○
政策経営部長(大沼映雄) まず、
市場化テストの導入に関する基本的な問題の認識についてお答えいたします。
本区の
財政逼迫の要因の一つと考えられる人件費につきましては、これまで数次にわたる
定員管理計画の実行によりまして、その抑制を図ってまいりました。小さな
行政機構を目指しまして、かつて三千百人を超えた職員数は、本年四月には二千四百九十一名となっており、
清掃移管における増員を含みまして、六百名を超える削減を実現いたしております。この六百名の削減には、現業職の退職不補充ばかりではなく、
一般行政職の
採用抑制、業務の廃止・縮小、さらには
非常勤化や
民間委託など、広い意味での
民営化を実施してきた結果にほかなりません。今後も四年間でさらに三百名を超える定員の削減を、さらには、将来、職員二千名体制をも目指しておりますことから、引き続き保育園の
民営化やその他施設の
管理代行化を進め、
サービス水準の維持と経費の削減、双方の実現を目指す方針でございます。本区のこのような
民営化の方向につきましては、広い意味におきまして、
市場化テストとその目的において、異なるものではないと認識しております。
今般、内閣府が案として示しております
市場化テストは、一九九一年からイギリスにおいて実施された
官民競争入札をモデルとした、いわば官と民の能力の競い合いによる
民営化ということであるかと考えております。
市場化テストは、官と民のどちらがより効率的かが明確でない
事業分野につきまして、競争によりその不明確さ
そのものに決着をつけるようなものでありますが、
市場化の実施となれば、
公務員の雇用問題を含め、制度の大幅な変更が必要となります。来年度中には、この国の事業を対象とした、いわゆる
市場化テスト法が制定される見通しであります。昨日の夕刊で、錦糸町や品川での
市場化テストの
モデル事業の
実施状況が紹介されておりました。こうした事業につきまして、
地方自治体の事業についても拡大されるということまでには、まだまだ早くても二ないし三年を要すると考えられます。しかしながら、
自治体の運営にとって急激な
環境変化が起こり得ることが確実でありますので、これに対する
準備作業を着実に進めておくことが必要であると考えております。この検討に当たりましては、
地方分権、とりわけ平成十二年四月に施行されました
改正地方自治法の趣旨を踏まえながら、これら
市場化テストの導入が、国と地方の対等な
政府間関係に立脚しつつ、本区独自の
政策方針に基づいて決定されるべきと考えております。
こうした認識の下、以下、ご質問の各論にお答えしてまいりたいと存じます。
まず、広く民間からの提案を受けられるような仕組みの構築についてお答えいたします。
官民競争入札の対象が本区におけるすべての事業に及ぶかという考え方は現段階では持っておりませんが、
民間事業体においても経営が可能な区の事業にどのようなものがあるかということについて、その調査は必要であると認識しております。したがいまして、
市場化テストの
運営方針を決める前段におきましては、広く民間からのプロポーザルを実施してまいりたいと考えております。
次に、
第三者機関の設置についてお答えいたします。昨年設置いたしました
指定管理者の
審査委員会におきましては、民の管理に委ねるという枠組みでありましたので、助役を委員長とする区の職員と外部の有識者から成る会議体で審査を行いました。しかしながら、
市場化テストの場合には、
官そのものが審査の対象となりますことから、官の側から
審査メンバーを出すことについては公正性の問題が生じてまいります。したがいまして、
市場化テストの実施に当たりましては、議員ご指摘のような
第三者機関を設けるなど、
官民双方に公平な競争が可能となる仕組みが必要になると考えております。
次に、
公務員の雇用の移管に対する措置についてお答えいたします。特定の事業について官が敗れた場合の職員の取扱いをどうするかという問題であります。区の決定として
当該事業を
民営化するということになれば、その事業に係る職員は余剰となり、これらの職員につきましては
配置転換で対応することがこれまでの通例でございました。こうした
余剰人員について、出向や移籍でということであれば、その受入先が必要になってまいります。また、競争の相手方が
余剰人員の一定数を雇用するというような条件であれば、
給与水準などの
雇用条件が問題として出てまいります。こうしたことを考え合わせますと、
余剰人員対策の一環として、新たに第三セクターを設立し、出向させるということなども検討する必要があるかと思います。さらに、ご提案の
余剰人員に係る賃金の一部を保証することにつきましては、現行の制度上、対応が困難であります。雇用を確保しつつ人件費の原資を削減するというワークシェアリングなどについても同様であります。これらの
課題解決のためには、
自治立法を可能とするような法改正を含めた制度的な枠組みが
公務員制度の見直しと合わせて必要になると考えております。
議員からのご提案を基に、
市場化テストについてお答えしてまいりましたが、まだまだ様々な問題が山積していることも事実でございます。
民間活力の導入を掲げる本区といたしましては、
民間経営手法との相違に係る研究を初め、
市場化テストに向けた
定員管理や雇用に係る問題について、さらに調査・研究を進め、こうした
行財政改革についてもさらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
以上をもちまして、
日野克彰議員のご質問に対する答弁を終わります。
○七番(
日野克彰) 再質問をさせていただきます。
市場化テスト導入に向けて、環境を見極めながら
準備作業を進める、あるいは民として経営可能な区の事業が何かということを探っていくというような趣旨のお答えで、総論としては前向きだというふうに受け取りました。ただ、もうちょっと踏み込んだ、具体的にどういうものがというところを少しはお聞きできるのかなと私は期待をしておりましたので、ちょっとその点についてお伺いさせていただきます。
例えば、官と民両方やっているところを、同時並行的に、片方は官、片方は民という形でやると、一番比較ができる、多分、一番検証ができるだろうと思います。そうすると、昨日の
一般質問の中でも何名かの方が取り上げられておりました、例えば
地域包括支援センター、
介護保険関係なんですが、ああいう新しいところについて、どうせ一カ所ではないでしょうから、そういうものを取り入れていくとかという考えはありませんでしょうか。
○
政策経営部長(大沼映雄) 自席から失礼いたしますが、ただいまの再質問でございますけれども、具体的な内容といたしましては、議員もご承知のとおり、足立区でいくつかの
モデル事業を国に提案してございます。その提案の中身につきまして、
行政処分が伴うものにつきまして、国では非常に難色を示しているということがございまして、具体的に
地方自治体レベルで実施できる、そういった事業について、具体的な内容の検証がまだまだ不十分な点がございまして、今回例示することができませんでしたが、今ご質問のような
包括支援センターにつきましては、当然そういった対象として検討していきたいと思いますし、それから現在区の方で検討を進めております
コールセンター等の方式につきましても、場合によってはそういうことも考えられるのかなということで、具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
――
――――――――――――――――――――――――――――――
○議長(副島 健) 次に、三番議員より「【
政務調査費領収書等の非公開について】」の発言がございます。
〔
五十嵐みのる議員登壇〕
○三番(
五十嵐みのる) ………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………
――
――――――――――――――◇―――――――――――――――
○議長(副島 健) この際申し上げます。
五十嵐みのるさんの発言について協議するため、暫時休憩いたします。
午後一時三十一分休憩
――
――――――――――――――◇―――――――――――――――
午後四時十三分再開
○議長(副島 健) 休憩前に引き続き会議を開きます。
――
――――――――――――――◇―――――――――――――――
○議長(副島 健) 先程の
五十嵐みのるさんの発言は、所感を述べたものであり、
一般質問と認められないので、全部の発言の取消しを命じます。
五十嵐みのるさんにおいては取り消す意思がないようですので、その発言を会議録に掲載しないことに措置いたします。
――
――――――――――――――◇―――――――――――――――
○議長(副島 健) この際申し上げます。
本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめこれを延長いたします。
――
――――――――――――――◇―――――――――――――――
○議長(副島 健)
一般質問を続けます。
十四番議員より「今後の豊島区の行方」の発言がございます。
〔
池田尚弘議員登壇〕(拍手)
○十四番(池田尚弘)
一般質問に入る前に一言言わせていただきます。先日の本会議でも長時間の休憩がありましたが、私の質問の前にも約二時間の休憩があり、私の
一般質問の気力が相当損なわれてしまいました。このような長時間の休憩なくスムーズに議会運営ができるよう議長にお願いして、本題に入りたいと思います。
私は、自由民主党豊島区議団を代表して、「今後の豊島区の行方」と題しまして、
一般質問をさせていただきます。区長、また理事者の明快なるご答弁をお願いいたします。
さて、九月十一日の衆議院議員総選挙におきましては、大きく我が自由民主党が躍進し、今後の国政においても改革がますます進んでいくことと思っております。本区においても、真の改革を進めていくには、区民にできることは区民にを基本理念に考え、財政問題や少子高齢化問題等に取り組んでいく必要があると思います。地方で進んでいる市町村合併を、財政難やその他諸問題を克服するために、都市においても隣接区との合併の必要性が生じているのではないかと思われます。今後、区政においても、合併問題を視野に入れた改革を進めていってはいかがでしょうか。
それでは、
一般質問に入ります。
まず初めに、平成十六年度決算についてお伺いします。
振り返りますと、平成十六年度予算は財政健全化計画の最終年度であり、特別な財源対策なき黒字の達成を目標に四年間の財政健全化対策に取り組んできたわけでありますが、残念ながら十六年度予算は、三十五億円の財源不足がどうしても埋まらず、やむを得ず財源対策として、旧時習小学校用地を売却せざるを得なかったのであります。十三年度からの財政健全化対策は、人件費の削減などの内部努力や事務事業の見直しなどで歳出の抑制を図る一方、歳入の確保策として区税収納率の向上や法定外税の創設など、四年間の取組みの結果には決して少なくない効果が現れていると認識しております。さらに、十六年度予算の成立後は、即座に十七年度予算編成に向けて、さらなる区財政の構造改革に取り組むべく
