杉並区議会 2012-03-06
平成24年 3月 6日基本構想に関する特別委員会−03月06日-01号
平成24年 3月 6日基本構想に関する特別委員会−03月06日-01号平成24年 3月 6日基本構想に関する特別委員会
目 次
委員会記録署名委員の指名 ………………………………………………………………… 5
議案審査
議案第1号 杉並区基本構想
無所属区民派
けしば誠一委員 ……………………………………………………………………… 5
創新
松浦芳子委員 …………………………………………………………………………15
みんなの党杉並
横田政直委員 …………………………………………………………………………23
無所属
堀部やすし委員 ………………………………………………………………………28
共に生きる杉並
木梨もりよし委員 ……………………………………………………………………37
各会派の意見開陳
杉並自民区政クラブ代表(脇坂たつや委員) ………………………………………41
玉 山 雅 夫
済美教育センター副所長 中央図書館長 本 橋 正 敏
田 中 稔
監査委員事務局長和 田 義 広
各会派の意見開陳
出席説明員 区長 田 中 良 副区長 松 沼 信 夫
副区長 菊 池 律 教育長 井 出 隆 安
代表監査委員 小 林 英 雄
政策経営部長 高 和 弘
政策法務担当部長牧 島 精 一
行政管理担当部長宇賀神 雅 彦
企画課長事務取扱政策経営部参事 財政課長事務取扱政策経営部参事
徳 嵩 淳 一 関 谷 隆
区長室長 与 島 正 彦 総務課長 内 藤 友 行
危機管理室長政策経営部参事 区民生活部長 佐 藤 博 継
(
新型インフルエンザ対策担当)
井 口 順 司
保健福祉部長 長 田 斎
高齢者担当部長 武 笠 茂
子ども家庭担当部長 健康担当部長杉並保健所長
森 仁 司 深 澤 啓 治
都市整備部長 上 原 和 義
まちづくり担当部長
大 塚 敏 之
都市再生担当部長岩 下 泰 善
土木担当部長 小 町 登
環境清掃部長 原 隆 寿
教育委員会事務局次長
吉 田 順 之
教育改革担当部長渡 辺 均
済美教育センター所長
玉 山 雅 夫
中央図書館長 本 橋 正 敏
監査委員事務局長和 田 義 広
事務局職員 事務局長 伊 藤 重 夫
事務局次長事務取扱区議
会事務局参事
和久井 義 久
事務局次長代理 高 橋 正 美
議会広報担当係長井 口 隆 央
調査担当係長 小 塩 尚 広 議事係長 依 田 三 男
担当書記 上 野 和 貴 担当書記 田 嶋 賢 一
担当書記 森 田 龍 一 担当書記 島 本 有里子
担当書記 小 野 謙 二 担当書記 浅 野 純
会議に付した事件
付託事項審査
1 議案審査
議案第1号 杉並区基本構想…………………………………………………原案可決
2 各会派の意見開陳
(午前10時 開会)
○岩田いくま 委員長 ただいまから基本構想に関する特別委員会を開会いたします。
《
委員会記録署名委員の指名》
○岩田いくま 委員長 初めに、本日の
委員会記録署名委員をご指名いたします。小松久子委員にお願いいたします。
《議案審査》
議案第1号 杉並区基本構想
○岩田いくま 委員長 前回に引き続き、議案第1号杉並区基本構想に対する質疑を続行いたします。
無所属区民派の質疑に入ります。
それでは、けしば誠一委員、質問項目をお知らせください。
◆けしば誠一 委員 まず、基本構想の「はじめに」というところがあります。そこについて。それから基本構想策定に当たっての区の役割、責任、
少子高齢化対策、まちづくり、さらに福祉施策や
エネルギー対策、そして最後に自治・分権といったような課題で質問します。
「はじめに」で、少子化・高齢化と並び3・11大震災、特に原発事故による放射能被害やエネルギー問題を記しています。3・11と福島原発事故では、これまでの暮らしやまちづくり、自治体のあり方を改めて問い直されていますが、その点、区の見解を伺います。
◎企画課長 まさにご指摘のとおり、そうした大震災を契機に認められた新たな課題、そうしたものにもきちっと対応していく必要がある、こういう認識でございます。
◆けしば誠一 委員 前山田区政が区政の課題を財政削減に据えて、減税を目的に、必要な福祉施策まで切り捨て、社会的弱者にしわ寄せされました。欧米で破綻した新自由主義施策を率先したものですが、その結果は格差社会で、国全体でも政権交代でその見直しが求められたと考えます。そこに3・11が一層の転換を迫るものとなりました。
区政運営のすべての基本に据える基本構想では、「杉並区は」と主語が自治体となっていますが、その意図は何でしょう。
◎企画課長 区民の生活、暮らしに責任を持つ基礎自治体の役割、そういうものを意識した表現というふうに存じています。
◆けしば誠一 委員 実はこの点にこだわるのは、昨日他の委員から、21世紀ビジョンは区の役割が明記されていたと指摘されていた点です。21世紀ビジョンの場合には、主語は「私たちは」と書かれていて、区と区民、事業者をまずそこに入れています。しかも、区民が第1で、第2に事業者、第3に区の役割の順になっていました。区民の自立自助努力が第1で、第2が区の事業を委託する事業者の役割、第3が足りない部分を区が支えるという図式になっていました。この点、順番を確認しますが、そうでしたね。
◎企画課長 順番ということでいえば、そういう順序で記載されていたかもしれませんけれども、いずれにしても、基礎自治体たる区は、自治基本条例で14年に制定してと明記したように、そうした役割についてはきちっと踏まえてこの間も対応してきたし、今後も対応していくということでございます。
◆けしば誠一 委員 区が区政運営のまさに原則として据える基本構想ですから、私は順番は大事だと思うんですよ。区の責任を第3番目に低めて、必要不可欠な施策を一律に切り捨てて、一般会計の1割を起債の返還に回した。その返還の速さを区政運営の目的、成果にした。
私、ここで改めて確認したいのは、田中区長は、自治体の目的は福祉の増進と言われましたが、その思いを再度お聞かせ願います。
◎区長 おっしゃるとおり、私はかねがね、身近な基礎自治体の役割というものは区民福祉の向上にあると、それが第1であるということを言ってまいりました。そういった立場から、いかに区民の皆さんが安心して安全に暮らせる地域社会を築いていくかということが基本構想の策定の大きな動機であります。23年度、それから、これからご審議をいただく24年度の予算編成においても、そういった基本に立って、だれもが健康で豊かに暮らしていくことのできる地域社会というものを目指して、こういった行政計画や予算の編成に当たっていきたいというふうに考えております。
区民福祉の向上というのは、必ずしも、例えば何かの数字のように何ポイントどうとか何とかかんとか、そういう単純に示せるものでもないだろうと。指標というのは1つの参考ではあるかもしれないけれども、数字で単純に言い切れるものではないと思います。ただ、区民福祉の向上ということで行うさまざまな施策というのは、また日ごろの基礎自治体の業務というのも、非常に地味な仕事が大半を占めているものだろうというふうに思っております。世間的には目立たない、ある意味では縁の下の力持ち――力持ちかどうかは別にしても、下支えという面が自治体の業務の相当部分を占めているものだろうというふうに思っております。したがいまして、派手に何か人をうならせるような、そういうことは少ないかもしれないけれども、逆に言えば、ある種のポピュリズムというか、そういうものとは対極の分野というものが基礎自治体の実は非常に大事な部分だというふうに私は考えております。
そういう考えに基づいて、これからも区民福祉の向上に努めていきたいというふうに思っておりますし、そういった部分もぜひ議会の皆さんにもしっかりと関心を持って見ていただきたいというふうに思っております。
◆けしば誠一 委員 今の言葉をさらに具体的な点で各所管に確認していきたいのですが、少子高齢化の対策と若者や現役世代が生き生きと参加する社会、子どもを育てやすい社会とは、どのような施策が考えられているんでしょうか。
◎
子ども家庭担当部長 基本構想の課題の中でも述べられているとおり、今後、少子化、核家族化、そして地域の人間関係の希薄化などが一層進む中で、子どもや青少年が健やかに育つようなまち、そして子どもを産み育てたいという区民の方が安心して子育てできるような、そういう社会を築き上げる必要がある、またそれが喫緊の課題になっていると考えております。
このため、保育園の待機児童対策を柱とした保育の充実、あるいは母子保健に関する相談支援、子育て応援券などの地域で子育てを支え合う環境づくり、さらには
次世代育成基金など子どもや青少年の自立支援のための取り組み、こうした取り組みを着実に進める一方、生活に不安を抱えた若者などの若い世代の就労支援や雇用促進などの新しい取り組み、さらには住宅対策など、他の分野とも連携を図りながら、総合的に少子化、そして次世代支援のための対策に取り組んでまいる考えでございます。
◆けしば誠一 委員 その場合、認可保育園の計画的な増設が柱にないと不安を感じますが、その点は。
◎
子ども家庭担当部長 今後共働き世帯がさらに増えていく中で、多様な保育ニーズが求められております。そうした意味で、認可保育園を柱としつつ、さまざまな保育施設を適時適切に今後も整備していく必要があるものと考えておりまして、そうした方向で今後も計画的に取り組む考えでございます。
◆けしば誠一 委員 より質の高い住宅都市、
本格的まちづくりの点では、中央線の高架化、小田急、西武池袋線の高架化、中野駅周辺での大規模な拠点整備、杉並でも時代の変化に対応してというふうに書かれていますが、小田急の成城学園、下北沢の地下化、京王線調布駅の地下化、中野区西武新宿線の地下化で線路跡地を利用した豊かなまちづくりが、その現状が書かれていません。高架化ありきのような誤解を招くおそれがありますが、この点はいかがでしょうか。
◎
鉄道立体担当課長 鉄道の
連続立体交差事業を考える上で、どの路線においても構造形式を一律に高架方式にすべきと考えているわけではございません。計画区間ごとにさまざまな観点から検討されるべきものと考えてございます。ここで例示した周辺地域の取り組みでございますが、最近立体化された箇所を示したものでございます。
◆けしば誠一 委員 ぜひ地下化の実例も学んで、まちづくりの資料にしていただきたい。
区立施設の再編整備、施設の改修改築については、限られた財源でこれを一斉に行うという極めて厳しい課題に迫られています。しかし、これが学校統廃合の理由になるとすれば不安が残りますが、その点は確認しておきます。
◎企画課長 そうした点につきましては、これまで同様、区といたしましては、地域住民の合意形成に努めるということを基本に、丁寧に対応していくということかと存じています。
◆けしば誠一 委員 区立施設の利用、国や都の公有地を積極的に利用した特養づくりや
福祉施設づくりの
むしろチャンスとして、この時期は利用すべきだということもありますが、いかがでしょう。
◎企画課長 区ではこれまでも、警大跡地を初め国有地あるいは都有地、そうした制度も有効に活用しながらということでやってまいりました。今後も全体の状況をよく見ながらも、総合的にそうしたことについてはその都度その都度、実情に即して考えてまいりたい、こんなふうに思います。
◆けしば誠一 委員 災害時の緊急輸送や救助、復興を確保する広域幹線道路の
ネットワーク形成、都や国に積極的に働きかけというふうに書かれていますが、これは外環道の推進を意味するのか、その他の
都市計画道路整備も視野に入れてのことなのか、この点は確認しておきます。
◎
調整担当課長 外環道本線は、災害時の緊急輸送や救助、復興活動に大きな役割を果たすものと考えております。必要な道路として認識しております。地下水などの環境対策については、今後も対応の方針の確実な履行を求めてまいります。国の責任において事業を着実に進めることが重要と考えております。
◆けしば誠一 委員 今、外環の2の課題が大変地域で問題になっておりますが、この点についても、この表現はちょっと誤解を招くおそれがあるので、いかがでしょう。
◎
調整担当課長 外環の2につきましては、かねてから申し上げておりますけれども、ゼロベースから検討されるべきことだと考えておりますので、今後話し合いの会の中で検討されることだと考えております。
◆けしば誠一 委員 その他の都市計画道路については。
◎
調整担当課長 広域的な幹線道路という意味合いでは、今お答えしたとおりでございます。
◆けしば誠一 委員 そうしますと、今住宅街に幾つか残っている125とかいったことも、基本的にはこれを推進する方向で見ているということなんでしょうか。
◎建設課長 都市計画道路につきましては、その他につきましては、優先的に整備すべき区施行の路線といたしまして、補助132号線あるいは補助215号線、補助227号線の一部を優先整備路線として定めまして、ただいま事業化に向けた検討を行っているというような状況でございます。
◆けしば誠一 委員 その対象地域は、かなり住宅街で相当閑静なところがそのまま残っているんですが、そこに計画されている。その点についての住民の意向とか、そのあたりどうなんでしょう。
◎建設課長 都市計画道路を事業化するに当たっては、やはり地域の声を十分お聞きする必要があるかと思っております。これまでも地権者のアンケート調査なども実施しまして、いろいろお話を伺ってまいりました。今後も十分地元の意見をお聞きしながら、慎重に進めてまいりたいというふうに考えてございます。
◆けしば誠一 委員 その姿勢をよろしく願います。
暮らしの核となる多様な拠点づくり、駅周辺などのまちづくりでは、大型店、量販店、外食産業、チェーン店、これだけが増えるような特徴のないまちにならないことが必要で、そのための取り組みは。
◎産業振興課長 まず、2点ほどあろうかと思います。
大型店の出店につきましては、大規模小売店舗立地法、それからまた区の特定商業施設に関する条例がございますので、この法律と条例に基づいて届け出や地元説明会などの手続が定められております。
2点目は、商店街についていえば、駅周辺の商店街であるとか、あるいは住宅地周辺の商店街であるとか、あるいは歴史文化施設のそばの商店街であるとか、そういった地域特性が商店街によってございますので、その特性をきちんと把握した上で、今後商店街の振興策を進めていきたい、このように考えてございます。
◆けしば誠一 委員 人々の交流が強調されていますが、何よりも杉並区民、区内商人と住民が交流できるまちにと思います。そのためのどのような施策が検討されていますか。
◎産業振興課長 今委員ご指摘の、民間人、住民同士であるとか、それから商店街と住民の交流というのは、今後新たなアイデアとか価値をつくり出していく非常にいい機会だろうというふうに思ってございます。私どもといたしましては、地元の住民の方々が主体的に意欲的にそういった問題を考えていくことを支援していきたいということと、私どもとしては、そういった住民の方々のお考えや希望、思いを尊重していきたい、このように考えてございます。
◆けしば誠一 委員 商店街では危険な交通問題が深刻です。安心して買い物ができるような商店街づくりの方向は検討されているんですか。
◎交通対策課長 区ではこれまでも、皆様安心して商店街で買い物できるように、道路の整備などを通じて安全対策を講じてまいりました。引き続きそれぞれの商店街の状況を踏まえまして、警察や商店会などとも協議して安全対策を進めてまいります。
◆けしば誠一 委員 地域の特性を生かした産業・経済活動という項で、産業を支える現役世代への就労支援や地域の人材育成の枠組みが書かれていますが、賃金が安いために保育士やヘルパーになりたがらないというような状況があります。保育施設などで働く人々の労働条件向上は待ったなしですが、その点、区の取り組み。
◎保育課長 区として、民民の労働契約というか、労働条件に介入するというのはなかなか難しいことではありますけれども、例えば保育施設の選定などに当たりましては、社員の処遇総体が向上するような取り組みについてヒアリングをしたり、そういったことで対応しているところでございます。
◆けしば誠一 委員 南北交通、都市計画道路の整備に当たって優先順位をつけてという先ほどの答弁でありました。補助215号などを先ほど問題にしましたが、この優先順位というのはどのようにはかるんでしょう。
◎建設課長 先ほどご答弁いたしました区施行の優先整備路線3路線のうち、西荻窪駅東側を通ります補助132号線、こちらの青梅街道から神明通りの区間につきましては、これまで基礎的な道路の測量や事業についての説明を行ってございます。こちらにつきましては、来年度、橋梁の予備設計などを行い、整備方針の検討を進めまして、事業化に向けて一歩前進できればというふうに考えてございます。
◆けしば誠一 委員 私は、荻窪駅周辺まちづくりは重要課題だと思います。しかし、このまちづくり会議の構成が問題で、これまでは水面下で何度か再開発の動きを私たちも察知するわけですが、荻窪の数名の地権者とコンサルだけとか、見えないところで進められてきました。まちの顔である、主役であるそのまちの商人あるいは事業者、新たな産業の担い手となるような若い人たち、荻窪に住み続けたい住民、こうした人たちが主役となるようなまちづくり会議を期待しますが、どうでしょう。
◎都市再生担当課長 まちづくり会議の構成の件でございますけれども、具体のスキームは今後の検討としておりますが、いずれにいたしましても、荻窪は区内最大の交通結節点でありまして、地元を初め区民、区外の方も利用するということもございますので、広く区民等の意見を聞きながら、一歩一歩着実に進めていけるような体制を構築していきたいというふうに考えてございます。
なお、構成メンバーにつきましては、委員ご指摘のとおり、多様な属性であるとか年代の方が広く参加いただけるような方向で検討していきたいというふうに考えてございます。
◆けしば誠一 委員 議論は公開にすべきですね。
◎都市再生担当課長 先ほどのメンバー構成とあわせて、今後の検討になっていくかと思いますけれども、趣旨としては、いろいろな立場の方から広く意見をちょうだいできるような、また、単なる批評とか要請の場ではなく、自らが主体性を持って議論いただけるような場として検討していきたいというふうに考えてございます。
◆けしば誠一 委員 エネルギー政策の転換の先頭に立つ区の意欲を伺います。原発に頼らない電力供給と需給の仕組みを区が率先してつくるためにも、既に出されている入札制度の導入、PPS購入の踏み切りは評価できます。早い時期にとの答弁ですが、いつごろをめどに。
◎経理課長 電力の入札についてでございますが、現在、PPS側の供給が大変逼迫しており、入札を実施しても応札者がいないという例もございます。したがいまして、現時点で実施時期をお示しすることは大変難しい状況ではございますが、区といたしましては、電力市場の動向について引き続き十分に情報収集に努める中で、対象とする施設の規模だとかを判断して、4月以降にできるだけ早い時期に効果的なタイミングをはかって入札を実施したいというふうに考えているところでございます。
