豊島区議会 2017-09-27
平成29年第3回定例会(第12号 9月27日)
平成29年第3回定例会(第12号 9月27日) 平成29年豊島区議会会議録第12号(第3回定例会)
平成29年9月27日(水曜日)
議員定数 36名(欠員1名)
出席議員 35名
1 番 ふるぼう知 生
2 番 石 川 大 我
3 番 小 林 弘 明
4 番 池 田 裕 一
5 番 藤 澤 愛 子
6 番 有 里 真 穂
7 番 松 下 創一郎
8 番 村 上 典 子
9 番 森 とおる
10 番 清 水 みちこ
11 番 ふ ま ミ チ
12 番 根 岸 光 洋
13 番 西 山 陽 介
14 番 辻 薫
15 番 星 京 子
16 番 細 川 正 博
17 番 芳 賀 竜 朗
18 番 磯 一 昭
19 番 永 野 裕 子
20 番 藤 本 きんじ
21 番 儀 武 さとる
22 番 小 林 ひろみ
23 番 島 村 高 彦
24 番 高 橋 佳代子
25 番 中 島 義 春
26 番 木 下 広
27 番 河 原 弘 明
28 番 里 中 郁 男
30 番 竹 下 ひろみ
31 番 村 上 宇 一
32 番 吉 村 辰 明
33 番 大 谷 洋 子
34 番 山 口 菊 子
35 番 渡 辺 くみ子
36 番 垣 内 信 行
欠席議員 なし
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説明のため出席した者の職氏名
区 長 高 野 之 夫
副区長 水 島 正 彦
副区長 宿 本 尚 吾
政策経営部長 城 山 佳 胤
総務部長 齊 藤 雅 人
危機管理監 今 浦 勇 紀
区民部長 佐 藤 和 彦
文化商工部長 小 澤 弘 一
環境清掃部長 齋 藤 明
保健福祉部長 石 橋 秀 男
健康担当部長 常 松 洋 介
池袋保健所長 佐 藤 壽志子
子ども家庭部長 金 子 智 雄
都市整備部長 奥 島 正 信
地域まちづくり担当部長
宮 川 勝 之
土木担当部長 石 井 昇
会計管理室長 佐 野 功
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教育長 三 田 一 則
教育部長 天 貝 勝 己
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職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名
事務局長 栗 原 章
議会総務課長 渡 辺 克 己
議会担当係長 七 尾 弘
議会担当係長 関 谷 修 弘
書 記 藤 村 亜 子
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議事日程
・
会議録署名議員の指名
・一般質問
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追加議事日程(1)
・追加日程第1 第57号議案の撤回について
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追加議事日程(2)
・追加日程第2 第61号議案 平成29年度豊島区
一般会計補正予算(第3号)
・同 第3 第62号議案 平成29年度豊島区
一般会計補正予算(第4号)
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会議に付した事件
・
会議録署名議員の指名
・会議時間の延長
・一般質問
池田裕一議員「夢あふれる豊島の未来の為に、今何ができるか!」
辻 薫議員「さらに安全安心で健康なまち・豊島を目指して!」
清水みちこ議員「いのち、くらし、平和を守り、子どもたちの未来に責任をもつ豊島区に」
村上典子議員「地域発!市民発!豊島区のこれから」
星 京子議員「『豊島の未来への展望』7住み続けられるまちづくり」
有里真穂議員「『誰もが住み続けたい街、ふるさと豊島へ』」
・追加日程第1から第3まで
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午前10時開議
○議長(木下 広) これより本日の会議を開きます。
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○議長(木下 広)
会議録署名議員を御指名申し上げます。4番池田裕一さん、5番藤澤愛子さん、6番有里真穂さん、以上の方にお願いいたします。
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○議長(木下 広) この際申し上げます。
本日の会議時間は、議事の都合により、あらかじめこれを延長いたします。
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○議長(木下 広) これより、昨日の本会議に引き続き、一般質問を行います。
発言通告に基づき、順次これを許可します。
まず、4番議員より、「夢あふれる豊島の未来の為に、今何ができるか!」の発言がございます。
〔
池田裕一議員登壇〕(拍手)
○4番(池田裕一) 私は、自由民主党豊島区議団を代表して、「夢あふれる豊島の未来の為に、今何ができるか!」と題し、1、ふるさと納税について、2、公民連携事業について、3、
景観まちづくりについて、4、救急救命体制について、5、スポーツの推進について、6、その他として、昨年質問させていただきました
高齢者補聴器購入助成事業について、一般質問を行わせていただきます。
先日、総務大臣あてに「
ふるさと納税制度の見直しを求める要望」を
全国市議会議長会を通じて要望を行いました。各自治体、返礼品競争が過熱し、本来の趣旨と異なる状況にあるのは周知のとおりです。豊島区においては、現在どのぐらいの金額が
ふるさと納税制度によって他の自治体へ流出しているのか、また、流入はどのぐらいあるのかをお聞かせください。
地方においては、地元産のPRを兼ねるという目的もありますが、都市部においては、地場産の品物などはなかなか見つけることはできない状況です。現在、豊島区では、
トキワ荘関連グッズを返礼品としております。しかしながら、他の自治体を見ると、一つではなく、さまざまな返礼品を用意しております。広くふるさと納税を集めるためには、例えば豊島区で活躍している伝統工芸士などもおり、伝統工芸品を返礼品にすることや、連携自治体の産品を返礼品にするなど、工夫することによってさまざまな対応を行うことは可能であると思いますが、見解をお聞かせください。
先日、
東京商工会議所豊島支部青年部のメンバーと話をしているときに、墨田区での新たな取り組みについての話を伺いました。今までのふるさと納税の返礼品といえば、品物によるものが多数を占めていたと思いますが、墨田区では、
行政版クラウドファンディング(
ガバメントクラウドファンディング)の手法によりふるさと納税を集めているとのことでした。
クラウドファンディングとは、個人や企業その他の機関が、インターネットを介して、寄附、購入、投資などの形態で個人から少額の資金を調達する仕組みであり、さまざまな団体、個人等が利用されております。墨田区の
行政版クラウドファンディングは「すみだの夢応援助成事業」という名称にて行われております。2020年の
東京オリンピック・パラリンピックに向けた
地域活性化プロジェクトとして、文化芸術活動による地域力の向上を目的に、墨田区内で実施する「新規性のある意欲的なプロジェクト」や「社会的に意義の高い
コミュニティービジネス」に対して、その経費を助成するものであります。墨田区としては、団体に「墨田区のふるさと納税を活用した
クラウドファンディング」の仕組みを提供し、集まった寄附金を助成金として交付します。インターネットへの掲載に係る費用は墨田区が負担しますが、資金集めを成功させるための広報活動や返礼品の提供は各団体が行います。
豊島区でも、
区民活動支援事業補助金などの事業において地域でのさまざまな活動に対して助成されておりますが、新規に行われる事業、特に
東アジア文化都市に向けて、さまざまな文化芸術活動を行われている団体もしくは今後、豊島区において文化芸術活動を行おうとしている団体に、この制度を通じてさらなる発展を促す可能性もあるかと感じております。また寄附者には、単に返礼品目的ではなく、自らが支援したい事業に対して寄附を行うことにより応援をすることができます。また、
通常クラウドファンディングでは、目標金額に達しないと事業は行われず、未達成ということで消滅してしまうこともありますが、今回の墨田区方式では、未達成でもその事業に対して集められた金額の助成を行うこととなっております。
今までの行政の寄附といえば、建物を建てる際に寄附を募り、銘板に名を刻むといった物に対する寄附が多いのではと感じておりますが、この
ガバメントクラウドファンディングにより、さまざまな文化的活動やアートに関する事業について、その活動を支援することができるものとなっております。
東アジア文化都市に向けて、
ガバメントクラウドファンディングの活用をぜひとも行うべきであると感じますが、見解をお聞かせください。
先日、視察を行った京都市でのヒアリングでは、一部のイベント等においては集客に苦戦する場面もあり、市民の
東アジア文化都市の機運が浸透し切れていないとのような話もありました。昨日の我が会派、竹下ひろみ議員の質問においても「オールとしま」の体制で事業の成功をとの発言もございました。このような
ガバメントクラウドファンディングによる寄附にてさまざまな活動の支援を行うことにより、区民がより身近で、そして待ち望む
東アジア文化都市事業になると考えられます。機運醸成にも一役買うと思われる
ガバメントクラウドファンディングをぜひとも御検討いただきたいと思います。
また、現在、ふるさと納税についてはさまざまな議論がなされており、本来の目的からいえば、豊島区が地方の自治体が押しのけてまで資金を集めようとは考えられません。しかしながら、比較対照であるテーブルの上にはのっていないと、流出だけがふえて流入が見込めないと考えられます。
先日のとある報道では、損をしている自治体50にも名を連ねておりました。この調査方法がどのようなものか詳細には確認できませんでしたが、先ほどの墨田区は少なくともこの50の自治体には入っておりませんでした。23区においても、取り組み次第では現状の改善は行えると考えられます。先ほどの文化活動などへの助成なども区民が喜ぶ活動であるということ、さらに、税収においても貢献するものと考えられます。こうしたふるさと納税の取り組みを行うことにより区民のサービス向上にもつながると考えられますが、今後のふるさと納税に対する豊島区の方向性はいかがなものなのか、見解をお聞かせください。
続きまして、公民連携について質問をさせていただきます。
去る9月4日から5日にかけて、私は、岩手県紫波郡紫波町へ個人での視察を行いました。目的は、オガール紫波という公民連携による再開発の視察です。オガール紫波は、紫波中央駅から徒歩2分程度の場所にあり、面積は10.7ヘクタール、10年近く塩漬けされた土地を公民連携にてまちづくりを行い、黒字にて運営できている公民連携事業において成功事例と呼ばれるプロジェクトであります。
オガール紫波のある紫波中央駅は、盛岡から20分ほど南へ行った場所にあり、盛岡のベッドタウンの様相を呈しております。しかしながら、ローカル線の駅であり、さらに、平成10年に開業した新しい駅ということで、乗降客数も1,500人に満たないとの統計調査の結果もあります。この土地に現在では年間100万人もの人が訪れるまちを整備できたのは、公民連携によるさまざまな取り組みが行われたことによるものと考えられます。
オガール紫波の代表的とも言えるまちづくりの手法として、通常の自治体主導によるまちづくりとは異なるまちづくりを進めた点であります。通常の自治体主導であるならば、工程を大きく分けると、一般的に事業計画、予算組み、設計、建設、テナント誘致、竣工といった手順で進むかと思われます。私自身も以前から存じておりましたが、視察先でも失敗事例との比較として東北地方のとある駅前ビルについての説明がありました。
この駅前ビルは、通常の公共事業の手法によって、まちのシンボルになるようにとの思いも込められて、最終的には、まちの規模と不釣り合いな事業計画、駅前であるがゆえに華美・過大な設計、あくまで自治体が想定するテナントをもとに建設、予想外にテナントが入らず竣工時から空室が発生し、その魅力が損なわれ、その後、大型テナントも撤退、後続テナントが入らず赤字経営、空きテナントが連鎖し、最後は破綻、現在は市役所機能を一部移転し、何とかもたせているという事例もありました。また、盛岡駅周辺にも同様の危機に瀕している建物等もあり、行政側が苦労しているという話も出ました。
紫波町では、こうした通常の手法を用いても人口3万3,000人の都市では失敗するという危機感もあり、平成19年に
公民連携元年宣言を行いました。その後、平成21年に
オガール紫波株式会社を町100%出資により設立し、その後、町内の出資者を募り、翌年には株主が10社となり、町の出資比率は39%の第三セクターとして機能し始めました。
オガール紫波株式会社は、あくまで官である町と民間との
エージェント機能を果たす役割を担っており、さらには、町の発展と町民の幸せを目指す
パブリックマインドを持った民間会社として誕生しました。
こうした中で、民間手法では、採算性、事業としての収益性を第一に考えること、この考え方を官も含んだ事業に取り入れていくことで、その収益性を第一に考えたまちづくりを進めるために通常とは逆の逆算方式にて計画を進めていきました。まず、テナント誘致、賃料相場、テナントの求めるサイズなどの調査を行い、その需要調査に基づき必要床面積の設定などボリュームの設定、そして想定利回りに伴う工事価格の設定、早目に行ったテナント誘致のおかげ、さらには、需要予測のおかげもあり竣工時には満室状態を実現することができました。こうした事業計画によりテナントが満室になり、街ににぎわいがあふれ、多くの来街者が訪れ、さらににぎわい、相乗効果となり年間100万人の人が訪れる街へと生まれ変わりました。東北本線の駅から徒歩2分とはいえローカル線の駅であり、決して恵まれていない立地にもかかわらず多くの人から注目される街になったのは、公民連携事業によるものであると考えられます。
豊島区においても、公民連携事業はさまざまな場面で行われております。先日は飲料会社とのトイレにおける公民連携事業が先送りとなりましたが、現在、豊島区の公民連携事業の現況について、どのような状況にあるのかお聞かせください。さらには、公民連携を推進するに当たり、問題、課題などありましたらお聞かせください。また、現在ホームページ上において、公民連携窓口を設置しておりますが、過去にどのぐらいの件数の依頼があったか、そして内容についてもお答えください。
オガール紫波の話を聞いているうちに、私は、
南長崎マンガランド事業において公民連携が有効に活用できるのではないかと感じました。
南長崎マンガランド事業については、特にトキワ荘復元を行った後の施設の管理運営などは、民間主体としたエージェントによる公民連携事業によって、来街者の意向などに配慮した豊島区のシンボルとなるような建物に仕上がると感じております。既に動き出しているプロジェクトであることは十分に理解しておりますが、地域、行政である豊島区、そして民間と三位一体となって知恵を絞り、すばらしい建物へと進めていくことにより愛されるシンボルになると感じますが、区としての考えをお聞かせください。
しかしながら、ひとえに公民連携といっても、単に指定管理者制度を利用するのではなく、また、愛好家や施設運営を行ったことのない団体などによる運営ではなく、主体的に利益を生み出し、その利益をさらに施設や展示、イベントなどに還元するような地域・行政・法人と三者が手に手をとって活動を行う団体、もしくは
千代田プラットホームスクエアを運営する
プラットホームサービスなど、非
営利型株式会社等による運営が一番望ましいと考えられますが、見解をお聞かせください。民間のマーケティングなどの手法を用いることにより、来街者にも地域の方にも愛されるよい施設になると考えられます。
東アジア文化都市においても、注目される施設をより良いものにしていくために有効であると考えられますので、検討をお願いいたします。
続きまして、
景観まちづくりについて質問をさせていただきます。
先月末、自民党豊島区議団にて福井県吉田郡永平寺町の視察を行いました。永平寺町にある町名にもなっております「永平寺」は曹洞宗の大本山であり、私の地元、
巣鴨とげぬき地蔵尊、高岩寺の大本山でもあります。今回、永平寺町での視察を行った目的の一つとして、豊島区景観審議会の座長を務められました進士五十八
福井県立大学学長による永平寺門前のまちづくりのお話が上げられます。
永平寺は、1244年、道元禅師が大仏寺を建立し、2年後に永平寺と改められたことに始まります。永平寺の門前には現在、土産物店などが建ち並んでおりますが、門前町の歴史は古く、1500年代まで遡ります。そして、さまざまな経過を経て現在の門前町を形成しております。しかしながら、現在の門前町は、まるで観光地の駐車場と店舗がセットになった店構えという具合です。ありきたりの感じのするお店で、永平寺らしさを感じることは私にはできませんでした。
永平寺は山あいにある禅寺であり、木に囲まれ、脇には川が流れております。こうした永平寺らしさが門前町には見られないと進士先生はおっしゃっておりました。進士先生は、建物は平家か木造2階建てぐらいの高さが望ましく、鉄筋コンクリート4階建てなどの建物は完全にこの街には合ってないとおっしゃっておりました。現在、宿坊の建設も行われておりますが、ただ単なる宿泊施設とするのではなく、永平寺らしさを取り入れた建物にしていくとのお話でした。宿坊については永平寺が主体となるので、景観に配慮した建物は期待できると思います。しかしながら、既に土産物店を経営されている方もおり、町としては、にぎわい創出や門前町の活性化など簡単に景観を変更することは大変難しく、そのあたりの合意形成が重要になってくるのではないかと私は感じました。
景観というと、デザイン画にてすてきな町並みが描かれ、そのすてきな町並みにしていこうということであると思います。しかしながら、既に人が住んでいる商業地、住宅地では、その合意形成に多くのエネルギーを使うことになります。反面、再開発などの大きな開発の際には、街が一新され、景観に配慮した町並みをつくることができると思います。豊島区においては、景観計画の策定を行い、景観条例の制定を行いました。今後、起こり得る先ほど述べたような経済性、にぎわい創出と景観について課題、問題について豊島区はどのように捉えていくのか、見解をお聞かせください。また、現在までに問題点や課題などはありましたでしょうか、ありましたら内容などをお聞かせください。
続きまして、救急救命体制について質問をさせていただきます。
昨年の第2回定例会に続き、救急救命体制について質問をさせていただきます。昨年の第2回定例会においてAEDの24時間化を提言させていただき、本年度よりファミリーマートに30台、3年間で100台のAEDを配備することとなり、これにより安全安心な街のポテンシャルがさらに高まったとうれしく思っております。しかしながら、昨年提言させていただきました救命講習受講者の登録は先送りとなりました。街に24時間利用可能なAEDがふえることは大変喜ばしいことではありますが、心肺停止状態にある方に対してはすぐに心肺蘇生を行うことが重要であり、そしてせっかく24時間利用可能なAEDがふえたのはよいことですが、AEDを使える方がいないと救える命も救えません。
このことをどのように解決していいかを考えていたところ、今からおよそ1年前の昨年8月に
コエイド株式会社の方々とお会いする機会をいただきました。そしてコエイドさんの開発している
スマートフォンアプリが私の思っていたことを解決できるアプリであると直感しました。心肺停止で倒れた方を発見した際に
スマートフォンアプリから緊急通報ボタンを押すと、周囲のアプリ保持者に連絡が行き、そして近隣のAEDが置いてある施設に自動音声にて通報、さらに「119」番にも通報が行われるアプリです。通報者は、現場の状況を動画で救助できる方へ送ることができ、救助可能者は、チャット(インターネット上における文章でのやりとり)でございますが、それによって詳細な連絡をとり合うこともできます。位置情報はGPSにて把握しており、近隣にいる救助可能な方へ緊急通報が入ります。そして救急車到着までの間、民間の方による救命が行われ、救急車到着までおよそ8分弱、場合によっては10分と言われる間、救命活動を行うことにより助からない命を助けることができます。
このアプリの事業は、経済産業省及びIoT推進ラボによる第3回「loT Lab Selection」(
先進的IoTプロジェクト推進会議)にて「大切な人が倒れたとき、命が助かる可能性を上げるアプリ」としてグランプリを獲得しました。現在、豊島区の後援をいただき池袋を中心に実装実験が行われております。去る8月28日に、と
しまセンタースクエアにおいて
コエイド株式会社さんによる救命アプリの登録研修が行われ、私も参加いたしました。多くの人が注目するアプリであり、各種媒体にも取り上げられております。今後、アプリの一般開放を行い、実装実験も広がっていくことと思います。このアプリは、各方面から高い評価をいただいており、アプリの認知が進むことによって救命の確率も高まっていくものと思われます。この実装実験後についても、豊島区と連携して事業を行っていくことにより安心安全な街の力がさらに高まるものと考えられますが、豊島区の見解をお聞かせください。
また、アプリを用いても助けるのは人であり、普通救命講習などの受講者拡大について豊島区として現在どのような取り組みを行っているのか、また、今後どのように捉えているのか、お聞かせください。さらに、AED24時間化に向けて、
高齢者福祉施設等の24時間化の現況とコンビニへの配置について、現在の進捗状況をお聞かせください。
心疾患は、日本人の死因第2位であります。1位はがんでありますが、豊島区ではがん対策推進条例を制定し、がん対策は行われております。しかしながら、心疾患によるものは突然に訪れて、処置が遅くなるごとに助からないとデータでも証明されております。心肺停止で倒れられた方がいたら、すぐに心肺蘇生、心室細動になっている方にはAEDにて処置してあげることにより救命率は大きく上がります。アメリカのシアトルでは、心疾患の方の救命率は30%を誇ります。これは、市民の救命講習受講率の高さに起因しております。豊島区でも、ぜひとも安全安心な街となるべく救命講習受講者の増加策を御検討いただきたいと思います。
続きまして、スポーツの推進について質問をさせていただきます。
2019年に豊島区は
東アジア文化都市に選ばれました。これは大変喜ばしいことであると感じております。そしてその同じ2019年はラグビーワールドカップ日本開催の年でもあります。ラグビーワールドカップは、豊島区内での認知度はまだまだであると大変残念に感じておりますけれども、夏のオリンピック、サッカーワールドカップに次ぐ世界3大スポーツイベントの一つであり、世界的にも注目を集める大会です。全世界では660万人の競技人口を誇り、前回のワールドカップイングランド大会では、テレビ中継は全世界で10億人以上が視聴する世界的には大きな大会であります。
また、2019年のラグビーワールドカップにおける経済効果は、日本全体において4,000億円を超える規模であるとの試算もあります。本定例会の会期初日の9月20日のちょうど2年後、2019年9月20日よりラグビーワールドカップは開催されますが、
東京オリンピック・パラリンピックと同様、豊島区には競技場がない関係で、今まで目立った機運醸成事業は行われていないと感じております。現在、東京都では、ラグビーワールドカップ2019の機運醸成を行っており、各地で子供向けの体験会なども行われていると聞きますが、豊島区としては、今後ラグビーワールドカップの機運醸成事業についてどのように捉えていくのか、お聞かせください。
ラグビーは、豊島区内での競技人口については、サッカー、野球と比較しても当然ながら少ないということは感じております。しかしながら、2015年のラグビーワールドカップにて優秀な成績をおさめたことは記憶に新しいものであると思います。今まで豊島区にはラグビーを行う土壌がなかなかそろっておりませんでした。しかしながら、フルコンタクト、いわゆるテレビ中継などでごらんになることができる、ガツガツぶつかり合うようなラグビー競技以外にも、タグラグビー、タッチラグビーなどコンタクト性の少ない子供たちにも遊べるラグビーも実際にはあります。学校単独でタグラグビーなどを行っている学校もありますが、機運醸成事業とあわせて、小学校、中学校においてラグビー体験授業などを行うことについて見解をお聞かせください。
また、子供たちの運動において、地域の少年サッカーなどのクラブチームより、グラウンドの確保など、サッカー・野球の子供たちでもグラウンドがとれないという悲鳴にも似た声も聞かれております。本来ならば土日の2日間練習したのに、どちらかの日程しか区内ではグラウンドを確保できない状況が続いているチームもあると聞いております。また、先日の陳情審査の際にもお話しさせていただきましたが、少年サッカーの大会が南長崎スポーツ公園では消化し切れなかったこともありました。時には他区まで指導者の方や親御さんが引率してグラウンドの確保を行っていると聞いております。まずは、この状況を改善し、子供たちの健全育成のためにもスポーツ施設の計画を今よりもスピード感のある進め方をしていくべきと感じますが、見解をお聞かせください。
最後に、その他として、
高齢者補聴器購入助成事業について質問を行います。
昨年の第2回定例会において私が一般質問にて取り上げさせていただきました軽度難聴者を対象とした
高齢者補聴器購入助成事業について、改めて豊島区としての見解をお聞かせください。軽度難聴者への対策は、先々の認知症への予防という観点から、重要であると思います。昨年の一般質問では、できるだけ早期導入の実現の方向を図るとの答弁をいただいておりますが、現在の進捗状況についてお聞かせください。
以上をもちまして私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔高野之夫区長登壇〕
○区長(高野之夫) ただいまの池田裕一議員の御質問に対してお答えを申し上げます。
まず、大前提として、本区を含む特別区のふるさと納税に対する基本的な考え方を申し上げます。
現在、
ふるさと納税制度は、過剰な返礼品による見返りを受けた住民のみが税負担軽減の恩恵を受け、これによりまして都市部の自治体が減収となるもので、制度的に大きな問題がございます。そこで、特別区長会といたしまして、総務省に対し、
ふるさと納税制度本来の趣旨に立ち返った見直しを求めているところでございます。
ふるさと納税は、そもそも東京など大都市から税をむしり取るための制度でございまして、区長会の税財政部会でも再三にわたって議論をしてまいっております。この制度を廃止するならともかく、この制度を国が進めていく限り、区として何らかの対応策を講じていかなければならないわけであります。こうした状況の中で23区各区ともそれに対抗する動きが出てきております。本区も、このまま黙って見過ごすわけにはいかないと思いますし、後ほど述べますけど、今後、積極的に寄附募集の方法を検討してまいりたいと思います。
さて、ふるさと納税についての御質問のうち、まず、
ふるさと納税制度による税の流入、流出金額についての御質問にお答えをいたします。
平成28年度決算ベースで申し上げますと、本区におけるふるさと納税による流出額は6億4,900万円にも上りました。これに対して寄附受け入れ額は約1,370万円となっており、寄附者はほとんどが法人などの団体となっております。個人から受けた寄附に絞りますと、
南長崎マンガランド事業寄附金が中心で、約9万円と極めて少ない状況であります。
次に、伝統工芸品や連携自治体の産品を返礼品にすることについての御質問にお答えをいたします。
御提案のうち、伝統工芸品につきましては、寄附の返礼品とすることも一案ではないかと考えております。豊島区が誇る伝統工芸の文化をしっかりと守り育てていかなければならないわけでありまして、以前も御答弁を申し上げましたけど、トキワ荘復元施設整備に伴いまして寄附募集を検討をしておりますので、現在会員が25名いらっしゃるほとんどの方がマイスターという格式をお持ちでございまして、その誇れる豊島区の伝統工芸保存会とも相談・協議をいたし、今後、一定額以上の寄附をいただいた方に対し、伝統工芸品を寄附に対する返礼品として提供できないか、今後検討してまいりたいと思います。
また、トキワ荘復元施設整備の寄附に対しまして、銘板に名を残す、イベントに招待するなど、物ではない何らかの形で寄附者に感謝の気持ちをあらわすことも今後検討してまいりたいと思います。
次に、
東アジア文化都市に向けた「
ガバメントクラウドファンディング」の活用についての御質問にお答えをいたします。
現在、この手法を使って活動資金を集めるプロジェクトが全国各地の自治体で行われております。例えば石川県の輪島市の「熊本地震で壊れた陶器を金継ぎでよみがえらせるプロジェクト」や、福岡県うきは市では、「子育てと林業支援のため赤ちゃんに木のおもちゃを贈るプロジェクト」など、大変興味深いプロジェクトが数多くございます。自治体への寄附でありますので、税控除の対象にもなるわけであります。
御指摘の「すみだの夢応援助成事業」は、文化芸術による地域力向上を目的にこの手法で活動資金を募集し、区内で実施するコミュニティビジネスなどに対して助成するもので、大変興味深い事業の取り組みであると思います。
クラウドファンディングにつきましては、現在、庁内検討会でトキワ荘復元施設整備への活用を検討をしております。その検討状況を踏まえまして、
東アジア文化都市事業の実施における寄附募集のあり方についても今後の研究課題とさせていただきたいと思います。
次に、今後のふるさと納税に対する区の方向性についての御質問にお答えをいたします。
これまでいろいろと申し上げたとおり、「ふるさと納税」と銘打って大々的に返礼品を用意して寄附募集をすることは考えておりません。現在、トキワ荘復元施設整備に伴う寄附金募集や
クラウドファンディングなどの実施につきまして、鋭意、庁内検討会で実施方法等を検討しているところでございますので、次回定例会までには実施案を取りまとめて御報告したいと考えております。
次に、公民連携事業についての御質問のうち、まず公民連携事業の現況及び推進する際の課題等についての御質問にお答えをいたします。
本区における公民連携事業は、新庁舎の建設、旧庁舎跡地周辺の再開発や建替事業を初め、民間委託、民営化、指定管理者に至るまで多岐にわたっております。他の自治体から比べましても非常に大胆であり、思い切った取り組みを当区はしていると思っております。
