多摩市議会 2023-03-01
2023年03月01日 令和5年第1回定例会(第1日) 本文
2023年03月01日 : 令和5年第1回定例会(第1日) 本文
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◯議長(いいじま文彦君) ただいまの出席議員は26名であります。定足数に達しておりますので、これより令和5年第1回
多摩市議会定例会を開会いたします。
直ちに本日の会議を開きます。
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◯議長(いいじま文彦君) 本日の議事日程はあらかじめお手元に配付したとおりであります。
議事に先立ちまして、多摩市名誉市民であり市長として活躍されました臼井千秋氏が令和5年2月1日にご逝去されました。今ここに、故臼井千秋氏のご冥福を祈り、1分間の黙とうを捧げたいと思います。お体に差しさわりのない方はご起立願います。
では、故臼井千秋氏のご冥福を祈り、黙とうをお願いいたします。黙とう。
(一同黙とう)
◯議長(いいじま文彦君) お直りください。黙とうを終わります。ご着席願います。
それでは、日程第1、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員は、会議規則第78条の規定により議長において、
6番 板橋茂議員
7番 小林憲一議員
を指名いたします。
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◯議長(いいじま文彦君) 日程第2、会期決定の件を議題といたします。
お諮りいたします。本定例会の会期は、
議会運営委員会の決定により、本日から3月29日までの29日間といたしたいと思います。
これにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◯議長(いいじま文彦君) ご異議なしと認めます。
よって、会期は29日間と決しました。
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◯議長(いいじま文彦君) 日程第3、諸報告を議長よりいたします。
あらかじめお手元に配付したとおりでありますので、ご了承願います。
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◯議長(いいじま文彦君) 日程第4、これより行政報告を行います。阿部市長。
(
市長阿部裕行君登壇)
◯市長(阿部裕行君) おはようございます。
それでは、私から報告事項を2件申し上げます。
第1件目として、1月及び2月に開催された東京都市長会関係の主な審議内容をご報告申し上げます。
初めに、1月26日に開催された令和4年度第7回東京都市長会についてです。
まず、東京都等からの連絡事項5件のうち、主な2件について報告いたします。
1件目は、
デジタルサービス局から「
GovTech東京設立に向けた検討状況」について説明がありました。
主な内容は、
GovTech東京において、東京都と区市町村が協働して取り組んでいく事業として「共同調達」「
人材シェアリング」「
共同電子申請等の既存サービス」「その他区市町村から提案される事項」の4点があり、4点目の区市町村から提案される事項については2か所以上の自治体からニーズとして寄せられたものについて選定し、取り組んでいくとの説明がありました。
2件目は福祉保健局から「018サポート」について説明がありました。
「018サポート」の事業概要としては、東京から全国の少子化に歯止めをかける新たな取り組みとして、所得制限は設けず、都内在住の18歳以下の子どもに対して1人当たり月額5,000円、年額6万円を給付することで、学びなど子どもの育ちを切れ目なくサポートするものとのことです。
東京都が実施主体となり直接給付を行い、市町村には負担のない形にするとの説明がありましたが、私からは「実際の対象者のデータは市町村が持っており、実務上、転出入等の対象者の異動もある中でどのように対応していくか等の課題もある。制度自体は保護者から見れば望ましいもので期待もあり、東京都は十分市町村と協議の上で進めてほしい」と伝えるとともに、
高校生等医療費助成制度では所得制限がある前提で東京都は話を進めている中、その議論が始まった矢先に所得制限を設けない「018サポート」の提案がなされていることからも、理論上の整理の必要性を提起しています。
他市からも、東京都から市町村にあらかじめ説明がない中で事業が進められるケースがこれまでにもたびたびあり、かねてから東京都に対しては市と協議をした上で進めていただきたいと申し上げており、信頼関係を損なうことのないよう十分配慮をお願いしたいとの発言がありました。
続いて、
議案審議事項1件について報告いたします。
議案第1号の「次期役員の選考」については、現市長会役員の任期が本年4月で満了することに伴い、次期役員の選考方法について審議・決定し、
役員選考委員会を設置することが承認されました。
次に報告事項ですが、「
会長専決処分」、「東京自治会館再整備の取組」、「
東京都市町村職員研修所令和5年度研修計画」のほか、「
高校生等医療費助成事業に関する市町村と都との協議の場」について報告があり、
高校生等医療費助成事業について市長側から東京都に対して伝えたこととして、令和8年度以降の財源負担を東京都の10分の10の負担割合とすることや、高校生だけではなく新たな
子ども医療費制度として一気通貫の制度としてほしいこと等が報告され、了承されました。
続きまして、2月24日に開催された令和4年度第8回東京都市長会についてです。
まず東京都等からの連絡事項が7件あり、主な連絡事項2件について報告いたします。
1件目は住宅政策本部から「東京における
空き家施策実施方針の策定」について説明がありました。
主な内容は、これまで
空き家等対策の推進に関する
特別措置法等に基づき、市区町村による空き家対策の取り組みは一定程度進展しましたが、依然として多くの空き家があり今後はさらなる増加が懸念されることから、効果的な空き家対策が都内全域で展開されるよう、東京都の対策の考え方や具体的な取り組みの方針を市区町村等に示すべく、この実施方針を策定したというものです。
この実施方針では、法律に基づく市区町村の空き家対策への技術的・財政的支援の強化に加えて、具体的な施策の展開として既存住宅市場での流通促進、地域資源としての空き家の利活用、そして利活用の見込みがない空き家の除却等といった3つの手法が盛り込まれています。
また、併せて国への働きかけとして、市区町村とも連携を図りながら、必要に応じ国に法整備や支援策の拡充等を行い、その実現を目指していくとの説明がありました。
なお、本件については
パブリックコメントを経て3月末を目途に策定・公表する予定とのことです。
2件目は、下水道局から「
市町村下水道事業への支援の充実」について説明がありました。
現在東京都では、風水害、地震、火山噴火、電力・通信等の途絶及び感染症の5つの危機に対して、都民の安全・安心を確保できる強靱で持続可能な都市を実現するために、「
TOKYO強靱化プロジェクト」が策定されています。このプロジェクトに基づき、2040年代に目指す強靱化された東京の姿の実現に向け、
市町村下水道への補助制度を創設したというものです。
既存の
補助対象施策でもあった浸水対策・地震対策について、従来の都の補助率が2.5%だった水準からレベルアップし、国費事業の場合は国費2分の1、都補助金4分の1、市町村費4分の1とし、単独事業の場合は都補助金2分の1、市町村費2分の1とするものです。
令和5年度予算では、既存の都補助金2億円に加え、新規補助金として20億円の計22億円の規模で対応する予定との説明がありました。
続いて
議案審議事項として5件の審議が行われ、主な事項について報告いたします。
議案第1号の「東京都
市長会役員改選」については、2月15日に開催された
役員選考委員会による推薦案が報告され、了承されました。
この結果、本年5月1日からの市長会の新役員は、会長が東村山市長、副会長が福生市長、稲城市長、八王子市長と私、多摩市長、監事が府中市長と日野市長となりました。
議案第2号から議案第4号では、東京都市長会の令和5年度の事業計画(案)、主要行事日程(案)、
一般会計歳入歳出予算(案)がそれぞれ審議され、いずれも原案のとおり承認されました。
議案第5号では、「
各種審議会委員等の推せん」については、任期満了に伴う委員等の推薦について了承されました。
次に報告事項ですが、「
会長専決処分」のほか、東京都市長会の政策テーマである「多摩地域における行政のデジタル化の取組」の状況について報告され、了承されました。
第2件目として、「
前払金返還等請求事件及び同反訴事件の判決について」、ご報告を申し上げます。
本件は、市が令和3年5月28日に
特殊建築物定期調査等業務の受託事業者を被告として提訴した前払金の返還等を求める本訴事件、及び本訴事件と関連して同年10月21日付で
被告事業者側より残代金の支払いを請求する反訴が提起された反訴事件について、令和5年1月10日に
東京地方裁判所立川支部より判決が言い渡されたため、報告するものです。
判決は、本訴事件について市の請求を全て認容し、反訴事件について
被告事業者側の請求を全て棄却するというものです。
なお、本件につきましては相手方から控訴が提起されておりますので、引き続き適切に対応してまいります。
以上ご報告申し上げ、
市長行政報告といたします。
◯議長(いいじま文彦君) 以上をもって行政報告を終わります。
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◯議長(いいじま文彦君) 日程第5、これより一部
事務組合議会報告を行います。
議会運営委員会の決定により、一部
事務組合議会報告については口頭での報告を省略し、お手元に配付したとおりとさせていただきますので、ご了承願います。
書面の内容については、後日、行政資料室や多摩市議会のウェブサイトで公開いたします。
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◯議長(いいじま文彦君) 日程第6、第20号議案令和4年度多摩市
一般会計補正予算(第12号)を議題といたします。
提出者から提案理由の説明を求めます。阿部市長。
(
市長阿部裕行君登壇)
◯市長(阿部裕行君) ただいま議題となっております第20号議案について提案の理由を申し上げます。
本補正予算は、
工事請負契約書に基づき早急の対応が必要なものについて編成しました。
その結果、
歳入歳出予算をそれぞれ3,000万円増額し、予算総額を706億4,293万3,000円としました。
歳入予算は、本補正予算における財源対策として財政調整基金を取り崩すため、繰入金を3,000万円増額し、36億5,447万9,000円としました。
歳出予算は、教育費を3,713万3,000円増額し、116億5,330万3,000円としました。
多摩市立中央図書館建設工事において、
工事請負契約約款第25条第5項、いわゆる
単品スライド条項に基づき、建設資材の価格高騰分を増額しました。
予備費については、繰入金とあわせた財源対応として371万3,000円減額しました。
また、あわせて、継続費につきましても増額補正を行いました。
よろしくご審議の上、ご承認を賜りますようお願い申し上げます。
◯議長(いいじま文彦君) これをもって提案理由の説明を終わります。
お諮りいたします。
本案については、会議規則第36条第3項の規定により委員会の付託を省略いたしたいと思います。
これにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◯議長(いいじま文彦君) ご異議なしと認めます。
よって、委員会の付託を省略することに決しました。
これより質疑に入ります。
質疑はありませんか。岩崎議員。
◯3番(岩崎みなこ君) 今回のこの中央図書館の物価スライドの3,000万円くらいのお金ですが、積み上げた結果ではあると思います。この適正だと判断するような調査や比較検討はどのようにされたのかをお聞きします。
◯議長(いいじま文彦君)
萩野中央図書館整備担当課長。
(
中央図書館整備担当課長萩野健太郎君登壇)
◯中央図書館整備担当課長(萩野健太郎君) 受注者からは、今回資材の購入実績を証明する書類のほか市場取引価格を確認できる書類を提出させております。また、東京都の
運用マニュアルに準じて積算を行っているため、適正だと考えております。
◯3番(岩崎みなこ君) 適正だとおっしゃられたのですが、半年後に開館まで来ています。この時期の補正ですが、こういう状況で上げざるを得ないのだという話が来たときに、このような状況が今起こっているのだと思いますけれども、今後またそのようなことがあるか、その辺のところの見極めはどのようになっているのでしょうか。
◯中央図書館整備担当課長(萩野健太郎君) 建設工事については、今月3月15日で竣工を迎える予定でございます。そのため今回の契約変更が最後と予定しております。
◯3番(岩崎みなこ君) 多摩市は公会計ということでやっておりますので、逆に資材の高騰だけではなく賃金の適正というところも重要な視点かと思います。
ただ、もう既に
多摩中央公園の西側にあるこの建物はほろが取れています。外観もはっきり見えていて、市民の方も仕事や買物などでレンガ坂を通られる場合に楽しみにしているという声を市民の方からよく聞きます。
ただ一方で、やはり税金を投入していますので、相当慎重に投入していただきたいということがあります。
今後、これから引っ越しの費用や、点検から出てくる様々なことの可能性や、公園内ということで造成なども入ってくる中、ZEB Readyで完成するということではありますが、
ランニングコストもかかります。
税を投入しているということは、今後ともぜひ意識していただきたいというところの確認だけお願いします。
◯中央図書館整備担当課長(萩野健太郎君) これまでも工事費については補正予算を何度もさせていただいております。そのたびごとに議会の皆様にもお知らせし、ご承認をいただいてきました。
税の投入については慎重に我々も検討しながら進めてきているところでございます。今後も同じように進めてまいりたいと思っております。
◯議長(いいじま文彦君) ほかに質疑ありませんか。──質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終了いたします。
これより第20号議案に対する討論に入ります。
討論はありませんか。──討論なしと認めます。
これをもって討論を終了いたします。
これより第20号議案令和4年度多摩市
一般会計補正予算(第12号)を挙手により採決いたします。
本案は原案のとおり決することに賛成の諸君の挙手を求めます。
(挙手全員)
◯議長(いいじま文彦君) 挙手全員であります。
よって本案は原案のとおり可決されました。
────────────────────
◯議長(いいじま文彦君) 日程第7、これより
施政方針演説を行います。阿部市長。
(
市長阿部裕行君登壇)
◯市長(阿部裕行君) 令和5年度の市政運営について所信を申し述べ、主権者である市民の皆さん並びに市議会の皆さんのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
施政方針に先立ち、去る2月1日に逝去された名誉市民でもある
臼井千秋元市長に、謹んで哀悼の意を表します。
教育委員、町議会・市議会議員を経て、昭和54年5月から5期20年にわたり市長の職を務められた臼井元市長は、
多摩ニュータウン開発という時代の大きなうねりの中で、郷土と市政の発展のためにひたむきな情熱を傾け、多摩市の発展と市民福祉の向上に大きく貢献されてきました。葬儀の席と同じく、昨日まで庁舎に設置した記帳所においても臼井元市長との別れを惜しむ多くの市民の姿がありました。生前のご功績とともにそのお人柄がしのばれます。
一昨年、市制施行50周年を迎えた本市が次の50年に向けて取り組むことができるのは、臼井元市長をはじめとする先人たちのたゆまぬ努力が積み重ねられてきたおかげです。そのことを胸に刻み、臼井元市長のご冥福をお祈りするとともに、臼井元市長がまかれた「一粒の種」を引き続き大事に育ててまいります。この思いを継承し、私自身、市長としてこれからのまちづくりに誠心誠意、情熱をもって取り組んでまいります。
第1 はじめに
私は、1年前の
施政方針演説の冒頭、核超大国であるロシアによるウクライナへの軍事侵攻について抗議と遺憾の意を示し、一日も早い攻撃の停止と撤退を求める緊急の所感を述べました。しかしその後、事態はさらに悪化し、ロシアは一方的に
ウクライナ東部・南部4州を併合するなど国連憲章と国際法を踏みにじる蛮行を重ね、多くの戦死者・犠牲者、戦争難民を生み出しています。改めて、平和を希求する多摩市として
プーチン大統領に攻撃の停止と即時撤退を求めます。
また、私は昨年、3年ぶりに「
子ども被爆地派遣事業」で小・中学生と広島を訪問し、核兵器廃絶と戦争のない世界、そしてウクライナに平和をと祈ってきました。この「
子ども被爆地派遣事業」に参加した子どもたちが地域や学校などで平和の伝道者として活動を始めています。昨年は、市制施行後50周年記念も兼ね、派遣経験者であるOB・OGの皆さんに再度被爆地に行っていただくプログラムを実施しました。若い世代が被爆地で新たな出会いや学びを重ね、「多摩市平和展」などで平和の尊さを発信し続ける意義を改めて認識したところです。
多摩中央公園に根づいた「被爆2世アオギリ」とともに多摩市の平和への思いを未来につなぐ若い後継者を育てていかなければなりません。
昨年12月、
アイスランド共和国の
グズニ・ヨハネソン大統領が多摩市を訪れました。ジェンダー平等、気候危機について意見交換を行い、「アイスランドは最初から
ジェンダー平等社会であったわけではない。男性が家事・育児を自然に行うようになるまで女性たちの長い闘いがあった」と話されました。
日本でも、
ヤングケアラー、8050問題などの解決が叫ばれ、本市でも
ヤングケアラーの実態調査などに動き出しています。私は、家庭・家族だけでケアの責任や負担を負うのは当たり前という固定観念に日本社会が長く支配されてきたことに要因があると考えています。こうした状況から抜け出さなければ、当事者の悩みや孤立感はさらに深まるばかりです。
また、コロナ禍において、私たちの働き方、ライフスタイルも大きく変わりました。オンライン、テレワーク、
キャッシュレスをはじめ本格的なデジタル社会に突入する中で、これまで築いてきた文化や芸術、地域社会など社会のありようを新たな生活様式や
ビジネスモデルなど持続可能な未来にどのようにつなげていくか、まさに時代の転換点を迎えています。
さらに、
Well-beingという言葉をよく聞くようになりました。多摩市では「
健幸まちづくり」として既に取り組んでいますが、私
たち一人ひとりの心と体の健康はもちろんのこと、全ての土台となる地球環境のことも考えていかなければなりません。これまでの新自由主義的な市場経済を重視した
経済成長モデルから、多様な生命と暮らしを大切にした分かち合いの
環境共生社会へと転換していく時期に来ています。
このような
環境共生社会を推進していくためにも、市議会の皆さんと一緒に「
気候非常事態宣言」を行った自治体として、持続可能な
グリーンインフラの取り組みをさらに推進するとともに、私たちが日々排出しているごみにも目を向け、その多くが廃棄物ではなく資源という意識を改めて確認したいと考えています。
現在、第六次多摩市
総合計画基本構想を審議会で論議していただいていますが、コロナ禍を通して、社会が大きな転換点を迎えていることを踏まえ、行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるとともに、環境に優しい共生社会、地域協創など
地域コミュニティをベースに活発な対話が交わされる市民主体のシビックプライドあふれるまちづくりを進めていかなければなりません。
さらに、これまで以上にしっかりと子どもや若者たちの声に耳を傾け、物価高騰、光熱費の上昇などから市民の暮らしと生命を守る、最も市民に身近な地方政府として、引き続き臨機応変かつ機敏に対応してまいります。
第2 市政運営における基本的な考え方
1 物価高騰と出生数80万人割れのインパクト
昨年は、長引くコロナ禍に加えて、ロシアによる
ウクライナ侵攻に伴う原油や穀物などの価格高騰に、急速な円安の進行も相まって、市民生活は物価高騰に見舞われました。市としてもこれに対する対策に取り組んできましたが、今後の動向を注視していく必要があります。
あわせて注目しなければならないのが、岸田首相が「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトにして掲げる経済政策「新しい資本主義」の行方です。首相は年頭に、経済界に対してインフレ率を上回る賃上げを要請しました。好循環を生み出していくためには、大企業だけでなく日本の産業の中心を占める中小企業で働く人や非正規で働く人たちにも波及していくことが重要と考えています。
今後、物価高騰の波が落ち着いていくのか、市としてもその動向を注視し、臨機応変に対応していきます。
また、昨年の出生数が、国の想定よりも早く80万人台を割り込む見込みとなったことで、岸田首相や小池都知事からも強い危機感で取り組んでいく方向が示されました。4月からはこども家庭庁も発足し、子ども施策が省庁の縦割りを脱して進められることは歓迎しています。東京都の18歳以下への月5,000円の一律給付が注目されていますが、あくまでも一連の政策の一部としています。フランスや北欧諸国などでは国を挙げて少子化に対応した例もあります。子どもは社会全体の宝でもあり、国、都道府県、市町村が役割分担しながら取り組みを進めていくことが重要です。子ども施策に対する恒久的な財源の確保や働き方改革など国にしかできないことに期待を寄せつつ、基礎的自治体である本市としても妊産婦に寄り添った支援の充実、子どもたちの放課後の過ごし方の充実に向けた検討、所得制限のない医療費助成制度の高校生世代までの拡充や三世代近居・同居促進助成制度の使い勝手の改善、公園への遊具の新設・更新など、市民に身近な分野での子育て・子育ち環境の充実につながる様々な施策を講じていきます。
2 市政運営の基本姿勢
令和5年度は、第3期の基本計画を推進してきた第五次総合計画から、現在策定を進めている第六次総合計画へと切り替えを迎える年度です。また、総合計画だけでなく、都市計画マスタープラン、みどりと環境基本計画、産業振興マスタープランをはじめ10を超える計画や方針などの策定または改定作業が本格化し、市民の参画を得ながら各分野においても大きな方向性を見出していく、言わば次の50年に向けて新しい未来への基盤をつくる年度です。これから先の未来を見据えたとき、温暖化をはじめとする気候変動や地球環境の問題、少子化・高齢化のさらなる進行による人口減少など、様々な問題にいかに取り組み、持続可能で活力のある社会を構築していくかが重要となります。不確実な時代に対応した変革を進めていきます。
SDGsが目指す「誰一人取り残さない社会」の実現に向けて「多摩市障がい者への差別をなくし共に安心して暮らすことのできるまちづくり条例」、パートナーシップ制度、「多摩市子ども・若者の権利を保障し支援と活躍を推進する条例」を整備してきました。当事者の皆さんにとって、そして全ての人にとって、住みやすく暮らしやすい多摩市の実現を目指していきます。
また、新型コロナウイルス感染症については、この3年間、毎年度10回を超える補正予算を編成し、ワクチン接種体制の整備のみならず、コロナ禍における様々な市民生活への支援策、経済対策や原油価格・物価高騰対策などにも取り組んできました。今年、3年ぶりに行動制限のない新年を迎え、基本的な感染対策を徹底しながらのニューノーマルが定着してきました。水際対策の緩和などにより変異株による再流行への懸念もありますが、保健医療提供体制の状況、子育て・教育、福祉・介護などの各現場の状況を注視し、市民の生命を守るためにしっかりと備えていきます。
なお、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを見直すことについては、私自身も必要なことと認識していますが、このことに伴うワクチン接種の公費負担をはじめとする具体的な影響に対しては、住民に最も近い最前線に立つ基礎自治体の首長として、引き続き国や東京都に対して必要な声を上げていく所存です。
3 これからの50年に向けて、市民とともに進める取組
(1)健幸都市の実現を目指して
本市では、国に先駆けて、市民の「健康」と「幸せ」を掲げ、第五次総合計画第3期基本計画においては「
健幸まちづくりのさらなる推進」を「基盤となる考え方」に位置づけ、全庁で取り組みを進めてきました。この数年はコロナによる影響も大きく受けましたが、感染対策に配慮した
健幸まちづくりの取り組みやその基盤となる施策は着実に進めてきています。行動制限がなくなり、社会経済活動が戻りつつある今こそ、まちぐるみで
健幸まちづくりを強力に推し進めていく必要があると認識しています。
介護予防の分野においては、昨年、「多摩市地域介護予防教室」が厚生労働省主催の「私のまちの『通いの場』自慢コンテスト」で優秀賞を受賞しました。市民主体のまちぐるみの活動が評価されたことは、
健幸まちづくり、そして健康二次被害対策に取り組む市民を勇気づけるものであり、大変喜ばしい成果でした。引き続き、健康づくり推進員やスポーツ推進委員の皆さんとともに、健康維持を図るための取り組みも進めていきます。
また、現役世代の
健幸まちづくりとして取り組む健幸ワーク宣言については、市制施行50周年記念イベントとして昨年7月に宣言式を実施し、商工会議所を筆頭とした市内の事業所・大学等の参画を得て、その意義を共有しました。今後さらに宣言企業がふえるよう、普及促進に取り組んでいきます。
健幸まちづくりを開始した当初から取り組んでいる「多摩市版地域包括ケアシステム」においては、分野別・対象者別の相談支援体制では対応が困難な市民に対して、多様な機関が横断的に連携し、適切な支援に結びつけること等を目的に多摩市版地域包括ケアネットワーク連絡会を昨年設置し、本年からは、代表者会議・エリア別情報交換会・事例検討会の3つの会議体による相談支援体制を始動させます。
また、本市では、妊娠期から産後にかけてのきめ細かなケア、地域密着の子育て支援体制など、子育て環境の充実に取り組んできました。「子育てしやすいまち・多摩」を名実ともに打ち立てるため、全庁を挙げて、良好な子育て環境への取り組み、若者・子育て世代に魅力的なまちづくりに一層積極的に取り組んでまいります。
(2)環境共生型都市を目指して
市議会とともに宣言した「多摩市
気候非常事態宣言」に基づく取り組みも全庁一丸となって推進します。
気候変動への取り組みはいよいよ待ったなしの状況であることから、都内初の脱炭素先行地域への選定を目指し、多摩センター駅周辺地区などを対象エリアとして国の募集にエントリーしました。応募に当たっては多くの企業・事業所ともコンタクトをとってきましたが、企業レベルではそれぞれに脱炭素に取り組んでいる状況も把握できました。選定結果は今春に発表される見込みですが、市民・事業者も巻き込んだ取り組みを推進していきます。
4月からはペットボトルの水平リサイクルを民間企業との協定に基づき進めるとともに、子どもたちに水の大切さを伝える出張環境教育などにも取り組みます。また、マイクロプラスチック問題は、日常生活の中で使われているあらゆるプラスチックがその原因となり得ます。プラスチックごみの発生抑制やリサイクル、テニスコートの人工芝の流出抑制などにおける民間企業と連携した取り組みに加え、市内で既に取り組みの機運が盛り上がっている川ごみ清掃などの市民活動を支援し、環境配慮行動のムーブメントを創出してまいります。
(3)活力とにぎわいのある都市を目指して
まちに活力をもたらすのは人です。
高齢化の進行、定年延長や非正規雇用の増加などの労働環境の変化、地域を取り巻く課題の複雑化・多様化、そしてコロナ禍での生活様式の変化など、様々な要因が相まって、本市がこれまで進めてきた「参画」・「協働」によるまちづくりは転換を余儀なくされています。次代のまちづくりの担い手である若い世代の市民の意識には大きな変化が生じてきており、市民主体のまちづくりを将来にわたって持続していくためには、時代の変化に合わせた新たな「しくみ」や「しかけ」が必要であると考えています。
