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平成22年第3回定例会(第13号 9月29日)

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  1. 豊島区議会 2010-09-29
    平成22年第3回定例会(第13号 9月29日)


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    平成22年第3回定例会(第13号 9月29日) 平成22年豊島区議会会議録第13号(第3回定例会)   平成22年9月29日(水曜日)  議員定数 36名  出席議員 35名       1  番    原 田まさひろ       2  番    和賀井 哲 代       4  番    五十嵐 みのる       5  番    日 野 克 彰       6  番    古 坊 知 生       7  番    中 田 兵 衛       8  番    水 谷   泉       9  番    西 山 陽 介       10  番    根 岸 光 洋       11  番    辻     薫       12  番    高 橋 佳代子       13  番    竹 下 ひろみ       14  番    磯   一 昭       15  番    森   とおる
          16  番    儀 武 さとる       17  番    小 林 俊 史       18  番    藤 本 きんじ       19  番    島 村 高 彦       20  番    中 島 義 春       21  番    河 原 弘 明       22  番    村 上 宇 一       23  番    堀   宏 道       24  番    本 橋 弘 隆       25  番    渡 辺 くみ子       26  番    小 林 ひろみ       27  番    山 口 菊 子       28  番    大 谷 洋 子       29  番    此 島 澄 子       30  番    木 下   広       31  番    里 中 郁 男       32  番    吉 村 辰 明       33  番    小 峰   博       34  番    遠 竹 よしこ       35  番    垣 内 信 行       36  番    河 野 たえ子  欠席議員 1名       3  番    永 野 裕 子 ────────────────────────────────────────  説明のため出席した者の職氏名       区  長    高 野 之 夫       副区長     水 島 正 彦       政策経営部長  吉 川 彰 宏       総務部長    横 田   勇       施設管理部長  上 村 彰 雄       区民部長    齋 藤 賢 司       文化商工部長  東 澤   昭       図書館担当部長 鈴 木   達       清掃環境部長  永 田 謙 介       保健福祉部長  大 門 一 幸       健康担当部長  佐 藤 正 俊       池袋保健所長  村 主 千 明       子ども家庭部長 山 根   斎       都市整備部長  増 田 良 勝       土木部長    亀 山 勝 敏       会計管理室長  桐 生 建 樹        ─────────────────       教育長     三 田 一 則       教育総務部長  齊 藤 忠 晴        ─────────────────       選挙管理委員会事務局長               若 林 弘 司        ─────────────────       監査委員事務局長               西 澤 茂 樹 ────────────────────────────────────────  職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名       事務局長    陣野原 伸 幸       議会総務課長  石 川   裕       議会担当係長  七 尾   弘       書  記    野 田 ルミ子 ────────────────────────────────────────   議事日程 ・会議録署名議員の指名 ・一般質問 ────────────────────────────────────────   会議に付した事件 ・会議録署名議員の指名 ・一般質問   日野克彰議員「新庁舎計画の問題点について」   五十嵐みのる議員「豊島区生活産業プラザ監視カメラ事件について(その2)」   本橋弘隆議員「としまは今、何をなすべきか。」   小林俊史議員「創発する関係を築く区政に Ⅲ」   辻  薫議員「日本一高密都市から世界一安全な都市を目指して」   儀武さとる議員「区政が、いま緊急にやるべきこと」 ・会議時間の延長 ────────────────────────────────────────   午後1時3分開議 ○議長(堀 宏道) これより本日の会議を開きます。 ───────────────────◇──────────────────── ○議長(堀 宏道) 会議録署名議員をご指名申し上げます。22番村上宇一さん、24番本橋弘隆さん、25番渡辺くみ子さん、以上の方にお願いいたします。 ───────────────────◇──────────────────── ○議長(堀 宏道) これより、昨日の本会議に引き続き、一般質問を行います。  発言通告に基づき、順次これを許可いたします。  まず、5番議員より、「新庁舎計画の問題点について」の発言がございます。   〔日野克彰議員登壇〕 ○5番(日野克彰) 私は、「新庁舎計画の問題点について」とのタイトルで一般質問を行います。  先日、議会に対し、新庁舎整備推進計画(案)の説明がありました。これによりますと、この計画をもとに条例提案前の区民等への説明・意見交換に入るとのことですので、これまで委員会等の場で私が指摘したこと等を含め、新庁舎問題に対し、総括的に何点か指摘いたします。  それでは、質問に入ります。論点は次の3つです。第1に、新庁舎を「世界に誇れる庁舎」「シンボル庁舎」と位置付けていることについて、第2に、新庁舎の維持管理コストが現在よりも増大することについて、第3に、資金計画が当初見込みから大幅に狂ったことについて。以下、論点順に述べてまいります。  まず、第1の論点、新庁舎を「世界に誇れる庁舎」「シンボル庁舎」と位置付けていることについて、述べます。まず、世界に誇れる庁舎との位置付けについてです。今年4月の基本設計の発表以来、盛んにこのような表現がなされていますが、率直に言って、歴史的な遺産でもない箱物を世界に誇るという感覚はナンセンスではないでしょうか。地方自治法に、地方公共団体の事務所とあるように、庁舎はそもそも区政の事務の拠点にすぎません。箱物そのものを殊さらに飾り立て上位に位置付けるのは、私は適当ではないものと考えます。同じ「世界に誇れる」を目指すのであれば、その対象は、本来いろいろな観点における区民生活の質の向上であるべきと考えるのは私だけではないものと考えますが、いかがでしょうか。  次に、シンボル庁舎との位置付けについてです。そもそも庁舎は、区民への行政サービス提供を含め、行政の諸機能がいかに効率的・合理的に果たされるかという機能面を目的とすべきです。それゆえ、今述べました「世界に誇れる庁舎」と同様、建物自体をシンボルと位置付けて目的化するのは適当ではないと考えます。建物自体をシンボルとして位置付けますと、本来必要ではなかった余分な機能がどんどん加わり、地方自治法にもあります、最小の経費で最大の効果を上げるという自治体経営の基本原則に反することになる恐れが大であると私は考えます。あえて率直に言いますと、庁舎、イコール、シンボルとの認識は、江戸時代の各地でお城をシンボルと位置付けたのと同様の、時代錯誤の感覚といえるのではないでしょうか。  次に、第2の論点、新庁舎の維持管理コストが現在よりも増大することについて、述べます。従来、例えば、平成20年の新庁舎整備方針にあるように、現庁舎の大きな課題の1つとして、維持管理経費の増大が挙げられてきました。確かによく見直してみますと、この記述の中心は改修工事に関係する内容でしたが、維持管理経費の増大との記述を素直に受け取って、多くの区民は、改修だけでなく、いわゆるランニングコストも含まれるものと認識していたのではないでしょうか。即ち、「今の庁舎は老朽化していて、維持管理のランニングコストがかかり過ぎる効率のよくない庁舎である。新庁舎にすることによってこの点を改め、効率のよい経済的な庁舎ができる。つまり、ランニングコストは下がると期待できる」というものです。私はそのように認識しておりましたし、先日この推進計画について、ある町会の役員会で私が説明した際、ほとんどの方がそのように認識しておられました。  今回の新庁舎整備推進計画において、7ページからの、3、現庁舎等の現状と課題の中で、従来は「維持管理経費の増大」と記載されていた項目を、9ページにあるとおり、「修繕経費の増大」と言い替えたのは、ひょっとしたらこういった観点から区民の批判を受けることを考慮したのではないか、などとも考えてしまいますが。  以上の点からして、今回の新庁舎整備推進計画中、ランニングコストである維持管理経費、これには維持管理に必要な経費として修繕積立金も含まれますが、現行コストの1.8倍以上に膨らむというのは区民の理解を得られないのではないでしょうか。維持管理経費を削減するため、床面積を削減する、余計な機能を削るなど、早急な見直しが必要と考えますが、いかがでしょうか。この見直しの際、例えば、床面積については、国の起債基準が現行計画の正当化の根拠とされていますが、今回は新庁舎建設に当たって起債をするわけではありませんし、そもそもこの基準自体が、遵守を義務付ける強行規定のような性格のものではないと考えますので、見直しに当たっての支障にはならないものと考えます。  最後に、第3の論点、資金計画が当初見込みから大幅に狂ったことについて述べます。平成20年の新庁舎整備方針と今回の新庁舎整備推進計画(案)を比べてみますと、資金計画の数字が大きく異なっています。まず収入ですが、現庁舎地活用による地代25年分一括受け取り額は、平成20年の新庁舎整備方針が176億円に対し、今回は143億円となっており、2割ほどの収入減となっております。次に支出ですが、床の買い増し価格の上昇などにより、平成20年の新庁舎整備方針における165億8,800万円に対し、今回は180億2,300万円となっており、1割弱の支出増となっています。つまり、入ってくるお金が大幅に減って、出ていくお金が随分と増えたということになるでしょう。このような見込み違いへの対応として、現庁舎地の地代の一括受け取りの期間の変更を考えているようですが、トータルとしての収入が大幅に減り、将来にわたる区の歳入減が確実なのですから、一括受け取り期間の変更といった小手先の手段ではなく、支出に関する計画の大幅な見直しが必要ではないでしょうか。この見直しに当たっては、論点の2で述べました床面積・設備等の見直しだけでなく、新庁舎計画の一環とされる健康センターについても見直しの対象とすべきです。これまで私が何回か指摘してまいりましたが、現在、生活している区民にとって、この健康センターは、それがどうしてもなくてはならないという明確なニーズはないものと私は考えます。明確なニーズがない以上、既存の施設を活用することで十分目的が果たせるはずです。よい機会なので、この際建設を止めてもよいのではないでしょうか。庁舎計画の見直しの一環として、ぜひとも検討すべきです。  質問は以上ですが、聞くところによりますと、与党会派の一部において、その会派の議員を応援する少なからぬ区民の方々が、今回の新庁舎計画を大きく疑問視し、見直しを求める声を強く上げておられるとのことです。もとより、我々区議会議員の政治的判断は個々人の自由ですが、身近な区民の率直で賢明な判断を尊重し、自らの今後の意思決定に反映させることを期待するものであります。  以上、「新庁舎計画の問題点について」として質問をいたしました。これをもちまして、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)   〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) ただいまの日野克彰議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。  まず、新庁舎を「世界に誇れる庁舎」「シンボル庁舎」と位置付けることについてのご質問にお答えいたします。今年の4月27日の副都心開発調査特別委員会でご報告いたしました新庁舎の基本設計概要では、世界に誇れる環境庁舎、文化・環境都市のシンボル庁舎と表現しております。豊島区は今や日本一の高密都市であり、大都市でもありますが、それゆえに、新庁舎計画では、地球温暖化への対応やヒートアイランド対策などのため、様々な環境対策を講じており、「豊島の森」といった屋上緑化やエコベールなど、建物全体で緑化促進に取り組んでいるわけであります。環境問題は21世紀の世界共通のテーマであり、一自治体であっても、地球の一員として積極的に取り組むことは当然のことではないでしょうか。この再開発建物の設計は、環境のトップランナーである株式会社日本設計、日本を代表する世界で活躍している隅研吾先生、新進気鋭のランドスケープアーキテクトの平賀達也先生による協同設計チームで取り組んでいるわけであります。私たちの思いを受けて、世界に誇れる環境庁舎を目指しているわけであります。この表現は、新庁舎が環境モデル庁舎として官民の手本となり、さらには世界に向けても環境対策を発信したいという気概を示したものでございまして、決して豪華な庁舎を世界に誇るという意味ではございません。また、区民生活の質の向上を世界に誇れることを目指すべきとのご意見は同感であります。  そして、「文化・環境都市のシンボル庁舎」という表現でございますが、豊島区が力を入れて取り組んでいる文化・環境都市づくりを、区民の皆様が実感できる庁舎という意味で使っているわけであります。まさに、これからの21世紀の建築とは、文化を大切にし、そして環境に配慮した姿、建物をつくり上げることではないでしょうか。もちろん、先日の新庁舎整備推進計画案でお示ししたように、新庁舎はその効率性、合理性に十分配慮し、機能性を最優先する建物でございます。決して庁舎自体を豪華で華美なものにつくろうとは思っておりません。何ゆえに時代錯誤の感覚と言われたのか、私は理解できません。豊島区は、今までの苦しかった、破綻寸前まで追い込まれた時代を乗り越えて、今大きく飛躍しようとしているわけであります。このときこそ力を合わせ、創意と知恵を出して、次世代へ誇れる豊島区をつくり上げていきたいと思います。  次に、新庁舎の維持コストが現在よりも増大することについてのご質問にお答えいたします。平成20年9月、新庁舎整備方針では、現庁舎を初め、分庁舎や公会堂などをこれからも使用し続けることを想定した場合、耐震補強工事設備更新費など、改修工事費が増大すると説明していますが、このままだとランニングコストが増大するという意味ではございません。一般的に、建物が新しくなったり大きくなると、例えば、非常用のエレベーター等建築基準法や消防法など、法令上義務付けられた関連設備が必要となるわけであります。これらの維持経費や点検経費が必然的に増加いたします。これは、単独で同規模の庁舎を建設した場合であっても、当然、必要になるものでございます。また、新庁舎は、災害対策の司令塔としての機能が不可欠であり、非常用発電設備あるいは雨水再利用設備など、現庁舎にはない設備を付加しているわけであります。したがいまして、余計な機能などは設けておりませんし、現時点での想定でありますが、一定程度の維持管理コストの増加は、安全・安心のためにも必要なものと考えております。反面、建物の断熱性能の強化や自然エネルギーを活用し、省エネルギー化の向上による光熱水費は縮減を図る計画になっておりまして、建物全体に係るランニングコストをできるだけ抑える計画になっております。建物の規模といたしましては、国の起債基準はあくまでも指標の一つであり、これがすべてではないことはもちろんですが、他の自治体の庁舎規模を見ても、決して余裕がある庁舎だとは考えておらず、これ以上床面積を削減することは困難であると考えております。  次に、資金計画が当初見込みから大幅に狂ったことについてのご質問にお答えいたします。資金計画の収入が減って支出が増えたのだから、計画の大幅な見直しによる支出の見直しをすべきではないかとのご指摘でございますけれども、平成20年5月、「新庁舎整備方針案」でお示しした資金計画の、現庁舎地の活用収入と再開発事業における床取得等の支出額は、ともに概算による試算額でございました。この度の資金計画で示した額は、前回の試算額と変動がありましたが、当初より、経済状況により試算額が変わることは想定しておりまして、試算額が変動した場合は、現庁舎地の定期借地権に基づく地代の一括受け取り年数を変更することで対応すると、明確にお示ししております。景気の悪化でマイナス方向に下ぶれしたことは誠に残念でありますけれども、見込みが狂ったというものではないと考えております。したがいまして、計画の大幅な見直しは考えておりません。  次に、健康センターの中止についてのご質問にお答えいたします。健康センター構想は、新庁舎の整備後に区民センターを改修し、隣接する池袋保健所とともに、今後拡充が必要な健康づくりや地域医療の支援などの拠点として、施設を整備しようとするものでございます。こうした健康関係の施設整備のほか、現在の区民センターの機能も継続しなければなりません。区民センター自体も老朽化が進み、いずれは建て替えが必要な建物でありますので、新庁舎の整備にあわせ、健康センターとして建て替えを考えているものでございます。中止することより、区民の皆様の大切な命を守る、役立つ施設にするかと考えております。その整備の時期につきましては、今後の本庁舎跡地の運用状況や区の財政状況により見直す可能性はあると考えております。  以上をもちまして、日野克彰議員のご質問に対する答弁を終わります。
      〔日野克彰議員登壇〕 ○5番(日野克彰) 論点の2、新庁舎の維持管理コストが現在よりも増大することについて、再質問をさせていただきます。  確かに、平成20年の新庁舎整備方針、その前もそうなのですけれども、維持管理経費の増大という項目があって、中身は、私も質問の中で書いたように、これは修繕経費のことが書いていました。しかし、先程述べましたように、今の庁舎が古い、そして維持管理経費の増大が問題である、そして、確か区民の中からも、ランニングコストはどうなるんだという質問が出ていたと思います。そのときに、今の庁舎よりも大きくなるから、ランニングコストは増大するというご説明はなかったと思います。明確にそう聞いていないから、その質問に答える必要はないと言われればそれっきりなのですが。ですから、私は、維持管理経費の増大というものが、今回、初めて数字で示されたのですけれども、そのこと自体は問題ではないかと考えるのですが、区長はそのこと自体はもう問題ではないとお考えなのでしょうか。この点を改めて伺いたいと思います。   〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) 日野克彰議員の再質問にお答えいたします。  必要な設備・機能が追加され、そして維持管理コストが増大するということで、本当に理解が得られるかという再質問でございますけれども、先程もお答えいたしました、床面積の削減とか、あるいは機能の見直しは考えておりませんけれども、再開発建物の実施設計を進める中で、経済性・効率性の高い設備とか機器等を購入し、できるだけ維持管理コストの削減に努めていかなければならないわけでありますので、増大することをただ容認しているということではございませんが、できるだけ効率がいいものに、やはりこれはコストを絶えず下げていくということを念頭に置きながらつくっていかなければいけない、それはもう基本的なことだと私は思っておりますので、その辺はご理解をいただきたいと思います。   〔日野克彰議員登壇〕 ○5番(日野克彰) 再々質問をさせていただきます。今の論点です。  私の、維持管理経費コストが現庁舎よりも新庁舎の方が大きくなるのが問題ではないんですかということに対して、イエスというお答えではないので、問題ではないということなのでしょう。ただ、では、そこのところをちょっと確認をしたいのですが、少なくともランニングコストについてのこの間の数字というものが、現庁舎と新庁舎を比較して、新庁舎の方が多かったと。では、理解の仕方としてなのですが、ランニングコストについて見ますと、新庁舎の方が現在の庁舎よりもお金のかかる庁舎であるという理解の仕方については間違いではありませんよね、ということを確認をしたいと思います。   〔上村彰雄施設管理部長登壇〕 ○施設管理部長(上村彰雄) それでは、再々質問について答えさせていただきます。  やはり1平米面積当たりランニングコストは、ほぼ同等になるように試算しておりますが、面積が増える分につきましては、これはやはりいたし方ないものだと考えております。 ──────────────────────────────────────── ○議長(堀 宏道) 次に、4番議員より、「豊島区生活産業プラザ監視カメラ事件について(その2)」の発言がございます。   〔五十嵐みのる議員登壇〕 ○4番(五十嵐みのる) 豊島行革110番五十嵐みのるです。ただいまより、「豊島区生活産業プラザ監視カメラ事件について(その2)」について質問させていただきます。  1つ、平成20年10月15日、公共施設生活産業プラザの会議室・研修室に異臭が発生し、同室利用者のうち5人の容態が悪くなり、3人が救急車で病院に搬送されるという事件がありました。このため役所側は、異臭の発生から利用者の安全を守るため、緊急やむを得ない場合の措置として、同室内の監視カメラを作動させました。しかし、監視カメラの室内撮影は会議室・研修室の利用者にとって大変迷惑な話です。室内での利用者の一切の行為が撮影されているからです。これにより、基本的人権であるプライバシー、思想・良心の自由、集会・結社・表現の自由が侵害され、さらに利用者は、自ら気がつかないうちに、いつ異臭が発生するかもしれない危険を伴う会議室・研修室の使用を余儀なくされていたからです。これは憲法13条の生命、自由、幸福追求の権利に対する侵害です。そこでお尋ねします。会議室・研修室の監視カメラによって撮影されたであろう「思想・良心の自由(憲法19条)」に関わる利用者の内面形成に資する研鑚行為(人生観、世界観、思想、政治的思考等)、あるいは自己の信ずる人生観等を相互に述べ合ったり議論したりする「集会・結社・表現の自由(21条)」等と民主主義との関係をどのように考えておられるのかをお聞かせください。  2つ、私は不思議でなりません。公務員が本件会議室・研修室の利用者に対して監視カメラを作動させるということが、いかなる意味を有しているのか。普通に考えれば、当然理解できたはずです。なぜなら、憲法99条は、公務員に対して、倫理的道義的な憲法尊重擁護義務を課しているからです。そうであれば、憲法第99条記述の公務員即ち豊島区長は、当条の道義的、倫理的義務、倫理的とは当然のことですが、「人が人間としてふみ行うべき大きな道」という意味です、に基づき監視カメラの室内作動を回避して人権侵害のない方法で異臭の発生原因を究明すべきであったのではないでしょうか。例えば、平成20年10月15日の最初の異臭発生が生じた時点で、当該会議室・研修室を一定期間閉鎖し、その間に徹底的にあらゆる角度から異臭の発生原因を究明するなどの対応があってもよかったのではないでしょうか。そこで、2点お尋ねいたします。1つ、人権侵害の恐れのあった本件監視カメラ作動と憲法第99条の公務員の憲法尊重擁護義務との関係をどのようにお考えになっていたのかご説明ください。2つ、当該室内での監視カメラの作動は人権侵害に関わる行為です。区長は区議会の考え方を事前に確認されたのでしょうか。  大きな3つです。平成22年2月の新聞ですが、ある新聞社の「本件監視カメラに録音機能は付いているのか」との取材に対して、役所側は「録音機能はない」と答えております。また、平成22年6月の第2回定例会の一般質問において、私は「室内を撮影する監視システムには録画以外に録音機能はあるのかどうか」との質問を行いました。監視カメラに録画機能がある以上、録音機能もあるのが一般的であるからです。そのときの区長の答弁は、録音機能はないというものでした。そこで私は、担当課から当該監視カメラの取扱説明書(約130ページ)をお借りして調べたところ、20カ所以上に録音機能の使用説明の箇所のあることを確認しました。そこで、区長にお尋ねいたします。なぜ私の質問に、録画機能はあるが録音機能はないとお答えになったのでしょうか。その真意をお答えください。  以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。   〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) ただいまの五十嵐みのる議員のご質問に対しましては、担当部長である文化商工部長より答弁いたさせます。   〔東澤 昭文化商工部長登壇〕 ○文化商工部長(東澤 昭) ただいまのご質問のうち、憲法の思想・良心の自由及び集会・結社・表現の自由と民主主義の関係についてお尋ねでございましたけれども、これらは、当然ながら、民主主義を進める上での基本となる憲法上の規定であると考えてございます。  カメラとの関係でございますが、カメラは質問の中にもございましたように、平成20年10月と21年5月の2回にわたって生活産業プラザ内で異臭が発生し、特に20年10月の発生時には複数の利用者が救急搬送されるという事態が発生しました。防犯カメラはこれを契機として、施設管理者としての責任から利用者の皆様の安全確保並びに事故防止及び防犯のためにシステムを再構築し、21年3月より運用を開始したものでございます。この防犯カメラの設置及び運用につきましては、「豊島区立生活産業プラザにおける防犯カメラの設置及び運用に関する要領」において、生活産業プラザを利用する皆様の安全の確保及び権利保護並びに施設の適正な管理を目的とする旨を定めておりまして、それ以外での利用を禁止してございます。したがいまして、これには、今、五十嵐議員がおっしゃいました、憲法上の規定を擁護する上での立場からの措置であると私どもは考えております。一方で、そうした記録された映像は、設置目的の達成に必要な範囲でのみ運用しておりますことから、決して個人のプライバシーを侵害するものではございません。  