八王子市議会 2024-03-27
令和6年_第1回定例会(第6日目) 本文 2024-03-27
〔午前10時00分開議〕
◎【
鈴木玲央議長】 ただいまから本日の会議を開きます。
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◎【
鈴木玲央議長】 日程に従いまして進行します。
つきましては、日程第1、一般質問を行います。
〔令和6年(2024年)第1回
市議会定例会一般質問発言通告一覧表後編参照〕
順次、質問を許可します。
この場合、質問時間は答弁を含め、33分以内としますから、あらかじめ御了承願います。
第30番、
及川賢一議員。
〔30番
議員発言者席へ移動〕
◎【30番
及川賢一議員】 おはようございます。無所属、及川です。今回、AI活用による
行財政改革というテーマで質問をいたします。超
少子高齢社会の進展による財政危機と、市職員の退職者、休職者の急増による人員不足を解消するための提案として聞いていただけたらと思います。
予算総括質疑の中で、
ウェルビーイングな働き方という話をさせていただきました。その話にもつながっていまして、
ウェルビーイングな働き方の中では、
イクボス経営であったりとか、部分休業の取得期間の延長であったりとか、そんな話をしたのですけれども、その際に職員の方々が
ウェルビーイングな働き方を求めて、働く時間をちょっと減らしながら、コントロールしながらワーク・ライフ・バランスをとっていくという中では、働く時間が短くなる、業務量が少なくなるということが必要になってくるので、その分、工数調整というのがどうしても必要になってきます。その工数調整の部分に関しては、DXを進める中でBPRと一緒に考えていってもらえたらなどという話もしたのですけれども、実際にどういったところでBPRを進めていくのか、効率化していくのかというところについて、ちょっと話をしたいなと思っています。
DX改革、
BPR改革全般に通じる話なのですけれども、今回はAIを活用した
行財政改革の進め方について通告を3つ書かせていただきました。1つ目、工数の大きな業務の効率化です。これは単独所管の業務工数が大きくて、その単独の所管だけでもAI活用による効率化が見込める、そんな業務改革の話です。2つ目は、複数所管による連携というのは、単一の所管の業務ではそこまで工数の削減が見込めないけれども、複数の所管で共通でDX、AI活用を進めることで効率化が見込めるというもの。3つ目の生成AIの活用というのは、個々の職員がそれぞれ生成AIを活用して自分の業務の効率化を図っていく、そんな話になります。
それぞれの項目について質問や提案をしたいと思っていますが、その前にDX導入の基準について確認をしておきたいと思います。八王子市では、
八王子未来デザイン2040の中でもDXを改革の軸に据え、既に様々な分野でDXに取り組んでおられますが、DXの取組を導入するかしないか、その基準について確認をしたいと思います。
そこで伺いますが、
業務効率化を目的としたDXの取組について、事業化の判断基準はどうなっているのかお聞かせください。
◎【
鈴木玲央議長】
経営改革担当部長。
◎【音村
昭人経営改革担当部長】 八王子市経営計画では、
ICTツールの導入などの事業化の判断には、主に費用対効果を用いております。具体的には、取組に必要なコストと職員の業務時間や人件費といった業務の効率化によって確保できる経営資源を定量的に比較し、効果が得られるものについて実行することとしております。
◎【
鈴木玲央議長】 第30番、
及川賢一議員。
◎【30番
及川賢一議員】 導入の基準としては主に費用対効果であるということで、具体的には取組に必要なコストと職員の業務時間や人件費といった、その業務の効率化によって確保できる経営資源を定量的に比較して、効果が得られるものについてはDXを進めていきますよということでした。
今、答弁いただいたような費用対効果というところで十分だと思うのですけれども、今回はこのDX導入の基準について、市長が大切にしている三方よしという言葉でも考えてみたいと思っています。1つは、今答弁にあったように、投資を上回る効率化、かけた費用より削減されるコストが大きければ、八王子市にとっていいよという点です。2つ目は、忙しさの平準化や有給休暇の取得、育休や部分休の取得など、市役所と雇用関係にある市の職員にとって
ウェルビーイングな働き方につながるのかどうかです。効率化によって自分たちのワーク・ライフ・バランスが担保されていくかどうか。3つ目は、DXの導入によって、市民の生活や
まちづくりにどういったメリットがあるのか。この三方でもって、これから導入したほうがいいのではないかと考えられるものを幾つか提案していきたいと思っています。
まず1つ目の工数の大きな業務の効率化についてです。単一の所管での業務工数が大きいものについて考えていきたいと思うのですけれども、総務省のほうで様々な自治体のDX導入、AI活用について先行事例がいろいろまとめられております。その中で特に目にするものとしては、保育所の
入所選考業務へのAIの導入というものがあります。東京都板橋区、港区、大阪府池田市とか、
あとさいたま市もよく例に出ているのですけれども、
利用希望者がこの保育園に入りたいですよという希望書類を出してから、市のほうで点数をつけて、結果を通知してという業務になるのですけれども、さいたま市では、職員が1,500時間かけて実施していた市民8,000人、300施設への
入所選考業務を数秒で完了できるようになったと。1,500時間が数秒ですね。それによって、市民に対して決定通知というのも早く出せるようになった。ほかの資料だと、同じ総務省の資料で、数秒ではなくて30分かかったという話もあるのですけれども、いずれしても1,500時間が30分に短縮されれば大幅な削減になるということですね。大体どこの自治体も2018年、2019年ぐらいから導入をしていて、既に課題みたいなものも出てきて、エラーが出てしまって、その分逆に土日出勤しなければならなくなってしまったみたいな自治体もあったのですけれども、そういったところもベンダーと一緒に解決して、今は落ち着いているようです。
この保育所の
利用者選考業務を八王子市でもAIで自動化できないかというのを考えていきたいと思うのですけれども、その前に、まず八王子市の現状の作業時間ですね。この選考業務にどれぐらいの時間がかかっているのか伺いたいと思うのですけれども、保育園の利用調整に係る職員の稼働時間は一体どのぐらいなのかお聞かせください。
◎【
鈴木玲央議長】
子ども家庭部長。
◎【
設樂恵子ども家庭部長】
入所担当職員6人が11月から翌年3月まで選考にかかる時間は約1,500時間になります。
◎【
鈴木玲央議長】 第30番、
及川賢一議員。
◎【30番
及川賢一議員】 1,500時間ということで、4月の入所に向けて11月の頭ぐらいから2週間申込み期間があって、11月、12月に書類の内容を市の職員が入力して、年明けから審査をして、1月下旬から決定通知を送っているというふうに聞いているのですけれども、その後、さらに
希望どおりのところに受かった、受からなかったというところでの問合せが多分市民からいっぱい寄せられて、2次利用調整なんかもしてというところで、特にこの年末年始の期間は物すごく忙しいのかと思います。そこで合計すると1,500時間かかっている。
八王子市の市職員の1人当たりの年間の
職員コストは大体800万円ぐらいというふうに聞いています。年間の勤務時間を1,850時間とした場合に、時間当たりの労務単価というのは4,300円程度になりますので、1,500時間分の
労働コストというのは650万円程度になっています。既にAI活用の仕組みを導入している自治体でどれぐらいの
システム導入コストがかかっているかというと、大阪府池田市だと548万円ぐらいと聞いています。ほかの市も、ざっと予算書とかを見ながら調べた中では500万円から1,000万円ぐらいの導入費用ということだったので、保守費用なんかも出てくるかもしれませんけれども、1,500時間で650万円の削減ができれば、一、二年ぐらいでシステムの投資のコストというのは回収できるのかなと思うのです。それゆえに、費用対効果としては導入したほうがよいというふうに判断できますし、業務の平準化によって職員の負担軽減にもつながります。何より早期に結果を通知できるようになれば、就職や
育児休暇復帰の可否が選考結果に左右されるために、なるべく早く通知をくださいという市民の要望にも応えられますし、希望の施設に入れなかった市民に対しては、対応を検討する時間的余裕を与えたり、
保育施設側にとっても余裕を持ったスケジュールでの対応が可能になりますので、まさに三方よしの効果が見込めるのかなと考えるところです。
そこで伺いたいのですが、多くの工数を要している保育園の入所業務については、AIによる選考を導入してほしいと考えますが、市の見解をお聞かせください。
◎【
鈴木玲央議長】
子ども家庭部長。
◎【
設樂恵子ども家庭部長】 本市では、
保育コンシェルジュが様々な事情や要望のある保護者に寄り添ったきめ細やかな案内による受付を実施しております。AIが機械的に選考する方法につきましては、まずは
市民サービスへの影響や導入による効果検証を行う必要があると考えております。
市民サービスの向上とAI導入による業務改善が両立できるよう、調査研究に努めてまいりたいと考えます。
◎【
鈴木玲央議長】 第30番、
及川賢一議員。
◎【30番
及川賢一議員】 今答弁いただいたように、保護者に寄り添ったきめ細やかな対応というのは本当に大切だと私も思いますので、全てをAIで効率化することが望ましいとは思わないのですけれども、寄り添った対応というところも、うまくシステムの調整でできるかなと思っていまして、例えば保育所の定員が50名であったときに、その50名をそのままシステムに打ち込むのではなくて、47名とかにしておいて、3名ぐらい
バッファーを持っておく。その
バッファーの部分は
マニュアルでコントロールしていく。そういった対応で、寄り添った対応というのもできるかなと思っているところなのですけれども、八王子市にこれを導入したときにどれぐらいの予算がかかるのかであったりとか、市で持っているデータとのインターフェースの整合性だったりとか、調べなければいけないことはたくさんあると思います。なので、今すぐに導入しますなどという答弁は、逆にもらったら困るというところなので、まずは調査研究で構わないので、状況把握、導入したらどれぐらいのコストがかかって効果が見込めるのか、そういったところを調べて、導入に向けた検討につなげていってもらえたらと思います。
次、2つ目のところです。複数所管の連携の話なのですけれども、ここでは航空写真や衛星写真など空から撮影した画像を使った市内の建物や土地、開発行為などの
実態把握調査業務について伺いたいと思います。こちらも固定資産については総務省の先行事例であるのですけれども、固定資産の
課税客体把握事務における
航空写真AI解析クラウド実証ということで、航空写真を基にAIで解析をかけて、経年判読ですね。1年前と1年後で違っているところを自動でAIが分析してピックアップして、引っかかったところだけ調べに行けばいい、そういった仕組みなのですけれども、これについては既に
固定資産税の調査において八王子市での活用が進んでいるようです。なので、まずその状況を確認したいと思うのですけれども、航空写真を利用した
実態把握調査業務の効率化について、固定資産の現状の活用方法をお聞かせください。
◎【
鈴木玲央議長】 財政部長。
◎【
宇田川聰財政部長】 課税対象となります家屋の新増築や取壊しの状況を把握するため、賦課期日である1月に市内全域の航空写真を撮影し、前年との比較をAIを活用して行っております。また、撮影した
写真データにつきましては、
地番現況図とともに、庁内の
共通システムであります
地図情報システムに取り込みまして、情報の共有化を図っているところでございます。
◎【
鈴木玲央議長】 第30番、
及川賢一議員。
◎【30番
及川賢一議員】 まさにこの先行事例に載っているようなAIの活用を八王子市では既に、進めているということで、すばらしいDXの取組だと思うのですけれども、ちなみに、このAIの活用を導入されたきっかけ、経緯と効果についても伺いたいと思います。
◎【
鈴木玲央議長】 財政部長。
◎【
宇田川聰財政部長】 課税業務における精度の向上と効率化を目的といたしまして、平成29年度からAIによる判定を行っております。また、AIだけでは十分に判読ができない部分につきましては、専門員が判定を行うことで補足しているところでございます。あわせまして、DX化が難しい残りの業務の特定部分につきまして、正規職員を
会計年度任用職員の専門職に置き換えることで、業務全体の
コスト削減と最適な体制づくりに努めているところでございます。
◎【
鈴木玲央議長】 第30番、
及川賢一議員。
◎【30番
及川賢一議員】 精度の向上と効率化を目的に導入したということで、しかも、AIだけで判読できない部分については専門員の判定と、それで残った業務については
会計年度任用職員を活用しているということで、先ほどの保育所の
入所希望者の選定の話にもつながるのですけれども、まさにデジタルと
マニュアルをうまく併用しながら取り組んでいる好事例かなと思います。
既に
固定資産税の分野において導入している航空写真によるAI判読の取組なのですけれども、ほかの所管でも使えるところがあるなと感じていまして、例えば
盛土規制法の改正に伴う盛土調査であったり、農地の管理における適切な耕作、肥培管理がされているかどうかの確認。山林であれば、ナラ枯れの拡大状況や樹木の繁茂状況、枯死樹木の発生状況の把握。防災でいえば、地滑りにつながる周辺地の
ひび割れ発生状況の確認など。空から見れば簡単に状況把握できるのですけれども、人の足で確認すると手間がかかる、そんな
状況把握業務というのはたくさんあって、それらの業務にも、この航空写真を活用したAI解析というのは有効だというふうに考えるのです。現状でも、固定資産のほうから航空写真を借りて、それらの所管でチェックはしているそうなのですけれども、AI解析ではなく人の手で確認しているので時間もかかっている。なので、ここの部分を自動化できたらというふうに思うところです。
ただ、航空写真の活用に当たっては1つ課題もありまして、
固定資産税関連の撮影では、撮影が基本1月に当たるので、農地や森林など他の季節の様子を確認したい所管からすると、できればほかの季節の撮影というのも必要になってくる。しかし、現状、八王子市の航空写真の撮影には1,000万円程度の費用がかかっていると聞いていますので、他の所管で活用するために別途1,000万円かけて撮影するというのは、費用対効果としてちょっと難しいのかもしれないなと思います。ただ、撮影手法についても、昨今は航空写真以外に人工衛星から撮影した衛星写真を活用する、そんな自治体も増えてきておりまして、撮影のコストというのは衛星写真のほうが大分安く収まります。本市の航空写真の撮影にかかる費用が1,000万円であるのに対して、衛星写真の費用を見ると、自治体にもよるのですけれども、
平方キロメートル当たり数千円程度、5,000円とか6,000円とかで収まるそうです。ただ、衛星写真というのは1
ピクセル当たりの解像度が25センチから30センチ程度であるため、1ピクセル10センチ程度の解像度の航空写真を使用している八王子市の
固定資産業務からすると、
ピクセル当たり25センチから30センチという解像度では、なかなか使えないという話も聞いているのですけれども、固定資産みたいに建物の詳細な状況を確認する必要のない業務であれば、衛星写真の解像度でも事足りるのではないかなというふうに考えるところです。
さらに、衛星写真についてはどんどん日進月歩で技術が進化していまして、NTTデータのリリースで、今年度中には15センチ解像度の衛星画像の
国内独占販売権をアメリカの
ベンチャー企業から取得したとか、さらに2024年に1基衛星を打ち上げるアメリカのアルベドという
スペースベンチャー企業、こちらは10センチの衛星写真を提供できるようにすると。しかも、24基ぐらいを2027年までにかけて打ち上げるということで、1日に何回も撮影ができるのですね。コストも、まだ出ていないのですけれども、事前のジャーナリストの記事を見る限りでは、
平方キロメートル当たり25セントから15ドルぐらいというとんでもない破格な金額で、解像度が上がるのでもしかしたら上がるかもしれないですけれども、こういった技術の進化というのもありますので、そうなってくると固定資産のほうでも使えるのかなと思うところです。
ただ、それはちょっと先の話になってくるので、まずは現在の航空写真や衛星写真を活用したAIによる
実態把握業務について少し伺えたらと思うのですけれども、その効果があるのかどうなのか。さっき事例として紹介した盛土であったりとか、農地であったりとか、そういった所管でこのAI判読を使ったときに、どんな効果があるのかというのを幾つかの所管に聞いてみたいと思います。
最初に盛土についてですが、盛土については予算審査の中でも各委員から指摘が多くありました。今後、盛土の経過観察を行っていくということですが、体制については特に増員があるわけではないと聞いていますので、正直今の体制でどこまで調べていけるのかというところに不安は少し覚えるところです。加えて、今後は、現在資材置き場という名目で土を積んでいるような土地も規制の対象となってくるので、新たに把握しなければならない土地というのも増えてくるかと思います。ゆえに盛土調査や観察の負担というのはかなり大きいので、AIによる解析を導入することで負担軽減につなげられればと考えます。
そこで伺いますが、航空写真などのAI解析は盛土の実態把握にも有効に活用できるのではないかと考えますが、市の考えをお聞かせください。
◎【
鈴木玲央議長】 開発・
建築担当部長。
◎【
伊藤泰光開発・
建築担当部長】
盛土規制法の運用開始に伴い、本市で把握した既存盛土の経過観察を行う予定ですが、経過観察をするに当たり、職員が全ての場所について変化の有無を調査する方法ではなく、AI導入により変化があった場所を正確に絞り込むことが可能で、最終的に職員が現地調査を行うことができれば、調査を行う職員の負担はかなり軽減されるものと考えています。
◎【
鈴木玲央議長】 第30番、
及川賢一議員。
◎【30番
及川賢一議員】 職員の負担がかなり軽減されるとの認識を示していただきました。
続いて、土地の利用動向の調査についても同じことを伺いたいと思います。航空写真などのAI解析は、生産緑地などの
土地利用動向の把握や、それらデータを基にした都市計画の立案業務などにも有効に活用できるのではないかと考えますが、市の考えをお聞かせください。
◎【
鈴木玲央議長】
都市計画部長。
◎【
守屋清志都市計画部長】 市では、土地利用の変化を把握する基礎資料として、東京都がおおむね5年に一度実施している
都市計画基礎調査を活用しており、生産緑地については年1回の現地調査により
肥培管理状況を確認しております。議員御提案の衛星写真やAIによる自動識別の導入により、生産緑地を含む
土地利用変化の把握に伴う作業工数の削減と、調査頻度の向上によるきめ細やかな状況把握が可能となり、都市計画や
土地利用調整に係る施策の展開に大きな効果が期待できると考えております。
◎【
鈴木玲央議長】 第30番、
及川賢一議員。
◎【30番
及川賢一議員】 こちらも工数の削減や都市計画、
土地利用調整に係る施策の展開に大きな効果が期待できるという答弁をいただきました。長きにわたって本市の都市計画や開発行政に関わってこられた伊藤部長と守屋部長にそういった効果があるといった答弁をいただけると、とても頼もしいというふうに思います。ありがとうございます。
いい答弁をいただけたので、もう一つ、農地についても伺いたいと思うのですけれども、航空写真などのAI解析は農地の
利用状況調査にも有効に活用できるのではないかと考えますが、市の考えをお聞かせください。
◎【
鈴木玲央議長】
農林振興担当部長。
◎【
岩田充農林振興担当部長】
農業委員会では、農地法の規定に基づき、毎年、農地の利用状況を現地に赴き確認しています。本市では、面積が広いことから、
農業委員等においては体力的に大きな負担となっており、
航空写真等のAI解析の活用が進みますと、作業効率が高まるものと考えています。
◎【
鈴木玲央議長】 第30番、
及川賢一議員。
◎【30番
及川賢一議員】 こちらも効率が高まるということです。私は農業委員をやったことがないのですけれども、農地を回るのが本当に大変だという話は耳にするところです。高齢化もありますので、なるべくシステムを使って、人の負担というのを減らしていけたらなと考えるところです。
ということで、いずれの所管に導入効果を伺っても、その有効性を確認することができました。これらの所管で共通で使用した場合のAI判読の
導入コストについては正直分かっていないので、これからの調査になるのですけれども、固定資産のほうでAI判読に使っている予算というのは約500万円程度と伺っています。職員費にして0.6人分ぐらいの費用になりますので、複数所管で要する工数を足せば、費用対効果というのは満たせるのかなと思うところです。
また、固定資産の調査に関してのAI解析というのは、いろいろな自治体で進んでいる施策になりますけれども、複数所管が連携しての土地の利用や管理については、恐らく先行事例というふうになるかと思いますので、
デジタル田園都市国家構想交付金、そんなものも利用できるのではないかなと考えます。加えて、本件も先ほどの保育所の
利用者選定と同様に業務の平準化につながりますし、より良好な土地の管理や安全対策への効果があることから、市民の生活福祉の向上にもつながるかと思います。
そこで伺いたいと思いますが、これまで述べてきたように、航空写真のAI解析は複数の所管業務で活用の可能性があります。そこで、実態把握のための
調査業務等にAIの活用を検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
◎【
鈴木玲央議長】
デジタル推進室長。
◎【
中嶋徹デジタル推進室長】 航空写真のAI解析におきましては、その活用目的により、解像度の違いや立体解析を行う場合に必要となる斜めからの撮影など必要なデータに違いがありますが、現在市が保有する航空写真を複数の所管課で活用することは、技術的に可能であると考えております。御案内いただきました盛土規制などへの活用を含め、庁内における課題の情報収集を図るとともに、市が保有するデータの二次利用や国の
オープンデータ活用など、所管課と協力しながらデジタル技術を活用した業務改革に取り組んでまいります。
◎【
鈴木玲央議長】 第30番、
及川賢一議員。
◎【30番
及川賢一議員】 技術的には既に可能であるという認識を示していただきましたので、ぜひ積極的な情報収集と業務改革に取り組んでいっていただけたらと思います。お願いします。
3つ目、生成AIの活用について、これは所管などの組織的な活用ではなくて、個々の職員の業務における活用という点でちょっと確認だけしておきたいと思います。ChatGPTの導入については、横須賀市が本当に先進市として様々な取組をされています。八王子市においても、今後このガイドラインを策定して利用を促していくという答弁を
予算総括質疑で聞いたところなのですけれども、実際に使ってもらうためには、市のほうでこういう枠組みをつくりました、皆さん使っていいですよといった後に、積極的にもっともっと使ってもらう、そういった仕掛けが必要なのかなと思います。
横須賀市のほうは、その導入の経過とかをnote株式会社とかでもいろいろ発信していまして、市の職員がたった1ヵ月でChatGPTを導入した話とか、うそをつくAIに対してどう向き合うかであったりとか、本当に分かりやすく、いろいろな課題だったりとか、便利な部分だったりとかをまとめてくれているのです。とにかく利用のハードルは低くして、ただ、守るべきルールというのは高くして、そういったところで安全に、でも自由に使えるように促していこうとか、あと、定期的に報告会をしたりとか、こんなところで効果があったよなどという共有、またアイデア出しのハッカソン、そんな取組もされています。
自分もマイクロソフトのコパイロットを使って、八王子市の職員の皆さんの業務に生成AIを活用するにはどうしたらいいですかとか、いろいろやり取りをしていたのですけれども、やはりスモールスタートでまず始めてみる、やってみるのが大事だというような答えがAIからも返ってきました。
今後の使い方について伺いたいと思うのですけれども、生成AIの活用については、利用のためのガイドラインを策定して、今後、全庁的に使えるようになると聞いていますが、試しにでもいいので、ぜひ率先して使っていってほしいと考えます。基本的な使い方はガイドラインを参照する形だと思いますが、市の業務は多岐にわたるので、効果的な使い方を共有するために、活用方法の報告会やアイデア出しのハッカソン、そういった取組も進めていただきたいと考えますが、いかがお考えでしょうか。
◎【
鈴木玲央議長】
デジタル推進室長。
◎【
中嶋徹デジタル推進室長】 今後、利用可能とする生成AIにつきましては、職員に1人1台配備している行政情報端末からいつでも利用できる環境の構築を予定しております。生成AIの効果的な活用に向けましては、運用開始後に行うアンケート調査や、各課に1名配置しているデジタルリーダーなどから寄せられる活用事例について、令和5年度に新たに開設した庁内向けのDX推進のための学習サイトを利用して全庁で共有を図る予定でおります。職員ひとりひとりが、生成AIを自分の業務をサポートする新たなツールとして積極的に活用できるよう取り組んでまいります。
◎【
鈴木玲央議長】 第30番、
及川賢一議員。
◎【30番
及川賢一議員】 既にいろいろ取り組んでいかれるおつもりだということで、しっかり進めていただけたらと思います。
