令和 6年 2月 定例会(第1回) 東京都北区議会会議録第二号(第一回定例会) 令和六年二月二十六日(月)(午前十時
開議)----------------------------------- 出席議員(四十人) 一番 山中りえ子 二番 佐藤つかさ 三番 濱田知明 四番 福田光一 五番 加藤みき 六番 佐藤こと 七番 さいとう尚哉 八番 安達しんじ 九番 せいの恵子 十番 宇都宮ゆり 十一番 永井朋子 十二番 野口将人 十三番 坂口勝也 十四番 すどうあきお 十五番 くまき貞一 十六番 佐藤かずゆき 十七番 金田よしあき 十八番 平田りさ 十九番 仲田みずき 二十番 本田正則 二十一番 野々山 研 二十二番 山崎たい子 二十三番 近藤光則 二十四番 宮島 修 二十五番 ふるたしのぶ 二十六番 小田切かずのぶ 二十七番 坂場まさたけ 二十八番 松沢よしはる 二十九番 竹田ひろし 三十番 石川さえだ 三十一番 花見たかし 三十二番 赤江なつ 三十三番 青木のぶえ 三十四番 うすい愛子 三十五番 青木博子 三十六番 いながき 浩 三十七番 大沢たかし 三十八番 永沼かつゆき 三十九番 渡辺かつひろ 四十番 戸枝大幸 出席説明員 区長 山田加奈子 副区長 中嶋 稔 (し
ごと連携担当室長事務取扱) 副区長 犬飼 武 (
都市拠点デザイン担当部長事務取扱) (鉄道駅
関連プロジェクト担当部長事務取扱) 政策経営部長 藤野浩史 総務部長 中澤嘉明 (新
庁舎整備担当部長兼務) 危機管理室長 小宮山庄一 地域振興部長 松田秀行 区民部長 早川雅子 生活環境部長 雲出直子 福祉部長 村野重成 健康部長 尾本光祥 (健康部参事(地域保健担当)兼務) (北区保健所長兼務) まちづくり部長 寺田雅夫 土木部長 岩本憲文 会計管理室長 関根和孝 総務部 総務課長 内山義明 教育委員会 教育長 清正浩靖 教育振興部長 小野村弘幸 子ども未来部長 筒井久子 議事日程 第一号日程第一 第四号議案 東京都北区
デジタル推進条例日程第二 第五号議案 東京都北区子どもの権利と幸せに関する条例日程第三 第六号議案 東京都北区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例日程第四 第七号議案 東京都北区職員定数条例の一部を改正する条例日程第五 第八号議案 東京都北区議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部を改正する条例日程第六 第九号議案 東京都北区長等の給料等に関する条例の一部を改正する条例日程第七 第十号議案 東京都北区監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例日程第八 第十一号議案 東京都北区立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例日程第九 第十二号議案 東京都北区定住化基金条例を廃止する条例日程第十 第十三号議案 東京都北区
住宅管理基金条例の一部を改正する条例日程第十一 第十四号議案 東京都
北区立図書館設置条例の一部を改正する条例日程第十二 第十五号議案 東京都
北区立区民センターの設置及び管理の基本に関する条例の一部を改正する条例日程第十三 第十六号議案 東京都北区特定教育・保育施設及び
特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例日程第十四 第十七号議案 東京都北区
子ども家庭支援センター条例の一部を改正する条例日程第十五 第十八号議案 東京都
後期高齢者医療広域連合規約の変更に関する協議について日程第十六 第十九号議案
特別養護老人ホーム清水坂あじさい荘大
規模改修給排水衛生設備工事請負契約日程第十七 第二十号議案 特別区道路線の認定について日程第十八 第二十一号議案 東京都
北区立中里保育園の指定管理者の指定について日程第十九 第二十二号議案 令和五年度東京都北区
一般会計補正予算(第七号)日程第二十 第二十三号議案 令和五年度東京都北区
国民健康保険事業会計補正予算(第二号)日程第二十一 第二十四号議案 令和五年度東京都北区
介護保険会計補正予算(第二号)日程第二十二 第二十五号議案 令和五年度東京都
北区後期高齢者医療会計補正予算(第二号)日程第二十三 第二十六号議案 令和六年度東京都北区
一般会計予算日程第二十四 第二十七号議案 令和六年度東京都北区
国民健康保険事業会計予算日程第二十五 第二十八号議案 令和六年度東京都北区
介護保険会計予算日程第二十六 第二十九号議案 令和六年度東京都北区
後期高齢者医療会計予算
○議長(大沢たかし議員) おはようございます。 ただいまから、令和六年第一回東京都北区議会定例会を開会します。 これより本日の会議を開きます。 この際、会議時間の延長をしておきます。 まず、会議録署名議員を定めます。 本件は、会議規則第百十五条の規定により、議長から指名します。 五番、加藤みき議員、二十五番、
ふるたしのぶ議員にお願いします。
-----------------------------------
○議長(大沢たかし議員) 次に、書記から諸般の報告をさせます。 (書記朗読)五北総総第五千三百五十号令和六年二月十九日 東京都北区長 山田加奈子 東京都北区議会議長 大沢たかし殿 東京都北区議会定例会の招集について 令和六年二月十九日付東京都北区告示第百十号をもって令和六年第一回東京都北区議会定例会を二月二十六日に招集したので通知します。
-----------------------------------(写)東京都北区告示第百十号 令和六年第一回東京都北区議会定例会を左記のとおり招集する。令和六年二月十九日 東京都北区長 山田加奈子 記一 日時 令和六年二月二十六日 午前十時一 場所 東京都北区
議会議場-----------------------------------五北総総第五千三百五十三号令和六年二月十九日 東京都北区長 山田加奈子 東京都北区議会議長 大沢たかし殿 議案の送付について 令和六年第一回東京都北区議会定例会へ提出するため、左記議案を送付します。 記第四号議案 東京都北区
デジタル推進条例第五号議案 東京都北区子どもの権利と幸せに関する条例第六号議案 東京都北区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例第七号議案 東京都北区職員定数条例の一部を改正する条例第八号議案 東京都北区議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部を改正する条例第九号議案 東京都北区長等の給料等に関する条例の一部を改正する条例第十号議案 東京都北区監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例第十一号議案 東京都北区立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例第十二号議案 東京都北区定住化基金条例を廃止する条例第十三号議案 東京都北区
住宅管理基金条例の一部を改正する条例第十四号議案 東京都
北区立図書館設置条例の一部を改正する条例第十五号議案 東京都
北区立区民センターの設置及び管理の基本に関する条例の一部を改正する条例第十六号議案 東京都北区特定教育・保育施設及び
特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例第十七号議案 東京都北区
子ども家庭支援センター条例の一部を改正する条例第十八号議案 東京都
後期高齢者医療広域連合規約の変更に関する協議について第十九号議案
特別養護老人ホーム清水坂あじさい荘大
規模改修給排水衛生設備工事請負契約第二十号議案 特別区道路線の認定について第二十一号議案 東京都
北区立中里保育園の指定管理者の指定について第二十二号議案 令和五年度東京都北区
一般会計補正予算(第七号)第二十三号議案 令和五年度東京都北区
国民健康保険事業会計補正予算(第二号)第二十四号議案 令和五年度東京都北区
介護保険会計補正予算(第二号)第二十五号議案 令和五年度東京都
北区後期高齢者医療会計補正予算(第二号)第二十六号議案 令和六年度東京都北区一般会計予算第二十七号議案 令和六年度東京都北区
国民健康保険事業会計予算第二十八号議案 令和六年度東京都北区
介護保険会計予算第二十九号議案 令和六年度東京都北区
後期高齢者医療会計予算-----------------------------------五北総総第五千三百七十三号令和六年二月二十六日 東京都北区長 山田加奈子 東京都北区議会議長 大沢たかし殿 地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、和解及び損害賠償額の決定に関する報告について このことについて、地方自治法第百八十条第二項に基づき、別紙のとおり報告します。
----------------------------------- 専決処分調書(区民部) 件名
奨学資金貸付金返還金に係る訴えの
提起専決処分年月日訴訟の目的の価額相手方事件の概要令和五年九月二十八日 三十万円江東区在住区民(被告) 東京都北区
奨学資金貸付条例に基づき貸付けを行った奨学資金について、平成二十二年四月以降、正当な理由なく相手方からの返還が滞っている。
再三にわたる催告にもかかわらず、相手方が応じないため、滞納している奨学資金貸付金の返還を求めて訴訟の提起を行うものである。(地域振興部) 件名 赤羽体育館花壇の破損に関する
和解専決処分年月日決定額相手方事故の概要令和五年九月二十九日 四十五万四千三百円埼玉県川口市在住市民 令和五年七月十六日、赤羽体育館において、相手方が運転する車両が、敷地内の花壇を破損した。
なお、本件は、区の損害額について相手方から支払いを受けるものである。(地域振興部) 件名
パノラマプール十条台入口のガラスの破損に関する
和解専決処分年月日決定額相手方事故の概要令和五年十月十六日 九十三万五千円北区王子在住区民 令和五年八月十四日、パノラマプール十条台において、相手方が入口のガラスを破損した。
なお、本件は、区の損害額について相手方から支払いを受けるものである。(地域振興部) 件名 北区
セレモニーホール玄関庇の破損に関する
和解専決処分年月日決定額相手方事故の概要令和五年十月二十日 三万九千六百円東京都新宿区四谷三栄町十一番二十号
東礼自動車株式会社 令和五年九月十四日、北区
セレモニーホールにおいて、相手方が運転するバスが玄関庇に接触し、玄関庇を破損した。
なお、本件は、区の損害額について相手方から支払いを受けるものである。(地域振興部) 件名 区掲示板(王子四丁目)破損事故に関する
和解専決処分年月日決定額相手方事故の概要令和五年十月二十五日 二十一万三千二百九十円広島県広島市西区商工センター一丁目一番四十六号
丸井産業株式会社 令和五年七月二十六日、北区王子四丁目五番において、相手方が運転する車両が後退した際に、区掲示板に接触し、掲示板を破損した。
なお、本件は、区の損害額について相手方から支払いを受けるものである。(地域振興部) 件名 ふるさと北区区民まつりでの
折りたたみテーブル破損に関する
和解専決処分年月日決定額相手方事故の概要令和五年十一月二十一日 支出額
一万六千五百円東京都中央区銀座三丁目十番六号マルイト銀座第三ビル
山王スペース&
レンタル株式会社 令和五年十月七日、飛鳥山公園において、ふるさと北区区民まつりの設営作業中、相手方の所有する
折りたたみテーブルを破損した。(福祉部) 件名 介護保険料の遡及賦課誤りに関する和解(令和五年十一月分)
専決処分年月日決定額相手方事故の概要令和五年十一月二十四日 支出額
三千九百円から
二十一万三十五円
(総額)
百三十四万千五百二円介護保険被保険者
三十一名 税の修正申告等により介護保険料の過年度賦課変更があった場合の処理を行う
介護保険システムに設定誤りがあり、対象者に介護保険料を過大な金額で賦課した。(福祉部) 件名 北区
心身障害者福祉手当の未支給に係る和解(令和五年十一月分)
専決処分年月日決定額相手方事故の概要令和五年十一月三十日 支出額
六千二十八円北区
心身障害者福祉手当受給者
一名 北区
心身障害者福祉手当の受給者の受給資格の認定を誤り、受給資格の消滅手続を行い、その後手当を未支給とした。(福祉部) 件名 介護保険料の遡及賦課誤りに関する和解(令和五年十二月分)
専決処分年月日決定額相手方事故の概要令和五年十二月二十日 支出額
九千八百円から
六万二千円
(総額)
二十六万二千九百四十九円介護保険被保険者
八名 税の修正申告等により介護保険料の過年度賦課変更があった場合の処理を行う
介護保険システムに設定誤りがあり、対象者に介護保険料を過大な金額で賦課した。(福祉部) 件名 北区
心身障害者福祉手当の未支給に係る和解(令和六年一月分)
専決処分年月日決定額相手方事故の概要令和六年一月二十六日 支出額
四百九十九円から
七千七百二十五円
(総額)
二万六千六百二十六円北区
心身障害者福祉手当受給者
五名 北区
心身障害者福祉手当の受給者の受給資格の認定を誤り、受給資格の消滅手続を行い、その後手当を未支給とした。(子ども未来部) 件名 休業手当の支払遅延に関する損害賠償額の
決定専決処分年月日決定額相手方事件の概要令和五年十二月八日 支出額
二千七百七円板橋区在住区民 令和四年度の心理相談員の休業手当が未払いとなっていたため、発生した遅延利息金の支払いを行うものである。
-----------------------------------五北総総第五千四百五十一号令和六年二月二十六日 東京都北区長 山田加奈子 東京都北区議会議長 大沢たかし殿 地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した契約変更の報告について このことについて、地方自治法第百八十条第二項に基づき、別紙のとおり報告します。
----------------------------------- 専決処分調書 東十条小学校別棟校舎新築工事請負契約の一部を変更する契約
東十条小学校別棟校舎新築工事請負契約(令和五年三月三日議決、令和五年六月二十一日専決処分)の一部を変更するため、左記のとおり契約を締結した。 記一、契約日 令和五年十月三十日二、契約の相手方 東京都北区志茂二丁目三十七番十五
号セルサススズラン一〇一 本不二建設株式会社三、契約金額 変更前 三億四千六百二十五万八千円 (うち一〇%相当額三千百四十七万八千円) 変更後 三億七千四百七十万四千円 (うち一〇%相当額三千四百六万四千円) 増減 二千八百四十四万六千円の増額 (八・二二%増) 当初比 三千三百七十万四千円の増額 (九・八八%増)四、変更理由 施工に係る仕様変更及び工期延伸により契約を変更したため。
----------------------------------- (仮称)北区立都の
北学園新築電気設備工事請負契約の一部を変更する契約 (仮称)北区立都の
北学園新築電気設備工事請負契約(令和三年六月二十四日議決、令和三年十月二十一日専決処分、令和四年十月二十一日専決処分)の一部を変更するため、左記のとおり契約を締結した。 記一、契約日 令和五年十一月二十四日二、契約の相手方 東京都北区岸町一丁目八番十七号 恒栄・
佐藤建設共同企業体三、契約金額 変更前 九億千六百四万七千円 (うち一〇%相当額八千三百二十七万七千円) 変更後 九億二千八百三十八万九千円 (うち一〇%相当額八千四百三十九万九千円) 増減 千二百三十四万二千円の増額 (一・三五%増) 当初比 二千七百四十八万九千円の増額 (三・〇五%増)四、変更理由 施設管理運営上の仕様変更及び賃金又は物価の変動に基づく契約金額の変更を定めた工事請負契約書の規定により、契約金額を変更したため。
----------------------------------- (仮称)北区立都の
北学園新築空気調和設備工事請負契約の一部を変更する契約 (仮称)北区立都の
北学園新築空気調和設備工事請負契約(令和三年六月二十四日議決、令和三年十月二十一日専決処分)の一部を変更するため、左記のとおり契約を締結した。 記一、契約日 令和五年十一月二十四日二、契約の相手方 東京都北区栄町一番三号
アネス・長谷川建設共同企業体三、契約金額 変更前 十億七千四万七千円 (うち一〇%相当額九千七百二十七万七千円) 変更後 十億九千二百五十三万千円 (うち一〇%相当額九千九百三十二万千円) 増減 二千二百四十八万四千円の増額 (二・一〇%増) 当初比 二千三百三十三万千円の増額 (二・一八%増)四、変更理由 賃金又は物価の変動に基づく契約金額の変更を定めた工事請負契約書の規定により、契約金額を変更したため。
----------------------------------- (仮称)北区立都の
北学園新築給排水衛生設備工事請負契約の一部を変更する契約 (仮称)北区立都の
北学園新築給排水衛生設備工事請負契約(令和三年八月二日議決、令和四年十月二十一日専決処分)の一部を変更するため、左記のとおり契約を締結した。 記一、契約日 令和五年十一月二十四日二、契約の相手方 東京都台東区寿二丁目一番十三号偕楽ビル(寿)二階 株式会社ヤマト 東京支店三、契約金額 変更前 四億六千四百二万四千円 (うち一〇%相当額四千二百十八万四千円) 変更後 四億八千百九十六万五千円 (うち一〇%相当額四千三百八十一万五千円) 増減 千七百九十四万千円の増額 (三・八七%増) 当初比 二千四百三十六万五千円の増額 (五・三二%増)四、変更理由 施設管理運営上の仕様変更及び賃金又は物価の変動に基づく契約金額の変更を定めた工事請負契約書の規定により、契約金額を変更したため。
----------------------------------- 特別養護老人ホーム清水坂あじさい荘大
規模改修空気調和設備工事請負契約の一部を変更する契約
特別養護老人ホーム清水坂あじさい荘大
規模改修空気調和設備工事請負契約(令和五年十月六日議決)の一部を変更するため、左記のとおり契約を締結した。 記一、契約日 令和五年十二月六日二、契約の相手方 東京都北区栄町一番三号
アネス・倉持建設共同企業体三、契約金額 変更前 六億二千七百万円 (うち一〇%相当額五千七百万円) 変更後 六億八千三百六十九万四千円 (うち一〇%相当額六千二百十五万四千円) 増減 五千六百六十九万四千円の増額 (九・〇四%増)四、変更理由 施工に係る仕様変更により契約を変更したため。
-----------------------------------
○議長(大沢たかし議員) 会期についてお諮りします。 今次定例会の会期は、二月二十六日から三月二十七日までの三十一日間としたいと思います。ご異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(大沢たかし議員) ご異議ないと認め、そのように決定します。
-----------------------------------
○議長(大沢たかし議員) 区長から、北区政執行の基本方針についての所信と令和六年度当初予算の大綱について説明があります。 (
山田加奈子区長登壇)
◎区長(山田加奈子区長) 令和六年第一回区議会定例会の開会に当たり、区政執行の基本方針についての所信を申し述べますとともに、ご提案いたしました令和六年度当初予算の大綱についてご説明申し上げ、北区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。 初めに、さきの能登半島地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された全ての皆様に心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。 被災地の一日も早い復旧・復興を心から願っております。区といたしましても、特別区や東京都と連携しながら被災地の応援を行ってまいります。 さて、昨年は北区にとって変革の年でありました。 区長に就任し、職員と共に「区民の皆様を第一に考え、行動する区政」、「真に区民のための北区」を実現するため、これまでの区役所の時間的感覚、金銭的感覚など慣例を打ち破り、区議会のご協力もいただきながら、五次の補正予算を編成し、スピード感を持って様々な変革に取り組んでまいりました。 また、国においてはコロナ禍の三年間を乗り越えてきました。 景気は緩やかに回復しているものの、一部に足踏みも見られ、昨年七月から九月期のGDPは、物価高の影響による食料品の消費や企業の設備投資が減少したことを受け、三期ぶりのマイナスとなっています。 また、昨年末に国立社会保障・人口問題研究所から、令和三十二年までの地域別将来推計人口が公表され、令和二十二年以降の総人口は、東京都も含めた全ての都道府県で一貫して減少する結果が示されました。 六十五歳以上の高齢者人口は大幅な増加が続く大都市圏や沖縄県と、減少が続くそれ以外の地域に分かれ、全国的には令和二十五年のピークまで増加し、それ以降減少するとされており、少子高齢化が進展する結果となっています。 今後、人口減少・少子高齢化が継続し、地方との格差の拡大や人手不足などをはじめとする様々な社会課題の深刻化が懸念される中にあっては、デジタル技術を活用して、公と民、社会全体の効率性、生産性を高めながら、都市間連携をさらに進め、国全体で持続可能な地域社会を構築していくことが求められています。 令和六年度の区政運営に当たっては、新たな北区基本計画2024で掲げる七つの主要政策を柱としながら、実行プランである北区中期計画、資源調達や活用の方策を定めた北区経営改革プラン2024をそれぞれ策定し、現場主義、双方向主義で区民の皆様の声を区政に反映させてまいります。 続いて、令和六年度の当初予算の概要について申し上げます。 政府の経済見通しでは、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されています。 一方で、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっているほか、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に加えて、令和六年能登半島地震の経済に与える影響に十分留意する必要があります。 今回ご提案いたします令和六年度予算は、こうした情勢を鑑み、「みんなで創る。北区新時代」の扉を開き、北区をさらに前へ進めるための積極的予算といたしました。 初めに、収入見通しについてご説明申し上げます。 まず、特別区税につきましては、納税義務者一人当たりの所得の伸びなどを見込むものの、定額減税の影響により、全体で前年度比三・一%減の三百三十億六千六百万円の計上としました。なお、減税による影響額については、地方特例交付金で全額補填されることとなっています。 特別区交付金につきましては、令和六年度当初フレームを踏まえ、普通交付金を五百六十七億円、特別交付金を十五億円の計上としました。 特別区交付金の主要財源である調整税等は、海外景気の不透明感が強まっているものの、堅調な固定資産税や好調な企業業績を背景とした市町村民税法人分の伸びなどにより増収を見込んでいます。 特別区債につきましては、清水坂あじさい荘の大規模改修等に約五十七億円の発行を予定しています。 基金につきましては、新庁舎整備基金に二十億円を積み立てる一方で、財政調整基金から約七十二億円を繰り入れ、積極的な事業展開を図るほか、施設建設基金やまちづくり基金など、事業目的に合わせた活用も図ってまいります。 さらに、基金においては、その一部についてリスクを十分勘案した上で、積極的な債券運用を図ってまいります。 次に、予算規模についてご説明します。 一般会計予算は、前年度比八・三%減、百六十四億八千四百万円減の一千八百十三億六千七百万円となりました。令和五年度は、新庁舎整備基金の設置に伴う基金の積替えを行っていることから、実質的には過去最大の予算規模となりました。 このほか、国民健康保険事業会計、介護保険会計、さらに後期高齢者医療会計の三特別会計を含めた予算の総額は二千六百二十三億六千八百五十七万二千円となりました。 続いて、令和六年度の主要事業について、七つの主要政策に沿って順次申し上げます。 一つ目の主要政策、「区民サービスNo・1の行財政改革」では、まず、北区
デジタル推進条例を制定するとともに、新たにDX推進アドバイザーとして外部人材を登用するほか、デジタル推進担当部長を設置し、区役所のDXを強力に推進するための基盤整備を行ってまいります。その上で、令和六年度中に情報政策の基幹計画となる北区情報化基本計画を策定し、北区のデジタル化をさらに加速させてまいります。 区民の利便性の向上のため、マイナンバーカード等を利用した申請書を書かない窓口の開始や(仮称)遺族サポートデスクの新設を進めるほか、行政手続を原則電子申請とし、オンライン化を加速させるためのノーコードツールを導入してまいります。 また、広報基本方針を策定するとともに、北区公式ホームページのリニューアルに着手してまいるほか、SNSをはじめ、公民連携によるしぶさわくんFMからの情報発信や、就任直後から実施している記者会見なども活用し、区政情報を積極的に分かりやすく、幅広い世代に伝えてまいります。 さらに、安定的な行財政運営のため北区公共施設等総合管理計画を改定し、区有施設の有効活用を推進するとともに、さらなる基金の運用を図るほか、国や東京都との連携を強化し、補助金等財源の確保にも努めてまいります。 二つ目の主要政策、「子どもの幸せNo・1」では、北区子どもの権利と幸せに関する条例を制定し、子どもの視点や意見を区政に反映しながら、子どもを社会全体で育てていく意識を高め、子どもたちの命と未来を社会全体で見守り、支えるための体制を構築してまいります。 まず、学識経験者等により構成する子どもの権利委員会を設置し、子どもの権利について、より一層の普及啓発を行うとともに、子どもの権利侵害の速やかな救済を図るため、子どもの権利擁護委員を配置してまいります。 また、新たに出産・子育て支援担当部長を設置し、妊娠期から出産・子育てまでの伴走型による相談支援体制を構築し、母子保健と子育て施策を一体的に推進してまいります。 さらに、民設の子育てひろばを実施する団体に対し、運営費の一部補助を新たに開始するほか、子ども食堂等を運営する団体への支援も拡充してまいります。 あわせて、保育の質の向上のために、保育所等の巡回による支援体制を強化するほか、園運営のためのスポット支援員の配置に加え、区立保育園のICT化も推進し、連絡帳等のデジタル化を進めるなど、保育園を利用される子どもたちや保護者の皆様の安全・安心の確保に加え、利便性の向上にも努めてまいります。 教育においては、北区初となる施設一体型小中一貫校、都の北学園が本年四月に開校します。北区学校ファミリー構想の下、都の北学園の取組の成果を、他のサブファミリーへ普及・拡大させ、九年間の小中一貫教育を推進してまいります。 子どもたちの学びにおいては、アンガーマネジメントや性に関する教育を順次導入し、子どもたちの心の教育の充実を図ってまいるほか、不登校児童・生徒一人一人に応じた選択肢や活動が広がるための取組として、新たに児童館を利用した校外別室事業を展開してまいります。 教育環境の充実に向けては、新たに滝野川第五小学校の改築、さらに、長寿命化に向けた取組では、新たに岩淵小学校の事前調査に着手してまいります。 このほか、区独自の給付型奨学金制度の実現に向けて制度設計に着手するなど、新たに策定する教育ビジョン2024に基づき、子どもたちの「まなび・ささえ・つなぐ」の実現に向けて、子どもたちの最善の利益を最優先とした事業展開を図ってまいります。 三つ目の主要政策、「つながる医療・福祉No・1」では、人生百年時代において、誰もが生きがいを感じられる地域共生社会の実現に向けて、医療と健康・福祉施策を連携、充実させることで、より豊かな区民生活につなげてまいります。 区民の健康づくりでは、さきの補正予算で実施した子どものインフルエンザ予防接種の費用助成を、対象者を拡大して恒久的な対応としてまいります。 また、がん検診においては、子宮がん、乳がんの受診勧奨の強化を図るほか、歯周病検診も全世代に拡大し、区民の健康づくりを力強く支援してまいります。 高齢者福祉においては、ヒアリングフレイル対策の一環として、本年四月から高齢者補聴器購入費の助成事業を新たに開始するほか、昨年から実施しているスマートフォン講座は回数を倍増して開催し、デジタルデバイド対策にも力を入れてまいります。 また、生活習慣病の発症と重症化予防を目的として、通いの場に参加される方等を対象としたフレイル予防を実施するほか、糖尿病の重症化を予防するためのハイリスクアプローチも実施し、高齢者の健康を医療と介護の両面から一体的に支援してまいります。 特別養護老人ホームについては、入所調整方法を変更し、再申込みの手続の負担軽減を図るほか、ハードの整備においては、新たに桐ケ丘やまぶき荘の大規模改修に着手してまいります。 障害者福祉においては、重症心身障害児等の医療的ケアを支援するため、年間の利用時間の拡充に加え、新たにコーディネーターをモデル配置するほか、移動支援事業においても、月の上限利用時間を拡充してまいります。 また、通所施設の整備・誘致に加えて、入所施設の整備・誘致を新たに計画事業として位置づけ、方向性を示してまいります。 医療分野との連携においては、北区地域医療会議による議論を踏まえ、在宅医療の担い手を育成するための学ぶ場づくりの支援として、在宅医療を学びたい医師の研修を受け入れるクリニックに対して支援金を支給するほか、訪問看護師の人材育成と事業者に対する支援を実施してまいります。 四つ目の主要政策、「経済と環境の好循環を地域力で創出」では、北区の経済を牽引する区内産業の活性化を図り、環境政策と連動した好循環を創出し、地域力を高めてまいります。 産業の分野においては、コロナ禍を経た社会経済情勢を踏まえて、区内産業の新たな方向性を示すため、北区産業活性化ビジョンの改定を前倒して着手してまいります。 中小事業者に対する支援として、DXの導入状況に応じた支援を行うため、令和七年度の事業開始に向けて制度設計に着手するほか、事業承継セミナーをハイブリッドにより実施してまいります。 また、中小事業者の多様な働き方を支援するため、従業員に対するリスキリング教育や、子育てしながら働ける職場環境の整備に対して、新たな補助を行ってまいります。 商店街支援においては、ご要望の多い区内共通商品券のデジタル化を令和六年度中に実施するとともに、従前の紙媒体の商品券も一部継続してまいります。 環境の分野では、ゼロカーボンシティを実現するため、森林環境譲与税を活用し、友好都市等と連携したカーボンオフセットを実施するほか、森林整備体験や植樹等の環境学習にも取り組んでまいります。 また、家庭用蓄電システムの助成限度額を引き上げるとともに、区内事業者から導入する際にはインセンティブを付与し、再生可能エネルギー機器の導入を促進するとともに、区内産業の活性化も図ってまいります。 さらに、事業者としても、北区役所ゼロカーボン実行計画に基づき、庁有車を順次EV車に切り替えつつ、再生可能エネルギーの導入や新規の施設整備におけるZEB化にも取り組んでまいります。 五つ目の主要政策、「安全・安心No・1の防災と北区強靱化」です。 今回の能登半島地震を受けて、災害の備えと訓練、連携の重要性を改めて痛感いたしました。 区役所として、災害における備え、即応体制の強化はもとより、区民の皆様に改めて災害時の自助・共助を促し、共有し、そして多くの方々と連携を実践的に積み重ね、区民の命に直結する防災や強靱化対策を緊急度の高い施策として、さらなる緊張感とスピード感を持って取り組んでまいります。 この春に策定する北区地域防災計画を踏まえ、新たに区内十九地区の実情に応じた災害時の情報共有や避難方法等を定める地区防災計画の策定に順次着手してまいります。 また、大規模水害を想定した個別避難行動計画を優先度Bの区民の方を対象に作成するとともに、引き続きコミュニティ・タイムラインの作成支援を行ってまいります。 防災分野におけるデジタル化については、昨年来、区議会のご協力もいただきながら補正予算を編成し、前倒しで取組を進めています。 災害対策本部活動をデジタル化し、庁内の情報共有、意思決定の迅速化を図るとともに、避難情報の発令や避難場所の開設状況、混雑状況など、区民の皆様にとって重要な災害情報を一元管理し、迅速にプッシュする体制を整備してまいります。 さらに、風水害、地震だけではなく、火山の噴火や災害時の電力通信、感染症等の様々なリスクに対して、北区としての考え方を整理した(仮称)北区強靱化プロジェクトの作成にも着手してまいります。 六つ目の主要政策、「100年先を見据えたまちづくり!」では、新たなステージに入っている駅周辺のまちづくりを中心ににぎわいを創出し、北区の魅力をさらに高めるための執行体制を整備して着実に進めてまいります。 新たな取組として、エリアの中核となり得る大規模公共公益施設の整備・更新等の機会を捉え、周辺地域も含めたエリア一体のまちづくりを進めるためガイドラインを定め、地域の魅力や価値を高める取組を推進してまいります。 駅周辺のまちづくりにおいては、赤羽駅周辺では、先行する第一地区の市街地再開発事業のほか、周辺エリアを対象としたまちづくり基本計画の策定に向けて検討を進めてまいるほか、赤羽台においては、昨年から取り組んでいるコミュニティ形成のための活動支援をUR都市機構や大学、地域の皆様と連携して実施してまいります。 十条駅周辺においては、本年十一月の市街地再開発ビルの竣工と合わせて、地域の新たなにぎわいを創出する公益施設ジェイトエルがオープンします。 東十条駅周辺においては、引き続きまちづくりガイドラインの検討を進めてまいるほか、十条跨線橋の架け替え事業と連動した南口の駅前広場整備に向けた調査検討にも着手してまいります。 王子駅周辺では、王子共創会議での検討と新庁舎建設における基本設計に加え、にぎわい創出のためのエリアプラットフォームの取組も公民連携で進めてまいります。 交通の分野では、この春に浮間地域でのコミュニティバスの試験運行を開始するほか、新たにデマンド型交通の実証実験開始に向け、赤羽西地域、王子東地域を対象に、実施エリア・運行計画等の検討を進めてまいります。あわせて、田端駅北口、東十条駅南口付近のバリアフリールートの確保に向けても、エレベーターの整備を進めてまいります。 魅力ある公園づくりでは、名主の滝公園の再生整備に向けて設計を進めつつ、準備工事等を実施してまいります。 また、(仮称)新神谷公園の整備に向けては、ワークショップ等を踏まえ実施設計を行うほか、区内の公衆トイレも順次改修してまいります。 さらに、水辺空間を活用したにぎわいの創出に向けて、(仮称)北区かわまちづくり計画等の策定に向けて検討を行うほか、新たに荒川河川敷にドッグランを整備してまいります。 地域の活性化においては、町会・自治会の次世代の担い手である若年層の入会を促す取組として、デジタル化支援を大幅に拡充するほか、Wi-Fi整備やLINE活用などに取り組む町会・自治会への新たな費用助成も開始してまいります。 ハード整備においては、令和十年のオープンに向けて、(仮称)桐ケ丘区民センターの設計に着手してまいるほか、元気ぷらざの大規模改修に向けた検討を開始するとともに、区内十か所の区民センター・ふれあい館にWi-Fi環境の整備も行ってまいります。 また、区民の皆様の利便性向上のため、赤羽・滝野川両会館の駐車場料金の支払いにキャッシュレス決済を導入するほか、区民施設の男性用トイレにサニタリーボックスも配備してまいります。 都市間交流においては、友好都市との交流はもとより、北区との歴史的なつながりがある都市や、渋沢翁ゆかりの地などともさらに連携、交流を深めることで、新たな友好都市の締結につながる取組を進めてまいります。 七つ目の主要政策、「文化・芸術・スポーツを区民目線で活性化!」では、文化・芸術・スポーツの力を通じ、シティプロモーションをはじめ、他の施策とも連携した特色ある区民が輝くことのできる取組を進めてまいります。 文化施策においては、(仮称)芥川龍之介記念館の令和八年度開設に向けて整備を進めるほか、クラウドファンディングを実施してまいります。 また、中里貝塚史跡広場についても整備に着手するほか、名誉区民であるドナルド・キーン氏の関連事業についても実施してまいります。 スポーツ施策では、区のスポーツ推進の基幹計画となる北区スポーツ推進計画の策定に着手し、スポーツ施策の進むべき方向性を議論してまいります。 ハード整備においては、桐ケ丘体育館の改築を計画事業として位置づけたほか、滝野川体育館の大規模改修においては、滝野川公園を含めた周辺一帯の地域を大きく捉え、エリアデザインの中で方向性を整理してまいります。 また、新河岸庭球場管理棟の改築や新荒川大橋野球場に散水栓を設置するなど、スポーツ環境の整備にも努めてまいります。 現下の社会経済の先行きについては、一部に足踏みも見られますが、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される一方、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクなどに十分注意する必要があります。 令和六年度の国の予算は、一般会計総額百十二兆五千七百億円で、税収を前年度並みの六十九兆円とし、所得税が定額減税で目減りする一方、好調な企業業績が税収を下支えし、不足額を新規国債の発行に頼る構図となっています。 歳出では、高齢化の進展により、社会保障費が過去最大を更新するものとなっており、さらに今後、金利の上昇による国債の返済なども増え、財政の硬直化が懸念されています。 北区においても、景気の動向などを踏まえて、堅調な歳入を見込むものの、ふるさと納税に伴う影響や社会保障費の増大、さらに建設コスト上昇による予算への影響など、財政運営上厳しいものになっています。 加えて、将来の人口減少や少子高齢化のさらなる進展などを踏まえつつ、公共施設の整備、更新需要も見据えた基金残高の確保が不可欠であることは言うまでもありません。 こうした中にあっても長期的な展望も見据え、安定的かつ持続可能な行財政運営で区民ニーズに的確に対応できるよう、北区も社会の変化に柔軟に対応し、変化をしていく必要があります。 年頭のご挨拶の場で渋沢翁の言葉を引用させていただきました。 「世の人が元気をなくしており、社会の発展が停滞している。今までの仕事を守って間違いなくするよりも、更に大きな計画をして、発展させ、世界と競争するのがよいのだ。」 今こそ渋沢翁の精神を受け継ぎ、北区発展と区民福祉の向上に向け、大きな夢を抱き、何が区民の豊かさを生むのか、知恵を絞り、失敗を恐れず、新たな試みや様々な取組を通じて挑戦し続けることで人と人がつながることが、私たちの大きな力になると確信しています。 基本構想で掲げる北区の将来像は、「ともにつくる だれもが住みよい 彩り豊かな躍動するまち 北区」であります。 北区に住み、働き、学び、憩い、活動する全ての方が自分らしく輝き、健やかで快適に暮らし続けられる、彩り豊かな人とまちが躍動する北区となるよう、区議会の皆様、北区に関わる全ての皆様とともに手を携え、令和六年を北区新時代の扉を開き、北区を前に進める年にしてまいりたいと思います。 最後に、区政伸展のため献身的なご活躍をいただいております議員各位に対し深く感謝申し上げ、所信の表明と予算大綱の説明といたします。