◆けしば誠一 委員 支援が必要な人への安心の仕組みということで、障害者自立支援法の応益負担が、国の動向では障害者の1割負担は制度として残されようとしていますが、区の見解と独自の取り組みを求めておきます。
◎障害者施策課長 利用者負担についてのお尋ねでございますけれども、平成22年の4月より非課税世帯の負担額が無料となったことで、国の推計によりますと、サービス利用者のうち約86%は既に利用者負担が無料となってございます。その上で、平成24年4月からの利用者負担につきましては、法律上、応能負担の考え方をより明確に位置づけたものと認識をしてございます。
また、独自の取り組みについてのお尋ねでございますけれども、区では、区民税の課税額が均等割世帯につきましては、平成25年6月まで激変緩和措置として利用者負担額を軽減しているところでございます。
◆けしば誠一 委員 課税世帯への区の助成が廃止になりますけれども、ちょっとここは矛盾すると思いますが、いかがでしょう。
◎障害者施策課長 今般の法改正により、利用者負担が応能負担となったことで、他の利用者との平等性、公平性を図るものでございますので、ご理解をいただければと存じます。
◆けしば誠一 委員 課税世帯でも結局家族の合算ということになりますので、これは区の取り組みを求めます。
仕事と子育ての両立では、保育料の不公平に対しては、無認可のほうを補助すべきであって、公平化の名のもとに認可保育料の値上げとならないか心配ですが、この点は。
◎保育課長 今回の実行計画案におきましても、保育施設の利用者負担の見直しということで、見直しを盛り込んだところです。これは昨年度の外部評価委員会の評価をいただいたものを踏まえまして、認可保育料全般と、あとは認可と他の保育施設の負担の公平性、その両面から総合的に検討してまいる所存です。
◆けしば誠一 委員 幼保一体化や放課後児童対策の拡充というふうに書かれているので、子供園を区内幼稚園とか保育園に拡大していく方向と誤解されますが、いかがですか。
◎
子ども家庭担当部長 子供園につきましては、区立幼稚園をめぐる環境変化あるいはさまざまな課題を踏まえて、幼児教育と保育を融合させて一体的に提供する区独自の幼保一体化施設として段階的に設置を進めているものでございます。先行して移行した4つの子供園の運営状況につきましては、多くの長時間の保育のお子さんを預かる一方、一時保育など、保護者の皆様の子育て支援にもしっかりおこたえするなど、総じて当初の目的に沿った運営ができているものと受けとめておりますが、今後は、当然ながら毎年度しっかりした検証を組織的に行いながら、継続的な見直し、改善に努める一方、その成果を他の保育園あるいは幼稚園などにも普及拡大して、ご理解を得るよう努めてまいる考えでございます。
◆けしば誠一 委員 「多様な文化の共生社会」とありますが、区内の在日外国人の数と主な国ごとの人数を示してください。
◎区民課長 直近の2月1日現在の外国人登録の人口でございますが、1万801人となってございます。
それから、主な国別の人数でございますが、上位3カ国を申し上げますと、中国の方が3,800人、朝鮮、韓国の方が約3,000人ほど、それから米国の方が600人ほどでございます。
◆けしば誠一 委員 50人に1人はいるその方たちが、共に生きることのできる区としての具体的な施策は。
◎文化・交流課長 これまでも交流協会を通して在住外国人の方へのサービス、例えばウエルカムパーティーであったりジャパンデーなど、地域を構成する構成員として一緒に生活ができるように、さまざまな事業に取り組んできたところでございます。今後もこういった事業を適切に効果的な支援ができるように、交流協会と相談しながら進めてまいりたいというふうに思います。
◆けしば誠一 委員 「区民等との協働による多様な公共サービス」というふうにあります。かつて、指定管理者制度あるいは民営化一辺倒で進んできたような傾向がありました。今後、図書館などのいわば行き過ぎた民営化に対する是正といいますか、区の責任をとるべき事業と民営化とのこの判断基準といいますか、その辺はいかがでしょう。
◎行政管理担当部長 判断基準ということですけれども、費用対効果だけをもって初めから委託、民営ありきというふうに判断すべきではないと考えております。それぞれの事務事業ごとに、区が、公務員が直営で行うべきものは何か、民にゆだねるものは何か、協働で行うべきものは何かというところを精査しまして判断すべきものと考えておりますし、その上で行政の質の低下を来さないよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。
◆けしば誠一 委員 特に子育てに関して、戻りますが、国の動きも今のところ不透明なままですが、やはり子供園の検証による見直しも含めて、区として独自の観点でしっかりとここは取り組むべきだと思いますが、その点どうでしょう。
◎
子ども家庭担当部長 国の子ども・子育て新システムに関連してのお尋ねでございますが、ご案内のとおり、先日、政府では、この新システムを新しい子育て支援制度案として正式に決定して、今月中にも今国会に法案を提出するというふうな情報が入っております。当然ながら、新システムが抱える大きな目標自体は、代表質問でもお答えしたとおり、是とするものであり、今般の基本構想が掲げております1人1人の子どもの育ちを社会全体切れ目なく支援していくというような方向性とも符合するものというふうに考えております。
今後、国会での審議状況、道筋等は不透明ではございますけれども、国会審議の動向、あるいは国と地方の協議の状況などをしっかり見定めながら、こうした目標に沿ったより具体的な制度設計が行われるかどうかしっかり注視しながら、今後適切に対応できるよう対応してまいりたいと存じます。
◆けしば誠一 委員 自家発電努力が重要です。区庁舎だけではなく、災害拠点として利用できる地域区民センターなどで、高井戸は清掃工場からの電力を今まで以上に供給されることが可能です。それを災害時に直接使える仕組みの検討はしているのでしょうか。
◎清掃管理課長 清掃工場で発電した電力を直接使うということは、現時点では法的あるいは技術的に見て問題がありまして、難しいというふうには聞いておりますけれども、余剰電力をできるだけ地域に還元していくという考え方をもとに、引き続き一組とともに研究してまいりたいというふうに思っております。
◆けしば誠一 委員 送電、発電の分離など、必要な法改正を国に求めるべきだと思います。その点は。
◎環境都市推進課長 送発分離の問題でございますけれども、これにつきましては、以前も本会議でご答弁申し上げましたが、国においても、本年夏を目途に新たなエネルギー政策を決定するということとしてございますので、区としてはその動向をしっかりと注視してまいりたいというふうに思います。
◆けしば誠一 委員 最後に、「自治・分権の推進」では区長にお尋ねします。区は、23区のあり方の不十分性を改革することを求めているということですが、大阪府と大阪市が逆に市が特別区に再編されようとされている動き、これは地方分権の流れに逆行しますが、23区と杉並区の今後のあり方として、区長の見解を最後にお聞きします。
◎区長 毎日のように大阪の政治情勢というものが伝えられているわけでありますけれども、定例会の一般質問で委員のご質問にもご答弁をいたしましたが、大阪都構想というものについては、住民に最も身近な基礎自治体である区に権限と財源を東京都から移管をせよ、こういう立場で努力をしている特別区の立場からいたしますと、どんなものなのか、よくわからないなというのが正直な感想でございます。
地方分権の流れの中で、基本的には基礎自治体を優先というか中心にして、地方分権というものをきちっと発展をさせていこうという考え方が我々の立場だろうと思います。そういった基礎自治体をバックアップする、そういう役割こそが広域自治体の重要な役割なのではないかというふうに思うわけでありますが、そのバックアップすべき広域自治体と基礎自治体の関係というものがどういう関係なのかというのが、伝わってくる構想の中ではよくわからないというふうに思います。日々伝えられている大阪情勢というのは、そういった制度設計ということの議論よりも、至って政治的というか政局的な視点から、ああでもないこうでもないと、いろいろな政治的な立場に立ってみると、だれが得でだれが損かとか、そういうような政治的な利害という視点に立った報道というものに終始しているような気がいたします。
私のつたない経験からいっても、既成政党の政治に対して非常にフラストレーションがたまっている、あるいは閉塞感が漂っているという状況の中で、新たな政治を求めるという国民感情というのは、いつの時代にも繰り返し繰り返し起こってきたことだろうと思いますし、そういう意味では、今回の大阪のこともその流れの1つの象徴だろうというふうに思います。同時に、そういう流れというのは、先ほど言った政治的利害ということでとらえてみると、名前が欲しいとかあやかりたいとか、そういうのがどんどんどんどんぶら下がってくるんですね。質より量というふうにやがてはなって、それで言ってみれば中身が希薄な、そういうケースというのがこれまでも見られたわけであります。そういう1つの政治の局面の一端かなというふうには思いますけれども、ただ、この大阪都構想を初め、これをめぐる、今申し上げたようなことも含めて、さまざまな動きというのは、政治的な側面、国政を含めて、国政選挙をにらんでこれからもいろいろあるんだろうと思いますけれども、地方分権、地方自治、それが我が国の再生にとってどういう意味があるのか、そういう中で、基礎自治体と広域自治体の将来のあり方、国、都のあり方というのは一体どうあるべきなのかということについての議論は、冷静にじっくりともう少し必要なのではないかという気が私としてはいたします。
○岩田いくま 委員長 以上で無所属区民派の質疑は終了いたしました。
創新の質疑に入ります。
それでは、松浦芳子委員、質問項目をお知らせください。
◆松浦芳子 委員 審議会について、目標1、2について質問します。
パネルを使いますので、いいでしょうか。
○岩田いくま 委員長 了解いたしました。
◆松浦芳子 委員 基本構想なんですが、すべての計画には短期、中期、長期とあるんですが、この基本構想はどの位置づけになるのでしょうか、お聞きします。
◎企画課長 基本構想は、昨日もご答弁申し上げましたとおり、大きな意味での政策的な取り組みを明らかにするものだと思っています。そしてそれを実現するための総合計画、これはいわば政策的な考え方をもとにして、施策の体系あるいはその取り組みの方向を明らかにする。そして財政の裏づけを持つ実行計画で具体的な事業ということになっています。ですから、一概に長期、中期、短期ということではなくて、それは政策、施策、事業、そうした考え方の中で、期間等についてはその自治体、自治体で状況に応じて定めるもの、こんなふうに思います。
◆松浦芳子 委員 私は、21世紀ビジョンが長期で、今回のが中期だと思っていたのが、全く違うということですね。
◎企画課長 基本構想の期間設定につきましては、昨日もご答弁申し上げましたとおり、スピーディーにリアルに、よりリアリティーを持ってという観点から、今回の議論の中で10年と設定したということでございます。
◆松浦芳子 委員 21世紀ビジョンのほうは12年の8月に答申されていまして、その後区民フォーラムなどを開催しています。そして杉並区基本構想の場合は24年1月答申で、スケジュールが厳しかったのではないかという指摘がありますけれども、いかがでしょうか。
◎企画課長 スケジュールの問題については、この間もさまざまなご意見をいただきました。そうした考え方があることも十分承知してございます。ただ、私どもは、その限られた日程の中でも、24年度からそうしたトータルな取り組みをスピード感を持ってスタートするという考え方の中、審議会のご議論も精力的にいただきながら、この間やってきたということでございます。
◆松浦芳子 委員 21世紀ビジョンと杉並区基本構想には審議会委員がいらしたと思うんですが、その中で何人が2つの審議会に入っているのか、要するに何人が重複しているのか教えてください。
◎企画課長 個人という意味合いでしょうか。個人ということですと、佐々木浩議員お一人かなと、こんなふうに承知しております。
◆松浦芳子 委員 そうすると、1人だけということで。役所の方もそこには重複して入っていないんでしょうか。
◎企画課長 私ども区のほうは委員ではなく、その審議会を支援する事務局の立場として、この間も前回もやってまいりました。
◆松浦芳子 委員 21世紀ビジョンは、これも何度か他の委員からありましたけれども、25年の目標でしたが、今回はそれをベースにしての10年間という改定ではなかったのか。
それから、21世紀ビジョンがつくられたときも、審議会委員が十分審議してつくられたと聞いていますが、それをどう生かしたのか教えてください。
◎企画課長 あくまでも変化が激しい時代の中で、新しい視点といいますか、その時代をまたきちっと見据えて考えていくということで、前の構成だとか内容、それはこれまでは区政運営の指針としての機能は十分果たしてきた。しかし、これから10年のビジョンを考えたとき、それはそうした構成だとか内容にとらわれずに、審議会の中で忌憚のないご意見の中でまとめ上げていくということで、改定というよりは新たな策定ということが適当と、こんなふうに考えます。
◆松浦芳子 委員 そうすると、前の審議会委員の意見は余り入ってなく改定ということだと思うんですが、例えば各部門、3部門あるみたいですが、12人で1単位1回しか話し合いがされていませんが、これで十分な審議が行われたと言えるのでしょうか、いかがでしょう。
◎企画課長 部会の運営のことかと思いますけれども、各部会ではそれぞれテーマを設定して議論を進めた。しかし、その後にまた振り返る機会も設けながら、場合によって、その日のテーマでなくても関連することについては、その部会長の進行の中で柔軟に受けとめて、そうした運営がなされていたものと承知してございます。
◆松浦芳子 委員 審議会委員には、仕事をしている女性と専業主婦、両方入ってほしかったと思っているんですが、若い女性は何人入っていて、どんな状態だったのでしょうか。
◎企画課長 それぞれ区民委員でございますけれども、特に公募委員につきましては、今委員からご指摘あった年齢バランス、男女バランスといったことで、特に10代の女性も入っておりましたし、そういった意味では、全体として見れば、各層の区民、区議会議員の方々、そして専門分野の学識経験者ということでバランスとれていたのかなと、こんなふうに承知しています。
◆松浦芳子 委員 10代の女性もいたわけですね。
◎企画課長 年齢的には20代でございました。
◆松浦芳子 委員 わかりました。
基本構想は議決事項としましたが、総合計画は議決事項にはしないと思いますが、その理由はいかがでしょうか。
◎
政策経営部長 基本構想は、区と区民が共有する目標で、区政運営の指針となるものでございまして、当区においては自治基本条例に基づき議会で議決を行うということで、これは杉並区の基本的な立場でございます。しかし、その目標をどのようにして実現するかということにつきましては、多分ここにいらっしゃる方々にも、さまざまな方法ですとかやり方がございますし、また、財源をどのように配分するかということもさまざまなお考えがあろうかと思います。これにつきましては、長の責任で計画化して、そして毎年の予算で、個々の実際については議会で予算で審議するということが一番基本的な考え方だというふうに思ってございまして、計画の議決の問題というのはございますが、なかなか全国的に広がらない。というのは、行政と、そういった考えの中で、こういったものが基本的な考えではないか、かように考えてございます。
◆松浦芳子 委員 きちっとやっていただけたらと思います。
それから、区民からのパブリックコメントはかなりやっていたような気がいたしますが、広報では、区民の方からのご意見ではとてもわかりにくいと言われました。これまで区政に貢献された、例えば歴代区長とか区内に住む歴代理事者とか、それから前回の21世紀ビジョンの審議会委員などの意見は聞いたのでしょうか。
◎企画課長 この間答申案でも、区内参加者説明会、その際には、わかりやすく答申案の内容をビデオにしてお知らせする時間も設けたり、工夫も凝らしてまいりました。しかし、今回、後段の部分でございますけれども、幅広く区民に説明会あるいはパブリックコメントという中でご意見をいただいて、そうした中でそれを参考にまとめ上げてきた、こういう経過だというふうに承知しております。
◆松浦芳子 委員 審議会の調整部会も起草委員会も、今回は学識経験者のみとなっています。前は公募の方も入っていたと思うんですが、以前何か不都合があったのか。それから、学識経験者は杉並区の人なのかどうか教えてください。
◎企画課長 学識経験者10名については、8名ほどが区内在住だったかなというふうに記憶してございます。
それで、その進め方、メンバー構成ですけれども、これはいずれも審議会の中でご議論し、お決めいただいたという経過でございます。特に起草ですけれども、これは審議会の全体会もそうですけれども、各部会も、部会長の運営のもとで各部会員の意見を引き出す、そうした毎回の運営がなされていたというふうに私ども思っています。そうしたことを踏まえて、起草に当たっては、いわゆる正副部会長といいますか、そうしたメンバーでやることが適当という審議会の判断の中でそういった形になってきた、こんなふうに思っています。
◆松浦芳子 委員 起草委員は部会長は入っているんですか。公募の人は全く入ってないんですけれども。
◎企画課長 先ほど申し上げました、起草のほうですけれども、各部会の部会長、それと調整部会の正副部会長という構成。そうしたことをこれまでの運営も含めて審議会でお決めいただいて、そのように進められてきたということでございます。
◆松浦芳子 委員 この表を見ると、部会長は学識経験者になっているので、一緒ということですね。
それから、各部会は4月、5月に開催されていますので、多分、震災後でみんながまず命を守ることの重要性を感じたときなので、教育は後回しにされたような気がしますが、その点はいかがでしょうか。
◎企画課長 決してそんなことございませんで、むしろ、そうしたいろいろな限られた時間の中で、私ども事務局としては、精力的に日程を調整いただき、そして会議の前には事前に資料に目を通していただきながら、なるべく効率的な会議になるような、そんな努力を皆さんされていた、そんなふうに承知してございます。
◆松浦芳子 委員 それについては、最後のほうにもう1回言います。
次に、目標2についてですが、目標のそれぞれに10年後の姿のポイントが書いてあるのはとてもわかりやすくてよいと思っています。ページ10の「10年後の姿」に「道路ネットワークの改善や交通アクセスの整備などが進み、高齢になっても障害があっても人々がまちに出て交流している。」とあります。とてもすてきなことですが、これは具体的な策はあるのでしょうか。
◎
