杉並区議会 2021-07-20
令和 3年 7月20日文教委員会−07月20日-01号
令和 3年 7月20日
文教委員会−07月20日-01号令和 3年 7月20日
文教委員会
目 次
席次について ……………………………………………………………………………… 3
委員会記録署名委員の指名 ……………………………………………………………… 3
報告聴取
「杉並区
教育ビジョン2022(案)」の策定について ………………………… 3
文教委員会記録
日 時 令和3年7月20日(火) 午前9時58分 〜 午前11時47分
場 所 第3・4
委員会室
出席委員
(9名) 委 員 長 脇 坂 たつや 副
委員長 田 中 ゆうたろう
委 員 山 本 ひろ子 委 員 佐々木 千 夏
委 員 そ ね 文 子 委 員 井 原 太 一
委 員 くすやま 美 紀 委 員 岩 田 いくま
委 員 渡 辺
富士雄
欠席委員 (なし)
委員外出席 (なし)
出席説明員 教育長 白 石 高 士
教育委員会事務局次長
齊 藤 俊 朗
教育政策担当部長大 島 晃
学校整備担当部長中 村 一 郎
教育人事企画課長事務取扱庶務課長 学務課長 正 富 富士夫
村 野 貴 弘
特別支援教育課長就学前
教育支援 学校支援課長 出 保 裕 次
センター所長
矢 花 伸 二
教育委員会事務局副参事
学校整備課長 河 合 義 人
(
子どもの
居場所づくり担当)
朝比奈 愛 郎
学校整備担当課長岡 部 義 雄 生涯
学習推進課長本 橋 宏 己
済美教育センター所長事務取扱 済美教育センター統括指導主事
教育委員会事務局参事 佐 藤 永 樹
佐 藤 正 明
済美教育センター統括指導主事 教育相談担当課長鈴 木 壮 平
加 藤 則 之
中央図書館長生涯
学習担当部長 中央図書館次長 後 藤 行 雄
田部井 伸 子
事務局職員 事務局次長 内 藤 友 行
議事係長 蓑 輪 悦 男
担当書記 矢 澤 泉 未
会議に付した事件
席次について……………………………………………………………………………決定
所管事項調査
1
報告聴取
「杉並区
教育ビジョン2022(案)」の策定について
(午前9時58分 開会)
○
脇坂たつや
委員長 ただいまから
文教委員会を開会いたします。
傍聴人の方より
パソコン等電子機器使用の申請が提出されましたので、これを許可します。
案件に入る前に、
関口健太郎議員が6月25日付で公職の
候補者となったため、
公職選挙法第90条の規定により
区議会議員を辞したものとみなされたことに伴いまして、当
委員会は1名欠員となりましたので、御報告いたします。
《席次について》
○
脇坂たつや
委員長 あわせて、
委員会の席次につきましては、ただいまお座りになられている席でよろしいでしょうか。
〔「はい」と呼ぶ者あり〕
○
脇坂たつや
委員長 それでは、この席次で決定いたします。
《
委員会記録署名委員の指名》
○
脇坂たつや
委員長 本日の
委員会記録署名委員は、私のほか、
田中ゆうたろう副
委員長を御指名いたしますので、よろしくお願いいたします。
《
報告聴取》
○
脇坂たつや
委員長 それでは、これより
報告事項を聴取いたします。
本日の
報告事項は1件です。
質疑は報告を聴取した後に行いたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
「杉並区
教育ビジョン2022(案)」の策定について
◎
庶務課長 それでは私から、杉並区
教育ビジョン2022(案)の策定について御報告させていただきます。
令和4年度からおおむね10年程度を期間とする新たな
教育ビジョンの策定に当たりましては、杉並区
教育振興基本計画審議会を設置し、昨年10月から審議が行われてきたところでございます。全部で7回の
審議会が開催され、先月、6月25日の
審議会から答申をいただき、7月14日の
教育委員会において杉並区
教育ビジョン2022(案)を策定いたしました。
まず、2番の計画の
位置づけでございますが、この
教育ビジョン2022(案)は、人生100年時代を区民誰もが学びを通して自分らしく豊かに生きるための羅針盤となるよう、杉並の教育の基本的な
考え方を示したものであり、
教育基本法第17条第2項の規定に基づく杉並区の
教育振興基本計画として
位置づけているものでございます。
続いて、1番の策定にあたっての基本的な
考え方、また3番の「杉並区
教育ビジョン2022(案)」の概要について、まとめて御説明させていただきます。
資料の表紙を1枚おめくりいただきますと、1ページから2ページにかけまして、「
教育ビジョン2022の策定について」として、
策定趣旨、教育を取り巻く環境の変化、策定にあたっての基本的な
考え方、計画の
位置づけを記載してございます。
策定の基本的な
考え方としましては、
審議会での審議の経過を少しお話しさせていただきます。
これから10年を考えるときに、例えばAIやICTの急速な進展あるいは
新型コロナウイルス感染症や様々な変化や課題が次々と生まれてくるという中では、明確な将来像を描くことは難しい、そうした中において
審議会では、まず
子供たちのために
自分たちが何ができるのかということを中心に据えて考えようということから議論がスタートしました。また、人々の価値観や生活が多様化する中にあっては、あるべき
子供像を描いて、そこに向かうためにどうするかということではなく、10年先において私たちが普遍的な価値として大切にしたいことは何かという観点から審議が進められました。
審議の中では、現
教育ビジョンを基盤としてさらに進化したものにしたいということ、新
教育ビジョンでは、区民一人一人が
自分事、
当事者として教育を捉え、
自分たちで杉並の教育をつくっていくという
方向性を示すようなものにしていきたい、区民みんなで共有できる
ビジョンにしたい等の議論が行われました。
また、今回の
教育ビジョンの
策定過程においては、区民の
皆さんの御意見やアイデア、特に子供の思いや考えなどを聞きたいといったことから、
シンポジウムや
アンケートを行いまして、
審議会においてその内容を共有してきたところでございます。
こうした
審議過程を経て、今回の
教育ビジョンは、区民みんなの
ビジョンとして区民一人一人が教育を
自分事として共有する、共有できる内容としてつくられています。今回の杉並区
教育ビジョン2022は、これまでのような目指す
人間像を定めるのではなく、区民誰もがこれからの時代を自分らしく生きるために必要となる私たちが大切にしたい教育を掲げ、その教育を
自分事として担うための一人一人が教育の
当事者として心がける視点を示し、さらにそれを支える
教育行政の取組の
方向性を明確にするものとして策定したというものとなってございます。
続きまして、3ページを御覧ください。まず「I 私たちが大切にしたい教育」として、「みんなのしあわせを創る杉並の教育」を掲げています。
本文にありますとおり、これは、人は誰もが幸せになりたいという願いを持っているということ、誰もが自分らしく生きることを大切にしながら、将来を見通しにくい社会の中にあっては、一人一人が教育の
当事者となって、共に認め合いながら協力して社会をつくり、担うこと、それを支える教育が大切であること、そしてそのためには、一人一人が共に学び合い、教え合い、関わり合って、新たな価値をつくり出していくみんなの教育をつくるという
考え方が欠かせないということが記載されてございます。
続きまして、4ページですけれども、これはIの「私たちが大切にしたい教育」「みんなのしあわせを創る杉並の教育」の
当事者となる上で普遍的な価値として、共に尊重し大切にしたいこと、一人一人が行動する上での土台となるものでございます。「学び合い、信頼をつくり、共に生きる」「ちがいを認め合い、自分らしく生きる」「誰もが社会の創り手として生きる」を記載してございます。この3点はダイヤのような菱形で記載しておりますが、この3つに順位があるものではなく、並列であることを示したいということで、このような記載となってございます。
次に、5ページから6ページにかけまして、「II 一人ひとりが教育の
当事者として心がける視点」です。
こちらは、「みんなのしあわせを創る杉並の教育」を育て続けていくに当たって、区民、家庭、地域、学校、
教育委員会など、子供も大人も一人一人が生涯にわたって学び合い、教え合い、関わり合い、教育の
当事者であるという視点に立って、一人一人が日常的に心がける視点を5つ示したものでございます。
この5つには流れがございまして、まずは思いを尊重するということ。ここには「
子ども」と記載してございますが、子供も大人もそれぞれ思いがあり、それを尊重するということ、その上で、違いを受け入れ合うこと、そして、そうしたそれぞれの思いを尊重し、違いを受け入れ合いながら対話を大切にしていく、さらに、対話をしながら学んだ成果を贈り合うこと、一人一人の学びが社会に
つながり、社会をつくっていく、そうしたことがまた次の学びにつながっていく、そういった流れでつくられているものでございます。一人一人がこのIIの視点を持って「みんなのしあわせを創る杉並の教育」を育てていく、それは一人一人が
当事者として「みんなが共に教育を創る」(Education by
All)ことであり、誰もが自分らしく生きることができる「みんなが創るまち」(City by
All)、みんなが
当事者となってまちをつくることにつなげていくといった構成になっております。
そして、最後の7ページ、「III
教育行政の取組の
方向性」です。
こちらは、
教育行政、
教育委員会の取組の
方向性として、
教育委員会は
教育施策の担い手として
教育環境の着実な
整備等の施策を進めていくこと、区の新
基本構想、こちらも現在
答申案の段階ではございますが、こちらに掲げた「共に認め合い、みんなでつくる学びのまち」の実現に向け、一人一人の主体的な実践を後押ししていくこと、学びの成果の贈り合いが広がっていくよう支援するといった
方向性を記載してございます。
なお、今回の
教育ビジョンは区民みんなの
ビジョンであり、区も区民も共有できる内容とするという
考え方から、
審議会において、
教育行政の具体的な
取組内容については、行政の
行動計画である
教育ビジョン推進計画に記載することとして整理されたため、ここでは取組の
方向性という形で記載してございます。
以上が
教育ビジョンの概要と説明になります。
最後に、
資料本文に戻りまして、4番、今後の主なスケジュールでございます。令和3年8月、
区民等意見提出手続の実施ということで、8月1日から8月31日にかけて
パブリックコメントを実施いたします。
なお、「
広報すぎなみ」8月1日号に
教育ビジョン全文を掲載する予定でございます。その後、いただいた御
意見等を踏まえまして、令和3年10月、
教育委員会に杉並区
教育ビジョン2022を付議し、令和3年11月、
文教委員会に御報告させていただき、その後、公表、周知していくと予定してございます。
私からの説明は以上でございます。
○
脇坂たつや
委員長 それでは、質疑のある方は挙手を願います。──それでは、最初の質問は答弁を入れてお一人往復15分程度ということでお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
