特例市制度の
充実強化に向けて政府に対し積極的に働きかけてまいりました。具体的には、
中核市市長会や
指定都市市長会等と連携しながら、
地方分権の一層の推進、地方の中心的な役割を担う新たな
地方都市制度の創設を
地方制度調査会等の場で訴えました。その成果として、特例市が中核市となる道が開かれることとなり、
地方中枢拠点都市制度の新設等の
地方自治法の改正が行われる運びとなりました。
少子高齢化の進行に伴い、地域の
中心都市として本市の役割はますます重要となっております。鳥取県東部1市4町の鳥取・
因幡圏域における
生活基盤の充実と一体的な発展のため、
関係市町が
産業振興、農業、環境、
地域公共交通などの事業に連携して取り組むため、
定住自立圏構想に基づいた協定を締結し、
因幡圏域における広域的な視野に立った
取り組みを推進し、
住民生活のさらなる向上を図っているところです。
あわせて、
東部広域行政管理組合においては、意思決定の迅速化を図るため平成16年11月より執行体制を
理事会制から
管理者制へ移行し、
可燃物処理場の整備、常備消防、圏域内の
周遊観光等の推進に積極的に取り組んでおります。
第2は、
高速道路を生かした
地域経済の活性化と雇用の創出です。
本市及び
因幡圏域の
高速道路ネットワークは、平成25年3月の
鳥取自動車道の全線開通、同12月の
山陰道鳥取西道路の
鳥取インターから
鳥取西インター間の開通、本年3月22日に予定されている
山陰近畿自動車道の
駟馳山バイパスの供用開始など、着実に整備の進展を図ってきたところです。
本年1月31日、国・県・
学識経験者で構成された、
高速道路ネットワークを活かした
まちづくり勉強会は、
因幡地域の発展に向けて山陰道と
山陰近畿自動車道を結ぶ
鳥取市街地北側の
ミッシングリンクの解消に向けた
取り組みを早期に着手すべきとの意見を取りまとめました。
高速道路の路線が本市を結節点としてつながることにより、産業や
生活面等での効果がさらに期待できるものと考えております。
高速道路ネットワークを本市の
経済活性化に結びつけるため、道の
駅清流茶屋かわはら及び道の駅神話の
里白うさぎの設置、
農林水産業の
特産品づくりの振興や、新たな
観光拠点として
鳥取砂丘砂の美術館の開催や、賀露西浜の水産物や農産物の直売施設かろいち、わったいなへの支援などの特色ある
地域産業の振興策を講じてまいりました。
平成20年の
リーマンショックや経済の
グローバル化の影響を受けて、昭和40年代以来、鳥取市の経済を牽引してきた
鳥取三洋電機株式会社が、市内にあった大規模な生産拠点を閉鎖するなどの大手企業の事業再編などにより、本市の経済・雇用情勢は深刻な状況となりました。
これに対処するため、地域の産業・雇用の再構築・再出発を本市最大の課題と位置づけ、
企業誘致等に積極的に
取り組み、12年間で52社の誘致を行い、
企業誘致による雇用創出は4,149人に上りました。特に3期目の4年間は26社の
企業誘致を行い、2,144人の新た雇用を生み出すことができ、
市民生活の基礎となる雇用の創出と
地域経済の礎を築いてきました。
三洋電機南吉方工場跡地については、街なかのまとまった貴重な産業用地として有効活用を図るため、平成25年9月に市が一括して土地を取得し、新たな
企業誘致に積極的に
取り組みました。その結果、跡地5.1ヘクタールのうち2ヘクタールに
株式会社源吉兆庵が昨年11月に進出決定し、330人の雇用計画を発表されました。また、このたび、
鳥取市内に拠点を有する
株式会社LASSIC(ラシック)の進出の方針も公表できる段階となりました。さらに、
三洋電機物流施設跡地約1.8ヘクタールに
株式会社ライフオンが製造・開発拠点を開設することとなり、今月17日に進出協定の調印を行ったところです。
第3は、
観光資源の
魅力アップと観光客の増加対策です。
観光産業を本市の基幹産業と位置づけ、鳥取砂丘を初めとする
