平成10年 12月 定例会(第4回)東京都北区議会会議録第十一号(第四回定例会) 平成十年十一月十一日(水)午前十時一分開議
-------------------------------出席議員(四十八人) 一番 村山公佑君 二番 早乙女政明君 三番 岩倉慶光君 四番 尾身幸博君 五番 山崎 満君 六番 藤田隆一君 七番 永沼正光君 八番 清水希一君 九番 後藤憲司君 十番 横満加代子君 十一番 大原康惠君 十二番 小野寺 勉君 十三番 古沢久美子君 十四番 福田 実君 十五番 石川 清君 十六番 黒田みち子君 十七番 樋口万丈君 十八番 苣木智治君 十九番 高木隆司君 二十番 宇野 等君 二十一番 遠藤幸佑君 二十二番 島岡清美君 二十三番 堀内 勲君 二十四番 樋園洋一君 二十五番 福島宏紀君 二十六番 山崎泰子君 二十七番 相楽淑子君 二十八番 本田正則君 二十九番 和田良秋君 三十番 高木 啓君 三十一番 福田伸樹君 三十二番 大畑 修君 三十三番 林 千春君 三十四番 池田博一君 三十五番 山中邦彦君 三十六番 駒村守晴君 三十七番 木元良八君 三十八番 中川大一君 三十九番 八百川 孝君 四十番 黛 四郎君 四十一番 平田雅夫君 四十二番 佐藤有恒君 四十三番 松村善吉君 四十四番 鈴木隆司君 四十五番 佐々木敏男君 四十六番 永井四郎君 四十七番 金子 章君 四十八番 安田勝彦君出席説明員 区長 北本正雄君 助役 峰田 将君 収入役 金久保幸三君 企画部長 久野義雄君 企画部参事 山田統二君 総務部長 加藤幹夫君 地域振興部長 峠 克尚君 区民部長 石原紀男君 生活環境部長 秋元 憲君 健康推進部長 小林祐子君
高齢福祉部長 笹岡栄四郎君 福祉部長 平山道昭君 都市整備部長 井上 毅君 十条
まちづくり担当部長 水野 勉君 (
総務部参事兼務) 建設部長 森田幹男君企画部 企画課長 井手孝一君 広報課長 清正浩靖君
財政課財政主査 上山 勉君総務部 総務課長 内田 隆君 職員課長 伊予部輝雄君
総務課総務係長 川上勝利君教育委員会 教育長 山口 修君 学校教育部長 藤井和彦君 生涯学習部長 和田哲郎君監査委員
代表監査委員 長 幸男君 監査事務局長 古瀬正義君 議事日程 第一号日程第一 平成九年度東京都北区
一般会計歳入歳出決算の認定について日程第二 平成九年度東京都北区
国民健康保険事業会計歳入歳出決算の認定について日程第三 平成九年度東京都北区
用地特別会計歳入歳出決算の認定について日程第四 平成九年度東京都北区
中小企業従業員退職金等共済事業会計歳入歳出決算の認定について日程第五 平成九年度東京都北区
老人保健会計歳入歳出決算の認定について日程第六 第六十八号議案 東京都北区議会議員及び東京都北区長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例日程第七 第六十九号議案 東京都北区議会議員及び東京都北区長の選挙における選挙公報の発行に関する条例の一部を改正する条例日程第八 第七十号議案 選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例日程第九 第七十一号議案 東京都
北区営住宅条例の一部を改正する条例日程第十 第七十二号議案 東京都北区
奨学資金貸付条例の一部を改正する条例日程第十一 第七十三号議案
仮称北区立岩井学園厨房備品の購入契約日程第十二 第七十四号議案
仮称赤羽自然観察公園整備工事(造園工その一)請負契約の一部を変更する契約日程第十三 第七十五号議案
仮称赤羽自然観察公園整備工事(造園工その二)請負契約の一部を変更する契約日程第十四 第七十六号議案 土地建物等の負担付贈与について(
北区営住宅用地等)日程第十五 第七十七号議案 特別区道の路線認定、廃止及び変更について日程第十六 第七十八号議案 平成十年度東京都北区
一般会計補正予算(第二号)
○議長(林千春君) ただいまから平成十年第四回東京都北区議会定例会を開会します。 これより本日の会議を開きます。 この際、会議時間の延長をしておきます。 まず、
会議録署名議員を定めます。本件は、会議規則第百十五条の規定により、議長からご指名申し上げます。 三番 岩倉慶光さん、二十一番 遠藤幸佑さんにお願いいたします。
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○議長(林千春君) 次に、書記から諸般の報告をさせます。 (
書記朗読) --------------------十北総総第一一五五号平成十年十一月四日 東京都北区長 北本正雄 東京都北区議会議長 林 千春殿 東京都北区議会定例会の招集について 平成十年十一月四日付東京都北区告示第三〇八号をもって平成十年第四回東京都北区議会定例会を十一月十一日に招集したので通知します。
--------------------(写)東京都北区告示第三〇八号 平成十年第四回東京都北区議会定例会を左記のとおり招集する。平成十年十一月四日 東京都北区長 北本正雄 記一 日時 平成十年十一月十一日 午前十時一 場所 東京都北区
議会議場 --------------------十北総総第一二一二号平成十年十一月四日 東京都北区長 北本正雄 東京都北区議会議長 林 千春殿 議案の送付について 平成十年第四回東京都北区議会定例会へ提出するため、左記議案を送付します。 記第六十八号議案 東京都北区議会議員及び東京都北区長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例第六十九号議案 東京都北区議会議員及び東京都北区長の選挙における選挙公報の発行に関する条例の一部を改正する条例第七十号議案 選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例第七十一号議案 東京都
北区営住宅条例の一部を改正する条例第七十二号議案 東京都北区
奨学資金貸付条例の一部を改正する条例第七十三号議案
仮称北区立岩井学園厨房備品の購入契約第七十四号議案
仮称赤羽自然観察公園整備工事(造園工その一)請負契約の一部を変更する契約第七十五号議案
仮称赤羽自然観察公園整備工事(造園工その二)請負契約の一部を変更する契約第七十六号議案 土地建物等の負担付贈与について(
北区営住宅用地等)第七十七号議案 特別区道の路線認定、廃止及び変更について第七十八号議案 平成十年度東京都北区
一般会計補正予算(第二号)
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○議長(林千春君) 会期についてお諮りします。 今次定例会の会期は、十一月十一日から十二月七日までの二十七日間としたいと思います。ご異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(林千春君) ご異議ないと認め、そのように決定します。
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○議長(林千春君)
代表監査委員 長 幸男さんに監査の報告を求めます。 (
代表監査委員 長 幸男君登壇)
◎
代表監査委員(長幸男君) 只今から、平成十年四月以降九月までに実施いたしました、
例月出納検査、定期監査、及び平成九年度決算審査の結果について、ご報告申し上げます。
例月出納検査及び定期監査の結果につきましては、地方自治法の定めるところにより、その都度、議長あてにご報告申し上げております他、決算審査につきましても
決算審査意見書として区長から議会に提出されておりますので、本日はその概要について申し上げます。 始めに、
例月出納検査について申し上げます。 平成九年度は、平成十年三月から五月まで、平成十年度は、四月から八月までの各月ごとに、収入役から提出されました検査資料、及び、関係諸帳簿によって、予算の執行に伴う収支と現金の収納状況等について、詳細に検査をいたしました。 その結果、各月とも収支に関する各資料と出納関係帳簿、及び証書類の計算は符合しており、また、歳計現金の収支残高は、預金通帳の残高と一致し、誤りのないことを確認いたしました。 続きまして、定期監査について申し上げます。 今回の定期監査は、公園・児童遊園、奥多摩所在の区有地、区民保養所はこね荘、及び庁内各部局それぞれの施設と建物の維持及び備品の管理、並びに、
事務処理状況等について実施いたしました。その結果について、順次、ご説明申し上げます。 まず、本年四月十四日と十五日に、王子六丁目公園外十四か所の公園、児童遊園等の監査を実施いたしました。 その結果、各公園・児童遊園等とも施設の整備、維持管理及び利用者に対する安全管理に意が用いられており、良好な状態にあることが認められました。 次に奥多摩所在の区有地の監査を四月二十七日現地に赴き実施いたしました。 その結果、区有地の東側の境界は、境界石と木株によって確認できたが、西側の小袖川に沿った境界は雑木、熊笹等の生い茂った三〇度を超す急斜面を下った先にあり、そこまで到達することが困難なため、この度の監査では確認しなかったものの、位置関係は認識できるところから、山岳地帯での土地の管理としては、概ね適正に行われていると認められました。 本区有地は三十四年前「学校の教育施設並びに区民の教養娯楽施設」用地として寄付受領したものでありますが、現在の状況では寄付者の意向に沿った活用は、本件土地のもつ立地条件、さらには、区の財政状況等から考えると、極めて困難であると判断せざるを得ません。従って、本区有地は、寄付者の意向に沿っての活用にこだわることなく、自然環境保全という新たな観点も視野に入れて、十分検討するよう要望いたしておきました。 次に、五月二十五日及び二十六日の
両日区民保養所はこね荘の監査を実施いたしましたところ、施設の管理については、建物の保持ならびに備品の保管に意が用いられており、また、事務処理についても適正に処理されていることが認められました。 次に、庁内各部局の監査について申し上げます。 五月十二日から七月三十日にかけて、
教育委員会事務局、都市整備部、生活環境部、建設部、企画部、高齢福祉部、福祉部及び地域振興部の監査を、更に、八月二十六日から九月十四日にかけて、健康推進部・北区保健所、総務部、区民部並びに
行政委員会等の監査を、延べ三十五日間にわたり実施いたしました。 その結果、各部局とも予算の計画的執行に配慮されており、経理に関する事務及び施設の維持管理についてもおおむね適正に処理されていることが認められました。又、備品等の管理状況も良好でしたが、一部で現金出納簿の記帳や、不納欠損の処理方法等に軽微ではありますが誤りが見受けられましたので、情報公開の対象文章でもあることから、十分意を用いるよう要望いたしておきました。 続きまして、平成九年度の決算審査について申し上げます。 審査にあたりましては、決算書にもとづき審査し、必要の都度、関係職員の詳細なる説明を受け、慎重に審議いたしました。 その結果、
決算審査意見書のとおり、計算はすべて正確に行われ、過誤なく収支は命令に符合しており、かつ、事務手続は、法令に違反していないものと認められました。 それでは、その概要について申し上げます。 平成九年度の一般会計、及び四特別会計の総決算額は、歳入総額 一、七六三億二、九六一万八、七八七円歳出総額 一、七一三億二、六九八万六、九一四円差引残額 五〇億二六三万一、八七三円を翌年度へ繰越しておりますが、この残額から翌
年度繰越事業の財源となります、
繰越明許費繰越額 一〇億二、四五〇万一、〇〇〇円を差引いた実質収支額は、三九億七、八一三万八七三円となっております。 そのうち、一般会計につきましては、歳入決算額 一、一七八億三、五六九万八、六四四円歳出決算額 一、一三七億二、七〇五万九、三七二円差引残額 四一億八六三万九、二七二円を翌年度へ繰越しておりますが、この残額から翌
年度繰越事業の財源となります、
繰越明許費繰越額、一〇億二、四五〇万一、〇〇〇円を差引いた実質収支額は、三〇億八、四一三万八、二七二円であります。 歳入につきましては、予算現額 一、一九一億六、八二三万五、〇〇〇円収入済額 一、一七八億三、五六九万八、六四四円収入率は、九八・九%で対前年度伸率は一・九%となっております。 歳出は、予算現額 一、一九一億六、八二三万五、〇〇〇円支出済額 一、一三七億二、七〇五万九、三七二円支出済額の予算現額に対する執行率は、九五・四%で、対前年度伸率は一・三%であり、平成九年度の事務事業は、適正にして効率的に執行されていることが認められました。 次に、四特別会計について申し上げますと、
国民健康保険事業会計、
用地特別会計、
中小企業従業員退職金等共済事業会計、
老人保健会計のいずれも、適正に運営されていることが、認められました。 最後に、財産及び各基金の運用状況について申し上げます。土地・建物・物権・有価証券等の公有財産、及び、物品・債権・基金について、関係部課の台帳、並びに、帳簿類と計数を照合し審査した結果、いずれも誤りのないことを確認し、適正な管理状態であることが認められました。 また、用品調達基金、
国民健康保険高額療養費貸付事業基金、老人等に対する
看護料資金貸付基金、及び、
公共料金支払基金は、いずれも良好に運用され、適正な状態であることが認められました。 なお、老人等に対する
看護料資金貸付基金は
健康保険法等の一部改正に伴い平成十年四月一日にその役割を終え、廃止されました。 以上のとおり、平成九年度の
歳入歳出決算を通査いたしましたが、北区財政は歳入の大宗をなす特別区税で特別減税の終了や税源移譲があったこと、また特別区交付金では改築経費の復元等によりそれぞれ増収となったものの、
臨時税収補填債の発行や多額な基金の取り崩しによって歳入を確保するという厳しい財政状況下にありました。 こうした中にあっても、区民待望の飛鳥山博物館の開設をはじめ、滝野川東・豊島両区民センターの建設、高齢社会を踏まえての第三・第四
特別養護老人ホームの建設、
一人暮らし高齢者アパート提供事業、そして建物の耐震調査・補強、
学校避難所整備等の緊急防災対策、多額な経費を要する赤羽駅
付近連続立体交差化事業、道路・
公園整備事業、教育施設の整備等々、着実に実施に移されており、高く評価するものであります。 しかしながら、これらの施設建設等が、将来の
ランニングコストの増大につながり、公債費の増加とも相まって、大きな負担となり、経常収支比率の上昇、財政構造の硬直化に直接結びついてまいります。 特に、歳入状況の厳しい時にあっては、その影響が顕著に表れることは明白であります。 今、日本経済は二年連続のマイナス成長となる戦後最悪の不況に直面しております。 東京都では法人二税を中心として、大きく減収が見込まれるとし「財政危機宣言」をするに至っております。こうした、状況下にあっては、特別区税や
特別交付金等に大きく影響を及ぼし、ここ当分、右肩上がりの歳入を期待することは困難と思われます。 事務事業の見直しを含め、経費の徹底した節約合理化・効率的運用を図り、節度ある行財政運営に、なお一層意を用いられるよう、この席をお借りして要望しておきます。 以上が、検査・監査並びに決算審査結果の概要でございます。 私
