平成21年 6月 定例会(第2回) 平成二十一年 渋谷区
議会会議録 第七号 六月十二日(金)
出席議員(三十四名) 一番 中谷琢也 二番 斎藤竜一 三番 佐藤真理 四番 下嶋倫朗 五番 沢島英隆 六番 栗谷順彦 七番 浜田浩樹 八番 岡田麻理 九番 伊藤毅志 十番 小林崇央 十一番 長谷部 健 十二番 東 敦子 十三番 前田和茂 十四番 小林清光 十五番
松岡定俊 十六番
古川斗記男 十七番
伊藤美代子 十八番
薬丸義人 十九番 岩崎保夫 二十番
吉田佳代子二十一番 牛尾真己 二十二番 森 治樹二十三番
新保久美子 二十四番
五十嵐千代子二十五番 丸山高司 二十六番 木村正義二十七番 染谷賢治 二十八番 広瀬 誠二十九番 植野 修 三十番 金井義忠三十一番 鈴木建邦 三十二番 芦沢一明三十三番 苫 孝二 三十四番 菅野
茂欠席議員(なし
) -------------------------------出席説明員 区長
桑原敏武 副区長 山内一正 副区長 松井 裕
企画部長 千葉博康
総務部長 古川満久
危機管理対策部長 郡川武雄
区民部長 中島豊六
福祉保健部長 松崎 守
高齢者福祉担当部長 浅川和憲 保健所長 笹井敬子
子ども家庭部長 久保田幸雄 都市整備部長 濱出憲治
土木部長 日置康正
清掃リサイクル部長 柴田春喜
教育委員会委員長 大高満範
教育委員会教育長 池山世津子 教育委員会事務局次長 大澤一雅
選挙管理委員会委員長 吉田茂夫
選挙管理委員会事務局長 篠崎章子
代表監査委員 倉林倭男
監査委員事務局長 菊池
淳 -------------------------------事務局職員事務局長 関口康永 次長 渡辺
晃議事係長 松嶋博之
議事主査 宮本
勇議事主査 山田義明
議事主査 上原雅夫議事主査 物江芳明
議事主査 根岸正宏
------------------------------- 平成二十一年第二回渋谷区
議会定例会議事日程 平成二十一年六月十二日(金)午後一時
開議日程第一 議案第四十号 渋谷区特別区
税条例等の一部を改正する
条例日程第二 議案第四十一号 渋谷区
国民健康保険条例の一部を改正する
条例日程第三 議案第四十二号
本町地区小中一貫教育校建設建築工事請負契約日程第四 報告第一号 専決処分の報告について日程第五 報告第二号 平成二十年度渋谷区
一般会計予算繰越明許費の繰越しの報告について日程第六 報告第三号
株式会社渋谷都市整備公社の
経営状況の報告について日程第七 報告第四号
株式会社渋谷サービス公社の
経営状況の報告について日程第八 報告第五号 渋谷区
土地開発公社の
経営状況の報告について日程第九 報告第六号
財団法人渋谷区
美術振興財団の
経営状況の報告について
------------------------------- 開議 午後一時
-------------------------------
○議長(
松岡定俊) ただいまから本日の会議を開きます。 この際、
会議規則に基づき、二番
斎藤竜一議員、三十三番苫 孝二議員を本日の
会議録署名議員に指名いたします。 日程に先立ち、
事務局長に諸般の報告をさせます。 〔
関口事務局長報告〕 ------------------------------- 本日の会議に欠席、遅刻の届け出の議員はありません。
------------------------------- 本日の会議に出席を求めた説明員は前回報告のとおりであります。
-------------------------------
○議長(
松岡定俊) この際、
区政一般に関する質問を許可いたします。 なお、事前に質問の通告がありましたから、順次指名いたします。 十八番
薬丸義人議員。
◆十八番(
薬丸義人) 私は、真
自由政経フォーラムを代表して、区長並びに教育長に質問いたします。 質問に入る前に、一言申し述べさせていただきます。 昨年からの世界的な景気後退に伴い、我が国においても、派遣切りや企業における
内定取り消し等々、季節とは裏腹に、心情として、なかなか春を迎えられない状況が続いております。そして四月には、追い打ちをかけるように
新型インフルエンザが世界じゅうを駆けめぐりました。私も、昨年十一月の第四回区
議会定例会において、
新型インフルエンザに関する質問を初めて区長にいたしましたが、これは、
鳥インフルエンザについてのものでした。予期せぬメキシコ及びアメリカからの、それも鳥ではなく
豚インフルエンザということで、正直なところ動揺もいたしました。 そんなとき、本区においての対応は素早く、四月二十八日には、区長を本部長とする「
健康危機管理対策本部」を設置し、初動対応をとると同時に
発熱相談センターを即時開設されたことは、情報が錯綜する中で、区民の余計な不安を取り除くことができたと思いますし、重症化が懸念される妊娠中の方に対し、全国に先駆けてマスクの配布を始めたことは大いに評価するところであります。 幸い、本区においては
感染発症例も見られず、国内においても重篤化したケースはありません。しかし、世界的に見れば、WHOが日本時間本日未明に
新型インフルエンザの
警戒レベルをフェーズ六に引き上げ、世界的大流行・パンデミックを宣言しました。弱毒性であり、過剰な反応は必要ないとしておりますが、油断は禁物であります。本区におきましては、引き続き迅速で的確な
情報提供と
安全対策をお願い申し上げ、質問に入らせていただきます。 初めに、本区の
ホームページについてお伺いいたします。
ホームページにつきましては、ちょうど一年前の定例会本会議において、音声読み上げや複数言語への翻訳等をお願いいたしました。この件につきましては、是非引き続き御検討いただきたいと思います。 今回質問させていただくのは、本区の
ホームページにGISを導入して、様々な情報を提供できる地図を取り入れてみてはどうかということです。 GISとは、ジオグラフィック・インフォメーション・
システム、つまり
地理情報システムの略で、背景となる地図や航空写真上に
公共施設や災害時
避難場所等、様々なデータを
重ね合わせていく方法で、知りたい情報が一目でわかるものです。
国土交通省でも「
地理空間情報」の活用で拓く豊かで活力ある社会というものを考えております。 現在、本区においては、
施設案内のページで各施設を調べることにより、最寄りの
交通機関から
当該施設への案内地図を見ることができます。しかしながら、もしGISを導入したならば、逆に、自宅にいながらでも、必要としている施設はどこにあるのか、また、そこへは徒歩もしくは
交通機関を使ってどのように行けばよいのか、その施設の情報も含めて簡単に調べることができるのです。自動車のナビゲーション
システムをイメージしていただければわかりやすいと思います。 そして、本区と災害時
相互応援協定を結んでいる鹿児島市においても、本年四月から、この
システムサービスの提供が開始されました。
鹿児島市内全域の地図から、地域別、
使用目的別に、
公共施設等を検索できる
施設情報マップ、公園や
AED設置施設、駐輪場などを知りたいときの
生活情報マップ、
観光スポットやイベント、
まち歩きコースを調べることのできる
観光情報マップ、及び災害時の
避難場所や
防災施設を網羅した
防災マップから成り立っており、本年夏ごろからは、