◆
井原太一 委員 まず冒頭に、
教育振興基本計画審議会におかれましては、度重なる長い審議の中でこのように答申をおまとめいただきましたことに対して、深い敬意と謝意を申し述べたいと存じます。
さて、それでは何点か伺ってまいります。
まず、
教育振興基本計画審議会では、
教育ビジョンを検討するに当たり、どのようなことを重んじた審議が行われたのかを伺います。
◎
庶務課長 審議会では、子供に関する議論において、この社会のために
子供たちをこういう人間に育てたいという議論ではなく、
子供たちを真ん中に置き、
子供たちに私たちが何ができるのか、何をすべきかということ、また、それは
区教育委員会のみが行うことではなく、区民一人一人が何をすべきかという観点を重視した議論が行われてきたところでございます。
◆
井原太一 委員
教育ビジョン2022(案)の特徴と
教育ビジョン2012との主な違いはどういったところなのか、確認します。
◎
庶務課長 現在の
教育ビジョンでは、「共に学び共に支え共に創る杉並の教育」を
基本目標として掲げるとともに、どういった人間を育てたいかという
人間像を掲げて、
教育委員会としてどういう視点で10年間教育を行っていくかという観点でつくられているところでございますが、今回の
教育ビジョンでは、現
ビジョンによる家庭、地域、学校、園の協力の下、築き上げてきた杉並の教育を土台としつつ、これまでのような目指す
人間像を定めるのではなく、区民誰もがこれからの時代を自分らしく生きるために必要となる私たちが大切にしたい教育を掲げ、その教育を区民が主体となって
自分事として担うための一人一人が教育の
当事者として心がける視点を示したところが主な違いとなってございます。また、
シンポジウムや
区民アンケートを実施し、多くの区民、特に
子供たちの声を聞き取り、
子供たちからの思いや言葉を多く取り入れているところも特徴となっているところでございます。
◆
井原太一 委員
教育ビジョン2012では、目指す
人間像として「夢に向かい、志をもって、自らの道を拓く人」「『かかわり』を大切にし、地域・社会・自然と共に生きる人」と定めていました。
教育ビジョン2022(案)では「目指す
人間像を定めるのではなく、」としていますが、そうすることに至った経緯について、もう少し詳しく示してください。
◎
庶務課長 先ほど少し御説明させていただきましたが、
審議会の議論では、10年後の目標を立て、それを実現するためにどうするか、あるべき
子供像を描いて、そこに向かうためにどうするかといったバックキャスト的、逆算的に考えていくのではなく、
子供たちのために何ができるのかという視点で、社会的な価値、普遍的な価値として外してはいけないことを考えていきたいという視点に立って、また、大人が子供に一律にこうあるべきとあるべき姿を示し、押しつけるのではなく、10年後においても普遍的な大切なことは何かという観点から議論が行われ、目指すべき
人間像を定めるのではなく、私たちが大切にする教育を掲げることと議論の中でなったものでございます。
◆
井原太一 委員
教育ビジョン2022(案)と新
基本構想とは同時期に策定が進められてきましたが、これらの関係はどうなっているのか、確認をします。
◎
庶務課長 教育振興基本計画審議会の
牧野会長、
大竹委員は、現在審議が行われています
基本構想審議会の委員でもあり、
基本構想審議会第3部会の
部会長を
大竹委員が、副
部会長を
牧野委員が務められていることから、それぞれの
審議会における
整合性を図りつつ審議が進められているところでございます。
また、新
基本構想では、現在
答申案の段階ではございますが、
基本構想を貫く3つの理念としまして、「認め合い 支え合う」「安全・安心のまち
つながりで築く」「次世代をはぐくみ 引き継ぐ」とあり、認め合い、誰一人取り残されない、人との
つながりといった観点など、今回の
教育ビジョンの内容ともたがわないものと認識しているところでございます。
◆
井原太一 委員
教育ビジョン2012では、
基本目標として、今後10年を見据えた杉並の目指す教育を「共に学び共に支え共に創る杉並の教育」と定めていました。
教育ビジョン2022(案)では「みんなのしあわせを創る杉並の教育」とありますが、これはどういう
位置づけなのか、確認します。
◎
庶務課長 「共に学び共に支え共に創る杉並の教育」、現
ビジョンでございますが、それは目指すべき目標、
方向性として定めているものですが、今回の
教育ビジョンの「みんなのしあわせを創る杉並の教育」は目標ではなく、区民誰もが教育の
当事者として考え、教育を実践するときに、これからの10年において大切にしたい教育として掲げているものでございます。
◆
井原太一 委員 そのように、ちょっと
言い方がきついかもしれませんけれども、教えて覚える教育というよりは、
皆さんそれぞれが、
子供たちもそうですし、みんなが持っている本来の力を、
人間性を伸ばしていって、自立した形で生きていける。今までももちろん学びの中で深い学びとかいろいろやってきたわけですけれども、そういうことをやっていこうとしていることは、とても意義があることだなというふうに私も思っております。
そういう意味では、今までも私がずっと議会の中でお話しさせていただいてきたそれぞれの力を伸ばすということに対しては合致するものだと、
大変関心を持って見せていただいているわけですけれども、一方で、特に小さい
お子さんたちについては、社会の中で生きていくために必要なこと、ルールですとか、自分を律する力ですとか、言葉がちょっと違うかもしれませんが、
規範教育と言われることも必要になってきているわけですね。そういうところはどのように考えようとされているのか、その辺のところ、あるいはどんな議論がされたのか、伺います。
◎
教育委員会事務局次長 この
ビジョンの中では、自らが
当事者となっていろいろ定めていくという方向でありますけれども、社会的に生きる上で必要なことというのは学校ないしいろいろなところでそれぞれ教えなければならない。そういうことは当然のベースとして、それを踏まえた上で、それを超える部分として、皆それぞれ
お互いのことを考えながら高め合っていく、そういうふうな
位置づけにしているものでございます。
◆
井原太一 委員 そういうところも大切にしながらそれぞれ育てていくというお考えだというふうに伺いました。
それと、一人一人が
当事者ということで、障害だとか様々な課題を持っていたとしても、みんなで一緒にやっていこうというインクルーシブ的な
考え方はとてもすばらしいと思っています。ただ、その考えはこの中にいろいろと述べられてはいるんですけれども、これは個人的な感想になるんですが、文章全体を見ていたときに、健康な方、
健常者の立場から見てインクルーシブな方たちに対して何か投げかけているような文言も少し見受けられるように感じ取ったんですね。そうではなくて、そういう課題を持った方たちから見てどういうふうになっているのかということもあると思うので、視点の問題なんですが、そういうところを、みんなでやっていくんだよ、みんなでつくっていくんだ、教育をしていくんだ、
お互いに学び合っていくんだというようなところがもう少し強調されてもいいのかなというふうに思ったんですが、その辺はいかがでしょうか。
◎
庶務課長 そこのところは
審議会でもかなり議論がされているところでございまして、一人一人が自分らしく生きるという人としての尊厳を尊重するとともに、
多様性(
ダイバーシティー)と
社会的共生(ソーシャルインクルージョン)を基本に据える必要があるということで記載しているとともに、大人も子供も、障害のある人もない人も誰もが教育の
当事者、
お互いに学び合い、教え合い、関わり合う
当事者であるということで、子供であってもただ教えられる側というわけではなく、子供にも思いがあり、
子供自身も考えているといった議論や、例えば赤ちゃんや障害のある方、言葉が話せない方であっても、その
存在自体から学ぶこと、教えられることもあるといった、誰もが教えられる側であり教える側である、そういった
当事者であるという観点に立って議論されたところでございます。
◆
井原太一 委員 ぜひそういう立場から、とかくこちらが──こちらという
言い方はちょっと違うかもしれませんが、一方の目線になってしまわないように、みんなでつくっていくというところはこれからも、私もそうですし、心がけていただけたらなというふうに思います。
それともう1点、一人一人が
当事者であるということで、学び合うということは、これは子供だけではなくて大人もそうなわけですね。生涯多分、違う世界に行かれるまで、人は学び続けていくのではないかというふうに思います。そういう意味で、
社会教育という観点、大人がどう学んでいくのかというところについてもう少し言及があってもいいのかなというふうに思ったんですが、その辺のところはどのような議論がされたんでしょうか。
◎
庶務課長 まさに人生100年時代ということで、これからの学びは、
学校教育だけではなくて、生涯にわたり学んでいく力を育んでいくというところが大事だということで、
学校教育に限らず、
社会教育、生涯学習における視点が大変大切だという議論がされているところでございます。
◆
井原太一 委員 そういうところをしっかりやっていくことで、この
ビジョンが
実効性のあるものに、より実のあるものになっていくと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
以上です。
◆
渡辺富士雄 委員 ざっと眺めて、非常に表現が哲学的になっているのかなと。文章だけ見るとやや理解し難いところもありまして、中身を読み込んでいって、なるほどなということを感じました。
頭から行きますけれども、「みんなのしあわせを創る杉並の教育」ということなんですが、まず、幸せということについての概念、この辺の
考え方について伺います。
◎
庶務課長 幸せに関する議論、かなりされたところでありまして、「みんなのしあわせを創る杉並の教育」に至るまでの審議の議論としましては、現在の
ビジョンを土台として、これまでやってきた10年を礎としてみんなで幸せな社会をつくっていこうということと、「みんなのしあわせを創る」というのは、例えばそれが幼児や小学生であっても、みんなが幸せになるとはどういうことかと投げかけたら、幼児なり、小学生なり、対話できると思うということ、あと、「しあわせを創る」という非常に上位の概念であるということ、1つの事柄が達成されるとみんなが幸せといった、そういう
位置づけなのではないか。また、学校は幸せになるための準備をするところといった議論があり、このフレーズになったところであり、幸せを誰かが与えてくれることではなく、自分の幸せをつくる力、みんなの幸せをつくる力、それを支えるのが教育であるというふうな議論がされたところでございます。
◆
渡辺富士雄 委員 幸せのところは分かるんですけれども、幸せの根本的な言葉の概念ということですね。幸せというのはなかなか最近使わない言葉なんですね。こうやって出てくると、どう解釈するのかなというふうに正直思います。
