平成30年 第1回 定例会-02月22日-02号平成30年 第1回 定例会
平成三十年 第一回定例会 江戸川区議会会議録 第二号
第一回定例会 第二日
一 開会日時 平成三十年二月二十二日(木曜日)午後一時
二 出席議員(四十四人)
一番 岩田将和 君
二番 中津川将照君
三番 小野塚礼佳君
四番 神尾昭央 君
五番 本西光枝 君
六番 伊藤ひとみ君
七番 栗原佑卓 君
八番 野﨑 信 君
九番 牧野けんじ君
十番 桝 秀行 君
十一番 笹本ひさし君
三十八番 田 中 淳 子 君 四 十 番 早 川 和 江 君
四十一番 須 賀 精 二 君 四十三番 田 島 進 君
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○議長(藤澤進一 君) 以上のとおり、選任しましたので、報告します。
次に、先般、
予算特別委員会が開かれ、正副委員長の互選を行いました。その結果、委員長に、四十一番、須賀精二君が、副委員長に、十七番、窪田龍一君がそれぞれ選出されましたので、報告します。
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△日程第一一般質問
○議長(藤澤進一 君) 日程に入ります。
日程第一、一般質問。
これより、一般質問を行います。順次質問を許します。二十九番、田中寿一君。
〔二十九番 田中寿一君登壇〕
◆二十九番(田中寿一 君) 私は、平成三十年第一回定例会にあたり、
区議会自由民主党を代表し、通告に従い質問してまいります。区長の明快な答弁を求めるものであります。
今月九日より韓国、平昌で開催されている
冬季オリンピック。来月九日には
パラリンピック開催も控えておりますが、世界の
トップアスリートたちによって、連日繰り広げられる熱戦に、世界中の目と心が奪われ、感動が分かち合われています。
フィギュアスケート男子では、羽生結弦選手が二大会連続の金メダルを獲得、日本中がその偉業に盛り上がりました。右足の怪我により、約四カ月間にわたり、実戦からの離脱を余儀なくされ、出場すら危ぶまれていた中で、世界一の座を見事に勝ち取りました。スポーツの力・スポーツの感動を、誰もが実感した瞬間です。そして、本日は、江戸川区在住の梅原玲奈選手が日本代表として、
スキークロス競技、
タイムトライアルに出場しました。明日も出場予定であり、区を挙げて、活躍を期し、応援したいと思います。
さて、今年は明治維新から百五十年の節目の時。欧米列強の圧力が高まる中、我が国日本の独立を守るため、国家の大転換が図られ、新たな体制による、新しい国づくりが行われました。西洋的・近代的な価値に基づく文明開化と、江戸時代まで育まれてきた、我が国独特の教養・道徳・武士道精神との狭間で繰り返された葛藤。伝統と近代化との境界線を行き来しながら、日本人の精神は鍛え上げられていきました。西洋的近代化を無批判に良しとすることなく、千思万考を繰り返し、深まっていった思想こそが、今日の国づくりにつながっていることを、百五十年の節目に当たり、改めて見つめるとともに、私たちの国と地域の未来に活かしていかなければなりません。
現に、私たちの国を取り巻く環境は、北朝鮮による核・ミサイル開発といった脅威にさらされています。そうした状況にあって、発足から五年が経過した第二次安倍政権は、世界の中心から力強いリーダーシップを発揮し、その平和と繁栄に大きく貢献してきています。これまでに七十六カ国・地域を訪問し、六百回にわたる首脳会談を展開、各種国際会議においても、その安定した政権運営を背景に、議論をリードするなど、積極的な外交を繰り広げ、世界における日本の存在価値を高め、国益を守るとともに、世界の調和と安定に貢献できる国づくりを力強く、推し進めてきています。
安倍政権の最優先事項である経済においても、デフレ脱却への着実な歩みが見てとれます。昨年の完全失業率は二・八%と、一昨年と比べ〇・三ポイント低下し、二十四年ぶりの低水準となる一方、有効求人倍率は、一・五〇倍と四十四年ぶりの高い数値、正社員に限った有効求人倍率も、昨年十二月には一・〇七倍と、集計開始以降最高水準となっています。一昨年と比較して就業者数は、六十五万人の増、正社員数も五十六万人増え、伸び幅は三年連続で非正規社員を上回っており、雇用環境改善の流れが一段と強まってきています。
そのような中、アベノミクスの三本の矢の一つである成長戦略は、更なる加速化を見せています。社会政策にとどまらない働き方改革の断行、IoTやAIに象徴される「第四次産業革命」がもたらす、五つ目の社会「ソサエティ五・〇」の推進など、人口減少社会においても成長できる国づくりが、今まさに、進められています。
アベノミクスの成果は、既に、私たちの街にも顕著に表れてきています。新年度予算案では、特別区民税が手堅く見積もる中にあって、今年度と比べて十五億円のプラス、四年続けての増加となっています。財調交付金も、法人住民税の一部国税化などの影響を受けながらも、それを上回る景気回復により、三十五億円の増となっています。これらの成果は、時代を捉えた施策展開を通じ、既に、区民のもとへと着実に届けられています。
私たち
区議会自由民主党は、区民・国民に一番身近な議員という立場から、区政の隅々にまで、その効果と成果がもたらされるよう最善を尽くす決意です。
あわせて、私たち議会には、議会ならではの権能と機能を持って、区民の負託に応えてゆく責務があります。地方自治における二元代表制、つまり、議決機関たる議会と執行機関たる行政における信頼関係と緊張関係なくして、区政の真の発展は図れません。議員はもとより、行政におかれましても、この基本的な認識に基づき、相互に積み重ねた良き信頼関係を決して損ねることのないように、また、議会は住民代表機関であり、議員の発言は、その権能に基づいたものであるという緊張感を忘れることのないよう、強く、求めるものです。私たち
区議会自由民主党は、その議会の、第一会派としての自覚のもと、発言し、行動し、責任を果たしてゆく決意です。
さて、区は先月三十日、平成三十年度予算案を発表いたしました。各特別会計を含めた総額は、
国民健康保険制度改革による財政運営主体の都への移行により、前年度比二・二%減の三千六百四十八億円となりましたが、一般会計においては、前年度比一・六%増の二千四百四十一億円、新規事業三十・拡充事業六十と、積極的な予算案となっています。
一方、今回の編成にあたっては、六年ぶりに財政調整基金が取り崩されています。本区の財政を取り巻く環境は、法人住民税の一部国税化、地方消費税の清算基準の見直し、ふるさと納税など、決して楽観視できる状況にありません。これまで区政運営の中心に据えてきた行財政改革を、これからも力強く推し進めるとともに、真に江戸川区の発展につながる政策は何なのか、確かな将来展望を描く中で精査をし、限られた財源を有効に活用していかなければなりません。
そこで、一点目の質問として、新年度予算案の編成にあたり、区政運営にどのような将来展望を描きながら作業を進められたのか、区長のご所見をお聞かせください。
続いて、これまでもお尋ねしてまいりました、「
都市計画マスタープラン」について、お伺いいたします。
昭和四十一年以降、本区は、「
総合開発基本計画」に基づき、
土地区画整理事業を中心に、下水道・都市計画道路・公園の整備など、都市としての基本条件を整えてきました。その後、
都市計画マスタープランを通じ、基盤整備に加えて、地域の特色に合わせた地区計画、景観に配慮された街づくりなど、快適性や暮らしやすさという観点から取組みを重ねてきています。そのような中迎えた、
都市計画マスタープラン改定の時。本区の街づくりを更なる高みへと引き上げるチャンスであり、計画期間である二十年先を見据え、新たな視点を持って、策定していかなければなりません。
改定にあたり様々な課題が挙げられる中、最重要課題は、超高齢社会の到来にあって、都市計画の観点から、いかに街の活力を引き出していくかということです。
本区の人口は、平成四十二年をピークに減少に転じる見込みです。また、生産年齢人口は平成三十七年にピークとなる一方、高齢者は平成六十二年まで増加し続けるとされています。本区の長年の課題である、子育て世代のファミリー層の定着が進まないという課題の解消はもちろんのこと、都市間競争の時代を生き抜くため、つまり、「真に選ばれる街・選ばれ続ける街」になるために、何をしなければならないのか、真摯に求めていかなければなりません。
その一つの答えが、現在、国が「国土の
グランドデザイン二〇五〇」として示している「コンパクト+ネットワーク」にあります。これは、各地域の個性を軸に、各種サービスの集約化を図ることにより、新たな魅力の創造を生み出す、あわせて、そこへのアクセスを確保することによって生じる、密度の濃い交流により、新たな価値を創出するというものです。古今東西を問わず、街の活力は、人々の多様な交流によってもたらされます。そして、その多様な交流は、質の高いサービスが、効率的に提供される空間において生じます。
改定の時にあたり、これまでの街づくりの延長線上に、
マスタープランを描くのではなく、二十年先を見据えたときに、都市計画上、真に求められる街づくりはどのようなものなのか、真摯に捉え直し、「コンパクト+ネットワーク」のように、未来志向の方針を明確に示すことが重要なのではないでしょうか。
また、ハード面においては、今後二十年先を見通せば、公共施設が更新期を迎えているのと同様、多くの民間建築物においても更新の時を迎えます。各駅周辺など地域の拠点となる空間において、それぞれが個別に建て替えを行うだけでは、街の課題の解消や、新たな価値の創出に繋がらないケースが出てきます。
したがって、民間建築物を単なる私有財産とせず、社会的ストックとして捉え、再開発事業など都市計画における様々な手法を用いて、拠点にふさわしい「新たな魅力とサービスの集積」を図ることが必要であり、そうした方針を
マスタープランに明記すべきです。
一方、ソフト面では、区内全域におけるアクセス面において、高齢社会の視点に立ち、
公共交通空白地域の解消を図らなければなりません。課題解決にあたっては、本区も規定のバス路線を補完する
コミュニティバスの運行を積極的に導入すべきではないでしょうか。また、区内の大型商業施設においては、無料の送迎バスを運行しており、こうした事業者との協議により、
公共交通空白地域の解消を図ることも有効と考えます。
現在示されている「江戸川区
都市計画マスタープラン改定骨子」では、船堀駅周辺を「行政・防災の中心」とするなど、区内各所に拠点となる空間を設けています。
改定にあたっては、それぞれの拠点において、その個性に応じた「新たな魅力とサービスの集積」を図るための方針がいかに示されるか、拠点に位置する民間との協働をいかに図るか、あわせて、各拠点へのアクセスと拠点間の連携による「新たな交流と対流」をいかに生み出していくか、これらがしっかりと示されることが重要と考えます。
土地区画整理事業を中心に都市基盤を整備してきた時代を本区の街づくりの第一世代、地区計画などによって快適性向上を図ってきた時代を第二世代とするならば、今後二十年先を見据える
都市計画マスタープランには、本区の街づくりの第三世代となる新しい視点からの取組みが求められるところです。
これからの時代に向かい、どのような視点に立ち、いかなる方針を示していくのか、
コミュニティバスの運行等、
道路ネットワークの完成だけではない交通政策も含め、
都市計画マスタープランの改定にかける区長の思いとご所見をお聞かせください。
続いて、我が会派の同僚議員も質問してきております、「小中学校の改築の進め方」についてお伺いいたします。
本区では、学校施設の老朽化及び一斉に迎える改築時期を踏まえ、児童・生徒の安全・安心の確保と財政的観点から、平成十九年九月に「学校施設改築の基本的な考え方第一次報告」が示されました。本報告では、平成三十八年度までに、竣工後五十年を経過する小中学校、七十一校を当面の対象に、原則年三校ペースで改築に着手するとしています。
しかし、実際には、二十九年度時点で十八校が着手済みとなるべきところ、竣工済み七校・改築工事中三校の計十校という状況であり、当初の計画と現実に乖離が生じています。年三校ペースで進めなければ、築六十五年を超える学校が出現することが、本報告でも指摘されているところであり、子どもたちの学び舎として、不適切な施設の発生は、何としても避けなければなりません。
