そして、野田政権においても、
消費税増税をめぐって
小沢グループが離党して
民主党そのものが分裂、昨年十二月の総選挙で、民主党は歴史的大敗を喫して、三年四カ月に及ぶ
民主党政権は終息を迎えたのでした。
総選挙後、誕生した安倍内閣のもとでの経済の復興はご存じのとおりですが、この間の経済の復活を裏づけるように、内閣府が去る五月十六日に発表した今年一月から三月までの国内総
生産GDPは、十二月期と比較して〇・九%の増加、年率換算で三・五%の増加となりました。その内容を見ると、国内需要がプラス〇・五ポイント、外需がプラス〇・四ポイントであり、個人消費の堅調な推移に加えて、輸出が増加に転じたことにより、経済回復の兆しが見えてきました。
また、五月二十日の
月例経済報告でも、「景気は緩やかに持ち直している」とし、景気判断を二カ月ぶりに上方修正しています。物価に関しても「緩やかな
デフレ状況にあるものの、このところ一部に変化の兆しが見られる」と指摘し、
デフレ脱却の期待感を感じさせます。
甘利
明経済再生担当大臣の言葉をかりれば、「異次元の政策導入による異次元の景気回復への歩みが始まった。日本の景気はV字回復している」とのことで、私たちが長く待ち望んでいた局面が近づいてきていることをうかがわせてくれます。仮に一ドル百円が定着すれば、トヨタの営業利益は二千億円、日産は一千億円、ホンダは八百五十億円の増益が見込めると言われており、輸出産業を中心とした産業の復活が期待できます。企業業績が回復すれば法人税が増収となり、
市町村民税法人分も増加、結果として
財政調整交付金が増えることも想定されます。
また、今春闘でも
自動車メーカーを中心にして、一時金の満額回答や昨年実績を上回る回答が続々と出されるなど、賃上げにもよい影響をもたらし、ひいては需要増・供給増へとつながって、さらなる
企業業績回復へと続き、
デフレ脱却・安定成長の見通しが開けてきたと言えるのではないでしょうか。
このまま景気が回復に向かい、長い不況から脱却できる日が来ることを待ち望むのは、私だけではなくて、全ての国民の願いであると思います。安倍政権の一層の施策展開に、大いに期待をするところです。
さて、質問に入ります。
日本経済は、今申し上げたとおり、回復への歩みを進めていますが、江戸川区の財政にその効果があらわれてくるのは、まだ時間を有することと思います。しかし、景気回復をもたらす江戸川区施策への期待は依然として強く、実効性・即効性のある施策が求められています。
平成二十五年度当初予算においては、二百十六事業の見直しを行って、五十二億円の財源を節約し、五年ぶりに
財政調整交付金の取り崩しを行わずに予算編成することができましたが、二十六年度予算編成においてはどのような見込みなのでしょう。税収回復が確実なものとならない限り、はっきりとした見込みが立たないことは想定できますが、さらなる対応が必要ではないでしょうか。例えば、二十五年度施策の見直しにおいては、
施設利用料を含む負担の見直しは限定的なものでしたが、適正な
受益者負担を求める余地はまだまだあるのではないでしょうか。
他自治体で見られるように、
認可保育所の充実を求める
異議申し立てが集団で提訴され、その対応を迫られるのであれば、乳幼児の保育には大きなコストがかかり、現行の保育料では賄い切れなくなる恐れがあることを知っていただく必要があります。もしそうならば、適切な
受益者負担となるような見直しをすることも、納税者全体から見ればごく当たり前のこととなります。
また、日ごろ地域の皆様が利用する区民館、
コミュニティ会館などは、江戸川区の特性である「よき
コミュニティ」の形成に役立っていることは十分理解できますが、使用料と公費投入のバランスが適切なものなのか、常に検証していくことが必要です。
折しも現在、施設の
あり方懇話会が開催され、協議が行われています。この協議の一つの項目として、
施設使用料の適正化を話題とし、現在の江戸川区の受益と負担のバランスが妥当なのかどうなのか、議論を尽くすことも実りあるものではないでしょうか。
そこで第一の質問ですが、二十六年度予算編成に向け、今後、使用料・手数料を含めた歳入の確保と適正な
受益者負担についての区長のお考えをお聞かせください。
次に、災害対策に関連して、三点お尋ねします。
昨日で
東日本大震災から二年三カ月が過ぎました。亡くなられた方のご冥福を改めてお祈りするとともに、災害への備えの必要性を一層感じております。
北小岩一丁目東部地区における
スーパー堤防と一体の
街づくり事業について、五月三十日をもって国と基本協定を取り交わし、ついに
共同事業開始の運びとなったことは喜ばしいことです。我が
区議会自由民主党としても、江戸川区における安心・
安全街づくりにとって、大きな、そして重要な一歩が踏み出せたものとして、大きな期待をもって受けとめています。
振り返ってみれば、ここに至るまで、この数年の事業を取り巻く政治状況は非常に困難なものであったと思います。冒頭申し上げた
民主党政権下では、「コンクリートから人へ」、これを旗印に、大型の公共事業は全てが無駄であるかのように取り扱われました。
スーパー堤防の事業しかり、八ッ場ダムしかり、本当に必要かどうかの議論もろくにされないまま、おのおのの事業が持つ意義、地元での経緯も考慮されることなく、先人が積み上げ、そして今を生きる我々も、将来に引き継いでいかなければならない国家の礎を築くような重要な事業が次々と頓挫していったことは、地元はもちろん、国民に大きな不安と混乱を引き起こしました。
水害の恐ろしさや治水の重要性を強く認識している我が
江戸川区民は、
事業仕分けで
スーパー堤防事業が一旦廃止とされた際には即座に反応し、実に十二万を超える署名をもって、
スーパー堤防事業などの壊れない強固な堤防整備を求める要望書を政府に提出し、治水に対する強い地元の思いを表明しました。
昨年末の政権交代後、現政権では
国土強靭化を重要な施策の柱の一つとして、重要な公共事業に対しては積極的な整備促進を図っています。国の今年度予算では、八ッ場ダムとともに北小岩一丁目東部地区における
スーパー堤防事業の予算も盛り込まれたということで、この数年間停滞していた事業がようやく動き出すことになります。
今回の区の補正予算にも、北小岩一丁目東部地区の皆様に移転していただく事業費が計上されました。地域の皆様にとっても大いに待ち望んだ一歩ではないでしょうか。まだ事業にご納得されていない方もいらっしゃるとはお聞きしますが、区の
防災性向上のため、区民の生命・財産を守るため、ぜひとも進めていかなければならない事業だと思います。本事業の今後の進め方、展望について、区長のご所見をお聞かせください。
次に、
帰宅困難者対策についてお伺いいたします。
平成二十三年三月十一日に発生した
東日本大震災では、首都圏において鉄道の多くが運行を停止したため、推計で五百十五万人の
帰宅困難者が発生しました。電話回線もほとんどつながらないため、家族の安否を確認できず、多くの方々が歩いて自宅に帰ろうとしたため、駅前や道路が大混乱になりました。江戸川区においても、千葉方面に向かう人や車が押し寄せて、市川橋、今井橋、浦安橋が大渋滞となり、深夜まで混乱が続きました。
このときの反省を踏まえ、二十四年三月に、東京都は
帰宅困難者対策条例を制定し、条例に基づく
帰宅困難者対策実施計画を策定、この四月から条例を施行いたしました。
この中で、
帰宅困難者対策のポイントとして、四点指摘がされています。一つ目が一斉帰宅の抑制、二つ目が、安否確認と情報収集の手段の確保、三つ目に一時滞在施設の確保、四つ目が帰宅支援です。このうち、一斉帰宅の抑制は、事業所の従業員がむやみに帰宅せず、事業所内にとどまることができるように三日分の水・食料の備蓄を求める内容になっています。努力義務ではありますが、全ての従業員に対し、水九リットル、主食九食、毛布一枚、そのほか衛生用品、衣料品なども備蓄することが必要とされております。また、一時滞在施設の確保では、買い物客や行楽客など行き場のない
帰宅困難者は、公的施設や
民間事業者の協力を仰いで収容に努めること、帰宅支援では徒歩で帰宅する方が街道で利用できるように、水やトイレなどの提供体制を整えていくという内容になっています。
この条例が施行されるに当たり、区としてどのようなことが可能なのか、私なりに考えてみましたが、いろいろ難しい局面が想定されるのではないかとの思いを新たにいたしました。例えば、従業員のための水や食料の備蓄については、その保管場所の確保や数年に一度の物資の入れかえなどの経済的問題、一時滞在施設の確保では、施設の特定と、やはり水や食料・毛布などの物資を備えておくことが必要になります。帰宅支援については、道路を歩いて帰宅する方々への支援ですから、街道の施設の中から適切な施設を選定しておく必要があるなど、行政の立場で
帰宅困難者対策を考えていくと、解決すべき課題がさまざまに浮かんできます。
そこで、四点お尋ねをいたします。第一に、区内業者に帰宅抑制の協力と、そのための備蓄をどのように求めていくのか。第二に、事業者として江戸川区が、従業員である職員のための帰宅抑制・備蓄をどう進めていくのか。第三に、
江戸川区内に一時滞在施設に適した施設があるのか。第四に、江戸川区としてできる
帰宅支援策にはどのようなものが想定できるのか。これもケース・バイ・ケースの対応とならざるを得ない要素を含んでおりますが、区長のお考えをお聞かせください。
次に、
液状化対策についてお伺いいたします。
東日本大震災では、お隣の浦安市で、液状化により大きな被害が発生しました。本区においても、清新町や臨海町の一部で液状化により被害が発生するなど、臨海部を持つ自治体にとって、
液状化対策は大きな課題として注目されるようになりました。
東京都は、昭和六十二年三月に「東京低地の
液状化予測」を発行、その後、多摩地区や港湾地域を含めた東京都全域での
液状化予測図を平成十八年三月に作成し、ホームページで公開してきました。さらに、平成七年一月の兵庫県南部地震や、平成二十三年三月の
東北地方太平洋沖地震の発生により、関東地方の沿岸部でも液状化によるインフラなどの被害が広範囲で見られ、
大都市災害における
液状化予測の必要性が改めて求められたため、東京都全域での
液状化予測図の見直しを行い、今年三月に発表しました。
その内容は、液状化について、「可能性の高い地域」「可能性のある地域」「可能性の低い地域」の三区分とし、予測図を作成しています。江戸川区の予測図を見ると、「可能性の高い地域」が全体の三四・九%、「可能性のある地域」が六三・四%、「可能性の低い地域」は一・七%しかありません。江戸川区のほとんど全域で液状化が発生し、何らかの被害が予測されることが明らかとなり、
東京湾北部地震の被害予測とあわせて、区民の関心が高まっていることと思います。
液状化対策については、個人で対策すればいいというものではなく、広い地域で面的に対策を講じることが重要であることは理解しておりますが、区としての
液状化対策への考え方、対処の方向性を示すことは、区民の安全・安心を考えると大切なことであると思います。今後、防災対策の一環として、
液状化対策にどのように取り組んでいかれるのか、区長のお考えをお聞かせください。
次に、船堀駅周辺地区の用地活用について、お伺いいたします。
現在、船堀駅北部では都営住宅の建て替えが進んでおります。昭和四十二年から四十七年にかけて建設された住宅の老朽化に伴い、順次高層化をして建て替え、転居する事業が進んでおります。船堀街道の西、
東船堀アパートは、北側が平成二十四年に完成し、南側が平成二十七年に完成する予定です。
この計画が進んでいくと、都営住宅の高層化に伴う建物の集約化により、活用できる土地が創出されることになると考えられます。船堀地区は江戸川区のほぼ中心に位置し、
都営新宿線が東西に通り、バス交通の便もよく、
タワーホール船堀もあるなど、恵まれた条件が多くあります。もしこの土地を区で取得することができれば、その活用の可能性が大きく広がります。仄聞するところによると、公共施設の
あり方懇話会においてもこの土地のことが話し合われたとのことで、長年の懸案解消への道筋が、徐々に開けてきたかなと感じております。
そこで、次の三点についてお尋ねします。第一に、
区役所本庁舎の船堀移転の可能性をどのように考えておられるのでしょうか。第二に、
区役所本庁舎が船堀に移転するとなると、現在の庁舎跡の活用をどのように考えておられるのでしょうか。第三に、船堀地区と中央地区、それぞれの土地活用に、PFIなど民間活力を導入した整備を想定しておられるのでしょうか。現時点では想定できない要素も多々あるかと思いますが、現在の区長のお考えをお聞かせください。
次に、
介護保険制度・
認知症対策について伺います。
はじめに、
介護保険制度についてお尋ねします。
介護保険制度は、昨年度、
地域包括ケアの推進を柱とする大きな改正がありました。
地域包括ケアとは、高齢者が身近な地域において、予防、介護、医療、住まい、生活支援のサービスが適切に提供される仕組みを構築するものですが、制度改正後一年余りを経た現時点において、当区の
地域包括ケア体制構築の現況と、今後取り組むべき課題についてご所見を伺います。
一方、国の
社会保障審議会介護保険部会では、次期の制度改正に向けた検討が始まりました。この中では、
社会保障制度改革国民会議の議論を踏まえて、幾つかの論点が示されました。主なものとして、①現世代の負担増・給付抑制によって、将来世代の負担増・給付減を緩和する視点が必要、
②一定所得以上の人に対する応分の
利用者負担とする、③軽度の高齢者は、見守り・配食などの生活支援が中心であることからも、要支援の給付範囲の適正化を図ることが必要であるなど、現在さまざまな議論が交わされています。
介護保険制度が継続・安定して運営されるために、いずれも避けて通れない課題と考えられますが、こうした議論に対して、現在、区としてどのような見解をお持ちなのか伺います。
次に、
認知症対策について伺います。
東京では、今後、急激な速さで高齢化が進みます。六十五歳以上の人口は、平成二十二年の二百六十八万人から、平成三十三年は三百二十二万人、平成五十二年には四百十二万人まで増加すると推計されています。ということは、平成五十二年は、平成二十二年の一・六倍となります。
高齢者人口の増加に伴い、
認知症高齢者の数も急増していきます。先日、厚生労働省の
調査研究班は、平成二十四年時点での全国の
認知症高齢者数を、これまでの推計数を百六十万人も上回る約四百六十二万人、またその予備軍も約四百万人と推計し、公表しました。
地域包括ケアの観点に立った
認知症対策は、今後、区としても最大限かつ最優先に取り組むべき課題だと言えると思います。
都では昨年から、一次
医療圏域ごとに
認知症疾患医療センターを指定し、
認知症高齢者を地域で支える取り組みが始まりました。
区東部圏域では、
順天堂東京江東高齢者医療センターが指定され、今年度から、
認知症高齢者の早期発見・早期診断への取り組みを開始すると伺っております。区として
認知症高齢者数をどのように推計しているのか、またこうした早期発見・早期診断への取り組みに、今後どのようにかかわっていくのかをお尋ねします。
認知症高齢者を地域で支えていくために、特に負担の大きい
家族介護者への支援策を充実していく必要があります。一緒に住み、生活をともにすることは、二十四時間勤務の仕事をしているようなものです。家族には
介護労働者と同じような権利がありません。休憩時間もなく、決まった勤労時間もなく、有給休暇もないのですから、そうした総合的な視点に立って支援できることが、介護者も、家族も、そして当人にとっても、ノーマルな住みなれた環境で生活を続けられることにつながるのではないでしょうか。
現在、区では、
地域支援事業として、二十四時間
介護電話相談、
介護者交流会の開催、
物忘れ相談事業なども積極的に行っていますが、今後はいま一歩踏み込んで、
家族介護者の負担を軽減するための、さまざまな社会資源を活用した支援策が必要と考えますが、ご所見を伺います。
以上で、第一回目の質問を終わります。(拍手)
○議長(高木秀隆 君) 多田区長。
〔区長 多田正見君登壇〕
◎区長(多田正見 君) いずれもこの区政にとりまして重要な課題についてのご質問をいただきました。お答えをしてまいります。
最初に、この健全財政を堅持していくために、財政運営をどのように考えるかということについてのご質問でございまして、特にこの平成二十五年度に大幅な見直しをさせていただきましたけれども、さらなる
健全財政化への努力についてどう考えているかというようなことかと思いますが、その一つのことといたしまして、
受益者負担というようなものについて、見直しをすべきではないかというご提言もございました。いろいろな課題がございまして、負担の問題も