池田裕一議員からは、岩手県紫波町の「オガール紫波」の再開発の御紹介をいただきましたが、本区でも、南池袋地区再開発や木密不燃化事業に伴う再開発など、公民連携によるまちづくりは大きく進みつつあります。また、公園トイレの建て替えに係る提案を初めといたしまして、FFパートナーシップ協定による西武百貨店や東武百貨店、サンシャインシティとの連携などにおいても、今後、公共サービスの充実につながるさまざまな提案を頂戴をしているところでございます。引き続き、今後の可能性を模索している最中にあるというのが公民連携の現況でございます。
次に、公民連携推進における課題でございますが、まず、公と民のタイアップによる「共創事業」の効果をいかにわかりやすく説明できるかという点が課題でございます。また、新たな事業をどのように組み立て、決定し、リスクの範囲をどう定めるかなども明確にしておく必要がありますが、事案の大きさや複雑さに応じて、関係者との調整に時間がかかることも大きな課題でもございます。
新たな提案の実現に向けては、いろいろ課題は尽きませんけれど、いずれにいたしましても、区といたしましては、ガバナンスを維持しつつ、多様な主体から活気ある提案を受けられるよう、わかりやすい構造にすること、手続を整備するなど、迅速に対応できる仕組みをしっかりと構築をしてまいります。
次に、公民連携窓口への依頼件数及びその内容についての御質問にお答えをいたします。
公民連携提案は、毎年、各所管に寄せられておりますが、公民連携窓口を開設をいたしました本年6月以降8月末までの期間で見ますと、8件の提案をいただいております。提案内容といたしましては、企業の社会貢献に関するもの、あるいは本業のノウハウを活用するものなど、さまざまでございます。それぞれの提案につきましては、提案内容の実現可能性など鋭意検討を進めておりますので、現時点では詳細を紹介することはできませんが、内訳といたしましては、土地建物に関するものが5件、イベントの開催に関するものが2件、多文化共生に関するものが1件となっております。
次に、公民連携事業を活用したトキワ荘復元施設の管理運営についての御質問にお答えをいたします。
南長崎地域では、これまで、としま南長崎トキワ荘協働プロジェクト協議会と区が一体となって漫画によるまちづくりを進めてまいりました。これこそ公民連携の先駆けであると考えているところでもございます。現在、トキワ荘復元施設については、検討会議を設置し、建築計画を中心に検討を進めているところでございます。今後、展示内容、さらに、運営方式等についても検討を進めてまいりたいと思います。
2020年の3月オープンに向け管理運営をどのような方式で行うかは、具体的な展示の検討に直結するものでありますので、その後の集客を考える上でも大変重要な課題であると認識をしております。漫画に関する主要な博物館等では、宮城県の登米市の石ノ森章太郎ふるさと記念館は市直営、石巻市の石ノ森萬画館は株式会社による指定管理、青梅市の青梅赤塚不二夫会館は商店街振興組合による設置・運営などと、設置の経過を反映させてさまざまな形態がとられております。これまでの事例を研究しつつ、「直営方式」「指定管理者方式」「業務委託方式」のメリット・デメリットを踏まえ、「マンガの聖地としま」の象徴となる施設として長く愛される施設となるよう運営方式の検討を進めてまいります。
次に、主体的に利益を生み出し還元する、地域・行政・法人が連携する団体もしくは非
営利型株式会社等による運営についての御質問にお答えをいたします。
トキワ荘復元施設の運営方式については、地域の皆様とも十分に協議をしながら取り組みを進める必要があると考えております。ミュージアムと一体となって、周辺のまちづくりが展開できるよう、非
営利型株式会社等による運営も含め施設の運営方式を検討をしてまいります。
私からの答弁は以上でございますけど、そのほかの質問につきましては、両副区長並びに危機管理監から答弁申し上げます。
〔水島正彦副区長登壇〕
○副区長(水島正彦) スポーツの推進についての御質問のうち、まず、ラグビーワールドカップの機運醸成事業についての御質問にお答えいたします。
ラグビーワールドカップ2019は、日本全国12都市で開催されることになっております。また、ラグビーワールドカップは、大会史上初めてのアジア地域での開催であることから、アジア地域から多くの方々の来訪が見込まれます。豊島区では、現在、三芳グラウンドでラグビー区民大会を開催しているほか、総合体育場、南長崎スポーツセンターでは、フラッグラグビーなどで区民の皆様にラグビー競技を楽しんでいただいております。
そうした中、ワールドカップが開催されますので、これまでも庁舎内ミュージアムでの「ワールドカップ2019」の周知や体育イベントの開催の際には、記念のぼり旗を設置するなど、できるだけの機運醸成に努めてまいりました。今後は、さらにラグビー日本代表クラスの講演会やデモンストレーションの実施、また、スポーツを通じた国際貢献事業である「スポーツ・フォー・トゥモロー」に参加し、ラグビー中古用品の回収・寄贈事業を実施するなど、さらに積極的に機運の醸成を図ってまいりたいと考えております。
次に、機運醸成事業とあわせて、小・中学校においてラグビーの体験事業等を行うことについての御質問にお答えいたします。
28年度、豊島区立小学校においては、タグラグビーやフラッグフットボールを授業やクラブ活動で実施しているのは14校であり、中学校においてはいずれもやっておりません。また、富士見台小学校では、7人制ラグビー日本代表2名の選手による講演会や体験授業が行われました。夢の実現に向かって挑戦する一流選手によるお話に、児童とともに参観した保護者も大いに刺激や感銘を受けたとのことであります。学習指導要領に例示のない小・中学校のラグビーの実施は難しいものの、オリンピック・パラリンピック教育の一環としてラグビー日本代表クラスを呼び、体験活動を実施している学校もありますので、今後も各小・中学校に人材に関する情報提供を行ってまいります。
次に、スポーツ施設の計画を今よりもスピード感を持って進めていくことについての御質問にお答えいたします。
豊島区スポーツ推進計画では、4つの施設の一つとして、「スポーツをするための環境の充実」を掲げており、その具体的な取り組みの一つとして、現在、旧第十中学校跡地に野外スポーツ施設の整備を進めているところであります。今月14日には、第1回目となる旧第十中学校跡地活用等基本計画検討委員会を開催いたしました。検討委員会には、地元町会、スポーツ団体、暫定開放の利用者団体、公募区民、学識経験者など、さまざまな方たちに委員に就任していただき、第1回目から活発な議論を交わしていただきました。今回の施設整備計画は、民間の資金とノウハウを活用し、財政負担を極力抑えた施設整備をするために、PFIを主とした公民連携の手法を検討しているところでありますが、いずれにしても、民間の知恵と工夫を最大限に引き出し、計画の短縮が図られるよう努力してまいります。
次に、軽度難聴者を対象とした
高齢者補聴器購入助成事業の見解及び進捗状況についての御質問にお答えいたします。
昨年の第2回定例会において池田裕一議員の御質問に御答弁申し上げましたとおり、軽度難聴の方にとって補聴器の使用はコミュニケーションツールとして有効であるという認識に変わりはございません。昨年御質問いただきました際に、23区の実施状況を調査したところ、事業を実施しているのは8区で、そのうち6区で購入助成、2区が補聴器を現物支給している状況であります。その後の状況にも変化はありません。当区におきましては、来年度の新規拡充予算の中で、他の施策と同様に緊急性の度合いや財政的視点から導入の判断をしてまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でございます。
〔宿本尚吾副区長登壇〕
○副区長(宿本尚吾) 次に、景観計画の策定と景観条例の制定に伴う今後起こり得る経済性、にぎわい創出と景観についての課題等及び現在までの問題点、課題についての御質問にお答えをいたします。
景観は、美しい町並みということだけでなく、その場所に日々集まる人々の営みも含まれた総合的な概念であり、地域の経済的な活力や人々のにぎわいも景観をつくり出す重要な要素となっております。しかしながら、御指摘のとおり、景観と経済性、にぎわい創出は相反することもあり、いかに合意形成を進めていくかが重要となってまいります。その合意形成を円滑に進めるために、一例として、景観計画においては、区内を12のエリアに分割し、それぞれ市街地特性に応じた景観形成基準をあらかじめ定めております。そして建築行為などを届け出る際に区と事業者の間で協議をして、基準に適合するよう計画を進めることとしております。景観形成基準の中には、数値で基準を定めることができず、定性的な表現となっている項目もあり、こうした基準につきましては合意形成が難しくなる場合もございます。
いずれにいたしましても、景観という漠然とした概念を建物などに具体化する中で、ワークショップなどを通じまして区民の方々も含めた景観に関する議論を深め、地域の大多数の合意形成を図っていくことが
景観まちづくりにおいて最も重要なのではないかと考えております。
私からの答弁は以上でございます。
〔今浦勇紀危機管理監登壇〕
○危機管理監(今浦勇紀) 救急救命体制についての御質問のうち、まず、救命アプリ実装実験後の区との連携による事業の推進についての御質問にお答えいたします。
豊島区としても、議員御指摘の救命アプリのすぐれた機能と社会的な貢献度について高く評価しております。
本アプリは、本年8月から来年1月までの半年間をかけ、池袋駅周辺の半径1キロメートルの地域を対象として実装実験を行っており、区としましても、対象地域のAED情報や説明会場の提供など、所要の支援を行っております。
本アプリが社会に普及するためには、実装実験の成功が不可欠であり、職員初め対象地区の事業者、関係機関に対して、帰宅困難者対策訓練を初め、あらゆる機会を利用して実装実験への協力を呼びかけてまいります。
次に、普通救命講習等の受講者拡大のための現在の取り組みと今後の取り組みについての御質問にお答えいたします。
区では、平成16年度より区立中学校の3年生を対象とした普通救命講習を開催しております。また、区民の皆様には、毎年度、実施している帰宅困難者対策訓練や地域防災訓練などにおいて、AEDの操作等の講習を実施しております。
今後、消防署で開催される普通救命講習の周知を図るとともに、引き続き、防災訓練やイベントにおけるAEDの操作講習を実施し、救急救命体制の強化に取り組んでまいります。
次に、AED24時間化に向けた
高齢者福祉施設等の現況とコンビニへの配置の進捗状況についての御質問にお答えいたします。
今年度の新規事業として、高齢者福祉施設に24時間使用可能なAEDを設置する場合、初期費用の3分の2を助成することといたしました。現在、1施設で設置に向けた準備が進められておりますが、さらに多くの施設に設置されるよう働きかけてまいります。
また、今年度より3カ年計画で、区内のコンビニエンスストアに24時間使用可能なAEDを約100台設置してまいります。現在、株式会社ファミリーマートとの間でAED設置の協定案が固まり、具体的な設置店舗の調整を進めている段階です。区民の皆様にとって身近な高齢者福祉施設やコンビニエンスストアでの24時間使用可能なAEDの設置を促進し、安全・安心を実感できる都市を実現してまいります。
以上をもちまして、池田裕一議員の御質問に対する答弁を終わります。
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○議長(木下 広) 次に、14番議員より、「さらに安全安心で健康なまち・豊島を目指して!」の発言がございます。
〔辻 薫議員登壇〕(拍手)
○14番(辻 薫) 公明党の辻薫でございます。私は、公明党豊島区議団を代表しまして、「さらに安全安心で健康なまち・豊島を目指して!」と題し、1、延焼防止対策について、2、無電柱化の推進について、3、栄養パトロールについて、4、その他として、子育て支援について一般質問を行います。
最初に、延焼防止対策について伺います。ことしの夏も九州北部豪雨を初め各地で被害が発生し、多くの方がお亡くなりになられました。御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々が一日も早く通常の生活に戻れるよう復旧復興を願うものであります。
さて、9月1日「防災の日」に私ども公明党豊島区議団は、昨年末に大火に見舞われた新潟県糸魚川市を視察してまいりました。昨年12月22日の当日は、気温18.4度、湿度54.7%、南南東の風、最大瞬間風速27.2メートル、そしてフェーン現象が起きていました。午前10時20分、1軒の飲食店から出火した火は、壁一枚でつながっている構造物が建ち並ぶ木造密集地域に瞬く間に広がり、10時間後に鎮圧したものの、完全に火が鎮火したのは30時間後の翌23日午後4時30分でした。焼損棟数は147棟に及び、そのうち120棟が全焼、焼失面積は約4万平方メートルに達しました。
一瞬にして焼け野原となった現場は、今は残置物もほぼ撤去され、一面に空き地が広がっていました。糸魚川市消防本部消防防災課の小野浩課長は、これだけの大火被害の中、負傷者のみで死者が出なかったことは不幸中の幸いであったとしみじみ語っておられました。家を失った住民は、現在、市が確保した公営住宅と民間住宅の56戸に121名が入居されていて、仮設住宅はありませんでした。
出火原因は、1軒の飲食店での大型コンロの消し忘れでした。糸魚川市の消防力については、整備基準は上回っていたものの、出火から1時間後には130メートル先で飛び火による出火が発生したため、広域での消火活動の必要性から糸魚川市消防本部より上越地域などの他本部への応援要請も行われていました。しかしながら、今後は、要請がなくても周辺から消防が駆けつけるような連携体制も検討されていました。
また、水が不足したことから、同市の生コン組合にミキサー車を要請、国土交通省北陸地方整備局には、排水ポンプ車等の支援要請も行っていました。さらに、家屋を破壊して類焼を防ぐ必要性から建設業協会への重機の支援要請も行われていました。もちろん自衛隊への派遣要請も行われていました。こうした関係機関や民間団体との連携した消火活動を可能としたのは、日ごろから顔の見える関係を築いてきた結果であると、これはよかった点として上げておられました。そこで、本区においては、こうした関係機関や民間団体との災害時の連携について、日ごろよりどのように取り組まれているのか、お聞かせください。
糸魚川市消防本部では、今回の大火を受けての教訓として4点示されていました。それは、第1に火を出さない、第2に早い通報、第3に初期消火、第4に早い避難です。まずはこの4点について本区での現状を確認しながら、今後の取り組みについて伺います。
第1に、火を出さない取り組みです。高野区長は、本定例会初日の招集あいさつの中で、本区における感震ブレーカー設置助成制度について言及されました。この事業については、我が会派の中島議員が一般質問で取り上げ、私も、先の予算特別委員会で糸魚川市の大火災を受けて、木造密集地域を多く抱える本区にとって対岸の火事ではなく、喫緊の課題であるとして要望していたものです。区長初め関係理事者の皆様の取り組みに敬意を表するものであります。これは震災時における通電火災を発生させない取り組みですが、改めて感震ブレーカー設置助成の実施概要と今後のスケジュールについてお示しください。
第2に、早い通報です。今回は、飲食店主が大型コンロに火をつけたまま不在中に火災が発生したものでした。隣の住民は家にいたものの出火に気づかず、店主が戻ったときには手を施しようがなかった状況でした。こうした事態を受けて総務省消防庁は、住宅用の火災警報器を飲食店や住宅など隣接する複数の建物で連動する仕組みの普及を検討しております。消防庁におけるモデル事業の状況を踏まえて、本区においても設置を検討すべきと考えますが、御所見をお聞かせください。
また、住宅用火災警報器は、平成18年6月に設置が義務化されて11年が経過いたしました。電池の交換は約10年を想定しているものが多いと思われます。日本火災報知機工業会では、古くなると電子部品の寿命から火災を感知しなくなることがあるとして、機器そのものの交換を呼びかけています。設置場所などによって状況は異なると思いますが、いざというときに正常に作動するよう機器の点検や電池交換を区民に周知すべきと考えますが、御見解をお聞かせください。
第3の初期消火については、糸魚川市では、復興計画の中で、災害に強いまちづくりに向け、規模が小さい飲食店に対して消火器設置の義務付けを盛り込みました。計画策定に当たり、市民から初期消火体制の強化を求める意見が寄せられたためとのことでした。消火器について、本区においては飲食店や各家庭での設置が浸透しておりますが、長期間放置されたままになっていて、いざというときに使用できないおそれがあります。そこで、改めて設置後の点検を呼びかける必要があると考えますが、いかがでしょうか、御見解をお聞かせください。
4点目の早い避難についてです。避難状況については、出火から約2時間後に避難勧告が発令されましたが、住民は防災無線だけではすぐに避難せず、消防署員などからの直接の呼びかけでようやく避難してくれたとのことでした。出火元から離れた住民においては、まさか自分の家まで飛び火しているとは想像もつかなかったようです。本区においても、木造密集地域での大規模火災が発生した場合には、防災無線など機器類による周知に加えて、特に避難行動要支援者などへの呼びかけは必要であると考えますが、現在の取り組み状況についてお聞かせください。
糸魚川市では昭和以降に限っても3度にわたる大火に見舞われていて、今回の被災エリアは昭和7年の大火後に建てられた比較的古い家屋が残っていた地域でした。今回の大火を受けて、国土交通省技術政策総合研究所が行った調査によると、飛び火による延焼の原因は、昭和初期につくられた不揃いの家瓦のすき間から火が入り燃え移ったためであるとしています。この調査結果については、私は実感を持って伺いました。それは、飲食店を営む私の実家が隣の店舗の火災により類焼した際、実家は鉄骨構造であったにもかかわらず、換気扇のわずかなすき間から入ってきた火が原因で1部屋が燃えてしまったのです。火の恐ろしさをまざまざと見せつけられました。本区の木造住宅密集地域には、こうした不揃いの瓦のある建物が存在しているのかどうか、お聞かせください。
私たちが視察を行ったとき、糸魚川市では、ちょうど復興まちづくり計画が策定されたばかりでした。計画には、都市防災の観点から、延焼遮断帯の形成や防災機能を高める市道の拡幅、消火設備を備えた防災公園の整備とともに、糸魚川らしいまちなみ再生として、まちなみと調和する住宅や店舗の建築の促進と支援などが挙げられていました。本区においても、現在、木密地域不燃化10年プロジェクトに基づく市街地の不燃化の促進、延焼遮断帯となる都市計画道路の整備が進められています。糸魚川市での大火の視察を通して、改めて事前防災としての不燃化の取り組みの重要性を実感いたしました。
最後に、本区の木密地域における不燃化対策と居住環境の向上へ向けての取り組み状況とともに、今後の推進に当たっての決意をお聞かせください。
次に、無電柱化の推進について質問いたします。
ことしも、間もなく「11月10日 無電柱化の日」を迎えます。3年前の同日、高野区長も委員も務める「上を向いて歩こう無電柱化民間プロジェクト」実行委員会が開催した記念日制定発表会には、当時の太田昭宏国土交通大臣や小池百合子現東京都知事も来賓として参加されていました。高野区長はあいさつの中で、人間のための空間を取り戻すことが最終的な目標とし、電柱ゼロ都市宣言をされました。そこでまず、本区における無電柱化推進事業の進捗状況と課題についてお聞かせください。
今月1日には、都市防災機能の強化、安全で快適な歩行空間の確保及び良好な都市景観の創出を図るための東京都無電柱化推進条例が施行されました。無電柱化の推進に関する施策を総合的、計画的かつ迅速に推進することを目的としていますが、本条例の施行による本区無電柱化推進事業への影響についてお聞かせください。
先日、同条例施行を記念して開催された「無電柱化で実現するセーフシティ」フォーラムに参加してまいりました。冒頭であいさつされた小池都知事は、阪神・淡路大震災の被災経験から、特に防災の観点から無電柱化の必要性を訴えられておられました。その後、「海外から見た東京の街〜東京の無電柱化に期待すること〜」と題して行われたパネルディスカッションでは、モルガン・スタンレーMUFG証券シニアアドバイザーのロバート・アラン・フェルドマン氏や、京都府亀岡市に在住し、日本とアジア文化に関する講演や執筆をされている東洋文化研究者のアレックス・カー氏などが、防災・減災、景観形成、インバウンド、観光、経済効果の視点から無電柱化の意義を語っていました。
その中で、無電柱化の課題となっている地上機器については、「京都市の四条通りには32基もあるが、ニューヨーク、ロンドン、パリにはない。建物内に設置するなどの工夫で日本においてもなくすことは可能ではないか。」また一方で、地上機器を防災用デジタルサイネージや、電気自動車、電動アシスト自転車の充電基地として活用するなどの提案もされていました。本区においても、そのエリア特性を生かした地上機器の扱いを検討すべきと考えますが、御所見をお聞かせください。
同フォーラムの最後に、「無電柱化の工期短縮・コスト削減のための3Dマップについて」の企業講演が行われました。無電柱化事業が長期化する要因として、地下埋設台帳の情報が不正確であったり、不明埋設物が把握されていないことにより試掘工事が不可欠となり、また、情報共有がされていないため関係者による協議に時間がかかるなどが上げられていました。こうした課題を解決するために生み出されたのが、マイクロ波を活用し地下埋設物を地上から正確に特定する新技術です。
実は、この技術は、我が会派が推進してきた道路の路面下空洞調査で使用されている技術を応用したものです。フォーラム会場では、サンプルとして巣鴨地蔵通りの3Dマップが映し出され、地下埋設物とともに、地上の建造物の状況も一体となって確認することができました。また、地上の点群データにより電柱削減や地上機器設置のシミュレーションが可能なため、沿道住民との話し合いにも大変に役立つと感じました。
こうして限られた地下空間を効率的に活用し、既設埋設物の移設を極力削減することにより、予備設計から完成まで通常7年かかるところを5年間に短縮することも可能としています。また、工期短縮による労働コストの削減も図られ、従来工法と比べて約1億円の経費削減が可能であるとのことでした。
東京都無電柱化チャレンジ支援事業制度では、こうした新工法の導入などの条件を満たす事業については補助率がアップするとも伺いました。ぜひ本区における無電柱化推進事業にもこうした新技術を活用して工期短縮、コスト削減に取り組むことを提案いたしますが、御見解をお聞かせください。
10月1日には、豊島区路上障害物による通行障害の防止に関する条例が施行されます。周知用のチラシでは、「みんなの道路を安全・安心な通行空間にしていきましょう!」と呼びかけています。こうした取り組みとともに、無電柱化を推進していくことにより相乗効果が生まれ、特に商店街においては、安全性の確保とともに、利用客の増大が図らされることが期待されています。
最後に、区内全域での無電柱化を実現するためには、区としても無電柱化を推進する条例の制定も視野に入れて取り組むべきと考えますが、御所見を伺います。
3項目めの栄養パトロールについて伺います。
聖路加国際病院名誉院長の日野原重明さんが7月に御自宅でお亡くなりになりました。105歳でした。人間ドックを民間で初めて提供し、生活習慣病の名づけ親でもある日野原さんは、現在の医療体制の礎を築いたと言っても過言ではありません。延命治療を望まず、食事や水も最後まで経口摂取されていました。今、健康長寿の延伸が叫ばれていますが、まさに日野原さんは、「死は生き方の最後の挑戦」として健康長寿を全うされ、望ましい人の生き方を実践して生を終えられました。
国は、昨年6月に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」において、元気で豊かな老後を送れる健康寿命の延伸に向けた取り組みを示しています。それは、個人の努力を基本としつつ、自治体や医療保険者、雇用する事業主などが、意識付けを含め個人が努力しやすい環境を整える。具体的な施策としては、高齢者のフレイル(虚弱)段階での進行防止のため、地域における介護予防の取り組みを推進するとともに、専門職による栄養、口腔、服薬などの支援を実施する。また、フレイルの前段階(プレフレイル)からの予防策として、虚弱な高齢者でも容易に参加できる身近な場での住民主体による運動活動や会食その他の多様な社会参加の機会を拡大するとしています。そこで、まず、こうした高齢者のフレイル対策について、本区においては現在どのような取り組みをされていますでしょうか、お聞かせください。
先月、私ども公明党区議団は、高齢者の低栄養、筋力低下等による心身機能低下の予防と、あわせて生活習慣病の重症化予防を目的に実施している三重県津市における「管理栄養士による相談・訪問指導」、通称「栄養パトロール」を視察してまいりました。この事業は、平成27年3月に厚生労働省から三重県後期高齢者医療広域連合を通じてのモデル事業として行われております。
栄養パトロールの具体的な取り組みは、多く分けて二つになります。一つは、個別栄養支援です。集会所等に巡回栄養相談を設け、保健師、管理栄養士、歯科衛生士などが生活習慣病や食生活に関するチェックをし、低栄養、フレイルリスクが高い人には相談・支援を行います。この個別栄養支援は、別名「望む暮らしの支援」と呼ばれ、いきなり栄養指導をするのではなく、将来の夢や希望、そのために不安なこと、夢や希望のための長期目標や対策、今自分がやれることは何かなどの会話をしながらセルフ栄養ケアプランを作成するのが特徴です。また、窓口に来られない人には自宅を訪問します。視察では、参加者からの感想も伺いました。楽しかった、安心する、話がゆっくりできるところがいい、健康を考えるようになったとの声もありました。
そこで、本区においても、津市のような栄養パトロールの要素を取り入れた相談・訪問事業の取り組みを提案いたします。同市の人口は28万人、議員定数も36名で豊島区と似ておりますが、面積は711平方キロメートル、豊島区の約55倍の広さを有しています。事業の実施に当たっては、地域を限定し、高齢化率が高い美杉地域が選定されていました。本区の特徴を生かして対象者の抽出を行うなどの工夫をしての実施を要望いたしますが、御所見をお聞かせください。
津市におけるもう一つの取り組みは、地域栄養ケア会議です。自治会長、民生児童委員、食生活改善推進員、健康づくり推進員、地域包括支援センター、社会福祉協議会、老人クラブ、地域住民、医療機関とともに、個別栄養支援で把握した課題や地域の栄養課題を抽出し、改善に向けた検討が行われております。同市においては、本年モデル事業としての3年目を迎え、来年度からは国の補助金が受けられない中、どのように継続実施していくか、検討をしておりました。
そこで、本区において実施する場合の財源の確保が気になるところですが、これまで推進してきた地域包括ケアシステムの構築段階での多職種連携や地域資源など最大限に生かした取り組みが可能であると考えます。この点についても御見解をお聞かせください。
これに関連して、いわゆるサプリメントについて質問いたします。テレビなどで通販番組が多く放送されています。中でも目を引くのが、「健康食品」のコマーシャルです。確かに食事で必要な栄養素を摂取できればよいのですが、不足しがちな栄養素などを補う一つの方法なのかもしれません。しかしながら、テレビのコマーシャルの中には、生活習慣病の予防やアレルギー症状が治るなど、医薬品をも上回る効果があるように感じられるものもあります。こうした状況において、特に高齢者の方々には正しい情報を提供すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。
厚生労働省の武田俊彦医薬・生活衛生局長は、私見としながらも、「高齢者医療の望ましい姿を考えたとき、それは決して治療あるいは延命を目的とするものではないという思いがあるとして、高齢者のQOLを大切にすること、もっと具体的に言えば、「最後まで口から食べられる」ということに尽きるのではないでしょうか」と語っています。日本人の平均寿命と健康寿命の間には約10年の開きがあります。この期間を介護を必要とする状態で過ごしているのが現状です。この開きをできる限り短くする取り組みが栄養パトロールです。本区における健康なまちづくりに期待をしております。
最後に、その他として、子育て支援について伺います。
高野区長は、招集あいさつの中で「女性にやさしいまちづくり」として、保育の質についても言及され、「保育サービス、保護者支援などの保育内容を総合的に維持向上させていくことが保育の質の向上の上で重要である」と述べられました。そうした保育の質の向上の一つが病児保育の充実であると考えます。
先日、1歳児を保育園に預けて働く母親からお話を伺うことができました。「2歳までは法的に時短がとれるし、休みが多いのもしようがない雰囲気だけど、3歳になったらフルタイムで管理職になる人もいるから、より休みにくくなる」と、仕事と子育ての両立に悩んでおられる様子でした。現在、お子さんが病気になった際には、区の訪問型病児保育利用料助成を利用されています。補助の対象となる事業者のベビーシッターの利用料金が1時間当たり3,000円であるのに対して、区の助成額は1時間当たり1,000円となっています。また、助成限度額が1日当たり1万2,000円、年間で4万8,000円のため、1日4時間まで年間4日を超える分については、自己負担されています。さらに、ベビーシッターを利用する際には入会金や年会費、交通費などもかかり、これらが助成金の対象外となっているため大きな負担となっています。
そこでまず、訪問型病児保育利用料助成事業の利用状況をお聞かせください。そして、ぜひとも本区における訪問型病児保育利用料助成を拡充すべきと考えますが、御見解をお聞かせください。
また、訪問型病児保育の拡充とともに、保護者が期待を寄せているのが病児保育施設の開設です。形態としてはさまざまありますが、安心なのは医療機関併設型の保育施設です。東京都では、小児科のある都立・公社病院の医療資源を活用し、区市町村のニーズに踏まえて、病児・病後児保育を行うとして、東京都立墨東病院が墨田区から事業を受託して平成28年2月より実施しております。今後とも他の都立・公社病院にも事業を広げ、保育環境の充実を図っていくとしています。本区においても、女性にやさしいまちづくりの視点から、公立、民間を問わず医療機関との連携を図り、病児保育施設の開設へ向けて積極的に取り組まれるよう要望いたしますが、御所見をお聞かせください。
以上で私の一般質問全部を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔高野之夫区長登壇〕