行財政改革二〇〇四の策定に着手したのであります。しかるに、十六年度の決算では二十八億円の剰余金が生じたとのことであり、これほどの剰余金が出るとは、恐らく十六年度予算編成時には誰にも想像できなかったことと思われますが、なぜ、どのような要因が働いてこのような結果となったのか、また決算の評価についてはどのように分析されているのかお聞かせください。
また、
行財政改革プラン二〇〇四では、財政における構造改革の目標として、「身の丈に合った持続可能な財政構造の構築」を掲げておられます。確かにバブル経済が破綻した以降、本区が歩んできた行革の歴史の中では、毎年、経費節減に努めてきたにもかかわらず、その時々の新規の需要に応えるために、庁舎等建設基金などを毎年のように取り崩して、何とか収支を整えて予算を編成してきたとの思いであります。従前の歳出規模は、本区の身の丈を超えていたのだろうと思っております。
それでは、そもそも本区の身の丈とはどのような財政規模を言うのでしょうか。基本的には入りの範囲内で出を賄うことであり、標準財政規模が基準になると説明されておりますが、標準財政規模なる額はどのように算出されるものなのでしょうか。また、様々な事業経費を標準財政規模の範囲内に収めるためには客観的な尺度が必要だと思いますが、それはどのようなものをお考えなのでしょうか。さらに、歳入は景気の影響を受けて変化もするでしょうから、標準財政規模も変動することになると思われますし、歳出もまた直面する現実の課題から新たな需要を見込まなければならないことによって変化すると思います。そのような状況の中で、将来にわたって安定的で持続可能な財政運営を確保するためには、どのような条件が必要なのでしょうか。この際、ぜひこれらの点についてお教え願います。
現在は、
行財政改革プラン二〇〇四に続くプラン二〇〇五を策定されるとともに、十八年度の予算編成に取り組まれていることと思います。プラン二〇〇四では、今後五カ年の収支見通しで、平成二十一年度までに生じる財源不足額は百六十六億円と見込まれております。しかし、この収支見通しや財源不足額は、今述べたように、景気変動を反映した歳入の変化、新規・拡充などの歳出需要によって、常に変動していることと思います。将来の需要を算定して財源不足額を推計することは、極めて困難な作業であると推察されます。その中で、新たな需要などは、その時々の財政事情を勘案しながら、政策的な選択をすることになるのでしょうから、計画的な事業運営の将来見通しを立てることは比較的に容易であると思います。
次に、先日の議員協議会においても何名かの方から質問があり、区長の招集あいさつでもお話しされておりましたが、私も今最も懸念していることは、長い区政の歴史の中で区民サービスの拠点として整備され、現在まで利用に供されている多くの公共施設が相当に老朽化してきていることであります。平成十二年に発表された施設白書によれば、当時、今後二十年間に要する施設の建替経費は巨額なものになることが示されておりましたが、あれから既に五年を経過しております。今では、施設の老朽化がさらに深刻な事態になっているのではないでしょうか。現在、厳しい財政難の中で、毎年、行革を進めるときに、これら老朽化した公共施設を計画的に改修していくための経費は適切に見込まれているのでしょうか。見込まれているとすれば、それは今後五年間でどの程度の規模になるのでしょうか。また、この財政難の中で、大量の施設、百九十一施設をどのように改修されるのか、ぜひその方向性をお示し願いたいと思います。
次に、市町村合併に関連する質問をさせていただきます。
現在、全国で進められている市町村合併は、「昭和の大合併」からおおよそ半世紀を経て、この間の住民の生活圏域の飛躍的な拡大や、著しく進行している少子高齢化などの社会経済環境の変化に対応し、全国の市町村を
地方分権の時代に相応しい自治能力の向上と、確かな行財政基盤を持つ基礎的
自治体に再編するという意味があるといわれております。現行の市町村合併特例法は、昭和四十年に時限的な法律として制定されて以来、おおよそ十年ごとに期限延長され、本年三月にその失効期限が到来しましたが、来年の三月末まで経過措置が講じられております。この間の市町村合併の実績を概観してみますと、昭和四十年当時、三千三百九十二だった市町村数が、
地方分権一括法の施行される直前の平成十一年三月には三千二百三十二となり、さらに
地方分権一括法の施行以降は急速に合併・再編が進展し、市町村合併特例法の経過措置が終了する来年の三月三十一日には一千八百二十二になる見込みといわれております。平成十一年から平成十八年の七年間に、実に一千四百十団体、四六・三%もの減少となり、「平成の大合併」と称されるゆえんでもあります。
バブル崩壊後の我が国の長期にわたる経済の低迷は、著しい税収の落込みもあり、国・地方ともに巨額の債務残高に悩む、極めて厳しい財政環境にあります。こうした一方で、少子高齢化の進行や環境問題の深刻化、あるいは住民意識の多様化など、
公共サービスが質的にも高度化し、かつ量的にも増大していく傾向にあります。このため、国・地方・住民の役割分担を改めて考え、新しい
公共サービスのシステムの構築が今まさに問われているわけであります。基礎的な
自治体である市町村は、住民に最も身近な政府であり、住民の声が最もよく反映できる総合行政体でなければなりません。各市町村の構成員である住民の生活圏域は拡大する傾向にあります。地域社会の課題も、これに連れ、広域的な処理をしなければならない状況も生じてきており、こうした面からも、市町村の合併が声高に叫ばれることになってきたといえると考えられます。住民自治を基礎として、それぞれの地域の住民自身が自らの問題として地域の
課題解決に向けて取り組むという地方自治の実現を目指すため、多くの市町村が住民の意思を尊重しながら、広域的な行政課題の解決、自治能力の向上と行財政基盤の安定化を求めて、合併の道を選択していると考えられます。
ところで、私たちの東京における市町村合併の状況はどうなっているのでしょうか。「昭和の大合併」の際には、東京でも多摩や島しょ部において八十四市町村が四十二市町村に半減したという記録があります。二十三区については、第二次大戦後に三十五区が二十二区に再編され、その後二十三区になったという経緯もあります。豊島区は、昭和七年に大東京市構想の下、北豊島郡域の四つの町が合併して誕生しているのです。しかし、最近ではほとんど合併という話は聞きません。平成七年にあきるの市、平成十三年に西東京市が誕生しているのみです。
平成十二年の都区制度改革により特別区も市並みになったといいますから、当然、さらなる自治権拡充を求めて、合併ということを検討してもいいのではと考えております。特に豊島区は、東京区部の北西部に位置しており、副都心池袋を抱えているという大きな特性を持っております。一定程度の副都心圏域を想定し、広域性のある街づくりを推進するために、周辺区との合併を考えてもよいかと思いますが、いかがでしょうか。また、別の観点からとしても、豊島区は、今、未曾有の財政難にあることから、周辺区と合併して財政再建を図ったらどうかという区民の人もいます。大変、非現実的な質問かもしれませんが、この合併問題について豊島区はどのようなお考えをお持ちかお聞かせください。
また、石原都知事が、五月九日の自民党本部で開催された都区制度改革促進決起大会の席上で、特別区の中から合併問題についての提案が出ることを期待するという趣旨の発言をしておりましたが、二十三区の中で合併問題について検討されてはいかがでしょうか。さらに、この四月、失効した市町村合併特例法に替わって施行された合併新法では、都道府県知事に合併推進の勧告権限が与えられておりますが、東京都ではどのような取組みがなされておるのか、わかる範囲でお答えください。
次に、災害時の情報連絡といくつかの防災対策についてお尋ねいたします。区長も招集あいさつで災害時の危機管理対策の強化について述べられておりましたが、私は、別の視点から質問させていただきます。
我が国は有数の地震大国であり、一定の周期をもって大きな地震に見舞われるのは、いわば宿命ともいえるものであります。今年も国内の各地でこうした大規模な地震や台風により痛ましい災害が発生しており、その惨状を目の当たりにすると心痛むものがあります。だからこそ、いかにすればその被害を軽くすることができるか、また最小にすることができるかを考え続けることが極めて重要なことであり、いざというときの普段の備えが大切であると思います。このため、本区においても、地域防災計画を作成し、また毎年度の見直しを行い、地震災害や台風などによる風水害に対して、計画的に対処し、被害の軽減を図ろうとしているわけであります。そこで、今回、報道されているいくつかの課題・問題点を豊島区に当てはめたときにはどうかという点から、情報連絡を中心にいくつかの質問をいたします。
第一点目は、七月に足立区で震度五強という地震が発生した際、東京都での情報処理のトラブルから、首相官邸の官邸対策室の設置が三十分以上も遅れたということがありました。このとき、NHKなどの報道各局で各地の震度が報じられておりましたが、豊島区の震度というものは伝えられなかったように思われます。豊島区での震度はどうであったのか、その情報はどのように把握され、どのように伝えられていくのか、そしてなぜ報道されなかったのか、まずお伺いいたします。
阪神・淡路大震災の際にも、兵庫県の防災無線システムが地震により被害を受けたため、国との連絡がうまくできなかったと伝えられております。そこで、第二点目は、こうした情報伝達の手段として整備されている防災無線設備についてお尋ねいたします。豊島区で保有している防災無線設備は、目的別にいくつかの系統があると思いますが、その概要と、それぞれがどのような役割を担うのか、お聞かせいただきたいと思います。
第三点目に、予備電源の問題であります。そこで、豊島区の防災無線システムの予備電源対策はどのようになっているのでしょうか、お伺いいたします。区役所の基地局では当然に非常電源設備を備えているかと思いますが、公園や学校に設置してある広報用の拡声器、あるいは各施設などに置いてある無線機は、どのような予備電源を持っており、どのくらいの期間活用できるのでしょうか、お伺いいたします。
第四点目に、安否確認情報の提供についてです。震災時における住民の最大の関心事は、家族や近親者、知人などの安否確認であると思います。豊島区ではこの安否確認情報の取扱いについてはどのように計画しているのか、お伺いいたします。
第五点目は、災害弱者への情報連絡体制はどうなっているのかという点でございます。豊島区の高齢化率は一九%と、かなり高くなっております。しかも、その三分の一は一人暮らしの高齢者であります。また、障害を持っておられる人たちも数多く生活しておられます。私もその一人です。さらに、豊島区は、有数の外国人登録者の多い区でもあります。これらの人々への情報連絡について、その課題、そして現在の取組状況についてお聞かせください。