ども監査委員は、行政執行側と監査というチェック機関が、相互により良く機能してこそ、区政の進展が図れるものと考えております。 このため、常に監査機能の向上に努め、区民の不信を招くことのないよう、従前にも増して監査の果たす役割の重要性を認識し、厳正・中立、常に区民の視点に立って監査業務にあたっているところでございます。 それは取りも直さず、区議会におかれまして慎重にご審議されました予算が、そのご主旨に沿って、効率的に執行されているか否かの検証であり、区民福祉の更なる向上を願っているからに外なりません。 今後とも、議員各位の監査に対するご理解とご協力をお願い申し上げますとともに、平素のご指導に対し、深甚なる感謝の意を表しまして、検査、監査並びに決算審査の結果についてのご報告といたします。ご静聴、誠に有り難うございました。(
拍手) --------------------
○議長(林千春君) これより質問に入ります。 九番 後藤憲司さん。 (九番 後藤憲司君登壇)
◆九番(後藤憲司君) 私は、公明党議員団を代表して、大きく四点について北本区長にお伺いします。 第一点目に、平成十一年度予算編成に当たり、基本姿勢について伺います。 初めに、平成十一年度の財政見通しについて伺います。 大蔵省が十一月二日に発表した九月末時点の国の税収実績では、
一般会計分税収は、前年同期に比べ一〇・二%少ない十五兆二千四百八十五億円であり、景気低迷の影響で、税収の柱である法人税、所得税を初め、各税目で低調に推移しています。また、今年度の税収不足が六兆円を超えるとの見通しですが、不足額がさらに膨らむ可能性があります。 九月までの
法人税収累計額は、前年同期比二一・九%減の一兆四千百五十八億円で、年間見込み額十五兆二千七十億円に対して二割程度の減少は避けられず、源泉徴収分の所得税は、前年同期比一五・四%減の六兆七千六百七十三億円、特別減税によるマイナスや、賃金も景気の影響を受けるなど、今後も減少傾向が続き、消費税収入も見込みを下回りそうであります。 東京都においても、今年度当初見込みで四兆六千二百億円の税収を計上しましたが、企業の決算状況から昨年度
決算見込み額の四兆二千億円前後にとどまる見通しとなりました。七月末で都税収入実績は約一兆六千億円で、前年同期を既に千百億円下回っており、今年度の税収不足額は四千四百億円の見込みで、都知事は収入見通しの甘さを認めるとともに、
財政緊急事態宣言を発表、歳出削減のため内部努力の検討をすると述べました。 都がまとめた平成九年度普通会計の決算状況によると、特別区の歳入は二兆六千七百億円、歳出は二兆五千八百億円で、ともに前年度を一・七%下回り、二年連続で減少。公共事業などの投資的経費は四千四百億円と前年度を一九・八%下回り、五年連続のマイナスとなりました。 北区における
特別区民税収入も、景気低迷に加え、人口の減少に伴う納税義務者の減少や、新たな景気浮揚策として特別減税が行われたため、九年度当初見込みと比較して二十億円余の減収となります。特別区交付金の伸びも期待できず、北区の財政運営はかなり厳しいものになることが予想されます。 こうした状況を踏まえ、三点伺います。 第一は、十年度歳入ですが、特別区税は、減税分は補てん債の追加発行で確保されるものの、減税影響額を除く調定額、収入率とも当初見込みを下回っており、特別区交付金は
地方消費税交付金や
市町村民税法人分が当初見込みを下回ることが予測されますし、国保関連については、昨年度の過大算定の再調整に加え、保険料の徴収率低下などで、三億円以上の自主財源を一般会計から補てんせざるを得ない状況であります。そこで、収入率の向上や経費節減等の内部努力、
財政調整協議等、具体的にどのように考えておられるのか、伺います。 第二は、平成十一年度の歳入見込みです。納税義務者の減少や所得の伸びの鈍化による区税収入の減少、特別区交付金は二十億円程度の減収の見込み、国庫補助金の一般財源化、都補助金の減少等で、収入見通しを二十億円以上の減収と予測されております。これら収入見込み減の影響及びその対策について伺います。 第三は、平成十年度は、四十一億円の基金取り崩し及び特別区交付金の減少を考慮すると、六十億円を超える財源不足が見込まれます。財調基金に頼らない財政運営を行うことが大事でありますが、財政健全化についてどのように考えられるのか、伺います。 第二点目に、予算編成の重点課題についてお伺いします。 平成十一年度は、北区にとって、十二年度から予定の新たな基本計画や、介護保険の導入、都区制度改革、清掃事業の移管等を前にした大事な年度となります。少子高齢化が進む中で、財源不足を理由に福祉の後退があってはなりません。人口の減少傾向に歯どめをかけるためにも、
子育て支援事業の再構築や、ファミリー層への定住対策が求められます。 そこで、平成十二年度新生北区のスタートに向けての、二十世紀の総決算ともいうべき十一年度の予算編成の重点課題をどのようにお考えか、お伺いします。 大きく第二点目に、よりスリムで効率的な行政運営の質的変化についてお伺いします。 初めにも申し上げましたが、当面、大幅な税収増が期待できない情勢の中で、区に求められるのは、むだな支出の徹底した排除と、思い切った人員削減や組織の簡素化など、景気の低迷する中で多くの企業が進めている血のにじむようなリストラへの取り組みではないでしょうか。公務員が特別なのではありません。今行うべきは、企業経営の感覚に立った行政運営の大幅な質的変化であります。 以下、四点について思い切った対策を伺います。 第一点は、超過勤務、つまり、残業のあり方、考え方についてであります。 私たち議員も、本会議や予算・
決算等委員会に向けて、いわゆる残業のような形で、場合によっては午後八時、九時ごろまで仕事をすることがあります。そんなときでも、課によっては職員の方が同じように遅くまで残業をしています。また逆に、五時近くになると、仕事が終わったのか、ゆっくりしている職員もいます。職員により仕事の量に違いがあるのか、残業の多い職員は大変だなという、これは素朴な疑問であります。 そこで第一に、毎週水曜日のノー残業デーの意義と現状についてどのようにお考えか、伺います。 第二に、いわゆるサービス残業を除いても、超過勤務時間の多い課では、昨年度一人当たり五百五十八時間、次が二百六十四時間となっています。課の職員数で割り込んでいますので、職員単位であらわせばもっと増えることになります。逆に少ない課では、年間三十五時間、次に三十六時間となっています。その差は五百二十三時間です。この違いは何なのでしょうかについて、伺います。と同時に、職員が余分な残業をしなくてもよいような仕組みづくりは今まで検討をされたのか、また今後についてはどうお考えか。以上三点、伺います。 第三に、部長、課長の職員の残業に対する管理体制はどのようにされているのでしょうか。残業の中身について部課長はどのように把握しているのでしょうか。残業に値する仕事なのか、就業時間内に完結すべき仕事であれば、残業の対象にはなりません。そこで、管理体制、残業の中身の把握、管理職の残業への対応について、以上三点、伺います。 第四に、三鷹市で実施の
パーフェクト残業デーに残業する場合は、
超過勤務確認書を職員課に提出し、協議を経た上で許可を得る
事前チェック制で、緊急性がないと判断した場合は残業が認められません。また午後五時以降は、許可が出た執務室以外は消灯し、OA機器の電源も切るというものであります。電気代などの経費節約にも役に立つと思います。北区での実施状況と今後の充実についてのお考えをお伺いします。 第二点目は、職員の資質の改善についてであります。 企業、団体等どんな職場でも言われることは、いないと困る人、いてもいなくてもよい人、いては困る人、この三種類の人間がいるということであります。区の職員には三番目の人はいないと信じたいのですが、生き残りをかけて必死の戦いを展開している企業等では、三番目の人は論外、二番目の人もリストラの第一候補であり、不況の続く現在では、第一のいないと困る人の中でも、どうしてもいないと困る人以外はリストラされる時代であります。 一生懸命頑張ってしっかり結果を出している職員も、さまざまな理由はあれほとんど休職状態の職員も、同じ時間でも結果の出せない、いわゆる能力に欠ける職員も、時間内を何とか過ごしている職員も、同じ評価、同じ給料で、法に触れない限り職場を追われないのであれば、長い間には、昇格のことを考えなければ、退職まで無理せず・けがなく・頑張らずとなるのが人間ではないでしょうか。公務員は不況でもリストラがない、安泰だ、ではないのであります。公務員だからこそ、どんな企業にも負けないという気概の出るような仕組みづくりが必要と思うのであります。 そこで第一に、今年度から実施された北区研修基本計画、つまり、職員研修の具体でありますが、この進捗状況及び成果の把握について、現時点でのご報告を伺います。 第二は、接遇の向上、つまり、窓口対応職員の区民への対応及び資質の改善についてであります。 予算委員会でも申しましたが、区民が区や区役所に対して信頼を持つのは何か、それは相談したことが制度に当てはまり、解決したときが一番であります。ただし、対応した職員の態度や言葉遣いによっては信頼も半減、いや、それ以下となります。逆に、たとえ制度に当てはまらず、解決できない問題であっても、対応した職員が丁寧に区民の立場に立って対応した場合、相談はだめだったけれども、親切な職員の姿に区民は大きな信頼を寄せます。 そこで、接遇リーダーの養成や、成果報告会についてはどうなっているのか。特にこれからますます相談が増え、直接区民の相談を受ける機会が多くなり、細かな対応が要求される福祉部及び高齢福祉部の各課の窓口の接遇状態の把握はどのようにされているのか、以上二点について伺います。 次に、窓口の対応が改善の方向に向かっているかどうか、公正に判断するために、外部団体に評価を委託したり、区民にアンケートをとるというようなことを試してみてはいかがでしょうか。ご見解をお伺いします。 第四は、再雇用職員の資質の向上についてであります。 役人根性むき出しで、お上が物申すといった態度に腹が立った、これはたまたま私が聞いた話であり、その職員が再雇用職員であったというものでありました。職員定数管理計画の中で、再雇用職員について、「担うべき役割は今後ますます重要になってくる」と述べられてはいるものの、その資質向上や再雇用の条件、研修等についての記述は、定数管理計画にも研修基本計画にも明言されていません。 そこで、定年退職五年前くらいからをワンスパンとして、勤務状況や勤務態度等を評価し、再雇用の判断材料にすることや、再雇用が決定したときは特に接遇研修を実施する等、計画の中に盛り込むべきと考えますが、ご見解をお伺いします。 第三点目は、事務事業評価制度についてであります。 平成九年第二定の代表質問の中で、三重県の例を挙げ、導入を提案しましたが、今年度導入されたことは高く評価いたします。 そこで第一に、進捗状況と明年度の計画、予定についてお伺いします。 第二に、導入の効果及び予算への反映のあり方についてお伺いします。 第三に、福祉分野や地域振興、保健、健康など、事業によっては相対比較や効果でははかれないものもありますが、どのように評価されるのか、ご見解をお伺いします。 第四点目に、その他工事・検査・契約のあり方について二点伺います。 第一は、道路の工事とその検査についてであります。 年度末が近づくと、あちこちで道路工事が始まるという声が区民から寄せられます。これは一年決算という性格上、やむを得ないとされてまいりましたが、抜本的に改革し、通年で工事できるようにすべきであります。年度のまたがる工事は、繰越明許費扱いで対応する等の考え方であります。工事検査も通年となり、検査の職員にとってもよいと考えますが、ご見解をお伺いします。 第二は、契約の透明性の確保についてお伺いします。 公共工事の入札契約システムの公平性、透明性をどうするか、不正な談合の防止とコスト削減をどうするか、各自治体ではさまざまな取り組みが行われています。埼玉県では、入札予定価格の事後公表を始めてから、県営スタジアムの新築工事が予定価格より五十億五千五百万円も安く落札されるという結果を生んでいます。そこで質問ですが、入札予定価格の事後公表について、二十三区での実施状況及び北区ではどのようにお考えか、お伺いします。 大きく第三点目に、健康及び福祉施策の充実推進についてお伺いします。 健康で長寿社会を過ごすことは、すべての方の願望であります。公明党議員団は今日まで、定例会や委員会等あらゆる機会を通して、健康を守るためのさまざまな提案を行ってまいりました。ここへきて、がん検診のように一般財源化されるものが出てくる等、ますます財政は厳しくなっています。しかし、区民の健康を守るため、行政改革を進める中で、財源を確保し、これからも健康のための事業を充実推進するとともに、他の自治体や隣接区に見劣りのないよう、新規事業についても提案してまいりたいと思っております。 そこで第一に、検診を充実し健康を守るために、二点の提案について伺います。 平成九年六月の第二回定例会の代表質問の中で、脳ドック助成を実施するよう求めましたが、北本区長は、脳ドックは検査手法がさまざまであり、対象者の特定、検査費用の問題、実施する医療機関のほか、異常が発見された場合でもその後の処置についてまだまだ多くの問題点もある、とのご答弁でした。 自覚症状の出る前に、最新の画像装置で脳の病変をとらえる予防医療として脳ドックが登場してから十年、全国では五百四十施設以上で実施されています。脳ドックの最大標的の一つが、クモ膜下出血の主な原因となる脳動脈瘤の発見にあります。脳梗塞など他の脳卒中が高齢者に多いのに対し、クモ膜下出血は働き盛りの五十歳代を中心に起こります。発症者の約三割が死亡、三割が寝たきりや身体麻痺など介護が必要となる極めて怖い疾患ですが、MRIを使った脳血管撮影により、風船のように膨らんだ破裂前の脳動脈瘤を映し出します。ここで造影剤による精密検査の上、瘤の根元をとめる予防手術をすれば、未然にクモ膜下出血を防げるのであります。 日本脳ドック学会では、平成八年にガイドラインを発表しました。釧路市星が浦病院の鈴木進院長は、四十歳以上で高血圧や高脂血症、特にクモ膜下出血した親や兄弟のいる人は、一度早目に脳ドックを受けるべきです、と勧めています。 確かに、十年たっていまだに発展途上にあると言われる脳ドックですが、働き盛りの身内を失う家族の悲しみや、経済的苦しみをなくすためにも、脳ドック検診への助成を早期導入されるよう求めます。 次に、本年三月の予算委員会で、男性特有の高齢者のがんと言われる前立腺がん検診導入を提案しましたが、PSA検査では検査の妥当性が議論のあるところであり、今後の検討としたい旨の答弁でした。 私は、PSAが前立腺がん以外のものでも高くなるので、四・一以上の場合は、直腸内指診や超音波検査、また必要に応じて生検を受けるといった方法で、例として群馬大学の前立腺がん発見について述べましたが、隣接する板橋区でも既に五十五歳以上を対象に実施しています。北区でも早期実施されるよう求めますが、ご見解を伺います。 第二に、障害者のための音楽療法などについてお伺いします。 音楽の特性を生かし、障害者や高齢者の機能回復や健康維持を図る音楽療法が注目されており、私は、音楽療法士の資格認定について昨年の第二回定例会で提案いたしました。 北区でも、区内の特養で音楽療法の専門家を招いての実施により、効果が上がっているとのご答弁でした。 調布市では、十五年前から心身に障害のある児童を対象に音楽療法を行い、効果を上げています。 外界に関心を示そうとしない自閉症の児童が、体の動きに合わせて弾かれるピアノの音に刺激され、音色や人の声に耳を傾けるようになる。大人に体を預けないと言われる自閉症児が、療法士にもたれかかり、口まねをしたり、自分の要求を言葉で訴えるようになったなど、福祉施設の現場から音楽療法の有効性の報告がなされています。 公明党は、今、国会で音楽療法士の国家資格実現に取り組んでおります。