世田谷区議会 > 2022-06-14 >
令和 4年  6月 定例会-06月14日-02号

  • "踏切解消"(/)
ツイート シェア
  1. 世田谷区議会 2022-06-14
    令和 4年  6月 定例会-06月14日-02号


    取得元: 世田谷区議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-03
    令和 4年  6月 定例会-06月14日-02号令和 4年  6月 定例会 令和四年第二回定例会 世田谷区議会会議録第九号 六月十四日(火曜日)  出席議員(四十八名) 一番   神尾りさ 二番   佐藤美樹 三番   そのべせいや 四番   青空こうじ 五番   ひうち優子 六番   上川あや 七番   くりはら博之 八番   つるみけんご 九番   小泉たま子 十番   あべ力也 十一番  高岡じゅん子 十二番  金井えり子 十三番  田中みち子 十四番  下山芳男 十五番  石川ナオミ
    十六番  河野俊弘 十七番  宍戸三郎 十九番  津上仁志 二十番  河村みどり 二十一番 いそだ久美子 二十二番 中山みずほ 二十三番 中里光夫 二十四番 江口じゅん子 二十五番 たかじょう訓子 二十六番 真鍋よしゆき 二十七番 上島よしもり 二十八番 菅沼つとむ 二十九番 高橋昭彦 三十番  岡本のぶ子 三十一番 平塚けいじ 三十二番 中塚さちよ 三十三番 藤井まな 三十五番 大庭正明 三十六番 ひえしま進 三十七番 加藤たいき 三十八番 畠山晋一 三十九番 和田ひでとし 四十番  いたいひとし 四十一番 佐藤ひろと 四十二番 福田たえ美 四十三番 羽田圭二 四十四番 中村公太朗 四十五番 桜井純子 四十六番 桃野芳文 四十七番 田中優子 四十八番 おぎのけんじ 四十九番 阿久津皇 五十番  山口ひろひさ  欠  員(二名)      十八番 三十四番  出席事務局職員 局長     林 勝久 次長     水谷 敦 庶務係長   星野 功 議事担当係長 長谷川桂一 議事担当係長 岡本俊彦 議事担当係長 菊島 進 議事担当係長 末吉謙介 議事担当係長 髙橋 亮 議事担当係長 阿閉孝一郎 調査係長   佐々木 崇  出席説明員 区長     保坂展人 副区長    中村哲也 副区長    岩本康 副区長    松村克彦 世田谷総合支所長        清水昭夫 北沢総合支所長        木本義彦 砧総合支所長 佐々木康史 烏山総合支所長        皆川健一 政策経営部長 加賀谷 実 DX推進担当部長        菅井英樹 総務部長   池田 豊 危機管理部長 大塚 勇 生活文化政策部長        片桐 誠 地域行政部長 舟波 勇 経済産業部長 後藤英一 清掃・リサイクル部長        蒲牟田和彦 保健福祉政策部長        田中耕太 保健福祉政策部次長        有馬秀人 高齢福祉部長 山戸茂子 障害福祉部長 須藤剛志 子ども・若者部長        柳澤 純 保育部長   和田康子 世田谷保健所長        向山晴子 技監     松村浩之 都市整備政策部長        畝目晴彦 防災街づくり担当部長        笠原 聡 みどり33推進担当部長        釘宮洋之 道路・交通計画部長        青木 誠 土木部長   工藤 誠 教育長    渡部理枝 教育監    粟井明彦 教育総務部長 知久孝之 教育政策部長(教育監兼務)        粟井明彦 教育総合センター担当参事        平沢安正 生涯学習部長 内田潤一 総務課長  中潟信彦     ────────────────────
    議事日程(令和四年六月十四日(火)午前十時開議)  第 一 一般質問     ──────────────────── 本日の会議に付した事件  一、日程第一 一般質問     ────────────────────     午前十時開議 ○下山芳男 議長 ただいまから本日の会議を開きます。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 直ちに日程に入ります。  日程第一を上程いたします。    〔水谷次長朗読〕  日程第一 一般質問 ○下山芳男 議長 一般質問についての発言時間は、一人十分以内といたします。  質問通告に基づき、順次発言を許します。  十七番宍戸三郎議員。    〔十七番宍戸三郎議員登壇〕(拍手) ◆十七番(宍戸三郎 議員) おはようございます。質問を始めます。  私が区政の最重要課題として掲げる安全安心のまちづくりは、区の目指すべき最も基本的な目標であり、責務であると思います。区民を災害から守る、区民を犯罪から守る、区民の健康を守ることは、区が行うべき最低限の仕事です。もちろん自分の命や自分の健康は、まずは自分で守ってもらわなければなりません。自分一人や家族だけでは困難な場合は、地域の方同士が助け合い、支え合い、それを行政が後押しする、これが自助、共助、公助の考え方だと私は思います。  限られた財源の中で行政は何をするべきなのか、事業目的を達成するためにはどのような方法が効果的で最善なのか、区は的確に判断しなければなりません。また、行政は、計画に基づき実施した施策の効果を常に測定し、検証して、さらに改善することが求められています。この観点から幾つか質問をしてまいります。  都内で新型コロナウイルスの感染が報告されてから二年以上がたちました。この間、第一波から第六波に至る感染拡大期を区は経験してきました。一方、国は先月、コロナ対応を検証する有識者会議を立ち上げ、中長期的観点からの課題整理に取り組んでいます。また、新型コロナ対策の基本的対処方針の変更に伴い、条件付でマスク着用が不要となるなど、徐々に規制緩和に向けて動いています。コロナとの闘いからコロナとの共存、ウィズコロナ時代へとステージが移ったと言ってもよいのではないでしょうか。  この間、我々は次々に変異するウイルスに翻弄されてきました。未知のウイルスへの対応はどうすればよいのか、専門家でも意見が分かれる中で、国も自治体も右往左往するような状況でした。しかし、ウイルスが少しずつ正体を現し、ウィズコロナ時代に入った今だからこそ、区として実施した事業をチェックし、総括する必要があると思います。既に、区からは、四月の委員会において、「第六波における区の感染症対策の検証および今後の取組みについて」が報告されています。  この報告書には、保健・医療提供体制のほか、高齢者施設をはじめとする施設に対する第七波への備えが記されていますが、この間の年度替わりの人事異動に伴い、庁内できちんと引継ぎがなされているのか、まずお聞きします。  また、数年後、数十年後に出現するかもしれない新たな感染症に対しても利活用できるように、今後も引き続き、区内の感染状況や区が実施した感染症対策を正確に記録して検証を加えるとともに、他自治体で効果を上げた独自の対策も追記することを提案いたしますが、区の見解を伺います。  そして、何といっても、多忙な防疫業務の傍ら、詳細なデータ等を取りまとめて、随時報告書を作成してくださっている世田谷保健所並びに保健福祉政策部の担当者に対し、この場をお借りして、心から感謝を申し上げます。  次に、区民の健康づくりについて伺います。  世田谷区は、昭和四十六年に健康都市宣言を行い、その後、平成十八年には健康づくり推進条例を制定し、区民の健康づくりを推進してきました。その積極的な取組については大いに賛同するところです。  そこで伺います。健康都市宣言、健康づくり推進条例の下、施策の成果、評価検証について具体例を挙げてお聞かせください。  次に、健康寿命の延伸策について伺います。平成二十七年の区の平均寿命は、男性八二・八歳、女性八八・五歳で、共に二十三区中トップであった一方、要介護認定を受けるまでの六十五歳健康寿命は、平成二十九年で男性八一・四七歳、女性八二・五歳で、二十三区中六位と十七位にとまっています。令和二年の健康寿命も、二十三区中七位と十二位に伸び悩んでいます。健康づくり事業を着々と実施してきたにもかかわらず、目に見える成果が上がっていないのではないかと感じます。  そこで、お聞きします。健康寿命の延伸に向け、健康づくり事業の検証を行い、今後の事業に生かす必要があると思いますが、区の見解を伺います。また、限られた予算の中で、今後の区民の総合的な健康づくりをどう展開していくのか、併せて伺います。  次に、区民の健康づくりに関し、心の健康についても伺います。今年に入り、著名人の自殺が相次ぎました。親しい人と会ったり、会食をしたり、相談できていたとすれば、心のバランスを失うこともなかったのではないかと考えてしまいます。  そこで、質問します。コロナ禍における区内での自殺発生件数の推移と、今後の自殺対策をはじめとする心の健康づくりをどう進めるのか、併せてお聞きします。  また、児童生徒の心の健康の問題として、不登校対策について、教育委員会に伺います。不登校の発生要因として、よくいじめ問題との相関性が言われます。発生要因をどのように分析しているのか、また、今後の不登校対策について、区の見解を伺います。  次に、せたがやPayについて伺います。  私は四十五年間の自らの経験を基に、商店街は、安全安心で豊かな暮らしを守るため、地域コミュニティーの核としての役割を担っていると自負しています。地域を元気にするためには、活気のある商店街が必要不可欠です。そして、区民の方々と区内の事業者をつなぐツールとして、今回、せたがやPayが導入されたものと考えます。  そこで、改めて導入の意義を伺います。  また、今後、セブン銀行ATM及び専用チャージ機によるチャージに加え、ネットバンキングからのチャージができるよう検討を行っていると聞いています。また、さらなる機能拡充のアイデアも数多く提案されており、大いに期待しているところであります。持続可能で、区民の皆様にとって使い勝手のよいせたがやPayを確立するためには、利用できる店舗のさらなる増加は欠かせません。ユーザー目線に立って、せたがやPayを利用できる店舗を加入拡充していくため、商店街振興組合連合会とともに、どのように取り組んでいくつもりか、伺います。  また、商売の基本は、ただ単に物を売るだけではなく、お客様にいかに満足していただくかということであり、少ない経費の中でも工夫を重ね、知恵を絞り、付加価値を最大にして、消費者に喜んでもらえる商品を提供することです。安易にものを安く売ることより、信用さえあれば、消費者に喜んでいただく工夫は数多くあると思います。このように、区内事業者の支援策としても、せたがやPayの普及はとても重要と考えます。  以上、せたがやPay事業の普及・持続化への積極的な取組と今後の方向性について区の見解を求め、壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎向山 世田谷保健所長 新型コロナウイルス感染症国内初の患者が確認されてから二年半がたとうとしています。この間、ウイルスの特性や科学的知見、国、都の新たな取組を的確に捉え、区独自の検査体制や防疫体制の拡充、医療機関との連携を進めてきました。また、感染者急増に伴う自宅療養者への食料配送の遅れなど、随時関係機関と調整し、適切に対応しております。  新年度になりましたが、この間、区が実施した業務と課題を確実に引き継ぎ、対策を継続してまいります。  令和二年七月以降、定期的に区内の感染状況や区の取組等を取りまとめ、議会にも報告してまいりました。本年四月の常任委員会では、第六波の検証として、これまでの取組の総括と、第六波の新規感染者のピークの一・五倍を想定した第七波に備えて、今後の事業運営体制をお示ししたところです。  議員のお話のとおり、国はこの間のコロナ対応を検証し、今月中にも取りまとめを行う方針です。区は、こうした国や都の検証、他自治体の事例なども取り入れて、より効果的な防疫体制を整備するとともに、感染状況の分析や、これまでの対策の検証を継続し、コロナ対応はもとより、新興・再興感染症への対応に生かしてまいります。  また、地域医療をはじめ、関係機関との連携を強化し、区民の健康を守るための健康危機管理体制の整備拡充を目指して、一丸となって取り組んでまいります。  次に、一連の健康づくりに関するお尋ねに順次お答えいたします。  区は、昭和四十六年の健康都市宣言と、その宣言の理念を踏襲しつつ、その後の生活習慣病対策を勘案して制定した、健康づくり推進条例などに基づいて、健康せたがやプランを策定し、健康づくり施策を推進してきました。健康せたがやプランは、平成十四年度の策定から二回の改定を行い、現在は第二次後期の計画に基づいて事業を展開しております。第一次計画の策定時に比べると、区民と地域が豊かにつながり、地域の社会資源を育みながら、自主的な健康づくり活動団体が増えたこと。また、区民全体の健康課題を科学的に把握し、健康に何か一つよいことを実践するよう働きかける健康せたがやプラス1の取組などの成果が上がりました。  現行の健康せたがやプラン(第二次)後期は、今年度が最終年に当たり、区は新型コロナウイルス感染症の区民生活への影響も考慮しつつ、改定に向けた分析、評価に取り組んでいるところです。区はこれに加え、国の「健康日本21」の動向も捉え、豊かな参加と協働の取組をさらに深化させ、長引くコロナ禍で、希薄しがちな人と人とのつながりの再生の中、区民が健康を育んでいけるよう、基本計画、実施計画と連動して、包括的な健康づくりを進めてまいります。  区は本年三月、コロナ禍を経た区民の健康づくりに対する意識や行動様式の変化等を踏まえ、令和六年度から開始する次期健康せたがやプラン策定までの二年間の健康づくり施策の方向を示すため、健康せたがやプラン(第二次)後期の追補を策定、公表しました。追補では、次期プラン改定までの間、現行プランの各施策について、密を避け、感染対策を取りながら行う地域での健康づくり事業、デジタル技術を活用した区民への健康情報の提供、民間事業者の健康への多様な知見を活用した周知啓発の充実などを取り組むことを記載しており、これらも活用して、総合的に健康寿命の延伸を図っているところです。  この十年の特別区の状況を比較すると、男性は健康寿命の格差が広がっているのに対し、世田谷区の健康寿命は着実に上昇傾向にあります。また、女性の健康寿命は、特別区間では僅差の中、本区の順位は着実に上昇傾向にあります。次期健康せたがやプランの策定では、新型コロナウイルス感染症の影響を加味するとともに、健康無関心層と言われる人々への効果的なアプローチを含め、生涯にわたる健康づくりなど、区民の具体的な行動変容につながる情報の発信や、区の豊かな地域のつながりを生かした活動の推進などにより、効果的な健康寿命の延伸方策を検討してまいります。  最後に、自殺対策のお尋ねがございました。警察庁自殺統計における最近十年間の区の自殺者数の推移を見ると、平成二十四年、百五十二名から減少傾向で推移し、コロナ前の平成三十、三十一年で百一名と最少となった後、令和三年は百三十四名となり、前年比二十八名と、大きく増加しております。男女比では、男性は女性の二倍で、年代では二十代を中心とした若者層と、七十歳以上の高齢者が増加しており、喫緊の課題であると認識しております。  区は今年度から、二年間の未来つながるプランにこころの健康づくりを位置づけて、区民や福祉、医療職、区職員へのゲートキーパー講座を実施しています。また今後は、地域の関係機関や民間事業者等との協働による区民への普及啓発を強化し、こころの健康を支える人材の育成と地域でのネットワークづくりに取り組みます。  このような取組を通じて、健康づくり推進条例にある区、区民、地域団体及び事業者の協働による健康づくりを進め、区民の主体的なこころの健康づくりの底上げを図ってまいります。  私からは以上です。 ◎平沢 教育総合センター担当参事 私からは、不登校の対策についての御質問にお答えします。  不登校の児童生徒数は年々増加傾向にあり、その背景や要因も様々でございます。その中には、学校生活に対する不安や心配など、心理的な要因により不登校に至るケースもあります。児童生徒が安心して学校生活を過ごすためには、教職員が児童生徒の心の状態を十分に理解、把握し、個々に応じた支援を行うことが重要であることから、今後、各学校における組織的かつ継続的な支援を行うための不登校対応ガイドラインの策定に取り組んでまいります。  ガイドラインの策定に当たっては、不登校児童生徒の実態把握と分析を行うとともに、各学校における好事例も踏まえながら検討を進め、子どもたちの気持ちに寄り添った支援の在り方をガイドラインに反映し、全ての子どもたちが安心して通うことのできる学校づくりにつなげてまいります。  また、学校復帰のみを目標とせず、子どもの個性や多様性を認め伸ばすことを目指し、オンラインを活用した学びの場の確保や、多様な居場所の提供など、支援の充実に取り組み、子どもたちが安心して自らの進路を決定し、社会的な自立につながっていけるよう支援を行ってまいります。  以上です。 ◎後藤 経済産業部長 せたがやPayに関し、三点御答弁いたします。  まず、導入の意義についてでございます。区民生活の豊かさを高めるためには、消費生活における個性あふれる商品、サービスを選ぶ楽しみや生活上の課題を解決する手段が身近にあることが重要な要素の一つであり、数多くの魅力ある店舗が区内各地で営業することが必要でございます。せたがやPayは、これから区内中小個店を支援するツールとして、世田谷区商店街振興組合連合会が導入し、区もこの運営を支援しています。  現在は、コロナ禍における区内経済の低迷に対するポイント還元などの消費喚起策の実施手段として活用していますが、それだけでなく、資金力に乏しく、商品やサービスに魅力があっても、広報宣伝力の面で大企業と比較し、不利な状況にある中小個店や商店街が、独自のキャンペーンなど創意工夫により、販売促進を行うことができるツールとして構築したものでございます。  二点目、ユーザーの声を聞いて加盟店を積極的に増やしていくべきとの御質問です。せたがやPayのさらなる普及のためには加盟店拡大が不可欠であり、そのために様々な方策を講じております。利用者から要望がある店舗が加盟することで、利用者と店舗双方にメリットがあると認識しており、そのような要望がある店舗に対しては、この間、商店街振興組合連合会と協力して働きかけ、加盟店の拡大に努めてまいりました。  ユーザー目線というお話がございましたが、利用者にとって、より使いやすいツールとなるよう、利用者アンケートの実施も予定しております。この中で、せたがやPayが使えるようになってほしい店舗や、アプリの使い勝手など、御意見を伺ってまいります。  利用者の要望を迅速に反映できるよう、商店街振興組合連合会と協議しつつ、引き続き積極的に加盟店拡大に取り組んでまいります。  最後に、目指すべき方向性ということで、御答弁いたします。せたがやPayは区民の生活を支え、暮らしを豊かにする多様性に富んだ中小個店を支えるツールとして引き続き活用を図ってまいります。そのためには、消費者に選ばれる決済手段であることが重要です。区としても、必ずしも本年度のような大型キャンペーンではなくとも、ポイント還元など、一定のインセンティブが必要であると考えています。一方、中小個店も自助努力により販売促進の取組を行い、付加価値を高めていくことが期待されます。資金力に乏しい中小個店が、安い価格で販売促進を行うことができる環境を整えるために、今年度、各店舗がクーポンを発行できる機能などを追加する予定です。こうした取組により、せたがやPayが消費者に継続的に利用される決済手段となることを目指してまいります。  以上でございます。 ◆十七番(宍戸三郎 議員) 区民の健康づくりと健康寿命の延伸は、区においても最も重要な課題の一つです。今後も施策の検証、総括を行い、さらに前に進めていただくことを要望します。  最後に、松村副区長が就任されて、今後DXが進むことが大いに期待されています。我が会派がかねてより提案してまいりましたくみん窓口や出張所、また施設利用料をはじめとする決済にせたがやPayが活用できる仕組みづくりをお願いして、質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上で宍戸三郎議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、十六番河野俊弘議員。    〔十六番河野俊弘議員登壇〕(拍手) ◆十六番(河野俊弘 議員) 質問通告に基づき順次質問します。  三軒茶屋の駅周辺のまちづくりについて、議会の様々な場で質問をしてまいりましたが、今議会においては、初日の我が会派の代表質問でも取り上げております旧池尻中学校の跡地活用の件の御答弁も踏まえて伺います。  三軒茶屋が世田谷東の玄関口として、広域生活・文化拠点としての本来あるべき都市機能の一つである産業政策の拠点としての役割は、旧池尻中学校跡地活用の位置づけと連動した考えを持っているのか。旧池尻中学校跡地活用については、区長が不退転の覚悟を持って進めていくとのことでしたが、この一つの事業を進めることはどこまで区内産業に影響が出ていくことであるのか。近接している三軒茶屋駅周辺のまちづくりについて、産業政策の面からも一体的にどこまで考えているのか。区が示している旧池尻中で育った事業者が三軒茶屋など区内でさらに育つことなどを具体的にどのように考えているのか。その上で、三軒茶屋駅周辺のまちづくりと連動した観点を、これまで自分が訴えてきた本来あるべき大都市として区民が一堂に会することができるような交流の場の創出、それがデジタル化によってさらに有効活用ができる集える場が、今世田谷区にはありません。産業政策の観点から、新たな区内産業活性化の起爆剤となるような魅力あふれる事業者が三軒茶屋から発信をしたいと思えることが重要であります。区の見解を伺います。  さらには、三軒茶屋駅周辺の公共空間の活用について、実際には御幸ビルの老朽化やふれあい広場の利活用、そして旧保健センターの跡地活用等々、活用の機会を待たれる三軒茶屋の公共空間の活用を、産業政策の観点からも一体的に考えていかなければ、有効な活用に導いていくことはできないと考えます。三軒茶屋については、児童館の未整備地区であることや、超高齢化社会を見据えた際に、高齢者施設の不足など、明確な課題もあります。そうしたことも踏まえて、多世代交流を見据えた場の創出など、新たな公共空間を地域のニーズに合った方針を聞き進めていくべきであります。区の見解を伺います。  高齢者の学び直しの機会の創出について伺います。  先日、地元の高齢の方からこのような相談がありました。自分の学力を見詰め直したい。自分自身が学習した当時と、今現代の子どもたちが学習している内容は、GIGAスクール構想の推進とともに、タブレットによる学習はもちろん、大きく変化している、孫、ひ孫が今習っていることを教えられない。そしてそれが、習うことで、認知症予防やフレイル予防として具体的には中学生レベルの学習をやり直すことができないかなどという内容でした。  現状、区では夜間学級、三宿中学校ですが、それがありますけれども、高齢者を中心としたものではなく、学び直しの機会としてはハードルが高いです。実際に区に問い合わせたところ、ニーズに当てはまる窓口はなく、たらい回しになってしまった、その方は探して、千代田区にある全国で唯一卒業資格が取れる神田一橋中学校が受け入れていることについて前向きな説明を受けたけれども、これは随時募集ではなく、すぐに申込みができないということでした。  できれば、区内に学び直しの機会があればよいが、今はありません。夜間学級以外に、区の生涯大学というのもありますけれども、学習する内容がニーズとマッチしていません。  このような声を受けて、今後、団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年を目前に、フレイル予防にもつながる学習の場を創出する必要があるのではないかと考えます。  英数国社理の五教科を現代のレベルで学び直す機会の創出について、身近な場所であるまちづくりセンターの活用はいかがでしょうか。そして、今年も御高齢な方にとって危険な酷暑の季節が来ます。特にひとり住まいの方にとっては、一日中家にいることを余儀なくされ、一日おうちの中で過ごし、誰とも話す機会が得られない、そのような環境は認知症の進行やフレイルにつながる原因になります。  例えばですけれども、サマースクールのような形で、短期間で通信教育を自宅から受けられることや、通信環境のない方には、身近なまちづくりセンターに行けば授業が受けられる環境をつくることなどを検討できるのではないでしょうか。区の見解を伺います。  三番目に、会場開催が中止となった令和三年一月の成人式について伺います。  四月の区民生活常任委員会において、令和五年の一月の成人式についての報告がありました。成人年齢が十八歳に引き下げられたが、今後の区の成人式について、これまでどおり、年度ごと二十歳を迎える方を対象として、名称も「二十歳のつどい」として開催すること、そして、会場についても本年同様に、日本大学文理学部百周年記念館をお借りして、会場開催を基本とし、コロナ対策の徹底と式典のライブ配信などを行い、開催に向けて準備を進める旨の方針が示されました。  今回の質問項目にあります令和三年一月の成人式においては、新型コロナウイルスの感染拡大により会場開催ができなかった、そして、その代替イベントとして、今年の二月に本拠地を世田谷区に置くリコーブラックラムズ東京の試合観戦の招待を企画しましたが、これも残念なことに、選手がコロナの感染によって試合自体が中止になってしまいました。その結果、対象となる令和三年新成人の方々約八千人の方々には一生に一度しかない機会を、やむを得ない事情ではありますけれども、奪う形になってしまいました。会場開催ができなかった八千名の方々を対象に、区がいま一度心に残るものや、地元世田谷区の魅力を再発見できるようなもの、そして愛着が増すようなものを取組として創出するべきだと考えます。コロナ禍ではありますけれども、対策を講じた中で、本来集えたことであるべき再会の場をつくり出すこと、旧友の再会をもたらし、再度連絡を取るきっかけになるような仕掛けを提供するべきではないでしょうか。経済活動が再開しつつある今、コロナ禍でも楽しめる機会を考えていくべきだと考えます。区の見解を伺います。  最後、四番目に、避難所運営について伺います。  先日、地元町会の避難所運営訓練が三年ぶりに避難所となる小学校で開催されました。その学校は、新校舎になって初めての訓練ということもあり、これまでどおりの総務・情報班、避難所班、給食・物資班、救護・衛生班の四つに分かれて、従来どおり行う内容も見直して、一から自分たちがどこまで活動することができるのか、施設の確認をしながら、個々、個々でどのような対応ができるかということを見直して、実際の被害を想定した訓練とは異なり、自助の重要性を見直すことができた訓練でもありました。  その後、先日の特別委員会で報告もありましたけれども、東京都の被害想定が見直しを受け、区内の避難者数が増加し、区民の在宅避難を基本とする意識改革がされなければ、実際に避難所となる地域の避難所運営は現状厳しさを増すばかりであります。  改訂公表された東京都の首都直下地震の被害想定でも、新たな課題が浮き彫りとなりました。区内でも大きな懸念材料となる問題として、高層マンションなどの急激な増加であります。近年建築された高層マンションは、首都直下地震のような激しい揺れにも耐えられるように造られていますけれども、地震後には電気、水道、ガス、ライフラインなどが止まることが想定されます。東日本大震災であれば、電気は六日間、水道は二十四日間、ガスは三十四日間という形になっています。  そこで鍵となるのは備蓄です。去年、東京都が行ったアンケートでも、水や食料を一週間以上備蓄している人は一〇%にとどまっています。代表的な大人二人、子ども二人の家族の場合、マンション住まいで、必要な一週間の備蓄は飲み水が七十六リットル、無洗米であれば十キログラム、トイレットペーパーは九ロール、簡易トイレは百四十回分、そして体を拭くようなウェットボディタオルは二十八枚と、この数字を聞いて、簡易トイレ一つだけを見ても、区民一人一人がマンションであれば、その管理者がそれを把握し、備蓄ができているのでしょうか。在宅避難をベースに考えると、一つ、このトイレの問題、そしてそれに伴うごみの問題にとっても区民には伝わらない、この現状をリアルに考えて、避難所運営一つ一つの在り方を見直す必要があるのではないかと考えます。区の見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎後藤 経済産業部長 三軒茶屋駅周辺のまちづくりにおける産業政策の在り方等について御答弁をいたします。  三軒茶屋のまちづくりの未来を描く三茶のミライがございますけれども、その中に掲げる九つの未来像は、産業政策はもちろん、様々な観点の政策を連携誘導させ、一体的に展開していくことで実現できるものと考えてございます。  現在検討を進めている旧池尻中跡地施設は、出会いと創造の場として、事業者はもちろんのこと、多様な区民が気軽に訪れやすい空間とし、産業と区民生活の接点とすることで、産業活性化と地域住民にもメリットのある施設となることを目指してございます。また、拠点で起業、創業した事業者が区内各地に展開し、町の新たな活力となることで、町全体の発展に寄与していくことを目指しています。その意味では、この施設で実現することが、三軒茶屋の未来の実現に大きく寄与するとも言えると考えてございます。  引き続き、関係所管と連携を取りながら、新たな拠点での取組と併せ、三軒茶屋周辺のまちづくりが区全体の発展につながるよう努めてまいります。  これらを踏まえまして、御指摘の三軒茶屋における産業交流の機能につきましては、現在、新条例に基づく産業交流の在り方や拠点、機能に関する議論を進めているところであり、その方向性についても明らかにしていきたいと考えてございます。  以上でございます。 ◎加賀谷 政策経営部長 私からは、三軒茶屋周辺の公共施設機能について御答弁いたします。  三軒茶屋駅周辺は、商業、業務、文化等の機能が充実し、多くの人がにぎわう区の広域生活・文化拠点としての魅力を有し、交通の要衝であることから、現在経済産業部門をはじめ、就労関係の機関や世田谷地域の区民集会所機能、文化関連施設など、多くの公共機能が集まってございます。三軒茶屋の公共空間の活用につきまして、議員御指摘のとおり、建物の老朽化や区分所有である建物の後利用など、新たな行政ニーズの課題もございます。