一つひとつ性格が違いますけれども、どのように整理をしたらいいかということも確かに一つのテーマでございます。
これはやはり丁寧に考えまして、これからも整理をしながら皆さん方にご相談もしなければいけないかと思うのでありますが、やはり住民の方々の生活の状況によく配慮してと申しましょうか、そういうことに十分検討を加えまして、住民の皆さんが納得できるものでなければなりませんので、そういうこともあわせて今後探求をしていきたいと思っております。
保育料についてもお話がございましたし、また
施設利用料についてもそうでございますけれども、いろいろな経過とか、あるいはさまざまな今日的状況がありますので、そういったものを十分踏まえながら検討してまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
それから、船堀の土地の問題についてのお話がございましたが、ちょっと順番が違うかな、すみません。
そういうことでございまして、今度は
スーパー堤防にかかわる問題でございます。もうお話のとおりでございまして、民主政権にかわりまして極めて唐突に、理由も明確でなく、重要な治水事業についての新たな判断と申しましょうか、八ッ場ダムはやめる、
スーパー堤防もやめる、こういうようなことが出てきたわけでありますが、数々の水害を経験してきた江戸川区としては、江戸川区だけではありませんけれども、東京の低地帯としては許されることではないということで、多くの住民の皆さんのご理解や、あるいは区議会のご支援もいただきながら、政権や国に対して、その考え方の撤回を求めてきたわけであります。
三年余かかりましたけれども、政権交代いたしまして、改めて国は、特にこの
スーパー堤防については、都市部の人口の集積地においては必要だという判断に立って、これを再開するということになりました。お話もありましたように、先般、国土交通省と私どもの区と協定を結んで、共同事業として街づくりと一体の事業をしていこうと、こういうことになったわけであります。何かやっと多くの方々も安堵しておられると思いますが、私たちも同じ思いでこれを歓迎して、これまで努力をしてくださった関係者の皆さんにも感謝をしているところでございます。
七月からいよいよ換地設計の提示でありますとか、あるいは買収補償交渉に入るということになっておりまして、これは順次、国と共同作業として進めていくつもりでございます。できるだけ早期実現を図っていきたいというふうに考えているわけでございます。
それから、
帰宅困難者の問題でありますが、先般、東京都が
帰宅困難者の対策条例を設けました。これは考え方としては、余り何かむやみに動いてはまずいと。ですから動かないで状況を待って行動すると、そういうことを中心として、それを可能にする条件を、例えば、しばらくは滞在できる、そのための宿泊あるいは食料、水、いろいろありますけれども、そういったものをどういうふうに確保するかということがもう一つのテーマと、こういうことになるわけでございまして、東京都の条例でありますから、私どもも当然その条例の考え方に基づいてこれからの対策も進めると、こういうことでありますが、東京都は広い地域についてのことでありますので、いろいろこの地域によって違いがあるわけでありますけれども、私どもは私どもの地域に合った組み立てをしていきたいと、そういうふうに考えているわけでございます。
通過していく人もたくさんいると思いますし、またここにとどまっていただかなければならないという人もいると思いますので、そうしたことに対する公的あるいは民間の力をかりた方策を、これをしっかりとつくり上げると、こういうことだと思っております。
この考え方は、区内の事業者の方々には、団体を通じて、もう既に六団体の方々にこうしたことをお話ししながら、今後もこうした、特に従業員を抱えている企業の方々には大変重要なことでありますので、そうした普及についての啓発をしていくということにしております。これは企業関係者だけではなく一般家庭の方々にも協力をいただかなければなりませんし、私ども自体、区としても万全の体制を整えなければなりませんので、そうしたことをきめ細やかに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
それから、液状化の問題でありますが、ご案内のとおり、東京都がさきの災害後、液状化についてのデータの集積をいたしまして、各区が持っております液状化にかかわる資料を全部提供しておりますので、これに基づいて、液状化のいわゆる分布といいましょうか、そういうものを発表しております。江戸川区はほとんどの区域が液状化の恐れのあるところでございます。もう例外なしといっていいぐらいでありまして、こういうことについて、東京都とかあるいは各区自治体あわせて相談機能を充実しなければいけない。
こういうことで、状況を丁寧に、知っていただくということもありますが、そのことについてどう対処したらいいかということも専門的にご相談に応じるということで、各区もそういう相談体制を今とっておりますし、私どももとっておりますが、さらに突っ込んだ専門的なことにつきましては、東京都でアドバイザーのようなものを用意しておりますので、そうしたところに相談を持ち込むと、こういうようなことも誘導していくと、こういうことでこれからは対応するということにしているわけであります。
浦安市とか江戸川区のように、被害が実際にあったところへの対応は既に進んでおりますし、一応なされているのでありますが、それはそれとして、これからに向かってどうするかということが大変重要でありますので。現に建っている家の地盤がどうなっているかなどということについては、確認はしても、それをではどうやって直すのだということについて考えてみますと、これは大変至難なことでございまして、やっぱり一番何か当面やらなければいけないことは、これから建てる人に対して、どういう対策を講じたほうがいいですよということをやっぱりしっかりお教えをすると、こういうことだと思います。
国もある種の施策を出しておりまして、三千平米がまとまって開発とかをやるときに、道路という公共施設に対して国はいささかの補助をしますよということを言っておりますが、住民の住宅の部分についての補助ということは、今のところ考えられておりません。しかも、これは三千平米というまとまったところのいわゆる対策ということになっておりますので、余りそういうところは現実的にはないということになりまして、今後、家を建て替えていただくときに、そういう対策をしながらやっぱり強化していくということが一番重要なことかなと思いますが、そういうことでございまして、これからも皆さん方に十分周知をしていきたいと、そういうふうに考えているところでございます。
それから、船堀の土地の活用ということについてでありますが、都営住宅を建て替えることによりまして、かなり大きな面積の土地があくということが出てまいります。船堀のタワーホールの北側のところにそういう場所が出てくるということでありますので、これは重要な一つの課題といいましょうか、それをどうするかということを、私たちにとりましては非常にいわゆる関心を持つべきことでありますので、これは今お話のありました、昨年来やっております施設の
あり方懇話会というところでいろいろ議論をしていただいているのでありますが、おおむねはこの庁舎が非常に老朽化しているために、建て替えの時期ということになっているでしょうと。そうしたら、やっぱりそういう候補地として考えるべきですねというのが異論のないところでございまして、そういう方向でそれでは考えましょうかということになっているわけであります。
東京都の土地でありますから、東京都とこれは折衝するわけでありますけれども、恐らく東京都も、今のところの感触として、江戸川区が望むことであれば協力はしますというようなことでありますので、それからまた、この跡地はそれではどうするかということもありまして、これも近隣の方々にとってみれば非常に大きな問題でありますから、こうしたことも懇話会の中で、どうしたらいいかということも含めてこれから議論をしていただくと、こういうことになるわけでございます。急にばたばた進めるということではなくして、やっぱりじっくりと、いろいろな方々のご意見を聞きながら、多くの地元の方々にご納得をいただくという形で進めたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。
庁舎建設につきましても、どういう庁舎にするかということも考えていかなければなりませんし、例えば区の単独の庁舎ですか、あるいは他機関を含めた合同庁舎ですかとか、あるいはその中にさまざまな機能を含めますかどうかとか、いろいろなことがありまして、そういうこともこれからいろいろ懇話会の中でも議論をしていただかなければならないかなと思うのでございます。
資金面でも、PFIとかそういう新しい手法を用いて、一般住民の皆さんの急激な負担にならないように、どう配慮していったらいいかということも考えていかなければなりません。大変希望の持てる課題でもあると思いますので、皆さんとよりよい方向へまとめてまいりたいと思っているわけであります。
それから、介護保険と
認知症対策でありますが、ご承知のように、介護保険については、今、社会保障に係る国民会議が議論をしておりまして、いろいろな議論が出ておりまして、一つひとつは申し上げませんが、議論百出と言っていいかなというふうに思います。これは法律で八月いっぱいまでということになっていますので、そこまでにある種のまとめをすると思います。
片方で、社会保障審議会というのが厚労省を中心に持たれておりまして、そこに介護保険部会というのがありまして、そちらでも議論をしているわけであります。したがって、国民会議の結論を受けて、恐らく秋ごろに社会保障審議会の結論を出すのだろうというふうに思っておりますが、多分、負担とサービスの関係をどうするかということでありますとか、これから迎える高齢社会を前提としてどういう制度の手直しをすべきかということがいろいろまとめられてくると思っております。
いわゆるサービスと負担という問題は、住民側の問題でありますけれども、一方は財政の問題があります。十三年前に始まりましたとき、江戸川区は百億円弱の事業として始まりましたけれども、平成二十五年度予算は三百五十億円であります。こういうふうに、十三年間で相当な急上昇でありまして、この
介護保険制度を安定的に将来にわたって維持するためには一体どうしたらいいかということも一つ重要な課題でありますので、そうした解明も一方でしていかなければならないと、そういうふうに思っておりまして、これも精力的に、国の動向をもちろん見定めなければなりませんが、地域としても取り組んでいくべき課題であると思っております。
認知症でありますが、これも当然増えてきておりまして、先般、厚労省が発表いたしました国全体の認知症患者といいましょうか、認知症の人たちは四百六十二万人というふうに言っておりますが、この計算方式を当てはめて、江戸川区でどの程度いらっしゃるかということを算定いたしますと、介護保険の認定者が一万九千七十二人でありますので、そのうちの一万四千人はいらっしゃると、こういうようなことかと思っているわけであります。
お話にありましたように、認知症の方々を、つまり介護しておられるご家庭の方々はもう本当に大変だと思います。幾ら
介護保険制度が充実しても、二十四時間つきっきりでというわけにはいかないと。こういうこともありますので、これは制度の活用は当然でありますけれども、地域の中で、つまりそれをサポートするような力を、いろいろ資源をつくっていかなければいけない、そういうことがございます。
特に江戸川区では、いわゆる
地域包括ケアということについては、大変、事業者、いわゆる介護事業者でありますとか、あるいは医師会をはじめとする医療関係の皆様や、また福祉関係の方々とのいわゆる結束と言いましょうか、そういうことが非常に徹底しているなというふうに思うのでございます。それをつなぐケアマネジャーもそうなのでありますが、常時何かそういう方々が一緒になっていろいろな議論をしているということがございまして、私もしばしばそういうところに参加をいたしますが、厚労省をはじめ、いろいろ外から見て、江戸川区のそうしたやり方とか、あるいは風土ということに対して非常に評価をくださっているということもありまして、いろいろ他からの視察もありますけれども、そういう面では、江戸川区のそうした地域性を、私は非常にある意味ではありがたい、恵まれているなということを思っているわけでありまして、こうした力をもっとどんどん増やしていかなければいけないというふうに思っているわけでございます。
現に認知症についての、例えばグループホームは、今、二十八カ所、四百九十一人の定員を持っていますし、通所サービスでは十五施設の二百十九人、それから小規模多機能は八施設で二百人とか、そのほか特養が十四カ所ありますけれども、こういうふうに、これは急速に、最近になって民間の方々が立ち上げてくださっているものでございます。これもありがたいことでありまして、こういう基盤をどんどん増やすことによって、在宅で介護している方々がその負担をこうしたところの利用によって軽減することができる、こういうことになるものですから、こうしたことに対しましても相当程度の助成をしておりますけれども、拡大をしていきたいと思っているわけでございます。
認知症ホットラインのお話は、ご質問の中でありましたとおり、こうしたことにつきましてもきめ細やかにできるような方策をさらに進めていきたい。以上でございます。
○議長(高木秀隆 君) 三十二番、早川和江君。
◆三十二番(早川和江 君) 全般にわたりまして、丁寧な答弁をいただきありがとうございました。
歳入の確保と適正な
受益者負担については、丁寧に考えていくとお答えをいただきました。区が提供するサービスの対価として、
施設利用料や保険料、保育料は、多くの税金が投入された結果、安い値段で上質のサービスを受けることができるという事実は、ともすれば忘れがちだと思います。
今年度より本格的に取り組みを開始した新公会計制度の導入や、マイナンバー関連法案の成立によりまして、区の事業や区民の負担割合が今までより詳細に分析できるようになりますので、その見えない部分に光を当てて明らかにするとともに、今の状態が当然のことではないのですよということを知っていただくことも必要ではないかと思っております。義務と権利のバランスの整った、住み続けたいこの江戸川区のため、区民の皆様方とともにこの厳しい財政状況を乗り切っていこうという姿勢にも通ずるところがあると思っておりますので、あわせてご検討をお願いいたします。
また、北小岩一丁目東部地区の
街づくり事業についてでございますけれども、これも申し上げたことが全てでございます。六十八万区民の生命・財産を守るために、一時移転という大変なご苦労をされる方々に対しては、最善の配慮をしていただくよう、重ねてお願いを申し上げます。
また、
帰宅困難者対策では、六団体の方々と相談をしているとおっしゃっていただきましたけれども、帰宅抑制とそのための食料などの備蓄が大きな課題となることは、区長がおっしゃるとおりであると思います。
備蓄物資の調達方法はさまざまあると思いますけれども、例えば、総合防災訓練の場所や、区民まつりなど地域のイベントなどにおいて、
帰宅困難者対策条例のPRをしたり、また求められている備蓄の量、家族四人で三日分の備蓄をするというのはどれくらいの量なのかなというのは、割と皆さんわかっていないのですよね。ですから、こんなに必要なんだ、じゃあ少しでも備蓄をしなくちゃということを実感していただくことが、より深い理解につながっていくのではないかなと思っておりますので、引き続き理解促進にご努力をお願いしたいと思います。
また、
液状化対策については、おっしゃるとおりで、個人ごとの対応には限界がございます。地道な取り組みとして、今後、江戸川区において新築や改築をされる区民の方々に、
液状化予測と対策をしっかりとお知らせをして、ご理解をいただきまして、対策をとれる方が一人でも多く出るような取り組みをお願いしたいと思います。その取り組みは小さい一歩であっても、それが二人、三人と広がっていくことがよい方向に向かうことだと思います。一人ひとりの点が集まって、一定の広がりを見せていただくことを期待申し上げます。
また、船堀周辺の土地の活用についてでございますけれども、まだ未確定の部分があることは理解をいたしました。しかしながら、現在の本庁舎が必ずしもベストな状態でないということをまた感じるわけでございますから、前向きな取り組みを期待いたします。その決断をいつするのか。「今でしょ」と思います。決断できるのは、多田区長をおいてほかにないとも思います。その際、もはや公が直接手がけるのではなくて、民間のすぐれたノウハウを存分に引き出して、これまでにないようなすばらしい構想になるよう、ご努力をお願い申し上げます。