次に、憲法第99条の公務員の憲法尊重擁護義務との関係でございますが、これにつきましても、既にお答えいたしましたとおり、防犯カメラの設置及び運用は適切かつ厳重に行っておりますので、ご指摘のようにこれに抵触するものではないと考えてございます。  次に、区議会の考え方を事前に確認したのかとのご質問でございましたけれども、この措置は利用者の皆様の安全確保並びに事故防止及び防犯のため、また、一方で施設の管理形態の大きな変化を伴うものではございません。したがいまして、通常の施設管理上の措置であると考えておりますので、区議会等への事前の報告等は行っておりません。  次に、「録画機能はあるが録音機能はない」と答えたその真意は何かということのご質問でございますが、設置しております録音機能には、確かにそれなりの配線等の工事を行えば録音することはできますけれども、当初より当該施設においてのシステムには録音機能は必要ないと考えておりましたので、録音に必要な配線工事等は行ってございません。したがいまして、事実として録音機能はないと申し上げたものでございます。  以上をもちまして、五十嵐議員のご質問に対する答弁を終わります。   〔五十嵐みのる議員登壇〕 ○4番(五十嵐みのる) それでは、1点だけ、監視カメラの録音機能がないとお答えになったことについて、お尋ねいたします。  先程も質問でお話ししましたとおり、普通は録画機能があるならば、録音機能があるというのが一般的でございます。そして、今ご答弁になった内容は、防犯上の見地から、利用者の健康を図るために行った措置であるとおっしゃっておりますが、そうであるならば、余計に録音機能は機能して当たり前ではないでしょうか。録音工事を行っていなかったということですが、その取扱説明書を読めば、簡単な指の操作で録音が可能になります。配線工事とかそういうものは私は必要なかったと、読んだ限りは記憶しております。物事には当たり前の考え方に基づいて行動する。本当に利用者のためを思っているならば、きちんと録画・録音をして早く原因を究明するというのが憲法尊重義務に基づく公務員の責任ではないでしょうか。  終わります。   〔東澤 昭文化商工部長登壇〕 ○文化商工部長(東澤 昭) ただいまの再質問にお答え申し上げます。  防犯カメラの設置は、あくまで犯罪の抑止でございます。あるいは犯罪が起こったときに後からそれを視認する、目で確認するためのものとして設置しているものでございまして、録音機能については、当初からその必要性を感じてございません。なお、ボタンがあれば録音できるではないかというご質問ですけれども、これは配線をしていなければ、ボタンをいくら押しても録音はできません。したがいまして、録音機能がないということは事実のままでございます。  以上をもちまして答弁を終わります。 ──────────────────────────────────────── ○議長(堀 宏道) 次に、24番議員より、「としまは今、何をなすべきか。」の発言がございます。   〔本橋弘隆議員登壇〕(拍手) ○24番(本橋弘隆) 自民党豊島区議団の本橋弘隆でございます。私は、これより「としまは今、何をなすべきか。」と題しまして、次の4点について一般質問いたします。1、いわゆる「婚活」について、2、隣人関係について、3、自転車対策について、4、図書館についてであります。区長の積極的なご答弁を期待いたしまして、早速質問をさせていただきます。  まず、婚活についてお伺いいたします。全国的に少子化が叫ばれて久しいですが、豊島区としても決して例外ではありません。少子化の要因は様々あり、本区としても、豊島区子どもプランを基軸として、しっかりとした対策がとられているわけですが、果たして、一定の目に見えた効果は上げられているのでしょうか。また、少子化の語られにくい問題として、未婚化・晩婚化の問題もございます。特に、未婚化の問題では、国立社会保障・人口問題研究所の、平成22年版人口統計資料集によりますと、全国的に30歳から34歳の未婚率は、昭和50年で男性14.3%、女性7.7%でありましたが、平成17年では男性47.1%、女性32.0%まで上昇しております。また、50歳時点の未婚率である生涯未婚率が、昭和50年は男性2.12%、女性4.32%だったものが、平成17年のデータでは、男性15.96%、女性7.25%という結果となっております。しかし、結婚した女性の出生率である有配偶出生率は、昭和45年から平成17年までに0.22ポイント引き上がっていることや、結婚する際に婦人科検診を受ける女性が増え、子どもを産むことを前提に結婚を考える人も増えていることから、結婚して産まないということよりも結婚がなかなか成就せず産めないということが課題となっております。つまり、未婚化が少子化を引き起こしている大きな要因の一つとなっているのであります。平成21年の、ゼロから考える少子化対策プロジェクトチームの提言にもあるとおり、行政も少子化対策の第一歩として、未婚問題を今後考えていかなければならないと思います。  未婚化が進んだ大きな要因の一つとしては、あらゆる場面での規制緩和が進み、選択肢が増えたということが挙げられると思います。そもそも、この問題が注目されるようになる以前の昭和55年までは、職場やお見合いでの出会いが一般的であり、他の出会い方が少なく、規制された中で自動的に結婚相手を見つけることがそれなりにできておりました。また、結婚のあり方も、男性が外で働いて女性が仕事を辞めて家庭に入るという固定観念が強かったため、互いに相違なく結婚の流れを進めることができていたところがございました。しかし、昭和55年以降、男女雇用機会均等法の制定などの動きにより、女性の社会進出が進んだことでの男女の価値観の変化や、就職氷河期による職場での出会いの減少、地縁・血縁・コミュニティの希薄化によるお世話役の減少・衰退など、自然に結婚相手と出会うといったことは困難な状況になりつつあると同時に、あえて結婚しないという選択肢も一般化しているのであります。  婚姻関係を結ばなくても不便を感じないなどの理由であえて結婚しない、いわゆる非婚という考え方もございますが、国立社会保障・人口問題研究所の、平成17年版の第13回出生動向基本調査によると、18歳から34歳の独身男女の約9割が「いずれ結婚するつもり」と回答しており、厚生労働省の、平成16年の少子化に関する意識調査研究の報告によると、結婚しない理由として「適当な相手にめぐり会わないから」という意見が男女とも半数以上を占め、堂々の第1位となっております。ここから、当の本人は結婚を望んでいるにもかかわらず、なかなか結婚できていないという状況が浮き彫りとなっております。また、平成21年7月3日の産経新聞、「婚活ブーム、救いの神に」の記事によると、いわゆるパラサイトシングル現象も未婚の要因となっており、この問題にも向き合っていきませんと、今後、全国で年金不正受給問題が増加しかねないと思われます。  こうして、未婚化という問題に対する対応策として取り上げたいのが、いわゆる婚活の促進であります。出会いがない、自分に相応の相手がいないなどの理由での非婚を解消する手立てになると思いますし、かつて日本の多くの自治体では、行政の仕事の一部として結婚相談事業が行われていたと聞いております。この事業から行政が徐々に撤退していく流れと相まって、晩婚化や未婚化、そして少子化が進んできたというデータ結果も出ているとのことであります。実際、我が豊島区でも、今から約60年前の昭和25年10月に、当時の豊島民生館の中に結婚相談所を開設したとの記録があります。また、その後も、区民センターにおいて結婚相談を実施していたとのことです。  そこでお伺いいたします。今申し上げた、全国各地の自治体の動向をどう認識・分析されているのか。また、かつての本区における婚活関連施策にはどのような施策があり、どうして今はなくなってしまったのか、なくなった経緯などについてご説明ください。  現代の婚活の方法としては、民間での結婚情報サービスやインターネット上のSNSのコミュニティを利用した出会い、あるいは個人レベルでの合同コンパなど、実際多岐にわたっております。平成21年6月30日の読売新聞、「婚活しないと結婚できない、新入社員の3割」と題した記事によりますと、昨今の新入社員の3割は婚活しないと結婚できないと考えており、婚活に対する意識はますます高まってきております。  しかし、純粋に結婚したいという人がいる一方で、その気持ちに付け入った犯罪が行われていることもまた事実でございます。現に、豊島区在住の女性がインターネットのサービスを通じて知りあった男性に結婚を装った容疑と、男性2人を殺害した容疑で逮捕されております。また、結婚情報サービスにおいて個人情報が流出する事件など、信憑性の是非が問われることがしばしばあることや、雇用・賃金の格差によって婚活の力の入れ方も左右されるという調査結果も出ていることから、市場が600億円規模とはいえ、サービスを民間のみに任せてばかりもいられません。そして、民間の結婚情報サービスでは、学歴や年収、職業など様々な制限があるため、婚活したくても条件に漏れて婚活できないという人がどうしても出てしまいます。そういった方々のために、広く門戸を開くことが今まさに必要だと思いますが、いかがでしょうか。そうであるならば、本区の過去の施策を復活させるべきではないでしょうか。この点について、区長の見識と判断をお聞かせください。  現在、全国各地の自治体が婚活に力を入れ始めております、品川区では「しながわマリッジサポート」という名称で結婚サポート事業を行っております。子育て対策に力を入れている品川区では、少子化対策の検討を機に結婚支援を始め、結婚のノウハウを持った紹介事業者に業務委託し、結婚相談事業、結婚セミナーと交流会、パートナー紹介支援事業の3つを行っております。中でも、結婚セミナーと交流会は回を追うごとに参加希望者も増え、参加者の意識改革や区の魅力のPRにつながっているとのことであります。中央区では、指定管理者を入れた区立施設の「銀座ブロッサム」を最大限活用した婚活支援を始めており、これによって未婚者の結婚を後押しして、区内への定住者を呼び込むとともに、この施設の結婚式場としての利用促進につなげております。何でも、今年の7月中旬に行われた第1回の婚活支援イベントは大好評だったそうで、この9月に第2弾のイベントを実施するとのことです。地方でも、少子化対策はもちろん、青少年の活発化、嫁不足解消の名目で婚活に積極的に取り組んでいる自治体があります。私の事務所の政策スタッフ、明治大学商学部2年の井上鈴香さんが、ご自身の郷里、群馬県庁を取材してくれました。群馬県では「ぐんま赤い糸プロジェクト」と称して、県内企業のネットワークを通じて、未婚社員の出会いや交流を促すサポート、交流会などが行われており、また、社会福祉協議会では、個人の結婚相談も行われ、しっかりとした合意によるお見合いも行われているとのことです。最も結婚まで結びつくのが難しいとのことで、今年の9月からは「縁結びネットワーク」を立ち上げ、「縁結び世話人」を通じたネットワークを構成して、参加者の結婚観の構築などによって、結婚に結びつける仕組みをつくるとのことです。次に、同じくお茶の水女子大学4年の鈴木美恵さんが、ご自身の郷里で、本区と防災協定を結んでいる、岩手県一関市役所を取材してくれました。一関市では、農林部が旅行代理店と共同で農業後継者確保促進事業として、農業体験型の婚活事業を今年の10月に行うとのことであります。こうして、都市部と地方とで、それぞれの事情は異なるものの、このような全国的な流れは無視することはできないと思われます。  豊島区の合計特殊出生率は、平成19年度において0.82と、東京23区中19位で全国の合計特殊出生率1.34をはるかに下回っており、少子化対策を、今以上に急ピッチで進めなければなりません。私たち、自民党豊島総支部でも、小池百合子代議士の発案で、インターネットのコミュニティサイトと連携して婚活を支援するサイトを設置したところ、大きな反響を呼んでおります。もちろん、行政の手助けを借りながら、さらに婚活推進をしていければ、とても頼もしい限りです。少子化対策という切り口だけではありません。地域や人との絆が希薄化した現代、本区としても区民活動として、例えば「学校の森」植樹祭等の交流活動を行っておりますが、果たしてどれくらいの効果を上げているのでしょうか。さらなる区民の交流という意味でも、婚活に取り組んでみるべきではないでしょうか。また、環境問題や住宅・インフラ整備などで携わっているものの、未婚の若者にとって、行政は遠い存在と思われがちです。公平性を謳う行政なら、手薄となりがちな彼ら若者層のための主だった施策も検討すべきではないでしょうか。そして、豊島区には文化施設や商業施設が豊富にあり、それらの有効活用策として婚活イベントを行うことは有意義であろうと考えます。これまでも独自性ある施策に取り組んできた本区ですが、東京ではいまだ珍しい取り組みとして、本区のさらなるPRにもつながることと思われます。以上より、豊島区でも婚活イベントを実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、例えば、NPО法人との婚活イベントの共同実施はどうでしょうか。いずれにしても、品川区や中央区のように、何らかの形で婚活に本区が携わるべきだと考えますが、いかがでしょうか。区長のお考えをお聞かせください。  次に、隣人関係についてお伺いいたします。今年の7月、読売新聞は、全国の有権者3,000人を対象に、面接方式で、地域社会や家族に関する全国世論調査を行いました。回収率は60%でしたが、78%の方が「地域住民の支え合いが弱くなっている」、81%の方が「家族の絆やまとまりが弱くなってきている」とそれぞれ回答しております。特に、「今住んでいる地域に、困ったときに相談にのってもらえる人がいない」は、大都市部、即ち東京23区と政令指定都市では、45%の方がイエスと回答しており、そのことは、当然のことながら、本区にも当てはまるのであります。このような報道を目にしたとき、これまで我が国の地域社会構造を下支えしてきた地縁や血縁というものがここまで溶解してきたのかと、大いなる不安を感じたのは私だけではないと思いますし、ここまで身近な人同士や人と地域とのつながりが希薄になっていることを浮き彫りにされました以上は、あらゆる知恵と工夫を持って、何としてもこの事態に歯止めをかけなければならないと思うのであります。と同時に、この点についての解決が、セーフコミュニティ認証取得を目指す本区にとって、最重要・最大関心事であると言うことができると思います。そこでお伺いいたします。区長におかれては、豊島区民の多くが、本区では、家族の絆やまとまり、地域住民の支え合いが、むしろ強くなってきていると感じ、意識調査が行われても、そう回答してもらえるよう、どのような施策が必要とお考えでしょうか。また、そのための区長のビジョンはどのようなものをご用意しているのでしょうか、お考えをお聞かせください。  ここで、生活騒音などによる隣人トラブルを未然に防ぐ制度について申し述べたいと思います。近年、生活騒音が原因となって刑事事件に発展するというケースが全国でも後を絶ちません。そのほかにも、騒音規制に触れていないものであっても、行政側に多くの苦情が寄せられるというケースがあります。そこでまず、本区においてはここ最近、どのような事件なり苦情があったのか、また、それらについて、どのように解決したのかを教えてください。ちなみに、東京都国分寺市では、平成21年12月より、隣人トラブル防止条例なるものが施行されました。この条例は、抗議者によるつきまとい、住居への押しかけ、乱暴な言動、無言電話などの繰り返しを迷惑行為と規定しており、直接の罰則規定はありませんが、市長は被害者の申し出に基づき、市環境計画課の職員が実態を調査した上、抗議者側に迷惑行為を慎むよう要請ができるというものであります。条例施行前の生活騒音苦情は年17、8件程度でありましたが、条例施行後の苦情件数は、今年4月から9月22日までで4件とのことであります。この国分寺市の条例の目的は、友好的な隣人関係を構築すること、常軌を逸した行為を規制することにあり、それはとりもなおさず、今課題になっている、隣人同士の希薄な関係を少しでもよい方向に改善しようという、市側の行動の一つの表れであると考えることもできると思います。そこでお伺いいたします。本区でも、隣人同士の関係が希薄になりつつある、あるいはなっていると思われる中、お互いが無関心であるがゆえに引き起こされるトラブルを未然に防ぐ意味でも、国分寺市のような隣人トラブル防止条例を考えてみてはいかがでしょうか。区長のご見解をお聞かせください。  また、町会名簿などの作成を通じて、教育現場や地域コミュニティを豊かにする制度について申し述べたいと思います。平成17年の個人情報保護法の全面施行以来、個人情報保護の流れは大きくなり、多くの方がプライバシー保護に敏感となっております。実際に、昨今の振り込め詐欺に見られるように、電話を使った巧妙な手口の詐欺事件は後を絶たず、情報漏出の不安の高まりはある意味で自然な現象だと思われます。そこから、例えば、学校教育現場を初め、町会や自治会が名簿をつくろうとする際、関係当事者の皆さんは、その編集作業に大いに苦労すると思います。私が帰属し、代表世話人兼常任相談役をしております高松三丁目町会の名簿も、登録や掲載をしないでほしい旨の申し出のあった方は載せませんし、そういった方が意外と多いのが現実なのであります。しかし、消費者庁も言うように、個人情報保護法は、決して名簿や連絡網の作成を禁じたものではないですし、むしろ、個人情報が漏れた際の危険を正しく認識して、セキュリティ意識をしっかりと高めた上で、きちんと情報を管理することができれば、学校の緊急連絡網や高齢者世帯の把握など、名簿の持つ意味は非常に大きいと思います、クラスの1人も欠けることなく名簿ができ上がったならば、子どもが遊びに行った友達の家の連絡先を知りたいというときも便利ですし、何よりも保護者同士のつながり・コミュニケーションがより進み、ひいては子どもの教育にもプラスとなります。また、ご高齢の方が多いところでは、何かあったときに助け合える意味でも連絡先の共有は大変意味のあることだと思います。  大阪府箕面市では、今年の4月に「ふれあい安心名簿条例」を施行しましたが、この条例が市内小学校や自治会などが名簿作成をするに際して大いなる勢いを与えてくれているとのことです。この条例のポイントは、名簿の利用目的や管理方法などを明記した規約をつくる、名簿の管理者を決める、相手方の同意を得た上で情報を収集するといったように、名簿の作成や管理など、一連の手続きをしっかりと明記するとともに、これにのっとった名簿を市が認証するところにあります。それは情報の流出の防止を保証するものではありませんが、自治体が名簿作成手順を客観的に示すことで名簿作成を推進させ、もって保護者同士のつながりや地域と高齢者のつながり、ひいては、ぬくもりある隣人関係を地域社会に再生するところにねらいがあるといえそうであります。そこでお伺いいたします。本区でも、前述したような現状分析から、箕面市のようなふれあい安心名簿条例を考えてみてはいかがでしょうか。区長のご見解をお聞かせください。  次に、私自身、本区の自転車対策協議会のメンバーでもありますので、自転車対策についてお伺いいたします。まずは、放置自転車の対策についてであります。区内の放置自転車対策は、昭和62年の条例制定から本格的に対策が始まり、20年以上が経過しました。平成11年には区内の放置自転車台数は1万5,000台近くに達し、池袋駅周辺は約4,600台となり、日本一放置自転車が多い駅として、全国的に有名になってしまいました。これまで豊島区は、駅周辺で通行上支障がある放置自転車の撤去や啓発活動を積極的に実施するとともに、可能な限り駐輪場の整備を行ってきましたが、いかんせん人口密度が高く、ほとんどの駅前は一定規模の開発が行われ、空地がなく駐輪場を整備する敷地の確保は大変難しい状況となっております。そうした中でも、各駅周辺では、放置自転車撤去中という看板を掲げたトラックが、休むことなく、歩行者や車椅子の通行に支障がある放置自転車の撤去を実施している姿を、数多く拝見いたしております。その上、主要な駅で、地元町会や商店会、大規模店舗等の代表者、警察、道路管理者の皆さんに参加してもらい、駅周辺の放置自転車撲滅に向け、官・民が協力し合って継続的に啓発活動を実施していることは、大きな成果へとつながっているものと確信しております。  駐輪場整備について、敷地の確保が大変難しい中、その問題解決に向けて、豊島区は全国に先駆け、放置自転車対策税の導入に踏み切りました。その後、豊島区自転車対策協議会を設置し、結果として鉄道事業者からの多くの協力内容を記載した総合計画を策定するなど、放置自転車の減少に向けた対策を、積極的に進めているところであります。総合計画では、昭和27年までに区内の放置自転車台数を2,000台以下にすることとしておりますが、これらの対策の結果、過日の豊島区自転車対策協議会の報告でも、平成21年調査で既に2,200台以下となっており、平成27年までの後期5年では、放置台数の目標を修正する必要があると聞きました。また、豊島区では、放置自転車対策を実施した当初の昭和63年には、撤去して引き取り手のない自転車を再整備し、本区独自で、マレーシア、フィリピン、ザンビア共和国へ、母子保健や医療の従事者の移動手段に限定し、375台を譲与しました。その後、平成元年には本区が主体となり、6自治体と家族計画国際協力財団、略称ジョイセフが構成員となり、再生自転車海外譲与自治体連絡協議会、通称ムコーバを立ち上げ、それから20年以上もの間、区市町村レベルの組織で途切れることなく本事業が継続され、これまで91カ国、6万3,000台以上の自転車を譲与していることに、品格と誇りを感じております。私たち、自民党豊島区議団は、平成20年9月に、譲与先の1つであるカンボジア王国を訪問し、譲与した再生自転車が現地でどのように使われているのかを視察してまいりました。実際に寄贈先の村まで行きましたが、そこでは舗装のされていない道を毎日20キロから30キロも走るため、タイヤなどの消耗も早く、自転車を譲与する際、一定量の部品や工具は添付してはいるものの、それらが不足している様子をひしひしと感じ取りました。そのような中で、保健師さんたちが自転車を大事に使用している姿も拝見し、改めてこの事業の重大さと必要性を感じたところであります。現在、ムコーバでは年間3,000台程度を譲与しておりますが、本事業は国際的に極めて高い評価を受けており、各国からの要望は倍以上あると聞いています。日本は、戦後、高度経済成長を果たし、急速に復興を成し遂げた大国として、まだまだ発展途上にある国への、意義ある支援を積極的に行っていかなければならないと感じております。そこで、5点ばかりお伺いいたします。1、総合計画に記載した鉄道事業者などの協力はどのようなもので、これまでどれだけの成果があり、今後の協力内容はどのようなものでしょうか。2、放置台数の減少が計画以上に進んだ要因と、平成23年から始まる総合計画後期の重点的な対策の方向性はどのようなものでしょうか。3、今後、より一層の効果を上げていくための対策を進めていく上で問題となる点はどのようなことでしょうか。4、現在、年間何台程度撤去し、その返還状況と、引き取りに来ない自転車はどのようになっているのでしょうか。5、ムコーバを今後も継続していくにはどのような問題点があるでしょうか。  次は、自転車の利用促進についてであります。自転車は、環境に優しく非常に便利な乗り物です。しかし、交通事故が年々減少していく中で、自転車に乗る人が交通ルールを守らないことによる事故の減少は少なく、自転車が関係する事故の割合は年々上昇している状況となっております。本区や各警察では、自転車に乗る方々へ、交通ルールを遵守するよう、できる限りの啓発活動を実施しておりますが、なかなか特効薬的な効果として表れていない状況となっております。また、自転車で街に出ても十分に駐輪場が整備されていない駅周辺では、仕方なく路上に放置した結果、通行の人や車椅子の方々、点字ブロックを頼りにしている目の不自由な方々に多大なる迷惑をかけてしまうこととなります。本区は今まで、多様な需要に応じた駐輪場の整備を、様々なアイデアとあらゆる方策を駆使して進めてきております。中でも、これからの目玉となる大塚駅の南口駅前広場地下には大規模な駐輪場整備が計画されており、地元の方々にとりましては、1日でも早い完成が望まれているところであります。  豊島区内の共同住宅は11万2,000件を超え、家屋全体の8割近くとなっております。戸建ての住宅であれば、自転車を置く敷地の確保もある程度容易でしょうが、共同住宅では自転車を置く場所にも苦労します。一定規模以上の共同住宅では、附置義務で自転車の駐輪場の設置を義務付けていますが、附置義務制定前に建設された建物や附置義務制定後に建設されても、ファミリー世帯などでは十分な駐輪場が確保できず、結果として多くの人が自転車の所有をあきらめなければならない状況が発生しております。ここ数年、新たに建築された大規模な共同住宅では、自転車のシェアリングが各地で行われていると聞いております。これは共同住宅の事業者が自ら行っているもので、行政が介入することは大変難しいと認識していますが、面積が23区中19番目と小さく、高密度で空地の少ない豊島区では、自転車の利用促進にとって有効な施策になるのではないでしょうか。そこで、4点ばかりお伺いいたします。1、自転車を運転する人に交通ルールを守らせる方策として、今までの対策と問題点にいて、どのようにお考えでしょうか。2、多様な駐輪場利用者にとって、利用しやすい駐輪場とはどのようなもので、利用者の満足度を上げる対策とはどのようなものとお考えでしょうか。3、大塚駅南口駅前広場地下に計画している駐輪場について、現在の状況と、利用者の観点から住民の要望を取り入れた新たな工夫点はあるのでしょうか。4、共同住宅等での自転車の共同利用の促進について、どのようにお考えでしょうか。  最後に、今年が国民読書年であることから、改めて本区の図書館での取り組みについてお伺いいたします。私は、読書が人間の思考力や想像力を鍛える上で果たす役割は、非常に大きいと考えております。このため、区民の知的好奇心をかきたて、考える区民を支える図書館の役割も大変重要であり、社会の発展や秩序維持に不可欠なものであると考えております。近年、我が国でも活字離れが言われて久しく、年齢層を問わず、読書への興味が薄れている状況が見受けられます。これが、言語力・読解力の衰退や、我が国の精神文化の変質の大きな要因の一つとなっていると思われます。そこでお伺いいたします。平成22年が国民読書年として定められた意義について、どのように捉えているか、区長のご見解をお聞かせください。また、国レベルでは国民読書年祭典を実施するようですが、本区としても何か記念イベントをすることで、読書活動推進のための普及啓発に積極的に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。本区の取り組みについて、お聞かせください。  次に、そもそも図書館は知識や情報を求める人々のために、本、雑誌、文書、視聴覚資料、電子資料、その他、情報を提供するところであり、図書館サービスの基本は、資料の貸し出しと、調査研究への支援であると考えます。そこで、以下、この基本的サービスについてお伺いいたします。第1点目の、資料の貸し出しサービスの基盤となるものが蔵書であります。