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  1. 八王子市議会 2024-06-11
    令和6年_第2回定例会(第2日目) 本文 2024-06-11


    取得元: 八王子市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    〔午前10時00分開議〕 ◎【鈴木玲央議長】 ただいまから本日の会議を開きます。   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎【鈴木玲央議長】 日程に従いまして進行します。  つきましては、日程第1、一般質問を行います。  順次、質問を許可します。  この場合、質問時間は答弁を含め60分以内としますから、あらかじめ御了承願います。  第36番、村松徹議員。                    〔36番議員登壇〕 ◎【36番村松徹議員】 おはようございます。市議会公明党の村松徹でございます。それでは、発言通告に従って一般質問を行います。  最初に、人口戦略会議の報告書、「令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート」についてお伺いいたします。  消滅可能性自治体、非常にセンセーショナルな言葉だと思います。人口減、高齢化の波と必死に戦っている全国の自治体からすればなかなか厳しいワードではないでしょうか。2014年5月、増田寛也氏を座長とする日本創成会議が発表した消滅可能性都市リスト、全国で896の自治体がそう定義され、物議を醸しました。あれから10年が経過し、本年4月、日本製鉄、三村明夫名誉会長を議長とし、増田寛也氏を副議長とする人口戦略会議が「令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート」を発表いたしました。全国1,729の自治体中、2020年からの30年間、744の自治体で、20歳から39歳までの女性人口、以下、若年女性人口と略させていただきますけれども、50%以上減り、それに伴って削減する可能性がある消滅可能性自治体として公表いたしました。  昨年12月に、国立社会保障・人口問題研究所が発表した日本の地域別将来推計人口に基づき、人口から見た全国自治体の持続可能性を分析したものでございます。2014年の分析を踏まえながらも、新たに自然減対策(出生率の向上)、それに社会減対策(人口流出の是正)の両面からの分析を行っております。10年前の発表は大きな波紋を呼びましたけれども、社会減対策のほうに重きが置かれ、東京圏への人口流出の防止、近隣自治体間での奪い合いにつながり、ゼロサムゲームになってしまった。出生率向上に結びつかず、全体の人口減少基調を変える効果が乏しかったとの反省があったということです。  今回は、各自治体が深刻な人口減少を回避するにはどうすべきかという、こうした視点での分析を加えております。具体的には、日本の地域別将来推計人口で公表された封鎖人口の推計、それに移動傾向が一定程度続く移動仮定の下での推計を比較、若年女性の人口動向に影響を与える要因を把握し、地域特性に応じた人口減少対策の重要性を明らかにしようと試みております。今回、消滅可能性自治体を脱却したのは239の自治体です。一方、新たに該当したのは99自治体、前回、今回とも、消滅可能性自治体のくくりにありながら若年女性人口減少率が改善したのが362団体、悪化したのが283団体、一概に消滅可能性自治体というくくりになりましても、全く同じ内容ではないということでございます。  今回、封鎖人口を用いた推計も加味し、新たな分析手法として9つの分類を設定しています。一番いいのが自立持続可能性自治体、これはAというふうにランクしていますけれども、これが全国で僅か65団体、移動仮定、封鎖人口とも、若年女性人口の減少率が20%未満の自治体であります。減少率が20%未満であれば、100年後も若年女性が5割近く残存し、持続可能性が高いと考えられるとしております。  次はブラックホール型の自治体、これがB-1)とB-2)という2種類がありますけれども、新しい概念で25団体というふうになっています。移動仮定における若年女性人口の減少率が50%未満にとどまるものの、封鎖人口の減少率が50%以上の自治体であるということでございまして、他の地域からの人口流入に依存し、かつ地域の出生率が非常に低いため、人口のブラックホールになっている、このように呼んでいるわけでございます。  その次が消滅可能性自治体ということで、Cというランクになるんですけれども、C-1)、C-2)、C-3)ということで、合わせて744団体。さきに触れましたけれども、移動仮定における減少率が50%以上の自治体で、一番厳しいのは封鎖人口も50%以上減少が予想されるC-3)、こうした自治体でございまして、これが23団体というふうになっています。  最後にその他の自治体、これがDグループとなるわけですけれども、D-1)からD-3)までで895団体というふうにくくられております。これまでの分類以外の自治体であって、そのほとんどで若年女性人口が減少する見込みにありますけれども、減少状況によって必要な対策が違うという、こうした自治体になります。  この報告書は、若年女性人口だけに着目して、自立持続可能性、消滅可能性などとレッテルを張るという、正直いかがなものかと思うところではありますけれども、全国1,729自治体を同じスケールで比較検証した報告書であり、人口戦略会議が各地方自治体や地域の人口の実情と課題を考える上での参考にしていただければ幸いとしているような、こうした活用に一定の価値があるのではないかと思っているところです。  このレポートについて幾つか質問をさせていただきます。まず、日本創成会議が消滅可能性都市リストを発表して10年が経過した本年4月、人口戦略会議が発表した「令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート」をどう評価するのか、まずお伺いをいたします。
     八王子市は、9分類のうち、その他の中でもD-1)、自然減対策が必要な121団体のうちの1つとなりました。全体の比較からは決して悪い位置づけではないと思いますけれども、率直に言うと、よく分からない位置づけという感じがいたしております。八王子市の分析結果をどう受け止めているのかお伺いさせていただきます。  次に、交通マスタープランについて伺います。  八王子市は、交通に関する施策を総合的かつ計画的に進めるため、1994年に八王子市総合都市交通体系整備計画を策定し、2015年には第3次計画となる八王子市交通マスタープラン(第3次八王子市総合都市交通体系整備計画)を策定、昨年度までがこれが期間として進められてきたわけでございます。八王子市は、このほど、2024年度から2033年度という期間10年の八王子市交通マスタープランの改定をめぐり素案を策定いたしました。都市環境委員会での報告も終え、8月にパブリックコメントを実施する予定となっております。  超高齢時代を乗り越えることへの社会的需要の増加、それに応える可能性をはらんだ技術開発の動き、規制緩和の動き、その一方で、深刻化する2024年問題、次期八王子市交通マスタープランはこれまで以上に重要性を帯びていると思うところです。20年先の目指すべき都市の姿を見据えた今後10年間の交通政策が八王子市交通マスタープランという形で、本市の市民生活、都市の機能、安全性など多方面に大きく影響する計画となることは論を待たないところでございます。現場を歩いていて感じる1議員としての問題意識と照らし合わせながら確認をさせていただきたいと思います。  まず、現計画の総括的評価をお伺いいたします。  次に、次期計画の際立った特徴について伺わせていただきたいと思います。  今後10年間の計画というだけありまして、今考えられる全てがあるというふうに認識をさせていただきました。この中で優先順位の高いものにつきまして示していただきたいと思います。  以上で一括質問とさせていただき、次からは一問一答方式にさせていただきます。                  〔36番議員発言席へ移動〕 ◎【鈴木玲央議長】 都市戦略部長。 ◎【今川邦洋都市戦略部長】 私からは、「令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート」に関する2点の質問にお答えいたします。  初めに、その評価についてでございますが、今回のレポートは、出生と死亡だけの要因で人口の変化を仮定した封鎖人口を新たに用いて、人口推計上の自然減を分析したことに加え、自治体の人口特性を9つの分類に分けたことが特徴となっております。封鎖人口を取り上げたことにより、出生率の向上が重要な課題であることが明確になり、また、9つの分類に分けることで、人口減少に関する比較や分析がより具体的にできるものと評価をしております。  次に、分析結果の受け止めについてでございます。本市は、移動仮定の数値が消滅可能性自治体の判断となる50%を大きく下回る17.7%となっておりますが、封鎖人口の減少率が高いことから、人口特性別の9分類では自然減対策が必要な自治体となっております。本市の人口ビジョンにおける将来推計においても、死亡による減少が出生による増加を上回り続け、自然減対策が必要と見込んでいたところであり、その想定が裏づけられた内容であると考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 私のほうからは、八王子市交通マスタープランについての3点の御質問にお答えをいたします。  まず、現行の八王子市交通マスタープランの評価についてですが、現行マスタープランでは、13のモニタリング指標と指標ごとの目標値を設定し、評価、検証を実施しております。道路の整備状況の満足度や公共交通機関が利用しやすいと感じる市民の評価を含め、9つの指標で目標値を達成もしくは目標値に向かって推移している状況にあります。一方、鉄道駅乗降者数やバス交通利用者を含めた4つの指標において、計画策定時より後退している状況にあります。全体的には一定の有効性は認められる結果であると評価しております。  次に、新しい八王子市交通マスタープランの特徴についてですが、近年の社会環境の変化等を踏まえ、MaaSやAIデマンド等、新技術を活用した移動しやすい交通環境づくりや、公共交通の利用促進、EV車両の導入等、環境に配慮した交通環境づくりに向けた施策の充実を図っております。  最後に、新しい八王子市交通マスタープランにおいて優先的に進めることについてですが、コロナ禍以降、生活様式の変化による公共交通利用者の減少が確認されており、この改善に向けたハード、ソフト両面から施策を掲げ、公共交通の利用促進につながる各種取組を進めていきたいと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第36番、村松徹議員。 ◎【36番村松徹議員】 御答弁いただきましてありがとうございます。この人口戦略会議の報告書につきましてお伺いいたします。  本市は、今御答弁がございましたけれども、封鎖人口の減少率が高く、自然減対策が必要な自治体ということでこのようになったわけです。本市の将来推計でも、死亡による減少が出生による増加を上回り続け、自然減対策が必要と見込んでいたということで、その想定が裏づけられたという、こうした内容での御答弁でした。もう少し具体的にお伺いさせていただきたいと思います。  今回の報告書で、東京都の23区26市5町8村、合計62の自治体があるわけですけれども、その中で消滅可能性自治体となったのは檜原村、C-1)と、こうしたクラスになります。奥多摩町、もっと悪いC-2)と、この2つでありました。確かに人口規模が大変小さい自治体ですけれども、夏場を中心に旅行者がかなりおり、奥多摩町などは定住者も1割を超えている、こうした人口の状態になっているということで新聞にも載っておりました。これが本当に消滅可能性自治体なのかと、こうした疑問を率直に持ちますし、一方で、都内でたった1つの自立持続可能性自治体が八丈町というのも若干不思議な感じがいたしております。  ここで質問させていただきますが、東京都全体を概観してどのように考えられるのか、所見をお伺いいたします。 ◎【鈴木玲央議長】 都市戦略部長。 ◎【今川邦洋都市戦略部長】 東京都の中でも、23区と多摩地域、また島嶼部はそれぞれ地理的条件や人口規模などの環境が異なるため、多様な類型が存在しております。その中でも人口の増加分を他の地域からの人口流入に依存しているブラックホール型と呼ばれている自治体は全国25自治体のうち17が東京都にあり、このほかブラックホール型に近い数値の自治体が都内には複数あることから、東京都の多くの自治体が人口増を他の地域からの流入に依存している傾向にあるというふうに考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第36番、村松徹議員。 ◎【36番村松徹議員】 八王子市は、その他自治体Dグループの3区分中1番のD-1)ということで、まだいいほうだというふうに思っております。大ざっぱで実はよく分からないという現状もあります。むしろ八王子市の移動仮定のマイナス17.7%、先ほども言及があったと思うんですが、封鎖人口に至ってはマイナス44.7%ということで、この予測の数値が大変気になるところであります。八王子市は他の自治体と比較するとどのような位置づけになるのかお示しいただきたい。率直に伺わせていただきます。 ◎【鈴木玲央議長】 都市戦略部長。 ◎【今川邦洋都市戦略部長】 多摩26市の中では、移動仮定、封鎖人口ともに若年女性人口減少率は大きく、自然減対策が必要とされるD-1)の区分にある自治体で比較をすると、その必要性が高い自治体に位置づけられているというふうに認識をしております。特に封鎖人口の若年女性人口減少率の数値については、近年の本市の出生率が低下傾向にあることからその状況が反映された結果となっており、本市も全国の人口の多い大都市の傾向と同様に、出生率向上が急務との結果が出たものと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第36番、村松徹議員。 ◎【36番村松徹議員】 今とても分かりやすい説明をしていただきました。D-1)の自治体の中での比較では、自然減対策の必要性が高い自治体に位置づけられ、特に封鎖人口の減少率については、本市も全国の大都市の傾向と同様、出生率向上が急務と、こうした結果が出たという御答弁でした。本市の封鎖人口が30年間で44.7%減になるということにつきましては、数字そのものが大きくて衝撃的な数字であるというふうに思いますし、移動仮定につきましても、前回比──前回比というのは、10年前に比べて10ポイント強改善したとは言いましても、新聞でも一覧が出ていたんですけれども、減少率は三多摩で青梅市に次ぐワースト2位ということで、このレポートの結果に対してしっかりと対策を取る必要があるというふうに思うところです。現時点ではどのように考えているかお示しいただきたいと思います。 ◎【鈴木玲央議長】 都市戦略部長。 ◎【今川邦洋都市戦略部長】 少子化は全国的な課題であり、国を挙げて対策に取り組んでいるところですが、住民に最も身近な基礎自治体である市区町村がそれぞれの強みを生かして、地域の実情に応じた少子化対策を行っていくことも重要だと考えております。本市はこれまでも子育てしやすいまちナンバーワンを掲げ様々な取組を行ってきたところですが、少子化への対策には、子育て施策の充実だけではなく、子どもと子育て家庭、そして、若者世代を多面的に支援していく必要があるというふうに考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第36番、村松徹議員。 ◎【36番村松徹議員】 重要な所見というふうに思います。これまでも子育てしやすいまちナンバーワンを掲げて取り組んでこられました。3代前から、子育てしやすいまちナンバーワン、黒須市長の時代からだと思いますけれども、取り組んでこられて実際に賞もいただいております。少子化対策というのは、子育て施策だけでなくて、子どもと子育て家庭、また若者世代ですか、多面的に支援していくというこの考え方は大変重要であると思いますし、同感です。そういう対策を取ることで、恐らく移動仮定につきましても、当然ながら影響して改善していくだろうなというふうに思います。  報告書の巻末に掲載された1,729の自治体の持続可能性分析結果リストというのが、これはとても面白いと言ったら失礼かもしれませんけれども、時間がたつのを忘れるほど興味深くこれは見入ってしまうような内容になっております。また、今回の報告書の発表を受けまして、様々なマスメディアが特定の自治体、特にこれはいいほうのモデルが多かったんですけれども、取材して深く掘り下げた記事があちこちに掲載されていまして、とても勉強になりました。  日本経済新聞の東京版、これは5月29日付には「消滅しない町」、埼玉県滑川町という、こうした記事が載りました。若年女性人口が増えると予測された自治体は全国で8つしかないわけですけれども、1位が東京都港区、2位が同中央区、3位が茨城県のつくばみらい市など続いて、この滑川町が6位ということで、8位の中の1つ、それもかなりいいランクじゃないのかなと思って見たところです。  この記事を見ますと、東武鉄道の開発による非常に廉価かつ平均の敷地が200平米の戸建ての分譲が1,000戸ということで出ていました。駅前に展開されて、それだけではなくて、子育て支援策もかなり充実した形で、2011年度には、高校生までの医療費、それから小中学校、保育園、幼稚園の給食費とも無償化をこの年に達成している。そして、さらに学童保育所を13ヵ所増設して、残業しても子どもを預かってもらえることが好調だったというふうに書かれています。これは、確かに経済的な支援も大きいけれども、安心して子どもを預けて仕事に行けるということが大きいというコメント、住民の言葉が載っていたんです。大事な観点だなと思います。大塚信一町長のインタビューの言葉で、子育て支援策は現時点でできることを全て取り入れているという、こうしたコメントもインパクトのある言葉だなと思った次第です。  人口戦略会議の増田副議長が公明新聞のインタビューに答えて次のように語っています。自然減と社会減がともに少ない自立持続可能性自治体に幾つかの傾向が見られます。1つは、企業のデータセンターや研究所など、若者向けの雇用がしっかり確保されている地域である。例えば東北地方で唯一該当した宮城県大衡村には大手自動車メーカーの工場が立地している。全国に65ある自立持続可能性自治体の約4分の1は沖縄県にある。沖縄県では地域全体で子育てする文化が根づいているとされる。また、3世代で同居する世帯が多いという畜産や酪農の盛んな地域でも、同様の傾向が見られる。子育て支援に力を入れてきたことで知られる千葉県流山市など、首都圏にも自立持続可能性自治体に該当する場所がある。居住環境がよく若者が流入してくる地域である。若者の雇用や子育て環境といったこれらの特徴は、今後の人口減少対策を進める方向性になり得るものだ、このように増田さんが話しております。これは一面真理をついているのではないかと思う次第です。  若年世代にとりまして、恵まれた雇用環境という面では大衡村の事例の紹介がありましたけれども、台湾の半導体メーカーであるPSMCが、本年、1兆2,900億円を投じて工場を建設した熊本県の菊陽町もランクAの自立持続可能性自治体と位置づけられております。翻って本市の場合も、未来性ある優良企業の誘致は大変重要な課題であるというふうに思います。その面でも、初宿市長のトップ営業にかけるフル回転の取組には本当に驚いておりますし、何とか成果につなげていただきたいと、私としても1議員として支援を惜しまずに取り組んでいきたいと思っております。  本市の封鎖人口の厳しさを見るときに、再三指摘がありましたけれども、減少傾向に歯止めをかけるには子どもを産み育てやすくする子育て支援策を整える必要があると思っております。自然減対策はそう単純に成果が出る話ではないと思いますけれども、ダイナミックな子育て支援策の実現が要と考えますし、本当に重要なこととして、若年女性が安心して出産し、安心して子育てできる環境を整えることは重要と思います。徹底した子育て支援策を進める中で、特に女性の立場、視点を重視し、女性発の政策立案として、仕事面でも変わりなく働き続けられるよう支援していく必要があると思いますけれども、所見をお伺いいたします。 ◎【鈴木玲央議長】 総合経営部長。 ◎【真辺薫総合経営部長】 働きたい、働き続けたいと希望する女性を支援するため、様々な子育て支援を展開することは重要な取組であると考えております。働きやすい職場環境づくりや、学園都市の特性を生かしたリスキリング、再就職支援などの取組により、女性の活躍を促進し、働き続けられる、住み続けられる八王子市の実現に向けて取組を進めてまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第36番、村松徹議員。 ◎【36番村松徹議員】 ぜひ具体的な施策展開をよろしくお願いしたいと思います。  昨年、2023年の合計特殊出生率が先日発表になりまして、皆様も御存じのとおりなんですけれども、国全体で1947年以降最低の1.20、2005年に1.26ショック、これがありまして、いまだに記憶に新しいですけれども、それどころではない数字になってしまいました。そして、今度、東京都の合計特殊出生率に至っては、これは公式発表ベースで初めて1を割り込んだ0.99という数値になりました。考えられ得る支援策は全てやるというこうした考え方とともに、女性が負担と感じられるようなことにつきましては、社会的地位の面からも、また経済、また様々な精神的な支えなども含めて、全てにわたってしっかりと取り組んでいく必要があるというふうに思っていることであります。  豊島区が前回消滅可能性都市にリストされたときに、高野之夫前区長が対策として4つの柱を打ち立てたということが、これも報道されております。1つが女性に優しいまちづくりということで、若い女性に政策提言してもらうとしまF1という会議を立ち上げて、当事者の声から子育て支援の具体策を打ち出しました。結果、同区は10年間で2万人、うち若年女性2,600人人口増加し、消滅可能性自治体から脱却をいたしました。新聞では、結構外国人の方の流入があってこのような人口増になったということも報道されています。それでも、当事者である女性の視点を生かしたという取組が、高野前区長の大変な背水の陣での取組だったと思いますけれども、大事であったということを私は証明していると思っております。  人口戦略会議は、レポートの発表と併せまして、この同じときに「人口戦略と「共育社会」の推進に向けて」と題する人口戦略会議アピールを著しています。その中に、「今日、我が国は、急激な人口減少という、かつて経験したことがない時代を迎えています。このまま推移するならば、日本の将来に深刻な影響が及ぶことは避けられません。少子化の流れを変えることは困難かつ長期にわたる課題ですが、私たちは決して諦めるわけにはいきません。子どもや孫の世代に豊かで幸せな社会をつなげていく責任が、今を生きる私たち「現世代」にあるからです。」  さらに続きますけれども、「私たちが目指すのは、人口減少という事態を国民一人ひとりが自分事として認識し、「人口戦略」として社会経済全般にわたる改革を進め、結婚や子どもを持つことを希望する人がその希望を実現できる社会です。基本となるのは、子育てを母親一人が担うのでなく、父親はもちろん家族や地域が共同して参加する「共同養育」の考え方です。そうした社会を、私たちは「共育(ともいく)社会」と名付けたいと思います。私たちは、人口戦略と「共育社会」の推進に向けて、同志の輪をひろげ、政府、企業、地域、そして国民が意識を共有しながら取り組んでいくことに努めてまいります」このようにつづっております。  この人口戦略会議のレポートにつきまして、最後に初宿市長にお伺いしたいと思います。今回の人口戦略会議の指摘、また女性の声を生かす視点、共同養育、共育社会提案に対する市長のお考えをお伺いさせてください。 ◎【鈴木玲央議長】 初宿市長。 ◎【初宿和夫市長】 ただいま村松議員が人口戦略会議でのレポートを御説明いただきました。そこで示された教育、共育、この考え、これは、人口減少という大きな課題に立ち向かうには、今御説明いただいた教育、共育社会の考えにあるとおり、ひとりひとりが自分事として認識し、地域全体で子育てを支えることが重要と考えております。八王子市でも、八王子市子ども・若者育成支援計画の基本理念に、「みんなで育てる みんなが育つ わたしたちがミライにつなぐはちおうじ」を掲げ、社会全体で子育てを支えるまちを目指してまいりました。今回の持続可能性分析レポートの結果を真摯に受け止め、これまで以上に地域の方々や企業など、社会全体で子どもや子育て家庭を支えるまちづくりを進め、共育社会の推進に取り組んでまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第36番、村松徹議員。 ◎【36番村松徹議員】 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  次に、八王子市交通マスタープランについてお伺いいたします。  先ほどの答弁では、現八王子市交通マスタープランは、道路の整備状況の満足度や、公共交通機関が利用しやすいと感じる市民の評価を含め、9つの指標で目標値を達成、もしくは目標値に向かって推移している状況であるという御説明ながらも、鉄道駅乗降者数やバス交通利用者を含めた4つの指標につきましては計画策定時より後退していると、こうしたお答えがありました。新しい八王子市交通マスタープランの特徴といたしましては、MaaSやAIデマンドなど新技術を活用した移動しやすい交通環境づくりや、公共交通の利用促進、EV車両の導入など、環境に配慮した交通環境づくりに向けた施策の充実を図っているとのお答えがございました。  優先的に進める事項につきましては、コロナ禍以降公共交通利用者の減少が確認されることから、ハード、ソフト両面から利用促進につながる取組を進めるということでございました。これを受けて質問させていただきたいと思います。  新しい八王子市交通マスタープランの素案を見ますと、基本施策の1つとして、高規格道路の利便性向上に取り組む方向が示されております。都市計画道路に関しては、現在、第4次事業化計画から次期、すなわち第5次事業化計画へ移行するタイミングでありまして、新たな道路整備のステージを迎えるに当たりまして、高規格道路をしっかり整備してほしいと思っております。国は、ドライバーの働き方改革の一環といたしまして、時間外労働の上限規制を設けることによる人手不足、いわゆる2024年問題への対応として、無人で荷物を運ぶ自動物流道路の導入を検討しているそうでございます。空想の世界のようにも取れますけれども、スイスでは、主要都市間を結ぶ自動輸送カートの地下物流システムを構築し、2031年までに、チューリッヒ-ヘルキンゲン間の70キロを完成させるというふうに報道がなされているところです。  この都市計画道路の整備に関しては、現在の第4次事業化計画の9年度目に今入っているところでありまして、2026年度以降、次の10年間を期間とする第5次事業化計画に移行していくタイミングが迫っているわけでございますけれども、この2024年問題を踏まえた今後の道路整備の在り方についてお伺いしたいと思います。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 次期事業化計画に向けては、現在事業中の都市計画道路整備を鋭意進め、新しい八王子市交通マスタープランにも掲げる地域全体の活性化や、災害に強く安全に暮らせる交通環境の実現を目指してまいります。また、これに加え、2024年問題により国が設置した有識者検討会議では、物流等の輸送量の低下が見込まれております。そのため、交通の要衝地である本市においても、物流機能の一層の効率化に向け、その基盤となる道路については、ネットワーク機能の向上や、高速道路において検討が進められている自動物流道路の整備等、物流機能向上に資する積極的な整備が必要と考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第36番、村松徹議員。 ◎【36番村松徹議員】 本当に日進月歩の技術の進展、それは踏まえた上での交通の流れをつくる道路の整備というのは大事になってくるなと思っております。ぜひ具体的な取組をよろしくお願いしたいと思います。  今後の交通政策の中では、2024年問題、この対応が急務というふうに考えるところでありまして、路線バスについても、以前から運転手不足の深刻さが指摘されてまいりました。減便や廃止など、2024年問題を踏まえ、本市の路線バスの確保についての見通しについてお伺いさせていただきます。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 2024年問題に加えまして、本格的な人口減少が見込まれる今後においては、路線バスの維持に向け一層厳しい局面を迎えると予想しております。