杉並区議会 2017-03-15
平成29年予算特別委員会−03月15日-10号
平成29年
予算特別委員会−03月15日-10号平成29年
予算特別委員会
目 次
委員会記録署名委員の指名 ……………………………………………………………… 5
議案審査
議案第10号〜議案第14号、議案第22号〜議案第27号
各会派の意見開陳
杉並区
議会自由民主党代表(
大泉やすまさ委員) ……………………………… 5
杉並区議会公明党代表(
横山えみ委員) …………………………………………11
区民フォーラムみらい代表(太田哲二委員) ……………………………………16
日本共産党杉並区議団代表(金子けんたろう委員) ……………………………20
いのち・
平和クラブ代表(川野たかあき委員) …………………………………26
自民・
無所属クラブ代表(小林ゆみ委員) ………………………………………32
杉並わくわく会議(松尾ゆり委員) ………………………………………………39
共に生きる杉並(木梨もりよし委員) ……………………………………………44
美しい杉並(田中ゆうたろう委員) ………………………………………………47
無所属(
堀部やすし委員) …………………………………………………………49
無所属(
木村ようこ委員) …………………………………………………………57
予算特別委員会記録第10回
日 時 平成29年3月15日(水) 午前10時 〜 午後2時23分
場 所 議場
出席委員
(47名) 委 員 長 浅 井 くにお 副委員長 北 明 範
委 員 奥 田 雅 子 委 員 川 野 たかあき
委 員 木 村 ようこ 委 員 田 中 ゆうたろう
委 員 堀 部 やすし 委 員 松 尾 ゆ り
委 員 上 保 まさたけ 委 員 市 来 とも子
委 員 小 林 ゆ み 委 員 藤 本 なおや
委 員 上 野 エリカ 委 員 山 本 あけみ
委 員 木 梨 もりよし 委 員 山 本 ひろこ
委 員 中 村 康 弘 委 員 大 泉 やすまさ
委 員 井 原 太 一 委 員 大和田 伸
委 員 山 田 耕 平 委 員 富 田 た く
委 員 そ ね 文 子 委 員 岩 田 いくま
委 員 松 浦 芳 子 委 員 増 田 裕 一
委 員 安 斉 あきら 委 員(副議長)
川原口 宏 之
委 員 大 槻 城 一 委 員 今 井 ひろし
委 員 脇 坂 たつや 委 員 吉 田 あ い
委 員 金 子 けんたろう 委 員 原 田 あきら
委 員 くすやま 美 紀 委 員 けしば 誠 一
委 員 新 城 せつこ 委 員 佐々木 浩
委 員 河 津 利恵子 委 員 太 田 哲 二
委 員 渡 辺 富士雄 委 員 島 田 敏 光
委 員 横 山 え み 委 員 大 熊 昌 巳
委 員 はなし 俊 郎 委 員 富 本 卓
委 員 小 泉 やすお
欠席委員
(1名) 委 員(議 長)
井 口 かづ子
出席説明員 区長 田 中 良 副区長 宇賀神 雅 彦
副区長 吉 田 順 之 教育長 井 出 隆 安
代表監査委員 上 原 和 義 政策経営部長 白 垣 学
施設再編・
整備担当部長 情報・
法務担当部長
大 塚 敏 之 牧 島 精 一
企画課長 松 沢 智 財政課長 齊 藤 俊 朗
総務部長 関 谷 隆 総務課長 都 筑 公 嗣
危機管理室長 寺 嶋 実
区民生活部長 井 口 順 司
地域活性化担当部長 産業振興センター所長
オリンピック・
パラリンピック 内 藤 友 行
連携推進担当部長
安 藤 利 貞
保健福祉部長子ども家庭担当部長 高齢者担当部長 田 中 哲
有 坂 幹 朗
健康担当部長杉並保健所長 都市整備部長 渡 辺 幸 一
向 山 晴 子
まちづくり担当部長 土木担当部長 吉 野 稔
松 平 健 輔
環境部長 森 雅 之
会計管理室長 南 雲 芳 幸
教育委員会事務局次長 学校
整備担当部長大 竹 直 樹
徳 嵩 淳 一
生涯
学習スポーツ担当部長 中央図書館長 森 仁 司
齋 木 雅 之
選挙管理委員会委員長 監査委員事務局長和久井 義 久
與 川 幸 男
事務局職員 事務局長 北 風 進
事務局次長事務取扱区議
会事務局参事
植 田 敏 郎
事務局次長代理 本 島 健 治 調査担当係長 福 羅 克 巳
議事係長 蓑 輪 悦 男 担当書記 太刀川 修
担当書記 牧 野 達 也 担当書記 渡 辺 美由紀
担当書記 新 谷 広 隆 担当書記 高 橋 知 久
担当書記 高 野 貢 志
会議に付した事件
付託事項審査
議案審査
各会派の意見開陳
議案第10号
杉並区立地域区民センター及び
区民集会所条例及び
杉並区立高齢者活動支援センター及びゆうゆう館条例の一部を改正する条例
………………………………………………………………………………原案可決
議案第11号 杉並区特別区税条例等の一部を改正する条例……………原案可決
議案第12号 杉並区
国民健康保険条例の一部を改正する条例…………原案可決
議案第13号
杉並区営住宅条例の一部を改正する条例…………………原案可決
議案第14号 杉並区
事務手数料条例の一部を改正する条例……………原案可決
議案第22号 平成29年度杉並区
一般会計予算……………………………原案可決
議案第23号 平成29年度杉並区
国民健康保険事業会計予算……………原案可決
議案第24号 平成29年度杉並区
用地会計予算……………………………原案可決
議案第25号 平成29年度杉並区
介護保険事業会計予算…………………原案可決
議案第26号 平成29年度杉並区
後期高齢者医療事業会計予算…………原案可決
議案第27号 平成29年度杉並区
中小企業勤労者福祉事業会計予算……原案可決
(午前10時 開会)
○浅井くにお 委員長 ただいまから
予算特別委員会を開会いたします。
《
委員会記録署名委員の指名》
○浅井くにお 委員長 初めに、本日の
委員会記録署名委員を御指名いたします。
はなし俊郎委員にお願いいたします。
《議案審査》
議案第10号
杉並区立地域区民センター及び
区民集会所条例及び
杉並区立高齢者活動支援センター及びゆうゆう館条例の一部を改正する条例
議案第11号 杉並区特別区税条例等の一部を改正する条例
議案第12号 杉並区
国民健康保険条例の一部を改正する条例
議案第13号
杉並区営住宅条例の一部を改正する条例
議案第14号 杉並区
事務手数料条例の一部を改正する条例
議案第22号 平成29年度杉並区
一般会計予算
議案第23号 平成29年度杉並区
国民健康保険事業会計予算
議案第24号 平成29年度杉並区
用地会計予算
議案第25号 平成29年度杉並区
介護保険事業会計予算
議案第26号 平成29年度杉並区
後期高齢者医療事業会計予算
議案第27号 平成29年度杉並区
中小企業勤労者福祉事業会計予算
各会派の意見開陳
○浅井くにお 委員長 これより、議案第22号平成29年度杉並区
一般会計予算外10議案に対する各会派の意見を聴取いたします。
それでは、多数会派順に意見の開陳をお願いいたします。
杉並区
議会自由民主党代表、
大泉やすまさ委員。
◆杉並区
議会自由民主党代表(
大泉やすまさ委員) 私は、杉並区
議会自由民主党を代表いたしまして、議案第22号平成29年度杉並区
一般会計予算を初め、各
特別会計予算案並びにあわせて
予算特別委員会に付託された各議案について意見を申し述べます。
今予算案については、区は「時代の先を見据え、10年ビジョンを加速させる予算」と命名し、杉並区基本構想(10年ビジョン)折り返しの年となる節目の予算案であると理解しています。
さて、その予算の背景として、昨年は、いわゆるブレグジット、イギリスのEU離脱に伴う世界同時株安となり、経済指標が不安視されましたが、
アメリカ大統領選挙の結果やOPECの減産合意以降、世界経済は一定の落ちつきを取り戻し、日本経済は株高・円安基調にあります。
国内経済は、アベノミクス4年の成果として、今月8日に発表された改定値における実質GDPはプラス1.2%推計と、5年連続のプラス成長であり、国際収支統計による経常収支も655億円の黒字で、31カ月連続黒字を計上しました。また、賃上げ率も3年連続で2%を超え、有効求人倍率も1.43倍と、25年ぶりの高水準となっています。
ブレーク・イーブン・インフレ率も1年前に比べ確実にプラスとなっており、現時点でのデフレ脱却に向けた取り組みが緩やかに実を結んでいる状況と理解しています。
このような所得や雇用環境の改善を背景に、平成29年度は経済の好循環が進み、一定の景気回復が見込まれるとの予測もありますが、なお個人消費動向は一進一退が続いており、慎重な見きわめが必要な状況であります。
そうした中、平成29年度の杉並区
一般会計予算案については、10年
ビジョン加速化の思いを持って、前年度より60億7,600万円、3.5%増の1,780億5,000万円と、当初予算としては過去最大規模となり、また、特別会計も含めた総予算は2,973億5,273万円となりました。
特別区民税については、納税義務者の増、また区民所得の増による歳入増が挙げられますが、利子割交付金、配当割交付金など、特別区民税以外の項目では軒並み減収見込みであること、さらに、
ふるさと納税制度の利用者拡大による当区の住民税控除額が10億円を超えることを見込んでいるなど、なお懸念材料の動向に注視すべき状況が続くものと受けとめております。
さて、今予算案は、1、環境の変化を踏まえて改定した実行計画等を着実に進める予算、2、持続可能な財政運営を図るため、財政の健全性の確保に努めた予算、この2点を基本的な考えとし、予算編成に当たる5つの視点として、1、「
首都直下地震等に備えた減災・防災対策の推進」、2、「将来にわたるにぎわい創出に向けた環境整備と魅力発信」、3、「豊かなみどりと持続可能な環境を次世代に継承」、4、「超高齢社会の進展を見据えた健康づくりと福祉の充実」、5、「未来を担う子どもたちのための教育・支援の拡充」を掲げ、この5つの視点に意を用いた施策展開により、基本構想、実行計画の実現につなげていくものとしています。
我が杉並区
議会自由民主党は、予算審議に当たり、この2つの基本的考え方及び5つの視点に加えて、1、基本構想実現に向けた予算となっているか、2、区民の喫緊の課題を的確に酌み取り、それに応える予算となっているか、3、区民の自立を支え、自助・共助を促す予算となっているか、4、行財政改革に取り組み、未来の子供たちが夢を持てる予算となっているか、5、国や都と連携しながら、持続可能で健全な財政運営を行っているか、6、長期最適、全体最適の視点から妥当な予算となっているかという6つの視点を持って議案を精査し、質疑を重ね、慎重に審査、検証を図り、審議をいたしました。その結果、杉並区
議会自由民主党は、平成29年度
一般会計予算案、各
特別会計予算案、関連諸議案の全てに賛成するものであります。
ここからは、私どもの予算案に関する考え方や、個別の施策等も含めた会派の意見、要望を申し述べてまいります。
まず、財政健全化についてです。
今予算案では、天沼三丁目複合施設や
高円寺小中一貫校などの大型の施設整備に伴い、53億円の区債発行を予定し、区債残高は、平成29年度末で前年比25億円増額の306億円の見込みとなり、平成19年以来、10年ぶりの300億円超えとなりました。
また、基金の取り崩し見込み額が財政調整基金46億円、
施設整備基金14億円、その他の基金で13億円と、平成29年度当初予算後の基金総額では73億円の減少となっており、区債残高が約9%ふえ、さらに基金の約15%を取り崩す見込みというこの状況は、持続可能な財政運営という点では大きな危惧を感じます。
しかしながら、予算措置としては、さらなる保育定員の確保や老朽施設の改修改築など、先送りのかなわない施策に対応するものであること、また、今予算案が、10年ビジョンの折り返しに当たり、力強く推し進めていくためのものであることという理解において、近年ない厳しい数字ながら、
健全化判断比率における
実質公債費比率が推計試算上マイナスを維持している点、その他の3指標とも生じない見込みである点から、水準として健全であると判断いたします。
ただし、財政運営に関しては、28年度決算を見るまでもなく、大きな転換点に立っているとの認識であり、今後、基金の新たな積み立て方針の策定や、区債の償還年数などの見直しに早急に取り組むことを申し上げておきます。
行財政改革については、
職員削減見込み数10名、財政効果額5億2,700万円は、昨年よりも低下した数字となっております。財政効果額が前年との対比という性質上、右肩上がりとはなりにくい点は理解するものの、さらなるコスト意識の浸透と区有財産の有効活用、収益力の強化という視点を持って、今年度に改定された
行財政改革推進計画を強力に推進していただくよう求めます。
次に、区政運営全般について一言申し上げます。
昨年度からたびたび指摘を行っておりますが、施策の進行管理についてしっかりと調整を図り、適切に進めていただくことを強く求めます。個別的なことには言及しませんが、行政と議会と区民との信頼関係を損なわないよう、手順や手続をしっかりと確認して、区政を前進させていただくことを要望いたします。
個別施策に移りまして、視点の1、「
首都直下地震等に備えた減災・防災対策の推進」についてであります。
東日本大震災以降、区は災害対策の比重を大きく上げて、7年目に入りました。国もこの間さまざまな計画を策定し、直近では、昨年3月に首都直下地震における具体的な応急対策活動に関する計画を公表しています。
杉並区の今予算案においては、不燃化特区の拡充、
狭隘道路拡幅整備の一層の推進、
特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震改修助成、
地震被害シミュレーションの策定、災害時
情報共有システム構築、
震災救援所周辺不燃化建てかえ助成、備蓄品の整備などの計画が図られていることを確認し、評価するものです。
会派からの要望といたしましては、糸魚川大火を教訓とした地域防災力の再点検と災害時避難路の確保、
住宅火災警報器の更新に向けた注意喚起の周知や高齢者等に対する新たな設置助成の創設、
帰宅困難者対策として、対策要員の確保とあわせ、滞留者に対するきめ細やかな対応と配慮の充実、当区に4カ所しかない民間一時滞留者施設の福祉救援所の新規指定を含む拡充や、区の公的施設におけるBCP策定、
飲料水兼用防火水槽の整備、災害時区役所職員の必要人数の確保についても充実を求めます。
次に、視点の2、「将来にわたるにぎわい創出に向けた環境整備と魅力発信」であります。
まず、
予算特別委員会で多くの時間を割いて質疑が行われました
ふるさと納税制度の活用について一言申し上げます。
ふるさと納税については、寄附文化の醸成という制度本来の趣旨を重んじ、返礼品競争が過熱する制度運用に一石を投じるとした杉並区の方針には理解をするものです。ただし、なお増加する財源流出への対応として、ガバメントクラウドファンディングの活用も視野に入れた、独創的かつ共感に重点を置いた寄附の受け入れ施策の設置が急務と考えます。返礼品競争から政策競争への転換を区内外へ広く知らしめるべく、4基金にとらわれることなく、スピード感を持って参入すべきと指摘をいたします。さらにあわせて、区民に対して、
ふるさと納税の理念の周知と啓発を積極的に行っていくよう申し添えます。
オリンピック・
パラリンピックの機運醸成については、昨年より行っている区民懇談会をさらに発展させ、レガシー創出に向けて努めていただきますよう要望いたします。
また、教育委員会にあった
スポーツ振興部局が区民生活部へ移管されることは、3年後に迫ったオリンピック・
パラリンピックに向けた普及啓発事業を全ての杉並区民へ発信するための強化策の一環と理解し、高く評価いたします。
この事業の充実を通じて、区民がオリンピック・
パラリンピックを充実する多くの機会を得られるよう、広範囲、多世代間の連携をしっかりととり、充実、促進することを要望いたします。
戦略的広報の推進は、時代に合わせた
クロスメディア戦略、
トリプルメディア戦略等の積極活用による幅広い世代の区民への情報発信のみならず、区民意見の収集等、
双方向コミュニケーションの特性を生かした効果的な活用を要望いたします。
住宅施策の推進については、昨年設立された
居住支援協議会の運営に当たり、各構成団体の知見がいかんなく発揮され、円滑な事業運営が図れるよう、関係調整及び支援体制の充実を求めておきます。
駅周辺まちづくりについては、
施設再編整備で生み出した用地を有効活用し、産業振興と地域振興の視点を取り入れながら、地域の意向に最大限応えていかなければなりません。地域の運営は地域に任せ、行政はそのサポートに徹することが重要であり、このような新しい住民自治のあり方を模索するよう求めます。
また、今定例会では、杉並第一小学校を現地で建て直すか、移転改築するかという話題が大きな議論となりました。児童の教育環境を第一に考えながら、将来にわたる阿佐谷のまちの可能性を模索する区と区教委におかれましては、現在もさまざまな調整を行っていることと存じます。どちらの案に決まるにしても、地域や学校関係者の理解と協力が得られるように鋭意努めていただくよう要望いたします。
多
心型まちづくり推進では、国際交流と観光促進の観点から、
インバウンド施策への寄与を念頭に置いた
台湾阿波踊り公演における杉並区のPRの実施と、宿泊や観光といった
インバウンド施策の受け皿の充実を要望いたします。
さらに、交流という点から、国内・
国際交流自治体についても意見を申し上げます。
現在、13の自治体、地域との交流を行っておりますが、それぞれの自治体との交流事業については、その意義と成果を区民と共有すべきものであります。その観点から、今後の交流事業のあり方については、時代に即し、かつ自治体の規模や将来性を見通しながら、実態に応じた適切な見直しを強く求めておきます。
次に、視点の3、「豊かなみどりと持続可能な環境を次世代に継承」では、乳幼児の遊び場すくすくひろばや防災の視点を持った馬橋公園、下高井戸おおぞら公園、歴史、文化を視点とした
仮称荻外荘公園など、時代に合わせた新しい視点に基づく多様な公園整備の方向性には評価をいたします。
一方で、利用調査の実施を通した区民ニーズに基づく質的拡充を求めるとともに、増加する維持管理費への対応という観点から、Park−PFI制度や
一括プロポーザルの実施等、施設みずからが稼ぐ力を身につけるべく、公民連携の推進、民間活力の有効活用に取り組むよう求めます。
また、都市農業については、
認定農業者制度が昨年から始まり、農業者支援も昨年に比べ大幅に強化されましたことは、非常に高く評価するものです。体験農園などの区民が農に親しむ機会の充実等、農地活用の視点も加え、杉並区の貴重な都市農業をしっかりと守り育てていくことを求めておきます。
次に、視点の4、「超高齢社会の進展を見据えた健康づくりと福祉の充実」ですが、
地域包括ケアシステムの構築へ向けた取り組みを始めて2年がたち、医療と福祉の連携が本格的に充実していくとの期待を感じる予算となっています。
また、
特別養護老人ホームも、実行計画に基づき、区域外特養、複合化特養とも着実に取り組んでいるものと評価いたします。
なお、将来を見据えた
ICTモデル事業については、その効果検証に基づき、介護事業への導入促進に努めるよう求めておきます。
高齢者の口腔ケアについては、先駆的に取り組むことを高く評価いたします。ただし、フレイルの理解を、高齢者だけではなく全ての区民に向けて、広報、周知、啓発活動を促進することを求めておきます。
健康づくり推進活動に関しては、29年度より