都市計画マップも公開が予定されているとのことであります。 私もパソコンで、その「
かごしまiマップ」を試してみましたが、とても使い勝手のよい、すばらしい
システムでありました。 他の自治体でも、GISの導入は広がりを見せてきています。無論、それ相応の
導入経費がかかるのは承知をしているところであり、
区民向け以外の
庁舎内システム、つまり電気・ガス・
上下水道情報や、
建築確認等の情報を含めるなど、データの層、つまり
重ね合わせの多い
統合システムを導入するには、多額の費用を必要とします。逆に、主に
区民向けの
情報提供として
システム構築を始めるのであれば、その費用はかなり抑えることが可能であると考えます。 この
システムは、例えるならば、積み木のように、後から何回でもデータの層を増やしていくことが可能です。導入費用の財源につきましては、現在、インターネット上で数多く存在しております広告に着目し、そうした
広告収入等を視野に入れていくことも一つの方法であると考えます。多くの可能性を持ったGIS導入ついて是非御検討いただきたいと考えますが、区長の御所見をお伺いいたします。 次に、災害時の
危機管理についてお伺いします。 本区においては、本年三月の第一回区
議会定例会において、
帰宅困難者対策のため、渋谷区
震災対策総合条例を一部改正するなど、
防災機能強化に力を注いでいるところであります。そして、区民の皆様も防災訓練への参加等を通して、災害時には、どこへ避難すればよいのか、しっかりと理解されていることと思います。ただそれは、御自分が自宅や近所にいるということが前提条件になっていることがほとんどではないでしょうか。 例えば、
恵比寿在住の方が笹塚に出かけているときに大規模災害が発生したとしたら、どこへ避難したらよいのか、
自分自身ですぐに把握できる方は少ないと思います。 本区においては、安全・安心な街づくりのため、災害時の被害を減らすという減災の考えに基づいた建物の耐震化に力を注がれていることは私も十分に承知しているところであります。が、実際の発災の状況によっては避難が必要となります。そこで、一時
集合場所や
避難場所への
誘導情報を歩道に表示してはいかがでしょうか。電柱や掲示板に
避難場所等の
施設名称を記載する方法はよくありますが、施設名では場所の特定が難しいと考えます。歩道、特に
交差点付近に、非常口を示すようなマークと矢印、それから、できればおおよその距離が示されていれば、だれしもが確実にたどり着くことができると思います。是非、全国に先駆けて、災害時誘導表示を御検討願いたいと考えます。万が一のときには、必ず役立っていくことと思います。区長の御所見をお伺いします。 次に、
裁判員制度についてお伺いします。 本年五月二十一日より、
裁判員制度が始まりました。
制度そのものに対しての是非を問う議論は今も続いておりますが、現実には、八月三日から六日まで四日間の日程で、
東京地方裁判所において、全国初となる
裁判員立ち会いの公判が開かれる予定です。 本区においては、六百八十一名の区民が、今年の
裁判員候補者の
予定者名簿に登録されたことが、昨年の第三回区
議会定例会において、我が会派の
金井義忠議員の質問により明らかとなりました。この名簿の中から「くじ」での
裁判員候補者への選出、そして裁判員に選任される可能性が出てきます。 その際、七十歳以上の方、及び家族・同居人の介護や養育をしている方などは辞退をすることも可能とのことであります。しかし、高齢もしくは障害があって一人では霞が関の
東京地方裁判所本庁までは行くことはできないが、付き添いがいれば是非参加したいという方や、家族の介護や養育を頼めるのであれば参加できるといった方も中にはいらっしゃると思います。 この制度では、こうした費用は日当の中から各自が負担をすることとなっておりますが、自治体によっては、介護や一時保育等に対する助成を始めており、その動きも広がりを見せております。本区としても何らかの支援をしていくべきと考えますが、区長の御所見をお伺いします。 次に、
ハチ公バスについて二点お伺いします。 今年度中には上原・富ヶ谷・西原地区の新ルートも運行予定であり、
ハチ公バスは、「区民・来街者に対する移動手段の拡充に向けて、だれもが利用しやすい
公共交通機関の提供を目指す」というその
運行目的を着実に果たしてきております。 そこで最初にお伺いしますが、ただいま申し上げました
ハチ公バスの
運行目的には前段があります。「高齢者・
障害者等の
社会参加を促進するとともに」という一文であります。確かにバス停の間隔は短く、
バス自体の構造も高齢者や障害者に配慮したものを導入されていることは評価をいたしますが、料金は
一般利用者と同じであります。そのため、
ハチ公バスと都バスが同じ路線や似た路線を走行している区間では、シニアの方々は、
ハチ公バスではなく、都バスを利用される方が多く見られるのも事実であります。是非、無料パスの交付をお願いしたいところですが、なかなか厳しい状況も理解はしております。 そこで、各
ルート共通の高齢者・
障害者向けの定期券をつくってはいかがでしょうか。東京都の
シルバーパスの渋谷区版です。定期券を購入された方は、今まで以上に外に出やすくなると考えます。是非、高齢者、障害者の
社会参加のさらなる促進のためにも御検討願いたいと考えますが、区長の御所見をお伺いいたします。 次に、
ハチ公バスに関して、安全・安心の観点からお伺いいたします。
バス車内にAEDを設置してはいかがでしょうか。区内をきめ細かく運行しているのですから、人が倒れているそばを通行することや、車内においても、乗客が急病に襲われることも想定されます。渋谷区の
コミュニティバスである
ハチ公バスが、
渋谷区民や来街者の生命を救う。一見すると当たり前のようにも感じますが、現実には、
路線バスにそのような機能を求めることは、本区のみならず、ほとんどありません。当然
ルートごとの運行会社に
AED取り扱いのための研修等が不可欠となりますが、区民等の安全・安心のためにも、是非、設置の御検討をお願いしたいと思います。あわせて御所見をお伺いします。 次に、
子育て支援についてお伺いします。 小さな子どものいる母親や父親にとって、自転車は足がわりとなっております。自転車の後ろ、もしくは前へ子どもを乗せて走っている光景は町なかでよく見かけます。では、幼い子どもが二人いる家庭ではどうでしょうか。たまに見受けられるのが、前後に子どもを乗せて三人乗りで走っている姿です。 これまで警察庁では、この行為が危険であるとし、禁止をしておりました。ただ、親にとっては、危険であることはわかっていても、子どもの送り迎えや買い物など、必要に迫られているといった現実的な状況もあり、この規則はほとんど守られていないのが現状でした。 こうした問題に対し警察庁では、車体強度や
ブレーキ性能、操縦性、駐輪時の安定性など、六つの要件を満たす自転車については、三人乗りを認めることとしました。現在、その禁止根拠となっている各
都道府県公安委員会規則の改正作業が行われており、東京都では来月七月から解禁となります。 しかし、認可された自転車は、メーカーによれば通常のものに比べ割高となり、最低でも六、七万円程度はかかると言われています。子育て中の家族にとっては大変な高額商品です。三人乗りできるのは、お子さんが成長されるまでの数年であることを考えると、購入には正直なところためらいもあるのではないでしょうか。 そこで、