リタイヤ世代などを中心に推進してきたこれまでの担い手づくり、地域づくりから、対象を子どもたちからシニア世代までの幅広い世代に広げ、多世代が関わることができる共生型コミュニティをつくっていくことを目指し、現在進めているモデルエリアでの取り組みを深化させながら、エリアごとのプラットフォームのあり方や地域担当職員の配置など、「(仮称)地域協創」のしくみやしかけづくりに取り組んでいきます。
また、令和5年度は、まちのにぎわいを創出し、継続させる取り組みとして、これまで着実に進めてきたまちづくりの取り組みが花開いていく年となります。
市内主要3駅周辺の活性化の推進のうち、多摩センター駅周辺地区では、昨年のパルテノン多摩のリニューアルオープン、本年7月の中央図書館の開館、そして現在は
多摩中央公園の改修事業も進んでいます。聖蹟桜ヶ丘駅周辺地区では、昨年、地域の自治会や団体、事業者を中心に発足した「聖蹟桜ヶ丘かわまちづくり協議会」とともに、さらに社会実験に取り組み、持続可能なスキームの検討を進めていきます。現在整備中の芝生エリアは養生期間終了後に既存の一ノ宮公園のエリアとあわせた活用を図り、公民連携による水辺空間を生かしたまちづくりを展開していきます。永山駅周辺地区では、既存の永山駅周辺拠点勉強会のほか、東京都と市が新たに設置した諏訪・永山再生プロジェクト検討会議により、諏訪・永山まちづくり計画の推進を図ります。日本医科大学多摩永山病院の建て替えについては、地域医療の観点とともに、にぎわいや活性化の観点からも期待する声が聞かれることから、しっかりと対応してまいります。
第3 持続可能な都市経営
1 人口減少を見据えた行財政運営
国や東京都とともに少子化対策に取り組みながらも、一方で今後の人口減少を見据えた行財政運営が求められています。
高齢化のさらなる進行に伴い、社会保障関係経費が増加する傾向は変わらないことに加えて、今後、大型施設を中心に多くの公共施設等が更新時期を迎えます。こうしたことを念頭に、持続可能な行財政運営を目指し、(仮称)第十次行革計画を策定します。
また、市税収入は回復基調にありますが、コロナ前の水準まで回復するかどうかは不透明な状況であり、今後の動向を見通しながら、丁寧かつ迅速・果敢な財政運営を進めていきます。
本市のDXは、市民の利便性の向上を図る「くらしのDX」、デジタルで業務改革を図る「行政事務のDX」の両面で推進していきます。くらしのDXとして行政手続のオンライン化など非来庁型サービスをより進めていくため、統合型・公開型GISを導入し、市民に対するデジタルによる情報提供を拡充するとともに、システム運用の効率化を図ります。また、電子図書館の充実を図ります。行政事務のDXについては、行政サービスのさらなる向上と新庁舎の整備に向けた新たな行政サービスの構築、税収の減少などを見込んだ抜本的な業務の見直しと効率化などの課題解決に取り組むべく、(仮称)DX推進計画を策定します。
「ひとにやさしいデジタル化」の視点では、引き続き高齢者向けのスマホ教室の開催などデジタルデバイド対策に取り組み、誰一人取り残さないデジタル化の視点を持ちながら取り組みを進めていきます。
これらのことをハード・ソフト両面から進めていくため、新たに行政サービス・アセット担当部長、DX推進担当課長、新庁舎整備担当課長を設置し、推進体制を整備します。
また、令和5年度から、職員の定年年齢を段階的に65歳に延長します。経験豊富な職員の知識・経験・技術を積極的に活用しながら、若い世代へベテラン職員のノウハウを確実に継承し、職員の人財育成を図るとともに、組織力を高め、多様な行政ニーズにきめ細かく対応していきます。
シティセールスについては、市外に向けて「多摩市の魅力的な情報」を様々な媒体を通じて発信してきた結果、各種民間ランキング調査では、ここ数年ランクアップしています。一層の情報発信力の強化を図るため、情報発信戦略及びシティセールス戦略に基づく取り組みを進め、職員一人ひとりが広報及びシティセールスパーソンであるというマインドを高めるとともに、わがまち意識の醸成や市外への情報発信などを推進します。また、新たな取り組みとして、まちの姿が変わりつつある聖蹟桜ヶ丘駅周辺地区にスポットを当て、魅力やポテンシャルの発信を企業や市民を巻き込みながら進めていく取り組みにチャレンジし、今後は様々な場面で、多様な主体と一緒に「くらしに、いつもNEWを。」を体現する多摩市を発信し続けてまいります。
2 市役所本庁舎の建替えに向けた基本計画の策定
令和11年度の本庁舎の建て替えを目指し、2月に「多摩市役所本庁舎建替基本構想」を策定しました。この基本構想では、現庁舎の課題や本市の将来展望、市民ニーズの変化、まちづくりの方向性を踏まえ、本市が目指す将来の市民サービスの姿と、それを支える市役所全体の姿、そしてそれを実現する本庁舎像を明らかにするとともに、基本機能や建設規模の考え方などを整理し、長年の懸案課題であった位置については、現在地とする決断をしました。
令和5年度は、この基本構想で掲げたビジョンの実現を目指し、本庁舎の建て替えを具体化する基本計画の検討に着手します。基本計画の策定に当たっては、若手職員の参加機会をつくるとともに、市民の声や防災、DX、環境などの専門家の助言も得ながら、施設計画などを検討し、規模や事業費の精査にも取り組んでいきます。
なお、本庁舎の建て替えまでには一定の期間を要する中で、現在の本庁舎の狭隘化により顕在化している来庁者の通行や、窓口でのプライバシーの確保などの課題解決を図るため、庁舎内のレイアウト変更等による狭隘化対策を引き続き実施します。
第4 分野別の取組
1 子ども・学校教育分野
「多摩市子ども・若者の権利を保障し支援と活躍を推進する条例」の施行から間もなく1年がたとうとしています。国においても「こども基本法」が来月から施行されますが、国に先んじて取り組みを進めてきた自治体として、条例の基本理念の普及に努めます。特に、主役である子どもたちに内容を理解してもらうため、条例の副読本を電子版で作成するとともに、子ども・若者が気軽にWEB上で意見表明できる環境を整えます。また、昨年末に任意での記名方式を採用して実施した
ヤングケアラー実態調査も踏まえ、子ども家庭支援センターにおける
ヤングケアラーへの支援体制を整備します。
令和5年度からは、
高校生等医療費助成制度もスタートします。制度設計した東京都では所得制限を設ける制度としましたが、本市では子ども医療費助成制度と同様、所得制限を設けることなく実施します。なお、本制度については、令和8年度以降の東京都による負担のあり方が課題となっており、私も市長会を通じて率先して負担を求めていきたいと思います。
生活保護受給世帯の子どもたちに対しては、塾費用の補助について、これまでの償還払いに加えてスタディクーポンでの支払い方法を追加するとともに、コーディネートの仕組みを導入して、よりきめ細やかな学習支援を行います。
保育園における使用済み紙オムツの持ち帰り問題については、各園が保護者に持ち帰りを求めなくても済むよう、各保育園が取り組みやすい環境を整えます。
「放課後子ども教室」は、子どもたちの放課後の過ごし方の充実を図るための検証を行います。まずは小学校2校で委託事業による試行を行います。
妊産婦に対しては、産後の育児不安やメンタル不調、愛着、家庭に関する課題など、抱えている背景についても多様化しており、産後ケアの支援ニーズが高まっていることを踏まえ、これまで行ってきた通所型産後ケア事業を拡充し、アウトリーチ型産後ケアを実施します。さらに出産・子育て応援交付金事業を行い、このような支援体制に必要な方がつながれるよう伴走型相談支援体制を確立し、出産・子育て応援ギフトを支給する経済的支援とともに一体的に実施します。
建設後58年が経過する多摩第三小学校は、校舎建替基本計画の策定に向けて、市と学校関係者、児童保護者、地域との協議及び情報交換を経て合意形成を図ります。あわせてこれまで計画的に進めてきた学校改修を進め、子どもたちの学びの環境整備に取り組みます。
昨年度全校試行実施した小学校水泳指導の外部委託事業については、本年度より全校本実施とし、引き続き授業内容の改善や課題などの解決に取り組んでいきます。また、学校現場における教員の働き方改革に資するように、副校長補佐職の配置などに取り組むとともに、スクールソーシャルワーカーを増員し、学校への派遣型から巡回型へと体制を変更します。
加えて冒頭申し上げた物価高騰を受け、学校給食においても、食材料の高騰により今後、給食費全体の改定は行わざるを得ない状況にあります。令和5年度については、改定額の適用を教職員など大人の給食費のみとし、児童・生徒については値上げ分を公費で負担することとします。
2 健康・福祉・保健・医療分野
令和5年度からは、今後6年間における多摩市の地域福祉の方向性を定め、地域福祉のより一層の充実を図ることを目的とした次期地域福祉計画がスタートします。多摩市が目指す健幸都市の実現に向けて、庁内横断的に施策を進めていきます。また、令和5年度は、第9期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画や、障がい者基本計画、第7期障害福祉計画・第3期障がい児福祉計画の策定なども進めます。国や東京都の動向を注視し、関係機関の意見を聞きながら議論を深めていきます。
令和5年度からは新たな条例の検討にも取り組みます。1つはコロナ禍における自粛下での歯科口腔環境の悪化、成人期・高齢期における歯科疾患予防のニーズ増加等を踏まえ、歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的に推進し、市民保健の向上に寄与することを目的とし、令和6年度中の制定を目指し、(仮称)多摩市歯科口腔保健推進条例の策定に着手します。もう1つは、手話が1つの言語であるという認識のもと、手話に対する理解の促進を図り、手話を必要とする人もそうでない人も安心して生活することのできる共生社会の実現に寄与することを目的として、(仮称)多摩市手話言語条例の制定に向けた検討を開始します。
困難を抱える人たちに対して寄り添う取り組みも進めます。ひきこもりの方に対しては、新たに、ひきこもり当事者の方が自宅以外で日中を安心して過ごすことができ、他者との関係構築などの経験を積むことができる居場所事業を「しごと・くらしサポートステーション」で行います。居場所の利用を契機に、個々の特性に応じた支援を行うなど充実を図ります。また、がん治療に伴い外見が変化したことにより外出の機会が減少し、他人との関わりを避けるなどして、社会生活が困難となる方も少なくありません。このことから、がん治療に伴う心理的負担を軽減するとともに、社会参加を促進し、療養生活の質の向上を支援することを目的に、ウイッグ及び補整具の購入または借り受けに要する費用の助成を開始します。
コロナ禍で全国の自殺者数が減らない中、社会不安の増大に伴う心のケアを今まで以上に行っていくためにも、令和5年度に自殺対策推進計画「いのちとこころのサポートプラン」の改定作業に着手し、総合的な自殺対策のさらなる推進・強化を図ります。
このほか、令和2年7月に施行した「多摩市障がい者への差別をなくし共に安心して暮らすことのできるまちづくり条例」に基づき、差別解消、共生社会の実現に向けた取り組みを進めます。特に子どもの頃からの障害理解を深めるための「子ども向けハンドブック」の活用や事業者による合理的配慮の提供を促進するための市独自の助成等を実施します。
受動喫煙防止の取り組みを推進するため、市内4駅周辺の受動喫煙防止重点区域や小・中学校周辺の道路及び公園を巡回して周知啓発を行います。
令和元年度に策定した「多摩市版地域医療連携構想」を推進するため、関係者で協議するとともに、医療リテラシーの啓発を図るための講演会を実施し、かかりつけ医療機関を持つことの大切さなどを啓発します。また、日本医科大学多摩永山病院の建て替えについても、地域医療政策の観点をしっかり踏まえた取り組みを進めていくため、市として旧多摩ニュータウン事業本部の解体工事を進め、引き続き移転・建て替えの実現に向けて学校法人と協議してまいります。
3 コミュニティ、社会教育・生涯学習分野
本年7月に「知の地域創造」の拠点として、また駅前拠点館や地域館も含めて、全市的な図書館サービスのさらなる向上の中核として、中央図書館を開館します。市民、各種の団体と連携した開館記念イベントを行い、多くの市民に利用される施設として安定的な運営をしていきます。また、中央図書館の開館を機にミニバス東西線のルート変更を行い、パルテノン多摩や中央図書館へのアクセス性も高めます。
多摩市に暮らす外国人を地域社会の一員として受け入れ、誰もが安心して生活することのできる多文化共生社会の実現に向け、「多文化共生推進基本方針」の策定に向けた準備を進めます。
昨年4月に施行した多摩市みんなの文化芸術条例に基づき、「(仮称)多摩市文化芸術振興計画」の策定に着手します。計画をより実効性のあるものとするため、計画着手前に、多摩市の文化芸術の10年後を見据えた将来ビジョンを策定します。
本年12月には、多摩地域で東京2020大会レガシーとなる自転車ロードレースが開催される予定であり、こうしたスポーツイベントを支えるスポーツボランティアのしくみづくりに着手していきます。
次世代への平和の継承を目的に平成25年から開始した「
子ども被爆地派遣事業」は、昨年、市制施行50周年記念事業として歴代の派遣員を広島へ派遣しました。現役派遣員のサポートとともに、若者世代の視点で平和の尊さを伝えていくことを目的に、令和5年度も歴代派遣員を長崎へ派遣します。
4 産業振興・観光分野
技術の革新、消費行動や働き方の変化など、社会情勢は目まぐるしく変化し続けている状況を踏まえ、今後も多摩市が経済活動の場として「選ばれるまち」であり続けるために、長期的な視点による産業振興の方向性を示し、計画的に産業振興施策を進めていくことを目的に「(仮称)多摩市産業振興マスタープラン」の策定に着手します。また、平成31年3月に策定した多摩市都市農業振興プランについて、関係者の参画も得ながら中間見直しを行います。
市内中小企業のデジタル人材育成支援及びDX推進を目的に、デジタル人材育成支援事業を実施します。またコロナ禍で取り組んだ市独自事業に加え国や東京都の施策を紹介する事業者向けダイレクトメールが好評だったことを踏まえ、引き続き実施していきます。
このほか、ふるさと納税については所管を移し、産業振興策として取り組みを強化していきます。
多摩センター駅周辺地区では、中央図書館の開館やハローキティストリート・しまじろう広場制定10周年記念を軸としたハローキティにあえる街事業を展開するとともに、多摩センターの将来ビジョン策定に向けて、令和4年度に市民などから集めた「まちのつかいかたの声」をもとに、社会実験的に取り組んでいくことにより、まちの「使い方の創出」、「人材の発掘」につなげていきます。
聖蹟桜ヶ丘駅周辺地区では、かわまちづくりの一環として、今年度に引き続き社会実験を行い、居心地のよい水辺空間づくりを進めるとともに、せいせきみらいフェスティバルの実施を支援します。
5 防災・都市づくり分野
近年、気候変動による影響で、短時間での降水量の増加による河川氾濫や土砂災害などが全国、そして全世界で相次いでいます。「線状降水帯」というこれまでに経験のない波状的局所豪雨も各地で発生しているとともに、昨年末においては、日本海側に災害級の降雪が発生しました。また、昨年、市内では火災による死者も発生しました。水利の確保が困難な場所でも消火活動を行えるよう、消防団の装備の充実を図るため、ジェットシューターを導入します。市として市民の安全・安心を守るため、引き続き防火・防災に取り組みます。
防災対策として、通学路などの道路沿いに面したブロック塀の倒壊等による事故を防ぐため、市内の危険なブロック塀等の撤去費用の一部を補助します。加えて、聖蹟桜ヶ丘駅周辺においては、災害時における電柱の倒壊を防ぐため、多摩市無電柱化推進計画に位置づけられた路線において無電柱化事業を実施します。
また、近年の降雨の局地化・集中化・激甚化や、都市化の進展等に伴い、令和元年台風19号をはじめとした浸水被害が全国で多発していることを踏まえ、多摩市下水道総合治水対策方針の策定に向けて、浸水対策としてのハード対策・ソフト対策について検討を進めます。
都市づくりでは、その根幹となる都市計画マスタープランの改定に向けて引き続き取り組みます。また、多摩センターの将来ビジョン策定を踏まえた(仮称)多摩センター地区まちづくり方針や多摩センター駅周辺地区都市再生整備計画などの策定に着手します。
ニュータウン再生の取り組みについては、南多摩尾根幹線沿道土地利用方針に基づく諏訪・永山沿道エリアの将来像を検討するためのプラットフォームを立ち上げ、検討の深度化を図ります。また、これまでに策定した地区別まちづくり計画のリーディングプロジェクトのスキーム検討などを行います。
多摩都市モノレールの町田方面への延伸に向けては、令和4年度に引き続き、町田市と協力して、多摩都市モノレール町田方面延伸沿線まちづくり構想を策定するための検討会を実施するとともに、沿線周辺における商業事業者等と市による将来的な協議会の設置の準備を進めており、協議会準備会を設置し、検討を進めていきます。
三世代近居・同居促進助成制度については、より多くの子育て世帯に定住先として選んでもらうようにするために、2月末までの転入という要件をなくし、切れ目のない助成制度に改定します。
6 環境分野
昨年12月に開催した「TAMAサスティナブル・アワード2022」では、地球温暖化対策部門をはじめとする4つの部門で、特に優れた取り組みを行っている市民団体や、多摩市初の取り組みを全国に発信している企業を表彰しました。
市民や企業の皆さんと一丸となって気候問題に取り組む機運を醸成し、2030年カーボンハーフ、2050年カーボンゼロへと持続可能な社会に再構築するため、令和5年度もTAMAサスティナブル・アワードを継続実施するとともに、脱炭素社会づくりに向けた具体の「取組」や「行動」を市民とともに考えるしくみをつくり、社会変容を推進していくための場所として「気候市民会議」を立ち上げます。また、公共分野における対策として、総合体育館においてESCO事業による照明のLED化に取り組むほか、東京都・早稲田大学との共同事業である燃料電池ごみ収集車の試験運用を実施し、ごみ収集におけるカーボンニュートラルにもチャレンジします。
また、令和4年度に開始した省エネ家電買換促進制度については、市民の物価高騰等による負担軽減を図るとともに省エネ家電製品の普及促進により市内で排出される二酸化炭素の削減を進めるため、継続実施します。
マイクロプラスチック対策も市民や事業者等と連携しながら進めているところであり、これらの取り組みのうち市民や中央大学と連携して行っている調査について動画を制作し、市民への啓発の取り組みを強化していきます。
多摩中央公園のPark-PFI手法による改修事業については、ここで実施設計内容の市民説明会も終了し、グリーンライブセンターと合わせて改修工事に着手します。令和4年度に取得した大栗橋公園拡張用地については、今年度の市民説明会や社会実験を踏まえて整備工事を行います。
連光寺六丁目農業公園事業については、これまで行ってきた試験事業を踏まえて農地の維持管理、作物の栽培に加えて、公募市民を対象とした農体験事業の運営などを行います。
このほか、聖蹟桜ヶ丘駅周辺で多くの苦情が寄せられているムクドリ対策にも取り組みます。
令和5年度から新たな一般廃棄物処理基本計画に基づく取り組みを進めるとともに、ペットボトルの水平リサイクルをはじめとした資源循環の重要性を市民と共有するため、「
ごみ対策課」を「資源循環推進課」に改称し、環境負荷の少ない循環型のまちを推進します。
また、令和4年にごみ収集作業中に2回発生した収集車両の火災を踏まえ、本年4月から小型充電式電池等の行政収集を開始し、火災対応のみならず資源循環も進めていきます。
第5 むすびに
昨年末、コロナ禍ということもありますが、国の予測より8年も早く少子化が進んでいることが明らかになりました。もう1年以上前にさかのぼりますが、厚生労働省出身の山崎史郎さんが小説『人口戦略法案』を著し、センセーショナルな話題として取り上げられました。本市でも同時期から子ども青少年部を中心に対策の検討に取り組んできたところですが、東京都では年度当初から矢継ぎ早に子ども支援策を講じています。国・都道府県などの広域行政としっかりと役割を分担しながら、多摩市としても引き続き取り組んでいきます。
また、国では、新型コロナウイルス感染症の分類を2類相当から5類に移行することを正式決定しました。私は従前から、自前の保健所を持たない自治体として、市長会そのほかの場で東京都や国に対し声を上げてきましたが、引き続き正確な情報と科学的エビデンスに基づく対応を求めるとともに、ワクチン接種、コロナに関する医療費等については、地方交付税の交付団体・不交付団体を問わず、当面の間、国において責任を持って対応すべきと強く申し上げていく所存です。マスクの着用等、特に子どもたちが免疫力の低下など将来に影響を及ぼさないよう、早期に普通の生活に戻していく必要があります。
2月6日にトルコ・シリア襲った大地震では多くの方が犠牲になりました。被害の全容はまだわかりませんが、トルコでは84年前に起きた地震での死者数を上回る大変な被害となっているとのことです。亡くなられた方にお悔やみを申し上げるとともに、今も余震が続く中での避難生活を強いられている皆さんにお見舞い申し上げます。市としても募金活動を通じて、市民の皆さんに被災地支援を呼びかけていきます。
本年9月1日、関東大震災から100年を迎えます。大震災がいつ東京を襲ってもおかしくありません。令和3年度には、国土強靱化地域計画を策定していますが、地域防災計画などは常にブラッシュアップしていかなければなりません。総合防災訓練や消防団・自主防災組織などの防災活動については、コロナ禍での感染対策や地域による安否確認、ペット同伴の避難など、より実践的な訓練や方法にチャレンジしていきます。
「天災は忘れた頃にやってくる」と言われた物理学者の寺田寅彦の名言に「モノを怖がらなさ過ぎたり、怖がり過ぎたりするのはやさしいが、正当に怖がることはなかなか難しい」との言葉があります。コロナ禍の3年間、感染症や災害に向き合う際の戒めとしてこの言葉を胸に刻み込んできました。引き続き、この思いを忘れず市民主権の市政運営に当たってまいります。
◯議長(いいじま文彦君) 以上をもって
施政方針演説を終わります。手話通訳の方々、ありがとうございました。
────────────────────
◯議長(いいじま文彦君) 日程第8、代表質問を行います。
この際、申し上げます。
代表質問の質問順、質問時間は、
議会運営委員会の決定により、1番新政会45分、2番公明党40分、3番日本共産党40分、4番フェアな市政35分、5番ネット・社民の会30分以内といたします。
このことについてご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◯議長(いいじま文彦君) ご異議なしと認めます。
では、そのようにいたします。
初めに、新政会を代表して松田だいすけ議員の発言を許します。24番松田だいすけ議員。
(24番松田だいすけ君登壇)
◯24番(松田だいすけ君) おはようございます。新政会の松田だいすけです。会派を代表いたしまして代表質問をさせていただきます。
市長施政方針について
1 戦後78年と転換点を迎えるにあたって
施政方針冒頭の
子ども被爆地派遣事業について、市長が特に思い入れのある事業であるということは、阿部市政を議場でおよそ8年間見てきた者として深く感じるところであります。8月に三市収益組合議会の視察で阿部市長と丸亀市と倉敷市に行った際、その後市長は広島で行われる平和記念式典に参加されるということで、私と視察中のバスの中で平和ということについて熱くお話をされていたことは私の記憶にしっかりと残っています。
今、大東亜戦争の終結からおよそ80年がたとうとしております。この「戦争」と「平和」というもの。もちろん戦争は絶対にやってはいけないものであり、平和を愛し維持すべきものと思っておりますが、
(1)この市長が特別思い入れのある事業で子どもたちがどう感じ、平和の伝道者として活動活躍しているのか、冒頭に伺います。そして、その絶対に維持すべき平和が脅かされようとしているときにどのように考えるかも非常に重要なところと思います。
(2)こちらが平和を望んでも相手が望まない場合どうすべきなのか、最後にしっかりとそのことを考える事業にすべきと思いますが、市長がそのことについてどう考えているか伺います。
そして、今回の施政方針において私もそれについてはジレンマを感じる部分でありますが、デジタル社会という新しい時代を否応なしに迎えるときに、文化や芸術、ある意味では「こころの豊かさ」というべきものをどのように維持し守っていけるか。8月に阿部市長、そして議長と私とで神仙郷や箱根美術館に伺った際、文化・芸術について市長は非常に造詣が深く、私とイデオロギーは幾分か違う部分もあるのかもしれませんが、共感できるところがあるというように感じております。
(3)「こころの豊かさ」を守りながら新しい社会に向かうために、どのようにこの転換点を持続可能な未来へつなげていくのか、ご見解を伺います。
施政方針の冒頭文の最後に、市長が平成30年第2回
多摩市議会定例会所信表明の中で語られ、今回の施政方針でも述べられているシビックプライドというものについて伺いたいと思います。市長は以前の所信表明において、ふるさとを愛する心=シビックプライドと述べられています。私は、全国各地から多摩市に移ってきた人も含め、この多摩市を故郷のように愛する心を醸成していきたいというように受けとめました。
実際にシビックプライドという言葉を調べてみると、単に郷土愛などの地域に対する愛着を示すだけでなく、権利と義務を持って活動する主体としての市民性という意味を持っているとされています。
(4)市長はしばしば市民参画、市民主体のまちづくりということを言われますが、久しぶりに市長が述べられたシビックプライドの醸成にどのように力を注いできたのか、また手応えのほどを伺います。
2 かさむ家庭の経常経費と少子化対策、市政運営の負担増について
物価の高騰は一般家庭の光熱水費だけを見ても色濃く影響を及ぼしており、1.5倍から2.5倍といったすさまじい上がり方であると感じております。市として市民生活への臨機応変な対応もそうですが、
(1)来年度予算への物価高騰による経常経費に及ぼす影響についてどう考えているか伺います。
こういったすさまじいほどの物価高騰により、行政も一般家庭も共に経費がかさむ中で、子ども及び子育て世帯への支援については、これまでの子育て施策の拡充がもちろん重要であると思いますが、
(2)施政方針の三世代近居・同居促進など、いわゆるUターンや多摩市への若い世代の回帰や呼び込みには、こういった住居整備の課題も大いに取り組むべきであり、都市整備なども含めどのように進めていくか。昨年9月議会の予算決算特別委員会において総括的質疑でやり取りさせていただいた際に、Uターンや若い世代の住居の課題に対して、少しずつ民間業者の方の動きも出てきたということでしたが、それも含めて現在どのような状況にあるか伺います。
そして、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけ見直しによりワクチン接種の公費負担が今後どうなっていくのか非常に気になるところです。私は以前からワクチン接種の定期接種化が各種進んでいく中で地方財政措置、交付税措置における本市のような地方交付税の不交付団体へ及ぼす財政負担について警鐘を鳴らしてきました。新型コロナウイルスのワクチンが定期接種化の枠組みに入るというわけではないと書いてありますが、今この議論も出ております。ないというわけではないと思いますが、公費負担に対する市の負担は少なからず起こるであろうと思います。
(3)我々多摩市がそのときにどう声を上げていくか。阿部市長は、市内で行われるイベントやシンポジウムなどの冒頭、市長挨拶の場において国のやり方、政府のやり方に対して怒りを持っており、文句を言いたいことが幾つもあると言われていることは私も存じ上げておりますが、そういった個人の感情をあらわしたものでなく、首長として具体的にどのように声を上げていくのかを伺います。