また、最後の質問は、長くなりますけれども、少しエピソードを交えてお話をさせていただきます。
私の自宅近くに公園がありますが、公園ボランティアの方が一生懸命草花の手入れをしてくれております。自分の庭であってもそこまでやらないのではないかなと思うぐらい、そうしたすばらしい情熱を持って、夜でもお水をかけに来てくれております。
先日お見かけしたときに、「いつもありがとうございます、おかげさまで気持ちよく公園を使わせていただいています」と、私は思わず声をかけてしまいました。その方は、「いやあ、どうも」と言って、少し気恥ずかしそうにしていましたけれども、うれしそうでした。私たちが生きていく上で、さまざまな方にお世話になっているということに思いを寄せ、感謝の気持ちを持つことは大切なことであるなと思いました。
そうした思いを込めて、
介護保険制度、認知症・高齢者対策についてお聞きをいたしました。私も家族の介護を担う一人ですが、その苦労は大変なものでございます。本人の尊厳を第一に優先するのが介護ですから、誰にも言えず、夜中一人で枕をぬらしたこともあります。そうした思いを一つでも、一瞬でも軽くさせてあげること、そして感謝の気持ちを伝えてあげることが、明日も頑張ろうという気力につながっていくと思います。
今年度より公益財団法人となって、新たなスタートを切ったボランティアセンターも、これから大きな役割を担っていくことと思いますので、私も経験者として、今後先頭に立って、在宅で頑張っていただいている方たちに大いに感謝をし、また励ましていくつもりですので、この点も区長の肝入りでよろしくお願いをしたいと思います。
以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(高木秀隆 君) 多田区長。
◎区長(多田正見 君) 一点、訂正させていただきますが、私、介護保険会計の平成二十五年度予算、三百五十億円と言いましたけれども、三百三十億円でしたので訂正をさせていただきます。失礼しました。
○議長(高木秀隆 君) 次に、三十五番、竹内 進君。
〔三十五番 竹内 進君登壇〕(拍手)
◆三十五番(竹内進 君) 私は、平成二十五年第二回定例会に当たり、区議会公明党を代表して質問させていただきます。区長、教育長の誠意ある明快な答弁を期待するものであります。
冒頭に、教育委員早川大府さんが、不慮の事故によりご逝去されました。早川委員には、医師会会長として、教育委員として、長年、区政全般にわたりご尽力いただき、この場をかりて、そのご功労に深く感謝するとともに、謹んで哀悼の意を表します。
自公連立政権が発足してから百六十日が過ぎ、最優先課題の一つに掲げた経済再生は、低迷が続いていた日本経済に回復の兆しが見えてきました。企業決算は大幅な黒字が続出し、今年の一月から三月期の国内総生産も高成長を達成し、大胆な金融緩和と財政出動が、予想どおりの効果を発揮しています。
こうした中、二〇一三年度の国の予算が、五月十五日、無事に成立しました。一般会計総額で九十二兆六千百十五億円で、公共事業費は前年度当初予算より七千億円多い五兆三千億円となりました。昨年の政権交代を受けて予算編成がおくれ、五月の成立は一九九六年度以来十七年ぶりのことで、四月以降は暫定予算が組まれましたが、二月に成立した十二年度補正予算と合わせ「十五か月」予算となっています。
国の二〇一三年度予算の特徴は、国民の関心が高い防災・減災対策として、地方自治体のインフラ整備に充てられる防災・安全交付金が多く盛り込まれていることです。多田区長は、今年の二月十二日に、太田国土交通大臣に高規格堤防に関する要請書を直接提出されました。要請書では、江戸川区は面積の七割が満潮時の海面より低いことに触れ、堤防により区民の生命・財産が守られている街であることを強調され、洪水や地震が発生しても壊れない
スーパー堤防整備の早期事業化を求めています。
五月三十日に、国土交通省と江戸川区は、
スーパー堤防整備と土地区画整理に関する基本協定を締結されました。今回の定例会の補正予算にも組み込まれていますが、今後、江戸川区として国の予算成立を受けて、どのような方針と決意で取り組まれていくのか、区長のご所見をお伺いいたします。
次に、災害対策について、何点かご質問させていただきます。
東日本大震災後、国の中央防災会議では、地震・津波等に関する専門調査が実施され、防災基本計画の見直し及び災害対策基本法の改正が行われました。また、東京都においても地震被害想定の見直しに伴い、東京都地域防災計画の改定が行われました。
こうした動きに伴い、本区においても地域防災計画が全面的に見直しされ、今年の三月六日、平成二十四年度第二回防災会議で、地域防災計画が承認されました。今回は、国の中央防災会議における専門委員として活躍されている、中林一樹明治大学院教授や、片田敏孝群馬大学大学院教授のご指導のもと完成されました。
今回の改正の特徴は、
東日本大震災をはじめとする大規模地震から得た教訓や、近年の社会状況の変化に基づき、一「自助・共助の役割の明確化」、二「受援体制の強化」、三「区の最大リスクの想定」、四「災害時の時系列に沿った対応策」の四点かと思います。特に、地震発生後に連続して大型台風が襲来し、高潮・洪水を引き起こす複合災害を新たに位置づけられていることだと思います。
そこで、お尋ねします。この計画を区民一人ひとりにどのようにわかりやすく周知し防災意識の啓発をしていくのかお伺いいたします。
また、江戸川区はこれまで気仙沼市を中心に、被災地に五百人以上の職員を派遣してきました。今回の地域防災計画の中でも、区外からの支援を受ける体制を確保しておくことが必要であると述べられています。そこで、復興が落ちついた段階で、気仙沼市との災害協定が結べないか、また他の市町村との協定について考えがあるのかお伺いいたします。
次に、大地震での初期消火活動の取り組みについて、お伺いします。
大地震後に発生する火災を最小限に食いとめるには、自助としての、また地域が協力しながらの初期消火活動が重要です。一方で、荒川・江戸川のような大河川や地域に流れる親水河川など、消火活動に必要な消防水利に活用できる環境に恵まれていると思います。そこで、迅速な初期消火が実施されるために、こうした地域の特性を生かした取り組みについて、区長のご所見をお伺いいたします。
次に、江戸川区における
液状化対策についてお伺いします。
平成二十三年三月に発生した
東日本大震災では、震源から離れた江戸川区南部地域でも、木造住宅が傾くなどの被害が発生し、区民生活に大きな影響を及ぼしました。
東京都は、この地震を契機に都民の防災や減災にかかわる社会的な要請が高まってきたことと、近年、地盤情報システムの整備拡充により、ボーリングデータの蓄積量が増加したことを背景に、東京都全域での
液状化予測図の見直しを行いました。新たな予測図によると、江戸川区は従来の図と比較すると、液状化の可能性が高い地域が増えました。今後、起こり得る首都直下型地震に備え、江戸川区の
液状化対策は、喫緊の課題であります。
区では、都市開発部の建築指導課で、六月三日より、東京都からの情報提供を受け、窓口で過去の地形図や地盤調査データの閲覧ができるようになりました。しかし、液状化の可能性を判断する場合や液状化を防ぐ対策については、地盤や建築の専門家に相談することが望まれており、東京都は新たに
液状化対策アドバイザー制度を創設しました。一般社団法人東京建築士会がアドバイザーとして、
液状化対策を検討する初期段階において必要な情報の提供やアドバイスをするとしています。
区は、必要な方には、この
液状化対策アドバイザーへの相談につなげていけるように東京都と連携して、相談体制の充実を図っていくことが重要であります。そこで、江戸川区の
液状化対策について、どのように取り組んでいくのか、区長のご所見をお伺いいたします。
次に、区民の利便性向上のためのワンストップ・総合窓口サービスについてお伺いいたします。
去る五月二十四日、社会保障と税の共通番号関連法が参議院で可決・成立をし、番号は二〇一五年十月に各個人に通知され、二〇一六年一月より制度の運用が開始される運びとなりました。この新制度では、年金や介護などの社会保障給付と納税に関する情報を一つの番号で把握し、さらに行政サービスの効率化につながることも期待されております。
本区では、他の自治体に先行して電子区役所に向けた取り組みを推進し、平成十八年に「江戸川区情報処理体制再整備計画」を策定し、平成二十三年度には当初計画のとおりe-SHIPを構築し、昨年は第三者評価も終えたところです。仄聞するところ、e-SHIPでは、各主管課を横断的に連携できる状態であり、一台の端末でほぼ全ての業務を網羅できる情報システムができ上がっております。
今年度以降は、第三者評価で出てきたさまざまな検証結果や提言をベースに、限りある予算の中で徹底的な効率化を図る必要がありますが、共通番号基本法が可決され、運用時期も決まったことを受け、いよいよ区民のためのワンストップサービスを構築していくべき時であると考えます。
区民にとって、さまざまな手続の利便性の向上とともに、これまで整備してきたe-SHIPのシステムが最大限の効果を発揮するために、効率的で効果的な職員の配置や業務処理フローの見直しも含め、本区にあった窓口サービスのあり方を検討すべきと考えます。例えば、わざわざ本庁まで足を運ばなくても、区民にとって身近な各事務所とのネットワークを活用して事務処理ができれば、高齢の方や障害を持った方など、移動が困難な区民にとってもe-SHIPの利点を享受できるものと考えます。
また、区民の利用の多い異動手続、福祉サービスの手続なども、ワンストップの対象として挙げられますが、縦割りの行政から串刺しの行政への転換は、行政サービスの向上という側面とともに、行財政改革の実効性を上げるために重要なポイントであると考えます。このワンストップ総合窓口導入に向けて、どのように取り組もうとされているのか、区長のご所見をお伺いいたします。
次に、就労支援について、大きく二点お伺いします。
はじめに、本区における働く障害のある人の支援についてお伺いします。
本区では、障害のある人の雇用・就業のために、障害者就労支援センターを中心として、さまざまな施策を展開しています。しかし、法定より低い就業率や、極めて低い賃金なのが現実です。
そこで、本年四月一日より、障害者優先調達推進法が施行されました。同法の地方公共団体等への定めでは、「毎年度、障害者就労支援施設等からの物品等の調達方針を作成するとともに、当該年度の終了後、調達の実績を公表する」としております。そこで、今年度初となる本区の調達方針と今後の計画について、区長のご所見をお伺いいたします。
続いて、若者の就労支援についてお伺いします。
本区の若者への就労支援は、チャレンジ・ザ・ドリームや若者きずな塾、また、ヤングほっとワークえどがわなど、全国に誇る施策を展開していることを高く評価します。加えて、特別区長会でも就労支援研究会を立ち上げ、国や東京都に要望書を提出するなど、積極的な取り組みをしています。分けても社会から孤立していく若者に対する就労支援の必要性を強調しています。若者への就労支援は、本人や家族だけの問題ではなく、特別区全体としても喫緊の課題です。そこで、深刻化する若者への就労支援について、区としてどのように取り組んでいかれるのか、区長のご所見をお伺いいたします。
次に、相撲で「まちおこし」についてお伺いします。
江戸川区と相撲とのつながりは歴史的に古く、区内には相撲寺と呼ばれる寺もあります。また、総武線小岩駅の改札口を出ると等身大のブロンズ像がある、第四十四代横綱「栃錦」は、江戸川区で生まれ、江戸川区で育った昭和の栃若時代を築き上げた名横綱であります。
栃錦関は、江戸川区立下小岩小学校出身で、小学校時代は、小岩の善養寺で行われていた相撲大会ではいつも優勝していたそうです。横綱時代の昭和三十三年、下小岩小学校が火災となり、木造校舎が焼けたとき、栃錦関は母校校庭で慈善相撲大会を開催し、その収益を母校に寄付しています。また、行司の第三十四代木村庄之助さんも江戸川区出身で、今年に入って、総合文化センターで三回の相撲講座を開いていただいています。
このほか、プロジェクトわんぱく協議会や公益社団法人東京青年会議所江戸川区委員会の方々を中心に、わんぱく相撲江戸川区大会が区内で全国有数の規模を誇って開催されています。また、体育会の相撲連盟や相撲甚句の会など相撲に関する団体もあり、かつては、柏戸・大鵬時代を築いた鏡山部屋があり、今年からは、過去十二回の優勝を誇る元横綱「武蔵丸」の相撲部屋が
江戸川区内に開設されました。このように、本区にとりまして、相撲は風土に根づいた、歴史ある誇り得る文化でありスポーツであります。
そして言うまでもなく相撲は、礼節を重んじ、国民に広く親しまれている日本の国技であります。相撲を通じて努力することの大切さや、相手を尊敬し思いやる心、礼儀正しさを学ぶことは、本区の子どもたちの教育にとって、大変意義あることと考えます。
このように、
江戸川区内にあるさまざまな相撲の財産を、広く区民や児童・生徒の皆様に広めながら、区内の相撲に関する歴史や文化、スポーツの振興による街おこしにつながればと考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。
最後に、生きる力の育成と体力向上への取り組みについて、お伺いします。
プロスキーヤーで冒険家の三浦雄一郎さんが、世界最高峰のエベレストに、世界最高齢の八十歳で登頂されました。七十歳と七十五歳で二回登頂されていますが、その間に、三浦さんは、昨年十一月と本年の一月に心臓の手術を二回受けています。年齢だけでなくハンディを乗り越えたご本人の精神力と、どんなに悪い環境でも冷静に判断できる力の総合力が、本当にすぐれていると思いました。前人未到の快挙を、三浦さんは「世界新記録の達成ではなく、自己ベスト記録の更新作業」と力説し、「何でもいい、今の自分の記録を更新することが本当の価値なのだ」と述べています。
自分に勝つことは他人に勝つよりも苦しいし、自分自身の弱さと向き合い、克服する作業が大切だと思います。教育の本当の価値は、人間としての総合的な生きる力をどう一人ひとりの児童・生徒に身につけてもらうことができるかどうかだと思います。そこで、江戸川区として生きる力の育成について、どのように取り組んでいかれるのか、教育長のご所見をお伺いいたします。
また、総合的な生きる力を身につけるには、その土台として、体力向上が極めて重要だと考えます。三浦さんも、自分の体力を維持するために、重さ二キロの登山靴を履き、両足首に五キロの重りを巻きつけた上、三十キロのダンベル入りのリュックを背負って街中を歩くということを日課にされていました。
江戸川区においても、今年度の重点取り組みの一つに子どもたちの体力向上が挙げられており、児童・生徒の体力と運動能力の現状把握のため、平成二十年度から、全児童・生徒を対象に新体力テストを実施されています。
また、区内中学校の運動部活動が、校長先生や顧問の先生方の熱心な指導と、保護者・地域の方々のご協力やご支援のもと、毎年、都大会や関東大会、全国大会に出場し、すばらしい成績をおさめていることに、心より敬意と感謝を申し上げます。
体力の向上は、中心となる体育の授業について、指導の改善を図っていくとともに、学校生活での朝の時間や休み時間、放課後の部活動や家庭での運動習慣の確立など、総合的な取り組みを根気よく続けていくべきだと考えます。そこで、江戸川区として、平成二十年度から実施している新体力テストの結果をどのように分析し、児童・生徒の体力向上にどのように取り組んでいくのか、教育長のご所見をお伺いいたします。
以上で、第一回目の質問を終わります。(拍手)
○議長(高木秀隆 君) 多田区長。
〔区長 多田正見君登壇〕
◎区長(多田正見 君) 重要な課題についてのご質問でございます。
まず、高規格堤防でございますが、早川議員のご質問にもお答えいたしましたけれども、今回、新政権になりまして、河川・治水に関する整備計画というものが策定をされまして、示されております。それによりますと、特に下流部の大都市の河川については、高規格堤防、つまり
スーパー堤防をぜひ進めるとか、こういうことでございます。
具体的には、おおむね河口から二十キロくらいのところはやらなければならないと、そういうことのようでございますが、既にこの近辺で済んでおりますところと申しますと、江戸川区の荒川の防災拠点、あるいは平井七丁目あたりは一応済んでいるということなのですが、江戸川については、足立区では一部済んでいるところがございます。葛飾区はまだでありますが、江戸川区は今やりかけていたと、こういうことでございまして、この北小岩が大変意味を持ちますことは、これが再開されたということによりまして、今後この地域における