蔵書は量と同時に分野によるバランスが重要であり、利用者のリクエストにこたえられても、特定の分野に偏るなど、蔵書構成のバランスを欠く図書館は、いずれ利用者からの信頼を失ってしまいます。図書館にとって、蔵書は活動の支えであり、サービス維持の生命線でもあります。そこで、本区では、どのような方法で選書が行われているのか、ベストセラーやタレント本ばかり購入していないか、また、今後どのような収集計画をお考えなのか、お聞かせください。第2点目の、調査研究への支援は、申し上げるまでもなくレファレンスサービスと呼ばれるもので、主に利用者が自ら調査・研究することに対し、参考図書などを紹介する支援のことです。図書館ではビジネス・医療・子育てなど、様々な分野での支援が行われていると考えられます。今や就職氷河期と言われるほど就職難であります。私は、就活に邁進している学生・若者たちが、業界や企業についてじっくり調査研究するための支援があってもよいのではないかと考えております。終わりの見えない就職戦線で奮闘する若者たちへ、ぜひとも支援していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。  さらに、子どもたちに図書館に親しんでもらう方策についてお伺いいたします。私は、テレビやゲームなどの娯楽が増え、インターネットで簡単に様々な情報が得られるようになった今、大人以上に子どもたちの読書への関心が薄れていくことに、大いなる危惧を抱いている者であります。子どもは読書をすることにより、今までとは違った世界を知り、新しい発見や感動を体験し、自分の頭で考え、自分なりの考えを持つようになる存在です。体験によって子どもは視野を広げ、自分の考えや判断を培い、豊かな感情や心を育てていくのであります。そのためにも、子どものうちからしっかりとした読書習慣を身につけることは、極めて大切なことであると考えます。本区の各地域図書館では、定期的に読み聞かせ等の行事が行われています。私自身も、子ども読書の日にちなんだ行事が行われている区内の図書館をいくつか見て回りましたが、絵本作家を招いての読み聞かせや、照明の演出を凝らした紙芝居など、訪れた親子には大変好評でありました。こうした行事に加え、子どもたちが読書活動を主体的に取り組むきっかけづくりとして図書館の業務そのものを具体的に体験させ、図書館、そして本を身近に感じさせる機会をつくることはできないものでしょうか。例えば、子ども一日司書などの事業を展開することはできないでしょうか。これらの点に関するご見解をお聞かせください。  最後に、図書館への指定管理者制度の導入について、お伺いいたします。今年度、図書館の管理に指定管理者制度を導入している区は10区ございます。近隣区では、文京区で今年度より、中央図書館を除くすべての地域図書館に指定管理者制度が導入されました。一部の館を除き、開館日・開館時間を拡大・延長するなど、利用者にとってサービスが向上したと聞いております。導入に踏み切った区にはいろいろな考え方があるとは思いますが、限られた財源の中で、利用者の満足度の高い図書館運営のためには、指定管理者制度を導入することが有効であるとの判断を下しているものと考えられます。こうした近隣区で導入が始まる中、改めて本区の図書館への指定管理者制度導入についてどのようにお考えなのか、区長のご見解をお聞かせください。  以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)   〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) ただいまの本橋弘隆議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。  まず、結婚活動、婚活についてのご質問のうち、全国各地の自治体の動向についてのご質問にお答えいたします。全国の自治体の婚活事業については、現在のところ正確な資料がないため、詳細はわかりませんが、およそ、基礎的自治体においては、地域産業の発展継続のため、後継者の育成などを目的とした事業が多く、また、一般的な結婚支援のための出会いの場事業等は、府県レベルで実施されている例が多いようであります。全国各地の自治体が実施する事業例については、現在、内閣府が調査を進めておりますので、その調査結果を大いに参考にさせていただきたいと考えております。  次に、かつての本区の婚活施策について、どのような内容で、なぜなくなったのかという質問にお答えいたします。かつては、今から4、50年前でございますが、一般的な区民の福祉増進施策として、結婚支援施策が各自治体で実施されておりました。本区におきましても、結婚相談事業として、結婚相談や結婚相手の紹介などを実施しておりました。また、現在、分庁舎A・B館となっているところが豊島振興会館と称する建物でありまして、その中に結婚式場「ウェディング豊島」があり、ここでの挙式は区民の憧れとなっていたとも聞いております。しかしその後、社会経済状況の変化や区民の価値観の多様化などから利用者が減少し、昭和50年代後半には、相談者も成立件数も激減いたしました。そのような状況から、昭和60年に結婚相談事業を終了させるとともに、ほぼ同時期に結婚式場の運営も終了させたところでございます。また、特別区各区が実施していた同様の事業については、いずれもその後に事業を整理しております。  次に、婚活施策の復活についてのご質問にお答えいたします。行政施策としてここで改めて取り上げるに当たりましては、行政目的と手段や方法との相当性、官と民との役割分担、施策とコストのバランスなどを検討する必要があります。社会の少子化の傾向は、いわゆる未婚化や晩婚化もその一因であることは認識しておりますが、結婚が必ずしも出産や子育てのみを目的とするものとは言えないことから、婚活事業を少子化対策として直接結びつけて実施するのは難しいところがあります。現在のところ、本区の子ども家庭施策は出産や子育てを直接支援する施策に集中させて推進しております。ただ、ご質問にもありますように、婚活事業は多様な広がりを持つ事業でもありますので、区全体の課題として、今後とも研究してまいりたいと思います。  次に、NPО法人との共同実施を初めとする婚活イベントの実施についてのご質問にお答えいたします。婚活イベントの目的が、区の各部署の諸施策の目的と一致する範囲で、事業の後援等の支援は可能であると考えております。現在のところ、婚活を目的に区内で活躍しているNPО法人は把握しておりませんが、東京商工会議所豊島支部などで実施されている婚活事業もあるようでございます。ご要望があれば、可能な支援を行っていきたいと思っております。  次に、隣人関係のあり方についてのご質問のうち、まず、家族の絆やまとまり、地域住民の支え合いが強くなっていると感じるような施策についてのご質問にお答えいたします。区が本年6月に実施いたしました、協働のまちづくりに関する区民意識調査の第一次集計によりますと、近所の方との付き合いの程度についての設問では、「現在、互いに相談し合えるような生活面での協力関係ができている」と答えた方は13%であるのに対し、今後について24.4%と倍近い方々が「近隣の方々と協力し合える関係になりたい」と回答しております。ご存じのとおり、本区は巣鴨におきまして、先日、高齢の姉妹の方が、死後しばらくたってから発見されるという痛ましい事故がございました。こうした地域における高齢者の孤独化や孤立化を防ぎ、安全・安心なまちづくりを推進していくために、地域の支え合いが不可欠なものとなっております。区民の方々が、地域住民の支え合いが強くなっていると感じることができるような、地域社会の実現に向けた区の将来ビジョンといたしましては、現在、見直しに着手してございます豊島区基本計画におきまして、地域力の再生を、参加・協働の分野における新たな施策の柱として掲げたいと考えております。これは、地域におけるつながりや、そこから生まれる信頼関係など、ソーシャルキャピタルの蓄積を促進することによって、住民自らが地域の課題を解決できる地域社会の実現を目指すものでございます。そのためには、区民一人一人が、地域のために、小さなことであっても、できることから行動することが大切でございます。そこで区民の役割は、幅広い区民の参加を促す環境整備はもとより、市民活動の第一歩を後押しするとともに、職員が一丸となって区民の皆様とともに地域で汗を流すことだと考えております。そのための具体的な施策といたしましては、18の区民ひろばにおきまして運営協議会が立ち上がり、住民自らが事業を企画・実施するなど、地域の特色を生かした活動を展開しており、新たな地域コミュニティの拠点となりつつあります。そうした中で、区民ひろばの自主運営に向けて、NPО法人の認証取得を申請する運営協議会が現れるなど、自らの街のことは自らの手でという動きが活発化しております。区といたしましては、このような取り組みを今後も積極的に支援してまいりたいと思います。また、地域福祉を切り口とした地域のつながりをさらに強めていくために、区民部、保健福祉部、子ども家庭部の3部に社会福祉協議会を加え、区民ひろばを活用した仕組みづくりにつきましても検討を開始したところであります。さらに、地域コミュニティの中核を成す町会・自治会につきましては、新たに住民になる方々の加入を促進するため、「中高層集合住宅建築物の建築に関する条例」において、一定規模の集合住宅を建築する際には、地元町会との事前協議を義務付けたところでございます。本年1月から施行し、8月末までに19件の協議がありました。8割以上の事業者からは、町会活動の重要性を認識していただき、マンション販売の重要事項説明書に、町会加入についての記載を約束していただくなど、前向きに対応していただいております。今後とも、町会・自治会の組織力の強化などに取り組んでまいりたいと思います。また、ご案内のように、区ではWHОによるセーフコミュニティの認証取得に取り組んでおります。そうした中で、災害時要援護者とされる方々に対する平常時における支援策について、個人情報を所有している保健福祉部の関係各課と防災課、区民活動推進課などが、現在、部局の枠を超えて会合を重ね、検討を進めております。来年には具体的なアクションを起こしたいと考えておりますが、地域の皆様のご理解とご協力を得て、全力で取り組んでまいりたいと思います。なお、ご心配される家族の絆につきましては、それぞれの家庭の事情や生き様など、プライバシーに関する部分が大変大きいため、難しい課題であると認識いたしますが、こうした地域活動が活発化し、お互いの顔が見えるつながりの輪が広がるにつれて、家族の絆の大切さも再認識されていくものと期待しております。  次に、最近の生活騒音などによる隣人トラブルについてのご質問にお答えいたします。環境課では、年間180件ほどの公害苦情を受け付けておりますが、そのうち、生活騒音の苦情は最近3年間では年4件前後でございます。騒音の原因は、エアコンの室外機やテレビ・ラジオなどの生活用品から発生する音についての苦情が大部分で、職員が苦情者のお話をお伺いし、必要があれば敷地境界で騒音計を使用して発生音量を測定いたしております。騒音については、東京都の「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」で、日常生活等に適用する規制基準値が定められており、これを明らかに上回っている場合には、音を発生させているお隣の居住者の方に、基準値を上回っており苦情があることを区からお伝えし、改善をお願いしているわけであります。多くの場合、指摘を受けた方が室外機を修理されたり、音量を下げるなどの対応をしていただいております。生活騒音に関する苦情は、基本的には、いわゆる民間同士の関係であり、区といたしましては、当事者同士が十分に話し合っての解決となるよう、助言・誘導するようにしているわけであります。区として心がけていることは、地域で生活しております隣人同士の関係がさらに悪化してしまうことがないよう、相談をお受けすることにあるわけでございます。  次に、隣人トラブル防止条例についてのご質問にお答えいたします。本区でも、お互いの苦情や抗議が高じて隣人同士のトラブルになっているケースがまれにございます。このような場合には、区では状況によって治安対策担当課を通じて、所管の警察署と連絡を緊密にとっておりまして、区が関わったケースでは、粗暴な行動や常軌を逸した事態になったものはございません。ご提案の国分寺市の条例でございますけれども、損害賠償請求に発展した隣人同士のトラブルがきっかけとなり、署名運動まで行われたことが制定の発端となったと聞いております。本区では、治安対策課と連携した対応や警察署との緊密な連携が可能となっておりますので、現時点では、同様の条例を設ける必要はないと考えておりますけれども、ご指摘のとおり、隣人同士の関係が希薄になりつつある中、極めて重要な事項であると考えております。  次に、ふれあい安心名簿条例についてのご質問にお答えいたします。ご質問にありますように、本年4月、大阪府箕面市は「ふれあい安心名簿条例」を施行いたしました。この条例は、個人情報保護に過敏になるあまり、町会やPTAなど地域団体で名簿の作成や名簿への個人情報を搭載することを拒否する動きが出ていることを背景にいたしまして、昨年5月、新型インフルエンザが流行した際、名簿が作成されていなかった小中学校で家庭への連絡に手間取ったことを教訓として、制定されたと聞いております。箕面市の条例は、市民が安心して名簿を共有・活用できる環境を整備することにより、人と人とのつながりを強め、市民活動を促進することを目的に、名簿作成の基準や名簿の管理責任者の設置などを定め、基準をクリアした名簿に認証を与えるというものでございます。本区といたしましても、高齢者の孤独死、児童や高齢者の虐待の問題など、地域で発生する様々な問題への対応に当たっては、あらかじめ名簿を作成しておき、必要に応じて支援を要する方々の所在を迅速に確認することができるような体制を整備していくことは、大変重要であると認識しております。箕面市の条例は、近隣のつながりが失われているがゆえに発生している、こうした様々な地域の問題への対応策の一つとして、個人情報の提供について市民に安心感を与えるとともに、ご指摘にもありますように、名簿の共有が隣人関係の再生に寄与するという点で、一定の効果はあるものと考えております。しかしながら、この条例については、パブリックコメントの意見も含め、「管理責任者の負担が大きい」「条例化しても漏えいの保証はなくなるわけではなく、条例化までする必要が果たしてあるのか」「認証を受けた町会と受けない町会との間で差別化が生じる」など、条例の実効性に疑問を持つ声や否定的な意見も少なくないと聞いております。現在、豊島区におきましては、ほとんどの町会・自治会で会員名簿を作成しており、配付先などは個々の町会が独自に決定しておりますが、近年、名簿の管理等で、区に苦情が寄せられたことはございません。したがいまして、区といたしましては、今後、箕面市の条例の運用状況や、他の自治体の動向などを注視してまいりたいと考えております。  なお、私からの答弁は以上でございますが、その他の質問につきましては関係部長から答弁いたさせます。   〔亀山勝敏土木部長登壇〕 ○土木部長(亀山勝敏) 放置自転車対策についてのご質問のうち、まず、鉄道事業者の協力についてのご質問にお答えいたします。ご案内のとおり、自転車の総合計画では、10カ年で6,500台分の駐輪場の整備をすることとしており、そのうち4,000台分は鉄道事業者の協力によることとなっております。これまで、4カ年を経過した中で、鉄道事業者の協力により整備されたものは、全体の3,857台のうち1,584台、40%となっております。本計画の最終年度でございます平成27年度末までには、大塚駅南口の駅前広場地下駐輪場を初め、椎名橋下等の整備により計画台数の6,500台を上回る成果が得られるものと考えております。  次に、放置台数の減少と後期計画の重点対策の方向性についてのご質問にお答えいたします。区内の放置台数は、積極的な対策を講じた結果、毎年秋に実施しております全国一斉調査では、平成11年の1万5,000台をピークに減少し続け、平成21年には2,200台と、10カ年で7分の1まで減少しております。総合計画では、平成27年度までに、区内の放置台数を2,000台以下にすることを目標にしておりますが、平成21年調査で既に2,200台となっており、さらに駐輪場の整備を積極的に進め、総合計画の中間見直しでは、平成27年度までの放置自転車台数の目標を、1,000台程度に上方修正しようと考えております。  次に、今後の対策で問題となることについてのご質問にお答えいたします。今後の対策として、問題となることは様々ございますが、とりわけ、夕方や休日に放置自転車は多く存在し、その利用者の多くはお買い物等によるものとなっております。豊島区では、昭和63年に、集客施設等を建築する場合には、その規模により一定台数の附置義務駐輪場を整備するための条例を制定し、これまで3,000台程度の附置義務駐輪場を整備していただき、自転車の放置防止に努めてまいりました。しかし、これらの附置義務駐輪場は、地下や屋上に整備されているものが多く、PRもしていないため、ほとんど利用されていない状況となっております。また、条例施行前の建物については、その義務もなく、それらの建物の周囲には、多くの放置自転車が存在している状況となっております。そのため、現在ある附置義務駐輪場の利用を促進する方策と、今後の建物については、建物利用者にとって利用しやすい附置義務駐輪場の整備を視野に入れた条例の改正も検討していきたいと考えております。  次に、現在の撤去台数、返還状況についてのご質問にお答えいたします。区内には撤去した自転車を保管する場所が7カ所あり、一度に6,000台以上の保管が可能となっております。現在、自転車の撤去は、ほぼ毎日実施しており、保管所の空き状況を勘案しながら、平成21年度は約4万3,000台を撤去いたしました。そのうち、持ち主に返還されたものは2万4,000台で、全体の56%、残りの1万9,000台につきましては、海外譲与や区民販売等で1,400台が再利用され、1,250台が古物商へ売却、最終的に1万6,000台程度を業者に委託して、スクラップ処分しております。  次に、再生自転車海外譲与自治体連絡会、通称ムコーバの継続についてのご質問にお答えいたします。海外譲与がスタートし、20年以上もの長期にわたり継続していることは、本事業が単なる自転車のリサイクルを超えて、地方自治体による国際協力、それも途上国支援という極めてまれな事業として、国内外から高い評価を受けるまでに成長したことによるものと考えております。本事業がここまで成長できたことは、区民や区議会のご理解があったことはもとより、ムコーバのカウンターパートでありますジョイセフ以下、在京大使館、外務省と在外公館、自転車産業振興協会、印刷関連協議会や日本郵船等、社会貢献活動に理解のある企業各社の暖かいご支援、そして会員自治体からの多くのご協力があった賜物であり、代表幹事の豊島区として深く感謝しているところでございます。さて、本事業は、現在、多くの国からのリクエストがありますが、単に多くの自治体に呼びかけてそうした需要にこたえ、とにかく台数を消化するというやり方は好ましくないと思っております。相手国や寄贈先の立場に立った支援を考える必要がありますし、真に国際貢献を果たすという使命からも、失敗は許されません。そこで、ムコーバの会員自治体は、単なる再生自転車の出荷工場ではなく、本事業の意義を参加自治体の首長が理解された上で加入していただく必要がございます。したがいまして、必ずしも数多くの自治体を構成員とする必要があるというものではございません。むしろ、各企業等からの支援は年ごとに流動的で、本事業の財政は厳しい状況となっており、今後は民間レベルでの協力拡大に向けて、多方面への要請活動を積極的に行ってまいりたいと考えております。  次に、自転車の利用促進についてのご質問のうち、自転車の交通ルールを守らせる方策についてのご質問にお答えいたします。豊島区内の交通事故は、平成15年に1,792件発生しておりましたが、ここ数年減少し続け、平成21年は958件となり、6年間で半分近くまで減少いたしました。しかし、自転車が関係する事故は、平成21年の958件のうち454件で、全体の47%を占めております。その上、自転車事故のうち約2割は自転車の過失割合が高いものとなっており、自転車運転者の交通違反が事故の件数を引き上げている要因となっております。それらを踏まえ、豊島区では、3警察署の協力の下、年齢に応じた多くのマナー啓発を行っております。具体的には、小学校で学校やPTA主催による自転車安全教室を全校で実施しておりますが、ほとんどの教室は児童の任意参加となっております。一定の年齢に達した児童全員が正しい自転車のルールを習得するためには、学校の授業で実施することが最良であると考えており、現在、教育委員会と調整を行っております。中学では、全学年を一同に集め、スケアードストレート授業を実施しております。これは、恐怖を直視させるという意味で、スタントマンによる疑似交通事故の再現を目の前で見せることで、事故の恐ろしさを実感してもらうというものでございます。警視庁では、非常に効果がある授業ということで、ここ数年積極的に取り組んでいるものでございまして、豊島区では、平成20年に千川中、昨年は巣鴨北中で実施し、今年度は、11月に西池袋中学校で実施する予定となっております。今後も多くの学校で交通安全教室に取り組めますよう関係機関と連携してまいります。また、区内18カ所に点在しております、各区民ひろばでは、高齢者等を対象として、警察官による講話やビデオ上映を実施しており、平成21年度は約500名の参加がございました。その他、子育て中のお母さんを対象とした教室を行うとともに、池袋駅周辺では警備員による自転車安全啓発パトロールを実施しており、今後も幅広い年齢層に対応した啓発活動を継続してまいります。  次に、利用しやすい駐輪場及び利用者の満足度を上げる対策についてのご質問にお答えいたします。最近の放置自転車の傾向としては、夕方や休日に買い物等により比較的短時間の放置が繰り返されている状況が目立っております。そのため、豊島区では、当日利用を行っている駐輪場は、お買い物等の短時間でも路上に放置せず駐輪場を利用していただくよう3時間まで無料、道路上等に設置したコインラック式の駐輪場は2時間まで無料となっております。特に、平成19年の道路法施行令の一部改正により、道路上にコインラック式の駐輪場を設置することが可能となり、これまで道路管理者や鉄道事業者等のご協力をいただき1,861台分を整備いたしました。コインラック式の駐輪場は、道路上に設置されていることにより、満車・空車の状況が一目でわかるほか、空いているラックへ容易に駐輪することが可能で、しかも2時間無料であることから、お買い物等の短時間駐輪でも利用しやすく、利用者からは大変好評であるとともに、利用率も大変高い状況となっております。今後も道路上のコインラック駐輪場等、短時間でも利用しやすい駐輪場の整備を、可能な限り行ってまいります。  次に、大塚駅南口の駅前広場の地下駐輪場についてのご質問にお答えいたします。大塚駅では、昨年、南北自由通路が完成するとともに、放置自転車対策では、仮設を含め約1,400台の駐輪場を整備し、対策を行ってまいりました。大塚駅南口の駅前広場地下には、平成18年に策定した総合計画で駐輪場を整備することとなっております。平成21年度には基本設計を実施し、現在、実施設計に向けて関係機関と調整を行っており、平成23年度には、工事に支障となる地下埋設物等の移設工事に着手する予定となっております。現在の計画では、駐輪台数が1,000台程度で、区内の公共駐輪場としては初めて、民間ビルであるJR東日本の駅ビルと地下で接続し、民間駐輪場との相互利用を図ってまいります。さらに、改札への動線も最短距離となり、利用者にとっては利便性が大きく向上すると考えております。また、本駐輪場では、他の駐輪場にはない附帯設備を設置する予定となっております。それは、近年、爆発的に普及している電動アシスト自転車はかなりの重量があり、高齢者やお子様を乗せた方々にとってはスロープでの昇降は危険であるとともに、多くの労力を必要といたします。そのため、地上からのエレベーターを設置することにより容易に昇降できるようになり、さらに利用率が向上するものと考えております。  次に、共同住宅等における自転車の共同利用の促進についてのご質問にお答えいたします。現在、豊島区で定めている条例では、住戸数が15戸以上の共同住宅を新築する際には、1住戸当たり1台以上の駐輪場を整備することとなっておりますが、ファミリー世帯の多い共同住宅では駐輪場が不足しているものと認識しております。共同住宅での自転車の共同利用につきましては、23区内でも相当大規模な共同住宅で、管理会社が自ら実施している事例があると聞いております。ただし、それらの実施に当たっては、システム構築から日々の管理など多くの経費を必要とし、管理が行き届いた共同住宅でないと実際の運営は難しく、行政が建築主に指導することもなかなか難しいと考えております。こうした状況を踏まえ、比較的中・小規模の共同住宅が密集している豊島区での自転車の共同利用は、共同住宅単位では課題も多く、もっと広い地域単位での検討が必要と考えられますので、今後、調査研究してまいります。  私からの答弁は以上でございます。   〔鈴木 達図書館担当部長登壇〕 ○図書館担当部長(鈴木 達) 図書館についてのご質問にお答えいたします。  まず、国民読書年についてのご質問のうち、平成22年が国民読書年として定められた意義をどのように捉えているかについてのご質問にお答えいたします。国民読書年は、国民の活字離れ、読書離れが進んでいることを憂慮し、平成20年6月6日、国会で決議がなされ、定められました。このことは、本を読むことの重要性について改めて国民全体の意識を喚起する上で大きな意義があり、家庭や地域などあらゆる場で読書活動の一層の推進を図る好機であると捉えております。  次に、読書活動のための普及啓発についてのご質問にお答えいたします。本区では、国民読書年を記念した大規模なイベントの予定はありません。しかし、図書館サミットの成果を踏まえ、区内6大学との連携事業として、昨年度は東京音楽大学と「赤い鳥」をテーマに合唱と講演会を実施し、今年度は大正大学と巣鴨地域の歴史についての講演会を予定しております。このほか、各地域図書館での紙芝居や読み聞かせ等、これまで成果を積み上げてきたすべての事業を記念事業として位置付け、読書活動の普及啓発に積極的に取り組んでいるところです。特に、中央図書館を初め、巣鴨・千早図書館で実施しておりますボランティアとの連携による読み聞かせについては、今後、さらにボランティアの育成・増員を図り、すべての地域図書館や学校で積極的に展開してまいります。また、保育園では、本年7月に印刷業を営む方から、区内の公私立保育園に627冊の絵本の寄附を受けており、こうした絵本を活用して、読書活動の裾野を広げていきたいと考えております。  次に、図書館の基本的サービスのご質問のうち、まず、本区の選書の方法についてのご質問にお答えいたします。本区では、毎週、中央図書館で選書会議を行い、司書資格を持つ61人の職員が選書に当たります。会議では職員が事前に現物の資料、出版情報、リクエスト状況及び蔵書構成等について下調べをした結果を持ち寄り、収集が偏らないよう選書を行っております。  