板橋区議会 2023-11-28
令和5年第4回定例会-11月28日-01号
令和5年第4回定例会-11月28日-01号令和5年第4回定例会
令和5年第4回東京都板橋区議会定例会本会議第1日議事日程
令和5年11月28日(火曜日)
日程第 1 議案第69号 職員の高齢者部分休業に関する条例
〃 第 2 〃 第70号 職員の自己啓発等休業に関する条例
〃 第 3 〃 第71号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
〃 第 4 〃 第72号 東京都
板橋区営住宅条例の一部を改正する条例
〃 第 5 〃 第73号 東京都
板橋区立高齢者住宅条例の一部を改正する条例
〃 第 6 〃 第74号 東京都板橋区
国民健康保険条例の一部を改正する条例
〃 第 7 〃 第75号 東京都
板橋区立学校設置条例の一部を改正する条例
〃 第 8 〃 第76号 東京都
板橋区立幼稚園条例の一部を改正する条例
〃 第 9 〃 第77号 板橋区立上板橋第一
中学校解体工事請負契約
〃 第10 〃 第78号 (仮称)
板橋区営仲宿住宅改築工事請負契約の一部変更について
〃 第11 〃 第79号 東京都板橋区営住宅及び東京都板橋区改良住宅の指定管理者の指定について
〃 第12 〃 第80号 東京都板橋区立ふれあい館の指定管理者の指定について
〃 第13 〃 第81号 東京都板橋区立中台ふれあい館の指定管理者の指定の期間の変更について
〃 第14 〃 第82号 東京都
板橋区立シニア学習プラザの指定管理者の指定について
〃 第15 〃 第83号 板橋区道の認定について
〃 第16 〃 第84号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
〃 第17 〃 第85号 東京都板橋区長及び副区長の給料等に関する条例等の一部を改正する条例
〃 第18 〃 第86号
会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
〃 第19 〃 第87号 幼稚園教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
午前10時00分開会
出席議員 46名
1番 ひはら みちこ議員 2番 近 藤タカヒロ議員
8番 しいな ひろみ議員 9番 坂 田 れい子議員
10番 木 田 おりべ議員 11番 一 島 ひろし議員
12番 横 川たかゆき議員 13番 長 瀬 達 也議員
14番 大 野 ゆ か議員 15番 井 上 温 子議員
17番 小 柳 しげる議員 18番
内田けんいちろう議員
19番 間 中りんぺい議員 20番 いがらし 学議員
21番 実 正やすゆき議員 22番 小 野 ゆりこ議員
23番 大 森 大議員 24番 石 川 すみえ議員
25番 山 内 え り議員 26番 中 村とらあき議員
27番 山 田たかゆき議員 28番 寺 田 ひろし議員
29番 わたなべ一 美議員 30番 岩 永 きりん議員
31番 くまだ 智 子議員 32番 荒 川 な お議員
33番 いわい 桐 子議員 34番 田中しゅんすけ議員
35番 田 中やすのり議員 36番 いしだ 圭一郎議員
37番 さかまき常 行議員 38番 おばた 健太郎議員
39番 五十嵐 やす子議員 40番 竹 内 愛議員
41番 小 林 おとみ議員 43番 元 山 芳 行議員
44番 大 野 治 彦議員 45番 鈴 木こうすけ議員
46番 成 島 ゆかり議員 47番 中 妻じょうた議員
48番 高 沢 一 基議員 51番 川 口 雅 敏議員
52番 佐々木としたか議員 53番 田 中 いさお議員
54番 し ば 佳代子議員 55番 おなだか 勝議員
職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名
区議会事務局長 五十嵐 登
区議会事務局次長 森 康 琢
〃 議事係長 龍 野 慎 治 〃 調査係長 服 部 亮
〃 書記 飯 野 義 隆 〃 書記 高 橋 佳 太
〃 書記 高 瀬 渉 〃 書記 安 部 詩 織
〃 書記 鈴 木 琢 真 〃 書記 石 川 実 生
〃 書記 小 林 隆 志 〃 書記 横 山 愛
〃 書記 土 屋 太 功
地方自治法第121条の規定に基づく説明のための出席者
区長 坂 本 健 副区長 尾 科 善 彦
教育長 中 川 修 一 常勤監査委員 有 馬 潤
政策経営部長 篠 田 聡 総務部長 田 中 光 輝
法務専門監 辻 崇 成 危機管理部長 三 浦 康 之
区民文化部長 林 栄 喜 産業経済部長 平 岩 俊 二
健康生きがい部長 宮 津 毅 保健所長 鈴 木 眞 美
福祉部長 久保田 義 幸 子ども家庭部長 関 俊 介
子ども家庭総合支援センター所長 資源環境部長 岩 田 雅 彦
佐々木 三 良
都市整備部長 内 池 政 人
まちづくり推進室長田 島 健
土木部長 糸 久 英 則 会計管理者 代 田 治
教育委員会事務局次長 地域教育力担当部長雨 谷 周 治
水 野 博 史
政策企画課長 吉 田 有 財政課長 大 森 恒 二
総務課長 荒 井 和 子
△開会と開議の宣告
◎事務局長(五十嵐登) ただいまの出席議員数は46名でございます。
○議長(
田中やすのり議員) ただいまから令和5年第4回東京都板橋区議会定例会を開会いたします。
これより本日の会議を開きます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△会議録署名議員の指名
○議長(
田中やすのり議員) 本日の会議録署名議員をご指名申し上げます。
横 川たかゆき 議員
小 野 ゆりこ 議員
以上、お二人にお願いいたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△会期の決定
○議長(
田中やすのり議員) 初めに、会期についてお諮りいたします。
今期定例会の会期は、本日から12月14日までの17日間といたしたいと存じますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と言う人あり〕
○議長(
田中やすのり議員) ご異議がないものと認めます。
よって、今期定例会の会期は、17日間と決定いたしました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△諸報告
○議長(
田中やすのり議員) 次に、諸般の報告でありますが、事務局長より朗読いたします。
〔事務局長朗読〕
5板総総第411号
令和5年11月17日
板橋区議会議長
田 中 やすのり 様
板橋区長 坂 本 健
区議会定例会の招集について
令和5年11月17日付け東京都板橋区告示第508号をもって、令和5年第4回東京都板橋区議会定例会を下記により招集したので、通知します。
記
1 招集月日
11月28日
──────────────────────────────────────────
5板総総第429号
令和5年11月17日
板橋区議会議長
田 中 やすのり 様
板橋区長 坂 本 健
議案の送付について
令和5年第4回東京都板橋区議会定例会に提出する下記の議案を送付します。
記
議 案
1 職員の高齢者部分休業に関する条例
2 職員の自己啓発等休業に関する条例
3 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
4 東京都
板橋区営住宅条例の一部を改正する条例
5 東京都
板橋区立高齢者住宅条例の一部を改正する条例
6 東京都板橋区
国民健康保険条例の一部を改正する条例
7 東京都
板橋区立学校設置条例の一部を改正する条例
8 東京都
板橋区立幼稚園条例の一部を改正する条例
9 板橋区立上板橋第一
中学校解体工事請負契約
10 (仮称)
板橋区営仲宿住宅改築工事請負契約の一部変更について
11 東京都板橋区営住宅及び東京都板橋区改良住宅の指定管理者の指定について
12 東京都板橋区立ふれあい館の指定管理者の指定について
13 東京都板橋区立中台ふれあい館の指定管理者の指定の期間の変更について
14 東京都
板橋区立シニア学習プラザの指定管理者の指定について
15 板橋区道の認定について
──────────────────────────────────────────
5板総総第429号の2
令和5年11月24日
板橋区議会議長
田 中 やすのり 様
板橋区長 坂 本 健
議案の送付について
令和5年第4回東京都板橋区議会定例会に追加提出する下記の議案を送付します。
記
議 案
1 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
2 東京都板橋区長及び副区長の給料等に関する条例等の一部を改正する条例
3
会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
4 幼稚園教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
──────────────────────────────────────────
△専決処分の報告について、農業委員会の事務執行状況、特別区競馬組合議会の会議結果、特別区人事・
厚生事務組合議会の活動状況、東京二十三区清掃一部事務組合議会の会議結果及び東京都
後期高齢者医療広域連合議会の会議結果
○議長(
田中やすのり議員) 続いて、専決処分の報告について、農業委員会の事務執行状況、特別区競馬組合議会の会議結果、特別区人事・
厚生事務組合議会の活動状況、東京二十三区清掃一部事務組合議会の会議結果及び東京都
後期高齢者医療広域連合議会の会議結果につきましては、既に配付いたしました文書のとおり報告いたします。
〔参 照〕
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△区政一般質問
○議長(
田中やすのり議員) これより区政に関する一般質問に入ります。
通告がありますので、順次、発言を許します。
今期の質問順序は、民主クラブからであります。初めに、岩永きりん議員。
◆岩永きりん 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) 岩永きりん議員。
〔
岩永きりん議員登壇〕(拍手する人あり)
◆岩永きりん 議員 通告に従い、民主クラブの一般質問を行います。
まず、自閉症・情緒障がい特別支援学級、通称情緒学級についてです。
情緒学級とは特別支援学級の1つで、知的障がいがなく、選択性かん黙などの情緒障がいや発達障がい等により困り事を抱える児童・生徒が通い、少人数で授業を受けるものです。情緒学級の在籍者数は全国で増加しているものの、本区においては設置に至っていません。以前、区内の小学生の保護者の方から次のようなお話を伺いました。自分の子どもは通常学級に在籍しているが、発達障がいがあり、特性上、授業中じっとしているのが難しい。先生もお忙しく、自分の子どものケアをしていただく余裕がないため、自分がほぼ毎日子どもと共に登下校し、授業中付き添っている。仕事に就けないので、金銭的に苦しいほか、体力的・精神的にもつらいといったお話で、大変な苦労を重ねていらっしゃいました。本区では現在、発達や情緒に課題のある児童・生徒への指導をSTEP UP教室中心に行っていますが、それだけでは支援しきれないはざまで困っている子どもたちとその保護者が少なからずおられます。今年3月の
予算審査特別委員会では、中妻議員の質問に対して次のような内容のご答弁がありました。教育委員会では、情緒学級設置の必要性を認識しており、令和4年度に実態把握調査を行い、区立学校における自閉症・情緒障がいの診断、傾向がある児童・生徒の実態、人数等の把握に努めているとのことでした。それを踏まえ、伺います。区立小学校・中学校に自閉症・情緒障がい特別支援学級を設置することのニーズについて、把握状況はいかがでしょうか。また、自閉症・情緒障がい特別支援学級の設置について、議論の進捗状況と今後の方針をお伺いいたします。次に、小学校の就学相談と
入学予定校変更希望願についてです。現在本区では、通学区域校以外の小学校へ入学を希望する場合、保護者は
入学予定校変更希望願を提出し、手続を行うことになっています。また、小学校入学に向けて、特別支援教育に関する悩みなどのある保護者とそのお子さんに向けて就学相談を行っています。今年度は、前者の
入学予定校変更希望願の提出締切りは9月29日、一方、後者の就学相談については、
特別支援教育利用の具体的な希望がある場合は、10月頃までが相談の受付期間でした。つまり、就学相談の受付期間中に
入学予定校変更希望願は締切日を迎えるという状況でした。発達に課題のある子どもたちにとって、特別支援学級を利用するか否かにより入学先が変わる可能性があるため、
入学予定校変更希望願の締切り以前に就学相談を受けることが望ましいものの、現在、区の発行する各種案内上で、その点に関する周知が十分ではないと考えております。就学相談の実施日時と
入学予定校変更希望願の提出締切りについて、発達に課題のある子どもたちに不利な状況が生じないよう配慮していただくことを求めますが、見解を伺います。
次に、覚醒剤や大麻、危険ドラッグに関する教育についてです。近年、スマホさえあれば、SNSを通じて未成年でも驚くほど簡単に薬物を購入できてしまう環境があります。大麻は野菜、覚醒剤はアイスなどといった隠語で呼ばれ、販売が行われていますが、警察の摘発は追いついていません。2018年の全国調査では、中学生のおよそ200人に1人が薬物乱用経験を持つとの報告があり、本区に当てはめると、各学校において数名の生徒が薬物乱用経験を持つ可能性があると言えます。現在、小中高校で行われている薬物に関する教育は、使用させないための啓発が主流ですが、薬物に手を出してしまった児童・生徒がいることを想定し、身近な大人への相談を促す取組も重要かと思います。覚醒剤や危険ドラッグなどに手を出してしまった児童・生徒が、学校で相談できる環境をつくり出す必要があると考えますが、教育委員会としての見解を伺います。
次に、認知症対策についてです。
2025年には、65歳以上の5人に1人が認知症を発症すると推計される中、認知症の当事者の方とその家族を地域全体で支える必要性が高まっています。そこで、チームオレンジの取組について伺います。チームオレンジとは、本人、家族、
認知症サポーター、
地域包括支援センター、かかりつけ医等が支援チームをつくり、認知症の方や家族のニーズに合った具体的な支援につなげる仕組みです。近年、チームオレンジの取組は全国的に広がっており、本区においても今年9月の時点で、区内3か所においてチームオレンジが活動していると伺いました。しかし、その仕組みを先進的に取り入れている自治体では、人材育成や仕組みの一般化に課題があるとも伺いました。そこで、まず板橋区におけるチームオレンジの活動状況と課題についてお伺いいたします。また、今後の方針についても併せてお聞かせください。また、本区では、
認知症サポーター養成講座、
認知症サポーターステップアップ講座の実施によって、認知症について正しく理解し、当事者と家族を見守る
認知症サポーターの養成を進めています。講座を受け、サポーターとなった方の一部からは、認知症の方のため、認知症の方を支える家族の方々のために何かしたいが、具体的に何をしたらよいか分からない。参加できる場があれば、ぜひ積極的に参加したいというようなご意見も伺いました。そこで、
認知症サポーターが当事者やその家族をサポートする場の拡充について、区としての現状認識と今後の方針をお聞かせください。
次に、
パートナーシップ宣誓制度についてお伺いをいたします。
本区において、今月1日より板橋区
パートナーシップ宣誓制度が導入されました。我が国では、戸籍上同性のカップルは婚姻関係が結べず、配偶者控除が受けられない、パートナーの子どもの親権者になれない等、様々な場面で不利となる状況が続いています。私たち立憲民主党は、一日でも早く同性婚を法制化し、婚姻の平等を実現することが不可欠と考えておりますが、残念ながら国での法律制定は進みません。そんな中、
パートナーシップ制度が本区においても導入されたことは、大変歓迎すべきことだと考えております。ただ、現時点では先行する自治体に比べ、板橋区
パートナーシップ宣誓制度により利用できる行政サービスは多いとは言えない状況です。そこでお伺いします。
パートナーシップ宣誓制度を利用された方々が利用できる板橋区の施策・事業をより拡充していただきたいと考えますが、区としての今後の方針をお知らせください。また、性的マイノリティのカップル当事者の方々からは、特に医療に関する不安をお伺いします。診察室への同席や医療行為を受ける本人が意思決定をできない場合の代理意思決定を親族や法的な配偶者のみに限り、同性パートナーを排除する医療者や病院もいまだあると聞きます。
パートナーシップ制度には法的な権限はなく、対応は基本的に各医療機関に任されている状態かと思いますが、本区においては、当事者の方が不利な状況に置かれる可能性を少しでも減らすべく、医療機関に向けての制度の周知啓発を十分に行っていただきたいと考えます。区内の医療機関に関しての
パートナーシップ宣誓制度の周知啓発に関する現状と今後の方針についてお伺いいたします。
次に、住民票に記載される続柄についてです。
パートナーシップ制度を先行して導入した自治体のうち、渋谷区・静岡県浜松市等では、制度利用者の希望に応じて住民票の続柄を縁故者と記載することができます。現状、本区においては、同居し、生計を一にする同性カップルの場合、両者の関係性を表す続柄は同居人と記載されます。家族扱いとは言えないその表記に傷つく方々がいらっしゃるのではないでしょうか。また、同居人と縁故者とでは、世間から受ける印象も大きく異なり、実態としても縁故者という記載のほうが、より当事者間の実態に近づくものではないかと考えます。
パートナーシップ宣誓制度利用者から申出があった場合、住民票における世帯主との続柄を縁故者とすることについて、区の見解と方針をお聞かせください。次に、利用者の一方が転勤等で一時的に板橋区から転出される場合の対応についてです。板橋区
パートナーシップ宣誓制度の要綱によると、双方またはいずれか一方が区外に転出するときは、
パートナーシップ宣誓書の受領証等を返還する必要があるとのことです。しかし、パートナー関係を解消していなくても、転勤等で利用者の一方が一時的に転出するケースも考えられ、本区においては、利用者の方々の事情に寄り添った対応をしていただきたく思います。
パートナーシップ宣誓制度利用者のうち、一方が転勤等で一時的に転出される場合の対応についてお聞かせください。次に、宣誓に必要な書類についてです。板橋区
パートナーシップ宣誓制度の利用のためには、日本国籍の方の場合、戸籍抄本の提出が必要です。しかし、先日、同性パートナーと暮らす方からこのようなお話をお伺いしました。自分は地方の実家に本籍があるが、家族にカミングアウトしていないことなどから、戸籍抄本を郵送で取り寄せる必要がある。その際、郵送交付申請書に戸籍抄本の使用目的を記載しなければならない。本籍のある町は小さな町で、役所には知り合いも複数勤めているため、
パートナーシップ制度の利用について知られてしまうことが怖いとのことでした。そこで、
パートナーシップ宣誓制度の利用に当たって、アウティング防止の観点から、戸籍抄本の提出を必須としないことについて、ご見解をお聞かせください。
この項の最後に、
ファミリーシップ制度の導入についてお伺いいたします。世田谷区・愛知県・大阪市など、
パートナーシップ制度に加えて、パートナー関係にある方々の子どもや親も含めて家族関係を証明する
ファミリーシップ制度を導入する自治体が全国で徐々に増えてきています。本区においても、性的マイノリティのカップルとその周りの方々が置かれている不利な状況を少しでも緩和すべく、
ファミリーシップ制度をほかの自治体に先行して導入をしていただきたいと考えます。本区での
ファミリーシップ制度の導入について、現時点での議論の進捗状況と今後の予定をお聞かせください。多様な性自認・性的指向への理解が深まり、誰もがパートナーや大事な人と心から安心して暮らせる板橋区となるような取組を今後も進めていただくことを期待しております。
最後に、気候危機への取組についてお伺いします。
気候危機は人類共通の課題と言えます。本区においても昨年、2050年までのCO2排出量実質ゼロを目指すゼロカーボンいたばし2050が表明されたほか、環境保全に関する総合的・長期的な方針として、板橋区環境基本計画2025、また、それに関連する各種個別計画を定めています。気候危機の影響をより大きく受けると考えられる未来の世代のためにも、責任を持ってそれらの宣言や計画の実行に取り組んでいただきたいと考えます。そこで、板橋区環境基本計画2025及び関連個別計画の実施状況に対する現時点での区としての評価をお聞かせください。併せて、現段階で目標達成が困難だと考えられる項目について、今後の取組の方針をお聞かせください。また、気候危機については、技術革新等、状況の変化に応じて、国際的な基準あるいは国や都における目標値が変更される場合があります。板橋区環境基本計画2025及び関連個別計画、また2026年度以降に設置される新たな計画について、適宜内容や目標値の見直しを行う予定はありますでしょうか。ご見解をお聞かせください。
次に、気候市民会議についてお伺いいたします。気候市民会議とは、無作為に抽出された数十人の市民が数回にわたって会合に参加し、勉強と熟議を行い、気候危機への対策をまとめ、提言するというものです。2019年、フランスとイギリスで実施された後、各国に広がり、日本においても千葉県松戸市・宮城県仙台市などで、まさに現在実施されております。気候市民会議は、特定の業界や利害関係者による影響を受けづらく、また、多様な市民に共通する意見を反映し、広く受け入れられ、かつ効果の大きい気候危機対策を提示できるとされています。本区においても気候市民会議を実施することで、気候危機に対する取組をより強化できるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。気候市民会議の本区での実施の可能性についてお伺いいたします。次に、再生可能エネルギーの導入促進についてです。再生可能エネルギー、通称再エネは、単体では発電時にCO2を排出しない、エネルギー自給率を向上させる、枯渇する心配がないなど、様々なメリットがある電源です。コストや安定した発電量の確保等、課題もありますが、ゼロカーボン実現のためには、再エネへの転換の加速は不可欠かと思います。足立区・千代田区等で実施をしている再エネ100%由来の電力に切り替えた方々に対し協力金を支給する事業は、再エネへの切替えの後押しとなり、長期的な温室効果ガス排出量の抑制に非常に大きな効果が見込まれます。そこで、再生可能エネルギー100%由来の電力に切り替えた区民や事業者に対し、協力金を支給する事業の実施をご提案いたしますが、区としての見解をお聞かせください。
最後に、技術革新への投資と新技術の利活用について伺います。2050年のネットゼロは世界中で宣言されていますが、その実現には、エネルギー技術・情報技術・モビリティや住まいに関する技術等の革新が不可欠です。ゼロカーボン実現に向けて新しい技術への積極的投資と活用について、区としての考えをお聞かせください。地方自治体として、技術革新の支援や新技術と地域資源を融合させるための取組をぜひ主導的に行っていただきたいと考えます。
以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手する人あり)
◎区長(坂本健) 議長、区長。
○議長(
田中やすのり議員) 区長。
〔区長(坂本 健)登壇〕
◎区長(坂本健) 皆様、おはようございます。岩永きりん議員の一般質問にお答えいたします。
最初は認知症対策に関連いたしまして、チームオレンジの活動状況と今後の方針についてのご質問であります。現在、区内のチームオレンジにおいては、農園での共同作業や一緒に食事を作るなど認知症の方の希望に沿った活動を実施しております。認知症の方に対する具体的な支援のあり方や
認知症サポーターと活動場所のマッチング等に課題はございますが、何よりも認知症の方が望む支援となる活動を目指して、認知症の方と共に歩みながら活動を進めていきたいと考えています。
次に、
認知症サポーターの現状と今後の方針についてのご質問であります。
認知症サポーター養成講座受講後、認知症フレンドリーカフェや認知症の声かけ訓練等、講座の成果を生かせる場に参加する方もいらっしゃいますが、参加者が限られている点が課題であると認識しています。今後、他自治体の先進事例も調査しながら、活動意欲が高い
認知症サポーターと実際の活動の場をつなぎ、認知症の方が生活しやすい地域をつくってまいりたいと考えています。
次は、
パートナーシップ宣誓制度に関連いたしまして、活用できる区の施策・事業についてのご質問であります。現在、区が交付する宣誓書受領証の提示により、保育施設入所申込みや里親の認定・登録など、11の区民サービス等を利用できるほかに、連携協定に基づき、都・区いずれの受領証等でも双方の事業の利用が可能となっております。さらに、本定例会では、区営住宅等への入居の拡充を図るため、条例の一部改正について議会の皆様にご審議いただいております。区民サービスの提供は、当事者の生活上の不便の軽減に直結することから、引き続き拡充に向けて取り組んでまいりたいと考えています。
次は、区内医療機関に対する周知啓発についてのご質問であります。区では、11月の制度開始に合わせまして、板橋区医師会に協力いただきまして、区内約380か所の医療機関に向けまして、制度内容と受付・診療時に必要な配慮などの周知を行っております。また、現在、医療機関の受診をテーマとした周知啓発動画及びポスターの制作を進めておりまして、これらを活用するなど、医療機関に向けた効果的な周知啓発に取り組んでまいりたいと考えています。
次は、住民票における続柄についてのご質問です。縁故者とは、世帯主との続柄を具体的に記載することが困難な親族を示すものとされておりまして、事実上の養子や婚姻年齢に達しない事実上の夫婦などが該当するとされております。同性パートナー等の住民票における続柄について、縁故者として記載する取扱いは、現状の法制度の中で望ましくないとされておりまして、多数の区において同居人と記載をしております。このため当面は、同居人と記載せざるを得ないところでありますが、国の見解や情勢の変化等を注視しながら、続柄における縁故者の記載について検討していきたいと考えています。
次は、一時的な転出の扱いについてのご質問であります。板橋区パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱においては、受領証等の失効及び返還事由の1つとして、宣誓者の双方又はいずれか一方が区外に転出したときと定めております。ただし、転勤または親族の疾病などの事情によりまして、おおむね5年以内、一時的に区外へ転出する場合においては、失効及び返還事由の対象外とすることを定めて、利用の手引きに掲載をしているところでございます。
次は、宣誓時の戸籍抄本の提出についてのご質問であります。区では、双方がともに婚姻をしていないことを宣誓者の要件として規定をしているため、交付3か月以内の戸籍の個人事項証明書または抄本の提出は必須となっております。戸籍抄本の請求は、戸籍法において一定の方以外は必要理由を明らかにすることが規定されておりますが、本人であればその必要はないと認識をしておりまして、また、自治体職員には、当然に地方公務員法の秘密を守る義務が課されております。区では、当事者の不安軽減のため、職員向けハンドブックの作成や接遇向上への研修も行っておりまして、安心をして各手続や宣誓をいただけるように、引き続き取り組んでまいりたいと考えています。
続いて、
ファミリーシップ制度の導入についてのご質問であります。現在、他自治体において、お子様や親御様と併せまして宣誓できる
ファミリーシップ制度や
パートナーシップ制度の中において、お子様の名前を受領証等に記載できる制度を導入していることは、認識をしているところでございます。現在は、導入して間もない区
パートナーシップ制度の運用、啓発への注力を第一と考えておりまして、他自治体の実態につきましては、今後、必要に応じて情報収集に努めてまいりたいと考えています。
次は、板橋区環境基本計画2025などの評価についてのご質問であります。板橋区環境基本計画2025や関連計画においては、新型コロナウイルス感染症の影響が残りつつも、令和4年度の実績において、温室効果ガスの排出量が前年度比2.8%削減となるなど、目標に向かって着実に前進をしているものと評価をしております。現段階で目標達成が困難と見込まれる施策については、実施内容を工夫しながら目標達成に向けた取組を進めていきたいと考えています。
続いて、計画内容の見直しについてのご質問であります。板橋区環境基本計画においては国や東京都の計画を踏まえ策定しておりまして、国の計画で目標値が変更されたような場合においては、区の計画においても見直しが必要な場合がございます。国と区の計画は、計画期間が一致していないところもございますために、見直しのタイミングについては区の計画改定の時期を中心に、国の計画などの動向を見極めて判断をしてまいりたいと考えています。
続いて、気候市民会議についてのご質問であります。地球温暖化をテーマに、無作為抽出されました市民が参加して議論をする気候市民会議を実施する自治体があることは承知をしております。区民の意識改革や行動変容を促し、誰もが参加できる事業としましては、いたばし環境アクションポイント事業に取り組んでおります。ご提案のございました気候市民会議を含めて、他の自治体の取組状況や成果について、引き続き注視していきたいと考えています。
続いて、再生可能エネルギー100%電力導入の協力金についてのご質問であります。再生可能エネルギー100%由来の電力は、二酸化炭素を排出しないエネルギーであるため、脱炭素社会の実現に有効なものと認識しています。現在は、いたばし環境アクションポイント事業のメニューにおいて、再生可能エネルギー100%由来の電力に切り替えた区民や事業者に対し、区内共通商品券などに交換できるポイントを付与しております。今後は、さらなる切替えを促進するためにポイントを付与する条件やポイント数の拡充を検討したいと考えています。
続いて、新しい技術への投資や活用についてのご質問であります。ゼロカーボンの実現に向けましては、民間事業者においても様々な技術開発が取り組まれていると思います。現在、区では技術開発の動向を捉えながら、民間事業者と積極的に情報交換などを行っております。今後も民間事業者の技術開発の状況を見極めた上で、区の施策への活用等について検討してまいりたいと考えています。
残りました教育委員会に関する答弁は、教育長から行います。
◎教育長(中川修一) 議長、教育長。
○議長(
田中やすのり議員) 教育長。
〔教育長(中川修一)登壇〕
◎教育長(中川修一) 皆様、おはようございます。それでは、岩永きりん議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
初めに、自閉症・情緒障がい特別支援学級の設置に関しまして、ニーズの把握状況についてのご質問ですが、自閉症・情緒障がい特別支援学級とは、自閉症及び情緒障がいのある児童・生徒を対象とした少人数学級のことであります。文部科学省の調査では、学習面または行動面で著しい困難を示す児童・生徒が増加しており、区でもいわゆる発達障がいを対象とした特別支援教室の利用者が増加しております。そこで、区立小中学校の特別支援教室等の教職員に対し、自閉症・情緒障がい特別支援学級の対象となり得る児童・生徒に係る調査をし、一定のニーズがうかがわれたところであります。
次に、議論の進捗と今後の方針についてのご質問ですが、自閉症・情緒障がい特別支援学級の設置に際しましては、整理すべき多くの課題があります。例えば、発達障がいのある児童・生徒に対する通常学級での指導のあり方、特別支援教室との関係、交流及び共同学習のあり方、専門性のある教職員や教室数の確保等であります。今後は、特別支援教育連絡協議会の有識者の知見を活用し、これらの課題を整理しつつ、一人ひとりの教育的ニーズに、より適切に対応できるよう、その設置を検討してまいります。
次に、就学相談と
入学予定校変更希望願についてのご質問ですが、入学予定校変更希望制の申込みは毎年9月末日を締切りとしており、それ以降も随時就学相談を実施しております。一方、就学相談の結果、特別支援学級への入級が決定した場合には、入学予定校変更希望制の申込みの有無にかかわらず特別支援学級へ就学できることになっています。引き続き、発達に課題のある子どもたちに不利な状況が生じないよう配慮するとともに、丁寧な制度周知に努めてまいります。
最後に、覚醒剤や危険ドラッグへの相談環境についてのご質問ですが、覚醒剤や危険ドラッグなどの違法行為については警察が対応することになります。一方、児童・生徒は、生活指導の問題にかかわらず、様々な不安や悩みを抱えていると認識しています。教育委員会では、このような不安や悩みがあるときは1人で抱え込まないよう、SOSの出し方に関する教育を推進するとともに、各種相談窓口を周知しております。児童・生徒が、学級担任をはじめ養護教諭やスクールカウンセラー等を中心にどの大人にも相談できるよう、引き続き校内での相談体制を強化してまいります。
頂きました教育に関するご質問の答弁は、以上でございます。
○議長(
田中やすのり議員) 次に、くまだ智子議員。
◆くまだ智子 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) くまだ智子議員。
〔くまだ智子議員登壇〕(拍手する人あり)
◆くまだ智子 議員 民主クラブのくまだ智子です。通告に従い一般質問を行います。
板橋区の保育環境について、初めに保育士の配置基準についてお伺いします。
保育士の配置基準とは、子どもの安全と保育の質を担保するために、保育士1人が何歳の子どもを何人まで保育できるかを定めた人員配置の基準のことです。厚生労働省児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第33条には、保育所の最低基準が定められており、ゼロ歳児は子ども3人につき1人以上、1・2歳児は6人につき1人以上、3歳児は20人につき1人以上、4歳児以上の幼児は30人につき1人以上とすると定められています。この基準は最低基準のため、自治体によっては、国の基準以上の保育士を配置して保育の質の担保をしているところもあります。板橋区でも1歳児は子ども5人に対し保育士1人、3歳児は子ども15人に対して保育士1名の配置をしていると認識しています。しかし、板橋区が国の基準以上を上回る配置をしているとはいえ、十分な状況とは言えません。特に4歳児以上の幼児30人に対して1人の保育士という基準は、70年以上も変わっていない国の基準どおりであり、これでは、子どもの意思や自由な発想を重んじる保育だけではなく、安全を確保するのも難しいのではないでしょうか。まずお伺いします。今後、板橋区の保育士の配置基準をどのようにしていくか、区のご見解をお聞かせください。保育士の配置基準について、令和5年3月末に、政府は4・5歳児の配置基準を30対1から25対1にするという検討案を出しました。しかし、保育現場に混乱を来すおそれがあるなどとして、現状は運営費を加算して支給するという対応になるとしましたが、それがいつ実現するのかは分かりません。また、仮にこの案が実現されたとしても、多くの区立保育園では、ほぼ今までとは変わりません。保育の基準には、保育室の面積要件もあります。区内の保育園は広い保育室を確保するのは難しく、25人を超える定員の4・5歳児クラスは限られているからです。保育の質を担保するためには、保育士の配置基準の見直しは必須だと考えますが、その基準についての考え方も見直していく必要があります。現在の保育士1人が何人の子どもを保育できるのかという視点とは別に、全ての年齢において複数担任にするなども考えられます。単数担任のクラスでは、保育士は保育室を離れることができず、トイレに行くのもままならないような状況で仕事をすることになります。また、体調不良の子がいる、子どもが転んでしまったなどの個別対応が必要な場合、担任以外の保育士を呼んで対応する必要がありますが、どこもぎりぎりの人数で保育をしていますので、すぐに対応できるとは限りません。このような状況では、保育の安全性が担保できるとは言えないのではないでしょうか。また、同様の状況は複数担任のクラスでも生じます。2人担任であっても、1対1の対応が必要な場合、もう1人の保育士がその他の子どもたち全員の対応をしなければなりません。例えば、1歳児クラス10人を2人で保育する場合、一方の保育士が個別対応をしている間、もう一方の保育士が9人の子どもの対応をするということです。そして、このようなケースは1日のうちに何度も発生します。個別対応が必要な場面であっても配置基準を満たせるようにするためには、各クラスもう1人保育士が必要だと考えます。そこでお伺いいたします。区立保育園において、個別対応が必要な場合であっても基準が満たせるような保育士の配置を求めますが、現状、そしてまた今後の見解についてお聞かせください。