スーパー堤防を促進するというまず第一歩になると、こういうことだと思っております。当然のことでありますが、もう一カ所、今、篠崎公園のところを手がけておりますので、第二弾はこれになるというふうに思っております。
スーパー堤防そのものは、ある箇所ができたからそれでいいということではありませんで、ある区間について、全川ができなければ効果が発揮できないと、こういうことでありますので、いずれはこの江戸川区だけではありません、葛飾区、それから足立区もそうでありますが、墨田区、江東区、全てがそういうことになっていかなければいけないと、そういうことでありますが、これは短期間にできることではありませんので、できる条件が成立したところから精力的にやっていくと、こういうことが必要になるということでありまして、そうした条件づくりも私どもは進めていかなければいけない、そういうことだと思っております。
何年かかるかは別といたしまして、この治水というのは相当長期間にわたって完成を目指していくという事業でありますから、たゆみなく国とも協力関係を結びながらやっていくと、こういうことになろうかと思っておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。
それから、地域防災計画の改定について、今、改定の要約をお話しくださいましたけれども、これらはもちろん住民の皆さんに周知をしなければいけないということでありますが、とにかくいろいろな分野にわたりまして、かなり広範な課題を地域防災計画の中では述べております。それを全てわかってくださいということはなかなか無理でございます。
実は私どもも、これを全て完璧に頭の中にたたき込めるかというと、なかなかこれは至難のことでございまして、これをわかりやすく、部面部面についていろいろわかっていただくための啓発をさまざまな形で行っていくということだと思います。
当然、訓練なども地域ではいろいろ取り組んでくださっておりますので、そういうところをある訓練を通して重点的にその周辺のことについて理解をいただくとか、あるいは取り組みの方向性を皆さん自身が見つけていただくとか、そういうことを長い間積み重ねていかなければいけないと、そういうふうに思っているわけでありますので、そうしたことを粘り強く、地道に、地域の皆さんと協力し合いながら普及啓発という形で完成させていくと、そういうふうに思っております。よろしくお願いをいたします。
それから、今、気仙沼に重点的な応援をしております。気仙沼に幾つかの自治体が入っておりますが、江戸川区の規模が一番大きいということなのですが、これはさまざまに申し上げましたけれども、あるご縁でこういうことになっているわけでありますけれども、ただ、この防災協定というものを他の自治体と結ぶということはどうかということについて、さまざまな自治体の考え方がありますけれども、個別のものを幾つか結んでおけばいいということではないなというふうに思っておりまして、私もこうしたことについて見解を求められますと、対外的にもいろいろなことを言ってきましたけれども、今回の災害支援も、これはつまり、ほとんどが各自治体の自主的な取り組みによって構成されたということでございます。
全国市長会はその調整の役割を果たしましたけれども、でも強制されたものではありません。全てが自治体の自主的な取り組みでありまして、こうしたことがなければ、被災地はつまり復興もできない、当座のしのぎもできない、そういうことがいろいろあるものですから、私どもは、やっぱりこれは一つの全自治体、あるいは国がバックアップするべきだと思いますが、そういう何か連携のシステムをつくって、これはどうしても情報収集ということが一番まず先に来なければなりません。そうしたことも、私どもの経験からするとなかなかそれがとりにくい。どういう応援をしていいかさえなかなかつかめないということもあって、だからそれが迅速に把握できて、それに対応できる自治体がすぐに手を挙げて取りかかることができるというような、そういうシステムをぜひやっぱりつくりたいと、つくらなければいけないのではないかと、そういうふうに思っておりまして、そうしたことを模索をしていかなければいけないなというふうに思っております。
個々に結びますと、それは突き詰めていけば全国と結んでいないと。どこで起きるかわかりませんから、どこかと結んでいてもそれは永久に不発に終わるということもあるというようなことでありますから、それはそういうことではなくして、どこにでも適用できるものを考えたいと、こういうことであります。
特に私どもが重要と思いますことは、近隣自治体です。特別区でありますとか、私どもで言えば千葉の市川とか浦安とか船橋とか、こういう近隣自治体とどういうふうに協定を組むかということは重要な問題だと思いますので、これは今、関連自治体といろいろ話は進めておりますけれども、これがないと、やっぱりお互いに、自分自身の力だけではどうにもならないということがあるわけでありますので、そうしたことをやっぱりやっていくと、こういうことかなというふうに思っております。東京都もその気になっておりまして、東京都、特に区部がどういうふうに連携をするかということもこれからやっていこうということでありますので、そうしたことで協議を進めたいと思っております。
それから、水利の活用でありますが、江戸川区は非常に水害の恐れはありますけれども、水利には恵まれているということでございまして、お話にありましたように、川もあれば親水公園、親水河川、それからもちろん水道もそうなのですけれども、いろいろ学校も多いですから、貯水槽もたくさんある、プールの水もたくさんある。そういうことでありますから、これをフルに活用しなければいけないということになります。
そのための手だては、これは消防も含めていろいろ実践的な仕組みを考えておりますので、なるべくそうしたことが効果的にいきますように、十分な取り組みをしていきたいというふうに思っております。
液状化対策につきましては、早川議員さんのご質問にほぼお答えをいたしましたので、それをもってとは言いませんが、そういうことでございますので、これから丁寧なご相談に応じながら、自分がどうしたらいいかということについて、よく納得ができるような方策を提供していきたいと。そのために東京都と区も力を合わせて、相談体制が充実できますように努力をすると、そういうことでございます。
ワンストップサービスは、これは竹内議員さん、公明党さんは常に最終形としてこういうことを望んでおられると思います。マイナンバー制度もできますので、こうしたことに少しずつ近づくかなというふうに思うのでありますが、これはなかなか最終形に簡単にいくかというとそうでもありませんで、つまり一つシステムを考えなければいけませんが、そのシステムを動かす体制をどうするかということがこれまた重要なことでございまして、職員配置だとか庁舎のあり方だとか、そういうスペース、例えば区役所一箇所でいいのか、幾つも設けてそういうところにそういう機能をできるようにするかどうかとか、そういうことはシステムだけでいけるということではないので、つまり考え方はあってもそれを実行できる体制をつくるために、これはなかなかのいろいろな難題がございます。そういうことをもちろん探求はするわけでありますけれども、できるだけ早くそうした条件が生まれますように努力をしたいと思います。
さっき庁舎移転のお話などもありましたけれども、こういうときには有力なきっかけになるのだろうなと思いますけれども、あわせていろいろな観点から考えていきたいと思っております。
それから、障害者の就労支援です。これは法律もできました。優先調達法もできまして、私どももそういうことに努力をしていかなければいけません。対象になるそうした調達できるところも把握はしておりますので、これからもそうしたところからどういうものを調達していけるかということ、計画的にもくろみも立てまして、それを公表もすると、そういうこともやっていきたいと思っております。ぜひ障害者の皆さんがこのことによって、意欲的にいろいろな活動ができますように努力をしたいと思っております。
それから、若者の就労支援ですが、非常にこれは今日的には厳しい課題ではありますけれども、各自治体とも積極的に取り組まなければいけないということで、東京二十三区は市長会でそういう勉強会をつくろうということで、昨年来、いろいろ調査研究も行いまして、各区がやっておりますことの情報交換とかいろいろやりまして、参考になることは大いにお互い活用しようと、そういうことでシンポジウムも開催いたしまして進めているところであります。
いろいろ景気の回復によって条件が変わってくるかとも思いますが、そればかりでは解決できる問題ではないというふうに思っておりまして、かなり広範な、教育もそうでありますが、就労ということに対しての考え方でありますとか、いろいろな意味でこれは若い人たちを啓発しなければいけないという面もありますし、また雇用を受け入れるよき理解者も多くつくっていかなければなりません。そういうことで、総合的な努力をしていかなければなりませんが、これはハローワークの役割もありますけれども、そうしたことをまた中心に、協力し合いながら進めていきたいと思っております。
あと、教育問題でありますが、教育長からお答えいたします。
相撲ですね、大変いいお考えだと思います。何かとても相撲にかかわるご縁の深い区でございまして、お話にありましたように、栃錦をはじめとして関取もいろいろ出ておりますし、部屋もありますし、わんぱく相撲も参加者が本当に一番多いと言われているような区でございます。そうしたことを生かして、何かとてもいい街おこしができればと思います。ご趣旨を、できるだけ実現に向けて頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○議長(高木秀隆 君) 浅野教育長。
◎教育長(浅野潤一 君) 生きる力の育成ということでございまして、確かに教育の目標が、一義的に、学力、体力とかいろいろなことがありますけれども、最終的にはそういう生き抜く、社会に出て生きていく力をつけるということに目標があるというふうに、私もそういうふうに思っております。社会に出て、日々いろいろな困難がありますけれども、そういうことを乗り越えて、日々懸命に生きていけるような、そういう力をつけていきたいというふうに思っております。
そういうことをどういうふうに育てていくかということだというふうに思いますけれども、やはり子どもたちが日々の勉強あるいはスポーツ、遊びもそうだというふうに思いますけれども、いろいろな機会に、やはり教えられたとおりやるのではなくて、自らいろいろなものを通して考え、自分の考えたように行動して、よい結果も悪い結果も出てくると思いますけれども、それをやっぱり一つのステップとして次に移っていくというような、そういう体験を何度も何度も繰り返していくということではないかというふうに思っております。
そういうことを繰り返すことによって、今まで判断ができないことが判断ができるようになるということがあるでしょうし、わからないことがわかるようになる、そういうことが結局はそういう人間として生きていく力をつけていくということにつながるのではないかというふうに思っておりまして、自分自身の自信にもつながるのではないかというふうに思います。次の目標もできるでしょうし、今度はその目標に向けてそういう努力を重ねていくということだというふうに思っております。
先日、小学校のPTAでも、生活とリズムを高めるための親子の秘訣というようなことをつくっていただいて、読書も含めて、親子でこういうことに取り組んでいこうと、それは一つの目標として、生きる力をつけるのだということに目標を置いておりましたけれども、PTAもそのように取り組んでいただいているわけで、学校、保護者、それから地域含めて、全体で子どもたちにそういうさまざまな体験の機会を増やして、ともに考え、親は子どもたちを信じて見守っていくということが大切ではないかというふうに思っております。
それから、体力でございますが、体力についてのテストを含めて、五年間ほどやってきているわけですが、幾らかずつ上昇傾向はありますが、何といっても、全国の体力調査の中で、東京都は一番低い都道府県ということになってきているわけでありまして、その東京都の平均よりも江戸川区の子どもたちの体力測定の結果は、総合的にほとんどの種目で平均よりも低いということでありまして、大変このことは重い課題だというふうに思っておりまして、深刻に受けとめてございます。
私が就任した当時も、運動会等を見ていて、やはり特に低年齢時の走り方のバランスの悪さとか、屈伸運動が余りよくできないとか、幅跳びのときに手の使い方がよくわからないとか、鉄棒にぶら下がったらその後どういうふうな行動をしていいかわからないとか、そういうことがやっぱり見受けられるわけでありまして、これはやっぱり、日々体を動かしていないということが重要ではないかというふうに思っております。
特に小学校の午前中と昼休み、午前中に長休みという時間がありますが、長休みの時間を工夫して、なるべく三十分近くの長休み時間をとってもらって、雨さえ降っていなければ全員が校庭に出て遊ぶ、何か目的を持ってやるのではなくて、とにかく体を動かして遊ぶ、先生も一緒に遊ぶということを奨励してきまして、かなりの学校で取り組んでいただいております。
走り方についても、先生方がついて、こういうふうに走るんだという指導をいただいておりまして、そういうことは、今年見た運動会の中で、やはり成果が出ているというふうに私は感じておりますので、多くの学校で今のような取り組みを増やしていくことによって、子どもたちが体を動かす喜びというものを体験して、自分なりの目標を持って、そこに達成するという達成感を持っていけばスポーツはおもしろいということになってくるのではないかと思います。ぜひそれを、中学校に行っても体を動かす喜びを感じていただけるような環境を、全体でつくっていきたいというふうに思っております。
以上でございます。
○議長(高木秀隆 君) 三十五番、竹内 進君。
◆三十五番(竹内進 君) 区長、教育長には、大変誠意ある、丁寧な前向きなご答弁をいただきまして、ありがとうございます。
一点目の
スーパー堤防整備事業につきましては、区長がおっしゃっていただいたように、将来に向けて、本当に安全・安心な街づくりのためにも、一刻も早い完成に向けて、区民の声をよく聞いていただいて取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
二点目の災害対策につきましては、今さまざまありましたけれども、とにかく地域で実施されている防災訓練等を進めていく中で、やっぱり体験に基づいた防災力といいますか、地域の防災力を高めていくことが非常に重要であると思います。水利の活用についても、消防署、消防団としっかり連携をとっていただきながら、我が江戸川の地の、一つの大きく恵まれたものでございますので、よろしくお願いをしたいと思います。
三点目のワンストップ総合窓口につきましては、さまざまな状況はあると思いますけれども、前向きに、さまざまな観点を克服しながら、ご努力をいただきたいと思います。
四点目の就労支援につきましては、法律もできましたし、さまざまなことを研究していただきながらお願いをしたいと思います。
相撲につきましては、今、区長のほうからさまざまなご意見もいただきましたし、例えば篠崎の文化プラザ等、そういう相撲の歴史ですとか文化ですとか、さまざま区民にわかりやすい形、また区民は割と知らないことが多いと思いますので、その辺をスタートにしていただきたいなと思います。
最後に、生きる力と体力についてでございますけれども、とにかくやっぱり江戸川区の子どもたちが自ら考えて、やっぱり生きる力というものをしっかりつけていただきたいなと。特に体力については、やっぱり生きる力の本当の土台中の土台だと思いますので、しっかりこの体力向上については取り組んでいただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○議長(高木秀隆 君) 暫時休憩します。
午後二時三十七分休憩
──────────────────────────
午後三時五分再開
○議長(高木秀隆 君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を続行します。二十四番、中里省三君。
〔二十四番 中里省三君登壇〕(拍手)
◆二十四番(中里省三 君) 民主・みんな・維新を代表しまして質問を行います。区長並びに教育長の明快なご答弁をお願いいたします。