土木担当部長 今、既存の鉄道が走ったりバスが走ったり、すぎ丸なんかも走っております。それから地域の高齢者のいろいろな福祉交通も走っています。それらを総合的に考えながら、補完しながら考えるとともに、きのうもご答弁しましたように、高齢者が自由に移動できるような新たな交通も考えながら、地域が発展しながら、みんながゆったりとまちを歩けるような交通にしたいなというふうに考えてございます。
◆松浦芳子 委員 これは10年後の姿なんですが、今はどうなっているでしょうか。
◎
土木担当部長 現在も例えばバス路線も56線ありますし、鉄道駅も18駅ありますので、ある程度便利だと考えてございますが、高齢化の進展に伴い、お年寄りたちがなかなか駅に行きづらいというような話ですから、そういう面を含めた交通、それから施設のバリアフリー化なんかも図っていかなければいけないかなというふうに考えてございます。
◆松浦芳子 委員 小さなミニバスのお話は前ありましたけれども、多分、今後10年というのは高齢者がかなり増えてくると思うので、よろしくお願いします。
それから人口増ですが、これまで10年はどの年代が増えたのでしょうか、教えてください。
◎企画課長 これまでの10年を振り返ってみたとき、きのうもちょっとご答弁申し上げたんですが、この間の大規模集合住宅などのあれで、特に30代、40代、このあたりが人数の増としては極めて多うございます。
◆松浦芳子 委員 これまで30代、40代は、杉並区は家賃が高かったりということで、杉並区以外の武蔵野あたりに引っ越されていたんですが、区の子育ての政策がとてもよかったということで増えたと私は認識しています。
こんなメールをいただいたんですが、「子どもたちの将来を考えると、区の行政が正直なところ、以前には感じられた住み心地のよさがだんだん薄らいできて、自分の子どもや同年代の子どもたちが大きくなったころ、そのまま杉並区にいてもいいのか不安を感じます。」この人はちょうど40ぐらいの人ですが、こういう意見が来ていますが、いかがでしょうか。
◎
政策経営部長 今、企画課長からご答弁申し上げましたように、この10年間は、桃井のところのURですとかあるいは大型マンションですとか、そういった形で、40代前半、30代の方々が入りました。それとともに、この間の保育園の待機児問題なんかでも機敏に対応してくるということで、やればやるほどというような現象の中で杉並区に来るというようなこともありましたけれども、杉並区は、今のそういった全国的にあるいは全都的に見た状況の中では、子育てをしていくというところでは、かなりの行政を行っているというふうに考えてございます。
◆松浦芳子 委員 子育てに杉並区はとてもいいという評判で30代、40代が増えたと思いますので、ますますいい区になってほしいと思っています。
目標5について。住宅都市杉並区というのはとても聞こえはいいんですが、どんなに都市が整備されても、どんなすてきな住宅が並んでいても、そこに社会のきずなや温かい心がなければ幸せとは言えませんが、どのような住宅都市が理想と考えているのか教えてください。
◎企画課長 そういった意味では、ご指摘のとおり、住宅都市の質を考えたとき、ハード面のみならず、文化、教育、あるいはそこに住まう地域の人々のきずな、そういったソフト面も重要だというふうに思ってございます。したがいまして、私ども、そうしたハード面とソフト面、この両面から政策を展開して質の高い住宅都市、こういうものを創造していきたい、こういうことでございます。
◆松浦芳子 委員 よろしくお願いします。
21世紀ビジョンでは、「未来」を「あす」と読み「未来を拓く人をつくろう」との文言があって、とても私は気に入っていましたが、基本構想にはどうつなげたのでしょうか。
◎
子ども家庭担当部長 21世紀ビジョンでの将来像、目標に、未来を拓く人を育てるというような趣旨が盛り込まれたものというふうに理解しておりますけれども、今般の新しい基本構想でも、目標5、子育て、教育にまたがる分野におきましては、次代を担う人をしっかりとはぐくんでいくまちを築いていこうというような趣旨が入っておりますので、基本的なそういった考え方は引き続き踏襲されて取り組むものというふうに考えております。
◆松浦芳子 委員 ぜひ引き続きよろしくお願いします。
それから、「子ども」と書かれてありますが、子どもとは何歳から何歳を指すのでしょうか教えてください。
◎
子育て支援課長 子どもの歳児でございますが、関係法令におきましてもいろいろ異なる。施策や取り組みに応じまして幅を持ったものかというふうに考えております。基本構想の議論の中でも一定の幅を持ったものというふうに受けとめておりますが、例えば児童福祉法でいえば18歳未満、こういったものも念頭の1つに置かれていたのではないかというふうに受けとめております。
◆松浦芳子 委員 「子ども」と書いてあると、どうしても幼児ではないという気がしちゃうんですけれども、というので聞きました。
21世紀ビジョンでも気になっておりましたが、「子ども」という漢字がまぜ書きになっています。これについてはしつこく何度も言っておりますけれども、平成15年か16年に質問したときの答弁は、漢字で書けるものはしっかり書いていきますと答弁をいただきました。杉並区はわかりにくい片仮名語を使わないとか、漢字は正しく使うとかいうことが区のスタンスだったはずですが、いつから変わったのか教えてください。
◎
子育て支援課長 漢字と仮名の表記につきましては、さまざまなご意見をいただいているものと承知しております。そういった中で一定の原則とあわせまして、実際にどう使っていくかにつきましては、文脈、流れでありましたり、受けとめ方、読み手の状況、それから関連する法令や国の施策などもあわせまして総合的に、ある意味柔軟に使いこなしていくというのが一貫した考え方かというふうに考えております。今回もそれに沿ったものということでございます。
◆松浦芳子 委員 柔軟はいいんですけれども、基本構想というのは杉並区の一番大事な基本構想なので、できればそこにはきちんとした漢字を使ってほしかったと思いますが、いかがでしょうか。
◎
子育て支援課長 こちらも審議会の議論の中、それから起草委員、いろいろな議論の中での1つの形かと思われますが、今の子ども・子育てなどめぐる関係法令、施策の状況、それから一般的な受けとめなどを総合的に勘案した結果というふうに受けとめております。
◆松浦芳子 委員 しつこく聞いてもしようがないのでやめます。
社会の一番小さな単位は家庭です。この基本構想には家庭の支援とは書いてあっても、乳幼児期の教育については全く触れられておりません。以前から私は何度も、胎児から3歳までの親子のつながりが子の成長に大切だという意見を言っているんですが、余りにもわかっていただけないようなので、きょうはパネルを持ってきました。いいでしょうか。
○岩田いくま 委員長 どうぞ。
◆松浦芳子 委員 このパネルなんですが、これは脳の重さのパネルです。脳というのは全部広げると新聞紙見開き1枚ぐらいで、人間がどんなに頭のいい人でもはがき1枚ぐらいしか使っていないと言われています。ですから、使えば使うほどもっと使えるはずなんです。この脳の重さですが、生まれる前、要するにまだ卵子のときはゼロですが、胎児になる、十月十日で約400グラムになります。そして3歳になると約1,000グラム、そして大人が1,400グラム、大体それから変わりません。この表を見ていただくと、受精したときから誕生までの十月十日で400グラムと、3歳から20歳までの17年間で400グラム、同じぐらいのグラム数、脳が発達するんです。そして「三つ子の魂百まで」といいますが、3歳までに80%でき上がってしまう。ということは、胎児から3歳までがいかに大事かということをあらわしていると思います。これは脳の重さでございます。
胎児から要するに10歳まできちっと言葉かけや愛情をかけて育てれば、基本的な性格はそこでできてしまうわけですから、例えば3歳から20歳までの大変な17年間は反抗期があったりしますから、そのときも性格的にきちっとしていれば、反抗期があっても戻ってきます。杉並区基本構想に、一番大切な教育の時期である幼児教育について触れられていませんが、これはなぜでしょうか、お願いします。
◎保育課長 おっしゃるとおり、まさに人格形成の基礎のそのまた基礎ということで、乳児期、幼児期が大事なものだと思います。今回の基本構想の中でも、そういったことも踏まえまして、目標5の中で、すべての子どもへの良質な成育環境をきちんとつくっていくんだ、そのために1人1人の子どもの成長、発達や家庭の状況に応じて必要な支援を切れ目なく受けられるように、そういったことをしっかり盛り込みまして、それを踏まえて実行計画でも各施策を打ち出しているところですので、委員のご意見もしっかり踏まえた対応かと存じます。
◆松浦芳子 委員 これをもとにした計画のときには、乳幼児期はとても大事でございますので、福祉や安心・安全も心豊かなまちづくりも、まず教育です。ぜひよろしくお願いします。
子どもというのは、その時期に身につけなければ時期を逃すと遅いという、教育の臨界期がありますが、臨界期についてはどのような見解をお持ちでしょうか、教育長、お願いします。
◎教育長 教育学的にはスペンサーという学者が教育の適時性という主張をしたんです。つまり3歳児には3歳のときにそれに見合った教育を、15歳には15歳の発達段階に応じた教育を、そしてその発達段階を逃せば、トラ刈りを直すのと同じようにかなりのエネルギーと時間を費やすことになるから、教育には適時性を考えて、そのときそのとき、その発達を押さえてふさわしい教育をしていくことが望ましいという指摘です。ですから、義務教育が6歳から、学齢は6歳から15歳というふうに制度的に定めて公の教育をしているところです。
◆松浦芳子 委員 さすが教育長で、ありがとうございました。
先ほど言いましたけれども、福祉も安心・安全も心豊かなまちづくりも、まず教育からですので、今後具体的な企画を立てるときには、ぜひよろしくお願いします。
ありがとうございました。
○岩田いくま 委員長 以上で創新の質疑は終了いたしました。
みんなの党杉並の質疑に入ります。
それでは、横田政直委員、質問項目をお知らせください。
◆横田政直 委員 全般にわたってお願いいたします。
まず、杉並区基本構想の9ページの最後、「いざというときの災害時要援護者への支援」ということで、「高齢者・障害者や医療を必要とする人、乳幼児を抱える家庭など、災害時要援護者を地域ぐるみで継続的に支える災害時の支援の仕組みを充実・強化します。」ということですが、この点を具体的に区民にわかりやすく示していただきたいと思います。
◎
保健福祉部管理課長 従前から杉並区は、地域のたすけあいネットワークということで、都内ではかなり要援護の方の登録制度がございました。ただ、3・11を受けまして、新たな基本方針、避難のための安否の確認のシステムの再構築が必要であろうと考えております。また、これを受け入れるための福祉の救援所の増設、これも必要であろう。また、従前から地域の方の学校の救援所のネットワークがございましたけれども、これ以外に、高齢者あるいは障害者を支える人材とのネットワーク化も必要であろう。こういったものを総合的にあわせまして、今般、災害時要援護者の方のための新たなシステムづくりを検討してございます。
◆横田政直 委員 先日あんさんぶる荻窪で行われた「すぎなみミニフォーラム〜大災害を乗り切るために〜『忘れちゃいけない大切な人』」と題するフォーラムで話題になりました。今ご答弁でもありましたけれども、福祉の救援所、この検討中であると思いますが、今後10年を見通した福祉の救援所について区のご所見をお示しください。
◎
保健福祉部管理課長 現在でも、区内民間の入所系施設、特別養護老人ホーム等を中心に10カ所と福祉協定を結んで、福祉救援所としてしてございます。さらにこれに加えまして、既にバリアフリー、耐震構造ができております障害者あるいは場合によっては高齢者の通所施設なども含めて、ここには介護あるいは障害で働く人々がございます。こういった部分の方も含めた福祉の救援所、こういったものをこの10年間に精力的に整備していきたいというふうに考えてございます。
◆横田政直 委員 また、示すことが求められている避難経路について話題になりました。例えば和田堀公園までの避難経路を示すと、一般の区民には全く意味のあることだと思いますが、災害時要援護者、特に障害をお持ちの方にとっては、例えば和田堀公園までの避難経路を示すということには全く意味がないのではないかという意見が出ました。検討し直す必要があると思いますが、今後10年を見通しての区のご所見をお示しください。
◎
保健福祉部管理課長 従前、災害時要援護者の方の避難というと、まず避難所に行かなければいけないという意識が、支える側あるいは支えられる側両方にございました。火災など、今回、東日本大震災、津波は杉並区はございませんけれども、火災につきまして、あるいは建物の全壊につきましては、避難所という形は従前からございますけれども、基本は、非常に耐震のできている家などを含めますと、在宅でいかに早く安否の確認をして、そこから中期的な生活支援をしていくかというのを根本に考えてはいかがだろうかと考えております。これを中心にしながら、支える側のボランティアあるいは支える支援者がいかに早く安全経路を持っていくかというのは、現在もう既にそれぞれの学校でも検討してございますので、こういった形で10年間を見据えていきたいと考えてございます。
◆横田政直 委員 また9ページの上から4行目に、「医療救護体制の充実」とあります。先日は医療救援所について紹介していただきましたが、医療救護体制の充実について、今後10年を見通して、区民にわかりやすい説明をしていただきたいと思います。
◎地域保健課長 今の地域防災計画の中では、66の震災救援所の中で15救護所があります。これで十分かどうか、あるいはこの15救護所にきちんと医師が張りつくことができるかどうか、そういったことを今後10年、早急に協議体を設けて検討していきたいというふうに考えてございます。
◆横田政直 委員 次に、10ページになりますけれども、他の委員からありましたが、下から2行目、「自転車の安全な利用のための環境整備」、自転車の優先道路というような道路整備の問題も話題になりましたが、区民にわかりやすい説明をお願いいたします。
◎交通対策課長 委員、今、自転車の安全利用のレーンとかそういうようなお話もございましたが、まず今取り組むべきことは、自転車の安全利用のためのルール、マナー、それを徹底させた上で物理的な道路の環境のほうの整備等に入っていきたいと考えております。
◆横田政直 委員 次に、11ページ、現役世代への就労支援、これは喫緊の課題であると思いますが、現役世代への就労支援について、今後10年を見通して具体的な支援策を示してください。
◎産業振興課長 総合計画、実行計画におきまして、24年度、若者就労支援センターを設置します。この中は、ハローワークと連携をして就労相談あるいは就職紹介、それからまた区内企業のPRとか、こういったことをやっていきながら、若者の就労を支援していきたいと考えてございます。
◆横田政直 委員 また、荻窪駅周辺まちづくり、多心型まちづくり、阿佐ケ谷駅、西荻窪駅、方南町駅といった多心型まちづくりについて、区長の選挙公約であったと思いますが、再開発についてはやるかやらないかわからないという答弁もありました。維持保全を含め、荻窪駅周辺まちづくり、多心型まちづくりについて、区民にわかりやすく示していただきたいと思います。
◎都市再生担当課長 荻窪につきましては、本会議でもお答えさせていただきましたとおり、区内最大の交通結節点でありまして、杉並の顔として今後整備していく必要があるということから、再開発をするかどうか含めて、広く区民の意見を聞きながら一歩一歩着実に進めていくということを検討してございます。
その他、今委員からご指摘ありました阿佐ケ谷とか高円寺とか西荻につきましても、その地域の特性を踏まえて、その地域に見合った多心型まちづくりの形成を図っていきたいというふうに思ってございます。
◆横田政直 委員 次に、13ページに移りまして、「再生可能エネルギーの活用などによる環境住宅都市づくり」ということで、「太陽光発電などの再生可能エネルギーの普及・拡大」という項目があります。現状ではコスト面での課題もあると思いますが、今後10年を見通しての区のご所見をお示しください。
◎環境都市推進課長 既に他の委員のご質問にもお答えしましたが、来年度、24年度に再生可能エネルギーの普及促進を目指して、地域エネルギービジョンというのを策定していく予定でございます。そういった中では、いかに効果的、効率的にそういった再生可能エネルギーを普及していくのかということを含めて、区民の皆さんからのご意見をいただいて策定をしていく、そういった中で今後の方向性について定めていきたいというふうに考えてございます。
◆横田政直 委員 次に15ページに移りまして、5行目、「高齢になっても障害があっても就労や社会参加などにより自分の力が発揮できるよう、参加しやすい場づくり・つながりづくりを進めます。」とあります。現状では長寿応援ポイント事業などが行われていますが、今後10年を見通しての区のご所見をお示しください。
◎
高齢者施策課長 高齢者につきましては、単に収入を得るというだけの就職だけではなくて、社会参加的な就労というのも考える必要がございます。そのため、引き続ききめ細かい情報の提供ということを事業を通して行っていくとともに、協働事業なども通じましていろいろなテーマを設定して、いろいろな縁というのをつくっていく、そういったことを目指していきたいというふうに考えております。
◆横田政直 委員 また15ページの戦略的・重点的な取組みとして、「一人暮らしの人や隣近所とのつきあいが少ない人でも孤立せずに安心して日常生活を送れるよう、」取り組みを推進するということですが、ゆうゆう館が重要な役割を果たしていると思いますが、現状と今後の拡充の予定を示してください。
◎
高齢者施策課長 各館とも協働事業を通じまして利用が活発化しておりまして、40万人以上が22年度実績では利用している状況でございます。利用者層が今70代が中心ですけれども、以前と比べまして、60代の利用も増えてきております。今後も協働事業のテーマの設定ですとか、事業実施後の自主活への支援などについて話し合いながら、新しい利用の幅を広げていきたいというふうに考えております。孤立をしないようにつながりある状況というのを、このゆうゆう館の事業を通じてつくり上げていきたいというふうに考えてございます。
◆横田政直 委員 また、特別養護老人ホームの建設予定数、目標といったものはありませんか。
◎保健福祉部副参事(伴) 特別養護老人ホームにつきましては、希望者の状態というのはさまざまございますので、優先度Aランクのうちで早期に入所を希望する方、この方全員が速やかに入所できるように施設のほうを計画的に進めていきたいというふうに考えてございます。
◆横田政直 委員 ますます高まると思いますが、想定される倍率というのはどのように考えているんでしょうか。
◎保健福祉部副参事(伴) まず当初300床ということで今計画をしておりますので、その計画を着実に進めていくことによって、入所希望者のほうに対応してまいりたいというふうに考えてございます。