次に、保育士の労働環境についてお伺いします。まずは、保育士の勤務時間についてです。板橋区では、令和4年10月から保育業務支援システムが導入されたと認識しています。支援システムの導入によって、園児の登降園管理や保護者との連絡、お知らせの配付などがスマートフォンのアプリで行えるようになっています。そこでお伺いします。システム導入により、保育士の労働環境がどのように変化をしたのかを教えてください。次に、保育士の勤務時間についてお聞かせください。板橋区の区立保育園は、幾つかの園を除き、基本的に7時15分から19時15分が開所時間となっており、保育士はこの時間に合わせてシフトを組んで勤務をしています。一番早い勤務時間、いわゆる早番は7時5分からの勤務で、お子さんの受入れは7時15分からです。受入れまでは10分しかありません。一方、朝、保育園を開けるために必要な仕事は多数あります。前日に洗った玩具を元の場所に戻したり、園庭にたばこの吸い殻が投げ捨てられていないかなどの確認も行います。園全体の換気やエアコンを入れるなどの環境整備、前日夕方の子どもたちの状況を確認するなど、業務は多岐にわたります。そこでお伺いいたします。保育士の早番の勤務時間は、開園の10分前からで十分なのでしょうか。どのような業務があり、その勤務開始時間が適切なのでしょうか。もし不十分なのであれば、時間前の労働時間がどのように扱われているのか、お聞かせください。次に、朝や夕方の保護者対応についてお聞かせください。保育園では、子どもたちの人数が少なく、職員の人数も減る朝夕の時間帯は、クラス保育ではなく複数のクラスを合同して保育を行っています。子どもを見ている保育士は、必ずしも担任というわけではないので、子ども一人ひとりのふだんの様子を熟知しているとは言い難い状態です。また、その時間は、ふだんの保護者対応とは別の対応も必要になります。例えば、保育時間は各家庭の労働環境などに応じて個々の園児によって定められているところではありますが、そのほかに8時45分から16時45分の8時間の範囲で保育を行う保育短時間の家庭なのか、12時間の保育が可能な標準時間の家庭なのかという区分もあります。保育短時間に該当する子どものお迎えが8時45分から16時45分以外の時間にあった場合、追加料金が発生するため、保育士はその対応も行わなければなりません。個々の家庭の保育時間がどのような区分なのかを確認し、手続をしながら、ふだん関わりの少ない子どもたちを少人数で保育することになります。保育士の負担はかなり大きなものになりますし、安全な保育をすることがより難しい時間でもあるとも言えます。そこでお伺いいたします。追加料金が発生するなど、個別の保護者対応が必要な場合でも支援システムで管理ができるようになっているのでしょうか。もしそうでないのでしたら、保育士の負担軽減と安全な保育のために、支援システムが利用できるような運用を求めますが、ご見解をお伺いいたします。
次に、保育園での午睡にコットを導入することについてお伺いいたします。コットとは、メッシュ状の簡易ベッドのことです。板橋区の区立保育園は現在、午睡には布団を使用していますが、私立の園ではコットを使用しているところも増えてきています。コットのメリットとしては3つ挙げられます。1つ目は、衛生的であるということです。コットは体に接する部分がメッシュになっているので、汗をかいても乾きやすく、お漏らしや嘔吐をしたときに洗ったり消毒したりすることが容易です。また、布団とは異なり、メッシュ部分は床から10センチメートルほど浮いており、床に直接接しないのでほこりが舞い上がりにくく、アレルギーの原因となるダニが繁殖しにくいという点も挙げられます。2つ目は、保護者の負担軽減になるということです。布団ですと、シーツやタオル類を週末に持ち帰り、洗濯し、週明けには持ってきてシーツをかけるという作業が発生します。雨の日の週明けは、シーツ類を濡らさずに持ってくるだけでも大変なものですが、コットの導入によってその負担を大きく減らすことができます。3つ目は、保育士の負担軽減になるという点です。コットは布団よりも軽く、簡易に重ねられますので、午睡の準備や片づけが容易になります。このように様々な利点がありますが、現在のところ、板橋区の区立保育園で午睡にコットを導入している園はゼロです。収納場所を確保しなければならないという課題はありますが、他県の公立保育園では、布団用の押し入れを改修した例もあります。一時的に費用が必要であっても、子どもたちの衛生を保てること、そして保護者・保育士の負担を軽減できることは、長期的に見るとメリットが大きいと考えます。区立保育園にも午睡時のコットの導入の検討を求めますが、ご見解をお伺いいたします。続いて、散歩のときなどの園外での活動時における保育士と園との連絡方法についてお伺いいたします。保育園では、日常的に公園などに散歩に行き、戸外遊びを楽しむ機会をつくっています。散歩途中で事情があって行き先を変更したり、園児がけがをしたり、地震などの災害が発生したなど、緊急時には園外にいる保育士が保育園と連絡を取らなければならないことがあります。その際、保育士の私用のスマートフォンを利用しているというケースがあるようです。通信費が保育士の個人負担になりますし、個人の電話番号を公開することを前提に業務を行うということには違和感を覚えます。また、災害時には、携帯電話網がアクセス集中によって逼迫することが想定されます。よりつながりやすく、多方面に1度に情報発信できるような通信手段が望まれます。そこでお伺いいたします。園外にいる際、緊急時の保育士と園との連絡手段は、現在どのように行っているのでしょうか。もし保育士個人のスマートフォンに頼っているのであれば改善を求めますが、ご見解をお聞かせください。保育士の業務は、支援システムの採用により削減された部分も多くあると思いますが、別の部分では増えているところもあります。例えば、水遊びのときには見守りだけを行う職員を配置する、睡眠時無呼吸症候群を防ぐために、ゼロ歳児は5分に1度、1歳児以上は10分に1度、呼吸や顔色の確認を行うなどです。子どもたちのためを考えると業務は増えがちではありますが、減らしていくことも検討していく必要があります。コロナ禍でやむを得ず縮小しましたが、やってみたら特に問題がなかったという業務もあるでしょう。業務を効率的にすることや減らすことを検討することによって、子どもたちにゆっくり関わる時間を増やすことができ、それは保育の質の向上にもつながります。また、働きやすい環境を整えることは、優秀な保育士の採用にもつながります。保育の質向上のために、現在の保育士の業務を減らす方向での見直しも検討していただきたいと考えますが、ご見解をお聞かせください。
次に、障がい児の手当についてお伺いします。
障がいのある子ども本人や障がい児を育てている保護者などの養育者への手当には、様々なものがあります。国の制度としては特別児童扶養手当、都としては重度心身障害者手当、区としては児童育成手当などです。そのほかにも障がいの程度によっても様々な手当があります。2023年6月13日に閣議決定されたこども未来戦略方針において、児童手当の所得制限を撤廃することが盛り込まれました。また、2023年9月から板橋区立小中学校の給食費が無償化されましたが、これにも所得制限はありません。しかし、障がい児本人や養育者に支給される特別児童扶養手当などについては、所得制限が残されたままです。そこでお伺いします。国や都、区の制度の中で、障がい児あるいは養育者に対する手当で所得制限のないものはあるのでしょうか。また、区の制度である児童育成手当に所得制限が設けられている理由をお聞かせください。障がいのある子どもを育てていくためには、個々の障がいに応じ、車椅子などの補装具の購入が必要になります。家の改修が必要になることもあるでしょう。子どもの介護が必要など、養育者の働き方が制限されることもある中、補装具の購入など必要不可欠な出費がある上、所得制限によって手当が受けられなくなってしまうというケースが存在します。具体的に示します。障がいの程度が重度ではない場合、特別児童扶養手当と児童育成手当を受けることができますが、特別児童扶養手当は月に3万5,760円、児童育成手当は月に1万5,500円、年間60万円を超えます。ある一定の所得を超えると、年間60万円ほどの手当が受けられなくなってしまうということです。重度の障がいがある場合には、さらに多くの額の手当が受けられなくなります。障がい児がよりよい生活を送るための福祉と保護者や養育者の所得とは、本来は関係がないことです。そこを根拠として手当の支給が行われることには大きな違和感を覚えます。どの子にも親や養育者の所得にかかわらず必要な福祉・手当を受け取る権利があるはずです。安心して出産・子育てができると感じられる状況を整えるために、国や都の制度については、所得制限の廃止、または段階的な支給を行うよう意見を上げていくこと、そして、区の制度についてはその具体的な検討を求めますが、ご見解をお伺いいたします。
次に、板橋キャンパス跡地と大山公園の整備についてお伺いします。
現在、都有地である板橋キャンパス跡地には、高齢者や障がい者向けの事業所や特別養護老人ホームの整備が進んでいます。そして、その一部は防災ゾーンとなり、都の災害備蓄倉庫や防災訓練や避難場所等として利用できる用地を確保し、隣接する大山公園と一体的に活用する計画となっているとお伺いしています。まず、板橋キャンパス跡地と大山公園との一体的な活用について、現在どのように計画が進んでいるのかをお聞かせください。板橋区には、障がい児が遊びやすい公園があまりないというお声を頂きます。例えば、障がいがあっても利用しやすい遊具がある、芝生があってごろごろと横になれる、公園内が車椅子でも移動しやすい造りになっている、暑い日でもひと休みできる木陰や座る場所がある、公共交通機関でアクセスしやすいなどです。このような公園は、障がいの有無にかかわらず、子どもから高齢者まで全ての方に利用しやすい公園だと言えると思います。障がいを有する方も高齢者も利用しやすい公園という視点を今後の大山公園の計画に入れていただきたいと思いますが、ご見解をお伺いいたします。また、この計画に区民の意見をどのように反映させていくのか、意見の収集方法など、具体的な見通しをお聞かせください。
以上で一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手する人あり)
◎区長(坂本健) 議長、区長。
○議長(
田中やすのり議員) 区長。
〔区長(坂本 健)登壇〕
◎区長(坂本健) それでは、くまだ智子議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、板橋区の保育士配置基準の今後についてのご質問であります。本年6月に閣議決定されましたこども未来戦略方針におきましては、1歳児及び4・5歳児の職員配置基準について改善を図る方向性が示されております。現時点におきましては、国から具体的な内容や実施のスケジュール等が示されていないために、引き続きその動向を注視していく必要があると考えています。
続いて、個別事案への対応が可能な配置についてのご質問であります。現状では、11時間開所や延長保育の実施、職員の休憩時間の取得に対応するために、国を上回る基準により職員を配置しております。これらの人員を活用することにより、多くの区立保育園で複数担任制を導入しているほか、職員間で応援体制をとるなど、運用面での対応ができているものと認識しています。今後は、国が検討している職員配置基準見直しの具体的な内容、人材の確保の状況など、保育を取り巻く課題の把握と分析に努めながら、引き続き安全性の確保に努めてまいりたいと考えています。
続いて、保育業務支援システム導入による効果についてのご質問であります。従来は、保護者への情報発信や児童の健康管理などについて、電話や紙ベースにより対応している業務が多く、運用や管理の面で課題となっておりました。保育業務支援システムの導入によりまして、登園状況や園児の成長記録など、様々な情報の一元管理が可能となりまして、職員の労働環境の改善に効果があったと認識しています。その他の業務につきましても、不断の見直しとDX化を進め、さらなる労働環境の改善につながるように検討を重ねていきたいと考えています。
続いて、区立保育園における保育園開所前の時間についてのご質問であります。区立保育園では、保育開始前の業務として、施設の解錠、端末の立ち上げ、室内外環境設定等の業務を当番保育士や保育補助員が役割分担の上で行っております。また、勤務開始時間については、労使合意の下に設定をしておりまして、保育園の現場からも実態に即した体系であると好意的に受け止められていると認識しています。
続いて、保育業務支援システムの運用についてのご質問であります。現時点におきましては、保育業務支援システムを利用した延長保育の時間管理は行っていないところでございます。延長保育を含めたシステムのさらなる活用方法や導入が可能な業務について、区立保育園の園長会において検討を重ねておりまして、保護者の利便性向上と保育士の負担軽減の両立を図っていきたいと考えています。
続いて、保育園におけるコットの導入についてのご質問です。簡易型ベッドのコットは、衛生面に優れている一方において、保管場所や使用時の避難行動への影響など、運用上の課題があると認識しています。安全性の確保や保育活動への影響、費用対効果など、様々な観点から課題を整理しつつ、将来的な導入について検証を進めていきたいと考えています。
続いて、園外活動時の通信手段についてのご質問であります。散歩などの園外活動については、事前に入念な下見や打合せを重ねることによりまして、万全を期して行っておりまして、常に通信手段が必要な状況には至っていないと認識しています。事故や災害などの緊急時には、やむを得ず職員が所有するスマートフォン等を使用する機会も想定がされますけれども、その場合においては、職員の旅費に関する条例に基づきまして、通信費の相当額が支給されています。DX化をはじめとした今後の社会情勢の進展を踏まえて、園外での活動中における連絡手段のあり方について、引き続き研究していきたいと考えています。
続いて、保育士の業務削減についてのご質問であります。保護者や児童の多様なニーズに対応するため、保育士には高い専門性とともに幅広い業務の遂行が求められております。そのため、近年は、保育業務支援システムやおむつのサブスクリプション制度の導入など、保育士の負担を軽減する取組を行ってまいりました。保育士が子どもに向き合う時間を確保できるよう、選択と集中の観点からも絶えず業務の見直しを行い、保育の質の向上につなげていきたいと考えています。
次は、障がい児の手当に関連いたしまして、所得制限についてのご質問であります。板橋区では、国や東京都のほか、区独自の制度に基づきまして、障がい児を育てている保護者に対し、様々な手当を支給しているところでありますが、全て所得制限が適用されております。
続いて、児童育成手当に所得制限がある理由についてのご質問であります。児童育成手当は、ひとり親家庭の子どもや障がいがある子どもの福祉の増進を図ることを目的に、昭和49年に東京都全体で行う制度として創設され、各自治体の条例によって共通して実施する福祉手当であります。福祉施策として、真に必要な厳しい状況に置かれた子どもを支援する目的において制度設計がなされておりまして、一定の所得制限を設けているものと認識しています。社会全体で子どもの育ちを支えるために、国による児童手当の所得制限の撤廃が検討されるなど、子育てに関わる経済的支援のあり方が社会的に問われていることは認識をしているところでございます。
続いて、所得制限の廃止についてのご質問であります。共働きなどにより所得が増えた結果、所得制限により手当が受けられなくなるケースがあることは区としても認識をしております。区の手当については、現在のところ、所得制限を廃止する予定はございませんが、検討課題の1つとして考えております。また、国や東京都に対しては機会を捉えて、所得制限について意見を上げていきたいと考えています。
次は、板橋キャンパス跡地と大山公園との一体的な活用についてのご質問であります。板橋キャンパス跡地の防災ゾーンには、災害備蓄倉庫のほか、北側に約2,000平方メートルの緑地広場、南側に幅10メートルの遊歩道が整備される計画となっております。この整備に合わせまして、板橋大山公園を改修することによって、防災ゾーンとの一体的な利用が可能となるため、区としましてもできる限り有効な活用ができるような整備を考えたいと思います。現在、防災ゾーンと公園との接続方法を東京都と協議中でございまして、その結果を踏まえた公園改修計画を跡地工事完了までに作成をしていきたいと考えています。
次は、大山公園の改修についてのご質問であります。区の公共施設は、障がいや年齢、国籍などにかかわらず、できるだけ多くの人が利用できることを目指したユニバーサルデザインを原則として計画・改修を行っております。板橋大山公園の改修に当たりましても、板橋区ユニバーサルデザイン推進計画に基づくほか、一体整備する都有地についても協調できるよう、東京都と協議を進めていく考えであります。また、東京都の福祉施設や病院に隣接をし、ここからの利用も見込まれることから、利用のニーズや配慮すべき点について情報収集に努め、できるところは反映していきたいと考えています。
頂きました質問に対する答弁は以上でございます。
○議長(
田中やすのり議員) 次に、五十嵐やす子議員。
◆五十嵐やす子 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) 五十嵐やす子議員。
〔五十嵐やす子議員登壇〕(拍手する人あり)
◆五十嵐やす子 議員 通告に従い、五十嵐やす子が質問いたします。
1、アスベスト対策について。
上板橋駅南口再開発は、民間事業と板橋区は言っています。しかし、解体の大半が板橋区と国からの公費で賄われます。そのような事業こそ、模範的なアスベスト対策であることが求められます。事前調査結果の報告書の公開は努力義務とはいっても、公開しない理由はありません。少なくとも大山クロスポイントでの再開発組合は、個人情報を付箋で隠して閲覧が可能でした。ところが、今回はそのような対応すらありません。板橋区は、積極的に開示するよう再開発組合に求めなかったことも認めています。環境省は、石綿の飛散による健康影響は、社会的に強い関心が寄せられており、周辺住民の不安を解消し、より安全な解体等工事を進めるために、周辺住民等との間の円滑なリスクコミュニケーションの重要性・必要性が高まっているとして、2017年に建築物等の解体等工事における石綿飛散防止対策に係るリスクコミュニケーションガイドラインを公表しています。これは、解体などの工事の発注者などが周辺住民等との信頼関係を構築し、適切な工事が施工できるように、リスクコミュニケーションの基本的な考え方や手順を取りまとめたものです。その中で、リスクに関する情報を関係者が適切に共有し、相互に意思疎通を図るリスクコミュニケーションは、リスクを低減する上で有効な手段と説明し、さらに建築物等の解体等工事において、石綿の飛散防止に関し、周辺住民等とリスクコミュニケーションを図ることにより、工事が円滑に進むことが期待されるとして、その有効性を示しています。また、リスクコミュニケーションの目的として、解体等工事を実施する際には、石綿粉じんの漏えい等に対する周辺住民等の不安や懸念を解消することが重要です。提供する情報が不十分であったり、正確性に欠けている場合には、周辺住民等の不信を招きかねません。そのためには、正しい情報を適切なタイミングで正確に伝えることが必要です。また、周辺住民等からの問い合わせや意見などには、誠実に、かつ、速やかに対応することが重要とも記しています。まさに今回の事例で大きく欠けていることであり、必要なことです。また、解体等工事の実施前のリスクコミュニケーションとして、発注者や元請業者等が伝えたい情報だけを伝達するのではなく、周辺住民等が必要とする情報をわかりやすく提供することが重要としており、事前調査結果の詳細な内容は、まさに環境省が指摘している提供すべき情報そのものです。さらに、これらの情報提供は、掲示、チラシの配布・回覧、戸別訪問、説明会などで実施するよう求めています。また、解体等工事の実施前に情報提供する事項の例の事前調査に関する事項として、事前調査を行った者の氏名または名称及び住所や調査方法及び調査箇所などや事前調査結果の概要としては、部位ごとの石綿の有無、含有している石綿の種類、石綿含有建築材料の種類や使用箇所及び使用面積などが挙げられています。しかし、現在行われている上板橋の現場の掲示では、部位ごとの石綿の有無自体が書かれていない箇所があったほか、石綿の有無はあっても、石綿なしの場合の判断根拠がない箇所もあったなど、守られていないとのご指摘がありました。事前調査で確認できなかった石綿含有建築材料を新たに発見した場合や石綿の飛散事故等が発生した場合には、追加的なリスクコミュニケーションが必要となるとも記されており、今回のように当初と異なるアスベスト建材が見つかる場合も当てはまります。私は住民の皆様から多くの不安の声を頂き、東京都、また環境省や国土交通省、厚生労働省とアスベスト対策に関して意見交換を重ねてまいりました。環境省は、リスクコミュニケーションガイドラインを公表している趣旨から、個人情報に配慮の上、積極的にアスベストの事前調査結果報告書を開示すべしとの見解でした。住民からの安全性への理解もより得やすくなるからです。地元自治体であり、補助金を支出している板橋区は開示を強く迫るべきと考えますが、見解を伺います。仮に組合側が開示を拒否したとしても、補助金が適切に支出されているのかを確認する義務が板橋区にはあります。事前調査結果報告書を提出させないとしても、補助金が適正に支出されたのかを確認する資料である以上、必要があれば板橋区は年度の途中であっても提出させることは可能です。その上で、板橋区が個人情報に配慮して区民に開示するといった対応が必要ではないでしょうか。国交省との意見交換の中でも、国交省は特にそうした対応を妨げる規則はないことを認めています。また、再開発組合側は、事前調査結果報告書・作業計画書ともに、求めがあれば行政に対しては適切に開示いたしますとも7月に回答しています。朝日新聞の記事によれば、上板橋駅南口再開発は全体の68%が税金で賄われる再開発です。区民の皆さんが納めている多額の税金が使われています。板橋区の税金の使い方をチェックするのが議会です。その議会に身を置く者として、板橋区の税金の使い方の確認は不十分であると私は指摘いたします。板橋区は再開発における税金の使い方を確認する義務をきちんと果たすとともに、住民の不安解消のため、再開発組合側も同意している石綿事前調査結果報告書の提出を求め、開示すべきです。見解を求めます。
次に、板橋区の要綱と指針についてです。2007年以降の板橋区における建築物等の解体等工事に伴うアスベスト等飛散防止対策とその周知に係る指針が、2022年4月以降、区長決定の板橋区建築物の解体工事等に係る生活環境保全指導要綱に切り替わりました。これにより大きく変わったのは、アスベストを含む成形板など、いわゆるレベル3建材も含め、アスベストの事前調査結果報告書を以前は指針に基づき板橋区に提出させていたものが、大気汚染防止法に基づいて板橋区に提出させるようになったことです。大山クロスポイント再開発のときは、情報公開で事前調査結果を入手できました。しかし今回、私は情報公開請求をいたしましたが、制度が変わったことで、大気汚染防止法に基づく、いわゆる概要版の事前調査結果報告書しか板橋区では開示されなくなってしまいました。この内容で本当に板橋区は許可が出せるのかと危惧しています。兵庫県や大阪府は、条例でレベル3建材の調査結果や作業方法を届け出させる制度を維持しています。都内でも、練馬区では一定規模以上の工事に住民説明義務などを設け、条例を拡充しています。板橋区でもかつてのように、アスベストの事前調査結果報告書を提出させる仕組みに戻すべきと考えます。区の見解を求めます。大山のクロスポイントでアスベストが問題になった際、アスベストに関する指針の実効性を確保するため、条例を制定すべきではとの他の議員の質問に対し、区は、他自治体の条例化の動向も注視しながら、より適切で実効性のある方策を研究していくと回答しています。事前調査結果が適切に記載されていれば、本来このような問題は起きないはずです。今回、制度の機能不全があったことが明確となりました。機能不全があった以上、改めて条例化により法の不備を補う必要があります。板橋区は真摯にこの問題に向き合い、現場で働く者、地域で暮らす区民の皆さんの安全と健康を守る責任があります。より適切で実効性のある住民の側に立った安全性を担保する条例を制定すべきです。また、アスベストの問題は再開発の是非以前の問題であり、今後アスベスト使用を国が推奨した時期に建てた建物の解体も増えることは必至です。見解を求めます。
2、重要土地利用規制法について。
2021年第3回定例会に、重要土地等調査規制法に関係する陳情が提出されました。陳情の内容は、この法律について各自治体への影響を明確にし、基本方針作成の段階から情報公開、意見を提出できるよう求める意見書を国に出すこと、区が区民への影響について情報を収集し、慎重な制度設計の運営を求めるというものでした。今年の9月11日には第6回土地等利用状況審議会において、板橋区・北区の補給統制本部、練馬駐屯地などが注視区域の候補に挙げられました。自治体は国の下請ではありません。対等な立場として、区民の権利を守るよう国に求めることは当然のことです。そこでお伺いいたします。先日、国から区長への意見聴取がありました。板橋区は国に対し意見を伝えたのでしょうか。2年前に区民が陳情という形で懸念を示していましたが、区はどのような対応をしたのでしょうか。この法律に関して、何も知らない区民がいまだにたくさんいらっしゃいます。注視区域の指定は12月とも言われています。自分の住んでいる場所が注視区域に指定される可能性のある区民がいるはずです。大きな影響を及ぼすことになりますが、住民説明会も何もいまだに開かれておりません。板橋区として住民説明会をしてほしいと思いますが、見解を求めます。また、東京都や国などに説明会を求めるなどはしないのでしょうか。また、知らなければ区民は意見も言えません。住民説明会の後で住民の意見を聞き取り、国に対象区民の意見を伝えてほしいと思います。見解を求めます。区域指定された場合、その周囲1キロメートルが監視対象となり、区域内の土地・建物が調査され、機能阻害行為が確認されれば、国として住民の監視・密告が中止を勧告・命令でき、従わなければ刑事罰が科されます。また、情報収集として住民間の監視・密告が奨励されています。特に重要とされている区域は特別注視区域に指定され、一定の面積以上の土地などの売買には届出が義務づけられます。この法律が拡大適用される懸念も指摘され、区民の思想調査が行われたり、事実上強制的な土地収用も可能となっており、周辺に暮らす区民は憲法が保障する財産権、居住・移転の自由、表現の自由、思想信条・良心の自由、プライバシー権など基本的人権が侵害されるおそれもあるとの指摘もあります。自衛隊練馬駐屯地や十条駐屯地が注視区域となった場合、およそ何人ほどの区民が対象となるのでしょうか。また、その区域図が区の元に届いているのであれば早急な公開を求めますが、いかがでしょうか。
3、女性支援新法について。
2022年5月、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律、女性支援法が成立し、2024年4月1日に施行されます。女性相談支援センターガイドライン、女性相談支援員相談・支援指針の改定、女性自立支援施設運営指針策定など、いずれも国の通知として公表される予定となっています。また、都道府県基本計画は策定義務となっていますが、市区町村基本計画策定は努力義務となっています。しかしながら、現場は市区町村の自治体です。板橋区そのものが現場なのです。これまでは売春防止法しかなく、女性支援の中で必要なこと、漏れていたことなどがたくさんあります。例えば、これまでは行為だけを見ていたものが、どうしてその行為をせざるを得なかったのかという、その原因となる部分を支援することができるようになります。まさに困難な問題を抱えた女性の人権を守るための大切な法律が施行され、これまで軽視されてきた女性福祉の構築がなされることになります。同時に女性たちは、売防法制定の後66年もかかった女性支援法に大変期待をしています。基本計画策定は努力義務とはなっていても、本当の現場となる板橋区が基本計画をきちんとつくるべきと考えますが、区はどのようにお考えでしょうか。基本計画策定においては、様々な分野の専門家が参加することが必要です。新法では個別性が重視され、個別最適な支援が求められますが、そのためにも多くの機関や民間団体との連携や協議が必要となります。板橋区においても、継続的な支援、途切れても戻ってきたら手を離さない、寄り添う支援ができる支援調整会議とするためには、それらに携わるであろう人たちに、基本計画策定時にも携わってもらうことが大切になると考えます。人員の選定など、どのようにお考えでしょうか、お答え願います。
次に、3月になって国から通知が下りてきても、来年度予算にすぐ反映することは困難です。しかし、安定的な予算の確保、安心して働ける雇用形態での人員配置は大変重要です。現在の板橋区の婦人相談員は正規職員と伺っていますが、今後も正規職員としての身分保障の確保、また、法を生かすためにも、人員を増やしたり研修体制の充実などを図ってほしいと考えます。区の見解を伺います。相談に来るのを待つだけではなく発見していくこと、早期把握することが新法では求められ、アウトリーチや居場所の提供が必要となります。私は先日、国立市にある特定非営利活動法人くにたち夢ファームJikkaさんに視察に伺い、国立市との官民協働事業である女性パーソナルサポート事業、UR都市機構との提携居住支援事業についてなどお話を伺い、行政が行うだけでなく、よく理解して協力をしてくれる民間団体との連携・協働による支援が必要であることを強く思いました。板橋区で新法をより有効に運用し、女性支援を進める上で、支援方針の策定、民間団体・他機関連携、協働体制などの整備が必要であることを強く訴え、求め、この項の質問を終わります。
4、子どもの居場所について。
2015年第3回定例会で、東京都板橋区立児童館条例の一部を改正する条例で、児童館を38館から26館に減らし、利用を制限し、乳幼児限定としました。放課後の小学生の居場所はあいキッズとされ、当初から様々な問題が指摘され、子どもの権利条約にも反するものと、私は条例への反対討論の中でも指摘をいたしました。現在、中高生の居場所としてi-youthが2か所できましたが、まだ足りません。拡充の方針が打ち出され、歓迎していますが、中高生の居場所を子ども自身が選択できるように、さらにつくってほしいと考えます。見解を求めます。次に、児童館においても18歳までの子どもたちが使えるようにという方針の下、3つの柱が示されました。児童館を減らしたときの説明の中で、類似施設は不要と盛んに言われてきました。昨年行われた総合教育会議では、子どもの多様な居場所が必要という内容が話し合われたと聞きましたが、多様な居場所を否定したのは板橋区でした。板橋区はその認識を今回変えたと理解しますが、よろしいでしょうか。また、当時の判断についてどのようにお考えでしょうか。類似施設であったとしても、子どもたちが選択できる環境が必要です。区の見解を伺います。次に、板橋区の児童館は、こども家庭庁が求めている地域での相談にも力を入れており、今後はどの児童館でも同じ機能を受けられるようになると理解しています。乳幼児以外の子どもたちが利用できる場所を確保することがこれからの課題となり、新たに児童館をつくる課題への第一歩と考えます。区長の子育て№1を実現するためには、小学生も安全に歩いたり自転車で通えるように、児童館の数を今よりも増やすことが必要となります。見解を伺います。
次に、民間活用や民間との連携を否定するものではありませんが、26館に減った際の加配職員も既にいません。当たり前に休日振替の休みを取るだけでも、現場の人員は手薄になってしまう状況が見受けられています。現場の人員の整備が第一で、民間活用の議論はその先となると思いますが、見解を伺います。次に、廃館となった児童館の建物がまだ残っていて、保育園などに貸し出されています。その児童館だった建物やスペースを改めて子どもたちのために利用することを求めます。再利用は最低限の予算で済み、短時間で取り組むこともできます。見解を求めます。児童館へは、子ども・子育て支援法上の子育てひろばという枠で補助金が出ています。補助金をしっかりと活用しながら、子どもたちのためになる子どもたちの居場所をつくってほしいと考えますが、見解を伺います。必要以上の働きかけをしない中での見守りが児童館では大切だと考えています。児童館の方針を単なる自由遊びに絞らずに、自由遊びが保障される児童館という考えでの児童館を求めたいと思います。見解を伺います。
以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手する人あり)
◎区長(坂本健) 議長、区長。
○議長(
田中やすのり議員) 区長。
〔区長(坂本 健)登壇〕
◎区長(坂本健) それでは、五十嵐やす子議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、上板橋駅南口再開発のアスベスト対策についてのご質問であります。解体工事におけるアスベスト等の飛散防止につきましては、大気汚染防止法などの法令に基づきまして対策を行うことが重要であると考えております。アスベスト事前調査報告書においては、記載内容について、現地の立入検査で区が確認等をしておりまして、開示につきましては再開発組合が判断するものと認識しています。区としましては、再開発組合が解体工事の施行においてアスベスト等の飛散防止対策を適正に実施するように、引き続き指導していきたいと考えています。
次は、再開発における税金の使い方の確認についてのご質問であります。上板橋駅南口駅前東地区の再開発事業に対する補助金等は、都市計画道路や駅前広場の整備、施設建築物の整備等に関するものであります。補助金等は要綱に基づき審査をし、履行確認などを適正に実施した上で支出しているところでありますが、当地区におけるアスベスト事前調査については補助対象にはしていないところであります。区は、アスベスト事前調査報告書の記載内容について立入検査で確認等をしておりまして、報告書の開示につきましては再開発組合の判断によるものと認識をしております。
