調布市議会 2009-12-07
平成21年 第4回 定例会−12月07日-03号
平成21年 第4回 定例会−12月07日-03号平成21年 第4回 定例会
平 成 第4回
調布市議会会議録第 21 号
21年 定例会
12月 7日(月曜日)
出席議員(27人)
第 1番議員 内 藤 美貴子
第 2番議員
ドゥマンジュ恭子
第 3番議員 福 田 貴 史
第 4番議員 丸 田 絵 美
第 5番議員 井 上 耕 志
第 6番議員 宮 本 和 実
第 7番議員 田 中 久 和
第 8番議員 真 山 勇 一
第 9番議員 橘 正 俊
第10番議員 小 林 市 之
第11番議員 井 樋 匡 利
第12番議員 岸 本 直 子
第13番議員 川 畑 英 樹
第14番議員 内 藤 良 雄
第15番議員 鮎 川 有 祐
第16番議員 林 明 裕
第17番議員 伊 藤 学
第18番議員 土 方 長 久
第19番議員 荻 窪 貞 寛
第20番議員 福 山 めぐみ
第21番議員 大 河 巳渡子
第22番議員 雨 宮 幸 男
第23番議員 武 藤 千 里
第24番議員 広 瀬 美知子
第25番議員 漁 郡 司
第26番議員 大須賀 浩 裕
第28番議員 元 木 勇
欠席議員(0人)
欠 員(1人)
第27番議員
――
―――――――――― ―― ――――――――――――
出席説明員
市長 長 友 貴 樹
副市長 中 根 義 雄
副市長 河 野 俊 郎
教育長 海 東 元 治
行政経営部長 小 林 一 三
行政経営部参事 伊 藤 栄 敏
行政経営部参事 小 西 健 博
総務部長 大和田 正 治
危機管理担当部長 吉 田 隆 司
市民部長 折 田 英 文
生活文化スポーツ部長 塚 越 博 道
産業振興担当部長 島 田 尚
子ども生活部長 今 村 孝 則
福祉健康部長 西 田 雄 次
保健担当部長 荻 原 久 男
環境部長 長 岡 博 之
環境部参事 長 島 敏 明
都市整備部長 井 上 稔
都市整備部参事 吉 原 信 貴
教育部長 小 山 俊 夫
選挙管理委員会事務局長 土 浦 治
監査事務局長 小 川 武
――
―――――――――― ―― ――――――――――――
事務局職員出席者
事務局長 風 間 直 樹
事務局次長 小 林 明 信
主幹 宮 川 節 夫
主任 鈴 木 克 昌
12月 7日 議事日程(第3号)
第 1 一 般 質 問
52 2番
ドゥマンジュ恭子 議員
53 1番 内 藤 美貴子 議員
54 19番 荻 窪 貞 寛 議員
55 3番 福 田 貴 史 議員
56 23番 武 藤 千 里 議員
57 22番 雨 宮 幸 男 議員
58 12番 岸 本 直 子 議員
59 11番 井 樋 匡 利 議員
60 24番 広 瀬 美知子 議員
61 9番 橘 正 俊 議員
62 13番 川 畑 英 樹 議員
63 6番 宮 本 和 実 議員
午前 9時19分 開議
○大須賀浩裕 議長 皆さん、おはようございます。ただいまより、平成21年第4回調布市議会定例会を再開いたします。
ただいまの出席議員の数は27人であります。したがいまして、定足数に達しておりますので、会議は成立いたしました。
直ちに会議を開きます。
日程に入る前に、本日も行政経営部広報課並びに議会事務局による本会議場の写真撮影を許可しておりますので、御了承をお願いいたします。
これより日程に入ります。
――――――――――― ―― ―――――――――――
△第1 一般質問
52 2番
ドゥマンジュ恭子議員
○大須賀浩裕 議長 日程第1 一般質問。
12月4日に引き続きまして、質問通告の順序により、2番、
ドゥマンジュ恭子議員の質問を許します。
2番、
ドゥマンジュ恭子議員。
〔2 番
ドゥマンジュ恭子議員登壇〕
◆2番(
ドゥマンジュ恭子 議員) おはようございます。
生活者ネットワーク、
ドゥマンジュ恭子です。
今回、私からは、在宅介護を担う家族への支援について、そして、地域の中にミニデイをふやすための支援について、また、中間報告が出された
地域別街づくり方針を今後どのように実現させていくのか、この3点から質問いたします。
まず、介護保険についてです。
介護保険が始まって10年、介護サービスは保険料の見直しや制度改正のたびに充実とは逆の方向に向かっています。加えて介護期間の長期化、介護者の高齢化、介護の人材不足など、介護の現実は厳しさを増し、介護を社会で担うという介護保険の当初の理念からは遠ざかる一方です。
特に、同居家族がいる場合は、基本的に生活援助が使えないなどの介護保険の利用制限があり、介護する家族を追い詰めています。
高齢化社会の進展に伴っての老老介護や認認介護、また、独身の子どもが仕事をやめて親を見るシングル介護もふえて、新たな社会的な問題を抱えながら、家族の負担や介護疲れは深刻なものになってきています。
そうした家族介護の現状を調査するために、
生活者ネットワークでは、ことし8月に介護に関するアンケートを行い、市内在住の40名近くの方から回答をいただきました。回答者の中で、家族の介護を経験した、または現在していると答えた方は28人で、そのうちの8割、22人の方が介護をつらいと感じると答え、また、つらいと思わないようにしていたという記述も含めると、全体として介護はつらいものと感じているという現実が明らかになりました。
介護のつらさとしては、いつまで続くのかといった先の見通しのなさを挙げた方が6人、睡眠時間がとれない、自分が病気になっても休めないと介護者自身の健康に不安を感じている方が6人、自分の時間がない、やりたいことを我慢しなければならないなど、自分や家族の生活が圧迫されることへのつらさも5人の方が挙げています。また、介護される側の人件を尊重した介護ができているか、介護の技術がないなど、よりよい介護をしようという思いがつらさにつながっている方が4人、そして、認知症の対応がつらいという人も3人いました。
アンケートに書かれた要望としては、ショートステイや
特別養護老人ホームなどの施設の充実を望む声が多く、いざというときには施設があるという安心感こそ、在宅介護には不可欠と推測されます。
そのほかにもホームヘルプサービスの充実、医療関係者の協力、介護者のネットワークや集いの場を求める意見が出されています。40人ほどの回答でもこれだけ多様な要望が出てくるということは、市内で介護をしている人たちのニーズはどれほどのものか。調布市は、介護保険者として聞き取る必要があります。
在宅で介護している世帯を訪問して、サービスは使いやすいか、どんなサービスを必要としているのか、家族介護を支えるためには何が必要かなど、生の声を聞くことが大切ではないでしょうか。そして、得られた声をもとに、利用者、介護者にとって必要な環境整備に早急に取り組むべきと考えます。
そこで質問いたします。
調布市として、在宅介護の現状をどのように把握し、それをどう認識しているのでしょうか、お答えください。
前述のアンケート調査では、介護をする人の心のケアをするべきという御意見が幾つかありました。24時間の介護は疲れていても休むことができず、特に一人で介護をしている方は精神的にもきつく、たとえヘルパーやデイサービスの助けがあっても、これがいつまで続くのか、自分が病気になったら共倒れになるという不安が常に頭を離れないという切実な思いを訴えています。
そして、時に介護を投げ出したい、もう終わりにしたいと考えてしまう自分に罪悪感を持ち、自己嫌悪で頭がおかしくなることもあると、やり場のない閉塞感の中で悩んでいるのです。
介護を担う家族が共感を持てる人たちの中で自分の思いを語り、そして、医療や福祉サービスの情報を得ることができる場として家族会や介護者の会があり、首都圏での
ネットワークづくりも進められてきています。
このネットワークにも入っている市内の深大寺こもれびは、介護者をサポートするいやしの場です。開設者の友人の方が、介護に精根尽き果て、みずからの命を絶ったときに、そばにいたのに彼女のSOSに気づけなかったという悔恨の思いから自主的に立ち上げられたそうです。介護者が心置きなくその思いを語り、仲間の支えを感じながら元気を取り戻せることを目的に活動されています。
また、
地域包括支援センターのゆうあいでも2カ月に1回、家族会が開催され、運営は市民が自主的に行い、介護を終えられた方が中心になり会報もつくられています。介護で参加しにくいからこそ、情報や支えが欲しい方にとっては、この会報が届くだけでも心強いという声もあります。
調布市内ではこの2カ所だけですが、ほかの
地域包括支援センターや地域の中に、より多くの家族介護者が安心して思いを語り合える場をつくることが望まれます。
都内の自治体でも介護中の人たちだけで会を発足、運営するのは難しいという判断から、NPO法人との協働により家族会を支援する取り組みが行われています。
杉並区では、現在、15カ所の介護者の会があり、その支援体制づくりは4年前から始まりました。
まず、区が介護者をサポートする
ボランティア養成講座を開催し、この講座を修了した人たちが、
NPO法人杉並介護者応援団を設立しました。そして、この応援団のメンバーが10カ所の介護者の会の運営に当たり、会場の設営、連絡などの事務や会の進行を行っています。また、必要な場合は家族と専門家をつなぐ役割も担っています。
杉並区は、区の施設を提供して場の確保に支援をし、このNPOに介護者の会連絡会の開催、会のPR、そして、介護者をサポートするボランティアのスキルアップ研修を業務委託しています。
練馬区も区の主導で、今年度から3年間で9カ所の家族会をつくり、会を支援するサポーターの養成にも取り組んでいるところです。
介護を担う家族の悩みを受けとめられるのは、同じ体験を持つ家族ですが、実際に介護をしている人たちだけで会を立ち上げ、運営していくことは時間的にも困難です。それを家族にかわって担うサポーターの必要性に気づき、
介護者サポーターの養成を行っている
NPO介護者サポートネットワークセンター・アラジンの代表者の方にお話を聞きました。
その方の言葉をかりると、「介護する家族は自分が一番つらいと思っていますが、その気持ちを受けとめてもらえたり、ほかの家族の話を聞くことで、つらいのは自分だけではないとふっと気持ちが軽くなります。また、身近にそんな場所があることで安心感を持て、現状は変わらなくても次の介護に向かう元気を得ることができるのです。そして、家族が心を開いて話ができることを支えるサポーターの存在が必要です。また、行政が最初の窓口になることで、家族会に出ることに臆病になっている人の信用を得ることができるのです」ということでした。
2005年の厚生労働省の調査では、家族介護者の23%、およそ4人に1人はうつ状態にあり、一般の人の3倍の発症率となっています。いい介護をするためには、家族が心身ともに元気でいなければなりません。そのためにも調布市でも市の事業として、在宅介護を支える家族が集まれる場づくりへの支援と、その運営を担う
介護者サポーターの養成に取り組むべきではないでしょうか、見解をお聞かせください。
在宅介護の中でも、特に認知症の介護は、365日24時間目が離せず、気の休まるときがありません。認知症が進むと徘徊、失禁、何でも食べてしまう、物とられ妄想、同じことを何度も聞くなどの症状に昼夜を問わず対応しなければならず、介護する家族は心身ともに疲れ切ってしまいます。
また、身近に適切な相談機関や理解者がないと、家庭の中だけで抱え込み、孤立無援の思いに陥り、先の見えない不安や強いストレスが虐待の要因となることもあります。虐待を受けた高齢者の8割に何らかの認知症の症状があるという報告もあります。
介護家族による虐待を未然に防ぐためにも、家族が認知症に対する正しい知識、対処の仕方や必要なサービスを得られることが大切です。
また、家族が認知症になってしまった事実を受け入れられず、近所の人にも隠そうとすることで、かえってストレスをため込んでしまうケースもあります。認知症は、だれにでも起こり得ることとして、周囲が認知症への理解を深め、支え合う地域をつくっていくことも重要です。
厚生労働省では、2005年度より10年間、10年計画の認知症を知り、地域をつくるキャンペーンを開始し、調布市でも
認知症サポーター養成講座が開催されています。
私も昨年の12月に受講し、認知症についての知識や認知症の方に接するときの心構えなどのレクチャーを受け、このオレンジリングをいただきました。認知症に対しての理解を広げるために、さらにこの講座を受ける人をふやすことが必要です。
現在、認知症の相談は、主に市内9カ所の
地域包括支援センターで行われています。しかし、20年度の
市民福祉ニーズ調査によると、
地域包括支援センターを知っていると答えた方は65歳以上で22.8%、75歳以上でも25.7%とまだまだ認知度は低い現状です。
こころの健康センターでも1カ月か2カ月に1回、臨床心理士と精神科医による専門相談が行われていますが、利用者が少なく、周知を図る必要があると思われます。
総合福祉センター内で介護保険と高齢者福祉に関した相談を行っている
介護保険ちょうふ市民の会にも多くの相談が寄せられ、中でも認知症の相談は年々増加しています。この会では、相談活動を通して見えてきた高齢者福祉の現状から、毎年、課題の提起を出していますが、その中で家族や本人の不安に答える認知症に関しての総合的な相談窓口の開設を要望しています。
認知症の早期発見、早期治療につなげるためにも、認知症の相談窓口の周知をより図っていくことと、どんな情報が必要とされているか調査をして、適切な情報の提供をするべきと考えますが、見解をお聞かせください。
また、認知症介護の家族が介護を一時的に離れ、リフレッシュできる時間を持つことができるような支援も必要です。
杉並区では、
認知症高齢者家族安らぎ支援事業として、研修を受けた
市民ボランティアが介護者の話を傾聴したり、介護を離れる時間を持てるように2時間から4時間までの見守りや、話し相手になるという支援を進めています。これは、さきに触れた家族会に出席することを保障するためにできた事業でもあり、委託を受けたNPO法人が支援者の募集や研修、家族と支援者のコーディネートなどを行っています。
さらに進む地域の高齢化の中で、お互いに支え合うためにもしっかりと研修を受けた
市民ボランティアが認知症の方を見守ることができる仕組みをつくり、介護者が介護を離れられる時間をつくることを支援していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、地域のボランティアが運営するデイサービスであるミニデイをふやすことについて質問いたします。
だれでも参加できるミニデイは、高齢者にとっても身近な地域の中で人と触れ合える場です。調布市社会福祉協議会が自主事業として行っているミニデイのひだまりサロンは、現在、市内に32カ所あり、市民のボランティアが運営しています。
個人のお宅や団地内の集会場など開催場所もさまざまで、地域のボランティアの方たちにより、お茶やおしゃべり、趣味の活動などが行われ、月に1、2回開催されています。
ひだまりサロンの1つ、多摩川住宅ホ号棟の集会所で行われているサロン・タマリバーでは、毎回、40人を超える参加者がいて、パターゴルフ、輪投げ、数独や手芸などの多彩な活動や季節の行事も行われ、子どもを連れた若い世代も訪れます。男性の参加が多いのも特徴で、歩いてこられない人のために車いすで迎えにいくこともしています。
地域の中にこうした居場所があり、おしゃべりを通して情報交換をしたり、一緒に活動をすることは、楽しさとともに生活の張りとなっています。高齢化が進む団地の中でひとり暮らしになっても閉じこもりにならないよう、住民による支え合いの場になっています。
また、個人のお宅で行われている若葉ひだまりでは、お食事の提供もあり、お邪魔した日には、男性を含む6人が参加されていました。その中の95歳の女性は、歩くことが大事と毎回30分歩いて通われているそうです。和気あいあいとした雰囲気で、皆さん、月2回のサロンを楽しみにされています。
世田谷区では、ミニデイを始めたい市民が3人集まると、NPOせたがや
福祉サポートセンターが研修を行い、立ち上げを支援します。これにより一緒に昼食をつくり、お世話をする人、される人ではない関係づくりを目的にしたひこばえや、退職後の引きこもりがちな男性の活動拠点となっているおとこの台所など、ミニデイとしての高齢者交流会が区内17カ所で行われています。おとこの台所は、大変人気が高く、60代から70代の方が料理の腕をふるい、時には出前シェフとしても活躍しています。行政は、これらの活動に対して場所の提供や運営費の補助を行っています。
情報交換の場となり、介護予防としても有効なミニデイを気軽に歩いていける地域の中にふやしていくことが必要です。そのためにも自主的な市民の活動によるミニデイの立ち上げ、運営資金に市の援助をしていくべきではないかと考えますが、見解をお聞かせください。
ミニデイを開設する際の一番の課題は場所の確保です。現在、32カ所のひだまりサロンのうち、地域福祉センター、老人憩の家、あくろすなどの活動場所に公共施設を使用しているところは9カ所だけです。市内には16カ所のふれあいの家があり、その設置目的は、地域の市民相互の心の触れ合いと連帯を高め、住みよい地域社会を形成するためとされています。であるならば、ひだまりサロンやその他のミニデイの活動のために、ふれあいの家を活用することも考えていくべきではないでしょうか。また、商店街の空き店舗や空き家になっている個人のお宅など、市が仲介をすることで貸す側も借りる側も安心感が持て、ミニデイの場として活用が進むと考えますが、いかがでしょうか、お答えください。
次に、現在、策定作業が行われている
都市計画マスタープランの
地域別街づくり方針について質問します。
この
地域別街づくり方針は、1998年に策定された
都市計画マスタープランが示すまちの将来像を具現化し、全市28のエリアそれぞれの特性を生かしたまちづくりを推進するための方針です。
都市計画マスタープランが全面的な市民参画と協働の精神のもとに策定されたのと同様に、市民が議論の主体となり、会の名前も
地域別街づくり方針市民検討会とされました。
策定作業に参加する市民の募集に当たっては、市は、従来の公募と同時に、無作為に抽出した市民に対して個別に参加の呼びかけを行いました。そして、この呼びかけに応じてくれた人と、公募市民を合わせた中から抽選で固定メンバーとなる60人の委員が選ばれました。このような募集の方法は、委員の幅を広げるのに大いに役立ったと考えます。事実、呼びかけがなかったらこの会に参加していなかったとおっしゃる方が、検討会で熱心に議論している姿を私も何回も間近に拝見いたしました。
また、実際の運営は、固定メンバーではなくても、だれでも会議に参加して議論に加わるということができる透明性の高いものでした。こうした運営方法は、10年前に
都市計画マスタープランを策定したときの方法を踏襲したものと言えます。
検討会は、平成19年7月25日に始まり、先日11月4日の中間報告会までに27回の会議を重ねてきています。会議は、おおむね平日の夜7時から9時までで、何十人もの市民が方針案づくりに取り組んできました。また、まち歩きの際には、貴重な休日を返上しての参加となりました。仕事を持つ方もあり、そうでなくてもプライベートな時間をやりくりしての参加には、まちづくりへの思いと委員としての義務感があらわれていたと思います。また、仕事とはいえ、事務局を務める職員の方々も努力されたことと思います。
市民検討会委員の皆さんにとっては、忙しい日々をやりくりしながら、まちづくりや都市計画という日常の市民生活とはかけ離れたテーマに取り組み、そのための学習や努力が求められたことと推測します。
市としては、こうした市民検討会委員の皆さんの活動について、どのように評価しているのでしょうか、お伺いいたします。
報告会では、4つの地域すべてで、水と緑に恵まれた調布市の自然と地域に残る緑地や生産緑地の保全を
地域別街づくり方針の中心に据えていました。特に北部と東部地域では、国分寺崖線の保全が重要事項として扱われていました。委員の皆さんがまちを歩き、このような自然の豊かさを実感された結果だと思いますが、これらの緑地や農耕地には当然ながら所有者がいます。
また、検討会の委員には、必ずしも28すべてのエリアの住民がいるというわけではなく、検討委員の話し合いの中でも地域の人の意見も聞かないで、私たちの思いだけで方針案に書き込んでもいいのだろうかとか、地域に住んでいる人がどう思っているのか聞きたいという意見が上がっていたということです。
自分たちが市民としてまちづくりにかかわることの意義は認識しながら、一方で、地域に実際に暮らす住民に配慮したり、
地域別街づくり方針が本当に実効性あるものになるのだろうかという懸念を持たれるのは当然のことだと思います。
生活者ネットワークとしても、多くの努力を払って策定した以上、この方針が調布市都市計画の指針として具体的なまちづくりに生かされるべきだと考えています。そのためには、地域住民との意見交換や合意形成は初期の段階から必要なことだったと考えます。
そこで質問いたします。
地域別街づくり方針を策定するに当たって、地域住民との話し合いや意見交換の機会はこれまで行ってきたのでしょうか。また、今後、どの段階で行う予定なのか、お答えください。
今回の街づくり方針策定は、無作為抽出で参加者を募るという方法をとったことで、これまでまちづくりに参加したことがない人の参加意欲を喚起し、まちづくりに関心を持つ新たな人材を掘り起こしたという意味で大変有効な取り組みでした。これは、今まで以上にまちづくりをチェックしていく目がふえたということでもあります。そして、かかわった市民の方たちが長い時間を費やして、自分たちでつくり上げた方針どおりに調布のまちづくりが進んでいくこと。そして、少しずつでも自分たちが思い描いたまちに近づいていることが実感できることに大きな期待を持っていらっしゃると思います。
市は、方針づくりにかかわった市民の方々のまちづくりへのこのような期待をどう受けとめているのか、お聞かせください。
次に、この
地域別街づくり方針を今後のまちづくりにどう生かしていくのか、お聞きいたします。
地域別街づくり方針は、もともと
都市計画マスタープランを具現化するために策定されるものですから実効性こそ重要です。まちづくりに意欲を持つ新たな人材を発掘し、多額な税金と多くの時間をかけてつくった街づくり方針なのに、実際の都市整備に際して生かされなかったと感じられたら、かかわった市民に背を向けられてしまうことになりかねません。
10年前の
都市計画マスタープランの策定時には、策定に最後までかかわった市民を中心に調布まちづくりの会が発足し、景観やバリアフリーなどの部会を立ち上げて、まちづくり活動を継続しています。方針づくりに参加した市民の皆さんが、今後も力強いまちづくりのリーダーとして活動してくださるかどうかは、この
地域別街づくり方針がどう生かされていくのかにかかっています。
そこには、しっかりと市民参画の観点も入っていなければなりません。まさに今後、この
地域別街づくり方針をどう生かしていくかは、調布市の市民参画、協働のまちづくりのあり方を問う試金石になると思います。調布市としては、今後この
地域別街づくり方針をどの段階で、どのような手法で生かしていくのでしょうか、お聞かせください。
最後に、個別の計画に街づくり方針を生かしていくためのルールを定めるべきではないかという観点から質問いたします。
NPO法人まちぽっとがまとめた東京46市区の
都市計画マスタープランに関する調査によると、東京都の自治体の中で
都市計画マスタープランを実現するために庁内の推進体制を新たに構築した自治体は12市区ありました。
しかし、調布市では、ほっとするふるさとをはぐくむ街づくり条例を制定して、地区計画に住民が取り組みやすい仕組みをつくったり、開発事業などの手続を厳格化するなどの方策がとられはしたものの、庁内横断的な推進体制は構築されず、マスタープランを意識しているのはハードのまちづくりにかかわる部署だけのような印象を受けます。
中間報告会にも都市整備部以外の担当職員の姿はなく、来場者からは、緑や自然保護の方針が多いのに残念だ、まちづくりはハードなことばかりではないのにねという声も聞かれたということです。
まちづくりは、単に都市施設の建設や建物の高さの問題にとどまりません。道路整備1つとってもユニバーサルデザインの観点からの段差や歩行者のためのスペースの確保、標識のあらわし方や場所、植栽の種類など、幅広い視点からの検討や、学校付近の生活道路であれば子どもの意見を聞くことも必要です。それを実現するためにも庁内の横断的な組織体制を構築して、整合性のとれたまちづくりを進めることを求めます。
生活者ネットワークは、
地域別街づくり方針を着実に実現していくためには、個別具体的な事業を行うときに、地域別方針との整合を検証する手続を組み入れることが必要だと考えます。例えば道路整備では、整備計画を立てるときに、方針に立ち返って検証して計画をつくるべきです。そして、その計画を市民に説明するときにも、方針に沿っていることをはっきりとわかりやすく説明できることが行政の説明責任として求められます。
また、説明会や意見交換会を行う際には、地域の方たちだけではなく、10年前のマスタープランや今回の地域別方針の策定にかかわった人にも知らせることが必要です。
さらに、
地域別街づくり方針に基づいたまちづくりの進捗状況の検証や、5年後、10年後などのスパンで方針を見直すことも行政の側でしっかり進行管理しておかなければならないことですが、行政職員は、いつまでも同じ部署にとどまるわけではありません。退職もされます。方針の検証や見直し方など、ルールとして明記しておくべきと考えます。
そこでお尋ねします。
地域別街づくり方針を着実に実現していくための庁内の体制づくりも含めて、ルールを定めておくべきと考えますが、見解をお聞かせください。
以上、大きく3点からお尋ねしました。御答弁をお願いいたします。
○大須賀浩裕 議長 答弁を求めます。長友市長。
◎長友貴樹 市長 ただいま
ドゥマンジュ恭子議員より大きく3点にわたり御質問をいただきました。私からは、
地域別街づくり方針の実現に向けた取り組みについてお答えいたします。
近年、市民の参加意識の高まりとともに、多様化する市民ニーズを初め、まちづくりの諸課題に的確かつ柔軟に対応していくためには、地域の特性、実情に応じた市民主体のきめ細かなまちづくりが求められています。
地域別街づくり方針は、その取り組みの1つであります。
地域別街づくり方針の策定過程の大きな特徴としては、市民と行政が一から協働でつくり上げていることにあります。これは、
都市計画マスタープランの市民参加を踏襲したものとして、市民と市民、市民と行政との合意形成による検討を重ね、現在、取りまとめの段階を迎えております。市民参加手法においても、全国的にも新たな試みとして、従来の公募に加え無作為抽出による参加の呼びかけを行うなど、先駆的な試みを実施してまいりました。
平成19年7月の市民検討会の発足から先日開催された中間報告会までの間、2年余が経過する中で、これまで延べ約2,000人を超える多くの市民の皆さんの御参加をいただいております。市民参加の手法が議論される中で、みずからのまちの思いを活発に議論いただき、地域のまちづくりを担う主体者として大変心強く感じていると同時に、この場をおかりしまして、関係された市民の皆様には深く敬意と感謝を申し上げる次第であります。
市民参加の取り組みによる
地域別街づくり方針の評価としては、何より新たなまちづくりの担い手となる参加層の拡大と、その参加意識の高揚が図られたことにあります。また、市民の手づくりによるまちづくりの目標、方針が定められたことにより、地域主体のまちづくりがこれまで以上に進展していくものと期待しております。
市民検討会と地域住民との意見交換につきましては、
地域別街づくり方針に最もかかわりの深い街づくり条例に基づく街づくり準備会、協議会の方々に委員として参加していただいているほか、街づくり協議会等へ情報を発信し、御理解をいただいているものと認識しております。
また、検討成果について、広く一般の市民と意見交換を行う場として市民委員からの発表である中間報告会を2回実施し、その中で市民と市民委員の懇談ができるポスターセッションを実施し、多くの意見をいただいております。
この方針をもとに、街づくり準備会、協議会が新たに組織されることを期待するとともに、市としましては、街づくり条例に基づき住民発意のまちづくりを支援するなど、地域主体のまちづくりの進捗に向け、地域住民と目指すべき将来像の共有化を図ってまいります。