そのため路線バスの維持には、バス事業者の経営努力だけではなく、維持する地域の取組といたしまして、市民の方々も積極的に公共交通を利用し、持続可能な公共交通を市民がつくり、守り、育てるとする意識改革が必要と考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第36番、村松徹議員。 ◎【36番村松徹議員】 今のことは本当に大事な課題であると思いますし、市民も巻き込んで共有しながら、この意識改革は意思の共有ということで取り組む必要があると思っております。この2024年問題を踏まえまして、国は地方自治体と連携し、朝夕しか運行しないスクールバス、これは一部デイサービスの送迎車も含めてですけれども、活用を進めることで、地域の交通手段の立て直しを図ろうとしているという、こうしたことも伝えられるところであります。大学の多い本市も具体的な検討に着手すべきではないかと思いますけれども、御所見をお伺いします。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 現在国土交通省におきまして、スクールバスを地域の足として利用できるよう準備を進めております。市といたしましては、国の動向を注視し、検討材料が整う適切な時期に活用の可否を判断していきたいと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第36番、村松徹議員。 ◎【36番村松徹議員】 また、新聞やテレビの報道によりますと、すごく先鋭な報道をされますけれども、学校の遠足だとか修学旅行用のバスが確保できないという、こうした大変で困っているという報道が結構ワイドショー等でされているんです。この2024年問題は、トラックの運転手だけではなくて、当然ながらバスの運転手、その中でも修学旅行だとか遠距離の移動を伴う、こうしたバスの手当てが必要になるわけですけれども、本市の現状について、特にこうした厳しい状況について、本市の場合はどうなのかということで現状をお伺いさせていただきます。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 現在、小中義務教育学校でバス移動による修学旅行が実施できなかった事例はございませんでした。2024年問題は社会全体で大きな問題となっており、本市でもその動向に注視しております。引き続き情報収集を行い、子どもの安全を一番に考え、担当所管とも連携しながら対応してまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第36番、村松徹議員。 ◎【36番村松徹議員】 なかなかバスが手配できなくて焦った余り、劣悪な業者に頼んでしまって事故につながるということだけは絶対に避けなきゃいけないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、新交通システムの導入についてお伺いいたします。  モノレールを指していると思いますし、期待したいところであります。先日、初宿市長は、建設通信新聞の取材を受けて、多摩都市モノレール八王子ルート検討会議の立ち上げにつきまして、これはインタビュー記事の中で明らかにされております。この検討会議における市のスタンスや検討課題についてお伺いいたします。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 市といたしましては、この検討会議を通じて、多摩都市モノレール八王子ルートの実現に向けた各種検討を進め、早期整備に結びつける考えで検討会に臨んでいるところです。この実現に向けた課題といたしましては、並行して走る鉄道路線との兼ね合いを含め、前回の交通政策審議会において事業性に課題があると指摘された内容の解決を図ることと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第36番、村松徹議員。 ◎【36番村松徹議員】 これは確かに大事な、乗り越えなきゃいけない課題だと思っておりますので、今実現に向けた各種検討ということで、ぜひ早期実現に結びつけるということで頑張っていただきたいと思っております。  先日、会派で宇都宮市のLRTを視察してまいりました。東側のほうに伸びるルート14.6キロですか、これが去年の8月に通って、今後、今度は西口のほうに延伸していくという、ものすごい自信を感じられたのは、地価も上がり、どんどん流入する若い世代の方たちもこの沿線上にあるという大事な基幹の交通システムであると思っておりまして、ぜひともこれについて本気で進めるプロジェクトであるというふうに訴えさせていただきたいと思います。  一方で、新技術を活用した公共交通の取組として、AIデマンド、これは会派としても大変重要に思っている取組でございまして、次の八王子市交通マスタープランにおける取組についてお伺いさせていただきます。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 全国各地での採用事例を検証するとともに、関係行政機関や事業者へのヒアリングを実施し、運行経費を含めた市への適用条件等について、まずは調査研究を進め、その成果を基に実証実験につなげていきたいと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第36番、村松徹議員。 ◎【36番村松徹議員】 ぜひよろしくお願いいたします。  最後に、今後10年間、新しい八王子市交通マスタープランに掲げた施策を着実に進めていくということに対する中邑副市長の決意を含めた御所見をお伺いいたします。 ◎【鈴木玲央議長】 中邑副市長。 ◎【中邑仁志副市長】 交通分野における今御紹介もありました新たな技術、こういったものは、今後様々な環境で変化をもたらしていくものと考えております。本市におきます交通施策の課題解決に向けましては、これまでの取組を一層強化するとともに、急速に進展するデジタル技術に対応し、新たな方策を講じていくことが重要であると認識しております。新しい八王子市交通マスタープランは、新技術を積極的に取り入れ、多様な交通手段を組み合わせたシームレスな移動を可能とする交通環境の整備、これを目指してまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第36番、村松徹議員。 ◎【36番村松徹議員】 ぜひよろしくお願いします。  以上で私の一般質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 第36番、村松徹議員の質問は終了しました。  次は、第19番、玉正彩加議員。                  〔19番議員発言席へ移動〕 ◎【19番玉正彩加議員】 生活者ネットワークの玉正彩加です。通告に従いまして、一般質問を行います。  まずは、仕事と介護の両立について伺います。  団塊の世代が75歳以上に達し、介護人材が不足するとされている2025年が間近に迫っており、少子高齢化が加速する中で労働力人口の減少も大きく問題視されています。国の調査によりますと、介護をしながら働く人は、2022年の時点でおよそ365万人と、この10年で70万人余り増加しています。また、2030年の時点で介護の主な担い手となるのは今の40代から50代と言われている中で、ケア者への支援は早急な課題です。2025年を間近に控えた今、介護をしながらケア者が自分の仕事や生き方を大切にしていくためにはどんなサポートが必要なのか、突然訪れる介護で何に戸惑うのか、行政が課題を把握し具体的な施策を進めていくことが必要です。まずは、仕事と介護の両立のために、市ではどのようなことを課題と捉えているかお示しください。
    ◎【鈴木玲央議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 介護をする方が仕事と介護を両立するためには、働く家族の負担が軽減されている必要がございます。そのため、まずは介護をする方が不安や悩みを打ち明ける相談窓口があることを知ってもらうこと、このことが必要だと考えています。 ◎【鈴木玲央議長】 第19番、玉正彩加議員。 ◎【19番玉正彩加議員】 まずは相談窓口を知ってもらうことが必要とのことですが、私の周りでも、実際に家族の介護が始まった人や、介護に備えた話をする人が増えてきました。仕事と介護の両立が必要となってきますが、相談窓口をはじめ介護の知識が少ないこと、また仕事も多忙なため、介護の見通しを描けていない人が大変多いと感じます。突然始まる介護に備えて、事前に窓口などの情報を知っておくことが必要です。例えば調布市では、ケアラー支援マップを作成し、全戸に配布しています。全戸配布をすることにより、これから介護をする人に対しても必要な情報が行き渡るよう工夫がなされています。介護の状況に至っていない方に対して、介護が始まる前に情報が行き届くような取組を進めていっていただきたいと思います。仕事と介護を両立している人が相談しやすい仕組みを整えていくためにはどのような工夫をしていくのか、市の見解をお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 八王子市高齢者計画・第9期介護保険事業計画におきまして、デジタル技術を活用した相談窓口など、働きながら介護をしている方が相談しやすい環境づくりを推進することといたしております。 ◎【鈴木玲央議長】 第19番、玉正彩加議員。 ◎【19番玉正彩加議員】 働きながら介護をしている人の中には、遠方から介護のために通っている人や、日中は仕事により相談に行けない人など様々な事情を抱えています。例えば夜の相談会などを行っている自治体もありますので、先ほど御答弁にあったようなデジタル技術を活用した相談窓口など、様々な手法で相談しやすい仕組みを整えていっていただければと思います。  仕事と介護を両立していくために大きな課題となるのが経済的負担です。介護保険では、利用できる内容や時間に限りがあるため、保険内でのサービスでは足りず、生活支援や家事援助、通院介助などを保険外のサービスを使いながら仕事との両立をしている介護者の方は多くいます。利用料の負担が一部にとどまる介護保険サービスとは違い、全額自己負担になりますが、介護保険サービスの隙間を埋める形で介護保険外のサービスを使わざるを得ないという状況となっています。様々な制約にとらわれない保険外サービスを利用することで生活の質の向上や維持が期待できますが、一方で、費用面での経済的負担が大きいことは課題です。経済産業省によりますと、介護保険外のサービスを利用している、利用したいは6割を超えていますが、高所得世帯ほど利用を望んでおり、世帯収入によって温度差があるとのデータも出ています。  そこで伺います。ケア者の経済的負担軽減のために、本市で行っている取組があればお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 例えば紙おむつの給付ですとか認知症探索機器の貸与などによりまして、介護者の経済的負担の軽減に努めているところでございます。 ◎【鈴木玲央議長】 第19番、玉正彩加議員。 ◎【19番玉正彩加議員】 御答弁にございました紙おむつの給付につきましては、対象者が要介護1以上の認定を受けた世帯全員が非課税の方に限られています。また、認知症探索機器は、認知症により道に迷うことがある高齢者等の事故の未然防止と早期発見を目的とした機器の貸与であり、日常的に生活援助や家事援助を介護保険外のサービスで利用していることによる経済的負担の軽減とは意味合いが異なります。  本市では、在宅介護実態調査の中で、保険外の支援、サービスを中心とした地域資源の整備の検討をテーマとし、在宅生活の継続に必要と感じる支援、サービスについて実態調査を行っており、その結果によりますと、ほかのサービスと比較して、配食サービスと移送サービスを必要と感じる人が多いということが結果に表れています。配食や移送サービスは高齢者の毎日の暮らしを支えるためのサービスで、このようなサービスを日中利用することにより、仕事と介護の両立が成り立ちます。そのようなケア者の経済的負担や家事負担の軽減につながる具体的な施策を検討していただきたいと考えますが、市の見解をお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 市では、介護保険法に定められました範囲の中で、ケアラーの負担を軽減する取組を行っております。その範囲を超えるサービスにつきましては様々ございますけれども、利用者の方に費用負担をしていただくことが公平性の観点から適切であると考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第19番、玉正彩加議員。 ◎【19番玉正彩加議員】 ケア者への日常的な家事負担軽減のため、また経済的負担の軽減のために、他の自治体では、洗濯や調理、買物などの生活援助サービスが受けられる介護者ヘルプ利用券の配付や配食サービスチケットの配付、院内介助の付添いサービスなど、独自の取組を進めています。  そこで伺います。相談につなげる仕組みを進めると同時に、2025年を目前に控えた今、周知にとどまらず、介護者の負担軽減につながる施策を展開していく必要があると考えますが、市の見解をお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 高齢者あんしん相談センターにおきまして、家族介護者教室ですとか、あるいは介護者同士がつながる場の整備を推進しているところでございます。引き続き気軽に相談できる環境づくりを進め、介護者の負担軽減を進めてまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第19番、玉正彩加議員。 ◎【19番玉正彩加議員】 介護者の多くが感じる負担としては、身体的、精神的、経済的負担が挙げられております。しかし、このような介護者の負担や実態は外からは見えづらいという特徴があり、介護疲れによる離職や虐待につながる要因ともなります。ケア者の負担軽減につながる支援を進めていっていただきたいと思います。  次に、市職員の介護と仕事の両立について伺います。統計によると、介護の期間は平均約5年から10年となっています。その間の様々なリスクを考えると、できる限り離職をせずに、サービスや職場の制度を活用し、自分の暮らしや生き方を保ちながら、長期で介護を続けていくことが重要です。仕事を継続しながら介護を続けていくために、本市においては介護休暇の制度があると認識していますが、どのような利用がなされているか、利用状況についてお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 総務部長。 ◎【太田浩市総務部長】 介護休暇制度については、介護休暇、短期の介護休暇、介護時間があり、そのうち短期の介護休暇が最も取得者が多く、通院の付添いや介護サービスの手続などで1日単位もしくは時間単位で利用されております。 ◎【鈴木玲央議長】 第19番、玉正彩加議員。 ◎【19番玉正彩加議員】 要介護者の状況によっては長期の休業も必要だと思いますが、そのような時間単位で取得できる制度があることにより、自分のライフスタイルを維持しながら、長い介護生活を担っていくことが可能となります。介護をしていても自分らしく働けるような職場づくりを今後も進めていっていただきたいと思います。  次に、ケア者や高齢者が地域で暮らし続けることを支える団体への支援として、配食サービスについて伺います。  介護者や高齢者を支える様々なサービス提供がある中で、高齢者の毎日の生活や健康はもちろんのこと、特に仕事と介護を両立している人にとって、日中に食事を届けてくれる配食サービス事業は欠かせません。まずは、本市として、配食サービスの役割をどのように捉えているかお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 配食による高齢者の健康維持に加えまして、見守り、声かけ、呼びかけを行うことで、住み慣れた地域で健康かつ安全に生活できる社会の実現を担うものと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第19番、玉正彩加議員。 ◎【19番玉正彩加議員】 高齢者の配食サービス活動支援事業については、助成団体の半数が上限に達していない一方で、上限を大きく上回っている団体もあり、そのような団体からは経営が大変厳しいとの声が上がっています。以前に、現状の補助金上限額を上回って活動する団体への補助金の拡充を求めたところ、市からは、現在東京都の補助上限額を基準に補助額を設定しているとのことで、必要性が高まったと判断されるときに枠の拡大について検討するとの回答がありました。市が考える必要性が高まるの判断基準についてお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 必要性につきましては、単に食数の増加だけではなく、地域のニーズですとか資源を含めまして、総合的な判断基準を使うべきであると、そのように考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第19番、玉正彩加議員。 ◎【19番玉正彩加議員】 先日、配食事業を行っている方にお話を伺う機会がありました。高齢者の健康を考えた食事や利用者との会話を通し、信頼し合える関係性を築くことを大切にしているとのことです。やりがいを感じることとしては、バランスの取れた食事の提供により、高齢者の方が元気になっていくのが目に見えて分かることが本当にうれしいとおっしゃっていました。これまで事業の継続が厳しいことが何度かあり、そのたびに価格変更や提供する日数を減らすなど努力をしながら、何よりもサービスを利用してくれる地域の人のために事業の継続に取り組んでこられたとのことです。  昨今の物価の高騰により現在も厳しい経営状況となっており、値上げも検討しているとのことですが、お昼に届けたお弁当のおかずの半分を夜に取っておき、夜のおかずに充てる利用者は多く、そのような利用者の状況の中で値上げに踏み出すことに大きなためらいがあるとのことです。人に寄り添うことを丁寧に行っているこのような地域の団体は、ケア者や高齢者を支えるために大きな役割を担っていると考えます。配食サービスは地域包括ケアシステムの重要な担い手です。事業所が安定した運営ができるよう、事業所の課題等を共有するなど連携した取組を進めていっていただきたいと考えますが、市の見解をお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 補助金の助成団体からは、担い手の確保、ニーズの把握が課題として挙げられると、このように聞いております。そのため高齢者あんしん相談センターに配置しています社会資源を発掘し必要な方につなげていく役割を担います生活支援コーディネーターと課題について共有いたしまして、相談に乗るなど寄り添った対応に努めてまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第19番、玉正彩加議員。 ◎【19番玉正彩加議員】 ぜひよろしくお願いいたします。行政の手の届かないところを配食サービスを含めたくさんの市民団体が支えています。そのような団体としっかり連携していただくこととともに、市民団体がこのような助成金の情報を得られやすくする仕組みづくりもしていただくことを要望いたしまして、この項目の最後の質問に移ります。  今回は、介護をしながら自分らしく暮らすためにということで、仕事と介護の両立に向け、ケア者への負担軽減に向けた取組、また、ケア者の家事負担軽減につながる配食サービスについて伺ってきました。仕事と介護を両立する人が今後さらに増えていくに当たり、自治体ごとにケア者支援の取組は進められているとはいえ、まだまだ制度は整ってきていません。介護保険制度など高齢者を支える仕組みはあるものの、介護者は主な支援の対象となっていないのが現状です。ケア者は単に要支援者の介護者ではなく、1人の個人として尊重され、そして支援されるべき存在です。ケア者を社会全体で支えていくため、支援に関する施策の総合的な推進を図るため、また、介護者が健康で文化的な生活を営むために、ケアラー支援条例の制定を視野に入れたケア者への支援を進めていただきたいと考えますが、市長の見解をお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 初宿市長。 ◎【初宿和夫市長】 家族介護者が安心して生活を送るためには、社会から孤立することがないよう、地域全体で支え合う重層的な支援づくりが重要であると考えております。八王子市では、他の自治体の条例の理念に掲げられております実践的な体制と同じ機能を有する重層的支援体制整備を進めております。その体制において家族の負担を軽減させる施策を展開いたしまして、誰もが安心と希望を持って年を重ねられる未来につながるまちづくりの実現に努めてまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第19番、玉正彩加議員。 ◎【19番玉正彩加議員】 ありがとうございます。ケア者が尊重され、自分らしく暮らせるような支援体制を整えていただくことを要望いたしまして、次の項目に移ります。  続きまして、学校を魅力的な子どもの居場所へをテーマに、まずは学校校則の見直しについて伺います。  2022年、文部科学省が生徒指導に関する学校教員向けの基本書として作成している生徒指導提要の改訂を行いました。改訂版の前書きでは、こども基本法の子どもの権利擁護や意見を表明する機会の確保に触れられ、子どもたちの健全な成長や自立を促すためには、子どもたちが意見を述べたり、他者との対話や議論を通じて考えたりする機会を持つことは重要なことであり、その例として校則の見直しが挙げられています。また、社会の状況などを踏まえ、意義を適切に説明できないような校則は本当に必要なものなのか絶えず見直すよう学校に促しており、児童・生徒が校則について議論をすることは、ルールを無批判に受け入れるのではなく、その根拠や影響を考え身近な課題を解決する教育的意義があると説かれています。  そこで、本市の校則の見直しの取組について伺います。まずは、校則の意義や必要性について市の認識をお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 校則は集団生活における一定の規律を守るために必要なものであると考えております。子どもたちが校則を自分のものとして捉えられるよう、子どもたちの発達段階や、学校、地域の状況等を踏まえ制定することが重要であると考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第19番、玉正彩加議員。 ◎【19番玉正彩加議員】 多様な子どもたちが過ごす場において、校則は学校生活をみんなにとってよりよいものにするためのものであるということを子どもたち自身が捉えることが重要です。そのために校則について、またその目的や必要性も含め、生徒や保護者との間で共通認識を持つことが必要ですが、校則に書かれていることの意味や校則の取扱いについても含め、生徒や保護者に対して校則をどのように周知をしているかお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 生徒に対しましては、年度当初の学級開きや全校集会の際に分かりやすく説明を行っております。また、保護者に対しましては、入学前の新入生保護者説明会や年度当初の保護者会を通じて周知を行っております。そのほかに、学校ホームページ等において、市民に対しても広く周知を行っております。 ◎【鈴木玲央議長】 第19番、玉正彩加議員。 ◎【19番玉正彩加議員】 様々な場面で周知をしていることが分かりました。子どもたちから校則について疑問などがあった場合、どんな理由で変えたいのか、そのためにどのようにしたらよいのかを子どもたちが主体的に考えていく、そのプロセスにこそ大きな意味があると思います。校則について、子どもたちが主体的に考える機会、自分の考えを言える機会があるのかお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 市立中学校及び義務教育学校においては、生徒会が中心となり、各学級での話合いや、委員会や生徒総会等の活動を通じて、子どもたちが校則の意義や改善点について主体的に考え、自分の考えを言える機会がございます。 ◎【鈴木玲央議長】 第19番、玉正彩加議員。 ◎【19番玉正彩加議員】 自分たちの生活のルールは自分たちで決めていくことができるということを学校というコミュニティの中で学んでいってほしいと思います。  そこで伺います。実際にそのような活動を通して校則が見直された事例などがあればお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 ある市立中学校では、子どもたちの間で制服の着用について議論が起こり、冬服と夏服の移行期間をなくし、気候に応じて服装を選択できるようにしたり、男子用、女子用とされていた標準服を性別に関わらず選択できるようにしたりするなど、校則を改定した事例がございます。このほかにも、子どもたちの意見をきっかけとして校則の見直しを行った学校がございます。 ◎【鈴木玲央議長】 第19番、玉正彩加議員。 ◎【19番玉正彩加議員】 標準服の事例が出ましたが、今様々な学校で、誰もがスラックスかスカートかを選べるジェンダーレス標準服が導入されています。教育現場においてこのような取組が進められていることは大変喜ばしいことです。生徒の自主性を育み、個性や多様性を尊重することが求められている中、制服や標準服ありきの枠組みに限らず、制服、服装自由化に取り組む学校も増えています。  埼玉県のある学校では、前提として学校は勉強するところであるという考えの下、学校生活にふさわしい服装とはどういったものかということをみんなで議論を重ね、試験期間を経て、今年の4月から服装自由化に至ったとのことです。制服や標準服を着たい子もいれば、制服に息苦しさを感じる子もいます。特定のものを身につけることにより落ち着きを感じる子もいます。そのような多様な子どもたちが生活する中で、制服や標準服について子どもたちから意見が出た場合は、制服や標準服ありきの枠の中だけでなく、多様性や個性を尊重するために幅広い枠組みで子どもたちが考えられる機会をつくっていっていただきたいと思います。  次に、不登校の児童・生徒の居場所づくりについて伺います。全国的に大きな課題となっている不登校対策ですが、本市においては、不登校総合対策としてつながるプランを策定し取り組んでいることと認識しております。まずは、このつながるプランを策定し取り組む中で、どのようなことを大切にしプランを進めてきたかお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 つながるプランは、学校内外で専門的な指導、相談を受けていない不登校児童・生徒をゼロにすること、中学校卒業後の進路未決定者をゼロにすることの2つを目標に掲げ、制定いたしました。令和5年度は、不登校児童・生徒がつながる場所の確保とつなぐ人材と仕組みづくりの強化を重点的に行ってまいりました。 ◎【鈴木玲央議長】 第19番、玉正彩加議員。 ◎【19番玉正彩加議員】 つながる場所の確保ということで、学校内の教室や様々な民間施設、公的機関と連携し、一人でも多くの子どもたちの居場所や社会参加の場づくりを進めてきたことは大変すばらしい取組だと評価します。不登校総合対策つながるプランについて、2024年度はどのようなことに重点を置いて取り組んでいくのかお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 令和6年度も、不登校児童・生徒の社会的自立に向けた努力、その子の頑張りを積極的に認め、自己肯定感が得られる取組を進めてまいります。特に学校、保護者、関係機関との情報共有の仕組みに重点を置き、不登校児童・生徒の多様な学び方を認め、社会的自立を支援してまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第19番、玉正彩加議員。 ◎【19番玉正彩加議員】 ぜひ多様な学び方を学び、社会的自立を支援していく取組を積極的に進めていっていただきたいと思います。  先日、本市の中学校で活動しているスクールサポートスタッフの方から伺ったお話を紹介します。学校の花壇を活用し野菜の苗を育てていたところ、教室に入ることが難しい生徒が作業を手伝ってくれました。最初は少しの作業で疲れた様子だったのが、何度も足を運んでくれて作業を繰り返すうちに活動時間も長くなっていき、それと同時に、花壇から始めた畑もどんどん広がっていきました。太陽の光を浴びながら畑で体を動かすことにより、食生活や睡眠のリズムが整い子どもが元気になっていく様子を間近で見て、スクールサポートスタッフの方はとてもうれしかったとのことです。  また、子どもたちは自分で育てた野菜を家に持ち帰り、自分で調理し、家族に振る舞うくらい元気になったそうです。そして、卒業を間近に控えた2月、いつものように作業をしていたところ、ある生徒が、3月から教室に戻ってみようと思うと言いました。その言葉を聞いたときは、うれしさと同時に心配もあったとのことですが、そんな心配をよそに、その言葉どおり3月に教室に戻ることができ、卒業までの1ヵ月をクラスメイトと共に過ごし、無事に卒業したとのことです。  