次に、ベストセラー本等の購入についてのご質問にお答えいたします。利用者の本のリクエストにこたえることは、図書館として大切なサービスであると考えております。しかしながら、図書館は一般の書店とは違い、人気の本を大量に仕入れ、効率よく回転させていればよいというものではなく、できるだけ幅広い分野の本をそろえる必要があります。そのため、ベストセラー本等のリクエストに応じる場合でも、購入冊数に制限を設け、限られた図書購入費を有効に活用しています。他区では50冊、100冊と購入する場合もあると聞いておりますが、本区は20冊を上限としております。例えば、村上春樹氏のベストセラー小説「1Q84」でも、予約の申し出が500件を超えておりましたがこの規定を適用しました。  次に、今後の収集計画についてのご質問にお答えいたします。現在、各図書館では、地域にちなんだテーマの図書資料を収集しております。中央図書館のトキワ荘、駒込図書館の園芸、巣鴨図書館のとげぬき地蔵と中山道、池袋図書館のアジア、目白図書館のバロック音楽と美術などであります。特に、上池袋図書館の鉄道に関する蔵書や、千早図書館の横山光輝コーナーは、鉄道ファンや漫画ファンから高い評価を得ていると聞いております。今後とも、こうした地域特性に応じた資料を計画的に収集し、特色ある図書館づくりをさらに進めてまいります。一方、図書購入費については、厳しい財政状況でありますが、21年度より約620万円増額し、22年度は約7,300万円としました。それでも、他区と比較いたしますとまだまだ十分な額ではありません。こうしたことから、高額の参考図書や長年読み継がれている定番の絵本等の買い替えが先送りされる傾向にあり、傷んだものが増えております。このため、年次計画を立て、計画的な買い替えを進めてまいりたいと考えております。  次に、就職活動への支援についてのご質問にお答えいたします。中央図書館にも、毎日多数の若者が来館され、就職のため資格試験の勉強等に取り組んでいます。現在の雇用情勢の下、こうした若者たちの就職活動を支援することは、大変意義があることと考えます。レファレンスサービスとして、就職活動について具体的に助言することは困難でありますが、自己啓発、技術や資格、就職などに関する図書や、中央図書館に近接するハローワークや、東京都労働相談情報センターのちらしや情報紙を集めた特集コーナーを設置し、就職活動を行っている若者たちを支援してまいります。  次に、子どもたちに図書館に親しんでもらう方策についてのご質問にお答えいたします。既に本区では、図書館を使った調べる学習コンクールで、文部科学大臣奨励賞や優秀賞を受賞するといった、図書館を活用した読書活動で成果を上げる子どもたちが出ております。子どもたちが図書館をより身近な存在とし、こうした活動成果をさらに高めるためにも、ご指摘のとおり、図書館業務を体験させることは、非常に有効な方策であると考えられます。ご提案の、子ども一日司書に類似した事業として、毎年夏休みに、池袋図書館では、カウンターで本の受け渡し等を体験する一日図書館員、上池袋図書館では、普段利用者が出入りできない保管用の書庫を初め、館内をめぐりながら業務の案内をする図書館探検隊といった催しを行っています、しかしながら、各館の受け入れ態勢の問題もあり、小規模に実施しているのが実情です。今後は、応援体制を整えるとともに、事業周知を積極的に行い、大きな事業に育てていきたいと考えております。  次に、指定管理者制度の導入についてのご質問にお答えいたします。現在、豊島区では、スポーツ施設や自転車駐車場など、5つの分野、34の施設で指定管理者制度を導入しております。指定管理者制度については、この制度がなじむ施設となじまない施設があり、図書館については後者ではないかと考えております。平成21年度の日本図書館協会の調査によりますと、全国の市区町村で図書館に指定管理者制度を導入あるいは導入予定とするのは、全体の13%でした。また、23区では、224の図書館のうち指定管理者制度を導入しているのは72館で、32%にとどまっております。図書館の指定管理者制度の課題としては、図書館サービスが無料と法定されているため、民間のノウハウを生かした収益事業の展開が難しく、指定管理料の節減が極めて困難であることが挙げられます。また、企業努力によるサービスの向上が利益につながらないばかりか、利用者が増えるほど、人件費を初め、各種経費負担が増加するというジレンマを抱えるとの課題も指摘されております。さらに、中央図書館を指定管理者で行っている区では、選書も業者に任せており、大きな課題であります。本区では、現在、司書資格を有する経験豊かな非常勤職員を主体とする図書館経営を行っております。4年目を迎える中央図書館では、来館者累計が320万人を超えました。毎年、夏休み期間の7月・8月は来館者のピークを迎えますが、今年は4,000人を超えた日が過去最高の14日もあり、最多来館者数は4,724人でした。また、今年の6月からは、開館以来の懸案である閲覧席の不足に対処するため、5階の47席について3時間の入れ替え制を導入し、より幅広い方々の利用にこたえているところです。このように、本区の図書館では、一定水準以上のサービスを提供していると考えており、引き続き現体制での運営を継続してサービスの改善向上に努めることとし、指定管理者制度の導入は、現在のところ考えておりません。  以上をもちまして、本橋弘隆議員のご質問に対する答弁を終わります。 ──────────────────────────────────────── ○議長(堀 宏道) 次に、17番議員より、「創発する関係を築く区政に Ⅲ」の発言がございます。    〔小林俊史議員登壇〕(拍手) ○17番(小林俊史) 民主・区民豊島区議団の小林俊史です。一般質問を始めます。
     今期、表題としている「創発」は、多様な人と人が出会い、交流し、活発な協働関係をつないでいくと、自発的な新しいものが生まれて大抵の発想が実現されるという、スモールワールドネットワークの醍醐味を表現しています。この言葉にこだわっているのは、基本構想にある「未来へ ひびきあう ひと まち・としま」の目指す、本区の将来像を実現するキーワードと確信するからであります。基本構想の目標を実現するための基本計画、未来戦略推進プランを成し遂げる力は、創発する関係を築く区政のマネジメントによる政策の創造力と実行力、加えて、それを支える財政的な体力、これは区民の担税力でありますが、この3つのマネジメントにかかっているとの思いから、今回の質問に入ります。  平成16年の定例会一般質問で、私は特別区民税の課税標準を考慮した所得別人口バランスの構成が必要だと訴えました。加えて、平均地価と特別区民税の関係についても触れました。この考え方は、未来戦略推進プランに記述された「長期的に安定した歳入を確保するため、居住の場、そして経済活動の場としての魅力を高め、バランスの取れた人口構成を確保するための取り組みが重要です」という文章で盛り込まれています。以前の、加藤区政が求めようとした、いわゆる高い行政標準、福祉を初めとする公共サービスを23区平均より優位に実行していく方針には、それに見合った担税力を持たなくてはならなかったことの指摘からです。高野区政は、この加藤区政のギャップを、身の丈というサービス標準、23区平均水準に見直すことにより、財政健全化を実行してきました。そして、文化創造という新たなキーワードで区民活動の活性化を図り、そのことから区民サービスの向上につなげようとしています。つまり、豊島区は、高い目標を持ちながら財源が追いつかず、一旦原点に戻って立て直し、活発な区民の活動によって、また新たなサービス水準の目標値を追いかけようとしているところであります。しかし、現状の身の丈は、いまだ23区平均水準を上回るものではありません。財政内容の改善は道半ばであり、23区と比較しての財政の指数から見て、まだまだ中あるいは下と財政課長がその位置付けを表現されたとおりであります。さらに、財政内容の改善を支える歳入確保の視点からいえば、現在の担税力や地価の23区中の指数は、高野区政が始まった平成11年、12年と比較してあまり変化していないどころか、相対的な位置付けは下がっているのです。  その根拠は次のとおりです。まず、担税力ですが、未来戦略推進プランにもグラフがあるように、課税標準別の人口バランスは、23区水準の少し下という位置付けです。以前とさしたる変化はありません。しかし、納税者1人当たりの課税額、区民1人当たりの課税所得額を23区平均との比較指数で見ると、私の試算では豊島区は、平成12年の99.55から、平成20年は96.67、後者の区民1人当たりの課税所得額については、97.80から93.42と、この10年弱で3、4ポイントほど下がっています。マンション住民の増加などで金額自体は上がっているように見えましても、それ以上に23区全体の平均も上がっているので、相対的な位置付けは下がっていることが判明します。分析してみると、平成19年の住民税フラット化の影響でこの指数が顕著に上がっているのは、江東区、足立区、江戸川区、墨田区、地価の上昇に合わせてこの指数を上げているのは、港区、渋谷区、目黒区、品川区になります。また、住宅地、商業地の平均公示地価の推移を見ると、ここ最近は23区各区一旦上昇した後、ミニバブルの終焉と呼ばれるリーマンショック後の平成20年、21年、22年で急激な下落が見られますが、この3年の価格レベルと、平成11年、12年、13年の価格レベルは、大半の区で同程度になっている傾向があります。しかし、都心区と呼ばれる区については、いずれも価格自体を大幅に上げていて、以前にも指摘したとおり、格差は拡大傾向になります。千代田区、港区、渋谷区、中央区は商業地が40%から50%の価格上昇、住宅地も20%から50%の価格上昇に加え、新宿区、目黒区では商業地が10%から25%上昇、文京区、品川区、台東区では10%の住宅地の上昇などが顕著です。こうした区の上昇に引っ張られ、23区平均も、価格自体は平成12年に比べ上がっています。そうした中、豊島区の平成12年と平成22年を比較すると、住宅地、商業地とも、地価価格はほぼ同額にとどまっています。したがって、23区の平均との比較指数で見ると、住宅地で104.0から96.0へ、商業地では99.0から68.0へ、こちらは約30ポイントも下がり、いずれも平均値以下になってしまっているのです。  豊島区は、地方交付税の不交付団体である東京都の中の、さらに副都心を抱える都心区であると誰もが思っています。固定資産税は都税になりますが、課税調停分と財調の交付分割合の額はほぼ同程度なので、特別区税に東京都からの交付分を含めた区の財源となる、人と土地から生まれる税収は、ほぼ自前の区民によって賄われているという特徴を持っています。この点から見ても、以前から23区平均区だったのです。その本区の商業地・住宅地の地価が、23区平均以下に位置付けられる傾向にあります。都心区でありながら他の都心区との差が開きつつあります。豊島区の身の丈は23区中で相対的に下がっていくのか、そんな危機感を感じずにはいられません。しかし、区民自らが区政を展開する財源を自前で捻出していて、その展開によってちょうど今は平均にある自分の区の望む目標レベルをこれからどうするかが問われているのだと考えれば、これほどやりがいを感じる区政マネジメントの時期はないといえます。だから、今こそ区民自らが区政運営に最も敏感にならざるを得ない時期なのであり、創発というダイナミズムの効果が期待されるのです。23区平均区からどのように発展するのか、岐路に立つ豊島区の区政運営は、確かな需要予測と、積極的で斬新なチャレンジ戦略が必要であります。目標も活動も財源もそれぞれが向上し、福祉を初めとする公共サービス標準を23区中でも高いレベルに上げる、そういう都心区の住民たる利益を受ける豊島区でありたいという前提で述べさせていただきます。  最初の質問は、基本計画の中間評価と将来展望についてです。現行の基本計画は、前期5年目にあります。後期に向けての見直しは現在基本構想審議会で審議中です。この基本計画の初年度となる平成18年度に向けての策定作業の頃を振り返ると、平成12年からの危機的な財政状況を克服する財政健全化計画とそれに続く改革プランをもってしてもなお財源不足に対応し切れないという状況にありました。区長は当時、所信表明で、「柳暗花明」という言葉でその気持ちを表現しています。「いつしか道を見失い、暗い柳の木陰をたどるうちに、春の花咲く村の景色が開ける。紆余曲折を経て初めて新たな局面を見出すことができる。やっと今、将来への光が見えてきた」というものであります。この言葉に象徴されるように、基本計画当初の豊島区政は、危機的財政を克服する途中でもあり、財政的な将来予測が立ちにくく、基本構想に基づく区の具体的な将来展望とその目標を見定めての行動計画というよりも、具体的な将来展望と目標を描き出すための新たな改革着手の計画という策定姿勢でありました。当時の予算委員会で、そんな質疑のやり取りをしたことを思い出します。その結果、新たな地域経営の方針が示されたのです。それが参加と協働のまちづくりに関する方針、即ち、新しい公共の創造に向けた協働の仕組みづくり。新たな行財政改革に関する方針、即ち、スリムで変化に強い行政経営と持続可能な財政構造。戦略的・横断的な施策展開に関する方針、即ち、価値あるまちの実現に向けた文化・健康・都市再生・環境の展開、加えて成果指標の設定であります。現在は、計画当初の時期のような財政的状況からは一歩抜け出しています。実施計画としての未来戦略推進プランも、具体的取り組みが増えてきています。この度の基本計画の中間期の見直しに当たり、基本構想を具現化した豊島区の将来展望とその目標の姿について、改めて示すことが必要ではないでしょうか。それを示すことで、区民にとって改革への方針であった前期5年の基本計画から目標への行動としての後期5年の基本計画に発展すると私は考えます。  そこで質問いたします。1つ目は、基本計画の新たな地域経営の方針、新しい公共の創造に向けた協働の仕組みづくり、スリムで変化に強い行政経営と持続可能な財政構造、価値あるまちの実現に向けた文化・健康・都市再生・環境の展開、成果指標の設定、それぞれについて、区長部局では前期5年の進捗をどう評価しているのでしょうか。基本構想の具体化という視点から、後期5年に補うべきと考える方針があるかについて伺います。2つ目は、基本構想の到達期間である2025年には、豊島区はどのような基礎構成の都市になっていると予測しているのでしょうか。社会変化に伴って、特に人口態様、担税力という視点でのバランス、住宅地・商業地の地価レベル、都市としての位置付け、国際化の進展について伺います。3つ目は、予測される2025年の豊島区の基礎構成を前提として、基本構想の具体的達成を実現するにはどんな課題があると考えているのでしょうか。あるいはむしろ、基本構想の見直しが必要となると考えているのかについて伺いたいと思います。  次に、充実すべき3つのマネジメントについて、その最初のトップマネジメントについて伺います。トップマネジメントは、即ち区長の政策構想力であり、目標を生み出す力であります。基本計画にも、情報収集、分析機能、基本政策形成機能など、トップマネジメント補佐機能を強化していきますとして、このことが謳われています。区のこれまでの具体的な取り組みとしては、区長室長の設置によって庁内横断的なトップマネジメントの補佐をしていることなどが挙げられるのでしょう。こうした現在の取り組みを否定しているものではありませんが、基本計画にある、スリムで変化に強い行政経営の確立と協働の仕組みづくりを進めるためには、行政内部の人事配置だけでなく、区民と行政が創発する関係という視点で一層充実させることが必要だと考えます。なぜなら、行政内部である役所の人事は、人事考課制度による評価規定を持って動いているため、必ずしも有効な政策、目指すべき協働事業についての推進力などが継続して評価され配置されるとは限らないからであります。そのため、政策形成過程において、行政内部からは、今できることという意識での想定内範囲の政策が提案されがちであり、斬新な発想が出にくいと感じます。そこをあえて一歩踏み出し、思いがけないチャレンジ手法によって、できなそうなことをできるようにするという意識で施策施行に挑戦させるのはトップである区長の役割であるのですが、その区長の指示に説得力をもたせ、政策構想の技術面からサポートする政治的応答性の機能が、行政内部の人事だけでは持ち得ないと考えるのです。つまり、各セクションの部長課長級と内部議論で対峙し、様々な可能性を持つ政策を提案するには、行政内部の人事評価を受けない民間人の活躍が必要なのであります。一方で、行政が重視する公平な公益性の担保や効率性からの安全面も大切であり、無視できるものではありません。政治的応答性を強化することによって、政治的中立性を損ねることもできないのです。よって、内容の濃い内部議論の対峙が必要となります。  最近、大阪府の橋下知事による地方議会での議員内閣制導入についての検討をするとの提議から、首長のトップマネジメント機能の強化、首長と議会の関係、二元代表制の意義についての議論が活発にされるようになりました。地域主権の流れの中で、こうした地方自治体の政治制度の形態も、それぞれの自治体の市民によって選択する時代がいずれは来るかもしれません。私個人は、議会と行政の対峙する緊張関係は大切だと考えております。議決機関、執行機関分離の法の精神は尊重されるべきと考えるところです。そういったことを踏まえて提案するのは、地方自治法174条にある専門委員を置くことであります。この専門委員は、専門の学識経験を有する者から首長が選任して置くことができるもので、首長の補助機関として、行政執行のための直接の調査機能を果たす非常勤の特別職の扱いです。近くでは文京区や練馬区など、他自治体でも設置している例がありますが、単に設定したテーマのみを調査しアドバイスするというのではなく、その委託テーマにおける個別の政策のアドバイザーを発掘する、政策形成過程の情報収集と公開・広報手段を管理する、またはマーケティング分析をするなど、包括的な調査機能をこの専門委員に委託することが有効ではないでしょうか。今、豊島区に望ましい選択は何かということについて、民間レベルの意識や情報を大いに感じ取った各界知識人と行政人の情熱的な討論と研鑚によって、区長の決定する政策選択肢を多岐に持つ環境をつくることが、トップマネジメントの補佐機能の強化になると考えるのです。そこで質問します。トップマネジメントの補佐機能の強化として、専門委員、ここではあえて政策専門委員と呼びますが、この導入提案についての区長の見解をお伺いいたします。また、情報収集・分析機能について、政策形成機能について、トップマネジメントの強化という観点で今後どのように取り組んでいこうとしているのか、現在、方針をお持ちでしたら伺いさせていただきます。  2つ目の、コミュニティマネジメントについて伺います。コミュニティマネジメントとは、様々な地域活動への促進支援や全体運営を行うことであり、即ち協働の基礎となる区民のつながりづくりです。それは目標を実現する活動を生み出す力です。高野区長は、文化は人を元気にする、元気な人が街をつくり出していくと標榜され、積極的に文化政策を進めてこられました。今、地域ではまさに、元気な人による様々な市民活動やイベントが展開されています。こうした地域の元気な人たちと力を合わせて区政を推進するのが協働区政であり、その機運は区内に根づいてきたと感じられます。これからの展開は、地域の元気な人たちがいかにつながりながら街をつくり出す力となるかではないでしょうか。それぞれのイベントやワークショップの成功から、街の課題に行政を巻き込んで主体的に提案し一緒に取り組む姿勢が、区長の言う、元気な人が街をつくり出していくことなのだと感じています。  私は、平成15年以来、パートナーシップによる行政とは、区民参加により区民が行政と対等に公共を論じることができる環境づくりであること、そして、その推進に当たっては、現場で区民の方に接して適切な支援をするコーディネーターの役割が必要だと繰り返し求めてきました。このことは基本計画に協働と謳われ、自治推進に関する基本条例により、自治推進委員会の重要なテーマとして引き継がれてきました。私自身、様々な市民活動の事務局役を担いながら、まちづくりの現場に触れてきて一層その思いを強くしているのは、まちづくりに、自治活動にと言い換えますが、やる気を持っている区民はとても多くいるということであります。一方で、そういったメンバーが増えれば増えるほど、つながって何かを生み出すことも複雑になってくることも実感です。そのことは基本計画にも謳われています。「協働を言葉で言うことは簡単ですが、協働とは立場や価値観の異なる主体がそれぞれ歩み寄って共通のテーブルを囲むということであり、その場一つをとっても、チャレンジングで創造性に満ちた作業です。地域の多様な主体が対等な立場でともに考えて協議し、合意形成しながら行動していくための仕組みを構築していきます」、こう表現されています。  私はこの間、コミュニティマネジメントの手法を研究する勉強会に参加し、そこでドイツのコミュニティマネジメントの手法について学ぶ機会を持ちました。そこでは持続可能な地域社会を維持・発展させていくためには、地域住民のつながりを持つことを何よりも重く置き、各自治体が住民の選択によって様々なコミュニティマネジメントの体制をつくり上げていることを知りました。地域の運営について、代表委員会制をとるところ、公開フォーラムで決定するところ、登録型の委員会制度をとるところ、選挙による委託委員会を持つところなど、地域的な傾向というよりも、関わる住民の意識や経験によって様々な仕組みが生まれていることがわかりました。こうした運営を仕切るコミュニティマネジャーと呼ばれる役割も、行政が運営費を出して専門職員に担う形、行政が出資し民間地域団体に委託する形、地元企業が出資し複数の企業団体から職員に任命する形と、これまた様々です。それぞれについて説明することは避けますが、つまり、地域によって住民の自由意思で、いろいろな選択をしながら運営方法を自分たちに合ったものにしているということです。そして、選択に至るまでの期間は、行政が時間をかけてこれを支援しています。仕組みづくりまでの合意形成は、2年から5年と長い道のりになっていますが、コミュニティマネジメントの中心メンバーに共通する基本的なモチベーションは、自分と街や人との関わりにあり、その関わりから感じる街や人への愛しさであるということも感じられます。本区でも、地域区民ひろばの取り組みは、このコミュニティマネジメントにつながるものと、その取り組みを評価しています。メンバーのモチベーションも、街や人への愛しさであることは共通していると思います。しかし、その仕組みづくりは、支援する行政側の意識が区民ひろばという館の使用管理と区民ひろば委員の合意形成と自主運営のモデル体制を築くというスケジュールの方が主眼になっているように感じられます。私は、むしろ、今の時期は、それぞれの街にあった運営方法を探るべく、地域コミュニティの自発的なまちづくり活動を支える事務局業務を積極的に担い、地域の様々な問題について語り合う場やメンバーの掘り起こしなど、地域を活性化するリーダーあるいは仲介者として活動するようなコーディネーターが必要な時期なのではないのかと感じております。地域のコミュニティの力は、後世に続く財産です。じっくりつくる意識も必要ではないかという思いです。  そこで質問します。コミュニティマネジメントを促進するコーディネーターについて、ここではマネジャーという表現でもいいのですが、改めて、今まさに導入する時期が来ていると考えますが区長の見解を伺います。また、地域区民ひろばについては、その意義については評価しています。この意義をさらに発展させるためにも、コミュニティマネジメントの考え方をもっと前面に押し出して運営展開されてもいいかと思いますが、その点についてお伺いいたします。  3つ目は、タウンマネジメントについて伺います。タウンマネジメントは、地域を一体的な街と捉え、その地域の魅力価値を高めていくために、専門の体制により戦略的に経営・管理する手法です。地域が一体となって土地という資産の価値を保全し高めることは、自治体の財源を生み出す力であります。価値あるまちづくりを目指す豊島区ですが、先程述べたように、現状では都内での相対的地位の指数は商業地も住宅値も下がっています。ほかの指標でも、副都心池袋の鉄道乗降客数、百貨店の年間販売額等も残念ながら下がっているのが現状です。これまでの緊急財政健全化計画期間などにおける投資の抑制が影響しているのかもしれませんが、街は投資しないと価値は目減りしていくというのは管理会計上の必然でもあります。この相対的地位の下落感は、23区の平均以下の歳入傾向を伴うという点から、基本構想の前提になっている、東京を代表するにぎわいの街という設定が、豊島区にとって将来も持続可能なものとなり得るのかを考えさせられます。これは改めて豊島区の危機と認識すべきであります。  この度の新庁舎の建設計画でも、資金計画でキーになっているのは、現庁舎跡地の定期借地料の取得予定額です。この予定額が契約時にどう変わるのかは、まさに今取り組んでいる「価値あるまちづくり」の取り組みに対する評価が反映されるともいえるのです。単に経済情勢による自然増、自然減を見守るだけでは区民の財産を管理する自治体の責任として、消極的ではないかと感じます。最近では、行政も積極的にこのタウンマネジメントの考え方を取り入れ、専門の体制の推進や支援を行って、地域の魅力と価値づくりに励むようになっています。本区でもTMОを組織したことがありましたが、あれは商業活性化をねらいとした中心市街地活性化の国の支援の受け皿として機能させるためのものでした。ここで挙げているタウンマネジメントは、総括的な街の機能を高めることを目的としており、地球環境への貢献やライフスタイル対応の問題解決、情報発信など、都市整備を、ハードに頼るだけでない、ソフトサービスを含めた街の品質を高める工夫に取り組むものであります。既に都心区では、丸の内や六本木、汐留など、企業主導は早くから展開していましたが、むしろ最近は、秋葉原や歌舞伎町など、地域の住民・自治体が主導している展開も目覚ましく進んでいることは注目されます。そして、その効果は、先程挙げた地価への期待値として反映しているようにも受け取れます。全国を見ると、タウンマネジメントを進める中心的な存在のタウンマネジャーは、行政であったり、NPОであったり、企業であったり、住民であったりと様々です。文化による人のにぎわい、多様な機能の集約した都市という基礎構成は、これまで本区区民の財産と考えられてきました。区は「価値あるまちづくり」を実現していくために、そして区民の財産を守り高めるために、積極的にここで言うタウンマネジメントを研究し、取り組むべきです。区内の商業地だけでなく、住宅地の地域でも取り組むことが可能です。現在の池袋副都心整備ガイドプランやグランドビジョン、または地域ブランド、地域ビジョンのこれまでの取り組みは、このタウンマネジメントの目標政策に位置付け、これを具体化する仕組みを立ち上げることができるのではないでしょうか。あえて踏み込めば、地域の熟度によっては、今後具体的な地価の指数の目標をもって取り組むことも考えられるのではないかと思います。そこで質問します。タウンマネジメントの手法について、区内全般にわたって取り組むことについて、区長の姿勢を伺います。