スマートウエルネスコミュニティ協議会へ参加することとしており、ICT活用の取り組みとあわせ、高く評価するものです。
スマートプラチナ社会の到来を見据え、健康無関心層に対する問題意識喚起を初め、健康寿命の延伸に向けた
具体的取り組みへと着実につなげていくことを求めます。
続いて、視点5、「未来を担う子どもたちのための教育・支援の拡充」ですが、子供を産み育てることがはばかられる社会に未来はありません。その思いを一にして、昨年からの
待機児童緊急対策に引き続き、認可保育所を核とした区の保育所整備には一定の評価をいたします。ただし、地域偏在や保育士確保など浮き彫りとなった課題の解消は、機を逸することのないよう機敏な対応を求めます。
また、一時期に多くの保育所が整備されたことによる保育の質の低下も危惧されます。その点への対応として巡回指導が予算に盛り込まれていますが、保育所数に対して適正なのか疑問が残るところです。あわせて、保育士や園長に対しての研修の充実も必要と考え、指摘しておきます。
仮称就学前
教育支援センターは、平成31年度開設ながら、学習指導要領や幼稚園、こども園、保育の要領、指針が30年度から改定されることを見据え、しっかりとした体制、事業構築を整え、準備し、事業を進めていくよう求めておきます。
学齢期における発達障害児相談支援については、新規項目として予算化されたことを高く評価するものです。東京都も今回この予算を倍増していることから、今後さらに充実を図るよう要望しておきます。
最後に、特別会計について申し上げます。
国民健康保険事業会計予算は、前年から歳入歳出とも7億5,100万円余の減少でありますが、これは、後期高齢者支援金の減に合わせ、繰入金を減少したことによるものと理解し、また
用地会計予算は、富士見丘地域の学校用地として先行取得のためのものと理解し、それぞれ適正なものと判断いたします。
介護保険事業会計は、前年から歳入歳出とも21億6,216万円余の増加となっており、その内容は、介護保険サービスを受ける被保険者の増加によるものと認識していますが、介護保険料収入を見ると昨年より減っており、今後はより厳しい予算編成になっていくことが予想されます。ただし、これは国の制度とリンクしており、その他の保険制度とあわせて、国に財政負担を意見していく必要があります。このままですと、自治体財政が真綿でじわじわと絞めつけられていくものと感じ、申し添えた上で、適正と認めます。
後期高齢者医療事業会計は、昨年同様、被保険者の自然増による医療費増等の要因により2.5%の増となるものの、ほぼ前年並みである、また、中小企業勤労者福祉事業会計についても、それぞれ適正と認めます。
以上、るる述べてまいりました事柄を賛成理由といたします。
なお、我が会派による予算要望並びに
予算特別委員会での多岐にわたる質問や要望は、区民の生の声と捉え、今後の区政運営への反映に向けて前向きに検討していただきたく、再度強く要望をするものであります。
結びに当たり、
予算特別委員会の審議に際し、誠意を持って御答弁をいただきました田中区長を初め理事者の皆様、資料の作成や調製に当たられた職員の皆様、円滑な委員会運営に御尽力された浅井委員長並びに北副委員長に感謝を申し上げますとともに、意見開陳を通じ、みずからの思いを述べる場を与えてくれました会派の皆さんに感謝を申し上げ、杉並区
議会自由民主党の意見開陳を終わります。
ありがとうございました。
○浅井くにお 委員長 杉並区議会公明党代表、
横山えみ委員。
◆杉並区議会公明党代表(
横山えみ委員) 私は、杉並区議会公明党を代表いたしまして、
予算特別委員会に付託されました平成29年度杉並区
一般会計予算、各特別会計予算並びに関連諸議案について、賛成の立場から意見の開陳をさせていただきます。
初めに、昨年の世相の漢字は「金」に象徴されるように、政治と金の問題で前舛添知事が辞職し、新たに小池百合子知事が誕生しました。また、リオ2016オリンピック・
パラリンピックでの日本選手の活躍に心躍らされた年でもありました。
パラリンピックでは、杉並区在住、大西瞳選手が100メートル走と走り幅跳びで入賞を果たし、閉会式では、峰尾紗季さんの見事なダンスに、司会者からは思わず、今やチームに障害を持つ人がいないことのほうがむしろ不思議な時代だということを象徴するパフォーマンスとの言葉に、世界中の人々が歓声を上げました。障害を乗り越え、真摯に立ち向かう姿に、
パラリンピックならではの感動と勇気を与えてくれました。
さて、世界では現在、先進国で反グローバリズムとポピュリズムが台頭しております。イギリスは国民投票でEU離脱を選択し、アメリカでは、選挙中に人種差別的な発言を繰り返したトランプ氏が新しい大統領に就任しました。フランスやオランダでは、極右政党が第3極の地位を占めています。
日本経済は、金融政策、財政政策、成長戦略の3本の矢から成るアベノミクスが始まって4年がたち、幾つか成果が見え始めています。失業率や有効求人倍率が大幅に改善し、2012年の自公政権発足前と比べると劇的によくなっています。その後、円高の進行や石油価格の下落でデフレの方向に傾き始めましたが、ここに来て世界情勢も好転しつつあります。29年の日本は、雇用・所得環境が引き続き改善し、民需を中心とした景気回復が見込まれ、デフレ脱却を一気に進める節目の年となることが期待されています。
しかし、イギリスのEU離脱は、日本の自動車関連の製造業や金融機関など1,000社の企業が、EU向けの営業拠点をイギリスに構えていると言われているのですから、経済活動が制限されれば、打撃ははかり知れません。また、アメリカの産業界がトランプ政権は貿易摩擦に非常に敏感と判断すれば、アメリカの産業界にまで保護主義的な行動が広がる可能性も考えなければならない事態を招くと言われています。
みずほ日本経済情報によれば、日本経済はITサイクルの改善などを背景に、輸出は緩やかに回復し、個人消費は天候による下押し圧力が見られるものの、雇用・所得情勢が堅調な中、持ち直しつつあるが、トランプ政権の先行き不透明感を指摘しています。
3月3日に厚生労働省が発表した1月の最新有効求人倍率は1.43倍と前月比同水準を示し、3月10日に内閣府が発表した企業景気予測は、経常利益は0.8%の減益見通し、製造業は増益見通し、非製造業は減益見通しとなっています。
このような状況下、本区においては、杉並区基本構想を実現するための総合計画の後半5年間のスタートを切る重要な年に当たります。田中区長は年頭に、この目まぐるしく変化する社会の動きを常に見きわめ、先手先手を打って対処しなければ、大きなおくれをとり、結果として区民サービスに支障を来し、区民の期待に応えられなくなる、時代の先を、絶えず先手先手を打ち続けていくことと決意され、新年度の予算を「時代の先を見据え、10年ビジョンを加速させる予算」と名づけられました。環境の変化に素早い対応で時代を切り開いていく田中区長にとりまして、この1年が大英断の年であり、区民にとって希望の行き渡る年であることを願っています。
新年度予算は、技術革新の進展、女性の就労率や生産年齢人口の変化、高齢化の進展等、時代の大きな変化を受けとめ、予算案が示されました。一般会計は1,780億5,000万円で、前年と比べ3.5%の増となり、当初予算の規模では過去最大となり、特別会計も含め総予算は2,973億5,273万6,000円と、前年度と比べ40億2,608万3,000円の増となりました。
待機児童解消へのさらなる取り組み、
ふるさと納税制度の活用、大規模災害への備え等、我が会派は、区民の安心と安全、希望が実感できる予算要望、政策提言を重ね、この
予算特別委員会に臨みました。一般会計、特別会計、関連諸議案の審査に当たり、賛成理由として、1、基本構想実現のため、総合計画に掲げた施策が実行計画に確実に反映されていること、持続可能な財政運営を図るため、財政の健全性の確保が図られていること、区民の声を今予算に反映し、区民の福祉向上が図られたこと、この3つの視点であります。
以下、要望を含め、会派の意見を申し上げます。
まず、基本構想の実現に向け、区の歳入の根幹をなす特別区民税の安定的な収入確保を目指して、口座振替勧奨の強化や特別徴収の推進を図り、滞納整理の仕組みが図られたことを評価いたします。
歳入においては、雇用・所得環境等、景気回復の見込みにより、特別区税の増収が見込まれているものの、利子割、配当割、株式等譲渡所得割交付金などは、マイナス金利政策や円高傾向による大幅減収が予想されています。
歳出に関しては、改定した実行計画のスタートの年でもあり、また総合計画の後半に突入することから、施策を推進するための実行計画事業を確実に実施しなければなりません。
そのような中、今後も必要な行政サービスを安定的、持続的に提供していくため、基金と区債をバランスよく活用した財政運営の健全性は保たれていると思われます。しかし、
予算特別委員会の当会派の委員の質疑の中で、財政運営における理論的フレームワークの明確化とそれに伴う指標の設定、施設整備も含めた長期的な計画とマネジメントの体制の構築などを問題提起させていただきました。さらには、その時々の金利動向を見据え、財務戦略との連動なども加味した上で、総合計画の改定の際には新たな財政マネジメント体制を構築できるよう、今からその検討を着実に進めていただきたいと要望いたします。
ふるさと納税については、返礼品として予定される障害者支援に資する物品について、品質向上を目指すためにも、さらなるバックアップが必要と考えます。支援する区側の体制の充実や、障害者施設の商品へ民間事業者が持つ商品開発力を活用できるよう支援することも重要と考え、要望いたします。
予算案の各款でICTに関する施策が多く計上されていますが、残念ながら、杉並区の情報化政策としての方向性の全体像が余り明確ではないように思われます。各所管が取り組む事業において、行政改革、区民福祉の向上という観点からも、ICTの活用は不可欠です。今後総務部へ移管されることになりますが、決して受け身にならぬよう、各所管のICT事業をしっかりとリードし、時代の流れを読み取りながら、質の高い情報化政策を推進することを強く要望いたします。
在宅医療については、来年度、区が実施する電子レセプトデータ等を活用した在宅医療需要供給等の分析を行うことについては、2025年の
地域包括ケアシステムの構築において大変重要な取り組みであります。保健事業として先行して取り組んでいる区のデータヘルス計画の見直し、改定作業とともに、最新の技術を活用したデータ分析に基づく効果的な政策立案につなげていただきたいと思います。あわせて、高齢者部門から保健所へ移管を行う在宅医療相談調整窓口については、天沼複合施設棟、特養棟の完成を控えて、さらなる機能の充実が計画されています。多職種連携のすぐれた体系のモデルを構築していただくことを期待します。
動物との共生については、動物と暮らせる特養の推進に当たって、さまざまな角度でニーズ調査を行い、ただ数をふやすというだけではなく、ニーズに合った特養建設を行うこと。また、区内の特養事業者の方にペットと暮らせる特養の現地視察に行っていただき、実施できるかの検討を進めていただくことを要望します。
さて、糸魚川で発生した大規模火災を契機に、住宅や店舗など密集した市街地における大火の危険性や、消火活動の難しさが改めて論議の的となりました。市街地の大火は、主に、1つは地震で大火が発生するケースと、2つ目は強風による延焼です。全国の消防関係者の間では、1つは消防力の近代化、機能化が向上した消防車が全国の自治体に配備されたこと、消防水槽の整備が進んだことなどが挙げられ、これからの初期消火については、多くの区民の火の用心の姿勢が大切だと指摘されています。
そんな中、我が会派の予算要望に応えていただいた地域力向上のための簡易水道消火器具の設置を計画していただきました。今後は、ケーブルテレビ等で使用方法をしっかり周知し、真に防災力の向上に資するものになるよう取り組みをお願いいたします。
永福小学校跡地利用については、東京オリンピックに区民の参加を促せる国際規格ビーチバレーコートについて議論がされました。
「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」、これはロバート・フルガムの言葉です。砂遊びは、年齢や遊ぶ子供の人数を問いません。それぞれの発達課題や状況に応じた遊びが可能です。子供の感覚や身体の動き、想像力や創造性、社会性を育むことがさまざまな研究で明らかにされてきました。最近では、免疫力を鍛える有効性も注目されています。すぎなみフェスタでは、砂遊びとアート活動を続けているNPO法人の福島SAND−STORYが見事なお城と砂遊びをつくってくださり、大盛況となりました。
計画されているこの2面のビーチコートは、オリンピックでもなければ恐らくできないスペースだと思います。オリンピックに合わせ、この永福町の地にビーチバレーコートが誘致できたことは、どんなに区民にとってすてきなことでしょうか。これは歴史が証明するものと思います。勇気と自信を持って進めていただきたいと思います。
待機児童解消に向けて、今回の待機児童解消への大事業の取り組みには、深く深く感謝申し上げます。29年度も保育士の確保と資質の向上に努め、保育園偏在解消に一層努めていただきたいと思います。
29年度、和田・方南地域では、認可園に入園できず、保育ママに通うきょうだいがおります。保育ママについてだけ多子の保育料の軽減の対応がなされておりません。これは税の公平さに欠けるものです。改善を求めておきます。
我が党が推進した年金受給資格が10年に短縮しました。杉並区でも約2,000名の方が対象となります。1人も漏れることのないよう努めていただきたいと思います。
食品ロス対策では、未利用の食品の受け皿として、フードドライブが実現できたことを高く評価します。区民の一層の理解と、協力できるよう要望しておきます。
格差や貧困の問題が国民生活に深刻な影を落としつつあります。経済や年金、医療、介護、子育て支援など、社会保障に影響を及ぼす社会・人口構造の大変動にどう対処していくか、区民の不安を拭い去り、希望と安心をつくることが政治の責務と考えます。区民の声に耳を傾け、声なき声も受けとめられる区政運営を求めます。
終わりに、マネジメントの巨人と言われるP.F.ドラッカーの言葉を紹介します。
「変化はコントロールできない。できるのは、変化の先頭に立つことだけである。今日のような乱気流の時代にあっては、変化が常態である。変化はリスクに満ち、楽ではない。悪戦苦闘を強いられる。だが、変化の先頭に立たないかぎり、生き残ることはできない。急激な構造変化の時代を生き残れるのは、チェンジ・リーダーとなる者だけである。
チェンジ・リーダーとなるためには、変化を脅威ではなくチャンスとして捉えなければならない。変化を探し、本物の変化を見分け、それらを意味あるものとして利用しなければならない。」と。
きっと天国から田中区長に拍手を送っていると思います。田中区長にあっては、チェンジ・リーダーとして、29年度、区民の誰もが希望が持てる区政運営の指揮をお願いいたします。
最後に、本委員会の審査に当たり、誠意を持って答弁に当たられた区長初め理事者の皆様、資料の作成に当たられた職員の皆様に心から感謝申し上げるとともに、あわせて正副委員長の委員会運営に感謝申し上げ、杉並区議会公明党を代表し、意見開陳を終わらせていただきます。
○浅井くにお 委員長 それでは、
区民フォーラムみらい代表、太田哲二委員。
◆
区民フォーラムみらい代表(太田哲二委員) 私は、
区民フォーラムみらいを代表して、
予算特別委員会に付託されました平成29年度杉並区
一般会計予算、各特別会計予算並びに関連諸議案に関して、賛成の立場から意見を申し述べます。
最初に、社会状況に関して一言述べておきます。マスコミや各種統計資料からの話ではなく、私ども会派の個々の議員への個別具体的相談内容からの感想というレベルであります。
第1は、昨年の秋ごろから借金苦相談が増加し始めているということです。
特徴的なことは、その金額が数十万円あるいは百数十万円という金額の相談が多いということです。約10年ぐらい前までは、負債額が1,000万円以上とか数億円といったものが多かったのですけれども、亀井静香氏が主導した中小企業金融円滑化法が2009年に施行されて以後、1,000万円以上の相談は激減しました。また、そのころから司法書士や弁護士が、数百万円レベルのサラ金、クレジットからの借金に関して過払い金が戻ってくるというような、積極的に借金問題に取り組むようになり、これまた私どもへの相談は激減しました。したがって、ここ数年は、借金苦相談は本当に少なくなっていました。
ところが、先ほど申しましたように、昨年の秋ごろから数十万円、百数十万円というレベルの借金苦相談が増加し始めました。それから、奨学金返済がままならないといった新しいパターンの相談が来るようになりました。これは何を物語るのでしょうか。恐らく、これまで何とかぎりぎり生活を維持したレベルの層から、ぽろぽろっとこぼれ落ちそうになる人が顕著になってきたのかなあと心配しております。
第2は、高齢者夫婦のみ核家族からの個別相談が急増しているということです。
介護や医療の話ではありません。例えば、今までは2人とも元気な高齢者だった。それが、片方が脳溢血などで倒れちゃった。介護関係ならばケア24で対応してくれますから、それはそれでいいのですけれども、昨年までは、倒れた夫が所得税の確定申告を毎年していた。けれども、私はさっぱりわからない。もう少し具体的に言いますと、大体、所得税と固定資産税の区別もわからない。自分の息子に聞いたら、サラリーマンだから所得税の確定申告はわからないと言われた。税務署へ行けと言われても、どこにあるのかわからない。何を聞くのかわからない。こんなさっぱりわからない人からの相談が急増しています。そして、さっぱりわからないので、各種書類が山のようにあり、部屋はさながらごみ屋敷状態のケースも多々あります。
超高齢社会突入で、介護施設、介護サービスのテーマや成年後見制度の啓蒙は、議会でもマスコミでも議論され、関心を持たれているところですが、この種の相談は何となく無視されております。
この2つの傾向から、低所得者の一層の貧困化、超高齢社会において、見逃されている部分が少なからずあるなということが推測されます。
さて、杉並区の予算に関してですが、歳入に関して2つ申し上げます。
1つは、特別区民税が約12億円増加しています。600億円のうちの12億円は約2%に相当しますから、微増です。微増ですから、さほど深く考えなくても、昨年並みかで終わってしまってもよいかもしれませんが、やはり微増であっても、その理由を理解する必要があろうと思います。
微増の最大原因は、人口増加に起因する納税義務者の増加であることが審議を通じてわかりました。ただし、増税による増加額がいかほどか、また、景気の動向による増減はいかほどか、あるいは社会階層のどのレベルが微増に影響を与えたか、そんな疑問は残ったままでした。
そこで、
予算特別委員会で要望したように、
予算特別委員会終了後、私どもは機会を見てそれらの点を研究したいと思っていますので、理事者の皆様におかれては、どうか御協力をお願いいたします。
2つ目は、特別区財政調整交付金の件です。普通交付金370億円、特別交付金12億円、合計382億円です。28年度に比べて5億円、1.3%の微減です。