この活動を通し、畑や自然に触れ体を動かすことが子どもたちの大きな力になるということや、子どもたちが保護者や教員以外の地域の大人と接する機会の大切さを感じたとおっしゃっていました。数年前に花壇からスタートした活動ですが、今では畑も拡大し、今日も子どもたちの居場所となっています。先ほど部長から、子どもの頑張りを認め、自己肯定感が得られる取組を積極的に進めていくとの御答弁がありました。ひとりひとりが大事にされることが自信となり、自己肯定感を育む土台となります。一人でも多くの子どもたちが自分に合った環境を見つけられるよう、このような学校園を活用した取組も含め、多様な居場所の創出をさらに進めていっていただきたいと思います。  今回は、学校を魅力的な子どもたちの居場所へということで、校則について、また不登校支援について伺いました。学校は子どもたちにとって一番身近な地域の居場所です。自由に遊べる場の減少、自由裁量時間の減少、放課後一緒に遊ぶ仲間の減少など、社会環境やライフスタイルの変化により子どもを取り巻く環境が変わる中で、学校の役割は大変大きいと感じます。だからこそ、そこで過ごす子どもたちが主体となり、より学校が魅力的な場所へ、多様な子どもたちにとって居心地がいいと思える場所となるよう期待を込めまして、私の一般質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 第19番、玉正彩加議員の質問は終了しました。  次は、第7番、九鬼ともみ議員。                    〔7番議員登壇〕 ◎【7番九鬼ともみ議員】 立憲民主・市民の会の九鬼ともみです。それでは、発言通告に従いまして一般質問を行います。  つい先日、日本の合計特殊出生率が1.20と過去最低を記録したというニュースが駆け巡りました。昨年、2023年の出生数も75万8,000人と過去最小を記録し、国立社会保障・人口問題研究所の推計より12年も早いペースで少子化が進んでいることが明らかになりました。2040年、高齢者人口はピークを迎え、労働力不足による経済活動の低下が懸念される一方、医療・介護サービスや老朽化したインフラの整備など公共サービスの需要は増していきます。  限られた資源を効率的に配分し最大限に活用するため、各自治体は創意工夫を凝らし、様々な対策を講じています。DX、デジタル・トランスフォーメーションを活用した行政サービスの効率化や業務プロセスの見直し、公共施設マネジメントなどはその一環です。ちなみに、人口はここ数年は毎年50万人規模で減少しており、2040年頃には、毎年100万人ずつのペースで減少するとの予想です。総務省による自治体戦略2040構想研究会第二次報告では、この急激な人口減少期を耐えるために、自治体は行政のフルセット主義を排し、圏域単位あるいは圏域を超えた都市、地方の自治体間で有機的に連携すること、そして、連携することにより都市機能を維持し、人が人とのつながりの中で生きていける空間を形成し、人々の暮らしやすさを保障していく必要があると述べています。  言うまでもないことですが、医療、福祉、インフラなど、住民サービスの多くは地方自治体が支えています。住民の暮らしや地域経済を守るためにも、各自治体はいかに持続可能な形で住民サービスを提供し続けることができるかが問われていると言ってもいいでしょう。加えて、近年の自然災害激甚化を受け広域的な対応の必要性も増しており、行政のデジタル化と、さらにDXによる業務改革も進んだことで、ようやく自治体間での本格的な連携が現実味を帯びてきました。双方の持つ資源を最大限に活用し業務の重複を避けることで、今以上にサービスの質と効率が進むと期待されています。  さて、本市には絹の道都市間連携研究会という研究会があり、15年にわたる交流を続け、様々な調査研究をしてきたということですが、令和4年度に、この相模原市、町田市とつくる3市の関係に多様な広域連携促進事業という新たな局面が加わりました。「令和4年度多様な広域連携促進事業成果報告書」と題した報告書には、持続可能な行政体制の確保を図ることを目的として、3市を1つのまとまりとし、共同管理、再編可能性や若者人材の確保、育成などを行うための産官学連携体制の構築などの検討を行うとしています。報告書の冒頭には、3市は共に三大都市圏に位置し、急速に進む人口減少、少子高齢化により強い資源制約を受けながら、多様化、複雑化する住民ニーズや地域課題に対して適切に対応しなければならないという課題を抱えているということが記されています。  そこで、この報告書について質問させていただきます。報告書では、公共施設の共同管理、再編などの可能性と、圏域全体における産官学連携の可能性、これを検討テーマとして取り上げていますが、どのような問題意識でこのテーマを選ばれたのでしょうか。  また、それぞれ3市の資産管理部門と産業部門が集まって検討チームをつくり調査研究をしたということですが、どのような検討結果が得られたのか教えてください。  そして、この2つのテーマ以外にも、3市の人の動きアンケートやパーソントリップ調査による3市の生活圏の分析など、他の調査、分析も行っているようですので、その結果についてもどのようなことが分かったのか、併せてお答えいただきたいと思います。  次に、市内木材の利用拡大についてお聞きいたします。  本市は、都心からのアクセスも良好でありながら、自然や歴史、文化、芸能など多様な魅力を持つまちであり、中でも豊かな自然環境は心に潤いを与え、生活を豊かにするだけでなく、水源の涵養、災害防止、生物多様性の保全、二酸化炭素の吸収など、多くの機能を通じて都民生活にも貢献しており、市民にとっても大切な存在であります。  ところで、多摩地域には人工林が多く存在していますが、そのうち70%は植林後既に50年が経過しており、木材として利用可能にもかかわらず伐採されることがないために森林の更新が進まず、より多くの二酸化炭素を吸収するとされる植林後20年以下の若い森林が極端に少ない構成になってしまっていると言われています。中でも、杉は30年を超えると花粉飛散量を増加させますので、この点からも適正な更新が望ましいことが分かります。  東京都は、花粉症対策として少花粉杉への植え替え事業を行っていますが、この事業により大規模な皆伐が行われた恩方地区の現場では、その後表層崩壊が起きています。豪雨による災害が毎年のように起きる昨今、大規模な皆伐は大きなリスクを伴います。というのも、樹木の根は土壌をしっかりとつかみ安定させる役目を果たしているのですが、伐採により生命力を失った根は土壌を保持する力を失い、雨水の衝撃により浸食されやすくなるからです。  植え替えられた若い苗木が土壌を保持できるようになるまで10年15年はかかりますので、森林の多面的な機能を維持、増進していくためには、長期にわたる育成計画が必要で、そのためにも伐採、利用、植栽、保育の適正な循環を早期に確立していくことが望まれます。森林管理を強化するためには、国内林業を再生へと導いていく息の長い取組が必要です。森林の更新が適正に行われるためには、伐採して利用するという循環をつくっていかなくてはなりません。市内の木の活用を図ることで、八王子市の自然環境も保全されますし、防災・減災の観点からも非常に重要だと考えます。  そこで、本市における森林の管理状況をお聞きしたいと思います。本市で行っている森林管理の概要を教えてください。
     また、本市の森林面積は広い上に地形の問題などもあり、整備が進んでいないところもあるとお聞きしています。整備がうまくいかない理由をお聞かせください。  さらに、それらの課題に対してどのような対応をしていらっしゃるのでしょうか。  以上についてお聞きして、私の1回目の質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 都市戦略部長。 ◎【今川邦洋都市戦略部長】 私からは、広域連携に関する3点の質問にお答えします。  初めに、広域連携促進事業の2つのテーマ選定についてでございますが、まず、公共施設につきましては施設の老朽化が全国共通の課題となっており、各市で公共施設マネジメントに取り組んでいるところです。その中で、広域連携による効率的かつ持続可能なサービスの提供や住民の利便性向上などの可能性を検討するため、テーマとして選定をしたものでございます。  2つ目のテーマ、産官学連携につきましては、3市に共通する課題として、多くの学生が卒業と同時に転出をしてしまうという実態に対し、連携して圏域全体における若者人材の確保を図る取組などを検討するため選定したものでございます。  次に、検討結果についてでございますが、公共施設は3市の交通アクセスがよく、既に相互利用が多く行われている現状があることから、3市間での広域連携は効果的と分析をしており、その場合は施設の役割や位置づけに応じた広域連携が望ましいことを確認しております。また、産官学連携につきましては、学生の就職活動と企業の求人方法にギャップが生じていることから、学校関係者に対する3市の市内企業の認知度向上の取組や相互アプローチの促進など具体的な連携施策を考察しております。  最後に、テーマ以外の調査結果についてでございます。検討した施策の事業効果を高めるため、併せて行った3市の人の動きアンケートや、人の動きから見た交通実態などを把握するパーソントリップ調査の分析結果からは、八王子市民は他の2市に比べ市内での生活圏の完結度が高くなっており、日常生活を市内で行っている状況ですが、町田市や相模原市では、買物や通学において他の2市とのつながりが強いという結果が出ております。また、3市間の移動につきましては、自動車の利用比率が非常に高いことに加え、鉄道、特にJR横浜線が交通の基軸になっているといった結果も示されております。 ◎【鈴木玲央議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 私のほうには、市内の森林の状況につきまして3問御質問いただきましたので、順次お答えしてまいります。  まず、本市で行っている森林管理の概要についてでございますが、市が所有または管理を行う森林につきましては、森林の適正な保全を目的に、間伐、枝打ち、作業道の草刈りなど、計画的に維持管理を行っているほか、台風等の風水害から被害を未然に防ぐため、樹木の搬出伐採を行うなど、市民生活の安全に直結する作業の実施に努めているところでございます。その他の民有林に関しましては、杉、ヒノキの人工林におきましては、東京都が土地所有者との間で協定を締結して実施する事業である森林再生事業や、水の浸透を高める枝打ち事業等、森林の整備を進めております。  続きまして、森林の整備がうまく進まない理由についてでございます。土地所有者の高齢化や相続等により森林整備についての関心が薄いことのほか、樹木の伐採や搬出にコストがかかること、加えて森林内に隣接する所有者間との境界が不明確であることなどが主な原因であると考えております。  そして、3点目の整備が進まない課題への対応についてでございますが、林業事業者との間で整備についてヒアリングを行っているほか、森林を有する近隣自治体等で構成する協議会を通じまして、自治体間での連携、情報交換等を行いながら、所有者の森林整備に関する意向調査を進めているところでございます。 ◎【鈴木玲央議長】 第7番、九鬼ともみ議員。                    〔7番議員登壇〕 ◎【7番九鬼ともみ議員】 御答弁ありがとうございました。  地図を見ますと、確かにJR中央線、JR横浜線、京王相模原線、小田急小田原線の4事業体が3市の間をつないでいることが分かります。私も自分自身の生活を考えますと、利用路線に沿って日常生活の買物や買い回り品、余暇として楽しむイベントなどを計画していますし、身近な交通ルートに沿って一定範囲の生活圏が形成されるというのは、確かにそのとおりだなと思います。  自宅を中心にした同心円の中で多くの時間を使うことを考えますと、歩いて行ける距離、自転車で行ける距離、あるいは駅やバス停などの交通経路上に立ち寄ることができる商業施設や公共施設などがあることが重要で、それがなければ、勤務先や通学先など、出かけた先で買物や医療、習い事を済ませたり、買物ならネットで済ませてしまうということもあるかもしれません。地域内経済を活性化させるためにも、日常生活圏内で日々の暮らしが完結するというのはとても大事なことだと思います。公共施設の計画的な更新、適正配置を進めていくことも必要ですが、その一方で、人が人とのつながりを深め、心身ともに健康でいられるような居場所を確保することも重要だと思います。社会やニーズの変化に対応できるよう、特定の利用に限定せず、機能の複合化を検討することもぜひお願いしたいと思います。  特に市境においては、従来から公共施設が不足しがちでしたので、広域連携によって、市域を超えた相互利用が可能となれば、住民にとっても新たな拠点、人との交流の場ができることになりますので、生活の質の向上につながります。まちなかに出ていき、目についたお店にふらりと立ち寄って、居合わせた人と軽い会話を楽しむことができれば、生活に潤いが加わります。そんな出会いがあちこちで生まれるような仕掛けをすることでまちなかに活気が生まれ、多くの人の滞留時間が長くなれば、飲食業や生活サービス提供業者の進出も期待できるかもしれません。これまで行政サービスは各自治体内の住民に限定していましたが、市を超えた連携が新たな交流を生み出すことを期待しております。  それでは次に、この多様な広域連携促進事業の今後の方向性について質問させていただきます。去年、3市の市長による懇談会を開催したとのことですが、どのような話題が挙がったのかお聞きいたします。  また、懇談会のほかに、この研究結果を受けてさらに取り組まれたことがあれば、それについても教えていただきたいと思います。  それでは、多摩産材の活用についてお聞きしてまいります。  林業従事者の高齢化や日本林業の衰退に伴い森林の管理が不十分となっていることは、防災面でのリスクが大きいだけでなく、利用可能なエネルギーを活用できていないという点からも問題ではないかと思います。本市においても、森林は市内面積の42%を占めており、人の手を入れきちんと管理していかなければ、大きな災害をもたらす危険性をはらんでおります。  今改めて森林をエネルギー資源として見直すことの必要性が増していると考えます。日本の森林面積は2,500万ヘクタールで、国土に占める割合で言えば68.4%となり、フィンランドの73.7%などと並んで、世界でも屈指の森林資源の豊富な国として知られています。森林資源の豊富さを表すデータとして、1つに、木の幹の体積の総量を見る森林蓄積という指標がありますが、その値に注目すると、過去50年間で3倍近くまで増加しました。これは日本のデータです。  経済産業省の資源エネルギー庁によれば、日本のエネルギー自給率は、2020年度で11.3%、約9割を輸入に頼っているということになります。これは国際情勢いかんによって、国内エネルギー情勢が大きな影響を受けるということです。数年前のホルムズ海峡におけるタンカー攻撃事件、また、つい最近のロシアによるウクライナ侵攻のときの混乱はまだまだ記憶に新しいことと思います。今や、地球温暖化ではなく、地球沸騰化と称される時代です。気候変動への対応、エネルギー安全保障の確保という面からも、太陽光、風力、地熱、水力だけでなく、森林資源にも目を向けるべきだと思います。日本が誇れるこの豊富な森林資源に目を向け、林業を再興させることは、環境保護だけでなく、経済的にも大きなメリットをもたらすと私は考えます。  先ほどの質問で、樹木の伐採や搬出に多くのコストがかかるということをお伺いしました。また、利益が得られないため仕方なく伐採したところに放置せざるを得ないということをお聞きしたこともあります。林業を再び産業として成り立たせるためにはたくさんのハードルがあり、簡単なことではないと思いますが、まずは使っていくことが重要だと考えます。  そこでお聞きいたします。市では、八王子産を含む多摩の木材を多摩産材として様々な場所で活用していく取組をしており、市内で木の製品を目にしたり手にすることも多くなってきたように感じます。これまで多摩産材を活用した事例としてどういったものがあるのか教えてください。  また、市では森林を環境教育の場として活用することや多摩産材利用の場の拡大などに取り組まれていますが、さらなる展開の見通しについてお聞きいたします。  これで私の2回目の質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 都市戦略部長。 ◎【今川邦洋都市戦略部長】 私からは2点の質問にお答えをいたします。  初めに、広域連携に関する首長懇談会の内容ですが、令和5年5月に、3市の市長により、多様な広域連携促進事業の成果を踏まえて、圏域の未来像などについて意見交換を行っております。各市長からは、施設の相互利用について期待する発言があったほか、3市それぞれの魅力や強みを生かし、情報交換を行いながら、様々な分野で3市の連携を深めていきたいとの意見などが出ております。また、将来に向けてDX分野における新たな技術への対応や、リニア中央新幹線開業を見据えた定住施策等の必要性について確認をしております。  次に、研究成果を受けたその後の取組についてでございますが、令和5年度に3市で構成する絹の道都市間連携研究会では、多様な広域連携促進事業のテーマの1つであった産官学連携について研究を深めることとして、民間事業者との包括連携協定の活用を研究テーマといたしました。3市の職員が話合いを重ね、3市の現状と抱える課題を共有し、近隣自治体へのアンケート調査や包括連携協定を締結している企業などを視察するなど、令和4年度との関連づけを意識した継続的な取組などを行っております。 ◎【鈴木玲央議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 私のほうにも2問質問をいただきましたので、順次お答えしていきます。  まず、多摩産材の活用事例についてでございますが、これまで本庁舎の総合案内カウンターをはじめ、ふるさと納税返礼品用ショーケース、道の駅八王子滝山の農産物の陳列台やベンチ、親子ふれあい広場の滑り台やベビーベッドなど、市民の皆様に多く触れる機会の場である公共施設等に設置し活用しているところでございます。  続きまして、今後のさらなる利用の展開の見通しについてでございますが、森林の多面的機能の重要性が理解され、多摩産材の利用がますます拡大するよう、イベント等におきまして、木材体験等の機会を通して市民の理解を深めるとともに、関係所管と連携を図りながら、引き続き公共部門における多摩産材の積極的な活用を進め、普及、PRに努めてまいりたいと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第7番、九鬼ともみ議員。                    〔7番議員登壇〕 ◎【7番九鬼ともみ議員】 御答弁ありがとうございました。  もし広域連携が公共施設の縮減にしかならないのであれば、それは行政サービスの後退を意味すると思います。しかし、公共施設の複合化、多機能化を進め、より居心地のよい場所をつくるのであれば、それは地域に人の集まる拠点をつくることになります。さらに、人工知能、AIとDXも活用し、地域の情報共有プラットフォームを用意すれば、イベントや防災情報の周知だけでなく、共通の趣味を持つ人がつながったりなど、人と人との交流や相互扶助を強化することができます。物理的な距離、時間の制約、ルーチン業務から開放されれば、今まで以上により自由に創造的に行動を起こす人が増えるかもしれません。したがって、まちなかの移動のしやすさにも配慮が必要です。移動に苦労すると、まちなかにたとえ居心地のよい場所があったとしても、大抵の人は一番楽ちんな自分の家から出ようという気にならないからです。  ここで少し視点をずらして、3市を行き交う人の流れに目を向けてみます。南大沢の平均乗降客数は4万8,000人、JR横浜線橋本駅は11万4,000人、京王相模原線橋本駅は7万4,000人、町田駅になりますと、小田急線と横浜線を合わせまして約33万人ほどになります。非常に多くの乗降客を抱えています。橋本駅周辺においては、今後のリニア中央新幹線の開業を見込んだ開発も急ピッチで進んでおり、将来的にはビジネスや観光目的の来街者が増加する見込みです。  八王子市、相模原市、町田市の3市による広域連携というこの機会を捉え、交通網を整備してはいかがでしょうか。整備するといっても、最初は鉄道とバスの発着時間を考慮したり、3市連携により新たに人の流れが変わるところに適切なサービスをちょっと用意するだけでもよいと思うのです。市境であるがために十分活用されていなかった公共施設などの資源があれば、そこにちょっとスポットライトを当て、3市それぞれの広報紙やSNSでルートの紹介をし、地元野菜や多摩産材や工芸品などの販売をすれば、地域経済の活性化が期待できます。テーブルと椅子があってWi-Fi環境が整っていたら、それだけでもちょっとしたワークスペースになります。  先ほどの質問で、大学生がこの地域に就職していただくために様々な工夫が必要というようなお答えがありましたけれども、このような無料で使えるワークスペースがあれば、大学生がその場所で時間を過ごし、そして、そこがにぎわいにもなり、そして、この場所で過ごした充実した時間が、いずれ大学を卒業するときに改めて就職先としてこの地域を選ぼうという気分にさせるかもしれません。このように人をまちなかに誘導して3市間の往来を増やしておくことは、近い将来、MaaSが本格導入されたときに、MaaSの威力を発揮させる布石となります。  御存じのとおり、南大沢地区では南大沢スマートシティ構想という先端技術を活用したまちづくりが進められ、MaaSもその一環として導入が検討されているのですが、MaaS導入の恩恵を受けられるのは、そもそも公共交通網が充実している地域であると言われます。公共交通が貧弱な地域にMaaSのシステムを導入しても交通網の貧弱さを露呈するだけとなり、逆効果になってしまうとの指摘もあります。スムーズな運営のためにも、今からまちなかに拠点をつくり、人の往来の流れをつくっていくことが重要だと考えます。最初は細い線だとしても、拠点が居場所としてふさわしければ、いずれ多くの人が利用する主要ルートにも成長することでしょう。そのときこそMaaSを導入し、人を呼び、経済効果が上がれば、その恩恵は八王子市にも大きなメリットをもたらすと思います。  産官学連携についても大いに期待したいと思います。特に市が仲介役となり、市内の事業体とつなぐことでイノベーションが生まれる可能性が大きくなります。官民連携のヒントは、個人的な人脈のネットワーク、そして、官民連携に積極的であるという自治体のメッセージ、そして、全国の自治体職員との助け合い、この3つだそうですが、3市における広域連携はまさにこのような姿勢を公的に示しているものだと思います。各自治体が緩やかな持続性を確保する。そのためには、従来のように競争するのではなく手を携えていくことになったというのは、新たな可能性を感じさせます。  この3市の取組がよい例となって、いずれ近隣自治体との連携が広範囲に広がったら、例えば多摩地域と相模原市の木材を加工し、家具や建築材として都内に提供する一方、間伐材や樹皮をペレットなどのエネルギー資源や舗装材としてグリーンインフラ資源、キノコ類の菌床として農業にと、多方面での利用が広がる可能性もあります。地域で必要とされるものを山から得ることにより、森林の手入れも進み、地域に雇用も生まれます。林業が成り立つようになれば、職人という職業の選択肢も増えます。  本市では、学校や市役所や図書館などの公共施設で木材を使用することで、木材の利用促進や地域の特色を生かした建築を見ていただき、木製製品の普及、市に対する愛着心の醸成にも効果があるとしています。中でも、市内で間伐された丸太を御自身で切り、いちょう祭り、八王子市特別通行記念手形の焼き印を押して通行手形を作るというイベントは、大変好評だったと聞いております。  また、多摩産材のサイクルラックをサイクリストの利便性向上やサイクリストへの情報発信、安全啓発の場として活用するため、高尾山周辺のコンビニエンスストアに試験的に設置するという取組をされたことがあったそうですが、その結果、ほかにも何件かサイクルラックなどを導入したいという問合せもあったようで、市からの取組が功を奏したよい事例だと思います。  ほかにも、子どもたちに木のよさや大切さを学ばせる教育プログラムや、森林環境を生かしたエコツーリズム、八王子産の材木を利用した宿泊施設など、観光資源としての活用も有効だと思います。既に市では、高尾の森自然学校や上川の里特別緑地保全地区という取組がなされていますが、このような取組がさらに拡大することを期待したいと思います。急激な人口縮減という困難な時代だからこそ、今までの市域の壁と常識の壁を越え、ありとあらゆる手段を講じ、大人も子どもも心豊かに生きがいを持って暮らせる、そんな地域をつくるために私も調査研究を続けてまいりたいと思います。  これで発言を終わります。ありがとうございました。 ◎【鈴木玲央議長】 第7番、九鬼ともみ議員の質問は終了しました。  次は、第1番、大竹利明議員。                    〔1番議員登壇〕 ◎【1番大竹利明議員】 自民党新政会の大竹利明です。発言通告に基づき一般質問を行います。  まずは学校給食センターについて伺います。  昨年、令和5年9月に学校給食センター楢原がオープンし、今秋に学校給食センター寺田が完成する予定で、ここで5つ全ての学校給食センターが完成いたします。中学生へのセンター方式の全員給食が今年いよいよできる予定です。これまで議会でも様々議論がありましたが、温かく栄養バランスの取れた学校給食を提供することが子どもたちの食生活の確立につながることや、共働き世帯が当たり前となった現在、多くの保護者にも喜ばれていること、そして、市内の1次産業を営まれている事業者の皆さんや担当所管の皆さんの努力により、現在では、地元食材を使った地産地消の取組も37%を超え、食育も進み、本市の学校教育がさらに前進すること、約7年という短期間の間に、中学校全校への全員給食を達成できることは改めて高く評価いたします。  一方、人口統計の予測によれば、本市の中学生もさらに少なくなることは必然です。今年度で約1万2,000人ですが、今後に目を向けますと、本市の出生数は2,900人台であることを鑑みると、現在の調理能力はかなり余力も出てまいります。所管によれば、少子化により生じた給食センターの調理能力の余力は、老朽化した小学校の給食室のバックアップ機能として活用され、地域特性や児童・生徒数の推移を考慮し、学校再編や改築を機に、自校と親子を含めた拠点校方式とセンター方式を最適に組合せをされるとのことで、こちらは施設の有効活用の1つとしてぜひ進めていっていただきたいと考えますが、そもそも給食センターで給食を作るために稼働している日は年間210日、そして、昼食1食分の提供しかありません。  本市の市民から見ても、5つの学校給食センターが総工費約100億円をかけ立派な施設ができたが、市内の子どもたちは減っていくのに、平時では給食の提供しかしておらず、給食センターが持つ調理設備等が大変もったいないと感じるのが当然だと考えます。また、維持費として楢原が約4億円、ほかのセンターが約2億円が4つで約8億円、計約12億円がかかってくると試算が出ております。今後、学校給食費の無償化の検討も進んでいく中で、こちらも単年度で終わるわけにはいかないのが当然で、トータルで本市の毎年かかる財政的負担がかなり大きくなると言わざるを得ません。  そこで、例えば学校給食センターの施設を公共施設マネジメントの視点で、民間事業者にも給食の提供以外の時間に利用いただき、その利用料を頂くことで、少しでも歳入を増やす試みができないか、安心でおいしい本市の子どもたちの給食を持続的に維持し続けるために、有効的な多目的利用をすることができないか、質問を行ってまいりたいと思います。  そして、今までの活用の検討の中で大きな障壁となっていたのが、学校施設の目的外利用の制限です。今まで我が会派の議員の一般質問でもありましたが、本市の学校給食センターは約100億円、学校施設環境改善交付金約1割の11億円を活用して新築した学校給食施設であります。つまり、国の補助金を頂いて建設をした建物であり、児童・生徒の給食以外で給食センターの利用をするには、補助目的外として国に補助金分を返還しないといけないという法律上の縛りがあり、利活用の検討がなかなか進まなかった現状があります。しかし、他の自治体にも目を向けますと、新潟県の見附市では、学校給食センターを実施する段階から多目的利用の検討を進め、現在では、給食提供業務の終了後、民間の総菜業者が学校給食センターを利用して、年間3,300万円の利用料を頂いている全国初の取組をしているそうです。  そこで質問いたします。本市においても、学校給食センターの目的外利用について、現在実施している夏休みなどの長期休暇中の学童保育所の給食の提供や食育推進のために、1食300円で市民向け試食会を行っているような非営利目的利用の場合、あるいは民間の事業者に給食業務に支障のない範囲で貸出しし利用料を頂くような営利目的の場合、国からの補助金を返還し財産処分手続を行う必要があるのか、それぞれ本市から問い合わせた文部科学省からの見解をお聞きします。  続いて、障害者スポーツの現状についてお伺いします。  