第六点目は、被災地域内の生活情報の伝達方法です。地震被害の発生から二、三日してくると、自宅で生活をされている方々ばかりでなく、避難所で生活している被災者の方々からも様々な要求が出てまいります。こうした地域内の生活情報は極めて大切なものといえます。地域内での情報伝達の手段としては、チラシの配布、掲示板への張り紙、さらには広報車、防災広報無線、インターネット、ケーブルテレビなど、様々なものが想定されます。豊島区での応急マニュアルとしては、どのような想定を持って、どのように対処するようにお考えなのか、一例を示していただければと思います。
第七点目の質問は、ボランティアの受入れの問題です。自己完結型でやってくる善意のボランティアを円滑に受け入れ、災害活動における応援者として明確にできれば、これほど頼もしい存在はないと思いますが、いかがでしょうか。豊島区では、もしものときにおけるこのようなボランティアを受け入れる準備は既に整っているのでしょうか。ボランティアの受付、予定される業務、その割振りはどうされるつもりなのか、お考えがあればお聞かせください。
第八点目の質問は、救援物資の輸送・保管・配布に関する問題です。全国各地からの善意であり、これらを有効に活用する方法をあらかじめ計画しておくことも必要かと思います。また、本区内に輸送されてきた救援物資というものは、最初はどこに運ばれるのでしょうか。避難所である学校等へ直接配送されることになるのでしょうか。昨年、新潟県中越地震の際の全国からの救援物資の取扱いはどのようにされたのか、一年を経過しつつある今、改めて被災
自治体の活動の実態を調べてみることも、本区の防災対策上、大きく役立つのではないでしょうか。少しでも被害を小さくし、区民の生命、身体、財産を守ろうとすれば、さきにも述べましたように、その備えを十二分にしておくことが肝要であります。ご見解をお伺いいたします。
以上をもちまして、私の
一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔高野之
夫区長登壇〕
○区長(高野之夫) ただいまの
池田尚弘議員のご質問に対しまして、順次お答え申し上げます。
初めに、平成十六年度決算に関するご質問のうち、決算の分析と評価についてお答えいたします。
この度の平成十六年度の一般会計決算では、形式収支で二十八億円の剰余金を生み出し、また実質単年度収支でも黒字となりました。その要因といたしましては、歳入において、堅調な企業業績や緩やかな景気回復を反映いたしまして、財政調整交付金や地方消費税交付金などが増加したことに加えて、旧時習小学校の用地売却などによる財産収入が過去最大となったことによるものと理解しております。しかしながら、十六年度の当初予算が特別な財源対策として三十五億円の土地売払収入を見込んで編成されたことを考慮いたしますと、十六年度の決算はこのような特別な財源対策によってかろうじて黒字になったものでございまして、到底、財政の健全化とは言い難い内容であったと受け止めており、決して楽観視しておりません。
次に、本区の身の丈となる財政規模に関するご質問にお答えいたします。
四年間の財政健全化計画に引き続く財政健全化の取組みとして、昨年策定いたしました
行財政改革プラン二〇〇四では、これまでのような事務事業の数量的な見直しにとどまらず、官から民へと業務運営の方式を抜本的に改革して、行政の体質をスリム化し、身の丈に合った持続可能な財政運営の確立を目指しております。この中で考えられている本区の身の丈となる財政規模は、一般財源ベースを基準とした、いわゆる標準財政規模を想定しております。この標準財政規模とは、標準的な状態で、通常、収入として見込まれる一般財源の規模を表すものでございまして、具体的には、特別区税、地方譲与税、特別区交付金、地方消費税交付金、利子割交付金など、毎年経常的に収入として見込まれる一般財源の合計額でございます。この額は、毎年、数量的に正確に捉えることが可能であります。平成十六年度の標準財政規模は、五百六十五億円でございました。
大変当たり前なことを申し上げて恐縮でございますが、毎年、総事業費における一般財源の総額が、この標準財政規模の範囲内に収まっていることが身の丈に合った財政規模といえるものと考えるわけであります。しかし、これまでの実際の財政運営は、標準財政規模より十億円から五十億円も突出した規模で推移してきたのが実態でございまして、その不足分を運用金や特別な財源対策によって補ってきたのであります。
今後は、一般財源ベースの歳出規模を何とかこの標準財政規模の範囲内に収める努力が必要となりますが、その場合には、ご指摘のとおり、何を尺度としてこの範囲内に収めるかという問題が生じてくるわけでございます。現在の財政規模を身の丈に縮めるためには、当然に政策の選択と集中によって施策のメリハリをつけることが不可欠となります。その前提といたしまして、様々な事務事業の規模が標準よりも突出しているのか否かを判断する尺度が必要となりますが、その場合の一応の基準といたしまして、財調制度における基準財政需要額が参考の一つになるものと考えられるわけであります。財調制度における基準財政需要額は、本区の人口規模に適した各種事務事業の規模を算定しており、本区の財政規模を各事業単位で積み上げておりますので、本区の身の丈となる標準的な事業の規模が明らかになるわけでございます。このような財調基準を一応の目安として、施策のメリハリをつけた上で、標準財政規模に近づけるような努力が必要と思われます。
なお、ご指摘のように、標準財政規模は景気の影響によりまして変動いたしますので、景気の影響をあまり受けないような財政運営を行うための対応策が必要となるわけでございます。そのための条件となるのが財政調整基金の計画的な積立てでございます。即ち、景気が上向くときにこそ計画的な基金の積立てを行い、景気が落ち込むときには基金を取り崩して活用することで、景気の変動に左右されない持続可能で安定的な行財政運営が可能となるわけでございます。
次に、老朽化した公共施設の大規模改修経費の見通しと今後の対応に関するご質問にお答えいたします。
区内には百九十一カ所もの公共施設があり、これらの施設サービスに関連する経費は、経常的な歳出の実に四割を占めております。今後の財政運営にとりまして深刻な問題となりますのが、老朽化した施設の建替えや大規模修繕経費が将来の重い負担となることでございます。そこで、今般、改めて収支見通しを行った際に、今後はこれら公共施設の大規模改修にも積極的に対応する必要があるとの強い認識に基づき、必要な改修需要をできるだけ見込んだところでございます。しかしながら、それによりまして、財源不足額が約五十億円も拡大することとなったわけでございます。そこで、今後の対応といたしましては、改修経費を含む公共施設関連経費の抜本的な改革に取り組み、施設の統廃合とともに施設改修にも積極的に対応するなど、公共施設の再構築をさらに加速させることが必要であると考えております。
次に、市町村合併についてのご質問にお答えを申し上げます。
豊島区を初めとする東京二十三区は、首都という特殊性を背景とした全国唯一の都制度の下、大都市行政の一体性の確保と住民自治の機能強化という二つの視点の間で、大きく揺れ動きながら、自治の姿を築き上げてきた歴史を持っております。地方自治法上、二十三区を基礎的な地方公共団体として位置付けた平成十二年の都区制度改革は、その到達点であります。八百五十万人が住み、一千百万人が活動する首都の
自治体として、大きな責任を担い、各区がそれぞれ独自性を発揮しつつ、個性ある地域経営を展開しております。現在、全国的に進められている市町村合併は、分権時代の地域経営を主体的・包括的に担うに相応しい行財政基盤を有する基礎的
自治体の形成を主な目的とするものであり、大きな人口と財源、そして高い行政能力を有する特別区にとりましては、新たな再編合併の動機付けとはなりにくい動きでございます。また、特別区がより高い行政権限を求めて合併を進めたとしても、現行の都制度の下では、中核市や政令指定都市となる道は開かれていないのであります。さらに、横浜市や川崎市、大阪市等の政令指定都市では、人口規模が十万、二十万の行政区が増加し、巨大であるが故の住民自治の困難性が指摘され、地域内分権の議論が進められております。こうした中、財政問題を理由として豊島区単独で合併を検討したとしても、各区の事情は異なり、自治権拡充の経緯からも、現実的な選択肢を見出すことは困難であると考えております。区の財政問題、そして特別区全体の財政基盤の確立を考えれば、今は、まず東京都と区との事務と財源の配分を中心にいたしまして、都区財政調整主要五課題を解決することこそが先決であると考えております。
次に、二十三区における合併問題の検討についてお答え申し上げます。現在、第二十八次地方制度調査会において、道州制や大都市制度など、広域
自治体と基礎
自治体の新たな役割や事務の再配分に関する本格的な議論が進められております。こうした中、大都市制度の一つである都制度における基礎
自治体である特別区自ら調査・研究を行うため、平成十五年度から特別区協議会の下に大森彌教授を会長といたします特別区制度調査会を設置いたしまして、特別区の今後のあり方について審議を重ねているところでございます。今年一月には中間のとりまとめが示されましたが、特別区の合併再編については、全国的に推進されている市町村合併とは異なる観点からの配置分合を検討すべきという考え方もあり得る、各特別区間に現に存在する格差是正の手段として検討する余地もあるなど、複数の問題意識を示すにとどまっております。現時点で、特別区の区域では、具体的な合併についての動きはございませんが、現在の二十三区は、人口規模や税源の偏在など、様々な問題を抱えていることは事実でございます。この秋に予定されております特別区制度調査会の最終報告を踏まえ、特別区自ら、今後の特別区のあり方を調査・研究していくことが必要であると考えております。
なお、東京都における特別区再編に関する取組状況でございますが、最近では、都議会
行財政改革基本問題特別委員会が昨年九月に最終報告書を取りまとめております。報告書では「特別区の統合・再編は、あくまでも住民意思を尊重し、特別区自らが自主的・主体的に取り組む問題であるが、大都市行政の総合性・一体性の確保と住民自治の両立を実現する観点に立って、都制度を前提とした上で、大都市の実態に即した合理的な行政区域が検討される必要がある」との見解を示しておりますが、それ以降は、東京都における大きな動きはございません。