◆横田政直 委員 入居者と入居できなかった方のサービス面での格差は相当大きくなると思います。自宅で介護を受けている方への配意をお示しください。
◎
高齢者在宅支援課長 ご自宅にいらっしゃったとしても、介護保険サービスを基本としながら、また介護保険サービスではできない区独自のサービス、そういったもので充実させていきたいと考えております。
◆横田政直 委員 また、介護予防のための取り組みが重要となると思います。その現状と今後の予定を教えてください。
◎
高齢者施策課長 現在、介護予防の取り組みといたしまして、普及啓発事業ですとか、あとは介護リスクの高い方々に、教室ですとか訪問による指導を行っております。今後、高齢者の増加に伴いまして、介護予防の必要な方というのも増えてまいりますので、それにきっちり対応していきたいというふうに考えております。
◆横田政直 委員 次に、17ページに移りまして教育ですが、教育委員会の役割というものが議論されていますが、教育委員会の守備範囲、これを区はどう考えているかお示しください。
◎庶務課長 教育委員会といたしましては、教育基本法を初めとした法令にのっとって役割、責任を果たしてまいります。
◆横田政直 委員 社会教育も含めて、杉並区としては教育委員会の守備範囲になるという認識でしょうか。
◎庶務課長 社会教育法に基づいて執行してまいります。
◆横田政直 委員 また首長、杉並区の場合は区長が教育にどうかかわっていくべきか、区のご所見をお示しください。
◎区長 教育現場の具体的なことについては教育委員会が担うということが真っ当だろうというふうに思っております。私の立場は、教育委員会が子どもたちのためにいい教育をしていくために必要な環境を整備する、そういう支援をしていくというのが私の主たる役割だというふうに、私自身は考えているところでございます。
◆横田政直 委員 18ページに移りまして、「区民の参加による地域社会づくりの推進」「区民が、それぞれの立場で主体的に地域のことにかかわることができるよう、区民の参加意識の一層の醸成を図るとともに、そうした活動の活性化に向けた支援を積極的に行います。」とありますが、この「参加意識の一層の醸成」はどのようなことを想定され、また「活性化に向けた支援」、どのような支援を想定されているのか、具体的にお示しください。
◎すぎ
なみ地域大学担当課長 区民の参加意識の醸成としましては、すぎなみ地域大学で実施している講座について、社会貢献意欲を醸成するような講演会のような、そういったものも来年度は実施していきたいと考えてございます。
なお、地域の活性化に向けましては、NPO支援基金を活用したりなどして、地域活動の支援を進めていきたいと思います。
◆横田政直 委員 また、「こうした取組みを通して、区民の区政への参加の拡大を図り、」とありますが、具体的にはどのような方法で区民参加の拡大を図るのか、お示しください。
◎政策経営部副参事(伊藤) 昨年実施しました区民意見交換会、こういった手法など活用しながら区政に参加する機会というものを具体的に検討、実施してまいりたいということでございます。
◆横田政直 委員 また、18ページの真ん中のところで「参加と協働による地域社会づくりを担う人材の育成」とありますが、具体的に区民にわかりやすい説明をしてください。
◎すぎ
なみ地域大学担当課長 すぎなみ地域大学を活用しまして、いろいろな講座を通しまして、地域で活動する人材を育成していく予定でございます。
◆横田政直 委員 また、19ページで「持続可能な行財政運営を推進」とあります。今後10年を見通して区民にわかりやすい説明をしてください。
◎財政課長 かなり、世界経済も含めて不透明な状況というのは今後ずっと続いていく。そうした中で、基礎自治体の役割をしっかり果たしていくということが大事。そのために財政の持続性を確保していくということでございます。
◆横田政直 委員 20ページに移りまして、「基本構想を実現するためには、区民と共にその達成度を確認しながら取り組むことが大切」「そのため、基本構想に基づく総合計画の進捗状況を毎年公表」とありますが、そのタイミングとその公表の方法をお示しください。
◎企画課長 ここは、昨日もご答弁申し上げましたとおり、今回の審議会委員の方が、基本構想の原案をつくりっ放しでなくてという熱い思い、そんなことで盛り込まれているものでございます。これについては、昨日もご答弁したとおり、実質は24年度からの総合計画、実行計画の取り組みがスタートして、実際のその辺の評価などについては25年度に行うということで、24年度はまずは10年ビジョンなどをしっかり区民周知するというところに意を用いつつ、あわせてその準備、どんな形で、体制で、そしてどんな進め方で、そんなこともいろいろ意見を賜りながら準備を進めてまいりたい、こんなふうな考えです。
◆横田政直 委員 また「行政評価制度の充実を図る」とありますが、具体的にはどのように充実させるおつもりなのか、お示しください。
◎政策経営部副参事(伊藤) これまでの行政評価の仕組みをさらに充実させるということでございますが、内部意識の徹底、また厳格な評価、また評価の重点化、そういったところを加味しながら充実を図っていきたいということでございます。
◆横田政直 委員 そして「区民参加の取組みを進めます。」ということですが、この区民参加の取り組みについて、最後に区民にわかりやすい説明をしていただきたいと思います。
◎政策経営部副参事(伊藤) 先ほども申し上げましたが、区民意見交換会のようなものもございます。また、さまざまな場面で区政に参画していただく機会、そういったところをつくってまいりたいということでございます。
○岩田いくま 委員長 以上でみんなの党杉並の質疑は終了いたしました。
無所属の質疑に入ります。
では、
堀部やすし委員、質問項目をお知らせください。
◆堀部やすし 委員 21世紀ビジョンとの比較を中心に、さまざま伺います。
山田区長時代に策定をされました21世紀ビジョンが廃止といいますか、新しい基本構想にかわるということですけれども、まず区長に伺います。21世紀ビジョンについてどのようにお考えか、見解を伺います。
◎区長 過去につくられた構想ということで承知しております。
◆堀部やすし 委員 その評価は。
◎区長 個々具体の中身については、いろいろな評価があり得るかと思いますけれども、この時代に25年というとり方は果たしてふさわしいかどうかというふうに思うと、やはり25年の間はいろいろなことが起こるわけですね。それぞれの人生振り返っても、25年前と今日では、個人的にもまた社会の構造も大きく変化したというのは皆さんが受けとめていらっしゃるわけだから、やはり構想にリアリティーを持たせるという意味では、もう少し時間が短いということのほうがよろしいのではなかろうかというふうに私は思いまして、10年構想ということの策定に取り組んだということであります。
◆堀部やすし 委員 既に21世紀ビジョンも13年ぐらい経過しているわけで、残りは12年ぐらいですよね。そうすると、21世紀ビジョンの修正あるいは一部改正で対応するということも考えられたんじゃないでしょうか。
◎
政策経営部長 これは、区長が就任したときの「就任にあたって」の所見でも述べていますが、この10年間、非常に時代が激しゅうございました。そういった中で、今後10年にわたって区民と区が共有する目標をきちんと持つ必要がある時代に来ているというふうに思っています。そういった意味では、今の21世紀ビジョンが、区民と区が共有する目標として今の時点で有効なのかどうかということを考えた場合に、やはり今後10年を見据えたきちんとした目標としてはどうなのかという考えがその基底にはございます。
◆堀部やすし 委員 よくわからないんだけれども、要するにがらっと変える必要があったと、こういうことなんですかね、一言で言うと。
◎
政策経営部長 さようでございます。
◆堀部やすし 委員 それでは具体的に伺いますが、21世紀ビジョンには、例えば「学校教育における子どもや保護者の選択の意思を尊重するとともに教育に子どもたちが参画できる機会をつくる。」と書かれていましたが、新構想では削除されています。これはなぜでしょう。
◎
教育委員会事務局次長 21世紀ビジョン、基本構想の中で、未来を拓く人を育てるという中に、目標ではございませんが、そういった制度、学校選択制を導入したという経過がございます。ただ現在この制度、10年間たちまして、それの検証並びに見直し等を進めているところでございますので、そういったところの関係から、この基本構想そのものの中には盛り込んでおりませんが、現在、教育ビジョンを策定する段階におきまして、それも含めて検討しているところでございます。
◆堀部やすし 委員 また、「子どもの権利を尊重」という言葉も消えていますが、これはなぜですか。
◎
子育て支援課長 考え方といたしましては、子どもの最善の利益を図っていくというところであるかと考えております。こういった基本的な考え方は各施策のところに、それから今回の構想の中にも埋め込まれているというような受けとめでございます。
◆堀部やすし 委員 施策に埋め込まれていると言いますが、理念から消えているのはなぜか。
◎企画課長 そういった意味では、基本構想審議会の委員の皆様の中に、そうした条文と考え方がきちっとされているものについては議論の前提、こういうとらえ方があったのかなと、こんなふうに思います。
◆堀部やすし 委員 でも、学校選択というのは前提にはなってない、こういうことですか。
◎企画課長 ほかの委員にご答弁申し上げたんですけれども、21世紀ビジョンは、ややもすると政策と施策の部分、少し書き過ぎていた嫌いもあるというご答弁を申し上げました。そして今回は、そういった意味ではいわば10年ビジョンが政策的な取り組みの大きな視点での方向性を定め、その施策、事業については総合計画、実行計画、こういうことで整理がされたかなと、こんなふうに思っています。
◆堀部やすし 委員 21世紀ビジョンにあった「自由と責任」という言葉も消えていますが、これはなぜですか。
◎企画課長 そういった趣旨も、目標の5のところの「取組みの基本的な方向」全体を見たときに、そういう趣旨についても踏まえられているもの、こういうふうに解釈いたします。
◆堀部やすし 委員 そうは解釈できないですね。時間がないので先へ行きます。
それから21世紀ビジョンには、こんなようなくだりもありました。「創造的な文化を世界にも発信できるはつらつとしたまちをつくります。」こういった文言は新基本構想にはありませんけれども、いかがでしょう。
◎企画課長 杉並あるいは日本の文化伝統、そういったものを大事にしていくという考え方は目標5の取り組みの方向等の中にきちんと根づいている、こういうふうに受けとめています。
◆堀部やすし 委員 それから、「世界とつながりながら」といったような文言もないんですが、何か意図はあるんでしょうか。
◎
政策経営部長 21世紀ビジョンは、タイトルは「区民が創る『みどりの都市』杉並」ということで、非常にファジーなことで、しかし、先ほど企画課長が申し上げましたように、第2章の施策の基本指針の中ではかなり具体的なものとバランスがちょっと、みたいなところがございます。今回は、その辺につきましては、あるべき基本構想で10年後の姿を描いて、それにどうたどり着いていくのかというところを行っておりまして、「多様な文化の共生社会と生涯学習社会を築く」という中では、グローバル社会の進展を踏まえた文化・芸術の振興という形で明記してございます。
◆堀部やすし 委員 4ページに、「今後10年を展望した杉並区の抱える課題」というのがあります。今話題になったグローバル化の問題については、ここに課題としての位置づけはありませんが、それはなぜでしょう。
◎企画課長 そういった意味では、ここの課題については、本当に大きな視点からとらえたというふうに受けとめています。そのほか今委員のご指摘のあったことについては、それぞれの目標ごとの取組みの基本的な方向、そういう中にその趣旨はきちっと入っているもの、こういうふうに受けとめてございます。
◆堀部やすし 委員 文化面については一部ありましたけれども、経済のグローバル化についてはいかがお考えでしょう。
◎企画課長 そういった意味では、5ページの(3)のところには、リーマンショック以降ということも含めて、世界経済、そういった視野もこういった中には入っている、こういうふうに思っています。
◆堀部やすし 委員 どこに入っているんですか、これ。
◎企画課長 今申し上げたことについては、5ページの(3)の黒いポチの1行目のところに触れてございます。
◆堀部やすし 委員 1行目のどれが、経済のグローバル化に対応した何とかって書いてあるの。意味がわからない。
◎企画課長 失礼しました。1つ1つの言葉をすべてということになると、それをどう読み取るかという問題があります。私、申し上げたのは、こうしたリーマンショック以降の長引く経済不況、世界的なことも含めて、そういったことで入っていますので、全体として見れば、個々すべてあげつらうということではないですけれども、そうしたグローバル化に対応した視点もこのニュアンスの中には入っている、こういうふうに受けとめております。
◆堀部やすし 委員 一時的な経済不況とグローバル化の進展というのは全く違いますよね。10年前、2000年当時の基本構想を策定した時期と決定的に違うのは、グローバル化の進展であろうと思いますが、そういう認識はないということなんですか。
◎企画課長 認識がないということではなくて、大きな視点からとらえた10年後を展望した杉並区の課題、それをいかにわかりやすく区民の皆様と共有するか、そういった観点で、文章については起草委員中心にまとめられていますので、個々、表現があるないというところは少し別かなというふうに受けとめています。
◆堀部やすし 委員 グローバル化の進展によって我々の生活は大きく変わろうとしているわけですが、杉並区としては、グローバル化に伴う課題については特に問題はない、課題認識する必要はない、こういう認識なんですか。
◎財政課長 決してそういうことではございませんでして、グローバル化というのは、今の経済不況の中で大きな要因といいますか、それの経済認識というのは当然そういうことはあると。ここで5ページのところでリーマンショック以降の長引く経済不況というところで、背景で今、企画課長が話しましたように、そういうことも当然ある。これは区民がつくる基本構想のところでございまして、全体の中でグローバル化の問題をここの中で表示していくということはなかなか難しいところもございますので、こうした背景にあるところをお読み取りいただきたいというところでございます。
◆堀部やすし 委員 読み取れないから聞いているので、じゃ別の言い方をすると、グローバル化に対して我々杉並区はどのように立ち向かっていくのか、これはどうですか。
◎企画課長 さまざまな側面があろうかと思います。地域経済の側面から見れば、今後私ども総合計画、実行計画に基づいて産業振興審議会、仮称でございますけれども、そういった中でさまざまそういったことも含めながら考えていく。あるいは国際交流、あるいは外国人の方々といかに調和しながら地域の中でやっていくか、そういう問題についてはそっちの施策のほうでやっていく、そういうトータルで見ていかないといけない問題かなと、こんなふうに受けとめております。
◆堀部やすし 委員 別に個々の施策について聞いているのではなくて、今、世界を大きく渦巻いている、世界市場が1つになるという流れの中で我々はどうするのかという理念が書かれていないことには若干疑問を持った次第であります。
話題変えます。21世紀ビジョンには、みどりの産業を育てるという理念がありました。これはどういうふうになっているのか。
◎産業振興課長 21世紀ビジョンに掲げておりましたみどりの産業でございますけれども、当時の考え方は、環境関連産業だけではなくて、地域によい影響を与えるさまざまな分野の産業というとらえ方でございました。ただ、みどりの産業というものは非常にわかりにくいというようなご指摘も結構ございましたので、今回そういう表現は使ってございません。
◆堀部やすし 委員 そういう表現を使っているとはどういう表現を使っているんですか。
◎産業振興課長 使ってないというだけでございます。
◆堀部やすし 委員 で、かわりにどういう表現にしているんですか。
◎産業振興課長 特段そういう大くくりの概念の産業を定義づけしているわけではございません。
◆堀部やすし 委員 産業振興についてはどのように記載しているのか。
◎
政策経営部長 みどりの産業というのは、ITですとかいろいろアニメですとか、そういったのをトータルの総称で、その当時みどりの産業というような、1つのフィーリング的な要素で表現させていただいておりましたが、今回はどういったものを育てていくのかということで、10ページを見ていただきますと、「暮らしやすく快適で魅力あるまち」ということで、地域の特性を生かした産業・経済活動が活発化している、そういった地域社会の産業振興をやっていこうというあり方、それに向かって11ページで、「地域の特性を活かし、将来を見据えた産業を振興する」というふうな形で体系づけて書かれてございます。
◆堀部やすし 委員 地域の特性を生かした産業というのは、例えばどういうものがあるのか。
◎産業振興課長 先ほど答弁させていただきましたが、商店街振興でいけば、駅前の商店街であるとか住宅地の商店街であるとか、それから歴史、自然、文化、地域にある商店街であるとか、そういった地域特性があろうかと思います。
◆堀部やすし 委員 区内には、例えば風俗営業が集積しているような一角もありますけれども、そうすると、そういうものもどんどん奨励をしていくと、こういうことなんですかね。
◎産業振興課長 委員ご指摘の点は当たらないと考えてございます。
◆堀部やすし 委員 いや、地域で一定の集積があって、そこで盛んにやられているものを地域特性ととらえれば、そういうこともあるんじゃないですか。
◎
政策経営部長 そういった次元のお話ではなくて、11ページに「医療・福祉などの生活支援産業の充実」とか書いていますが、杉並区は、東京の産業分析をいたしますと、介護ですとか福祉ですとか、ITなどやアニメの産業と同時に、そういった生活に密着した産業がございます。そういったものは、こういった基本構想というあしたに向かってのところですので、真正面から受けとめていただきたいと思います。
◆堀部やすし 委員 住宅都市の近くに安全に飲み食いできる場所があるというのは、別にどこの都市でも同じですよね。地域特性を生かしてというと、何となくそういうものも奨励していくというか、そこでお金がたくさん落ちればいいじゃないかという考え方もありますよね。そういうことで、ちょっとみどりの産業というあいまいな表現から少し具体的なものになったことによって懸念がないわけではないですが、いかがお考えでしょう。
◎
政策経営部長 ついでにお話し申し上げますが、その辺は、区民の皆様が安全・安心とどう調和するかということがございまして、区民の人が安心できる、そういったことは、9ページのところでも防犯とどう調和するかということがございますので、そういったことについてはきちんと規制をしていくということはあろうかと思います。