続いて、事前調査結果報告制度についてのご質問であります。大気汚染防止法の改正に伴い、一定規模以上の解体工事などにおいては、アスベスト含有建材の有無を事前に調査をし、システム入力をし、板橋区に報告する仕組みとなっております。法に基づく制度がある中、従前の報告の仕組みに戻す考えはございませんが、立入検査のほか、事業者への指導を通じまして、作業が安全に行われるよう、引き続き指導に当たっていきたいと考えています。
続いて、アスベストの指導に関する条例についてのご質問であります。解体工事等のアスベストに関する現在の要綱においては、事業者が行う周知や公害防止措置などを定めております。法に基づく事前調査報告制度を踏まえて、周知方法の選択肢が幾つかあり、事業者が実施する中において要綱ではその大枠を示しているところであります。そのため、条例を制定し、アスベストの指導を行う考えはございませんが、引き続き事業者の指導に当たっていきたいと考えています。
次は、重要土地利用規制法に関連いたしまして、国への意見表明についてのご質問であります。重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律に基づきまして、9月11日付け文書により、内閣府から区へ注視区域等の指定案に係る意見聴取がございまして、10月2日に回答いたしました。意見聴取の内容は、地域の地理的情報、開発計画等に関するものでありまして、個別の意見を伝える形式ではなかったために、特段の意見は付していないところでございました。
次は、住民説明会についてのご質問であります。現在、自衛隊駐屯地等の重要施設の周辺を注視区域として指定をすることが国において検討され、調整段階にあることから、現時点では説明会等を実施する予定はないところであります。内閣府では、問合せ等に応じるコールセンターを設置しておりまして、注視区域の指定がされた場合においては、国が速やかに指定された区域及び事由を周知するとしております。区としましても、情報提供が可能となり次第、区民に分かりやすい周知に努め、国と協力をしながら適切に対応していきたいと考えています。
次は、対象区域についてのご質問であります。注視区域については、重要土地等調査法第5条により、防衛関係施設等重要施設の敷地の周辺おおむね1,000メートルの範囲内で指定することができるとされております。現在指定する区域は決定されておりませんで、内閣府が区域図案を非公表としているため、現時点において対象住民数及び対象区域図案を示すことができないと考えております。
次は、女性支援新法に関連いたしまして、基本計画の策定についてのご質問であります。いたばしアクティブプランではジェンダー平等を第一の柱建てとして策定をしておりまして、これまで女性活躍推進法や配偶者暴力防止法を取り組む形においてプランの充実を図ってきておりました。今年度末に策定が予定されております東京都の基本計画を踏まえて、来年度より検討を開始するいたばしアクティブプラン2030に取り込む形において、基本計画の策定を検討していきたいと考えています。
次は、基本計画策定時の人員選定についてのご質問であります。いたばしアクティブプラン2030の策定時には、公募区民のほか、有識者や専門家などを構成員とする審議会を設置し、広く意見を聴取し、検討を重ねていきたいと考えています。基本計画をアクティブプランに取り込む形とする場合においては、困難女性支援法に基づいた検討も可能となるような人員の選定を行っていきたいと考えています。
次は、婦人相談員についてのご質問であります。婦人相談員は、法施行に伴いまして名称が女性相談支援員となり、困難な問題を抱えている女性の発見や相談、専門的技術に基づく援助を実施するなど、重要な支援機関の1つであると考えています。法においては、市区町村の設置は努力義務とされておりますが、女性を支える人員として、雇用形態や規模、育成方法についても区基本計画の策定検討と並行して考えてまいりたいと思います。
次は、子どもが選択できる居場所についてのご質問であります。区では、小学生の居場所としてあいキッズを整備し、児童館は乳幼児親子に特化したCAP'Sへと変革することによって、各施設のメインターゲットを明確化し、事業の質と訴求力を高めることができたと認識しています。一方、こども家庭庁の設置やこども基本法の施行によりまして、子どもの居場所を取り巻く状況は変化をしております。子育てしやすいまちとして高い評価を受ける板橋区の象徴的な存在であるCAP'Sのさらなる進化を含めて、教育委員会とも連携をしながら、子どもたちが安心して過ごせる多様な居場所の整備を検討していきたいと考えています。
続いて、児童館数の増加についてのご質問であります。児童館は区内の各地域をカバーできるように、全体バランスに配慮して全26館を設置しておりまして、身近で親しみやすい施設として高い評価をいただいていると認識しています。利用者が徒歩でも通えるような配慮をしておりまして、現時点においては児童館を増やす予定はございませんが、区の人口動向を注視しながら、必要に応じて配置を見直していきたいと考えています。
続いて、ノウハウを持った職員の活躍についてのご質問であります。児童館では、子育て世代のサポートや子どもの対応に関するノウハウを持った保育士や幼稚園教諭などの資格を持った職員を多数配置しております。現場で実務経験を積んだ人材が全国的に不足する中において、区の児童館職員は貴重な存在であると考え、引き続きの活躍が期待されますが、区民サービスのさらなる充実に向けては、任期の定めのない常勤職員のみで対応するには限界があると考えています。職員のさらなる活躍と民間活力の活用を並行して検討することによって、児童館のサービスの向上につなげてまいりたいと考えています。
次は、廃止児童館の再利用についてのご質問であります。平成27年度限りで廃止した12館の児童館のうち、区立保育園に併設された9館は、保育園の各種行事や運動遊びなど、保育の質の向上や要支援児の保育の場として幅広く活用しております。また、令和6年度末までに家庭福祉員が保育を実施できない場合の代替施設の確保が法令により定められておりまして、保育園併設の廃止児童館も検討対象となっております。対象となっていない廃止児童館につきましても、子ども・若者を取り巻く社会の状況を踏まえた施設の活用となるように検討していきたいと考えています。
次は、補助金の活用についてのご質問です。エール館やほっとプログラムを実施しております児童館及び東京家政大学と連携をした森のサロンについては、国や東京都の補助金を活用して、地域子育て支援拠点事業を実施しております。今後も児童福祉法の改正等を踏まえた、国や東京都の補助制度の新設や変更の機会を捉えて、補助金を有効に活用しながら、子ども・子育て支援に取り組んでいきたいと考えています。
最後のご質問です。自由遊びの保障についてのご質問です。児童館では、遊んでいる子どもに声をかけ、子ども同士の遊びを促すなど、児童の健全な育成に資する取組を積極的に行っております。引き続き、子どもに適切に働きかける取組を継承・継続しながら、子どもが安心してのびのびと過ごせる居場所のあり方と必要に応じて見守りやフォローができる体制について検討していきたいと考えています。
残りました教育委員会に関する答弁は教育長から行います。
◎教育長(中川修一) 議長、教育長。
○議長(
田中やすのり議員) 教育長。
〔教育長(中川修一)登壇〕
◎教育長(中川修一) それでは、五十嵐やす子議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
i-youthの拡充についてのご質問ですが、令和5年9月の文教児童委員会にて生涯学習センターの機能向上の報告を行い、i-youthの適切な設置場所を検討する必要性についても説明をいたしました。大原・成増生涯学習センター以外の地域におきましても、i-youthの潜在的なニーズは想定できますが、事業拡大は人員や実施場所、財源等の課題があります。しかしながら、中高生の居場所としてi-youthの役割は重要であると考えており、その拡充に向け、関係部署と連携しながら検討を進めてまいります。
頂きました教育に関するご質問の答弁は以上でございます。
○議長(
田中やすのり議員) 以上で、岩永きりん議員、くまだ智子議員、五十嵐やす子議員の一般質問を終了いたします。
次は、共産党が行います。初めに、山内えり議員。
◆山内えり 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) 山内えり議員。
〔山内えり議員登壇〕(拍手する人あり)
◆山内えり 議員 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、一般質問を行います。
初めに、ガザでの戦闘行為中止と即時停戦をの声を板橋からについてです。
パレスチナ自治区ガザをめぐるイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が激化して50日、現地は地獄と化しています。WHOによると、ガザ地区にある36の病院のうち22が機能停止に追い込まれ、人工呼吸器や透析装置、保育器が動かなくなり、埋葬できない遺体がそのままになっていると伝えられています。攻撃で負傷した市民の治療も妨げられています。彼らが一体何をしたというのでしょうか。胸がえぐられる思いです。これらは明らかな国際人道法違反の戦争犯罪であり、許されません。ハマスが女性と子どもの人質の解放、イスラエルは収監中のパレスチナの女性と子どもを釈放することなど、4日間の戦闘中断の合意、さらに戦闘中断を数日間延長するなど交渉は始まりましたが、市民の命が危険にさらされていることに変わりはありません。今求められているのは、戦闘中断にとどまらず、イスラエルによるガザへの大規模攻撃を中止させ、即時停戦を実現することです。この歴史的な悲劇の傍観者であってはなりません。そこで伺います。ガザ地区で起きている惨状について、区長の認識をお聞かせください。また、平和都市宣言を掲げる自治体の首長として、政府に対し、ガザでの戦闘行為中止と即時停戦を働きかけるよう求めていただきたいが、いかがでしょうか。見解を伺います。
次に、2024年度予算編成について。
まず、行財政運営のあり方について伺います。今年8月29日に発出された令和6年度における予算・組織・職員定数に関する基本方針について(依命通達)では、区財政の見通しについて、現時点では楽観視できないとしています。一方、令和4年度の決算では区民税・特別区交付金の増により、実質収支は101億円超となりました。また、令和5年9月補正でも増収となり、財政調整基金へのさらなる積立てが行われました。区は歳入改善が見込まれたとし、令和5年度は緊急財政対策を実施しませんでした。明らかに区財政は好転しています。一方、区民の暮らしは、長引く物価高の影響などにより改善していません。しかし、区はそうした区民の厳しい暮らしについてはどこでも触れていません。区民の暮らしは改善していると考えているのでしょうか。区の認識を伺います。次に、人材確保についてです。依命通達では、例年と異なり、人材確保が困難になると強調しています。その上で、既存の業務形態や業務プロセスの抜本的な改善や事業自体の廃止にまで言及しており、問題です。職員不足により事業を廃止することは、公の責任を放棄するものであると考えます。区としてどのように職員を確保するのでしょうか。具体的方策をお示しください。次に、社会保険料の負担についてです。国民健康保険料の賦課限度額は、後期高齢者医療制度が創設された2008年以降、14年間で34万円も引き上がりました。介護保険料は65歳以上、所得410万円以上の方で月額最大5千円増えるなど増額する案が示されています。介護保険料の第7期事業計画では、基金取崩し19億7,286万円に対し、準備基金への積み立てが30億8,296万円、第8期では25億円の取り崩しに対し、準備基金への積み立て35億円と、いずれも取り崩し額よりも積立金が上回っています。区はこれまで、介護保険法の趣旨から一般会計からの繰入れはできないとしています。しかし、第8期事業の際、世田谷区など引き下げに踏み切った自治体が4区あることに鑑みれば、厳しい区民の暮らしから保険料をどうしたら上げないようにできるかという判断が求められます。国保料、後期高齢者医療保険料、介護保険料、いずれも改定のたびに値上げが続いています。国保料は既に所得の10%を超える負担となり、高すぎて払えない状況です。社会保険料全体の負担軽減を求めます。とりわけ介護保険料については、区の介護保険準備基金35億円全額を投じ、不足分は一般会計からも繰り入れるなど、区として値上げとならないようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、災害対策についてです。まず、BCP(事業継続計画)についてです。区は、コロナ対策について、業務継続計画(新型インフルエンザ編)を準用しているとしていましたが、検討すべき事項の多くが検討されていなかったことが明らかになりました。さきの決算総括質問で、今後改定していく必要があると答弁しましたが、職員体制や対応について早急に定める必要があります。いつまでに改定するのか、スケジュールをお答えください。次に、感震ブレーカーについて伺います。東京都は2023年度、首都直下地震などによる火災延焼被害を抑える目的で、地震の揺れを感知して通電を遮断する感震ブレーカーを老朽化した木造住宅密集地域の全約32万世帯に無償で配布する事業に踏み出しました。都内全域の感震ブレーカー設置率は、2020年度時点で8.3%です。都は、住民らによる初期消火を徹底した上で、ブレーカー設置率を50%に高めれば、首都直下地震で起きる火災による消失棟数・死者数をいずれも9割近く減らせると試算しています。火災延焼を抑え込む対策として、感震ブレーカー設置率を高めることが必要と考えますが、いかがでしょうか。区の認識を伺います。東京都が、対象エリアとなる大山西町、仲宿など21町丁へ事業のお知らせを配布していると聞きますが、区民の多くの方に情報は届いていません。区として、東京都の感震ブレーカー無償配布事業について区民へ直ちに周知すべきと考えますが、いかがでしょうか。江戸川区は、都が対象とした配布事業に当てはまらない世帯に対する無料の配布事業を実施しています。足立区は助成事業を実施するなど、独自に踏み出す自治体も生まれています。板橋区も災害対策として対象拡大すべきです。見解をお答えください。災害対策活用基金も活用し、区として予防対策に踏み出すべきです。
次に、区民参加・住民周知について。まず、区民参画のあり方について伺います。いたばし№1実現プラン2025における本庁舎、常盤台地区、前野地区、富士見地区周辺施設の再編・整備について検討、公共施設のあり方検討では、体育施設、ものづくり研究開発連携センター、天津わかしお学校、郷土芸能伝承館、生涯学習センター、区立図書館などがいずれも2023年に結論としています。しかし、この3年間、議会への報告はなく、検討状況さえ明らかになっていません。公共施設は区民の財産であり、そのあり方は区民参画で検討すべきです。なぜ庁内検討にとどめ、開かれた検討会としないのでしょうか。検討過程を公開しない理由と区民の意見を聞かない理由を伺います。
次に、住民への周知についてです。来年4月からプラスチック分別に関わる住民説明会が10月から12月にかけて各地域センターで行われ、12月には全戸配布されると聞きました。また、子宮がん検診が未受診の方への受診券、国保の特定健診受診券などは、いずれも対象者へ個別に発送されています。一方、来年度22歳になる対象者約5千人に対し、自衛隊への個人情報提供を拒否できるというお知らせは、広報いたばし10月21日号とホームページ掲載などに限定し、個別に発送されていません。自分の個人情報が知らないうちに提供されてしまうかもしれないという重要な情報が対象者に通知されず、問題です。なぜ区民への周知方法が異なるのでしょうか。周知するための区の基準はどのように設定されているのか、お答えください。区は区民への情報周知方法として、回覧板、区設掲示板への掲示、SNS投稿、ホームページ掲載、広報いたばし配布などで対応していると言いますが、周知の重要度などの基準がなく、所管任せになっています。7月から区の公式LINEが始まり、InstagramやX、旧TwitterなどSNSでの情報媒体が拡充していることは重要です。しかし、高齢者やデジタル機能を使いこなせない方は、区の情報を受け取ることは困難です。また、広報いたばしは新聞折り込みや公共施設、駅などへの配置も広がっていますが、新聞の購読数が減少している中、紙媒体の情報も全く足りず、区民が置き去りにされています。区民へのアンケートによると、広報いたばしを情報源とする回答が最も多く、全戸配布すべきです。併せて必要な情報は個別に送付するなど、区民が欲しい情報だけでなく、あなたが対象だと知らせることが必要だと考えますが、いかがでしょうか。見解を伺います。
次に、大山駅周辺のまちづくりについて伺います。
大山駅周辺では、都市計画道路補助第26号線、東武東上線鉄道立体化事業、駅前広場事業、2つの市街地再開発事業など、東京都、板橋区、民間主導の様々な事業が個別にそれぞれ進められています。しかし、多くの住民から、何がいつどのように進んでいるのか全く分からないと不安や不満の声が寄せられています。特に東上線立体化は2021年12月に事業認可されましたが、区は側道1から4号線に関わる地権者数も用地測量や用地買収率など進捗についても、東京都の事業であることを理由に議会で答えていません。そこで暮らす区民やなりわいに大きな影響が及ぶのにもかかわらず、東京都の事業だとして、都に進捗や情報を求めない区の姿勢は問題です。そこで伺います。事業認可後、区と都の協議はいつどのように行われてきたのかお示しください。また、1から4号線の立体化や側道に関係する地権者、土地所有者と借地権者の数についてもお答えください。加えて、用地買収の件数と買収率についてもお答えください。9月に大山駅東地区地区計画の変更に関する素案説明会、11月には原案説明会が行われ、私も両方参加しました。参加者からは、駅前周辺の整備計画がどのような段階か、住民は大山全体がどうなるのか知りたい、まちづくり全体のビジョンを語る部署がないという声が多く、東地区地区計画の変更に関する質問や意見はほとんどありませんでした。住民はそれぞれの計画や事業が個別に説明されることを望んでおらず、大山のまちづくり全体、将来像が知りたいのです。そこで伺います。東京都、板橋区、東武鉄道3者の合同説明会を定期的に行っていただきたいが、いかがでしょうか。見解を伺います。
次に、大山町ピッコロ・スクエア周辺地区市街地再開発事業についてです。大山町ピッコロ・スクエア周辺地区市街地再開発事業は、A街区とB街区合わせて1.3ヘクタール。店舗と約560戸の住宅からなる2棟の高層マンション計画です。9月13日、組合設立が事業認可され、区は転出の意向を表明したと聞いています。事業計画地には約2,034平米の区有地と約2,334平米の都有地があり、地域住民は公有地は住民増により不足する学校、保育所、集会施設、図書館、公園などへ活用してほしい、公有地は区民のために使ってほしいと繰り返し求めてきました。近隣では、大山町53番地のマンション187戸、仲町のお茶の水女子大学の学生宿舎跡地のマンション計画約300戸、合わせて約1,400戸の住宅が増えることが予定されています。住民増加に備え、公共施設を整備すべきであり、区民の財産である区有地を再開発のために売り払っている場合ではありません。1989年に日鉄ライフより36億円で購入した約2,034平米の区有地は、当時、住民の皆さんが住民のために使えるよう運動があったと聞いています。まず、区有地購入の経緯についてお答えください。併せて、区民の財産である区有地は、売却せずに公有地として活用すべきです。見解を伺います。次に、大山町クロスポイント周辺地区市街地再開発事業についてです。大山町クロスポイント周辺地区市街地再開発事業は、A街区からD街区の4棟で、B・C街区は今年度中、A・D街区は来年12月に完成予定とされています。資材や人件費が高騰している中、6月の都市建設委員会で、当初193億円とされていた工事費などが約202億円へ9億円も増額していることが明らかになりました。今後も増額となる可能性も見込まれます。また、権利変換した方からは、管理費や修繕積立金が高くて困っているとの声も寄せられています。住み続けられ、商売が続けられるまちづくりこそ必要です。多額の税金が投入される再開発事業でありながら、40店舗を超える商店、飲食店、クリニックなどが移転や廃業を迫られ、新たに建設されたビル内に戻れるのは2から3店舗と聞いています。結果的にまち壊しにほかならないと考えますが、いかがでしょうか。
次に、子どもの権利について。
まず、校則のあり方について伺います。ツーブロックはなぜ駄目かと都議会での質問は話題になり、2021年度、都立高校で校則見直しが進められ、全国でも校則改革が動き出しています。区も板橋区立学校校則の見直しに関するガイドラインを作成し、子どもが校則について議論する機会を設けるとともに、保護者や地域の意見を聞く取組を行っているとしています。しかし、区内のある中学校では、体育着をズボンの中にしまうこと、男子の水着はスクエア型など服装の細部まで指定したり、髪の毛の規則が残されています。子どもたちからは、自分の個性などを生かせず、縛られてばかり、改善を求めたが対応してもらえなかったとの声が寄せられています。なぜこのような学校の決まり、暗黙のルール、いわゆる校則が残っているのか理由を伺います。2021年10月の日本若者協議会の校則見直しガイドラインでは、1つ目の柱として、校則の内容は、憲法、法律、子どもの権利条約の範囲を逸脱しないと記されています。校則の内容について、文科省の生徒指導提要において示されているとおり、学校が教育目的を達成するために必要かつ合理的範囲内において定められるものとしていますが、その範囲は曖昧で、児童・生徒への人権侵害や健康を害する校則、学校外での行動を不合理に制約する校則など、多くの学校で理不尽な校則の見直しが必要な状況にあるとしています。校則は、歴史的には児童・生徒の行動を制約するものであり、深刻な人権侵害につながってきた歴史もあります。学校任せにせず、教育委員会として、標準服、頭髪、髪色を強制する校則は撤廃すべきです。見解を伺います。
次に、子どもの権利条例制定を求めて伺います。1999年8月、国旗・国歌法が公布・施行され、日章旗が国旗、君が代は国歌と定められました。しかし、この歌を歌わなければならない、この旗に敬意を表す行動を取らなければならないと決まったわけではありません。国連は、政府、特に文部科学省は、学校行事への国旗・国歌への導入をめぐって、子どもの条約上の権利、特に思想・良心・宗教の自由に対する権利、自己に関わる問題について自由に意見を表明し、かつその意見を尊重される権利及び多様な価値観を保障する教育環境に対する権利が侵害されないよう、あらゆる必要な措置を取るべきであると勧告しています。区立学校における入学式・卒業式では国歌斉唱がプログラムに盛り込まれていますが、歌いたくない人に歌うことを強制しないようにすべきであり、一人ひとりの個人が、自己の思想・良心に照らして決めるべきです。国連に追加報告を行ったNGOレポートでは、国は国旗・国歌については、児童・生徒の内心にまで立ち入って強制しようというものではないと回答しているとされていますが、教育委員会はどのように考えていますか。見解を伺います。今年4月、こども基本法が施行されましたが、子どもの権利条約が掲げた子どもの最善の利益、生命、生存及び発達に対する権利、意見表明権、差別の禁止の4原則を軽視し、予算と人を増やす担保がなく、不十分だと指摘されています。貧困、虐待、いじめ、不登校、自殺など、子どもの権利侵害は極めて深刻です。今必要なのは、子どもを権利の主体として明確に位置づけ、日々、直接子どもと関わる自治体こそ、子どもの権利の理念を共有する土台が必要です。板橋区も子どもの権利条例を制定すべきです。見解を伺います。
次に、住まいは人権の立場で住宅政策強化を求めて質問します。
厚生労働省は、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制、地域包括ケアシステムの構築を2025年をめどに推進しています。しかし、高齢者は住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けたいと願っても、適切な住まいが見つからないなどの相談は後を絶ちません。区は、高齢者が新たに住宅を借りにくい理由についてどう考えていますか。お答えください。区は2019年4月から新たな相談窓口、板橋りんりん住まいるネットを設置し、住まいに関するお困り状況に合った支援サービス情報の提供を行い、不動産協力店、居住支援法人の支援を受け、希望する物件へ円滑な入居の促進や不要なサービスを受けるための手続までスムーズな支援へつなげているといいます。しかし、区が委託している、住宅情報ネットワークでは、令和4年度の高齢者で新規84件、更新1,022件と公表されているものの、相談件数が把握できません。また、区が設置する窓口での相談件数において、高齢者では、単身・世帯合わせた74件の相談に対し、公営住宅45件、高齢者等世帯住宅情報ネットワーク49件など重複した件数となっているため、必要とする方がどれだけ住まいの確保につながっているかは不透明です。ある不動産屋さんは、高齢者に部屋を貸すことはリスクが高すぎると述べています。貸す側が懸念する様々なリスクを区が軽減することが必要ではないでしょうか。認識を伺います。併せて、現実的には高齢者は住み慣れた地域で新たな住まいを確保できず、現状の区の事業では十分補完できていません。是正するための最善策が必要と考えます。区の見解を伺います。高齢になるほど通院が増え、住み慣れた地域を離れること、コミュニティの変化は大きなストレスです。総務省の住宅・土地統計調査によると、2018年には空き家が849万戸に達し、全住宅の13%を占めるに至ったと推計されることから、板橋区においても同様に空き家・空き室は多いと推測できます。区が空き家を借り上げ、高齢者が安心して暮らせる住まいを確保すべきです。見解を伺います。
最後に地域課題について。
まず、中丸町・南町地域に図書館機能の設置を求めて伺います。中丸町・南町地域は半径1キロメートルの図書館サービス圏域から離れた空白地域とされ、長い間、住民から図書館設置が求められている地域の1つです。第1回定例会には住民から陳情が出され、今年3月の私の予算総括質問においても、図書館設置までの間、圏域から離れた地域における図書館機能の構築を求めてきました。区はいたばし№1実現プラン2025において、図書館について令和5年に結論を出すとしていますが、明らかにしていません。どんな検討がされているのでしょうか、お示しください。区は、空白地域全域を対象に返却ポストに限らずサービスを充実させる方策の検討。返却ポストの設置については、区内全域を対象に、適切な設置場所の選定や設置の可否について検討していくと述べています。改めて、図書館空白地域の各地域センター集会所などに本の予約・返却できる仕組みを求めます。せめて圏域外の地域へ返却ポストを早急に設置することを求めますが、いかがでしょうか。見解を求めます。
最後に、中丸児童遊園を使用した東京都の汚泥管下水道工事について伺います。今年5月末、中丸児童遊園に下水道工事の予告看板が設置され、公園内の全ての樹木にこの樹木は伐採予定ですとのお知らせが貼り出されたことから、近隣住民や公園利用者などから、なぜ樹木が伐採されるのか、下水道工事はいつから行われるのか、公園が3年も使えなくなるのなど相談が寄せられました。区に確認したところ、区は5月に下水道局に対し占用許可を出したと聞き、大変驚きました。東京都・板橋区はどのような協議をしてきたのでしょうか。経緯を明らかにしてください。今年2月には、下水道工事に伴う中丸児童遊園閉鎖を理由に、中丸児童遊園ふれあいイベント~ありがとう、どんぐり公園~が中丸児童遊園で行われたと聞きましたが、近隣住民も全く知りませんでした。住民の皆さんが下水道局に掛け合い、7月に二度にわたる住民説明会を開催させましたが、子どもの遊び場、老人クラブのペタンクの場所はどうなるの。一時集合場所としての代替地は。東京都はいつ、誰に、どのような説明をしてきたのか。家屋調査が終わるまで工事は行わないでほしい。工事後、公園は元に戻してくれるのか、など多くの質問で時間が足りないほどでした。しかも、説明するための必要な書類が不足し、参加した方から怒りの声が収まらない説明会となりました。11月に入り、下水道工事のお知らせや工事前の家屋調査のお知らせが近隣住民に配布されていると聞きますが、中丸児童遊園がどうなるのか、工事期間中の住民への影響もいまだに分からず、住民への周知があまりにずさんで問題です。東京都に対し、近隣住民へ理解が得られるよう説明・周知をすること、併せて工事終了後の復旧にかかる費用負担も求めていただきたいが、いかがでしょうか。区の見解を求めます。
以上で私の一般質問を終わります。(拍手する人あり)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△休憩の宣告
○議長(
田中やすのり議員) 山内えり議員の一般質問の途中でありますが、議事運営の都合により、この際、暫時休憩といたします。
なお、再開時刻は午後1時10分といたします。
午後零時07分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後1時09分再開
出席議員 46名
1番 ひはら みちこ議員 2番 近 藤タカヒロ議員
8番 しいな ひろみ議員 9番 坂 田 れい子議員
10番 木 田 おりべ議員 11番 一 島 ひろし議員
12番 横 川たかゆき議員 13番 長 瀬 達 也議員
14番 大 野 ゆ か議員 15番 井 上 温 子議員
17番 小 柳 しげる議員 18番
内田けんいちろう議員
19番 間 中りんぺい議員 20番 いがらし 学議員
21番 実 正やすゆき議員 22番 小 野 ゆりこ議員
23番 大 森 大議員 24番 石 川 すみえ議員
25番 山 内 え り議員 26番 中 村とらあき議員
27番 山 田たかゆき議員 28番 寺 田 ひろし議員
29番 わたなべ一 美議員 30番 岩 永 きりん議員
31番 くまだ 智 子議員 32番 荒 川 な お議員
33番 いわい 桐 子議員 34番 田中しゅんすけ議員
35番 田 中やすのり議員 36番 いしだ 圭一郎議員
37番 さかまき常 行議員 38番 おばた 健太郎議員
39番 五十嵐 やす子議員 40番 竹 内 愛議員
41番 小 林 おとみ議員 43番 元 山 芳 行議員
44番 大 野 治 彦議員 45番 鈴 木こうすけ議員
46番 成 島 ゆかり議員 47番 中 妻じょうた議員
48番 高 沢 一 基議員 51番 川 口 雅 敏議員
52番 佐々木としたか議員 53番 田 中 いさお議員
54番 し ば 佳代子議員 55番 おなだか 勝議員
職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名
区議会事務局長 五十嵐 登
区議会事務局次長 森 康 琢
〃 議事係長 龍 野 慎 治 〃 調査係長 服 部 亮
〃 書記 飯 野 義 隆 〃 書記 高 橋 佳 太
〃 書記 高 瀬 渉 〃 書記 安 部 詩 織
〃 書記 鈴 木 琢 真 〃 書記 石 川 実 生
〃 書記 小 林 隆 志 〃 書記 横 山 愛
〃 書記 土 屋 太 功
地方自治法第121条の規定に基づく説明のための出席者
区長 坂 本 健 副区長 尾 科 善 彦
教育長 中 川 修 一 常勤監査委員 有 馬 潤
政策経営部長 篠 田 聡 総務部長 田 中 光 輝
法務専門監 辻 崇 成 危機管理部長 三 浦 康 之
区民文化部長 林 栄 喜 産業経済部長 平 岩 俊 二
健康生きがい部長 宮 津 毅 保健所長 鈴 木 眞 美
福祉部長 久保田 義 幸 子ども家庭部長 関 俊 介
子ども家庭総合支援センター所長 資源環境部長 岩 田 雅 彦
佐々木 三 良
都市整備部長 内 池 政 人
まちづくり推進室長田 島 健
土木部長 糸 久 英 則 会計管理者 代 田 治
教育委員会事務局次長 地域教育力担当部長雨 谷 周 治
水 野 博 史
政策企画課長 吉 田 有 財政課長 大 森 恒 二
総務課長 荒 井 和 子
△再開の宣告
◎事務局長(五十嵐登) ただいまの出席議員数は46名でございます。
○議長(
田中やすのり議員) 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△区政一般質問(続き)
○議長(
田中やすのり議員) 山内えり議員の一般質問に対する答弁を求めます。
◎区長(坂本健) 議長、区長。
○議長(
田中やすのり議員) 区長。
〔区長(坂本 健)登壇〕
◎区長(坂本健) それでは、山内えり議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、ガザでの戦闘行為中止と即時停戦をの声を板橋からのご質問であります。イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突により、パレスチナ自治区ガザにおきまして人道危機の事態が深刻化しているところであります。軍事行動により多くの民間人が犠牲となっている状況は断じて容認できるものではなく、平和都市宣言を掲げる自治体の長として、一層平和への希求の念を強くしているところでございます。国は現在、国際社会と連携をして、事態の鎮静化、人道危機の改善に向けた外交に努めておりまして、区としましては、情勢の変化を注視し、現時点におきましては、何らかの具体的な働きかけを行う考えはないところであります。
次は、区民の暮らしについてのご質問であります。内閣府の月例経済報告によりますと、景気はこのところ一部に足踏みも見られますが、緩やかに回復しているとされておりますが、区民一人ひとりの暮らしに対する感じ方は様々でありまして、一様に表現できるものではないと考えます。現下の物価高騰は広い範囲に影響を与えておりまして、今後予定されております国の経済対策に併せて、区でも機動的に対応していきたいと考えています。
次は、区職員の確保についてのご質問です。生産年齢人口の減少等により、人材の確保は年々厳しさが増しておりまして、働きやすい環境・職場づくりはもとより、区職員として働く魅力をアピールすることが急務であると考えます。区として、今年度は新たに大学との連携を強化し、インターンシップや採用説明会の充実を図るとともに、中学生に向けたキャリア支援の取組に着手をしたところであります。また、特別区人事委員会におきましても、受験者数減少を受けまして、採用選考の見直しを進めており、区独自の取組と併せて、板橋区に愛着と誇りを持つ有為な人材の確保に取り組んでまいりたいと考えます。
次は、社会保険料の負担軽減についてのご質問であります。高齢化の進行により、保険料の料率算定基礎となる医療費や介護サービスの給付費が年々増加し、保険料の上昇が続いている状況であります。社会保険制度の持続性確保は喫緊の課題であると認識をしておりまして、国民健康保険・介護保険については、国や東京都に対し、特別区長会や全国市長会を通じまして、制度の見直しや財政措置に関する要望を行っているところでございます。また、後期高齢医療につきましては、東京都広域連合において、特別対策等保険料の軽減策が検討がなされております。介護保険の次期保険料額の算定に当たりましては、区独自の公費投入は行わないものの、第8期に倣いまして、保険料の急激な上昇を抑えるように、基金を適切に活用していきたいと考えています。