     区としましては限られた施設や財源の中で、効果的、効率的な公共施設機能の活用、配置に向けて、三軒茶屋駅周辺のまちづくりも踏まえながら、都市整備所管と周辺の土地利用等の情報共有を行い、引き続き検討を進めてまいります。  以上です。 ◎片桐 生活文化政策部長 私からは、二点お答えいたします。  初めに、高齢者の学び直しについてです。  高齢者がいつまでも生き生きと暮らせるよう、地域での学びや仲間づくりをサポートしていくことは、区として大変重要であると認識しております。区では現在、生涯学習や高齢者支援の観点から、各種講座をはじめ、世田谷区生涯大学など、高齢者の学びの支援に取り組んでおりますが、お話にありました学校教育の学び直しについては実施しておりません。義務教育においては、高齢者も含めた多様な方が学ぶ場として、三宿中学校の夜間学級がありますが、対象を特別な事情により学齢期に学ぶ機会がなかった方としており、限定されております。  今後は、御指摘の点を踏まえ、総合支所や教育委員会など、関係所管とも連携しながら、学び直しを含む身近な地域での生涯学習の場について検討してまいります。  次に、令和三年の成人式についてです。  令和三年一月の新成人のつどいにつきましては、当時、新型コロナウイルス感染症が急拡大したことにより、残念ながら会場開催を中止し、式典のライブ配信を行いました。また、本年二月には、新成人のつどいの代替イベントとして、地元世田谷の関心を持ってもらい、思い出づくりとして、世田谷区をホストエリアとし、区と協定を締結しているラグビーチーム、リコーブラックラムズ東京のホストゲームへの招待を進めておりましたが、再度、新型コロナウイルスの影響により試合が中止になったところです。  お話しのように、会場開催できなかった皆様に何か心に残るものや、地元世田谷の魅力や愛着を持っていただけるような取組について何らかの形で実現するよう区長からも指示を受けたところであり、内容につきましては、できるだけ早期に検討してまいります。  以上です。 ◎大塚 危機管理部長 私からは、避難所運営について御答弁申し上げます。  区は、今般の避難所運営の見直しといたしまして、まずは発災直後の最も混乱する数日をどのようにして安全に乗り切るかを最優先に検討を進め、検討結果は年内を目途に取りまとめ、避難所運営委員会に御提示してまいります。  また、避難所運営の見直しとともに、併せて在宅避難の推進と、在宅避難者支援の強化についても取り組むこととしております。これらの一連の検討や取組に当たりましては、議員御指摘のように、具体的でリアリティーのある想定に基づいた課題の把握と、実現性のある対応策を講じていかなければならないものと考えております。  こうしたことを踏まえまして、多くの被災地支援の経験を積んだ関係機関に検討に参画していただくとともに、避難所運営委員会の皆様の御意見を伺う場を設けることとしておりまして、これにより、議員御指摘の現実に直面するリアルな課題の把握に努め、それらの課題に真摯に向き合いながら、一連の見直しを進めてまいります。  以上でございます。 ◆十六番(河野俊弘 議員) まず最初に、三軒茶屋駅周辺のまちづくりについてということで、今回は経済産業部と、あと政策経営部のほうでお答えをいただきました。これまでは都市整備政策部のほうで様々お答えをいただいていましたけれども、これまでの答弁の結果、やっぱり連携を必ず取りながら、しっかりと進めていく上で、今回その池尻中跡地の問題もありますので、一体的にやっぱり考えていく必要があるというふうに思っておりますので、ぜひとも深い連携を取りながら進めていただきたいというふうに思っております。  そして、避難所運営について、今日様々な課題を一つ取り上げたいと思って、今回備蓄のことを焦点当てて話をしていますけれども、先日、話をしていく中で、やっぱりその多くの区民の方が、やっぱり知らないことがまず問題でありますし、在宅避難の問題であったり、代表質問のほうでも、今回我が会派の代表質問で在宅避難の勧めというのが、まだまだ区民に浸透していないというのが、本当に大きな課題であるなというふうにも思っています。  これは私自身の考えでありますけれども、避難所という名前自体も、もう変えるべきなのかなというふうにも思っています。避難する場所ではない。本当に必要な方が物資を取りに行ったりとか、機能をしっかり分けて考えていかなければいけないというふうにも思っておりますし、本当に福祉的な立ち位置で、体が弱い方だったりとか、妊婦の方だったりとか、そういった方々がやむを得ず避難をしていく、そういった位置づけで、誰もが避難できる場所ではないんだよということをしっかりと区民に伝えていくためにも、何かしらの方策を講じながら、しっかり前に進めていきたいというふうに思っておりますので、今後もこの課題については提起していきたいというふうに思っております。  以上で終わります。 ○下山芳男 議長 以上で河野俊弘議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、二十五番たかじょう訓子議員。    〔二十五番たかじょう訓子議員登壇〕(拍手) ◆二十五番(たかじょう訓子 議員) 通告に従い、伺います。  まず、事業者支援について伺います。  せたがやPayによる事業者支援の対象拡大についてです。長期化するコロナ禍に加え、物価高騰は今後もさらに深刻化することが予想されます。区内の建設業の方からは、建設資材価格が二割以上上がっている、契約時と価格差が生じている。コーヒー豆の販売店の方からは、既に値上げをしている、さらに仕入れ値が上がることが見込まれ、客離れが心配と伺っています。  区は、せたがやPayを活用した消費喚起策や事業者支援に取り組むとしています。生活必需品の価格高騰が直撃している中、消費税を上回る二〇%のポイント還元は、消費喚起策として積極的なものと考えます。事業者支援については、せたがやPay決済分の五%のポイント還元を、二十万円を上限に実施します。しかし、対象事業者が一万四千件中二千二百件しか参加しておらず、支援は狭い範囲にとどまっています。区内店舗にせたがやPayへの参加を促す取組が必要です。せたがやPayに参加する店舗に三万円の付与を行う取組を再開することを求めます。見解を伺います。  次に、区独自の直接支援についてです。事業者からは、せたがやPayを活用した支援だけでは不十分との声を伺っております。依然、区独自の直接支援を求める声は大きく、この間区議団も求めてきました。今後の新型コロナ七波、八波の状況、さらに本格化する物価高騰により、今後も予断を許さない状況です。  仙台市、宇都宮市、上田市など、多くの自治体で、独自の事業復活支援金の上乗せを実施しています。国や都に対し、さらなる支援を求めると同時に、区独自の事業復活支援金の上乗せなど、直接支援を求めます。見解を伺います。  次に、新たな被害想定を踏まえた災害対策について伺います。  まず、不燃化、耐震化、命を守る三点セットについてです。区は、一九八一年以前に建築された、いわゆる旧耐震基準で建てられた木造住宅の耐震化を令和七年度までに実現することを目標としており、現在の耐震化率は約九三%です。残されている未耐震住宅の課題として、高額な耐震改修費用が捻出できない、違反建築のため助成を受けることができないなどがあり、この間、耐震改修費助成の増額や、違反建築でも区民の命を守るために助成範囲を広げることを求めてきました。  新たな被害想定では、建物の全壊は、前回の想定の六千七十四棟から六千四百六十四棟と、約四百棟増えました。八十一年以降の建物であっても倒壊の危険が指摘されており、他自治体でも取り組む二〇〇〇年新耐震基準での耐震化も含め、不燃化、耐震化をどのように進めるのか、伺います。  また、未耐震でも建物の倒壊から命を守る耐震シェルターや耐震ベッドの活用、また、倒壊した住宅から火事を出さないための感震ブレーカーの設置、家具転倒防止器具の三点セット、これの普及推進に向けたさらなる努力が求められます。今後どのように進めるのか、伺います。  次に、指定避難所不足についてです。前回の想定では、避難生活者は約十五万七千人でした。区は約十七万人分の指定避難所を確保してきました。コロナ対応により密集を避けるために、現状約十二万人分の確保にとどまっています。新たな被害想定では、避難生活者が最大で約二十一万四千人となっており、指定避難所の不足が明らかになりました。対策として区は、指定避難所を増やすのではなく、在宅避難の推進と在宅避難者支援の強化を掲げています。  在宅避難の推進だけで避難所不足が解消するのでしょうか。実態を把握し、国、都、民間と連携し、指定避難所、福祉避難所を確保することを求めます。見解を伺います。  また、熊本地震の際に、避難所運営について住民自治が進んだ避難所と、そうでない避難所では、生活の質に大きな格差が生じたと伺いました。区が進める地域行政推進条例策定に向けた議論の中でも、避難所運営の主体となる町会・自治会の担い手不足が課題となる中、緊急時の住民自治やコミュニティーの力を発揮できる仕組みをつくる必要があります。見解を伺います。  次に、マンションでの在宅避難を継続するための支援について伺います。東日本大震災の際、多くのマンションで住民同士が助け合い、支えあうことにより、生活の質を高めるケースが見られました。新宿区、千代田区などでは、専門知識を持つ防災アドバイザーをマンション管理組合に派遣し、自主防災組織の立ち上げや、マンションに必要な防災対策、防災訓練に関することなど、区の施策を紹介しながら実践的な内容の助言を行っています。  新たな被害想定でも自宅避難の必要性は明らかになっており、マンションでの在宅避難が継続できるよう積極的に支援すべきです。マンション管理組合等への防災アドバイザー派遣事業を求めます。見解を伺います。  次に、千歳烏山駅周辺のまちづくりについてです。  まちづくりは住民が主人公です。下北沢、三軒茶屋では、区が積極的に話合いの場をつくって、そこに参加した多様な区民が、町の魅力や将来像について語り合うなど、参加と協働のまちづくりが進められています。  千歳烏山駅前広場南側地区では、再開発準備組合設立に向けた取組が進められており、町が大きく変わる契機となっております。住民自身が魅力を感じるまちづくりにつなげていくために、下北沢や三茶での取組を参考に議論する場が必要であり、積極的に進めていただくことを求めます。見解を伺います。  最後に、北烏山地区会館の廃止計画についてです。  北烏山地区会館の利用者の会の皆さんは、五月十六日、区長宛てに北烏山地区会館の存続を求める陳情署名四百七十筆を提出しました。高齢者の交流の場として活用してきた方は、北烏山地区会館があるから続けてこれた、なくさないでほしい、三十人規模の集まる場がなくなったら、烏山区民センターまでバスに乗っていかなければならないなどの声が寄せられました。  集会施設の削減は、社会教育の後退となります。現在策定中の地域行政推進条例(素案)では、地域住民のまちづくりに係る学習の機会や活動の場の確保を図るとしています。北烏山地区会館は、地域住民にとってかけがえのないものです。代替施設の確保など、住民の要望に沿った真摯な対応を求めます。見解を伺います。  障害者施設は必要であり、積極的に進めるべきです。同時に、社会教育の場の確保も重要です。異なるニーズの区民同士を対立させることなく、事業を進める努力をしていただきたい。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎後藤 経済産業部長 事業者支援について二点御答弁いたします。  まず、せたがやPay加盟店等拡大についてでございます。令和四年五月三十一日現在、せたがやPayの加盟店申込み数は約二千二百店舗、利用者数は三万人程度まで到達しましたが、小売りや飲食、サービス業等の生活関連産業の区内事業者が、お話しのとおり約一万四千あることから、さらに加盟店を拡大する必要があると認識してございます。  加盟店拡大の方策としては、事業者に対する文書通知等による直接的呼びかけや、商店街と連携し、事業者同士の横のつながりを生かした働きかけを継続していきます。  商店街関係者からは、近隣に加盟店が増えると、様子見していた店舗も加盟し始める傾向にあると聞いており、加盟店が比較的多い商店街から重点的に働きかけることで、結果的に全体の加盟拡大が加速するものと考えてございます。  なお、加入時のインセンティブについてですが、既に加盟している店舗とのバランスを考慮し、このたびは考えてございません。また、せたがやPay利用者の拡大には、ほかの年齢層と比較して商店街や中小個店へのなじみの薄い若年層をターゲットにした事業周知の必要性も認識してございます。各種イベントへのせたがやPayブースの出展はもとより、インスタグラムなど、SNS広告を活用するなど、若年層に対する周知方法を引き続き検討してまいります。  二点目、区独自の事業復活支援金の上乗せについてでございます。事業復活支援金を受給した事業者に対しまして、一様に上乗せの給付を行った場合、区が投入可能な予算額では、一事業者に対する給付額は極めて薄くなります。その場合、事業者が事業を立て直すための十分な支援とはならず、現在の停滞状況に大きな変化を起こすことは困難であると思われます。  そこで、区内の主要産業である生活関連産業に対し、消費喚起策と事業者支援策をせたがやPayによって行い、売上げに応じたインセンティブで、事業者の意欲を引き出し、また、消費者の経済活動も促すことで、区内経済の循環を加速してまいります。その結果として、生活関連産業のみならず、区内で経済活動を行う多くの産業の業績を底上げできると考えております。  物価上昇等の経済状況の変化は依然として予断を許さない状況であり、引き続き動向を注視しながら、国、都の財源等も活用し、必要な施策を機動的に実施してまいります。  以上でございます。 ◎笠原 防災街づくり担当部長 私からは、二点御答弁申し上げます。  まず、耐震化支援でございます。  区は昨年度、耐震改修促進計画を改定し、旧耐震木造住宅等の耐震化支援への取組を強化しております。周知啓発の強化として、旧耐震木造住宅に対して直接案内を配付する取組を昨年度より開始しており、令和二年度と比較して耐震改修等が五件から十件、除却が四十六件から百五件と、助成件数が増加しており、効果があるものと考えております。  また、助成制度の拡充につきましても、木造住宅の耐震改修工事等や耐震シェルター等の助成では、三十万円から五十万円の上乗せ助成を実施しており、今年度以降も継続して実施していくものとしております。  さらに、建築基準法に適合していない建築物につきましては、耐震改修工事と併せて是正工事を行っていただくことで、助成対象となるように誘導しております。  議員御指摘の二〇〇〇年基準以前の木造住宅についても区として認識をしておりますが、現時点では都や他自治体の動向を踏まえながら研究、検討することとし、より危険性の高い旧耐震木造住宅に対する取組に注力していくべきと考えております。  今後も、災害に強いまちづくりのため、不燃化特区等における不燃化の取組と併せて、区内に約四万棟ある旧耐震木造住宅への耐震化支援の取組を推進してまいります。  続きまして、耐震シェルター等の普及啓発です。  家具転倒防止器具や耐震シェルター、感震ブレーカーを設置することは、区民の命を守る一つの手法として有効であると考えております。家具転倒防止器具の取付けと耐震シェルターの設置については、六十五歳以上の高齢者や障害者等を対象に支援制度を設けており、様々な広報媒体を活用し周知を図っております。  家具転倒防止器具取付支援につきましては、器具と取付費を合わせて二万円を上限に、訪問して設置する制度になりますが、取組の強化として、今年度より七十五歳を迎える区民を対象に郵送による直接周知を予定しております。  感震ブレーカーにつきましては、家庭用防災用品としてあっせんを行っており、地域の防災活動での周知のほか、昨年度より実施している旧耐震基準木造住宅への戸別訪問の際に、支援制度を説明する機会を活用し、周知しております。  家具転倒防止器具、耐震シェルター、また感震ブレーカーの設置については、今後も様々な機会を活用し、積極的な周知に取り組んでまいります。  以上です。 ◎大塚 危機管理部長 私からは、二点御答弁申し上げます。  初めに、避難所の確保とコミュニティーの視点を踏まえた取組についてでございます。  町会・自治会への加入率の低下や高年齢化が進む中、指定避難所運営の実働人員の確保が困難となっており、新たな避難所を開設する場合の大きな課題となっております。このため、現状におきましてはマンションをはじめとする在宅避難の推進を図ることが実効性のある避難者対策であると考えており、区の責任の下、喫緊の課題としてこの取組を進めてまいります。また、福祉避難所につきましても、区有地への高齢者施設整備の際、福祉避難所の協定締結を応募要件にするほか、既存の施設に協定締結の働きかけを行うなど、引き続き関係所管と連携し、拡大に向けて取り組んでまいります。  なお、今後、地区ごとの避難者数や在宅避難の推進による効果などの検証を行うことを予定しておりますが、一部には、なお避難先が不足する地区が生じる可能性があるものと考えております。これを踏まえまして、一連の取組と並行し、さらなる避難所等の確保などについても検討してまいります。  いずれにいたしましても、地域行政制度の充実強化を図る中で、参加と協働によるまちづくりを進め、地域の防災力の向上を図ることが避難者対策をはじめとする災害対策の基盤になるものと考えておりまして、こうした視点の下、関係所管と連携し、全力で一連の取組を進めてまいります。  続きまして、防災アドバイザー派遣事業についてでございます。  防災アドバイザー派遣事業の先行区の事例といたしましては、例えば、千代田区は、マンション管理士の資格を持つ専門家を派遣し、マンションの防災計画の策定支援や防災資機材購入の助言を行っております。また、中央区は、防災対策推進マンションとして登録したマンションへアドバイザーを派遣し、防災マニュアルの作成や防災訓練の実施支援、コミュニティーづくりのための助言を行っております。  また、自治体がアドバイザーを直接派遣するほか、外郭団体の事業として実施するなど、各区の状況に応じた工夫がなされております。区は在宅避難の推進に取り組むこととしており、マンション等へのアドバイザー派遣につきましても、こうした先行自治体の実施状況を調査し、本区の実情に応じた有効性を見極めるなど、検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◎皆川 烏山総合支所長 私から、二点御答弁いたします。  まず、千歳烏山駅前交通広場の南側地区のまちづくりについてでございます。  現在、千歳烏山駅前交通広場の南側地区では、地区内の土地や建物所有者によるまちづくり準備会により、再開発事業を活用したまちづくりの検討などが行われており、区はその活動を支援しているところでございます。  本年五月に開催された第五回まちづくり準備会では、検討を深める場として、再開発準備組合の設立を目指し、参加者による意見交換や、駅周辺全体をも意識した地区の在り方等について議論が行われるなど、取組が活発化してきていると認識しております。  区といたしましては、まちづくり準備会と意見交換を重ね、今後の検討段階に応じ、周辺住民等への情報提供や意見交換の在り方などについても、時期を逸することなく、場をつくりながら、駅南北の交流と人々が集う魅力あふれるまちづくりの検討を支援してまいります。  続きまして、北烏山地区会館についてでございます。  令和三年九月に、世田谷区公共施設等総合管理計画の一部改定を行い、利用率の低い区民利用施設については、維持管理に係る将来コスト、老朽度、用途地域、立地及び近隣施設の状況なども考慮し、統廃合、転用の可能性も含めた有効活用策を検討することといたしました。  北烏山地区会館、それから近くの寺町通り区民集会所の利用率は共に低く、両者の機能を統合し、北烏山地区会館の跡地は、障害者施設としての活用する方向性を示したところでございます。施設を利用されている方からは、今後の施設の利用についての御心配の声や、北烏山地区会館の存続を求める声があることは承知しております。  今後の進め方は、現在検討しているところではございますが、まずは利用者の方の御意見を伺い、施設の利用や運営の手法などについても御相談しながら丁寧に説明を行い、誠意を持って対応してまいります。  以上でございます。 ◆二十五番(たかじょう訓子 議員) 二点再質問いたします。  一点目は、感震ブレーカーの普及についてです。先ほどの答弁で、六十五歳以上の方に家具転倒防止器具を無料で取り付ける取組を強化して、今回、七十五歳を超える方にお知らせしていくということでした。このタイミングで、ぜひ感震ブレーカーについても無料設置をしたらどうかというふうに提案いたします。感震ブレーカーについては、補助事業を廃止して、現在はあっせんに変更されました。必要な支援を再開して、積極的に進める必要があると思いますが、見解を伺います。  もう一点、北烏山地区会館についてですけれども、北烏山地区会館の統廃合に当たって、三十人規模の集会施設を地域で補完してほしい、確保してほしいというのが利用者の要望です。区営住宅の集会室の活用ですとか、民間の集会施設が活用できないかと、こういったことを働きかけていただきたいというふうに思いますが、御意見を伺います。 ◎大塚 危機管理部長 感震ブレーカーについての再質問にお答えいたします。この間、震災時における通電火災の危険性や感震ブレーカーの必要性の認知度を上げるために、普及啓発やあっせんの紹介に努めてまいりました。また、耐震シェルターや家具転倒防止器具の設置の際に併せておすすめし、普及促進も図ってきたところでございます。  これにとどまらず、今般の新しい被害想定に伴い、家庭内の防災対策に関する関心が高まる中、普及促進を図るよい機会にしていかなければならないと考えております。  現在のあっせん制度から、助成制度や無償設置に切り替えていくことにつきましては、持続可能性や、今後の都の地域防災計画改定方針にも掲げられている災害の備えを一層促す方策の展開の取組を踏まえながら検討してまいります。  なお、感震ブレーカーの設置につきましては、遮断による医療器具への影響や、防犯上の問題などもあり、住民の方にこのことを御理解いただいた上で設置の御判断をいただく必要がございます。仮に設置しない場合であっても、しっかりと通電火災の危険性や防止策を十分に御理解いただけるよう周知に努めてまいります。  以上です。 ◎皆川 烏山総合支所長 私からは、北烏山地区会館についてお答えいたします。  寺町通り区民集会所には、二十四人定員の会議室が二つありますので、ウェブ会議ができるような機能を持たせるなどの検討を行っております。あわせて、近隣に集会で使用できる施設があるか、また、三十人規模で利用できるような部屋があるのかどうかも含め、確認してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◆二十五番(たかじょう訓子 議員) ありがとうございます。北烏山地区会館の問題については、本当に地域の皆さんの要望が高いというふうに、私も訴えてきました。ぜひ丁寧な取組をお願いしたいと思います。  以上で質問を終わります。
    ○下山芳男 議長 以上でたかじょう訓子議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午前十一時五分休憩    ──────────────────     午前十一時十五分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  一般質問を続けます。  四十番いたいひとし議員。    〔四十番いたいひとし議員登壇〕(拍手) ◆四十番(いたいひとし 議員) 初めに、障害者施設の整備手法についてお伺いをいたします。  第六期世田谷区障害福祉計画では、特別支援学校卒業生の進路希望や障害者支援施設梅ヶ丘からの地域移行等を踏まえた施設需要に対応するため、生活介護施設及び就労継続支援B型施設とグループホームの整備を重点課題として挙げております。  また、二〇三〇年度までの施設整備の所要量として、生活介護は三百四十人程度、就労継続支援B型は二百二十人程度、グループホームの中軽度障害者対象は二百人程度、重度障害者対象は三百人程度必要であるとしております。しかし、障害者の施設整備は、中長期にわたる取組が必要であり、事実、この十年間に整備された施設は僅か九件であり、民有地活用は二件にとどまっています。障害者施設整備の困難さが如実に現れています。  区は、障害福祉計画で所要量は示していますが、施設整備の具体的な方策は明らかにしていません。このままでは重度障害者の行き場がなくなると、関係者から懸念の声が聞こえてきます。  区は、今般の世田谷区障害理解の促進と地域共生社会の実現をめざす条例を提案していますが、大事なのは条例をつくることではなく、条例の中身を実現することであります。子どもの行く末を案じて亡くなられた保護者の気持ちを真摯に受け止め、施設整備を進めるべきであります。  そこで私は、整備が遅れている重度障害者のグループホーム等の整備においては、保育園整備に貢献した手法を活用することを提案します。保育園整備が進んだ要因として、土地等賃貸補助と不動産関係者との連携があります。東京都は、定期借地権の一時金に対する補助事業を行っていますが、それでも適地を見出すことは困難です。整備促進の鍵は、理解のある地主の協力を得ることです。  今後、運営側とのマッチングも課題ですが、保育園整備で培った人脈と不動産活用のノウハウの財産を最大限に活用し、重度障害者のグループホーム等の整備を促進すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。  次に、無菌調剤室について伺います。  入院治療、外来・通院治療に次ぐ、第三の医療である在宅医療が注目されています。厚生労働省は、医療費の抑制や病床不足の解消の観点から、在宅医療を国策として推進しており、薬剤師や栄養士といった健康の専門家をその中核となることが期待されています。  また、在宅医療の進歩により、病院でしか行えなかった点滴療養、中心静脈栄養法輸液が自宅で行えるようになりました。このとき用いる点滴薬剤の調製にはクリーンルームを利用した無菌調製が必要となります。クリーンルームとは、高度なフィルターを通した清浄な空気を常に循環させることで、微細な粒子や微生物等、空気中を浮遊している異物を排除して、空気の清浄度が管理された区画のことです。  例えば、在宅医療を受ける患者が、中心静脈より投与される高カロリー輸液は、高濃度の糖質、アミノ酸を含んでいます。そのため、微生物の汚染を受けやすいため、調剤師は、作業中はもとより、準備から後片づけまで全ての段階において細心の注意を払う必要があり、調製には無菌施設の設備が求められます。  がん対策推進条例を制定している当区においては、がん患者の在宅療養のためにも、増加する医療的ケア児のためにも、身近な地域における医療体制を支える手段として、無菌調剤室の必要性が増しています。しかし、無菌調剤室開設には、一定の設置要件があり、経費がかかります。採算面での課題も残ります。全ての薬局に設置することは困難ですが、地域の薬剤師が共同利用できる無菌調剤室の確保ができれば、区民にとって在宅医療を身近なところで安心して受けられる可能性が広がるものと考えます。区として、無菌調剤室の必要性をどのように認識されているのかも含めて、見解を求めます。  次に、区内転居に伴う生活保護行政についてです。  ある福祉事務所管内に居住していた生活保護受給者が区内で転居され、移転後二か月が経過し、体調が優れなくなり、検査入院をするため、医療券の発行を依頼したところ、転居した先は別の福祉事務所になるので、生活保護は廃止され、最初から生活保護の申請が必要だと言われたそうです。  さらに、転居先の福祉事務所からは、検査入院中で、今後手術が必要なのに、手術前に書類の提出や面接をしなければ生活保護が受けられなくなり、医療券の発行もできないと言われたそうです。世田谷区内の転居で生活保護が受けられなくなるとは想像もできなかったと、大変困惑し、相談がありました。  世田谷区は一つの行政体でありながら、地域行政制度を敷いている関係で、五つの福祉事務所があり、それぞれが独立しています。しかし、区民から見ると、同じ世田谷区で生活保護行政が分かれていることは想像すらできません。しかも、今回のように医療券が、全ての手続が終了しなければ発行できないとするならば、生存権を脅かす案件であると思います。  制度上のことは理解できますが、現行の保護行政が区民のための保護行政になっているかどうかは別問題です。区内転居に伴う生活保護の継続を最優先とし、その上で、両福祉事務所間で必要書類等を引き継ぐ事で、手続を簡略化することは可能ではないかと思います。それは同時に、職員の事務負担の大幅な軽減にもつながるはずです。  今後の保護行政にあっては、既存の生活保護法施行細則、あるいは新たに要綱にそのことを明記し、どの職員でも同じレベルで業務が行えるようにする必要があります。保護行政の改善と細則等に明記することについての区の認識を伺います。  最後に、奨学金返還を支援する制度の周知等について伺います。  日本学生支援機構の貸与型奨学金は、学生の約四割に当たる百二十七万人が利用しています。大学生一人当たりの平均貸与額は、無利子で二百四十五万円、有利子で三百四十四万円に上り、卒業後に返済する社会人は四百五十三万人を超えています。しかし、失業や収入減による経済的な事情から、滞納者は約三十四万人で、返済に苦労する若者は少なくありません。  公明党はこうした若者の声を受け止め、返済不要の給付型奨学金制度の創設等を推進してきました。そして、昨年四月からは、優秀な人材の確保や福利厚生を目的とした企業が、それぞれ独自に社内規定を設け、奨学金を借りた社員に代わって、一部、または全額を返済支援する代理返還制度を創設しました。新制度は、企業が登録手続をすれば、直接返済分を同機構に送金できるようにし、返済分の所得税や住民税、社会保険料は原則かからず、負担を抑えることができる仕組みです。企業側の利点も大きく、支援分の金額は損金算入できるため、法人税の軽減にもつながります。また、東京都においては、公明党の提案で、十八年度から、介護職員奨学金返済・育成支援事業が開始されたのに続き、今年度からは中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業が始まりました。人材確保が難しい建築やIT・ものづくり分野の中小企業が、奨学金の貸与を受けている大学生を技術者として採用した場合、三年間で一人当たり百五十万円を上限として、奨学金の返済を助成するものであり、東京都はその半分を負担します。区としても、企業や学生双方にメリットがある、これら奨学金制度を、区内の事業者に積極的にPRするとともに、使い勝手を調査し、関係者に伝えるなど、区内企業の活性化につなげるべきと考えますが、見解を求めます。  以上で、壇上からの質問とします。(拍手)    〔中村副区長登壇〕 ◎中村 副区長 私からは、区内転居に伴う生活保護の手続について御答弁いたします。  保健福祉センターにおいては、生活保護を含む、いわゆる福祉六法に基づく福祉事務所機能だけでなく、的確で迅速な判断が求められる子ども、高齢者、障害者への虐待対応なども担っており、身近な地域での総合的な相談やサービスの申請ができ、さらに緊急的なケースに迅速に対応するという、地域行政制度が目指す機能を果たすため、地域ごとに設置をしているところです。  御質問の生活保護受給者が区内転居に伴い、福祉事務所の管轄区域が変更になる場合について、現在の法制度上は一旦生活保護を廃止し、改めて申請を行わなければなりません。手続の際に受給されている方に負担や不安を感じさせており、大変申し訳なく思っております。法制度を踏まえた上で、早急な見直しが必要と考えております。生活保護受給者の視点に立った業務改善等を行い、五センター統一のルールで運営するよう指示をしてまいります。  以上です。 ◎須藤 障害福祉部長 私からは、障害者施設の整備手法について御答弁を申し上げます。  区は、令和二年九月に策定いたしました障害者施設整備等に係る基本方針におきまして、障害者の地域移行先として、グループホームの整備を重点課題に掲げております。  現在、既存物件の活用が容易な中程度の障害者を対象としたグループホームの整備が進んでいる一方で、適合する物件を確保することが困難な重度障害者を対象としたグループホームは整備が進んでおりません。  区では、障害者グループホームに活用できる物件を確保するため、令和元年度より区内事業者からの依頼を受けて、区内の不動産団体に対して物件情報の提供を依頼する仕組みを構築しているほか、土地、建物の所有者向けのセミナーにおいて、グループホームへの活用を周知しているところです。  しかしながら、不動産団体や物件情報の提供を依頼する仕組みが広く運営事業者に認識されていないことや、土地、建物の所有者の方にグループホームに転用することのメリットを御理解いただけていない、こういった課題があると考えております。  今後、物件情報の提供については、ホームページだけではなく、SNSや事業者連絡会など、広く周知の機会を増やします。また、例えば社会福祉事業への協力実績のある方を含めた土地所有者に対して運営費や整備費に関する補助制度などを御案内し、グループホームへの土地活用を検討いただけるよう努めること、また、相談を直接受ける体制を確立するなど、民有地を活用したグループホームの整備促進の方策を検討してまいります。  以上です。 ◎田中 保健福祉政策部長 私からは、二点、まず無菌調剤室について御答弁いたします。  区では、住み慣れた地域で支えあい、自分らしく安心して暮らし続けられる地域社会の実現を目指し、地域包括ケアシステム構築の取組を進めています。高齢者はもとより、がん患者や医療的ケア児などが安心して在宅療養生活を送るためには、保健、医療、福祉等のサービスが一体的に提供される体制の整備が必要だと考えています。御指摘のとおり、国においても、がん患者等の在宅医療を推進するためには、高い無菌性が求められる注射薬などを調剤し、在宅での治療に使用することができるよう、無菌調剤室を備える薬局の設置が必要とされています。  一方、高額な設備である無菌調剤室を全ての薬局で設置することは困難であることから、他の薬局の無菌調剤室を共同利用することも可能とされています。このような状況から、区内の身近な薬局において、複数の薬局の薬剤師が共同利用できる無菌調剤室が設置されることが望ましいと考えます。  区では、がん対策推進条例に基づき、在宅で療養するがん患者への支援をがん患者の重要な施策の一つとして取り組んでいます。在宅医療のさらなる推進に向けて、無菌調剤室の必要性等を引き続き確認、検証し、区内薬剤師会をはじめ、関係機関とも協議を重ねながら、今後の課題や対応の方向性等を検討してまいります。  次に、生活保護の申請関連でございます。  今回、生活保護の手続で区民の方に不安を感じさせてしまったことは大変申し訳なく思っております。生活保護を受給されている方が区内で転居した場合の負担軽減については、各保健福祉センターが共通認識の下、統一した基準を作成し、運用することが重要だと考えています。  今後、保健福祉政策部と五つの保健福祉センターとで調整を行いながら、必要書類の明確化及びチェック表による引き継ぎ漏れ防止と情報の共有化、転居後も御本人の体調などを考慮した申請手続日の柔軟な運用など、区民負担の軽減に向けた具体的な共通ルールを作成し、職員の共通理解の下で運用できる仕組みを整備してまいります。  また、生活保護受給者向けの区内転居時の流れを、手続が分かるような御案内を作成し、生活保護受給者の不安解消を図ってまいります。  私からは以上です。 ◎後藤 経済産業部長 奨学金の返還支援制度について御答弁申し上げます。  お話しの建設、IT・ものづくり分野の奨学金返還支援事業についてでございますが、奨学金の負担が軽減されることで、採用された学生が安心して仕事に打ち込み、就労意欲の向上や職場定着につながることが期待されます。また、建設業をはじめ、この取組が対象とする業種は人材確保が難しい状況が続いておりますが、事業者がこの取組に参加することで、学生への訴求効果が高まり、業界全体のイメージの向上や採用力の強化につながるものと考えてございます。  区といたしましても、現在取り組んでいる建設業人材確保支援事業に参加している企業への説明会等の機会を活用したPRをはじめ、ホームページやセミナーなどでのチラシの配付を行うとともに、民間事業と連携して開始いたしましたITスキル習得講座の参加者と事業者とのマッチング、この機会を捉えた周知等制度が実効性のあるものとなるよう取組を進めてまいります。  以上でございます。 ◆四十番(いたいひとし 議員) 今、生活保護行政については、いろいろと工夫していただけるということで、私は細則や要綱を定めるべきだと思いますが、今回のところは了としておきたいと思います。  それから、無菌調剤室については、関係機関との協議が必要とのことですので、前向きにお願いいたします。  一点だけ追加質問しますが、奨学金に関して、区は児童養護施設退所者等奨学金基金を創設して、児童養護施設退所者の支援を行っています。このことは評価しますが、私は同様に、学びに困難を抱える生活保護や住民税非課税世帯にも何らかの支援を行うべきと考えます。区の担当者に聞くと、今ある基金は対象外だし、そもそも中学校卒業生の管轄部署がないという答えでした。しかし、養護施設退所者の支援の仕組みを活用し、基金の目的を変えれば済むことです。経済的に恵まれない家庭にも学びの保障をすべきと考えますが、区長の見解を伺います。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 いたい議員の再質問にお答えをいたします。  まず、お話しの児童養護施設を退所した若者たちなど、里親出身の若者を含めますが、返還不要な奨学金制度を創設して以来、大変多くの反響を呼びまして、世田谷区の制度開始以降、国や東京都において、同様の基金の給付型奨学金の拡充などが充実してきたと思っております。また、この児童養護施設退所者に対する奨学基金の呼びかけを、区民、そして区の外の全国、かなり広範なところから大変、こうして寄附をいただきました。金額はもう既に二億一千万円という、大変多額になってございます。  他方で、児童養護施設などから進学をする、大学や専門学校に行く若者が、当初私たちが予想していたよりはるかに少ないという現状がございまして、基金のほうが、寄附のほうが多くなっていくと、そして支援の中身のほうがこれでいいんだろうかということで、先日、児童養護施設等の奨学基金の在り方、活用の仕方について、専門家、有識者、そして、施設入所を体験した若者たちも含めて検討を行いました。こういった中で、まずは奨学金内容の支援内容をさらに充実すること、そして、進学だけではなくて、就労というところも対象にできないかなどの議論がございました。