◆堀部やすし 委員 まあ一応風営法なんていうのもありますから、それを守って営業していればいいんだということになると、そういうまちづくりのあり方だってありますよね。いろんな解釈がとれるというふうに思う次第であります。
それから、新しい基本構想で気になりますのは、世代間の公平への配慮が乏しいと私は感じますが、見解を伺います。
◎企画課長 全体を通して見たときに、それぞれ地域で安心して1人でも生活できる、あるいは若者等の、あるいは現役世代に対する取り組みについて記載した部分、そういうものを全体でとらえれば、決してそういうことではないというふうに受けとめてございます。
◆堀部やすし 委員 サービスが向上する内容がたくさん書いてあるわけですよね。ところが、サービスには当然一定の負担が必要になってくるわけで、その受益と負担のあり方についてはどのように考えているのか。
◎企画課長 当然に行政を進めていく上で大事な視点だというふうに思っています。そのあたりについては、基本構想ベースというよりは、むしろ総合計画、実行計画の中でそうした取り組みについては書かせていただいているところでございますので、そうした中できっちりやっていくというふうに受けとめてございます。
◆堀部やすし 委員 しかし、理念として、大きな政府を目指すとか小さな政府を目指すとか、こんなような課題がありますよね。それについてはいかがですか。どうお考えですか。
◎区長 以前もご答弁申し上げましたけれども、大きいとか小さいとか、そういう単純な図式で自治体の行政というものをとらえること自体に私自身は違和感を持っているわけです。
行政にはさまざまな役割、使命がございます。基礎自治体の経営の目的というのは、区民福祉の向上というものが第1であるということは、これまで申し上げてまいりました。それを念頭に置いた上で、その時々の社会経済状況によって、求められる行政需要というものはやはり変わってくるわけであります。長引く経済不況、デフレ不況という状況があれば、当然、実際に数字の上でも明らかになっているように、生活保護世帯は増えていくし、失業者も増えていくということも現実にございます。そういう状況の中で、求められるセーフティーネットのあり方というものも、当然それはその状況、状況に応じて私は出てくるものだろうというふうに思っております。
そういう状況の変化に適切に対応できるような行政組織のあり方というものを常に考えていく必要があるというふうに思います。時には、行政がきちっと、大きいとか小さいとかという表現で、必ずしも適切ではないと思いますけれども、行政が頑張らなければならない場面というのは当然ある。また逆に、行政が後ろに引っ込んでいたほうがいいという場合も当然出てくる。世の中は常に単純に動いているわけじゃありませんから、その時々の状況の中で私たちがどういう役割、どういう組織としてやっていくかということがあるのであって、いつの時代も、小さいとか大きいとか、そういう単線思考というか、単純な物の見方というものは、実際に実態にそぐわないというふうに私自身は申し上げてきたわけであります。
◆堀部やすし 委員 一過性の経済変動によってそういう対応があることはわかりますが、社会趨勢として、実際に高齢化が進むわけですよね。20%高齢者の人口が増える、これについてどう対応していくのかということです。つまり、20%高齢者人口が増えるということは、単純にいけば、社会保障給付も恐らく20%増える。今のように赤字国債をばんばん出してツケ回しをしている時代が続くとも思えないわけだから、当然それに伴って、2割どころか3割、4割と負担が増える可能性もある。これに対してどう対応していくのかということを聞いているわけです。
◎区長 私は、区民福祉の向上が第1だということを申し上げるのと同時に、大事なことは、自分たちがどういう地域社会をつくりたいのか、つくっていきたいのか、そういうことの住民の合意というものが最も基本であろうかというふうに思っております。その合意の中で負担のあり方というものは当然考えられていくべきことであろうかというふうに思います。ですから、住民の皆さんの中でどういう合意が成立するのかという中の1つのものが、その負担のあり方ということだろうというふうに思っております。
差し当たって、一般的な前提としては申し上げましたけれども、私たちが努めていくべき第1は、今、一定のご負担を区民の皆さんにいただきながら我々は自治体を経営しているという中で、その区民の負担を極力増やさないような形で区民のニーズ、行政需要に対応していくために、さまざまな知恵を出し、また、事業者との連携やさまざまな主体との連携を行っていくということを第一義的に我々は追求するというのが順番ではないかというふうに思っておりまして、そういう立場で、基本構想や総合計画や予算というものを策定しているということでございます。
◆堀部やすし 委員 住民合意というときに、どうしても現役世代の合意というふうに偏りがちなわけですよね。だから、今、赤字国債がこんなにばんばん発行されている。それに私は非常に懸念をしているわけですが、この基本構想の中で、受益者負担といった理念について盛り込まれていないわけですが、それはなぜでしょうか。もし極力負担を将来世代に回さないということであれば、今利益を受けている人は今きちんとご負担をいただかないと困るという考え方だってあったかと思うんです。いかがですか。
◎企画課長 先ほど申し上げましたとおり、この「基本構想を実現するために」の19ページのところで言っている、そのために持続可能な行財政運営を進めるんだということでございます。その考え方に基づいて、繰り返しになりますが、総合計画、実行計画の中で、今委員がご指摘のようなことについても、取り組みの項目として、問題意識としてはきちっとやって、それを進めていくということでございます。
◆堀部やすし 委員 だって、それは計画期間10年ですからね。団塊の世代が75歳に到達するのは十二、三年後でしたっけ、ですよね。今の10年よりもさらに向こうにあるわけだから、そこまで見通さないと、将来への負担というのは本当は軽減され得ないと私は思いますが、いかがお考えでしょうか。
◎企画課長 これから、24年度からこうした基本構想10年ビジョン、総合計画、実行計画ということで、その進捗に合わせて、当然、10年ビジョンだから10年先しか見ないということはあり得ないわけでございまして、行政としては、しっかりその先も見据えながら必要な施策をご提案し、それに対していろいろなご議論をいただきながら合意形成に努めて、必要なことを必要なときにやっていくということでございます。
◆堀部やすし 委員 時間がありませんので、話題変えます。
基本構想について、区長は、区民の皆さんの最大公約数を反映したものだという説明がありました。その最大公約数というのはどういう意味なんですか。
◎
政策経営部長 今回の基本構想につきましては、区民の皆さん5,000名のアンケート、それからその後、若い世代を中心として1,000名の区民の皆さんの調査、そして無作為抽出の区民の方々の意見交換会ですとか、かつてない基本構想の取り組みの中で多様な区民の皆さんの意見をいただき、そういったものをもとに審議会でご議論された、そういった結果だと、かように考えてございます。
◆堀部やすし 委員 別にその審議会にかかわった人が区民の最大多数派じゃないんだけれども、そのあたりいかがなんですか。
◎
政策経営部長 この前、朝日新聞で、かなり徹底した区民参加のもとに基本構想ができたという記事がございましたが、いろいろなところの自治体の例なんかを見ても、今回の杉並区の基本構想は、短期間ではございましたけれども、さまざまな方々の意見が出て、そういったことの中でつくられたものだというふうに評価してございます。
◆堀部やすし 委員 区民の皆さんに、基本構想って知っていますかと言うと、まあ大体知らない人が多いですよね。それが実態だと思います。
で、もう10秒、9秒しかありませんので、最後に1つ、荻窪を杉並の顔と位置づけるということですが、それはどこで最大公約数だと判断されたのか。寄せられた意見の最大公約数だったという根拠はあるのかどうか。
◎企画課長 答申案の説明会あるいはパブリックコメントの意見、そういった意味では賛否さまざまな角度から意見がありました。審議会の中でも、大事なことは、荻窪なら荻窪、南側も北側も、いろいろな地域の特性、そうしたさまざまな特性を踏まえて、さまざまな意見をきちんと聞いて、その上で、荻窪をいかにこれから将来に向けてまちづくりを進めるか、そういうことが大切だということでございますので、そうした審議会の考え方に基づいて、これからそういった取り組みをきちんと進めていく、こういうことでございます。
○岩田いくま 委員長 以上で無所属の質疑は終了いたしました。
共に生きる杉並の質疑に入ります。
それでは、木梨もりよし委員、質問項目をお知らせください。
◆木梨もりよし 委員 大ざっぱなところで、じゃあ、行きましょうか。
それでは、基本構想についてお聞きしていきたいと思いますけれども、最初の基本構想が、議論のいろいろやりとりを聞いていまして、昭和52年ということでございまして、私も50年当選ですから、恐らくこの中ではその当時議席があった唯一の議員じゃないかなと思いますけれども、基本構想に私自身も余り主体的に、審議会の委員になってかかわり合ったとか、そういうことは今までなかったかと思いますが、ただ、基本構想を認めてきたという経過は、この中でずっと三十数年来あったんじゃないかなと思います。
そこで、過去、区長も菊地さん、松田さん、本橋さん、山田さん、それから今の田中区長ということで、5人の区長さんをお相手して、いろいろやりとりをしてきたことがあったんですけれども、基本構想そのものの制定の経過、これまでこういう形で基本構想をやってきた、それで、その特徴はこうであった、そしてその成果はこういうものがあったというものを、確認のために、まずもってお聞きしておきたいと思います。
◎
政策経営部長 古いレンジの話もございますので、ちょっと……。昨日、富本委員にもお答え申し上げましたが、特別区が基本構想を自治法に基づいて行うという法改正があったのが昭和50年、そして昭和52年につくりました。それで、基本構想ができて、長期計画ができて、3カ年の実施計画、いわゆる3点セットの計画行政というのが自治体の中で、区の中で取り組まれたというのがすごく画期的なことでした。ですから、先輩の方々がよくおっしゃっていたのは、基本構想と計画があるからいろいろな施設の整備というのが進んだのだというふうに言われておりましたので、次の21世紀を踏まえた、その後の2回目の基本構想みたいな、いわゆる80年代、90年代というのは、そういった基本構想、それから長期計画、実施計画に基づいてかなり計画的な行政が行われ、そのことによって行政のさまざまな整備が行われたというところで非常な効果があったと思います。
ただ、21世紀に入りますと、非常に時代の変化が激しくなってきて、四半世紀というレンジで見たときの基本構想だとなかなかとらえどころがなくなって、それよりも、日々起こってくる年ごとの課題に、どちらかというと追われてくるみたいな、そういった感じかなと思ってございまして、どこの自治体も最近そうでございますが、大体10年ぐらいの、そういった長さでの基本構想をつくってきている。そういった意味での10年ビジョンというのは、今の時代に合ったものなのかなと、かように考えてございます。
◆木梨もりよし 委員 私の感じからして、菊地さん、松田さん、それから本橋さん、お役人さんの区長さんということで、どちらかというと、ビジョンというよりもコンセンサスを求めるような性格があったんじゃないかなと。みんなの意見を聞いて、それを積み上げて、それで行政を運営していくというような形のものであったのかなと。
ところが、政治家区長山田さんになってちょっと色合いが変わってきたというか、何か性格が変わってきたのかなと。どちらかというと、行政マンのあれはコンセンサスを求めながらいく。山田さんにかわって21世紀ビジョンと。ビジョンにふさわしい形、これは中身のよしあしは、いいところもあれば、いろいろなこともあれば、いろいろあると思いますけれども、そういう性格があったのかなと思います。
それで、田中区長になられて、田中区長も選挙の際に、選挙公報にも基本構想の策定、10年ビジョンと。このタイトルが10年ビジョン。まさにこの基本構想そのものが、田中区長が当選されて公約を果たすということで、私は、ビジョンをつくるということは、公約を果たす、約束を果たすということでは大変結構なことだなと思いますが、田中区長が基本構想、10年ビジョンの中にどのような形で、10年ビジョンの中に田中区長がどこにいるのかなという疑問が、素朴な疑問なんですけれども、ふっと、つくる最中からずっと見守ってきながら思ってきたんですね。
ですから、山田さんのときも恐らく、21世紀ビジョンをつくるということは、今の橋下大阪市長もそうだけれども、そういうメンバーを、審議会の委員を選ぶのに、自分の考え方に合った人を選ぶと、大体自分の考え方に従ってビジョンができ上がってくるということだと思いますが、そういうことがあれば、それは田中さんのビジョン、田中さんが区長に当選して、こういうふうにやろう、杉並区をこうしていこうというようなことが私は反映されてくるのかなと。
ですから、このビジョンの中に田中区長がどこにいるのかなというのを、小さな秋見つけたじゃないけれども、だれかさんが、だれかさんが見つけた、これ、メロディーつけると、この前おしかりを受けたことがあったものだから、歌を歌うとですね。本当は1曲歌いたいところだけれども。
その辺がどんなものだろうかなという素朴な私の疑問なんですが、区長にお答えいただければありがたいなと思います。
◎区長 過去振り返って、今いろいろお話を聞かせていただきましたけれども、やはり大きな自治、特別区をめぐる、杉並区をめぐる政治的な状況の変化というものも、この間、先人の時代から、菊地さん、松田さん、本橋さんと、庁内から、いわゆる役所の中から出た首長という時代から今日までの間には大きな変化が起こってきたというふうに思います。そういう中でいろいろおっしゃるようなことの印象があっただろうと思いますが、私は何も私の自己実現の手段として区政というものをとらえているわけではありません。ですから、私のビジョンとか、私の名を冠してビジョンということは、それは一般にそう見えることもあろうかと思いますけれども、私が首長としてやるべきことは、区民福祉の向上、そのために具体的な、リアリティーのある施策を進めていくことだというふうに思っております。それを1つ形にきちんと仕上げていくということが基本構想の策定だというふうに思っております。
ですから、私の影が薄いという印象があれば、それはそれで、私はいいとも悪いとも、ああとかこうとか、私がとやかく言うような話ではないというふうに思っておりますので、それは木梨さんの受け取り方ということだろうと思います。
選挙のときのお話も出ましたけれども、要するに選挙というのは、個人を選ぶわけですけれども、首長の選挙というのは何のためにやるんだといえば、わかりやすく言えば、杉並区という行政組織の人事権と、杉並区という自治体の予算編成権をだれに託すのかということの住民の選択だというふうに私は思っております。そういうプロセスを経て、私がお引き受けをさせていただくということに至ったわけであります。
したがいまして、私の就任した当時の政治状況からいたしまして、私もその当時申し上げてきたように、一たん立ちどまって、これまでの取り組みについて検証し、そして継承するもの、見直すもの、新たに取り組むべきものをきちっと検証し、仕分けをし、そして新たな構想をちゃんと策定し、そして区民の皆さんとそれを共有し、具体的にそれを前進させていく、こういうプロセスを経て、私は区の発展に取り組んでいきたい、こう言って就任をさせていただいた、そのとおりに進めてきているということであります。
この基本構想審議会は、議会の皆さんの議論を経て、議決を経て設置をさせていただいた。その当時の説明においても、基本構想と総合計画と実行計画、これは一体のものとして取り組んでいきたいということも申し上げた上で、議会の皆さんの議決をいただいて設置した審議会であります。それも、そのときのお約束どおり、今こうして議案として提出をさせていただき、各行政計画、予算も一体としてご提案をさせていただいておりますが、その基本構想を設置する際に、設置して第1回の審議会の冒頭において、私は、杉並区を取り巻く環境というものが大きな変化をしている中で、住宅都市と言っていいこの杉並の価値を高めていく、杉並が発展をしていくために、どういう私自身の基本的な問題意識を持っているかということについてお話をしております。
したがいまして、そういう私の思いも審議会の委員の皆さんに受けとめていただいた上で、さらにアンケートあるいは区民意見交換会、区内でのさまざまな活動団体からのいろいろな意見を聴取して、そして長い時間をかけまして議論を経て、今日、基本構想としてお示しをさせていただいたということであります。
そういったプロセスを経ているということで、最大公約数として思いが集約をされたものであろうかというふうに受けとめておりますし、だからこそ尊重して、これについてぜひよろしくお願いを申し上げたいというふうにご提案をさせていただいているわけであります。そういったこともご理解をいただいて、ぜひ車の両輪として、区政発展のためにご尽力をいただきますようにお願い申し上げたいと思います。
○岩田いくま 委員長 12時を過ぎようとしていますが、この際質疑を続行いたします。ご了承願います。
◆木梨もりよし 委員 区長の今お話、わかりました。冒頭の段階で、この基本構想にも出ておりますけれども、質の高い住宅都市を目指していくという区長の基本的な課題というか、基本的な方向性が、この審議会の委員のメンバーにもその思いが伝わっているというお話でございましたので、私もそのように受けとめさせていただきます。
それからあと、基本構想を全体的に見て、私は大変よくできているなと――できていると言ったら申しわけないけれども、委員の皆様、区民のいろいろな声を聞いたりして、いい基本構想ができ上がってきたんじゃないかなというふうに思っておりますが、この中で、結局これから行政を進めていくのに一番大事なのは、全部100%やるというのはなかなかこれから財政的に厳しいと思うんですね。ですから、これからはやはり区民が本当に求めている、例えば高齢者の施設も待機者が待っている、保育園も待機者が待っている。これから病気になってかかりそうな人を探し求めるよりも、今困って、今命が危ない人を救っていくことが大事だなと。この選択をどうしていくか、このことを質問して、私の質問を終わります。
◎
政策経営部長 まさにこの基本構想に書いていることはすべて大切なことだと思います。質の高い住宅都市へ発展させるためには必要だと思います。しかし、その中でも、今の時期に何を重点的にやっていくのかというのが一番大切なことだと思っておりまして、24年度の予算では、この基本構想、総合計画に基づきながらも、今の防災、そして少子高齢化への対応、杉並の未来に向けたまちづくり、こういったところに重点的に予算も配分していますので、そういっためり張りを持ちながらやっていきたい、かように考えてございます。