次は、災害対策に関連いたしまして、BCP計画についてのご質問であります。現時点におきましては時期は明らかになっておりませんが、国が改正されました新型インフルエンザ等特別措置法に基づきます行動計画の指針を策定する予定であります。その動向を踏まえつつではありますが、区の地域防災計画の改定を受けまして、令和6年度末に業務継続計画(震災編)の改定を予定しておりまして、同時期に業務継続計画(新型インフルエンザ編)を改定したいと、このように考えております。
次は、感震ブレーカー設置率についてのご質問であります。感震ブレーカーは震災時の通電火災を抑制する効果があるために、木造住宅密集地域におきましては、感震ブレーカーの設置率を高めることは望ましいことであると認識しています。
続いて、感震ブレーカー配布の周知についてのご質問です。東京都は木造住宅密集地域内の木造住宅に居住する全世帯を対象に、感震ブレーカーの申込書及び普及啓発のリーフレットをポスティングして周知を図っております。そのため、対象世帯には周知されていると認識しておりますが、区としましても、広報いたばしに感震ブレーカー配布事業を掲載して、周知や普及啓発を行っているところでございます。
次は、感震ブレーカー対策の対象拡大についてのご質問であります。感震ブレーカーは、個々の家屋や生活スタイルによりまして、設置に適している製品が異なっておりまして、設置費用も幅があるために、区では感震ブレーカーの設置を希望する方に対してあっせんを行っております。現時点におきまして、区として感震ブレーカー設置の助成は実施をしておりませんけれども、今回の東京都の感震ブレーカー配布事業の効果などを検証して、感震ブレーカーの普及啓発、設置支援について研究・検討をしていきたいと考えています。
次は、公共施設の検討における区民参画についてのご質問であります。公共施設の検討におきましては、不確定な情報や未成熟な議論による混乱を避けるため、まずは区が庁内で十分に検討を進め、適宜、責任を持って区議会へ状況を報告後に、公表する過程を経て、成案へ練り上げているところでございます。また、検討に当たりましては、日常的に寄せられている利用者等からの意見やアンケートを踏まえるなど、施設ごとに適した方法によって、区民の声の把握と反映に努めているところでございます。今後も案件ごとに適宜、適切な方法において情報公開と区民参加を推進し、次世代へ継承していく公共施設の魅力とサービス・機能の向上を図っていきたいと考えます。
続いて、区民への周知基準についてのご質問であります。区民への周知や情報の周知については、事業や施策のそれぞれの特徴・条件などを的確に捉えて、効果的・効率的に行えるよう努めております。区からの情報提供・周知の内容については様々、多岐にわたるために一律の基準は設定しておりませんが、各種広報媒体の特徴を生かした発信ができるように、全庁的な情報共有を図っております。
次は、広報いたばしの全戸配布についてのご質問です。全戸配布は、印刷、配布に係る経費が大幅に増えるほか、手に届くまで一定の時間を要する懸念もございまして、区の特徴である毎週発行を踏まえると、全戸配布に移行する考えは今のところ持ってないところであります。
次は、対象者への情報周知についてのご質問であります。区では、区民の方々に直接情報が伝達できる手段として、SNS関連のツールを導入するなど、情報発信の充実・拡充に取り組んでいるところでございます。引き続き、新しい手法の開拓も含めて、各種伝達手段の特徴を捉えながら、必要な方に適切に情報が届くように努めてまいりたいと考えています。
次は、連続立体交差事業における都区の協議内容と進捗状況についてのご質問であります。東京都が施行する大山駅付近の連続立体交差事業における都区の協議につきましては、事業認可後、用地補償説明会に向けた調整など、適時、事業推進に向けた必要な協議を行ってまいりました。また、鉄道付属街路1から4号線の用地取得に関係する地権者の数は約250名、対象画地数については16件でございまして、現在、用地折衝を行っておりますが、契約に至っている画地はないと東京都から聞いております。
次は、関係機関の合同説明会の実施についてのご質問であります。大山駅周辺地区における実施中の各事業につきましては、パンフレット配布や区役所ギャラリーモールで開催いたしましたパネル展などによりまして、積極的な情報発信を行ってきております。今年度も地区内へのパンフレットの全戸配布や1月中旬から2月末までの期間において、パネル展の開催を計画しておりまして、関係機関の合同説明会の実施は予定をしていないところでございます。
次は、区有地取得の経緯と活用についてのご質問であります。ピッコロ・スクエア地区再開発事業の区域内にある区有地は、平成元年に、まちづくりの事業用地として区が民間から取得したものであります。区はこの地区におきまして、再開発ビル内に新たな公共施設の整備は行わないため、地権者として権利変換による床の取得を行う予定はないところであります。
次は、再開発事業によるまちづくりについてのご質問です。再開発事業は、地域にお住まいの方々や事業者等が主体となって、関係権利者の合意の下に進められる民間の事業でございます。再開発事業において、権利変換を希望するか、転出するかにつきましては、土地等をお持ちの権利者の方々が、それぞれご自身で判断をするものであります。再開発事業は、道路、公園、広場等の整備や建物の共同化による防災性の向上など、公共性の高い事業でありまして、区は安心・安全なまちを実現するため、引き続き取り組んでまいりたいと考えています。
次は、子供の権利に関連いたしまして、条例の制定についてのご質問であります。令和5年4月にこども家庭庁が発足し、併せてこども基本法が施行されたことで、社会全体で子どもを守り育てる取組を強力に推進する状況が整ったと考えています。こども基本法においては、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、全ての子供について意見を尊重することや最善の利益を優先することを基本理念としております。区として条例を制定する予定はございませんが、様々な施策に法の基本理念を反映することができるように努めてまいります。
次は、高齢者が住宅を借りにくい理由についてのご質問です。高齢者が住宅を借りにくい理由として、入居中の孤独死、認知症の発症へのリスクに不安があることと認識しています。また、契約時には、入居者と連絡が取れない場合、所在の確認に必要となる緊急連絡先が見つからないことも理由の1つとして挙げられております。
次は、大家等が懸念するリスクの軽減についてのご質問です。高齢者に対する懸念には、孤独死や認知症など、入居中に起こる可能性があることへの不安だと認識しています。その一方において、高齢者は長期間にわたり入居する傾向があるために、退去の際のクリーニングや手続等、また、新規の募集の経費が節約できるという側面もございます。板橋区居住支援協議会においては、このような課題と利点を共有し、各関連団体の事業を展開しておりまして、今後も不安感の軽減につながる協議を行ってまいりたいと考えています。
続いて、住み慣れた地域での住まい確保についてのご質問であります。住み慣れた地域において、昔からの友人やかかりつけ医などを理由に、住み続けていきたいという高齢者の方の思いがあることは認識をしております。一方、希望する条件が多いほど物件探しが難しくなるため、優先する条件を整理していただくことによって、区でも住まい探しのお手伝いをしております。まずは住まいの相談を丁寧に聞くことによって、転居が必要となる背景等を十分に把握し、円滑な住まい探しにつなげてまいりたいと考えています。
続いて、高齢者向けの空き家の借り上げについてのご質問です。板橋区営住宅再編整備基本方針においては、借り上げたけやき苑を順次オーナーに返還することとしておりまして、区営住宅に集約しているところでございます。区は新たに空き家・空き室を借り上げることは考えていないところでございます。
次は、東京都との協議の経緯についてのご質問であります。下水道工事に伴う中丸児童遊園の占有については、平成27年度から下水道局と協議を続けておりまして、主な議題については、地域との合意形成の状況や占用範囲・期間、復旧等がございます。本年4月には、下水道局と地元3町会において、要望を踏まえた覚書が締結をされ、地域との合意形成が図られたと報告を受けたために、工事に必要な範囲と期間で占用許可を行ったところでございます。
続いて、東京都への要望についてのご質問です。中丸児童遊園における下水道工事は、広域的な下水道環境を維持するために必要なものでありまして、区としましても、地域の理解と協力が得られるように、下水道局との調整を進めていきたいと考えています。一般に、占用期間満了時に工事施工前の状態に戻すことを求めますが、中丸児童遊園については、隣地や道路との段差といった課題もあるために、解決に向けた調整を行うこととしております。工事後の整備形態や合意形成の方法、費用負担に関しまして、現時点での計画は未定ではございますが、地域に愛される公園として再生ができるように、関係機関等との協議を重ねてまいりたいと思います。
残りました教育委員会に関する答弁は教育長から行います。
◎教育長(中川修一) 議長、教育長。
○議長(
田中やすのり議員) 教育長。
〔教育長(中川修一)登壇〕
◎教育長(中川修一) それでは、山内えり議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
初めに、校則のあり方に関しまして、校則が残っている理由についてのご質問ですが、教育委員会では、現在、板橋区立学校校則の見直しに関するガイドラインの周知徹底を図っているところであります。本ガイドラインでは、児童・生徒自身が主体的に考え、行動できる力を育成するため、校則の見直しに主体的に参画させることを明記しております。学校によりましては、教員を含めた児童・生徒同士の話し合いの結果、校則等について現状でよいと結論づけている場合もあり、校則の教育的意義を踏まえて校則を継承しているところであります。
次に、校則の撤廃についてのご質問ですが、社会規範の遵守について適切な指導を行うことは重要であり、学校の教育目標に照らして、校長により定められる校則は、教育的意義を有するものと考えられます。しかしながら、目的が共有されていない校則や前例踏襲等で残っている決まり、現在の社会情勢等に鑑み、不必要な決まりについては、撤廃や改正が必要であると考えます。教育委員会としましては、校則の見直しを通して、児童・生徒が自らの生活をよりよくしていこうとするなど、社会参画の意識を高めることができるよう、学校に対して助言してまいります。
次に、国旗・国歌についてのご質問ですが、学習指導要領には児童・生徒が将来、国際社会において信頼され、活躍するために、国旗・国歌の意義を理解し、尊重する態度を育てることが重要であると示されています。学校では、学習指導要領に基づき、特別活動、社会科、音楽科などにおいて、学習内容と関連させながら、国旗・国歌の指導を行っております。
次に、図書館のあり方検討の内容についてのご質問ですが、図書館のあり方につきましては、令和3年度から令和5年度にかけて、4つの項目を設定し検討しております。具体的には、図書館の設置数、氷川図書館及び高島平図書館の施設整備、図書館の運営形態、図書館の圏域から離れた地域へのサービス向上であります。これらの検討項目につきましては、令和5年度末をめどに結論を出す予定であります。
最後に、図書館空白地域の図書館機能の設置についてのご質問ですが、図書館の圏域から離れた地域に図書の予約受け取り・返却機能を備えることは、場所の確保や機器の設置、図書資料管理に要する人員やコストなどの事情により、現状困難であると考えます。また、図書館サービスの返却機能の一部である返却ポストの新設につきましても、設置場所の確保や安全性、利便性、輸送経路などの課題があります。図書館の圏域から離れた地域のサービス向上につきましては、中丸町・南町のみならず、区全体のバランスや各地域の特性などを配慮し、引き続き検討してまいります。
頂きました教育に関するご質問の答弁は以上でございます。
○議長(
田中やすのり議員) 次に、小林おとみ議員。
◆小林おとみ 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) 小林おとみ議員。
〔小林おとみ議員登壇〕(拍手する人あり)
◆小林おとみ 議員 日本共産党板橋区議会議員団を代表して、一般質問を行います。
初めに、物価高騰から区民生活を守る緊急対策についてです。
9月の総務省の家計調査は、家計を切り詰めても出費がかさむ実態を浮き彫りにしました。深刻なのは食料支出です。2人以上の世帯では、前年同月に比べて3.7%も購入量が減ったにもかかわらず、実際に支払った金額は5%も増えています。総務省の消費者物価指数によると、9月の物価は前年同月に比べ2.8%の上昇でした。とりわけ食料は9%と大幅上昇。帝国データバンクによると、食品主要195社の価格改定は2023年度全体では3万2,189品目の値上げです。消費支出に占める食料支出の割合を示すエンゲル係数は29%と過去最高域になっています。政府の経済政策は、所得税・住民税合わせて4万円減税を来年6月以降に実施することと住民税非課税世帯への7万円給付です。しかし、1回限りの減税と給付金で、これが経済政策と言えるのか、その後に増税が待っているのでは話にならないと、世論調査で評価しないとの回答が6割前後を占めています。効果のない場当たり的な政策に内閣の支持率は急落しています。時事通信の11月世論調査では、消費税減税に賛成が57.7%です。政府・自民党内からも消費税減税の声が噴き出ています。経済の専門家からも、消費税減税は直接消費されて減税効果が出るのに対して、給付金や所得税減税は一部が貯蓄に回るため、経済効果は薄いとの見解が示されています。経済政策の根本的な転換とくらし支援の緊急対策が必要です。そこで区長に伺います。第1に、消費税の減税とインボイスの中止についてです。区は消費税について、社会保障の恒久財源だと言い続けていますが、現在の経済状況で消費税減税が最も公平な、また効果的な物価高騰対策になるという世論をどう考えますか。見解をお聞かせください。また、10月から始まったインボイス制度では、板橋区内でもインボイス登録をしないことをもって、日当から1割値引きをする、消費税分を値引きして請求書を出してくれと言われたなど、取引先から値引きを強要されるトラブルが報告されています。フリーランスの会が10月に行った緊急アンケートには3,000人が回答し、約7割が廃業を含め悪影響が出ていると答えています。インボイス制度は小規模事業者やフリーランスに対する大増税で、営業と暮らしに大打撃となっています。中止の声を上げていただきたいが、いかがでしょうか。
第2に、低所得者・生活困難者に対して、急いで直接支援をすることについてです。日々区民の皆さんから寄せられる声は、暮らしを支えてほしいという切実なものばかりです。年金暮らしの高齢者からは、食品、着るもの全て値上げで四苦八苦の状態が続いています。先週は3つ買った果物が今週は2つの値段になっています。体調を守るためには大切な食べ物です。困ります。節約しようにも、どこを節約していいのか分かりません。スーパーでは、品物を見て手を出したり引っ込めたり、出るのはため息だけですという声です。7月・8月・9月と猛暑続きで、電気代もすごいことになりましたという声も寄せられています。節約にも限界があり、健康維持も難しいというせっぱ詰まった生活実態に、今こそ直接支援が必要です。非課税世帯だけではなく、均等割のみの世帯に広げることはもちろん、本人非課税者にも対象を広げて、広く区独自の生活支援給付金を年末までに支給していただきたい。また、国民健康保険・介護保険・後期高齢者医療保険の各保険料について、新型コロナの影響で収入が減少した世帯に対して行った減免制度を物価高騰の影響で収入が減少した世帯を対象に実施をしていただきたい。見解を伺います。
第3に、中小・小規模事業者への緊急対策です。全商連付属・中小商工業研究所が行った2023年度下期の営業動向調査では、長引く物価高騰の下で、従業員5人以下の小企業者が、仕入値、経費の増大、収益の低迷を余儀なくされている実態が明らかになっています。区内の事業者の方からは、ガソリン価格について、政府は元売企業に補助金を出して値上げを抑えると言いますが、ガソリン価格は半分が税金です。消費税はガソリン税にも上乗せされて二重課税です。おかしくないですかと訴えられました。精肉店を営んでいる方からは、冷蔵庫・冷凍庫は24時間365日止めることができません。昨年は1年間で80万円だった電気代が今年は120万円、何とかしてほしい。こんな状態が続いたら商売を続けられないというせっぱ詰まった声です。杉並区では、今年の4月から9月までにかかった電気・ガス料金に対して、最大15万円の助成金事業を実施しています。板橋区においても、電気代・ガス代の補助、前年度から売上げが落ちた事業者に対する助成や家賃等固定費の補助など、これまで実施実績があり、区民から喜ばれている事業を改めて実施をしていただきたい。また、燃料費の高騰は公衆浴場の経営を直撃しています。燃料費助成の額を引き上げ、期間を延長していただきたいがいかがでしょうか。
第4に、年末年始の対策です。12月の福祉事務所の生活相談窓口を広報し、年末年始も相談できるようにしていただきたいが、いかがでしょうか。また、街かどフードパントリーは生活支援の対策として大いに歓迎されており、もっと家の近くでやってほしいという声が上がっています。規模を拡大して広報し、実施場所を各地域センターへと増やしていただきたいが、いかがでしょうか。
次に、経済の底上げのために、あらゆる分野での賃金の引上げについて質問します。
厚生労働省の2023年版労働経済白書によると、実質賃金で見た場合、1996年を100とすると、日本は2021年でも102.4とほぼ横ばいです。一方、イギリスは154.5、アメリカは147.2、フランスは124.8など大きく増加しました。日本が他国と比べて賃金が上がらない国となっている状況を確認できると記しました。また、白書は日本の賃金が伸び悩んだ背景として、他の経済協力開発機構、OECD諸国と比較して、日本の労働分配率が大きく低下したことを指摘しています。要因の第1に、企業の内部留保を挙げました。1996年には約150兆円だった内部留保額は、2021年には約500兆円にまで増加している。企業は1996年以降、付加価値が増加する中にあって生じた余剰を必ずしも人件費や投資に回すのではなく、手元の資産として保有してきたことがうかがえるとしています。内部留保のため込みが労働者を犠牲にしていたことは否定できません。非正規雇用労働者は2,100万人に達し、賃金は正規雇用者の67%、非正規雇用の増加が低賃金の構造を拡大し、日本を賃金が上がらない国にし、経済の長期停滞の大きな原因になっていることは明らかです。また、非正規雇用の7割が女性であり、男女の賃金格差の大きな要因になっています。最低賃金はどうでしょうか。日本は今年、全国加重平均で1,004円、ようやく1,000円台に乗ったという状況です。OECD各国では、ドイツは1,923円、イギリスは1,875円、フランスは1,785円で国際的に大きく立ち後れています。イギリスは2024年度から9.8%引き上げて2,132円とすることが発表されています。岸田首相は2030年代半ばに1,500円にと言っていますが、生計費にも満たない現状を10年先まで我慢させるつもりでしょうか。そこで区長に伺います。第1に、現在の物価高騰から区民生活を守るためにも、また、停滞している経済を底上げしていくためにも、あらゆる分野で賃金の引上げをしていくことが必要だと考えますが、区長の見解を伺います。
第2に、区内の中小企業に働く労働者の賃上げについてです。中小企業にとっては、賃金を上げようと思っても、業績は一朝一夕に向上するものではありません。厚生労働省や中小企業庁などが、従業員の賃上げを条件に、業務改善助成金、キャリアアップ助成金等々を実施していますが、これらの助成金は賃上げを条件にしながらも、助成の対象は設備投資や規模の拡大、新しい事業への進出、業務改善などが対象となっており、賃上げに直接結びつけるにはハードルが高すぎます。区として、さらに条件を緩和して、直接賃上げに結びつくことができるような上乗せする補助制度をつくり、利用しやすくすることが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
第3に、介護や保育、障がい福祉など福祉分野で働く人々の賃上げについてです。政府は補正予算に介護職員と看護補助者を対象に賃上げを行った事業所や医療機関に1人当たり月額6,000円の賃上げ相当額を補助することを盛り込んだと報じられました。しかし、厚労省の調査でも、介護職員・看護補助者は月額で全産業平均より9万円から12万円低く、6,000円では桁が違うという声が上がって当然です。急増する離職者に歯止めがかかることにもなりません。しかも、来年度は診療報酬を引き下げるというのですから、話になりません。介護や保育、障がい福祉サービスなどは、公定価格によって報酬を決めるという仕組みそのものが低賃金構造をつくり出しています。多くは女性が担い、家事労働の延長のように扱われていては、職種そのものの存続さえ危ぶまれていくのではないでしょうか。公的責任で職の賃金を確立することが必要です。区として福祉分野で働く人々の賃金の引上げの必要性についてどう考えるか、また、区として支援をしていただきたいが、いかがでしょうか。
次に、教員の長時間労働の解消について質問します。
著名な大学教授など20名による、教員の長時間勤務に歯止めをかけ、豊かな学校教育を実現するための全国署名が呼びかけられています。呼びかけ文にはこう書いてあります。人にはゆとりがないといい仕事ができません。ゆとりなく働きすぎると人は壊れてしまいます。実際、学校では長時間労働が蔓延し、病気による休職者は増える一方です。若者も教職を敬遠するようになり、学級担任も確保できない教員不足が起きています。このままでは学校がもちません。こうなった原因は、教員を取り巻くシステムにあります。教員に残業代を支給しない法律の下で、教員の残業は増え続けました。学校の業務量に見合った教職員が配置されているのかという問題もあります。子どもが学び、育つためには、ゆとりを持って真剣に接してくれる教員が必要です。板橋区においても、今年9月には21人の教員の欠員が生まれています。年度当初から補充されずにスタートして、専科の教員や算数の少人数授業の教員、副校長などが学級担任をせざるを得ない事態となっています。産休や育休、病気休職、休暇など、年度途中の欠員に対しても、臨時的な任用の教員が補充できないなどの深刻な実態が、決算審査の中で指導室から報告されています。私の地域でも10月の学校だよりで、学級担任が退職となって、副校長が担任になるというお知らせが手元に届きました。子どもたちの動揺も計り知れないものがあることが想像できます。学校現場の深刻な教員不足の状況を解決することが急務です。そこで、教育長に質問します。第1に、学校に長時間労働が蔓延する、病気による休職者が増える、若者が教職を敬遠するという状況が広がっている理由について、教育長の考えをお聞かせください。
第2に、特別区教育委員会は、東京都教育委員会に対して、小学校の授業コマ数の上限を設定すること、中学校の授業コマ数は高校並みにすることを求めています。これらを通じて、教員の長時間労働の改善がどれぐらい進むことになるのかお示しください。第3に、真に必要な教員数についてです。文部省が1958年に初めて教員定数を法律で決めた際には、1日8時間のうち4時間を休憩時間を含め正規の教科指導に充て、残りの4時間を教科外指導や準備・整理、その他の校務一般に充当するとし、1教員当たりの標準授業時数は1日4時間としました。しかし、その後、学習指導要領に基づく標準時数は増やされ続け、1日5コマ・6コマは当たり前になってしまっています。これで法律どおり休憩時間を45分取ったら、残る時間は25分しかありません。1日4時間、週20時間を基準に教員配置を行った場合、板橋区では何人の教員が必要になるのかお示しください。第4に、教員の長時間労働を解消し、教員が子どもたちにゆとりを持って真剣に接することができる状況をつくり出すためには、現在、国が進めている35人学級を前倒しで行うこと、30人学級はもちろんのこと、OECD各国では共通する水準になっている20人学級をも展望して、少人数学級を推進することが必要と考えますが、教育長の見解をお示しください。
次に、障がい者、高齢者の権利擁護を、成年後見制度について質問します。
高齢者や障がい者の権利を守り、住み慣れた地域で安心して生活を継続していくために、自分の意思をうまく周囲に伝えられない人や判断能力が不十分になったときにも基本的人権が守られるよう、権利擁護による支援が必要です。判断能力が十分でない人を保護・支援する方法の1つとして成年後見制度がつくられ、政府において利用促進基本計画が推進されてきました。しかし、後見人になった弁護士や司法書士などの専門職が預貯金を横領する事件が発覚したり、専門職が担うことで、本人や家族の意向が実現しない、本人のためにお金が使えない、一度利用したらやめられないなどの課題が噴出し、利用は大きく広がっていません。障害者権利条約では、当事者の意思決定支援の準備を求めています。後見人には被後見人の意思決定の尊重義務があり、成年後見制度を意思決定支援制度に根本的に転換することが求められました。政府は、国連障害者権利委員会からの指摘を受けて、成年後見制度の基本的な方向性について、利用者を増やす利用促進という考え方から、本人を中心とした権利擁護支援の位置づけの下に、それを実現するための仕組みの1つとして位置づけるとしました。そして2020年10月、意思決定支援を踏まえた後見事務ガイドラインを発表し、現行の後見制度が権利条約に抵触していると非難されていた状態に対する一定の対応策を示しました。しかし、現実問題として、本当にガイドラインどおりに実践できるかどうかは大いに疑問です。なぜなら、ガイドラインには本人を支援する人たちのチームが存在して、そのチームに後見人も積極的に関わって、本人の意思決定や最も慎重に判断しなければならない代行決定に責任を負う存在でなければならないからです。本人との間の日常的な信頼関係の構築が必要であり、高度な福祉的なスキルが求められるものです。そこで区長に伺います。第1に、成年後見制度を、利用者を増やすのではなく、本人の意思決定支援に中心を置く制度にしていくことについて、区としてどのような考え方で取り組んでいくのかお示しください。
第2に、板橋区においては、権利擁護いたばしサポートセンターが権利擁護支援の地域連携ネットワークの中核機関とされています。今後、意思決定の支援が必要な高齢者・障がい者一人ひとりに支援チームが機能していくような支援体制をつくり上げるためには、権利擁護いたばしサポートセンター、成年後見人、
地域包括支援センターや障がい者福祉センター、家庭裁判所、板橋区の関係部署などと、本人と家族をつなぐ役割をそれぞれがどう果たしていくのかがますます重要になると考えます。権利擁護サポートセンターの体制、地域包括や障がい者福祉センターなどの体制と連携、専門職の配置などの体制を抜本的に強化する必要があると考えますが、見解を伺います。第3に、高齢者・障がい者の権利擁護のための総合相談の窓口が必要ではないでしょうか。広く広報して、本人・家族・関係者が気軽に相談できる窓口を設置し、個々のケースへの相談体制を整える役割を果たしていただきたいが、いかがでしょうか。
次に、聞こえのバリアフリー解消に向けて、加齢性難聴者の補聴器購入助成について質問します。
加齢性難聴者が補聴器を購入しやすくすることは、認知症予防につながる大事な事業になっています。補聴器購入助成制度は、2023年3月末時点で全国120自治体が実施しており、これ以降も大きな広がりを見せています。東京都では、2023年9月15日時点で18区4市1村が事業を開始、4区1市が実施予定となっています。補助の上限額は13万7,000円の港区や2万円の墨田区・江戸川区・大田区・板橋区などとなっています。2万円台の上限額で事業を開始した足立区・豊島区は、住民から増額の運動があり、2023年4月から5万円に改定しています。千代田区は、20歳以上で聴力レベルが40デシベル以上であれば補助が受けられます。補助方法としては、新宿区と江東区は公費で補聴器を業者からまとめて買取り、江東区は現物支給か3万円補助の選択制、新宿区は本人負担2,000円の現物給付、ただし生活保護利用者は本人負担免除となっています。目黒区は9月の議会で、上限額5万円で、住民税非課税の人に11月から補助開始との回答がされています。板橋区においては、2022年度から上限2万円、65歳以上の非課税世帯の方に対して事業が開始されています。アフターケア付き証明書をもって購入した後、調整終了後、交付決定という現金支給まで少々煩雑な手続になっていますが、事業開始後の利用者数は10月末時点で206人です。板橋区としても、制度のさらなる拡充が求められます。そこで区長に伺います。第1に、対象を非課税世帯に限定せず、均等割のみ世帯や本人非課税にも広げ、上限額を購入費用の半額など抜本的に引き上げることを求めますが、見解を伺います。
第2に、認知症予防効果が期待される事業ですから、早期に発見し、早期に対応ができるように、区民健診に聴力検査を加えていただきたいが、いかがでしょうか。また、補聴器を利用する人たちの日頃のお困り事に対応する聞こえの相談や補聴器調整の相談窓口を区として設置していただきたいがいかがでしょうか。第3に、国に対して補聴器購入補助制度または健康保険適用を認めるよう求めていただきたいが、いかがでしょうか。
次に、地域の公共交通として路線バス、コミュニティバスの維持・拡充を公的責任で行うことについて質問します。
全国でバスの運転手不足が深刻化し、都市部でもバス会社は路線の廃止や減便を余儀なくされるなど、利用者に影響が出ています。運送業界で労働時間の上限規制が強化される2024年問題を控え、運転手不足は加速する見通しで、地域の公共交通網を維持するための取組が求められています。板橋区においても例外ではなく、今年9月16日から小茂根五丁目から下頭橋、大山を経由し、池袋東口に至る池55路線の平日10時から16時台の運行が停留所への貼り紙1枚で廃止になり、利用者や地域住民に大きな困惑と驚きが広がりました。区内を走る国際興業バスでは、池55路線だけではなく、幾つかの路線で減便が行われています。日本共産党区議団の国際興業への申入れに対して営業所の担当者は、運転手不足なので、利用者が少ない路線は撤退せざるを得ないと苦渋の心境を語ってくれました。バスの減便や路線廃止によって住民の足が奪われ、高齢者等の移動が制約され、住民の日常生活や地域活動、社会活動に支障を来す事態が進行しています。区民がいつでもどこでも自由に安全に移動することは、健康で文化的な生活を営む上で欠かせないものです。憲法に保障された生存権、移転の権利、幸福追求権などに基づき、移動する権利を保障する施策が国や自治体に求められています。そこで区長に伺います。第1に、バス事業者と板橋区との協議についてです。板橋区の公共交通会議は年2回のペースで行われています。6月26日に行われた令和5年度の第1回の会議では、バス事業者から運転手不足の窮状が報告されています。国際興業バスの委員は、板橋区内においても今後は的を絞って、減便ですとか廃止といったところを検討しなければ、区内全域の路線が共倒れになってしまうという状況になりかねません。具体化次第、今後改めて、こちらの会議に問題提起させていただくと発言されています。池55の路線の減便が9月に行われていますが、板橋区との協議も行われたのでしょうか。板橋区としてどのように対応したのかお聞かせください。
第2に、公共交通を守るための政治の責任についてです。路線バスの運転手不足の問題は、解決を事業者任せにして、住民の足、生活基盤である地域公共交通を維持・充実していくことは限界があるのは明らかです。区として、区民の足、路線バスの維持・充実について、責任を果たす必要があると考えますが、見解を伺います。第3に、23区内のコミュニティバスの運行にも運転手不足の影響が出ている問題です。足立区や台東区、文京区などで、コミュニティバスの一部減便や路線廃止などが報じられています。コミュニティバスは自治体が運営する、走る公共施設です。区民の交通利便性の確保、区民福祉の向上という役割を果たさなければなりません。板橋区のりんりんGOについても、この立場で安定した運行と新たな路線の拡充の検討を開始することを求めます。見解を伺います。
最後に、重要土地等調査規制法について質問します。
政府は9月11日、重要土地等調査規制法に基づく第3次の注視区域、特別注視区域の候補として、25都道府県の180か所を新たに提示しました。既に全国219か所で施行されていますが、それに続くものです。今回の第3次の指定候補区域には板橋区が含まれ、補給統制本部となっている旧自衛隊十条駐屯地及び指揮中枢・司令部機能として自衛隊練馬駐屯地が注視区域の指定候補となっています。法律によれば、練馬駐屯地、十条駐屯地の敷地周囲おおむね1,000メートルの範囲を指定するとされており、練馬駐屯地から1,000メートルの範囲には徳丸三・四丁目、若木一丁目、上板橋二・三丁目、桜川三丁目、西台、赤塚、赤塚新町などが含まれます。十条駐屯地から1,000メートルの範囲では、加賀一・二丁目、板橋一・三・四丁目、稲荷台などが含まれます。法律の目的は、重要施設、防衛関係施設等及び国境離島等の機能を阻害する土地等の利用を防止することとされていますが、その内容は、区域内の土地・建物所有者、賃借人等を対象に、住民、氏名、住所、国籍等や利用状況について、現地・現況調査、不動産登記簿、住民基本台帳の公簿収集、所有者等からの報告徴収などを行い、機能を阻害する利用の中止の勧告、命令を行うとし、国による土地等の買取りもできる内容になっています。特別注視区域に指定されると、そこでの土地・建物に係る契約については国への届出が義務づけられます。関係地域の住民の財産、土地・建物取引や個人情報など、基本的人権に重大な影響を及ぼす問題です。この問題で、基本方針では、地方公共団体の意見を聴取するとされています。法案審議でも、区域指定については関係地方公共団体と丁寧に意見交換すると答弁しています。そこで区長に伺います。第1に、内閣府と板橋区との意見交換は行われたのでしょうか。いつ、どのような内容と方法で行われたのか、お示しください。第2に、重要施設等の機能阻害行為とはどういう行為を指すのかお示しください。第3に、区として意見を述べる際には、住民の意見を十分に聴取すべきと考えます。区域内の住民及び広く区民に対して説明と意見聴取を行っていただきたい。また、板橋区として、区民の個人情報や基本的人権を脅かすような住民監視体制を強化することはやめるよう意見を述べるべきだと考えますが、見解を伺います。
以上をもちまして、私の一般質問を終わります。ご清聴、大変ありがとうございました。(拍手する人あり)
◎区長(坂本健) 議長、区長。
○議長(
田中やすのり議員) 区長。
〔区長(坂本 健)登壇〕
◎区長(坂本健) それでは、小林おとみ議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、消費税の減税とインボイスの中止についてのご質問であります。区は、物価高騰の影響に対する緊急対策など、今年度、4度にわたる補正予算を編成し、区民生活や地域経済活動を支える取組を進めてまいりました。消費税は社会保障の安定財源としての位置づけから、減税については慎重にすべきとの考えがあり、インボイス制度は、複数の税率下で適正な課税を確保するために必要な制度であると認識をしております。国はデフレ完全脱却のための総合経済対策を打ち出して様々な対策を講じていることから、引き続きその動向を注視したいと考えています。