○区長(高野之夫) ただいまの辻薫議員の御質問に対しまして、お答えを申し上げます。
私からは、無電柱化の推進についての御質問のうち、まず、無電柱化推進事業の進捗状況と課題についての御質問にお答えをいたしたいと思います。
ちょうど3年前、平成26年11月10日に開催をされました「無電柱化の日」記念日制定発表会におきまして、私は、区内全域で無電柱化を実現する「電柱ゼロ都市への挑戦」を表明するとともに、「学習院椿の坂」「巣鴨地蔵通り」「立教通り」を豊島区における代表的な候補路線として位置づけていることを発表をいたしました。現在の進捗状況でございますけど、学習院椿の坂では既設管路の移設工事を行っておりまして、平成31年度には無電柱化が実現をいたします。また、巣鴨地蔵通りでは現在基本設計を行っておりまして、平成31年度から工事に着手をしてまいりたいと思います。なお、立教通りにつきましては、既に予備設計を完了しておりまして、今後、歩道拡幅工事の進捗に合わせまして順次設計や工事を行う予定としております。
なお、無電柱化に当たっての課題でありますけど、道路幅員が狭い区道ならではの整備手法、これら三つのモデル路線の整備を通じて検討してまいりたいと思います。
次に、東京都無電柱化推進条例の施行による区への影響についての御質問にお答えをいたします。
この条例は、道路事業や市街地開発事業により新たな道路が整備される際に、電柱の新設を制限するとともに、東京都が「東京都無電柱化計画」を策定をいたしまして、無電柱化に関する施策を総合的、計画的かつ迅速に推進することを目的としております。区といたしましては、この条例に先立ちまして、東京都が実施しているモデル事業を活用し無電柱化を進めておりますけど、条例制定を機に実施される関連施策が追い風となりまして無電柱化に対する機運が高まることが期待されるなど、大変有意義であると考えております。
次に、豊島区の特定を生かした地上機器の扱いについての御質問にお答えをいたします。
地上機器の設置位置につきましては、道路幅員の狭い区道において最大の課題ではないかと思います。御指摘のとおり、地上機器の用途や形状を工夫することで、住民の皆さんが受け入れやすい整備を行う必要があると考えております。例えば、巣鴨地蔵通りの街灯には旧中山道の風情を思わせるような意匠が施されておりますが、地上機器にも同様のラッピングを行うなど、景観を損なわない仕様について検討をしております。
次に、新技術を活用した工期短縮、コスト削減の取り組みについての御質問にお答えをいたします。
御指摘の技術は、地中レーダーを利用することで道路を掘り返さずに既設管路の位置を特定するもので、試掘調査の箇所の数を減らして工期短縮やコスト削減につながるものと考えております。また、得られたデータの三次元化により、地下の埋設状況を視覚的に把握できるというメリットもあります。こうしたメリットを確認するため、巣鴨地蔵通りでモデル的に採用したいと考えておりまして、本定例会に補正予算を計上をしております。
次に、区内全域で無電柱化を実現するための区による条例の制定についての御質問にお答えをいたします。
無電柱化は、住民の方々から大変期待も大きく、早期実現が望まれている事業であります。今後は、先行実施しております「巣鴨地蔵通り」と「学習院椿の坂」で得られたノウハウをもとに区内全域に事業を展開していきたいと考えております。また、御指摘のとおり、その過程においては、「豊島区無電柱化推進条例」の制定も視野に入れながら、スピード感を持って効果的に事業を進めてまいりたいと思います。
辻議員がお話ししたように、10月1日から路上障害物による通行の障害の防止に関する条例を施行をいたします。昨日、池袋の西口繁華街で地元の方20名、警察署長を初め20名、そして区の職員が何と63名参加をいたしまして、合計103名でパトロールを行ったわけでありまして、区は、これまで地域の皆さんとともに池袋を訪れる方々が怖い、暗い、汚いと言われた環境を改善していくために、平成9年から実施をしておりました空き缶の「ポイ捨て防止」、そしてたばこの吸い殻を加えた「路上喫煙防止」、これは平成23年制定でありますけど、活動や、あるいは平成24年からは「客引き防止条例」等々、まさに環境浄化パトロールが取り組んでおります、このまちの許さない三つの条例というような形で、昨日はそのようなことを主体にしながら、パトロールを行ったわけでありまして、私は、このたびの違法看板を禁止する条例の施行を機にいたしまして、今申し上げたような三つの防止条例、禁止条例をあわせたキャンペーンをこれから積極的に行い、まさに安全で安心できるまちとなるように取り組んでまいりたいと思いますが、本年がWHOセーフ・コミュニティ国際認証5年目で、再認証のときでございます。この安全・安心のセーフ・コミュニティ、まさに辻議員から、たしか一般質問から始まって、これらのセーフ・コミュニティが着実に進展をしているのではないかと思っております。今まで以上に、まさに安全・安心できるまちに積極的に取り組んでまいりたいと思います。
2019年には、都内で初めての
東アジア文化都市としてのさまざまな文化事業の実施が予定をされておりますし、また、2020年には
東京オリンピック・パラリンピックの開催によりまして、国内外からさらに大きくの観光客をお迎えすることになるわけでございますので、それだけに区民の皆様のお力をかり、また、区内の3警察署を初め各行政機関や、あるいは商店街連合会あるいは町会連合会とも連携をしながら、まさに「オールとしま」で新しい安全・安心な、世界に誇れる美しいまち「としま」の実現に向けて、全力を傾注してまいりたいと思います。
次に、子育て支援についての御質問のうち、まず、訪問型病児保育利用料助成事業の利用状況及び助成の拡充についての御質問にお答えをいたします。
訪問型病児保育利用料助成事業は、昨年の7月から始めた事業でありまして、昨年度の利用状況は、利用児童数が51名、利用延日数が144日、1人当たりの平均利用日数は2.8日となっております。保育園に子どもを預けていても、病気の場合は園に預けることができないために、子どもの預け先を確保しなければならないわけであります。仕事や介護に支障を来さないためにも、病気のお子さんを安心して預けられる環境を整備することは大変重要であると考えております。
そこで、今後の事業の改善のため、現在、昨年度この事業を利用した世帯にアンケート調査を行っております。調査結果を見ますと、年間で12回以上利用しているケースや費用が40万円ほどかかっているケースも見受けられるわけであります。本事業をさらに利用しやすくするために、利用制限の撤廃と助成額の引上げの実施について、他の施策との優先度も考慮しながら来年度に向けて検討してまいりたいと思います。
次に、医療機関と連携した病児保育施設の開設への積極的な取り組みについての御質問にお答えをいたします。
病児保育施設の開設につきましては、なかなか実現が難しく、その理由は、施設の改修が必要になること、看護師等の配置基準を満たす必要があること、体調の変わりやすい乳幼児が対象となりますので、実施主体が医療機関であることが望ましいこと、需要の予想がしにくいことなどがあるわけであります。
こうした状況にあっても、区は、平成27年度から施行いたした「子ども・子育て支援事業計画」の中で、病児保育への対応は訪問型病児保育利用料助成事業により対応することとしております。しかし、子育て世帯の中には、お住まいの住居の関係で訪問型病児保育を利用しづらい方もいらっしゃると考えられ、区としては、やはり病児保育施設の確保が望ましいのではないかと考えているわけであります。
そこで、既に病児保育を実施している医療機関に対しましては、病児保育も実施できないかと本年7月に打診をいたしましたところ、実施の可能性があるとの認識を得ました。現在、来年4月から病児保育を実施するための協議を当該医療機関と進めております。これからも当区の女性にやさしいまちづくりに向けて積極的に取り組んでまいりたいと思います。
私からの答弁は以上でございますが、そのほかの質問につきましては、両副区長並びに危機管理監から答弁をいたします。
〔水島正彦副区長登壇〕
○副区長(水島正彦) 栄養パトロールについての御質問のうち、まず、高齢者のフレイル対策の現在の取り組みについての御質問にお答えいたします。
日本語では「虚弱」と訳されるフレイルという用語・概念が近時注目され、関心を集めておりますが、本区においては、現行の「健康プラン」には、ロコモティブ・シンドロームについては記載されておりますが、フレイルについては明記してございません。フレイル対策は、身体面の機能低下に加えて、認知機能低下や鬱傾向などの精神面、ひきこもりや個食などの社会とのつながりの低下といった複数の要因が関連するものと捉えております。今後、多くの職種が係る多面的な取り組みが必要ではないかと認識いたしております。既に、高齢者総合相談センターでの地域ケア会議などでは、そうした多職種による取り組みが始まりつつありますが、今後はフレイルという概念を共有化するとともに、一層の連携強化を図り、また、健康プラン改定時にはフレイル対策について明記をいたします。
次に、栄養パトロールの要素を取り入れた相談・訪問事業及び区の特性を生かした実施についての御質問にお答えいたします。
御質問の津市における取り組みは、津市全域ではなく、特に高齢化率の高い美杉地区での、いわばモデル実施的な取り組み事例として拝聴いたしましたが、美杉地区の高齢化率は56.3%に及び、津市の中でも過疎化が進み、交通や医療の面で多くの行政課題が重なっている地域において巡回栄養相談を行い、その相談の開設場所に来られない方に訪問も行うという仕組みと受けとめました。
日本一高密な豊島区と美杉地区は行政課題が多くの面で異なりますので、これを直ちに本区で導入できるかは検討を要しますが、低栄養リスクを御本人に御理解いただいた上で、さまざまな専門職が支援するという面では、先ほど申し上げましたフレイル対策の取り組みに生かせる面もあるのではないかと考えております。
次に、地域包括ケアシステムの構築段階での多職種連携や、地域資源等を最大限に生かした取り組みについての御質問にお答えいたします。
津市での事業には、厚生労働省の「高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進」に位置づけられた予算を活用しているようでありますが、後期高齢者医療広域連合を通じての補助スキームになっております。本区で実施する場合の財源の確保については、今後の検討課題にせざるを得ませんが、財源はともかくといたしまして、本区が積み重ねてきた地域包括ケアシステムの構築段階での多職種連携や地域資源等を最大限に生かした取り組みを活用して、高齢者の特性にしっかりと対応した福祉と保健の取り組みをしていくことは検討の余地があるかと考えますので、研究を深めてまいります。
次に、サプリメント等の健康食品の高齢者への正しい情報の提供についての御質問にお答えいたします。
サプリメントや健康食品は、栄養が不足している場合に正しく利用すれば栄養補給に役立つものであります。しかし、御質問にありますように、さまざまな情報があふれている昨今、紛らわしい表現・表示の商品広告も見受けられます。
例えば、ヒアルロン酸は、関節に直接注射するなどの治療には効果がありますが、飲んで効果があるというデータはなく、また、コラーゲンは口から摂取するとアミノ酸に分解され、さまざまな体の材料とされ、そのまま皮膚のコラーゲンになっていくわけではないことなどが、東京都健康長寿医療センター研究所が発行しております「健康長寿新ガイドライン」に書かれております。
そもそも「食品」に位置づけられる健康食品やサプリメントは、医薬品とは異なり、「生活習慣病の予防に」ですとか、「アレルギーを緩和する」などの表示は認められておりません。薬剤師会などにも協力していただきながら、区民の皆様にわかりやすくこうした情報をお伝えすることも区の大事な取り組みの一つではないかと考えておりますので、今後積極的に情報提供してまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でございます。
〔宿本尚吾副区長登壇〕
○副区長(宿本尚吾) 延焼防止対策についての御質問のうち、まず、木造住宅密集地域における不揃いの瓦のある建物の存在についての御質問にお答えをいたします。
平成26年度の不燃化特区事業の開始に当たりまして、木造住宅密集地域の建物約1万9,000棟につきまして、構造や建築年数などの状況を調査いたしました。その結果、昭和初期に製作された屋根瓦が使用されていると推測される建築物は、全体の約0.1%程度となっております。これは、現在の屋根瓦の状況を直接調査したものではございませんが、このような状況から、御指摘のような古く不揃いの屋根瓦の存在につきましては、その数は極めて少ないものと考えております。しかしながら、万が一そのような瓦が見つかった場合には、所有者に改修を促すなど、積極的に対応してまいります。
次に、木造住宅密集地域における不燃化対策と居住環境の向上に向けた取り組み状況及び今後の推進に当たっての決意についての御質問にお答えをいたします。
豊島区の木造住宅密集地域対策は、昭和58年から居住環境総合整備事業を導入し、主に公園の整備、道路の拡幅などの基盤整備を行うことで居住環境の整備とともに防災性の向上を図ってまいりました。
平成26年度から不燃化対策として、「不燃化特区事業」を4地区で開始し、老朽建築物の建て替え支援を実施しております。これに加えまして、平成27年度からは、延焼遮断帯の形成を目的とした「都市防災不燃化促進事業」を導入し、特定整備路線沿道の建て替えを推進してまいりました。どちらの事業も東京都が行っております特定整備路線の進捗と相まって申請件数は順調に増加しておりますので、着実に不燃化が進んでいると考えております。今後も、目標であります不燃領域率70%の早期実現を目指し、継続して事業に取り組んでまいります。
なお、事業を進める際には、地域の方々との対話を通じ、御理解と御協力を得ながら、地域特性に応じた、きめ細やかなまちづくりに積極的に取り組み、災害に強く安心して暮らし続けられる居住環境の整備を進めてまいります。
私からの答弁は以上でございます。
〔今浦勇紀危機管理監登壇〕
○危機管理監(今浦勇紀) 延焼防止対策についての御質問のうち、まず、関係機関や民間団体との災害時の連携についての日ごろからの取り組みについての御質問にお答えいたします。
大規模災害発生時には、区のみでは十分な措置や対処はできません。そのため東京都、警察、消防、自衛隊などの関係機関や、さまざまな民間団体との連携や協力は必須の条件であります。例えば、トラック協会には輸送車両を、また、建設機器のレンタル事業者には、救援センター運営から道路啓開に至るまで、災害時に必要となるさまざまな物品や機材を提供していただくなど、災害対応においては民間団体の協力が不可欠です。
こうしたことから、区は、地域防災計画の中で、関係機関からの連絡員の受け入れや協定を締結している民間団体への協力要請など、関係機関や民間団体との協力内容等を具体的に定めております。さらに、ライフラインを含む各種事業者等に総合防災訓練や帰宅困難者対策訓練に参加していただくなど、日ごろから顔の見える関係を築くとともに、災害時の連携の方法や手順の確認を重ねているところであります。
次に、感震ブレーカー設置助成の実施概要と今後のスケジュールについての御質問にお答えいたします。
まず、事業の実施概要でありますが、火災延焼の危険度が高いと想定されている木密不燃化10年プロジェクトの対象地域のうち、特に火災延焼の危険が大きい地域に重点を置いて事業を展開してまいります。
具体的には、池袋本町三丁目及び四丁目を対象とし、補助対象者は、耐火造を除く住宅に居住する方またはその住宅を所有する方としております。また、助成対象となる機種についても、国の性能評価などがなされている三つの機種を指定しています。そのうち、鉄球の落下によるブレーカーを落とす簡易型については、無償で配布し、それ以外の2機種については、それぞれ上限を設けた上で購入金額に応じて、半額または3分の2を助成することとしております。
本事業は、9月1日からスタートしており、対象となる住宅へはシルバー人材センターに委託してチラシの全戸配布を行っているところであります。来年度以降も「不燃化特区助成対象地区」の中で、逐次、対象地域を広げてまいります。
次に、隣接する複数の建物で連動する火災警報器の設置についての御質問にお答えいたします。
家庭用火災警報器が義務化された当初から、複数の子機が連動して当該家屋での火災を検知する製品は既に市販されておりましたが、一般的なものに比べて、価格が高いなどの理由もあり、普及するには至っていないのが現状です。区としましても、以前からその有用性については認識しているところであり、消防署が主催する「住宅防火等推進協議会」など、区や関連団体、町会などの出席する会議の中で、積極的に子機連動型の機器についても紹介をし、啓発に努めているところであります。
なお、御質問にありました総務省消防庁のモデル事業は、現在、全国36地区を選定し終えた段階であると確認しておりますが、区といたしましては、隣接する複数の建物で連動する火災警報器は、技術的な検証も未だ途上にあるため、今後、総務省消防庁の事業の成果に注目してまいります。
次に、住宅用火災警報器の点検、電池交換の区民の皆様への周知についてと、消火器設置後の点検の区民の皆様への呼びかけについての御質問にお答えいたします。
住宅用火災警報器の点検と電池交換の区民の皆様への周知に関しましては、これまでも区は消防署と協力して、機会を捉えて住宅用火災警報器の点検や電池を含む機器の取り換えについて周知・啓発に努めてまいりました。しかしながら、今後ますます住宅用火災警報器の電池切れや、製品の経年劣化による不具合などが多くなることが予想されるため、訓練やイベントなどの周知に加えて、広報やホームページ、安全・安心メールなどを活用して、より一層の広報に努めてまいります。
また、消火器設置後の点検の区民の皆様への呼びかけについても、区では、地域防災訓練時の初期消火訓練や防災講話の際に、消防署や消防団と協力し、その使い方とともに適切な入れ替え時期などについても周知、啓発について努めてまいりました。今後も、あらゆる機会を捉えて周知徹底に努めてまいります。
次に、木造住宅密集地域での大規模火災が発生した場合の周知及び避難行動要支援者への呼びかけの現在の取り組み状況についての御質問にお答えいたします。
木造住宅密集地域が区の面積の4割を占める豊島区にとって、糸魚川市の大火は、御指摘のとおり、「対岸の火事」ではありません。豊島区は、地域防災計画の中で、大規模災害発生時の避難体制について、区や警察、消防の具体的な活動要領を定めております。
具体的には、区が防災無線や戸別受信機による情報伝達を行うほか、広報車による呼びかけを行います。これに加え、警察は、直接対象地域の居住者の避難呼びかけを行うほか、ヘリコプターによる上空からの避難の呼びかけを実施することになっております。また、消防署は、消防車両などで避難の呼びかけを行うとともに、消防団による避難誘導も実施することとなっており、区と関係機関が連携して区民の皆様を安全な場所へ誘導することとしております。
こうした中で、避難行動要支援者の避難に関しては、町会や民生委員の皆様とも、「災害時要援護者・避難行動要支援者名簿」を共有し、対象者への呼びかけや支援をお願いしているところであります。今後も、共同訓練等を通じて関係機関との関係の強化に努めてまいりますとともに、合同防災訓練や町会を対象とする研修等を通じて避難行動要支援者の避難に関する御理解と御協力をお願いしてまいります。
以上をもちまして、辻薫議員の御質問に対する答弁を終わります。
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○議長(木下 広) この際申し上げます。
議事の都合により、暫時休憩いたします。
午前11時50分休憩
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午後1時12分再開
○副議長(大谷洋子) 休憩前に引き続き会議を開きます。
議長の都合により、副議長の私が議長職を務めますので、よろしくお願いをいたします。
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○副議長(大谷洋子) 一般質問を続けます。
次に、10番議員より、「いのち、くらし、平和を守り、子どもたちの未来に責任をもつ豊島区に」の発言がございます。
〔清水みちこ議員登壇〕
○10番(清水みちこ) 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、「いのち、くらし、平和を守り、子どもたちの未来に責任をもつ豊島区に」と題し、次の5点について一般質問を行います。1、平和行政に対する区長の認識について、2、子どもの貧困対策と子育て支援について、3、住宅対策について、4、池袋西口公園整備事業について、5、その他として眼科検診についてです。
まず、第1の質問、平和に対する区長の認識についてです。
9月3日、北朝鮮が6回目となる核実験を強行しました。8月29日の弾道ミサイル発射に続く暴挙です。北朝鮮が国連安保理決議などへの違反であるとともに、国際社会が「核兵器のない世界」へ向けた新たな前進を目指しているもとで、これに真っ向から挑戦する重大な行為です。国際世論を無視し、世界と地域の平和と安定を脅かす危険な軍事的挑発を繰り返すことを北朝鮮はやめるべきです。9月11日、国連安保保障理事会は北朝鮮に対する新たな制裁決議を全会一致で採択いたしました。同時に、決議は対話による平和解決を強調しています。しかし、安倍首相は、北朝鮮に対し軍事的圧力を強めることを示唆するばかりで、一向に対話に踏み出そうとしていません。こうした安倍首相の態度は絶対に許すことはできません。
ことし、国際社会は核兵器廃絶へ向け大きな一歩を踏み出しました。7月の国連会議で国連加盟国の3分の2の賛成により採択された核兵器禁止条約は、人類史上初めて核兵器を違法化した画期的な条約です。日本共産党は、志位和夫委員長を団長に、第1、第2会期とも国連会議に参加し、被爆国日本の国民の声を届け、禁止条約実現に力を尽くしました。8月の広島市、長崎市の平和記念式典では、松井一實広島市長、田上富久長崎市長は、ともに「平和宣言」の中で日本政府に禁止条約への参加を求めました。しかし、安倍首相はいずれも禁止条約にはふれず、その後の記者会見で改めて禁止条約に背を向ける姿勢を示しました。被爆国として恥ずべき姿です。
豊島区は、23区で最初に非核都市宣言を行い、ことしは宣言35周年の記念の年です。今回の北朝鮮の核実験及び弾道ミサイル発射に対し、核実験翌日の9月4日付で区長名で抗議文を、豊島区議会も同日付で抗議と核兵器及び核開発の即時放棄を求める要請書を北朝鮮に送りました。これまで米国などの核実験に対しても抗議文を送っています。
そこで質問です。これまで豊島区はさまざまな先進的、積極的な平和行政を進めてきました。その立場からも、区長として平和を希求する区民の声に応え、政府に対して核兵器禁止条約に参加、批准することを求めるべきです。いかがでしょうか。
次に、「平和教育」について質問します。
核兵器禁止条約の前文には、現在、将来の世代に対し、核兵器のリスクや結末に対する自覚を促すため、軍縮教育に加え、「平和教育の重要性を認識する」との文言が入りました。豊島区は、ことし非核都市35周年記念事業として、かねてより我が党が要望していた広島の平和記念式典に中学生を各校の代表者2名ずつ、計16名を派遣しました。かつて本区では、平和に関する教育の充実、平和のとうとさを認識させるなどとして、中学生を広島の平和記念式典に派遣してきました。ところが、1996年から派遣する生徒の選考の難しさと経費等の負担を理由に中止してしまいました。
そこで質問です。区長として、平和記念式典に参加した生徒の変化、成長など、派遣事業についてどのように総括しているのか、お答えください。同様に、教育委員会としての総括についても明確にお答えください。その上で、1996年から長く途絶えていた中学生の広島・平和記念式典への派遣を、ことしだけの周年記念事業ではなく継続して行うべきと考えますが、いかがですか。また、各校では、代表者が校内で報告会を行うと聞いております。本事業を生かし豊島区から平和を発信するためにも、生徒たちの貴重な体験を広く豊島区民に知らせる報告会を開催すべきと考えますが、いかがですか、お答えください。
次に、第2の質問、子どもの貧困対策と子育て支援について質問いたします。
1つ目は、教育における私費負担の軽減、就学援助の拡充についてです。日本の子どもの貧困をめぐる状況は依然深刻です。厚生労働省が6月末公表した国民生活基礎調査で、子どもの貧困率は2015年13.9%、約7人に1人の子どもが「貧困ライン」を下回っています。さらに、ひとり親世帯の貧困率は50.8%と主要国では最悪の水準です。ところが、安倍政権は貧困と格差をさらに広げる「アベノミクス」を推進しています。
私は、これまで就学援助の支給額が実態とかけ離れていることを指摘し、一般質問や予決算特別委員会などで繰り返し増額を求めてまいりました。中でも、入学支度金の支給額は、小学生は2万3,890円、中学生は2万6,860円と実態に遠く及びません。ことし3月末、文科省は「平成29年度要保護児童生徒援助費補助金について」の通知を都道府県教育委員会に出しました。通知では、要保護世帯の小中学生への「入学準備金」の増額と、支給時期は小学校入学前も可能だとしました。支給額は、小学生が4万600円、中学生が4万7,400円支給へと前年度比で倍増しました。これは保護者の切実な声と粘り強い運動、我が党が国会や地方議会で「必要な額を必要な時期に」と改善を求めてきたのを受けた結果です。前回の森議員の一般質問でこの文科省通知を示して増額を迫ったのに対して、区は、相変わらず「都区財調単価から算定」と拒否し、「都区財調単価の算定改善について、今後、財政課を通じて要望する予定」と言いわけに終始しております。
一方、他区では、文科省通知を受け、早速増額へと動いているのです。23区では、中央区が区独自加算で小学生4万3,890円、中学生7万6,860円と国基準を大きく上回る額を支給、文京区は国基準を支給しています。お隣の新宿区は、今春入学の家庭に増額分を12月上旬に支給するため補正予算を組むとしています。さらに、足立区、町田市などでも来年度の増額へ実施検討に入っております。このように他の自治体では、次々と独自に増額支給へと踏み切っているのです。まさに区長の姿勢こそが問題なのです。区長は、よく「区政運営の基本は福祉と教育」と言っているではありませんか。その言葉どおり補正を組んででも文科省通知に従い、直ちに入学支度金の増額をすべきです。いかがですか、お答えください。
次に、支給時期についてです。私は、本当に必要な時期にと入学前支給を求めてまいりました。そして今年度の中学校新入学生から入学前の支給に踏み切ったことは大きな前進です。しかし、小学校入学支度金は相変わらず入学後支給のままです。私が、予算特別委員会で小学校入学前支給を求めたのに対して、区は「先行して実施している自治体の研究をして検討中」と答弁、文科省通知後であっても、「保護者のニーズを受け止めつつも、システム改修や体制上の課題を整理し、検討してまいります」と答えるだけです。中学生と同様に小学校の入学前支給の必要性は、国も認めているからこそ通知を出しているのにです。
今まさに家庭の経済的事情で入学準備ができない子どもたちが目の前にいるのです。その子どもたちに対して言いわけばかりで、「検討中」「待っていろ」とはひど過ぎます。既にお隣の新宿区、武蔵野市、武蔵村山市、西東京市、あきる野市、小平市、日野市などで入学前支給が決定しております。区長の判断は余りにも遅すぎると言わざるをえません。未来を担う子どもたちのために直ちに実施すべきです。いかがですか、お答えください。
次に、「給食費の無償化」についてです。これまでも我が党は繰り返し、「義務教育は無償が原則、保護者の負担軽減からも給食費を無料化すべき」とただしてきました。それに対し教育委員会は、「給食費は受益者負担が原則」と冷たく背を向け続けています。早く無償化へ踏み出すべきです。
給食費無償化の流れは確実に進んでいます。7月に行われた東京都議会議員選挙では、我が党だけでなく、自民党、公明党、民進党が「給食費無償化」を選挙公約に掲げました。我が党都議団は、公約実現、給食費無償化へとさらに一歩でも前進させるために、公立小中学校と特別支援学校の児童生徒1人当たり月額1,000円を助成する給食費助成を条例提案したところです。現在、都内で公費補助を行っているのが、23区では文京区、板橋区、墨田区、荒川区、足立区、葛飾区など10区、府中市、調布市、狛江市など16市町村もあります。3月の予算特別委員会で私が「無償化しないと言うなら、保護者の負担軽減について検討しているのか」と質したのに対して、教育委員会は、「1食当たりの単価への補助」「葛飾区等で行っている第3子に対する援助などを参考にして検討してまいりたい」と答弁しています。では、どのような検討がなされたのでしょうか。直ちに補正を組んででも補助すべきですが、いかがでしょうか、お答えください。
次に、移動教室、林間学校、修学旅行等への公費補助の拡充についてです。
これまでも私は、負担が重い移動教室、林間学校、修学旅行等の公費補助の拡充を求めてきました。その結果、本年度より林間学校の宿泊費半額補助が創設され、移動教室、林間学校ともに交通費全額、宿泊費半額補助となったことは大きな前進です。ところが、一部の学年で私費負担がふえていることがわかりました。今年度より小学6年生の日光移動教室が再開され、それに伴い小学4年、5年生も行き先変更となりました。小学5年生は山中湖から立科への変更で、私費負担は昨年度の7,135円から1万2,836円と5,701円増、昨年の1.8倍にもなってしまいました。
そこで質問です。助成率が上がっても実際の私費負担がふえたのでは意味がありません。実際の私費負担額を減らし子どもたちが安心して参加できるよう、宿泊費を半額から全額補助へ、そしてその他費用への補助も拡充すべきと考えますが、いかがでしょうか。
さらに、中学3年の修学旅行は、一番費用が高いにもかかわらず全額保護者負担です。過去には2000年まで1人当たり7,500円の交通費の補助がありました。しかし、2000年に財政難を口実に廃止してしまったのです。しかし、今、区長は財政を立て直したと胸を張っているのではありませんか。にもかかわらず、昨年第4回定例会で交通費補助の復活を求めた私の一般質問に「公費補助を行っているのが2区のみという現状を踏まえると、当面は復活は考えていません」という大変冷たい答弁でした。他区の状況を踏まえている場合ではないのです。財政難を理由に廃止したのではありませんか。