確かに、学校改築を取り巻く環境を見れば、計画的な建て替えの実施は容易ではないと思います。築年数を基本としながらも、その他複合的な要因が学校改築には伴います。まず、大切にしなければならないのは、地元住民の声であり思いです。学校は子どもたちの学び舎であると同時に、地域にとっても核となる施設です。また、すくすくスクールや学校応援団、チャレンジ・ザ・ドリームに象徴されるように、各学校の諸活動は、地域の方々の思いによって幅広く展開することができています。こうした地域の方々の思いをしっかりくみ取ることなくしては、いかに改築を進めようとも、良き学校運営は図れません。
あわせて、各地域における児童・生徒の推移、それらを背景にした学校の統合、各地域の街づくり事業との連動、建築に係る費用の高騰、
公共調達基本条例の理念と趣旨の実現、学校施設の長寿命化など、これらを総合的に勘案し、判断していくことは、非常に困難な作業であります。しかし、老朽化が着実に進んでいく以上、私たちは、地域の方々と共に明確な答えを出し、計画性と実効性を持って改築を進めていかなければなりません。まさに待ったなしです。
学校改築に対する方針が示されてから、十年以上が経過し、計画と現実とに隔たりが生じてきている中にあって、改めて、課題を洗い出し、統廃合や
公共調達基本条例等も含めた方針を新たに示す時と考えます。区長のご所見をお聞かせください。
続いて、「都県橋」についてお伺いをいたします。
東京東部低地帯に位置する江戸川区にとって、大規模水害時における広域避難の実現は、一刻も早く、なさなければならない喫緊の課題です。「江東五区
大規模水害避難等対応方針」では、当面の目標を「大規模水害に際して百万人以上の広域避難を実現する体制を整える」としていますが、千葉県との境に目を向ければ、現況は、市川橋から今井橋まで、約八キロにわたって人が渡れる橋が架かっておらず、補助二八六号線・補助一四三号線・放射一六号線、それぞれにおける橋梁の整備が、まさに急がれるところです。
そのような中、東京都では、二〇二〇年に向けた「実行プラン」を本年一月に取りまとめ、都県橋の整備推進が、明確に記されました。補助二八六号線・一四三号線及び放射一六号線の橋梁整備に向けた取組みを推進し、補助一四三号線については、二〇二二年度までに事業化を目指すという踏み込んだ内容となっています。
それに先立つ昨年九月には、都議会自民党の代表質問に対し、「早期着手が可能な補助第一四三号線など、三路線の橋梁整備につきまして、共同事業者として千葉県の協力が得られますよう、地元区とともに働きかけ、整備時期等の調整を進めてまいります」と、建設局長が答弁をしております。
東京都としては、早期事業化の実現性の高い補助一四三号線の整備を優先し、千葉県と早期に基本協定並びに設計協定を両知事において締結したいとの意向にあり、千葉県側の協力が得られるのであれば、すぐにでも協定を締結し、調査・設計を進めたい考えにあるとのことです。
一日も早い完成を切望する江戸川区としては、この機を捉え、同じく地元自治体である市川市との連携を一段と密にし、東京都そして千葉県に対し、合同要望活動を行うなど、更に力強く働きかけていく時ではないでしょうか。
市川市との協調並びに連携による橋梁完成に向けた取組みについて、区長のご所見をお聞かせください。
続いて、「地域資源と地域力を活かした
観光まちづくり、並びに、観光協会の設立促進」についてお尋ねいたします。
これまでの観光といえば、旅行会社が名所巡り等を中心に行程を組むような、団体的・画一的・歓楽的要素の強いものがメインでありました。しかし、そのあり方は、今日、大きく変容してきており、より個人の志向性に応じた十人十色のニーズにいかに応えるかが重要になってきています。具体的には、体験・滞在・交流といった要素が格段に高まりつつあり、よりローカルに入り込み、地域住民の日常を、五感を通じて味わう観光が広まりつつあります。このような観光の個人化と細分化が進む中にあって、これを良き地域づくりのチャンスと捉え、観光を通じた地域力の向上と魅力ある街づくりに取り組む自治体が増えてきています。
現に、大田区では、ものづくりを新たな観光資源として位置づけ、区外からの来訪者はもちろん、地域の方も街歩きをしながら、世界に誇る技術に触れ、実際に
ものづくり体験もできるプログラムを組むなど、町工場の日常に入り込み、体験できるプログラムを展開しています。この取組みは高く評価され、平成二十五年には、
日本観光振興協会から「
産業観光まちづくり大賞」を受賞するに至っています。また、同区では、街歩きを観光資源として捉え、街の魅力の再発見や、地元の人との触れ合いをテーマにツアーを実施、その
ボランティアガイドの育成に力を入れています。これらはいずれも、地域力を活かした
観光まちづくりを目的に設立された「大田観光協会」が中心となって進めている事業です。
国においても、こうした取組みを推進しており、地域の稼ぐ力を引き出し、地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った、
観光地域づくりの舵取り役となる法人、いわゆる日本版
DMOの登録を観光庁が主体となって進めています。近隣自治体では、墨田区観光協会が既に登録を受けています。
本区は、成田国際空港から都内へと向かう玄関口に位置する、いわゆるゲートシティでありますが、そのメリットを更に活かしていかなければなりません。本区には、葛西臨海公園や建設中のカヌー・
スラローム競技場、平成庭園や新川といった魅力溢れる空間ばかりでなく、伝統工芸・ものづくり・農業・金魚・花火・屋形船・銭湯・お祭りなどなど、まさに十人十色のニーズに応える多彩なコンテンツに溢れています。観光のあり方が、体験型へと大きくシフトしている中で、単に産業振興としてではなく、地域力の向上と街の魅力向上の機会として観光を捉え、活かしていくべきではないでしょうか。
そもそも、二年後にはオリンピック・
パラリンピック大会が控えている中で、カヌー・スラローム競技の観戦だけに訪れる街というのでは、寂し過ぎます。江戸川区に行ってみたい・訪れてみたいという魅力なくして、私たちの街における二〇二〇年大会の真の成功はありません。地域資源を観光資源として捉え直し、地域の多様な人たちが自ら主役となって、「体験型交流観光」を展開していく。これらは、住民にとっての生きがいはもとより、地域への愛着と誇りの創出にも繋がっていくものです。
そして、このような
観光まちづくりを進めるためには、その業務が豊富な経験と専門的知識を要すること、あわせて、様々な民間との連携が必要になることから、本区においても、法人化された観光協会の設立を促し、舵取り役を担ってもらうことが必要と考えます。現在二十三区において、観光協会の設置されていない区は、杉並、荒川、そして江戸川の三区のみです。
地域への愛着と誇りを高める、地域資源と地域力を活かした
観光まちづくり、並びに観光協会の設立促進について、区長のご所見をお聞かせください。
最後に、いよいよ二年後に迫った「二〇二〇東京オリンピック・
パラリンピック大会における、有志による小中高生ボランティア」についてお伺いいたします。
連日、平昌で繰り広げられている熱戦が証明しているように、スポーツは、私たちに夢や希望を持つことの大切さを教えてくれます。そして、その実現に向かう情熱を与えてくれます。また、言葉や文化といった多様性を知り、違いを楽しみ、結びつける力を持っています。
こうしたスポーツの持つ力、その最高峰たるオリンピック・パラリンピックの持つ力を最大限に引き出し、この街と人に広げていく、その責務が、私たちにはあります。とりわけ、未来を生きる子どもたちにその力を十分にもたらしていかなければなりません。
現在、本区では、「江戸川区オリンピック・パラリンピック教育推進計画」を策定し、各校それぞれの創意のもと、多様な取組みが実践されています。東京都においても、各学校との連携による取組みを実施しており、その一環として、トップアスリートがスポーツを通じて学んだ挨拶や努力、思いやりの大切さを伝える取組み、「こころのチャレンジプロジェクト」事業を実施しています。今月十日には、船堀小学校において、女子レスリング日本代表の浜口京子さんを講師に、この事業が行われました。二大会連続メダリストの言葉に、子どもたちからは、その豊かな感受性が大きく刺激されている様子が伝わってきました。
二〇二〇年大会では、本区でもカヌー・スラローム競技が実施され、多くの外国人の来訪が予想される中にあって、「子どもたちが、大会を自らのこととして捉え、積極的に関わり、来訪者におもてなしをする」「世界の注目が集まる大会において、江戸川区の子どもたちが主体性を持って参加する」そうした姿を一つでも多く生み出していくことが重要と考えます。
大会のレガシーは、多方面にわたって創出しなければなりませんが、未来を支える子どもたちが、世界と繋がり、世界に目を向け、大会後もそれぞれの可能性を広げていく。これ以上のレガシーはないと思います。
以上の観点から、区内の小学校高学年から高校生を対象に有志の「ボランティア」を募り、「オリンピック・パラリンピックについて見識を深める中で、国際感覚を養うとともに、自らの国や地域の良さを、見つめ直してもらう」、また「実践的な英会話を内容とした研修を、大会までの期間、定期的に実施し、大会開催中には、ボランティアとして活躍してもらう」、このような事業を展開してはいかがでしょうか。その経験は、大会後、個人のため・地域のためを問わず、様々な形で花開くことになると思います。結果として、国や地域を最前線から引っ張っていくニューリーダーの育成にも繋がる事業です。
本区では、同様の趣旨の事業として、青少年の翼が実施されていますが、そのOB・OGの会である「翼の会」の皆さんにもぜひその経験を活かし、子どもたちへの研修に積極的に関わってもらうことが必要だと思います。青少年の翼を通じて養われた経験を、オリンピック・パラリンピックという絶好のチャンスに発揮してもらわない手はありません。
翼の会の皆さんに、子どもたちのまとめ役やリーダー役として活躍してもらう。あるいは、英会話研修では先生役を担ってもらう。自らボランティアとして活動してもらうと共に、その下の世代の活躍のために、力を発揮してもらうべきではないでしょうか。
二〇二〇年大会、そして、その後のレガシーを見据え、青少年の翼のOB・OGの皆さんとの連携による小中高生有志ボランティアの募集について、区長のご所見をお聞かせください。
以上をもちまして、第一回目の質問を終わります。
○議長(藤澤進一 君) 多田区長。
〔区長 多田正見君登壇〕
◎区長(多田正見 君) 数点にわたりまして、ご質問に合わせましてご高説をいただきました。しっかりと拝聴をいたしました。ありがとうございます。
まず、区政運営における将来展望、あるいは予算編成についての考え方ということでございますけれども、このことにつきましては、先日の招集のご挨拶でも申し上げたところでありますけれども、ご質問いただきましたので、多少繰り返しになりますが、お答えをしてまいりたいと思います。
何と言いましても、健全財政は、私どもの区にとりまして、全ての施策を支える基盤ということになると思っております。健全財政を維持しながら、特別この喫緊の課題があるときには、時機を逸することなく取り組むという積極的な予算編成でなければなりません。そのようなことに今回も意を用いたつもりでございます。
今後もこの将来世代に対しまして負担を先送りするというようなことがあってはならないということでございますので、そうした観点から、適切な財政運営に努めながら、山積する諸課題に果敢に積極的に取り組んでいくという姿勢をもって臨みたいと思っているところでございます。
それから、
都市計画マスタープランでございますけれども、確かにおっしゃいますように、様々に時代の変化ということがございまして、人口構成その他につきましても、だんだんに変わってまいります。少子・高齢化と言いましても、少子化、あるいは高齢化ということにおいては、そのウエイトがどちらにかかるかというようなことも併せて考えていきますと、今後様々な展開が予測されるわけであります。そのことに適切に対応しながら、施策を新たに構築していくということも必要でございます。
そういう中で、私どもの区をどのような形でこれからつくり変えていくかということについても、そうしたことをしっかり見極めながら取り組んでいかなければならないと思っております。