-----------------------------------
○議長(大沢たかし議員) これより質問に入ります。 四十番 戸枝大幸議員。(拍手) (四十番 戸枝大幸議員登壇)
◆四十番(戸枝大幸議員) 自民党議員団を代表し、大きく二点、一点目として東京都との都区連携事業の推進と、北区新時代実現に向けて解決すべき諸課題と、区民の暮らしを守り行政サービスの向上を求めてまいります。二点目として、能登半島地震を踏まえた安心・安全なまちづくりと防災対策を求め、質問を行います。 昨年、我々は変革の年を経験しました。この変革は、山田区長就任以来、区民の皆様を最優先に考え、行動する区政の実現に向けたものであり、多くの先例や慣習を乗り越え、新たな施策を推進することで北区新時代を切り開く試みでありました。本日は、この議会の場を借りて、区長就任初年度の総括と二〇二四年度の展望について、区長のお考えを問いたいと思います。 次年度予算においては、私ども自民党の予算要望を多く取り入れていただいておりますことに大いに評価するところでありますが、今後、区民の生活と直結する多岐にわたる課題に対して、どのような方針を持って、どのような策を講じていくのか、議会として具体的なビジョンを共有できる機会にしていきたいと思います。 まず、区長就任初年度の総括について伺います。 本年の年頭区長挨拶において、昨年を変革の年と位置づけた背景にはどのようなお考えがありましたでしょうか。この変革を通じて直面した主な課題とその解決に向けて、どのような成果が得られたのか。僅か就任一年ではありますが、区長の評価を伺います。 また、これらの変革が区民の生活にどのような影響を与えたと考えていますでしょうか、併せてお答えください。 そして、二〇二四年を前に進める年と表現しており、北区新時代の扉を開く年と位置づけるに至った具体的な意図と、この新たな時代における主要な目標について、区長の展望をお示しください。 予算案の出し方についても、従来までの手法と異なり、財政計画より先行する形で次年度予算案が示されており、区長の新たな試みに対する決意の表れと理解をしております。 しかしながら、行政において最も肝要なことは、安定性、継続性の原則にも十分配慮することであり、これが区民生活を守ることにもつながるため、従来まで積み上げてまいりました財政計画をはじめ、各種事業計画との整合性を図る必要があります。 そこで、具体的に、新年度予算案に込められた区長のお考えを基に、どのような施策を優先的に推進し、どのような成果を目指しているのか、その詳細な考え方について区長のお考えを伺いたいと思います。 次に、基本計画、中期計画を含めた政策遂行と財政の見通しについて伺います。 二〇二四年度当初予算案は、実質的に過去最大の予算規模であり、区長が掲げる百五十の政策を含む事業費の今後の膨張に対する区長の見解も併せて伺います。 先ほどの質問と同趣旨となりますが、これらの政策が区民の生活の質の向上にどのように寄与するとお考えでしょうか。 昨年度策定された北区の最上位計画である基本構想においては、一、平和と人権・多様性を尊重するまちづくり、二、区民による主体的なまちづくり、三、持続的な発展が可能なまちづくりが大目標として定められておりますが、これを踏まえてお答え願いたいと思います。 次に、区長の意欲的な百五十の政策を評価すると同時に、それを支える財政見通しについて真剣に検討する必要があると考えます。我々北区は、区長の新たな取組の下、現在多くの挑戦に直面しております。中でも、財政の持続可能性は区民生活に直結する最も重要な課題の一つであります。今回の質問で取り上げるのは、将来にわたる我が区の財政状況に対する深刻な懸念であります。 まず、区の財政見通しに関してですが、現在の財政の運営方法では、およそ十年以内には深刻な危機に瀕する可能性があると指摘をしておきます。 今後の北区における財政需要の増大は明白であり、新庁舎をはじめ北とぴあ大規模改修、学校改築、リノベーションなど、公共施設更新需要やインフラ更新を含めたまちづくり経費を積み上げていくだけでも、現在の基金残高を軽く上回る状況であります。もちろん、国や東京都の財政裏づけがある事業もあり、また、毎年の執行残による繰越しも含めればこの限りではありませんが、現在の約五十から六十億円程度に収まっている起債発行が、現在の各種計画事業の遂行をした場合には、起債額は百億円を超える見通しとなります。 北区は、過去においてもバブル崩壊直後、リーマン・ショック時など財政危機を経験しておりますが、それぞれ先人たちの知恵により新規の事業抑制、あるいは公有地の売却などの手法によりそれらの危機を脱してきましたが、今後の北区が抱える問題は過去の状況とは異なっており、その当時の外部環境とも大きく異なります。率直に、今後の対応策について手詰まり感があることも指摘せざるを得ません。 この問題について、私は議会において幾度となく取り上げてまいりましたが、基本計画の資源調達を当初の目的とした経営改革プランは、以前のような大規模な公有地売却の当てもない状況であり、過去二十年間の経営改革プランの変遷を眺めて思うに、大胆な事業見直しもなされてこなかった現状を思えば、今後予想される膨大な資源調達を担えるほどの役割を果たすには荷が重過ぎる状況であります。 また、公共施設等について総合的かつ計画的にマネジメントする基本方針である北区公共施設等総合管理計画も、十年前の当初に立てられた公共施設再配置方針から見れば、更新需要のピークを先延ばしすることに主題が変化しつつあり、これから中長期にかけてまちづくりを大きく動かしていかなければならないタイミングに合わせて考えた場合には、中長期的な財政計画と連動させながら考え方を整理する必要があると考えます。 また、現在の北区を含めた我が国の外部環境はより複雑となっております。区長の掲げる百五十の政策を進めて北区新時代を実現するためには、中長期的な財源確保は喫緊の課題といってもよいかと思います。さきに挙げましたように、公共施設の更新需要が間断なく控えており、そのほかにも老朽インフラ整備も加えると決して楽観できるものではありません。加えて、最新の社人研推計によれば、地方人口が急激に減少し、地方から東京への転入予測により、東京の人口はほぼ横ばいであるとの予測が示されております。 一方で、産業規模の縮小による経済の縮小は全国的な課題であり、東京においても人口減少はやや遅れるものの、少子高齢化は依然として大きな問題として横たわっており、相対的に今以上の行政需要の増大が見込まれます。 また、円安傾向も定着しつつあり、資材調達をはじめとする物価上昇や人件費の上昇によるコストアップは、区民生活のみならず公共発注にも多大な影響を与えております。実例を挙げれば、この二十年間の間に、学校改築の費用は一校当たり約二倍の六十億円程度にまで膨れ上がっております。また、北とぴあの大規模修繕計画に関して、費用の見積りが当初の予測を大幅に上回る可能性があると区長記者会見においてコメントされており、新庁舎の移転についても同様の問題が指摘されております。 これだけでも現在の建築コストの水準を基に財政計画を立てることの危うさを指摘することができます。 また、景気傾向についても、我が国は米国と中国の景気経済の動向に大きく左右される構造となっており、米国のリセッション懸念は依然としてくすぶっており、それでなくても共和党政権が誕生すれば対日貿易について強硬な姿勢で臨んでくることが経験上予測されております。中国経済についても、人口のピークアウトや不動産市場の影響などにより、立て直しになお時間がかかるとの予測が多くのシンクタンクの示すとおりとなっております。 このような外部環境において、我が国の、特に東京都の頼みとする法人二税の先行きは決して楽観できるものではなく、近年の税収が過去最高額を更新し続けていることをもって、今後の事業計画の基礎とすることについては再考の余地があると考えております。 区長が示されている百五十の政策は、いずれも現代的な課題であり推進すべき事業であると考えますが、他方で持続可能な行政運営の観点から、中長期的な財源の確保、あるいは財政計画の裏づけを示すべきであります。 北区新時代は、次世代にツケを回す北区であってはなりません。この中長期的な財政上の指摘に対し、区長はどのような見解をお持ちでしょうか。また、持続可能な行政運営を実現するための具体的な見通しをお答え願います。 これと関連して、特定財源を含めた歳入の確保先及び歳出削減策の観点から、区長の具体的な戦略を示していただきたいと思います。どのようにして財政の健全性を保ちつつ、必要なサービスを区民に提供していくのか、そのバランスをどのように取っていくのか、詳細な計画をお伺いいたします。 また同時に、この課題と併せて、東京都との連携事業の重要性が今まで以上に高まっているものと考えます。新たな中期計画でも、区独自の新規事業が示されているほか、予算事業としても様々な北区独自の取組が行われておりますが、東京都の次年度予算案によれば、従前から北区の課題となっている学校給食費の無償化も新たに補助が出される予定であり、そのほかにも、教員の加配等の方針も示されており、北区が従前から行っている学力パワーアップ講師の代替としての活用も期待できます。 これらの東京都の方針は、北区も含めた特別区長会の成果であると評価できますし、区長が都議会経験者であることからも、今後財源の確保はもとより北区独自の事業展開においても、ますます東京都との連携についての重要性が増しており、その進捗に期待するところであります。 そこで、今後、区民の暮らしを守り、行政サービスの向上に向けて、区の事業展開と東京都との連携の考え方について、区長のお考えを伺います。 従前のように、区の事業計画と適合する東京都の事業は活用し、特財の確保に努めるのは当然として、かつての子ども医療費無償化や給食費無償化などのように区独自事業として先行させ、その実績を基に財源供出を含めて東京都と連携する手法も有効であると考えます。 具体的に、どのような分野で東京都と連携を深めていく予定なのか。また、その連携を通じてどのような成果を期待しているのかについてもお聞かせください。 中期計画については、従前の計画の積み残し事業である芥川記念館の建設計画、田端高台へのエレベーター設置事業、滝野川体育館改修事業などが散見されますが、一日も早い事業着手を求めるものであります。併せてお答えください。 また、中期計画に明記されているように、赤羽、十条、東十条、王子の各駅周辺のまちづくりが本格化しており、駅舎の改修も絡むまちづくりが想定されております。特に赤羽では、学校を含む公共施設の再配置なども絡む検討がなされております。 「100年先を見据えたまちづくり!」を標榜する区長として、多額の経費を要することも想定されておりますが、これらのまちづくり事業をどのように進めていくのか決意を問うものであります。加えてJRでは、東京二十三区南部の大規模開発を進めており、新空港線計画など一定の見通しが見えてきております。 そこで、今後、田端から尾久にかけてJR操車場の広大な敷地があることから、この地域は今後期待される東京二十三区で残された最後の大規模開発プロジェクト用地であり、この地域の活用について、国や東京都を含め大きな視点でまちづくりを検討する必要があると考えます。 区長の掲げる稼ぐ区役所とは、このような方法で大胆に実行すべきであると考えますが、区長の見解を問います。 次に、地域公共交通の今後について伺います。 ご案内のとおり、昨年度、北区議会史上初となる議員立法により地域公共交通基本条例が制定されました。この成果物として、コミュニティバスの新規路線開通が間もなく実現いたします。加えて、オンデマンド交通の実証実験に取り組まれることも大いに評価したいと思います。 北区はJR駅数が二十三区で最も多い町でありますが、高低差の多い地形が多くあることから、各駅までのラストワンマイルをいかにつなげるかが最大の課題であり、これを克服することが地域公共交通基本条例に込められた最大の趣旨であります。コミバスの新規路線開通とオンデマンド交通の実証実験実施は、この趣旨を織り込んだものと評価しておりますが、今後のコミバスやオンデマンド交通を含めた地域公共交通の充実について、対象地域の拡大を含めた対応を求めます。区長の決意をお聞かせください。 次に、区長の重要政策の一つである北区子どもの権利と幸せに関する条例、いわゆる子ども条例について伺います。 子どもの権利に関わる状況の経緯としては、一九八九年に国連で児童の権利に関する条約、子どもの権利条約が採択され、一九九四年に我が国でも批准されております。その後、全国的には、子どもの権利を保障し、社会全体で子どもの育ちを支え合うことが求められてきており、北区議会においても、子ども条例の制定を求める議論が幾度となくなされてきている経緯がありましたが、実現には至っておりませんでした。 その経緯も含めて区長はご存じであると思いますが、そこで改めて、今回区長より子ども条例の提案がなされていることについて、その説明と区の考えをお聞かせください。 私も、二〇〇八年にいじめ防止条例制定を求め、二〇一五年に現在の北区いじめ防止条例の制定を実現した経緯があります。その際に当局と議論したのは、いじめ防止の前段趣旨として、子どもたちが安心して健やかに成長することができる地域社会の実現を目指すことを目的とすべきであるとしたことが当時の記憶にあります。 今回提案されている子ども条例においても、子どもが幸せな状態で生活を送ることができる社会の実現に向けた取組を推進することが、その趣旨としても述べられております。かつてのいじめ防止条例の趣旨からさらに一歩踏み出して、子どもの幸せという概念にまで言及されていることは大いに評価することができるものであると考えます。 そこでこの際、子ども条例制定に合わせて、いじめ防止条例についても整合性を図り、見直しをかけるべきであります。区の見解をお聞かせください。 次に、次年度より予定されている組織改正について伺います。 所掌事務として、これまで母子保健、児童福祉と組織が分かれていた部分について改めて整理し、区長部局に移管することが主眼となっておりますが、新組織の役割を含めて、どのように展開をされていくのか、お考えをお聞かせください。 この問題は、かつて二〇一五年当時は真逆の状況で、議会においても多くの議論を踏まえて、子育てを重視する観点から、保育から就学へのスムーズな移行を目的として、当時の区長部局にあった子ども家庭部を教育委員会に移管した経緯がありました。その後八年が経過しておりますが、認定こども園の問題なども含めて、保育事業が教育委員会内にあることから、子育ても含めて保育から就学へのスムーズな移行という観点からは、結果的に有効に機能していたように思います。 今回の組織改正は、国によるこども家庭庁設立も背景にあると理解しておりますが、一部の保育事業者や保護者からも不安の声が聞こえてきていることから、より丁寧な説明が求められると考えます。 今回の組織改正について、保育事業を一度教育委員会に移管した後に、今回再び区長部局に戻すことについて、この八年間の総括も含めてお答えを願います。 次に、教育ビジョン改定について伺います。 現在のビジョン2020の実施に当たって、コロナ禍もありましたが、不登校児童・生徒の増加や教員の働き方改革、教育DXによる一人一台端末の活用など課題が顕在化しており、子どもたちを取り巻く環境の変化に対応し、スピード感を持って取組を実施していくことが一層重要となっていると考えます。 この間、北区基本構想も策定されており、さきに述べました子ども条例の制定見込みも踏まえて、子どもを権利の主体として尊重するとともに、子どもの最善の利益を最優先とし、施策展開の基礎とされることを期待しております。また、素案において教育DXの推進も明記されていることも大いに評価したいと思います。 そこで、改めて、現ビジョンである2020の総括と、新ビジョン2024に込められた狙いと目的についてお聞かせください。 特に子どもたちの教育環境整備は従前からの課題であり、学校改築、リノベーション事業は欠かせないものであります。現在、滝野川第四小学校で行っている区内初となる居ながらのリノベーション事業については、私も地域や学校、PTAの皆様と連携しながら取り組み、多くの問題点が抽出されていることを認識しております。特に深刻なのは、校庭が使えないことから子どもたちの運動不足の問題であり、同時にストレスによる心のケアの課題も浮き彫りとなっております。昨年の一時期は、スクールカウンセラーの予約枠を取るのが難しいといった保護者からの声もありましたので、子どもたちのために柔軟なソフト対応も必要であると考えます。 今後予定されている学校改築やリノベーション事業について、現在の総括も踏まえ、事業の進め方をお聞かせください。 また、従前からの積み残し課題である学校武道場の空調設備設置についても、一日も早い実現を求めます。そして、部活動の地域連携、いわゆる部活外部化についても、教員の働き方改革進展に伴い部活の廃部が相次いでいる現状があり、喫緊の課題となっております。 文科省と東京都の事業展開に左右されている局面ではありますが、部活指導員の充足など可能な範囲で取組を進めるべきであります。見解を求めます。 大きな二点目として、能登半島地震を踏まえた安心・安全なまちづくりと防災対策を求め質問を行います。 この質問に入るに当たり、今回の令和六年能登半島地震によって被災された皆様にお悔やみとお見舞いを申し上げると同時に、一日も早い復旧・復興を願うものであります。 質問に移ります。 今回の能登半島地震を踏まえて、北区として被災地に対する直接的、間接的支援をどのようになされたのか伺います。 北区として、既に多くの支援をなされていることは承知しておりますが、現在の北区で行っている都市間連携を発展させ、カウンターパート方式についても東京都も含めた広域の枠組みの中で検討すべきであると考えます。 カウンターパート方式とは、被災した自治体に特定の応援する自治体を割り当て、様々な支援を重点的かつ継続的に行う方式であり、復旧から復興へ、その過程も考えた上で長期的に支援することに重点があり、東日本大震災に際しては関西広域連合が実際に行った手法でもあります。 北区においても都市間交流は活発に行われており、この交流を基礎に、被災地支援のカウンターパート方式について一歩踏み込んだ検討をすべきであります。これは、首都直下地震が想定される中で、北区が支援を受ける際にも有効に機能すると考えます。ご見解をお答えください。 次に、今回の能登半島地震を踏まえて、従前からの課題も改めて指摘されております。水、トイレ、寒さ対策、衛生問題、家屋の倒壊、火災の問題、さらに通信インフラや電源の確保など、東日本大震災を踏まえた現在においても、なお一層の対応が必要な課題が認識されております。 そこで、この災害を受けて見直しが必要と考えられる地域防災計画の部分について、どのような改定が考えられているのか。また、将来的な災害に備えて、区としてどのような準備を進めているのか、具体的な取組についてもお答えください。 加えて提案いたしますが、災害時の迅速な対応や被災後の復旧・復興に向けて区がどのような役割を果たすべきか。また、区民との連携をどのように強化していくのか、その具体的な方策を共有していただきたいと考えますが、この提案について見解をお答えください。 特に速やかに取り組める事業として、避難所環境の整備、避難所周辺の公園または児童遊園への防災設備の優先整備対応等があります。かまどベンチやマンホールトイレなどが未設置の公園も多くありますが、まずは避難所に近い場所から順次改修事業に着手すべきであると提案いたします。 また、次年度予算案にも盛り込まれておりますが、衛星通信、スターリンクの配備も早急に実施すべきであります。可能であれば、区内の災害対応の拠点となる全ての施設へ速やかに設置することが望ましいと考えますが、蓄電池の配備と同様に順次実施していただくことも求めます。 次に、中長期的な課題として、住宅耐震化の推進は継続して実施すべきであります。これも次年度予算案において、従来の木密地域から区内全域に対象地域を広げるなど意欲的な取組として評価しているところであります。着実な周知に努め、実施していただきたいと思います。 そして、町全体の不燃化と防災力を高める上で欠かせないのは、都市計画道路整備の着実な推進であります。延焼遮断帯としての効果も見込まれ、緊急車両の迅速な移動や物資の運搬に欠かせない機能が期待されております。東京都と積極的に連携し、優先整備路線を中心に都市計画道路整備事業の着実な推進を図るべきであります。区長の決意を問います。 以上、東京都との都区連携事業の推進と、北区新時代の実現と、安心・安全なまちづくりの実現を求め質問をいたしました。区長並びに関係理事者の皆様の明快な答弁を期待し、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) (
山田加奈子区長登壇)
◎区長(山田加奈子区長) ただいまの自由民主党議員団を代表して、戸枝大幸議員からのご質問に、順次お答えをさせていただきます。 初めに、東京都との都区連携事業の推進と北区新時代の実現に向けてに順次お答えします。 まず、区長就任初年度の総括などについてです。 昨年の区長選では、多くの区民の皆様から、もっと北区を前に進めてほしい、もっと北区をよくしたいというお声をいただきました。 私は、この原点を忘れることなく、常に区民の豊かで幸せな暮らしの実現を第一に考えながら、勇気を持って行動し、区政運営を進めてまいりました。 昨年は、真に区民のための北区を実現するための第一歩として、これまでの区役所の時間的、金銭的感覚など慣例を打ち破り、区議会のご協力もいただきながら、七次の補正予算を編成し、新たな執行体制も構築しながら、職員とともにスピード感を持って様々な改革に取り組んでまいりました。 区長就任一年目ではありますが、区民の皆様にも区政の変化の兆しを感じていただけたものと考えています。 令和六年度は前に進める年として、現在策定中の新たな北区基本計画2024で掲げる七つの主要政策を柱としながら、実行プランである北区中期計画、資源調達や活用の方策を定めた北区経営改革プラン2024をそれぞれ策定し、新たなスタートを切ってまいります。 引き続き現場主義、双方向主義で区民の皆様の声を区政に反映させながら、様々な取組に挑戦し続けることで、北区を前に進めてまいりたいと思います。 令和六年度新年度予算は、基本構想の理念を踏まえて構築した基本計画で掲げる政策や中期計画で定める事業を着実に推進し、北区の基本姿勢である「みんなで創る。北区新時代」の扉を開き、北区をさらに前へ進めていくための積極的予算として、限られた資源を様々な施策に効果的かつ効率的に配分し、編成したものです。 基本計画の重点プロジェクトとして位置づけた七つの主要政策を進めるとともに、令和六年度のリーディングプロジェクトとして、能登半島地震を踏まえた北区強靱化を強力に推し進め、区民の命を守る取組を進めてまいります。 また、新一万円札発行の機を捉え、渋沢栄一翁を核としたブランディング戦略を公民連携で大胆に展開し、北区を日本全国、世界へと発信してまいります。 そして、区長就任以降取り組んでいるDXによる区民サービスの向上です。令和六年度は、北区のDXが大きく進む一年とし、徹底した区民の利便性の向上とサービスの充実に努めてまいります。 具体的な実行プランである中期計画事業の構築に当たっては、新規事業のほか、従前からの取組と百五十の政策を重ね合わせて、それらをブラッシュアップさせながら時代の変化や区民のニーズを踏まえた上で、事業の最適化を図りました。 計画事業費は、基本設計に着手している新庁舎建設や駅周辺のまちづくりのほか、桐ケ丘体育館の整備などハード整備も含まれており、物価高の影響も受けて、前回と比較して一割程度上昇しています。 特定財源の確保の見込みをはじめ、経費については十分な精査をしているところですが、事業費の増大につながらないよう、毎年の予算編成においてもさらなる精査を行い、全体事業費の最適化を図るとともに、併せて必要とする基金残高の確保を確実に行ってまいります。 次に、区財政の見通しについてです。 区財政については、中長期的に膨大な行政需要が見込まれる中、社会経済状況等の変化や先行きの見通し、また将来需要に見合う財源の確保に加え、普通建設事業の増加に合わせた基金と起債の一層の計画的な運用など、厳しい財政状況にあっても、常に中長期的な視点で北区の進路を見定めながら、歳出規模に見合った歳入確保と一層の歳出削減に取り組み、財政規律と健全性を併せて確保していく必要があります。 そのため経営改革プランの取組を着実に推進し、事業費の抑制や特定財源の確保等はもとより、国や東京都に先駆けて積極的に新たな施策や事業を構築し、助成事業として位置づける提案を行うなど、新たな取組姿勢も示すほか、弾力的な基金運用にも取り組んでまいります。 現在策定中の北区経営改革プラン2024では、財源確保にとどまらず、今後の区の経営方針や考え方として、公民連携やDXなども含め、あらゆる資源の活用を大きく掲げました。その中では、公共施設の維持管理コストの縮減や効率的、効果的な更新に加え、歳入確保の観点から、遊休施設等の資産のさらなる有効活用にも積極的に取り組んでまいります。 また、来年度の公共施設等総合管理計画の改定に当たっては、財政計画との連動性も考慮しつつ、後年度負担の経費見込みや中長期的な整備方針をお示しし、公共施設に対するコスト意識の醸成にもつながるよう取組を進めていきます。 このような様々な行政課題に対し、今後も責任ある区政を推進していくには、事業の見直しや絶え間ない行財政改革の取組、さらに計画的な基金積立てを確実に行うことが重要であると考えています。あわせて、真に必要な区民サービスを見極めつつ、区民の皆様にもコストに関する意識づくりの醸成を図っていきます。将来への備えを講じながら、必要な区民サービスを安定的に提供し得る中長期的な財政の持続可能性の信認を確保してまいります。 なお、財政計画につきましては、本定例会の所管委員会でご報告させていただきます。 次に、区独自事業と東京都との今後の連携方針の考え方についてです。 事業の構築に当たっては、区民ニーズを的確に捉えることはもとより、区政全体をスピードアップし、計画事業に位置づける事業も補正予算を編成し、先行実施するなど、前倒しで施策の展開を図っています。 北区が目指すべき東京都との連携の在り方は、広域的取組を促す東京都の施策に連動し、事業を活用することはもとより、住民に最も身近な基礎自治体として、地域の実情を見極めながら、先送りできない課題や区民ニーズを的確に把握し、東京都に先駆けて新たな施策や事業を展開しながら、東京都の事業構築に向けて提案をしていく必要があると考えています。 こうした中で、北区が他区や東京都に先駆けて実施した区立小・中学校や幼稚園、特別支援学校に通う児童・生徒の給食費の完全無償化も、東京都の令和六年度当初予算として計上され、補助が創設される見込みです。 また、高齢者のデジタルデバイド対策事業などをはじめ、幅広い分野で東京都事業を活用した北区独自の取組を行っており、DXの推進や強靱化の取組では、今後の施策の展開や事業構築に東京都の知見を生かすべく協議を進めてまいります。 なお、現行の中期計画事業としている芥川龍之介記念館の整備や田端高台へのエレベーター設置事業については、コロナ禍による緊急的な財源対策等により事業の先送りをしておりましたが、それぞれ令和六年度に事業着手し、着実に進めてまいります。 また、滝野川体育館改修事業につきましては、滝野川公園や周辺地域を含めたエリアデザインの中で検討を進めるものとして、現在策定中の新たな中期計画事業に位置づけ、計画的な事業の進捗を図ってまいります。 次に、各駅周辺のまちづくりをどう進めるかについてです。 駅周辺のまちづくりは、北区の魅力の一つである交通利便性を生かし、定住人口や交流人口の双方を持続的に伸ばし、選ばれるまちの核となる重要な事業であると認識しています。そのため民間開発を適切に誘導するとともに、必要な公共施設の整備については、民間資金や国、東京都からの特定財源を最大限活用しながら、必要な事業を着実に進めてまいります。 なお、JR東日本の尾久車両センターは、現在操車場として使用され、利用転換の計画はありませんが、こうした駅周辺の土地利用動向については、時期を逸することのないよう状況把握に努めています。 引き続き国、東京都との連携を深めながらまちづくりの経験を蓄積し、長期的な視点を持って区民の思いを反映させていくための実行力を高め、百年先を見据えたまちづくりを実現していく決意です。 次に、今後の地域公共交通の充実について、対象地域拡大も含めた対応についてお答えします。 区では、地域公共交通基本条例に基づき、誰もが安心して快適に移動しやすいまちづくりに向け、地域公共交通機能の向上を要する箇所へ公共交通事業者に協力を求めるとともに、コミュニティバスやデマンド型の小型乗合交通・タクシー等を導入し、当該箇所での交通手段を確保する取組を進めています。 今後は、デマンド型交通実証実験の実施に向け、これまでにないスピード感を持って取り組みながら、地域の特性やニーズに応じて北区のさらなる魅力向上につながる交通手段を検討し、より適切な地域公共交通を導入するため、北区地域公共交通計画の見直しを進めてまいります。 次に、組織改正のうち、子ども未来部を区長部局へ移行することについてです。 令和六年度の組織改正において、「子どもの幸せNo・1」の北区を目指し、児童福祉部門と母子保健部門の連携強化を図り、子ども関連施策をより深化させるため、子ども未来部を教育委員会事務局から区長部局へ移行することとしたものです。 このことにより、全ての妊産婦、子育て世帯、子どもの包括的な相談支援体制を構築し、妊娠期から出産、子育て期までの一貫した伴走型の相談支援等の充実を図ることで、一元的に切れ目のない寄り添った支援につなげてまいります。 あわせて、児童相談所開設に向けた体制構築と強化にも取り組み、これら一連の子育て関連施策を総合的に一層の機動力を持って取り組むこととしたものであります。 次に、能登半島地震を踏まえた安全・安心なまちづくりと防災対策を求めるについて順次お答えします。 初めに、北区として被災地に対する直接的・間接的支援についてです。 能登半島地震に対する支援については、発災翌日には友好都市である酒田市の状況を把握し、大きな被害がないことを確認した後、他の被災地にどのような支援ができるか検討を行い、義援金の受付を開始するとともに、給水車の派遣や備蓄物資の提供等に向けた全庁的な準備など、被災地からの要請に迅速に対応するための体制を構築しております。 また、既に実施している支援といたしましては、直接的には石川県七尾市に清掃車両を伴う職員派遣を行っており、来月には輪島市に罹災証明関係業務の職員派遣を行います。間接的には区職員、区議会議員からの義援金を贈呈しました。 今後も被災自治体の要望を的確に把握した上で、必要とされる支援について、区として直接的・間接的にできる限りの支援を行ってまいります。 次に、被災地支援のカウンターパート方式についてです。 能登半島地震では、総務省等の調整により東京都が石川県輪島市の対口支援団体となりましたが、区では既に構築されているカウンターパート方式の仕組みに沿って東京都を通じた要請に対応できるよう、現在、保健師の派遣などの準備をしています。 災害時の受援・応援については、広域的な支援の仕組みであるカウンターパート方式を、区の基本的な支援の方針とした上で、防災協定を締結している自治体との個別的な支援の組合せにより対応することとしており、来年度に計画策定に着手する受援・応援計画において、改めて整理してまいります。 次に、地域防災計画の改定についての考えや、将来的な災害への備えについてお答えします。 まずは、地域防災計画の改定についてです。 これまでも東京都の地域防災計画の改定等に合わせて、北区地域防災計画の改定などを区として行っていることから、引き続き東京都の動向を注視していくとともに、適宜北区防災会議において審議してまいります。 また、ご質問の水やトイレ、寒さ対策などにつきましては、区としても緊急的に取り組むべき課題として認識しており、まずは避難所環境の充実として、簡易トイレ袋の増量配備や避難者用の蓄電池の導入などを令和六年度予算案に計上したところです。 今後も能登半島地震を踏まえた対応につきましては、被災地でのニーズなどを参考にしながら備蓄品の見直しを行うなど、引き続き検討してまいります。 さらに、区の将来的な災害への備えといたしましては、地震災害に限らず、あらゆる自然災害などに対応するため、令和六年度には、(仮称)北区強靱化プロジェクトを策定するとともに、災害への対応力を強化していくため、地区防災計画の策定支援に着手するなど、引き続き取組を進めてまいります。 次に、災害時の区の役割と区民との連携強化についてです。 発災直後には災害対策本部を設置し、区内の被災状況の把握や関係機関からの情報収集、避難所の運営支援等、応急・復旧対応に取り組みます。 また、震災による被害が甚大であり、震災復興施策等の迅速かつ計画的な遂行を図る必要がある場合は、震災復興本部を設置し、復興基本方針や復興振興計画の策定により、復興後の区民生活及び市街地形成のあるべき姿や、区が実施する復興事業の体系を明らかにすることで、長期的、計画的な復興対策に取り組んでまいります。 大規模災害の発生時には、避難所の開設、運営をはじめ、区民の皆様や区内事業者等との連携が必要不可欠であると考えています。そのため、平常時から訓練の実施などを通じて顔の見える関係を構築し、より一層連携を強化してまいります。 また、長期的な対応となる復興については、町会・自治会を中心とした復興まちづくり協議会の立ち上げ支援などにより、区民の皆様との話合いの中で、将来の復興ビジョンを一緒につくり上げていきます。 災害から区民の皆様の命と財産を守り、万が一災害に直面したとしても、復興に向けて力強く立ち上がることができるよう、区民の皆様をはじめ、地域の企業や団体等とも連携し、オール北区のスクラム体制を構築してまいります。 次に、避難所環境の整備、避難所周辺の公園、または児童遊園への防災設備の優先配備対応についてであります。 区では、公園総合整備構想の基本方針の一つに防災・減災機能の強化を掲げ、避難場所等の公園では防災設備の充実を推進し、さらに、防災まちづくり事業と連携した公園整備を推進することとしています。 これまでも、かまどベンチやマンホールトイレ等の防災設備は、公園等の新設や再整備の際にワークショップ等により地域と調整を図りながら設置してまいりました。 今後も引き続き避難所周辺地域の防災・減災機能の充実を図るため、避難所となる学校の改築やリノベーションの機会による地域の防災意識の機運を捉え、避難所周辺の公園等においても、不足する防災設備の必要性を検証し、設置に向けた検討をしてまいります。 次に、スターリンクの配備についてです。 能登半島地震で無償提供されたモバイル衛星通信機器であるスターリンクについては、区として令和六年度予算案で計上し、二十三区初の導入となるなど、全国的に見ても導入実績は少ない状況であります。 区としては、まず、いかなる災害が発生しようとも、災害対策本部の情報発信、情報収集を途絶させないことを考えています。今後、導入の成果や課題を踏まえ、防災センターや保健所など、優先度の高い災害対応の拠点への配備について検討してまいります。 また、東京都の令和六年度予算案において、区市町村への配付が計上されるなどの動きもあるため、今後、区としても国や東京都に連携を求めながら、モバイル衛星通信機器の追加配備など、災害時の連絡・通信手段の確保・強化に努めてまいります。 次に、住宅耐震化の推進についてお答えいたします。 区では、昭和五十六年以前に建築された住宅の耐震化率が九割程度進んだことから、来年度、木造民間住宅耐震化促進事業について、助成対象建築物の要件を緩和し、事業を拡大してまいります。 今後もさらなる耐震化率の向上を目指し、ホームページや北区ニュースへの掲載により周知に努めるとともに、助成対象建築物を特定の上、ポスティング等を行うほか、北区建築設計事務所協会による相談会を共催するなど、各種団体とも連携し、着実に事業を推進してまいります。 最後に、都市計画道路整備の着実な推進についてです。 都市計画道路は、多様な機能を有する都市を形成する最も基本的なインフラであり、防災性の向上の観点から極めて重要な基盤施設であると認識しています。 区といたしましては、引き続き東京都と連携し、都市計画道路整備の着実な推進に積極的に努めてまいります。 以上、お答え申し上げました。 区政に関し広範な分野にわたり、貴重なご意見をいただきました。今後も、区政のさらなる推進に向けて尽力してまいります。ありがとうございました。