今年は8月28日から9月8日にかけて、パリにおいてパラリンピック競技大会が開催されます。障害者スポーツへの関心が高まる年ですが、来年11月15日から26日には、東京2025デフリンピック大会が行われます。デフとは、英語で耳が聞こえないという意味で、デフリンピックは国際的な聾者のためのオリンピックです。国際ろう者スポーツ委員会が主催し、4年ごとに開催されるデフアスリートを対象とした国際総合スポーツ競技大会です。第1回は1924年にフランスのパリで開催され、東京2025デフリンピック大会は100周年の記念すべき大会であり、そして、日本では初めての開催になります。  本大会は、「デフスポーツの魅力や価値を伝え人々や社会とつなぐ」「世界に、そして未来につながる大会へ」そして「“誰もが個性を活かし力を発揮できる”共生社会の実現」という3つのビジョンを掲げています。八王子市での競技会場は残念ながらありませんが、多摩地域でも、東大和市ではボーリング、調布市ではバドミントン、府中市ではレスリングの競技が行われる予定で、近隣の三多摩地区の会場でこうした世界大会が行われることを契機として、デフスポーツのみならず障害者スポーツへの理解を広げ、障害のあるなしにかかわらず共にスポーツを楽しみ、互いの違いを認め尊重し合う共生社会づくりをさらに進めていただけるよう本市でもより障害者スポーツ施策に取り組んでいただきたいと考えます。  そこで質問をいたします。3年前に開催された東京2020パラリンピック競技大会に向けて、本市では以前の八王子ビジョン2022の分野別計画として当時策定を進めていた八王子市スポーツ推進計画にも基本施策の1つとして、東京2020大会に向けた取組を位置づけ、八王子レガシープランを策定されました。重点項目として「障害のある人もない人もスポーツに親しめる環境の創出」を掲げられ、障害者スポーツの普及を通じて、障害のある人がスポーツの楽しさを味わい、心身ともに元気な生活を送れるための環境整備に取り組む、子どもたちがオリンピック・パラリンピックの理念に触れ、スポーツや文化芸術に感動する体験を通じて主体的に人生を生き、平和でよりよい世界の発展に貢献できる人材を育む、そして、パラリンピック競技の面白さや感動を身近なものにする取組を行うことで心のバリアフリーを進めるとあります。  新型コロナウイルスの流行という未曾有の事態もあり、限定的ではあったと思いますが、東京2020パラリンピック競技大会を契機として本市の障害者スポーツも前進し、ポジティブな影響があったことと感じました。来年度には改定予定となる現スポーツ推進計画に基づいた障害者スポーツの現状の取組についてお伺いして、1回目の質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 給食センターの目的外利用についての文部科学省の見解ですけれども、放課後や休日等を利用し学校教育に支障を及ぼさない範囲で使用する場合においては、利益あるいは不利益にかかわらず、補助金の返還については必要ないとの回答を得ているところです。 ◎【鈴木玲央議長】 スポーツ担当部長。 ◎【佐藤晴久スポーツ担当部長】 本市におきます障害者スポーツの現状の取組についてでございますが、本市では、障害の有無に関係なくスポーツに親しめる環境を整備するため、東京2020パラリンピック競技大会を契機として、パラリンピック競技を中心に体験の機会を設けています。主な取組としまして、ボッチャの派遣指導や市民大会の開催などの普及活動、また、八王子いちょう祭りにおいて、会場内にブラインドサッカーの体験ブースを設け、障害者スポーツへの理解促進や交流機会の創出に取り組んでおります。 ◎【鈴木玲央議長】 会議時間も長くなりましたので、暫時休憩します。                                     〔午前11時59分休憩〕   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                                     〔午後1時00分再開〕 ◎【美濃部弥生副議長】 休憩前に引き続き会議を開きます。  一般質問を続行します。  第1番、大竹利明議員の第2回目の質問を許可します。                    〔1番議員登壇〕 ◎【1番大竹利明議員】 それぞれ御答弁いただきました。  学校給食センターについて、営利、非営利目的のいかんにかかわらず、国補助の返還義務もないという見解も文部科学省からいただいたのであれば、真剣に多目的利用の検討を加速する必要があると改めて強く主張いたします。先ほど例示いたしました新潟県見附市は、市内13校、3,300食を統合し、給食センター方式を採用、給食センターの事業費が19億3,000万円、年間維持費が1億7,000万円と試算される中で、当初設計から空き時間の有効活用を検討し、工期も1年延長した上で、総菜加工に適した設備も追加し、業者の選定も、給食や総菜加工と共にできる業者を選定、業者からは利用料として3,300万円、年間の維持費の約20%を賄っているとのことです。  一方、本市に置き換えた場合、最大の懸念事項であった国への補助金返還義務が生じないという課題はクリアをいたしましたが、そのほかにも、ハード面やソフト面でも複数課題が生じてくるかと思います。例えば本市の学校給食センターは、約7年というこれだけ短期間に給食センターを各地域、近隣住民の同意を得ながら5ヵ所に設置ができたことは関係所管の御努力の結果だと思います。そして、安全性を最優先した食物アレルギーへの対応を行うことのできる専用のスペースを設けたり、地域の食育活動を支える場所を備え、子どもたちや地域の市民が給食センターに訪れて見学ができるスペースをつくったりするなど、学校教育をさらに推進する施設として、そして、本市でも災害が発生した際には近隣避難所への食支援を行うことなども想定し、様々活用の仕方を考えていただいていましたが、当初設計には民間利用の活用は考えておらず、あくまで給食を作るために必要な施設としての条件で整備を進めてきたため、例えば総菜加工をする低温管理するためのスペースや設備はありません。  当初の目的にない利活用をするためには、新たに増設する厨房機器が必要になるかもしれません。また、ソフト面では、万が一衛生管理にミスがあり、民間利用の業者が食中毒などを引き起こしてしまった場合は、センターの施設全体が停止することになり、子どもたちへの給食提供ができなくなるおそれもあり、給食提供を行う業者と民間利用の業者は同一であることが望ましいと言われております。ただ、2つの事業を担える業者を募集して集まるのかといった課題もございます。  そこで質問をいたします。民間利用をするに当たって、どのような課題や手続があると認識をしているかお示しください。  続いて、本市の障害者スポーツの現状の取組についてです。  私自身も本市のスポーツ推進委員の一員としてボッチャ教室を行っております。小学校の体育の授業に行かせていただき、子どもたちに45分という限られた時間の中でルールを教え、まず体験してもらい、そして、グループごとに2チームに分かれ対抗戦を行って、最後に全体で感想をシェアし合う取組を行っております。  また、各地で各種障害者団体に出向き、派遣指導を行ったり、1年に1度、富士森体育館主競技場にて市民ボッチャ大会も行われますが、その運営にも関わらせていただいております。この大会も年々参加数が増え、昨年では26チームの参加があり、参加したチームは、障害者のみならず、年配の老人会のグループ、親子連れ、学生の参加も多く、年齢層の幅の広さも感じました。中には全員車椅子のチームもあり、ボールを投げることができない選手が使用する勾配具であるランプを使いながら、見事決勝トーナメントに進出しておりました。  アンケートによると、出場した全チームから次回も参加したいとの回答があり、ボッチャの人気の高まりを肌で感じておりますし、障害者スポーツの普及に一定の成果を感じております。また、私の地元の総合型地域スポーツクラブにおいても、地域でボッチャの体験会を行ったり、東京都からの要請で、本市にある都立特別支援学校でも、輪投げやネオテニスも含めたスポーツレクリエーション支援を行っており、地域の方と障害者、そして、その家族も含めて、スポーツを通じて人と人が楽しみながらつながり、そして、お互いを理解できるまさしく共生社会に向けて裾野を広げている地道ですが大切な取組で、本市でも着実に障害者の理解に向けて前進していると言えます。  また、障害者の方々が利用いただくためのスポーツ施設や機材に関しても、八王子市では、東京都パラリンピック競技大会を契機として、ボッチャ競技用具を大会用や地域への貸出し用として順次整備し、障害者スポーツの普及啓発に役立てておりますし、東京フットボールセンター八王子富士森競技場では、ブラインドサッカーの日本一のチームを決める日本選手権の開催支援や、ブラインドサッカー専用のフェンスを整備するなど、障害者スポーツの普及促進にハード面からも取り組まれております。  改めてスポーツの力は大変大きいものがあります。本人にとっては、障害を持ちながら楽しいという気持ちを持つことができる活動の1つで、生きがいを感じることができますし、健常者にとっても、障害者スポーツに初めて触れたときに、こんな面白さがあるのだと純粋にスポーツの楽しさに気づき、障害者を理解し、社会を変えないと、と思っていただける方々が大変多いと実体験で感じております。また、パラリンピック大会やデフリンピック大会などのアスリートの競技だけではなく、本市で行われているふれあい運動会や東京都障害者スポーツ大会を観戦していると、一生懸命それぞれが頑張って自己ベストに向けている姿を見ると心打たれ、大変理解が深まると考えますが、市民の障害者スポーツに対する理解増進、そして、普及啓発に向けた現状の課題についてお伺いして、2回目の質問を終わります。 ◎【美濃部弥生副議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 給食センターの利活用に向けた手続についてですが、目的外の利用や、夜間に調理場を稼働させる場合に、震動や騒音など影響がないか調査を行い、近隣住民に対して説明を行う必要がございます。また、事業者を選定する際には、複数の業者が同一施設を使う上での衛生管理など、子どもたちへの給食提供に影響が及ぶことがないよう適切な運用形態で実施する必要があります。 ◎【美濃部弥生副議長】 スポーツ担当部長。 ◎【佐藤晴久スポーツ担当部長】 市民の障害者スポーツに対する理解増進、普及啓発に向けた現状の課題についてですが、令和5年度に行いました市政モニターの調査結果では、障害者スポーツの体験やイベントに参加したことはないが今後参加してみたい人の割合は45.5%となっています。そのため、今後は、障害者スポーツの体験会やイベント情報をはじめ、障害者スポーツの魅力をSNSやホームページなど様々な媒体を通じて、より多くの市民のお手元に届くよう情報を発信していくことが重要だと考えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第1番、大竹利明議員。                    〔1番議員登壇〕 ◎【1番大竹利明議員】 学校給食センターの民間利用の課題について御答弁いただきました。御答弁いただきましたとおり、騒音や振動などの影響がないか環境測定を行う、そして、住民への理解を求めるために説明会などを丁寧に行っていくことは重要なことだと考えますが、学校教育部だけでクリアできる課題ではないと思っております。また活用にしても、本市でさきに述べたような総菜製造や瓶詰・缶詰製造、パン製造などといった様々な活用があろうかと思います。ほかにも、八王子市での地場食材の加工場がないという声もあり、カット野菜、ジャム、ソースなどに加工して、地場食材を地元で加工する6次産業化の推進、学校給食センターの設備で集中調理を行い、クックチルシステムでセントラルキッチンとしての活用も考えられます。  こうした企業のニーズをつかみマッチングすることは産業振興部の領域です。あるいは今後の社会構造的にもニーズの高い高齢者施設などへ、スケールメリットを生かすことで、既存の食事提供よりも安価でおいしく安全な給食調理を行い、配達業務を行うことも可能です。こちらも福祉部に関わってくるものだと思います。様々な活用の検討が想定できますが、それにはぜひ八王子庁内横断的になり、市全体で学校給食センターの民間利用の利活用に向けて進めていただきたいと考えます。  そこで、最後に質問をいたします。戦略的な企業誘致により、税収増加と雇用創出をうたい、積極的なまちづくりを進められている初宿市長に、公共施設の有効活用を行い歳入確保にもつながる学校給食センターの民間利活用の見解をお伺いして、学校給食センターの質問を終わります。
     また、障害者スポーツの現状の課題についてです。障害者の方がスポーツを行う環境整備はまだ不十分であり、1つの自治体だけでは障害者スポーツの需要を賄うことは難しいとも考えます。そのような中、国立市には、東京都初の障害者専用のスポーツ施設である東京都多摩障害者スポーツセンターがあります。障害のある方がいつ来ても、また1人で来ても、気軽にスポーツ、レクリエーションを楽しめる施設であり、障害の種類、程度、目的に応じた支援、そして医師、医学療法士、スタッフなどによる個別相談も行うことができ、本市の市民も車で30分ほどあれば行ける場所です。一方、東京都多摩障害者スポーツセンターもすばらしい施設なのですが、なかなか認知度も低く、市内に障害者がもっとスポーツができる場所がないのかという声をしばしば聞くのも事実で、近くにこうした施設があることを本市の市民にも認知度を上げていく広報の取組は必要なのではないかと考えます。  また、2021年に日本財団パラスポーツサポートセンターが実施した調査によると、パラリンピックの認知度は97.8%に対し、デフリンピックの認知度は16.3%という状況です。本調査から3年がたっているので認知度は上がっているとは思いますが、デフリンピック自体を知らない方々は大勢いるものと推測されます。そのような中、デフリンピックを多くの方々に知っていただくためには、スポーツ振興課だけで取り組むだけでは難しいと考えます。例えば聴力を塞いだ上でのスポーツを体験してみることを学校の授業の中で行ってみることも有効だと思いますし、そのほかにも、デフリンピックへの関心を高め機運を盛り上げることで、本市の共生社会の理解促進につなげることを目的とした全庁的な取組が必要と考えます。  最後に、来年度の東京2025デフリンピック大会に向けて、本市で今後取り組む内容をお聞きして、私の一般質問を終わります。 ◎【美濃部弥生副議長】 スポーツ担当部長。 ◎【佐藤晴久スポーツ担当部長】 令和7年度のデフリンピック開催に向けた機運醸成への取組についてでございますが、多くの市民が集まるスポーツイベントでの普及活動に力を入れてまいります。また、先月5月には、東京都から新たなPR動画も提供されましたので、デフリンピックを広く市民に知っていただけるよう適宜市のホームページなどを通じて情報発信を行うとともに、御紹介のありました市内小中学校での体験の機会を設けるなど、関連所管と連携し、東京2025デフリンピック大会開催に向けた機運醸成の取組を進めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 初宿市長。                     〔市長登壇〕 ◎【初宿和夫市長】 第1番、大竹利明議員の一般質問、給食センターの民間利活用に関する私の見解です。これまで八王子市の給食センターでは、よりよい食習慣を身につけるための食育や、真心を込めた給食で、子供たちの健やかな成長を支えるといった教育面での効果を上げたのみならず、地域の食の拠点として、市民への料理教室や100年フードの試食会など、広く八王子市民の食の関心を深める取組を行ってまいりました。引き続き産業農業振興や福祉の推進などにつながる歳入確保に向けた市の財産としての給食センターの民間利活用の実現に全庁で横断的に取り組んでまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第1番、大竹利明議員の質問は終了しました。  次は、第31番、吉本孝良議員。                    〔31番議員登壇〕 ◎【31番吉本孝良議員】 自民党新政会、吉本孝良でございます。通告に基づきまして一般質問をさせていただきます。  最初に、八王子市シルバー人材センターについてお尋ねします。  シルバー人材センターとは、高年齢者が働くことを通じて生きがいを得るとともに地域活動の活性化に貢献する組織です。センターは原則として市区町村単位に置かれており、基本的に都道府県知事の指定を受けた社団法人で、それぞれが独立した運営をしています。現在に至るまで、沿革としては、昭和50年、東京都においてシルバー人材センターの先駆けとなる高齢者事業団が創立されました。この背景として、急速な高齢化の進展の中で、高齢期を有意義に、しかも健康に過ごすためには、定年等で現役引退した後でも、何らかの形で就業し続けたいと希望する高年齢者が増えてきた社会情勢によってです。自主・自立、共働・共助の理念の下に、高齢者の知識、経験、能力を生かしながら社会参加していこうという発想が多くの人の共感を得て全国に広がりました。  昭和55年度から国の補助事業として、シルバー人材センターの名の下、全国的に事業展開され、各市区町村での設置が相次ぐ中、昭和55年12月、情報交換、経験交流等を図ることを目的としたシルバー人材センターの全国組織として、全国高齢者事業団・シルバー人材センター等連絡協議会、略して全高シ連が発足しました。  昭和57年7月、全高シ連を発展的に改組し、社団法人全国シルバー人材センター協議会が発足、昭和61年に施行された高年齢者等の雇用の安定等に関する法律において、定年退職者などの高年齢者への就業機会の確保のため必要な措置を講ずるよう努めることが国及び自治体の責務として位置づけられたことによって、シルバー人材センターが法的に認められました。これ以降、全国各地にシルバー人材センターの設立が飛躍的に伸びることとなりました。  さらに平成8年、同法の改正によって、社団法人全国シルバー人材センター事業協会と改め、公益法人制度改革により、平成24年、公益社団法人全国シルバー人材センター事業協会と改め、現在に至っております。  これらの歩みの中で、八王子市シルバー人材センターにおいても、昭和51年に全国で3番目の八王子市高齢者事業団として設立されて以降、健康で働く意欲のある高齢者が、生きがいや健康のために、仕事を通じて地域社会の発展に寄与することを目的として活動されています。設立当初と同じように、自主・自立、共働・共助の理念の下、臨時的かつ短期的な就業または軽易な業務の就業を希望する高齢者のために就業の機会を確保し、提供しております。  現代社会は、個人の価値観が多様化し社会のニーズも多岐にわたる中で、行政や営利を追求する民間企業だけでは、社会のニーズを満たし課題に対応することが難しくなっています。八王子市シルバー人材センターは、平成23年には公益社団法人の認定を受け、民間でありながら高齢者の就業支援という公益的なサービスを提供する役割をしっかり果たしています。八王子市においても、高齢者雇用安定法に基づく団体として、国及び地方公共団体には援助、育成が義務づけられている中で、補助金の交付や政策目的随意契約の発注が行われると思いますが、現在の支援状況についてどうなっているのか質問いたします。  超高齢社会の中で、高齢者の就労やボランティア活動の機会を提供するシルバー人材センターの重要性はますます高まっていると考えます。市としては、超高齢社会におけるシルバー人材センターの役割をどのように認識しているのか、併せてお示しください。  また、シルバー人材センターは、高齢者雇用安定法において、定年退職者などの高年齢者への就業機会の確保のためにできた団体であるはずなのに、なぜ福祉部が所管となっており、産業振興部は関わっていないのかをお伺いいたします。  続いて、学校教育における郷土愛についてお聞かせください。  八王子市の郷土愛に対する授業や施策は様々行われています。しかし、本質として、子どもたちに何を学んでほしいのか、疑問に感じるところがあります。八王子市の郷土に触れる、八王子市の歴史や文化を学ぶなど、確かに八王子市という地域を学ばなければ郷土愛の醸成はできません。八王子市教育委員会が与えている八王子市の文化伝統などに対しては総体的に発信され、郷土愛に通ずる教育はなされていると感じます。しかし、本質はどこにあるのか。私は、子どもたちが暮らしている地域、町会に目を向ける必要性があると思っています。君、何中、テレビ等でよく言われる八王子市のあるあるフレーズです。このフレーズで、皆さんは何を感じるでしょう。私は紛れもなく郷土愛だと思っています。  八王子市は、大正6年に市制施行を行ってから合併によってできた自治体であり、その頃の名残だと思っています。自分の地域、学校が誇らしいから、言い換えれば、地域が誇らしいから言えることだと思っています。私は八王子市立第一中学校を卒業しました。通称、一中です。一中は、現在大和田小学校、第八小学校、高倉小学校の3校で学校区を形成しています。どこ中は、地域を限定するのに便利なキーワードです。中学校のときは八王子市内において、高校生のときは違う地域で、八王子市民同士が挨拶のときに使うコミュニケーションツールです。生まれも育ちも八王子市の方々の中で、今も使い続けられるフレーズです。  そのような地域を大切にしているからこそ、八王子市が中学校選択制を導入するときに、自民党新政会は、地域の分断になってしまうのではないか、地域への参画が難しくなるのではないかとの厳しい意見を言わせていただきました。それぐらい中学校区は大事であり、守らなければならない地域です。市の施策でも、中学校区を1つの単位として様々考えられていますが、教育委員会が考える郷土愛について、どのくらい地域を踏まえた内容で行われ、子どもたちに何を求めた教育を行っているのか質問しまして、1回目の質問を終了いたします。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 シルバー人材センターについて、2点お答えいたします。  まず、市の支援についてですが、事業運営に対する補助金といたしまして、令和5年度実績で3,329万円を支出しております。また、運営面のサポートといたしまして、庁内各部署にシルバー人材センターを積極的に活用するよう通知を出しており、令和5年度の発注実績は3億5,000万円となっております。そのほか、大横保健福祉センター3階にある事務所や平岡町にある作業所など、公共施設242平方メートルを賃料減免で提供するといった支援を行っております。  次に、シルバー人材センターの役割についての市の認識ですが、超高齢社会において地域の活力を維持向上していくためには、高齢者の社会参加は欠かせないと考えております。シルバー人材センターには、就業機会の確保を通じて、社会参加を促進していただいていると認識しております。 ◎【美濃部弥生副議長】 産業振興部長。 ◎【平塚裕之産業振興部長】 シルバー人材センターの所管に関する御質問ですが、本市では、以前は産業振興部が高齢者の就業確保を目的として所管しておりました。平成13年に、高齢者の働くことによる生きがいの場、社会参加の場とすることを目的として、当時の産業振興部から健康福祉部に所管を変更した経緯がございます。 ◎【美濃部弥生副議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 学校教育における郷土愛の育成についてですが、自分たちの住んでいる地域が先人の方々の英知と努力の積み重ねで守られてきたことに気づかせ、地域の方々に支えられていることを自覚させることが大切であり、それこそが郷土愛を育むことの基本であると認識しております。これまで市立学校では、八王子車人形や高尾山薬王院などを体験的に学ぶ郷土学習を全校で実施してまいりましたが、それだけではなく、子どもたちが地域のお祭りや清掃活動などの行事に参加したりするなど、地域との関わりやつながりのある活動も大切にしていくべきであると考えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第31番、吉本孝良議員。                    〔31番議員登壇〕 ◎【31番吉本孝良議員】 それぞれ答弁をありがとうございます。それでは、2回目の質問をさせていただきます。  事業運営に対する補助金や、公共事業の受注促進、事務所等の場所の提供といった支援を実施している一方で、その協力関係にひびが入るような課題があると聞いております。1つは、市の発注金額の減少により、シルバー人材センターの経営状況が悪化していることについてです。これまでシルバー人材センターは、市役所本庁舎や地域事務所の環境整備や浅川清掃など、大規模なボランティアも主催しているほか、青少年対策地区委員会やいちょう祭りなど、他団体への参加協力も積極的に実施し、社会貢献事業を積極的に実施しているほか、年間10億円規模の事業を市民へ還元し地域活性化に貢献している。活動を通じ月4万円から5万円の平均収入は、重要な年金生活の下支えとなっている。  平成29年作成の全国シルバー人材センター事業協会報告によると、会員と非会員の医療費差額は約6万円となっており、実就業会員2,000人強の当センターにおいては1億2,000万円の医療費削減につながっていると試算できるとの報告がありました。会員の心身の健康に役立っていることから、会員の医療費削減にも寄与しております。また、行政の守備範囲を超えた生活支援を行っており、福祉部が掲げている健康化、高齢者の支援を行っている団体と感じています。  ここで感じることは、センターが行っている活動と行政が望んでいる目的には相違がある点です。市から発注減になった学校施設管理契約について、本来高齢者雇用安定法に基づく団体であるため、国及び地方公共団体には援助、育成が義務づけられているはずなのに、政策目的随意契約が解除された点です。本来であれば随意契約とするべきであるのに、一般競争入札を用いられた理由があると思います。八王子市側の狙いは何で、どんな理由だったのかお示しください。  その状況に対して、現場レベルだけでなく、組織としてもっとしっかり丁寧に協議する必要性があったのだと思います。市の外部団体ではなく、都の外部団体であるがゆえに対応が二の次になっていないか、所管にとってお荷物な団体だったのではないか、そう考えられるような不満を持たれても仕方がない対応をしてきたのではないか。それについて市側の見解をお尋ねします。  さらにもう一点は、八王子市シルバー人材センターの横山事務所への移転です。市の子育ての支援強化のため、子ども家庭支援センターが大横保健福祉センターに入居し、機能強化を図ることが決定されています。そのため、現在八王子市シルバー人材センターは大横保健福祉センターに事務所を構えていますが、そのスペースを子ども家庭支援センターが活用することになり、結果として、八王子市シルバー人材センターが事務所を移転せざるを得ない状況になっています。その中で市から示された移転先が横山事務所ということでした。子ども家庭支援センターが移転することに異議はないのですが、条件面において、明確で納得が得られる説明であったのか、交通利便性に問題はないのか、双方合意した上で決定されたのか、市側の見解をお伺いいたします。  続いて教育についてですが、指導担当部長から答弁いただきました。子どもたちが主体的に自分たちの住む地域の伝統文化について調べるなどの教育活動を推進するとのことでしたが、具体的に地域活動を積極的に取り組めるように周知していただきたいと思います。コロナ禍の中で地域とのつながりが希薄になったままになっている。この距離を縮める仕事は、学校長、副校長、学校コーディネーターの役割であると思います。  八王子市教育委員会がつくっています地域学校協働活動推進員、通称、学校コーディネーター、令和6年度改定ハンドブックには、学校コーディネーターの役割とは、地域住民と学校の橋渡しをし、連携、協力体制を構築するための調整役、学校支援活動において、学校と地域住民の橋渡しとなり、活動に当たっての企画調整や地域ボランティアの確保などを行う総合調整役と記載されている一方、本市では、本規定以前より独自の学校コーディネーター事業を展開しております。その役割は、国が考える学校コーディネーターの考え方である地域と学校のパートナーシップに基づく双方向の連携、協働とは異なり、現状は学校支援に係る総合的な調整役として市要綱で位置づけ、教育委員会より活動を委嘱しておりますと記載されています。  内容を読ませていただきましたが、学校に都合がいい、子どもたちが通う学校のために地域が協力することをお願いしますという内容になっているように読み取れました。学校コーディネーターを取り巻く本市の主な取り組む項目の中で、学校活動支援、協働事業とあります。学校と地域等の教育活動の支援に係る協働活動の構築を図ることを目的に、教育委員会より各学校へ予算を配当して実施する活動、活動に当たっては、ボランティア等を活用していると記載されています。  しかし、地域等の教育活動の支援とあるが、どのような事業を行っているのか、地域に周知されていないのではないか、周知されているとするならば、なぜ地域の人たちが知らないのか、そうであれば周知方法が間違っているのではないかと感じます。