次は、生活支援給付金の対象拡大と早期実施についてのご質問であります。国は、今後行われる給付金について、支給対象を拡大して実施するとの見解を示しておりますが、具体的な対象範囲や支給方法等については、まだ明らかにされていない状況であります。支給対象者の拡大につきましては、国の方針が示され、その内容を把握した上で検討を行う予定であります。また、非課税世帯などについては、国の方針を確認の後、できるだけ早期に支給できるように準備を進めていきたいと考えています。
次は、保険料の減免についてのご質問です。区では、新型コロナウイルス感染症の流行による収入減少に伴う各種保険料の減免措置を国の通知に基づき実施をしてまいりました。国民健康保険、後期高齢者医療保険及び介護保険におきましては、対前年度比で3割以上の収入減少が生じた被保険者を対象に、令和4年度まで国や都の補助金を活用して保険料減免を実施してまいりました。一方、物価高騰の影響による減収に対する保険料減免につきましては、国から通知が示されていないほか、物価の高騰が家計の収支にどれほどの影響を与えたかを具体的に把握できないことから、行う考えはないところであります。
次は、事業者への補助についてのご質問です。国による原油価格に対する燃料油価格激変緩和措置や電気代・ガス代に対する電気・ガス価格激変緩和対策事業が、今年度末までに継続して実施されることが決定しております。物価高や円安に対する経済対策は、広範囲な権限を持つ国や東京都が責任を持って行うべきだと考えておりまして、現段階において、区で直接補助を実施する予定はないところであります。
続いて、公衆浴場への燃料費助成の延長についてのご質問です。昨年度の後半から実施をしております公衆浴場に対する燃料費の助成につきましては、燃料価格の推移や社会全体の経済状況などを踏まえて、継続の可否について検討をしております。区では、公衆浴場で行われるイベントや設備改修経費等の一部を補助しておりまして、これらの助成につきましては、公衆浴場の転廃業を防止し、区民の保健衛生を確保する観点から、これまでどおり実施をしていく考えであります。
続いて、年末年始における相談体制の充実についてのご質問であります。年末年始における生活の不安解消に向けた取組につきましては、これまでも事前に広報の上、年末直前の休日に生活相談会を開催してまいりました。年末年始に福祉事務所を開庁する予定はございませんが、物価高騰をはじめとする社会情勢の変化に応じた、きめ細かな相談支援体制が必要と考えています。そこで、12月23日に開催する生活相談会においては、従来の生活困窮の相談にとどまらずに、就労、住まい、家計改善など、より幅広い相談に応じることによって、適切な支援につなげていきたいと考えています。
次は、街かどフードパントリーの実施場所の拡大についてのご質問です。令和5年7月から始まりました街かどフードパントリーは、食品支援に加えて、自立に向けた相談支援を要件として、生活の困り事の解決に向けた支援を目的としております。現在、事業の周知を行いながら、食品数の充実と利用者の拡大に努め、食の支援と生活の困り事の解決に向けた相談支援を推進しております。フードパントリーの拡大につきましては、事業内容の充実を図りながら、利用時間帯も含めて検討すべき事項であると認識をしております。
次は、賃金の引上げに関する見解についてのご質問です。政府は、今月決定したデフレ完全脱却のための総合経済対策において、賃上げを強力に支援し、賃上げしやすい環境をつくるとしております。賃上げにつきましては、区内の事業所で働く従業員の皆様の働く意欲や生活の向上につながるものと考えておりまして、区としましても、賃上げが進むことを大いに期待しております。
続いて、区内中小企業の賃金引上げについてのご質問であります。政府は、今年度のいわゆる骨太方針において、構造的賃上げの実現を掲げ、人への投資を促進する政策を展開しております。その一環として、国は中小企業の積極的な賃上げを支援するため、令和4年度から、給与等を増加させた場合に、その増加額の最大40%を税額控除できる賃上げ促進税制を実行しております。そのほか、国において、業務改善助成金など賃上げを条件とした各種の助成制度を設けておりますが、賃上げについては各企業の経営者が決定するものでありまして、区が賃上げのための補助制度を実施する予定はないところでございます。
次は、福祉分野での賃上げについてのご質問であります。福祉分野で働く方々の賃金が十分でないという意見につきましては、区としても課題であると認識しています。報酬は法に基づいて定められておりまして、区として独自の支援を実施することは考えておりませんが、今後も国や東京都の動向を注視したいと考えています。
続いて、本人の意思決定支援に中心を置く制度についてのご質問であります。成年後見制度の運用に当たりまして、本人の意思を第一に考え、意思決定を含めた支援全般に取り組むことが重要と考えます。区は、国の示す意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドラインを踏まえながら、本人の意思決定支援を進めていきたいと考えています。
続いて、権利擁護支援の体制強化についてのご質問です。現在、国において成年後見制度をより利用しやすい制度とするための方策等について幅広い検討がなされていると思います。区におきましても、国の動向を見ながら、権利擁護の実施体制について引き続き検討していきたいと考えています。
続いて、権利擁護のための総合相談窓口についてのご質問です。区においては、板橋区社会福祉協議会が区や東京都の助成を受けて、権利擁護いたばしサポートセンターを設置し、成年後見制度や権利擁護に関する相談及び支援等に総合的に対応しております。今後、社会福祉協議会と共に、権利擁護いたばしサポートセンターのさらなる周知に努めてまいり、区の相談窓口との連携強化についても取り組んでいきたいと考えています。
次は、高齢者補聴器購入助成事業の見直しについてのご質問です。日常生活用具給付などの高齢福祉サービス事業におきましては、非課税世帯などの世帯収入を所得要件としておりまして、高齢者の補聴器購入助成事業についても同様に、現行の住民税非課税世帯の所得要件を変更する考えはないところであります。一方、補助上限額の引上げに関しましては、議会に陳情が提出されておりまして、補聴器の平均購入額も高額なことから、議会の意見も参考に、現在、補助上限額のあり方について検討しているところでございます。
次は、聴力検査導入と相談窓口開設についてのご質問であります。区の各種健診事業については、健康増進法や高齢者の医療確保に関する法律に基づいて実施がされておりまして、聴覚検査は健診項目とされていないところでございます。また、補聴器は機種ごとで調整方法が異なり、専門知識が必要なことから、聞こえの相談など、入口の段階から補聴器の購入後のケアまでが可能な補聴器販売店や医療機関での相談が最適であると考えます。このため、区として各種健診に聴覚検査を導入することや相談窓口を設置する考えはないところでございます。
続いて、保険適用等に係る国への要請についてのご質問です。国の保険診療に係る基準においては、日常的に使用する補聴器は、医師が治療上必要とする治療用装具に該当しないことから、保険適用の対象外となっておりまして、このことについて、区として保険適用にするよう国に要望する考えは持っていないところでございます。しかしながら、補聴器の購入費用は高額であり、高齢者の負担も大きいことから、東京都の補助制度の動向を見据えて国への補助制度創設の要望に関しまして検討していきたいと考えています。
次は、池55系統の路線の減便についてのご質問です。区では、国際興業株式会社との協議や打合せのたびにバス路線の維持等について要望を行っておりますが、池55系統を含むダイヤ改正については8月の下旬に報告を受けております。池55系統は平日の日中の利用が少ないため、以前から運行頻度が減少し続けておりまして、利用状況を注視していた路線でもございます。国際興業株式会社からは、深刻な運転手不足による減便と報告を受けておりまして、区内全路線の利用状況に鑑みますと、残念ながら受け入れざるを得ないというふうに考えております。
次は区民の足、路線バスの維持・充実についてのご質問であります。区では公共交通の維持・充実に向けて、交通事業者と連携をしながら取り組んでいるところでございます。このたびのバスの減便については運転手不足が原因でありますが、対象となった路線については利用者の少ないことも起因していると認識しています。区では公共交通サービスを将来にわたって維持していくため、機会を捉えて路線バスの認知度を高めて、これまで以上に利用していただく取組を強化をしていきたいと考えています。
続いて、りんりんGOの安定した運行と新たな路線の拡充についてのご質問であります。りんりんGOは朝の通勤通学時間帯の利用が多いものの、運賃収入で全ての運行経費を賄えずに、毎年区から補助金を支出しております。沿線の方々の移動手段として利用が定着をしておりまして、さらなる利用を得て収支を改善しながら、バス事業者と共に今後も継続をして運行したいと考えています。りんりんGOは、道路幅員の制約や既存路線との競合を避けてルートを設定をしたことや運転手不足などもあり、新たな路線の整備は困難な状況でもあると考えています。
次は、重要土地等調査規制法に関連いたしまして、意見交換についてのご質問であります。重要土地等調査規制法に基づきまして、9月11日付け文書により内閣府から区へ注視区域等の指定案に係る意見聴取があり、10月2日に回答いたしたところでございます。意見聴取の内容につきましては、地域の地理的情報、開発計画等に関するものでありまして、個別の意見を伝える形式ではなかったために、特段の意見は付していないところでございました。
次は、機能阻害行為についてのご質問であります。安全保障上、重要な施設等の機能を阻害する機能阻害行為は、重要施設等の機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本方針に類型が明記されております。該当する行為としては、自衛隊等の航空機の離着陸やレーダーの運用の妨げとなる工作物の設置や施設に対する妨害電波の発射等が例示がされております。また、機能阻害行為に該当するか否かにつきましては、個別具体的な事情に応じて適切に判断するとしております。
次は、国への意見表明についてのご質問です。注視区域の指定区域案につきましては、現在国において検討、調整段階であるため、内閣府が非公表としていることから現時点においては区による住民説明は予定をしていないところでございます。また、個人情報は法に基づき適正に取り扱われ、国が示すとおり、一般生活や事業活動に影響はないものと認識をしています。区では情報提供が可能となり次第、区民に分かりやすい周知に努め、国と協力をしながら適切に対応していきたいと考えています。
残りました教育委員会に関する答弁は、教育長から行います。
◎教育長(中川修一) 議長、教育長。
○議長(
田中やすのり議員) 教育長。
〔教育長(中川修一)登壇〕
◎教育長(中川修一) それでは、小林おとみ議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
初めに、学校における長時間労働の蔓延などの理由についてのご質問ですが、学校現場は、授業以外にも不登校児童・生徒への対応、生活指導や学校行事の企画実施業務、さらに、新しい教育課題への対応等、業務の一方的な増加が続いております。このような労働状況が長時間労働につながり、教員のストレスや疲労を招いている一因と思われます。また、教員採用試験の受験者数が年々減少傾向となっていることは、長時間労働に象徴される教員の厳しい労働状況等がその要因の1つとして考えられると思います。
次に、授業コマ数の見直しに伴う教員の長時間労働の改善についてのご質問ですが、特別区教育長会では、週当たりの授業持ち時数上限を小学校は講師時数算定基準の20時間、中学校では東京都立高校算定基準並みの18時間に改善するよう東京都へ要望しているところです。上限授業時数を要望時数と設定した場合、1人当たり週当たりの授業時数は小学校では授業時数が最も多い高学年で約6時間分、中学校で約5時間分の時数の軽減が見込まれることになります。
次に、1日4時間、週20時間を基準とした教員配置における教員の必要数についてのご質問ですが、小学校及び中学校の教科ごとの標準的な授業時数は、学校教育法施行規則において定められています。教員の担当授業コマ数を週20時間分と仮定した場合、同規則に定める標準授業時数を基に算定しますと、小学校1,166人、中学校は437人の教員が必要と想定されます。
最後に、少人数学級の推進についてのご質問ですが、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の改正により、小学校の学級編制の標準が令和3年度から令和5年度にかけて35人に段階的に引き下げられております。本区において、令和5年度は小学校の第1学年から第4学年まで35人学級を実施しており、令和7年度までに全学年で35人学級を導入していく予定です。今後も少人数学級の推進につきましては、各小学校の施設の状況も踏まえつつ、法律改正に沿う形で適切に対応してまいります。
頂きました教育に関する質問の答弁は以上でございます。
○議長(
田中やすのり議員) 以上で、山内えり議員、小林おとみ議員の一般質問を終了いたします。
次は、日本維新の会が行います。大森 大議員。
◆大森大 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) 大森 大議員。
〔大森 大議員登壇〕
◆大森大 議員 日本維新の会の大森 大です。通告に従いまして、一般質問を行います。
私からは児童相談所について、こうのとりのゆりかごについて、里親制度について、児童福祉について、虐待サバイバーについての5つのテーマで質問させていただきます。区長並びに関係理事者の皆様には、明快かつ前向きな答弁をお願いいたします。
初めに、児童相談所について5点伺います。
第1に、児童相談所の職員の異動について伺います。特別区に児童相談所の設置が可能となり、板橋区でも子ども家庭総合支援センターが開設されました。これは、地域社会における子どもたちの福祉を支える重要な一歩です。しかしながら、多くの自治体で職員の確保に苦労しており、板橋区もそれは例外ではありません。児童相談所の職員は、子どもたちの心のケアにおいて重要な役割を担っています。子どもたちが直面する問題は複雑で、信頼関係の構築には時間が必要です。しかし、行政職員の人事異動は一定期間で行われるため、信頼関係が構築される前に異動になってしまうことも考えられます。児童相談所の職員にとって、子どもたちとの関係性はその職務の質に直結します。ですので、児童相談所の職員は長期的な勤務が望ましいと考えられます。現在でも、区の職員は希望があれば勤務期間の延長が考慮されるとのことですが、実際に区の職員が勤務期間の延長を希望し、それが実現したケースは近年どれぐらいあるのでしょうか。この数値は、制度の有効性を判断する上で重要な指標となります。そして、児童相談所におきましては、職員が長期にわたって勤務することで、子どもたちに対するよりよいサポートが提供できると考えられます。ですので今後、児童相談所におきましては、勤務期間の延長を申し出た職員には優先してこの制度を活用していただきたいと考えますが、区の見解を伺います。児童相談所の民間委託についても伺います。児童相談所の業務は、子どもたちの安全と福祉を守るために非常に重要ですが、同時に職員に大きな負担をかけるものでもあります。特に板橋区のような人口密集地域では、児童相談所の業務量は増加の一途をたどっており、職員の負担軽減と人員確保は喫緊の課題です。ほかの自治体で行われている工夫を参考にすることも有効だと考えます。例えば、福岡市では児童相談所の業務の一部を民間に委託することで、職員の負担軽減と人員確保に取り組んでいます。具体的には、夜間や休日に発生する緊急性の高い児童通告に対応するため、NPO法人の職員が家庭訪問を行い、児童の安全確認や必要に応じて児童の移送を行っています。この取組は公募を通じて選定されたNPO法人に委託されており、児童相談所の業務負担の軽減につながっています。このような民間委託により、児童相談所の職員は専門的な対応を必要とする事案により集中できるようになります。また、民間団体が夜間・休日に家庭訪問を行うことで保護者の受け取り方がよくなり、その後の支援が円滑に進みやすくなるというメリットもあります。このような背景を踏まえ、板橋区でも福岡市のような民間委託の工夫を行うことで、職員の負担軽減と人員確保を図っていくことも必要ではないかと思いますが、区長の見解を伺います。さらに、児童相談所の職員のメンタルヘルスサポートについて伺います。繰り返しになりますが、児童相談所の業務は子どもたちの安全と福祉を守るために非常に重要です。しかし、同時に職員には大きな精神的負担が伴います。日々複雑で困難なケースに直面し、時には心理的なストレスが極めて高まる状況に置かれることも少なくありません。このような状況は職員のメンタルヘルスに深刻な影響を及ぼす可能性があり、長期的には業務の質にも影響を与えかねません。現在、板橋区では電話相談を通じてのメンタルヘルスサポートが主な対応となっていますが、児童相談所ではこれだけでは不十分です。職員が直面する精神的な負担に対処するためには、より専門的なメンタルヘルスサポートが必要です。例えば、定期的なカウンセリングの提供やストレス管理のためのワークショップ、または心理的なサポートを専門とするスタッフの配置などが考えられます。こうしたサポート体制の充実は、職員が心身ともに健康を保ち、児童相談所の業務を持続可能なものとするために必要不可欠です。このようにメンタルヘルスサポートを強化することが必要だと考えますが、区長の見解を伺います。
児童相談所の機能の拡充についても伺います。現在の児童相談所は本町にあり、区の広さを考慮すると、全ての区民が容易にアクセスすることが難しい状況にあります。この問題を解決するために、児童相談所のサテライトオフィスの設置を提案します。サテライトオフィスを設けることで、区内の様々な地域からアクセスが容易になり、より多くの家庭が必要なサポートを受けられるようになります。また、地域ごとの特性に合わせたサービスの提供が可能となり、より効果的な支援が実現できると考えます。サテライトオフィスの設置は、児童相談所などの相談業務やサービスをより身近なものとし、区民にとっての利便性を高める重要な一歩です。この提案に対する区長のご見解を伺います。児童相談所と他機関との連携についても伺います。児童相談所の業務において、警察との連携は特に重要な要素です。児童虐待の疑いがあるケースや家庭内の緊急事態に迅速かつ適切に対応するためには、警察との緊密な協力体制が不可欠です。このような連携は子どもたちの安全を確保し、危機的状況に迅速に対応するための基盤となります。また、児童相談所の業務は警察との連携にとどまらず、ほかの機関や団体との連携も同様に重要です。教育機関・医療機関・福祉機関など、子どもたちの安全と福祉に関わる多様な機関との連携を強化することで、より広範なサポートを子どもたちに提供することが可能になります。具体的には、情報共有の効率化、共同での研修やワークショップの開催、緊急時の対応に関する手順や基準の明確化などが考えられます。こうした取組により、児童相談所の業務の質が向上し、子どもたちへより効果的な支援が提供できるようになるのではないでしょうか。そこで伺います。近年、板橋区では警察をはじめとする関連機関や団体との連携強化の取組がどのように進められているのでしょうか。また、今後の計画や方針について、区長の考えを伺います。
次のテーマとして、こうのとりのゆりかご、通称赤ちゃんポストについて質問いたします。
こうのとりのゆりかごは、育児放棄や虐待を防ぐための重要な施設です。これは、親が育てることが困難な赤ちゃんを匿名で安全に預けられる場所であり、赤ちゃんの命を守る最後のとりでとも言えます。先日、日本で最初にこうのとりのゆりかごが設立された熊本県の慈恵病院に視察に伺いましたが、そこでは、こうのとりのゆりかごが孤立出産した方を孤立化から救い、母子の命を守るために大切な役割を果たしていることを目の当たりにしました。こうのとりのゆりかごの設置は、子どもの命を守るという基本的な人権の観点から非常に重要です。また、この施設は親が直面する深刻な問題に対する社会的な対応の一環としても機能しています。区長は、このこうのとりのゆりかごの理念や意義について、どのように考えておられますか。区長のお考えを伺います。私は熊本での視察で、こうのとりのゆりかごはどのように運営され、社会にどのような影響を与えているかを学び、その必要性を強く感じました。これに基づき、私は区内においてこうのとりのゆりかごの設置計画を具体的に立てることを強く要望しますが、区長の見解を伺います。また、仮に設置に前向きでない場合、その理由や計画を阻むハードルは何でしょうか。そちらも併せて伺います。
里親制度についても伺います。
こうのとりのゆりかごの視察で、孤立出産した方が赤ちゃんを安全に預ける手段の重要性を認識しましたが、それと同時に里親制度の重要性も改めて強く感じました。こうのとりのゆりかごの有無にかかわらず、里親制度は全ての子どもたちに安定した家庭環境を提供するための重要な役割を果たします。現在、区におかれましては、里親や養子縁組に関する区民の認知度を高めるプログラムやイベントを実施していることは承知しております。これらの活動は、子どもたちが愛情ある家庭で育つことの重要性を社会全体に広めるために不可欠です。しかし、これらの取組の効果はどのように測定されているのでしょうか。里親制度の広報の具体的な効果測定方法やその結果に基づく今後の計画について、区長の見解を伺います。里親制度の拡充について、さらに伺います。里親制度の拡充には多くの課題が伴うことは明らかです。里親候補の確保や研修、支援体制の整備など多岐にわたる取組が必要であり、現状の区の取組では不十分と私は考えます。より効果的な啓発活動や里親制度への継続的なサポート体制の構築が必要ではないでしょうか。そもそも論として里親制度の拡充に際して、区が想定している最大の課題や困難は何か伺います。併せて、それらの課題をどのように対応していく予定であるか、具体的な方針や取組について伺います。
続きまして、児童福祉全般について伺います。
児童の福祉を高めるためには、国内外の先進的な自治体の取組から学ぶことも重要です。日本国内においても、児童福祉の分野で先進的なアプローチを採用している自治体は多く存在します。例えば岐阜県岐阜市では、子どもに関わる全ての方々の悩みや不安に対し、関係機関と連携し、ワンストップで総合的・継続的に支援するためにエールぎふという窓口を設立し、また昨年度からは児童虐待への迅速な連携を図るため、岐阜県警及び県の児童相談所の分室をエールぎふ内に入居させるなど、子どもの情報がエールぎふに集約されることで様々な支援に接続され、具体的な支援や専門機関への取次ぎまで完結した対応を可能にしています。また、愛知県名古屋市では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを常勤化するなど、子どもたちの精神的健康のサポートに力を入れています。これらの自治体では、児童の権利の保護と健全な成長を支援するための具体的な施策が実施されており、その成果は注目に値します。板橋区でも、これらの事例を参考にすることで児童福祉の質をさらに向上させることが可能だと考えます。区長として、国内外のほかの自治体のベストプラクティスやモデルを参考にしている、もしくは導入を検討している事例があれば具体的に教えていただきたいのですが、区長の見解を伺います。
最後のテーマとして、虐待サバイバーについて伺います。
虐待サバイバーとは、身体的・精神的・性的、またはネグレクトなどの虐待を受けた経験を持つ者を指します。この定義は広範にわたり、区としてもこの問題に対する明確な定義と認識を持つことが重要です。虐待の影響はしばしば長期にわたり、個人の生活の多くの面に深刻な影響を及ぼすことがあります。このような背景を踏まえ、区内での虐待サバイバーの数や状況を把握するためのデータ収集や調査は、現在どのように行われているのですか、お伺いいたします。
最後に、虐待サバイバーへの支援について伺います。板橋区としても虐待サバイバーへの支援は避けて通れない重要な課題です。虐待の影響を受けた人々が社会に再び参加し、充実した生活を送るためには地域社会全体での包括的なサポート体系の構築が不可欠であり、基礎自治体としてその役割が求められているからです。特に社会復帰や就労の支援、心のケアは彼らが自立し、健全な生活を送るための基盤となります。これらの支援策は個々のサバイバーのニーズに応じたものでなければならず、区としてもその実現に向けて積極的に取り組む必要があります。今後、区内で虐待サバイバーの支援のための方針や計画を立案することは考えておられますか。区長にお伺いし、私からの質問を終わります。(拍手する人あり)
◎区長(坂本健) 議長、区長。
○議長(
田中やすのり議員) 区長。
〔区長(坂本 健)登壇〕
◎区長(坂本健) それでは、大森 大議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、職員の長期的な配属についてのご質問であります。職員が人事異動の対象となる在職年数は、職員人事異動実施基準におきまして職層ごとに定められております。原則として基準に従った人事異動を実施しておりますが、所属や職員から基準年数を超える配置の希望があった場合には、職務内容や組織の状況、本人意向を尊重しながら、個々に判断をしております。このほか、職員の知識や経験を特定分野に活用する複線型人事制度やエキスパート職員認定制度の運用と併せて、異動年限を超えた職員配置を実施する場合がございます。
次は、長期的な配属を可能とする制度についてのご質問であります。子ども家庭総合支援センターは令和4年4月に開設、児童相談所業務を7月から開始し、現在2年目を迎えたところであり、人事異動は今後の課題であるとも捉えております。児童相談業務は高い専門性と経験が必要な職務でありまして、区として児童相談所の設置を決定した以降、計画的な人材の確保と育成に取り組んでまいりました。子ども家庭総合支援センターにおける人事異動のあり方につきましては、職務内容や専門性を考慮しつつ、人材育成などの視点も踏まえて検討していきたいと考えています。
続いて、民間委託についてのご質問です。児童虐待の通告の夜間・休日対応については、民間のコールセンターに委託をし、緊急性がある場合においては子ども家庭総合支援センターが対応しております。虐待通告があった家庭への訪問等の民間委託については、個人情報を共有することや民間機関が家庭訪問する場合の安全確保など、十分な検討が必要であると考えています。今後、職員の負担軽減等を進める上において、他自治体での民間機関の活用状況などを研究して、板橋区でのあり方を検討していきたいと考えています。
次は、メンタルヘルスサポートについてのご質問です。児童相談所の業務は、家庭内の深刻な問題への対処や時に介入権限を行使する緊急性の高い案件を扱うなど、職員の心理的負担が非常に高い業務であると認識しています。現在、子ども家庭総合支援センターには、全職場を対象とするメンタルヘルス対策に加え、産業医による面接や健康指導のほかに出張健康相談を毎月実施するなど、心の健康を守るための支援を強化しております。児童相談業務の最前線で勤務する職員が健康で生き生きと働き、能力を発揮できるように取り組んでまいりたいと考えています。
次は、サテライトオフィスの設置についてのご質問です。令和4年度の児童福祉法改正によりまして、子ども家庭総合支援拠点と子育て世代包括支援センターを一体化する、こども家庭センターの設置が努力義務とされました。区ではこども家庭センター機能を令和6年度から開始できるように、健康福祉センターと子ども家庭総合支援センターとの連携・協力体制について現在検討を進めております。区民にとってより身近な場所において子育て相談ができるよう、検討に当たりましては健康福祉センターや児童館も含め、相談拠点の拡充も併せて検討していきたいと考えています。
次は、民間との連携強化についてのご質問であります。区では子ども家庭総合支援センターの開設以降、要保護児童対策地域協議会の機能を強化し、300以上の関係機関を個別訪問するアウトリーチに取り組んでおります。児童相談所機能を開始するに当たり、警視庁及び区内警察署と連携協定を締結したほか、区内児童養護施設と連絡会を定期的に開催するなど、連携体制を構築しております。子どもの安心・安全を守るためには、NPO団体を含めて関係機関との連携が必要不可欠であり、今後も要保護児童対策地域協議会を中心に連携の拡充を図っていきたいと考えています。
次は、こうのとりのゆりかごの理念や意義についてのご質問であります。こうのとりのゆりかごは、熊本県熊本市にある慈恵病院が設けた赤ちゃんポストの呼称であります。諸事情のために親が育てることができない子を匿名で受け入れるという理念によりまして、子どもの生命を守ることに意義があると認識しています。
次は、こうのとりのゆりかごの設置についてのご質問であります。匿名での受入れにより、子どもの権利条約にうたわれている出自を知る権利に反するという議論があり、設置については道徳や人道・人権等の観点から課題があると考えます。これらの課題に対しましては、国におけるさらなる議論や法整備等がなされるべきであり、設置に関しましての研究は慎重であるべきと考えます。区では、妊娠・出産に戸惑いのある方の相談窓口として健康福祉センターを案内をしておりまして、引き続き母子に寄り添った支援に努めてまいりたいと考えています。
次は、里親制度の広報の取組についてのご質問であります。里親制度の認知度を高める取組として、区内の各地区での説明会の開催や区民まつりなどで里親のブースを開設をして広報啓発を行っているところでございます。認知度につきまして、効果測定をすることは難しいところではありますが、令和4年度は養育家庭が4家庭、養子縁組里親が4家庭、新規登録をしております。今後もあらゆる機会を活用して里親制度の周知に努め、小学校区に1家庭は養育家庭が登録されることを目標にして養育家庭の拡充を進めていきたいと考えています。
続いて、里親制度の拡充についてのご質問です。里親の拡充につきましては、里親登録の家庭数を増やすとともに、里親が家庭で暮らせない子どもたちへの理解を深め、温かく育む力を高める必要があると考えます。また、里親だけが子どもを養育するのではなく、保育園や学校、地域の機関が里親養育を知り、支援する体制を構築することが里親制度の認知を広げる機会にもなると考えます。里親を包括的に支援するフォスタリング機関の活用や里親研修の充実など、里親が養育しやすい体制をつくることによって、着実な里親制度の推進を図っていきたいと考えています。
次は、児童福祉についてのご質問です。新たな事業スキームの構築に当たりましては、様々な事例を調査分析、比較検討をし、事業目的の達成に向けて最も効果的な政策となるように精査をしております。他の自治体等の好事例を参考とすることも大切ではありますが、これまで、板橋の地域性や歴史などを踏まえた独自かつ効果的な事例を展開してきたと自負をしております。子ども家庭総合支援センターの設置や乳幼児に特化した子育て応援児童館CAP'S、ケアリーバー応援プロジェクト等は、全国的にも特色のある先進的な取組であると考えています。
次は、虐待サバイバーの状況把握についてのご質問であります。虐待サバイバーという表現は、子どもの頃に虐待を受けた経験があり、その影響によって何らかの生活上の困難さを抱えた方々を指す言葉として使用されていると認識をしております。一方において、法律的な定義はないために、区としてその実態についての把握は行っていないところでございます。
最後のご質問です。虐待サバイバーに対する施策についてのご質問であります。虐待サバイバーの法律的な定義がないことから、対象を虐待サバイバーに限定をした支援や計画立案について、現在検討は行っていない状況であります。虐待を受けた影響による心的外傷後ストレス障害やそれに起因した経済状況など、具体的な生活上の課題についての相談は、現在も必要な部署で対応しております。児童虐待の世代間連鎖についても指摘がされておりまして、虐待の早期発見・対応とともに、その後の影響を少しでも緩和できるように必要な支援やケアにつなげてまいりたいと考えています。
頂きました質問に対する答弁は以上でございます。
○議長(
田中やすのり議員) 以上で、大森 大議員の一般質問を終了いたします。
次は、いたばし未来が行います。井上温子議員。
◆井上温子 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) 井上温子議員。
〔井上温子議員登壇〕(拍手する人あり)
◆井上温子 議員 通告に従いまして、いたばし未来会議の一般質問をさせていただきます。
1、子どもたちの居場所について。
まずは、公園について駒澤大学の萩原建次郎先生が行った板橋区内の公園利用についての調査報告書に基づいて質問をいたします。この調査は板橋区を5地区に分け、それぞれの小中学校を1校ずつ抽出して計10校で調査を行い、有効回答数が1,534件となっています。この調査の大きな特徴は、公園に関して子どもたちの視点、生の声が報告されていることと私は捉えておりまして、今後の板橋区の公園づくりに生かされるべきものと考えます。まず、最初にこの報告書に対する板橋区の認識を伺います。調査の中で3つの異なる公園を選定し、1週間分の観察記録をとる実態調査も行われておりますが、公園によって全く違った特徴が浮き彫りとなっています。公園ごとの利用状況や特徴、課題、可能性について板橋区が主体となり、全域で調査を行うことは公園づくりをしていく上で重要と考えますが、見解を伺います。また平日、小学生で4割、中学生で2割、休日は小中学生とも3割が公園で過ごしているとの結果が出ております。一方で、子どもの半数しか公園を過ごしやすい場所と答えておらず、一部の公園においては大人から怒られたり、クレームがあったりと、過ごしにくいと答えた子どもたちもいます。区は大人からのクレームへの対応を優先しがちであると考えますが、子どもは区に困っていることを言える機会が乏しく、なかなか声も届きません。区は、どのように子どもたちが安心して遊べる環境を守っていこうと考えていらっしゃるのでしょうか。対応案について伺います。板橋区は2021年に策定したパークマネジメントガイドラインにおいて、みんなで集える公園をつくりますを目標として掲げておりますが、子どもも重要なステークホルダーとして捉えられたものとなっているでしょうか。公園のルールづくりについて意見を言える機会が確保されていないことは、小中学生にとっては非常に問題が大きいです。調査結果では、小中学生の9割以上が大人や公園利用者と意見交換をしたいと考えており、今後全ての公園において、子どもがルールづくりや公園づくりに参加できるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。このように、身近な課題である公園づくりに子どもたちが参加することは、子どもたち自身が公益と私益について考えるきっかけになると考えます。また、子どもたちがルールづくりや公園づくりに参加する際に、子どもたちの思いを酌み取るアドボケイターの必要性も報告書では言及されており、公園づくりを通した民主主義教育の推進とアドボケイターの活用について進めていくべきと考えますが、区の考えを伺います。板橋区議会に初めてとなる小学生からの子どもの遊び場についての陳情が2019年に提出され、全項目が採択されてから約3年半がたちました。ボール遊びができる公園を増やすことについては、萩原先生の調査結果においても21%が希望しています。2018年に板橋区が実施したみどりについての区民アンケートにおいても、全公園でボール遊びを禁止すべきとの意見は7.2%のみです。ボール遊びができる公園を増やしていくべきという民意はまとまっているのではないでしょうか。区長はどのようにお考えか、伺います。