◎教育長(清正浩靖教育長) 私からは、東京都との都区連携事業の推進と、北区新時代の実現に向けてに関するご質問のうち、子どもの権利と幸せに関する条例についてお答え申し上げます。 初めに、条例提案の経緯と考えについてです。 北区におきましては、子どもの権利をめぐる社会全体の課題意識の高まりや区議会でのご議論、子ども施策の一層の高みを目指したいという区としての思いから、令和四年度より条例制定の準備を本格的に開始いたしました。 区といたしましては、貧困やいじめ、虐待等の課題に対して、全ての区民が一体となり、子どもの育ちと子育て家庭への支援を推進するとともに、子どもが誰一人取り残されることなく、将来への希望を持って成長できるよう、子どもの権利を保障し、子どもが幸せな状態で生活を送ることができる社会の実現に向け取組を進めていくことを決意し、条例の提案に至った次第です。 条例の前文では、子どもたちが感じている幸せと、幸せな状態でいるために必要な権利について、子どもたち自身が選んだ分かりやすい言葉でメッセージを発信しています。また、制定過程の中で、多くの子どもたちから要望が寄せられた相談しやすい環境づくりや一人一人に応じた学びの環境づくりといった権利の保障をうたうなど、独自性の高い内容を盛り込んでいます。 今後は条例にのっとり、より子どもたちの意見等が尊重される地域社会づくりを進め、「子どもたちの幸せNo・1」の実現を目指してまいります。 次に、いじめ防止条例との整合性についてです。 本定例会に提案している東京都北区子どもの権利と幸せに関する条例の前文には、区は、皆さんが幸せを感じながら健やかに成長できることが何よりの幸せであると思っていますとの区からのメッセージを掲げていますが、同様に東京都北区いじめ防止条例の前文には、いじめをなくし、子どもたちが安心して健やかに成長することができる地域社会の実現を目指す旨の区の考え方を示しており、この二つの条例が目指す姿は、その趣旨を一にするものと考えています。 しかしながら、いじめ防止条例の制定から既に八年が経過し、SNSの普及等によるいじめの態様にも変化が見られることなどを踏まえ、今後時宜を捉えて、条例の見直しについても検討する必要があると考えており、その際には、子どもの権利と幸せに関する条例も勘案し、条例内容等を検討してまいります。 次に、組織改正のうち、新組織の役割及び子育てと教育の連携についてです。 平成二十八年度に子育て部門を区長部局から教育委員会に移行してからは、放課後子ども総合プランの円滑な全校導入の実現や学童クラブの学校内設置の推進のほか、幼稚園・保育園から就学への円滑な接続への取組等の成果があったものと認識しています。 これらの成果が今後さらに発展するよう、本組織改正後も教育と子育て部門の連携強化には継続的に取り組んでまいります。 なお、新たに設置する出産・子育て支援担当部では、妊娠、出産、育児等に関する相談及び支援や令和八年度の児童相談所等複合施設開設を見据え、子ども家庭支援センター機能の一層の拡充に向けた組織体制の検討等を担うこととしています。詳細につきましては、今定例会の所管委員会にてご報告させていただきます。 次に、教育ビジョンの改定に関するご質問にお答えいたします。 初めに、教育ビジョン2020の総括についてです。 教育ビジョン2020で位置づけた取組につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大等による影響で十分な成果を得られなかった事業もありましたが、全体的には、子どもたちの学びを止めることのないよう、学校と教育委員会が一丸となり、一人一台端末きたコンの導入、活用や、確かな学力向上プロジェクトなど、様々な取組の推進を図ったことで一定の成果が得られたと考えています。 次に、教育ビジョン2024に込めた狙いと目的についてです。 教育ビジョン2024では、目指す教育の方向性として、将来の予測が困難な時代において、子どもたちの自ら未来を切り開く力を育み、主体的に社会に貢献できる人材の育成に取り組むとともに、学校、家庭、地域の連携、協働により、子どもたちの健やかな育ちを支えていくことを掲げています。 この目標の実現に向けて、本定例会に提案している北区子どもの権利と幸せに関する条例の理念に基づき、子どもの最善の利益を最優先することを施策展開の基本的な視点とするとともに、新たな課題等に対してスピード感を持って対応するため、小学校(高学年)への教科担任制の導入、推進や総合的な不登校児童・生徒対応の実施など、数多くの新規・拡充事業を位置づけた計画となっています。区長部局と緊密な連携を図り、「子どもの幸せNo・1」に向けて、教育ビジョン2024に掲げた取組を着実に推進してまいります。 次に、学校改築やリノベーション事業及び学校武道場の空調設備設置についてです。 既存校舎での居ながらの改築や学校敷地内に仮設校舎を建設するリノベーション事業は、代替となる運動施設、児童・生徒の心のケア、工事の騒音振動などの課題について、学校ごとの状況を踏まえて個別に必要な対策を講じてまいりました。 特に代替運動施設の確保は、教育環境として極めて大きな課題であるため、滝野川第四小学校のリノベーション事業を皮切りに、現校舎の屋上を運動施設として整備し活用するなどの対策を講じて、一定の成果が挙げられたと考えています。 また、学校武道場の空調設備につきましては、来年度、空調設備未設置校のうち、先行して武道の部活動がある三校の設計に着手し、残る空調設備未設置四校につきましても、引き続き区長部局と協議してまいります。 次に、部活動の地域連携の推進についてです。 中学校の部活動については、今後、少子化が加速する中でも、生徒の多様なニーズに合ったスポーツ・文化・芸術活動の機会の確保と充実を図るとともに、部活動に伴う教員の負担軽減を図るため、持続可能な部活動環境の構築が求められています。 指導者不在や希望生徒が少ないなどの理由により、在籍する学校に生徒が希望する部活動がないなどの現状があり、区では、部活動指導員や部活動指導補助員の配置により、生徒の活動機会確保と教員の負担軽減を図っています。 新年度には、関係団体等で構成する協議会を立ち上げ、休日部活動における部活動指導員等の配置、地域クラブ活動の実施など、部活動の地域連携や地域移行に向けた方向性を協議し、区としての推進計画の策定に取り組むとともに、引き続き生徒の活動機会の確保に努めてまいります。 以上、お答え申し上げました。
◆四十番(戸枝大幸議員) 丁寧なご答弁ありがとうございます。 (議長退席、副議長着席) 今回の代表質問は、中長期的な北区の持続的な発展に焦点を当てながら、ご提案、ご提言申し上げました。 中長期的な当初予算において、従前から多くの課題についてスピード感を持って取り組まれていることを評価したいと思います。 改めて申し上げたいのは、基本計画、中期計画において新たな方針も示されておりますが、行政需要の膨張に対応するために財源の確保が重要な問題となります。東京二十三区の中でも、北区はいわゆる周辺区に位置づけられており、中心区と比較した場合には、自主財源の潤沢さに大きな違いがありますので、東京都との連携を密にしていくことが極めて重要であると考えております。 各種事業計画遂行のためにも、この点に特に留意をいただきながら、区民の生活を守り、行政サービスの向上、そして安心・安全なまちづくりに努めていただきたいと願っております。 北区の発展と繁栄を心から願い、質問を終えます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(いながき浩議員) 二十四番 宮島 修議員。(拍手) (二十四番 宮島 修議員登壇)
◆二十四番(宮島修議員) 質問に先立ち、能登半島地震でお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様にお悔やみとお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧・復興をお祈りいたします。 公明党議員団を代表して、大きく八点について質問いたします。 初めに、令和六年度予算編成について。 北区は、昨年四月、山田加奈子新区長を迎え、新たな出発をしました。山田区長による初めての新年度予算には、随所に公明党議員団の長年にわたる要望事項等も数多く実現されています。その上で、さらなる区民福祉の向上のため、以下質問させていただきます。 令和六年度予算は「みんなで創る。北区新時代」の扉を開き、北区をさらに前へ進めるため、七つの主要政策を中心に積極的予算を組まれました。改めて、山田区長が目指す北区の将来像についてお示しください。 物価・資材高騰を踏まえた基金積立てについてお伺いいたします。 昨年下半期の実質GDP成長率は、二四半期連続のマイナス成長となりました。物価高による個人消費の弱含みや海外景気の減速などがおもしとなり、景気は足踏み状態にあると思われます。 一方、国内の物価はコストプッシュ圧力が緩和すると考えており、伸び率は基調的に鈍化するとの見方を維持していますが、油断できる状況にありません。世界情勢が不安定な中、輸入原材料費が上昇し製品の価格を押し上げています。 最近の建設物価を見ても、急激な上昇が見られ、北区内の建設工事費は高騰を続けています。振り返って、北区の各種建設費に対する基金の令和五年度末残高見込額を見ると、施設建設基金六十七・六億円、新庁舎整備基金百九十九・五億円、まちづくり基金七十三・六億円、学校改築等基金百七十二億円となっています。今後、主要駅周辺再開発や老朽化した学校のリノベーション及び建て直しなど着実に進める必要があります。また、災害時への備えも考慮しなければなりません。今後の財政見通しについて、北区の見解をお聞かせください。また、今後の物価上昇、コスト高に対応できるように基金の目標額の引上げ、積み増しが必要不可欠と考えますが、区の見解をお伺いいたします。 基金については銀行の低い金利に預けておくだけでなく、運用枠を増やし、投資信託など積極的に活用してはいかがでしょうか。お答えください。 次に、積極的に稼ぐ区政運営についてお伺いいたします。 新潟県長岡市に受け継がれる米百俵の精神をご存じでしょうか。 北越戊辰戦争で長岡藩は新政府軍との戦いに敗れ、城下町長岡は焼け野原になりました。長岡藩の窮状を知った三根山藩から米百俵が見舞いとして贈られてきました。食べるものにも事欠く藩士たちにとっては、喉から手が出るような米でした。 しかし、時の大参事・小林虎三郎は、百俵の米を売却し、文武両道に必要な書籍、器具の購入に充て、国漢学校の設立資金に注ぎ込みました。 この国漢学校設立時の故事を基に、文豪・山本有三が戯曲として書き下ろした「米百俵」の中で、虎三郎は、早く米を分けろといきり立つ藩士たちに向かってこう語りかけます。「この米を、一日か二日で食いつぶしてあとに何が残るのだ。国がおこるのも、ほろびるのも、まちが栄えるのも、衰えるのも、ことごとく人にある。」「この百俵の米をもとにして、学校をたてたいのだ。この百俵は、今でこそただの百俵だが、後年には一万俵になるか、百万俵になるか、はかりしれないものがある。いや、米だわらなどでは見つもれない尊いものになるのだ。その日ぐらしでは長岡は立ちあがれないぞ。あたらしい日本はうまれないぞ」と。その国漢学校の跡地に、昨年ミライエ長岡が建設され、人づくりと産業振興を総がかりで支える地方創生の拠点になっています。 北区の財政を潤すためには、あらゆる手段を使って収入を増やす必要があります。短期的な収入とは別に、十年後、二十年後の北区の税収を潤す人材と企業を積極的に育てる投資が必要ではないでしょうか。見解をお答えください。 二点目として、「区民サービスNo・1の行財政改革」について伺います。 初めに、分かりやすい窓口表示の導入について。 昨年視察をした北見市について、書かない窓口、ワンストップサービスの先進事例で紹介しましたが、それだけではなく来庁者に分かりやすい窓口改革にも取り組んでいました。分かりやすさを重視して課名の表示をやめ、子ども・子育て、住所・戸籍など、ライフイベントに沿った表示方法に変更しました。また、案内板を色別にして、その色の案内矢印をたどっていけば迷わず窓口に行けるようになっていました。担当者からは、窓口DXはシステム導入が目的ではなく、何を解決したいのか、どういう窓口にしたいのかを明確にして業務改革を行うことが大切であるとお伺いしました。 北区役所の窓口も北見市のような目的別案内表示にしてはいかがでしょうか。見解をお聞かせください。 三点目として、「子どもの幸せNo・1」について伺います。 初めに、不登校対策として児童のAIによる事前診断と東京都のオンライン仮想空間への参加について。 北区では、区立小・中学校の不登校児童・生徒数は、平成三十年度に比べて、令和四年度は小・中学校ともに増加しており、小学校は二・九倍の二百六十二人、中学校は一・七倍の三百五人となり、いずれも過去最高となっています。 埼玉県戸田市では、株式会社アルゴノートと連携し、AIを用いて不登校を予測するモデルの実証研究を昨年十一月より市内で試行をスタートし、十二月より全十八校の小・中学校へ展開しています。 近い将来に不登校になり得る可能性を予測し、リスクスコアとして可視化することで、真に支援が必要な子どもを発見し、教職員は重点的に見守りを行い、プッシュ型の支援を行うことができるものです。 不登校対策として、不登校にさせない取組が第一に必要ですが、北区の取組についてお伺いいたします。また、戸田市の取組など参考に、今後の見解や取組についてお聞かせください。 国では不登校特例校を全国に三百校設けることになっていますが、現在は二十四校にとどまっています。不登校特例校は学校の新設が必要なため、自治体に大きな負担がかかります。 北区では、不登校の児童・生徒への対応として、令和五年度に区立小・中学校各三校において校内の居場所づくりと別室指導支援員の配置のモデル事業やフリースクールを利用する児童・生徒への保護者負担軽減の利用料補助制度を開始しました。それぞれの利用状況をお聞かせください。 そもそも学校に行けない不登校の子どもたちをどうするのか対応が迫られています。 東京都が運営するバーチャル・ラーニング・プラットフォームは、日本語指導が必要な子どもや不登校の子どもの居場所、学び場としての仮想空間です。 東京都が仮想空間上に専門のスペースを構築し、区市町村に個別のフロアを提供し、現在八区市が参加しています。子どもたちはアバターを使い、フロア内での交流や友達と会話などをすることができ、相談スペースではオンライン支援員への相談、授業スペースではビデオ会議ツールを使い、一斉学習も行います。北区も東京都のバーチャル・ラーニング・プラットフォームに参加し、不登校対策として活用できないでしょうか。 次に、こども誰でも通園制度について。 共働き世帯でなくても生後六か月から二歳の子どもなら誰でも保育所などに預けられることを目指すこども誰でも通園制度(仮称)が、こども未来戦略案で二〇二六年度から全国の自治体で本格実施を目指すと明記されました。 行政の支援が届きにくい親子が孤立し、虐待などにつながることを防ぐ狙いがあります。 こども家庭庁は、月十時間、週一回二時間程度までの枠で、時間単位で利用できる仕組みを想定しています。二〇二四年度には約百五十の自治体で試験的に実施、二十五年度に制度化し、二十六年度から全国展開を目指すとしています。 北区は昨年十二月から子育ち応援モデル事業として、区内の保育所など四か所で空き定員を活用し、就労の有無にかかわらず未就園児を有料で一時的に預かるモデル事業を開始しました。ほかにも保護者の冠婚葬祭、地域活動等への参加、休養等により、一時的に保育を必要とするお子さんを預かる一時預かり保育制度も行っています。 その違いは、一時預かり事業は各自治体が選択して実施する補助金事業であるのに対して、こども誰でも通園制度は給付制度として実施されるため、本格実施されれば全自治体で実施しなければならない制度になります。 北区でも早く、誰でも通園制度モデル事業を開始すべきと考えますが、見解をお聞かせください。また、導入に当たっての問題点をお示しください。 次に、部活動の地域移行について。 北区では、来年度に(仮称)部活動の地域連携・移行に関する推進計画を策定する予定です。中学校では、本来は休日であるはずの土日に教員が部活動の指導をしていることで、長時間勤務の要因となっています。地域移行が進むことで教員の負担軽減が期待されます。しかし北区では、受け入れる地域スポーツ団体は二団体しかなく、個人が受けるには人選や指導方法の適性など困難な課題があります。 まずは、地域スポーツ団体の設立や育成が必要と考えますが、区の見解をお聞かせください。また、文化部の地域移行時の受入先はどこになるのかお答えください。 四点目として、「つながる医療・福祉No・1」について伺います。 初めに、認知症基本法の施行について。 認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、共生社会の実現を推進するための認知症基本法が今年の一月一日に施行されました。背景には、二〇二五年には七百万人、高齢者の約五人に一人、さらに二〇四〇年には四人に一人に達すると言われる認知症の人の増加があります。 同法では、基本理念で、全ての認知症の人が自らの意思によって日常生活と社会生活を営むことができるようにするとしたほか、認知症の人の意見表明や社会参画の機会の確保、家族らへの支援などが明記されました。 北区は、令和五年十一月に北区地域包括ケア推進計画の中間のまとめを発表し、その中に令和六年から八年までの北区認知症施策推進計画が含まれています。しかし、国が定めた認知症基本法は、北区の計画より内容が拡充され、自治体の責任を明らかにするよう求めています。北区の北区認知症施策推進計画を認知症基本法に合わせて見直す必要があるのではないでしょうか。 また、認知症の人とその家族が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる環境の整備を図るため、豊中市などが行っている保険料を自治体が全額負担して、線路内に立ち入り電車を止めてしまったときの賠償などの補償を行う認知症個人賠償責任保険事業を行えないでしょうか。 次に、HPVワクチン接種について。 国は二〇一三年四月、子宮頸がん予防を目的に、小学校六年生から高校一年生の女性を全額公費負担の定期接種の対象としました。しかし、副反応等の検証のため積極的勧奨を控えた時期があり、令和七年三月まで対象年齢の間に接種を受けていない方に、改めてHPVワクチンの接種の機会を提供するキャッチアップ接種を実施しています。 現在の定期接種の接種率とキャッチアップ接種の接種率をお答えください。また、接種率をさらに向上させる取組をお伺いいたします。 HPVワクチンは二〇二〇年十二月に、性別に関係なく罹患する肛門がんと性感染症の尖圭コンジローマの予防効果が認められ、男性への接種も承認されました。また、男性に多い中咽頭がん、陰茎がんといったがんもHPV感染が関係することが分かっています。HPVワクチンの接種により、男性の疾患のリスクを減らすことができます。また、男女ともにワクチンを接種することで、自身のパートナーへのHPV感染を防ぐこともできます。 令和六年度の東京都予算案概要に、HPVワクチン男性接種補助事業が計上されました。北区でもHPVワクチンの男性への接種補助事業を行うべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。 五点目として、「経済と環境の好循環を地域力で創出」について伺います。 初めに、区役所新庁舎のZEB化と、北とぴあ改修に伴うNearly ZEBに向けた取組について。 ZEBとは、環境省が推奨する快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。ZEBには四段階あり、年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物を最高位のZEB、以下Nearly ZEB、ZEB Ready、ZEB Orientedにランク分けされます。 二〇二一年十月に改定された政府実行計画において、政府の施設は、今後予定する新築事業において、原則ZEB Oriented相当以上としつつ、二〇三〇年度までに、新築建築物の平均でZEB Ready相当になることを目指すことが定められています。 また、全国知事会では、二〇二二年七月の脱炭素・地球温暖化対策行動宣言において、都道府県が整備する新築建築物について、ZEB Ready相当を目指しますとあり、今後ZEB化は大きく推進します。 公明党議員団で神奈川県の開成町役場を視察してきました。開成町役場は完成時に八一・〇%の削減を実現し、Nearly ZEBの承認を取得しました。また、国土交通省が定めるBELSの一次エネルギー消費性能においても星五を取得しています。 北区はゼロカーボンシティ宣言をしており、今後新庁舎建設に向けて様々な検討がされる中でZEB取得を目指すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。 また、北とぴあは来年度から改修工事に着手する予定になっています。北とぴあ改修基本計画では、改修に当たっては建物の断熱性能の向上や設備への省エネルギーシステムの導入、太陽光発電パネルの設置など、省エネ・創エネ機能を導入しながら環境対応を検討し、目標としては現状の建物状況を勘案し、ZEB Orientedへの適合を検討するとなっています。 北区ゼロカーボンシティ宣言の実現に向けて、環境省の補助事業も使えるZEB Ready以上、できればNearly ZEBを目指せないでしょうか。区の見解をお聞かせください。 次に、森林環境譲与税の活用について伺います。 北区は来年度、ゼロカーボンシティを実現するため、森林環境譲与税を活用し、友好都市等と連携したカーボンオフセットを実施するとしています。 二〇一九年度より、気候変動対策など森林が持つ多面的機能発揮のために使用される財源として、森林環境譲与税の配分が開始されました。森林を持たない特別区においては、森林環境譲与税の有効な活用方法を模索しながら取組を実施しています。 税の使途は、カーボンオフセット事業等の四つを自治体間連携のモデルケースに特定しています。 そのカーボンオフセット事業は、山村部自治体の森林整備を支援し、対価としてこれを獲得し、特別区における排出量をオフセットする。または、Jクレジット制度等により森林吸収クレジットを購入し、特別区における排出量をオフセットするとなっています。カーボンオフセットの取組について、区の考え方をお示しください。区民への理解促進、広報活動について見解をお聞かせください。 次に、水素を活用したまちづくりについて伺います。 再生可能エネルギーを利用したエネルギー施策は、天候や環境に左右され安定しません。しかし、蓄電池を併用して供給を安定させるためには大きな施設が必要になり、ロスも多くなります。 次世代エネルギーとして東京都では、水素エネルギーの普及、導入を促進するため、燃料電池自動車や水素ステーションの整備等に対し、積極的な補助を行っています。 先日、公明党議員団は福岡市を視察してきました。 福岡市では、水素社会の実現に向けて福岡市水素リーダー都市プロジェクトを推進し、様々な取組を進めています。「つくる」では、二〇一五年三月から下水バイオガス由来の水素ステーションを開設。二〇二二年より官民連携の共同体で運営をしています。 「需要-つかう」の創設に向けてFCモビリティの開発、導入を行う民間事業者を支援しています。燃料電池トラックや燃料電池二輪車を導入し、二〇二〇年に水素による移動式発電・給電システム、Moving eを導入しました。給食を配送するFC給食配送車やパッカー車、FC救急車を導入しています。東京都も自然由来の再生可能エネルギーとともに水素エネルギーの採用に取り組んでいます。 北区においても、脱炭素社会の実現に向けて水素エネルギー採用の取組を行うべきと考えますが、見解をお聞かせください。 六点目として、「安全・安心No・1の防災と北区強靱化」について伺います。 初めに、罹災証明書の交付を迅速にする防災DX及び罹災証明書発行に係る現地調査の委託について伺います。 先月公明党議員団では、日田市に罹災証明書の交付を迅速にする防災DXを視察しました。日田市内は五十年に一度と言われる水害に度々見舞われました。 水害を受ける中で事務量が膨大で災害後の長時間労働が続き、職員が疲弊していました。罹災証明書は多岐にわたり活用されるため、被災後に早期の交付が求められています。 罹災証明書を発行するためには現地調査が欠かせませんが、発災直後は職員が皆、避難所運営に手いっぱいで、現地調査に人員を割くことができませんでした。 そのような中、富士フイルムシステムサービスから被災証明業務の効率化に関する共同研究の提案があり、調査で使用するタブレットと後方支援システムを連動させたシステムが本格稼働しました。 さらに、後方支援システムと被災者支援システムを連動させることで速やかな罹災証明書の発行ができるようになりました。罹災時には多くの自治体職員が支援に来てくれますが、罹災証明発行業務が初めての職員も多く、初動対応として現地調査員の調査スキルを養成する必要があり、それだけでも相当の日数がかかります。このシステムは、タブレットが現地で調査内容や写真の撮り方、罹災状況の判定などを順番に示してくれるため、撮り忘れや判断のばらつきもなくなりました。 また、タブレットを活用することにより、二人一組で調査ができ人員の削減も可能になりました。令和五年の水害では最短八日で罹災証明の交付が可能になりました。 今後、首都直下型地震や大規模水害があれば、北区では多くの家屋が被災し、罹災証明書の発行も膨大な量になることが想定されます。早期にこのシステムを導入すべきと提案しますが、区の見解をお聞かせください。 昨年五月に出された内閣府の令和五年度における被災者支援の適切な実施についての通知には、災害発生時の被害認定業務における実施体制を確保するため、民間団体、損害保険会社等の民間企業と災害対応の協力等について協定等を締結するなどの準備を進め、応援職員の要請、民間企業の行う被災家屋調査の情報の活用等ができるよう、被害認定の迅速化に向けた取組の推進をお願いしますとあります。罹災証明書を発行するための現地調査を不動産管理会社等と協定を結ぶことはできないでしょうか。 次に、防災備蓄品と自主防災組織の配備備品の見直しについて。 能登半島地震を受けて、現在の防災備蓄品では足りないものが見えてきました。来年度予算において避難所環境のさらなる充実として、簡易トイレ袋やスマートフォン等の充電用蓄電池を新たに導入する予定になっています。能登の被災地でも長時間の断水や停電が続き、困難な状況が続きました。 長期の避難所生活では、断水により入浴や洗濯ができないため下着や着替えが不足をしました。また、プライバシーを守るためのパーティションやテントも不足して車中泊を余儀なくされている人たちもいました。 今回の災害を教訓に、さらなる防災備蓄品の見直しと拡充を行う必要があると思いますが、見解をお聞かせください。 被災直後の避難所等では、温かい食事が何よりもありがたかったとの声がありました。この炊き出しで活躍をしたのが防災資機材のバーナーでした。北区でも共助の手助けとなるよう自治会等で設置している自主防災組織へ資機材を配備しています。この資機材は地域によって必要なものが違うため、各組織からの要望を聞いて配備品の増強を行ってはいかがでしょうか。お答えください。 七点目として、「100年先を見据えたまちづくり!」について伺います。 初めに、百年後の北区ビジョンについて。 百年前の一九二四年は関東大震災の翌年に当たり、関東エリアでは帝都復興に向けてインフラ整備などが急ピッチで進められました。特に首都・東京では、関東大震災による火災で四四%が焼失したと言われており、大規模な道路整備や土地区画の整理などが行われています。このとき都内で整備された五十二本の幹線道路は、現在もほぼそのまま主要な通りとして残されています。また復興の一環として、震災の影響が少なかった丸の内や大手町付近に巨大ビルの建設が相次いだことで、皇居周辺に一大オフィス街が誕生しました。 北区においても、その当時の街路計画や建物が現在の北区の基礎となっています。建築技術が進歩し、建物寿命は百年もつようになりました。これから百年後の北区は、今の市街地計画によって決まるため明確なビジョンを持って取り組む必要があります。 そこでお伺いいたします。北区は百年後の町並みがどのようになっているとお考えでしょうか。お示しください。 次に、エリアマネジメントによる地域魅力発信について。 国交省によるエリアマネジメントのすすめでは、定義は地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるため、住民、事業主、地権者等による主体的な取組とされ、快適で魅力に富む環境の創出や美しい町並みの形成、資産価値の保全、増進等に加えて、人を引きつけるブランド力の形成、安全・安心な地域づくり、良好なコミュニティの形成、地域の伝統・文化の継承等、ソフトな領域のものも含まれるとされています。 また、成熟した都市型社会の地域づくりにおいては、個性豊かな地域や住民、事業主、地権者等に身近な地域を実現することが重要です。行政主導でなく住民等の地域の担い手の主体的取組が重要となっています。 北区には、多くの観光資源や地域の魅力があります。それぞれの地域の特色を生かしたエリアマネジメントを策定し、地域魅力発信を早期に推進すべきと考えますが、北区の見解をお伺いいたします。 八点目として、「文化・芸術・スポーツを区民目線で活性化!」について伺います。 初めに、フランスとの友好姉妹都市について。 平成二十一年第四回定例会の質問で、私からフランスとの友好都市について提案させていただきました。北区では現在、海外友好都市との交流を推進するため、アジア、アメリカに対しては様々な交流事業を支援し展開していますが、ヨーロッパに対しては交流が進んでいません。北区の回答は、世界の多くの都市と友好交流事業を展開していくことは大変望ましいことであり、交流の効果などを含め、今後の検討課題とさせていただきますとお答えいただきました。 北区ゆかりの渋沢栄一は、若き日にフランスを訪れ、フランス語を学び、文化を学んで帰国をしました。そのパリ留学のときの経験を基として、後の日本を支える近代経済社会の基礎を築きました。本年は、その渋沢栄一の肖像画が描かれた一万円札が発行されます。これを機に、北区の国際交流事業にフランスと友好都市を結び、文化、芸術を中心とした交流を行うことを再度提案しますが、区の検討状況をお聞かせください。 次に、和歌山県との都市間交流について。 平成二十三年第四回定例会で、坂口議員から和歌山県との友好都市交流を提案し、その後も継続的に推進を訴えてきました。 和歌山と北区の歴史的つながりは深く、鎌倉時代には区内の豊島地域が発祥の地とされる豊島氏一族が源頼朝に信頼され、紀伊国ほかの守護に命じられました。王子神社は、熊野権現の若一王子社を勧請したもので、王子や飛鳥山、音無川の地名も熊野を模して名づけられたと言われています。さらに、区内には紀州神社や熊野神社など、和歌山に関わる神社もあります。 八百年も前の鎌倉時代から交流があり、北区と幾重にもえにしが深い和歌山県と友好都市交流を再度提案いたしますが、北区の見解をお伺いいたします。 最後に、eスポーツの推進について伺います。 eスポーツは若者を中心に人気が増加中で、二〇一九年には、いきいき茨城ゆめ国体の文化プログラムとして採用されました。地方自治体にも徐々に浸透し、毎年全国大会が開催されています。 eスポーツツーリズムとは、eスポーツと観光旅行を組み合わせた観光事業のことで、国内や海外で取組が行われています。eスポーツツーリズムは、旅行に興味がなかった層に対しても、eスポーツイベントをきっかけに地域の魅力を発信していく大きなチャンスとなります。 また、熊本県美里町、兵庫県神戸市などでは、高齢者の介護予防の観点という新たな視点も加わり、地域に浸透しつつあります。 多様性の社会の中、年齢、性別、障がいの有無にかかわらずチャレンジできるジャンルであるeスポーツは時代に合っていると考えます。 北とぴあの大規模改修では、ドームホールに高速インターネット回線を整備し、eスポーツの大会が開催できるように環境を整えてはいかがでしょうか。また、区内事業者と連携して、高齢者が気軽に体験できるスペースを開設できないでしょうか。見解をお伺いいたします。 以上で質問を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。(拍手) (
山田加奈子区長登壇)
◎区長(山田加奈子区長) ただいまの公明党議員団を代表して、宮島 修議員からのご質問に、順次お答えをさせていただきます。 初めに、令和六年度予算編成について順次お答えします。 まず、物価・資材高騰を踏まえた基金積立てのうち、区長が目指す北区の将来像についてお答えします。 区政の基本姿勢に「みんなで創る。北区新時代」を掲げました。区民の皆様のご意見にしっかりと耳を傾け、区の考えも分かりやすく、広く、多くの方にお伝えし、区民、区役所双方のやり取りを重ね、区民の想いが反映される政策をつくり上げていく。みんなで北区をつくっていく。そのような想いを込めて掲げたものであります。 時代や社会情勢の変化に柔軟に対応し、誰かひとりではなく、みんなが豊かさを感じることができるあたたかな北区、そしてすべての区民が輝くまち北区を築き上げてまいります。 続いて、物価・資材高騰を踏まえた基金積立てについてです。 区では、人口増加に伴い、当面区民税などにおいて緩やかな増収傾向が続くことが期待されています。一方、一般行政経費や社会保障費は今後も増加傾向が続き、また区有施設の整備や改修が控え、予算規模の高止まりが想定され、多額の財政負担が伴うことは認識しています。 さらに、エネルギーや原材料価格の上昇に加え、社会状況を踏まえた環境配慮への建設施工などにより、さらなる建設単価上昇に伴う財政負担にも留意しなければなりません。 こうした状況の中、まちづくりや施設建設などの事業費の適正化を図りながら特定財源等も勘案した上で、全体事業費の予算を見積り、必要とする基金残高の確保を確実に図ることで計画事業を着実に推進し、行政としての責任を果たしてまいりたいと考えています。 次に、積極的な基金の運用についてです。 基金の運用は、元本の安全性や流動性を最重要視し、金融情勢や外部有識者からの情報収集などに応じた的確な判断の下、効率的に運用収入を確保していくことを基本としています。区としては、百五十の政策にも位置づけており、既に公金管理委員会に対し、積極的な基金の運用に向けた審議を依頼しているところであり、令和六年度にはリスクを十分勘案した上で、積極的に債券の購入を行うなど、運用収入を増やすための工夫と努力を重ねてまいります。 次に、積極的に稼ぐ区政運営についてです。 中長期的に税収を増やしていくための原動力は人材であります。 まずは、区民や事業者へ最前線でサービスを提供する職員一人一人の仕事への意欲や熱意、そしてその裏づけとなる資質の向上が重要であると考えています。 私は、こういった考えの下、区役所の改革の取組の一つとして、スピード感を持って様々な職員研修に取り組み、新年度においても、健康経営やデザイン思考研修のほか、公民連携セミナーの実施を通じて、真に区民が求めるニーズを把握し、中長期にわたり必要な区民サービスの提供を施策として実現し得る職員を育成してまいります。 職員と併せて区内事業者に対する人づくり、担い手づくりの支援も行ってまいります。北区の産業を守るため、区内産業関係団体等と連携して、事業承継をはじめ、時代に適した支援策を講じ、産業基盤の強化を図ってまいります。 また、赤羽イノベーション大学の開校による人材育成や起業家へのサポートを行いながら、北区から多くのスタートアップ企業を輩出していきます。あわせて、まちづくりの担い手も育成し、コミュニティ形成の促進を図ることで切磋琢磨することによる相乗効果を生み出し、地域全体の活力につなげてまいります。 そして、こうした職員と事業者双方を公民連携の手法により同じ目線で目的を共有し、区内産業の振興を図りながら、併せて観光や駅周辺まちづくりの取組も着実に推進することで、まちの活性化やにぎわいへとつなげ、中長期的な税収を確保しながら、継続的な区民サービスの向上に向けた取組を進めてまいります。 次に、「区民サービスNo・1の行財政改革」についてお答えします。 ライフイベントに沿った分かりやすい窓口表示は、来庁された区民の皆様が効率的に手続を済ませることができるなどの効果が期待できると認識しています。 ライフイベントの表示につきましては、北区公式ホームページでは、引っ越しや子育てなどの目的別に表示を行い、区民の皆様が見やすいよう工夫をしています。 一方で、手続のご案内において、庁舎が細分化されているため、同一庁舎で手続を完結することが難しいといった課題がありますが、ご紹介の北見市の取組も参考に、区民の皆様へ分かりやすい窓口表示とするよう努めてまいります。 次に、「つながる医療・福祉No・1」についてのうち、認知症基本法の施行についてお答えします。 区では、共生社会の実現を推進するための認知症基本法の施行を踏まえて、次期北区地域包括ケア推進計画において、北区認知症施策推進計画を新たに位置づけ、認知症施策を推進することとしています。 現在の計画では、第六章に認知症に関する施策について記載、推進していますが、認知症基本法において、認知症の方の社会参加の機会確保など、地方自治体が取り組むべき事項が定められたことを受け、次期計画では、これまでの取組を継承しつつ、認知症当事者の本人ミーティングや認知症地域支援推進会議への参加を通じ、本人の声や意見を認知症施策の企画・立案、評価に反映するなど、認知症基本法に沿った内容としていく考えです。 今後、法の趣旨と本計画に基づき、認知症施策を着実に推進してまいります。 次に、認知症個人賠償責任保険事業についてです。 認知症個人賠償責任保険事業については、導入している自治体を対象としたアンケート結果を見ると、加入者が想定より少なかったことや、安価な民間保険もある中で、自治体が実施することが適当であるか、事業効果の検証方法などが課題として挙げられていました。 また、自治体職員、加入者の双方が十分に保険の内容などを理解することが難しく、実際に事故が起きた際の対処など、実務面での課題も考えられます。 認知症個人賠償責任保険事業については、二十三区では、中野区や葛飾区のほか港区で導入されていますが、先行する区における課題への対応策、事業の実施状況や効果、また導入していない区の検討状況など調査・研究してまいります。 次に、HPVワクチンの男性への接種についてお答えします。 現在の定期接種の接種率については、令和五年十二月末時点で積極的勧奨の再開以前の接種を含め、接種の最終学年の高校一年生は四一・四%です。キャッチアップ接種については、約七割の接種率と言われるワクチン接種緊急促進事業で接種した一九九七年から一九九九年生まれまでの二十四歳から二十六歳を除き、最も高い十九歳で三一・九%です。 接種率の向上のためには、定期接種の最終学年である来年度の高校一年生や、来年度で終了するキャッチアップ接種対象者のうち、接種が完了していない方に対し、接種の意義や安全性を伝える個別勧奨通知をし、ホームページや北区ニュースでも広報をしてまいります。 また、北区のHPVワクチンの男性への接種助成事業については、東京都の助成方針決定後、接種体制を整えてまいります。 