次に、市民の期待を市としてどう受けとめるのかという御質問ですが、先日の中間報告会で示された市民提案は、市民がみずからの足でまちを歩き、感じたことを市民目線で地域の将来像に対する現状、課題、対応策として示したものとして、大変貴重な内容であると認識しております。
市としましては、この市民提案をしっかりと受けとめていかなければならないと責任を感じているところであります。同時に、例年になく厳しいと見込まれる財政状況を踏まえ、選択と集中の観点から事業の優先性を再検証し、市民提案を踏まえ、必要性、費用対効果などを検証しながら行政計画への反映を行ってまいります。
その他の御質問につきましては、担当よりお答えいたします。
○大須賀浩裕 議長 西田福祉健康部長。
◎西田雄次 福祉健康部長 私からは、在宅介護を担う家族への支援をについてお答えさせていただきます。
まず、市として在宅介護の現状をどのように把握し、それをどう認識しているのかについてですが、10月の介護保険給付費のデータによりますと、要介護4及び要介護5の重度の方のうち46.8%の方が
特別養護老人ホームや老人保健施設などの施設サービスを受けています。一方で、これをやや上回る47.9%の方が、要介護が重いにもかかわらず居宅で介護サービスを受けています。
このような中、介護保険の充実を目指して活動されている市民団体や利用者等からは、介護する家族が一時的に休息できるショートステイやデイサービスなど、介護家族の負担を軽減するサービスの充実をとの要望が寄せられております。
また、本年8月の東京都による調査では、調布市内外の
特別養護老人ホームへの待機者は488人となっており、待機している方お1人当たり平均で約2カ所の施設を申し込まれています。
平成20年3月の調布
市民福祉ニーズ調査によりますと、介護認定を受けた方のうち、介護が必要になったときに家族などの介護を受けながら自宅で生活したいと回答された方は、最も多い約3分の1を占めています。
以上のことから、要介護認定を受けた方に対しては、在宅での介護をより支援する必要があると認識しており、第4期調布市高齢者総合計画の中では、地域ケア体制の充実を重点取り組み事項の1つとし、在宅での介護を地域社会との連携の中に位置づけております。
次に、在宅介護を支える家族介護者が集まれる場づくりと運営を担う市民の養成についてですが、現在、開催回数は少ないものの、
地域包括支援センターが介護教室や介護者の集いを開催し、介護者同士が話せる場を提供しています。
また、高齢者支援室では、認知症の高齢者を介護する家族のための介護講座を全7回制で1コース実施し、受講した方に定期的に集う場を設けていますが、参加者数が少ないときもあり試行錯誤しているところです。
介護の話は、その家族の人生や家族関係もかかわることであり、ただ単に集える場ではなく、安心して集い話せる場になるよう、また、運営を担う市民の養成についても研究を重ね、介護者が集える場の確保をしてまいりたいと考えています。
認知症の相談窓口の周知と適切な情報提供についてですが、市民の方が地域で認知症と思われる方に接した場合や、御家族が早期に
地域包括支援センターに適切に相談できるよう、
認知症サポーター養成講座で認知症の理解や相談窓口である
地域包括支援センターの周知を行っております。
今後も多くのサポーターを養成するとともに、サポーターの理解を深めるためのステップアップ研修を企画していきたいと考えております。また、相談を受ける
地域包括支援センターの職員のさらなるスキルアップのため、研修等の充実を図ってまいります。さらに、認知症に関する医師や臨床心理士による個別相談についても市報で周知するなど、広く適切に専門相談が活用されるようにしてまいります。
次に、ボランティア等による見守りについてですが、認知症の高齢者の見守りは、認知症に対する専門的な知識や経験が必要なため、ヘルパー2級の資格を持つヘルパーを週2時間を基本として派遣する軽度生活援助事業を実施しています。
平成20年度は、延べ90人の方が利用し、より安全に介護者が介護を離れる時間を持てるように支援しており、今後とも活用しやすい事業になるよう体制を整備してまいります。
次に、地域の中にミニデイをふやすことについてお答えします。
まず、市民の活動に支援をということですが、第4期調布市高齢者総合計画では、支えあい・住民参加の地域づくりの推進を掲げ、高齢者等の住民活動やボランティア活動などを支援する取り組みを進めており、地域の中にミニデイ等をふやすことが重要であると認識しております。
調布市社会福祉協議会では、住民の主体的かつ積極的な仲間づくりの活動として、ひだまりサロンの拡充を図り、現在、32のグループが活動していますが、平成26年度までに、この拠点を60カ所にふやし、地域福祉活動計画の推進事業として引き続き充実させていくこととなっております。
調布市では、社会福祉協議会が高齢者の地域福祉を担い、地域住民とともに地域の福祉課題への取り組みを進めることで、高齢者の地域福祉の充実が図れると認識していることから、市の地域福祉計画と連動させながら、引き続き社会福祉協議会を通して市民の活動を支援してまいります。
次に、場の確保に行政の仲立ちをについてですが、身近な地域で気軽に立ち寄れる場は、現在、地域福祉センターや老人憩の家などの公共施設だけでなく、集合住宅の集会室や個人宅も活動の場となっております。今後ともグループづくりや拠点づくりを積極的に推進し、地域の中で住民が気軽に集える公共施設の利用が図れるよう関係部署と連携してまいります。
また、福祉施設等を建設する際には、施設内に地域開放スペースを設置するよう事業者に協力を求めており、現在計画中の施設においても設置を予定しておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
以上です。
○大須賀浩裕 議長 塚越
生活文化スポーツ部長。
◎塚越博道
生活文化スポーツ部長 私からは、ふれあいの家のミニデイの場としての活用についてお答えいたします。
市内には地域福祉センターやふれあいの家のほか児童館や公民館など、地域の方々の生涯学習活動の場や福祉活動など、さまざまな活動の場所となる集会所的機能を持った施設が多数あります。
中でも、地域福祉センターやふれあいの家は、身近な地域の中で利用のできる施設として多くの利用をいただいているところであり、特にふれあいの家につきましては、地域の方々の使い勝手が一層よくなるように、平成16年度から指定管理者制度を導入し、利用の受け付けから施設管理までを地域の団体にお願いしています。
ふれあいの家は、現在、市内に16カ所ありますが、建物の老朽化、面積、構造等まちまちであり、特にバリアフリー対応がなされていないために高齢者には利用しづらい施設もございます。しかし、地域にある身近な施設で高齢者同士の交流が行われるなど、地域福祉が推進されることは重要であると認識しています。
現在、市内8カ所の地域福祉センターでミニデイが、4カ所の地域福祉センターでひだまりサロンが月に1回程度実施されております。ふれあいの家の利用に当たりましては、定期的な利用や優先利用など、指定管理者の裁量によるところもございますが、社会福祉協議会と連携を図りながら対応してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
以上でございます。
○大須賀浩裕 議長 井上都市整備部長。
◎井上稔 都市整備部長 私からは、
地域別街づくり方針を実現するためのルールづくりについてお答えいたします。
地域別街づくり方針は、
都市計画マスタープランを補完し、都市の将来像の実現のため、基本的な方針を定めるものであります。このため今後、具体のまちづくりを展開するに当たり、
地域別街づくり方針をどのように生かし、実現に向けて取り組んでいくのかが重要となります。
まちづくりの実現に向けた基本的な考え方としましては、街づくり条例を活用した地域の主体的なまちづくりの取り組みが重要であると考えております。
地域別街づくり方針を策定する本来の目的は、市域を分野別に区分した市民の手づくりによるまちづくりの目標、方針を定め、地域の課題解決に向けて街づくり準備会、協議会を新たに組織し、地域主体のまちづくりを進めていくことにあります。
また、
地域別街づくり方針は、市が行うまちづくりへの反映はもちろんのこと、民間の開発事業の指針としての役割を担うものでもあります。このため具体的な事業の実施に際しては、街づくり条例の基本理念に示されておりますように、市民、事業者及び市の3者の協働によるまちづくりの推進に向け、地域の懇談会などを活用して、方針として掲げた内容の実現化、共有化を図ってまいります。
次に、
地域別街づくり方針を生かすためのルール化についてであります。
まちづくりは、市民が担うもの、市が進めるもの、市民と市が協働で取り組むものなど、内容に応じて実施主体が異なります。
地域別街づくり方針には、取り組むべき内容に応じて、実施主体やそれぞれの役割を明らかにするとともに、まちづくりを実行するための手順を示す予定でおります。具体的な事業実施に際しては、庁内における横断的な連携とともに、地域住民との懇談会の開催など、まず、
地域別街づくり方針の理念の共有化を図り、その上で市民との意見交換を継続しながら、街づくり方針の実現に向けた協働のまちづくりに取り組んでまいります。
また、先日開催された中間報告会では、市民からは、これからのまちづくりは行政のみではなく、市民一人一人がまちづくりに積極的にかかわり、役割を果たさなければならないという大変力強い御意見をいただきました。
このように、今回の無作為抽出により参加を呼びかけたことにより、地域のまちづくりに理解のある新たな担い手になっていただき、大変心強く感じているところであります。
今回の取り組みが、参加と協働のまちづくりを進める上で試金石となることは言うまでもありません。市としましては、限られた財源の中で優先性に配慮しつつ、こうした市民の期待にこたえるべく、実現に向けた取り組みを着実に実行していかなければならないと認識いたしているところであります。
そのため、今回、新たに地域のまちづくりの担い手として関係された市民の皆様とともに、まちづくりの進行管理も含め、継続して市民が参加できる仕組みを検討してまいります。
以上でございます。
○大須賀浩裕 議長 2番、
ドゥマンジュ恭子議員。
◆2番(
ドゥマンジュ恭子 議員) 御答弁ありがとうございました。では、1点、再質問させていただきます。
地域別街づくり方針を実現するためのルールづくりについて、ただいま都市整備部長の御答弁の中では、今回、市民検討会委員として参加された市民の皆さんと、まちづくりの進行管理も含めて、継続して市民が参加できる仕組みを検討していくということでした。それは、具体的にはどういうことを想定しているのでしょうか。
また、市として、今後、市民検討会委員の方たちにはどのようにかかわっていただこうと考えているのか、お聞かせください。
○大須賀浩裕 議長 答弁を求めます。井上都市整備部長。
◎井上稔 都市整備部長 ただいまルール化についての再質問をいただきましたので、私のほうからお答えさせていただきます。
地域別街づくり方針は、現在、市民検討会の皆さんにより取りまとめを行っていただいている段階であります。その後、市民検討案として提出いただき、内容を確認の上、行政の計画としてパブリックコメントを経て、本年度末に策定の予定となっております。
御指摘のありました今後の活用方法の具体策につきましては、市民の皆さんと検討することが重要と考えております。まちづくりは、方針策定段階から計画段階、事業実施段階まで段階を追って進める必要があり、どの段階においても市民参画は重要であります。
この各段階においてさまざまな市民参画方法がありますことから、市民の皆様の御意見をいただきながら、具体的方策を検討してまいりたいと考えております。
また、市民検討会委員においては、今後は計画段階、事業段階での情報発信、参加依頼などを積極的に行い、まちづくりに御協力いただけるよう働きかけてまいりますので、御理解いただきますようお願いいたします。
以上でございます。
○大須賀浩裕 議長 2番、
ドゥマンジュ恭子議員。
◆2番(
ドゥマンジュ恭子 議員) ありがとうございました。今回、質問の中でも触れました
生活者ネットワークが行った介護についてのアンケートで、家族による在宅介護への思いや意見へは、ほとんどの方がびっしりと切実な思いを書いてくださいました。
10年前から介護をしている方は、介護保険が開始された当初は、一人で背負わなくても社会で助けてもらうことができると思えたが、今は自分以外に介護を助けてくれる人もなく、自分の老化も心配。保険料は上がるばかりで、老後の資金も心細い。家族が安心して介護を続けられるよう、また、家族に何かあったときでも安心できるよう公的な入所施設をふやすなど、社会的な方策が実現するよう声を上げるときだと思うと、まさにこれまでの介護保険の改悪と問題点を指摘されています。
また、アンケートからは、長寿社会になったことで、介護をする相手が自分の親、義理の親、配偶者と一人の人が担う介護が連続して長期間にわたるケースや、70代の方が90代や100歳代の親を介護するなど、厳しい現実も見えてきています。
少子化、核家族化の中で、介護は家族だけでは担え切れません。介護を家族が抱え込まないための施策が必要です。そのためには、まず、介護サービスやショートステイなどの充実がぜひとも望まれます。
また、介護をする人の心のケアのために、同じ仲間と出会える場である家族会が地域の中にあることが必要です。介護を終えた方は、介護中の方のつらさを理解でき、介護のついての知識を持った貴重な社会資源です。そうした方たちからも希望者を募り、介護者を支援するサポーターになっていただき、家族会の立ち上げ、運営を担っていただくという取り組みをぜひ調布市でも検討していくべきと考え質問いたしました。
それに対しては、介護者が安心して集い話せる場になるよう、また、運営を担う市民の養成についても研究を重ね、介護者が集える場の確保をしていきたいという前向きな御答弁をいただきました。
認知症の相談窓口については、さらに
地域包括支援センターの周知を図っていくということでした。しかし、
地域包括支援センターでは、相談内容の複雑化、介護予防のケアマネジメントに多くの時間がとられている現状から、センター職員の負担が大きくなってきています。よりよい相談体制がとれるよう周知を図ることと同時に、人員の加配も検討されるべきと考えます。
地域の中の居場所としてのミニデイについては、ふやしていくことが重要と認識しているということでした。また、ミニデイを開催する場として、ふれあいの家の活用は前向きに検討していくと受け取りました。
年をとることや介護は、だれにでもやってくる人生の通過点として、家族だけでなく、地域でも支え合う仕組みをつくっていくことが今後ますます必要になってくると思われます。そのためにも市民やNPO、社協と協働して、家族会やミニデイを地域の中にふやしていくことを重ねて要望します。
都市計画マスタープランの
地域別街づくり方針は、当然ながら策定して終わりということではありません。委員の募集の段階から工夫を凝らして、新たな市民の参加を得て取り組んだ実績をまちづくりにしっかり生かすことが重要です。
そのためには、街づくり方針を実際の事業に反映させていく段階にも、同じ市民がかかわっていけるプログラムを示すことが必要です。2年半という長い間、行政との協働作業に加わってくれた人材は、市民参加の財産とも言えます。そういう人たちが、地域別方針の策定にかかわってよかったと思えるような事業の展開をぜひとも図らなければなりません。そうでなければ、理解者になってくれたはずの人たちがむなしさを感じて行政に背を向けてしまうということにもなりかねません。
答弁では、今後の活用についても市民の意見を聞きながら進めていくということでした。また、これまでにかかわった人材への積極的な情報発信なども答えていただきました。今回の委員募集のように、調布のまちづくりに関心を持ち、市民として参画する人を幅広く発掘する工夫をさらに重ねていただきたいと思います。
また、ある委員の方は、話し合いの中ではハードな話が多く、まちの過ごしやすさや使い勝手、交通システムなどのソフトにかかわる話が少なかったのは残念と指摘されています。ハードなまちづくりは、数十年に一回行われるかどうかという事業ですから、なおのこと、その影響を受けるソフト面の検討は大変重要です。市民にとって暮らしやすいまちづくりとは、道路や建物だけでなく、地域の高齢者や子どもたちにとっての視点や、防災や防犯なども重要な課題です。その意味で、行政内部での縦割りを廃して、横断的な推進体制をつくる必要性を改めて指摘し、実効性のある推進体制、各部署の連携のあり方を早急に研究、検討していただくことを要望して私の質問を終わります。
○大須賀浩裕 議長 以上で2番、
ドゥマンジュ恭子議員の質問は終わりました。
――――――――――― ―― ―――――――――――
53 1番 内藤美貴子議員
○大須賀浩裕 議長 続いて1番、内藤美貴子議員の質問を許します。
1番、内藤美貴子議員。
〔1 番 内藤美貴子議員登壇〕
◆1番(内藤美貴子 議員) 皆様、おはようございます。議席番号1番、公明党の内藤美貴子でございます。ただいま大須賀浩裕議長より発言のお許しをいただきましたので、これより一般質問をさせていただきます。
今回は、大きく2点につきまして御質問をさせていただきます。
初めに、制度のはざまにいる障害者(児)の支援についてと、市民の安全と安心の新たな救急システムについてでございます。
初めに、制度のはざまにいる障害者(児)の支援についてお伺いいたします。
公明党では、現行法令等を除いて、障害者の害を平仮名に表記変更し、障がい者とすることが昨年の10月に決定されました。この漢字の害、これは、マイナスのイメージが強く、漢字で表記する必然性はないなど、変更を求める声が多く寄せられ、公明党としても同じ考え方であり、障害者の人権をより尊重していくため、表記の変更をすべきとの認識から、既に党の機関紙や党内の資料は表記を変更されています。障害の有無にかかわらず、人間は皆等しく幸福になる権利を持っています。その実現のため、このような法整備とともに、心のバリアフリーの推進など社会全体の意識改革が重要な課題であると考えています。
さて、調布市では、平成21年度から23年度までの3年間のサービス整備について、第2期障害福祉計画が新たに策定されました。その中で、障害者自立支援法に定めるサービスに地域生活支援事業がありますが、これは、障害者が地域で生活するために地域の実情に応じて必要な支援が提供できるよう、市が主体となって取り組まれていくものです。
さらに、制度のはざまにいる障害者(児)をどのように市として支援、整備されていくのかという課題につきまして御質問させていただきます。
まず1つ目は、高次脳機能障害者の支援整備についてお伺いいたします。
2008年1月の東京都の実態調査では、高次脳機能障害者は約5万人と推定されました。全国では約50万人と推定されています。モデル事業をやっていた2004年の国の発表では全国で30万人とされていましたので、救命救急医療が発達して、命は助かっても、この障害者の方がふえ続けていると考えられます。
高次脳機能というのは、言語を理解する、行動する、物体を認識する、記憶を保持するなど、日常生活で基本的な機能のことを指しています。しかし、クモ膜下出血など脳血管疾患などの病気や事故などが原因で脳が損傷を受けた結果として、言語や記憶などの機能に障害が生じる高次脳機能障害はだれにでも起こり得る障害であります。
また、見た目は健常者と変わらないのに、今話したり、聞いたりしたことを覚えられない、注意力や集中力が低下する、突然、感情や行動が抑制できなくなったり、運動麻痺や歩行が不安定になるなど、それまで健康な機能が正常に機能しない状態となって、生活に支障を来すようになります。
以前は、この高次脳機能障害者には法的裏づけがなく、障害福祉制度の対象となっていないことから、医療、福祉サービスも受けられない、まさに制度のはざまに置かれた状況がありました。
そこで、相談を受けた都議会公明党が具体的な支援策を目指していくために国会議員とも連携をとり、実態調査などを強く主張した結果、99年度予算に初めて対策費が計上されました。そして、ついに国も動き出し、2001年初めて国の施策として予算が盛り込まれ、高次脳機能障害モデル事業として取り組みが始まりました。
しかしながら、この障害に関しては、症状や障害のあらわれ方によって障害者手帳の交付対象とならないため、福祉制度のはざまに置かれていることや、福祉施策としてもまだまだ立ちおくれており、実施主体である自治体によって格差があるのが現状です。
調布市では、第2期調布市障害福祉計画の中には、こうした現状に対して支援が必要な方へは支援を展開していくとの姿勢のもと、国や都に先駆けて発達障害や高次脳機能障害への対応を図っていきますと心強い言葉でうたわれております。
そこで、現状と取り組みにつきまして5点お尋ねいたします。
1点目は、リハビリテーションが実施できる通所の場の整備についてです。
この障害は、事故や病気などで脳にダメージを受け、記憶力、注意力、遂行機能などが低下するといった後遺症が残ったため、回復に合わせて段階的な脳のリハビリが必要となっています。しかし、効果的なリハビリテーションが行われている医療現場や通所の場が少ないという実態があります。
私は、今回、この障害の支援が行政が主体となって取り組んでおられる葛飾区を視察させていただき大変参考になりました。
葛飾区では、平成17年度から高次脳機能障害者へのリハビリや訓練を行うなどのデイサービス――現在では生活講座に名称を変更しております――が実施され、昨年は
ボランティア養成講座を実施するなど、さまざまな支援が年々拡充されています。また、明年1月から土曜デイサービスも開始される予定で、行政と家族、ボランティアが協働して取り組まれていくそうです。
調布市内でも、高次脳機能障害者のリハビリが受けられる病院がないため、当事者の方々は市外の病院に通われている状況です。
また、医療におけるリハビリは180日までという制約により、医療的リハビリを利用する場も制限されています。その後は、自宅を中心とした地域での生活が始まるわけですが、再就労や家事などもとの生活に戻ることを目指すために、さまざまな障害に対しての改善や生活リハビリなどを行う通所の場が地域の中で整備されていくことが求められています。この点について現状とお考えをお聞かせください。
また、市内では、家族の方々が家族会を立ち上げて、関係する専門家のアドバイスを受けながら、さまざまなリハビリプログラムを考えて、大変な御苦労をされながら活動されています。
私は、直接、家族会での集いで、当事者や家族の皆様からお話を聞かせていただきましたが、当事者や家族が苦しんでいるとき、精神的につらいときなど、この家族会が大きな支えとなっていると認識いたしました。このような家族会が中心となって活動されている自主グループへの支援をさらに強化すべきではないでしょうか、お考えをお聞かせください。
2点目は、就労支援です。
言語や記憶などの機能に障害が生じる高次脳機能障害者の復職、就職は困難を抱えています。一般就労にはまだ難しい、かといって作業所にもハードルがあるといった人などさまざまですが、状態に応じた形で就労につなげていくための訓練施設や作業所などの整備や就労の場を拡充できるよう就労支援が必要であります。現状と取り組みについて、お考えをお聞かせください。
3点目は、相談支援体制の充実であります。
日常的なケアの大部分は家族の負担となっているため、福祉制度や利用方法などの情報提供やノウハウなど、相談体制の充実を図っていくことが求められています。
4月から新たに相談窓口が設置されていますが、市内外の高次脳機能障害者の支援にかかわる関係機関との連絡会を開催するなど、ネットワークの構築を図りながら、さらなる相談支援体制の充実を図るべきではないでしょうか。現状と今後の取り組みについてお聞かせください。
4点目は、市民への啓発活動についてです。
この障害は、外見ではわかりにくいために、見えない障害と言われています。脳の損傷した部分や、どの程度損傷したのかということによってあらわれる症状も異なることから、家族や周りの方々は、どのように理解して、どのように対応したらよいのか、大変苦慮されています。さらに、社会的にも認知度が低いことから周囲の理解が得られず、家族や当事者がとてもつらい思いをされています。
調布市では、障害者福祉のしおりに掲載をして、周知を図っていただきましたことは高く評価するところでございますが、より一層の市民への社会的理解を深めるために講習会や研修会の実施、パンフレットやリーフレットの配付など、行政としてさらに積極的な啓発活動の取り組みが必要ではないでしょうか、御見解をお聞かせください。
5点目は、地域で自立した生活する仕組みの整備についてお伺いいたします。
障害者が地域で生活を送るための支援として、自宅にヘルパーさんが来て家事などの支援を行うホームヘルプサービスと、共同生活を行う住居で家事などの支援を行ってくれるグループホームなどがあります。
高次脳機能障害者が地域で自立した生活を送れるためにも、生活課題にも対応できるような仕組みの整備が必要です。現状とお考えをお聞かせください。
また、地域生活を支える仕組みを検討する地域自立支援協議会が設置されておりますが、この協議会がどのような役割で、何を目指しておられるのか、この点についても御答弁をお願いいたします。
次に、2つ目の重度障害者(児)の家族の支援についてお伺いいたします。
まず、宿泊保護の短期入所施設の整備についてお伺いいたします。
デイセンターまなびやでは、平成21年度より土日、祝日の日帰り介護事業が開始されました。関係者の御努力により休日も利用できることになったことで、常時介護が必要とされる重度重複障害者(児)の家族への支援が一層充実されたことは高く評価するとともに、喜びの声が届いていますことをお伝えさせていただきます。
しかし、冠婚葬祭や疾病などの理由や保護者の休養が必要な場合など、短期間の宿泊を利用する場合、宿泊保護を行っている多摩市の島田療育センターや府中療育センターに2カ月前に予約することになっていますが、どこに連絡しても空きがない状況となっています。
島田療育センターでは、東京都のベッドが3つ、調布市独自のベッドが1つ確保されているにもかかわらず、ほとんど満床状態が続いています。府中療育センターも常に満床状態で、新規の受け入れは全く受け入れができない状態だとも聞いています。また、緊急一時保護の施設となっているにもかかわらず、利用したくても全く入れないといった大変な事態となっています。
先日、成育医療センターに入院されている重度障害児のお母様から御相談をいただいたのですが、成育医療センターでの治療の段階を超えて、療育センターに長期入所を希望しているのですが、3年前に申し込んでいるのに、いまだに入所できないとのことです。家族一緒に生活できるようにと、懸命に在宅での医療ケアも教わって準備を始めているのですが、短期間の宿泊や緊急時にも預かってくれるところがどこにもないといった状況では、精神的にも肉体的にも家族の負担が余りにも大きい。元気だった我が子がある日突然、意識がなくなり、命は助かったものの重度の障害が残り、その現実を受け入れるのも大変だった、何とか身近な地域で対応できるようにしていただきたいとの切実なお訴えをいただきました。
このような実態から、身近な地域で宿泊できる新たな短期入所施設先の確保を早急に進めるべきではないでしょうか。御見解をお聞かせください。
また、こういった家族からの声に対して、家族への精神的なケアも含めて、サポートできる相談窓口の体制が必要ではないでしょうか。病院のソーシャルワーカーさんは、福祉に関連する情報提供などの支援はされますが、障害を持つ家族へのカウンセリングは行っていないと聞いています。常時介護が必要とされていることから、精神的、肉体的な負担から、障害児への育児放棄や養育放棄などの問題も耳にしたことがあります。決して、このような事態にならないよう、社会で、地域で守り、支えていかなければならないと思います。ぜひ身近な地域で相談者の不安が解消できるよう、専門家による指導や助言など、精神面でもカウンセリングが受けられるよう、こういった相談窓口の充実を図っていただきたいと考えます。現状と御見解をお聞かせください。
次に、紙おむつの支給についてお尋ねいたします。
自分で排尿が困難な重度障害者(児)にとって、紙おむつは欠かせないものですが、毎月の紙おむつ代が平均して2万円ほどかかっているとのことで、経済的にも大きな負担となっています。