また、池袋グランドビジョンについては「文化によるにぎわいの創出」「人と環境への優しさ」をコンセプトとしていますが、タウンマネジメントの視点から、地価の指数を意識した具体的な目標値も加えるべきではないかと考えますが、それについての見解をお伺いいたします。また、各地域のブランド化、地域ビジョンについても、住宅地を含む地価の動向を踏まえて、住み続けたいまち、住みたいまちの評価指数を見出し、具体的な取り組みの計画を示すべきと考えますが、これについても見解をお伺いいたします。  豊島区は、都市として成長する草創期から、長らく都心に近くて地価が安いことが特色でありました。お寺や学校の移転も、その特色によるところが大きいようです。また、その後急速に増えた地方からの都市住民と彼らの交流による文化も、この魅力のもとに育ったものであるとも言えます。いつまでもその近くて安い魅力だけで豊島区民の幸せが求められているならばそのままでよいのでありますが、多様な公共サービスを必要とする都市住民が高密に存在する都市になり、多様なサービスの要請がある以上、所得再分配の法則から再分配される財源、つまりは担税力が相応に必要となり、地価の上昇が間接的に求められることになったということは、都市の必然かもしれません。区民サービスの高い水準を求めることが、イコール近くて安いの安さを手放すことにつながってしまっていると考えることもできます。となると担税力とサービスの提供を向上させることは、一方で豊島の魅力を半減させてしまっていくのかとも考えさせられます。しかし、近さという魅力はまだ残っています。これは地理的に変わるはずがないので、不変であります。そこで、この近さに加えて、安さではない、これからの新たな魅力を増して価値を高めることができれば、またはできなくてもその価値を高める方針が信頼されれば、近くて〇〇で、それでいて今はまだ安いということになることが可能でしょう。それこそがタウンマネジメントの真のねらいでもあります。  その新たな魅力の要素について、私の提案を申し上げます。そのヒントは基本構想の中に既にある記載からも見つけることができます。「充実した交通機能を有するという特色を生かした活気にあふれるまちづくり」であります。この特色を生かすとは、どういう意味でありましょうか。折しも、現在、国では交通基本法の制定が次の国会に提出されようと準備されています。この交通基本法は、健康で文化的な最低限度の生活を営むために必要な移動権を保障することを基本として、多様な交通手段による地域公共交通を活性化することで、自動車に頼らない、世界の一歩先を行く環境負荷の少ない交通体系、街並みの形成を促し、歩いて暮らせる街にしていくというものです。  今後、到来する超高齢化社会における高齢者の移動権、ユニバーサルデザインによる交通弱者の移動権を保障することも考え方の中心にあります。3人に1人が高齢者になる社会の到来を前にして、移動手段を快適にして外出を促進し交流を進めることは社会的公共財でもあり、また、近い将来に人々が要請する都市の姿だと私は思っています。それがコンパクトシティなのです。また、このことは長期的にコンパクトシティの推進、環境負荷の少ない都市・国土構造の形成、新たな市場の創出、経済成長へとつなげる国の成長戦略とも合致しています。  来年、平成23年度には、国土交通省からこれまでの支援策を見直し、移動権の保障を目指す第一歩として、全国のどこでも誰もが移動手段の確保が可能となる社会の実現を目指す取り組みを一括して支援する「地域公共交通確保維持改善事業」を創設する予定であると聞いています。フランスでは、1982年に国内交通基本法が制定され、モーダルシフトを進める上でトラム(LRT)の推進が顕著に進みました。その後、自転車タクシーやレンタル自転車、セグウェイなどの身近な公共交通手段がどんどん普及されつつあり、将来型の交通モデル都市として世界の注目の的になっています。豊島区の基本構想の到達年度である2025年の日本は、総人口が1億2,000万人を割り、超高齢化人口減少社会が到来しつつある時期であると予想されています。本区では、充実した交通機能を有するというのは鉄道駅のことを意味しているのでしょう。豊島区がその地理的魅力を最大限に生かしたコンパクトシティの形成に取り組むとき、鉄道駅と居住地域と都心商業地域、副都心地域と地域内の公共交通が整備されれば、日本でトップクラスの移動快適都市となる環境が備わっている区となります。タウンマネジメントの観点から、新たな魅力形成のため、豊島区全域を網羅する地域内公共交通計画に取り組むことが、豊島区の新たな魅力の有効な視点であるという提案であります。多様な公共交通手段については、コミュニティバスのほか、乗合タクシーや自転車タクシー、三輪タクシー、レンタル自転車にセグウェイと、まだまだ豊富にあります。日本は規制が強いため多様な公共交通手段の採用はむしろ世界に遅れているのです。国土交通省の交通基本法をきっかけに、近い将来、公共交通手段の採用が進めば、地域の特徴によって組み合わせは自由に考えられ、提供することができるようになります。先週、議会に伝えられた路線バス池07路線の存続延伸事業の検討の際にも、地域内公共交通を主体的に取り組む姿勢があれば、区独自のサービスはもっともっと効率的で厚いものにできるはずです。3年間の実験後には再考していただきたいと思います。そこで質問いたします。豊島区全般にわたる、地域内公共交通計画に着手、地域で合意形成される交通計画をもとに、コンパクトシティの創出に基づく移動快適な都市の実現を豊島区の魅力にすることについて、区長の見解を伺います。また、その際、現在コミュニティバスの検討のために区が設置した地域公共交通会議や池袋副都心交通戦略会議などと整合することも可能かと思いますが、いかがでしょうか。  また、このコンパクトシティの推進と魅力を高める公共交通については、池袋LRTがその代表的な役割を担うことについても触れておきたいと思います。区の構想案の東池袋エリア回遊型のLRTルートについては、タウンマネジメントの観点からも地域内の水平エレベーター機能を果たす公共交通手段として有効であると期待しています。平成15年から取り組んでいる池袋の路面電車とまちづくりの会が、昨年から積極的にこの回遊ルートの事業化への検討準備を進めています。区の試算をもとに事業計画案を検討したところ、年間2億6,000万円の運賃と運賃外収入の見込みで運営組織は営業黒字が出るという予測をすることができました。日本全体で見ても、営業黒字になる見込みの路線は極めてまれであります。さらに、区の財政負担の軽減については、新型地方債であるレベニュー債の発行も研究を始めています。指定事業収益債とも呼ばれるこの地方債は、今年6月青森県が道路通行料収入を検討していると発表したもので、自治体の公共施設から上がる運営収益で元利金を賄うものです。道路の地上権を特別目的会社(SPC)に賃借し、権利金を受けた上で、この特別目的会社が資本家から資金調達するものであります。つまり、公共投資に民間資金を活用することができれば、区の財政負担も軽減することが可能とされています。営業黒字が見込まれる事業であれば可能性はより一層高まります。また、今年度、国土交通省の成長戦略に挙げられたLRT推進事業への支援と官民連携の新たなPPP/PFI事業への制度支援は注目に値します。この秋には具体的な案件の募集を始めており、今後、制度設計の改善を含めて、該当事業は支援していくという方針です。路面電車とまちづくりの会では、早速7月30日に国土交通省の担当官、街路事業調整官を招いて学習会を行ったところであり、こちらの研究も今後進める予定です。  タウンマネジメントの考え方から、地域への投資は、地域の魅力を創造し、価値を保全し高める、必要な対策であります。現庁舎の跡地がいくらの値がつくか、池袋のみならず豊島区の商業地・住宅地の価値をどれだけ維持するかは、先程も申し上げた、自治体の管理責任にもつながってくるのです。LRTはよく引き合いに出されますが、都市再生に対する公共投資は区民の利益にならないとする考え方は、財の再配分によって公共サービスを担保する、そのもとになる財源を維持するために区の財産を管理するという視点が欠落しています。投資額の効果の検証とその選択は必要ですが、区民財産を守る必要な行政サービスなのです。そこで質問いたします。LRT基本計画を策定するために、具体的課題を現在検討していることは承知しています。そこで、この国土交通省の官民連携の事業提案募集についてと、レベニュー債の情報、そして民間で運営事業とする事業試案の動きについて、区はどのような姿勢で捉えているのでしょうか。公共交通の快適性をコンパクトシティの魅力に加えて考えるというタウンマネジメントの観点からお伺いさせていただきます。  今回の私の質問の根底には、トップマネジメント、コミュニティマネジメント、タウンマネジメント、いずれも豊島区が区民に対するこれまでのサービス標準を維持可能なものとするため、また、これからも高い目標を持ち続けるためには、人と土地への投資が必要であるという考え方によるものです。本区が自ら区民との協働で今後も新たな充実された公共サービスを生み出していく区になるのか、それとも、23区の他の区のお世話になりながら今のサービスを何とか維持していくという努力に追われるのか、まさにその岐路に立っているという認識に私は立っています。  私のこの緊張感を申し上げて、今回の私の質問のすべてを終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)    〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) ただいまの小林俊史議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。  基本計画の中間評価と将来展望についてのご質問のうち、まず、新たな地域経営の方針にかかる前期5年の進捗の評価及び後期5年に補うべきと考える方針についてのご質問にお答えいたします。基本構想では4つの基本方針を掲げており、参加と協働の仕組みづくりと、自律的な区政運営を進めるための新たな区政運営システムの確立はその第一に位置付けられております。平成18年の基本計画の策定では、参加と協働の仕組みづくりについては、今後の区政運営の要となるべき重要な方針でありましたが、当時は具体的な事業がなく、すべての分野に及ぶ抽象的な方針であるとして、新たな地域経営の方針と位置付けることにしておりました。  したがって、基本計画の冒頭でも、相当のページを割いて重要であることを強調しておりますが、基本計画の計画体系には取り入れなかったのであります。しかし、この間、参加と協働の仕組みづくりに関しての事業の具体化と進展には目を見はる思いがいたします。区民ひろばは18の地域で開設され、自主運営を開始しようとする段階に至っているわけであります。また、地域協議会につきましては、モデル実施とは申せ、セーフコミュニティ推進の母体としての活動が期待されております。このような状況にかんがみ、後期5年では、参加と協働を抽象的な地域経営の方針から、「あらゆる主体が参画しながらまちづくりを実現していくまち」という都市像を実現するための計画体系に位置付けていくこととし、成果を管理していくことといたしました。このことは大きな修正ポイントであると考えております。また、行財政改革に関しましては、主要な財政指標が改善されつつあるなど、一定の成果を上げておりますが、他区との比較の上ではさらなる改善の必要があるばかりでなく、景気の状況を勘案いたしますと、持続可能な財政運営を実現するためには、これまで以上の決意を持って臨んでいく必要があり、後期5年の方針等につきましては、計画中に具体的な記述をしていきたいと考えております。  価値ある街の実現に関して、ご指摘の、文化・健康・環境・都市再生の各分野は、私が4つの重点政策と位置付け、最重要課題として部局を超え、議会を初め区民の皆さんのご協力を賜りながら、20年度の環境都市への挑戦、21年度の文化創造都市の表彰など、焦点を当てながら戦略的にかつ横断的な施策の展開を行ってまいりました。それぞれ一定の成果を上げ、また評価をいただいてきたと考えておりますけれども、いずれの都市像にいたしましても、ある段階で完成するというものはございません。基本計画の策定後5年を経て、社会情勢や区民ニーズも変化し、それらを受けて分野別の補完計画の見直しも行われております。そうした改訂内容や区民の皆さんの意向調査などを踏まえながら、ご指摘のように、基本構想の具体化を図られるよう、所要の見直しを行ってまいりたいと思っております。また、現在、これらの施策の集大成として、セーフコミュニティの概念を取り入れた安全安心都市の実現に向けて取り組んでおりますので、それに対する方針も盛り込んでいきたいと考えております。  次に、2025年の豊島区の都市としての基礎構成についてのご質問にお答えいたします。まず、人口構造は、近年の活発なマンションの供給による流入人口が増加するという流れをどのように捉えるかによって大きく変動してきます。10通り以上の想定をいたしましたが、その中ぐらいに当たる試算では、2025年には外国人を含め27万人程度に達することになります。年齢構成といたしましては、日本全体では圧倒的に高齢化が進行していきますが、豊島区では人口流入によって15歳から64歳の生産年齢人口がわずかながらも増加することになりますので、65歳以上の高齢者人口の構成比は、ほんの数ポイント上がるにとどまると思っております。しかし、65歳以上の人数は、本年と比較して約8%も増加することになり、対策を講じていく必要があります。また、担税力の点につきましては、生産年齢人口がわずかながらも増加することから、課税対象者数も同様に増加する傾向になると考えられます。  私は、街の価値は、安心度、利便度、快適度、居住水準の充実度によって測ることができ、これらの水準を向上させることが行政の責務であると確信し、様々な施策を展開してまいりました。地価には、このような街の価値が反映される要素があるとはいえ、その高下、高かったり下がったりという経済状況や不動産市場の活性化状況が強く反映されていると考えざるを得ません。また、豊島区に住み続けている方、住みたいと考える方にとりましても、いたずらに地価が上昇することは決して望ましいことではないと考えますけれども、しかしながら、街の価値を向上させることに専念した区政運営を行っていかなければならないと考えております。都市としての位置付けに関しましては、これまでも申し上げてきましたように、池袋副都心グランドビジョンを実現することによって個性と存在感を発揮する街となっていることを想定しております。その実現に向けて、引き続き邁進してまいる所存でございます。先程人口の推計について申し上げましたが、外国人の方の動向に関しましては想定することは困難であるため、現在の構成がそのまま維持されるものとして人口推計を行いました。しかし、今後の社会のありさまからしても、確実に国際化は進行し、外国人居住者の数が増加するだろうと考えています。今後はさらに国籍や人種の壁を取り払い、手を取り合ってともに地域経営に当たっていかなければなりません。そのためにも、後期計画では、多文化共生の推進を新たに施策の方向に加えることといたしました。  次に、基本構想の具体的達成の実現についてのご質問にお答えいたします。大きな課題の一つであると想定しているのは、人口構造の変化であります。高齢者人口は確実に増加していきますので、社会保障制度を初めとする対応が急がれているわけであります。また、確実に進行しつつある少子化への対処と、一方ではマンション供給によるファミリー世帯の増加に伴う保育や教育環境の改善があります。また、生活保護の急増による扶助費の増加が、いずれも財政の圧迫要因となってまいります。加えて、社会経済状況は依然として不透明であり、歳入状況の改善を期待することができないわけであります。これまでも、右肩上がりの歳入が期待できない中で、引き続いて住民福祉の供給を維持できる社会構造を持続可能な社会と称し実現に向けて取り組んでまいりましたが、より一層、この持続可能な行財政運営の実現が求められてまいります。その上で、特色ある施策展開を行うためには、選択と集中をより先鋭化させていかなければならないと考えております。このような行政運営の考え方についても、後期計画の中に取り入れていく所存であり、21世紀の第1四半世紀の将来像を表した基本構想を変更することなく、その実現に向けて引き続き全精力を傾注していきたいと考えております。  次に、トップマネジメントについてのご質問のうち、まず、トップマネジメントの補佐機能の強化としての政策専門委員の導入提案についてのご質問にお答えいたします。  行政を取り巻く社会経済環境の急速な変化や区民ニーズの多様化に伴い、区政において専門的・技術的判断を必要とする課題が年々増加しており、これらに対し、迅速かつ的確に対応するためにはトップの強いリーダーシップと、これを補佐する機能の強化が極めて重要でございます。本区では、政策経営部・総務部などのスタッフ部門と各事業部局が連携し、一体となりトップマネジメントを補佐しておりますが、特に高度な専門性や知識を要求される事項については、外部の専門家による調査研究や助言が不可欠と考えております。専門委員につきましては、文京区、練馬区など近隣区を初め、いくつかの自治体において設置されており、行政改革等に関する調査研究など、トップマネジメントの補佐機能の一翼を担っていることから、本区の政策決定にも寄与するものと考えております。一方、現在、本区では、文化芸術や図書館行政など、特に重要な施策につきまして、専門的立場から助言、進言を行う顧問として参与の職を設けたほか、各審議会や協議会等においても、各分野に精通した外部の有識者を多数委員に委嘱しておりまして、本区の政策決定に大きな役割を果たしております。ご提案の政策専門委員の設置につきましては、これら参与及び附属機関との関係や他自治体の実績を検証して、ご提案の趣旨を十分に踏まえて、これからの厳しい自治体間の競争を勝ち抜くためにも、これからの将来のことも考え、十分に検討していかなければならないと思っております。  次に、トップマネジメント強化の観点での情報収集・分析機能、基本政策形成機能の取り組みについてのご質問にお答えいたします。機動性と柔軟性を持つ自治体経営を進める上では、多種多様な情報の中から、いかに有用な情報を抽出・分析し、政策に反映させるかが重要であると考えております。そのため、地域のニーズや国及び各自治体の動向等を敏感に察知し、整理・分析できる人材の育成・配置を、各種研修やジョブローテーション等により推進するほか、危機管理や財産管理など、区政の重要情報を一元化することで、トップに迅速に伝達し各部局が共有できる仕組みづくりを強化してまいります。また、外部の研究機関や大学等との連携を積極的に進めていきたいと考えており、ご提案の政策専門委員についても、選択肢の1つであると認識しております。いずれにいたしましても、あらゆる資源を有効活用するとともに、様々な民間の有識者との協働を進めることで、トップのリーダーシップを最大限発揮し、将来にわたり、スリムで変化に強い行政経営を確立してまいりたいと思います。  次に、タウンマネジメントについてのご質問のうち、まず、区内全般にわたるタウンマネジメントの手法による取り組みについてのご質問にお答えいたします。まちづくりは都市経営であり、限られた予算や人材を有効に活用し、区民とともに魅力ある都市を築いていくためには、いくつかの重要な視点があると考えております。1つ目は、未来のあるべき姿を目標に据えて、目標を達成するための手段、施策をしっかりと選択していくことにあります。未来戦略推進プランに掲げます「文化と品格を誇れる価値あるまち」は、目指すべき目標を区民の皆様と共有するために掲げているものであります。2つ目は、目標の達成度合いを測る指標を明確にして、区民の皆さんとの共通認識の下で、施策の効果を常にチェックできる体制を確立していくことではないかと思います。また、タウンマネジメントに関連する取り組みでは、都市経営に際しまして、区民の参加・協働を積極的に進め、地域の様々な課題を地域の力で解決していくことであり、行政運営の最も基本的な柱であると考えております。平成18年に施行いたしました、豊島区自治の推進に関する基本条例は、地域のボランティアグループやNPОなどの参加と協働の輪を広げていくために制定したものであります。既に豊島区の中には、巣鴨地区や目白地区などのまちづくりを初めとする様々な地域団体が自主的な活動を行っております。したがいまして、ご指摘のタウンマネジメントにつきましては、こうした団体が、第四の公共、第五の公共と言われるまでに成長し、より専門性が高い行政サービスの一翼を担っていく姿が、都市経営の未来の姿だと考えておりますので、今後も参加と協働を柱とした行政運営に積極的に取り組んでまいります。  次に、池袋副都心グランドビジョンにおける地価の指数を意識した具体的な目標値の使用についてのご質問にお答えいたします。池袋副都心グランドビジョンの具体的な計画をお示ししている未来戦略推進プランでは、都市経営を進める上で大変重要な指標の1つが地価動向だと認識しております。土地の価格は需要と供給のバランスの中で推移しており、簡単には評価することはできませんけれども、端的に言い表すなら、魅力ある地域が高い評価を得るということだと思います。商業地であれば店舗の収益性が見込めること、ビジネス街であれば利便性や生産性が高いこと、住宅地であれば快適性や住みやすさが評価されることになるわけであります。未来戦略推進プランの中では、文化と品格を誇れる価値あるまちを実現していくために様々な施策をお示ししておりますが、こうした観点からは地価の動向と切り離すことはできないものと考えております。したがいまして、毎年度の未来戦略推進プランの改定に当たりましては、直接的ではございませんが、地価の指数を意識した目標の設定などにも十分に留意し、施策の選定やそれに伴う成果指標や計画づくりについても積極的に行ってまいりたいと思います。  次に、地域ビジョンにおける地価の動向を踏まえた評価指数による取り組みの計画についてのご質問にお答えいたします。池袋副都心グランドビジョンと同様に、地域ビジョンにおきましても未来戦略推進プランの中で様々な施策をお示しするとともに、施策の目標となる成果指標を掲げております。例えば、地域ビジョンに関わる重点政策であります都市再生の中の、安心して住み継がれる住宅市街地づくりの成果指標として住宅の耐震化率や住宅ストックバランスなどを掲げております。これらの指標は地域の住みよさ、快適性を表すものであり、こうした指標が高い値を示すことで、魅力ある地域として評価を受けることになると考えております。結果として、こうした評価は住宅地の地価の動向と関連が生まれますけれども、住宅地の場合には商業地のような収益性よりも、歴史性や文化などの視点が大変大事ではないかと思っておりますので、地域ビジョンにつきましては、これまでどおり地域の諸課題の解決に向けて、生活者の視点に立った政策立案や計画づくりが相応しいものと考えております。  次に、コンパクトシティ創出に基づく移動快適な都市の実現を区の魅力とすること及び地域公共交通会議、池袋副都心交通戦略会議などとの整合についてのご質問にお答えいたします。人口減少と超高齢化社会の進展に伴いまして、豊島区のような鉄道網が発達している地域においても、移動を支援するためのきめ細かな公共交通サービスが必要となっております。そのため、コミュニティバスの運行に向け、交通の専門家や区民が参加する豊島区地域公共交通会議を設置し、様々な交通課題を検討してまいりました。この会議では、公共交通不便地域の解消に向けて、多様な交通手段による公共交通の活性化や交通弱者の移動権の保障を検討しており、来年の通常国会に提出予定の交通基本法の目的と合致するものと考えております。また、池袋副都心交通戦略につきましても、「人と環境への優しさ」をコンセプトとする都市を築くため、自動車に過度に依存しない、人が主役となる交通基盤などをどのようにして整えていくかが検討の課題でございます。交通手段を自家用車から公共交通機関に誘導し、環境負荷の少ない都市を築いていく、まさにコンパクトシティの具体化でございます。このように、交通基本法に盛り込まれる予定の考え方を先行して検討してきたことになりますけれども、既に設置している2つの会議体は、区民の皆さんを初め専門家、交通事業者が参加する検討組織でありますので、区内の交通課題につきましては、当面の間はこれまでどおり、地域公共交通会議と池袋副都心交通戦略の検討で進めてまいります。また、価値あるまちづくりに向けて、区内全体の公共交通計画の必要性は強く認識しておりますので、具体の検討につきましては、交通基本法が成立し、その内容が確定した段階で、積極的に検討に入ることといたしたいと思います。  次に、国土交通省の官民連携の事業提案募集とレベニュー債の情報、民間での運営事業とする事業試案の動きについてのご質問にお答えいたします。平成22年5月17日付の国土交通省成長戦略では、インフラ整備や維持管理への民間資金・ノウハウの活用をテーマに厳しい行財政状況の中で民間資金の活用を拡大して、道路や公園など社会資本整備やメンテナンスを行っていくために、新たなPPP/PFIの活用拡大を掲げております。また、自治体や企業から具体のプロジェクトの事業提案の募集も掲げられており、11月末が応募の期限となっております。また、レベニュー債につきましては、地方自治体が事業目的別に発行する債券であり、資本市場から資金調達する有効な方法の1つであると認識しておりますが、地方自治体と公営事業を運営する民間との責任分担が明確化されていないなど、活用には課題が多い実情もございます。こうした状況を踏まえて、この度の新たなPPP/PFIの提案募集は、地方自治体や民間からの創意工夫による提案により、レベニュー債などによる資金調達を促進させ、官民連携による社会資本整備のビジネスモデルを確立するねらいがあるものと認識しております。池袋のLRTは、都市再生のリーディングプロジェクトとして、池袋副都心グランドビジョンに掲げ、また、実現によって大きな相乗効果が生まれるよう、池袋副都心ガイドプランにも位置付けをしてまいりました。実現化に向けた調査では、官民連携である上下分離方式を前提として、費用負担や運営方式、整備路線、交通問題など様々な課題を検討してまいりました。したがいまして、これまで検討してきた池袋のLRTの早期実現に向けて、国の成長戦略として掲げられております官民連携による社会資本整備のビジネスモデルとなるように、この度の応募に対しまして、積極的に事業提案をしてまいりたいと思います。成熟社会に向けた大きな転換期を迎えている現在、LRTなど新たな社会資本整備に向けては、今、見える課題の解決とあわせて、人と環境への優しさなど明るい未来を見据えて、高い目標にチャレンジしていくことが特に大切であり、私の区政運営の信念であります、この度の国の成長戦略の動向を的確に捉えて、このチャンスを失うことなく積極的に対応してまいりたいと思います。  なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては区民部長から答弁いたさせます。   〔齋藤賢司区民部長登壇〕 ○区民部長(齋藤賢司) コミュニティマネジメントについてのご質問のうち、地域コーディネーターの導入についてのご質問にお答えいたします。