幸せというのは2つあるのかなと。1つは相対的な幸せと、絶対的な幸せ。相対的な幸せというのは、物とか金とか地位とか、他と比較してより優位にある、そういうところを相対的なというんですけれども、絶対的な部分の話だというふうに思うんですね。OECDの中で幸福論、これは
ウエルビーイングという話ですよね。この
ウエルビーイングの発想なのかなというふうに思ったんですけれども、そういった言葉がどこにもなくて、単に「しあわせ」という、勝手に解釈してよということなんですけれども、この辺についてちょっとお伺いしたいんですけれども。
◎
教育長 まさに
ウエルビーイングという、教育再生実行会議のほうで示されましたけれども、概念としては私も同じだと思っています。いわゆる個の幸せと集団、社会の幸せ、その実現に向けて、その構成員である一人一人がしっかり努力をしていくという今回の意味合いです。
幸せというのは人によって捉え方はいろいろあって、お金をもうけることを幸せと考える人もいれば、地位、名誉を得ることを幸せと感じる人もいる。いや、そうじゃなくて、人のために、世のため社会のために何か役立つことを幸せと感じる人もいる。その幸せ、一人一人がどう感じるかは一人一人の問題なので、我々は全くそれを問うことは考えていませんが、しかし、幸せというのは一人一人が生きがいを持って生きていくこと、そういうことが幸せになるんだろうなと、私は同義語に近いと考えています。
現在の
ビジョンでも、人は生きがいを持って生きていくということは実は記載をしているんですけれども、というふうに考えると、現在の
ビジョンとその根底は私は大きく変わっていない。つまり、一人一人が生きがいを持って、そして何かしら人のためや社会のために役立つようなことに自分の能力を生かしていく、まさにこれが生きがいになり、それがその人、社会の幸せにつながっていく、私はそんな意図で今回の「しあわせ」という言葉を受け入れているところでございます。
◆
渡辺富士雄 委員 幸せの価値観というのはなかなか難しいものがありますし、それが押しつけであってはならないというふうに思っております。そういう意味で、この言葉、非常に違和感を感じたんですけれども、「みんなのしあわせを創る杉並の教育」というのは非常に上から目線な感じもあるんですね。何でこういう表現になったのか、その意図というんですかね、その辺のことを伺います。
◎
庶務課長 このフレーズに決まった過程におきましては、委員からも御指摘ありましたけれども、実は、杉並区が幸せにしてくれるのといったような受け取られ方をされるのではないかという議論もございました。そういう議論の中で、この
ビジョンは、区に何かをしてもらうということではなく、大人も子供もみんなが
当事者となってこれから10年つくっていこう、学び合い、教え合い、支え合う、何々し合うということを基本として書かれているということ。そういう意味で、この「みんなのしあわせを創る杉並の教育」というフレーズには、みんなの幸せをみんなで、みんながつくる杉並の教育という、みんなで、みんながという趣旨が入ってございます。みんなでつくる、みんながつくるというものを加えたほうが分かりやすいのではないかという御意見もありました。審議の過程においては、シンプルなほうがよい、また、そうしたことを一人一人が考えていこうという趣旨から、このようなフレーズになったところでございます。
◆
渡辺富士雄 委員 分かったような分からないようなですね。
全然違うんですよ。みんなの幸せをみんながつくるという言葉を入れることでまたこの言葉が生きてくるので、何で短くしたのかなと正直思ったところです。
もう一つは、語呂というか、前の
教育ビジョンの目指すべき教育、「共に学び共に支え共に創る杉並の教育」というのは、言葉のインパクトというんですかね、韻があって非常に覚えやすいし、キャッチフレーズとしては、そういう意味では非常に秀逸な言葉だったのかなと思いますけれども、今回の「みんなのしあわせを創る杉並の教育」というのは、なかなか言葉にして言いづらいというか、もう少し、キャッチコピーというんですかね、看板になるところの言葉の韻だとか、そういうところも少し研究してほしいなと正直思ったところです。これはこれから変えることも多分できないんでしょうけれども、もし次にそういうことがあるのであれば、そういう印象に残る言葉の使い方をぜひメインのキャッチとしては入れていただければというふうに思います。
次に、ざあっと見て、今までは個に対して焦点を当ててきました。それをどう支えていくか、それが2012だったというふうに思うんですけれども、今回は全員でということなんですけれども、ずっと読んでいくと、これは教育なのかな、福祉なのかな、まちづくりなのかな、全ての要素ががさっと入っている感があるんですね。そうすると
教育委員会だけの話ではない。生涯教育のところもあるんですけれども、どっちかというと
学校教育のほうがメインで
教育委員会というのはあるのかなというイメージがあったんですが、同じ比重になってくる。そこには当然福祉なんかも完全に含まれていますし、社会に出て頑張れよとなると、
自分たちのまちに行くのであれば、これはまちづくりにもつながっていきます。この辺の
考え方というんですかね、もし整理していただけるのであれば、お願いしたいと思います。
◎
庶務課長 確かに
学校教育が基本となりますけれども、この議論の中では、人生100年時代を迎えるということで、
学校教育で学んだことだけではなくて、生涯にわたって学び続ける力が必要であるということで、その中で
学校教育だけではなく
社会教育、生涯学習に及び、区民一人一人が教育の
当事者になって教育を支えていこう、またそれによってみんなで幸せな杉並をつくっていこう、杉並の教育をつくっていこうということで、
学校教育だけではなくて、人生100年時代を見据えて検討した内容となっているところでございます。
◆
渡辺富士雄 委員 いや、そうではなくて、要するに教育だけにとどまらない、福祉的な分野にも踏み込む、まちづくりの分野にも踏み込んでいくという、
教育委員会の範囲を超えた中でこの
ビジョンがつくられているのか。
基本構想の中に当然包含されていくのであれば、
教育委員会だけで進めていくものでもない。これから推進計画をどういうふうにしていくのかというところが非常に興味深いんですけれども、その辺をどういうふうに考えていくのかという話です。
◎
教育委員会事務局次長 御指摘いただきましたとおり、この
ビジョン、これから杉並区をどういうふうにつくっていくか。共生社会を目指すですとか、当然、福祉的な分野に関わるところも密接に関わってきます。そうした中で、今後
社会教育士を、教育だけではなくて全体的な福祉の分野、様々なところにつくっていく。そういった形の中では、全庁挙げて、教育というくくりはありますけれども、様々な区のほかのところとも連携しながら杉並区を
当事者としてつくっていく、そういうスタンスに立ってつくっておりますので、その中で教育をどうしていくか。当然のことながら、連携していくべきところは、区長部局、ほかの部門ときちんと連携していきながらつくっていく、そういう方向でこれから推進計画のほうをつくっていきたいと考えております。
◆
渡辺富士雄 委員 その辺、本当に分かりづらいというか、なかなか難しいところでありますし、学校が福祉の分野に踏み込んでいくというのは、非常にリスクも高いのかなと正直思っていますけれども、ぜひ、その辺は区長部局と連携しながらやっていただければと思います。
ちょっと気になる言葉があります。「学びの成果を贈り合う」という、これ、たしか原案では「学びの成果を分かち合う」というふうになっていました。この「贈り合う」、贈物の「贈り」ですね。この辺の言葉、なぜこういうふうに変わってきたのか、どういうふうに使っていくのか、どう考えていくのかというのを伺います。
◎
庶務課長 そこのところも
審議会でかなり議論があったところでございます。また、「贈り合う」と漢字を使っているんですけれども、「学びの成果を贈り合う」は漢字を使っていまして、「思いをおくり合う」は平仮名を使っているというところで、まず「学びの成果を贈り合う」のほうでは、学んだ成果をプレゼントするとかギフトの意味を込めてこういう漢字を使おうというふうな議論になったところでございます。また、「思いをおくり合う」ほうにつきましては、プレゼントする、贈呈だけじゃなくて送付するというふうな、両方の意味を込めてあえて平仮名にして、多義的な意味も持たせたいということで、ここは2つ分けているというふうなことで議論がされたところでございます。
◎
教育委員会事務局次長 ちょっと補足させていただきます。
「分かち合う」を「贈り合う」に変えた。「分かち合う」という言葉については、一あるものが半分とかに減っていく、「贈り合う」ということはそれが増えていくというようなこともあって、「分かち合う」ではなくて「贈り合う」のほうがいいのではないか、それをギフトといった形で贈り合う、そういったことから変わっていったという経緯がございます。
◆
渡辺富士雄 委員 なかなか「学びの成果を贈り合う」というのがイメージが湧きにくい。これを推進計画にどういうふうに落とし込んでいくのかなというのがちょっと……。まあ、後の楽しみであると思います。
最後になりますけれども、2018年、Society5.0に向けた学校ver.3.0の話がありました。その辺の匂いが若干はありますけれども、なかなかこの中にはそんなに入ってきてないんですね。それはまた多分推進計画の中でいろいろやっていくというふうに思いますので、後ほどの話としますけれども、
方向性の中で、これまでGIGAスクールも含めて、ICTの話をしてきました。下から4行目かな、「一人ひとりの状況に応じた学びや探求を支えるICTの効果的な活用を図ります。」、この1行で終わっているんですね。今回、
基本構想も含めて、区側はICTというかデジタル化をど真ん中に置いて、それをやっていこうという話の割には、概論的な話が多い中で、ちょっと薄い話なのかなと。もっと言うと、やや時代遅れな表現なんですね、ICTを活用するとか。世の中はもうDXというデジタルトランスフォーメーションの中にあって、そういう言葉を入れたほうがいいというふうには思いませんけれども、せめて、もし専門的な話を分かる人間がするならば、ここにデジタル化という言葉が必要なのかなと、並列で。合わせてDXというんですけれども、ICTとデジタル化はまた違うんですね。例えば教科書がデジタル化していく。今までアナログだったものをデジタル化していくという意味と、もう一つは、デジタル化の技術やデータを基にして新しい価値を創造するというのがデジタル化という、その意味もありますので、そういう言葉のチョイスというんですかね、もう少しここはその辺考えていただいて、10年を見通すなら、ストレートに教育DXぐらいうたってもいいというふうに思ったんですが、その辺について伺います。
◎
庶務課長 ここはあくまでも行政に求める取組の
方向性ということになっておりますので、具体的な
行動計画の中で、そちらについては推進計画になりますけれども、そこで反映させていきたいなというふうに考えているところでございます。
◆