また、住まい支援についてもいろいろな住まいの在り方があるというところでの議論があります。  この議論の中でも、大学において、やはり経済的困窮で中退せざるを得ない、今、委員のおっしゃる生活困窮という中で、たくさんの若者が今苦しんでいると、そこは何とかできないのかというお話もありました。  ただ、この基金に関しては、児童養護施設出身などの若者たちの十八歳からのスタートを応援しましょうということで御賛同いただいて、長らく基金が積み上がっているということなんで、その枠を拡張するというのはなかなか難しいものがあろうと思います。  他方で、それでは、じゃ、児童養護施設出身者以外の、例えば生活保護世帯の若者たちが生活保護世帯で大学進学を希望するとすると、世帯分離をしなければいけなかったり、あるいはひとり親家庭のお子さんの中の進学率は大変低かったり、中退を余儀なくされたりという問題は、やはり区としても考えていかなければいけない問題だと思います。まずは、所管部に実態を把握して、区として何ができるのかということを、議員の質問を受け止めまして、これから検討してまいります。 ◆四十番(いたいひとし 議員) 実態を調査していただけるというふうに理解しましたので、大事なことですので、ぜひ進めていただきたいということを要望し、質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上でいたいひとし議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、一番神尾りさ議員。    〔一番神尾りさ議員登壇〕(拍手) ◆一番(神尾りさ 議員) 通告に基づき質問します。  まずは、ふるさと納税についてです。  ふるさと納税が与える区政や区民生活への影響が無視できない状況が続く中、先月、区民税流出額が約八十二億円になることが報告されました。また今後は、区財政への影響と制度の問題点について啓発を続けることと並行し、全国の関心を引きつけるような寄附メニューの設定や、世田谷らしさの工夫を凝らしたお礼品の充実など、取組を強化していくという新たな方向性が示されました。  この間、ふるさと納税による区民税減収額は、平成二十七年度のマイナス二億六千万円から、平成三十年度の四十一億円、令和三年度の七十億円、そして今般の八十二億円と増え続けており、新型コロナ禍による巣籠もり需要も影響しているとされます。本来はもっと早くに区の方針を全面的に見直し、方向転換すべきであったと考えます。  しかし、今さら過去を批判しても仕方がありません。まずは、現実的な目標として、区民税流出額を八十二億円で頭打ちにし、減収額を少しでも抑えていくことを目指す必要があります。  当区におけるふるさと納税のイメージを一変させるために戦略を立てるべきです。減収額が学校二校分に相当することなどを全面的に押し出した、悲壮感を漂わせるPRばかりでは人の心を動かすことはできないと思います。区民には世田谷に住んでいることを誇りに思ってもらい、また、区外の方には世田谷を心のふるさとだと思ってもらえるような、わくわくや楽しいを創出する挑戦が、このふるさと納税にも必要であると考えます。  今般、区がふるさと納税の方針を具体的にどう転換したのか、また、何としても区税の減収を止めるために、全庁を挙げてどう挑むのか、伺います。  一方で、寄附や返礼品の充実については、これまでも議会で取り上げてきました。庁内では、部長級で構成されるふるさと納税対策本部が設置され、様々な議論が交わされてきたと伺っていますが、より柔軟に斬新なアイデアを生み出すために、積極的に外部の意見を取り入れるべきと考えます。区の魅力を高めたり、応援してもらえたりする返礼品の提供に向けてどのように取り組むのか、伺います。  次に、生活習慣病の重症化予防についてです。  人は誰でも歳を取ります。そして、年齢を重ねるにつれて、健康であることの大切さを身にしみて実感します。健康な人が健康を維持するための区の取組については以前も伺いましたが、今回は、よりリスクが高い方を対象にした重症化予防の事業について伺います。  区では、特定健診の結果からリスクの高い方を対象に、糖尿病性腎症の重症化予防を目的とした保健指導を行い、腎不全や人工透析への移行を防止することを目指しています。慢性腎不全の方は、新型コロナ感染症の重症化リスクが高いことが明らかになりました。また、人工透析にかかる医療費は、一人当たり毎年五百万円以上、合計で毎年二十五億円を超えており、健康寿命の延伸や、医療費適正化の観点からも、重症化予防に力を入れる必要があります。  区ではこれまで、特定健診データから対象者を抽出し、三つのレベルに分けて勧奨通知を送付し、糖尿病の重症化予防に特化した保険事業を行ってきました。令和三年度のⅡ型糖尿病に該当する医療機関未受診者と、Ⅱ型糖尿病かつ腎機能の低下が見られる対象者の合計百四十六名に医療機関への受診を促した結果、受診したのは僅か二十六名でした。そして、同様の基準で医療機関を受診している二百五十五名のうち、保健指導を利用したのは二十三名でした。対象者を医療機関の受診と保健指導につなげるために、さらなる改善が求められます。  チラシのデザインをはじめ、オンラインの活用など、対象者に関心を持ってもらい、参加してもらうために、どのような工夫が可能でしょうか。  また、コロナ禍の特定保健指導においては、自宅からオンラインでの面接が受けられる取組も実施されていますが、今後はスマートフォンのツール等も活用し、一人一人の生活様式に沿った形での保健指導を行う必要があります。ICTの活用も踏まえ、どのように事業を展開していくのか、伺います。  区では、区民が生涯にわたり、健やかで心豊かに暮らすことができる地域社会の実現に向けて、健康せたがやプラン(第二次)を策定しており、重点施策の第一に、生活習慣病対策の推進を掲げています。本計画の次期改定も見据え、健康にあまり関心のない方へのアプローチなど、今以上に重症化予防の事業に力を入れるべきと考えますが、見解を伺います。  最後は、道路空間を活用したまちづくりについてです。  防災性や都市生活、機能的な都市活動を確保するために、都市計画道路の整備が求められる一方で、人々が集い、憩い、多様な活動が求められる町なかの歩ける区域では、道路空間を車中心から人中心に転換していく考え方が広がっています。今後は区においても、そういった認識を深められるような取組を推進する必要があります。  二子玉川の都市再生推進法人や下北沢の線路跡地などでは、公共空間をうまく使いながら、公共のものは公共がという考え方を変え、公共のものを地域で使ったり管理したりしようという機運醸成のための取組が、既に幾つか実践されています。  二子玉川、下北沢と並んで、広域生活・文化拠点に位置づけられている三軒茶屋では、令和元年から地域に関わる人々が度々議論を重ね、鉄道の連続立体交差事業や再開発事業といった大規模な町の改修や更新が行われていない中でも、まちづくりの機運を醸成してきました。三軒茶屋駅周辺に関わりを持つ多様な主体が、みんなでビジョンを共有し、取組を進めるために策定した三茶のミライは、昨年までの準備期を経て、今年度から創成期に入り、五年後の成長期に向けて、さらなる進化が求められます。  三茶のミライに掲げる九つの未来像では、道路空間の活用について、未来像五、六で、路上ライブなど公共施設及び公共的空間の活用促進に向けた仕組みの構築や、歩きやすい歩行空間整備などの取組が示されています。また、五月には、三軒茶屋のふれあい広場と茶沢通りで、三茶ワークとファーマーズマーケットの主催で、HAVE A GOOOD MARKETというイベントが開かれました。このイベントに合わせ、区や商店街、国士舘大学の学生が協力し、茶沢通りの数か所に人工芝やテーブル、椅子などを並べ、通りに滞留空間の創出を図る社会実験を行いました。  道路は安全や安心を守ることが第一で、歩行者の滞留性や回遊性を創出するには、議論や社会実験、振り返りなどの取組を丁寧に重ね、町の機運を醸成していく必要があります。  また、これまでの、道路は移動手段であるという考えから、道路はコミュニケーションの場所でもあり、住民と来街者とをつなぐこともできるものだという認識を共有していくことも大切です。さらなる道路空間の活用が期待されますが、その際の課題と、今後どのようにハードとソフトが一体となった取組を進めていくのか、伺います。  次に、これまでも度々取り上げてきたウォーカブル推進都市という視点で伺います。当区は、パブリック空間を人中心にし、居心地がよく歩きたくなる町なかを形成するためのウォーカブル推進都市に賛同しています。区では、ユニバーサルデザイン推進地区や小田急線の上部利用、馬事公苑の路面サインや電線地中化など、滞留空間の創出に取り組んできました。また、昨年末には、三宿商店会の店舗の敷地にベンチを設置し、その前の都道にもヤマハ発動機のグリーンスローモビリティーを置いて座席とすることで、店舗と道路を一体的に活用した滞留空間をつくり出す実験も行われました。  ウォーカブル推進都市の基本は、歩いて楽しい町の創出ですが、現在、環境審議会で議論されている地球温暖化推進計画素案(たたき台)では、人々の移動に伴って発生するCO2排出量の削減を目的として、ウォーカブルな取組を推進していくことについても重要性が示されています。歩いて楽しいだけではなく、地球全体の課題である地球温暖化や脱炭素社会にもよい影響をもたらすことを意識できるような機運の醸成が必要であると考えますが、見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎加賀谷 政策経営部長 ふるさと納税の戦略につきまして、二点御答弁いたします。  初めに、区の方針転換についてでございます。ふるさと納税に関する今年度の区の方針ですが、取組への応援を基礎とする寄附文化の醸成を目的に据えながら、寄附金の活用先をクローズアップいたしまして、強い共感を得られるよう意識したプロジェクトづくりや、区の政策への理解促進、世田谷の魅力発信につながるような文化・芸術、環境、緑など、世田谷らしい品物や体験をお礼として拡充するとともに、高額寄附を想定した記念品等、寄附額に応じたお礼の多様化にも取り組んでまいります。  さらに、こうした区の取組、世田谷の多様な魅力を広報していく際には、御指摘のとおり、ポジティブに受け止めていただけるよう留意した効果的なPRに心がけてまいります。全国に流出した八十二億円の区民税を寄附金で取り戻すことは極めて高いハードルでございますが、制度の問題点を区民に御理解いただけるよう啓発に努めるとともに、全国の関心を引きつける工夫を凝らした寄附募集を強化し、区財政へのマイナス影響の圧縮を目指してまいります。  次に、外部意見を取り入れました返礼品についてでございます。本来、地域住民が負担すべき地方税が、実質的に納税義務者が他の地域から入手する物品の対価になり、税が流出しているなど、ふるさと納税制度は様々な課題を抱えており、過度な返礼品競争についても繰り返し指摘しているところでございます。
     その上で、区としましては、節度ある記念品を世田谷らしさを基本に打ち出したもので多様化に取り組むこととしてございます。  世田谷の魅力を新鮮な感覚で捉え、世田谷らしい記念品の品や、体験として掘り起こすには、議員御指摘の外部意見をいただくことも有効であると考えております。  区の基本姿勢を御理解いただいた上で、民間など、外部アドバイスもいただきながら、寄附に対するお礼の魅力向上を図ってまいります。  以上です。 ◎向山 世田谷保健所長 私からは、生活習慣病の重症化予防についてお答え申し上げます。  区では、平成二十八年より血糖値が高いが肥満ではないため、特定保健指導の対象とならない人の糖尿病の重症化予防を目途として、まちかどゼミの名称で、対面の集合形式で健康講座を開催してまいりました。  新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、この二年間は集合形式の保健事業を、家庭でオンラインより健康指導を受けられる、お家でトライと題した事業に手法変更して、事業を継続してまいりました。今年度は、感染状況が比較的落ち着いてきたことから、集合形式への保健事業を再開します。  また、区民により、明確に事業目的が伝わるよう、血糖値改善プログラムに名称を変更し、さらに家庭内からの参加も可能となるよう、ズームやメールによる参加も選択できるよう改善しました。  区民が幅広く関心を持ち、参加していただけるよう、事業案内のデザインや申込み方法などのアクセスを改善するとともに、コロナ禍を契機として着手した、家庭からでも気軽に各自のタイミングで参加することが可能となるよう、動画コンテンツの充実などに取り組んでまいります。  糖尿病は、自覚症状に乏しい頻度の高い生活習慣病の一つですが、重症化すると健康寿命や生活の質に深刻な影響を生じることから、その重症化予防は極めて意義が深いものと認識しています。  また、糖尿病や人工透析を必要とする慢性腎不全は、新型コロナウイルス感染症等の感染症の重症化リスクの一つであり、重症化予防の取組は、公衆衛生や医療経済の観点からも重要性が指摘されています。  区は、健康せたがやプラン(第二次)後期が令和五年度で終了することから、新型コロナウイルス感染症の区民生活への影響も考慮し、次期健康せたがやプランを見据えた現行計画の評価に取り組んでいます。  次期プランでは、区民の主体的な健康行動を後押しする情報発信や早期の予防の必要性、健康無関心層を含めた区民への行動経済学等を用いた行動変容のアプローチ手法等を包含し、御指摘の糖尿病重症化予防について一層充実に努めてまいります。  私からは以上です。 ◎田中 保健福祉政策部長 私からは、特定保健指導のICT活用について御答弁いたします。  区の国民健康保険では、特定保健指導が新型コロナウイルス感染症の影響で利用率が低迷していたことから、令和二年度より一部の事業者でオンラインでの保健指導の面談が受けられるよう取り組んでいます。これまでに、区でのオンライン面談の実績はありませんが、利用者が会場に足を運ぶといった負担が軽減されることから、オンラインでの面談が利用できることを、より一層PRするとともに、対応できる事業者を増やすなどして改善を図ってまいります。  現在、様々な健康管理のスマートフォンアプリなど、ICTツールが民間市場に出ております。被保険者の生活習慣病の重症化予防に向けてどのようにICTツールを活用することが、取組へのハードルが低く、かつ効果があるのか、研究を進めてまいります。  私からは以上です。 ◎清水 世田谷総合支所長 私からは、三茶のミライについて、道路空間活用における課題と今後の進め方について御答弁いたします。  区では、本年三月に策定した三軒茶屋駅周辺まちづくり基本計画である三茶のミライに示す未来像実現に向けた取組として、商店街や町会、地域との協働により、公共的な空間を利活用したにぎわい空間創出や町の空間デザインにつなげる研究等に取り組んでおります。  三軒茶屋の課題である町なかの休憩場所、にぎわいや滞留空間の創出を目的とし、商店街、大学と関係各部が連携して、茶沢通りの歩行者天国において、道路上に椅子や人工芝などを配置した空間を設け、訪れた方々が休憩し、くつろぎ、交流し合う社会実験を実施したところです。  公共空間の利活用には、今ある空間を活用し、すぐに取り組めるものがある一方で、今回のような道路空間の活用には、交通管理者や各施設管理者、町会、商店街等、多くの主体からの御理解、御協力が重要となります。  区としては、今後も引き続きまちづくり会議等を実施し、多様な主体と連携した社会実験等の活動による機運醸成に努め、問題点や課題、効果等を検証するとともに、各施設管理者や事業者等との連携へと発展させ、ソフト面の取組と、基盤施設整備などハード面の取組につなげていきたいと考えております。  以上です。 ◎畝目 都市整備政策部長 私からは、ウォーカブルの機運醸成に関しての御答弁となります。  ウォーカブルのまちづくりは、人々が町を歩くことによりまして新たな交流が生まれ、心と体の健康を育み、町にはにぎわいが創出され、さらなる魅力が向上し、環境美化も進み、地域経済の活性化へとつながるなどのほか、シェアサイクルやモビリティーの普及、脱炭素社会、産学官民の連携など、様々な効果が期待されてございます。  区では、段差解消を図る歩道等の整備や電線類地中化、ゾーン三十の取組、また、ユニバーサルデザイン推進計画に誰でも使えるトイレやベンチのある町の環境整備を位置づけ、マップ化を図るなど、誰もが安心して快適に生活できる環境整備に取り組んでまいりました。  また、三軒茶屋のほか、馬事公苑けやき広場では、経済産業部や近隣大学、各種団体、子育て支援NPOと連携し、プレスメイキングによる交流の場づくりをイベント形式で社会実験を行ってきており、この間、多くの皆さんが交流し、新たな気づきなど、副次的効果による好循環も生み出されていると考えてございます。  区では、こうした社会実験等におけるまちづくりの取組に当たりましては、環境政策部をはじめ、関連する部署との連携強化を図り、議員御指摘のように、脱炭素社会など、環境への効果の視点なども踏まえまして、まちづくりの機運醸成に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◆一番(神尾りさ 議員) ふるさと納税について再質問いたします。  今がまさに正念場でありまして、区民税流出額を何としても食い止める覚悟で挑まなければならないと思います。流出した区民税を寄附金だけで取り戻すというのは大変困難ですけれども、御答弁にありましたように、今までとは違うポジティブなPRですとか、全国的に注目されるようなお礼の充実などに力を入れる必要があると思います。今年度をターニングポイントにするために、区長のリーダーシップを発揮すべきときだと思いますので、最後に区長の覚悟を伺います。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 神尾議員の再質問にお答えします。  御指摘のように、ふるさと納税による区民税額、七十億、八十二億と大変急増しておりまして、これ以上の流出拡大は待ったなしで対応しなければならない、具体的な対策を取る必要に迫られていると考えております。世田谷区では、これまでもさきに話題になった児童養護施設出身者への支援など、地域貢献型、社会貢献型の寄附募集で一定の成果は上げてまいりました。この点は、今後もしっかりと継続拡充していく必要はあると思います。しかし、一方でこれまでとは異なる異次元の取組を開始したいというふうに考えております。例えば、文化芸術など、区の魅力ある資源を活用して高額寄附を想定した記念品を設定するなど、これまでの枠からはみ出した対策を具体化するよう、全庁に指示したところであります。  外部人材、あるいは外部からの提案の活用というお話がありました。異次元の取組となりますと、まさに世田谷ブランドの需要を正確にマーケティングして、区民以外の高額納税者を対象とした、いわば返礼品や記念サービスを具体的に何をメニュー化していくのか、こういったことをしっかり出していただく、参加をつくり出していきたいというふうに思います。  もちろんふるさと納税自体に対するゆがんだ税制であるという指摘はする一方で、まさにターニングポイントとして、今回、自己防衛策としてこの果てしなき流出額の拡大に待ったをかける取組を先頭を切って行ってまいりたいというふうに思います。 ◆一番(神尾りさ 議員) 異次元の取組をしていくという御答弁でしたので、目に見える変化が区民のみならず、全国にも伝わるように、今後の取組に期待しております。  以上で終わります。 ○下山芳男 議長 以上で神尾りさ議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、二十四番江口じゅん子議員。    〔二十四番江口じゅん子議員登壇〕(拍手) ◆二十四番(江口じゅん子 議員) 質問通告に従い、質問します。  まず、区長の区政運営の基本姿勢です。  今期、我が党は、新自由主義から脱却し、住民福祉の増進という自治体本来の役割を発揮する区政の発展を求め続けてきました。その立場で、未来つながるプランについて、新実施計画の評価、課題を踏まえ、区政が基軸として据えること、また課題をどう改善するのかなど、議論を重ねてきました。未来つながるプランでは、誰一人取り残さない社会の構築に向け、健康リスクや災害リスクから生命を守る取組が次の基本計画の基軸とあり、重要な方向性と支持します。さらに、区の基本姿勢として我が党が求めてきた、経済的弱者対策を進める、また、社会保障制度の課題解決含め、区民の暮らしを守る取組を進める、このことが明記されました。  また、この間、保坂区政の重要課題と指摘し続けてきた参加と協働については、今後も一層推進し、情報公開と情報提供の充実をさらに進め、説明責任を果たし、より多様な区民参加を促し、議論を深める。さらに、行政経営改革については、基本的考えとして、質の確保や低所得者などの配慮の観点を踏まえ、区民の視点に立った改革と明記され、新実施計画後期の十の視点は踏襲されています。しっかりこの方向を進めるとともに、次期基本計画も見据え、三点要望します。  一点目、まず、政策形成過程からの参加と協働の深化を求めます。  二点目、行政経営改革は、従来型の区民負担増や公的責任を後退させる民間活用推進、区立保育園の統廃合、職員定数減ではなく、区長が実践してきた事業効率化や手法の改革、また、足らざる財源は国、都から引き出すなど、区民に信頼される行政経営改革のさらなる努力を求めます。  三点目、執行体制では、コロナ対応などで区の業務は逼迫し、現状の職員体制では限界です。今年度の保健師八名増員を評価し、計画的人員増へ踏み出していただきたい。  保坂区政三期目の任期も一年を切りました。区長として、今期の公約はどこまで進み、課題は何と捉えているか。次期基本計画も見据え、残された任期、どうしていくのか、区長の見解を伺います。  七月から、都立松沢病院含む全都立・公社病院の独立行政法人化が予定されています。この間、都議会などへの独法化中止を求める署名は四十万筆を超えました。先日私も、区内駅頭の署名行動で、地域の方々から、松沢に通院しているが、独法化を初めて知った、今後どうなるのか、また、なぜ都直営でなくなるのでしょうかなどなど、疑問、不安が寄せられました。精神障害者家族会の方々からも、患者負担増加や医療の質は守れるのかなど、不安の声を伺っています。  多くの区民は独立行政法人化に納得していません。我が党は、都立・公社病院の独立行政法人化移行に反対します。  区長の区民の声の受け止め、また今後も行政的医療の継続、充実や、専門職確保を含め、医療の質の後退がないよう、都や独立行政法人へ要望していただきたく、併せて区長に伺います。  次に、予断を許さないコロナ感染症、物価高騰から区民生活を守るのは、当面の区政の最重要課題であり、二点伺います。  まず、大規模検査です。当区が先進的に取り組んできた社会的検査が国や都を動かし、現在区内六十か所で無症状者対象の無料検査が受検できるようになりました。また、二次補正では、福祉施設、学校などへの随時検査体制維持、抗原定性検査キット追加配布など示され、評価します。施設、地域の感染・クラスター抑止につながる大規模検査を緩めず、さらなる拡充を求め、伺います。  二点目は、暮らし守る緊急対策です。特別定額給付金以降、国の給付金対象者は、低所得などの子育て世帯、住民税非課税世帯などに限定されてきました。しかし、急激な物価高騰は、年金生活の高齢者など、低所得者の暮らしを直撃しています。  この間、私の下にも、年金では暮らせず夫婦で働いていたが、タクシー運転手の夫が倒れ入院。生活保護は、基準より少し上の世帯収入で利用できない。国保料は滞納でコロナ減免も使えない。入院費、家賃など工面できない。また、非正規で働いていたが、コロナで雇い止め。メンタル不調も抱え、再就職できない。住宅確保給付金や社協の貸付けで生活をつないでいるなど、相談が増加しています。  生活困窮の実態は見えにくいですが、確実に広がっています。しかし、従来の支援制度では、所得基準より少し上、また、子育て世帯ではないなどの理由で対象外となった困窮層は、利用できる支援がなく、置き去りのままです。さらに、物価高騰が追い打ちをかけています。  経済的弱者対策、また、誰一人取り残さず安心して住み続けられる共生社会は、つながるプランにある区政の基本姿勢です。それにふさわしい、広がった困窮層の生活を下支えする温かい支援が必要です。区独自の給付金など、緊急対策を求め、伺います。  次に、環八千歳台交差点のバリアフリーです。  昨年度、区は、地元町会・自治会などの要望を受け、東京都第二建設事務所や成城警察署にバリアフリー再検討を求める要望書を提出しました。区の要望書には、当該交差点はバリアフリー化が図られていないことから、高齢者、車椅子、子連れのバギーカーは渡れない、区民からバリアフリー化要望が寄せられている、当区としても重要な課題と考え、実現に向けた取組を進めていきたいなど、明記されています。まさに、この立場で、早期解決に向け、区の積極的役割を求めます。  進捗状況と協議においては、地元の聴取、意向を踏まえ、区の役割を果たすことを求め、伺います。  次に、不登校対策をはじめとした教育施策について、順次伺います。  不登校児を持つ保護者から、給食費を食べた分だけ払うことはできないのかの御相談が寄せられています。登校時、給食が食べられないことがないよう、給食費を払い続けているが、結局今月は一回も登校しなかった。経済的負担だし、食品ロスにもつながる。また、登校してもその日の状況で給食までいられないことも多く、食べた分だけ払えるようにしてほしいなど、伺いました。  本来、学校給食は、憲法二十六条に義務教育無償が明記されており、完全無償にすべきです。既に区長は他会派への答弁で、約二十億円の財源が必要となり、財政運営上の大きな負担となるため、慎重な判断すべしと考えてきた、熟慮しながら、しかるべきタイミングで判断と御答弁しています。  区長の御答弁どおり、完全無償化の財源が大きな課題です。我が党は、平成三十年の無償化議論の際も、無償化に向けて、都と共同で進めることを提案してきました。国や都からの財源確保は区政の財政運営の基本の一つです。七月の参院選では、我が党は、学校給食無償化を掲げ、また各党も給食・教育無償化を公約で掲げています。社会的検査で国を動かしたように、無償化実現のため、区長を先頭に、国などへ働きかけていただきたい。また、参加と協働は区政の根幹であり、つながるプランでも、説明責任を果たし、より多様な区民参加を促し、議論を深めるとあります。  経済情勢は不透明であり、区民生活も格差と貧困が広がっています。子育て、介護、障害など、行政需要は増大の一途です。教育課題は、学校改築など、山積しています。給食費完全無償化に向けて、必要性、また、財源など、広く区民への説明責任を果たし、合意を得ながら丁寧に進めていただきたい。不登校児の給食費の負担の在り方、また、学校給食無償化について積極的対応を求め、伺います。  最後に、拉致問題です。さきの議会で区教委は、拉致問題の映像資料活用状況の実態調査や、次年度以降はこの実態を踏まえ資料活用を一層図ると答弁しました。しかし、教育内容は、学校現場が自主的に決めるものであり、圧力介入につながることがあってはなりません。さらに、学校には韓国、朝鮮にルーツがあるなど、多様な背景を持つ子どもがおり、慎重な判断、配慮が必要です。区教委の基本的姿勢と、今後どうしていくのか、伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 江口議員の御質問に答えます。  まず、今期の捉え直し、残された任期についての課題ということでございました。また、松沢病院についてもお尋ねをいただきました。  私は、この三期目に入って、子どもの命と安全を確実に守るという強い決意の下、二十三区初の児童相談所を開設したほか、保健医療福祉拠点のうめとぴあの開設、認知症とともに生きる希望条例の制定など、区民福祉の向上に向けた取組を着実に進めてまいりました。  二〇二〇年一月に新型コロナウイルスが日本に上陸して以来、私自身も長期にわたる健康危機管理の体制に入りました。二年を超えるコロナ禍で、区民生活や地域経済への大きな影響が続く中、加えてロシアによるウクライナ侵攻などの影響による原油価格や物価高騰が拍車をかけ、区民生活の実態はこれまで以上に厳しい状態にあると認識しております。  この間、区民のコミュニティー活動の縮小など、社会的孤立の加速や、気候危機により激甚化する自然災害への対応など、大きな課題もさらに見えてきていると捉えております。  この難局を乗り越えていくために、経済的に厳しい環境に置かれてきた方々や、特に影響を受ける業種の事業者への支援とともに、住民相互のつながりの強化を図り、健康や災害リスクから命を守る取組を進めていく必要がございます。  区制百周年までの今後の区政を展望する次期基本計画を見据え、デジタル技術を活用して、参加と協働、住民自治を促進し、議論を深めながら、地域経済対策をはじめ、大規模災害などへの備え、必要な取組を進めてまいりたいと思っております。  行政経営改革につきましては、区民の視点に立ちまして、質の確保や低所得者層への配慮の視点も重視して取り組むとともに、区民生活の影響を適切に捉え、社会保障制度の課題解決につながる制度是正に向けた働きかけを国や都に行うなど、九十一万基礎自治体の責務である国民生活を守る取組を不断に進めてまいります。  都立松沢病院につきましては、議員お話しのとおり、独立行政法人化に対する不安の声や、法人化に対する危惧の声の陳情があったことなどを認識しているところであります。地域でも、医療資源として大きな役割を果たしてきた都立松沢病院の存続を願う声として受け止めさせていただきました。  感染症や災害時医療など行政的医療の提供のほか、医療の質の保持や必要な医療人材の確保、増大する医療・介護ニーズに対する地域医療との連携強化など、採算の確保が困難な経費を都が担保し、一層の医療提供体制の充実を図るよう、都に対して強く要望してまいります。  以上です。 ◎有馬 保健福祉政策部次長 私からは、大規模検査、さらなる拡充について答弁いたします。  現在区内では、新規感染者は減少傾向にあるものの、一日百二十から百三十名前後、昨年度の同時期の週単位数で比較すると約四・二倍の感染者数で推移しており、依然として予断を許さない状況が続いていると認識しております。  第六波における課題等を踏まえ、社会的検査では、今後の感染拡大に備えるため、抗原定性検査キットを増強するなど、検査体制の見直しを行い、検査を必要とする方へ速やかに検査が実施されるとともに、PCR検査や抗原定性検査の特徴を生かし、その感染状況下における効果的な検査体制を構築できるよう取り組んでまいります。  また、東京都PCR等検査無料化事業に基づく無料検査につきましても、区内の身近な場所で受検できるよう、引き続き民間事業者と連携を図りながら、検査体制の確保に努めてまいります。  今後も区内の感染状況の推移を見定め、検査体制の強化等経済活動の維持促進と、感染予防対策の両面から、状況に応じた検査に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎加賀谷 政策経営部長 私からは、緊急対策としての区の取組についてお答えいたします。  新型コロナウイルス感染症による区民生活や地域経済への影響が依然として続いている中、さらには、原油価格、物価高騰は様々な区民の生活に影響を及ぼしており、特に低所得者層においてその影響は大きいものと受け止めております。  区はこれまで、ぷらっとホーム世田谷にて、緊急小口資金等の貸付けや、住宅確保給付金をはじめ、生活困窮者の自立生活に向けた相談支援、子どものいる生活困窮世帯へのお米や商品券の給付など、区民生活の実態を捉えた支援を行ってまいりました。  また、国の原油価格・物価高騰等総合緊急対策を踏まえ、住民税非課税世帯に対する臨時特別給付金についても、令和四年度非課税世帯へのプッシュ型による迅速な支給を行うとともに、非課税世帯でない者の家計急変した世帯も含め対応してまいります。  今後、限りある財源の中で、さらなる家庭への負担増、就労関係など、新型コロナや物価高騰が区民生活に与える影響等の把握に努めまして、必要な支援策の実施を検討してまいります。  以上でございます。 ◎工藤 土木部長 私からは、環状八号線千歳台交差点のバリアフリーについて御答弁いたします。  環状八号線千歳台交差点におけるバリアフリー化につきましては、整備手法等の再検討を進めるため、新たに都と区の課長級で構成する連絡調整会議を設置することが決定しております。  第一回目の会議は今月十七日に開催される予定です。その会議体の中で、今後、地元要望である一般式の信号による横断歩道設置を含めた整備手法の再検討を行い、交通管理者である警視庁との協議に向けた準備を都とともに進めていく考えです。  区といたしましては、当該交差点のバリアフリー化に向け、地元の理解と協力をいただけるよう、必要な情報提供を行い意見を伺いながら、丁寧に合意形成を図っていくことが何よりも重要であると考えております。そうしたことから、区としてもできることを都と協議、検討することで、当該交差点におけるバリアフリー化の取組を進めてまいります。  以上です。 ◎粟井 教育政策部長 私からは、拉致問題についてお答え申し上げます。