昨年、政権が交代し、安倍政権が誕生しました。安倍政権の経済効果の一つであるアベノミクスは、円高株安から円安と株価の上昇もあり、高い支持率にも支えられ、非常に期待感の高まる政権運営をされています。ただし、期待感は高いのですが、景気回復の実感を感じている人は二〇%台にとどまり、この点ではまだまだ低い評価です。特に、円安により原油価格の高騰や電気・ガス料金の値上げがあり、さらに原材料の値上がりで、小麦粉をはじめ、パンやマヨネーズ、かつおぶしなどの食料品の値上げが相次いでいるため、家庭の台所を直撃しているからだと思います。本当の意味での景気回復は、中小零細企業の業績が伸び、働く者の賃金がしっかりと上がってから評価されるものだと考えます。
それでは、質問に入ります。
はじめに、再生可能エネルギーの研究について伺います。
私たちは、三・一一
東日本大震災を経験し、自然災害の恐ろしさや備えの大切さを学んだわけです。とりわけ福島第一
原子力発電所の事故は、今後の原子力政策の是非を問う大きな問題となりました。
そこで、私たちは新しい再生可能エネルギーの発掘を研究しなければなりません。例えば、太陽光、風力、波力、水力、潮力、地熱、バイオマス等があります。
東日本大震災前には、地球温暖化防止やCO2削減がうたわれ、取り組みが強化されてきました。こうした地球規模での対策をさらに強固なものとするためにも、再生可能エネルギーの開発は喫緊の課題と言えます。
例えば、岡山県瀬戸内市の塩田跡地を利用した太陽光発電・ソーラーシステムや、新潟市の太陽光発電、長野県飯田市の太陽光発電、愛知県田原市の風力発電、山梨県都留市で行っている小水力発電、福岡市の地熱発電というように、日本各地で再生可能ネルギーの開発・研究が進んでいます。CO2の削減や地球温暖化防止に効果がある再生可能エネルギー。原子力発電は、一旦事故を起こせば取り返しのつかないものになります。また、使用済み核燃料廃棄物の処理にめどが立たず困惑することより、安全なエネルギーの開発に努めるべきと考えます。
そこで質問をします。
一、江戸川区における再生可能エネルギーの発掘や研究はどのようにしていくのかお聞かせください。
二、地方で行っている再生可能エネルギーの育成、援助に対する考えはありますか。
三、江戸川区の区施設や学校改築時のエネルギー効率の活用についてお聞かせください。
次に、防災対策設備機器の設置と利用について伺います。
さきの
東日本大震災での教訓をもとに、江戸川区における区民の安全と安心を防災の観点から考察し、各方面のニーズを満たす複合的な防災設備のあり方を検討したいと考えます。
「東日本NEXCO」において、津波被害の際、高速道路の土手に登って避難した多くの方々の証言によれば、高速道路のり面の有効活用を早くから検討していた。制令の制御に伴い、現在では各自治体向けにのり面の高台避難設備の設置を実現し、地域住民の安全と安心の確保を具現化しています。
また、国士交通省の太田大臣は、全国的な避難場所設置検討の際、複合的な防災設備の重要性について、設備開発側と意識を一つとしたと報告しています。その後、太田大臣の地場である荒川河川敷において、堤防への避難時に多機能避難階段手すり、通称ヒカリクネットの設置の検討を開始したと聞いています。
江戸川区内の高台や河川沿いへの附帯設備として、区民の安全安心を具現化する一つの形として提案しますので、区長のご所見を伺います
次に、人口減少と少子高齢化社会への対応について伺います。
東京都総務局行政部では、「東京の自治のあり方研究会」を立ち上げ、今後の東京の人口の推移や行政サービスのあり方を研究し、今年の三月二十八日に中間報告を出しました。この研究会には、主要大学の教授や都の部長クラス、市区町村の代表が参加されています。江戸川区からも特別区代表として参加しています。
研究会の報告によると「我が国全体の総人口は、少子高齢化の進展等に伴い、平成十六年の一億二千七百八十四万人をピークに、平成六十二年に九千五百十五万人となり、平成百十二年には四千七百七十一万人へと、百年前の水準に戻っていくと推計されている。また、東京の総人口は平成三十二年の千三百三十五万人をピークに加速度的に減少し、平成八十二年には一千万人を割り込み、平成百十二年にはピーク時の半数強となり、急激な人口減少局面に突入すると想定される」と言っています。
さらに研究会は「東京の
高齢者人口は平成二十二年から平成六十二年までの四十年間で約六割増加し、平成六十二年には約四百四十万人とピークを迎え、平成八十二年には高齢化率は四割を超えると見込まれる。特に、七十五歳以上の後期高齢者の伸びは顕著で、平成二十二年には約十人に一人であるのが、平成七十二年には約四人に一人、平成百十二年には約三人に一人が七十五歳以上となる見込みである」とつけ加えています。
このように、東京の人口が今後約百年の間に減少を続け、半数強の状態になり、同時に極度の高齢化社会を迎えると中間報告が示しているのです。東京の今後が必ずしも江戸川区と一〇〇%一致するとは限らないまでも、同様の傾向は変わらないと見るのが自然ではないでしょうか。ということは、江戸川区における人口減少と少子高齢化社会の到来はいや応なしに訪れるわけで、今後の行政サービスのあり方や地域
コミュニティのあり方を早急に視野に入れ、検討を重ねていく必要があると考えます。また、医療、介護、福祉などは待ったなしの状況で、対応が急がれるわけです。
そこで何点かお聞きします。
まず、一、江戸川区の人口減少と少子高齢化社会について、どのように捉えているのかお考えをお聞かせください。
二、急速な高齢化社会では、税収の落ち込みもひどくなり、都市インフラの整備もおぼつかないと思うのですが、お考えをお聞きします。
三、介護・医療の面で、特別養護老人ホームや介護老人保健施設の大幅な拡充が必要となりますが、今後の展望をお聞かせください。
次に、江戸川区の観光立区について伺います。
国は、平成十五年に「我が国が観光立国の実現に向けた本格的な取り組みを開始する」という名目で、観光産業政策検討会を立ち上げました。検討会の提言の中には「今後成長産業の一つとして捉え、我が国の経済成長の新たな牽引役として位置づける」としています。
こうした中で江戸川区は、東に千葉県浦安市に東京ディズニーランドがあり、西に墨田区東京スカイツリーがあり、その中間点に位置するわけです。この立地条件を利用し、観光立区を目指す考えはないでしょうか。各地で開催している「ご当地グルメで街おこしの祭典!B-1グランプリ」の開催や、日本全国の「ゆるキャラグランプリ」の開催など考えてみてはどうでしょうか。また、全国の駅弁やご当地うまいもの大会など、アイデアについては広く区民に公募をするなり、職員提案なども参考に、創意工夫を持って開催するのも一つと考えますが、区長のご所見を伺います。
最後に、待機児童解消策について伺います。
横浜市は「待機児童ゼロ達成」ということで、大々的に報道発表しています。横浜市の待機児童数は、二〇一〇年四月時点で、全国の市区町村で最多の千五百五十二人でした。厚生労働省調べで、二〇一二年四月時点の待機児童数は、全国で約二万五千人。名古屋市が最多の千三十二人。次いで札幌市が九百二十九人。横浜市は、二〇一三年四月の待機児童解消を目標に、二〇〇九年度から二〇一二年度までの四年間に、対策費計約四百四十二億円をつぎ込み、今年度も約百二十四億円を計上したといっています。
今回、横浜市は、保育事業への企業参入を認めたことで、保育整備時に企業が使える補助金を手厚くしたことなど、この三年間、企業経営の認可園が七十九カ所増えた。同市内の全五百八十認可園のうち、百五十二カ所が企業経営で、三年間の受け入れ定員一万人増の半分を担ったとしています。
横浜市の人口や財政事情が江戸川区とは大幅に違いますが、これまでの江戸川区における待機児童解消策を教えてください。また、今後の保育コンシェルジュの配置計画や、
認可保育所の定員増等があれば教えてください。
以上で、第一回目の質問を終わります。(拍手)
○議長(高木秀隆 君) 多田区長。
〔区長 多田正見君登壇〕
◎区長(多田正見 君) 順次、お答えをしてまいります。
再生可能エネルギーについてでありますが、その発掘だとか開発、研究等について、どのように取り組んでいるかということでありますが、他都市の例も挙げられましたけれども、今、他都市でいろいろ行っているような大規模な戦略というのは、なかなか条件として本区にはないなということもございまして、今そういう実際にプロジェクトがあるかどうかと言いますと、ありません。そうしたことを大がかりには手がけていないと、こういうことであります。
本区としても、そういうことに全く関心がないわけではありませんけれども、これからの重要課題だとは思いますが、そうした何か突破口があれば、それはぜひ進めていきたいと思います。
一方、区の施設建設などにおける、これは規模は小さいのですけれども、そうしたことに対する取り組みはどうかというようなこともございまして、これは相当前から区の区民施設あるいは学校などにつきましてもやっておりますが、これはちょっと具体的なことになりますので、担当部長から具体例としてお話をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
それから、複合的な防災施設ということでございまして、太田大臣のお考えが、その取り組みのお話もございましたけれども、今、具体的には、避難広場となるところの河川敷、お話にもありましたけれども、そういうところの階段とかそういうところについて取り組んだらどうかということでございまして、今、例えば江戸川とか荒川の河川敷で階段がございまして、そこに手すりのないものが幾つかございまして、そういうところに国交省は精力的に改善をしていきたいと、こういうことを言っておりますので、それはぜひ促進をしてもらいたいということで、今後とも要請をしていきたいと思っております。
それから、人口問題でありますけれども、今、例に挙げられました、区長会で設けております、東京都と一緒ですけれども、市町村も一緒ですけれども、自治のあり方研究会というのがございまして、当方からも二十三区を代表して山本部長が参加をしておりますが、ここで先般、中間報告をいたしまして、百年後の人口予測を出しました。ただ、百年後ということでありますので、少し先だなというふうに思うのでありますけれども、それはそれといたしまして、そこで言っているようなことに、学問的に言うとなるのだろうなと思いますけれども、ごく最近、これは厚労省、人口問題研究所が、三十年後の人口推計を発表しております。それによりますと全国的に相当減るのでありますけれども、具体的に江戸川区がどのくらい減るかという数字も出しておりまして、今、六十八万人ですけれども、余り減らなくて、六十五万人ということですので、ちょっとしか減らないなという感じなのです。三十年後ですよ。それを信用していいかなと思うのですけれども、でも一応そういうことになっているのです。
東京は全体として減らないということで、むしろ増える区もあるというようなことも出しているのですけれども、ただし、高齢化率は今、一九・何%ですけれども、三〇%になると言っているのですね、江戸川区が。三〇%になるということは相当な高齢化が進むということになりますので、人口がそれほど減らなくて、高齢化率が三〇%になれば、お年寄りの方々の数は相当に増えるなということが想定されるということでございます。
三十年後でありますから、そう遠い先ではありません。ですから、私たちもかねがね考えてはきておりますけれども、こういう社会が到来したときの江戸川区政のあり方、戦略、そういったことを当然考えなくちゃいけないわけで、そういうことにこれからも今まで以上に力を入れて解析、ないしは研究に取り組んでいきたいと思っております。
ご指摘のように、今のところ担税力が低い区でありますから、税負担として、どこまで高齢化社会を支えられるかということについても、大きな課題でありますので、こうした産業力をどう高めるかとか、いろいろな課題がその辺に付随して出てくると思うんです。そういうこともしっかりやっていかなければいけないし、また、高齢化社会であるがゆえに、社会活動そのものが低下するかどうかということも、これはちょっと別問題かということもありますので、そうした熟年社会における労働力、あるいは生産性、そういったものもやっぱり期待をしていかなければいけないのではないかというふうに思います。
それから、特養や介護の問題はどうなるかということでありますが、当然、この重圧は大きくなります。これはどこまで攻め切れるかということだと思いますが、先ほどご説明いたしましたように、こうした
介護保険制度はせっかくできた制度でありますから、しっかりと安定させていかなければいけないと思いますが、これには先ほどのお話のとおり、負担とサービスの関係、あるいは財政をどう切り盛りするかという問題、さまざまにあるかなというふうに思います。
実は、介護保険ができた当時と今日と相当状況が違うことは、介護保険ができた当時、まだ若い人たちが家庭の中にいたという時代と、これから先は若い世代の人が家庭にいなくなるということを考えますと、老老介護ということが非常に大きな割合を占めてくるだろうというふうになります。
介護保険は、老老介護を前提にしたということでもないと思いますので、してはいますけれども、相当これが進んだときに、今の
介護保険制度でいいのかどうかということもある。
今、在宅介護と言っていますけれども、在宅介護が果たしてもつかということは、自分のうちで立派な屋敷があって、そこにおじいちゃん、おばあちゃんが住んで、そこに息子さんと娘さんが住んでいても、全部が高齢化してきたら、その家庭の中で幾ら介護保険サービスを入れても、その家に住み切れますかという問題が出てくるので、これからはそういう資産をお金にかえて、どこかケアの十分行き届く住居を探さなければいけない、そういう時代がもう来ている。
ですから、そこのところをどういうふうに社会的に基盤をつくっていくかということが、今、いろいろな制度が国もできておりますし、民間もいろいろなものをつくっていますけれども、もうちょっとそれを整然とした形で、最終は特養だと思いますけれども、中間の住居をどうするかということが非常に大きな課題の一つになるだろうということが想定されまして、そういうこともこれからの一つの課題だろうというふうに思っております。
それから、観光立区でありますけれども、大変今日的なご指摘だと思いますが、前にこれは福本議員さんからもいろいろご提言もいただき、川瀬議員さんからもご提言をいただいているところでありますが、今、自治体の中で観光ということに対する新しい考え方というのが非常に話題になっておりまして、模索をされている。これは自治体だけではなくして、その方面の、つまり業界も含めて、旧来の観光はちょっと古い、もっと新しい観光という観点に立って、地域をどういうふうに活性化するかということが大きなテーマです。NHKの人生大学でもやっていますし、いろいろ新しいこれからの観光のあり方という科目があるぐらいですから、そういうことも私も時々見ますけれども。それを私たちも、今、やり始めておりまして、そういう何か、庁内的にどのセクションがあるからどうということではなくて、何かいい知恵を生み出していく。
結局、住みやすい地域をどういうふうにつくるかということと楽しい地域をどうつくるか。そういうことを基軸にして、どういう資源を、どういうふうに活用するかということ。そして、人がどこにどう魅力を感じてくれるかということを、どうつくり上げるか。これは外から来る人だけのためではない。住んでいる人にとっても、それは非常に心地のいいものだということを、どういうふうにつくり上げるかということを、最近の観光のあり方の一つのテーマではないかと思いますが、これもしっかり探求をしていきたいと思っております。
待機児童については、横浜市はかなり思い切ったことをいたしまして、待機児ゼロということになったと思いますが、細かく見てまいりますと、相当条件が違いまして、特別区の中でも保育の戦略的なことというのは、状況も違いますし、攻め方も違います。
江戸川区は江戸川区なりのことでこれまでやってまいりましたけれども、特に江戸川区があのような、いろいろなところにいろいろな話題が出てきておりますけれども、それはそれといたしまして、当面これから、これまでも続けてきた待機児解消策をやっていくと、こういうことになると思っております。
保育のあり方も、今、変わろうとしているところでありまして、中身がはっきりしないところもありますけれども、それはそれといたしまして、とにかくご家庭の事情によって、どうしても預けなければならないという人をしっかりとお預かりするということを確保していくということだと思っております。