渡辺富士雄 委員 いや、そんなことは分かっているんですね。要するに、言葉の使い方がもう時代遅れだという話をさせていただいているわけです。だから、しっかりその辺を意識した言葉を、少なくとも教育であるならば、ちゃんと使ってくださいよということです。
あと1点だけ。1つ指摘させていただきます。もしこれが変わらないんだったらちょっとあれですけれども、「身近な学校や
社会教育施設を生かしながら、豊かな学びや文化等に親しめる『学びのプラットフォーム』として」ということですね。これ、この間ちょっと話をさせていただきました。意味が少し通じません。よく見たら、原案のほうははっきりと、施設とか学校がそのプラットフォームとなるというふうに明言されているんですけれども、これが「生かしながら」となると、プラットフォームが一体何なのかというのが分かりませんので、ここは修正をしたほうがいいと思いますが、いかがでしょうか。
◎
庶務課長 そちらについては検討させていただきたいと思います。
◆くすやま美紀 委員 今回の
ビジョン案は、区民、学校関係者、学識経験者などの委員の方々による杉並区
教育振興基本計画審議会が7回の審議を通じて策定されたということで、関係者の御努力に敬意を表したいと思います。今回の
ビジョン案では、特に目指す
人間像を定めるのではなく、大切にしたい教育ということを掲げたことについて、これは重要と思いますし、私も共感するところです。
まず、基本問題から確認したいと思います。それは、この
ビジョンがどのような性格、目的を持った文書なのかということです。説明では、
教育基本法第17条に基づく杉並区の
教育振興基本計画とのことです。
教育基本法の条文では、「当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう」というふうになっています。この
教育ビジョンは、教育の振興ための施策に関する基本的な計画という性格、目的を持った文書ということを確認したいと思いますが、そういうことでよろしいですね。
◎
庶務課長 そのとおりでございます。
◆くすやま美紀 委員 次に確認したいんですけれども、この
ビジョンに基づいて具体的な推進計画を策定することになるわけですよね。この
ビジョンをつくるに当たって、今の杉並の教育の状況、そういった現状をどう分析しているかということが重要だと思うんですが、この
ビジョン案では、そうした現状分析は見当たらないように感じます。その点については
審議会でどのような議論がなされたのでしょうか。また、そうした現状分析については、
ビジョン案には盛り込まれなかったのでしょうか、お伺いします。
◎
庶務課長 審議会メンバーの中には、学校関係者、
社会教育関係者も入ってございます。また、
審議会では区民の意見も取り入れたいということで、
シンポジウムを行ったり
区民アンケートを行い、そのような意見も踏まえて
審議会で議論いただいたところでございます。
◆くすやま美紀 委員 ですから、聞いているのは、今の教育の現状をどう分析しているかということについてどういう議論がなされたのか、なされなかったのかという辺り、それから、その分析については
ビジョン案には盛り込まれていないようですけれども、どうしてかということを伺っています。
◎
庶務課長 こちらにつきましては、今後10年を考えたときの
ビジョンを検討いただくということで行っておりますので、現在の状況についても御説明した中で、今後10年を御検討いただいたというふうな
位置づけでございます。
◆くすやま美紀 委員 どうも答えていただけないようなのですけれども、私としては、現状分析というものが見当たらないというふうなことはちょっと指摘しておきます。
それで、本来、この
ビジョンを見れば、今後の具体的な
方向性、どういった点を強化していくべきかなどが分かる文書であるべきだというふうに思うんです。しかしながら、この
ビジョン案を読みましたけれども、
学校教育における今後の計画の
方向性とか強化方向をイメージすることが、私自身は非常に困難でありました。
例えば、
ビジョン案の第2章で「一人ひとりが教育の
当事者として心がける視点」というふうにあり、5つの心がける視点を記述しています。この記述も、施策に関する基本的な計画というよりも、区民への呼びかけという記述であり、かつ理念を示したものだと思うんですね。理念は重要ですけれども、その理念に基づいて具体的な
方向性が示されるべきだと思うんです。そうした
方向性が示されていないと感じるんですけれども、いかがでしょうか。
◎
庶務課長 もともとがこの
審議会において、どのような
ビジョンをつくっていきたいかというところで、行政が行う
ビジョンではなくて、区民一人一人が教育に携わり、教育の
当事者となるような
ビジョンをつくれないかということで議論されたところでございますので、行政がこういうことをするというのはあくまでも取組の
方向性だけを示すというところで、あえてそういうふうな形の
ビジョンになっているところでございます。
◆くすやま美紀 委員 次に、この
ビジョン案の作成の過程に関して伺います。
審議会の資料を読ませていただきました。それによりますと、小中学生に
アンケートを実施しております。小中学生の
アンケートの結果からどういったことが浮き彫りになり、この
ビジョン案にどのように反映されたのでしょうか、具体的にお答えください。
◎
庶務課長 小中学生からも多くの意見をいただいたところでございます。そうした中で、今回の特徴となっておりますけれども、
子供たちからいただいた思い、言葉を、また
教育ビジョンが中学生にもなるべく読みやすいような表現にしようということと、いただいた言葉をなるべく
ビジョンの中に入れていこうということで、かなり
アンケートからいただいた言葉、思いを直接
ビジョンの中に反映させているところでございます。
◆くすやま美紀 委員 私も
アンケート結果を見ました。それでは、通学している学校に関する質問は3問で、ほかの質問は、住むまちの現状やまちの将来像、まちのためにできること、自分の将来像、さらに、頑張ろうと思える一言はなどというものです。私は、こうした設問ではなく、授業についていけているのかとか、分からないときに質問できるのかなどといった学校生活についての思いや悩みをもっと聞くべきだったのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
◎
庶務課長 自分の学校、どんなところが好きかとか、困っているところはとか、どのような学校をつくりたいですかとか、将来のこととかを聞いていますので、また子供からは、楽しく勉強できる学校、いじめやけんかのない学校を望むという意見が多く寄せられているところでございますし、幅広く御意見はいただいているところではございます。
◆くすやま美紀 委員 関連して、質問3−2で「学校で嫌なことや困っていることはありませんか。」という質問があるんですけれども、それに対して回答の大多数が「回答なし」ということが私はとても気にかかりました。他の質問には回答しているのに、小学校1年から6年生の大多数が「回答なし」ということで、「特にない」とか「ありません」という回答は僅かでした。この回答結果を区教委としてはどのように受け止めていらっしゃいますか。
◎
庶務課長 それ1つじゃなく、全体としてどういう
アンケート結果があったということも、
審議会の皆様には全部
アンケート結果を出して御議論いただいているところでございます。
◎
教育委員会事務局次長 ちょっと補足させていただきますけれども、ここのところで、将来的にどういう区にしたいか、どういう学校にしていきたいかというのを主眼として書いている中で、学校で嫌なこと、困っていることがないか、その中で将来的に向かって現時点であまりない。回答がないということは、今きちんと学校の中でやられていることが多くて、それほど困っていることが少ないというふうにこちらのほうは認識してございます。
◆くすやま美紀 委員 本当に困っていること、嫌なことがなければいいんですけれども、そうしたことを書くことにためらいがあって書かなかったというようなことがあってはならないと思いますので、これをもって特に悩みを持っている子はいないんだというふうには受け止めてもらいたくないなと思います。
さらに、困っていることについて、具体的な記載は少ないんですけれども、区教委がどのように受け止めているかということが重要だと思うんです。例えば、「嫌な言葉を言われる」「マラソン大会はなくしてほしい」「ルールが多すぎる。可愛い文房具など持っていきたい」「持ち物におかしな指定がある」「文房具をシンプルじゃないとダメはやめてほしい」とか「校則(自分の好きな筆箱とかにできないのは少しショック)」だとか、またマラソンのこともあって、「マラソン(順位が決められるのが一番嫌)」だとか、こういった記述がありますね。「暴言などがある。もっと注意してほしい。」というようなものがあります。こうした意見をどう受け止めてこの
ビジョン案に反映したのかというところを伺います。
◎済美教育
センター所長 子供たちの様々な声というのは、
アンケートだけではなくて、学校のふれあい調査だとか、様々な形で学校のほうはキャッチしております。そういったことを、学校の代表もこの
審議会のほうには参加しておりまして、そういった中で様々な意見が交わされたところです。今回、
当事者として心がける視点の一番最初に「
子どもの思いを尊重する」、まさにこれなのかなというふうに思っています。さらに、違いを受け入れたり対話を大切にする、そういったことで、
子供たちの様々な悩みや様々な声を学校とともにいろいろキャッチする、共に考える、そういった姿勢がこの
ビジョンには反映されているというふうに考えております。
◆くすやま美紀 委員 次に、少し具体的な問題について伺っていきたいんですけれども、
学校教育の理念として、児童生徒一人一人の状況ですとか個性を尊重して、画一的ではなく、一人一人に寄り添った教育の実現が求められていると考えますけれども、区教委はどのように認識していらっしゃるでしょうか。杉並区では十分それが今達成されているという認識でしょうか。
◎
教育長 おっしゃるとおりです。そのとおりで、一人一人の子供の思いをもちろん実現するようにしていくのが
学校教育であると私は考えています。しかしながら、子供の思いや、特に未成年の場合は保護者の思いというのは多種多様で、価値も本当にたくさんありますので、なかなか全ての
子供たちの、全ての保護者の願いや思いを100%実現するというのは現実的には不可能であります。しかしながら、一人一人の
子供たちの思い、それから保護者の思いを尊重していこうという意思は、私たちがここの
ビジョンに示したとおり、持っていかなければならないと思っています。
学習に関しても、今、個別最適な学びというのが言われておりますが、今回タブレット導入を機にというんですかね、これまでもやってきてはいますが、しかしながら、学びというのは、勉強というのは、学校の先生から教わるものとか、そうしたいわゆる固定観念ではなくて、
自分たちで学んでいく、そして教師がそれを支援していく、教師だけでなく大人が支援していく、大人だけでなく友達も支援していく、みんなでつくり上げていく、そうした意図での今回の