そこで質問いたします。義務教育は無償が原則です。本来なら全額補助すべきです。財政を立て直したと言うのであれば、まず、真っ先に修学旅行の交通費補助の復活をすべきではありませんか。またさらに、子どもたちのために公費補助を拡充すべきですか、いかがですか、お答えください。
子どもの貧困対策の最後は、ひとり親家庭の児童扶養手当について質問いたします。
あるシングルマザーから「必死で働いているのに、少しでも収入がふえれば児童扶養手当を減らされてしまう、結局、頑張って働いても使えるお金は同じ。さらに、住民税が非課税から課税になると、今まで無料だったマル親の医療費が1割負担になるし、学童も無料から半額の2,000円負担になった、具合が悪くても病院に行くのを躊躇する、半額でも苦しいので学童はやめたい、幾ら働いても楽にならない」というお話を聞きました。別のシングルマザーは、「離婚してとりあえず実家に戻ったが、児童扶養手当は実家の親の年金まで計算されてしまうので、驚いた。本当は自立したいが、これでは無理、子どもと肩身の狭い生活を続けている」といった声も聞かれます。結局どんなに頑張って働いても貧困から抜け出すことができず、貧困の連鎖が断ち切れない原因の一つとなっているのです。
そこで質問です。まず、貧困の連鎖の原因の一つでもある児童扶養手当の所得制限の大幅な引き上げが必要です。また、もともとの支給額が低過ぎます。支給額の増額もあわせて国に強く求めるべきと考えますが、いかがですか、お答えください。
また、国の制度である「ひとり親家庭等医療費助成」も拡充が必要です。この制度は、申請者及び扶養義務者等の全員が非課税の場合は外来医療費は自己負担なしですが、課税されている方がいる場合は外来1割負担となります。1割負担でもひとり親家庭にとっては本当に大きな負担です。ひとり親家庭は家計を1人で支え、経済的にも精神的にもぎりぎりの生活を送っている世帯がほとんどです。そういう方たちの負担を少しでも減らし、安心して医療を受けられるために所得制限を撤廃すべきと考えますが、いかがですか、お答えください。
第3の質問は、住宅対策についてです。10月から、法改正に伴い「新たな住宅セーフティーネット制度」が開始されます。区は、法改正に伴う対応として、既存の「高齢者世帯等住み替え家賃助成事業」の対象者をこれまでの高齢者、障害者、ひとり親世帯に加え、18歳までの子どもを養育する世帯、低所得者世帯にも拡充しました。拡充されることは一歩前進と言えます。しかし、転居後家賃と基準家賃の差額の一部、月額1万5,000円、最長5年間の支給にとどまっています。例えば、18歳までの子どもを養育する世帯が5年後に家賃助成を打ち切られたらどうでしょうか。子育ては子どもが成長するとともにお金がかかるのです。5年後は今よりもっと子どもにお金がかかるのに家賃助成が打ち切られたら、たちまち生活に窮するのは目に見えています。家賃が払えず退去せざるを得なくなります。高齢者世帯、障害者世帯、低所得者世帯も同様です。一見、対象を広げ制度を拡充したかに見えますが、厳しい現状を5年間先送りしただけで、抜本的な対策にはなっていません。
そこで質問です。「住まいは人権」です。本来、住宅対策は一時的な応急策ではなく、定住化を目的とした施策でなければなりません。住宅確保要配慮者への経済的支援と言うのならば、この際、制度そのものを見直すべきと考えます。助成額の増額とあわせて支給年限の撤廃など拡充をすべきです。いかがですか、お答えください。
そもそも区民が求めている低廉な家賃の良質な公営住宅の絶対的な不足があります。安心して住み続けられる区営住宅、福祉住宅など公営住宅がますます必要になっているのです。公営住宅の増設こそ喫緊の課題です。公営住宅の増設計画を直ちに立て、増設すべきです。いかがですか。
今回、国の制度が限定的なのが一番の問題であり、区としてやらなければならない家賃補助制度の拡充についても質問いたします。
現在、子育てファミリー世帯への家賃補助制度がありますが、不十分な制度です。住宅確保要配慮者以外にも早急に家賃助成制度の拡充が求められています。現状のファミリー世帯への家賃助成制度、安心住まい提供事業の要件や所得制限を緩和し、支給額の増額、支給年数を大幅に拡充することが必要です。あわせて住み替えを前提としない生活困窮世帯への家賃助成制度も創設すべきと考えます。いかがですか、お答えください。
次に、第4の質問、池袋西口公園整備事業についてです。
9月15日の副都心開発調査特別委員会で「池袋西口公園整備事業について」の報告がありました。公募プロポーザルで基本計画策定事業者が三菱地所設計とランドスケープ・プラスの共同企業体に決定したことや、全体スケジュールなどが報告されました。しかし、大規模なパース図を発表しながらも全体スケジュール以外は不明な点が多く、区は説明責任を果たしているとは言えません。老朽化した公園を整備するのは良いことですし、否定するものではありません。しかし、余りにも不明な点が多過ぎるのではないでしょうか。
1つ目は、「公募プロポーザル」という手法についてです。資料によると、今回、公募プロポーザルに8社の応募があり、1次審査で7者の書類審査、2次審査で4者のヒアリングの上で受託業者を決定したとあります。しかし、受託業者以外の応募者がどこなのか、どのような提案をし、どのような採点がされたのかについては公表されておりません。そのことについて質しても、「豊島区プロポーザル方式実施取扱要綱」に基づいて適正に行った、どの提案もすばらしかったが、この提案が一番だったと言うだけでは、透明性、公平性が全くなく、まさに「藪の中」ではありませんか。区民へしっかりと説明責任を果たすためにも、各者の提案内容など必要な情報は公開すべきです。それができないなら、区民の利益を守るためにプロポーザルという手法はふさわしくなく、やめるべきです。いかがですか。
2つ目は、「事業費」についてです。5月15日、公募プロポーザル前の副都心特別委員会で私が事業費についてただすと、「まだ決まっていない」「まったくの白紙」という驚くべき答弁でした。そして基本計画策定事業者が決定しても、なお事業費は「決まっていない」「基本計画を進める中で積み上げていく」という曖昧な答弁を繰り返すだけです。「上限があるのか」と質しても、「上限というのもまだ出ていない」というのでは、裏返せば、事業者任せで幾らでも出すということではありませんか。これまでも同じプロポーザル方式の旧庁舎・公会堂跡地の新ホールは、買い取り価格、維持管理経費が当初よりも大幅に跳ね上がっていったではありませんか。この事業は民間事業ではないのです。区民の大切な税金を使う公共事業という認識、自覚がなさ過ぎます。余りにも無責任、無計画な事業と言わざるを得ません。区長の御答弁にあった「緻密な計画」というのであれば、事業費、財源、維持管理経費について明確にお示しください。
3つ目は、「区民合意」についてです。本事業は、「西口公園を劇場公園として整備する」として、大規模な野外劇場、観光案内所を設置する計画があり、公園自体が大きくさま変わりする内容です。最近は半ばイベント会場化しておりますが、これで明確に公園の目的を変えようという事業ではないですか。多額の税金をつぎ込み、目的も変えるのです。整備検討会だけ、地元だけでなく、全区的な区民合意が必要です。
さらに、本公園の歴史的な経緯もあります。もともとこの場所は学芸大学跡地で、民間のバスターミナル計画が出ていたところに都有地であることが判明し、ぜひ都民、区民のための文化芸術施設にと、区民、芸術家、関係者の運動とあわせて今の形になった経緯があります。当時、世界的、全国的に著名なオペラ歌手、音楽家、芸術家自らが区民とともに街頭に立ち、署名を集めたと聞いております。区民の手でつくり上げた公園です。区民合意なく本事業を進めることはできません。では、区民合意をどのようにとるのか、明確にお答えください。
最後に、「公共性」についてです。言うまでもなく公園は公共施設です。広く一般に公開され、憩い、遊びを楽しむ公共施設です。また、防災上の観点からも重要な役割を果たします。本整備事業において、今後どのように「公共性」を担保していくのか、お答えください。
この事業は、池袋西口の顔である本公園を整備する大きな事業です。今年度の解体改修工事だけで設計費570万円、工事費に当初予算5,000万円計上しています。パース図のような施設を本当につくるのなら億単位になるでしょう。全て区民の税金で行うのです。区民が苦しい生活を送っているのを重々承知しながら、区民のくらし、いのちを守る施策の拡充はどんなに提案してもやらない。一方で、事業費も示さず、区民への説明責任、区民合意もなく多額の税金を投入する事業をどんどん進める。また、今回のように議会より先9月6日にプレス発表する。効果的なプレス発表にするためにと議会より優先させる。まさに区民無視、議会無視のやり方ではありませんか。今、国政でも安倍首相の「森友・加計問題」「国政私物化」が大問題になっています。これでは「区政の私物化」と言われても仕方がありません。そうでないというなら、区民が納得できるよう明快な答弁を求めます。
次に、第5の質問、眼科検診についてです。
眼科検診については、これまでも我が党は繰り返し実施を提案してきたところであります。以前に指摘したとおり、緑内障に伴う高眼圧、視野狭窄は検査をして初めてわかることであり、40歳以上の日本人には20人に1人の割合で緑内障患者が存在して、気がつかずに過ごしている方が大勢いるそうです。いずれにせよ早期発見が大切ということです。周りの北区、中野区、板橋区、練馬区で眼科検診が行われています。
そこで質問です。3月の予算特別委員会で垣内議員の質問に区長は「眼科検診をやる方向で考えてみたい」と答弁されました。その言葉どおり来年度からは予算に計上して眼科検診の実施を求めますが、いかがでしょうか、お答えください。
以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔高野之夫区長登壇〕
○区長(高野之夫) ただいまの清水みちこ議員の御質問に対しまして、お答えを申し上げます。平和行政に対する私の認識についての御質問のうち、まず、政府に対する核兵器禁止条約への参加、批准を求めることについての御質問にお答えをいたします。
御質問にもありますとおり、最近の北朝鮮の動きは看過できないものがあり、水爆実験の強行やたび重なる弾道ミサイルの発射については、強い憤りを禁じ得ません。今回もこうした思いから、水爆実験の報道のすぐ翌日に北朝鮮に対して、強い怒りの気持ちを示し、すぐに区民の皆さんを代表して抗議文を送りつけました。さらに、23区で統一した意見として、特別区区長会といたしまして初めて北朝鮮に抗議文を全区長が連名で出しました。
また、核兵器につきましては、世界で唯一の被爆国であります日本は、核の恐ろしさや悲惨さを、国内はもとより世界に訴え続ける必要があると考えております。今回、日本が核兵器禁止条約に参加しなかったことにつきましては、大変残念であります。しかしながら、国防や外交といったさまざまな観点を総合的に勘案した国の判断であることは理解するところでございますので、政府に対して条約への参加や批准を求めることは考えておりません。
次に、広島派遣事業の区としての総括についての御質問にお答えをいたします。
今回の訪問では、2日目の平和記念式典の後に参加した生徒の皆さん全員と一緒に話し合う機会がございました。生徒さんが、「平和の大切さを学ぶことができた」「核兵器の恐ろしさを知りました」「帰ったら皆様の代表で参列したのだからぜひ伝えたい」と話しており、派遣事業が平和について考えるよききっかけになっていると感じました。また、区内中学校8校の代表の皆さんが一緒に行動し、お互いによい交流ができ、大いに刺激になり、励みになりましたと目を輝かせておりました。
しかしながら、一方で、派遣前の説明会での参加や事前学習、また、今後、各学校で行っていただく報告会や報告書の作成など、受験を控えた生徒の皆さんに負担を強いているのではないかと懸念をいたします。当日は、教育委員会から教育部長以下、指導課、校長先生も同行をいたしました。
こうしたことから、広島派遣事業は平和事業としての一定の成果はあるものの、多くの課題があるものと考えております。今回は周年記念事業として行いました。私は、機会があるたびに広島・長崎と交互に式典に参加をしてまいりました。来年は、長崎に教育委員会と相談の上、本年度と同じように中学校生徒の代表の方と一緒に参加したいとも考えております。
次に、生徒たちの貴重な体験を広く区民に知らせる報告会の開催についての御質問にお答えをいたします。
先ほども御答弁申し上げましたとおり、参加した生徒さんは、今後、校内での報告会や報告書の作成などをお願いをしております。加えて、参加していただいた生徒さんは中学3年生と2年生お二人の合計16名でございまして、卒業式等の校内事業や受験などを勘案し、区民の皆さんへの報告会は考えておりません。
区民の皆様への報告につきましては、生徒の皆さんに作成していただいた報告書等を記念誌としてまとめ、区のホームページや図書館等の区有施設で見ていただけるよう進めてまいりたいと思います。
次に、池袋西口公園整備事業についてのうち、まず、公募プロポーザルでの提案内容の情報公開についての御質問にお答えをいたします。
池袋西口公園の基本計画の策定業務は、高度な創造性や技術力、さらには、専門的な経験を必要とするものであります。したがいまして、入札価格だけで評価する「一般競争入札」ではなく、「プロポーザル方式」が適していると考えております。
審査及び審査結果の公表については、「豊島区プロポーザル実施取扱要綱」に基づいて適正に行っております。また、提案内容につきましては、通常のプロポーザルにおいても公表されることは稀でありまして、必要に応じて、「プロポーザル方式による事業者選定情報に係る情報公開基準」に基づき公開することとしております。なお、この際、提案者の合意が必要であると考えております。
今回は、特に公園の劇場化という今まで取り組んだことのない提案でございますので、それぞれ一流の設計会社が大変な興味を示し、若手を中心にそれぞれの企業が総力を挙げての提案でございます。それだけに慎重に対応をしているわけでございます。
次に、本事業の事業費、財源及び維持管理経費についての御質問にお答えをいたします。
今後、提案内容をベースに、11月末を目途に基本計画を策定をいたします。その際、使用する材料や設備のグレードなどを決めて、概算工事費を算出することになるわけであります。基本計画がまとまった段階で、事業費、維持管理経費等を含めて速やかに議会に御報告をいたします。
次に、本事業を推進するための区民合意についての御質問にお答えをいたします。
池袋西口公園は、平成2年に東京芸術劇場の建築にあわせて再整備をされましたが、老朽化して改修を望む声が寄せられておりました。また、西口再開発事業の計画が進行している中で、池袋駅西口のにぎわいを先導する拠点として池袋西口公園の活性化を望む声が多く寄せられ、特に池袋東口の再開発に対して、西口の都市整備の遅れに危機感を持っております。このままでは東が表で、西口が裏と決定づけられると心配をしております。
こうした中、区といたしましては、池袋駅西口の新たなにぎわいを創出する東京芸術劇場の存在を位置づけた、劇場公園の整備に取り組むこととして、そのため地元の検討会を立ち上げたものであります。今後、基本計画がまとまった段階で区の考え方や整備内容、事業費等を地元の皆さん、区民の皆さんに御説明をさせていただき、そして御理解をいただきながら事業を進めてまいりたいと思います。
次に、本事業における公共性の担保についての御質問にお答えをいたします。
今回の提案は、常設の施設と仮設の施設を組み合わせることにより、池袋西口公園のこれまでの機能を損なうことのないよう配慮をされております。また、災害時においても、平坦なオープンスペースを活用して、帰宅困難者に対する救援物資の配給場所とするとともに、大型ビジョンを活用した情報発信を行うなど、防災広場としての利用可能な提案となっております。コンサート等が行われていないときであっても、魅力的な空間となるよう配慮して計画策定を進めてまいります。
次に、本事業のこれまでの進め方が、区民無視、議員無視、区政の私物化であることについての御質問にお答えをいたします。
私たちが事業を進めていくためには、区民の皆さんの御理解、そして議会の御理解をいただくことが前提となるわけであります。このことは本事業においても同様であると思います。現在、基本計画に着手した段階でありますが、今後、区民の皆さんにきちんと御説明できる内容の計画策定を速やかに進めてまいりたいと思います。基本計画を取りまとめ、その後、基本設計、実施設計へ進めてまいるわけでありますが、それぞれの段階で情報を公開することを通じて、区民の皆さんに御理解をいただき、そして議会の御理解をいただきながら事業を進めてまいりたいと思います。
振り返れば、区の最大事業でありました新庁舎の建設についても、反対、反対の中でもこれからの豊島区の将来を考えて、粘り強く、きめ細かく説明会をしてまいったわけであります。あの時、諦めていたら豊島区は将来消滅してしまうかもしれません。まさに新庁舎の建設から豊島区の活力が生まれてきて、国家的プロジェクトでもあります
東アジア文化都市の開催も決まり、新たな挑戦が生まれました。あの時の経験を生かして、これからも力強く豊島区政を推進してまいりたいと思います。
次に、来年度からの眼科検診の実施についての御質問にお答えをいたします。
高齢化が進む中で、生活の質にも大きな影響を招く眼科検診の意義は、私自身も感じております。近隣区での実施状況なども報告を受けておりましたので、主管課に対して早急に実現するよう指示を出したところでございます。
現在、30年度からの実施に向けて、豊島区医師会と協議を行っております。50歳・60歳を対象にと第1回の案として協議をしておりましたが、他区との兼ね合いから45歳・55歳とする方向で検討を重ねております。視力検査として屈折検査、矯正視力検査を行うほか、精密眼圧検査、精密眼底検査、眼底カメラなどを内容とする見込みでございますが、詳細は、引き続き医師会と協議をしてまいりたいと思います。
私からの答弁は以上でございますが、そのほかの質問につきましては両副区長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては教育長から答弁を申し上げます。
〔水島正彦副区長登壇〕
○副区長(水島正彦) 子どもの貧困対策と子育て支援についての御質問のうち、まず、児童扶養手当の所得制限の大幅な引上げ及び支給額の増額を国に強く求めることについての御質問にお答えをいたします。
児童扶養手当の制度につきましては、平成26年度に公的年金との併給が不可能だった取扱いから、その手当と年金との差額を支給する取扱いに制度改正が行われました。現在は、家計の管理をしやすくするため、支給方法を年3回から年6回へ見直す方向で検討が進んでいるとの情報もあります。このように、これまでも国では、児童扶養手当について実態を調査、把握し制度改正を行っておりますので、今後も必要に応じ制度改正がなされるものと思います。
また、一方、ひとり親家庭等を対象とした区単独事業の児童育成手当も支給しております。この手当は、児童扶養手当よりも所得制限額が高く設定されている実態もあります。したがいまして、児童扶養手当の所得制限の大幅な引き上げと支給額の増額については、現時点では国に求める必要はないものと考えております。
次に、ひとり親家庭等医療費助成の所得制限の撤廃についての御質問にお答えいたします。
ひとり親家庭等医療助成は、平成2年度に制度が創設され、東京都内の全ての自治体で実施しております。これらの自治体の事業内容を確認してみましたところ、所得制限を撤廃している自治体はなく、現在は、東京都全体で同一事業を展開していることがわかりました。こうした状況から、ひとり親家庭等医療費助成の所得制限の撤廃については、現時点では必要ないと考えております。
私からは答弁は以上でございます。
〔宿本尚吾副区長登壇〕
○副区長(宿本尚吾) 住宅対策についての御質問のうち、まず、「高齢者世帯等住み替え家賃助成事業」の助成額の増額及び支給年限の撤廃などの拡充についての御質問にお答えをいたします。
今定例会で補正予算に計上しております「高齢者世帯等住み替え家賃助成事業」では、対象者に子育て世帯や低額所得者を加え、国が定める住宅確保要配慮者との整合を図っております。また、取り壊しによる立ち退き以外に、死別・離別などの家庭環境の変化によって現在の住宅に住み続けることが困難な場合につきましても、対象に追加することとしております。
高齢化世帯等住み替え家賃助成事業は、立ち退きなどのやむを得ない理由により転居せざるを得ない場合の住宅セーフティーネットの確保を目的としております。制度の趣旨やこれまでの変遷、現在の運用状況、豊島区の住宅事情を踏まえれば、現時点では直ちに助成金額の増額や支給年限を撤廃する考えはございません。
次に、公営住宅の増設計画を直ちに立て増設すべきについての御質問にお答えをいたします。
これまでもお答えしておりますように、区内の住宅総数は世帯数よりも多く、民間賃貸住宅においては空き家が発生している状況であります。こうした豊島区の住宅事情を踏まえれば、公営住宅を新たに直接建設するのではなく、既存の民間賃貸住宅の利活用を積極的に図ることが効率的であると考えておりますので、公営住宅の増設計画を立てる予定はございません。
次に、ファミリー世帯への家賃制度などの所得制限の緩和、支給額の増額及び支給年数の拡大と、住み替えを前提としない生活困窮世帯への家賃助成制度の創設についての御質問にお答えをいたします。
子育てファミリー世帯への家賃助成制度の拡充につきましては、既存の家賃助成制度の見直し・拡充も含めまして、費用対効果などを考慮しながら慎重に取り組むべき課題と認識をしております。新たな住宅マスタープランの策定に向けた議論の中で総合的に検討してまいります。
なお、住み替えを前提としない生活困窮世帯への家賃助成制度の創設につきましては、現在の住宅に住み続けたままで、新たに家賃助成を行うという意味合いであるならば、生活困窮者に対する自立支援や住宅扶助を初めとする公的扶助で対応すべきものであり、住宅施策として実施することについては考えておりません。
私からの答弁は以上でございます。
〔三田一則教育長登壇〕
○教育長(三田一則) 引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関する御質問に対しましてお答え申し上げます。
平和行政に対する区長の認識についての御質問のうち、まず、広島派遣事業の教育委員会としての総括に関する御質問にお答えいたします。
今回の中学生広島派遣事業は、豊島区非核平和都市宣言35周年を記念して、区民の一翼である中学生が非核平和の大切さを学び、考え、同世代に伝えていくことを目的に実施されたものです。また、16名の生徒の派遣に当たりましては、中学校校長会の協力や教育委員会としての事前・事後の指導によって無事に目的を達成したと考えております。
先ほど区長からの紹介もございましたが、これに加えて、引率者からは「被爆者の生の声を聞くことができ、核兵器の恐ろしさや平和の大切さを考えるよい機会となった」、中学生からは「広島から平和の種を受け取った。今後、平和の花を咲かせたい」との感想を集約することができました。
教育委員会といたしましては、中学生の引率に御協力いただいた各中学校関係者に感謝するとともに、非核平和とこれを実現する不断の努力の大切さを考える生徒の育成に努めたいと決意を新たにしたところでございます。
次に、中学生の広島・平和記念式典への派遣継続についての御質問にお答えいたします。
非核平和の祈念は、広島・長崎に投下された原子爆弾による被害と東京大空襲や城北大空襲の歴史認識とを関連づけ、平和な社会を築き上げる一員としての生き方、考え方を探求し続けることにあります。継続は力と申しますが、グローバル思考とともに多面的・多角的に学ぶ平和教育こそ、今日の子どもたちに求められる継続的課題であると捉えております。
広島派遣の継続についてでございますが、このたびの派遣の趣旨及び派遣の成果や課題を踏まえ、区長部局と相談の上、検討してまいります。
次に、子どもの貧困対策と子育ての支援についての御質問のうち、まず、小中学校の入学支度金の増額についての御質問にお答えいたします。
御案内の文部科学省通知は、今年度予算編成の既に終わった平成29年3月31日に発せられ、その後、都道府県教育委員会を通じて市区町村教育委員会に伝達されたものであります。その趣旨は、生活保護と同時に経済状況にある世帯に対する補助単価の変更を示したもので、準要保護世帯にもこの補助単価を支給するかどうかについては、各自治体の判断によるものであります。本区におきましては、準要保護世帯も含めて来年度予算に反映をさせ、平成30年度入学者から新たな単価で支給できるよう積極的に業務を進めているところでございます。
次に、小学校の入学支度金の入学前支給の実施についての御質問にお答えいたします。
教育委員会では、これまでも受給者ニーズに応じた有効活用の観点から、入学支度金は小中学校ともに入学前に支給すべきだと判断し、中学校は小学校時の履歴を活用できることから、補正予算でことしの3月入学前に支給をしたところでございます。
しかしながら、小学校の入学支度金につきましては、入学予定者の前年度所得の把握や転出入を加味した対象者の把握が大変難しい上に、システム変更上相当額の予算を伴うことから、他自治体においても小学校の入学前支給を実施する例はごくわずかとなっているわけです。そこで、本区におきましては、平成30年度入学者には、現在のシステムを活用して新単価で入学後に支給し、平成31年度入学者からは新システムを活用して入学前に支給できるように取り組みを進めてまいります。
次に、給食費の公費補助についての検討状況及び補助の実施についての御質問にお答えいたします。
他自治体で実施している第3子以降の補助や1食当たりの単価への補助について、本区での実施可能性について検討しました。多子世帯への補助に対し、所得の多い世帯にも補助することは公平性の観点から導入は難しいと判断しました。
また、1食当たりの単価補助についても、給食費無償化の流れが流動的である中、拙速な補助制度の新設は難しいと考えております。今後、国の積極的な関与による無償化の潮流が財政的な裏づけを伴うかどうかも視野に入れ、引き続き注視してまいります。
次に、移動教室等の宿泊費の全額補助及びその他費用の補助の拡充についての御質問にお答えいたします。
移動教室や林間学校などの宿泊体験学習は、その重要性が学習指導要領でも強調されている重要な教育活動であると捉えております。したがいまして、公費補助に当たりましては、経済的な理由から体験学習の機会が奪われることのないよう、今年度より交通費全額と宿泊費半額を補助する決断をいたしました。
今年度は、小学校第6学年が日光へ、第5学年が立科へというように目的地の変更がございましたことから、御指摘のような一部の学年で児童1人当たりの移動教室に係る経費も変動し、それに伴って私費負担も増減が生じております。第6学年日光では、1人当たり7,000円程度の減となり、逆に第5学年では1人当たり5,701円の増となりました。今回、公費補助の考え方を統一し、宿泊費の負担割合をふやしたことにより、実施先変更に伴う影響も最小限に抑えることができました。
なお、増額分については、就学援助の単価に反映させ、困窮世帯には影響が出ないようにしております。今後は、私費負担の軽減を図る趣旨から、引き続き交通費全額・宿泊費半額を公費で負担することで、保護者の負担軽減に努めてまいります。
次に、修学旅行の交通費補助の復活及び公費補助の拡充についての御質問にお答えいたします。
中学校第3学年の修学旅行は、先に述べた小学校同様に宿泊体験学習として、その重要性を認識しているところであります。教育委員会としましては、経済的負担の軽減を配慮すべき就学援助の認定者28%には、平成28年度より単価を3,500円増額し、6万円を援助しております。このことによって、最も必要性の高い世帯には、相応の負担軽減を図っていることから、交通費補助の復活及び公費補助の拡充は当面考えておりません。
なお、平成32年、33年度にかけて、小中学校の学習指導要領の大改訂が予定されております。また、第2期豊島区教育振興基本計画の改定も予定されていることから、宿泊体験学習と私費・公費の負担のあり方について、経済の変動、今後の経緯や国及び他の自治体の動向も総括し、時代のニーズに応じた負担のあり方を検討してまいります。
以上をもちまして、清水みちこ議員の御質問に対する答弁を終わります。
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○副議長(大谷洋子) 次に、8番議員より、「地域発!市民発!豊島区のこれから」の発言がございます。
〔村上典子議員登壇〕(拍手)
○8番(村上典子) 民主ネット豊島区議団、豊島・生活者ネットワークの村上典子です。「地域発!市民発!豊島区のこれから」と題し、1、「誰もが主役になれる劇場都市」とは、2、「環境都市としま」を目指して、3、子ども・若者支援について、4、公文書管理条例について、質問いたします。区長の明快な御答弁を期待いたします。
まず初めに、このたび、2019年の
東アジア文化都市の開催候補都市として豊島区が決定されたことは、大変喜ばしいことと歓迎します。中国、韓国の両都市と同時開催することにより文化交流が深まり、私がかねてより主張してきました「多文化共生」を行政、区民一体で一段と進める契機になると考えるからです。2019年の
東アジア文化都市開催を機に、豊島区が国際アート・カルチャー都市としてハード、ソフト両面から整備されることを期待します。
さて、豊島区の目指す国際アート・カルチャー都市は「誰もが主役になれる劇場都市」です。生まれ変わる池袋西口公園は、芸術活動の拠点として、クラシックコンサートもできる劇場公園を目指すとしており、まさに国際アート・カルチャー都市の象徴として、区民、誰もが気軽に芸術に楽しめることを望みます。
しかし、イメージ図によると、真ん中の舞台及び客席に屋根がありません。雨だけでなく夏の強い日差しも、演奏者だけでなく観客の方たちにとっても強敵です。これは、公園を劇場化するに当たっての大きなハードルになると考えます。新庁舎のグリーンテラスを設計したランドスケープ・プラスの平賀達也さんが参考にした赤道直下のシンガポールは、グリーンシティとうたって、大きな木の下で日差しを遮ったり、突然の大雨をしのいだりすることができています。緑の有効活用も考えるべきです。改めて池袋西口公園では、どのような天候対策をされるのかをお聞きします。
また、公園整備においては、トイレの整備も不可欠です。今年度の予算審議の際、飲料メーカーとの公民連携でトイレ整備を進めることに関して、自動販売機を設置するのであれば、電気の使用、容器の処理など環境面も十分に配慮して考えるべきと指摘させていただきました。自動販売機の設置を見直されたとのことですが、今後も公民連携事業を進める際には、公平性を担保し、また環境面、福祉面なども含めた豊島区の政策に合致したものとして進めるべきと考えます。