次に、児童館についてです。児童館の今後のあり方を考える際に、現状の課題と可能性について現場の声も踏まえ、整理をすることは必須と考えますが、文教児童委員会で資料要求したところ、そういったものはありませんでした。この状況について、区長は問題とは思われないのでしょうか、見解を伺います。次に、小中学校区別遊び場調査について質問いたします。小学校では放課後、子どもたちに学校の中で遊ぶよう指導されています。しかし、学区内にどういった資源があるのかを把握し、課題があれば改善していくといったことができていません。そこで伺います。子どもたちの小中学校の学区別の遊び場・居場所の現状や課題把握の必要性について、どのようにお考えでしょうか。子どもたちが遊び場・居場所について、課題と考えていることを学区別に調査結果を集約することで学区別の遊び場・居場所の課題が浮き彫りになると考えられ、実施すべきと考えますが、見解を求めます。また、小学校区別にどのような遊び場・居場所があり、何が足りないのか、遊び場・居場所の資源調査の実施についても求めますが、いかがでしょうか。
2、保育・子育て支援策の今後について。
子育て環境が大きく変化をしてくる中で、子育て支援策の全般的な見直しをすべきと考えます。具体的には一時保育、保育所、ファミリーサポート、育児支援ヘルパーの役割分担等、改めて見直す必要を認識されていますでしょうか。見解を伺います。東京都はベビーシッターを無料で使える事業を開始し、板橋区でも来月から利用できるようになりますが、板橋区においては保育施設や幼稚園における一時保育など、近年様々な事業がスタートしています。施設型で有料の一時保育はどういった役割が担えると考えているのか、見解を伺います。日本では、育児に外の力を借りることについて慣れていない方が多い状況にあると考えます。育児のスタート時、つまりは出産後に育児支援ヘルパーの派遣を基本サービスにするなどの工夫が価値観の変容をもたらすように思いますが、いかがでしょうか。今までの議会答弁によると、産前産後の相談については担当保健師が担うようですが、実際は名前を覚えていない方が多い中でハードルが高いと言えます。在宅で過ごす時間が多い産前産後に、児童館か健康福祉センターで担当保健師との交流会や座談会を行うことを提案しますが、いかがでしょうか。次に、ファミサポと協働した児童館での一時預かりについてです。東京家政大学内にある森のサロンを視察させていただいた際に、児童館でファミサポさんに子どもを預かってもらっている事例についてご紹介いただきましたが、なじみの児童館で複数の大人の目があるところであれば、安心して一時預かりを利用してみようと思える方も増えると考えます。周知し、実施を求めますが、いかがでしょうか。次に、子育て支援サービスの利用料についてですが、一時保育は毎時600円、ファミリーサポートは800円から900円など利用料が課題です。東京都の無料のベビーシッターが来月から板橋区でも利用できるようになる中、板橋区の高い利用料はそのままでよいのでしょうか、見解を求めます。乳幼児期の子育て支援策が強化されてきており、大変うれしく思いますが、小中学生でも支援が必要なご家庭は多いと考えます。再度、ファミサポなど育児支援サービスについて周知を行ってはいかがでしょうか。また、年齢制限は12歳までとなっていますが、サポートが必要な家庭には年齢制限をなくすことも必要です。小中学生のお子さんがいるご家庭でも無償での育児支援、もしくは定額での支援を行うことを提案しますが、見解を伺います。
養育支援訪問事業においては、特に支援が必要なご家庭に無料で養育支援を行えるとのことでしたが、利用実績はほとんどありません。利用を勧めても断られるケースがあることは伺っておりますが、そもそも対象の幅が狭すぎるのではないか、制度が使える場合をもっと明確にすべきではないのか、子育て支援施設にも周知をすることで、よりセーフティーネットの機能を果たせるようになるのではないかと考えます。見解を伺います。また、ひとり親家庭へのホームヘルパー派遣事業についても、業務の見直しが必要な時期ではないでしょうか。様々な制限を設けていたり、派遣要件には子どもの世話や日常生活に著しく支障があるときとありますが、著しく支障が出る前に普通に支援ができないものでしょうか。ひとり親で頑張って働いている家庭は、特に支援が少ないのが現状です。細かく要件を定めずに支援策を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。決算の討論でも指摘しましたが、病児保育について取り上げます。実績ゼロの病児保育のお迎えサービスを廃止し、病児保育事業の体調不良児対応型の実施を求めます。この事業では保育中に体調不良となった子どもをそのまま通っている保育所の中で預かることで、保護者が仕事を休まなくとも引き続き保育ができるようにするものです。保護者のニーズが非常に高いと言われますが、見解を求めます。
3、地域医療構想について。
板橋区において地域医療について問合せをしようとすると、担当部署が予防対策課や健康推進課、おとしより保健福祉センターなどが窓口になっており、地域医療の推進や情報連携については担当所管が定まらない状況にあります。一方で練馬区では、地域医療担当部地域医療課があり、平日夜間救急医療や小児救急、地域医療計画、医療連携の推進等について取り扱っています。今後の高まる医療需要を見越すと、板橋区に地域医療や連携についての部課を設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。コロナ禍で保健所がパンクしていた当時、板橋区は全国でも先進的に医療機関と連携し、対応を行ってきたことに敬意を示したいと思います。しかし、災害の最中にもかかわらず、保健所と医療機関の患者情報のやり取りは、個人情報黒塗りのファックスや電話の使用しか認められず、区と医療機関の情報連携のあり方の問題が大きく浮き彫りになりました。この経験を生かし、医療・介護と行政の情報連携を迅速に進めるためにも、コミュニケーションツールの導入を進めていただきたいですが、いかがでしょうか。また、災害時に支援が必要な方たちの個別支援計画についても誰がどう行動するのか、そしてその情報はどう共有するのか、命を守るための具体的な落とし込みが必要と考えます。区長の認識を伺います。日本は多死社会に突入したと言え、様々な資源不足が想定されますが、板橋区として今後の医療体制をどのようにお考えなのでしょうか。死に場所難民が出ると言われていたり、医療・介護の人材不足も深刻です。見解を伺います。令和元年の高齢者白書によると、治る見込みがない病気になった場合、どこで最期を迎えたいかという問いに対して自宅が51%となっていますが、実際には病院で亡くなる方は6割から7割となっています。在宅で最期を迎えるためには、在宅医療の推進が欠かせないですが、その指標として板橋区在宅看取り率を把握すべきです。練馬区では看取り死の状況を分析することで、在宅療養環境整備の進捗を把握し、施策に生かすことを目的とし、練馬区死亡小票分析報告書を作成しています。板橋区でも実施することを求めますが、見解を求めます。
以上、地域医療について質問してきましたが、在宅での看取り率、将来の資源の見込み、医療者・介護人材など、現状の医療体制についての整理と将来見込みについて見える化するためには、地域医療構想を板橋区で定める必要があると考えますが、見解を求めます。
4、障がい者施策の運用について。
障がい当事者や支援者に話を聞いていると、福祉事務所や担当者によって回答が違うといった相談が多くあります。福祉事務所の対応について改善を求めますが、見解を伺います。次に、移動支援についてですが、2022年の6月の一般質問で移動支援の利用幅の拡大について質問しましたが、現在も余暇活動での移動さえ細かな聞き取りが行われ、申請が大変であったり、就労や学校、児童発達支援への移動にも使えなかったりと課題は変わっていません。障がいがあるからといって、余暇や就労・就学が制限されることはあってはならないと考えます。個々人で日々の行動が選択できるよう、柔軟な運用や利用幅の拡大をしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。就労継続支援B型と生活介護等のサービスを併用することができるか否かも当時問いましたが、区長からは、効果的な支援を行う上で、特に必要と認める場合においては複数のサービスを組み合わせることが可能との答弁がありました。しかし、実際はそうなってはおりません。福祉事務所からは前例がない、できないといった回答があるとのことです。選択肢として可能なことが周知できておらず、効果的な支援を行う上で必要かどうかすら検討すらできていない状況にあり、改善を求めますが、見解を伺います。次に、重層的支援による居場所づくりについて2点伺います。特別支援学校を卒業後、一般就労を辞めてしまった際など、もっと学びたいという思いをかなえる学びの場として、練馬区のMore Time練馬を事例として取り上げ、板橋区で実施することを2020年の一般質問で提案してきました。重層的支援体制整備事業を活用し、こういった学びの場づくりを前に進めていけないでしょうか。この事業は分野を超えて一体的な運用を認めており、地域で学べる学校を障がい者福祉や生涯学習、高齢、子ども施策を重層的に重ねて展開すべきと考えます。また、障害者手帳をとりたくない方や利用契約に進めない方、休職中の方、障がいが確定する前の治療段階の方などが利用から外れてしまう傾向にあります。重層的支援体制整備事業においては、障害福祉施設等の既存通所施設を活用した居場所づくりの展開も可能となっておりますが、板橋区での実施についての見解を求めます。
以上で一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手する人あり)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△休憩の宣告
○議長(
田中やすのり議員) 井上温子議員の一般質問の途中でありますが、議事運営の都合により、この際、暫時休憩といたします。
なお、再開時刻は午後3時30分といたします。
午後2時59分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後3時27分再開
出席議員 46名
1番 ひはら みちこ議員 2番 近 藤タカヒロ議員
8番 しいな ひろみ議員 9番 坂 田 れい子議員
10番 木 田 おりべ議員 11番 一 島 ひろし議員
12番 横 川たかゆき議員 13番 長 瀬 達 也議員
14番 大 野 ゆ か議員 15番 井 上 温 子議員
17番 小 柳 しげる議員 18番
内田けんいちろう議員
19番 間 中りんぺい議員 20番 いがらし 学議員
21番 実 正やすゆき議員 22番 小 野 ゆりこ議員
23番 大 森 大議員 24番 石 川 すみえ議員
25番 山 内 え り議員 26番 中 村とらあき議員
27番 山 田たかゆき議員 28番 寺 田 ひろし議員
29番 わたなべ一 美議員 30番 岩 永 きりん議員
31番 くまだ 智 子議員 32番 荒 川 な お議員
33番 いわい 桐 子議員 34番 田中しゅんすけ議員
35番 田 中やすのり議員 36番 いしだ 圭一郎議員
37番 さかまき常 行議員 38番 おばた 健太郎議員
39番 五十嵐 やす子議員 40番 竹 内 愛議員
41番 小 林 おとみ議員 43番 元 山 芳 行議員
44番 大 野 治 彦議員 45番 鈴 木こうすけ議員
46番 成 島 ゆかり議員 47番 中 妻じょうた議員
48番 高 沢 一 基議員 51番 川 口 雅 敏議員
52番 佐々木としたか議員 53番 田 中 いさお議員
54番 し ば 佳代子議員 55番 おなだか 勝議員
職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名
区議会事務局長 五十嵐 登
区議会事務局次長 森 康 琢
〃 議事係長 龍 野 慎 治 〃 調査係長 服 部 亮
〃 書記 飯 野 義 隆 〃 書記 高 橋 佳 太
〃 書記 高 瀬 渉 〃 書記 安 部 詩 織
〃 書記 鈴 木 琢 真 〃 書記 石 川 実 生
〃 書記 小 林 隆 志 〃 書記 横 山 愛
〃 書記 土 屋 太 功
地方自治法第121条の規定に基づく説明のための出席者
区長 坂 本 健 副区長 尾 科 善 彦
教育長 中 川 修 一 常勤監査委員 有 馬 潤
政策経営部長 篠 田 聡 総務部長 田 中 光 輝
法務専門監 辻 崇 成 危機管理部長 三 浦 康 之
区民文化部長 林 栄 喜 産業経済部長 平 岩 俊 二
健康生きがい部長 宮 津 毅 保健所長 鈴 木 眞 美
福祉部長 久保田 義 幸 子ども家庭部長 関 俊 介
子ども家庭総合支援センター所長 資源環境部長 岩 田 雅 彦
佐々木 三 良
都市整備部長 内 池 政 人
まちづくり推進室長田 島 健
土木部長 糸 久 英 則 会計管理者 代 田 治
教育委員会事務局次長 地域教育力担当部長雨 谷 周 治
水 野 博 史
政策企画課長 吉 田 有 財政課長 大 森 恒 二
総務課長 荒 井 和 子
△再開の宣告
◎事務局長(五十嵐登) ただいまの出席議員数は46名でございます。
○議長(
田中やすのり議員) 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△区政一般質問(続き)
○議長(
田中やすのり議員) 井上温子議員の一般質問に対する答弁を求めます。
◎区長(坂本健) 議長、区長。
○議長(
田中やすのり議員) 区長。
〔区長(坂本 健)登壇〕
◎区長(坂本健) それでは、井上温子議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、子どもの居場所に関する調査報告書に対する区としての見解についてのご質問でございます。本調査報告書は、子どもの居場所としての公園利用や意義などについて実態を調査し、分析をしたものと承知をしております。報告書によりますと、子どもにとっての公園は利用頻度の高い放課後の居場所でありますけれども、制約が多く、居心地が悪いと感じているとのことでありました。今後、公園整備や公園利用のルールづくりに当たりましては、報告書の提言についても考え方の1つとして参考にさせていただきたいと考えています。
次は、区立公園ごとの実態調査についてのご質問であります。子どもの居場所については、屋内・屋外のほか、様々な性格の場所・空間を視野に入れて検証していくことが必要でありまして、公園もその一つとして捉えることが必要と考えます。一方、公園利用者は幼児・少年から壮年・高齢者まで、その利用形態も多様な範囲に及ぶことから、子どもの遊び場のみならず、その実態も多角的に捉える必要があると考えます。このため、公園整備や公園のルールづくりを行う際には、子どもの居場所づくりの観点からも公園利用の実態やあり方などについて、検討を深めてまいりたいと考えています。
次に、子どもたちが利用しづらい公園の改善についてのご質問であります。公園利用に関しまして区民から寄せられる陳情は年間約2,000件ございますが、そのうち子どもに関するものは約130件でありまして、ボール遊び等に関する苦情が多数を占めております。区では、苦情等に関しまして、基本的なルール遵守を原則として常識的な対応に努めておりますが、当事者が直接怒る、注意する場合に質問のようなケースが発生すると考えられます。また、小学生が走り回るので幼児が遊べないなど子ども同士の争いも寄せられるため、個々の状況把握に努めるとともに、啓発やルール化など双方の理解や協調が得られるように解決に努めてまいりたいと考えています。
次は、公園ルールづくりにおける子どもの参画についてのご質問であります。公園の利用ルールは、関係法令や条例の範囲におきまして、各公園の特性や周辺環境、近隣居住者や利用者からの要望等を踏まえて、最終的に公園管理者が公園ごとに定めております。こうしたプロセスの中において、利用者としての子どもたちの意見が取り入れられることは、子どもの居場所としての適性を求める上では大切かつ有効であると認識しています。具体的な方法については、小学生と幼児など年齢間の調整や他の世代のニーズとのすり合わせなど未解決の課題も多いために、全庁的な調整を行いながら検討を進めていきたいと考えています。
次は、公園づくりを通じた民主主義教育とアドボケイト活用についてのご質問であります。令和5年4月に施行されましたこども基本法に示されているとおり、施策に子ども自身の意見を反映させることは重要でありまして、社会的活動に参画する貴重な機会が子どもの教育にも資するものと考えます。公園づくりに限らず、様々な区の施策に子どもの声を取り入れられるよう、アドボケイトの活用なども含めて機会の創出に努めていきたいと考えています。
次は、ボール遊びに関する制限緩和についてのご質問であります。区立公園においては、他の利用者や近隣住民に危険や迷惑を生じさせるボール遊びについて、個々の公園の状況に応じて、キャッチボール禁止など例を示して禁止としております。今後、部活動の地域移行の動きもありまして、球技の可能な場の充実が求められる中、公園のみならず多様な施設の利活用や公園内野球場の多角的活用も見逃せない要素となると考えています。また、子どもの居場所に関する調査報告書にも示されるように、遊ぶ側の参画を得て、ルールを守る意識の醸成に地域や関係団体を含めた全庁的な体制で取り組む必要があると考えています。
次は、児童館別の課題の把握と展望についてのご質問であります。児童館別の課題としましては施設の築年数や有効面積、施設の構造、近隣地域の子育て世帯数の違いなど、様々な条件によって異なる要因を抱えていると認識しております。近隣に公園や商店街などの地域資源がある児童館については、相乗効果を見据えながら地域に根差した児童館の運営を図っていきたいと考えています。
次は、学校区別の子どもの遊び場に関連いたしまして、課題認識についてのご質問であります。学校区にとらわれることなく、多様な遊び場や心おきなく過ごせる居場所が存在していることは、子どもたちにとって非常に大切なことと考えます。児童館をはじめとした様々な子どもの居場所のあり方について、子どもの意見にも耳を傾けながら総合的に検討を進めていきたいと考えています。
続いて、子どもへの調査についてのご質問であります。こども基本法に示された理念のとおり、子どもの意見を施策に取り入れることは、まさに時代の要請であると認識をしております。今年度は、区立小中学校の授業時間を活用して居場所に関するヒアリングを実施し、タブレットを通じたアンケートも実施をいたしました。今後も今回の取組を踏まえて、子どもの意見をより効果的に把握できるよう努めていきたいと考えています。
次は、地域資源調査についてのご質問であります。区においては小中学校の居場所や遊び場として、あいキッズや児童館、i-youth、まなぽーと、区立公園など、様々な資源を管理・運営をしております。民間を含めた地域資源の調査を実施する予定はございませんが、引き続き、子どもたちが過ごしやすい環境整備に努めてまいります。
次は、保育・子育て支援策の今後に関連いたしまして、各支援策の役割の見直しについてのご質問であります。区では誰一人取り残すことなく切れ目のない支援を実行するために、いたばし子ども未来応援宣言2025を策定いたしまして、様々な施策を推進しております。今後も計画の改定時期などを捉え、施策のさらなる推進や見直しを必要に応じて行ってまいりたいと考えています。
続いて、施設型一時保育の役割についてのご質問であります。一時保育とは、児童福祉法によれば、家庭において保育を受けることが一時的に困難となった未就学児を保育所等で預かる事業でございます。板橋区におきましては、令和5年度から32か所の保育園で実施をしておりまして、保護者の育児疲れや入院、冠婚葬祭、家族の介護など、様々な理由で利用が可能となっております。利用者の数は、コロナ禍にあっても年間で延べ2,000人を超えておりまして、一定のニーズがあると認識しております。
次は、産後の育児支援ヘルパーの必須化についてのご質問であります。育児支援ヘルパーとは、妊娠中から3歳未満の子どもを養育する家庭に、一定の要件を満たして登録した区民を有償ボランティアとして派遣をし、家事支援等を行う事業であります。産後の母親のケアや負担軽減は重要でありまして、里帰りや父親の育児休暇取得など近親者のサポートを得ることが難しく、支援を必要とする家庭にご活用いただいているものであります。支援を必要とする家庭に、確実に育児支援ヘルパーを派遣することが重要であり、全ての家庭への派遣を必須化することまでは考えていないところであります。
続いて、担当保健師と交流のできる機会の提供についてのご質問であります。区では、妊婦面接など様々な場面で担当保健師を紹介しておりますが、実際にお会いいただけない場合も多いと考えます。児童館で行っている事業には、その地域を担当する保健師が出向くようにしておりまして、児童館が身近な相談の入口となるように連携を進めてきております。子育て中の方が担当保健師と気軽に交流をし、何でも相談できるような事業運営を工夫するなど、こども家庭センターに向けて機能の充実に努めていきたいと考えております。
続いて、児童館での一時保育についてのご質問であります。一時保育は、現在も区立保育園などで実施をしておりまして、一定のニーズがあることは認識をしております。国による、こども誰でも通園制度の検討状況なども注視しながら、児童館において一時保育を実施する必要性について検討していきたいと考えています。
次は、一時保育・育児支援ヘルパー・ファミリーサポート事業の無償化についてのご質問であります。一時保育や育児支援ヘルパー、ファミリーサポートはそれぞれ有償により提供する子育て支援サービスであります。無償化により、より気軽に利用できるようになる一方で、各サービスの供給量にも限りがございまして、利用者の増加によって真に支援を必要とする家庭が利用できなくなる懸念がございます。また、受益者負担の観点からも、利用に当たりまして一定の負担は必要であると考え、現時点におきましては無償化する予定はないところであります。
次は、小中学生のいる家庭への支援の拡充についてのご質問であります。ファミリーサポートは、生後43日から小学6年生までの子どもがいる家庭に対しまして、一定の要件を満たして登録をした有償ボランティアが、保育園や学校への送迎等を行う事業であります。子どもが中学生以上となりましても支援が必要な家庭に対しましては、社会福祉協議会のぬくもりサービスなど必要な支援サービスの紹介や調整を行っております。小学生の子どもがいる家庭に対する周知については、教育委員会とも連携をし、より効果的な周知の機会や方法について検討していきたいと考えています。
次は、養育支援訪問事業の拡充及び周知徹底についてのご質問であります。養育支援訪問事業とは、子ども家庭総合支援センターが受ける子どもや子育ての相談のうち、家事援助の支援や養育の指導・助言を訪問等により行う事業であります。養育支援訪問事業は、支援する家庭の状況に応じまして必要な支援内容を子ども家庭総合支援センターが判断をし、導入をするものであり、周知を必要とする事業ではないと考えています。関係機関等に対しましては、支援を必要とする家庭や心配な家庭があれば、子ども家庭総合支援センターへ適切につないでいただくように周知に努めてまいりたいと考えています。
次は、ひとり親家庭ホームヘルプサービス事業の見直しについてのご質問であります。ひとり親家庭への支援は重要と考えておりまして、就労や一時的な病気により援助が必要な家庭への支援として、ひとり親家庭ホームヘルプサービス事業を実施をしております。本事業の令和4年度の実績は15世帯の利用状況であり、区としてはさらなる周知を図り、利用者を増やしていきたいと考えています。また、事業の見直しにつきましては、まずは周知の強化を図ってニーズ等の把握をした上で、検討を行っていきたいと考えています。
次は、体調不良児対応型病児保育の実施についてのご質問であります。体調不良児対応型病児保育は、保育中に体調不良になった児童を一時的に預かるものでありまして、実施場所や職員配置等の基準が国の要綱で定められております。区立保育園におきましては、保育中に体調不良になった場合には保護者にお迎えをお願いをして、感染拡大防止策を講じながら子どもの不安に寄り添った保育を行っております。体調不良児対応型病児保育に対応するためには、職員配置や衛生面に配慮された場所など様々な条件を満たす必要がありまして、現時点で実施することは困難であると考えています。
次は、地域医療構想に関連いたしまして、担当部署の設置についてのご質問です。地域により医療資源の量や関係団体との関係性に違いがあるために、地域医療の担当部署を設置している自治体があることは承知をしております。板橋区は地域の医療資源に恵まれ、関係団体等と密接に連携することができており、新型コロナ対応でも効果的な事業を実施することができたと自負をしております。地域医療は安全な地域生活の重要な要素であり、引き続き、現体制において保健・医療施策の推進に向けまして取組を行っていきたいと考えています。
次は、情報連携ツールの導入についてのご質問であります。東京都は、令和2年11月から多職種連携ポータルサイトを開設し、医療機関や介護施設等の事業者間で一元的に患者情報へアクセスできるサービスの提供を開始いたしました。また、国においては令和8年度以降、全国医療情報プラットフォームにおいて、自治体と医療機関・薬局や介護事業所等の間において、本人同意のもとに情報共有が可能となる仕組みの構築に向けた検討を行っております。こうした国や東京都の動向も踏まえながら、国と事業者間の情報共有のあり方について、引き続き研究をしていきたいと考えています。
次は、災害時個別支援計画の電子化についてのご質問であります。災害時個別支援計画は、在宅で人工呼吸器を使用している方を対象に、災害への備えと発災時の安否確認や関係者の支援について話し合い、記載をして共有するものであります。障がいや病状によって災害時個別支援計画は一人ひとり違いがありまして、災害時の連絡方法もバンダナの利用や伝言ダイヤルなど、対象者により異なっております。対象者や介護者の希望に寄り添い、情報連携手段も含めて関係者と話し合い、丁寧な見直しや訓練に努め、災害時個別支援計画の実効性を高めてまいりたいと考えています。
次は、後期高齢者への医療提供体制についてのご質問であります。今後の高齢化の進展、特に後期高齢者人口の増加によりまして、医療需要の増大が想定されます。東京都においては、医療法に基づき地域医療構想を導入した保健医療計画で、将来の病床数や在宅医療の必要量を推定し、医療提供体制の整備に向けた取組を進めております。区では、板橋区医師会や歯科医師会をはじめ、医療関係団体と連携をして、新型コロナの自宅療養者医療サポート事業の実績を踏まえて、高齢者への医療提供の要となる在宅医療のさらなる充実に向けて取組を進めていきたいと考えております。
次は、在宅看取り率の把握についてのご質問であります。区で受け付ける死亡届には、死亡した場所の記載欄があるために、自宅で亡くなった方の件数は把握が可能であります。しかし、自宅死亡の件数からでは死亡に至るまでの状況が分からず、療養上の困り事を知ることも難しいために、様々な手法を活用して在宅医療に係る施策評価や企画立案を行っていく考えであります。
次は、地域医療構想の策定についてのご質問であります。地域における医療提供体制の確保を図るための計画につきましては、医療法の定めに基づきまして各都道府県が定めるものとされております。東京都がこれに基づきまして、医療圏ごとに地域医療構想調整会議を設け、圏域内の医療機関や行政関係者が参加をして、病床や在宅医療などの協議を行っております。医療に関しましては、区内で完結をしないことも多く、広域的な視点が必要であることから区における医療構想を策定する考えはないところであります。
次は、福祉事務所職員の対応についてのご質問であります。日中活動サービスは、同一種類のサービス利用を原則として、効果的な支援を行う上で特に必要と認める場合においては、複数のサービスを組み合わせて利用することが可能であります。区では、本人の状況とそれぞれのサービスの内容や利用形態等を踏まえた上で、効果的な支援を判断して実施をするものと考えております。今後も、三福祉事務所において相談内容等を共有した上で、個々の事情に職員が対応し、サービスの併用につきましても必要性の判断を行っていきたいと考えています。
次は、移動支援についてのご質問です。移動支援事業は、余暇活動や社会活動などに参加する際、利用することができますが、就労時の移動については経済活動とみなされるために対象となっていないところであります。現時点でこの運用を改める予定はございませんが、課題は認識をしておりまして、今後の国などの動向を注視したいと思います。
次は、計画相談についてのご質問です。サービス等利用計画を作成する際、事業所の空き状況などによって思うような計画が作成できないケースがあることは、区としても課題と認識しています。今後はこれまで以上に利用者の希望を丁寧に聞き取るとともに、十分な説明を心がけながら、利用者の理解を得た上で計画を作成するように事業者に働きかけをしていきたいと考えています。
次は、卒業後の学びの場についてのご質問であります。障がいを持つ方が、高校等を卒業した後に利用できる学びの場の必要性については区としても認識をしておりまして、今後の検討課題としたいと思っております。
次は、取り残された人の居場所づくりについてのご質問であります。支援につながっていない方への居場所づくりについては、必要であると認識しています。ひきこもり支援につきましては、今年度より専門相談窓口及び当事者の居場所である、ひだまりうむを開設し、当事者に寄り添った支援を行っております。障害者手帳を持たない方などで居場所が必要な方への支援につきましては、検討を続けてまいりたいと考えています。
頂きました質問に対する答弁は以上でございます。
○議長(
田中やすのり議員) 以上で、井上温子議員の一般質問を終了いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△会議時間延長の決定
○議長(
田中やすのり議員) 一般質問の途中でありますが、この際、会議時間の延長についてお諮りいたします。
議事運営の都合により、本日の会議時間を1時間延長いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と言う人あり〕
○議長(
田中やすのり議員) ご異議がないものと認めます。
よって、会議時間を1時間延長することに決定いたしました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△区政一般質問(続き)
○議長(
田中やすのり議員) それでは、一般質問を続けます。
次は、自民党が行います。初めに、ひはらみちこ議員。
◆ひはらみちこ 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) ひはらみちこ議員。
〔ひはらみちこ議員登壇〕(拍手する人あり)
◆ひはらみちこ 議員 これより、板橋区議会自由民主党議員団を代表いたしまして、質問いたします。初めに、板橋区におけるメンタルヘルス施策につきましてお聞きします。
現代社会において、心の病気が1つの病気として認められてきています。現に、生涯を通じて4人に1人が心の病気にかかるとも言われているように、多くの国民が罹患の可能性を持っております。精神疾患は、医療費の負担だけでなく労働に関わる損失や社会的な負荷等があります。2014年刊行の精神神経学雑誌116号によりますと、慶應大学医学部精神・神経科学教室及び同大学ストレス研究センター専任講師の佐渡氏の調査では、我が国ではうつ病により年間総額2兆円の経済の損失があると推計されております。心の健康・メンタルヘルスにつきましては、社会全体で取り組んでいかなければならないものの1つです。令和4年の法改正では、精神保健福祉法の法目的として精神障がい者の権利擁護を図ることが明確化されております。自治体では、より具体的に寄り添った支援・サポートが必要となってきます。板橋区におきましても、心の健康サポート事業を行われておりますが、相談体制構築やメンタルチェックシステムを導入するなど、様々行われております。その中でも、ゲートキーパー研修の開催や出張での研修を行われていると伺っております。自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応を図ることができるよう養成を図ることにより、生きる支援を担う効果的な自殺対策の1つとなるものです。本研修は、区民向けだけではなく区職員向けにも開催され、昨年度1,102名の方が受講されたとお聞きしました。そこで質問です。本研修は、どのような実施形態で実施されていらっしゃいますでしょうか。また、坂本区長ご自身はご受講されていらっしゃいますでしょうか。ご受講されておりましたら、併せてご受講の所感をお伺いできますでしょうか。よろしくお願いいたします。
心の病気は大人に限ったことではありません。精神疾患の患者の方の半数は10代半ばまでに発症しており、4分の3が20代半ばまでに発症しております。その時期に疾患について正しい知識を持つことで、自ら気づき、早期発見にもつなげられます。子どもたちに対するメンタルヘルス施策につきましても、板橋区の特性を生かした新しい取組をお伺いいたします。国においても精神保健福祉法の改正等、メンタルヘルス施策のさらなる発展がなされております。精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムが、厚生労働省の支援により普及が進められております。本システムは、住民にとって最も身近な自治体である市区町村などの基礎自治体を基盤として進められるものですが、板橋区での進捗状況をお聞かせください。精神保健福祉法改正により自治体の相談支援の対象の見直しが行われ、精神保健に関する相談支援については保健、医療、福祉、住まい、就労、その他日常生活に係る精神保健に課題を抱える方も対象となりました。例えば、病気や障がいが理由で精神的な負担を強いられる方のみではなく、生活の中でのストレスを受けている方も対象となります。こちらにつきましても、板橋区の精神保健に関する取組につきまして、ご答弁願います。板橋区にて区民の皆様がよりよく生きることができるよう、メンタルヘルス施策のさらなる発展を期待いたします。
次に、こども家庭庁の創設を踏まえた、区での推進につきましてお聞きします。