私は、そもそも都区制度における財政調整そのものに漠然たる不信を持っております。平成12年に都区の制度改革が実現しました。区は都の内部団体であったが、基礎自治体となった。東京都は、広域自治体であると同時に、23区の地域では基礎自治体でもあったものが、単純に広域自治体になりました。その裏づけとして、清掃事業などが区に移管されました。しかし、その際、都区の財源配分で整理できなかった課題、いわゆる主要5課題が残されました。このときは、23区は都の深刻な財政を考慮して、また、プライドの高い石原知事が頭を下げたということで、都に譲歩して、平成17年度までに解決という先送り約束を受け入れました。
平成17年6月10日、「都が行う『大都市事務』の分析結果」が発表されました。これは驚くべき数字で、東京都側は1兆1,964億円かかっていると主張し、23区側は6,803億円しかかかっていないと主張し、その乖離は5,161億円もありました。そして、23区は財政調整交付金3,500億円と都市計画交付金300億円のアップを主張しました。しかるに、平成17年7月末、都は実質回答ゼロでありました。一体全体、5年前の約束は何だったのかな。今でもあのときのショックを覚えております。その後、平成19年の小泉内閣の三位一体改革の影響で、調整率52%が55%へアップしましたが、それは三位一体改革の影響であって、都区制度の改革ではありません。
私は、今も都区制度の仕組みによって、23区は東京都に毎年、1,000億なのか2,000億なのか3,000億円なのか、途方もない巨額な金額がかすめ取られているのではないかと大きな疑問を持っています。平成29年度の特別区財政調整交付金は382億円ですが、本来ならば、それにプラス50億円、100億円あってもよいのではないかと思うわけです。
しかしながら、平成17年からあっという間に12年経過してしまいました。いろいろ事情も変化しているので、そこで、
予算特別委員会でもお願いしたように、特別区財政調整の都区の5,000億円の乖離がどうなってしまったのか、調整率は55%でよいのか、そんなことを機会を見て研究したいと考えていますので、理事者の皆様におかれては、研究への御協力をお願い申し上げます。
次に、歳出に移ります。
平成28年度の杉並区の最大問題は保育園でした。田中区長はすぎなみ保育緊急事態宣言を行い、2,200人増を打ち出しました。
予算特別委員会の審議でどうやら達成できそうとの見込みを聞き、安堵しているところで、担当職員の尽力に心から敬意を表するものです。もしもあのときああしなかったらば、待機児童が200人とか300人になったかもしれない、もしもあのときこんなことがあったら、待機児童が400人とか500人になったかもしれない、そんなことを思うとぞっとします。平成29年度は1,000人程度の増員を図る計画になっていますが、着実に進めていただきたいと期待しています。
経済波乱の時代にあって、保育園増設とは、ストレートに就業者増加を意味します。就業者増加とは、ストレートにGDP増加を意味します。保育園増加、待機児童ゼロこそは、実に単純明快な経済の成長戦略の最大のかなめであります。そんな意味からも、平成29年度は1,000人程度の増員をなし遂げてください。
次の大テーマは、JR阿佐ケ谷駅北口の杉並第一小学校の建てかえ計画です。
いよいよ具体的に動き出すかと思っていたやさき、近隣病院の移転建てかえが突然持ち上がり、一体どうなるのかしらと心配しています。
予算特別委員会の審議を通じて議論が整理できました。3月末か4月には方向性を定める段取りをしているとのことですが、この際、慌てない、慎重にということで進めていただきたいと思います。
それから、
ふるさと納税に関して、プレゼント合戦参入方針をやめて、いわば物欲ではなく、清い心を育むという方向を模索するということですが、私どもも知恵を出していきたいと思っております。
次に、賛否のあるテーマがあります。高円寺の小中一貫校の件、永福のビーチコートの件、南伊豆の
特別養護老人ホームやお試し移住事業の件、天沼三丁目複合施設の件、これらは、
予算特別委員会の審議を通じて理解が今まで以上に深まり、現行方針をしっかり進めていただきたいと思います。
賛否がさほどないテーマとして、とりわけ8つのことを申し述べます。
1つ、
居住支援協議会が実のある結果を出して、障害者の住まいを確保していただきたい。
2、
特別養護老人ホーム1,000床増加計画は、審議を通じて着実に進行していることが明らかになり、喜ばしい限りです。
3、55歳以上の福祉施設への就労支援を開始するということですが、この施策の成功を祈らずにはおられません。
4、高齢者の健康維持のため、口腔ケアの充実、在宅医療の充実、ICTを活用した在宅生活の支援など、いろいろな健康関係の施策がしっかり実行されることを願っています。
5、仮称荻外荘の一部建物が、他の場所へ移転、移築されていたものが戻ってくることになり、まことに喜ばしい限りです。この事業をもって、軍国主義を賛美する評価につながるのではないかと心配する人もいますが、あくまでも歴史の1こまにすぎないことを意識してほしい。
6、どこの公園か知りませんが、知らないほうがいいと思いますが、オオタカが巣づくりしていると
予算特別委員会で聞きまして、本当にびっくりしました。早速パソコンで、ことしの2月撮影のものを私も見ました。本当にかっこいいですね。杉並にある公園はすごいなと思わずにはおられません。公園に関して、荻外荘公園、荻窪四丁目公園など区立公園だけでなく、都立高井戸公園など都立公園にも目配り、気配りして、都と連絡を密にして抜かりなきようやってほしいと思います。
7、精神障害者へのマル障、すなわち心身障害者医療費助成制度が実現しそうです。精神障害者の施策はかなりおくれている分野です。とにもかくにも一般的に理解不足で、啓蒙を何とかしなければならないと考えております。
8、中央図書館の改築に当たっては、建築総額の予算を踏まえて、専門家と相談しながら、区民意見を大切にしながら、基礎設計の準備を進めていただきたい。
以上をもちまして、
区民フォーラムみらいの平成29年度杉並区
一般会計予算、各特別会計予算並びに関連諸議案に関しての意見開陳といたします。
どうもありがとうございました。
○浅井くにお 委員長 次に、
日本共産党杉並区議団代表、金子けんたろう委員。
◆
日本共産党杉並区議団代表(金子けんたろう委員)
日本共産党杉並区議団を代表して、平成29年度杉並区各会計予算と関連議案に対する意見を述べます。
国はアベノミクスという経済対策を進め、大企業が巨額の利益を上げる一方で、実質賃金は5年連続減少し、個人消費も落ち込みが続いています。国民生活基礎調査では、この20年間の間に生活が「苦しい」と答えた人が42%から60%と増加する一方、「普通」と答えた人は52%から36%に減少しました。普通に暮らしていた人々が苦しい生活に追い込まれています。にもかかわらず、医療、介護の負担増、年金削減など、社会保障の全面的な削減に踏み出しています。
こうした状況だからこそ、住民の福祉や暮らしを守ることを第一義とする自治体の役割を一層強く発揮することが求められています。我が党区議団は、杉並区が自治体の責務である住民福祉の向上に努めたのか、区政の主人公である区民の声を生かした民主的な区政運営に努めたのかという立場から委員会質疑に臨みました。
以下、質疑を通して明らかになった特徴について述べます。
区民の税と保険料の負担は深刻です。区の資料で、平成29年度住民税、所得税、国民健康保険料、介護保険料、年金保険料の負担の総額は、年収400万円、子供1人の家庭で100万5,000円になることがわかりました。加えて、この家庭の場合、消費税の負担は19万円と試算されるため、合計は約120万円、年収の4分の1をはるかに超える負担です。
とりわけ国民健康保険料の負担は、区民の暮らしに重くのしかかっています。今回も1人当たり平均7,252円値上げとなる議案が提案されました。過去5年間で金額、率とも最高の値上げ幅となります。今でさえ国保料は高くて払えないとの声が多数寄せられていますが、区は、区民の暮らしを圧迫することについての認識を示さず、値上げは必要とする姿勢に終始しました。区民の暮らしに寄り添う姿勢が見られず、容認できません。
介護の問題では、介護保険制度の改悪が現場に重大な影響を与えています。特に介護報酬引き下げの影響は深刻です。委員会質疑でも紹介しましたが、さきに行われた介護保険運営協議会においても切実な声が出されており、介護現場の深刻な実態が語られています。国に対して介護現場の深刻な現状を伝え、これまでの介護報酬引き下げを見直すよう求めること。また、区独自に介護報酬引き下げの影響を緩和すべく、介護従事者の処遇改善を検討するよう求めます。
6人に1人の子供が相対的貧困状態にあると言われる中で、我が党区議団は早急な実態調査を求めてまいりました。区はようやく、子ども・子育て支援計画の見直しに当たり、貧困にかかわる調査項目を加え、ことし6月、8,400名程度の子供を対象に調査を行うことを表明しました。重要な前進であり、実効性ある貧困対策の策定を求めるものです。
一方、子供の貧困対策として不可欠な就学援助の拡充については、極めて消極的な姿勢を示しました。この間、生活保護基準の引き下げにより認定基準額は毎年減らされ、それに伴って認定率も減少しています。就学援助の算定を生活保護基準の1.2倍から1.5倍に引き上げるよう求めましたが、引き上げるつもりはないと冷たい答弁に終始したことは認められません。貧困が広がる中、多くの他自治体で、就学援助の拡充、入学準備金の前倒し支給、給食費の無償化などに踏み出しています。憲法26条に保障されている教育を受ける権利と、「義務教育は、これを無償とする。」との精神に照らし、教育費の自己負担軽減に向けて取り組みを求めます。
区立施設の使用料は、この4月から登録団体割引制度が完全廃止となります。区は、未利用者との公平性、受益者負担を強調しますが、文化交流活動、スポーツを通じたまちづくりの一環として進められてきた団体登録制度を骨抜きにし、区民へのさらなる負担増の押しつけは、自治体の責務を投げ捨てるもので、到底認められません。
この間区は、持続可能な社会保障制度を支える安定的な財源の確保が必要だという理由で、消費税増税は必要と繰り返し答弁しています。しかし、消費税が社会保障の財源に使われたのはほんのわずかで、国でいえば、大企業、富裕層への減税の穴埋めに使われたのが実態です。高額所得者への適正な課税や行き過ぎた法人税減税の是正など、所得の再配分機能の強化で社会保障の財源を確保すべきです。
区においては、消費税増収分がこの間、特定財源である繰入金や区債の発行を抑えることに使われたのが実態で、財政指標をよくすることに使われたというのがさらに実態です。我が党区議団は、消費税は社会保障の財源にふさわしくないという立場ですが、せめてその税収は、介護保険料や国民健康保険料の引き下げなど、区民負担の軽減に活用すべきと求めるものです。
我が党区議団は、この間、区民生活の実態と財政運営が乖離している現状について警鐘を鳴らしてまいりました。区の財政力の豊かさや健全性が示される一方、その財政力に応じた区民福祉向上の施策が展開されてきたとは言えません。築浅のあんさんぶる荻窪との財産交換により進められる天沼三丁目複合施設の建設や、
高円寺小中一貫校に象徴される、不合理で過大な箱物への投資的経費の増額が予算編成の大きな部分を占めています。さらに、550億円もの財政の
ダムづくりに向けた基金積み立ても着々と進められています。
区内の障害者団体や商工団体、区政運営にも大きな役割を担っている団体から寄せられた要望、要求は、莫大な経費をかけなくても実施できる施策があるにもかかわらず、脇に置かれたままです。区民が主人公となる財政運営に転換することを求めます。
次に、保育待機児童をめぐる一連の課題について述べます。
昨年のすぎなみ保育緊急事態宣言に基づく緊急対策については、保育所用地として活用可能な場所もある一方、子供たちの利用頻度が極めて高い公園の保育所転用を強行するなど、地域住民のコミュニティーのかなめが乱暴に奪われるという深刻な事態を発生させることになりました。
区が地域住民と膝詰めで協議する姿勢を持たず、問答無用で計画を強行したことは、杉並区政史上においても重大な禍根を残すことになりました。当該地域では、依然として代替用地が確保されない問題や、保育運営上、必要不可欠な地域との信頼関係の構築などにおいても問題が山積しています。こうした事態を発生させてしまったことは到底許されず、区はみずからの責任を重く受けとめるべきです。
委員会質疑では、本年4月時点で待機児童ゼロを実現できない場合、緊急の定員確保等の対応を求めましたが、区は既存計画内での対応にとどまりました。現時点において、待機児童ゼロを実現できるかどうか見通しが定まらない中、区みずから、待機児童ゼロを達成すると明言している以上、今からでも緊急の対応を検討するよう重ねて求めておきます。
認可保育所の大規模整備に伴い、本年4月開設の認可保育所において、保育の質を確保することが喫緊の課題となっています。保育の質を確保する上で必要とされるのは、保育士確保と保育士の安定的雇用、保育士の専門性の向上です。近隣自治体も含め、保育士確保は深刻な課題となっていますが、委員会質疑において、各運営事業者において保育士確保が適正に行われているのか、大きな疑問が残る結果となりました。
当区議団の調査では、本年4月開設園の多くでいまだに複数名の保育士募集を行っており、区の認識と事業者の実態に大きなずれがあることを指摘しました。区長は各運営事業者の調査を約束しましたが、4月からの新規開設園において運営を問題なく行うためには、保育士確保について、区のさらなる支援と丁寧な関与が求められています。保育士確保の第一義的責任は事業者にありますが、杉並区の保育の質を確保するためには、自治体の責任ある対応が求められます。速やかに各運営事業者の実態把握を進めるとともに、4月開設以降の運営状況についても、丁寧な指導監督に努めるよう求めておきます。
今後さらに認可保育所の大規模増設に取り組む上では、保育士確保は重大な課題となります。保育士確保と保育士の安定的な雇用のためには、保育士の処遇改善に本腰を入れるほかありません。質疑では、隣接自治体において保育士に1万円の処遇改善策を実施した事例を取り上げ、区のさらなる処遇改善策を求めましたが、検討するとの答弁にとどまりました。速やかに広く、区内保育所を対象とした処遇改善策を実施することを求めておきます。
区立保育園の民営化方針が加速しています。この間、新設保育園整備は民間事業者の運営に依存しており、保育の質の確保に格差が生じることが懸念されます。そのような事態が進行するもとでの区立保育園の民営化は大きな問題です。区立保育園で安定的に確保されていた公立保育所を削減することは、民間事業者の保育士確保競争を熾烈にするものにほかならず、昨今の保育情勢を踏まえれば、民営化方針を進めることは重大な問題です。
さらに、区立保育園の民営化については、区みずからが示すとしていた区立保育園あり方検討会の最終報告も示されておらず、今後の区立保育園の持つべき役割も示されない中での民営化の強行に一切の道理はありません。区内の認可保育所の運営において民間事業者の比重が高まる中、区立保育園は区内の保育の質を維持する基準ともなるべきものであり、民営化方針を撤回することを強く求めます。
次に、高円寺地域の小中一貫校計画について述べます。
高円寺小中一貫教育校の新設工事のために行われた地盤調査の結果報告書について、我が党区議団だけでなく、他の多くの議員からも問題点が指摘されています。地盤調査結果報告書では、引用した文科省指針の建築物の規模を誤り、本来、高層建築物とされる地上約30メートル、6階建ての巨大校舎を、5階建て以下の中低層建築物として記載していたことが住民から指摘されています。区は単なる記述ミスとして処理しているようですが、本当にそうでしょうか。安定した地盤が浅い地層からしか確認できなかったので、中低層と恣意的に記載を行ったのではないかと住民から指摘されています。
工事着手に向けた手続についても、東京都に申請している建築確認がいまだにおりていないばかりか、第三者機関によるダブルチェックも、いまだ正式に契約を結べていない状況だということも質疑で明らかになりました。区は既に第三者機関には事前に必要書類を手渡していると答えていますが、未契約であるから第三者名については公表しないとしております。契約もしていない業者に区の重要書類を安易に渡していることは重大問題です。加えて、契約をしてからでないと事業者を公表できないというのであれば、契約の透明性も公正性も確認することはできず、議会のチェック機能をじゅうりんするものであり、許されません。一刻も早く第三者機関の公表を求めます。
新校舎建築計画に多くの疑問が区民から指摘される中、それが解消されない状況で区は工事を強行しています。近隣の方々など、当該計画に疑問を持つ住民が、建築予定地である高円寺中学校前で、毎日のように工事強行をやめてほしいと訴えています。区民と事業者がトラブルを起こしかねない状況となっているにもかかわらず、区は現場に来ることもしません。工事強行を事業者に指示するのではなく、区の理事者が現場に来て住民と対話することが、工事責任者としての責務であると指摘するものです。
質疑の中で他会派の委員から、現在の高円寺中のすばらしい教育実践が報告されましたが、我が党区議団は、そもそも統廃合となっている高円寺中、杉四小、杉八小は現状のまま存続することが、高円寺地域の教育環境や近隣の良好な住環境の維持に必要であり、学校を拠点とした地域コミュニティーの良好な形成には欠かせないと、以前から指摘してきました。ずさんな地盤調査で巨大校舎建設を強行するのはやめ、住民と膝詰めの議論を行い、計画を見直すよう強く求めるものです。
杉一小複合化計画について、見直しとなるB案が示されました。そもそも現計画であるA案は、屋上校庭化による地域の防災機能の低下や、地域の2つの集会施設を杉一小に統廃合することによって、子供たちの教育活動や地域コミュニティーの形成の面からも困難が生じるなど、区民からも懸念の声が上がっていました。そうした中で、今回区が計画の見直しを行い、集会施設と学校施設を別々に整備し、とりわけ杉一小に関しては、以前より良好な環境となる案を示したことは評価できると思います。
一方、見直しとなるB案についても、地域を象徴するようなケヤキ並木はどのぐらい残るのか、杉一小跡地活用は新たな民間開発につながるのではないかとの懸念の声と同時に、産業商工会館は現在の敷地のまま残してほしい、けやきプールもどこかにつくれないかなど、区民から要望が上がっています。何より、関係施設の周辺住民にはまだ見直し案が示されたばかりで、区民的な議論も成熟しているわけではありません。そういった点でも、早急に二者択一の結論を出すのではなく、一つ一つ区民の声を聞き、理解を得ることに努めながら計画をつくることを求めます。
最後に、田中区長のもと、区民無視の区政運営が深刻さを増している区政運営のあり方について述べます。
あんさんぶる荻窪と税務署等跡地の財産交換は、地域住民への説明会もなく強行され、現役の町会長から区長が訴えられるという前代未聞の事態となっています。公園保育園問題では、利用度の高い区立公園を地域住民にも理解を得る努力なく一気に進めた支障が、区政にも大きな禍根を残しました。実際、区議会最大会派の議員は、インターネット上で、「多くの子どもや良識ある価値観をお持ちの方々にこれほど酷い対応をする区も無いだろう。杉並区政史に残る最大の汚点だろう。」と極めて厳しく糾弾しています。
この議会で大きく取り上げられた公立保育園の民営化問題では、保護者や保育関係者など、広く区民に対象園名が示されないまま、