先ほど紹介した横須賀市なのですけれども、横須賀市には本当に多くの自治体から生成AIの活用について問合せが殺到しているということで、それを受けて横須賀市のほうでは、生成AI開国の地ということで、ありとあらゆる自治体への研修を企画しているのですね。なので、視察に来て対応するだけではなくて、横須賀市のほうで研修もしますよということで、どんどん聞きに来てくださいという姿勢を見せてくれているので、そんなに離れていませんので、機会があれば先進自治体に習いに行って、八王子市の導入につなげていってもらえたらと思います。
最後です。今回、主に保育所と土地の実態把握について取り上げてきましたが、技術の進展に伴って、様々な分野でAI活用の可能性というのは広がっていきますし、それらの中には八王子市の行革に有益なものもたくさんあると思います。
最後の質問は市長に伺いたいのですけれども、本市のそれぞれの所管というのは、正直言って、そんなにデジタルに強くはありません。デジタル推進室のほうでこんな取組がありますよ、進めますよとリードはしてくれているのですけれども、デジタル推進室のほうで各所管の業務に直接ずかずか入っていて、この所管のこの業務はこういうBPRができますよねということができるかというと、なかなかそうではないです。かといって、各所管の担当者がデジタルにすごく詳しいわけではないので、自分の業務をこういうふうにデジタルで、DXで、AIを使えるというところにひらめくというのもなかなか難しい。これは国のほうでもDX推進の中で課題として挙げられている問題でして、デジタルに詳しい所管とそうではない業務をやっている所管をどうつなげていくかというところが課題になっていて、八王子市にとっても本当に長年なかなか解決が難しい課題だというふうに私は認識しています。
なので、失敗してもよいので、本当に各所管が積極的に取り組むことで何とか変えていかないと、DXというのは進んでいかないかなと思っているのですけれども、今回の質問の最後に市長に伺いたいと思います。単一の所管はもとより、複数所管での共通利用を含めて、工数の大きな業務に対して積極的なDXを図ることで業務の効率化を進めてほしいと考えます。本市の厳しい財政状況を鑑みて、一刻でも早く、一つでも多くの
業務効率化を進めてほしいと考えますが、市長の見解をお聞かせください。
◎【
鈴木玲央議長】 初宿市長。
◎【初宿和夫市長】 業務の効率化でございますが、
市民サービスの持続可能性を確保いたしますとともに、職員の働き方の改善にも寄与する大変重要な取組であると認識をしております。令和5年度は、BPRを推進する環境整備といたしまして、全部署において業務の見える化に取り組んだところでございます。職員と目標をしっかり共有し、限りある資源により最大限の効果が発揮できるよう、各部門の自律的な取組を促しつつ、横断的な改革は私が先頭に立って実行してまいります。
◎【
鈴木玲央議長】 第30番、
及川賢一議員。
◎【30番
及川賢一議員】 市長が先頭に立って横断的な改革を実行していただけるという、まさに一番欲しい言葉をいただけたかなと思っています。DX先進市として取り上げられる自治体のほとんどは、市長が強いリーダーシップで進めている、そんな自治体だというふうに認識しています。とにかく強いリーダーシップでやってみよう、失敗してもいいんだ、自分が何とかする。そういった本当に強いリーダーシップで改革を促していくことが、このDXの取組に欠かせない秘訣だと思っておりますので、ぜひとも市長が先頭に立ってDXを進めていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
◎【
鈴木玲央議長】 第30番、
及川賢一議員の質問は終了しました。
次は、第12番、西室真希議員。
〔12番議員登壇〕
◎【12番西室真希議員】 自民党新政会、西室真希です。発言通告に従い、一般質問をさせていただきます。ひとりひとりの発達と個性に寄り添ったキャリア教育についてと、子ども・若者育成計画についてです。
まず、キャリア教育について質問をさせていただきます。改めて、キャリア教育とは何でしょうか。キャリアとは、多くの人が経歴という意味で使用されており、ハローワークなどを所管している厚生労働省では、過去から将来の長期にわたる職務経験や、これに伴う計画的な能力開発の連鎖を指すものとされております。では、文部科学省で言うキャリア教育とは、人が生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自ら自分と役割との関係を見いだしていくつながりや積み重ねとされております。キャリア教育とは、キャリアを形成していくために必要な能力や態度の育成を目標とする教育的働きかけであり、文部科学省では、ひとりひとりの社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通してキャリア発達を促す教育と定義をされております。つまり、キャリア教育とは、社会の中で自分の役割を見つけ、自分らしく生きていくことができるようになるための教育なのです。
基礎的・汎用的能力は、社会的・職業的自立、学校から社会・職業への円滑な移行に必要な力に含まれる要素の1つとされております。これは2011年に文部科学省の中央教育審議会の答申、今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方についてに述べられておりますが、学校を卒業して社会・職業へ移行していくためには、読み・書き・計算などの基礎的能力、知的能力や、物事を筋道を立てて考え、新たな発想を生み出す論理的思考能力、創造力などと同じように、基礎的・汎用的能力が必要とされております。基礎的・汎用的能力とは、どのような職業や分野においても自立するために必要な基礎の力と考えられており、コミュニケーション能力や熱意・意欲、行動力・実行力などが挙げられております。具体的に4つに分けられており、人間関係形成・社会形成能力、自己理解・自己管理能力、課題対応能力、キャリアプランニング能力とされております。
今回の
予算総括質疑や分科会で質問をしたキャリア教育について、他の議員からもたくさんこの項目についての質疑があり、関心が多く、これからの子どもたちの未来を語る上で必要不可欠であるということがうかがえます。私も学校に通っている間、ただ学校生活を楽しく送る、それができれば十分100点満点なのですが、さらに何のために学び、自分はどのような生き方をしていきたいのか、大枠でもよいので目標を掲げ、自分の人生の設計図、社会という名の大海原に出る前に考え、やってみて、失敗したり、悩んだり、社会に出る前に起業してアクションを起こしたりなど、学生時代だからこそできる経験をしてほしいです。人生にはたくさんの選択肢があり、その選択肢を増やすには、様々な体験、経験、出会い、情報収集が必要です。キャリア教育とは、選択肢を増やす一助になる事業だと考え、さらなる充実を図っていただきたく質問をさせていただきます。
今回の一般質問では、さらに深掘りをして、本市においてのキャリア教育、普通学級、特別支援学級、生涯学習の観点からどのような取組をされているのか伺います。通常授業に対してプラスアルファの要素を持つキャリア教育、特別支援学級のキャリア教育について伺う前に、特別支援教育の推進の基礎となる八王子市第五次特別支援教育推進計画について、まず質問をさせていただきます。昨年改定もございました。主に第四次から変わったポイント3点をお伺いいたします。
八王子市第五次特別支援教育推進計画では、今回から基本理念が掲げられております。周囲の人たちに支えられ、全ての子どもが障害の有無にかかわらず、共に学び、互いを尊重し、助け合い、社会で自立できるよう育成をするという基本理念です。八王子市第五次特別教育推進計画では、新たに基本理念を定め、3つの基本目標を定めておりますが、ここで基本理念を定めた目標を伺います。そして、本市では、平成29年度から特別支援教育の設置を進め、現在本市では全学校に特別支援教室を設置しており、小学校では25校、中学校では10校を拠点校としております。本市では、この特別支援教室の再編に取り組んでいると伺っておりますが、再編目的と、どのように取り組んでいるのかを伺います。
また、近年、情緒固定学級の設置自治体が近隣市に増えたことで、自閉症・情緒障害学級の設置の御要望を多くいただくようになりました。八王子市第五次特別支援教育推進計画を確認させていただくと、基本目標である特別支援学級・特別支援教室における特別支援教育の充実において、具体的な取組として、多様な障害特性に対応するための教育指導体制の検討に向けた調査研究と挙げられております。この取組は、自閉症・情緒障害学級の設置を目指しているものなのでしょうか。そうであれば、その進捗状況をお伺いいたします。
続きまして、2項目の質問に移ります。プレーパーク事業についてです。八王子市子ども・若者育成支援計画の基本施策2、生きる力を育む遊びや体験の充実についてです。ボール遊びや体力の低下などなど、こちらの計画の項目について、私からも何度か一般質問や分科会などで取り上げさせていただいております。今回は、時間の限りもございますので、プレーパークに絞って質問をさせていただきます。
プレーパークの活動についてお話をさせていただきますと、特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会が中心となり、子どもが生き生きと遊べる冒険遊び場、プレーパークとも呼ばれている場所を全国に広げております。子どもは、きちんと造成された公園より、廃材が転がっているようなところで生き生きと遊ぶものだと造園家が気づいたことで、1943年にデンマークで廃材遊び場が造られました。その後、冒険遊び場づくりはイギリス、ドイツなどヨーロッパ各地を中心に広がり、日本では、1975年に東京都世田谷区内で住民の取組として始まりました。住民の手作りの遊び場は、1979年から行政と協働事業となり、現在に至っております。自分の責任で自由に遊ぶをモットーにしていた冒険遊び場には、毎日たくさんの人が訪れています。泥遊びや水遊び、工作や木登りができ、乳幼児から小中高生、大学生、学校には行っていない子も、親も、親でない大人も、高齢者も、それぞれの人がそれぞれの時間を自分の責任の中で自由に遊び、過ごせる場所となっております。
しかしながら、冒険遊び場づくりにおいて、場所の確保や、開園中一緒に遊びを工夫し、遊び場がもっと楽しくなるように考えてくれるプレーリーダーという最も子ども目線に近い立場で遊びに関わる大人の配置を含めた運営資金の確保など、全て住民だけで解決していくことは容易ではないため、近年では、子どもたちのプレーパーク事業として取り組もうと考える自治体が増えてまいりました。2019年の数値ではございますが、東京都23区では11区が実施し、26市においても既に11市が本格的にこの事業に取り組んでおり、全国では400ヵ所以上がプレーパークとして運営をしております。八王子市子ども・若者育成支援計画の基本施策2、子どもの生きる力を育む遊びや体験の充実についての計画の中でも重点施策としてフラグがついており、現計画もいよいよ終盤に差しかかっておりますので、進捗状況の確認をさせていただきます。
主な取組といたしまして、プレーパーク事業の実施支援と人材育成、子どもが自由で豊かな外遊びの体験ができるプレーパークについて、事業を実施する人材を育成し、地域の団体の取組を支援しますとあります。目指す指標として、2023年に検討をし、2024年に実施とございますが、進捗状況をお示しください。
また、令和元年第4回定例会一般質問において、プレーパークの常設化を進めたいというような趣旨で質問をさせていただきました。プレーパーク事業につきましては、常設ではございませんが、現在、緑地や公園等を活用し、実施している場所があります。今後、プレーパークの実施場所を増やしながら、常設化を図っていく予定でおりますと御答弁をいただきました。こちらの答弁について質問をさせていただきます。一般質問をした2019年からここまでの計画期間中、どのようなことに取り組んでこられたのか、具体的にはどのような活動をされてきたのかお示しください。そして、プレーパークの計画を遂行するに当たり、実際に実施できる場所についても質問をさせていただきます。市内公園において、プレーパークの実施状況についてお示しください。
以上で1回目の質問を終わります。
◎【
鈴木玲央議長】 学校教育部長。
◎【今川邦洋学校教育部長】 私からは、八王子市第五次特別支援教育推進計画に関連する3点の御質問にお答えをいたします。
初めに、新たに基本理念を定めた目的についてでございますが、これまで特別な支援が必要な児童・生徒への指導、支援については、特別支援教育コーディネーターを中心とした組織的な支援体制をはじめ、特別支援学級の増設による体制の充実や切れ目のない支援体制を構築してまいりました。一方で、本市における就学相談件数の増加傾向は続いており、特別な支援が必要な児童・生徒の様態や教育的ニーズが多様化してきております。こうした状況を踏まえ、障害の有無にかかわらず、全ての児童・生徒の自立と社会参加を見据え、共生社会の実現に向けた取組をさらに推進するため、本市の目指す特別支援教育のビジョンを明確化し、今後の行動指針とするために定めたものでございます。
次に、特別支援教室再編の目的と取組についてでございますが、特別支援教室は、拠点校を核として巡回校グループを形成し、拠点校に在籍する巡回指導教員が担当校の巡回指導を行っております。そのため、巡回校の多いグループは指導時間数が制限されてしまうという課題があったため、新たに令和4年度に小学校3校、令和5年度には中学校2校を拠点校とすることで、指導時間の充実を図ったものでございます。
最後に、推進計画に掲げた教育指導体制の検討に向けた調査研究についてでございますが、これは特別支援教室において個々の特性に応じた指導の充実を図るための指導体制について調査研究を行うもので、取組の1つとして自閉症・情緒障害学級の設置も視野に入れているものでございます。進捗状況につきましては、先行自治体の視察などを通して課題を整理しており、設置に向けては、人材の確保と育成、また、入級判定の仕組みと実施体制など複数の課題が挙げられております。引き続きこれらの課題を踏まえ、多様な障害特性に対応するための指導体制の充実に向け、検討を進めてまいります。
◎【
鈴木玲央議長】
子ども家庭部長。
◎【
設樂恵子ども家庭部長】 子ども・若者育成支援計画におけるプレーパークの実施支援といたしましては、プレーパークを実施する会場として、活動団体に子どもキャンプ場を貸し出し、支援をいたしました。また、毎年子ども・子育てフォーラムを開催し、子どもにとっての遊びの大切さなどを周知啓発しております。これまでの活動といたしましては、子ども・若者育成支援センターによる外遊びを含めた小学校への出張児童館を年間で延べ100回以上実施しているほか、民間の活動団体と連携した水辺活動チャレンジ、いわゆるミズカツでの遊びの体験の提供などがございます。
◎【
鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。
◎【竹内勝弘まちなみ整備部長】 市内公園におけるプレーパークの実施状況についてですが、公園でプレーパークを開催するに当たりましては、プレーパークで遊ぶ利用者と一般の公園利用者の双方の安全確保、さらには地域の理解が課題だと考えております。市内公園では、宇津貫緑地や戸吹スポーツ公園で定期的に開催されているほか、イベント的に小田野中央公園などでも開催されております。
◎【
鈴木玲央議長】 第12番、西室真希議員。
〔12番議員登壇〕
◎【12番西室真希議員】 それぞれ御答弁ありがとうございます。八王子市第四次特別支援教育推進計画から基本理念を掲げ、さらに個別最適化を図り、ひとりひとりに寄り添える体制を整えてくださっている計画になっていることが分かりました。
情緒固定級につきましても、先進自治体の視察にも行き、課題も整理をしていただいていることが分かりました。発達障害などのため、他者との意思の疎通に困難を抱える子どもが学ぶ自閉症・情緒障害の特別支援学級、地域の小中学校に設置するかどうかは自治体の判断に任されており、1学級も設置していない自治体も少なくありません。通常学級でうまくいかず、かといって既存の特別支援学級にも入れず、はざまで困っているお子さんがいらっしゃいます。小学校や中学校に設置をされている特別支援学級は、文部科学省の2021年度学校基本調査によると、小学校には全国で計5万909学級、中学校には計2万1,635学級が設置をされており、そのうち自閉症・情緒障害特別支援学級は、小学校2万3,368学級、中学校は9,622学級と半数近くを占めております。それぞれ12万266人、4万4,842人の児童・生徒が通っております。
特別支援学級の対象障害種は、知的障害、肢体不自由、病弱及び身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害とありますが、学校の設置主体である自治体に特別支援学級の設置義務はなく、設置状況は地域によって大きく異なります。都道府県別に見ると、自閉症・情緒障害特別支援学級が最も多いのは大阪府であります。最少は東京都、110学級となっており、都内でも区市町村によって差があります。都の2021年度公立学校統計調査によりますと、青梅市が3校23学級、多摩市が4校16学級、町田市が6校15学級を設置している一方で、37区市町村は設置がゼロとなっております。そのため、子どもを同学級に入れるため、設置している自治体に転居する家庭もあるというのが実情です。
本市、八王子市では、小学校特別支援教室で指導を受ける児童数は、特別支援教室開講時と比べ約2.3倍となり、巡回教室の巡回指導を開始する中学校でも、同時期の情緒障害等通級指導学級の在籍生徒数が1.6倍となっており、特別な支援を必要とする児童・生徒数は年々増えている状況です。特に就労に対して将来不安があると皆さん口をそろえてお話をされます。本市の現状を数値上で確認するだけでも、就職先、障害者雇用について本腰を入れて考えなければなりません。障害者雇用につきましては、一時期より前に進み、本市でも市内雇用を強化いただき、着手しておりますが、周囲の人たちに支えられ、全ての子どもが障害の有無にかかわらず、共に学び、共に尊重し、助け合い、社会で自立できるように育成をする、まさに基本理念に掲げられていることを遂行いただければ、将来の不安は少し解消されるかもしれませんが、実際どのように行われているのか、取り組んでおられるのかを確認させていただきます。
まず、市内学級でのキャリア教育の取組については、分科会でも確認させていただきました。全ての市内学校でキャリア教育が遂行されており、小学校の社会科見学、職業別の調べ学習など、中学校では職場体験などを実施いただいていると伺いました。はちおうじっ子キャリア・パスポートという八王子独自の取組も行っているということで、多面的、多角的に自己理解を深めることができているというように指導内容を伺いました。
それでは、発達と個性に寄り添ったキャリア教育について、本市ではどのような目的意識を持って、どのような取組をされているのかをお伺いいたします。計画を確認し、特別な支援を必要とする児童・生徒数は年々増加している状況を鑑み、今後の特別支援学級のキャリア教育の重要性を痛感したところでございます。本市の取組についてお示しください。
また、特定分野に特異な才能のある児童・生徒への支援推進事業における取組についてです。特定の才能を持った子どもに寄り添い、十分に個性を発揮できるようサポートする事業に当たり、キャリア教育の一環ではなく実施されている事業があるということは存じておりますが、持っている個性に寄り添い、その専門知識を持った人材とつなげ、さらに個性を開花させることを目的として、本市が国の事業に自ら手を挙げて行っている事業と伺いました。この事業を取り組むに当たり、どのような目的意識を持っているのかを確認させてください。
続きまして、プレーパークについて2回目の質問です。この活動を浸透させて、計画を推進していくには、活動している団体の形態や活動内容の把握、そして、イベント型ではなく、公園などで今後プレーパークの常設活動を進めていくのであれば、活動に対する地域と住民の理解、そして、子どもたちの安全性を確保する仕組みがまだできておらず、課題があると感じております。課題解決に対して具体的な動きをされておりますでしょうか。子ども・若者育成支援計画を推進している所管と、現場である公園を所管している所管から、それぞれの御答弁をお願いいたします。
これで2回目の質問を終わります。
◎【
鈴木玲央議長】 指導担当部長。
◎【西山豪一指導担当部長】 特別支援学級におけるキャリア教育の取組についてですが、本市では、全中学校で実施している職場体験に加えて、東京八王子南ロータリークラブ主催で、希望のあった中学校の特別支援学級の生徒が地元企業で職場体験を行うような先進的な取組を令和4年度から開始し、2年目の令和5年度も実施することができました。参加した生徒からは、将来飲食関係の仕事を考えていたので、体験できてよかった。また、保護者からは、働き、お金を稼ぐことがいかに大変なのかを実感できたのではないかと思う。学校からは、生徒自身が将来のイメージを具体的に持てるようになったという感想がありました。生徒が自分自身の将来について実感を持って考えたり、やりがいや喜びを感じたりする機会となっており、今後も継続してまいります。
◎【
鈴木玲央議長】 生涯学習スポーツ部長。
◎【平塚裕之生涯学習スポーツ部長】 特定分野に才能のある児童・生徒への支援の目的についてでございますが、様々な分野で優れた能力を秘めた本市の児童・生徒に対して、学校と特定分野の専門家や関係機関がつながり、ひとりひとりの個性に応じた支援により、子どもたちが持てる力を伸ばし、輝けることを目指しております。義務教育期間から卒業後まで、生涯学習社会の中で、子どもたちの才能や個性に応じた支援が切れ目なく行われるよう、効果的な支援策を検証してまいります。
◎【
鈴木玲央議長】
子ども家庭部長。
◎【
設樂恵子ども家庭部長】 プレーパーク事業の課題に対する対応についてですが、活動団体の把握に努め、市が目指す方向性と一致する団体につきましては、市の事業にも御協力をいただいております。また、活動団体を地域や他の団体とつなげることで、その活動が広く市民の皆様に知ってもらえるよう周知に取り組んでいるところでございます。
◎【
鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。
◎【竹内勝弘まちなみ整備部長】 公園でプレーパークを開催する際の課題解決に対する動きについてですが、日本冒険遊び場づくり協会の理事をお呼びして、市内で活動されている複数の団体の方々と現状における課題、安全管理の在り方などについて意見交換を行いました。その中で、プレーパークを実施するに当たって最低限必要とされる事項について認識の共有を図ったところです。
◎【
鈴木玲央議長】 第12番、西室真希議員。
〔12番議員登壇〕
◎【12番西室真希議員】 それぞれ御答弁をいただきました。市立学級での取組に加え、発達と個性にそれぞれしっかりと寄り添った取組をしていただいていることについて高く評価をさせていただきます。
まず、特別支援学級のキャリア教育に関して、さらなる充実を図っていただきたいです。企業にコンタクトをとり、職業体験をさせていただくことで、企業への障害者雇用のアプローチにもなり、就労前に会社の様子もうかがえ、御答弁でもありましたが、将来のイメージを具体的に持てるようになったとございました。障害者雇用の理解促進にもつながり、こういった着実な一歩一歩が重要と考えます。
そして、特定分野に特異な才能のある児童・生徒への支援の事業推進についてですが、専門知識を持った大人や専門機関とのつながり、人材育成を義務教育期間終了後も切れ目なく行っていくという心強い御答弁でした。共通して言えることは、今まで出会わなかった他者との関わり合いを通して社会への関心を高め、社会との関係を学ぶ大変よい機会を創出しており、今後、人づくりという軸を大切に考える本市にとって重要な事業と考えます。親、学校以外の関わり合いの中で重要な他者の存在が多ければ多いほど、人生は豊かになります。そして、このまちでいい出会いが積み重なった結果、このまちが好きになり、このまちに住み続けたいと思うようになります。産業経済の構造的変化、AI、ロボットが進み、今後、今を生きる子どもたち自らの将来の捉え方にも大きな変化をもたらします。子どもたちにとって、変化に対応できる力を育むことは不可欠であり、社会に出る前に未知の経験をちりばめ、失敗も成功もたくさん経験し、社会に送り出す体制を整えていただきたいです。
この項目の最後に、今後の子どもたちの学びにおける支援について、教育長のお考えをお伺いします。
そして、プレーパークについて最後の質問です。いろいろな課題が出てきている中で、課題を整理する会は開催されたようですので、伴走支援で日本冒険遊び場づくり協会の方々には御協力をいただき、現在市内で活動する団体と関連する所管、子ども家庭部、まちなみ整備部とさらに連携を図り、八王子版プレーパーク実施ガイドラインの策定をいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
また、次期計画の策定においても、プレーパークや外遊びの充実についてさらに推進していってほしいと思いますが、どのように進めていくのかをお示しください。
以上で私の一般質問を終わります。
◎【
鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。
◎【竹内勝弘まちなみ整備部長】 公園のプレーパーク開催に向けた今後の予定とガイドラインの策定についてですが、プレーパーク開催の場として公園を利用するに当たり、最低限必要とされる事項につきましては、先ほどお答えさせていただきました意見交換会を踏まえ、現在取りまとめをしているところです。開催の可否の判断につきましては、公園使用許可申請時に詳細な企画書等の提出を求めるとともに、公園の利用状況や施設等の設置状況を踏まえ、一般利用者、周辺住環境等への十分な配慮がなされているかなどを確認し、総合的に判断をする予定でおります。また、実施ガイドラインにつきましては、子ども家庭部とも連携し、検討を進めてまいります。
◎【
鈴木玲央議長】