区では、基本計画におきまして、地域経営の方針の筆頭に参加と協働のまちづくりを掲げ、地域の多様な主体による新たな公共の仕組みづくりや、区民参加の推進に取り組んでまいりました。そして、平成18年には参加と協働を推進するための基本ルールとして、自治の推進に関する基本条例を制定したことはご案内のとおりでございます。コミュニティマネジメントを推進するコーディネーターの導入についてのご提案でございますが、現在、地域における新しい参加と協働のあり方を検証するために、自治の推進に関する基本条例に規定されました地域協議会を具体化すべく、北池袋モデル協議会を設置いたしまして、事業を展開しております。この地域協議会には、町会や商店会を初め、PTAやNPОなど、多様な団体が参加をし、会合を重ねているところでございます。北池袋地区でのモデル事業は、本区におけます参加と協働のまちづくりの基盤となる仕組みづくりとして、多様な主体が参加し、地域の課題を自ら考え行動するための受け皿、共通のテーブルとして整備するものでございます。当面は区が主導することになりますが、まずは、この地域協議会を、地域の理解と協力を得ながら区内全域へ展開することを目指していきたいと考えてございます。地域協議会におきましては、民間のコンサルタントに運営などを委託しておりませんので、住民同士が話し合いの中で必要と思われる部会を設定し、リーダーや副リーダーを決めてじっくりと活動してまいりました。そうした中で、団体の枠を超えた協働のアイデアを提案し、具体的な活動を牽引するなど、まさにコーディネーターとしての役割を果たす人材も生まれてきておりますので、区といたしましては、地域協議会メンバーの主体性を尊重した支援を行っているところでございます。区ではこれまで、文化や都市整備など様々な分野におきまして、地域の方々と協議会の形式で事業を実施してまいりましたので、地域全体を見渡して、様々な課題へ統合的にアプローチし、合意を形成できるコーディネーターの必要性は十分に認識してございます。こうした人材は、できるだけ地域の中で育成していくことが重要と考えておりますが、今後、地域協議会事業を展開する中で、他の事例を調査・研究するとともに、地域や協議会からの意見を踏まえ、地域協議会をより活性化させ、有意義な活動を推進するという視点から、ご提案にございました地域コーディネーターの設置・制度の導入につきましても、参加と協働のまちづくりの推進に関するテーマとして検討してまいります。  次に、コミュニティマネジメントの考え方を押し出した地域区民ひろばの運営についてのご質問にお答えいたします。地域区民ひろばの意義につきましては、条例に規定しておりますとおり、「小学校の通学区域を基礎的な単位として構成する公の施設を使用し、地域の多様な活動及び世代を超えた交流を促進するとともに、区民主体の自主的な活動を促進することにより、広がりのある地域コミュニティの活性化に寄与する」というものでございまして、ご指摘にありますように、コミュニティマネジメントの理念につながるものと認識しております。本格的なスタートから5年目を迎え、区民ひろばは18カ所で開設し、年間延べ利用者数は約63万人を超えております。また、住民の自主組織である運営協議会は、すべての区民ひろばに設けられまして、その委員の数は702名となっており、施設の認知度も高まり、地域に根づいた存在となってきております。現在は、運営協議会が地域の実情に沿った特色ある事業を自ら企画・実施する力を高めることができるよう支援を強めますとともに、区民ひろばの当初からの目標でございました住民自主運営の具体化に向け、取り組んでいるところでございます。こうした中、住民の自主組織である運営協議会が、自主運営を具体的に企画・実施する場合や、施設の住民自主運営を検討する際には、区民ひろばの役割を改めて噛みしめ、地域における課題や、将来の望ましい地域の方向を話し合うなど、ご質問にございましたコミュニティマネジメントの重要な要素となる動きが生まれてきております。また一方、取り組みが本格化しつつございますセーフコミュニティにおきましては、区民ひろばがその取り組みの拠点として位置付けられたことから、地域全体の安全・安心の課題解決へ積極的に取り組んでいこうという意欲も生まれてきておりまして、この面におきましても、地域全体を見渡したコミュニティマネジメントの意識が感じられるところでございます。このようなことから、地域区民ひろばは、先にご答弁申し上げた地域協議会と一体となって、参加と協働のまちづくりを進める基幹的なシステムとして機能し始めてきているものと理解しております。このような認識にもかかわらず、ご指摘にございましたように、私ども行政側の意識が、施設の管理を含めた自主運営モデル事業の実施に主眼を置いていると受け止められたことにつきましては大変残念な思いがいたしますが、私どもの取り組み姿勢について、改めて工夫をしてまいりたいと思います。ご質問では、自らの住む街や人への愛おしさがコミュニティマネジメントに共通する理念であると述べられております。そうした思いを持った方々が区民ひろばに集まり、地域のことは自らが考え、決定し、行動するために、地域区民ひろばがその中心となるよう、一層の支援を行い、同時に区が目指す参加と協働によるまちづくりの目標を実現すべく、運営・展開に当たってまいります。  以上をもちまして、小林俊史議員のご質問に対する答弁を終わります。 ───────────────────◇──────────────────── ○議長(堀 宏道) この際申し上げます。  議事の都合により、暫時休憩いたします。   午後4時休憩 ───────────────────◇────────────────────    午後4時22分再開 ○副議長(此島澄子) 休憩前に引き続き会議を開きます。  議長の都合により副議長の私が議長職を務めますので、よろしくお願いいたします。 ───────────────────◇──────────────────── ○副議長(此島澄子) この際申し上げます。  本日の会議時間は、議事の都合により、あらかじめこれを延長いたします。 ───────────────────◇──────────────────── ○副議長(此島澄子) 一般質問を続けます。  次に、11番議員より、「日本一高密都市から世界一安全な都市を目指して」の発言がございます。   〔辻  薫議員登壇〕(拍手) ○11番(辻 薫) 公明党の辻薫でございます。私は、公明党豊島区議団を代表いたしまして、「日本一高密都市から世界一安全な都市を目指して」と題し、第1に、防災対策について、第2に、セーフコミュニティについて、第3に、(仮称)西部地域複合施設について、第4に、その他として、予防接種事業について、一般質問を行います。  最初に、防災対策について伺います。私は、この度、防災対策調査特別委員長として、山形県村山市との災害時相互応援協定の締結式に参加させていただきました。豊島区と村山市の交流は、太平洋戦争当時、豊島区の小学生が村山市に学童疎開したことに始まり、その後、観光物産や祭礼での相互交流などで、友情と信頼の絆を深めてまいりました。そして今回、相互の地域社会の発展と住民生活の安全・安心向上のために、協定を締結するに至りました。当日は、折しも村山市の徳内祭りの中日に当たり、豊島区からも東京よさこいの3チームが特別出演し、お祭りを一層盛り上げておりました。また、私は、佐藤市長を初め、行政の皆様や市議会議員、さらに市民の皆様とも交流することができ、災害時の相互応援といっても、機会あるごとに交流していくことが大事であると感じた次第です。この度、こうした機会を与えていただきましたことに対しまして、まず、御礼を申し上げます。そこで、これまでも自治体間の協定を積極的に進めてきた本区ですが、改めて災害時相互応援協定の意義とこれまでの取り組みについて、さらに防災サミットの開催など今後の展開について、ご見解をお聞かせください。  本年は6,437名の死者・行方不明者を出した阪神・淡路大震災から15周年の節目の年です。神戸市では1月に、震災の記憶や経験を風化させないための「阪神・淡路大震災記録資料展」が開催されました。そして同展示は、8月28日からの防災ウィークに、完成したばかりの有明の東京臨海広域防災公園でも開催され、私も9月1日防災の日に政府主催の防災訓練とあわせて見学してまいりました。震災当時の生々しい写真に加えて、震災をきっかけに発足した機関の活動状況も展示されており、改めて、日ごろから備える大切さ、さらに人と人とのつながりの尊さを強く感じました。また、8月29日には、本区においても総合防災訓練が4会場で開催され、私は2つの会場での訓練に参加いたしました。猛暑の中、早朝より炊き出し訓練の準備に当たる町会婦人部の皆様を初め、中学生や高校生の代表も参加し、活気あふれる防災訓練となりました。  そこで、防災訓練について3点にわたり質問いたします。第1に、救援センターの開設訓練の実施についてです。マグニチュード7.3の首都直下型地震が、今後30年間で70%の確率で発生するとされています。町会ごとの防災訓練が定着してきている今、次の段階として、発災対応型訓練として、救援センター開設訓練の推進を提案いたします。訓練実施に当たっては、関連町会の連携や災害時要援護者の受け入れ体制の確立など、日常からの準備も必要と考えます。救援センター開設マニュアルの作成状況とあわせて、区のご見解をお聞かせください。第2に、中高生の参加による地域防災力の向上についてです。今回の訓練には、中学生と高校生の代表が参加いたしました。その姿を見て、町会長を初め、大変多くの参加者が、若い力に期待を寄せておられました。また当日、高校生自身に感想を聞いたところ、「今回初めて参加して、自分が何をすればいいのかわかりました」と語っておりました。中高生の総合防災訓練への参加は、中高生自身が、助けられる側から助ける側への意識改革を行い、今後も継続的に参加することにより地域の防災力の向上にもつながっていくと考えますが、区のお考えをお聞かせください。第3に、小中学生を対象とした東京臨海広域防災公園の施設見学についてです。同施設については、防災対策調査特別委員会としても視察を予定しております。そのため、先日、防災課と議会事務局の協力の下、磯副委員長とともに下見をしてまいりました。そこでは首都直下型地震の発災から避難までの一連の流れを体験できる「防災体験ゾーン」や、フジテレビで放映されたアニメ「東京マグニチュード8.0」が見られる映像ホール、世界の防災用品の展示等の防災ギャラリーなど、防災体験学習が盛りだくさんでした。希望により防災施設内の食堂も使用可能とのことです。将来の防災リーダーへの期待を込めて、小中学校生を対象とした見学会の実施を提案いたしますが、教育委員会のご見解を伺います。  次に、マンションにおける防災対策について伺います。マンションの場合は、高層階に行くほど揺れが大きくなる傾向があります。そのため1戸建てに比べて、より十分に家具等の転倒防止の強化をする必要があります。また、エレベーター閉じ込め対応や、エレベーター停止による高層階の孤立化のための家庭内備蓄の徹底など、独自の対策が必要です。本区においては、一定規模以上の新築マンションについては、本年1月の条例改正により対策がとられておりますが、既存のマンションについては対策が手薄なのが現状です。そこで、マンションに特化した防災の手引の作成を提案いたしますが、区のご見解をお聞かせください。  防災対策の最後に、池袋駅周辺混乱防止対策訓練について伺います。平成20年に実施した池袋と品川における同訓練についての報告書が、本年1月にようやく東京都総合防災部から発行されました。その中で注目すべきは、首都大学東京の中林一樹教授による訓練実施結果の検証です。ここでは今後の検討課題と、池袋駅周辺混乱防止対策協議会への期待について、3点にしぼり紹介させていただきます。第1に、自助の行動ルールの実践と協議会の拡充についてです。今回の訓練は4,000人を超える参加者による大規模訓練であったが、実際にはその何十倍もの滞留者が混乱防止対策の対象となります。緊急地震速報があっても、突然襲う地震動に戸惑い、恐らく今回のように指示者を信頼してついてくる人だけではないかもしれない。しかし、自助ルールを実践して、池袋周辺の事業所とその従業員が沈着冷静に行動できれば、それだけで駅周辺の混乱は3分の1以下にすることができるはずである。そのために協議会への参加事業者や組織のより積極的な参加と拡充を今後とも図っていく必要がある。特にテナントビルと個々のテナントの対応が重要になってくる。第2に、イメージトレーニングの継続についてです。継続的にこのような訓練を実施するには、費用的な面を含めて容易ではない。協議会としては、今回のシナリオ型訓練の成果を踏まえつつも、実際の災害時にはどのような対応をしなければならなくなるのか。特に被災状況と、それへの初動対応について、イメージトレーニングの手法で継続的に想定し検討していくことが重要である。第3に、平時の地域活性化にも活用できる、新しい地域情報システムの検討についてです。今回の訓練では、地区や施設の被災情報、さらに帰宅経路情報や、より広域的な情報など、滞在者の混乱防止には多様な情報が必要であることが明らかとなった。今回、試験的に行ったエリア型情報システムは、きめ細かい地区情報を地域内で伝達するシステムである。それが災害時に、特に初動期に役立つためには、平時にそのようなシステムを構築し、地域活性化ツールとして利活用していることが不可欠である。そのような新しい取り組みの進展にも期待している。以上、いずれも大変に重要な課題です。この3点につき、本区としてどのように取り組まれるのか、また、本年度の訓練概要についてもお聞かせください。  次に、2項目目のセーフコミュニティについて伺います。  私ども公明党は、2度にわたる豊島区セーフコミュニティ推進協議会を受けて、先月、WHОの認証取得都市である京都府亀岡市と青森県十和田市へ視察に行ってまいりました。水と緑とにぎわいのまち亀岡市では、栗山亀岡市長が「安全・安心は最大の福祉である」との政治理念を掲げ、また、京都府が亀岡市にセーフコミュニティの推進を打診した経緯もあって、府・市一体で取り組んでおりました。現在は都市型モデル地区の篠町自治会と、農村型モデル地区の川東5町会での取り組みをガイドプランとして確立し、市内23自治体がそれぞれの環境と特徴に応じた各ガイドプランの適用と展開をしているところでした。そして、既に3年後の再認証へ向けて取り組んでおり、当然、再認証も日本で初めてとなるので、担当者からは先駆的自治体としての苦労が伝わってまいりました。また、セーフコミュニティ推進プログラムの具体的取り組みについて伺う中で、効果のあった事例として、命のカプセル「救急医療情報キット」を挙げられておりました。これまで救急隊が駆けつけこのキットを使用した件数としては20件あり、命を救うことができた事例もあったとのことでした。この点につきましては、私どもの島村副幹事長が、本年第1回定例会の一般質問で、本区における単身の高齢者や障害者の安全対策として提案させていただいております。セーフコミュニティの観点からも、改めて早期の導入をお願いいたしたいと思いますが、その後の進捗状況についてお聞かせください。  一方、豊かな自然と近代的な都市機能が調和した十和田市では、セーフコミュニティの取り組みがボランティア活動として始められ、認証取得後も常にボランティア組織が先行して推進しているのが特徴です。例えば、自殺予防に関する取り組みとしての市の健康教室では、保健師の講話とともにボランティア団体の紙芝居を継続実施しております。専門家ではない素人が行う紙芝居に、いや、むしろボランティアの方たちの姿を見て、参加者も自分も何かやらなければと感じるそうです。そこでは、うつ病の知識普及だけではなく、地域での交流やコミュニケーションの大切さを伝える機会にしていくという、市民目線の取り組みがあるように思いました。セーフコミュニティ推進室の担当者は、セーフコミュニティの推進に当たっては、行政はいつも市民の後についていくことが成功の秘訣であると語っておられました。現在もセーフコミュニティの継続的な展開のために、あらゆる機関・団体の巻き込みを図っております。本区においても多くの団体が地域貢献活動をしております。私が相談役を務めます第9地区でも、NPО法人ささえ手が活躍しております。本年2月にあらゆる人たちが支え合う楽しく元気で安全な地域をこれからも守り続けようと活動を初め、5月にNPО法人の資格を取得いたしました。先日は、区内の小学校付近の店舗で強盗事件が発生し、犯人が逃走しているとの情報をキャッチし、どこよりも早くメルマガで注意を呼びかけました。区の安全・安心メールでは、関係機関への確認後の配信となるため、どうしても遅くなることがあります。やはり現場で起きている緊急時の安全・安心の取り組みには、こうした団体の協力が大切です。そこで、本区におきましても、セーフコミュニティの継続的な展開のためにあらゆる機関・団体の巻き込みを図っていく必要があると思いますが、区のご見解をお聞かせください。  現在、本区では、WHО認証のため6つの指標に基づき、重点テーマの設定検討中と伺っております。そこで、検討中のテーマの具体的な取り組みについて、3点につき質問いたします。第1に、児童虐待の防止についてです。この夏、大阪市と横浜市で、相次いで痛ましい児童虐待事件が発生いたしました。これを受けて私ども公明党は、早速厚生労働省に対して、省令の運用改善を要望したところ出頭要求の要件緩和が行われ、安全確認が強化されることになりました。あわせて現在、児童相談所職員の拡充も政府に要望しているところです。昨年度の全国児童相談所が対応した児童虐待件数は4万4,210件と、過去最悪を更新しました。先日、私のもとにも児童虐待の情報が寄せられました。早速、子育て支援課に連絡したところ、ほかからも同様の通報が入っており対応中とのことでした。そこで、まず、本区における児童虐待の実態についてお聞かせください。また、こうした児童虐待防止には、保健所のこんにちは赤ちゃん事業等での初期対応が有効手段となります。今後とも、ぜひ部門を超えた取り組みをお願いするとともに、区の取り組みについてお聞かせください。  第2に、学校の安全についてです。第1回豊島区セーフコミュニティ推進協議会の資料ではリーディングプロジェクトとして、また、学校と子どもの安全に関する重点事業として「セーフスクール」の認証取得へ向けて取り組むとしております。学校単位での認証を受けることになりますが、現在区が推進しているセーフコミュニティの認証取得との関係や今後の取り組みについてお聞かせください。  第3に、自殺とうつの予防についてです。自殺対策については、昨年の第3回定例会の一般質問や平成22年度の予算委員会でも取り上げました。まずは、本年度における具体的な取り組みについてお聞かせください。あわせて、東京都の地域自殺対策緊急強化事業補助金に対する本区の利用状況についてもお知らせください。厚生労働省は7日、自殺やうつ病での失業による昨年の経済的損失が、推計で約2.7兆円に上るとする調査結果を発表いたしました。同様の調査はイギリスで実施され、その後の精神保健医療改革が自殺対策に大きな効果を上げております。イギリスでは薬物療法に抵抗感があるため心理療法の普及を実施。その結果、自殺者数を15%減らすことに成功しております。今、日本におきましても、うつ病対策として認知行動療法が注目を浴びております。精神疾患患者の考え方に着目し、対話を通してサポートするもので、治療の科学的根拠がはっきりしており、薬物療法との併用で効果が高まることもわかっております。本年4月保険適用となったもののまだ一部に限定されており、また、認知行動療法に携わる人材と時間が不足している課題があります。しかし、慶応大学保健管理センターの大野教授によれば、今後の可能性としては、まず、研修を受けた保健師による地域での自殺予防や、職域では社員教育によるうつ予防や復職支援に活用できるとのことです。また、教育現場では認知行動療法的なプログラムによって、子どもたちに思いやりの心が生まれ、荒れた中学校が再生したとの報告もあるとしております。こうした認知行動療法に対して、本区も積極的に取り組んでいくべきであると考えますがご見解を伺います。  次に、3項目目の、(仮称)西部地域複合施設について伺います。  今年も西部区民事務所のある平和小学校の跡地では恒例の夏祭りが行われ、約4,500名の方が参加されました。地元の千早二丁目と要町二丁目の2町会を中心に西部地域の多くの町会や団体の皆様の協力の下、毎年盛大に開催されております。思い起こせば、旧平和小学校は、平成11年に旧要町小学校と統合し、要小学校として旧要町小学校校地に開校いたしました。豊島区で初めての統合校として、当時の関係者の皆様のご苦労は大変なものであったと記憶しております。それだけに、校舎に代わって誕生する施設には、卒業生にも、また地元町会にとっても、特別な思いがあります。  それでは、同施設の整備基本計画につきまして、4点について質問いたします。第1に、財源についてです。計画(案)では、千早図書館跡地と千早地域文化創造館跡地を売却し、社会資本整備総合交付金の活用を図った上で、なお32億3,000万円の財源が必要であるとしております。財政状況の悪化を理由に当初の計画を2年間延長してきたわけでございますが、経済状況は決して好転しているとは言えません。新庁舎の建設も控えている本区としては、財源確保は本当に大丈夫なのか、また、社会資本整備総合交付金の適用条件としてどのようなことがあるのか、区のご見解をお聞かせください。第2に、区民事務所機能についてです。現在、西部区民事務所では、区民課、税務課等の業務の一部を取り扱っております。地元の町会としては新たな施設では取扱い業務の拡充とともに、新庁舎との連携によるワンストップサービスの提供を強く要望しております。計画(案)では、ICTの活用により区民の利便性を向上させますとありますが、具体的にはどのような計画があるのかお聞かせください。第3に、施設整備のコンセプトについてです。今回、私たちは十和田市のアーツ・トワダと呼ばれる「アートによるまちづくりプロジェクト」を視察してまいりました。十和田市はまちづくり基本目標として「感動・創造都市」を掲げています。アーツ・トワダは十和田市の中心市街地に位置する1.1キロメートルにわたる官庁街通り全体を美術館と見立て、アート作品の展示やアートプログラムを実施。拠点施設となる十和田市現代美術館は市民の芸術文化の拠点として都市の活性化に寄与するために、人々の交流促進や市民活動をサポートし、市民とつくる参加型の運営を目指しています。実際、私どもが視察をしたときは、前衛芸術家の草間彌生さんの展示会が美術館の内外で行われておりました。当初、アートを利用してのまちづくりに否定的であった商店街の方々も、地元ではなく着飾った県外からのお客様が来るようになると次第に理解が深まっていき、今回の展示会では120店舗のうち75店舗が協力するまでになり、飲食店も5店舗増えたとのことでした。昨年1月にまとめられた「豊島区西部複合施設における文化拠点整備計画案」では、複合的文化拠点としての特色として、「外部にも視野を広げ、関連機関や地域住民等との積極的な連携、地域住民の活動相互の交流支援をしていくことで、事業活動の充実と協働による地域振興を推進する」としております。西部地域複合施設付近には、区立熊谷美術館や峯隆作品展示館、そして横山光輝氏のご自宅もあります。さらに長崎アトリエ村やトキワ荘など地域のもつ潜在的な活力を掘り起こし、未来へ向けた魅力的なまちづくりも視野に入れた取り組みをお願いしたいと要望いたしますが、区のご見解をお聞かせください。第4に、人員体制についてです。文化拠点整備計画案では、外部人材を館長に相当する地位に配置するとともに、総括的な運営責任者を区の内部から人材を配置するとしております。いずれにしても、3点目で取り上げた関連機関や地域住民との積極的な連携、協働による地域振興を推進するためにも、地元としても何でも話のできる地域の顔的存在としての人材を登用してもらいたいとの要望がありますが、いかがでしょうか、区のお考えをお聞かせください。  最後に、その他として予防接種事業について伺います。  本区では、本年4月1日から、乳幼児の細菌性髄膜炎や急性咽頭蓋炎などの感染症を予防するため、ヒブワクチン予防接種費用の一部助成が始まりました。子育て世代からは、「これで子どもを病気から守れる上、家計の負担が減り助かりました。」との喜びの声が寄せられております。子育て支援に力を入れている本区の取り組みを高く評価するところであります。そこで、まず、4月からの接種状況についてお聞かせください。一方、ヒブワクチンとともに小児用肺炎球菌ワクチンの公費助成を要望する声も高まっております。先進諸国ではヒブと小児用肺炎球菌の両方のワクチンが定期接種になっております。細菌性髄膜炎は、死亡したり中枢神経後遺症を残すことが少なくなく早期診断も難しい病気です。しかしながら、小児用肺炎球菌ワクチンは全額自己負担の任意接種のため、1回につき約1万円かかります。接種開始年齢により最大4回接種が必要となり、子育て世帯にとっては「接種をしたくてもできない」という厳しい現実があります。そこで本年2月、都議会公明党は石原都知事に対し、公費助成などを求める意見書を提出いたしました。そして本年4月より、東京都は、区市町村の予防接種支援事業の中で、小児用肺炎球菌ワクチンの都補助を開始いたしました。ぜひ、本区においても小児用肺炎球菌ワクチン接種費用の助成を要望いたします。任意の予防接種については、経済的負担を伴うため接種率がなかなか上がらないのが現実です。私どもは、子どもの命を守るために、任意予防接種の公費助成の拡大が必要であると考えます。任意予防接種の公費助成について、本区のご見解をお聞かせください。  以上をもちまして、一般質問を終わります。ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)   〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) ただいまの辻薫議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。  まず、セーフコミュニティについてのご質問のうち、昨年の第1回定例会で島村高彦議員からご提案いただきました、安心連絡メモの導入の進捗状況についてのご質問にお答えいたします。現在、豊島区社会福祉協議会において、亀岡市などの先進自治体、あるいは区内の町会における実践例などを参考といたしまして、町会連合会との協働による、「(仮称)あんしんカード」配付事業の実施に向けた準備を進めているところでございます。あんしんカードは、急病や事故などの際に、救急隊などが素早く本人の情報を把握することを目的としておりまして、町会のご協力をいただいて、高齢者、障害者、その他希望する方に配付する予定でございます。カードは、氏名・生年月日・緊急連絡先・血液型・持病・かかりつけ医・服薬などの情報を記載しておいてもらいますが、カード形式にすることでいつも身につけておくことができ、外出時の活用も可能となるわけであります。また、自宅の冷蔵庫などに張りつけておくことも可能でありまして幅広い活用が期待できるものと考えております。