加えて、「すべての人が主役となる劇場都市」としては、公園や公共施設は障害を持つ人も含めて利用しやすいものであるべきです。障害者差別解消法により、公共機関は障害者への合理的配慮が義務付けられています。公園、施設整備に当たっては、ぜひ障害をお持ちの当事者の方にも積極的に意見を聞いていただきたいと思います。
障害者の中には、盲導犬、聴導犬など補助犬を使っている方もいらっしゃいます。新庁舎建設の際、生活者ネットワークとして提案してきた補助犬トイレの設置が実現したことを大変評価しています。しかし、区役所4階は、用のある方しか来ることがありません。また、広報も十分でなく、全日本盲導犬使用者の会のホームページには全国の補助犬トイレの設置場所を紹介していますが、豊島区役所は紹介されていません。ぜひ早々に登録していただくことをお願いします。
当事者団体の方からは、以前より、ぜひ駅そばの地上に欲しいとの意見を聞いておりました。補助犬の登録者は、全国で1,109名、東京都で119人、埼玉県で60人いらっしゃいます。池袋は巨大ターミナル駅ですので、首都圏各地から来訪される可能性は高いわけです。
このたび、整備される池袋西口公園は駅からも近く、最適と考えます。また、劇場公園として、障害のある方も気楽に芸術に触れることができます。練馬区役所では、練馬区内に本部のあるアイメイト協会の補助犬の訓練場所として、庁舎を提供し、その際、庁舎外の植え込みの一角に砂利を敷いて、水が流せる程度の補助犬トイレを設置し、大変好評だそうです。また、西武鉄道も補助犬の訓練、育成を応援する取り組みの協定を行いました。今後、池袋西口公園の実施設計を考える際、当事者の方の意見を聞いて補助犬トイレもつくっていただき、全国に、そして世界にバリアフリーの豊島区をアピールすることを望みます。区長の御意見を伺います。
次の質問に移ります。2009年に策定した豊島区環境基本計画において、区長は、人と環境に優しい「環境都市としま」の実現を掲げています。10カ年計画で来年度が最終年度となりますが、この基本計画は、5年経過した2013年度に中間見直しが行われ、後半5カ年計画には、温暖化対策のためのCO2削減目標としての省エネの見える化と生物多様性戦略が加わりました。
この環境基本計画の進捗状況は、区長が座長となる全庁の部課長が集まる「環境都市づくり推進本部会議」でチェックされるはずですが、毎年開かれていた会議は、後期計画がスタートしてから、2013年4月から2017年3月まで3年間以上開かれませんでした。ことし3月3日に開かれた会議の議題に環境基本計画の進捗状況は入っていません。地球温暖化が深刻な状況になっている中、環境政策は全庁を挙げて考えていかなくてはならないテーマであり、全庁会議が開催されなければ、環境政策の共有化が薄くなるのではないかと考えます。この「豊島区環境都市づくり推進本部会議」が3年間開かれなかった理由をお聞きします。
今回、第2次豊島区環境基本計画策定に向けて、豊島区としての大きな柱はどのようなものになるのか、所管課に尋ねたところ、秋以降開かれる環境審議会での有識者の意見を聞いてからとのことでした。なぜ区として環境政策を主導しないのか疑問です。この新庁舎は、環境庁舎としてCO2削減に大きく貢献していると聞いています。また、エコアクション21の取り組みも全庁を挙げて取り組んでいます。既に、環境審議会の公募区民は決定しており、また、各種データを整理し、豊島区環境審議会の検討組織の運営支援及び計画策定支援を行うコンサルタントもプロポーザル形式で決定しています。審議会やコンサルタントに全て丸投げでなく、目指すべき「環境都市としま」の姿を区長はどのように考えているのか、お聞きします。
この定例会で具体的なデザイン、計画立案等で補正予算が審議される低速電動バスは、地球温暖化を防止する上でCO2排出が少なく環境貢献度が高いと思われます。しかし、どのような電気を使うのかも大きな課題です。石炭石油火力等の発電はCO2排出係数が高く、原子力発電は一度事故を起こしたら、命をも脅かす放射能を排出する可能性があります。資源のない豊島区でも屋根はあります。豊島区の公共施設の太陽光発電で、既に年間約29万キロワットアワーの発電量があります。新庁舎のエコヴェールだけで年間3万キロワットアワーの発電があります。予定されている低速電動バスは、1回の充電7.4キロワットアワーで30キロメートル走行するのですから、新庁舎の年間発電量だけで12万1,621キロメートル、区内公共施設の太陽光発電相当量の電気で117万5,675キロメートル走ることが計算上は可能になります。まだ、走るコース、距離、台数も決まっていないとのことですが、もし電気が足りなければ、必要な分を豊島区にある屋根でさらに発電して確保する発想をしてもよいのではないでしょうか。
現在、市民活動として豊島区にある屋根に太陽光パネルを設置していこうという活動をしている団体もあります。地球温暖化などの環境問題はどのように見せるかがポイントです。低速電動バスの屋根にも太陽光パネルを乗せています。このように、豊島区で発電した電気で走る電動バスということが打ち出すことができれば、「環境都市としま」をアピールすることができるのではないでしょうか。地球温暖化が緊急の問題になる中、世界的には電気自動車が開発の主流となっています。いち早くエネルギーを地産地消する都市型交通を打ち出すことも可能だと考えますが、区長の御意見をお聞きします。
また、今、区民が環境面で大変不安になっているのが、私が繰り返し指摘しています2020年から豊島区上空を飛ぶ羽田空港低空飛行ルート問題です。国土交通省は、来年度の概算要求として、この新ルート開設予算に712億円、財務省に要求しています。私たちの税金を使って、着々とこの計画の実行を進めている状況です。区民の方々からは、このままでは責任者からの十分な説明もなく、計画が実行されるのではないかと心配の声が多くあります。昨年の第2回定例会で、予想される68から70デシベルの音は、予定ルート直下の住宅街では救急車以外では存在しない状況だとお伝えしました。その音が2分に1回、午後の4時間響くわけです。
そこで、今回の環境基本計画において、飛行機に関する環境アセスメントも考えるべきです。現在の豊島区の環境年次報告書において調査されている道路に関する騒音に関わる環境基準でさえ、高速道路や4車線の幹線道路脇で70デシベル以下となっています。鉄道騒音の経年変化も記録されています。既に現在飛行ルートとなっている大田区、江戸川区では、航空機騒音の調査を行っています。法律では義務付けられていなくても、豊島区独自に、飛行機が飛ぶ前の現在と飛んだ後の騒音を比較できるように測定すべきと考えます。また、豊島区独自の飛行機騒音の基準値を設けるべきとも考えます。区長のお考えをお聞きします。
そして、やはり心配されるのは、落下物などの事故についてです。国土交通省が開催する個別対応型の説明会において、落下物の不安などを幾ら訴えても、点検の指導を徹底するという答えしか返ってきません。しかし、現実にはさまざまな事例が起きています。8月12日の羽田発伊丹行きの全日空機は、車輪収納部ダクト破損で気圧が低下し、酸素マスクがおりた上、羽田空港に引き返しました。9月5日には、羽田発ニューヨーク行きの日本航空機がエンジンから発火し、房総半島沖で燃料を投棄した後に羽田に緊急着陸しました。エンジンケースに穴が空いていて、滑走路脇の芝生が燃え、多くの部品のかけらが見つかりました。また、9月7日、8日の2日連続で、全日空の同じ機体で約3キロの胴体パネルがはずれ、未だにどこで落ちたかは不明です。そして23日には関西国際空港を離陸したKLMオランダ航空の1メートル掛ける60センチ、約4キロのパネルが落下し、大阪市中心部を走っていた車を直撃しました。落下地点は、飛行コースから3キロずれた地点だったそうです。つまり、飛行ルート問題は豊島区全体の問題なのです。そして、きょうの午前中も羽田発松山行きの日本航空のエンジンから火が出て離陸を緊急に中止しました。国土交通省は、部品などの点検を強化するなどの方針を出し、また、羽田の着陸料を高くし、優良な飛行機会社のみが発着できるようにすると主張していますが、国を代表するような日本航空、全日空、KLMオランダ航空でさえこのような事故が起きているのです。
2年前の7月に調布で起きた小型機墜落事故では、この夏、やっと国土交通省事故調査委員会で原因の報告書が発表されました。事故の原因が特定されてから補償が行われるので、未だに被害者の補償は決まっていません。千葉県成田市では、独自に航空機事故被害見舞金制度を設けており、今までに3回支給されているそうです。今後、区民の不安を除くために、豊島区独自で航空機事故被害見舞金の設置も考えなくてはいけないのではないかと思いますが、区長のお考えをお聞きします。
一旦、事故が起きると命の危険と隣り合わせである飛行機運航に当たっては、やはり十分な説明が必要と考えます。しかし、航空行政を司る国土交通省航空局は、教室型説明会の開催を検討すると言って先延ばしにしています。現在、国土交通省が行うパネルを並べて説明するオープンハウス式では、個別対応している説明員の名前も所属もわからず、疑問に対して責任ある人の回答を得ることができず、区民の中に不安、不信が募るばかりです。ことし3月24日に開催された南長崎第4区民集会室の説明会では、所管課が国土交通省と粘り強く交渉し、時間を設定し、責任者が質問に回答するとのことでしたが、当日になり、責任者は別の公務があるといって出席しませんでした。
もし、今後も国土交通省が教室型説明会の開催を渋るようであれば、区民の安全安心を守る基礎自治体の立場から、豊島区主催で飛行ルートの説明会を開催すべきではないでしょうか。豊島区では、特定整備路線を初め、新庁舎整備でも実に数多くの区民説明会を開催しています。豊島区には説明会のノウハウがあると思います。ぜひ豊島区主催の教室型説明会の開催も検討すべきと考えますが、区長のお考えをお聞かせください。
また、7月の副都心開発調査特別委員会で、私どもの会派の山口議員が指摘したように、東京都が2040年を想定して策定した「都市づくりのグランドデザイン」には、都心上空ルートを運航後も羽田空港の容量拡大を図るとの記述がありました。これは現在の計画の午後4時間をさらにふやすことなのか、東京都が羽田空港の容量拡大にどのような構想を持っているのかをお尋ねします。
今後も豊島区を住み続けたいまちとしていくためにも、豊島区として積極的に国や都のパイプ役になっていただくことを希望します。
次に、子ども・若者支援について、お聞きします。厚生労働省は、ことし4月の時点の全国の待機児童が2万6,000人で、昨年より2,500人ふえたと発表しました。しかし、豊島区は行政も議会も一体になって取り組み、待機児童ゼロを1年前倒しで達成できたことは大きな成果です。しかし、まだ豊島区に子ども若者を取り巻く困難な状況が残っています。
豊島区は、「虐待と暴力がない街宣言」をしておりますが、肉親から虐待や暴力を受けたり、親に育てる力がないと児童相談所で判断し、社会的養護が必要な子どもたちは、2016年の時点で全国に4万5,000人おり、豊島区内にも71人います。豊島区内には乳児院も児童養護施設もありませんし、また、児童養護施設における暴力やいじめの報告もよく聞かれます。国は、里親をふやしていくとの方針を出していますが、豊島区内の養育家庭は現在12家庭です。今後、児童相談所を開設していくに当たって、社会的養護を必要としている子どもをどのように育てていくかも大きな課題です。豊島区としてどのような計画を持っているのかをお尋ねします。
「子どもの貧困対策」に関しては、私も2013年の一般質問から取り上げさせていただき、ほかの区よりも先駆的に取り組んでいただいていることを評価します。特に、無料学習支援やこども食堂のネットワークづくりや活動の共有を積極的に進めてきていただいています。しかし、なかなかこれらの活動だけでは子どもを取り巻く状況の根本的な解決につながらない状況です。昨年、豊島区の子どもたちを対象に行った子どもの生活実態調査の中で浮かび上がってきた課題と、今後どのように対策をしていくのかをお尋ねします。
若者支援に関しても何回か質問させていただいていますが、ことし、こども課の中に「子ども・若者支援グループ」ができて、相談が寄せられていると聞いています。文部科学省前事務次官の前川喜平さんは、「高校中退というのは一つの人生の転落の始まりと見られ、高校中退を防ぐことが貧困問題の解決に繋がる」と指摘しています。親にゆとりがあり、生活困窮に陥っていない若者でも、高校中退後、社会と繋がらない期間が長く続くと、将来、さまざまな社会的な困難な状況に陥る可能性が高くなります。
しかし、若い人は、相談に来てくれればよいものの、なかなか役所まで足を運ばないものです。困難な状況になる前の若者に対して、早めのアウトリーチ機能が重要だと考えます。高卒認定のための無料学習支援の活動をしている団体や予期しない妊娠をした若者、高校生からの妊娠SOSを助産師さんたちが集まり電話相談を受ける活動している団体もあります。豊島区のさまざまな若者支援事業とこれらの団体の活動の共有化も必要です。
豊島区の子ども若者計画は、若者の定義をおおむね30歳までとしているので、所管課としてのこども課の名称を変更することも必要なのではないでしょうか。将来を担うこども・若者支援体制を整えていただくことが貧困の連鎖を断ち切ることにつながるのではないかと考えます。今後の若者支援体制をどのように整えていくのかを区長にお尋ねします。
最後に、公文書管理条例について伺います。現在、池袋中心にさまざまな開発が行われている豊島区ですが、特に旧庁舎跡地は、76年間という長期にわたる定期借地権に伴う開発です。定期借地権など長期にわたる事業をどのように将来に伝えていくかは大きな課題です。どのような経緯、理由で事業が決定したかをはっきりさせておかないと、将来、適切な判断ができないことも考えられます。豊洲市場問題が起きている東京都においては、公文書管理条例が設置されておらず、市場移転に関する文書管理が十分でなかったことが明らかになりました。板橋区には公文書館がありますが、豊島区には今後どのように保管していくのか、そもそも何が公文書に当たるのかの判断、保管、公開の方法をはっきりさせなくてはなりません。その基本として、公文書はすべて区民のものであり、公開を原則として管理方法を明確にさせるべきです。持続発展していく豊島区にとって、公文書管理は大変重要と考えますが、公文書管理条例の制定についての区長のお考えをお聞きします。
豊島区に多くの人が訪れ、住みたいまちとして持続発展し続けることを願って、一般質問を終えます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔高野之夫区長登壇〕
○区長(高野之夫) ただいまの村上典子議員の御質問に対しまして、お答えを申し上げます。
「誰もが主役になれる劇場都市」とはについての御質問のうち、まず、池袋西口公園の天候対策についての御質問にお答えをいたします。
今回の提案では、大型ビジョンを備えた常設のステージと仮設のセンターステージの二つのステージ計画がされておりまして、常設のステージには屋根が備えられておりますけど、仮設のセンターステージには屋根はございません。東京の年間降水日数は111日、30.4%、約3分の1という状況ですが、雨天のときであってもイベントができるよう、仮設的な屋根を設置することについて、基本計画を取りまとめる中で検討をしてまいりたいと思います。もちろん雨が降ったり、暑かったり、寒かったり、天候状況を考えてイベントを開催いたします。野外劇場でのクラシックコンサートは、区にとっての大挑戦です。来月の10月28日、29日、代々木公園で開園記念といたしまして、N響、NHK交響楽団による野外コンサートが行われます。「野外で聴くから気持ちがいい」というようなことではないでしょうか。これも大きな挑戦ではないかと思っております。
また、緑の活用については、今回の提案においてできるだけ既存の樹木を残すことになっておりますので、日差しを遮る効果等を配慮した計画となるよう検討をしてまいりたいと思います。
なぜ、公園を劇場化するのかについては、池袋西口公園は駅前の最高立地であり、隣接する東京が誇る「東京芸術劇場」との連携によりはかり知れない価値を引き出し、「国際アート・カルチャー都市」に大きく貢献し、池袋西口地区の再開発事業の先導的な役割を担う事業と位置づけたわけでございます。
次に、「全日本盲導犬使用者の会ホームページ」への豊島区役所内の補助犬トイレの登録についての御質問にお答えをいたします。
御質問のとおり、バリアフリー社会を実現を目指して、区役所4階グリーンテラス東側に補助犬トイレを設置しておりますが、現在、補助犬を使用されている区民の方は2名のみということもあり、まだ利用実績はございません。「全日本盲導犬使用者の会ホームページ」への登録につきましては、今回御指摘をいただきましたので、同会に対して登録を働きかけてまいります。
次に、池袋西口公園の補助犬トイレの整備によるバリアフリーのアピールについての御質問にお答えをいたします。
池袋西口公園は、駅直近で利便性が高く、整備後はさらに多くの来街者が予想をされます。整備に当たりましては、障害のある方にも配慮した整備を前提に取り組んでまいりたいと思います。御質問の補助犬トイレにつきましては、スペースの問題に加えて、管理上の課題もございますので、今後、基本計画を取りまとめる中で設置の是非を判断をしたいと考えております。
次に、豊島区独自の飛行機騒音の測定及び飛行機騒音の基準の設置についての御質問にお答えをいたします。
国は、新飛行経路の運用に伴い、航空機騒音を常時モニタリングする騒音測定局を増設するとしております。これに関し、測定局を豊島区内に設置することを要望するとともに、新飛行経路運航前後の測定結果につきまして、情報提供を求めてまいりたいと思います。
なお、航空機騒音について評価する基準としては、「環境基準法」の環境基準や、「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」の基準がございます。こうした中でありますので、あえて豊島区独自の航空機騒音基準の設定は考えておりません。
次に、豊島区独自の航空機事故被害見舞金の設置についての御質問にお答えをいたします。
成田市の航空機事故被害者見舞金は、成田国際空港を使用する航空機から落下物事故により災害を受けた方に見舞金を支給するものであります。昭和58年に制定され、昭和63年、平成10年、平成13年と過去3回の支給実績がございます。内容は、農業用ガラスハウスの一部破損に対する見舞金の支給となっております。
国は、全国の空港事務所のみならず、警察にも協力依頼をして、落下物事故の情報収集を徹底して原因分析に取り組むとしております。その上で、羽田空港において適切な機体の整備点検に関して、新たなチェック体制を構築するとともに、羽田空港に乗り入れる国内外の航空会社に対する指導を行うとしております。加えて、万が一落下物事故が発生した際には、原因者である航空会社に対する処分も検討をしていると聞いております。このような落下物防止策を十分に講じた上で、万が一に備え、航空会社に保険加入を促すとともに、国として見舞金制度の創設を検討しているとのことでございます。このような国の動向を踏まえまして、現時点で直ちに豊島区として独自の見舞金制度を設置することは考えておりません。
今後も区といたしましては、区民の皆さんへ丁寧な情報提供、安全対策や騒音対策の徹底を国に対して求めてまいりたいと思います。
御指摘のとおり、つい先日でありますけど、23日の午後11時ごろ、関西空港を離陸して上昇中のオランダ航空旅客機から機体の一部が落下し、大阪市北区を走行中の乗用車に直撃をいたしました。幸いけがはありませんでしたが、深刻な事故につながりかねない重大な問題であります。このたびの羽田空港の機能強化が区民の皆様の安全をないがしろにするものであってはならないわけであります。豊島区は、23区で唯一のWHOセーフコミュニティ認証都市として、安全安心に対し、区民に責任を持っております。このたびの事案を看過することはできません。したがいまして、直ちに徹底的な原因究明とともに、同じような事故が起こらないよう、再発防止策の徹底などについて、国に要請すべきと考え、昨日、いち早く要請文を国交省航空局長の蝦名邦晴氏あてに提出をいたしました。
次に、豊島区主催の飛行ルート教室型説明会の開催についての御質問にお答えをいたします。
御指摘のように、区が事業主体となって行う道路工事や施設建設工事などに際して、区が主催して住民説明会を実施しております。事業主体としての区の方針や方向性を直接伝えられることや区民の皆さんの御意見を事業に取り入れるなど、住民説明会の開催は意義あるものと考えております。住民説明会において、事業主体が責任を持って区民の皆さんに説明することが必要であると認識をしております。したがって、新飛行経路の住民説明会は、事業主体である国が責任を持って開催すべきと考えており、説明会の開催方法は国が決めることになるわけであります。来年1月27日、西部区民事務所でオープンハウス型の住民説明会が開催をされます。区としては、引き続き教室型説明会の開催を強く望む声があることを訴えてまいりたいと思います。
先日の区長会におきまして、この問題について、先ほど要請文を提出した蝦名邦晴局長が区長会の冒頭に、羽田空港機能強化の進捗についてというミニ講演会がございました。そのときに住民説明会を教室型説明会にと申し入れましたら、いろいろと言いわけをしておりましたが、説明会をしろというように強く申し上げたわけでありますが、その点について、どういう形で捉えたかわかりませんけど、強く強く申し伝えました。
次に、東京都が羽田空港の容量拡大にどのような構想を持っているかについての御質問にお答えをいたします。
東京都に確認をしたところ、現在、都は羽田空港の容量拡大についてお示しできる具体的な方法を持ち合わせていないとのことでありました。グランドデザイン(素案)においては、増加するインバウンド需要やビジネスパーソンに対応するため、2040年代の羽田空港の将来像について、「都心上空ルート運航後もさらなる機能強化に取り組む」といった都の考え方を示したものとのことであります。具体的な方法については、今後、都において検討がなされ、関係機関との協議が進められることと思われます。区といたしましても、大変重要な課題であると認識をしておりますので、引き続き情報収集に努めてまいりたいと思います。
次に公文書管理条例の制定についての御質問にお答えをいたします。
本区では、文書の取扱いに関する規程を定めるとともに、文書管理システムやファイリングシステムを活用することで、毎年度発生する膨大な文書や資料を効率的に保存・管理してまいりました。新庁舎移転に当たっては、移転対象となる全課を対象として保存文書の見直しを実施するとともに、文書事務の研修についても拡充を図ってまいりました。
しかしながら、御質問にあります76年間という長期にわたる契約事案や、職務上作成をいたしましたメールについても公文書として認める事例が発生するなど、公文書をめぐる環境は以前には想定できないほど大きく変化をしております。
高まる社会の要請に応えて、区政の透明性を高めて、区民の皆様への説明責任を果たしていくためには、職員一人一人が公文書の重要性を再認識し、意識を改めていかなければなりません。また、公文書は、区民の皆さん共通の財産でもあります。その歴史的価値や知的資産としての側面についても十分に理解する必要がございます。
情報公開については、条例で定められているものの、現在の公文書管理ルールは行政の内部規程にとどまっている状況であります。区民の皆さんに開かれた文書管理を実現していくためには、行政委員会も含め、抜本的なルールの再構築が必要であり、公文書の管理や保存等の基本ルールを条例に定める必要性と効果については、十分認識をしているところでございます。
23区で初めての制定となりますが、既に条例を制定している先進自治体の取り組み内容等も参考にしながら、パブリックコメントなどの実施を考え、平成30年第2回定例会での上程に向けて検討を深めてまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でございますが、そのほかの質問につきましては、両副区長から答弁申し上げます。
〔水島正彦副区長登壇〕
○副区長(水島正彦) 子ども・若者支援についての御質問のうち、まず、社会的養護が必要な子どもをどのように育てていくかの計画を持っているのかという御質問にお答えをいたします。
社会的養護というのは、施設養護と家庭的養護に大別されますが、まず、施設養護につきましては、御指摘のとおり、区内には残念ながらまだ存在しませんが、重要な役割を担っておりますので、現在、その対応について特別区で具体的な検討を重ねております。今後、区内への児童養護施設等の誘致を視野に入れつつも、東京都内の施設を東京都と特別区で共同して利用することが現実的でありますので、そうした方向で今後、東京都と精力的に協議をしてまいりたいと考えております。
また、家庭的養護についてでございますが、現在、区内の養育家庭の登録数は12家庭にとどまっている状況であります。このため、区では、東京都児童相談センターの実務担当者を講師に招き、「社会的養護と里親制度の理解」についてというテーマで、職員向けの研修会を開催したりしておりますが、今後は民生委員・児童委員の会議などさまざまな機会を捉えて養育家庭の必要性についてPRするなど、積極的な取り組みを行ってまいりたいと思います。
さらに、10月からは、施設養護についての知識とスキルを身につけさせるため、児童養護施設への職員の派遣研修も予定をいたしております。今後は、こうした取り組みを積極的に展開しながら、社会的養護を必要とする子どもたちを地域全体で支える計画と仕組みを構築してまいります。
次に、子どもの生活実態調査により判明した課題と今後の対策についての御質問にお答えいたします。
本区は昨年8月、東京都と首都大学東京による「東京都子供の生活実態調査」に協力をいたしましたが、その報告書が7月末に東京都のホームページで公表されました。この調査は、子どもの貧困対策を中心に今後の子ども・子育て支援対策の参考とするための調査であり、被調査世帯を一般層と困窮層などに分類して、比較分析を行っております。その結果、多くの質問項目で、「一般層」に比べて「困窮層」の家庭に属する子どもは「できない」「わからない」という回答割合が高くなっており、また、自己肯定感や幸福感については低い傾向にあることが明らかになりました。また、「困窮層」に属する保護者は、相談できる友人がいない割合が高い、また、公共の施策やサービスに対する認知度が低いという傾向が課題として上がっております。非常に難しい課題ではありますが、今年度中には既存の施策と地域の資源を十分に生かした豊島区の子どもの未来応援対策をまとめていきたいと考えております。
次に、今後の若者支援体制の整備についての御質問にお答えいたします。
本年3月に策定した「子ども・若者計画」では、困難を抱えた若者にヒアリング調査を実施し、その結果から「高校中退」「非行」「ひきこもり」など、若者が直面するさまざまな問題に対しては、本人とその家族への包括的な支援が必要と認識いたしております。そのため、若者支援事業に関する調査研究を主な目的とした「子ども・若者支援グループ」を今年度、子ども課に新設したところ、早くもさまざまな相談が寄せられております。
こうした状況から、来年度に向けて、相談専門員の配置や御指摘のアウトリーチのできる機能の整備などとともに、関係部署による一体的な相談と支援の体制の構築を目指しているところであります。
また、東京都や豊島区保護司会による青少年相談、NPO法人などが行う支援事業等との連携も必要だと考えておりまして、今後は若者支援の体制を整備していくことはもとより、子ども課の名称につきましても区民の皆様にわかりやすくなるよう変更することも検討してまいります。
いずれにしましても、困難を抱えた子どもや若者が「夢」を持って豊島区で育ち、未来に向かって進んでいけるよう、行政として応援していく姿勢は今後もさらに強く堅持してまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でございます。
〔宿本尚吾副区長登壇〕
○副区長(宿本尚吾) 「環境都市としま」を目指してについての御質問のうち、「豊島区環境都市づくり推進本部会議」が3年間開かれなかった理由についての御質問にお答えをいたします。
「環境都市づくり推進本部会議」は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づき策定が義務付けられております地球温暖化対策実行計画の策定、改定など、区の環境政策に関する重要な事項を審議するために設置をしております。しかしながら、この3年間は開催をしておりませんでした。
なお、この間、御指摘の環境基本計画の進捗状況につきましては毎年度調査をしておりまして、「豊島区環境年次報告書」として取りまとめ、配布するとともに、区職員に対する講習などで情報を共有をしてまいりました。しかしながら、パリ協定の批准による地球温暖化対策の強化など、環境に関する意識が一層高まる中、こうした環境政策の進め方は好ましくないと考えます。今後は、「環境都市づくり推進本部会議」を開催した上でのきめ細やかな情報共有を行うように改めてまいります。
次に、目指すべき「環境都市としま」の姿についての御質問にお答えをいたします。
近年、「環境都市としま」のシンボルと言える新庁舎の整備や庁舎跡地「Hareza池袋」のまちづくり、池袋駅周辺における再開発計画などが次々と進められております。さらには池袋西口公園のリニューアル、造幣局跡地の防災公園の整備など、まちが大きく変わるこの機会を捉まえて、将来世代のためにも環境への負荷を最大限減らし、自然と共生できる都市をつくることが我々の責務と考えております。
第一次環境基本計画策定以降、既に8年が経過をしております。現在の環境基本計画において目指す都市像は、「環境負荷の低減と都市の活力が両立する高密都市」であります。この間、昨年11月、日本は温室効果ガスの削減に取り組む国際的な枠組みである「パリ協定」を批准しました。パリ協定は法的拘束力を持つ枠組みであり、世界共通の長期目標であります。また、東京都は、環境先進都市スマートシティを目指すとしております。
こうした状況の変化を踏まえて、学識経験者や区内の事業者、区民の皆様などで構成される環境審議会で御議論いただき、「第二次豊島区環境基本計画」において、新しい時代に目指すべき「環境都市としま」の姿を区として主体的に示してまいりたいと考えております。
次に、エネルギーを地産地消する都市型交通についての御質問にお答えをいたします。
池袋副都心移動システムは、2019年の導入に向けて現在検討を進めております。車両の候補の一つである低速電動バスは、充電池と天井の太陽光パネル発電により走行するもので、環境に優しい乗り物であると考えております。区では、本庁舎を初め、保育園、小・中学校、区民ひろばなど多くの施設で太陽光パネルを設置し、また、公共施設へは温室効果ガス排出量の少ない再生可能エネルギーの導入を進めております。