子ども家庭部長。
◎【
設樂恵子ども家庭部長】 プレーパークや外遊びの充実についてですが、子どもの健やかな成長や発達にとって、遊びは非常に大切な要素であります。次期計画の策定におきましても、子どもたちが様々な遊びや体験を通して生きる力を育んでいけるよう、安全面にも配慮をし、引き続き推進をしてまいります。
◎【
鈴木玲央議長】 安間教育長。
〔教育長登壇〕
◎【安間英潮教育長】 子どもたちの学びへの支援についてでございますが、特定分野に才能のある子どもには、思う存分その興味関心に即した学びの機会が得られるように、特別な支援が必要な子どもには、社会の中で生きていく力を身につけられる実践的な学びの機会を得られるように、このように学校教育では可能な限り全ての子どもに必要な支援が行われることが必要です。そったく同時、鳥のひなが卵から生まれ出ようと内側から殻をつついたとき、親鳥がすかさず外からついばみ、殻を破る手助けをする。こうした学校における学びの支援を目指して、今後も本市の宝である子どもたちの教育の充実のために全力で取り組んでまいります。
◎【
鈴木玲央議長】 第12番、西室真希議員の質問は終了しました。
次は、第2番、長谷川順子議員。
〔2番議員登壇〕
◎【2番長谷川順子議員】 自民党新政会、長谷川順子です。発言通告に基づき、質問をさせていただきます。
まず初めに、八王子市多摩ニュータウン
まちづくり方針について質問をさせていただきます。多摩ニュータウンは、戦後の高度成長期における産業構造転換に対応した大都市圏の人口集中への対応のため、国策として整備された八王子市、多摩市、稲城市、町田市にまたがる日本最大規模のニュータウンとして誕生をいたしました。多摩ニュータウン八王子市地域の面積は1,113ヘクタール、多摩ニュータウン全体の約39%を占め、そのほとんどが、1964年、本市に最後に合併をした明治時代から続く由木村であります。本市に合併をした翌年の1965年、東京都は新住宅市街地開発事業、いわゆる多摩ニュータウン事業の都市計画を決定いたしました。今、私たちは、ニュータウン地域の恵まれた住環境で当たり前のように生活をしておりますが、多摩ニュータウン事業には、当時の由木地域の地元住民の皆様の大変な御苦労があったことを、あえてこの場でもお伝えさせていただきます。
こちらのパネルは、開発前の由木地域、また、開発時の写真でございます。先祖代々何百年と受け継いだ貴重な土地を、東京都に安価な値段で買収され、生活の方策も手探りのまま開発が進められ、緑豊かな山野が削り取られました。私自身も由木の野猿街道沿いに生まれ育ち、幼い頃は、朝早くから夜遅くまで、開発工事のダンプカーが家の前の街道を走るたびに家が揺れ、目を覚ます日々を過ごしていました。みるみるうちに変化をしていく様子に、地元住民の皆様の心中は複雑なものがあったと思います。しかし、国策である住宅政策や時代の様々な問題を考え、多くの都民、市民の方々に住宅を供給する事業に協力するためとの思いから、工事中の騒音や砂ぼこりも我慢をし、耐えてきた時代がありました。
そんな時代を乗り越えながら、1976年、多摩ニュータウン八王子市地域初となる鹿島・松が谷地区の入居が開始され、その後、1983年に南大沢地区が入居を開始し、1988年には京王相模原線京王堀之内駅、南大沢駅が開業いたしました。後に、1990年に京王相模原線南大沢駅から橋本駅が開通し、1991年には初宿市長が東京都庁にお勤めになっていた際に携わられた東京都立大学が南大沢に開校いたしました。2000年には多摩都市モノレールが開業し、この30年余りの間にニュータウン地域のまちは様変わりをし、ニュータウン開発前の由木村の人口は約6,000人でしたが、今や本市の人口の5分の1を占める約12万人の人口を抱える地域となりました。
こちらの写真は、1976年当時から現在の南大沢地域の航空写真になります。多摩ニュータウン開発最後のエリア、16住区がおととしの2022年に完成し、つい先日までこの多摩ニュータウン開発は進められていましたが、多摩ニュータウン八王子市地域入居開始から今年で48年がたち、急激に進む少子高齢化や、同時期に建設整備をされた公共施設や住宅、道路等の老朽化など、様々な問題、課題が生じています。本市として、ニュータウン開発から43年がたった2019年に、ニュータウン地域特有の課題解決のため八王子市多摩ニュータウン
まちづくり方針を策定され、この
まちづくり方針策定の目的として、鹿島・松が谷における入居を皮切りに、住宅をはじめ、業務、商業、教育、文化などの様々な施設が整備され、多くの方々に住んでいただくまちとして発展し、リニア中央新幹線開業を控え、交流人口の増加などが予測されており、多摩ニュータウンにも様々な好影響がもたらされるものと期待をする。しかし、人口減少や少子高齢化の進展、都心回帰といった社会情勢により、多摩ニュータウンを取り巻く環境は大きく変化し、誰もが住み慣れた地域で生き生きと安全安心に暮らせる
まちづくりがより一層求められる。多摩ニュータウンの将来像を明確にして、地域の皆様や企業・団体など多様な主体の連携・協働による
まちづくりを進め、住宅、学校、公園などの地域資源を最大限に活用し、まちへ愛着を育む様々な取組を多様な主体と連携・協働して推進し、方針に掲げた取組を着実に実施することで、将来にわたり、多摩ニュータウンを緑豊かな活力ある魅力あるまちとして後世に引き継ぐ持続可能な
まちづくりを進めていくとしています。
しかし、2019年にこの
まちづくり方針が策定されてから5年がたち、多摩ニュータウン地域の将来像が明確に示され、この方針が確実に実現されているのを市民の皆様が生活の中で実感できているのか疑問に感じます。先般の予算等審査特別委員会の総括質疑にて、多摩ニュータウンの持続可能な
まちづくりについて問題提起をさせていただいたところ、見直しの検討について御答弁をいただいたところであります。
そこでお伺いいたします。本市、八王子市多摩ニュータウン
まちづくり方針の見直しの検討をする理由をお聞かせください。
次に、東部地区のスポーツ環境について質問をさせていただきます。我が会派からも、東部地区のスポーツ環境の課題については毎年会派要望をさせていただいておりますが、東部地区のスポーツ環境については、ニュータウン開発とともに数々の経緯をたどってきた懸案事項でもあります。特に上柚木公園陸上競技場と一体化した体育館建設計画においては、1970年、上柚木公園都市計画決定後、八王子市議会、東京都議会に対し、地元住民が請願、要望活動などを行い、その後、上柚木公園は1986年、天皇陛下御在位60年記念健康運動公園として指定を受け、東京都では、1988年、上柚木公園基本計画報告書、1989年、上柚木公園基本設計報告書を策定いたしました。
本市としては、八王子21プラン第1次から第3次まで、上柚木公園内総合スポーツ施設に温水プールを体育館と併せて建設することが盛り込まれておりました。1992年、体育館については八王子市が整備主体とし、その他は東京都が対応する事業許可が下り、1997年には上柚木公園陸上競技場が開設され、1998年、由木地域体育館温水プール建設工事基本計画が策定され、その後、上柚木公園にはテニスコート、野球場も開設されました。
しかし、2003年、本市長期計画、八王子ゆめおりプランから地域体育館建設が未掲載になり、上柚木体育館建設については、この議会において何度となく諸先輩方が質問をさせていただいておりますが、さきに申し上げた多摩ニュータウン開発には、地元住民の多大な御苦労があってこそ、ニュータウン地域は今日まで発展してきました。国策として進められてきたニュータウン開発として、日本の国民のため、都民、市民のため、先祖代々受け継いだ土地を受け渡す代わりに、旧住民と新住民との交流が持てる場として、体育館の建設は地域住民から強い要望が長年続いてきた経緯があります。しかし、その地域住民の計り知れない苦労とは裏腹に、本市長期計画から地域体育館建設が消えたことすら地域住民の方々は知らず、1970年、上柚木公園都市計画決定から、今もなお体育館ができることを願ってやまない地域住民が多くいます。2023年4月からスタートした
八王子未来デザイン2040にも、この上柚木公園の体育館建設については触れられておりません。
そこでお伺いいたします。上柚木公園に体育館を建設する計画が長期計画に記載されなくなった経緯をお聞かせください。
以上で1回目の質問を終了させていただきます。
◎【
鈴木玲央議長】
都市計画部長。
◎【
守屋清志都市計画部長】 多摩ニュータウンの
まちづくり方針の見直しを検討する理由についてですが、本方針は策定から約5年が経過し、南大沢スマートシティなどの新たな取組が始まったことや、コロナ禍を契機とした新たな生活スタイル、DX、カーボンニュートラルなどの社会情勢の変化への対応ができていない状況もあるため、見直しの検討を進めたいと考えております。
◎【
鈴木玲央議長】 スポーツ担当部長。
◎【志萱龍一郎スポーツ担当部長】 上柚木公園に体育館を建設する計画が長期計画に記載されなくなった経緯についてですが、当時の長期計画である八王子21プランには、市民の生活環境やスポーツ施設の状況を踏まえ、市民が身近なところでスポーツ活動を行えるよう、東部地域に温水プールを地域体育館と併せて建設するとの表記がありました。しかし、その後のバブル崩壊などにより、社会経済情勢や財政事情の変動があったことから、実現には至っていないものであります。
なお、その後に策定された長期計画、八王子ゆめおりプランや
八王子未来デザイン2040は、市政運営の総合的な方針として基本的な施策の展開や方向を示すものであり、個々の事業は掲載されておりませんが、運動施設の整備については個別に検討を続けているところでございます。
◎【
鈴木玲央議長】 第2番、長谷川順子議員。
〔2番議員登壇〕
◎【2番長谷川順子議員】 それぞれ御答弁いただきました。2回目の質問をさせていただきます。
現状の八王子市多摩ニュータウン
まちづくり方針には、定期的な見直し時期などの指標は示されておりません。社会情勢の変化は、方針策定時に想定ができるものと考えます。大きな発展を遂げてきたニュータウン地域は、今や本市内では一番の年間315万人の来場者数を誇る三井アウトレットパーク多摩南大沢を有し、そして、先般の桑都ペイの経済効果では、中心市街地に続く12億円の効果でした。鑓水地域の絹の道、諏訪神社においては日本遺産に登録をされ、そして、由木の伝統工芸メカイは、昨年、2023年に東京都の無形文化財に指定をされました。今後はリニア中央新幹線の開業を控え、ニュータウン地域は今後も発展を続ける地域であるといえます。
しかし、多摩ニュータウンは1965年に都市計画が決定され、その後、事業がスタートし、建設後、協議が調ったところから移管を受けて、現在では、道路や橋梁などのインフラについては本市が管理を行っています。橋梁については、市内で約760橋を管理しており、そのうち多摩ニュータウンを含む市内東部地区には全体の20%近くの約140橋が存在しており、その約半数が歩行者専用道路に架かっている人道橋となっています。約140橋のうち半数以上の約60%の橋梁が架設から50年が経過しようとしています。
こちらのパネルは、遊歩道、公園、街路灯の現状について示した写真でございます。橋梁点検では、全ての橋梁において構造上の問題はないとのことですが、経年劣化による橋面のタイルの破損でキックボードに乗っていた子どもが転倒し、けがをするなど、そのほかにも様々な苦情が寄せられております。部分補修などで対応しているそうですが、補修では対応できない橋梁については、クッション性のあるゴムチップ舗装などの橋面全体の改修工事を行っているそうです。また、道路照明灯については、本市内で約1万9,700基を管理していて、そのうち多摩ニュータウンには全体の約27%に当たる約5,300基があるそうですが、特に歩行者専用道路にある道路照明灯は、造成当時は街路樹も小さく、問題なく照らされ、明るさを維持していたと思いますが、現在では街路樹が成長し、道路照明灯の明かりを遮ってしまっているため、薄暗く、本来の機能を十分に有していないところも多くあります。この歩行者専用道路のほとんどは子どもたちの通学路になっており、防犯面でも不安の声を多々いただいています。
現在、こうした歩行者専用道路での照度を確保するため、現場の現状に応じて樹木を剪定し、明るさを確保したり、照明灯の照度を上げたり、位置をずらしたりなどの対応を行っていると聞いております。そのほか道路においては、一部計画的に舗装工事などを行っていただいておりますが、多摩ニュータウン地区全体で見ると、舗装の劣化なども目立ってきており、街路樹に関しては、適正な管理ができているとはなかなか言えない印象があります。多摩ニュータウンでは、経年劣化により、こうしたインフラに関する多くの課題を抱え、不具合が生じれば補修で対応するという対症療法型での維持管理で何とか対応していただいておりますが、全体の維持管理計画の方針が全く整備されておらず、インフラ整備が適切に行われているか、そして、東京都から本市に全ての管理、権限が移管されている中、今後どのようにして維持管理していくか、将来像が全く見えません。
そこでお伺いいたします。本市は、このような深刻な課題に対してどのように認識をしているかお聞かせください。
次に、東部地区のスポーツ環境について、社会経済情勢や財政事情の変動があったことから、実現には至っていないものの、運動施設の整備については個別に検討を続けていると御答弁をいただきました。
こちらのパネルは、八王子市内の体育館の配置図になります。この地図でも分かるとおり、本市の体育館は西部地域側に集中しているのが分かります。広い面積を誇る本市ですが、一方で、例えばニュータウン地域から本市中心市街地に行くには、神奈川県と町田市を経由して、電車を乗り継いで行かなければなりません。本市人口の約5分の1、約12万人の人口を抱える地域として、市民の皆様が健康のため、地域交流のため、気軽に運動ができる環境が乏しいといえます。東部地区の屋外スポーツ施設においては、テニスコートについては本市の中でもコート数は多いですが、他の競技ができる野外スポーツ施設は、本市の他の地域に比べて少ない現状があります。
そこでお伺いいたします。本市の運動施設のこの地域格差の現状、課題について、本市の御見解をお聞かせください。
以上で2回目の質問を終了させていただきます。
◎【
鈴木玲央議長】
都市計画部長。
◎【
守屋清志都市計画部長】 多摩ニュータウンの課題についてですが、本市としても、議員がおっしゃるとおりの状況と認識しております。急激な高齢化の進行に伴うバリアフリー化や、施設の老朽化を見据えた段階的な更新などが求められていると捉えております。これらの課題の解決に向けては、多摩ニュータウン
まちづくり方針の見直しの検討を進める中で、東京都や住宅事業者などを含め、丁寧に議論を重ねる必要性があると考えております。
◎【
鈴木玲央議長】 スポーツ担当部長。
◎【志萱龍一郎スポーツ担当部長】 東部地域におけるスポーツ環境の現状及び課題についてですが、富士森体育館、甲の原体育館及び総合体育館エスフォルタアリーナ八王子の3つの体育館については、人口分布から見た地域では西側に配置されていると認識をしております。一方で、東部地域には大学と小中学校が多く立地しており、それらの運動施設を活用できる可能性がある地域でもございます。市民利用にはまだまだ工夫が必要な状況ではありますので、さらに市民が利用しやすくなるような仕組みを検討しているところでございます。
◎【
鈴木玲央議長】 第2番、長谷川順子議員。
〔2番議員登壇〕
◎【2番長谷川順子議員】 それぞれ御答弁をいただきました。3回目の質問をさせていただきます。
多摩ニュータウンの課題について、様々御認識をいただいているとのことですが、今後、施設の老朽化や、ニュータウン地域の住民が一気に高齢化が進むことを鑑み、公共施設マネジメントや、高齢者の方が住みやすい
まちづくりや安心して健康に過ごしていただくためには、これまでより一歩踏み込んだ
まちづくり方針の見直しが必要と考えます。
こちらのパネルは、東京都が描く
まちづくりの将来像です。先般、東京都は、多摩ニュータウンの新たな再生方針の素案を公表いたしました。南大沢では、東京都によるスマートシティの取組が進んでおります。
そこでお伺いいたします。東京都の今後の再生方針を注視しつつ、多摩ニュータウンの将来の
まちづくりのビジョンや将来の展望を地域住民に明確に示していくべきと考えますが、本市の御見解をお聞かせください。
次に、東部地域のスポーツ環境について、課題については認識しつつも、東部地域には大学と小中学校が多く立地しており、それらの運動施設を活用できる可能性がある地域であるとの御見解ですが、まず、本市の体育館においては、利用率が平均9割を占めており、特にスポーツを盛んに取り組む子どもたちが利用する時間帯は予約がとれない現状があります。大学と小中学校が多く立地をしていることは承知しておりますが、小中学校の体育館も新規での利用は難しく、大学においては体育館の使用料が高額であったりと、一般の市民の皆様が気軽に健康のため、交流のために使用するにはほど遠い現状があり、課題は山積していると思います。
東京都は再生計画素案を発表し、今後、本市は
まちづくり方針の見直しの検討を行うと思います。ニュータウン開発当時と現在は、様々な時代の流れや変化があると思います。上柚木公園における体育館建設においては、これまで多くの議論が進められてきましたが、少子化に伴い、近隣の小中学校の再編が進む際に、上柚木公園運動施設と一体的な活用ができるような施設の整備の検討もさることながら、民間事業者の参入や広域連携などを活用し、全ての人が健康を育め、地域の方々の交流ができる施設とすべく検討を進めていただくなど、これからの時代に合わせた計画を行っていただきたいと思います。
現在、本市は、
八王子未来デザイン2040の計画の下、市政運営を進めていただいておりますが、過去、本市の長期計画にも載っていた上柚木体育館建設を含め、東部地域のスポーツ環境の充実は、約12万人を抱えるニュータウン地域の40年以上続く強い要望であり、新住民からも多くの声をいただいております。
そこでお伺いいたします。1970年、上柚木公園都市計画決定後、地域住民の皆様の血のにじむような努力の下、地域交流を願い、要望してきた上柚木体育館並びに東部地域のスポーツ環境の充実の進展に向けて、今後も検討を続けていただきたいと思いますが、多摩ニュータウン地域に実際にお住まいになっていた初宿市長の御見解をお聞かせください。
以上で私からの一般質問を終了させていただきます。
◎【
鈴木玲央議長】
都市計画部長。
◎【
守屋清志都市計画部長】 多摩ニュータウンの将来の
まちづくりのビジョンを示してほしいということですが、今般は、都が策定する多摩ニュータウンの新たな再生方針においては、東京都への財政支援の要望を行いつつ、地域住民、住宅事業者、大学や周辺自治体など、様々な主体と連携した
まちづくりを進めるとともに、市の方針を見直しする際においても、今後の
まちづくりのビジョンを地域住民に分かりやすく示し、都市機能の再編と持続性の確保による多摩ニュータウンの魅力の創造に取り組んでまいります。
◎【
鈴木玲央議長】 初宿市長。
〔市長登壇〕
◎【初宿和夫市長】 議席番号第2番、長谷川順子議員の一般質問、上柚木体育館建設を含めた東部地域のスポーツ環境の充実について答弁をいたします。
東部地域の体育館整備については、かつて長期計画に掲載され、今も地域の皆様の期待がとても強いことは承知をしております。その一方で、計画の策定後、東京都立大学が南大沢に移転し、運動施設の一般利用が開始されるとともに、プールを備えたスポーツジムが開業するなど、東部地域のスポーツ環境も変化しております。これらも踏まえ、今後、公共施設マネジメントの観点に民間活力の導入や広域連携など様々な整備手法も視野に入れ、さらには東京都の多摩ニュータウンの新たな再生方針も見据えながら、東部地域の運動施設の充実について引き続き検討してまいります。
◎【
鈴木玲央議長】 第2番、長谷川順子議員の質問は終了しました。
次は、第24番、渡口禎議員。
〔24番議員登壇〕
◎【24番渡口禎議員】 市議会公明党、渡口禎です。それでは、通告に従いまして、町会・自治会活動の活性化について一般質問を行わせていただきます。
本年元日には能登半島地震が発災し、昨日までに244名の方がお亡くなりになりました。被災された皆様に改めてお見舞いを申し上げます。
昨年は関東大震災から100年を迎え、本年は東日本大震災から13年目を迎えます。このところ各地域において地震も多く発生しております。いつ来ても不思議ではない首都直下型の地震など、今後の自然災害について関心が高まっております。改めて、自助、共助、公助としての取組が注目をされます。これまでの自然災害などの被災状況を考えますと、いざというときに身近な存在である町会・自治会のつながりは大変に重要な存在であると改めて感じるところであります。今回の一般質問では、町会・自治会の加入促進を含め、活性化についてお伺いをさせていただきます。
担当所管に確認をしたところ、市内における町会・自治会数については、令和5年6月1日現在では576団体、その後、新設された団体は2団体ありまして、現在、市内においては578団体となっております。この数年の町会・自治会への加入状況についてはどのようになっているのか、まずはお伺いをいたします。
日頃、地域の町会長や役員の方などからお話を伺う際、町会運営について、加入者の減少と役員のなり手不足などは、ここ数年共通の悩みどころであると聞いております。どちらの町会であっても、加入促進のための取組は様々工夫をされているかと思いますが、最重要課題であると認識をしております。平成29年、八王子市町会・自治会連合会で作成された町会・自治会加入促進ハンドブックには、町会・自治会へ加入しない理由として、こう記載されております。町会・自治会に加入していないその理由を聞いたところ、加入しなくても困らないが最も多く、次いで、住んでいる地域に町会・自治会などがない、町会・自治会といったコミュニティ活動に関心がない、また、役員になりたくないと続いています。町会・自治会加入促進ハンドブックが作成されて7年が経過、また、その間に新型コロナウイルス感染症などの新たな災害を経験した中において、加入率の変化について、市はどのような認識を持っているのかお伺いをいたします。
また、町会が設置、維持管理を行っていた防犯灯については、大多数が市に移管されました。今後は、生活安全部防犯課が設置、維持管理を行っていくこととなります。一方で、防犯灯については、これまでは町会加入促進において大きな支援のためのツールであったことも事実であります。町会が加入促進を図るためのツールとして、今後どのような支援が考えられるのかお伺いをいたします。
次に、認可地縁団体が有する不動産に係る登記の特例制度についてお伺いをいたします。地縁団体とは、自治会や町内会のように一定の区域の住民で構成された団体を地縁団体といいます。一方、認可地縁団体とは、これまで町会・自治会には法人格がなく、団体名義では不動産登記ができなかったため、所有する財産、土地や家屋、建物を、代表者の個人名義や役員の共有名義で登録していました。この場合、名義人の転居や相続などといった財産管理上の問題が発生した場合、手続などで大きな負担となるおそれがありました。こうした問題に対応するため、平成3年4月に地方自治法の一部が改正され、町会・自治会が市長の認可を受け、法人格を取得できるようになり、その財産を団体名義で登記できるようになりました。このような一定の手続により法人格を取得した団体を認可地縁団体といいます。また、令和3年11月の法改正により、地縁による団体は、不動産等の保有の有無にかかわらず、地域的な共同活動を円滑に行うため、市長の認可を受けることができるようになりました。これまでの手続の不安が解消され、町会運営がスムーズに行えるようになり、よかったとの声を伺うことがありました。
現在の認可地縁団体数についてお伺いいたします。また、認可地縁団体になる有効性について、また、町会・自治会などの団体が認可地縁団体となり法人格を取得するメリット、デメリットについてはどのようなものが考えられるのかお伺いをいたします。あわせて、制度が始まって以降の認可地縁団体数の推移についてもお伺いをさせていただきます。
以上で1回目の質問を終わります。
◎【
鈴木玲央議長】 市民活動推進部長。
◎【小山等市民活動推進部長】 町会・自治会と認可地縁団体について6問お答えをします。
まず、町会・自治会加入状況についてです。令和5年6月時点で加入率は51.28%です。10年前の平成25年度の61.36%と比較すると約10ポイント減少しており、毎年少しずつ低下している状況でございます。
次に、加入率の変化について市の認識です。新型コロナウイルス感染症により、コミュニティ活動が制限されたことは、加入率低下に拍車をかけたと感じております。また、単身世帯、共働き世帯の増加やコミュニティの希薄化など、社会環境や価値観の変化、多様化により、本市に限らず、都下を含む様々な地域で加入率低下の状況は見受けられ、社会的な課題であると考えております。町会・自治会は、地域における自治の中心的な担い手であり、現在本市で取組を進めている地域づくりの主要メンバーでもあることから、加入率低下は大きな課題であると認識しております。
次に、加入促進ツールと支援についてです。市では、令和2年度から町会・自治会が自ら加入の促進を図る活動を行う際の経費の補助制度を始めております。この制度は加入促進に特化した制度であることから、コロナ禍とも相まって申請実績は多くありませんが、一方で、活用された団体からは確実に加入者増につながっている実績報告を受けております。
次に、認可地縁団体についてお答えします。まず、認可地縁団体数についてですが、現在、町会・自治会全体の2割弱となる107団体が認可を受けております。
次に、認可地縁団体となるメリット、デメリットについてです。認可地縁団体制度が当初導入された目的である不動産の登記名義人となることができることが、まず第1のメリットとなります。また、本市において実例は聞いておりませんが、法人格を有することで様々な契約主体となることができることから、これを生かした町会・自治会活動も可能になると考えております。一方、認可地縁団体になるためには、認可を受ける際に住民の合意形成や事務的な負担が生じること、また、認可後も、会員がこれまでとは異なり、世帯単位ではなく個人単位となるため、運営時の意思決定等の負担が増えることがデメリットとして考えられます。