北区での自閉症の児童等への取り組みや、療法士の認定制度について、ご見解を伺います。 第三に、徘回型の痴呆老人を事故等から守るための施策についてお伺いします。 本年五月に私の地域で悲しい事故がありました。痴呆症の女性が行方不明になり、ご主人は警察に尋ね人のポスターを頼むなど、必死に捜索したのですが、一か月半後、北区から遠く離れた茨城県から交通事故で亡くなられたとのお知らせが来たのです。それも行方不明になられた二日後の事故で、住所も名前もわからず、やっと捜して連絡をいただいたということでした。 高齢社会への進展とともに、痴呆症で徘回する高齢者の増加が予想されます。外出したまま行方がわからなくなる高齢者もあり、思わぬ事故に遭われる等、介護する家族の精神的、肉体的負担は大きくなっています。 千葉県我孫子市では、体動センサー装着型徘回感知システムで、行方不明の徘回者の位置確認により、早期発見及び事故防止に役立てています。これは人工衛星を利用し、家族からの依頼により、受信センターのパソコンで徘回者がつけている携帯電話にコールすると、衛星受信機が自動作動して、移動体、つまり徘回者の位置を転送するというシステムです。我孫子市では、平成八年十二月にSOSネットワークを発足させ、地域ぐるみで徘回症状のある人をケアする等、積極的な取り組みがなされており、いち早くシステムを導入したこともうなずけます。 二年後には、痴呆症の高齢者は約百五十万人に達すると推定されています。高齢比率の高い北区にとってもこのようなシステムの導入が必要と考えますが、ご見解を伺います。 第四に、リバース・モーゲージ制度の導入についてお伺いします。 これは、住宅や土地などの不動産を担保に老後の生活費などを借り入れ、死後に不動産を売却して清算するもので、逆住宅ローン制度のことであります。日本で初めて十七年前に導入した武蔵野市では、年金の形で融資しており、住宅資産活用年金制度と言います。 少子高齢化の進展の中、年金制度の改革や介護保険法の導入で、高齢者の負担が増えていくと予測されます。預貯金があればそう心配することはないかもしれませんが、資産はあるが現金は余りないという人にとって、リバース・モーゲージは安定した現金収入を得るための手段になるものです。 阪神大震災で壊滅的打撃を受けた神戸市では、神戸市被災高齢者向け終身生活貸付制度や災害復興住宅高齢者向け不動産処分型特別融資制度という形で、リバース・モーゲージ制度が利用者に喜ばれています。 今、北区でも高齢者の自立支援策が緊急の課題となっています。自宅を担保にお金を借りるリバース・モーゲージは、暮らしなれた自宅に住み続けたり老後の転居を実現するなど、収入の少ない高齢者の選択肢を広げるものと思います。この制度をぜひ実現していただきたいと要望いたしますが、北本区長のご見解をお伺いします。 大きく第四点目の質問です。特に施策のおくれている精神障害者の福祉施策の充実についてお伺いします。 我が国には、現在、約二百十七万人の精神障害者がいると推計されています。精神病には、精神分裂病や躁うつ病、アルコール・薬物依存などがあります。特に精神分裂病については原因のわからないものとされ、遺伝病や親の育て方が問題であるという考え方でしたが、病気の解明が進み、脳の神経をつなぐドーパミンなどの伝達物質に変化が生じ症状が起こる身体的な病気であるという考え方が有力になってきています。つまり、生まれながらにストレスに弱い体質の人が、進学、就職、恋愛などでストレスをさらに受けたときに発病しやすい、ありふれた病気と言うことができます。 青年期になってから発病という、中途障害による社会体験の不足や、将来への不安、挫折感による障害者本人の悩みは深刻です。しかし、今日では、精神医学の発達により、薬を飲みながら社会復帰ができるようになりました。これからは、地域で普通に社会生活を送りながら治療を進めていくことが大事になります。そのためにも、病気の事実を知らないことから生じる偏見をなくすことや、病気に対する間違った情報を正しいものに変え、特別な病気だから家族が面倒を見て当たり前ではなく、障害者を社会が支え、世間の差別や偏見で目に見えない心労を強いられている本人や家族の苦しみを取り除くことが急がれています。 私は先日、全国でも先進施設と言われる広島市精神保健福祉センターを視察してまいりました。このセンターは、精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進を図るための技術中核機関として、平成五年四月に開所されました。 イギリスで精神分析医の資格を習得した精神科の権威、衣笠隆幸医師を所長に配し、市内六か所の保健センターをネットワークして、①精神保健相談・診療、②普及啓発、③組織の育成、④教育研修、⑤技術指導・援助、⑥調査研究・企画立案、⑦デイケアと、大きく七つの事業を行っています。特に診療事業では、市内のクリニックでは無理な患者を診療していて、平成九年度実績で延べ四千四百人と、特徴的な事業となっています。 教育研修では、精神保健に携わる保健婦や医療機関で従事する職員の専門性を高めるため、教育研修・訓練を実施しており、あわせて職員の精神的なケアも行っています。平成九年からは、新たに精神保健福祉ボランティア育成のための研修も実施しています。他の事業も注目すべき内容でした。 広島市精神保健福祉センターの視察を踏まえ、三点伺います。 その第一は、国及び東京都への要望についてであります。 明年に予定されている社会福祉事業法の改正に向け、北区障害者計画策定のため、本年五月に第一回の障害者団体や家族との懇談会が持たれ、三回実施の予定と積極的に取り組まれており、評価したいと思います。各団体ごとに抱えている問題は大きく、特にショートステイや緊急一時保護など、計画策定の中にしっかりと位置づけていただくよう要望します。 精神障害者は、三年前に精神保健福祉法の制度でやっと福祉制度の必要性が認められ、手帳が創設されましたが、中身は他の障害手帳に比べ大きくおくれています。そこで、①特別障害者手当の支給、②医療費の助成、③入院食事代の助成、④ホームヘルパーの派遣、⑤交通割引制度、⑥心身障害者休養ホームの利用など、制度の充実・拡大が求められます。国と都の役割分担の中で、財源拡大をも含め要望していただきたいと思いますが、ご見解を伺います。 第二は、精神障害者への理解を深めるための啓発等についてお伺いします。 北区でも、年間四回程度の講演を実施するなどの啓発運動がなされています。視察しました広島市では、昭和四十一年から保健所に精神科の医師を配し、地域の理解のため、五人、十人という少人数でも実施する形で講座や講演を行ってまいりました。平成二年には、地域の長や民生委員の方が中心となり、精神保健福祉ネットワーク会議を発足する等、地域の理解を深めており、作業所の物件を探すことや、地域ボランティアの育成などを行っています。無理解から起こる心のバリアをなくすために、北区でも普及啓発を充実し、地域の理解を深めるための事業等を実施するよう求めますが、ご見解を伺います。 第三は、作業所の運営安定のためにお伺いします。 北区では、家族会等が中心になって、一部の方のご好意で借りた不動産を利用して作業所を建設し、精神障害者に共同作業を通して生活訓練や社会性を身につけるための訓練が行われています。作業所への都の助成金は、財政難を理由に抑えられ、平成九年からは補助率導入で、実質的には減少しています。また、国の小規模作業所への助成金の算定でも、法内施設、つまり、通所授産施設の約四十分の一と格段の差があります。精神障害者の福祉充実のためにも、作業所の財政的基盤の安定が強く求められるところであります。 そこで、補助率導入により減少した部分の補助金を区単独の助成はできないものか。また、補助金の支給が七月であり、年度初めからの三か月間は銀行からの借り入れで運営し、利息を支払っています。補助金支給を四月に引き上げることはできないものか、以上二点伺います。 以上で私の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。(拍手) (区長 北本正雄君登壇)
◎区長(北本正雄君) 後藤議員のご質問に順次お答えをさせていただきます。 まず、平成十一年度の予算編成に当たり、その基本姿勢についてのご質問でございます。 低迷する日本経済の影響を受けて、国の今年度税収不足は五兆円から六兆円、地方では国の二分の一程度になるだろうと予測がされております。地方では特に大都市に影響が著しく、東京都は約四千四百億円の減収となることを公表いたしております。 北区におきましては、特別区税は昨年度の額を下回りますが、現時点の収入見込み二百三十六億円は確保できるものと予測をいたしておりますが、
地方消費税交付金については、少なくとも六億円以上の減収となる見込みでございます。 次に、都区財調につきましては、調整財源である
市町村民税法人分の減少もあり、再び都区間に財源問題が生じる懸念があります。そのため、まず都区財調については、現行のルールを遵守することを東京都に求め、いわゆる繰越問題が再燃することのないよう、十、十一年度は単年度ごとに財源を確保し、十二年度の制度改革時に問題を残さないよう主張してまいりたいと存じます。 また、特別区税や国民健康保険料の収入率の向上につきましては、通常時に加え、日曜や閉庁時間後に納入相談を行うことや、北区ニュースなどによる周知、また、速やかに収納嘱託員による戸別徴収を開始するための準備を行うなど、可能な限りの努力を費やしてまいります。 次に、内部努力や事務改善などによる経費の縮減につきましては、事務事業評価制度を有効に活用して、より一層の効果を上げてまいりたいと考えております。 次に、十一年度の収入見込みについてのお尋ねにお答えをいたします。 まず、北区の主要な財源である特別区税及び特別区交付金の見込みでございますが、特別区税については、十一年度には特別減税がないものと仮定して推計した場合でも、前年度当初予算額を若干下回るものと予測をいたしております。十一年度減税の規模いかんでは、かなりの額の減少となる見込みでございます。 次に、特別区交付金については、仮称第四
特別養護老人ホームの財源措置に見通しがついたこともあり、九月時点での二十億円の減収予測よりは好転をいたしておりますが、ここにきて東京都から十年度の調整基本額の確保が危ぶまれることが公表され、また、十一年度当初見積もり段階では調整基本額を十年度と同額としていることなどから、新たな懸念材料が生じてきております。 次に、
地方消費税交付金については、今後の景気動向いかんによりますが、十年度当初予算額を大幅に下回るものと推計をいたしております。 次に、国庫補助金及び都補助金につきましては、現在、個別に積算している段階でございますので、確たるお答えができませんが、少なからず影響が出るものと予測をいたしております。 これら主要な財源の減少につきましては、本来は現行財調制度の特色の一つである総額補てん主義によりカバーされることとなりますが、最近の都区財調の運用を見ますと、安穏としているわけにはまいりません。先ほどのお答えのとおり、歳入確保に全力を尽くしてまいりたいと存じます。 次に、財政健全化についてのお尋ねにお答えをいたします。 ここ数年の景気低迷の影響を受けて、特別区はひとしく厳しい財政運営を強いられてきましたが、行政改革による経費の縮減や、バブル期に積み立てました基金の取り崩し、さらには特別区債の活用などにより、何とか切り抜けてまいりました。しかしながら、もはや多くの区で基金残高は大幅に減少し、区債残高は増大しております。したがいまして、これからは、基金及び区債の活用により難局を乗り越え、景気の回復を待つという財政運営はできません。一方、バブル期に発行した建設債や、景気対策に伴う減税補てん債の発行等による公債費の増加、介護保険や都区制度改革の準備、少子高齢化や防災対策など、直面する行政需要への対応のため、ますます多額の経費が必要となってきます。 いたずらに基金や区債に頼らない財政運営が求められる状況下にあっては、国や東京都に対して、基礎的自治体としての特別区にふさわしい地方税の充実を働きかけながら、あわせて限られた財源をより適切に配分するため、個々の施策あるいは施策目的を最小の経費で実現する方策を追求していかなければなりません。 そのため、十一年度予算編成に当たりましては、中期の財政健全化の目標といたしまして、一つ目に、財政状況の変化に対応可能な柔軟な財政体質をつくること。二つ目に、四基金、特に財政調整基金に頼らない財政運営を行うこと。三つ目に、基金残高を勘案しつつ、二十世紀中に適正な歳出規模にすることとしております。また、十一年度の目標としては、予算規模を十年度予算の範囲内とすること、基金の取り崩しを十年度の二分の一程度とすること、区債の発行を極力抑制することとしております。 次に、十一年度予算編成に際して、その重点課題は、とのご質問にお答えをいたします。 特別区にとって、平成十二年度は大きな意味を持つ年度であると認識をいたしております。一つは、特別区制度改革の実現であり、いま一つは、保健福祉の大きな転機となる介護保険制度の導入であります。一言で言えば、十一年度は大きな変革を目前に控えた準備の年であると感じております。そのため、二十一世紀の北区のあるべき姿を求めて、基本構想を初めとして多くの構想、計画の改定作業に着手しております。 また、北区政が一貫して標榜してまいりましたふるさと北区づくりの成果を、節目の年を前に改めて検証し、総括する年度であるとも考えております。そのため、厳しい財政状況にありますが、収入確保策の強化や、事務事業の徹底した見直しにより、財源を創出し、少子高齢者対策、防災対策、特別区制度改革や介護保険のための準備経費など、当面の緊急課題に重点的に資源配分を行ってまいりたいと考えております。 次に、よりスリムで効率的な行政運営の質的変化についてのご質問に対し、お答えさせていただきます。 まず、時間外勤務のあり方に関してでございますが、毎週水曜日のノー残業デーは、平成五年の労働時間短縮に関する自治省指導に基づき、年次休暇の計画的使用の促進とあわせて、超過勤務の縮減策の一環として、北区におきましても採用、実施しているものでございます。 しかしながら、職員定数の抑制をしていることもあり、一人当たり事務量は増加しており、また、事務事業の内容も格段に複雑高度化していることから、ノー残業デーの効果が希薄になりつつあることは承知いたしております。 今後も、基本計画や地域保健福祉計画などを初めとする計画策定や、介護保険制度の導入、さらには都区制度改革等で事務量が飛躍的に増加する見通しでございますが、厳しい財政状況のもとでは、最少の人員による効率的な区政運営を最優先課題としてまいらねばならないものと考えているところでございます。 また、課によって残業時間に大きな差があることにつきましては、予算や計画策定事務のように、職員配置の多寡にかかわらず事務の性質から残業時間が長くなる課と、執務時間中の事務処理で完結してしまう課との違いによるものが主で、パソコンの活用や事務の合理化など残業時間の縮減に努めておりますが、どうしても職員の長時間勤務に依存しなければならない事務があることも事実でございます。 今後とも、不断に事務事業の執行体制の見直しを行い、一人一人の職員の能力を向上し、効率的な事務執行を心がけるよう指導してまいりたいと存じます。 次に、管理職が部下職員の残業を把握し、管理しているのか、とのことでございますが、超過勤務は原則として事前命令、事後確認によるものとされ、各所属長にその権限が任されておりますが、趣旨が徹底されていない課も見受けられるため、現在、「時間外勤務事前指示事後確認表」を新たに導入し、各所属長が部下職員の能力と仕事の進行状態を把握した上で、的確な超過勤務命令を発することのできるよう、制度を改善すべく職員団体と協議中でございますので、いま少しお時間をいただきたいと存じます。 