付き添いが常時必要なことから、思うように時間がとれず、働くことができない母親が多いともお聞きしています。日常生活の利便を図るため、日常生活用具が給付されていますが、その支給対象種目に紙おむつの支給対象者の要件が書かれています。それによりますと、3歳前からの状態と書かれており、つまり、3歳前に発病した障害児に対してのみ支給されると制限されております。
そこでお尋ねいたしますが、この3歳前という基準については何をもって定められたのでしょうか。また、ほかの自治体の中には、費用負担を一定額補助していると聞いております。ぜひ調布市におきましても、紙おむつの費用負担が軽減できますよう年齢基準要件の見直しを検討いただくことを強く要望いたしますが、いかがお考えでしょうか。周辺地域の現状とお考えについて御答弁をお願いいたします。
3つ目の知的障害者(児)の外出支援についてお伺いいたします。
移動支援事業は、一人では外出できない障害者(児)の支援を行うことで、地域での自立生活や社会生活を促す事業であります。しかし、外出をする際の送迎については、ガイドヘルパーの費用のうち1割負担で利用ができますが、付き添いのサービスについては全額が本人負担となっています。例えば買い物やどこかの施設に行った場合、送迎だけで付き添いや行動の支援がなければ外出に支障を来すことになってしまいます。
品川区では、全国初とうたって、今年度から知的障害者の外出を支援するため、独自の予算で付き添いのサポートをする取り組みがされています。
そこでお尋ねをいたしますが、調布市における付き添いサービスの現状についてお聞かせください。
また、個人的にプールを利用する場合、ガイドヘルパーの付き添いが送迎のみ認められている場合と、水の中まで入って利用者に付き添いを認めているところ、黙認しているところ、事業者の判断に任せているところなど、自治体によって見解もさまざまであります。事業者やガイドヘルパーさんへの責任や負担などを考慮しての判断であると理解するところでございますが、暑い夏には子どもをプールに連れていってあげたいという親の願いとして、水の中までの付き添いを要望する声が届けられています。個人的にプールを利用する場合の水の中までの付き添いについて、市の御見解をお聞かせください。
次に、大きく2点目の市民の安全と安心の新たな救急システムについてお伺いいたします。
ここでは、万一の緊急事態に救急医療情報キットの備えについて2点にわたりお伺いいたします。
平成21年度版高齢社会白書によりますと、平成20年10月1日現在の総人口は1億2,769万人です。前年と比較すると8万人減少していますが、65歳以上の高齢者人口は過去最高の2,822万人で、総人口に対する高齢化率の割合は22.1%となり、前年と比較してみますと0.6%ふえています。総人口が減少する中で、高齢者が増加することで高齢化率はさらに上昇を続け、平成25年には25.2%と4人に1人が高齢者であると推計されています。
このように、今後ますます高齢化が進む状況の中、核家族化による家庭も多くなり、高齢者の健康への心配がますます高くなり、家族も不安な生活を余儀なくされます。
また、公的機関の緊急出動については、いろいろな機関があり、私たちの生活を支えています。火災等による消防隊の出動、犯罪など警察の出動や自衛隊の緊急出動などがありますが、日常生活の中で最も多いのは救急隊の出動ではないでしょうか。
電話一本でいかなるときでも駆けつけてくれることは、市民にとって大変心強いことですし、日ごろの救急隊の御努力には頭が下がる思いでございます。
しかし、昨今、救急隊の出動回数が大変ふえているとお聞きしています。東京消防庁のホームページによりますと、平成20年度の出動回数は65万3,260件、1日平均1,785件で、実に48秒に1回の出動とのことです。中には救急車をタクシーがわりにしているなどの問題が救急現場の課題となっているようです。
そこで、早く正確に医療機関に搬送してもらうための手段として、医療情報の伝達方法についてお尋ねいたします。
特に高齢者世帯や障害者世帯、ひとり世帯など、いわゆる要援護者の医療情報に関する取り組みについてお聞きしたいと思います。
救急隊の搬送時間を短縮するためには、救急患者の現在の医療情報をいち早く知り、適切な医療情報を探すことが最も大事です。特に高齢者は身体的に急変しやすいことから、すぐにでも医療機関に救急搬送することが必要です。
そこでお尋ねいたしますが、市民の緊急時の場合の医療情報の伝達方法はどのように行われているのでしょうか。現状について御答弁をお願いいたします。
次に、迅速な救命活動に向けての救急医療情報キットを使った新たなシステムの取り組みについてお尋ねいたします。
港区では、昨年の5月から希望する区民に無料で救急医療情報キットが配布されました。この記事を読まれた調布市内のひとり暮らしの高齢者から、万一自分が倒れたときにどうすればいいのかと不安を感じていた。ぜひ調布市でも救急医療情報キットを配布してもらいたいとの御要望をいただきました。早速、現物がどんなものなのか見せていただこうと港区の保健センターに伺いましたところ、わざわざ足を運んでいただいたのでと1ついただくことができました。現物をお見せしたいと思います。
これが現物です。この救急医療情報キットの中には、あけますと緊急連絡先やかかりつけ医などの救急情報、このように入っているんです。これは、湿気に強いという特殊な紙になっているんですけれども、これに緊急連絡先やかかりつけ医などの救急情報とか、持病などの医療情報、薬剤情報、診察券、保険証の写しなどを自分で用意して、このキットの中に入れて冷蔵庫の中に保管しておきます。
市民からの救急通報の際には、駆けつけた救急隊員が医療情報の入ったキットを確認することで、搬送時や搬送先の医療機関でその情報を生かすことができます。それぞれの御家庭でいざというときのために防災グッズなどは備えてあると思いますし、持病をお持ちの方は、服用している薬などどこかにまとめて保管していると思います。しかし、急病時などで救急隊員が自宅に駆けつけた際に救急隊員は保管場所はわかりません。そこで、ステッカーがあるんですけれども、こういった同じマークなんですが、このステッカーを玄関の内側と冷蔵庫に張るんですが、こちら側がマグネット式になっています。冷蔵庫に張ることで、このキットがあることを示すようになっています。医療情報を冷蔵庫に保管する、このユニークなシステムは、米国ポートランド市が実施する高齢者の救急対応を参考に港区が考案されたそうですが、なぜ保管場所が冷蔵庫なのかは、冷蔵庫なら、どこの家庭にもあるので、すぐに目につくからだそうです。
また、このマークは、生命の星という意味がありまして、詳しくは時間の関係で省略いたしますが、世界の多くの国々で救急のシンボルマークとして使用されているそうです。
港区では、キットの配布を開始すると区民から予想を上回る反響があったそうです。担当者のお話では、自分が倒れたときにどうすればいいのだろうという不安を持つひとり暮らしの区民の安心感に直結したのだと思いますと言われていました。
ことし8月に新聞に掲載されてから、全国から視察や問い合わせが相次いでおり、既に北九州の一部、北海道夕張市、山梨県の一部、東京では日の出町でも取り組みが始まっています。京都府の一部の市では、命のカプセルと名前をつけて配布されているそうですが、今後、多くの自治体で実施されることが期待されています。
ぜひ市民の安全と安心を守るため、迅速な救命活動ができるよう救急医療情報キットを使った新たな救急システムの取り組みを要望するものでございますが、市の御見解をお聞かせください。
以上、大きく2点について御質問させていただきます。御答弁よろしくお願いいたします。
○大須賀浩裕 議長 答弁を求めます。長友市長。
◎長友貴樹 市長 内藤美貴子議員から大きく2点にわたる御質問をいただきましたので、私からは、制度のはざまにいる障害者(児)の支援に関する現状認識についてお答えさせていただきます。
まず、高次脳機能障害者についてです。
高次脳機能障害は、病気や事故などのさまざまな原因で脳が損傷されたために、言語、思考、記憶、行為、学習、注意などに障害が起きた状態を言います。原因として最も多いのが脳卒中ですが、交通事故による外傷性の脳損傷や脳炎、低酸素脳症などでも起こるとされています。
高次脳機能障害は、数年前までは一般国民はもとより、医療や福祉にかかわる専門家の間でも十分理解されておらず、診断、訓練、生活支援等の手法も確立していませんでした。そこで国や東京都では、支援手法の研究、開発が行われ、徐々に事業化が図られるようになっています。
また、重度障害者(児)についてです。
中でも重度の知的障害と重度の身体障害の重複した、いわゆる重度重複障害は、身体障害そのものが重いだけではなく、知的障害もあることから生活全般にわたる支援が必要となっています。そのため家族の介護負担が著しく、体調を崩される御家族もいる状況です。しかし、とりわけ特別なケアが必要なことから、制度上の規定はあっても、実際は活用できる施設や福祉サービスが限られている状況があります。
重度の知的障害者(児)については、その障害ゆえに自由な行動が制限され、社会参加の機会があっても家族や第三者の支援が必要な状況となっています。
こうした高次脳機能障害者や重度重複障害者、重度知的障害者は、これまで障害福祉制度があっても十分な活用が図られず、まさに制度のはざまに置かれた状況でした。
平成18年に施行された障害者自立支援法においては、高次脳機能障害が精神障害として規定され、サービスの対象となったほか、重度重複障害者へのサービスも生活介護や重度訪問介護など、十分とは言えないまでも活用の道が開かれつつあります。
また、地域生活支援事業において移動支援が規定され、国や市町村が取り組むべき方向が明確化されております。また、幾つかの市や区でも独自の取り組みが行われるようになっていることは議員御指摘のとおりです。
調布市としても、こうした制度のはざまに置かれたり、手厚いケアを要したりする方々に対する支援の重要性を認識しながら、障害福祉施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
そのほかの御質問については、各担当よりお答えさせていただきます。
○大須賀浩裕 議長 西田福祉健康部長。
◎西田雄次 福祉健康部長 私からは、制度のはざまにいる障害者(児)の支援について、順次お答えさせていただきます。
まず、高次脳機能障害者の支援整備についてです。
御質問のリハビリテーションが実施できる通所の場の整備についてお答えします。障害者自立支援法では、機能訓練や生活訓練などのリハビリテーションを行うサービスとして自立訓練が定められております。調布市では、長年、当事者によるリハビリや支援に当たってきた自主グループが活発に活動してきた経緯もあることから、これらの民間団体が施設を設置し、ノウハウを生かすことが重要だと考えています。このことから、活動場所を確保するための家賃助成や情報提供を行いながら、これら団体の支援に努めてまいります。
次に、就労支援に関する御質問ですが、現在、市内の高次脳機能障害者の中には、生活介護事業や小規模通所授産施設などのほか、地域活動支援センターなどでも利用実績があります。また、さきに述べた自立訓練施設に併設して就労継続支援などを実施することも可能です。こうした既存の施設の活用や新たな施設の設置支援を行いながら、就労促進に努めてまいりたいと考えております。
また、相談体制の充実ですが、調布市では障害福祉課やちょうふだぞうなどの相談支援事業所が窓口となっているほか、今年度から新たに東京都の高次脳機能障害者支援促進事業を活用し、社会福祉協議会に高次脳機能障害者の相談窓口を開設いたしました。この窓口では、高次脳機能障害者の方が集う場としてサロンを設置したほか、家族会の運営支援も行い、相談も徐々に増加してきています。
今後、この窓口の充実に努めながら、総合相談窓口として医療機関や東京都心身障害者福祉センター、作業所、家族会などの横の連携を図るために連絡会の開催なども実施してまいります。
次に、市民への啓発を進める取り組みについてですが、東京都が作成したパンフレットの活用や、家族、当事者、市民など各対象者向けの研修会の実施などが必要であると認識しております。このため来年2月を目途に、高次脳機能障害の理解と啓発をテーマにした講演会を開催する予定となっており、こうした取り組みを継続させてまいります。
次に、地域で自立した生活を送るための仕組みの整備についてです。
障害者自立支援法では、高次脳機能障害は精神障害の1つとして位置づけられており、居宅介護など法に定めるさまざまなサービスの利用が可能であり、現に利用されている方もいます。今後、障害者自立支援法のサービス基盤の整備を総合的に進める中で、高次脳機能障害者の生活課題にも対応してまいります。あわせて調布市では、相談支援事業や地域の障害福祉事業者などの関係機関によるネットワークシステムを構築し、その連携を図ることを目的とした調布市障害者地域自立支援協議会を設置しております。
市や相談支援事業所、当事者団体や作業所連絡会が参加しているこの協議会を通じて、高次脳機能障害者を含む障害者が安心して暮らせるためのネットワークのあり方について検討してまいります。引き続き高次脳機能障害者の相談窓口の充実を図り、家族会や当事者と協働しながら課題の解決に努めてまいります。
次に、重度障害者(児)の家族の支援についてお答えさせていただきます。
障害者の短期入所施設は、この10年で整備されてきており、知的障害者については市内のなごみや調布福祉園、トライアングルなどがあります。また、近隣のみずきや府中生活実習所等、肢体不自由者を受け入れています。重度重複障害者については、障害者自立支援法上の短期入所が都立府中療育センターや都立東大和療育センターに設置されておりますが、これだけでは不十分な場合もあり、多摩市の島田療育センターに調布市のベッドを確保し、利用に供しているところです。
しかし、議員御指摘のとおり、東京都の重度重複障害者施設における短期入所ベッドは、緊急対応の利用者がふえているにもかかわらず、看護師不足も影響し、減少している傾向にあり、柔軟な利用は難しい状況となっています。そのため調布市が確保している島田療育センターの利用率は高い状況を示しています。
こうした状況から、同様の課題を抱える府中、三鷹の2市と協議しながら、入所施設を活用した新たな入所先の確保について検討を開始しているところです。
次に、介護をする家族へのサポート体制の現状についてです。
障害児の介護については、その肉体的負担はもとより、子どもの障害を受容していく過程での精神的負担も大きく、家族支援は重要です。調布市子ども家庭支援センターすこやかでは、平成20年度から精神保健福祉士を配置し、家族の多岐にわたる相談に応じております。また、子ども発達センターでは、必要に応じて心理職等が支援するほか、学習会や家族同士の交流を通して障害理解や精神的安定を図る取り組みを行っています。
次に、紙おむつの支給についてです。
紙おむつは、平成18年度までは国の補装具制度として位置づけられており、国の基準に従って3歳までに発症した脳性麻痺者等を対象に支給されておりました。障害者自立支援法では、地域生活支援事業の日常生活用具に位置づけられ、市町村が独自の基準で支給することが可能となっておりますが、これまでの基準を準用しているところが多く見受けられます。調布市では、市民の要望を受け、支給対象とする障害の要件を緩和したところですが、近隣市の状況を踏まえ、年齢要件の緩和について前向きに検討してまいりたいと考えています。
次に、知的障害者(児)の外出支援についての御質問にお答えさせていただきます。
移動支援は、知的障害者や視覚障害者、全身性障害者など移動の手引きが必要な方がガイドヘルパーを利用した場合に、その費用を公費で賄うものとなっております。
調布市においては、移動支援として買い物の付き添いや会場内での行動の支援、コミュニケーションの支援なども認めております。しかし、ゲームやキャッチボールなど、レクリエーションの相手をする支援は移動支援の範疇とはしておりません。
議員御指摘のプール活動への付き添いに関しましては、東京都市部でも対象としていない市町村が大部分を占めており、また、その要件も移動かレクリエーションの支援か判然としない場合も多いことから、今後の取り扱いについては、他市の動向を参考にしながら慎重に検討してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
以上です。
○大須賀浩裕 議長 吉田危機管理担当部長。
◎吉田隆司 危機管理担当部長 私からは、市民の安全と安心の新たな救急システムについてお答えいたします。
最初に、緊急時における医療情報の現状についてであります。
調布市の救急体制は、現在、市内の消防署に3台配備されている救急車によって、迅速な救命措置や救急患者の搬送が行われております。昨年1年間の出動件数は8,706件で、1日1台当たり7.9回という高い出動状況となっております。出動事由としては、急病や一般負傷者の搬送、交通事故などへの出動が主なものであります。
また、総務省消防庁の統計によりますと、全国の救急搬送に占める高齢者の割合は、平成19年には46.5%に達したということでありますが、調布市におきましても高齢化率が上昇し、ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯が年々増加している状況にあります。
このような中、調布市では、平成19年に緊急時における医療情報伝達手段の1つとして調布消防署を中心に、医師会や市内の高齢者施設が協力し合って、調布市高齢者救急業務連絡協議会を設立し、施設入所者の円滑な医療機関への搬送を目的としたキュウキュウ(QQ)カードを都内で初めて作成いたしました。このカードには、施設入居者の病歴や入院歴、服用薬、かかりつけの病院、連絡先などが記載されており、現在活用が図られております。
導入から2年近くたつ中で、救急隊の現場での活動時間の短縮や施設からの救急要請数の減少など、確かな効果を上げていると伺っているところであります。
次に、迅速な救命活動に向けての救急医療情報キットを使った新たな救急システムの取り組みについてでありますが、市民の安全と安心を確保するためには、施設に入所している高齢者だけでなく、健康への不安を抱えている在宅の高齢者、持病や障害を持つ市民など、救急要請が必要となった際に円滑な救急搬送や適切な医療処置につながる医療情報が大変重要な役割を果たすものと認識しております。
議員御提案の救急医療情報キットは、隣近所とのつき合いの少ない都会や独居高齢世帯が非常に多い自治体等を中心に導入が進んできておりますが、救急医療情報の1つとして、今後のあり方を示唆する貴重な御提案と受けとめております。
現在、高齢者救急業務連絡協議会において実施しておりますキュウキュウ(QQ)カードの作成のさらなる拡大を図りながら、個人の医療情報を活用する救急隊を擁する調布消防署を初め、関係機関とも御相談させていただき、導入のいかんや救急システムのあり方などについて検討する機会を設けてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
以上でございます。
○大須賀浩裕 議長 1番、内藤美貴子議員。
◆1番(内藤美貴子 議員) それぞれ大変丁重な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
まず、制度のはざまにいる障害者(児)の支援について、それぞれの障害に応じた支援に関する現状認識を具体的に御答弁いただきました。
まず、高次脳機能障害者の支援整備ですが、リハビリを行う通所の場の整備に関しては、行政が主体となって行うといった方向ではなく、家族会など自主グループへの支援に努めていくと確認させていただきました。家族会では、症状の改善だけではなく、精神面でもこの家族会の存在が大きな役割を果たしています。行政としても、よりよい環境の中で継続的に活動ができますよう、できる限りの支援の拡充に努めていただきたいとお願いいたします。
重度障害者(児)の家族への支援についてですが、先に紙おむつの支給対象の年齢要件を前向きに検討いただけるとの御答弁をいただき、ありがとうございました。家族にとって、これまで長年にわたっての要望事項でありましたので、ぜひ実現に向けての御努力をお願いしたいと思います。
また、短期入所施設の現状ですが、調布市でも既に認識されていたとおり、事前の予約も緊急時に申し込んでもほとんど利用できないといった大変な事態となっております。国や都も含めての対策が喫緊の課題であることは重々承知しておりますが、新たな短期入所先について、ぜひとも調布市が先頭に立って早急な対策が図られますよう、再度お願いしたいと思います。
また、障害児の家族支援の精神的なサポートができる相談窓口につきましては、子ども発達センターでも平成20年度から18歳未満の障害児を持つ保護者を対象に相談窓口が設置され、専門家による精神的な安定を図る取り組みが開始されているとのことでした。
しかしながら、子ども発達センターでの療育につきましては就学前の子どもが対象であることから、相談窓口で18歳未満まで相談が受けられることが残念ながら余り周知されていません。かねてからの強い要望に対しまして御努力いただいたことは感謝申し上げますが、ぜひ、あらゆる機会と方法で積極的に普及活動を図っていただき、家族への支援を充実させていただきたいと思います。
いよいよ10月1日から福祉のまちづくり条例が一部改正され、ユニバーサルデザインの理念に基づいた福祉のまちづくりが推進されていきます。そこで何よりも当事者や家族の声が反映され、実情に合わせたユニバーサルデザインのまちづくりが構築されること、さらには心のバリアフリーの推進もあわせて取り組みが促進されることを期待いたします。
次に、市民の安全と安心の新たな救急システムですが、緊急時の医療情報伝達手段の1つとしてキュウキュウ(QQ)カードが作成されて、施設入居者を対象に活用されているとのことでした。都内では初めてということで、このような取り組みに対しましては高く評価するところでございますが、しかし、活用されているのが老人福祉施設だけであり、対象が施設入居者のみと限定されています。また、老人福祉施設が24ありますが、現在の活用は半分の12施設とお聞きいたしました。
救急医療情報キットにつきましては、在宅の高齢者や、持病や障害をお持ちの市民の方など、幅広い市民への安心感につながります。ぜひ全庁的な取り組みで新たな救急の仕組みが実現できますことを切に願いまして、私の一般質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
○大須賀浩裕 議長 以上で1番、内藤美貴子議員の質問は終わりました。
――――――――――― ―― ―――――――――――
54 19番 荻窪 貞寛議員
○大須賀浩裕 議長 次に19番、荻窪貞寛議員の質問を許します。
19番、荻窪貞寛議員。
〔19番 荻窪 貞寛議員登壇〕
◆19番(荻窪貞寛 議員) こんにちは。ただいま大須賀議長より発言の許可をいただだきましたので、一般質問を行います。議席番号19番、公明党の荻窪貞寛でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
初めに、今議会では、明年テレビ放映される「ゲゲゲの女房」についての話題がありました。私もおくればせながら、この10月、ドラマの原案となった水木しげる氏の奥さん、武良布枝さんの自伝を読みました。著者は、すべてを受け入れた人生で、赤貧の日々、つらかったけど不幸ではなかった。惨めで寂しかった、納得できなかったことが数多くあったが、人生は終わりよければすべてよしですよと言われています。また、今の時代は、家庭環境、結婚、就職など人生の入り口でどれだけ幸福をつかむかによって、その後のすべてが決まってしまうかのように思い込む人が多い。人生は入り口で決まるのではなく、選んだ道でどう生きていくかなんだろうと思うという大変印象的な語りでありました。心豊かな人生を強く生きておられるのだなと感動いたしました。若い世代の方々に人生のよきメッセージが込められております。
そこで、明年は水木しげる御夫妻が結婚し、調布に来られて50周年を迎えると思われます。そして、テレビ放映にちなみ石碑の建立も考えられるのではないでしょうか。質問通告しておりませんので答弁は入りませんが、御検討をお願いいたします。
さて、一般質問は大きく2点、廃止が表明されている後期高齢者医療制度について、そして、市民生活の安心・安全を高める消防行政についてであります。
まず、廃止が表明されている後期高齢者医療制度について質問いたします。
9月16日、政権交代が起こり、鳩山内閣がスタートしました。何人かの閣僚からはマニフェストを盾に、これまでの政策の大転換を矢継ぎ早に打ち出し、政権交代の実感が日々強まっております。今、新内閣に対して評価と不満、不安、そして展望なき先送りに危うさを感じております。目指している政治主導はどこまで定着するのか、真価はこれから問われてまいります。
では、75歳以上の後期高齢者医療制度の廃止についてであります。
昨年5月23日、民主党は、社民党、国民新党、共産党の3党とともに、現行の制度を廃止し、旧来の老人保健制度に戻す法案を提出されました。その法案は参議院で可決しましたが、前政権下では成立は見ませんでした。一方、政権が交代し、新政権の鳩山総理は、所信において現行の制度の廃止を明言し、新たな制度を検討すると表明されました。
実は、私は、前広瀬議長の命を受け、調布市議会を代表し、後期高齢者医療広域連合議会に出向しておりました。そこで20年4月から始まった現行医療制度の円滑な運営を目指すため、準備段階から本年6月までかかわってまいりました。
ここに19年10月31日の広域連合議会全員協議会の私の発言の会議録がありますが、制度設計の部分、主に負担増を強いることのない保険料の設定を要望しておりました。制度の周知には都知事と厚労大臣への要請、そして後期高齢者の方々には丁寧な説明で協力をいただけるよう要請してきただけに、このたびの制度の廃止の表明を大変残念に思っているところであります。
昨年の民主党を中心とした廃止法案では、旧来の老人保健制度に戻すとの方向を示しながら、今度は新たな制度を検討するとありました。明らかに矛盾しております。また、廃止すると言いながら、方針転換の説明もなく、何の具体策も国民に示さないのは、一方で現制度を運営しておきながら、余りにも無責任であると指摘せざるを得ません。
私は、制度の廃止を主張するには、必ずや現行制度の課題を超える具体的な案を示し、比較相対の上で表明すべきと考えます。その意味から、廃止の根拠やその裏づけとなるデータを示すことのない無責任なやり方に不満と不安が高まっていると申し上げたい。
そもそも老人保健制度では、医療費を支援する現役世代の負担額がわかりづらく、今後、高齢者医療費の増大が続く中で、現役世代の負担が際限なく膨らみかねないという心配が強くあったわけであります。また、高齢者の多い市町村では、国民健康保険が財政破綻の危機に陥っていたこともあります。さらに、国民健康保険の保険料格差も北海道から九州にわたり最大5倍もあるなど、問題点があり、10年以上も前から指摘され、その解決のために現行制度が導入されたのであります。
厚生労働大臣は、4年以内の廃止を目指すとか、政治主導と言いながら、新制度の検討を厚労省の役人に指示したとの報道もあります。新制度はどのような内容なのか、そのスケジュールも含め明確になっていません。
したがって、新制度の具体像が示されていない今、当面は少なくとも現行制度の課題を改善し、高齢者の安定的な医療の確保に取り組むべきであります。特に所得が低い方の外来の自己負担限度額の大幅な引き下げや、保険料の均等割の9割軽減や所得割の5割軽減など、その措置については継続すべきであります。
そこで、廃止に向けてこのような大きな動きのある中、現行制度を直接運営している市長に具体的に質問します。
まず、厚生労働大臣が初閣議後の記者会見で後期高齢者医療制度について、民主党のマニフェスト、政権公約で廃止を明言している、年齢で区分して1つの保険制度に入れるのは無理があると述べられたことを初め、多くの新政権の要人が廃止を表明されています。これらについて、市の見解を伺います。
次に、現行制度の廃止後、今、国民健康保険と被用者保険を統合した地域医療保険への一本化が検討されているともお聞きしますが、具体的なイメージが描かれておりません。今出されている考え方で廃止になった後、老人保健制度が復活され、国民健康保険制度はどのような状態になるのかをお聞きしたいと思います。
続いて、今後、超高齢社会の突入に当たり、社会保障の1つである医療、特に高齢者がいつ、どんな病気になっても安心して医療が受けられるための守られるべきポイントをどのように認識しているかをお伺いします。