私も、今年五月までの二年間、区長会副会長を務めてまいりました。区長会内部におきまして、非公式でございますが、何人かの区長さんとお話しする中では、まだ特別区の合併再編を取り上げる気運、時期ではないとの見解が大勢でありました。また、区長会の自治研究会においても、正式の議題としては取り上げられておりません。しかし、議員ご指摘のとおり、我が豊島区が東京の中でどのような位置付けと役割を担うべきかといった将来展望につきましては、時代に乗り遅れることなく、常に自ら考え、明確に示していかなければならないと考えております。
なお、本区が真に自立した
自治体として区民の要望に応え事業を展開していくためには、財政基盤の確立が最重要課題でございます。このため、本日も午前中、ご案内の主要五課題の解決に向けて、正副議長さんのお骨折りによりまして、豊島区選出の都議会議員においでいただき、各会派の幹事長と、この問題について懇談をさせていただきました。
なお、その他のご質問に対しましては、
総務部長から答弁申し上げます。
〔山木 仁
総務部長登壇〕
○
総務部長(山木 仁) 次に、災害時の情報連絡等についてのご質問にお答えいたします。
まず、豊島区の震度情報についてお答えいたします。本区の計測震度計は区民センターと生活産業プラザの間に設置しておりまして、そこで計測された地震データは、自動的に防災無線で東京都に送信され、東京都のコンピュータで処理された後、気象庁へ送信されております。各
自治体から送信されたデータを採用するかどうかは、気象庁の判断となっております。なお、七月二十三日に発生し、足立区で震度五強を記録した地震における豊島区の震度は、四でございました。
次に、防災無線設備の概要と役割についてお答えいたします。本区の防災無線には、広く区民の皆様に情報をお知らせする広報活動用の同報系無線と、区の施設や防災関係機関にあって相互に情報のやりとりを行う地域系無線の二系統がございます。現在、同報系無線につきましては、公園や学校などに拡声器を七十六基、区の出先施設や地域防災組織の役員宅などに戸別受信機を合計五百五十台、地域系無線は、消防、警察、医療機関など、合計二百十五台の配備となってございます。
次に、防災無線設備の予備電源についてお答えいたします。配備しております無線設備には、すべて非常用にバッテリーが付属してございます。稼働時間は使用頻度により異なりますので、およその時間でお答えいたします。まず、基地局となる防災課は、生活産業プラザに非常用発電機がございますので、軽油を補給しない状態で二日から三日、非常用発電機が停止した場合、さらにそこからバッテリーにより三日から四日の稼働が可能となってございます。公園等にございます同報系無線の拡声器や救援センターとなる学校等の地域系無線は、ともにバッテリーで三日から四日稼働いたします。なお、情報のやりとりに重要な役割を担う地域系無線につきましては、各救援センターに小型発電機を配備してございますので、それで稼働させることも可能でございます。
次に、安否確認情報の提供についてお答えいたします。災害時には、まず各救援センターにおきまして避難者名簿を作成し、公開を了承された方々の名簿を掲示することになります。その後、準備が整い次第、区のホームページにも掲載してまいりたいと考えております。また、現在導入を検討しております新たな災害情報システムには、各救援センターで作成いたしました避難者名簿を一括管理し、区役所や他の救援センターにおける検索はもちろん、インターネットで検索・照会する機能も盛り込んでございます。いずれにいたしましても、名簿を外部に公表する場合には、プライバシーの保護等に十分な配慮を行ってまいりたいと考えてございます。
次に、災害弱者への情報連絡体制についてのご質問にお答えいたします。災害要援護者対策における大きな課題は、援護を必要とする方々の特定と支援者の確保が困難なことでございます。現在、庁内関係セクションで設置しております災害要援護者対策検討委員会におきましては、保健福祉部局で保有する高齢者等の個人情報を、防災課など災害対策を所管するセクションでも平常時から活用できるように作業を進めてございます。情報連絡の具体的な方法等につきましては、地域防災組織や消防など、防災関係機関との協働が不可欠でございますので、今後さらに検討してまいりたいと考えてございます。また、外国人の方々に対しましては、豊島区のホームページにおける防災情報を外国語版で掲載するなど、平常時における普及啓発を充実させることが第一と考えてございます。
次に、被災地域内の生活情報の伝達についてお答えいたします。発災直後に区が行うべき情報伝達につきましては、内容が地震の規模や地域の被害状況、避難所開設等が中心となりますので、臨時広報の掲示と配布が主体となります。ご案内の生活情報につきましては、初動期の混乱がある程度収束した後、ニーズが高まるものと認識してございます。区といたしましては、区内在住の職員を活用するなど、正確な情報の収集に努め、把握した情報につきましては、公共施設への掲示や区のホームページへの掲載、豊島ケーブルテレビへの放送依頼など、多様な媒体を活用して提供してまいりたいと考えてございます。
次に、ボランティアの受入れについてお答えいたします。大災害が発生した場合、被災地における救援・復興には、応援ボランティアの存在は欠かせないものと考えられます。そこで、本区におきましては、災害対策本部に管理・ボランティア課を設置し、豊島区社会福祉協議会が開設する災害ボランティアセンターと協力して、応援ボランティアへの対応を行うこととしてございます。この災害ボランティアセンターにおいて、被災者等のボランティア要望の受付、応援ボランティアの受付登録とマッチング調整、配置を具体的に行います。応援ボランティアの方々にお願いしたい業務といたしましては、救援物資の搬出入や救援センターにおける運営の補助等がございます。豊島区社会福祉協議会では、できる限り早い救援・復興に向け、円滑な応援ボランティアの活動が行えるようにするため、これまでの被災地の例を参考に、コーディネーターの養成・確保やマニュアルづくりを進めているところでございます。
次に、救援物資の輸送・保管・配布についてお答えいたします。大地震により本区が被災した場合、周囲の道路状況から、中越地震で発生したような孤立化は考えられませんので、全国から大量の救援物資が送られてくることが予想されます。そうした救援物資の受入場所につきましては、学校等の体育館を予定してございますが、施設の被災状況はもちろん、救援センター開設の有無や体育館の配置、大型トラックのアクセスなどを勘案して決定しなければならないと考えてございます。したがいまして、救援物資は、特定の場所に集約した後、各救援センターに配送することになります。なお、物資の受入れから仕分け、配送という物流につきましては、専門性を有するため、東京都トラック協会豊島支部と協定を締結いたしまして、そうした作業の全般につきまして協力を得ることになってございます。
また、中越地震で被災した
自治体の活動を今改めて検証せよとのご提案は、まさにそのとおりと存じます。中越地震に際しましては、旧堀之内町に対しまして、区として初めてとなる防災協定に基づく支援活動を行いました。被災地に赴いた貴重な経験から、分散備蓄のさらなる推進や寒さ対策の充実、救援物資の受入体制に関する地域防災計画の修正など、既にいくつかの施策に着手しているところでございます。また、十一月一日には、星野魚沼市長を初めといたしまして、豊島区と防災協定を締結しております十一の市長・町長さんをお招きいたしまして、防災サミットを開催させていただきます。区民の皆様と中越地震の貴重な経験を共有いたしますとともに、
自治体間の相互応援の絆をより一層強固なものとしてまいりたいと考えてございます。今後も、区民の安全・安心な生活の実現に向けて全力を傾注してまいります。
以上をもちまして、
池田尚弘議員のご質問に対する答弁を終わります。
――
――――――――――――――――――――――――――――――
○議長(副島 健) 次に、十五番議員より「安心・安全なとしまの未来のために」の発言がございます。
〔
永野裕子議員登壇〕(拍手)
○十五番(永野裕子) 民主区民豊島区議団の永野裕子でございます。本日、私は、「安心・安全なとしまの未来のために」と題し、会派を代表して
一般質問をさせていただきます。
質問に先立ちまして、過日の衆議院議員総選挙では、この議場におられる皆様も区内を奔走され、様々なご労苦をなさったことと拝察し、大変お疲れさまでございました。この度の選挙で、私は、政治にわかりやすいアピールというものがいかに大切かということを本当によく考えさせられました。時の内閣によるシングルイシューを掲げたプロパガンダは、多くの有権者の関心を呼びました。ここ豊島区を含む東京第十区は、特異な経緯から全国注目の選挙区となったこともあり、現行制度になってから最高の投票率となりました。特に、従来低投票率であった二十代、三十代の若者の投票率が上がったという結果は、今後政治への関心や参加を促す好機となったのではないかと思います。経緯や手法はともかく、せっかく高まった有権者の関心を無駄にしないように、真摯に政治に取り組み、わかりやすさに努めてまいらなければならないということを私自身改めて考えさせられた次第です。しかしながら、わかりやすければその中身の議論が置き去りになってしまってよいはずはなく、また何が有権者に受けるかといった民衆迎合主義的なアピールやパフォーマンスに傾倒していくことにも問題がないとは言えません。現在起こっている問題を正確に踏まえ、今、政治がなすべき役割は何か、その上で市民に一緒に考えてほしい課題は何かをわかりやすく伝えることが大切なのではないかと思います。高野区長におかれましては、今本区が抱えている問題の実情を正確に情報公開した上で、個別の施策についてわかりやすく伝えていただきたい、そして豊島の未来へのビジョンをしっかりと示し、今後とも未来志向の力強いリーダーシップをお願いしたいと思います。
それでは、通告内容の質問に入ります。
まず、防災施策について、一、中高層マンションに焦点を当てた対策、二、地下空間における対策、三、復興街づくりの観点から、地籍調査の現状、以上の三点についてお伺いいたします。
近年、区内では中高層マンションが急増しています。既に本区には多くの中高層マンションが存在し、さらに近年の都心回帰の志向も相まって、ここ数年のうちには東池袋四丁目市街地再開発のエアライズタワーに代表されるような大規模な超高層マンションの建築も予定されております。そうした状況を踏まえ、中高層マンションに焦点を当てた防災対策をしっかりと考え、被害想定、避難マニュアル、初動態勢などを見直す必要があるのではないかと思います。
まず、地震発生時の中高層マンションの問題として懸念されることとしては、エレベーターを取り巻く問題が挙げられます。今年七月二十三日の千葉県北西部を震源とする地震では、区内でも震度四を記録し、区内のあらゆるところのエレベーターが停止し、ご不便を感じられた方々も多かったのではないでしょうか。不便が生じるだけでなく、ワイヤーが切断されたり長時間閉じ込められたりなどということが起こったとしたら、命に直結する問題となってきます。高層階ほど揺れが大きく怪我人が出やすいという状況の中で、高層階から負傷者や要支援者をエレベーターなしでどのように避難させるのか、健常者であってもエレベーターなしで頻繁に上下を行き来することが現実的でないことから、低層階よりも避難物資の備蓄を手厚くする必要があるなどの中高層マンション特有の備えが必要ではないかというようなことが考えられます。