低速電動バスについて、御提案のように、地産地消型の都市型交通とすることにつきましては、再生可能エネルギーの安定性や供給方法など課題があると考えます。したがいまして、全てを地産地消することは困難と思われますが、提案の御趣旨を踏まえ、少しでも多くのエネルギーを地産地消できるよう、検討してまいりたいと考えます。
以上をもちまして、村上典子議員の御質問に対する答弁を終わります。
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○副議長(大谷洋子) この際申し上げます。
議事の都合により暫時休憩いたします。
午後3時1分休憩
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午後3時20分再開
○副議長(大谷洋子) 休憩前に引き続き会議を開きます。
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○副議長(大谷洋子) 一般質問を続けます。
次に、15番議員より、「『豊島の未来への展望』7住み続けられるまちづくり」の発言がございます。
〔星 京子議員登壇〕(拍手)
○15番(星 京子) 都民ファーストの会豊島区議団を代表いたしまして、これより一般質問を行います。
「豊島の未来への展望」7住み続けられるまちづくりと題しまして、1、都政と区政の連携2、2、文化&観光“国際都市としま”、3、「地域共生社会」の実現、4、まちづくりの課題について、お伺いいたします。
初めに、「都政と区政の連携」についてお伺いいたします。一昨日、衆議院解散が明言され、新たな国政の動きが始まりました。先日7月に行われました「東京都議会議員選挙」では、有権者の関心も高まり、投票率が51.27%と前回の43.50%を7.77%上回り、小池東京都知事の話題性や政権への期待が投票行動につながった可能性があると見られます。豊島区では、前回の42.32%を上回り50.12%、男性が48.75%、女性が51.50%と、女性の投票率が他区に比べても高く、また、期日前投票も135万5,163人で、都議選としては過去最多となり、制度が浸透してきたことや、都議選に向けて多くの報道がなされ、有権者の注目度が高まったことが要因と見られます。
都議選について行った世論調査では、選挙に関心があると答えた人は88%で、争点として特に重視するテーマは、最多の「医療や福祉政策」を上げた人が76%、「地震などの防災対策」が65%、「景気や雇用対策」「防災や治安対策」がそれぞれ63%、「2020年東京五輪パラリンピックへの取り組み」が48%など、年齢層が高くなるほど「防災や治安対策」を重視する傾向が強く、若年層では「景気や雇用対策」「少子化対策や子育て支援」への関心が高い結果となりました。
初めに、7月行われました「東京都議会議員選挙」、高野区政は、このたびの都議会選挙の結果をどのように受け止めているのか、お聞かせください。
そして、続いて「都政と区政、連携と協同」についてお伺いいたします。
「東京大改革宣言」を掲げ、小池都知事が就任してから1年が過ぎ、「都政の透明化」や「さまざまな政策の課題」を打ち出し、その見識やリーダーシップ、行動力など、都政改革にかける小池都知事の熱い思いが高く評価され、多くの都民の支持や期待の高さが伺われます。豊島区にとっても都政と区政のパイプが強固になり、本区の発展に一層弾みがつくものと確信しております。小池都知事も「豊島区に軸足を置いて都政を推進していく」と明言しておりますし、高野区長も「小池知事の誕生で豊島区が発展する礎ができた」と語っており、知事と歩調を合わせることで意見が通りやすくとなったと伺っております。
「待機児童対策」や「選択的介護モデル事業」、また、このたびの「
東アジア文化都市」の開催決定では、都知事から「東京都も全面的にバックアップする」という要望書もいただくなど、都との連携が密接になっております。
このように、大きく歩みを進めている小池都政と高野区政ですが、東京都と豊島区の連携、都政と区政の協同関係など、今後の目指す方向について高野区長の所見をお聞かせください。
新たな飛躍をなし遂げている本区ですが、しかしながら、本区にとっても防災対策や福祉政策、超高齢化社会の対応など、課題はまだまだ山積みです。東京都とさらなる連携強化を図りながら、本区の課題解決にスピード感を持って取り組んでいただきますようお願い申し上げます。
また、小池都知事は、築地市場の豊洲市場移転問題や2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた準備など、多くの課題を抱えております。盟友でございます高野区長の変わらぬ御助言をいただければと願います。
次に、「文化と観光“国際都市としま”」についてお伺いいたします。
国際アート・カルチャー都市構想を掲げ、舞台芸術やマンガやアニメ、祭事や芸能など、区民一体となって文化によるまちづくりを加速させ、国際都市推進を目指してまいりました。
このたびの本区での「2019年
東アジア文化都市」国内開催都市の決定は、国際理解や多文化共生を推進し、豊島区の魅力を国内外に発信し、文化と観光による国際都市としまを実現する絶好の機会となりました。この機を捉え、豊島区に多くの観光客をお迎えするチャンスとして、さらなる取り組みが求められ、観光政策だけではなく、文化や産業、都市や交通、教育や福祉政策など全てをあげた総合政策として取り組みを進めなければなりません。
「
東アジア文化都市」については、昨日、私どもの里中議員が質問しており、開催に向け、高野区長の大変熱い思いの御答弁をいただきました。今後、事業の実施に向けて本格的に始動していくことになりますが、「
東アジア文化都市2019」の開催地となることで、国際都市としまに向けた動きを加速させ、豊島区を世界に向けて発信していくことに期待しております。
そして、観光政策の一つであります「グローバルMICE振興」についてお伺いいたします。
先日視察で伺った「京都市」は、国が定める「グローバルMICE戦略都市」として選定され、重要政策の一つに位置づけ『京都の都市特性を生かした世界に冠たる「国際MICE都市」への飛躍』を戦略ビジョンに掲げ、積極的に取り組んでおります。
「MICE」の振興は、都市格の向上、区民生活の活性化、高い経済効果、観光の質の向上が期待されます。最近の「MICE」の傾向として、「その街らしさ」とも言えるユニークベニューに対して、注目が集まっており、「その土地、施設、文化ならではの会場」でのこの「MICE」開催が主催者からも求められております。
観光庁の定義に沿った「MICE」振興には、交流をふやすことが国や都市の活力につながる重要な機会として、世界各国・各都市とも「MICE」振興に積極的に取り組んでおります。本区の「MICE戦略」についての取り組みをお示しください。
続いて、「インバウンドの取り組み」についてお伺いいたします。
国際アート・カルチャー都市としてインバウンド政策を急務で進め、国際的なネットワークの形成や公民連携の強化、人づくりなど、あらゆる分野で取り組みを充実させ、地域が一体となって総合力で観光施策を推進していかなければなりません。人口の1割が外国人の本区、また、2020年、東京オリ・パラ開催を控え、東京や豊島区を訪れる外国人の数は益々増加することが予想され、急激に国際化が進展してまいります。
総務省は、2020年の東京五輪・パラリンピックを訪れる外国人向けに交通機関の利用や競技場への入場、ホテルのチェックインや買い物など、ICカード1枚で全てできるようにします。また、駅の改札や競技場などに置く「読み取り端末」にカードをかざすと、母国語で競技場への行き方や災害情報などが表示されるほか、あらかじめ登録したスマホにも同じ情報が届きます。総務省はこれに合わせて、駅や競技場周辺、観光地などで無線LANの基地局をふやし、海外のスマホをそのまま使えるようにし、外国人が言語の壁や移動のストレスを感じることなく、日本にも滞在できるようにする狙いです。日本の先端技術を体感できる「おもてなし」を目玉にし、来年度予算の概算要求に事業費10億円を盛り込むとのことです。
本区でも、来街者に「魅力ある国際都市としま」を世界に発信すべく、ホームページの多言語化と「としまフリーWi−Fi」のエリアの拡大など、さまざまな取り組みを進めております。京都市では、総務省の補助事業で独自のアプリを製作し、市域を運行するバス・鉄道を対象に、出発点と目的地を入力するだけで、最適な移動経路や運賃、所要時間を検索できる無料の経路検索システムを運用しており、乗り換え案内や停留所名、駅周辺の情報や施設名などの検察が可能で、アプリのダウンロードが数万件に達しております。多言語音声翻訳アプリの活用促進や本区独自のアプリ製作について、取り組み状況についてお示しください。
国際都市を名乗るためには、誇るべき文化資源を持つだけではなく、国内外の都市交流により、総合の国民性や文化に理解を深めることで実現していかなければならないと考えます。本区でもさまざまな「訪日外国人対応事業」に取り組んでおり、私も受講いたしました「外国人おもてなしボランティア育成講座」の実施は、外国人へのおもてなしの心、道案内程度の簡単な英会話を学ぶことができ、大変わかりやすく好評と伺いました。
そこで、要望でございますが、観光関連従事者向け「語学研修」の実施や、国際理解、人事育成などの「国際教育事業」「国際交流事業」など、より実態に即した事業を実施していただきたいと要望いたしますが、具体的な取り組み状況をお示しください。
また、現在、観光協会においては多言語対応は実施しておりますが、滞在する外国人向けの24時間の「多言語コールセンター」の設置について、見解をお聞かせください。
住民にとって住みやすいまちが観光客にとっても満足度の高いまちなのです。
続いて、地域共生社会の実現を目指した「丸ごと地域づくり」についてお伺いいたします。
厚生省は、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら自分らしく活躍できる地域コミュニティを育成し、公的な福祉サービスと協働して助け合いながら暮らすことのできる「地域共生社会」を実現する基本コンセプトを位置づけました。地域共生社会の実現は、地域コミュニティを育成し、地域が一体となって、高齢者・障害者、子どもなどすべての人々が、一人一人の暮らしと生きがいをともに創り、高め合う社会の実現です。
丸ごと地域づくりは、「他人事」になりがちな地域づくりを地域住民が「我が事」として主体的に取り組み、地域の課題や地域の事情に合った必要な体制づくりに取り組み、地域力を高め、誰もが支え合う共生社会の実現を目指していきます。超高齢化を迎えた豊島区、地域の中でも人口減少が進行し、地域の実情に応じた体制整備や人材確保が課題となっております。特に町会活動では、現在の役員の高齢化が進み、祭事やイベントなど、次世代を担う若いエネルギーが必要で、地域に目を向けた若い世代のボランティアの必要性はどの地域でも高まっております。
大阪府の松原市では、中学生ボランティアを推進する工夫事例とする「子どもボランティア手帳」を作成し、子どもたちにボランティアの場を提供し、地域協議会が主催する「国際文化の交流」や「スポーツ交流会」「クリーンキャンペーン」や「地域の祭り」など、「食」「文化交流」「遊び」の三つの大きな柱を掲げ、「地域ネットワーク」づくりを目指し、ボランティアの需要を推進しています。「子どもボランティア手帳」の取り組みは、中学生が地域の中でボランティアなどの活動を行うことを通して、心豊かな大人として成長していくことを推進しています。
本区の「地域共生社会」の実現に向けた「丸ごと地域づくり」について、現在の取り組み状況についてお聞かせください。
次に、「人づくり・まちづくり」についてお伺いいたします。
地域を支えるまちの環境整備として、人材の育成・ボランティアの協働が必要となります。2020年の東京五輪・パラリンピック大会で、合わせて8万人のボランティアスタッフが必要となると言われており、ボランティアの役割は、輸送や医療機関、情報関連サポート、会場案内や通訳など多岐にわたります。オリ・パラ組織委員会でも既に募集要項を公表するなど、3年後に向けて受け入れ準備を始めていると聞いております。ボランティアとして働くことで、ボランティアマインドや選手のサポート、スポーツ振興や障害者理解など国際理解の良い場となります。
「
東アジア文化都市」開催を控えた本区でも大勢のボランティアスタッフが必要となります。海外からの観客、さまざまな方たちと直接ふれあう良い機会となります。豊かな「おもてなし」の心を備えたボランティアの育成に向けた取り組みが重要となってまいります。地域が共生する社会は、地域で暮らす人々が助け合い、支え合いながら自分らしく活躍できる地域コミュニティを育成し、地域が一体となった「ボランティアマインド」の人づくりが必要です。ボランティアに消極的と言われる日本人ですが、ボランティア参加のきっかけとなるような区民の「ボランティア養成講座」の開催など、区民のボランティアマインドの育成事業の現在の取り組み状況をお聞かせください。
最後に、「まちづくりの課題」について、お伺いいたします。
2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、都が力を入れて取り組むべき課題を尋ねたところ、「テロ対策の強化」が最多となり、イギリスのマンチェスターのコンサート会場で起きた自爆テロ事件など、海外でのテロが続出したため、都民の関心が高まったと見られます。本区でも先日、「豊島区と巣鴨・池袋・目白警察署による合同テロ対策訓練」を実施し、臨場感溢れる訓練に迫力を感じると共に、実際にテロが起きた場合の対応の難しさを痛感いたしました。
事業者や警察、消防を含む行政組織と協力・連携しながら、テロや犯罪を未然に防止し、テロリストが活動しづらい環境づくりを推進していくためにも訓練は大変重要と認識しております。私たち区民もテロを含めた防犯対策として、地域パトロールの強化や地域コミュニケーション力を高め、日ごろからの防犯や防災面からの取り組みに努力を重ねてまいります。
今後もテロを含めたこの防犯対策として「安全で快適なまち」を目指していくためにも、本区が積極的に強化しなければならない防犯・防災対策をお示しください。
また、災害情報を理解できない訪日外国人のための多言語対応の自動翻訳機の活用や、デジタルサイネージの整備など、災害時の外国人の情報提供などの施策の強化をお願いいたします。
オリパラに向けた次の課題が「大会経費の節減」への関心が高く78%、そして都心部に集中する競技会場を地方の既存施設などに分散させ、結果、都外分の経費が増大し、負担額を巡り、都と競技会場のある都外自治体との間で激しい綱引きが起きたことが影響していると見られます。そして、「公共施設のバリアフリー化」が73%、「ボランティアの育成」が69%、そして「外国人受け入れ体制の充実」が67%、「道路や交通機関の整備」66%などの関心が高かったそうです。
そこで、「池袋駅周辺まちづくり」について、お伺いいたします。
現在、本区は、「特定都市再生緊急整備地域」に指定され、都市計画道路の整備や周辺市街地の再編を契機として、回遊性と利便性の高い歩行者中心へとまちづくりを進めておりますが、池袋駅の課題を抱えており、4社8線の鉄道路線が結節するとともに、路線バスや高速バスターミナルなど、巨大ターミナル駅の課題解決が必要です。現在、案内板の標識やデジタルサイネージの設置実験も進められておりますが、初めて池袋駅を訪れる人にはわかりやすい案内誘導のサイン整備が重要です。
そこで提案でございます。案内板のサイン表示だけではなく、シンプルでわかりやすいキーワードとして、歩道を色彩で誘導する「カラーリングサイン」を整備してはいかがでしょうか。駅施設内の地下通路や接続する地下街、東西を結ぶ歩行者ネットワークを色彩で色分けをし、誘導します。東口方面に向かうにはグリーン歩道、そして西口方向に向かうにはブルー歩道など、歩行者の歩道や道路をわかりやすく色分けをし、誘導するなどが考えられます。区の見解をお聞かせください。
そして、また、タクシー乗り場での「外国人専用乗り場」の設置をし、語学力対応の運転手や車両を認定し、円滑な意思疎通や接遇を図り、訪日観光客の受け入れ環境向上を図れる対策を実施していただきたいと提案いたします。外国人専用乗り場「インバウンドタクシースタンド」の整備について、区の所見をお示しください。
私はこれまでに池袋駅周辺のまちづくりや旧庁舎跡地周辺地域の一体的な整備に当たり、魅力ある地域づくりの方向性や手法について伺ってまいりました。8つの劇場が生み出す圧倒的なにぎわいと、オフィスタワーによる副都心の新たなランドマークを創出するという池袋の多様なポテンシャルを最大限に引き出し、多様性、回遊性にあふれた「劇的空間」の創出は、副都心池袋、ひいては豊島区全体の発展に大きく波及し、好循環をもたらします。そして、新区民センターや中池袋公園・南北区道の一体的な整備のまちづくりを目指し、多言語対応のインフォメーション機能、パパママすぽっとや女性に優しいパブリックトイレ整備など、人々が出会える都市づくりを進められております。新ホールと新区民センター、そして新たに「池袋保健所」の移転の整備が加わり、機能面、ハード面それぞれの観点から、どのように有機的な相互連携を図り、一体的で効率的な施設整備や運営についてお聞かせください。
2019年には「Hareza池袋」が文化の拠点としてにぎわいを創出し、世界に誇れる都市空間を国内外に向けて発信する豊島区のシンボルとして新たに誕生します。明治通りを挟んだ北側にある旧東京ガス跡地の再開発では、オフィスを主とした用途が検討されております。さらに、造幣局跡地では、防災公園、グローバルな人材育成を目指す文化交流機能、公園と一体となったにぎわい機能を生み出す計画が進行中です。そして、同じく、池袋西口駅前には野外劇場公園がオープンします。地元イベントやパブリックビューイングからフルオーケストラまで、多様な用途に対応し、憩いの公園空間を演出し、西口エリアの新たな顔となる文化・にぎわいの拠点となります。
池袋周辺まちづくりが進み、池袋の新たな魅力が次々に生まれようとしています。池袋には、文化や人の多様性に裏付けられたまちの多様性があります。池袋らしさを生かし、持続、発展させるためには、多様な人や文化を受け入れる「交流」「発信」「成長」の場が重要で、そして人々が触れ合い、議論し、競い合い、成長の芽を育てていく都市機能、都市空間が必要です。
2020年の東京五輪・パラリンピック大会では、大会後に残る遺産、レガシーを作り出すことが目標の一つとされており、未来に継承していかなければなりません。豊島区は、先人たちが培ってきた文化資源を生かしながら、何をレガシーとして残すのか、今こそ真価が問われるときです。「2019年
東アジア文化都市」の開催が決定し、本区はより魅力あるまちづくりを目指す必要があります。前進続ける本区の躍動感が東京のみならず全国を元気づけることを期待して、私の一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔高野之夫区長登壇〕
○区長(高野之夫) ただいまの星京子議員の御質問に対しまして、お答えを申し上げます。
都政と区政の連携についての御質問のうち、まず、7月に行われた東京都議会選挙の結果をどのように受け止めているかについての御質問にお答えをいたします。
今回の選挙は、都議会改革を都民が望み、その結果が大きくあらわれたという意味で、まさに歴史的な選挙であったと考えております。小池百合子東京都知事が率いる「都民ファーストの会」が結成後、間もない時期であるにもかかわらず、全く予想をしておりませんでしたけど、都議会で55議席を占め、都議会第1党となったわけであります。小池都知事は「東京大改革宣言」を掲げ、シンボルカラーである「緑」の風が都内を吹きわたった感がございます。
今回の都議会の結果をどう受け止めているのかという御質問でございますが、もちろん、小池都知事は私たち豊島区、東京10区で11年にわたりともに歩んできた方であり、その小池都知事の率いる政党が大きく勢力を伸ばしたことは、今後の豊島区政の運営にとっても少なからずよい影響があるのではないかと受け止めております。
また、星京子議員の御指摘のとおり、都議会定数127人のうち女性が36人と3割を占め、過去最多となったことは、「女性活躍」という点でも大きく時代が動いた選挙でありました。今後も小池都知事と都民ファーストの会を初めとする都議会議員の皆様が良い形で車の両輪となり、都民のための議論をし、都政改革を進めていただければと思っております。
次に、都政と区政の連携や協同関係での今後の目指す方向性についての御質問にお答えをいたします。
御指摘のとおり、小池都政誕生以来、本区にもまさに「追い風」が吹いております。このたびの
東アジア文化都市選定に際しては、都知事から心強いバックアップをいただき、プレゼンテーションをする私にとっても大きな心の支えとなりました。都のバックアップなしでは開催を勝ち取ることはできなかったと思っております。何より、2020年の
東京オリンピック・パラリンピックを控え、大会の前年の2019年に東京都と一体感を持って文化事業を強力に推進するというシナリオが、今回の選定の決め手となったものと考えております。
このように、東京都とは、オリンピック・パラリンピックに向けて、そしてその「オリンピック・パラリンピック後」も見据えて文化事業で連携・協力関係を強固なものとし、豊島区ならではの文化的レガシーを築いてまいります。
また、小池都知事の公約として、「7つのゼロ宣言」がございますけど、そのうち五つの分野では、東京都と連携・協働して政策を実行をしております。すなわち、「待機児童ゼロ」では、東京都の緊急対策を活用し、有効的に保育事業を強力に推し進めてまいりましたし、「介護離職ゼロ」では、国家戦略特区により、全国に先駆けて東京都からのモデル事業として選択的介護の実施を検討をしております。「残業ゼロ」「満員電車ゼロ」では、都と同時期にイクボス宣言を行い、また、本区は「23区初の時差出勤」を10月から本格実施をするなど、東京都とともにワークライフバランスの実現を目指した政策を推進をしております。さらに、「電柱ゼロ」では、現在、巣鴨・目白地区で東京都の支援を受けながら、無電柱化を進めております。
このように、都の政策と本区の政策はほとんど軌を一にするものでございますので、今後も小池都知事と東京都の御支援を賜りながら、豊島区をさらに魅力ある街にしていきたいと考えております。
一方、23区の構成員としての立場から申し上げますと、都区の事務配分、都区財政調整交付金や都市計画交付金のあり方など、懸案となっている事項につきましては、特別区の声に真摯に耳を傾けていただき、小池都知事のリーダーシップにより、区の実情に配慮した形で協議を前進させていただきたいと存じます。
最後に、私から小池都知事に対して助言をという星京子議員からのリクエストではありますが、都知事に対して「助言」とは大変失礼と存じますので、小池都知事へのエールを述べさせていただきたいと存じます。
都政は課題山積であります。築地市場問題、2020年
東京オリンピック・パラリンピックへの対応など、都民の目線からまさに都民ファーストの視点で問題に真正面から挑み闘われている小池都知事に対しまして、改めて10数年、小池百合子、あえて、さんと申し上げますけど、小池百合子さんの政治の生き方を間近で拝見し、その勇気と決断力、度胸と判断力のすばらしさに敬服をしているわけであります。旧弊にとらわれず「東京大改革」を進められていることを期待いたしますとともに、世界に類を見ない巨大都市である東京が名実ともに世界に誇れる国際都市となるよう、都知事としてのリーダーシップを発揮していただきたいと思います。また、このたびは国政における「希望の党」の代表に就任し、あわせて、国と都政との大きな大事業に突き進むお姿を拝見し、これからも小池都知事のますますの御活躍を祈念いたしまして、エールの言葉とさせていただきます。
次に、文化、そして観光“国際都市としま”について御質問のうち、まず
東アジア文化都市2019の事業周知及び成功へ導くための効果的な事業内容の検討についての御質問にお答えをいたします。
豊島区で行う2019年
東アジア文化都市が成功したと言えるためには、国の内外に
東アジア文化都市を開催していることをアピールすることで、
東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムの機運の上に東アジアを相乗させることができるか否かにかかっていると考えております。
そこで、まず第1に、広報を効果的に行うために準備委員会に広報を専門に行う人材を広報ディレクターとして専任させ、広報戦略の企画・立案を行ってまいります。
第2に、百貨店、鉄道事業者、旅行会社、メディア等からなる広報部会を設けて、区民周知のためのさまざまな手法を検討するとともに、民間企業の協力をいただきながら広報を展開をしてまいりたいと思います。
第3には、このように世界に向けて発信する広報戦略を推し進めながら、区民の皆さんに日本で6番目の代表都市として、
東アジア文化都市を開催することについて知っていただき、機運を盛り上げるお力添えをいただくことが重要であると考えております。
昨日もこの議場で議員の皆様お一人お一人にお願いを申し上げましたが、10月3日に立教大学のタッカーホールを会場として報告会を開催をさせていただきます。これまでの開催都市での事業の様子を映像で紹介しながら、元文化庁長官、国際アート・カルチャー都市懇話会の近藤誠一会長、太下義之副会長をお招きし、
東アジア文化都市事業を豊島区で開催することの意義などをわかりやすく説明をいただき、この国家的プロジェクトの開催都市が豊島区に決定したことの喜びを共有するとともに、今後の流れに関して御案内することで、オールとしまで
東アジア文化都市を成功に導く体制を築いてまいりたいと考えております。
重ねて、くどいようでございますけど、議員の皆様におかれましても、この機会に私から、ぜひ御参加くださいますようお願いを申し上げる次第でございます。今後も区民の皆さんがわくわくしながら2019年の事業開始を迎えていただけるよう、随時、準備状況をお伝えをしてまいりたいと思います。
次に、本区のMICE戦略についての質問にお答えをいたします。
MICE、なかなか聞き慣れない言葉でありますが、企業・国際機関等が行う会議、展示会・見本市、イベントの頭文字、この四つの頭文字をとってMICE、M、I、C、Eでありますが、多くの集客が見込まれるビジネスイベントを総称するものであります。今後、産業構造が変化していく中で、急増するインバウンドに対応した事業こそがビジネス・イノベーションの機会の創造や地域への経済効果、国・都市への競争力の向上などのさまざまな効果が期待をされています。
しかし、国際会議や見本市などの開催は、一朝一夕で実現するものではございません。まちの魅力を向上させ、安心・安全を実現し、それらを総合的にアピールし、浸透するという手順を経てこそ叶うものと考えてまいりました。「国際アート・カルチャー都市構想」こそこうした視点で練られた総合戦略と位置付けるものであります。
高いクオリティーとオリジナリティーに富む世界中のアニメ作品を上映し交流する「東京アニメアワードフェスティバル」、映像、音楽、アニメなどの国際的な見本市、「ジャパン・コンテンツ・ショーケース」など、既にこれまで他の地域での開催実績があるイベントを主催する方から、池袋に拠点を移したいとのお申し出をいただいていることこそ、これまで努力を重ねてまいりました文化によるまちづくりの成果があらわれてきたものと思っております。
さらに、世界的なクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」、世界有数の吹奏楽の祭典「世界吹奏楽大会」の開催など、国際イベントの開催も続々と決定している中、このたびの「
東アジア文化都市」の決定はこれまでの集大成と考えることができるわけでございます。
これまでMICE戦略という名称は用いませんでしたが、国際アート・カルチャー都市実現戦略のもとで、既に取り組んでまいりました施策を着々と実現させていくことが、豊島区におけるMICE戦略であると考えております。
次に、インバウンドの取り組みについての御質問のうち、まず、多言語音声翻訳アプリの活用促進や本区独自のアプリ製作の取り組み状況についての御質問にお答えをいたします。
区では、現在、2019年秋オープンする新区民センターの1階にインフォメーションコーナーを設け、多言語対応が可能な案内を配置することとしております。タブレットを介しての対面での外国語による観光案内や多言語表示による観光案内情報の提供についても導入に向けて検討を進めているところでございます。
御質問の多言語音声翻訳アプリにつきましては、以前、実証実験に参加した31言語を翻訳できるアプリVoiceTraがありまして、現在、区では多言語ガイドブック等でこのアプリを紹介して、活用を促しております。
一方、京都市の事例は観光客にとって大変有効なツールとなっていることと推察をしますが、経路検索等のアプリは既に多くのものが無料で提供されている実態もあり、豊島区独自でアプリを製作することについては、開発・保守費用とのその効果を勘案しつつ、慎重に検討を進める必要があると考えております。
次に、国際都市を名乗るために必要な具体的な取り組み状況についての御質問にお答えをいたします。
このたび、2019年「
東アジア文化都市」に決定をいたしました。横浜、新潟、奈良、京都、金沢という、そうそうたる文化都市に豊島区が名を連ねることになったわけであります。2019年の「
東アジア文化都市」を何としても成功させることこそが、これからの国際的文化都市に伍するための手段であり、国際都市と名乗るだけではなくて、国の内外から認められることになると考えております。
加えて、国際アート・カルチャー都市構想のアクションプランとして、池袋ブランディングシティ戦略を策定をいたしました。これは、特定都市再生緊急整備地域の指定を契機に、池袋の特色を生かしたインバウンドの推進や観光客や外国企業を呼び込むことで国際競争力の強化を図ろうとするものであります。これらのプランによりまして、着実にハードとソフト両面からの施策を展開をしております。
次に、滞在外国人向けの24時間「多言語コールセンター」の設置についての御質問にお答えをいたします。
区では、外国人来街者が必要な情報を携帯端末で自ら入手することができるよう、「TOSHIMA Free Wi−Fi」のアクセスポイントの設置を進めております。これまでは非常に多くの方が訪れる池袋駅周辺に設置をしてまいりましたが、今年度からは、巣鴨や大塚など池袋以外の山手線の駅周辺エリアに接続エリアを拡大する予定でございます。
御提案の24時間の「多言語コールセンター」については、外国人に対して豊島区に滞在していただくために有効なツールの一つであると考えます。しかしながら、検討の結果、2019年の