また、三鷹市のパーフェクト・ノー残業デーについてご紹介をいただきましたが、先ほどもお答えをいたしましたとおり、今後、地方分権、都区制度改革などによって新たな事務事業の増加も予想されており、厳しい財政環境の中にありましては、最少の人員でこの難局を乗り切るしかなく、一時的に職員の負担が増すこともやむを得ないものと考えておりますので、効率的な事務執行を念頭に、超過勤務の新たな管理制度のもとで、北区行政の適切な運営を心がけてまいりたいと思います。 次に、職員の資質の改善についてお答えをいたします。 本年四月に策定をいたしました北区人材育成基本方針と、これに基づく研修基本計画につきましては、地方分権の進展と都区制度改革を目前に控え、北区職員としてのあるべき姿を掲げ、職員の意識改革と政策形成能力の向上を目指して策定したものでございます。 主な研修といたしましては、各課を単位に、計画的に実務処理能力の向上を図る職場研修の充実強化、各職層ごとに、政策形成能力の育成を目指す政策形成研修、すべての職員に、福祉マインドを持たせるため、区内の福祉施設に派遣する福祉体験研修、さらに、区民の目で物を見て考え、区民ニーズを把握することができるよう、職員の意識改革を目指した街に出る研修などがございますが、いずれも計画どおり実施いたしております。 特に街に出る研修では、北区商店街連合会等のご協力をいただき、ちょうどこの本会議の時期から実施させていただいておりますが、参加する職員も意欲的で、今後の職員育成に大きく寄与するものと期待をいたしております。 接遇の改善につきましては、各職場に接遇改善委員会を設置し、職場ごとの課題に応じた接遇の向上を目指し、接遇リーダーを中心に活発に活動を開始いたしております。 接遇リーダーに対しましては、接遇の基本となる講義や、窓口英会話の基礎、手話講習などを実施して養成し、各職場に戻って、問題点の発見や接遇向上のための指導など、所属課長とともに接遇向上のかなめとして機能してもらっております。 なお、成果報告会は年度末の時期を予定をいたしております。その成果、反省点を翌年度の接遇改善につなげてまいりたいと考えております。 福祉部門の接遇改善の状況につきましても、各課で毎月開かれる接遇改善委員会におきまして、窓口でのトラブル事例などを課題として討議を行い、接遇の改善を積み重ねてまいることとしております。 接遇向上のため、区民アンケートなどを実施しては、とのことでございますが、接遇リーダーに対しましては、各課で工夫を凝らし、区民の皆様の意見を把握するようにとの指示をいたしておりますので、北区役所全体に対するご意見につきましては、今後職員課で把握をしてまいりたいと存じます。 再雇用職員に対しまして、現職時の勤務態度を評価して採用すべきとのことでございますが、国におきましては新たな再任用制度の概要が明らかになってきておりますので、他区の状況等も勘案しながら、現在の再雇用制度の見直しを行う中で、勤務評定を的確に行うなど改善に努めてまいる考えでございます。 また、再雇用時点での接遇研修は現在も実施しておりますが、各所属長を通じ、さらに再雇用職員の接遇改善に努めてまいりたいと存じます。 次に、事務事業評価制度についてのお尋ねでございます。 事務事業評価制度につきましては、今年度、モデル事業としておおむね百程度の事業について、実際に評価シートを作成するなどの作業を行っているところでございます。評価の作業は今年度いっぱいかけて行いますので、この結果を十分に分析して、来年度からの進め方を決定していきたいと思います。 事業評価の作業に参加した職員からは、特に職員の能力開発や意識改革に大きな効果があるとの意見が多く出されている反面、実務的な難しさを指摘する声もあるようです。この制度が予算編成に当たっても十分効果を発揮できるよう、さらに検討を進めたいと思います。 事務事業評価制度には、事業評価、施策評価、事務評価という三つの側面からの評価方法がありますので、個々の事業の評価だけでは判断できない課題につきましては、施策評価という大きな視点からの比較検討が必要となるものと思われます。今後はこのような評価方法も検討して、来年度からの取り組みに生かしていきたいと考えております。 次に、年度末に集中する道路工事について抜本的に改革しては、とのご質問にお答えをいたします。 ご指摘のとおり、年度末に道路工事が集中し、大変ご迷惑をおかけしていることは承知をいたしております。これも、地方自治法が定める会計年度及びその独立の原則に拘束されるもので、やむを得ない面もあることはご案内のとおりでございます。 区といたしましては、年四回の道路工事調整会議を開催し、関係機関と調整を行い、工事の年度末集中の回避や、掘り返し工事の抑制に努めているところでございますが、今後とも、年度当初における早期発注や予算の前倒しにより、工事の平準化を図り、年度末に集中する工事の回避に努めてまいりたいと存じます。 次に、工事予定価格の事後公表についてのご質問でございます。 入札契約制度の透明性の観点から、国、東京都に続き、特別区の中でも公表の動きが出ております。十一月の時点で見ますと、十三区が工事予定価格の事後公表を実施しております。北区といたしましても、現在、実施区の状況を調査するとともに、庁内の検討会において、対象、方法についての検討を行っているところでございます。 次に、脳ドック及び前立腺がん検診についてお答えをいたします。 初めに、いわゆる脳ドックは、問診とMRI、CT、脳血管撮影などの検査を組み合わせて頭蓋内の状況を把握し、早期治療に結びつけようとするものでございます。しかし、脳ドックの主要な目的となる無症候性脳梗塞や未破裂脳動脈瘤などは、何らかの異常を検出する水準が施設間で大きなばらつきがあり、異常所見にも差があります。検査費用の問題、異常が発見された場合の処置など、まだまだ問題点もございますので、いましばらく慎重に見きわめてまいりたいと存じます。 なお、脳卒中の発症は、体質とともに生活習慣が大きく関与いたしており、手術が成功しても再発の危険性は残りますので、動脈硬化の危険因子と言われる高脂血症や高血圧、糖尿病などの生活習慣病への取り組みについて、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと存じます。 次に、前立腺がんについてでございますが、全国的な統計値の推移を見ても、前立腺がんによる死亡率は上昇傾向にあり、これは高齢化やライフスタイルの欧米化によるものと言われておりますので、検査技術の向上とともに、今後とも増加傾向にあると存じます。しかし、前立腺がんは、胃がんなどと比べて進行が遅く、高齢の患者が多いことや、手術後の尿失禁しやすいことなどから、無治療の選択肢も出てきております。財政状況が厳しい折でもございますので、前立腺特異抗原検査の精度向上と検査費用の低下までには、いましばらく時間が必要かと存じます。 次に、自閉症の児童等への音楽療法の取り組みについてお答えをいたします。 就学前の障害児が通園する北区立障害者福祉センター、さくらんぼ園には、自閉症の疑いのある児童も多数通園しております。現在、さくらんぼ園では、専門家を招いて子どもたちの音楽への興味や意欲を引き出し、身体活動を活発にし、緊張している心をほぐしながら、感情表現を豊かに育てることを目的に、音楽療法を実施いたしております。母親をも含めた指導を通じて効果を上げているところでございますが、さらなる効果の向上に努めてまいりたいと存じます。 認定制度につきましては、音楽療法に対する社会的認知度の高まりから、関係団体が国家資格への移行を目指して活動中とのことですので、今後の動向を見守ってまいりたいと存じます。 次に、徘回お年寄りの保護対策に関するご質問にお答えをいたします。 高齢化社会の一層の進展により、痴呆症などの徘回高齢者は今後とも増加するものと予測され、徘回高齢者の事故の防止、早期の発見、保護をいかに図っていくかということが課題となっております。東京都におきましては、平成八年十月に痴呆性高齢者総合対策検討委員会から、徘回高齢者SOSネットワークの構築についての緊急提言が出されました。このことを受けて、本年度から品川区、江戸川区の二区で徘回高齢者SOSネットワーク・システム・モデル事業を実施しているところでございます。モデル事業では、徘回探知器等の試行を含めた機器の使用効果の検証も含まれております。 ご提案の、我孫子市で試行実施しているシステムの北区への導入でございますが、モデル事業を実施している他区の状況、今後の徘回探知器等の開発状況などの推移を見ながら、今後の検討課題とさせていただきたいと存じます。 次に、リバース・モーゲージ制度についてお答えをします。 本格的な高齢社会を目前に控え、高齢者一人一人が健やかで充実した生活を営むことができるように、所得の安定を図ることは大変重要なことであると存じます。 リバース・モーゲージ制度は、高齢者の資産の有効活用を図り、生活に必要な資金の融資を受けることにより、高齢者の自立した生活を可能にする制度であると承知をいたしております。しかし、資産を活用するに当たっては、担保対象不動産の鑑定や、評価額の変動の問題等、検討すべき多くの課題があると存じます。現在、この制度について国で検討を進めていると聞いておりますので、その内容等を調査をし、研究してまいりたいと存じます。 次に、精神障害者福祉施策に関するご質問にお答えをいたします。 初めに、財源を含め制度の拡充を国や東京都に求めよ、とのお尋ねでございますが、かねてから、住宅、就労対策等の充実とともに、精神障害者共同作業所通所訓練事業運営費や、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者に対する支援策の拡充を、区長会要望事項として要望し、一定の成果も得られてきたところでございますが、障害者手当、医療費助成、交通費助成などの面では実現いたしておりません。今後とも一層制度の充実を求め、国や東京都に対して要望してまいりたいと存じます。 次に、精神障害者への理解を深めるための啓発等に関するお尋ねでございます。 広島市の例を挙げての、大変示唆に富むご提言でございますので、今後の参考とさせていただきたいと存じます。 次に、精神障害者共同作業所への助成金に関するお尋ねです。 平成九年度から実施された補助制度の改定に伴い、作業所への補助総額が実質的に減額されたことは、まことに残念なことと認識をいたしております。 区独自の上乗せ補助につきましては、ご案内のとおり、区の財政状況は大変厳しく、困難かと存じますが、補助制度の充実は作業所の事業継続の上で強く求められておりますので、今後とも補助基準の見直しについて東京都に求めてまいりたいと存じます。 なお、補助金の四月支給につきましては、今年度は五月に三百万円、六月に残金の二分の一、九月に残額という形でお支払いいたしましたが、さらに年度の早い時期に支給できるよう、研究を重ねてまいりたいと存じます。 以上、お答えをさせていただきました。
◆九番(後藤憲司君) ご答弁まことにありがとうございました。かなり多岐にわたる質問でございましたので、二、三ご要望を申し上げておきたいと思います。 一つは、職員の時間外勤務といいますか、やっぱり負担増が課によって出るのはやむを得ないというご答弁だったんですけれども、過労死という問題が今特に企業の間でも言われておりまして、そういう中で、先ほど脳ドックのところでお話ししましたけれども、クモ膜下出血とか、生活習慣の中で指導したいというお話でしたけれども、そういう過労とか、区役所でその辺はどうなっているのかななんて、答弁を聞いていて心配になりました。 そういう過労な勤務は、やむを得ないという感覚でいくのか。そういうところに対しては、特に保健というか、生活の健康ということに対して、しっかりフォローするとか、ケアするとか、そういうこともやはり考えるべきではないかなということを、職員の方々の健康を守るという意味からも、要望しておきたいと思います。 それから、収入が本当に減っているというのは、私たちもわかっていて質問して、大変に申しわけないとは思っているんですけれども、事務事業の評価制度の中での経費の節減の効果とか、そういうご答弁でございましたので、ぜひともやっていただきたい。例えば、先日新聞に出ておりましたけれども、川崎市ですか、いろいろなことの節減をしたら、年間で六千万くらい浮いたなんていう話がありまして、こういうのはぜひ導入してもらいたいなと思ったりしています。 ただ、一つ、福祉分野等への事務事業評価制度の導入については、事業の評価と事務の評価と施策自体の評価と三つに分けてということでございましたので、そういう中で、福祉分野とか、あるいは地域振興とか、保健衛生、この辺の関係については、当然のように、多少効果云々という以前の問題、充実しなければならないということもありますので、その辺を含めて評価をしていただきたいなということを申し上げたいと思います。 それから、特に精神障害者の福祉施策の充実については、今、精神障害者を持つご家庭のお母さん方、お父さん方が一番心配していらっしゃるのは、全国精神障害者家族連合会、全家連と言いますが、そこが十五年前にアンケートをとって、また今回、昨年の九月でしたか、七月でしたか、アンケートをとったんですが、かなり普通の病気であるという理解は増えているけれども、でもという、頭ではわかってもなかなか動かない、こういう結果が出ているという話がありました。 ですから、先ほどのご答弁にありましたように、精神保健ボランティアの養成講座とか、あるいはバリアフリー講座という広島市の実施状況をまた参考にして、ぜひ理解を深める講演なり、ボランティア講習なりをやっていただきたいと思いました。 それから、広島では、作業所をつくるのに、新聞等のマスコミを通して-これは広島新聞です。地元の新聞ですけれども-建設費の寄附を募るとか、ちょっと東京では考えられないようなことをやっている。広島というところ自体が、かなり古くから精神障害に対して施策の進んでいる市ではございますけれども……。 もう一つは、今回お話ししなかったんですが、愛知県の知多市では、精神障害者の手帳を交付されている人たちに対して、福祉タクシー券、基本料金だけなんですけれども、年間十二枚。これは、家族会にとっては、福祉の向上の第一歩ということで喜んでいるというお話なんです。 こういうお話もありますし、やはり財源不足、財政困難な中で、少しでもそういった困っている人たち、弱者と言われている人たちの施策を実現しようという努力をしている市もございます。 そういう中で、北区でも、いろいろ施策の実現に努力されていることは理解はしているんですけれども、事務事業の評価制度等で浮いた、そういった中での財源の中から、さまざまな要望が出てくると思いますけれども、ぜひとも一歩でも二歩でも前進していただくように、以上要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(林千春君) 四十三番 松村善吉さん。 (四十三番 松村善吉君登壇)