行財政改革推進計画改定案のパブリックコメントが始まりました。民営化計画の手続に保護者や当事者の意見を取り入れる姿勢が全くないまま計画決定がなされています。さきにも取り上げた公立保育園のあり方検討会最終報告についても、区みずからが示すとしていたものが二転三転し、いまだに示されておらず、子ども・子育て会議における委員からの指摘もことごとく無視したまま計画は強行されたのです。みずから設定し、公約してきた手続も行わないというのは、区の信頼を損なうものであり、到底認められません。
行財政改革推進計画案のパブリックコメントには、民営化に対して大変な数の批判的意見が集中しました。それでも区は、計画は動かないの一点張りです。
高円寺施設一体型小中一貫校建設では、パブコメの7割が批判的意見であるにもかかわらず、大多数のパブコメに参加しなかった人たちは賛成しているとばかりに、無根拠かつパブコメの意義をみずから否定するような姿勢を露呈しました。さきに挙げた使用料の大幅値上げについても、利用者に大きな影響を与える計画にもかかわらず、パブリックコメントすら実施していません。
こうした数々の問題は、区民との情報共有と区民意見の区政への反映をうたった自治基本条例の理念からも遠くかけ離れるものであり、非民主的な区政運営であると厳しく指摘するものであります。
議会軽視の姿勢も重大問題です。さきの都知事選で自民党や公明党から推薦され、落選した増田寛也氏を、選挙直後に高額の報酬で区顧問として決めたことも、事前の情報提供もなく、議会に動揺が走りました。
高円寺小中一貫校建設における区有地の問題も、公明党から詳しく質疑、指摘されたように、議会への適切な情報提供を欠いた議決が行われた実態が浮かび上がりました。
予算の公表を、議会運営委員会に公表する前に財政課長がネットに上げてしまうなど、区はケアレスミスかのように言いますが、議会軽視ともとれる問題が噴出しているのが実態です。
きわめつきは、杉並保育園民営化の保護者説明会での課長が発言した一言です。「計画関係というのは、議会のチェックが入り過ぎてしまうとものが進まなくなってしまう。」という発言は重大でした。他の委員から指摘を受け、部長は、今後は確認作業をしてから議事録を作成すると答弁しましたが、議事録の改ざんを公然と宣言するようなもので、到底認められる姿勢ではありません。抜本的な見直しを求めるものです。
以上、述べてまいりました理由により、予算関係については、議案第22号平成29年度杉並区
一般会計予算、23号、
国民健康保険事業会計予算、24号、
用地会計予算、25号、
介護保険事業会計予算、26号、
後期高齢者医療事業会計予算には反対、議案第27号、
中小企業勤労者福祉事業会計予算には賛成します。関連議案については、議案第10号から13号については反対、14号には賛成します。
最後になりましたが、多くの資料を調製していただいた職員の皆さん、そして委員長、副委員長に厚くお礼を申し上げ、意見の開陳を終わります。
○浅井くにお 委員長 傍聴人より委員会の撮影の申請が提出されましたので、これを許可いたします。
いのち・
平和クラブ代表、川野たかあき委員。
◆いのち・
平和クラブ代表(川野たかあき委員) いのち・平和クラブを代表し、議案第22号平成29年度杉並区
一般会計予算並びに各特別会計予算及び関連諸議案について意見を述べます。
さて、世界は今まさしく激動の時代にあると言えます。英国はEUから離脱することが決まり、アメリカでは差別的な発言を繰り返すトランプ氏が大統領に、フランスやドイツなど各地でも排他的な勢力が台頭、また先週には韓国の朴槿恵大統領が罷免されるなど、朝鮮半島をめぐる緊張も高まっております。
国内を見れば、安保法制に基づく南スーダンへの自衛隊派遣と撤退、国民の人権を侵害しかねないとも言われる共謀罪などが議論されております。国の来年度予算では、高齢者の医療費自己負担などを引き上げたことで、社会保障費の自然増分から約1,400億円がカットされる一方、防衛費は5兆1,251億円と過去最大額が今回も更新されました。
政府は、アベノミクスの成功、景気回復を主張します。2016年には正規雇用が51万人ふえたとされますが、同時に非正規雇用者数もふえ続けており、非正規雇用率は2015年、16年ともに37.5%です。中小企業の賃上げも高い水準としていますが、大手企業との溝は埋まらず、規模が小さくなるほど伸び悩んでいます。子供の貧困率も依然として高い状況であり、昨年末時点での生活保護受給世帯は、過去最多の約164万世帯です。貧困格差の問題は大きくなるばかりであり、社会保障費の削減なども相まって、区民の生活は依然として苦しい状況が続いていると見て取れます。
また、福島原発事故の復興はもとより、後始末すらままならない状況の中で、国はなおも原発再稼働を強引に推し進めています。そして、まさに今月、2017年3月いっぱいで自主避難者に対する住宅の無償提供が打ち切られようとしています。また、沖縄の辺野古基地、高江のヘリパッド建設をめぐる問題では、国の強硬姿勢が変わることはなく、各地で、国と自治体との関係、地方自治とは何か、民主主義とは何かが問われる事態となっています。
そのような中にあって、区民に最も身近な存在である地方自治体の役割はいよいよ重要です。私どもいのち・平和クラブは、区民の命と平和な暮らしを第一に考えると同時に、加速を続ける少子高齢社会において、中長期的な視野を持って、いかに区民が安心して暮らし続けていけるかに主眼を置いてきました。区民生活の安心を将来にわたってまで考えられた予算となっているか、まさしくタイトルにもあるように、時代の先を見据えた予算となっているか、そのような観点から委員会質疑に臨み、検討してまいりました。
予算特別委員会での質疑の内容を踏まえ、以下、主な賛成理由、評価する点と意見、要望を付して述べます。
第1に、自治体の役割は福祉の増進にあり、財政健全化の指標も、数字の達成が目的ではなく、区民の生活と福祉を持続的に維持するためにあるとした財政運営を評価します。厳しい財政事情を背景にしながらも、起債と基金のバランスをとり、保育園待機児童問題への思い切った予算投入や、震災などに備えた基金の積み立てを一定の規律で進めることは妥当なものと考えます。
第2に、保育園待機児童ゼロに向けて本腰を入れて取り組む姿勢です。待機児童問題は、仕事をやめざるを得なくなるなど、子育て世代の暮らしを直撃します。区の緊急対策は、認可園が圧倒的に不足する杉並の構造的問題を解決しようというものであり、指数の低い非常勤や派遣労働者ほど入れないという課題に向き合うものです。公園の一部利用に対しては、代替地についてさらに精力的な取り組みを求めます。また、今後は、用地確保の際など、周辺住民へのより一層丁寧な説明や話し合いなどに努めるよう、重ねて要望します。
第3に、超高齢社会の到来を見据えた福祉施策、中でも、区内外での特養老人ホーム待機者解消への取り組みです。小学校跡地や国有地などの活用による区内での大規模特養の増設に加え、来年1月開設予定の南伊豆町の特養ホームや、現在実現を模索されているという青梅市との自治体間連携など、区域外特養整備へも挑戦をしています。これは、都心部の特養待機者の解消と受け入れ地域での雇用創出、消費の拡大も見込まれる、将来への指針となり得る施策として評価するところです。
第4に、区は、無作為抽出の住民が参加するちょこっトークや、区長と高校生との懇談会を開催するなど、区民との対話を行ってきました。我が会派の委員に対する答弁において、区民との協働なくして円滑な区政運営は成り立たず、広報を区民との良好なコミュニケーションや協働につなげ、区政運営を前進させたいとの考えが区長より示されました。自治基本条例の基本理念に基づいた区民との協働を実現する意思が示されたことと評価します。
第5に、「3.11を忘れない」集いなどの取り組みを継続し、防災・減災の啓発に努め、木造住宅密集地域の不燃化、
狭隘道路拡幅整備など、首都直下型地震に備えた対策を強めていることです。南相馬市に引き続き派遣している職員が、復興のための企画や道路整備など、まちづくりの中軸を担っていることを3.11の集いのビデオで知り、頼もしく思いました。
第6に、環境への各種取り組みです。震災救援所となる学校に太陽光発電機器を継続して設置してきたこと、一般家庭への太陽光発電機器設置助成を行ってきたこと、来年度は新たに住宅の省エネ化を促すため、高日射反射率塗料による塗装や窓の複層化改修への助成を開始することも評価します。区には、今後も再生可能エネルギーの拡大に向けた施策継続を求めます。
また、食品ロス削減のため、これまで私どもが要望してきました飲食店での量の選べるメニュー提供の呼びかけや、宴会での食べ残しをなくす3010運動の普及など、仮称杉並もったいない運動に取り組むことが示されたことを評価します。
第7に、区立施設で、原発に頼らない新電力(PPS)からの電力購入を引き続き拡大する姿勢です。これまで88カ所で導入し、1億6,000万円の財政削減効果を上げ、新年度も、こども発達センターなど9カ所に拡大することを確認しました。
第8に、我が会派の代表質問で子供の貧困対策を求めたところ、来年度において実態調査を行うとの答弁があったことを評価します。丁寧な調査分析を行い、必要な子供に必要な施策が届く支援策を講じるよう求めます。加えて、区での児童相談所の設置が可能となったことから、都の児童相談所との連携、人材育成に努め、そのための財政や人員体制の保障など、都への働きかけを強く求めます。
第9に、住宅確保要配慮者にとって円滑に住まいが確保できる仕組みとして、
居住支援協議会が立ち上がったことを評価します。今後は、相談、生活支援、情報、マッチングなど、ワンストップの支援体制を充実させることを求めます。また、次年度行うモデル事業では、今後の空き家、空き室を活用した住まい方の提案につながるよう事業を見える化し、多様な住まいのあり方を発信していくことを重ねて要望します。
以上、主な賛成理由について申し述べました。
加えて、今後の区政運営について特に留意していただきたい点について、以下つけ加えます。
第1に、区立
施設再編整備計画について。
1960年代から集中的に建てられた公共施設が築50年を超え、今後、一斉に建てかえ時期を迎えます。行政需要は時代とともに変化を続けるものであり、施設のあり方や施策の一定の再編は避けられません。児童館を例に挙げれば、乳幼児親子の居場所の要望、学童クラブの需要拡大などで、今、児童館は飽和状態です。私ども会派は、児童館機能の継承と拡充を求めてきました。和泉子ども・子育てプラザでは、これまでどおり小中高生が受け入れられること、また、地域のコミュニティー施設では、乳幼児親子の居場所と体制がつくられることを確認しました。
第2に、杉並第一小学校について。
杉一小の複合化建てかえ計画では、河北病院の移転建てかえ案が浮上し、病院跡地に杉一小学校を建てかえる案が出現しました。子供の教育環境を考慮すれば、その案に賛成です。しかし、これまで杉一小の建てかえ計画は、老朽化した学校を早期に建てかえたいという保護者、学校関係者の願いを受けつつ、懇談会にて話し合いがなされ、決定されてきた経過があります。長期的な視野に立ち、子供の教育環境を第一に、保護者や地域のさまざまな懸念に応える丁寧な合意形成を図るよう求めます。
第3に、高円寺地域の学校づくりについて。
単学級化と生徒数の減少から、当初は、小学校同士の統合、中学校同士の統合が検討された経緯があります。高中が高南中に統廃合されることで、地域コミュニティーの核となる中学校が地域からなくなってしまうことに反対する地域の声もあり、施設一体型の小中一貫校が最終的な合意となりました。
会派としては、施設一体型小中一貫校には教育面でのさまざまな懸念を抱いておりますが、杉並の小中一貫教育は、6・3制を基礎とし、小中の連携を強化することを目指したものであることを確認しました。加えて、委員会での質疑を通じて、地盤の安全性や、くいの工法をより安全なものに変更したことなども確認できました。住民の不安を解消するためにも、建築確認許可がおりた後には議会への詳細な報告を求めます。
第4に、学童クラブと放課後の居場所事業について。
和泉では放課後の居場所事業を委託することになったが、保護者から要望されている学童クラブとしての事業はこれまでどおりしっかりと行い、待機児童解消を求めます。今後、放課後の居場所事業は、児童館職員の力を生かし、児童館が行ってきたような地域との協働が実現できる体制づくりを要望します。児童館を利用していた子供たちの居場所の確保は重要な課題であり、学童クラブ、私学、障害児、学校になじめない子など、多様な子供たちにも対応できる居場所の確保、また乳幼児親子事業など、約束した児童館事業の拡充、発展となるよう求めるものです。
第5に、職員の労働環境について。
2017年度の新規採用は女性が8割です。女性の係長昇任者数が23区中下から9番目となっており、技術職などがふえている現状で、女性職員が働きながら子育てができる環境を整えるよう求めます。行政需要が拡大する中で、定数削減の数値目標は控え、職員定数増を要望します。
また、区職員の3割を占める非常勤職員の賃金が来年度アップされることは評価するものですが、一方で、国の通知にもあるように、手当となる一時金の支給額については、まだ課題があると考えます。区の答弁では、賃金に上乗せしているとありましたが、引き続き処遇改善を求めます。
さらに、区の委託や指定管理職場での労基法遵守の取り組みについては、入札に当たり、委託料の問題だけでなく、事業者の労働環境などの評価もあわせて行う仕組みを求めてきました。委員会質疑を通じて、モニタリングの課題も明らかになりました。改めて公契約条例の制定を求めます。
第6に、現業職や窓口業務の委託化について。
我が会派は反対の立場を表明してきました。課税課の窓口業務の委託化が示されましたが、介護、国保の窓口業務に続く業務委託は、個人情報流出事故が絶えない現状下では、不安が拭い切れません。加えて、学校の用務、警備、給食業務などの現業職の委託化は、非正規雇用の拡大やサービスの質の低下など懸念があり、現業職や窓口業務の委託化を見直すよう求めます。
第7に、マイナンバーについて。
今月、3月10日、ネット上で都税が納められる都のサイトに不正アクセスがあり、利用者のクレジットカード情報67万6,290件が外部流出したおそれがあるとの報道がありました。情報の不正利用は確認されていないといいますが、都は、同日午前からサイトの運用を停止しています。マイナンバーが民間活用されると個人情報を扱う人が増加し、さらなる情報流出の危険性が高まります。マイナンバーカードの普及率が全国的に約8%なのは、便利さより危険性を感じている人が多いためであり、区には、マイナンバーカードが任意であることの周知に努めるよう求めます。
第8に、区立保育園の民営化について。
私立保育園にしか国や都からの補助金が出なくなったことから、新設する保育園が私立保育園になることはやむを得ないとしても、急増する私立保育園の質を守るためには、区立保育園の維持が欠かせません。新年度、区立保育園のあり方の検討が行われますが、それまでは建てかえに伴う民営化を安易に進めるべきではないと考えます。保育の質を維持するために、保育園利用者や地域住民、関係者などを交えて議論をしつつ、ガイドラインの策定を求めます。
以上、意見、要望を申し述べてまいりました。
なお、私ども会派の予算要望並びに
予算特別委員会における質問や要望を、今後の区政運営への反映に向け前向きに検討していただきたく、改めて要望をいたします。
田中区政は7年目を迎えようとしています。災害対策や待機児童問題など、喫緊に迫る難題が山積する中、目前の課題を的確に把握、分析して、必要な施策を中長期的な視野に立って着実に実行することが重要です。自治体の責務は福祉の向上にあるとする区長の姿勢を今後もぜひとも堅持していただき、将来にわたって安心な杉並区をつくり上げていただくよう期待します。
さまざま述べてまいりましたが、以上の理由から、議案第22号杉並区
一般会計予算、議案第23号杉並区
国民健康保険事業会計予算、議案第24号杉並区
用地会計予算、議案第25号杉並区
介護保険事業会計予算、議案第26号杉並区
後期高齢者医療事業会計予算、議案第27号杉並区
中小企業勤労者福祉事業会計予算に賛成といたします。
議案第12号杉並区
国民健康保険条例の一部を改正する条例について、保険料の値上げが5年連続となります。2011年に住民税方式がただし書き方式に変わり、どこまで値上げが行われるのかとの危惧が拭えません。年金受給者、失業者、非正規雇用者など、低所得層の割合の高さが国保の構造的問題となっています。2018年度からはいよいよ国保の広域化が始まり、都の標準保険料率により国保はさらに高額になることが予想されます。昨年12月、区は国に対して、負担率の増額など国の支援を求めていることを確認できましたが、引き続き声を上げていただくよう求めます。
本議案に対しては、会派の中には反対の意見もあることを言い添えながら、議案第12号杉並区
国民健康保険条例の一部を改正する条例について、会派として賛成といたします。
議案第10号
杉並区立地域区民センター及び
区民集会所条例及び
杉並区立高齢者活動支援センター及びゆうゆう館条例の一部を改正する条例、議案第11号杉並区特別区税条例等の一部を改正する条例、議案第13号
杉並区営住宅条例の一部を改正する条例、議案第14号杉並区
事務手数料条例の一部を改正する条例についても、それぞれ賛成といたします。
最後に、
予算特別委員会の審議に当たり、御答弁いただきました区長初め理事者の皆様、資料作成に御尽力いただいた職員の皆様、公正公平な委員会運営に努められた正副委員長に感謝を申し上げ、いのち・平和クラブの意見開陳を終わります。
ありがとうございました。
○浅井くにお 委員長 次に、自民・
無所属クラブ代表、小林ゆみ委員。
◆自民・
無所属クラブ代表(小林ゆみ委員) 自民・無所属クラブを代表し、議案第22号平成29年度杉並区
一般会計予算外各議案につきまして意見を申し述べます。
杉並区の28年度は、突如として区によって示された保育緊急事態宣言から始まり、それに伴う待機児童対策に区政が大きく揺るがされた1年となりました。その結果、財政にも少なからず影響が及んでおり、特に基金と区債はアンバランスになりつつあります。今後の行政需要を見越しつつ、将来世代にツケを回さず、責任ある自治体経営を行っていくためには、財政運営は常に適正であるよう努めなければなりません。
そのような中で、私たち会派が示した29年度予算への要望は、強固な財政基盤を築きつつ、将来世代に必要な施策の中で区が行うものを峻別して着実に進めてほしいというものでした。
杉並区の29年度の予算案は、「時代の先を見据え、10年ビジョンを加速させる予算」と名づけられ、変化への対応を意識した未来志向の予算編成をしたとのことで、そのタイトルには共感し、期待を抱きました。そこで、私たち会派は、来年度予算が本当に時代の先を見据えた形になっているのかを予算審議に臨む柱に据えて、財政の面、行財政改革の面、また区長の区政経営に取り組む姿勢という、大きく分けて3つの視点から、以下、評価をしてまいります。
まず、財政について見ていきます。
平成29年度
一般会計予算は前年度比3.5%増の1,780億5,000万円となり、過去最大の財政規模となりました。歳入については、
ふるさと納税による影響額がマイナス約11億円ながら、納税義務者や区民の所得増の恩恵を受け、特別区税で約12億5,000万円の増収を見込んでいるほか、地方特例交付金は増収、交通安全対策特別交付金は横ばいとなっており、一方、そのほかの交付金に関しては大幅な減収となっております。