子育て支援の一環として、
認可自転車の購入助成をしてはいかがでしょうか。三人乗りをしないで
済むにこしたことはありませんが、必要としておられる家族が、今までの危険な状態を続けられることを考えますと、何らかの支援を行うことが必要であると思います。広い意味での
少子化対策にもつながっていくと考えますが、区長の御所見をお伺いいたします。 次に、古紙等の資源についてお伺いします。 古紙、瓶、缶などは、
リサイクル促進のために、可燃ごみや不燃ごみとは別に資源として分別収集されています。ごみの減量と資源の節約のために、週に一回、地域によって決められた曜日に
収集場所に古紙などを出すわけですが、残念なことに不正な持ち去りが後を絶ちません。これは、本区だけでなく、全国的な問題となっております。 杉並区では、平成十五年三月に、全国に先駆けて古紙等の資源は区に所有権が属することを条例で明確にし、持ち去り行為が窃盗罪に当たるとしました。が、その背景には、当時、古紙等の年間持ち去り量二千トン、損失額一千八百万円という驚くべき推計があったのです。 また、同じく平成十五年十二月の世田谷区の条例については、区が指定した者のみが古紙等の資源を回収できることを規定し、それに違反した場合は、勧告や命令を出し、従わないときは罰金を科すものとなっております。そして昨年七月には、
最高裁決定において、不正に資源を持ち去った
古紙回収業者の有罪が確定しました。 この司法判断を受け、全国の自治体で
罰則規定を条例に取り入れる動きが急速に広がっております。本区に隣接する七区においても、ただいま申し上げました杉並区、世田谷区のほかに、中野区、品川区、目黒区においても条例が定められております。もちろん、条例で規制されても、持ち去りを皆無にするのは難しいことは理解をしております。しかし、罰則等で規制されている自治体とそうではないところがあれば、どちらが入りやすいか、人間の心理からすれば、おのずと答えが出てくるのではないでしょうか。 私自身も先日、自宅近くの
収集場所において、管轄外のナンバーをつけたトラックで乗りつけ、古紙を持ち去ろうとしている業者に出くわし、不正行為である旨注意をしましたが、相手は悪びれる様子もなく、あっと言う間に逃げ去ってしまいました。そして、それは一度きりのことではないのです。こんなことが
日常茶飯事なのですから、私のところに、資源の持ち去りを何とかしてほしいという相談が最近増えてきているのもうなずけます。環境を考えて
資源リサイクルに取り組んでいる区民が安心して
古紙等資源を出すことができるよう、
罰則規定も含めた対応を御検討願いたいと思いますが、区長の御所見をお伺いします。 次に、食育に関して教育長にお伺いします。 本年二月の朝日新聞の特集で、作って学ぶ「弁当の日」という記事が掲載されておりました。これは、平成十三年に香川県の当時の小学校長が提唱した
取り組みで、親がつくってくれたお弁当を学校で食べるのではなく、
子どもたちが自分で献立を考え、早起きして、自らつくったお弁当を持ってくるというものであります。 現在では、小学校から大学に至るまで全国的に広がりを見せております。その
取り組み方も様々で、ただいま申し上げました香川県の小学校の場合は、保護者は手伝わず、子どもだけでお弁当をつくります。また、実施するのは、調理に必要な最低限の知識や技能について家庭科の授業で指導を受ける五、六年生に限られています。 また、昨年度、公立の小学校六十八校及び中学校二十五校の合計九十三校すべてで導入した栃木県宇都宮市では、
教育委員会が主導し、子どもが家族と一緒に学年ごとの目標に沿ってお弁当をつくっています。この様子は、以前にテレビの
ドキュメンタリー番組でも取り上げられ、私も見ましたが、眠い目をこすりながらも、お弁当をつくり上げた男子児童の満足げな顔と、それを見守っていたアドバイザーである母親の優しいまなざしがとても印象的でした。 導入校を見てみますと、小学校五年生から始める学校が多いようですが、家族と献立を考える、お米をとぐ、おかずをお弁当箱に詰めるなどのやり方で、小学校一年生から実施している学校もあります。最終目標は、中学生で、
栄養バランスを考えたお弁当を
自分自身でつくることであります。 「お弁当の日」の
取り組みは、料理ができるようになるだけでなく、家族との会話も増えますし、毎日の食事をつくってくれている家族への感謝、さらには、生産農家や
食材そのものへの感謝の心も生まれるものと考えます。 去る五月二十六日に閣議決定され公表された平成二十一年度版のいわゆる
食育白書の中でも、作って食べる「弁当の日」が
食育推進の
取り組み事例として紹介されております。事実、導入校も、私が新聞記事を見たときの本年二月には二百九十一校でしたが、四月末には約五百二十校と増えております。是非、継続できる
食育事業として、渋谷区版「お弁当の日」を導入してはいかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。 次に、
学習指導要領の改訂に関して教育長にお伺いします。 昨年三月に改訂された保健・体育の
学習指導要領において、新たに中学校では、武道とダンスが必修となり、平成二十四年度から完全実施されることとなりました。 武道の必修化は、
教育基本法に「伝統と文化の尊重」が盛り込まれたことに伴うものであります。
文部科学省によれば、柔道、剣道、相撲の中から一つを選択して履修できるようにすることとし、地域や学校の実態に応じて、なぎなたなど、その他の武道でも構わないとしております。 私も中学・高校を通して剣道部に所属しておりましたので、「礼に始まり礼に終わる」という言葉に代表される、日本古来の武道の礼節や相手を尊重する気持ちというものを習得していくことは有意義であると考えます。しかし、剣道は体育館でできますが、柔道用の畳敷きの武道場や、相撲用の土俵を備えた
区立中学校は、現在皆無であります。これに対し、
文部科学省では、武道場などの確保が難しい場合は、
指導方法を工夫して行うようにと、何とも自治体泣かせの内容となっております。 そこで、お伺いいたします。 完全実施まで三年を切りましたが、本区としての施設・設備を初め指導員の確保等、履修条件の整備について今後の計画をお聞かせください。 以上、それぞれ御答弁のほどお願いいたします。
○議長(
松岡定俊) 桑原区長。
◎区長(
桑原敏武) 真
自由政経フォーラム、
薬丸義人議員の御質問にお答えをいたしたいと存じます。 最初に、本区
ホームページ、GIS、
地理情報システムと申しますけれども、これを取り入れて
施設情報や
観光マップ、あるいは
防災情報をこの中に載せてはどうだろうかと、こういうような御提言でございます。
薬丸議員自身が、
鹿児島市政について実地に学ばれ、これを区政に反映したいというお考えのもとに
総合型GIS(
地理情報システム)についての御提言をいただき、心から敬意を表したいと思っております。 鹿児島市のGISは、その
導入経費は三億九千万円余でございまして、その財源は
合併特例交付金二億四千万円余を充てておられ、さらに運営経費として一千二百万円余を一般財源として充てているわけでございます。 他方、本区におきましては、土木部では
道路認定のために、
都市整備部では二項道路や