ビジョンになっておりますので、決して画一的にどうのこうのとか、そういったことは考えているものではありません。
◆くすやま美紀 委員 今の区教委の認識を伺ったところであります。それで、一人一人の児童生徒に寄り添った教育、尊重していこうという意思があると。それは私も、区教委はそのような意思は持っていらっしゃるんだというふうに思います。それを具体的な形に、施策にしていくことが重要だと思うんですけれども、1つ伺いたいのが少人数学級のことについてなんですね。一人一人の
子供たちに寄り添いたい、意思を尊重していきたい、それが100%実現できるかどうかは別としても、寄り添った教育ということに関していえば、少人数学級ということがどうしても私は推進していかなければならないことだと思うんですけれども、そういった議論などはこの
審議会の中でなされたのかどうか、いかがでしょうか。
◎教育政策担当部長
審議会の中で学級の人数といったところについて特に議論ということはございませんでした。ただし、一人一人の思いを尊重するといったところはこれまで以上に大切になるといった審議はあったかというふうに思っております。
◆くすやま美紀 委員 なぜ私が30人以下学級、少人数学級について言及したかというと、今回の
ビジョン案では、SDGsを引いて、誰一人取り残さないということを強調されているわけですよね。誰一人取り残さないというのであれば、一人一人に目が行き届く少人数学級をぜひ実現していっていただきたいなという思いから質問させていただきました。
それで、30人学級、少人数学級の推進については、区教委としては今後の教育の推進ということではどのように、私たちは、従来言っていますとおりもっと少人数学級を推進せよということなんですけれども、区教委はどう認識しているのか。杉並では現状で30人程度学級というのもやられていますけれども、現状を維持していく方向なのか、今後の少人数学級の推進の
方向性について伺って、一旦質問を終わります。
◎教育人事企画課長 学級の人数のことにつきましては、国のほうも35人という基準を設け、本区がこれまで行ってきた30人程度学級と同様な形をこの後数年かけて実施していくということになっておりますので、人数に関しては、現在のところ解決できているものというふうに考えております。
◆佐々木千夏 委員 区の
教育ビジョンに対し、区民の方からいろいろと御意見をいただいております。「みんなのしあわせを創る杉並の教育」とありますが、この「みんなのしあわせを創る杉並の教育」は平和教育が土台となるべきであり、これが必要ではないか。また、アンネのバラですとか、こうした区固有のものをぜひ教えてほしいという声がありまして、他区から引っ越しされてきた方は、私は高円寺なので、高井戸にあるということを初めて知りましたというお声もいただいております。こうしたことは盛り込まれないのでしょうか。
◎
済美教育センター統括指導主事(佐藤) 委員が御指摘ありました平和教育につきましては、現在実施している学習指導要領のとおり今後も実施していきたいと考えているところでございます。
◆佐々木千夏 委員 拝見して、よくできているとは思います。でも、御意見をいただいた方からは、ちょっと分かりにくいのではないか、平和教育が土台になるべきではないか、ぜひ盛り込んでいただきたいという御希望を種々いただいておりますので、要望いたします。
以上です。
◆そね文子 委員 まず、数回の議論をしていただいてこの
ビジョンをまとめられたことに敬意と感謝を表したいと思います。
これまでの
教育ビジョン2012はどのように総括とか分析されているのか、伺います。
◎
教育委員会事務局次長 こちらの
ビジョンの冒頭の1ページのところにも書いてございますけれども、現在の
ビジョンの下で、生涯にわたって共に学び、明日の杉並をつくり出せるように、学校の関係者とか様々な人が、ほかの自治体にも先駆けていろいろ、学校支援本部ですとかCS、様々な人が関わって、そういう地域の人が関わってくるというのが十分育っているというような認識で、それをさらに進めて、今後全ての人がそういう
当事者となっていきましょうというような形で総括されております。
◆そね文子 委員 本当に、いろいろな地域の方が関わって教育をつくっていくということは、杉並に大変根づいているというふうに私も思います。その上でまたこの次があるということですね。
「策定にあたっての基本的な
考え方」で「目指す
人間像を定めるのではなく、」というふうにした点については、私も大変共感しました。こういう
人間像が示されていることで、それになれない自分を駄目だと思ってしまったりというような負の面もあったのかなというふうに思いました。
この
考え方なんですけれども、
審議会の話合いから出てきたのか、それとも事前にこういう
考え方があったのかということを確認します。
◎
庶務課長 これはあくまでも
審議会の議論の中で出てきたものでございます。
◆そね文子 委員 この
教育振興基本計画をつくるに当たって今回の
審議会メンバーは招集されたということなんですよね。学識経験者にも多岐にわたる様々な経験の方が入っているというふうに感じましたが、どのような考えでどのようにお引受けいただいたのか、少しお伺いします。
◎
庶務課長 学識経験者につきましては5名ということで、就学前から
社会教育まで幅広い分野の方にまず御参加いただいて、専門的な見地から御議論いただきたいということと、その方につきましても、できるだけ杉並のフィールドで活動してきた方を選んでいるところでございます。また、
学校教育、
社会教育の関係者については、まさに地域で実践されている方という形で御参加いただいたところでございます。
◆そね文子 委員 私も、1回目の
審議会の議論で
皆さんの経験とかいうところをちょっと見せていただいたんですけれども、非常にすばらしい方々で、杉並区での経験もお持ちの方々がお引受けいただいているなというふうに思いました。
私、ずっと不登校のことは気にしているんですけれども、現在も小中学校合わせて大体600人ぐらい不登校の
子供たちがいると思うんです。この子たちを、学校だけでなく
社会教育分野でも支えていこうという考えが大切だと思っているんですけれども、そのような点についてどのような話合いがあったのかということと、また、この
ビジョンに何か反映されていることがあれば教えていただきたい。
◎教育相談担当課長 この新
教育ビジョンにつきましては、一人一人を大切にするという考えがしっかりと盛り込まれております。これまでも、委員がおっしゃるとおり、不登校に対して、学校だけでなく社会全体で育てる、そういった考えに基づいて、例えばフリースクールとの連携等にも取り組んでおります。学校に復帰するという目的だけではなく、社会的な自立を養うという観点でこれまでも対応しております。この新
教育ビジョンの考えは、そういった対応を力強く推し進める考えだと認識しております。
◆そね文子 委員 フリースクールとの連携とかいうのはこれまでもされてきたことは存じ上げておりますが、
社会教育分野の、また福祉的なところでも、居場所としてその子たちが過ごすような
考え方があったのかとか、そこら辺のところをお伺いしたかったんですが、そういうことがあれば教えていただけますか。
◎教育政策担当部長
審議会で例が出たわけではありませんが、私がこれまで経験してきた中でいえば、スクールソーシャルワーカーが不登校の子を社会につなげるといった意味で、趣味の、例えば囲碁サロンとかそういったところにつなげて、社会に出る一歩をつくったといったことはございました。こういったことは区民の力だというふうに考えております。今回の
ビジョンによって、より広がっていくといいなというふうに感じております。
◆そね文子 委員 私も本当にそういうふうに、みんなで教育の機会とか支える機会になっていければいいなというふうに思っています。ぜひ期待したいと思います。
策定に当たって特に
子供たちの声を聞き取ったとあって、大変重要だと思うんですが、全ての学校で今
教育ビジョンをつくっていますよということが共有されて、それでそれに参加するというようなことがされたということなんでしょうか。
◎
庶務課長 アンケートにつきましては、昨年の12月4日から3月19日、ホームページと、今はなくなったんですけれども教育報をお配りして、そこで御意見いただけませんでしょうかということで御周知したところでございます。こちらについては、あくまで
ビジョンに反映させるためということで御意見をいただいたというところでございます。
◆そね文子 委員 学校で何かそういう話合いがされたとか、そういったことではなかったんですね。
◎
庶務課長 学校によってはそういう学校もあって、まとめて御意見をいただいたところもございます。
◆そね文子 委員 そういうのもいい機会になったかなと思います。
2ページのところなんですけれども、「一人ひとりが自分らしく生きるという、人としての尊厳を尊重するとともに、
多様性(ダイバーシティ)と
社会的共生(ソーシャルインクルージョン)を基本に据える必要があります。」とあって、大変共感するところです。区内でも何度も上映会が開催され、インクルーシブ教育というときに思い浮かべる大阪の公立の大空小学校、こちらで研究を共にされていた東京大学の小国先生が
審議会委員をされていて、杉並でも、障害がある子もそうでない子も共に同じ教室で学ぶということが、希望している方がいっぱいいらっしゃるので、済美養護学校もあるという中で、そちらはそちらで評価されているというふうには思っているんですけれども、インクルーシブ教育というのがより進むといいなというふうに考えますが、具体的なそのような話は
審議会でされたのでしょうか。もしされたのであれば、どういう話があったのか伺いたいと思います。
◎
教育委員会事務局次長 御指摘いただきましたとおり、大阪の例も出しながら、一緒にやっていくことが必要だという議論もある一方で、その人個人の特性に応じて必要なところに、例えば済美養護学校ですとか、そういうところでしっかりやっていくのも必要だ、いろいろな選択肢があって、
子供たち、保護者がそういうのを選べるようになっていけばいいなというような形で議論がいろいろ
審議会でされております。
◆そね文子 委員 両方を選べるようになるということが重要で、それが進めばいいなというふうに期待しています。
全体を通して、子供の権利についての議論があったのかというのを伺いたいなと思いました。
具体的に、4ページのところには「誰もが社会の創り手として生きる」というところがあります。「
子どもを含めた誰もが、よりよい社会とは何かを考え、みんなのしあわせを願いながら、共に創り、担っていくことが求められ」るというふうにあります。求められるという
言い方よりも、私は、子供の権利といった視点で考えたときには、子供も参加する権利があるというふうに言うと、よりいいんじゃないかなというふうな感想を持ちました。
5ページの「
子どもの思いを尊重する」というところですね。「
子どもが大人に思いを受け止めてもらえるという安心感を得られる環境をつくることが大切です。」こういうふうな