こうした中、区債について見ると、仮称天沼三丁目複合施設整備費や学校等の大規模施設の改築経費増などで50億5,820万円の発行が見込まれています。私たち会派は、区債発行について慎重に対応するように求めていましたが、区はこれまで、前任者の借金返済優先の財政運営から転換をするに当たり、23区の全体平均を持ち出して、区債発行に余裕があるとたびたび答弁をしていました。本予算案の経営計画書によると、23区全体の区債残高は減少傾向にあるにもかかわらず、杉並区は最小値の倍を超えてしまうほど年々増加し、23区平均にとうとう追いつき、さらにはそれを上回ってしまう勢いであり、これまでの区の見解から1つのターニングポイントを迎えます。
また、量だけではなく、質という面から区債の引受先を見ると、既に28年度に発行する区債のうち、額にして87%以上が市中銀行の短期債であり、この傾向は29年度も継続するという見込みです。民間企業でも、短期借り入れのつなぎ融資が急増するのは、資金繰りの苦しさを示しております。何よりも、これまで区が区債発行のもう一つの論拠としていた施設利用の世代間負担の公平な分担の理論が成り立たなくなりつつあります。
一方で、基金について見ていくと、財政調整基金からの取り崩しは、27年度当初はゼロ円、28年度当初は9億円であり、決算剰余金の2分の1以上を積み上げるというこれまでの財政ルールと過去の剰余金額の実績からすれば、この2年間の財調基金からの取り崩し額は許容範囲内であったと我々は評価してまいりました。
しかし、29年度の当初予算の段階で46億円という多額の取り崩しを再び行うということは、基金残高の積み上げ目標に多大な影響を与えることになります。その結果、区債と基金残高のバランスを23区平均から見ると、区債は、さきに申し上げたように23区平均を超えそうながら、基金は平均に遠く及ばず、これも、杉並区がかねてからたびたび引用してきた区債と基金のバランスは、23区との対比という点でもバランスを欠いた悪い状態となります。
私たち会派はこれまでも、規律ある財政運営に関しては、長期的な視点を持った財政計画をつくるべきだと主張してまいりましたが、このような視点こそが本当の意味での先を見据えた財政運営であると考えております。今後の行政需要として、本庁舎の改築を初め、学校の建てかえを毎年2校ずつ控えているにもかかわらず、長期的財政の見込みを立てていないことを見ると、区は本当に先を見通した財政運営をしているのかについて疑問を抱くところです。
また、区長は委員会質疑の中で、このような厳しい局面を迎えたにもかかわらず、相変わらず、大事なことは財政指標の数字の一つ一つをよくすることではないという趣旨の発言をされました。経営者にとって大切なのは、数字に縛られることではなく、分析数値を使いこなすことです。トップがその数値に近寄りもしないのは、自治体経営者としては、組織を間違った方向に導く可能性もあり、大変危ういものとして危惧をするものであります。
次に、予算を精査する上での大きな視点の2つ目である行財政改革について見てまいります。
区は主に、将来に向けての施設の老朽改築や、女性の社会進出に伴って高まる保育需要を理由として保育施策を進めておりますが、今後もこのままのペースで保育施策を進めていけば、今年度からの約4年間で定員は合計5,000名増加する予定であり、保育経費は区費だけでも毎年65億円ほどかかってしまい、膨れ上がる保育関連経費はとどまるところを知りません。また、平成30年代には、学校改築の投資だけでも毎年60億円以上が必要ということが確実であります。これら必要な施策の財源を確保するために自主財源の確保は大切であり、それとともに無駄な事業を見直し、その成果で得られる財源を必要な施策に振り分けていくというめり張りのある区政運営が今こそ求められているのではないでしょうか。
そういった視点で行財政改革の取り組みについて見ると、財政効果見込み額は、田中区政が始まって以来最低である約5億2,700万円、また
職員削減見込み数は10人となっており、これでは行財政改革に対する取り組みは到底積極的とは言えません。一方、新規事業については、来年度予算案のうち、
ふるさと納税関連725万円のみであり、まずは既定事業、投資事業にしっかりと取り組まねばならないという考えから、新規事業が少ない点については評価をするところであります。
しかし、これは言い方を変えれば、既定事業と投資事業に配分する予算が膨らんでいることの裏返しであり、新規事業を打ち出す余力がないとも言えるわけです。このまま区財政が窮屈になっていくことがあれば、新規事業どころか、必要な区の事業が進められなくなるところも出てきてしまうと危惧をするところです。年々高まり、多様化する行政需要全てを受け入れるのではなく、自治体がどこまで担うべきかについては、施策ごとに常に考慮すべきであると指摘をしておきます。
次に、3つの視点のうち3点目といたしましては、区長の区政運営に取り組む姿勢についてであります。
その1つ目として、来年度予算案の新規事業である
ふるさと納税を例に述べてまいります。
区長は、1月31日、予算案が公表される区長記者会見で、過熱する返礼品競争の結果として、杉並区の自主財源である住民税が11億円失われることに対して警鐘を鳴らし、問題点を提起されました。それに対しては、我が会派も一定の理解はいたします。ただ、杉並区の
ふるさと納税施策については、問題点が3点あると考えています。
1つ目に、
ふるさと納税に関連する意思決定プロセスについてであります。
当委員会で私たち会派の委員が確認した内容を振り返ると、まず、平成28年6月28日に
ふるさと納税制度検討会を立ち上げ、返礼品を通した区の魅力発信のあり方などについての検討を開始し、同時に、区内産業団体に協力を依頼いたしました。また、11月4日の経営会議において、
ふるさと納税制度の活用についてが議題となり、方針が決定され、そこでは、新たな制度の導入によって杉並区への寄附増加額は約1億円、返礼品や委託料、事務経費として寄附額の7割程度が見積もられていました。そして、11月14日には、公募プロポーザルによって返礼品等業務委託事業者の募集を開始し、12月19日には、選定委員会においてその事業者が決まり、平成29年1月13日には、
ふるさと納税返礼品等協力事業者に対する説明会が予定されていましたが、その説明会は開催3日前に突然中止されてしまいました。
このように、半年近くかけて区で取り組んでいた施策を、区長がトップダウンで思いつきのように方向転換をしたことについて、当委員会内では苦言を呈しました。それにもかかわらず、答弁の中では、区長はこの問いかけについて「難癖」というフレーズを使い、まるで委員が区長に単なる個人攻撃をしているかのような表現をされました。
今回の質問は、
ふるさと納税制度の導入に当たり、昨年より現場で働く区職員が準備を進めてきたことに対して、年明けに急遽方向転換をしたことで、想定していた税収確保額が大きく目減りすることになる政策決定の経緯を時系列で、かつ事実に基づき指摘したものであります。これを区長は「難癖」と切って捨てる表現で答弁したことは、制度導入に向け入念に取り組んできた区職員の働きを否定し、返礼品等業務委託事業者及び前向きに協力してくれようとしていた返礼品等協力事業者など、さまざまな方面に配慮を欠く失言と強く指摘をするものであります。自身の意に沿わないものに対して、難癖として耳を傾けない姿は、議会人の大先輩としてがっかりし、新人の私は、ショックさえ受けました。ひいては、自治体のトップとしての資質には大きな疑問を感じた次第です。
また、問題点の2点目として、返礼品についてであります。
区長は、
ふるさと納税制度に対する問題提起として、過熱する返礼品競争を引き合いに出しておられました。しかし、そうであるならば、当区で次年度行う
ふるさと納税制度は、返礼品を一切出すことなく、過熱する返礼品競争から一線を画す姿勢を示し、御自身の主張の筋を通すべきであったと思います。どう見ても中途半端さが残り、全然潔くありません。本来ならば、制度の不備を内外に訴えつつ、当初の予定どおり節度ある返礼品を用意し、むしろ選ばれる杉並区として、杉並区全体の魅力度を高める不断の努力に努めるべきではないでしょうか。区長の思いつきによる痩せ我慢は、財政的にも、本来収入するはずの見込み約3,000万円もロスすることになり、区民にも迷惑がかかってしまいます。
お肉などの返礼品を定めている自治体では、
ふるさと納税の返礼品とすることで地場産業の活性化と振興を図る狙いがあるようですが、こうした自治体の取り組みを、肉食欲でつるという、地方の産業実態を軽蔑するような、品がなく、侮蔑するような表現で批判し、私たち会派は、その姿勢を代表質問等で問題視しました。
また、杉並区の交流自治体の中には、このようにお肉を返礼品としている自治体がありますが、このような杉並とがっちりスクラムを組んでいる交流自治体をも暗に批判しているともとられかねない表現は、御自身でスクラムを崩すようなものであり、ラグビーでは危険な行為としてペナルティーが与えられます。区長には、御自身が発する配慮のない発言の重みを改めて省み、今後細心の注意を払うよう求めます。
そして、3点目の問題点として、区長は東京一極集中についても批判をしていますが、一方では、保育待機児童解消のための人材確保策として、区内共通商品券を配布するという自治体間の競争をあおる施策を行っており、区長の考え方と施政方針には矛盾を感じざるを得ません。
ここでは
ふるさと納税を例に取り上げてまいりましたが、これは1つの事例であり、このほかにも、区長の方針演説が議会に公表される前に区のホームページにアップされていたことを会派の委員が指摘をいたしました。さらに、私たち会派の質疑の中で、
国際交流自治体の公式文書の内容確認を怠っていたなど、区長の区政運営に対する姿勢が、こうした役所全体の気の緩み、緊張感のなさにつながっているのではないかと指摘をいたします。
以上、当委員会質疑において、私たち会派が平成29年度
一般会計予算を判断する上で着目した点について述べてまいりました。
次年度予算案は、さきに述べたように、財政面の不安、行革の甘さ、区長の区政運営に対する緊張感のない取り組み姿勢という点から、「時代の先を見据え、10年ビジョンを加速させる予算」とは評価しがたく、議案第22号平成29年度杉並区
一般会計予算については反対をいたします。特に財政面については、今後財政悪化が懸念される予算として警鐘を鳴らす意味でも反対といたします。
次に、国保への繰入金が多額になっていることについては気になるところですが、事業を成り立たせるためには仕方のないことであるため、国民健康保険事業会計と各特別会計については賛成をいたします。ほか、各関連議案については全て賛成といたします。
以下、個別の施策について、何点か意見を述べてまいります。
初めに、29年度も目玉施策となるであろう保育施策について触れます。
代表質問でも述べましたが、我が会派は、保育施設を対症療法的につくるのではなく、ピークアウトを見据え、計画的に整備すること、また、杉並区を全体的に俯瞰した場合の地域的なバランスに配慮した認可保育所整備と計画策定を望むものであります。
保育に対する2点目は、保育料の適正化に対する意見であります。
ここで、そもそも福祉という言葉の概念に立ち返ると、英語で言うとウエルフェアであり、その語源である、よく、うまく、満足にという意味のウエルと、旅という意味のフェアが合わさった言葉です。これは、生きること自体がつらい旅のような状況にある孤児や失業者などの生活を満足に、つまりマイナスの状態から救おうという意味合いで、1904年、そういった関心が社会において高まった際に生まれた言葉であります。日本語訳では、福祉、福祉事業、生活保護と訳されます。
その日本語訳からもわかるように、福祉の対象は全体の少数派を指しており、その限界は多くても全体の2割と言われているため、現在の杉並区が福祉の対象とする割合は余りにも大き過ぎると言わざるを得ません。
今般の質疑の中で確認したように、保育利用家庭のうち、所得が1,000万円以上の家庭が46%を占めることから、福祉と一般的なサービスが混在したものを自治体が行うことになってしまいます。そのため、受益者負担の観点から、保育料の適正化が急務です。また、保育関連経費が自治体財政を圧迫している現状から、自主財源確保という点からも必要となります。区は29年度から検討、30年度から開始という計画を持っていますが、質疑の中において、保育料値上げの周知期間を設ける必要があるため、早急に取り組まねばならない課題であると指摘をいたしました。区はこのような状況を真摯に利用者に説明し、納得いただくことが大切ですので、丁寧かつ迅速に対応していただくよう要望いたします。
また、保育業務の民間委託について、31年度までに4園を民間委託するということを質疑において確認いたしましたが、保育園民間委託についての長期プランの策定を要望いたします。
最後に、杉一小等複合施設整備の検討について一言申し上げます。
先月24日の総務財政委員会の報告資料として、「杉並第一小学校等複合施設整備の検討−中間まとめ−」が公表され、今月3日には、杉一小周辺まちづくりに関する検討状況報告と意見交換会が開かれました。
この
予算特別委員会で、今後のスケジュールについては、3月末までに整備方針案が示され、4月から5月にかけて整備方針が決定されるとのことですが、平成29年度予算案では、当初計画であるA案を執行させる予算が計上されています。今回の予算審議では、整備方針がどちらの案になるかわからない、不確定な現状の中で行われたわけですが、整備方針決定前に議決という議会の判断を先行させてしまうことは、これからの整備方針の決定に予断を与えることにもなりかねません。現状、A案について一旦立ちどまっているのであれば、予算の組み方として、A案に関連した予算は科目存置して財源保留する予算の編成方法もあったのではないのでしょうか。今後の当初予算の組み方については検討を求めるものであります。
また、私ども会派から質疑の中で指摘したとおり、中間まとめにおいて示されたA案、B案の経費において、ランニングコストを含めたトータルコストの試算がなされておらず、先を見据えた適切な判断が本当にできるのか、一抹の不安を感じざるを得ません。このようなことから、周辺住民や学校関係者などが正しく判断する材料が出そろっているとは言いがたく、方針決定までには検討材料としてしっかり提示されるよう求めます。
さらに、子供たちの良好な教育環境を確保し整備する責任を負う教育委員会において、現時点までに、教育委員会の会議の議題に、両案を比較検討し議論した形跡がないことも、質疑の中で判明いたしました。杉一小の改築については、学校の老朽化に伴う整備の必要性がベースにあるにもかかわらず、病院用地への学校の移転改築の可能性が浮上してから、教育委員会として主体性を持って学校整備のあり方を検討している姿勢がかいま見えないことも指摘せざるを得ません。整備方針の決定までには、首長から一定の距離を置いた独立した行政機関である教育委員会においてしっかり両案を比較検討し、どちらの案がより子供たちの教育環境として望ましいのか、教育委員会としての意見を集約されるよう求めるものであります。
以上、予算に関連し、私たち会派の主な意見を述べてまいりましたが、このほか、
予算特別委員会の質疑の中で要望したさまざまな事項については、真摯に受けとめ、改めていくべきところはしっかりと改めていただきますよう求めます。
結びに当たりまして、予算審議に対し御答弁いただきました区長初め理事者の皆様、資料作成に御協力いただきました職員の皆様、また、委員会運営に御尽力いただきました正副委員長に対して感謝を申し上げまして、自民・無所属クラブの意見といたします。
○浅井くにお 委員長 以上で各会派による意見開陳は終了いたしました。
ほかに意見はありませんか。──ただいま、松尾ゆり委員、木梨もりよし委員、田中ゆうたろう委員、
堀部やすし委員、
木村ようこ委員から意見の申し出がありました。
意見の開陳は休憩後とし、ここで午後1時まで休憩といたします。
(午前11時54分 休憩)
(午後 1時 開議)
○浅井くにお 委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
意見開陳を続行いたします。
それでは、意見の申し出のありました委員を順次御指名いたします。
松尾ゆり委員。
◆杉並わくわく会議(松尾ゆり委員) 杉並わくわく会議として、平成29年度杉並区
一般会計予算及び特別会計予算に対して反対といたします。
質疑の中で、時間がなく十分触れられなかった点もありますので、それらも含めて、以下、意見を述べます。
第1に、保育についてです。
ことしも保育園の入園希望者が480人ふえ、待機児童問題は引き続き深刻です。区は待機児童ゼロを目指してことし緊急対策を行ってきたのに、なぜ待機児童が発生するのかということをにわかに納得できない向きもあるかと思います。
これについて、待機児童の定義に関してやや混乱があるのではないかと思い、質疑しました。決算特別委員会のときも言いましたが、待機児童には新定義、旧定義の2通りがあり、杉並区が目指す待機児童ゼロは、認可外施設に入った人などを数えない、いわゆる新定義のものです。まだ結果は出ていないものの、あれだけ無理をして保育園をつくったのですから、当然このゼロは達成できるものと期待します。
一方、旧定義、すなわち法の定める保育義務に忠実に考えれば、いわゆる隠れ待機児童、ちなみに昨年の春で2,100人以上に上りますが、これを解決しないことにはゼロになりません。あれだけ無理をして保育園をつくっても、もともと達成の見込みはないものです。
しかし、4月になれば、区は待機児童ゼロ達成と華々しく発表するでしょう。そして、そのために子供たちの遊ぶ公園が犠牲になったことも仕方なかったと言うのではないでしょうか。
待機児童対策を頑張る区長は受けがいいとお考えかもしれませんが、PRのために待機児童対策を掲げることはいいかげんにやめていただきたいと思います。待機児童はキャンペーンのネタではありません。行政は淡々と、そして着々と保育所整備を行わなければならない。それは法に定められた義務なのであって、今だけ行うとか、緊急に行うとかいう性質のものではありません。
質疑では、認可保育園の2歳児、3歳児のあきを分析し、それが井草と久我山・高井戸に集中していることも指摘しました。これだけ入園が厳しいのに、公立保育園の2歳にあきがあるなど、ちょっと考えられませんが、井草地域は2園にあきがあります。地域偏在については、昨年の計画当初から多くの議員や地域の方が指摘してきたことですが、1つの結果が出たと思います。
区長は私の指摘に対して、つくる必要がなかったというのかと言いましたが、私はそのようなことは言っていません。地域の入園希望者にとっては幸いだったと言ったはずです。予断を持って人の発言を歪曲するのはやめていただきたいと指摘します。
政治的な意図を持っての発言かとも言われましたが、これもいかがなものかと思います。住民も私たち議員も、杉並区のよさを守り、発展させたいがために、言いにくいことも言っているのであって、それを政治的に解釈し、敵視することは問題です。もっと謙虚に耳を傾けていただきたいと思います。
保育の質についても、特に新設園の保育士さんの人材確保に関しては大変心もとないものがあります。まだ認可がおりていない保育園がかなりあるようですが、無事開園できるよう祈ります。