3 「子育てしやすいまち・多摩」について
子育てしやすいまちの基本部分である本市の産前・産後ケア事業についてですが、妊娠中・産後の女性は大変なストレスの中にいます。その大変な時期を行政としてしっかり寄り添うのは大切であり、子育てしやすいまちには非常に重要なことです。
(1)今年4月から産前・産後ケア事業の一部が子ども家庭支援センターから健康推進課に所管が移りますが、そのことによる期待と効果を伺います。
また、産後ケア事業の1つである通所型での母体ケアの育児指導を行っておりますが、利用者数が伸び悩んでおり、コロナの影響があるとの話もあります。しかしながら、利用場所について多摩保育園ということが立地的に不便であるということも考えられます。
(2)不定期でも駅近くでの利用ができる取り組みが必要ではないか。またこのことに関しては対応策として居宅訪問型のアウトリーチ型を検討しているとのことだったが、その後の進捗を伺います。
4 ゼロカーボンに向けた取り組みについて
2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みについては、2030年までのカーボンハーフを実現するために脱炭素先行地域に向けた取り組みが非常に重要であるということは、生活環境常任委員会の所管事務調査で何度もやり取りし、行政と議会で理解を深めてきたところであります。今さらながらの話ではありますが、多摩市の税収の要とも言える民生業務部門と言われる業種について、業務上どうしても二酸化炭素排出量が多いことなどが挙げられ、どのように企業に理解をいただき、カーボンニュートラルに巻き込んでいくかが課題であるかということも最終報告にもあるように提案なども行ってきました。
(1)今回の国の募集に対しての応募の状況とカーボンニュートラル実現のための展望について伺います。
5 今後の多摩センター周辺・聖蹟桜ヶ丘駅周辺について
新たな取り組みとして聖蹟桜ヶ丘駅周辺地区の魅力やポテンシャルの発信・企業や市民を巻き込み取り組んでいくとありますが、
(1)本市としては「かわまちづくり」以外では具体的にどのような発信をしていくのか伺います。
多摩センター駅周辺に関してはパルテノン多摩がリニューアルオープンし、多摩市立中央図書館の今年7月の開館、
多摩中央公園の改修と公園内での新たな取り組みを行っていくところでありますが、ご案内のとおり、長年多摩センターにおいて役割を担ってきた某ホテルの撤退、大手スポーツ用品店の撤退、そして今後周辺施設の定期借地の期限が来る中で、いかにこの多摩センターを生かしていくことができるか、今このときに方向性を決めなければいけないときと考えます。年月を考えてみても多摩センターはまさに今が更新時期であると考え、かじ切りをするときであると思います。多摩ニュータウン全体の中心として命名された多摩センターは、土地や場所のポテンシャルは決して低くなく、人がほかの地域に吸い取られるような地域ではないはずです。
(2)多摩センターの更新時期である今、今後の展望について伺います。
そして、多摩センター北側地域の整備についても考えなければならない時期であると感じます。これも9月議会の予算決算特別委員会の総括的質疑の際に触れさせていただきましたが、多摩市都市計画マスタープランの改訂と、さらにこの地域の商店会や地主である地域住民の方々、不動産業者関係とこの地域の活性化のすり合わせをしていかなければできないことと考えます。前回も申し上げましたが、今、北側地域は新しくマンション建設が進んでいます。一度住居が建つと半世紀動かせなくなることを指摘しておきます。
(3)いずれにしても多摩センター地域の活性化は今後の多摩の未来であると思いますので、この項の最後に、ハローキティにあえる街事業と将来ビジョン策定の動向について伺います。
6 DX推進と行財政改革
DX推進による非来庁型サービスを進めることは、新庁舎建て替えにも大いに通じる非常に重要部分であります。そして今回システム導入予定の統合型・公開型GISの導入でありますが、先進市の導入事例も今現在ではさほど多くなく、近隣であると武蔵野市の導入事例を見るくらいです。
(1)GISについて、導入メリットとしては主に行政業務の効率化(台帳管理・図面管理)、複数原課間での迅速な情報共有、重複コストの軽減、住民サービスの向上などが挙げられますが、特に住民サービスについてはどこまで効果が出せるか気になるところです。具体的な住民サービスや活用についての狙いを伺います。
(2)そして、DXの推進に関しては人事の新体制も考えているということですが、例えば自治体DXの先進市である北陸の加賀市などはDX推進の旗振り役に民間企業出身者を募集して採用している事例があります。今回の新体制の具体的な仕組みを伺います。
7 部活動の地域移行とスポーツ推進について
教員に代わって地域のクラブなどが指導する部活動の地域移行は、少子化による部活動の減少や、長時間勤務が指摘される教員の働き方改革などを目的に国が進めています。しかしながら、国が進めていることとはいえ実質的には国(スポーツ庁)から地方自治体へ向けて責任を全て投げられてしまったようにも思うところです。先行的に取り組みを始めた自治体もありますが、早速、指導者が集まらないことや活動場所の確保が難しいこと、保護者の送迎が負担となっていることなどの課題に直面しているようです。全国の各自治体が模索中であるこの問題ですが、
(1)多摩市も遠からずこの部活動の地域移行に取り組まなければならない状況にあります。現在の模索している段階の状況について伺います。
そして、この部活動の地域移行をうまく展開し継続させていくには、市内にある団体、クラブチームを部活動とどう結びつけていくかがポイントではないかと考えます。
(2)市内のスポーツ団体やスポーツ少年団などはスポーツ振興課の所管ですが、部活動については教育部・教育委員会の所管であるため、より所管をまたがった庁内連携が必要なことと考えますが、ご見解を伺います。
8 ふるさと納税の今後の展望について
多摩市に限らず東京都の自治体を長年悩ませてきたふるさと納税について伺います。これも予算決算の総括的質疑のたびにやり取りさせていただいてきた内容ですが、東京都の自治体や、この制度の常に流出額や控除額ランキングが上位に入ってくる自治体に限らず、地方の特徴のある名産品や観光都市を抱える自治体も返礼品競争での地域間競争でかなり苦しんでいるようです。
以下、新聞抜粋。
「ふるさと納税の返礼品を含む経費の総額が、国基準の『寄付額の5割』を超過している自治体が、2021年度に全体の8%にあたる138市町村に上ったことが読売新聞のまとめでわかった。このうち27市町村は19年に基準が導入された後、1度も守っていない。送料や仲介サイトへの手数料などがかさんでいるためで、総務省は、改善しなければ制度から除外する可能性があるとし、超過している自治体に警告書を送った。
この27市町村のうち、21年度の経費の割合が最も高かったのは福島県広野町の65%。次いで北海道喜茂別町(60.1%)、群馬県榛東村(58.6%)、北海道中札内村(57.6%)、同京極町(56.8%)、岡山県西粟倉村(56.5%)だった。取材では、送料や仲介サイトへの手数料が膨らんでいるケースが多かった。
ある自治体はサイト側から今年4月以降の手数料の値上げを提案され、受け入れた。『サイトに掲載されなければ寄付は集まらない。サイト事業者より自治体のほうが立場が弱い』と漏らす。
岡山県西粟倉村ではふるさと納税の事務を外部委託しており、経費が膨らんだ。担当者は『小規模自治体では職員が限られ、経費がかかってしまう』と話した。」(2月16日読売新聞オンライン)
このように、本来このふるさと納税制度の恩恵を受けるべきというか、受けるであろう地方の市区町村も決してよい状況ではないようです。
9月議会では一般質問や決算審査の質疑で取り上げられた際に、今までの返礼品の新しいやり方へのかじ切りや、多摩市におけるふるさと納税の現状を市民にも伝えるべきなどの話もありました。
(1)今回、所管を移して産業振興策として取り組みを強化していく内容について伺います。
9 最後に
阿部市長は昨年12月16日に、内閣府特命担当大臣宛ての要望書(子ども・子育て施策に関する要望書)、さらに大臣職ではなく地元選出代議士宛ての要望書というものを小倉まさのぶ衆議院議員に提出し要望されております。
近隣の自治体などでは、地元選出の国会議員との強いパイプ、強い連携を生かして要望していくということが多くありましたが、多摩市からの施策に関する要望というものはこれまであまり聞くことがなかったように感じます。
(1)今回阿部市長が直接的に首長として行動を起こされたことを評価しつつ、要望の経緯と内容について最後に伺わせていただきます。
以上、ご答弁いただいた後に必要のある部分のみ再質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
◯議長(いいじま文彦君) 阿部市長。
(
市長阿部裕行君登壇)
◯市長(阿部裕行君) それでは、新政会の代表質問にお答え申し上げます。
1の(1)についてお答えします。
平成25年度から実施している広島や長崎へ小・中学生を派遣する「
子ども被爆地派遣事業」は昨年3年ぶりに広島へ行き、私は派遣員とともに平和記念式典に参列し、平和記念資料館を見学するなどして、派遣員が感じる核廃絶と平和への思いを醸成する時間を共にしました。
派遣員は「平和はやってくるものではなくつくるもの、平和は1つの世代がつくったとしても、その次の世代に受け継いでいかなければ意味がない」、「一人ひとりが力を合わせることで、とても大きな力になる、今回学んだことを家族や友達など身近な人に伝えて、その中で意見交換をしたい」などのメッセージを発信してくれています。
派遣員は平成25年から数えて50人を超えました。派遣後に開催する報告会で市民の皆さんへ平和の思いを発信しているほか、所属の学校や地域のコミュニティセンターで発表している方もいます。また、この経験を日常生活の中で家族や友達など身近な人たちに伝えることや、さらに成長した後にも、例えば派遣員が親になって子どもたちへ伝えていくことなど、まさに平和への思いを次世代へ継承していくことにつながるものと思っています。
令和4年度は市制施行50周年記念の一環として、過去の派遣員経験者にも参加していただき、実施しました。歴代派遣員は平和への思いを新たにし、現役派遣員はその姿に学ぶといった効果が期待されることから、令和5年度もこれを継続する予定です。
ご質問のとおり、まさに平和が脅かされている今このときこそ、本事業のみならず様々な機会を捉えて、平和や人権、多様性について学び・考え・発信していくことが大切であると考えています。
(2)についてお答えします。
私は、我が国が国際社会の一員として対話を通じた相互信頼を築き、それを基盤とした平和外交に取り組むことこそが、国民の安心・安全を担保する上で重要なことであると考えています。
昨年から続くロシアによるウクライナへの軍事侵攻では、国連がこうした事態に対して期待された機能を果たせていないことが改めて浮き彫りになりました。世界がいかに共生と協調に向けて協働して動くことができるかが試されているとも言えます。
これまでも申し上げてきたとおり、何よりも重要なことは「二度と戦争を起こさないという不戦の誓い」を立て、「戦争放棄」、「戦力の不保持」、「交戦権の否認」という我が国の平和主義の考え方に基づき、行動することだと考えます。
そのために市長としてなすべきことは、市民の皆さんとともに平和の尊さ、戦争の悲惨さを繰り返し何度でも発信し、これを次の世代に伝えることであり、この思いのもとで、これからも取り組んでいきたいと考えています。
(3)についてお答えします。
デジタル化の進展は、これまで遠くまで出かけていかなければ鑑賞することのできなかった文化芸術や保存状態の維持などの理由から実物が一般公開されていない文化芸術、あるいは今は現存しない文化芸術などを、時間を選ばずに、時に3Dで細部にわたって鑑賞することを可能とするなど、様々な制約から私たちを解放してくれます。そのこと自体は、多様な文化・芸術に触れる機会の拡大という意味で歓迎すべきことと考えています。
一方で、文化芸術に触れたときの感動やその場の持つ雰囲気、他者の反応なども含め、リアルな実体験はバーチャルな体験では得られない五感を高め感性を豊かにしてくれるとも考えています。
大事なことは、どちらかを選ぶということではなく、双方の特徴を理解し補完し合いながら、新たな価値を生み出すことだと考えます。その意味では、デジタル社会において「こころの豊かさ」を育むためには、実体験の大切さを念頭に置きながら、多様な文化芸術の生まれた背景、歴史や自然などを学ぶ真摯かつ謙虚な姿勢が大切だと考えています。
(4)についてお答えします。
「シビックプライド」という言葉は、まちに対する誇りや愛着を指すだけでなく、市民主体のまちづくりを進める上で、権利や義務を持って自分自身が主体的に関わって、その地域をよくしていこうという自負の要素も加わった言葉として使用しています。
例えば
地域コミュニティの形成や資源循環の推進など、市の施策を進め地域の課題を解決していくに当たっては、行政だけでなく市民の皆さんの主体的な関わりが不可欠です。行政が整備した施設に命を吹き込むのも、施設の運営に関わり、あるいは施設を利用するのも市民の皆さんです。
まちに愛着を持つことで「わがまち」をよりよくしていこうという動機が生まれ、実際に自らまちに関わりを持ち、市民主体のまちづくりが展開され、さらなる愛着につながる、そのような好循環が生まれれば理想的だと思います。
近年では、東京2020大会や市制施行50周年の各種記念事業の実施、多摩市若者会議の設置など、多様な世代がまちに関わりを持つことのできる事業を実施したほか、このような事業を内外に発信する「シティセールス」により、まちへの愛着の醸成に取り組んできました。
こうした取り組みは一朝一夕に目に見える成果が出るものではありませんが、若い世代が多摩市に自分らしさを発揮できる環境を見出し、多摩市に移り住み、地域のまちづくりに取り組む動きも見られます。
多摩ニュータウン初期入居、そして市制施行から50年が経過しました。次の50年に向けても、まちへの愛着が生まれ、地域の担い手となる市民や主体的にまちづくりに関わる市民がふえていくよう、引き続きシビックプライドの醸成に取り組んでいきます。
次に、2の(1)についてお答えします。
物価高騰は令和5年度当初予算の経常経費にも大きく影響を与えています。
特に、影響を受けやすい経常経費の物件費を見てみると、令和4年度当初予算では、105億3,379万2,000円でしたが、令和5年度当初予算においては、112億8,136万7,000円となっており、7億4,757万5,000円増加しています。
このうち、電力・ガス料金の高騰の影響を大きく受ける光熱水費では、前年度と比べ約1.4倍、約2億6,000万円増加したほか、予算科目上は指定管理料に含まれて支出する光熱水費も合わせると、影響額は約3億円を超えるものと見込んでいます。
このほか委託料も物価高騰や人件費の上昇などの影響を受けて増加しています。
物価高騰の先行きが不透明なことから、今後も高騰が続いた場合、年度途中で補正予算を計上する必要が出てきますので、さらに金額を増加すると考えています。
(2)についてお答えします。
令和3年3月19日に閣議決定された新たな「住生活基本計画」における8つの目標の中には「子どもを産み育てやすい住まいの実現」、「多様な世代が支え合い、高齢者等が健康で安心して暮らせるコミュニティの形成とまちづくり」という2つの目標があり、それぞれ若年・子育て世帯のニーズをかなえる住宅取得の促進や、三世代同居・近居などで多様な世代がつながり交流するミクストコミュニティの形成といった基本的な施策が掲げられています。
施政方針にて申し上げた三世代近居・同居促進助成制度は、この目標や基本施策の実現に資する制度でもあると考えています。
本助成制度では、現在その対象を2月末までの転入者としていますが、より多くの子育て世帯に多摩市を定住先として選んでもらえるように、ライフステージの転換期で引っ越し等が多くなると想定される3月も対象となるよう改善します。
また国では、エネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯や若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や住宅の省エネ改修、リフォーム等に対して支援を行う「こどもエコすまい支援事業」などを実施しています。これは登録民間事業者に対して直接補助を行うことで、子育て世代・若者夫婦世帯の省エネ投資の下支えを行い、2050年カーボンニュートラル実現を図るものとして運用されています。
住宅取得に向けては、直接的にも間接的にも様々な助成制度が運用されていることから、市としても引き続きこうした必要な情報がしっかりと市民に届けられるよう努めていきます。
(3)についてお答えします。
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種について、国は当面の間、公費負担を行っていくとのことですが、報道によると、今の予防接種法上の位置づけを継続するかについて、この3月にも方針を示すとされています。
本市はこれまでも全国的に見れば少数派である普通地方交付税の不交付団体としての立場から、既存の予防接種も含め、予防接種については国の責任において、財源を地方交付税によらず全額保障する措置を講じることなどを、市長会などを通じて要望してきました。
また、新型コロナワクチン接種が今後も継続される場合は、現行制度の国庫負担金及び補助金により継続を図ることについてを求めています。
新型コロナウイルス感染症をめぐって、市民の生命を守る最前線である保健所、住民に最も身近な存在である私たち自治体が直面している実情から国や政府が目を背けるようなことがあれば、私も怒りの声を上げるかもしれませんが、今後の新型コロナワクチン接種の取り扱いについては、全国市長会の社会文教委員会委員や東京都市長会副会長としての発言の機会なども生かして実情を伝え、国に対して対応を求めていくほか、地元選出の国会議員を通じた国への要望活動にも取り組んでいきたいと考えています。
次に、3の(1)についてお答えします。
令和2年8月5日付で施行された母子保健法の一部を改正する法律により、一部の市町村が実施していた「産後ケア事業」を母子保健法上に位置づけるとともに、全ての市町村に対して「産後ケア事業」の実施が努力義務化されました。本市では現在、子ども家庭支援センターで実施している当該事業について、令和5年4月より健康推進課で実施する予定です。
健康推進課においては、妊娠期から子育て期の切れ目ない支援を目指して、地区担当保健師を配置し、子育て世代包括支援センター事業等、全妊婦と主に就学前の全子育て世代のご家庭を対象とした様々な事業を実施しています。健康推進課で産後ケア事業を実施することで、より事業周知がスムーズとなり、現在の事業との連携により、市民にとってもわかりやすく効果的な支援が実施できると考えています。
(2)についてお答えします。
これまで、子ども家庭支援センターでは、産後6か月未満の特に支援が必要な母子に対して通所型の産後ケア事業を実施してきましたが、健康推進課で実施するに当たっては、対象者を1歳未満の母子に拡大するとともに、新たに居宅訪問型の産後ケア事業を開始し、これまでのハイリスク者に対する支援だけでなく、より幅広く利用いただけるよう事業を計画しています。
また、新たな居宅訪問型の産後ケアは利用しやすい金額設定とし、多くの市民が本事業を利用していただけるように実施していきます。
今後については、新たな通所型施設の開拓を進めることにより、これまで以上に利用の幅を広げるなど子育て家庭に寄り添い、地域の中で子どもが健やかに育成できる環境整備を強化していきます。
次に、4の(1)についてお答えします。
昨年から国が進めている脱炭素先行地域の取り組みは、地域特性に応じ、2030年度までに民生部門の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロや、そのほかの温室効果ガス排出削減に関するプランを策定し、全国モデルとして先進的に取り組む地域が選定され、5年間で最大50億円の交付金による支援が受けられる制度です。
多摩市域から排出されるCO2を部門別に見ますと、民生業務部門と民生家庭部門が全体の約81.5%を占めていることから、本市の脱炭素化の実現に向けては、まさにこの脱炭素先行地域の制度を活用し、民間事業者や市民の皆さんと一体となった取り組みを推進することが不可欠と考えています。
そのため、本市の中で民生業務部門が集積する多摩センター地区及び南多摩尾根幹線沿道地区を想定エリアと定め、昨年8月から26事業所に制度や取り組み趣旨を説明の上、共同提案者として参画いただくことを依頼しました。そして本年2月17日までに計20事業者の賛同を得て、第3回の脱炭素先行地域募集に応募したところです。
今後国による審査が進められ、4月下旬以降に結果が示される予定となっていますが、本市においては結果を待つことなく、さらに共同提案者となっていただく民間事業者をふやすとともに、1事業所としての多摩市役所の取り組みなど本市の役割を着実に進め、この脱炭素先行地域の取り組みを起爆剤として2030年までのカーボンハーフを確実に達成し、さらにその流れを全市に広げることで2050年の脱炭素化につなげていきたいと考えています。
次に、5の(1)についてお答えします。
聖蹟桜ヶ丘かわまちづくりでは、地元自治会や商店会、市民団体や事業者の皆さんがメンバーである「聖蹟桜ヶ丘かわまちづくり協議会」とともに、水辺の新たな活用に向けた取り組みを本格的にスタートさせています。
一方、今後予定されている河川敷の整備や商業施設の開業、回遊性を高める立体横断施設の設置のほか、社会実験や地元イベントなど、それぞれの主体やタイミングが異なっていることから、魅力やポテンシャルをトータルで発信していくことが課題となっています。
そのため、官民協働でエリア・ブランディングという形で解決できないか検討を開始したところです。
また、約2万人のアンケートを集計してランキング形式で発表された「住んでよかった!街ランキング」というテレビ番組では、1都3県で聖蹟桜ヶ丘が11位にランクインするなど市内外の注目を集めており、聖蹟桜ヶ丘の魅力を発信していくには絶好のチャンスと捉えています。
今年の2月に、本市も協力して出版社と鉄道事業者が共同で発行した市民参加型ローカルマガジン『セイセキZINE』は、今後市民ライターを募集し、聖蹟桜ヶ丘愛に満ちた紙面づくりを目指すとしています。
このような、市民が主人公になれる取り組みも含め、まずは「かわまちづくり」を起点に、企業や市民の皆さんと一緒に考え、かわまちづくり発の動きが聖蹟桜ヶ丘全体に広がっていくように取り組んでいきたいと考えています。
(2)についてお答えします。
多摩センターの更新時期を迎えている現在、令和5年度は多摩センターのまちづくりが大きく動く転換点になると認識しています。
都市整備に係るハード面の取り組みとして、現在、令和6年度末の改定を目指し、多摩市都市計画に関する基本的な方針、いわゆる多摩市都市計画マスタープランの検討を進めています。都市計画マスタープランは市全域の都市計画の進むべき方向性を示すもので、ハード面において市の最上位計画となっています。
多摩センターに関しては、現行の都市計画マスタープランに即し平成29年3月に策定した「多摩センターのさらなる活性化に向けた取組み方針」のもと、庁内組織として「多摩センター地区活性化推進会議」を設置し、発展的かつ持続可能なまちづくりのための検討を進めてきましたが、デジタルテクノロジーの進化や環境問題への対応などの時代の変化や、新型コロナウイルス感染症の影響による生活様式の変化など、まちに求められる価値が変化してきています。
こうした変化に的確かつ柔軟に対応し、今後のまちづくりにつなげていくため、今ある遊歩道や公園、公共施設などの資産を誰がどのように使い、多摩センターでどのように過ごしたいかといった「まちづかい」を起点に「まちづくり」を進めるという考えに基づき、「(仮称)多摩センター地区まちづくり方針」を策定するため、現在、「『多摩センターのさらなる活性化に向けた取組み方針』に基づく行動指針(令和4年度~令和6年度)~これからの多摩センターのあゆみ方」のもと、多摩センターのまちづくり向けた検討を進めているところです。
なお、併せて多摩センターにおける具体的なハード整備に係る計画である「多摩センター駅周辺地区都市再生整備計画」を策定し、令和7年度以降、駅周辺施設の改修や移動環境を充実することなども検討しています。
これらのまちづくり方針や都市再生整備計画を策定していくため、令和5年度以降、将来のハード整備を見据えた社会実験なども行いながら、多摩センター地区全体に求められるまちの姿を整理した上で検討を進めていきたいと考えています。
(3)についてお答えします。
ハローキティにあえる街事業については、日本だけでなく世界に誇れるキャラクターの発信力を活用した地域活性化の取り組みです。事業開始から20年を迎えた令和4年度は、20周年記念事業としてダンスワークショップやイルミネーションショーなどを実施しました。令和5年度は、中央図書館の開館やハローキティストリート・しまじろう広場制定10年記念等を軸とした事業を予定しており、地域活性化の施策の1つとして今後も事業を進めていきます。
将来ビジョンの策定については、先ほど申し上げた「行動指針」に基づき、令和4年度はパルテノン大通りで社会実験などを行い、市民などから「まちのつかい方」の声を集めてきました。令和5年度からは、そういった「まちづかい」の起点を「まちづくり」に連動させ、都市整備等関係計画との連動や関連事業などとの連携を行い、多摩センターの将来ビジョンも含めて、先ほど申し上げた(仮称)多摩センター地区まちづくり方針を令和6年度末までに策定するべく進めていきます。
次に、6の(1)についてお答えします。
本市でのGIS(地理情報システム)の導入は、平成7年度に下水道課及び現在の
ごみ対策課で導入後、道路交通課、都市計画課、防災安全課においても活用しています。
GISの利活用において先行事例を参考にし情報を公開することで市民の利便性の向上や庁内の情報共有の迅速化、業務の効率化のほか、統一の基盤上に構築することでコストの削減を目的に令和5年度から統合型GISとして本格導入することとしました。
現在のところ、統合型で運用している道路交通課など3課に加え、新たに下水道課の施設情報や埋蔵文化財の包蔵地情報などのデータを追加するとともに、市民への公開を前提とした利用環境を整備する予定です。
メリットとしては、台帳や図面を電子化し一元管理することで情報の検索性や閲覧性、一覧性を確保・向上させることや、事業者からの問い合わせ件数が減るなど業務の効率化につながること、また業務上必要なときに地図情報を閲覧できるので情報共有の迅速化に資することなどがあると考えています。さらに、複数の課でそれぞれにシステムを導入するよりも統一の基盤上に構築することで管理コストの削減も期待され、問い合わせ対応が円滑になることで住民サービスの向上も図られると考えています。
今後の活用という点では、1例としてそれぞれのデータとして存在しているハザードマップと福祉施設の情報を同一地図上で重ねることで、避難経路や緊急車両の搬入ルートを簡単に確認することが可能になるなど利活用の幅が広がると考えています。さらにダウンロード等による二次利用可能な情報提供も併せて検討していくことで、より住民サービスの向上に寄与していくものと考えています。
(2)についてお答えします。
令和5年度は「本庁舎建替基本計画」の策定に着手し、本庁舎建て替え時に目指す市民サービスを含めた具体的な計画づくりをスタートさせる年です。この取り組みは行政改革のハード・ソフト双方に深く関係するものであることから、これらを一体的に進めていく必要があると考えています。