私ども江戸川区の街づくりにつきましては、議会の皆様方はもちろんでありますけれども、多くの区民の皆さんの大変なご努力もいただきまして、この私たちの目指すところが、これまでかなり実現をし、様々な形で整備をされてきているところであります。
しかし、今日、特に防災の問題なんかにつきましては、極めて重要なこの側面を持っておりまして、防災性の高い街づくりをさらに進展していくということを取り組んでいかなければなりませんし、また、さらなる都市機能の充実ということについても、公共施設、その他、老朽化した施設のつくりかえなどを含めまして、さらなる前進を果たしていかなければなりません。
こうしたことを考えまして、今回の改定におきましても、今日的な様々なそのような諸課題を十分考慮いたしまして、さらに民間との連携も深めていかなければなりません。そうした民間を合わせた再開発事業の促進なども考慮いたしまして、そうしたことの上で、さらなる合理的な街づくりを推進していくということを私たちは取り組むということで考えているところであります。
交通ネットワークにつきましても、さらに充実をいたしまして、今日最も重要視される街の活性化、つまり交流、こうしたことが容易に図られるような、そうした街づくりも併せて進めていかなければならないと考えております。
ご質問にもありましたように、未来をしっかり見据えまして、そうしたことに新しい感覚をもって江戸川区の将来の街づくりを進めるべく、この
マスタープランを考えていきたいと、そのように思っているところであります。
それから、小・中学校の改築の問題でありますけれども、ご質問にもありましたように、平成十九年九月に、初めて学校改築につきましての今後の進め方についての計画を一応定めまして、公表をいたしました。築後五十年を超える学校が七十一校あるということでございまして、これを順次建て替えていくという計画であります。概ね計画としては、一年に三校ぐらいずつのペースで進めていこうということでありましたけれども、これはお話にありましたように、そのとおりいっておりません。様々な要因があるわけでありますけれども、少しペースが遅れ過ぎているのではないかという懸念も確かにございます。これをぜひ取り戻していきたいというふうに思っておりますけれども、いろいろやはり状況を考えていきますと、単純に建て替えをすればいいということではなくして、これと併せてやはり学校の適正配置でありますとか、あるいは学校をどのように、いわゆる合理的な配置として統廃合を含めて考えていかなければならないかということが、次々課題としては出てくるわけでありまして、そういうことを考えますと、これまでの毎年三校ペースで建て替えを進めればいいというような単純な計画では、これは到底これから進めていく上で、いろいろな問題に突き当たるということになるわけでありますので、ここのところで確かにもう一度この計画を見直しまして、もう少し適正配置、あるいは統廃合を考慮した計画をつくり上げていくべきだという、そういうところに今来ていると思っておりますので、それを今後手がけていきたいと、そのように考えているところであります。
この改築計画、新たな改築計画をできるだけ早く策定をいたしまして、地域の皆様方と、あるいは議会の皆様方にもお諮りをいたしまして、これをつくり上げ、そのもとで今後の学校改築計画を新しいものとして進めていきたいと、そのように考えているところであります。
それから、都県橋の問題でありますが、都県橋を三橋これからつくるというような計画はもちろんあるわけでありますけれども、いずれも重要な都県橋ではありますけれども、最もこれから、すぐに手がけていける状況にあるというような橋を考えますと、やはりご質問にもありました補助一四三号線だということになります。
これは確かにお話にありましたけれども、東京都が今回これについて二〇二二年に事業化をしたいと、こういうような具体的な目標を明らかにしているところであります。事業主体となる東京都と千葉県が、早期にこの整備について必要な協議を行いまして、それが可能となる条件の整備をしていただくことを私たちは願っているところでございます。
当事者であります私どもこの江戸川区、それから対岸の市川市も、かねてからこの一四三号線の架橋については強く願っているところでありますけれども、諸般の事情によりまして、なかなか進んでおりませんでした。東京都がこれを発表したことによりまして、これから加速度的に進むのではないかというふうに思っておりますけれども、私たち地元といたしましては、江戸川区と市川市がこのことについて、いわゆる私たちの長年の願望を果たすべく、十分連携をして、都、あるいは県、それからまた国に対してもこれを強く要請をしていかなければなりませんので、そうしたことを当面、私たちはしていきたいと、そのように考えているところでございます。
今、早速、私どもも千葉県と、千葉県のつまり市川市といろいろ協議も進めていきたいところでありますけれども、残念ながら、市川市は今まだ新しい市長が決まっておりません。選挙が終わりまして、市長が決まり次第、私どもも市川市とこのことについていろいろ積極的な話し合い、協議を進めながら、これが一日も早く完成、促進をいたしますように努力をしてまいりたいと、そのように思っているところであります。
次に、観光についてのご質問でございます。
観光行政、これは極めて大切なことだと思いますし、そうした観光資源を大事にしながらこれを活用して、地域活性に結びつけていくということは、今日的な大きな課題でもあると思っております。
江戸川区にも、幸いにしてかなりの観光資源はございますが、一方で、この観光資源を活用しながら、観光産業というような形のそうした活性化を図っていくというような状況がまだまだ不足をしているというふうに私は思っております。
観光資源を利用する、活用するということは、区民全体のいわゆる生活向上に資することではありますけれども、それを利することによりまして、区内の産業がさらに力強くなるということが、これも必要なことでございまして、そうした状況を実現していかなければならないということが一つ課題であるかと思います。
私どもそういう視点に立ちまして、これからもこれをどのように活かしていくかということによりまして、区民全体が、あるいは地域の皆様方がこれを一つの産業としても大いに元気にしていくという面も併せて育成をしていくということが課題であると、そのように思っております。
観光協会は、必要だとは思いますけれども、なかなかこれができにくいという状況があるように思いますが、これはやはりこの観光資源を大いに活かして自分たちの生活活動、あるいはいわゆるこの産業活動に大いに利していこうというような、そういう機運と情熱とか、そういう力強い働きかけとか、そういうものがないと、なかなか協会というようなことでつくり上げていくということは、難しいことかなと思うのでありますけれども、こうしたことを民間の方々に一つ働きかけをして、それが容易にできるということであれば、直ちにそれはすべきであると思いますけれども、そうしたことについての状況をさらに私たちはしっかりと見極めていかなければなりませんので、そうした上で、こうしたことが可能であるかどうかということも検証していかなければならない問題だと、そういうふうに考えておりますが、いずれ江戸川区におきましても、大変素晴らしい区に発展をしてきておるわけでありますので、こうした観光面でさらなる躍進を遂げていくことができればいいと、こういうふうに思っておりますので、これからの大きな目標といたしまして、取り組んでいきたいと、そのように考えているところであります。
次に、オリンピック・パラリンピックの問題であります。若い人たちの時代ということになるわけでありますけれども、もうすぐにこの国際大会が開かれるということでありますので、こうした状況を目前にいたしまして、私たちも大いにこの取組みを進めていかなければなりません。
特に、青少年のこのオリンピック・パラリンピックにどう関わるかということについては、できるだけ幅広い、そして大きな目標をもって取り組んでもらうということが必要だと思いますので、そのような働きかけを今後ともしていきたいと思います。
江戸川区にもお話にもありましたように、青少年の翼のOBでありますとか、あるいは多くの学校もございます。そうした若い青少年がこれからの将来、自分たちの将来とともに地域の将来ということに視点を当てまして、お互いに切磋琢磨して努力をするということも必要でございますので、そうした気運をあとわずかな期間ではありますけれども、できるだけ可能な限りそうしたことを幅広く盛り上げていきたいと、そのように考えているところでございます。
若い人たちにとって、この国際イベントが大変大きなきっかけとなりまして、将来、自分たちの活躍の方向性を見出しながら、あるいは世界に目を向けていくということも非常に重要なことでありますので、そうしたことに対して私たちもできるだけのことをしながら、若い青少年を応援するという意味においても、こうした取組みを強めていきたい、そのように考えているところでございます。どうかよろしくお願いをいたします。
以上でございます。
○議長(藤澤進一 君) 田中寿一君。
◆二十九番(田中寿一 君) それぞれにご丁寧な、そして前向きなご答弁もいただきまして、ありがとうございました。
まず、区政運営における基盤は健全な財政にあるということは、当然ながら、我々も認識を一にするところでございますので、引き続きこの行財政改革を不断に執り行っていただく中でこれを堅持し、また持続可能なこの江戸川区の発展に努めていただければというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。
質問事項の細かな点につきましては、また
予算特別委員会等を通じて確認してまいりたいと思いますけれども、今回質問するにあたりまして、高齢社会の到来といった様々な困難な課題が私たちの前にはあるわけでありますけれども、一方で、やっぱり区民の夢ですとか希望、こういったものを育んでいける街づくり、それから多くの方々に真に選んでいただける街づくり、こういった視点、こういった思いから質問に立たせていただきました。
困難な時代だからこそ、こうしたやっぱり積極的な姿勢をもって新しい区政の未来を切り開いていくということが大変重要なことではないかなというふうに思っておりますし、また行政の皆さんも、そしてまた我々議会も、困難な時代がゆえに、できない理由を探していくということは大変に簡単なことだと思います。ただ、こうした時代だからこそ、どうすればできるのか、実現させることが可能なのか、そういった姿勢をもって、ともに力を合わせて、我々も頑張っていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(藤澤進一 君) 次に、三十七番、竹内 進君。
〔三十七番 竹内 進君登壇〕
◆三十七番(竹内進 君) 私は、平成三十年第一回定例会にあたり、区議会公明党を代表して、通告に従い質問いたします。
区長並びに教育長の誠意ある前向きな答弁を期待するものであります。
さて、二月九日から二十五日の期間で韓国、平昌オリンピックが開幕し、連日、世界水準でのトップアスリートによる熱戦が繰り広げられており、私たちに多くの感動が届けられております。
今大会での盛り上がりが、東京オリンピックの気運醸成となることを願い、またオリンピックを通じた地域の平和を祈り、今回の出場選手はもとより、出場を目指す
トップアスリートたちの健闘をたたえ、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、私たちも選手がベストを尽くせる環境を整え、区民の皆様と精一杯の応援を送りたいと思います。
ところで、六年目を迎えた自公連立政権。この間の取組みによる成果については、国内総生産が名目で過去最高を更新し、高卒・大卒ともに就職率が過去最高水準に至り、生産年齢人口が三百九十万人減る中、雇用が百八十五万人増えました。経済の先行指標と言われる株価は二万円を超え、着実に成果を上げてきています。日本経済はデフレ脱却への道を確実に前進しています。
しかし、数字の面では、確かに景気は回復してきていますが、大きな課題の一つが賃金の引き上げです。特に、大企業は内部留保を増やしていますが、投資や従業員への還元が少なく、これを推進するには、内部留保の活用を後押しする環境整備が大事になってきます。投資や賃上げをした企業を支援する投資促進税制や所得拡大促進税制などの取組みが重要です。