位置指定道路のために、
都市整備部では
都市計画の用途地域や
地区計画、あるいは建ぺい率や容積率を表示するため、それぞれGISを導入しているところでございます。 さらに、土木部では、
道路占用物件、水道・下水、電気、ガス等々でございますけれども、そのことにつきましては、
財団法人道路管理センターから情報を受けておりまして、各道路について、これを把握できる
システムと相なっているわけでございます。 さらに本区では、他の自治体に先駆けて
ホームページに建物の
倒壊危険度を七段階に分けた「地域の
危険度マップ」や、
地域ごとの震度をあらわした「揺れやすさマップ」を閲覧することができるようにしているところでございます。御提言を生かすとすれば、それは今申されたことに相なろうかと思いますが、費用対効果等を考えますときに、渋谷区はとりあえずは「渋谷区案内図」や「
観光ガイドマップ」を活用し、広く配布することで対応してまいりたい、このように考えておりますので、よろしくお願いをしたいと存じます。 次に、災害時の
危機管理として、誘導表示についての御提言をいただきました。
避難場所等への誘導表示について、区民や来街者が迷うことなく避難できるよう、一時
集合場所や
避難場所への誘導表示を歩道に記してはと、こういう御提言でございます。 一時
集合場所への誘導につきましては、小中学校、公園などの、広く目に触れる場所に「案内板」を掲示しておりまして、また、小学校に向かう道路のガードパイプは、緑色の通学路表示をいたしておりまして、これも一時
集合場所への誘導に役立つものと考えております。
避難場所への誘導につきましては、九カ所の
避難場所周辺に、二十七基の「案内板」をそれぞれ設置しているところでございます。 また、代々木公園へ向かう甲州街道などの指定避難道路には、高さ三メートルの誘導標識を十九基設置し、
避難場所名、
避難場所への距離、現在地、周辺の地図案内の表示をして、安全な誘導に努めているところでございます。 他方、災害時の誘導につきましては、地域の被災状況によって臨機応変の対応が求められてまいります。そのため、自主防災組織の方々が、助け合いながら、一時
集合場所などへの安全な避難を行う訓練を積み重ねております。 災害時誘導表示につきましては、今後とも工夫を重ねてまいりたいと存じます。 次に、
裁判員制度につきましてお尋ねでございます。 本年五月二十一日から始まりました
裁判員制度については、広く国民に裁判への参加を求める国の制度でございます。したがいまして、支援については、原則として、国により適切な対応を図るべきであると、このように考えているところでございます。 なお、裁判員に選任された場合にあっても、介護や一時保育については現行の制度内でも十分対応ができますので、御活用いただきたい、このように思っております。 次に、
ハチ公バスについて二点、このお尋ねでございます。 一点目は、定期券の高齢者・
障害者向けの定期券を導入してはと、こういうお話でございました。 本区の
コミュニティバスについては、議員の御発言にありました高齢者・障害者はもとより、すべての人々の移動機会の向上を図ることを、その基本方針としております。そのため、だれもが気軽に利用できるよう運賃については、百円と通常のバス料金の半額に設定をしているところでございます。 これまで、三つのルートで運行しておりますが、利用者数は、年々その数を伸ばし、利便性の高いまちの実現に一定の役割を果たしております。 他方、運行の採算性については、非常に厳しい状況にございまして、昨年も運行経費に対し、区から各バス事業者に対し多額の助成を行い、収入不足に対応しているのが現状でございます。 そのため、議員の御提案につきましては、本区の財政負担等を考え合わせ、現状では導入は困難である、このように考えており、将来の検討課題とさせていただきたいと存じます。 もう一点は、
ハチ公バスへのAED設置についての御提言でございました。 AEDの
路線バスへの導入につきましては、都営バスが大手
路線バス事業者では全国で初めて平成十八年度に試験導入をいたしましたが、その後、導入及び維持の費用負担が課題となり、現在では、本格的な導入が行われていない状況でございます。 そのほかにも乗務員の研修などの課題があると聞いておりますので、安全・安心のためという御提案の趣旨には賛同するところでございますけれども、現時点では研究課題とさせていただきたいと存じます。 次に、三人乗り自転車の購入助成についてのお尋ねでございます。 自転車の乗車人数につきましては、道路交通法第五十七条第二項に基づきまして、東京都公安委員会規則に定められており、現在は、六歳未満の幼児については幼児用座席に一人同乗させることができます。 幼児二人を自転車の前後に乗せる三人乗りにつきましては、警察庁の検討委員会において、安全性が確保された自転車に限り認めるべきとした上で、車体の強度や
ブレーキ性能など具体的な構造上の安全基準を示した報告書がまとめられ、現在、東京都公安委員会において規則改正の検討がなされていると聞いているところでございます。 三人乗り自転車の購入費助成についての御提言でございますが、三人乗り自転車を利用する方のその需要数、あるいは購入者の資産状況等がつまびらかでございませんし、また、二人乗りとバランスを欠く、そのようなことも考え、せっかくの御提言でございますけれども、現時点では見送りをさせていただきたい、このように思っている次第でございます。 次に、
資源リサイクルに取り組んでいる区民が安心して
古紙等資源を出すことができるよう、
罰則規定をも含めた資源ごみの持ち去りへの対応を検討願いたいというお尋ねでございます。 区民の皆様方の御協力により集められた古紙等の資源が、不正に持ち去られていることは、これまでもたびたび指摘されており、私も承知しているところでございます。 通報を受けた地域につきましては、職員による早朝パトロールを行い、悪質な業者を発見次第厳重な警告を行うほか、ラベル、テープなどによる警告の徹底や、集積所の警告看板を工夫するなどの
取り組みをしておりますが、なかなかなくならないのが実情でございます。 御質問にございました世田谷区を初めとする近隣自治体においても、罰則を含んだ条例が定められているところでございますが、条例制定後も持ち去り業者が後を絶たず、事態は改善されていないと聞いております。したがいまして、条例による取り締まりの実効性についてはなお検証する必要があり、罰則を含む条例化に関しましては今後の課題とさせていただきたいと存じます。 区民の方々には、町会等で実施している集団回収へ移行していただく、あるいは持ち去り業者は早朝に収集していることから、前日や早朝に資源を出さないような工夫をお願いするなど、地域と行政が協働して、悪質な業者が持ち去りしづらい環境づくりをしてまいりたいと存じます。どうぞ御理解をいただきたいと存じます。 以上、答弁といたします。
○議長(
松岡定俊) 池山教育長。
◎教育長(
池山世津子) 私には、「食育について」と「
学習指導要領の改訂について」二点のお尋ねでございます。 まず、食育についてですが、議員の御質問にありました「お弁当の日」は、提案された校長先生が、親子が一緒に過ごす時間が減っていることを気にされ、子どもがお弁当をつくれば、そこには必ず親子の会話が増える。子どもは親に感謝をし、親は子どもの成長に気づくというお考えから始まったと伺っております。