     区教育委員会におきましては、各学校が保護者や地域社会の意向を尊重し、児童生徒の実態を十分考慮した上で、創意工夫に満ちた多様な教育課程を編成、実施できるよう支援をしております。  人権問題で取り上げる人権課題には様々なものがございますが、区教育委員会では、世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例等を基に、子ども、障害者、外国人、性自認、性的指向の人権課題を各学校の人権教育の全体計画に位置づけ、指導するようにしております。  拉致問題についても、人権課題の一つでございますので、拉致問題の被害者やその家族の気持ちを理解できるようにするとともに、この問題が国家主権及び人権の重大な侵害であることを認識させ、民主主義社会の一員として、人権問題を主体的に解決していこうとする意欲や態度を育んでいくことが大切であると考えております。  以上でございます。 ◎知久 教育総務部長 私からは、不登校児童生徒の給食費の負担と、学校給食費無償化についてお答えいたします。  教育委員会では、誰一人取り残さない、個に応じた寄り添う教育支援の実現の理念の下、不登校の児童生徒と保護者の方には、個々の事情に応じた丁寧な対応に努めているところです。  不登校の児童生徒の給食については、学校は給食費の徴収対象とならない給食停止の有無を保護者の方に適宜確認しておりますが、停止した際においても、いつ登校しても同級生と同じように給食を食べられる環境を整えられるかが教育委員会としても課題であると認識しております。  今後、不登校支援の取組の中で、より保護者の方の気持ちに寄り添い、心情にも配慮した上で、給食の提供についても適切な取扱いがなされるよう、改めて学校に働きかけてまいります。  不登校の児童生徒への給食支援については、各学校における食数の管理や食材の発注対応といった、特有の課題も整理しながら検討を進めるとともに、給食費の無償化についても、今定例会で御要望いただいており、不登校の場合の給食費の取扱いも含め、保護者負担の軽減に係る方策について検討してまいります。  以上でございます。 ◆二十四番(江口じゅん子 議員) 区長に再質問します。  学校給食無償化に向け、国や都からの財源確保と、また、区民説明と合意で丁寧に進めていくことを提案しました。区長の見解を伺います。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 学校給食費の完全無償化について再質問にお答えいたします。  これまで就学援助制度を拡大し、所得制限をかけまして、一部の世帯におきましてスタートをしているところでございます。  今回の物価高騰により食材費などが高騰したことから、メニュー、こういったものを低下させないということで、公費負担の直接支援を行いました。  今回、他会派からも複数の質問がございます。さらなる学校給食費の無償化についてでございますけれども、引き続き物価高騰等の影響を適切に把握し、区として約二十億円の財源を必要とする財政状況全体を見極め、そして適切なタイミングで判断をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。 ◆二十四番(江口じゅん子 議員) 終わります。 ○下山芳男 議長 以上で江口じゅん子議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後零時二十四分休憩    ──────────────────     午後一時十五分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  一般質問を続けます。  二十一番いそだ久美子議員。    〔二十一番いそだ久美子議員登壇〕(拍手) ◆二十一番(いそだ久美子 議員) 通告に従い質問いたします。  理想的な駅前広場の在り方とその実現についてです。  駅前広場は交通の結節点であるとともに、都市の環境空間として、憩いや集い、語らいの中心となる交流機能、都市の顔としての景観機能などを併せ持っています。来訪者には、駅で降りたときに初めて見る景色、居住者には、通勤通学で毎日見る景色、駅前広場はその町のブランドイメージを決定づける要素と言っても過言ではありません。  私の最寄り駅でもある成城学園前駅南口は、再開発のための用地買収の途中であり、交番の後ろに二百四十平米のL字型空き地が区用地として確保された状態で、十年ほど経過しております。  こちらの様子です。こちらから後ろに向かってL字型の空き地があります。コロナ前はここで夏祭りを実施するなど限定的な活用はされていますが、通常は防護柵で閉じられた状態で管理されています。ここを駅前らしい景観にして、区民に開放してほしいという地元意見が根強くあり、まちづくり協議会の議題にもなっております。  区は、全ての用地買収が終わってから全体設計に係る段取りとは思いますが、全ての条件がそろうには時間がかかり過ぎ、先が見えません。本格的な全体設計に向けての実証試験として、今使えるところにベンチや植栽を設置し、その景観や使い勝手を検証して、本利用にフィードバックすればよいと考えますが、区のお考えを伺います。  また、この四月、祖師ヶ谷大蔵駅前広場が完成いたしました。ウルトラマン像を生かした人工的かつシンプルな七百五十平米の空間です。緑は、元からあった桐の木の実生で育てた苗木が一本だけあります。駅前広場を計画する際、イベントがしやすいように何も置かない空間にしてほしいという商店会などの要望は全国的にあるとお聞きしますが、こちらの完成に当たり、地元住民、特に私の周りの子育て中の女性らからは、ベンチや緑、日陰が欲しかったという意見を多数いただいております。  平成二十九年の広場づくりに関する意見交換会の記録を見ますと、同じように、木陰のベンチ、オープンカフェ、並木、芝生、散水栓が欲しいという意見が出ています。  前からこのような意見が出ているのに、住民の意見はなぜ生かされなかったんでしょうか。これから一年を通じてこの場所を使う上で、日よけやベンチなど、住民の要望がこれからも出てくるだろうと思います。  この二例に限らず、駅前広場については、その時々の地域のニーズに耳を傾け、柔軟に広場活用の幅を広げいくべきと考えますが、区のお考えを問います。  特に、緑化は言うまでもなく、みどり33を掲げる区の重点施策ですが、このような区用地の開発にどのように反映させているんでしょうか。二〇三二年の時点での目標値を設定して植栽を計画しているんでしょうか、その具体策をお伺いします。  二つ目です。民間事業者との人事交流についてです。  区の政策を進めるに当たり、民間の知恵、ノウハウを活用する目的で、民間事業者に業務委託などをする事例がございます。私自身が二十年間民間企業に勤務し、官公庁や自治体営業なども担当した立場から申し上げますと、民間事業者を活用するならば、相手を知り、対等に交渉する知識と経験が自治体側にもないと、先方のみ利する結果となります。  これまでにも何度か指摘しましたが、ものづくり学校の運営委託に関しては、KPIを定めておらず、目標達成度をはかりようがなかった、また、期待したような区内事業者の数を輩出できなくても、ものづくり学校という名前が有名になったことが功績だともされましたが、その商標権も事業者側に取られていた。次の旧池尻中跡地活用計画は、この反省を踏まえつつ、さらに用地を拡大して行うということですが、民間企業だったら、委託する事業者側にこちら側から出向者を出して、進捗管理や連携を強化するところだと思います。  世田谷区と民間事業者の間でどんな人事交流、出向などの行き来、あるいは外部人材を登用しているかどうか。これは、これまでの他会派から何度か質問が出まして、やっていると答弁をいただいています。最近の内訳のデータを事前に頂戴いたしましたところ、まず出向については、民間の大手通信事業者や損保会社に、それぞれ一名を一年間、また、民間派遣研修は十五年の間に百貨店、電鉄、メーカーなどに百八十名出しています。研修はいいとしても、出向が一年間というのは、事業ノウハウを会得するには短過ぎます。民間では最低二、三年から五、六年です。その分、人員がマイナスになるかとは思いますが、ならば、提携先の民間企業からバーターで出向者を出してもらうことはできないでしょうか。  また、任期付採用では、過去五年間で十二人採用しており、副係長から課長級で、ほとんどが事務職です。この採用枠だと、基本三年で延長は二年、そこから正規雇用への転換はないとのことです。即戦力、管理職級の人が五年後には放り出されるわけで、日本の雇用環境だと、この世代の再就職は厳しい、すなわち、よりよい人材の応募の可能性を狭めることになります。だとしたら、先ほどの話と合わせて、民間事業者からの三年から五年の出向でこの枠を補い、任務が終わったら出向元に帰ってもらう、このほうが応募者も安心してキャリアプランが立てられ、人材も集まるのではないでしょうか。  最後に、経験者採用については、過去五年で二百九十八人。大田区、板橋区、文京区、台東区と比較すると、いずれも職員総数比四%から五・六%の間で、世田谷区は文京区に次いで二位、大差がつかない中では積極採用はしていると思います。その経験者採用の手順ですが、これは庁内各部に必要な人材の調査をかけて、それに合うスキルや人材の募集をしているのかどうか、この点はいかがでしょう。  まとめますと、出向や民間への職員派遣は必要十分な期間を取る工夫、また、経験者採用に関しては、庁内で需要を喚起し、外部人材を即戦力として対外交渉に充てられるような制度改革が必要です。転勤がしづらくなることもある中堅世代に地元就職は魅力的であり、新卒では採用できなかった人材が得られる可能性もあります。民間ノウハウを庁内に取り込む人事戦略に期待します。  最後に、デジタルミュージアムの内容充実と周知について質問です。  昨年の決算特別委員会で、世田谷デジタルミュージアムの内容充実について取り上げましたが、最近は動画を中心にコンテンツが増え、中でも「区内文化財紹介動画(豪徳寺)」は、ドローン空撮とBGMも入れたNHKBSプレミアム並みの出来栄えで、高く評価します。  区のデジタルミュージアムは、遺跡、文化財をアーカイブ化し、学術研究に使う用途と、区の文化芸術を広く知らしめ、学習教材や芸術鑑賞、さらに観光資源として活用する用途があるかと思いますが、特に後者一般公開ページについて今後の計画をお尋ねします。  名建築や芸術作品は実物を見るのが一番という常識を変えたのが動画であり、ドローン空撮によってこれまで見られなかった塔の上の彫刻、また、一般公開はしていない作品や建物の内部、既に解体された建築物や遺跡も、記録動画によって鑑賞することが可能です。  限られた予算の中で、区の所蔵資料としては、オンライン配信の真価を発揮できる動画制作に力を入れてはどうでしょうか。例えば、地域に残る行事や無形文化財、茶道の喜多見流はできる人がほぼいないと言われていますが、文献から再現して動画で撮影、公開してはいかがでしょうか。その他、公共事業で失われる歴史的建造物や遺跡なども、せめて解体前に動画で記録に残し、見られるようにするのが行政の責務であるとも考えます。  さらに、制作した動画の閲覧数をいかに高めるか。区のホームページだけじゃなく、区施設の待合スペースなどで流すなど、周知の方法の工夫はできないでしょうか。  世田谷の歴史・文化資産を分かりやすく、魅力的に見せることで、子どもたちの関心を高めたり、国内外の世田谷ファンを増やすことにより、ふるさと納税やクラウドファンディングにつながることを期待いたしまして、壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎佐々木 砧総合支所長 私からは、駅前広場の在り方について、二点お答えいたします。  まず、成城学園前駅南口広場の暫定利用についてです。  成城学園前駅周辺は、小田急線連続立体交差事業を契機にまちづくりを進め、お話しの南口には、平成十五年策定の地区計画に地区施設として小広場を位置づけ、整備に取り組んでおります。  これまでも、権利者の御協力を得るため、用地取得交渉を重ねてきておりますが、残念ながら、いまだ完成には至っておらず、用地取得済みの広場予定地の一部を歩道上の空地として開放しているものの、その他の部分はイベント開催時に利用されるなど、その活用は限定的となっております。  暫定利用につきましては、これまでもまちづくり協議会の議論の中で御要望いただいており、協議会などと成城の町にふさわしい活用方法について、引き続き検討を進めてまいります。  次に、柔軟な広場活用についてです。  お話しの祖師ヶ谷大蔵など、駅前広場の整備に当たりましては、地域の特性を踏まえつつ、町のにぎわい形成や防災性向上など、様々な観点から検討を重ね、複数回に及ぶワークショップの開催や、アンケートなどを通じて御意見もいただきながら、時世に即した地域に愛される駅前広場を目指し、整備を行ってまいりました。  整備後の活用につきましては、より魅力的な駅前広場の展開に向け、地元活動団体などの御協力もいただきながら、例えば、千歳船橋駅駅前広場のみどりと花いっぱい協定など、活用の幅を広げる取組を検討してまいります。  以上です。 ◎釘宮 みどり33推進担当部長 私からは、駅前広場などにおける緑化についてお答えいたします。  駅前広場を含めた道路空間におけるみどりづくりにつきましては、みどりの基本計画において、みどりが潤う道づくりを進めるとしており、道路事業とも連携して、みどりの創出を進めております。  議員お話しの駅前広場をはじめとして、区が整備を行う公共公益施設については、施設ごとには緑化の目標値を設けておりませんが、各駅周辺の地区まちづくり計画などにおいて、広場づくりの方針を定めているところもございます。  また、道路や公園など、土地利用別のみどりの目標量を定め、関係所管と連携して、それぞれの施策分野で緑化を推進しております。  今後は、昨年度実施した緑の資源調査の結果を踏まえて、改めて土地利用別の目標量を精査し、各施策の拡充につなげてまいります。また、みどりの基本計画に定めるみどりの公共公益施設づくりの観点から、道路空間の安全性や利便性を保ちつつ、風景づくりの視点を加えるなど、公共空間の緑化について関係所管と連携し、量と合わせて質の高い緑化空間づくりを推進してまいります。  以上でございます。 ◎池田 総務部長 私からは、民間との人事交流について、二点御答弁いたします。  まず、民間企業の社員の受入れについてです。  民間の経営感覚や発想力、業務の進め方などを学び、区政に取り入れていくことは、組織の強化や活性化だけでなく、民間の視点から区政課題を解決していくことにも効果的であり、今後ますます重要になるものと認識しております。  民間事業者の社員の区への受入れについては、民間事業者との間で身分取扱いや給与の取扱いなど、様々な協議が必要となってまいりますが、例えば、行政実務研修生として、民間事業者の社員としての身分を有したままでの受入れなどの方法も考えられます。  いずれにいたしましても、民間との効果的な人事交流の推進に向け、区と事業者双方に有益となるような交流の手法について、引き続き柔軟に検討してまいります。  次に、庁内所管のニーズに応じた採用についてです。  特別区人事委員会が実施する現在の経験者採用試験・選考制度は、様々な社会人経験のある受験者の中から、特別区人事委員会が成績順に合格者を決定し、各区に採用候補者を提示する形となっており、区の希望する経歴や経験を持つ人材をピンポイントで採用することができる仕組みにはなっておりません。区では面接等で把握した社会人経験を踏まえた配属先の検討を通じて人材の活用に取り組んでいるところです。  一方で、お話にありました、特定の経歴や資格などを募集要件として、一定の期間に限定して職員を採用する任期付採用については、これまでも弁護士資格を有する職員や、ICT分野での経験を有する職員の採用につなげた実績がございます。  今後、人事課では、庁内各課に対し、新たな施策の展開などに向けた経験者や外部人材の活用の需要や、民間企業等への職員の派遣に関する需要の調査を予定しており、様々な採用の手法を検討しながら、区政の重要課題の解決につながる人材の確保に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎内田 生涯学習部長 私からは、世田谷デジタルミュージアムについて順次お答えいたします。  まず、公開コンテンツの今後の計画についてです。世田谷デジタルミュージアムにおいては、収蔵資料の閲覧にとどまらず、世田谷の歴史や文化財を取り入れながら、魅力あるコンテンツを継続的に提供することが重要と考えております。  昨年度は、コロナ禍により事業の中止が相次いだこともあり、豪徳寺や旧清水家住宅書院の文化財紹介動画や、産業振興施策と連携した観光まち歩き動画の公開など、新たな視点による動画コンテンツの提供に重点的に取り組んでまいりました。区内文化財の紹介だけにとどまらず、観光や学習等様々な視点から、幅広い世代の方が親しみを感じ、楽しめる内容となるよう工夫しました。区内には、区民の方に知っていただきたい歴史文化財がたくさんあり、今年度は地域に伝わる無形民俗文化財の紹介動画を制作する予定です。  世田谷デジタルミュージアムの動画や写真、情報を通じて、世田谷の歴史、文化財をより身近に感じていただけるよう、今後も魅力的な動画コンテンツ等を制作し、継続的な公開に努めてまいります。  次に、動画制作の充実と周知の工夫について、併せてお答えいたします。動画コンテンツは、議員お話しのとおり、日頃は目に触れる機会の少ない無形文化財や、非公開の空間や建築物、史料等を記録し、公開することで、特に効果のある特性を発揮することと考えます。また、ドローンによる撮影手法等により、動画ならではの特徴のある情報提供が可能となります。  こうした特性を生かした動画制作にも力を入れ、地域の民俗行事等の継承と紹介の一助にするとともに、解体予定の区役所本庁舎の記録や遺跡の紹介など、指定文化財に限らず、幅広く興味を持っていただけるよう、より完成度の高いコンテンツの制作、公開に努めてまいります。  より多くの方に御覧いただくため、動画の更新の機会が目に留まるよう、ツイッターやメールマガジン、ホームページ、デジタルサイネージ等による周知を工夫するほか、英語版の制作も進めるなど、周知に努めてまいります。  以上でございます。 ◆二十一番(いそだ久美子 議員) おのおの御答弁ありがとうございます。一点再質問、民間との人事交流について聞かせてください。  制度上の制約が多くあることは理解しました。が、例示した、例えば池尻中跡地活用のような官民連携事業をこれからも進めていくのであれば、不動産会社や商社など、民間でプロジェクトマネジメントの経験がある人材、これを見たところ、あまり採用実績ないようですが、こういった方を即戦力として庁内に入れるべきと考えますが、この点はいかがでしょうか。これは政策経営の観点から中村副区長にお尋ねしたいと思います。 ◎中村 副区長 再質問にお答えいたします。  昨今、地域課題が複雑・多様化しており、官民で連携して取り組む領域が多くなっています。そうしたことから、お話しの民間のノウハウを有する人材の登用はますます重要と考えております。この間もICTや弁護士資格を持つ人材に加えまして、保育施設整備を加速するに当たって、民間の不動産会社の経験を有する人材を非常勤で採用して、土地所有者から見たインセンティブですとか、土地活用に当たっての税制など、不動産に関するノウハウをフル活用できたことで、民間用地の確保が大幅に前進したと、今日の待機児童解消につながったという成功事例も持っていると思っています。  こうした現場の実情を十分に捉えまして、即戦力として対応できる人材を政策的に確保するために、民間人材の確保の仕組みについて、特別区人事委員会と協議することも含めまして、様々な手法を検討し、駆使して、地域課題の解決に向けて取り組んでまいりたいと考えています。  以上です。 ◆二十一番(いそだ久美子 議員) ありがとうございます。最初に入った企業で勤め上げるというような働き方ではなくなっている昨今、区にもまだまだたくさんの魅力的な人材を途中からでも入れるチャンスがやってきたと思います。ぜひ制度改革も併せて、この点を改革して、民間の力を入れていっていただきたいと思います。質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上でいそだ久美子議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、二十三番中里光夫議員。    〔二十三番中里光夫議員登壇〕(拍手) ◆二十三番(中里光夫 議員) 日本共産党世田谷区議団を代表して質問します。  初めに、九条を生かした平和外交と消費税減税についてです。  ロシアによるウクライナ侵略が始まって百日以上過ぎました。アメリカのバイデン大統領は、民主主義対専制主義の戦いと言います。し0かし、価値観で世界を二分するのではなく、ロシアは国連憲章を守れ、この一点で全世界が団結し、平和の秩序を回復させてロシアの戦争を終わらせることが重要です。  日本国憲法は、国連憲章の考え方を進め、力による威嚇や武力の行使を禁じ、全世界の国民の平和的生存権を定め、力による支配の排除を前提としています。日本共産党は、憲法九条を守り、外交努力でASEANに米国、中国、日本などを加えた東アジアサミットを平和の枠組みとして強化することを提案しています。
     ところが、参議院選挙の公約などで、各党、軍拡の大合唱です。自民党は、十一兆円を超えるGDP比二%以上を念頭に、軍事費増額を唱え、反撃能力、これは敵基地攻撃能力の保有を求めています。公明党も、必要な予算は積み上げていくと容認。日本維新の会は、防衛費のGDP比二%への増額や専守防衛の規定の見直し、核共有の議論開始、憲法九条への自衛隊明記などを公約に掲げています。軍事的対応の強化は、軍拡競争と軍事的緊張を高めることにつながります。力対力で、日本を危険な戦争の道へと進めることとなります。また、軍事費を拡大することは、消費税の増税や社会保障の削減など、暮らしを押し潰す道でもあります。日本共産党は断固反対です。  核兵器禁止条約の初めての締約国会議が、六月二十一日からオーストリアのウィーンで開かれます。プーチン政権が核による威嚇をしています。禁止条約は核兵器の使用や威嚇を禁止し、核兵器廃絶の手順を定めています。これらを具体化し、国際社会の結束したメッセージを発することが期待されています。この会議は、全ての国連加盟国、各国の国会議員や反核団体などに開かれています。日本共産党からは笠井亮衆議院議員が参加します。日本政府も代表を参加させ、核廃絶の先頭に立つべきです。  区長は三月四日の声明で、国連決議も引いて、ロシアの侵略行為に抗議しました。議会でも、憲法九条を守ることや核兵器禁止を求めることを繰り返し表明してきました。現在の情勢の下、改めて区長から平和を求める発信を求めます。さらに、憲法九条を守ること、核兵器禁止について区長の見解を伺います。  食料品、生活必需品や光熱費などの物価高騰が区民生活を直撃しています。物価を抑えるには消費税減税が最も効果的です。日本共産党、立憲民主党、れいわ新選組、社民党の野党四党は共同で、インボイス中止を盛り込んだ消費税減税法案を衆議院に提出しました。  インボイスは、年間売上げ一千万円以下の消費税免税事業者に、課税事業者になって消費税を払うか、免税事業者のままで消費税分の値引きをのみ込むかの選択を迫ります。アニメーターや大工など、ひとり親方やフリーランスなどに消費税の負担や膨大な事務負担を負わせます。消費税免税業者を商取引から排除するインボイスは中止すべきです。消費税の減税、インボイスの中止を国に求めるべきです。区長の見解を伺います。  次に、物価高騰対策としての福祉施設への支援についてです。  今回の補正予算で、学校給食について、保護者負担なしで公費で対応することを評価します。物価高騰の影響は学校給食だけではなく、社会全般に及んでいます。保育園や介護施設、障害者施設など、区民の暮らしを支える福祉施設でも同様です。  ある特養ホームの施設長は、光熱費、食材、リネンなど、人件費以外は全て上がっている、非常に厳しい状況だ、訪問介護事業所の方は、人手不足に追い打ちだ、ますます苦しくなると言っています。緊急に、物価高騰対策として、福祉施設への支援を行うことを求めます。見解を伺います。  次に、国民健康保険についてです。  コロナ禍や物価高騰などから区民生活を守る問題で、国保加入者は自営業者、フリーランスなどが多く、物価高騰の影響や低所得など、経済的に厳しい状況に置かれている上に、国保料は協会けんぽの約二倍の高過ぎる保険料など、構造的問題があります。社会保障制度に求められる生活の安定、所得再配分機能などが現在の国保では十分果たされていません。  区は、未来つながるプランで経済的弱者対策を進める必要がある、社会保障制度の課題解決を含め、区民の暮らしを守る取組を進めていきますと示しています。人頭税と同じ仕組みの均等割で、多子世帯に重い負担があり、子育て支援に逆行するとして、区長会を通じて国に要望するとともに、負担軽減を区が独自に進める検討もこれまで行われてきました。  四月から国が行った軽減は、対象が未就学児に限られるなど、不十分。仙台市など、自治体独自に軽減を行っていた先進自治体は、国の制度を受け、さらに軽減を拡充しています。仙台市は、十八歳までの子どもの均等割三割軽減を、四月から五割軽減に引き上げました。これにより、未就学児の均等割はゼロとなります。  国に軽減対象を広げるよう求めるべきです。国等が年齢対象を広げるまでの時限措置として、来年度から区独自に軽減の年齢対象を広げることを求めます。区長の見解を伺います。  健康保険で病気による休業中の補償をする傷病手当は、これまで国保にありませんでした。しかし、令和二年度から、コロナ感染者に対して国保にも傷病手当ができました。しかし、フリーランスなど、個人事業主はその対象にはなっていません。さらに、後遺症による休業も傷病手当の対象になっていません。  区が独自に後遺症アンケート調査を実施し、全身の倦怠感や集中力の低下、睡眠障害、嗅覚や味覚障害など、多くの後遺症で苦しむ方の実態を明らかにしたことや、相談体制を強化したことは重要です。組合健保などでは、後遺症も傷病手当の対象となっています。  コロナ後遺症も国保の傷病手当の対象に加えること、フリーランスなど個人事業主も傷病手当の対象とすることを国に求めるとともに、区独自に行うことを求めます。  次に、DXです。  国は個人情報保護の仕組みを国の仕組みに一本化して、自治体が持つ個人情報を企業などが利活用する基盤をつくろうとしています。自治体情報システムの標準化は、自治体によるカスタマイズを認めず、自治体独自の住民サービスを阻害し、地方自治を後退させるおそれがあります  区長は、デジタルデモクラシーなどにより、コミュニティーや政策形成に区民が参画する機会を広げ、参加と協働をさらに発展、深化させ、住民自治の推進を目指す、区民への情報公開、情報提供の充実を図るという方向を示してきました。  また、区民サービスを後退させず、利便性の向上を図り、区民のプライバシーの安全安心に配慮した運営に努める、個人情報保護の徹底は最優先すべきとの認識の下、必要に応じ、国に対し積極的に要望するとの姿勢を示してきました。この姿勢の堅持が重要です。  松村副区長の出身企業のサイボウズは、働き方改革で評価が高い企業です。地域の福祉団体との協働も進めてきたと聞きます。地域や区職員の労務環境改善が進むことを期待します。  今後のDXの推進を松村副区長はどのように考えているのか、伺います。  松村副区長は民間出身ですが、営利企業と自治体は目的や役割が違います。全体の奉仕者である特別職公務員としての倫理や規則の遵守は当然です。松村副区長の認識を伺います。  次に、下北沢のまちづくりについてです。  下北沢駅前広場の整備が進んでいます。駅前広場と接続する部分の都市計画道路補助五四号線が整えば、自動車は茶沢通りから直接駅前広場に入ることができます。  工事は、駅前広場が先に完了し、接続する五四号線部分は、その数年後になる見通しです。区は、駅前広場の工事終了後、茶沢通りから直接接続するルートの完成を待たずに、自動車を入れる方向を示しました。現在駅前に通じる道から駅前ロータリーに車を誘導する考えです。一番街や本多劇場前、スーパーオオゼキ前など、狭い道に人があふれているような場所です。これを聞いた区民から、狭くて人であふれた道路に車を誘導するのは危険だ、駅前広場と五四号線はセットで考えてよなどの声が上がっています。当然です。  下北沢は歩いて楽しい町です。これは下北沢のブランドです。ここに自動車がたくさん入り込んで、安心して歩ける町でなくなってしまったら、交通の危険というだけでなく、下北沢の魅力が大きく失われてしまいます。  駅前広場へ自動車を入れるのは、接続する五四号線の整備を待ち、それまでの間、イベントや、歩行者が駅前広場全体を活用できるようにするべきです。駅前広場へ自動車を入れる時期や方法、駅前広場の使い方など、住民の意見をよく聞き進めること、何よりも安全第一に進めることを求めます。区の見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 中里議員の御質問に答えます。  まず、憲法、そして平和の問題についてであります。  区は、昭和六十年、一九八五年に平和都市宣言を行い、核兵器の廃絶と恒久平和を誓ってきております。この精神は現在に至るまで少しも変わるものではございません。  現在のロシア軍によるウクライナ侵攻は、武力による主権と領土の侵害であり、国連憲章に明らかに違反し、断じて容認できるものではありません。  この戦争によりコロナ禍で既に起きていた様々な食料不足、物価高に輪をかけて、エネルギー高騰、食料不足などの影響がさらに出ております。ロシア軍のウクライナ侵攻によって、これまでの世界情勢が極めて危険なものとなり、核戦争や第三次世界大戦も絵空事ではない危険な状況が生まれているのも事実であり、日本も含め多くの国や地域で、これまでにない防衛力増強等の動きが出てきているものと認識しています。  私は、平和憲法は変えるべきではない、これまでも申し上げてきております。平和はこれまで以上に重要なものとなり、世界各国から認識されている平和憲法を基礎として支える日本国憲法九条もこれまでになく重みを増しています。紛争に対して武力でなく外交による事態の打開を求め、平和的解決をあくまでも貫いていく理想を抱えていくべきだと思います。  区民の安全と安心を守る区長として、唯一の被爆国として、広島、長崎の被爆体験を持ち、核兵器の犠牲者をこれ以上生むことのないよう、核兵器廃絶や平和の重要性について、平和都市宣言に基づいた情報発信にも積極的に取り組んでいくべきだと考えております。  核戦争がこれほど、いわば現実性が迫ってきた事態はないと、様々な軍事専門家など、こう発言をしております。こういう状況だからこそ、核兵器禁止条約締結国会議に、まず日本政府はオブザーバー参加をすべきと私は考えております。  次に、消費税の問題について御質問です。物価上昇分の消費税を減税すべきという御提案でございますが、国民全体に波及する対策が必要だと考えております。消費税は所得が低ければ負担率が増す逆進性を抱え、また、空前の円安で、輸出での収益を増す大企業が享受する輸出戻し税の巨額の還付額など、構造的な矛盾があり、改革が必要であると考えています。  インボイス制度につきましては、御指摘のとおり、特に現在、免税事業者である中小企業に大変厳しい状況が懸念されておりまして、注意深く見守っていき、また、区民生活への影響に対しては、国も原油価格・物価高騰等総合緊急対策を策定しており、区としても、今般の補正予算に加えて、今後国民生活、区民生活の動向を慎重に、また注意深く見守って、対策を検討してまいります。    〔松村副区長登壇〕 ◎松村 副区長 私からは、今後のDXの推進につきましてお答えいたします。  前職におきまして、官民連携による地域の課題解決に携わってまいりましたが、その中で行政との連携においてもどかしく感じることが多々ありました。世田谷区がDX推進方針におきまして、参加と協働のDXを掲げて、区民参加をDXの根幹としていることは、まさに私の長年の思いに合致しておりまして、とてもやりがいのあるミッションだと思っております。  議員お話しの自治体情報システムの標準化につきましても、法律に基づく大きな課題と認識しております。国からの情報が不足しているといった懸念事項がございますが、大規模自治体の責務といたしまして、国に積極的な働きかけを今後行いつつ、個人情報保護に万全を期すとともに、区民サービスを後退させず、安定的な確保に向けて着実に進めてまいる所存でございます。  そして、区職員の働き方におきましても、私の前職での経験を十分に生かせるところと思っておりまして、生産性向上の基盤となるICT環境の整備など、区役所のDX、こちらもDX推進方針は柱の一つですが、こちらにスピード感を持って取り組み、区職員を含めて、世田谷区に関わる誰もが幸せになるようなDXに取り組んでまいりたいと思います。  以上です。 ◎加賀谷 政策経営部長 私からは、物価高騰対策としての福祉施設への支援について御答弁いたします。  区は今般の物価高騰等に速やかに対応するため、子育て世帯生活支援特別給付金の支給や、小中学校給食食材費上昇への対応など、区民の生活と区内事業者等の活動を守る取組について、本定例会に提出した補正予算案に計上をしたところでございます。  区内の高齢者支援施設や障害者支援施設、保育施設など、様々な福祉施設におきましても、光熱水費や食材費の高騰から、運営面におきまして、影響を受けているものと認識をしております。  今後、物価高騰の影響がさらに深刻化することも考慮いたしまして、この四月の国が決定しましたコロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策の実施状況も踏まえ、引き続き国や東京都の動向も注視しつつ、庁内所管への福祉施設の状況の把握を行いながら、さらなる対応や支援策の実施を検討してまいります。  以上です。 ◎田中 保健福祉政策部長 私からは、国保関連二点、まず均等割について御答弁いたします。  国は、令和四年度より全ての未就学児を対象とした均等割保険料を五割軽減する法改正を行いました。区としては、今般の国の制度改正を最初の一歩として評価しておりますが、昨今の食品や電気料金の値上げなどで生活が厳しくなる子育て世帯も見込まれる中、子どもが多ければ多いほど保険料が増える状況や、就学後の子どもの保険料の扱いが従来と変わらないということなど、子育て支援としてはまだ十分ではないと認識しています。  区独自軽減の御提案については、これまで特別区長会で問題提起し、議論を重ねながら、国に働きかけてまいりました。また、区でも十八歳以下の国保世帯数から減免影響額などを試算しています。  今後も国への要望を特別区長会レベルでまとめていく作業と同時並行で、仙台市や清瀬市など、先行実施している自治体の事例調査や試算、軽減・減免方式といった制度面の検討、支援対象範囲、影響額、電算システムの課題等の整理を進めてまいります。  次に、傷病手当関連です。現在の国保の傷病手当金は、フリーランスなどの個人事業主が支給対象から外れているなど、制度設計上の課題があります。区のコロナ後遺症についてのアンケートからは、多くの区民が生活や仕事で困難にあることが分かり、社会保険・労働相談などの相談窓口を設けてきました。一方、コロナ後遺症を対象とした傷病手当金の区独自での支給拡大については、現時点では、国の財政支援が見込めないなど、財源確保の課題があると考えております。  均等割保険料と同様に、国が責任を持って対応すべきことと考えていますが、今後、特別区長会を通して国に改善を求めてまいります。また、他自治体の支給事例など、それぞれどのような工夫で行っているか、必要性や有効性の観点からも研究してまいります。  私からは以上です。 ◎池田 総務部長 私からは、副区長に係る公務員倫理や法令遵守などについて御答弁いたします。  