観光資源や地域の
伝統文化の魅力を高め、
観光客増加の
取り組みを全力で進めてまいりました。
鳥取自動車道開通記念として開催した2009鳥取・因幡の祭典により県東部1市4町が連携して
観光客誘致に
取り組み、中でも
オープニングイベントの2009
世界砂像フェスティバルでは、4月18日から5月31日までの開催期間中、目標を上回る35万3,000人の来場者を記録しました。こうした成果を踏まえ、平成24年4月には、本市の新たなブランドとなった砂像を常設展示する砂の美術館をオープンし、第1期展示(平成18年11月)から昨年の第6期展示まで
通算入館者数は200万人を突破し大きな経済効果を上げており、砂像の
まち鳥取市として世界へアピールしています。
昨年開催された全国都市緑化とっとりフェアは、期間中県内外から18万人を超える来場者がありました。
ナチュラルガーデンとあわせての
湖山池東側からの眺望は、来場者から高い評価を得ました。フェアで整備された
湖山池ナチュラルガーデンは
鳥取流緑化スタイルとして位置づけており、平成20年度から進めてきた公園や園庭などにおける協働による芝生化の
取り組みとともに、本市の
ガーデンシティづくりの核となるものと考えています。
さらに、コリドー21を通じて、県境を接する鳥取・兵庫両県の市町が連携して取り組んだ成果として、平成22年10月の
山陰海岸ジオパークが世界に誇る貴重な地質遺産として、
世界ジオパークネットワークへの加盟が実現しました。世界から注目されるお墨つきを受けたことは、市民にとって新たな郷土の誇りとなりました。昨年12月には、新たに
本市西部地域を含め拡大した
山陰海岸ジオパークが
日本ジオパークに再認定され、本年9月の
世界ジオパークネットワークの再認定へ向けて準備が整いつつあります。
第4は、
環日本海都市交流や国内間の
地域連携の強化です。
中国、韓国、ロシアの経済発展とともに、
環日本海交流はますます重要となっており、東アジアに開かれた交易や観光の拠点として本市の認知度を高めるため、平成23年8月に環
日本海拠点都市会議を本市で開催するとともに、これまでに、その主要な構成市である
ロシアウラジオストク市、
中国延辺朝鮮族自治州などを
地元経済関係者とともに訪問して、
シティセールスを実施し、グローバルな経済・
観光交流の
戦略的展開を行いました。
国内では、明治初期の
鳥取藩士族の移住が縁となり、平成17年11月に郡山市と
姉妹都市提携を行いました。以来、
小学生交流団による相互交流など両市の交流による
まちづくりを推進しました。特に、
東日本大震災では、郡山市民を初め東日本から多くの被災者の受け入れを進め、職員派遣などの幅広い
被災地支援を通じて両市のきずなは一層深まっております。
また、姫路市並びに岡山市と連携した
HOTトライアングルでは、平成19年2月に連携・交流に関する協定を締結し、3市を周遊する
観光ルートの創設や市民・経済界の連携・交流の促進を行っており、
外国人観光客誘致など、さらなる
取り組みを期待しています。
さらに、
山陰海岸ジオパークの
取り組みを契機として新温泉町、香美町、豊岡市、京丹後市など
ジオパーク地域の
関係自治体と連携した経済・文化・観光などの分野における連携が進展しております。
第5は、協働の
まちづくりと
地域コミュニティの
充実強化です。
まちづくりの原動力は、
地域住民の力であり、人と人の助け合いの関係を築き、
地域コミュニティの活力を高めることが、市民と行政との協働による住みよい地域の実現につながります。平成20年3月に鳥取市
自治基本条例を制定し、市民が主役の協働の
まちづくりに取り組んでまいりました。
また、生涯学習の拠点であった
地区公民館を
地域コミュニティの拠点としても位置づけ、
地区公民館体制の
充実強化を進め、各地域の課題の解決に地域が一体となって取り組む