最後に、認可地縁団体数の推移です。平成3年の地方自治法の改正により、認可地縁団体制度が導入されて以降、本市では平成4年度に最初の団体が認可を受けました。その後、平成20年度までは、多いときで年間11団体、少ないときでも2団体と、年度にばらつきはありますが、毎年継続して認可を受けておりました。最近は年間一、二団体程度が認可を受けている状況でございます。
◎【
鈴木玲央議長】 第24番、渡口禎議員。
〔24番議員登壇〕
◎【24番渡口禎議員】 種々御答弁をいただきました。2回目の質問を行います。
町会・自治会への加入状況については、10年前から比較すると61.36%から年々減少し、令和5年6月時点では51.28%、約10ポイントの減少。また、この約4年間は新型コロナウイルス感染症の影響でコミュニティ活動が制限をされたこと、また、単身世帯、共働き世帯の増加やコミュニティの希薄化など、社会環境や価値観の変化、多様化により加入率は低下になっている、社会的な課題であるとの答弁がありました。まさしくそのとおりだと思います。
また、これまで町会で管理運営を行っていた町会が管理する防犯灯については、町会における加入促進のためのツールとして大いに活用いただいております。それに代わる支援補助としては、令和2年度から加入促進に係る経費を補助する制度を実施。コロナ禍後の取組が重要であります。継続して取組をお願いしたいと思います。町会・自治会が行う現状での加入促進の具体的な取組状況についてお伺いをいたします。
東京都の事業として、今月、3月2日に町会・自治会NEXT、サブタイトルとして、外にひらく、未来の町会・自治会活動、地域の課題解決プロボノプロジェクト2023年度成果報告会という内容でセミナーが開催をされました。プロボノとは、公共善のためにを意味するラテン語のプロボノパブリコを語源とする言葉で、社会的・公共的な目的のために職業上のスキルや経験を生かして取り組む社会貢献活動を意味します。職業上の特別なスキルを持ったプロボノワーカーが直接、町会・自治会のお困り事に対して支援を行う仕組みになっております。事務局に確認をしたところ、専門家を招いて、地域の未来に備えるために、町会・自治会に求められる視野と進化をテーマとしたオープニングトークをはじめ、新しいことに挑戦するための土台をつくりたいとの課題を持った町会・自治会がプロボノプロジェクトに参加し、地域の課題解決と向き合った先駆的な事例の発表を行い、当日は、町会・自治会の方や、
まちづくり、地域の課題解決に関心を持つ企業・団体の方など72名の参加があったと伺いました。特に町会・自治会の悩み事の解決に向け、東京都などとの連携も重要と考えますが、御見解をお伺いいたします。
また、認可地縁団体については、町会・自治会数578団体のうち、107団体が町会・自治会として法人格を取得しているとのことであります。認可地縁団体としてのデメリットについては、認可地縁団体になるためには、設立後、会員が世帯単位ではなく個人単位となるため、運営時の意思決定等において労力等がかかることが考えられるとありました。一方、メリットとしては、不動産登記の登記名義人となることができることが最大のメリットとなるとあります。また、法人格を有することで様々な契約主体となることができることから、これを生かした町会・自治会活動も可能となります。今後は、町会と他の団体などとの連携も期待が膨らみます。
東京都の事業で、地産地消型再エネ増強プロジェクトとして再エネ発電等設備、太陽光発電設備と併せて導入する蓄電池等への補助事業があります。自治会や町会などの集会所に太陽光発電設備を導入したいなど、法人格がある場合、認可地縁団体であれば申請が可能となります。町会・自治会でも法人格があれば設置が可能ということになります。法人格を取得することで補助が受けられれば、法人格取得後の分かりやすいメリットになります。このようなメリットも生かし、町会・自治会などの会館や施設などに太陽光パネルなどを設置することができれば、町会維持経費の削減や、災害時の退避場所としての施設整備も可能となり、町会加入者へのメリットとしてつながっていくこととなります。
現状、約2割の認可地縁団体とのことですが、認可を受けていない町会・自治会の中にも不動産登記で苦労されているケースは多いかと思います。認可を受けている団体も含め、市は、本制度についてどのように周知し、支援を行っていくのかお伺いいたします。
町会・自治会が法人格を持つ有効性について伺いましたが、既存の町会・自治会が活性化する上で、今後、デジタルの活用については重要であると捉えております。先日も中学校の卒業式で久しぶりに何人かの町会長とお話をさせていただく機会がありました。その際、町会運営についての話となり、役員の方へ連絡をとる際の手段として、どのような伝達方法を行っているのか話題になりました。ある方は、役員に対してはLINEのグループをつくり連絡をしていると言われ、また他の方は、役員の連絡については、町会長自ら直接役員宅へ訪問して連絡をしているとのことでありました。LINEなどのSNSの活用ですぐに連絡をとれる体制はできるものの、役員も高齢化が進んでいるため、顔を見て、見守りという観点からは、直接会うことも大事だよねともおっしゃっておられました。町会・自治会におけるSNSの活用、デジタル化へ向けた取組の推進についてお伺いいたします。
以上で2回目の質問を終わります。
◎【
鈴木玲央議長】 市民活動推進部長。
◎【小山等市民活動推進部長】 それでは、4問お答えいたします。
町会・自治会が行った加入促進の具体的な取組の事例についてです。町会・自治会の活動パンフレットを作成し、未加入世帯に配付して、活動の有益性や必要性などを周知して加入を促すことや、加入促進チラシを作成し、町会・自治会が実施するお祭りやイベント時にブースなどを設けて加入を促すことなどを行い、加入者増に結びつけている団体がございます。加入促進については、このように地道で着実な取組が成果を生むものと考えております。
次に、東京都など他機関との連携についてです。令和4年6月から東京都及び公益財団法人東京都つながり創生財団が提供するまちの腕きき掲示板、町会・自治会応援キャラバン事業を八王子町会・自治会連合会と連携して取り組んでおります。これは、町会・自治会などが行う活動の中での課題などに対し、専門家を紹介するなど事業実施までの伴走支援を行うもので、防災やデジタル活用、高齢者見守り、多文化共生などが相談できるテーマとなっており、その中には若い世代の加入のきっかけづくりなども含まれております。
次に、認可地縁団体制度をどのように周知し、支援を行っていくかでございます。毎年、町会・自治会連合会と市が連携して、八王子市町会・自治会運営ハンドブックを発行しています。この中で、認可地縁団体制度や法人格取得の要件、認可の流れといった認可に向けた情報とともに、会議の書面開催や議事録作成の方法など、認可取得後の運営に関する情報も掲載しております。また、認可取得を検討する団体用により詳しく解説した町会・自治会等法人化の手引きを本市独自に作成し、認可取得後の団体にも配付するとともに、ホームページにも公開しております。今後もこうしたツールを活用し、本制度の周知、支援を行ってまいります。
最後に、SNS活用、デジタル化へ向けた取組についてです。既に電子回覧板やホームページ、LINEを活用して会員間の情報共有や未加入者を含む情報提供などを行い、活動の活性化や未加入者との接点づくりなどを行っている団体がございます。市では、そうした取組事例を広報はちおうじやホームページで紹介するなど周知を図っております。また、現在、市の各部署から町会・自治会宛てに依頼している、主に紙資料による回覧物や掲示物について、令和6年4月から全町会・自治会向けに電子データでの提供も予定しているほか、現在、各町会・自治会に対し、デジタル支援事業に関するアンケート調査を実施しているところでございます。
◎【
鈴木玲央議長】 第24番、渡口禎議員。
〔24番議員登壇〕
◎【24番渡口禎議員】 種々御答弁いただきました。3回目の質問をさせていただきます。
東京都のプロボノ活動も取り入れていただいておるということですので、さらに注目をさせていただきたいと思います。また、東京都はほかにも都営住宅団地や地域の活力あるコミュニティの形成に資するように大学と協定を結び、その大学の学生が都営住宅に居住して、団地の自治会が行う活動に協力するなどコミュニティ支援の取組を実施し、八王子市では都立大学の学生13人がこの制度を活用しているとのことでございます。東京都をはじめとした他の機関との連携による取組について、さらに推進をしていただきたいと思います。
認可地縁団体法人化への周知と支援については、八王子市町会・自治会連合会で毎年作成されている八王子市町会・自治会運営ハンドブック、そして、本市独自の町会・自治会等法人化の手引きも法改正後で第6版目となる改訂版を活用して、積極的に周知に努めているとのことであります。八王子市町会・自治会連合会のホームページでも詳細に周知をしていただいているとのこと、大変に評価をさせていただきます。新年度となれば、多くの町会において、新任の町会長をはじめ新たに役員となられる方も多くいらっしゃるかと思われます。さらに御丁寧な推進をお願いしたいと思います。
SNSの活用、デジタル化へ向けた取組については、回覧物や掲示物について、新年度、令和6年4月から電子データでの提供も予定しているとのことであります。また、活動活性化に向けてデジタル活用も御検討いただきたいと思います。
現在、デジタル支援事業に関するアンケート調査を実施しているとのことであります。町会会館などでのWi-Fiの設置、通信環境の整備についても幾つかの町会から御要望をいただいております。町会・自治会の皆様の声をしっかりと受け止めることが、活性化へ向けた第一歩の取組であると思います。東京都をはじめとした関連機関とも連携をとりながら、積極的な一層の支援を行っていただきたいと思いますし、情報提供のための仕組みづくりなどにも着手していただくよう要望をさせていただきます。
先日、NHKのニュース番組で、広がる地域通貨というテーマの番組がありました。そこで、渋谷区でのハチペイや、観光客を呼び込む工夫を行っている飛騨高山、これは地元の商工会議所や信用組合で運営を行っているさるぼぼコイン、また、千葉県市川市のICHICOでは、本市と同じような健康ポイント還元や、地域での様々なイベントに参加する際にポイント還元を行い、さらに、町会・自治会への加入促進策として、新たに加入する世帯に対して1,000ポイントの付与、また、運転免許証を自主返納した場合には1万ポイント付与するなど、好評を得ているそうであります。還元率だけがメリットだと、予算がなくなったときに利用者が減ってしまう。このようなケースはまさしく八王子の現状と似ているとも思います。お得感だけでなく、使いたくなるような仕組みづくりが大切であると改めて実感をいたしました。人と人のつながり、きずなをつくるための施策として、健康づくりポイントや防災講習会への参加、町会・自治会への加入についてもポイント付与を行っている、このような取組を通して、高齢者をはじめとして、外出機会をつくり、健康増進へつなげるなど、地域の活動に参加して地域を盛り上げるツールとして、地域通貨をうまく活用しておりました。町会の活性化と地域通貨の活性化について、市の御見解をお伺いいたします。
ぜひデジタル化のためのアンケートをうまく活用していただき、町会・自治会加入促進のための新しい取組もできるよう、さらに推進をしていただきたいと思います。
町会・自治会は、行政と地域住民を結ぶ中心的な組織として地域コミュニティを形成し、防犯、防災、福祉、環境、子育て、教育などと地域課題の解決に向けた様々な活動を行ってきました。今後も地域で活動する様々な団体と連携協力して、地域主体の地域づくりを行うためにも大切な存在となります。今後の町会・自治会のあるべき姿と新たなステージに向けた初宿市長の御見解をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。
◎【
鈴木玲央議長】 市民活動推進部長。
◎【小山等市民活動推進部長】 町会の活性化と地域通貨の活用についてお答えします。地域通貨は、地域コミュニティの活性化を目的の1つとしておりますが、様々な課題もあると認識しております。御質問者から紹介のあった先行事例も参考にしながら、その活用方法を考えてまいります。
◎【
鈴木玲央議長】 初宿市長。
〔市長登壇〕
◎【初宿和夫市長】 第24番、渡口禎議員の一般質問、町会・自治会のあるべき姿、新たなステージに向けた見解について答弁をいたします。
八王子市では、平成31年に八王子市町会・自治会の活動活性化の推進に関する条例を制定し、町会・自治会活動の活性化を推進し、市民相互がつながり合い、支え合いながら、誰もが安心して生き生きと暮らすことができる地域社会の実現に取り組んでおります。町会・自治会が市との協働による
まちづくりの重要なパートナーとして、その活動が活性化し、防災、防犯、環境美化など多岐にわたる地域課題の解決に向け、これまでと同様、主体的に取り組んでいただくとともに、新たなステージに向けて、デジタル活用など新たな視点での取組にも期待しております。
◎【
鈴木玲央議長】 会議時間も長くなりましたので、暫時休憩します。
〔午後零時04分休憩〕
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〔午後1時00分再開〕
◎【美濃部弥生副議長】 休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を続行します。
第20番、金子亜希子議員。
〔20番
議員発言者席へ移動〕
◎【20番金子亜希子議員】 生活者ネットワーク、金子亜希子です。通告に従いまして、一般質問を行います。
先日の予算等審査特別委員会総括質疑におきまして、多様な視点から考える防災対策ということで、スフィア基準、ジェンダー、多文化共生、化学物質過敏症、公害当事者への配慮の視点での防災対策についてお聞きいたしました。このたびの一般質問では、高齢者、障害者等、災害時において特別の配慮が必要な要配慮者への防災対策についてお尋ねいたします。
災害時の避難行動において配慮が必要な方々を要配慮者、要支援者と呼びますが、防災対策においては、次のように使い分けをいたします。要配慮者は、高齢者、障害者、乳幼児、妊産婦、外国人、難病指定の方等、避難行動において配慮を必要とする方々のことを広範に指し、一方の要支援者は、要配慮者のうち、自ら避難することが困難なため、個別避難計画に基づき災害時に支援を必要とする方々を指します。要支援者については、避難行動要支援者名簿の作成が義務づけられており、個別避難計画の作成が努力義務とされています。八王子市地域防災計画では、次の5つの要件のうちいずれかに該当する要配慮者が要支援者として定められております。要件は、1、介護保険の要介護3以上の認定を受けており、施設入所していない方。2、自力避難が困難、避難情報の入手が困難、避難の判断が困難のいずれかに該当する障害者手帳所持者で施設入所していない方。3、75歳以上の独り暮らし高齢者で自力避難が困難かつ同意をする方。4、75歳以上のみの世帯で自力避難が困難かつ同意をする方。5、その他特に災害時に支援が必要と市長が認める方の5つです。
そこでお伺いいたします。要件のうち、介護保険要介護3以上の認定を受けており、かつ施設等に入所していない方について確認いたします。現在の介護認定の仕組みでは、身体介護の必要性が高くなければ要介護1、または要介護2の認定を受けることになる認知症の方においても、要支援者に該当する方がいらっしゃると思うのですが、いかがでしょうか。
◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。
◎【松岡秀幸福祉部長】 特定の要件に該当しない方でも、避難所において支援を必要とする方がいることは認識をしており、それぞれの方の状況を踏まえた中で、必要により、特に災害時に支援が必要と市長が認める方として避難行動要支援者に位置づけております。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。
◎【20番金子亜希子議員】 要件に当てはまらない方のうちに該当者がいる可能性は想定されているということで、ただいまの御答弁にあった特に災害時に支援が必要と市長が認める方についてお尋ねいたします。この要件を満たすために必要な手続等があればお示しください。
◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。
◎【松岡秀幸福祉部長】 市長が認める方につきましては、御本人、御家族などから御相談をいただくことが基本となりますが、市でも、民生委員やケアマネジャーなどからの情報を基に状況確認を行い、必要に応じてお声がけをしているところでございます。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。
◎【20番金子亜希子議員】 御本人や御家族からの申出といいますと、そもそもこの情報にたどり着くのにも困難があると考えます。現在、ケアマネジャーの更新研修等において、個別避難計画について触れられているということです。支援者の側から要配慮者へ必要な情報が届けられるよう、より一層の配慮をお願いいたします。
続きまして、要件のうち、障害者手帳所持者について、同居家族がいる、いないにかかわらず、要支援者として把握されているのでしょうか。
◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。
◎【松岡秀幸福祉部長】 要件を満たす方につきましては、同居家族の有無にかかわらず、避難行動要支援者としております。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。
◎【20番金子亜希子議員】 続けてお伺いいたします。障害がある方の御家族の中には、災害時は自分たちで何とかするのでと個別避難計画の作成を不要とする方もいると伺いましたが、そのような方々の避難行動について、情報の共有、また、災害が起きた際の安否確認などはどうなっているのか現状をお聞かせください。
◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。
◎【松岡秀幸福祉部長】 現状といたしましては、個別避難計画の作成に同意いただけない方の避難行動に関しまして、把握できておりませんが、同意をいただけない方につきましても、避難行動要支援者名簿には掲載いたしますので、災害時はその方の情報を関係機関と共有し、安否確認を行うこととしております。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。
◎【20番金子亜希子議員】 要支援者名簿への登録等、災害時の安否確認は行われるということで、その点については安心いたしました。個別避難計画に関しては、御自分で、または御家族で準備があるといっても、共助、公助についての情報がどこまで得られているかの確認は必要ではないかと考えます。計画作成が必要ないとされる方も、災害時の安心安全が図られるよう配慮をお願いいたします。
本市の要支援者は推計2万人、そのうち風水害ハザードエリア内在住の推計3,600名について優先的に避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の作成を開始しており、現在、890名分が作成済みです。風水害ハザードエリア内にお住まいの3,600名分の計画作成が終了次第、そのほかの地域にお住まいの要支援者についても避難行動要支援者名簿及び個別避難計画を順次作成していくとお聞きしております。
現在、要支援者名簿及び避難行動計画の作成が進められている地域は、令和元年東日本台風で被災した西部・西南部地区に大きく重なっております。西部・西南部地区にお住まいの方々は、2019年の台風被害を経験されたことで防災意識が高まり、地域の自主的な防災訓練が盛んに行われているとお聞きしております。また、要支援者の名簿作成や個別避難計画の案内が行われているということで、要支援者の方々も、いざというときの行動について平時から備える下地があります。
八王子は市域が広く、2019年の台風被害は、住んでいる地域によって大きく差がありました。私の住む東部地区では、当時ほとんど被害がなかったことも影響してか、西部・西南部地区に比べると、防災意識が若干希薄であるように感じています。こうした地域差がある中で、元旦に能登半島地震のような大きな災害が起こったのを受けて、東部地区の要支援者に該当する方々やその御家族は、近く直下型地震が起こったら、自分たちはどう行動すればよいのかと不安を抱えておられます。
そこでお尋ねいたします。現在、要支援者名簿及び個別避難計画の作成を進めている風水害ハザードエリア以外の地域にお住まいの要支援者に対しては、避難行動の流れなど周知がなされているか、また、災害時の安否確認の体制等は整備されているかお聞かせください。
◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。
◎【松岡秀幸福祉部長】 避難行動に関しましては、「八王子市総合防災ガイドブック」などを通じて周知を図っているところでございます。また、地域の自主防災組織などに対し、安否確認など要支援者の避難支援について働きかけを行っているところであり、今後、地域独自の共助の仕組みとして体制整備につなげていきたいというふうに考えております。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。
◎【20番金子亜希子議員】 安否確認について、名簿、個別支援計画の作成いかんにかかわらず、地域の取組として体制整備を考えられているとのことでした。避難行動につきましては、要支援者または御家族が平常時から情報収集をしておくことが重要なのは理解するところなのですが、本市には、「八王子市総合防災ガイドブック」に加え、当事者に向けて、「障害がある方のための防災
マニュアル」、また、支援者に向けては「災害時障害者サポート
マニュアル」がありますので、今のように防災への関心が高まっている折に触れて、それらが当事者の方、支援者の方の目に留まるよう、SNSなどを利用して広報していただくよう求めます。
ちなみに、令和元年東日本台風の際、このときはまだ要支援者に対する避難行動支援が努力義務でなかったところではありますが、家屋の浸水、損害を受けた方々や実際に避難所に避難された方々の中に要配慮者、要支援者がいるか確認がされたか、当時の状況をお聞かせください。
◎【美濃部弥生副議長】 生活安全部長。
◎【長谷川仁生活安全部長】 令和元年東日本台風において、本市では36ヵ所の一時避難場所を開設し、最大8,457名の方が避難しました。一時避難場所では、避難者の受入れ状況を把握するため、要介護、身体障害、難病、外国人など12項目の要配慮区分を設けた避難者カードを世帯ごとに配付し、該当する方には記入をしていただきました。この避難者カードから、介護が必要な方や障害のある方などが避難していることを確認いたしました。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。
◎【20番金子亜希子議員】 個別避難計画等での要配慮者の状況把握がこれからという地域でも、災害が起きて、避難所にいらした際にどのような配慮が必要となるか確認がされるとのことですので、この実績が1つ安心材料になるかとも思います。
次に、要支援者のために設置される福祉避難所についてお尋ねいたします。元旦に発災した能登半島地震においては、福祉避難所に要支援者でない方が大勢詰めかけ、本来福祉避難所を必要とする方が利用することができない事態が発生していたとお聞きします。
ここで、災害時における福祉避難所の役割について改めてお聞かせください。
◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。
◎【松岡秀幸福祉部長】 福祉避難所は、高齢者や障害者など、一般の避難所生活では支障を来す要配慮者に対して特別な配慮がなされた避難所になります。現状におきましては、指定一般避難所に避難された方のうち、特別な配慮を要する方などに御利用いただく二次的な避難所としておりますが、特に障害のある方に関しましては、直接避難できる避難所として開設できるよう、現在その位置づけなどを整理、調整しているところでございます。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。
◎【20番金子亜希子議員】 今後、法改正などに準じて、指定避難所としての設置も調整するということですが、現時点では、福祉避難所はあくまで二次的な避難所であり、要配慮者となる方も、まずは近隣小中学校などの一時避難所に出向き、その後、必要があれば福祉避難所への移動ということになります。本市では、特別養護老人ホームなどの高齢者施設41施設、障害者入所施設13施設、また、市内5ヵ所の特別支援学校との間に福祉避難所の協定を結んでいます。
ここでお伺いいたします。2024年度当初予算にも福祉避難所の整備という項目が挙げられておりましたが、その具体的な内容、進捗についてお示しください。
◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。
◎【松岡秀幸福祉部長】 福祉避難所の整備につきましては、避難所運営で必要となる備蓄品などを整備しているものであり、令和6年度では、アルファ米や飲料水などを更新するとともに、最新の防災