憲法第十五条第二項は、全ての公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではないと定めており、この規定は区長、副区長をはじめとする特別職の地方公務員にも適用されます。松村副区長は、民間企業出身ですが、現在では世田谷区の副区長の職に就任されています。特別職、一般職の区別なく、我々職員は全体の奉仕者として、法令を遵守しながら、区民の福祉の向上のために全力で取り組まなければならないものと認識しております。  以上でございます。 ◎木本 北沢総合支所長 私からは、下北沢駅前広場への自動車を入れる時期は、補助五四号線の整備を待ち、安全第一に進めるべきとの御質問にお答えいたします。  下北沢駅前交通広場につきましては、地元町会、商店街に加え、長年にわたりまちづくりに関わってきた皆様と、イベント時の利用なども想定した駅前広場のしつらえ等について様々に意見交換を行いながら、令和七年度の完成を目指し整備を進めております。  先般、都市計画道路補助五四号線の進捗や、現状の交通規制等を考慮した中で、駅前への車両の乗り入れを想定した交通動線について意見交換会を行いましたが、日々多くの利用者でにぎわう下北沢において、歩行者等の安全な通行に対する御心配の声をいただいたところでございます。  区といたしましては、区民の安全安心を第一に、引き続き交通結節機能や防災機能の強化、イベントをはじめ、地域活性化の核ともなる駅前広場や、補助五四号線の整備を着実に進めて、早期利用開始を目指すとともに、交通動線を含めた駅前広場の利用の在り方について、引き続き地元町会、商店街をはじめ、駅前広場の活用を願う地域の皆様との意見交換を重ねながら、検討を進めてまいります。  以上でございます。 ◆二十三番(中里光夫 議員) 松村副区長、参加と協働のDXに非常にやりがいがあると、それから、職員も含めて、世田谷区に関わる誰もが幸せになるようなDXに取り組むという御答弁で、大変心強いと思いました。しっかりと進めていただきたいと思います。期待します。終わります。 ○下山芳男 議長 以上で中里光夫議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、十一番高岡じゅん子議員。    〔十一番高岡じゅん子議員登壇〕(拍手) ◆十一番(高岡じゅん子 議員) 初めに、持続可能な循環型社会に向けた世田谷区のごみ処理について質問します。  先月末開催された東京二十三区清掃一部事務組合による、世田谷清掃工場建替計画(素案)説明会に参加してきました。百五十トンのガス化溶融炉二基と灰溶融炉による現プラントを、一部事務組合は三百トンのストーカ炉二基に建て替える計画です。この計画には、生活者ネットワークは反対です。ガス化溶融炉を、技術が確立し、安全に安定稼働が可能なストーカ炉へ仕様変更するのは大賛成です。しかし、世界がサーキュラーエコノミーへの移行を加速する今、廃棄物を安易に焼却処理して、CO2を出す現状から、CO2を発生させずに資源を再び利用する社会への転換が求められており、二〇三〇年以降に稼働する世田谷清掃工場の規模については、現状の百五十トン二基から増やすべきではないと考えるからです。  この建て替えは、令和三年二月に決定した令和十六年までの清掃一部事務組合の一般廃棄物処理計画によるものです。令和三年八月にIPCCの報告で、地球規模の気候危機が人類活動によることが一〇〇%明らかだとされ、人類が生きていける環境を維持するためには、残された時間が僅かであることが国際的な共通認識となりました。結果として、令和三年の前後では、国際的なCO2削減目標は大きく前進し、二〇五〇年までにCO2排出を実質ゼロにすることが世界目標となり、日本においても、気候危機対策、SDGsへのコミットメント、循環型社会形成に向けたプラスチック資源循環法など、政府の方針もさま変わりしています。  現在の清掃一部事務組合の一般廃棄物処理計画には、東京都の打ち出したゼロエミッション戦略などの視点も取り入れ切れておらず、計画自体の巻頭言にも、社会情勢に適応していくために適宜見直すということが触れられています。これから工事に取りかかる世田谷清掃工場は当然、CO2ゼロの目標年である二〇五〇年時点でも現役の設備となります。さらに言えば、二十三区内で建て替えが必要となる、今後着工予定の十四か所もの清掃工場が、二〇五〇年時点でも環境都市東京にふさわしい真に循環型社会に資する設備になるには、一日も早い方針転換が必要となります。  気候危機宣言をした世田谷区は、平成三十年につくった地球温暖化対策地域推進計画の全面的な見直しを進めています。清掃事業に関しても、二十三区全体が持続可能な循環型社会実現の推進力となるよう、これまでの方針を見直し、働きかけを強める必要があると考えます。区の見解を求めます。  CO2をこれまで以上に排出する過大な焼却設備を新設せず、さらに区の収集運搬経費を削減するには、燃やすごみを減らすことが最大の解決策です。これは省資源化、循環型社会の構築にも寄与します。ごみを着実に減らすためには、世田谷区として区民の協力を引き出すために、さらなる工夫や取組が必要です。区の見解を伺います。  国のプラスチック資源循環法への対応も含め、世田谷区のごみ処理の方針も次世代に持続可能な環境を残す方向へ変えていかなくてはなりません。今年度から始める清掃・リサイクル審議会の進め方や委員構成、情報公開の予定について伺います。  次に、意図せぬ交雑の防止と生物多様性の保全について質問します。  世田谷区は生物多様性地域戦略をつくり、外来種、移入種の積極的防除も行っています。動物に関しては、飼い切れなくなったアカミミガメを放すことが生態系によくないということは理解され始めています。植物についても、外来種の意図せぬ繁茂が実際に起こっています。  四月から五月にかけて、世田谷区のどこの道端でも見られるようになった小さなケシの花、ナガミヒナゲシなどは、空き地の修景用に園芸的に栽培されていた外来種が野生化したものです。かつてはどこでも見られたカントウタンポポも、今では宿根草として根づいている限られた場所でしか確認できません。昆虫による交配で種ができるカントウタンポポは、純粋な種を残すことができず、新しく生えてくるタンポポは西洋タンポポの交雑種になってしまっています。  今、ゲノム編集トマトなど、今までにない人工的につくられた植物の苗や種が市販されたり、実験的に配布されたりし始めようとしています。世田谷区内には昔ながらのトマトの品種を自家採種で栽培している農家もあります。生物多様性に対する基礎的な理解のないまま、目新しい品種を町なかで育てることでは、意図せぬ交雑を招く可能性があり、一度交雑した遺伝子は元に戻りません。少なくとも、区立の公園や区立学校など、区有地での栽培は避けるべきだと考えます。  世田谷区として、植物に関しても慎重な扱いが必要なことなど、区民と庁内の生物多様性に対する一層の理解促進を求め、区の見解を伺います。  最後に、孤立を防ぐ生き心地のよいまちづくりについて質問します。  生き心地がよいっていう言葉は、聞き慣れない、耳慣れない言葉だと思います。この言葉は、生きづらいの反対語として、自殺予防因子を研究している岡檀さんの著書「生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由がある」から引用させていただきました。  世田谷区は、今まででも生きづらさの軽減という視点を、若者や女性の暮らしやすい環境づくりなどに生かし、相談支援の場の充実などを図ってきました。それでも生きづらさを抱え続けた方が、本当に深刻な状況になって初めて相談につながるのが現状です。発想を転換し、自分たちが生きていきやすい町の在り方を、まちづくりセンターを核に、ポジティブに探り出していくことはできないでしょうか。  「生き心地の良い町」の本の中では、孤立を防ぐ五つの自殺予防因子として、多様性の許容、人物本位の他者評価、自己肯定感、緩やかな人のつながりの四つが示されています。これらの視点は、世田谷区にもある程度あるものではないかと感じました。私にとって一番印象的だった五つ目の自殺予防因子は、病は市に出せというものです。これは、その町で言われている格言で、自分や家族の弱みを深刻にならないうちに周囲に伝えることを促すものです。これが世田谷区に足りない視点ではないかと感じます。  まちづくりセンターは、地域住民に対する区の目、耳、触覚として、孤立しがちな区民の問題を深刻にならないうちに察知することができているでしょうか。区民が様々な不安や疑問、相談を二十八か所もの身近な場所で、人の顔を見て話せるまちづくりセンターがあることは、世田谷区の強みです。気軽に足が向くサロン的な場としても、頼りになる相談先としても、もっと地域住民に認識され、活用されるべきものです。  (仮称)世田谷区地域行政推進条例(素案)にも、まちづくりセンターの機能の強化が書かれています。単身世帯が増え、孤立・孤独対策が大きな課題となる中で、まちづくりセンターの果たすべき役割をどう位置づけ、より区民に親しまれ、利用されやすいものにしていくのか、区の見解を伺います。  昨年のまちづくりセンターでのコロナワクチンの接種予約のサポート活動は、IT前提の区の制度から取り残されかけた地域住民を、二十八のまちづくりセンターで支援し、区民に非常に喜ばれました。今後、DXによる社会変容が進んでいく中でも、誰一人取り残さないことは非常に大切です。  一方、昨年度、国による初めての孤独・孤立実態調査が行われ、二十代、三十代で孤立や孤独を感じる割合が他の年代層より高かったということが報じられています。こういった若い世代にとっては、SNSやオンラインのほうが声が上げやすいのかもしれません。  また、DXの様々なツールやアプリは、障害やひきこもりの当事者など、今まで区に対し声を届けにくかった人の声を聞き取れる可能性も秘めています。  世田谷区のDXを区民に寄り添った行政サービスに生かしていくための、松村新副区長のビジョンを伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔松村副区長登壇〕 ◎松村 副区長 私からは、DXに関してお答えいたします。  これまでの職業人生の中で、官民連携や地域課題の解決に携わるということと、それから副業としまして、福祉業界向けのアドバイザーなどに従事してまいりました。その中で、共生社会を目指す取組を行ってきたつもりでございます。  様々な事情でデジタル技術を使えない、もしくは使いこなせない方も多くいらっしゃると思います。参加と協働のDXにおいては、住民同士で教え合うような形や、周囲の人たちがデジタル技術を使って連携することで、そういう方々にチームで関わるということができるのではないかと考えております。  また、困難な状況にある方には、その人の事情に合った様々な支援の形があり、リアルに関わり合うだけではなくて、デジタルネイティブな若者など、ICTを活用すれば、支援の幅を広げられるケースもあるのではないかと思っております。  少子高齢化がますます進み、孤独、孤立の時代になっております。デジタル技術の特性を生かして、声を上げにくい人々の思いをキャッチし、必要な支援につなげていくなど、世田谷区を誰にとっても住みやすく、幸せを感じられる町にできるよう、地域や職員とのチームワークの下に取り組んでまいりたいと思います。
     以上です。 ◎蒲牟田 清掃・リサイクル部長 私からは、三点について御答弁申し上げます。  まず初めに、二十三区全体が持続可能な循環型社会の位置づけに向けた働きかけについてです。  東京都は、ゼロエミッション東京戦略で、二〇三〇年度までに温室効果ガスの排出量五〇%削減を目指し、家庭と大規模オフィスからの廃プラスチックの焼却量を四〇%削減する目標を政策の一つに掲げ、取組を進めております。  東京二十三区清掃一部事務組合では、令和三年度からの一般廃棄物処理基本計画において、国や東京都の廃棄物処理に関わる取組により、二十三区のごみを取り巻く状況が大きく変化することも踏まえ、人口動態や経済動向の推移などによるごみ量予測値は、令和九年度以降減少傾向で推移するとしております。  区といたしましては、さらなるごみの減量に向けた法的措置や財政的支援等について、大都市清掃事業協議会などを通じて、国への要望を継続してまいります。  加えまして、今後さらなるプラスチックを含むごみの発生抑制や再使用、再生利用など、3Rを推進するため、東京都をはじめ、他区や清掃一部事務組合と連携し、区民、事業者の意識醸成や行動促進を図るなど、環境に配慮した持続可能な社会の実現に向け取組を推進してまいります。  次に、さらなるごみの削減の取組についてです。  御家庭から出るごみの減量については、まず第一に発生抑制を進め、ごみの発生自体を減らす必要があることから、毎年全戸配布しております資源ごみの収集カレンダーのほか、ホームページや資源ごみ分別アプリなど、様々な媒体を通じてごみの減量に関する情報提供や普及啓発を行っているところです。  また、昨年度は平常時に比べてごみ排出量が増える年末年始期間に合わせ、年始一回目収集日の一日当たりの可燃ごみを百トン減量することを目的として、年末年始にごみ百トン減チャレンジを実施し、区民の皆さんの御協力により、減量目標を達成したところです。  区といたしましては、今後ともさらなるごみの減量に向け、本年七月策定予定の食品ロス削減推進計画に基づき、食品ロスの削減を一層進めるほか、環境学習や各種イベント、小盛りメニューの提供や、使用済みプラスチック等の削減に取り組むせたがやエコフレンドリーショップの登録店舗を増やすなど、引き続き区民、事業者に御協力いただける働きかけを行いながら、手法を工夫したタイムリーかつ効果的な啓発や周知を一層進めてまいります。  最後に、清掃・リサイクル審議会の進め方や委員構成、情報公開についてです。  清掃・リサイクル審議会は、世田谷区清掃・リサイクル条例に基づき、廃棄物の減量及び適正処理に関する重要事項を調査、審議するため、必要の都度設置しており、清掃事業区移管以降は、一般廃棄物処理基本計画の策定時などに過去七回設置し、議論を重ねております。  今般、プラスチックに係る資源循環の促進等に係る法律の施行により、廃棄されるプラスチック主要製品の分別収集が区市町村の努力義務とされたことから、区における今後のプラスチック資源循環施策の在り方等について、分別収集の体制や中間処理、再商品化の手法、CO2排出量削減、費用対効果など、多岐にわたる課題について幅広く議論していただく予定です。  委員の構成は、条例の定めにより、学識経験者、事業者、町会・自治会及び区民委員としており、公募による区民委員の選出や、各事業者団体等への委員選出の依頼を行うなど、八月からの審議会開催に向け、準備を進めているところです。  審議会の開催は、会場出席とオンラインを使用したハイブリッド会議を予定しており、傍聴についても、オンラインによる参加も可能とし、会議終了後には議事録のホームページ掲載など、審議会の審議状況について公開してまいります。  以上でございます。 ◎舟波 地域行政部長 私からは、まちづくりセンターの役割と、より親しまれる取組について御答弁申し上げます。  地域行政推進条例(素案)の検討では、身近なところでの区民生活の支援の強化の必要性が高まっているとの課題認識の下、まちづくりセンターが区民の身近な行政拠点として、多様な相談や手続に対応する窓口の実現を目指しております。  まちづくりセンターが様々な地区情報の発信やワクチン接種予約のような困り事の支援等によりまして、その認知度を高め、来庁しやすく相談しやすい環境づくりを進めます。  また、地区情報連絡会などを活用した、区民活動団体等の交流や、児童館を含めた四者連携による地域づくりの活動を促進する中で、顔の見える関係を通じまして、支援が必要な方とつながる機会も得られると考えております。  今後、まちづくりセンターにおいては、DXを活用した窓口相談の環境整備を進めるとともに、気軽に訪れることができる場づくりから、福祉の相談窓口につなげる対面相談の充実を図ってまいります。  以上でございます。 ◎釘宮 みどり33推進担当部長 私からは、意図せぬ交雑の防止と生物多様性の保全についてお答えいたします。  議員お話しの自然界で起こらない人為的な品種改良につきましては、植物育成の可能性を大きく広げるものですが、生物多様性の観点から言いますと、新たな種が在来の植生生物を駆逐するおそれや、意図せぬ交雑による野生種との置き換わり、種として衰退していく遺伝子攪乱など、一定の注意が必要と考えられます。  区といたしましては、区民が身近な自然と触れ合う際には、生物多様性についての気づきや理解を深めることで、地域の自然環境を大切にする行動につなげることが必要だと考えており、意図せぬ交雑や外来種の拡散による生態系への影響と併せて、環境省が呼びかけている外来種被害防止の三原則、入れない、捨てない、広げないなど、区民への普及啓発に取り組んでまいります。  また、公共施設における緑化や学校での園芸活動におきましても、在来種の大切さなど、生物多様性の保全に配慮していくよう、庁内への理解促進に努めてまいります。  以上でございます。 ◆十一番(高岡じゅん子 議員) 御答弁いただきました。新副区長には、世田谷区民の誰にとっても住みやすく、幸せを感じられる町にするため、DXの本質を理解して、区政の変革をリードしていただきたいと願っています。  今後のごみ処理についてですが、国に対し、大都市共通課題として支援や法整備を求めるだけではなく、二十三区清掃一部事務組合の一員として、積極的に提言していくことを強く求めます。これから始まる審議会では、ごみ減量の取組を進めてきた区民の声をきちんと受け止め、多くの区民の理解と関心を引き出すような、オープンな運営を求めます。  また、ゲノム編集作物に関して、新しい話題ですので、啓発と理解喚起を進めていただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上で高岡じゅん子議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後二時十八分休憩    ──────────────────     午後二時三十分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  一般質問を続けます。  三十三番藤井まな議員。    〔三十三番藤井まな議員登壇〕(拍手) ◆三十三番(藤井まな 議員) 質問通告に従い順次質問をしてまいります。  まず、災害対策について質問いたします。  先日、東京都の首都直下型地震が起きた場合の新しい被害想定が公表されました。耐震化が進み、被害想定の数字が改善されたとはいえ、まだまだ多くの死傷者が予想されています。さらに、東海地震や南海トラフ地震などが起きた場合、東京に与える影響も大きいと考えます。そんな中、今までも提案してまいりましたが、災害時の協定について、もう一度考えてみる必要があるのではないかと質問をさせていただきたいと思います。  日大の危機管理学部の山下博之准教授の論文の中には、災害時、また、災害から復興という場面で、自治体同士だけでなく、民間企業との協定の重要性が説かれています。世田谷区は三百七十以上の災害協定が結ばれております。区内団体との協定は後ほど触れることにしますが、被災状況により協定が実行できないことも予想されます。  そんな中、協定を全てチェックしてみると、熊谷市や高崎市、松本市など、区外自治体とも協定が結ばれています。近過ぎず遠過ぎず、それなりの規模がある自治体と協定を結ぶことは、災害時には非常に有効な政策ですが、自治体だけに頼ることなく、協定先の民間企業との災害協定を進めることは意義のあることではないでしょうか。災害が起きれば、協定先の自治体は動くかもしれませんが、事前に準備をしていくことが大事だと考えます。区の考え方をお伺いいたします。  区内民間企業、民間団体でもさらなる協定が結べないか、常に突き詰めていく必要があります。プール教室や、例えば大規模なプールを持つ施設などは、災害時には貴重な水資源となります。災害時には民間の水を準公共物とみなすことで、区民全体を救うことにはならないでしょうか。現状の協定に満足することなく、引き続き協定の強化を促進していくべきと考えますが、区の考え方をお伺いいたします。  災害時の給食センターについても伺います。  民間企業では、社員食堂などを災害時にどう活用するかの取組が進んでいます。教育委員会に問い合わせたところ、世田谷区の給食センターは、災害時には何の機能も果たさないということでした。全国には、熊本県益城町、茨城県北茨城市など、活用に取り組む事例が見られます。食材のローリングストックで、いざというときに対処できるようにすることなどは、すぐにでも取り組める可能性があると思います。また、太子堂調理場は老朽化も進んでいますが、いつの日か建て直すことになった場合には、災害時の防災拠点としての機能を強化し、避難所の機能も備えた総合防災施設として再構築することを提言いたします。私が述べたこと以外にも可能性があれば、災対部門としてもっと活用を模索する必要があるのではないでしょうか、お伺いをいたします。  災害対策の最後の質問として、電源を失うと命に関わる人々への対策を質問いたします。  これまで医療的ケア児の対策などを指摘してまいりましたが、医ケアの方は当然のこととして、障害を持った方、高齢者など、酸素吸入器、人工透析、ネブライザーなど、非常用電源を必要とする人々がどれほどいるのか、その実態を調査し正確に把握する必要があります。福祉避難所であっても対応が難しい事例もあるかもしれません。先日、オンライン参加した医療的ケアのシンポジウムでは配電車のアプリなどが紹介されていました。区は様々な事例を調査し、適切な対応を行っていくことが必要と考えますが、区の考え方をお伺いいたします。  次に、多額の補助金が投入されているシルバー人材センターについて質問いたします。  税金が投入されている以上、二重行政は防いでいかねばなりません。昨年、区がスタートさせたR60――SETAGAYA事業は今後対象が重なることが考えられます。超高齢社会において元気に働く高齢者の存在は非常に重要です。先日、一部の会員に私からシルバー人材センターにどんなことを求めるかアンケートをした結果、生きがい就労も大事だが、生活への収入面も重要だという意見が多い結果でした。シルバー人材センターは、世田谷区にとって補助金に見合うだけの努力を本当に行っているのでしょうか。私はこういった情報を聞くと、シルバー人材センターは改革が必要であると考えます。区は今後シルバー人材センターの運営をどのようにしていくべきと考えているのか、お伺いをいたします。  また、透明性が確保されていない組織体制についても質問いたします。  最高意思決定機関である理事会に真っ当な議事録がなく、会員からの質問にも誠意ある受け答えがなされていません。さらに、廃止は考えていないとコメントしてきた陶芸教室が中止と決定した際も、生徒や現場で働く方々に丁寧な説明は行われませんでした。事務局長は、廃止に至った責任はシルバー側にあると発言しておりますが、今日に至るまで何ら責任が取られた形跡はありません。こんな形で現場の人たちを首切りを行えば、通常の就労であれば労働裁判に訴える案件であり、労働基準法違反に問われる事案であります。  法律でシルバー人材センターを廃止することはできません。さらに言えば、行政よりも、様々な団体よりも、通常の企業よりも、特例で守られている存在です。だからといって、多額の税金が投入されている組織として、会員に向き合わない姿勢には大きな疑問を感じます。透明性の確保と責任の明確化を求めますが、区の考え方をお伺いいたします。  電動キックボードについて質問いたします。  今国会で議論されていた道路交通法の改正ですが、四月十九日に可決成立いたしました。この改正で、来年度から十六歳以上なら運転免許証なしで、ヘルメットなしで公道を走行することが可能となりました。さらに条件を満たせば、歩道も走れるようになるという内容です。しかし、改正され乗りやすくなる規制緩和について、リスクの見積もりが甘過ぎるのではないかという専門家の意見なども見られます。これまで国内では重篤な事故も発生しており、海外では死亡事故も起きております。また、電動キックボードは、大型トラックやバスなどから被視認性が悪いという意見が出ています。便利だから、経済効果があるからというだけで推し進めていくのは危険ではないかと考えます。  しかし、改正され、こういった走行が行われることが決まったからには、行政は安全に対して最善を尽くす必要があります。今回の改正を契機に事故が急増することがないように、広報啓発や危険な走行などの違反行為に対して、取締りを徹底する必要があると考えます。取り締まるのは警察の管轄でありますが、広報などは世田谷区も行っていかなければなりません。世田谷区のホームページでは、今年一月に電動キックボードのページが更新されておりますが、法改正を機にさらなる更新が行われることになると思います。区は、今後の安全対策について、ネットでもリアルでも警察などと連携も行いながら、対策を行う必要があると思いますが、どのように考えているか、お伺いをいたします。  最後の質問として、学校給食について質問いたします。  まず、給食費無償化について、二〇一七年、当時の民進党時代から給食費無償化を提案し、決算委員会、予算委員会などで私も求めてきたこの政策について、昨日の我が会派代表質問への区長答弁では、適切な時期に対応するという答弁があり、一歩前進したことに評価をいたします。  この無償化政策と同じぐらい大事な政策として、食育について質問をいたします。  先日、北沢タウンホールにて他会派の区議さんもたくさん多く参加されていた食の安全に関するシンポジウムに参加し、他の自治体の事例などを映像で拝見いたしました。就学前の子どもたちが自分の口に入るものの大切さを考え、次年度の子どもたちのためにみそを仕込む姿は大変感動する映像でした。就学前、小学校、中学校と成長に合わせて、食の安全など幅広い観点から食育を進め、給食を通して理解をする取組を行っていくべきと考えますが、教育委員会の今後の取組をお伺いいたします。  SDGsを推進する世田谷区でも給食の廃棄が行われています。中には、児童生徒に見える場所で牛乳の廃棄が行われるなどという学校もあるということで、言っていることとやっていることの整合性が取れません。早急に変えていかねばなりません。区は、食品ロスなくし、名実ともにSDGsを達成する必要があると思いますが、学校給食の食品ロスについて教育委員会はどのように考えているか、お伺いをいたします。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎大塚 危機管理部長 私からは災害対策について三点御答弁申し上げます。  災害対策に当たりましては、一つの方策を講じるだけでなく、万一の事態も想定し、あらかじめその代替策を用意し、万全な体制を期す必要があるものと認識しております。御指摘のとおり、現在取り結んでいる自治体協定や区内事業者との協定にとどまらず、その補完策として、区外の民間企業との協力協定の締結を拡大していくことは意義があるものと考えております。このような視点の下、さらなる防災力の強化につなげるため、区外民間事業者との協定締結の拡大につきましても、今後の検討課題として取り組んでまいります。  次に、区内民間企業との災害協定についてでございます。  区は、災害時に物資の供給や避難場所の確保など、様々な支援を受けられるよう、約三百七十団体と協力協定を締結しております。このうち、区外の事業者や公的機関を除き、百四十四の区内の民間事業者と協力協定を締結しております。協定を締結している民間事業者とは、実災害に備え、より緊密で実効性のある連絡体制を整備していくことが、区として取り組むべき重要な課題であると認識しております。民間事業者の活力は地域の重要な防災力の一つであり、その活力を最大限に活用する姿勢を持ち、引き続き、協定締結の拡大や連絡体制の整備など、内容の充実に取り組んでまいります。  続きまして、災害時に電源を必要とする方への対応についてでございます。  在宅避難の推進に当たりましては、在宅避難に対する区民の方々の不安を解消するとともに、安全に自宅等で過ごせる方策を考えることが重要であると認識しております。特に非常用電源につきましては、実際に災害が起きてからの確保は困難を伴うものと想定され、事前の備えが重要となってまいります。  そのため、在宅で医療機器を使用されている方などにつきましては、非常時の備えがどの程度なされているかを把握し、その実態に応じて、安心して在宅避難を行うための対策を講じる必要があるものと考えております。既に非常用電源を確保されている方として区が把握している方々を除き、これらの備えがなされていない家庭や、区として把握していない家庭があるかについて、関係所管や関係機関と協議の上、今後把握を進めることといたしまして、必要となる対策の検討を急いでまいります。  以上でございます。 ◎知久 教育総務部長 私から二点お答えいたします。  まず、災害時における太子堂調理場の活用についてです。  太子堂調理場は、開設以来五十年近く経過しており、耐震基準は満たしているものの、老朽化が進み、予備電源などの備えもなく、調理設備や大量調理用の特殊な機器があるため、調理には専門的な知識や操作経験のある者の協力が必要となるなど、災害時の活用には様々な課題があるものと認識しております。  一方で、被災した区民の生活支援は重要な課題であり、特にライフラインが復旧していないような状況では、温かい食べ物が希望や笑顔を与え、被災者には次の行動を生み出す活力につながるものと考えます。太子堂調理場の災害時の活用については、その一部や機器等の活用ができるかどうか、引き続き関係所管と検討してまいります。  次に、学校給食の食品ロス削減についてお答えいたします。  現在、区立小中学校におきましては、学校給食残滓の有効利用として、食べ残しや調理くずの残滓を家畜用の配合飼料原料とする飼料化リサイクルに取り組んでおります。また、各学校では、児童生徒から希望を取るリクエスト給食の実施や、季節の行事などに合わせた献立の提供などを行い、子どもたちの食への興味関心を高め、食べる意欲を育むことで食べ残しを減らすよう努めております。  今後、現在策定中の食品ロス削減推進計画の着実な推進に向け、様々な食材に触れる食育を進めつつ、子どもたちにとって魅力的なメニューを提供するなど、献立の工夫に取り組むとともに、国が定める学校給食衛生管理基準の下、食材の有効活用を図り、給食食材の残滓の削減に努めてまいります。  以上でございます。 ◎後藤 経済産業部長 シルバー人材センターについて三点御答弁いたします。  まず、センターの運営をどのようにしていくべきかについてでございます。  シルバー人材センターは、法の定めにより東京都が指定して事業を実施しており、現在約三千人の会員が活動しております。区では、シニアの多様な就労ニーズに応えるため、三茶おしごとカフェで扱うフルタイムの就労支援、専門性や資格を活用して短期的な仕事をシニアに提案するR60――SETAGAYA事業、地域社会と連携しながら生きがい就労の実現を目指すシルバー人材センター事業の三つを、高齢者就労支援の軸として支援をしております。  シルバー人材センターでは、昨今は求められる役割も大きくなってきておりまして、新たな就業開拓やそのマッチングに加え、サークル活動やサロンの運営といった会員同士の交流など多岐にわたっていることから、現在の事務局が持っているノウハウやその蓄積は極めて重要と考えてございます。区といたしましても、会員のニーズを的確に捉えた円滑な運営となるよう支援をしてまいります。  二点目、透明性が確保されていない組織体制についてでございます。  シルバー人材センターは、公益社団法人であるため、例えば総会や理事会の議事録について、法人法や定款などに基づき記録することとし、閲覧も限られた関係者のみというような様々な制限がございます。ただ一方で、会員同士の情報共有や各会員の意見を運営に反映することは、内部の透明性を高め、信頼される組織づくりという点で大変重要と認識してございまして、会員の求めに応じ、可能な範囲で柔軟に対応することも重要と考えてございます。  ここ数年は、コロナ禍ということで会員同士の交流も減少する中、会員と理事の対話も厳しい状況が続いておりましたが、今後は、区といたしましても、月例定例会の場など様々な機会を捉え、透明性の高い組織となるよう支援をしてまいります。  最後に、中止となりました陶芸事業の責任についてでございます。  シルバー人材センターでは、独自事業の一つとして陶芸教室を実施してきましたが、年末の理事会にて廃止を決定いたしました。これに伴い理事会にて、事務局の責任について議論がありましたが、陶芸施設の老朽化や収支状況の悪化などといった状況から、事業継続は困難と総合的に勘案したものであり、事務局の不作為、責任はないと理事会で判断をいたしました。  陶芸教室については、その後、講師も含めた就業会員及び受講者に対して、事業廃止をお伝えするとともに、二回にわたり作品や私物等の引取り案内を行い、現在のところ、就業会員と受講者ともに大きな混乱はないと聞いてございます。引き続き引取り等への案内をはじめ、就業会員と受講者に対して丁寧に寄り添った対応をするよう、シルバー人材センターに働きかけてまいります。  以上でございます。 ◎工藤 土木部長 私からは電動キックボードの安全対策について御答弁いたします。  電動キックボードは、原動機付自転車に該当し、自賠責保険への加入やヘルメットの着用などが義務づけられております。一方、電動キックボードの安全走行の社会実験を実施しているレンタル事業者の車両は、社会実験の実施区域内では小型特殊自動車に該当するとされ、ヘルメット着用が不要であるなど、適用される交通ルールが異なる場合もある状況にあります。  区といたしましては、今後施行予定の道路交通法の改正の動向や、警察庁の取組に注視するとともに、まずは電動キックボードの基本的なルールにつきまして、七月発行の区広報紙やホームページを通しまして広く周知啓発を行うなど、警察と連携し安全対策に取り組んでまいります。  以上です。 ◎粟井 教育政策部長 私からは子どもたちへの食育の推進についてお答え申し上げます。  学校におきましては、学習指導要領に基づいて食育全体計画を作成し、家庭科や特別活動、総合的な学習の時間等の授業の中で、栄養のバランスや規則正しい食生活、食品の安全性などに重点を置いて指導しているところでございます。家庭科では、栄養素や献立の考え方について学んだ後に調理実習をして、栄養バランスの取れた食事の大切さについて理解を深めています。総合的な学習の時間では、生徒自らが原料のこうじからしょうゆを作り、調理して、食事をする体験を通して、食料生産の仕組みや食品添加物の影響等について学んでいます。  昼食時には、栄養士が各教室で食に対する興味や関心を高める言葉かけをして、日常から食の大切さに気づかせるよう取り組んでいるところでございます。今後は、児童生徒がSDGsの視点から食品ロス等の問題について考える等、食の大切さについて幅広い視点で理解できるよう指導してまいります。  以上でございます。 ◆三十三番(藤井まな 議員) 給食センター、災害時の利用で全国にいろんな事例があるので、ぜひともいろいろ見ていただいて、できることがあると思いますので、ぜひともいろいろ探してみていただきたいと思います。僕も全部お伝えします。