民間の保育園については、労働環境についてどう考えているのかと思うような企業も入っています。区内に小規模保育園を開園するある企業は、経営理念に電通事件で問題となった鬼十則を掲げています。また、別の小規模保育園はフランチャイズチェーンですが、都内及び近郊では突然閉鎖した園もあるそうです。認可園の建設を予定している高円寺の土地は、接道面が短く、両側に民家が軒を接しています。とても保育園を建てられる土地の規模、形状ではありません。
こうした例を見ると、区は保育園の数ばかりを追いかけて、何でもありになっているのではないかと心配です。子供たちを安心して預けられる保育園になるのか、不安が尽きません。
次に、保育園の民営化について述べます。
質疑の中では、補助金について説明を求めました。区は、公立保育園の運営費、建設費の国庫負担が小泉政権時代の三位一体改革によってカットされ、そのため私立にシフトせざるを得ないと、この間説明してきましたが、当時の都区制度改革の中で、三位一体改革も踏まえて区への分配率が引き上げられたことを確認しました。以降、都区財調の基準財政需要額の中に区立保育園の運営費も含まれており、直近では55億円程度が算定されていることも確認しました。財調の仕組みの中なので、全額が財調でカバーされるわけではありませんが、区立は区の独自財源だけで賄うかのような表現は正確でないということを指摘いたしました。
また、職員削減という点を見ても、これまでも指摘しましたように、この10年間で区の人件費を総額約20億円程度削減する間に、委託費は90億円近くふえており、金額的には行革効果は全くないどころか、かえってお金がかかっています。このように、保育園の民営化の財政的な根拠は極めて薄いものと考えます。
保育の質の面からいっても、区はこれまで、公立も民間も同じ認可であって、質は変わらないという趣旨の説明をしてきましたが、現実は違います。民間団体の調査に対し区が回答した資料を見ますと、保育士の加配に関して、充実・休憩保育士、朝夕保育士、延長保育など、区立と私立では明らかに配置に差があります。
では、何のための民営化かなのかと考えると、民間企業のビジネスのために公的な資源を提供するためでしかないと思います。区は、新年度、行革本部会で保育園の民営化について検討、決定するとしていますが、これ以上の民営化については立ちどまるべきと指摘します。
第2に、杉一小と阿佐谷地域のまちづくりについて述べます。
私たち阿佐谷の人間にとって、阿佐谷は駅前に杉一小があり、けやき屋敷があって、その先に河北病院があるという、そのことそのものが阿佐谷のまちです。それが今大きく変わろうとしています。河北病院の移転自体は民間の計画であり、やむを得ないものであるとしても、行政主導でこの一帯を全く違うまちにするようなことは慎重であるべきと考えます。
提示されたB案では、杉一小の現在の敷地を用途変更し、容積率を引き上げて、13階建てのビルを建てる可能性が示されています。規制を緩和するほうに変更するわけですが、行政は本来、民間の開発行為に規制をかけることが役割です。むしろ、みずから高さ制限を設けるなどして、景観に配慮したまちづくりに誘導することが望ましいと考えます。
阿佐ケ谷の南口には13階と16階のマンションが相次いで建ち、景観が一変しました。そのとき区は何ら規制の手段がなく、手をこまぬいているだけでした。北口も同じようになってしまうのか。しかも、行政の主導で行うのでしょうか。杉並区は景観条例にも高さ制限がありません。区長の言う良好な住宅都市としての杉並を守っていこうとするのならば、どこにでもあるビルの林立するまちへと開発するのではなく、杉並らしい、落ちついた景観を守るための努力こそが今求められているのではないでしょうか。
学校の建てかえも急がれています。確かに移転すれば学校の環境はよくなるでしょうが、他方、10年待つことが果たしてよいのか、疑問が残ります。
議会の意見を聞くスケジュールも理解できません。なぜ6月の第2回定例会を待たずに計画決定されるのか。2月の総務財政委員会にB案が提示されたので、一般質問には間に合わず、教育、産業、まちづくりなど各所管の常任委員会での議論も行われていません。議会でじっくりと意見交換することは、最低限必要なことと考えます。
また、区は地域の人たちと話し合ってきたと言いますが、それは団体の代表者など限られた人たちです。ほとんどの住民はこの計画を知りません。周辺の地権者はもちろんですが、阿佐ケ谷駅や周辺商店街の利用者など、離れたところの住民にとっても影響の大きい計画です。
決定する前に、区民に計画の存在を周知し、幅広く意見を募り、募っただけではなく、その意見を生かしたまちづくりを行うことを求めます。いつものように、もう決定しましたで済ませるのはやめていただきたいと思います。
病院の移転という大きな要素はチャンスとも捉えられますが、病院のスケジュールに無理やり合わせることにより、まちづくりにひずみが生まれる可能性もあります。土地の交換を諦め、病院の移転の影響を最小限にとどめるまちづくりを考えることも一案かと思います。A案、B案に続き、C案、D案の可能性も探ることが必要ではないかと考えております。
第3に、
高円寺小中一貫校について述べます。
予定地である高円寺中では、もう1カ月半もの間、連日、近隣の方々がスタンディングを行い、区役所と話し合いを継続しているのだから、一方的に工事を強行しないようにと訴えています。これも何度も言ってきたことですが、区が工事をするのに、お隣のおうちにも挨拶に行かないような不遜な態度でやっているから、こんな前代未聞の住民運動になってしまったのです。生活権、財産権を守ろうとする住民の主張は正当であり、区役所は住民と誠意を持って交渉すべきです。区議会では、住民とは丁寧に話し合いをしていくと、何度もすばらしい答弁を伺っていますが、実行が伴っていません。
他の委員がおっしゃった、もう決まったことなのだから、諦めて受け入れてなどというのは言語道断で、住民に対して大変非礼な言い分だと思いますし、民主主義の否定となります。この方のおっしゃるように、当事者の利害を無視し、当事者の意思を押し切って進めるならば、仮に学校ができても、地域との関係が冷たいものになるかもしれないことを危惧します。
ボーリングの報告書に誤りがあり、訂正されたことを確認しました。しかし、この誤りがなぜ引き起こされたかは依然として明らかになりません。報告書を作成した設計事務所は、文科省とも関係の深い、学校建築に通じた設計者と聞きます。そういった設計者が中低層と高層をうっかり取り違えるとは考えにくいことです。また、設計事務所にペナルティーは要求しないとのことですが、そんな軽い問題なのかということも疑問です。
小中一貫校について、和泉学園の検証結果が出ました。しかし、区側も言っているように、この検証は開校1年間のものであり、教育的効果などについてはまだ何もわからないと言っていい状態です。同じ施設一体型小中一貫校であり、しかも和泉学園よりも校地が狭く、環境の悪い
高円寺小中一貫校を進めることについて、性急過ぎるのではないか、和泉学園の数年間の検証を待ってからではいけないのか、この点も問題です。
約75億円の総工費のうち、国、都の補助金は満額でも8億円余りとの答弁も受けました。そうであれば、工費を節約するためにも、建物規模の見直しを行うべきです。それは近隣住民のためにもなることです。この事業をこのまま強行せず、見直しすべきと指摘をいたします。
第4に、施設再編について述べます。
まず、児童館です。児童館を廃止し、機能を分散移転するという区の計画を見直し、杉並区の重要な資産である児童館を維持していくべきとこれまでも指摘してきましたが、区は計画を進めながらも、ここへ来て、児童館に頼らざるを得ない現実を抱えています。
保育園の定員が膨れ上がる中、学童クラブの定員不足がもう既に問題となっています。区は4月から児童館へのランドセル来館を実施しますが、学童クラブに入れない年長児童の受け皿ともなります。児童館があるからこんな緊急対応もできるのです。たくさんの児童館があって、本当によかったですね。児童館に感謝して、廃止の方針を見直すべきと指摘します。
児童館の分散移転先の1つである放課後等居場所事業のモデル事業について質問しました。区は、図書室、図工室、音楽室、体育館、校庭などが使えて、ダイナミックな遊びができるなどとたびたび説明してきましたが、実際は、当たり前のことですが、学校施設を自由に使うことはできず、学校との事前調整の上、決められた場所を使うしかないことが明らかになりました。毎日、朝から夕方まで、いつ行っても自由に遊戯室、図書室、図工室などが使える児童館は、子供のために考え抜かれた自由な遊びのできる場所であり、今後も守っていく必要があることを指摘します。
図書館について。永福図書館の再編が打ち出されています。大変不思議に思うのは、なぜ永福図書館を移転しなければいけないのか、そして、なぜ複合施設にしなければいけないのかです。移転せず現地で建てかえれば、休館期間が必要となりますが、それでもいいのではないでしょうか。中央図書館ですら休館を予定しているのです。問題は、移転後の永福図書館が複合施設として計画されているため、現在よりもかなり狭くなることです。杉並区はかつて、図書館の延べ床面積は1,100平米と基準を示しています。これを遵守するよう求め、永福図書館の縮小には反対します。
第5に、その他の問題について簡単に述べます。
まず、産業振興計画と産業政策についてです。杉並区の産業政策が弱いことは以前から指摘してきました。振興計画の見直しを契機に、政策の強化が図られることを要望します。
次に、清掃関係の労働問題についても指摘しました。労働者供給事業の労働者が違法な年金逃れのはざまにいることが明らかになりました。区は契約当事者として、二十三区清掃協議会と連携して問題の解決に当たるよう求めます。
また、プロポーザル選定委員会について指摘しました。選定委員の氏名公表は、選定の透明性、公正性を確保するための基本のキで、こんなことを役所の人たちに何度も言わなければいけないことが恥ずかしいくらいですが、わからないようなので念を押します。氏名の公表ができないということは、架空の人物かもしれない、区が事業者とつるんで結果を創作しているかもしれないと言われても仕方がないことなんですよ。プロポーザル選定委員会に関しては、早急に委員の氏名公表を求めます。
以上をもちまして意見開陳とします。
なお、関連議案につきましては、議案第12号
国民健康保険条例の一部を改正する条例については反対、その他の議案については賛成とします。
最後になりましたが、このたびも、多数の資料を作成してくださり、さまざまな問題を御教示くださり、また連日丁寧に答弁してくださった職員の皆様に御礼申し上げます。
ありがとうございました。
○浅井くにお 委員長 次に、木梨もりよし委員。
◆共に生きる杉並(木梨もりよし委員) 共に生きる杉並の木梨もりよしでございます。
東日本大震災から6年がたちました。今なお12万人以上の被災者の皆様が避難生活をされています。一日も早く生活が再建されますよう、心よりお祈り申し上げます。
平成29年度杉並区
一般会計予算、特別会計といたしまして杉並区
国民健康保険事業会計予算、杉並区
用地会計予算、杉並区
介護保険事業会計予算、杉並区
後期高齢者医療事業会計予算、杉並区
中小企業勤労者福祉事業会計予算、その他関連議案につきまして意見を申し述べさせていただきます。
何といっても、杉並区政最大の問題は、田中区長の政治とお金の問題であります。東京都政におきましては、政治とお金の問題で、猪瀬さんや舛添さんが任期途中で都知事を辞任に追い込まれました。しかし、杉並区政における田中区長の政治とお金の問題は、道義的また政治倫理の立場からして、それ以上に悪質です。
杉並区の予算編成の最高責任者は田中区長であります。当然、予算の編成には補助金や委託料も含まれます。田中区長の政治資金集めのパーティーの発起人の半数近い十数人が、杉並区から補助金や委託料が支払われている団体とその責任者でございます。善良なこれらの方々を、田中区長は、区長という職を背景に利用しているにすぎません。また、杉並区内には、杉並区役所の仕事を受注している企業が、田中区長の政治資金集めのパーティーに協力しています。
田中区長は杉並区政を私物化してはなりません。もし仮に杉並区役所の職員が、杉並区から補助金や委託料が支出されている団体や杉並区役所の仕事を受注している企業からお金を受け取れば、収賄罪で警察に逮捕され、懲戒免職となるでしょう。約3,500名の職員のトップに立つ区長がこのようなことをしていれば、全職員に対して示しがつかないばかりか、区民の皆様に対して、区政全体の信頼を失わしめることになるのではないでしょうか。この議会で一番の話題になりました
ふるさと納税、そして次世代育成基金への寄附などは、区民の皆様の区政に対する信頼なくして御協力は得られないのではないでしょうか。
また、法改正により、杉並区長が杉並区総合教育会議の座長として、杉並区の教育の最高責任者となりました。また、文部科学省の方針によりますと、小学校は平成30年度、検定教科書を導入して道徳科を実施し、その内容の重要な項目の1つに、公平、公正、社会正義を道徳に取り入れることとしております。私がこれまで指摘してきた田中区長の政治とお金の問題は、これから小学校の道徳教育で教える公平、公正、社会正義に反するものではないでしょうか。田中区長、あなたは、杉並区の教育の責任者としても大きな問題があるのではないでしょうか。
私も長い間議員として区政に携わってきましたが、ほとんどの区長さん方は、これらのことをわきまえて、政治資金集めのパーティーは開催しておりません。私はこれまで、機会あるごとに田中区長の政治とお金の問題を指摘してまいりました。しかし、一向に反省の気配すらありません。それどころか、これまで田中区長は、区長就任以来、毎年政治資金集めのパーティーを開催し、政治資金収支報告書によりますと、毎年約700万円程度、既に6回開催しておりますので、約4,000万以上のお金を集めております。昨年都知事を辞任に追い込まれました舛添さんの件でも明らかなように、そのお金はほとんど田中区長が自由に使えるお金であります。つまり、ポケットマネーのようなものであります。
これ以上、区民の皆様の信頼を失うことを続けさせておくわけにはいきません。また、誠実に区役所の仕事をしている区職員に対しても示しがつきません。そして、子供たちの教育を考えたときに、決していい影響を及ぼすものではありません。さらには、杉並区の民主政治そのものをゆがめてしまうのではないでしょうか。
ここで私は、田中区長の辞任を求めておきます。区議会の中でも私の主張に対する賛同者がふえていますが、まだまだ大勢を占めるに至っておりません。猪瀬さんや舛添さんが辞任に追い込まれたのは、世論の力です。どうかこの不正をただしていくために、良識ある区民の皆様の声を直接杉並区役所に、区長室に届けていただきたいと思います。
田中区長は以前、区長の最大の権限は予算の編成権と人事権であると胸を張って言っておられました。予算の編成権につきましては、先ほど来申し上げてきましたように、政治とお金の問題に結びつき、とても許せるものではありません。
もう一つの区長の最大の権限と言っていた人事権ですが、都知事選挙で田中区長が応援し、落選した増田寛也氏を杉並区の顧問にしたこと、これも大いに問題です。人事権の濫用とも受け取れます。都知事選挙の際、田中区長は、区民や都民の民意に反して増田寛也氏を推薦いたしました。平成29年度予算を「時代の先を見据え、10年ビジョンを加速させる予算」と名づけたとしておりますが、先を見据えるどころか、先が見えているのかどうか疑わしいものであります。今最も必要なことは、みずからの足元を見詰め直すことではないでしょうか。
増田寛也氏の顧問としての報酬は月額35万円です。増田寛也氏は北海道と神戸市の顧問をしておられますが、いずれも日額報酬で、北海道では日額報酬1万2,000円、活動実績は年間2日から5日程度とのことであります。現在、増田寛也氏は週1度程度来庁し、地方創生のアドバイスをしていただいているようであります。そもそも本来、地方創生は国の仕事であって、杉並区の仕事ではありません。田中区長は、増田氏の顧問継続は考え直すべきであります。
自由と平和と助け合い、自由競争、切磋琢磨する社会と助け合いの、平和な、つまり調和のとれた社会を目指していきましょう。共に生きる世の中を、共生の世の中を、自然とともに、人々とともに、杉並から広めていきましょう。そして、この世に生を受けたかけがえのない私たち一人一人の命が輝く社会を目指していきましょう。
昭和50年、1975年、初当選以来、私は、ただいま申し上げたような基本的な考え方を持ちながら区政に向き合ってまいりました。区政はこれまで、議会やさまざまな分野の団体、区民が入って、10年間を見据えた基本構想をつくり上げ、総合計画、実施計画と行政を進めてきております。基本構想は区政運営の全ての基本となるもので、現在の基本構想は、「支えあい共につくる 安全で活力あるみどりの住宅都市 杉並」を将来像としております。また、教育の分野では、教育委員会では杉並区教育ビジョン2012を策定し、「共に学び共に支え共に創る杉並の教育」を目指しております。まさに杉並区の基本構想と杉並区教育ビジョン2012は、私の目指す共に生きる世の中、共生の世の中に近づくものであると考えます。
平成29年度区政経営計画書をつぶさに審査させていただきました。政策経営部、総務部、区民生活部、保健福祉部、都市整備部、環境部、教育委員会事務局、それぞれの部局が、基本構想や教育ビジョンの実現に向けた取り組みを着実に推進していこうという姿勢を酌み取ることができました。また、喫緊の課題である少子高齢化社会に向かっての介護施策の充実や、待機者ゼロを目指す保育施策などの子育て支援、また首都直下地震への備えなど、区民の皆様の信頼と期待に応えるものであると受けとめさせていただきました。
諸行無常と諸法無我、常に変化しているこの世の中と、全ての物事がかかわり合っているこの世の中、絶対的に正しい社会などあり得ません。よりよき社会に向かって、日々改善、改革が必要ではないでしょうか。
田中区長の政治とお金の問題は、杉並区役所が行っているものではありません。田中区長自身が区長の職権を利用して、土俵の外で勝手にお金を集めているだけのことであります。このことは断じて許してはなりません。
しかし、平成29年度予算は、杉並区役所の各部各課、そして区の職員一人一人が、区民の皆様と向き合って誠実に積み上げてきた予算案であると受けとめさせていただきました。したがって、私は、平成29年度杉並区
一般会計予算並びに各特別会計予算、その他関連議案全ての議案に賛成し、私の意見の開陳とさせていただきます。
○浅井くにお 委員長 次に、田中ゆうたろう委員。
◆美しい杉並(田中ゆうたろう委員) 美しい杉並の田中ゆうたろうです。平成29年度杉並区
一般会計予算並びに各特別会計予算、その他関連諸議案について意見を申し述べます。
議案第22号平成29年度杉並区
一般会計予算について反対いたします。
理由は、本年度に行われた待機児童解消緊急対策を率直に欠陥ある失策として認め、その教訓を生かそうとの姿勢が本予算には見受けられないからであります。本年度中の待機児童ゼロ達成を区内外に確約し、そのためには、利用率の高い幾つかの区立公園を潰すという暴挙にまで及んでおきながら、待機児童ゼロ達成は今なお不確かな状況の中で、しかも、旧永福南小跡地へのビーチコート建設は、杉並区議会スポーツ振興議員連盟の要望ゆえと称して強行しようなどとは、その最たるあらわれであります。
同議員連盟の実態は、杉並区