また、近年建設されたマンションの特色として、二重サッシなどにより防音性を高めているということも挙げられますが、防音性の高いマンションの室内に防災無線は届くのでしょうか。特に、高層階に届くかということについては疑問がございます。エレベーターやライフラインが止まったときの復旧についての現況調査や防災無線の到達状況調査なども行い、高層マンションの住民が高層難民となってしまわないように、対策が必要ではないかと考えます。高層マンションが多い中央区では、高層住宅独自の防災対策に乗り出したとのことです。今年の防災訓練では、高層階から負傷者や要支援者をおんぶ紐や担架などで地上に搬送したり、飲料水をバケツリレー方式で高層階に運搬する訓練を行ったそうです。また、被災後も高層住宅内で生活を継続できるように、ソフト・ハードの両面から区内の高層住宅の現況を調査し、ライフライン事業者、建設会社、行政機関が連携する検討委員会を設置し、課題を抽出しているとのことです。
管理組合等を中心としたマンションの住民自治、自助努力は当然に必要ですが、マンション住民の声は表に出にくい、行政に届きにくい、いわゆるサイレントマジョリティとなりがちであるという現状もあるように思います。また、近年、特に防犯への意識や対策の方が先行し、マンションは排他性や密室性を高める構造となっているようですが、防犯の視点で有意義なものが、こと防災といったときに反作用することもあるようです。そうした現状を踏まえ、中高層マンション住民に焦点を当てた行政としての防災対策や告知を積極的に行う必要があるのではないかと考えますが、現在の状況と今後の取組みについてお示しください。同時に、防災への意識が高まる中で、防災施策をきっかけとして地域住民とマンション住民のコミュニティ形成が促進されるような方向性も見出せるのではないかと考えます。このようなことに対して、行政の役割を考えるときにきているのではないかと思いますが、お考えをお示しください。
次に、地下空間における防災対策についてです。池袋には大きな地下空間が存在しますが、地下空間における防災対策はどのようになっているのでしょうか。地下空間は、地下道、地下街、駅舎、ビル等が一体となり、複雑な権利関係と管理体制の下に成り立っております。また、密閉性が高く、災害現象の影響が急速かつ大規模に拡散しやすい上に、避難や消防活動も困難になりやすく、災害の種類によっても考慮しなければならない条件が大きく異なるのではないかということも予測されます。そのような特色から、本区としても地下空間の防災対策を考え、綿密なシミュレーションと、関係各所とのしっかりとした連絡体制を敷いておく必要があると考えますが、現状と今後の取組みについてお聞かせください。
高層マンション、地下空間のいずれも、空間としての特異性から、防災対策の有効性や計画指針について、実験等を踏まえた実証的な検討が十分にしにくいという状況があると思いますが、大都市の危機管理体制として、あらゆる角度からシミュレーションを行い、備えておく必要があるのではないかと思います。区としてのご見解をお伺いいたします。
次に、災害後の復興街づくりの観点から、地籍調査の現状についてお伺いいたします。災害が起きてしまった後、災害前の土地の境界を確認する必要が生じる場合があると考えられますが、地籍調査が行われていると、元の位置を容易に確認することができ、復旧作業を円滑に進めることができます。これについては、我が会派の原田太吉議員が昨年の第四回定例会で伺っておりますが、その際のご答弁も踏まえた上でお伺いしたいと思います。
確認も含めて申し述べますと、地籍調査とは、一筆ごとの土地の所有者、地番、地目を調査するとともに、境界、面積についての測量を行い、その結果を地籍図及び地籍簿にとりまとめるもので、土地の戸籍調査ともいうべきものです。登記所に備えられている土地に関する公簿は、明治初期の地租改正の際、正確性よりも迅速性を重視して行ったため、精度の低いものとなっています。そこで、現地復元能力のある地籍図・地籍簿作成の必要性から、昭和二十六年に制定された国土調査法等に基づき、地籍調査が実施されておりますが、東京都における進捗状況は非常に遅れていると伺っております。国も都もこの調査の必要性を十分に認識し、早期推進を促すべく、現在、補助金を活用できるようになっております。
昨年の原田議員へのご答弁によりますと、本区においても本年度から地籍調査事業を進めていくとのことでございましたが、その後の進捗状況と今後の予定はどのようになっているのでしょうか。多くの時間や費用を要し、本区の財政難を考えますと難しい点もあるかと思いますが、被災後の復興、新たな円滑な街づくりといった本区の未来を考えたとき、必ず必要であり、意欲を持って進めていただきたい事業であると考えますが、お考えをお聞かせください。
次に、アスベスト・PCBの区内での実態と対策についてお伺いいたします。
現在、アスベスト問題は、国民生活全般に及ぶ緊急の課題となっております。従来、限られた職業の労働災害と考えられていた問題でしたが、その健康被害は従業員の家族や周辺住民にまで及んでいることが明らかとなり、またアスベストの用途は幅広く、身近なあらゆるところに使われた経緯があることから、問題は広がりを見せ、大きな社会問題となっております。
そこで、区内のアスベストの使用状況についてお伺いいたします。区有施設はもとより、公共性の高い民間施設の実態はどのようになっているのでしょうか。過日、公園等に展示されている蒸気機関車にアスベストが使用されている可能性があるとの報道がありましたが、区立大塚台公園に展示されている蒸気機関車の状況はどのようになっているのでしょうか。アスベストは、そこにあることが問題なのではなく、飛び散ること、吸い込むことが問題となるため、飛散防止対策を徹底して行うことが必要とされます。飛散が懸念されるのは、何といっても解体工事現場です。大規模解体工事の実例としては、既にほとんど終了しておりますが、旧癌研建物や旧時習小学校があります。実態はどうだったのでしょうか。
さらに、今後数年間にわたり、アスベストが多く使用されている可能性のある一九六〇年代から八〇年代にかけて建築された建物等が建替時期を迎え、解体工事などが多く行われると予想され、アスベストへの不安は増すばかりと思われます。したがって、一時的な縦割りの対策ではなく、横断的な相談窓口や対策本部を設け、外部の専門家とも連携をとりながら対策を講じる必要があるのではないかと考えますが、区としてはどのようにお考えでしょうか。アスベスト問題は、国の省庁縦割行政の中で、それぞれがどこも自ら解決しようとしなかった不作為による罪だという声があり、吸い込んでから三十から四十年後にがんや中皮腫が発症し、静かなる時限爆弾といわれるような特性を考えますと、今行政としてできる対策は、くまなく積極的に行う必要があるのではないかと考えます。
つい先日の報道によりますと、練馬区では独自にアスベスト規制条例を定める方針を決め、規制強化に乗り出したそうです。また同時に、民間建物の飛散防止対策や除去について、費用助成のための補正予算案を議会に提出するとのことでした。同区によると、区内には現行法では規制の網にかからない建物が多いという実態に鑑み、区民の安全を守るために一歩踏み込んで条例制定に乗り出したということです。安全・安心への関心が高まっている昨今においては、危険はおろか、不安を抱かせること自体も罪ではないかと思います。いたずらに不安感を煽ることにならないよう、正確な情報を区民に周知し、本区においても積極的な対策を求めたいと思いますが、お考えはいかがでしょうか。
アスベストと同様に話題となっている有害物質にPCBがありますが、これについての区内での現況についてお伺いいたします。ご案内のとおり、PCBとは、ポリ塩化ビフェニルの略称であり、ポリ塩化ビフェニル化合物の総称です。不燃性・絶縁性などに優れ、科学的にも安定した性質を有することから、幅広い用途で使用されておりましたが、カネミ油症事件をきっかけに、その毒性が社会問題化し、現在では製造、輸入が禁止されております。区有施設においては、PCBが使用されていた電気機器等を撤去し、保管しているとのことですが、現在の保管状況と庁内の管理体制はどのようになっているのでしょうか。今年の十一月からいよいよ一都三県のPCB廃棄物を処理するための施設が稼働しますが、処理費を含めた今後の処理計画はどのようになっているのでしょうか。お聞かせください。
このような過去の負の遺産ともいうべきものの処理、特にPCBのように長期間保管され取り残されていた問題については、本区の厳しい財政状況もあり、後回しにされてしまうのではないかという懸念も抱きます。しかし、区民の将来にわたる安全・安心を考えたとき、区の責任として必ずやらなければならないことであり、厳格な処置が求められるものであると考えます。未来の区民から不作為による罪を問われないよう、アスベスト対策と同様に、庁内横断的な体制をもって取り組む必要があるのではないかと考えますが、お考えをお聞かせください。
次に、ヒートアイランド対策について、一、打ち水の実施効果と今後の取組み、二、保水性舗装・建材の導入、三、緑のカーテンの提案、以上の三点についてお伺いいたします。
今年の夏も、ヒートアイランド現象が顕著であり、大変暑い日が続く一方で、局地的に豪雨が記録されるなど、ヒートアイランドの影響と思われる深刻な現象が起こりました。昨年の第三回定例会で提案させていただきました打ち水への取組みが、今年の夏、本区でも行われました。八月一日から七日を打ち水週間とし、四日には庁舎近くの中池袋公園で打ち水大会が開催されました。エコクラブの子供たちや多数の区民の参加により実施されたようですが、その実施結果と参加者の声はどうでしたでしょうか。
打ち水は、ヒートアイランド対策のみならず、環境教育にも役立ち、ライフスタイルを見直すきっかけにもなる身近で手軽な取組みです。この取組みは草の根的に全国的な広がりを見せており、本区においても来年以降も実施し、さらに区民の参加型で効果が期待できるように工夫をお願いしたいと思いますが、今後の取組みについてのお考えはいかがでしょうか。
次に、保水性舗装・建材の導入についてお伺いいたします。打ち水の原理をより実効性のあるものとするためには、保水性舗装や保水性建材の導入が有用ではないかと考えます。保水性舗装、保水性建材とは、雨水などを吸収・蒸散させる機能に優れ、気化熱によりアスファルトやコンクリート等に比べて温度を下げる効果があるものです。吸収能力以上の雨水は地中に浸透されるため、豪雨のときなどに起こる下水や河川の氾濫防止や植生・地中生態の改善にも効果が期待できるといわれております。区内においては、新清掃事務所の駐車施設において保水性舗装を取り入れると聞いておりますが、その施工面積はどの程度なのでしょうか。また、保水性舗装導入の効果はどのように検証し、今後、区内のほかの施設にも導入の可能性などを探っていく予定があるのでしょうか。お聞かせください。