まちづくり協議会の組織化に対し財政的な支援や
人的支援を行ってまいりました。61地区全てに
まちづくり協議会が発足し、それぞれの地域で
地域コミュニティ計画に基づいて自主的な活動が行われております。本市は協働の
まちづくり支援宣言を行い、各地域の特色を生かした協働の
まちづくりを強力に支援していく姿勢を表明しております。
第6は、安全・安心で
にぎわいのある
市民生活の実現です。
私は人を大切にする
まちづくりの理念のもと、
少子高齢化の進行が加速する中、安全・安心な
市民生活のための暮らしに密着した
取り組み強化に全力を傾けてまいりました。
浄水場について、
市長就任時点より、安全でおいしい水を安くの方針のもと、進行中でありました
浄水場建設計画を見直し、平成16年9月市議会において、
膜ろ過方式による
浄水場建設の決定をいただきました。平成22年12月に日本有数の
膜ろ過施設である
江山浄水場を全面供用開始し、安全で良質な水を
県庁所在都市では安いほうから2番目の料金でお届けしているところです。子供を産み育てやすい
環境づくりを進めるため、
構造改革特区の認定を受けて平成18年度以降、保育所の待機児童ゼロを実現しました。
小・中学校の
耐震整備は、子供たちの命を守るだけでなく、
地域住民の避難所として非常に大きな役割を果たします。
東日本大震災の教訓から学校の
耐震化計画を前倒しして、計画的な整備を進めているところです。
保育園や
地区公民館の
耐震対策も年次的に進めてきており、
市民生活にかかわりの深い施設を優先して
耐震対策を行ってきました。
また、狭隘な上に老朽化が進み、建てかえが長い間懸案であった
鳥取消防署東町出張所については、
県庁東町分庁舎跡地を本市が取得することで移転先が決定し、新たに救急車の配備による機能強化を計画しています。平成17年8月には、
防災行政無線統合システムの整備を完了し、全市域への一元的な防災情報の伝達が可能となりました。
移住定住対策では、
UJIターン専用窓口の開設、
UJIターン住宅支援事業、
UJIターン若者就職奨励金の創設、お
試し定住体験施設の整備、とっとり
ふるさと就農舎の開校、
農林水産業における
担い手支援、
地元大学等就職奨励金の創設など多面的に施策の展開を図り、窓口の開設からことし1月までに547世帯、1,165人が本市へ定住し、
県内自治体でトップの成果を上げました。
地域医療の一翼を担う市立病院においては、平成23年度に
地域医療総合支援センター内に
総合診療室を設置し、
専門医療を行う医師に加え、総合的・多面的に診療を行う
総合診療医を配置し、患者を幅広く診察しております。この
総合診療医は、専門分化され過ぎた現代の医療において、全国的にも注目されております。
医師の確保については、
医師奨学金制度を利用し採用した医師が平成25年度から
後期研修医として診療を開始しており、来年度にはさらに2名の医師が
後期研修医として診療開始する予定であり、みずから医師を養成し、将来に向けた医師を確保していく体制が整いつつあります。
(仮称)
鳥取医療看護専門学校の誘致につきましては、
地域医療を支える
看護師等の専門職の不足を解消するだけでなく、若者の地元進学の促進と保護者の
経済的負担の軽減、地元就職による
若者定住につながっていくものと考えており、東部市町や
医療関係者と連携し、本市として強力に取り組んでいます。
第7は、
中心市街地活性化と中
山間地域の振興です。
市町村合併による市域の拡大を踏まえ、一極集中の都市ではなく、
中心市街地と
地域生活拠点を有機的に結ぶ多極型のコンパクトな
まちづくりを進めました。
中心市街地の活性化の主な
取り組みとしては、2核2軸の
都市構造を踏まえて、駅周辺では、
駅前太平線バード・ハットや
国際物産観光センターまちパル鳥取、パレットとっとりを整備し、城跡周辺では、こむ・わかさ、
五臓圓ビル等の集客拠点の支援を行い、