学校のために地域の皆さんが協力してほしいですが、地域のことは学校では協力する体制を取っていないので考えていませんという理屈になると思います。そうなると、ここでの質問であります地域を理解する教育である郷土愛については行っていないということになります。御所見をお聞かせいただいて、2回目の質問を終わります。 ◎【美濃部弥生副議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 私には2点の質問をいただきましたので、順次お答えいたします。  まず、シルバー人材センターとの契約を一般競争入札に変更した理由についてですけれども、高齢者の就業機会を図ることを目的に、同団体と学校施設管理契約について随意契約を締結しており、職員の業務内容において、数年来複数の課題を整理するため協議を重ね、業務の改善要望をお願いしておりました。しかしながら、要望していた改善要望が図られなかったため、同団体に対しまして事前に経緯を説明した上で、令和5年度は一般競争入札に切り替えたところでございます。  続いて、今後の学校と地域との関係性についてです。コロナ禍を経て人とのつながりがさらに重要視される中、地域の皆様との関係は欠かせないものと認識しております。特に郷土愛を育む上では、子どもたちが地域に精通した皆様から地域の話を直接聞くなど、地域の皆様と触れ合うことによりその意識が一層高まるものと考えております。このため、市内全校に設置しております学校運営協議会の全体会をはじめ、学校コーディネーター研修などの機会を捉え、地域運営学校としての支援の在り方など、改めて周知してまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 福祉所管としてのシルバー人材センターへの対応についてでございますが、令和5年度のような売上げの減少によるシルバー人材センターの経営状況の悪化については想定できるものでございます。今後、厳しい財政状況におきまして、自治体により一層効果効率的な行財政運営が求められますと、シルバー人材センターを安定的に運営するためには民間受注の割合を増加させる取組などについて強化していく必要があると考えております。市といたしましては、それら経営改善の取組の支援を積極的に行っていかなければならないと認識しております。  次に、シルバー人材センター事務所の移転についてですが、シルバー人材センターとボランティアセンターが横山事務所に移転し、一体的に活動することで相乗効果を生み出し、福祉の拠点として高齢者就業とボランティア活動が活発化する効果を期待しております。また、利用者の交通利便性につきましては、一部低下する懸念があり、サテライト施設の設置を検討いたしましたが、令和5年度の時点では対応が極めて困難と判断したところでございます。これらにつきまして、シルバー人材センターに対する丁寧な説明が不足していたと認識しております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第31番、吉本孝良議員。                    〔31番議員登壇〕 ◎【31番吉本孝良議員】 それぞれ答弁をありがとうございました。3回目の質問をさせていただきます。  入札においては、学校施設における業務内容改善や、地域との関わり方、組織的な改革の必要性、そういったものを踏まえた中で行ったというふうな認識をさせていただきます。しかし、八王子市シルバー人材センターは、高齢者の就業促進という公共的役割を担い、地域にとってはなくてはならない存在と考えています。このような課題を解決していくことが、今後の八王子市シルバー人材センターの安定的な運営につながると考えています。福祉部に今後の対応について改めてお伺いします。  次に、産業振興の面から、人口減少による労働人口の不足が見込まれる中で、民間企業も今まで以上に高齢者を活用するようになってくると思います。商工会議所においても高齢者を活用する施策が打ち出されておりますが、今後、八王子市シルバー人材センターが事業展開していく上で、民間企業への受託開拓の支援が必要と考えます。産業振興部においても関わりを持ちながら支援していただきたいと思いますが、お考えをお伺いします。  この質問の終わりに、八王子市は今後シルバー人材センターとどういった関係を築いていくことが望ましいと考えるのか、植原副市長へ方向性をお伺いいたします。  学校教育における郷土愛についてですが、未来を担う子どもたちに郷土愛の原点を分かりやすく知ってもらいたい。そして、地域の一員となって一緒に地域を考えてもらいたい。それが郷土愛になると思っています。私が言いたいのは、例えば学校から地域の活動について応援体制はできないのか。地域の清掃活動へぜひ参加しましょう、みんなと住みやすい地域について考えようといった簡単な内容ができないのかを提案しているだけです。たかが地域の清掃活動ですが、参加することでの気づきが大変重要なことであると思います。  先日、町会の清掃活動に参加したときに、小学生が2名、親御さんと参加してくれました。一生懸命きれいに清掃している姿が大変うれしく感じました。公園になぜこんなにごみが落ちているのか、みんなが使う公園は汚してはいけない、この地域は住民で住みよい環境をつくっていると改めて感じました。そうした未来につなげる教育をもっとしていただきたい。町会に非協力的な方で、この地域がよく、住みやすい地域だから引っ越してきたと、手伝うこともなく言われた方がいらっしゃいました。残念でならなかったです。恐らく地域の活動にこれまで参加されたことがなく、自分たちでよりよい地域にするための努力をしてこられなかったことだと思います。  このような地域を大切にされない人を増やさないためにも、地域に誇りを持ち、自分たちの住む地域を大切にする教育をしっかり行ってほしいと思います。安間教育長に、今後の地域との関係性、郷土愛について質問をしまして、私の一般質問を終了いたします。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 シルバー人材センターへの今後の対応についてですが、まず、横山事務所の改修工事につきまして、できるだけシルバー人材センターの要望に沿った内容が実現できるよう現在設計内容の見直しを進めております。また、経営状況の好転や交通利便性の向上を図るために、駅周辺にサテライトスペースを確保することについて、再度検討しております。駅前という好立地での活動により、会員の利便性向上に加えまして、新規会員獲得のための説明会や民間企業への受注開拓のための営業活動がしやすくなるというメリットを生かし、シルバー人材センターの経営改善効果も期待しており、引き続き様々な面から支援してまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 産業振興部長。 ◎【平塚裕之産業振興部長】 シルバー人材センターにつきまして、民間企業への受託開発への支援についてです。就業により高齢者の健康づくりと生きがいづくりを目的に設立されたシルバー人材センターの事業は、人材不足とも言われている産業界においても重要であると考えております。関連所管や市内の経済団体とも連携し、シルバー人材センターの活動を民間企業に周知するなど、受託開発に協力してまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 安間教育長。                    〔教育長登壇〕 ◎【安間英潮教育長】 郷土愛に関する教育についてでございますが、子どもたちが自分の住む地域に愛着と誇りを持ち、地域の一員としての自らのアイデンティティを養うことは、これまでもこれからも最も重要な教育の課題の1つです。そのために、本市では、地域資源を生かし、子どもたちが自分の地域の魅力や歴史を学ぶ学習活動の展開をしてまいりました。今後は、御提案も含めて、町会など地域主催の行事等への積極的な参加を促しその成果を評価するなど、さらに一歩取組を進めてまいります。今後も、地域の子どもは地域で育てるという方針の下、子どもたちが八王子市を心のふるさととして感じられる経験をさらに積み、将来、仮に一旦八王子市を離れたとしても、そのときの記憶をもって本市への愛着と誇りを持ち続ける子に育つよう、さらなる教育の充実に努めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 植原副市長。                    〔副市長登壇〕 ◎【植原康浩副市長】 八王子市とシルバー人材センターとの関係構築についてお答えいたします。シルバー人材センターの活動は、経験や能力を生かし、就業を通して高齢者の社会参加の促進や生きがいづくりに貢献していただいており、市といたしまして、地域の重要なパートナーであると認識しております。高齢者の皆さんが地域で生き生きと暮らすことができるようこれまで以上に連携を図り、新たな社会参加の選択肢をシルバー人材センターと共に創出してまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第31番、吉本孝良議員の質問は終了しました。  次は、第20番、金子亜希子議員。                  〔20番議員発言席へ移動〕 ◎【20番金子亜希子議員】 生活者ネットワークの金子亜希子です。通告に従いまして、一般質問を行います。  初めに、主体的で自立的な自治を目指してと題して、現在国会で審議中の地方自治法改定案についてお聞きいたします。  今回このテーマを取り上げましたのは、地方自治法という全国各自治体の在り方を左右する法律が大きく改変になる可能性がある中で、報道機関や全国自治体において、危機感を持って取り上げられていないことを危惧して行うものです。  昨年12月に行われた第33次地方制度調査会の答申を踏まえ、主に3点、DXの進展を踏まえた対応、地域の多様な主体の連携及び協働の推進、そして、国の補充的指示についての改定案が今期国会で審議されております。どの内容についてもそれぞれに問題がありますが、ここからは3つ目に挙げました国の地方自治体に対する補充的指示について取り上げます。この補充的指示は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態において、特例的に国が地方自治体に指示を出す権限を持つことが可能になる内容となっています。  こうした国の指示権拡大について、専門家等から指摘されている問題点の1つ目は、立法事実の欠如、法律の根拠となる社会的事実がないということです。国は、コロナのような感染症蔓延時、また、大規模災害時などで、個別法で対応できない状況を示しているようですが、過去、国に指示権がなかったから対応ができなかった、また、国に指示権があったなら解決できる可能性があったという事実はありません。実際のところ、能登半島地震のことを考えても、発災から半年近くが経過した今も復興作業が進んでおらず、国が主導的に介入する様子はありません。国が指示権を拡大したからといって事態を改善できるとは言えません。  2つ目に、国民の安全に重大な影響を及ぼす特例事態の定義の曖昧さが挙げられます。さきに行われた衆議院での質疑で、特例事態とは何かを問われ、想定できない事態を想定しているという答弁がありました。今回、個別法でなく地方自治法という地方自治一般に関する法律の中で、その要件が曖昧なまま特例事態が設定されることで、あらゆる状況に適用されてしまうおそれがあります。  また、地方自治体の事務には、法的裏づけの下、国の関与が大きい法定受託事務と自治体の裁量が大きい自治事務がありますが、これまで自治事務には、国の指示、また法定受託事務における国側からの最終手段としての代執行という介入はありませんでした。ですが、今回の特例事態については、その要件の曖昧さから、自治事務にもそうした指示が及ぶと危ぶまれており、2000年の分権改革以来の国と地方においての対等協力関係の崩壊を招くおそれがあるという指摘があります。  3つ目に、この特例事態に対する指示は閣議決定により各担当大臣の判断で行われるとされています。スピード感が優先されるとしても、本来であれば、個別法の中で地方と国が協議しながら、新たな事態への対応を決めていくべきではないでしょうか。民主主義的手続の軽視であると考えます。  こうした懸念のある中で、全国知事会からは次のような声明がありました。分権改革以来の国と地方の対等な関係性を損なうおそれもあると懸念している。事前に地方公共団体と十分な協議、調整を行うこと、指示は目的達成のための必要最小限度の範囲とすることなどを法案に明記するよう政府に要請したということでした。この法改定に関しまして、全国市長会としての声明は出ていないようです。  ここで市長にお尋ねいたします。自治体をあずかる市長として、この法案をどう見るか御所見をお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 初宿市長。 ◎【初宿和夫市長】 私は、市長になる前に東京都の新型コロナウイルス感染症対策の責任者でもありました。この新型コロナウイルス感染症の危機によります社会の急激な変化、そして、これに伴う対応において、日本はこれまでもいろいろ指摘されたにもかかわらず、十分に対応できなかった課題を顕在化させた、そんな認識を持っております。さらには、大規模な災害など、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応という観点からは、地球規模の気候変動により気象災害リスクが高まっている、そんな現状認識をしております。  そして、今国会で審議中の地方自治法改正案、この内容につきましては、先ほど議員が御説明いただいたとおりでございます。そして、あえて申し上げるならば、議員もおっしゃいました3点目について、大規模な災害、感染症の蔓延、その他、その及ぼす被害の程度において、これらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例ということで3点目にうたわれております。私は、この3点目の改正案について申し上げれば、個別法に想定されていない事態への対応を補うために規定されたものと理解をしております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。 ◎【20番金子亜希子議員】 御説明いただきました。そのような受け止めもあるとは思います。ですが、個別法の中で特例事態に対応していくことは可能です。むしろ地方自治法の中に要件が曖昧な指示権が設定されることで、拡大的な解釈で乱用される可能性のほうを私としては非常に危惧しております。とはいえ、こうした国の指示権拡大のようなことは既に行われ、地方自治体としてもそれを受け入れているといいますか、受け入れざるを得ないような状況に置かれているという実態があります。  その代表的な例が、コロナ禍での一斉休校要請でした。2021年、日本教育行政学会、中嶋哲彦氏による論文「地方自治と全国一斉休校」の中で次のような問題点が指摘されておりました。1つに、一斉休校は子どもの命の安全に危険が迫っている等の事実がない中での措置であり、法的裏づけがないまま、当時の首相の要請という形で行われたものであったこと、2つ目に、休校の要請は全国一律で行われ、実際の感染状況、地域差について考慮されておらず、合理性が欠如していたこと、3つ目に、この要請において、休校による代替措置の計画が不在なまま開始したということ。子どもが教育を受ける権利、子どもの最善の利益への配慮に欠け、児童・生徒、教員、家庭に与える影響がどれほど大きいかということが考慮されていなかったのです。結果、本市においても、その後の学童や給食などの対応で自治体が力を発揮して、当時の首相の一言によりもたらされた混乱を小さくするために奔走することとなりました。  私たち八王子・生活者ネットワークでは、本市での一斉休校の決定について、市教育委員会が、教育委員会を開催して委員で合意をして決めたのか、校長等への意見を求めたのかというプロセスに疑問があり、このことへの情報を求めて、教育委員会への請願を行いましたが、納得できる回答ではありませんでした。今回の地方自治法改定案では、この一斉休校のような要請が地方自治法の法的な裏づけを持つことで、地域の実情に関係なく、より一層強制力を持つことになります。  ここで、自治体が国の指示を受け入れなかったケースについて紹介いたします。熊本地震の際、屋外避難をしている方を体育館に入れる指示が国からなされたのですが、熊本県知事がそれを拒否したという事例がありました。後日、余震でこの体育館の屋根は崩落し、仮に国の指示に従っていたら、多数の死傷者が出ていたことになります。この事例は、地域のことはその地域の自治体が一番よく分かっているということを明示しております。特に大規模災害においては、国が自治体から離れたところから発する指示がどれほど有効であるのか疑問があります。  そこで所管にお尋ねいたします。現在大規模災害に備え様々シミュレーションをされていることと思いますが、想定外の事態が起こったとして、国に対して求めることは何でしょうか、お示しください。 ◎【美濃部弥生副議長】 生活安全部長。 ◎【山岸研生活安全部長】 災害時、特に全国一律の対応が必要な事象が発生した場合や、市町村を横断するような判断が求められる場合、そういった場合には、国によって統一的な方針が示されることが必要であると捉えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。 ◎【20番金子亜希子議員】 広域的な事象への対応については、ある程度ガイドライン的なものは必要かもしれません。これは杉並区の例なんですが、東日本大震災以前から、複数の自治体間や民間と災害時の協力協定を結び、各自治体で確保している物資を発災時にはお互い融通し合う等の取組を行っています。このように国の指示や政策を待つのではなく、自治体間の自律的な協力関係の下、様々な事態に機動的に対応していく仕組みをつくっていくことも可能なのではないでしょうか。こうした取組を行う自治体、また、過去実際に大規模災害に直面した自治体が国に求めていることは、国からの指示ではありません。自治体への権限の移譲と、そこに予算や人材を振るという後方支援なのです。  最後に、市長にお聞きいたします。今回の地方自治法改定案は、地方と国の関係性を変える可能性のある大きな動きですが、ここで改めて市長が目指す国との関係、自治体の在り方をお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 初宿市長。 ◎【初宿和夫市長】 まず、国との関係性についてお話をさせていただきます。地方自治法の改正ということで、法に関して申し上げれば、個別法が想定しない国民の安全に重大な危険が生じる事態に対しては、国が責任を持って対応する、こういったことが重要だと考えております。これまで個別法が想定しない事態に、国は自治体に対して助言というレベルで行わざるを得ず、個別法上も、そして、地方自治法上も、十分に役割を果たすことができないという課題がございました。国がこの助言を行った場合、国の責任の所在が不明確になってしまいますけれども、今回の法改正案によりまして、国の責任が明確になる、そんなふうに受け止めております。
     そして、自治体の在り方についてお話をさせていただきますと、自治体の中で大事にしている地方自治の本旨は、団体自治と住民自治でございますけれども、団体自治、つまり、地方自治体の自治権の保障は、人権保障と民主主義を実現するべく、地域の住民が地方政治に参画して、地域のことを自ら決定する住民自治が不可欠でありますことから、団体自治が保障されている、そんなふうに考えております。今回地方自治法改正におきましても、地方自治の本旨、これは尊重されていると理解しております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。 ◎【20番金子亜希子議員】 今いただきました御答弁の中で、想定されない事態に対して、国の責任、起こった事態への対応に対する責任の所在を明らかにしたという点で評価できるということだったと思います。また、自治体について、住民自治が大切であると地方自治の本旨を今回の地方自治法改定案が損なうものではないというようなお答えだったと思います。先ほどから繰り返しているのですが、特例事態が想定できない事態を想定していて、現在本当に規定のないものとなっています。そして、手続としても担当大臣の権限で決定されるものです。  私の目には、国がより中央集権的な動きをしている、地方の管理、統制ということを目的にこの法案を出してきたように映っております。国の良心的な権限の行使を願いたいところなんですが、過去の歴史を顧みると、必ずしもそうではありません。まだ審議中の段階ではありますが、そのときの政権によってどのように行使されるものになるのか判然としない法案につき、その動向は注視していただきたいと考えております。  八王子市は中核市です。中核市になった理由は、八王子市への権限移譲、主体的で自律的な自治を求めてであったと考えています。コロナ禍以来、国からの法定受託事務の範囲外の業務を自治体が受け負うような状況が非常に増えています。そうした業務が自治体にとってどこまで必要なのかという判断をするところから始めるべきではないかと思いますし、また、国の指示を待つのではなく、中核市としての自負を持って、主体的で自立的な自治を実施していただきたいと考えています。  また、次のテーマにつながる部分でもありますが、DXの進展を踏まえた対応についても、国の関与は大変大きく問題となっている分野です。デジタル関連6法の成立以来、マイナンバーや個人情報、システム標準化など、予算の大きく動く政策に振り回されていることを非常に懸念しております。また、国の政策を推進していく自治体に予算的なインセンティブをつけるという方法が横行していることにも危惧をしています。市民の情報を取り扱う自治体の事務について、本来の意味を根本に押さえて判断していただくよう強く求め、次の質問に移ります。  続きまして、デジタル・トランスフォーメーション過渡期の今、当初から予想されていた課題、そして、実際推進しながら見えてきた課題に対してどのように対応しているのかを確認してまいります。  まず、市民サービスの向上とDXについてです。  先日、住民主体の訪問型サービス事業を行う団体から、申請書類のフォーマットがエクセルで送られてくるが、その用紙に入力してプリントアウトした書類を郵送または持込みで届けるということになっているが、オンラインでやり取りできないことに矛盾を感じるというお話、またもう1件、子ども食堂を開催している団体からは、助成金を申請するための膨大な量の書類作成が大きな負担であることに加え、不備があると、都度、本庁舎の担当部署に出向いて訂正をしなければならない煩わしさなどもあり、現在は助成金を受けずに活動しているというお話をお聞きしました。  こうした事例について、各所管に確認をいたしました。1つ目の事例では、メールを利用してのやり取りはデータを送った受け取ったの確認に時間がかかり、改めて書類での提出が最もスムーズであると判明し、現在は書類での提出に統一している。2つ目の事例については、書類を紙で提出することで、訂正となったら郵送か来庁していただくかとなり、短い期間で行うために、結局来庁していただくのが最も確実ということになってしまっているということでした。  そこでお尋ねいたします。八王子市デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画に基づき、各所管で業務プロセスのDX化が推進されているかと思いますが、DX化に取り組む業務の優先度等は各所管に任されているところなのでしょうか。どのような基準で行われているのかをお示しください。 ◎【美濃部弥生副議長】 デジタル推進室長。 ◎【岡本洋デジタル推進室長】 八王子市デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画アクションプランでは、各所管課の課題解決に向けた具体的な取組や目標KPIを定めています。各所管が定める目標達成に向けては、行政手続のオンライン化、キャッシュレス決済の拡大など、市民サービスの向上を図るとともに、RPAやプロコードツールなどデジタル技術を活用し、計画的に業務の効率化を進めることとしています。 ◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。 ◎【20番金子亜希子議員】 八王子市デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画アクションプランでは、DX化を進めるべき業務の内容や達成までのスケジュール等が設定されていますが、さきに挙げた事例のような業務については、各所管多種多様な業務があると思いますので、網羅しようもないと思うんですけれども、詳細な設定が設けられておらず、どこをどのようにDX化していくのかはある程度各所管に任されているように読み取れました。  事例として挙げました助成金等の申請というと慎重な審査が必要なことでもあり、単純に業務効率改善のため今すぐデジタルデータでやり取りをするべきということでもないと思います。ただ、ここで問題としたいのは、ただでさえ複雑で膨大な記入量の申請手続に、紙の書類のやり取りに付随する負担が上乗せされ、住民主体の訪問型サービス事業や子ども食堂といった住民の公共の福祉に欠かせない市民活動が妨げられてしまう可能性があるのではないかということです。特にさきに示した2つ目の事例の団体については、助成金の申請をやめてしまったことで資金難になるようなことがあれば、活動そのものを停止してしまう可能性もあるのではないでしょうか。市民団体の活発な活動を妨げないよう必要とされているところへのDXの推進をお願いいたします。  一方、職員の業務としては、業務のDX化の過渡期である今、アナログとデジタルが混在するような対応が必要になっています。担当所管においては相当な負担が生じていると思いますし、そこができるだけ軽減されるようなサポートをデジタル推進室に担っていただきたい。アクションプランに明記されているところでもあります。  続きまして、DX化に関する3つ目の事例です。本市では、市民センターの利用について、来年1月分の利用予約からオンラインのみとなる予定です。この件に関して所管に確認したところ、事前登録した団体がウェブ上の予約サイトから予約、スマホ等を用いて予約をすることが難しい方は、窓口で職員がサポートをしながら、一緒に端末を操作して予約をしていただくことになるということでした。市民センターを定期的に利用する市民からは、これまで利用のついでに窓口で口頭でできていたのに、全ての予約手続をオンライン化することは疑問だという声がありました。スマートフォン等によるオンライン予約に限定することで、市民にとってはかえって不便になるケースも考えられます。  そこでお伺いいたします。こうした市民サービスのオンライン化を検討する場合、オンライン化以外の方法についてどのように考えられているかお示しください。 ◎【美濃部弥生副議長】 デジタル推進室長。 ◎【岡本洋デジタル推進室長】 八王子市デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画に基づき、行政手続のオンライン化を進めますが、特にオンライン化の過渡期におきましては、それ以外の方法も念頭に置き、誰一人取り残されない人に優しいデジタル化の推進に努めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。 ◎【20番金子亜希子議員】 過渡期においてはオンライン以外の方法も念頭にということなんですけれども、実際市民センターについては全てオンライン予約になるとお聞きしております。やり方を丁寧にお伝えするということはもちろんなのですが、誰のためのオンライン化なのか、市民サービスの質と業務効率改善のバランス等をうまく調整して進めていただきたいと考えます。地方自治行政の第1の目的は、住民のための公共の福祉を充実させることであり、活発な市民活動を妨げることのないDX化の推進をお願いいたします。  次に、桑都ペイについてお尋ねいたします。今回は運用における課題等ではなく、八王子市デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画において大きな事業の1つである桑都ペイが市民サービスの向上にどのように寄与したか、また今後の展望について、いま一度確認しておきたいと考えます。  早速ですが、まず初めに、市が考える地域通貨の定義、桑都ペイ実施の目的を改めてお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 デジタル推進室長。 ◎【岡本洋デジタル推進室長】 桑都ペイは加盟店で1ポイント1円として利用できる市独自のデジタル地域通貨です。導入に当たっては、地域経済と地域コミュニティの活性化を図ることを目的としました。現在、令和5年度事業を検証していますが、今後は民間事業者が提供するサービスとの競合も考慮し、イベントで活用するなどにより地域コミュニティの活性化に重点を置いた取組を進めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。 ◎【20番金子亜希子議員】 ただいま地域コミュニティの活性化に重点を置いた取組とお答えいただきました。まさにそこが重要だと考えます。デジタル地域通貨がプレミアム商品券の代替システムであったり、またキャッシュレス決済の単なる1手段であったら、地域通貨である意味があまり感じられないものになってしまいます。  続けてお伺いいたします。今回、約半年間実施された桑都ペイ事業について現在検証中ということですが、市民サービス向上の視点からの評価をお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 デジタル推進室長。 ◎【岡本洋デジタル推進室長】 日本遺産フェスティバルin桑都・八王子や八王子フードフェスティバルで桑都ペイのポイントを付与したところ、両イベントでの付与件数は延べで4万5,000件になりました。このことから、イベントにおけるポイント付与が地域内における交流人口の増加を促し、地域コミュニティを活性化するとともに、受け取ったポイントを市内加盟店で利用することで、多くの方にキャッシュレス決済の利便性を身近に感じてもらえたものと評価しています。 ◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。 ◎【20番金子亜希子議員】 地域通貨によって人が動くということを実感できる取組であったということです。桑都ペイ利用者アンケートの集計結果を拝見しましたけれども、今後のポイントの配布を行ってほしい事業、今後桑都ペイに期待することという自由記述の質問項目に合わせて7,000件以上の回答があり、今後の地域通貨の在り方に対して示唆に富む内容であると感じました。今回の桑都ペイ事業では、産業振興や市が開催するイベントへの参加促進の側面がクローズアップされたような形でしたが、乳がん検診受診向上事業のような、どちらかというとちょっと地味な、でも、市の施策としてしっかり啓発を行っていきたい事業についての取組もありました。そこでは、桑都ペイが市の事業について市民の関心を集める一助となったわけです。  アンケートでは、高齢者の買物支援のマッチングと連携して、実施したらポイント付与のような目を見張るアイデアもありましたし、地域でボランティアをしたらポイント、自治会役員を務めたらポイントなど、現在個人の自発的な参加により成り立っている地域活動について、地域通貨活用への期待がありました。こうした地域活動の担い手については、軒並み高齢化が進んでいますので、デジタル地域通貨を通して次の世代の呼び込みにも考えられるのではないでしょうか。  また、行政の側から市民の行動を促すための活用にとどまらず、町会・自治会や地域の活動の中で、例えば町会の夏祭りの手伝いをしたら屋台の焼きそばが現物支給されるというようなことがあると思いますけれども、それを例えば地域通貨に置き換えるといいますか、市民がそのように桑都ペイを活用したいと思ったときに、市民が主体となって使いこなせる道具となるような仕組みの構築を求めます。  次に、DX化の推進と表裏一体となる個人情報、プライバシー保護についてお尋ねいたします。  2020年、国が個人情報保護法を改正したことを受け、本市では、2022年、八王子市個人情報保護条例を八王子市個人情報保護法施行条例へと改正いたしました。2020年の改正個人情報保護法では、行政で得たデータの利活用について言及しており、その内容も盛り込むための条例改正であったと理解しております。  ここでお尋ねします。まず、国の個人情報保護法に示されている行政が持つ個人情報の活用とは具体的に何を指しているのかお示しください。 ◎【美濃部弥生副議長】 法務文書担当部長。 ◎【音村昭人法務文書担当部長】 国は具体的に、健康、医療、介護、教育、防災、子ども等でのデータ利活用を想定しており、本市では、DX推進の観点から、各部署が所掌する事務目的の範囲内で取り扱い、事務を効率的に執行するために活用しております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。 ◎【20番金子亜希子議員】 今具体例として、健康データやライフログを健康増進プログラムに活用するですとか、GIGAスクール端末で得た情報を学習や生徒指導に活用する等があるかと思います。このときの国の法改正では、官民の枠を超えたデータ活用ということで、民間を含めた加工情報の提供が示されたわけですが、2022年、八王子市個人情報保護法施行条例に改正した際、行政機関等匿名加工情報の提供制度の導入は見送りとされました。  ここで確認いたします。現在においても匿名加工情報の提供は行われていないという理解でよろしいでしょうか。 ◎【美濃部弥生副議長】 法務文書担当部長。 ◎【音村昭人法務文書担当部長】 個人情報保護法では、中核市は行政機関等匿名加工情報の提供制度の導入は任意とされており、本市はその作成、提供は行っておりません。引き続き東京都等の課題への対応状況を注視しながら、制度導入の可否について調査研究してまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。 ◎【20番金子亜希子議員】 現時点では条例の規定もないことから、匿名加工情報の提供は行われていないことが確認できましたが、今後東京都や近隣自治体の動向を見て検討する流れもあり得るということかと思います。その点に関してお尋ねいたします。行政に預けた情報が外に出ることに違和感を覚える市民が少なからずいると考えますが、どのように対処していくのでしょうか。 ◎【美濃部弥生副議長】 法務文書担当部長。 ◎【音村昭人法務文書担当部長】 本市におきましては、法改正以前から、個人の人格的、財産的な権利利益に対する侵害を未然に防止するため、個人情報の適正な取扱いに努めてまいりました。また、自己情報の開示、訂正、削除、目的外利用などの中止を求める権利を保障し、本人関与の仕組みを具体的に条例において規定しておりました。この考え方については、改正法でも引き継がれたと認識しております。さらに本市では、市民の皆様の相談に応じるため、総合窓口として、情報公開・個人情報保護コーナーを設置し、相談員2名が常駐しております。引き続きこれらの取組を通じて、市民に信頼される個人情報の適正な取扱いに努めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。 ◎【20番金子亜希子議員】 条例におきまして、個人が自己の情報をコントロールする権利が保障され、そのための制度が整備されていることが確認できました。私自身、行政に預けた個人情報が民間企業などに提供されることに違和感を覚える市民の1人ですが、匿名加工情報のように、情報を遡って個人と特定できない状態のものだとしても、それが行政から民間に渡り、その情報がさらに売り買いされていくような状況についてを疑問に感じております。市民は、行政が住民の公共の福祉のために個人情報を必要としていることを理解し、適切に管理されているという信頼の下に個人情報を預けています。その点を御理解いただいて、個人情報提供等の利活用については慎重に進めていただくことを要望いたします。  また、今後、加工個人情報の提供が検討されることがあるならば、その情報の利用目的の規定など、情報の使われ方についても、条例等においてさらに整備されることを求めます。  次に、プライバシー保護についてです。世田谷区議会で、昨年、児童・生徒の学習用デジタル端末の検索履歴を学校側が閲覧できる機能の活用を検討したものの撤回していたという報道がありました。世田谷区が利用を検討していた検索履歴の閲覧は、不適切サイトへの接続を防ぐフィルタリングソフトに備えられたオプション機能で、これを用いて子どもがネット検索する際に使われやすい言葉を区教育委員会で集計、分析するというものでした。その主な目的としては、子どものSOSの早期発見ということだったようです。これに対し、子どもの検索履歴を本人の知らないところで見ていいのか、子どもたちの内心の自由に踏み込むことになるのではないかという意見があり、それを受けて一旦白紙に戻したものです。この世田谷区の一件は、児童のプライバシー権の問題です。  ここで、少しプライバシー、プライバシー権について整理いたします。プライバシーとは、個人の秘密にしたい情報、他人の干渉を許さない、各個人の私生活上の自由のことを指し、プライバシー権とは、他人から干渉、侵害を受けない権利、自己の情報をコントロールする権利を指します。個人情報のように、個人を特定する情報ではありませんが、例えば病気のことやセクシュアリティのことなど、センシティブな情報も含まれます。  話を戻しますが、検索履歴の閲覧の権限を持つということは、児童・生徒のそうした繊細な情報に触れる可能性があるわけです。世田谷区のような事例では、子どものSOSの早期発見ということと、検索履歴を閲覧することがその目的の達成のためにどこまで必要なのか、プライバシー、プライバシー権の保護の視点に立って見極める必要があったのではと考えます。  ここでお尋ねいたします。現在本市でも不適切サイトへの接続を防ぐという用途でフィルタリングシステムを採用しておりますが、今後世田谷区で検討されたような手法でのデータ活用は考えられるか。そうなった場合は、データ利活用とプライバシー保護をどう線引きしていくのか、現在お考えのところをお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 現在学習用端末で導入しているフィルタリングシステムは、端末を児童・生徒が利用した際に、有害なサイトやキーワードを検索したときに、その関連するサイトへのアクセスをブロックするとともに、学校の管理職に警告メールが送付されるシステムとなります。このシステムで得られた検索データは、児童・生徒の安否に関わるなど緊急に対応しなければならない場合のみ閲覧することを意図しているため、それ以外で活用することは考えておりません。 ◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。 ◎【20番金子亜希子議員】 現在本市で採用しているフィルタリングシステムの内容について御説明いただいたんですが、現時点で、GIGAスクール端末において、児童・生徒個人の検索履歴を閲覧するような手法は検討していないという理解でよろしいでしょうか。世田谷区でのデータ活用は、本市と同様、子どものSOS早期発見を目的としたものでした。本市が機械的に対象となるキーワードを検出するだけの必要以上に児童・生徒のプライバシーに踏み込まない形で行っている一方、世田谷区は、データ利用の詳細な規定や制限を設けないまま、網羅的な検索履歴の閲覧を導入しようとした点に問題があったと言えます。とはいえ、学習端末を通してのデータ活用については、今後東京都の事業である教育ダッシュボードといった検索履歴の閲覧を含む幅広い情報収集、分析を学習や生徒指導に生かす施策が推奨されていく可能性があります。  そこでお尋ねいたします。学習端末を通してのデータ活用について、その手法や目的などを当事者である児童・生徒やその保護者に十分に説明し、その上で、そこには同意できないと考える本人や保護者が拒否できることができる選択肢を設けるべきと考えますが、いかがでしょうか。 ◎【美濃部弥生副議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 学習用端末に導入しているフィルタリングシステムは、児童・生徒を有害なサイトやキーワードから守るために取り入れているものです。また、この端末は私的なものではなく、公的な学習用の端末であるため、フィルタリングを外すという考えはありません。 ◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。 ◎【20番金子亜希子議員】 フィルタリングシステム自体については、その目的と必要性を承知しており、異論はございません。私がお伝えしたいのは、今後、自治体のプライバシー保護の方針に関係なく、国や東京都の政策により、データ利活用に主眼を置く施策の導入が進められる際には、児童・生徒のプライバシー保護の観点からも十分に検討していただきたいということなのです。現在、GIGAスクール端末によるデータ利活用は、学習や生徒指導の効率化の面が強調され、児童・生徒のプライバシー、プライバシー権保護について十分に議論がされないまま、前のめりに進められているように感じます。  大手新聞社が、GIGAスクール端末のデータ活用について、東京23区、政令市、道府県庁所在地の教育委員会を対象に行った調査で、個人情報の利用目的を定めているかの問いには、調査対象の80自治体のうち全体の23%が定めていないと回答しております。定めていると答えた自治体でも、そのほとんどが利用目的を単に教育とするなど規定が不十分な状況でした。また、利用目的を児童・生徒や保護者に明示しているか聞いたところ、45%は明示していないと回答。業者と契約する際に、利用目的以外の使用を禁じているかという問いには、24%が禁じていないと答えたと言います。  教育現場におきまして、データ活用の一方にある個人情報保護、プライバシー保護への認識が不十分な状況にあるということが明らかになっています。繰り返しますが、GIGAスクール端末のデータ利用においては、当事者である児童・生徒、そして保護者への情報公開が十分に行われることが大切です。そして、その上で同意できない場合の選択肢が担保され、どの選択をしたとしても、児童・生徒が学習や生活面で不利益を被らない配慮をお願いいたします。  続きまして、DX化を進めていくに当たってもう一つ課題となるのがデジタル格差の是正です。過去の一般質問やその他の機会に、しばしばデジタル格差の問題が取り上げられてきました。八王子市デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画では、デジタルデバイド対策の推進を掲げており、難しい、分からないといった理由で利用をためらわれている方に、スマートフォン教室の開催などにも取り組んでいます。ですが、特に高齢の方の中には、日常デジタル機器を使用せず、スマートフォン教室などにも参加されない方もいらっしゃると思います。そこで、そうした方々へはどのような配慮が行われているかをお聞きいたします。 ◎【美濃部弥生副議長】 デジタル推進室長。 ◎【岡本洋デジタル推進室長】 デジタルデバイド対策では、機器、サービスに不慣れな人のほか、機器等の利用が困難な方や利用しない方におきましても、デジタル化の恩恵を実感できるよう取組を進めております。例えば市民部の窓口におきまして、電子申請を行える端末を設置し、マイナポータルから転出の手続や、マイナンバーカードと健康保険証、公金受取口座とのひもづけを行えるよう職員が支援しております。今後も、年齢、性別、国籍、障害の有無、経済的な状況等にかかわらず、デジタル化を活用できるようデジタルデバイド対策に取り組んでまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。 ◎【20番金子亜希子議員】 デジタル格差是正のために、端末の操作を利用できるように、講座や窓口で支援していくというのは必要として、不慣れな機器の操作を御本人が負担に感じたり、必要な手続も敬遠してしまうようなことがないか気になっています。市民サービスの向上とDX化のところでも触れましたが、市民サービスの質と業務効率改善のバランス等をうまく調整して、オンライン以外の手段も残しつつ進めていただきたいと考えております。  続きまして、視覚に障害のある方についてです。日本視覚障害者団体連合の調査によると、視覚に障害のある方の約7割がデジタル機器の操作に困難を抱えているとのことです。  そこでお尋ねいたしますが、市民サービスのデジタル化が進む中、視覚に障害のある方のデジタル機器利用をどのようにサポートしていくのかお示しください。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 本市では、八王子市心身障害者福祉センターにおきまして、視覚障害者向けのiPad講習会など、様々なICT支援事業を実施しております。また、令和6年度は、弱視の方向けの講習会を新たに始める予定であります。今後も引き続き障害の特性に応じた支援事業を実施するほか、地域の支え合いによりまして、当事者の支援ができるよう障害理解の促進に努めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。 ◎【20番金子亜希子議員】 視覚に障害のある方の障害の程度の差も考慮して、様々支援が用意されているということでした。当事者団体からは、全ての情報や手続をデジタル化するのではなく、点字や音声での情報提供の充実をとの声もあり、デジタルかそうでないかにかかわらず、当事者が必要な手段を選択できる情報保障が必要だと考えます。また、同調査において、行政のホームページなどが音声読み上げソフトに十分対応できていないと感じているという意見がありました。  そこで、本市では、ホームページ作成について、視覚に障害のある方の情報保障に対してどのように対応されているのかお示しください。 ◎【美濃部弥生副議長】 デジタル推進室長。 ◎【岡本洋デジタル推進室長】 本市では、総務省が作成しているみんなの公共サイト運用ガイドラインを全庁に周知し、音声読み上げソフトで正しく読み上げられるページを作成しています。今後も職員向け研修などを実施し、よりアクセシビリティーに配慮したホームページの作成に努めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。 ◎【20番金子亜希子議員】 現在、八王子市公式ホームページの情報に、これはデジタル推進室の方に教えていただいたんですけれども、音声読み上げというボタンがありまして、そこから音声読み上げソフトを利用することができます。今後、当事者の方を交えて、使い勝手の確認や利用しやすさについても検証が行われることを期待しています。  最後に、社会的要因によるデジタル格差についてです。子どもの貧困対策に取り組むNPO団体の調査によると、子育て中の生活困窮世帯、年収300万円未満、母子家庭が大半を占めるというそのうちの9.3%で、家庭にインターネット回線がないという結果になりました。小中学生が1人1台端末を持つ上で、どの家庭にとってもオンラインのやり取りに対応する環境整備が必要不可欠となっています。コロナ禍での一斉休校の際には、都事業によるWi-Fi機器の貸出しなどサポートもあったわけですが、DX化の流れはそのいっときにとどまらず、この先も続いていきます。  そこでお尋ねいたします。先述のようなインターネット環境の整備、維持に困難がある家庭に対して、市として現在も対応されているかお伺いいたします。 ◎【美濃部弥生副議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 学習用端末が配備されたことに伴いまして、令和3年度から、就学援助制度の1つとして、家庭における学習に必要な通信機器の購入や通信費用の支援を行っております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。 ◎【20番金子亜希子議員】 GIGAスクール端末の導入とインターネット環境整備がセットであるということ、そのための支援の必要性を認識し、いち早く対応されていたということでした。現在多くの方がスマートフォンなどの端末を所持し、誰もがインターネットに不自由なくアクセスできているように見えていますが、子育て世帯に限らず、社会的要因によりネット環境の整備に困難がある方がいるということを念頭に、DX計画を進めていただきたいと考えております。  以上、市民サービスの向上、個人情報・プライバシー保護、デジタル格差の3つの視点から、DX過渡期の課題について考えてまいりました。特に個人情報、プライバシー保護につきましては、私たち生活者ネットワークは、これまでもDX推進においてデータ利活用ということが前面に立ち、個人の自己情報のコントロール権が置き去りにされていることを指摘してまいりました。データの取扱いについて十分に議論を重ね、データ活用に関する徹底した情報公開と、市民にとって自らの情報が活用されることについて選択できる余地を持った制度設計を強く要望し、私の一般質問を終わります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員の質問は終了しました。  次は、第18番、望月翔平議員。                  〔18番議員発言席へ移動〕 ◎【18番望月翔平議員】 日本共産党の望月翔平です。通告に従って一般質問を行います。  初めのテーマとして、市民の命と暮らしを守る災害対応について、順次伺っていきます。  御承知のように、日本は災害大国であり、今年も元日から能登半島での地震が発生し、今もなお倒壊した建物が残り、避難生活を余儀なくされている方がいらっしゃいます。先日も朝から緊急地震速報のアラートが鳴り、いつ災害が発生してもおかしくない、災害と隣り合わせの中で生活していることに改めて気づかされました。常に災害が発生することを前提に、自治体としての備えや、発災時も市民の命を守り日常生活を早く取り戻していけるよう考えていかなければなりません。  まず、防災・減災対応の現状を確認させていただきたいと思います。本市における防災・減災の基本理念についての認識を伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 生活安全部長。 ◎【山岸研生活安全部長】 防災・減災に対する個人、地域、公の取組、いわゆる自助、共助、公助の連携を図り、災害が発生した場合における被害の最小化と迅速な回復を図ることであると認識しております。
    ◎【美濃部弥生副議長】 第18番、望月翔平議員。 ◎【18番望月翔平議員】 自助、共助、公助の連携ということが答弁の中にありました。大規模災害等が発生した際に、平時からの対策を含め、本来であれば公の対応が発揮をされるということがベストですけれども、実際には自分の身を自分自身で守らなければいけない、そういうケースも発生をいたします。一方で、災害対応における課題として、自助という点では、社会全体が高齢化、単身化の増加というものがあります。同時に、共助、公助という点では、町会・自治会の加入率低下や、市職員の減少などによる脆弱性の高まりが挙げられると考えています。市においてのこれらの課題認識とそれに対する対応をどのように考えているのか伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 生活安全部長。 ◎【山岸研生活安全部長】 自助、共助、公助、それぞれの脆弱性の高まりにより、円滑な災害対応が困難になっていく可能性はあるものと認識をしております。限られた資源により的確に災害対応を行うため、関係機関との連携のさらなる強化、そして、防災DXの推進により、効果効率的な災害対応を目指してまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第18番、望月翔平議員。 ◎【18番望月翔平議員】 防災マネジメントの中核は、地域の災害リスク、法制度、計画、災害対策、組織運営となっています。これらの要素に基づいて、地域全体の防災力を高めるための取組をどのように実施しているのか伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 生活安全部長。 ◎【山岸研生活安全部長】 国や東京都の動向を注視し、本市の地域特性を踏まえた防災関連の計画をより実効性のあるものとするため、適宜改定を行っております。また、総合防災訓練や地域で行われている防災訓練を通じた関係機関との連携強化、市職員による頭上訓練を実施し、災害への対応力を高めております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第18番、望月翔平議員。 ◎【18番望月翔平議員】 今御答弁いただいたように、地域全体の防災力を高める上で、地域防災計画をはじめとした関連計画の改定、修正や、日常からの訓練を通じて対応力を高めているのと同時に、実際に発生した災害の被災地に職員が派遣されることを通じて、本市における災害対応力を高めることも行われています。先ほど紹介したように、元日に発生をいたしました能登半島地震の被災地にも本市から職員の方が派遣され、災害廃棄物の仮置場の開設支援や、り災証明の発行業務の支援をはじめ、避難所にも保健師が派遣されたということをお聞きしています。  そこで、改めて能登半島地震での対応を踏まえて、どのようなことを教訓、課題として捉えているのか伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 生活安全部長。 ◎【山岸研生活安全部長】 能登半島地震では、具体的に幾つか申し上げますと、福祉避難所が避難所自体の被災などにより受入れができなかったこと、また、居住地を超えた広域避難に対して御本人の事情で困難な被災者がいらしたこと、そして、トイレの衛生環境などが深刻な課題であったと認識しております。石川県は、令和6年度内に初動対応の検証結果をまとめる予定であり、この検証結果も踏まえ、本市の防災対策につなげてまいりたいと考えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第18番、望月翔平議員。 ◎【18番望月翔平議員】 能登半島地震に関する具体的な検証は、現地自治体を含めこれからということですけれども、今挙げていただいたように、福祉避難所の不足、高齢者や障害者など、広域避難ができない被災者の対応、トイレなど避難所環境に関する課題というものが挙げられています。東日本大震災をはじめ、これまでも災害が発生した際には同じような課題が繰り返し日本全体の問題として挙げられています。これまで確認した事項を踏まえ、これらの取組に関連して、福祉避難所の整備をはじめとした要配慮者への対応について、一般避難所の環境について、そして情報発信についての大きく3点について、順次伺いたいと思います。  まず、要配慮者への対応についてです。災害時の要配慮者への支援の重要性をより身近に感じたのは、2022年の台風15号によって静岡県で大規模な水害が発生し、私の祖母の家でも断水が発生をいたしました。給水車が派遣されましたけれども、近くに来ないということで、高齢者などが給水車まで行けない。行けたとしても、重い水のタンクを持っていけず、家族が交代で水を届けるといったこともありました。駆けつけられる範囲に身寄りがいたことで助かりましたけれども、身寄りのない高齢者など、災害時にもよりきめ細かい支援が求められています。こうした方々への支援の強化をどのように行っていくのか伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 生活安全部長。 ◎【山岸研生活安全部長】 福祉関係団体等との連携による要配慮者への避難支援体制の整備や、要配慮者が必要とする備蓄品の確保を進めるとともに、自主防災組織等への支援体制づくりを進め、地域ぐるみの防災行動力の向上を図ってまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第18番、望月翔平議員。 ◎【18番望月翔平議員】 本市でも、台風19号による被害が記憶に新しいと思いますけれども、その際に市のホームページが閲覧できず、避難所の開設状況やハザードマップが見られない。つまり、情報が取得できないといった状況がありました。平時においても防災無線が聞こえにくいという市民の声が今も寄せられております。情報発信、共有ができることは最低限必要なことであると思います。その点で、自宅の中で防災無線を聞くことができる受信機の設置など、高齢者でも気軽に情報の取得ができる対策が必要と考えますけれども、市の考えを伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 生活安全部長。 ◎【山岸研生活安全部長】 防災行政無線につきましては、放送から24時間以内は放送内容を電話で確認いただけるほか、スマートフォンアプリ、コスモキャストによりまして、直接音声で確認することが可能でございます。災害時には、防災行政無線に限らず、複数の媒体により情報を発信する体制を整えることで、市民の聞き漏らしや情報の取り損ねを減らすことが重要であると考えており、広報はちおうじや総合防災ガイドブックを通じて周知を図ってまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第18番、望月翔平議員。 ◎【18番望月翔平議員】 まず、電話やアプリを通じて防災無線の内容が聞けるということを知らない方もまだいらっしゃいますので、情報周知をさらにお願いしたいと思います。  一方で、埼玉県加須市では、本市と同じように、アプリで防災無線の内容の配信や、電話での自動音声応答サービスなどを実施しています。しかし、パソコンやスマホを持っていない方もいたり、大規模災害時に他の自治体で電話の応答サービスがパンクしたことなどもあり、防災ラジオの無償貸与というものも行っているそうです。もちろん、アプリが使えるので、貸与を受けていた方もラジオを返還したという方もいらっしゃるそうです。