こうしたことから、「施設政策担当部長」を廃止し、新たに「行政サービス・アセット担当部長」を設置することで、本庁舎建て替えのハード面とソフト面双方を含めた行政経営の改革全般に取り組みます。同時に企画政策部に本庁舎建て替え時に目指す市民サービスの検討も含めたデジタル活用による市民サービスと行政事務の改革を担当する「DX推進担当課長」を設置し、DXを推進するための体制整備を行います。
人材に関しては、これまでにも外部人材の登用や、民間企業出身者のうち情報部門の経験を有する職員を情報政策課に配置する等の対応を行い、システム化、ICTの利活用による業務改善を進めてきました。
令和5年度は、外部の専門家の知見もかりながら取り組みを進めていく予定ですが、今後より高度化するデジタル技術を最大限に活用し、多摩市のDXを推進するため、令和5年度に東京都が立ち上げる「
GovTech東京」の専門人材派遣事業を活用することも含め、今後検討を進めたいと考えております。
7の(1)と(2)については教育長よりお答えします。
次に、8の(1)についてお答えします。
本市では、平成21年に「多摩市寄附条例」を策定し、寄附金の基本的な取り扱い方法・活用方法を明確にすることで、透明性と信頼性を高め、「ふるさとTAMA応援寄附金」の名称でふるさと納税も含めた市内外からの寄附金を一体的に受け入れ、寄附文化の醸成の取り組みを進めています。
ふるさと納税については、応益負担の性格が強い住民税が大幅な減収となっていること、また、普通地方交付税の不交付団体には減収の補填がないことなど様々な課題があると認識しており、東京都市長会を通じて制度の見直しを要望しているところです。
本市ではこれまで、この制度を来街促進や関係人口の創出につなげるための手段として活用してきました。しかしながら、ふるさと納税制度が年々浸透し利用が拡大してきており、今後さらに流出額と寄附額との差が大きくなっていくことが想定されます。
そのため、制度の見直しについては今後も要望しつつも、これまでの来街促進などの取り組みに加えて、市内産品を取り扱い、広くPRすることで市内産業振興につなげ、今後は産業振興策の1つとして本事業を活用していきたいと考えています。
次に、9の(1)についてお答えします。
昨年8月に地元選出の小倉まさのぶ衆議院議員が少子化対策・男女共同参画等を担当する内閣府特命担当大臣に就任されました。
今般、私からも大臣就任の祝意をお伝えしつつ訪問させていただきたい旨お話ししたところ、大臣からも所掌事項について国へ要望があれば申し出てほしいとの話もあり、課題である子ども・子育て施策や不交付団体特有の課題などについて、本市の実情をご存じの方が担当大臣に就任された機会を捉え、このたび要望活動を行いました。
令和4年12月16日に私と要望事項を所管する部長とともに小倉大臣を訪ね、直接要望書を手渡しました。
要望内容は、大臣宛ての要望書では子ども・子育て施策に関すること、女性活躍・男女共同参画関連に関すること、子ども・子育て分野における地方交付税の不交付団体に関することの3項目8件を要望しました。
地元選出の代議士宛ての要望書では、女性差別撤廃条約の選択議定書の早期批准について、また地方創生応援税制、いわゆる企業版ふるさと納税についての2件を要望しました。
今後も、全国市長会の場のみならず、機会を捉えて直接国への要望活動を行ってまいります。
◯議長(いいじま文彦君) この際暫時休憩します。
午後0時10分休憩
──────── - ────────
午後1時12分開議
◯議長(いいじま文彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
代表質問を続行いたします。
教育長答弁からです。千葉教育長。
(教育長千葉正法君登壇)
◯教育長(千葉正法君) 7の(1)と(2)について、併せてお答えします。
市教育委員会では、これまで部活動の地域連携・地域移行について、国や都の動向に注視しつつ、実施に向けた課題を整理するとともに、地域の団体等と連携する先行自治体の取り組みについての情報収集を行ってきました。
今後は、国が示した改革推進期間である令和7年度までの期間で、指導者の確保や活動場所の選定、大会運営などの課題について、校長会とも協議しつつ、地域資源・地域人材を活用した持続可能な部活動運営を実現するため、市長部局と連携し、部活動の運営主体や本市のガイドライン等を検討する庁内委員会を立ち上げ、本市の実態に即した実施方法について議論を進めていく予定です。
◯24番(松田だいすけ君) 議会の中継をしっかりと見てくださっている人がいるので、本当に身を引き締めて午後の質問に臨みたいと思います。
今回第一答弁で数多く書いていただいたので再質問をするところもあまりないと思っているのですが、冒頭市長に、この戦争と平和、そして文化と芸術と、その中でデジタル社会にどう向き合っていくかというところで市長の本当の思いを書いていただいたと思っております。
この通告書にも書きましたが、いろいろ市長と出かけることもあって、文化・芸術に関しては結構市長も本当にお好きで、私は市長と出かけることは嫌いではないです。これからも、改選後私が当選して、もしご一緒することがあればお願いしたいと思っております。
今回、主に二、三点を聞こうと思っております。時間も残すかもしれません。教育委員会の部活動の地域移行と地域連携のところが、政権与党に所属する私が言うのもあれなのですが、国が自治体に「もう、これをどうにかせい」と投げたような格好になっている案件だと思っております。また、これが単にいわゆる働き方改革の現状をどうにかするためだけの制度ではいけないとも思っております。本末転倒だと思いますが、今後我々の自治体で考えていかなければいけないということは変わりないので、しっかりとこの辺についてやり取りをさせていただきたいと思います。
そもそもこの土日の休日の部活動の地域移行といううたい文句で始まった、提唱された部分がありますが、今はそれこそ平日の部活動、土日というよりも正直今この共働きが多い時代で、それこそ小学校の学童保育や放課後何とかではないですが、この平日のときこそ重要ではないかと思う部分もあります。地域移行と言っていた部活動ですが、最近では地域連携と、地域移行と地域連携という言葉に差し変わってきていて、国のほうでもこの先行事例の自治体の様子を見て、移行するのはなかなか難しいと判断したのではないかと思っております。
小学生・中学生は義務教育中なので、我々もそうでしたが、やはりどうしても帰属するのが学校だと思うのです。なので、やはり「地域移行・地域連携」、学校から手が離れるわけではなくて、どうしても一定の責任があるのだろうと思います。
庁内でもその辺は教育部・教育委員会、また地域移行ということになればスポーツに関わるところもそうですし、それこそ生活の中でということで、いろいろな庁内の連携といいますか、教育部・教育委員会だけではなく、同時進行でかつ同じ温度差で同じように進めていかないと絶対にできないのではないか、必要不可欠ではないかと思うのですが、どうでしょうか。
◯議長(いいじま文彦君) 細谷教育部参事。
(教育部参事細谷俊太郎君登壇)
◯教育部参事(細谷俊太郎君) 部活動の地域連携・地域への移行についてのご質問でした。
学校部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に向けては、先ほどご指摘のありましたように、地域のスポーツ団体や地域の文化団体との連携を図ることが必要になってまいります。
また、その連携を図る上で庁内の所管部署をはじめ関係の部局とも情報を共有し、歩調を同じくして進めていくということは大切なことであると考えております。
◯24番(松田だいすけ君) この所管をまたいでの庁内連携は、いろいろな部分で旗振り役が必要だったり、例えば我々のこの多摩市もいろいろなことをやっていくのに政策監の方に来ていただいたり、もう横串を刺す存在になってそういう役割をやっていただくのですが、しっかりと庁内連携がないと、この「部活動の地域移行」は言葉で言うほど簡単なものではなく、先行事例を見ても正直成功している例は今まだないのではないかと。どこも皆課題にぶち当たっていて、さらにここからひょっとしたらお金ももっとかかるかもしれない。なぜかと言うと、家庭の負担というのがまた課題として1個上がっているということもありますし、これは1つの事業や施策などではなくて、本当に政策転換をするくらい大きな話ではないかと思っておりますので、今回代表質問で伺わせていただきました。
国のガイドラインにもありますが、今、令和5年度から令和7年度、おおむねこの3年間の中で地域移行・地域連携をやっていきましょうと言っているのですが、ひょっとしたらこの3年間だけではフルに使っても無理なのではないか、もっとしっかりと長い期間を使ってこの制度をしっかり確立するために、拙速に走り過ぎずに、短兵急にやって急いて失敗しましたというわけにもいかないと思いますので、しっかりと庁内連携をやりつつ急がずに着実に、教育長、お願いしたいと思います。
あともう1つ、環境のほうへ行きます。今回、脱炭素の先行地域についてというところで、生活環境常任委員会でもいろいろ提案もさせていただいたり、やり取りやヒアリング等をさせていただいたのですが、今回2月17日に応募されましたね。今がたしか3回目でしたか。だんだんハードルが上がっていたところで応募して、なかなか今、簡単には決まらないというところかもしれないですが、ぜひ頑張っていただきたいと思っております。
通告書には書きましたが、データセンターが多い多摩市で、本当にデータセンター等の固定資産税が税収の要であるこの多摩市の中で、どうしても二酸化炭素の排出量が多いということもあります。ただ、多摩市の一番大きな特徴はやはり多摩ニュータウンがあって集合団地が多いことです。今回、この団地や集合住宅については、この応募について入っていないのかなど、何かその辺のやり取りが生活環境常任委員会でもあったと思うので、その辺の状況を伺えればと思います。
◯議長(いいじま文彦君) 小柳環境部長。
(環境部長小柳一成君登壇)
◯環境部長(小柳一成君) 今回の先行地域の申請に当たって、ご質問のとおり、多摩ニュータウンの団地や集合住宅は本市の特徴の1つと考えていますので、その対応というところはアピールポイントになり得ると考えまして、検討は進めさせていただいたところでございます。
先行地域の取り組みというのは、2030年までに電力消費に伴うCO2の排出を実質ゼロにするということになりますけれども、その対象とするエリアの設定に当たっては、団地であれば1棟という形ではなく団地管理組合の全住戸、集合住宅であれば特定の住戸ということではだめで、全ての住戸のCO2の排出をゼロにするという計画として申請することが求められたところです。
そのため、事業期間内での合意形成や補助金の交付要件の達成が非常に困難性が高いという判断から、今回の申請では含めることを見送った次第でございます。
ただ、市域の脱炭素化の実現に向けては重要なポイントと認識していますので、他の制度の活用等を引き続き検討して脱炭素化を目指していきたいと考えてございます。
◯24番(松田だいすけ君) ありがとうございます。よく内容はわかりました。集合住宅で例えば130~140世帯が1棟に対してあって、それが全部ということはなかなか難しいのだろうと思うところがあって、今聞いていて、やはり「1軒だめだったから失格になりました」というのもまた大変だと思いますので、何かこれについて、例えば団地・集合住宅については、この脱炭素の先行地域以外のところで何かそういった補助メニューなどがあれば、お願いします。
◯環境部長(小柳一成君) 先行地域に続くような形で国の補助対象として、充当率等は少し異なるのですが、重点加速化事業というものがございまして、それですと、例えば公共施設や団地等も含めた形で、また新たに取り組みの計画を立てて申請するという制度がございますので、こちらについても申請し、承認を目指していきたいと考えているところでございます。
◯24番(松田だいすけ君) 集合住宅に関しては、今後そういった形でしっかりとやっていただければと思います。どうもありがとうございます。
それで、これは代表質問でやるべきか、予算決算特別委員会の総括的質疑でやったほうがいいのかと思う内容ではあるのですが、今回のこのワクチン接種について。通告書を書いた時点と少し状況が変わってきていて、今、新聞紙面を見ても定期接種化という話が出ています。私は一般質問でも総括的質疑などでも何度かやらせていただいたのですが、定期接種化されたときに多摩市の一般財源からの持ち出しというのが物すごい額になるのではないかと。1回一般質問でやったときは、全市民が定期接種化されて受けたときにこのくらいということで本当に風呂敷を広げたような、あのときはたしか十五、六億円と言いましたが、さすがにそんなことにはもちろんならないと思うのですが、この後確実に定期接種化になるだろうと私は思っています。
1年間の特別臨時接種の延長がある程度決まっていて、2024年から定期接種化になったときに、この定期接種化の中にもA類疾病とB類疾病と2つあると思うのです。このどちらに分けられるかで、この自治体の持ち出しと市民の負担も変わってくると思うのですが、おそらく私は個人的なところではB類になるのかなと思っています。いずれにしても、今、第一答弁で義務的経費が大体3億円くらい物価の高騰でふえていると言っている中で、さらにこの義務的経費的なものがふえていくと、非常に大変なことになると心配しております。
今、定期接種化された場合の負担をどのように考えているかというところと、定期接種も毎年項目が結構ふえていっています。今、定期接種で年間大体どの程度持ち出しがあるのか、お願いしたいと思います。
◯議長(いいじま文彦君) 鈴木企画政策部長。
(企画政策部長鈴木誠君登壇)
◯企画政策部長(鈴木誠君) 今、ご質問がございました定期接種化しているワクチンは、A類疾病は主にはしかや風疹、日本脳炎になりますが、こちらにつきましては交付税が交付されている団体ですと9割が地方交付税で措置されるということでございます。また、B類疾病は主なものとしてインフルエンザの予防接種や高齢者の肺炎球菌などになりますが、こちらにつきましては交付税の交付団体におきましては3割が地方交付税で交付されるというような状況になってございます。
A類疾病・B類疾病の定期接種にかかっております今の多摩市としての財政負担は、令和4年度の予算ベースで、A類疾病につきましては約4億円、B類疾病につきましては9,000万円程度という状況になっています。
また、ご質問の中にあった新型コロナウイルスワクチンの接種の今後については、今は対象経費が全て国が負担ということになっています。ただ、今後疾病の区分が変更され定期予防接種に移行していく中では、本当に国の考え方次第で私どもの経費の負担の割合もかなり変わってくるかと思っております。どのくらいのということにつきましてはまだ何とも申し上げるところではございませんが、やはりいずれの場合にしても国庫が全額負担ということにならない場合についてはかなりの大きな財政負担になるだろうという想定はしてございます。
◯24番(松田だいすけ君) ここから1年間は国が持ってくれるけれども、多分もうおそらくそれ以降は普通に定期接種化されるのだろうと覚悟して考えていくしかないと思っております。
ここで毎回、私がここに登壇すると、いつも交付税措置と不交付団体の話を年がら年中させていただいているのですが、今聞いたら、定期接種のA類の負担が4億円ですね。これは我々が不交付団体でなかったら、どのくらいで済むかと言えば、4,000万円。9割を国が負担してくれているのだから、単純に計算するとその分はないわけだから、補填を交付税でしてくれるのだから、4億円が4,000万円で済むということになると思うのです。本当に大きな差があるなと思っております。
交付税措置というのはこれだけではない。教育のところでも、正直、前にICTのことでもありましたが、これはこの間も三階さんと話したのですが、子どもの教育に関わる部分と人の命、健康に関わる部分、これは財政状況や地域によって差があっては絶対いけないものだと思っております。毎回私が「市長、市長、不交付団体のあり方を何とかしてくださいよ」と言っても、市長もこの間も言われていました。「不交付団体というのは少数派でなかなか厳しいのです」と。私もそう思います。
ですが、都市計画税の用途緩和をやったときも、いろいろな国へのパイプなども使って、我々ももちろんこれに関しては協力していかないと、自分のまちの財政力が破綻していくのは見たくないと思っておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思いますが、どうでしょう。
◯企画政策部長(鈴木誠君) 不交付団体のことにつきましては様々な分野で、我々は不交付団体ということで財政措置が受けられていないという実情がございます。
今ご質問があったとおり、市民の方々の生命に関わる部分や子ども・子育て施策に関する部分につきましては、やはりナショナル・ミニマムとして国が全額負担をした中で、全国一律の制度としてやっていくべきものと考えております。特に少子化がこれだけ加速されている中においては、やはり国を挙げて取り組む施策ということで、国のほうでぜひやっていただきたいと。ですので、我々一地方自治体に押しつけるのでなく、国としてきちんとやっていただきたいと考えてございます。
これまでも市長会や全国市長会等を通じながらこの辺の要望を上げてきたところでございますが、今のお話にございましたとおり、やはり少数派でなかなか通らないというところがございますが、とは言いつつも、声は上げ続けていかなければ通らないので、その辺については市長を先頭に、私どもも引き続き頑張ってまいりたいと考えております。
◯24番(松田だいすけ君) この少数派というのが、数字でどれだけ少数派かと言いますと、これも毎回同じことを言いますが、1,718市区町村あって、令和4年度の時点で黒字の団体は72なのです。超少数派。その中で市長はしっかりと声を上げていっていただくことも大事ですし、また先ほど少し小倉大臣のお話も出ました。そういうときに本当に、別に我々は、例えば同じ政党としてつないだから我々の手柄みたいな変なことも言いません、そういうつもりは全くなくて、しっかりとこの多摩市が国とのパイプ、東京都とのパイプ、しっかりとやっていって、こういった現状を打破していただきたいと思っておりますので、今後、例えば今回市長が初めて大臣に要望活動をされて、今後も続けていってほしいと思いますが、今後どうでしょう。市長、ぜひお願いしたい、続けていっていただきたいと思います。
◯企画政策部長(鈴木誠君) これまでも機会を捉えて国への活動はしてまいりました。1例を申し上げますと、例えば平成25年に固定資産税の償却資産分を減免しようと求める強い動きが自民党と公明党の税制調査会の中で議論されているときがございました。そのときには市長が直接、自民党の税制調査会長と面会して、そちらの撤回を要望してきたということもございます。
今回また地元選出の小倉衆議院議員が大臣に就任された機会を捉えてという形でやらせていただいています。このように、機会を捉えた中できちんと要望活動はしてまいりたいと考えてございます。
◯24番(松田だいすけ君) 我々の会派、政党もそうですが、我々も我々で要望のほうはしっかりとしていきたいと思いますので、市長もそこの要望だけはずっと続けていっていただきたいと思います。
今日は時間8分50数秒残っていますけれども、しっかりとやっていただきたいということをお願い申し上げて、新政会の代表質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
◯議長(いいじま文彦君) 松田だいすけ議員の代表質問は終わりました。
次に公明党を代表して三階道雄議員の発言を許します。
15番三階道雄議員。
(15番三階道雄君登壇)
◯15番(三階道雄君) 三階道雄でございます。公明党を代表いたしまして質問させていただきます。
市長施政方針について
1.平和活動について
ロシア軍の
ウクライナ侵攻は2月24日で1年となり、未だ先行きが見えず更なる長期化の様相を呈しています。今でも子どもや女性を含む大勢の市民の生命が絶えず脅かされている状況にあり、避難生活を余儀なくされた人々も国内で約600万人、ヨーロッパの国々に逃れざるを得なかった人々は800万人に達しました。また、このウクライナ危機によって、どれだけの人が命を失い、生活を破壊され、自分や家族の人生を一変させられたのか、想像を絶するものであります。さらに危機は、ヨーロッパ全体に緊張を広げているだけでなく、その影響で食料の供給不足やエネルギー価格の高騰、金融市場の混乱が引き起こされ、多くの国々に深刻な打撃を及ぼしています。
戦争ほど残酷で悲惨なものはありません。国連をはじめ各主要国が連携を図り、国際人道法・人権法を貫き“生命と尊厳を守り抜くことの重要性”を踏まえて、現在の危機を一日も早く終結するよう、心より願うばかりです。
それとともに、日本を取り巻く安全保障の面では、ここ10年で環境が大きく変わってきたのが現状です。サイバー空間や宇宙空間でも新しい脅威が発生しており、また北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射など、日本周辺の国々が軍事力を大幅に拡大しています。万が一に対応する防衛の備えと外交を共に進めていくことが大切であります。報道された反撃能力とは抑止力、専守防衛の範囲内であり、自衛権行使の3要件に基づき、やむを得ない必要最小限の自衛の措置で実施されるとして先制攻撃などで使われることがないよう、専守防衛の枠内に収めています。また、紛争を解決し、平和と安定を保つためには、対話による外交努力が重要です。政府だけでなく、政党外交などを通じて対話の力が大きくなることが国の外交力につながっています。
公明党は「平和の党」として政党外交の一翼を担う取り組みもしっかり行っています。不安定な国際情勢ですが、いかに現実的に「平和」の維持・実現をさせるのか政治の大きな役割であります。
さて、市長施政方針の冒頭でも、昨年に続きロシアによるウクライナ軍事侵攻の話と、
プーチン大統領に攻撃の停止と撤退を求めた上、平和への想いが書かれていました。子どもや若い世代へ平和の継承は、今、多摩市でできる最良の取り組みです。今後、さらなる平和推進事業の拡充を期待しますが、市の見解と取り組みについて伺います。
2.子育て・教育支援について
昨年末、政府の予測より8年も早く出生数が80万人を割り込む見通しとなったことで社会に衝撃を与えました。社会保障の持続可能性を脅かすだけでなく、日本の社会や経済に大きな影響を及ぼします。例えば私立幼稚園や保育所の経営危機や、私立高校や大学の経営も厳しくなります。現役世代が減少する中で労働力がさらに不足し、介護などの人材不足もさらに深刻化するのではないでしょうか。少子化の進行によって日本社会は持続可能性を揺るがす事態に直面していると言わざるを得ません。
公明党は以前より少子化対策に取り組んできました。2006年に「少子社会トータルプラン」を策定し、そこに掲げた幼児教育・保育の無償化などの施策を着実に実現してきました。しかし、コロナ禍により少子化が想定を上回るスピードで進み、虐待や不登校、自殺の増加など子どもを巡る課題は深刻化。これらの課題を克服し、希望すれば誰もが安心して子どもを生み育て、十分な教育が受けられる社会づくりを進めるため、昨年の11月「子育て応援トータルプラン」を発表。「子どもの幸せ最優先社会」を目指し、少子化・人口減少の克服に向けた具体策を示しました。出産育児一時金の増額、児童手当の18歳までの対象拡大や子ども医療費助成の拡充、私立高校授業料の実質無償化の段階的な対象拡大など、幅広い政策を網羅しています。
プランで先行実施するのが、政府の総合経済対策に盛り込まれた、妊娠から出産・子育てまでの一貫した伴走型相談支援と経済的支援を一体的に行う事業です。支援が手薄とされる出産前後と0~2歳児の子育て世代が孤立に陥るのを防ぐのが狙いで、全自治体で実施を目指しています。
そのような中、岸田首相は「異次元の少子化対策」を主張し、小倉担当相は「公明党は地方議会とのネットワークの中で生活者目線に立った子育て支援の意見を多く持っている」と評価し、子育て応援トータルプランや公明党の提言を「責任を持って受け止め、しっかりした対策をつくりたい」と意見を述べました。
また東京都では、国に先行し高校3年生世代までの医療費無償化や、都独自の伴走型相談支援と経済的支援を拡充しました。我々多摩市公明党としても、医療費の無償化や子育てサービスの財源・使途の充実など、都や国にネットワーク力を持って取り組んでまいりました。
このように、国や東京都も少子化対策に本腰を入れ出したところです。
多摩市も子育てに関しては他の自治体に負けない、そのように思っています。市長施政方針の中にも、幾つかの具体的な子育て支援策やサービスの充実が挙げられ期待します。また若い世代にとって魅力あるまちづくりも重要な視点です。
これらをもとに、多摩市でも「目玉」となるサービスやまちづくりのイメージ、働き方改革では民間企業との連携を図るなど、さらなる少子化対策「子どもの幸せ最優先社会」を目指し、目標を持って取り組んでいただきたい。市の見解を伺います。
3.高齢社会・健幸都市について
人生100年の時代と言われ、多摩市でも国に先駆け「健康」と「幸せ」を掲げて、高齢者への取り組みとしては介護予防教室や健康・フレイルの講座、スポーツやウォーキングなど様々な取り組みの充実。また、多摩市版地域包括ケアシステムについては、「高齢者が要介護状態になっても、できる限り長く、住み慣れた地域や自宅で生活が続けられ、人生の最期まで自分らしく生きること」をかなえるため、医療や介護、福祉等の必要なサービスを利用しながら自立した生活を続けられるように地域ぐるみで支えることとしています。
しかしながら、懸念されることとして施政方針でもありましたが、コロナの影響で行動制限があり、地域のつながりや様々な地域行事もなくなり「希薄化」が問題であります。また、私の住んでいる所もそうですが、地域によっては後期高齢者人口の増加に伴い、高齢者独居や老々世帯の増加が顕著であります。
介護の限界や孤立、認知症の徘徊で近所とのトラブル、「足」となる交通や階段・坂道の問題など多くの相談が私の所にもあります。再度ニュータウン地域の高齢化について、きめ細かな対応を望みますが、市の認識と取り組みを伺います。
4.DXによる業務改革と効率化について
多摩市のDXは、市民の利便性の向上を図る「くらしのDX」、デジタルで業務改革を図る「行政事務のDX」の両面で推進とあります。くらしのDXとして行政手続きのオンライン化など非来庁型サービスを進め、新庁舎の整備と合わせた取り組みとなります。また、施政方針には抜本的な業務の見直しと効率化などの課題解決に取り組むべく、(仮称)DX推進計画を策定とあります。
また、新たに行政サービス・アセット担当部長、DX推進担当課長、新庁舎整備担当課長を設置し、推進体制の整備とありました。公明党としても以前よりITやDXの推進には担当所管を整備すべきと訴え、またデジタルデバイド対策も引き続き強化すべきと訴えてきました。その点については、改めて評価いたします。
ただ専門的な分野であり、専門的な人材も必要かと思われます。それと効率化についてのDX推進計画の策定とありますが、人員の効率化なのか、システム等に関する効率化なのか、どのような計画なのか、市の見解を伺います。
5.防災・減災について
2月6日にトルコ南部とシリア国境付近を震源とする大地震により、昨日の時点で死者は両国合わせて5万人を超え、負傷者は少なくとも計11万人に上っており、また約100万人が家を失ったとみられ、住まいの確保が緊急の課題となっています。さらには、ユニセフによると、親を亡くした子どもたちが多くいるとみられ、家を失った子どもたちが路上や学校などで寝泊まりせざるを得ない状況に陥っているとしています。一日でも早く人道支援が行きわたるよう心から願うばかりです。
ここまで深刻化した被害に、何度も大規模地震に見舞われながら耐震などの対策を軽んじてきた結果の「人災」との見方が強まっています。日本も地震大国です。多くの日本人がこの報道を見て、改めて防災・減災の大切さを痛感したのではないでしょうか。
公明党は「防災・減災を政治、社会の主流に」と訴え、ソフト面やインフラ整備など地域の防災力強化を推進してきました。市民の安全・安心をどう守っていくのか、行政の大事な仕事です。市長施政方針では無電柱化や多摩市下水道総合治水対策方針の策定を進めるとありました。災害はいつ来るかわかりません。スピードある対応を望みます。