◆四十三番(松村善吉君) 私は、民主区民クラブを代表して質問をいたします。 本定例議会は決算議会と言われているように、平成九年度決算の審議が行われ、あわせて平成十一年度予算編成に取り組む時期でもあります。理事者側にとっては、二つの大きな責務を負った議会であると思うのであります。加えて、我が会派が年度初めにご要望申し上げました内容が、どのように遂行されているかを問うべき時期でもあります。これらを踏まえた中で質問に入ります。 さて、初めの質問は、平成十一年度北区予算編成に当たり、北本区長の基本的姿勢を問うものであります。 政府は、今年度の経済見通しを当初の一・九%からマイナス一・八%に下方修正いたしました。年度途中にマイナスへ改定したのは、第一次オイルショックの昭和四十九年以来二十四年ぶりで、昨年マイナス〇・七%に続く二年連続のマイナス成長は、戦後初めてのことであります。 東証株価は一万三、四千円台に落ち込み、企業業績はすべての業種が厳しさの一途にあり、個人消費は一向に上向きにならず、失業率も史上最悪の水準に達し、日本経済は回復不能も危ぶまれる危険水域にあるとの指摘もされております。 東京都は、今年度の都税収入が当初見込みよりも四千四百億円の減収になると発表し、窮状を訴える緊急アピールを行い、同時に青島知事は、十二月、三月に支給するボーナスを五〇%カット、副知事、出納長の特別職についても三〇%カットすることを表明しております。財政難から知事等のボーナスがカットされるのは、昭和五十四年の鈴木都政以来のことであります。 なお、平成十一年度一般会計予算においても、財源不足は六千二百億円程度に上ると見込まれ、深刻な状態が続くと予想されます。 このままでは、行政サービスの水準を大幅に引き下げることになりかねないと説明。経費節減など内部努力や、緊急性のない事業の停止のほか、策定中の行政改革大綱で、職員定数の削減や人件費の抑制、都の監理団体の役員報酬の見直しを図っていく考えが示されました。 大都市圏の自治体ほど財政状況が深刻なのは、法人二税への依存度が高く、不況による税収の落ち込みの影響を受けているわけであります。 都財政がこのような厳しい状況下の中にあって、二十三区特別区は、東京圏の特殊な状況から、財調による特別区交付金の制度が行われております。北区財源の中で最も大きなウエートを占めているのが財調交付金であります。区財政の厳しい状況の中で、都財政の影響を受け、財源配分の問題が強く懸念されるところであります。 加えて、国、都の事務事業の分担に見合う財源の配分、超過負担の解消、新たなる行政需要に対する財源措置にかなりの影響が出るのではないかと思われますが、まずもって北本区長のご所見を問うものであります。 第二番目は、特別区民税についてであります。低迷する日本経済は二年連続マイナス成長と訂正され、企業の経営不振、失業率の増加、人口の減少による納税義務者の減少、そして景気浮揚策として行われた特別減税等、収入に大きな陰りがあるのではないかと思われます。これらの見通しについてお伺いをいたします。 第三番目は、減税補てん債についてであります。減税による区税の減収分を、減税補てん債として平成六年度から五年連続して発行され、本年度発行する金額を合わせると、総額約百五十億円に達しようとしております。この償還財源は財調交付金によって補てんされるようでありますが、現在、東京都の財政状況を見るとき、財調フレーム等にも影響が出るのではと思われますが、ご見解をお伺いをいたします。 第四番目は、今回政府が公約しております七兆円規模の恒久的減税についてであります。平成十一年度に七兆円規模の減税の柱となる所得税、住民税について、所得税に比べて住民税の減税を大幅にすることを検討する考えとのことでありますが、住民税の下げ幅を大きくしたほうが、中低所得者の減税額が大きくなるとのことであります。しかし、住民税の減税を高くすれば、財源難に苦しむ地方自治体の減収幅を増大させることになります。このような減税に対する考え方をお伺いいたしますとともに、今後の対応をどのようになされますか、お伺いをいたします。 第五番目は、厳しい都財政状況下での中期計画とのかかわり合いについてであります。過日、北区基本構想審議会の中間まとめ及び北区中期計画の素案が発表されました。この中期計画は、第三次北区基本計画の基本目標の課題及び施策を具体的に明らかにするとともに、重点的、効果的な行政執行を図るための施策の目標と基準を定める総合実施計画であります。そして、公共施設の建設などの施設計画事業(ハード面)及び非施設計画事業(ソフト面)からなっており、実現可能性の確保を図るため、現行の行財政制度を前提とし、来年度予算編成の指針となるものとのことであります。現都財政状況において、財調交付金の問題が北区中期計画の素案に及ぼす影響と見通しをどのようにとらえておりますか、お伺いをいたします。 以上、五点にわたってお伺いをするものであります。 大きな二番目の質問は、区財政厳しさを増す中、一層の行財政改革を求めてであります。 戦後最悪の経済状況を迎えた今日、今こそ危機感をばねに、国、地方を通じたむだの構造を、根本的改革に取り組み、あわせて行政サービスの全面的見直しを含め、行財政運営のあり方を変えることが必要になってくるのではないかと思われます。 自治体の多くは、国の助成制度に上乗せする形で福祉や医療助成を厚くしてきました。住民のニーズもありますが、首長や議員の選挙目当ての過剰サービスが目立つとの指摘もされております。 東京都は昨年、七十歳以上の高齢者に交付している交通機関の無料パス(シルバーパス)経費百五十三億円の見直しを提案しましたが、都議選を控えた各党の反対で存続されました。一方、栃木県足利市では、昨年三月、高齢者のバス運賃無料制度を廃止しました。高齢者によるアンケート調査で、実に八割が有料化に賛成という結果を得たためだそうです。 右肩上がりの時代が終わり、今後とも税収の伸びが期待できない中で、負担と受益の選択を原則に、優先順位に基づいた予算の適正配分がより求められると思うのであります。加えて、地方債残高が多額に達する中で、これまでのように起債で財源不足を穴埋めするような容易な借金頼りは許されないと思いますが、ご所見をお聞かせいただきたいと存じます。 北区においては、バブル崩壊後の財政環境の悪化や、急速に進む少子高齢社会、情報化や国際化の進展などに適切に対応するため、活力ある自立した区政を目標に、各区に先駆け、平成七年三月、第二次北区行財政改革大綱を策定し、具体的な行動計画として活性化計画をまとめ、計画に基づいた事務事業の見直しや、組織機構の改革、職員定数の削減が行われ、大きな成果を得たところであります。 まさに収入に見合った行政サービス基本原則を確立することが必要であります。中国のことわざに、「寛にして畏れられ、厳にして愛される」ということわざがありますが、優しさだけでなく、厳しさ、強さを見せたほうが人はついてくるという意味だそうであります。財政危機をばねに一層の行財政改革の推進に取り組むべきであると思いますが、北本区長のご見解をお伺いをいたします。 大きな三番目は、地方分権の推進に関してであります。 この問題に関しては、六月の第二回定例会で我が会派の代表質問で取り上げ、特に五月の閣議決定された地方分権推進計画に対する評価等を問うてきました。 推進計画が決定されてから既に四か月が経過しています。最近の一部の報道によりますと、「孤立無援の分権委」「迷走する五次勧告」との見出しで、本年十月に予定されていた五次勧告の作成が難航していることを明らかにしています。また、自民党建設部会地方分権小委員会での論議内容も紹介されております。「分権委は暴走している」「景気が危機的な状況に内乱罪に等しい」などの発言から感じられることは、歴代の総理大臣及び政府が公約してきた地方分権の推進に逆行するような論議であります。こうした発言からは、従来どおりの利権、そして従来どおりの予算、権限、人員を確保しようとする、いわゆる族議員や官僚の本音をかいま見るようであります。 そこで、推進計画決定後から今日までの状況についてどのようにとらえているか、まず問うものであります。 また、特別区区長会では、本年七月二十四日に地方分権推進委員会委員長あてに要望書を提出していますが、地方分権推進に際しての特別区の位置づけを今後どのように主張されていくのでしょうか、お伺いをいたします。 次に、政府の地方分権推進計画を受けて、東京都は本年七月、東京都地方分権推進計画大綱を策定しました。この大綱は、今後策定が予定されております第一次、第二次の東京都地方分権推進計画に収れんされていきますが、今後の都と特別区の分権に関する方向性を規定するものであります。 今回は、税財源措置について北本区長のご見解を問うものであります。 大綱では、「都と区市町村の税財源措置」として、この点についても言及しております。「権限移譲に伴う税財源措置が、税源移譲により行われるのであればともかく、仮に地方交付税措置のみで行われるとすれば、地方交付税を交付されていない都及び特別区や都内市町村の一部にとっては、実質的な税財源措置が何らなされないことになる。」とし、国との関係で危惧を抱いています。この点で、区市町村と連携して国に働きかけをしていくとしておりますが、最終的には、目的税の創設など都民負担の強化を模索しています。 さて、そこで伺いますが、こうした財源措置を含め、東京都の地方分権推進計画大綱についてどのように評価しておるのでしょうか。 地方分権に関する最後の質問は、地方分権の具体化に向けた北区の内部の準備状況についてであります。 地方分権推進計画に基づく現行機関委任事務の現況把握などの作業が進められていると存じますが、準備状況はどのような段階なのか、お伺いをいたします。 次に、第四番目の質問は区内産業の活性化についてであります。特に滝野川東地区拠点工場跡地問題についてであります。 滝野川東地区の拠点工場だったキリンビール東京工場は、先月から解体工事が始まっております。仄聞するところによりますと、最近、跡地売却の方向性がほぼ固まったと言われております。北区側だけでも約一万三千坪という広大な土地であり、二十一世紀に向けた北区行政に大きな影響を及ぼすものと存じますが、このことに関して、キリンビール株式会社から区に対しての意向打診及び事前協議等があったのかどうか、まずお伺いをいたします。 また、当該跡地を含む一帯は、平成五年三月に策定した王子駅付近まちづくりブロック構想の中でも、複合用途地区(都市型工業・業務・スポーツ・アミューズメント等)の整備として、隅田川・石神井川沿岸の大規模工場が立地している地区を中心として、工場機能の高度化・先端化もしくは機能転換による新たな形態の都市型工業・業務・スポーツ・アミューズメント等の複合用途地区の形成を図るとしています。 また、東京都の定めた地震に関する危険度、そのうち、人的危険度はランク三に位置づけられています。 進出してくる事業体が公的機関であるか民間であるかを問わず、北区の策定した構想や諸計画に整合させるよう求めていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。 また、進出してくる事業体によっては、当該地域の環境問題の新たな発生が予想されますが、この点についてはどのように対処しようとしておりますか、お伺いをいたします。 加えて、これまでキリンビール東京工場と当該地域は、連合町会を含めた地元町会が窓口となって、友好的な関係をつくってきております。こうした関係を新たに進出してくる事業体にも踏襲するよう要請すべきと考えますが、いかがでしょうか。 さらに、今後本問題が具体化されていく中で、さまざまな問題が生じてくると思います。北区としても地元町会の意向を十分尊重していくべきと考えますが、北本区長のご所見をお伺いいたします。 最後の五番目の質問は、教育問題であります。 まず初めは、心の教育についてであります。 文部大臣の諮問機関である中央教育審議会から、心の教育に関する答申がなされました。最も注目されるのは、家庭でのしつけの基本を改めて提示したことであります。一つ、幼児には親が本を読んで聞かせよ。二つ、子どもにも家事の分担をさせよ。三つ、朝の「おはよう」から始めて、礼儀を身につけさせよ。四つ、物の買い与え過ぎを控え、子どもに我慢を覚えさせよう。五つ、子ども部屋を閉ざすな、であります。 先日のある新聞記事によりますと、今、「学級崩壊」などの言葉がありますが、以前は高校のいわゆる教育困難校などに見られましたが、近時、中学校から小学校高学年に広がり、ここ数年は小学校のうち、低学年にも蔓延し始めているとのことであります。 形態は、私語、立ち歩き、紙飛行機飛ばしなどさまざまで、先生が注意すると、「近づくんじゃねえよ、くそばばー」など、とても小学生には思えない罵声が返り、不登校に陥る先生もいるという、学校教育の根本を揺るがす深刻な問題であるとのことであります。 この原因の第一は、家庭のしつけがなってないからで、先生が生徒の保護者を呼んで協力を求めても、「学校の問題は学校で解決してほしい」「あなたの指導力が悪い」などと、人ごとのように考える無関心な親たちの姿を描いているが、考え違いも甚だしいとのことであります。特に、小学校の教育は親と先生が支え合っていくものであり、学校生活の基本ルールすら守れない子どもは、まず親が叱るべきである。授業が成り立たない等、家庭教育のあるべき姿について、戦後の日本は何も示してこなかったとの指摘もあります。 私の個人的感想になると思いますが、私たちの世代が想起するのは教育勅語であります。戦後の教育界では国家主義の象徴のように批判されてきましたが、教育勅語は、子どもをどう育てるべきかという家庭教育の理念を、国家が示してきた側面もあるわけであります。しかし、戦後の教育基本法は、家庭教育についての具体的な指導内容が強く示されてないと伺っております。現場の教師も、家庭教育をどう指導すべきか、でき得なかったのであります。 戦後の教育で捨てられたのは、親孝行と感謝の心と国を愛する心であります。最近になって心の教育が言われているが、今ごろ何を言っているのかとさえ思うわけであります。山口教育長のご所見をお聞かせいただきたいと思います。 次に、二番目は学級崩壊についてであります。 先生の指導力の低下の指摘もありますが、学級崩壊といってもクラス全員が授業を嫌がっているわけではなく、騒ぎ出すのは一部の生徒であり、先生が手をこまねいているうちに、それが五月雨式に広がり、授業ができなくなるのであり、先生が機先を制して騒いだ生徒を叱るべきであります。最近は怖い先生が少なくなったが、叱ることは教育の一環であると思うのであります。 また、学級王国と言われる閉鎖性の問題であります。学級担任は、問題の表面化をおそれる余り、校長、教頭だけでなく、同僚にもクラスの問題を隠し、それが文部省でも学級崩壊の実態を把握できない一因ともなっていると言われております。 学校教育は、学級担任一人で問題を抱え込むほど生易しい現状ではないし、親や地域の人たちにも、抜き打ち授業参観などを通じて学級崩壊のありのままの姿を見てもらい、謙虚な協力を仰ぐべきであるとのことでありますが、山口教育長のご所見をお聞かせいただきたいと存じます。 三番目の質問は、権利と義務の問題についてであります。 本年四月、埼玉県所沢高校での入学式出席拒否事件に端を発した一連の記事を読む中で、人権の問題がありました。生徒の人権として、飲酒、喫煙を理由に処分を受けない権利、セックスをするかしないかを自分で決める権利、子どもを産むか産まないかを決めるのは女生徒の権利という言葉に、何か不安を感じてしまいました。こんなに権利、権利と並べなければならないほど、現在の日本は権利が踏みにじられているのだろうか。学校という社会の中で、飲酒、喫煙、セックス、子どもを産む産まないということは、権利とは別のものではないでしょうか。 物を買っても代金を払わない権利、会社の仕事をしなくても給料を受け取る権利、職場で好きなことはするが嫌なことはやらない権利という主張をされては、経済活動はできません。 一般に、「権利と義務」というように、権利を先にした言葉を使っていますが、これを「義務と権利」というように、義務を先に使ってはいかがでしょうか。 どちらにしても、権利と義務は表裏一体のものでありますが、ニュアンスは大分違うと思われます。例えば選挙の場合の投票にしても、「投票の権利がある」ということと、「投票の義務がある」ということでは、心構えが変わります。投票率も選挙への関心も高まるのでは、と期待したいところであります。また、「幸せになる権利がある」と言うと、だれかに幸せにしてもらいたい気持ちを醸し出し、「幸せになる義務がある」という言葉は、使命感すら感じます。自由の責任、勤労と報酬ということは、責任がついて回り、勤労なくして報酬もないわけであります。 義務を果たして権利の生じることは、歴史の教えるところであります。子どもを産んでも育てない権利を主張する親はいないと思います。生徒は生徒の義務を果たし、先生は先生の義務を先に考え、親は親としての義務を果たし、子どもも親の心を大切に考える、そんな民主主義社会を発展させるべきであると思うのであります。 高齢化社会に突入して、権利優先の社会は成り立たないと思います。義務を先行させる社会風潮を築き上げる必要を感ずるものであります。特に教育界、地域社会、PTAと一体となった取り組みが必要だと思いますが、山口教育長のご所見をお伺いいたします。 以上、大きく五点について質問いたしました。北本区長、山口教育長の明快かつ積極的な答弁を期待して、質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。(拍手) (区長 北本正雄君登壇)