     あと、シルバー人材センターのお話ですけれども、部長、本気ですか、この答弁。就業会員さんに大きな混乱はないと聞いておりますって、大きな混乱がなかったら、僕、こんなところで質問しているわけないじゃないですか。すごいもめていますよ。現事務局長も前事務局長も前理事長も現理事長も本当に人の血が通っていないですよ。真っ当に向き合っていないですよ。八千万円の税金を突っ込まれて、多いときには一億円もの税金を突っ込まれているシルバー人材センターで、こんな会員のほうを向いていないことなんかないですよ。  部長、職を奪われたことあります、人生で。シルバー人材センターだから許されますけれども、人の職を奪うということは単純なことじゃないですよ。そういう気持ちを分かって答弁していますか。もっと向き合ってくださいよ、区民に。組織を守るためにやっているんじゃないでしょうね。もう本当に区民に向き合うことをやってくださいよ。シルバー人材センターに意見を言ってくれませんか。もう本当に誰かが責任を取るか、もしくは八千万円の補助金なんかもう全部取り下げるか、それぐらいのことをやってほしい。それぐらい怒りを僕は聞いていますよ。どうですか、もう一回答弁下さい。 ◎後藤 経済産業部長 再質問にお答えいたします。  今おっしゃっていただいた状況を今回御質問いただいた中で、事務局長を含め確認をさせていただいて、現在の答弁をさせていただきました。ただ、おっしゃっていただいた内容と現場の受け止め、ずれがあるというところで、今の再質問に至ったなというふうに考えております。私のほうでも改めまして現状の確認をさせていただき、改善すべきところ、何が至らなかったのか、どういうふうにギャップが生じていたのかといったところを、また改めて確認をさせていただきまして、シルバー人材センターのほうにも支援、適正な指導等を行っていきたいと思います。  以上です。 ◆三十三番(藤井まな 議員) 部長、もしかしたら定年退職されたら、シルバー人材センターに天下りするかもしれませんよね。改革できないかもしれないですよね。もういつまで組織を守るためにやっているんですか。前の事務局長もそうですし、今の事務局長もそうですし、みんな天下りした人、組織を守るためにやっているんじゃないですか。区民のほうを向いていないじゃないですか、会員のほうを向いていないじゃないですか。今度は会員のほうを向いてください。組織を守るためじゃなくて、会員のほうを向いて、向き合ってぜひ対応してください。  終わります。 ○下山芳男 議長 以上で藤井まな議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、二十二番中山みずほ議員。    〔二十二番中山みずほ議員登壇〕(拍手) ◆二十二番(中山みずほ 議員) 質問を始めます。  まず、医療的ケア児の情報共有のためのデジタル活用について伺います。  医療的ケア児支援法が成立して一年がたちました。世田谷区における医療的ケアの必要なお子さんの数は増加傾向にあり、区は医療的ケア相談支援センターHi・na・taの開設など、具体的な支援を進めています。他自治体に比べて早い取組であったことは評価いたします。  一方、当事者の保護者の方々からは、区の必要な手続の際、何度も同じ内容を書かなければならないとの声が寄せられています。現在、部門を横断してのデータベースは構築されていません。その要因の一つは、手続書類の紙ベースでの保管、過度な個人情報保護にあると考えます。  医療的ケア児支援法で示されている地方自治体の責務とは、医療的ケア児を取り巻く部門間の横串の情報共有の強化ではないでしょうか。DX推進において、区長は区民に時間を返すとおっしゃっておりました。これは窓口混雑の軽減にとどまらず、ただでさえ多忙な医療的ケア児、医療的ケア者御家族のためにも適用されるべきです。これこそが区民にとってのDX施策の具体的なメリットです。まず初めの一歩として、人数の把握ができている医療的ケア児の各種申請において、記入の重複を軽減する方法を検討するべきではないでしょうか、区の見解を伺います。  特に横串的な情報連携が必要となるのは災害対策です。今後は、デジタル技術の利活用により支援の質の向上、また、さらにはプッシュ型のコミュニケーションも必要と考えますが、区の見解を伺います。  次に、区職員における男女の賃金格差とジェンダー統計について伺います。  今月、六月三日、女性版骨太の方針が公表されました。本日は、その中にある女性の経済的自立に関して伺います。  この項目のトップに示されているのが男女間賃金格差に係る情報の開示です。本年夏には女性活躍推進法を制度改正し、常用労働者三百一人以上の事業主に対し、男女間の賃金格差を開示することを義務化し、有価証券報告書についても同内容の開示を義務づけるとされています。この動きは一般企業にとどまる話ではありません。政府は男女の賃金差の公表を中央省庁や地方自治体にも義務づける方針を固めています。また、女性活躍推進法においては、既に特定事業主行動計画の指標の中に、男女の賃金格差は任意把握事項として示されています。女性版骨太の方針、そして女性活躍推進法を鑑みて、一万人の職員を有する世田谷区の考えをお聞かせください。  また、特定事業主行動計画において、女性の経済的自立を示す指標、つまり、男女の賃金格差も把握する項目とすべきではないでしようか、区の見解を伺います。  今回の骨太の方針には、ジェンダー統計の充実に向けた男女別のデータの的確な把握について、夏頃を目途に取りまとめると示されています。私はかねてよりジェンダー統計の必要性を訴えてまいりましたが、いよいよ国も方針を示します。すぐに準備に取りかかるべきと考えますが、区の見解を伺います。  次に、学校給食での国産小麦、有機食材の使用について伺います。  五月二十七日付の日本農業新聞によれば、半年ごとに決まる輸入小麦の政府売渡価格は、昨年秋より二割近く上昇、そして現在は過去二番目の高値で、パンやパスタといった小麦製品の値上げが相次ぐと指摘されています。ただ、現状の要因は、中国の飼料用需要の増大や北米産小麦の不作による相場の高騰です。今年二月に始まったウクライナ侵攻の影響が本格的に現れるのは本年十月からとしています。つまり、ここ一年ぐらいで国産小麦と輸入小麦の価格差は縮小するだろうと想定できます。  輸入小麦は、収穫前のプレハーベスト、収穫後のカビなどを防ぐためのポストハーベストと言われる農薬使用があり、その中には残留基準のないものも存在します。東京大学大学院の鈴木宣弘教授によれば、発がん性に加え、腸内細菌を殺してしまうことで、様々な疾患を誘発する懸念が指摘されている除草剤グリホサートを、アメリカの穀物農家は小麦に直接散布していると警鐘を鳴らしています。  実際世田谷区の学校給食の農薬残留調査でも、日本の基準値以下ではありますが、グリホサートが検出されました。世界はグリホサート禁止の動きが高まる中、日本は二〇一七年に残留基準値を五ppmから三十ppmになぜか引き上げました。既に都内でも、学校給食で国産小麦一〇〇%のパンの提供を始めている自治体の事例も複数あります。さらに、食料自給率の向上などの食料安全保障、また、公共調達による安定した国産農産物の需要創出という視点もあります。給食での国産小麦の利用の検討を始めるときと考えますが、教育委員会の見解を伺います。  また、農水省は昨年五月、みどりの食料システム戦略において、二〇五〇年までに化学農薬の使用量をリスク換算で五〇%低減させる、化学肥料の使用を三〇%減らす、耕地面積に占める有機農業の面積を今の〇・五%から二五%、百万ヘクタールへ拡大するという目標を掲げています。計画の中で、有機農産物の消費拡大と安定した需要を図るための施策として期待されているのが学校給食です。SDGsを標榜し、五万人の小中学生を抱える世田谷区においては注視すべき動向と考えます。この国の方針にのっとり、給食における有機食材、特に主食である有機米の使用の検討を段階的にでも始めるときではないでしょうか、教育委員会の見解を伺います。  最後に、学校におけるマスク着用について伺います。  五月二十七日、世田谷区教育委員会から学校長に向けて、マスク着用が不要な場面が示されました。体育や部活動ではマスクを外すとされています。しかし、学校ごとにその対応はまちまちのようです。運動会や体育祭でも、マスクをしたまま競技をする子どもたちを見た保護者から疑問の声が上がり始めています。一方、マスクを外す指示が出ている学校もあり、SNSなどで学校ごとの方針の違いが保護者間で共有されています。六月十日の記者会見で末松文科大臣は、教育委員会に対して、運動中、登下校の際にはマスクを外すことを指導することと改めて呼びかけています。  日本は、マスク義務が課せられなかったため、世界各国のように、明確なマスク解除も示されません。しかし、これまでを振り返ると、あらゆる場面でマスク着用がうたわれ、学校においても何度も手紙が配られ、マスク着用の徹底が図られてきました。つまり、実質的な義務化であると、子どもを含めた多くの人たちは捉えていると言っても過言ではありません。それであれば、外す場面についても、学校長ごとの判断を介在させるべきではなく、一律に明確に伝えるべきです。今後、教育委員会から、もしくは教育長のメッセージとして、直接保護者に伝達できるすぐーるで知らせるべきと考えます。教育委員会の見解を伺います。  同じく学校一斉休校後に始まった机のパーティション設置についても、これは有効なのかと保護者や教員から疑問の声が上がっています。給食時の利用が多いようですが、皆、同じ方向を見て座り、黙食が前提である以上、感染リスクは大きくありません。今年三月、ようやく国立感染症研究所もエアロゾル感染を認めました。パーティションによる対策よりも、換気やCO2濃度測定器の設置のほうが有効です。コロナ対策の科学的知見も積み重なる中、そろそろパーティションは撤去するべきと明確な方針を示してもよいのではないでしょうか、教育委員会の見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎須藤 障害福祉部長 私からは医療的ケア児の情報共有のためのデジタル活用、こちらについて二点御答弁申し上げます。  まず、医療的ケア児を取り巻く部署間の横串の強化ということについてです。  医療的ケアが必要な方々が行う手続は、手当やサービス、こういった内容により保健福祉センターや教育委員会、障害福祉部など、窓口が複数に分かれております。各申請に係る書類は、国や東京都の制度などが異なるため、申請の都度、関係書類を添付していただき、その保管は主に紙台帳となっております。現時点で各窓口に提出されている個人情報は、その保護の観点から共有が難しいという状況ですけれども、今後、共有すべき情報がどのような情報なのか、どのような所管と連携、共有するか、そういったことを整理いたしまして、DXの推進に向けて関係所管と検討してまいります。  続きまして、災害時におきますデジタル技術の利活用ということについてです。  災害時の支援につきましては、ポータブル電源の配布希望があり、同意を得た方には、区の委託先である医療的ケア相談支援センターHi・na・taとその情報を共有し、個別避難計画の作成支援などを始めております。また、医療的ケア児・者やその御家族からは、区に提出した自身の個人情報、これを関係所管で共有することにより、災害時の支援や様々な福祉サービス等の手続の簡素化に有効に使ってほしいという声をいただいております。今後、医療的ケア児・者やその家族、災害時の安全安心とプッシュ型の福祉サービスの実現に向けまして、個人情報保護とDX推進の観点から課題を整理し検討してまいります。  私からは以上です。 ◎池田 総務部長 私からは三点御答弁いたします。  まずは、女性版骨太の方針などへの対応についてです。  世田谷区では、常勤職員、会計年度任用職員を合わせて約一万人が勤務しておりますが、様々な職務、職責において多くの女性職員が働いております。女性職員にとって、より働きやすい環境、活躍しやすい環境を整えていくことは、将来の区組織の発展にとって不可欠であると考えております。今後、国から示される女性版骨太の方針二〇二二の詳細を早急に把握しまして、データの把握や分析に基づく対策の構築などに積極的に取り組んでまいります。  次に、特定事業主行動計画における対応についてでございます。  国や地方公共団体においても、一般企業と同様に、職員が仕事と子育ての両立を図ることができるよう、行動計画を策定することが義務づけられており、区でも世田谷区特定事業主行動計画を策定しております。今般、女性版骨太の方針二〇二二において、把握、公表すべきとされた男女の賃金格差については、これまで国から対象範囲や把握の方法などが示されていなかったこともあり、現在の区の特定事業主行動計画には掲載しておりません。しかしながら、男女の賃金格差を適切に把握し公表していくことは、区における女性職員の活躍状況を把握するためにも重要な指標であると認識しており、今後、国から示される対象範囲や集計方法などを踏まえ、的確に把握し、公表していくことができるよう準備を進めてまいります。  次に、ジェンダー統計の充実についてでございます。  性別に関係なく、誰もが働きやすい労働環境を築き、さらに女性が活躍できる世田谷区を実現していく上で、客観的なデータをジェンダー統計として蓄積し、分析を行っていくこが重要であると認識しております。現在、区では管理職に占める女性職員の割合など、国が定める八つの必須把握事項に、職員の女性割合及び職員の年次有給休暇等の取得日数の状況の二項目を加えた十項目を、ジェンダー統計の指標として把握しております。今後、国におけるジェンダー統計のワーキンググループでの検討を注視するとともに、既存の統計情報などをジェンダー統計として活用していくための整理検討を速やかに進め、区のジェンダー統計がより実効性のあるものとなるよう取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎知久 教育総務部長 私からは学校給食ほか順次お答えいたします。  まず、国産小麦の利用についてでございます。  学校給食で使用する食品の選定においては、鮮度のよい衛生的なものを選定し、過度に加工されたものは避けるほか、肉や野菜、果物などの特定の食品は国内産に限定するとともに、その他の食材も可能な範囲で国内産を使用するよう指導しております。  御指摘の国産小麦につきましては、比較的高価なこともあり、学校での使用頻度は少ない状況にございますが、引き続き学校給食に使用する食品の安全確保に十分配慮し、御提案の国産小麦を使用した食品について、今後の価格の動向を注視しまして、定められた給食費の中で工夫し、できるだけ使用するよう働きかけてまいります。  次に、有機食材の使用の検討を始めるべきについてお答えいたします。  世田谷区の学校給食における有機農産物の使用について、昨年度は小中学校合わせて五校にて、限られた日数での使用にとどまっており、通常の食材よりも高価であることや、安定的な入手が困難であるといった課題がございます。また、教育委員会では昨年度、学校給食の登録事業者に有機農産物等の取扱いに関するアンケートを実施したところ、有機農産物を納入できると回答した事業者は全体の約二五%と、事業者が限られている状況にございます。有機農産物は虫が混入するおそれもあり、洗浄作業や調理作業での確認の手間がかかるものの、安全性に優れていることから、今後、流通量や価格の動向を踏まえつつ、より多くの学校で御提案の有機米を含めて、有機農産物が使用できるような方策を検討してまいります。  次に、マスクの着用とパーティションの利用についてです。  これまで基本的なコロナ感染対策の一つとして、マスク着用が二年以上にわたって推奨されてきたため、子どもたちの間でもマスク着用は常態化しており、着用を希望する、あるいは外すことにためらいがちになる児童生徒がいる一方で、夏場にマスクを使用することには弊害があることから、双方に配慮した対応が重要となっております。  五月二十五日に国から都を通じ、熱中症防止の観点から、屋外でのマスク着用の必要がない場面が示され、五月二十七日に各学校、園にマスク着用の考え方を周知したところですが、六月十日に再度国から、熱中症対策を優先し、体育や運動部活動などの場面ではマスクを外すよう指導を求める通知があり、直ちに各学校、園へお伝えしたところです。保護者には近日中にも、子どものマスク着用に関する国のリーフレットにより、学校緊急連絡情報配信サービスすぐーるを活用し周知してまいります。  パーティションの使用については、各学校に必ずしも使用することは求めておらず、黙食等により感染対策が徹底されていると判断できる場合は、使用する必要はない旨をマスク着用に関する指導と併せて各学校に再度周知しております。  以上でございます。 ◆二十二番(中山みずほ 議員) まず、ジェンダー統計についてですけれども、国の動向を見て進めていただきたいということと、あと同じく有機食材、国産小麦の使用についても、これも国の動向を見て進められるところは進めていただきたいと思います。いずれもSDGsに資する内容だと思っておりますので、今後、私も注視していきたいと思います。  また、マスク着用については、今具体的にすぐーるでまず保護者に伝えると御報告がありましたので、そこは評価いたします。  ただ一方で、行政文書が大変回りくどくて分かりづらい。できれば分かりやすく伝えていただきたい。パーティションについても同じく求めたいと思います。  最後に、医療的ケア児の手続に関して伺いましたけれども、私は、世田谷区のDXにおいては、福祉に資するDXというものも必要だと考えています。今回、六月からDX担当の副区長として就任した松村副区長に伺いたいのですが、福祉におけるICT利活用、DX推進についてのお考えをお聞かせください。 ◎松村 副区長 お答えいたします。  私は、前職で児童虐待や障害者雇用など、地域社会の問題に自治体とともに取り組んでまいりました。また、福祉業界の経営ICTアドバイザーとしても副業として活動しておりました。  御質問の医療的ケア児の情報共有や地域包括ケア、障害者雇用といった福祉に関するDXにつきましては、その課題が特に複数の組織にまたがり、複雑な場合が多いと感じております。こうした課題は、情報をいかに整理し、共有し、関係者がそれぞれ我が事としてその役割を発揮し、主体的に取り組むことが必要だと思っております。  そのため、複数の組織が同じ目的に向かって連携するチームをつくって、ICTツールの活用はもちろん、連携する風土や官民連携の仕組みをつくっていくことが重要であると考えております。「Re・Design SETAGAYA」、世田谷区DX戦略ですけれども、世田谷区役所のDX、行政サービスのDX、参加と協働のDXという三本柱の視点で、福祉のDXについても取り組んでまいりたいと思っております。  以上です。 ◆二十二番(中山みずほ 議員) 副区長には期待をしたいと思います。  以上で質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上で中山みずほ議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、十番あべ力也議員。    〔十番あべ力也議員登壇〕(拍手) ◆十番(あべ力也 議員) それでは質問してまいります。  国土交通省が四月、自動車のご当地ナンバーと地方版図柄入りナンバープレートの導入地域を新たに募集すると発表いたしました。同時に、新ルールで図柄の変更も可能となった一方、一定の基準を満たさない不人気の図柄入りナンバープレートについては将来的に継続は不可とされ、さらには独自の地域名表示そのものの変更、廃止も可能となりました。  世田谷という地名表示ご当地ナンバーは、普及率五九%、登録台数十二万七千件と順調な推移をしている一方、世田谷区の地方版図柄入りナンバープレートの普及率は〇・三三%、申込件数は七百五十八件で、全国で五十八位と最下位です。四月下旬に世田谷区の産業連携交流推進課は報道機関に、現在のところ、図柄の変更は具体化していないと回答していますが、報道等を受けて、現在どのような検討をしているのか伺います。  熊本のくまモン、福山の広島カープのカープ坊やなどの図柄は、他地域と比べても申込件数が突出しているとのことです。世田谷区は多摩川とサギソウが不人気という結果です。  そこで提案ですが、窮余の一策として、世田谷ゆかりのキャラクター、ウルトラマンやサザエさん、ゴジラといった皆さんに多少パテント料を払っても力を借りることも検討すべきと考えますが、区長の見解を求めます。  東京都防災会議は、首都直下地震などの被害想定を十年ぶりに見直し、都心南部を震源とするマグニチュード七・三の地震が起きると、死者約六千百人、負傷者約九万三千四百人が出るとの報告書を公表いたしました。二十三区の約六割が震度六強以上と想定しています。この新想定に基づき、都は来年一月下旬に地域防災計画の修正素案を公表し、来年度の早期に決定する方針とのことですが、世田谷区も防災計画の修正等を進めるべきと考えます。まず都の想定を受けての区の考えと、区防災計画修正等のスケジュールについてお答えをください。  区民の方からメールで、現在、日本の離婚後の単独親権制度では、親権争いを有利に進めるため、子どもの連れ去りにより親子断絶状態になる親や子どもたちは増加し、精神的に病み、自死を選ぶ方も増加傾向にあります。中にはDV被害の当事者で子どもを奪われた親もいます。自分もDVやモラハラがなかったにもかかわらず、一年六か月、二人の子どもと会えていません。このように、会いたくても子どもや親と会えなくなった当事者に、世田谷区として手を差し伸べてもらえないでしょうかという御相談がありました。世田谷区として、こうした悩みを抱える方への対応はどのような現状かお答えください。  また、子どもの権利侵害に関してはせたホッとで相談を受け付けていますが、区ホームページを見ると、子どもが自分の親に会えない悩みの事例は示されておらず、相談していいものか分からない状態です。分かりやすい事例の中にこの問題も例示していただきたいと思いますが、区の見解を求めます。  また、国でも親権に関する議論があります。我が国では、夫婦の三組に一組が離婚し、離婚時にどちらか一方を親権者と定めることへの問題が顕在化しております。世田谷区でも、現行の単独親権のために様々な悩みや問題を抱えざるを得なくなった区民のために、国に対して共同親権への早期法改正を要望していくべきと考えますが、区長の見解を求めます。  世田谷区の交通事故件数は東京都で常に上位で、その中でも自転車事故件数は都内ワースト一位です。まず、自転車事故の現状とその内訳等について伺います。  私は、今までも幾度となく議会質問で自転車事故撲滅に向けて提言を重ねてきておりますが、区は自転車を運転する方のマナーの問題に片づけてしまって、その成果を実感することはできません。結果、自転車事故件数、都内ワースト一位ということになるのでしょう。  そこで、検証と提案ですが、まず歩車分離式信号の設置状況と、今後の取組について伺います。  次に、信号無視、逆走やながら運転、歩道をアシスト自転車で爆走など、道路交通法無視や歩行者が危険を感じるような運転をなくすためのマナー向上と解決策について、警察と連携した実効性のある指導、取締りを強化すべきと考え提案いたしますが、区の見解を伺います。  三つ目として、自転車による様々なルール違反の中でも、信号無視や逆走といった死亡事故などの重大事故につながりかねない違反は何とかしなければなりません。自転車に絡む重大事故は交差点に集中しているとのことですが、信号無視や逆走がその原因とも推察されます。  そこで、京都市では、自転車の逆走をなくすため、このような自転車は車道の左側通行というサイニングを実施をしております。世田谷区でも取り入れていただくことを提案いたしますが、区の見解を求めます。  クラスメートをあだ名で呼んだり呼び捨てにしたりせずに、さんづけするよう指導する小学校が増えています。あだ名で呼んだりすることは親しみの表現との主張もありますが、一方、身体的特徴をやゆするようなあだ名は、いじめにつながるケースがあります。相手を大切に思う習慣を身につけてもらおうと、江戸川区立葛西小学校では、児童にさんづけで呼び合うことを指導しております。  文部科学省の調査によると、全国の小学校でのいじめ認知件数は増加傾向で、二〇二〇年度は四十二万八百九十七件の報告があり、このうち約六割が冷やかしやからかいなどです。児童同士の呼び方について、文科省では指導しておりませんが、友だちを呼ぶとき、さんをつけますと校則に明記している小学校もあります。世田谷区もいじめの根絶に向け相手を尊重する習慣を身につけることは、特に初等教育においては大切と考え、さんづけの検討、実施を提案をいたしますが、教育長の見解を伺います。  区民の方から、視覚障害者が信号で困っている姿を見かけます。区内の信号は視覚障害者のため音の出る信号にしてくださいというメールをいただきました。まず、世田谷区の音の出る信号機の設置状況と今後設置計画を伺います。  音の出る信号機は、周辺住民の環境に負荷を与えることから慎重な検討も必要かと考えますが、昨今の技術革新による単一指向性のスピーカーなどを採用することによって解決できるものと考えます。障害者や全ての区民の交通安全に資するよう、音の出る信号機設置促進を求めるものです。利用者である区民の要望等を丁寧に聞く場を設けることも必要です。併せて区の見解を求めます。  六月一日から犬や猫のペットの新規登録の場合、マイクロチップ装着の義務化が開始されました。これは、迷子になったペットや災害時に飼い主とはぐれてしまうようなことの解消と、それによって引取り手の分からない犬や猫が殺処分されることを防ぐことができると期待するものです。  また昨今は、ペットの加齢による病気の発症による医療費の負担が重いと感じる飼い主さんの声をよく聞きます。こうした医療費負担の抑制のため民間のペット保険があります。都市部で暮らすペットは、人と同じような病気にかかることが多く、がんや糖尿病をはじめ様々な成人病のリスクがあります。ペットを家族の一員として生涯責任を持って飼育する環境を整備するため、ペット保険の加入促進も欠かせません。  そこで、区として民間のペット保険加入の啓発と補助を検討すべきと考え提案をいたしますが、区内のペットの現状、区の民間ペット保険への認識と、区民への加入促進と啓発に対する考え、今後の対応について伺いまして、壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 あべ議員にお答えします。  共同親権についての見解です。父母が離婚した後の子の養育をどうしていくのか、父母がどのように子に関わっていくのかについては、子どもの権利、子どもの利益を最優先で決められるべきだと考えております。現在の民法の定めは、父母の婚姻中は共同親権が認められるわけですが、離婚後は、父母のどちらかしか親権者となれない単独親権に変わります。親権は子どもの利益のためのものであるはずですが、離婚に伴い、一方の親との面会交流が困難になる事例を踏まえると、離婚後の共同親権の導入は、子どもの権利、利益を守る観点から前向きな議論をすべきものと考えています。  現在、離婚後の共同親権制度の導入については、国の法制審議会家族法制部会の離婚及びこれに関連する家族法制の見直しの中で検討されていると承知しております。また、これまでにも同様の当事者、あるいは家裁の調査官経験者などの皆さんからの素直な形になれないか、こういった提案も受けてきたところであります。子どもの権利条約の根幹である子ども最善の利益を一番に考え、区といたしまして、国の動きも見ながら、なるべく早い共同親権の実現を検討してまいりたいと思います。 ◎後藤 経済産業部長 図柄入りナンバープレートについて御答弁いたします。  図柄入りナンバープレートの検討過程においては、世田谷区にゆかりのあるキャラクターの採用についても検討がなされましたが、著作権等の課題も大きく、最終的には広く区民から公募し、現在のデザインに決定してまいりました。導入件数等は低い数字にとどまっておりますが、一方で、令和三年度は前年度と比べて増加傾向にございます。
     今般、図柄の変更、廃止等に係る制度変更がなされましたが、まずは様々な機会を捉えて、現在の図柄入りナンバーの普及に努めてまいります。例えば、プレート設置時の寄附金を地域活性化や地域課題解決に関連させることで、図柄入りナンバーの付加価値を高めるなど、ドライバーが図柄入りナンバーをつける動機づけとなる工夫についても検討してまいります。  以上でございます。 ◎大塚 危機管理部長 私からは都の新たな被害想定を受けた対応について御答弁申し上げます。  議員お話しのとおり、東京都は、この間の住宅の耐震化、不燃化の進展や、都内人口構造の変化等を反映し、約十年ぶりに首都直下地震等による被害想定を見直しました。新たな被害想定では、都内の死者は六千百四十八人となり、前回より三千四百九十三人減少し、建物被害も約十九万四千棟と、約十一万棟減少しております。また、区における死者は六百四十五人となり、前回より十人減少したほか、建物被害は約二万六千棟となり、約二千棟減少しておりますが、都全体と比較すると、減少幅は緩やかとなっております。一方で、発災一日後の避難生活者は約二十一万四千人となり、前回より約五万七千人の増加となっております。  区といたしましては、今後、住宅の耐震化、不燃化の促進をはじめ、これまでの対策を緩めることなく継続しながら、在宅避難の推進などの避難者対策について重点的に取り組むとともに、令和五年度に予定される都の地域防災計画の改定の内容も踏まえまして、区の地域防災計画の改定に向けた検討を進めてまいります。  以上でございます。 ◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、子どもの権利について、親子問題についての相談対応、子どもの悩みに関する事例の例示についてお答えいたします。  離婚に伴う親子関係の悩みなど、家庭内の様々な問題については、地域の子ども家庭支援センターや男女共同参画センターらぷらすで相談に応じております。また、せたがやホッと子どもサポート、略称せたホッとでは、子どもの権利を擁護するという観点から、悩みを抱える子どもの相談を受けております。啓発物やホームページでは、できる限り分かりやすい表現で周知に努めておりますが、御指摘のホームページへの具体事例の追加につきましては、子どもの人権擁護委員等の意見も踏まえ、早急に検討してまいります。  以上でございます。 ◎工藤 土木部長 私からは四点について御答弁いたします。  まず、歩車分離式信号の設置状況についてです。  歩車分離式信号機の設置は、横断歩行者の巻き込み事故防止に一定の効果がある一方、待ち時間が長くなることにより、歩行者の信号無視を誘発するおそれや、車両の赤時間が長くなることにより渋滞の発生を招く要因もあることから、交通管理者である警察署が、交差点ごとにその効果と影響を総合的に勘案しながら、導入の可否を判断すると聞いております。  なお、令和三年の区内での歩車分離式信号機の設置実績を警察署に確認したところ、特に要望がなく、設置実績はないとのことです。  区といたしましては、地域の交通課題の対応につきまして警察署の橋渡しに努め、横断歩行者の巻き込み事故防止等につながる交差点の安全性向上について、引き続き警察署に働きかけてまいります。  次に、区内の自転車事故の現状についてです。  世田谷区内において令和三年の自転車が関与する事故件数は八百七十九件で、令和二年から百三十六件上回り、残念なことに都内ワースト一位となっております。事故の内訳につきましては、車両や二輪車との事故が約六割、自転車同士の事故が約一割、歩行者との事故が約一割、高齢者等の転倒、脇見運転による電柱への接触など、自転車の単独事故が約二割でございます。このうち六割強は自転車走行ルールの違反など、自転車運転者に原因があった事故とのことです。  区といたしましては、引き続き、警察署と連携した交通安全教室の実施、自転車走行ルールやマナーの啓発に努めるとともに、あわせて安全に自転車が利用できる自転車走行環境の整備を進めてまいります。  三点目でございます。違反者に対する指導、取締りの強化についてです。  区では昨年度、交通安全対策を総合的に推進するため、第十一次世田谷区交通安全計画を策定しております。その中で、自転車の指導、取締りにつきましては、警察署により自転車の危険、迷惑な走行に対し街頭指導を強化するとともに、酒酔い、信号無視、一時停止など、悪質、危険な違反者に対する取締り強化を実施することとしております。区といたしましては、引き続き、警察署や関係機関などと連携しながら、自転車運転者のマナー向上につながる交通安全施策を推進してまいります。  最後に、自転車左側走行のサインについてです。  区では、自転車運転者及び自動車ドライバーに対し、道路交通法に規定されている自転車の通行すべき部分及び進行すべき方向を明示することを目的としました、自転車ナビマークなどの設置を警察署とともに進めております。一方、自転車走行ルールの違反など、自転車運転者に原因があった事故はいまだ多いことから、左側走行をしない自転車運転者を対象とした電柱幕等による啓発用看板の設置は、自転車の関与する交通事故の抑制に有効であると考えております。自転車のルールが守られていない区間が見られる場合は、警察署と連携し、現地の状況等を踏まえた啓発用看板の設置も検討するなど、交通安全につながる効果的な対策に努めてまいります。  以上です。 ◎粟井 教育政策部長 私からは、児童生徒同士のあだ名、呼び捨てについてお答え申し上げます。  子どもの呼称につきましては、一人一人の人格を尊重するという人権教育の視点から、教師が子どもの名前を呼ぶときは、あだ名、呼び捨てにせず、敬称をつけて呼ぶことが大切であると各学校に指導しております。これは、呼び方による偏見や差別の助長を抑止することや、性的指向、性自認の人権課題の観点から、君、さんと男女で使い分けることなく、男女ともにさんで呼び方を統一することで、一人一人を大切にするという人権教育の理念を教師自ら体現することによるものでございます。  