また、市民の皆様には、防災・減災を“自分事”として考えてもらうことも大切です。この際、マイ・タイムライン作成など、市民意識の向上に、いま一層の周知や取り組みが必要ではないでしょうか。市の見解と取り組みを伺います。
6.保険・医療について
コロナ禍による心身のストレスから免疫力が低下して帯状疱疹を発症する人が増加しています。発症を予防するのに帯状疱疹ワクチンの予防接種が有効であります。東京都は予防接種費用の負担軽減について各自治体に「これまで市区町村包括補助事業の1つのメニューの考えであったが、独立した事業にする予定」との通達をしたとお伺いしました。
我々多摩市公明党としても、多くのワクチン接種の希望者がいるが費用がかかるとの声もあり、署名活動を開始し、3,692人と多くの署名をいただきました。2月3日に市民の方々と市長に提出し、多摩市でも帯状疱疹ワクチンの助成を早急にしていただきたいと要望しました。今後、東京都の事業のもと他の自治体も取り組むと思われます。帯状疱疹ワクチンの助成について多摩市の見解を伺います。
7.地域振興・活性化について
多摩センター周辺地区におかれましては、昨年パルテノン多摩がリニューアルオープンし、今年の7月には中央図書館が開館。令和6年度内には公園全体の改修が終わり、多摩センター地域の活性化・地域振興に期待するところです。
しかしながら、かなりの費用を投じての改修となります。その改修費用に見合った公園施設であり地域振興に貢献できなければ、市民の声も厳しいものとなります。様々なイベントや周知、多摩センターの商業施設やサンリオとの連携など地域一体となった取り組みが必要ではないでしょうか。また、ハローキティストリートの十字交差からパルテノンに向かう坂の賑わいの工夫や、京王プラザホテル跡地の行方、クロスガーデン商業施設の今後のあり方などは多くの市民の関心事です。幾つかの提案や指摘を挙げましたが、市の認識と取り組みについて伺います。
一方、多摩川の河川敷も地域振興にポテンシャルが高いところです。「聖蹟桜ヶ丘かわまちづくり計画」が国土交通省に登録され、地域の方々と共に社会実験を行ってきました。我々公明党も以前よりデイキャンプやバーベキュー、また若者達のためのストリートスポーツなど幾つか提案してきました。何が良いのか地域の方々と協議し、地域に愛され、賑わいのある空間にしていただきたいと思います。現段階での具体的なビジョンを伺います。
8.環境問題について
今期の4年間、毎年、気候変動の問題を取り上げてきましたが、毎回言っているのが「市民一人ひとりの意識改革と行動変容」であります。世界に比べ日本人は環境問題の意識が低いと言われています。私自身いたらないところですが「未来に責任」を持った行動が大事であります。
二十歳の祝賀祭で市長はペットボトルの正しいリサイクル方法を実演していたのが印象的でした。また、市長施政方針には「様々な市民活動を支援し、環境配慮行動のムーブメントを創出していく」との決意が伺え、「脱炭素社会づくりに向けた具体の取り組みや行動を市民と共に考えるしくみづくり、社会変容を推進していくための場として『気候市民会議』を立ち上げる」とありました。ぜひとも広く市民の方々のムーブメントとなるよう期待しますが、実際にどのような内容で最終的にどうなるのか、その点について伺います。
また、総合体育館においてESCO事業による照明のLED化に取り組むとありました。良い取り組みだと思いますが、学校を含む他の施設の照明のLED化など検討はしているのでしょうか。改修の際との考えかもしれませんが、施設によってはそれを待たずに進めても良いのではないでしょうか。市の見解を伺います。
ご答弁の後、再質問させていただきます。
◯議長(いいじま文彦君) 阿部市長。
(
市長阿部裕行君登壇)
◯市長(阿部裕行君) それでは、公明党の代表質問にお答え申し上げます。
1についてお答えします。
昨年2月24日から始まったロシアの
ウクライナ侵攻は1年を経過した今も停戦の兆しは見られず、さらなる長期化は必至の情勢とされています。世界経済全体の先行きも不透明な状況が続いており、本市においても物価高騰などの影響を受けています。
昨年8月、3年ぶりに実施した
子ども被爆地派遣事業の際に参列した広島の平和記念式典において、アントニオ・グテーレス国連事務総長は「深刻な核の脅威が、中東から朝鮮半島へ、そしてロシアによる
ウクライナ侵攻へと、世界各地で急速に広がっている」と世界が置かれている危機的状況を示しつつ、「今こそ平和を拡散させるべきとき」として、「世界はこの地、広島で起こったことを決して忘れてはならない。犠牲者の皆様の記憶、そして生き残った方々が残してくださった遺産は決して消滅することはない」と呼びかけました。
本市では、市民協働による「多摩市平和展」を開催し、平成25年度からは、小・中学生が体験的に平和の尊さを学ぶ「
子ども被爆地派遣事業」を行っています。
令和4年度の平和展では、市制施行50周年記念事業として、広島で被爆したバラ育種家の方がつくり「ICAN」と名づけられたバラを市内中学校へ配付するとともに、平和活動に積極的に取り組むゲストを招いた講演会を開催しました。
また、
子ども被爆地派遣事業では、歴代派遣員4名にも加わっていただき、自分たちの経験をもとに現役派遣員のサポートをしつつ、新たな視点で被爆地を見て、考えたことを報告会で発表しました。なお、歴代派遣員については令和5年度も参加していただく経費を当初予算に計上しています。
本市も含め平和都市のネットワークへと発展している平和首長会議が、昨年10月、広島で総会を開催しました。その中で、東京都多摩地域において自治体間ネットワークを形成し、多摩地域全体で平和文化の振興の向上を図ることを目的とした(仮称)平和首長会議東京都多摩地域平和ネットワークを形成する旨が報告され、東京都市長会の会合で松井広島市長から呼びかけもあったところです。
平和は、私たち市民が営む全ての活動を支える最も基本となるものであり、これを守り、継承していくことは私たちに課せられた使命です。これからも様々な平和事業を通して、核兵器の恐ろしさや戦争の悲惨さにとどまらず、身近な人権問題から広い意味での平和と命の大切さを呼びかけ、これから社会を担っていく子どもや若者に継承されるよう取り組みを進めます。
2についてお答えします。
日本の出生数が減少の推移をたどる中、岸田首相は、さきの
施政方針演説で「異次元の少子化対策」に言及し、国は3月末までにたたき台をまとめる方向で検討を進めています。
本市においても、少子化の現状を大きな課題として捉えており、庁内で議論を重ねているところです。これまでも本市独自の取り組みとして所得制限を設けずに実施している義務教育就学児医療費助成制度や、子どもを一時的に預けたいというニーズに対し、多くの保育園で一時保育・定期利用保育を実施しています。また最近では、昨年オープンした「こどもひろばOLIVE」においても一時保育事業を開始しており、日曜日も預かるなどサービスを拡充しています。
さらに、令和5年度は所得制限を設けずに
高校生等医療費助成制度を開始するとともに、保育所等における使用済みおむつの持ち帰りをなくし、子育て世帯の負担軽減を進め、子育てしやすい良好な環境づくりに資する予算を計上しています。
今後、国が示す少子化対策の具体的内容とともに東京都の動きとも歩調を合わせ、本市の少子化対策を前進させていく考えです。その際、具体的な目標をはじめ、推進体制等について議論していく考えです。
3についてお答えします。
多摩ニュータウンは、諏訪・永山地区から順次開発が進められ、入居開始から50年以上が経過し、当初から入居した住居に住み続ける世帯では子ども世帯の転出が進み、急速に高齢化が進んでおり、一人暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯が多くなっています。
ニュータウンの一部の団地では住宅の老朽化が見られ、エレベーターが設置されていない団地が多く存在し、高齢者の円滑な移動の妨げとなっていると認識しています。
今後は生活支援や介護を必要とする状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防が一体的に提供されるよう「多摩市版地域包括ケアシステム」をさらに深化し、高齢者を含めた地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な福祉サービスの提供体制を整備しつつ、住民同士が支え合いながら自分らしく活躍できるコミュニティを育成し、助け合いながら暮らすことのできる安定的な地域共生社会を目指していきます。
今後も自治会、NPOやボランティア団体、老人クラブなど、高齢者自身を含む市民の様々な活動と連携・協働し、誰もが幸せを実感できる
健幸まちづくりを進めていきます。
4についてお答えします。
社会全体でデジタル化が進む中、技術の進展と併せて、システムのほか機器の調達や利用方法にも変化が起きています。以前は、各種機器を購入して本庁舎内の電算室に設置し、運用・管理を職員が担っていましたが、現在はクラウド方式によるサービスの調達や、サブスクリプションによるサービス利用へ移行しています。これに伴い、専門知識を持った外部人材に求める業務範囲はより多方面にわたるようになってきていることから、DX推進を含めた専門人材を職員で賄うことは難しいと考えています。
こうしたことから、本市としては、DXの推進に当たり、専門的な知識や技術を持つ人材の力を得るための方策として、令和5年度に東京都が立ち上げる「
GovTech東京」の専門人材派遣事業を活用すること等も検討しています。
こうした推進体制に関することも含め、具体的なDXの取り組みをいかに進めていくか、デジタルを活用することで職員の働き方を含めた業務改革、システム等の調達方法や共通化による最適化、それらの結果として市民が恩恵を感じられる手法の検討など、市民サービスの向上を含めた全体の効率化を目指します。
今後も少子高齢化が進み労働力人口が減少することが予想されますが、新庁舎が建設される見込みである令和11年度以降の行政サービスのあり方をイメージしながら、限られた財源や人員を効率的に活用し、健全な財政構造と持続可能な行政運営を目指し、DXをはじめ既存の行財政運営の見直しを着実に進めることが求められます。こうしたことから、令和5年度には「(仮称)第10次行革計画」の策定を行うとともに、特に市民が行政サービスを利用する際の利便性の向上や職員の業務の効率化に大きく資するデジタル技術の活用等による変革について、外部の専門家の知見もかりながら「(仮称)DX推進計画」として策定し、推進していきたいと考えています。
5についてお答えします。
本市では、昨年6月、多摩市地域防災計画を修正しました。気候変動等を背景に激甚化する自然災害が頻発する中で、市民の生命、身体及び財産を災害から保護することを目指し、東京都地域防災計画との整合性と、近年発生した災害対応から得られた教訓や新型コロナウイルス感染症対策への対応等を反映しました。
本計画や関連する各種計画等に基づき、防災・減災に関する対策について、多摩市消防団や関係機関と連携しながらスピード感を持って実施しています。
自助や共助を強化する取り組みとしては、昨年9月にハザードマップを更新し、水害時における避難フロー図やマイ・タイムラインの紹介をするとともに、9月5日号のたま広報にて、地震発生時や台風接近時における避難手法の紹介を行っています。
本年は、関東大震災から100年の節目の年であり、さきのトルコ・シリア地震の被害状況などから、災害に対する市民の関心も高くなるものと考えられます。
防災対策において自助・共助の役割は非常に大切であることから、今後もあらゆる機会を捉えて、市民の防災意識と取り組みが向上するよう対応を図っていきます。
6についてお答えします。
帯状疱疹は神経に潜んでいた水痘・帯状疱疹ウイルスが活性化することで発症する皮膚疾患で、50歳以上の方がストレスや疲労で免疫力が低下すると発症しやすい傾向があります。
また、重症化することが多く、後遺症が残ったり、全身状態が悪くなることがあり、予防のためには帯状疱疹ワクチンの接種が有効であると言われています。
一方、帯状疱疹ワクチンについては任意接種のため、高齢者へのインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンなどの定期接種と異なり、その接種の補助に当たっては財源の確保や他の任意接種との整合性・優先度などの課題があると認識していました。
今般、本年1月6日に東京都より「医療保健政策区市町村包括補助事業」へ帯状疱疹ワクチン補助事業の追加を検討しているとの情報提供があり、その後、1月19日にさらに踏み込んだ形で「医療保健政策区市町村包括補助事業」の1つのメニューから独立した新規事業として「帯状疱疹ワクチン任意接種補助事業」へ変更とする事務連絡が来ており、先ほどの課題について一定程度の整理ができることが見込まれました。
また、2月に入り「帯状疱疹ワクチン任意接種補助事業」の補助内容について、対象年齢、補助割合、基準額等が示されたため、本市としては、他市の状況も注視しつつ、多摩市医師会と協議を行い、実施に向けたより具体的な検討を進める予定です。
7の前段についてお答えします。
本市では、ハローキティにあえる街事業や多摩センター地区連絡協議会等と連携し多摩センター地区の活性化に向けた取り組みを進めています。これまでも様々な取り組みを行ってきましたが、パルテノン大通り十字路から南側のにぎわいや、大きなイベントが実施されていないふだんの日のにぎわい等が課題でした。令和3年11月から、パルテノン大通りで定期的なマルシェの開催などふだんのにぎわい創出を行ってきましたが、新型コロナウイルス感染症拡大等社会状況の変化が見られ、まちに求める人々の価値観の多様化、行動の分散化による商業・業務施設への影響など、多摩センター地区を取り巻く状況も大きく変わってきており、さらなる取り組みが必要であると考えています。
現在、
多摩中央公園のリニューアル等にあわせ、
多摩中央公園・多摩センター連携協議会を設立し、公園内施設の連携を中心に、回遊性など新たなにぎわいの取り組みを進めています。その取り組みの1つとして、昨年のパルテノン多摩のリニューアルオープン時にハローキティにあえる街事業と連携した取り組みを行いました。これは、本年7月の中央図書館オープン時にも実施する予定です。
また、行政、市民、企業などとまちづくりを進めるための指針として、昨年4月に「『多摩センターのさらなる活性化に向けた取組み方針』に基づく行動指針(令和4年度~令和6年度)~これからの多摩センターのあゆみ方~」を策定し、令和4年度にはパルテノン大通りを使ってペデストリアンデッキ上でのたき火や傾斜を活用した巨大ピンボールのほか、市内高校生が地域探究学習の授業で取り組んだ内容を発表し、通行中の方に評価していただくといった社会実験などを行い、市民などから「まちのつかい方」の声を集めてきました。これを踏まえて、多摩センターの将来ビジョンも含めて「(仮称)多摩センター地区まちづくり方針」を令和6年度末目途に策定すべく、現在進めているところです。
これらの取り組みを進めることにより、市民が暮らしやすい街並みを継続しつつ、多様な「やりたい」をチャレンジできるまちに市民、企業、行政がともにつくり上げていきたいと考えています。
後段についてお答えします。
令和2年3月に国土交通省の「かわまちづくり支援制度」に「聖蹟桜ヶ丘かわまちづくり計画」を登録しました。国土交通省から、堤防における階段やスロープのハード整備や管理方法についての助言などのソフト面での支援を受けながら、地元の自治会や商店会、企業、市民団体との意見交換や先進地視察などを通じ、4年8月に「聖蹟桜ヶ丘かわまちづくり協議会」を設立しました。
昨年10月から11月にかけて、協議会と市の共催により、「日常」を豊かにする河川敷の活用を目指し、河川敷や公園におけるルールづくり、芝生広場や堤防天端などの整備を想定した河川敷の使い方、持続的な河川活用に向けたプレイヤーの発掘を目的とした社会実験を実施しました。アンケート調査等の結果からは、飲食店やアウトドア系のニーズが高いことや、ドッグラン、バーベキューができる場所、花火大会や音楽イベント開催などの要望も多く寄せられました。さらに人の流れ・行動も併せて見た中では、河川敷が安全な場所であることを大前提として、タープやテーブル・椅子などを用意することにより快適に過ごすこともできる滞留空間の創出と、ヨガ、たき火体験、ドッグランなどの河川敷に行く目的をつくり出すことが重要であることが改めてわかりました。
今後については、収益事業なども行いながら、その収益を河川敷の維持管理や地域でのイベントの実施に還元する仕組みづくりや、今年の2月に本市も協力して出版社と鉄道事業者が共同で発行した市民参加型ローカルマガジン『セイセキZINE(ジン)』のような、市民が主人公になれる取り組みを進め、これらの活動を主体的に担う団体の設立を目指していきたいと考えています。水辺を活用した豊かな日常づくりからにぎわいを生み出し、聖蹟桜ヶ丘エリア全体の活性化を目指し、地域の皆さんとともに取り組みを進めていきます。
8についてお答えします。
2019年頃からヨーロッパの国々で広まった「気候市民会議」は、市民主体で気候変動対策を議論する取り組みで、参加者を年齢や性別等のバランスをとった無作為抽出で募ることで、会場に社会の縮図をつくり出すことを特徴としています。
現時点の予定では、本年5月から全5回シリーズでの開催を計画しており、それぞれ有識者からレクチャーを受けた後でグループ討議を行う形式を考えています。気候問題に関心が高い方もそうでない方も含めた議論を通して、多様な意見を取りまとめ、市民の皆さんがポジティブに主体的に取り組む気候対策のロードマップや具体項目として「次期多摩市みどりと環境基本計画」にしっかりと反映させ、2030年のカーボンハーフ、2050年の脱炭素化を推進します。
平成30年に策定した第二次多摩市地球温暖化対策実行計画で、公共施設の省エネルギー対策や再生可能エネルギー導入手法等について「専門的な事業者や外部機関の知見や提案の活用を推進する」と定めています。令和5年度に取り組む総合体育館でのESCO事業による照明のLED化は、令和2年度の民間提案を受け検討したものであり、今後も同様に、施設改修時以外でも、効果的・効率的にLED化等を導入することができないか、民間事業者の知見も活用し、温暖化対策の取り組みを積極的に進めてまいります。
◯15番(三階道雄君) 丁寧なご答弁をありがとうございました。それでは、まず一番初めの平和事業について再質問させていただきます。
ロシアによる
ウクライナ侵攻ということで、1年以上続いております。この戦争によって、本当に多くの若い兵士だけではなく、その家族や一般の市民、また子どもやお年寄りなど多くの命が犠牲になっています。なぜこれほど犠牲者を出してまで手に入れたいのか、現代社会からすると全く理解ができないことでもあり、私も個人的に本当に憤っています。
それで、我々公明党会派でもこれまで幾つかの平和事業とのことで視察に行かせていただきました。沖縄の平和祈念公園やひめゆりの塔、また広島の平和記念資料館など幾つか視察してきました。その中で沖縄、広島もそうですが、若い世代に戦争の悲惨さや平和の継承が大事だと言っておりましたし、ただ今、戦争体験者や被害者が減る中、時がたつにつれて本当にその継承が難しくなっているというようなことを言っておられました。
また、個人的には特に印象に残っている視察先として鹿児島の知覧特攻平和会館。要は第二次世界大戦で戦死した特攻隊員をしのぶ博物館ですが、中でもこれから死にに行く若年兵士たちの家族への手紙、遺書ですが、これが多くあり、本当に胸がいっぱいになって私も見ていられなかったです。その遺書に、表向きには「お国のため」などと書いてあったのですが、その裏には家族への思い、恐怖、また本意ではないと本当にひしひしと伝わってきたような手紙でありました。そのときにも思いましたが、悪しき思想や教育というものは本当に怖いなとつくづく感じて帰ってきました。
それで多摩市でも事業として、
子ども被爆地派遣事業が少しずつ花が咲いてきて、OGやOBに広がりつつあります。これについては本当にうれしい限りですが、できればもう少し学校とコラボレーションや連携などもしてもいいのではないか、その点にもう少し取り組んでもいいのではないかと個人的には思っていますが、ご意見をいただければと思います。
◯議長(いいじま文彦君) 古谷くらしと文化部長。
(くらしと文化部長古谷真美君登壇)
◯くらしと文化部長(古谷真美君) 平成25年度からスタートした
子ども被爆地派遣事業では、派遣員が50人を超えまして、それぞれの子どもたちが平和の大切さを学び、それを周りの人たちに伝える活動を地道に着実にしていただいております。
その中で、小学校や中学校の生徒さんたちということで、今年度も8人の方々、そこにOB・OG4人も加えて派遣をしたわけですが、それぞれの小学校や中学校との連携というところでは、学んだ後、その発表をご自身の学校でしていただいたり、その発表の成果を学校だよりにも取り上げたりしていただいて、広く学校の保護者の方々などにも知らせるような取り組みをしていただいているということを承知しております。
今後もそうした学校との連携をはじめとして、その子どもたちが派遣事業をする前にも事前学習などで、様々な被爆者として戦争の悲惨さを伝える伝承活動をされている大人の方々と交流をしたり、様々な大人の方々たちとも関わっております。そういう多くの人たちとの交流を通じて、子どもたち自身の視野が広がって学びが深まっていけるような取り組みを着実に進めてまいりたいと考えております。
◯15番(三階道雄君) 要は今しっかり学校でもやっているということですが、やはり今、毎日のようにロシア・ウクライナのことなどが報道されています。私事ですが、家でそうしたニュースを見ていると、やはり子どもたちも興味・関心があるのでしょう。必ず「なぜこの戦争は起きたのか」とか、「これはどうすれば終わるの」とか、「国連で対応ができないのか」など、子どもたちから多くの疑問の声や質問が投げかけられるわけですが、またそこで子ども同士で議論になったりしています。これは本当に誤った答えもできないので、私も調べながらいろいろ子どもたちについては答えているのですが、間違った答えをすると本当に怖いなと思っております。
平和学習ということで、学校でも「時事ネタ」といった形にはなると思うのですが、実際のところ、平和学習は現状どのように行われているのか、お伺いします。
◯議長(いいじま文彦君) 細谷教育部参事。
(教育部参事細谷俊太郎君登壇)
◯教育部参事(細谷俊太郎君) 学校における平和学習・平和教育につきましては、学習指導要領に基づき、各教科等との関連を図りながら、児童・生徒の発達段階に応じて実施するということが大切だと考えております。発達段階によって様々な手法がございますが、世界の現状を直接題材として目を向けさせるような方法もございますし、また、国語などでは物語を通して考えさせるような手法もございます。さらに社会科で歴史を学ぶ中でこちらを考えていくというような手法、さらに特別活動等で人間関係を学ぶ中で考えていくような手法、様々な手法がございます。
このような多様な手法を活用しまして、様々なアプローチによって学校教育全体の中で平和学習・平和教育というものを繰り返し実施しているというところが現状でございます。
◯15番(三階道雄君) 今だからこそといったところもあると思うのですが、できれば子ども同士でしっかり考えさせることが必要なのではないかと私は思っていまして、そういう部分については、例えば学校での副読本や教材などで戦争や平和についてのものは実際にあるのかどうかお伺いします。
◯教育部参事(細谷俊太郎君) 子どもたちが学ぶ上での教材や副読本があるのかということでございますが、現状で戦争や平和のみに特化した形での教材や副読本というものはございませんが、平和学習や平和教育に関わって、先ほど少し挙げましたが、例えば小学校の国語では戦争を背景とした物語を取り扱ったり、戦争に関わるものを題材とした説明的な文章などを読み進める中で、平和の大切さについて気づいていくというような学習がございますし、また中学校保健体育科におきましては、オリンピックやパラリンピックについて学習する場面がございますが、このような国際的なスポーツ大会というものは国際親善や世界平和というものに大きく寄与しているのだということを学び、平和を維持するために自分たちがどんなことができるのか、それらをきっかけとして考える、そのような学習が実際には行われております。
◯15番(三階道雄君) そういう歴史の本などがいろいろあるということで、平和の一般的なところについてもあると思うのですが、今現状、ロシアの侵攻などの報道が毎日あって、時事ネタということになった場合は、ある程度きちんとしたそういう教材もあってもいいのではないかと。ネットで調べれば出てきますが、誤った内容なども出てきているので問題だろうと思います。
それから、また多摩市でESD教育で、持続可能な開発のための教育ということで、またユネスコスクールに加盟しているのですが、ユネスコの憲章では冒頭に戦争の話から入るのですね。私も再度見ましたが、要はもう一歩、平和といったところの教育を進めてもいいのではないかと私としては今思っています。要するに今現状、毎日のように報道されている部分について、子どもたちもかなり気にしていると思いますし、そうした部分にもう一歩踏み込んだ教育は考えられるのかなと思うのですが、いかがですか。
◯教育部参事(細谷俊太郎君) もう一歩踏み込んだ平和教育が考えられないかということでございますが、世界の平和に関する現状については、子どもたちも新聞やテレビ等の報道によって情報を得ている、また、その情報をもとに、ときには友達と、または家族と話題として考えていくような場面はあろうかと思います。さらに、授業の中で時事問題を取り扱うというところで平和について考えるような場面もあるであろうと推察しているところです。
学校では今後も、国際教育や人権教育との関連を図り、今、世界で起こっている事柄について自分事としてしっかりと捉え、考えたり意見交換をするなど児童・生徒一人ひとりが考えを深められる、そのような教育の充実というものを図っていくことが大切であると考えております。
◯15番(三階道雄君) まさに私もそう思っております。今の子どもたちは、今後世界の壁もなくなるだろうし、海外がもっと身近になると思われます。そのとき状況を把握しないと、例えばトラブルに巻き込まれたり、現実的に戦争や平和などへの知識、この対応がとれないのではないかと思いまして、あえて一歩踏み込むべきだと言わせていただきました。その点も加味しながら、今現状の状況も捉えながら検討していただければと思っております。
次に子育てについて伺いたいと思います。少子化について公明党としても以前より力を入れておりまして、通告にも様々なことを書かせていただきました。
ようやく国も東京都も本気度が見え始め、期待したいところなのですが、細かい部分については本間議員も質問されるということでお任せしたいと思います。
私のほうからざっくりと2点ほどお伺いしたい。1点目はここ最近の保育所の待機児の問題です。特に聖蹟桜ヶ丘駅周辺の話なのですが、「近くはどこも入れない。どうなっているの」という声が市民の方から耳に入りまして、この聖蹟桜ヶ丘駅周辺の待機児の状況と、なぜ待機児が出ているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
◯議長(いいじま文彦君) 本多子ども青少年部長。
(子ども青少年部長本多剛史君登壇)
◯子ども青少年部長(本多剛史君) 聖蹟桜ヶ丘エリアの待機児童のご質問でございます。来年度4月の入所申請を今行っておりますが、全体の数としては、これはゼロから5歳ですが、18人ほど昨年よりふえているというような状況でございます。
ただ、地域別で見てみますと、やはり聖蹟桜ヶ丘エリアは大型のマンションの入居が始まったということで、特に聖蹟桜ヶ丘駅周辺の住所の方の申請が昨年に比べて地区によっては2倍以上にふえているというような状況がございます。