来年2月の実施を目指して、鋭意、準備を進めておりますが、社会福祉協議会と町会のコラボレーションという、まさにセーフコミュニティそのものの事業であると考えております。実施の際は民生・児童委員の皆様など多くの関係者の方々にご協力いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  次に、セーフコミュニティの継続的な展開のためにあらゆる機関・団体を巻き込むことによってのご質問にお答えいたします。セーフコミュニティは、長い距離を走り続けていくマラソンのような活動でございます。その柱として、科学的手法の活用と部門横断的な連携・協働を位置付けている理由は、予防活動の効果を高めるだけではなく、活動の持続可能性を何よりも大切に考えているからでございます。その意味で、国や東京都の行政機関との連携、そして地域に根差した区民主体のNPО活動やボランティア活動との協働の豊かさこそが、セーフコミュニティの原動力であると考えております。今年5月に設置した、セーフコミュニティ推進協議会では、幅広い安全・安心活動団体からのご参加をいただき、100人を超える大きな会議体となりました。しかし、区内にはまだまだ多くのNPО活動やボランティア活動があり、こうした団体との情報共有を進め、連携・協働を広げていくことで、豊島区のセーフコミュニティ活動はより多くの区民の皆様が参加する自律した厚みのある活動へと発展していくに違いございません。11月にはセーフコミュニティ活動の具体化を図るため、地域特性を踏まえて、10程度の重点テーマを選定するとともに、部門横断的な対策委員会の設置を予定しております。安全・安心に取り組むNPО活動等も、それぞれに具体的なテーマは異なると思いますので、その際には、重点テーマごとに情報を共有しながら意見や提案を交換するサポーター制度等を検討して、広く参加・登録を呼びかけていきたいと考えております。  次に、重点テーマの具体的な取り組みについてのご質問のうち、児童虐待の実態及び防止についてのご質問にお答えいたします。本区における児童虐待の相談・通告件数は年々増加し、平成21年度においては、継続・新規受理をあわせて560件に上っており、事案の複雑化・長期化の傾向があります。児童虐待の種別は、ネグレクトが最も多い状況でありますが、ここ数年は身体的虐待の通報が目立って増えております。こうした児童虐待の早期発見・早期対応に向けて、本区では全国的な法整備に先駆け、平成12年に地域の関係機関が連携して対応していくため、虐待防止ネットワークを立ち上げ、東京都児童相談センターとも緊密に連携しながら活動を進めてきたところであります。その後、平成16年の児童福祉法の改正を受けて、虐待防止ネットワークを要保護児童対策地域協議会と位置付け、取り組み体制の強化を図ってきております。また、本年1月には、複雑化・長期化した事案に対応していくため、弁護士、臨床心理士の資格を持つ子ども権利擁護委員を各1人、計2名設置して、専門的知見を活用し、児童虐待への対応方針に関する助言を得ているところでございます。さらに、本年4月からは、東部子ども家庭支援センターに専任職員を配置し、子育て訪問相談事業を開始いたしました。本事業は、支援施設への来所を躊躇する養育困難等の支援が必要な家庭に職員が出向き、子育て環境や養育状況を確認した上で助言を行うとともに、子育てサービスについての情報を提供するものでございます。こうした、これまでの本区における積極的な取り組みの結果、さきに申し上げました560件の相談・通告件数のうち、新規受理件数に限って申し上げますと、増加傾向にある全国及び東京都とは逆に、本区における件数は減少傾向にあります。今後も関係機関との連携を強化いたしまして、児童虐待の早期発見・早期対応に努めてまいりたいと思います。  次に、セーフスクールについてのご質問にお答えいたします。WHОのセーフコミュニティ協働センターでは、地域単位の認証制度であるセーフコミュニティとともに、学校単位で認証制度として、インターナショナル・セーフ・スクールを推進しております。現在、世界では44校、我が国では大阪教育大学附属池田小学校がこの認証を取得しており、認証の基準やプロセスは、セーフコミュニティとほぼ同様の仕組みでございます。セーフコミュニティの取り組みにおいて、学校の安全は必要不可欠なテーマであり、平成24年度の認証取得に向けて、同時並行的に取り組むことが効果的であると考えたところでございます。この秋を目途として、教育委員会に対象校の選定をお願いしておりましたが、この度、朋有小学校において、セーフスクール認証取得に取り組むことが決まりました。今後は、学校の安全のモデル校的な位置付けとして、セーフコミュニティ推進協議会において、セーフコミュニティと一体的に活動を展開していくことになります。豊島区の小学校は、これまでも積極的に安全対策に取り組んできました。先に認証を取得した池田小学校では、膨大な経費をかけ、徹底した施設整備等が行われましたが、WHОが本来目指すところはソフト面からの取り組みであり、子どもを守る地域のネットワークと子ども自身の参加が評価のポイントであると聞いております。認証取得は決して容易なものではございませんが、教育委員会を中心に学校やPTA、そして地域の皆さんが力を合わせることで、必ずや世界認証を取得したいと考えております。議員の皆様におかれましても、ご支援・ご協力をよろしくお願いしたいと思います。  次に、自殺、うつの予防についてのご質問にお答えいたします。本年度の具体的な取り組みについては、自殺予防について区民の皆様の周知を図り、地域での取り組みを推進するため、講演会やパネル展示を行っています。また、東京都や豊島区の相談窓口一覧を作成いたしまして配付しております。さらに、地域での身近な相談者を育成するために、ゲートキーパー養成研修を開催してまいります。以上の事業は、東京都の地域自殺対策緊急強化事業補助金を利用して、池袋保健所で実施しております。  次に、うつ病対策としての認知行動療法についてのご質問にお答えいたします。認知行動療法は、うつ病の人が陥っている認知の偏りを修正して、問題解決を手助けする療法でありまして、薬物療法と併用することで、うつ病の治療に効果的であると認識しております。今年度は保健師等の職員が研修を受け、区民の方に適切にご案内できるように努めていきます。認知行動療法の地域や教育現場での取り組みについては、セーフコミュニティの重点テーマとして設置する、自殺・うつの予防対策委員会の中で検討してまいりたいと思います。  次に、(仮称)西部地域複合施設についてのご質問のうち、まず、財源についてのご質問にお答えいたします。(仮称)西部地域複合施設整備にかかる経費につきましては、概算で約44億5,000万円を想定しております。また、財源対策として、千早図書館と千早地域文化創造館の売却益約7億2,000万円、社会資本整備総合交付金約5億円を見込んでおります。残りの32億3,000万のうち、現時点では20億円程度を起債で対応する想定であります。12億円余りの一般財源が必要となる見込みであるわけであります。財政的には依然厳しい状況ではありますが、移転予定の施設はかなり老朽化が進んでおり、大規模改修する場合でも数十億円の負担が予想されるわけであります。いずれの場合でも、相応の負担がかかるのであれば、施設の集約化・複合化によるメリットを生かして、新築で使い勝手のよい長寿命の施設整備を進める方が、ランニングコストなど中長期的に見ても効率的であると考えております。公共施設の再構築に当たっては、限られた財源の中、様々な角度から優先順位を検討する必要はありますが、新庁舎と同時期の26年度に開設することにより、現在検討中の新庁舎と連動した同様の多様な行政サービスが利用可能となることや、千早図書館、千早地域文化創造館の老朽度を考慮すると、この時期がまさに最適であり、大変厳しい財政であり、先般2年先送りしたわけでございますが、今回は何としても建設しなければと、起債をしてでも実施すべきと判断いたしたわけでございます。なお、社会資本整備総合交付金の適用条件については、交付金を申請する場合、区が一定の地域における課題やまちづくりの目標を設定した社会資本整備総合計画を作成し、国に提出いたします。同計画の期間は3年から5年とされており、計画作成に当たりましては、目標の実現等を評価するための評価指標を設定し、交付要綱に定める基幹事業を複数、計画に盛り込むことが必要でございます。現在、文化振興によるまちづくりを目標として、複合施設整備を含めた、周辺地域における社会資本総合整備計画を作成中でございまして、今後、国等と交付金申請に向けた協議を行ってまいりたいと思います。  次に、区民事務所機能についてのご質問にお答えいたします。新しい西部区民事務所の窓口業務につきましては、現在の区民事務所機能を大幅に拡充して、新庁舎で設置を検討しております総合窓口で取り扱う業務と同様のサービスを提供することを計画しております。現在、区の窓口業務385種類のうち、転入・転出時に関連する業務で専門的な審査等が必要な業務を除いた100業務について、新庁舎での総合窓口で取り扱うことが可能かどうか、その業務内容を精査し、区民サービスの向上や実現性の検証を行っているところでございます。また、これらの業務を実施するため、総合窓口支援システムの導入準備も進めております。新たな区民事務所では、この総合窓口支援システムを導入するとともに、住民票、印鑑登録、戸籍、税証明書等の各種行政証明書の発行や各施設の予約等ができる行政キオスク端末を設置するなど、ICTを活用し、新庁舎における総合窓口と連携して、窓口業務のワンストップサービス化を目指してまいります。この取り組み方針は、昨年2月に取りまとめられました区民ワークショップからの提案を具体化すべく、部内での検討に基づいて決定したものでございますが、さらに今後、現在の区民事務所の機能を抜本的に見直して、窓口業務の充実に加え、福祉総合相談窓口との連携による行政サービスの大幅な向上、また、町会はもとより、設置を予定しております地域協議会等の幅広い地域団体の支援を行う地域振興業務の充実、さらに、区民ひろば等の施設管理業務の拡充など地域における行政サービス、地域コミュニティ支援の拠点となる行政機関を目指して、本格的な検討に着手してまいります。その上で、この検討の成果を、新しい西部区民事務所へ結実させてまいりたいと思います。  次に、施設整備のコンセプトについてのご質問にお答えいたします。本区ではこれまで、その地域特性と豊かな文化資源を生かして、魅力と活力のあるまちづくりの推進とともに、文化による地域力の創出を文化政策の基本的な考えといたしましてきたわけであります。(仮称)西部地域複合施設においては、こうした考え方をもとに、ミュージアム系の機能・図書館系機能・公民館系機能の3つの機能と、郷土資料、美術、文学・まんがという多様な分野が共存する複合的な文化拠点を整備することとしております。この文化拠点では、地域の文化資源を後世に継承するとともに、より豊かな未来に向けて、新たな文化を育み発信するための様々な活動を区民の皆さんの交流を通して展開することを目指していきたいと思います。同時に、区民の活発な文化活動や生涯学習の舞台として、区民の皆さんの活動をサポートしながら、その活動成果が地域社会に還元されるような事業展開を目指していきたいと考えております。一方、この施設周辺の地域特性に目を向けますと、ご指摘のとおり、長崎アトリエ村や池袋モンパルナス、さらにはトキワ荘、横山光輝氏など、全国的にも強くアピールできる貴重な歴史的文化資源が数多く点在しております。郷土資料館は、開設以来26年間にわたって、こうした地域資源の調査研究に基づく多くの知的財産を蓄積してまいりました。今後は、そうした蓄積を核としながら、多分野と連携・融合した文化拠点として再構築することで、地域に点在する様々な施設や文化資源を結びつけるセンターとしての機能を担うこととしております。そうした機能の上に立って、区民の皆さんの活発な活動や交流が加わることで、ご要望のような魅力的な広がりのあるまちづくりが実現するものと考えております。  次に、人員体制についてのご質問にお答えいたします。地域の文化創造活動を推し進める拠点施設として、その機能を果たし、質を高めるためには、とりわけ重要なのは人員体制の構築であると考えております。地域に根差した運営を図る上では、地域の実情に明るく、区民の皆さんや地元商店街等との人的なネットワークを構築することは極めて重要でございまして、コミュニティ感覚を備えた人材が求められるわけであります。一方、特にミュージアム系機能におきましては、区の貴重な財産である収蔵品を調査・研究し、次世代へ継承していくための専門的な識見や経験とともに、広報・企画・実践など、多様な事業を展開する上での推進力を兼ね備えた人材の配置が必要となるわけであります。このような観点から考えると、人選は極めて難しくなりますが、区民に信頼され親しまれる施設になるよう、人員体制並びに人材の登用につきましては、専門家を初めとする関係者のご意見を十分にお伺いしながら検討してまいりたいと考えております。  私からの答弁は以上でございますが、その他の質問につきましては関係部長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては教育長からは答弁申し上げます。   〔横田 勇総務部長登壇〕 ○総務部長(横田 勇) 防災対策についてのご質問のうち、まず、災害時相互応援協定及び防災サミットについてのご質問にお答えいたします。去る8月21日、本区は山形県村山市と12番目の災害時相互応援協定を結びました。本区は15年前の阪神・淡路大震災の教訓を生かして、平成7年5月に山形県遊佐町と最初の災害時相互応援協定を結んで以来、友好関係の深い都市との応援協定締結に取り組んでまいりました。応援協定の最大のメリットは、災害時に協定自治体が真っ先に豊島区に駆けつけてくれる点にあります。国や都による広域的支援は災害時において不可欠ではありますが、広く薄い支援、もしくは被害の大きな地域に集中する支援になりがちで、すぐに豊島区を支援してもらえるかどうかはわかりません。大きな被害が予想される首都直下地震が発生した場合、本区だけで対応することは極めて困難でありますので、一定程度離れていて同時に被災する恐れが低く、友好関係が確立されている協定自治体の応援が得られることは大変心強いことであると考えております。なお、防災サミットは協定自治体の首長にお集まりいただき、自治体間の相互応援の重要性を確認する場と位置付けているもので、平成14年度、17年度は豊島区において、19年度は長野県箕輪町において、20年度は新潟県魚沼市において、通算4回これまで開催してきております。防災サミットを通じて生まれた自治体間の交流がその後に発生した実災害で自治体間の応援活動につながるなど、大変有意義な場となっております。今後も協定自治体との間で防災サミットの開催や文化・観光面での相互交流事業などを通じて、友情と信頼の絆を深めてまいります。  次に、防災訓練についてのご質問のうち、救援センター開設訓練の実施及び救援センター開設マニュアルの作成状況についてのご質問にお答えいたします。ご提案いただきました、救援センターでの発災対応型訓練の重要性は、区といたしましても強く認識しております。そこで、近年、救援センターでの実践的な訓練の充実を図っておりまして、平成18年度には14回であった救援センターの訓練を、今年度は30回にまで増やしております。訓練回数の増加とともに救援センター開設マニュアルの作成にも取り組んでおりまして、現時点では、総数36カ所のうち31カ所の救援センターでマニュアルを整備しております。今後、すべての救援センターでマニュアルを作成し、訓練を行うことができるよう、引き続き努力してまいります。  次に、中高生の参加による地域防災力の向上についてのご質問にお答えいたします。これまで、中高生などの若者を防災訓練に参加させるよう、地域の皆様から長らく要望されてまいりました。今年の総合防災訓練でようやく都立板橋高校と千川中学校の生徒の参加を得ることができましたが、千川中学校での開会式で中高生が紹介されると参加者の皆様から大きな拍手が沸き起こったことが強く印象に残っております。中高生は気恥ずかしそうな様子でもありましたが、反面、自分たちへの期待の大きさをしっかりと受け止めてくれたと感じているところでございます。つい先日、板橋高校からは、生徒にとっても大変有意義であり、来年以降も参加したいとのお申し出を受けました。これを機会に、今後、区内の都立高校にも参加を呼びかけてまいりたいと考えております。また、現在、教育委員会や消防署と連携して区立中学校での防災教育の充実強化について検討しているところでございます。今後、様々な角度から中高生に防災の担い手としての自覚を促し地域防災力の向上を図ってまいります。  次に、マンションにおける防災対策についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、マンションには高層階の揺れの問題あるいはエレベーターの閉じ込めなど、特有の防災上の課題がございます。区は昨年、中高層集合住宅の建築に関する条例を改正し、大規模な新築マンションに居住者向け備蓄倉庫の設置等を義務付けました。1月の条例施行後、既に2件の大型マンションから備蓄倉庫等に関する事前協議を受けております。このほか、既存のマンションの居住者に対しては、耐震診断や耐震補強に関する助成制度の拡充を図るなど、ハード面におけるマンションの防災対策に取り組んでまいりました。また、平成20年度に全戸配付した防災の手引、区ホームページの防災情報のページにマンションの防災対策について掲載するなど、マンション居住者の意識啓発に努めてきたところでございます。しかしながら、いまだにマンションの防災対策の必要性が居住者の方々に十分に浸透しているとは言えないのが率直な現状でございます。したがいまして、マンション担当課など関係部署と連携して、今後マンション用の防災の手引の作成・配付について検討してまいります。  次に、池袋駅周辺混乱防止対策訓練についてのご質問のうち、まず、自助の行動ルールの実践と協議会の拡充についてのご質問にお答えいたします。1日の乗降客262万人のターミナル駅と日本有数の繁華街を抱える池袋で、池袋駅周辺混乱防止対策を着実に進めるためには、多くの事業者、団体の池袋駅周辺混乱防止対策協議会への参加と、自助の行動ルールに基づく対応の実践が、ご指摘のとおり大変重要なことと認識しております。本区は、当初より多くの企業に参加を呼びかけ、平成20年に47団体で協議会を発足させました。その後も加入促進を図り、今年度には大勢の買い物客が訪れる駅前の量販店やホテルのご参加を得ました。70団体の会員数が当面の目標のところ、現在54団体となりましたが、引き続き会員数の増加に努めてまいります。なお、テナントビルと個々のテナントの対応が重要とのご指摘についてはそのとおりと考えておりまして、今後、協議会で検討してまいりたいと考えております。  次に、イメージトレーニングの継続についてのご質問にお答えいたします。これまでの2回の訓練は、震度や火災、建物倒壊等の災害情報と対応内容を事前にシナリオ化し実施しました。ご提案のイメージトレーニングは大きな会場が不要で、かつ実践的な対応力を身に付けられる有効な手法と認識しております。しかしながら、協議会は設立してまだ3年と新しく、一昨年度に策定した行動ルールの検証に関しては、シナリオに基づく訓練の方が現段階では効果的と考えております。したがいまして、シナリオ型の訓練を継続していく中で、今後、イメージトレーニングの手法も導入してまいります。  次に、新しい地域情報システムの検討についてのご質問にお答えいたします。16万5,000人と予想される滞留者への情報不足は二次的な災害や大規模なパニックを引き起こしかねず、情報提供は最も重要な対策と認識しております。中林教授がご提案する「平時の地域活性化にも活用できる新しい地域情報システムの構築」は、実現した場合には大変効果の発揮できるシステムであると考えています。しかし、一昨年度の訓練に使用した、いわゆる地域情報システムは、まだ試験段階レベルのものであること、また本区の財政状況も考え合わせますと、このシステムの構築は現段階では大変難しいことと考えておりますが、研究をしてまいります。  次に、今年度の訓練概要についてのご質問にお答えいたします。訓練は11月18日に実施する予定ですが、大量の滞留者や負傷者への対応、情報の受発信等を訓練いたしまして、対策に反映することを目的としております。当日は、鉄道、百貨店、学校等の事業者や、団体に警察、消防の参加を得て、総勢500名程度の規模の訓練を予定しております。具体的には、駅周辺の災害情報の集約と発信の拠点となる現地連絡調整所、また通行人へ情報を提供する情報提供ステーションの設置運営を行います。さらに、消防による救護所の設置運営や障害者等の災害時要援護者をホテルや公共施設へ避難誘導する訓練を新たに行います。過去2回の訓練を踏まえた、実践的で参加者の危機意識の持続やモラルアップに結びつけられる訓練にしていきたいと考えております。  私からの答弁は以上でございます。   〔村主千明池袋保健所長登壇〕
    池袋保健所長(村主千明) 予防接種事業についてのご質問のうち、まず、ヒブワクチンの4月からの接種状況についてのご質問にお答えいたします。4月より1回3,000円の公費助成を実施しており、8月までの実績は延べ1,457件となっております。当初は医療機関への流通量が不足して予約待ちの状況でしたが、ようやく充足してきており、助成数も増加傾向になっております。  次に、小児用肺炎球菌ワクチン接種費用の助成についてのご質問にお答えいたします。7価肺炎球菌結合型ワクチンは、日本では平成21年10月に承認され、平成22年2月から接種が開始されております。肺炎球菌による細菌性髄膜炎は、死亡例や重篤な後遺症例が多いことやワクチンの接種費用が高価で経済的負担が大きいことから、公費助成が必要であると考えており、今後、実施に向けた検討を行ってまいりたいと考えております。  次に、任意予防接種の公費助成についてのご質問にお答えいたします。現在、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会でWHОが推奨する予防接種の検証が行われているところでございます。審議会の動向や他区の状況を見据えながら、任意接種の公費助成の拡大について検討してまいります。  私からの答弁は以上でございます。   〔三田一則教育長登壇〕 ○教育長(三田一則) 引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しましてお答え申し上げます。防災対策についてのご質問のうち、小中学生を対象とした東京臨海広域防災公園の施設見学についてのご質問にお答えいたします。ご指摘いただきました施設は、大規模な災害発生時に、災害現地対策本部が設置される防災拠点施設であります。また、平常時には様々な体験や学習を通して、防災への関心を高め、実際に災害に対応できる知識や知恵を習得する場としての機能を持っております。教育委員会といたしましては、今日的な防災行動力を高める施設として注目しております。現在、各学校におきましては、月に1度安全指導日を設定し、防災訓練を実施しております。その際、池袋防災館を活用した体験的な学習を取り入れるなど、生きて働く防災行動力を育てる工夫に努めているところでございます。今後、小学校におきましては、都内見学などの際、防災体験が可能な場としてご案内の施設を紹介してまいります。また中学校では、昨今、生徒が地域の一員として防災訓練に参加するなど、貴重な体験を積み重ねております。地域の皆様からも、将来の防災リーダーとして大きな期待が寄せられていることから、今回いただきました情報を各中学校にも紹介し、積極的に活用するよう働きかけてまいります。  以上をもちまして、辻薫議員のご質問に対する答弁を終わります。 ──────────────────────────────────────── ○副議長(此島澄子) 最後に、16番議員より、「区政が、いま緊急にやるべきこと」の発言がございます。   〔儀武さとる議員登壇〕(拍手) ○16番(儀武さとる) 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、「区政が、いま緊急にやるべきこと」と題し、一般質問を行います。第1に、区内の中小業者支援策について、第2に、高齢者福祉、熱中症対策について、第3に、子育て支援について、第4に、巣鴨地域のまちづくりについてであります。区長の明快な答弁をお願いいたします。  第1に、区内の中小業者支援策についてであります。中小企業・自営業者の状況は極めて深刻です。内需の冷え込みに加えて、単価たたきなど、大企業による不公正な取引、大型店の身勝手な出店・撤退、銀行の貸し渋り、貸しはがしなどによって、二重三重の苦しみを強いられています。これに追い打ちをかけるように、円高ドル安が中小企業をさらに苦境に追い込んでいます。中小企業は企業数の99%、雇用の7割を占めています。まさに日本経済の根幹です。今こそ大企業のため込み金と利益を雇用や中小企業に還流させ、内需を芯から温める経済システムへの転換に踏み出すことが求められています。本区でもこの立場から、区内の中小業者の支援策の拡大を求めるものであります。  最初に、入札制度を改革し、区内業者への優先発注制度を拡大することについてです。区は、先の第2回定例会に、西池袋中学校改築に伴う請負契約案件を4議案提案しました。そのうち2つの工事請負契約案件は、条件付一般競争入札で5月20日、いずれもクリマ・日和特定建設工事共同企業体が1回で落札しています。給排水衛生・ガス・消火設備工事請負契約は落札率69.4%、冷暖房・換気設備工事請負契約は42.7%と、異常なほどの低落札率でした。総務委員会での審査の際、株式会社クリマテックは本当に区内業者といえるのか、営業実態があるのかが問題となり、区は、名ばかり営業所の実態調査の説明会を6月18日に開催し、7月から行っていると答弁しました。いただいた実態調査の資料を見ると、本店のある区内業者は、届出件数146のうち、訪問調査を行ったのは5件です。支店や営業所のある準区内業者は、届出件数24件のうち、訪問調査を行ったのは8件です。合計で170件の届出件数のうち13件の訪問調査を行い、改善指導中は1件だけであります。実態調査の基準である、営業所等の実態の確認事項を見ると、1、支店・営業所の建物外部または入り口ドア等に看板を掲出し、独立した事務所としての形態を整えていること。2、支店・営業所等に営業活動を行い得る人的配置がなされていて、かつ、責任者が存在し常駐していることなど5項目の確認事項であります。実態調査というなら、訪問先の支店・営業所の専任技術者の名簿や出勤簿、タイムカード、定期券などのコピーを見て、実際に出勤しているかどうかを確認することや、せめて1年分の電気、ガス、水道などの公共料金の領収書や引き落とし口座などを確認する必要があるのではないでしょうか。また、株式会社クリマテックは、鹿島建設が100%出資している子会社です。大企業と中小企業が同じ土俵で入札したら、結果は目に見えています。入札制度は大企業への受注の集中や不良・不適格業者の参入を回避し、企業間の公正な発注機会の均等化を図りつつ、競争原理を発揮することを基本に据える必要があります。