また、子ども同士の呼び方につきましては、教育委員会から学校に対して直接的な指導はしておりませんが、各学校においては、相手を大切にするという人権教育や道徳教育、いじめ防止の指導等の中で、お互いの呼び方について、日常的に子どもたちに指導しているところでございます。  以上でございます。 ◎畝目 都市整備政策部長 私からは二点の御答弁となります。  初めに、音響式信号機の設置の状況と計画についてです。  音響式信号機は、視覚障害者に歩行者用の信号機が青に変わり、横断が可能となったことを誘導音で知らせる信号機で、警察によりますと、五月末現在、世田谷区内での設置状況は、歩行者用信号機六百九十一基、そのうち七十八基が音響式とのことでございます。  交通信号機の設置者は、道路交通法に基づき交通管理者である都道府県公安委員会となりますことから、音響式信号機につきましても、警察において要望者からの相談等を直接伺い、個々の信号機ごとに交通状況や住環境、近隣への影響などを調査し設置していくこととなりますことから、区では、議員お話しの計画等はございませんが、ユニバーサルデザイン推進条例に基づく施設整備マニュアルにおきまして、歩行者が安全に車道を横断できるように、音響式信号機などについても記載しております。区といたしましては、必要とされる場所へ設置がなされるよう、引き続き交通管理者への働きかけなど鋭意取り組んでまいります。  次に、単一指向性スピーカーに関してと、区民の要望等を聞く機会についての御答弁です。  議員御紹介の単一指向性スピーカーにつきましては、音をスポット的に発信することによりまして、周囲への影響が軽減できる装置で、新技術の展開にと早速警察署に紹介させていただきました。警察からは、横断のタイミングを伝えることには有効である一方、音の届く範囲が限定される面もあるとのことでございますが、研究が進む分野でもあり、障害のある方からの声をお聞きしながら、新しい技術の活用についても警察への相談、提案等を行ってまいります。  区といたしましては、必要とされる場所に音響式信号機が設置され、視覚に障害の方が安全に、そして安心して道路を横断できるようになることは、ユニバーサルデザインの観点からも重要と考えており、障害のある方の設置の御要望や声をしっかりと丁寧にお聞きしながら、寄り添った対応に努めてまいります。  私からは以上でございます。 ◎向山 世田谷保健所長 ペットについての御質問がございました。  ペットには公的医療保険制度はございません。ペット保険事業者の調査によりますと、飼い主の医療負担は増加傾向にあるとされており、ペットの適正飼養には、飼い主による一定の経済的負担が伴うものと理解してございます。区内の犬の登録数は約四万頭であり、飼い主の経済的負担軽減を目的とする医療費への補助制度に関しては、公益性、私益性の見極めや税負担の公平性の観点から、慎重な議論を要するものと認識しております。  今後、ペットの終生飼養、適正飼養を推進する観点から、今年度より実施している犬の登録者へのアンケート結果を精査し、現状を把握するとともに、ペットに関する保険を含めて、飼い主の経済的負担に対する準備と責務についても様々な啓発活動の中で触れてまいります。  私からは以上です。 ◆十番(あべ力也 議員) それぞれ御回答いただきましてありがとうございました。  再質問を三点させていただきますが、まず区長、図柄入りナンバープレートですけれども、新しいキャラクターという御提案をさせていただきましたが、あまり色よい返事をいただけなかったんですが、先日、名古屋の副市長をされていた方にこの件についてお話をしましたら、多少の行政コストはかかっても、それなりの成果があるんであれば、そういうキャラクターを使うということは有効だろうというお話をされておりました。この点について、区長、ぜひそういう新しいキャラクターの検討もしていただきたいと思うんですけれども、その点を伺いたい。  あと、共同親権の話ですけれども、親と会いたくても会えない子どもはどれぐらいいるのか、区は把握しているのかということです。  それと、学校ではさんづけに関して実施をしているということですけれども、これは、そういうあだ名や呼び捨ては現状されていないという認識でよろしいんでしょうか、これもお答えをいただきたいと思います。  以上三点お答えをいただければと思います。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 あべ議員の再質問にお答えいたします。  当初、図柄入りナンバープレートの導入に当たって、世田谷ゆかりの誰もが知っているキャラクター、幾つかちょっと検討したことはあるんですが、なかなか難しいということで、当初見送ったという経緯がございます。現在、図柄入りナンバープレートのパーセンテージで言うと、最も少ないということで、これは部長答弁のまずは方針で、現在のちょっと普及宣伝、これが足らなかったのかなということで臨みますが、今後よりよいものについて、公募して集まったものの中で選定をしたということで、大変多くの募集があったわけではありませんので、いわゆるリニューアルするということも、一方では、区民の反応、声を見ながら考えていきたいと思います。  また、部長答弁にもあったんですが、当初これ、デザインナンバーといいまして、カリフォルニア州などで、例えばヨセミテ公園に寄附をしていますよという、かなりきちんとした寄附額が分かる、寄附者がつける権利があるという形で、一つのブランドになっているということに私たちは着目しました。現在の寄附は、国の国交省の指定する機関に一旦行って、そこから分配されるという形になっておりまして、例えば世田谷区でも、医療的ケアの子どもたちをサポートする基金だとか、みどり33、みどりトラストみたいな基金だとかいうことで、ダイレクトに寄附金を預かって、ナンバープレートをデザインナンバーで、自治体の管理の下で、このぐらいはぜひやらせていただくことが、こういった制度ができたことが、さらに活性化するということにつながるんだということを、国に対しても提案していきたいというふうに考えております。 ◎柳澤 子ども・若者部長 一方の親と会えない子の実態ということで再質問にお答えいたします。  世田谷区では、平成三十年度に実施しました世田谷区ひとり親家庭調査におきまして、離婚、未婚によりひとり親になった方に、相手方との面会交流の状況について尋ねてございます。その中で、電話やメールではつながっている、あるいはそういうのもつながっていないという方も含めまして、子どもが相手方に会っていない率としては四七%とうたってございます。ひとり親家庭、それからその子どもの悩み事、相談について、周知相談対応と、それから相談先の周知について引き続き取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎渡部 教育長 再質問にお答えします。  一人一人の児童生徒は、かけがえのない存在であり、人格を尊重するという趣旨から、呼び方についても、相手を尊重する気持ちで呼ぶことが重要であると考えます。引き続きこの観点から十分に配慮をした指導をしてまいります。  以上でございます。 ◆十番(あべ力也 議員) 今、教育長お答えいただいたんですけれども、現状を伺ったんで、現状呼び捨てとかあだ名で呼んでいるということはないのかどうか。こうした実態の調査をまずしていただかないといけないかなと思うんですが、ぜひ調査をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ◎渡部 教育長 再々質問にお答えします。  呼び方は相手を尊重するということが大切ですから、相手を大切にしているというその趣旨が伝わるということが重要であると考えます。このことを念頭に置き、引き続き指導を続けてまいります。  以上です。 ○下山芳男 議長 以上であべ力也議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後三時四十二分休憩    ──────────────────     午後三時五十五分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 この際、議事の都合により、本日の会議時間をあらかじめ延長いたします。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 一般質問を続けます。  三十六番ひえしま進議員。    〔三十六番ひえしま進議員登壇〕(拍手) ◆三十六番(ひえしま進 議員) 以下、通告に基づき質問いたします。  初めに、町会・自治会の募金徴収について伺います。  私は、令和三年第四回定例会で、町会・自治会によって、赤い羽根や赤十字などの募金が一律に徴収されている問題を取り上げました。その際、区には改善を求めましたが、徹底されていないことが分かりました。  先日、ある区民の方から、新型コロナウイルス感染症のリスクを減らす対策としてと題された封筒が回ってきたとの連絡があり、実物の写真を送っていただきました。これがその封筒の実物写真でありますが、個人情報保護の観点からマスキングをしておりますので、これは見えにくいので、ここから必要な部分を書き写したものを次に掲げます。  これはその封筒の表紙に印字されていたものであります。町会費・募金袋、お釣りのないようにお願いします。班長より。ここに日付が入っていました。何日頃に集金に伺います。町会年会費一千八百円、募金、これは四種類ありますけれども、まず赤い羽根募金が三百円、社会福祉協議会社資、これは会費です。三百円。赤十字募金三百円、歳末たすけあい募金三百円、募金合計が千二百円。町会の年会費と募金で三千円、このようになっております。  このパネルにあるとおり、班長さんは、町会費のほか、赤い羽根、赤十字、歳末たすけあい、さらには社会福祉協議会の会費まで徴収する役目を負っていることが分かります。そして、住民は事実上ほぼ強制的に三千円を支払わなければならない仕組みになっていることが読み取れます。  また、この封筒とともに、町会費・共同募金の集金についてとのタイトルの手紙も添えられていました。この手紙をそのまま読みます。今年もコロナ感染対策として人との接触を少なくして、コロナ感染リスクを減らすため、集金袋を用意しました。事前に集金袋を各戸のポストにお入れします。班長様が決めた期日に集金にお伺いしますので、御協力をお願いいたします。共同募金は任意です。  町会・自治会は、東京都共同募金会や日本赤十字社などの下請ではありません。コロナ禍でなければ、班長さんは、町会費の集金ですら大変なのに、さらに三種類の募金と社協会費をそれぞれの時期に合わせて、その都度集金に行っていたわけで、かなりの負荷がかかっていることは明らかであります。こうした本来、町会や自治会が負わなくてよい仕事をさせていることが、区民の町会・自治会離れを招いている大きな理由の一つであると指摘をしておきます。  言うまでもなく、募金は強制ではありません。この町会の場合、添えられている手紙には確かに任意とありますが、先ほど見ましたように、一律三百円と金額が設定されております。そして、領収書にもあらかじめ三千円と印字されており、募金もセットで支払うのが当たり前と言わんばかりであります。町会費と募金を全額納めれば、三千円で切りがよいからこの金額にしたのかと邪推したくもなりますが、いずれにせよ、金額まで設定されているのは行き過ぎだと言わざるを得ません。しかし、これは必ずしも町会・自治会が悪いというわけではなく、このような事態を招いている区の態度であり、本来は自ら募金をお願いしなければならないはずの各団体の怠慢にあると思いますが、答弁を求めます。  区は、昨年末に全百九十四の町会・自治会にアンケート調査を実施したとのことですが、中でも注目すべきは、区からの依頼事項で負担が大きいと思うものは何かとの設問で、最も多いものが委員の推薦、次いで募金等への協力が挙がっております。区には早急に改善策を講じるよう強く要望いたします。  また、アンケートでは、町会費のキャッシュレス決済や電子回覧板の導入、IT人材の登用などはおおむね消極的であることが明らかになっており、この点での区の積極的な支援も必要だと考えます。こうしたアンケート結果を受けて、区はどう認識しているのか伺います。  世田谷区は、今年度からの東京都の地域交流アプリ導入の実証区に選ばれており、町会・自治会のIT化を進めるチャンスであります。このことは、現役世代の町会・自治会の加入を促進する意味でも必須であると思いますが、今後どのように取り組んでいくのかお聞きします。  次に、自然環境の保護と危機管理についてです。  今月六月五日は世界環境デーでありました。SDGsのターゲット十五にも掲げられているように、世界的に環境保全活動は活発化しており、世田谷区でもみどり33の推進が行われております。緑を増やす、そして残していくことは大原則であります。今年も間もなくその季節になりますが、近年頻発する台風などの自然災害を想定した危機管理の観点に立った場合、柔軟かつ効果的な対策を講じる必要があります。例えば、台風十九号の襲来は、公園の樹木や街路樹が倒れたり、葉や枝が飛び散ったりし、家屋や自動車を損傷させ、また道路を塞ぐなど多くの被害が出ました。こうした被害を最小化するためには、日頃から剪定や伐採、移植などを含めた安全管理が肝要であります。区はどのように取り組んでいるのかお聞きします。  倒木は、樹木の高齢化のほか、伝染病が原因の場合もあり、早急に対処することが危機管理上最も重要であります。現在、ナラ枯れが全国的に広がっており、昨年度の被害量は四十二都府県で十九万二千立方メートルに及び、都内の被害本数は、令和二年度は一千六十三本、三年度は三千二百四十四本と急増しております。二十三区の都立公園でも約八百本が確認されており、世田谷区内でも被害が広がっているとのことですが、区はどのように実態を把握し対処しているのか伺います。また、民有地にあるものや保存樹木の所有者への対応も併せてお答えください。  最後に、区長の公務と政務の認識、また、公用車の使用基準についてお聞きします。  保坂区長は、ツイッターのヘビーユーザーとして大変有名ですが、その発信方法については、これまで議会で様々な指摘がされてきました。つまり、区長は、公人として発信しているのか、私人としてなのか、判別つかないケースがあるということで議論になりましたが、このアカウントについては私的なものという役所の答弁が出ております。  同じように判別が難しいものとして公務と政務の区別があります。最近ではお隣の杉並区長が、緊急事態宣言が発せられている中で、群馬県のゴルフ場を訪れていたことが問題視されました。自粛要請が出ている宣言下での移動だけでなく、公用車の使用にも厳しい目が向けられていたことは記憶に新しいところであります。  翻って、世田谷区でありますが、今年一月十日に行われた新成人のつどいの際、保坂区長は、同じ日の第二回と第三回が開催される間の時間に、公用車を使って移動し、ある政治家の講演会に出席されています。そして、その講演会から再び新成人のつどいに出席するため、公用車で日大百周年記念館に戻られています。これは公務と政務を混同しているのではないかと区民に疑念を抱かせる行為であると思います。  来月参議院選挙が行われますが、区長は政党に属していないとはいえ、政治家として、特定候補、特定政党の応援に行かれることがあると思います。その際、公務御煩多な区長のことですから、新成人のつどいのときと同様、公務と公務の間に公用車で応援に駆けつけるケースも想定されるのではないかと考えます。まず、区長に公務と政務をどのように認識されているかお聞きします。  また、現行、公用車はどのような判断基準で運用されているのか、また、例えば大阪市などのように、ガイドラインのようなものは存在しているのか、伺います。もしそのようなものが存在していないのであれば、速やかに作成し、区民に誤解を与えないような公用車の運行を心がけるべきだと考えますが、見解を伺います。  以上、壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎片桐 生活文化政策部長 私からは町会・自治会について三点お答えいたします。  初めに、募金の徴収についてです。  日赤の活動資金募集については、これまでも世田谷区赤十字奉仕団が行っており、区から町会・自治会に依頼は行っておりません。募金に当たっては、町会・自治会で町会費を集める際に一緒に集金し、取りまとめている事例もあると聞いておりますが、これは地域の赤十字奉仕団と町会・自治会が協議調整の上、実施されていると認識しております。  活動資金への協力は任意によるもので、強制と取られるような徴収は控えなければなりません。募集に当たっては、区民の皆様に赤十字の活動を十分に御理解いただいた上で御協力いただく必要があると考えております。今回御指摘いただいた内容については、町会・自治会総連合会、世田谷区赤十字奉仕団にもお伝えし、適切な募金活動となるよう努めてまいります。  次に、町会へのアプリ導入状況についてです。  区は今年度、東京都が実施する町会・自治会活動への地域交流アプリ等導入支援事業に参画し、都の委託事業者が運営するSNSの導入及び活用支援を進めているところです。この間、町会・自治会に対しては概要説明会を二回実施させていただき、あわせて約五十の町会・自治会に参加いただきました。既に六つの町会・自治会からSNS利用の申込みをいただき、個別説明会も順次実施しているところです。  アプリでは、町会・自治会における電子回覧板や行政イベント情報の提供のほか、町会加入者以外の方にも一部情報を閲覧できるようにし、加入促進につなげる取組も検証していく予定です。アプリの導入促進により、対面と非対面のコミュニケーションを併用することで、町会・自治会内における地域情報の共有と地域コミュニティーの活性化を図ってまいります。  次に、町会アンケートについてです。  昨年実施した町会・自治会の運営に関するアンケートについては、全百九十四の町会・自治会のうち、百五十八の町会・自治会から回答をいただき、回答率が八一%と多くの御協力をいただきました。調査では、役員の高齢化、役員のなり手不足、コロナ禍でイベントの実施ができないなどの課題が多く寄せられたほか、区からの依頼事項が多く負担という回答に関連して、依頼で負担が大きいものとして、委員の推薦や募金等への協力、回覧物や掲示物の量が多いなどが挙げられております。また、町会・自治会費の口座振替やキャッシュレス決済については、導入予定なし、導入したいが、手数料負担と口座管理が課題などの意見が多くありました。今後、区からのチラシ、回覧依頼の在り方や各種委員の推薦依頼などについて庁内で検討し、町会・自治会活動の負担の軽減に向けて取り組んでまいります。
     以上です。 ◎田中 保健福祉政策部長 私からは赤い羽根共同募金などについて御答弁いたします。  区が事務局を担当している赤い羽根共同募金世田谷区協力会では、趣旨、使用用途、様々な寄附方法などを丁寧に説明し、共同募金は決して強制されるものではなく、趣旨に賛同していただける方のできる範囲内で御協力をお願いしております。また、昨年度から協力会に協力していただく方が直接出向くことなく、共同募金に寄附ができるよう、町会回覧やポスティングで使用するチラシに、共同募金に使用できる電子マネーの二次元コードを印刷するなど、負担の軽減にも取り組んでおります。引き続き、協力していただく方が活動しやすい環境を整え、区民の皆様にも共同募金への寄附を通じた社会福祉活動への御理解と御協力をお願いしてまいります。  なお、社会福祉協議会の会費及び歳末たすけあい募金については、世田谷区社会福祉協議会の業務となるため、世田谷区社会福祉協議会に御意見を伝えてまいります。  赤い羽根共同募金の事務局運営については、引き続き世田谷区社会福祉協議会と検討してまいります。  私からは以上です。 ◎釘宮 みどり33推進担当部長 私からは二点お答えいたします。  まず、ナラ枯れからお答えします。  ナラ枯れは、古くから日本に生息するカシノナガキクイムシが媒介するナラ菌が引き起こすもので、国分寺崖線などに多く見られるナラ類、シイ、カシ類の樹木を枯らすものでございます。発生状況といたしましては、民有地を含めた区内全域の状況については把握しておりませんが、令和三年度の区立公園では、国分寺崖線などの緑地を中心に五十六本が全枯れしている状況でございました。  区といたしましては、枯死する樹木を減らし、樹木の健全な育成と安全を確保するため、蔓延を防止する必要があると考えており、昨年十二月には一般財団法人トラストまちづくりや都、区の公園関係者、専門家も交えた勉強会を行うなど、対応策を検討してきております。区が管理する樹木については、今年度から点検と予防策の実施に力を入れております。また、民有地の樹木については、今後、樹木の点検や対応方法などの普及啓発を図り、特に保存樹木所有者には今月中に注意喚起の案内を発送するなど、早期の対応による蔓延防止に努めてまいります。  次に、公園や道路の樹木の安全管理についてです。  区が管理する公園の樹木や街路樹の安全対策は、職員による目視点検のほか、特に台風シーズンの前は、樹木の健全度をはじめ、枯れ枝やキノコなどの腐朽菌の有無、支柱の設置状況などの確認を含めた定期点検を実施してきております。特に街路樹は倒木による影響も大きくなることから、老齢化が進む路線を中心に樹木医による巡回点検を継続的に実施するなど、対策を強化してきております。また、これらの点検で発見された異常の疑いのある樹木は、樹木医による専用機器を用いた精密診断などを行い、この結果を基に過去三年間で百二十一本の植え替えを実施しております。  倒木などによる甚大な被害を起こさないためには、いかに不健全な樹木を事前に見つけ出し、時期を逸せず適切に対応できるかが重要となります。区といたしましては、今年四月に台風一号が接近したように、例年の台風シーズンとずれがあった場合にも適切に対応できるよう、点検時期の前倒しや、これまで以上に樹木医や、樹木の手入れを直接担う委託事業者などと連携を密にしていくことで、近年激甚化する台風被害に備え、先手を打った樹木の安全管理に努めてまいります。  私からは以上でございます。 ◎池田 総務部長 私からは二点、まず区長の公務、政務について御答弁いたします。  区長の公務については、地方公共団体の長として、住民の福祉の増進を図ることを基本とし、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う地方公共団体の事務を果たすために必要な業務と認識しております。また、政務については、公務以外の政治家としての活動全般がこれに該当するものと考えております。  次に、公用車の取扱いについて御答弁いたします。  区長としての職務の性質や内容を踏まえ、昼夜を問わず、世田谷区が実施する全ての事務について管理執行する権限と義務を負うことから、通常の公務をはじめ緊急時においても、連絡調整や指示等を迅速に行う必要があり、常に連絡が取れる体制を整えることが基本となります。また、区長の移動においては、出発地から目的地までの安全性を確保するとともに、多くの公務日程を時間どおりに執行する必要があり、移動の安全性、迅速性を確保する観点から経路や交通手段を決定しております。  このようなことから、公務の遂行のために合理的な必要性がある場合に公用車を使用することとしており、自宅への送迎のほか、公務と公務外または公務外から公務との切替え時においても、合理的な方法及び日程管理により公用車を運用しております。区長の公用車使用につきましては、過去の判例等も踏まえ、これまでも適切に運行してまいりましたが、区民の皆さんに分かりやすく、御理解いただけるよう、使用基準の策定に向けて今後検討してまいります。  以上でございます。 ◆三十六番(ひえしま進 議員) 公用車の件なんですけれども、今の答弁でちょっとよく分からなかったんですが、ガイドラインは今まで存在していなかったから、今後策定するという理解でよろしいか、答弁をお願いします。 ◎池田 総務部長 分かりづらくて申し訳ございません。公用車の使用基準について可能な限り早期に整備することができるよう取り組んでまいります。  以上でございます。 ◆三十六番(ひえしま進 議員) なかったから今後策定するということだと理解しました。  あと、町会・自治会のアンケートについてですが、設問の中で、地域の企業や団体と協力関係にあるかという問いがありまして、多くの自治会、あと町会がないと回答しています。また、外国人世帯への働きかけもほとんどされていないという実態が浮かび上がっております。地域コミュニティーの安定と活性化のためにも、この点も区には力強くバックアップしていただくよう要望して、質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上でひえしま進議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、三番そのべせいや議員。    〔三番そのべせいや議員登壇〕(拍手) ◆三番(そのべせいや 議員) まずは、デジタル領域における専門人材の外部登用について振り返ります。  二年前、二〇二〇年五月、通信事業者出身の方がICT推進課長に着任をされました。初の緊急事態宣言下で人の移動に制限が求められるさなか、世界全体で物理的な距離を超えるインターネットの利便性、必要性が改めて認識をされた頃であり、そもそも外部から専門人材を登用すること自体が六例目、その前の五例は法務と児童相談所の担当であり、民間企業出身者の登用は初の試みで、デジタル化の旗振りだけでなく、新たな風を吹かせる存在としても大いに期待をしました。その後、一年もたたないうちに、別途デジタル改革担当課が立ち上がり、今年度からはICT推進課とデジタル改革担当課が合併をしてDX推進担当課となり、年々陣容は変わっています。  外部登用、そしてトライ・アンド・エラーで組織を変えること自体は後押しをしたい立場ですが、一方で、任期付採用をした職員が初めて去った三月末以降も、人材の外部登用、民間登用についての成果と総括は示されず、このまま新たに副区長、副参事を民間登用しても、役割と成果が明確にならないことを危倶をしています。  そもそもICT推進課長を公募した時期には新型コロナもなく、DXという言葉すら一般的ではありませんでしたが、任期中にどのような成果を期待して、当初の期待はどの程度達成をされたのか、そして突然降って湧いたデジタル化の劇的な前倒しや、いわゆるDXについてどのように寄与をしたのか、この場で総括を伺います。  そして、現在、旧ICT推進課長の役割を区役所出身の課長と外部登用の副参事に振り分けたのはなぜか、また、今回採用した副参事も二年の任期付ですが、今後も民間からの専門人材登用を常態化させるのか。人材の流動化が進むことには大賛成の立場ではありますが、土木や福祉のように、IT、情報技術職について専門採用の制度がない中、任期付職員に頼ることで区役所としての知見の蓄積に問題はないのか、むしろ任期付採用だけでなく、民間からの経験者を恒常的に入れられないのか、伺います。  続いて、新副区長について伺います。  デジタル化を目指すのであれば、デジタル領域に精通をした人材は市場にあまた存在をする中で、近年では副市長のポジションの公募も珍しくない中、なぜ競争の働く公募ではなく、松村克彦さんという方を一本釣りでスカウトをしたのか、特筆性と何を期待したのか、区長及び区役所に伺います。  翻って、外から専門家を連れてきたにもかかわらず、小さくまとまってしまった現在の計画の遂行に役割を狭めるのか、また、DX担当であるにもかかわらず、従来の助役、副区長と同じく、毎日登庁させて区役所の副区長室に縛りつけるつもりなのか、そして官民連携等の松村副区長の経験が期待をできる、いわゆるデジタルの領域以外もお任せをしないのか、区長及び区役所に伺います。  続いて、松村副区長御本人に伺います。特に区民に直接関わるオンライン申請、相談について、今後の展望が見えません。国によるマイナポータルのシステム改正を待つ手続を除いて、年間手続件数一万件以上の種類三十六手続のうち、現時点で電子化が完了したのが五件、二〇二二年度中の予定が六件と、残り二十五件、六九%のめどは示されていません。また、年間一万件未満の手続の電子化は各部署の判断に丸投げをしています。  区が示した最新の集計、最新なのに二年前ですが、二〇二〇年四月一日時点で、押印不要、電子申請不可という形式は六百八十一種、そのうち約半数の三百三十七件は郵送可であり、本人認証も本人確認も求めないため、デジタル化へのハードルは原本性のみです。そして、ファクス可でありながら、電子申請不可という形式すら百九種存在をしていますが、これらは本来デジタル化が完了していてしかるべきです。  翻って、相談業務に目を移すと、オンライン相談の実現例として挙げられるのが、まちづくりセンターと総合支所の接続、妊娠期の休日両親学級ぷれパパママ講座のオンライン講座のみです。ぷれパパママ講座は名称が示すとおり、相談ではなく講座であり、オンライン相談の実績と扱うのは水増しにしか見えず、他のオンライン講座、イベントを列挙しない点とも矛盾をしています。また、オンライン相談とうたいながら、手元のスマートフォンで完結をさせず、ベビーカーや手押し車を押してまちづくりセンターまでの移動を強いる手法には、既存の縄張りの死守への区役所の狂気すら感じます。  二〇二一年九月のデジタル庁の調査では、スマホ所有率は、二十代九八%、三十代九九%、四十代九七%という時代に、雨の日でも猛暑日でも、ベビーカーを押して、動き回る子どもを連れて、電車で舌打ちをされながら、バスで邪魔者扱いされながら、区役所に往復一時間かけて、手続、相談に出向かなければならない異常さから区民を救い出してください。世田谷区の現在のDXに関する計画とスピードは十分と考えるのか、新たにDX推進担当部を担任する松村副区長から見た評価と今後の展望を伺います。  続いて、直前に述べたことを掘り下げますが、DV、虐待からの駆け込み等の緊急事態を除き、高齢者対策、デジタルデバイドといったできない理由が挙げられない十から三十、四十代をターゲットとする手続、相談だけでも早急にオンライン移行できないのでしょうか。前述のとおり、国によるマイナポータルの整備を待つものを除き、年間手続件数一万件以上の様式すら三割しかめどがついていません。  そもそも役所に来庁する価値を考えると、最も大きな要素は対面価値です。対面の方が非言語情報を多く得られ、診断、判断を要する場面には特に有効です。また、何気ないコミュニケーションからチームワークが向上したり、新たな価値が生まれたりと、対面が優れている場面も存在しますが、これらの要素のどこが役所の相談業務に不可欠でしょうか。非言語情報も含め、支援につなげるソーシャルワーカー業務に対面価値が高いことは理解をしますが、単発の相談や目的が明確な場合には、移動時間がなくなることのほうがはるかに価値が高いです。オンライン相談は民間サービスでは既に一般的となり、また、他自治体での事例も出始めている中、世田谷区役所は相談業務に対面を求めることのどこに価値を見出しているのでしょうか。  特に子どものいる人は、仕事、子育て、場合によっては親のケアと、一般的にほかの属性よりも常にやるべきことに追われており、専業主婦を前提として、平日昼間に役所への来庁を必ず求める時代錯誤の区役所の仕組みが区民にさらなる負担を増やしています。雨の日でも猛暑日でも、ベビーカーを押して、役所の窓口に往復一時間かけて行かなければならないことを上回る価値が、対面相談、まちづくりセンターでのオンライン相談で提供できるのか、なぜ手元のスマートフォンで完結することを目指さないのか伺います。  そして、今後、マイナポータルとの接続が完了した後、マイナンバーカードの有無以外に完全デジタル化を阻む要素はあるのでしょうか。加えて、現在の件数で順位づけをして手続のデジタル化を進めていますが、国もあえて子ども関連手続をマイナポータルでのターゲットとしているように、オンライン移行のニーズと効果が高い子ども関連の手続については、世田谷区でも子ども・若者部を中心に独自に率先して取り組めないでしょうか。A四サイズの紙切れに神様が宿っているとあがめ奉る人たちのための手続は横に置いて、子ども関連手続は件数以外の視点からもオンライン化ニーズが高いという自覚を持って、どうか早急にオンライン化を進めてください。  続いて、保育園における安全性の確保について改めて伺います。  二〇二〇年後半に区立園での問題が報道されていながら、今回、私立認可園から似たような報告があったことに憤っています。二〇二一年三月の報告書は区立保育園における検討が中心でしたが、報告書が公表されてから、区立に限らず、区内保育施設全体で改善を進める取組は強化されなかったのでしょうか、また、私立園についてどのように情報提供が進められたのでしょうか。  そして、前回示された報告書の中では、人権擁護のためのセルフチェックリストや研修を用意したとのことでしたが、チェックリストは真面目に仕事をしている人にとっては負担になりかねず、また、問題を自分で認識していてもやめないケースについて改善を促す効果は薄く、そもそも研修は研修に行けるだけの真っ当な職場でないと活用ができません。従来の間接的な予防策ではなく、よりダイレクトに改善に作用するアプローチを新設をした乳幼児教育支援センターの活用などで講じられないでしょうか。  加えて、これまでは待機児童の解消に向けて保育園誘致を進める立場であることから、改善に向けて強く出ることが難しい状態にありましたが、待機児童がいなくなり、供給過多で実質的に質による競争が可能になった今だからこそ、改善が見られない場合には、保護者への判断材料として園名公表も選択肢ではないでしょうか。今すぐに全てのケースをさらし上げるようだと、かえってまだ問題が顕在化していない園が全力で隠蔽を図るリスクも高まることから、まずはこれを機にうみを出し切る、改善をする支援も併せて必要と考えますが、巡回支援はどういった状況なのか。そして、支援では改善の見込みがない場合には、実質的に市場からキックアウトするしかないと考えますが、どのような場合に園名を公表できるのか伺います。  最後に、学校タブレットのMDMについて伺います。  昨年九月には、現在利用しているモビコネクトの機能で、能力や学年に応じて利用制限に段階をつけられないか伺い、よりよい運用の在り方について引き続き検討を重ねてまいりたいとの答弁でしたが、改めて調べたところ、MDMを変えれば、保護者にも一定の管理権限を付与し、家族で話し合う、タブレット本体を親が物理的に管理するといったようなファミコン時代の管理方法ではなく、教育委員会による全体管理に加え、各家庭のデバイスからも貸与したタブレットの管理権限を設定できるようになります。管理システムの入替えには、恐らく契約変更も必要になりますが、そこまで抜本的に変えられるのか、せめてモビコネクトでもできる範囲で夜間等の利用時間の一定の制限はできないのでしょうか。  