ちょっとつけ加えますけれども、余りに待機児、待機児、ということで、いろいろなそれに対する批判的な意見があります。育児の問題をどう考えるのですかという問題とか、あるいは、それを解消するには、ワーク・ライフ・バランスをもっと大きく拡大しなくてはだめじゃないんですかと。ただ預ければいいということではないでしょうという意見も、これはいろいろ片方でありますが、こちらは余りマスコミに登場しませんので、ちょっといいのかなと思いますけれども、曽野綾子さんなんかも厳しくそこのところは指摘しておられます。そういうこともつけ加えておきたいと思います。
以上です。
○議長(高木秀隆 君) 新村
都市開発部長。
◎
都市開発部長(新村義彦 君) 区施設のエネルギー活用ということで具体的にご説明申し上げます。
いろいろな取り組みがございますけれども、一つには雨水の再利用というようなことで、これは昭和五十七年から取り組んでおりまして、既に区施設の中でも十五カ所、雨水の再利用施設が設置してございます。それから、太陽光発電につきましても、平成十四年から設置を開始いたしまして、これまでに十の施設で設置を終えてきております。
それから、松江小学校、先般完成しましたので、少し具体の例を申し上げますと、太陽光発電、これは二十キロワットのものをつけてございますので、最大に、天気のいい日に発電をしますと、二十四の教室の照明を全部賄うぐらいの施設規模でございます。それから、雨水をためておいて、トイレに流すようなことになっておりますが、トイレの洗浄水の約二割を雨水で賄っていると。それから、LEDの照明につきましても、新たにこれは体育館の照明に採用いたしまして、あるいはダウンライトにも採用しております。電気料としては約半減ということでございます。
いろいろ取り組みがございますけれども、今後も技術革新等目覚ましいものがございますので、そういう情報等も取り入れながら取り組んでまいりたいと思っております。
以上でございます。
○議長(高木秀隆 君) 多田区長。
◎区長(多田正見 君) ちょっと答弁漏れだったかもわかりませんので、つけ加えさせていただきますが、保育コンシェルジュについて、どういうふうに計画的に進めるかというようなお話がございました。これは横浜市が考えている一つの仕組みなのでございますが、これ、中身を見ますと、全部江戸川区でやっていることなのでございます。ですから、これは改めて何か設けるという必要はないかなというふうに思います。
○議長(高木秀隆 君) 二十四番、中里省三君。
◆二十四番(中里省三 君) 大変丁寧なご回答ありがとうございました。
まず、再生可能エネルギーなんですが、確かに江戸川区の条件からすれば、各地方でやっている条件とはまた違うので、確かにすぐやれるようなことではないかなと思うんですが、先ほど、
都市開発部長が申されたように、とはいっても、やっぱり、エネルギーをどうやって使っていくのかと、大変重要なところかなというふうに思います。
例えば、活断層にある原発が使えないとか、あるいは、日本原電の敦賀原発もだめだというようなこと。これまでの活断層を見ていくと、日本で使えるのは九州電力の玄海原発だけだろうというような話もあるものですから、こういうものに頼らない自然エネルギー、再生可能エネルギーをいろいろなところで新しく利用したり、開発をしていくことが重要だろうというふうに思います。
江戸川区は、そういう意味では、なかなかそれをすぐできるところではないのですが、先ほど言われましたように、学校改築のときにLEDだとか、あるいは、雨水の利用だとか、こうしたことをきちんとやっていくことも大変重要だと思いますので、これからも進めていただきたいと思います。
それから、防災設備の設置の問題ですが、ヒカリクネットというのは、今、庁舎の中にあるトイレに波状の手すりがあるんです。これをクネットというそうです。そこの支柱に太陽光発電で光が夜点灯すると。そのことによって、災害時、夜間にそれを避難誘導できるような、そういうものだそうですので、ぜひ、開発をしていただいて、先ほど、区長が言われたように、手すりのない土手などもあるようですから、そこら辺は要請していくということで、ぜひ、実用化していただきたいなと思います。
余談ですが、日常では避難備蓄の倉庫となったり、災害時には空調設備を備えれば緊急仮設住宅になるような多機能空間コンテナハウスというリベルタキューボというのもありますので、ぜひ研究をしていただきたいと思います。
それから、人口減少と少子高齢化社会の問題ですけれども、私はこの東京の自治のあり方研究会のを読んだときに、大変びっくりして、東京はもう百年後には半数になってしまうのかということで受けてしまったんですが、区長の話だと、そんなことはないよと、それはないよということなので、少しほっとしているんですが。ただ、人口が増えて、あるいは少子高齢化が変わるということではないわけで、この少子高齢化というのはどんどん進んでいくだろうと、今のところそういうふうに考えられていますので、先ほど、老老介護の問題も出されました。私もお近くにそういう方がいて、大変な状況になって、今でさえ状況なんですから、これからの社会の中でそうした問題が必ず起こってくる。そのためにも、例えば、学校の統廃合なんかがあると、そうした学校の跡地などを再利用できないかとか、そういう検討をしていただきたいなと思っています。
それから、観光立区についてですけれども、過去にもいろいろ話がありました。江戸川区のイメージアップということも重ねていければいいなと。さらに、こうした人が集う、集まるところにイベントなどの開催で、雇用の創出ができたらいいなと思っていますので、ぜひ検討をしていただきたいと思います。
最後に、待機児童の解消策ですが、横浜市とは人口規模も、それから予算の関係も全く違うので、これと同じようにできないのは、もう重々承知なんですが、ただ、新聞やマスコミで騒がれると、区民の中には江戸川区はどうなのという話もございますので、ぜひその点も考慮しながら、先ほど、区長が言われたように、やっぱり住みやすい街をつくるため、育児やワーク・ライフ・バランス、これをきちんとやっていったほうがいいというお話もございましたので、ぜひその点を研究をしていただきたいと要望し、質問を終わります。
○議長(高木秀隆 君) 次に、二十一番、小俣則子君。
〔二十一番 小俣則子君登壇〕(拍手)
◆二十一番(小俣則子 君) 私は日本共産党を代表し、通告に従い、以下三点の質問をします。区長の真摯な答弁を求めます。
第一の質問は憲法改定問題についてです。
この問題は、国政の問題ではありますが、現在の区民の最も大きな政治的関心の一つとなっています。また、憲法第九十九条により「憲法尊重擁護の義務」を負う区長としての見解をお伺いしたいと思います。
一点目は、憲法第九十六条の改定について質問します。今、安倍首相をはじめ自民党、維新の会、みんなの党など、いわゆる改憲派といわれる政党から憲法第九十六条の改定を目指す動きが強まっています。
言うまでもなく、憲法第九十六条は、憲法改正の発議、国民投票及び公布を定め、その条文には「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案して、その承認を経なければならない。」とあります。
いわゆる改憲派の各党から、この「各議院の三分の二以上の賛成」という発議要件を二分の一の過半数に緩和する改定案が提案されています。
九十六条改定は、単なる手続論、形式論の問題ではありません。近代立憲主義は、主権者である国民がその人権を保障するために憲法によって国家権力を縛るという考え方に立っています。そのために憲法改定の要件も時の権力者の都合のよいように憲法を変えることが難しくされ、そのことは世界の主要国でも当たり前の原則となっています。
アメリカでは上下両院の各院の三分の二以上の賛成による発議と四分の三以上の州議会の賛成、ドイツでは連邦議会、連邦参議院それぞれ三分の二以上の賛成、韓国でも国会の三分の二以上の賛成と国民投票が求められています。
国会による憲法改定の発議要件を現行の両院の三分二以上から、過半数にすることは、立憲主義そのものの否定であり、憲法が憲法でなくなる改定にほかなりません。区長はこの憲法第九十六条の改定についてどのようにお考えでしょうか。
二点目は、憲法第九条について質問します。
改憲派は、「北朝鮮や中国との関係を考えても憲法改定が必要」との宣伝を行っています。しかし、北朝鮮の問題にしても、中国との紛争問題にしても、何よりも大切なことは、道理に立った外交交渉による解決に徹することではないでしょうか。
この点で、先日、内閣官房参与の飯島 勲氏が政府の特使として日朝会談の準備のために北朝鮮を訪問したことは、歓迎すべきことだと考えます。
憲法第九条二項を変え、戦力不保持を削除し、国防軍の創設を図ることは、ASEANなどの世界の流れに反します。紛争の平和解決、紛争が起こっても絶対に戦争にせず、対話によって解決するということに流れている精神と真っ向から対立するものです。憲法第九条は、日本の世界への公約です。北東アジアの紛争問題も憲法第九条の精神に立った平和解決こそが最も理性的であり、現実的ではありませんか。私は、九条を守るとともに、九条を生かした平和外交によって、アジアと日本の平和を確保することにこそ未来があると考えますが、区長のご所見はいかがでしょうか。
三点目は、憲法に関連して歴史問題についてです。
安倍首相は、「村山談話」の見直しに言及し、「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない。国と国との関係で、どちらから見るかで違う」「歴史家、専門家に任せるべきだ」と述べました。こうした無定見な侵略戦争への無反省から脱して、ともかくも、過去の侵略と植民地支配を「国策の誤り」と認めたのが村山談話でした。この到達点から歴史認識を大幅に後退させようという姿勢も絶対に許されるものではありません。
さらに、維新の会代表の橋下 徹大阪市長の「従軍慰安婦は必要だった」「米軍は風俗業の活用を」などの発言は国内外から厳しい批判の声が上がり、韓国の元従軍慰安婦との面会は拒否されました。
区長は、侵略戦争への反省を否定するような安倍首相の発言や国際的にも強い批判を受けている橋下発言について、どのようにお考えでしょうか、ご所見を伺います。
質問の第二は、高齢者の暮らしにかかわり二点の質問をします。
「長生きできてよかった」と安心して暮らせることは、誰もが望むところです。江戸川区にはこれまで、高齢者福祉施策が充実し、区民も実感するところがありました。
しかし、今年度の事務事業の見直しにより、多くの高齢者が楽しみにしていた長寿祝い品など廃止、熟年者激励手当も非課税世帯のみで減額、おむつの自己負担導入など、元気施策を含めて高齢者福祉施策の予算を約六億九百万円削減しました。このような中では、「長生きしてはだめだと言われているようだ」と話す方もいます。とりわけ七十五歳以上の区民には、敬老祝い品を七十歳以上のひとり暮らしの方には梅干しを配布しながら、民生委員が高齢者の実態を把握してきたことは、とても貴重な取り組みでした。
この取り組みのまとめとして、今年二月に発表された「ひとり暮らし熟年者調査結果」には詳細なデータが示され、特にひとり暮らしの三人に一人、三三・七%が八十歳を超えているなど、今後の課題もはっきり見えています。これらは区政の施策を検討する上でも欠かせないものであり、民生委員さんなどが年に一度でも工夫しながら、直接高齢者の方を尋ねることは重要なことと考えます。
一点目の質問は、今後、重要な高齢者の実態調査について、どのように実施するのか具体的な取り組みについてお聞かせください。
次に、特別養護老人ホームについてお尋ねします。
今年、NHKスペシャルで「終の住処はどこに 老人漂流社会」「歳をとることは罪なのか」が放映され、大反響がありました。私たち区議団にも日常的に介護の問題や特養ホームに入りたいなどの深刻な相談が寄せられています。
江戸川区では待ちに待った特養ホーム建設が六年ぶりに進められ、九月の開設、古川親水苑は、既に百二十床の定員に対し、二百二十六人の申し込みがあると聞いています。区内では、第四期介護保険事業計画中、特養ホーム建設について、種はまいていたとのことですが、一カ所も増設されませんでした。
平成二十六年までの第五期事業計画の特養ホーム、二カ所増設目標は、今回の開設で達成されるとしています。しかし、今年一月、九百九人の待機者がいる状況では、単純計算でも入所者二百四十人を差し引いても、まだなお七百人近くの方が特養ホームの入所を待っていることになります。
区内の待機者の中には、家で介護し切れない切羽詰まった状況の方もいます。ある方は現在、指定通所介護事業のデイサービスを受けながら、夜間は介護保険外のお泊まりサービスを利用して乗り切っています。これは保険外のサービスのため、環境面でもさまざまな課題があるとともに、事業所の負担もあり、また、全てが利用者の自己負担なり、いつまで続けられるか不安を強めています。
二つ目の質問は、依然として多くの待機者が存在し、介護難民にもなりかねない現実の中で、さらなる特養ホームの増設計画を検討し、種まきを強めるべきと考えますが、増設計画についてお考えをお聞かせください。
最後の質問は、北小岩一丁目東部地区
スーパー堤防事業と一体のまちづくりについてお尋ねします。
今議会の補正予算は二十四億円のうち、約二十億円近くが北小岩一丁目東部土地区画整理事業費です。本格的に事業が始動することになります。
スーパー堤防事業は、
民主党政権で一旦は廃止になりました。その時期でも江戸川区は区画整理事業の対象地域でなかった十八班地区の都市計画決定を強引に進めてきました。「なぜ北小岩なのか」「最も区内で地盤が高いところに
スーパー堤防か」の質問に納得できる答えは返ってこなかったと、一昨年、地権者の一七%の方が江戸川区を相手に
スーパー堤防事業の取り消しを求める訴訟を起こしました。
国交省は
スーパー堤防事業について八百七十三キロを百二十キロに縮小して事業の継続を決定しました。また、
スーパー堤防事業の進捗率を二十五年間で五・八%と過大に公表してきましたが、昨年一月、会計検査院の調査結果で完成している
スーパー堤防はわずか一・一%だったこと、江戸川沿川では〇・七%、市街地では完成したところは一カ所もなかったことも明確になりました。
自民公明政権が復活して、今年二月に区長は国交大臣に
スーパー堤防事業について、「北小岩一丁目東部地区では準備が整っている」として、共同準備化を要請に行きました。大規模公共事業や大型開発に税金をつぎ込む安倍政権のもと、江戸川区は国交省関東地方整備局と
スーパー堤防と一体のまちづくりの基本協定を結びました。住民の説明会では、今年十二月から住民の移転、除却をはじめようとしています。しかし、十八班地区地元住民の方は、まだこの事業に納得していない方がおり、「
スーパー堤防取り消し訴訟」裁判は、今日十一時から第七回目の口頭弁論が行われています。住民合意が成立しているとは到底言える状況ではありません。
質問は、国交省が北小岩一丁目東部地区
スーパー堤防事業決定をする、そのための事業評価について、五月九日の第二回「事業評価監視委員会」での判断材料の資料に関連してお尋ねします。
私たち区議団は、笠井 亮衆議院議員とともに、五月二十三日、国交省に
スーパー堤防事業の予算化について説明を求めました。説明では、平成二十五年度は、「予算は約四十二億円で、北小岩については十二億円、盛土、建物補償などの費用」とのことでした。
地元の状況については、「九〇%以上の住民が賛成している」、昨年十二月の火災時、「消防車が地区内に入れないため、道路を通行どめしながら消火活動を実施」したとの内容でした。
当日、当該地区の方も同席していましたから、「消防車は家の前で消火活動していた。事実と違う、確認したのか」との問いに、「区の報告ではそう受けている」との繰り返しでした。また、「九〇%以上の賛成と言うが、地権者六十六人のうち十一人が裁判の原告で、九〇%以上ではありません」と言っても、はっきりした返事は返ってきませんでした。
まず、「事業評価監視委員会」の資料作成に当たり、江戸川区がどのような報告をしたのか、二点質問します。
一点目は、十二月の火災時、消防車が「当該地区に入れず」との記載について、「入れなかったのか、入ったのか」、実際の消防活動の報告の内容についてお答えください。
二点目は、「住民の九〇%以上が賛成している」との国交省の説明について、何を基準に報告されたのか、明確にお答えください。
最後に、住民合意が整っていない状況の中で結んだ国との基本協定ですが、今後どのように具体的に事業を進めるのか、年内の建物移転、除却といわれていますが、移転の意思のない住民に対して、事業者自ら期限を定め、期限内に移転しない場合に事業を実施する直接施行を行うのか、お答えください。