もう一つの課題は、人手不足への対応です。技術革新や高齢化によって不足するITや医療・介護人材の早期育成、労働生産性の向上と雇用のミスマッチ解消を進める資格や技術習得支援などの推進、女性や高齢者の労働参加を後押しするため、働きやすい職場環境づくりの推進で、人手不足の解消を図っていくことが大切になってきます。
そのほかにも国の内外にわたり、重要な課題・懸案が山積する中、二〇一八年が希望と安心の未来に向けて、着実な一歩を踏み出す一年となるよう、心から願わずにはいられません。
そうした中で、本区の平成三十年度予算案は、一般会計二千四百四十一億四千二百万円余、特別会計一千二百六億円余、合計三千六百四十七億五千二百万円余の予算案を編成されました。健全な区財政を維持しつつ、区民生活の更なる向上に向けて、新規事業三十事業、拡充事業六十事業を含む本予算案を発表しました。「時機を失することなく講じる」とし、六年ぶりに財政調整基金を取り崩しての予算案に対し、区長の強い決意を感じます。
そこで、まずはじめに、この一年の区政運営をされる区長の抱負をお聞かせください。
次に、江戸川区の人づくりについてお伺いいたします。
今年は、明治維新から百五十年という節目の年であります。
明治以降、近代国家への第一歩を踏み出した日本は、多岐にわたる近代化へと取組みが始まり、国の基本的な形が築き上げられました。明治維新という新しい時代に生まれた有能な人材が新しい国をつくり上げたように、今こそ新たな国づくりの時だと私は考えます。
「国の力は人に在り」、まさしく、人を育て、人づくりに取り組むことが重要です。
日本は、今、少子高齢化が急速に進行するという「国難」とも呼ぶべき危機に直面しています。
これからの五十年、百年先を考えたときに、世界に模範となる経済国家を発展させていかなければなりません。そのためには、一人ひとりの能力を発揮し、イノベーション立国を目指さなければなりません。
幸い、本区では、多田区長のもと、長期計画の中で、「未来を担う人づくり」という重要な柱を設け、独自の政策を打ち出して実行してきました。
「青少年の翼」事業や「すくすくスクール」事業・保育ママ制度、総合人生大学事業など国がその先進性を模範とし、国の制度をつくっていくような人づくりをたゆまぬ努力で行ってきたことは、高く評価いたします。
一人ひとりが輝き、能力が生かせる社会づくり、街づくりが重要だと考えます。
そこで、今後の江戸川区における人づくりについて区長のご所見をお伺いします。
次に、次期「
都市計画マスタープラン」が目指す将来都市像のあり方についてお伺いします。
今回の計画案は、都市計画法第十八条の二に基づき、「市町村の都市計画に関する基本的な方針」として定められ、平成三十一年から概ね二十年を計画期間とされています。また、「東京都都市計画区域
マスタープラン」と「江戸川区基本構想」「基本計画」を踏まえるとともに、区民のお声をワークショップ等で幅広くお聞きして集約されました。この間のご努力に対しましては、心から敬意を表したいと思います。
さて、世界に類例のないスピードで少子高齢化が進む我が国において、自分たちの街をどのような街にするのかは、本計画の命題であると同時に、社会の変化に合わせた長期的な社会保障制度の確かなビジョンを示す必要もあります。その意味から、少子化・超高齢社会及び人口減少から起こり得る未経験の困難な問題に対して、改めて将来予想をする必要があるのではないでしょうか。
例えば、最初の試練は、「二〇二五年問題」です。年齢別人口で最も数が多い「団塊の世代」の方々が全員七十五歳以上になります。四十一万部を超すベストセラーとなった「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」の著者、大正大学の河合雅司客員教授は、二〇二六年には高齢者の五人に一人が認知症患者となり、続いて二〇二七年には献血の必要量が不足し、手術や治療への影響が懸念されると危惧されています。
また、総務省の統計トピックス二〇一六年九月十五日データによると、六十五歳から七十四歳までの人口が一千七百六十四万人、また七十五歳以上の人口は一千六百九十七万人となり、ほぼ拮抗しています。
しかしながら、後期高齢者人口が一層増加し、逆に前期高齢者の人口が減少、今後の高齢社会とは、高齢者の高齢化が進む社会となり、介護やITの人材も深刻な人手不足が予想されます。
更には、日本私立学校振興・共済事業団の「入学志願動向」によると、十八歳人口の減少により、二〇一六年度に「入学定員割れ」した私立大学は前年度より七校増え、二百五十七校。将来、倒産の危機に瀕する国立大学も出てくる可能性が指摘されています。
このように、これまで経験のなかった人口減少による影響と、高齢者の高齢化がますます進むことにより、毎年のように様々な困難が日本社会に押し寄せてくると警告しています。
河合教授は、人口減少問題を「静かなる有事」と呼んで警鐘を鳴らしています。
一方、本区の人口推計では二〇三〇年に増加のピークを迎え、七十万人を突破するものの、その後は減少し、二〇四〇年には六十九万二千人と見込まれています。人口減少の傾向は、本区においても変わらないものの、先進的な子育て支援事業の取組みにより、若く活力ある街との成果を挙げたことにより、全国平均よりもこの傾向はもう少し後から続くことになるでしょう。
しかしながら、人口減少による「静かなる有事」への対応については、出生数の減少も人口の減少も避けられないとすれば、それを前提として社会をつくり変えていくしかないとも考えられます。本区の場合は、先の傾向により社会をつくり変える時間に少し余裕が持てるかもしれません。
ところで、ワークショップの区民意見にある「理想の生活像」では、全地域で共通するキーワードが「交流」です。「多世代が交流、誰かに会える、町会との交流、お祭りを楽しむ、気軽に挨拶できる、地域とのかかわり」などが指摘されています。これは、本区の最大の魅力と言える地域力・住民力が現実に評価されている証拠であり、既に「理想の生活像」に近い実感が持てているからではないでしょうか。都市マス案に示される「地域の魅力が人をつなぐ『活力交流都市』」の実現は、永遠に求め続けるべき目標であり、「静かなる有事」への対策もこの交流による地域力を高め続けていくことで乗り越えられるものと思います。
そのほか、取り組むべき課題としては、ファミリー世代の定住環境の充実や学力向上、環境との共生、安全・安心なまちづくり、新たな魅力づくりなどがあり、区と住民の皆様との共育・協働により今後とも築き上げなければならないと思います。
そこで、人口減少なども踏まえ、二十年先、五十年先、百年先をも見据えた将来都市像のあり方について、区長のご所見をお伺いします。
次に、江戸川区熟年しあわせ計画及び第七期介護保険事業計画についてお伺いします。
本区は長年にわたって、生きがい施策として、くすのきカルチャー教室やリズム運動、シルバー人材センター、総合人生大学など、本区独自の事業を展開してきた結果、要介護認定率は、一六・一八%と、二十三区で一番低く、介護保険料の引き上げを最小限に抑えることにも反映できています。しかし、本区の介護給付費は年々増加しており、三十年度は介護保険制度スタート時の四・五五倍にものぼり、四百十四億円になると見込まれています。さらに、団塊の世代が七十五歳になる二〇二五年には、高齢化率は二一・一%となり、そのうち七十五歳以上は五九・二%となります。今後、医療・介護を必要とする方は増えていく一方で、限られた財源の中で、いかに質の高いサービスを提供していくかが大きな課題であります。
第七期介護保険事業計画改定では、介護予防・日常生活支援総合事業の中で実施してきた熟年ふれあいセンターなど四事業に代わり、第六期から実施してきた要支援一、二及び準ずる方を対象とする介護予防・生活支援サービスが拡充されます。これまでと同様の介護事業者によるサービスに加え、区独自の基準による緩和型サービスの導入や区独自の研修などによる総合事業の担い手の創出により、介護事業者、NPOやボランティア団体などの多様な主体が多様なサービスを提供していくとされています。区と介護事業者、区民が一体となって、よりよい総合事業になることを期待するものです。
江戸川区熟年しあわせ計画及び介護保険事業計画の改定のために行った基礎調査によると、健康診査等の結果、介護予防相談のために熟年相談室に行くことを勧められた方で、相談に行ったのはわずか五%、まだ介護予防は必要ないとして九五%の方は相談に行けていません。また、介護が必要にならないようにするためには、身体の機能が低下しないよう、元気なうちから取り組むことが重要であることを知っている、と答えた方は八八%と高くなっています。
しかし、介護予防教室やくすのきクラブ、リズム運動などの活動の中で参加したい活動は、との問いには、いずれも参加したくない、と答えた方が、無回答と合わせて五〇%になります。
以上のような結果を見ると、介護予防が必要と思っても、なかなか区の事業や地域、サークル活動に参加することにちゅうちょしている方も多いことがわかります。
今後は、そのような方々に興味を持っていただけるような一層の取組みが求められているのではないでしょうか。
さて、昨年、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等が一部改正され、高齢者の自立支援と要介護状態の重度化防止、地域共生社会の実現を図るとともに、制度の持続可能性を確保することに配慮し、サービスを必要とする方に必要なサービスが提供されるようにする、ということをポイントとしています。特に、介護予防にどう取り組むか、保険者である全市区町村が独自の機能を発揮することが求められています。
そこで、二点お伺いします。
一点目は、第七期の総合事業の展望について、区長のご所見をお伺いします。
二点目は、人生百年時代と言われている今、高齢化が進む将来を見据え、本区の介護予防について区長のご所見をお伺いします。
次に、子どもの貧困対策を含む、子どもの成長支援の推進について、区長にお伺いします。
「子どもには、すべての最も大きな可能性がある」とは、トルストイの至言ですが、その大いなる可能性を引き出すには、学校現場だけでなく、社会全体で担うべきであると考えます。
翻って本区では、平成二十八年に区長と教育委員会で構成する総合教育会議において、「江戸川区教育大綱」が初めて策定されました。大綱では、江戸川区基本構想を踏まえつつ、時代の変化に伴う様々な課題を乗り越え、将来にわたり活躍する子どもたちを育成するため、今後取り組むべき教育の基本的な方針を示し、その基本目標を「『家庭・地域・学校』の協働による総合的人間教育」としました。これは、本区が社会全体で協働して子どもの成長を育む決意の証であります。
その上で、本区は同年、子どもの貧困対策を含む、子どもの成長を支えるために、「“子どもが輝く未来”に向けて」と題するレポートを公表し、子どもの貧困対策を正面から見据えた全庁挙げての力強い取組みを開始しました。我が会派も子どもの成長支援については、以前より様々な角度から質問や提案を重ねており、その取組みは高く評価するところです。
その一方で、平成二十八年の厚生労働省の全国調査によれば、子どもの貧困率は、一三・九%で、五年前の前回調査より二・四%低下しましたが、依然、子どもの七人に一人が貧困状態であることが、実態として浮き彫りになりました。中でも、深刻なのは、ひとり親世帯で、貧困率は五〇・八%と過半数を占めており、大人が二人以上いる世帯の約五倍にも当たります。その影響は、子どもの学力や自己肯定感の低下はもとより、貧困の連鎖による社会的損失にも繋がる課題ともなっています。
そこで、本区では、貧困の連鎖を断ち切るべく、全ての子どもが輝き、誰もが希望あふれる未来像を描けるよう、学習環境の充実や経済支援、保護者対象事業を含む子どもの成長支援を着実に拡充しております。
分けても、新年度予算では、平成二十九年第二回定例会の我が会派の代表質問や、平成三十年度予算要望の重点要望である就学援助における新入学準備金の前倒し支給が、単価も上乗せされ予算計上されるなど、さらに積極的な取組みに期待するところであります。