○岩田いくま 委員長 以上で共に生きる杉並の質疑は終了いたしました。
これをもちまして、議案第1号杉並区基本構想に対する質疑はすべて終了いたしました。
質疑を終結いたします。
各会派の意見の聴取は、休憩後、議場で行います。
ここで午後1時5分まで休憩といたします。
(午後 0時01分 休憩)
(午後 1時05分 開議)
○岩田いくま 委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
各会派の意見開陳
○岩田いくま 委員長 これより議案第1号杉並区基本構想に対する各会派の意見を聴取いたします。
それでは、多数会派順に意見の開陳をお願いいたします。
杉並自民区政クラブ代表、脇坂たつや委員。
◆杉並自民区政クラブ代表(脇坂たつや委員) 私は、杉並自民区政クラブを代表いたしまして、議案第1号杉並区基本構想について意見を申し述べます。
リーマンショックや東日本大震災の発生により、現在の世の中においては、経済的にも、きずなという言葉1つをとってみても、価値観が大きく一変することとなりました。今私たちが直面しているのは、まさに戦後最大の国難です。この国難に対し、私たちは共に手を携え、1つ1つ糸をほどきながら、より強くたくましい日本を再構築していかなければなりません。
そうした中、この時代の変化とうねりを的確にとらえ、杉並区という1つの基礎自治体が新たに基本構想を策定し、区民と共有する目標を再設定することは、非常に意義深いことと感じています。
以下、本議案に賛成する立場として、具体的に5点にわたって理由を述べてまいります。
まず初めに、基本構想審議会の答申を最大限尊重されたことを歓迎します。区長から諮問を受け、私自身も基本構想審議会の一員としてこれまで議論を続けてきましたが、区民の皆さんと一緒につくり上げた答申は、多様な意見を何とか1つにまとめた結晶であり、区としても、十分原案のまま受け入れることができるものと思っております。確認しましたところ、答申と議案に違いはなく、区の方針に賛成したいと思います。
次に、新たな基本構想の期間設定を10年間としたことを評価します。さきに申し上げたように、世の中は大きく変化しています。将来の見通しが不確実な状況で、これまでの基本構想、杉並区21世紀ビジョンは四半世紀という長期間の目標だったことに対し、確実性を増すためにより短い期間で区切ったことは、目標達成への強い意欲をうかがうことができます。
第3に、議案の文面では色濃く確認することができませんでしたが、質疑の最中に確認した内容、つまり共助、公助の前提として、自助自立の精神を区民に求めている区の姿勢を評価します。田中区長は第1回の基本構想審議会の中で、司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」という小説から、明治時代の人たちは、幕末から新しい時代が開かれていく中で、おのおのの立場において自分たちがこれから目指すものを見据え、一生懸命汗をかいたということを引き合いに、杉並区でも、区民と行政の目標を共有する、それが基本構想であってほしい旨の話をされました。
「支えあい共につくる 安全で活力あるみどりの住宅都市 杉並」という将来像には、頑張る人が報われ、努力する機会とその能力に恵まれない人を皆で支え、区はその条件整備に注力するという内容が含まれていると理解し、賛成理由の1つとします。
4点目として、仮称基本構想実現のための区民懇談会を設置し、基本構想や総合計画の達成度や進捗状況を確認し、区民に周知する方針が明らかになったことを評価します。そもそも基本構想は、絵にかいたもちで終わってしまうケースが多いと伺っています。基本構想は、どうしてもその性格上、理念的、観念的なものになりがちですし、目標をつくった時点である程度満足してしまうのかもしれません。しかしながら、目標というものは、一度立てたら必ずやり切る、そういった決意で臨むものです。この点において区の姿勢を評価したいと思います。
賛成理由の最後に、地方自治法の改正により議決対象から外れた基本構想をあえて自治基本条例の中に定めることによって、いま一度議決の対象とした区の姿勢を評価します。基本構想は区政運営の指針であり、チーム杉並として共有する目標を決める動きの中で、二元代表の一翼である議会に議決を求める点は歓迎したいと思います。
以上、賛成理由を列挙してまいりましたが、以降は、よりよい基本構想実現のために、何点かにわたって意見を申し述べます。
1つ目は、私たちは、今置かれている状況に対して、より強い危機意識を持たなければならないということです。少子高齢社会の到来により、確実に社会のパイは小さくなっていきます。景気の見通しも明るいものではなく、区税収入も減収の一途をたどっています。これからは、行政需要に対する線引きをするなど、区民に言いづらいこともはっきりと伝え、我慢をお願いする勇気を持つ必要も出てきます。
私たちは、この現実から決して目をそらしてはなりません。それは、私たちは連綿と続く先人からの助けを次の世代につなぐ義務を負っているからです。確かに今は最も大変なときです。しかし、将来へのバトンタッチができないことへの言いわけにはなりません。
基本構想は私たちのためだけのものではなく、幾ら達成をしても、次世代の選択肢を奪うこと、言いかえれば、財政的秩序を失うことだけはあってはならないのです。ゆえに区は、現況に満足せずに、相当の覚悟を持って行財政改革を行うことが求められます。
文面では区立施設の更新についても触れていますが、いま一度原点に返って、そもそもの必要性から考え直すことが重要です。基本構想で考えている10年間以上先の将来まで見通した議論が展開されるよう、強く求めます。
次に、目標達成について申し上げます。
先ほどは仮称基本構想実現のための区民懇談会の設置を評価しましたが、今回の基本構想は、今までのものよりも期間設定が短く、裏を返せば、絶対に外してはならない目標だと言えます。この点、進捗状況に留意しながら同懇談会を最大限活用されることを望みます。
次に、大きく5つに絞った目標について、以下それぞれ述べてまいります。
まず第1に、東日本大震災を踏まえて、何よりも先に「災害に強く安全・安心に暮らせるまち」として災害対策を打ち出したことは重要です。近い将来に必ず首都直下地震が来ると想定していますし、ぜひ前倒しでの実現を目指していただきたいものです。特にハード面で縛られることなく、ソフト面においても具体的な施策を図ることを望みます。
目標2の「暮らしやすく快適で魅力あるまち」と題したまちづくりの分野は、杉並区が住宅都市として発展するかなめとなるものです。周辺地域の方の意見をしっかりと聞きながら、それぞれのブランド力を高めていただきたいと思います。
地域社会についても、既存の枠組みを超えた形での、多様なつながりのある新しいコミュニティを模索すべきと考えます。
目標3の「みどり豊かな環境にやさしいまち」は、杉並区が杉並区であり続けるための重要な目標です。みどりは、災害時や日ごろのいやしに効果があります。先人の杉並区に寄せる思いを忘れることなく、武蔵野の面影を保ちながら、ふるさと杉並を感じることができるよう、まずはしっかりとみどりを保全し、そして創出していただきたいと思います。
エネルギー対策については、区民が主体的に自らのライフスタイルを見直し、杉並から地球に優しい社会を目指していけるよう、区には積極的にコーディネートしていただきたいと思います。
次に、目標4の「健康長寿と支えあいのまち」ですが、私たちは超高齢社会を見据えた対応をしなくてはなりません。区民が安心感を持って、また生き生きと暮らしていくことができるよう、地域医療体制のより一層の充実を図るとともに、年齢や障害の有無等、立場を超えてお互いを理解し合うことができる環境があることこそ、良質な住宅都市のあるべき姿だと考えます。
最後に、目標5の「人を育み共につながる心豊かなまち」について申し上げます。
子育てに関しては、我が会派からも再三述べてまいりましたが、まず第1に家庭が子どもを育てるという大前提があり、それを地域で支えることが重要です。区においては、待機児童対策をしっかりと継続するとともに、腰を据えて就学前教育を行っていくことが求められます。
学校教育に関しては、質の高い教育を進めながらも、家庭や地域とは一層の連携を図り、私たちの宝である子どもたちを大切に、そして強く育てていただきたいと思います。
以上、るる申し上げてきたことは、必ず区政発展の一助になると信じています。特に今回は深く触れませんでしたが、我が会派から幾度にわたって区に提出した要望書初め、基本構想に関する特別委員会の中で申し上げた、基本構想及び住宅都市の周知や区民との共有の徹底、都市農業振興策や農地、みどりの保全の充実、地域、区民、関係者の実態に即した杉並らしい真の幼保一体化の検討等々の提言も含め、杉並区におかれましては、最大限尊重されることを強く願い、また新たな基本構想の実現に当たっては、私たちも協力を惜しまないことを、この場をかりて約束いたします。
そもそも杉並区は、首都圏の他自治体と比較しても、総合的に高いレベルでバランスがとれていると評価をいただいている自治体です。この点について、決しておごってはなりませんが、地方分権が進む時代において、私たちが基礎自治体の先頭を走るという自覚と誇りは強く持つべきだと考えます。
杉並区が基本構想という高い目標をやり切ることで、他自治体や東京都、そして日本を元気にし、次のステージへと発展していく、これこそが私たちの目指すべき道だと申し上げ、杉並自民区政クラブの本議案に対する賛成の意見といたします。
孔子いわく「君、君たり 臣、臣たり 父、父たり 子、子たり」、それぞれがそれぞれの立場において最大限に責任を果たすことが重要です。頑張りましょう。
結びに、基本構想に関する特別委員会の審議に当たり、誠意を持ってご答弁いただいた区長初め理事者の方々、答申作成のために1年以上にわたって議論を続けてくださった基本構想審議会の委員の方々、また、円滑かつ公平な委員会運営にご尽力された正副委員長に心から感謝いたしますとともに、意見開陳を通じて自らの思いを述べる場を与えてくれました会派の皆さんにも感謝を申し上げ、杉並自民区政クラブの意見開陳を終了いたします。
ご清聴ありがとうございました。
○岩田いくま 委員長 杉並区
議会公明党代表、北明範委員。
◆杉並区
議会公明党代表(北明範委員) 杉並区議会公明党を代表して、杉並区基本構想について、賛成の立場から意見を申し述べます。
まず初めに、10年後の未来への区政運営の羅針盤となる基本構想策定に当たり、一昨年12月から約1年にわたり、計27回もの審議をしてくださった杉並区基本構想審議会委員の皆様には、心より感謝を申し上げます。
さて、日本経済は、物価の下落によるデフレと歴史的な円高、欧州の債務危機、成長著しい新興国との経済競争により、極めて深刻かつ重大な局面に立っており、国民の多くは先行きに対する不安を抱えております。
また、日本は、少子高齢化の進展という世界が経験したことがない領域へと足を踏み入れました。2055年には、高齢者1人を現役世代が1人で支える時代になることから、元気な高齢者も一体となって社会を盛り立てる仕組みが必要です。
また、東日本大震災発生から約1年がたとうとしておりますが、この未曾有の被害をもたらした大震災は、被災地の復興支援はもとより、原発事故による放射能対策や環境に配慮したエネルギー供給などを進めるエコ社会への転換など、新たな課題を私たちに投げかけています。
こうした中で、杉並区が良好な住宅都市としてさらに発展していくためには、区民と区が共有する将来像を改めて定めることが必要であり、区政運営のすべての基本となる基本構想は、非常に重要な位置づけとなります。
今回の新しい基本構想は、1、安全・安心を確保する、2、住宅都市杉並の価値を高める、3、支えあい共につくるの3点を基本的な理念と定め、そしてこれらの理念を踏まえ、10年後の杉並区の将来像を「支えあい共につくる 安全で活力あるみどりの住宅都市 杉並」としました。
そしてこの将来像を実現するため、5つの目標を設定いたしました。1、災害に強く安全・安心に暮らせるまち、2、暮らしやすく快適で魅力あるまち、3、みどり豊かな環境にやさしいまち、4、健康長寿と支えあいのまち、5、人を育み共につながる心豊かなまち、この5つの目標設定に沿って賛成理由を述べます。
1つ目の「災害に強く安全・安心に暮らせるまち」についての賛成理由は、私どもが一貫して主張してまいりました建築物の耐震化や不燃化を前面に掲げている点です。震災対策で最も重要なポイントは、区民1人1人の事前の自助努力による対策の推進であり、その最も重要な要素は、建物の耐震補強や建て替え、家具の転倒防止などであります。理由は、これらが地震直後の構造物被害と死傷者数を決定し、それが復旧復興期までのさまざまな問題の本質的な原因になるからであります。
また、不燃化について、震災救援所周辺等の建て替え助成は平成24年度の新規事業ですが、このような内容で建て替えが進むのかとの疑問の声も聞こえてまいりますが、何としても成功させなければならないというふうに思っております。今後の新しい制度策定においては、今までのような区職員や学識経験者の意見だけではなく、直接関与する地域の事業者の意見を集約することが最も重要であることを申し述べておきます。
2つ目の「暮らしやすく快適で魅力あるまち」についての賛成理由の第1点目は、区内最大の交通拠点である荻窪駅周辺地区の南北分断の解消を挙げている点です。この問題はさまざまな歴史があり、やり遂げるには多くの課題が山積しています。しかし、何としても実現するんだという区の決意に賛同いたします。
賛成理由の第2点目は、交通アクセスの整備やユニバーサルデザイン、産業振興、就労支援とまちの活性化を関連づけて挙げている点です。それぞれの施策は、どれをとっても、幾つもの分野が複合的に機能しなければ成り立たない取り組みと言えます。組織間の連携が有効に機能するような仕組みづくりに取り組んでいただくよう要望いたします。
3つ目の「みどり豊かな環境にやさしいまち」についての賛成理由は、再生可能エネルギーの普及拡大、省エネ、省資源対策の強化とみどりの保全が明示されている点です。エネルギー政策の転換は国を挙げての大きな課題であります。区においても十分な研究を重ねていただき、積極的な推進をお願いいたします。
また、環境住宅都市づくりを推進する上で忘れてはならない視点は、都市はさまざまな技術やシステムの集合体であるということです。そしてその技術やシステムは、時々刻々と変化します。その変化をうまく取り入れながら、成長していく都市の構築を目指すべきと考えます。
スマートシティー、スマートコミュニティ等の関連市場は、3年後の2015年には世界で163兆円規模になるという試算があるほど、巨大な新市場と言われています。関連事業はすそ野が広く、電力会社を初め都市ガス、住宅メーカー、自動車メーカー、電機メーカー、IT産業に加え、自然発生熱や水などの有効利用も網羅した自治体と共同のプロジェクトが世界各地でスタートしています。
国内でも既に幾つかの自治体で実証実験が始まっており、私も昨年の震災以降、ある自治体での実証実験を視察してきました。この取り組みは、環境、
エネルギー対策だけではなく、防災対策を含めたまちづくり全般に加え、産業振興、雇用の創出、さらには住民の環境配慮行動にも寄与します。仮称地域エネルギービジョンの策定と今後の都市機能の整備に当たっては、ぜひこの視点を持っていただきたいと思います。
4つ目の「健康長寿と支えあいのまち」についての賛成理由は、本基本構想では、少子化、高齢化の一層の進展を大きな課題の1つと認識しています。中でも、最も重要な視点でもある健康長寿を挙げている点です。
世界史上類を見ない急激な速度で、我が国は超高齢社会に突入します。健康長寿は、生活の質という観点からも大変重要であります。我が会派から提案させていただきましたが、高齢者の社会参加や他者とのかかわり等生活面全体をとらまえて、高齢者の総合的な健康の推進を強く要望いたします。
その他、自立支援を含む貧困対策、高齢化に伴い今後急増するであろう認知症の対策、さらには患者数の増加、長期化、家族の負担、若年層、働き盛りの罹患による社会的な損失などにより深刻度が増しているうつ病対策などは、今後さらに本腰を入れて取り組むべき課題であります。万全の取り組みを期待します。
5つ目の「人を育み共につながる心豊かなまち」についての賛成理由は、次代を担う人を育むまちを築く視点を掲げている点です。我が会派から児童虐待について質問させていただきましたが、我が国の法制度や施策は、虐待防止には現状さまざまな課題があります。
子どもを親から引き離すことと親への援助という矛盾する役割は、現在の児童相談所が持つ機能だけでは限界があります。児童相談所については、都から区に移管される旨の協議が現在進められていますが、警察との連携や、これは国の問題ではありますが、法律の整備を含めて、区として最優先で子どもの命を守るための仕組みの構築を要望いたします。
また、区民の参加と協働については、これまでの本区の取り組みを総括し、行政サービスと公共サービスのあり方を整理した上で、これからの新しい協働を区政の発展につなげていただきたいと思います。
最後に、災害は、人間の生にとってかけがえのないものを一瞬にして奪い去ります。何より自分を産み、はぐくんでくれた父や母、苦楽を共にした夫や妻、最愛の子どもや孫たち、そして親友や地域の仲間など、自分の人生の大切な部分をなしていた存在を失うことほどつらいものはありません。災害では、そうした家族や仲間を失う苦しみが前ぶれもなく一度に大勢の人々にもたらされるのであり、その人々を長い時間かけて社会全体で支えていくことが欠かせません。
また、災害は人々の生きる足場となる家を破壊し、それまでの生活の営みや地域でのきずなを奪い去る悲劇を引き起こします。家は単なる居住のための器ではなく、家族の歴史が刻まれ、日々の生活の息づかいがしみ込んでいる場所です。そこには家族の過去と現在と未来をつなぐ特別な時間が流れており、その喪失は人生史の時間を絶たれるのに等しいです。
では、悲劇の拡大を食いとめ、地球上から「悲惨」の2字をなくすためには、いかなるビジョンが求められ、いかなるアプローチが必要になってくるか。「手の届くところにあって、未来を照らしてくれる唯一の光は過去の経験である」とは、20世紀を代表する歴史家、アーノルド・J・トインビー博士の言葉です。今後基本構想を実現するための具体的な筋道となる総合計画、実行計画を推進する上で、これまでの本区におけるさまざまな経験や歴史を十分に生かしながら、将来の区民の安全・安心のための区政運営をお願いいたしまして、杉並区議会公明党の意見とさせていただきます。
ありがとうございました。
○岩田いくま 委員長 民主・
社民クラブ代表、山下かずあき委員。
◆民主・
社民クラブ代表(山下かずあき委員) 民主・社民クラブを代表いたしまして、議案第1号杉並区基本構想につきまして、賛成の立場から意見開陳をいたします。
既に具体的な質疑、要望につきましては特別委員会において行ってまいりましたので、ここでは簡素に述べさせていただきます。