コストとの兼合いもあり、道路等への大掛かりな導入は難しいとは思いますが、今年夏、都の建設局や国土交通省などを中心として、ヒートアイランド対策として国会議事堂周辺で行われたプロジェクトでは、実に通常舗装と比較して、晴天日で十度℃程度低くなったという報告があります。緑化の難しい箇所への部分的導入からでも検討してみてはどうでしょうか。
次に、緑のカーテンの取組みについて提案をさせていただきます。緑のカーテンとは、バルコニーや軒先につる性の植物をネットなどに這わせて、植物のカーテンの役割によって部屋の温度を上げにくくする取組みです。直射日光を最大八割カットする上に、外からくる反射熱もシャットアウトし、植物から発散される水蒸気で体感的涼しさがあり、クーラーよりも心地いいとの声もあります。三十度を超える真夏日に、部屋の温度を最大で五度程度低く抑えることができたというデータもあります。
板橋区では、区役所の正面玄関と小中学校に緑のカーテンが施されており、クーラーなしでも快適に過ごせ、周辺の温度を下げてヒートアイランド対策になっているばかりか、区民の環境意識の向上にも役立っているとのことです。さらに、同区の小学校では、緑のカーテンのための土づくりから取り組み、暑さの仕組み、雨水の有効利用、植物の持つ力、快適な環境づくりへの工夫等、この取組みを通じて子供たちは実に様々なことを学んでいるとのことです。この取組みに賛同した地元企業や保護者の協力もあり、地域ぐるみでの取組みとなり、副次的効果も生んでいるということです。
そこで、本区の公共施設や学校施設にも緑のカーテンの取組みを行ってはどうかと提案いたしますが、いかがでしょうか。現在、本区には冷房設備未整備の学校施設もあり、省エネとコスト削減の観点から、夜間や休日には区庁舎を初めとする施設で冷房を切っておりますが、そうした状況を補完する意味でも、緑のカーテンが有用ではないかと考えます。クーラーなしでも涼しく過ごせ、副次的効果も生む緑のカーテン事業導入について、ぜひとも前向きな検討をお願いしたいと思います。
次に、その他として、都区財政調整制度に関する問題についてお伺いいたします。
未完の改革である都区制度改革は大詰めを迎え、今定例会では、都区財政調整主要五課題に関する意見書を可決したところですが、一日も早く区側の主張がかなう解決となるよう期待をするところです。都区間の財政調整の一方、各区配分の二十三区間問題となると、現行の仕組みは各区の努力が報われるものとなっていないように思われます。現行制度では、客観的基準により、二十三区間の水平均衡的な調整を図るべく配分されているとは伺っておりますが、それぞれの区が自助努力として行った歳出抑制や商業振興などの様々な取組みが反映されているとは言い難いのではないでしょうか。
例えば、本区においては、ごみ減量とリサイクルに対する先駆的な取組みを行い、区民・行政一体となって並々ならぬ努力を行い、処理コストの削減にも努めてまいりました。さらに、区長を初めとする幹部の報酬、議員歳費のカット、本年に至っては最後の砦とも称される職員給与の削減を行うなど、まさに身を切るような
行財政改革に努めているところでございます。一方で、都区財調制度に合った支出を行っている区については、常に一定割合の財源が確保され、歳出削減の努力を行っているのか、疑問であるところもあるように思います。
こうした状況を考えますと、都区財調制度は、各区の自助努力の妨げになっているという側面もあるのではないでしょうか。果たしてこのままでよいのか。本区はもちろん、二十三区全体の未来への発展を考えたとき、大いに疑問に思い、制度の見直しが必要ではないかと考えます。都区財調の問題は、都区間の問題であると同時に、二十三区間の問題でもあると思います。今後、二十三区間の配分について、自助努力が報われ、インセンティブ機能が働くような仕組みになる必要があるのではないかと考えますが、区としてのお考えをお聞かせください。
以上をもちまして、私の
一般質問を終了させていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔高野之
夫区長登壇〕
○区長(高野之夫) ただいまの
永野裕子議員のご質問に対しまして、順次お答え申し上げます。
まず、都区財政調整制度の問題点に関するご質問にお答えいたします。
都区財政調整制度において、調整三税等の五二%を占める二十三区の財源を各区の間で配分する場合には、人口を基本としつつ、事業費ごとの詳細な共通基準に基づきまして、各区の需要額として算定され、事業費ごとに積み上げられた基準財政需要額に対しまして、一般財源等の基準財政収入額が下回る場合に、その不足額を交付金で交付する仕組みになっております。したがって、収入額が需要額を上回る場合には交付されないこととなるため、不交付団体にとっては不公平感が募ることにもなると思われます。
この制度は、二十三区の一体性の確保と行政水準の均衡を図る観点から、二十三区のどこに住んでも同水準の行政サービスを享受できるようにするためにつくり出されたものでございます。また、この制度は、これまでの長い歴史の中で、毎年のように基準の見直しを行ってきており、各区の実態をなるべく正確に反映するような客観的な基準が設定されております。基本となる基準は人口でございますが、各区の特殊性を正しく捉えるために、様々な補正が加えられます。例えば、基準となる規模が段階を超えることによって需要額が増減する場合には、段階に応じた補正がなされ、また、事業の対象となる高齢者や児童数など、対象の密度に格差がある場合には、その密度に応じて需要額が調整されます。さらに、本区のように繁華街を抱える区には、多くの来街者が集まることによって様々な需要が生まれるため、昼間人口補正として特別な需要の算定があります。
また、各区の積極性や努力に対する評価につきましても、様々な基準が用意されております。防災街づくりや再開発などの都市整備事業には、その規模と態容に応じて、区の負担を軽減するような補正措置が講じられます。また、道路や公園を整備すると、以後、その面積に応じた維持管理経費が需要として算定されます。さらに、収入の面では、本区のように法定外税を創設した場合には、その収入額は基準財政収入額に算定されることはありませんので、どれだけ増収になっても交付金の額に影響を与えません。
このように、現在の財政調整制度における区間配分の方式は、決して区の自助努力が報われない制度とは思われません。むしろ、街づくりなどの事業化に当たっては、財調基準を踏まえ、事業の手法に工夫を凝らすことによって、必要な財源を確保することができます。この制度は、一般的な行政需要をほぼ網羅的に捉え、客観的な基準で具体的にも妥当な需要額を算定できる精緻な制度であると考えております。なお、ご指摘のようなコストの削減、報酬や給与の引下げなどの自助努力の部分は、財調制度とは切り離されますが、確実に本区の財政効果として生かされることになります。
私からの答弁は以上でございますが、その他の質問に対しましては関係部長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては教育長から答弁申し上げます。
〔山木 仁
総務部長登壇〕
○
総務部長(山木 仁) 次に、防災施策についてのご質問にお答えいたします。
まず、中高層マンションに対する防災対策の現状と今後の取組みについてお答えいたします。
ご案内のとおり、通常の建築物は建築基準法及び各関係法令に従って建築され、施設及び構造物等の安全確保をすることとなってございます。ソフトの部分における防災対策につきましては、区はこれまで、特に中高層マンションを対象とした施策を実施してきた経緯はございません。平成九年に東京都が発表いたしました「東京における直下地震の被害想定」によりますと、豊島区では約八千戸以上が停電し、完全復旧には一週間程度かかると想定されてございます。ご心配の中高層マンションにおきましては、エレベーターの緊急停止はもとより、電力の回復まで相当期間にわたってエレベーターが作動しないケースも予想されます。したがいまして、中高層マンションに居住される方々は、ご自身での水や食糧の備蓄、避難の際における居住者同士の助け合いなど、自助・共助に関しまして、戸建て住宅にお住まいの方々と比較いたしまして、より一層の努力が必要と存じます。区といたしましては、今後、広報の防災特集や区のホームページにおきまして、中高層マンションにお住まいの方々を対象とした項目を設けるなど、防災意識の普及啓発に力を入れてまいりたいと考えてございます。また、区では出張出前講座も承っておりますので、マンションの管理組合・自治会等でご活用いただければと存じます。
ご指摘の防音性の高いマンションにつきましては、防災無線が聞き取りにくい場所があると思われます。外部音を遮断するようにつくられた部屋に無理に無線を届かせようと出力を上げることは、周辺の方々への騒音等の配慮から困難であり、高層階についても同様と存じます。なお、エレベーターやライフラインの復旧に関する現況調査につきましては、各事業者が行うものでございます。防災無線の到達調査は、マンションに限らず区内全域に関わる問題でございまして、現状におきましては実施する予定はございません。また、五十人以上の方々が居住する共同住宅につきましては、消防法令によりまして、防火管理者を設置し、自ら作成した消防計画に基づいて、消火、通報並びに避難訓練を実施しなければならないとされており、この場合の指導は、東京消防庁の所管となってございます。
本区では、それぞれの地域におきまして、どなたでもご参加いただける防災訓練を年間合わせて二百回以上開催しており、一人でも多くの方々にご参加いただけるよう、訓練内容を工夫するなど、地域防災組織とともに努力しているところでございます。防災施策への取組みをきっかけにコミュニティの促進が図られるのではとのご指摘は、そのとおりと存じます。そのためには、普段、地域活動に疎遠な会社勤めの方や学生の存在など、地域全体における課題がございまして、マンション住民に関しましてはそのうちの一つであると認識してございます。そこで、区といたしましては、地域の防災訓練等に対する住民個人、あるいはマンション自治会としての参加促進につきまして、地域防災組織の方々とも十分に協議してまいりたいと考えてございます。
次に、地下空間における防災対策についてのご質問にお答えいたします。
不特定多数の人々が高密度に集まる地下街等におきましては、一度災害が発生いたしますと、パニックなどにより思わぬ人的被害が発生する可能性があると指摘されてございます。全国有数のターミナル駅である池袋駅には巨大な地下街が存在し、その多くを