それから年齢別に見てみますと、やはりゼロ歳児は全体的には減少しておりますが、1歳児の申請がかなりふえているという状況でございます。その1歳児のふえているエリアを見てみますと、やはり聖蹟桜ヶ丘駅エリアでかなりの数がふえているという状況で、かなり聖蹟桜ヶ丘駅周辺に今ニーズが偏っているというような状況でございます。
◯15番(三階道雄君) 聖蹟桜ヶ丘付近では厳しいというようなことをお伺いしております。今の状況は、急にマンション等が建ったということなのですが、今後この地域の待機している子どもたちへの対策や今後の見通しについてもお伺いしたいと思います。
◯子ども青少年部長(本多剛史君) 今現在、私どもがとっている対応としては、年齢ごとの定員を見直しをすることができないかというような打診を各園に行っているところでございます。
具体的には、1つの対策として、職員の配置基準がありますので、そちらも気をつけながらでございますが、ゼロ歳児の空いている定員を1歳児に振り分けるといったようなことですとか、一時保育・定期利用保育ということである一定の枠を持っておりますが、その枠を定期利用保育のほうに振り分けることによって、今保留になっている方の受け入れができないかというような調整を行っているところでございます。
今後は、やはり聖蹟桜ヶ丘エリアはファミリータイプのマンションがこれからまだ進むというような情報も入っておりますので、その対応ということでは、あのエリアにそうした保育需要をのみ込めるような対策を、今話を進めているところでございます。
◯15番(三階道雄君) いろいろ対策を進めているということですが、これで待機はなくなると言ってよろしいのでしょうか。確認したいと思います。
◯子ども青少年部長(本多剛史君) これからの児童の推計を出す上では、やはり大型のマンションやファミリータイプのマンション、また戸建ての情報などを我々もキャッチして、これまでの過去の経験上、やはり住む方のある一定割合が保育需要があるというような過去のデータがありますので、それに基づいてこれからの需要を見込んでおります。
そうした中で今進めている保育需要に対応するような施設の整備については、ある程度のみ込めるのではないかというような見込みを立てております。
また、今現在各施設で定員がそれぞれ異なるような状況でございますので、そうした空き定員をいかに生かしていくのかというような整備も進めて、このニーズに対応していきたいということで、今いろいろなことで調整をしているところでございます。
◯15番(三階道雄君) 減らすことはできても、なかなか全てはというような感じかと受けとめさせていただきました。状況がこうなりそうだとわかるのであれば、もう少し早めの対応をしてほしかったと、個人的には思うわけでございます。
それから、やはりできたら一人ひとりしっかりと待機されている方に寄り添って対応していただければと思っております。引っ越してきて「こんなはずじゃなかった」とか、「今後仕事をどうしようかな」と、今でも考えている、困っている方も多いと思いますので、一人ひとりにしっかりと対応していただきたい、その点は私のほうからも要望させていただきます。
それからもう1点、今後少子化に伴って保育所の運営などが、場所によっては空きが出て厳しくなったり、また今もそうですが、駅周辺があふれてしまったり、バランスが非常に難しくなるのではないかと思います。
例えば抜本的に乗合バスや、思い切ってタクシーチケットなど何かしら考えないと、近々保育園自体がうまく回せなくなるのではないかと思います。その点についてのお考えをお伺いします。
◯子ども青少年部長(本多剛史君) ご指摘のとおり、少子化の進行で市内の保育園でも駅から比較的距離のある保育園で空き定員が生じているという状況でございます。その空きをどう埋めるかということが1つの課題でして、今園と市との話し合いが進んでいるという状況でございます。具体的には少子化にどのように保育園と市が協力して取り組めるのかというようなことを話し合っております。
そしてもう1つは、目の前の課題である空き定員に対してどう対応していくのかということの協議を重ね意見を出し合っている、今そういう状況でございます。
そして、今多摩市の課題として年齢ごとに空き定員がいろいろとバランスが悪くなっているという状況でして、一部の地域で定員を上回る申請があるということで、いわゆるミスマッチという言い方をしますが、そういう状態の地域があるということでございます。
新たな施設を整備するということでなくて、今後の人口推計や、それから整備までにある程度一定の時間を要します。また財政的な課題もございますので、整備するよりも、まずはこのミスマッチを1つの解決策として捉えて、今その1つの対策としては異動でどうにか対応できないかということで、今内部での検討はしておりますけれども、あわせて他自治体でもそうした取り組みが行われております。そうした自治体の情報収集をしながら、場合によってはそちらの担当者に状況確認しながら、今検討を進めているところでございます。
◯15番(三階道雄君) ぜひともそういった対応も先々を考えながら取り組んでいただければと思います。
それともう1点、違う話に移りたいと思いますが、子育て世代の方々が働きやすい環境の整備が必要ではないかと思っています。いわゆる企業の理解という部分なのですが、まだまだ市内でも条件に合った仕事がなかったり、どうしてもやめざるを得なかったり、また会社とのトラブルになってしまったなど、いろいろと伺っております。
国のほうでは厚生労働省で子育てサポート企業として認定しているような取り組みもあるのですが、これは大企業がほとんどで、中小企業では敷居が高いようでなかなか認定されていないのです。
それで、多摩市は今までに子育て世代の理解をするように市内企業へ何かしら取り組みをやってきたことはないのかどうか、お伺いしたいと思います。
◯議長(いいじま文彦君) 正野
健幸まちづくり政策監。
(
健幸まちづくり政策監正野直子君登壇)
◯
健幸まちづくり政策監(正野直子君)
健幸まちづくり推進事業で健康ワーク宣言という取り組みを進めています。この取り組みは、働き盛り世代の健康と幸せの獲得のために、市内事業所等のトップが自身と従業員の健康で幸せな働き方と、その実現に向けた取り組みについて宣言しまして、職場での健幸づくりを進めていくといったものになります。
現在、市内の33の事業所が子育てや介護の支援に関すること、柔軟な働き方に関すること、職員の健康増進に関することなど多様な視点で、働く人が健康で幸せに働ける環境づくりに関する取り組みを宣言として出していただいております。
健幸ワーク宣言は子育て世代だけの支援というわけではありませんが、この取り組みが子育て世代が働きやすい環境づくりの一助となっていると考えております。
◯15番(三階道雄君) ありがとうございます。健幸ワークということで、少しイメージが違うのではないかと。広い意味であれなのですが、再度、例えば子育て世代に優しいようなことも市内の事業所に働きやすいというか、小さい子どもを持った方に特化した、そういうことに企業に対してしっかり取り組んでいただきたいということを、できれば市のほうからも各企業や事業者にさらに推し進めていくことも必要があるのではないかと思います。
その点、今後商工会議所もそうですが、企業のほうにできたら子育て世代に働きやすいという部分について、再度もう一歩踏み込んでお話ししていただければと思います。その点は要望しておきたいと思います。
それでは次に高齢者のことについて若干お話を移したいと思います。高齢者のほうも池田議員がやりますので、私からは私が住んでいる地域のことで感じていることだけ話したいと思います。
実はやはりコロナの影響が非常に大きくて、ご高齢者の方が希薄化、これが本当に影響があったと思っております。いつの間にか施設に入っていたり、入院していたり、また引っ越しされたり、そして状況が全然わからなかったというか、同じ団地の隣ともよくわからないとか、要するに会う機会が本当になくなって地域の横のつながりが少なくなったなと、私自身本当にそう感じております。
また、認知症の方も間違いなくふえています。徘回していたり、近所のトラブルの相談なども私のところに非常にふえてきたと思います。特に私が住んでいるニュータウン地域、豊ヶ丘・貝取、落合の高齢化もかなり高いのです。
そのようなもと、高齢者の見守りについてですが、要となっている民生委員さんが、この前のたま広報でも紹介されていますが、ぱっと見ても、ちょうど私が住んでいる豊ヶ丘、貝取、永山地域がほぼ固まってそこだけグレーというか、要するに欠員地域になってしまっています。この点、欠員の部分は第3地区が多いのですが、まずこの点について市としてどう思っているのかという見解と、今後の対応策の部分についてお伺いしたいと思います。
◯議長(いいじま文彦君) 小野澤健康福祉部長。
(健康福祉部長小野澤史君登壇)
◯健康福祉部長(小野澤史君) 民生委員のなり手がいなくて欠員が多く出ているという状況については、引き続きの非常に大きな課題だという認識をしております。
民生委員の方々は地域の相談役でもございますし、また75歳以上の方の、ご高齢者宅への友愛訪問なども年間を通じて行っていただいているところでございます。
その地域の中にそうした存在がいないということは、やはりその分、地域の見守りの機能も弱くなっているのではないかと推察しているところでございます。
この地域の担い手が不足しているということにつきましては、民生委員に限ったことではなくて全庁的な課題だという認識をしておりますけれども、そうしたことで少しずつ庁内でも取り組みを進めているところでございますが、この民生委員の担い手確保のための取り組みとしては、令和2年に4つの地区の民生・児童委員協議会の会長の皆さんと、それから庁内の関係課長とで構成する「多摩市民生委員・児童委員の人材確保のための検討会」というものを設置いたしまして、課題解決に向けた検討を行い、その結果を令和3年3月に報告書としてまとめ、取り組みを開始したところでございます。
令和4年の一斉改選に向けては、新たな候補者確保に向けてこの報告書に基づいて委員の皆さんが活動しやすい環境構築、また欠員対策ということで様々、パンフレットをつくったり、各自治会等にもお話に行ったりするようなことも行ってまいりました。
令和5年度以降については、そうしたこの報告書の取り組みの振り返りもしつつ、既存の取り組み以外の人材を掘り起こしということで、例えば大学との連携などもしながら、大学生と民生・児童委員確保に向けた意見交換などもしながら、また民生委員の皆さんにモバイルPCを活用した夜間の会議などのオンライン開催ということで活動しやすい環境をつくっていく。また、そうしたことで常勤の仕事をしながらでも活動ができるような環境も整えながら、候補者を確保していきたいということで取り組みを進めていきたいと考えているところです。
◯15番(三階道雄君) 何とかしたいというような気持ちはわかるのですが、これはなかなか集まらないというのが現実的だと思います。ずっと前からそうですから。
やはりコロナの影響で、この希薄化が進んでいるところと、それに輪をかけて見守り機能が弱くなっていると。私も地域に出てこれを本当に感じているのです。幾つか高齢者の方の相談などに行ってみると、本当に「これは大丈夫なのかな」という方がたくさんいます。私も見ております。
それで、そういう人たちからすると、やはり相談できる窓口的なものが欲しいと、実は地域の方からも声がありまして、いざというときには地域包括支援センターで事足りるということかもしれませんが、できれば個人的にはそういう機能があってほしいと思っております。
これは本当に個人的な意見ですが、例えば今、市民の方々がこの地域で進めている豊ヶ丘複合施設を今後更新するに当たって、そうしたところに相談機能があれば、地域の方も少しは安心できるのではないかと思われます。
ただ、今、この複合施設も市民の方々で話し合いを進めておりますので個人的な意見としますが、できたら前向きな意見がいただければと思うのですが、この豊ヶ丘の複合施設についてご意見をお伺いします。
◯議長(いいじま文彦君) 榎本施設政策担当部長。
(施設政策担当部長榎本憲志郎君登壇)
◯施設政策担当部長(榎本憲志郎君) 豊ヶ丘複合施設の更新ということですので、私のほうから答弁させていただきます。
現在、豊ヶ丘複合施設につきましては共同検討会というものを設けさせていただいて、市民の方々とお話し合いを進めているところでございます。複合施設の整備方針案について今検討を進めているところでございますが、その中で、今、議員がおっしゃったようなご意見については以前の市民ワークショップという市民の方々との話し合いの中でもご意見として頂戴しています。
そうしたことから、現在の検討の中ではそのような相談を受けとめて、横断的に関係部署につなげていくような、新しい機能のものについては検討課題ということで認識しています。新しい機能ということで、今後関係部署と検討していきたいと考えております。
◯15番(三階道雄君) その辺をぜひとも前向きにいろいろ検討していただければと思います。現状を実際に地域を見ていただけると本当に感じると思いますので、よろしくお願いいたします。
そのようなことで、旧ニュータウン地域の高齢化ということでしょうが、令和5年から地域福祉計画がスタートし、また様々な福祉計画の策定が来年度にあると思いますが、できたらもう一度高齢者の方々の多いニュータウン地域について、地域の現状をしっかりと把握して、見つめ直して、この地域の方々が安心して住み続けられるような計画にぜひともしていただきたいと要望しますが、ご見解等をお伺いします。
◯議長(いいじま文彦君) 小野澤健康福祉部長。
(健康福祉部長小野澤史君登壇)
◯健康福祉部長(小野澤史君) 施政方針でもお答えしているとおり、令和5年度、来年度から地域福祉計画がスタートいたします。また、それとともに第9期の高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画、また第7期障害福祉計画、第3期障がい児福祉計画といった様々な計画の策定作業に来年度入っていきます。策定に当たりましては、やはりそれぞれの状況をしっかり把握して踏まえた上で、実効性の高い計画にしていかなければならないと考えているところでございます。
ご質問をいただいている点につきましては、やはり多摩ニュータウンは入居から50年以上が経過して、エレベーターが設置されていない団地も多いということで、一人暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯も多くなってきたということで、それに伴って認知症の高齢者の方々の数もふえてくるということが予測されるところでございます。
今後、団地の建て替えや住み替えが進んでいく中では、地域とのつながりの希薄化から支え合いや助け合いの仕組みづくりも重要になってくると思っております。
高齢者に関して言いますと、第9期の計画につきましては、この計画の期間に団塊の世代が75歳以上になる2025年、その時期を迎えることになります。高齢者が住み慣れた地域でその人らしく安心して暮らしていけるように、地域の関係者の皆さんと連携しながら取り組んでいけるように、今ちょうど実態調査が終わったところでございますので、その結果も踏まえながら関係団体の皆さんともしっかり意見聴取・意見交換しながら、また介護保険運営協議会でしっかり議論しながら、今後の取り組みについて進めていきたいと考えております。
◯15番(三階道雄君) ぜひとも進めていただければと思います。やはりニュータウン地域はほかの地域と違って特色のある地域ですので、その地域に合った計画をしっかり立てていただければと思います。その点要望いたします。
それからもう1点、健康にちなんで、これもご高齢の方なのですが、高齢の方はやはり健康のために一生懸命歩いています。また地域の方が病院や買物に歩いて出かけるのですが、転んでけがをしてしまったというような声を本当によく聞きます。要は歩道の根上がり、また多摩市の41キロあるような遊歩道の劣化の事故が非常に多いのです。これは私の住んでいる豊ヶ丘・貝取地域の方だけではないと思うのですが、私のところにも多く声が寄せられております。
よく言われるのは「車道はあれだけ整備しているのに、何でこの遊歩道というのはなかなか整備できないのか」というような声が結構あるということは事実です。
一部駅前などの人の通りの多いようなところは、整備計画などをある程度しなくてはいけないということで、計画を立てて整備されているとは思うのですが、その他のところです。遊歩道などの整備計画の考えについて見解をお伺いしたいと思います。
◯議長(いいじま文彦君) 佐藤都市整備部長。
(都市整備部長佐藤稔君登壇)
◯都市整備部長(佐藤稔君) 遊歩道についての整備計画、計画的な補修など、計画が今はないが、どういう考えなのだというご質問でございます。ご質問者がおっしゃるとおり、今現在多摩市にこの自転車歩行者専用道路、いわゆるニュータウンエリアのペデストリアンデッキに特化した形の補修なり改修の計画というものはございません。
ではどういった対応をしているのかというところでは、皆様ご存じのレンガ坂をはじめ諏訪・永山ふれあいの道などで、遊歩道の工事・補修に対して、ほかの道路ですと一定の要件を満たせば補助金の対象になってくるところがございますが、遊歩道単体でちょっとした根上がりやブロックの欠けを直したりするところについては補助対象にならずに一般財源で直しているというところがまずはございます。
一方で、先ほどの例えばレンガ坂であれば都市計画事業認可を取った上で都市計画税の充当をしながら進めていったり、また諏訪・永山ふれあいの道であれば、諏訪・永山エリアの住宅市街地総合整備事業ということで国から国費をいただきながら進めたりといった形で、限られた財源を有効に使いながら、また歩行者の利用頻度も加味しながら進めています。
一方で、やはり我々のところにも「ここはちょっと危険ではないか」というようなお声は上がってきます。そうしたところについても、職場内で順番をつけて計画的に、その年度その年度にはなりますが対応しているところでございます。
重点路線と言うか、既存地域の車道が整備計画があって、車道にあわせた歩道を整備している部分というのはその計画の中で行ってございますが、遊歩道専用という形のものは今現在持ってございませんが、今ほど申し上げたような形で、適時改修・補修等を進めていくと、このように考えてございます。
◯15番(三階道雄君) 計画もない、補助の対象になっていないということなのですが、とは言っても、あのペデストリアンデッキももう40年以上たっています。かなり老朽化しています。
ちなみに点検や調査はできているのですか。お伺いします。
◯都市整備部長(佐藤稔君) 道路や遊歩道の定期的な点検というところで、一定の予算を確保してというような形での定期的なパトロールは今現在行ってございません。
気象条件、例えば大雨や大雪が予測されるときに集中的に回ったり、また小・中学生が通学路に使っているケースが非常に多かったりしますので、新学期のタイミングや夏休みから2学期のタイミングなどで職員が目視によるパトロールを行って不具合箇所を把握し、それに対応しているという進め方になってございます。
また、先ほどの話にも関連しますが、やはり通行されている市民の方々からお問い合わせ、苦情、連絡等をいただくケースもございます。そういった際に市のほうで現場へ駆けつけて、なるほどこれはというところについては順次対処しているというような形です。
また、今、道路の通報システムを導入してございますが、やはりああしたシステムからも「ここ、ちょっとおかしいよ」ということで気軽にご連絡いただけているところもございます。そうしたときにも迅速に対応できるような仕組みづくりが一定程度出来上がっています。そんな中で対応させていただいているということで、今後も歩行者の安全を第一に置きながら、職員による点検を進めさせていただければと考えてございます。
◯15番(三階道雄君) 今聞くところによると、要は何かあったらとか、市民の声があったら調査をしていくということなので、実際のところはなかなかできていないのではないかと思います。これを見るとわかるのですが、路面の継ぎ接ぎが多かったり、レンガが剥がれて、それを埋め立てるとか、レンガが滑ったり、苔が生えたりしているところが非常に多いです。事故が起きるのは当然だと思っております。また古いと、街自体が汚らしく見えるのです。できたらある程度1回調査などで見ながら、ここはしたほうがいいというところは、補助金がないと言うけれども、40年もたっているのですから、少し計画的に進めていただきたい、その点をぜひとも要望します。
時間もなくなってきたので少し飛ばしたいと思います。次に、地域振興・活性化についてお伺いしたいと思います。多摩センター駅の周辺で、やはり言われているのがホテルの撤退とか、商業施設の空き店舗などが気になるということで、市民の方々からも多く伺っています。
それで商業施設という部分について、空き店舗が結構多いということなどいろいろお話を伺うのですが、オーナーということで一番公に近い企業かと思うのですが、その会社はもう少し地域の活性化を担っているということで、もっともっとチャレンジしていただきたいと思っています。ちなみに多摩市として、そのような企業に対して実際にどのようなことができるのか、お伺いしたいと思います。
◯議長(いいじま文彦君) 磯貝市民経済部長。
(市民経済部長磯貝浩二君登壇)
◯市民経済部長(磯貝浩二君) 商業施設の空きテナントにつきましては、市のほうでも情報収集をするとともに、地権者の方と意見交換等を行ってございます。また、新規で出店を希望する事業者さんなどから市のほうに問い合わせが来ることがあります。そうした場合に地権者さんにつなげたりする場合もございます。
今年度は、多摩センターの将来ビジョンの策定に向けて、多摩センター周辺に立地する企業さんと意見交換を行いました。10年・20年先を見据えて、企業・商業施設が居続けたいまちというのはどういったものかというテーマでいろいろなお話を伺ったのですが、その中では、魅力ある小売店、あるいは飲食店への期待というような意見も出されました。こうした意見等を地権者さんと共有しながら、今後まちのにぎわい、あるいは価値向上に向けた取り組みを行っていきたいと考えてございます。
◯15番(三階道雄君) 周りのご意見を伺うけれども、手を動かすことはなかなか難しいのだろうとわかっていますが、今言った地権者といっても、どちらかというと公に近い某企業なわけですが、多摩センター周辺の商業者の要だと私は思っているのです。また、隣の永山の商業施設もそうです。その辺、ポイントポイントで一番大きいところにそういう企業が絡んでいるというわけですから、もう少し特徴がないと、多摩センターへ行くにもどうかなということもありますので、多摩市としてもそのような大家である会社に対して積極的に背中を押すよう取り組んでいただきたいと思っております。その点は要望したいと思います。
それから次に、また環境についてお伺いします。環境について、総合体育館はESCO事業でLED化するということなのですが、このESCO事業は街路灯に続いてで、これは良い取り組みだと思っております。
それで答弁には、他の施設も改修時以外にもLED化に効率的にできないか、民間事業者と知見を活用し進めていくというような答弁もありました。ちなみに多摩市の公共施設で、このLED化はどの程度全体的に比率的に進んでいるのか、その点ちょっとお伺いします。
◯議長(いいじま文彦君) 榎本施設政策担当部長。
(施設政策担当部長榎本憲志郎君登壇)
◯施設政策担当部長(榎本憲志郎君) LED化がどの程度進んでいるかということで、設計・工事・監督を行う私のほうから答弁させていただきます。
LED照明器具につきましては、10年ほど前からダウンライト型のLED照明器具が市場に普及し始めたところでございます。そうしたことから、市では2011年、平成23年に新築した唐木田コミュニティセンター、また平成23年から24年、2011年・2012年にかけて実施した貝取小学校・豊ヶ丘小学校の大規模改修から順次LED照明器具の導入を開始しているところでございます。
消費電力の削減効果はありましたが、普及している器具自体がダウンライト型が主だったということもございましたし、当時はまだ価格が高かったということもございますので、多くの人の目に触れるような学校の昇降口やトイレなどに設置場所が限定されたということでございました。
その後、時間の経過とともにLED照明器具自体の価格も下がると同時にダウンライト型以外の、学校の教室や事務スペースで使うようなタイプの器具も市場で大きく普及し始めたところでございます。
そのようなタイミングを受けて、市としましても2014年、平成26年から、2015年、平成27年前後から新築工事や大規模改修工事、照明器具が設置されている天井を改修する工事、また照明器具の故障に伴う修繕を行う際には、基本的にLED照明器具を導入しているところでございます。
その結果、約70施設で照明のLEDの導入が進んでいるというような状況でございます。
◯15番(三階道雄君) 今、70施設ということだったのですが、もう少し具体的に、細かいところも今後精査が必要なのだろうと思っております。今やLEDの価格もかなり以前より下がってきていると思うのです。それで学校も含めて、施設の改修のときだけではなく、効果や効率をしっかり考えて進めていくべきなのではないかと思います。
その点、第一答弁でもありましたが、そうした施設のLED等の再生エネルギー化という部分について、お話をお伺いしたいと思います。
◯議長(いいじま文彦君) 小柳環境部長。
(環境部長小柳一成君登壇)
◯環境部長(小柳一成君) 2030年のカーボンハーフ、2050年の脱炭素化に向けて、公共施設の省エネ化というところも積極的に進めていく取り組みの1つと認識してございます。改修時はもちろんのこと、今、ご質問にもありましたとおり、改修まで一定の期間があるものなどについて、どうしたら効果的・効率的に進めていけるか、庁内連携はもちろんのこと、公民連携手法も活用しながら検討を積極的に進めていきたいと考えてございます。
◯15番(三階道雄君) できればそういうところも、やはり公共施設のほうが各家庭よりしっかり先行していくべきだと思っておりますので、気になるところをしっかり調査をしながら、これが効率的だと思ったらしっかり進めていただければと思っております。
もう残り時間がないのですが、最後に、順番が変わっていますが、防災についてお伺いしたいと思います。防災については本間議員もやりますので、簡単に1点だけお伺いしたいのですが、今、トルコ・シリアの地震があって、ちょうど市民の防災に関して非常に意識が高まっているのではないかと思います。「今」ということで大変かと思いますが、例えば講演会等で各自の備蓄のことやマイ・タイムラインの推進などをできたらしていただきたいと思います。また、例えば映像などを使ったり、SNSなどを使って、今、この地震があった後で関心事のこともあって、今現在、早急にいろいろ対応ができればと思うのですが、何か対応等をするのであれば、ご見解をお伺いします。
◯議長(いいじま文彦君) 藤浪総務部長。
(総務部長藤浪裕永君登壇)
◯総務部長(藤浪裕永君) トルコ・シリア地震を受けての啓発のお尋ねでございますが、このところの取り組みについて申し上げますと、まず2月22日の市長動画メッセージの中でトルコ・シリア地震のことも取り上げて、防災意識、また支援の募金についてなど、市民の皆さんにメッセージを発信させていただいております。
また先週、2月25日、ベルブ永山を会場にして、久しぶりの対面方式で市民防災講演会を開催させていただきました。この中では、消防庁の震災語りべで自らが東日本大震災の被災者でもあります宮城県仙台市在住の草さんという方から「私の3.11と明日への備え」というテーマで講演をいただきました。また、工学院大学教授の村上正浩さんからは「地域防災力を高め、来る災害に備える」というテーマで講演をいただきまして、非常にすばらしい内容で熱心に聴講いただきました。
また、会場の入り口のところで募金活動と併せて防災・防犯の様々な啓発も取り組んでございます。
このほか、本年度は防災のPR動画を2本つくっておりまして、出来上がり次第、YouTubeあるいは多摩テレビで公開させていただきたいと思っておりますが、この中では可燃ごみ袋を使った安否確認の訓練のご紹介や、他の自主防災組織がどのような訓練をしているかのご紹介、あとは飲料水の関係のローリングストックの重要性や応急給水ということで、備蓄の関係のものを載せておりますので、お尋ねの趣旨にも沿っているかと思っております。