新年度予算に込めた、子どもの貧困対策を含む、子どもの成長支援への思いと推進へのご決意について、区長のご所見をお伺いします。
次に、「チームとしての学校」のさらなる推進についてお伺いします。
教育は未来の人材をつくる最も重要な偉業です。そして、その人材である子どもにとって最大の教育環境こそ、教師自身であることは言うまでもありません。その上で、いじめや不登校、貧困問題等、複雑化・多様化する学校の課題に対応するには、子どものための教育環境の充実を図り、社会全体で学校を支える体制を整えていく必要があると考えます。
中央教育審議会は、平成二十七年の「チームとしての学校」の答申の中で、「現在、配置されている教員に加えて、多様な専門性を持つ職員の配置を進めるとともに、教員と多様な専門性を持つ職員が一つのチームとして、それぞれの専門性を生かして、連携、協働することができるよう、管理職のリーダーシップや校務の在り方、教職員の働き方の見直しを行うことが必要である。」と述べています。
江戸川区教育委員会でも、教育重点施策の基本方針に、「学びを支える教育環境の整備」を掲げています。
私は、平成二十八年第二回定例会の代表質問において、「チームとしての学校」のあり方についてお伺いし、小中学校における専門性に基づくチーム体制の構築について、スクールソーシャルワーカーの増員等についてお訴えしました。また、我が会派として質問を重ねてまいりました学校図書館司書の配置など、クラブ・部活動等外部指導員の活用も含め、教育委員会としても「チームとしての学校」の充実に向けた取組みを進めておられることは高く評価します。
そこで新年度に向けて、児童・生徒に、より良い教育環境を整えるため、「チームとしての学校」の推進を教育委員会としてどのように進めていかれるのか、教育長のご所見をお伺いします。
最後に、松島・中央・松江地域の諸課題について、大きく四点についてお伺いいたします。
一点目は、新小岩公園の高台化についてであります。
平成二十七年十二月に、国土交通省が制度化に取り組んでいる東京東部低平地帯・防災高台整備事業を活用し、新小岩公園の中央部分二・五ヘクタールをかさ上げし、江戸川区民を含めた数万人が避難できるようにする事業として発表がありました。
また、現在、江東五区広域避難推進協議会が広域避難のあり方について検討をされていると思いますが、今後、新小岩公園の高台化について、江戸川区としてどのように葛飾区と協議しながら進めていかれるのか。また、住民に対してどのように周知していくのか、区長のご所見をお伺いします。
二点目は、JR新小岩駅快速線ホームのホームドアの設置についてであります。
平成二十七年三月に新小岩駅南北自由通路の工事に伴い、快速線ホームにホームドアを導入することが公表されました。
新小岩駅では、繰り返し起こっている悲惨な事故が続いています。近隣住民及び利用者は、ホームドアの早期設置を強く望んでいます。
そこで、完成に向けて進捗状況をお伺いします。
三点目は、仮称「松島コミュニティ施設」についてであります。
これまでも何人かの同僚議員からも質問がされていますが、平成二十八年に地元六町会の会長連名により、多田区長に対し「松島四丁目都有地の取得及び活用に関する要望書」が提出されました。地元の期待は大きなもので、世代を超えて熱い夢と思いが強くなってきています。
そこで、今後の計画について、区長のご所見をお伺いします。
四点目は、今井街道及び船堀街道の電線地中化についてお伺いします。
政府は昨年、「無電柱化の推進に関する法律」を制定し、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、バリアフリー都市を実現するために法改正をする方針と伺っています。
無電柱化の推進は、景観がよくなる、歩行空間が確保される、防災性が保たれるなどから各自治体でも取り組まれています。
江戸川区でも、国道・都道・区道で取り組まれており、約五十キロほど、できており、区内全体の五・二%になります。
特に今井街道では、一之江方面から随時地中化が整備され、平成三十年からは松江大通り商店街の通りに着手されます。また、船堀街道におきましても、東京都の事業で整備がされています。
そこで、今後の今井街道・船堀街道の地中化の見通しと進捗状況についてお伺いします。
以上で第一回目の質問を終わります。
○議長(藤澤進一 君) 多田区長。
〔区長 多田正見君登壇〕
◎区長(多田正見 君) お答えをしてまいります。
今年一年の区政運営に対する抱負ということについてのご質問でありますが、言うまでもございませんが、多くの区民の皆さんが、安全・安心を実感しながら、幸せ感を味わうことのできる生活、また、さらには、こうした地域社会に誇りをもってお互いに協力し合いながら、教育・協働の理念のもとで、さらに活力ある地域社会を目指して努力をする、こうしたことを区民の皆さんと、共々に進めていきたいということが私の抱負ということでございます。
それから、この江戸川区の人づくりということについてでございます。
未来を担う子どもたちの健全育成は、大切なことであることは言うまでもありません。長期計画でも重要な柱として、これを取り組もうとしているところでございます。
区は、これまでも家庭とか、あるいは保育・学校・地域の関わりの中で、立派な人材が育つことができるように、様々な取組みを進めてきたところでございます。この子たちは、いずれも区政を支える地域力として将来の担い手となる人たちであります。この思いをもって、これからも人づくりに全力を傾けてまいりたいと、そのように思っているところであります。
それから、都市
マスタープランについてということでございます。
本区は、地域特性をしっかりと生かした街づくりを進めてきておりますが、快適に暮らすことのできる都市として、今日発展をしてきておるところであります。今後の人口減少、あるいは少子高齢化の進展によりまして、地域のコミュニティとか、そうしたものが希薄化しないように、また都市活力が低下をすることがないように取り組んでいかなければならないと思っております。
このために、さらに地域の魅力を高めながら、多様な世代が暮らし、またそれが交流することのできる場を創出するということも大切なことでございます。活力ある暮らしが続けられていくことのできるような、そうした持続可能性ある街を実現できるように目指していきたいと思っておるところであります。
それから、第七期の介護保険計画と熟年しあわせ計画についてのご質問でございます。
特に、介護予防、あるいは日常生活支援総合事業についてのご質問がありましたので、これは具体的なことになりますので、続きます介護予防のご質問と併せまして、福祉部長からお答えをさせていただきます。
それから、このチームとしての学校ということについてのご質問でありますが、これは教育長からお答えをさせていただきます。
次に、この松島・中央・松江地区の諸課題ということについて、まず第一点でありますが、葛飾の新小岩公園の高台化の問題であります。
ご質問にありましたように、平成二十七年にこのことが発表されております。この経過につきまして、いろいろご説明を申し上げて、また今日どういうことをこれからしていかなければならないかということにつきまして、土木部長からご説明をしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
また、新小岩駅の快速ホームのホームドアについてでありますけれども、このことにつきましては、これもこれまでの経過と併せまして、今後の方針につきまして、都市開発部長からご答弁をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
ひきこもりにつきましては、平成二十三年から、本区では、「若者きずな塾」というものを開設をしてこうしたことに取り組んできております。これは相当程度に、私は成果を挙げているというふうに思っているところでありますけれども、ご質問にもありましたように、これが長期化するということによりまして、いずれ高齢化を迎えるということにもなってまいりまして、新たな課題を生むことになりますので、これについては、これまで以上に取組みを強めていかなければならないものだと思っております。
これは、相談窓口で、本人及び家族の支援を行っておるところでありますけれども、今後とも窓口の周知を図りまして、訪問を含めましてこの支援について取り組んでまいりたいと思っております。よろしくお願いをいたします。
それから、その次にフレイルの予防についてということでございます。
フレイルも昨今いろいろ話題になっているところでございます。これらの取組みは必要なことだと思っておりますが、これまでもいろいろ説明する機会はあったと思いますけれども、このフレイルについて、私たちが、どういう取組みをしていくかということにつきまして、わかりやすくこれは健康部長からご説明をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
以上でございます。
○議長(藤澤進一 君) 斉藤福祉部長。
◎福祉部長(斉藤猛 君) 発達相談・支援センターについてのご質問ですけれども、この施設、二つの機能を有した施設となっております。
まず、機能の一つ目ですけれども、児童発達支援センターとしての機能です。この児童発達支援センターにつきましては、心身の発達に遅れのある十八歳未満の児童を対象とした施設で、就学前の児童を対象に専門職が行う療育、また家族への相談、また障害児を預かる施設への支援など、幅広い内容を実施してまいります。
機能の二つ目なんですけれども、現在、グリーンパレスの五階にある発達障害相談センター、これをこの施設に移転をいたしまして、合体をさせたいというふうに考えております。その結果なんですけれども、相談から療育、また療育から相談という、両方向の流れができまして、さらに乳幼児から成人までの切れ目ない支援、この実施、この充実を図っていきたいというふうに考えております。
以上です。
○議長(藤澤進一 君) 森健康部長。
◎健康部長(森淳子 君) 議員さんがおっしゃるように、フレイルについてですけれども、高齢者の方が健康でいていただくために大切な概念であるというふうに思っておりまして、自分の状況を客観的に知って、それに対する予防を進めていく、それを私たちは広げていきたいと思っております。
これまでも、今年度、このためのリーフレット等をファミリーヘルスの方とか、なごみの家等、高齢者が大勢集まるようなところに置かせていただいているところでございますし、先ほどご紹介いただきました東京大学の指導を受けまして、なぎさのニュータウンでフレイルチェックというもののモデル実施をやっておりますけれども、これは今区民ニュースでやっているところですので、ぜひご覧いただければというふうに思っております。
また、来年度以降でございますけれども、区民の方が大勢受けていただいている六十五歳以上の国保健診、それから長寿健診、ここでチェックを活用していきたいというふうに思っておりますし、医師会の先生方の協力で、そこで気づいたフレイルについて、指導用のリーフレット等も配布していただくことになっております。
いずれにしましても、これが大きく介護予防につながって、それを継続することが大切であるということを、さらに周知してまいりたいと考えてございます。
以上です。
○議長(藤澤進一 君) 江副亮一君。
◆二十三番(江副亮一 君) それぞれご丁寧にご答弁いただきまして、ありがとうございます。
順を追ってお話をしていきたいと思います。
はじめに、平成三十年度予算編成に関しての、健全財政の堅持ということに対しての区長の思いをお聞かせいただきました。先ほど来から何度もお答えをいただいている部分ではあるんですけれども、やはり今、全ての施策を推し進めていく上で、江戸川区の健全財政、今までの行財政改革の結果であるこの健全財政を、これからも引き続き行っていくことが、区民の幸せに繋がっていくと私も考えておりますので、引き続きのご努力をよろしくお願いいたします。
また、基金に関しては、一部、国の税制改革の中で、基金残高の金額だけを見て、東京バッシングに繋がるような議論なども見受けられる昨今でございますが、これは必要なお金であるということを、区民一人ひとりにも理解していただき、さらには、国のほうにも一層働きかけていただきたいということを要望いたします。