民間事業者が所有・管理してございます。JR東日本を初めとする西武鉄道や東武鉄道など関係十八社におきましては、自衛消防の一環といたしまして、地下協議会を設置し、九月一日には東京消防庁の指導の下に避難訓練等を実施していると伺ってございます。発災直後の正確な情報伝達や迅速な避難誘導には、現場にいる事業所の方々に負うところが誠に大きいものと思われます。区ではこれまで、区内の鉄道事業者と防災会議におきまして様々な意見交換を行ってまいりましたが、今後は何らかの形で地下協議会に参加し、区と事業者の役割分担や連携等について協議を行うなど、池袋駅地下街の安全対策に携わってまいりたいと考えてございます。
なお、地下空間の防災対策に向けて綿密なシミュレーションをとのご提案につきましては、前述の東京都が発表いたしました被害想定では、検証事例が少ないこと、さらにはパニックによる被害予測が困難なことを理由に、具体的な被害数の算出を見送ってございます。したがいまして、シミュレーションにどのような方法があるかにつきましては、今後、地下協議会を初めとする関係機関と協議してまいりたいと考えてございます。
私からの答弁は以上でございます。
〔増田良勝
土木部長登壇〕
○
土木部長(増田良勝) 次に、地籍調査の進捗状況と今後の予定についてのご質問にお答えいたします。
地籍調査については、昨年の第四回定例会において原田太吉議員のご質問にお答えしましたように、本年度着手いたしております。これまでの公共基準点は、建替計画のある民間ビルにも存在し、必ずしも安定的に観測、測定できる状態にはなっておりません。現在、このような公共基準点を公共施設に移設するため、GPSを利用した改測作業を実施しているところでございます。また、今後の予定でございますが、公共基準点の整備は本年度中に完了し、来年度から一筆ごとの土地について調査、測量を実施していく予定にしております。いずれにしましても、権利関係に影響し、しかも二十年を超える事業でございますので、計画的に進めてまいりたいと存じます。
次に、保水性舗装についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、保水性舗装は、雨の日に舗装の中にため込んだ水分を晴れた日に蒸発させ、気化熱で路面温度を下げるものです。四年程前に大手民間企業で開発され、ヒートアイランド対策として注目されるに従い、様々な企業・研究所で技術的開発が進められています。平成十六年度に国土交通省が行った環境舗装東京プロジェクトの取組みでは、効果が期待できる四十一技術について実証実験が行われ、そのうち十七技術が一般的な舗装より路面温度を十度以上下げる効果が報告されています。今後、温度低減の持続性、道路の耐久性など、実際の道路への適応性について検証が行われるとされております。また、高コストという別の問題もありますので、まずは公的機関での実験の推移を見守りたいと存じます。
次に、公共施設での緑のカーテンの取組みの提案についてお答えいたします。
ご質問のように、緑のカーテンは、すだれと比較して、日差しが当たると蒸散作用が活発になって、葉の表面の温度上昇が抑えられ、葉の間から外の空気より涼しい風が流れ込むことから、有効な環境対策の一つでございます。しかし、緑のカーテンによく用いられるアサガオやヒョウタンなどの植物は、日当たりがよくなければカーテンとなるほど成長いたしません。また、カーテンとなるような植物は、乾燥が大敵で、猛暑の季節はたった一日水やりを忘れただけで枯れてしまいます。豊島区の公共施設は、敷地面積が小さいこともあり、建物周囲に土があるところは少なく、ご提案の緑のカーテンの取組みを行うには、新たにプランターなどを設置しなければなりません。また、豊島区の総合庁舎のような免震システムの建物では、構造上、一階にプランターを置くことができません。一方、公共施設は土日休みがほとんどであり、植物の水やりについて、地元の方々のご協力がぜひとも必要となります。ご提案につきましては、いくつかの条件が整った施設でなければ実施することは難しいと思われますが、ご趣旨を踏まえた検討を加えてまいります。
私からの答弁は以上でございます。
〔河原勝広
清掃環境部長登壇〕
○
清掃環境部長(河原勝広) 次に、アスベスト・PCB等の実態と対策についてのご質問にお答えいたします。
初めに、区有施設のアスベスト対策等についてでございますが、現在、区有施設につきましては、文部科学省等の基準による調査に加えまして、区の独自の方針に基づきまして、徹底した調査をしているところでございます。本区では、これまでも区有施設等でアスベストが使用されている場合には飛散することのないよう封じ込め等の措置を講じてまいりましたが、さらに密閉状態にあります天井裏等につきましても、今回の調査を通しまして、再度のチェックを行っているところでございます。
次に、民間建築物における使用の実態等についてでございますが、ビル衛生管理及び建築行政の観点から調査を実施しておりまして、現在なお調査中でございますが、これまで機械室等でアスベストの疑いのある吹付けがあるとの回答を得た民間建築物もございますので、引き続き調査を行うとともに、事業者への適切な指導等を進めてまいりたいと考えております。
次に、ご質問にあります大塚台公園の蒸気機関車につきましては、先日、JRの調査員が参りまして、コーティングに僅かながらも剥離が見受けられたということで、アスベストか否かを調査するためのサンプルを採取するとともに、安全確保のために糊状の素材での封じ込め作業を完了しております。なお、区内で公園展示されております蒸気機関車は大塚台公園のみでございます。
次に、旧癌研建物と旧時習小学校の解体工事におけるアスベスト対策についてのご質問にお答え申し上げます。まず、旧癌研建物につきましては、事前の調査の結果、吹付けアスベスト等の箇所が確認されましたことから、建物の解体工事前にアスベストの除去工事が行われております。また、旧時習小学校につきましては、調査の結果、規制対象のアスベストの使用はございませんでした。
次に、アスベスト問題への本区の取組み等についてお答え申し上げます。本区では、これまでアスベスト対策につきましては、国の示す規制基準等の改変に合わせまして、区有施設の管理を初め、環境保全やビル管理・建築行政での指導など、適切な対策を講じてまいりました。また、アスベスト問題が大きく取り上げられました七月以降は、直ちに関係課長による連絡調整会議を設け、わかりやすい相談・窓口体制の構築に取り組むとともに、ご質問にもありますように、情報の共有化と横断的な取組みを図るため、区長をトップといたします全部長による対策会議を設置してまいりました。この対策会議には、各々の分野で専門知識を有する職員が、国や東京都などの専門家との連携を図りながら的確な対応を図っているところでございます。また、練馬区等の条例による規制の動きは承知いたしておりますが、一方でアスベストの規制を定める大気汚染防止法等の規制強化に向けました法改正も聞き及んでおりますので、こうした動向に注視いたしまして、必要な対策を図ってまいりたいと考えております。一方、ご指摘にありますように、区民の皆様が無用な不安感を抱くことのないよう、国や東京都との連携を一層強化しながら、今後とも適時適切そして正確な情報提供に努めてまいりたいと考えております。
次に、区有施設で保管されているPCB廃棄物についてのご質問にお答えいたします。
まず、現在のPCB廃棄物の保管の状況と管理体制についてでございますが、学校を初めといたしました区施設四十六カ所に分散保管されており、その内容は、コンデンサ、コイル、蛍光灯安定器等を合わせて約二千八百個となっております。これらのPCB廃棄物の保管に当たりましては、他の廃棄物との隔離や危険物の表示を行うとともに、保管台帳での確認と現場調査を合わせて実施しているところでございます。
次に、今後の本区での処理計画についてでございますが、東京都の処理計画に基づき、平成二十一年度と二十二年度の二カ年で処理を終える計画となっております。また、処理に関わる経費につきましては、まだ見込みの段階でございますが、四千万から五千万程の運搬・処分経費がかかるのではないかと想定しているところでございます。なお、ご指摘にもありますように、今後の具体的な処理に当たりましては、万が一にも環境上の問題が生じることのないよう、引き続き庁内体制を確保いたしまして、的確に対応してまいりたいと考えております。
次に、ヒートアイランド対策についてのご質問にお答え申し上げます。
まず、中池袋公園での打ち水大会の実施結果と今後の取組みについてでございます。打ち水大会は、昨年の永野議員からの
一般質問でのご発言もきっかけとなり実施したものでございます。本年八月四日、区長を初め、区議会議員の皆様、また近隣の企業からもご参加いただきまして、子供エコクラブの小学生を含む約百名の方が打ち水を行い、温度測定の結果、約一度の温度低減効果がありました。また、八月初めの一週間を打ち水週間と位置付け、区民への呼びかけを行うとともに、インターネットアンケートも実施したところでございます。一方、区の各施設七十二カ所でも打ち水を行い、中池袋公園と同様な結果が得られているところでございます。打ち水に対する区民の皆様の声といたしましては、概ね共感の声が多く、区施設等では継続して実施してほしい旨のご意見も寄せられております。こうしたことを踏まえまして、今後の取組みといたしましては、さらに幅広く区民の皆様に参加を呼びかけまして、来年度以降も取組みを続けてまいりたいと考えております。
次に、新清掃事務所での保水性舗装の施工工事についてのご質問にお答え申し上げます。現在、新清掃事務所の外構工事を進めておりますが、その中の駐車スペース約八百七十平方メートルで保水性舗装を行う予定となっております。その他、透水性舗装も約四百平方メートルを予定しているところでございます。工事が整った後は、雨天の日以降の路面温度を測定いたしまして、保水性舗装の温度低下効果を検証してまいりたいと考えております。なお、今後、他の施設につきましては、検証結果を踏まえまして、導入の可能性を検討してまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でございます。
〔日高芳一教育長登壇〕
○教育長(日高芳一) 引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しましてお答え申し上げます。
緑のカーテンを学校施設へ導入することについてのご質問にお答えいたします。