現実の問題としては、繰り返しになりますが、新制度設計のでき上がるまで待つことなく、現行制度をさらに改善し、より高齢者の安定的な医療の確保に努めるべきであります。
そこで、現行制度で間もなく2年間になろうとしている中で見えてきた課題と、2年ごとの保険料の見直しの検討時期にも入っておりますので、その動向をお聞かせ願います。
次に、市民生活の安心・安全を高める消防行政について質問いたします。
昨年の10月、脳内出血した妊婦が7つの病院で受け入れを拒否され、都立墨東病院で死亡するという痛ましい事故がありました。市議会でも議論がありました。今、新型インフルエンザの本格的な流行で、各地の医療機関の救急外来はパンク寸前とも言われております。近年において救急患者がたらい回しに遭うなどして命を落とす悲劇が相次いで報道もされており、救急医療のあり方が問われているところであります。
救急医学の専門家が言われるには、たらい回しは医療機関の受け入れ拒否ではなく、受け入れ不能の状態を言う。その背景には、1つ、救急医療を担う医師の確保が困難なこと。2つは、過酷で重労働の割に救急診療は経営上、不採算のこと。3つは、医療訴訟のリスクが高いことなどを挙げています。その結果、救急をやめる医療機関がふえ、しわ寄せが地域の基幹病院や救命救急センターに集中し、その過重労働がさらに医師不足を招くという悪循環に陥っているということであります。
それでは、どうしたらよいか。再びその専門家は、救急医療は人間の安全保障という視点で、欧米では救急医療が法的に整備されています。日本では、NHK海外ドラマ「ER緊急救命室」で有名であります。24時間365日、すべての救急患者を受け入れ、初期治療を提供するものであります。結論からして、受け入れ拒否しないことに法的強制力を持たせない限り、国民の期待に漏れなくこたえることはできないと断言されています。法に基づく救急医療を国の責務と位置づける救急医療基本法が必要であると叫ばれております。
法整備については、ここではこれ以上触れませんが、法の必要性とともに、救急車、医療機関、医師や看護師などの数も無限でないこと、限られた社会的資源として救急医療への理解も必要であります。
ところで、東京の救急医療は、患者の増加や医師、看護師の不足などにより非常に厳しい状況にあり、東京の都市が抱える課題の1つであります。その上、少子高齢化の進展により、救急医療の需要は一段と高まっていくことは予想できます。資料による昨年の救急搬送の状況でありますが、58万件でありました。そのほとんどはスムーズに受け入れられているとのこと。しかし一方で、時間がかかった搬送困難事例が3万5,000件発生しております。驚くべき数字であります。
また、12月4日付の新聞報道では、119番通報から医療機関が収容するまでの平均時間が発表されておりました。総務省消防庁によるもので、都道府県別最長は東京の49.5分、次いで千葉が40.7分、埼玉が40.6分など、首都圏のおくれが目立っていました。今後、市民、都民の命を守る救急医療体制の運用や状況を折々に検証し、その体制の充実強化に努めなければと痛感するところであります。
そこで具体的に質問いたします。
このように増大し、かつ多様化している救急需要に対応する救急体制の現状と課題についてお伺いします。
次に、さきに申し上げた都立墨東病院で死亡した問題を契機に、東京消防庁を中心に救急患者の命を守る仕組みづくりが大きく動き出しているとの認識を持っております。そこで8月31日にスタートした全国初の東京ルールを踏まえた救急医療の強化について、市民にメッセージを発信する意味から、その概要をお伺いいたします。
続いて、消防庁舎でありますが、私は消防署に毎年何度か伺う機会があります。そこでは、消防署員の方々がいつ出動命令があってもスピーディーに対応できるよう、きびきびとした態度を見ることができます。しかし、老朽化した建物や訓練場所などを目にするとき、驚く場面もありました。言うまでもなく消防庁舎は、火災、水防、交通事故を初め、震災などの大規模災害に迅速かつ的確に対応することが求められる拠点であります。その意味で、消防庁舎の耐震化と、その機能性の確保が図られなければなりません。今後、消防庁舎、本署、出張所の整備計画について、消防装備とあわせて、その見解を伺います。
以上、大きく2点質問いたしました。よろしく御答弁をお願いいたします。
○大須賀浩裕 議長 答弁を求めます。長友市長。
◎長友貴樹 市長 ただいま荻窪貞寛議員から大きく2点にわたり御質問をいただきました。私からは、後期高齢者医療制度のうち、廃止理由についての市の見解と高齢者の医療を確保するためのポイントについてお答えいたします。
後期高齢者医療制度は、原則として75歳以上の方を対象として平成20年4月から開始されました。現在、同制度は2年目ですが、本年9月に発足した新政権下では、マニフェストに基づき後期高齢者医療制度を廃止するとしています。長妻厚生労働大臣は、その理由の1つとして、年齢で区分をして、医者にかかりやすい方を1つの保険制度に入れていくというのは無理があると表明されておられます。
高齢化の進展や高齢者の医療費の増大、また、健康保険組合の拠出金の増加などを解決するために、我が国では、約10年間にわたって医療制度の抜本的な改革を目指して議論が進められてきました。そして、平成18年度の医療制度改革により新たな高齢者の医療制度が開始されることとなり、これが現行の後期高齢者医療制度であります。
しかしながら、この制度は、導入された当初から高齢者を75歳で一律に線引きすることや保険料負担などをめぐり高齢者からの大きな反発を招きました。高齢者に対する医療制度については、高齢者の生活実態の把握や高齢者自身の心情にも十分配慮し、制度上の事前説明を丁寧に行わなければ、医療制度に対する信頼性が失われ、安定した制度運営ができないことにもなりかねません。こうしたことを背景に、現在、市町村単位で運営されている国民健康保険制度の見直しも視野に入れた医療制度全体を再設計するために廃止を明言されたものと理解しております。
次に、高齢者の医療を確保するための守られるべきポイントについてお答えいたします。
高齢者の医療を確保するためには、何よりも国民皆保険制度を堅持していく必要があります。その上で、高齢者が無理なく負担できる適正な保険料と医療費の自己負担額が設定されていること。また、医療供給体制の整備と医療機関へのアクセスが確保されていることなどが重要なポイントであると考えています。
我が国の長寿社会の度合いは世界一と言われており、その中での高齢者医療については、制度設計は決して容易ではありません。持続可能な医療制度を確立するためには、財源問題を初め大きな課題がありますが、高齢者が安心して医療にかかれるよう関係機関と連携を図ってまいりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
その他の御質問については、担当よりお答えいたします。
○大須賀浩裕 議長 荻原保健担当部長。
◎荻原久男 保健担当部長 私からは、後期高齢者医療制度の廃止による影響と現行制度の課題、さらには平成22年度以降の保険料の動向についてお答えいたします。
まず、現行制度を廃止し、老人保健制度に戻すことについてですが、後期高齢者医療制度の8割以上の方が国民健康保険の被保険者であったため、国民健康保険の運営においてさまざまな影響があります。資格の管理を初め、被保険者証の交付や国民健康保険税の賦課、徴収を再開することとなり、一般会計や特別会計にも多大な影響を与えます。また、後期高齢者医療制度の被保険者の中には、被用者保険に加入されていた方もおり、医療制度全体に大きな影響を及ぼします。
さらに、老人保健制度に戻すことになりますと、コンピューターシステムの改修に多大な費用を要するとともに、職員配置や現行の組織の見直しにも影響があります。
このように、老人保健制度に戻した後、新たな制度に移行することは、短期間に制度上の大きな変更が繰り返されることとなり、高齢者のみならず医療機関に対しても大きな混乱と不安を生じさせる可能性が高いものと思われます。
次に、現行制度の課題についてですが、制度開始直後の混乱やたび重なる制度の見直し等がマスメディアにより連日大きく報道されました。制度がわかりにくい、高齢者に冷たい制度などの反発も多く、さまざまな見直しにより制度の定着は徐々に進んだものの、いまだ後期高齢者に理解されていない現状にあると言わざるを得ません。
また、同制度では、後期高齢者医療広域連合が保険者となります。広域連合は、医療給付及び保険料の賦課決定等を行い、区市町村が医療給付の受付及び保険料の徴収等を行うことで両者が役割分担をしています。
しかしながら、保険者である広域連合の認知度が低く、広域連合と市の役割分担がわかりにくい、後期高齢者の声が直接届かないなどの課題も指摘されているところです。
次に、平成22年度以降の保険料の動向についてお答えいたします。
後期高齢者医療制度は、2年ごとに保険料を見直すこととなっています。東京都広域連合では、現在、保険料を決定する最終段階を迎えていますが、東京都広域連合が独自に実施してきた4項目にわたる軽減策については、平成22年度以降も継続し、保険料の負担軽減に努めることとしております。
厚生労働省の発表によると、来年4月の保険料改定では、今年度に比べ全国平均で13.8%上昇すると見込まれています。そのため厚生労働省は、平成20年度及び21年度の余剰金の全額活用と財政安定化基金の取り崩しを行い、保険料の増加を抑制するよう全国の区市町村に要請したところです。
東京都広域連合では、現行の均等割が3万7,800円、所得割率が6.56%ですが、平成22年度、23年度においては均等割が4万900円、所得割率が8.17%になると試算を行っています。しかしながら、来年度には診療報酬の改定があり、そのことによる保険料の改定に及ぼす影響が不明であることから、正確な保険料を現時点で提示することは難しい状況であります。
なお、新しい保険料については、平成22年1月に開催される東京都広域連合議会で正式に決定される予定であります。
調布市としては、今後とも国の動向を注視するとともに、広域連合などの関係機関と連携を密にし、高齢者が安心して医療の提供が受けられるよう努めてまいりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
以上でございます。
○大須賀浩裕 議長 吉田危機管理担当部長。
◎吉田隆司 危機管理担当部長 私からは、消防行政について、順次お答えいたします。
初めに、東京消防庁管内の救急搬送患者数の現状ですが、年間約58万人の方が救急搬送されていますが、このうち選定困難事案と言われている医療機関の選定開始から決定までに30分以上要したもの、または5つ以上の医療機関に搬送の連絡を要したものなど、搬送先がスムーズに決まらなかった方は全体の6%に当たる約3万5,000人となっております。
この中で、昨年10月に脳内出血を起こした妊婦が救急搬送に時間を要した上、亡くなられた事案は大変痛ましいもので、当時の救急医療体制の問題点が浮き彫りになりました。
このような事案が発生した背景には、救急搬送患者の増加や救急医療機関の不足、また夜間対応病院の混雑などが考えられます。
このため東京消防庁、東京都医師会、東京都福祉保健局が連携して、従来からの搬送先医療機関を選定する仕組みに加えて、新たに救急医療の東京ルールを策定し、本年8月31日からその運用を開始しました。
その内容といたしましては、ルール1として救急医療機関相互の地域ネットワークの構築による救急患者の迅速な受け入れ、ルール2として救急のさまざまな場面でのトリアージの実施、ルール3として都民一人一人の理解と参画による医療機関等の適切な利用、この3項目をもって都民の救急医療の約束とするものであります。
また、スーパー総合周産期センターの構想により緊急性の高い妊婦の受け入れについてもスムーズにできる体制が整備されました。周産期搬送システムが強化され、東京消防庁の司令室に24時間体制で助産師等の周産期搬送コーディネーターの配置が行われ、全都的な母体、新生児の搬送調整により、搬送先選定困難事案の減少と選定時間の短縮に効果を上げております。
なお、平成22年3月には、多摩総合医療センターと小児総合医療センターが府中市に開設される予定があり、小児医療の充実を含めた多摩地域の医療拠点が整備されます。
これら救急医療の東京ルール等の市民への周知につきましては、今後、消防署と連携をとりながら、市報や市のホームページなどを活用して広めてまいりたいと考えております。
次に、救急出動における近隣の消防署からの救急隊の応援体制につきましては、東京消防庁では、火災発生時の消防車の出動と同様に、原則として直近にいる出動可能な救急車が東京消防庁総合司令室からの要請に応じて現場に向かう応援体制が整備されております。
次に、調布消防署と市内3カ所の出張所の耐震化の現状についてでありますが、調布消防署とつつじケ丘出張所、深大寺出張所については、東京消防庁の耐震基準を満たしておりますが、国領出張所が基準を下回っている状況にあります。このため国領出張所の改築を早急に行っていく必要があり、現在、東京消防庁と協議を行っているところであります。
調布消防署につきましては、昭和39年と48年の2期にわたって建設された施設であり、いずれも老朽化が進んでおります。また、議員御指摘のとおり、署員が狭隘な場所で訓練を行っている状況もあり、東京消防庁からは、国領出張所の次に調布消防署の施設の建てかえの予定が示されております。
消防署の施設は、市民の安全・安心のかなめであり、大地震などの災害時には被害を最小限にしなければならないことから、調布市といたしましても積極的に施設改善の推進に努めてまいりたいと考えております。
最後に、近年、建設された市内の高層ビルの火災発生時に消防署の装備が対応できる状況にあるのかという御質問ですが、現在、東京消防庁では、山間部を除く管内のすべての署隊に30メートル級のはしご車の配備を完了しており、おおむね10階から11階の建築物について消火活動が可能であります。また、消防法により7階以上の建物につきましては、連結送水管の設置、11階以上、31メートルを超える建物については、スプリンクラー設備が設置されております。さらに、建築基準法により31メートルを超える建物には、非常用エレベーターの設置が義務づけられていることから、高層階での火災に対応できる状況にあります。
消防行政につきましては、救急業務を含めた常備消防に関する事務を東京消防庁に委託しておりますので、今後も調布消防署との連携を密にしながら、市民生活の安全・安心を高めてまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りますようお願い申し上げます。
以上でございます。
○大須賀浩裕 議長 19番、荻窪貞寛議員。
◆19番(荻窪貞寛 議員) 御答弁をいただきました。ありがとうございます。再質問を行います。
まず、後期高齢者医療制度について3点、そして、消防行政について2点であります。
最初に、後期高齢者医療制度については、まず申し上げたいことは、市長の答弁の内容になりますが、20年4月にスタートしたばかりの後期高齢者の重要な医療制度を廃止することの見解を私は求めたところであります。しかし、市長の答弁では、10年間論議して医療制度改革を目指した制度に大きな反発を招いた、制度に対する信頼が失われ、安定した運営ができないことになり、国民健康保険の見直しも視野に入れた全体の再設計するために廃止を明言されたものと理解するとありました。市長は、廃止に至った背景を述べていただいただけで、ぜひ後期高齢者医療制度の廃止表明にかかわることに対してメッセージのある意見を求めたいと思いますので、もう一度、廃止についての見解をお願いいたします。
続いて、高齢者の医療制度で守られるべきポイントについてお尋ねいたしました。答弁では、皆保険制度を堅持することを前提に、1つ、高齢者の適正な保険料と医療費の自己負担額の設定、2つ、医療供給制度の整備と医療機関へのアクセスの確保が市長から答弁がありました。
まず、現行制度において市長が言う、守られるべき点が反映されているのかいないのかをお聞きしたいと思います。その上で、私は、次の2点をお年寄りの制度について欠かしてはならないという考えでございます。1つは、少子高齢化の視点で高齢者医療費の大幅な増加、それとともに国の大幅な財政投入、この点も大事な点であろうと思っております。2つは、高齢者医療を若年、現役世代がどのように支えていくか、こういうポイントも大事な点であろうと思っております。したがいまして、この点についてお答え願います。
続いて、廃止に伴い老健制度に戻すことについてであります。廃止理由の中に年齢区分のことが言われておりますが、旧来の老健制度も年齢で区分した制度の1つではないかと思っております。いかがでしょうか、お答えをお願いいたします。
続いて、部長の答弁では廃止した場合、国民健康保険の運営にもさまざまな影響が生じ、一般会計や特別会計に多大な影響を与えると言われましたが、どの程度なのかをお答えいただきたいと思います。
さらに、大きな混乱と不安を生じさせる可能性が高いとありました。これは大変重い発言であります。また、一方では責任感のあらわれと思っております。それでも廃止すべきということであるならば、市は、このような混乱と不安な状況を乗り越えるに足る制度設計を国に求めることもできると考えます。さらに、廃止論議は感情的な反発もあり、制度の根幹を見えにくくしていて、初めに廃止ありきは的外れであると再考を促すことも可能ではないでしょうか。このように考えます。御答弁をお願いいたします。
次に、消防行政についてであります。
2点お尋ねをしたいんですが、その前に救急医療について、私も折々、今回の質問に当たり調べてまいりまして、また、いただいた答弁を合わせて整理してみました。私のほうから申し上げますと、1つは、東京消防庁、東京都医師会、東京都福祉保健局が連携して搬送先医療機関を選定してきたところを、新たに緊急医療の東京ルールを策定し、8月31日からスタートされたということでありまして、東京ルールの内容は答弁のとおりでありますが、搬送先医療機関の選定の仕組みに加え、迅速な受け入れ体制を強めていくこととなったという理解をいたします。
2つは、具体的なことでありますが、直接市民生活の安心・安全を高めるとして、母体救命搬送システムが導入されたことであります。特に先ほども申し上げました、社会問題となりました緊急性の高い重症の妊婦の受け入れは、総合周産期センターとして品川の昭和大病院、渋谷の日赤医療センター、板橋の日大医学部附属板橋病院、この3病院を指定して体制が整備され、中等以下の妊婦の方に対しては、東京消防庁による周産期搬送コーディネーターの配置により効果を上げているということであります。
3つ目は、小児医療についてでありますが、明年の22年3月に府中に小児医療センターが完成される。そのセンターには、新生児集中治療室、NICUが24床計画されております。あわせて、子どものおもちゃの誤飲から突然症状が悪化する病気に必要な体制づくりのため、子ども救命センターの創設も予定されている。以上のことを確認させていただきました。このように緊急医療体制が明らかに強化され始めたという感を深くしているものであります。
その中でお尋ねしたいのは、1つは、緊急医療東京ルールの1つであるトリアージの実施についてであります。さまざまな場面で行うということでありますが、もう少し詳しく御説明をお願いいたします。特に福知山線脱線事故のときにも問題になったことでありますので、よろしくお願いします。
続いて、お尋ねする2点目は、消防庁舎の耐震化についてであります。
東京消防庁の耐震基準をもとに計画されているとありました。その基準と市内の消防署、各出張所などどのような耐震診断がされているかをお答えください。また、訓練設備など、機能面では都内多方面に配備されている庁舎等の違いを紹介してください。消防庁の設備計画と市の計画行政のかかわりもお尋ねしたいと思います。
以上、再質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
○大須賀浩裕 議長 答弁を求めます。長友市長。
◎長友貴樹 市長 再質問にお答えします。
最初に、後期高齢者医療制度の廃止理由についてですが、私は、75歳という年齢による区切りや保険料の問題を中心に答弁を申し上げました。その趣旨は、制度導入の準備期間を振り返りますと、消えた年金問題に代表されるように、いわば年金不信が渦巻く中で保険料を年金から徴収すること、また、年齢による区切りは感情的な声もありましたが、同一世帯の中で加入する医療保険が分断されてしまうことなどを念頭に、高齢者からの大きな反発を招きましたと申し上げました。
制度が複雑であればあるほど丁寧な説明が必要であることは当然でありますが、制度の詳細が国においてなかなか固まらない中、調布市としても制度開始までのごく限られた期間において最大限の努力をいたしてまいりましたが、結果としては、PR活動などが不足し、高齢者の方に混乱や不安を与えてしまったことは遺憾であります。
次に、高齢者の医療で守られるべきポイントにつきましては、国民皆保険制度の堅持を重要視した上で、その他、保険料や医療費の負担のあり方や医療の供給体制などについて重要なポイントであると認識していることをお答えいたしたところです。
我が国の高齢化や医療の現状を踏まえると、高齢者医療の制度設計は決して容易ではありませんが、後期高齢者医療制度においても、これらのポイントを反映できている面とできていない面があると認識しております。
次に、高齢者の医療に欠けている点につきましては、議員御指摘のとおりであります。私も同感であります。高齢者の医療には、国による財政支援と現役世代による相互扶助が不可欠であると考えています。
その他の再質問につきましては担当よりお答えいたします。
○大須賀浩裕 議長 荻原保健担当部長。
◎荻原久男 保健担当部長 私からは、後期高齢者医療制度を廃止して老人保健制度に戻すことの影響に関する再質問についてお答えいたします。
まず、老人保健制度も年齢で区分した制度の1つではないかとの御質問がありました。老人保健制度は、加入している医療保険が就労状況や地域によって異なりますが、75歳に到達した月の翌月から医療給付のみを老人保健制度で賄う制度であります。したがって、医療給付に関してのみ年齢で区分した制度であると言えます。
次に、老人保健制度に戻したときの一般会計や特別会計への影響ですが、財務会計システムの変更や会計上の処理に大きな影響があります。老人保健制度に戻すことによって特別会計を設置、または廃止したり、繰入・繰出金を調整したりするほか、その他の事務処理にも影響を及ぼすことになります。
次に、廃止に伴う混乱と国への要望です。
市町村は、市民に身近な自治体として直接高齢者の方々と接していることから、たび重なる制度の変更による混乱は避けるべきであると考えます。この件について、全国市長会では、国に対して、被保険者を初め現場に混乱が生じることがないよう自治体の意見を十分尊重すること、必要な準備期間を設けかつ国民の理解が得られるよう積極的、主体的に広報を行うことを要望しています。
また、医療制度については、すべての国民を対象とする医療保険制度の一本化に向けて、国または都道府県を保険者とする国民健康保険制度の再編、統合を早急に検討することを提言しております。
調布市においても、国民健康保険事業の運営上の諸問題から、全国市長会の要望と提言が早期に実現することを望んでいるところです。
国においては、高齢者医療制度改革会議を立ち上げ、高齢者の医療制度について本格的な検討が始まったばかりでありますが、その動向に注視しながら、現行制度においても高齢者の方々が安心して医療にかかれるよう努めてまいりますので、御理解を賜りますようお願いいたします。
以上でございます。
○大須賀浩裕 議長 吉田危機管理担当部長。
◎吉田隆司 危機管理担当部長 私からは、東京ルールと消防署の施設について、大きく2点にわたり再質問をいただきましたので、お答えさせていただきます。
初めに、東京ルールの1つであるトリアージの実施についてであります。
緊急性の高い患者の生命を守るためには、迅速かつ効率的に搬送や治療を行うことが重要であります。そのためには、傷病者の重症度に基づき搬送可否の判断などを行うトリアージが必要となります。東京ルールでは、救急隊が現場に到着した段階で、このような緊急度によって救急医療の要否を判断する搬送時トリアージや、搬送された医療機関における診察結果に基づき重症度を判断する病院内トリアージなど、さまざまな場面でトリアージを行うことになっております。
次に、消防庁舎の耐震化における東京消防庁の耐震基準の内容と市内の各施設の耐震診断状況についてでありますが、東京消防庁の耐震基準は0.65以上と定められております。市内の各施設の耐震数値は、調布消防署が0.78、国領出張所が0.51、深大寺出張所が1.00、つつじケ丘出張所が1.12という状況であります。
続きまして、都内各消防署施設との機能面での違いでありますが、調布消防署管内の各施設とも、近年改築された施設に比べますと災害システムなどの機能に違いはないものの、敷地の狭隘さや庁舎の老朽化は否めない状況です。
また、東京消防庁の整備計画と市の計画行政とのかかわりについてでありますが、東京消防庁では、施設の耐震化を第1とし、老朽化の改善を第2の優先順位として整備計画を立てております。調布市といたしましては、東京消防庁の整備計画に合わせて、市内の消防署各施設の改善の推進に努めてまいりますので、御理解を賜りますようお願い申し上げます。
以上でございます。
○大須賀浩裕 議長 19番、荻窪貞寛議員。
◆19番(荻窪貞寛 議員) 再質問に対します御答弁ありがとうございました。では、まとめに入ります。
今回、私の一般質問は、大きく後期高齢者医療制度と消防行政でありました。それぞれの中で、私の考えや要望を多く申し上げたと思います。今後の取り組みの中で取り入れていただければと期待いたします。
ただ、印象に残ったことを申し上げますと、最初の後期高齢者医療制度では、市長は二度にわたり制度には一長一短があると言われました。正直言ってお年寄りの命にかかわる制度に対し、それは理解できません。何を基準にそのような言葉をお使いになるのか、一長の長は何か、一短の短は何かを聞きたいくらいであります。市長としてもう少しエネルギーが感じられる発言をお願いしたいと思います。
消防行政では、特に救急医療体制についてでありますが、これからも常に不断の強化が求められることであります。今回の質問を通して改めて気づいたことは、消防庁舎のメンテナンスや修繕を初め、救急業務を当然とする消防事務の委託であります。毎年、市は、東京都に約23億円を超える事務委託料を支払っております。その意味から、消防事務全般にわたる市の管理意識が少しでございますが、転倒している様子も見られましたので、このことも申し上げたいと思います。
このようなことを申し上げまして、以上で私の一般質問を終了いたします。大変ありがとうございました。
○大須賀浩裕 議長 以上で19番、荻窪貞寛議員の質問は終わりました。
ここで暫時休憩いたします。
午後 0時 0分 休憩
――――――――――― ―― ―――――――――――
午後 1時19分 開議
○大須賀浩裕 議長 本会議を再開いたします。
――――――――――― ―― ―――――――――――
55 3番 福田 貴史議員
○大須賀浩裕 議長 続いて3番、福田貴史議員の質問を許します。
3番、福田貴史議員。
〔3 番 福田 貴史議員登壇〕
◆3番(福田貴史 議員) 皆さん、こんにちは。民主・社民の会、民主党の福田貴史でございます。ただいま議長より発言のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
今回は、大きく2点、介護の現状と課題について、また、行政刷新会議が始めた事業仕分けについて質問させていただきます。ほかの議員の方々と質問が重複するかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
本定例会では19人の議員の皆さんが通告を出されていますが、私で11番目、ちょうど折り返し点を少し過ぎたところでございます。また、本定例会からインターネット中継も始まりました。より多くの皆様に議会の模様を見ていただくことができるようになり、大変画期的なことだと思っております。
では、まず介護の現状と課題についてであります。