子どもたちが家庭科の授業などで学んだことを日常生活に生かし、学校と家庭が連携して食育を推進するという点で効果的な
取り組みであると思います。 では、渋谷区の小中学校では、食育に対しましてどのような
取り組みを行っているかと申しますと、まず、小学校六年生では、「家族のために栄養のバランスのとれた食事を考え、実際につくる」という学習を行っております。また中学生になりますと、「栄養のバランスを考えるだけではなく、産地や食品添加物等にも気を配りながら食材を選び、価格も考慮に入れ購入し、その上で調理をする」という学習に取り組んでおります。 こうした学習は学校だけで完結するものではなく、学習の様子を御家庭にお知らせしたり、調理実習の際に保護者の協力を得たりするなど、家庭と連携しながら進めております。また、学校公開日に食育に関する授業を行い、保護者に食育の大切さを伝え、家庭での活動につなげている学校もございます。 子どもが家族の好みや健康を考え、調理をした料理を、家族みんなが食卓を囲み、「おいしい」と食べてくれる、このことから得られる満足感、達成感は
子どもたちにとって何よりの体験学習であり、食育であると考えております。 また、昨年度から、各学校に
食育推進の中核となる教員等を「食育リーダー」として位置づけ、食育への
取り組みを強化したところでございます。今後は、この食育リーダーが中心となり、様々な
取り組みを一層組織的に進めてまいります。 「お弁当の日」を設けて食育を進める、この方法は大変ユニークな
取り組みだと思いますが、まずは各家庭で比較的時間にゆとりのある休日等で、親子で一緒に献立を考え、食材を選び、調理をし会食をするということの大切さを、学習を通し子どもと保護者に伝えてまいりたいと考えております。 次に、
学習指導要領の改訂に伴う、武道の必修化についてのお尋ねでございます。 現行の中学校
学習指導要領では、「武道」は選択して履修するものとなっており、区立の中学校におきましても、選択授業として、全校ではありませんが、柔道、剣道あるいは相撲の授業を実施しております。 議員が御指摘のように、平成二十四年度に完全実施となります中学校の新
学習指導要領では、この「武道」が、中学校の一学年、二学年において、男女とも必修となります。
学習指導要領は、おおむね十年ごとに改訂されておりますが、この改訂に伴う新教育課程への移行につきましては、総合的な検討が必要なため、昨年十二月に、幼稚園長及び小中学校長、副園長・副校長の代表をメンバーといたしまして、「渋谷区立学校教育課程検討委員会」を設立いたしました。この中で様々な検討を行っているところでございます。 御質問の「武道」につきましても、この委員会の中で、教育計画や実施体制、施設、用具、あるいは指導者について移行に向けた検討や準備を進めており、その検討結果を踏まえて、三年後の完全実施に向けて必要な教育環境の整備を図ってまいりたいと考えております。御理解、御支援のほどよろしくお願いいたします。 以上、答弁といたします。
○議長(
松岡定俊) 十八番
薬丸義人議員。
◆十八番(
薬丸義人) ただいまは桑原区長、そして池山教育長より、それぞれ御答弁をいただき、まことにありがとうございました。 既にGISを
庁舎内システムで導入されていることや、都バスでのAED設置実績、また、中学校での武道の授業の実施状況など、私の調査が足りなかったかなと反省しております。 GISにつきましては、運用経費が一千二百万円余であるとの区長の御答弁をいただきました。私も、鹿児島市の経済局観光交流部長への対面調査や、所管の情報
システム課主事への電話調査から、この運用経費の大半は庁内
システムであり、市民向けの公開
システムは約三百万円であるとの回答をいただいております。費用対効果というお話ございましたけれども、是非とも今後とも御検証いただいて、是非引き続きの御検討をお願いいたしたいと思います。 また、三人乗り自転車及び
裁判員候補者への支援というものは、まだ
制度そのものがこれからでございますので、今後、他の自治体の動向も見据えながら御検討いただければと思います。 また、「お弁当の日」につきましては、すべての小中学校で一斉にというわけにはなかなか厳しそうですけれども、導入校では給食を残す子どもが減っているというふうに話も聞いております。学校関係者、もしくは保護者等に
取り組み事例としてお伝えいただいて、少しずつでも広がっていけばいいなと感じました。 最後になりましたが、これからも私たち真
自由政経フォーラムは、区民の目線に立って、区政進展のために尽くしてまいることをお誓いし、質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。
○議長(
松岡定俊) 二十三番
新保久美子議員。
◆二十三番(
新保久美子) 私は、日本共産党渋谷区議団として、区長、教育長に質問いたします。 最初に、保育問題についてです。 第一に保育園の施設整備計画についてです。 児童福祉法第二十四条では、保育に欠ける子どもに対して、自治体は保育所において保育しなければならないと義務づけています。しかし、今年四月、認可保育園を希望しながら入れなかった子は百十四人、昨年の六十五人に対して今年は一・八倍、そして、どこにも入れなかった子は、昨年二十六人に対し三倍の七十八人にも上っています。 今後、区は、旧大和田小学校跡地に新設保育園と建て替えの新橋、代官山、大向、恵比寿保育園で百六十人増の計画を示していますが、新設保育園が開設した後、桜丘保育園を廃止しようとしており、実質百二十五人増でしかありません。この計画では急増する待機児を解消できません。特に低年齢児は深刻です。五月時点でどこにも入れなかったゼロ歳児は二十四人ですが、定数増の計画は二十一人、一歳児は五十五人に対して二十六人で、今年のゼロ・一歳児の待機児の人数を見ても三十二人も足りないのです。今後さらに経済状況の悪化からも入所希望が増えていくことが予測されます。これでは待機児を解消することはできません。 認可園は、児童福祉法に基づき、保育を行うのに必要な保育室、園庭など施設が整い、保育士など人員配置や労働条件が守られることによって、
子どもたちの発達と生活を保障する保育ができるのが認可保育園であり、保育料も保護者の収入による応能負担となっており、子どもを安心して預けられる保育園として求められているのです。急増する保育需要にこたえるため、公立保育園の増設計画を立てるべきと考えますが、所見を伺います。 区長は、代々木高校跡地に、保育ニーズに対応するとして、上原保育園の移転も検討するとされていますが、深刻な待機児の実態からも、上原保育園や桜丘保育園を存続すべきと考えますが、区長の所見を伺います。 次に、緊急対策についてです。 どこにも入れなかった待機児は、四月七十八人、五月には九十四人にも上っています。 四月に子どもが保育園に入れなかった三十代の契約社員の母親は、「主人の給料が二割減になって自分の仕事を増やそうと思ったのですが、三番目の子どもが四月からの保育園に落ちてしまい、受け入れ先がありません。このままでは今の仕事を失ってしまうかもしれません」と悲痛な声を上げています。 待機児解消は区の責務です。