続いて、江戸川区発達相談・支援センターに関してでございますが、こちらは初めての施設ということで、今までの療育の部分と相談の部分を一緒に一つの施設でやっていくということだと思うんですが、これは、さらに地域支援も、このセンターの中では、相談支援や保育所等への訪問支援というような形で、今後行っていくと思うんですけれども、直接出向いて行っての相談というのは、場所も受け入れられる人数というのも限られてくると思うので、これから重要になってくると思います。
そして、既に育成室で療育は進められていて、そこでは相談ももちろん受けているところではあるんですけれども、今後、この発達相談支援センターの設置以降、地域支援の特性を鑑みると、江戸川区内に同様の取組みができるものを、さらに一カ所だけでなく増やしていくという場合には、育成室の機能の拡張というものも、今後の検討課題として、ぜひ要望したいと思います。
そして、大人の発達障がいの相談ということで、今回、この発達相談・支援センターでは、ライフステージを通しての支援が行われるということですけれども、子どもたちに対する発達障がいの相談・支援というものは、十年前と比べても目をみはるような充実ぐあいがあると私たちも考えています。しかしながら、一方、大人の発達障がいといいますと、なかなか世間的にも、まだ社会全体で大人の発達障がいに対する理解や受け入れがいまだ不十分でもありまして、大人の発達障がいに対する相談・支援についても、今後の強化を期待しております。
次に、長期化するひきこもり対策につきましては、やはりひきこもり当事者が高齢化することによって生じる様々な問題は、非常に深刻であるというふうに考えております。既に長期間ひきこもりを続けている方々は高齢化もしており、早急な支援や対策が必要となってきます。今回、ニートやSNEPといった既にひきこもり状態にある可能性の高い方の話も少し質問の中で触れたんですけれども、SNEPという新しい概念、特に社会的な繋がりを絶って孤立をしていく可能性も非常に高いので、ここの方々に対する支援も今後は重要になってくると考えております。
最後に、フレイル予防に関してですが、私も、ちょうど二月二十日号の区民ニュースをインターネット上で見させていただきました。この気づきに対する部分からまず最初に入っていて、こういうことに当てはまる方はフレイルかもしれませんというようなところで、その後の予防といいますか、その話に繋がっていくという、非常にわかりやすいつくりになっていたなという感想を持っています。
ただ、このフレイルに関してなんですけれども、メタボリックシンドローム、いわゆるメタボなんかは今、既に多くの方々が正しく認識をして、メタボ対策というものが既に多く進められているんですけれども、同様に、このフレイルという新たな概念を、様々な場面を通して、先ほどおっしゃっていたような健康診断でのチェック項目を設けるなども、非常に有効であると思います。
それで、またフレイルに対する気づき、予防の観点からも、熟年者の方々が社会でますます活躍していただくということがやはり重要だと私も考えておりまして、その土台づくりというものを、様々な施策の観点でこれからも取り組んでいただきたいと思います。
今回は、全体を通して、希薄化する人と人の関わり合いを背景に、起こり得る問題や課題に関して取り上げさせていただきました。この地域力を最大の魅力とする江戸川区だからこその取組みが今後もできると考えております。やはり最悪のケースというものを想定して、地域の中で人と人のあたたかい関わり合いの中で、これらの問題が解決に向かっていくことを、私たちも一緒になって取り組んでいきたいと思っておりますので、今後もどうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○議長(藤澤進一 君) この際、議事の都合により、あらかじめ会議時間を延長します。
次に、三十四番、瀨端 勇君。
〔三十四番 瀨端 勇君登壇〕
◆三十四番(瀨端勇 君) 私は、日本共産党を代表して質問します。区長の誠意ある答弁を求めます。
はじめに、連日の平昌オリンピックが、文字通り世界の平和の祭典として、選手たちの活躍に強い感動を覚えるとともに、心からエールを送りたいと思います。
まず、平和憲法と核兵器禁止条約について質問します。
今年は、日本国憲法にとって正念場の年になろうとしています。安倍首相は、年頭の記者会見を通じ、「今年こそ憲法のあるべき姿を示す」と述べ、年内の国会で憲法改定を発議するとしています。
自民党の主な改憲案は、現在の憲法第九条の一項、二項に、三項を加え、自衛隊を明記するというものです。ただし、加えられる自衛隊は、災害救助や人命救助で活躍する自衛隊ではありません。三年前の国会で成立した集団的自衛権行使を容認し、日本が攻められていなくてもアメリカと一体に、海外で武力を行使する安保法制イコール戦争法に基づく国の軍隊としての自衛隊です。
「新法は旧法を改廃する」は、ローマ法以来の法の常識です。三項に自衛隊が明記されれば、二項の戦力不保持や国の交戦権の否認は、死文化・空文化されます。これまでの戦争の歯止めがなくなり、海外での武力行使に道を開き、無制限になります。
去る一月二十六日、逝去された野中広務自民党元幹事長は、「戦争に行って生きて帰ってきた人間は、再び戦争になるような道は歩むべきではない」と、憲法九条の改定に反対されていました。また、河野洋平元衆議院議長は、一月の共同通信の研究会の講演で、「国民から憲法改正を求める声はない」「第二次大戦の尊い犠牲の上に成り立った憲法九条は国民の理想」と述べました。こうした自民党重鎮の声は、現在の多くの国民の危惧を代弁しています。
近代憲法は、国が権力を行使する際に、憲法に拘束されるという立憲主義を原理とし、広辞苑によれば、立憲主義とは「憲法を制定し、それに従って統治するという政治のあり方。この場合の憲法とは、人権の保障を宣言し、権力分立を原理とする統治機構」としています。つまり、憲法が権力を拘束するという立憲主義に基づき、憲法第九条は、戦争をさせないため、「国家権力を制限し」、「権力の濫用を防ぐ」最も重要な条文と言えるのではないでしょうか。
昨年第二回定例会で、区長は、他会派の同僚議員の質問に、「憲法改正の議論について特段の異論はない」という趣旨の答弁をされました。また、同じ定例会での私の「戦争と憲法九条」についての再質問に対し、区長は「戦争を肯定することはできません」としながら、「平和を実際に維持する活動には・・日米同盟も必須の条件になってくる」という趣旨の答弁をされました。
一方、昨年第三回定例会での、わが党同僚議員による「ヒバクシャ国際署名」についての質問に対して、区長は、「極めて意義ある署名」と、ご自身も署名されたと答え、区役所庁内にも署名が回されました。先日の江戸川区のヒバクシャ団体である「親江会」の新年会では、会長が「江戸川区から五千筆の署名が寄せられた」とおっしゃっていました。
昨年の定例会でも明らかにしたように、この「ヒバクシャ国際署名」は、昨年七月の国連総会で、百二十二カ国の賛同を得て採択された「核兵器禁止条約」を推進し、核兵器の廃絶を求める国際署名です。そして、この「条約」の採択を推進した核兵器廃絶国際キャンペーン「ICAN」のノーベル平和賞の受賞と、授賞式での被爆者のスピーチ、被爆者とローマ法王との会見など、被爆者を先頭とする市民社会の役割が国際的にも高く評価されました。
そうした中で、日本政府は、「核兵器禁止条約」に反対し、核兵器大国に追随する姿勢を示しており、先日の「ICAN」の事務局長の来日の際に、政府代表が会おうともしなかったことは、極めて残念な態度と言わざるを得ません。
第一の質問は、区長は「憲法は権力を制限」し、「権力の濫用を防ぐ」、つまり「憲法は権力を縛る」という立憲主義について、どのようにお考えですか。
第二に、昨年の第二回定例会の答弁では、「憲法改正の議論に特段異論はない」とか日米同盟の役割について述べられていました。区長は、憲法改定なかんずく第九条の改定に賛成ですか。現段階で、憲法第九条についてどのようにお考えか、端的にお答えください。
第三の質問は、「ヒバクシャ国際署名」に、「意義ある署名」と賛同された区長は、被爆者の方々が熱望する「核兵器禁止条約」についてどう考えるか、またこれに反対する政府の態度については、どのようにお考えですか。答弁を求めます。
次に、住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法について質問します。
昨年六月、「住宅宿泊事業法」、いわゆる「民泊」新法が成立しました。この法は、住宅を利用して宿泊させる事業を新たに認めるものです。これまでは、宿泊業は旅館業法で、保健衛生や安全確保などの基準に適合し、許可されたものに限定されていました。ところが、新法では、民泊に活用できる住宅の年間提供日数の上限は百八十日と定めましたが、届け出さえすれば、民泊の営業を認めることを基本原則としました。
日本共産党は、宿泊は基本的に旅館業法に基づいて、宿泊者や周辺住民などの安心・安全を確保することが必要であり、この法による規制緩和は、それらを脅かしかねないものとして、反対しました。
民泊新法では、自治体の権限として民泊事業者に対して、必要に応じて業務改善命令や業務停止、立入検査等を可能としました。さらに、住宅宿泊事業法第十八条で、騒音の発生やごみ処理をはじめ、犯罪・災害などの事象による生活環境の悪化防止のため、合理的に必要と認められる限度において、地方自治体が独自に条例により区域を定めて、住宅宿泊業を実施する期間の制限を可能としました。
三月十五日から、住宅宿泊事業者の区への届け出が始まり、六月十五日から施行されるという切迫した状況の中で、都内二十三区では、法に基づいて独自に民泊営業を規制する方針を固めている区が相次いでいます。
一月二十六日付「都政新報」によれば、十八区が条例化により独自規制を行う方針と報道されています。「民泊独自規制」「国が警戒、二十三区は困惑」という見出しを付けたこの記事では、十七区が民泊営業に住居専用地域など営業できない区域の規制と、月曜日から金曜日の平日の禁止など営業日の規制を設け、残る一区も規制の方向で検討中としています。
国家戦略特区制度に基づく「特区民泊」を進めている大田区では、新法で解禁される民泊に関しては、住居専用地域・工業地域・工業専用地域での営業を全面禁止する「ゼロ日規制」を採用しました。四千件を超える不法民泊が存在する新宿区では、住民から要望の強かった民泊を営む事業者の名称や、連絡先の公表などのルールを盛り込んだ条例としました。
独自規制を条例化した多くの区は、区内全域か住居専用地域などの月曜日から金曜日までの平日の営業を禁止するなど、住環境への影響を配慮する規制を設けています。
同記事の中では、「民泊普及をめざす国と、住民生活への影響を懸念する各区で、考え方の隔たりが浮き彫りになっている」と報じています。この中で、江戸川区をはじめ四区が「規制を行わない考えを固め」、一区が「規制を行わない方向が濃厚」とされています。
江戸川区では、「新年度の予算編成について」の説明の中で、住宅宿泊事業(民泊)の監視指導を新規事業として位置付けていますが、区独自の条例による規制を設ける考えはないとのことでした。しかし、先の報道にもある通り、これまでの旅館業法に基づく許可もない違法民泊などによる住環境への影響から住民生活を守るために、最も身近な自治体である区が、「合理的に必要と認められる限度において」、独自に条例などを設けるのは当然のことではないでしょうか。それは、地方自治法に待つまでもなく、「住民福祉の増進」を目的とする地方自治体としての責務とも言えるのではないでしょうか。
江戸川区の説明によれば、世界最大手の住宅宿泊仲介事業者であるエアービーアンドビーの仲介物件だけでも、区内には約二百件の物件があり、近隣などからの苦情もあるとのことでした。今後、二〇二〇年に向けて、大手不動産業者などをはじめ、民泊事業を請け負う業者の宣伝広告もインターネット上などにあふれており、一気に民泊事業が拡大することも予測されます。
そこで、区長に質問します。第一に、新たに施行される住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法に対する区としての基本的な方針をお尋ねします。
第二に、民泊施設や周辺環境などの調査を行う必要があると考えますが、いかがでしょうか。
第三に、区として、少なくとも旅館業法で禁じられている住居専用地域などでの営業や平日の営業などは、独自に規制する条例を検討すべきと考えますが、いかでしょうか。