イベント開催や空き店舗の解消に商店街等と連携し、
にぎわいの創出に努めました。
また、
街なか医療施設として
鳥取生協病院の新築移転や、低未利用地を活用した
西町コーポラティブモデルハウス事業による住宅の新築、100円循環バスくる梨の3
コース化を含む公共交通の拡充など、
街なか居住の推進や利便性の向上などを図ってきました。
これらの多岐にわたる
取り組みは、
中心市街地の人口増加、
魅力向上、来街者の呼び込みや利便性・回遊性の向上が図られ、大きな効果があったものと考えています。
中
山間地域の振興については、安心して中
山間地域に住んでいただけるよう、
移動販売車の
導入支援や無
店舗地区減少への
取り組み、NPOなどが行う
過疎地有償運送への支援、高齢者の
バス優待制度等に加え、
南部地域の路線バスの再編、
乗り合いタクシーの導入等積極的に進めました。
小規模高齢化集落等における見守り活動を強化するため、中
山間地域振興推進員の配置、中
山間地域人材育成事業としてとっとり
ふるさと元気塾を開設しました。
多極型のコンパクトな
まちづくりに係る事業を新市域で最初に実施している
用瀬地域では、中心地を流れる
瀬戸川沿いの歩道照明の設置、
街並み修景や
案内サインの整備、JRと国道を結ぶ跨線橋の整備など、安全で安心して暮らしやすく、魅力的な
用瀬生活拠点の実現に取り組んでおります。現在
取り組みを進めている青谷駅周辺など、他の地域についても、今後、順次進めていきます。
さらに、新市域の将来像を全庁的に検討するため、昨年10月に新
市域振興監を設置しました。現在、各
支所地域の今後の10年先を見据え、それぞれの個性、特徴、可能性を生かした新
市域振興ビジョンを策定するよう全庁一丸となって取り組んでいるところです。
第8は、教育の推進と
教育環境の充実です。
安心して学ぶことができる
環境づくりのための学校の
耐震整備については、既にお話ししたとおりです。
ふるさと鳥取を大切にし、志ある子を育てるため中
山間ふるさと体験活動を小学校で実施するほか、
学校図書館司書の全校配置、鳥取市出身の著名人などを講師として中学校に迎える
ふるさとの
先輩活動事業に取り組んだほか、学力向上や不登校対策にもつながる
小中一貫教育に力を入れました。
放課後児童クラブについては、45クラブを開設して、保護者の就労・
子育て支援を行いました。
学校給食の地産地消を進め、
鳥取地域における県内産食材の使用率は、平成24年度61%と3年間で約2倍に伸び、安心・安全な給食提供に努めました。
学校のあり方については、各地域で議論を進め、平成25年4月には
千代南中学校を開校したほか、
気高中学校、
青谷中学校については、校舎新築の方向で整備を進めることを決定しました。
文化財関係では、
鳥取城跡の保存整備を進め、
大手登城路復元整備のための発掘調査を実施しました。また、平成24年度、天球丸跡において国内唯一の球面石垣である巻石垣の復元が完了し、本年9月に本市で開催される
全国山城サミットに弾みがつきました。
スポーツ振興宝くじtoto助成金を最大限活用した、とり
ぎんバードスタジアムへの
大型ビジョン設置、新弓道場や
若葉台スポーツセンターの設置など、
スポーツ環境の充実、地域の活力と
にぎわい創出の
取り組みを進めました。
平成24年4月には、大学の
魅力向上、持続的な運営を目指し、
鳥取環境大学を公立大学法人化しました。学生数も劇的に回復し、大学の教育・研究環境の充実、
学生地域活動の活発化などにより地域は活力を帯びています。
今後、鳥取大学、
鳥取環境大学の地元両大学が、
若者定住はもとより、地域の産業の発展、文化の振興などに大きな役割を果すものと期待しています。
第9は、
文化芸術の総合的かつ効果的な推進についてです。
私は、
市長就任以来、鳥取のすばらしい人材や、特徴ある
文化資源を地域の誇りとして捉え、さらに全国に発信していくことを念頭にさまざまな