言い方になっているんですけれども、意見を言う権利がある、それをちゃんと聞いてもらう権利があるというようなことで、とかくこれまでの教育というのが、やらなければならないという義務の部分は多いんだけれども、なかなか権利という視点で教えられてきてないところがあるかなと思ったんですけれども、こういうところも、子供の権利というようなところで、また、こういうところを受け止めてもらえることで自己肯定感が高まるということがありますけれども、自己肯定感を高めるというのは、私も非常に重要だと考えていまして、子供の権利を教えるということで自己肯定感を上げることができるんじゃないかなというふうに、5ページのところで思いました。
あとは、6ページのほうなんですけれども、「社会を創る
当事者として考える」ということについても、子供の権利というのが、参加する権利、意見を言う権利、嫌なものは嫌と言う権利とか休息権利、遊ぶ権利など、こういうことを知ることで社会に参加する
当事者としての意識も育つと考えますが、この子供の権利を教えることについて意見が出たのか、どういう議論があったのかということを伺いたいと思います。
◎
庶務課長 そこのところはかなり議論がございました。そもそも
子どもの権利条約という言葉を入れようかどうかということの議論もございましたし、そのときに
審議会では、
子どもの権利条約、じゃ障害者の権利条約、そのほかにも国際人権規約や学習権の宣言とかいろいろなことがある中で、その表現をどうしようかということの議論もございました。ただ、
子どもの権利条約の
考え方につきましては、「
子どもの思いを尊重する」のところで含めていこう、意見表明権などの考えはこの
ビジョンの中に生かしていこうということで、そのような表現を含めて、子供の思いを尊重するとか、違いを認め合うとか、そういう言葉で生かされているところでございます。
◆そね文子 委員 そういう議論があったということは重要だと思うんですけれども、もう少し、より分かりやすい表現になるといいかなというふうな感想を持ちました。
あと、子供の権利ということについて非常に大切にしたいと思うんですが、これというのは大人も学ばないとその権利が生かされないとか、そういう環境があるので、そういうのを大人が学ぶという視点もどこかに入っているのかなということを伺いたいと思います。
◎
庶務課長 まさに子供の思いを受け止めるというところで、子供だけではなく、大人もそれによって変わっていきますよというところと、社会もそれによって変わってくるというところで、子供の思いを受け止めるというところで表現しているところでございます。
◆岩田いくま 委員 最初、プロセスに関して何点か確認して、その後、全体的なことを1点、最後に個別のところで1か所確認をさせていただきたいと思います。
まずプロセスなんですけれども、冒頭の御説明のところで、6月25日に答申、7月14日の
教育委員会というお話があったかと思います。最初にちょっと確認をしておきたいのは、
教育委員会、狭義の
教育委員会のほうに、
審議会の状況というんですかね、そういうのは最後にまとめてぼんと報告したのか、随時その時々の状況を報告するような形で進めていたのか、その辺、まず最初確認させてください。
◎
庶務課長 毎回の
審議会の内容につきましては、どのようなことが審議されてどのような意見があったということを、毎回それごとに
教育委員会では報告しているところでございます。
◆岩田いくま 委員 あと、区の公式ホームページのほうでも、
審議会から出された
答申案の状況のところは一応確認はできるんですが、最終的に答申として出された内容と、今日出てきているのは
教育委員会としての案ということになるかと思うんですけれども、答申と
教育委員会の案はどこか変わった部分があるのか、それともこの案はそのまま出されてきているのか、その辺をお願いします。
◎
庶務課長 変更はございません。
◆岩田いくま 委員 取りあえず答申をそのまま現段階では案としているということですね。
あと、プロセスのところで最後に、答申を受けたということは、既に
審議会のほうは設置条例自体が効力を失っているということかと思うんですけれども、そういうことでいいのかどうかがまず確認の1点目と、もう1点が、スケジュールは示していただきましたけれども、今後の
パブリックコメントの実施だとか反映、こういった以降のプロセスは
教育委員会として対応していくということでいいのかどうか、この2点、確認します。
◎
庶務課長 審議会の役割につきましては答申までということですので、答申をいただいて
審議会としては終わっているということです。また、今後につきましては、
教育委員会として全て対応していくという形でございます。
◆岩田いくま 委員 承知いたしました。
では、次の全体的なことに行きたいと思います。
全体を読ませていただいてのところで、1点だけなんですけれども、現在とか今後の時代状況、社会状況というものを踏まえて、一人一人がどのように社会、世界と関わってよりよい人生を送るのか、学びに向かう力を育んでいくのかというような視点は十分に私は感じました。
一方、大人と子供の関係だとか、先生と園児、児童生徒との関係、こういったところにおける大人や先生の責任、成長を支えていく立場としての責任、こういった視点というのが率直に言ってちょっと弱いんじゃないかなとは感じました。現在の
教育ビジョン2012ですと、この視点も明示されていると思います。具体的には、12ページのところに「人間は一歩一歩階段を上るように成長していきます。その成長を支えていく立場の人は、成長の見通しを持ちながらも、根気強く現在の発達段階に応じて順序立てた指導を行っていきます。」と。今回の
ビジョンの案に出てくるような子供の思いを尊重し対話を大切にする、これはもちろんのことだと思います。なんですが、成長を支えていく立場の責任といった視点がしっかり読み取れないと、子供を指導できない、叱れない、場合によっては叱らない社会、こういうものになってしまうのではないかという危惧も私はちょっと感じました。叱ると怒るの違いだとか、最近では叱るんじゃなくて伝えるんだ、そういった意見もあるようですけれども、こういった私が感じた危惧に対する見解をお伺いしたいと思います。
◎
済美教育センター統括指導主事(佐藤) これまでも、教師が指導に当たっては、一方的な指導、また感情的な指導にならないように心がけ、
子供たちの気持ちに耳を傾け、そして心を傾けて、子供の思いを丁寧に聞き取ることが大切であると考えております。
教師が子供を指導するときですが、教師が子供の思いを尊重することはより効果的な指導につながるものであると考えています。このことこそが教師として
子供たちの成長を支えていく立場の責任であるとも考えます。また、子供にとっても、教師が自分の思いを大切にしてくれている、また尊重してくれているという思いは信頼関係に
つながり、指導が浸透するということも考えております。
◆岩田いくま 委員 今、教師、先生と子供の関係というところでは御説明をいただいて、今回の新しい
ビジョン案のほうでも、「
子どもの思いを尊重する」というところの最後に「次代に対する責任感を一層高める機会となります。」というふうにも書いてありますので、別にそういった視点が全くないと思っているわけではないんですが、私も結構学校の現場にも行っているほうだと正直思いますけれども、今先生の例でお話しいただいたように、子供の思いをしっかり受け止めてというのがまずないといけない、それはそのとおりだと思うんですよ。ただ、受け止めているだけだと、大人の責任としてはそれだけじゃ十分じゃないと私は思っています。なので、難しいんですけれども、これだけの分量の中で一番表に出したいことを打ち出しながら、そういった視点をどうやって盛り込めるのかというのは、私も、じゃ、どう書けばと具体的にまでは言えないんですが、そういった子供の成長を支えていく側の責任というものが希薄にならないようにはしていただければなというふうに思っております。
最後、個別のところ、1か所だけ行きます。4ページの1つ目、「学び合い、信頼をつくり、共に生きる」、これの2段落目のところです。
基本構想のほうの案の審議でもうちの会派としては取り上げているところなんですが、第6回の
審議会で示された原案だと、「年齢、性別、障害の有無、人種、思想・信条等にかかわらず、」という表現になっていたかと思います。それが第7回
審議会で示された案ですとか、あと本日の案ですね、変わってないということですので、こちらだと「国籍、年齢、性別・ジェンダー、障害の有無等によるちがいや特性にかかわらず、」というように変更になっております。参考ながら、
基本構想の案のほうだと「国籍や性別、年齢や障害の有無、性的指向や性自認等に関わらず、」と、こんな感じになっております。第6回の原案のところから今回の本日の案のように変更となった理由なり経緯、この辺の説明をお願いします。
◎
庶務課長 審議会の
牧野会長と
大竹委員は
基本構想のほうの
審議会委員も兼ねていますので、
基本構想のほうで審議がございましたので、そちらの審議の内容を踏まえてこちらのほうも変更したような経緯がございます。
◆岩田いくま 委員 あと、今の案のところで「性別・ジェンダー」というふうになっているんですけれども、このジェンダーの意味するところはどういったものなのか。
◎
庶務課長 社会的、文化的につくられた性別というふうな形で認識しているところでございます。
◆岩田いくま 委員 調べるとそういう形で出てきますよね。
ここは意見としますけれども、私は、記述レベルをそろえるという視点から、
基本構想のほうでも言ったんですけれども、
ビジョンも、ベストは「性別」ないしは「性別等」というところだと思っております。ただ、
基本構想案と比べれば、今回のこの
教育ビジョン案の表現のほうがいいというふうには思っております。ということを政策経営部長や企画課長にもお伝えいただければと思います。
以上です。
◎
教育長 先ほどの大人の責任ということで、我々は決して大人の責任をないと言っているわけではなく、これは御理解いただいていると思うんですけれども、みんなの幸せと言いながら、つまり、責任が半分や3分の1になったみたいな、そんなイメージも持っていないんですね。当然ながら、
子供たちを導いていくときには、先に生きた者、いわゆる大人や年長者が、いろいろな価値だとか生き方だとか、こういうのを示していく。背中をもって示したり、言葉で示したり、いろいろな方法があると思うんですけれども、これは絶対必要だと思っています。教育である以上、使い古された言葉ですけれども、教と育があるわけであって、教という教える部分と育という育てる部分、このバランスというのは絶対大事である。
しかしながら、これまでをちょっと振り返って、例えば学校で先生方が子供を叱るときに、例えば理由も背景も何も問わずに、その行為だけをついつい叱ってしまったりとかいうことがなかったかというと、もしかしたらあったかもしれない。これは家庭でも同じ。どこの環境においても、そうした大人が子供の思いを尊重していくことが大事だというのは、今回の
ビジョンに示したところでございます。ですので、当然ながら、そこに教育に関わる大人が
子供たちを導いていく責任は十分感じながら
ビジョンを進めてまいりたいなと考えております。
○
脇坂たつや