議会自由民主党、杉並区議会公明党、
区民フォーラムみらいなどから成る議員48名中6割程度にすぎない実態が明らかとなりました。それをあたかも杉並区議会全体の総意であるかのように永福地域の住民に説明されるのは迷惑でありますし、何より、各行政需要に対する区の優先順位の不確かさには、今後の健全な行財政運営を期待する立場から、強い危機感を抱かざるを得ません。
また、高円寺地域の新しい学校整備に関する不安や疑問も、審議を通じ、ついに払拭されることはありませんでした。学校建設当該地のみならず、その隣接地域についても、最新の地盤調査テクノロジーを活用して、安全確保には入念の上にも入念を期すべきでありますが、区は、地域住民との合意形成も不十分な工事を性急に強行しようとの姿勢を崩そうとはしませんでした。保育所にせよ、学校にせよ、ただ建てれば事足るというものではないはずであります。
以上の理由から、議案第22号については反対いたします。他の議案については、特段の異議なく、賛成いたします。
以下、時間の制約上、十分に意を尽くし得なかった点について補足しつつ、意見、要望を申し上げます。
杉並区議会スポーツ振興議員連盟について、なお一言、ここに正直に申し添えるならば、私は、この議連からたびたび退会をほのめかされたとき、この杉並区議会の村社会的な体質、闊達な議論を許さぬ構造に対し、一瞬、ほんの一瞬、死をもって抗議すべきか否か考えました。──笑い事ですか。
しかし、杉並区民、とりわけ私をこの議会に送り出してくださった2,171人の方々のことを思えば、自殺などできようはずもありませんでした。むしろ、いつの日か機会を捉えて声を上げ、当区議会のこの理不尽な現状を改善すべく、力を尽くさねばならないとかたく心に誓いました。
私がこうした内容を議会で告白する勇気を持つことができたのは、昨年夏の東京都知事選の際、候補者の演説で、故樺山卓司氏の存在を知ったことが大きなきっかけとなっております。平成23年7月1日、自民党所属の都議会議員であった樺山氏が自殺されたとのこと、また、遺書には自民党都議の実名が記され、抗議の死であったとのことなどを知ったのであります。私はこの場をかりて、樺山氏のみたまの安からんことを祈るとともに、私という一面識もないこの道の後輩に力強く勇気を与えてくださったことに、心から御礼を申し上げたいと思います。
その上で、教育委員会のいじめ対策について一言申し上げます。
区政経営計画書154ページに、いじめ対策の充実がうたわれ、平成28年度に続き、すぎなみ小・中学生未来サミットを開催し、子供たち自身のいじめはしない、させない、許さない意識を高めていくと記されております。まことに結構なことでありますが、これだけでは不十分であると考えます。残念ながら、いじめはそう簡単に撲滅できるものではありません。大の大人が、まして政治家ともあろう者たちがまだこんな村八分みたいなことをやっているようでは、子供たちに、いじめはしない、させない、許さないなどと説教をしたところで何の説得力もありません。
そこで、提案をいたしたいと存じます。いじめはしない、させない、許さない。しかし、それでもなお万が一いじめに遭ってしまったら、そのときはどうすればよいのか、何をすればよいのか、それもあわせて子供たちに教えなければならないと考えますが、いかがでしょうか。泣き寝入りして死を選ぶより、がむしゃらにでも声を上げて事態を切り開け、それを教えなければならないのではないでしょうか。生きる力を育むとは、本当はそういうことなのではないでしょうか。いじめというこの根の深い問題の真なる根絶に向けて、区教委のさらなる奮起を促したいと思います。
以上、意見、要望を申し上げてまいりました。時にはいささか強い言葉を用いて警鐘を鳴らした場面もありますが、私なりに区政を思ってのことでありますので、御容赦いただきたいと存じます。
今委員会審議に当たり、答弁いただいた理事者各位、資料を作成いただいた職員各位、円滑、公平に委員会を運営いただいた正副委員長に感謝いたしつつ、美しい杉並の意見開陳といたします。委員各位の質疑からも多くのことを学ばせていただきました。あわせて御礼申し上げます。
ありがとうございました。
○浅井くにお 委員長 次に、
堀部やすし委員。
◆無所属(
堀部やすし委員) 予算審査の締めくくりに当たり、意見を申し述べます。
結論から申し上げますと、本委員会に付託された11議案のうち、
一般会計予算、
用地会計予算及び
中小企業勤労者福祉事業会計予算の3議案に反対いたします。
以下、主たる理由を申し述べます。
第1に、杉並第一小学校改築複合化事業について、A案を採用するか、B案を採用するか、いまだ整備方針が未確定の段階で、A案による複数年度の債務負担行為が設定されているのは不適切であります。
河北総合病院がいわゆるけやき屋敷に移転し、建てかえを行うとする計画を明らかにしたことを受け、杉並第一小学校改築複合化事業は再検討を余儀なくされています。この事業はもともと、杉並第一小学校、阿佐谷地域区民センター及び産業商工会館を複合施設として改築するもの、すなわち、間もなく築60年を迎えようとする杉並第一小学校の老朽改築にあわせて、阿佐谷地域区民センター及び産業商工会館の集会関連機能を集約し、新たな複合施設を建設する計画となっていました。いわゆるA案と呼ばれているもので、現在、基本設計まで作業が進められています。
しかし、この取り組みは、小学校隣地のけやき屋敷がそのまま存在していることが前提となっていたところから、「現在の病院用地への学校の移転・改築の可能性と、阿佐谷地域区民センター及び産業商工会館の整備のあり方について、平成28年度末までに検討する」ものとされ、一旦立ちどまって見直しが行われているところです。この文章は、改定されたばかりの実行計画にも、また同様に、改定されたばかりの
施設再編整備計画(第一期)・第一次実施プラン(平成29・30年度)の中にも記載があります。
整備方針はいまだ確定していません。この2月には新たにB案が中間のまとめとして示され、現在、これについて意見交換や説明会が行われている最中でもあります。整備方針の決定は4月から5月となる見通しです。この問題は、学校改築にとどまらず、地域のまちづくり全体に大きな影響を与える問題であることから、悔いを残すことないよう慎重に検討しなければなりません。
ところが、実際の予算書を確認すると、既にA案の内容で複数年度にわたる債務負担行為が設定されているのです。具体的には、1、阿佐谷地域区民センターの移転整備(実施設計)、2、産業商工会館の移転整備(実施設計)、3、杉並第一小学校学童クラブの整備(実施設計)、4、杉並第一小学校の改築(実施設計)、5、杉並第一小学校の改築(仮設校舎賃借)であります。いずれも、
一般会計予算第2条が定める「第2表 債務負担行為」に明確にされています。
これらの多くは、その金額から見て、議会の議決対象とならない契約になることから、本予算が承認されれば、区長はそのままこれを執行できることになります。当然のことながら、これに伴う新年度の歳出についても予算上明らかとなっており、区政経営計画書においても、以上のほか、杉並第一小学校の解体工事費などの計上を読み込むことができます。これは明らかにA案に基づく予算です。
B案となった場合は、杉並第一小学校の解体工事費は不要であり、また、さきに指摘した一連の債務負担行為の設定も基本的に不要です。A案にするか、B案にするか、その整備方針を正式に決定するのは4月から5月であるとの説明とまるで整合しない予算編成であります。議決によって議会が予算を承認するということは、議会がその予算書どおりに執行することを求める意思表示です。関連契約案件の多くが議決対象外になると見られる中、現時点において予算上B案選択の余地を残すためには、A案に基づく今回のような予算計上に賛成することは妥当ではありません。
区の説明によれば、既に契約されている代替運動場の賃借料が必要であるとのことでしたが、しかし、そのような理由で、さきに挙げた複数年度の債務負担行為をあれこれ設定することは全く正当化できません。事務執行上、必要最低限の経費を歳出に計上しておけば足りるのであって、その他の予算については、A案かB案か、正式に決定した後に改めて補正予算で計上すべきものであります。
今回の一般会計当初予算は、このように区が対外的に行っている説明とは全く整合しない内容のものです。この予算ではA案に決めたも同然であり、また、整備方針を決めていないとする説明とも不整合なのであって、議会として認めるべきものでないことを指摘いたします。
参考までに、杉並区議会会議規則70条は、「表決には、条件を付けることができない。」と定めています。このような条件つき表決の禁止は、衆参両院や都議会の会議規則においても同じように定められていますが、言うなれば、議決の安定性を確保するためのルールです。もし条件つき表決が認められるようになれば、その条件の成否が判明するまで議決を確定させることができません。つまり、いつ議決が確定するのか時間的に定かでなく、議決が不安定なものとなってしまうため、これを明文で禁止しているわけです。したがって、区民の納得が得られるまで予算を執行しないことを条件に本予算に賛成するといった主張や、整備方針がB案に決まったら補正することを条件に本予算に賛成するなどといった主張は、そもそも会議規則70条を念頭に置いていない主張であって、主張自体、失当です。
例えば、平成22年3月、東京都議会は、豊洲の土壌汚染対策費を含む築地市場移転関連予算を原案どおり可決させています。田中区長が都議会民主党の団長として都議会議長に就任していた時代のことであります。これは、平成21年の都議選で移転に反対と言っていたはずの民主党が寝返って賛成に回ったことにより可決したものですが、そのときの民主党の言いわけは、中央卸売市場会計予算に附帯決議をつけたというものでした。
このときメディアの中には、これを予算執行の条件であるかのように報道していたところもありましたが、条件つき表決の禁止は、都議会の会議規則70条にも規定があります。当然、附帯決議は予算執行の条件ではなく、単なる要望にすぎず、法的効力もありません。かくして民主党の選挙公約は選挙後1年もたたずに破られ、その後、予算も執行されていきました。その予算執行は都議会の議決を踏まえたもので、移転もまたこのときの都議会の議決に基づく動きであったことを忘れてはならないというべきです。
第2に、実行計画に盛り込まれていない大きな投資事業が唐突に予算に入り込むなど、無計画な区政経営が目立つほか、長期最適、全体最適とはほど遠い判断を繰り返していることに問題があります。
まず、区立
施設再編整備についてです。
築59年となる杉並第一小学校の改築については、新たにB案が検討対象に加えられたことにより、築70年まで使用する可能性も出てきました。一方で、旧永福南小学校の教室棟は校舎として26年しか使用されず、さらには、区の計画ミスにより、まだ使用可能である築29年で解体、取り壊しとなりました。しかし、これは、長寿命化の理念の1つとしている
施設再編整備計画の基本的な考え方に合致しない対応です。
日本建築学会「建築物の耐久計画に関する考え方」によると、普通品質の鉄筋コンクリート造の望ましい目標耐用年数は、下限値50年、代表値60年とのことです。これを受けて、平成26年5月の杉並区立小中学校老朽改築計画(第1次改築計画)においては、「今後、適切な施設保全及び改修を計画的に行っていくことを前提として、学校施設の改築時期を築後概ね50〜60年とし、遅くとも築後65年までに改築するよう計画を策定する。」とされていたところです。
では、なぜこの建物の場合、築29年で解体を余儀なくされたかといえば、これは当初計画の想定に大きなミスがあったからです。具体的には、この建物をそのまま生かす形でユニット型特養を整備するとの当初の区立
施設再編整備計画(第一期)・第一次実施プラン──平成26年のものですが──の想定に無理があったためです。しかしながら、調べてみると、この問題については、例えば平成21年の段階で既に松戸市に詳細な調査検討があり、その転用可能性が低いことが明らかにされていました。区は、ユニット型特養への転用可能性について、計画策定前に十分な調査をしておらず、これによって当初計画は大きく狂うこととなったのです。
無理を通せば道理は引っ込みます。一定規模の特養を整備することが優先され、まだ長く使用できる教室棟を取り壊す方針へと区はかじを切りました。かくして、ここでも計画策定からわずか7カ月で、
施設再編整備計画に示されていた基本的な考え方に反する方針転換が行われたため、矛盾が拡大することとなりました。
昨年4月、保育緊急事態が宣言された後もその姿勢は変わっていません。宣言後直ちに取り組むことで、跡地利用のあり方を変えることは不可能ではありませんでしたが、そうはなりませんでした。しかし、永福はもともと保育所整備の重点地域とされていた場所です。これは当時における認可保育所の整備・運営に関する提案募集要項にもはっきりと記載されています。そうであるにもかかわらず、なぜかこの地域での対応は後回しにされ、それを指摘するまで課題は放置され続けたのであります。最終的には渋々保育施設の併設を決めていましたが、掲げられていた理念と区の姿勢には大きな落差があったことは、重ね重ね残念でありました。
また、あんさんぶる荻窪を失うことにより発生している桃井第二小学校の前倒し改築も同様の課題を抱えており、近年行われた同校の耐震補強やトイレ等の改修、プールの改築など、長期最適、全体最適とは全く反する結果になっています。今後に与える影響を考えると、このような不合理な
施設再編整備計画を安易に追認していくことはできません。
杉並区立小中学校老朽改築計画は、今後改築が必要となる学校数が大きくふえるとともに、いよいよ最初の山場を迎えることを明らかにしています。そうであるならば、一層慎重な判断が必要というべきです。新年度予算において、区はとりわけ長期最適、全体最適の視点を重視している旨の説明を行っていますが、実際に行われていることは、それとは全く異なる対応が散見されており、区長の経営判断には大きな問題があることを指摘するものです。
なお、旧永福南小学校教室棟を築29年で取り壊すことにより、この建物は固定資産台帳から除却され、当然のことながら資産価値はゼロとなります。まだ長く使える建物であったことから、今後継続使用することで得られるはずの便益も失われます。しかし、こうしたマイナスの財政効果については、改定された第一次実施プラン(平成29・30年度)61ページに記載の財政効果には反映されていません。
区立
施設再編整備については、プラスの効果ばかりが強調されているわけですが、このようなマイナスの財政効果も発生します。それが説明されている財政効果から除外されていることは重い現実です。発生する財産損失を無視し、区にとって都合のよい効果ばかり説明されているのは、フェアなものとは言えません。施設再編を進める一方で、区が保有している延べ床面積がふえる傾向にあることを踏まえ、改めて計画を抜本的に見直すことを求めるものです。
次に、計画外事業の予算化にも問題があります。単年度予算制度の弊害を克服し、自治体経営の健全性、計画性を確保していく上で、中期経営計画となる実行計画(3年プログラム)の策定と、その進行管理は非常に重要です。安易に計画外の事業を予算化すれば、財政規律を失う原因となりかねず、特に多額の費用が必要となる投資事業には注意をしなければなりません。
新年度でいえば、柏の宮公園の拡張整備事業が唐突に予算に盛り込まれました。これは今まで議会側に全く報告されていなかったものです。この場所をどのように活用する想定を置いているかにもよりますが、公園の偏在は著しく、本来確保が必要な地域で公園は一向に整備されていません。その一方で、既に広い公園が整備されている地域で次々と公園用地を確保している現状は、感心できたものではありません。バランスのよい対応が必要であるというべきです。
聞けば、この拡張用地は既に土地開発公社が23億円で先行購入しており、その手際のよさにも驚かされています。土地開発公社に対する債務保証は50億円が上限となっていることを考えても、この一件の大きさがわかろうというものです。
しかし、このように大きな用地購入を伴う拡張整備事業でありながら、これが昨年12月に改定された実行計画(3年プログラム)に記載がなく、これまでその概要が全く説明されてこなかったのはなぜでしょうか。
答弁によれば、既に昨年8月には用地購入の方向性が決まっていたことが明らかになりました。実行計画の改定前です。実行計画の改定案が公表された9月に仮に間に合わなかったにせよ、12月までの改定手続の過程を通じて反映させられなかったとは考えられないところです。事実、土地開発公社の用地購入は12月とのことであり、事前の議会報告のみならず、実行計画の改定に盛り込むこともできたというべきです。
不自然さは、今回の予算においても同様です。例えば区政経営計画書29ページは、馬橋公園の拡張整備をトップ項目に挙げており、新年度の公園整備の目玉のように読み取れます。しかし、馬橋公園の拡張整備はまだ調整段階にすぎないものであり、用地購入もされていないものであって、新年度に基本計画が策定されるというわけでもありません。これに対して柏の宮公園の拡張整備は、既に土地開発公社が用地購入を済ませており、新年度には基本計画を策定し、さらに基本設計へと進む予定があるにもかかわらず、ここに記載されていないのです。他のページにわずかに小さく記載されているのみとなっています。馬橋公園の拡張用地は約6,400平方メートル、一方、柏の宮公園の拡張用地も約5,800平方メートルと、その規模にも大差ありません。用地購入費が20億円を超えるという大きなものであるという意味でも、これらは同様水準のものと言わねばなりません。
このような高価な用地購入を伴う投資事業を実行計画に記載することなく、無計画に購入を決め、唐突に予算化しながら、このことについて十分な説明が行われていない現状は、非常に透明度が低いと言わざるを得ず、妥当とは言えません。このようなことを繰り返すことでいつしか財政規律を失っていく可能性があることは、バブルに酔った自治体の末路などが証明しているところです。大変不安であります。
区民の皆さんは、まさか田中区長と土地開発公社の理事長の判断だけで、その理事会にも評議員会にも諮ることなく、23億円もの高価な土地をぽんと購入できるような仕組みがあるなどとは思いもしないでありましょう。ここに議会の関与は全くありません。土地開発公社による先行用地取得を端緒とするこのような不透明感の高い事業遂行には、ここで改めて強く異議を申し述べるものです。このような大きな用地購入は、原則として土地開発公社を使うべきでなく、用地会計を活用しなければなりません。
実行計画、
行財政改革推進計画の予算化という意味では、
ふるさと納税制度の活用について大きく方針転換された後の目標管理、進行管理にも疑問を感じます。
ふるさと納税制度の活用は、3年プログラムの実行計画とともに改定された
行財政改革推進計画の中で、その方針が明確化されていました。12月のことです。これによると、「区内事業者等による商品だけでなく、自治体間交流の充実や来街者の増につながる返礼品・返礼サービスを幅広く検討します。」とあり、これはパブリックコメント手続を経た上でオーソライズされた区の判断でありました。それゆえに、昨年実施された
ふるさと納税返礼品等業務委託公募型プロポーザルにおいては、事業規模概算約6,000万円が前提とされ、それを踏まえた先行結果も12月に発表されていたわけです。