本区におきまして基本構想は、平成23年第4回定例会で改正された自治基本条例第14条の規定に基づき、区政運営の指針として策定すべきものとされております。リーマンショック以降の金融不安や長引く経済停滞、未曾有の被害を及ぼした東日本大震災、さらには少子高齢・人口減少社会の進展等、混迷する社会情勢にあって、本区が区の内外に対して進むべき方向性を明確に示すことは、基礎自治体の責務であります。
そうした中、平成22年7月に田中区長が就任をされました。当時平成22年度は、これまでの基本構想である杉並区21世紀ビジョンを具体的に実現するための基本計画及び実施計画の最終年度に当たり、今後の区政運営の指針につきまして、新たな目標の設定に迫られておりました。
同年12月、新たな区政運営の指針となる基本構想を策定すべく、37名の委員により構成される基本構想審議会が設置されました。その後、審議会において1年をかけて議論をされ、区民意見提出手続を経て、本年1月、区長に最終答申がなされたものであります。
今議会に提案されました杉並区基本構想は、基本構想審議会委員の方々を初め多くの区民の方々の意見を集約し、今後進むべき区政の方向性と区民が求めているものが何であるかを具体化したものであると受けとめております。また、区民意見交換会やアンケートの実施等、策定過程で新しい発想で取り組んだことを高く評価いたします。
そして変化が著しい社会情勢に対して、10年という期間のビジョンを策定することで、長期計画や実施計画、その他の行政計画等の進捗状況をより検証しやすくしたことも、特徴の1つであるととらえております。
さて、昨年3月11日に発生いたしました東日本大震災は、地球と自然環境を酷使してきた人類の営みに反省を促すものであったと受けとめざるを得ません。翻って、本区におきましても、自然環境に関心を寄せないわけにはいかないと思います。今回の基本構想は、こうした自然環境との調和を念頭に置きつつも、良好な住環境の構築を目指した、区民にとって望ましいビジョンであると評価をいたします。
以下、賛同、評価する点につきまして個別に述べさせていただきます。
まず第1に、昨年の東日本大震災を受け、災害、特に震災に対する備えの重要性を認識し、災害に強い安全・安心なまちを最優先に掲げたことであります。行政、政治の責務として、区民の生命財産をいかに守っていくのかを明確に示しました。これは、震災に対する備えである建築の耐震化、不燃化への取り組みや、万が一発災した際の震災救援所対策、医療救護体制の充実を図るなど、実効性の高い取り組みであると評価をいたします。
次に、暮らしを重視した点であります。だれもが暮らしやすく住み続けたい魅力のあるまちづくりを目指すことにより、駅周辺を核とするまちづくりにも大いに期待ができるものであります。多くの区民の意見を最大限に生かし、魅力あるまちづくりをしていただくよう要望いたします。
また、自然環境に配慮したまちづくりは、大変重要な課題であります。再生可能エネルギーの活用は、一自治体の取り組みにとどまらず、日本、ひいては地球規模の課題であります。そして自然環境をいかに守っていくかが、私たちの暮らしを豊かにしていく礎となるものと考えております。
さらに、今後の人口動向から見ても、少子高齢化社会に対応するまちづくりは無視できないテーマであります。健康長寿社会の到来は避けて通れない課題として、健康で生き生きと暮らせる社会づくりこそ重要であります。また、介護・医療基盤の整備は、安全・安心な社会を目指す点におきましても的確であるととらえております。
一方、若者の雇用環境が守られていないなど、次代を担う若者の将来への不安や経済的困難が問題となっている中で、杉並若者就労支援センターなどの次の世代についての施策ができていたことを高く評価いたします。
さて、教育と文化を重視されたことも特徴と思います。次代を担う若者への投資は、経済的な投資よりも重要であります。幕末から明治初期にかけて活躍した越後長岡藩の大参事・小林虎三郎による教育投資にまつわる故事、「米百俵」が示すとおり、困難な時代こそ、次の世代への贈り物として教育を重視すべきものであると考えます。現在検討しておられる
次世代育成基金の施策こそがこの故事を具現化するものであり、この有効活用を切に要望いたします。
芸術・文化におきましても、伝統文化やいわゆる本物を体験することで、先人たちが残してきたものを次の世代へと受け継いでいく、このことが魅力と活力のある杉並をつくっていく原動力になるものと確信をしております。
以上、賛同、評価する点につきまして個々に述べさせていただきましたが、基本構想を具体的に実現するための総合計画及び実行計画におきましても、これまで私どもの会派が要望してまいりました点につきまして、その実現に向けて取り入れていただきますよう、重ねて要望をいたします。
るる申し述べてまいりましたが、この基本構想を区政運営の羅針盤として、今後10年の大海原を54万区民が乗る我が杉並丸が迷うことなくかじ取りをし、住宅都市杉並としてさらなる繁栄、発展を願うものであります。
そして基本構想の実現、達成に向けて、私ども民主・社民クラブも共に汗をかいていくことをお約束し、意見開陳といたします。
○岩田いくま 委員長
日本共産党杉並区議団代表、くすやま美紀委員。
◆
日本共産党杉並区議団代表(くすやま美紀委員)
日本共産党杉並区議団を代表して、議案第1号杉並区基本構想について、反対の立場から意見を述べます。
基本構想答申の策定に当たり、1年間にわたる審議会委員による熱心な議論に敬意を表するものです。しかしながら、むしろそうした委員1人1人の意見がなかなか答申に反映されず、一方で、区長の政治的思惑が色濃く反映された内容になっていると言わざるを得ません。
まず、審議会でも口々に語られた区民の切実な実態が記されておりません。保育園に子どもを入れられず、泣きながら窓口で訴える若い親たち、老老介護で家の中が地獄だと訴える高齢者、障害者のいる家庭の将来への強い不安など、こうした実態を背景として盛り込めなかったことが、全体に緊張感に欠ける内容となりました。
本来、基本構想とは、自治体の憲法的役割を持ち、目指す将来像と目標を定め、実現するための基本的理念を示すものです。区は、国とともに、憲法25条で定められた健康で文化的な最低限度の生活を保障する義務を区民に負っています。理念には、まず区民福祉の向上という区の責務が明確に掲げられなければなりません。
しかし、今回提案された基本構想では、区民福祉の向上という区の責務が欠落し、支え合いが殊さら強調され、参加や協働の名のもとに、行政の仕事を区民や企業も含む民間団体などにゆだねる方向となっています。
審議会が行ったパブリックコメントでも、区民の暮らし、福祉を守るという区の責任、役割が見えないという趣旨の意見が多数ありました。質疑の中で、行政としての責任を果たすことは大前提としつつ、すべて区だけでサービスを提供していける時代ではないという答弁がありましたが、区の責務をあいまいにするもので、認められません。
区民の区政への参加や協働は重要ですが、構想で述べられている参加、協働は、言葉本来の住民自治を強めるという意味をゆがめ、公共の仕事を住民に肩がわりさせる新しい公共をあらわしたものと言わざるを得ません。
区長は就任後の所信表明で、これからは新しい公共の発想が重要になると述べ、民間団体、民間企業の活力を積極的に活用する方針を示しました。新しい公共の経営原理は、あくまでも効率化、安上がり化です。前区政時代から、協働の名のもとコスト削減を目的に、企業などへの業務目的で官製ワーキングプア問題が引き起こされてきました。さらなる営利企業の参入は、公共サービスを市場化へとつなげ、行き着くところ、区民サービスの質の低下を招くものであります。セシオン事件を引き起こしたこれまでの区政を踏襲する内容で、認められません。
住宅都市杉並の価値を高めるという理念が挙げられましたが、その内容に強い疑問を持たざるを得ません。これまでも杉並区は良好な住宅都市と言われてきました。これを維持していくためには、環境破壊を防ぐ歯止めが必要です。現基本構想には、無秩序な乱開発を防ぐことが明記されていました。しかし、今回の構想ではその記述が取り払われ、逆に利便性が高く快適な都市機能の整備として、都市計画道路の整備や駅周辺整備が強調されています。
中でも、荻窪駅周辺まちづくりが重点的な取り組みに挙げられたことは問題です。審議会が行ったパブリックコメントでも、荻窪駅周辺整備については具体的な開発案件であり、記述を削除するよう求める意見が多数寄せられていました。重点的な取り組みにするとしても、まちづくり基本方針などで位置づけるべきです。区民合意となっていない事業を基本構想に盛り込むことは問題であり、賛同できません。
全体として、これまでとは異なる開発優先のまちづくりを目指すのではないか危惧されます。質の高い住宅都市というのなら、乱開発を防ぎ、地域ごとの介護や保育、教育施設の整備拡充こそ第1に据えるべきです。
基本構想の課題に、「少子化・高齢化の一層の進展」が挙げられています。しかし、その要因やどう克服していくのかの深い分析がありません。さらに、10年前と比べ2.7倍にも増えている1,900人にも上る特養ホーム待機者の問題や、保育園待機児童対策、貧困化対策など、区民が置かれている現状の把握、分析が不十分で、福祉や介護・医療分野を充実させる姿勢がありません。介護では、専ら地域の中で、在宅でが優先されています。
社会問題となっている保育所の待機児童問題についての言及もなく、「幼保一体化を含む保育施策」という記述のみです。幼保一体化については、乳幼児期の保育や教育のあり方の議論もなく、現場の先生や保護者の理解も合意も得られていないものです。こうした批判の強い施策を盛り込むことは認められません。
教育の分野では、何よりも国連子どもの権利委員会から幾度も勧告を受けている、高度に競争的な教育制度が子どもたちにストレスを与え、発達に障害をもたらしているという認識を持たなければなりません。しかし、ここでも子どもを取り巻いているさまざまな困難についての分析や克服の道筋が示されておりません。
学びへの切れ目のない支援が重点的な取り組みに挙げられていますが、質疑の中で小中一貫教育も含んでいることが明らかになりました。批判の多い教育施策を現場に押しつけるもので、認められません。
今後、多くの区立施設が更新時期を迎え、改築や改修に経費がかかるため、区立施設の再編整備を進めるとしています。効率的な運用、利便性の向上、まちの活性化を視点に検討するといいますが、区立施設はそれぞれにつくられた経緯、歴史もあり、区民サービス、また、地域のコミュニティづくりにおいて重要な役割を担ってきたものです。区立施設のあり方については、地域ごとにいかに維持発展させるかを前提にすべきです。財政削減ありきで施設の統廃合が進められていく危険性を指摘するものです。
厳しい財政論を殊さら強調しますが、当区の財政は、経常収支比率など各財政指標から見ても、極めて健全性を有しています。むしろ保育や介護に苦しむ区民の実態から見れば、緊縮財政論を区民に押しつけ過ぎと言わざるを得ません。減税自治体構想なき後、杉並区には福祉ニーズにこたえる力が十分にあります。
本議案には反対いたしますが、今後の区民本位の区政実現を強く要望し、意見開陳を終わります。
○岩田いくま 委員長 生活者ネット・みどりの未来代表、すぐろ奈緒委員。
◆生活者ネット・みどりの未来代表(すぐろ奈緒委員) 生活者ネット・みどりの未来を代表して、議案第1号について意見を申し上げます。
杉並区基本構想審議会は、区長の諮問を受け、一昨年12月から1年以上かけて開催されました。審議会メンバーは、全体として女性、若者の比率が低かったことは否めませんが、公募に関しては、老若男女バランスを配慮した人選となっており、また各種アンケート調査では、約6,000人を超える区民意見を集約しました。短期間ではありましたが、幅広く区民の声を酌み上げようという姿勢で工夫を重ね、取り組まれたことを評価します。中でも、新しい試みである市民討議会、プラーヌンクスツェレの手法を取り入れたことは、区にとっても参加した区民にとっても、大変意義があったものと受けとめています。
一方で、我が会派は、機会をとらえ、18歳未満の子どもと若者の意見を受けとめるよう提案し続けてきました。当然ですが、子どもも区民です。これから10年間、構想を実現するときには子どもの参加が欠かせません。今回、子どもの意見聴取がされなかったことが残念でなりません。しかし、質疑の中で子どもの最善の利益が保障されるとの考えが示されたことから、今後努めて意識的に子どもや若者の意見を引き出し、構想の実現に生かしていただけるものと期待するものです。
さて、近年の経済動向や少子高齢化の影響を受け、今後も区の財政は厳しい状況が続くものと見込まれています。ここから見えてくる課題は、経済が右肩上がりでなくなったことや少子高齢化そのものではなく、社会の仕組みが新しい時代に対応し切れていないことにあります。つまり、私たちは今、成長から成熟へという大きな変化への対応が問われていると言えます。成熟社会という新しい時代の到来は、これまで培ってきた有形、無形の資産を有効に活用し、本当の豊かさとは何かを見詰め、再構築する大きなチャンスでもあります。
杉並区は都心に近く、交通アクセスに恵まれ、地域に個性があり、さまざまな文化・芸術が生まれてきました。住宅都市として人口は増加し続け、今や54万人の人々が生活する自治体となっています。杉並の魅力と強みを生かしたまちづくりをより一層発展させるために、生活の質を高め、人々のつながりが生まれる、人にも環境にも優しい暮らしを目指すという観点から基本構想を検討した結果、おおむね必要なビジョンが示されていると判断し、議案第1号には賛成をいたします。
以下、賛成理由と、その基本構想を踏まえた区政運営を進めるに当たり、押さえておきたい項目を3点申し上げます。
1点目、基本構想では、参加と協働が重要なキーワードとして位置づけられたことを評価しています。協働を経費削減のツールとしてとらえるのではなく、区と区民の対等なパートナーシップが前提であるべきとこれまで繰り返し述べてきた私たちの主張に、区がようやく近づいてきてくださったという手ごたえを感じています。実現に向けた取り組みを進める中で、協働の実態を私たちも共に構築していきたいと思います。
2点目、高齢者の福祉は重要な施策であり、区民要望も高いものですが、予算上のバランスは無視できません。限られた予算の中で、本当に必要なものにと厳選していかなければなりません。質疑の中で、今後施策の効果や利用状況を検証していくとの答弁を得ましたので、さらに不断に取り組んでいただきたいと要望いたします。
3点目、今回の基本構想は、全体としてきれいにまとまっているという印象があります。しかし、なかなか表に出てこない暮らしの陰の部分、例えば若者の貧困に焦点が当たっていないことについて指摘しました。答弁では、これまで手薄であったことを認めた上で、審議会でも議論が出されたこと、区もフォローすべく取り組みを始めていることが明らかになりました。貧困と婚姻率、少子化は密接な関係があり、それを区が大きな課題と認識されていることはわかりました。今後の計画を進める中でしっかり取り組んでいただくよう求めます。
今回の策定過程で、杉並区民の区政への参加意識の高さが証明されました。この区民力を生かし、新しい時代、成熟社会にふさわしい、持続可能な資源循環型、自治のまち杉並の発展に向け、私どもも共につくり上げていきたいと思います。
以上、生活者ネット・みどりの未来の意見開陳といたします。
○岩田いくま 委員長 以上で各会派による意見開陳は終了いたしました。
ほかに意見はありませんか。──ただいま斉藤委員、新城委員、松浦委員、横田委員、堀部委員、木梨委員から意見の申し出がありました。
それでは、意見の申し出のありました委員を順次ご指名いたします。
斉藤常男委員。
◆
自由民主党杉並区議団代表(斉藤常男委員) 我が会派である
自由民主党杉並区議団は、今回田中区長から提案されました議案第1号杉並区基本構想、10年ビジョンについて、特別委員会で、基本構想策定上の基本的な問題を中心に、杉並区の今後のあるべき姿や進むべき方向、区民生活向上や区政の発展につながる問題など、さまざまな角度から質疑を行い、答弁を求めてまいりました。その結果を踏まえ、議案第1号に賛成するものであります。
言うまでもなく、基本構想は、区民と区が共有し、力を合わせ、これからの区政を築いていくための指針であり、区の計画体系の最上位に位置する、区政運営のすべての基本となるものであります。この基本構想は、杉並区において、昭和50年の地方自治法改正に伴い、特別区に策定が義務づけられたことを踏まえ、昭和52年に初めて策定され、以来、昭和63年、平成12年と過去3回にわたって作成されてまいりました。こうしたことの上に、一昨年7月に区長に就任された田中区長は、54万区民が共有するビジョンが必要であるとして、一昨年12月に基本構想審議会に諮問を行い、以来1年有余の歳月をかけて検討を行い、ことし1月に、答申に基づき今回の成案に至ったものであります。
以下、5つの理由を申し述べます。
第1は、基本構想、総合計画、予算を一体的に取り組む中で、昨年3月11日の東日本大震災の教訓を踏まえ、区の安全・安心を守る立場から、災害は必ず起きるという認識のもと、首都直下型地震への備えを初めとする「災害に強く安全・安心に暮らせるまち」を目標の第1に掲げたことであります。まさに今後10年にわたって我々区民が向き合うべき課題を最優先に掲げたことを大いに評価するものであります。
第2の賛成理由は、時代の変化に的確に対応するため、期間を10年とし、住宅都市杉並の価値を高めるためのまちづくりや、少子高齢化社会に対応した福祉や教育の施策の方向を提示したことであります。いかにして杉並の魅力を高めていくのかということは杉並の発展にとって極めて重要なテーマであり、そのまちづくりに真っ正面から取り組むことを高らかに打ち出したことは、大いに評価するものであります。
第3の賛成理由は、持続可能な行財政運営の推進として、効率的な行政の推進とともに財政の健全化を確保しながら、必要なサービスを継続的に提供できる持続可能な行財政運営を掲げたことであります。また、多くの区立施設が更新時期を迎える中で、避けて通ることのできない区立施設の再編整備に触れたことも、現実を直視した内容として高く評価いたします。
第4の賛成理由は、隣接区市などの他自治体及び東京都、国等との連携協力という斬新なテーマを取り上げたことであります。とかく我々は区の内部ばかりに目が行きがちでありますが、田中区長のもと、国や都の力をうまく使っていけば、まちづくりなどはよりダイナミックに進めていくことができるものと考えるものであります。また、隣接区市との連携は、区境に住む私にとっては何かと不便があった中で、我が意を得たものであります。こうした内容が基本構想に入っている例は、これまでありませんでした。積極的な姿勢と内容を評価するものであります。
賛成理由の最後に、54万区民の共有するビジョンの策定に向けて、多くの区民の声を生かし作成するという考え方のもとに、6,000名に及ぶ区民アンケートや区民意見交換会での多様な意見などを取り入れてつくられてきたことであります。6,000名というかつてない規模での区民参加を大いに評価するものであります。加えて、今後とも区民とともに実現する基本構想ということで、基本構想実現のための新たな仕組みを提起しております。まさに参加と協働の時代の基本構想であります。