委員長 それでは、一巡しましたので、再度質疑のある方は挙手願います。
◆くすやま美紀 委員 では、先ほどの続きですけれども、教員の状況と
ビジョンの
方向性について伺いたいと思います。
第3回の
審議会の中で、会長が教員の多忙について発言しております。紹介しますと、学校はある意味では福祉的なものまで抱え込んでいる面が多分にあり、貧困とか様々な格差の問題を一手に引き受けている、その中で、先生方が本来しなければいけない仕事、子供に向き合って教育の専門職としてきちんと役割を果たすこと、このことがしにくい状況だと思います、先生が生き生きと活躍できる場所に学校をしていく必要があるのではないかという発言です。
そこで伺いますけれども、この
ビジョン案では、こうした現状、問題提起についてどう応えていこうとしているのでしょうか。
◎教育政策担当部長 これまでも、これまでの
ビジョンで「共に学び共に支え共に創る杉並の教育」といった中で、学校も各関係機関との連携というものを強めながら、福祉にも様々な支援を得ながら問題解決をしてきたといった経緯がございます。今回
ビジョンにおいて、区民全体でといったところに重きを置いております。福祉も、様々な役割を持った方々が協力しながら、学校だけでは解決できないというものにより協力してもらう体制が整っていくものというふうに考えております。
◆くすやま美紀 委員 この
ビジョン案に、そうしたことがもう少し具体的に伝わるような表現がないなと。表現といいますか、そうしたイメージできるものがちょっと弱いように感じているんです。この点では、先ほど連携を強めてということがおっしゃられまして、そのようにされてきていると思うんですけれども、さらにもっと進めていく必要があると思います。先生以外の多くの専門職員の配置ということで、スクールカウンセラーですとか心理士とかスクールソーシャルワーカー、そういった適正配置の要望などがPTA連合協議会などからも出されていると思うんですね。そういった増員の
方向性は検討課題だと思いますし、そうしたことをこうした
ビジョン案に盛り込むというような議論はされなかったのでしょうか。
◎
教育委員会事務局次長 冒頭
庶務課長のほうからも御説明いたしましたが、こちらの
ビジョンというものは、どちらかというと、行政側からこういうことをしていくと押しつけていくものではなくて、みんなの
ビジョンとして区民一人一人がこういうことをやっていこうねというのを前提としてつくっていくというような形になっております。そして、そういったことから、例えば権利も、こういう権利がありますということじゃなくて、必要なことはこういうことですよねと
皆さんに訴えかけるような形になってございます。ただ、そうしたことを生かしていくことは具体的な推進計画のほうに進めていくということで、取組の
方向性のところでは、誰一人取り残されない学びをきちんとしていく、そのためには必要な人員はきちんと配置していく、そういったことは推進計画の中でしっかり書き込んで進めていきたいと考えております。
◆くすやま美紀 委員 みんなに呼びかける、訴えるものだということのようなんですけれども、そういった理念とか呼びかけはもちろん否定するものじゃないんですけれども、
教育ビジョンというものが、冒頭申し上げましたように、教育の振興のための施策に関する基本的な計画という性格を持ったものでありますよね。ですので、その辺をもう少し私はイメージできるようなものにしていただきたかったなというような、ちょっと感想といいますか、思いがあります。
先ほど来、子供の思いを尊重するということで、これは
ビジョン案とはちょっとかけ離れるかもしれないんですけれども、先ほど
アンケートの声をちょっと紹介しましたよね。私、今回の
アンケートを読んで、意外というかちょっと驚いたのが、文房具がシンプルなものじゃないといけないと。知り合いのお子さんを持つ人に聞きましたら、キャラクターが描いてあるような筆箱を持っていっちゃいけないとか、そういったことがあるというのを聞いてちょっと驚いたんですけれども、そこまで何で規定されているのかなと。キャラクターが描いてある筆箱が駄目だというのはちょっと驚いたんですけれども、そこまで別に縛る必要はないと思うんですね。そうした出された
アンケートの声にどういうふうに応えていくか。思いを尊重するというんだったら、その辺の思いをどのように尊重していこうとしているのかなというのがすごく疑問といいますか、区教委の思いというか、今後のこの
アンケートの声に対する回答といいますかね、どういうふうに応えていこうとしているのかなというのを、その点を参考にお聞きしたいんですけれども、いかがでしょうか。
◎
済美教育センター統括指導主事(佐藤) 委員御指摘ありました今の校則に関しましては、ブラック校則とかいう話題にもなっておりました。
教育委員会のほうでも全校の校則というか決まりを集めたところです。やはり見直すべき点等は何か所かあります。例えば靴下の色が決まっているだとか、持ち物もいろいろ決められています。学校として秩序を守るためということもありますけれども、これにつきましては、
子供たちがそれについて考えて、こういうふうに変えていきたい、この意味を考えながら、生徒総会等でも議論になっているということを聞きます。また、いろいろな学校で、中学生らしいという言葉ではなくて、生活にふさわしいものを持ってこようとか、学習にふさわしいものにしようということを自ら取り上げながら校則を変えていっている学校も多数あります。また、それらにつきましては、生活指導主任会等でもこちらから伝えておりまして、各学校でも見直しのほう、取り組んでいる現状でございます。
◆くすやま美紀 委員 ぜひそうした見直し、何だかちょっと理不尽な校則といいますか決まり事があるようで、前、都立高校のツーブロックの髪型の問題を我が党の都議会議員が都議会で取り上げて、大分反響がありましたけれども、杉並区の区立中学校でもツーブロックを注意されたというような知り合いのお子さんがいて、やはりといいますか、杉並の中学校でもそうしたことがあったんだと驚いたんですけれども、見直すべきものは
子供たちと一緒に話合いの中でぜひ見直していっていただきたいということを思います。
最後に、
ビジョン案で取り上げているSDGsなんですけれども、先ほどもちょっと触れました。SDGsというのは17の目標を掲げておりますけれども、その第1が「貧困をなくそう」というものです。さらに
子どもの権利条約についても、先ほど来といいますか、これまでもいつも子供の意見の表明権とかそういうことが強調されます。もちろんそういうことは大事なわけですけれども、
子どもの権利条約の第1は生きる権利です。そうした生きる権利ということ、命が守られるということですよね。SDGsを
基本目標、基本原則というふうに尊重するのであれば、教育分野での貧困、格差の解消とか就学援助の拡充とか学校給食の無料化など、様々課題があると思うんですけれども、区教委の認識はいかがか、その点を伺いたいと思います。
◎
教育委員会事務局次長 当然のことながら、SDGs、17の様々な分野につきましてそれぞれに考えていかなければならないということで、その中で、当然貧困に関すること、児童権利条約についても、生きる力、育つ力、守られる力と参加する力という中で、生きる力というのは、どちらかというと福祉分野のものではあるんですけれども、当然、教育の中でもある程度
皆さん均等な教育をさせていかなければならない。そういうことに伴いまして、今区の中でも、就学援助ですとか、様々そういう手法も取られていることですけれども、そういったことも含めまして、今区全体でも子供の貧困対策というものをこれから総合計画のほうでも盛り込んでいこうという中で、教育もどういうふうに関わっていくか、その辺については十分これから考えていきたいと思っております。
◆くすやま美紀 委員 具体的な計画でとか、施策は推進計画とか実行計画の中でつくられていくんだと思うんですけれども、様々、少人数学級のこととか今申し上げたような貧困と格差の解消、教育費の保護者の負担軽減、そういったことをぜひ私は推進計画や実行計画で強化していっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
以上です。
◆
田中ゆうたろう 副
委員長 先ほど来の議論を拝聴しておりまして、私は、教育というのは時に
子供たちに対して教師が、あるいは地域の大人が押しつける必要がある場合もあるだろうし、また、教育の中で
子供たちに目指してもらうべき
人間像というものは確固としてあるだろうというふうに考えておりましたので、
規範教育はどうなっているかとか、大人の責任はあるのではないかといった他の委員の質問に対して、ちょっと答弁が心もとなく思っておりましたら、最後に
教育長がしっかりと教育の根本的なところについて触れていただいたと思います。
確かに、2022(案)に示されていることの文言一つ一つは、大きく間違っているというようなことが取り立てて目につくような内容じゃないんですよ。まあまあそのとおりだろうなと思うようなことなんですけれども、全編それに貫かれていて、悪く言えば美辞麗句のオンパレードのようにも見えるのであって、先ほど
教育長が言われたような教とか育とか、そういうものが大根本にあった上で、それでもいろいろな
子供たちがいる、そういう
子供たちへの配慮も欠かしてはならないとか、そういうことが応用編的に出てくるのであって、まず基本的なものに関する言及というものがほぼ見当たらないということに、私は危機感が拭えないんですね。
私どもはこの会議に参加しているから
教育長の答弁を聞けて、少し安堵するところもあるけれども、そういうふうなものがここに文言として示されていなくていいのだろうか。それが大根本として記載されていて、そのいわば補強としてここに書かれているようなことが後から出てくる、本来はそうあるべきではないかというのが私の
考え方なんですけれども、それについての見解をいただきたいと思います。
◎教育政策担当部長 教育の大前提となるものというところでいえば、
学校教育ももちろんですけれども、
教育基本法といったものを核としております。その中で、第1条が人格の完成を目指すというところになります。
それで、実は今回の学習指導要領には冒頭に前文がありまして、そこにこう書かれています。「こうした教育の目的及び目標の達成を目指しつつ、」この目的は
教育基本法に掲げられている。そして、目標は5つ、
教育基本法の第2条に掲げられている普遍的なものです。「の達成を目指しつつ、一人一人の児童が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる。」これが学校に求められているものです。ですので、大前提となる
教育基本法、その上でこれからの区、学校といったところに照らしてみると、今私が読んだこれからの学校の部分に関しては、これから始めようとしているこの
教育ビジョンというのがとても力強く働くものというふうに考えております。
◆
田中ゆうたろう 副
委員長 今おっしゃったことも分かるんですけれども、ただ、「つつ」の後の部分を今どちらかというと強調されたかと思うんですけれども、「つつ」というのはつなげているのであって、ともすれば「つつ」の後半の部分がクローズアップされ過ぎるんじゃないかということを私は率直に感じるわけであります。