◎区長(北本正雄君) 松村議員のご質問にお答えをさせていただきます。 まず、平成十一年度の予算編成に当たり、厳しい東京都の財政状況が北区の財政に与える影響、特に財調交付金に与える影響についてのご質問でございます。 長引く不況の中で、国、地方を問わず税収は大きく落ち込んでおります。東京都でも、当初見込みに対し、法人二税が三千二百億円、地方消費税が五百億円、個人都民税が二百億円など、総額で四千四百億円の減収が見込まれております。これを財調ベースに置きかえますと、まず地方消費税が百八十八億円ほどの減収が見込まれ、また調整財源であります市町村民税の法人分が三百五十億円程度の減収となります。この額は、十年度当初予算の算定の際の算定残二百四十二億円を大きく上回り、そのため、このままでは当初算定後の需要に充当する財源はおろか、当初算定分に必要な財源にも不足することとなります。 同様の状況は平成五年度にもございまして、その際は、一般会計からの三百五十億円の借り入れや、減収補てん債の発行でしのいでおりますが、当時よりもさらに悪化している都の財政状況を考えますと、同様の措置が可能か否か、危ぶまれるところでございます。 しかしながら、都区財調制度がルールどおり実施されないことは、東京都の財政危機がそのまま特別区に転嫁されることを意味しますので、そういった事態が生じないよう、二十三区ともども東京都に強く働きかけてまいりたいと存じます。 次に、特別区民税についてのお尋ねでございます。 ご指摘のように、政府は今年度の経済成長率をマイナス一・八%に下方修正をして、二年連続のマイナス成長となるなど、景気の低迷が続く中で、人口減少に伴う納税義務者数の減少も続いており、加えて、国においては、景気浮揚策として来年度も引き続き大幅な減税を実施する方向で調整が進められているところでございます。 来年度の特別区民税は、このような要因によってマイナスの方向で直接影響を受けることとなり、減税の内容がいまだ不明なために、その要因を除外して見込んだ場合においても、平成十年度当初予算額との比較では、減収が見込まれるところでございます。 次に、減税と財調との関係に関するご質問にお答えをいたします。 平成六年度以降の北区の減税補てん債の発行総額は約百五十億円でございます。さらに、十一年度に行われる恒久的減税は、現段階で限られた情報の中で推計いたしますと、これまでの額をかなり上回るものとなります。これらが、これまでと同様、地方交付税により償還に要する費用が賄われますと、特別区のような地方交付税の不交付団体にとっては、実質上財源措置とはなりません。たとえ都区財調で措置されたといたしましても、結果として財調フレームを圧縮することとなり、他の行政需要算定に影響が及ぶこととなります。 そのため、特別区長会では、平成六年度以降の減税に伴う特別区債の累積を重く受けとめ、他の地方公共団体の動向を踏まえ、減税に伴う減収分については、消費課税に係る税源を国から地方へ移譲するなど、適切な財源措置を講ずることなどを国に要望してまいります。 次に、東京都の財政状況が北区中期計画に及ぼす影響についてのお尋ねでございます。 今回お示しをした中期計画素案は、平成十二年度からの新たな基本計画のスタートを控えて、十、十一年度の二か年を計画期間としておりますが、現下の厳しい財政状況を踏まえた見直し内容となっております。 財源の大きな部分を占める特別区交付金につきましては、現行のルールどおりに実施されることを前提としておりますので、冒頭申し上げましたように、東京都の財政危機の影響が特別区に転嫁されることのないよう、二十三区ともども強く働きかけてまいります。 次に、財政の厳しさが増す中での行財政改革についてのお尋ねでございます。 まず、起債についての考え方でございますが、申し上げるまでもなく、起債による資金調達は、その利益を享受する将来の区民もひとしく負担することが適切な公共施設の整備等に充当されるべきものであり、いわゆる減税補てん債などはあくまでも例外的なものと判断されます。起債は有効な資金調達方法の一つでございますが、低成長時代の到来により、従来のような右肩上がりの財政規模の拡大は期待できないという認識に立ち、適正な起債の活用に努めてまいりたいと存じます。 いずれにいたしましても、区を取り巻く社会経済状況は大変に厳しく、また先行きも不透明で、将来予測も立てづらい状況でございますが、このような中にありましても、真に必要なサービスを提供するとともに、新たな時代に対応した施策を展開していくために、一層の行財政改革の推進に取り組み、区民の皆様の期待にこたえてまいる所存でございます。 次に、地方分権についてでございます。 まず、地方分権推進計画後の状況でございます。 地方分権推進委員会は、中央省庁に関係する分野を十月中に第五次勧告としてまとめ、市町村への権限移譲をその後の第六次勧告で行う予定でございましたが、各省庁が権限移譲に難色を示し、第五次勧告がおくれている現状でございます。 地方分権は国と地方を上下の関係から対等の関係に変革するものであり、住民に身近な行政は身近な地方公共団体が行うことが基本でございますので、一日も早く第五次勧告及び第六次勧告がまとめられることを望むところでございます。 次に、地方分権推進に際し、特別区の位置づけをどのように主張をしていくのかということでございます。 これまでの勧告及び地方分権推進計画では、特別区の位置づけについて必ずしも明らかになっておりません。特別区は、本年の五月に公布されました地方自治法等の一部を改正する法律において、基礎的な地方公共団体として明確に位置づけられました。また、各特別区は、その規模によって事務処理権能が異なることなく、一部政令指定都市と同様な事務も行っております。そこで本年七月、特別区長会は地方分権推進委員会委員長に対し、一律に人口区分等による権限移譲ではなく、特別区の事情を配慮した上、位置づけを明確にすることを要望したところでございます。 今後につきましては、第五次及び第六次勧告の動向を見た上で、対応を検討してまいりたいと考えております。 次に、東京都が策定した地方分権推進計画大綱についてでございますが、これは東京都が地方分権を推進していく上での基本となるものであり、全国に先駆けて分権に関する一定の方向を示したことは、評価いたすところでございます。 税財源措置につきましても、自治体が主体的に事業を進めていくためには、何より自主的な税財源が必要との観点から、特別区といたしましても、東京都とともに、国に対し、国から地方への税源移譲の要望を積極的に行っていく必要があると考えておりますが、新たな税源の検討につきましては、今後の東京都地方分権推進計画の推移を見守ってまいりたいと存じます。 地方分権に向けた内部の準備状況でございますが、現在は、国の地方分権推進計画や東京都の地方分権推進計画大綱の内容を精査している段階でございます。今後まとめられる国の第五次、第六次勧告及び平成十一年度に予定されております法令改正、また東京都の地方分権推進計画等の動向を見て、区民生活に支障を来さないように万全な準備を進めていく所存でございます。 次に、区内産業の活性化の質問にお答えをさせていただきます。 まず、キリンビール東京工場跡地に関する同社からの働きかけについてのお尋ねでございます。 キリンビール東京工場跡地については、去る十月二十七日、同社から、北区側の敷地一万三千坪について、株式会社読売新聞社、株式会社日刊スポーツ印刷社、日本製紙株式会社が、
新聞印刷工場及び新聞用紙倉庫として利用したい旨の申し入れを受けたところでございます。 次に、キリンビール東京工場跡地に進出する企業に対するまちづくり、環境、地元対応などについてのお尋ねでございます。 進出企業の事業計画については、今後順次明確になってまいります。北区といたしましては、ご質問の趣旨を踏まえて、王子駅周辺地区まちづくりブロック構想にあります水と緑を生かした複合用途地区の実現を目指して、地元の皆さんの意見を伺いながら、具体的な協議を進めてまいりたいと存じます。また、特にご指摘のありました環境問題について的確な対応を図るとともに、キリンビールと地元町会との友好的な関係につきましては、進出企業においても継続するよう働きかけてまいりたいと存じます。 以上、お答えをさせていただきました。
◎教育長(山口修君) (説明員) まず最初に、心の教育の中でも、家庭教育のあり方についてお答えいたします。 中央教育審議会による「新しい時代を拓く心を育てるために」の答申におきましては、未来に向けてもう一度我々の足元を見直し、家庭を見直す、地域社会の力を生かす、心を育てる場として学校を見直すことの必要性を指摘しております。 家庭教育はすべての教育の原点であり、子どもの基本的な生活習慣、生活能力、豊かな情操等、生きる力の基本的な資質や能力の多くは、家庭教育においてこそ培われるものであると認識いたしております。 これまでも、家庭教育の支援として、保育園、児童館、学童クラブ、図書館、文化センター等の施設の整備や、さまざまな事業を計画、実施してまいりました。また、幼稚園や小中学校においては、保護者会や学校だより、運動会や学芸会等の学校行事、PTAの活動等を通して家庭との連携を図り、子どもたちの健全育成に努めてまいりました。 今後は、中央教育審議会の答申や北区教育ビジョンを視野に入れながら、家庭教育に対する新たな支援策として、学校における子育て情報交換会の開催や、教育相談総合窓口の充実、国や都の家庭教育支援事業等との連携を検討していく所存です。 次に、学級崩壊についてお答えいたします。 学級崩壊の原因としては、主に教員の指導力不足が考えられますが、そのほかにも、保護者の子育てに関する価値観の変化や、少子化による人間関係の希薄化や、生活体験、自然体験の不足により、耐性のない子どもや人とのかかわり合いの苦手な子どもが増加していることなどが考えられます。 指導力不足の教員への指導については、校長に対し、該当教員の資質の向上を図ることや、学校を挙げて支援していく体制を整えるよう指導してまいります。 また、学級崩壊を未然に防ぐ手段として、これまでも実施している都や区の指導主事による学校訪問の充実を図ってまいります。その際、東京都教育委員会より出されました「学級経営の充実のために」という資料についても活用しつつ、教員の資質向上に努めます。そのほか、既に飛鳥中や堀船中等で実施している授業公開を他の小中学校においても検討し、開かれた学校づくりをますます推進していくよう指導してまいります。 また、今後、保護者や地域住民による学校運営への参画についても検討してまいる所存です。 いずれにいたしましても、学校、家庭、地域社会が連携・協力して、相互補完しつつ、一体となって子どもの健やかな成長を図ってまいりたいと存じます。 次に、権利と義務のあり方についてお答えいたします。 今日の民主主義社会においては、権利と義務は裏返しの関係で、同時に存在するものですが、昨今の風潮として権利を主張する人々の姿が目立ち、義務の必要性が影の薄い存在となっているようにも感じられます。教育の現場で子どもたちの権利と義務という視点で考えるとき、「権利と義務」を「自由と責任」という言葉に置きかえて考えてみたいと存じます。 二十一世紀を生き抜く子どもたちに、主体性を持たせ、自己主張や自己決定をする力をつけることは、学校教育において大変重要なことと考えます。それと同時に、集団生活の規律の遵守や、自分の行動や判断に責任を持つこと、自立していくための社会性を身につけることの必要性を毅然とした態度で指導するよう、各学校に対して指導してまいります。 そして、権利を主張するだけでなく、守るべき義務を遵守できる子どもを育成してまいりたいと存じます。 以上、お答えとさせていただきます。
◆四十三番(松村善吉君) ただいま答弁をいただいたわけでありますけれども、長引く不況、これは好転する兆しもない。経済企画庁長官も先日のテレビの中で、トンネルの出口がまだ見えていない、こう言っております。経済不況は当分続くものと思われますが、北区の財政状況も、今ご説明が区長からありましたとおり、現在の状況で推移すればいいんですが、一層の厳しさが増すとも考えられますので、厳しさに対してひとつ力強い取り組みを要望申し上げたいと思います。 行財政改革を求めてでありますが、北区を始め他区においても、財政の厳しさ、これを区民の皆さんにアピールを行ってきておりますけれども、先日も、最近、東京都も窮状を訴えて、緊急アピールを行った。財政改革については、今後も厳しさを理解していただくべく、アピールは続けて、協力をいただくことが大切だと思うわけであります。 平成十二年度以降、分権のことを含めてですけれども、高度成長期やバブル期に拡大した行政サービス、これをこのまま維持しようとすれば、財源不足は当然だと思うわけであります。収入に見合った行政サービスの基本原則を確立することが、当然必要であると思うわけでありますが、収入が減ればレジャーなどの出費を切り詰める、家計では当たり前のルール、これを行政が実践するべきであると思うわけであります。栃木県の足利市が無料バスの廃止の例もありますが、区民の皆さんには理解していただける面も私はあると思うのであります。 また、財政再建団体転落寸前というような事態もあるようですが、財政危機をバネに一層の行財政改革の取り組みを強く要望申し上げたいと思います。 それから、分権の問題でありますが、分権の問題は、自治体における自己選択、自己決定、自己責任の確立が、地方分権の最大のねらいであります。当然財源を伴う国と地方の税源配分の根本見直し、これを国に求めなければならないと思います。 そこで、戦後一貫して続いた護送船団方式--これはちょっと語弊があるとは思いますが--の自治体運営改革に本格着手することが急務である、こう思うわけであります。今後、いろいろな課題もあると思いますが、一層のご尽力をご要望申し上げます。 それから、キリンビール工場跡地の問題、これは今、区長から答弁をいただいたわけであります。大体、私どもの要望と考え方も同じようでありますが、どうぞキリンビール東京工場と同じような関係になるように、今後のことでありますけれども、行政と地域一体となった取り組みをよろしく取り組んでいただきたい、このことを要望申し上げたいと思います。 最後に、教育問題。今、教育長からいろいろいただいたわけでございますが、学校問題は、高校、中学校、小学校、多くの事件を含めて、マスコミの関係をいろいろにぎわしているわけでございますが、当然、北区では、教育委員会、理事者、学校一体となっていろいろ取り組まれておるわけでございます。しかし、学校教育の根本を揺るがすような問題が他のところで見られるとすれば、これは対岸の火事として見捨てるようなわけにはいかない面もあると思いますので、学校、家庭、地域一体となった、ただいま教育長から言われましたけれども、一層の力強い取り組みを強く要望申し上げたいと思います。 最後に、自由と責任、権利には義務がある、今ご答弁いただいたわけでありますが、義務を果たして権利が生ずるのは当然のことであります。両者相まった認識、これが大切でありますので、このあり方についても要望申し上げて、私の質問を終わります。