文化施策を積極的に推進してまいりました。平成21年4月には、鳥取市
文化芸術振興条例を新しく制定し、本市の
文化芸術振興について、基本理念を明らかにし
文化施策の総合的かつ効果的な推進を図りました。
本市は、長年にわたり
県立美術館の本市における整備を県に働きかけてまいりました。多くの市民や
芸術文化関係者の要望をしっかり受けとめ、その実現に向けて働きかけてまいります。
具体的な
文化実施施策といたしましては、全国的な
文化イベントとして誘致し、市民とともに成功に導いた日本のまつり2009鳥取やエンジン01
文化戦略会議オープンカレッジin鳥取の開催、市制120周年を記念して、新市域を含めた鳥取市ゆかりの偉人120人の業績や人物像を広く紹介した、鳥取市人物誌「きらめく120人」の制作、
谷口ジロー原画展、
フランス映画「遥かな町へ」の
日本語字幕つき上映とDVDの制作、
全国公募ストーリーと
鳥取ゆかりの漫画家の作画による「ストーリー漫画とっとり」の制作など、本市出身の
世界的漫画家谷口ジロー氏を核とした
漫画事業の推進、因幡国府で大伴家持が詠み、万葉集の最後を飾る歌「新しき年の始の初春の今日降る雪のいや重け吉事」を全国に発信すべく、「千の風になって」の新井満氏に作曲を依頼した万葉CDの発売、「
ふるさと」「おぼろ月夜」などの唱歌の名曲を作曲した岡野貞一を初めとする
童謡唱歌事業の推進などです。
これらは、
地域資源を大切にした特徴的な事業として市民から高い評価をいただく一方、先進的な
取り組みとして全国的に注目を浴びました。
第10は、
市庁舎整備です。
庁舎整備は、平成23年度を初年度とする第9次鳥取市
総合計画にも位置づけられている重要な事業であり、市民の命と暮らしを支える、なくてはならない社会基盤です。防災、
市民サービスの拠点である市役所を一日も早く整備することは、市長及び市議会にとって重要な使命であり責務であります。
平成21年3月に現在の本庁舎について、耐震強度が耐震診断により基準値を大幅に下回る結果の報告がありました。これを受け、市議会の
調査特別委員会が同年3月25日に設置され、本格的な検討を始めてから満5年が経過しようとしています。この間、平成24年5月の議会提案による住民投票の実施や、数々の
市議会調査特別委員会並びに有識者の
検討委員会での検討などを経ておりますが、いまだ具体的な方向性を定める段階に至っておりません。
昨年6月に設置した
市庁舎整備推進本部で、これまでの経過や議論、市民の思いをしっかり受けとめて、庁舎に求められる機能や長期的な視野に立った費用の抑制など総合的に検討しました。その結果、耐震性の確保された駅南庁舎などを活用しながら、広い敷地を有する旧
市立病院跡地に新本庁舎を建設し、鳥取駅周辺へ庁舎機能を集約する案が最も望ましい整備案とする
鳥取市庁舎整備全体構想(素案)を昨年11月に公表いたしました。これにより、財政負担を最小限に抑えながら、いつでも迅速かつ確実に機能する
防災拠点の整備や、市民の皆様の生活に直結する
市民サービスの向上、そして、合併後の鳥取市の将来にわたる発展を実現することができると確信しています。
今後発生が予測されている大地震などの大災害に備えた庁舎を整備することは鳥取市民にとって、まさに喫緊の課題であり、この問題の解決をこれ以上放置することはできません。
庁舎整備の全体構想を受けて、この事業が速やかに前進するよう市議会でのさらなる議論と賢明な御判断を切にお願いいたします。
第11は、戦略的な広報の
取り組みです。
市庁舎整備の推進に関し、市民への情報伝達が不十分であったという意見があったことを踏まえ、平成24年度に市民の方々で構成される市民への情報提供のあり方検討会議を設置し、さまざまな御意見を伺いました。平成25年度には、この検討会議から提出された鳥取市情報提供のあり方に関する提言を実施する計画を策定し、情報提供の改善を行ってまいりました。