東アジア文化都市、2020年の
東京オリンピック・パラリンピックの開催に当たり、これまで以上に多くの外国人が豊島区を訪れ、その言語もニーズも極めて多岐にわたることが想定される中で、サービス提供に係る体制と費用をかんがみると、残念ではございますが、設置は難しいとの結論となりました。けれど、これから刻々と時代も変わり、IT環境も変わる中で考えざるを得なくなるかもしれません。
私からの答弁は以上でございますけど、その他の質問の答弁は、両副区長並びに危機管理監から答弁を申し上げます。
〔水島正彦副区長登壇〕
○副区長(水島正彦) 地域共生社会の実現についての御質問のうち、まず、「地域共生社会」の実現に向けた現在の取り組み状況についての御質問にお答えをいたします。
本区においては、区内8カ所の地域区民ひろばにコミュニティソーシャルワーカー、いわゆるCSWを配置し、積極的に地域づくりを推進しております。
現在、町会や商店会等による独自の見守り活動、民生委員や一般区民の皆様によるサロン活動など、区民主体の地域支え合い活動が、実に100カ所余りで行われており、そのほとんどにCSWが関わっております。これは、地域に密着してCSWを配置している当区だからこそできることであり、全国的にも注目されているとこであります。
現在、平成30年度からの6年間を計画期間とする地域保健福祉計画の改定作業を進めておりますが、その中で、計画前期には、現在8つの高齢者総合相談センターの圏域ごとに配置されているCSWを増員して、12の旧出張所圏域ごとに再配置することなどを盛り込んでまいります。CSWと町会や民生委員等との連携をより一層強め、本区にふさわしいさらなる「丸ごと地域づくり」を進めてまいります。
次に、区民の皆様のボランティアマインド育成事業の取り組み状況についての御質問にお答えをいたします。
豊島区と立教大学がオリンピック・パラリンピックに関する協定を締結したことで、同大学コミュニティ福祉学部教授の松尾哲矢先生の監修のもとでボランティア活動の指針等をまとめたガイドブックを作成いたしました。松尾教授は、ガイドブック巻末のコメントで「ボランティアはさまざまな経験をもたらすだけでなく、支えることで見えてくる。支えることは学ぶことでもある」とスポーツボランティアの意義やその重要性を述べておられます。
ガイドブックの作成を機に、
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会等が行うボランティアへの区民応募につながるよう、本年8月より「としまスポーツ応援団」事業を開始したところであります。
ボランティアに対する敷居を下げて、まずは参加のきっかけを提供するため、ボランティアの意向がある方々に「としまスポーツ応援団」に加入していただき、パラリンピックスポーツの情報提供や観戦ツアーの実施から大会運営、競技者サポート、ボランティア講座など、参加される方のできることから始められるボランティアを行っていただこうと考えております。約1カ月で120名の方から応募があり、内訳は、男性が48%、女性が52%、世代は40代から60代で全体の70%を占め、区民の皆様は90%となっております。そのほか東京都との連携による「外国人おもてなし語学ボランティア育成講座」や、在住外国人による通訳・翻訳ボランティアなどの実施を行っており、以上がボランティア育成事業の取り組みの現状でありますが、
東アジア文化都市、また
東京オリンピック・パラリンピック開催までに障害のある人もない人もお互いに尊重し、支え合いながらともに生活する共生社会の実現やボランティア文化の定着など、誰もが優しさを感じる豊島区をつくるよう努力をしてまいります。
私からの答弁は以上でございます。
〔宿本尚吾副区長登壇〕
○副区長(宿本尚吾) まちづくりの課題についての御質問のうち、池袋駅周辺まちづくりについての御質問にお答えをいたします。
まず、カラーリングサイン整備についての区の見識についての御質問ですが、そもそもサインは誰が見てもわかりやすく理解しやすいことが重要であります。しかしながら、現在の池袋駅周辺のサインは、サインを設置した事業者ごとにデザインや表示内容が異なるなど、来街者にとってはわかりやすいものとはなっておりません。そのような中で、本年5月、池袋駅に関係する百貨店、鉄道事業者など全ての事業者が参画する「池袋駅周辺地域再生委員会」におきまして、関係者の合意のもと、「池袋ターミナル案内サインガイドライン」を策定いたしました。このガイドラインでは、池袋駅の地下通路から地上に通じる出入口名称について、東側と西側を明確にしたものに改めるほか、各事業者によって異なるサイン表示を2019年までに統一することとしております。これらにより、池袋駅を日常的に利用しているわけでもない来街者にとって、目的とする出入口がわかりやすくなるものと考えております。
御提案いただきました「カラーリングサイン」につきましては、現時点では実施に向けた整備手法などについて関係事業者との合意に至らず、ガイドラインの中では「さらなる利便性の向上に向けて将来的に検討するもの」としております。カラーリングによる誘導は、海外からの来街者にとっても視覚的に効果があると考えます。引き続き、関係する鉄道事業者や百貨店事業者との調整を継続してまいります。
次に、外国人専用のタクシー乗り場「インバウンドタクシースタンド」の設置についての御質問にお答えをいたします。
2019年の
東アジア文化都市の開催が決定し、池袋駅周辺には今まで以上に多くの外国人観光客が訪れることとなると考えております。そのような中で、海外のお客様がタクシーを利用して大塚、巣鴨、駒込、椎名町などの目的地へ安心して迷うことなく行けることは、豊島区や池袋の魅力向上のみならず、我が国のおもてなしを全世界にアピールすることにもつながります。
御提案の外国人専用のタクシー乗り場の設置につきましては、都内では羽田空港で既に実施されており、また、京都駅でも本年4月より実施しているとのことです。事業実施に当たっては、乗り場設置のスペースが確保できるのか、外国語による会話が可能な運転手が確保できるかなどの課題があります。今後は、京都駅での状況について情報収集を行うとともに、タクシー事業者やタクシー協会へのヒアリングを行い、東京都のスタンスも確認した上で、本区としての対応方針について検討してまいります。
次に、池袋保健所の移転を加えた庁舎跡地の有機的な相互連携、一体的、効率的な施設整備や運営についての御質問にお答えをいたします。
新ホールと新区民センターにつきましては、昨年の第3回定例会における星京子議員からの一般質問に対して御答弁申し上げましたとおり、施設面や運営面での連携を強化することにより、両施設の利便性を最大限に発揮すべく、現在、準備を進めております。一方、池袋保健所の移転後の姿につきましては、これから具体的な検討を進めていく段階であります。したがいまして、地域の皆様の立場からすると、池袋保健所の跡地が今後どのような姿となっていくのか関心があるとともに、不安もあるのではないかと思います。
池袋保健所の移転の後、8つの劇場を中心とするにぎわいの連続性を創出し、ハレザ池袋周辺のさらなる発展につながることが望ましいと考えております。いずれにいたしましても、池袋保健所の移転後の整備につきましては、地域住民の皆様への説明を丁寧に行いながら、今後、ハードとソフトの両面から具体的な検討を進めてまいります。
私からの答弁は以上でございます。
〔今浦勇紀危機管理監登壇〕
○危機管理監(今浦勇紀) まちづくりの課題についての御質問のうち、防犯・防災、環境づくりについての御質問にお答えいたします。
まず、積極的に強化すべき防犯・防災対策についての御質問についてですが、区では、2019年「
東アジア文化都市」国内候補都市の決定や2020年
東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、豊島区の持つ文化の魅力を国内外に発信し、世界中から人と産業を引きつける都市づくりに取り組んでいます。
一方で、今日、国際都市として避けることができないのがテロの脅威であります。一般的にテロ活動は、警備が厳重な地域や施設ではなく、比較的警備が手薄な公共交通機関・集客施設などのソフトターゲットを標的にすることが多いとされています。こうしたテロ活動を防ぐためには、地域が一体となってテロの標的とならないための対策を実施することが重要であります。既に、区内で実施されています防犯パトロールは、地域団体や民間事業者、警察署などが連携し、さまざまな観点から地域の安全安心を見守る取り組みであり、防犯対策とともにテロ対策の基本となっています。
今後、防犯パトロールの取り組みを土台に、警察・消防など関係機関との連携を強化するとともに、テロ対策の理解促進を目的とした危機管理フォーラムの開催や実践的な訓練などの施策を積み重ね、テロ対策を充実させてまいります。
次に、災害時の外国人への情報提供等の施策強化についての御質問にお答えいたします。
区においても増加する外国人の防災対策は喫緊の課題として捉えております。これまで、区は、災害時の外国人対策として、帰宅困難者対策訓練において多言語音声翻訳システムを活用した災害状況や一時滞在施設開設などの情報提供に取り組んでまいりました。今年度は、これに加え、豊島観光協会や区内の日本語学校の協力を得て、通訳ボランティアによる誘導訓練を実施いたします。
また、デジタルサイネージにつきましては、池袋駅周辺地域都市再生安全確保計画に基づき、都市開発事業等に合わせて整備を促進してまいります。
こうした公民連携によるハード・ソフトの対策を組み合わせながら、災害時における外国人対策を推進し、文化とともに安全安心を誇れる都市の実現に向けて取り組んでまいります。
以上をもちまして、星京子議員の御質問に対する答弁を終わります。
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○副議長(大谷洋子) 最後に、6番議員より、「誰もが住み続けたい街、ふるさと豊島へ」の発言がございます。
〔有里真穂議員登壇〕(拍手)
○6番(有里真穂) 自由民主党豊島区議団の有里真穂でございます。私は、自由民主党豊島区議団を代表して、「誰もが住み続けたい街、ふるさと豊島へ」と題して、1、子供にやさしい街づくりについて、2、思いやりのある街づくりについて、3、健康づくりについて、4、その他といたしまして、新生児聴覚検査について質問をいたします。
待機児童ゼロを当初の目標よりも1年前倒しして実現した本区ですが、合計特殊出生率は1.00と23区中で最低であり、平成26年から横ばいの状況です。子供が健やかに育つ環境整備、幼児教育の質という点で課題があると考えております。まず初めに、子供に優しいまちづくりについて、幼児教育のあり方について、幼児期の特別支援教育について、子供の育つ環境について、三つの観点から質問をさせていただきます。
初めに、幼児教育のあり方について伺います。厚生労働省は、来月から育児休業を最長2年まで延長することを決めており、子供が満2歳になるまで育休をとる親がふえる見込みです。今後は、2歳児保育の需要がふえるため、受け皿づくりが課題となってまいります。8月31日の日経新聞の記事でも、文部科学省と内閣府は、幼稚園が2歳児を預かれるよう、施設改修の費用を補助する方針として、2018年度予算に関連費用を盛り込むように財務省に求めるとあります。また、通常の幼稚園が午後5時まで子供を預かる「一時預かり」を拡充し、子供を8時間預けられるようにして、両親が働くケースに対応しやすくするという報道がありました。本区の公立、私立幼稚園における2歳児保育の実施状況と、預かり保育の現状と課題について、お聞かせください。
今まで待機児童対策の担い手は保育園と幼稚園の子供園化によって進められてきたと思います。働き方の多様化、なるべく子供と時間を過ごしたいという子育てニーズへの対応、親となるべく一緒に過ごしたいという子供の視点に立った子育て政策が必要だと考えます。ゼロ歳児で入らないと保育園に入れないから仕事復帰するのではなく、働き方や子供の過ごし方によって幼児教育が選択できる社会を実現するためにも、私立、公立を問わず、保育園、幼稚園に誰もが入れる環境が必要だと考えますが、今後の本区の方針についてお聞かせください。
昨年より、文部科学省は、幼児教育アドバイザーの試験的な取り組みを始め、世田谷区ではモデル事業が行われております。本区には、幼児教育の専門家や幼児期の特別支援に関する専門家による幼児教育の専門部署がございません。大田区では、平成17年より、幼児教育センターが設置され、幼児教育進行プログラムが策定されています。幼児教育に関わる全ての機関、幼稚園、保育園、小学校等が幼児教育にかかわる問題とその背景について共通認識し、それぞれの特性を生かし、連携、協同による取り組みを始めています。センターでは、幼児教育機関の教育内容の充実のために、幼稚園教員、保育士のための研修会の実施、幼保小連携研修会や連携協議会の運営、特別支援教育推進のための研修会や幼稚園の訪問相談の実施などを行っています。本区でも、幼児教育のあり方検討会が行われておりますが、公立、私立の垣根を越えて幼児教育として一元的に子供の育つ環境を整えていくことは必要と考えますが、本区のお考えをお聞かせください。
次に、幼児期の特別支援教育について伺います。障害のある幼児の教育は、ノーマライゼーションとリハビリテーションの理念を踏まえ、子供たちの可能性を十分に引き出し、伸ばすことを大切にしながら、将来自立した生活が送れるよう、子供たちが互いに尊重し、受け入れ、ともに育ち合う環境が必要であると考えます。区立幼稚園だけでなく、私立幼稚園、保育園でも特別支援が必要な児童の受け入れをしておりますが、私立、公立保育園、幼稚園における特別支援の必要な児童数や各園での特別支援教育の実施状況についてお示しください。
本区の公立幼稚園では、特別支援教育を含め、さまざまな子供たちの育ちを提供するため、先生への研修などが実施されております。幼稚園、保育園においては、早期発見及び早期対応が重要であるという観点に立ち、保護者との面談や関係機関との連携により、子供の状況、保護者の思いなどを把握し、実態に応じて加配教員や看護師を配置するなど、きめ細やかな援助の実現に向けて取り組みが必要です。今後、特別支援教育支援員の保育園、幼稚園への支援や、研修、療育との連携、医療的配慮の必要な児童への対応など、幼児期の特別支援教育の現状と今後について本区のお考えを伺います。
さらに、子供の育つ環境づくりについて伺います。少子高齢化と人口減少が急速に進み、保育園の「待機児童」や「子どもの貧困」「格差拡大」「虐待」等の問題が深刻化する中、地方自治体が「子ども」や「子育て」に関わる施策を以前よりも重視する状況が広がっております。
本区でも、学習支援の実施や子供の貧困対策、児童相談所の設置に向けた検討が行われるなど、子供が安心して暮らせるまちを目指して、さまざまな課題に取り組んでまいりました。中でも池袋本町プレイパークは、区政70周年事業の一つとして、2004年に行政主導でワークショップが開かれ、協議を重ねてつくられました。現在では、出張プレイパーク事業として保育園や区内各地の公園でも実施され、子供の遊びの多様性を提供し、外で体を動かして創造性を育む場となっております。子供を取り巻く環境がより一層厳しくなる中で、子供が安心して育つ環境整備の一環として、現在、本区が行っている子供の福祉に関連する事業を子供にやさしいまちづくりとしてそれぞれが連携して進めていくことが重要であると考えます。
八王子市では、子供に優しいまちづくりとして、子供たちが自然に触れ合いながら、遊び、おいしく御飯を食べるという木育・食育・遊育が行われております。子供たちが自然と触れ合いながらのびのびと成長できる環境づくりを大学やさまざまなNPO、地域との連携により展開しています。本区でも、女性にやさしいまちづくりの一環として「心育」というプログラムがスタートいたしました。また、東武デパートの公民連携により、プレイパークや子供のまちをつくろうといった子供たちの遊ぶ環境整備への取り組みを行っておりますが、本区における子供の遊びについての考え方と取り組みについて、お聞かせください。
待機児童がゼロとなり、保育園数も90園と、目覚ましい勢いでふえておりますが、豊島区の特性上、園庭のない保育園も多いと感じております。本年3月の予算委員会で、園庭のない保育園について質問させていただきました。昨年の4月時点で、豊島区の認可保育園47園のうち33園で専用園庭があり、23区中8番目の70.2%の保有率であり、今後、園庭の調査をし、それぞれの園の取り組みや実態把握するとの御答弁でした。新たに13園が整備されるということですが、本区の園庭のない園の実態についてお示しください。
先日、我が会派で行いました私立保育園園長会からの予算要望では、子供たちの遊び場の確保が課題として挙げられました。公園だけでなく、子供たちが体を思いっきり動かして遊べる場所の確保が必要です。今後、小学校の校庭開放の取り組みを初めとした子供たちの遊び場の確保について、本区のお考えをお聞かせください。
本区では、待機児童ゼロを達成し、女性が住みたいと思える街をつくることがすべての人が住みやすいまちになる、女性の人口増加につながるという視点で女性に優しいまちづくりを進めています。NHK取材班による「縮小ニッポンの衝撃」の中で、本区の子育て世代の定着率の低さ、つまり子育て世代の転出の多さが指摘されています。
フランスでは3歳から5歳までを対象とした保育学校の無償化、ユニセフによる子供にやさしいまちづくり事業の認証を247自治体で受けるなど、積極的に子供の幼児教育の質の向上と子供が住みやすい環境整備を行っております。その結果、フランスの出生率は1980年ごろには1.5くらいまで低下しましたが、2016年には2.01まで改善されました。
子供の遊び場の確保、支援が必要な子供たちへの対応などそれぞれの事業を実施する行政や学校、地域社会、NPOが連携をしながら、子供を取り巻く環境を整備していくことが必要だと考えます。さまざまな取り組みを行っております本区ですが、子供を取り巻く環境整備についての今後のお考えをお示しください。
次に、思いやりのあるまちづくりについて、公園トイレについて、赤ちゃんスペースについて質問いたします。
初めに、公園トイレについて伺います。本区は、
東アジア文化都市に選ばれ、今後、文化の中心として、日本はもとより世界中からお客様が訪れる街へと発展してまいります。そのような大きな流れの中でも、豊島区に住みたいと感じていただけるまちづくりが必要だと考えます。
本区では、F1会議やFFミーティングなど公園について取り上げてまいりました。特にF1層の女性の定着には、清潔で快適な公園トイレの重要性が指摘され、公園トイレの改修事業が始まったと認識しております。平成26年のF1会議で、西側13カ所の公園の調査を実施し、公園トイレの改善を訴えました。当時のトイレ清掃は、1人で1日に16公園の巡回清掃を週5日間実施し、特別清掃を年に1回行っていました。改修は年に1、2カ所ずつ実施しておりました。今年度より、3年間で133カ所のトイレのうち、近年改修してない約85カ所を対象に区内の公園や駅前にある公衆トイレの一斉改修に取り組むこととなりましたが、F1会議でのトイレの指摘から3年間で大きな変化があったと思います。トイレ清掃も頻繁に行っていただけるようになったり、おむつ台の取り付けが行われたりと日々改善されておりますが、一方で、きれいな状態を保つことが難しいとも感じております。清掃などの維持管理体制やトイレの構造上の課題について、改修計画の中でどのように検討されているかをお示しください。
トイレは、公園を訪れる誰もが安心して使えるものでなくてはなりません。高齢者にとって公園はコミュニケーションの場所です。園庭のない保育園の子供たちにとっては数少ない、外で体を動かす場所です。子供用便座の設置、手すりの設置やウォシュレットの導入などの配慮、また、安心安全の観点から、密室となるトイレでの犯罪防止のための防犯体制確立など、本区の今までの取り組みと今後のトイレに関するお考えをお聞かせください。
公園は地震などの災害時には一時避難場所となることから、公園トイレは有事におけるライフラインの一つとなります。マンホールトイレの設置などを積極的に行っておられますが、公園トイレの災害時の対応についてお伺いいたします。
今後、3年間でトイレが生まれ変われば、公園がより住民のコミュニケーションの場所として活用され、赤ちゃんから高齢者まで幅広い年齢層が集える場として、世代を超えたつながりが生まれます。公園の維持管理を地域の方々と行うだけでなく、近隣の幼稚園や保育園など子供たちとの連携も行いながら、地域のきずなの場所として大事にされるような仕組みづくりを要望いたします。
続いて、外出先での授乳やおむつ交換の赤ちゃんスペース「赤ちゃんふらっと」について伺います。本区では、区民ひろばや子育て支援センターなど区の25施設、民間6施設で赤ちゃんスペースの設置がされております。民間施設においては、区のホームページでは紹介されておりません。お隣の板橋区では、平成17年に現場の保育士から提案があり、赤ちゃんの駅として導入されました。「オムツ替えの場所提供」「授乳場所の提供」「ミルク用のお湯の提供」「手洗い設備」「冷暖房完備」、育児相談への対応により、赤ちゃんの駅として認定されます。赤ちゃんの駅に認定された公共施設や店舗はグッドデザイン賞を受賞した赤ちゃんの駅フラッグやステッカーを掲示し、赤ちゃんを連れたパパ・ママなら誰でも利用できるようになっています。この取り組みは全国に広がり、多くの商業施設でも取り入れられています。区独自の認定制度であるため、商業施設や学校などさまざまな場所で導入しやすいという状況があり、板橋区内175カ所にふえています。女性に優しいまちづくりに取り組む本区でも多くの商業施設が立地していることから、赤ちゃん連れの人が気軽に訪れやすいように、民間との連携も視野に入れ、図書館での開設、本区独自の制度の設置、赤ちゃんの駅の導入の検討など積極的に取り組まれてはいかがでしょうか。
また、子供向けイベントなどでも利用できる移動式授乳・おむつ替えテントも普及しております。大規模な災害時には救援センターでも課題となる授乳施設ですが、このような移動式のテントがあれば対応できます。イベント実施時などに授乳おむつ替えテントの貸し出しを検討されてはいかがでしょうか。今後の本区における赤ちゃんスペースの設置について、区の考えをお聞かせください。
次に、健康づくりについて、女性の健康支援センターの整備と健康手帳について質問します。
女性のためのライフプラン形成のための健康相談事業の件数が平成27年は86件でしたが、平成28年236件と大幅に伸びています。女性の体は、思春期・妊娠・出産・更年期・老年期と、生涯を通じて女性ホルモンバランスが大きく変動いたします。また、女性の生き方が多様化した現代は、女性特有の病気もふえています。女性のライフステージごとの健康課題に応じた相談の実施やセミナー、イベントの開催、リーフレットの配布などにより、生涯にわたり女性が生き生きと活躍できるような健康づくりを支援する取り組みが重要と考えます。
本区では、鬼子母神プロジェクト、女性のしなやか健康づくり・骨粗鬆症対策、としま健康チャレンジ事業、がん対策などさまざまな事業を展開しております。これらの事業を統合して女性の健康施策として一つの拠点で展開することにより、いつでも相談でき、さまざまな健康対策講座、イベントに御参加いただけるようになります。昨日、竹下ひろみ議員が保健所の移転について質問いたしましたが、女性にやさしいまちづくりを掲げる本区といたしまして、池袋保健所の移転に伴いまして、女性の健康支援センターの創設を検討いただけないでしょうか。本区の女性の健康づくりに関するお考えをお示しください。
本区では、としま健康事業を初め、健康教室の実施、がん検診の実施など、区民の健康維持のためさまざまな事業に取り組んでおります。中でも、平成24年度から健康手帳を交付して、平成25年度は241件の交付がありましたが、昨年度の実績は63件と大きく減少しています。健康診査結果や毎日の健康状態が記録でき、運動、食、心の健康づくりのポイントや本区で実施する健康づくり事業の案内などが掲載されている手帳を効果的に活用することは重要であると考えます。現在の健康手帳の交付状況が減少している原因について、また、周知方法についてお示しください。
昨年実施の健康チャレンジ事業の講習会では、延べ1万357人の参加がありました。本事業では、健康チャレンジシートを発行してポイント集めております。講習会には多くの参加があることから、健康手帳に健康チャレンジのポイントページをつくることで、健康手帳の普及も同時に図られると考えますが、いかがでしょうか。日々の記録をつけていただくことにより、健康に対する意識づけが生まれ、病気予防に役立つと考えます。今後、在宅医療の連携ネットワーク化が図られますが、医療情報のネットワーク化とともに、個人の健康情報との連携も視野に入れ、医療と健康づくりの連携を進めていただきたいと考えますが、本区のお考えをお示しください。
最後に、新生児聴覚検査について伺います。平成28年3月29日付の通知で、厚生労働省は、全ての新生児が聴覚検査を受けられるよう、市町村には「新生児聴覚検査にかかる費用について公費負担を行い、受診者の経済的負担軽減を図る」よう努めることを求めています。聴覚障害のある子供の先天的な聴覚障害の出現頻度は、米国での新生児聴覚スクリーニングの結果によりますと、先天的、永続的な中等度以上の両側障害が出生1,000人当たり1人から2人とされております。
聴覚障害の発見は、障害の程度が重度である場合、子供が低年齢のうちに、家族が日常生活の中で気づく場合が多いと言われております。しかし、軽度や中等度の聴覚障害では子供が音声や物の音に反応を示すために、家族が気づかないこともあり、子供が成長してから言葉の遅れなどによって聴覚障害が発見されることもあります。
平成26年度に厚生労働省が全国1,741市区町村を対象として、新生児聴覚検査について行った調査結果では、検査結果を把握している市区町村は65.1%で、初回検査の公費負担を実施している市区町村は6.3%、109自治体のみでした。東京都における検査結果の把握状況は48.4%と低く、新生児聴覚検査の実施体制が整っていないと感じますが、本区での検査結果の把握状況と検査を受けられなかった児に対する対策についてお示しください。
東京都では、平成14年度から平成16年度までの3カ年間、本区と立川市においてモデル事業を実施しました。モデル事業の結果、豊島区の検査実施数は28%で、そのうちの66%が入院検査でした。平成15年の調査対象となった345施設中、聴覚検査機器を保有している施設は37.8%であり、耳鼻科が70%でした。多くの産科施設では、聴覚検査機器を保有してないことが課題でしたが、現在の本区における聴覚検査機器の保有施設の状況と確認検査、再検査実施施設の現状についてお示しください。
厚生労働省から市区町村において、次の3点において通知がございました。新生児訪問指導等の際に、母子健康手帳を活用し、新生児聴覚検査の受診状況、受診結果を確認し、検査の受診勧奨、適切な指導援助を行うこと。新生児聴覚検査に係る費用についての公費負担を行うこと。行政機関、療育機関、医療機関、教育機関、地域の医師会、患者会等の関係機関・関係団体から構成される協議会を開催する等により、都道府県単位で連携体制を構築すること。また、母子手帳交付のとき、妊産婦健康診査、出産前の両親学級の機会を活用した周知啓発の徹底を図るよう指示がありました。通知後の本区の新生児聴覚検査への受診勧奨や指導の実施、周知に関する取り組みについてお示しください。
立川市では、モデル事業後、3,000円の公費補助を実施しており、ほかにも通知を受けて小金井市、町田市、桧原村で独自の公費負担制度を始めています。一方で、豊島区はモデル事業後、公費補助の検討は実施されませんでしたが、その理由をお示しください。
また、新生児聴覚検査は出産した施設で受けるのが望ましいですが、都内では市区町村を超えて出産する妊婦が多いことから、区外の施設で公費助成により検査を受けた場合、それぞれの自治体へ申請しなくてはなりません。現在の妊婦健診のように、どの医療機関でも一時負担がなく利用できるようにするために、統一した事業としてスタートする必要があるのではないでしょうか。東京都には各自治体で歩調を合わせるような調整役が望まれますが、現在に至るまでの東京都の対応と本区の関わりについてお伺いいたします。
日本産婦人科医会の調査によりますと、米国において、1998年に、早期発見により早期支援が開始された聴覚障害児の言語能力が3歳では健聴児に近いことが示されました。この結果、米国では、多くの州で法制化が進み、2005年の調査結果では、全出生児の約93%が聴覚スクリーニングを受けています。米国小児科学会、聴覚学会等の関連学会代表からなる乳児聴覚に関する連合委員会は、2000年に、生後入院中に最初のスクリーニングを行って生後1カ月までにスクリーニングの過程を終え、生後3カ月までに精密診断を実施し、生後6カ月までに支援を開始する(1−3−6ルール)という聴覚障害の早期発見・早期支援のガイドラインを出しました。以上のように、早期発見、早期治療が言語能力に大きく影響することがわかっている中で、早期治療につなげる体制づくりが重要であります。聴覚検査でリファー結果が出た場合、医療機関、保健所との連携、大塚ろう学校などの療育との連携による治療と療育のフォローアップ体制の確立が必要と考えますが、本区の体制づくりについてお聞かせください。
また、出産直後の入院中にリファー結果が出ることもあります。産後の不安定なときに結果によっては精神的なショックも大きく、再検査の説明だけではなく、心のケアや今後の対応について、母親に寄り添った支援が必要となります。検査の普及や公費助成だけでなく、子供の健やかな成長とともに、母親を支える支援が必要となってまいりますが、本区のお考えをお聞かせください。
新生児聴覚検査の実施により、早期発見、早期治療が実現できます。その結果、健常児と同じ言語能力を有することができ、普通教育を受けることも可能となります。子供たちの将来のために、本区が中心となって東京都へとの働きかけを行い、そして公費助成が実現できますよう強く要望いたしまして、私からの一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔高野之夫区長登壇〕
○区長(高野之夫) ただいまの有里真穂議員の御質問に対しましてお答えを申し上げます。
子供に優しいまちづくりについての御質問のうち、第1項目から第6までは教育委員会での答弁でありますので、子どもの遊びについての考え方と取り組みについての6項目からお答えをいたしたいと思います。