さらに今週末、3月5日には旧北貝取小学校を会場にしまして「きたかい防災フェスタ」が開催されるほか、民間による防災イベントもありますので、こうしたところにも協力したいと思ってございます。
縷々申し上げましたけれども、今後ともこうした様々な機会を捉えて防災意識の向上に努めたいと思っております。
◯議長(いいじま文彦君) 三階道雄議員の代表質問は終わりました。
この際暫時休憩します。
午後3時06分休憩
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午後3時25分開議
◯議長(いいじま文彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。代表質問を続行します。
次に、日本共産党を代表して安斉きみ子議員の発言を許します。2番安斉きみ子議員。
(2番安斉きみ子君登壇)
◯2番(安斉きみ子君) 安斉きみ子です。日本共産党多摩市議団を代表して、市長施政方針についてお伺いいたします。
1.「はじめに」について
市長はロシアのウクライナ侵略について、1年前よりさらに事態が悪化したことに触れ、多くの戦死者・犠牲者、戦争難民を生み出していると指摘。平和を希求する多摩市として
プーチン大統領に攻撃の停止と即時撤退を求めますと断言しています。まさに世界が「戦争か平和か」を問われる時代です。
国連憲章に違反し、罪のない人間の大量殺人を進めるロシアに対して国際世論を集めて包囲することが必要です。しかし軍事ブロック対軍事ブロック、軍拡対軍拡では泥沼に陥るだけです。外交の力で解決する道を追求することが重要です。
世界の流れは大局で見ると、危機のもとでも、外交と理性の力で平和をつくろうという流れがあります。
ロシアの侵略を国連憲章違反と断罪する国連総会決議が3回にわたって140か国以上が賛成して採択されました。先日も同様に採択されております。昨年6月には、核兵器禁止条約の第1回締約国会議がウィーンで開催され大きな成功をおさめ、禁止条約が国際法の確かな一部として力を発揮し始めています。
東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心とした平和の流れが、危機の中でも「対話と協力で平和を築く」という着実な歩みを進めています。
そして日本でも、「戦争か平和か」が問われる歴史的な岐路に立たされております。「岸田政権の大軍拡を許さない」、この1点で国民的な大運動をつくりたいと思います。
岸田政権は昨年12月に「安保3文書」、国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の閣議決定を強行しました。「専守防衛」を完全にかなぐり捨てる「戦争国家づくり」の暴走が始まっています。
2016年、安保法制施行で敷かれた戦争できる国づくりを具体的に進めようとしているのが今回の「安保3文書」です。中でも「敵基地攻撃能力の保有」は、米軍と一体に相手国に攻め込むための能力を持つことが本命です。「敵基地攻撃能力」を「敵基地反撃能力」に言い換えても本質は変わりません。
阿部市長は核兵器廃絶を掲げ、憲法の主権在民、基本的人権の尊重、平和主義の3原則を大事にする市長だと思います。今の岸田政権の大軍拡をどう見るのか、次の3点の見解を伺います。
(1)「敵基地攻撃能力の保有」で、専守防衛は変わらないという岸田政権の考え方について。
(2)「敵基地攻撃能力の保有」が自分の国は自分で守るために必要という岸田政権の考え方について。
(3)2023年度の予算案では軍事費に10兆円、今後5年間では43兆円というこれまでにない大軍拡予算が国民の暮らしに、わけても地方自治体の1つである多摩市に及ぼす影響について伺います。
「はじめに」のところで、市長は昨年12月、
アイスランド共和国の
グズニ・ヨハネソン大統領が多摩市を訪問したことに触れています。大統領は「アイスランドは最初から
ジェンダー平等社会であったわけではない。男性が家事・育児を自然に行うようになるまで女性たちの長い闘いがあった」と。市長は多摩市が行った
ヤングケアラーの実態調査に触れ、「私(阿部市長)は、家庭・家族だけでケアの責任や負担を負うのは当たり前という固定観念に日本社会が長く支配されてきたことに要因があると考えています」との見解です。
私はジェンダー平等では多様な性のあり方や性的指向、多様な家族のあり方を認めることが大切だと考えます。児童虐待など子どもをめぐる問題を「家庭の教育力の低下」と決めつけ、「親の学び」と「伝統的な子育て」を押しつけるなど、公然と家庭のあり方に介入したのが統一協会(共産党は教会という文字は使いません)ではないでしょうか。
統一協会には危険な2つの顔があります。1つは反社会的カルト集団、もう1つが勝共連合という名の反共・反動の先兵の役割があります。統一協会は資金集めに高額献金を信者に要求し、霊感商法という異様な教義で信者を囲い込み、人権無視の集団結婚を強いて、その結果、家庭崩壊や「信者二世」の深刻な被害が起こり、その実態が明らかになりました。一方、勝共連合と言う名のとおり“共産主義と対峙”で一致し、選挙ともなれば反共ビラをまき、選挙の“汚れ仕事”も担当。そして憲法・ジェンダーを攻撃しました。
私は「統一協会」と「勝共連合」が一体だと思ったのは1970年代、20代のころでした。選挙の投票日近くになるとどぎつい「反共ビラ」がまかれるのを見てきました。もう1つが議員になって、市民団体が行った性教育の学習会で某大学教授が監修したとされた統一協会のビデオを見て衝撃を受けました。ちょうどそのころ七生養護学校の性教育への都議会議員の介入事件がありました。
市長に伺います。安倍元首相の殺害という、あってはならない犯罪、不幸な事件ですが、この事件を機に統一協会の反社会的実態が明らかにされました。この団体と密接な関係にある自民党と統一協会との関わりははっきりさせ、そしてきっぱりと手を切ることが必要ではないでしょうか。
(4)統一協会が推進している「伝統的な子育て」などを押しつける「家庭教育支援条例」について見解を伺います。
(5)1月3日のデジタル版の朝日新聞で「全国地方議員研修会」という会議が2015年以降、国会議員会館などで6回開かれ、「世界平和統一家庭連合(旧統一協会)」の友好団体の幹部が関わっていたことがわかった、と報じられました。全国地方議員連絡会議世話人会に名を連ねる代表世話人、そして世話人に多摩市にも関係した議員がいたことも明らかになりました。多摩市議会では昨年12月議会に市民団体から出された陳情「旧統一教会に関する陳情」が提出され、採択となりました。
議会は議会での真摯な向き合いが求められますが、市長として多摩市のこうした実態をどう考えますか。見解を伺います。
2.「市政運営の基本姿勢」について
SDGsが目指す「だれ一人取り残さない社会」の実現に向けて、「多摩市障がい者への差別をなくし共に安心して暮らすことができるまちづくり条例」、パートナーシップ制度、「多摩市子ども・若者の権利を保障し支援と活躍を推進する条例」を整備してきましたと記されています。
私は条例の制定は、制定したけれども動きがないのでは意味をなさないと思います。条例の趣旨を生かしたたくさんの実をつけるため、市としての実践が問われていると考えます。そこで「多摩市障がい者への差別をなくし共に安心して暮らすことができるまちづくり条例」と「多摩市子ども・若者の権利を保障し支援と活躍を推進する条例」について多摩市の取り組みと提案を申し上げたいと思います。
まず「多摩市障がい者への差別をなくし共に安心して暮らすことができるまちづくり条例」は、多摩市が取り組む障がい者チャレンジ雇用「ハートフルオフィス」事業について取り上げます。9年間の事業の取り組みの中で一般就労につなげる重要な役割を果たしてきました。どんな障がいがあっても社会の中で働くことこそ、生きがいを感じ社会や仲間に必要とされていることでその人の人生が輝きます。今市内の各通所事業所で働く仲間たちも、そこで働くことで社会に繋がることになりますが、いずれは一般就労に近い形での労働者になるのではないでしょうか。就労支援は「ハートフルオフィス事業」だけでなく様々な事業所が行っておりますが、多摩市が行う「ハートフルオフィス」事業は一般企業に先駆けて障がい者雇用の試行と実績を積み上げる事業だと思います。
(1)ハートフルオフィス事業のこれまでの取り組みと市庁舎での就労の実態、企業への就労の実態を伺います。
(2)「なちゅーる」をはじめとした就労支援事業とハートフルオフィス事業の連携について伺います。
(3)市役所常勤職員としての道も開く必要があると思います。見解を伺います。
次に「多摩市子ども・若者の権利を保障し支援と活躍を推進する条例」についてです。2022年度から取り組んだ事業に、
ヤングケアラーの実態調査が行われました。市民から出された陳情が採択されたことも後押しになったのではないでしょうか。陳情者は多摩市内に一人でも
ヤングケアラーに当たる子どもがいたら、あらゆる手立てを尽くして救済してほしいということを訴えておられました。私は今回の調査が小学校や中学校を通じて行われたことが良かったと思います。
(4)今回の調査で教育委員会をはじめ学校側と子育て・若者政策担当課との緊密な連携があったと聞きます。アンケート実施に向けての準備や、また
ヤングケアラーと思える子どもたちにどのような支援がされているのか伺います。
(5)現在使われている中学生の副読本「のびゆく多摩市」と、また2023年度の予算づけで予定されている小学校6年生向けの副読本の電子版に「子わか条例」が入ると聞きます。この活用についても伺います。
(6)子どもたちに子どもたちの権利条約に結びつく「子わか条例」が浸透していくならば、当然学校教育の実践にも役立つと考えられます。子どもが主体の学校教育を目指す足がかりになると思います。今学校の取り組みは変化しているのでしょうか。
また子どもたちが楽しく学ぶためにも教育現場にゆとりがないことは深刻です。
ヤングケアラーの実態調査を通して、子どもたちは先生などに相談できるという実感を持ったかもしれません。でも「忙しい先生に相談は無理」と子どもに思わせてはなりません。少人数学級の実現を急ぐことと教員不足の解決は国や都の教育施策に係る問題です。しかし多摩市独自の手当ては可能です。その1つが教育活動指導員配置事業(ピアティチャー)があります。2023年度はこの事業をどう進めようとされるのか伺います。
3.「健康・福祉・保健・医療分野」について
この部分では、特に地域医療政策について、厚生荘病院の再建に一言も触れていないのは問題です。
2021年12月、厚生荘病院の経営者である一般財団法人愛生会は老朽化した病院を新しく建て直すことを口実に閉院しました。しかも強引な閉院で、入院患者や家族も、また外来患者も多大な不利益をこうむり、そして職員については解雇され生活設計を根本から崩されることになりました。
本来、医療は憲法25条の生存権に基づき医療法1条で「……医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り、もって国民の健康の保持に寄与する……」とあり、1条の21項では「医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨と」する、1条の3で「国及び地方公共団体は、前条に規定する理念に基づき、国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努めなければならない……」と定められています。病院の開設許可は都道府県にありますが、多摩市も地方公共団体の1つとして厚生荘病院の再開に責任があると思います。
今年5月1日から診療所が開設されることは一歩前進だと思います。ただ2月~3月にかけて行われる予定の住民説明会はまだ行われる気配はありません。そもそも近隣住民の方たちの願いは、入院も可能で病気に関して何でも相談でき、検査もできる病院が欲しいのです。アンケートの書き込みをよく見れば読み取れます。地域住民の願いである病院の再開に市も責任を持つべきです。以下質問いたします。
(1)市と一般財団法人愛生会はこれまで定期的に話し合いを続けています。その経過について伺います。
(2)診療所開設について市はどのように要望したのか伺います。診療所開設に限定したのでしょうか。
(3)2月から3月にかけて地域住民への説明会の実施や5月1日の診療所開設を愛生会は公表しました。公表どおり実施するように働きかけてください。市の見解を伺います。
以上、お伺いした後に再質問いたします。
◯議長(いいじま文彦君) 阿部市長。
(
市長阿部裕行君登壇)
◯市長(阿部裕行君) それでは、日本共産党の代表質問にお答え申し上げます。
1の(1)と(2)について、併せてお答えします。
政府は、昨年12月16日の臨時閣議で「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」を決定しました。これらいわゆる「安全保障関連3文書」は、「反撃能力の保有」や「防衛費の増額」が盛り込まれ、岸田首相は、「戦後の安全保障政策を大きく転換するもの」であると述べています。
このうち「反撃能力の保有」と専守防衛の考え方について、首相は「弾道ミサイルなどによる攻撃が行われた場合、必要最小限度の自衛の措置として行使するものであり、専守防衛から逸脱するものではない」との見解を示しています。
こうした安全保障政策については国の専管事項ですが、岸田首相の発言にもあったように、今回の「3文書」は「戦後の安全保障政策を大きく転換する」ほどの重大な決定であり、閣議決定に至るまでに十分に国民に説明され、国会での議論が尽くされたかと言えば、残念ながら疑問が残ります。
ロシアのウクライナへの軍事侵攻や台湾情勢など、我が国の安全保障を取り巻く環境が変化している状況だからこそ、どのような安全保障政策が必要なのか、国会で議論を尽くした上で国民に対して示す必要があると考えています。
(3)についてお答えします。
防衛費の増額に対して、歳出の削減、決算剰余金、それに国有財産の売却など税金以外の収入により財源を確保し、不足する残りの部分について、所得税、法人税、それにたばこ税の増税で賄う方針を示されています。
現在のところ、地方税が増税されることは示されておらず、そのほかどのような市民生活への影響があるかも明らかではありませんが、動向を注視していかなければならないと考えています。
(4)と(5)について併せてお答えします。
旧統一教会が推進しているとされる「家庭教育支援条例」や、同会の友好団体の幹部が関わっていたとされる「全国地方議員研修会」について、私自身はその詳細は把握していません。
ただし、ご質問者が指摘されている「伝統的な子育て」というものが、固定的な性別役割分担意識に基づくものや、私が施政方針で述べた「家庭・家族だけでケアの責任や負担を負うのは当たり前という固定観念」と同種のものであるとすれば、生きづらさや困難を抱える子ども・若者の問題が深刻化している今、当事者の悩みや孤立感が深まるばかりだと思います。
また、市議会において議決いただき、令和4年度から施行した「多摩市子ども・若者の権利を保障し支援と活躍を推進する条例」においても、家庭に焦点を当てた規定等は設けておらず、子ども・若者の支援及び活躍を推進するための基本理念には、「さまざまな主体が相互に協力し、及び支援する環境を築くこと」を定めています。
また、昨年12月の市議会において採択された「旧統一教会に関する陳情」を受けての議会の対応については、議会として考えていただくべきことですが、陳情の中では執行機関に対する内容も含まれていたことから、市としても真摯に受けとめ、慎重な対応をしていきます。
次に、2の(1)についてお答えします。
ハートフルオフィス事業のこれまでの取り組みについてですが、本市では平成20年度に東京都のモデル事業として「多摩市発達障がい者支援開発事業」により、主に発達障がい者を対象に庁内実習を開始しました。その後、平成22年度からは市の単独事業へ移行し、参加者の障害種別や手帳の有無を問わずにジョブコーチの支援や評価が受けられる職場体験実習として「多摩市庁内実習」を実施してきました。平成26年度より、この実習事業をさらに発展させ、障がい者雇用・就労をさらに促進させるための施策の1つとして、市で精神障がい、または知的障がいのある方を雇用し、その業務経験から一般企業等への就労を実現することを目的とした「多摩市チャレンジ雇用『ハートフルオフィス』事業」を実施しているところです。
市庁舎での就労の実態について、現在、ハートフルオフィスでは6名の会計年度任用職員を雇用し、庁内の様々な職場からの業務依頼に対応しています。業務内容については、主に事務補助及び軽作業を担っており、ジョブコーチからの支援のもとで業務経験を積むとともに、各所管課の事業運営に大きく寄与しています。
企業への就労の実態については、平成26年度の事業開始以降、現在の6名を含むこれまでの職員累計数16名のうち、7名が一般企業等への就職を実現しています。
(2)についてお答えします。
ハートフルオフィス職員として市で雇用を開始する際は、一般企業等への就職活動が円滑に進むよう、多摩市就労支援センター「なちゅーる」をはじめとした就労支援機関への登録を併せて行うものとしており、市と当該就労支援機関との間で市役所での業務状況や支援方針等を共有し、それぞれが相互に連携しながら就職に向けた支援を行う仕組みを整えています。また、就職後においても、当該就労支援機関が職場定着に関する支援を行うこととしており、市での雇用から一般就労に向けて着実にステップアップが図れるよう体制整備を行っているところです。
(3)についてお答えします。
ハートフルオフィス職員の就労先の1つとしての多摩市役所の状況としては、ハートフルオフィス職員のうちこれまで1名が任期期間満了後に通常の会計年度任用職員として採用・配属されているほか、令和4年度より、6名の人員枠のうち1名分については、任用期間について3年間を上限とせず、本人の希望や特性を踏まえ、継続的な雇用が可能である枠として運用しています。
令和6年度に施行予定の障害者雇用促進法に関する改正内容として、短時間雇用者の雇用率算定方法や法定雇用率の変更等が予定されており、こうした動向やチャレンジ雇用制度の趣旨、障がい者の個々の特性などを踏まえつつ、多様な雇用形態が選択できるよう、今後も引き続き、そのあり方を検討します。
(4)についてお答えします。
令和4年11月から12月にかけて行った
ヤングケアラー実態調査は、小学5年生から高校生世代までを対象とし、特に小・中学生については、多くの子どもたちから回答を得るため学校を通じて実施することとしました。
アンケート実施に向けては、事前に教育委員会及び各学校長と実施手法や実施時期、アンケート内容などについて意見を出し合いつくり上げました。
一方アンケートから「
ヤングケアラー」と思われるような回答や、自由記載欄で気になる記載のあった児童・生徒に関しては、学校と子ども家庭支援センターが事前に連携を図りながら、丁寧に本人の話を聞き取る等の対応を行っているところです。
また、高校生世代においても、現在学校等と連携をとりながら、見守りや面談を継続しているところです。
(5)と(6)については教育長からお答えします。
次に、3の(1)についてお答えします。
一般財団法人愛生会との話し合いについては、閉院(休院)の話が初めて出された令和3年6月以降、担当者間で必要に応じて行っており、令和5年1月末までの約1年半で15回以上に及んでいます。
この間の話し合いの内容についてですが、当初は令和3年12月末の閉院に向けての取り組み状況について、次に閉院後の建て替えの方向性について、さらに現時点では、当面の間の地域医療の確保についてなど、その都度の状況に応じた内容となっています。
(2)と(3)について併せてお答えします。
令和4年第4回の健康福祉常任委員会の陳情審査の際にお答えしたように、当該法人は、令和5年5月を目途に厚生荘病院敷地内に診療所を開設する予定があります。
このことについては、本市としても入院機能を有する病院は、その建て替えには相当の期間を要することが見込まれる中、地域医療に長期間の空白が生じないよう最も身近な医療機能である診療所の開設について検討をお願いした経緯があります。
一方、当該法人としても診療所について、様々な観点から総合的に判断し開設を決めたと聞いています。
本診療所の開設に当たっては、3月末までに地域住民への説明会を開催すると聞いています。
◯議長(いいじま文彦君) 千葉教育長。
(教育長千葉正法君登壇)
◯教育長(千葉正法君) 2の(5)についてお答えします。
「多摩市子ども・若者の権利を保障し支援と活躍を推進する条例」の周知に向けた副読本の活用については、デジタル版は中学校社会科副読本の巻末に掲載した条文を参照したり、条文内のリンク先である市のホームページから条例の周知動画を視聴したりするなど社会科の公民的分野と関連させて学習することを想定しています。
また、小学校6年生向けの条例副読本については、児童青少年課で令和5年度当初予算に計上し電子版を作成する予定です。
作成後、市のホームページに掲載された副読本を、社会科の「我が国の政治の働き」の学習等と関連させながら学習を進めていくことを想定しています。
(6)についてお答えします。
「多摩市子ども・若者の権利を保障し支援と活躍を推進する条例」を踏まえ、学校でも従前の取り組みに縛られずに、児童・生徒の意見を聞く機会の確保に努めています。
例えば、市内のある中学校では、学校のルールについて、自分たちで見直しつくっていくことを生徒会が中心となって進めたり、学校運営協議会に児童または生徒が参加し、今の自分たちの取り組みや思いを委員である地域の方や保護者等に発信したりしています。
このように学校の取り組みが変化する一方、現場を担う教職員の負担をこれ以上増加させない視点も引き続き大切であると考えています。
「特別な支援を必要とする児童・生徒へのピアティーチャーによる支援」は、教職員の負担を増加させない効果があることは承知しています。
ピアティーチャーによる支援を今後も継続することで、一人ひとりの子どもたちが楽しく学べる環境を整えてまいります。
◯2番(安斉きみ子君) それでは、再質問をいたします。
1の(1)については、第一答弁では戦後の安全保障政策を大きく転換する、それほどの重大な決定であると答弁されました。「3文書」という、これが国民に十分説明をされたか、国会の議論が尽くされたかと言うと、疑問が残るという答弁でした。
吉永小百合さんが、この敵基地攻撃能力や防衛費増額という大きな問題を、みんなで考えるのではなくてどんどん決めていこうとした、こういう動きを大変心配された発言をされております。それからタモリさんは、今のこの時点の状況を「新しい戦前だ」と警告されました。
それで伺いますが、専守防衛というのは、これまで政権を担ってきた政府が一貫して平和憲法のもとで変えなかった方針だったのです。それで岸田首相は、この「安保3文書」を決めた後の記者会見で、私が都合上、1)・2)・3)と書いておりますが、1)相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、2)その対応も自衛のための必要最小限にとどめ、3)また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略、これが専守防衛だと、この「3文書」を発表した後に岸田さんはおっしゃいました。
1)の相手から武力攻撃を受けたとき、初めて防衛力を行使しつつ、2)のその対応も自衛のための必要最小限にとどめるというのは、もう実は2016年、安保法制強行がされたときに、これはもうアメリカと一体となって集団的自衛権が認められるという、そういう中でも形骸化がされてしまいました。最後に残ったこの3)保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略、実はこの3)も含めて投げ捨てるのが今回の安保3文書だと思います。
これは「保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限る」と、こうしたことを投げ捨てる、そして憲法9条を持つ国としてはあってはならないことではないかと私は思いますが、見解を伺いたいと思います。
◯議長(いいじま文彦君) 鈴木企画政策部長。
(企画政策部長鈴木誠君登壇)
◯企画政策部長(鈴木誠君) 今回の安全保障関連3文書におきまして「反撃能力」という言葉が使われておりますが、ご質問の敵基地攻撃能力の保有をめぐっては、やはり平和主義を掲げる日本国憲法のもとでの専守防衛に徹するという日本の防衛の基本方針に反しないのかという問題や、安全保障政策としての適切さ、防衛予算の増といった防衛上のコストと効果の問題、近隣諸国をはじめ国際社会に与える印象などが課題であると言われているところでございます。
これらにつきまして、市長答弁にもございましたが、やはりきちんと国民に十分に説明されて、国会で議論を重ねて結論を出していくということが重要であると考えております。
◯2番(安斉きみ子君) 国会で十分議論する、それから国民もまたこの話し合いも広げていくということですね。そういう世論がとても大事だと思います。
それで、私はこの敵基地攻撃能力の保有で専守防衛は変わらないと言う岸田政権、これははっきり言って間違いであって、私などはこれは大うそだと思っているわけですが、同じように1の(2)ですが、「自分の国は自分で守る」というこれは、自衛ができるということは今の憲法でも認めているのです。それは何も軍備のみならず、あらゆる手段を講じて必要最小限の自衛の方策は認めているわけです。
しかし岸田首相は、敵基地攻撃能力を保有することで自衛隊の抑止力・対処能力を向上させ、武力攻撃そのものの可能性を低下させる、そういう力があるのだとお話しされています。しかしそういうことをしたら、相手国がどう対応するかということは目に見えていると思うのです。軍事対軍事では戦争の危険性は強まるばかりだと思います。
今国会でも議論されておりますが、これからアメリカから購入しようとする兵器にはいろいろな兵器があって、私は全部は言えませんし、どういう力があるのかも説明もできないのですが、例えば長射程のトマホークミサイル、これを、この間たしか国会の中では400基ほど買うような話が出た気がしますが、これは相手国の中枢を狙うのですね。レーダーにも映らない低空飛行をやっていって、コンピューターに埋め込まれたあれによって狙ったものは外さないという、もうこれは大分前からある兵器ですが、そういうものを必要最低限と言えないと私は思います。
それで一連のこの敵基地攻撃能力の保有が憲法上どうして戦力とは言えないのか、説明がつかないことを岸田政権は進めようとしているという、このことについての見解を伺いたいと思います。
◯企画政策部長(鈴木誠君) 個別の兵器の購入やその運営方法につきまして、どこまでが必要最低限であるかということは、我が国の取り巻く安全保障の環境を踏まえて国が判断する専管事項であり、基礎自治体の立場から申し上げるのはなかなか難しいところでございます。
いずれにしても、相手国の領域を直接攻撃するということは、当然相手国からの反撃を招いて、武力の応酬に直結するということで、その結果、双方の国民の犠牲と国土の荒廃ということが想定されます。
やはりこのような事態を避けるためには、まず国際社会の平和、とりわけ経済的・文化的に緊密な関係にある近隣諸国との武力紛争を防止して、平和的な外交関係を構築し、憲法が掲げます恒久平和、国際協調主義の原理に基づき、国際平和の維持のために最大限外交努力を尽くすべきと考えております。
繰り返しとなりますが、やはりこのような部分につきましても国会できちんとした議論が必要であると考えております。
◯2番(安斉きみ子君) 今の答弁を聞きまして、私は本当に防衛力を高めておくことが自分の国は自分で守るという、これも大きな間違いだと思っております。私からすれば大きなうそだと思うわけです。
こうしたことを国会だけではなく、やはり国民の中でも議論を幅広く裾野を広げてやっていくことが大事ではないかと思います。