学校の普通教室冷房化は、来年度に本区の小中学校すべてに設置が終了いたしますが、学校の緑化への取組みは、子供たちの環境教育にとって大変有効なものであると認識しております。そこで、本区では、ヒートアイランド対策、また環境教育の一環として、屋上緑化を現在建設中の明豊中学校を含め五校において既に実施しております。また、本年度は、新規事業として、都の補助金を活用し、高松小学校で校庭の芝生化を行う予定でおります。議員ご提案の壁面緑化による緑のカーテンについてですが、千早小学校では、本年、職員室の壁面を使い、ヘチマとフウセンカズラを栽培し、子供たちの環境学習に役立てております。学校教育におきましては、緑のカーテンは省エネや子供たちの学習効果の面からも有効なことでありますので、各学校には千早小学校の活動や先進事例を機会を捉え紹介していきたいと考えております。
以上をもちまして、
永野裕子議員のご質問に対する答弁を終わります。
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○議長(副島 健) 最後に、八番議員より「誰もが安心して暮らすために」の発言がございます。
〔水谷 泉議員登壇〕(拍手)
○八番(水谷 泉) 水谷泉です。「誰もが安心して暮らすために」と題して、一、豊島区の防災・減災対策について、二、心の病を持つ人たちへの支援についての質問をさせていただきます。防災対策については三人目の質問となりますが、何分、質問の順番が最後ですので辛いところがありますが、よろしくお願いします。
昨年十月の中越地震以来、今年の三月には福岡西方沖地震、七月には宮城沖地震が起こり、七月の地震では東京都でも震度五強を観測した地域もあり、いつ起こってもおかしくないといわれる大規模な地震に対する備えの重要性については、喫緊の課題であることは誰もが感じているところです。
備えをするには、まずどの程度の被害が出るかを想定しなくてはなりません。豊島区地域防災計画を見ますと、「関東地震の再来を想定した被害想定」と「東京直下地震の被害想定」を前提として、さらに近年の社会経済情勢の変化と阪神・淡路大震災の教訓を反映するとありますが、豊島区内での地域ごとの被害予測は出されていません。この防災計画の資料編には地域危険度一覧がありますが、これによってある程度の被害予測をすることは難しいのでしょうか。また、危険度が高いとされている池袋本町三・四丁目や長崎二・三丁目などの地域に対しては、個別の指導などがされているのでしょうか。
高齢者や障害者などの災害弱者といわれる人たちに対しての救援はどのようになされるのでしょうか。先日の大雨による水害では、自分で避難しようにもできなかった人がいらしたことが報道されていましたが、豊島区ではどういう対策を立てているのかを教えてください。そういう場合に、高齢者施設などが所有しているバスで救援に向かうというような連携ができると理想的だと考えますが、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。また、個人情報保護の観点から非常に情報が出にくくなっていますが、いざというときに速やかに対処するためにも、どこにどんな人が住んでいるのかを把握しておくことが必要だと考えますが、区としてはどうお考えかをお聞かせください。
備蓄食糧については、備蓄倉庫だけでなく、一時避難所等に細かく分散して置く方針になっていることは理想的だと思います。この食糧のアレルギー対応はされているのでしょうか。限られた場所に備蓄しているので、細かいアレルギー対応をすることは現実的には難しいと推察しますが、その点に関して、区民に対する周知はされているのでしょうか。お答えください。
自治体間の連携についてお聞きします。豊島区は現在十一の市や町と非常災害時等における相互応援に関する協定を結んでいますが、今後もこの協定は増えていくのでしょうか。昨年の中越地震の際には、旧堀之内町に対して非常に迅速な救援を行ったと記憶していますが、改めてその具体的な支援の内容と、その評価をどうされたかを教えてください。うまくいったこと、うまくいかなかったこと、また残った課題があるとしたら、それについては今後どう解決していくかをお答えください。
今年度、私は防災会議のメンバーになり、豊島区地域防災計画について詳しく勉強する機会がありました。この会議をもう少し区民に開いて、PTAや地域の方たちも交えての会議にすることで、より多くの区民が防災のことを考えるきっかけにもなると思うのですが、いかがでしょうか。災害時に安全に生き残るためには、基本的には各家庭、個人で準備することが一番だと思いますが、区としては区民の意識啓発について、どうされていて、今後はどうされる予定かをお聞かせください。
事前の被害軽減策としては、木造密集地域での建替推進・支援や、学校や住宅の耐震補強工事があると思います。学校の耐震工事は来年度までに終了する予定ですが、閉校後の学校を災害時の避難所として活用することになっているにもかかわらず、耐震工事の予定がないということには、区民の安全を守るという面から、異議を申し上げたいところです。今後の方針についてお聞かせください。
現在、区としては耐震診断事業を無料で行っていると聞きましたが、建替えの推進や住宅の耐震工事に対する支援の現状と今後の取組みについて教えてください。大規模地震では、豊島区が孤立することはないとしても、道路が壊れることは十分に予想されます。そうなると、いくら他の
自治体から救援に来てくれても、救援を必要としている地域まで行き着けないということが考えられます。その場合の復旧策については、具体的にどうなっていますか。教えてください。
復興の準備として、東京都ではホテルや賃貸住宅空室の災害時連携を進めているようですが、豊島区でも区民住宅の空室を一時的に利用することはできるのでしょうか。豊島区地域防災計画を見ますと、復興計画を東京都震災復興マニュアルとの整合性を図りつつ策定するとあります。このため、今後の取組みとして、事前の調査・検討を行い、マニュアル等の整備を進めるとありますが、現在、どのようなお考えで取り組んでおられるのか、お答えください。
次に、違った角度からお聞きします。豊島区では区民データの電子化を進めていると思いますが、現在では一人一人についてどんなデータを持っているのでしょうか。住民基本台帳から始まって、国民健康保険、国民年金などの様々なデータは相互に関連付けられているのでしょうか。障害のあるなし、要介護認定などが一括してわかるものはあるのでしょうか。また、そもそもこれらの区民データなどはどこにあるのでしょうか。地震や火災などの際にも安全なところに置いてあるのか、それらはどういう種類のストレージに入っているのか、バックアップはどう取っているのかを教えてください。災害が起きた後には速やかに通常の行政システムに復旧することが求められるのですから、情報管理の面からの災害対策、危機管理対策が非常に重要だと考えます。現時点での豊島区の状況と今後の方針について、具体的に教えてください。
最後に、心の病を持つ人たちへの支援策についてお聞きします。
障害者自立支援法は廃案となりましたが、この法案では、身体・知的・精神障害者の保健福祉施策を一元化して、総合的な自立支援システムを構築することを目指しています。しかし、現状では三つの障害のうち、精神の障害を持つ人たちへの支援が他に比べて格段に少ないような印象があります。豊島区の障害者福祉のしおりの中の障害ごとの手当や助成の一覧表、障害程度別早見表を見ても、愛の手帳、身体障害者手帳を持つ知的・身体の障害の人と精神障害者保健福祉手帳を持っている人の受けられるサービスは、比べられないほど少ないことに驚きます。今後の区としての精神の障害を持つ人たちへの支援はどう進められるのかについて教えてください。
三月に策定された豊島区地域保健福祉計画のために基礎調査を行っていますが、調査の対象者として選ばれた精神の障害を持つ人の数が知的・身体の障害の人たちと比べ極めて少ないこと、そして回答数も少ないことから、計画の策定資料としては十分ではないように感じます。対象者の選定は、「共同作業所・保健所デイケア・グループホーム・授産施設等の利用者及び家族会を通じて」と記載がありますが、対象者を病院やクリニックの利用者にまで広げれば、もっと数は増え、回答数も増えたと思います。いかがお考えなのかをお聞かせください。
自立支援法は再度国会に提出されることが予想されますが、三障害の一元化やサービス利用費の利用者負担についても調査を行う予定があるのでしょうか。六月の二定では、精神障害者地域生活支援についての陳情が採択され、区として当事者とその家族や関係機関に対しての十分な調査・話合いの下に計画を進めることが約束されたわけですので、協議会などのやりとりの場を具体的に設定していただきたいと思いますが、今後の方針についてお聞かせください。
また、障害を持つ人たちへの就労支援についても、改めてお聞かせください。区や外郭団体の業務のうち、例えば郵便物の仕分けや封入作業、宛名のラベル貼りなどの作業を障害を持つ人たちに回していただくことで、少しずつでも自立の道が開けると思いますが、いかがお考えでしょうか。
以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔高野之
夫区長登壇〕
○区長(高野之夫) ただいまの水谷泉議員のご質問に対しまして、順次お答え申し上げます。
まず、精神に障害を持つ方々への支援策についてのご質問にお答えいたします。
精神障害者保健福祉手帳の制度発足は、平成七年の精神保健福祉法の施行時からでございまして、制度の歴史が浅いため、身体障害者手帳や愛の手帳によるサービス量との格差があることは、厚生労働省の「精神障害者の地域生活支援に関する検討会」におきましても指摘されております。その検討会の最終報告では、サービスの充実や手帳の信頼性向上の観点から、現行様式を見直し、写真貼付の必要性などが提言されております。今後、国会に再提出されると思われます障害者自立支援法により、三障害が一元化される新しい制度におきましては、様々なサービスを受けるために手帳を保持していることが必要となってくる可能性がございます。したがいまして、ご質問の区の支援策といたしましては、精神障害と診断されている方々に手帳を保持することをお勧めし、今後、総合的なサービスの実施主体が区市町村に移行するのに伴いまして、特に精神障害者の地域生活を支えるケアマネジメント体制が重要になることから、その整備に重点を置いた施策を進めていく考えでございます。
次に、保健福祉計画策定の際に実施した調査対象者が少なく、データとして不十分ではないかということですが、精神障害者に関する調査は、プライバシーの問題や対人関係に障害があることなどに十分配慮する必要があります。そのため、平成十五年の調査におきましては、共同作業所や保健所などに調査票を配布して行いましたが、該当者への配付数の正確な把握が困難なことから、有効回収率は算出しておりません。また、医療機関の利用者に関しましては、対象者を区民のみに限定することや質問事項に関する問合せなど、医療機関側の負担が大きいことから、対象とすることを断念せざるを得なかったのでございます。しかし、今後予定しております新たな障害福祉計画の策定に当たりましては、ご指摘の点を十分に踏まえまして、できる限り多くの精神障害者の意向を反映できるような工夫を講じてまいりたいと存じます。