私は、昨年、そして一昨年とそれぞれ第2回の定例会で同様の質問をさせていただきましたが、今回も同様の質問をさせていただきたいと思います。
介護保険制度は、2000年に制度が創設され、来年は10年目、節目の年を迎えます。ある資料によりますと、2000年度3.6兆円だった財政規模は、2008年度には7.4兆円とほぼ倍増、利用者も150万人から370万人へと激増いたしております。今後さらに少子高齢化が進むことが予想される我が国においては、大変深刻な問題であり、今からその将来について考えておくこと、備えておくことがとても重要であると考えております。
また、市内に目を転じてみれば、平成17年度現在で17.3%だった高齢化率は、20年には18.2%にまで上昇しています。また、第4期調布市高齢者福祉計画によりますと、現在、市内に6,681人いる要支援、要介護者は、平成26年度には8,695人にまでふえる見通しであります。また、施設に申し込みをしている人の中には、何年待ってもなかなか入所できないという人も大勢いらっしゃると思います。
そこで、まず、市内の特養ホームの待機者数の増減、また、その傾向についてもお伺いいたします。
増加を続ける要介護者に対し、施設の整備はなかなか進んでいないという現状があります。9月11日付の毎日新聞の報道によりますと、厚生労働省が発表した2006年度から2008年度に全国の自治体が計画した介護保険施設の整備状況は、総計画数の11.5万床に対し実績は8.1万床、71%にとどまっているということでありました。都道府県別に見てみますと、東京都は整備率44%と京都府に次いで低い達成率にとどまっています。
市内にある
介護保険ちょうふ市民の会が活動を通してまとめた平成20年度課題の提起の中でも、このような指摘があります。明らかに入所施設は不足しており、特に認知症や医療依存の高い場合は、適切な医療施設が著しく不足しているため、行き場を失うなど深刻、早急な整備を望む、このような指摘があります。
実は私ごとで恐縮ではありますが、かつて私が調布で介護をしていた母親は、現在、他県にある病院に入院しております。自力で食事をするのが困難で、ある医療行為を行わなければ今後生きていくことが難しい状況にあります。しかし、その医療行為を行えば、定期的に医師の処置が必要となるため、現在入所しているグループホームに戻ることはできません。
また、調布市内のある施設に実は相談に行ったのですが、この近辺でそのような医療行為を受けた人を受け入れる施設は病院以外にはないということでした。つまり、私の母親自身も間もなく行き場を失ってしまう可能性が非常に高い状態であります。そして、私の母親のみならず、市内にもそのような方々がいらっしゃるのは、先ほども触れました介護保険ちょうふの会の指摘のとおりであります。
そこで、市内介護施設の整備状況は現在どのようになっているのか、お答えください。また、将来を見据え、さらなる施設の整備計画があるかどうかについても御答弁をお願いいたします。
また、ことしは要介護認定の基準が4月に一たん改定された後、10月に再度改定されました。4月の改定では、要介護度がこれまでより低く出る傾向があったとの報道もありましたが、今回の再改定で現場に影響が出たかどうかについてもお尋ねいたします。
次に、介護人材の現状と将来の確保についてであります。
私は、ことし党が主催する民主党大学東京の高齢者福祉分科会というところで、政治に関心のある人たちと一緒に高齢者福祉の勉強をしてまいりました。ここでは、私たちが作成した資料をもとに質問したいと思います。
先ほども触れましたように、今後、介護を必要とする人の増加が見込まれます。それに伴い介護の担い手不足という、これも深刻な問題が発生することが予想されるわけであります。
私たちが作成した資料によりますと、介護労働者は年々増加傾向にあり、2006年では117万人、これは、2000年に比べ倍増しているわけでございます。有効求人倍率も高く、2007年、全国では2.1倍、東京では3.5倍に上っており、2014年にはおよそ150万人の労働者が必要になってくると予想しています。
しかし、高い非正規社員率、離職率、また、低い賃金水準などがネックになり、介護現場にはなかなか人が定着できないというような問題もあります。また、福祉関係の資格を持っていても、介護の現場で仕事をしない、つまり、潜在的有資格者の問題もあります。例えば2005年、47万人いる介護福祉士のうち、福祉・介護サービス従事者が27万人しかいないというデータもあり、資格を持っている人に現場に戻ってこられるような環境づくりも重要になってくるのではないでしょうか。
そこで、市内の介護人材の状況、現状がどのようになっているのかについてお尋ねいたします。
また、11月11日付の毎日新聞の報道によりますと、都内316の
特別養護老人ホームのうち101施設、196人の外国人の方々が介護の仕事に従事し、人手不足の介護現場を支えているとの報道もありました。市内施設における外国人介護従事者の現状についてもお尋ねいたします。
次に、介護者を取り巻く
ネットワークづくりについてであります。
私もみずからの体験に基づき、介護者同士のネットワークについては孤立を防ぐ、またお互いの悩みを話し合い、苦痛を共有するという意味で非常に大切であるというふうに感じています。しかし、現場では、例えば会を立ち上げても、その会を維持するのがなかなか難しいという問題もあります。介護をしなければならない人を抱え、なおかつそのような会を運営していくというのは、介護をする人たちにとって大きな負担になりかねません。
そのような中、自治体が家族会の発足や運営する人材の育成に乗り出しているとの報道がありました。例えば人口約70万人の東京都練馬区では、介護が必要な人の6割が自宅で介護を受けていますが、認知症の家族会が2つしかないそうであります。区の在宅支援課は、家族の悩みを受けとめられるのは同じ経験のある家族だが、介護中の人たちだけで会を発足させるのは困難であると判断し、今年度から3年間で9カ所、区が指導して家族会をつくることを決めたそうであります。その手本となったのがNPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジンという団体で、代表の牧野氏は、これまで行政は家族会の必要性はわかっていても、会を続けていくためにはサポーターが必要だという発想が余りなかったと話しています。
そこで、市としては、介護をしている家族たちをどのようにサポートしていくおつもりなのか、御答弁をお願いいたします。
続きまして、政府の行政刷新会議が始めた事業仕分けについてであります。
政権交代を受け、ことしから予算編成の一環として事業仕分けという作業が導入されました。既に多くの議員の皆さんがこの問題を取り上げましたので、申し上げるまでもございませんが、この事業仕分けというのは、民間のシンクタンク、構想日本が手がけた予算の無駄を洗い出す手法であります。複数の仕分け人と呼ばれる人たちが対象となる事業内容を事前に調べ、各自治体の担当者と議論した上で、その事業が本当に必要なのかどうかを採決する作業であります。そして、大事なポイントは、第三者の目が入ること、さらに必ず公開の場で行う点であります。連日の報道で国民の関心も高まり、先日発表されました毎年恒例のユーキャン新語・流行語大賞で、この事業仕分けという言葉がことしのトップテンにも選ばれました。
私も、この行政刷新会議が行った事業仕分けの現場である国立印刷局センターに、仕分け作業の最終日に行ってまいりました。まず、会場に入る前に目に飛び込んできたのがたくさんのテレビの中継車でした。そして、もちろんその向こう側には日本じゅうのテレビの視聴者がいるわけであります。注目を集めた作業の最終日ということもあり、会場内はマスコミの取材陣と傍聴者でごった返していました。ちなみに、この作業を傍聴する際、持ち物チェックをした以外は何の制限もありません。だれでも現場に足を運べば、会場で仕分け作業を見ることができます。そして、その会場で当日配っていた資料が、このワーキンググループの資料であります。これが11月27日金曜日、午後分でこの1冊分になりますので、全部で9日間仕分け作業したので、18冊この資料が配られたことになります。
私は、この日の午後、第2ワーキンググループを傍聴していました。国会議員や有識者の仕分け人が注目を浴びていましたが、私がいた第2ワーキンググループの会場の仕分け人の中には厚木市、そして小田原市と地方自治体の職員の方も含まれていました。約1時間で1つの事業について議論が行われるわけですが、実際、私が傍聴している目の前で、経済産業省のある事業、これは90億円の事業でありますが、この事業に対して廃止の決定がなされました。今回行われた作業では、9日間で447事業を仕分けし、国庫返納などで捻出できた金額は、報道各社により多少ばらつきはありますが、約1,800兆円ということであります。
議論の内容を広く公開するという点について、現場で実はこのようなやりとりがありました。高効率給湯器導入促進事業補助金という事業の仕分け作業の中で、ある仕分け人がコージェネという言葉を使ったとき、取りまとめ役がこう注意いたしました。済みません、傍聴の方もいるのでわかりやすい言葉でお願いします。つまり、公開している以上、できるだけ多くの人が理解できる言葉で議論しなければいけない。これも公開で行う大きな意義であるというふうに現場で感じたわけであります。
仕分け作業については、さまざまな意見があるのは承知しております。国の予算の使われ方が国民に公開され、議論し、決定されるという過程、そして、何より多くの市民、国民が税金の使われ方に興味、関心を持つという点でいえば、画期的なことであると私自身は考えております。
今、国の事業仕分けが注目されていますが、実はこの作業は地方自治体が先行して行ってきました。ぎょうせいが発行している「入門行政の事業仕分け」によりますと、2002年に岐阜県で行われたのが始まりで、徐々に全国の自治体に広がっているということであります。10月15日付の朝日新聞によりますと、事業仕分けを行う自治体がふえた理由について、興味を持つ自治体職員らを仕分け人に養成し、体制を整えたこと。また、税収減に迫られた自治体がふえたことなどがあり、この2年間で実施予定分を合わせると44の自治体になるそうであります。
そこで、まず、市長御自身がこの事業仕分けに関してどのような認識を持たれているのか。また、どのような評価をされておられるのか。率直な御意見で構いませんので、御答弁をお願いいたします。
次に、市民に公開した形での仕分けについてであります。
先ほどこの2年間で44の自治体が仕分け作業を行う、または行う予定だと申し上げましたが、多摩地域におきましては、2008年に町田市、そして、ことしに入って小平市で仕分け作業が行われました。特に小平市では、学者、そして元自治体職員に加え、2人の公募市民も参加して行われたそうであります。
そこで、まず、近隣自治体が行っている事業仕分けについて、調布市ではこの取り組みをどのように評価しているのか、お答えください。
さて、調布市で取り入れられている事務事業側面評価についてであります。
これは、入庁5年程度の職員や庁外で派遣等の経験のある職員、また、外郭団体などがそれぞれの事業について評価を行うものであり、結果は市のホームページでも公表されています。いわゆる第三者が入らない点、また、公開で行われていない点が事業仕分けとは異なるところでありますが、市長御自身は、この事務事業側面評価にどのような形でかかわっておられるのでしょうか。また、その評価がどのように予算に反映されるのでしょうか。御答弁をお願いいたします。
今回の国による事業仕分けは、マスコミでも取り上げられ、国民の関心が高まったことは、先ほども述べたとおりであります。調布市では、事務事業側面評価を行っているとのことでありますが、今後、市民などから要望があった場合は、事業仕分けの作業が行われる可能性はありますでしょうか。また、その問題点などについても御答弁をお願いいたします。
以上、大きく2点にわたり質問いたしました。市民にわかりやすい言葉での答弁をお願いいたします。
○大須賀浩裕 議長 答弁を求めます。長友市長。
◎長友貴樹 市長 ただいま福田貴史議員より大きく2点にわたり御質問をいただきました。私からは、事業仕分け作業についてお答えいたします。
初めに、国の行政刷新会議が行った事業仕分けについてであります。
行政刷新会議では、国民的な観点から、国、地方公共団体及び民間の役割のあり方の見直しを行うことを目的に、平成22年度の予算要求に当たり、事業の必要性についての精査と歳出の徹底した見直しに取り組むため事業仕分けを実施しました。
事業仕分けとは、国や自治体が行っている事業を、そもそも必要かどうか、必要ならば実施主体はどこか等について外部の方が参加し、公開の場で議論することで行政の無駄を洗い出し、歳出の削減につなげる手法であります。事業仕分けという言葉は、ことしの流行語の1つにも選ばれるなど、多くの国民が事業の具体的な内容や税金の使われ方に関心を持つとともに、国の予算や事業についての当事者意識が高まることで、改革、改善のきっかけになったと認識しております。
次に、市民に公開した形での仕分けについてでありますが、近隣市における取り組み状況といたしましては、町田市において、昨年、効率的な市政運営に資することを目的に構想日本の協力を得て、外部の視点を踏まえた事業仕分けが公開の場で実施されました。
対象事業数は34事業で、具体的には、まとめ役のコーディネーターと他の自治体職員5名ほどで構成する仕分け人が各事業を30分程度で評価しております。評価経験を積んだ他の自治体の職員が各事業の目的や必要性、効率性などを問いかけ、白熱した議論が交わされたと伺っております。
また、本年から開始した小平市においては、40年以上経過した32事業を対象に、有識者と公募市民の計5名で構成する小平市事業仕分け委員会による事業仕分けが、公開の場で実施されています。
調布市においては、行政評価の一環として、この事業仕分けの考え方を取り入れた事務事業側面評価を実施しております。評価結果を踏まえた具体的な取り組みの方向性については、行政経営会議での審議、部内調整を経て、最終的には市長である私が決定しております。
また、その後の取り組み状況については、行政経営会議に報告の上、市のホームページで公表しております。
最後に、市民や第三者を入れた公開での取り組みについてでありますが、現在、調布市において実施している事務事業側面評価は、事務事業マネジメントシートに基づき、評価員と説明員が議論することで、職員の気づきや意識改革が図られ、日々の業務改善につなげております。
事務事業側面評価は、評価を踏まえた取り組み状況を2年間にわたり進行管理しております。平成19年度に実施した対象30事業のうち、評価結果を踏まえた取り組みを実践できたものは12事業であります。平成20年度については、既に4事業について取り組みを達成したほか、他の事業も評価結果を事業の見直しや改善、予算に反映させており、効果を上げているものと認識しております。
今後とも、評価員の選考のあり方、行政サービスを受ける市民の視点での評価、わかりやすい公表等についての検証を踏まえつつ、市民サービスの向上や費用対効果の面からしっかりと議論し、改革、改善につなげていくことが重要であると認識しております。
その上で、行政の透明性を高め、市民との情報共有を進めていくため、他団体の取り組みなどを参考にしながら、事務事業側面評価の手法の改善に取り組み、より実効性を高めてまいります。
その他の御質問につきましては、担当よりお答えいたします。
○大須賀浩裕 議長 西田福祉健康部長。
◎西田雄次 福祉健康部長 私からは、介護の現状と課題についてお答えいたします。
まず、
特別養護老人ホームの待機者状況ですが、平成21年8月に実施した東京都の調査によりますと、市民の都内施設への入所希望者数が488人、重複申し込みを含む総申込数は1,065人となっております。これを2年前の平成19年10月に実施した調査と比較しますと、名寄せによる実質的な希望者数は約100人ふえたことになります。
次に、施設整備の進捗状況についてですが、第4期調布市高齢者総合計画において介護保険施設等の整備計画として、
特別養護老人ホームを1カ所整備するとしております。当事業は、既に東京都の補助事業者としての内示があり、
特別養護老人ホーム120床、ショートステイ24床の施設として、平成23年6月の開設を目指しており、引き続き事業者支援及び進捗状況の把握に努めてまいります。
さらに、若葉町3丁目の高齢者福祉施設用地を活用して、現在、要望の多いショートステイなどの整備を行うため、土地の無償提供による事業展開について高齢者福祉推進協議会で検討してまいりました。しかしながら、利用定員や設備等の基準から、当用地を活用してのショートステイの事業展開は難しいことが判明しました。今後は、現在不足している入浴サービスつきのデイサービスやグループホーム等の整備について検討するなど、市民ニーズを反映した基盤整備に努めてまいります。
また、
特別養護老人ホームの整備については、高齢者人口、とりわけ75歳以上の後期高齢者の増加が見込まれることから、公共用地や民間事業所の土地活用について、平成24年から平成26年を計画期間とする第5期の整備計画も視野に入れ、情報収集に努めてまいります。
次に、要介護認定基準見直しによる影響についてですが、要介護認定基準は、認定結果のばらつきを是正するため本年4月から見直されました。この見直し後の基準については、実施前から旧基準より要介護度が低く出る傾向があると懸念されていましたが、実際にそのとおりとなり、現場で混乱が生じました。
このため厚生労働省は、もし新基準での判定で要介護度が前回より低く出た場合は、当分の間、前の要介護度を適用する経過措置を急遽決定しました。その後、新基準自体は変更しないものの、認定調査の判定基準を改良する手当てを行った上で、経過措置は9月で終了とし、10月から新基準が適用されています。
10月以降の新基準の認定結果につきましては、現時点では、適用対象件数がまだ余り多くありませんが、特に目立った問題は生じておりません。
今後、要介護度の認定に当たっては、申請者の方に支障が生じないよう配慮してまいります。
次に、介護人材の現状と将来の確保についてですが、介護従事者を取り巻く状況につきましては、過去2回にわたり介護報酬が引き下げられたこと、仕事が精神的、肉体的に重労働であることなどの理由から、介護従事者が慢性的に不足する状況が続いていました。
このような状況を受け厚生労働省は、平成21年度から介護報酬のプラス改定を実施するなど、人材確保や処遇改善を図るさまざまな政策を実施してきております。
そのような中、昨今の不況で職を失った方を中心に介護現場に職を求める動きも追い風となり、最近では介護、福祉分野の就業者数が前年同月比20万人増の291万人と過去最多となり、また、介護労働者の離職率は前年同月比で2.9ポイント低下し、18.7%と改善してきております。
一方、市内の
特別養護老人ホーム、老人保健施設、地域密着型サービス等の事業者にヒアリングを行ったところ、介護職の未経験者が多いものの、募集しても人が集まらないといった人手不足の状況は改善され、介護の人手はおおむね足りているとの回答でした。また、離職率についても、ほとんどの事業者において低下傾向にあるとの回答でした。
なお、外国人の介護従事者については、業務上、言葉の問題が壁となり、継続的な雇用は無理であったとのことです。
このように市内事業所における介護の人材確保については、量的には改善が見られるものの、介護分野以外の職種からの人材も目立つなど、人材の質の向上についての課題があるとのことでした。
現在では、多様な政策の効果により、介護における人手不足は一息ついているところですが、団塊の世代が75歳を迎える2025年には、介護職員は現在の約1.5倍程度必要となると推定されています。市といたしましては、現在実施しております第4期高齢者総合計画に基づく介護事業者の人材育成の取り組みへの支援を継続するとともに、国や東京都との役割を踏まえつつ、介護人材の確保に向けた研究に努力していく所存です。
次に、介護者を取り巻く
ネットワークづくりについてですが、専門家からのアドバイスだけではなく、介護者同士のアドバイスが有益であることは承知しており、市としても介護者が集う必要性を感じております。現在、
地域包括支援センターが開催する介護教室や介護者の集いで介護者同士が話せる場を提供したり、高齢者支援室で行う認知症の高齢者を介護する家族のための介護講座の同窓会を実施したり、さまざまな試行をしているところです。介護の話は、その家族の人生や家族関係にもかかわることであり、ただ単に集える場ではなく、安心して集い話せる場になるよう今後とも検討を重ねてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
以上です。
○大須賀浩裕 議長 3番、福田貴史議員。
◆3番(福田貴史 議員) 御答弁ありがとうございました。済みません。1点、私、質問の中で国庫などで捻出された金額をちょっと間違えて申し上げてしまいました。正しくは1兆6,000億円ということでございました。訂正させていただきます。
それでは、まとめをさせていただきます。
まず、介護施設の待機状況についてでありますが、重複を含む申し込みの総数が1,065人と、約2年前に行った調査時より100人増加したということでありました。また、特養ホーム120床、ショートステイ24床を平成23年6月の開設に向けて整備をしていくということでありました。待機者数は、恐らくこれからも年々増加傾向が続くと思われます。入所を希望する人たちが一人でも多くサービスを利用できるよう、今後とも全力で施設の整備に取り組んでいただきたいと思います。
また、若葉町3丁目の土地活用でありますが、残念ながらショートステイの事業展開が困難であるということでありました。しかし、答弁にもございましたように、今後、後期高齢者の増加が見込まれます。第5期の整備計画におきましては、情報収集のみならず、積極的な事業展開をお願いいたします。
また、介護人材についてでありますが、離職率も減少して、おおむね人材が足りているということでありました。しかしながら、離職率につきましては、現下の非常に厳しい経済状況が反映されているかもしれません。答弁にもありましたように、2025年には現在の1.5倍もの介護職員が必要になってきます。長期的な視点にわたって介護人材の問題をとらえるとともに、介護以外の分野からの人材をいかに定着させる、そして質を向上させるかがかぎになるのではないでしょうか。今後とも問題を注視しながら、人材確保に向けた取り組みをお願いいたします。
介護者を取り巻くネットワークについてでございます。市としても集う場の必要性について認識しているというお答えがございました。高齢者支援室でさまざまな試行を行っているということでありましたが、集う場を提供するとともに、大切なことは、いかにその試みを定着させるかではないでしょうか。特に一人で介護している人、私も経験がございますが、本当に孤独でつらい、終わりの見えない闘いであります。今後とも介護をしている家族の皆さんを市が全力でサポートできるような体制を整えていただきますよう強く要望を申し上げます。
次に、事業仕分けについてでありますが、市長御自身から多くの国民が税金の使われ方に関心を持つとともに、予算や事業についての当事者意識が高まることで、改革、改善のきっかけになったと認識しているとの答弁がございました。私も、この点につきましては同感であります。ともすれば、幾ら削減されたというところに目が向きがちになっていますが、もちろん、どれだけの税金を洗い出したかということも大切ですが、この作業に関しましては、より多くの市民、国民に税金が一体どんなことに使われているのかを考えてもらうことが重要であるというふうに思います。市民との情報共有を進めていくため、他団体の取り組みなどを参考にしながら、事務事業側面評価の手法の改善に取り組んでいかれるということですので、私といたしましても、まさに市民に開かれた形での改善に取り組んでいただきますよう要望を申し上げます。
今回の事業仕分けでありますが、毎日新聞の世論調査によりますと、実に74%の人が評価するという回答をしています。では、なぜ、これほど世論の支持、そして注目を集めたのでしょうか。それは、これまで密室で行われていた国の予算の決め方が、全くガラス張りの状態で国民に公開されたからではないでしょうか。よく、たった1時間の議論で何十億もの事業がわかるのかという批判を耳にしますが、では、これまでたとえ5分でも国の予算を決める真剣な議論が国民にガラス張りで公開されたことはあったでしょうか。多くの人は、自分の財布の中にあるお金の使い道は自分で決めるはずです。他人に決めてもらう人はほとんどいません。
しかし、これまでは、一たん納めた税金の使い道は、私たちのあずかり知らないところで、いつの間にかだれかが決めてしまっていた。その過程を公開したのが今回の作業であり、自分たちの払った税金がどのように使われるのか。これは、納税者として関心を持って当然のことではないかと思います。
最後に、事業仕分けの会場の様子をお話ししたいと思います。
当日の会場には、本当にいろんな人たちが傍聴に来ていました。中には女子高生の姿、あるいは親子で傍聴に来ていた方もいました。私は、会場を出たところである親子連れの方に話を聞きました。小学校の高学年の男の子とお父さん、そして、お母さんの3人で会場に来ていました。男の子は、実は午後の授業を休んで会場に来たそうであります。そこで、お母さんがとても印象的なことをおっしゃっていました。薄っぺらい教科書で勉強するよりも、現場を見ていたほうがいい、よっぽどためになる。授業を休むことの是非はともかく、今、多くの市民、国民が税金の使い道について関心を持って見守っています。市としても、今後とも市民の関心の高まりにこたえ、さらなる市民との情報共有に努めていただくよう要望を申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○大須賀浩裕 議長 以上で3番、福田貴史議員の質問は終わりました。
――――――――――― ―― ―――――――――――
56 23番 武藤 千里議員
○大須賀浩裕 議長 次に23番、武藤千里議員の質問を許します。
23番、武藤千里議員。
〔23番 武藤 千里議員登壇〕
◆23番(武藤千里 議員) 日本共産党の武藤千里です。一般質問を始めさせていただきます。
今回、私の質問のテーマは、子どもと貧困について、そして、保育園について、公共交通の拡充についての3点です。
まず初めに、子どもと貧困についてを始めさせていただきます。
これは、昨年来、大変社会的にも注目されています子どもの貧困について、調布市の実態と調布として行政の果たす役割について、今回は問いたいと思います。
給食が唯一の栄養源という子ども、保育園に入れず、母親が置いていく食事を食べて、夕方まで留守番する5歳と1歳の兄弟。ダブルワーク、トリプルワークをしても生活が苦しく、追い詰められる母子家庭。昨年来、日本における貧困の実態、子どもの貧困の実態がクローズアップされています。我がまち調布も例外ではありません。
父親がタクシー運転手で、深夜の仕事もあり、たった一人のアパートで、寂しくてどんなに大きい声で泣いてもお父さんは帰ってこない夜を何日も過ごす、父子家庭の小学生。給食費が払えず、弁当もなく、クラスの同級生が温かい給食を食べている横で、一人何も食べずにただ座っている中学生。認証保育所にお金はないんだけれども、仕事に行かなければならないので子どもを預かってほしいと訴える母親、この子は一体、今どこでどうしているのかと思います。
貧困の問題は、ここ数年深刻化しており、私たち日本共産党調布市議団に寄せられる生活相談でも、子育て世代の方々からの生活が立ち行かないといった深刻な相談がふえています。
今回、私は、昨年来社会問題として取りざたされるようになった子どもの貧困について、今紹介させていただいた調布市の実態や、この問題に対する行政の役割を取り上げ、市の姿勢を確認したいと思います。
厚生労働省は、10月20日、2007年の我が国の相対的貧困率を15.7%と発表しました。そして、子どもの貧困率は14.2%との発表です。さらに、父子家庭、母子家庭などひとり親家庭の貧困率は、2004年時点で58.7%。これは、OECD加盟国中、最高の数字です。こういったことを公式に発表しました。そして、政府として、この数値の改善を結果的にする、そういう政策を打ち出していきたいと考えているとも述べました。国民の7人に1人が、同じく子どもの7人に1人が貧困であるという数字、全国に衝撃を及ぼしました。