2020年6月にこども家庭庁設置法、こども基本法が成立し、本年4月にこども家庭庁が発足しました。これまで子ども政策は複数の省庁にまたがっていたところ、子ども政策の推進のため、こども家庭庁が幅広く子ども政策を担うこととなり、企画立案が一元化されたり、子ども政策の権限を同庁にて担うこととなりました。これは、縦割り行政による制度や構造の間で取りこぼしをしていた子どもたちや問題を抱える子どもや家庭を様々な角度から支援することを目的としています。板橋区におきましては、昨年7月の子ども家庭支援センター設置等、子ども政策に取り組んでおられます。多岐にわたる子ども政策は、子ども家庭部で児童福祉施設などに関する業務を、子ども家庭総合支援センターでは子育て支援や児童虐待などへの対応を、健康生きがい部で乳幼児健診など、福祉部で障がいを持つ子どもとその家族への支援を行っているのが現状です。本現状におきまして、区民からの声として、子どもの障がいや病気に関する相談を行った場合、窓口は1つですが、様々な部局につなぐことが必要でした。子ども政策部局が分かれていることにより、専門的な組織で対応できる反面、区民にとりましては、利便性について課題があると考えます。そこでお伺いいたします。板橋区での子ども政策におきましても、こども家庭庁の創設を踏まえた上で、区での推進が必要ではないでしょうか。また、子ども政策の庁内での推進により、包括的な子ども政策の立案や業務運営、区民の利便性の向上だけでなく、区における子ども政策への強化の姿勢を打ち出すことにつながり、区内全体の意識改革にも寄与いたします。こどもまんなか社会の実現に向け、板橋区で子ども政策推進の必要性を認識しておりますが、区長の見解を伺います。
次に、新しい社会下での施設のあり方について質問をいたします。
板橋区議会自由民主党議員団では、男女平等推進センターの利用時間に関して、利用団体から要望を頂いております。その要望の中で上がりましたお話です。今から2年前、コロナ禍に伴うセンター利用率の低下と緊急財政対策のため、午後9時30分までの夜間の利用時間を1時間30分短縮して、午後8時までとする条例改正が行われました。その後、今年5月8日には新型コロナウイルス感染症が5類に移行され、ふだんの日常生活が戻りつつある中、令和5年度の予算編成では緊急財政対策が解除されました。そのため、登録団体の皆様から自民党区議団に対して、夜間利用時間の短縮措置についても元に戻してほしいとの要望が寄せられています。センター登録の皆様は、自主的に活発な活動をされております。私が以前所属していた自衛隊は、現場の自主性を重んじる組織でもあります。それぞれの所掌にて組織長以下が話し合い、自発的に物事に取り組み、それぞれの上部組織の組織長に報告し、その長が今後の方向性を示す、そのような組織です。組織として、板橋区においても同様の仕組みが当てはまると存じます。現場にて自発的・活発に活動する皆様からの意見や結果を所管が区長に報告し、今後の方向性を固めていくことが板橋区の基本構想の示す、自分たちのまちは自分たちでつくるという気概につながっていくのではないでしょうか。板橋区の男女平等推進センターの活動につきましても、各団体が活発に話し合い、実施し、その結果を担当部署を通じてトップである区長に上げ、それをもって区における方向性を区長が固めていく、このような形が望ましいと考えます。そうした点で言えば、男女平等参画社会の実現のための基盤である男女平等推進センターもコロナ禍での環境の変化に基づき、また、令和3年3月に改定したアクティブプラン2025において、従来のジェンダー平等にとどまらず、高齢者、子ども、障がい者、外国人等、多様性を尊重する共生社会の実現という観点を取り入れたことを踏まえ、センターの位置づけをダイバーシティ&インクルージョンの拠点施設に進化させる必要があると認識しております。そこでお伺いいたします。私もセンターの夜間利用時間を元に戻すべきと考えますが、その場合、単に戻すのではなく、多様な多くの団体が活発に活動をすることで、より多くの意見の集約が図れ、よりよい区の方向性を示していくことができるよう、利用時間を変更すべきと考えますが、区長の見解をお聞かせください。
次に、荒川水系に係る流域治水対策についてお伺いいたします。
令和元年東日本台風等、荒川においては何度も氾濫の危険性がございましたが、1924年の大規模な放水路及び水門の建設がなされ、ここ100年、下流部におきましては大きな被害がないため、荒川氾濫のリスクを認識できる機会が減少しているという事実がございます。埼玉県、東京の多くの地域は荒川の流域にあり、板橋区も全域が荒川流域の地域でございます。荒川の治水・利水の恩恵を受けているにもかかわらず、日常生活での荒川への影響を考慮されていないのが現実です。居住地が河川から離れた場所であればあるほど、その傾向が強まります。令和3年に施行された、特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律、通称流域治水関連法では、河川の流域全体で治水を行う流域治水の方向性にかじが切られました。荒川では、氾濫した場合に大規模な被害が想定されており、浸水被害の軽減を図るため、荒川水系流域プロジェクトが始動しております。そこでは、7つの項目と10の指標が示されております。その中でも、地方自治体として行える項目が3つございます。避難のためのハザード情報の整理や高齢者等避難の実効性の確保、雨水の流出抑制対策です。前の2つは進めていらっしゃるとのご答弁を頂いております。では、自治体で行える項目として、流出抑制対策の実施はどれほど行われているのでしょうか。区で実施の板橋区雨水流出抑制施設設置指導の制度の概要及び公共施設と民間施設の実績を伺います。また、公共施設のうち、学校での雨水流出抑制の整備はどれほど行われているのでしょうか。今後の見込みも併せて、お伺いいたします。また、今月に示された九都県市首脳会議内の検討会からの提言として、あなたにできる豪雨対策として、上手に流す・貯める・しみこませるといった方策が示されていますが、区では、雨水貯留タンクなどの設置補助を行っていますでしょうか。また、その周知・啓発につきましてお伺いいたします。河川の氾濫対策は、河川近辺に住む方々だけではなく、河川から離れた場所に住む流域の全住民一人ひとりが行っていく取組です。区長の見解をお伺いいたします。
荒川の下流部に暮らす私たちは、上流部での治水や利水の恩恵を受けております。そこで次に、荒川上流の自治体との連携についてお伺いいたします。上下流連携の一環として、森林環境譲与税を環境教育や防災教育などに活用する取組も国から示されております。上流域の森林にてフィールドワークを行うことにより、より広域的な視点で物事を考える基礎を養い、水防災意識社会の再構築に寄与し、ひいては荒川の上下流の交流の推進につながるものと考えます。こうした森林環境譲与税を活用した荒川上流自治体との連携について、区長の見解を伺います。そのほか、荒川上流自治体との連携として、広域避難先の確保がございます。板橋区においては、8月に広域避難の連携を締結しており、他自治体と比較し、先進的に取り組んでいらっしゃいます。しかし、広域連携につきましては、首都直下地震のみを想定しているとのことですが、水害の際の広域避難連携の可能性につきまして、お聞きします。台風による洪水等、リードタイムがある水害につきましても計画的な広域避難先の確保が必要と考えます。垂直避難が難しく、知人等頼れる方がいない方々への避難方法につきまして、区長の見解をお伺いいたします。来年は荒川放水路通水100周年の年であり、当周年記念行事が始まります。協定締結自治体以外にも、本事業を通じた上下流併せた流域連携事業を実施することで、流域治水対策にもつながると考えます。荒川流域自治体は、全て川でつながっております。連携方法につきましては、日常的な交流機会の確保や各種イベントを自治体を越えて連携しての開催が考えられますが、現在の予定及び方向性をお聞きします。また、本事業は、荒川上下流河川事務所のそれぞれの管轄区域の境界に位置する板橋区が主導していくことがスムーズな連携につながると考えますが、区長の見解を伺います。
最後に、危機管理施策につきましてお伺いいたします。第1に、防災施策について6点お聞きいたします。
1点目に、要配慮者利用施設における、避難確保計画の区内施設の作成状況及び今後についてお聞きします。第2回定例会にて、計画の作成率向上の方策につきまして、短期集中的かつ組織横断的に実施するとのご答弁を頂いたこと、誠にありがとうございました。その後の具体的な取組及び現在の策定率につきまして、改めてお伺いいたします。東日本大震災時にも被災東北3県の福祉施設における施設利用者の485名、施設職員の173名が死亡・行方不明となっております。本計画作成により、発災時には、施設の利用者だけでなく施設職員、ひいては引き取ろうとして施設へ迎えに来る家族の身も危険から守ることができます。つきましては、さらなる策定率の周知向上、そして避難訓練につなげ、より実効性のある計画へと更新していくことを望みますが、区長の見解を伺います。2点目として、防災プラスフェアにつきましてお伺いいたします。11月18日に行われた、板橋区最大の防災イベントのいたばし防災プラスフェアですが、昨年度も同様の開催がなされたと存じます。昨年度からの課題を反映した事項及び本年の成果・課題につきまして、見解を伺います。特にかわまちづくり計画を進めている荒川河川敷での開催とのことで、利用者の交通の便の利便性も併せてお伺いいたします。3点目に、災害ケースマネジメントにつきましてお伺いいたします。災害時、被災者一人ひとりの被災状況の課題等を個別の相談等により把握し、専門職へつなげ、継続的支援を行う災害ケースマネジメントですが、その仕組みの整備について、本年5月30日に中央防災会議で決定された防災基本計画にて、地方公共団体を主語として明文化されました。板橋区においての現在の取組状況をお教えいただけますでしょうか。4点目に、災害時の安否不明者の公表につきましてお伺いいたします。平時からの安否不明者の氏名等公表に係る手続等の整理及び災害時における氏名等公表による速やかな安否不明者の絞り込みにつきまして、2年前の令和4年6月修正の防災基本計画に盛り込まれております。また、今年3月には、国は家族の同意がなくても安否不明者の氏名などを公表できるなどとする全国共通の指針を打ち出しました。板橋区において、本件に係る方針について区長の見解を伺います。5点目に、水害対策についてお聞きします。水害ハザードマップにつきまして、第2回定例会で質問をさせていただきましたハザードマップの配色につきまして、どのような方でも分かりやすい配色としていただくことを前向きにお答えいただきましたこと、大変感謝いたします。さらに、水害ハザードマップの有用性を確保できるよう質問をいたします。水害ハザードマップにつきまして、来年3月改定に向けて修正を行っているとのことでしたが、現在、国土交通省にて公開の水害ハザードマップ作成チェックリストを活用し、各項目抜け落ちがないように作成されておりますでしょうか。今後、地域防災マニュアルを策定していくに当たり、多くの区民及び関係者が閲覧します。あらゆる主体に、分かる・伝わるハザードマップとなるよう要望いたします。6点目に、分かる・伝わるハザードマップの推進に関しまして、引き続きご質問をいたします。区では、電柱や主要施設等生活空間に洪水等の浸水深の標識を設置する、まるごとまちごとハザードマップを進める方向性とお聞きしております。本事業は、まちなかに表示することにより、日常時から水防災への意識を高めるとともに、浸水深・避難所等の知識の普及・浸透等を図り、発災時には命を守るための住民の主体的な避難行動を促し、被害を最小限にとどめることを目指すことを目的とし、国が支援・推進しております。本表示板は、避難場所への移動をシームレスに行えるように災害種別避難誘導標識システムとして設置されるものですが、全ての区民が認識しやすく、また、区外からの来訪者にも分かる・伝わる必要がございます。JIS規格において、災害種別ごとの図記号が制定されており、日本全国どこでも同じ表示となるように、これを使った表示方法に係る災害種別避難誘導標識システムが制定されています。そこで、まるごとまちごとハザードマップの掲示につきまして、国で定めたJIS規格に倣った図記号を使用し表示を行い、統一性を持たせていただくことで、分かる・伝わる浸水深の表示となることを要望いたします。区長の見解を求めます。
危機管理施策の第2として、危機管理体制の現状につきまして、まず初めに4点お伺いいたします。1点目は、図上災害対策本部運営訓練につきまして伺います。板橋区では、板橋区防災基本条例第6条にある体制の整備のため、庁内での災害対策本部運営訓練を行っているとお聞きしました。当訓練におきまして、現在の訓練の状況はいかがでしょうか。頻度及びその内容、例えばシナリオどおりに行動するシナリオ訓練か、もしくはとっさの判断や行動を確認できるブラインド型の訓練であるかどうか、お伺いをいたします。他自治体におかれましては、ブラインド型の訓練や状況付与型の訓練を行っているところも複数ございます。災害時には判断を迫られる状況が多々あります。判断をする準備として、ブラインド型の訓練が必要です。東日本大震災で陣頭指揮を執った、当時東北地方整備局長の徳山日出男氏が、備えたことしか役には立たなかったとおっしゃっております。そして、備えていただけでは十分ではなかったとも申しております。実際に行動に移す意識を持って訓練等を行っていなければ、十分に役立たないということだそうです。また、国の防災基本計画第47条では、地方公共団体の長は、法令又は防災計画の定めるところにより、それぞれ、その所掌事務又は業務について、災害を予測し、予報し、又は災害に関する情報を迅速に伝達するため必要な組織を整備するとともに、絶えずその改善に努めなければならないとされています。板橋区におきましては、区長に災害時の必要な組織整備の責があると存じます。そこでお聞きします。庁内での災害対策本部運営訓練におきまして、ブラインド型の訓練等を導入し、より実効性のある備えが必要と解しますが、見解を伺います。2点目に、板橋区業務継続計画等のマニュアルの検証につきましてお伺いいたします。来年、業務継続計画が改定の予定とお聞きしております。板橋区防災基本条例におきまして、第23条で業務継続計画は、必要に応じてその検証に努めなければならないとされております。来年に向けての検証すべき項目として、参集訓練や本部運営訓練を踏まえた検証が必要と考えますが、今後の方向性について見解を伺います。3点目に、地域との連携体制につきまして伺います。昨年度に行われました板橋区総合防災訓練では、各地域にて訓練が実施されました。多くの方々のご参加がありましたが、地域によっては訓練のマンネリ化や実効性に結びつけることが難しいという課題もございます。その点につきましては、防災のプロである区職員の皆様からのご指導が不可欠です。地域の主体性によるところが大きい訓練ではありますが、区として総合防災訓練において認識している課題及び区の役割について伺います。また、板橋区はマンションが多い区でもあります。マンションの防災につきましては、東京都地域防災計画改定の際、重点項目として位置づけられています。板橋区におかれましても、マンション居住者へ防災の働きかけにつきまして、どのようなご対応を行われていらっしゃいますでしょうか。地域の防災力向上については、町会が自主防災組織を構成し、活動を行っております。マンション居住者におかれましては、町会に加入していても実質的な活動を行われていない方も多くいらっしゃるなど、課題がございます。そのようなマンション居住者の方々への防災に関わるアプローチにつきましても、区からの働きかけが必要と解します。現状を伺います。以上のことから、地域防災力向上のためには、板橋区と地域が連携を行い、様々な方へのアプローチを行うことが不可欠であると言えます。災害対策基本法第5条2項において、市町村長は、住民の自発的な防災活動の促進を図ることが明記され、板橋区防災基本条例第8条2項にも、区は、地域の自主的な住民防災組織を育成するため、積極的に支援及び協力を行い、その充実が図られるようにしなければならないと記されております。さらなる連携により充実を図ることが必要と考えますが、区長の見解を伺います。
最後に、自主避難所等運営につきましてお伺いいたします。本年6月2日から3日にかけまして、梅雨前線・台風2号の影響により、板橋区内におきましても最大雨量52ミリを観測するほどの降雨となりました。また、9月8日には、台風13号の影響で1時間最大29ミリの雨が観測されております。区では、6月の大雨の際には午前1時50分に、9月には自主待機場所を9時30分に開設しております。そこでお伺いいたします。避難所及び待機所での開設の基準及び運用は、各災害につきましてどのように定められておりますでしょうか。特に水害時や土砂災害時には、気象庁から予報が出され、リードタイムがございます。このリードタイムを適切に利用されておりますでしょうか。荒川氾濫のおそれがある場合、荒川タイムラインを利用した避難情報の発令・避難所開設の想定となっておりますが、災害対策本部設置前の避難所開設準備の指示はどなたが行うのでしょうか。また、開設準備業務は、該当避難所の避難所隊及び避難所班が行うのでしょうか。開設準備の指示及び業務従事者間では、指揮系統が適切に整っておりますでしょうか。そして、開設時間につきましては、避難者の避難時の安全性を考えた時間設定となっていますでしょうか。以上、避難所開設における業務を確認させていただきましたが、6月及び9月の自主避難所及び自主待機場所の設置につきましてお伺いいたします。本年2回の避難所等開設につきまして、適切な時間に設置されておりましたでしょうか。また、人員に関しましても、避難所隊・避難所班が適切に活動されていましたでしょうか。見解を伺います。
これまでお聞きしました危機管理体制についての4点を踏まえ、区の危機管理体制の強化につきましてお聞きいたします。板橋区における危機管理体制はさらなる強化が必要と解します。そのため、3点を要望いたします。全庁体制の強化・危機管理部署の人員の増強・危機管理監の配置です。1点目の全庁体制の強化につきましては、実効性のある図上災害対策本部運営訓練をはじめとする事前の全庁での体制強化により、避難所開設等、全庁で行う災害対応業務の円滑化につながります。災害対策基本法第5条2項におきましても、区の有する全ての機能を十分に発揮するように努めなければならない旨が明記されており、これは全庁の機能を十分に発揮することも含まれると解しますが、区長の見解を伺います。2点目の危機管理部署の人員増強につきましては、板橋区の危機管理部署の職員は、23区の中で比較しても多い割合とは言えない状況に鑑み、要望をさせていただきました。板橋区の担当職員の方々は、日々、地域防災、防犯、生活安全、各種計画の修正等の業務に当たられております。火災等緊急事態にも対応されていらっしゃるとお聞きしました。私が庁舎内を回っておりますと、危機管理に係る部署の人員の少なさを目にします。時には、日常業務での現場対応にて不在の方が多い中、残った方々で火災等の対応に当たられており、窓口に伺っても対応が難しい場合等もございました。調べてみますと、板橋区の危機管理部署の人員の人数は、23区において比較してみましたら、令和3年度時点において、危機管理部署の職員1人当たりが担当する区民の人数は2万2,809名で15番目の手厚さ、職員1人当たりの担当する面積は1.29平方キロメートルで16番目となっております。首都直下地震では震度7の想定、また、荒川・新河岸川・石神井川を有し、洪水の危険も危惧されている自治体として、危機管理体制の機能を強化することが必要と考えます。また、災害ケースマネジメントや安否不明者の公表に係る方向性の検討など、防災基本計画の毎年の改正で行うべき施策が示されていますが、追いつかず年を追うごとに山積みになっている状況で、今後さらに積み残しが増えるおそれがあります。危機管理部署の人員の増強により、区で行うべき業務の積み残しの解消につながり、毎年更新される計画への即時対応も可能となります。そして、地域防災に精通する職員が地域と連携し、地域防災力の向上にも寄与することが可能です。危機管理部署の人員増強につきまして、区長の見解を伺います。3点目の危機管理監の配置につきましては、平時及び非常時双方において、総合的な危機管理に係る専門的・実務的役割を持って業務に当たっていただき、また、対外的交渉も優位に進められるよう要望いたします。危機管理監の配置における現在までの一般質問等での要望は、危機管理監の平時の業務として区長のフォローを行うと定義づけられておりましたが、区長のフォローを行うのは副区長の業務でありまして、現在も同業務を務め上げていらっしゃいます。そのため、危機管理監は、平時は防災専門業務に当たるのが通常と考えられております。細部といたしましては、防災計画・マニュアル等の策定、防災訓練の企画・立案・実施、職員の人材育成、防災関係機関との調整等となり、東京都の原田危機管理監は、防災に係る行政的な事業に関わっておられると、都政新聞発行のNews TOKYOのインタビューで答えられております。危機管理監の配置は、まさに危機管理部署の体制の強化につながります。今年のいたばし花火大会での事故につきましても、実行委員会の中に危機管理部署を置き、運営に係る警備の外部との調整や会場での当日の最終確認を危機管理監に行っていただくことも想定されました。現在、防災アドバイザーを配置していただいておりまして、学術的なご指導等を頂くことができており、区においてもとても貴重な方でございます。危機管理監は、防災だけでなく、危機管理全体の実務を担当していただく役目となります。学術面では防災アドバイザーを、実務においては危機管理監を配置し、両面からの体制強化が期待できます。見解を伺います。災害対策基本法におきましても、第5条第2項において、市町村長は、市町村の有する全ての機能を十分に発揮するように努めなければならないとし、板橋区防災基本条例第6条でも、区の基本的責務として、必要な施策を策定し、体制を整備するとともに、これらに関し常に明らかにすることが定められております。水を治めるものは国を治める、中国の古文にある言葉であり、また、武田信玄もこの言葉を実行し、治水政策により領国を治めました。坂本区長には、ぜひとも水害をはじめとした災害に対して治める方策を行っていただき、5期目におかれましても板橋という国を治めていただきたく、強く要望いたします。区長の見解をお伺いいたします。
以上で私からの質問を終了いたします。(拍手する人あり)
◎区長(坂本健) 議長、区長。
○議長(
田中やすのり議員) 区長。
〔区長(坂本 健)登壇〕
◎区長(坂本健) それでは、ひはらみちこ議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、区職員向けゲートキーパー研修についてのご質問であります。ゲートキーパーとは、自殺の危険を示すサインに気づき、適切に関わる命の門番の役割を担う人のことでありまして、多くの区民と接する区職員がそのスキルを身につけることは重要と認識をしております。令和5年度はオンライン及び対面形式による研修を展開しておりまして、11月20日現在、合計で1,967人の職員が受講をしております。
次に、ゲートキーパー研修受講後の所感についてのご質問であります。区民との関わりや組織をマネジメントする立場からも、私自身もゲートキーパーとして正しい知識を習得することが不可欠であると認識をしておりまして、自分の席からオンラインで研修を受講いたしました。研修を通じまして、悩みを持つ人に寄り添い、傾聴に努め、必要な支援につなげていくことの重要性を再認識したところでありました。今年度から、新たな取組である出張ゲートキーパー研修などを始めておりまして、より多くの人に正しい知識の普及を図り、地域における支援の輪を拡充していきたいと、このように考えています。
次は、子どもたちへの新たなメンタルヘルス施策についてのご質問であります。近年、子どもの自殺が増加をしておりまして、児童・生徒期から心の健康に関する知識を身につけることの必要性が高まっていると感じています。絵本のまちの推進に取り組む本区では、SOSの出し方等、自殺予防をテーマにした絵本づくりに着手をしておりまして、区ゆかりのイラストレーターや区内大学との連携によりまして、作成を現在進めております。完成後は、小中学校や区立図書館を通じまして、子どもたちに届けるほか、読み聞かせイベント等でも活用して、区ならではの資源を生かしたメンタルヘルス施策の充実を図っていきたいと思っております。
次は、精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムへの対応状況についてのご質問であります。精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムを構築するため、令和3年度に医療機関や地域移行支援事業所、障がい者福祉センターなどで構成する検討会を設置いたしました。検討会においては、精神障がい者に関わる地域資源を整理するとともに、関係機関との横のつながりをつくるなど、連携して各分野の課題に対応するための協議を行っております。また、入院患者や支援者向けのリーフレットを作成するなど、地域移行を円滑に進めるための周知啓発についても行っているところでございます。
次は、板橋区の精神保健に関する取組についてのご質問です。区では、精神保健の取組として、講演会等による正しい知識の普及啓発、心の不調を抱える方への個別相談、精神保健の知識を持ち、相談窓口へつなぐことができるサポーターを増やす事業を行ってまいりました。令和4年の精神保健福祉法の改正によって、相談支援の対象が拡大し、精神保健に課題を抱える者も対象となって、今後、要領の改正が予定をされていると承知をしているところでもございます。現在、区に寄せられておりますいろいろな相談の場面においては、精神保健の知識が必要な状況が増えておりまして、ゲートキーパー研修等を活用して、職員の対応力の向上を目指していきたいと考えています。
次は、こども家庭庁創設を踏まえた子ども政策のさらなる推進についてのご質問であります。こども家庭庁の設置やこども基本法の施行を踏まえ、子ども・子育て関連施策のさらなる推進は急務であると認識しています。現在、区では、こども家庭センター機能の検討や子どもの居場所に関する検討を組織横断的に行っております。こどもまんなか社会の実現に向けて、区民の分かりやすさや利便性を高める視点も重視しながら、綿密な組織連携を図れる体制の整備にも努めてまいりたいと考えています。
次は、男女平等推進センターの時間の変更についてのご質問であります。区では全ての人が自分の望む選択ができ、それが尊重され、活躍できる社会を目指して、区一丸となって取り組んでおります。また、
パートナーシップ宣誓制度の開始によって、改めてダイバーシティ&インクルージョンを推進する決意を広く示したところでもあります。この流れを加速・発展するためには、男女平等推進センターを多様性尊重社会の拠点へと進化させながら、多様な区民や団体の集い・交流を支援し、活動の活性化に寄与するため、利用時間の延長について具体的に検討していきたいと考えています。
次は、雨水流出抑制施設設置についてのご質問であります。区では、降雨時における下水道や河川への過度な負担の軽減対策として、板橋区雨水流出抑制施設設置指導要綱に基づきまして、雨水流出抑制施設の設置を指導しております。本制度においては、建築工事を伴う全ての公共施設及び事業用地が500平方メートル以上の大規模な民間施設を対象としております。令和2年度から令和4年度までの3年間の施設設置の実績については、公共施設11件、民間施設179件、合計190件となっております。
続いて、雨水貯留タンクに関する補助についてのご質問であります。区では、雨水の有効利用や流出抑制、水循環に配慮した生活様式の普及を図ることを目的に、区内に居住または事務所を有する方に、雨水タンクの購入費の助成・補助を実施しております。令和4年度には16件の補助実績がございまして、引き続き、周知啓発に取り組んでいるところでございます。具体的には、区のホームページや町会・自治会向けの回覧板のほかに、熱帯環境植物館に雨水タンクの
見本を展示するなど、工夫を凝らして利用促進を図っているところでございます。
続いて、雨水流出抑制対策の取組についてのご質問です。雨水流出抑制対策は、本区において、区をはじめとする公共機関、民間事業者及び住民一人ひとりの全てが行っていく事前の取組であります。流域に関わる全ての人がそれぞれの役割を担うことで、豪雨による河川氾濫の軽減につながるものと考えております。
次は、森林環境譲与税を活用した荒川上流自治体との連携についてのご質問であります。荒川流域の自治体の中には、豊富な森林資源を有し、そうした環境が人間と自然との関わりを多様に示す場となり、環境教育の場、自然体験活動の場となっております。森林環境譲与税の活用につきましては、他の自治体の取組状況や成果を参考にしながら研究をしていきたいと考えています。
次は、水害時の広域避難についてのご質問です。広域避難体制は、救える命である災害関連死亡者を一人でも減少させるため、災害時相互援助協定のネットワークを生かして構築をしてまいりました。この広域避難体制は、首都直下地震以外の災害においても活用することを想定しておりまして、今後、着実な実施に向けまして、財源の確保や詳細な運用について調整を図っていきたいと考えています。また区では、水害対応のタイムラインを作成して、早期の避難を促すとともに、1人では避難することが困難な方について、個別避難計画の作成を進めております。
次は、荒川放水路通水100周年記念事業についてのご質問です。100周年記念事業に関しましては、国土交通省荒川下流河川事務所内に設置されました実行委員会において記念ロゴを制定し、現在、記念イベントの開催を検討しております。記念イベントは通水100年目に当たる令和6年10月12日に開催をする予定でありまして、区では機運醸成のために、河川敷で開催される板橋Cityマラソンやいたばし花火大会などにおいて、記念ロゴや記念グッズを活用する予定であります。今後は100周年記念事業を契機として、関係自治体との連携を深めてまいりたいと考えています。
次は、避難確保計画についてのご質問であります。避難確保計画の策定率は、令和5年5月時点においては56.3%でございましたが、令和5年11月時点においては85.2%でありまして、目標としている100%に向けましては、さらに取組を進めているところであります。各施設には、向上している策定率の公表や具体的な避難訓練の取組内容の周知などを行いまして、避難確保計画の実効性をさらに高めていきたいと考えています。
次は、防災プラスフェアについてのご質問です。昨年度のいたばし防災プラスフェアは会場の規模が小さく、体験コーナーや試験的な取組を限定して実施いたしました。今年度は広大な荒川河川敷を活用して、試験的にドローンによる物資の輸送を初めて実施したほかに、体験コーナーを増設するなど、効果的な取組を実現できたと、このように思っております。一方、一部の参加者からは、荒川河川敷まで駅から遠いなどのご意見も頂いておりまして、かわまちづくり計画の作成に当たっては、河川敷までのアクセスの対応も検討していく必要があると、このように感じております。
次は、災害ケースマネジメントについてのご質問です。中央防災会議においては、防災基本計画が修正され、都道府県など、地方自治体による災害中間支援組織の育成強化や災害ケースマネジメントが明示されております。現在は、内閣府による関連団体等への周知・普及が開始された状況でありまして、官民連携による多様な主体と連携をした被災者支援などの実現に向けて、その動向を注視しているところであります。
次は、安否不明者の公表についてのご質問であります。令和3年7月に静岡県熱海市で発生をした土砂災害の際に、県と市が独自判断で安否不明者の氏名を公表し、情報提供を呼びかけたことが契機となり、指針が公表されたことは認識をしております。災害時の救助に関しましては、生存率が急激に低下する災害発生72時間までの救助が極めて重要でありまして、公表する情報を効果的な救助活動へと結びつけていく方針であると考えます。安否不明者の公表に向けましては、東京都が地域防災計画に位置づけたことを受けまして、区でも改定中の地域防災計画に位置づけていきたいと考えています。
次は、水害ハザードマップの作成についてのご質問であります。区が改定を進めている水害ハザードマップにつきましては、国土交通省のチェックリストを活用しております。また、多くの方々に分かる・伝わることを意識し、国土交通省の水害ハザードマップ作成の手引きと照らし合わせて改定をしているところでございます。
次は、浸水標識の設置の方向性についてのご質問であります。国土交通省のまるごとまちごとハザードマップ実施の手引きにおいては、新たな標識の設置に関しまして、必要な内容を定めております。区が標識を設置するに当たりましては、国の手引きに即して、表示する標識の統一性に留意をして、あらゆる主体に対しまして、分かる・伝わるように取り組んでいく方針であります。
次は、ブラインド型図上訓練についてのご質問です。区内の消防署各所においては、現場での実践力を高めるために、ブラインド型の図上訓練を採用しておりますが、ブラインド型の図上訓練に対する準備が必要であると認識しています。庁内の本部運営訓練では、情報統制訓練などで実践的な訓練を一部導入しておりますが、今後はブラインド型の訓練の実施を視野に入れて取り組んでいきたいと考えています。
次は、BCP等マニュアルの検討についてのご質問であります。地域防災計画を改定した後、業務継続計画(BCP)の実効性をより一層高めるために、BCPの検証・改定を予定しております。その際には、BCPの一部に職員参集や本部運営も含まれているため、それぞれの訓練を踏まえて検証した上で、災害対応力の強化につながるように、BCPを改定していく考えであります。
次は、総合防災訓練についてのご質問であります。総合防災訓練の訓練内容については、初期消火や炊き出し、応急救命などの技術の確実な習得のために、繰り返し行うことが必要な訓練もございます。一方で、VRやARなどの最新デジタル技術を活用して、若年層などをはじめとした幅広い層への働きかけを行い、地域の防災力の底上げにもつながっていると考えています。さらに、近年の災害で生じた新たな課題に対応するため、より実践的な訓練メニューを案内し、実効性が高く、幅広い世代が参加する総合防災訓練の実施につなげてまいりたいと思います。
次は、マンション防災についてのご質問です。区はマンション防災マニュアル作成の手引きを作成しホームページで公開することによって、マンションの防災力の向上を促しております。マンション防災については、改定する地域防災計画に位置づける予定でありまして、他自治体の取組も研究しながらマンション防災の普及方法やアプローチ方法について検討してまいりたいと思います。
次は、区の地域への関わりについてのご質問です。住民防災組織は共助の中核を担う存在であり、区と住民防災組織との緊密な連携は大変重要であると認識しています。そのため、住民防災組織の運営助成をはじめ、多くの助成・補助を行っているとともに、住民防災組織からの要望を受けて、職員が地域の訓練を支援しております。今後も住民防災組織を支援するとともに、さらに連携を強化していきたいと考えています。
次は、自主避難所の開設基準、運用についてのご質問であります。区では、今年の出水期に区民が不安を感じる多量降雨時の状況に応じて、学校や地域センターなどを自主避難所として設置することを試行してまいりました。今後は、試行による課題を整理し、全庁的な体制づくりを含めて、災害発生前でも、区民の安心・安全を確保するという観点から、自主的に避難できる体制を整えてまいりたいと考えています。
次は、リードタイムの適切な利用についてのご質問です。区では、フロントローディングや区の登録商標でもあるReady-Goリストに基づき、いつ誰が何をするかを明確に定めたタイムラインを作成しております。タイムラインは、避難所開設などのトリガーを明確にするとともに、リードタイムも意識して作成をしております。多量降雨時や台風接近時など、タイムラインを発動する前の段階における自主避難所についても、タイムラインの考え方に基づいて、リードタイムを利用した開設時期及び指揮系統や運営方法などを明確化しているものであります。