区として、旧代々木高校なども含め区施設の活用、国や都の用地を活用し、認可基準による施設や職員配置を満たした区直営による保育園を緊急に設置し、待機児解消の対策を行うべきと考えますが、区長の所見を伺います。 国は、急増する待機児ゼロ作戦として、こども安心基金プランを打ち出し、保育所を整備するとしています。さらに、東京都も六月一日、保育関係者や自治体、そして日本共産党都議団などの強い働きかけで、今年の保育所の整備目標を三千人引き上げ約八千人にするとしたことは重要です。しかし、国の制度も都の独自支援も公立保育園の整備補助は対象外となっており、区が公的責任で保育園を増設するためにも、公立保育園の整備補助を国や東京都に求めるべきと考えますが、区長の所見を伺います。 次に、建て替え後の四つの公立保育園、旧大和田小学校跡地の新設保育園の運営についてです。 今、保護者や保育園職員からも、建て替え後の区立保育園は民間委託になるのではないかとの不安の声が上がっています。大向保育園の新築園舎への移転説明会では、保護者から「各地で民営化問題が起きている。民化しないでほしい」という質問に、区は「保育内容によって民営化するかどうか今後決める」としています。代官山保育園は来年七月に、新橋保育園は来年十一月に新園舎が完成する予定となっており、一年数カ月後には新園舎に
子どもたちは移るのに、職員は一緒に戻れる保証はありません。 営利を目的とした企業を参入させる民間委託問題が各地で起きています。練馬区では、民間委託が開始されたところ、大量の職員が退職する事態が生じたり、中野区では、区立保育園を廃止し、
子どもたちは新設の民間保育園に移りましたが、開設後半年で大半の保育士が退職するなど、保育に大きな支障をもたらしています。 さらに、東京都が進めてきた認証保育所は、認可保育園に比べ保育士の資格を持った人員配置や施設基準が低い上に、企業が運営する他区の認証保育所では、子ども一人の一日の昼食とおやつの食材費がわずか三十六円で、食材費を削ったり、職員の虚偽申請や補助金不正受給で利益を上げたり、さらに、事業者の撤退で突然保育園を閉園するなど、様々な問題が発覚しています。 こうした民営化の動きに対して、父母を初め保育関係者による公立保育園を守る運動が広がっています。 安定した雇用や園庭など整備された保育環境のもとで保育を保障するのが区の責任であり、その役割を担っているのが公立保育園です。公立保育園はさらに地域の
子どもたち、その保護者、地域社会全体を対象とする子育ての中核的役割を果たすことが求められています。これまでどおり、区直営の公立保育園として運営すべきと考えますが、区長の所見を伺います。 大向保育園建設計画の見直しについてです。 保護者説明会で一番出されたのが屋内園庭計画です。「
子どもたちが土の上で遊べる園庭をつくってほしい」、また二階、三階が保育室で「ゼロ歳児、一歳児、二歳児室は散歩に行くのも移動が大変。災害時の安全は守れないのでは」など保育環境について保護者からも不安の声が出されたと聞きます。実際、区はこの説明会でも、屋上園庭となっている「幡ヶ谷第二保育園は夏場大変暑いので対策をいろいろ考えないといけない」と問題点を認めているのです。 屋内園庭は子どもの成長にとってふさわしくありません。
子どもたちが太陽や土に触れ、健やかに育つためにも、児童の権利条約に基づく子どもの最善の利益を守れるよう、それにふさわしい保育園としての施設整備を行うべきと考えますが、区長の所見を伺います。 区長は、計画の説明会を一回実施しただけで強行しようとしていることは住民無視です。大向保育園の施設建設計画については、保護者や職員など関係者の意見を聞き、抜本的に見直すべきと考えますが、区長の所見を伺います。 次に、保育制度の改悪についてです。 厚生労働省は、保育制度大改悪の法制化に向けた審議を開始しています。 改悪の内容は、児童福祉法に基づき、これまで区市町村が入園の決定に責任を持つ制度から、新保育制度は、自治体は介護保険認定のように、要保育認定をするのみで、保育園への入所は父母と施設との直接契約になり、公的責任を後退させること、また、保育料はこれまで所得に応じて決められる応能負担から応益負担になり、保護者への負担増や、保育園の施設面積、職員配置など今でも低過ぎる最低基準を緩和し、さらに引き下げ、保育の質の低下をもたらすものです。 保育制度改悪の最大のねらいは、財界が保育市場を二兆円と試算し、企業参入を促すため株式配当の可否まで検討させていることは、営利企業のもうけの場に保育を変質させるものです。 今求められているのは、現行制度を守るとともに、
子どもたちの健やかな成長を保障するため認可保育園の充実であり、保育制度の大改悪に反対すべきと考えますが、区長の所見を伺います。 次に、経済的支援としての出産費の助成と第三子以降の保育料の無料化についてです。 今年一月、厚生労働省が行った出産費用の調査では、東京では平均五十一万五千円です。区内では日赤五十六万円、JR病院五十万円などとなっています。四月から妊婦健診が十四回に拡大され七万八千八百円の補助となり、また、これまでのハッピーマザー助成五万円が出産後に支給ということで継続されています。しかし、妊婦健診の自己負担や出産のための入院費、ベビー用品など出産準備費用を用意しなければならず、経済的負担が大きいのです。 港区では、出産一時金との差額分の助成額を一月から五十三万円に引き上げ、さらに四月から六十万円を上限に助成しています。区として出産費の助成を実施すべきと考えますが、区長の所見を伺います。 区長は、第一回定例会で、第三子以降の無料化は大盤振る舞いの話として実施する考えはないと答弁されましたが、経済的負担の軽減は切実です。区の調査でも、子育てで出費がかさみ、経済的負担を感じるが四一%、第一位です。
子育て支援として幼稚園、保育園、保育室などの第三子以降の保育料を無料化すべきと考えますが、区長の所見を伺います。 次に、小児医療と都立広尾病院問題についてです。 昨年、東京でも脳溢血を起こした妊婦さんが、都立墨東病院などで受け入れてもらえず亡くなるという痛ましい事件に、改めて東京でも産科医師不足や、診療体制の深刻な事態が浮き彫りになりました。ところが、石原知事は、小児救急や未熟児の命を救う都立三小児病院の廃止条例を三月の都議会に提案し、自民、公明が賛成で可決されましたが、子どもと母親の命を守る小児病院をなくさないでという運動はさらに大きく広がっています。小児医療の充実は区民の願いでもあります。区の次世代育成支援行動計画の調査で、就学前・小学生の保護者とも子どもを産みやすくする渋谷区の施策として小児医療の体制強化を求めるは四六%に達していることからも明らかです。 都は、十六カ所の都立病院を半分にし、独立行政法人化、公社化を進めていますが、都立広尾病院も第二次都立病院改革実行プログラムで独立行政法人化の検討病院となっているのです。広尾病院は、小児医療の分野でも中核として小児肥満やアレルギー疾患の重点医療や救命救急医療など、二十四時間、三百六十五日対応する母と子の命綱となっています。実際、夜間救急で診てもらえる。孫がぜんそくで入院した人からも、都立だから安心してかかれると声が上がっています。広尾病院が独立行政法人化されれば不採算医療である小児科や産科など縮小・廃止されかねません。 東京都に対して、地域医療の拠点として広尾病院を都立のまま存続すること、また、清瀬、八王子、梅が丘の三小児病院を存続するよう都に申し入れるべきと考えますが、区長の所見を伺います。 次に、教育長に教育問題について伺います。 区は、本町中学校、本町小学校、本町東小学校の統廃合による小中一貫校建設を、三校の保護者や地域住民からも反対や延期の声が上がったにもかかわらず強行してきました。本町中学校の生徒数は、二〇〇七年度百三十一人だったのに、今年は六十九人と激減しています。今年、本町小、本町東小学校の卒業生が七十人いたのに、本町中学校に入った一年生は九人しかいません。本来、地域の学校に行くはずだった