次に、「経済と環境の好循環を地域力で創出」について順次お答えします。 初めに、新庁舎と北とぴあのZEBに向けた取組についてです。 区では、ゼロカーボン実行計画に基づき、新築案件については原則ZEB Oriented相当以上を目指すとしており、既存施設においても改修の機会を捉え、建物の用途、規模、費用対効果等を勘案の上、可能な限り省エネ性能の向上を検討し、ZEB実現に必要な技術を採用しています。 新庁舎については、新庁舎建設基本計画で、ZEB Oriented相当以上を目指すとしているところですが、省エネ性能のさらなる向上を図るなどして、最適なZEBランクを目指してまいります。 北とぴあについても、北とぴあ改修基本計画では、ZEB Orientedへの適合を検討するとしておりますが、建物の状況を勘案しながら、積極的に省エネ機器を採用し、エネルギー消費量のさらなる削減に努めてまいります。 次に、森林環境譲与税の活用についてお答えします。 区では、二〇五〇年ゼロカーボンシティの実現に向け、様々な温室効果ガスの削減策を推進しています。さらに、日常生活などで排出される温室効果ガスを実質ゼロとするための取組も重要なものと認識しています。 そこで、区内最大事業者である区が率先して省エネや環境配慮行動に取り組むとともに、来年度からは譲与税を活用し、友好都市等と連携したカーボンオフセットに着手してまいります。また、子どもたちを対象とした森林環境学習事業なども併せて実施し、理解促進に努めてまいります。 これらの取組やその効果については、来年度リリース予定の環境ポータルサイトをはじめ、ホームページやSNS等で広く発信し、意識啓発に努めてまいります。 次に、水素を活用したまちづくりについてお答えします。 国では、低炭素水素等の供給・利用を早期に促進することを盛り込んだ水素社会推進法案が今月閣議決定されました。 また、東京都においては東京水素ビジョンを策定し、二〇五〇年の東京都が目指す姿と、マイルストーンとなる二〇三〇年に向けた水素施策の展開について取組の方向性を示しています。 区においても、水素エネルギーの有用性については認識しているものの、導入については、技術、コスト、インフラなど取り組むべき課題もあると考えており、引き続き国や東京都、他自治体の動向を注視してまいります。 次に、罹災証明書に関する質問についてです。 区では、大規模災害時において、より迅速かつ効率的に被災した方の罹災証明書を発行するため、昨年十月、クラウド型の東京都被災者生活再建支援システム共同利用版への移行を図りました。 被害認定調査においてタブレットを活用し、クラウド型の被災者生活再建支援システム等と連携した仕組みを構築することについては、被災された方の速やかな生活再建に資するものと考えており、導入に向けた課題等を整理してまいります。 大規模災害時における罹災証明書の発行に向けた体制づくりについては、昨年の消防署に続き、来月に東京都行政書士会北支部と協定を締結する予定です。 今後とも、罹災証明書の迅速な交付に向けて、より多くの民間団体等と協力体制を構築できるよう努めてまいります。 次に、防災備蓄品と自主防災組織の配備備品の見直しについてお答えいたします。 防災備蓄品については、これまでも計画的に導入をしてきましたが、ご案内のとおり、今回の災害を踏まえて、令和六年度予算案において簡易トイレ袋などを計上し、避難所環境の充実に努めてまいります。 今後も避難所の衛生環境を維持、向上させる物資の備蓄など、区民の皆様が過ごしやすい避難所となるよう、引き続き検討してまいります。 また、自主防災組織の防災資機材については、組織の結成時などにおいて所定の資機材を配備しておりますが、地域の特性などを踏まえ、追加で配備する資機材の種類や数量などを検討しているところであり、引き続き地域の実情に合った資機材の配備に努めてまいります。 次に、「100年先を見据えたまちづくり!」についてのうち、百年後の北区のビジョンについてお答えします。 北区都市計画マスタープラン2020では、おおむね十五年から二十年後の将来都市像として、人と人のつながりがあり、利便性と潤いのある暮らしを掲げています。 将来都市像の実現した姿として、多様性を育む人と人の絆のある暮らし、駅を中心としたコンパクトで活動的な暮らしや、誰もが憩える潤いと安らぎのある暮らしを未来の暮らしのイメージとして描き、その実現を時代の変化に対応した安全、快適な社会基盤の下、多様な主体との協働により目指すこととしています。 百年後の町並みは、これらの将来都市像やイメージが実現し、誰もが生き生きと暮らせるまちになっていると考えています。 次に、エリアマネジメントによる地域魅力発信についてお答えします。 エリアマネジメントは、百年先を見据えた持続可能なまちづくりの実現のためには大変重要な取組であり、その取組の中で地域が大切に育ててきた地域特有の資源を活用し、その魅力を高め、内外に発信することは、観光をはじめ地域振興に有効なものと考えています。 区では、来年度、様々な分野において地域特性を生かした多彩なまちづくりが展開されるよう、エリアデザイン導入ガイドラインをまとめるとともに、荒川沿川の岩淵周辺地区において、かわまちづくりを進めるための計画を策定し、地域の魅力発信に努めてまいります。 次に、フランスとの友好姉妹都市についてです。 友好姉妹都市は、芸術や文化の振興や区民が交流する機会を創出できるなど有効な取組であると認識しています。 ご提案のフランスとの友好姉妹都市の取組につきましては、区として期待する効果や区民交流の仕組みづくりなど、費用対効果の視点も含めて、引き続き検討が必要なものと考えています。 次に、和歌山県との交流についてです。 新たな友好都市との協定締結は、現在策定中の中期計画(案)では、令和七年度実施としており、相互の地域の活性化と発展を推進するためには、どのような自治体と協定を締結するのが望ましいのかについて、考え方の整理に着手しています。 なお、ご提案の和歌山県の都市については、北区と歴史・文化の交流があり、議会からの西日本側との都市間交流を進めるべきとのご指摘、また、能登半島地震を受けて災害時の相互協力の観点からも、友好都市の候補の一つであると認識しており、引き続き交流を深めてまいります。 次に、北とぴあ大規模改修におけるドームホールへのインターネット環境の整備についてお答えします。 令和四年三月に策定した北とぴあ改修基本計画では、DXの対応として、時代の変化にフレキシブルに対応できるよう、LAN環境を検討し、利用者の利便性向上を図ることとしております。 ご質問のドームホールにおいては、eスポーツの利用を含め、多目的な用途で利用ができるよう検討してまいります。 次に、区内事業者と連携して、高齢者が気軽に体験できるスペースの開設についてです。 区では、高齢者向けスマートフォン講座を今年度から令和七年度まで実施し、毎年度交流会も予定しています。交流会では、高齢者同士、また大学生の補助スタッフとともに、楽しみながらデジタルデバイスへの抵抗感を解消することを目的にeスポーツ体験会を実施します。 eスポーツ体験会では、参加者にアンケートを実施する予定であり、eスポーツへの興味関心や効果を検証の上、次年度以降の交流会に反映したいと考えています。 区内事業者と連携した体験スペースについては、交流会の応募状況やアンケート結果等を見ながら検討してまいります。 以上、お答え申し上げました。 区民の皆様の生活に身近な諸課題についてご提言いただきました。さらなる区政の伸展に努めてまいりたいと思います。ありがとうございました。
◎教育長(清正浩靖教育長) 私からは、「子どもの幸せNo・1」についてのご質問にお答えいたします。 初めに、不登校対策についてです。 区では、近年の不登校児童・生徒数の増加に対し、これまでも校内別室指導支援員配置事業、フリースクール等調査研究事業協力者助成金交付事業、オンラインを活用した子ども相談ポストやお茶の水女子大学理科実験支援モデル事業など、不登校児童・生徒の態様を踏まえた様々な施策に、できるところからスピード感を持って順次取り組んでいます。 校内別室指導支援員配置事業は、学校ごと、日ごとにばらつきがありますが、おおむね一人から四人程度が利用しており、また、フリースクール調査研究協力者助成金交付事業は、本年一月末時点で三十件の家庭が利用していますが、この事業は東京都の手続終了後、調査員として認定された方から順次申請となるため、今後も申請者数は増加するものと見込んでいます。 また、不登校対策の取組を進める中で、各学校では、児童・生徒の心の変化について、アンケートや個別面接等により、気持ちを丁寧に酌み取るなど、個人の背景にある要因を把握して、的確かつ多面的な支援につながる予防的な取組も始まっており、今後、戸田市の取組についても研究してまいります。 さらに、新年度は、本年度策定した北区立学校不登校対応基本方針及び不登校対応プランに基づき、校外別室支援員配置事業や、スタディサプリ活用による学習支援事業を開始するほか、ご指摘のバーチャル・ラーニング・プラットフォームについても、東京都の補助事業を活用して実施することとしています。 引き続き不登校児童・生徒の多様な学びの場と居場所の確保に向けまして、新年度に設置する(仮称)不登校対応連絡調整会議の中で検討してまいります。 次に、こども誰でも通園制度についてです。 東京都では、令和五年度からこども誰でも通園制度に類似した親の就労を要件としない保育園等での定期的な預かり保育事業を開始しています。北区においても、柔軟な事業実施が見込める当事業を活用した子育ち応援モデル事業を昨年十二月から開始し、特に保育園では定員を大きく上回る申込みをいただいたところです。 令和六年度は実施園の拡大とともに、こども誰でも通園制度の内容に近い短時間保育の利用についてもニーズ等を分析し、今後は国のモデル事業の活用も視野に入れ、同制度の円滑な導入に向け準備を進めてまいります。 こども誰でも通園制度を実施する上での課題としては、保育現場における体制の確保と捉えており、私立保育園理事長・園長会などと意見交換を行ってまいります。 次に、部活動の地域移行についてです。 部活動の地域連携、地域移行の推進に当たりまして、スポーツ・文化芸術団体等の担い手や、指導者の質と量の確保は大変重要な課題であると考えています。 区といたしましては、新年度から立ち上げる関係団体等で構成する協議会の中で、包括協定を締結している大学や企業などとの連携、協力など、あらゆる方策を検討してまいります。 以上、お答え申し上げました。
◆二十四番(宮島修議員) 多岐にわたる質問に丁寧にお答えいただきありがとうございました。 今回の質問は、令和六年度予算、また、七つの主要施策を中心に、今後の北区が積極的に取り組むべき内容について提案型で質問をさせていただきました。 その中で、特に、今回男性へのHPVワクチンの接種については、実施に向けて体制を整備するというお答えをいただきました。前向きなお答えありがとうございます。ぜひ取組をよろしくお願いいたします。 様々、各回答については、今後設置されます予算特別委員会の中で細かく質疑をしていきたいと思いますので、今日はこの程度で収めたいと思います。大変にありがとうございました。(拍手)
○副議長(いながき浩議員) 議事の都合により休憩します。 再開は一時三十分です。 午後零時三十分休憩
----------------------------------- 午後一時三十分開議
○議長(大沢たかし議員) 休憩前に引き続き会議を再開します。 質問を続けます。 九番 せいの恵子議員。(拍手) (九番 せいの恵子議員登壇)
◆九番(せいの恵子議員) 私は、日本共産党北区議員団を代表して、大きく六点質問します。 初めに、新年度予算編成の考え方について伺います。 コロナ禍に続き、現在も深刻な物価高騰が区民の生活や中小業者の経営を脅かす中で、今年度末の主要六基金の残高は、昨年度からほぼ横ばいとなる約七百四十七億円となる見込みです。コロナ禍が始まった二〇二〇年度と比べれば百五十三億円も積み増しとなっており、これだけの余力があるなら、暮らしや営業へのさらなる支援の強化に活用してほしいというのが区民の切実な願いではないでしょうか。 中でも、使い道が定められていない財政調整基金は、昨年同様二百億円の規模に達し、新年度予算で約七十二億円を取り崩しても、二〇二四年度末には約百四十五億円が残る予算案となっています。この間、非課税世帯や低所得世帯、子育て世帯を対象とした支援は拡充されてきた一方で、中間所得層や十八歳以下の子どもがいない世帯、中小業者などへの支援はいまだ不十分な水準にとどまっています。我が会派は、今年度の予算組替え提案で、納税者の約半分に当たる課税標準額二百万円以下の区民に三万円を給付する物価高騰対策臨時給付金を求めましたが、こうした層への重点的な支援は、今も道理のあるものだと確信します。加えて、中小業者に対する直接支援も待ったなしです。 そこで、物価高騰から暮らしと営業を守るために、財調基金をさらに活用し、納税者の半分程度までを対象とする給付金や、中小業者に対する給付金を区独自に支給することを改めて求めるものです。 大きく二つ目は、能登半島地震の教訓から北区の防災対策の拡充について五点質問します。 質問に先立ち、能登半島地震で亡くなられた方々に哀悼の意を表すとともに、被災されている皆様にお見舞いを申し上げます。 質問の一つは、生活再建支援金の引上げと原発の廃炉を国に求めることです。 能登半島地震の発災からもうすぐ二か月、避難所での生活を今なお続けざるを得ない被災者も多く残されており、人権や尊厳が尊重される生活を送っていくには住まいの再建が欠かせません。 政府の示す住宅再建のための支援金は、従来と同じく全壊で最大三百万円。これでは資材の高騰の中で極めて不十分です。支援対象を半壊、一部損壊に広げ、支援額も六百万円以上に引き上げる必要があります。 また、今回の地震によって、志賀原発は原子炉を冷却する外部電源の損傷など、重大なトラブルが相次ぎました。柏崎刈羽原発も使用済核燃料プールから大量の冷却水があふれ出ました。しかも、原発再稼働の前提となる避難計画は、地震・津波災害に対応できないことが、いよいよ明瞭となりました。避難計画にある道路は、破損、土砂崩れが発生し、集落は孤立状態になりました。逃げようにも逃げられません。また、避難計画は屋内退避が原則ですが、倒壊の危険性がある建物や津波から逃げずにとどまるというのは、命を守ることと根本的に矛盾します。深刻な災害に見合う生活再建支援金の引上げと原発の廃炉を国に求めてください。 二つに、国の首都直下地震の被害想定と北区としての課題について伺います。 国は昨年十二月末に、首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)を公表しました。それによると、地震の揺れによる被害では、揺れによる全壊家屋は約十七万五千棟、建物倒壊による死者は最大約一万千人、市街地火災の多発と延焼で焼失は最大約四十一万二千棟、死者は最大約一万六千人、インフラ、ライフライン等の被害は、発災直後は約五割の地域で停電、一週間以上不安定な状況が続き、都区部で約五割が断水するなどとされています。 一方、今回北区が改定した地域防災計画の被害想定は、東京都が二〇二二年五月に公表した首都直下地震による東京の被害想定で行われています。 そこで伺います。国の首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)を受け、首都直下地震における北区としての重点課題をどのようにお考えか、また、現在改定中の北区地域防災計画との関連ではどう対応されるのかお示しください。 三つに、ジェンダーの視点、スフィア基準での避難所の改善についてです。 助かった命が長引く避難生活の中で失われることはあってはなりません。東日本大震災など過去の災害を見ると、発生から三か月程度まで災害関連死が起きるリスクが高いと指摘されています。能登半島地震でも、時間の経過とともに災害関連死が増加することや高齢者や障がい者などの体調の悪化も懸念されています。また、過去の災害では、トイレ、着替え、授乳の際、女性が周囲を気にせざるを得ず、女性、子どもが性暴力の被害に遭ったことも報告されています。これらのことからも、改めて避難所の運営には、ジェンダー平等の視点とスフィア基準が大切であることが明らかになっています。 内閣府男女共同参画局が二〇二〇年に作成した防災・復興ガイドラインの避難所チェックシートにも、管理責任者には男女両方を配置している、男女別更衣室、男女別休養スペースがある、女性専用スペース(女性用品の配置、女性相談)があるといった項目のほか、避難所での防犯対策も挙げられています。 そこで質問します。 一、避難所運営の際は内閣府男女共同参画局作成の避難所チェックシートを用い、人権を守り、要望が反映できるよう、運営に必ず女性を加え、相談体制を整えること。 二、女性、授乳、おむつ替え、介護の必要な人などプライバシーを確保したスペースの確保、男女別で距離を離したトイレの設置を行うこと。 三、防災備蓄品の見直しを行い、仕切り板、エアテント、インスタントハウスなど追加すること。 四、必要な区民へ防災ラジオを無償配布し、平時から防災ラジオで情報を流すなど情報発信を行うこと。 五、ホテルや旅館などみなし避難所を確保し、協定を結び、有事に備えること。 以上、求めます。 四つに、水害時の垂直避難の方針と区民への周知についてです。 東京都北区大規模水害を想定した避難行動の基本方針では、荒川氾濫時に浸水想定区域に居住する区民は、高台への立ち退き避難が推奨されています。 一方で、首都圏における大規模水害広域避難検討会にて、浸水想定区域内であっても一定条件を満たす場合、自宅等にとどまって安全を確保する垂直避難が可能である旨が示され、基本方針の改定が行われることになりました。この方針の改定については、対象地域の区民に十分な周知が必要だと考えられますが、区域内であっても一定条件に当てはまるのかをはじめ、判断を要することから、区として住民に寄り添った対応が求められます。区として対象地域への判断基準の考え方の説明や方針の周知をどのように行っていくかお考えをお聞かせください。 五つに、建築物など耐震・耐火への備えについてです。 災害が多くなっている今、区民の防災意識も高まり、命を守る備えを行う必要性を誰もが自覚せざるを得ない状況です。新年度予算案では、木造民間住宅の耐震化助成事業を二〇〇〇年の新耐震基準以前、いわゆるグレーゾーンと言われている期間まで拡充が示されたことは大きな前進ですが、さらなる拡充を求め、以下四点質問します。 一、木造民間住宅耐震化助成事業は、これまでも予算に比して実績が思うように伸びていません。実効性を高めるためには、助成額そのものを拡充する必要があると考えますが、区の見解をお聞かせください。 二、家具の転倒防止や屋内シェルター設置時の助成を時限的にでも行うこと。 三、感震ブレーカー設置補助を区内全域に対し行うこと。 四、火災時の初期消火に必要なスタンドパイプの増設を希望する自治会に追加整備することを求めます。 大きく三つ目は、命と暮らしを守る区政について、さらなる区民への支援拡充を求め、以下七点質問します。 一点目は、北区独自の給付金の支給についてです。 物価高騰が長期化する中、昨年末から今年にかけて行われた国のエネルギー・食料品等価格高騰支援給付金の支給は、多くの方々から、これで年が越せる、やっと一息つけるなど、喜びと安堵の声が聞かれました。 今回新たに対象者が拡大、住民税均等割のみ課税世帯に世帯当たり七万円、非課税世帯及び均等割のみ課税世帯への子ども加算、児童一人につき五万円の給付が行われ、六月からは納税者一人当たり四万円の定額減税と、それに伴う調整給付を行う予算措置が取られます。しかし、いわゆるはざまの世帯の困窮も深刻です。そこで、北区独自で課税世帯に扶養されている非課税者や家計急変世帯への対象拡大を求めます。 二点目は、介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療保険の保険料引下げについてです。 来年度は、介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療保険が同時に改定となる六年に一度のトリプル値上げの年となります。新年度予算案では、そのいずれの保険料も引上げが提案されており、物価高騰の中、給付金を支給しなければならない深刻さの中で矛盾した施策ではないでしょうか。区民の暮らしを守るために、三つの保険料は値上げしないよう、区として、以下、最大限の対応を求めます。 介護保険料は、介護保険給付費準備金をさらに活用し、値上げを抑える。国民健康保険料は、一般会計からの繰入れを継続し、子どもの均等割五割減額の対象を就学前から十八歳まで広げ、保険料そのものを引き下げる。あわせて、後期高齢者医療保険料も引き下げるよう広域連合に求めてください。 三点目は、産後デイケアの拡充と産後ケア助産師訪問の助成制度についてです。 産後デイケアは、出産後の親子を支える大切な事業であり、会派として繰り返し拡充を求めてきました。新年度予算案でも実施箇所の増設が示され、大変うれしく思います。 加えて、拡充に当たり、さらなる課題の改善を求めます。例えば、申請から交付まで二週間程度の時間が必要なことや、利用施設の予約が埋まっている場合も多く、緊急で今すぐケアを受けたい、希望日時に予約ができないなどの課題もあります。また一方で、子どもと一緒に施設に行くことが難しい、パートナーも一緒に産後ケアを受けたいという場合は利用ができません。 そこで、一、北区の高台地域での増設など区内全域でバランスよく施設を設置し、利用期間の延長、隣接区での利用の拡充を図ること。 二、東京都
助産師会北地区分会などの助産師の協力を得て、アウトリーチ型の産後ケアを提供できる事業の創設と助成制度を求めます。 四点目は、教育費無償化のさらなる充実についてです。 北区はこの間、二十三区で先駆けて給食費の無償化を進めるなど、学校教育の場での保護者負担軽減を図り、実績を積み上げてきました。これは、区民にも大変喜ばれており、今後も進めていただきたいと切に願います。 そこで、以下三点質問します。 一、二十三区の幾つかの区で、区立以外の小・中学校に対し、また、不登校の場合でも給食費相当分の補助を実施し、区内の小・中学生に対する学校給食費実質無償化に踏み出しています。折しも東京都は、新年度予算で学校給食費への二分の一補助を示しており、こうした財源も生かして北区でも私立、国立などに通う子どもを含め、区内全ての子どもの学校給食費実質無償化を求めます。 二、品川区では、各家庭が購入する補助教材費の負担が大きいことから、来年度、補助教材保護者負担軽減事業として、所得制限を設けず、各家庭が負担している区立学校の学用品にかかる費用を公費で負担すると発表しました。義務教育は無償とする原則からしても、品川区に続き区立学校の学用品全額無償化へ踏み出していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。 三、中野区では、令和六年度より経済的な困難を抱える子どもの保護者に対し、子どもの高等学校等への入学時にかかる費用に充てるための(仮称)高校入学支援金の支給が始まります。北区でも、子どもと子育て家庭の経済的な負担や不安の軽減を図るための支援を求めます。 五点目は、若者が利用できる民間シェルターへの支援についてです。 近年、家に居場所がない若者が事件や事故に巻き込まれる事例が次々と明らかになり、若者支援の必要性が認識されています。こども家庭庁においても、二〇二四年度から若者が緊急避難できるこども若者シェルターをNPO法人などの協力の下で整備を始めます。この間、私も個人質問などで紹介してきたとおり、北区内にも若者を保護するノウハウを持つNPO法人が既に活動をしています。虐待をはじめ、様々な事情で家庭に居場所がない若者がニーズに合った支援を受けられ、宿泊もできる安全な居場所を提供するNPO法人など民間団体に北区としての支援を求めます。あわせて、若者の安全な居場所の確保の提供や相談機能を持つ団体についての情報発信も求めますが、いかがでしょうか。 六点目は、商店街支援です。 新年度予算において、プレミアム付き区内共通デジタル商品券発行とともに、紙の商品券が販売されることになりました。消費者と区内商店街の双方を支援する事業であり、さらなる拡充をうれしく思います。 しかし、商品券発行や補助金の申請などには少なからず商店側の事務負担なども生じることから、商品券発行に伴う事務補助等を行う事務局員配置を必要としている商店街への補助を求めます。また、キャッシュレスポイント還元事業は、商店や区民からも好評の事業であり、新年度も実施を求めます。 七点目は、高齢者紙おむつ支給事業の拡充です。 物価が上がり、今までのように紙おむつを買うことができない。もっと予算を増やしてほしいとの介護者の方の切実な声が寄せられている中、新年度予算案で要介護高齢者等おむつ支給事業費の利用者補助が月五千円から六千円に増額になり、前進と受け止めます。 しかし一方で、従来より北区の条件は、近隣区に比べても支給額だけでなく、支給対象も要介護四、五、要介護三の場合は、七十五歳以上とされており、大変厳しい条件です。要介護状態になくても、仮に要支援でも常時紙おむつが手放せない方もおり、他区では紙おむつが必要な場合を勘案して介護度の緩和を行っています。北区でも、さらなる条件の改善を求めます。 大きく四つ目は、人間を大切にする働き方を目指し、以下五点質問します。 一つはケアワーカーの処遇改善です。 コロナ禍を経て、医療、介護、障がい福祉の分野で働くケアワーカーの重要性が再認識される一方で、人材不足が大きな課題となっています。慢性的な人材不足の要因の一つに、給与が一般の職種と比較しても低いことが挙げられ、この間、国や東京都なども若干の処遇改善を図ってきました。しかし、本来行われるべきである賃金の引上げには至っておらず、長引く物価の高騰も追い打ちをかけています。ケアワーカーからは、このままでは生活できないという切実な声も上がり、離職者も増えています。この状況は北区でも同様であり、改善していかなければなりません。まず、北区が他区に先駆けてこの状況にストップをかけるべく、コロナ禍での慰労金支給の実績を生かし、同等の支援を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。 二つは、会計年度任用職員の給与引上げと処遇改善です。 北区では、職員のおおよそ半数が会計年度任用職員であり、そのうち女性は八五%を占めています。あらゆる公務の現場で活躍し、区政を支えている職員であるにもかかわらず、経験を積んでも一年ごとの雇用契約で、賃金は会計年度任用制度が始まった二〇二〇年から一定の改善は図られているものの、抜本的な給与の引上げは行われない不安定な雇用形態が強いられています。 公務非正規女性全国ネットワークはむねっとの二〇二三年アンケート調査結果報告によると、会計年度任用職員制度についての問題として一番多い回答は、正規職員との給与格差、二番目が会計年度の任用形態でした。 そこでお聞きします。会計年度任用職員の時給については、区の裁量で定めることができることから、北区での賃金アップを求めます。 三つに、教員の働き方の改善です。 教員の長時間労働と欠員が深刻になっており、北区でも新年度に必要な教員が配置できないということも起きています。この大本には、教員給与特別措置法(給特法)で教員の場合は四%の調整額で、幾ら働いても残業代が出ないという縛りや、長期休暇職員の代替教員の不足などがあります。 そこで、一、国に対し、給特法の見直しと教員の増員を求めるとともに、新年度から定数どおりの教員配置ができるよう、東京都に強く要請すること。 二、教員にかかる負担の軽減を図るため、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、栄養士などの正規職員採用と図書館司書や副校長の事務補助職員の全校配置を求めます。 四つに、保健師の定数増と保健所体制の強化です。 新型コロナ感染症の流行以降、保健師の定数増が図られています。しかし、先日行われた北区健康づくり推進協議会で示された北区感染症予防計画・北区保健所健康危機対処計画(素案)では、有事に備え総合的なマネジメントを行う保健師の配置体制の構築や、感染症業務を担当する保健師の育成とともに、会計年度任用職員や人材派遣職員の活用など外部委託も明記されています。今後いつ起こるか分からない有事の際に、そのときになって職員を採用するということは困難ではないでしょうか。また、コロナ禍が明けた今、精神や母子保健の分野で対面でのアウトリーチ支援の需要は高まっています。 そこで、正規職員としての保健師の定員増を求めます。あわせて、有事の際に適切な対応が図られるよう、現在の保健所体制の見直しと体制の強化を求めます。 五つに、職員定数管理計画の改定についてです。 これまでの経営改革プランでは、外部化や非正規職員への置換えが進められ、直近の職員定数管理計画2020では、二〇二〇年から二〇二四年度までの五年間で職員定数を五十四名削減する人件費コストカットの方針が取られてきました。しかし、実際は四年間で職員が六十一名増え、計画との乖離は百十五名となっています。この五年間の予算規模は、一般会計だけでも二百五十七億円増えており、増大する行政需要から定数削減計画には無理があったのではないかと考えます。 そこでまず、定数管理計画2020の総括と今後の職員需要の見通しについてお答えください。その上で、今回の計画改定に伴い、必要な部署に必要な人数を配置できる職員増員計画に見直すことを求めます。 大きく五つ目は、包括的性教育と、性と生殖に関する健康と権利の拡充についてお聞きします。 社会状況の変化やSNSの普及、性被害の低年齢化など、現在の子ども、若者が置かれている性を取り巻く状況は厳しさを増しています。 新年度の新規事業で、私も繰り返し求めてきた性に関する現代的な課題や地域の実態を踏まえた出前授業、心と体を守るための性教育がモデル実施されることを大変うれしく思います。 しかし、今、性と生殖に関する健康と権利の拡充が喫緊の課題になっていることから、北区での包括的性教育のさらなる充実を求め、以下二点質問します。 一、出前授業、心と体を守るための性教育は、区立中学校全校で最低でも三年間で一度以上は受けられる体制を構築し、併せて小学校などでも助産師などの協力を得て、保護者も対象に性教育の出前授業を区独自で行うことを求めます。 二つは、ユースクリニックについてです。 東京都には、東京ユースヘルスケア推進事業として、区市町村への支援を補助率十分の十で行う事業があります。これを活用し、中高生等の思春期特有の健康上の悩みなどに対応する相談窓口を設置するとともに、医療機関や薬局などと連携した北区版ユースクリニックの創設を求めます。 最後に、まちづくりの課題について、以下二点質問します。 まず、住民参加と情報公開についてです。 現在、赤羽駅東口や東十条周辺では、今後のまちづくりの土台となる基本計画やガイドラインの策定検討が進んでいます。こうした計画づくりにおいては、住民参加と情報公開を貫くことが何よりも大切です。 ところが、赤羽駅東口では、まちづくり協議会が住民の意見をまとめたまちづくり提案を基本計画策定検討会に示すことになっているのに、一度総会で案が否決された後、再検討の議論がストップしています。地域住民からは、誰もが参加でき自由に意見が述べられるまちづくり懇談会の開催が繰り返し要請されていますが、これも見通しが示されていません。また、基本計画策定検討会は、傍聴できる人数を制限し、資料の公開は会議から一か月後という運営になっています。 そこで、一、区として、まちづくり懇談会の開催を赤羽駅東口地区まちづくり全体協議会に働きかけること。 二、各種計画検討会において、会場を広げたり、オンラインによるライブ配信も取り入れるなど、誰もが傍聴できる体制を取ること。 三、検討会当日の資料は持ち帰れるようにし、公開は一週間以内とするなど速やかに行うことを求めます。 次に、王子本町周辺の国有地利活用についてお聞きします。 旧都営中十条アパートや都営王子アパート、都営王子母子アパートの跡地は、現在広い空き地になっています。北区基本計画改定では、重度障がい者入所施設の設置場所を検討することが明記されましたが、この場所は中央図書館や中央公園などの文化施設や障害者センターからも近く、また、近隣には北療育医療センターや障害者総合スポーツセンターがあるなど、福祉施設も多く集まっています。国有地前の道路が拡張整備される予定もあり、王子本町周辺全体の整備も進んできています。 そこで、現在空き地になっている国有地については、王子本町周辺を福祉のまちづくりに貢献できる土地として活用できるよう、国と相談していただくことを要望いたします。 以上で私の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。(拍手) (
山田加奈子区長登壇)