まず、民間で広報経験を持つ戦略広報監を採用し、提言事項の実施やテレビ放送を活用した広報活動などにより、本市の知名度アップに
取り組みました。また、鳥取市の広報番組「こんにちは鳥取市です」に専属キャスター2名を採用し、番組をリニューアルするとともに、市内の大型商業施設に専用テレビを設置し、わかりやすい情報発信に努めています。若者への情報発信としては、SNS(ソーシャルネットワークサービス)の活用も進めております。
さらに、条例案や
市庁舎整備の全体構想案など政策形成過程の情報については、新聞折り込みチラシを活用し、より広い広報に努めてまいりました。
これらの
取り組みにより、今まで以上の情報発信を行えたものと考えますが、市民と行政が一体となった市政を築くためには、広報のみならず、政策に市民の意見を取り入れるための市民モニター制度などの広聴機能のさらなる充実、さらに、政策面における幅広い対話の機会をふやしていくことが必要と考えています。
第12は、財政の健全化と
行財政改革の推進です。
平成16年の
市町村合併後は、新市の均衡ある発展を理念に掲げ、基金を取り崩しながらケーブルテレビ網の整備などを積極的に行いました。その後、財政の健全化の
取り組みを推進し、市ホームページなどへの有料広告の掲載、体育施設への命名権の販売、さらに
ふるさと納税の推進、太陽光発電による売電などの歳入確保対策、また、OA機器や公用車などの契約方法の見直し、ジェネリック医薬品などの利用促進などの歳出の適正化を進めてまいりました。
また、このたび、ファシリティマネジメントの観点に立って公共施設白書を取りまとめました。今後の施設の管理をより適正に行うため重要な第1歩であると位置づけています。
さらに、効率的な執行体制を目指し、第4次、第5次
行財政改革大綱を策定し、計画的に事務の効率化を進めてきました。主な
取り組みとしては、定員適正化計画の推進により
市町村合併時の職員数1,572人を平成25年度は1,324人と248人削減、市税・国保料の徴収体制の一元化、市税のコンビニ収納の実施、体育館、公園などの市有施設への指定
管理者制度の導入、市債発行の抑制の堅持、積極的な繰上償還、基金への積み増しなどです。
これらの
取り組みにより、平成24年度決算では、財政調整基金と減債基金を合わせて25億円を確保、市債残高は最も多かった平成17年度より221億円を縮減するなど、国が示している財政健全化判断基準を大幅に下回ることとなり、着実に安定した財政基盤の確立に努めてまいりました。
私の任期も残すところあと1カ月余りとなりました。任期の最後の日まで、本市の直面している課題が一歩でも解決に向けて前進するよう、市政運営に全力で取り組んでまいりますので、御理解と御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
続きまして、今議会に提案しております平成26年度の当初予算案の基本姿勢について説明申し上げます。
本市は、平成16年の
市町村合併から10年と、鳥取市政にとって大きな節目を迎えようとしています。これまで、新鳥取市の一体性の速やかな確立と住民福祉の向上並びに均衡ある発展に努めてまいりました。
しかし、大手企業の撤退の影響による雇用情勢の低迷、人口減少や
少子高齢化の進行など、本市を取り巻く政治、経済、社会情勢は依然厳しいものがあります。具体的には、
地域経済の活性化、雇用問題の解決、福祉・教育・医療の充実、
市庁舎整備を含めての災害・防災体制の強化、
中心市街地や中
山間地域の活性化や
市民サービスの向上、市財政の健全化の推進など、多くの課題が山積しています。これらの難しい課題を解決し、明るい鳥取市の未来を築くための大変重要な時期を迎えています。
平成26年度は、本年4月執行予定の市長選挙を控え、義務的経費を中心とした骨格予算を編成しておりますが、本市の直面する地域課題の対応と本市の明るい未来を築くため、