以上で第一回目の質問を終わります。(拍手)
○議長(高木秀隆 君) 多田区長。
〔区長 多田正見君登壇〕
◎区長(多田正見 君) お答えをしてまいります。
憲法問題は、確かに私たち国民にとって重要な問題でありまして、恐らく日本国民にとって、二十一世紀最大のテーマだとさえいわれております。私も当然、この問題についてさまざまな護憲派、改憲派など、できる限り努力をして理解しようとしておりますが、大変難しいです。
これは簡単に賛成、反対などということを言える状況ではないのかなと思うんですが、いろいろな新聞でやっておりますアンケート調査とか世論調査、あるいはNHKもやっておりますが、大変、賛成、反対、まちまちでございまして、大きく何か差がついているというよりは、何か拮抗しているような感じがいたします。
今、いろいろお話がありましたけれども、つまり、どうも改憲派、あるいは護憲派を含めて、イデオロギー論争という面が多分にありますし、あるいは感情的であったり、情緒的であったりするような議論も多いかなというふうに思います。
憲法学者も多くのことを言っておりますが、もう少し国民自身の問題として冷静にやらなければいけないのではないかという主張も多々ございます。
最近発売の文藝春秋です。九人の激論四時間全収録というのがありまして、これも私は読んでおりますけれども、これでも四時間激論を戦わせて結論は出ていないんですけれども、それほどに難しい問題だということです。
憲法第九条にしても、それを守れば平和は維持できるのか。つまり、それよりも憲法第九条からは小中学生が読んで、ここから自衛隊の存在というのが出てこないでしょうと。そうすると、本当に国民は、その条文はともかくとしても、自衛隊を本当に解散していいのか、していけないのか、そのぐらいの腹をくくった議論をしなくちゃだめだということも言っている人がいるんですけれども。
やっぱり、総じて国民と離れたところの議論で、やや国民にはわかりにくいという、ややではない、大いにわかりにくいということがあって、それを何人もの人も指摘しておりますけれども、これは我々の将来の日本のあり方や日本の平和の問題もそうでありますけれども、日本の国をどう考えていくのかという非常に重要な問題なので、そう簡単に結論を出していいという問題ではないと。だから、もっと広く国民的な視点に立って、深い論議を展開しないと、日本の国は誤ることになるというようなことだということのように、この議論は思えます。
私にこの場でそのどちらかということを問い詰めるということがどういう意味があるかわかりませんが、そういうことからすると、私もこの論議は簡単に結論が出る問題であるとも思えませんので、お互いにこれからも深く勉強していかなければいけないのではないかと、そういうふうに思っております。
それから、歴史問題でありますが、これは村山談話が政府見解として世界に向かって言ったことでありますから、政府見解として受けとめていかなければいけない、そういうふうに思っております。
橋下市長の発言については、多くの人がこれは思っているとおりで、まさか立派な発言をしましたねとは言えないでしょうね。ということでございます。
それから、あと、特養ホームを計画的に進めてくれというお話で、できるだけそういうことを進めるべく努力をしているのでありますが、先ほど来のご質問にお答えしたとおりでありまして、特養は確かにこれから先、数多く必要になるということはもう明らかであります。
どういうペースでつくるかということは、これは全体財源の問題もありますが、財源というのは、つまり区の財源だけではなくして、つまり、この負担は一般住民の方々にも大きくなっていくはずでありますから、そのバランスをよく考えなければならないということもありますので、そうしたこととか、あるいは、その時々の状況に照らして、慎重に考えていくべきことだというふうに思っております。
これらは全て検討会で一応議論をする中身でありますから、こういうことは、そういう場で深く論議を突き詰めてもらいたいと思っております。
それから、
スーパー堤防については、先ほどからお答えしておりますが、強引にとおっしゃいますが、強引にという気持ちはありません。これは住民の多数の要望に基づいて第十八班地区を入ったと、こういうことでありまして、反対がもちろんあるということは、これも別に不自然なことではありません。こうした公共事業に対して、賛成、反対があることは、その常でありますから、そうしたことは重々私たちも承知の上で、しかしながら最終的に多くの人が望む形をどうつくるかということについて、反対の方があっても、それは最終的にはご納得をいただくような努力をしなければいけない。
街をよくするために、これまでも多くの区画整理事業をやってきましたし、再開発もやってまいりました。そこには必ず反対の方もいらっしゃいましたけれども、しかし最終的にはご同意をいただくということで、いい街並みが生まれていると、こういうことでもありますから、そのための努力を私たちは経験的にもたくさん積み重ねてきているわけでありますので、そうしたことを踏まえてやっていきたいと、そういうふうに思っております。
裁判が起きておりますけれども、公共事業で途中で裁判を起こされる例は、区画整理でもいろいろございました。しかしながら、裁判が起きたからといって、起こされたからといって、事業を中止すると、そういうことは必ずしもそういうことにはならないわけでございまして、むしろ私たちは決められた事業を適正に推進するというのが義務でございますから、裁判は裁判といたしまして、事業は進めると、こういうことになるわけであります。
それから、評価委員会の資料でありますけれども、先般、不幸にも火災が起きまして焼失をした家屋がありますが、私も後から確かめましたが、消防車が入ったというのは、大型、中型、小型のうち小型が一台入ることができたと。中型は入り口のところまで行くことができたと。あと三十四台出た消防車は全て入れずに、千葉街道と蔵前橋通り、ただ遠巻きにホースを延長して、いわゆる消火活動に当たったということで、常識的に見れば、これは消防車は入れないと、そういう街だということは誰でもお認めになることだと思うんです。だから何か間違った情報を国交省に提供しているのではないかということは、我々としてはそんなことはないと。消防車が入れないような街なんですということで間違ってはいない。
それから、反対、賛成が何%とかおっしゃいましたけれども、区は賛成者がどれだけ、反対者がどれだけという言い方は一切これまでもしておりません。言い方としては、家屋調査に応じてくださった方はどれだけ、応じてくださらない方はどれだけという言い方はしております。それを数字に置きかえて何%と国交省は言ったかもわかりませんけれども、さっき申し上げたように、私たちは、そこに住んでおられて、この事業にかかわる方を、こちらは賛成、こちらは反対というふうに決めつけてかかるということはいたしておりません。
なぜかというと、さっきのように、いずれ納得をしてくださった方々は、全部賛成者になっちゃうんです、最終的に。今までの事業からすればですよ。区画整理もみんなそうですけれども。ですから、あらかじめ決めて、それを、この人はこうだ、この人はこうだというようなことは言わずに、さっき申し上げたような言い方をして、いずれは全ての方々に家屋調査に応じてほしいと、そういうことを説得していくと、こういうことになるということであります。
直接施行というのはどうかということでありますが、これは一応、法律的に認められている手段でありますが、これはぜひ避けたいというのがもちろん私たちの考え方ですから、ここにいく前に、できるだけご納得をいただくべく努力をすると、そういうことなのでございます。
ひとり暮らしの高齢者の実態調査はいかようにして行うのかというご質問がございました。これは担当部長のほうからお答えをいたしますので、よろしくお願いします。
○議長(高木秀隆 君) 原野福祉部長。
◎福祉部長(原野哲也 君) 今回の見直しで、長寿祝い品は廃止をさせていただきました。それから、ひとり暮らしの調査の部分について、社会福祉協議会でやっておりましたときに、梅干しを民生委員さんがお配りになっていたと。これについても見直しをさせていただきました。
そういうことだから、ひとり暮らし調査とか、熟年者の世帯の調査を全く区がやらなくなったか、今年からはやるつもりはないかということではございません。民生委員さんを中心といたしまして、また、今年の秋に向けて実施をしたいというふうに考えております。
まだ詳細を詰め切っているわけではございませんが、やはり、これからひとり暮らしの方も増えてまいりますし、熟年者のみの世帯も増えてくるわけであります。基本はご近所とご近所の交流があったり、コミュニケーションが一番でございますけれども、やはりそうはいいましても、孤立しがちな方々というのはいらっしゃるわけであります。そこら辺は今後もきちっと目配りをしていきたいというふうに考えております。
以上であります。
○議長(高木秀隆 君) 二十一番、小俣則子君。
◆二十一番(小俣則子 君) ご答弁ありがとうございます。
憲法の問題については、非常にどのようなご答弁をされるのかと思っていたんですけれども、これから私たち自身も多くの国民と一緒にこの憲法をしっかり学んで議論を深めなければならないと。簡単に九十六条を変えられるようにするということを、すぐやるなんてということは、やはり問題だという立場に立っています。
ですから、そういう点では、憲法の問題については、区長のおっしゃるとおり、もっともっと国民の議論を深めていく必要があるのではないかということは思います。
一点なんですけれども、区長は三月十日、東京大空襲の犠牲者追悼式典、世代を結ぶ平和の像の集いというか、そういうときや、また、七月の原爆の滝野公園で行われます犠牲者追悼式で、いつも区長は平和が大事だというお話をされます。私は、そのお話を非常に共感を持って聞いていました。ですから、少なくとも憲法第九条といいますか、九条については、やはり守る。どんなことがあっても戦争にしてはならないということは大事だと思いますし、今の安倍内閣のもとで橋下市長の話は立派な発言ではなかったという点では、本当に国だけじゃなく国際的にも非常に批判を浴びている中で、そのことについては、やはり安倍内閣そのものが、今、憲法そのものを変えようとしているという動きの中で、そういう背景の中でしたのだと思います。
憲法第九条について、区長の思いを最後に聞かせていただきたいと思います。憲法については、それだけです。
特養ホーム、それから高齢者の実態調査については、実態調査は行うということなので、そのことについては、詳細はまだ決まっていらっしゃらないということだと思うのですが、特養ホームについては、やはり、今回の第五期検討をするときについても、介護支援専門員の調査の中でも、この問題は重要な特養ホームが、何が不足している介護サービスなのかという点では、二位に特養ホームが不足しているということが、日々いろいろな相談を受けている人たちの中でも指摘されている問題です。
このことについては、検討会で決めるからというこのでなくて、江戸川区として、やはりこの問題をどう受けとめていくのかということで、種まきは既にやるべきだというふうに思いますので、その辺について、そういう方向なら方向で結構ですから、お答えしていただきたいと思います。
最後に、
スーパー堤防の問題です。区長は、消防自動車のことは一台は入りましたと、小型はということだったんですが、私も国交省に行って直接聞きましたから、そのことについて消防署に確認しました。この地区内に入らなかったと資料に書いてあるんですね。この資料は江戸川区が出した資料だということも聞きました。じゃあ、江戸川区がこの資料はある意味では間違っていたということをお認めになるのかなと思いますが、そのことが一点です。
そして、一点目は、消防自動車が入った入り口で、大きいのは入り口でとまったと言いましたけれども、小岩消防署の関係の方は、これは事実と違いますと、二台入りましたと。小型ポンプ車、普通ポンプ車、二台入ったということを言っています。その辺について、なぜ違う、間違ったというか、事実と違う資料を提出したのかということが不思議でなりません。そのことについて、これだけ問題がある地区だからということを強調したいがために、監視検討委員会で提出したのかというふうに、うがった見方もしちゃいます。その辺について、江戸川区が間違った資料を提出したならしたで認めていただきたいと思います。
そして、改めてこの資料、本当はそこで事業を再評価して、事業化決定をしてしまったわけですから、とてもそういう意味では、ちょっとひどいなというふうに思いますが、その点についてはどうでしょうか。
それから、もう一つの問題は、本当に
スーパー堤防が必要かどうかということです。今日も同僚議員が
スーパー堤防について、六十八万区民の命と財産を守るということで、必ず
スーパー堤防事業というと、枕言葉にそういうことがつきます。しかしあの十八班地区、どう見ても、六十八万区民の命と財産というのは、どこがあそこの地域百二十メートルのところを
スーパー堤防にして、どれだけの人が避難してくるのか、避難場所がないとかということで、そこを高台にするんだといいますが、何人が避難できるのかということと、それから、もう一つは、避難場所と言いますが、いつの時点で避難するんですか。洪水というのは、川のほうからあふれてくるときに、あふれてくるところに避難なんてとてもできないというふうに思います。そういう意味で、避難場所にする、避難場所にするというのを明確に、どこの時点で避難場所にするのかということをお答えいただきたいと思います。
事業評価監視委員会に出した資料、それから、国交省ははっきりと区から説明を受けて、九〇%以上の人が賛成と言っていましたけれども、それについては賛成者が九〇%以上じゃないというのは、区長の答弁どおりだったら、私たちの説明に対して間違ったことを国交省が言っているということですねということを確認したいと思います。どうでしょうか。
○議長(高木秀隆 君) 多田区長。
◎区長(多田正見 君) 憲法第九条の問題ですが、恐らく「あなたは平和を望みますか、戦争を望みますか」と言えば、世界の全ての人は「平和を望みます」と言うに決まっています。しかしながら世界の現実はそうなっていかないということがあって、そのために地球上の多くの人たちがどういう努力をするかということになってくるわけでありまして、九条は確かに大変意味のある条文でありますけれども、本当に平和を保障するというものは何なのかということを、九条だけなのかというと、九条を変える、変えないの問題で平和が保障されるのかということになってくると、決してそういうことではないわけなので。
私たちは、つまり、九条の問題も重要ですけれども、平和のために日本国民はどういうことを考え、どういうことを実践していくかということを、もっと突き詰めていかなければ、本当の九条問題にはならないんだろうというふうに思っております。そういうことでご理解をいただきたいと思います。
特養は、さっき申し上げましたように、これから高齢社会を迎えますので、どうしてもたくさん要ることになるということでありますから、これはできるだけ計画的に、できれば進めていきながら、状況は刻々変わりますから、そういう状況に照らして、全体のバランスの中で何が適正かということを求めていくということを申し上げているので、そういう理解をしていただきたいなと思います。
それから、
スーパー堤防の問題ですが、別に私どもが何か私たちの主張を優位にするために資料提供を誤った形で出しているなどということは毛頭考えておりませんし、そういう作為もありません。全く街の中で火災でも起きたら、やっぱり消防車はなかなか入ってこられないようなところであるし、危険な街だということは、誰もが認めているところだと思いますので、消防車が入れれば、もっともっと数多くの消防車が入って消火に当たったはずでありますけれども、そういうことができないという状況であったわけでありますから、別にうそをついているわけではありません。
賛成、反対も、国交省が私たちの言い方に対して、誤った形でのパーセンテージの説明をしたのかということについて、それは国交省が私たちとは違う誤った表現をとっているのかということについて、どうなんだということでございますが、これは全く何かわけのわからんご質問でございまして、私たちがこういう状況ですということを申し上げて、向こうが家屋調査に応じた人が何%いましたねということは賛成だというふうに理解を示したということは間違いでも何でもないと、それは思うのでございますが、そういう見方をしたということですから、それに私どもが誤ったことを言ってくれて、私は小俣議員の質問を受けて困ったと、そんなことを私は国交省に言うつもりは毛頭ありませんし、そういうことでございます。