以上で、私の第一回目の質問を終わります。
○議長(藤澤進一 君) 多田区長。
〔区長 多田正見君登壇〕
◎区長(多田正見 君) お答えをいたします。
憲法問題でありますけれども、憲法が国家権力を制限するという役割を持っていることは確かでありますけれども、一方では、憲法は、国民の権利でありますとか自由とか、あるいは公共の福祉というものをしっかりと保障しなければなりませんので、そういった事柄を両立させる思想として生まれているものであると思っておりますので、そのように理解をしております。
それから、二点目の憲法改正については、憲法改正というのは憲法自体で予測していることでもありますので、これは国民の合意をもって、絶対にできないというものではないというふうに理解をしておりますので、そうしたこととして、憲法改正もあり得ることだとは思っております。
それから、特に九条の問題でありますけれども、九条については、これは大いに議論が必要でありまして、もともと九条でなくても憲法改正ということ自体に対しては、国民の合意が必要でありますから、これをどのように得ていくかということについて、特に九条についてはいろいろな意見があると思いますけれども、これはそうしたこととして大いに議論を進めていただきまして、その中からやはり結論を導き出すものだとそういうふうに理解をしております。そのことを望んでいるということであります。
それから、三番目に、核兵器の廃絶の禁止条約でありますけれども、これは多くの国が採択をし、批准をしていることでありますから、これはないほうがいいに決まっております。ですから、第一義的にはそういうことでありますが、今、日本政府はこれに不参加であります。したがって批准もしておりません。
私は、唯一の被爆国でありますから、通常考えれば、当然、核兵器の廃絶は賛成すべきことでなければならないとは思いますけれども、ただ、政府がとっております態度については、政府は今、国際的な核の状況を見るときに、これを直ちに地球上から廃絶をするということについてのそうしたあり方については、非常に現実的でないという、そういう立場をとっているというふうに思っておりますので、私は政府の立場はそういうこととして一応理解をしておると、こういうことでございます。以上です。
それから、今度は、もう一つ、民泊の問題です。
私どもとしては、今、民泊の問題を規制するということは考えておりません。民泊は、適正に運用されれば、決していけないものであるというわけには、そういうふう決めつけるわけにはいきません。
民泊の問題は、各区によって相当な事情が違うと思いますけれども、私ども江戸川区としては、独自のガイドラインを策定いたしまして、これによって民泊の普及や届出・手続、あるいは指導を、どうあるべきかということをきちんと決めていきたいと、そのように思っておるところであります。条例を制定するつもりはございません。
民泊の施設や周辺環境の調査ということについてお尋ねでございます。
こうしたことは、当然調査をしていかなければなりませんので、そうしたことも適正に実施をしていきたいと、そういうふうに考えております。
○議長(藤澤進一 君) 瀨端 勇君。
◆三十四番(瀨端勇 君) 一通りご丁寧に区長からご答弁いただきまして、ありがとうございます。
一番目の問題は、立憲主義とか憲法改定の問題もいろいろあるんですけれども、大体いつも、大体基本的に同じようなお答えですので、今日はあえて、昨年、ヒバクシャ国際署名に区長が署名された。「極めて意義ある署名」と、区全職員にも回されて、私が聞いたところでは、先ほど申しましたように、親江会の会長は、五千筆、江戸川区から寄せていただいたと、大変感謝しておりました。
このヒバクシャ国際署名は、先ほど区長もおっしゃったのかわかりませんけど、核兵器禁止条約とか核兵器廃絶を目的にしている署名なんですね。よく読んでいただいて署名されたことと思うんですけども、その署名をされた区長が、政府の言っていることもわかるというのは、どういうお答えだったか、私は違った認識があるかもわからないけど。はっきりと署名をされた区長の立場としては、核兵器禁止条約の推進とか核兵器廃絶を求められる、そういう立場を鮮明にされるべきなんじゃないでしょうか。そういうための署名として区長は署名に応じられたのではないかというふうに思うわけです。
これは関係ないかもしれないけど、今回は憲法九条の問題と核兵器の問題をお尋ねしました。私はこれを象徴する事実として、例えば国連憲章と憲法九条、これはどうなっているかということを、象徴する事態として多くの憲法学者の方も言っていますけども、国連憲章が制定されたのは一九四五年六月でした。それに対して、憲法九条、日本国憲法が公布されたのが一九四六年十一月でした。その日付の間に何が歴史的な事件としてあったのか。これは当然、一九四五年八月六日の広島、八月九日の長崎への原爆投下です。ヒバクシャ国際署名の中にも、人間の頭の上に原爆が投下されたら人間はどうなってしまうかということが、非常にリアルに描かれていました。真っ黒こげになった屍とか、ずるむけになった皮膚をたらして本当に生き地獄だったと、七十年を超えてもなおかつ後障害に苦しんでいると。こんな生き地獄を繰り返すことはもうとんでもないと、絶対に繰り返さないでほしいということで、国際署名が訴えられているわけですけども。
国連憲章が、例外的に武力の行使を認めるような安全保障とか集団的自衛権を認めていますけども、その一方で、憲法九条が戦力を持たないと、交戦権は否認すると、世界に例のない憲法を九条に掲げたということは、多くの憲法学者が言っているとおり、私もそこには広島・長崎の原爆の被害、被ばくを受けたという、区長もさっきおっしゃいましたけど、世界唯一の被爆国であるということが、大きく影響していると思うんですね。
そういう点からして、ヒバクシャ国際署名に賛同され、「極めて意義ある署名」とおっしゃった区長として、やはり核兵器禁止条約について、国に対してもこれを求めて、迫っていっていただきたいというふうに強く思うんですけども、その点はどうかということが一つです。
それから、民泊新法の問題なんですけども、これ一つは、区長会が去年一月と二月に、二回にわたって区長会が要望書を出されていますよね。二月三日でしたか、住宅宿泊事業法案について特別区の権限を求める要請では、特別区は地域の実情に応じて、日数・期間制限や住居専用地域等に関する条例について、制定できるよう権限を与えることが求められています。区長会のこの要請と、江戸川区の態度との関係、これはどうなっているのか。このことを私はもう一回確認させていただきたいなというふうに思うんですね。
実態の調査はしていただくということなんですけども、私たちも部分的にですけども聞いているところでは、住民の方々のいろいろな不安や苦情と言いますか、そういう声もお聞きしています。これは、少なくても区として旅館業法で禁止されているわけですから、住居専用地域とか、それから平日はせめて営業を規制しようじゃないかというのが、大半の区の姿勢でそういう条例化しているわけでしょう。区長会もそれを要望されたと。にもかかわらず、江戸川区がそれをあえてされない根拠、住居専用地域でも平日の営業でもやっていいよという、どういう理由と根拠があるのか、江戸川区は。区長会で要望したのにね。その理由をお聞きできたらと思います。お願いします。
○議長(藤澤進一 君) 多田区長。
◎区長(多田正見 君) 一点目の核兵器の廃絶の問題でありますが、日本政府は、毎年国連に決議を出しているんでありますけれども、核兵器廃絶のための決議案を毎年、これは国連に提出をしております。そういうことが一つの日本政府としての意思の表示であると思いますけれども、一方では、廃絶条約に、いわゆる採択をしない、あるいは批准をしないということは矛盾ではないかというふうに思われると思いますけれども、確かにそういう面があろうかと思います。
核廃絶をしなければいけないということについて、根本的には私どももそうしなければならないと思っております。ですから、日本政府自体も、何か矛盾を感じられるようなことがないではないというふうに思いますけども、しかし、日本政府が今この条約に対して持っておる姿勢というのは、考え方というものは、さっき申し上げましたように、そうは言ってみても、結局、昨今の国際情勢、あるいは世界の核の状況を見た上で、これをなくせということを言い切るということはできないという、そういう立場をとっているというふうに私は理解をしていると、そういうことを申し上げているところであります。
それから、民泊の問題でありますけども、さっき区長会のことをおっしゃいましたけど、区長会では確かにそういう要望をしております。それは、つまり特別区が状況に応じてそういうことを規制できるというそういう権限をくださいと、そういうことを言っておるのでありまして、権限を得ることと、その権限を行使するかどうかということは別問題でありますので。
そういう意味で、私どもは、今これを規制をしていくという考えがないということは、私どもの区の特性を見まして、そういう場面を今想定することができないので、今のところはガイドラインを設けて、これによって適正な運用をしてもらうということを前提にやっていると、こういうことでありますので、その点は別に矛盾ではないと、そういうふうに思っております。
○議長(藤澤進一 君) 瀨端 勇君。
◆三十四番(瀨端勇 君) 核兵器禁止条約の問題については、区長も国連に政府が提出したとおっしゃっていましたけど、世界から不評を買うような今年の政府案の提出には、非常に失望を感じられるような、核兵器禁止条約に一言も触れないというようなものでした。国際情勢とか北朝鮮の核開発のことを指していらっしゃると思いますけども、やっぱり抑止力として核兵器を、平和のために抑止力としていろいろ活用するというような概念、理論、政策もあるかもわかりませんけども、抑止力として使う抑止力論というのが、これは私どもも強調していますけど、いずれ、これは使うぞという脅しですよね。いずれ使うぞといって、使ったらどうなるのかと。使うようなことは絶対にごめんだと、やめてくれと、生き地獄だということを被爆者の方々が繰り返していらっしゃることを、この熱い思いで、これは世界に認められている、ローマ法王まで会見されていますから、世界の圧倒的多数ですよ、被爆者のおっしゃっていることを支持する声というのは。北朝鮮の核兵器開発をやめさせることも含めて、核兵器禁止条約は必要でしょう。廃絶をさせなきゃだめですよ。そういう立場にぜひ立っていただきたいということと。
それから、民泊の問題では、ガイドラインとおっしゃるんだけど、ガイドラインって区独自ですか、全く。ガイドラインは国交省や厚労省が、国がガイドラインを設定しています。相当膨大な、何十ページにわたるガイドラインがあります。江戸川区は、この間、広報えどがわでガイドラインを発表しましたけど、全部見ましたけど、何か独自のものがありますか。国のガイドラインじゃないですか。国のガイドラインを要約しているような内容だと、私は理解しました。
それから、さっきちょっと言いましたけど、ある駅近くの分譲マンションでは、住宅の四割から五割近くが既に分譲マンションなんだけど賃貸になっていて、そのうち四割近くを特定の方が所有しているということで、既に民泊による住環境の影響に、そのマンションでは不安が強められていると。それからある閑静な住宅街で近くに民泊の不安を持つある住民は、「学校への子どもたちの通学路であり、最近、学校からの不審者メールも増えたと。今回の大阪の事件のようにあのスーツケースなら、子どもが入ってもわからないと思ってしまう。」というふうに述べてらっしゃる方もおられるんですね。
そういう点からすると、周辺住民の安心はもちろん、旅行者にとっても心地よく滞在するためにも、先に述べたような最小限の規制を、やはり民泊の条例化というか、区としての独自の規制を設けることは必要じゃないかというふうに思うんですけど、もう一回お答えいただきたいと思います。
○議長(藤澤進一 君) 多田区長。
◎区長(多田正見 君) 先ほどお答えしたとおりです。
○議長(藤澤進一 君) 次に、十一番、笹本ひさし君。
〔十一番 笹本ひさし君登壇〕