◎区長(山田加奈子区長) ただいまの日本共産党北区議団を代表して、せいの恵子議員からのご質問に順次お答えいたします。 初めに、新年度予算編成の考え方についてお答えします。 財政調整基金は、今後の行政需要のほか、景気変動や大規模災害への備えにも対応するための極めて重要な基金であります。また、今後、新庁舎建設をはじめ、駅周辺まちづくりや公共施設の更新需要等が控える中、建設コスト等の上昇による予算への影響も懸念されているところです。財政は、区の信頼の礎であり、時代を俯瞰しながら将来世代の視点にも立った責任ある財政運営が、今後一層重要なものになると考えています。 これまで区では、地方創生臨時交付金をはじめとした財源を確保し、国や東京都の施策との整合性を図り、また、区議会からのご要望等も踏まえて、独自の給付金の支給を含め、積極的な取組を進めてきました。 また、事業者の経営安定のため、特にご要望の強かった新型コロナ・物価高騰借換え資金を創設するなどの対応も行っており、現段階において財政調整基金を活用した独自の給付金等を支給することは考えておりません。 次に、能登半島地震の教訓から防災を考えるについて順次お答えします。 まず、生活再建支援金の引上げと原発の廃炉を国に求めることについてです。 被災者生活再建支援制度は、自然災害により生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して、被災者生活再建支援金を支給することにより、住民の生活の安定と被災地の速やかな復興に資することを目的としています。 被災者支援の充実強化については、対象地域の基準緩和や対象世帯の拡充について、全国市長会を通じて国に求めています。 なお、志賀原発は現在停止中で、再稼働等に当たっては、原子力規制委員会の策定した基準等に基づくなど、今回の地震の知見も考慮し、厳正に審査されると聞いているほか、柏崎刈羽原発は、止水処理が実施済みであり、影響はなかったと認識しています。 原発の廃炉や稼働については、国が責任を持って判断をするべきものであり、北区から国に対して廃炉を求めることは考えておりません。 次に、国の首都直下地震の被害想定と北区としての課題についてです。 国が昨年末に公表した首都直下地震の被害想定については、東京都を含む首都圏など、より広域的な被害を想定したものであり、区としては建物や人的被害、避難者・帰宅困難者の発生などが重要な課題であると認識しています。 区ではこれまでも、東京都による地域防災計画の改定などの動きを踏まえ、区の地域防災計画の改定などに取り組んでまいりましたので、引き続き国の被害想定の反映状況など、東京都の動向を注視してまいります。 次に、ジェンダーの視点・スフィア基準で避難所の改善をについてです。 区ではこれまでも、避難所におけるジェンダーの視点やスフィア基準については非常に大切なことであると考えており、現在策定中の地域防災計画(素案)において、新たに避難所における多様性への配慮を記載しております。 なお、次年度より着手する避難所運営マニュアルの改定においては、より詳細な検討を行い、整理していく予定としております。 次に、防災ラジオの無償配布につきましては、現在、視覚障害をお持ちの方を対象に行っており、引き続き配布の対象などを検討することとしております。 なお、区では防災ラジオは、避難指示などの緊急的な情報を発信する手段として活用しており、平時における活用は、今のところ考えておりません。 次に、ホテル等を利用した避難所の確保につきましては、能登半島地震での取組も踏まえ、今後、国・東京都をはじめとした広域的な取組や、他区の事例などを参考に調査・研究してまいります。 次に、水害時の垂直避難の方針と区民への周知についてです。 東京都北区大規模水害を想定した避難行動の基本指針の改訂に当たっては、浸水想定時間など、垂直避難が可能な条件等について、イラストを活用した分かりやすい内容となるよう作成することを考えています。 また、対象地域となる区民の皆様には、ふれあい館など地域に身近な場所に出向いての説明会の開催や、説明会に参加できない方に向けた説明動画の配信等、丁寧な周知に努めてまいります。 次に、建築物等耐震・耐火への備えについてのうち、木造民間住宅耐震化促進事業についてお答えします。 区では、昭和五十六年以前に建築された住宅の耐震化率が九割程度進んだことから、来年度、助成対象建築物の要件を緩和し、事業を拡充してまいります。さらなる助成事業の拡充については、来年度以降の状況を踏まえ、研究してまいります。 次に、家具の転倒防止や屋内シェルター設置時の時限的な助成については、他自治体の取組状況を調査・研究してまいります。なお、家具の転倒防止対策については、対象となる方についての取付け支援を引き続き行ってまいります。また、感震ブレーカー設置補助については、東京都の配布事業の結果を確認した上で、今後の事業の在り方を研究してまいります。 なお、火災時の初期消火に必要なスタンドパイプの増設については、地域からのご要望などを受け、現在、地域の世帯数や面積などに応じた配備数などを検討しているところですが、引き続き各自主防災組織のご意見を伺いながら、地域の実情に合ったスタンドパイプの配備に努めてまいります。 次に、命と暮らしを守る区政にのご質問にお答えします。 まず、北区独自の給付金の支給をについてです。 今回の給付金事業については、昨年末の住民税非課税世帯への給付、今月から開始する均等割のみ課税世帯への給付に加え、今後、扶養家族の人数に応じた定額減税や減税の効果が十分に受けられない方への調整給付が予定されているほか、新たに住民税非課税となる世帯など、いわゆるはざまとなる世帯へも配慮した給付になっていると捉えています。 区としましては、現在行っている給付金に加え、今後予定されている給付金や調整給付を漏れなく迅速に実施することで、様々な層の区民が物価高に対応できるよう支援していきたいと考えており、現時点で区独自で給付金の対象を拡大することは考えておりません。 次に、介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療保険の保険料の引下げをのご質問に順次お答えします。 初めに、介護保険料についてです。 介護保険料につきましては、第九期介護保険事業計画の中で見込んだ介護サービスの需要と被保険者数に基づき、基準保険料額と所得段階ごとの保険料額を定めています。第九期計画期間においては、要介護・要支援の認定者数の増加や介護報酬の改定により、給付費は第八期より約四十四億円増の九百二十四億円と推計され、保険料の上昇は避けられない状況となっています。 区では、このような状況を踏まえる一方、昨今の社会情勢から第九期計画期間中に報酬改定が実施される可能性が否定できないことや、想定外の給付費の伸びへの備えも視野に入れ、保険料の上昇抑制のため、第八期を上回る二十億円の取崩しを行うこととしています。 次に、国民健康保険料の引下げについてです。 今年二月、特別区長会は、令和六年度の保険料について、独自の激変緩和措置を二年延長し、一般財源を組み入れることにいたしました。さらに、北区では、四十歳以上にかかる介護納付金について独自の負担軽減を行い、後年度負担に配慮しつつ、保険料の抑制を図ります。 また、子どもの均等割額の減額措置については、未就学児までの制限を撤廃すること及び公費による軽減割合の拡大を実施することを、特別区長会は国に対して求めています。 次に、後期高齢医療保険についてです。 保険者である東京都後期高齢者医療広域連合は、令和六、七年度の保険料率改定に当たり、保険料の負担軽減を図るため、一般財源を投入し、特別対策を引き続き実施することとしました。区としても、広域連合に保険料の負担軽減を求めております。 次に、産後デイケアの拡充と産後ケア助産師訪問の助成制度についてお答えします。 次年度の産後ケア事業については、利用者の増加に合わせてショートステイ、デイケアとも事業者の拡充を予定しています。拡充に当たっては、施設の少ない高台地区について、隣接区の事業者を含めて働きかけを行っているところです。 また、不安定で孤立を感じやすい妊産婦には、様々な状況に応じた支援を展開する必要があると認識しており、アウトリーチ型の産後ケアを含めて、産後ケア事業の拡充策について、引き続き調査・検討を進めてまいります。 次に、商店街支援についてのご質問のうち、初めに商品券発行や補助金申請等の事務の補助についてです。 これらの事務手続が商店街にとって負担が大きいことは、区としても認識しておりますので、補助金申請に関わる事務手続の簡素化を求める商店街のご要望については、引き続き制度を構築している東京都に伝えてまいります。 次に、キャッシュレスポイント還元事業の実施についてです。 同事業は、財源の確保が大きな課題になるとともに、区で費用を負担しているポイント還元分を区内での利用に限定できないといった制約もあります。 そのため、来年度は北区商店街連合会が検討を進める区内共通商品券のデジタル化の支援と併せ、デジタル化初年度としてプレミアム分の補助総額を拡大することで、区民の利便性の向上や生活応援、区内商店街等への消費喚起とデジタル化による事務の負担軽減を図るなど、地域経済の活性化に向けて取り組んでまいります。 次に、高齢者紙おむつ支給事業の拡充についてです。 この制度は、昭和五十四年に寝たきりの高齢者を対象に支給が始まり、介護保険制度開始以降は要介護四、五の方を対象としていましたが、平成二十五年度より七十五歳以降の要介護三の方を対象に加えた経緯がございます。 各区における支給要件は、要介護度のほか、北区にはない所得要件や代金の一定割合を自己負担としている区もあり、単純な比較は難しいと考えています。 一方、昨今の物価高騰なども踏まえ、事業内容について検討している区もあると聞いています。 北区においても、来年度助成限度額を千円増額することとしたところです。引き続き、他区の動向など注視してまいります。 次に、人間を大切にする働き方へのご質問に順次お答えします。 初めに、ケアワーカーの処遇改善についてです。 医療や福祉分野において、事業者の安定的かつ継続的な活動のために必要な質の高い人材の確保、定着を図るため、国は来年度から医療や福祉分野に従事するケアワーカーの報酬改定を実施する方針を示しており、一定の処遇改善が図られるものと捉えています。 なお、従事者の処遇も含め、医療、介護、障害に係る持続可能な制度の構築は国の責任において行われるべきものであり、区独自の支援は考えておりませんが、医療、介護、障害分野では、今後さらなる人材不足が懸念されていることから、区としては国や東京都に対し、人材確保に向けた処遇改善を要望してまいります。 次に、会計年度任用職員の給与引上げと処遇改善についてお答えします。 会計年度任用職員の賃金体系は、原則として区常勤職員と同様の職種や給料表を適用し、職務内容に応じた給与を支給しています。これまで会計年度任用職員については、令和六年度から勤勉手当の支給を開始するなど一定の処遇改善を図っており、制度発足以来、時給についても引上げを行っています。今後も引き続き、他区の状況や社会情勢の変化、特別区人事委員会勧告を踏まえ、適切な賃金水準を確保してまいります。 次に、保健師の定数増と保健所体制の強化についてお答えします。 保健師職員の採用については、職員の退職や行政需要などに応じて計画的に行い、適正な定数を確保しております。 新型コロナウイルス感染症拡大により業務量が増大した際は、保健所に配属されている保健師の正規職員の増員と併せて、業務委託や人材派遣などの外部人材を活用し、感染拡大期に応じた体制を確保してまいりました。今後の保健所体制については、有事などの健康危機への対応と同時に、健康危機発生時においても保健所としての機能が発揮できるよう、現在策定中の北区保健所健康危機対処計画を踏まえ、応援体制を含めた人員体制の確保や人材の育成、関係機関との連携などを図ってまいります。そのため、保健師職員の採用については、引き続き計画的に実施し、行政需要に応じた適正な水準を確保してまいります。 次に、職員定数管理計画についてお答えします。 職員定数管理計画2020は、北区基本計画に掲げた重点的な施策を推進できる人員体制を整備するとともに、北区経営改革プランで示された将来世代に負担を残さない行財政運営の実現を着実に推進することを目的としています。 一方で、計画策定後、新型コロナウイルス感染症などの緊急的な対応や新たな行政ニーズが生じた部署においては、必要な人員や体制の確保に努めたことにより、コロナ禍など、危機的な状況においても、安定的な行財政運営を行い、計画の目的は果たしたものと考えています。 今後の職員需要の見通しについては、令和八年度に開設予定の区立児童相談所等に係る業務や少子高齢化の進展などに伴う行政需要の増加が想定されます。 その上で、新たに策定する職員定数管理計画は、北区基本計画2024に掲げた政策を着実に推進できる人員体制を整備する一方で、北区経営改革プラン2024に基づき、柔軟で効率的な執行体制の構築に努め、職員定数の適正化に取り組んでまいります。 次に、包括的性教育と、性と生殖に関する健康と権利の拡充についてのうち、ユースクリニックについてお答えします。 現在、健康支援センターでは、随時の健康相談のほかに、専門医によるこころの悩み相談や女性のための健康相談を実施しています。思春期特有の健康上のご相談があった場合には、これらの窓口で対応するとともに、小・中学校におけるカウンセリングや東京都がユースヘルスケア推進事業に基づき実施している相談窓口、わかさぽをご案内しています。 東京ユースヘルスケア推進事業については、次年度から実施するプレコンセプションケア事業での活用を予定しているところであり、中高生等の相談窓口設置については、当該事業における今後の課題の一つとして、教育委員会とも連携を図りながら調査・検討してまいります。 次に、まちづくりの課題についてお答えします。 初めに、住民参加と情報公開についてのうち、まちづくり懇談会の開催についてです。 赤羽駅東口まちづくり全体協議会においては、まちづくり懇談会の開催を含め、今後の協議会の活動について検討を行っています。事務局である区としましては、まずは幹事会の中で、主体的に今後の活動について整理されることが重要であると認識しています。 次に、誰もが傍聴できる体制を取ることについてです。 赤羽駅周辺地区まちづくり基本計画策定検討会では、できる限り広い会議室を確保し、その中で用意できる座席等を最大限活用して、傍聴人の定員を設定しています。定員を上回る方から傍聴のお申込みをいただいておりますが、会場が限られることや、検討会の資料や議事録を公開していることから、引き続き現在の運用を継続していきたいと考えています。 また、オンラインによるライブ配信につきましては、区民参画や開かれた区政を推進するという観点から、引き続き対応について検討してまいります。 次に、検討会資料の取扱いについてです。 赤羽駅周辺地区まちづくり基本計画の検討会資料につきましては、基本計画をまとめる上での検討過程の資料であり、慎重に取り扱う必要があると考えていることから、後日、ホームページ上の公開とさせていただいています。 資料の公開に当たりましても、資料の内容や真意が正確に伝わるよう、資料と併せて、検討会当日の議事録に説明内容を記載して公開することとしており、議事録の作成には検討委員の皆様に発言内容を確認していただく必要があることから、一か月程度のお時間をいただいているところです。 次に、王子本町周辺の国有地利活用についてです。 王子本町周辺の都営住宅等跡地については、現在更地になっていることは承知しており、現時点では東京都が管理していると認識しています。現在策定している中期計画では、障害者の地域生活基盤の整備として、障害者の入所施設の整備・誘導を計画事業に位置づけており、整備のための敷地確保とともに、その敷地の形状や大きさが課題であると考えています。 王子本町周辺の国有地の利活用に当たっては、道路整備との関係も踏まえながら、福祉に限定することなく区全体の行政需要を含めて、幅広い視点で検討の上、要望していくことを考えています。 以上、お答え申し上げました。 いただきましたご質問につきましては、その趣旨を踏まえつつ、今後の区政運営の参考とさせていただきます。 ありがとうございました。
◎教育長(清正浩靖教育長) 私からは、命と暮らしを守る区政に関するご質問のうち、教育費無償化の拡充に関するご質問にお答えいたします。 初めに、私立学校等に通う子どもも含め、区内全ての子どもの学校給食費実質無償化を求めることについてです。 区では、区立学校に在籍する全児童・生徒を対象に、各学校において喫食数の管理を行った上で、保護者が負担する給食費分の補助金を学校へ支給し、学校給食費の無償化を実施しています。 東京都による補助制度の対象は、区市町村立学校の児童・生徒の給食費であると認識しており、北区においても引き続き区立学校の児童・生徒を対象に実施したいと考えています。 次に、区立学校の学用品無償化についてです。 学校で使用する補助教材は、各学校が指導の効果を高めるために選定する教科書以外の図書や教材等であり、学校ごとに種類や金額、購入方法等が異なります。区では、北区教育ビジョン2024(案)において、学校給食費の公会計化と併せて、教材費等の管理業務に係る教員の負担軽減の取組を検討する計画としていますが、その中で教材費の実態についても研究してまいります。 次に、高等学校入学等への入学時に係る費用負担軽減の支援についてです。 高校入学の経済的支援については、中野区をはじめ、数区が実施していることは承知しており、東京都は、東京都私学財団を通じて、育英資金の貸付けや、私立高校等の入学支度金貸付の実施に加え、生活保護世帯、住民税所得割非課税世帯を対象とした奨学給付金の支給を実施しており、一定の支援は行われているものと認識しています。そのため、区による支援については、今後の研究課題とさせていただきます。 次に、若者が利用できる民間シェルターへの区の支援についてお答えします。 一時保護や施設入所などに該当しないものの、様々な事情で家庭に居場所のない子どもたちへの支援はセーフティネットとして重要であると認識をしております。また、若者支援のため、区内で活動をしている団体があることは把握しており、相互に連携し、必要な方への支援を行っていきたいと考えております。 なお、団体への支援や情報発信等につきましては、既に取組を進めている他自治体の事例なども参考に、引き続き研究してまいります。 次に、人間を大切にする働き方へに関するご質問のうち、教員の働き方の改善についてお答えします。 昨年九月、国は、教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策(提言)を踏まえた取組の徹底等についてという通知を発出し、この中で教員の処遇改善についても示しており、現在、中央教育審議会の部会において協議が進められていると認識しています。 給特法の見直しや教員不足の解消については、これまでも全国都道府県教育委員会連合会が国に対して要望していると認識しており、今後とも国の動向を注視してまいります。また、新年度の教員配置については、定数どおりの配置がなされるよう、特別区教育長会から東京都に要望しています。 教員の負担軽減を図るための様々な専門人材については、人事給与制度や財政負担などを踏まえた上で、今後とも必要な人材の確保に努めてまいります。 次に、包括的性教育と、性と生殖に関する健康と権利の拡充についてのご質問のうち、中学校における性教育の出前授業についてです。 現在、学校における性に関する指導は、学習指導要領を踏まえ、体育科、保健体育科、道徳科、特別活動の時間を中心に計画的に実施しています。 中学校学習指導要領に示されていない妊娠の経過、避妊法及び人工妊娠中絶などの課題については、これまで区立中学校四校で保護者の了解を得た上で、地元の産婦人科医による出前授業を実施しています。 北区教育ビジョン2024では、当該授業の令和八年度中の全中学校での実施を予定していますが、授業を行える専門性の高い産婦人科医は限られることから、全生徒が在学中に一回は当該授業を受けられる仕組みを計画しています。 なお、小学校での実施や保護者対象の出前授業については、今後の研究課題とさせていただきます。 以上、お答え申し上げました。
◆九番(せいの恵子議員) 丁寧にお答えいただき、ありがとうございました。 私からは、まず再質問をさせていただきたいと思います。 新年度予算の編成についての考え方のところと、命と暮らしを守る区政についてで質問させていただきましたが、北区独自の給付金の支給、これについてです。 今の現状では、給付金の支給は考えていないというお答えにはなりました。そして、そういうお答えだったんですが、私、さきに述べたように、やっぱり物価の高騰で本当に生活が大変になっているというのは、非課税世帯や低所得世帯、もちろんこれは深刻ですが、いわゆる中間所得層、また十八歳以下の子どもがいない世帯、中小業者、今までなかなか支援の手が届かなかったこちらの方たちも本当に同様です。 厚生労働省が六日に発表した毎月勤労統計調査によりますと、二〇二三年の現金給与総額に物価の変動を反映させた実質賃金、これは前年比で二・五%の減となって、二年連続で減少しています。また、総務省が同じ日に発表しました家計調査でも、二〇二三年の一世帯当たりの月額消費支出、これも二・六%減少。やはり賃金の伸びを物価の高騰が上回って、家計の節約が強まっている。これを浮き彫りにしている状況だと思います。 また、中小業者に関しても、特に雇用の七割を占めているわけですが、なかなか賃上げが進んでいない。その中で、城南信用金庫が東京都と神奈川県の取引先を含めて調査した結果でも、二〇二三年に賃上げをしなかったという企業が五五・七%と過半数を占めているという状況から見ても、私たちがさきに支援をしてほしいと言ったところに、やはり予算組替えの提案で二百万円以下の区民に三万円を給付する、物価高騰対策臨時給付金を求めましたし、同様に、今回も北区独自の給付の拡大ということで様々求めていますが、これは本当に道理があると思っています。 こうした中で、区の今の財政は厳しいとおっしゃいますが、財政状況は好転していますし、基金も増やせている状況なんです。そういう中で、区長が今回も様々に述べられましたが、誰か一人ではなくて、誰もが幸せを感じられる。全ての区民が健やかに輝きを持つ北区。こういう北区にしていくためには、財政は信頼の要だというお言葉もありましたけれども、確かに財政は信頼の要なんですが、やはり行政が本当に区民を思って支えることも必要なんじゃないかと私は思います。本当に、今、区の独自の対象の拡大やこういう給付、私は今こそやるべきではないかと思っておりますので、ここを再質問させてください。
◎政策経営部長(藤野浩史政策経営部長) (説明員) 議員もご案内のとおり、この間、区では地方創生臨時交付金をはじめとした財源を確保しながら、国や東京都の施策との整合を図り、また、区議会からの要望も踏まえ、独自の給付金の支給を含め、積極的な取組を進めてきたところでございます。 また、事業者の部分で申し上げますと、経営安定のために、特にご要望の強かった新型コロナ・物価高騰借換資金を創設するなど対応も行ってきているところでございます。 これは、答弁でも申し上げましたとおり、財調基金については、今このときだけの資金として考えるのではなくて、やはり時代を俯瞰しながら、かつ将来を見据えた中長期的な資金として考えることが、将来世代に責任を持たなければならない私どもの使命であるというふうに考えてございます。これも答弁で申し上げましたけれども、区財政はまさに信頼の礎であるというふうに捉えているところでございます。 今回、中期計画も案をご提案させていただいているところでございますけれども、この中期計画の中にも非常に多くの建設事業が計画化してございます。建設事業費以外の将来需要、これはまちづくりですとか福祉の関係ですとか、こういったものも後年度負担として多くの経費が見込まれているところでございます。そういった中におきまして、やはり一定の基金の積立てがあってこその区民からの信頼でございまして、それが損なわれるような、将来への備えの見通しがはっきりと示せないような財政運営を行うのであれば、区への信頼そのものが揺らぎかねないというふうにも考えているところでございます。 繰り返し細かくは申し上げませんけれども、今後の行政需要や景気変動、そういったところを考えるのであれば、そこに一般財源を投入していくというのは考えにくいと、やはり慎重に判断していくということが必要だというふうに考えているところでございます。 なお、これも申し上げてきているところでございますけれども、この間、給付の対象となっていない低所得者支援及び定額減税の補足に対する給付としては、新年度予算の中で対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。 以上です。
◆九番(せいの恵子議員) 私も予算特別委員会の委員になりますので、今日はこの辺で終わりたいと思うんですが、将来需要とか、あと中長期的に俯瞰しながら財政をやっていかなきゃいけない。それはもちろんですけれども、やはり今現在の大変に困っている方たちに、そのときに財政調整基金の中から手を差し伸べる、こういうことも私はできないことではないと思っています。 次の予算特別委員会の中でも、また様々質疑をさせていただきたいと思っています。 ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢たかし議員) 三十四番 うすい愛子議員。(拍手) (三十四番 うすい愛子議員登壇)
◆三十四番(うすい愛子議員) 質問に先立ち、能登半島地震で被害に遭われた方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。 また、二年にも及ぶロシアによるウクライナ侵攻、さらに、イスラエルによるパレスチナ自治区への無差別攻撃に抗議するとともに、一刻も早い平和の実現を心から祈念します。 それでは、立憲クラブを代表して大きく五点質問いたします。 大きく一つ目、新年度予算編成について、ウェルビーイング視点に基づく予算編成について伺います。 日本におけるウェルビーイングに関する議論は、二〇二一年から始まっており、同年六月より、省庁の計画により、ウェルビーイングに関するKPIが掲載されるようになりました。 そもそもウェルビーイングとは、精神的・肉体的に健康であると同時に、社会的・経済的に満たされている状態を指します。 品川区新年度予算案は、ウェルビーイングを軸に予算編成した国内初の事例として大々的に報道されました。ニュージーランドのウェルビーイング予算編成のように柱立てを行い、政策群をつくったことが特徴です。具体的には、全六百六十五事業の事務事業評価を実施し、一般会計予算二十億円の財源を捻出し、幸福度や地域愛着度等を調査したアンケートの中で、重要度が高く満足度も高い項目、重要度は高いが満足度は低い項目をそれぞれ導き出し、四つの柱に基づいて予算分配しています。 ウェルビーイングに基づく予算編成は、経済成長の指標だけはなく、区民の幸福や生活の質を重視する区政につながります。つまり、予算編成において、ウェルビーイングの概念を自治体政策に活用することで、区民の主観的な幸福感や満足度を測定し、それにより区民の実際の福祉や生活の質を反映した政策立案と資源分配を行うことができ、結果的に自治体のサービスの質と効率性を高めることができるのではないでしょうか。 そこでお伺いいたします。北区においては既に高齢者関連施策においてウェルビーイングの利活用が進んでいます。北区全高齢者実態把握調査です。この中で幸福度についての質問があり、調査分析を行っております。この効果についての評価を伺います。 次に、北区において品川区のようなウェルビーイング視点に基づく予算編成を行うことについてはいかがでしょうか。見解をお示しください。 さらに、現在の区民意識・意向調査についても、このウェルビーイングの視点は、北区全高齢者実態把握調査と同様に必要な視点と考えます。区の見解をお示しください。 大きく二つ目、平和について伺います。 現在、パレスチナ周辺及びウクライナ・ロシア間と世界各国で戦争が絶えない状況にあります。こうした状況においては、区民一人一人が平和を求める声を上げ続けることが必要であり、それに対する取組が行政としてもいま一度求められる時期なのではないでしょうか。 北区においては、一九八六年に平和都市宣言を制定し、毎年八月上旬の約一週間を平和祈念週間として催しを実施しています。その上で、平和及び平和施策に関する区民意識の実情の把握を行うべきと考えます。現状の区民意識・意向調査では、平和に関連する区民意識についてのありようを把握できていません。平和に対する区民意識の把握ができなければ、現状の施策を改善することはできないのではないでしょうか。見解をお示しください。 さらに、戦争体験を風化させないためにも、区民参加による戦争体験の継承を進めるべきではないでしょうか。平和祈念週間で、戦争体験、被爆体験を中心に据えた事業を求めます。いかがでしょうか。 また、平和事業に対する金銭的支援として、平和基金の創設や、現状のふるさと納税寄附金のメニューに平和応援を加えることについてはいかがでしょうか。 こういった世界で戦争が絶えないときだからこそ、区としても平和に関する事業の見直しとさらなる拡充が必要です。 大きく三つ目、防災対策について、特に乳幼児支援と災害時の性暴力について伺います。 災害対策基本法では、高齢者、障がい者、乳幼児、その他の特に配慮を要する者を要配慮者と定義し、防災上必要な措置に関する事項の実施に努めなければならないと規定しています。 北区でも、北区地域防災計画令和五年度改定概要版(案)の中にて、要配慮者に対して、より具体的な記載への見直しを行っております。 災害時においては、乳幼児はもちろん、妊産婦についても一定の配慮が必要です。乳幼児がいるだけでも避難は困難ですが、乳幼児のみならず、複数子どもがいる場合の避難がさらに困難であることは言うまでもありません。無事避難できたとしても、避難所での慣れない生活環境やストレス、不安感により妊産婦及び乳幼児については特に心身の負担が大きくなります。また、断水や停電等により、授乳に当たっての清潔な環境等が確保できない可能性が高まることが想定されます。 そこでお伺いいたします。 まず、授乳に当たっての環境の整備や授乳中の女性への支援についての現状をお伺いします。お答えください。 また、北区では二〇二三年度から、防災備蓄品として液体ミルクを配備していますが、この保管方法についても伺います。紙コップ等も備えがあるとのことですが、これは乳幼児も使用することを想定しているのでしょうか。平時から育児用ミルク及び使い捨て哺乳瓶や消毒液、その他授乳用品の備蓄について検討したり、専門家からアドバイスを受けたりしているでしょうか。備えていても、実際に災害時に使用できない状況であっては意味がありません。ライフラインが途絶えて水不足になる場合、水が足りている場合等、それぞれのケースを想定した備えができているかを伺います。 平時からの母乳育児支援が、実は最大の防災支援となるということを、先日、母と子の育児支援ネットワークの方から伺いました。乳幼児一人がミルクを哺乳瓶で飲む際に必要な清潔な水の量は、一日二十四リットル以上であり、さらにこれを、煮沸を行うとすると二十四リットルでも足りません。また、ほかにも、清潔に保つためには消毒液や洗った哺乳瓶を乾かすスタンド等、必要な備品は大変膨大です。もちろん、母乳育児を強要することはあってはなりません。ただ、母乳育児を望む方を平時から支援することは、防災といった観点からも重要です。母乳育児支援に関する区としての考えをお示しください。 厚生労働省では、あかちゃんとママを守る防災ノートなどの平時における意識喚起も進めています。北区においても、こうした平時からの喚起が必要と考えます。具体的には、母子手帳交付時、はぴママひよこ面接のときなど、こちらの防災ノートや、これに準じるものを渡してはいかがでしょうか。 能登半島地震においても、自宅、転居先、避難所等における性暴力について、早い段階から様々な媒体を通じて被害の声が寄せられています。また、直接的な被害に加えて、医師、警察、相談員、ボランティア、親族など、幅広い階層からセカンドレイプ、いわゆる二次被害があったという声も多くあります。災害時には、平時以上に女性や子どもの脆弱性が増強することを踏まえた取組が必要です。 東日本大震災女性支援ネットワークの調査チームの報告書の中で、災害時の環境的要因を考慮した暴力防止と対応、災害対応に関する意思決定への女性の参画と男性との協働などを含めた具体的な八つの方策が必要であると示されています。 そこでお伺いいたします。二〇二二年決算特別委員会の中で、女性エリア、ファミリーエリアが導入できないか検討するということでしたが、その後の検討結果をお聞かせください。 さらに、加害者の中には災害に従事する者、具体的には団体の職員及びボランティアが加害を働くことも、残念ながら現実として起こります。そのような場合の介入、指導も必要です。さらに、現在見直しが行われている地域防災計画の中で、これらの対応を実践的に進めるためにも、マニュアル化していく必要があります。チェックリスト形式、スマートフォン対応などの使いやすい形での配布が必要となると考えますが、いかがでしょうか。 さらに、加害を見ないふりして沈黙することは、加害に加担しているということになるということを、区民一人一人が自覚し、性に基づく暴力を許さない社会規範が形成されることが、こうした災害時の性暴力への対策としては必要不可欠です。そのための一つの方法として、市民レベルの防犯のアプローチであり、古くから提唱されているバイスタンダー・インターベーションという概念があります。これは、近年、性に基づく暴力への応用がなされており、その効果についても調査研究が進んできています。 バイスタンダーとは、傍観者と翻訳されることがありますが、それは誤りで、暴力を目撃した者が、それを傍観せずに積極的に暴力の防止に関わる立場という意味で用いられます。これは、性に基づく暴力の加害を目撃したら、それを見過ごさずに加害者及び被害者に声をかけることによって、暴力を防ぐ規範をつくろうというアクションです。バイスタンダーによって暴力を防ぐ規範をつくるには、パンフレットのような刊行物では限界があり、座学的な研修でも不十分です。加害やその前兆を見かけたら、バイスタンダーとしていかに効果的に介入するかについて、住民による参加型のワークショップなどを通じて、地域に根差した、そして継続的な取組が必要です。それには、被害に遭いやすい女性だけではなく、男性の積極的な参加が求められます。そうした取組について、区としての考えをお聞かせください。 大きく四つ目、子を望む人が安心して出産、子育てができる北区を目指して伺います。 多胎の妊娠、出産はリスクが伴い、管理入院などにより入院期間が長く、体力が低下した状態で育児が始まります。出生数に占める多胎児の割合は全体の二%程度であり、さらに年齢別に見ると、出産する人の年齢が三十歳以上になると二%を超え、四十歳から四十四歳では二・七一%、四十五歳以上では五・九五%に上ります。出産する人の年齢が上がるにつれて多胎児が生まれる割合が高くなっていることが分かります。 多胎妊娠は、複数の赤ちゃんがお腹にいるため、母体への負担は単体に比べて当然高くなります。つわり、早産、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、HELLP症候群、胎児発育不全、胎児形態異常、血栓症などの合併症が起こりやすくなります。特に早産は、多胎妊娠では頻度が高く、子どもの予後に大きく関わります。分娩において多胎は一%程度であり、同じ境遇を共有している多胎児家庭同士の交流は、十分にあるとは言い難い状況です。 二〇一八年に厚生労働省は多胎児支援のポイントを示しました。その中で、妊娠中からの継続的な関与、育児環境のアセスメント、親・パートナーに向けた支援、地域の医療機関や多職種連携による支援の必要性が示されています。 北区では、多胎児家庭移動経費支援として、タクシーチケット配布などが行われていることは評価いたしますが、施策としては断片的です。総合的な支援施策の可能性を伺います。 まず、はぴママひよこ面接やはぴママたまご面接を通じた多胎児世帯の妊娠中からの継続的な関わりと支援についてです。妊娠届の提出時から、多胎の育児についてイメージできる情報提供や、多胎児世帯の交流の場の情報提供が必要不可欠です。しかし、現状はツインズ・イン・北区をはじめとして、多胎支援や、そのコミュニティの情報が職員全体に十分に周知されているとは言えない状況にあります。多胎は妊娠期からハイリスクであり、前述の症状以外にも様々な症状により、一日一日をただ過ごすだけでも精いっぱいで、自ら情報を調べたり、アクセスしたりするだけの体力はもちろんのこと、気力もありません。ぜひ区のほうから積極的に多胎ピアサポートグループの紹介、妊娠期からの多胎育児情報について提供していただきたいのですが、現状の児童館での情報提供の状況と併せてお聞かせください。 さらに、多胎児支援のポイントでは、妊娠中からのアセスメントとして、家庭内の様子を見ることの重要性を示しています。現行の赤ちゃん訪問では、妊娠時から子育て環境を丁寧にヒアリングし、十分な把握はできているのでしょうか。 また、多胎については、妊娠期から相談できる担当者を定め、いつでも安心して相談できるような体制づくりと出産先の医療機関との連携を求めます。いかがでしょうか。 世界保健機関WHOは、出生体重二千五百グラム未満を未熟児と呼んでいましたが、現在では、出生体重と在胎週数によって明確に分類されるようになりました。具体的には、二千五百グラム未満を低出生体重児、千五百グラム未満を極低出生体重児、千グラム未満を超低出生体重児、さらに在胎三十七週未満で生まれた赤ちゃんを早産児としています。低出生体重児は、体重や在胎週数のいかんを問わず、身体的あるいは各臓器の機能の点から子宮外生活に適応するのに十分な成熟度に達していないため、保健医療関係者が十分な知識を持って対応する必要があり、低出生体重児の多くは、医師の判断で追加の入院治療が必要となります。 それに対して養育医療という助成制度がありますが、これを含めた出産に関する手続は大変煩雑で分かりにくく、出産直後の上に、毎日成長を祈りながらNICUへ通わなければならない親にとって負担であることは言うまでもありません。北区において、これらの支援についての課題と今後の方向性について伺います。 低出生体重児を出産した親の心理的負担の多くは、低出生体重児を出産する以前からの妊娠した人を取り巻く複雑な環境や人間関係に起因します。低出生体重児を出産した方に寄り添ったアセスメントについてお聞かせください。 次に、様々なリスクが高い低出生体重児への継続的な医療ケアについて伺います。 後遺症が残らないよう、出産後のケアを継続するため、総合病院や周産期医療センターの専門家との連携は非常に重要です。区の現状をお示しください。 さらに、北区の未熟児養育医療助成の改善について伺います。 そもそも、この未熟児養育医療助成という名称についてですが、他自治体では養育医療としているところもあります。未熟児は、現在医療機関でも低出生体重児と言われています。在胎週数が少ないため、子宮外での生活に適応できる能力が低いまま生まれてくる赤ちゃんもいれば、在胎期間が比較的十分でもそのように生まれてくる赤ちゃんもいて、事情は様々ですが、出産直後、未熟という言葉が持つイメージに傷ついたり、不安に感じたりする方もいます。ぜひそうした方へ配慮した名称への変更、また簡便な申請方法へ改善を求めます。いかがでしょうか。 さらに、低出生体重児を持つ産後ケア利用者からは、簡便な申請や認定期間の柔軟性を求める声が寄せられています。改善を求めます。見解をお聞かせください。 十一月十七日は、世界早産児デーとされています。早産児に対する周知啓発を行う上でも、北区も啓発活動を積極的に行うことを求めます。見解をお示しください。 一般的に、母子健康手帳の発育曲線グラフの体重は一キロから、身長は四十センチからです。低体重児は、体重や身長を書こうにも、そもそも目盛りがありません。そんなグラフを見て落ち込んでしまう方もいます。また、月齢ごとに記入する成長の記録では、赤ちゃんの発達について、はいかいいえで答える形式です。リトルベビーのご家族は、修正月齢で答えてもいいえになることもあり、本来ならばうれしいはずの成長の記録をすること自体がつらく、苦しくなってしまいます。 そこで、リトルベビーハンドブックがあります。成長曲線グラフの目盛りはゼロキロ、二十センチから。修正月齢による発育曲線も記入できます。NICUでの記録欄や退院後の見通し、相談窓口の情報も載っています。 初めてチューブが取れた日、初めて赤ちゃんに触れた日、初めて声を聞いた日、たくさんの初めてを記録していけるページや、リトルベビーのいる家族や親からの体験談やメッセージが至るところに書かれてあり、ページをめくるたびに一人じゃないということを伝えてくれます。リトルベビーハンドブックでは、ほかの赤ちゃんと比べることなく、ゆっくり、でも確実に成長していく我が子の記録を残していくことができるのです。低出生体重児の成長曲線を母子手帳に掲載することや、静岡県等で作成されているリトルベビーハンドブックについて、見解をお示しください。 母乳バンクについて伺います。 母乳バンクとは、自身の子が必要とする以上に母乳が出る方から寄附された母乳を適切に低温殺菌処理、殺菌検査、冷凍保管し、契約しているNICUの要請に応じてドナーミルクとして、早産、極低出生体重の赤ちゃんへ、医師、親の同意の下、提供する仕組みです。日本では、年間七千人の超早産、極低出生体重児が生まれ、そのうち約五千人がドナーミルクを必要としています。こうした赤ちゃんは、人工乳による壊死性腸炎のリスク、難治性下痢症やミルクアレルギー、超低体重による早期の経腸栄養開始の必要性等により、ドナーミルクを与えることが望ましいとされています。一九〇九年にウィーンで世界初の母乳バンクが誕生し、二〇二二年の時点で世界には六十六か国、七百五十か所以上の母乳バンクがあります。 一方で、日本には一般社団法人日本財団母乳バンクと、一般社団法人日本母乳バンク協会の二つの法人が三拠点を運営している状況です。この少ない拠点数で運営できている理由は、日本の優れたロジスティクスにあります。海外では、ほぼ院内バンクになっているので、近隣や院内の方から提供を受けています。海外では、NICUがある病院を選ぶような感覚で母乳バンクがある病院が選ばれていると言われています。 毎年五千人のドナーミルクを必要とする赤ちゃん、リトルベビーのためには、ドナーミルクを提供するドナーが必要不可欠です。 先日、母乳バンクへ視察を行ったところ、課題として、一、ドナーミルクを使用する施設の拡大。二、ドナー登録施設不足。三、認知度向上を挙げていました。母乳バンクについては、一般のみならず、医療従事者にすらまだまだ知られていないという現状があります。リトルベビーの命を守るためにも、母乳バンクが重要であると考えますが、まず母乳バンクについての区の見解をお示しください。 また、安心で安全な母乳バンクの取組や存在を区民にも広く周知する必要があると考えます。周知啓発方法として、母子手帳交付時に愛知県のように母子手帳サイズの紹介を入れてはいかがでしょうか。 さらに、区内医療機関や助産院、産婦人科クリニックとの連携についても、周知啓発とドナー登録施設の拡充の観点から、見解をお示しください。さらには、リトルベビーサークルや世界早産児デーのときにチラシを配ったり、ホームページや北区ニュースにて周知することについてはいかがでしょうか。 ペリネイタル・ロスについて伺います。 ペリネイタル・ロスとは、流産・死産、新生児死亡、人工妊娠中絶等、広くお産を取り巻く赤ちゃんの喪失のことです。厚生労働省では、妊娠十二週、四か月以降の亡くなった赤ちゃんの出産を死産と定義しています。厚生労働省データによると、十二週未満の流産の頻度は、平均で約一五%、妊娠経験のある人の約四〇%が流産を経験しています。また、妊娠年齢が上がると流産率も上がり、四十歳以上では妊娠の約半数が流産するとも言われています。さらに、流産・死産を複数回繰り返す不育症等もあり、妊娠経験のある人のペリネイタル・ロスの経験は、一度とは限りません。働く女性の妊娠年齢は高くなる傾向があり、今後、その比率はさらに高くなると言えます。 二〇二二年の人口動態統計では、出生数は約七十七万人、死産数が約一万五千人、つまり死産は約二%、五十人に一人以上が亡くなっているということになります。確率を試算すると、二〇二二年に妊娠した九十二万五千人のうち、十四万人が流産、一万五千人が死産、七十七万人が出生となります。同じ二〇二二年の自殺者数が約二万人、交通事故死者数約三千五百人から見ても、死産数約一万五千人という数字は、決して少ない人数ではないということが分かります。しかし、妊娠、出産を経験した方の中でも情報は少なく、実情があまり知らせていません。 厚生労働省は、二〇二一年五月三十一日に、各自治体へ、流産や死産を経験した女性等への心理社会的支援等についてという通知を発出しました。この中では、出産には流産及び死産の場合も含まれるとされており、各種母子保健施策の実施の際には、そうした方へもきめ細やかな支援を行うための体制整備に努めることとされています。 北区では、産後ケア等の事業にペリネイタル・ロス、流産・死産についての記述はなく、対象とされているようにも見受けられません。厚生労働省の通知もある中で、産後ケアの対象に死産、流産の方も含めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 二十三区のホームページを確認したところ、記載や掲載方法は様々でしたが、ペリネイタル・ロスやそのグリーフケアについて、台東区、中野区、板橋区、渋谷区、墨田区等、十二の自治体で保健師による相談ができることや、東京都による相談先、また地域ピアサポートグループの相談先を記載したページが設けられています。北区は、健康支援センターから対面または電話にて相談を行っておりますが、そういった相談についてのページはありません。ペリネイタル・ロスを経験された方の悲しみは、長期にわたり続きます。そのため、ペリネイタル・ロスを経験された方が、いつでも情報にアクセスできるような環境づくりが必要ではないでしょうか。 他自治体のように、流産・死産を経験した方向けのページや相談先、産後ケアの案内等がまとめて掲載されたページを設けること。母子手帳に情報を掲載すること。両親学級で情報提供をすることが重要です。いかがでしょうか。 国では二〇二一年度、流産・死産に関する自治体職員向け研修を行っておりますが、参加状況を伺います。 北区では、職員が妊娠四か月未満で流産した場合は、最大で七日間の早期流産休暇があり、妊娠四か月以上で流産・死産した場合は、通常の出産と同じく最大十週の産前産後休業があります。この制度があることに加えて、職員のパートナーが死産した場合でも、出産支援休暇の二日に加えて忌引きとなることを評価します。 しかし、ペリネイタル・ロス経験者でも、休暇や休業制度について知らなかったという方が多くいます。区職員へのさらなる周知啓発を求めます。いかがでしょうか。 さらに、北区の事業者向けにも、ペリネイタル・ロスの休暇、休業に関する周知やセミナーを行うことも必要ではないでしょうか。そして、区民全体にもペリネイタル・ロスの周知啓発を行うことが、プレコンセプションケアを行う上でも、また、第一子の平均出産年齢が上昇傾向にあることを鑑みても重要と考えます。 亡くなった赤ちゃんや家族へ思いを寄せるベイビー・ロス・アウェアネス・ウィークという、毎年十月九日から十月十五日に行われる国際的な啓発期間があります。横須賀市ではこの期間、この啓発期間のシンボルカラーであるピンクとブルーで市内の施設をライトアップしたり、キャンドルを点灯したりするイベントを行っております。北区でもこういった取組を行うことについて考えをお聞かせください。 産後鬱は、出産育児を経験した人の約十人に一人以上が経験します。最も多い発症時期は産後一か月までであり、入院中は問題なくとも、自宅に戻って発症するケースが非常に多いです。また、コロナ禍を経て、産後鬱発症者が増加傾向にあり、喫緊の課題であると言えます。現在、北区では、産後鬱の対策として産後ショートステイや産後デイケアなどが進められ、年々期間を延ばすなど拡充していることを評価します。 まず、子育て支援制度や利用までのプロセスに関する情報提供について伺います。産後鬱状態の方が自ら情報を収集し、利用に向けて動くことは大変困難です。ショートステイ事業や産後デイケア事業の利用率はどの程度でしょうか。 次に、男性の産後鬱についても伺います。 パートナーの産前産後鬱病発症率は、母親と同様な頻度で起こる重要な問題です。現行の産後ケア事業は、主に母体や乳児についてケアを行うものですが、パートナーや広く家族に向けた支援についてもお示しください。 現在、北区では産後ケア事業は、ショートステイ事業、デイケア事業を行っております。アウトリーチ型の産後ケア事業は、来年度の予算として計上されておりません。これは議会でもたびたび求められてきたことであり、北区