マニュアルについて配備することとしております。また、備蓄品としましては、非常食や段ボールベッドなどのほか、特別支援学校では、体育館におけるプライバシーを確保するためのテントを配備しており、使用期限があるものにつきましては、順次入替えを行っているところでございます。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。
◎【20番金子亜希子議員】 段ボールベッドやテントなど、スフィア基準に照らして過ごしやすい環境を整える準備がされていることが分かります。特別支援学校では、二次避難をされてきた方に世帯ごとに過ごせるようにテントの配置があるとのことで、ふだんその学校に通っているお子さんのいる世帯が利用することになれば、通い慣れた場所で過ごすことができ、安心につながりますし、先ほど指定避難所としても調整中ということでしたが、ふだん学校に通っている方の一次避難所として設置されるのは大変現実的だと考えます。
ここで確認ですが、八王子市地域防災計画においては、介護者である家族を含めて福祉避難所への避難が可能となっておりますが、実際どのくらいその余地があるのでしょうか。
◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。
◎【松岡秀幸福祉部長】 福祉避難所は、平常時には入所や通所施設などとして運営している施設であり、各施設内での空きスペースが基本となることから、受入れできる人数は、各施設の状況によりますが、高齢者や障害者施設では数人から60人程度、また、特別支援学校では各100人程度になると見込んでおります。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。
◎【20番金子亜希子議員】 続けてお伺いいたします。要支援者の福祉避難所までの移送を支援するとありますが、その方法をお示しください。
◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。
◎【松岡秀幸福祉部長】 移送に関しましては、市職員による
公用車での移送とともに、福祉避難所となる各施設などにも御協力をいただくこととしており、それぞれが所有する車両により実施することとしております。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。
◎【20番金子亜希子議員】 スペース確保の面でも、移送の面でも、推計2万人の要支援者とその家族全てが福祉避難所を利用することは物理的に不可能ですので、多くの方が避難を要する災害が起きた際には、一次避難所で要配慮者にどれだけ合理的配慮が行えるかが重要だと考えます。
そこで、一次避難所での要支援者、要配慮者への合理的配慮について、地域自主防災組織での研修などは行われているでしょうか。
◎【美濃部弥生副議長】 生活安全部長。
◎【長谷川仁生活安全部長】 自主防災組織が実施する防災訓練や出前講座のほか、八王子市総合防災ガイドブックなどを通じて、災害時に要配慮者を支援する際の留意点などをお伝えしております。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。
◎【20番金子亜希子議員】 要配慮者への合理的配慮について、様々な機会を捉えてお伝えいただいているということでした。その方にとって障壁となること、支援のニーズは障害等の特性により異なります。地域の避難所運営の中心となる方々が、要配慮者の数だけ支援の形があることを理解され、多くの見識が得られるよう、研修の充実を求めます。
次に、特性に応じたニーズへの支援についてお伺いしていきます。まず、医療的ケアを必要とし、人工呼吸器等を利用する障害のある方に対する施策についてお聞きいたします。災害時に電気が使えなくなると当事者の命に関わるため、過去の災害時の事例から、当事者や御家族が蓄電池や発電機を自前で購入されているとお聞きしております。1台数万円から十数万円する大変高額なものですので、補助金などの仕組みが必要と考えますが、市の施策をお聞かせください。
◎【美濃部弥生副議長】 保健所担当部長。
◎【鷹箸右子保健所担当部長】 現在、難病患者につきましては、東京都の制度により、発電機や蓄電池等を無償貸与しております。本市では、難病以外で24時間人工呼吸器を使用する方に対して、平成30年度より始めました八王子市在宅人工呼吸器使用者災害時支援事業により、市が購入した蓄電池や発電機を対象者にお渡ししております。なお、災害時の避難に支援が必要な方は、災害時個別支援計画を立てる際に、その情報を患者本人、御家族、関係機関の方々と共有し、事前避難や被災地の電源確保が可能な避難先を事前確保することなどを呼びかけております。今後も要配慮者の命を守るための適切な事業を実施してまいります。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。
◎【20番金子亜希子議員】 購入の補助ではなく、貸与、現物支給という形で支援の制度があるということでした。ですが、すぐに借りられないとして、御自分たちで購入されている方も少なからずいらっしゃると伺っております。必要な方に届くよう体制を整えていただきたいと思います。
続きまして、視覚障害、聴覚障害のある方の情報保障についてお伺いいたします。視覚、聴覚に障害のある方は、災害に関する情報を入手することにまず困難があります。特に発災時の情報発信や避難指示など、当事者に必要な情報を的確に届けるための情報保障について市の施策をお示しください。
◎【美濃部弥生副議長】 生活安全部長。
◎【長谷川仁生活安全部長】 発災時には、防災行政無線をはじめ、市のホームページへの掲載のほか、防災情報メールやSNSなどを利用して的確な情報を迅速に提供しております。また、スマートフォン等に強制的に配信する緊急速報メールや、防災行政無線の内容を直接音声で配信するコスモキャストなどの情報提供を行っております。今後も市民の皆様が複数の手法で防災情報を入手できるよう取り組んでまいります。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。
◎【20番金子亜希子議員】 迅速に情報を届けるために複数の手法がとられているとのことでした。視覚、聴覚に障害のある方については、個人避難計画の作成の際に、災害時の情報収集についても確認を行っていくとお聞きしています。災害時の情報保障の手段の確認を通じて、より確実に当事者に情報が届けられるよう努めていただきたいと考えます。
続きまして、知的障害、精神障害、発達障害の方で、特性により突発的に大きな声が出てしまったり、ふだんと異なる環境にパニックになってしまう方がいらっしゃいます。避難が必要な状況となっても、当事者や御家族が周囲の目を気にして避難をためらわれている現状があります。一次避難所または二次避難所である福祉避難所において、そうした方々への配慮がどのように行われるかお示しください。
◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。
◎【松岡秀幸福祉部長】 各福祉避難所の状況等によりまして、できる配慮は異なりますが、対応としましては、一緒に避難された御家族を含めた個別スペースの確保などが基本になるものと考えております。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。
◎【20番金子亜希子議員】 東日本大震災の際には、こうした方々が、周囲からの理解が得られず、一次避難所から追い出されてしまったり、自ら避難所を去るなどして、避難所から障害者が消えたと言われる状況が起こりました。個室やスペースの確保について、「障害がある方のための防災
マニュアル」等にも前面に押し出していただいて、必要なときは、ためらうことなく避難所を利用していただけるよう周知をお願いいたします。
これまで幾つか特性に応じたニーズについて述べてまいりましたが、支援を行う側、支援者は、自分の住む地域にどのような特性、どのようなニーズを抱えた要配慮者がどれだけいて、災害時にどのような支援を行ったらいいのかということを、当事者を交えて協議したり、共に防災訓練を行うことで、その実感が得られることと思います。
そこでお尋ねいたします。各地域において、地域にお住まいの要配慮者、要支援者、特に障害がある方との防災訓練は実践されているでしょうか。
◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。
◎【松岡秀幸福祉部長】 市の総合防災訓練におきまして、民生委員・児童委員と連携して、要支援者の避難行動を想定した訓練を行っており、障害者入所施設等の協力が得られた際には、身体に障害がある方にも御参加いただき、移送に関する訓練などを実施しております。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。
◎【20番金子亜希子議員】 総合防災訓練において、ふだんは模擬訓練という形で行われているのかなと理解しました。地域で顔の見える範囲で、当事者の方を交えて防災訓練を行うというのは難しいのが現状なのかなと思います。冒頭でも少し触れましたが、障害当事者とその御家族は、共助、公助を求めずに、御自分たちで抱えられる傾向があります。過去の災害の事例や日常生活から自助の必要性を痛感されてのことだと考えますが、それでも必要なときにはちゅうちょなく共助、公助を求めることのできる地域社会の構築が重要です。
そこで、要配慮者、要支援者に対する災害時の支援について、市のお考えをお示しください。
◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。
◎【松岡秀幸福祉部長】 災害時におきまして、支援を必要とする方に適切な支援を行っていく、また、適切な支援が受けられるようにしていくためにも、平常時における関係づくりが非常に大切であると考えております。引き続き、地域における障害理解の促進などを図りながら、支援を必要とする方が日常的に地域でつながりを持ち、そのつながりを災害時に生かせるよう取り組んでまいります。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。
◎【20番金子亜希子議員】 本当にそのとおりだと思います。ですが、私たちの多くは、要配慮者の方々と日常的に地域で一緒に活動することが実感として伴わない生活を送っております。ですので、日常的にどうやってそのつながりをつくるのかということ自体が課題だと考えます。
この課題に対して、大分県別府市のインクルーシブ防災事業にそのヒントを見つけました。別府市インクルーシブ防災事業は、別府市が2016年度より3年間かけて、災害時要配慮者を地域で守る仕組みをつくり、障害者等のインクルーシブ防災を目指すとして取り組んだ事業です。具体的には、障害者相談支援専門員のサポートを得て、障害当事者や家族が個別避難計画を作成し、自治会等の居住地域の方々との調整会議に参加して、支援してもらいたい内容を伝えます。地域がそれを担えるのか、担う場合はどのような支援が可能かの話合いを経て、当事者も参加して実際の避難訓練を行い、個別避難計画の内容を検証していくというものです。このインクルーシブ防災事業を通じて、地域は、要配慮者の困り事を初めて知り、要配慮者は、自分たちの言葉に耳を傾け、課題解決に共に取り組む地域の存在を知りました。さらに、この事業がきっかけで、要配慮者の方々がそれまで参加することのなかった自治会のイベントや会議などに顔を出すようになり、日常のつながりができた。また、地域の日常そのものが豊かになったといいます。逆説的ではありますが、要配慮者への防災対策の丁寧な取組に、要支援者と支援者の日常のつながりをつくる可能性があるということです。
そこでお尋ねいたします。本市の要支援者への防災対策に別府市インクルーシブ防災事業の手法を取り入れることは検討できないでしょうか。
◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。
◎【松岡秀幸福祉部長】 避難行動要支援者の個別避難計画を作成する際は、当事者と計画作成者に加えて、避難支援に関わることができる地域住民の方々にもできるだけ参加をしていただけるよう、作成者や地域に呼びかけを行っているところでございます。また、先ほど御答弁申し上げました地域独自の共助の仕組みにおきまして、障害のある人も、ない人も共に参加し、支え合える場にできるよう取り組んでまいります。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員。
◎【20番金子亜希子議員】 確かに本市では、既に中学校区単位での地域づくりを進めているところでありますし、その中で取り組んでいくことが、より現実的といえるかもしれません。先行モデル地区の川口中学校区においては、生活道路や用水路など、地域の実情を捉えた独自の中学校区版ハザードマップを作成するという防災対策の取組を行った実績もあります。別府市のインクルーシブ防災事業の手法が優れているのは、要配慮者も、支援する側の地域の人も、お互い当事者としてリアリティーを持って話合いから実践まで防災対策に取り組むという点にあります。それが結果として、災害時要配慮者の命と暮らしを守るための取り決めをつくるにとどまらず、人と人との関係性の構築、地域づくりそのものになっていきました。本市においても、各地域づくり推進会議等で、要配慮者への防災対策が地域の基盤となることをお伝えいただきたいですし、また、今後、地域づくりの中で、当事者も参画して要配慮者への防災対策に取り組んでいただくことをスタンダードにしていくことを要望いたしまして、私の一般質問を終わります。
◎【美濃部弥生副議長】 第20番、金子亜希子議員の質問は終了しました。
次は、第35番、五間浩議員。
〔35番議員登壇〕
◎【35番五間浩議員】 市議会公明党の五間浩でございます。発言通告に基づき、一般質問を行わせていただきます。今回は、八王子新時代の姉妹都市交流についてであります。盟約締結及び交流事業、相互発展への事業推進、ないし戦略的連携都市の展開について順次お伺いいたします。
本市における国内の姉妹都市は、現在、北海道苫小牧市、栃木県日光市、神奈川県小田原市、埼玉県寄居町の3市1町となっております。苫小牧市は、令和5年6月現在で人口約16万7,000人、面積561.58平方キロメートル。国際拠点港湾苫小牧港と北海道の玄関新千歳空港が所在する北海道を代表する工業都市、港湾都市とされております。江戸時代後期に八王子千人同心が北辺警備と開拓のため勇払原野に移住したことをゆえんに、昭和48年8月10日に姉妹都市の盟約が締結されております。日光市は、人口約7万7,000人、面積1,499.83平方キロメートル。豊かな自然環境と歴史的、文化的遺産など恵まれた観光資源を基盤とする国際観光文化都市とされております。こちらは、江戸時代に八王子千人同心が日光東照宮などの火の番を務めたゆえんで、昭和49年4月1日に姉妹都市の盟約が締結されております。
令和6年度には、本市、苫小牧市、日光市の3市合同による姉妹都市盟約50周年記念事業が実施される運びでございます。この間の交流事業等については、本市として、とまこまい港みなとまつりへの出席、学生及び教員を対象とした研修旅行、日光東照宮秋季例大祭への出席、小学校移動教室、八王子まつり、八王子いちょうまつりへの招待、カラーマンホール蓋交換事業、姉妹都市食材を使用した給食提供などを実施されております。
また、小田原市は、令和5年6月現在で人口約18万7,000人、面積113.60平方キロメートル。戦国時代に城下町として、江戸時代には東海道屈指の宿場町として栄えた神奈川県西部の中心都市とされています。寄居町は、人口約3万2,000人、面積64.25平方キロメートル。荒川や全国名水百選に選ばれた風布川が流れる水の郷として有名で、自然豊かで、古くから開かれた歴史を持つ町とされております。
小田原市、寄居町とは、戦国時代に広く関東を治めていた後北条氏の当主で小田原城の城主、北条氏政公、滝山城、八王子城の城主、氏照公、鉢形城の城主、氏邦公の3兄弟のゆえんから、本市が市制100周年を迎えることを機に、平成28年10月1日、3都市の相互間による姉妹都市の盟約が締結されております。平成20年市議会第1回定例会での一般質問以来、私は、後北条氏のゆえんなど、八王子の歴史を生かした姉妹都市の拡大を一貫して要請してまいりました。改めて、本市の御推進を高く評価させていただきます。小田原市、寄居町との交流事業は、盟約締結から8年に及びますが、昨年、本市は、小田原北條五代祭りや寄居北條まつりに伴うPRブースの出展、小田原北条氏誕生500年を記念する御城印の作成、販売、滝山城築城500年を記念して考案された滝山城御前など、姉妹都市食材を使用した給食提供などを実施されております。
そこでまず、本市における姉妹都市の盟約締結及び交流事業の現状について、市長の御所見を伺います。
本市における姉妹都市は、八王子千人同心や後北条氏など、歴史的ゆえんを根拠とした盟約締結となっております。先人の歩みと事績に思いを致し、これを永く顕彰するとともに、後世に伝えていく大切な事業であります。また、一方で、姉妹都市の盟約締結は、単に歴史の記念碑的なものにとどまってはならないと思います。苫小牧市、日光市、小田原市、寄居町と本市による5つの都市が、さらに連携協力を深め、市民交流並びに教育・文化交流、観光振興と交流人口の増加、経済交流及び地域活性化に向けて相互に発展していくことが、先人のお心にもかなう姿であると確信いたします。
これまでの姉妹都市交流事業で、本市は、小田原市の特産品の1つである下中タマネギを使用した八王子ラーメンを市役所の食堂で提供。また、八王子市の学校給食で肉じゃがなどの具材として提供するとともに、下中タマネギの栽培に必要な有機肥料として、八王子市内の牧場から出た牛ふん堆肥を購入していただくなど、食と農業を通じた事業を展開されております。この事業は、姉妹都市の特産品をキーワードに、相互間をウィン・ウィンの関係に結ぶ実施例と高く評価することができます。いわば静から動へ、姉妹都市の相互間が生き生きと交流し、人とまちがともに笑顔になる取組は重要であります。
そこで、姉妹都市の取組に、相互発展への事業推進を基本軸に据え、これを強化していくことについて、市長の御所見を伺います。
八王子新時代の姉妹都市交流に向けて、本質問で、私は2つの点について要望と提案をさせていただきたいと存じます。1点目は、今後のリニア中央新幹線の整備を生かした新たな姉妹都市の拡大であります。新幹線で初となる超電導リニア方式の採用で、最高時速505キロの高速走行が可能なリニア中央新幹線が令和9年以降に品川-名古屋間を約40分、最短で令和19年に品川-大阪間を約67分で結ぶ予定とされています。このうち先行開業となる品川-名古屋間の設置予定駅は、神奈川県相模原市橋本、山梨県甲府市、長野県飯田市、岐阜県中津川市で、本市は今後、最寄りの橋本駅を経由して、リニア中央新幹線を通じた近隣都市を想定することができます。
これまでの議会質問で、私は、戦国時代の大名、武田信玄公の御息女で、八王子とゆかりの深い松姫君とのゆえんから、甲府市との姉妹都市盟約の締結を指摘させていただいております。近年、山梨県方面からの買物客は、本市を通過して立川市に来訪されているとの声を伺いますが、甲府市との盟約締結で相互の連携と交流を図ることができれば、都市間競争の中での優位性を引き出す効果が望めます。
また、八王子とゆかりのある長野県旧上郷町が所在する飯田市との姉妹都市盟約の締結を主張させていただいております。これは、旧上郷町にある八王子神社の伝説によるものです。その伝説とは、元禄の昔、上郷の5つの村では、野底山の一件で争いがありました。村の代表たちは、何とか解決を図るため、幕府に直訴しに江戸へ向かいました。途中立ち寄った武州・八王子で出会った白髪頭で長ひげの老人が解決方法を指南すると、その後、村の間で争い事がなくなりました。村人たちは、あの老人は野底山の山神の化身が八王子に現れたものだと考え、八王子山神としてたたえ、八王子神社を祀りましたとされるものであります。現在、この八王子神社がある野底山一帯は、八王子公園、八王子キャンプ場として整備され、特に八王子公園では、春になると一千本の桜が満開になるとされております。八王子市役所本庁舎の1階、市民ロビーには、このゆえんから、旧上郷町、現在の飯田市から寄贈されたニホンカモシカの剥製が展示されております。
このように、本市とゆかりの深い甲府市と飯田市との盟約締結は、リニア中央新幹線の整備効果を引き出し、山梨県と長野県との都市間交流を促進するとともに、自治体間の相互発展に向けた有効策につながるものと考えます。今後とも、本市として、八王子の歴史を生かした姉妹都市の拡大を、民間交流を強力に後押しする観点を含め、積極的に行っていただきたいと要望させていただきます。
2点目は、これまでの姉妹都市の盟約締結にとどまらない発展的な形態としての戦略的連携都市の展開であります。姉妹都市は、文化交流や親善を目的とした都市間の結びつきを称したもので、友好都市や親善都市などとも呼ばれるとされております。これらは自治体による任意の呼称であり、都市間の関係性や目指す方向性によっては、連携都市や提携都市という位置づけを設定することも想定できます。その意味で、今後は、歴史的に顕著なゆかりがない都市であっても、自治体の特徴を生かし合ったり、または課題を補完し合ったりする観点から、連携協力と相互発展を企図する新たな都市間交流が必要であると考えます。これを本質問において、戦略的連携都市と呼ばせていただきます。戦略的連携都市に期待されるミッションには、地域における共通の課題を共に解決していく視点があります。
令和4年5月、国、総務省の多様な広域連携促進事業に相模原市、八王子市、町田市、3市の提案が採択されました。この事業は、人口減少・
少子高齢社会において、様々な資源制約が顕在化し、住民ニーズや地域課題が多様化、複雑化する中、地方公共団体が人々の暮らしを支える行政サービスを持続可能な形で効果的・効率的に提供していくため、地方公共団体の多様な広域連携を促進することを目的とした国の委託事業となります。
隣接し、生活圏・経済圏を深く共有する3市は、これまで都県を越えて公共施設や行政サービスの相互利用などを進めるとともに、平成20年度に設置された3市の広域行政担当職員で構成する絹の道都市間連携研究会において、共通する政策課題等に関する調査研究を行ってきたことが、この事業採択の背景にあるとされています。相模原市、八王子市、町田市、3市による提案の概要は、持続可能な行政体制を確保するため、3市圏域における現状の基礎調査や、将来に関する地域の未来予測等を実施し、圏域の未来像を見据えた施策につながる3市推進体制の構築に向けた検討や、効果的・効率的な行政運営に資する公共施設の共同管理や再編等の導入可能性等に関する調査研究、圏域全体で若者人材の確保、育成等を行うための産官学連携体制の構築に向けた検討を行うものとされ、これに即した事業成果報告が発表されております。
少子高齢社会、地方分権時代の動向を捉え、持続可能な
まちづくりの観点から都市間連携を図られるものであり、国の支援を受けての一層の事業推進をお願いいたします。
また、長年にわたる絹の道都市間連携研究会の取組は、自治体間の共通課題を共に解決していく視点に立ったものであります。我が会派の政策要望に真摯に取り組まれる本市の姿勢を高く評価させていただきますとともに、これを出発点として、地域の諸課題に応じたさらなる御推進を要望させていただきます。
戦略的連携都市に期待されるもう一つのミッションには、地域の強みを生かし合いながら、共に発展していく成長戦略を描く視点にあると思います。姉妹都市の交流事業には、これまでの御紹介のほか、スポーツ選手、またはチームの派遣、受入れ等を行うスポーツ交流、医師、看護師、その他の技術者、研修生の派遣、受入れ等を行う医療交流、専門家、研修生、関係団体の派遣、受入れや、物産展、見本市の開催等を行う農業・工業・商業交流などが挙げられております。このような新たな角度を含めた都市間交流を推進する中で、本市を1つの国と見立てた貿易収支的な考え方を加味する、すなわち外貨を稼ぐ自治体外交、自治体セールスの観点を持ってもよいと考えます。地政学的に見た本市のポテンシャルを分析するとともに、全国を俯瞰した都市間連携の可能性を検討していただきたいと思います。古い友人を大切に、新しい友人をつくり、対話し、交流し、連携し、殻を打ち破り、そして相互に発展する都市間交流に向けて、ウイングを広げた構想を持っていただきたいと提案させていただきます。
そこで、今後の都市間連携、広域連携などを見据えた新たな戦略的連携都市の展開について、結びに市長の御所見を伺い、私の一般質問を終わります。
◎【美濃部弥生副議長】 初宿市長。
〔市長登壇〕
◎【初宿和夫市長】 第35番、五間浩議員の一般質問に私から3点答弁をさせていただきます。
初めに、姉妹都市との盟約締結や交流事業の現状についてです。姉妹都市とは、これまで歴史、文化、教育、産業の分野で行政や民間の交流が継続して行われており、災害時の相互応援協定も締結しております。また、歴史的背景が縁となっていることから、歴史を学んで育む郷土愛も醸成してまいりました。今後も、姉妹都市とは、将来にわたって継続して交流事業を行っていくことが重要であると考えております。
次に、姉妹都市との取組を強化していくことについてです。姉妹都市が相互に発展していくことは、姉妹都市交流の取組の中でも大変重要な点であります。令和6年度に実施する苫小牧市、日光市との50周年記念事業では、姉妹都市に関連した物産展や企業交流も考えており、様々な事業を実施することで、さらなる相互発展の推進を図ってまいります。
最後に、新たな都市間連携の展開についてです。今後の持続可能な行財政運営を考えるとき、自治体間の連携は当然であると考えております。これまでも議員から御紹介のあった八王子市、相模原市、町田市との3市連携のほか、人口規模や権限を同じくする中核市との間では、中核市市長会として、情報共有や共同での提言活動などに取り組んでおります。八王子市の市民生活や地域経済をより豊かなものへ発展させていけるよう、さらなる広域連携を視野に、状況や課題を共有する自治体との関係性を深めてまいります。
◎【美濃部弥生副議長】 第35番、五間浩議員の質問は終了しました。