我が国では、皆無ではありませんが、絶対的貧困と定義されるような路上のストリートチルドレンは日常的には見かけないし、飢え死にする子どももほとんどいません。では、相対的貧困はどういったものか。その貧困ラインは、その国の平均的な所得、それは個人の所得を上から下まで並べたとき、そのちょうど真ん中にいる人の所得ですが、この所得の2分の1です。それ以下の所得しかない人々の割合が貧困率です。ちなみに日本の場合、2分の1の金額は、ほぼ生活保護基準と近いものになっています。
相対的貧困は、具体的には、人がある社会の中で一人の構成員として恥ずることなく生きていくためには、その社会のほとんどの人が享受している普通の習慣や行為を行えなければならない。これらを賄う費用は、その社会の通常の生活レベルによって決まる。そのような普通の生活ができない状態を相対的貧困と言うということです。
ここで、なぜ子どもの貧困がとりわけ問題とされるのかですが、子ども期に普通の生活ができないことによって、その子どもの将来に大きく影響する。大人になる過程での不利が、その子どもの人生を決めていくことにもなるからです。これは、年齢が低ければ低いほど、人生のスタートから不利を背負うことになり、その子どもにとっては大きな負担となります。
不利は、健康面、学力形成の面、子育て環境などさまざまな面で起こります。松本伊知朗札幌学院大学教授らの子育てと所得の関係調査によると、休日に子どもと十分に遊んでいるか、この一年間家族でキャンプや旅行に行ったことがあるか、学校の先生と子どものことをよく話すか、子どものことでの相談相手が家族にいるか、病気や事故の際に子どもの面倒を見てくれる人がいるかなど、どの設問でも年収200万円以下の所得の家庭は、年収700万、1,000万などの所得の家庭と比べて不利な状況であるという結果が報告されています。15歳のときのその人の生活状況が、現時点での暮らし向きに大いに影響しているといった統計結果も出されています。
東京都は、2001年と2005年に児童虐待の実態の調査報告書を発表していますが、この中の分析において、貧困と虐待の相関関係が指摘されています。また、板橋区教育委員会が不登校対策プロジェクトチームを立ち上げ、平成19年にまとめをしましたが、貧困と不登校生徒発生率の相関関係が推測されるとの指摘をしています。このように虐待や不登校、非行などとの相関関係が明らかになってきています。
日本国憲法では、先ほど述べました、人がある社会の中で一人の構成員として恥ずることなく生きていく普通の生活について、第25条で健康で文化的な最低限度の生活と定めています。子どもの場合、これに第26条、教育を受ける権利が加わるわけです。また、発達権は子どもの固有の権利として、子どもの権利条約において最善の利益が第一義的に考慮されるべきという形であらわされています。子どもの権利の問題として、子どもの基本的な成長にかかわる医療、基本的衣食住、少なくとも義務教育、そして、ほぼ普遍的になった高校教育のアクセスをすべての子どもが享受できる条件をつくることが求められています。
子どもの貧困の中でのもう1つの問題は、貧困の連鎖ということです。2008年5月に週刊東洋経済という雑誌で子どもの格差が掲載され、その中で貧困の連鎖について、大阪府堺市の生活保護世帯390世帯の25%が親の世代においても生活保護を受給している。母子家庭に限ると41%となることが掲載されました。これは、一部の地域の数字ではありますが、大変衝撃的でした。同時に、虐待にかかわる調査でも、貧困が連鎖している統計的な実態も示されています。
しかし、皆さん、ここで強調しておきたいことは、貧困も虐待も世代間で連鎖することが定められ、決まっているものでは絶対にないということです。今紹介させていただきました数字は、そうしたことが起こる可能性が統計的に高いということを示したものです。貧困の子どもの将来に対する影響、連鎖という2つの問題は、子どもの貧困をどうとらえるかという上で非常に重要な問題です。
子どもの貧困に対応することは、その子自身の短期、長期のためにはもちろんですけど、社会全体の安定性、継続性に役立つとの観点からも重要です。
イギリスでは、1999年、当時のブレア首相が子どもの貧困を2020年までに撲滅すると宣言、次々と政策を打ち出し、99年に13.6%だったものが2004年には10.1%に減少させることに成功しました。日本においても子どもを社会の子ととらえ、子どもの貧困をなくすための国を挙げての抜本的な対策が求められています。
なくすことを目標にして、調布市としてできることから実行していく。必要なことは国などに子どもの声を代弁して意見を上げていくことを強く願うものです。
そこで、まず初めに伺います。
調布市では、さきに述べた子どもの貧困が社会問題する以前から、子ども条例の前文で、子どもの暮らし、成長を社会全体で保障することを掲げています。改めて市長の見解を伺いますが、いかがでしょうか。あわせて、子どもの貧困についてどのように受けとめ、行政として何をなすべきかとお考えか、市長の基本的認識をお伺いいたします。御答弁をお願いいたします。
子ども条例を具体的な計画にしたものが調布市次世代育成支援行動計画です。国は、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ育成される社会の形成に資することを目的とするとして、次世代育成支援対策推進法を制定し、調布市も次世代育成支援行動計画を策定しています。今年度は、後期計画策定の議論が市民参加の次世代育成支援協議会において行われ、児童民生委員の方や学校関係者、幼稚園、保育園関係者を初め、子育て支援にかかわるさまざまな立場の委員の方から貴重な意見が出されています。
生活保護を受けている世帯の子どもの実態把握、さらに、そうした子どもたちに対する総合的な支援の必要性や養護施設との連携の必要性など、子どもの貧困に関する議論もありました。今後の協議会での議論に期待するところではありますが、次期の次世代育成支援行動計画に子どもの貧困の問題を位置づけ、実態把握や支援策に努めるよう求めるものであります。御答弁をお願いいたします。
子どもの貧困に対する対策は、経済的支援、現物支援、ソーシャルワークが必要であると考えます。具体的な支援策としては、経済的支援や現物支援はなくてはならないものですが、そうした社会資源を一人一人の課題に即して利用するソーシャルワークは、貧困の連鎖をどこでどうやって断ち切るかという点で、大変大きな役割を果たすものと考えます。今回の質問では、この点に重きを置いて伺いたいと思います。
子どもにかかわる問題に関して調布市では、妊娠、出産から始まるかかわりとして健康推進課、そして、子ども家庭支援センターすこやか、教育センター、子ども発達センターなど、それぞれの時期や課題の内容によっての支援の中核となる機関が整えられてきました。そして、平成19年からすこやかが中心となり、要保護児童対策地域協議会が立ち上げられ、虐待などのハイリスクなケースについて活発な連携機能が発揮されていると伺っています。
そこでお尋ねします。
要保護児童対策地域協議会はどのような役割を果たしているのか。調布市では、子どもの問題の早期発見、早期対応、また、母親への子育て支援の第一歩としてこんにちは赤ちゃん訪問指導も始めていますが、これらの取り組みの現状と課題をお答えください。
次に、地域での連携の強化についてです。
子どもの貧困の問題を総合的につかみ、対策を進める際に、さきに挙げた要保護児童対策地域協議会の連携強化は欠かせません。現在の構成メンバーは、警察署、保健所、児童相談所、医師会、小・中学校校長会、保育園協会、幼稚園協会など19機関ですが、ハイリスクな子どもの問題に対応している市内2カ所の養護施設は、要保護児童対策地域協議会のメンバーではありません。調布市は、東京都内で初めて市内の養護施設と協力して子どものショートステイを実施してきました。現在ではすこやかでもショートステイを実施し、その利用実績は、開始当初は年間約120件だったものが、近年では約1,000件になっています。
こちらに現在、養護施設のほうで行っているショートステイの実践の報告をまとめたものがあります。私は、これを読んで大変感銘しました。養護施設は、子どもと家庭のさまざまな問題の専門知識や経験を持っており、24時間体制で日常からそうした問題に対応しています。この報告書の中では、ショートステイの中でのさまざまなケースの分析や、その課題を挙げています。これまで養護施設との連携もつくられてきてはいますが、この協力関係を一部分の事業にとどめず、市内の貴重な財産としてぜひ活用すべきだと思います。
そこで、既に近隣市、三鷹や狛江では、地域の養護施設が要保護児童対策地域協議会のメンバーに加わっているとのことですが、調布市も連携強化、機能強化として、この協議会に地域の養護施設を加えていくことを提案します。
次に、支援が必要な子どもの地域での見守りについてです。
この問題は、平成16年の第1回定例会で一度提案させていただきました。今回、再度御提案したいと思います。
質問に先立って、学校や保育関係者、施設関係者、また、市民の皆さんにさまざまな御意見を伺ってきました。その際、現在の制度、社会資源ではフォローし切れない矛盾を皆さん訴えていらっしゃいました。本来でしたらさまざまな制度の拡充は欠かせないものですが、今、調布市でどんなことができるかという点で、このことを提案したいと思います。
例えば、先ほどの要保護児童の協議会などでハイリスクの子どもたちは、皆さんで見守られ、対応が進められます。しかし、一度その問題が終息した場合、その後の家庭の見守りの体制はまだつくられていません。また、先ほど御紹介したお父さんがタクシードライバーの家庭など、そうした子どもがヘルパーなどを利用すると本当にお金がかかって、そうした制度の利用だけでは解決できないという矛盾があります。
そこで、調布市という大きな地域のネットワークだけでなく、中学校、小学校ぐらいの単位での地域の見守り体制をつくることで、子どもの安全や生活を地域で支える仕組みの構築ができないでしょうか。
現在、さまざまな子育て支援事業をしているすこやかの体制強化や、市内に少なくとももう一カ所のすこやかの設置を検討してほしいと思いますが、既に地域にある現在の児童福祉関係の施設の相談機能の強化や、すこやかとの連携強化を進める中で、高齢者分野では全市的に行われている見守りネットワーク、これの地域での子どもの見守り体制の構築にぜひ取り組んでいただきたいと思います。このことを提案いたします。御答弁をお願いいたします。
次は、学校教育や保育園、幼稚園などでのソーシャルワークについて、3点伺います。
教育センターには教育相談所、教育コーディネーター室があり、コーディネーター室にはスクールソーシャルワーカーが、教育相談所には昨年からソーシャルワーカーが配置されました。これまで相談所への来所が基本であったものが、来所できない事情の家庭にはソーシャルワーカーが訪問するなどの取り組みが始まり、支援のあり方の幅が広がっていると思います。複雑化、多様化している子どもの家庭の問題にも対応する分野として大変期待します。このソーシャルワーカー配置の成果と増員など、今後の強化方向について伺います。御答弁をお願いいたします。
また、調布市では、スクールカウンセラーを市費で増員し、すべての小・中学校に配置しています。配置されているスクールカウンセラーは、現在、各学校で大変大きな役割を果たしていることは言うまでもありません。
しかし、中学校は週に1日と半日ほど心の相談室という形で配置されており、小学校は週1日のみです。日数や時間数をふやしてほしいとの要望は、学校関係者からも強くあります。週2回配置されている小学校が市内に2校ありますが、そこでは子どもの相談だけでなく、教員も相談したり、アドバイスをもらうこともでき、急を要する場合の対応もとても助かっているということです。
現在、時間数にもばらつきがありますので、ぜひ時間数を延ばすこととともに、週1日を2日にふやしていくことを求めますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いいたします。
次に、保育園、幼稚園でのソーシャルワーカーやカウンセラーなど、専門家がかかわることができる仕組みについてです。
多くの乳幼児が通っている幼稚園、保育園は、親との接点も多く、さまざまな子どもの問題、家庭の問題について直接支援を行っています。先ほどのOECDのデータで、日本の貧困率の中でゼロ歳から2歳の年齢の子どもは、そのほかすべての子どもたちの数字よりも貧困率はもっと高く、17.6%になっており、2001年から2004年にかけて増加していることからも、幼稚園、保育園での取り組みは重要と考えています。とりわけ保育園は、ゼロ歳から就学前までの子どもが通い、生活する場です。子どもの家庭丸ごと支援するといったことが必要になるケースも少なくありません。ぜひ、そこで複雑化、多様化した問題に対応する専門性やコーディネート機能が求められますが、現在の保育園にはそうした専門家はいません。専門家がかかわる仕組みをつくることで、必要な支援に結びつけられるよう御努力をお願いしたいと思います。答弁をお願いいたします。
最後に、経済的支援について、教育分野で2点、改善を求めます。
これは、これまで我が会派でも何度か取り上げてまいりました。1つ目は、就学援助です。調布市は、長年、就学援助の準要保護の係数は、生活保護世帯の方々の1.1です。この数字は各自治体で決められ、東京都内もさまざまです。1.2、1.4、1.5の自治体もありますが、市として少なくても1.2に引き上げることを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
もう1つ、この問題では財源問題もあります。2005年に準要保護の方々の就学援助についての国庫補助が打ち切られました。ぜひ、この国庫補助の復活を国に求めることを求めたいと思います。
2つ目は、中学校の給食です。給食がなく、食べずに過ごす子どもがいたというお話を初めにしましたが、この状況を何とかすることはできないのでしょうか。抜本的には、選択制になっている中学校給食を小学校と同様に完全給食にすることが必要と思います。この問題もぜひ議論していただきたいと思いますが、現在、1学期ごとの前払い制になっており、一度に支払えないで困っている実態があるというところでは、当面、月ごとの納入も選択できるようにできないでしょうか。また、小学校と同じ後払い制もあわせて御検討いただきたいと思います。御答弁をお願いします。
次に、保育園についてです。
仙川保育園の民間委託については、昨年12月に仙川保育園父母会のほうから陳情が議会に提出され、趣旨採択の結論でした。この陳情は、2回にわたって提出され、合わせて約1万筆ほどの署名が一緒に届けられました。陳情内容は、主には一方的に民間委託を進めないよう求めるものです。この議会の中では、厚生委員会の答弁の中で、父母との共通理解が得られない限り、一方的には進めていかないという旨の内容も確認されています。その後、父母に対する説明は繰り返し行われてまいりましたが、父母の理解が得られたのでしょうか。
その後、ことし9月に委託時期の平成22年度から23年度への延期も発表されました。また、当初、民営化と表現してきたものを、誤解を招かないようにと民間委託と表現を変えるなど、そういった変化もありました。しかし、延期の発表後、同じく仙川保育園の父母会で取り組まれたアンケート結果では、半数以上が委託反対の意見だったと伺っています。
父母からは、なぜ仙川が民間委託なのか、保育園の質は保たれるのかなどなど、行政のほうから議員のほうに資料としていただいた父母との文書でのQ&Aにも、そういった声が載せられていました。市は、同じ説明を繰り返すだけといった状態が1年以上も続いているのではないでしょうか。父母が望んでいるのは、民間委託するための説明ではなく、民間委託の是非を含めた話し合いではないのかと思います。
国による保育制度改革など、保育の質にかかわる大きな動きがある今、これまでどおりの説明会でいいのかと思います。いま一度、なぜ理解されないのか、市として再考する必要があると考えます。ほかの自治体でも、一度方針化された民営化、民間委託でも、父母や市民との話し合いの中で凍結したり、撤回したりするところもふえています。また、民営化にかかわって父母側の主張を求める裁判の判決も出ました。
仙川保育園は、数ある保育園の中でも父母の多くからの信頼が高く、地域でも頼りにされている保育園として有名です。運営委託といいますが、運営主体がかわることは別の保育園になるということです。これまでの信頼関係、財産を一からつくり直さなければなりません。こうした委託をすることで生まれるデメリットを上回るだけのメリットがあるのか。いま一度、市として検証すべきではないかと考えます。
そのためにも今後の姿勢としてぜひ堅持していただきたいのは、先ほど述べました父母との共通理解が得られない限り一方的には進めない、つまり、何としても委託を強行するというようなことは絶対にしない、そういうことで市長の姿勢を確認したいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、保育制度改革についてです。
厚生労働省は、保育所最低基準について、東京都など都市部での面積基準の緩和をし、自治体の判断にゆだねるとの内容を来年1月、通常国会に提出するとの動きがあります。ほかには、避難経路や耐火基準の撤廃も検討されています。我が国の保育所最低基準は、1948年、60年前に定められて以降、改善されていないものです。厚生労働省の委託研究の報告書でも、引き上げが必要との内容が示されました。この報告書の調査では、調布市内の認可保育園の調査があったり、調布市ではありませんが、行政の担当者も参加してつくり上げられたものでした。
また、認可保育園での乳幼児の死亡事故が保育園の規制緩和が始まった2001年以降急増していることが赤ちゃんの急死を考える会の調べによってわかり、この問題に対し厚生労働省は早急に調査し、地方分権会議の議論の参考にしたいとも述べています。
市内の保育関係者の御意見も伺いましたが、定員弾力化で15%、20%と子どもを受け入れてきた。さらに緩和して詰め込むということは受け入れられない。受け入れたとしても、受け入れ数がふえる効果はその年だけで終わってしまうのではないか。待機児問題は深刻な問題だけれども、60年間引き上げもなかったけれども、引き下げることはせず守られてきた基準を今失っていいのかと憂えていらっしゃいました。
ちょっと暗くて見にくいんですけど、つくったので見ていただきたいと思います。これは、ある保育園の子どもたちが昼寝をしている様子です。お部屋の中には、子どもたちの遊具もちろん置いてありますので、食べるのも、寝るのも、遊ぶのも同じ部屋なんですけれども、布団を敷くともう布団でいっぱいで、保育士が歩く場所もないというのが、緩和されようとしている最低基準です。
最低基準は、全国共通のナショナルミニマムです。調布市は、子ども条例で子どもの健やかな育ちを支援するとうたっていますが、市として少なくとも現行の最低基準を今後も守るべきと考えます。市として独自基準を持つお考えはあるのか。また、その際の公立保育園の位置づけは、現在の基準を守り、調布市における保育水準を維持する役割を果たすことを提案しますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いします。
保育園の問題の最後は待機児対策です。
来年4月から認可保育園1園、認証保育園5園の新設は、緊急の意味も含め評価したいと思います。しかし、認可保育園を希望する父母の声は以前として大きいです。今後の認可保育園の増設について、引き続き計画的に行うべきと考えますが、市の見解はいかがでしょうか。お聞かせください。
また、ゼロ、1、2歳児の待機児対策について、東京都社会福祉協議会保育部会は、待機児解消の具体的な提起をし、その1つ目に土地、建物の無償貸与もしくは長期低額貸与、2つ目にゼロから2歳児中心の小規模認可保育所の設置を進めることとしています。1つ目は調布市としても取り組んでまいりましたが、2つ目の小規模認可保育所の問題についても積極的に検討すべきと考えます。ぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、小規模保育園に対する市の御見解を伺います。お願いいたします。
それでは、最後に、認証保育所の保育料の父母負担軽減制度の問題です。
調布市は、先ほど申しましたように、来年度は認可保育園1園、認証保育園5園です。認証保育所も待機児対策の受け皿として調布市は進めています。しかし、認証保育所については、保育料の負担が厳しいということは今でも同じです。認可保育所と同等に扱い、認証保育所の整備を進めてきた調布市であるなら、この負担軽減制度の拡充を求めたいと思います。また、認可保育園ではある第2子減免の設置など、内容も含めて拡充することを提案しますが、いかがでしょうか。また、現在の利用状況もお知らせください。
最後に、公共交通の拡充についてです。
私は、平成14年の第1回定例会にバス路線などの問題を初めて取り上げてから、今回で6回目になります。ミニバス北路線に関して伺います。
佐須街道から原山通りを通り、神代中学校までの区間の大きな課題は一歩前進と言えるのかもしれませんが、その後の進捗状況はどうなっているのでしょうか。その先の植物公園通り手前の一方通行やスクールゾーンの課題などあると伺っていますが、地域の安全を第一にしながら、早期開通を実現するための努力が求められています。現在の課題は何かお答えください。また、初めに検討された路線が課題が多くて厳しい条件にあるなら、かわりの方法も含めて検討することも必要と考えますが、いかがでしょうか。
北部地域の住民の皆さんは、ミニバスの開通を心待ちにしています。現在の路線は、計画されてから10年以上たっています。いま一度、当該地域の方々の路線などについての意見を聞いて進めることも必要だと考えますが、いかがでしょうか。答弁をお願いいたします。
次に、つつじヶ丘駅からJRへのバス路線の新設についてです。
これも平成14年のときから取り上げ続けてまいりました。前回、この問題について取り上げたとき、バス会社同士の協議の場が設けられたとの回答で、開通の窓が開かれたかのような印象でしたが、その後、新しい動きは伝わってきません。バス会社やほかの機関との協議は引き続き持たれているのか、進捗状況と課題をお答えください。
また、こちらの問題も既存の路線だけでなく、新しい路線開拓も含めた検討もぜひ進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いいたします。
それでは、3点にわたって質問させていただきました。御答弁、どうぞよろしくお願いいたします。
○大須賀浩裕 議長 答弁を求めます。長友市長。
◎長友貴樹 市長 ただいま武藤千里議員より大きく3点の御質問をいただきました。私からは、子ども条例の理念に対する考えと子どもの貧困に関する認識についてお答えいたします。
調布市は、平成17年4月、全国で11番目、多摩26市では初めて調布市子ども条例を制定しました。この条例は、調布の緑と水に恵まれた自然や、家庭、学校等及び地域のつながりの中で、次代を担う子どもたちが健やかに成長するまちづくりを推進するため、すべての市民が協働して取り組むことを調布市の決意として形にあらわした条例です。
子どもは、社会全体の宝であり、全力を挙げて子どもの自立と子育て支援を行う体制づくりと環境整備に取り組んでまいります。
こうした中、貧困が社会問題となっており、先日、厚生労働省は、平成19年の我が国の相対的貧困率を15.7%と発表しました。この相対的貧困率とは、全国民の可処分所得を順に並べ、その中央に位置する所得額の半分に満たない人の割合を示したものであり、平成20年のOECDの調査結果では、加盟国30国中4番目に高い率となっております。また、母子家庭などのひとり親家庭の貧困率は54.3%であり、OECD加盟国中最も高い数値でした。
このことを受け、国は、今後実施を予定している子ども手当も含め、貧困率の低減に向け対策を立てていくことを公表しており、こうした所得水準の引き上げに関しましては、国の動向を見守ってまいりたいと考えております。
貧困が子どもに与える影響はさまざまなものが考えられますが、その1つに児童虐待の問題があります。東京都が実施した調査で、児童虐待につながると思われる家庭状況の調査では、経済的困窮、ひとり親家庭、夫婦間不和、育児疲れ、孤立という上位5位の原因の中で、経済的困窮が1位を占めております。学術的な研究におきましても、児童虐待の発生する要因の中で、貧困が最も大きな割合を占めることがわかってきております。このようなことから、調布市におきましては、保護を必要とする子どもの対策を主眼に、要保護児童対策地域協議会の運営を初め、関係機関の連携を密にして、きめ細かい対応を図る子育て支援策を展開してまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、担当よりお答えいたします。
○大須賀浩裕 議長 小山教育部長。
◎小山俊夫 教育部長 私からは、子どもと貧困についての御質問のうち、教育分野についてお答えいたします。
初めに、ソーシャルワーカーにつきましては、平成20年7月から教育相談所に配置し、福祉的手だてが必要なケースや来所が困難なケースに対応するために、学校や福祉部門等の諸機関との連携及び電話や家庭訪問による家庭環境調整を行っております。こうしたことで、従来であれば教育部門のみでは解決が難しかった問題や、相談所に来所できず表面化しにくかった問題を解決の方向につなげています。今後ともさらなる相談の充実に努めてまいります。
次に、スクールカウンセラーについてでありますが、現在、公立のすべての小・中学校に配置しております。学校では、不登校、いじめ、友人関係、問題行動などについて、児童・生徒や保護者、教職員の相談、アドバイスなどを行っております。
学校で相談を行うことで児童・生徒にとって気軽に相談しやすいという環境が整えられ、児童・生徒の心の健康や問題解決の力に大きく貢献しております。また、保護者や教職員にとっても身近に相談できることから、問題の早期対応ができ、場合によっては関係機関と連携しての対応が可能になり、学校からのスクールカウンセラーへの期待や要望も多く寄せられております。こうしたことから、今後、スクールカウンセラーの研修や関係機関との連携等、より一層の成果向上を目指してまいります。
次に、就学援助についてであります。
現在の調布市の就学援助認定基準、認定率につきましては、近隣市と比べ標準的な水準にあります。認定基準の見直しにつきましては、社会・経済状況の変化、近隣市の状況などを引き続き注視してまいります。
また、就学援助費の国庫負担につきましては、平成17年度に要保護及び準要保護児童生徒援助費補助金及び特殊教育就学奨励費補助金交付要綱が改正され、準要保護に対する国庫補助制度が廃止されました。
当該補助制度の廃止は、三位一体改革の一環として行われたものでありますが、普通交付税の不交付団体である調布市にとっては、実質的な財政負担の増加となっており、国庫負担の復活については、今後、関係機関に働きかけてまいります。御理解いただきますようお願い申し上げます。
次に、中学校給食費の納入方式につきましては、学期ごとに給食か弁当かを選択し、前払いにより申し込む方式としております。
これは、月単位の申し込みとなりますと、保護者は毎月手続をしなければならず、また年単位ですと1回の負担が大きくなり過ぎるとともに、年度途中での変更がしにくいことなどの欠点があり、学期ごとの納入としております。学期ごとにお支払いが難しい御家庭に対しては、教育委員会では、校長会へ具体的な納付参考例を提示し、学校長が個別に家庭からの相談に応じられるよう助言等を行っております。
今後も、経済的な理由で給食を申し込めない生徒が出ないよう学校と連携をとってまいりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
以上であります。
○大須賀浩裕 議長 今村子ども生活部長。
◎今村孝則 子ども生活部長 私からは、次世代育成支援行動計画における子どもの貧困の位置づけと保育園についてお答えいたします。
調布市次世代育成支援行動計画におきましては、7本の柱立てをし、その1つに保護を要する子ども等への支援を掲げ、児童虐待防止、ひとり親家庭への支援の充実などの施策を盛り込んでおります。現在、策定中の平成22年度以降5カ年間の後期計画にも、市民参加により開催しています次世代育成支援協議会、庁内検討組織である調布市子ども家庭支援ネットワーク会議などからの貧困に関する意見、検討内容を反映させてまいりたいと考えております。