以上が
自由民主党杉並区議団の賛成理由でありますが、次に、我が会派の姿勢と区に対する要望を申し上げます。
今度の基本構想で区は、「広く区民と区が共有するとともに、その実現に向けて手を携えて取り組み、誰もが住み続けたい、住んでみたいと思う、質の高い住宅都市杉並を創造していきます。」と高らかに宣言しております。我が会派は、区民が杉並区に住んでよかった、幸せだと実感できる幸福実感都市杉並づくりに、区当局と協力しながら進んでいきたいと考えているものであります。今、社会経済などが大きく変動し、混迷、混沌の時代状況にあります。今こそ基礎的自治体の役割を果たすために、決断の区政、スピード感と実行のある区政、責任ある区政の実現に向かって強力に進んでいただくことを強く要望するものであります。
終わりに当たり、新たな基本構想の審議に当たられた審議会の皆様、職員の方々のご努力に心より感謝を申し上げ、
自由民主党杉並区議団の意見の開陳とさせていただきます。
○岩田いくま 委員長
新城せつこ委員。
◆
無所属区民派代表(
新城せつこ委員) 杉並区基本構想に対する無所属区民派の意見を述べます。
第1に、本基本構想は、障害者団体を初めとした区内10団体、公募された8名の区民及び10名の学識経験者と、少数会派代表も含む区議会議員で構成する審議会の議論と答申をそのまま提案されたものです。審議会では、5,000人のアンケートと1,000人の若者の意見など、多様な意見や議論がどのようにまとめられ、提案されるのか注視してきたところです。区の答弁では、出された意見の最大公約数として本基本構想がまとめられたことが示されました。今後、具体的施策において、障害者団体など区民の切実な要望がどのように生かされ施策化されていくのかチェックをし、必要な意見を出していきたいと思います。
第2に、基本構想が「区」を主語とし、区の責任を区政運営のすべての基本に据えたことは重要だと考えます。2000年に前区長のもとで出された21世紀ビジョンが、区と区民、事業者を入れた「私たち」を主語としたこととは大きな違いであることを確認しました。21世紀ビジョンでは、区民の自立自助努力が第1で、第2に、事務事業の大半を事業者にゆだね、足りない部分を区が支えるとして、区の責任を後景化しました。本基本構想で区の責任を明確にした姿勢は、21世紀ビジョンからの大きな転換だと考えます。
第3に、委員会の質疑で区長が、基礎自治体は区民福祉の向上に当たることが第1、区民が安心して安全に暮らせる地域社会が基本構想の動機であると述べ、さらに、区民福祉の向上は区の仕事の中では大変地味なもので、世間的には目立たない、縁の下の支えとしての業務が相当部分になると考えると答えた姿勢は大切です。また、本会議で、困っている人がいれば借金をしてでも支えなければならないこともあると、自治体の目的を明確にしたことは重要です。
第4に、昨年の3月11日の大震災と福島第一原発事故に真剣に向き合い、放射能対策やエネルギー転換問題に踏み出したことは重要です。3・11は、これまでの暮らしや福祉、まちづくりなど、自治体のあり方すべてを問い直しました。東京電力や国の賠償責任がいまだ明確にされず、被災地が厳しい状況にある中での自治体の姿勢が問われています。杉並区が、3・11以後自治体間の支援の先頭に立っていることも評価をします。今後電力購入に入札を導入し、再生可能エネルギーへの転換で、杉並区が原発に頼らない自治体のあり方を全国に先駆けて推し進めることを期待します。
第5に、教育は独立した教育委員会がその責任において行い、環境整備が区の責任と区長が答弁したことは重要です。
審議会に加わった会派から基本構想に対する反対の立場が表明され、その理由に注目をしてまいりました。審議会の中で会派としてどのような意見を述べ、何が実現されなかったのかは明確にされませんでした。基本構想そのものに反対するならば、審議会条例に反対し、審議会には加わるべきではなかったと指摘をしておきます。
区長がかわり、今後10年間の区民に対する区の責任と姿勢が確認できる大きな転換だと受けとめています。以下、具体的な施策につながる点について、危惧する問題に意見を述べます。
第1は、より質の高い住宅都市、
本格的まちづくりについては、中央線高架化や小田急、西武池袋線の高架化、中野駅周辺での大規模な拠点整備が書かれながら、小田急成城学園、下北沢の地下化、京王線調布駅の地下化、中野区西武新宿線の地下化で、線路の跡地を利用したみどり豊かなまちづくりが進む現状が示されていないことは問題です。京王線高架化事業などに対し、沿線住民の意見、要望をもとに、区が環境を守り、震災対策に最も適した地下化を視野に入れた取り組みを求めるものです。南北交通、都市計画道路の整備では、外環地上部街路や補助215号線など住環境を脅かす計画は、都市計画自体の見直しを求めるものです。
第2に、まちづくりは住民が主体です。荻窪駅周辺まちづくりは重要課題です。まちの主役である中小事業者、若い新たな産業の担い手、荻窪に住み続けた住民が中心となるまちづくり会議を求めます。さらに、JRの利益のためだけに阿佐ヶ谷ゴールド街のような地元商店街を排除するまちづくりに対しては、行政の指導や地元商店を支える努力が必要だと考えます。暮らしの核となる多様な拠点づくりと駅周辺などのまちづくりが、大型店、量販店、チェーン店だけが増える特徴のないまちにならないための努力が必要です。住民意見に基づいたまちづくりが行われ、高齢者や子ども連れが安心して買い物ができ、交流するためには、バス路線の変更、小型バスの利用による商店街の危険な交通事情解消も課題です。
第3に、地域の特徴を生かした産業・経済活動では、産業を支える現役世代への就労支援や地域の人材育成は重要です。しかしながら、低賃金から、保育士や介護ヘルパーなど、若者が遠ざかる現状があり、その対策が求められています。区の保育施設などで働く人々、地域区民センターなど区関連施設で働く委託事業者の労働条件向上に、区は率先すべきです。公契約条例の制定を求めておきます。
第4に、障害者や関係団体の要望に基づく具体的な施策の展開を求めるものです。改定障害者自立支援法により、1割自己負担の応益負担が制度として残されました。支援が必要な人に対する安心の仕組みが理念として掲げられながら、これまで区の独自施策としてあった課税世帯に対する区の助成が廃止になることは矛盾しています。基本構想審議会で出された障害者当事者や家族の意見が基本構想に反映されてない課題は、今後の具体的な施策で問われます。
第5に、少子化・高齢化の対策と、若者や現役世代が生き生きと参加する社会、子どもを育てやすい社会の実現のためには、保育施策の一層の充実が求められています。区の子育て新システムに対する各方面からの批判の声も上がっています。幼保一体化や放課後児童対策の拡充が言われていますが、認可保育園の増設を柱とした保育施策の充実を確認しました。保育料の公平性の名のもとで、保育料の値上げとならないよう求めておきます。
第6に、区民等の多様な公共サービスで、かつては指定管理者制度、民営化一辺倒で進んだ前区政でした。今、図書館など、行き過ぎた民営化や民間委託に歯止めがかかることは重要なことです。事業を精査し、今後も見直しの拡大を求めます。
第7に、区立施設の再編整備が示されている点です。施設の改修改築については、限られた財源で経費捻出をしなければならない苦労も察しますが、学校統廃合の理由とすることがないよう強く求めておきます。これを、区立施設利用や、国や都の公有地を積極的に利用した特別養護老人ホームや社会
福祉施設づくりのチャンスとすることを期待します。
第8に、多様な文化の共生社会では、区民50人に1人の外国人が共に生きる具体的な施策が求められています。21世紀ビジョンが「世代や性別、国を超えて、共に交流し、多様な文化にふれあい、相互理解を深めることで、平和に貢献するまち」を言葉で掲げながら、教科書問題に示されるように、正反対の施策を展開し、しばらくは瑞草区との交流が中断する苦い経験があります。共に生き、人権が尊重される社会は、だれにとっても生きやすい、住みよい社会です。その実現に向かい、無所属区民派も力を注いでいきたいと思います。
ここで、私は区長に一言申し上げます。立場は違っても、議員それぞれは真剣に質問に立っています。緊張を欠く不規則発言は慎んでいただきたいと思います。
以上、幾つか課題は残るものの、杉並区基本構想が区の責任を明記し、区民がそれをもとに、今後具体的な施策において区の責任を問える根拠となることから、本条例には賛成といたします。
○岩田いくま 委員長 松浦芳子委員。
◆創新代表(松浦芳子委員) 創新の会派を代表して、杉並区基本構想について意見、要望を述べます。
平成12年につくられた21世紀ビジョンは、その後、社会の急速な変化もあり、特に平成23年3月に発生した東日本大震災後は、私たちの防災に対する意識、考え方まで変えてしまいました。その後、首都直下型地震が起こる確率が高いという予測もあり、災害に対する備えの必要性を強く感じています。
今回の杉並区基本構想は、「取組みの基本的な方向」の目標1に「災害に強く安全・安心に暮らせるまち」とうたっており、防災にも力を入れています。また、暮らしやすい魅力あるまちづくり、支えあいのまちづくりをうたっており、今後の高齢化に向けての目標も掲げてあります。さらに、目標に対する10年後の姿がそれぞれ結果として書かれてあり、大変わかりやすくなっております。
ただ、昨年3月の東日本大震災後、まだ心が穏やかでない4月、5月に審議会の各部会が行われたせいか、教育についての提言が少ないように感じます。戦略的・重点的な取組みの部分では、「子どもの成長と学びへの切れ目のない支援」として、「一人ひとりの子どもの成長・発達や家庭の状況に応じて、必要な支援を切れ目なく受けられるようにします。」とあり、行間を読めば、乳幼児や胎教までの支援も含むと解釈できますが、十分とは言えません。「子ども」の表記についても気になる部分が大いにあります。
21世紀ビジョンは、四半世紀、25年のスパンでつくられましたので、今回の新基本構想は10年単位のローリング、すなわち改定版というのが本来の姿であります。区民憲章も、多少の修正が必要だったとしても、その機能を残すべきでありました。前回、今回の基本構想の原案づくりにおいて、審議会委員として、また区側の事務担当者も含めて、両方の実務にかかわったのは唯一我が会派の佐々木委員であり、21世紀ビジョンでは起草委員として原案作成の中心となっていました。であるがゆえになおさら、これまでの構想策定においての総合計画、予算編成の手順の問題、減税構想の政治的課題を無理やり審議会に押しつけようとした問題などを指摘してまいりました。ただ、これらは、むしろ審議会の運営というより区側の問題でありますので、別途の機会にて引き続き討議してまいります。
今回の議案としての構想の評価については、純粋にでき上がった文章を会派内にて十分精査し、議論いたしました。また、本日の質疑なども参考にして、言葉遣いなどの若干の異議はあるものの、さまざまな意見の最大公約数をまとめた結果ということですので、賛成といたします。
しかしながら、前にも主張していますが、この構想をお墨つきのように扱い、総合計画などに多額な財政出動を容認するわけではありませんので、その都度厳しくチェックしてまいります。
以上、意見開陳とさせていただきます。
○岩田いくま 委員長 横田政直委員。
◆みんなの党杉並(横田政直委員) みんなの党杉並・横田政直です。議案第1号杉並区基本構想に対して意見を述べさせていただきます。
杉並区基本構想では、10年後を見据え、さまざまな取り組みの基本的な方向が示されています。特に、高齢者、障害者や医療を必要とする人、乳幼児を抱える家庭など、災害時要援護者を地域ぐるみで継続的に支える災害時の支援の仕組みの充実強化、質疑において福祉の救援所について答弁していただきましたが、力を入れていただきたいと思います。さらに、1人でも地域で安心して生活できるための医療、介護、福祉の連携を強化した、質の高い介護・福祉サービスの基盤整備に期待をします。
その他の取り組みを含め、毎年公表する基本構想に基づく総合計画の進捗状況を区民とともに厳しく監視していきたいと思います。さらに、限られた財源の中で、これらさまざまな行政需要に的確に対応するための不断の行財政改革が進められているか、厳しく監視していきたいと思います。
国政では消費税増税に向けた動きが見られますが、住民税や国民健康保険料の負担がますます増していくのではないかという区民からの不安の声を聞きます。将来の減税を目指すかどうかは議論のあるところですが、区民の負担軽減に向けた取り組みを不断に続けていただきたいと思います。
厳しく監視させていただきますが、議案第1号杉並区基本構想には賛成いたします。
以上です。
○岩田いくま 委員長
堀部やすし委員。
◆無所属(
堀部やすし委員) 審議の締めくくりに当たりまして意見を申し上げます。
区長交代により、新基本構想が、杉並区における最上位の計画として、また区政運営の指針と位置づけられ、提案されてまいりました。前基本構想、21世紀ビジョンは、21世紀最初の12年余りにして放棄されることになりますが、そこには次のような問題点及び課題が残りました。
1、杉並区の抱える課題のトップ項目に少子高齢化の一層の進展を位置づけながら、それが最も深刻化する2025年以降、すなわち団塊の世代が75歳以上となる時期については、新基本構想の描く対象期間から除外されたこと。
2、前基本構想、21世紀ビジョンが策定された時代との比較でいえば、経済のグローバル化が顕著に進行していることが最大の変化というべきであり、これが杉並区の将来にも大きな影響を与えることが確実であるにもかかわらず、課題の中でこの問題を取り上げていないこと。このため、今後杉並区がグローバル化に一体どのように対応していくのか、基本的な方向性が明確にならなかったこと。
3、前基本構想、21世紀ビジョンの中に掲げられた理念のうち、「学校教育における子どもや保護者の選択の意思を尊重する」「自由と責任」といった文言を削除するなど、区民の選択権及び自主、自立、自由を保障する理念がそっくり消えたため、学校選択制などが廃止されかねないこと。
4、区長によると、提案内容は区民の皆さんの最大公約数を反映したものとされていますが、到底そのようには判断できない内容が含まれていること。例えば、荻窪駅周辺地区を杉並の顔とする位置づけは、多くの区民意見から共通に取り出せるような類似点ということのできないような内容であり、区民意思の最大公約数になっているとは言えないこと。
5、21世紀ビジョンに盛り込まれていた「無秩序な開発を防ぎ、都市のなかの水辺とみどりをよみがえらせ、うるおいのある美しい住環境をつくりだすことに力を注ぎます。」との表現のうち、無秩序な開発を防ぐといった文言が意図的に削除されており、旧来型のまちづくりや箱物行政に歯止めをかける理念が消滅したこと。
6、新基本構想において「支えあい共につくる」との理念が打ち出されていますが、実際にはパブリックセクターが関与しなければならない範囲が不明確であり、そのすべてについて区が関与することにでもなれば、大きな政府への道を歩みかねない懸念があること。
7、区が設定している保育料や保険料については、長くアンフェアな仕組みが温存されてきているものの、こうした問題を是正するための理念が明確にされなかったこと。例えば、受益者がはっきりしているものは原則として受益者負担を明確化しなければならないというべきでありますが、こうした原則が基本構想上の理念として明確にされなかったこと。
8、パブリックセクターが抱える債務残高が著しく膨張している日本においては、既に将来世代に重い財政負担が回されているにもかかわらず、世代間格差への配慮に乏しい基本構想となっていること。
具体的には、今後の高齢者人口が現在より20%以上増加する見込みが明らかにされ、行政需要の増大を織り込みながら、これにどのように対応するかは一部を除き明確にされておらず、債務負担の増大が懸念されること。すなわち、受益と負担のあり方をどうするのか方向性を示すことなく、サービスの向上を追い求める姿勢ばかりがクローズアップされており、このままでは将来世代に重い財政負担を押しつける結果を招きかねないこと。
以上、数多くの軽視できない問題が残りました。本当にリアリティーがあると言えるのか、大いに疑問であります。
最後になりますが、21世紀ビジョンが掲げていた「区民が創る『みどりの都市』」という杉並の将来像及びみどりの産業を育てるといった理念については、長期にわたって品格あるまちづくりを目指す杉並区の姿勢が端的に表現されていたのであり、あえてこれを変更し、別の理念を採用しなければならないような積極的理由は見当たらないというべきであります。
今回提案された新基本構想は、前基本構想、21世紀ビジョンの否定ありきで取りまとめられたと判断せざるを得ない数々の事実があり、到底同意することはできないものです。よって、提案された新基本構想に反対することを表明し、以上、私の意見といたします。
○岩田いくま 委員長 木梨もりよし委員。
◆共に生きる杉並(木梨もりよし委員) 議案第1号杉並区基本構想につきまして意見を申し述べさせていただきます。
この基本構想の中身は、共に生きる世の中を、共に生きる杉並を、大自然とともに、人々とともに。大局的に見て、私どもの目指していく志や社会の方向が一致しておりますので、議案第1号杉並区基本構想に賛成をいたします。
以上です。
○岩田いくま 委員長 これをもちまして意見の開陳を終了いたします。
これより採決いたします。
議案第1号杉並区基本構想について、原案に賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○岩田いくま 委員長 起立多数であります。よって、原案を可決すべきものと決定いたしました。
〔「少数意見留保」と呼ぶ者あり〕
○岩田いくま 委員長 ただいまくすやま美紀委員から少数意見の留保を求める発言がありましたので、これに賛成される方を確認いたします。
それでは、くすやま美紀委員の少数意見の留保に賛成される方は挙手願います。
〔賛成者挙手〕
○岩田いくま 委員長 賛成者がありますので、少数意見の留保を認めます。
ただいま留保を認められました意見は、3月9日までに文書により委員長まで提出してください。
委員会の結びに先立ちまして、一言ごあいさつをさせていただければと思います。
昨日、本日と限られた審議の時間ではございましたけれども、私と大槻委員とで正副委員長を務めさせていただきました。委員会の運営に当たりましては、至らない点もあったかと思いますが、委員の皆様のご協力がございまして、ここまで委員会を運営することができてまいりました。この場をおかりいたしまして、改めまして委員の皆様のご協力に感謝、御礼を申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、本日の委員会を閉じます。
(午後 2時29分 閉会)...