○議長(林千春君) 議事の都合により休憩します。 午後零時十二分休憩
-------------------- 午後一時十七分開議
○議長(林千春君) 休憩前に引き続き会議を再開します。 質問を続けます。 十七番 樋口万丈さん。 (十七番 樋口万丈君登壇)
◆十七番(樋口万丈君) 私は自由民主党議員団を代表して、大きく二点、一、平成十一年度予算編成に向けて、区財政当面の課題について、二、二十一世紀の学校教育の活性化のために北区教育行政の取り組みについて質問いたします。 まず初めに、平成十一年度予算編成に向けて、区財政当面の課題についてであります。 我が国経済は、雇用状況の悪化や低調な個人消費により、景気回復の兆しが見られないまま低迷状態が続いております。このような状況の中で、地方財政の悲鳴が聞こえてきます。長引く景気低迷で法人関連の税収が落ち込み、特別減税などの景気対策に伴う減収も加わって、財源不足が深刻化しています。一方で高齢化に伴う社会福祉関連費の支出が年を追って増大するなど、多くの自治体が構造的な危機に直面していると言わざるを得ません。 危機打開のために自治体の徹底した自助努力が必要なことは言うまでもありませんが、同時に構造問題解決のために、財政制度のあり方そのものも問われているのではないでしょうか。 地方自治体の中でも、とりわけ大都市を中心とした地方財政が軒並み悪化しております。今年度の税収は、東京都が四千四百億円、大阪府、神奈川県がそれぞれ千二百億円、愛知県が八百億円ほど落ち込むと言われ、財政再建団体に転落するピンチだと言われています。四千四百億円ほどの税収減が見込まれ、九九年度一般会計で六千二百億円の財源不足が発生すると言われております東京都の財政悪化は、当然ながら、北区の財政に影響を及ぼし、住民の新たな負担や行政サービスの低下を招く可能性もはらんでいると考えなければなりません。そういったことを踏まえながら質問いたします。 財政構造の弾力性を示す経常収支比率も、九年度は下回ったものの、これは特別減税がなかったこと、財調交付金が山の年度であったことが主たる理由で、十年度は再び上昇すると思われます。十一年度の予測とあわせてお答えください。 経常収支比率の適正水準といわれる七〇から八〇%には遠く及びません。そして歳出の中で、五〇%を超える義務的経費は依然として増加傾向にあり、特に扶助費の増加は今後も続き、経常収支比率は残念ながら北区は二十三区の中で高いほうに位置しております。また、十年度にオープンした元気ぷらざ、豊島区民センター、清水坂あじさい荘や、十一年度にオープン予定の岩井臨海学園等、新規施設等の
ランニングコストが発生してきます。どの程度を予測しておりますか。 以上のような大変厳しい財政事情の中で、以下三つの大きな事業に直面してまいります。都区制度改革、地方分権、介護保険であります。順次ご質問いたします。 まず第一に、都区制度改革であります。 確かに特別区が長年求めてきた悲願であり、この改革は、特別区を基礎的自治体として法的に位置づけ、大都市の一体性、統一性の確保の要請に配慮しつつ、特別区の自主性、自立性を強化するものであります。 東京都も深刻な財政危機に直面し、スリム化せざるを得ない時でもあります。今まであまりにも多くの行政を取り込み、不効率で二重性を持った制度を行ってまいりました。生活都市を掲げてはいるものの、この構想そのものが府県というよりも市町村サイドの立場であると言えます。 この点を改めるためには、これまで都が行ってきた都市行政の多くを特別区に委ね、都と区の分担関係を明確にすることが必要であります。その意味でも、都区制度改革は絶好の機会であります。しかしながら、特別区はそれにより自己決定し、自己責任を負わなければなりません。何よりも新たな税財政制度を明確にしなければなりません。特別区間で財源の著しい偏在がある一方で、大都市行政の統一性と財源の均衡化を確保しなければなりません。そこで納付金制度や総額補てん主義を廃止することにより特別区の自主性を高めた上で、都区財調制度を残したのではないでしょうか。 しかしながら現行の財調制度では、東京都が区側の需要と収入を算定し、配分割合を決定していますが、制度改革後の新制度では都区双方の需要と収入を勘案して配分割合を決定することが筋だと思いますが、未だにはっきりしていません。そうしたことを踏まえて大都市事務、大都市財源の確定が必要ですが、都側は、都が行っている大都市事務として四十七項目の具体的な事務名と、十八項目の検討中の事例を示していますが、区側のこのことに対するお考えをお聞かせください。 さらに区間の配分になりますと、未だに見えてきません。区側内部で検討し、基本的な考えはまとまっていると聞いておりますが、所要額の調整、交付金の再調整等、どのような策定方法か、また基準財政収入額・需要額、
特別交付金等の調整はどうするのか。また基準財政需要額の算定方法はどう検討されるのか。お伺いいたします。 次に、都区制度改革の中で、今なお都区の合意がなされていない清掃事業区移管の問題であります。 特別区長会が示した収集・運搬については、各特別区が直接実施する。そのため十三区における直営車・車庫を原則として平成十二年二月までに確実に整備する。また清掃事務所、事業所の各特別区への帰属に関する諸準備については万全を期する。可燃ごみの中間処理については、一部の区で態度保留もありましたが、最終的には、協議案どおり実施することが原則であるが、ダイオキシン対策期間中、平成十七年度まで共同処理を行うこととし、その期間中に協議案どおり地域処理を行うための諸課題を解決することとする。最終処分場の確保については、七つの都県市の関係も含め、二十三区が協議して検討する。各特別区は最終処分場の延命化を図るために、引き続きリサイクル推進等に努めるというものであります。 しかしながら、これを受けて東京都は検討させていただくと述べるにとどまり、会談は物別れに終わったと聞いております。果たして期日までに間に合うのでしょうか。その後の情勢に変化はありますか。また東京都は何を問題にしているのでしょうか。お伺いいたします。 第二の質問は、東京都地方分権推進計画であります。 東京都は都の地方分権の基本的方向を示した、東京都地方分権推進計画大綱を平成十年七月策定しました。地方分権推進計画は、国と地方公共団体は対等、協力の新しい関係を築くとし、住民に身近な行政はできる限り身近な地方公共団体が処理することを基本原則にしています。具体的には機関委任事務制度の全廃を最大の柱に、法人事業税の外形標準課税の検討など地方税の充実、地方への権限委譲の推進、国から地方への補助金の整理合理化などであります。 そこでお伺いいたします。国と都と区市町村の役割分担として、一、機関委任事務制度廃止への対応について。二、法令による区市町村への権限移譲について。三、区市町村への任意の事務移譲について。四、都と区市町村の税財源措置について。五、課税自主権を行使した都の独自財源の拡充や税源移譲について。 さらに、都と区市町村の対等、協力関係の実現についてお伺いいたします。一、都の関与の基準及び手続きについて。二、都と区市町村の関係調整の仕組みについて。三、都の補助金の見直しについて。四、人事交流と人材育成についてであります。 第三の質問は、介護保険についてであります。 いよいよ介護保険の実施が間近に迫っております。介護保険法が成立し、高齢者介護を社会全体で支える新しい社会保障システムがいよいよ本格的に実施されることになります。戦後長い間大きな役割を担ってきた措置による福祉制度から、高齢者自身の選択と民間事業者の参入を狙いとする社会保険制度に移行することは、単に高齢者福祉の分野だけでなく、社会全体に予想以上の大きな方向転換をもたらすものと考えられます。 まず区民の福祉に対する意識が変わり、福祉サービスを受けるのではなく、被保険者の権利としてサービスを利用するという意識が浸透します。行政中心の福祉制度の中で規制を受けてきた民間事業者は、こうした顧客ニーズに対応し、既に様々な市場参入へのアクションを起こしているが、福祉サービス中心に担ってきた自治体や社会福祉法人が敏感に変化を感じとり、新しい状況を果敢に切り開けるかどうかを問われる正念場でもあります。 介護保険は、まぎれもなく区市町村の保険であり、地方分権、規制緩和の流れの中で、区民と民間業者と自治体が相互に連携して、地域の実情に合った、被保険者となる区民の納得できる介護システムをつくり上げるとともに、介護保険が福祉の区民への開放につながるような制度にしなくてはならないと思います。 介護保険認定審査会、要介護認定、保険料、その未納、滞納、そして待機者等、様々な問題をクリアしていかなければなりませんが、以下四点について質問いたします。 一、滞納問題について。九年度国保は約三億円ほどの滞納でありますが、保険者である北区が負担しております。第二号被保険者の保険料、直接北区が保険料を徴収する六十五歳以上の年金額の少ない人、あるいは無年金者の滞納について、どのように予想し、どう対処されますか。 二、給付サービスの区間格差についてであります。基本サービスのレベルアップあるいは北区独自のサービスを行った場合、その経費は一号被保険者の保険料により賄われるが、北区の所得状況を勘案すると負担可能かどうか。そのために区間格差が生じることが予想されるが、どう対処するのかお伺いいたします。 三、財源補てんはどうなるのか。 四、他の福祉施策等への波及について。介護保険による受益者負担の導入により、高齢者福祉施策をはじめとして、他の福祉施策さらに保健医療施策についての整合性はどう考えているのか。お伺いします。 次に、中小企業対策と商店街対策についてお伺いいたします。 依然として続く景気低迷の中、経営が深刻化している中小企業で、あと二、三百万円あれば、この急場を切り抜けられるといった声も聞こえてまいります。しかし、区内中小企業の多くが金融機関からの借り入れが難しくなっていると感じております。いわゆる貸し渋りが資金余力に乏しい中小企業を直撃しています。行政として手をこまねいているわけではないでしょうが、今まで自治体が負担するのは、あっせん融資が一般的で、融資の限度額を引き上げたり、負担利率を引き下げたりする特例措置を導入するケースはあるものの、債務保証を行う信用保証協会の審査が必要で、返済能力等の問題から借り入れを断られたり、融資金額を減額されたりして、倒産する企業も出ています。こうした中小企業に対する救済措置はなかなかありません。 北区も今回、今までの借り入れが全額返済されなくても上乗せで借りられる制度ができました。今日まで、どのくらいの申し込みがあり、そのうち、どのくらいが借りられたのかお知らせください。 また、政府自民党は、こうした中小企業を取り巻く資金調達環境が一層厳しいものとなっていることを踏まえ、本年度及び来年度に向け資金総額四十兆円を超える新たな貸し渋り対策を実行いたしております。二十兆円については、特別保証制度を設け、信用保証協会において積極的に保証を実行することにより、民間金融機関からの融資を促進しております。さらに二十兆円については、中小企業向けの政府系金融機関の融資枠を拡大し、また中小企業向け金利減免措置をさらに一年延長しております。 北区におかれましても、年末に向けて、より厳しさが予想されますので、区内信金協議会などと積極的に話し合いを持ち、貸し渋りの解消を要請するとともに、さらなる融資枠拡大に努め、条件等の緩和を求めますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。 また、商店街も同じような境遇であります。中小企業の全国五千商店街を対象にした調査によりますと、五年前と比べ「来客が減った」と答えた商店街は七六%、「空き店舗が増えた」四六%でした。その一方で、資金難やリーダー不在などから新しい対策を打ち出せない商店街が多くあります。最近は、中心商店街と共存していた大型店が採算の悪化や郊外への移転で閉鎖し、空洞化に拍車がかかっております。商店街の衰退は住民生活に悪影響を及ぼしかねません。 東京都も「元気を出せ商店街」対策として補正予算を組んでおります。例えば、アイデア商店街として盛岡の材木町商店街、鳥取境港の水木ロード商店街、金沢堅町商店街などご存じでしょうか。いずれもユニークな試みで活気を取り戻した商店街であります。 このように商店街復興のために積極的に行政として働きかけ、資金の活用をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。 また、この度の商品券の補助についてのお考えも併せてお聞かせください。 次に、大きく二点目、二十一世紀の学校教育の活性化のために区教育行政の取り組みについてであります。 まず初めに、中教審の求める地方教育行政の中で、区の権限とその対応についてであります。 中教審の「地方教育行政の在り方について」の答申は、従来の文部省を頂点とする教育行政システムを見直し、地方や学校が主体的に活動できる新しいシステムづくりととらえることができると思います。これまで学校は、区市町村教育委員会に学校管理規則や通達によってしばられ、区市町村教育委員会は都道府県教育委員の指示を待つという上意下達方式となっていました。 この度の答申の骨子は、一、自治体の裁量による学級編制、教職員配置の弾力的運用、少人数学級の実施。二、教育長の任命承認制の廃止、議会同意制の採用。三、人事、予算に関する校長の権限拡大。四、校長の民間人登用。五、職員会議の位置付けを校長主宰と明確化。六、住民による学校評議員制の導入であります。 一方、今、都区制度改革の中で、教育事務移管にあたっての大枠整理が行われております。答申との整合性をお伺いいたします。また、教育現場からは、突然のこととして不安視する向きもありますが、北区としての権限移譲と、その対応についてお伺いいたします。 次に心の教育、個性を重んじる教育等、人材教育についてであります。 ここで一つの例として中学生の調査データがあります。日本、韓国、中国のそれぞれ千人に親子関係や価値観などについて尋ねたデータであります。「親を尊敬していない」と答えた日本の中学生は三七・九%に上った。これは韓国の二倍強、中国の十三倍強に当たる数字であります。また「親によく反抗する」五五・一%や、「将来、年をとった親の面倒を見たいと思わない」三〇・九%などの回答も、日本が最も多かったわけであります。また「法律や規則を守ってばかりいると、時には損をする」と考える中学生は、日本が六三・四%と唯一過半数を占め、大人のモラル低下などから、社会ルール自体に懐疑心を抱く子が多いことをうかがわせております。