子どもの「遊び」は年齢に応じて「体験」と表現とすることもあり、身体的な発達だけではなくて、五感や情緒、社会性といった人格形成の基礎を確立する人間の成長に最も重要な行動であると認識をしております。こうした認識のもと、豊島区子どもプランの重点施策として「子どもの遊びの充実」を掲げており、冒険遊びをテーマとする池袋本町プレーパークや出張プレーパークを開催をしておりますが、現状においては区内には安心して遊べる場所は決して多くはありません。遊びの質についても課題となっております。したがいまして、こうした環境を補い、遊びの量と質を高めるために「子どもの遊び」に関連する事業をさらに広げていく必要があると考えております。方策の一つとして、現在、心を育てる「心育(ここいく)」をテーマに子どもを対象とする事業を持つ所管課が連携してPRを行い、事業を実施する試みを行っております。また、直近では、小学校の校庭、あるいはデパートの屋上も利用して遊びを展開をしております。今後も区内の多様な場所を活用いたしまして、ノウハウを持つNPOや民間事業者などと連携協力することで、魅力的で多様な遊びを多くの子どもたちに提供していきたいと考えております。
次に、園庭のない保育園の実態についての御質問にお答えをいたします。
本年4月1日時点で、区内には民間保育園が区立、私立合わせて60園ございます。そのうち認可基準を満たす専用園庭のある園は34園であり、区内の認可保育園の専用園庭保有率は56.7%となります。ただし認可基準を満たすほど広さがないものの、小さな専用園庭等を有する認可保育園は8園あり、これらを合計すると60園中42園、率で言うと70%の園が何らかの専用園庭を保有していることになります。なお、園児の外遊びについては、専用園庭の有無に関わらず、全ての保育園が近隣の複数の公園や区民ひろば、図書館等を利用して、さまざまな形で実施できている状況でございます。
次に、子どもたちの遊び場の確保についての御質問にお答えをいたします。
待機児童ゼロを継続していくために、今後も保育需要の伸びに見合った数の認可保育園を設置をしてまいりますが、立地や物件の関係で専用園庭のある民間保育園のみを設置することは困難であると考えます。先日、私立保育園41園の園長さん全員と懇談の機会がありました。そのとき、私のほうから公園の利用についてお伺いいたしましたところ、園庭があるなしにかかわらず、全園が午前中は近所の公園を利用しているということでありました。ある公園では、三つも四つもの保育園の園児が一緒になる、何かまじり合ってしまうというような大変公園の活用が本当に利用されているというようなこともお聞きをいたしました。こうした状況の中、子どもたちの遊び場を確保していくということは、大変重要であるのではないかと思います。
教育委員会及び区立の小学校の理解と協力のもとに、本年5月から椎名町小学校及び長崎小学校の2校の校庭を月に1度でありますけど、近隣の認可保育施設の園児が利用しております。この間、1回当たりの平均利用児童数を見ると、椎名町小学校が約50名、長崎小学校は43名となっており、近隣の保育園に大変喜ばれております。こうした状況を踏まえまして、現在、園児のために校庭を開放する小学校等をさらに拡大できないか教育委員会と調整に入っているところでございます。
次に、子供を取り巻く環境整備についての御質問にお答えをいたします。
女性にやさしいまちは誰にもやさしいまちでありまして、中でも子ども施策については特に関連が深いものでございます。御指摘のユニセフによる「子どもに優しいまちづくり事業」は、子どもの最善の利益を図るべく、「子どもの権利条約」の内容を具現化していく事業であり、フランスの例で見ますと、子育て世代の定着率を高めていくためにも有効な取り組みであります。本区におきましては、「子どもの権利に関する条例」を制定してから11年が経過しておりますけど、この条例で定められながらも実施していない施策があるため、まずはこれらを早期に実施することが必要であると考えております。したがいまして、その取り組みの中で「子どもにやさしいまちづくり事業」についても視野に入れまして、検討してまいりたいと思います。子どもを取り巻く環境の整備につきましては、現在のところ地域住民やNPO、行政の協働で「子どもの遊び場ネットワーク」の準備会を開催いたしまして、今後、本格化する予定でございます。そして既にあります「子ども食堂ネットワーク」や「学習支援ネットワーク」とともに総合的な豊島子どもネットワーク会議を開催をしてまいりたいと考えております。このように、地域で子どもを見守るネットワークを広げていきながら、多くの方が子どもたちを見守る豊島区ならではの温かな環境整備を目指してまいりたいと思います。
次に、健康づくりについての御質問のうち、まず、女性の健康支援センターの創設等の女性の健康づくりについての御質問にお答えをいたします。
池袋保健所では、としま鬼子母神プロジェクトの一つとして、女性のライフプラン形成のための健康相談事業を行っております。月1回、産婦人科専門医、助産師、保健師、栄養士、歯科衛生士といった専門職が個別相談に応じておりますが、昨年度からは相談者のニーズにより、きめ細かく対応するため、1回の相談で複数の専門職との個別相談が受けられるようにしたところ、相談件数の大幅な伸びが見られました。相談内容も産婦人科領域にとどまらず、精神科、神経科など広範囲にわたっております。このことから、自分自身の健康に不安を抱えているものの、さまざまな理由で病院を受診するには至らない多くの女性にとって、この専門相談事業は非常に有益であると考えております。
池袋保健所と長崎健康相談所では、この女性のための専門相談ほかにも、各種健診を初め、骨太教室やホルモンバランスを整える教室など、ライフプランに合わせた健康づくりのための事業を行っております。今後はさらに保健所の持つ正しい情報を発信するという強みを生かして、池袋保健所1階の情報発信拠点「鬼子母神plus」に女性の健康に関わる情報を集約し、今以上に女性のライフプランを支援する機能を持たせることを検討をしております。これに関連いたしまして、池袋保健所と長崎健康相談所は女性にやさしいまちづくり担当課と協働し、FF協定を活用して、東武百貨店池袋本店7階に定期的に「鬼子母神plus」の展示情報や季節に応じた健康、安全に関わる情報をポスター形式で呼びかける掲示板を3カ所設置をいたしました。豊島区における保健事業の広報だけではなく、多くの人々に正しい保健・医療情報を提供することで、人々がより健康で幸せな生活が送れるように支援をしてまいりたいと考えております。このように「鬼子母神plus」を核に女性を対象としたさまざまな事業や情報をさらに集約し充実させることで、御提案の女性の健康支援センターの設置をさらに大きな役割を担えるような機能を強化をしてまいりたいと思います。
次に、健康手帳の交付状況が減少している原因及び周知方法についての御質問にお答えをいたします。
この手帳の目的は、健康診断の記録、そのほか御自身の健康管理と適切な医療の確保に役立てていただくことであります。これまで希望される区民の方々に、池袋保健所の窓口並びに健康チャレンジでの測定会などの機会に交付しているものであります。記入方法等、直接御説明したいことから、区ホームページなどで周知しておりません。昨年度の交付実績は75歳以上の方が15名、40歳以上75歳未満の国保加入者が39名、そのほか希望者が9名と、合計で63名となっております。御指摘のとおり、25年度までは200件程度で推移しておりましたが、26年以降は70件程度で推移をしております。これは、記録を記入していただく欄は項目にもよりますけど、数年間分の継続的な記録記入も可能なものとなっており、チャレンジ参観者など、健康意識の高い方には一定程度の普及を見たことも一因ではないかと考えておりますが、しかしながら、一層の利用促進を図る必要があるものと考えております。
次に、健康手帳への健康チャレンジポイントページの作成についての御質問にお答えをいたします。
健康チャレンジポイントはカードにシールを張っていただき、400ポイントに達するとカードを利用券に交換するものとなっております。今後、そうした実績を記録する欄を設けて、参加実績をトータルで記録できるようにすることを、ぜひ工夫してまいりたいと考えております。
次に、医療と健康づくりの連携についての御質問にお答えをいたします。
現在、先ほど申し上げた年齢区分ごとに、それぞれに応じた情報を盛り込んだ手帳を御提供しております。一方、介護予防手帳も並行して発行をしております。御指摘を踏まえまして、それぞれの目的を可能な限り両立し、お一人お一人の健康づくりへの取り組みに資するべく、医療関係者や介護関係者との連携・共通するツールとして、より一層活用しやすくなるよう工夫を重ねてまいりたいと思います。その際には、普及方法の見直しを含めて、御提案を契機に、より幅広い方々の健康な生活の支援策となりますよう、検討してまいりたいと思います。
私からの答弁は以上でございますけど、そのほかの質問につきましては、両副区長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては教育長から答弁申し上げます。
〔水島正彦副区長登壇〕
○副区長(水島正彦) 思いやりのある街づくりについての御質問のうち、まず、民間との連携も視野に入れた赤ちゃんの駅等の導入についての御質問にお答えいたします。
赤ちゃんふらっと事業は、平成20年度に東京都が開始したもので、本区は21年度からこの事業を実施しております。しかし、御指摘のとおり、区内の民間施設については、東京都のホームページでは紹介をされておりますが、区では紹介しておりませんので、今後は区内の施設を全て網羅し、本区でも紹介してまいります。
また、板橋区で実施しております赤ちゃんの駅事業は、赤ちゃんふらっと事業と同様の事業であるため、本区といたしましては、独自の制度や赤ちゃんの駅事業を導入するのではなく、現在の事業を充実させることで対応していきたいと考えております。
次に、イベント実施時の授乳おむつ替えテントの貸し出し等の赤ちゃんスペースの設置についての御質問にお答えいたします。
授乳おむつ替えテントの貸し出しにつきましては、現在、八王子市やあきる野市などの自治体が実施しております。八王子市では、「市内のイベントで子育て中の人が誰でも参加できること」を要件に貸し出しを行っており、年間約15件程度の利用があるとのことであります。御指摘のとおり、災害時にも活用できるテントですので、赤ちゃんスペースの設置につきましては、今後、本区でのニーズを見きわめながら検討していきたいと考えております。
次に、その他についての御質問のうち、まず、新生児聴覚検査結果の把握状況と検査を受けられなかった新生児に対する対策についての御質問にお答えいたします。
本区では、赤ちゃんの生まれた御家庭を助産師や保健師が訪問し、母親、赤ちゃんの健康状況を把握し、相談に応じるということを行っております。その際、新生児聴覚検査の受診状況を確認し、検査を受けていないことがわかった場合、東京都が作成した乳幼児の耳の聞こえに関するリーフレットをお渡しし、日常の聞こえの様子をよく観察していただき、音に対する反応か弱いと感じた際には、医療機関や保健所に相談するよう説明をしております。なお、本区における平成28年度の新生児聴覚検査の受診率は77%でありました。
次に、聴覚検査機器の保有施設の状況と確認検査、再検査実施施設の現状についての御質問にお答えいたします。
本区には産科施設が4施設あり、そのうち新生児聴覚検査を実施している施設は3施設であります。確認検査、再検査を実施する医療機関については、日本耳鼻咽喉科学会が推奨する医療機関が都内には13病院ありますが、区内にはございません。
次に、新生児聴覚検査への受診勧奨や指導の実施、周知に関する取り組みについての御質問にお答えいたします。
保健所では、妊娠届を提出していただいた方に、助産師や保健師が行う「ゆりかご面接」において、母子健康手帳や副読本を用いて新生児聴覚検査の受診を勧奨しております。現在、受診されていない方が約2割ほどおられますので、今後、より丁寧に受診を勧奨してまいります。
次に、モデル事業後に公費補助の検討が実施されなかった理由についての御質問にお答えいたします。
有里真穂議員が御指摘のとおり、東京都では平成14年度から16年度に新生児聴覚検査モデル事業を実施し、本区が立川市とともにモデル地区に選ばれました。当時、産科施設での検査実施体制が現在ほど整っておらず、検査のために新生児を区内外の耳鼻科外来に連れていかねばならない状況が多く、公費助成申請の前に検査体制の充実がまず必要であると判断したものであります。
次に、新生児聴覚検査の一時負担なしでの利用ができるための東京都の対応と豊島区の関わりについての御質問にお答えいたします。
東京都は、これまで本事業は区市町村の業務で、各自治体で検討すべきであるとの姿勢でございましたが、本区としては、有里真穂議員が御指摘のとおり、本事業は都内で統一した事業として実施されることが望ましいと考えておりました。特別区全体としても同様の問題意識を持っておりまして、平成28年11月に特別区保健衛生主管部長会で「母子保健検討委員会」が設置され、新生児聴覚検査の実態調査と検討がなされ、全ての新生児が都内全域の医療機関で検査を受けられる体制を整備し、検査費用の公費負担を行うこと等を東京都医師会、特別区長会など、医療行政機関5機関での協議事項として東京都に要望したところであります。
次に、聴覚検査でリファー結果が出た場合の関係各所との連携による治療と養育のフォローアップ体制の確立についての御質問にお答えいたします。
先ほども触れましたとおり、聴覚検査で精密検査が必要と判断された場合、多くは日本耳鼻咽喉科学会の推奨する医療機関に紹介されます。また、保健所では、赤ちゃん訪問の際に聴覚検査の結果を把握し、難聴の疑いがある児については、専門医療機関への通院が継続されているかを確認するとともに、都立大塚ろう学校の「きこえとことば」相談支援センターを紹介するなどしております。
次に、母親を支える支援の必要性及び今後の東京都への働きかけによる公費助成の実現についての御質問にお答えいたします。
近年、産科施設との連携も深まり、継続的な支援が必要となりそうな母親については、早い段階から情報提供がなされ、保健師のさまざまな支援につなげております。また、保健所では、赤ちゃん訪問時に支援の継続が必要と判断された母親に対し、助産師が訪問を継続する「としま育児サポーター」事業を平成26年度より実施しており、これも出産後の母親支援の充実であります。また、東京都に対しては、全ての新生児が都内全域の医療機関で検査を受けられる体制が整備され、統一した基準による公費助成制度となるよう、東京都の他の自治体とともに働きかけてまいりましたが、実現できるよう働きかけを継続してまいります。
私からの答弁は以上でございます。
〔宿本尚吾副区長登壇〕
○副区長(宿本尚吾) 思いやりのある街づくりについてのうち、まず、公園のトイレの維持管理や構造上の課題についての改修計画における検討状況についての御質問にお答えをいたします。
区内の公園などのトイレ清掃は、利用頻度に応じて対応をしております。具体的には、通常は1週間に5回、利用頻度が高い公園については、毎日2回以上清掃を行っているものもあります。しかしながら、老朽化が進んでおり、汚れが十分に除去できず、匂いが残ってしまうなど、利用者の方々に御迷惑をおかけするケースもあることは認識しております。今年度から試験的に区内約30カ所のトイレにつきまして、通常のトイレ清掃とは別に専門の業者に委託をし、特殊な薬剤を使った排水管の清掃や巡回調査による汚れ具合の点検を実施しております。現時点では、対象のトイレは30カ所としておりますが、専門業者のノウハウを他のトイレの維持管理にも生かしながら、区内全域のトイレの環境改善につなげていきたいと考えております。
また、構造上の課題といたしましては、これまで鉄筋コンクリート造や鉄骨造の躯体では改修の際にどうしても事業費がかさんでしまう点が上げられます。これに関し、現在、プレハブの発注を試験的に実施するとともに、木造トイレの発注についても検討しておるところでございます。
次に、公園のトイレにおける今までの取組みと今後の考え方についての御質問にお答えをいたします。
区内にあります公園トイレ、公衆トイレの総数は133カ所で、このうち改修を要するトイレが85カ所程度ございます。これらを今年度を含めて3カ年で全て改修する計画です。現在は全てのトイレの現況を把握した上で、3カ年の具体的な改修計画を策定しております。配管の状況調査や水圧の確認を行い、それぞれのトイレに適した改修方法を検討しております。また、あわせてコストダウンにつながる工法や発注方法の試行を検討しております。なお、調査を行った箇所から順次改修工事に入り、本年度は既に5カ所の工事に着手をしております。引き続き10カ所の改修を行うこととしております。
また、トイレを含めた公園の全体の犯罪防止のための取り組みとして、池袋本町公園と大塚台公園に防犯カメラの設置を行います。今後、さらに東京都の補助金を活用しながら、他の公園においても防犯カメラの設置を進め、犯罪の防止につなげていきたいと考えております。
次に、公園トイレの災害時への対応についての御質問にお答えをいたします。
防災用のマンホールトイレは、災害時に迅速にトイレ機能を確保することができ、東日本大震災や熊本地震の際にも多数使用されております。区内では現在15カ所の公園に合計60カ所程度を設置しております。マンホールトイレについては、今後も公園全体の改修にあわせて設置を進めていく予定ですが、その際、女性や高齢者の方々、誰もが使いやすいマンホールトイレとして、これまでのテント式ではなく、パネル式のものを可能な範囲で設置をしていきたいと考えております。既に今年度2基を設置しており、今後の設置も検討しております。
災害時における公園の役割は重要と考えます。防災拠点となる公園には、マンホールトイレのみならず、かまどベンチや防火水槽も設置するなど、積極的に取り組んでまいります。
私からの答弁は以上でございます。
〔三田一則教育長登壇〕
○教育長(三田一則) 引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関する御質問に対しましてお答え申し上げます。
子供に優しいまちづくりについての御質問のうち、まず、公立、私立幼稚園における2歳児保育の実施状況と預かり保育の現状と課題についての御質問にお答えいたします。
区内の幼稚園の現状は、区立3園が4歳児からの2年保育、私立16園中15園は3歳児からの3年保育となっております。本区の公立・私立幼稚園の2歳児保育は、いずれも今般国が想定している保育需要の受け皿とはなっておりません。保育の趣旨としては子育て支援の一環であり、2歳児は就園準備を兼ねた体験保育的な位置づけとなっているのが現状でございます。また、預かり保育は区立幼稚園では17時まで、夏休みなど長期休業中や朝の始業時間前は実施しておりません。私立幼稚園においても、各園それぞれ多様なニーズに応える工夫をしておりますが、国が期待する待機児解消の水準には至っていない状況です。
今回出されました国の方針に沿って、2歳児保育や長時間保育といった需要に応えるためには、私立幼稚園各園の意向を踏まえつつ、認定こども園化を含め、公立私立ともに実施に当たって人的、施設整備の改善が必須の課題であると考えております。
次に、私立、公立を問わず、保育園、幼稚園に誰もが入れる環境整備の今後の方針についての御質問にお答えいたします。
御指摘のとおり、ゼロ歳に限らない就園時期の選択が可能となる多様で柔軟な施策の対応が求められております。乳幼児を抱える全ての区民の皆様が、その人らしい子育てのスタイルを実現できるよう、教育委員会、子ども家庭部など、組織横断的な検討を踏まえ、子育て環境の整備に努めてまいります。
次に、幼児教育として一元的に子どもの育つ環境を整えていくことの必要性についての御質問にお答えいたします。
本区におきましては、教育委員会は区立幼稚園を、子ども家庭部は公立、私立保育園と私立幼稚園を担当しております。現状の課題解決に際しましては、幼児教育は成長期の第一義的な、つまり幼児期の人格形成の基礎、基本を獲得する時期であるからこそ、幼児教育の垣根を越えた一元化を図る組織の必要性が強調されているのだと考えております。その実現を目指していきたいと存じます。
一元化によってアプローチカリキュラムからスタートカリキュラムへという就学前教育への接続が円滑となり、「小1プロブレム」を解決する大きな原動力になると考えております。そこで、平成28年度より2年間かけて東京大学、秋田喜代美教授を座長とした「幼児教育のあり方検討会」で、豊島区の子どもたちの共通の土台として、質の高い幼児教育を全ての乳幼児が享受できるよう、公立、私立保育園、幼稚園の関係者が一堂に会して検討を重ねております。「ゼロ歳から5歳までの共通プログラム」の策定や区立幼稚園の認定こども園化、特別支援教育のあり方など、時間をかけて多くの課題解決に向けて検討を進めているところでございます。国が提案しております「質の高い乳幼児期の教育と保育の重要性」を大きな政策課題とし、公立・私立・幼稚園・保育園の違いを超えたゼロ歳から就学前までの教育と保育に関する包括的な政策の実現に向けて、引き続き取り組んでまいります。
次に、特別支援の必要な児童数や各園での特別支援教育の実施状況についての御質問にお答えいたします。
特別な支援を必要とする園児数につきましては、現在、区立幼稚園では3園27名の園児、私立幼稚園におきましては、3園6名の園児を受け入れています。保育園につきましては、原則として各園2名を上限として受入れ、現在、公立、私立の認可保育園40園に57名が在園しております。この各園の受入れ人数は私立幼稚園につきましては、補助金申請上の数字であり、公立保育園、幼稚園についても障害児入所審査会の審査数や個別支援計画策定対象の園児数をもって実数としております。しかしながら、実際にはまだまだ潜在的な実態もあり、特別支援教育を必要とする園児数はもう少し多いと考えております。各施設での特別支援教育の実施状況は、区立幼稚園では特別支援担当教諭を配置し、個別指導計画を策定しております。教育センターからは毎週スクールカウンセラーを派遣することに加え、巡回相談により専門的な観点から幼稚園と保護者に指導助言を行っております。さらに希望者には、幼稚園生活への適応や小学校就学に向けてソーシャルスキルトレーニングを教育センターで実施しております。公立、私立保育園につきましては、東部子ども家庭支援センターの巡回子育て発達相談事業がございます。これらの事業によって、各施設の職員は当該園児への対応について助言を受け、日常の保育や教育に生かしております。
次に、幼児期の特別支援教育の現状と今後についての御質問にお答えいたします。
特別支援教育の必要な園児は年々増加傾向にあり、小学校への円滑な接続が非常に大きな課題になっております。また、御指摘のとおり、医療的ケアが必要な児童についても対応が求められております。現在、「幼児教育のあり方検討会」のワーキンググループにおきまして、特別な支援が必要な乳幼児の早期からの総合的な支援体制について検討中でございます。教育センターはワーキンググループの事務局として、公立・私立保育園、幼稚園の園長、小学校長、保健所や障害福祉課、子育て支援課、西部子ども家庭支援センター、学務課などの全ての関係者を束ね、保健所での健診や日常的な指導上の課題、関係機関の連携・協力など、個々の幼児の多様な教育ニーズを踏まえた適切な支援、就学までの一貫した切れ目のない支援を目指しております。将来的には幼児、児童の発達課題に応じた早期支援から就学後支援へと一貫させ、ソーシャルスキルを経て社会参加へと学びの連続性を保障する仕組みづくりを構築してまいりたいと考えております。
以上をもちまして、有里真穂議員の御質問に対する答弁を終わります。
○副議長(大谷洋子) 一般質問を終わります。
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○副議長(大谷洋子) この際、申し上げます。
議事の都合により、暫時休憩をいたします。
午後5時24分休憩
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午後5時45分再開
○議長(木下 広) 休憩前に引き続き会議を開きます。
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○議長(木下 広) この際、日程の追加についてお諮りいたします。
ただいま区長より第57号議案の撤回の申し出がありました。よって、これを本日の日程に追加し、追加日程第1として直ちに議題といたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下 広) 異議ないものと認め、そのように決定いたします。
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○議長(木下 広) 追加日程第1を議題といたします。
○事務局長(栗原 章) 第57号議案の撤回について。
○議長(木下 広) 本件について、理事者より撤回理由の説明がございます。
〔水島正彦副区長登壇〕
○副区長(水島正彦) それでは、第57号議案の平成29年度豊島区補正予算
一般会計補正予算(第2号)の撤回について御説明を申し上げます。
衆議院解散に伴いまして、衆議院選挙の予算についても議決をいただく必要が出てまいりました。しかしながら、選挙執行経費につきましては、急を要するため、補正予算(第2号)の議決後では間に合いません。よって、補正予算(第2号)を撤回させていただいた後、後ほど御説明をいたしますけども、選挙執行経費として補正予算(第3号)、そして補正予算(第2号)の内容につきましては、補正予算(第4号)として上程させていただきたく存じます。お手数をおかけいたしますけども、本議案の撤回について御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
○議長(木下 広) お諮りいたします。
第57号議案の撤回については、これを承認することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下 広) 御異議ないものと認めます。
よって、第57号議案の撤回については承認することに決定いたしました。
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○議長(木下 広) 続いて、日程の追加についてお諮りいたします。
ただいま区長より予算2件が提出されました。よって、これらを本日の日程に追加し、追加日程第2及び第3として直ちに議題といたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下 広) 御異議ないものと認め、そのように決定いたします。
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○議長(木下 広) 追加日程第2及び第3を一括して議題といたします。
○事務局長(栗原 章) 第61号議案、平成29年度豊島区
一般会計補正予算(第3号)外1議案。
○議長(木下 広) 2議案について、理事者より説明がございます。
〔水島正彦副区長登壇〕
○副区長(水島正彦) 第61号議案、平成29年度豊島区
一般会計補正予算(第3号)につきまして御説明申し上げます。
今回の歳入歳出補正予算の総額は、1億4,386万6,000円で、これにより歳入歳出予算の総額は1,192億8,349万2,000円となるものでございます。
まず、歳出の内容でございますが、第2款総務費につきましては、衆議院議員選挙執行経費1億4,386万6,000円を新たに計上するものでございます。
以上が歳出でございますが、これに充てる歳入につきましては、都支出金1億4,386万6,000円を計上いたしております。
以上が
一般会計補正予算案の概要でございます。
説明は以上でございます。よろしく御審議のほどお願いいたします。
次に、第62号議案、平成29年度豊島区
一般会計補正予算(第4号)につきまして御説明を申し上げます。
今回の歳入歳出補正予算の総額は、16億9,306万5,000円で、これにより歳入歳出予算の総額は1,209億7,655万7,000円となるものでございます。
まず、歳出の内容でございますが、第2款総務費につきましては、職員情報システム運営経費に1,252万8,000円を計上するほか、地域見守り活動支援事業経費等3事業に4,371万4,000円を計上するものでございます。
第3款福祉費につきましては、障害者総合支援施行事務経費に1,500万円を計上するほか、生活保護施行事務経費等6事業に9,198万8,000円を計上するものでございます。
第6款都市整備費につきましては、池袋副都心移動システム推進事業経費に1,600万円を計上するほか、特定整備路線沿道不燃化促進事業経費等4事業に1億1,575万円を計上するものでございます。
第7款土木費につきましては、豊島区無電柱化事業経費に6,500万円を計上するほか、都市計画道路補助第176号線整備事業経費等3事業に9,450万円を計上するものでございます。
第8款文化商工費につきましては、
東アジア文化都市推進事業経費に4,718万5,000円を計上するほか、庁舎跡地活用事業経費等2事業に8,390万9,000円を計上するものでございます。
第9款教育費につきましては、豊島区立学校施設の長寿命化計画策定事業経費に572万2,000円を計上するほか、小学校学級増に伴う普通教室整備経費等2事業に6,356万9,000円を計上するものでございます。
第11款諸支出金につきましては、財政調整基金積立金に9億603万1,000円を計上するほか、保健福祉基盤整備支援基金積立金等3事業に11億9,963万5,000円を計上するものでございます。
以上が歳出でございますが、これに充てる歳入につきましては、国庫支出金8,077万5,000円と都支出金など四つの款で16億1,229万円を計上いたしております。
このほか、繰越明許費として池袋駅東西連絡デッキ整備事業経費6,000万円を計上いたしております。
また、債務負担行為の補正といたしまして、道路維持修繕経費の外8件を定めるものでございます。
以上が
一般会計補正予算案の概要でございます。
説明は以上でございます。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○議長(木下 広) これより質疑に入ります。
○16番(細川正博) 第61号議案及び第62号議案の2議案は、総務委員会に付託することを望みます。
(「賛成」と呼ぶ者あり)
○議長(木下 広) 賛成者がございますのでお諮りいたします。
本動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下 広) 御異議ないものと認めます。
よって、これら2議案は総務委員会に付託することに決定いたしました。
───────────────────◇────────────────────
○議長(木下 広) 以上で、本日の日程全部を終了いたしました。
本日は、これをもって散会といたします。
午後5時54分散会...