子どもたちが、地域の学校に行けない事態をつくり出しています。四月からは、本町中学校の生徒は本町東小学校に移り、校舎を共用していますが、そのため、
子どもたちの活動にも制限が持ち込まれ、
子どもたちからは、「休み時間の校庭利用が決められ自由に遊べなくなった」、「家庭科室は小学生と中学生が同じ教室を使うため、中学生にとってはいすや机が小さい」などの声が上がっています。 先日、中学校の運動会に行った保護者からは、「今年は各学年の人数に差があり、ダンスなどなく、スポーツ記録会みたいで寂しかった」などの声が上がるように、学校行事も大きく変更させざるを得ない。また、部活動なども大きな制約を受ける事態となっています。保護者からは、これまで「今いる
子どもたちを大切にしてほしい」と声が上がっていましたが、今の
子どもたちを犠牲にする学校統廃合によって、教育環境が壊されているのです。 本来、教育は、人格の完成と平和で民主的な社会の形成者としての育成を目指すのが教育の目的であり、こうした学校教育を通して
子どもたちの夢や希望をはぐくむかけがえのないところが学校であるはずです。民主主義を否定し住民の合意もなく強行するやり方は、教育の目的にも反し、
子どもたちの教育環境の悪化をもたらすものです。本町地区一貫校建設計画は中止すべきと考えますが、教育長の所見を伺います。 少人数学級を実施していないのは東京都だけです。渋谷区では、三十人を超える学級は小学校で百八十八学級中七十一学級、中学校では四十九学級中三十五学級にも達しています。 東京都
教育委員会は、社会性を養うために一定の学級規模が必要としていましたが、五月二十七日の都議会文教委員会で、都教委は、「都民から出された三十人学級を求める二十四万人を超えた署名、そして市長会や市の教育長会が毎年予算要望で少人数学級を求められていることに対して都はどう考えているのか」との日本共産党の質問に、「要望を重く受け止めている」と前向きな答弁をしたのです。区として一人一人の子どもに行き届いた教育を実現するためにも、東京都に対して三十人学級の実現を求めるとともに、当面区として独自に実施すべきと考えますが、教育長の所見を伺います。 次に、代官山さんかく公園についてです。 四月二十四日、代官山複合施設建設の工事説明会で、代官山さんかく公園が保育園の園庭になり、公園トイレも使用できなくなり、事実上公園はなくなることに対して、住民からは、公園がなくなるなんて聞いていない、都市公園法では、廃止する場合、代替の公園をつくるとなっている、公園を設置すべき、認められないと批判の声が上がっています。区として、都市公園法の趣旨であるだれもが地域で使える公園として、代替の公園を確保すべきと考えますが、区長の所見を伺います。
○議長(
松岡定俊) 桑原区長。
◎区長(
桑原敏武) 日本共産党渋谷区議会議員団、
新保久美子議員の一般質問にお答えをさせていただきたいと存じます。 一点目は、保育園の施設整備計画について、急増する保育ニーズにこたえるために、私の四カ年整備計画を前提としながらも、それでは足りない、もっと増やせ、こういうようなお話でございました。また、既存の桜丘あるいは上原保育園についても存続せよと、こういうような御提言であったと思います。また、二点目には、待機児童解消のための緊急対策を打つようにということでございましたし、もう一点、四点目になりますけれども、区直営の保育園運営について、これを直営にするようにと、こういうようなお話であったと存じます。 この件について一貫してお答えをしたいと存じますけれども、議員もお気づきのことであると思いますけれども、施設整備というのは一朝にしてできるものではない、そういうことであったと思います。時間がかかると、そのためには、私は計画的に時間をかけて一つ一つ進めることが大切だと、このように申し上げてまいりました。 この計画に当たって、一つは、保育ニーズを見きわめていく。この保育園の増設が必要かどうか、あるいはその中で年齢対応をどのようにしていくか、今回の場合は一歳児を中心にゼロ歳、そして三歳が増えておりますけれども、その年齢の対応をどのようにしていくか、あるいは病児保育の必要性はどうだ、このようなことも考えていなくてはならない。一方では、一時保育をどうしていくか、そういったことについても考えていかなくてはならない、こういうことで、保育ニーズは多様なそういうニーズについてきめ細かく対応していくことでなくてはならない、このように思っております。 もう一点目は、保育立地でございますけれども、保育園はできるだけ区民の近くにあることが必要だ、そのことが日常的に通うのに利便性を考えなくてはならない、このようなことを考えているわけでございます。したがって、この桜丘あるいは上原をそのまま存続すればいいという軽い話ではない、このように思っている次第でございます。 三つ目は、常に保育環境を考えていかなくてはならない。どこでもいいから、環境が悪くてもいいから待機児の解消をすればいい、こういうことではなかろうと、このように思っております。 この旧代々木高校を使えばと、こういうようなお話でございますけれども、これは使うことが難しいというふうに思っておりますし、国や都の用地を直ちに借りるということは緊急対応にはならないであろう、交渉時間も必要であろうと、このように思っております。 さらに、将来の保育ニーズがどう変化していくか、そのようなことも考えていかなくてはならない、このように考えているところでございます。これがそのまま続いていくことか、これを正しく見きわめた上で、今回、施設整備計画や運営体制については総合的に検討してまいりたい。そして、一定の時期に区議会に報告をする、そのような形で進めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。 次に、公立保育園の施設整備について、補助を申し入れればというお話でございますけれども、公立保育園の施設整備補助につきましては、国の三位一体改革により財源移管の中に組み込まれちゃったということでございますから、このことについては、国の補助は制度的にあり得ない、こういうふうにお考えをいただいたほうがいいと思います。 それから、大向保育園の建設計画について見直すようにと、こういうお話でございますけれども、一方ではアクセルを踏み、一方ではブレーキを踏むような話かな、このようなことで聞いておりましたけれども、このことについては、屋内園庭を整備し、雨でも体を動かせる整備を確保しながら、この施設計画としてやってまいったものでございます。もちろん、保護者説明会を開催しておりますし、園長からもこのことについては支障がない旨の私への報告もいただいているところでございまして、この計画どおりに進めてまいりたい、このように考えております。 次に、この