次に、要保護児童対策地域協議会についての御質問にお答えいたします。
要保護児童対策地域協議会は、児童虐待や不登校、非行など保護を必要とする子どもに対し、警察署、医師会、民生児童委員、児童福祉施設、学校、児童相談所等、関係する機関がネットワークを構築し、連携して迅速かつ的確な対応を図るため、児童福祉法、児童虐待の防止等に関する法律及び要保護児童対策地域協議会運営指針に基づき、平成19年2月に設置した協議会であります。保護を必要とするケースへの初期対応や情報収集、各機関の連携、コーディネート機能が、その主な役割でございます。
現状といたしましては、一例として健康推進課所管の新生児訪問事業におきまして、育児不安や養育における問題の発見があった場合に、保健師による継続的な見守りを初め、子ども家庭支援センターすこやかで実施しております産前・産後支援ヘルパー事業や相談事業へつなげています。今後の課題といたしましては、マンパワー不足の克服、連携体制のより一層の整備が挙げられます。
議員御提案の本協議会への養護施設の協力につきましては、体制整備をしていく中で検討してまいりたいと考えております。
また、支援が必要な子どもの地域での見守りに関しましては、現在、市内11児童館で展開しております子育てひろば事業を活用し、子ども家庭支援センターとの連携を強化しながら、地域に根差した子育て支援の拠点として機能するよう取り組んでまいります。
保育園、幼稚園へのソーシャルワーカー等の専門性を有する者の配置につきましては、保育園等におきましては、本来の機能に加え、家庭の子育て支援機能も有していることから、その充実に努めてまいりたいと考えております。
続きまして、保育園に関する御質問についてお答えいたします。
まず、仙川保育園の運営業務委託を保護者の共通理解を得た上で進めていくことについてであります。仙川保育園の運営業務委託につきましては、昨年度に引き続き、今年度についても数回にわたり保護者説明会を行い、5月17日には市長出席の説明会を開催するなど、保護者の皆様からさまざまな意見を伺ってまいりました。
今後につきましても、保護者の皆様の不安感を取り除いていくことが御理解を得ることととらえ、できるだけ多くの保護者の皆様と意見交換をする機会を設け、御協力いただけるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、保育所制度改革における保育所最低基準の緩和に関する御質問についてお答えいたします。
面積基準の緩和に関しましては、待機児童を持つ保護者にとっては、受け入れ可能児童の増加への期待が持たれる一方、既に保育中の児童の保護者からは、児童1人当たりの保育面積が減少することによる保育環境の低下が懸念されるなど、とらえ方は立場によってさまざまであると考えております。
また、調布市が独自基準を持つかどうかにつきましては、東京都内の認可保育所の認可権限を持つ東京都が緩和する、しないを含めて一定の判断をするものと考えております。現時点では、国が具体的な基準や要件を定めていない状況であることから、引き続き国や東京都の動向に注視するとともに、今後も児童が伸び伸びと保育園生活が送れるように保育環境を維持しながら、一人でも多くの児童を保育できるよう慎重に対応を検討してまいりたいと考えております。
次に、保育園の増設についてですが、調布市といたしましては、平成15年度から平成21年4月1日までに認可保育所だけを見ましても8園を開設し、合計550人の定員数の拡大をするなど、積極的な取り組みを進めてまいりました。
しかし、保育需要は拡大する一方で、平成21年4月1日現在の待機児童数は221人となっており、施設整備の緊急対策が求められているところです。
施設整備については、認可保育所の設置を基本としながらも、待機児童が特に多くなっているゼロ歳から2歳児の待機児童対策の1つとして小規模保育所の設置が考えられます。調布市でも分園としての実績がありますが、今後の待機児童数の動向を見ながら、認可保育所や分園のほか、小規模保育所等につきましても、状況に応じて誘致に努めるなど対応してまいりたいと考えておりますので、御理解をお願いいたします。
次に、保育料負担軽減制度についてですが、調布市内でも認証保育所、保育室、保育ママの増設を行っており、御利用いただいている御家庭も年々ふえてきております。こうした御家庭の保育料負担を軽減するため、平成20年12月から認証保育所等保育料助成事業を実施いたしました。平成21年4月から9月分の延べ助成対象人数は337人となっております。
この保育料助成事業の内容拡充につきましては、制度開始以降ようやく1年を経過する時期でありますことから、事業実施に係る成果等を検証しながら、今後、検討してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
以上でございます。
○大須賀浩裕 議長 井上都市整備部長。
◎井上稔 都市整備部長 私からは、公共交通の拡充について、順次お答えいたします。
まず、ミニバス北路線の全線開通についてですが、現在、柴崎折返し場で折返し運行している本路線は、原山通りを経由し、野ヶ谷団地方面までの延長約7キロメートルを計画いたしております。
全線開通に向けては、原山通りの道路幅員のほか、上ノ原小入り口交差点の一方通行や神代中学校周辺のスクールゾーン、及び野ヶ谷通りの居住者車両を除く進入禁止等の交通規制などの課題がございます。
道路の拡幅に関しては、一部用地の先行取得を終えていますが、北路線運行に必要な道路幅員確保に向け、引き続き関係する方々と調整してまいります。また、各種交通規制に関しましては、規制の解除だけではなく、規制の回避策も合わせて検討する必要があると考えております。
いずれにいたしましても、関係地域にお住まいの方々への情報提供とともに、意向を確認させていただきながら、可能な限りの早期開通を目指し関係機関と協議を進めてまいります。
次に、つつじヶ丘駅からJRへのバス路線新設についてお答えいたします。
地域要望が寄せられている本路線につきましては、京王バス東株式会社、小田急バス株式会社の両事業者に要請し、共同運行を前提として両者で協議が行われているところでございますが、運行回数、運行比率、運賃等の各種条件について双方の合意に至っていない状況でございます。
こうした中、つつじヶ丘駅とJR線を結ぶ路線の早期実現に向け、その機能の一部として三鷹市との共同運行によるつつじヶ丘駅北口から杏林大学病院間を結ぶバス路線の新設についても検討いたしております。
路線開設には、道路幅員やバス停設置箇所等の課題がございますが、三鷹市と協働しながら早期開通へ向けて交通管理者と協議しておりますので、御理解いただきたくお願い申し上げます。
以上でございます。
○大須賀浩裕 議長 23番、武藤千里議員。
◆23番(武藤千里 議員) 御答弁いただきました。再質問はいたしません。要望を述べさせていただきながら、まとめさせていただきます。
まず初めに、最後に御答弁いただきました公共交通の問題です。
ミニバス北路線の問題やつつじヶ丘駅からJRまでのバス路線の問題、本当に長い間、私も質問で取り上げさせていただいてきましたが、現場の皆さんのほうでも長年にわたるさまざまな努力、本当に敬意を表したいと思います。ぜひ一つ一つ解決させて、実現に結びつけるために英知を集中していただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
次に、保育園の問題です。
仙川保育園の民間委託について、本会議で初めて取り上げさせていただきました。私は、仙川保育園の民間委託、それと今回、国で行われている保育制度の改革や待機児解消の問題、切り離して考えることはできない問題であると考えます。
1つ、待機児解消の問題です。民間委託は、本当に待機児解消の決め手になるのでしょうか。私自身は、もし委託を受けてくれる事業者があるのなら、新園開設の支援をして新たに1つ保育園をつくって運営していただく、そういうことに努力していただくほうが具体的な待機児解消につながるのではないかと思います。
現在、さまざまな自治体で委託問題が起き、民営化の問題も起きています。しかし、それを受けてくれる事業者がなかなかないというのも悩みの種というふうに行政側の悩みとしては伺っています。であるなら、なおさら、先ほどのようなほうに進めていただきたいと思います。
そして、財政面です。引き継ぎ保育の費用や委託後も公務員の保育士さんの人数はすぐには減らないこと、また、委託費用が新たに発生することなど、来年度はもちろん、数年間は今より費用が余分にかかります。税収減や京王線の立体交差、ごみ施設などの費用負担があるのも、同じく来年以降の数年間なのではないでしょうか。そういうところから見ても、何もそうしたこの時期に何がなんでも委託を進めるのは得策ではないのではないかと思います。ぜひ再検討をお願いしたいと思います。これは強く要望いたします。
また、保育制度の問題では、ぜひ調布市として調布の子どもたちの保育所の質の問題、最低基準の問題、守っていただきたいと思います。調布市は、これまで公立保育園で最低基準を超えたさまざまな取り組みを先駆的に進め、前、厚生委員会の中では述べさせていただきましたが、それを民間保育園のほうに対しても助成金を出すなどの形で拡充してきています。こうした取り組みを堅持していただきたいと思います。
最後に、待機児解消の問題です。
先ほどの御答弁の中でもありましたけれども、ぜひ認可保育園の設置、今後も追求していただきたいと思います。今後の努力に期待します。
そして、最後に子どもの貧困についてです。
あってはならないもの、社会としてなくすべき対象として子どもの貧困をとらえ、そして調査、研究し、政策提言を行うということが今、積極的に行われています。先ほどの市長の答弁からも、そうした見解に立った答弁があり、大変うれしく思います。貧困の市内の実態を追う中で実感したことは、表面化しにくいということです。理由は大きく2つ。当事者である子どもは、声にして訴えることが難しい、もしくはできないということ。もう1つは、家族という枠の中に見えにくくなってしまうということです。ぜひ市として実態調査や分析を独自に進めていただくことを強く要望いたします。
今回は、子どもの貧困について直接の経済的支援など、そういった具体的な支援というよりも、それらの社会資源を活用するためのネットワークやソーシャルコーディネーターについて重きを置いた質問になりました。そうした質問に対する答弁でも大変前向きな方向が示され、今後の取り組みに期待したいと思います。
今回、市内の子どもの貧困問題について調査する中で再発見したことがあります。それは、保育園の役割です。保育園では、家庭の状況とかかわりなく、長い子どもでは朝7時から夕方7時まで、もしくは8時ごろまで、どの子どもも同じ環境で安心して遊び、同じ給食を食べ、お昼寝をするといった、子どもにとって安定した、必要な生活をしています。子どもが守られています。家に帰ればさまざまな状況がありますが、保育園では一人一人の子どもの生活が守られる状況が生まれています。
質問でも述べましたが、時には家庭の問題もあわせて受けとめている場所。貧困率では、先ほども述べましたが、子どもの年齢が低いほど貧困率が高いという実態もあり、この年齢の子どもの発達を保障する上で、保育園のさらなる拡充と充実は欠かせないことだと思いました。また、これは、今の日本の保育制度の本当にすばらしい点だと思いました。
一方で、少し厳しい話になりますが、学校で子どもたちは守られているのでしょうか。学校現場の皆さんの御努力は並大抵なものではなく、日々子どもたちのためにさまざまな努力をされていることについては敬意を表するものです。しかし一方で、OECDの生徒の学習到達度調査2003年版では、学校ではよそ者だ、またはのけものにされていると感じている。また、学校は気おくれして居心地が悪いなどといった設問に対して、日本の子どもは他国の子どもに比べて圧倒的な割合で、とてもそうだと感じている、そうだと感じていると答えています。調査では、ホワイトカラーの上下、ブルーカラーの上下を社会・経済階層に分けて一つ一つの設問について分析しています。圧倒的にブルーカラーの子どもたちが疎外感を感じているというデータが示されています。
少なくともすべての子どもが一緒に給食を食べ、日々の教材や修学旅行に参加することを保障していけたらと思います。うちに帰ればいろいろあっても、学校では安心してみんな同じに過ごせる、子どもたちが守られる場所にするために、市が工夫すればできることはすぐにでも行う努力をしてほしいと思います。
15歳の春をどんなふうに迎えるのか。その子の将来に大きく影響するんですと、ある中学校の先生がおっしゃっていました。義務教育期間の子どもの成長、親が悪いからしようがないではなく、教育委員会でできることは必ずあるはずです。ソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの配置についても、経済的支援として取り上げた就学援助と給食費についても、教育委員会においてのさらなる御検討、御努力を強く要望します。
最後に、貧困率に関連しての日本における問題点を1点だけ述べます。
一番驚いたのは、日本では再配分後の貧困率がOECD加盟国中唯一上がる国だということです。再配分とは、御存じのことと思いますが、税制度や社会保障制度によって貧困格差をなくす方向に働くものですが、日本では逆転現象が起こっています。税制度や社会保障制度の抜本的な見直しが必要ですが、現在、国において行われているさまざまな動き、こういった方向で果たして本当に改善されるのか、または助長されるのか。大変心配です。
調布市としても子どもにとって何が必要か。一緒にさまざまな意見を国に上げていただきたいと思います。
それでは、これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○大須賀浩裕 議長 以上で23番、武藤千里議員の質問は終わりました。
ここで暫時休憩いたします。
午後 3時 3分 休憩
――――――――――― ―― ―――――――――――
午後 3時29分 開議
○大須賀浩裕 議長 本会議を再開いたします。
――――――――――― ―― ―――――――――――
57 22番 雨宮 幸男議員
○大須賀浩裕 議長 続いて22番、雨宮幸男議員の質問を許します。
22番、雨宮幸男議員。
〔22番 雨宮 幸男議員登壇〕
◆22番(雨宮幸男 議員) 多分、きょうの最後になると思いますけれども、最後までよろしくお願いいたします。
私の今回の一般質問は、中心市街地を核とした調布のまちづくりは、将来どこを目指すのかというテーマであります。現在、調布市では、京王線の連立事業に絡めて市街地再開発事業などの都市計画事業が毎年のように行われております。問題は、個別事業の一つ一つの事業についてということよりも、まちづくりの全体像、一体、この先どういう方向に向かっているのか。これを検証することであります。
ところで、調布市における中心市街地整備は、平成12年3月に策定されました中心市街地街づくり総合計画に端を発しております。この計画は、京王線連続立体交差化事業に呼応して、京王線沿線、とりわけ調布、布田、国領の3駅を中心として全体で200ヘクタールの区域をカバーし、駅前広場整備など6件の都市基盤整備事業、そして、面的整備として国領駅など6地区の市街地再開発事業及び区画整理事業などから構成されているものであります。
事業期間は、平成32年までの20年間とし、事業期間をさらに4段階に区分し、順次整備事業に取り組んでいくとしているものであります。この20年間の総事業費につきまして、当初、約1,700億円と言われておりましたけれども、その後、2,400億円にも膨れ上がりました。そして、この中で調布市が直接負担すべき財源も480億円、これは行政も認めている数字であります。
この計画を策定するために事前の各種の調査に要した費用は、当時の事務報告書などによりますと平成11年度だけでも約6,500万円を上回る金額となっております。この計画、その後、平成15年度に中心市街地のグランドデザインが策定されて、さらに具体化が図られ、また、17年度からは中心市街地整備検討として、毎年度、数千万円の費用をかけて調査を繰り返し、今日に至っている状況であります。
今回の質問は、このような一連の調査報告書の中から中心市街地を核とした整備事業の概要を読み取り、長友市政が将来に向け、一体どのようなまちづくりを目指そうとしているかを検証しようとするものであり、大きく4点の内容にわたります。
第1の質問は、中心市街地整備事業に係る各種の調査報告書についてであります。
一般に都市計画事業に関しましては、各段階で調査が繰り返され、それらの調査に要する費用も他の事業に比べて大変膨大なものになると言われております。
これは、ちょっと見にくいかもしれませんが、これまで調布市が取り組んできている都市計画事業の調査費、事業費等を一覧表にしたものなんです。これ、実は9月の建設委員会で使った資料ですけど、これを見ていただきたいんです。後で詳しく触れますけれども、一番下の中心市街地整備計画、これはまだ具体化の事業になっていません。調査だけです。これは、17年度から調査が開始されて20年度までの数字、これは決算です。既に1億円を超す膨大な金額が使われています。21年度についても約2,000万円、予算が計上されているという中身であります。
こうした中で、都市計画道路はともかくとして、市街地再開発事業における権利変換や区画整理事業における仮換地、あるいは換地設計などは関係地権者の権利に直接かかわるだけに、権利者の合意を得るまでに相当程度の時間と、それに伴う費用が発生することもよく知られた事実であります。
同時に、事業の準備段階や計画段階では、何年にもわたって同じような調査が繰り返され、多額の予算を費やしている例がやや目立ちます。今、ここに持ってきておりますのは、後でこれも触れますが、中心市街地の整備計画報告書です。ここには18年度、19年度、20年度、3カ年あります。内容は、よく精査してみるとわかるんですが、3分の1とは言いませんけども、5分の1から4分の1ぐらいは同じものが引用されているというつくりになっているんです。しかも、例えばこれ、19年度のやつですけど、決算値2,900万です。そういうことがずっとやられてきています。
そこで、この質問の最初は、まちづくり事業に係る調査費と受託事業者についてお尋ねいたします。
中心市街地における都市計画、まちづくり事業は、市街地再開発事業、既に完了いたしました国領の南北2地区を含めて、調布南北及び調布の南・東地区の5カ所、区画整理事業が布田南の1カ所、そのほかに数路線の都市計画道路があります。直接、建設、築造事業ではありませんが、中心市街地に係る調査、計画では、さきに述べましたように、平成15年度のグランドデザイン、それから、17年度からの中心市街地に係る調査等があります。
そこで、これらの事業について、各事業ごとに、具体的には国領南北市街地再開発事業2カ所、調布南北市街地再開発事業2カ所、調布の南・東地区市街地再開発事業1カ所、布田駅南区画整理事業1カ所及び今紹介いたしました中心市街地整備事業計画、それらの調査費の総額と受託事業者について明らかにしていただきたいと思います。答弁を求めます。
さきに述べた各種調査で、例えば平成17年度から毎年連続して実施されている、そして21年度も予算化されております中心市街地整備に係る調査報告書では、複数年にわたって同じ記述としか言いようのない部分が相当程度見受けられます。それは、現状把握であったり、課題といった内容が多いようですが、果たして毎年繰り返す必要があるのか、甚だ疑問と言わざるを得ません。こうした無駄をなくすことが今こそ求められているのであり、それが真の行政改革と言えるのではないでしょうか。
そこで2つ目の質問ですが、毎年同じような調査が繰り返されている、この調査費について、コスト縮減のために見直しを図る必要があるのではないかと考えますが、見解を求めるものであります。
次の大きな質問は、中心市街地のグランドデザインについての検証であります。
平成16年3月に策定されました調布市中心市街地グランドデザインは、その報告書の中で、京王線連続立体交差化事業に関連して、南北一体型駅前広場、都市計画道路、市街地再開発事業、鉄道上部利用等の事業を有機的に連携させるために、総合計画を構築し直す必要があるとして、調査の目的につきまして、本調査は既定の中心市街地街づくり総合計画を踏まえつつ、中心市街地まちづくりに関する需要や生活圏構造の変化などを調査し、総合的、中長期的なまちづくりの全体構想、グランドデザインを構築することを目的とすると述べています。
その上で、調布市の将来都市像を東京都心機能と連携した多摩の商業業務拠点と位置づけ、その中心市街地の果たすべき役割と機能について、近隣の府中市や三鷹市と都市機能についての比較をしながら、調布の中心市街地として求められるあるべき姿を導き出しています。
例えば多摩の生活都心として求められる業務集積、以下のように4点にわたる前提を立てて、必要な業務集積量を推計しています。すなわち、第1に、業種ごとに過去のトレンドより従業者数を推計。第2に、政策目標として人口1,000人当たりサービス業従業者数を府中市と同等の180人程度まで見込み、トレンド推計に加算して目標従業人口を設定する。3つ目として、オフィスストック量――これは業務床のことです――は先ほどの目標従業人口掛けるオフィスワーカー比率掛ける1人当たりの床面積、どれだけの床が必要かを出す式です。最後に4つ目として、現況の町丁別オフィスワーカー(従業者)数より各駅周辺にストックを配分する。各駅に分配して張りつけるという意味だと思います。
こうした分析からオフィスワーカー(従業者)は、平成12年の約3万3,000人から平成27年には約4万人になると推計し、これに必要となるオフィスストック(商業業務床面積)72万3,000平米と現状のストック、この差を埋めるためには新たに17万3,000平米の商業業務床が必要だと、このように論じているわけであります。
さらに、この新規事業分の床面積を一定のルールによって各駅に配分いたしますと、調布駅周辺は平成27年までに延べ床面積約4万2,000平米のオフィス床が必要だという結論を導いております。サービス従業者数をなぜ府中市と同等の数を見込まなければならないのか、不可解ではありますが、ともかくも1つのモデルを提供しているものと言えます。
グランドデザインは、結論として中心市街地における各種のフレームを設定し、例えば人口は平成32年度までに約7,000人増、それに伴って商業業務床を8万7,000平米増加させる必要があるとしているわけであります。
そこで質問2つです。
第1に、調布の中心市街地整備においてグランドデザインとは一体どのように位置づけられるのか。すべての個別事業計画の基礎となるものと考えてよいのか。2つ目です。グランドデザインで前提とされている各種の設定は、果たして妥当な内容なんでしょうか。人口や床面積、あるいは駐車場、商業機能といった各種のフレームについて妥当か否か、以上2点について答弁を求めます。
さて、既に述べましたように、現在のグランドデザインは、今から6年前の平成15年度に策定されたものであります。6年前と言えば、世界経済は金融バルブに向かって上昇気流にあり、日本経済もその流れに乗って景気は好調さを示していた時期であります。
調布市にあっては、京王線の連続立体化事業がまさに始まらんとしており、この連立事業に相乗りする形で中心市街地整備事業に拍車がかかりつつあった時期でもあります。そういう状況のもとで策定されたのが、現在でも生きているグランドデザインと言うことができます。
しかし、御承知のように、その後、事態は急変し、とりわけ一昨年のリーマンショックに端を発した経済危機は世界恐慌とも言える様相を呈し、日本経済にも深刻な影響を及ぼしているところであります。
しかも、この経済不況は、いまだに回復の兆しすら見えず、相当長期にわたるとの専門家の指摘もあります。加えて、最近では世界の基軸通貨である米ドルが続落し、世界経済はますます不安定になっていると言わざるを得ない状況にあります。経済不況の影響は、調布市政にも色濃く反映し、実際、来年度の税収見通しは大幅な減収になることが財政当局からも言明されているところであります。
こうした経済不況下のもとで、6年前の、現在とは全く違った状況のもとで策定されたグランドデザインは、再検証される必要があるのではないでしょうか。
そこで質問ですけれども、グランドデザインは、今日でも調布の中心市街地整備における位置づけに変化ないのかどうか、答弁をお願いいたします。
既に述べましたように、グランドデザインの大もとには平成11年度に策定された調布市中心市街地街づくり総合計画があり、この計画は京王線連立事業への呼び水的要素も含まれていたため、事業計画自体、何でもありの感は否めないところであります。
社会・経済情勢の激変のもとで、グランドデザインはもはや今日の実情にそぐわないものになっていると言わざるを得ません。抜本的な見直しを求めるものですが、見解はいかがでしょうか。答弁をお願いします。
大きな質問の3つ目は、中心市街地整備計画に係る平成17年度から20年度まで連続して実施されている一連の検討調査についてであります。この調査につきましては、21年度も先ほど申し上げました2,000万円ほどの予算がついております。
さて、一連の調査は、グランドデザインを受けて、個別事業や地区整備計画について幾つかのシナリオを描いたりしながら、具体化、見直しなどを行っています。しかし、冒頭に述べましたように、それらのベースにはグランドデザインのあらかじめ想定した床面積を呼び込むことが貫かれていまして、想定面積を達成するために市街地再開発などによる中心市街地整備を行うこととされているわけであります。
そこで、この問題での最初の質問ですが、平成17年度から連続して実施されている中心市街地整備に係る調査につきまして、第1に、各年度ごとの調査目的とその果実、調査報告書に対してどのような評価と検討を行っているかを問うものであります。また、それらの調査を受託している事業者についても明らかにしていただきたいと思います。あわせて答弁を求めます。
次の質問は、一連の調査の中でも特に19年度、20年度、2カ年の報告についてであります。
19年度調査でもさまざまな項目についての検証は行っておりますが、中でも目につくのは200ヘクタールの中心市街地整備エリアについて、調布駅周辺、布田駅周辺、国領駅周辺、旧甲州街道沿道、鉄道上部沿線の5区分にし、それぞれの地区を拠点整備するためのシナリオを5通り描いていて、中には事業の資金計画まで試算している、こういう地区もあります。
さらに、整備スケジュールについて、時系列的に4期に分けて、こういうものです。大体、この辺で京王線の連立事業が終わることになっていますから、ここの4期まで行くと何年ぐらいかかるか、ちょっと想像はつきませんが、この報告書の別のところでは29年度までに全部の事業を終わらせるというふうになっているんです。大変な内容です。
先ほど言いましたように、最終年次は平成29年度としております。それぞれの年度における特徴をちょっと触れますと、20年度については、中心市街地における歩行者の流れをシミュレーションすることが中心となっていて、その結果から布田駅北地区に一般商業1万平米、高層住宅4万5,500平米、住宅駐車場1万平米、全体で総面積6万5,500平米の事業計画案を導き出しております。布田北地区につきましては、19年度版でも言及していまして、呼び込み面積は20年度と同様、総面積6万5,500平米、床用途も20年度同様で、一般商業1万、高層住宅4万5,500、住宅駐車場1万平米となっております。
注目すべきは資金計画、事業費が明示されておりまして、19年度では230億円とされていたものが、20年度は303億と一気に69億円もはね上がっている点であります。これは、大変不可解なことで、調査の信頼性を疑わせるものと言っても過言ではありません。
ところで、19年、20年の両年度に共通するのは、まちづくり支援組織に関する言及と検討でありまして、両報告書の中では大分を占めております。まちづくり支援組織は、中心市街地活性化法、新中活法といいますけれども、これに基づく中心市街地活性化基本計画の認定要件であります中心市街地活性化協議会を支え、推進するものとして位置づけられているものであります。