次は、第7番、九鬼ともみ議員。
〔7番
議員発言者席へ移動〕
◎【7番九鬼ともみ議員】 立憲民主・市民の会の九鬼ともみです。公共トイレの整備について、一部通告の順序を入れ替えて質問させていただきます。なお、今回は、観光地と公園、駅周辺のトイレについて取り上げてまいります。
まず、観光資源としてのトイレについてお話しいたします。公共の場所にきれいで使いやすいトイレがあると、その場所のイメージもよくなりますし、商業地や観光地であれば、集客などにも影響します。地域の課題解決のために、自治体が公共トイレを整備する例が増えてきています。例えば長崎市では、まち歩きを楽しんでもらうまちぶらプロジェクトに公共トイレ整備を組み込み、多目的トイレを新設、改修したほか、民間施設を開放してもらうおもてなしトイレを設置いたしました。また、岡山県真庭市では、地元特産の木を使って休憩場所も備えた多機能トイレを設け、サイクリングロードの拠点とすることで、観光地化も視野に入れています。都内では、公共トイレをクリエイターデザインにより整備した渋谷区のTHE TOKYO TOILETプロジェクトや、豊島区のとしまパブリックトイレプロジェクトなど、公共トイレをアート作品として観光資源化する例が有名です。
本市も、中心市街地や八王子駅南口集いの拠点などまちなかの魅力向上に努めておりますので、本市の公共トイレの現状と課題についてお聞きいたします。本市では、観光地や公園、駅周辺などに公共トイレを設置していますが、まずは観光課が管理する観光地のトイレの現状についてお聞かせください。
◎【美濃部弥生副議長】 産業振興部長。
◎【山岸研産業振興部長】 観光施設のトイレといたしましては、陣馬高原下などハイキングコースの起点に3ヵ所と、高尾山麓駐車場に公共トイレを設置しております。これまで屋根など経年劣化に伴う修繕を行ってきているほか、年間を通して清掃を実施しており、利用マナーについても特に問題なく、登山客、観光客の皆様に気持ちよく御利用いただけるよう維持管理に努めているところでございます。
◎【7番九鬼ともみ議員】 ありがとうございます。本市の観光地のトイレは登山客が多く利用することから、靴を洗える水場を備えるなど、利用客に沿った設備を備えており、大変好評だということです。観光地におけるトイレの印象は、その観光地そのもののイメージにも影響を与えますので、今後とも利用者の声に耳を傾けていただき、より一層の快適さの追求と適切な管理を続けていただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは次に、公園のトイレについてお聞きいたします。八王子には公園がたくさんあり、管理が大変だと思いますが、どのような現状かお聞かせください。
◎【美濃部弥生副議長】 まちなみ整備部長。
◎【竹内勝弘まちなみ整備部長】 本市が管理する公園、緑地や児童遊園936ヵ所のうち、トイレがあるのは179ヵ所となっております。トイレに関する要望といたしましては、漏水、詰まりの改善、扉や鍵の修繕、照明の修繕、備品、設備の破損修繕などとなっております。
◎【美濃部弥生副議長】 第7番、九鬼ともみ議員。
◎【7番九鬼ともみ議員】 ありがとうございます。本市が1,000近い数の公園を管理しているということを改めて認識いたしました。トイレだけでなく、恐らく公園の遊具はじめ樹木に関する要望など、数多く寄せられていることと思います。市内全域の公園をくまなく回っていただいており、本当にありがたく思います。
それでは、今度は駅周辺のトイレについてお聞かせください。ちなみに、電車の駅の乗客人数をちょっと挙げてみますと、JR八王子駅の乗客人数は約7万2,000人、京王八王子駅が約4万7,000人です。これだけの利用客がいたら、駅のトイレの使用頻度もかなりと思われます。駅トイレの維持管理に関しては、公園トイレとはまた違った大変さがあると思いますが、現状はいかがでしょうか。
◎【美濃部弥生副議長】 道路交通部長。
◎【三宅能彦道路交通部長】 道路交通部では、JR八王子駅周辺をはじめ、8ヵ所の公共トイレを管理しております。日々の管理につきましては、委託事業者にて定期的な清掃等を行い、快適に使用していただけるよう努めているところですが、設備が古くなり、経年劣化により故障する事例が多くあります。また、駅近くで24時間開放している公共トイレにつきましては、夜間にひどく汚されるなど、一部の利用者のマナーの悪さに苦慮しているところでございます。
◎【美濃部弥生副議長】 第7番、九鬼ともみ議員。
◎【7番九鬼ともみ議員】 ありがとうございます。不特定多数の方が利用する公園トイレと駅周辺のトイレは、維持管理において様々な課題があるということが分かりました。
それでは、修繕にどれくらいの費用と手間がかかっているのでしょうか。まずは公園トイレの令和4年度と令和5年度のコストをお示しください。お願いいたします。
◎【美濃部弥生副議長】 まちなみ整備部長。
◎【竹内勝弘まちなみ整備部長】 修繕に要した費用は、令和4年度が86件で約1,600万円、令和5年度は12月末までですが、43件で約1,100万円となっております。これらにつきましては、原則、指定管理者や市職員が現場に赴き、確認をした上で修繕を行っております。
◎【美濃部弥生副議長】 第7番、九鬼ともみ議員。
◎【7番九鬼ともみ議員】 ありがとうございます。修繕の件数が昨年度86件、今年度で43件あったということは、少なくともその回数以上、今おっしゃっていただいたように指定管理者の方や、あるいは市の職員の方が現地に駆けつけていただいたということになります。これからは私の勝手な想像ですけれども、1回の出動に、例えば行って帰ってで2時間ぐらいかかったと仮にいたしますと、昨年度なら86回掛ける2時間で172時間、市の職員の1日の勤務時間が7時間45分ですから、およそ22日間はトイレ修繕のために飛び回っているのではないかなと推察いたします。本当にありがとうございます。
それでは、駅周辺のトイレのほうはいかがでしょうか。ここ近年の修繕の概要をお示しください。
◎【美濃部弥生副議長】 道路交通部長。
◎【三宅能彦道路交通部長】 令和4年度は6件の修繕工事を実施しまして、費用は約140万円でございました。令和5年度につきましては11件の修繕工事を実施しまして、費用は約100万円となっております。蛇口のパッキン取替えなど簡易な修繕につきましては、職員が直接対応しております。また、通報等で職員が現地確認に行く頻度は、平均すると週1回程度になります。
◎【美濃部弥生副議長】 第7番、九鬼ともみ議員。
◎【7番九鬼ともみ議員】 ありがとうございます。平均して週に1回程度出動しているということは、やはり計算しますと、公園課と同じぐらい、およそ年に五十数回行っているということになります。漏水や破損など修理依頼の連絡が来ると、担当の職員の方が現地に赴き、軽微なものはその場で直してしまうとのことで、そのようなものは修繕件数としてはカウントされません。市の職員の方が直せない場合は専門業者に修理を依頼するそうですが、例えば老朽化による漏水など軽微なもので3万円、いたずらによるドアの破損やトイレの詰まりなどになると10万円、経年劣化による天井のペンキ再塗装などには46万円かかったそうです。ちょっとした修繕でこんなに費用がかかるということは、やはり公共トイレの維持管理には大変な手間と費用がかかっているということが分かりました。公園と駅近くの公共トイレは、24時間、多くの人に開かれていますので、使用頻度も高く、また天候の影響も受けやすいため、劣化速度も速いように思います。
ところで、本市公園にあるトイレ舎は201ヵ所とお聞きいたしました。駅周辺の8ヵ所と合わせると209ヵ所のトイレ舎が存在します。老朽化の進んだトイレの改修が望まれるところだと思いますが、今後、どのように改修を進めていく御予定なのか教えてください。
◎【美濃部弥生副議長】 まちなみ整備部長。
◎【竹内勝弘まちなみ整備部長】 令和6年度は北野公園のトイレ改修工事を予定しております。トイレの改修等につきましては、予算による制限がありますが、施設の老朽化の程度や利用頻度等を考慮し、優先順位をつけて対応しております。
◎【美濃部弥生副議長】 第7番、九鬼ともみ議員。
◎【7番九鬼ともみ議員】 ありがとうございます。改修したい公園トイレはたくさんあるとお聞きいたしましたが、今年度は北野公園1ヵ所を要望するだけで精いっぱいだというふうにお話をお聞きいたしました。
では、使用頻度が高いと思われる駅周辺のトイレはいかがでしょうか。ちなみに、今度はちょっと東部地域に目を向けてみますと、京王堀之内駅の乗客人数は約2万7,000人、南大沢駅は約5万3,000人ということで、多摩ニュータウン開発に伴い、集合住宅が集積しているという事情を反映して、やはり多くの方が利用していると思います。駅周辺のトイレの改修予定についてはいかがでしょうか、お聞かせください。
◎【美濃部弥生副議長】 道路交通部長。
◎【三宅能彦道路交通部長】 改修につきましては、経年劣化により破損した箇所の部分補修を行いながら、設備の延命を図るとともに、近年では男性トイレの個室にサニタリーボックスの設置や、和式便器の洋式化、おむつ交換台の設置を順次進めております。利用者が快適に御利用していただくため、限られた予算の中、大規模改修ではなく、既存の設備の充実及び利便性の向上を図っているところでございます。
◎【美濃部弥生副議長】 第7番、九鬼ともみ議員。
◎【7番九鬼ともみ議員】 ありがとうございます。男性トイレへのサニタリーボックス設置は、前立腺がんなどで尿失禁用品を使う高齢男性が増加したことに加え、ジェンダー多様性や慢性疾患を持つ人への配慮も必要となってきたからと聞いております。急を要する破損箇所の修繕に追われつつ、時代の流れに沿ってトイレ設備拡充の要望にも対応していただいていることが分かりました。本来業務をこなした上で、さらに老朽化した公共トイレの設備の更新まで手がけていただいているわけで、限られた予算内での優先度の兼ね合いなど、苦慮していらっしゃるのではないかと推察いたします。
御存じのように、来年、2025年は団塊の世代が後期高齢者入りをします。高齢化が進展する時代の流れのほか、和式便器を使ったことがない子どもの増加もあり、和式から洋式便器への改修も急務だと考えますが、便器の洋式化についてどのように進めていく御予定でしょうか。まずは公園課のトイレについてお聞かせください。
◎【美濃部弥生副議長】 まちなみ整備部長。
◎【竹内勝弘まちなみ整備部長】 本市が管理しております公園のトイレ387基のうち、184基が和式便器となっております。老朽化したトイレをリニューアルする際に和式から洋式に置き換えるほか、洋式化に対する要望の多い箇所につきましては、個別に対応を検討してまいります。一方で、公園のトイレに関しましては、衛生面で和式便器を好む利用者も一定程度いらっしゃることから、比較的規模の大きいトイレにつきましては、一部に和式を残すことも検討が必要であると考えております。
◎【美濃部弥生副議長】 第7番、九鬼ともみ議員。
◎【7番九鬼ともみ議員】 ありがとうございます。市内学校のトイレの改修においても、全部洋式化せず、一部和式のままにすることで選択できる余地を残したことが評価されていると聞いております。公園トイレに関しても、複数の便器があるところは、和式を残すことが利用者のためになると私も考えます。
さて、先ほども触れました京王堀之内駅のトイレは20年以上、南大沢駅のトイレに至っては既に30年以上経過しており、老朽化もかなり進んでおります。駅周辺は、駅だけでなく、各種施設の利用者のほか、公共交通機関の乗務員など多くの人が利用いたします。東部地域は、これから大きく発展する可能性を秘めております。リニア開通を見込んで橋本駅が大きく発展している今、古いままのトイレでは見劣りしてしまうのではないでしょうか。来街者をまず迎える駅の公共トイレの今後の改修についてはいかがお考えかお聞かせください。
◎【美濃部弥生副議長】 道路交通部長。
◎【三宅能彦道路交通部長】 道路交通部で管理する公共トイレには、和式の便器が現状で19基使用されております。経年劣化の状況により、状態が悪いものから順次洋式化を進めているところでございます。しかしながら、水道管の破損など安全に関わるような重大な修繕を行うことを優先すると、便器の交換による洋式化を後回しにせざるを得ないため、進捗に時間を要している状況でございます。
◎【美濃部弥生副議長】 第7番、九鬼ともみ議員。
◎【7番九鬼ともみ議員】 ありがとうございます。少子高齢化と同時に、多様化も進行していくことを考えますと、時代遅れのトイレは、維持費が相変わらずかかってしまう割には有効に活用されないだけでなく、4Kのトイレとして、むしろまちの評判を下げてしまうのではないかと危惧しております。特に京王相模原線の南大沢駅や京王堀之内駅の公共トイレには、洋式便器は1つもなく、全ての便器が和式ですので、そのようなトイレに関しては、せめて数基ずつだけでもスピード感を持って洋式化を進めていただく必要があると思います。
とはいえ、和式を洋式に変えるコストは1基につき30万円ですので、仮に男女1つずつ和式を洋式に変えるには60万円必要です。超高齢社会においては、トイレだけでなく、エレベーターやエスカレーター、段差の少ない歩道への需要も高くなりますので、トイレ改修だけにお金を使うわけにもいかないという事情も分かります。しかし、公共トイレは、交通、水道、電力、ガス供給などと並ぶ都市基盤サービスの1つであると考えます。定期的な清掃、修理、消耗品の補充、さらには冬季など特別な気候条件に対する対策など、多大な費用と労力を要しております。
公共トイレを清潔で安全に保つには、適切な管理はもちろんのことですけれども、利用者に対する意識改革も必要だと思います。使い方を明確に示し、ちょっと促すことで望ましい行動をとっていただくというナッジの手法を用いることで、汚れや破損を防ぐこともできると思います。また、外壁に木やしっくいなどの自然素材を使ったり、地元の子どもたちのアート作品を展示することで、トイレを明るく温かな空間に変え、大切に使う意識を醸成することも重要だと考えます。
それでは、次の話題に移りたいと思います。
ウェルビーイングにつながる公共トイレについてお話ししたいと思います。突然ですけれども、トイレはお便所、便所と言われますけれども、この便という漢字には、障りなく事が運ぶ、都合がよいという意味のほか、くつろぐ、安らぐ、あるいは便りという意味もあり、まさに便所、すなわちトイレは、排せつして、ほっと安らげる場所を表すのにふさわしい言葉だと思います。一説によりますと、人は一生で15万から20万回トイレを使い、総時間は1年から、人によって3年に及ぶそうで、意外と長い時間をトイレで過ごしているわけです。現代社会でもまれている私たちは、トイレの個室でふと感情を漏らしたり、自身に気合いを入れたりして、身体と気持ちの調子を整えてから、再度職場や学校という日常生活の中に飛び込んでいっているのではないかと思っております。
ウェルビーイングとは、個人の権利や自己実現が保障され、心身ともに良好な状態を意味しますが、
ウェルビーイングにおいてトイレがどのように貢献しているかを考えてみますと、快適なトイレというのは、単なる排せつ場以上の意味を持っていると思います。現代では、
少子高齢社会の進展や社会参画の増加に伴い、都市のあらゆる場所でバリアフリー化や多様なニーズへの対応が求められるようになっています。あらゆる人が社会で活躍できるようになった今、外出先での唯一の個室ともいえる公共トイレは、性別や年齢、障害の有無にかかわらず、全ての人の
ウェルビーイングに寄与する大切な空間だと私は考えております。
ちょっと話は変わりますけれども、
ウェルビーイングな空間として思い浮かぶのは、中心市街地ににぎわいをもたらすために造られた、中心市街地にあるまちなか休憩所八王子宿です。トイレをはじめ赤ちゃん・ふらっとやコーヒー販売などもあり、年配の方をはじめ様々な方や、あるいは平日昼などはランチしているビジネスマンの姿が見られるなど、来街者に安らぎの空間を提供しています。まさに
ウェルビーイングな空間を提供しているといえると思います。
公園や駅近くの公共トイレは、広さを広げるのが難しくとも、清潔さと快適さを追求することで、まちなか休憩所のような空間を提供できるのではないかと思っております。重要なのは、訪れる人が何を求めているかを想像することだと思います。場所によって、そこを訪れる人が求めている機能は異なることでしょう。例えば登山者向けなら、泥を落とすための水道があれば便利ですし、空港のトイレなら、スーツケースを置く広いスペースがないと身動きがとれません。駅のトイレなら、頑丈なフックがあちらこちらにあれば、複数の荷物を床に置かなくて済むので助かります。利用者のニーズに合わせた設備を用意することで、その場における
ウェルビーイングを向上させることができると思います。
今後、駅周辺の公共トイレを改修する場合は、高齢者だけでなく、全ての人にとって優しく利用しやすい公共トイレになるよう、ユニバーサルデザインだけでなく、使う人に応じた工夫などがされるとよいと思いますが、いかがお考えでしょうか。
◎【美濃部弥生副議長】 道路交通部長。
◎【三宅能彦道路交通部長】 駅周辺のトイレにつきましては、先ほども御答弁させていただきましたが、多くの課題がございます。御提案いただいたような工夫については、最新事例を参考にしながら調査研究を進めてまいります。
◎【美濃部弥生副議長】 第7番、九鬼ともみ議員。
◎【7番九鬼ともみ議員】 本市は、「あなたのみちを、あるけるまち。八王子」をブランドメッセージとして掲げています。訪問者がストレスなくまちを楽しめることで再訪を促すことができます。公共トイレをより分かりやすく、使いやすくすることで、公園や駅、観光地がよりアクセスしやすくなり、歩行者に優しい
まちづくりを促進することができます。これにより市民の健康寿命が延び、八王子の魅力が高まるのではないでしょうか。公共トイレに欲しい機能は人によって異なるため、市内のトイレ情報を一元化し、地図上に表示することで、利便性をもっと向上させることができると考えます。
そこでお聞きいたします。八王子市公園マップを作成したと聞いていますが、スマホなどを使ってデジタルで確認することはできますでしょうか。
◎【美濃部弥生副議長】 まちなみ整備部長。
◎【竹内勝弘まちなみ整備部長】 八王子市公園マップは、パソコンやスマートフォンなどからホームページにアクセスし、御覧いただくことができます。また、主要な公園につきましては、トイレの有無も掲載しておりますので、こちらもスマートフォンなどで確認することができるようになっております。
◎【美濃部弥生副議長】 第7番、九鬼ともみ議員。
◎【7番九鬼ともみ議員】 公園マップがホームページで確認できるとのことですが、将来的には、特定のトイレについて詳細情報を提供するアプリのようなものを検討していただければありがたいと思います。公共トイレが使いやすくなれば、自然と利用者も増え、防犯につながります。トイレの存在が人々を外に誘い、出会いや発見、人との交流を生むと私は考えております。公共トイレを観光資源として見直し、そのイメージを更新することは大変重要であり、先ほど紹介した観光資源としての公共トイレは、そのような取組の1つであると思いますが、現在のように公園や道路の附帯設備として、それぞれの所管による縦割り管理では、少子高齢化が進み、多様化するニーズに十分応えられないのではないでしょうか。市内公共トイレの状況を横断的に把握し、八王子市の公共トイレの価値向上と改善策を講じる組織が立ち上がることを勝手に期待しております。そして、いずれ公共トイレ魅力向上作戦のようなプロジェクトがスタートすることを願って、私の質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。
◎【美濃部弥生副議長】 第7番、九鬼ともみ議員の質問は終了しました。
次は、第31番、吉本孝良議員。
〔31番議員登壇〕
◎【31番吉本孝良議員】 自民党新政会の吉本孝良です。通告に基づきまして、一般質問をさせていただきます。
石森市長の後継者として初宿市長が就任されました。これまでの
まちづくり施策を継承しながら、八王子のかじ取り役として進めていただきたいと切に思っております。少子高齢化、人口減少の中、本市も歳入の減少がささやかれる中で、本定例会においてもワニの口について多くの質問がありました。しっかりと歳入の確保をしていかなければならない中で、稼げる自治体として、より多くの来訪者を増やすための観光施策をしっかり行っていただきたいと思っております。
その一翼にあるのが日本遺産であります。令和2年6月に八王子市は日本遺産の認定をいただきました。日本遺産は認定をもらうことがメインではなく、活用しなければ意味がありません。これを活用するに当たり、八王子市のこれからの観光行政の中長期的な展望、方向性について、まずはお伺いいたします。
続きまして、日本遺産の活用についてお聞きします。昨年11月4日、5日で行われた日本遺産フェスティバルin桑都・八王子において、八王子の日本遺産を国内外に発信できたすばらしいイベントであったと思います。このフェスティバルのテーマは、桑都八王子から104のストーリーを未来へ、日本遺産認定開始から8年を迎え、全国104のストーリーを養蚕と絹産業で栄えた桑都八王子へ、かつて国内有数の生糸、織物の集散地であったこの地に、日本を代表する文化、伝統を語るストーリーが集結し、その魅力を国内外へ、そして未来へ発信していきますとの下、開催されました。八王子市民であっても、東放射線アイロードが歩行者天国となり、八王子駅から会場である東京たま未来メッセへ向かう中、山車3台による迎えばやしの演奏や展示が行われ、八王子まつり等で慣れ親しんでいても、その音色に吸い寄せられる魅力を感じられました。
屋台が出店されており、お祭りムードで、その部分だけでも楽しめましたし、八王子市が日本遺産のまちであることの認知度は高まったと思います。東京たま未来メッセの中では、各地104の日本遺産ブースが出展されており、全国104の日本遺産を体験できる展示、体験ブースが並ぶほか、各地の名産品の販売などを行っておりました。各自治体が日本遺産を通して観光誘致を積極的に行っているのが感じられました。駅前テラスでは、消防記念会による木遣での入場から、高尾山薬王院、佐藤貫首による柴燈護摩を行うなど、日本遺産構成文化財をしっかり加味した内容であったと思います。
しかし、市民で八王子市の進める日本遺産の内容を理解している方々がどのくらいいるのかと思いました。文化庁による日本遺産の定義は、地域の歴史的魅力や特色を通じて、我が国の文化、伝統を語るストーリーを日本遺産として認定し、ストーリーを語る上で不可欠な魅力ある有形無形の様々な文化財群を総合的に活用する取組を支援しますと書かれております。八王子市の日本遺産ストーリー「霊気満山 高尾山 ~人々の祈りが紡ぐ桑都物語~」を構成する文化財は、国史跡八王子城跡をはじめとする北条氏照公ゆかりの史跡等6件と、高尾山及び薬王院の信仰に関する文化財11件、桑都の歴史の中で育まれた伝統文化13件の未指定の文化財を含むストーリーを語る上で欠かすことのできない八王子市の有形無形の文化財計30を位置づけて構成されていることをしっかり発信されているのだろうか。ストーリーはどうなのかと思いました。
全国の日本遺産ポータルサイトから八王子市を検索すると、未来へと続く桑都物語と紹介されており、内容としては、高尾山をあつく信仰し、桑都の礎を築いた氏照は横笛の名手で、領地で五穀豊穣を祈り舞われる獅子舞を好み、家臣と共に月夜のうたげを催したと伝えられています。氏照が居城とした八王子城の跡からは、落城から400年の歳月を経て、池のある庭園の遺構が築城当時の姿を現わしました。ベネチア産レースガラス器をはじめとする数多くの舶来の品や茶器なども出土し、戦国武将の文化的、芸術的な素養を感じることができます。
桑都の発展は、豊かな文化を育みました。江戸時代の宿場町で、粋な町人はけんらん豪華な山車づくりを競い合い、まちを火事から守ったとび職は、江戸の木遣唄を継承しました。明治期以降、にぎわう花街で八王子芸妓が絹商人をもてなし、農村の娯楽からまちの芸能へと発展した八王子車人形がもてはやされました。これらの伝統文化は、桑都とともに発展してきた今日の高尾山の年中行事で欠かすことのできないものになっていますと紹介されていました。
これを読むと、確かに網羅されており、このフェスティバルによってしっかりと発信されていたと思います。しかし、このストーリーをもっと多くの人たちに発信し続けないと、点と点でしかつながりが見えてこないと感じます。これから先に向かってどのような方向性を持って活用していくのかお伺いします。また、構成文化財については、市としてどのように考え、活用、さらに支援を行っていくのか併せてお伺いいたします。
続いて、魅力の創造について質問をします。八王子市が持っている人が集まる施設とすれば、J:COMホール、いちょうホール、八王子市民球場、富士森陸上競技場、エスフォルタアリーナ八王子とたくさんの施設がありますが、より多くの人を集めることができるポテンシャルが高いのは、スポーツ施設であると私は考えています。現在、スポーツ施設を活用した施策を行っていると思いますが、どのように進めているのか。さらに、魅力の創造として既存のスポーツ施設において人が集まるイベント等の開催実績を教えてください。
続いて、川口土地区画整理事業の中で現在計画されている北側の都市計画公園についてお聞きします。大変大きな敷地を擁している公園を計画されておりますが、これまでも人が集える公園であったり、大きな広場を有し、家族で過ごして遊べる公園整備などを会派としても提案してまいりましたが、西部地域における山林である場所に位置し、どのように考えているのか。例えば、夕やけ小やけふれあいの里の運営などと比較して考えると、本当に人を呼べるような施設になるのかどうか、市の考えをお伺いして、1回目の質問を終わります。
◎【美濃部弥生副議長】 産業振興部長。
◎【山岸研産業振興部長】 これからの観光行政の中長期的な方向性についてでございます。