子育て支援の問題で、保育制度の改悪についてということでございます。 厚生労働省の社会保障審議会
少子化対策特別部会において、第一次報告を踏まえ、さらに検討がされる、このように聞いておりますので、その推移を見守ってまいりたい、このように思っております。 次に、出産費の助成についてでございます。 本定例会において、現行三十八万円の出産育児一時金を四十二万円に増額するため、
国民健康保険条例の一部改正をお願いをしているところでございます。 また、本区では全国に先駆けてハッピーマザー助成を実施し、妊婦健診の経済的負担の軽減を図ってまいりました。 今回、妊婦健診費用の助成回数を一気に十四回に拡大するとともに、これまでのハッピーマザー助成につきましても、分娩時の経済的負担軽減策として支給時期を変更して、引き続き支給することとしたものでございます。 現段階におきましては、さらなるこの助成については考えていないということでございます。 次に、第三子以降の保育料の無料化を、こういうことでございます。 渋谷区の保育料が全国でも最も安い保育料であるということは御承知のことであろうと思いますけれども、さらに、この三歳児だけを取り上げてそのようにするべき根拠や理由については、さらに総合的な検討が必要であろうと、このように思っております。 次に、広尾病院を都立のまま存続すべきであると、こういうお話でございます。 東京都は、都立病院が医療の提供を将来にわたり安定的かつ継続的に提供していくため検討を行っているところでございます。そして、この広尾病院につきましても、二十四年度までは現在のまま東京都が直接運営をする、こういうことになっておりまして、二十五年度以降についてはまだ決まっていない、このように聞いているところでございます。 いずれにいたしましても、都が主体的にその運営方法については考えていくべきことであり、渋谷区としてこれを言って申し入れる、そういった考え方は持っておりません。 それから、代官山さんかく公園のことについてのお話でございます。 このさんかく公園につきましては、小さい、そしてまた、地域が日常的には使っていないから、これは園児のために提供してもいい、こういうようなありがたいお話をいただきました。しかし、一たんイベント等のあるときには使うこともあるので、そのときには地域も使えるように配慮をしてほしいと、このようなことでお互いが了解をしてまいった、こういう経緯でございます。したがいまして、現在は、園児は使っておりますけれども、公園としてこれをそのまま置いておるわけでございますから、廃止はしていない。したがいまして、代替公園を考えているということはあり得ない、このように思っております。 以上、答弁といたします。
○議長(
松岡定俊) 池山教育長。
◎教育長(
池山世津子) 私には、教育について二点のお尋ねでございます。 まず、本町小中一貫校についてです。 本町地区小中一貫教育校計画は、学校統廃合ではなく、小中一貫教育校という新しい形の学校をつくる計画でございます。 計画発表以来、地域の皆様や保護者を対象にきめ細かく説明を重ねてまいりました。その結果、現在では「よい学校を早くつくってほしい」との多くの賛成の声をいただいているところでございます。 この四月から、本町東小学校校舎を本町中学校と一緒に共用しておりますが、そこでの教育活動は、教師と
子どもたちが新しい環境になれるに従い、授業交流、休み時間の交流、給食交流の予定も進んでおり、六月十四日には合同での学校公開も行われます。御心配をいただきました家庭科室の備品につきましても、小学校、中学校それぞれの児童生徒の両方の体格に合わせることができるような工夫がされております。 すべて与えられた完璧な教育環境でなくても、共用校舎の児童生徒は、先生と一緒になり、お互いに思いやりの心や譲り合いの心を持って工夫をしながら学習をしております。このような日々の教育活動の中から、人格の完成と平和で民主的な社会の形成者は育っていくと私は考えております。 両校の校長先生からも、現在の共用校舎における授業には何の支障もないと聞いております。また、今回の計画は保護者や地域の皆様方からも御意見をいただきながら進めているものでございますので、この計画を中止する考えはございません。 次に、三十人学級についてのお尋ねでございます。 学校教育においては、社会性を養うためには一定の学級規模が必要であり、また、きめ細かな指導を行っていくためには、少人数指導が有効であるという考え方は従来と変わりございません。 渋谷区の小中学校全校で、少人数指導のための教員配置、講師の派遣を行い、習熟度別授業を実施し、効果的な少人数指導により、基礎学力の向上に取り組んでいるところでございます。 したがいまして、従来どおり、現行の学級規模を維持しつつ、少人数指導を積極的に取り入れてまいりますので、現時点で三十人学級を実施することは考えておりません。 以上、お答えといたします。
○議長(
松岡定俊) 二十三番
新保久美子議員。
◆二十三番(
新保久美子) 区長、教育長から答弁をいただきましたけれど、再質問をさせていただきます。 深刻な待機児の急増を解決するのは区の責務です。安心して子どもが産み育てられるよう、認可保育園の増設計画を早急に立てるべきだと思います。 区長もおっしゃったように、区の計画は私も承知して質問させていただきましたけれど、さらに認可保育園の増設が必要だと思います。 私は、保育環境は何でもいいということを言っていません。代々木高校の跡地等の活用についても、公立保育園と同じ認可基準を持つ、そういう施設で緊急に対応していただきたい。 新宿区では、待機児解消として、区立保育園の分園を暫定的に設置して受け入れ枠を拡大しています。保護者からは、今預けないと働けないという悲痛な声が上がっているのです。この対策を区長はどういうふうに考えていらっしゃるのか、再度質問させていただきます。 先ほどお話をしました都教委の重く受け止めているというこうした答弁には、渋谷の教育の実態を保護者が訴えた中で、都教委の姿勢も変わっています。是非、
子どもたちが手を挙げても、四年生のときには二クラスだったのだけれど、三人転校したため三十九人になって、授業がつまらなくなったと
子どもたちからも出ているのです。子どものこういう声をどう受け止められるのか、改めて伺います。
○議長(
松岡定俊) 桑原区長。
◎区長(
桑原敏武)
新保久美子議員の再質問にお答えをしたいと存じます。 一言で言えば、増設を早くするようにと、こういうお話だったと思います。 新宿は新宿でございます。渋谷区は渋谷区としてやるべきことをしっかりやっている、こういうふうに考えております。それぞれ困っている方々ということのこの苦しみ、痛みというのは、痛いほど私はわかっているつもりであり、それがゆえに、これまでも新設をした、あるいは弾力化をした。そのために保育士も新しく採用する、そのような様々な手を打ってきたけれども、このことについて急増するということは、だれもわからなかったわけです。二十三区で渋谷区だけが遅れたんじゃないです。渋谷区はやるべきことをやったけれども、まだできていない部分もある。完全でないということについては御理解をいただきたい。ともに同じような気持ちでこのことに取り組んでいただく、そのことが問題の解決になるんだ、こういうふうに思っておりますので、御協力をお願いしたいと存じます。 以上、答弁とします。