ところが、年が明けると突然に方針転換されました。これを受けて、昨年12月11日号広報に掲載されていた、1月13日開催予定の
ふるさと納税返礼品等協力事業者向け説明会も、突然、開催3日前の1月10日に中止となりました。
「中央公論」3月号の鼎談や1月31日の区長記者会見になると、田中区長のボルテージはさらに上がり、「より豪華な返礼品を贈呈する自治体が、その人の『ふるさと』になってしまうという、モラルハザード」などと指摘し、逆に
ふるさと納税制度や納税者の行動を強く批判し始めました。
当初、みずから、
ふるさと納税制度の活用を計画化していながら、後発参入による見通しの悪さが明らかになると、この制度を利用している納税者を、モラルハザードだ、肉欲だなどと批判し出すのは一体どういうことなのか。パブリックコメント手続を経て、12月に策定したばかりの計画が、年が明けたら突然、区長のトップダウンで方針変更となり、急に批判し出すというのであれば、一連の手続は一体何だったのか、全く意味がわかりません。
確かにこの制度の活用には課題があります。しかし、その影響が余りにも大きくなっている現状では、制度変化に対応していかざるを得ないというのが、少なくない都内自治体の置かれた現状でありましょう。特に、国から地方交付税が交付されていない、いわゆる不交付団体において、住民税の減収は住民サービスの低下に直結しかねないものです。無策で傍観していれば歳入はどんどん減少し、その結果、区の使用料や手数料などを引き上げざるを得ないといった事態にもつながりかねません。
皮肉なことに、都区財調に支えられている特別区においては、その独特の財政調整制度があるがゆえに対応がおくれ、課題は将来より深刻になる可能性もあると考えられるところです。変化への対応が必要な段階です。
区長は、肉欲などと言って納税者の行為を批判していますが、区民の皆さんのお考えはさまざまなのであって、区長が言うように、単なる肉欲だけで納税どうこうを決めるとは限りません。実際に、なぜ杉並区に国際規格のビーチコートを常設させる必要があるのか、自分の納税がそんなビーチコートの建設に使われるのは納得がいかないなどと言われると、返す言葉がないのが現実です。
ふるさと納税により返礼品を求める行動は、不合理な自治体経営に対する納税者の不信感や反発感が背景に潜んでいることも自覚しなければなりません。多くの納税者は税の使途に不満を持っています。この納税者の不満に一定の配慮をすることも自治体の責務というべきであります。
例えば待機児童問題が大きく報道されていることもあり、保育所用地の確保など、保育事業への使途限定であれば寄附をしてもよいとの意見を受けることもあります。図書館のスリム化が話題になったときは、使途が図書館に限定されるのであれば、
ふるさと納税の形で寄附をしてもよいといった意見を受けたこともあります。
ふるさと納税制度の普及により、納税者本人がその納税額の使途を決めることができる制度の定着は、より容易になったというべきであり、厳しいながらも、これはチャンスと受けとめたいものです。
杉並区民が
ふるさと納税が適用される区の基金に寄附をした場合、その都民税部分を含め、全てが区の歳入になるという側面も前向きに受けとめたいものです。長年の懸案となっている都区制度改革は未完のまま放置されており、本来市町村税である固定資産税、法人住民税といった調整3税は、今なおその45%が東京都の取り分となっています。この状態は、2000年以降、解決の糸口を見出せないままですが、
ふるさと納税制度は、こうした都区制度改革を自力で進める手段になり得るものです。
今、
ふるさと納税で歳入が大きく伸びている自治体、逆に苦しんでいる自治体、それぞれ話題になっていますが、地方交付税の交付団体であれば、減収に一定の補填措置が講じられています。この現実を踏まえれば、この制度は簡単には終わらないと見るべきです。終期が見えない制度である現状では、現実的な判断をしていくことも必要であります。
この点、
行財政改革推進計画に定められていた
ふるさと納税制度の活用について、大きく方針転換された後の目標管理、進行管理はどうなるのか、現状において必ずしも定かでないことには問題があります。明確な目標を設定し、その進行を管理する必要があることを、ここで強く指摘いたします。
さて、このほかの課題については、時間の関係から詳細を述べることはできなくなりましたが、例えば、都知事選落選後に区が顧問に採用した増田寛也氏の地方創生論に基づく各種歳出、元副区長が天下り、アドバイザーに就任している南伊豆に対する過度の関与、たび重なる不祥事に対応した内部統制、コンプライアンスの未確立、子供の貧困対策を後回しにしながら、富裕層を含めたばらまき補助を継続していることなど、数多くの課題があり、
一般会計予算に反対するものです。
中小企業勤労者福祉事業会計については、本事業の廃止を求めている立場から、当初予算に反対するものです。
本事業は、解散した外郭団体の事業の大半をそのまま区が引き継ぎ、実施されているものですが、会員数も減少し、展望がありません。もはや、税金で特定少数者の娯楽サービスなどを提供することを正当化できる社会環境にはないというべきです。
このため、本事業については、他自治体と共同で事業を行う広域化により効率化を図ることが打ち出されていますが、これによると、広域化によりサービス内容の統一化、共通化を図るとしつつも、一部の杉並区独自事業は、当面の間継続して実施される方向で検討が進められています。これでは広域化の効果も少なくなり、妥当ではありません。会費を払ってまで会員を維持する動機もメリットも小さくなっているからこそ会員が少なくなった現実を踏まえ、改めて本事業の廃止を決断するよう要請するものです。
最後になりますが、予算審査に当たりまして、多くの職員の皆さんより資料を御提供いただきました。この場をおかりいたしまして深く感謝を申し上げまして、以上、私の意見といたします。
○浅井くにお 委員長 次に、
木村ようこ委員。
◆無所属(
木村ようこ委員) 平成29年度杉並区各会計予算外関連議案に対する意見を申し述べます。
平成29年度の区政経営計画書の表紙を見ると、「時代の先を見据え、10年ビジョンを加速させる予算」と書かれています。しかし、現在、5年先、10年先を予測することは大変困難な時代となっています。
昨年は、世界を驚かせたアメリカのトランプ大統領の誕生やイギリスのEU離脱決定という大事件がありました。ことしに入っても、韓国の朴槿恵前大統領の弾劾、北朝鮮のミサイル発射や金日男氏の暗殺など、世界はますます混迷を深めています。その一方で、人工知能や自動運転技術など、私たちの生活を一変させる可能性がある技術革新も進んでいます。
こうした中で、わずかに改善しつつあるように見える日本経済も、いつその状況が一変しないとも限りません。杉並区の将来についても、私たちが想定している姿とは全く違うものになる可能性も十分にあります。幸いにも区税収入が増加しつつある今、私たちがすべきことは、無駄遣いを排し、できる限り将来への備えをしておくことではないでしょうか。
しかし、平成24年度以降、本区の区債残高は増加を続けています。平成23年度の136億円が平成29年度には288億円となり、6年間で倍以上に増加することになります。一方で、550億円を目標としていたはずの基金残高は、平成29年度には300億円台に落ち込みます。十分な基金を持たないまま区債残高ばかりがふえ続けている現状を見ると、区の財政の将来について不安を抱かざるを得ません。
今回の質疑を通じて、今後区債をどこまでふやすのか、550億円という基金残高をいつ達成するのか、いずれも明確な御答弁をいただけませんでした。区民の安心のため、そして将来世代への責任のため、区債を減らし、基金をふやしていくという方向性をしっかりと示すことが区としての責任であると考えます。その上で、個別の議案についての意見を述べます。
まず、議案第22号平成29年度杉並区
一般会計予算についてです。
本議案に含まれる永福体育館の移転改修費については、既に指摘させていただいたように、当初の計画を変更し、50年から60年は十分に使えるはずの校舎を築29年で解体してしまうことは、区の財産を無駄にする行為です。また、解体費の一部は区債という形で、将来世代にツケを回します。さらには、保育施設の整備が喫緊の課題となる状況で、区民ニーズも低いビーチコートを整備するなど、問題の多い計画となっています。
本議案の地方創生管理推進事務費に含まれる増田寛也氏に対する顧問報酬にも問題があります。報酬は月35万円、年間420万円ですが、これまで増田氏は月2回程度しか来庁していません。報酬が高過ぎることに加え、月数回しか来ない人に定額の報酬を支給することがそもそも問題です。地方自治法203条の2第2項では、非常勤職員の報酬は、勤務日数に応じて支給することが原則となっています。増田氏についても、原則どおり勤務日数に応じた支給とすべきです。
このように、問題の多い内容を含む本議案には反対せざるを得ません。
次に、議案第24号平成29年度杉並区
用地会計予算について意見を述べます。
本議案には、富士見丘小学校移転に伴う土地取得のための移転補償費12億1,300万円の一部が含まれています。また、公債費についても、この移転補償費を含む40億円余りの地方債の利子支払いに充てられます。以前にも指摘をいたしましたが、この移転補償費の内訳を示すように求めても、示せないというのが区の回答です。区の貴重な公金の支出について内訳を示さずに予算に賛成するよう求める態度は、到底区民の理解を得られるものではありません。したがって、本議案には反対いたします。
次に、議案第27号平成29年度杉並区
中小企業勤労者福祉事業会計予算について意見を述べます。
本事業は、加入する事業者、利用者が減少を続けたため、財団法人杉並区勤労者福祉協会から区に移管された経緯があります。加入者や利用者が減少したということは、この事業がもはや歴史的な役割を終えたことを意味しています。実際、中小企業向けの福利厚生サービスを手がける民間企業もふえており、各社が魅力的なサービスを展開しています。区の事業として行う必要性は既に失われているばかりか、民業圧迫にもなりかねません。したがって、本議案には反対いたします。
次に、
ふるさと納税についてです。
返礼品で競い合うことでなく、
ふるさと納税制度を活用して、寄附により福祉の充実を図るとともに、寄附者に自治体間交流や来街者の増加を促すサービスを提供するという区の活用方針については、賛同いたします。
ただ、寄附先について1点申し上げます。
昨年の第4回定例会の一般質問では、児童養護施設退所者支援について、寄附による資金集めを提案しました。児童養護施設等を巣立った若者が大学、短大に進学する場合には、納入金の支援が受けられます。しかし、これは1回限りの支給なのです。その後は経済的に自立して生きていく必要があります。家庭からの支援が一切なく、働きながら大学に通うということは、並大抵のことではありません。ぜひとも
ふるさと納税の寄附先として、児童養護施設を巣立つ若者を対象とした支援についても御検討いただきたいと思います。
最後に、7款教育費の質疑で取り上げました高円寺地域小中一貫校の建設について意見を申し述べます。
まず、なぜこの件を取り上げたのかと申しますと、地域の方から、区が行ったボーリング調査の結果と実際のくい基礎の設計に疑問を感じる旨の御相談を受けたからです。その時期はちょうど
予算特別委員会の資料請求の時期でしたので、ボーリング調査報告書を検証するため、早速資料請求いたしました。具体的な内容は、1点目、ボーリング調査実施状況及び結果、2点目、ボーリング調査の費用、3点目、工事の進捗状況について、この3点です。数日後には所管から、1点目のボーリング調査実施状況及び結果については、情報公開請求してほしいとの内容の連絡が入りましたので、速やかに情報公開請求した次第です。
そういった経緯で入手した資料が、よもや修正前の不備のあるボーリング調査報告書であり、既に修正された報告書があるなど知る由もなく、質疑に臨んだことは言うまでもありません。請求で得た資料は、予算を審査する上では大変重要かつ貴重な資料です。担当所管におかれましては、改めて修正後の報告書の配付を要望いたします。
以上をもちまして、議案第22号平成29年度杉並区
一般会計予算、第24号平成29年度杉並区
用地会計予算、第27号平成29年度杉並区
中小企業勤労者福祉事業会計予算の3議案には反対いたします。そのほかの議案については賛成いたします。
最後になりましたが、理事者の皆様には、真摯に御答弁いただきましたこと、まことにありがとうございました。また、たくさんの資料の作成に当たられた職員の皆様にも深く感謝申し上げます。さらに、公平な運営に当たられた正副委員長には心より感謝申し上げまして、私の意見といたします。
○浅井くにお 委員長 これをもちまして意見の開陳を終了いたします。
これより付託議案ごとに採決いたします。
議案第10号
杉並区立地域区民センター及び
区民集会所条例及び
杉並区立高齢者活動支援センター及びゆうゆう館条例の一部を改正する条例について、原案に賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○浅井くにお 委員長 起立多数であります。よって、原案を可決すべきものと決定いたしました。
議案第11号杉並区特別区税条例等の一部を改正する条例について、原案に賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○浅井くにお 委員長 起立多数であります。よって、原案を可決すべきものと決定いたしました。
議案第12号杉並区
国民健康保険条例の一部を改正する条例について、原案に賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○浅井くにお 委員長 起立多数であります。よって、原案を可決すべきものと決定いたしました。
議案第13号
杉並区営住宅条例の一部を改正する条例について、原案に賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○浅井くにお 委員長 起立多数であります。よって、原案を可決すべきものと決定いたしました。
議案第14号杉並区
事務手数料条例の一部を改正する条例について、原案を可決すべきものと決定して異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浅井くにお 委員長 異議ないものと認めます。よって、原案を可決すべきものと決定いたしました。
議案第22号平成29年度杉並区
一般会計予算について、原案に賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○浅井くにお 委員長 起立多数であります。よって、原案を可決すべきものと決定いたしました。
〔「少数意見留保」と呼ぶ者あり〕
○浅井くにお 委員長 ただいま金子けんたろう委員から少数意見の留保を求める発言がありましたので、これに賛成される方を確認いたします。
それでは、金子けんたろう委員の少数意見の留保に賛成する方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○浅井くにお 委員長 賛成者がありますので、少数意見の留保を認めます。
議案第23号平成29年度杉並区
国民健康保険事業会計予算について、原案に賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○浅井くにお 委員長 起立多数であります。よって、原案を可決すべきものと決定いたしました。
〔「少数意見留保」と呼ぶ者あり〕
○浅井くにお 委員長 ただいま金子けんたろう委員から少数意見の留保を求める発言がありましたので、これに賛成される方を確認いたします。
それでは、金子けんたろう委員の少数意見の留保に賛成される方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○浅井くにお 委員長 賛成者がありますので、少数意見の留保を認めます。
議案第24号平成29年度杉並区
用地会計予算について、原案に賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○浅井くにお 委員長 起立多数であります。よって、原案を可決すべきものと決定いたしました。
〔「少数意見留保」と呼ぶ者あり〕
○浅井くにお 委員長 ただいま金子けんたろう委員から少数意見の留保を求める発言がありましたので、これに賛成される方を確認いたします。
それでは、金子けんたろう委員の少数意見の留保に賛成される方は挙手願います。
〔賛成者挙手〕
○浅井くにお 委員長 賛成者がありますので、少数意見の留保を認めます。
議案第25号平成29年度杉並区
介護保険事業会計予算について、原案に賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○浅井くにお 委員長 起立多数であります。よって、原案を可決すべきものと決定いたしました。
〔「少数意見留保」と呼ぶ者あり〕
○浅井くにお 委員長 ただいま金子けんたろう委員から少数意見の留保を求める発言がありましたので、これに賛成される方を確認いたします。
それでは、金子けんたろう委員の少数意見の留保に賛成される方は挙手願います。
〔賛成者挙手〕
○浅井くにお 委員長 賛成者がありますので、少数意見の留保を認めます。
議案第26号平成29年度杉並区
後期高齢者医療事業会計予算について、原案に賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○浅井くにお 委員長 起立多数であります。よって、原案を可決すべきものと決定いたしました。
〔「少数意見留保」と呼ぶ者あり〕
○浅井くにお 委員長 ただいま金子けんたろう委員から少数意見の留保を求める発言がありましたので、これに賛成される方を確認いたします。
それでは、金子けんたろう委員の少数意見の留保に賛成される方は挙手願います。
〔賛成者挙手〕
○浅井くにお 委員長 賛成者がありますので、少数意見の留保を認めます。
議案第27号平成29年度杉並区
中小企業勤労者福祉事業会計予算について、原案に賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○浅井くにお 委員長 起立多数であります。よって、原案を可決すべきものと決定いたしました。
ただいまの採決の中で少数意見の留保を認められた意見については、3月16日午前10時までに文書によって委員長まで提出願います。
予算特別委員会を閉じるに当たりまして、一言皆様に御挨拶を申し上げます。
委員そして理事者の方の御協力、さらには北副委員長の御尽力のもとに、つつがなく
予算特別委員会を閉じようとしております。ここに改めましてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
実質は8日間という質疑の時間でございましたけれども、私、個人的には、大変短くて、すぐ終わってしまったと、そういうことが実感としてございます。質疑の中で、私は、通常のポジションではない、ちょっと皆様よりも一段高いところから皆様のさまざまなお話を聞かせていただき、大変勉強になりました。今後の糧とさせていただきたいと存じます。
最後に、改めまして、本当に皆さんの御協力ありがとうございました。(拍手)
本日の委員会を閉じます。
(午後 2時23分 閉会)...