それから、さっきの私の答弁でもお話しいたしましたけれども、
スーパー堤防は、あそこをつくったからそれでいいというものではないということは、再々申し上げているところでありまして、それは一つの取っかかりの入り口であるわけでありますから、そういうところがどんどん増えていくことが、これが最終目標を達成することでありますので、小岩一丁目だけ高台にして、どういう効能があるかといったって、それはそういうことではなくして、あそこをやっぱりやることによって、次々と事業が進んでいくことを期待するということを言っているわけでありますので、高台があそこにできたから何十人が助かるんだとか、そういうことではない。だから、もっと
スーパー堤防というものは、どういうものだということを勉強していただきたいなというふうに率直に思います。
それから、以前、本会議でもおっしゃったと思いますし、委員会でもおっしゃったと思いますが、
スーパー堤防で地盛りをしなければいいんだと。区画整理だけなら認めるよということをおっしゃっていたじゃないですか。この問題は、その部分の問題なんです。街づくりの問題なんです。つまり、
スーパー堤防、要するに消防自動車が入れるか、入れないかということについて、とにかく危険な街だから区画整理はどんどんやって結構ですけれども、高台にすることはやめなさいという、そういうことを主張しておられたんですよ。そこに自己矛盾があるでしょう、おっしゃっていることに。だから、何かこのご質問は、言葉がいいかどうかわかりませんが、言いがかり質問に聞こえますね。
○議長(高木秀隆 君) 二十一番、小俣則子君。
◆二十一番(小俣則子 君) 区長、言いがかり質問なんて言っていいんでしょうか。正直言って、消防署の人が通常の消防活動をしたと言っているんですよ。実際に誰もが問題ある地域だなんて消防署の人たちは言っていないんですよ。どう考えたって、例えば、うちの近くにも火災があります。そういうときの、すぐそばに消防自動車が全部入ってくるなんてことはあり得ません。道路を封鎖して、そこで消火活動をするのが通常です。消火栓からしっかりとホースを持って消火活動をするのが当然の消火活動で、ここの地域が消火活動、消防活動に問題があって、緊急自動車が入れないということが何の問題もなかったということを、私は情報開示請求でしっかりと地図もいただきました。どこに消防自動車がとまったのか、小型なのか、それから、どういうポンプ車なのか、とまったのかも情報開示請求でいただきました。区長こそ、やはり、それは江戸川区のそこを何とか問題がある地域だということを評価していただくために、事業評価監視委員会に、そういう資料を、あたかも消防自動車が一台も入らなかったような文面と写真をつけて資料を提出した。これははっきりと国交省の人が江戸川区から提供してもらった資料だと答えています。やはりそこに問題があるんじゃないでしょうか。
私たちは、
スーパー堤防、勉強しています。それこそ勉強していないのがそこに本当に必要かどうか。洪水で氾濫するんですか、あそこが。あそこが氾濫するんだったら、もっと上流でしょう。そして六四%の通常堤防が整備されていないところに問題があると会計検査院も指摘して、
スーパー堤防よりもそっちをやるべきだということを言っているではありませんか。命を守る、低地帯を守ると言うのならば、もっと総合的な治水対策が必要だということを申し上げて終わります。
○議長(高木秀隆 君) この際、時間を延長します。
次に、四十二番、渡部正明君。
〔四十二番 渡部正明君登壇〕(拍手)
◆四十二番(渡部正明 君) 質問に入る前に、先ほど同僚議員からも早川大府教育委員の逝去のお話がございました。私も友人の一人、また、私たちの会派としても教育委員として推薦した多くの同僚議員からも、この思いは一緒でございます。心からのご冥福をお祈りしたいと思います。
さて、通告に従い順次質問を進めていきます。区長並びに担当当局の明快な答弁をお願いいたします。
東京都は「二〇二〇年の東京」を目指すアクションプログラム二〇一三において、目標として「高度な防災都市を実現し東京の安全性を世界に示すこと」、また、「震災対策に集中的に取り組み、地震に負けない都市を造る」として、安全な街づくりに向けて、本年一月に不燃化推進特定整備地区制度を草案し、正式に二十五年度、不燃化特区制度を決定しました。
この六月下旬から東京都都市整備局が窓口となり、主税局の税制助成を含め新規実施地区の募集を始めましたが、本区でも今年度新たに二地区を申請すると聞いています。
先日、安倍総理大臣も四日前、八日の土曜日に墨田区京島二丁目地区の木造密集市街地地区を視察され、この狭隘な本当に危ない街という思いを実感され、国費の補助についても前向きな話をされたようでございます。
既に私たちの街、江戸川区では南小岩七丁目、八丁目地区では、東京都の不燃化特区先行実施区・木密地区不燃化十年プロジェクトとして決定され、計画が進み始めました。地区内においての老朽家屋の除去費用助成、税制優遇など三項目の支援制度が導入されました。この細目について、ぜひお聞かせください。
また、新たに申請を予定し、進めていく地区について、その地区名と今後の計画について教えてください。
現在、地方も都市においても、核家族化と高齢者所帯の増大が進む中、私たちの周囲にも空き家や老朽化した家屋が目立ってきました。建築基準法の一部改正により昭和五十六年旧耐震基準から新耐震基準へと変わり、旧基準に建てられた家屋の耐震補強を求められるようになりましたが、老朽化した家屋がそのまま放置されている状況が本区においても増えてきました。特に無人化した老朽家屋は倒壊のおそれ、火災や防犯、衛生的にも近隣の住環境悪化を誘発していきます。
本区では昨秋より雇用創出助成金を利用して、区内の老朽家屋調査を実施したと聞いております。この調査の細目についてお尋ねします。
調査費の国として出てきたお金なのか、東京都経由なのか、この所管のあり方、そして、この調査項目、また、江戸川区としてさまざまな地域エリアがありますが、調査範囲、そしてこの調査を委託した業者なり委託先、そして委託金額、そして何人の人で調査をされたのか、また、どういう資質の調査員がこの任に当たったのか、そして得られた数字、この分類の分析の仕方、調査の結果の地域ごとの数値把握、これらの分析と活用方法について、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
これらの老朽家屋にも地権者と上物が同一の所有者の物件と地権者と上物家屋の所有者が違う物件とでは、権利や相続の関係で差異があるものの、適正な環境維持のために、近年、多くの自治体で安全、衛生、防犯、環境を重視し、安全で快適な街づくりの妨げになっているとして、老朽家屋、危険な家屋の解体、更地化を求める「空き家など適正管理を求める条例」を制定しています。本区では、これら老朽家屋に対する具体的な対処方法について、まだ聞かれていません。
二〇一〇年に全国初の空き家条例を制定した埼玉県所沢市に続き、二〇一二年現在十六都道府県、三十一の自治体が制定しています。都会、地方と多少の違いもあり、内容を比較してみましたが、悩みは共通であり、何とか街の安全と住環境を守ろうとする切実な思いで施行されています。危険家屋に対して勧告、措置命令、代執行で解体撤去も行われた例も報告されています。
私の住む家の区画でも近年まで三十一戸の家屋が建っていましたが、現在では空き家が四戸、更地化した物件が六戸、今では十八戸の個人の居宅と三戸の共同住宅、計二十一戸になっています。また、空き家のうち一戸は戦前からの木造二階建て、三百平方メートル以上の大きな老朽家屋で、外壁のトタンや瓦が強風のたびに飛散し、倒壊のおそれもあり、隣近所では常に危険を感じています。町会でも薬剤散布や除草をして、地域の衛生環境を守ろうと努力していますが、民民では限界があり、解決できずに困っています。
老朽家屋ではありませんが、区内の空き地で放置されているごみや雑草の管理が悪いものに、所有者に代わり区が手を入れたことも過去にはあったと思います。
ほかに居宅していても老人世帯や独居住まいの老朽化した危険な家屋も多々見られ、個人の問題とするだけではなかなか解決し得ない大きな課題になっています。私は強制力を伴った条例制定を願うのですが、区行政としての考えをお聞かせください。
これらに対処するために建築指導課もたびたび周辺住民の苦情や依頼で所有者に指導しますが、法制的にも何もできていないのが現状であり、担当所管の職員が常につらい思いをしているはずです。
これらの問題は、都市開発部、建築指導課だけで解決できない問題であり、役所のセクト主義を越えて、住民の生活環境を保全するという視点で近隣住民の立場で役所全体で対応しなければ無理だと思っています。
当然、老朽家屋と土地とはいえ、相続の問題とともに固定資産税、都市計画税の課税対象であり、家屋を解体更地化すれば、課税額が約六倍になってしまうなど、所有者の側の経済的な都合もあるようです。先日、江戸川都税事務所にお伺いし、これら家屋や土地の固定資産税の評価の基準や算出方法について教えていただきました。
さきに述べた南小岩七丁目、八丁目地区では、東京都の不燃化特区先行実施地区・木密不燃化十年プロジェクトとして決定され、老朽家屋の除去費用助成、税制優遇など三項目の支援が導入されていますが、特区に指定されていないほかの地域にも税制面での一定の期間の固定資産税と都市計画税の課税猶予、減免を行うことにより、所有者が自ら自主的に老朽家屋の解体撤去、更地化の促進ができると期待をいたします。
今、何もせずに老朽家屋がそのまま存続しても、これは税収も伸びません。その上、老朽家屋や空き家対策が現行のまま何もできないことは、安全な良好な環境の街づくりの促進を妨げ、災害に強い街づくりへの大きな障害になります。
このたびの東京都都市整備局の特区指定の推進は、危険度の高い木造密集市街地から順次、安全な街、東京をつくろうと目指す価値あるプロジェクトであり、税制優遇など主税局とともに立案されたことを高く評価したいと思います。
特区の事業推進を願うとともに、ぜひ二十三区共通の課題であるから、これら放置された老朽家屋の解体と更地化に特区指定地以外でも税制の猶予だけでも適用し、自主的に東京の安全な街づくりが進められるよう主税局を含め東京都に働きかけることを区長会として行動できないでしょうか、お聞かせください。
さらに、街づくりの推進を阻害しているものとして、江戸時代、明治時代以来の官地、青道、赤道があります。法定外公共物と言われる赤道、昔の里道・あぜ道や、青道、小川や水路、明治時代に税金をかけない国有地として分類され、大蔵省が長年管理を担ってきましたが、箇所の位置決定や幅員、長さ、面積も不確定で小さく、管理し切れず地域の実態に任されていたようです。
しかし、地方分権一括法により平成十二年から十五年にかけて江戸川区に無償譲渡され、道路形態のあるものを認定道路とし、認定外の通路については区有通路条例を設け、区有地としての取り扱いの確認をされたようです。
そのほかの道路、水路等の機能を喪失した公共物の把握を十五年、十六年の二年間で埋没公共物台帳として作成されたと聞きました。現在、埋没公共物二百五十三路線、総延長約十一キロ、面積約二万二千平米、これらのほとんどが官民の境界確定がなされていません。これらの土地は公的利用が可能な土地については、公園やポケットパーク、学校等公共施設の敷地の一部として活用されてきましたが、いまだ多くの土地が購入申請手続の上で協議が整わず、未解決、未処分になっているものが多いと聞いています。また、住まわれている住人自身が承知していなかった事象もあり、相続や建て替えのために手続を踏んでいく中で、公図に赤道や青道が残っており、困った人も多いと聞いています。
現在では道路として六百四十六路線、区有通路として指定され利用されていますが、残り四百七十八路線、約三十三キロが道路形態もなく、公図の上に存在しています。
しかし、今までこれらの土地の払い下げに平成十四年から二十四年までの十一年間で二十四路線、八十二件、長さ千四百八十メートル、面積三千百五十五平米、金額にして四億七千六百万円もの払い下げが行われました。対象土地面積二万二千五百七十三平方メートルのうち、わずか一四%であり、現在のままの体制で売却を進めるにはさらに多くの時間と労力を要します。
私の育った時代から見ても江戸川区の風情、街並みは大きく変わりました。まして明治、大正、昭和と百五十年も前の沼や田んぼ、蓮田、河川からの内水路や船溜まり、荷揚げ場、野菜の洗い場、また、それらを行き来するあぜ道や農道なども東京の発展に伴い市街地化し、低湿地も埋め立てられ、荒れ地、農地だったところにも家が立ち並び、昔の赤道・青道は密集市街地に埋没してしまいました。
これらの公図に残る土地の処分を速やかに行うための払い下げの手続方法を見ましたが、境界確定申請書、境界立会協議と測量、協議書の取り交わし、売り払い申請、売買契約締結と、区民の側からすると、役所の手続にも大きな手間とお金がかかります。
これらの土地の処分については、土木部施設管理課内の一係で対応していますが、払い下げ評価金額や決定については、総務部の財務管理がかかわり、近隣土地評価額の五五%の値段による売却、払い下げを原則としていると聞いています。
今後の売却の進捗、街づくり推進、課税対象になり得る土地に速やかに変える等、さまざまな観点から従来の評価額、一律五五%での売却の方針を見直すことはできないでしょうか。土地の現況に大きな差があっても一律評価なのか、または幾つかの形態、経緯など条件を勘案して数段階の評価も必要ではないかと提案したいと思います。
このような例がありました。かつて農地が埋め立てられ宅地化された借地として扱われ、借地人も地主も世代交代もあり、赤道の存在すらわからずにいることも生じています。高齢になり親族との不動産の分割や相続するために登記簿謄本と公図を取って、はじめて家屋敷の下を横断する形で赤道等の存在を知り、区役所の担当に相談したところ、近隣の土地評価額の五五%の払い下げを示されました。
逆にその方の私道がすぐそばに隣接の区道の中に登記されており、互いに面積的に相殺して解決したいと望んだのですが、区の方針で役所の持っている青道は近隣土地評価額の五五%で払い下げ、お宅の土地は区道の中だから評価は一〇%で買い上げと言われたそうです。この区道もかつてはあぜ道から広がった道らしく、借地人に奥の土地を提供する際に、地主さんが私道として提供したようです。
以上のように、長年の過去の経緯がわからないまま地主さんが占用していた、これらの取得意図のない土地を役所は従前からの取り扱い基準五五%の払い下げでは買い取る側に難しく、困っているという現状にたどり着きます。登記や相続など困るのは地権者であり、役所は放置していても余り困りません。これらの土地の状況により一律評価に固執することなく、解決するように、ぜひ願いたいと思います。払い下げを促進させることで当該の土地家屋に固定資産税や都市計画税が通常に課税できることのほうが広い意味の公として有効な方法と思います。
しかし、面積的に広く、長年の占有もない単に隣接地を払い下げるのとは条件が違います。このような場合は五五%でも私はやむを得ないと思っています。
このように形態と経緯の違いにより二段階、三段階の土地評価の基準を設け、財産価格審議会や農業委員会の権能を活用して円滑な払い下げを可能にしたほうがよいと思いますが、いかがでしょうか。これからの法定外公共物を払い下げていく改善についてお聞かせください。
今までの土地の払い下げと比較して前例とか公平、不公平ということで、このまま変えずに従来どおりの事業を進めてみても、担当者と時間を今まで以上にかけても効果は薄く、良好な課税対象の土地になり得ないと思います。
長期の公用財産の放置による民間の占有による取得時効が成立した判例もあり、払い下げ基準を自治体の長、多田区長の権能で運用することにより円滑な払い下げとともに、有効な土地活用がなされると思います。ぜひ柔軟な対応を希望いたします。また、後ほど、第二質問の際に判例等についてお話をしたいと思います。
次に、東京都二十三区・区部周辺部環状公共交通、通称メトロセブン、またエイトライナーについて質問いたします。一部本区のバス路線の空白域についても触れさせていただきます。
江戸川区基本構想第四章六節二項に、利便性の高い道路、交通、情報ネットワークの整備が掲げられています。本区の街づくりは、上下水道の普及と整備にはじまり、区画整理、道路橋梁整備と進み、さらには東西線、
都営新宿線、京葉線と在来の総武線、京成本線と相まって進んだ鉄道路線の整備など、着実に進展してきました。