条件付一般競争入札とは、企業規模、業種、工事実績、技術力等で業者をランク区分するとともに、その一方、発注すべき工事を規模や業種、難易度、特殊性等で同様のランク区分をし、同一ランクの業者間で競争に付するという入札方式です。ところが、豊島区ではランク別の入札条件が設定されていますが、上位ランク業者が下位の発注標準工事の入札に参加できます。これでは公正な競争とは言えません。そこで質問します。上位ランクの業者が下位ランクに食い込むことを厳格に禁止するとともに、中小業者分野への大手業者の参入を防止すべきです。答弁を求めます。  次に、公契約条例の制定についてです。建設業界では、戦後最悪の不況といわれる中、公共工事を受注するために低価格受注競争を強いられています。そのしわ寄せは下請企業や末端の建設労働者に及び、賃金・労働条件が悪化し深刻な事態です。国土交通省が発表した公共工事設計労務費の推移では、1997年2万3,295円をピークにして、2009年では1万6,726円まで下がっています。区内の建設労働者は、賃金は1万4、5千円が相場、天候の悪い日などは仕事がない日もあり、ひと月に10日ないし半月しか仕事がない、この賃金では生活ができないと悲痛な声が寄せられています。その中で、全国の建設組合では、国や自治体発注の公共工事や業務委託に従事する労働者の賃金を確保することを目的に、公契約法・条例の制定を求め運動を進めてきました。ところが日本政府は、労使間の問題については介入せずの立場をとり続け、働くルールを確立しようとしません。既に、欧州やアメリカなどの諸外国では19世紀末から20世紀にかけて公契約法が制定されており、1949年にはILО(国際労働機関)において公契約における労働条項に関する条約が採択されました。2007年4月現在、60カ国が批准していますが、日本政府はこの条約をいまだ批准していません。国内でも、ついに2009年5月、公共サービス基本法が全会一致で成立しました。同法第11条、公共サービスの実施に従事する者の労働環境の整備において、「国及び地方公共団体は、安全かつ良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるようにするため、公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする」と定めました。つまり、賃金や労働条件、人員配置、労働安全衛生などの条件を適正に確保するよう、国と地方自治体に努力義務を課したのです。全国の地方自治体では公契約法の制定を求める意見書が771自治体で採択され、全国市長会からも、「公共工事における建設労働者の適正な労働条件を確保するため、関係法令の整備等を図ること」の要望書が政府に提出されているのです。こうした国と地方自治体の流れを背景に、昨年9月、千葉県野田市が、全国で初めて公契約条例を制定しました。そこで質問します。我が党の森議員が、2007年10月の決算委員会で公契約の制定を求めたところ、区は、「国が法を整備しない限り、地方でのそうした動きというのは十分効力を発揮しない」と後ろ向きの答弁を行いました。改めて伺いますが、国内でも公共サービス基本法が整備されたいま、本区でも直ちに公契約条例を制定すべきです。答弁を求めます。  次に、住宅リフォーム資金助成事業の復活についてです。豊島区は、2001年度まで住宅リフォーム資金助成事業を行っていました。実績を見ると、1999年度は500万円の予算額で74件の助成、工事金額は1億3,800万円と経済の波及効果は大きく、区内施工業者からも区民からも大変喜ばれました。しかし、区は、財政難や2000年から始まった介護保険の住宅改修を口実に、この事業を廃止しました。復活を求める業者や我が党の要求を無視できず、2001年度は渋々復活したものの、予算額を300万円に縮減し、2004年の行革で再びこの事業を廃止したのです。長期化する不況のもとで、中小業者から「仕事がない、このままでは生活ができない」と悲痛な叫びが突きつけられています。いまこそ豊島区でも独自の事業が必要です。そこで質問します。東京23区では、近隣の北区や板橋区など5区が住宅リフォーム資金助成事業を復活、継続しています。本区でも直ちに復活すべきです。答弁を求めます。  第2に、高齢者福祉、熱中症対策についてです。今年の夏は記録的な猛暑で熱中症にかかり救急車で搬送された人が全国で5万人以上に上りました。その半数が65歳以上の高齢者で死亡者は500人以上に及んでいます。日本共産党都議団の調査によると、9月6日現在、東京23区内でも死者は136人、本区でも6人が亡くなりました。また、9月1日、巣鴨に住んでいた84歳と77歳の高齢姉妹が「熱中症で死亡か」とテレビや新聞で大きく報道されました。亡くなって腐敗が進んでから発見されるという痛ましい事態です。その他にも、全国に広がる100歳以上の高齢者の行方不明問題、家族も役所も行方をつかんでいないことが表面化しました。親が死亡しても死亡届を出さないで、親のわずかな年金を頼りにひっそりと暮らす高齢者など、不正受給することは絶対に許されないことですが、その背景に、経済的な貧困と貧しい社会保障制度があります。高齢者の所在不明も熱中症による死亡も、根は同じ問題です。国の構造改革で毎年約2,000億円の社会保障費が削減され、東京都も、石原知事は「福祉ほどぜいたくなものはない」と言って、マル福の老人医療助成や老人福祉手当の廃止など、高齢者世帯の負担を増やし高齢者を見守る重要な役割を発揮していた保健所の保健師を大幅に減らしてきました。豊島区も、行革で高齢者施策を次々と後退させてきました。国の社会保障切り捨て政策に都も区も追随し、高齢者福祉を大幅に後退させた結果、高齢者にしわ寄せが起きているのです。我が党は9月3日、熱中症対策について区長に4点の緊急申し入れを行いました。その内容は、第1に認知症など危険度の高い独居高齢者の安否確認や室温測定・冷房機器の有無など生活状況の把握をすること。第2に、低所得者等に対して冷房機器購入、電気料金など必要な財政支援を行うこと。第3に、緊急、一時避難のできる施設を確保すること。第4に、見守り活動を強化することであります。高野区長は「高齢者の状況把握を急ぐことなど検討したい」と述べました。  さて、国においては、我が党の田村智子参議院議員が、13日、厚生労働委員会で、熱中症による死亡者を出さないために、生活保護受給者が、電気代の心配からクーラーを3時間しかつけられない、設定温度を30度などとしている実態を示し、夏季加算の新設を提案しました。当時の厚生大臣は、検討していきたいと答弁しました。そこで質問します。区長は、生活保護受給者に対して、夏季加算の新設を国に求めるべきです。いかがでしょうか。また、低所得者等に対して冷房機器購入、電気料金など必要な財政支援を行うために、区独自に助成すべきです。答弁を求めます。  次に、見守り活動を強化するために、3点について伺います。第1に、ハローテレホン事業の復活についてです。これまで、我が党の要求に対し、区は高齢者の見守り活動については、民生委員、地域包括支援センター、区民ひろばなどと協議しながら検討を進めるとしてきました。民生委員・ボランティアの役割は大事ですが限界があります。今、求められていることは、区が責任を持って健康や生活全般にわたって指導し、きめ細かな対応をすることであります。そこで質問します。我が党は、これまで繰り返し、安否確認であるハローテレホン事業の復活を求めてきましたが、区は、必要性や費用対効果を十分勘案し判断すると、冷たく拒否してきました。もし、この事業が継続されていたなら、高齢者の孤独死、熱中症による死亡を未然に防ぎ、命を救えた人がいたかもしれないと考えると大変残念です。ハローテレホン事業費はわずか200万円ですが、それさえ削ったことは許せません。今こそ直ちに復活すべきです。  次に、緊急通報システムを拡充することについてです。高齢者などの熱中症による死亡が相次ぐ中で、ひとり暮らしの高齢者は、急に具合が悪くなったらどうしたらいいのかと不安を訴える方が増えています。区の緊急通報システムの設置台数の実績を見ると、2004年度の576台から年々減り、2009年度は530台になりました。この原因は、対象要件である65歳以上の高齢者で、急を要する慢性疾患を持ち、2人の協力員の登録など、対象要件が厳しく、必要でも該当しないケースが増えています。直ちに要件を緩和し、希望するひとり暮らしの高齢者に機器を貸与すべきです。答弁を求めます。  次に、介護保険で、高齢者を地域で支える拠点として位置付けられている地域包括支援センターの評価についてです。豊島区は、本年度高齢者アウトリーチ事業のモデル事業実施として、地域包括支援センター1カ所当たり300万円を補助しました。非常勤1人分の人件費でありますが、高齢者も新しい仕事も増える中で、人手がとても足りないと悲鳴が上がっています。隣の新宿区では、今年度から各地域包括支援センターの職員を倍増し、1カ所4、5人から8人ないし10人に増やし、住み慣れた地域で支援が受けられるよう態勢を整えました。本区でも地域包括支援センターの職員を大幅に増やし、見守り活動を強化すべきです。答弁を求めます。  第3に、子育て支援についてです。  最初に、保育園の待機児童解消の緊急策についてです。駒込在住のAさんは、4月に大田区から引っ越してきました。3歳のお子さんの入園申請をしたが、いまだに保育園に入れません。やむを得ず、夫婦の勤務地である大田区の保育園に子どもを預けています。親も子どもも毎日くたくたで、何とか豊島区の保育園に入れてくださいと訴えています。保育園に入れなければ仕事を辞めざるを得ないが、それでは生活が成り立たなくなります。一刻も早く区民の願いに応えることが求められています。区内ではこういう話が至るところで聞こえてきます。4月1日現在、待機児童は161人でした。池袋本町の臨時保育所が6月に開所し、1歳児8人、2歳児11人、合計で19人を受け入れたものの、9月1日現在、199人に待機児が大幅に増えました。このままでは待機児童は増える一方です。そこで質問します。第2回定例会において、我が党が待機児童解消の緊急策を質すと、区は、保育計画をベースに着実に推進すると答弁しました。そんな悠長なことを言っている場合ではありません。保育計画の緊急策は極めて不十分です。我が党はこれまで中央図書館跡地などの区有地や区有施設を活用するとともに、国有地、都有地などの未利用地も含めてあらゆる場所を確保し、保育園をつくるべきと提案してきました。ところが、区は実施しません。これは他の区でもやっていることではありませんか。待機児童は駒込、大塚など東部地域で急増しています。駒込地域では、駒込四丁目にある関東財務局のむさしの荘跡地を交渉し、保育園を整備したらどうでしょうか、答弁を求めます。  次に、認可保育園の増設についてです。民主党政権は、現行の公的保育制度を解体して新しい保育制度をつくる動きが急です。菅内閣は、子ども・子育て新システムと称して、保育に介護保険と同様に市場原理を持ち込む直接契約制度の導入、営利企業を参入させ、国と自治体の公的責任を後退させようとしています。今必要なのは、保育制度を変えることではなく、早急に待機児童を解消するために、保育の水準を下げるのではなく、財政支援を行って認可保育園を大幅に増やすことです。現在の保育計画の5カ年の整備計画の目標では、認可保育園の増設は大塚駅隣接ビル内の1カ所だけです。前定例会において、我が党が認可保育園の増設を求めたところ、区は、「保育計画では、1園の設置以外、認可保育園を増設する計画はありません」と答弁しました。この答弁は容認できません。もともと保育事業から見ると、改築・改修、認証保育所中心の整備計画の目標自体が不十分です。豊島区では、これまで住民とともに認可保育園を中心に質の高い保育をつくり上げてきました。保育計画を見直し、認可保育園の増設を柱に据えなければ保育水準を維持することはできませんし、待機児童も解消することはできません。長期化する不況の下で、経済的な理由や女性の意識の変化で共働き家庭が増え、保育園の需要はますます高まります。そこで質問します。保育計画を抜本的に見直し、認可保育園を中心とした計画とすべきです。答弁を求めます。  また、第2回定例会に、朝日小学校区内の町会長の連名で保育園などをつくってほしいという陳情が提出され、全会一致で採択されました。朝日小学校は隣接校選択制が導入されて以来、年々新入生が減り続け、小規模校化しています。2010年度は新入学予定者が51人でしたが、実際に朝日小学校に入学した児童は19人でした。保育園を増設することによって待機児童解消を図るとともに、入学者を増やし、何とか学校を盛りたてようとする地域の熱意が伝わってきます。今、地元では、いつ保育園ができるのですかと関心と期待が急速に広がっています。そこで質問します。朝日小学校区内に認可保育園の増設を直ちに具体化すべきです。現在の進捗状況と今後の見通しをお伺いします。答弁を求めます。  子育て支援の最後は、認証保育所等保育料の助成についてです。産休明けの1歳児を保育園に入れたがどの保育園もいっぱいで入れない。やむを得ず認証保育所に子どもを預けて働く母親などが増えています。駅前の認証保育所に子どもを預けている母親は、「保育料は7万を超え、給料の大半は保育料で消えてなくなる」「園庭のある認可保育園に入れたいが、子どもを連れてくる度に涙が出てくる」と訴えていました。前定例会で、我が党が、区独自の保護者への助成制度の実施をと質すと、区は、利用者への直接の助成は、今後、慎重に検討すると答弁しました。慎重に検討検討と言っている間に、東京23区では、本区ともう2区を除いた20区で何らかの軽減策を実施しています。我が党は、区がいまだに保護者負担の軽減策に踏み出さないので、今定例会の冒頭に豊島区認証保育所等保護者補助金の交付に関する条例案を提案しました。この条例案は、認証保育所、臨時保育所及び家庭福祉員が受託した子どもを保育する施設に在籍する児童の保護者に対し保育料について補助するものであります。あわせて、我が党区議団は17日、認証保育所等保育料の助成について区に緊急申し入れを行いました。そこで質問します。先程も述べたように、我が党は、認証保育所等保護者補助金の交付に関する条例案を提案しました。区長は認証保育所等保育料の助成について、必要性があると認識しているかどうか伺います。答弁を求めます。  第4に、巣鴨地域のまちづくりについてです。  巣鴨地蔵通り商店街は、参拝客と買い物客が多く、全国的にも有名で、特に4の日の縁日には多くの来街者が訪れています。しかし、来街者の多い割には公衆トイレの整備が遅れ、縁日の日などは、区の設置した公衆トイレには長蛇の列をなしています。しかも、トイレが汚いなど苦情も寄せられます。区は、文化と品格を誇れる価値あるまちづくりを進めるとしていますが、これでは胸を張って発信することができません。白山通りの拡副事業に伴って、高岩寺所有のトイレと区が設置した公衆トイレを移設しなければなりませんが、今もって移設先が明らかになっていません。区は、移設先については第四建設事務所の責任だとして、いまひとつ積極的に動いていません。都バス巣鴨営業所は改築のため、今、埋蔵文化財調査、土壌汚染物処理工事などを行い、いよいよ新築工事が始まろうとしています。東京都交通局は、2009年9月、都バスの巣鴨自動車営業所改築の基本方針・基本設計を発表しました。同基本方針によると、1、自動車営業所として営業しながら建て替えを行う。2、利活用施設と営業所は分離して建築する。3、バス駐車場は平面式とする。4、建て替え後も豊島区駐輪場施設を設置するとしています。都バス巣鴨営業所の敷地面積は7,952.84平方メートル、利活用施設と営業所の建築面積1,675.49平方メートル、延べ建築面積は5,730.14平方メートルで、地上4階、地下1階であります。2008年第2回定例会で、私は都バス巣鴨営業所の改築の際、公衆トイレを設置するために区長が積極的に東京都に働きかけるよう要望しました。区は、交通局の土地利用計画の今後の推移を見守りながら検討すると答弁しましたが、都バス巣鴨営業所の基本方針・基本計画には、公衆トイレの設置については全く触れていません。改めて伺いますが、区長がこの絶好の機会を逃がすことなく積極的に東京都に働きかけるべきです。答弁を求めます。  以上で、一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)   〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) ただいまの儀武さとる議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。  区内の中小業者支援策についてのご質問のうち、まず、上位ランク業者が下位ランクへ食い込むことを厳格に禁止することについてのご質問にお答えいたします。  区は、公共工事の発注に当たりまして、原則として、条件付一般競争入札を採用しておりまして、過去の官公庁の工事の実績を基に、予定価格に応じたランク別の条件を付して入札を実施しております。ランクは、建設工事の場合、AランクからEランクまでありまして、それぞれ発注する案件の予定金額によって参加できる入札を決めております。例えば、予定価格が1,500万以上1億円未満の場合は、AランクからCランクまでの業者が一緒に参加できるようになっております。ご質問は、Aランクの業者はAランク業者だけで入札させ、下位のBランクの入札には参加させないとするものと受け止めておりますが、この取り扱いを行った場合、次のような問題が発生いたします。現在、登録業者は東京電子自治体共同運営サービスの入札参加情報にも出ておりますが、豊島区に本店の住所を有するAランクの業者は3社で、Bランクの業者は4社しかおりません。そのため入札参加の見込みは、Aランク業者は最大3社、Bランク業者は最大4社ということになりまして、入札制度の根幹となる競争性の原理が十分に働かないことになります。こうしたことは、本年8月から実施しております区内事業者優先の入札制度の中で、1つの入札案件に入札参加者が5社以上見込めない場合には区外事業者の入札参加を認める事例に該当するということになりますので、区内事業者優先の取り扱い制度の趣旨に相違することになりますし、また、保護すべきとする下位の業者が区外業者との競争にさらされる結果にもなるわけであります。さらに申し上げれば、上位ランクの業者の案件に下位のランクの業者が参加できないことになれば、企業の発展や技術向上などの機会を奪うことにもつながります。なお、ご心配されております上位ランクの業者の独占は、最低制限価格の適用により回避できるものと考えております。したがいまして、3件ルールを含めた現在の区内業者優先の仕組みを、今後も継続してまいりたいと思います。  次に、公契約条例の制定についての質問にお答えいたします。いわゆる公契約条例を制定している自治体は野田市が唯一でありまして、原則として予定価格1億円以上の案件に労働者に支払うべき賃金について適用していることは承知しております。一般に公契約条例とは、自治体と契約を締結した業者の労働者の賃金やその他の労働条件を自治体が契約の中で定めるものと言われております。しかしながら、これまでも申し上げてきましたように、労働条件は企業内の労使間の問題でありまして、たとえ公共契約であっても、発注者が契約の相手方の労働条件に関与することは、各企業が労使交渉の中で労働条件を定めるという現行法令の趣旨になじまず、適切でないと考えております。このような労働政策は、国家レベルの問題であり、関係法令の改正などにより全国一律に適用される仕組みが必要であると考えております。したがいまして、公契約条例を制定する考えはございません。なお、ご指摘の国民が安心して暮らすことのできる社会の実現という趣旨で制定された公共サービス基本法については、自治体として尊重していかなければならないと思います。  次に、住宅リフォーム資金助成事業の復活についてのご質問にお答えいたします。本事業は、区民の自己用住宅の居住環境の改善を促進するとともに、区内施工業者の振興を図る目的で実施しておりました。このうち、居住環境の改善については、介護保険による住宅改修や区の高齢者自立支援住宅改修助成事業を推進することにより、65歳以上の高齢者の自宅のバリアフリー化を促進しています。しかし、区内施行業者の振興を図るための本事業の復活については、区の財政状況の見通しやリフォーム需要数、助成要件などのバランスを図る必要がありまして、直ちに復活することは困難であると考えております。今後は、対応が遅れている借家のバリアフリー化の促進を含め、休止している住宅改築資金融資あっせん・利子補給事業及び本事業を再構築いたしまして、新たな助成制度の導入を総合的に検討していきたいと思います。  私からの答弁は以上でございますが、その他の質問につきましては副区長からご答弁申し上げます。   〔水島正彦副区長登壇〕 ○副区長(水島正彦) 高齢者福祉、熱中症対策についてのご質問のうち、まず、生活保護受給者に対する夏季加算の新設の国へ要望することについてのご質問にお答えいたします。厚生労働省では、生活保護受給者のクーラーの設置状況や夏季における電気使用量を調査し、有識者研究会で具体的な検討を進めた上で、夏季加算新設の必要性についての判断をすると聞いております。このため、区といたしましては、当面こうした動向を注視してまいりたいと考えております。したがいまして、現時点においては国に要望する考えはございません。  次に、区独自の低所得者等への財政支援についてのご質問にお答えいたします。本区の低所得者等のうち、生活保護受給者に対しましてはクーラーの設置状況等の実態調査をできるだけ早期に行うつもりでございます。また、厚生労働省の夏季加算新設についての検討の推移を見守ることも必要であり、現時点においては区独自の財政支援を行う考えはございません。  次に、ハローテレホン事業の復活についてのご質問にお答えいたします。区では、高齢化の見守り活動の強化を目的に、民生・児童委員やボランティアに加え、高齢者世帯を訪問する機会のある配達事業者に協力を求め、区民ひろばを拠点とした新たな見守りを展開してまいりました。これに加え、今年度からは高齢者の安否確認事業の一環である配食サービスにおいて、利用者の選択の幅を拡充し、低価格の弁当の配達を実施することで前年度比で7倍以上の新規登録を受けております。今後、ひとり暮らしの高齢者がさらに増えることが想定される中で、これらの見守り活動をさらに充実させていく必要があると考えておりまして、その検討の中で、ハローテレホンのような電話による安否確認の有効性につきましても、改めて議論してまいりたいと考えております。  次に、緊急通報システムの拡充についてのご質問にお答えいたします。高齢者が家庭内で急病や事故にあった場合に、消防庁に通報できる緊急通報システムは、安心して地域で生活を送る上で実効性の高い事業と考えております。しかしながら、現行の利用要件は、ご指摘のとおり、すべての高齢者が対象とはなっておりません。区といたしましては、ひとり暮らしの高齢者が多い本区の実情を踏まえ、高齢者が地域で安全・安心に暮らせるための重要な見守りのツールの1つとして、現在、対象要件を緩和すべく検討しております。  次に、地域包括支援センターの職員体制の強化についてのご質問にお答えいたします。ご案内のとおり、今年度は65歳以上のひとり暮らし高齢者及び高齢者のみで構成する世帯約2万7,000世帯のすべてを対象に、健康状態や介護状況などの生活実態の調査を行い、支援を要する高齢者につきましては、いわゆるアウトリーチ事業といたしまして、地域包括支援センターの職員が再訪問し、サービスの提供につながる事業を展開しております。このアウトリーチ事業が、今年度後半から本格的に実施されることに加え、高齢化の急速な進行に伴い、高齢者の総合的な相談・支援事業や虐待防止などの権利擁護事業等、地域包括支援センター本来の業務も増大していることにかんがみまして、来年度に向けて職員体制の充実、強化を図ってまいりたいと考えております。  次に、子育て支援についてのご質問のうち、まず、保育園の待機児童解消の緊急策についてのご質問にお答えいたします。急増する保育需要に対応するため、一昨年、昨年と保育計画を策定し、現行保育所の受入枠拡大をベースにして、臨時保育所の設置や保育ママ制度の活用を機動的に組み合わせた対応を実施しているところであります。ただ、待機児童対策は、地域性や歳児ごとの需要をハード・ソフト両面の施策に当てはめていく必要があることから、なかなか効果的な手立てを講じられないでいるところであります。ご質問の駒込地域につきましては、区民住宅ソシエの空き室を活用した待機児童対策を検討中でありまして、新年度には具体化を考えております。なお、駒込四丁目の関東財務局管理の物件につきましては、既に売却済みで登記もされているとのことであります。  次に、認可保育所の増設についてのご質問にお答えいたします。本区は、13平方キロメートルの交通至便な区内に33カ所もの認可保育所があることが特徴でありまして、便利さをはかる施設接近度は、23区中4位となっております。保育のインフラが整備された本区では、この認可保育所の受入枠を拡充していくことが、待機児童解消策としては最も効果的な手法であり、この意味で、本区の保育計画はまさに認可保育所を中心とした計画となっております。現在、この保育計画を補完し、緊急の対応に資するための臨時保育所を設置したり、保育ママ制度の拡充にも努めております。したがいまして、現行の保育計画の見直しは考えておりません。  次に、朝日小学校学区内への認可保育園の増設についてのご質問にお答えいたします。西巣鴨四丁目・巣鴨五丁目地区への保育所設置を要望する陳情につきましては、現在、実現に向けた調整に努めているところでございます。先般も地元の町会長さんとお会いいたしまして、保育施設の規模や設置場所についてご意見を伺ったところでございます。課題の中心は、限られた区域の中で相応しい設置場所を探す作業となりますが、地元の皆様のご協力を得ながら今後とも鋭意努力してまいります。  次に、認証保育所等保育料の助成についてのご質問にお答えいたします。本区の厳しい財政状況、また認可保育所を中心に保育施策を展開してきたということもあり、認証保育所保育料についての助成は実施いたしておりません。しかし、今後区内に増設される予定の比較的規模の大きい施設が数カ所あることなどから、助成について、その必要性があるかどうか、各区の状況を参考に慎重に検討してまいりましたが、助成の必要性について、現在も検討の最中にあり、答えが出ておりません。  次に、巣鴨地域のまちづくりについてのご質問にお答えいたします。前回ご質問がございました際には、交通局の土地利用計画の今後の推移を見守りながら検討すると答弁をいたしました。その後、交通局に申し入れをいたしておりますが、現在に至るまで明確な計画をいただいておりません。都バス営業所の部分について、新築工事が始まろうとしておりますことから、利活用部分の内容について早期に示していただけるよう、改めて申し入れをしたいと考えております。  以上をもちまして、儀武さとる議員のご質問に対する答弁を終わります。 ○副議長(此島澄子) 一般質問を終わります。 ───────────────────◇──────────────────── ○副議長(此島澄子) 以上で、本日の日程全部を終了いたしました。  本日は、これをもって散会といたします。   午後6時16分散会...