◆十一番(笹本ひさし 君) 質問に先立ち、一月二十二日、急逝されました西原博史早稲田大学教授に対しまして、謹んで哀悼の意を表します。西原教授のご専門は憲法学ですが、子どもの自主性を尊重し育む子ども未来館の理念に共鳴をされ、小学生向けの法律ゼミを子ども未来館で開講され、本区の児童育成に大変ご尽力をされました。また昨年の区長との新春対談におきましても、創造力と探求心を育み、子どもたちの未来を拓くと難解な法律を身近に解説いただきました。奇しくも一月二十二日は、子ども未来館の子どもたちを引率し、模擬裁判などを体験、みんなで記念写真を撮られた数時間後の出来事であったと伺い、誠に残念でなりません。先生が生前深くご研究をされた「良心の自由」について考え、自ら考え、言葉で表現する大切さを子どもたちは学んでいくことだと思います。
○議長(藤澤進一 君) 斉藤福祉部長。
◎福祉部長(斉藤猛 君) 医療的ケア児のご質問ですけれども、ご質問にもありましたとおり、医療的ケア児、人工呼吸器だとか、痰の吸引とか、日常生活を営むのに常に医療を必要とする状態にある障害児、お話にもありましたけれども、歩ける医療的ケア児から知的障害や肢体不自由が重複して、寝たきりの状態の医療的ケア児まで個人によって大きく状況が異なっております。そのため、一定の一律のサービスで、対応するというのは、なかなか難しい実態がございます。
そういった医療的ケア児、一般的にはご家族としては、介護や見守りのための時間的な拘束、また、家族自らが痰の吸引や胃ろうの対応など、医療的なケアを実施しなければいけない部分、また通院の問題、経済的な問題、様々な負担がございます。そういった中で、区として何をやっているかということなんですけれども、ひとつはやはり施設整備ということかと思うんですけれども、これ、実はこういった方へ対応する通所施設が江戸川区に昨年度まではございませんでした。ただ、二十九年の四月一日に松島で一つでき、また、十二月一日には葛西ででき、そして三十年四月一日には篠崎でできます。そういった施設整備の拡充も今図っているところです。
また、ご家族の負担の軽減を図るために、在宅、自宅に看護師を派遣いたしまして、家族に代わって一定の時間、ケアを代替するレスパイト事業、これも三十年一月から医療的ケア児に範囲を拡大をしております。また、保健所でも相談支援、訪問診療、訪問介護の調整、また、訪問事業なども行っているところでございます。
区内で私どもが把握している医療的ケア児は七十一名ということでございますが、安心して医療的ケア児もご家族も暮らしていただけますように、保険、医療、障害福祉、保育、教育等の関係部署とさらなる連携を図りまして、個別的な支援、そして重層的なサービスを提供できる体制づくりに努めてまいりたいと思っております。
以上です。
○議長(藤澤進一 君) 新村都市開発部長。
◎都市開発部長(新村義彦 君) 京成小岩のまちづくりについてということでございますけれども、ご案内のようにかねてからご質問にもありましたような、まちの課題が多々ありまして、どのように解消をしていくかということでございますけれども、一つには京成本線の立体化事業と一緒に区のまちづくり事業を進めなければ、抜本的な解決には至らないということでございます。
それで、ご案内のように西方にあります京成の立石の区間が二年ほど前から工事に着手しまして、いよいよ本格化してまいりました。東京都も次なる当該区間の着工に向けて、去年から改めて測量に入ったり、基本的な設計に着手しておりますので、これをまず東京都に対しては、より進めていただくということです。
それから、区としては、例えば駅前広場をどこにつくるかとか、立体化したときに、どこを道路で抜くとか、これはまち側の問題ですので、改めて昨年から地域の方々に勉強会をリスタートしていただきまして、今、そこを詰めております。今後の目標としては、来年度三十年度中に、このまちづくりの具体的な計画を案として固めて、これをもって東京都に対しても早期の連立事業の事業化を働きかけまして、一体的にまちの再生を進めたいと、こう考えております。
以上でございます。
○議長(藤澤進一 君) 石塚文化共育部長。
◎文化共育部長(石塚幸治 君) スポーツ振興についての観点から二点ご質問があったかというふうに思います。
一点目は、二〇一九年のラグビーワールドカップが日本で開催される際に、世界のトップ選手を区民の皆さんが見られる機会をつくってはいかがかというようなご提案のご質問かというふうに存じます。このラグビーワールドカップの開催が日本で行われるということは、本当に好機でありまして、スポーツへの関心が高まるスポーツ振興の好機であるというふうに思っています。
先日もご案内かと思いますけれども、オール明治とシドニー大学の国際交流の親善試合を陸上競技場に誘致してまいりました。これはワールドカップの組織委員会に働きかけまして、二〇一九年に向けての気運醸成のイベントの一つを陸上競技場にもってきまして、区内の中学生、小学生と交流の場をもったというところでございます。
この時に、ワールドカップの組織委員会との話の中で、ご提案にありましたような、本番のときに、大会期間中に区民の皆さんが参加国のトップ選手と交流を持てる可能性はあるかというようなお話を提案させていただいたところなんですけれども、非常に困難であるというようなお話もいただいているところでありますけれども、先ほど申し上げたように、ワールドカップが日本で行われるというのは、スポーツ振興の好機でありますので、区のラグビーフットボール協会等の関係者と協働しまして、区民の皆さんに魅力ある場面を提供してまいりたいというふうに思っております。
もう一点目は、スポーツセンター等の大型の屋内施設でのプロボクシング等のスポーツイベントやコンサートが開催をしやすくできるように、予約の開始期間であるだとか、使用料の見直しをというようなご提案を踏まえてのご質問かというふうに思います。
お話にありましたように、大田区の体育館はイベントを優先の、いわゆる見せるスポーツを提供する、重視した施設であります。それに対しまして、本区のスポーツ施設は、区民の健康増進、スポーツをする施設としてつくり込み、コンセプトでやってまいりました。ですから、利用料金だとか、予約方法も区民利用優先という形になっておりまして、その施設稼働率はほぼ一〇〇%というのが現状でございます。見るスポーツの提供ということも区民スポーツの振興の大変な一助になるというふうには思いますけれども、稼働率が大変高い現況では、興行等を優先させると、区民利用に多大な影響が生じるというふうなことが推測されますので、ご提案の趣旨は今後の研究課題とさせていただきたいというふうに今存じております。
以上でございます。
○議長(藤澤進一 君) 笹本ひさし君。
◆十一番(笹本ひさし 君) 答弁、多岐にわたっていただきまして、ありがとうございました。少し補足をさせていただきたいと思います。
区政運営に関しましては、我々もそうなんですが、任期云々ということではなく、予断を持たず、懸命に取り組んでいくというふうに理解しておりますので、これは一緒にともに力を合わせていくことかなというふうに理解をしております。
それから、オリンピック・パラリンピックに向け「おもてなし」ということですけれども、今日は言いませんでしたけれども、やはり健康な街だとか、きれいな街だとかということは、おもてなしをする上で非常に大切だと思います。区民の皆様からの問い合わせには、やっぱりたばこの歩行喫煙の問題ですとか、投げ捨てポイ捨ての問題というのは、やっぱり結構大きいのかなというふうに思います。公共施設の喫煙も大変これは重要な問題になっていますので、ここらも含めておもてなしということについて、区民の皆様と一緒に考えていくことかなというふうに考えております。
あと観光振興なんですが、同僚議員からも同様の提案もございました。これは伝統工芸なんかもPRする絶好のチャンスだということも含めまして、いわゆるご当地のシティプロモーションということにも繋がると思いますので、観光課という言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、誇れるものを積極的にアピールしていくという姿勢は変わらずやっていくことだなというふうに思います。
幼児教育無償化、区長のおっしゃるとおりかなというふうには思いますけれども、個人的にはちょっといろいろ意見はあるでしょうけれども、どうしても幼児教育の無償化というのは、保育も含めてしまって、非常にポピュリズム感を感じているわけです。真の子育て施策なのかなということでちょっと疑問があるんですが、障がいのある子どもさんの保育環境だとか、病気のときや祖父母の介護など、どうしても保育が必要なとき、あるいは夜間など整備していくべき保育環境が多いというふうには思っているわけです。国の動向を注視するという前提は当然だとは思いますが、消費税を財源にするなどと、極めていびつな不安定とも言える制度には、現状は懐疑的にならざるを得ないというのが私の意見です。
それから、地域包括ケアに関しましては、先ほども言いました、団塊世代が数年後に七十五歳、後期高齢者を迎えてくるという状況の中で、施設に入所して、介護するというのは、もう限界を既に超えているという状況の中で、この多死社会を迎える今、在宅介護で看取りまでやっていくということを、どうやって多職種が連携していくかということを、なごみの家が支えていくんだろうなというふうに考えております。
非常にこれは初めての経験なので、重い課題だとは思いますけれども、ぜひこの地域包括ケアという、なごみの家をぜひ理解をしていただくということが、これから拠点展開をしていくということで大変重要だと思います。ややもすると、さっきも言いましたが、ちょっと理念がまだまだ浸透し切っていないなという印象を個人的には思っておりますので、そういう部分も含めて、特養に入れないとか、特養をどんどんつくってくださいとかという話ではなくて、この話はその場でできる場合もあるのかなというふうに考えております。
国保料の独自保険料の設定というのは、先ほども言いましたけど、持続的にどうやってこの制度を維持するかという、その一点だと思います。これから高齢化が進んで病状の重症化ということも考えれば、ますます財政基盤が危惧されるということを考えると、やはり区長が先ほど言われたということには理解をしたいというふうに思います。
あと、京成小岩の周辺のことに関してなんですが、既に地域の、例えば町会の役員とか商店街の方とか呼んでいろいろやっていると思いますけれども、個人的に思うんですが、先ほど言いました若い世代も増えております。紙媒体と集会所でやる説明会には、現役世代や新しい地域に来た方というのは、なかなか来ないんです。だから、情報をしっかり公開することがまちづくりの近道だと思いますので、そこらの情報公開をしっかりしていただきたいと思います。
最後に、道徳について触れさせていただきたいと思います。教科になったという前提をやっぱりみんなが理解していくということも必要です。道徳は今まで授業から教科化された背景とかいきさつをどのように捉え、指導する教員が理解をしているのか、教員はもちろん保護者、我々区民も理解を深めなくてはならないというふうに感じております。
昨年、「教育勅語には親孝行など良いことも書いてある」との議論の際に、個人よりも家や家長が優先され、尊重されていた歴史的背景から切り離された議論が意味をなさず、教育勅語を評価する議員の無知と、歴史を認識しながらそのような言動をしているとしたら、民主主義社会の政治家として資質が疑われる、と子ども未来館で憲法学を教えていた西原博史教授は大変憤ったというふうなことが一昨日の朝日新聞に載っておりました。子ども未来館で良心の自由と表現の自由がぶつかったときに、いかにしてそれぞれが折り合いをつけるか、ということを多数派のサルと少数派のウサギにして、「サル山共和国」の子ども劇にして学んだといいます。決して学者の押し付けではなく、お互いを尊重しながらみんなが幸せに暮らしていけるか自ら考えること。道徳の教科化が規範意識や価値観の押し付けではなく、自ら考え、道徳心、相手を理解できる心を育むこととしております。
多文化共生社会、多民族社会というふうになっていきますので、ぜひ江戸川区の子どもたちに生きる力ということで、道徳をこれから学んでいただきたいというふうに思います。
以上で質問を終わります。
○議長(藤澤進一 君) 以上で本日の日程は全て終了しました。
次回は、明日、二十三日午後一時から本会議を開きます。
本日は以上で散会します。
午後四時五十二散会...