また、今、
教育基本法という言葉も出てまいりましたけれども、
教育基本法といえば、教育の目標に我が国と郷土を愛する態度を養うといった愛国心あるいは愛郷心に関する文言、さらに公共の精神といった規範意識に関する文言も出てくるわけですけれども、そういったものもこの案にはほぼ皆無というふうに私なんかは受け止めるんですけれども、どのように受け止めたらよろしいでしょうか。
◎教育政策担当部長 先ほど申し上げた目的とか目標というのは、実はこれ以外にも学習指導要領には各教科の目標というのもありますし、
子供たちを取り巻くものでいえば、各学校にも教育目標があり、学年にもあって学級にもあるというようなところ、そして個人個人にも、
子供たちが各学期の目標とか掲げているところです。そういったものをしっかり示していくといったところに立てば、何もそのほかにまた目標というものを掲げていく必要はないかなというふうに考えております。それよりもむしろ必要なことは、それを達成していくに向けてこれから必要となることを
ビジョンで示していくことが大切と捉え、今回の
ビジョンというものを考えた次第でございます。
◆
田中ゆうたろう 副
委員長 今の御答弁は望洋として、分かったような分からないようなというのが正直なところなんですけれども。
じゃ、ちょっと具体的に伺います。先ほども他の委員の質問にも出てまいりましたけれども、発達段階に関する記載というものがなくなっちゃっているかと思うんです。前回の、2012のほうには明確に記載されているわけで、私などは、この中における発達段階の記載もちょっと弱いんじゃないかとさえ思っているぐらいなので、それがますます後退してしまったなというのが偽らざる実感なんですね。その辺りはどうでしょうか。
◎
庶務課長 前回の
ビジョンというのは、もちろん
審議会の中でも、こちらのことはとても取組としてはすばらしいということで、それをさらに進化できないかということの議論がございまして、社会状況を考えると、さらに人生100年時代ということを考えると、
学校教育だけではなくて、そこで学んだことをさらに人生100年において生かしていくというふうな視点になりますので、
審議会の中ではもう少し、全体、100年を通してこの
ビジョンをつくっていこうという視点の下に今回つくられたところでございます。
◆
田中ゆうたろう 副
委員長 人生100年時代という言葉が非常にまた大きく今回強調されているかと思いまして、そのこと自体は私は特段異論はないんですけれども、やっぱり就学前と就学後では違うと思いますし、就学前とよく言いますけれども、就学前だって乳児期と幼児期で随分違うわけですし、それがまた大人になって、今さらに長生きしているわけですから、御高齢の方々の生涯教育というものも考えていかなきゃいけない。きめ細かく考えていかなきゃいけないと思うんですけれども、ともすれば100年時代という言葉が独り歩きをして、もっと細かく扱わなきゃいけない本当に大事な、特に子供の大事な大事な学齢に関する扱いが何かのっぺりと、大人と子供の違いとか大人と先生の違いみたいなものも消し飛んじゃっていると思うし、すごく危機感を抱くわけですよ。生まれてすぐの
子供たちに教育者であれというのは無理だと思います。そこからいろいろな、赤ちゃんの在り方からも学ぶものがあるというのは非常に高度な話で、確かにそういうことももちろん言えるわけですけれども、言うまでもないことですけれども、基本においては──私が申し上げていることは伝わっていると思うんですけれども、非常に危機感を抱くんですよ。それは既に他の委員も質問なさっていましたけれども、ちょっと弱過ぎると思う。そういった方向の文言を、さっき
教育長がおっしゃったようなことで構わないと思うんですけれども、この中に足していただくことはできないですかね。どうでしょうか。
◎
教育委員会事務局次長 確かに、人生100年時代を通しまして、それぞれの発達段階、その違いに応じてきちんと対応はしていく。そういった具体的な取組、どうしていくかということにつきましては、今回、何度も御説明している
ビジョンで、
皆さんがどういうふうにして一人一人が
当事者となっていくかという視点で書かれていますので、それを具体的に区としてどういうふうに実施していくか、
教育委員会としてどうしていくかというのは、具体的にその
方向性などにつきましても、きちんと推進計画で書き込むようにというような形で言われておりますので、これまでのことも捉えながら、そちらのほうでしっかりした計画をつくっていきたいと考えております。
◆
田中ゆうたろう 副
委員長 推進計画にどのように落とし込んでいくかというのが見ものだというようなお声もさっきほかの委員からもありましたけれども、あまり失礼なことは言いたくないんですけれども、これほど望洋とした、いいことは書かれているんだけれども、逆に言えば引っかかりがないというかな、取っかかりがないというか、どこを切っても金太郎あめのように聞こえのいいことが書いてある、そういう内容ですと、それをどのように推進計画にしていくのかというのは非常に重要なところだと思います。
そのときにも、ここに書かれているいろいろな文言が非常に重要な役割を帯びてくると思うので、これもちょっと取り上げざるを得ないと思うんですが、先ほどもジェンダーという言葉への言及がございました。その意味するところも課長から答弁がありましたけれども、社会的、文化的につけられた性差というものを、子供が言ったことをいわばうのみにして、それを重視するというような、そういうことなんですか。
◎
教育委員会事務局次長 ここに書かれていることは、言われたことをそのまま全て受け入れるということではなくて、きちんとそれを受け止めて、それに対してきちんと回答していく。それがもし違っているようであれば、これはこうしたほうがいいですよ、ああ、そうですねということであれば受け止める。ですからこれは、言われたことをそのまま全部受け止める、そういう意図ではございません。
◆
田中ゆうたろう 副
委員長 いわゆる性的少数者とされる方々に対する社会の理解が促進をされるということ自体は喜ぶべきことで、ですから、そういった方向の文言が
基本構想のほうに書かれるということであれば、それは一定私も理解できなくはないんですけれども、書き方とかが非常に問題だと思いますけれども。
ただ、教育ですから、
基本構想とちょっと違ってくると思うんですね。とりわけまだ小さな
子供たちに対して、あまりジェンダーというような、客観性において少し問題があると思いますよ。例えば国籍ですとか年齢ですとか性別ですとか障害の有無ですとか、そういったものは客観的にある程度のことが言えるわけですけれども、ジェンダーというのは非常に揺れ動きもあるでしょうし、本人はそう思っているけれども、科学的にはどうなのかという問題もあるでしょうし、まだまだ学問的な研究が進んでないところもあるでしょうし、そういう文言をほかの国籍、性別、年齢、障害の有無みたいなかなり確固たる客観性のある文言と同列に並べちゃっていいのかという、しかも教育の方面のこういう一番大事なところに出しちゃっていいのかという危機感があるんですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
◎
教育委員会事務局次長 こちらのジェンダーということにつきましても、最初ない状況の中から、
ダイバーシティーですとかインクルージョンですとか、そういったことをこれから大切にしていくとなりますと、社会的、文化的にこうあるべき、男性ならこうあるべきですとか、そういったものを抜きにして、こういった様々な違い、特性にかかわらずやっていくという趣旨で、やっぱり必要だろうということで加えられて、それに基づきまして、
審議会の中でもそれに対して特段の異論もなく来ているということですので、取り立ててこうということではなく、例示としてこういう全ての人を平等に見ていろいろ聞いていく、そういう趣旨で書かれているものと考えてございます。
◆
田中ゆうたろう 副
委員長 私は、「障害の有無等」というところに「等」というのがちゃんと書かれているので、ジェンダーというようなかなり揺らぎのある文言はちょっと問題があるんじゃないかと思います。「等」に含まれていると考えていいんじゃないかということを意見として申し上げておきたいと思います。
それと、小中学校の
アンケートを取ったということなんですけれども、
アンケートを取ってみれば、競技において順位をつけないでほしいとか、そういうのも偽らざる子供の声だろうと思います。偽らざる子供の声だろうと思うけれども、そういうようなものをどこまで我々がこの
教育ビジョンに盛り込むべきなのか、盛り込まざるべきなのか、そういった議論というのはあったんですか。
◎
庶務課長 これはあくまでも、審議を進めていく上で
子供たちあるいは区民の方から、今後杉並の教育についてどういうことをしていくべきかという議論の参考にしたいというか、そういうことで
アンケートを取ったり
シンポジウムを行って、その意見を
審議会のほうに御提供して審議の参考にした、そういう
位置づけでございます。
◆
田中ゆうたろう 副
委員長 答弁を伺っていると、分かる部分もあるし、まだ私、のみ込めてない部分もあるんですが、時間が参りましたので、最後にいたします。
さっきもちょっと聞いたんですけれども、杉並らしさみたいなものというのは、この
ビジョンではどのように検討されたのか。先ほど他の委員から、現状の教育に対する評価というか、現状分析みたいなものがちょっと乏しいんじゃないかという御意見もありましたけれども、私は、杉並区の今の
子供たちを見ていると、特に体力ですね、非常に心配を覚える部分もあります。この間もしゃべりましたけれども、縄跳びが全然できない小学校1年生が増えてきているとか、そういう現状もあるようであります。鉄棒が全然できないとかね。そういうようなこともきちんと盛り込んでいただき、杉並のよさとか杉並の課題みたいなものをしっかりと、現在の課題とよさを分析して、そこも1つ盛り込んでいただいたほうがいいんじゃないかと思いますが、最後、見解を伺いたいと思います。
◎
庶務課長 10年間の評価をしてないわけではなくて、もちろん毎年毎年、点検・評価というふうな形で、
教育委員会の施策について評価しています。
審議会においても、今までの
ビジョンがどうであったかということを評価して、今までの
ビジョンによって地域の参加が高まったとか、そういうことは非常に今の
ビジョンは評価できる、その評価できる部分も大切にして、さらに進化していきたいということで議論があって、杉並らしさというよりも、この
ビジョンにつきましては、目指すべき
人間像を定めないとか、区民一人一人が主体となってというところが今回の
ビジョンの大きな特徴となっているところでございます。
○
脇坂たつや
委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○
脇坂たつや
委員長 ないようですので、質疑を終結いたします。
以上で
文教委員会を閉会いたします。
(午前11時47分 閉会)...