次は、自主避難所の設置状況についてのご質問であります。防災気象アドバイザーからの情報などを活用して自主避難所の開設を判断しておりまして、適切に対応したと認識をしております。自主避難所は、今年度は試行的に運用してきたことから、運営体制などを精査し、より実効性・継続性のある仕組みとしていく考えであります。
次は、全庁体制の強化についてのご質問です。区は、災害協定締結自治体への支援などを通じまして、被災地に職員を派遣しております。被災地の支援につきましては経験があるが、これまで被災地になった経験はないところであります。経験したことのない災害時におきましては、全庁一丸となって対応することが最も重要であり、改定中の地域防災計画において、改めて全庁体制の強化を進めていく考えであります。
次は、危機管理部署の人員増強についてのご質問です。区では、危機管理の所管組織について、平成18年度に総務部付の課から危機管理室にし、さらに令和3年度からは危機管理部として着実に強化をしてきております。危機管理に関する通常業務につきましては、年間の業務量に基づきまして、適正な職員配置を行うとともに、災害発生時には地域防災計画に基づき、全庁一丸となって対応していく考えであります。
次は、危機管理監の配置についてのご質問です。現在、東京23区のうち3区において危機管理監のポストを設置しております。区では、災害対応力の向上に資するため、危機管理監ではなく、総合防災アドバイザーを設置しております。また、区に特化した気象情報の提供を受けるために、民間事業者に防災気象アドバイザリー支援委託を行っておりまして、危機管理体制の強化を図っているものであります。
最後になります。災害を治める方策についてのご質問です。区では、水害時のタイムラインを作成し、万全の準備を行っているとともに、タイムラインは改定中の地域防災計画の震災編にも適用する予定であります。これまでも被災地にはいち早く職員を派遣し、被災自治体の支援をするとともに、災害関連死亡者ゼロに向けましては、全国初となる広域避難体制を自ら指導し、構築するなど、新たな取組も進めております。災害による被害を最小化するために、今後も万全の準備を行うとともに、仮に災害が発生した場合には、自ら先頭に立って災害対応の指揮をとっていく考えであります。
残りました教育委員会に関する答弁は、教育長から行います。
◎教育長(中川修一) 議長、教育長。
○議長(
田中やすのり議員) 教育長。
〔教育長(中川修一)登壇〕
◎教育長(中川修一) それでは、ひはらみちこ議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
雨水流出抑制対策に関しまして、学校における整備状況と今後の見込みについてのご質問ですが、区立小中学校における雨水流出抑制施設は、区の指導要綱に基づき、これまで学校の改築や長寿命化改修工事を行う際に整備してまいりました。現時点におきまして、雨水の流出抑制対策としまして、校庭に貯留槽・浸透ますなどの貯留・浸透施設を小学校で41校、中学校で17校整備しているところです。今後も、同様に学校の改築等を実施する際に整備を進めてまいります。
頂きました教育に関するご質問の答弁は以上でございます。
○議長(
田中やすのり議員) 次に、木田おりべ議員。
◆木田おりべ 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) 木田おりべ議員。
〔木田おりべ議員登壇〕(拍手する人あり)
◆木田おりべ 議員 自由民主党の木田おりべです。通告に従いまして一般質問を行います。
初めに、消防団への板橋区行政による支援についてお伺いします。
私は、本年8月15日付けをもちまして、志村消防団入団の辞令を拝命し、消防団という地域防災の要に参画し、板橋区の防災に資するため、その活動に参加しているところであります。現在、我が国では大規模災害が頻発しており、今後も我が国内で発生する災害はますます多発化し、首都直下地震などの大規模な災害が予想されるなど、防災への取組が喫緊の課題となっております。これに対応するためには、国や地方公共団体による救助活動や支援物資の提供などの公的支援である公助だけでなく、災害に関する正しい知識の習得などを通して、自分の身は自分で守る自助と、消防団や自主防災組織など地域や近隣の人々が互いに協力し合いながら、いざというときに互いに支え合う共助という3つの働きが一体となって機能することが重要であると考えますが、区長のお考えはいかがでしょうか。自助・共助・公助の働きの中でも、私は自助の部分で、区民の防災意識を向上させることを大前提としながら、特に共助の部分で、消防団をはじめとした地域防災力をさらに向上させる必要があると感じております。地域防災の中核として、共助の中心的役割を担う消防団は、消防署の常備消防と連携する消防機関で非常備消防とも呼ばれ、災害が多発する現在においてますますの活躍が期待されている組織です。特に大規模災害発生時は、被害の範囲が広大となることが予想され、情報収集、避難誘導活動及び災害対応などにおいて、消防署と消防団との情報共有及び連携が重要であると言われております。その消防団を組織する消防団員は、ほかに本業を持ちながらも、権限と責任を有する非常勤特別職の地方公務員として、いざというときには自分たちのまちは自分たちで守るという郷土愛護の精神に基づき、火災の消火、大規模災害時における救助・救出活動、避難誘導、避難所運営、地域の警戒活動など、多様な消防防災活動を行っています。震災など多くの家屋が倒壊するなどの大規模災害が発生した場合、瞬時に全ての住民を救出することは、消防署をはじめとした公的機関による公助の能力では限界があります。そのため、家具などの転倒防止や個人住宅の耐震化、水や食料の家庭での備蓄などの自助が大切であり、そこで活躍するのが、共助の部分の消防団をはじめとした地域防災組織であると考えますが、区長のお考えはいかがでしょうか。
内閣府が公表している阪神・淡路大震災における教訓資料集によれば、初動対応の救出・救助対応において、一般市民・消防団による救出活動も大きく貢献し、特に生存率が高かったと報告されています。一方で、令和4年版の消防白書によれば、消防団員数は年々減少しており、令和4年4月1日現在、前年に比べ、その人数は2万1,299人減少し、78万3,578人となり、初めて80万人を下回る危機的な状況となっているとのことであります。板橋区では、板橋消防団及び志村消防団が存在し、活動しています。板橋区地域防災計画震災編及び同風水害編では、多くの部分で消防団に関する記述があり、基本的考え方として、消防団の初期消火力の強化や、目標を達成するための主な対策の中に消防団活動体制の充実により、災害活動力を向上などの記述があるほか、首都直下地震などによる東京の被害想定を踏まえた課題として、抜粋ではありますが、被害を抑制するとともに、発災後の生活を継続するためには消防団などによる共助の体制整備を一層促進する必要がある、とも記述されています。これらを踏まえた上で、本計画中、区民と地域の防災力向上の章の中では、区は、消防団員の確保や補助などにより消防団の活動支援を行っていると記述されており、板橋区行政による消防団への支援は行われているものと認識しております。区の所管部署にお伺いしたところ、板橋区行政として、消防団員等福祉共済への消防団員の共済掛金支出、各消防団への補助金支出及び備品支給を行っており、消防団員入団促進施策として、区のウェブサイト上で消防団入団の募集を行っているほか、区内各種イベントで入団案内のチラシを配っているとのことでした。また、過去には板橋区へ転入届を提出された方々に対し、区の窓口において消防団入団のご案内もしていたとのことですが、今後の消防団入団案内をはじめとした各種支援はいかがお考えでしょうか。区長のお考えをお聞かせください。
続いて、ドライブレコーダーとAIを活用した道路保全DXについてお伺いします。
板橋区内には高速道路、国道、都道並びに徳丸槙の道及び蓮沼アスリート通りなどの愛称で親しまれている道路をはじめとした多くの区道があります。特に区道については、板橋区が管理者となり、新設・改築、維持・修繕を行っていると認識しております。国土交通省による定義で、道路は人や地域を相互につなぎ、日常生活や観光などの人の移動と生活物資や農林水産品、工業製品などの物の輸送を支えるという、人・地域をつなぐネットワークの機能、地域・まちの骨格をつくり、環境景観を形成し、日々の暮らしや経済活動などを支える環境を創出する、地域・まちを創る空間の機能に大別されます。そのため、道路を新設・改築するということは、それら機能を発展させることにつながり、道路を維持・修繕するということは、それら機能を保全するということにつながるものと思料しますが、区長のお考えはいかがでしょうか。
現在、板橋区では、路面の陥没、ひび割れなどの状況や平たん性について、巡回による職員の目視または区民などの通報により認知し、現場確認後に必要に応じて修繕を行っていると伺っており、この道路保全についても、官民一体となったDXを活用することにより、業務改善や効率化が見込まれるのではないかと思料します。DXに関する法的・政策的側面を考えると、官民データ活用推進基本法によれば、地方公共団体は、官民データ活用に資するため、相互に連携して、自らの情報システムに係る規格の整備及び互換性の確保、業務の見直し、その他の必要な措置を講ずるものとするとあるほか、デジタル手続法では、デジタル技術を活用し、行政手続などの利便性の向上や行政運営の簡素化・効率化を図るため、民間サービスを含め、複数の手続・サービスをワンストップで実現するコネクテッド・ワンストップが求められています。また、自治体DX推進計画によれば、自治体の情報システムの標準化・共通化、自治体のAIの利用推進についての記述があり、内閣官房IT総合戦略室、IT新戦略の概要によれば、Society5.0時代にふさわしいデジタル化の条件として、効率化の追求を目指したデジタル化やデータの資源化と最大活用につながるデジタル化が示されています。板橋区においても、いたばし№1実現プラン2025の中では、重点戦略の1つとしてDX戦略を掲げており、板橋区ICT推進・活用計画2025では、官民の連携を強化しながら、ICTをさらに推進し、積極的なデジタル化を進めることで業務の効率化につなげていくとの記述がなされています。現在、民間ではドライブレコーダーとAIを活用したシステムによる路面診断技術を自治体などに提供している幾つかの企業があります。その中の1つの技術を例に挙げれば、ドライブレコーダーの動画と加速度データを位置情報とともにクラウドに蓄積し、AIがデータ解析を行い、路面のひび割れ、平たん性、穴やへこみを自動的に検知することで路面診断を効率的に行うものがあります。国土交通省近畿地方整備局近畿インフラDX推進センターの近畿インフラDX通信によると、神戸市が令和2年度からこの技術を活用しているそうです。また、千葉市では、道路損傷などの様々な課題をICTを使って市民がレポートする、ちばレポという平成26年から導入した既存のシステムを更新する際、東京大学が中心となり、複数の自治体などが実証実験に参画し、開発してきたMy City Reportを平成31年4月に導入しました。My City Reportは、ちばレポにAIを活用した道路舗装損傷の自動検出などの機能を追加したもので、公用車などに搭載するスマホで道路舗装を撮影し、AIで損傷箇所を自動検出してシステムに送信する機能です。My City Reportは、令和元年度から共同運営のコンソーシアムにより運営が開始され、複数の自治体で同じシステムを利用することにより、利用経費の削減を実現しているそうです。なお、このMy City Reportは、令和4年度から東京都でも導入されており、都道全域で活用されているほか、東京23区では、千代田区、港区、品川区、大田区及び葛飾区でも区道を対象に本格運用されており、試行運用を行っている区もあります。その他全国でも複数の自治体が導入などをしている状況です。板橋区には、区内全域をパトロールする青色防犯パトロールカーや各種の公用車があり、これに搭載するドライブレコーダーなどを活用することは現実的であると考えます。板橋区でも、業務の改善と効率化のために、ドライブレコーダーとAIを活用した道路保全DXを推進するよう提案しますが、いかがでしょうか。
続いて、板橋区子ども家庭総合支援センターについてお伺いします。
板橋区は区民が安心して子どもを産み育て、子どもが健やかに成長し、自立できる環境の形成に資することを目的として、平成13年に子ども家庭支援センターを設置し、家庭における子育て及び子どもの健全な育成の支援を行ってきたと認識しております。その後、国による児童福祉法の改正を経て、特別区においても児童相談所を設置できることとなり、板橋区に児童相談所と子ども家庭支援センターの機能を併せ持つ、板橋区子ども家庭総合支援センターが設置されました。その中で、本年6月の企画総務委員会でのご答弁や資料によれば、子ども家庭総合支援センターについては、区の児童相談所としての事務フローがまだ安定していない中、昨年度の超過勤務時間数において、国が定めている限度である360時間を超える板橋区の職員数が全体で132人いたところ、子ども家庭総合支援センターにおいては、全体の24%弱に当たる32名とのことでした。これは、児童相談所の開設が昨年7月ということで、その設置準備やスタート直後の体制確立のために、昨年度は特別に繁忙期であったことは理解しております。その上で、前出の企画総務委員会でのご答弁では、この状況を改善するために、区では今年度から子ども家庭総合支援センターの職員定数を7名増員し、状況を見守り、
会計年度任用職員についても加配しているということで、選ばれる職場となるためには一定の職場環境の配慮が必要で、状況については随時見ていくということでしたが、現在の状況はいかがでしょうか。子ども家庭総合支援センターの開設から1年以上経過した現在でも、国の基準以上の児童福祉司及び児童心理司などの職員配置を行っているとはいえ、いまだ職員の負担が大きいという声も聞こえてきます。職員が疲弊していれば、全ての子どもの健やかな成育を切れ目なく支援する子ども・家庭、地域の子育て機能の総合支援拠点を基本方針に掲げ、子どもの最善の利益を最優先とし、希望に満ちた未来の実現を目指すという子ども家庭総合支援センターの設置目的を果たせないのではないでしょうか。子ども家庭総合支援センターの超過勤務時間数の状況及び現在取り組まれている職場環境の配慮についてお答えください。
先日、子ども家庭総合支援センターを視察した際、所長を先頭に職員の方々が、専心その職務に精励されている姿と比類なき施設の充実を目の当たりにするとともに、近隣の子どもたちにも親しまれているエントランスのお話を伺い、板橋区の子育て施策の充実性を改めて強く感じました。一方で、面談室をはじめとした利用者向けの部屋面積は充実しているものの、職員の執務室が手狭と感じました。これは先行自治体を参考としたり、当初の人員定数に応じて設計されたりしたものと思料しますが、今後の国の基準などの変更により、人員がさらに増強されることも十分考えられ、今後の執務室の改善に関する具体的な施策があればお示しください。また、視察の際に聞き取りをしたところ、その業務の特質上、人員の増強が必ずしも職員の負担軽減につながらないことや経験が浅い職員が多いことを伺いました。そのことに鑑みると、職員の負担を軽減させるためには、職員の経験を育むために職員のスキルアップの施策を取ることが必要と思料します。そこで、職員のスキルアップについては、任用前後の研修及び法定研修を受けさせているとのことでしたが、ほかに具体的なスキルアップに関する施策をお考えであればお示しください。全ての子どもの健やかな成育を切れ目なく支援する子ども・家庭、地域の子育て機能の総合支援拠点という基本方針にのっとるため、区には、職員が働きやすい職場環境への配慮をお願いしたいと存じます。
続いて、共同親権についてです。
現在、法務大臣の諮問機関である法制審議会において、家族法制部会が離婚後の単独親権制度を改正する方向で共同親権などについて検討を進めており、令和6年1月末頃までに要綱案の取りまとめが目指されています。このことから、将来的に我が国でも共同親権が制度化された場合、板橋区行政でも様々な対応が必要になると思われるため、この共同親権についてお伺いします。現在の我が国では、子が未成年の場合、婚姻中は父母が共同して親権を行使しますが、離婚した際は、父母のいずれか一方に親権を定め、他方には親権を認めない単独親権が採用されています。一方で、離婚後の父母双方に親権を定めるものが共同親権であり、法務省によるG20を含む海外24か国の法制度や運用状況の基本的調査によると、インドとトルコ以外は全て離婚後の共同親権が認められています。厚生労働省の令和4年人口動態統計では、我が国での令和4年の離婚件数は17万9,099組であり、親が離婚した未成年の子の数は16万1,902人、離婚後に母親が親権を持つ割合は9割近くに上ります。厚生労働省の令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告によると、ひとり親世帯の中でも、母子家庭の場合、平均年間就労収入は236万円となり、父子家庭の場合の496万円と比較し、相対的に厳しい経済状況にあることがうかがえます。また、厚生労働省の平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告によると、離婚後の養育費の取り決めをした割合は、母子家庭で42.9%、父子家庭で20.8%ですが、養育費を支払われている割合は、母子家庭で24.3%、父子家庭では3.2%となっています。また、子どもと定期的・継続的に会って話をしたり、一緒に遊んだり、電話や手紙などの方法で交流したりする親子交流の取り決め率は、母子家庭で24.1%、父子家庭で27.3%ですが、親子交流を行っている割合は、母子家庭で29.8%、父子家庭で45.5%となっています。離婚後も父母双方が子育てに関わることが、子の利益の観点から重要であるとされていますが、これら調査の結果を総合すると、現状では養育費の支払い率や親子交流の実施率は低く、また経済的に厳しい母子家庭で成長する子どもが多いと考えられます。単独親権制度は、子育ての意思決定をしやすい反面、親権を失った親が養育に関わりにくく、子どもとの交流が断たれるケースも少なくない状況です。1980年に採択されたハーグ条約は、一方の親の同意なく子どもを元の居住国から出国させるといった子どもの不法な連れ去りなどを禁止した条約ですが、日本もこれに2014年に署名、締結、発効しました。そのような中で、自身の子どもを連れ出し、子どもを片方の親に会わせないという日本で聞かれる事例が、国際社会からは、拉致・誘拐とみなされ、子どもの最善の利益の観点から到底許されないとされています。また、我が国では子の親権を得るために、多くの場合は互いの監護能力の有無を主張し合ったり、監護実績をつくるために子どもとの同居を確保し、一方の親に会わせない、あるいは子どもを連れ去ったりするといった事態が生じるなど、激しい親権争いに発展する場合があり、それを目の当たりにすることは成長過程の子どもにとってはよくない状況と言えます。また、2011年の大正大学カウンセリング研究所紀要の青木聡氏著、面会交流の有無と自己肯定感/親和不全の関連についてによると、別居親と親子交流をしていない子どもは自己肯定感が低くなり、親和不全が高くなる傾向にあるとされ、離婚後ないし別居中の子育てにおける親子交流の重要性が述べられています。子どもは親同士が離婚しても、親子である事実は不変であり、子どもは父母双方から愛情や支援を受け取り、経済的にも精神的にも豊かな人生を歩む権利があります。先述のとおり、単独親権制度では、片親からの支援しか受けられない場合が多い状況です。そのため、私は我が国でも子どもの権利を尊重することを第一として、共同親権を採用し、子どもが父母双方から精神的・金銭的支援を受けられるようにすることが望ましいと考えます。
一方で、共同親権を採用するに当たり、DV・虐待などの被害を助長するという意見もあります。そのため、法制審議会では、DV・虐待などの特殊事情がある場合は、裁判所などの第三者が仲介役となって適正に判断し、状況に応じて単独親権を選択できる提案もなされています。そのことを踏まえて、今月開かれた法制審議会では、調停離婚の場合は、裁判所が子どもの利益の観点から、父母双方または一方を親権者として指定するものとし、協議離婚の場合は、父母の協議により父母双方または一方を親権者として指定可能とするも、不適正な形での合意は裁判所が是正するものとする要綱案を取りまとめることを目指して議論中です。また、併せて養育費、親子交流、養子縁組及び財産分与に関する制度の見直しについても議論されています。一方で、今述べた法制審議会の提示した最新の親権制度案では、特に協議離婚の場合に、共同親権と単独親権を父母が協議の上で選択できることとなり、そこに最も重視すべき子どもの意思が介在していないため、実質骨抜きとの指摘もあり、離婚後は父母双方を親権者とし、一定の要件を満たす場合に限り父母の一方を親権者と定めることを可能とする、原則共同親権にすべきとの意見があります。なお、令和3年度に内閣府が行った世論調査では、父母双方が離婚後も子どもの進路などの未成年の子の養育に関する事項の決定に関わることは、子どもにとって望ましいと思うかとの問いに、どのような場合でも望ましいと答えた方の割合が11.1%、望ましい場合が多いと答えた方の割合が38.8%、特定の条件がある場合には望ましいと答えた方の割合が41.6%、どのような場合でも望ましくないと答えた方の割合が5.7%という結果になっており、程度や条件の差はあれども、離婚後に父母双方が子どもの養育に関わることに好意的な方の割合は91.5%となっています。以上のことから、離婚後も子どもが両親から物心ともに愛情を受け取る権利を守ることを第一として、子どもの最善の利益を考慮する、父母双方が子どもを養育する責務を負う、これらのことを考えれば、やはり私は先述の原則共同親権を我が国が採用することが妥当と考えますが、区長のお考えはいかがでしょうか。私としましては、法制審議会が離婚後単独親権制度を改正する方向で議論を進めている中、行政としても、共同親権が制度化された場合の対応を想定した庁内検討などを積極的に進めていただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
続いて、障がい者向け移動支援事業の拡充についてお伺いします。
板橋区では、屋外での移動が困難な障がい者に対する外出のための支援を行うことにより、地域における自立生活及び社会参加を促すことを目的とする板橋区移動支援事業が行われています。この事業は、社会生活上必要不可欠な外出、余暇活動などの社会参加のための外出の際の移動を支援するもので、原則自宅を起点・終点とし、個別的支援が必要な方1人に対し、原則として介助者1人が付き添うマンツーマンによる支援となっています。この支援事業について、先日、板橋区内の放課後デイサービスを行う事業者の方からご相談がありました。内容としては、自宅から就労場所間の往復で移動支援を利用できるようにしてほしいというものでした。きっかけは、当該デイサービスに通う知的障がい者の方が、自宅から就業する福祉工場まで毎回自力で通勤していたところ、ある日てんかんを発症したため、保護者の方がその方を自力で通勤させることが不安となり、福祉事務所に移動支援の利用を相談したところ、移動支援は原則として自宅から自宅までの支援であり、自宅から就労先までの支援はできないため、移動支援ではなく、送迎のある就労場所を探すよう言われたとのことでした。そもそも本事業については、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律を根拠とし、板橋区ではその実施根拠を条例ではなく要綱として定めているものであります。本要綱では、通勤、営業活動などの経済活動に係る外出は、就職後1週間以内の通勤を除いて対象外となっておりますが、先述のとおり、本事業の目的は、障がい者の地域での自立生活及び社会参加を促すことであり、その社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動などの社会参加のための外出を支援するものであります。障がい者が自立かつ社会参加を目指し、社会生活上必要不可欠な労働を目的とした通勤のための外出をする際の支援は、本事業の目的に合致しているものと考えます。特に移動支援は自治体ごとの判断で実施されるものであり、かつ要綱というものは条例と異なり、行政機関の内部規律として行政指導を行うための一般的な基準や職員の業務執行上必要な細目的事項などを定めるものであるため、区民の権利義務に関係する法規としての性質は有さず、条例と比較して改正しやすいものと認識しております。区長には、障がい者の日常生活及び社会生活への支援への考え方及び移動支援が原則自宅を起点・終点にしている理由をお伺いするとともに、ぜひとも移動支援対象に、自宅から福祉就労先などを起点・終点にするといった移動支援の拡充を求めますが、いかがでしょうか。
続いて、健康福祉センター内の洋式トイレへの改修などについてお伺いします。
先日、数年前にご出産経験のある区民の方から健康福祉センターの洋式トイレを増やしてほしいとのご相談がありました。理由として、その方が妊娠中、妊婦面接を受けるために近隣の健康福祉センターに訪問した際、トイレを使用したそうですが、洋式トイレが満室であったため、おなかが張った状態で空いていた和式トイレを使用するしかなく、大変苦しい思いをしたからとのことでした。総務省統計局の平成20年住宅・土地統計調査によると、我が国の住宅全体に占める洋式トイレの住宅の割合は89.6%となっており、公共場所でも必然的に洋式トイレを選択して使用する、あるいは使用可能な方が多いと推測できます。和式トイレはかがんで使用するため、おなかが張った状態の妊婦の方が使用する際は苦しさを伴います。そのため、ご相談者のように、妊婦の方であれば、和式トイレよりも洋式トイレを選択する方が多いのではないかと思料します。また、平成19年に厚生労働省からの委託を受けて、財団法人女性労働協会が提出した、事業所における妊産婦の健康管理体制に関する実態調査報告書を抜粋して参考にすれば、妊娠中に仕事中つらかったことの内容に和式トイレの使用が挙げられています。一方、和式トイレを優先的に選択する方もおられることは承知しておりますが、洋式トイレと和式トイレを混在させつつも、健康福祉センターのように、妊婦の方が度々訪問する施設の場合は、必然的に妊婦の方が使用することを想定して、洋式トイレを充実させることが望ましいと思料します。区の所管部署に確認したところ、5つある健康福祉センターのうち、1つは全て洋式トイレ、ほかの4つの健康福祉センターには洋式トイレ及び和式トイレが整備されており、総じて洋式トイレが和式トイレよりも多く設置されていますが、今後の施設整備計画などの機会に併せて、健康福祉センターに洋式トイレをより充実させるため、一部の和式トイレを洋式トイレへ改修、あるいは面積が許せば洋式トイレを増設していただくよう要望しますが、いかがでしょうか。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手する人あり)
◎区長(坂本健) 議長、区長。
○議長(
田中やすのり議員) 区長。
〔区長(坂本 健)登壇〕
◎区長(坂本健) それでは、木田おりべ議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、自助・共助・公助の重要性についてのご質問であります。過去の災害の教訓からも、災害時における行政の対応には限界があります。区民自らできることを考え、対策を講じておく自助と、災害時に地域で助け合う共助と、区が行う公助は、緊密に連携していくことが大変重要であると考えております。今後も様々な取組を通じまして、区民や地域、消防団及び区のそれぞれの責務や役割を明確化していくことによって、自助・共助・公助が相互に連携できる体制を推進していきたいと考えています。
次は、消防団をはじめとした地域防災力についてのご質問であります。区では、住民防災組織の訓練を支援するなどの取組の中で、地域との連携や自助・共助の強化を図っております。消防団は共助の中核を担う存在でありまして、消防団をはじめとした地域防災力の強化は大変重要であると認識をしております。
次は、消防団への各種支援についてのご質問であります。特別区においては、消防組織法の規定により、消防団の事務を東京消防庁が担っております。区では、板橋・志村両消防団に対し、運営経費の補助や装備品の支給、分団施設整備における区有地の貸出しなどの支援を行っております。引き続き、これらの支援を継続しつつ、新たに区民防災大学参加者に入団案内を配布するなど、消防署と連携をしながら、消防団への入団につながる取組を強化していきたいと考えています。
次は、道路の新設・改築と維持・修繕に対する認識についてのご質問であります。国内とりわけ首都圏の道路ネットワークの整備は、板橋区を含めた首都東京の均衡ある発展に寄与するものと考えます。この骨組みとなるのが、環状メガロポリス構造でありまして、区におきましても、その一翼を担うものとして、都市計画道路の補助線街路の整備を進めております。また、東京の交通ネットワーク形成に向けましては、関係自治体と共に、道路整備事業促進大会など都市レベルの活動と併せまして、生活道路の維持・管理の一層の充実に努めているところであります。
次は、道路保全業務のDX推進についてのご質問であります。区は、測量や設計のCIM化など、道路事業のDX化の検討を積極的に進めておりまして、保全業務においても、令和3年度にロードマネージャーの実験運用を実施しております。また通報システムは、平成26年度の千葉市への訪問調査を皮切りに、先行自治体への調査や、昨年度も職員による技術研究会において具体的な研究を行うなどをして、将来性や現状における課題がほぼ明らかになっているところでもあります。課題といたしましては、路面調査においては異常の認識精度が、また通報システムにおいては交通規制など、他機関への要望処理等が抽出されておりまして、現在実用化に向けた課題解決に取り組んでいるところでございます。
次は、子ども家庭総合支援センターに関連いたしまして、現在の職員配置の状況についてのご質問であります。児童福祉司等の相談支援業務を担う職員は、支援課・援助課に45名、児童心理司等の心理職は援助課・保護課に20名配置をしております。出産・育児休暇を取得する職員もおりまして、令和5年11月には、育休代替職員等として3名の行政補助員を増員するなど、職員の状況に応じまして、必要な対応を行っているところでございます。
次は、超過勤務時間の状況と職場環境の配慮についてのご質問であります。子ども家庭総合支援センター職員の超過勤務について、令和4年度は開設期の繁忙等もございまして、年間360時間を超える職員が3課において32名ございました。こうした状況を受けまして、今年度より豊富な経験を有するスーパーバイザーを任期付職員として3名採用したほかに、経験者採用等により増員を図ったところでございます。その他、産業医や健康管理担当の保健師との面談を子ども家庭総合支援センターで実施をできるようにするなど、職員のメンタルヘルスケアにも取り組んでいるところでございます。
続いて、執務室の改善に関する施策についてのご質問であります。児童福祉司や児童心理司等の必要数は、毎年公表される児童虐待相談対応件数等に応じて算出されるため、件数が増加するほどに必要な職員数も増加することとなります。子ども家庭総合支援センター職員の執務室については、職員の増加に応じまして、座席の追加やレイアウトの変更等に取り組んでいるところでございます。今後も増員する場合においては、限られたスペースの有効活用を図り、職員が快適に勤務できる環境の確保に努めてまいりたいと考えています。
次は、職員のスキルアップに関する施策についてのご質問であります。児童福祉司や児童心理司等の専門職の育成につきましては、特別区職員研修所が実施する法定研修などのほかに、区独自で研修を実施し、必要な知識を習得しております。また、児童心理司が専門的な親子支援プログラム等を実施できるよう、外部の専門機関が実施する研修を受講するなど、スキルアップにも取り組んでいるところでございます。さらに、豊富な児童相談所経験を持つ任期付職員や
会計年度任用職員がスーパーバイザーとして経験の浅い職員へ様々な助言を行うなど、OJTの充実による人材育成にも取り組んでいるところでございます。
次は、共同親権についてのご質問です。共同親権につきましては、国の法制審議会の部会であります家族法制部会において議論が進められていることは承知しております。今後も国の動向を注視しながら、法制度が変更される場合におきましては、適切に対応していきたいと考えています。
次は、障がい者への支援に対する考え方についてのご質問です。障がい者の日常生活及び社会生活への支援は、地域で安定して生活していくため、必要不可欠なものと考えます。
次は、移動支援の範囲についてのご質問です。移動支援事業は、自力での移動が困難な障がい者に対し、日常生活を送る上で必要な外出や社会参加のために必要な外出などの際、介助者を派遣して支援する事業であります。利用者の安全を確保するため、自宅を出発してから帰宅するまでの全ての行程で支援を継続するものとなっております。
続いて、移動支援の対象の拡大についてのご質問であります。移動支援事業については、ご指摘のとおり、勤務先への移動については経済活動とみなされるために対象となっていないところでございます。現時点でこの運用を改める予定はございませんが、課題は認識をしておりまして、今後の国などの動向について注視していきたいと考えています。
最後になります。健康福祉センター内の洋式トイレへの改修などについてのご質問であります。現状5か所の健康福祉センターにおけるトイレの洋式化率は、78%となっております。一方で、乳幼児から高齢者まで、様々な年齢層が窓口へ来所される健康福祉センターにおいては、他の利用者が使用した便座への接触を避けられる和式の利用を望まれる区民も一定数存在する状況もございます。トイレの洋式化につきましては、各健康福祉センターの改修の時期を捉えて、和洋のバランスを一定程度考慮しながら整備を進めていく考えであります。
頂きました質問に対する答弁は以上でございます。
○議長(
田中やすのり議員) 以上で、ひはらみちこ議員、木田おりべ議員の一般質問を終了いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△延会の決定と次回日程の報告
○議長(
田中やすのり議員) 会議の途中でありますが、この際、お諮りいたします。
一般質問の通告をされた方が5名残っておりますが、議事運営の都合により、本日の会議時間をこの程度にとどめ、明11月29日に会議を延会し、一般質問を引き続き行うことにいたしたいと存じますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と言う人あり〕
○議長(
田中やすのり議員) ご異議がないものと認めます。
よって本日の会議はこれをもって終了し、11月29日に会議を延会することに決定いたしました。
次の会議は、11月29日午前10時に開会いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△延会の宣告
○議長(
田中やすのり議員) 本日はこれをもって延会いたします。
午後5時30分延会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
以上相違なきを認めここに署名する
会 議 録 署 名 議 員
議 長 田 中やすのり
12番 横 川たかゆき
22番 小 野 ゆりこ...