また、様々な非行の事例について「絶対にいけない」と考えるか、「その人の自由でよい」と考えるかも尋ねました。日本の中学生で「自由でよい」と考える比率が、他国より目立って高かったのは「家出」七三・二%、「賭け事」五七・八%、「アダルトビデオや雑誌を見る」七五・六%などであります。まことに嘆かわしいことと言わざるを得ません。 これらの調査から、文部省の中教審の心の教育に関する討議の報告では、家庭の教育力や子どもたちの規範意識の低下が指摘されておりますが、他国との比較でも、はっきりと出ていると言わざるを得ません。 北区として一連の教育改革の中で長年呼ばれ続けている心の教育についての具体的な位置付けと取り組みについてお聞かせください。 次に、個性を重んじる教育の一例として、学校の英語の先生が実は英語を話せない。国際語である英語でディベートできない政治家など、例をあげれば切りがありません。文法を重んじ、話すということに重点を置かない教育がなされていたからであります。幼児期から始まる教育現場に英語圏の教師を採用するなどの解決策もあるのではないでしょうか。自由な発想で個性を育てる環境が教育現場にあってもいいのではないでしょうか。北区の教育行政としていかがでしょうか。 先日、企画総務委員会で長岡市に視察にまいりました。長岡市では、学区や学年を超えて児童生徒を集め、体育・芸術・言語の特別指導を放課後教室として、民間と協力して行っているとのことでありました。このユニークな人材教育は、今回の文部省の改善策として、学校の枠組みを変えた総合的な学習の一つといえるのではないでしょうか。 北区としても、今後このような個性あふれるユニークな教育をお考えいただけないでしょうか。 次に、中教審の答申で自治体の裁量で公立小中学校の少人数学級編制が可能ということで、今までの四十人学級からこれを下回る学級人数の基準を決められるようにするために必要な法的整備を図れば、職員の弾力的な運用も可能だとしています。少人数学級であれば、教師と児童生徒との交流がそれだけ深まり、教師も子どもたちの微妙な変化を把握することができると思われます。さらに先生にとっても心に余裕が生まれてきます。 しかしながら、単にこうした教育論だけでは済まされません。財政問題も考えた上で進めなければならないでしょう。ただ、少子化に伴い教員数も減り続けているが、子どもが年間三十万人も減っているのに比べ、そのカーブは緩やかであります。そして公立小中学校の第六次教職員配置改善計画に基づき一九九三年度から二〇〇〇年度までに、本来の定数に三万人の教員が上乗せして配置されています。ティームティーチング要員などの名目で、この間の減員は四万八千人に抑えています。単純な計算でも、それほどの増員は必要ないように思われます。そうでなくても自治体に裁量権が認められたことで、学級崩壊など問題のある学校に教員を重点配置し、少人数指導を実現することも可能と思われます。北区として、今後の予測も含めて、お考えをお聞かせください。 次に、小学校高学年の一部に学級崩壊と呼ばれる現象が起きております。子どもたちが担任教師の指導を無視し、授業中に教室を歩き回ったり、友達とふざけたり、私語が絶えなかったりして授業が成立しなくなる現象で、こうしたクラスを担任し、体調を崩して休職する教師もいるということです。民間の調査機関の調査で、大阪、和歌山二府県の小学校教員約二百五十名に行ったアンケートでは、一五%の教員が「児童の指導に疲れ、病欠や休職中の同僚がいる」と言い、一二%が「退職した同僚がいる」と答えています。 学級崩壊現象が目立つようになったのは、ここ数年だと言われています。その原因として家庭での子どものしつけの欠如、教師の指導力の不足など考えられます。一方、学校での指導方法が子どもの変化に対応していない面も考えられ、様々な手段によって知識や情報が得られ、社会一般が昔のように教員の指導を絶対視しなくなったことも原因の一つですが、親の学校不信が無意識のうちに子どもに伝染していることも考えられます。 明治時代から小学校では一人の教員が全教科を教え、特定の教科しか教えない専科教員は音楽、図工などに限られています。そこで教科担任制をとり、得意の教科を担任以外のクラスで教え合う交換授業を行っている東大阪市では、子どもにとって刺激になり、教員も指導上の問題を一人で抱え込まず、協力して対応する意識が強まってきたといわれています。ただ厳しい財政状況の中で、定員増ではなく、実施するためには教員同士のチームワークが不可欠であり、教員一人一人に意識改革が求められます。一つの解決策として、北区の対応をお聞かせください。 最後に、少子化対策としての子育て支援策についてであります。 第三回定例会で我が会派の藤田議員が子育ての経済的負担の軽減について質問いたしました。理事者からは、経済的な負担軽減については、国や東京都レベルの広域的な施策が望ましいが、区としても、保育施設や住宅政策の充実に加え、乳幼児医療の助成拡大など子育ての経済的負担の軽減に努めてきた。今後もなお一層努力してまいりたいとの答弁をいただいております。 総合的な少子化対策のメニューについては、新たに策定される基本構想、基本計画、そして地域保健福祉計画の中で提案されてくるものと考えておりますが、それらの策定を待って事業を実施すれば平成十二年からの事業ということになります。 今、子育ての真っ最中の親にとっては、少しでも早い支援策の実現が求められます。財政状況の厳しい中での新たな施策の展開は大変とは思いますが、内部努力によって財源を生み出すなどの工夫をしていくことを求めたいと思います。 子育て支援策については、児童手当や乳幼児に対する医療費助成等の経済的な負担軽減や、様々な保育サービスの提供、男女共同参画社会の実現に対する努力、青少年問題、さらには生涯学習の充実など、言ってみれば全庁挙げての多様な施策が考えられます。計画的な事業展開の必要性は十分理解しておりますが、できるものから実施するという柔軟な対応をしていかなければならないと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。 以上で私の質問を終わります。 ご清聴、まことにありがとうございました。(拍手) (区長 北本正雄君登壇)
◎区長(北本正雄君) 樋口議員のご質問にお答えをさせていただきます。 まず、平成十一年度予算編成に向けて、北区財政の当面の課題についてのご質問でございます。 第一は、都区制度改革を目前にしての北区財政の現況でございます。 九年度は厳しい財政状況下ではございましたが、事務事業の見直しや経費の縮減を図った結果、財政調整基金の取り崩しも最小限に抑えられ、また、計画事業をはじめとして、多くの施策を順調に遂行することができた年度でございました。しかしながら、これは特別減税がなかったことや財調が多く交付されたことなどにより歳入状況が好転したことが要因となっている面もございます。 十年度には二十億円を超える特別減税があり、十一年度にはさらなる減税も行われる予定でございます。そのため、遺憾ながら経常収支比率は再び上昇するものと思われます。 なお、新たな施設等の
ランニングコストは七億円程度増加するものと推計をいたしております。 次に、制度改革後の都区の役割分担、いわゆる大都市事務及び大都市財源の配分にかかわるご質問でございます。 都の行う大都市事務の範囲につきましては、都側の遅れから当初の予定より検討作業が大幅に遅れておりましたが、ここにきて、ようやく都区に若干の歩み寄りが見えてまいりました。と申しましても、未だ平行線の部分も多く最終結論は出ておりません。 相違点の主なる要因といたしましては、一般的に市が行う事務について、都は五大市レベル以上の行政水準を想定しており、特別区は一般的な府県行政と市町村行政を前提としていることなどがございます。今後この溝を埋めてまいりますが、財源問題が絡みますので、いましばらく検討に時間を要するものと考えております。 次に、区間配分の問題でございますが、算定方法の改善により各区間に新たな格差が生じる不安もあり、特別区としての意見が未だ一致していない段階でございます。 次に、当初算定や再調整等についてでございますが、都側からの提案を一項目ずつ検討しておりますが、これまた算定方法等により各区間に現行制度に比べ有利、不利の状況が生ずるなど難しい課題も含んでおりますので、作業が遅れ気味でございます。いずれの課題も検討が深まるにつれ、さらに課題が生じているというのが現状でございます。しかしながら、都区制度改革は目前に迫っており、今後、東京都及び各区共々、精力的に検討を進めてまいりたいと存じます。 次に、清掃事業の区移管についてのお尋ねでございます。 清掃事業の区移管につきましては、十月二十六日開催の区長会総会で、清掃事業の運営形態のあり方として、収集・運搬については、各特別区が行うとした基本方針を堅持するとともに、中間処理については、平成十七年度までのダイオキシン対策期間中、共同処理を行うという基本方針をまとめました。翌二十七日には、この基本方針をベースに東京都知事への要請を行いましたが、東京都側は、労使協議の中で、条件整備が整うまでの間、何らかの一括方式の運営形態を確認してきた経緯もあり、収集・運搬・中間処理は二十三区の共同処理で運営すべきと考えているため、瀬田副知事は「検討させていただく」と述べるにとどまりました。 今後は、都区の検討組織である清掃事業検討会の都区ワーキングを中心に精力的に協議を行っていく予定でございますが、特別区側が基本方針を明確に示したことを受け、東京都がどのような対応をするかが大きなポイントとなっております。 いずれにいたしましても、区移管後の清掃事業の運営形態が決定しませんと、職員の身分等の取扱いや清掃事業移管に伴う財調協議に入れませんので、早い時期に特別区が収集・運搬を直接実施する形で、都区の関係者間の合意形成ができるよう全力をあげて取り組んでまいりたいと存じます。 次に、東京都地方分権推進計画大綱における区の対応についてでございます。 国の地方分権推進計画に対応し、東京都は本年七月、地方分権を推進していく上での指針となる東京都地方分権推進計画大綱を策定いたしました。今後、この大綱を基に具体的な地方分権推進計画が順次策定されていく予定であり、計画策定に向けて、東京都と特別区との協議調整体制を整えていく必要があると考えております。 地方分権は、地方自治体の自主性、自立性を高めるものであり、国から地方自治体への権限及び財源の移譲が不可欠でございます。大綱では、分権を実効あるものとするため、国から地方への税源移譲について、区市町村と連携して国に積極的に働き掛けていくとされ、安定的な財源確保が地方自治体が主体的な事業を進めるために何よりも重要なことと考えております。 また国の地方分権推進計画で、都道府県は条例により市町村への事務の委託ができるとされており、大綱では、区市町村への任意の事務移譲の項を設け、東京都と区市町村間で協議の場を設定し、事務委託条例を制定するとされております。今後特別区は、住民の視点に立った事務移譲とそれに伴う財源について東京都と十分に協議していく必要があると考えております。 なお、平成十二年四月には都区制度改革が実現されます。今後の東京都地方分権推進計画策定に当たっては、都区制度改革の準備作業に混乱が生じないように検討を進めることが必要であるとともに、特別区が基礎的な地方公共団体と明確に位置付けられた制度改革後の新しい都区制度にふさわしい都区関係を築いていく視点が必要であると考えております。 次に、介護保険制度への対応につきましてお答えをいたします。 まず、保険料の滞納をどう考えるかとのお尋ねでございます。 未納者や滞納者を出さないことは介護保険の基本ともいえる課題でございます。介護を社会全体で支えるという制度の趣旨をご理解いただく中で、保険料の未納者、滞納者をできるだけなくすように全力で取り組んでまいりたいと存じます。 次に、給付サービスの区間格差への対処につきましてのお尋ねでございます。 本年十月に特別区高齢福祉課長会の中に介護保険部会が発足いたしましたので、そこで給付サービスの水準や保険料額を二十三区としてどう対処するかという協議を進めてまいりたいと存じます。 次に、財源補てんにつきましては、一定の事由により区の介護保険財政に不足が生じた場合には、東京都に設置されます財政安定化基金から資金の交付または貸し付けを受けることができます。この基金の財源は国、東京都、区市町村が、それぞれ三分の一ずつ拠出することになっております。 次に、介護保険制度と他の保健・医療・福祉施策との受益者負担につきましての整合性をどう考えるのかというお尋ねでございます。 この点につきましては、地域保健福祉計画の見直しを進める中で、サービスと適正な負担のあり方につきまして、区民の皆様のご理解を得てまいりたいと存じます。 次に、中小企業対策と商店街対策についてのご質問でございます。 まず、十月から新たに実施いたしました特別支援融資の実績についてでございます。 十月末現在、あっせん件数四十二件、実行件数十一件、否決件数一件となっておりますが、あっせんから実行の通知までには、金融機関や信用保証協会の審査に三週間ほどかかります。したがいまして、否決件数から推測しますと九〇%以上の実行率になるものと期待しているところでございます。 次に、金融機関との話し合いや融資条件の緩和などについてでございます。 ご案内のように、特別支援融資制度の新設及び不況対策資金融資の負担金利の引き下げは、年末の資金需要をも見据えた対策でございます。中小企業の方々が年末資金に支障を来たさないよう現行の融資制度について十分なPRを行うことにより対応させていただきたいと存じております。 なお、金融機関に対しましては、五億円の預託金の積み増しについての説明会におきまして、年末に向けての融資の促進などを要請したところでございます。 次に、東京都の「元気を出せ商店街事業」の補助金をアイデアあふれる商店街づくりに活用をとのことでございます。 「元気を出せ商店街事業」は、十年度限りの単年度事業と伺っておりますので、これから行う商店街づくりへの活用は難しいかと存じます。なお、盛岡など、大変ユニークな取り組みであると伺っております。具体的な商店街からのお話があれば、東京都の商店街環境整備事業の適用なども検討してまいりたいと存じます。 次に、この度、補正予算を計上させていただきました区内共通商品券の一割引き販売についてでございます。 消費の低迷が長引く中、区内消費を刺激し、商店街の売り上げの向上につながる施策をということで、北商連との話し合いや議会のご意見、ご要望をいただく中で検討してきたものでございます。多くの方々に区内商店を利用していただき、区内商店のよさを知っていただくことにより、売り上げの向上と新たな顧客獲得のきっかけにしていただければと期待しているところでございます。 次に、少子化対策についてのご質問でございます。 急速な少子化が進行する中で、総合的な少子化対策につきましては、現在、改訂作業中の地域保健福祉計画によりお示ししてまいる予定でございます。区といたしましては、少子化対策を重要な課題として、厳しい財政状況の中でも、乳幼児の医療費助成や児童手当受給者の対象拡大を行うとともに、保育園の低年齢児対策の充実、児童館における子育て相談の実施など、子育て支援に力を入れてきたところでございます。 しかしながら、ご質問にもありますように、子育て支援策に対する区民の要望には切実なものがございますので、今後も積極的な内部努力や行政改革の推進と並行をして新たな施策を検討してまいりたいと存じます。 以上、お答えを申し上げました。