八王子未来デザイン2040では、日本遺産をきっかけとして桑都文化を磨き上げ、地域活動や地域の産業、経済の活性化を図ることに加え、魅力ある資源を活用した地域主体の観光
まちづくりを推進していくこととしております。引き続き、市域や業種を超えた多様な主体と連携し、本市全体で稼ぐまちとなるよう、日本遺産構成文化財の活用をはじめ、文化観光、産業観光におけるモノ消費からコト消費への対応、消費活動の裾野が広く、経済効果を生み出すMICE開催など、多面的、多角的な視点を持って取組を進めてまいります。
◎【美濃部弥生副議長】 生涯学習スポーツ部長。
◎【平塚裕之生涯学習スポーツ部長】 日本遺産につきまして2点の御質問に順次お答えいたします。
まず、今後の日本遺産の活用についてでございますが、日本遺産フェスティバルでは、本市の日本遺産ストーリーとともに、構成文化財である八王子車人形や八王子芸妓、木遣などの伝統文化、芸能に触れていただきました。議員のおっしゃるとおり、本市の日本遺産ストーリー桑都物語を知っていただくことで、より一層、個々の構成文化財の魅力も高まるものと考えております。引き続き、ストーリーや伝統文化、芸能を身近に感じていただける機会を増やしていくとともに、子どもたちの郷土学習として小中学校へ訪問し披露するなど、本市の伝統文化、芸能の魅力、また日本遺産のストーリーを、子どもたちをはじめより多くの人たちに体感してもらい、市民の郷土愛の醸成や関係人口の増加、地域の活性化を図ってまいります。
次に、日本遺産構成文化財の団体への支援についてでございます。現在は、各団体等の活動、周知、PRに対する支援を中心に行っておるところです。日本遺産の構成文化財であることでの補助の制度はございませんが、構成文化財が国、東京都、本市の文化財指定を受けている場合では、有形無形の文化財の所持者や団体に対し、文化財の現状の維持、団体が行う様々な活動における保存、活用、伝承、普及に関する事業費補助等の支援を行っているところでございます。江戸文化の粋を今に伝える八王子まつりや木遣などをはじめとする本市の誇りである桑都文化をしっかりと守っていきたいと考えております。
◎【美濃部弥生副議長】 スポーツ担当部長。
◎【志萱龍一郎スポーツ担当部長】 スポーツ施設での人が集まるイベントの開催実績についてですが、エスフォルタアリーナ八王子においては、スポーツクライミングのIFSCボルダーワールドカップ2023八王子、ロックフェス八王子魂、プロバスケットボールチーム東京八王子ビートレインズのホームゲームなどが開催されております。また、スリーボンドスタジアム八王子においては、高校野球の予選大会やプロ野球イースタン・リーグの公式戦などが開催されております。
◎【美濃部弥生副議長】 都市整備担当部長。
◎【清水秀樹都市整備担当部長】 川口土地区画整理事業で計画している都市計画公園についての考えですが、事業用地の北側に位置する本公園は、面積約97ヘクタールと、本市においても最大級の規模となる都市公園となります。基本的には、既存の貴重な自然環境の保全を軸としつつ、園内を適切にゾーニングし、市の内外から多くの人々が訪れ、親しめる総合公園となるよう、地元の皆様の意見を伺いながら整備していく方針でございます。
◎【美濃部弥生副議長】 第31番、吉本孝良議員。
〔31番議員登壇〕
◎【31番吉本孝良議員】 それぞれ御答弁ありがとうございました。2回目の質問をさせていただきます。
産業振興部長より、今後の観光行政として、
八王子未来デザイン2040では、日本遺産をきっかけとして桑都文化を磨き上げ、地域活動や地域の産業、経済の活性化を図ることに加え、魅力ある資源を活用した地域主体の観光
まちづくりを推進していく。市域や業種を超えた多様な主体と連携し、本市全体で稼ぐまちになるよう、文化観光、産業観光におけるモノ消費からコト消費への対応、MICE開催など、多面的、多角的な視点を持って取組を進めてまいりますと御答弁をいただきました。ぜひ稼ぐまちを目指して取り組んでいただきたいと思います。
総括質疑においても質問がありました。思わぬものが観光資源となる時代であることから、若い世代、柔軟な発想で発信して、新たな可能性を見いだしていただきたい。例えば、八王子観光コンベンション協会などと協力をし、市場ではやっているガチャなどのグッズ販売なども可能性が大きいものと思いますので、よろしくお願いいたします。
生涯学習スポーツ部長からも、今後の日本遺産の方向性について、本市の日本遺産構成文化財である八王子車人形や八王子芸妓、木遣などの伝統文化、芸能を感じていただける機会を増やし、子どもたちの郷土学習として小中学校へ訪問し披露するなど、子どもたちをはじめ、より多くの人たちに面で体験してもらうような施策をぜひお願いいたします。
市民の郷土愛の醸成や関係人口の増加、地域の活性化を図ってまいりますとの答弁をいただきました。また、日本遺産構成文化財の団体へ本市の支援についてですが、本市では、各団体等の活動の周知、PRに関する支援を中心に行っているとのことです。構成文化財であることでの補助の制度はありませんが、市、東京都、国の文化財指定を受けている有形無形文化財の保持者に対し、文化財の現状の維持、団体が行う様々な活動における保存、活用、伝承、普及に関する事業費、補助等の支援を行っているとの答弁でございました。しかし、例えば消防記念会の場合、八王子市におけるイベントにおいて、数多く木遣を披露していただいております。この団体だけではありませんが、後継者育成や組織の継続に対して八王子市はどのように考えているのか、それが見えてきません。なぜならば、各団体において高齢化が進んでおり、中心を担う方ができなくなってしまった場合、組織の衰退もしくは解散となってしまうのではないかと考えます。最悪このままの状態でいくならば、構成文化財について見直しをしなければならなくなると思います。組織が活動しやすい環境整備が急務に必要と考えます。また、八王子市の伝統芸能の継承に向けた各団体への支援について、副市長の見解をお伺いいたします。
続きまして、川口土地区画整理事業北側の都市公園ですが、ただいまの答弁ですと、面積約97ヘクタールと本市においても最大級の規模を誇る都市公園であり、貴重な自然環境の保全を軸とし、園内に適切なゾーニング、市の内外から多くの人々が訪れ、親しめる総合公園となるよう、地元の皆さんの意見を伺いながら整備していく方針ですとのことでしたが、本当に人が集える公園となるのか心配です。ただ体裁よく、耳触りがいい内容での公園整備をしても、理想と現実の差があり、しっかりと検討していただきたいと思います。
既存のスポーツ施設についての実績を教えていただきましたが、確かにスリーボンドスタジアム八王子は数年前の改修でプロ野球イースタン・リーグの試合ができるようになりました。当日は少年野球選手が多く訪れ、楽しみにしていました。今年もイースタン・リーグの試合が開催されるようで、わくわく楽しみにしているとの声を聞いています。これまでも富士森公園では、花火大会、お花見など様々なイベントがされておりますが、それ以外にも数多くの施設があり、もっと活発に活用していただきたいと思います。八王子市は交通網に恵まれた地域であり、東西南北高速道路へつながっていること。鉄道もJR、京王線などがあり、これらを強みに可能な限り様々なスポーツ大会やイベントを誘致、開催し、引き続き人が集まるイベント等の開催に向け、既存施設を有効活用してもらいたいと思いますが、市としての考えはどうかお伺いをいたしまして、2回目の質問を終わります。
◎【美濃部弥生副議長】 スポーツ担当部長。
◎【志萱龍一郎スポーツ担当部長】 スポーツ施設の有効活用についてですが、各施設について、今後もスポーツイベントのみならず、様々なイベントが開催される、選ばれる施設となるように、イベント等の主催者の意見や要望をしっかりと受け止め、指定管理者八王子観光コンベンション協会とも連携し、施設の魅力向上に努め、有効活用を図ってまいります。
◎【美濃部弥生副議長】 中邑副市長。
〔副市長登壇〕
◎【中邑仁志副市長】 日本遺産の活用における伝統芸能の継承に向けた各団体への支援についての御質問ですが、次の100年に向けての本市の伝統芸能を次世代に継承していくことは非常に重要であると認識してございます。特に無形文化財の場合、指定の保持団体がなくなってしまいますと、それまで長きにわたって守り続けてきた歴史文化が途絶えてしまう可能性もあります。市民共有の財産であります継承すべき伝統芸能団体に対しましては、各団体の状況について、人材の確保、育成など、様々な観点からきめ細やかな検討を行いまして、継承に向けてできる限りの支援をしてまいりたいと考えてございます。
◎【美濃部弥生副議長】 第31番、吉本孝良議員。
〔31番議員登壇〕
◎【31番吉本孝良議員】 御答弁ありがとうございます。3回目の質問をさせていただきます。
構成文化財について、中邑副市長より、継承に向けてできる限り支援をしていきたいとの答弁をいただきました。ぜひこれまで以上に日本遺産を活用していく中で、しっかりとお願いしたいと思います。
最後に、初宿市長にお伺いしますが、日本遺産は、既存の文化財の価値づけや保全のための新たな規制を図ることを目的としたものではなく、地域に点在する遺産を面として活用し、発信することで地域活性化を図ることを目的としている点に、世界遺産登録や文化財指定との違いがあります。これを踏まえた中で、市長のリーフレットに記載されていた部分を抜粋し、引用させていただきますが、八王子市は、地域の特色に合わせた行政へと変化し、地域に必要な政策を自らの責任と権限において実現させてきました。私は、こうした八王子市がこれまで築いてきた確固たる行政基盤と財政規律を基に、目に見えない危機に立ち向かい、全ての市民の皆様が安心できる生活を送り、安らぎ、あらゆる場面で個性を発揮し、輝くことのできる
まちづくりに邁進してまいります。都政において通算35年の実績を糧に、八王子市を新たなステージへと導き、多摩地域における輝く真のリーディングシティへと躍進させますと記載されております。この部分と照らし、八王子市の観光を進める中で、日本遺産を十分に活用していただき、本市の誇る伝統芸能を次世代に継承していっていただくかじ取りをするに当たっての今後の意気込み、思いをお伺いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
◎【美濃部弥生副議長】 初宿市長。
〔市長登壇〕
◎【初宿和夫市長】 第31番、吉本孝良議員の一般質問、八王子市の誇る伝統芸能の次代への継承について、私の思いでございますが、八王子市の日本遺産構成文化財は、先人たちが築き上げ、現在まで紡がれた市民の貴重な財産です。その文化財や伝統文化、芸能をより多くの人たちが体感することで、その魅力に触れてもらうとともに、郷土の文化財を愛する心と誇りに思う心を持ち、大切に保持してきた伝承者を支援しながら、次の世代へ着実に継承してまいります。
◎【美濃部弥生副議長】 第31番、吉本孝良議員の質問は終了しました。
次は、第5番、古里幸太郎議員。
〔5番議員登壇〕
◎【5番古里幸太郎議員】 市議会公明党の古里幸太郎です。発言通告に従いまして、一般質問を行わせていただきます。よろしくお願いします。
昨今、手入れがされていない民有地の森林、樹林地からの倒木等の心配について、近隣の住民から相談を受けることが増えています。2023年4月に民法が改正され、隣地から竹木の枝を越境された土地の所有者は、一定の要件を満たせば、自ら枝を切り取ることができるようになりましたが、山林の規模になると、様々な問題が関係してきます。また、山林は不動産や建物と同じ資産であり、樹木は個人の財産です。民有地であれば、本来は所有者の自己責任において適正な管理が行われるべきで、他人や行政が剪定や伐採を行うことはできません。
一方、樹木が数十メートルの高木となってしまった場合、伐採や枝打ちには専門的で高度な技術を要することから、多大な費用がかかり、所有者による費用負担が困難となるケースもあり、近隣から対応を求められても維持管理ができないと所有者から相談を受けることもあります。所有者には、高齢で年金暮らしのため、自分で木を切ることも、委託して費用をかけて切ることもできない方もいます。また、森林を相続したものの、御家庭の事情があり、高額な費用をかけて維持管理をすることができず、土地を譲渡したいなど、所有者の事情も様々です。適正に維持管理がされず、山林の荒廃は我が国の大きな課題となってきました。
森林も、市街化調整区域で土地利用に規制があったり、斜面のため利用方法が見つからず、買い手も貰い手も見つからない、そのような障壁が管理放棄を助長している点も否めません。とはいえ、倒木や落枝により、隣接する民家や道路などに支障となる場合も多く、また、近年のナラ枯れの進行もあり、問題は深刻化しています。実際に2月5日の大雪の日には、北部地域で民地の樹木の枝が折れ、隣接する民家の屋根に突き刺さり、屋根の下の垂木をへし折り、1階リビングの天井まで破る事故も起きました。物損でとどまったものの、私も事故当時、現地にて仮復旧作業のお手伝いをしました。折れて刺さった枝は想像以上に太く大きく、直径も10センチから15センチ近くあったと記憶しております。周辺にも同規模の枝がたくさん落ちており、枝が真っ2つに折れた部分は鋭く、これがもし人に直撃していたらと思うとぞっとしました。このような危険を減らしていくためにも対応が必要な状況となっていますが、先述した課題もあり、適正な管理が進んでいない状況にあります。行政面積1万8,631ヘクタールのうち約42%の7,833ヘクタールを森林が占める本市では、今後、問題が顕在化してくると考えられます。
そこでまず、市民の生命と財産を守る観点として、市はどのように森林整備をしているか伺います。また、市が森林整備をしていく中での課題についても伺います。
林野庁が実施する森林経営管理制度や現状の市の取組を切り口に、土地所有者の財産権に市が立ち入ることの困難さを理解しつつも、課題解決に向けた取組を前進させたいという思いでおります。民有地の問題とはいえ、森林、樹林地を原因とするナラ枯れ、倒木により、周辺住民の財産、ひいては生命が脅かされることがあってはならないと考えます。今回は、森林整備や環境保全など、市が行っている面的な森林や樹木管理の状況を踏まえた上で市民の生活環境を守るという観点から、今後の森林や樹木の管理の在り方について伺います。
手入れがされていない森林は、時に市民の生命、財産を脅かす恐れがあります。現在、市域の斜面緑地保全区域は26.85ヘクタールですが、山林や民家に近い里山や緑地において、市民を守る観点として市が行っている支援について伺います。また、市は、個人が所有する森林等において様々な取組を行っていますが、その中で民有林の管理不全による民民の課題に対する認識を伺います。
この先は一問一答にて質問を行います。
〔5番議員発言席へ移動〕
◎【美濃部弥生副議長】
農林振興担当部長。
◎【
岩田充農林振興担当部長】 それでは、私に2問御質問いただきましたので、順次お答えいたします。
まず、市民の生活と財産を守る観点からの森林整備についてでございます。森林の持つ多面的機能の1つとして災害防止機能がございます。この機能を最大限に発揮するためには、森林の整備保全が重要と認識をしており、現在、市有林、市行造林につきましては、市が林業事業体に間伐や枝打ちなどの業務を委託し、整備を行っているところです。また、集中豪雨などの際、沢沿いの樹木が下流域へ流出し、住家に被害を及ぼす危険性があることから、令和4年度より市有林内の沢沿いの樹木や枯損木を伐採し、搬出する整備を実施しております。
続きまして、森林整備における課題でございます。森林は、下刈りや間伐、枝打ち、再造林等の適切な整備により、将来にわたり森林の持つ多面的な機能を発揮することができるため、持続的な整備を行っていく必要があると認識しております。一方、一部の市内の森林では、様々な事情により整備を進めることができていないことが課題であると認識しております。
◎【美濃部弥生副議長】 環境部長。
◎【平本博美環境部長】 民間に近い民有緑地への支援についてですが、市街地内丘陵地のみどりの保全に関する条例に基づき、市街化区域に残る良好な斜面の民有緑地を斜面緑地保全区域に指定し、1平方メートル当たり50円の支援金のほか、当該緑地と隣接する道路、住宅から5メートル以内にある樹木などについて、土地所有者が行う剪定、伐採に係る経費の原則2分の1、50万円を上限とした維持管理補助金を支給しております。
次に、民有林の管理不全による課題の認識についてですが、戦後の社会情勢の変化から、森林等の樹木が建築材や燃料等として使用されなくなったことにより、樹木が高く太く成長している状況がございます。また、斜面緑地保全区域の土地所有者へのアンケートなどからは、土地所有者の高齢化により、自ら維持管理を行うことが困難となっていることや、相続による現在の所有者が遠方に居住し、民有林の状況を把握できていない場合があることなどを把握しております。手入れが行き届かなくなった民有林の周辺住民の方々からは、倒木の恐れがある樹木が身近にあることについて御相談いただくことが増えており、民有林の土地所有者及び周辺住民双方の課題として認識しているところです。
◎【美濃部弥生副議長】 第5番、古里幸太郎議員。
◎【5番古里幸太郎議員】 種々御答弁をいただきました。
本市の森林整備とその中での課題について、承知いたしました。
また、市街化区域に残る良好な民有緑地には、維持管理への支援金や補助金を支給している点も承知しましたが、相談の声や近隣トラブルなどは、市街化調整区域の民有林について多くあると感じております。令和元年度に、市町村が民有地の森林の経営管理を受託する仕組みとして森林経営管理制度がスタートしました。また、同年から市町村による森林整備等の新たな財源として森林環境譲与税も開始されました。令和6年度からは、森林環境譲与税の財源となる森林環境税の課税が始まります。各市町村は、森林環境譲与税を活用し、森林の整備をしていく流れとなります。令和6年度、本市は約9,700万円の森林環境譲与税を国から譲与される予定と聞いております。森林経営管理制度を受けて市はどのように取り組んでいるか伺います。
◎【美濃部弥生副議長】
農林振興担当部長。
◎【
岩田充農林振興担当部長】 森林経営管理制度を受けて、令和2年度に東京都及び森林を持つ都内6市町村で協議会を設置し、連携して森林所有者に整備の意向調査を実施しております。所有者の意向を受け、御自身で整備ができず、管理を任せたい意向のある森林につきましては、市が仲介役となり、林業事業体につないでいく予定となっております。また、林業経営に適さない森林については、東京都の森林再生事業等を活用し、整備を進めていきたいと考えております。
◎【美濃部弥生副議長】 第5番、古里幸太郎議員。
◎【5番古里幸太郎議員】 では、森林経営管理制度を実施する中での課題について伺います。
◎【美濃部弥生副議長】
農林振興担当部長。
◎【
岩田充農林振興担当部長】 所有者への意向調査を実施する中で、約2割が所在不明で返戻されるなど所有者が不明なことや、整備の意向があっても隣地との境界が不明確で施業範囲を決められないなどの課題がございます。また、調査の約2割が未返信となっており、森林所有者の整備に対する関心の希薄さも課題の1つと認識しているところです。今後も森林整備の必要性などの周知や意識啓発を行うとともに、林業事業体と連携し、森林の持つ公益的機能が発揮されるよう整備に努めてまいります。
◎【美濃部弥生副議長】 第5番、古里幸太郎議員。
◎【5番古里幸太郎議員】 森林所有者の中で、整備の意向があるものの、御自身では整備ができない森林については、林業経営に適した森林の場合は、御答弁のとおり、しっかりと林業事業体につないでいくことを求めたいと思います。また、林業経営に適さない森林の場合でも、東京都の再生事業等が活用できるのであれば、管理放棄森林の削減にもつながるため、仲介役としての機能も非常に重要であると感じます。所有者不明、境界不明森林の整備については困難を極めますが、森林経営管理制度を活用し、着実に解消していくことを期待します。
これまでお伺いした事項は、森林の所有者等による森林整備や、環境保全活動に対する支援や働きかけといった事例でした。これらのほかにも、市では、市街化調整区域における民間事業の実施に対し、緑地などの適切な管理を促す施策に取り組んでいます。市では、平成24年に八王子市市街化調整区域の保全に向けた適正な土地利用に関する条例を制定し、市街化調整区域における無秩序な土地利用を抑制し、自然環境と営農環境の保全を図ることを目的に、10種の特別土地利用に対して、市独自の基準を定めています。市条例における緑地や樹木に対する管理に関わる事項について伺います。
◎【美濃部弥生副議長】
都市計画部長。
◎【
守屋清志都市計画部長】 市では、八王子市市街化調整区域の保全に向けた適正な土地利用に関する条例において、資材置き場や駐車場など、10種の特別土地利用を行う事業者に対し、事業区域内における6割以上の緑地の確保と適正な管理を求めております。
◎【美濃部弥生副議長】 第5番、古里幸太郎議員。
◎【5番古里幸太郎議員】 市街化調整区域は、市街化を抑制する区域とされているため、特別土地利用の実施に当たっても、事業区域内の一定面積以上を緑地として残し、適切に維持管理されるよう義務づけています。この条例により、民間の事業実施の一方で、一定面積の緑地が保全、維持管理されることとなり、民間の力の森林管理への活用を促進する事例とも捉えられます。
ここからは、課題解決策という方向性から質問をしていきますが、森林周辺に住む住民の視点と森林所有者の視点、両方からの検討、対策なくして抜本的な課題解決には至らないと感じます。
農林振興担当部長からの最初の御答弁で、森林の持つ多面的機能の1つとして災害防止機能があるとありました。平成30年制定の森林経営管理法第42条では、以下趣旨となりますが、市町村の長は、伐採等が実施されていない、かつ実施されないことが確実視される森林にて、土砂の流出や崩壊、水害発生等、周辺地域への影響を防ぐために、災害等防止措置を所有者に命じることができる。また、農林水産省で定める事項を記載した命令書を交付するものとするとあります。整備意向調査以外の方法で適正管理や整備がされていない森林を広い市内で掌握していくことは現実的ではありませんが、ハザードマップから土砂災害警戒区域、特別警戒区域等の災害警戒区域に該当する森林をピックアップし、所有者にアプローチして災害防止に努めていくことは、1つの方法としてあるのではないかと思います。土砂災害警戒区域内の森林整備状況や、未整備森林の所有者に対する首長からの措置命令の実績について伺います。
◎【美濃部弥生副議長】
農林振興担当部長。
◎【
岩田充農林振興担当部長】 森林内における土砂災害警戒区域等は、住宅や林道等に影響があるエリアが指定されているため、比較的事業の経営計画や森林整備が進んでいる状況でございます。また、森林経営管理法第42条の災害等防止措置命令につきましては、法施行からの経過年数も浅いため、これまで都内自治体においての実績はございません。
◎【美濃部弥生副議長】 第5番、古里幸太郎議員。
◎【5番古里幸太郎議員】 現状について承知いたしました。本市の八王子市民の生活環境を守る条例第14条には、空閑地の管理義務として、空閑地の所有者または管理者は、雑草の繁茂による環境の阻害を引き起こさないよう、空閑地を適正に管理しなければならないとしています。しかし、この条例の対象は、雑草が繁茂していた場合であり、個人所有の木は対象としていません。このことについて見解を伺います。
◎【美濃部弥生副議長】 環境部長。
◎【平本博美環境部長】 現在、市民から寄せられる所有者不明な空閑地の雑草の相談については、条例に基づき、現地確認の上、土地の所有者を調べて、適正管理をしていただくよう通知を送付しております。民地の竹木が隣接する民地に越境している場合について、現状では、民法上、竹木の管理は所有者が適切に行うものであり、市が立ち入ることができないため、越境されている方と土地の所有者が当事者間で話合いを行っていただくようお願いするとともに、法律相談の御案内などを行っております。
◎【美濃部弥生副議長】 第5番、古里幸太郎議員。
◎【5番古里幸太郎議員】 樹木等は個人の財産となるため、条例に加えることが難しい点は承知しておりますが、ナラ枯れが深刻化している昨今、樹木等についての条件や特例を設定して、市民の生活環境を守るための条例整備の検討を要望します。
八王子市市街化調整区域の保全に向けた適正な土地利用に関する条例に規定されている緑地管理において、本市の取組として、適正な管理を求めていると先ほど御答弁いただきましたが、周辺の土地に対して支障となる樹木がある場合、事業の実施に当たり、実際に適正な管理を促すことはできるのか、具体的にどのように管理を求めていくのかお伺いします。
◎【美濃部弥生副議長】
都市計画部長。
◎【
守屋清志都市計画部長】 特別土地利用の実施に際し、事業者は市条例に基づき市側と事前相談及び事前協議を行うこととされており、事前に事業区域内に課題となっている樹木等が存する場合には、協議の中で事業者に対し支障木の伐採を求めるなど、適正な管理を促すことは可能であると考えております。
◎【美濃部弥生副議長】 第5番、古里幸太郎議員。
◎【5番古里幸太郎議員】 特別土地利用の実施の機会を捉え、地域に対する公共貢献として課題となっている樹木の伐採を促すといった事業者への指導も考えられます。今後は、民間事業者の力を活用した地域課題の解決につながるような条例運用についても検討を要望します。
環境部長の御答弁で、民民の問題では法律相談の案内などを行っているとあり、
都市計画部長の御答弁では、特別土地利用の実施に際し、事業者と事前に協議をする中で樹木等の適正管理を促すことは可能とありました。ですが、森林経営の視点がなく、ただ森林を所有しているだけの所有者は土地利用の計画もできず、森林や緑地部分の維持管理ができないため、一歩手前の段階で、市が相談に寄り添う体制、相談窓口の設置が必要ではないかと考えます。その部分が現状では法律相談の紹介に該当するのかもしれませんが、法律相談事業の概要について伺います。
◎【美濃部弥生副議長】 市民部長。