助産師会からも要望が上っていると仄聞しているため、非常に残念です。行わない理由、行う上で障壁や要因がある場合は、そちらもお聞かせください。 子宮頸がんの予防などを目的とした男性へのヒトパピローマウイルス、HPVワクチン接種については、二〇二〇年十二月から日本でも接種可能になりました。東京都では、来年度から小学校六年生から高校一年生相当までの男子も公費でHPVワクチン接種可能な予算を計上し、都道府県で初の試みとして大々的に報じられました。 日本では、HPV感染によって毎年一万人の女性が子宮頸がんに罹患、約三千人が亡くなっています。特に近年は若い女性の罹患が増えており、子を望む人が出産を諦めざるを得ない、子育て世代の母親が子どもを残して亡くなってしまうということが起きています。HPVの主な感染経路は性交渉であり、性別を問わず感染します。HPVワクチンは、女性の子宮頸がんだけでなく、性別を問わず起こる尖圭コンジローマ、肛門がんにも有効性が示されています。また、男性にも多い中咽頭がん、陰茎がんといったがんもHPV感染が関係することが明らかになっており、HPVワクチン接種により、男性自身の疾患のリスクを減らすこともできます。性別を問わずワクチンを接種することで、自分自身だけでなく、パートナーへのHPV感染を防ぐこともできるのです。北区の接種時期や方針等を伺います。 また、二〇二三年八月にHPVワクチン男性接種事業をいち早く開始した中野区では、接種人数が区の想定を下回っていました。しかし、認定NPO法人フローレンス等では、独自で無料接種を行ったところ、募集枠が一日で埋まりました。男性接種の意義の周知徹底と医療機関や学校との連携、さらには民間との連携やSNSでの周知は不可欠ではないでしょうか。 大きく五つ目、北区で働く人のより働きやすい環境を求めて伺います。 区立小学校の教員不足の問題は議会でも頻繁に取り上げられており、様々ご相談を受ける中で、深刻化しつつあることを感じています。全国的な教員不足の背景には、過酷な労働環境による病休、退職員の増加、採用倍率の低下など、根深い要因があります。教育は人なりという論語の言葉にもあるとおり、学校教育が成功するか否かは、教師一人一人にかかっています。そのため、子どもによりよい環境をつくるためにも、人材確保が必要不可欠です。 北区は、二〇一九年に北区立学校における働き方改革推進プランが策定され、教員の働き方改革が進められていますが、このプランによって改善された項目、また改善が不十分である項目は何でしょうか。 次に、北区内教職員の定員充足状況についてです。都調査によると、公立小学校の年度当初の欠員は二〇二三年度に八十人に上り、年々上昇傾向です。北区における状況を伺います。また、特にどのような属性の教員が不足しているのでしょうか。 この教員不足を解消するために、欠員が出た学校へ補教に入る専門の教員枠を区として創設することや、武蔵野市のような取組についてはいかがでしょうか。 教員業務の見直しについて、同プランでは、授業準備、部活動、クラブ活動に対し、業務として費やしている時間が多いことが示されています。教員業務の見直しや部活動の地域移行等の進捗状況をお聞かせください。 最後に、北区女性管理職の割合について伺います。 北区女性管理職の割合を確認すると、二〇二〇年度では三七・八%、二〇二一年度は三六・八%、二〇二二年度は三五・二%と全体的に減少傾向にあります。私は、二〇二〇年第一回定例会でも北区職員における女性管理職の割合について質問し、答弁では区として女性活躍推進の環境を整備していくということでした。残念ながら、その成果は限定的だったのではないでしょうか。 そこでお伺いいたします。係長の階層で特に女性比率が低い原因をお聞かせください。仮に効果が出ていない理由が分からない場合、キャリアパス、業務ごとの保守的な役割の有無などの研究が必要になると考えます。見解をお示しください。 以上、私からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) (
山田加奈子区長登壇)
◎区長(山田加奈子区長) ただいまの立憲クラブを代表して、うすい愛子議員からのご質問に順次お答えをさせていただきます。 初めに、新年度予算編成について順次お答えします。 まず、ウェルビーイング視点に基づく予算編成についてのうち、北区全高齢者実態把握調査についてです。 北区全高齢者実態把握調査は、地域包括ケア推進計画策定に先立って令和三年度に実施したものであり、国が調査の必須項目としている幸福度の項目を設け、実施しています。調査結果では、幸福度との関連がうかがえる項目もあり、取組の方向性を定める際の指標の一つとすることができると捉えています。 次に、ウェルビーイング視点に基づく予算編成についてです。 品川区が編成したウェルビーイング予算については、行政評価により無駄を排除し、区民の幸福(しあわせ)の観点から、真に必要な行政サービスに資源を振り向けるといった内容であると理解しています。 また、今回ご提案いたしました北区の令和六年度予算は、経営改革プランに基づく行財政改革の取組などを通じ、一定の財源を捻出した上で、区民ニーズをしっかり反映させ、「区民サービスNo・1の行財政改革」や「子どもの幸せNo・1」など、七つの主要政策を柱に取組を進めていくものとしました。 北区に住み、働き、学び、憩い、活動する全ての方が、自分らしく輝き、健やかで快適に暮らし続けられる彩り豊かな人とまちが躍動する北区となるよう、北区新時代の扉を開き、北区をさらに前に進めるための積極的予算としたところです。 いずれも、地方自治体としての使命である区民福祉の向上を目的に、それぞれの観点から具現化した予算であるという点では、予算編成に対する取組姿勢は変わらないものと認識しています。 なお、区民意識・意向調査ですが、昨年六月に閣議決定をした経済財政運営と改革の基本方針2023、いわゆる骨太の方針において、地方自治体におけるウェルビーイング指標の活用を促進するという記述が盛り込まれたことを受け、北区においてもウェルビーイング指標の活用について研究を始めたところです。 北区で実施している意識・意向調査は、ウェルビーイングに関連する施策も含め、各施策に対する重要度・満足度の相関関係を明らかにしながら施策立案や事業構築をしており、既に一部は実施しているものと捉えていますが、今後さらに研究を深めてまいります。 次に、平和についてお答えします。 まず、平和及び平和施策に関する区民意識の調査と把握についてです。 平和に関する区民意識につきましては、平和祈念週間事業などを企画する中で、区民の皆様や関係者のご意見をお聞きしながら把握に努めてまいりますことから、全区的な調査を実施する考えは現時点においてありません。 次に、平和祈念週間事業における戦争体験や被爆体験を中心に据えた事業の実施についてです。 平和都市を宣言する北区といたしましては、平和祈念週間事業などでの戦争体験の伝承にも積極的に取り組み、若者や多くの区民の皆様と北区平和都市宣言の理念を共有してまいります。 次に、平和基金の創設や、ふるさと納税のメニューに平和応援を加えることについてです。 平和に関する事業は、一般財源で十分に対応できていることから、基金の設置などにつきましては現時点では考えておりません。 次に、防災対策のうち、災害時の乳幼児支援について順次お答えいたします。 初めに、災害時における避難所での乳幼児や妊産婦への配慮については、改定中の地域防災計画(素案)において、既に授乳室の設置や妊産婦世帯用のスペースの設置などを記載しておりますが、次年度より改定に着手する避難所運営マニュアルにおいても、より具体的に整理していく予定としております。 また、区では、ライフラインが途絶しても水が不足することのないよう給水対策に努めておりますが、万が一に備え液体ミルクも備蓄しております。 液体ミルクの保管方法につきましては、賞味期限が短く、頻繁に入替えを行う必要があることから、取り出しやすく温度の上がりにくい場所に配置しておりますが、使い捨て哺乳瓶や消毒剤等の授乳用品の備蓄も含め、製造メーカーなどから意見を伺い、適切に対応してまいります。 なお、災害時においては、紙コップ等に限らず、使用可能なあらゆるものを創意工夫しながら効果的に活用していただくことが望ましいと考えております。 次に、母乳育児支援に関する考え方についてです。 母乳は、乳児の成長に必要な栄養素が含まれているほか、免疫力を高める効果があると言われており、区としては、はぴママ学級や赤ちゃん訪問、産後ケア事業などを通じて、母乳育児や乳房ケア等について助言、指導を行っています。 なお、防災、災害時における備えとして、母乳育児でない乳児への配慮、また、災害時の環境変化が母乳に与える影響も考慮した場合、必要な備品の削減につなげることは難しいと考えています。 次に、区における平時からの注意喚起についてです。 区といたしましては、妊産婦や小さなお子様のいるご家庭の皆様にも、防災に関する啓発を行い、知識を高めていただくことは大切であると考えており、区のホームページにおいて、ご紹介のあった防災ノートの取組なども含め、啓発に取り組んでいるところです。 今後も、SNSの活用を検討するなど、引き続き啓発に取り組んでまいります。 次に、災害時の性暴力に関するご質問についてお答えいたします。 性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、いかなるときも、いかなる理由があっても決して許されません。このことは、災害時の避難所においても同様であり、安全な避難所環境を整備することは、公助の重要な役割であると考えております。 そこで、区では、改定中の地域防災計画(素案)において、多様性に配慮した防災対策として、女性や子どもなどへの具体的な支援の例などを記載しております。 また、次年度より改定に着手する避難所運営マニュアルにおいては、ご紹介の調査報告書や、内閣府の防災・復興ガイドラインのチェックリストなどを参考に、より具体的に整理していくとともに、区民の皆様や、関係団体等への周知を図るなど、啓発に努めてまいります。 なお、お尋ねのマニュアル化については、使いやすい形になるよう検討してまいります。 次に、性に基づく暴力を許さない社会規範の形成に向けた取組についてお答えします。 区では、性暴力をはじめとする性別等に関わる暴力への対応として、相談や支援体制の充実を図るとともに、幅広い世代の区民の皆様を対象としたDV、ハラスメント、感情のコントロールなど、暴力防止に関する講座の開催や、情報誌、リーフレットなどの情報媒体を活用した暴力防止のための啓発など、暴力の未然防止や早期発見につながる取組を行っています。 引き続き、性別に関わる暴力は重大な人権侵害であることを広く区民の皆様に認識していただくため、取り組んでまいります。 次に、子を望む人が安心して出産、子育てができる北区を目指してのご質問に順次お答えします。 まず、多胎支援についてです。 多胎支援については、妊娠期や出産後の面談の機会を通じて、妊産婦やパートナーの状況を確認した上で、子育てや保護者の集い、民間団体の取組などをご説明、ご紹介しています。 また、妊娠中からのアセスメントについては、要支援の対象として、可能な限り担当保健師が医療機関の支援状況や、妊婦やパートナーの理解度や不安の程度に合わせた働きかけを行っているところです。SNSや、きたハピモバイルの活用など、引き続き積極的な情報の発信に取り組んでまいります。 次に、低出生体重児について順次お答えします。 低出生体重児の届出があった場合は、早期に医療機関と連携してアセスメントを行い、赤ちゃん訪問や乳児健診時に状況を確認し、その後の相談支援に生かしています。また、退院後も医療ケアが必要な場合は、入院先の医療相談員と担当保健師がカンファレンスを開催し、医療機関と連携した支援を行っています。 次に、養育医療助成についてです。 法令に基づき未熟児と表記している部分がありますが、可能な限り当該表記を使用しないよう工夫してまいります。 また、低出生体重児を出産した方の産後ケア利用については、令和六年度から出産予定日を出産日とみなして認定することで、より柔軟な対応を図ってまいります。 なお、各種の申請に当たっては、郵便や電話などで可能な限り柔軟な対応を図っているところですが、引き続き手続の電子化を推進してまいります。 次に、リトルベビーハンドブックについてです。 現在、母子手帳は、本年四月から東京都子供手帳モデルに変更を予定しているところです。小さく生まれた場合の発育曲線などの記述も追加され、内容も大幅に充実したものになります。リトルベビーハンドブックについては、今後の研究課題とさせていただきます。 次に、母乳バンクについてです。 近年、早産や低出生体重の赤ちゃんにドナーミルクを提供する母乳バンクの活動が注目されていることは承知していますが、改めてその仕組みや有効性について調査研究を行ってまいります。 次に、流産・死産を含むペリネイタル・ロスとグリーフケアについて順次お答えします。 初めに、産後ケアの対象に死産・流産の方も含めることについてです。 北区のショートステイやデイケアは、母子での利用を前提としており、死産や流産の方の利用を想定しておりません。グリーフケアを実施するためには、スタッフの育成、施設環境の確保など課題があります。区として、グリーフケアの重要性は認識しているところですので、今後、事業者等のご意見を伺いながら実現の可能性を検討してまいります。 また、グリーフケア等の情報については、北区ホームページに、流産・死産の方に向けた情報をまとめて掲載するなど、アクセスしやすい工夫を検討いたします。 次に、保健師の研修についてです。 健康支援センターの保健師は、こども家庭庁の指導者養成研修や東京都の母子保健研修で流産・死産に関する講義を受けており、基礎的なスキルは身につけているものと考えています。 次に、区職員、事業者や区民への周知啓発についてです。 ペリネイタル・ロスやグリーフケアについては、喪失感や悲しみから立ち直ろうとする当事者やご家族がいることを知り、その上で寄り添うことの大切さを理解していただくことが重要です。 次年度から開始するプレコンセプションケア事業においても、今後様々な角度から健康教育を推進してまいりますが、まずは母子保健など関連する講座やイベントの中で周知啓発に努めるとともに、事業者に向けては、健康経営や北地域産業保健センターの活動等を通じて、必要な情報を提供してまいります。 なお、区職員の妊娠や出産、流産や死産に関する休暇制度は、子育てハンドブック等に掲載しており、庁内のお知らせ機能を活用し、定期的に周知を行い、該当する職員以外にも理解してもらうことにより、休暇を取得しやすい環境整備に努めています。 次に、産後鬱と産後ケア事業についてお答えします。 北区の令和四年度における産後ショートステイとデイの利用率は、産婦全体のおよそ二三%となっており、次年度に向けては、利用者の増加に合わせて事業者の拡充を予定しています。 また、不安定で孤立を感じやすい妊産婦には、様々な状況に応じた支援を展開する必要があると認識しており、アウトリーチ型の産後ケアを含めて、産後ケア事業の充実策について、引き続き調査検討を進めてまいります。 なお、パートナーや広く家族に向けた支援については、次年度から開始する赤ちゃん学級のテーマの一つとして産後鬱を取り上げ、普及啓発に努めていく予定です。 次に、HPVワクチンの男性への接種についてお答えします。 HPVワクチンについては、現在国において、定期接種化を含め、男性のHPVワクチン接種の意義について検討が行われております。 区においては、男性のみ高額の自己負担が生じている状況を改善するため、小学校六年生から高校一年生相当の男子に対し、HPVワクチンの全額費用助成を、令和六年度の早い時期に行えるよう、東京都の助成方針決定後、接種体制を整えてまいります。 次に、女性の管理職員の割合についてお答えいたします。 これまで区では、女性活躍推進法などに基づき、特定事業主行動計画を策定し、計画目標のための取組として女性職員を対象とした、区で活躍している女性職員へのインタビューやキャリアプランイメージ図、休暇等についてまとめた広報誌の作成及び周知を実施しており、一定の効果があったと認識しています。 係長職の職層で女性比率が低いことについては、職責の重さに不安があることや係長職昇任選考の受験資格を得る時期が子育てをする時期と重なることなどから受験をちゅうちょしていると推測しています。 区といたしましては、これまでの取組を継続ししつ、今後改定を予定している特定事業主行動計画や人材育成基本方針において、アンケート調査を実施し、男女を問わず全ての職員がライフステージに応じた働き方、職員の意識改革や職場環境の整備について継続して取り組んでまいります。 以上、お答え申し上げました。 いただきましたご質問の趣旨を踏まえつつ、今後も区政を推進してまいります。 ありがとうございました。
◎教育長(清正浩靖教育長) 私からは、北区で働く人のより働きやすい環境を求めてのご質問のうち、教職員についてお答えいたします。 初めに、北区立学校における働き方改革推進プランの進捗度についてです。 このプランには、約四十項目の主な取組を示しており、このうち教員の勤務時間管理や意識改革、ICT活用等の事務改善、学校を支える人員体制の充実、部活動の外部指導員活用などの取組は一定の成果を上げており、長時間勤務の教員の割合は減少傾向にあるものと認識しています。 一方、学校開放業務の外部化、学校徴収金の公会計化などについては、引き続き取り組む必要がある課題であると認識しており、今後とも校長会と連携して、着実に進めてまいりたいと考えています。 次に、北区立学校における教職員の定員充足状況についてです。 令和五年度当初、本区では、東京都から定数どおりの教員が配置されなかったのは、特別支援学級や日本語学級等の教員で計三名であり、いずれも複数の教員での指導が可能な体制であったため、学級担任が欠けるという状況は発生しませんでした。 区独自講師については、今年度、神谷中サブファミリーブロック内の小学校二校において、教科担任制のモデル事業として区専科指導講師を活用しており、今後、この取組を進める中で、その効果等を検証し、教員不足の解消や教員の負担軽減に資する対策を研究してまいります。 次に、教員業務の見直しについてです。 区では、教員が本来業務である授業等、児童・生徒に関わる業務に費やせる時間を確保することができるよう、働き方改革推進プランに基づき、ICT環境の整備、部活動指導員や教員事務補助員等の配置、電話自動応答システムの導入などの取組により、学校の事務的負担軽減を図ってまいりました。 さらに、学校給食費無償化により、給食費の徴収業務がなくなり、教員の事務的負担は大きく減ったものと認識しています。 また、部活動については、現在、中学校に部活動指導員や部活動指導補助員を配置していますが、今後は、学校部活動の地域連携・地域移行の取組を進める必要があるため、新年度には関係団体等で構成する協議会を立ち上げ、教員の負担軽減にも資する様々な方策を検討し、推進計画を策定してまいります。 以上、お答え申し上げました。
◆三十四番(うすい愛子議員) ご答弁いただきました。 大きく四つ目の、子を望む人が安心して出産、子育てができる北区を目指してについては、おおむね本当に前向きなご答弁をいただけたのかなと理解しました。 再質問についてですが、二点再質問したいと思います。 HPVワクチンの男性接種についてのところで、他区の状況だと早めに予算のところにのせていたかなと思うんですけれども、北区は予算書のほうには載っていないのかなというところで、これ、東京都も目玉の事業にしていましたし、他区でも新しいところで目玉としているところは多いなと思うんですけれども、そちらについて、時期がどうして遅れたのかなというところと、というか掲載していないところの理由と、あと具体的な方針というか時期とかについても、これはそこが決まらないと発信できないという理解でいいのかというところが一点質問です。 また、女性管理職の割合についてなんですけれども、ずっと低くて、係長級、二十三区で比較すると北区は下から六番目です。ここを増やすことが本当に大切だと思うんですけれども、そこについてももう一度お聞かせください。
◎健康部長(尾本光祥健康部長) (説明員) HPVワクチンの男性への助成についてでございます。 東京都がこうした事業を助成するというのは、決定された後、きっちりされた事業を立てていくということにしておりますので、こういう時期になります。 以上です。
◎総務部長(中澤嘉明総務部長) (説明員) 女性管理監督者のうち係長級の職員についてでございますけれども、女性職員は男性職員に比べて、やはり出産、子育てを自分がやらなければいけないという意識も、比較すれば高いというふうに現状としてはなっております。そういった中で、受験する女性職員の割合がどうしても高くならないというような現状はあるとは考えております。 一方で、配偶者が区の職員である男性職員の育休の取得状況などについては、非常に積極的な取得がここ一、二年の動きとしても非常に高くなっているところで、そういった男女の役割分担の意識自体は、大きく変わりつつあるのかなというふうに思っております。 ただ、それがここ数年の動きということからすると、それよりも以前は、そういったような意識、保守的な意識も一定程度あったというふうに思っておりますので、その間の女性職員が受験をしてきたかというと、そこの部分は非常に難しかったのかなというふうには思っております。 そういった意味では、意識をさらに高めるというようなことと、女性に限らず男女ともに働きやすい環境づくりが必要だと思っておりまして、その取組自体は今後さらに強く強力に推進をしていきたいと思っております。 以上です。
◆三十四番(うすい愛子議員) ちょっとHPVのところが、私、予算特別委員会の委員でもあるので、手短に今までの部分の要点や要望などをまとめたいと思うんですけれども、まずHPVのワクチンに関してもそうなんですが、あと、ウェルビーイングの質問もなぜしたかというと、やはり、ほかのところで発信している発信の仕方とかが、もう少し北区を魅力的に発信できるのではないかなというところで質問したところでもありましたし、そのHPVワクチンの男性接種についても、注目している人は注目している事業なので、そこは目立たせて発信をしてほしいなという意図もありまして質問をいたしました。全体に関して、子育てとかも、見過ごされたりとかされているような、制度が使用しづらいようなところも中心に質問したところです。 女性管理職の割合についてなんですけれども、佐藤直子さんという方の「女性公務員のリアル なぜ彼女は『昇進』できないか」という書籍もあります。そこでは、偏見、配置部署の偏り、業種の偏りを構造的に変えることが重要であるということが書かれています。私自身もそうですし、なかなか、自分の中のジェンダーバイアスに向き合うことや気づくことには、大変痛みも伴う作業でありますので難しいとは思いますが、これは本当に行政が行わずして誰がやるんだろうというところで思っております。最重要課題ですので、本腰を入れて北区には取り組んでほしいというところを申しておきます。 区長には、ぜひそのかじを強く切ってほしいということを求めて、私からの質問を終わります。 ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢たかし議員) 議事の都合により休憩します。 再開は三時四十九分です。 午後三時二十九分休憩
----------------------------------- 午後三時四十九分開議
○議長(大沢たかし議員) 休憩前に引き続き会議を再開します。 質問を続けます。 八番 安達しんじ議員。(拍手) (八番 安達しんじ議員登壇)
◆八番(安達しんじ議員) 日本維新の会の安達しんじです。 私は、日本維新の会北区議員団を代表して、冒頭、万博の機運醸成について伺った後、行財政改革について、公民連携について、教育について、DXについて、そして防災についての大きく六つのテーマで質問させていただきます。 初めに、二〇二五年日本国際博覧会、いわゆる大阪・関西万博について区長に伺います。 私たち日本維新の会は、大阪で行政権を担っていることもあり、万博の成功へ強い決意を持って取り組んでいます。この万博は、単なる大阪のイベントではなく、日本経済と文化にとって画期的な機会を提供する国家プロジェクトです。予測される経済効果は最大で三兆円にも上り、地域経済の活性化はもちろん、国際的なビジネスや文化交流の促進にも大きく寄与することになります。 万博の費用を国民生活に充てるべきとの意見も頂戴しておりますが、万博の経済波及効果は、地方創生や国民生活の向上にも間接的に貢献します。また、万博は、単に期間内のイベントにとどまらず、その後のイノベーションや教育への影響も計り知れないものがあります。子どもたちにとっては、学びと発見の場となり、将来のイノベーションへの種をまくことにもなります。 万博の開催に当たり、建設費の増加や予算の精査など、様々な課題に直面していることも確かです。しかし、これらの課題は、国家事業としての万博の性質上、国と関係機関との協力の下、着実に解決に向けて進めています。建設費の上振れは日本全国の現象であり、特に万博の費用に限って問題があるということではありません。とはいえ、費用の精査はしており、工事内容の見直しなどにより、百五十七億円の削減を行うなど努力もしております。 政府はオールジャパンでこれらの課題に取り組み、万博の成功を目指しています。当然ながら、北区においても、万博の機運醸成に尽力すべきです。 この一年のインバウンドの回復は、コロナ禍前の水準を超える勢いを見せており、これは万博の成功にとって非常に肯定的な兆しです。万博に合わせて訪日外国人観光客に一日でも長く日本に滞在してもらい、少しでも多く北区にも来てもらうことを戦略的に進めるべきです。 区長は、万博首長連合に所属していらっしゃいます。万博首長連合とは、全国の市区町村長が万博に向けて機運醸成を図ることを約束している組織です。ぜひとも区長には、この趣旨にのっとり、より一層万博に関わっていただきたいと思います。 そこで伺います。万博の機運醸成のために、今後どのようなことを区長として取り組んでいくのか、北区独自の施策を行うのか、その意気込みとプランを伺います。 次に、行財政改革について伺います。 政治資金パーティにおける裏金疑惑や、江東区の区長選をめぐる不祥事など、政治の世界で不信感を抱かせる出来事が相次いでいます。これらの問題は、政治とカネへの国民の信頼を深刻に損ねており、地方自治体レベルでも暗い影を落としています。事実、逮捕者が出たり、区長が辞任したりする事態まで発生しており、地方自治体の信頼性にも疑問符が付されています。 このような状況の中、政治家一人一人が身を引き締め、透明性と説明責任を徹底することで、国民の、そして何よりも区民の信頼回復に努めるべきです。特に、我々地方自治体の首長としては、地域の代表としての責任と誠実さを改めて示す必要があります。 そこで区長に伺います。今こそ、政治家が身を引き締めて信頼回復に努める必要があると考えますが、一連の事件と政治不信に対する区長の所見を伺います。 政治とカネの問題は、国民の政治不信を招く大きな要因であり、政治家が率先して身を切る改革を行うことで、この不信感を取り除くことが今まさに求められているのではないでしょうか。 区長が既に退職金の今期の廃止を決めていることは評価に値します。しかし、これを一時的な措置にとどめず、恒久的な改革として位置づけることで、より強固な信頼の構築が期待できます。恒久的な廃止は、区政における責任ある運営を示す上でも有効なメッセージとなり得ると考えます。この問題に対する区民の意見を十分に反映し、透明かつ責任ある議論を進めることが求められています。区長の退職金の恒久的な廃止に向けてどのように議論を進め、どのようなスケジュールで対応していくのか、具体的な計画を伺います。 政治に対する区民の信頼を回復するためには、私たち議員も行動で覚悟と責任を示すことが不可欠です。 議員定数の削減は、このような覚悟の表れであり、私たち自身が率先して政治の質を高め、責任ある代表者であることを区民に示す重要な一歩です。この改革により、単に議会の規模を見直すだけではなく、議員一人一人が自己の役割と責任をより深く自覚し、公共の利益のために質の高い議論と決断を行うことが目指されます。そして、議員定数の削減が行政運営や議会の機能に及ぼす影響は、数字の削減を超えて、政治の品質と区民へのサービスの改善に直結しています。この観点から、議員定数削減がもたらす具体的な影響を明確にし、そのプロセスと結果がいかに政治の質を向上させ、区民の信頼を得るために貢献するかを考慮することが重要です。 そこで伺います。我々は、政治不信脱却のために、議員が身を切る改革を実践し、覚悟を示すことが重要であると強く信じており、議員定数の削減はその一環として考えているところです。議員定数の削減がもたらす具体的な影響について、政治、特に区の行政の質と、区民へのサービスの改善に対する寄与に焦点を当てて、メリット及びデメリットを挙げてください。 なお、本質問について、行政が議員定数の削減を指示する立場にないことは理解していますが、あくまでも議員数の増減が行政にどのような影響をもたらすかについての行政としての見解をお示しください。 政治への信頼を取り戻すためには、公の資金の使用に関してもっとも高い水準の透明性と厳格な基準が要求されます。都議会を含む多くの自治体で費用弁償が廃止されている今、区議会議員としても同様の透明性を確保し、公共の財政に対する厳しい自己規律を適用することが必要ではないでしょうか。 そこで区に伺いますが、議会で決めることではありますけれども、支出を行っている行政として、費用弁償とは何に対する費用弁償と考えているのか。費用弁償の金額をどのような合理性を持って設定していると考えているのか伺います。あわせて、一般論として地方議員の費用弁償は廃止するべきと考えるところ、地方議員を長年経験した区長の所見を伺います。 次のテーマとして、公民連携について伺います。 先日、公民連携について当会派全員で大阪に視察に行ってまいりました。特に、大阪市のてんしばでは、市の職員の説明を受けながら、園内を歩き回りましたが、民間ならではの工夫があちらこちらに見られ、平日の午前中にもかかわらず、十分に活気づいておりました。 大阪府では、一、民間企業の強みを活用できるプロジェクトにする、二、行政と民間企業がビジョンを共有しているという二点を公民連携の特徴としており、公民戦略連携デスクが音頭を取り、民間を行政の下請にしない、発展的な公民連携が行われていました。 そこで、幾つか質問させていただきます。 公民連携には、区長肝煎りのしごと連携担当課の活躍も欠かせないのではないでしょうか。行政と民間の架け橋になるだけではなく、庁内の各部署の調整にも大事な役割を担っています。役割が近い部署として、大阪府の公民戦略連携デスクが挙げられます。しかし、今でこそ公民連携が進んでいる大阪府においても、設立当時、部署の存在そのものが庁内で理解されていなかったと伺っています。そのため、庁内での理解を促進しようと、他部署の職員が一定期間、公民戦略連携デスクに派遣されるなど工夫がされているとのことです。 北区においても、昨年できたばかりの課であり、現場の職員に対しては、これから研修を通じて、課や公民連携の意義を伝えていくと伺っております。しごと連携担当課について、庁内で理解を得るためにどのような施策を考えているか、研修以外でもお考えのことがありましたら、区長の見解と意気込みを伺います。 そのほかにも、大阪府の公民戦略連携デスクが成功している背景には、行政にはあまり見られない仕事の仕方が多々ありました。例えば、連携案件数、年間七百件と目標設定を明確に定めていること、各ステークホルダーに対して一方的な対応ではない、丁寧な信頼関係の構築をするスタイルを取るという点です。また、職員に求められている資質やスキルも異なり、企業と部局の間に立って会話ができること、過去にとらわれず柔軟な発想を持つ姿勢などが求められます。 北区においても、公民戦略連携デスクの視察を行った上で、こうしたアプローチを模倣する価値があると考えるところ、区長の見解を伺います。 北区における公民連携の取組としては、まず新一万円札プロジェクトが行政と民間の協働の可能性を探る貴重な機会となっています。このプロジェクトは、地域経済の活性化やイノベーションの促進といった面で大きな期待が寄せられていますが、一部からは民間の強みや独創性が十分に生かされていないのではないかという指摘もあります。 公民連携の成功は、民間セクターの柔軟性、スピード、イノベーションを行政の枠組みと組み合わせることによって生まれるものですが、そのバランスを適切に取ることは難しい課題でもあります。この点、新一万円札プロジェクトにおいて、民間の強みが生かされ、行政も単なる業務委託ではなく、民間の強みを生かせるように支援できているのか、現段階における区長の見解を伺います。 もちろん、民間の強みを生かすという考え方は、新一万円札プロジェクトだけに当てはまるものではありません。今後の公民連携の発展のためには、民間の強みを生かせるような仕組みをデザインすることが重要です。 大阪府では、プラットフォームをつくり、その中でビジョンの共有を行っています。また、単にビジョンを共有して終わりというだけではなく、賛同し、動いていただけるような企業には、初期段階において、一緒に考える、提案の仕方の助言をする、事例を紹介するなど、いわゆる伴走型支援を行い、その後タイミングを見計らって、適切な担当課に引き継ぐといったことを仕組み化しております。 