1の(3)について伺いますが、岸田政権の大軍拡路線が暮らしと経済の破壊につながる、これが第一答弁では動向を注視していくと、今のところ今すぐ多摩市に影響は及ばないようなお話でしたが、この注視していくことだけで本当にいいのかどうか。想像を膨らませることはできますね。
第1は、まず増税です。復興特別所得税の流用などでは済まされない問題です。もしかしたら先には消費税のさらなる増税などが予想されるのではないか。
第2は歳出改革です。まずもって社会保障費の大削減が加速することは必至だと思います。今でも財政課とそれぞれの担当課で査定のときにはもめるではないですか。私はやはりこういう心配をしないためにも、軍備に多額の金を使うということは反対です。
第3は防衛力強化資金で、事もあろうに医療関係の積立金やコロナ対策費の未使用分などを使って軍事費に流用しようという考え。それから最も大きな問題が、その軍事費に国債を充てるということ。これは第2次世界大戦の後、戦後の財政法では国債の発行は原則禁止されました。
以上4点を見ても、国民・市民の暮らし直撃のこの軍拡路線に、地方自治体である多摩市が注視するのではなくて、やはり折あるごとに声を上げていくことが私は当然だと思うのですが、市長の見解を伺いたいと思います。
◯企画政策部長(鈴木誠君) 昨日、国の令和5年度予算が衆議院を通過したところでございます。一般会計の歳出総額は114兆円を超え、そのうちの防衛費が約6兆8,000億円で、いずれも過去最大ということで報道がございました。
現在、この防衛力の強化以外にも少子化対策も大きな財源の確保と、今後どのような取り組みをしていくかといった大きな課題もございます。
それに併せて、やはり今、私どもの社会保障など様々社会の仕組みを大きく変えていかなければいけない転換点で、国会においても様々な大きな課題を議論していく時期だと思っております。
これらの大きな課題がございますので、繰り返しの答弁で大変恐縮でございますが、やはりきちんと世論を踏まえた中で丁寧に議論を積み重ねて、国会できちんと結論を出して議論をしていくということが必要だと考えています。
◯2番(安斉きみ子君) それでは次の4の統一協会の問題を取り上げたいと思います。家庭教育支援条例について、2018年6月議会で家庭教育支援条例を多摩市に提案する一般質問がありました。当時の教育長の答弁では、既に制定された他市の家庭教育支援条例に触れつつも、各自治体の家庭教育支援条例で規定している保護者や学校、地域・事業者などの役割を明確化することについては慎重な検討が必要であるという、当時の教育長の答弁でした。
教育長は代わられましたが、千葉教育長にお伺いいたします。この「慎重な検討が必要」について見解を伺いたいと思います。
◯企画政策部長(鈴木誠君) 教育長ということですが、私のほうからご答弁申し上げます。
先ほど市長からの答弁でございましたとおり、多摩市では子ども・若者の条例もつくりながら、当時の清水教育長の答弁も私も確認させていただいておりますが、家庭教育の重要性というのは教育委員会として、学校教育、家庭教育、あるいは地域、この3者の支えがあって、主役は子どもということで共通の認識でございます。
当時の答弁にもございますが、価値観が多様化する中で子育てや家族についても多様な考えと現実があり、地域、事業者あるいは保護者、学校などの役割を条例によって明確化することについては慎重な検討が必要であるということについて、現在も多摩市教育委員会、あるいは多摩市として変わらないものでございます。
◯2番(安斉きみ子君) もう1つ、「多摩市子ども・若者の権利を保障し支援と活躍を推進する条例」があるわけですが、第一答弁では基本理念に触れて「さまざまな主体が相互に協力し、及び支援する関係を築くこと」と定めるということが答弁の中でありました。
この中で支援について触れている文章がありますが、「私たちは子ども・若者の抱える困難をいち早く見つけ、その状況や意思に寄り添い、連携・協力し、切れ目のない支援を行います」としています。あくまでも支援の対象はその子ども個人であると私は思っているわけです。家庭については触れてはいないと。これは子ども・若者条例をつくる過程の中で賢明な判断だと思うのですが、見解を伺いたいと思います。
◯議長(いいじま文彦君) 本多子ども青少年部長。
(子ども青少年部長本多剛史君登壇)
◯子ども青少年部長(本多剛史君) この条例を検討するに当たり、外部の有識者の方と市民の方を交えた検討会をまず立ち上げて議論を進めてきました。その検討の中で家庭に関する議論としては、ひとり親家庭や母子家庭といった困難を抱える家庭への支援の議論がされたという経緯が、まずございます。
また、家庭とは別に家族ということについて議論した経緯もございまして、その議論では、家庭は子ども・若者が所属する場所の1つであり、家族は子ども・若者の身近な支援をする側の存在であるという認識を皆さんと共有して条例をつくり上げてきたという経緯がございます。
したがいまして、この条例の中で、家庭や家族を理念に盛り込むことや責務を整理するというようなことよりも、むしろ子ども・若者個人の人権が尊重され一人ひとりが自分らしく成長できるように支援していくという条例をつくっていくことが目的でございましたので、あくまでも家庭、または家族については子ども・若者を支えて見守っていく支援者の1つというようなことで条例をつくり上げてきた経緯がございます。
◯2番(安斉きみ子君) 個人の人権を重視するということはまさしく憲法に守られているし、子ども権利条約にもしっかりと通した理念なのです。実はこれがとても大事だと私は思っております。
さきの12月議会に、市民団体から旧統一教会に関する陳情が提出され、議会としての関係を持たない決議を上げ市民に安心を与えてもらいたいという趣旨が書いてありました。それが議会最終日に、委員会報告は趣旨採択だったのですが、僅差で採択されました。残念ながら全会一致ではないので決議は上げられませんでしたが、市当局にも後援依頼などきっぱり断る措置をとることを望む決議を上げてもらいたいということでした。
それでお伺いしますが、私はその後援の取りつけなどの依頼に限らず、実は自民党保守系の地方議員を通して家庭教育支援条例をつくるように働きかけるなど、地方政治にも大きな影響を与えていることこそ大きな問題だと思うわけです。
今ここに、平成17年ですから2005年、座長が安倍晋三さん、自由民主党過激な性教育・ジェンダーフリー教育に関する実態調査プロジェクトチームということで、宛先は党所属、そして衆参国会議員各位となっています。こういう写しを持っておりますが、そこに過激な性教育・ジェンダーフリー教育に関する実態調査に対する協力依頼というものが書かれていて、いついつまでに調査をした項目を返信していただきますようお願い申し上げますと書かれているのです。下のほうに「最後に5月26日木曜日に自民党本部におきまして、過激な性教育及びジェンダーフリー教育に関してシンポジウムと展示会を開催しますのでご出席ください。詳細は後日、会館事務所にご連絡いたします」、このようにあります。
そして通告に少し紹介しましたが、朝日新聞のデジタル版に、つまりこういう通達なのか何かよくわかりませんが、あったその後に、やはり統一協会とそれに関する団体を招いて様々な研修会という名称の会議が非常に行われてきたというようなことがデジタル版の朝日新聞に載っておりました。
それでお伺いいたしますが、阿部裕行市長は『マスコミ市民』の記事の中で、講演録ですからおそらく講演の記録だと思うのですが、そこに「自民党と統一教会の関係は再調査すべき~1980年代に国家機密法反対の声を上げた1人として」が掲載されています。この統一協会と自民党の関係についての市長としての見解を伺いたいと思います。
◯議長(いいじま文彦君) 鈴木企画政策部長。
(企画政策部長鈴木誠君登壇)
◯企画政策部長(鈴木誠君) 市長とのことですが、私のほうからご答弁させていただければと思います。
旧統一教会と自民党との関係でございますが、昨年10月に自民党のほうでは旧統一教会を念頭に社会的に問題があると指摘される団体との関係は持たないとする方針を決定したと伺っております。
今後、安倍元首相の襲撃事件の裁判、そして旧統一教会への質問権に基づく調査の動向、またそれらが出てきた中での世論の動向などを踏まえた中では、やはり自民党としてその後の対応についてきちんと判断されていくと考えているところでございます。
◯2番(安斉きみ子君) ご当人の市長に伺いたいと思います。
◯議長(いいじま文彦君) 阿部市長。
(
市長阿部裕行君登壇)
◯市長(阿部裕行君) 私のほうはかつてマスメディアの中の事務局にいたということもあり、その当時のことを思い出して、当時こういうことがあったよということをお話ししているものです。
なお、テレビを見ていたら、木村太郎さんも私と同じようなことを当時ニュースキャスターとして、彼は放送でも発言をし、自分のブログでも書いているようであります。また最近、安藤優子さんも同じようなことをやはり言われています。
これはやはり、今質問者からもあったように、当時2000年代の頃、そうしたことがあったというようなことを含めて、もしそうした影響があるのであれば、きちんと明らかにしておくということが必要ではないかという趣旨だと思います。
◯2番(安斉きみ子君) 私はやはり、この統一協会との関係は政治をゆがめるものだと思っておりますので、もうここははっきりときっぱりと縁を断つ。先ほど自民党もお決めになったとおっしゃっているのです。それが本当かどうかということはしっかり見守りたいと思います。
それでは、次に行きたいと思います。市政の基本姿勢について、ハートフルオフィス事業を取り上げたのですが、今日の第一答弁でも非常に丁寧な説明がありまして、非常に努力されていきつつ、一般就労にも結びついていっているし、それからまた、市役所内での雇用にもつなげていっていらっしゃることはよくわかりました。事前のヒアリングも丁寧に聞かせていただきましたので、そのことについては了解いたしました。
それで、この障がい者の常勤職員化、特に市役所の中で、これについてお伺いします。その前に、つい先日、2月27日に報道された聴覚障がいを持つ女児の事故死で、遺族が相手側に損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁の裁判長は将来得られるはずの逸失利益の算出基準について、全労働者賃金平均は497万円だそうですが、その85%にしか当たらないというような判断があったわけです。
東京新聞の28日の夕刊では、「なお残る健常者との格差」というコメントが掲載されました。先例の判決を引いてそのコメントの中には、一般就労を前提とするのが相当として19歳までの健常者を含めた男女の平均賃金と同じ水準の将来収入を認めたことを紹介しております。
私は、市役所は企業と違いますので、率先してこの常勤化も含めたことを検討すべきではないかと思うわけです。なので、要するに障害に合わせて、いわゆる市役所の仕事に合わせて仕事を見つけて、そこに働いてもらうというのではなく、今度はその方の障害に合わせた形で新しく仕事をつくり出すということも、今後の市役所には課題ではないかと思うのですが、見解を伺います。
◯議長(いいじま文彦君) 小野澤健康福祉部長。
(健康福祉部長小野澤史君登壇)
◯健康福祉部長(小野澤史君) 第一答弁でもお答えしたとおり、ハートフルオフィス事業について、以前の庁内実習制度から継続的な雇用を伴う現在の事業形態へと取り組みを進めてまいりました。その中で、全庁的に障害特性に応じた業務の切り出しも行い、またハートフルオフィス職員が対応する業務量、あるいは人員枠も拡大をしてきたところでございます。
今後も、このハートフルオフィス事業を実施する中で培ってきた障害特性を踏まえたその業務の切り出しや、マニュアルによる業務手法の伝達といった配慮も行いながら、障がいのある職員の活躍を推進できるよう取り組んでいきたいと考えております。
◯2番(安斉きみ子君) 2020年8月の23日に、スイスのジュネーブの国際連合にて行われた障害者権利条約の日本の初審査が行われました。それで総括所見と言いますが、よく私たちは国連の勧告と言っています。その年の9月にそれが公表されました。
「きょうされん」、私もここの会員で雑誌もとっているのですが、前身は全国共同作業所連絡会が、この国連の勧告について声明を発表しております。声明では、たった2日間のこの審査では政府報告とパラレルレポート、これは本当に民間の団体から出たレポートですが、それを踏まえて、日本の障害者施策の課題の本質に迫る質問を投げかける権利委員と、片方では法制度の紹介や自身の取り組みの正当化に終始した日本政府との姿勢の違いが際立ったと、このように記されております。
ただ、少し気になるのは、いわゆる福祉的就労について、障害者権利委員会は障がいのある人が集まって働く福祉的就労はインクルーシブの観点とは相入れないと、一貫して否定的な勧告を行っているのです。これは「きょうされん」がそのように指摘しております。
権利委員会は今回も、保護された作業所などから一般労働市場へ移行を加速させることを勧告したのですが、福祉的就労の廃止までは言わなかったと。「きょうされん」の声明は、今の日本からこの福祉的就労の場がなくなれば、多くの障がいがある人が働く場を失うであろうことを思うと、この点は引き続き議論していく必要があると声明の中で締めくくっております。
今まで取り組んできたこの福祉的労働の豊かな実践に日本で私は取り組まれていると思うのですが、それは一般社会で障がい者の働く場の開拓につながっていくとは考えております。つまり、どんなに障がいが重い人たちも、この一般就労が当たり前の時代が来ることを視野に入れて取り組む必要が、企業のみならず特にこの公的機関である市役所にも問われてくる日が来ると思うのです。
せっかくの条例がある多摩市ですので、先を見通してこういう視点に立つことも考えていただきたいと思うのですが、見解を伺います。
◯健康福祉部長(小野澤史君) 重度の障がいのある方の就労につきましては、障害特性によっては福祉的就労を選択する方も多くいらっしゃいますが、近年のICT技術の向上等といった社会状況の変化を受けて、重度障害があっても就労可能な分野が広がって、これに伴い一般就労を選択する方もふえてきているものと認識をしております。
第一答弁でもお答えしましたが、今後予定されております障害者雇用促進法改正に伴う短時間雇用者の雇用率算定方法変更によりまして、重度障がいのある方の就労選択の幅も広がっていくものと考えておりまして、こうした制度変更等に関する動向を注視しつつ、市としてもどのような対応が必要なのかということを検討してまいりたいと考えております。
◯2番(安斉きみ子君) ハートフルオフィス事業は先陣を切って行われた事業ですので、ぜひ、そういう立場でこれからも取り組んでいただきたいと申し上げます。
それでもう1つが学校教育の問題です。せっかくこの「子わか条例」がある中で、学校教育こそ本当に変わってほしいという切なる願いを持っております。
今回はピアティーチャーのことについて取り上げましたが、ピアティーチャーの配置は、大人にとって困った子ではなくて困っている子、ここへ手を差し伸べ、子どもの発達を側面から支援することではないかと思うわけです。
秋の決算委員会で、子ども教育分科会では6人の委員がそれぞれの情報を持ち寄り、みんなで話し合いを進めながら来年度予算編成に向けての指摘、ポイント、議会の指摘事項として市側から回答を求めるものとして提案しました。
子どもの権利条約、「子わか条例」、障害者権利条約、多摩市障がい者の差別をなくし共に安心して暮らすことができるまちづくり条例。私はこのピアティーチャーの問題はこうしたものに包括される問題だと考えております。
令和3年度の決算事業評価で、子ども教育分科会はこのピアティーチャーについて選んで、そして来年度の予算に向けて提案もしたのですが、残念ながら今回いただいた市側からの回答は、一部研修の見直し、これは改善のことを書かれておりますが、全ての評価に対して大体、評価対象事業を審査するときに聞き取った内容とほぼ同じなのです。しかも既存の予算で対応という回答でした。
分科会からはこの中で、ピアティーチャーの配置について学校現場と市教委との乖離が見られると指摘をしているわけです。ここまで指摘しているのに、校長からの書面をもって把握することは適切な配置判断に当たっては重要であると考えていると、こういう答弁で私は満足できません。校長からの書面をもって把握するだけの回答でよいのか、そこを伺いたいと思います。
◯議長(いいじま文彦君) 細谷教育部参事。
(教育部参事細谷俊太郎君登壇)
◯教育部参事(細谷俊太郎君) ただいまご指摘のあった「書面をもって」というところについては、学期中に学校から要望があって追加配当するピアティーチャーの予算についてというふうに捉えさせていただきました。学期中のピアティーチャーの追加配当につきましては、校長からの書面をもってのみ把握するということではございません。
例えばというところですが、指導主事等が学校を訪問した際に、学校の実態からピアティーチャーの追加配当が必要だと考えた場合には、学校管理職にピアティーチャーの追加配当について検討することを促すというようなこともございました。また、学校から要望のあった配当額では十分な支援が行えないと判断した場合には、要望額をもう少し引き上げたほうがいいのではないかというようなことも学校に促した事例もございました。
学校とは日頃からコミュニケーションを密にし、ピアティーチャーに係る予算の配当を行っているところでございます。
◯2番(安斉きみ子君) 確かに年度当初で追加配当されて、今おっしゃったような改善が見られたことも事実だと思います。でも、子ども教育分科会はそれぞれ委員が資料請求したのです。その資料請求が非常によかったと思っているのです。それに答えてきちんといただいて、資料請求を出していただきました。その追加配当は、いわゆる緊急対応を含め、なぜ減らされたのか。要望を出したのに全くゼロのところもあるわけです。そういう理由を知りたいという管理職の声を聞いたのです。
そこで、私は日本共産党多摩市議団のほうからこの理由、なぜその追加配当で、これだけのお金が必要だと思ったのに減らされてしまったのか、その理由を資料要求したわけです。
私たち委員会は、それこそ委員長のもとに綿密な資料を提出してもらって、そして議論をしたわけです。こうした議会や委員会の調査権限をどうお考えなのか、重んじていただけないのかどうか、その辺を伺いたいと思います。
◯教育部参事(細谷俊太郎君) 今回評価をいただきました教育活動指導員配置事業につきましては、いただいたご意見につきまして、大変重く教育委員会としては受け止めております。
先ほどご質問の中にもありましたように、ピアティーチャーの研修につきましては、研修を複数回実施するという形であったり、また、それでも参加のできないピアティーチャーに対してオンラインを活用していつでも受講できるような研修動画を閲覧できるようにするなど、そのような対応を考えております。
また、校長会にもピアティーチャーを研修に参加させるようにと促すようなことも検討しているところでございます。
また、ピアティーチャーの配置に当たりましては、児童・生徒の実態に合った配置について学校に助言をしたり、ピアティーチャーの活用について、より効果的な活用が可能となるよう、ピアティーチャーが支援を行ったことによる好事例を校長連絡会等で共有するなど、より効果的なピアティーチャーの配置が可能となるように努めてまいりたいと考えているところでございます。
さらに人材確保についてもご意見をいただいたところがございました。こちらについても、これまでも市教育委員会では教育指導課に応募のあった人材の履歴書等について、必要とする学校には情報提供をしていったり、また東京学校支援機構の活用を促したりしてきたところですが、加えて今後は近隣大学の教職センターに赴くなどし、学生へのPRに努めたり、また募集要項についても見直しを行い、ピアティーチャーにより応募しやすいような環境を整えてまいりたいと考えております。
◯2番(安斉きみ子君) ピアティーチャーの活用について効果的な配置をしたいと、これはやはり考えるべきことだと私も思います。
子ども教育分科会の指摘で、このピアティーチャーの事業に関しては多くの声があると書いているのです。これはそれぞれの委員さんがそれぞれいろいろな努力の中で情報をつかんできたということもあると思うのですが、実は1月20日に多摩市の教職員組合と子ども教育常任委員会との懇談を持ちました。これはおそらく初めてではないかと思うのですが、そのときも特別支援学級と特別支援教室について現場の声を非常にリアルに伺いました。
なので、私はその効果的な配置ということと併せて、やはり現場を校長先生からの報告書、それだけではないとおっしゃいましたが、実際のピアティーチャーの声もよく聞くという姿勢がないのかどうか、そこを1点確認します。
◯教育部参事(細谷俊太郎君) ピアティーチャーの声を聞くということに関しては、今回、研修についても機会をふやしているところでございます。そのような研修の機会に、ピアティーチャーからも直接ご意見を伺うというような機会を設けてまいりたいと考えております。
◯2番(安斉きみ子君) 時間がありませんので厚生荘病院の問題に移りたいと思います。
まず、この厚生荘病院の閉院、(休院)と第一答弁では書かれておりました。この理由が一体何だったのか、そこからお答えいただきたい。
◯議長(いいじま文彦君) 伊藤保健医療政策担当部長。
(保健医療政策担当部長伊藤重夫君登壇)
◯保健医療政策担当部長(伊藤重夫君) 厚生荘病院の閉院につきましては、令和3年6月22日に事務方のほうにお話をいただきました。その際には、厚生荘病院の経営環境が非常に厳しい状況の中、法人としては従前より各種経費の縮減を図り、事業継続のための再建の道を模索してきましたが、大きく2点、老朽化が進む本館の耐震工事・設備改修に多額の費用がかかること、2点目は収支状況が改善しないことなどにより、令和3年の12月31日付で厚生荘病院を休院すると決定したということで伺っています。
◯2番(安斉きみ子君) 私はこの老朽化で建て替えをするから一時閉院だと議会の中でもやり取りがあったと思っているのですが、もう1回その確認。それから病床のベッドを都のほうに預けていますね。それは今も預かっているのかどうか、1年以上たってもそのままなのか、その2つをもう1回聞きます。
◯保健医療政策担当部長(伊藤重夫君) まず、1点目ですが、その際もご説明をいただきましたが、基本的には一旦休院して建て替えという方向で検討をしているということでございます。
それからベッドについては、東京都のほうには休院届というものを出していますので、現在のところはペットを返すということではなくて、現在もそのベッドについては維持されていると考えています。
◯2番(安斉きみ子君) 説明会については3月末までにはという話なのですが、そうであるとすると、その3月の説明会が終わった後から工事をするのか、それとも今のこの時点から工事が進むのか、その辺はつかんでいらっしゃいますか。
◯保健医療政策担当部長(伊藤重夫君) まず、クリニックの開設につきましては一定程度、そうした設備等の準備も必要だと思いますので、説明会と並行しながらその準備を進められると考えております。
◯2番(安斉きみ子君) あそこを見に行くと、まだ工事が着手されておりませんね。それで本当に5月までに間に合うかどうかということが1つ心配なのですが、その点について。それから診療所、これだけで良いと市は考えていらっしゃるのか、その辺についてもお伺いします。
◯保健医療政策担当部長(伊藤重夫君) まず1点目、現在の工事の進捗状況は、基本的には5月の開設をめどにということで進めていると伺っていますので、現在実際に工事云々につきましては、そこまではわからないところでございます。
それから第一答弁でも申し上げたように、基本的には病院の再開についてはいろいろと準備等もございますので、一定期間の時間が必要ということで、市側としても、その間の地域の医療機能をぜひつくっていただきたいということで、クリニックの開設をしているところでございます。
昨年の12月12日にも市長と理事長の懇談もございまして、その際も市長のほうから強く病院の再開についてお願いしているところでございます。
◯2番(安斉きみ子君) 私も、それから私は厚生荘病院の働く人たちと医療を守る会にも所属しておりますが、そこはこの5月1日からの開設についてはやはり前向きで、歓迎しているわけです。初めの一歩だと思っております。
ところが、このうしおホールには組合の事務所があるのです。それで先方の愛生会のほうは、組合事務所の立ち退きをしてくれなければできないということを言っているのです。これは裁判にもなっていることですので、そのうち結論が出ると私は思っています。
なのでそういうことも、こういう駆け引きのような感じでやられることを非常に遺憾に思いますが、ただ、この5月1日からのクリニックの開設を公言したということであれば、やはりそこに責任を持ってやってもらうように市としても働きかけていただきたいと思うのです。
実は先日、厚生荘病院の働く人たちと医療を守る会と市長との懇談がありました。その中で市長のお考えも私も当事者の人たちから聞きましたけれども、将来的にどういう病院の再開を望んでいらっしゃるのか、その辺を私は市長自身の声から聞きたいと思っております。よろしくお願いいたします。
◯保健医療政策担当部長(伊藤重夫君) 市長にということですが、私のほうからお答えいたします。
先ほど申し上げましたように、当初、こうした閉院等のお話をいただいたときから、市長のほうからは一貫して引き続き地域に根差した医療機関というところもございますので、ぜひ再開に向けて努力をしていただきたいというお話をしていただいております。
法人側についても一定程度そうしたことを考慮しながら、どのような形で医療機能を残していくかというところは、中で検討されていると伺っております。
◯2番(安斉きみ子君) 市長にも答弁いただきたいと思います。
◯議長(いいじま文彦君) 阿部市長。
(
市長阿部裕行君登壇)
◯市長(阿部裕行君) 質問者も心配が非常に多くおありだと思いますが、伊藤部長も私のほうも、本当にきちんと誠実に対応してほしいということを常に相手の法人には申し上げています。
このコロナ禍ということで、なかなかいろいろなことが予定どおりうまくいかないというのは、それぞれの世界の事情はあるということは私も理解しておりますが、やはり地域の皆さんからは早く病院を再開してほしいという要望は私も聞いておりますし、また病院の側もきちんと、必要な地域医療、これから先も対応していきたいという姿勢には変わっていないと私も信じておりますので、引き続き要望してまいります。
◯2番(安斉きみ子君) 今回の5月からの診療所の開設は、やはり地域の皆さんたちの声が動かしたのだと思うのです。守る会が行ったアンケートには、やはり地域の総合病院的な存在になってほしいと、これに似たような回答が幾つもあります。
そういう中で、やはりここはあの近辺だけの問題でなく東京都下の中からも、本当に最後の人生が終わるときにその病院でお世話になったというところで、非常に評価をされてきた病院なわけです。それから本当に地域との交流も盛んに行われていたことも私もよく知っています。
そういう中で、先ほど「誠実に対応してほしい」と市長がおっしゃいましたが、まさしくその誠実さを見せていただきたいと思います。これまでも守る会のほうからも要望書を出したり懇談の申し入れをしたりしても、一向に受けてくれなかったのが愛生会側です。
そういう中にあって、やはり私は、市もそうですが、議会としても働きかけを続けて、そしてこれまでどおりの病院がまた姿を現すということをぜひ実現させていきたいと思っております。
今日は市長の考え方もお聞きしましたので、私たちもまた頑張っていきたいと思います。
以上で私の代表質問を終わります。
◯議長(いいじま文彦君) 安斉きみ子議員の代表質問は終わりました。
────────────────────
◯議長(いいじま文彦君) お諮りいたします。
本日の会議はこの程度にとどめ延会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◯議長(いいじま文彦君) ご異議なしと認めます。
よって本日はこれにて延会することに決しました。
本日はこれにて延会いたします。
午後4時37分延会...