◎【立花等市民部長】 専門的な見解を必要とされています市民の方に案内しています市民部の相談窓口では、弁護士などの専門家から民事上の紛争に関する一般的なアドバイスを受けることができます。この専門相談事業は、より多くの市民の皆様に利用していただくため、相談時間は最大30分間で、年1回の利用のみとなっておりますけれども、民事上のトラブルなどの解決に向けたきっかけづくりとして多くの市民の皆様に御利用いただいております。
◎【美濃部弥生副議長】 第5番、古里幸太郎議員。
◎【5番古里幸太郎議員】 法律相談事業の概要について承知いたしました。市民の相談に専門的見解を持って対応する窓口があることは大変ありがたいことです。
今回の一般質問に当たり、事前に農林課や東京都森林組合に話を伺いました。倒木や落枝、災害による被害から市民の生活環境を守るためには、行政や公的支援の手が及ばない森林についてどう考えるかが重要であると思います。先述したとおり、個人の財産に行政が踏み込むことは現状不可能です。そこで、1つの事例を紹介します。2017年に熊本市の県道に隣接する斜面から高さ9メートル、幹の直径50センチの木が倒れ、車に直撃し、運転手の男性が死亡する事故が起きました。道路管理者の熊本市と土地の所有者が管理を怠ったためとして、遺族などが損害賠償を求め、裁判となりました。1審、2審では訴えを認め、熊本市はその判決を不服とし、上告しましたが、最高裁判所は上告を退け、約5,000万円の賠償を命じた判決が確定しました。裁判長からは、管理する道路内に周囲の私有地から木が倒れ込まないように対策するのは市の義務だ。さらに、この事故の以前にも木が倒れ、走行車両が損傷する事故が起きていて、本件の発生も予見できたのに、市がフェンスや防護柵を設置するなど十分な対策を行わなかったとあり、また弁護士のコメントでは、道路管理者は自ら代執行もできるのだから、道路の状況によっては道路管理者がそれらの道路管理義務を怠ったとして、国家賠償法1条の責任を負うことも考えられるとありました。
行政代執行といっても、簡単ではないことは重々理解をしております。維持管理をする費用がない所有者に対して代執行を行ったとしても、その回収はどうするのかといった課題も付随します。行政側にとっては非常に厳しい判例といえますが、道路管理者としての見解をお伺いします。
◎【美濃部弥生副議長】 道路交通部長。
◎【三宅能彦道路交通部長】 御紹介いただきました熊本市の判例は、行政側にとっては非常に厳しく重い判例であると感じております。現在、本市においては、こうした道路に影響を及ぼす民地の樹木などの対応につきましては、所有者に対し行政指導を行っているところでございます。また、代執行を行う場合につきましても、事前に所有者への行政指導を繰り返し行う必要があり、御質問にもございました費用負担などの課題を事前にクリアしなければなりません。こうしたことからも、道路の管理上妨げになるような樹木などにつきましては、まずはしっかりと行政指導を行い、所有者との調整を図りながら道路の安全確保に努めてまいりたいと考えております。
◎【美濃部弥生副議長】 第5番、古里幸太郎議員。
◎【5番古里幸太郎議員】 このような事故が起きないよう、本市には、これまでと見方を変えて、危機管理の意識を高く持つとともに、発生する課題に対して柔軟な対応の検討をお願いします。八王子から絶対に不幸な事故を起こしてはならないと私自身も強く決意をするところです。
今回は、市民の生活環境を守るという観点から質問を行ってまいりましたが、現行の森林管理制度は林業振興や環境保全が軸となっていることから、条件や制約があることが分かりました。今回の問題提起の解決に向けては、市民の生活環境を守るため、本市関係所管による尽力を強くお願いします。
今後、解決策が見いだされていく中で、次の展開につながることもあると考えます。例えば、森林整備において伐採された樹木が資源や燃料として利活用される可能性もあると思いますし、実際に森林整備を通した環境保全と経済を結びつけ、循環させる仕組みをつくっている事例もあります。千葉県森林組合の取組もその1つです。事例を参考に、本市でも新たな視点を持って挑戦をしてもらいたい。そして、市民が安全安心して暮らせる
まちづくりに努めていただきたいと切に願います。
質問の最後に市長にお伺いします。初宿市長は、市民の生命と財産を守るを信条とされております。ここまでの質疑、答弁を通して、こうした市民の生命と財産を守る森林管理を通じて市民の生活環境を守ることは重要と思いますが、市長の見解をお伺いします。
◎【美濃部弥生副議長】 初宿市長。
◎【初宿和夫市長】 八王子市は、市内の豊かな自然環境が時代や人々の営みにより変容する中で、民有林が及ぼす問題に対し、様々な取組を続けております。今後も市民の声に寄り添い、市民の生命と財産を守るために、法律や制度にのっとり、適宜適切に対応してまいります。
◎【美濃部弥生副議長】 第5番、古里幸太郎議員。
◎【5番古里幸太郎議員】 市長の所信表明にあった、市役所は市民の最後のとりでという言葉に強く心を打たれた1人でございます。市長にそのように言っていただいて、感謝の念に堪えません。市民の生命と財産を守る取組の一助となれるよう働いてまいりますので、市長の勇敢なる市政運営のかじ取りに御期待をして、一般質問を終了します。ありがとうございました。
◎【美濃部弥生副議長】 第5番、古里幸太郎議員の質問は終了しました。
会議時間も長くなりましたので、暫時休憩します。
〔午後3時03分休憩〕
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〔午後3時30分再開〕
◎【
鈴木玲央議長】 休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を続行します。
第8番、綿林夕夏議員。
〔8番議員登壇〕
◎【8番綿林夕夏議員】 日本共産党八王子市議会議員団の綿林夕夏です。発言通告に基づき、一般質問を行います。
私が住んでいる館ヶ丘団地は、八王子市の西南部、町田市との境に位置しています。高尾山がすぐ近くにあり、豊かな自然環境や団地のあちこちに点在する広場や公園があることが魅力の1つです。週末には、団地外からも親子連れがバスを利用して散歩や公園遊びに訪れる姿が見られます。教育施設も保育園、児童館、小中学校などが緑に囲まれた団地内に集まっており、子育て世帯に優しい環境が整っています。高尾駅につながるバスも10分間隔で運行されており、通勤時間帯ピークの7時台は13本運行しております。比較的便がよいと感じています。高尾駅周辺は、京王ストアやイトーヨーカドー、イーアス高尾といった大型商業施設が充実していますが、団地の敷地内にもスーパーや魚屋、薬局といった商店街があり、団地住民の毎日の買物に重宝されています。
その一方で、団地が抱える課題は深刻さを増しています。昭和50年に入居が開始された館ヶ丘団地ですが、この館ヶ丘団地は八王子市で高齢化が一番進んだ団地と言われており、2023年9月に団地自治会が実施したアンケートでは、世帯主の年齢75歳以上は59%、高齢者が6割を占めています。単身世帯は64%となっており、要介護者の増加や、若年から子育て層の減少が顕著に表れております。また、居住人口の減少に伴う空き家の増加も深刻です。3街区や1街区などエレベーターがない棟では、とりわけ4階、5階の部屋が空室の状態です。エレベーターのある棟でも空室があるような状況です。館ヶ丘団地自治会の調査によれば、団地内の部屋数の総数は2,396戸に対し、空室となっている部屋数は435戸あることが分かりました。空き家率を計算すると18.4%、2割近くが空き家の状態ということです。商店街でも空き店舗が目立ちます。テナントが半数以上空いており、また、コロナ禍を境に、かねてより懸念されていた地域活力やコミュニティの低下が懸念されています。
2016年6月に館ヶ丘団地
まちづくり計画が市で策定されました。これは市としての団地の再生方針で、団地住民の意見や要望を聞きながらつくられてきたということです。そこで伺いますが、館ヶ丘団地
まちづくり計画について、これまでの取組と進捗について伺います。
続いて、大学と地域がともに発展する
まちづくりに向けての質問に移ります。本市は、21の大学、短期大学、高等専門学校が立地している全国でも有数の学園都市であります。周辺部の学校を加えた大学コンソーシアム八王子の設立や、各大学等との包括連携協定の締結を行いながら、大学等との連携を積極的に進めてきました。2017年には、大学等との連携をこれまで以上に積極的に進めるため、はちおうじ学園都市ビジョンが策定されました。基本理念を大学等と地域がともに発展する
まちづくりとし、八王子ビジョン2022との共通方針である大学都市、学園都市ブランドの強化とともに、地域連携支援、産学公連携支援、学生活動支援など、以上7つの基本方針が掲げられています。
はちおうじ学園都市ビジョンの第1期では、基本方針1の地域連携支援の重点取組として、大学等が行う地域の人材と資源を活用した課題解決型学習など、実践的な教育の支援に重点を置いて大学等と地域との連携を推進するとしています。
そこで伺いますが、大学と地域との連携について、これまでの本市での取組と課題について伺いまして、まず1回目の質問を終わります。
◎【
鈴木玲央議長】
都市計画部長。
◎【
守屋清志都市計画部長】 館ヶ丘団地の
まちづくりの取組についてですが、平成28年6月策定の館ヶ丘団地
まちづくり計画に基づき、高齢者が安心して暮らせる環境整備のほか、若年層の定住、多世代が住み続けるために必要な機能の導入などの促進を図るため、平成29年3月に用途地域等の都市計画変更を行っております。また、現在、UR都市機構や民間事業者により、新たな住宅地の整備や医療、福祉等の利便サービス機能の誘致など、集約型団地再生事業が進められているところでございます。
◎【
鈴木玲央議長】 市民活動推進部長。
◎【小山等市民活動推進部長】 大学等と地域との連携に関する取組と課題についてお答えします。本市では、これまで学生が地域の課題をテーマとして、自らが主体的に学ぶ課題解決型学習に協力するなど、大学等が行う教育への支援を通じ、大学等と地域との連携を推進してまいりました。今後は、地域において大学等の教育研究活動や学生の活動が展開することにより、地域の活性化につながるといった関係性を構築していくことが重要だと考えております。
◎【
鈴木玲央議長】 第8番、綿林夕夏議員。
〔8番議員登壇〕
◎【8番綿林夕夏議員】 それでは、2回目の質問を行います。
まちづくり計画策定後、団地は、UR都市機構の集約化方針の下、第4街区と第3街区の一部、2棟を閉鎖、取壊しが進められてきました。現在、第4街区は民間事業者に売却され、子育て世代をターゲットにした戸建ての住宅団地の建設に向け、土地の整備が進められています。また、第3街区の一部、2棟があったスペースについては、現在、地域からの要望が強かった福祉施設等の誘致に向けて調整を進めているところと伺っています。団地の高齢化は深刻です。一日でも早く地域住民のニーズに応えて、福祉施設等の誘致を進めていただきたく要望します。
地域と大学との連携についての今後の課題として、大学の教育研究活動や学生の活動が展開することで、地域の活性化につながるといった関係性を構築していくことが重要との認識でした。今回私が取り上げる館ヶ丘団地は、団地全体が学生の学びの場、実践的な教育活動が育まれており、学生の活動が地域活性化につながっている地域であると考え、一般質問をさせていただきました。
用意したパネルですが、学生が地域で行ってきた防災をテーマにしたイベント、そして、秋に行われた団地祭りでの様子です。館ヶ丘団地では現在、拓殖大学と法政大学、2つの大学の学生が活動しています。拓殖大学では藍澤ゼミナールが、また、法政大学は総合ボランティアサークルたまぼらが団地に入って、それぞれの活動目的に沿った取組を展開しています。
藍澤ゼミは、地域コミュニティの人々と社会の関係性、開発をめぐる行政・制度に着目し、地域コミュニティで暮らす人々の切実な問題と行政・制度の間にある隔たりを明らかにしながら支援の在り方を検討することを目的にしているゼミです。マレーシアの水上集落を対象としたプロジェクトと館ヶ丘団地を対象とした館ヶ丘団地暮らし向上プロジェクトの2つがこのゼミの中で行われておりますが、どちらのプロジェクトも参加は任意で、ゼミの授業時間とは別で学生が自主的に取り組んでいる活動ということです。館ヶ丘団地暮らし向上プロジェクトでは、高齢化が進む団地の住民が暮らしやすくなる支援策を導き出すことを狙いとしており、これまで社会調査として、50歳代以下を対象に、団地内での悩みや交流について尋ね、世代間交流における現状や課題を調査する活動などに取り組んできました。
一方、法政大学のボランティアサークルたまぼらは、高齢者の生活支援が課題となっている館ヶ丘団地の活性化を目指す館ヶ丘プロジェクトとして、チームをつくって活動しています。活動には大きく2つあり、メンバーがひとりひとり好きな日時に団地に行って活動する個人活動と、プロジェクト全体で行動する全体活動があります。個人活動の具体的な内容は、高齢者向けのスマホ相談や講座の開催、足腰の悪い住民の移動支援として団地内を走る自転車タクシーの運転、地域食堂たてキッチンさくらの厨房、店頭でのお手伝い、電球交換やごみ出しのお手伝いを行うちょこっと生活応援など多岐にわたりますが、比較的短時間のものが多く、学生ひとりひとりの都合に合わせ、授業の空き時間に団地に行って活動できる取組であることが特徴です。全体活動は、団地内のお祭りの出店や学生企画の防災イベントの実施、開催、月1回団地の中央集会所で開催されているらみい子ども食堂など、季節ごとの大きなイベントや定期開催の企画であることが特徴です。
こうした団地での学生と地域との連携はいつから始まったのか、その謎は、今年2月に法政大学多摩キャンパス内で行われたソーシャル・イノベーションセンター開設記念地域交流DAYの中で、八王子シルバーふらっと相談室館ヶ丘の初代室長である今泉さんの講演の中で知ることができました。シルバーふらっと相談室館ヶ丘とは、2011年に八王子市が館ヶ丘団地に設置した高齢者の困り事などを解決、相談していく相談窓口です。シルバーふらっと相談室開設当時の状況について、初代室長の今泉さんが赴任当時の団地の印象を次のように振り返っていました。自然は多いが、色彩を感じないくらい殺風景な印象。緑に囲まれていることが余計に寂しさを増している。挨拶もせず、無表情に通り過ぎる人ばかり。商店街も人がまばらで、空き部屋も明らかに多く、人が住んでいると感じられない。そんな中、市から熱中症予防の呼びかけをしてほしいと依頼があり、東京都の高齢者を熱中症等から守る緊急事業を受託されたことが大きな転機となりました。今泉さんは、これは多くの人を巻き込むチャンスだと捉えました。2011年は東日本大震災が起きた年でもあり、テレビで震災復興のために頑張る若者、学生の姿を目にしていたこと、そして、ここ八王子には周辺に大学が多いということもあり、今泉さんは、何とか学生の力を借りられないかと考えました。
今泉さんが早速協力を呼びかけたところ、70人を超す学生ボランティアが集結しました。学生だけでなく教員も参加し、1ヵ月半かけて300軒以上の高齢者のおうちを訪問し、生活状況についての聞き取りを実施しました。この間、団地内に給水所を設けて、熱中症予防の呼びかけも行ってきたということです。この取組は、団地の空気を変える大きなきっかけとなりました。翌年、同事業を行っていきたいと今泉さんは考えておりましたが、東京都からの補助金が出ないことが分かりました。困ったと頭を抱えていたところ、自治会の方から、私たちもやるからと背中を押されたことで継続することになりました。団地の住民から、私たちもやるから高齢者の見守り事業を続けてほしいと言われるとは思いもよらず、今泉さんはこのとき、この団地、変わるかもしれないと感じたそうです。
高齢者を熱中症から守る事業に参加する大学生を応援するため、お昼御飯の提供として、地域住民がおむすびを作る取組、おむすび計画がスタートしました。おむすび計画の周知とともに、お米の提供を呼びかけるポスターを団地中に掲示したところ、団地の中、そして団地の外からもお米の寄附が集まりました。そして、事業に参加する大学生たちに昼食の提供を無事することができました。こうしておむすび計画は、大学生だけでなく、全世代を巻き込んだ取組になりました。この2022年のおむすび計画の成功を受け、団地住民主体の取組が徐々に活性化してきました。
坂や階段が多く、買物や通院が大変といった困り事を受けて、2013年に自転車タクシーが運行を開始、2016年にはスーパーの閉店の危機に立ち上がった団地応援隊がきっかけとなり、2018年に団地の台所たてキッチンさくらが誕生しました。
2020年以降、コロナ禍の3年間は大学生とのつながりが途絶えてしまいましたが、感染症対策の規制緩和により、徐々に大学でも活動が再開され、コロナ禍で中断していた団地祭りも、近隣の保育園のイベントと共同で行う形で再開されました。学生はゲームコーナーを担当し、来場する子どもたちを楽しませています。ワクチン接種予約がインターネット上でうまくできない高齢者の困り事を解決するために始まったスマホ相談など、学生からの発案による企画も活発に行われています。今年からは、学生からの提案で、拓殖大学と法政大学の学生が共同で、学生カフェの運営を月1回、定期開催していこうと力を入れていくそうです。
先述した法政大学多摩キャンパスの地域交流DAYでは、今泉さんの講演のほか、学生による活動報告の発表も聞かせていただきました。館ヶ丘プロジェクトのリーダーを務める学生は、たまぼらの団地での活動を継続していく中で、住民が自分のことを最初は学生さん、だんだん団地に通っていくうちに法政の学生さん、そして最後には自分の名前を呼んでくれた。このようにどんどん自分の名前の呼び方が変わっていく現象がとても興味深いと話しておりました。今後はそうした個人個人のつながり、コミュニティ形成を後輩たちにも体験してもらえるような活動をしていきたいと話していました。
学生と団地住民、若者と高齢者という属性を超えて、個人個人、人と人とのつながりがつくられていくことに喜びを見いだしたというのは、その学生にとって大事な発見になったのではないかと感じました。個人個人、人と人とのつながりがつくられていくことに喜びを感じ、それが活動参加のモチベーションになっているというのは、大学生だけでなく、地域住民にとっても同じではないでしょうか。また、それこそが地域活性化の源なのではないかと私は考えます。この個人個人、人とのつながりを構築していくため、また、活動の継続性を担保していくためという面でも、学生が団地に住み、地域活性化に取り組めるような仕組み、支援が求められているのではないかと私は考え、提案させていただきます。
高齢化が進む館ヶ丘団地の住民の中からも、大学生をはじめとする若い世代が団地に定住してもらいたいという声が上がっております。先日団地で行われた防災フェスティバルでは、学生が企画した防災を考えるワークショップが行われ、学生と団地住民が一緒に団地の中での防災について課題や対策を出し合いました。あるグループでは、住民同士の日頃からのつながり、交流が必要ではないか、このような文脈の中から、団地の号棟ごとに大学生が住んで見守り支援をしてもらえると安心だ、このようなアイデアが団地住民から出されました。それだけ高齢化が進んでおり、自治会の担い手も不足している課題の深刻さを現した団地住民の切実な願いだと受け止めました。
実は、学生が団地に実際に住んで地域活性化に取り組むというアイデアは、今や現実のものとなっており、全国で広がりつつあります。神奈川県住宅供給公社の浦賀団地では、住民の高齢化が進み、地域活力やコミュニティ機能の低下が問題になりつつあります。そのような中、2016年4月に神奈川県立保健福祉大学と神奈川県住宅供給公社にて連携協定を結び、この県立大学生が浦賀団地に入居し、団地活性サポーターとして地域コミュニティをサポートしていくという取組もスタートしました。2018年には、この学生サポーター自らが立ち上げた大学公認サークル、浦賀団地活性サポーターが発足され、2023年4月現在、14名の県大生がサポーターとして入居しているといいます。
横浜市旭区では、左近山団地と横浜国立大学が提携し、左近山団地における大学生による地域支援活動モデル事業を行ってきました。この事業は、横浜市旭区、横浜国立大学、UR都市再生機構の3者による共同事業です。大学生が実際に団地に住み、自治会や商店街など地域の協力を得て地域活性化に取り組むという内容で、2017年3月から始まりました。
東京都でも、大学と連携した学生入居により、地域コミュニティ支援事業が2021年から取り組まれています。都営住宅団地や地域の活力あるコミュニティの形成に資するよう、都内の大学と協定を結び、その大学の学生が都営住宅に居住して団地の自治会が行う活動に協力するなど、都営住宅や地域のコミュニティ事業を支援するという内容で、現在、東京都立大学をはじめ9つの大学が東京都と協定を結んでおります。八王子市内の都営住宅に入居する条件での協定は、現在、都立大学のみという状況であります。市として取組を広げていく必要性を強く感じました。
そこで、2回目の質問ですが、東京都が実施する都営住宅と大学との連携による地域コミュニティ支援事業の拡充に向けた取組内容について伺いまして、2回目の質問を終わります。
◎【
鈴木玲央議長】 市民活動推進部長。
◎【小山等市民活動推進部長】 都営住宅と大学との連携事業の拡充に向けた取組についてお答えします。市では、東京都に対して、大学コンソーシアム八王子の全加盟校の担当者が集まる会議の場で、当該事業に関する説明の場を提供し、都の担当課長がいらして直接説明されるなど、PRに協力をしております。
◎【
鈴木玲央議長】 第8番、綿林夕夏議員。
〔8番議員登壇〕
◎【8番綿林夕夏議員】 それでは、3回目の質問を行います。
都営住宅と大学との連携による地域コミュニティ支援事業の拡充に向け、大学コンソーシアム八王子加盟校の担当者を対象に、該当事業のPRに協力したとのことでした。浦賀団地のようにUR都市再生機構と大学が協定を結んで居住支援を行う事例や、左近山団地のようにUR都市機構と大学、そして市の3者で協定を結んで事業を立ち上げた事例も参考に、館ヶ丘団地での学生居住支援もぜひ行っていただきたいと要望します。
まとめとしまして、大学生と地域住民が連携した
まちづくりがなぜ館ヶ丘で成功したのか考えてみますと、大学と地域それぞれにコーディネーターが存在し、それぞれの役割を発揮したことが成功の秘訣ではないかと考えます。地域におけるコーディネーターの役割を果たしたのは、ふらっと相談室と団地自治会です。ふらっと相談室は、高齢者など困難を抱えている住民のニーズを的確に酌み取り、課題解決に向けて積極的に提案をしてきました。大学生をはじめとする外部のボランティアの力を借りようと、団地の外に向かって積極的なPR、働きかけをしてきたことも重要ではないかと考えます。
また、地域住民の代表といえる自治会の役割も大きいと考えます。団地が誕生した当初、街区ごとに結成されていた自治会ですが、高齢化の影響もあり、活動が途絶えておりました。そして、2010年に館ヶ丘団地全体の自治会として生まれ変わりました。団地自治会では現在、コミュニティスペース団地の縁側を拠点に、自転車タクシーの運行や住民主体による介護予防・生活支援サービスちょこっと生活応援など多様な事業の中心を担っており、そうした取組に学生がボランティアとして参加しています。
大学におけるコーディネーターの役割を果たしたのは、藍澤ゼミでは指導教員、法政大学では多摩キャンパスのボランティアセンターといえます。この法政大学多摩キャンパスでは、1984年の開設以来、地域社会と大学の共生、地域に開かれた大学をモットーとし、町田市、八王子市、相模原市といった地域住民とも協力関係を築きながら、学生主体の取組を支援してきました。館ヶ丘団地のように地域活性化のために学生の力を借りたいと考えている町会・自治会や、地域に出て実践的な教育や学生主体の活動ができるフィールドを求めている大学とのニーズのマッチングを図っていくことは、大学と地域がともに発展する
まちづくりに重要と考えます。この大学等と地域がともに発展する
まちづくりに対する市長の考えを伺いまして、私の質問を終わります。
◎【
鈴木玲央議長】 初宿市長。
〔市長登壇〕
◎【初宿和夫市長】 第8番、綿林夕夏議員の一般質問にお答えいたします。
大学等と地域がともに発展する
まちづくりについてですが、地域での活動を通して、八王子市の魅力を発見した学生が八王子市に愛着を感じるとともに、地域も活性化する相乗効果があるなど、大学等や学生が
まちづくりに参画することによる効果は大変大きいと認識をしております。大学等と地域がともに発展する
まちづくりの実現には、大学等が地域をフィールドとして行う実践的な教育を支援することが重要と考えており、大学等と地域の連携が深まるよう、引き続き取り組んでまいります。
◎【
鈴木玲央議長】 第8番、綿林夕夏議員の質問は終了しました。
以上で一般質問を終わります。
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◎【
鈴木玲央議長】 次は、日程第2、各常任委員会及び議会運営委員会の特定事件継続調査申出書を議題とします。
〔各常任委員会及び議会運営委員会の特定事件継続調査申出書後編参照〕
◎【
鈴木玲央議長】 本件は、各常任委員長及び議会運営委員長から特定事件の調査事項について、閉会中の継続調査の申出があります。
お諮りします。
それぞれ申出のとおり決定することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◎【
鈴木玲央議長】 御異議なしと認めます。
したがって、そのように決定いたしました。
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◎【
鈴木玲央議長】 以上で本定例会の会議に付されました事件は全て終了しました。
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◎【
鈴木玲央議長】 これで本定例会を閉会いたします。
〔午後4時05分閉会〕...