具体的には、中心市街地整備推進機構ないしはまちづくりを推進する会社とされていて、同支援組織についての検討は、19年度版では、現在、調布市においては経済力の向上を推進するもの、そして、商工会が中心市街地活性化についての検討を進めている。一方、都市機能の増進を推進するものについては中心市街地整備推進機構として、まちづくりの活動を行っているNPO等の組織を指定することも考えられるが、そういった位置づけを持つ組織は存在せず、まちづくりを推進する会社を新規に設立することが中心市街地活性化基本計画の策定、認定において必要不可欠であると、事実上のまちづくり会社に特化した記述がされております。
ところが20年度版では、この組織については、本調査では中心市街地活性化計画の策定を目指す調布市において、今後どのような組織の設立が好ましいかについて、他市の取り組みを合わせ取りまとめている。ただし、ここでは、まちづくりに資する組織として会社組織に限らず、まちづくり支援組織として検討を行うこととすると述べ、会社設立に対しては、19年度に比較して、ややトーンダウンをしております。
この支援組織については、スケジュール上は平成24年度まで検討となっておりますが、実際上の必要性について、現状では定かでないとも言われているようであります。
かつて数年前になりますが、まちづくり株式会社のことが議論の俎上に上りました。事実上、立ち消えになった経緯もありますが、支援組織先にありきに陥らないよう、慎重な対応を求めるものであります。
そこで、この支援組織に関しては2つ質問です。
第1に、平成19年度、20年度の中心市街地整備事業に係る報告書で展開されている諸計画について、市街地再開発などの既知の事業及びそれ以外の想定事業も含む新規事業の全容について明らかにしていただきたいと思います。
また、まちづくり支援組織について、検討の現状と今日段階での必要性についての認識を問いますので、あわせて答弁をお願いいたします。
大きな質問の最後、中心市街地整備事業計画自体の内容についてであります。
中心市街地整備事業計画では、同整備事業に当たって該当地域を5地区にわけ、それぞれの地区を拠点として整備していくために5通りのシナリオを描いていることは既に述べました。同整備事業計画の中で拠点として位置づけられているのは、調布―布田間の旧甲州街道沿道、布田北地区、狛江通り西側の国領北地区、そして、旧甲州街道沿道の交差点から北側で鶴川街道沿道の東側、この4カ所であります。また、拠点地区ではありませんが、グリーンホールの建てかえや移転も含めた整備計画も含まれております。
想定されている拠点のうち、国領北地区や鶴川街道沿道などは、これまでに一度たりとも見たことも聞いたこともない話で、唐突感はぬぐい得ません。また、布田北地区については、当初、計画にありましたが、一たんは計画自体が消えていたものであります。そういう案件まで復活させた整備事業計画がそのまま進行するとすれば、事態は非常に深刻だと言わざるを得ません。計画として想定されている事業内容の具体例を、狛江通りの西側、国領北地区の1つの事例に限って紹介してみたいと思います。
モデル事業との限定つきではありますが、整備手法は共同化と銘を打っているものの、明らかに市街地再開発事業と見ることができます。3万6,900平米という広大な敷地に、業務床8,400、高度商業床2万7,800、高層住宅10万5,000、駐車場3万8,300平米、合計で何と17万9,300平米もの開発をしようというものであります。施設構成のイメージ図では、住宅が高層棟2棟、中低層棟1棟、店舗1棟となっています。
資金計画も示されていて、総額で628億円です。そのうち床分の総額が514億円、補助金と公共施設管理者負担金で104億円となっています。しかも驚いたことには、床総額514億円のうちの70%、357億円が保留床とされているところであります。もっともこの点については、この報告書の中でも共同化事業の支援組織が事業組合段階で、参加組合員として保留床の取得を約束するよう、その必要性について説いております。
この地域にこんな巨大な施設を呼び込んで、一体、事業自体が成立するのかと甚だ疑問ですが、この問題でも報告書は次のように述べています。すなわち、国領駅周辺地区においては、最寄り品を中心とした商業機能が集積しているため、コクティー、ココスクウエア、イトーヨーカ堂国領店などと共存可能な業態とするなど、商業計画に工夫が必要と考えられる。
そこで質問です。中心市街地整備事業計画でうたわれている各種事業の事業内容――これはハード面です――と事業規模、事業費です。及び事業スケジュールについてお答えいただきたいと思います。
質問の冒頭にも紹介いたしました中心市街地街づくり総合計画が公表された際、日本共産党は当初から、総事業費1,700億、市費の負担だけでも20年間で480億円にもなる財政負担は市財政を破綻させる、計画を抜本的に見直すべきと繰り返し主張してきた経緯があります。
その後において、この計画は見直しによって若干縮小されましたが、直近の中心市街地整備事業計画において布田北地区を復活させたり、新たに鶴川街道の沿道や国領北地区を入れ込むなど、看過できない事態でもあります。
そこで質問です。現状の整備事業計画がこのまま進むとするならば、調布の財政は遠からず破綻することは必至であります。そうしないためにも中心市街地整備事業計画の抜本的な見直しを求めるものでありますが、見解はいかがでしょうか。
以上、答弁のほどよろしくお願いいたします。
○大須賀浩裕 議長 答弁を求めます。長友市長。
◎長友貴樹 市長 ただいま雨宮幸男議員から中心市街地を核とした調布のまちづくりは将来どこを目指すのかとの御質問をいただきました。私からは、将来の調布のまちづくりについてお答えいたします。
ことし6月には、中心市街地デザインコンセプトを取りまとめ、にぎわいと環境の調和した中心市街地「『にぎわい 庭園 ちょうふ』〜まちは にぎわいあふれる みんなのにわ〜」を目指すことを市民参加によって定めさせていただきました。緑に包まれた庭園の中の駅前広場や四季感のある鉄道敷地が連続し、まちをつなぐことにより人が集まり、にぎわいが生み出されるというコンセプトとなっております。
また、ことし6月に公表した調布市中心市街地活性化基本計画(案)中間報告では、にぎわいと広がりのある商業空間をつくることや、地域の生活を高めるため暮らしを支える機能を充実させること、まちを回遊しにぎわいを創出することなどを基本方針(案)として設定し、商業の活性化のための事業や市街地の整備改善のための事業などについて検討を進めているところです。
これらのものは、現時点におけるコンセプトや中間報告であり、具体的な事業として決定しているものではありませんが、中心市街地の将来像としての基本的な方向性は示しているものと考えております。
現在、庁内では中心市街地活性化基本計画策定委員会において、また、商工会を事務局とする多様な関係者により構成する中心市街地活性化協議会準備会において、計画の策定や具体的な取り組みなどに関する議論、検討を継続いたしております。
景気低迷が続く中、市の財政も厳しい環境にありますが、中心市街地のまちづくり、活性化は調布市の将来をつくる上で着実に推進していかなければならない事業であります。財政の健全性の維持に留意しつつ、中心市街地のまちづくりへの取り組みを進めてまいります。
その他の御質問につきましては、担当よりお答えいたします。
○大須賀浩裕 議長 井上都市整備部長。
◎井上稔 都市整備部長 私からは、中心市街地を核とした調布のまちづくりのうち、各種調査業務について、順次お答えいたします。
まず、中心市街地整備事業計画に係る各種調査等についてです。
昭和60年に国領駅北地区市街地再開発事業の準備組合が設立されたところから始まり、5カ所の市街地再開発事業と1カ所の土地区画整理事業の事業化、もしくは事業化に向けた検討が進行してまいりました。
それぞれの計画における事業着手までの調査費の合計及び受託業者につきましては、調布駅南第1地区市街地再開発事業が約9,000万円、受託業者はINA、タカハ都市科学研究所等でございます。調布駅北第1地区市街地再開発事業が約7,700万円、受託業者はINA、タカハ都市科学研究所等でございます。調布駅南口東地区市街地再開発事業が約5,700万円、受託業者はパシフィック総合開発研究所、協和コンサルタンツ等でございます。布田駅周辺の土地区画整理事業関連が約3億2,000万円、受託業者は双葉、財団法人東京都新都市建設公社等となっております。国領駅周辺地区につきましては、国領駅北及び南地区市街地再開発事業合わせて約1億6,700万円、受託業者は地域設計研究所、八重洲コンサルタント等となっております。
次に、事業化に向けた各種調査についてですが、市街地再開発事業や土地区画整理事業は、当該地区が事業化するまでの間、地権者との意向醸成や事業計画の検討など、当該地区に限定したさまざまな視点からの検討が必要となることから、一定期間にわたり継続的な調査が必要となります。
各事業に係る調査費につきましては、今後、当分は厳しい財政状況下での事業実施が予測されるため、調査実施の必要性の判断と合わせ、調査の効率化と一層の見直しを進め、縮減に努めてまいります。
次に、平成15年度に策定した中心市街地グランドデザインの位置づけについてです。
グランドデザインは、
都市計画マスタープラン及び中心市街地街づくり総合計画にある中心市街地の将来像を図案化することで都市の基本的な骨格を視覚化し、関連事業の必要性や整備手法等を検討する目的で策定したものです。
グランドデザインでは、策定の基礎調査として平成15年時点での調布市の都市特性や中心市街地の課題等を整理しております。このうち人口につきましては、国勢調査を基礎として将来人口を想定しており、現在の調布市人口とは若干異なるものの、微増傾向で推移することが予測されております。
また、商業床につきましては、平成14年度商業統計より商業流出入比率を算定する等、商業動向を調査し、都内市部の売り場効率平均値を確保できる新規商業床を想定しております。あわせて、業務床につきましては、多摩地域の生活拠点である周辺市と同水準の規模を想定し、新規需要分を推計いたしております。
さらに、駐車場の需要は、東京都市圏パーソントリップ調査をもとに、同規模の沿線近隣市における駐車場需要も参考としながら想定しており、今後、実際の事業化においては一部の検証は必要となるものの、調査実施時点におきましては、いずれの前提条件もおおむね妥当であるものと判断いたしております。
また、グランドデザインは、中心市街地街づくり総合計画における重点計画事業に、連続立体交差事業により新たに生み出される駅前広場や鉄道敷地整備等を加えた、都市の基本的な骨格を示すものであり、中心市街地の街づくりに継承されるものと考えております。
議員御指摘のとおり、現在の社会・経済情勢の変化につきましては、今後、十分な対応が必要になるものと考えております。当分の間は、財政的に厳しい環境下での事業が想定されますので、グランドデザインの示す都市の基本的な骨格や中心市街地の将来像を見据え、事業実施時点での財政状況を踏まえながら、整備効果の発現に配慮し、段階的かつ計画的に各事業を進めてまいります。
次に、平成17年度から20年度に行われた中心市街地整備計画に係る一連の検討調査についてです。
中心市街地整備計画は、中心市街地における個別の課題について検討を重ね、その成果をもとに、市民参加によるさまざまな角度からの意見集約を実施し、事業実施に向けた条件整理を行っております。また、継続した調査ではございますが、各年度とも事業検討や市民参加の成果等を踏まえ、新たな調査項目が加わっております。
平成17年度は、調布駅周辺地区における駐車場整備等について中心市街地グランドデザインに反映させるとともに、関連する交通動線計画など必要な都市基盤の整理を目的としております。調布市の現況や沿線駅周辺の整備状況等と比較することで、駐車場需要と鉄道上部利用と合わせた施設計画を想定し、事業性の確認を行っております。
平成18年度は、鉄道敷地利用検討会の提言を受け、計画の具現化を進め、鉄道沿線の地元の意向把握を行い、事業実施に向けた条件整理を目的としております。
また、鉄道敷地利用に関するアンケート調査により地元の意向を把握するとともに、沿線のまちづくりを誘導するため、地区計画による適正な誘導方針の検討を行っております。
平成19年度は、前年度に施行された改正中心市街地活性化法に対応するため、過年度の検討成果の諸課題を整理し、中心市街地の活性化の視点を加えた検討を実施しております。中心市街地に人が回遊するために有効なハード事業のシミュレーションを行い、あわせて民間活力を用いるなど、事業を実施するためのまちづくり支援組織についても、そのあり方を示しております。
平成20年度は、連立事業後の沿線まちづくりと都市基盤整備による中心市街地の回遊性向上を目標に、歩行者の流れをコンピューターで解析し、将来の歩行者の流れのシミュレーションを行っております。
また、集客施設の配置と合わせた回遊性向上の検討も行い、連立完了後に人が回遊するまちづくりや商圏づくりに必要な条件の整理を行っております。さらに、中心市街地活性化に資するソフト及びハード事業の実施主体を想定したまちづくり支援組織の検討では、組織の形態を限定せず、広く他の事例を調査することとあわせて、民間企業の参加の可能性についてヒアリングを実施するなど、中心市街地活性化基本計画策定のスケジュールを踏まえた組織検討の調査を行っております。これらの業務の受託業者は、株式会社タカハ都市科学研究所でございます。
次に、平成19、20年度の調査報告書における諸計画についての概要です。
中心市街地における歩行者の流れのシミュレーションにおいて、都市基盤整備を行うのみでは歩行者の流れに大きな変化は生じず、回遊性の向上を図るには目的地となる集客施設の配置が都市基盤整備と合わせて重要となる傾向が確認されております。
このことから、本検討では、中心市街地の回遊性向上の方策として集客施設と歩行者の流れの関係等について調査を行っております。
検討に用いたモデル事業につきましては、京王線沿線を対象として、事業化に向けた検討が進められている調布駅北第1地区市街地再開発事業、調布駅南口東地区市街地再開発事業に加え、想定事業として、回遊性向上に効果のある駅周辺や幹線道路周辺などの拠点となり得る地区を対象といたしました。これらの想定事業につきましては、あくまでも回遊性を創出するためのモデルケースとなっております。
次に、まちづくり支援組織の調査についてでございますが、同調査は、中心市街地活性化法の改正による新たな中心市街地活性化基本計画の策定と、内閣総理大臣による同基本計画の認定を目標とした庁内的な取り組みに基づいております。したがいまして、内閣総理大臣認定の法定要件である中心市街地活性化協議会の必須構成員となるまちづくり支援組織の他都市の事例確認から調査に着手いたしました。
また、同調査では、京王線連続立体交差事業と一体となった既存事業と今後の事業を想定し、民間活力を有効に用いた事業推進方法とまちづくり支援組織のあり方及び組織の実現性について検討しております。
今後は、これまでの調査成果を踏まえて、中心市街地活性化基本計画の策定検討に合わせ、まちづくり支援組織について議論を深めてまいります。したがいまして、現在のところ調査成果にあるハードの想定事業を具体化する目的でまちづくり支援組織を立ち上げることは難しいものと考えております。
これまでの調査成果によって、
都市計画マスタープランや中心市街地街づくり総合計画を実現する目標年度である平成32年度までに実現する関連事業の抽出と、それらの基本的な事業手法の確認はできたものと考えております。
また、事業規模につきましては、前年度までの検討成果を受け、想定される概略の事業費を試算しているところでございます。
今後は、京王線連続立体交差事業の整備効果を高める視点から、これまでの調査内容を活用して計画的にまちづくりを進めてまいります。
グランドデザインを初めとする中心市街地整備事業計画は、これまで御答弁させていただきましたように、都市の基本的な骨格と合わせて中心市街地のまちづくりの将来像を描くとともに、関連事業の整備手法等を検討する目的で策定いたしております。
したがいまして、経済状況によって、その基本的な内容が変わるものではありませんが、当分は厳しい財政状況下での事業実施が予測されるため、事業の進捗につきましては、次年度からの基本計画推進プログラムや新基本計画の位置づけと合わせて財政フレームとの整合を図り、着実に進めてまいります。御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○大須賀浩裕 議長 22番、雨宮幸男議員。
◆22番(雨宮幸男 議員) 再質問に行きます。全部で4点です。
1つは、答弁漏れがあるんではないかというふうに思うんですが、平成17年度から実施されています中心市街地の整備に係る一連の調査業務についての費用答弁がありませんでしたので、これは1点、補足でお願いします。
2つ目です。受託事業者の問題です。調布の駅は、南の東を除いて両方ともタカハ、それから、中心市街地整備事業もタカハ、皆さん方の中に記憶をお持ちの議員さんがいらっしゃると思いますけれども、実は国領の南北にもタカハがかかわっているんですよ。ですから、事実上の独占状態と言われても仕方ないような実態が今あるんです。今、世の中で入札等についていろいろ指摘されていますけども、これは、何としても改善を図っていただかないとならないと思いますが、この点について2つ目の質問です。
それから、グランドデザインに関してですが、今の答弁ですと15年度につくった、計画どおり進めますよというふうに私は受けとめざるを得ませんが、この計画をつくったのは平成14年度の指標に基づいてという答弁でしたよね。その当時の社会・経済状況というのは、かなりバブリーな雰囲気が残っていた時期だと思うんですよ。
それから、例えば具体的に言うと、調布で再開発が一番早く行われた地域である商店会の幹部の人に聞いたら、平成14年の時点で大体120〜130軒あった商店が今は80軒前後になっているというんですよ。あそこに、さっき紹介したような巨大な建物をつくろうというのが整備事業計画。さっき質問のところでも紹介しましたけども、具体的には、報告書の中で、もうこういう絵が描かれているんですよ。これは、今紹介した国領北です。ここに事業費の計画が出ているんですけど、618億です。
こっちは鶴川のほうです。これも事業費が出ていて、これは242億。こっちよりは少し控え目ですけど、それでも200億ですよ。
これ以外にも布田の北地区と旧甲州の調布駅から布田までの間の絵も、こういうようようなのがずっとかかれているんですよ。
だから、14年度のグランドデザインは、先ほどの答弁だと問題ないんだみたいな話になっているんですが、やはり、これは大幅に見直しをかけていかないと私は大変なことになるなというふうに思っています。
今までの都市計画事業というのは、今までの実態を見てもわかるんですが、計画に残っていると、何年かたつと必ず事業化されてくるんですよ。だから、そういう意味でいくと、やらないと言うんであれば、計画を見直して計画自体から外すということが必要になってくるんではないかというふうに私は思っています。
それから、経済情勢も、21世紀の経済というのは20世紀のようには絶対にならないというふうに多くの専門家が言っていますよね。だから、そういう点も考慮した場合には、やはり、抜本的な見直しをする必要があるんではないかなというふうに思います。
同時に、中心市街地の整備計画事業について、モデルケースについてはあくまでも想定だから、具体的な事業対象ではないというふうに私は受けとめたんですが、これは、そういう認識でよろしいかどうか、答弁をお願いいたします。
○大須賀浩裕 議長 答弁を求めます。井上都市整備部長。
◎井上稔 都市整備部長 ただいま中心市街地整備計画にかかわりまして幾つか再質問いただきましたので、順次お答えさせていただきます。
最初に、中心市街地整備計画に係る各年度の調査費用についてですが、先ほど御答弁させていただきました中心市街地整備計画に係る一連の検討調査の費用につきまして、平成17年度約1,300万円、平成18年度約700万円、平成19年度約1,700万円、平成20年度約1,900万円となっておりますが、19年度につきましてはほかに交通量調査1,100万円を実施しておりまして、19年度につきましては合計で約2,800万円ということになっております。
次に、受託業者についてお答えいたします。
中心市街地のまちづくりを構成する各種事業につきましては、一定期間にわたる事業促進調査等が必要となります。また、これらの調査では、基礎的なデータの蓄積や地域特性を熟知したコンサルタントの選考が重要なポイントになるものと考えております。このため受託業者は、まちづくりのベースとなる基本計画業務に精通し、豊富な実績や経験を持つコンサルタントから適宜選定を行ってまいりましたが、結果として少数の業者が継続して受託する傾向も見られております。
今後は、委託業務内容の特性により競争入札とあわせ、プロポーザル方式なども併用しながら、さらに公正な業務の発注に心がけてまいります。
続きまして、グランドデザインについてです。
先ほども御答弁させていただきましたように、グランドデザインは、総合的な中心市街地のまちづくりの全体像とともに、都市の基本的な骨格を示すものであり、具体的なまちづくりにも継承されるものと考えております。この都市の骨格であるグランドデザインをベースに、各種関連事業である都市計画道路や生活道路の整備による交通ネットワークの充実、魅力的な駅前広場の整備、鉄道敷地の利用などを進めることが多様な機能が調和し、人々が集い、活気とにぎわい、潤いと安らぎのある中心市街地の形成には必要なものと考えております。
一方、議員御指摘の今後の事業展開につきましては、基本計画推進プログラムや新たな基本計画及び5年に1回実施されます都市計画基礎調査による人口や土地利用の予測に沿い、財政フレームとの整合を図りながら適宜調整を行ってまいります。御理解のほどよろしくお願いいたします。
最後に、中心市街地整備計画のモデルケースについてです。
先ほども御答弁させていただきましたように、モデルケースとは、調査、検討において歩行者の回遊性の向上を1つの目的として想定したモデル事業でのシミュレーションの1パターンとなっておりますので、現在のところ具体的な事業対象となるものとは考えておりません。御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○大須賀浩裕 議長 22番、雨宮幸男議員。
◆22番(雨宮幸男 議員) ありがとうございました。それでは、再々質問1点だけ。
モデルケースについてはシミュレーションということで、具体的な事業対象とは考えていないという答弁だと思いましたけども、さらに具体的にモデルケース、私が先ほど紹介した鶴川街道沿道部分、それから、布田の北、それから、調布―布田間の旧甲州沿道、国領の北・西というんですか、今のコクティーの反対側、狛江通りの反対側、この4カ所について具体的な事業対象とは考えていないというふうに理解してよろしいですか。
○大須賀浩裕 議長 答弁を求めます。井上都市整備部長。
◎井上稔 都市整備部長 ただいま挙げられました4カ所についてですが、布田北は確かに一時期、市街地再開発事業を検討した経過があります。ただ、現段階では、京王線連続立体交差事業に合わせた関連事業としてはとらえておりませんので、あくまでもモデルケースとして今回、計画の中で想定させていただいたということでございます。
○大須賀浩裕 議長 22番、雨宮幸男議員。
◆22番(雨宮幸男 議員) 確かに20年度の交通量シミュレーションには布田北が結論として出てくるんですよ。だけど、19年度には、そのほかにも、さっき言った鶴川から旧道、国領、この3カ所も出ているんですよ。この3カ所については、先ほどの答弁で言うところのモデルの対象とは考えていないということなんですか。
○大須賀浩裕 議長 答弁を求めます。井上都市整備部長。
◎井上稔 都市整備部長 モデルケースということで、事業化は今のところは全く考えていないということでございます。
○大須賀浩裕 議長 22番、雨宮幸男議員。
◆22番(雨宮幸男 議員) 時間も迫りつつありますので、まとめに入ります。
私は、今回、あえて質問のテーマを1つに絞り込みました。それは、質問の冒頭でも申し上げましたけれども、連立事業に合わせた形で、言葉にするとやや粗っぽいですが、何でもありみたいな計画が次から次へと出されてきていることに非常に心配をしているんですよ。かつて街づくり総合計画が出たときにも、先ほど紹介したような論争をやりました。しかし、その後、いろんな論争、もちろん財政状況なんかも含めてなんですが、一時期、一定の見直しがかけられたんですよね。それは、例えば具体的には蓮慶寺の通りを最初は品川道まで抜く予定であったのを途中でとめてみたりとか、何カ所かそういうのがあるんですよ。
だけど、ここへ来て、特に17年度からさっき紹介したような、いわゆる中心市街地整備事業、検討という言い方で、今までにないところにまでエリアを広げて、そういう開発計画を次から次へとつくっていく、どんどんエスカレートさせていっている。その事業費についても、さっき1、2例紹介しましたけれども、まだ計画なんていう段階じゃないんだよというふうにおっしゃる方いると思いますけど、それにしても、例えば国領が600だとか、布田が300だとか、そういう単位で資金計画、事業計画が出ているんです。
しかも、特徴なのは、さっき1例紹介しましたけど、保留床の比率が物すごい高いということなんですよ。当然、イメージ図なんか見てみますと、保留床ということは、結局、実例で言えば国領の南のように、URみたいなああいう巨大な不動産屋さんを参加組合員に呼び込もうという発想のようですけども、しかし、それにしても事業の成立性から見たって非常に危うい。そういうものを次から次へと多発して、これからの将来像ですよとみたいな話になっていくと、もっとじっくり腰を据えて考えていかなければならないようなものが、ひとり歩きをしてしまうということに非常に危惧を抱いているんですよ。
だから、そこのところは、今の段階では財政状況をかんがみてという一言で片づけられているんですが、先ほども言いましたけれども、平成14年度あたりの社会・経済状況を土台にしたグランドデザインというのは、今、成立性自体が成り立たないというふうに私は思っているんですね。ですから、そのために莫大な金をかけるというつもりはないんですが、ただ、事業計画だから具体的な事業の対象にはしていませんという答弁が一方でありながら、その事業にもならないような調査を何千万もかけて毎年のようにやっていくというのは、これは、1つの自己矛盾というか、論理の破綻だというふうに思うんですよ。
だから、その辺のところもよく考えていただいて、やはり、実態に見合った、それから、今後の見通しに見合った計画に修正する。これは、勇気が要ることかもしれませんけれども、やはり、市民の利益ということを考えたら、ごみの問題のときもそうでしたけれども、大局観に立って、今どうあるべきかということを思い切って考えていくべきであろうと思うし、そういうふうにすることが市民の期待、負託にこたえていくことにつながっていくんではないかというふうに思っています。
いずれにしても、連立事業の完成に合わせて、次から次へと財政需要が生まれてくるというのは、これまでにもいろんな角度から、いろんな議員から質問もされ、指摘もされていることですから、ここで繰り返しはもういたしませんけれども、とにかくあるパイをどう市民のために最大限有効に活用し切るのかというのが、やはり、行政たる者のの責任であるし、その長たる市長の最大の政治責任だというふうに思います。そういう点で、ぜひ、これからの市政運営に当たっても、単にまちづくりという角度だけでなくて、総合的な行政をどうつくり、構築していくのかという点を含めて、十分検討していっていただきたいというふうに思います。
最後にしますが、繰り返しますけれども、グランドデザインをもとにしている諸計画については、改めて抜本的な見直しを図るように強く要求いたしまして、私の一般質問を終わります。
○大須賀浩裕 議長 以上で22番、雨宮幸男議員の質問は終わりました。
――――――――――― ―― ―――――――――――
○大須賀浩裕 議長 お諮りいたします。
本日はこれにて散会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大須賀浩裕 議長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
したがいまして、明12月8日午前9時に御参集願います。
本日はこれにて散会いたします。
午後 4時28分 散会...