北区においても、今後公民連携を推進するに当たり、民間の強みをより引き出しやすい仕組みを整え、区の課題とビジョンの共有をしっかりと行うプロジェクトを実施するよう、区長に明確に指示をしていただきたいのですが、区長の見解を伺います。 また、本件については、機会の平等を強く意識すべきでしょう。特定の企業だけのやり取りを深めるのは、広い意味で癒着と見られてしまう可能性もあります。公民連携に参与したい民間への門戸を大きく開き、多様なリソースと知恵を民間からお借りできればと思います。公民連携について、どのようにして特定事業者だけでなく、多様な民間参加者を引き寄せ、各ステークホルダーの強みを最大限に活用し、かつ参入障壁を低く保つかについて、具体的な取組や方針を伺います。 次のテーマとして、教育施策について、教育福祉的な観点から幾つか質問させていただきます。 初めに、不登校対策について伺います。 不登校と一言で表現しても、学校まで行けるのか、そもそも家から出られるのかなど、ケースによって細分化できます。不登校の子どもたちを支えるための対策は、多面的かつ柔軟なアプローチが求められ、特に子どもの居場所については、子どもに対して様々な選択肢が示せるように努めるべきでしょう。 北区においても、ホップ・ステップ・ジャンプ教室(適応指導教室)を筆頭に、多様な学び場の確保に努めている最中かと思います。現状として、家から出ることができない子どもに対しては、きたコンでのスタディサプリなどの提供などのやり方もあるのでしょうが、それはあくまでも学習のツールの一つであり、子どもの居場所づくりという観点では、オンライン教育環境をより充実させるべきかと思います。 オンラインを活用した教育には、東京都のバーチャル・ラーニング・プラットフォームも検討の選択肢としてあり得るかとは思いますが、民間の教育機関との提携も一つの手です。例えば、埼玉県戸田市教育委員会は、認定特定非営利活動法人カタリバと連携をし、メタバース上で子どもたちの居場所づくりをしています。メタバースは、これまでの教員からの一方的な情報伝達から脱却し、子ども同士のコミュニケーションを促進するのが特徴です。また、N高といったオンライン上の私立学校では、部活動などのコミュニティが盛んだと伺っております。直接的な提携を結ばなくとも、そういったところからオンライン教育のノウハウをヒアリングしてみるというのも一つの手です。 北区においても、このような新しい形の教育連携に取り組むことで、不登校の子どもたちに新たな希望を与え、彼らの潜在能力を引き出す機会を創出できるのではないでしょうか。 そこで伺います。不登校対策に関して、民間の力を活用することも一案ではないでしょうか。特に、オンラインにおける民間教育機関との連携について、区の見解を伺います。 学びの多様化は、子どもたち一人一人の学び方や生き方の多様性を認め、支援する上で極めて重要です。特に不登校の子どもたちにとって、彼らの状況やニーズに合わせた教育環境を提供することは、その子どもたちの未来を切り開く上で不可欠な取組となります。そのため、学びの多様化学校(不登校特例校)の設置は、多様な学びの機会を提供し、子どもたちの可能性を広げる有効な手段となり得ます。 現在、都内には八校の不登校特例校があり、近隣では葛飾区や江戸川区にも設置されています。これらの特例校は、不登校の子どもたちに対して、より柔軟で個別化された教育を提供することで、子どもたちの社会的・教育的な復帰を支援しています。 北区においても、区独自での学びの多様化学校の設置や、近隣自治体の特例校との連携を進めることは、不登校の子どもたちへの支援を強化し、より包括的な教育環境を整える上で有意義な取組となるのではないでしょうか。区独自で不登校特例校を設置する計画はありますでしょうか。計画がない場合、近隣自治体の特例校との連携を積極的に進めるべきと考えますが、区の見解を伺います。 ヤングケアラー支援も重要です。ヤングケアラーとは、ごく若い年齢から家族の介護や世話を担う子どもや若者のことを指し、彼らは多くの場合、通常の子どもや若者と同じように、学業や自己実現を追求することが難しい状況に置かれており、社会問題となっています。 文教子ども委員会の委員としてでも視察してまいりましたが、福岡市では、ヤングケアラーに対する支援を強化し、専門の相談窓口を設置しました。この相談窓口は、ヤングケアラー本人はもちろん、彼らを取り巻く家族や学校関係者、地域の方々からの相談を受け付け、専門のコーディネーターが個別の状況に合わせて解決策を共に考え、支援を提供することができます。 しかしながらヤングケアラーは、その言葉そのものの認知度の低さゆえに、子ども本人が自覚することが難しく、周囲の大人たち、具体的には学校の先生が気づいて相談するケースがほとんどです。また、先ほど大人という言い方もしましたけれども、令和四年三月に発表された株式会社日本総合研究所の一般国民を対象にしたアンケート調査によりますと、ヤングケアラーの認知度は、聞いたことはあるが、よく知らないが二二・三%、聞いたことはないが四八・〇%と、社会的認知度が低い言葉でもあります。 北区におけるヤングケアラーに対する今後の支援体制の強化や関係機関の一層の連携に関する取組について、区の考えを伺います。あわせて、教育関係者はもちろん、一般社会全体へのより一層の啓発強化施策についてのお考えも伺います。 いじめ対策についても伺います。 コロナ禍も明け、いじめの認知件数も再び増加に転じています。区及び学校として解消に取り組んでいることは承知しておりますが、解消率を高めるという量的解決だけではなく、質的な解決も必要です。例えば、安易に被害者を遠ざけるということで解決したという、見せかけの解決では、解消とは言えません。 現在、いじめ加害者に対して出席停止の措置が取られずに、被害者が学校に行けなくなるということが多いということも仄聞いたしました。 いじめについては、加害者への指導とケア、そして責任を明確化し、加害者の更生とともに、被害者の安心・安全を第一に対応するべきと考えますが、見解を伺います。 次のテーマとして、行政DXについて伺います。 北区公式ウェブサイトの改修が進められていると伺いました。大規模なサイトを作成する際は、ユーザビリティテストが行われるものと通常考えられます。ユーザビリティテストとは、ウェブサイトの利用者が使いやすく、効果的に情報を得られるかどうかを確認するための必要不可欠なステップです。また、ウェブサイトは作りっ放しではなく、セキュリティ対策のため定期的なメンテナンスや使い勝手のよさの追求のためのアップデートも考えるべきです。 ユーザビリティテストは、サイト作成時に当然行われるとは思いますが、サイト作成時だけではなく、さらなる改善のためのテストは、完成後も定期的に行われるのか、行われるのであればどのような体制で行うか伺います。 昨年より、我が北区では、デジタルトランスフォーメーションを促進するために、専門的知見や独自のノウハウを持つ民間事業者からの助言や支援を受けるDX推進アドバイザーを委託しました。この委託の目的は、区民の利便性向上と、職員の働き方改革を進めることにあり、民間のノウハウを持つ有能な人物の活躍を我が会派としても期待します。しかし、この役職はウェブサイトに公開されているCIO補佐官とは異なり、プロポーザルの説明しかウェブ上に情報は記載がありませんでした。 CIO補佐官の職務とどのように異なり、またどのように連携しているのかについて明示すべきであり、DX推進について、船頭多くして船山に登るという懸念を払拭する必要はあるかと思います。 そこでこの場でお伺いします。外部人材として登用したDX推進アドバイザーは、どのような経歴をお持ちの方なのでしょうか。そして、着任してからしばらくは状況把握に努めたかと思いますが、三か月もすれば、状況把握以外の何かしらのプロジェクトにも着手し始めたかと思います。DX推進アドバイザーが着手し始めたこと、今後の取組の予定、新たな目標について具体的な情報があれば、その内容を伺います。その上で、CIO補佐官とDX推進アドバイザーの間での役割分担がどのように定められているのか、その具体的な区分と連携の形を伺います。 各論として、戸籍謄本のコンビニ交付サービスについて伺います。 板橋区や足立区などの他区、また私の出生地である青森県の自治体でも、戸籍謄本のコンビニ交付サービスは始まっています。残念ながら北区は、それらの自治体と比較し、サービス開始が出遅れていたと言えます。それでも、今年度には予算がつき、昨年秋にサービス開始予定と打ち出しておりました。しかし、現時点でサービス開始には至っておりません。遅れている理由と、現在の進捗状況について伺います。また、遅延の再発防止に向けてどのような措置が講じられるのか伺います。 サイバーセキュリティについても伺います。 昨年の議会にて、サポート詐欺について区民への周知を要望いたしました。北区ニュースで報じるだけでなく、今月中旬にも、近所の掲示板にて、サポート詐欺に関する注意喚起のお知らせが貼り出されておりました。 さて、今年になりまして、特に一月は災害に便乗した寄附金・義援金詐欺の不審メールが増加しました。港区におきましても、公式ウェブサイト上で注意喚起がなされております。 北区におきましても、義援金詐欺について注意喚起活動を行っているのか、行われている場合は、具体的な内容と方法について伺います。また、このような新たな脅威について、いち早く区民に警戒するよう呼びかけることは重要です。そのためにも機敏に脅威情報を入手する必要があります。定期的な情報取得が業務として仕組み化されているかについてもご教示ください。 最後のテーマとして、防災について伺います。 今回の石川県の地震においても、SNS上でデマが発生していました。偽の被害を訴えて不安をあおったり、被災者を装い通報を呼びかけたりする悪質なデマも散見されました。 長野県では、二〇一九年台風十九号の際、職員の専任チームをつくり、SNSから能動的に救助依頼を抽出、リスト化、関係部署への共有を行うことで、およそ五十件の救助につながったということです。 行政がしっかりチェックをしているという認識が広がれば、過剰なSNSでの拡散や通報で回線が塞がることも減るのではないでしょうか。 そこで伺いますが、北区で災害が発生した場合、デマ対策としてどのような対策を考えているのでしょうか。例えば、SNS情報収集及び広報の専任チームをつくることも一案と考えますが、区長の見解を伺います。 北区においても、防災DXの積極的推進をうたっています。被災時におけるネットワークインフラの安定化対策をすべきと、私がかねてより委員会などで指摘いたしました事項について、令和六年度の予算案にスターリンク衛星回線の導入が記載されており、良い案だと考えます。そのほかにも、新たに区民向け防災ポータルサイト、防災アプリを運用する旨が記載されております。今後導入される防災ポータルや防災アプリについて、重要性が指摘されている発災後のサービスを導入する計画はありますか。例えば、避難所の混雑状況の可視化や、マイナンバーカードを活用した避難所受付などの避難所管理、避難者属性等に応じた支援物資の提案受付なども実施いただきたいのですが、いかがでしょうか。 今回の地震で残念ながら自助がうまく作用しなかったことも聞き及びます。例えば備蓄について、避難者以外の方が避難所に物資を求めざるを得ない状況にもありました。これに対して江東区では、自助による区民の防災力のさらなる底上げ、防災啓発の一層の促進を図ることを目的として、区内の世帯を対象に、防災商品に特化したカタログギフトの全戸配布をしました。 カタログギフトほどでなくとも、簡易トイレの配布をするだけでも、住民の防災の意識は芽生えることでしょう。北区におきましても、備蓄の充実化を区としても進めつつも、自助の重要性を啓発し、具体的に備蓄を各家庭や事業所で進めていただくことも必要であると考えますが、区長の見解と今後の取組について伺います。 北区は、都心に通勤する埼玉県民の立ち寄り地になることから、十分な備蓄の確保が求められる可能性があり、区営の管理施設に備蓄するだけでは限界があるため、民間業者との連携も必要になってくると考えます。 既に東京都北区地域防災計画にも記載のあるとおり、災害時帰宅支援ステーションとして、コンビニエンスストアなど、民間事業者との連携は重要です。また、備蓄についてだけでなく、昨年の第二回定例会におきましては、避難場所の確保について質問したところ、私立学校との提携についても回答をいただきました。災害時における公民連携について、より一層進めるための今後の指針について伺います。 また、最近では、区が東京都行政書士会北支部と提携を結ぶように、民間事業者との連携には個々に協定を結び、具体的な対応の協議を一層進めることも一案と考えますが、見解を伺います。 最後に、友好都市との防災連携についても伺います。 今回の能登半島地震においても、友好都市間で災害都市協定を結んでいるところは、スムーズに受入れや支援が進んだと聞き及びました。また、北区の一部団体におきましては、友好都市の山形県酒田市の団体と協力して、能登半島地震に対する支援を行ったとも聞いております。 現在北区においては、友好都市間で具体的にどのような体制や計画が整備されているのでしょうか。例えば、一時避難を相互に受け入れる体制は確立されているのか。または、災害発生時に互いに支援を提供できるような物資輸送のロジスティクスは検討されているのか伺います。さらに、北区が被災した際、友好都市からの具体的な支援策についての現状と展望を伺います。 最後になりましたが、能登半島地震で被害に遭われた皆様に心からのお見舞いを申し上げ、私からの質問を終わります。(拍手) (
山田加奈子区長登壇)
◎区長(山田加奈子区長) ただいまの日本維新の会北区議員団を代表して、安達しんじ議員からのご質問に順次お答えをさせていただきます。 初めに、万博についてお答えします。 昨年五月の特別区長会において、国際博覧会推進本部事務局から、万博の概要説明と、各自治体における機運醸成への協力依頼があったところです。 機運醸成の取組事例として、ポスター掲示やサイネージによる掲出、SNS発信などの具体的な例示がなされたところであり、現在、区としても庁舎内にポスターの掲示をしています。 現時点において、北区独自の具体的な施策は行っておりませんが、引き続き東京都や特別区長会と足並みをそろえながら、取組を進めてまいります。 次に、行財政改革についてお答えいたします。 まず、政治不信に対する私の所見についてです。 区長は、区民の厳粛な信託を受けた立場であることを認識し、区民全体の奉仕者として常に良心に従い、誠実かつ公正にその職務を行うことが求められています。 ご紹介の事案につきましては、政治に対する有権者の信頼回復に向けてしっかりと説明責任を果たすことが重要であると認識しております。 次に、区長退職手当の議論の進め方や今後のスケジュールについてです。 区長退職手当の見直しにつきましては、広く区民の皆様のご意見も踏まえるとともに、退職手当の趣旨や性格など、特別職報酬等審議会において専門的な知見からも審議を進めていただきたいと考えております。 次に、議員定数の削減の具体的な影響、区の行政の質などに関してのメリットとデメリットについてです。 議員定数につきましては、行政に対するチェック機能の担保、区民の皆様の様々なご意見を適切に反映していけることや、議会が円滑に運営できるかどうかなどの視点があるものと考えています。 また、二元代表制において、区議会議員が果たす役割は大変重要であり、議員定数は様々な視点から区議会において議論されていくべきものと認識し、私としましては区議会のご意思を最大限尊重する立場であると考えています。 次に、議員の費用弁償についてです。 費用弁償は、議員が会議等の公務のため特別区内を旅行した際に日額旅費を支給するものであり、他区と同程度の額が設定されているものと認識しています。 費用弁償の在り方につきましては、様々な視点から区議会において議論されるものと認識しています。 次に、あるべき姿の公民連携について順次お答えします。 まず、しごと連携担当課が庁内での理解を得ることについてです。 しごと連携担当課は、横断的な課題への対応や、公民連携の取組について関係する課と連携を図りながら、中心的な役割を担っています。 今年度は、組織発足以降、新一万円札発行カウントダウンプロジェクトやDX等、テーマを取り上げ、連携した取組を進めています。新一万円札発行カウントダウンプロジェクトでは、各部から事業提案を受け、特色ある事業を実施し、DXではプロジェクトチームを発足したほか、DX推進アドバイザーを登用して、管理職に向けた研修を行うなど、職員の意識改革に取り組んでいます。 こうした組織横断的な取組を通じて、実践的にしごと連携担当課の業務内容や連携の仕方について、庁内の理解を深めてきたところです。 次に、大阪府公民戦略連携デスクの視察等についてです。 令和六年度は、先行自治体などの視察や、民間事業者などとの意見交換を行い、北区にふさわしい公民連携の在り方や、プラットフォームの設置に向けた検討を進めてまいります。 大阪府の公民戦略連携デスクは、庁内各部局と民間とのハブとなり、民間の強みを生かす有効な仕組みと認識しておりますので、検討を進めていく際の参考とさせていただきます。 次に、民間の力を生かした公民連携についてお答えします。 まず、新一万円札発行カウントダウンプロジェクトにおける公民連携の取組についてです。 今回のプロジェクトでは、新一万円札発行を絶好の機会と捉えて、民間団体は自由な発想を生かして主体的にイベント等を企画立案し、一方で区は、事業の調整や周知を図るなど、相互にビジョンを共有しながら、それぞれの強みを生かした取組を進めています。 一例を挙げますと、本年一月、東京証券取引所の大発会にしぶさわくんが参加しました。打鍾については、当日のプログラム変更によりかないませんでしたが、北区のプロジェクトPR大使であるしぶさわくんがその年の日本の市場取引開始の鐘をたたくという大役は、北区の全国へのPRとなりました。これは、民間団体のアイデアを基に、公民連携により東京証券取引所へ提案を持ち込んだことで実現したもので、まさに公民連携により取り組んだ成果と考えております。 また、区民や民間団体からの事業提案を受けるなど、新たな取組も実施しています。 次に、今後の公民連携の推進についてです。 今後の公民連携の取組として、民間事業者や大学等、多様で幅広い主体の活躍ができる、北区にふさわしいプラットフォームの設置を進めてまいります。その中で、民間事業者等とのビジョンの共有や伴走型支援など、民間事業者等がその強みを生かせる仕組みづくりについて、十分に議論してまいります。 次に、開かれた公民連携についてお答えします。 公民連携の効果を最大限に発揮するためには、これまで以上に多様で幅広い民間事業者や大学などが主体として参加できる公平な仕組みをつくるとともに、透明性や持続性を確保していくことが最も重要であると認識しています。 その実現に向けて、先行自治体への視察や、民間事業者等との意見交換を行い、具体的な方針等を策定してまいります。 次に、行政DXについて順次お答えします。 まず、北区ホームページリニューアルに伴うユーザビリティテストの実施及び実施体制についてです。 北区公式ホームページのリニューアルについては、現在システム開発事業者の選定作業を行っているところです。リニューアルの際は、さらなるウェブアクセシビリティ及びユーザビリティ向上を基本に、見やすく、探しやすい、インターネットの技術革新に柔軟に対応できるシステムにするとともに、区の魅力や特色を効果的に情報発信できるホームページへと改修することを目的としています。これを踏まえ、仕様の中でもユーザビリティの事前検証やユーザーテストの実施を事業者へ求めているところです。 あわせて、リニューアル後も、外部機関によるアクセシビリティテストを継続的に実施することで、ユーザー目線による検証を行いながら、誰もが見やすいホームページを継続して運用していくための取組を推進してまいります。 次に、DX推進アドバイザーの経歴についてお答えします。 外部人材登用の選定作業を進め、昨年十一月、DX推進アドバイザーとして、森本登志男氏の登用を決定しました。 森本氏は、マイクロソフト株式会社に十六年間勤めた後、佐賀県のCIO、総務省の地域情報化アドバイザーなど数々の役職を歴任し、現在は旭川市のCDO、稚内市のDX推進アドバイザーを務めています。 それぞれの役職において、主にデジタルツールを活用した県民・市民の利便性向上や業務効率化を推進し、テレワークの導入や業務時間の短縮、紙の使用量の削減、IT人材の育成など多くの成果を収め、地域のDX推進をリードしています。あわせて、自治体によっては、ICTを活用した魅力ある地域づくりを行い、来街者数増加に貢献するなど、幅広い活動実績があります。 次に、DX推進アドバイザーが着手し始めたこと、今後の取組の予定などについてお答えします。 DX推進アドバイザーの着任後、まず研修を実施し、管理職をはじめとする職員に向けた今後の北区のDX推進の考え方を発信するなど、職員の意識改革に着手しています。 また、今月から全庁でのDX相談を開始し、デジタルを活用した区民サービスの向上や業務の効率化など、様々な改善を進めていくための本格的な支援をスタートしました。 今後は各部署でのDX相談支援から業務改善につながった成果を全庁に展開していくとともに、デジタルツールの新たな活用、デジタル人材の育成、未来型オフィスの構築、さらには、新庁舎移転後に向けた将来の働き方のコンセプトづくりなどに取り組んでまいります。 次に、CIO補佐官とDX推進アドバイザーの役割分担、具体的な区分と連携についてお答えします。 主な役割分担として、CIO補佐官は、情報化推進計画の策定支援や情報セキュリティ支援等を担い、DX推進アドバイザーはDXを通じた新たなサービスの創出や業務改革等を担います。 この二つの役職については、それぞれの専門性を生かし、担当分野に取り組みながら、さらには連携・情報共有を密に図ることで、北区のDX推進の精度を高め、加速度的に推進してまいります。 今後、この北区独自の仕組みが行政における新たなデジタル化推進の形として成果を上げ、全国へ発信してまいります。 次に、戸籍証明書のコンビニエンスストア等における交付についてです。 稼働の時期については、昨年十一月を予定していましたが、本年三月開始の広域交付のシステム改修による影響等により、延期せざるを得ない状況となりました。現在、本年三月下旬の稼働に向けて準備を進めています。 なお、今後こうした新たなシステムの導入に当たっては、事業者との綿密な情報共有や進捗管理の徹底に努めてまいります。 次に、義援金詐欺についての注意喚起と新たなる脅威への情報入手についてです。 区では義援金詐欺について、北区ニュースにおいて、震災発生後は、被災地域に限らず、義援金や寄付を装った詐欺などが発生しますので、不審なメールや電話があった場合には、警察署に連絡してくださいと注意喚起をしているほか、メールマガジンやSNSにおいても、義援金詐欺をはじめとする震災に便乗した悪質事犯に対する注意喚起を行っています。 また、新たなる脅威に関する情報について、区は区内三警察署等と、北区サイバーセキュリティに関する協定を締結し、警察から随時情報を入手し対応しています。新たなる脅威に関する情報については、迅速に情報を入手することが重要であると考えていますので、さらなる関係構築に向け警察と協議してまいります。 次に、区内の防災について順次お答えいたします。 初めに、発災後の情報通信についてです。 大規模災害の発生時には、災対政策経営部において、災害時における広報活動や災害情報の収集整理を行う体制を構築しており、SNS情報等については、発信元を確認するなど、デマに留意した対応を行います。 また、現在準備中の防災ポータル、防災アプリでは、避難所の混雑状況の発信を行う予定です。 また、マイナンバーカードを活用した避難所受付や管理、障害の有無や介護の状況など、避難者属性等に応じた支援物資の提供受付等については、国や東京都の動向を注視しつつ、引き続き調査検討してまいります。 次に、自助の促進についてです。 区としましては、まずは公助として区民の命を守るための取組について、スピード感と緊張感を持って今後も対応を進めていきますが、自助・共助として、区民や地域での防災対策が最も基本的なことであり、必要不可欠なものであると考えています。 区ではこれまでも様々な機会を通じて、各家庭や事業所での水や食料、簡易トイレの備蓄をはじめ、家具の転倒防止や避難経路の確認など、いざというときの備えや行動の確認をお願いしてきましたが、今回の能登半島地震を受けて、今日にでも発生するかもしれない災害から自分や大切な人の命を守っていただくため、防災に関する情報をより強力に発信してまいります。 最後に、民間や友好都市との協力についてです。 区が締結している災害協定については、民間企業や自治体等、全ての相手先との協定事項が災害時に確実に機能することが何より重要だと考えています。 そこで区では、協定相手先との間で、協定事項の見直しや連携内容や流れ等を記した手順書の作成、各種訓練への参加などを通じて、協定の具体性を高め、実効性を確保してまいります。 また、災害時に求められる協力・支援の内容は、物資の提供から生活相談まで多岐にわたるため、協定事項の充実を図るとともに、新たな協定先の開拓にも取り組んでいます。 この方針は、ご質問の友好都市との協定についても同様であり、友好都市、交流都市をはじめ、国・東京都などと災害時に緊密な連携を図ることができるよう、引き続き、具体性・実効性を備えた協定の締結に取り組み、「みんなで創る。北区新時代」における「安全・安心No・1の防災と北区強靭化」の実現を目指してまいります。 以上、お答え申し上げました。 区政についての諸課題についてご提言をいただきました。その趣旨を踏まえ、区民生活のさらなる向上に努めてまいります。 ありがとうございました。
◎教育長(清正浩靖教育長) 私からは、教育福祉的観点からの教育施策についてのご質問にお答えいたします。 初めに、不登校についてです。 区では、外部有識者や学校長代表などを交えた、不登校対応検討会において、北区立学校不登校対応基本方針及び具体的な取組を示した不登校対応プランを取りまとめ、増加する不登校児童・生徒に対し、実施可能なものから順次、取組を進めています。 オンラインを活用した取組としては、既に子ども相談ポストやお茶の水女子大学理科実験支援モデル事業を実施しており、新年度からはスタディサプリを活用した学習支援に加え、ご指摘のバーチャル・ラーニング・プラットフォームについても、東京都の補助事業を活用した実施を予定しています。 また、不登校対応プランの中では、不登校特例校についても検討メニューの一つとしており、新年度に設置を予定している(仮称)北区不登校対応連絡調整会議において課題等を整理するとともに、併せて不登校に係る大学や民間企業等との連携についても検討してまいります。 次に、ヤングケアラー支援についてです。 北区では、今年度から子ども家庭支援センターの職員がヤングケアラーコーディネーターを兼務する形で担い、関係機関による連絡会の開催、研修会の実施、子ども向け周知カードの配布など取組を行い、ヤングケアラー支援に関する周知啓発を進めているところです。 令和六年度については、ヤングケアラーコーディネーターの業務を外部委託し、新たな取組として周囲の大人の気づきにつながるマニュアルの作成や、子どもたちに最も身近である小・中学校の教員を対象とした研修会を開催する予定です。また、子どもたちに直接届くメッセージの発信方法についてもさらに検討を進め、ヤングケアラー支援の充実を目指してまいります。 次に、いじめ対策についてです。 学校におけるいじめの具体的な対応については、いじめを受けた子どもの安全確保と不安解消を第一に考えるとともに、いじめを行った子どもに対しては、相手の子どもの精神的な苦痛が十分理解できるよう指導するとともに、いじめを行った子どもの保護者の協力も得ながら、計画的な指導及び観察を行っています。 それにもかかわらず、いじめが継続されるなど、重大性が高いと判断した場合は、必要に応じて、学校での別室指導や教育委員会による直接的な指導をはじめ、警察や関係機関と連携した対応を取るよう努めています。 また、いじめの解消については、単なる謝罪等によっていじめが解消したと判断するのではなく、国が定めるいじめ防止等のための基本的な方針に基づき、指導後三か月を目安に、いじめの行為が行われず、いじめを受けた子どもが不安を感じていないことを確認した上で判断しています。 以上、お答え申し上げました。
◆八番(安達しんじ議員) ご丁寧なご回答ありがとうございます。 特にDXや教育については、様々なことを詳細に語っていただいて、ありがとうございました。 一点ほど質問させていただければと思います。 特に、区長報酬について昨年の第二回定例会でもいろいろと議論とか会派として意見を言わせていただいたのですけれども、報酬審議会というのは、その当時、区長報酬の条例に関わってきたのかどうかということを確認したく思います。
◎総務部長(中澤嘉明総務部長) (説明員) 特別職報酬等審議会についてですけれども、条例において審議項目が定められております。その中では、現状においては退職手当について項目には挙げておりません。しかしながら、こういった重要項目について、長の部局の内部において検討し、議会にご提案するということではなく、審議会において審議いただくことが必要ではないかというようなことで現状を考えているところです。 以上です。
◆八番(安達しんじ議員) 少しイレギュラーな対応だったのかなというふうに回答を聞いて思いました。 こういったことも含めて、様々議論を続けていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。 以上で終わります。
○議長(大沢たかし議員) 一番 山中りえ子議員。(拍手) (一番 山中りえ子議員登壇)
◆一番(山中りえ子議員) 都民ファーストの会、山中りえ子です。 質問に先立ち、まず初めに、一月一日の能登半島地震により、亡くなられた皆様のご冥福をお祈りしますとともに、また被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。被災地の一日も早い復興をお祈りします。できることを応援していきたいと思っております。 大きく三問質問いたします。 最初に、区民に寄り添う区長の姿勢について質問します。 人が亡くなると様々な手続などが必要です。悲嘆に暮れてばかりではいられません。親族が亡くなり手続などをすることは初めてではありませんが、改めてこんなにもたくさんの手続が必要なのだと感じているところです。 死亡届、火葬許可申請書提出から始まり、行政への手続での最終的なゴールは相続税の申告と納税と思っています。葬儀や納骨などの法要を行いながら、勤務していた会社や生命保険などの手続も、一つずつ進めていく必要があります。約二か月たっても、まだ道半ばにも至っていないのでしょう。 さて、死亡届提出から五日後の日付、区民部税務課長名で、特別区民税・都民税に係る税務義務の承継について(お知らせ)と題した書類が届きました。 「日頃より、北区税務行政にご理解ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。この度、◯◯様のご逝去に際し、ご傷心のところ大変恐縮ではございますが、特別区民税・都民税についてご連絡させていただきます」と始まり、要は死去により徴収できなかった税金を故人の代わりに支払う人を決め、手続をしてほしいというものでした。 納税義務の承継は大事なことです。そのこと自体を問題にしているのではありません。問題なのは、この文面が遺族に寄り添ったものなのかどうかです。 冒頭の文章は、各種新年会で区長が必ずおっしゃっていたものと同様のものです。また、令和六年度北区政執行の基本方針についての所信と令和六年度当初予算の大綱についてでも書かれてあります。 他自治体の方には「お悔やみ申し上げ」ているのに、区民が亡くなったことに対して、「お悔やみ申し上げます」と書かれていないことが残念なのです。 私が行った手続の中で、例えば、ある損害保険会社では、「拝啓 平素はひとかたならぬご愛顧を賜りありがとうございます。この度のご逝去のお知らせを受け、心よりお悔やみを申し上げます」から始まり、またある生命保険会社は「◯◯様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみを申し上げます。保険契約に関する下記書類をご送付いたしますので、内容をご確認いただければ幸甚です。お取り込み中のところ、大変恐縮ではございますが、お手続くださいますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます」と、とても丁寧な文章になっていました。 税務課からのお知らせは遺族に寄り添ったものなのかどうか、人に寄り添う政治を、を掲げていた区長にお聞きします。 私は、令和三年第二回定例会において、工事が遅れ、当初予定していた開園日が延期された私立保育園に入所予定の保護者に対して、職場復帰証明書の提出を催促する通知が誤送付された件について質問しました。複数の担当によるチェックを行わなかったことによる誤送付を認め謝罪していただくとともに、区民に送付する書類や電話、窓口での応対につきましては、北区職員接遇ハンドブックを踏まえながら、相手を尊重し、相手の気持ちに寄り添ったものとなるよう努めてまいりますと答弁いただいております。 議場での答弁は、行政側の公式見解であり、その部署だけでなく、全ての部署に影響を及ぼすものではないでしょうか。お答えください。 改めて、令和二年三月に北区総務部職員課から発行された東京都北区職員接遇ハンドブックに書かれている、相手を尊重し、相手の立場を考え、相手の気持ちに寄り添うおもてなしの心を常に意識した対応を求めます。区の見解をお聞かせください。 大きく二問目は、区長になって初めての予算編成、「みんなで創る。北区新時代」の扉を開き、北区をさらに進めるための積極的予算についてお聞きします。 ロシアによるウクライナ侵略は三年目となり、イスラエルとハマスの武力衝突が続き、物価高騰や円安は解決せず、ついにはGDPがドイツに抜かれ四位になり、国内外あらゆる不安要素が山積していると思います。 そうした背景の中でも、令和六年度の一般会計予算は、過去最大の予算編成だった五年度から八・三%マイナスの一千八百十四億円であるものの、新庁舎整備基金への積替え分を差し引くと実質的には過去最高を更新していることを評価します。 特に、三年前から提案してきましたプレコンセプションケアが新規事業として予算化されたことに期待しています。どんな事業になるのでしょうか。講座は何回開催されるのでしょうか。募集人数は何名になるのでしょうか。対象は女性のみなのでしょうか。北区には今年の二月一日時点で、十八歳から三十九歳の女性は約五万七千名いるようです。一年で何割が受講できるのでしょうか。 東京都では令和四年度から事業を開始していて、今年度は卵子凍結、新年度は男性への精液一般検査等が追加される予算案が出ているようです。北区では妊孕性検査費用を助成するようですが、検査後についての支援や、相談体制についても考えているのでしょうか。将来の妊娠を考えている方の目標は出産だと思います。検査から出産までの支援等について北区の見解を教えてください。 北区ではこの十年間、十七歳までの子どもの数はおおむね増加傾向であるものの、出生数は平成二十八年をピークに減少しており、ここ二、三年は数%ずつ減ってきています。令和四年は前年比六・九%減、五年は前年比三・八%減の二千三百八十四名といった状況です。 子育て世代が移住してくれるのも大事ですが、理想は北区で生まれ育った子どもたちが北区で結婚、出産し、北区で子育てしていくことではないでしょうか。そのためにも、プレコンセプションケアはすごく重要な事業と考えています。 そこで、将来の妊娠を考えている方となると敷居が高くなるのではないかと考えます。もっと、いつか赤ちゃん欲しいなと何となく漠然とした思いをお持ちの方や、プレコンセプションケアって何、と言葉自体にも興味を持ってもらえるような講座名にしていただきたいと思います。会場での参加以外にも、オンラインでの参加も可能にしたり、講座に参加できなくても動画で視聴できるなど工夫してほしいと思いますが、いかがでしょうか。 また、作成するリーフレットはどのようなものになるのでしょうか。目にしやすく、手にしやすく、イラストなども効果的に取り入れてほしいと思いますが、いかがでしょうか。 そして、どこに置かれるのでしょうか。近隣の大学や区内企業などにも配布してほしいと思いますが、いかがでしょうか。 さて、「みんなで創る。北区新時代」百五十の政策、十九番では、区が行った事業の効果検証を強化し、翌年度・翌々年度の行政事業に反映するとあります。予算の概要を見ると、令和五年度における主な見直し事業の削減額は約一億九千四百万円でした。今年は十二億九千百万円余、一見多そうですが、新型コロナ五類移行関連削減額十億一千七百万円を差し引くと、およそ二億七千四百万円となっており、大きく削減されていないように思われます。私としては、もっと大きく削減していくイメージを持っていましたが、来年度以降に期待してよろしいでしょうか。 将来的にはマイナスシーリングといった手法を使うことは、区長のお考えにありますか。 以前にも申し上げましたように、予算について区民に知ってもらうことは重要だと思っています。それにはアクセスしやすくて、ちょっとした時間にスマホでも簡単に読めるようなコンパクトなものがいいと思います。「北区 予算案」と検索すると予算の概要のページがヒットし、予算編成方針が約七百文字の文字数で並んでいます。果たして最後まで読んでくれるでしょうか。 東京都で作成している「五分でわかる!メリーちゃん・ハリーくんと学ぶ 令和六年度東京都予算案まるわかりブック」という小冊子が参考になると思いますが、区の見解をお聞かせください。 その冊子には、予算をつくる上での工夫を載せ、都として事業評価を実施して施策の新陳代謝を一層促進し、財源を確保していると書かれています。こうした姿勢を見せることは北区としても必要なのではないでしょうか。 例年、北区ニュース四月二十日号にて、「当初予算が決まりました」で掲載していますが、主な事業だけでなく、どんな見直しをして、いかに予算を確保する努力をしているかなどをお知らせすることにより、区民の皆様にも一層の意識を持っていただけるようになるのではないでしょうか。ふるさと納税についても、幾ら流出していて、北区に入るのは幾らで、トータルすると幾らマイナスなのか、その予算があれば北区としてこんなことができるなども掲載してほしいと思います。 