2022年時点では、地域によって所有率は大きく異なるようですけれども、多い地域では52%と、半数以上の世帯がこの防災ラジオの無償貸与を受けているという地域もあるようです。いざというときには持ち運びができるという点でも便利だということも感じました。  こうした自治体の取組なども参考に、台風の際にも、九州に住んでいらっしゃる方が、八王子市内の高齢のお父さんお母さんの安否なども心配しながら、私の当時のツイッターの情報なんかも探りながら、メッセージを送られてきたということもありますので、ぜひ情報を市民が気軽に取得できる方法というのをさらに強化していただきたいと思います。  いずれにしても、高齢者や障害者など、配慮が特に必要な方への支援は平時から準備していくことが求められています。先ほど能登半島地震における教訓の1つとして、福祉避難所の受入れができないといった課題も挙げられました。今年3月11日付の日本経済新聞の記事によると、災害時に支援が必要な高齢者らが身を寄せる福祉避難所が全国で538万人分不足をしており、実に市区町村の74%で福祉避難所というものが不足をしている状況であるそうです。  そこで、福祉避難所の整備についての本市の状況を伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 現在八王子施設長会や八王子市内障害者等入所施設連絡協議会などと協定を締結いたしまして、60施設を用意しているところでございます。  なお、福祉避難所につきましては、特別な配慮を要する方が避難する場所でありますので、指定一般避難所に避難された方の状態によりまして受入れの判断をしていることとしています。 ◎【美濃部弥生副議長】 第18番、望月翔平議員。 ◎【18番望月翔平議員】 足りているか足りていないかという点で言えば、足りていないんだと思うんです。福祉避難所についても、今答弁いただきましたけれども、まず一般の避難所に行き、そして、必要な方が60施設用意されている福祉避難所に、2次的な避難所として協定を結んで受皿を確保しているということでした。ただ、それぞれの施設は当然ふだんの利用者が優先で、空いたスペース、限られたスペース、ないし限られた人員の中で受入れをするということですから、一施設当たりも大体多くても10人程度ということを伺っていますけれども、そういった状況でありますので、さらなる確保が必要だというふうに思います。  ふだんからぎりぎりの人員で運営している事業者も多く、災害時になればお互いに被災者となります。こういった状況もあって、能登半島地震でも障害者が施設に避難している事例というのもありましたけれども、先ほど言ったように、受皿となる施設でも様々な困難があって、突発的な対応に苦労をしているということもお聞きをいたしました。  八王子市地域防災計画では、福祉避難所について、市は、東京都をはじめ関係機関と連携し、市内及び他市町村の福祉施設等を確保し、福祉避難所体制の整備を図るとしています。平時からの対策として、必要な方が確実に福祉避難所へ避難できるようきちんと受皿を確保していくということが、要配慮者にとっても必要な支援だというふうに考えています。国のほうでも、災害対策基本法の改定に伴って、支援が必要な方が一般避難所を経由せず直接福祉避難所へ避難できるよう自治体に求めています。  一方で、こうした方針が徹底されておらず、今年3月15日付のNHKの報道によると、NHKが行ったアンケートで、直接避難の方針を周知した自治体は、品川区、荒川区、江戸川区、檜原村の4自治体にとどまったそうです。本市においても、国の方針を踏まえ、福祉避難所は一般避難所を経由しての2次的な避難所としてではなく、要配慮者が直接避難できるようにするべきと考えますけれども、市の考えをお伺いします。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 令和3年5月の災害対策基本法の改正により、国が福祉避難所への直接避難を促進していることを受けまして、現在本市では、地域防災計画の修正に合わせまして、特に配慮が必要と判断される方が直接避難できる福祉避難所の整備につきまして、既に検討を進めているところでございます。 ◎【美濃部弥生副議長】 第18番、望月翔平議員。 ◎【18番望月翔平議員】 今行われている地域防災計画の修正と併せて直接避難に向けた検討の方向性というのは既に進められているということでした。また、直接避難する指定福祉避難所というのは、基本的に先ほど確認をした60施設の中で選定をしていくということもお聞きをしています。今ある課題として、先ほど触れたように、それぞれの施設で受け入れられる人数も限られていますし、事業所の人員体制もより厳しくなります。要配慮者の個別避難計画を民生委員などと協力しながら今策定をしていますけれども、ここで把握した方については、きちんとそれぞれ受入れ先を確保できるようにしていただきたいということとともに、地域偏在にも配慮して指定先を確保していただきたいと思います。  同時に、福祉避難所には災害時、どうしても福祉的な支援を必要とする方だけでなく、一般の住民も避難してきて、受入れがより困難になる状況も生じています。混乱を防ぐための平時からの取組として、福祉避難所の存在や役割を周知しながら、地方では、事業所のイベントなどを通じて、いざというときには地域の方に福祉避難所の手伝いをしてもらえるといった関係を構築する取組というものも行われているようです。市内でも既に事業所によってはそういった関係づくりをしているところもあるようですけれども、こうした取組も行政として積極的にバックアップしてもらいたいというふうに思います。  ここまで要配慮者への対応について伺ってきましたけれども、災害関連死を防ぐという意味でも、一般避難所の環境整備は重要な要素です。日本は、能登半島の地震でも同様ですけれども、雑魚寝に近いのが基本です。同じく地震大国のイタリアでは、家族ごとに大きなテントが提供され、プライバシーが保護された中、ベッドで寝起きできるなど、大きな差があります。特にTKBが災害関連死を防ぐ上で重要であるという考え方が一般的になっています。Tはトイレ、Kはキッチン、Bはベッドです。  災害事例の分析を専門とする関西大学の奥村教授は、災害関連死につながる要素をフローチャートにして分類したそうです。例えば劣悪なトイレ環境に陥るとトイレに行きたくないため、排せつ回数を減らすために水分摂取を控え、そして脱水症状につながる。すると、口腔内の細菌が増え、誤嚥性肺炎を引き起し亡くなる人が出てくるとのことです。また、偏った食事や雑魚寝も、高血圧やストレスにつながり、循環器系や呼吸器系の疾患につながっていくなど、まさにこのTKBが災害関連死の主な要因につながっていくということが改めて分かります。  イタリアでは、キッチンカーが温かい食事を提供しているといったこともあり、国内でも、温かい食事を提供したことによって精神的にも助かったという声が紹介されています。補正予算にもかかってくる部分がありますので、ここでは大きく伺います。人権を守ることに加えて、災害関連死を防ぐという考え方の下で、トイレ、キッチン、ベッドなど、避難所機能を強化するということが必要であると考えますけれども、この点についての考え方を伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 生活安全部長。 ◎【山岸研生活安全部長】 避難所環境の改善につきましては、災害関連死や健康状態の悪化を防ぐために重要であると認識をしております。避難所の環境整備に関する庁内検討会を立ち上げ、避難所における良好な生活環境の確保に向けて、関係所管と検討を行っているところでございます。 ◎【美濃部弥生副議長】 第18番、望月翔平議員。 ◎【18番望月翔平議員】 このテーマの最後に市長に伺います。市長は、所信表明の中でも、市民の生命と財産を守ることを第一に考え、公務員としての職務を全うしてきたと表明をされています。いわば私の信条でありますということで、国のレベルで取り組まなければならない課題もありますけれども、市民に最も近い基礎自治体として、地域防災計画の修正や、命と暮らしを守る取組のさらなる強化というものが求められています。平時からの対策、支援を含め、災害に強いまちづくりに向けての決意を伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 初宿市長。 ◎【初宿和夫市長】 近年、大規模な自然災害が頻発しておりまして、防災対策は極めて優先度の高い施策と位置づけております。今後も、平時と非常時を切り分けないフェーズフリーの考え方を取り入れた防災・減災の取組をハード、ソフト両面から積極的に進めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 会議時間も長くなりましたので、暫時休憩します。                                     〔午後2時55分休憩〕   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                                     〔午後3時30分再開〕 ◎【鈴木玲央議長】 休憩前に引き続き会議を開きます。  一般質問を続行します。  第18番、望月翔平議員の質問を許可します。 ◎【18番望月翔平議員】 引き続きよろしくお願いします。  休憩前には、災害に強いまちづくりに向けての市長の決意ということで伺わせていただきました。市長からは、防災対策は極めて優先度の高い施策ということで、フェーズフリーの考え方を取り入れた防災・減災の取組をハード、ソフト両面から積極的に進めていくということで御答弁をいただきました。  能登半島地震に際して挙げられている課題というのは、これまでの災害においても同じように指摘をされています。先ほど触れたように、避難所の機能など命にも関わる部分においても、日本の被災時における体制は海外の事例と比較をしても脆弱な部分が今も多くあります。災害時だからこそ、日常とどれだけ近い環境で、身体的にも精神的にも安心できる環境を国や自治体がきちんと確保するのか、こういうことが求められていると思います。ぜひ強化をしていただきたいと求めて、次のテーマに移りたいと思います。  続いて、市長の市政運営に関連して、2点のテーマで質問を行います。以降の質問は、全て市長にお答えいただきますので、よろしくお願いいたします。  まず、地方自治法の改定における地方自治への影響について伺います。  先ほど他の議員からも質問がありました。私も同じ危機意識を持っています。現在、御承知のように、国会では地方自治法の改定が審議をされており、先日衆議院を通過しました。しかし、この法案については、既に各方面から反対や懸念の声というものが寄せられています。この地方自治法改定の内容は、地方自治の根本をゆがめる重大な問題であり、自治体の自主性が問われています。一方で、法案に反対している首長の1人でもあります杉並区の岸本聡子区長も、審議が拙速過ぎて危機感が十分に首長に伝わっていないと東京新聞の取材にも答えており、改めて地方自治体として、憲法に保障された地方自治の本旨を守るべく地方から声が広がっていくことを願って質問を行います。  まず、地方自治についてですが、日本国憲法は、戦前の中央集権的な体制の下で自治体が侵略戦争遂行の一翼を担わされたことへの反省から、独立の章を設けて地方自治というものを明記しています。地方自治の本旨は、地方自治が住民の意思に基づいて行われる住民自治と、地方自治が国から独立した団体に委ねられ団体自らの意思と責任の下でなされるという団体自治にあります。  また、地方自治法改定の内容についてですが、最も大きな問題は、地方自治体に対して極めて曖昧な要件に基づいて、補充的指示権が創設されることです。国民の安全に重大な影響を及ぼす事態だけでなく、実際に発生していなくても、発生するおそれのある場合と国が判断をすれば指示権が行使できる曖昧な文言となっており、時の政府が恣意的に判断できる余地を残すなど、国と地方の対等協力の関係が事実上変質し、国が地方自治体への介入を拡大させる内容となっています。地方分権改革の中で、国と地方の上下主従関係から対等協力関係に変わった流れと逆行します。  もともと国の関与は地方自治法に基づくものと、災害対策基本法など個別法に基づくものがあります。また、国と地方が対等協力関係にあるとした地方分権一括法で設けられている第11章は、関与の法定主義、関与の基本原則を定めて、国の関与を限定抑制する仕組みになっています。しかし、今回設けられる補充的指示権はそうした制限がなく、国の地方自治に対する関与を抑える法治主義を内側から壊す重大な問題につながると考えます。まず、市長は、現在審議されている地方自治法改定が地方自治にもたらす影響についてどのように認識、評価されているのか伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 初宿市長。 ◎【初宿和夫市長】 新型コロナウイルス感染症の危機によります社会の急激な変化や、これに伴う対応は、日本においてこれまで幾度も指摘されたにもかかわらず十分に対応できていなかった課題を顕在化させたと認識をしております。さらには大規模な災害など、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応という観点からは、地球規模の気候変動により気象災害リスクが高まっております。現在国会で審議中の地方自治法改正の1点目、これはDXの推進点を踏まえた対応、2点目は、地域の多様な主体の連携及び協働の推進、そして3点目は、大規模な災害、感染症の蔓延、その他その及ぼす被害の程度において、それらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例となってございます。  特に3点目の改正案について申し上げれば、個別法で想定されていない事態への対応を補うために規定されたものと理解をしております。個別法が想定しない国民の安全に重大な危機が生じる事態に対しては、私は国が責任を持って対応することが重要と考えております。これまでは個別法が規定していない事態には、国は自治体に対して助言というレベルで行わざるを得ず、個別法上も地方自治法上も十分に役割を果たすことができないという課題がございました。国が助言を行った場合、国の責任の所在が不明確になってしまいますが、この法改正案により国の責任が明確になるものと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第18番、望月翔平議員。 ◎【18番望月翔平議員】 今、個別法に規定されていない事態について、国の責任を明確化するという答弁がありましたけれども、今、市長が述べられた内容は、これまで国会でも、総務大臣をはじめとして政府が答弁した内容に沿ったものです。しかし、衆議院の総務委員会での参考人質疑においては、個別法の規定で想定できない事態であれば地方自治法でも想定できるはずがない。その事態に対する権限を一般的、抽象的に行政権に授権するということは白紙委任だ、そういう指摘がなされています。  政府は、これまで発生した大規模災害や感染症の蔓延を例にとって、個別法で対応できない想定外の事態に対して補充的指示権を行使するとしていますけれども、そもそも大規模災害も、コロナに関しても、法定受託事務として災害対策基本法や感染症法など、現行の個別法においても国の指示権というものは既に認められています。大分市の足立信也市長も、法改正の必要性を示す立法事実はないと今回の法改定を批判しています。  実際に総務大臣も、現行法で対応できない事例について具体的に想定し得るものはないと明確な説明を避けており、具体的な事態を想定していないにもかかわらず、国の権限をただ拡大すること自体が、私は政府の思惑に対して恣意的に運用する危険性をはらんでいるものと考えています。むしろ地方にとって、先ほどの質疑の中でもありましたけれども、コロナのときにも学校の一斉休校措置もそうですが、国からの一方的な方針、通知がいきなり出されて、結果として市の職員などが振り回されて疲弊することもあったはずです。また、給付金の関係なんかでも、国の方針がどんどん変わって現場が振り回されている。これは現在でも起きているのではないでしょうか。  自治体ごとに事情は大きく異なります。災害時にも感染症の流行時にも、事情を把握している現場の自治体が判断したほうが、むしろ市長も大切にされている住民の命や暮らし、財産を守る適切な判断ができると思いますし、ただでさえ混乱している中で、現場の実情を知らない国が適切な判断ができるのかは大いに疑問です。杉並区や大分市などの首長だけでなく、他の自治体の首長や地方議会からも懸念や反対の声というものが出ています。  市長としても、地方自治法の改定が憲法で保障された地方自治の本旨や、地方分権改革により実現した国と地方の対等な関係が損なわれる。もしくは市民の生命と財産が、場合によっては今回の改定によって、むしろ危険にさらされかねない可能性をも含む今回の地方自治法改定について、自治体をあずかる市長として、国に対し意見を出すべきと考えますけれども、認識を伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 初宿市長。 ◎【初宿和夫市長】 地方自治の本旨は団体自治と住民自治でございますが、団体自治、つまり地方自治体の自治権の保障、これは人権保障と民主主義を実現すべく、地域の住民が地方政治に参画して地域のことを自ら決定する住民自治が不可欠でございますことから、団体自治が保障されていると考えておりまして、今回の地方自治法改正におきましても、地方自治の本旨は尊重されていると理解をしております。 ◎【鈴木玲央議長】 第18番、望月翔平議員。 ◎【18番望月翔平議員】 国も、地方自治法を改定しても、地方自治の本旨、また地方との関係は対等協力関係を維持しているということを強調して訴えています。しかしながら、修正案で示されている指示権の行使に対する国会の関与というものもあくまで事後報告であり、チェック機能は脆弱です。また、先ほど言ったように、立法事実もまともに説明できない中で、指示権の範囲を法定受託事務に限定せずに自治事務にも適用可能とする今回の法改定は、自治体の判断を待たず、事務処理が適法か違法であるかも問わず、国が判断し指示することを認めるものです。これは市民に最も近い自治体よりも国のほうが適切な判断を下せるという前提に立つものです。杉並区の岸本聡子区長の言葉を借りれば、国策を有無も言わさずに地方に押しつけ、会話で解決策を探るプロセスを否定する国の姿勢が法案に表れています。  民主的な運営というものは基本として時間がかかるものです。もちろん、コロナ禍や世界情勢の緊迫さが増している中では、結果を早期に出すことを権力側も国民も求めがちです。しかし、これまでに述べてきたように、個別法の規定でも国は指示権を持っています。これまでの災害時には、地方自治体の判断で柔軟に連携を図り、対応してきました。元日に発生した能登半島地震の影響を受ける石川県の金沢市議会でも反対の意見書が出されています。また、1974年に伊豆半島沖地震を経験した静岡県南伊豆町の町長も、自治体を災害時に国の指示がないから動けないという体質に変えてしまうという懸念を示しています。  先ほど他の議員に対する答弁の中で、部長も広域的な災害時には国の統一的な指示を求める、こういった趣旨の答弁をされていたと思いますけれども、これは、まさに自治体を災害時に国の指示がないから動けないと、こういった体質に変えてしまうという懸念になるんじゃないでしょうか。中央集権的な運営に戻さないよう、今声を上げている地方自治体の首長の意見もよく聞いていただいて、市長に役割を発揮していただきたい、このことを強く要望して、次のテーマに移ります。  引き続いて市長の政治姿勢に関連し、小池都知事に対する立候補要請の問題について、以下市長に質問をいたします。  6月20日告示、7月7日投開票の日程で実施される東京都知事選挙に向けた動きが慌ただしくなっています。その一方で、現職である小池都知事は、いまだ立候補表明もなく、明確な態度は示されていません。こうした中で、先日、都内23区の区長及び東京26市の市長や町村長のうち、52市区町村長が小池都知事に対し3選に向けた立候補を要請したという報道がありました。また、市長もこの要請の場に同席されたという記事も拝見をいたしました。率直に申し上げて、なぜ首長の立場で、現職とはいえ特定の人物に対して立候補を要請するのか疑問を感じました。  また不思議なのは、首長によって要請を出した経過や内容、意図が異なっているという点です。都知事または都知事サイドから要請に名を連ねるよう連絡があったという首長もいれば、都知事から応援依頼があったけれども、いつの間にか有志で立候補要請をすることになっていた、心外だという強い表現で不快感を示す首長の声も報道されていました。しかし、都知事自身は依頼すらしていないと、大きく食い違った状況になっています。複数の自治体では、市民から今回の要請に対する公開質問状が送付されているということもお聞きをしていますけれども、まず、なぜ立候補要請に至ったのか、また知事や知事サイドから立候補依頼があったのかなかったのか、こうした経過を市長から御説明いただきたいと思います。 ◎【鈴木玲央議長】 初宿市長。 ◎【初宿和夫市長】 まず、志のある方が立候補できるのは健全であって、有権者の選択肢が複数あることはよいことだと考えております。お尋ねの件につきましては、小池都知事の下で東京都との関係を今後とも円滑に継続したいという各市区町村長の意向が自然派生的に生じている中、その後、これは私が市の記者会見で申し上げたことでございますけれども、取りまとめを行うこととなります調布市長から、先月5月に八王子市長としての意向の確認があり、名前を連ねることになった次第です。 ◎【鈴木玲央議長】 第18番、望月翔平議員。 ◎【18番望月翔平議員】 取りまとめの担当をされた調布市長から打診があったということで、その調布市の市長は、5月29日の記者会見において、区長有志が知事に出馬要請をした。それを受けて、市長有志ではいかがかという話が知事サイドからあったということを東京新聞の取材でも明らかにしています。こうしたことからも、これは小池都知事側からの演出パフォーマンスなんだと、こうしたことに首長側が軽々に乗るべきではないというふうには思います。なぜこうした経過や意図に違いが生じるかといえば、市長会の有志が声をかけて要請文を出すまでに、かなり短い時間で一気に進められていったために、市長間でもコミュニケーションがうまく取れていなかったということもあるんじゃないかなというふうに感じています。そもそも市長はこうした要請に名前を連ねた、どういう判断でそういうふうに行われたのか伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 初宿市長。 ◎【初宿和夫市長】 さきの八王子市長選挙の際でございますけれども、私は八王子市民の皆様に、子育て世帯の負担を軽減する学校給食費無償化の実現、そして、小中学校体育館への空調機設置による教育環境と避難所機能の充実、これをお約束させていただきました。この市議会定例会での御審議をお願いしたいと取りまとめております補正予算案におきまして、小中学校の給食費無償化に要する経費と、小中学校体育館に空調機等を設置する経費などを準備してございます。この事業費は都支出金などを財源としておりまして、八王子市民の福祉の増進につながるものであり、特に学校給食費無償化を来年度以降も継続するには引き続き都の支援、これは不可欠な財源でございます。  さらに私は、来年に差し迫っております2025年問題であります福祉・介護・医療人材の確保、定着、育成対策の推進、これも公約としてございます。都は、今年度から、福祉・介護職の給与水準が低いことなどから、障害・福祉人材、介護人材の処遇改善を図り、確保、定着に向けた支援として、1人月額1万円から2万円の補助をしていただけることになり、これも八王子市民の福祉の増進につながる、このように考えております。このようなことから小池都知事をトップとする東京都の支援を高く評価し、名を連ねました。 ◎【鈴木玲央議長】 第18番、望月翔平議員。 ◎【18番望月翔平議員】 今例を挙げていただいた学校給食の無償化なども含めて、その財源措置については全否定をするものではないですけれども、今都議会でも、半額ではなくて全額を求めるとか、それぞれの小池都政に対する評価というものは、市民ひとりひとりにとって違うわけです。誰が都知事になることが市にとって有益であるか、誰に都政を率いてほしい、最善な候補者であるか判断するのは、都民であり市民であり、そして、その判断する場として選挙というものがあります。  何よりまだ選挙は始まっていません。候補者も出そろっておらず、小池都知事自身も、3選出馬が既定路線とも言われていますけれども、立候補表明はいまだされていません。また、当初小池都知事が掲げた多摩格差ゼロを含めた7つのゼロの公約もほぼ達成できていません。こうした公約達成についての検証や議論も、今後選挙を通じてなされるというふうに思います。さらに、都知事選に向けた公約が明らかになっていない中で、どうやって市民にとって利益があるのかどうか、それを判断できるのか、その点も大いに疑問を持ちます。また、今回の出馬要請に加わらなかった10自治体の首長もいます。この要請自体が自治体間の分断や踏み絵を踏まされている、そういう考え方にならないのか、市長の認識を伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 初宿市長。 ◎【初宿和夫市長】 今回予定されております東京都知事選挙に多くの方々が立候補を予定しているというのは、報道を通じて存じ上げております。先ほど申し上げました志ある方が立候補できるのは健全であり、有権者の選択肢が複数あることはよいことだと考えております。先日、志ある方が立候補を表明された折に、メディアの方が私に取材をされました。そのときに私がこの趣旨のことを申し上げましたら、取材をされた記者は私のコメントを立候補を歓迎していると、こういった旨の記事として掲載をしていただきました。繰り返しますが、志ある方が立候補できるのは健全であり、有権者の選択肢が複数あることはよいことだ、このように考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第18番、望月翔平議員。 ◎【18番望月翔平議員】 23区の区長会または市長会の中でも、この要請に加わるか、意向確認をそれぞれ担当した新宿区長や調布市長も、それぞれの自発的な意思または個人の自由意思だということで、政治活動の自由の範囲内で行ったものだということを述べています。しかし、名を連ねた首長の中には、立候補要請に賛同しなかった場合の報復を恐れて受け入れざるを得ないという方もいたそうです。現職の知事ですから、どこの自治体の首長は参加して、どこの首長は参加しなかったということで、今後の関係を危惧するということは当然のことだというふうに思います。これこそ踏み絵を踏まされているということにならないでしょうか。  最後に伺います。市長は、初登庁の朝、新市長としてのスタートを切るに当たって、JR八王子駅と西八王子駅の駅頭で市民に挨拶をされたときの感想を述べられていました。行政マンだった頃の感覚とも、政治活動を始めたときの感覚とも異なるものであり、有権者だけではなく、生まれてくる子どもから御高齢の方まで、全ての人たちの生活、そして未来をも担う市長としての責任の重さを実感した、こういうことで、第1回定例会の際、冒頭の挨拶の中で述べられていたと思います。その違いは、1候補者としての言動と違って、市長としての言動というものは、58万市民ひとりひとりの代表としての言動であるからこそ、その違いが生じるものだというふうに思っています。  そして、先ほど触れたように、その市民ひとりひとりの小池都政に対する評価や考え方というのは当然異なります。また、選挙中に特定の候補者を1政治家として応援することと、市長として特定の人物に立候補を要請するということも全く別問題だというふうに思います。58万市民を代表する八王子市の市長として、今回の要請は全ての市民が求める在り方ではないというふうに考えますけれども、御認識を伺います。