地域経済の活性化・雇用対策の強化、
にぎわいと交流ある
まちづくり、安全・安心で豊かな
市民生活の確保の重要課題を3本柱として、年間を通じて
地域経済と市民の暮らしを切れ目なくしっかりと支え、守っていくための必要な経費を盛り込んでおります。
鳥取地域の昨年12月の有効求人倍率は、前年同月の0.66倍と比較して0.27ポイント上回り0.93倍となり、国の経済政策や、本市が進める地元企業の支援・
企業誘致等の
取り組みの効果が徐々にあらわれているものと考えています。
しかし、全国の1.03倍と比較して0.1ポイントも下回り、依然、厳しい雇用情勢が続いており、
地域経済の活性化と雇用環境の改善は緊急に対応すべき課題であると考えています。そのため、平成26年度においても鳥取市雇用創造戦略方針にかわる新たな第3次鳥取市経済再生・雇用創造戦略を策定しているところであり、この新方針に基づき、国や県の経済対策と連携しながら、切れ目のない経済対策を積極的に実施していくことが重要です。
具体的には、緊急雇用創出事業臨時特例基金事業を活用し、正規雇用の創造効果が高い先進的・モデル的事業等の実施により市全体で75名の新たな雇用を見込んでいます。
さらに、雇用の確保に関しては、賃貸型工場設置補助や企業立地促進補助などの補助金総額を前年度より増額し、これに加えて中小企業の経営安定化支援の制度融資についても、前年度並みの69億1,000万円を確保しました。これにより、地元中小事業者の経営安定化や市外企業の鳥取進出のための資金繰りを強力に支援することで経済回復に弾みがつくものと考えています。
昨年3月に全線開通した
鳥取自動車道を初め、本市及び
因幡圏域の
高速道路ネットワークの整備は着実に進んでおります。さらに羽田空港への5便化が決定した鳥取空港や、鳥取港、JR鳥取駅などの交流基盤を生かし、関西圏や山陽圏、環日本海諸国との経済・観光や、人・モノ・情報が交流する魅力と活力のある都市へと成長していくことが重要です。そのため、鳥取市域エリアを拡大した
山陰海岸ジオパークの
世界ジオパークネットワークへの再認定の
取り組みや、25年度に55万人を超える来館者を迎えた
鳥取砂丘砂の美術館は、第7期展示として「砂で世界旅行・ロシア編」を開催します。
さらに、第50回の記念大会を迎えるしゃんしゃん祭の開催による県外からの誘客推進や、昨年の全国都市緑化とっとりフェアの会場となった湖山池を中心としたガーデンシティ鳥取市の推進、若者が地元の専門学校に進学し、地域に就職する道を開き、地域活力の創造にもつながる(仮称)
鳥取医療看護専門学校の校舎建設に対する支援を行います。
また、新市域それぞれの個性、特徴、可能性を生かした
取り組みや、
中心市街地の活性化を通じた多極型のコンパクトな
まちづくりの実現に向けた
取り組みにより、全市一体となって大きく未来に飛躍する夢のある
まちづくりを進めていきます。
市民生活が安全・安心であることは、
まちづくりの基本であり、市民の誰もが、住みなれた地域で災害や犯罪等から生命・財産が守られ、生涯を通じて心身ともに健康で生き生きと暮らすことのできる
まちづくりが重要であります。
そのための喫緊の課題として取り組んでいる保育園や小・中学校、公民館など市有施設の耐震化を初め、増大する生活保護費や障がい者サービスの給付費などを含めた扶助費は、前年度より9億3,500万円増の166億2,000万円を計上しております。
さらに、41歳から61歳までの節目年齢の方に対する胃がん・肺がん検診の無料化や、未就学乳幼児に対するインフルエンザワクチン接種費の助成、学校給食食物アレルギー対策として卵除去食を提供するための経費、空き家対策を推進するための補助金の創設などを盛り込んでいます。
また、新市域において、安全・安心して暮らせる地域生活の拠点の整備を図るための都市再生整備事業の推進などを実施することとしています。