税金の使い道を分かりやすく伝えることは重要だと考えておりますので、予算や決算の主要なデータの見える化など、工夫してまいりますとご答弁いただいておりますが、再度確認します。いかがでしょうか。 北区では、インバウンドについてどう考えているのでしょうか。 二〇一七年には、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて、インバウンド観光ガイドマップを発行しましたが、その後の展開についてお聞かせください。 東京都では、東京の魅力向上とインバウンドの活性化に向けて、ナイトタイムエコノミーを推進しています。 区長は、東京の観光公式サイトを見たことはありますか。見どころ・ナイトライフのページで、赤羽が渋谷と並んで紹介されています。そして、東京全体から七枚掲載されている写真のうちの一枚は、赤羽のとある横丁の写真です。こうした状況はもっとアピールすべきだと思いますが、いかがでしょうか。 先日、GovTech東京を視察してきました。北区のデジタル化、DXも画期的に進むのではと期待しています。一方で、これまで独自に開発してきた北区のアプリやシステムはどのようになるかも気になるところです。 東京都では、デジタル地域通貨プラットフォーム(仮称)Tokyo Tokyo Pointが創設され、それとタイアップで歩数に応じてポイントなどが還元される東京版健康ポイント制度が創設されるようです。また、保育所探しから入所まで手続が一元的に完結するシステム、保活ワンストップも新規事業として構築されると聞いています。似たような機能を持つ、あるきたやきたハピモバイルはどうなるのでしょうか。 北区での様々なイベントへの応募がデジタルで行われるようになっていますが、東京電子自治体共同運営協議会からGovTech東京へ事業譲渡された共同電子申請サービスを使っているものと、使っていないものとありますが、その違いは何でしょうか。 GovTech東京には、北区を含め全ての区市町村が参加していると聞いています。気づいたら、北区が取り残されていたということがないよう取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 大きく三つ目の質問は、防災対策についてです。 能登半島地震は発生が元旦であったことから、多くの区民が衝撃を受けたのではないでしょうか。震災は日時を選んでくれないのだと痛感し、改めて日頃の防災対策の重要性が認識されていると思っています。 一月十日の区長記者会見で、区民の方々に向けては、改めて区としての防災対策をまとめたものをホームページ上トップページに上げていきたいと言っておられたものはいつできるのでしょうか。この機を逃すことなく、区民が防災対策を一歩進められるよう後押しをしていただきと思います。 一般財団法人日本防火・防災協会が発行している最新の地域防災の中で、東京大学生産技術研究所所長で社会科学研究所特任教授である加藤孝明氏は、「公助の力は思いのほか小さい。救急車の配備はおおむね三~五万人に一台程度である。東京消防庁を例にとれば、管内の救急車両は約三百台である。傷病者一人にかかる時間を約二時間(東京消防庁(二〇二三))とすると、発災十二時間での搬送可能人数は六人/台である。仮にすべての救急車が待機状態にあったとしても東京消防庁管内でわずか千八百人に過ぎない。負傷者八万人超(東京都地震被害想定(二〇二二))とされる首都直下地震での負傷者数と比べ、桁外れに少ないことが分かる。公助のキャパシティは、思いのほか小さく、大規模災害では公助の限界はすぐそこにある。公助の力に対する社会の過信を改めることが不可欠であり、そのための社会啓発を一層行う必要がある」と述べられておられます。 北区に救急車は何台ありますか。上記の条件では、十二時間で何人搬送できるのでしょうか。こうした情報もお伝えする必要があると考えますが、区の見解をお聞かせください。 また、都内の七割は集合住宅に居住していると言われています。北区でもそのような傾向にあるのでしょうか。 東京都は昨年一月に、災害時でも都民が自宅での生活継続、いわゆる在宅避難をしやすくする共同住宅について、都民に伝わりやすい名称、東京とどまるマンションに変更し、普及啓発に力を入れていましたが、今年一月三十一日時点での北区の加入数は僅か七件です。 マンションは過去の大地震でも倒壊することなく住み続けられたようです。一方、一般的にマンションなどの住民は、町会・自治会への加入率が低いとも言われています。 来年度、町会などと合同で防災訓練を行うマンションに対しては、防災備蓄資機材の補助率が拡充されると聞いています。在宅避難は避難所への集中を防ぎます。また、顔の見える関係も築け、マンションとしての価値も上がる、一石三鳥の事業だと思っています。 こうした情報も掲載してほしいと考えますが、区の見解をお聞かせください。 最後の質問は、グリーンインフラについてです。 昨年二月に改訂された北区環境基本計画2023では、基本目標四、身近な自然を守り育て、活用するまちを掲げ、気候変動対策において役立つグリーンインフラとしての緑、またコロナ禍において重要性が高まった、身近なレクリエーション・やすらぎの場としての緑といった視点から、質の高い緑の創出と活用を図りますと書かれてあります。今年度の取組を教えてください。 グリーンインフラについて、計画の中で、自然環境が有する多様な機能を積極的に活用して、地域の魅力・居住環境の向上や防災・減災等の多様な効果を得ようとするものと説明されています。つまり、グリーンインフラの導入は防災・減災に結びつくものです。 東京二十三区では、唯一世田谷区がグリーンインフラ官民連携プラットフォームに参加していて、小田急線上部利用施設等のグリーンインフラの取組で、昨年第三回グリーンインフラ大賞、国土交通大臣賞(生活空間部門)を受賞しています。また、令和三年度から世田谷グリーンインフラ学校で、自分でもできる雨庭づくりを開催し、グリーンインフラリーダーの育成を目指しているようです。雨庭は、屋根などに降った雨水を貯めて一時的に貯留し、ゆっくりと地面へ浸透させる庭で、下水道等への雨水流入負荷を軽減し、生物多様性が豊かになり、水質を浄化する効果も期待できるようです。 四つの河川がある北区にとって、河川氾濫を抑えるためにも、こうした取組は参考になるのではないでしょうか。 以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) (
山田加奈子区長登壇)
◎区長(山田加奈子区長) ただいまの山中りえ子議員からのご質問について、私からは令和六年度の予算編成についてのご質問のうち、プレコンセプションケアについてお答えさせていただきます。 北区版プレコンセプションケア事業は、思春期から三十九歳までを対象に、妊娠適齢期に関することや不妊症に関すること、性と生殖に関することなどの講座を開催するとともに、希望者には妊孕性検査の費用の一部を助成するものです。 令和六年度は五回から六回程度の講座を実施して、約三百五十名程度の参加を見込んでいます。現在、本年夏頃からの実施に向けて準備を進めているところですが、性別を問わず、またカップルでも参加いただける取組にしたいと考えているところです。 また、検査後に継続的なご相談を希望される方は、健康支援センターで実施する女性の健康相談など、専門職の個別の相談につなげていく予定です。 講座名や動画視聴、リーフレットの内容やデザインなどについても、学生の皆さんをはじめ、多くの方に興味を持っていただける事業となるよう、引き続き検討を進めてまいります。 以上で、私のお答えとさせていただきます。 この後、引き続き所管の部長からご答弁を申し上げます。 ありがとうございました。
◎政策経営部長(藤野浩史政策経営部長) (説明員) 続いて、私からは事業費の削減等について順次お答えします。 令和六年度の予算編成に当たっては、事業効果の観点などから、事業の整理、見直しを行う一方、七つの主要政策を中心に、必要な区民サービスには適切に財源を配分し、ご提案したものであります。 今後も予算編成に当たっては、事業の見直しと経営改革プランなどの行財政改革との両輪で財源の捻出を図りながら、適切な財源配分の下に進めてまいります。 なお、今後歳入状況に厳しさが見込まれる場合などには、マイナスシーリングの下、予算編成に臨むこともあるものと考えています。 次に、東京都が作成している小冊子、予算案まるわかりブックについては、予算案の特徴をコンパクトに分かりやすく工夫され、まとめられたものとして捉えています。 区としても、予算決算関係や白書など、様々な財政関係資料を公表しており、あわせて、当初予算に見る千円の使い方や、ふるさと納税による区民税の流出など、イラストを使った分かりやすい資料の作成も行っているところです。 今後も、新たなコンテンツの作成を含め、区民の皆様に分かりやすく、かつ伝わる資料の公表に努めてまいります。 次に、東京都の事業、GovTech東京の事業や連携について順次お答えします。 ご紹介の東京都の新規事業については、一月下旬に公表された東京都予算案で示されたと認識しており、現在詳細な事業計画やスキーム等の情報収集に努めているところです。 北区版ウオーキングアプリあるきたや、北区子育て応援ガイドアプリきたハピモバイルについては、機能拡充、改善をしながら、今後も皆様に継続してご利用いただく予定ですが、将来的に東京都が展開する事業との連携や、東京都が開発するアプリへの移行などについては、今後、情報収集を進める中で、方向性を見極めてまいります。 次に、共同電子申請サービスについてです。 共同電子申請サービスは、東京電子自治体共同運営協議会からGovTech東京へ事業移管されたことに伴い、現在は新たな申請ツールへの移行期として、二種類の申請メニューが存在しておりますが、令和七年度以降は、新たな申請ツールに統合される予定です。 次に、今後のGovTech東京との取組についてお答えします。 今年度は、共同調達事業への参加や、北区公式ホームページの公開に当たり、GovTech東京の自治体伴走型サポートや、スポット相談を利用し、課題分析、改善、技術的アドバイスを受けるなど、連携を開始しています。 また、東京都に設置されたCIO協議会の会議に、中嶋CIOも参加し、GovTech東京の理事と意見交換をするなど、連携を強化しています。 こうしたCIOから担当職員まで幅広いレベルでの連携を積み重ねるとともに、区からの要望等も伝えながら、今後もGovTech東京が構築する共同化事業や、人材派遣・育成事業、支援型メニュー等を積極的に活用してまいります。 以上、お答え申し上げました。
◎地域振興部長(松田秀行地域振興部長) (説明員) 私からは、引き続き、令和六年度の予算編成についてのご質問のうち、インバウンドについてお答えいたします。 北区には、歴史文化資源や、下町情緒あふれる商店街、また都内有数の飲食店街など、外国人旅行者にとって非常に魅力的なコンテンツが数多くあります。 コロナ禍を経た現在、これらの資源を生かしたインバウンドの誘客促進は、地域経済の活性化に資するものと認識しております。 区では、北区観光振興プラン2023に、国際観光の推進を掲げており、平成二十八年度に発行した外国語ガイドマップを観光PRコーナーなどで配布するほか、北区観光ホームページに掲載し、情報発信に努めておりましたが、インバウンドの誘客促進には、さらなる情報発信強化が必要と考えています。 これら北区の魅力を、外国人観光客を含めた区内外へ、いかに発信していくかについて、東京の観光公式サイトGO TOKYOをはじめ、他自治体の優れた情報発信手法を参考に検討してまいります。 以上、お答え申し上げました。
◎区民部長(早川雅子区民部長) (説明員) 私からは、区民に寄り添う区長の姿勢を問うのうち、税務課長名の書類についてお答えいたします。 税務課では、納税義務者がお亡くなりになられた際に、住民税などの納税義務の承継をお願いする文書を送付していますが、今後は一層ご遺族のお気持ちに配慮した対応を心がけてまいります。 なお、本年十月には、遺族サポートデスクを設置し、ご遺族の負担を軽減するとともに、様々な手続においてご遺族に寄り添った対応を行ってまいります。 以上、お答え申し上げました。
◎総務部長(中澤嘉明総務部長) (説明員) 私からは、職員の接遇についてお答えします。 山田区長は就任以来、職員とともに、区民の皆様を第一に考え、行動する区政、真に区民のための北区を実現するため、スピード感を持って、様々な変革に取り組んでまいりました。 区としては、特に、職員の接遇において、思いやりの心を目に見える形で好感度高く表現し、よりよい人間関係を築くことが大切と考えています。 引き続き、様々な研修などを通じて、相手を尊重し、相手の立場を考え、相手の気持ちに寄り添うおもてなしの心を常に意識した対応を行ってまいります。 以上、お答えしました。
◎危機管理室長(小宮山庄一危機管理室長) (説明員) 私からは、防災対策についてのご質問に順次お答えいたします。 初めに、防災対策をまとめたホームページについてです。 一月十日の記者会見から少し時間は経過しましたが、防災対策をまとめたホームページについては、先週公開を行ったところです。今後SNS等でも周知を図ってまいります。 引き続き、掲載内容の充実を図るとともに、現在準備中の防災ポータルサイトや防災アプリを活用し、今後はより早く、より分かりやすい防災情報の発信に努めてまいります。 次に、救急車に関するご質問にお答えいたします。 救急車につきましては、東京消防庁からの要請を受け、平時においても、救急車ひっ迫アラートの周知に協力していますが、大規模な災害時には、救急車での搬送には限界があると認識しています。 引き続き、東京消防庁との役割分担を踏まえて、連携を図りながら、適切な情報発信に努めるとともに、あらゆる機会を通じて、自助・共助の取組の必要性を周知してまいります。 なお、区としては、東京消防庁に救急車の配備を要望しているところであり、救急体制のさらなる強化について今後も働きかけを行ってまいります。 次に、集合住宅の居住傾向についてです。 北区における集合住宅の居住者の割合は、令和二年度の国勢調査によると約六八%であり、ご案内の都内の傾向とおおむね同様であると捉えています。 次に、東京とどまるマンションの普及啓発についてです。 東京都では、東京とどまるマンションとして登録したマンションの管理組合や賃貸オーナーを対象に、簡易トイレやエレベーターに設置する防災キャビネットなどの防災備蓄資機材の購入への補助制度を実施しています。 東京都の令和六年度予算案では、町会等と合同で防災訓練を行う場合は、補助率三分の二から十分の十に、上限額を六十六万円から百万円に補助を拡充するとしています。 在宅避難は、避難所での生活に比べ、プライバシーの確保がしやすい避難方法であるため、区としても来月に策定予定のマンション防災マニュアルにおいて制度の紹介を行うなど、周知に努めてまいります。 以上、お答えさせていただきました。
◎生活環境部長(雲出直子生活環境部長) (説明員) 最後に、私からは防災対策についてのご質問のうち、グリーンインフラについてお答えいたします。 区では、自然が有する機能を気候変動対策などの課題解決に活用するため、緑の保全・創出、緑とのふれあいの場など、グリーンインフラに資する取組を推進しているところです。 今年度は、区の緑化推進事業の一環として、区民、事業者の参加と協働の下、北区グリーンフェスタを開催しました。また、災害発生時に減災機能を持つ生け垣造成の支援をするなど、緑化の推進に努めています。 引き続き、グリーンインフラの多様な価値を活用した地域づくりを進めてまいります。ご紹介の世田谷区の事例につきましては、今後の取組の参考とさせていただきます。 以上、お答えさせていただきました。
◆一番(山中りえ子議員) お答えいただきましてありがとうございました。 区長に答えていただきたかったのは最初の質問でございましたので、ちょっと今残念な気持ちです。 こういう文章は当事者しか頂かないですし、だからこそ私も気づけたところであって、なので、大問一に持ってこさせていただきました。 最後に、おもてなしの心を常に意識した対応を行ってまいりますというふうにご答弁いただきましたので、ぜひともその点をよろしくお願いしたいと思います。 私も、この後の予算特別委員会の委員になる予定でございますので、詳細なことはそちらで再質問をさせていただきますが、昨日のことなので、ちょっとご紹介だけさせていただきたいと思います。 質問させていただきましたナイトタイムについて小池都知事は、今月初めの施政方針表明の中で、ナイトタイムは大きな可能性を秘めていますというふうにお話をされ、そして昨夜、都庁の巨大プロジェクションマッピングが常設展示として最も大きな建築物へのプロジェクションということでギネス認定をされるというニュースが入ってまいりました。 ご紹介しましたように、東京の公式サイトの中で、ナイトタイムの七枚しか掲載されていない写真の地が赤羽であったということは、私も非常に驚きましたし、ぜひともこの点を広く、区民だけでなく、インバウンド、海外旅行者の方にも勧めていただきたいことを、最後に要望を強くさせていただきたいと思います。 引き続きよろしくお願いいたします。
○議長(大沢たかし議員) 二番 佐藤つかさ議員。(拍手) (二番 佐藤つかさ議員登壇)
◆二番(佐藤つかさ議員) 私からは、次の五点、ケアマネジャーの研修等費用助成について、介護職員借り上げ社宅制度について、要介護者等紙おむつ支給について、高齢者福祉マッサージ券の支給について、短期集中予防サービス(通所型サービスC)について、お伺いします。 私は、一九九九年、介護保険が施行される一年前に、第一回介護支援専門員ケアマネジャーの試験を受験し、資格を得ました。第一回目は、受験者数二十万七千人を記録する大ブームでした。それから四半世紀過ぎ、令和五年現在は、約七十五万人がケアマネの資格を有しています。 しかし、実際にケアマネ業務に従事している方は、令和二年で約十五万人であり、ケアマネの合格者の約八割がケアマネをしていません。直近では、第二十六回、令和五年度は、受験者数五万六千人、合格者数一万二千人、合格率約二二%でした。合格者のうち、ケアマネの仕事をする者は、二割程度だと思われます。なぜ、ケアマネ合格者がこれほどケアマネ業務をしないのでしょうか。 私自身、現在ケアマネの仕事をしていません。その理由は幾つかあるのですが、大きなものは、研修や書類作成などの本来のケアマネ業務以外の作業が多い割に給料が安く、魅力を感じないことにあります。 看護師も、当初は看護業務からケアマネに転職していましたが、やりがいを感じず、また看護業務に戻った方もたくさんいます。 介護職員は処遇改善手当により、ケアマネより給料が高くなるケースがあり、ケアマネの仕事を辞めた方もいます。現在働いているケアマネは、五十から六十代のベテランばかりで、若い人はほとんどいません。 私が特に問題であると思っていることは、研修費用の高さと研修時間の長さです。具体的には、ケアマネ試験に合格すると、八十七時間、約六万千円の研修を受けます。その後、更新研修があります。実務経験のない方は五十四時間、約三万九千円、実務経験のある方は、研修一と研修二で、合計八十八時間、約五万八千円を支払います。それに加えて、主任ケアマネになると、研修七十時間以上、五年以上の実務経験、東京都の場合、約五万三千円かかります。そのたびに、忙しい中、本来業務を休み、何日間も研修に参加します。私も現在、再研修に参加していますが、事例を基に何日も長い時間のグループワークをすることに本当に意味があるのかと疑問を感じることがあります。 二〇二一年より、居宅介護支援事業所の管理者を主任ケアマネに限定されましたが、いまだ管理者が主任ケアマネを持っていない事業所も多数あります。 このままでは、高齢化が進む二〇三五年には深刻なケアマネ不足が起きます。ケアマネの人員数を確保するには、業務負担量を改善して就労しやすい環境を整え、若い世代に、職に就きたい、資格を取りたいと思ってもらう必要があります。 東京都は、四月から介護職員とケアマネの給料を、月一、二万円引き上げる都独自支援を開始します。処遇改善手当の対象とならないケアマネの離職や高齢化への対策を取ることが目的であり、ケアマネ手当は画期的なことであります。 ケアマネ研修の費用を個人で負担している方も多く、研修費用負担が大きいため、これらは自治体が独自に助成してもいいのではないでしょうか。 ケアマネ研修費等助成制度は、既に練馬区、江戸川区、港区、荒川区、千代田区など多くの自治体で行われています。北区もケアマネ不足を防ぐために研修費等助成制度が必須だと考えますが、いかがでしょうか。 次に、介護職員借り上げ社宅制度について、お尋ねいたします。 地域密着型の介護職員借り上げ社宅制度は、令和五年度より練馬区、足立区、世田谷区、渋谷区、江東区、江戸川区など、多くの自治体が実施しています。介護職員借り上げ社宅制度は、東京都の助成制度により、自治体が区内近隣に社宅を借り上げ、災害時にすぐ職員が駆けつけ、介護や障がい施設は一次避難所としての活用もできます。また、介護職員の処遇改善と職場定着の目的もあります。保育士では、既に北区でも借り上げ社宅制度があります。 能登半島地震のテレビ映像を見ると、七か所の福祉避難所のうち二か所しか稼働しておらず、ある特別養護老人ホームでは、ガス、水道、電気もストップしているため、二階以上の居室が使えず、要介護者全員が一階の食堂や機能訓練指導室で避難しており、マットレス二枚を並べ、三人ずつ寝ていました。職員は、道路が寸断されて、駆けつけられない方が多く、少数の職員で二十四時間寝る間もなく介護業務をしていました。 大災害時には、どれだけ多くの職員がすぐに駆けつけられるかが重要であります。災害関連死を防ぐには、災害初日から一日から二日を乗り越えられる人材の確保が重要になるのではないでしょうか。 令和五年決算特別委員会において、私は北区でも地域密着型事業所を対象とした介護職員宿舎借り上げ支援制度をしてはいかがですかと質問しました。区の回答は、北区独自の介護職員宿舎借り上げ支援事業を実施した場合、災害時にどのような役割が期待できるのか、防災協定の内容を含め、他区の実績や課題を踏みながら、十分研究が必要だと考えておりますとのことでした。 過去の災害時の高齢者の死者の割合に関して見ると、平成二十三年の東日本大震災において、被災地全体の死者数のうち、六十五歳以上の高齢者の死者数は約六割であり、障がい者の死亡者は被災住民全体の死亡者数の約二割と推計されております。その他、令和元年台風第十九号では六〇%以上、令和二年七月豪雨でも死者の七〇%以上が高齢者とされており、災害時の被災者が高齢者に偏っているのが現状です。 高齢者や障がい者等の支援が必要な方々が、どこで、どうして、どのように住んでいるか分かっていれば、避難をさせられる確率を向上させることが可能です。この観点からも、避難行動要支援者ごとの個別計画と、介護職員宿舎借り上げ支援制度は、福祉事業所等が避難所となり、介護職員が緊急対応できることで、高齢者や障がい者の災害関連死を防ぐ対策として効果があると考えております。 能登半島地震を踏まえ、改めて地域密着型の介護職員宿舎借り上げ支援制度を検討していただけるかお伺いします。また、避難行動要支援者名簿を災害時にどのように活用するか、福祉事業所と災害時協定はどのように結んでいるかについてお尋ねします。 次に、要介護者等紙おむつ支給についてお尋ねします。 尿失禁は、女性高齢者の約三〇%及び男性高齢者の一五%で発生しています。尿失禁は直接生命に関わることではないですが、生活の質を脅かす疾患で、精神的な苦痛や日常生活の活動低下をもたらします。 多くの自治体は、要介護者を対象とした紙おむつ支給制度を実施しています。 北区は、一、介護保険の要介護四、五と認定された四十歳以上の方、二、介護保険の要介護三と認定された七十五歳以上の方は、月に一回紙おむつを配送されるか、月五千円程度を代金助成されております。社会福祉協議会においては、六十五歳以上の常時紙おむつが必要な方もしくは軽度要介護者は最長三か月間に限り、紙おむつや尿取りパッドが支給されるサービスもあります。 他自治体と比較すると、台東区は要支援一以上か六十五歳以上で入院している方、板橋区、練馬区、渋谷区は要介護一以上で常時尿失禁の方、世田谷区、文京区は要介護三以上で常時失禁状態の方、川口市はおおむね六十五歳以上で常時失禁状態の方は、要介護認定がなくても支給されます。自治体によって対象者が異なりますが、要介護四、五に限定は少ないです。 北区は、要介護三以下で七十四歳以下の方は紙おむつ支給がないため、毎月一万円近くの紙おむつ代が自己負担になります。これでは、ご自宅にいて常時失禁状態で困っている多くの高齢者をカバーすることができません。自己負担を導入したり、対象者を拡大することを検討していただけないでしょうか。 次に、高齢者福祉マッサージ券の支給についてお尋ねします。 要介護者等紙おむつ支給に関連しますが、北区では在宅の方で介護保険の要介護四、五と認定された方は、枚数九枚のマッサージ券を支給されることができます。 一方、練馬区、板橋区、新宿区などは、高齢者の健康保持や増進のため、六十五歳以上の方は要介護者でなくても誰でも、鍼、灸、マッサージ、指圧のサービスを一回千円ぐらいの自己負担で年九回ぐらい利用できます。また、家族介護リフレッシュ事業として、障がいのある方を日常的に介護している家族の方もマッサージ券をご利用できるところもあります。 北区は、高齢者福祉マッサージ券、紙おむつ支給、寝具乾燥サービス、訪問理美容サービスなどは全て要介護四、五と認定された在宅の方です。北区に要介護四、五の重度者は、要介護認定者数の二二%しかおらず、施設に入居している方が多数を占めます。北区のサービスの特徴としては、利用できる方が要介護四、五の重度者に限定していることです。 「つながる医療・福祉No・1」をスローガンとするなら、もっと多くの高齢者が利用できるサービスを他の自治体に負けないぐらい充実させるべきではないでしょうか。 特に必要と感じるのは、介護保険を使わずに、少ない年金で爪に火をともしながら、ずっと我慢して生活している高齢者の支援です。 古い都営住宅に夕方行くと、部屋が暗いところがたくさんあります。電気代を節約するため、夜は明かりをつけないのです。それでも介護保険は受けなく、税金や社会保険料を滞納することもなく、ぎりぎりで生活する貧困高齢者がたくさんいます。 私は、もっとこれから貧困高齢者や介護保険を使わない高齢者が利用できる福祉サービスや、地域支援事業を増やすべきであると考えています。「つながる医療・福祉No・1」であるのであれば、要介護者に限定せず、介護保険サービスを利用していない方を含めて、全ての高齢者が北区で生活してよかったと言えるような柔軟性のある、愛のある福祉サービスや地域支援事業にしていただきたいです。区長のお考えをお尋ねいたします。 最後に、短期集中予防サービス(通所型サービスC)についてお伺いします。 通所型サービスCとは、生活機能を改善するために運動などのプログラムを実施する短期集中サービスです。令和六年度は四か所で短期集中サービスを実施する予定とのことです。 私は、北区内で二十年以上接骨院を経営しています。経験上、接骨院を活用した少人数の通所型、訪問型サービスCの事業が優れた点をご紹介します。今後、短期集中サービスを拡大する際の参考にしていただければ幸いです。 目黒区、台東区、江東区、立川市、松戸市、西東京市、稲城市、足利市、名古屋市などは、地元の接骨院・整骨院で、接骨院が通所型サービスCを行っています。四月以降、要支援者や事業対象者が増えると、送迎なしで通える場所に複数の通所型サービスCが必要になります。接骨院は北区に百か所以上あります。地域に信頼のある接骨院が介護予防の拠点となり、院長が機能訓練指導員となって、少数の利用者を運動指導します。事業対象者等は、膝痛や腰痛などの運動器疾患が多く、接骨院の専門分野です。北区内全域に通所型サービスCが増えれば、デイサービスの利用者も減り、介護保険の削減にもつながります。 以上、区長のお考えをお伺いいたします。 これにて終わります。 ご清聴ありがとうございました。(拍手) (
山田加奈子区長登壇)
◎区長(山田加奈子区長) ただいまの佐藤つかさ議員からのご質問について、私からはケアマネジャーの研修等費用助成についてお答えをさせていただきます。 介護保険制度の適切かつ円滑な運営のため、必要な知識、技能を有するケアマネジャーの養成や人材確保は重要な課題であると認識しています。 また、第九期介護保険事業計画の策定に際し行った北区ケアマネジャーの会からの意見聴取では、資格更新に伴う研修受講料の補助についてのご意見もいただいています。 現在、二十三区のうち五区で、ケアマネジャーの資格更新時の負担軽減を図るため、区独自の研修費用助成を実施していることは認識しておりますが、東京都の来年度予算案では、ケアマネジャーの研修受講料の本人負担軽減に取り組む事業者への支援事業が示されていることから、現時点では、区独自の助成事業の実施は考えておりません。 今後示される東京都の事業の詳細について、事業者団体への周知及び活用促進に努めてまいります。 以上で、私のお答えとさせていただきます。 この後、引き続き所管の部長からご答弁申し上げます。 ありがとうございました。
◎福祉部長(村野重成福祉部長) (説明員) 私から引き続き、介護職員借り上げ社宅制度についての質問にお答えします。 地域密着型サービス事業所を対象とした介護職員の宿舎借り上げ補助事業については、二十三区では東京都の補助金を活用し、九区で実施していますが、実施区からは、事業所への支援期間が四年間であることや、災害時を想定した協定を必要とすることから、小規模な事業所には負担が大きいのではないかとの意見を聞いています。 また、把握する限りでは、実施する区は増えていないと認識しています。引き続き、他区における取組促進に向けた動き、補助事業についての東京都の動向の把握など、調査研究してまいります。 次に、避難行動要支援者名簿の災害時の活用方法についてです。 この名簿は、災害時に警察、消防、町会・自治会、民生委員、高齢者あんしんセンターなど、避難支援等関係者に提供され、避難の声がけ、避難先での安否確認や見守りなどに活用することとしています。 また、災害時の福祉施設との協定については、大規模な災害が発生した場合に、特別な施設、設備がないと生活することが困難な要支援者を施設の一部で受け入れる内容としていることから、特別養護老人ホームや、老人保健施設など、大規模な施設を運営する社会福祉法人等と、災害時における福祉避難所の設置及び運営に関する協定書を締結しているところです。 次に、要介護者への紙おむつ支給についてお答えします。 各区における支給要件は、要介護度のほか、北区にはない所得要件や代金の一定割合を自己負担としている区もあり、単純な比較は難しいと考えています。一方、昨今の物価高騰なども踏まえ、事業内容について検討している区もあると聞いています。 北区においても、来年度助成限度額を千円増額することとしたところです。引き続き、自己負担も含め、他区の動向などを注視してまいります。 次に、高齢者福祉マッサージ券の支給についてです。 北区では、在宅で介護保険の要介護四、五と認定された方に年間九枚、また、介護保険サービスを利用していない場合でも、六十五歳以上の虚弱なひとり暮らし高齢者で、ひとり暮らし定期訪問を受けている方には年間五枚のマッサージ券を支給しています。 マッサージ券をはじめ、他のサービスについての利用要件、自己負担の有無などは区によって異なることから、単純な比較は難しいと考えています。 なお、北区の要介護認定者のうち、要介護四、五の方の六割以上の方は在宅で生活していることを踏まえ、まずはこうした方を対象にサービスを実施しているところであり、現時点で対象者の拡大などは考えておりません。 最後に、短期集中予防サービス、通所型サービスCにおける接骨院の活用についてです。 短期集中予防サービスの通所型サービスCは、要支援の方などに対して、理学療法士など専門職がおおむね三か月間集中的に関わり、生活機能の改善を支援するとともに、セルフケアの習慣化や社会参加の促進を図り、自立につなげていくことを目的とする事業です。参加者からは好評を得ており、来年度は二か所で新設し、合計区内四か所で実施する予定です。 通所型サービスCの接骨院等での実施については、引き続き他区における取組について、動向や実績、効果などを研究してまいります。 以上、お答えいたしました。
◆二番(佐藤つかさ議員) ありがとうございます。 要望と質問を一点ずつお願いいたします。 主任ケアマネの東京都の動向を見るということの回答でしたが、この主任ケアマネが非常に将来的に不足になるということについてお話をさせていただきます。 主任ケアマネ、居宅介護支援の管理者が主任ケアマネに限定されてから十年以上たったんですよね。しかし、二〇二一年四月以降、主任ケアマネを管理者として配置できず、介護保険のケアマネ事業所として運営していない、できないところが一〇%以上、三千か所以上あることが分かりました。そこで、管理者である限り、主任ケアマネの要件を二〇二七年まで延期することが決定されました。 主任ケアマネの数は、二〇二二年は約四万八千人ですが、毎年減少傾向にあります。実働は約二万八千人しかいません。二〇一九年の社会保障審議会介護給付費分科会では、主任ケアマネの自己費用について、地域によってばらついている、より廉価な価格での受講を可能にしたらどうかという声もあって、振興課長は地域医療介護総合確保基金の活用も可能であるとの旨を説明して、自治体への周知をさらに図る旨を示しました。このままでは、二〇二七年以降、古い個人経営や小規模な居宅介護支援が大幅に廃業になります。北区の介護保険の未来を考慮すると、今、ケアマネジャーの研修等費用助成は必須と考えます。これは要望ですので、引き続き検討してください。 次に、介護職員宿舎借り上げ支援事業について、再質問させていただきます。介護職員の処遇改善と職場定着の観点から再質問させていただきます。 介護職員の給料水準は、介護事業者がサービスを提供した対価として支払われる介護報酬の中から、電気、光熱代などの必要経費を引き、残りを介護職員などの給料として支払います。このため、介護報酬が増えない限り、職員への給料を増やすことは難しくなっております。 令和四年の厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、全ての産業の平均と介護職員の賞与込みの給与を比較したところ、全産業の平均は月額三十六万千円ですが、介護職員は月額二十九万三千円であり、全産業の平均よりも六万八千円低くなっております。 介護職員宿舎借り上げ支援制度が北区で整備されると、東京都の予算の補助が四年間という限定がありますけれども、介護職員の給料の補填にもなります。 そういった意味と、もう一つは、一月二十二日の審議会で、来年度の介護報酬改定の全容が発表されました。ほとんどの介護サービスの基本報酬は一%弱か四%のプラスとされたにもかかわらず、訪問介護だけが二%程度のマイナスとされ、多くの関係者から疑問と怒りの声が上がっております。 訪問介護は、介護サービスの中でも最も人材確保が厳しく、最近の有効求人倍率は十五倍前後で推移しています。昨年の訪問介護の倒産数は六十七件で過去最多でした。事業閉鎖を含めると、この数倍はあるのではないでしょうか。 私は、この基本報酬がこれから発表される北区の総合事業の通所型サービスに影響を及ぼすのではないかと危惧しております。北区の総合事業の報酬は、平成三十年以降、包括月額でなく、板橋区や練馬区に比べて一〇%以上低く設定されております。このため、要支援者が多い介護事業所の経営を圧迫しております。もし介護報酬の改定に準じて総合事業の訪問サービスの報酬も引き下げられたら、北区の訪問介護事業者の多くは倒産するか、閉鎖するか、またヘルパーは訪問介護の現場から離れていくのではないでしょうか。 そこで質問します。介護職員宿舎借り上げ制度は、地域密着型通所介護だけではなく、訪問介護事業所も対象とするべきであると思いますが、さっき厳しいと言われたんですけれども、改めて質問させていただきます。よろしくお願いします。
◎福祉部長(村野重成福祉部長) (説明員) 区には現在、地域密着型サービス施設事業所、七十八か所ありますけれども、その事業所の職員数ですとか施設の広さは法令で定められていて、提供するサービスによって異なっています。そのため、区と福祉避難所との指定ですとか災害時の協定を締結するためには、協定の内容ですとか事業所の負担などの課題があると考えていますけれども、訪問介護事業所についても、東京都の助成対象とするためには、災害時の協定などが必要であって、地域密着型サービス事業所などと同様の課題を有していると認識してございます。 借り上げの社宅制度が人材確保に資する面があること、それから介護人材の確保や定着を支援することは、安定した介護サービスを提供する上で必要と考えていますので、引き続き地域密着型サービス事業所などにおける借り上げ社宅制度などについて、他区における実施状況や課題、またこの制度についての東京都の考え方ですとか動向を注視してまいりたいと考えてございます。 以上です。
◆二番(佐藤つかさ議員) 私も他区を調べたところ、例えば渋谷区とかは、四年以前にも社宅借り上げ制度を行っているんですけれども、実際小規模の事業者の利用率は少ないというふうに言われていました。 ただ、北区と渋谷区の違いは、渋谷区は地域密着型事業所が十事業所ぐらいしかないんですけれども、北区は昨年調べたところ、四十数か所あるんですよね。なので、地域密着型の事業所が他区より北区は特に多い自治体であるというところを一つ認識していただければと思います。 最後に、四月よりスタートする第九期介護保険事業計画では、介護保険料を六千二百九十円にアップするとのことでした。第七期では六千百十五円、第八期では六千百十四円でしたので、個人的には今回は六千百十三円以下にしてほしかったんですが、少数の引上げに留めていただいたことに、区長に感謝いたします。 以上です。ありがとうございました。
○議長(大沢たかし議員) お諮りします。 本日はこの程度で延会し、二月二十七日午前十時、本会議を開会したいと思います。ご異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(大沢たかし議員) ご異議ないと認め、そのように決定します。 ただいまご着席の方々には改めて通知しませんので、ご了承願います。 本日はこれをもって延会します。 午後五時四十五分延会...