    ◎【鈴木玲央議長】 初宿市長。 ◎【初宿和夫市長】 都知事選挙への立候補を表明していない現時点でございますが、小池都知事に対し、去る5月28日に、立候補されることを期待しここに支持を表明するとして、東京都市区町村長有志の52名の1人として名を連ねました。これは、例えば来年度以降も小中学校の学校給食費の無償化、これを継続する上で都の支援を続けていただく必要があり、さらには、来年どころか、今6月ですからあと半年になっておりますが、この2025年問題への対応というのは待ったなしの喫緊の課題であると認識しております。現在の都の政策を継続することが、将来の八王子市を担う子どもたちのため、そして八王子市民のためになると考え、私自身の判断と責任において名前を連ねました。 ◎【鈴木玲央議長】 第18番、望月翔平議員。 ◎【18番望月翔平議員】 喫緊の課題への対応については当然分かります。ただ、どういう方が都知事であれ、市長としての仕事は、市民にとって最大の利益が得られるように、当然東京都と交渉なり、そういったことをするということがどんな都知事であっても仕事だというふうに思っています。私は、どういう立場の都知事であれ、区市町村の首長が立候補要請を出すということがもし当たり前になった、今後行われるとしたら、様々な考え方の市民を代表する首長の存在、民主主義が根本から揺らぐ事態になる、そういう事態につながるというふうに思っています。  今回の件だけではありませんけれども、私自身も、民主主義が機能しているということはどういうことなのかということを考えることが幾度となくあります。どんなまちでも組織でも、1つの考え方を持っている人間だけではないわけです。もちろん、どこかのタイミングで一定の結論を出し前に進んでいかなくては物事は動きませんから、多数決なり、様々な手法で結論を出し、最終的には実行していくという場面もあると思います。しかし、その前には、徹底した議論というものが実施されることが大前提です。  政治の決断に100%正しい結論というのは、数学の答えと違って、およそあり得ないのであって、どんな少数の意見であろうが尊重し、徹底した議論を行うということがベターな選択を少しでもベストな選択に近づけていく土台となるからです。今回の要請に関して、住民との間で説明や議論はなされていません。また、選挙を通じての論戦も大事だというふうに思っています。この点を市長が否定しているとは思いませんけれども、しかし、市民、都民が自らの代表になってほしいという方の公約を見たり討論を聞いて、投票行動を通じて選択をします。100%賛同する候補者がいなかったとしても、自分の考えに最も近い、自らの代表になってほしい、そういう候補者を選択した結果、首長であれば、1人の代表が選ばれて、八王子市においては初宿市長が選択をされたわけです。  ですから、投票権があろうとなかろうと、投票に行った方でもそうでない方も、初宿市長に投票した方もそうでない方にとっても、代表である市長は、当たり前のことですけれども、初宿市長です。どの自治体もそうです。100%の信任で選ばれた首長というのはいません。様々な考え方を持った住民を代表しているわけですから、少数であろうが、多数の考えであろうが、市民の思いが分かれる判断には丁寧な議論や慎重な行動を行っていただきたいと、今後も含めて強く求めたいというふうに思います。  また、既に都内5区市の住民の方々が都庁で記者会見を行って、不透明なプロセスで要請が行われているとして、要請の撤回というものも求める動きが出ています。私も、小池都政の継続を望まない住民にとっては首長として住民の総意ではない要請を勝手にしないでほしいという声は至極もっともだというふうに思っています。都知事への出馬要請について撤回をするべきということも強く求めて、私の一般質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 第18番、望月翔平議員の質問は終了しました。  次は、第29番、山本貴士議員。                    〔29番議員登壇〕 ◎【29番山本貴士議員】 市議会参政党の山本貴士でございます。発言通告に従い、2日目最後の一般質問をいたします。  2019年末以降、新型コロナウイルスの感染拡大により、外出の自粛が促され、一部業種また企業では在宅勤務の体制が敷かれ、学校関係では、登校の制限により、オンライン授業を通した学習環境の促進が図られるなど、幾つもの対応が取られるようになりました。同時に、様々なオンラインサービスが増え、その普及により、自宅にいながらインターネットを利用したコミュニケーションが盛んになってまいりました。  そのような状況の中、仮想空間で自身の分身であるアバターを操り、様々な活動とコミュニケーションが見られるようになりました。メタバース、この言葉、また技術は、決して新しいものではありませんが、近年の通信速度の向上、また3D技術の発展により、その操作性の高まりとともに、より身近なものとなってまいりました。今からちょうど2年前、令和4年6月定例会で、既に他の議員も先見性を持って一般質問で取り上げられているこのメタバース、メタバースとは、インターネット上の仮想空間のことを指した造語で、現実世界を超える体験とコミュニケーションを通して様々な活動が生み出されているものです。  パネルでお示しいたします。ユーザーは3次元で構成された仮想空間の中で、自分自身と成り代わったアバターを介して、その空間内を自由に動き回り、他者と交流しながら、あるときは空間内のカフェでお茶を飲んだり、また、あるときは会議を開いたり、業務相談などの仕事はもちろん、その仕事が終われば、自分の好きな空間に移動し、ショッピングやゲームを楽しんだり、時には景色豊かな海外旅行まで、自宅にいながら様々な体験をすることができる、それがメタバースの世界です。この現実世界を超える表現ができるメタバースは、「超える・高次」などを意味するメタと、「宇宙や全体、また世界」を意味するユニバースを語源としており、1992年に発表されたニール・スティーブンソンのSF小説の世界から名づけられ、広く用いられるようになりました。  このメタバース空間は、現実世界と密接に関わった仮想空間であることが特徴ですが、パソコンやスマートフォン、タブレット等があれば、それ以外の特別なデバイス機器は求められません。例えば、バーチャルリアリティ、VRといえば、リアリティあふれる仮想現実として広く知られるようになりましたが、あたかもその場所にいるような没入感を得るには、パソコンやゲームコンソールのほか、VRゴーグルなどの専用のデバイス機器を必要としており、そこに映し出される映像は現実とは切り離された空間の体験となります。  また、教育コンテンツとして用いられるオーグメンテッドリアリティ、ARは、スマートフォンやスマートグラスを用いて、現実の空間上にデジタル映像や文字情報を表示するいわゆる拡張現実を実現する技術であり、最近では、カーナビゲーションにこのAR技術を用いたARナビも開発されてきています。  こうしたメタバースは距離の制約がないため、一定の場所で瞬時により現実に近い3D空間でコミュニケーションを取ることができ、ミーティングやセミナー、教育に対しても親和性が高いため、利点を発揮しやすく、企業ビジネスのみならず政府や地方自治体が主導で様々な活動やまちづくりの活用が進められています。  今年の春先には、首都東京の魅力を国内外に発信する「Virtual Edo-Tokyoプロジェクト」が、東京が主導し、国産メタバースプラットフォームのclusterを活用して開催されました。東京のファッションにまつわるトークイベントやミュージックライブ、また江戸城を巡りながら食べ物や着物などについて学ぶバーチャル江戸ツアー、様々な仕事を学ぶお仕事体験エリアや、美術館や書道家によるパフォーマンスなど、これらが全てメタバース空間内で行われ、自宅にいながら自分が様々な体験ができる特別な場所としてこのメタバースが活用されました。  こうした楽しむためのイベントのみならず、学ぶための体験など、自宅からアクセスできるといったメリットを生かした取組は、不登校児童を含めた教育現場や入院患者の面会、障害者雇用の促進にも活用が見られ、外出など垣根と感じられていたものが、メタバースを利用することにより下がった垣根を容易にまたいで、その先に広がる世界にアクセスできることは、これまでにない寄り添った体験と感じ取れるでしょう。  そして現在、官民連携で、メタバース空間を活用した不登校支援の取組が効果を上げてきています。令和4年10月に文部科学省が公表した日本の小中学校における不登校児童・生徒を含む長期欠席者の数が過去最多である41万4,000人となり、不登校の児童・生徒は29万9,000人を超えたことが明らかとなりました。また、不登校児童は毎年およそ1から2万人ずつ増えている実態も明らかとなり、令和2年と一昨年の令和4年の比較ではおよそ10万3,000人の増加となりました。この文部科学省の調査では、令和4年度に不登校の原因として、無気力、不安が52%に届くところまで来ており、さらに不登校児童の38.2%が誰にも相談できず、孤独な状態であることも見えてまいりました。  そうした中、様々な登校に向けた取組や学習環境の整備も行われていますが、その1つにメタバースの活用があります。不登校児童が登校を再開するには高く感じるハードル、それは、たとえ保健室であっても、家から出て学校へ向かう道のりは途方もなく長く不安で恐怖を感じるものであり、大きな心の負担にもつながります。そこに気軽にアクセスでき、時には相談ができる人とつながる空間が存在している。アバターを介するため、例えば他者と顔を突き合わせることに抵抗があったとしてもコミュニケーションを取ることができる。そうした少しの興味と勇気で登校復帰へとつなげるエスカレーターのような存在、それがメタバース登校と言えます。  現在、他の自治体として埼玉県戸田市では、「誰一人取り残されない教育の実現を目指して」をテーマに、戸田型オルタナティブ・プランを推進し、様々な事情により学校や教室に通うことのできない児童・生徒に、学びの場の選択肢としてメタバース空間を用意し、不登校支援を行っています。また広島県では、リアルとオンラインを併用した教育支援センターを置き、県独自で支援を行っています。これらの支援により、不登校で苦しむ児童・生徒がメタバース空間内で過ごすうちに自分の居場所を見つけ、やがて登校復帰に至るケースも見られました。  こうした成果は、メタバース空間やアバターの活用が、空間の見た目がゲーム風であることから、児童・生徒の興味を引く要素を持ち合わせているため、反応がよく、同時にアバターが走る、跳ねる、手を振るなどの動きから、心理状態を読み取ることができることも利点としてうかがえます。そのため、実際の面会よりも緊張がほぐれやすく、本来の自分を表現しやすい、本音を言いやすい、また他者もそれを感じやすい、また引き出しやすい、そうしたことが奏功していると言えます。これはメタバース空間独自のメリットであり、家庭や学校以外の居場所を自ら構築し押し込めていた様々な思いを解放することにより心に余裕ができ、そこから落ち着いた気持ちで自分らしさの自認を通過しながら自信を取り戻していく、その効果がメタバース登校には見られます。  そこで質問です。令和4年度の全国における不登校の児童・生徒数は、さきにお伝えいたしましたとおり29万9,000人を超え、過去最高の数となっていますが、東京都においては2万6,912人を数えるに至りました。本市において令和4年度の不登校者数、学校内外で専門的な相談、指導を受けていない児童・生徒数をお示しください。  次に、障害者雇用について伺います。  現在、障害者雇用における法定雇用率が段階的に引き上げられており、本年4月に民間企業の法定雇用率が2.5%となり、2年後の令和8年7月には2.7%へさらに引き上げられる見通しとなっています。また、障害者の就業が難しいと認められている業種に対しての特別対応として、法定雇用率に例外を設けた除外率についても10%の引下げが来年4月に予定されています。こうしたことから、障害者の雇用が昨今の働き手の不足と相まって、活躍が期待されると考えられています。  しかしながら、令和5年時点で法定雇用率を達成できた企業は全体の約5割程度にすぎません。企業としても決して障害者雇用を避けているわけではなく、障害のある求職者にとっても、社会に参画し仕事を通して知識や技術を身につけたいと考えている中ですが、企業側が求める仕事と障害のある求職者ができる仕事のミスマッチが障害者雇用の促進にブレーキがかかる原因とも考えられています。障害のない方と比べ、障害のある方はできる業務が限定されるといった思い込みが見られるケースもあり、どのような業務に就かせたらよいか、採用側が迷う場面も見られます。また、一言で障害といっても、それが身体障害なのか精神障害なのか、この違いによっても就くことのできる業務に違いが出てまいります。そうした企業側が求める期待と障害のある働き手側の希望に対して様々な障壁を取り除き活路を開くもの、それが障害者支援のメタバース就労です。  佐賀県西九州大学准教授の植田友貴先生が開発したメタバース空間では、神経や筋肉の難病、脊髄などの損傷により体を動かすことができなくなった重度の障害がある方に対して、ほんの数ミリの動きに対しても反応するシステムにより、メタバース空間内を自身の意思で自由に動き回り、メッセージを送り、交流のできる世界を構築するとともに、眼球の動きで文字入力を可能とした視覚入力のソフトウェアを開発、AIを用いて音声入力の補助など、障害により失いつつある様々な活動を空間内で取り戻す取組が進められています。これらの試みは、当初はカメラやマイクを用いたオンラインでの交流として始まりましたが、表情をつくることや発話が困難である場合、その多くはカメラやマイクを切ってしまい、思った成果が得られない結果となってしまいました。  そうした中、アバターを使ったメタバース空間の活用により、身体障がいのある方も生き生きと自分らしい表現へつながるに至りました。こうした取組により、ケアを受ける立場だった障害のある方々が、障害の程度やその有無にかかわらず、メタバース空間では分け隔てなく互いにサポートし合い、時には同じ障害のある人やその家族の相談に乗ったり、アドバイスを行ったり、また障害のない方の悩みに解決の糸口を与えるなど、誰かの役に立つ立場になれるといったことがかなう場として大いに成長が望めます。現在、神経や筋肉の指定難病患者の数は全国に約32万人と推計されています。その中には重度の障害があっても人の役に立ちたい、社会に貢献をしたいといった意欲を持つ方も多数いらっしゃいます。植田先生の取組は、そうした方々の社会参画を大きく推進する力になると言えるでしょう。  また、こうしたメタバース就労は、仮想空間にオフィスを置き、そこに出勤して仕事をするため、自宅のみならず、療養先であっても、インターネット環境があれば場所を問わず仕事をすることが可能なため、たとえ通勤に困難を抱える障害のある方であっても容易に出勤することがかなうものとなっています。それは身体に障害がある方のみならず、精神障害のある方にもメタバースは寄り添った空間を提供するものとなっています。長時間混み合う電車での通勤は、一部の精神障害の方には大きな負担となり、やむなく途中下車せざるを得ず、結果的に職場にたどり着けないケース、また、別の精神障害のある方は、対面でのコミュニケーションがたとえ画面越しであっても恐怖を感じたり、自分のそのような表情を読み取られたくないなど、就労に対してのハードルが上がるケースがあります。  アバターを介したメタバース空間では、そのような表情からの情報が相手に伝わることがないため、安心してコミュニケーションを取ることができる。言葉を発することを避けたい場合でも、キーボードを用いた文字で意思疎通を図ることも可能となってきます。さらに、動物のアバターを使うことも可能なため、恐怖心回避のスタイルが幅広く対応できることも、このメタバースの特徴とも言えます。  そこで質問ですが、まず、本市の企業における障害者雇用の現状をお教えください。  ここまでを一括質問とし、以降は一問一答に切り替えて御質問をさせていただきます。                  〔29番議員発言席へ移動〕 ◎【鈴木玲央議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 本市の令和4年度の不登校児童・生徒数と学校内外で専門的な相談指導等を受けていない児童・生徒数ですが、本市の令和4年度の不登校児童・生徒数は1,832名となっております。そのうち、学校内外で専門的な相談指導を受けていない児童・生徒数は552名となっております。 ◎【鈴木玲央議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 本市の企業における障害者雇用の現状ですが、令和5年12月に発表された障害者雇用率は2.34%となっております。これは、令和5年6月1日時点で本市に主たる事務所が所在する企業の数値となってございます。 ◎【鈴木玲央議長】 第29番、山本貴士議員。 ◎【29番山本貴士議員】 御答弁ありがとうございます。  不登校の子どもやその家族は、行きたくても行けない現状に苦しみ、繊細な気持ちになっている場合があり、学校、家庭、社会が寄り添い、共感し、受け入れることが子どもの自己肯定感を高めるためには大切とされ、本市でもこうした取組が高いレベルで懸命に行われています。さきに触れましたメタバース登校については、昨月1日より、21の自治体などで新たに運用が開始されました。VLP、バーチャルラーニングプラットフォーム、本市は、先んじてこれを導入した9市自治体の中に含まれておりますが、そこで伺います。本市では令和5年9月に導入しているこのVLP、これをどのぐらいの児童・生徒が活用していたのでしょうか。 ◎【鈴木玲央議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 オンライン教育支援センターであるはちっこるーむの令和5年度の利用者数は、小学生32名、中学生31名の合計63名となっております。 ◎【鈴木玲央議長】 第29番、山本貴士議員。 ◎【29番山本貴士議員】 ありがとうございます。本市八王子市では、このはちっこるーむ、VLPと呼称せずに、どの児童・生徒にとっても親しみの湧くはちっこるーむの名称は、様々な悩みや苦しみを持つ子どもにとって寄り添ったものであり、本市の不登校の問題に対して取り組む姿勢がうかがえます。こうしたインターネットやメタバースの世界では、不特定の人が入室してくる懸念がありますが、またメタバース登校は全ての不登校児童に導入するものでもないと思いますが、本市のはちっこるーむは、利用開始に当たりどのような流れで行われていたのでしょうか。 ◎【鈴木玲央議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 はちっこるーむの利用開始に当たっては、まず学校とスクールソーシャルワーカーが連携し、対面よりもオンラインによる学習環境がその児童・生徒に適した支援なのかを判断しております。その後、教員及びスクールソーシャルワーカーが面談を行い、本人及び保護者が仕組みを十分に理解した上で利用を開始することとなっております。 ◎【鈴木玲央議長】 第29番、山本貴士議員。 ◎【29番山本貴士議員】 安全で安心して児童・生徒がはちっこるーむに入室できることが分かりました。安全に登校復帰に向けてこうした取組が行われているはちっこるーむですが、その成果についてお教えください。 ◎【鈴木玲央議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 成果としましては、これまで人と対面することにハードルの高かった不登校児童・生徒がウェブ上の仮想空間を介することで、スクールソーシャルワーカーや東京都のオンライン支援員と関わることができるようになったことが挙げられます。実際に対面で人と話すことが苦手な児童が、チャットや自分を模したアバターで自分の考えを表現することができるようになっております。 ◎【鈴木玲央議長】 第29番、山本貴士議員。 ◎【29番山本貴士議員】 メタバース空間やアバターを介することによりコミュニケーションが促進されていることがうかがえました。御答弁いただきましたこのはちっこるーむの成果を鑑みますと、登校復帰に向かうよい支援ツールになり得ると考えますが、はちっこるーむを含め本市での不登校対策を今後どのように進めていくのか伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 本市では、これまで、不登校児童・生徒の多様な支援ニーズに応じ、はちっこるーむの利用も含め、居場所やつながる場所の確保とつなぐ人材と仕組みの強化に取り組んでまいりました。今後は、未然防止のために学びの多様化学校である高尾山学園のノウハウを全市立学校に展開してまいります。また、不登校児童・生徒の懸命な頑張りを積極的に認めていくことで、ひとりひとりの自己肯定感を高め、社会的自立に向けた一歩を支援してまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第29番、山本貴士議員。 ◎【29番山本貴士議員】 大変心強い御答弁をありがとうございました。  続いて伺います。本市には21の大学、短大、高専があり、約9万人の学生が学んでいますが、高いレベルでメタバース空間のデザインが行われるなど、本市独自でメタバースの活用が見込まれると思います。そうしたメタバースを学びデザインするなど、教育機関があれば、現時点でどのような取組が行われているのかお教えください。 ◎【松岡秀幸市民活動推進部長】 大学による取組となりますが、多摩大学の学生が、令和4年度に大学コンソーシアム八王子の学生企画事業補助金を活用して、バーチャル空間で高尾山を舞台にしたゲームを制作し、現地への観光を促進するイベントを実施しております。また、工学院大学の学生によるプロジェクトでは、キャンパスを仮想空間上に再現したバーチャルキャンパス見学というコンテンツを制作しており、令和6年5月に開催された地域合同学園祭学生天国で来場者の皆様に体験いただいた事例がございます。 ◎【鈴木玲央議長】 第29番、山本貴士議員。 ◎【29番山本貴士議員】 ありがとうございます。八王子市で学ぶ学生のアイデアやスキルには大いに期待しております。  実は私も先日メタバースのプラットフォームのcluster内でつくられている高尾山に行ってみました。ケーブルカーなどを用意されており、それに乗って登山をいたしました。大学コンソーシアム八王子を取りまとめておられる所管においては、学生の方々を支えていただき、感謝するとともに、今後の発展に向けて、さらにサポートをしていただくようお願いいたします。  次に、このメタバースは、不登校の支援のみならず、障害者福祉や障害者雇用にも効果が見られます。本市にお住まいの障害のある方に対して、メタバース就労への取組や実績、また研究実績などがあればお教えください。 ◎【鈴木玲央議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 八王子市民で障害のある方が企業などでメタバースを活用した就労をしているかどうかなどの情報は把握しておりません。 ◎【鈴木玲央議長】 第29番、山本貴士議員。 ◎【29番山本貴士議員】 障害者雇用についてメタバースの活用を行っている他の自治体もありますが、今後、そうしたことに対しての本市の御所見をお聞かせください。 ◎【鈴木玲央議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 デジタル技術の活用は福祉施策におきまして有意義なものであると考えております。新しい技術は次々に開発されますので、引き続き他自治体への事例等情報を集めてまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第29番、山本貴士議員。 ◎【29番山本貴士議員】 ありがとうございます。本市におかれましては、今後も引き続き情報収集と、また現状の把握に努めていただくとともに、障害者就労を多角的に御検討になって、様々なサポートを進めていかれますよう要望いたします。  次に、市民の方から、インターネットのお勧め欄に不審者情報が上がってきた。詳細が気になったので市のホームページで検索したところ、「犯罪・不審者情報を配信中!」と書かれたページがあり、そこには最終更新日が平成30年6月5日となっていました。更新されていないようだ、また、詳細は見つけることができなかったとの相談がありました。  私のほうでも確認をしたところ、確かに本市のホームページの更新日が平成30年で止まっていました。しかしながら、市の不審者情報のページに掲載されているこの更新の日付は手動で変更することが前提でつくられていることが分かり、また実際の情報はその下のリンクにて随時更新されていることが分かりました。この更新日に関しての問題は、既に市側で即座に更新いただいており、担当所管の迅速な御対応に感謝いたします。  しかしながら、ささいな見落としかもしれませんが、市民が情報を探す場合、どのような方法であっても、不審者情報など見つけたい情報へ確実にリーチする必要があります。さきに述べた方のように、御自身で検索したいといった場合でも、分かりやすく情報へ到達する必要があります。警視庁が発表した令和5年中の都内の全刑法犯の認知件数は8万9,098件でした。そのうち窃盗犯が最も多く6割以上を占めています。この数字を鑑みても、本市においても発信される不審者情報などは防犯上極めて重要であることがうかがえます。  そこでお尋ねいたします。昨年令和5年において、本市では年間どのくらいの犯罪が発生しているのでしょうか。それぞれ刑法に係る犯罪件数、また不審者情報の件数をお教えください。 ◎【鈴木玲央議長】 生活安全部長。 ◎【山岸研生活安全部長】 令和5年1月から12月までの間の本市内刑法犯認知件数は3,197件でございました。内訳といたしましては、自転車の盗難が975件、オートバイ盗難が142件、侵入窃盗が126件、車上狙いが95件、特殊詐欺、オレオレ詐欺あるいはサポート詐欺等でございますけれども、これが114件、暴行傷害等の粗暴犯が192件などとなっております。また、不審者情報の件数は約120件でございました。 ◎【鈴木玲央議長】 第29番、山本貴士議員。 ◎【29番山本貴士議員】 本市が安全であり、また安心して暮らすためには、どのような犯罪がどこで発生しているのか、どこに不審者が出ているのかなどの情報を得ると同時に、自転車やオートバイの盗難が年間1,100件を超えていることから、やはり施錠を各自がしっかりと行うなど、様々な犯罪被害から自身や財産を守るための防犯対策を行うとともに、市からも犯罪被害の周知やそれに基づく危険な状況の回避をすることが必要と考えます。割れ窓ガラスといった形で、そういった犯罪が多いところというのはそういった心理が働いて、ちょっとした油断が起こる。また、そこに犯罪者が付け入ってくるというところがありますので、私たち市民にとっても非常に大事な部分でありますが、情報発信に努めていただきたい、このように思います。  不審者も年間120件ですが、この不審者、特定詐欺情報については、現在どのような方法で、186平方キロメートル、58万人のこの広い八王子市の地域住民に伝えているのか、情報発信の現状についてお伺いいたします。 ◎【鈴木玲央議長】 生活安全部長。 ◎【山岸研生活安全部長】 本市では、八王子、高尾、南大沢の市内3警察署と連携をいたしまして、広域的かつ迅速な情報提供に努めております。不審者や犯罪情報のお知らせを週に1度犯罪被害発生状況といたしまして、メールやLINE、フェイスブック等のSNSにより同時発信しているほか、ホームページにも掲載をしております。また、市内全域で青色回転灯を装着した安全パトロールカーによるアナウンスも実施をいたしております。 ◎【鈴木玲央議長】 第29番、山本貴士議員。 ◎【29番山本貴士議員】 警察と連携しながらの情報提供や、様々な情報ツールを使っての情報発信は市民にとりましても確実な情報を得やすい環境が整っていると言えます。また、安全パトロールカーの運行も抑止効果が高いと考えます。関係各所の日々の御努力に感謝いたします。  その上で、市民の方々が気になった情報を収集する際に、本市ホームページは大切なツールの1つであると考えます。不審者発生などの不安なことへの情報を自身で調べる場合、LINEやメーリングリストに登録をしていればいいのですが、登録を特にしていない方々、しかし、スマホを持って検索できる、そういった方々は、まず市のホームページを検索する方が多いと思います。市民の方々が目的の情報を簡単に見つけることができるホームページで情報提供に努めるとともに、さらなる防犯対策が必要と考えます。本市として今後どのように取り組まれるのか御所見を伺います。 ◎【鈴木玲央議長】 生活安全部長。 ◎【山岸研生活安全部長】 今まで以上に分かりやすく見やすく、必要な情報を探しやすいホームページにしていくとともに、引き続き防犯情報の的確な発信などによりまして、市民の防犯意識の高揚を図り、また、地域における防犯活動が積極的に展開されるよう支援を行ってまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第29番、山本貴士議員。 ◎【29番山本貴士議員】 大変頼もしい御答弁をありがとうございました。市民の意識啓発とともに、本市が犯罪のないまちを実現するために、警察とさらなる連携を強め一体的に取り組んでいることと認識いたしました。今後も地域ぐるみで防犯力を高めるために、引き続ききめ細かな情報提供に努めてくださるとともに、活動をこれからも期待しております。  以上で、一般質問を終了いたします。ありがとうございました。 ◎【鈴木玲央議長】 第29番、山本貴士議員の質問は終了しました。   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎【鈴木玲央議長】 以上で、本日の日程は全部終了しました。  次回の本会議は、明6月12日午前10時に開きます。ただいま御出席の方々には改めて通知しませんから御了承願います。   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎【鈴木玲央議長】 本日はこれで散会します。                                     〔午後4時33分散会〕...