以上で壇上から質問を終えます。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 そのべ議員の質問にお答えをします。  松村新副区長の登用について御質問いただきました。まず、私はDXを狭く捉えてはおりません。デジタルだけの問題ではなく、それぞれ今、世田谷区が直面している課題は、全て庁内横断的、また区役所にとどまるものでもなく、事業者、あるいは区民、様々国等、全体の関係の中において、総合的に実現をしなければならない仕事だと思っております。  私は、松村副区長には、世田谷区役所の仕事の進め方、行政手法と組織の在り方の変容、トランスフォーメーションを実現してもらいたいと期待をしています。副区長室を拠点にしながら、区内、庁内を横串を刺して、組織横断的に活動してもらいたい。縛りつけたいと思っているわけではございません。  区政改革は待ったなしで取り組むべき時期に来ており、時期を逸することなく取り組める人材の確保が必要だと考えてきました。松村副区長は、民間企業において、IT技術を活用した仕事や、組織の在り方改革にこれまで尽力されてきたとともに、地方自治体や、あるいは社会福祉団体、様々な現場で、例えば児童虐待や障害者雇用などの福祉、地域の課題について、市民の立場、区民の立場で、あるいは事業者の立場で、官民連携に取り組んできたと伺っております。  こうした区の状況や松村副区長のこれまでの御経験から適任だと考え、区政改革を強力に進められることを期待をして登用したものでございます。これまでの知見を生かして、狭い意味での区役所文化、考え方にとらわれない意識改革と、効果的なDXの実装の展開をぜひお願いしたいと指示しているところでございます。    〔松村副区長登壇〕 ◎松村 副区長 私からは、DXに関する現在の計画とスピードは十分かという見解についてお答えいたします。  世田谷区では、コロナ禍等の社会状況や区民ニーズを踏まえ、東京都共同運営電子申請システムを利用するなど、申請手続のオンライン化に重点的に取り組んできたと報告を受けております。しかしながら、申請手続以外にも業務改善の余地は大きいと実は感じています。リデザインせたがやが目指す姿は、単なるデジタル化ではなく、これまでの業務の在り方を区民と職員の両方の視点から抜本的に見直すことが必要と考えています。私のこれまでの経験等を生かし、世田谷を住みやすく幸せな町にできるDXにスピード感を持って取り組んでまいりたいと思います。  以上です。 ◎菅井 DX推進担当部長 私からは二点御答弁申し上げます。  初めに、ICT推進課長への外部人材登用の総括についてです。  これまでICT部門の職員は、高度な専門知識や資格を有しない一般事務職の基本的な人事ローテーションの中で対応してきたため、組織として極めて複雑化したシステムの見直しや新たな技術の導入に際し、区のシステムに長く携わってきたベンダー等に対しまして、イニシアチブを取って対応することが難しい面もございました。そのため、新たな技術を柔軟に活用し、機能向上とセキュリティー対策に加え、業務の効率化とコストの縮減などを高い次元で両立できるよう、一定の権限を持つ課長級職員として、専門的な知識と経験を有した外部人材の登用を図りまして、区の情報化基盤の見直しや、自治体情報システムの標準化に向けた道筋をつけるなど、大きな成果を上げていただいたと考えております。  次に、今後の外部人材の活用などについてです。  昨年までのICT推進課長は、専門分野に加えまして、職員の労務管理や庁内外の会議体等への対応、また、コロナウイルス感染拡大による臨時緊急的なシステム対応に追われ、知見等を十分に発揮できなかった面もございました。コロナ禍等を経て、DXの推進が区の重点施策の一つになり、今年度より推進体制強化のため、ラインの課長は区プロパー職員を配置いたしまして、外部からの登用の方には、専門分野に専念できるように副参事として任用したところです。専門職の任用制度等は、二十三区共通の課題などもあると認識しておりますが、引き続き、外部人材の有効な活用とあわせまして、お話のありました内部人材の育成も図ってまいりたいと考えてございます。  以上でございます。 ◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、子ども関連の手続のオンライン移行について、三点御答弁申し上げます。  まず、相談業務の対面についてです。  各総合支所の子ども家庭支援センターでは、窓口において、子どもに関するあらゆる御相談をお受けしております。内容が明確な相談以外に、子育てに関する悩み事や、家庭内での困り事をお聞きするケースもあり、相談者のニーズに合わせて的確な支援につないでおります。  また、子ども関係の手続に関しても、申請書の書き方が分からないや、詳しい内容を聞きたいなどの声に丁寧に説明し、区民に寄り添った対応に努めており、手続が終了したことの安心感と御納得した様子がうかがえることから、手続や相談の内容によっては、窓口での支援の必要性があると考えております。  次に、スマートフォンでの手続についてお答えいたします。  区では、オンラインで自身に必要な手続を検索し、電子申請できるぴったりサービスを使い、令和三年度に児童手当現況届について電子申請を可能にしました。一方、認可保育園等入園申込みなど、国が電子化を求める保育関連の三つの手続は、東京共同電子申請届出サービスを活用し既に電子化しておりますが、現在ぴったりサービスの導入に向けて準備を進めております。  最近では多くのスマートフォンがぴったりサービスに対応しており、総務省は令和四年四月に、今年度末までにマイナンバーカードの機能をスマートフォンに搭載できるようにすると発表しており、今後、スマートフォンのみで手続が完結するということが実現される見込みです。こうした流れに対応できるよう、引き続き、関係所管課と連携し、相談に関する対応を含め、できるところから着実にオンライン化を進めてまいります。  次に、子ども関連手続のオンライン化についてお答えいたします。  子ども・若者部における代表的な手続といたしましては児童手当の申請が挙げられますが、現在、申請管理システムの整備を進めており、児童手当の申請受付についても、令和五年度からマイナポータルのびったりサービスによる申請受付を開始する予定です。区といたしましては、申請手続をオンラインで行うことで、忙しい子育て世代の負担軽減につながるものと認識しております。今後、可能な限り子ども関連手続のオンライン化を目指していくとともに、このほかの子どもに関連する手続のオンライン化に向けましても、関係所管に働きかけていきたいと考えております。  以上でございます。 ◎和田 保育部長 私からは、保育の安全性の担保について、三点御答弁いたします。  まず、区内保育施設全体で改善を進める取組をしなかったのか、私立園についてどのように情報共有が進められていたのかについてです。  令和二年度に区立保育園で行われた不適切な保育、虐待行為を受け、私立保育園に対しても、区立保育園の検証報告書や人権チェックシートの活用について、私立園長会等において情報提供を行いました。また、区内の全保育施設を対象とした子どもの人権研修をオンラインで実施する中で、子どもの人権や最善の利益を考慮できるよう取組を進めてまいりました。今回の件を受け、本年五月には学識経験者による検討会を立ち上げ、区内保育施設において今後必要な再発防止策を検討しており、九月には検討結果を踏まえた区の今後の取組について御報告いたします。  次に、改善が見られない場合、どのような場合に園名を公表できるのかについてです。  園名の公表は、園にとって影響が大きいことから、園の改善指導を行う中で、事実関係を的確に把握し、公正かつ適切な対応が必要となります。しかし、園に重大な運営基準違反や不正が疑われる場合に、児童福祉法等に基づき指導検査を実施して、改善に向けた指導を行いますが、この改善指導に従わなかった場合は改善勧告を行い、それでも求めに応じない場合には、その旨を園名とともに公表する場合があります。  最後に、巡回支援の状況についてです。  巡回支援相談では、子どもの育ちとともに、保育内容や保育環境を確認し、改善していくことや、計画的かつ柔軟に保育を展開していくことなどを丁寧に伝えたり、繰り返し訪問して相談に応じたりしています。巡回訪問を重ねる中で、園との関係性が構築され、最近では施設長からの園運営の相談が増加しており、必要に応じてマネジメントや人材育成等に関する支援も行っています。今後も、区内保育施設の質の底上げに向けて、現在行われている検討会における検討結果も踏まえ、より効果的な取組を進めてまいります。  以上でございます。 ◎平沢 教育総合センター担当参事 保育の安全性の確保のための乳幼児教育支援センターの活用についてお答えいたします。  乳幼児教育支援センターでは、研修等に加え、今年度より保育現場の支援を目的として、実践充実コーディネーターの派遣に取り組んでおります。実践充実コーディネーターは、幼稚園、保育所などが自らの実践を振り返り、よりよい教育・保育を実践していくために、乳幼児教育・保育の現場に精通した学識経験者が継続的に助言等の支援を行うものです。今後は、実践充実コーディネーターの派遣を徐々に広げるとともに、各園の優れた事例を区内の公私立幼稚園、保育所等で共有化し、区全体として乳幼児の教育・保育の質の向上を図っていきたいと考えております。  以上です。 ◎粟井 教育政策部長 私からは、MDM、モバイルデバイス管理の運用を見直せないかについてお答え申し上げます。  学習用タブレット端末につきましては、児童生徒が学校や家庭で自ら主体的に活用できるよう、機能制御を極力少なくするよう設定しているところでございます。機能制限の在り方につきましては区議会からも様々な御意見をいただいておりますが、設定の変更には追加費用もかかることから、学校現場とも議論しながら、小学生と中学生で夜間の利用制限の時間帯を異なる設定にするなどの対応を検討しているところでございます。引き続き、児童生徒が自ら学びに向かう力と自立的にデジタル機器の利用する力を持てるように、適切な端末管理に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◆三番(そのべせいや 議員) 子ども関連の手続について、できるところから着実にオンライン化を進める、今後可能な限り子ども関連手続のオンライン化を目指していくと明確に方針が示されましたが、具体的には、二〇二〇年四月の集計では、三百二十二様式中、メール可が三十二件、郵送可が二百四件とのことでしたが、件数の推移を追って進めてください。  また、子ども家庭支援センターの二〇二〇年度の相談件数を見ると、養護・虐待等のソーシャルワークが機能する相談が三千七百八十件に対して、情報提供やサービス利用支援といった子育て応援相談員への相談は一万五千三百十五件だそうです。オンライン化しても差し支えない相談のほうが大部分を占めているという現状を受け止めて、チャット、ビデオ通話など、使い勝手のよいオンライン相談の仕組みもぜひ整えていただければと思います。今後も引き続きこの件数を追っていただければと思います。  以上です。 ○下山芳男 議長 以上でそのべせいや議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、四番青空こうじ議員。    〔四番青空こうじ議員登壇〕(拍手) ◆四番(青空こうじ 議員) 今年三月、厚生労働省が発表した我が国の平均寿命は、第二十三回生命表によると、令和二年、男性が八十一歳、女性が八十七歳で、平成二十七年の前回の調査と比較して五年間で、男性が〇・八一年、そして女性は〇・七三年、それぞれ延びたということです。お年寄りが長生きすることはとてもうれしいことですが、高齢者の増加という心配も見逃すわけにはいきません。
     そこで、世田谷区の状況は、今年四月一日、世田谷区の全体の人口は九十一万七千百四十五人、昨年の四月一日は九十二万四百七十一人でしたので、コロナ禍の影響でしょうか、三千三百二十六人の人口減となり、一方、六十五歳以上の高齢者の人口を見ると、今年の四月は十八万六千四百八十六人、昨年の四月は十八万五千七百五十三人でしたので、世田谷区全体の人口が減少している中で、逆に七百三十三人も増えています。六十五歳以上の高齢者に占める後期高齢者の割合も五三・〇二%から五三・七七%に上昇しています。  コロナの動向も気がかりですが、高齢者の人口が増えている問題も、この先どうなるのか気になって仕方がないので、区が昨年度発表した将来の人口の推計を見ましたら、六十五歳以上の高齢者の人口は今後さらに増え続け、二〇三一年には約二十万八千人に達するということでした。  何度も言うようですが、お年寄りが長生きすることはとてもとてもうれしいことですが、やはり健康で長生きすることが一番大切だと思います。高齢者がみんな元気で、充実した暮らしを続けられる世田谷区であれば、高齢者の人口が増えることもプラスと捉えることができるのではないでしょうか。区は、そのような前向きな姿勢で健康寿命を延ばすことに、地域とともに取り組んでいただきたいと思っております。  そして、新型コロナウイルスの感染の国内最初の感染事例が発生してから二年以上が経過し、今も感染の波は断続的に続いていますが、都内の新規感染者数は、前の週と同じ曜日での比較で減少しています。現在では、ワクチンや治療薬も出て、二年前とは状況が異なりますが、油断することはなく、感染対策を継続していく必要があります。  さて、私は、コロナ禍の前から健康維持や近隣の方との交流のために、近所のまちづくりセンターの会場に、体操などの活動を中心とする元気高齢者のクラブ活動に参加しています。会員の方は六十五歳から八十五歳ぐらいまでの高齢の方二十六名で、体操のみならず、春には桜を見に行ったり、秋には深大寺公園に行ったりしています。  私が入っているクラブも、多くの高齢者クラブと同様に、コロナ禍においては活動の自粛を余儀なくされて、最初の緊急事態宣言が発令された後は、三か月以上もクラブの活動を中止していました。その後も都内で感染の波に応じ、緊急事態宣言の発令や解除を繰り返し、私たちのクラブ活動も再開や自粛を繰り返しました。コロナ以前は参加者が二十六名でしたが、今現在では十二名ぐらいに減ってしまいました。  クラブの活動状況は、コロナ禍の長引く外出自粛の影響で人と人との関わりが減り、高齢者の社会参加の機会が大きく後退をすることになりました。何よりも雄弁に語っているのでないでしょうか。自宅に引き籠もって精神的に落ち込んでしまう状況を防ぎ、ささいな活動であっても、社会参加することで体や心への健康効果があると考えられています。  そこでお伺いしますが、外出自粛の影響で高齢者の社会参加の機会が減っています。これからは感染対策をしながら、社会参加の機会の維持や創出をする取組が求められていることと考えておりますが、区の見解をお伺いします。  高齢者の社会参加については、その機会を創出したり維持すると同時に、実際の参加につなげることが重要です。  そこでお伺いします。実際の参加につなげるためには、例えば区民まつりなど、イベントで高齢者向けのコーナーを設置していただいたり、こうした活動があることを発信したり、あるいはイベント以外の場所で、身近なところで社会参加の機会があることを分かりやすく伝えていくことが重要だと考えております。区の見解をお伺いします。  次に、区の介護予防の取組の観点からお伺いします。  社会参加、身体活動、栄養・口腔はフレイル予防の三本柱となっており、これをバランスよく日常生活に組み込んでいくことが重要であります。社会参加ですが、社会関係が豊かな人ほど要介護状態などになりにくく、健康寿命が長いことが分かっております。社会や人とのつながりを保つことで運動や気分転換のきっかけにもなり、認知機能の低下を防げるという効果を指摘されております。  しかし、これまでコロナ禍では、多くの方が長期間にわたる外出自粛を余儀なくされておりました。こうした生活が続くことによって、自分でも気づかないうちに体力や気力が著しく低下する、いわゆるコロナフレイルが増えていると言われておりますが、コロナ禍においても、できる限り介護予防の取組を継続していく必要があると考えておりますが、区が行ってきた介護予防の取組も、コロナ禍の以前と比べて縮小してしまった状態ではないでしょうか。  そこで、最後にお伺いしますが、コロナ禍でも、高齢者にとって介護予防の取組は何よりも大事なことです。こうした取組については区でも工夫をして継続してほしいのですが、現状の取組など、区の考えを教えてください。  我々は、このコロナ禍を通じて多くのことを学んできましたが、高齢者の社会参加の大切さについてはより多くの方々に届いたのではないかと思います。人と社会とのつながりを保つことで、要介護状態になる前に身近な周囲の方々が気づき、必要な支援につなげていくといった利点もあります。こうした点から、地域や地区を含めた庁内の関係課のさらなる連携が必要だと思っております。区が一丸となって高齢者の社会参加に取り組んでいくことを要望し、壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎片桐 生活文化政策部長 私からは、コロナ禍における高齢者の社会参加について、二点お答えいたします。  初めに、社会参加の維持、創出についてです。  区内には四月一日現在、八十二の高齢者クラブがあり、区民利用施設などを活動拠点として、御自身の趣味や知識、経験などを生かしつつ、多様な活動を行っております。区では毎年、「区のおしらせ」やちらしなどで高齢者クラブへの参加を呼びかけており、昨年度も大変多くの問合せをいただきました。  御指摘のとおり、コロナ禍の中では活動を休止したクラブが多くありましたが、このところは高齢者へのワクチン接種も広まったこともあり、活動が戻りつつある状況も見られます。また、今年度は三年ぶりに高齢者クラブ、生涯大学、シルバー人材センター共催でいきいきせたがや文化祭を開催する準備も進めております。新型コロナウイルス感染症はいまだ収束してはおりませんが、高齢者クラブ連合会などの区内の活動団体とも連携し、感染防止対策を行いながら、高齢者の社会参加の機会充実に取り組んでまいります。  次に、社会参加活動の周知についてです。  区内では様々な高齢者団体が地区会館や敬老会館などで日々活動しております。また、千歳温水プールなどで開催している参加型居場所プログラムや、生涯大学、陶芸教室などの学びの場、また、支えあいミニデイ、ふれあい・いきいきサロンなどの事業などを通じて、高齢者の社会参加の機会の提供に取り組んでおります。  しかし、これまでこうした地域で行われている社会参加の機会については、地域の情報をまとめることが難しいところがございました。こうしたことから、区ではひだまり友遊会館に生涯現役情報ステーションを設置し、運営ボランティアと指定管理者が連携し、施設情報紙の発行のほか、区内高齢者の活動団体やイベント情報などの案内を行っております。また、各地域で高齢者の方が参加できる活動などを一冊にまとめた情報誌「いっぽ、外へ シニアお出かけスポット」を発行し、まちづくりセンターやあんしんすこやかセンターなどで配布しております。今後、さらなる内容の充実と配布先の拡充を行い、多くの方に利用していただけるよう取り組んでまいります。  以上です。 ◎山戸 高齢福祉部長 私からはコロナ禍における介護予防の取組について御答弁いたします。  世田谷区の新型コロナウイルス感染者数は、ピーク時から減少傾向ではあるものの、コロナ禍で外出を控えがちな高齢者は依然として多く、体力の低下等が心配される高齢者を介護予防の取組につなげることは重要な課題であると認識しております。  昨年度はまるごと介護予防講座のオンラインによる開催を試行で実施したほか、例年対面式で実施している介護予防講演会を見送り、新たなフレイル予防講座の動画を作成、配信するなど、自宅でも介護予防、フレイル予防に取り組めるよう工夫をいたしました。また、対面式で実施しましたはつらつ介護予防講座においては、時間を短縮して二部制で実施するなど、感染症予防に配慮しつつ、より多くの高齢者に参加していただけるような手法で実施しております。  今後も引き続き、感染症対策を徹底しながら介護予防事業を継続するとともに、一部の介護予防講座においては、新たにスマートフォン講座やズーム講座と連携させることにより、自宅からでも参加しやすい双方向型のオンライン講座を実施するなど、コロナ禍においても、高齢者が介護予防に取り組めるよう、工夫しながら継続してまいります。  以上でございます。 ◆四番(青空こうじ 議員) ありがとうございます。確かに僕なんかも体操クラブ、地元の東大原小学校が廃校になって、下北沢小学校になって、やむなくどこか体操クラブがないかなといったら、まちづくりセンターがあったわけですよね。やっぱりまちづくりセンターでやっている人もいるし、朝六時頃から公園の片隅のほうで、十五人ぐらいでラジオ体操をやっている会もいっぱいあります。だから、自分の健康とかいうのは、自分たちが一歩外に出れば、女の人だと、やっぱりジャージとかパジャマで行けないもので、きちんとした感じで出てくるもので、体操とか年寄りの方は、特に一日に一回は外に出ることを私自身もいいなと思っております。  世田谷区は羽根木のほうではいろいろな遊具があって、健康のためにもいろいろな遊具があります。お年寄りの方が、今日ラジオなんかで聞いていたら、ぜひ世田谷の公園に行って、みんなで体操したりお話をしたりするとすごく元気になります。  以上で質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上で青空こうじ議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後四時五十五分休憩    ──────────────────     午後五時五分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  一般質問を続けます。  三十九番和田ひでとし議員。    〔三十九番和田ひでとし議員登壇〕(拍手) ◆三十九番(和田ひでとし 議員) 通告に従い順次質問してまいります。  まず初めに、外郭団体の改革についてです。  区は、外郭団体の設置者として、各団体を取り巻く環境が団体設立当時から大きく変化してきていることや、三年目となるコロナ禍における影響等を踏まえ、外郭団体改革の取組を集中的に進めているということですが、思うような成果がはっきりと見えてこないのが現状のようです。我が会派としても、これまで行財政改革をしっかり進めるとともに、外郭団体の改革についても見直しを求めてまいりました。  そのような中、昨年度見直しの方向性を取りまとめた報告がありましたが、今後も各団体が、まずは自主性、自立性をしっかり高め、将来に向けて果たすべき役割を担っていくことができるよう、改革の取組をさらに進めていく必要があるものと考えます。  平成二十六年度に策定した外郭団体改革基本方針は、いよいよ令和五年度で最終年度を迎えますが、このように、大きな節目の年を迎えるに当たり、これまでの改革の成果をはっきりと示すときであります。特に国際情勢がますます不安定になるとともに、コロナ禍の世の中の情勢などもまだまだ先が見通せない中、自主性、自立性をさらに高めて、世田谷区が区政運営を担っていく中で、重要な役割を連携協力していかなければなりません。  そこで、令和六年度以降も大きな変化を見せると思われる社会状況を踏まえながら、各団体が自立した運営をしっかりできるよう、不断の外郭団体改革を推し進めるべきであると考えますが、区の見解を伺います  次に、これからの区立幼稚園の在り方についてです。  東京都の試算によれば、都の人口は二〇二五年をピークに減少に転じて、本格的な人口減少社会に突入すると予測しています。二〇二五年問題は、かねてより団塊の世代と言われる方々が後期高齢者に突入していくとして、高齢者施策が問われてきましたが、同時に、少子化問題もいよいよ形として現れてきており、少子・高齢化は深刻な問題となってくることを我々は認識しなければなりません。  そのような中、世田谷区では、昨年十二月に乳幼児教育支援センターが新たに開設し、推進拠点として区全体の乳幼児期の教育・保育の質の向上を図っていくとしています。私は、第一回定例会一般質問においても区立幼稚園の在り方について質問をしました。世田谷区では、区立幼稚園において、ここへ来て入園者数が大幅に減少してきている現状があることを踏まえ、令和五年四月からの新規入園申込みが開始するまでに、区立幼稚園の適切な規模や今後担うべき役割等を検討し、幼稚園の集約化等を含めた区立幼稚園全体の在り方について計画を取りまとめ、この七月には新たな計画を報告するとしています。言うまでもなく、これからの未就学児人口の推移等の状況をしっかりと見定めていくことも重要でありますが、区は、区立幼稚園の今後の在り方についてどのように考えているのか、改めて区の見解を伺います。  そして、区立幼稚園は本来私立幼稚園を補完する目的で整備されてきましたが、用途転換等計画が進む中、私立幼稚園においても園児数が減少傾向にあるとのことです。そして、経営が大変厳しい状況になってきている園もあると聞いております。このような状況の中で、これからの区立幼稚園と私立幼稚園との関係をどのように考えていくのか、区の見解を伺います。  次に、大井町線・東横線の連続立体化へ向けて伺います。  開かずの踏切解消は、東京都内では特に深刻な状況にある箇所が複数あり、区内においても、小田急線は大変長い年月をかけて連続立体化事業を実現し、続いて現在、京王線が事業中であり、区としても着実な事業化を目指しているところであります。  一方で、人口約二十二万人が暮らす玉川地域の大動脈とも言える大井町線は、かねてより踏切問題が大きな課題となっており、特に平成二十年より急行運転が始まってからは、区内の通過駅となっている上野毛、等々力、尾山台、九品仏駅周辺の区民にとっては大変深刻な状況となっております。等々力駅や九品仏駅は上り下りの線路の間に駅舎があり、どうしても踏切を渡って改札へ入らなければならず、狭い駅舎の目の前を急行電車が通過していくという、利用者にとっては不便な上に危険も伴う状態であります。また、尾山台駅は上下線それぞれに改札口がありますが、朝夕のラッシュ時間帯では、駅前踏切遮断のため、なかなか目的の電車に乗れない現状が常態化しています。沿線各駅にはそれぞれの事情があり、まちづくりについても様々な御意見があるのも当然かと思われます。  そのような中で、現在事業中の京王線連続立体交差事業の完了時期をしっかりと見据えた上で、着実な推進を進めていきながら、世田谷区として、次は東急大井町線と東横線の開かずの踏切解消に向けて、確実に計画に取り組んでいくべきと考えますが、区の見解を伺います。  そして、大井町線と東横線が接続する自由が丘駅周辺では、目黒区と地元が主体となって計画を進めてきた再開発事業がいよいよ来年度着工となり、自由が丘駅周辺の町並みが大きく変わろうとしています。これに合わせて東横線についても、現在、自由が丘駅付近は立体交差化されていますが、将来の大井町線を含めた両線の連続立体化についても視野に入れた構想として、東京都や目黒区とともに着実に進められるように働きかけていかなければなりません。  そこで、自由が丘駅周辺の再開発事業によるまちづくり活動と連携して、現在、目黒区が予算をつけて進めている踏切解消に向けた調査検討に世田谷区も積極的に関わっていくべきと考えますが、区の見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔渡部教育長登壇〕 ◎渡部 教育長 これからの区立幼稚園の在り方について御答弁申し上げます。  少子化の進行や保育待機児の解消、幼児教育・保育の無償化などの影響に伴う区の乳幼児教育・保育施設の状況の変化を踏まえ、現在、平成二十六年度に策定した区立幼稚園用途転換等計画を見直し、幼保連携型認定こども園への用途転換は行わず、区立幼稚園または幼稚園型認定こども園として、適切な規模に集約化する方向で検討を進めております。  区立幼稚園につきましては、区内各地域の教育・保育の拠点として位置づけ、先進的な幼児教育・保育の研究、試行等を行い、私立幼稚園等とともに、質の高い教育・保育の実践に取り組んでまいります。また、医療的ケア児等の対応など、インクルーシブな教育・保育を積極的に推進する役割を担ってまいります。  現在、区長部局とともに、子ども・子育て応援都市の構想を基に、子ども政策の方向性を含めた検討を行っており、単に子どもの数の減少に合わせて施設を集約化させるのではなく、その施設や財源、人材を新たな子育て支援に転換していく方向で調整を進めております。その検討状況を踏まえ、今後の区立幼稚園の果たすべき役割や適切な規模などについて検討を進め、七月を目途に一定の方向性をお示ししてまいります。  以上でございます。 ◎加賀谷 政策経営部長 私からは外郭団体の改革について御答弁いたします。  外郭団体の改革につきましては、平成二十六年度から令和五年度までの十年間の外郭団体改革基本方針に基づきまして、外郭団体の在り方に関する見直しや財政的支援関与の見直し、人的支援関与の見直しなどを柱として取組を進めてまいりました。昨年度は、担当副区長を座長としました庁内PTを中心に、外郭団体改革の集中的な検討を進め、産業振興公社、トラストまちづくり、サービス公社の三団体の在り方の見直しの方向性や、各団体の令和四年度、五年度の取組内容をまとめたところでございます。  議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中で、外郭団体を取り巻く社会状況の変化も見られます。新たな区政課題やニーズも踏まえ、改めて外郭団体が担う役割をしっかりと見据えていく必要があると考えております。令和六年度からの新たな方針の策定に当たりましては、将来に向けた区と外郭団体の役割分担を改めて整理するとともに、各団体が自主性、自立性を高め、それぞれの公益的使命を一層果たしていくため検討体制を設置し、方針を取りまとめてまいります。  以上でございます。 ◎粟井 教育政策部長 私からは区立幼稚園と私立幼稚園との関係についてお答え申し上げます。  世田谷区におきましては、従来から私立幼稚園を区立幼稚園が補完する役割を担いながら、特色のある教育・保育やインクルーシブな教育・保育を推進してまいりました。  こうした状況の中、区では令和三年十二月に区内の公私立幼稚園、保育所等が共有すべき方向性を示した世田谷区教育・保育実践コンパスを策定いたしました。今年度は、実践コンパスの内容を踏まえて、公私立を問わず、幼稚園、保育所等を対象として、研修や専門人材の派遣、モデル研究等を実施するなど、乳幼児教育・保育の充実に向けた公私立の連携による取組をさらに進めているところでございます。  また、中学校区域を単位に、地域とともに子どもを育てる教育を目指す世田谷独自の取組であります学び舎について、今年度より私立幼稚園や公私立保育所等にも参加対象を拡大し、公私立幼稚園、保育所等の枠を超えた連携などを図っているところでございます。  今後は、区内の公私立幼稚園、保育所等が一層連携協力を深め、それぞれの特色や理念を生かし、また、学ぶべきところは学び合いながら、区全体の乳幼児期の教育・保育の質の向上をさせることができるよう取組を進めてまいります。  以上でございます。 ◎青木 道路・交通計画部長 私からは、大井町線、東横線の踏切解消に関する御質問について、二点御答弁を申し上げます。  まず、京王線連続立体交差事業の完了時期を見据えた大井町線の開かずの踏切解消に関する御質問でございます。  京王線の連続立体交差事業につきましては、笹塚駅から仙川駅間において、平成二十六年二月に事業に着手し、現在、東京都、鉄道事業者とともに事業に取り組んでいるところでございます。京王線の連立事業は、事業延長が約七・二キロメートルと長く、用地取得の遅れから、当初認可された令和四年度末までの事業期間について、東京都は本年三月に令和十二年度末まで事業期間を延伸する変更認可を国から受け、事業完了までにはまだ時間がかかるものと考えております。  大井町線につきましては、緑が丘駅から等々力駅付近までの区間において、東横線の都立大学駅から田園調布駅間とともに、平成十六年に東京都が定めた踏切対策基本方針において、鉄道立体化の検討対象区間に位置づけられ、区といたしましても、大井町線、東横線のこの区間における立体化検討の必要性について認識をいたしております。  一方、鉄道の立体化には多くの費用と期間を要し、さらには地域におけるまちづくりや交差する都市計画道路の整備なども必要になってくることから、京王線の進捗も見据えつつ、今後とも、目黒区など関係機関と情報共有を図りながら、大井町線、東横線の開かずの踏切解消に向けて取り組んでまいります。  次に、目黒区が進めている踏切解消に向けた調査検討に関する御質問でございます。  昨年度より目黒区は、自由が丘駅付近における都市基盤整備の方向性や、道路と鉄道の立体化の調査検討に取り組んでおります。この調査検討においては、世田谷区内の大井町線と東横線も含めた立体化の検討が必要となることから、世田谷区も鉄道事業者等とともに、目黒区が実施している調査検討に参加してまいりました。区といたしましては、今後、さらに目黒区と連携を図り、検討状況を共有し、大井町線、東横線における道路と鉄道の立体化に向け取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 ◆三十九番(和田ひでとし 議員) 開かずの踏切解消に向けた連続立体化については、言うまでもなく、区単独でできるものではありません。国や東京都の力を借りなければならないということで、今回取り上げました大井町線、東横線については、昨年度から目黒区が地元とともに駅周辺の再開発による連続立体化に向けて調査が既に始まっており、そしてまた、品川区では、大井町線の戸越公園駅付近の踏切解消に向けて具体的に動き出しております。さらに、大田区では先日、区長記者会見で、長年の念願であった東急蒲田駅と京急蒲田駅を地下で結ぶ、いわゆる蒲蒲線構想で東京都と大田区の費用負担割合が合意いたしました。いよいよ新空港線整備事業に向けて動き出すことになります。このように、周辺隣接区ではそれぞれ活発な動きがあり、世田谷区にも遠からず影響が予想されております。  そこで、大井町線、東横線の開かずの踏切解消に向けての動きの中で、世田谷区だけが取り残されるようなことがあってはいけません。そこで、周辺自治体や東京都との連携が大変重要であると考えますが、区はどのように取り組んでいるのか、改めて伺います。 ◎松村 技監 再質問にお答えします。  大井町線、東横線における開かずの踏切の解消は、先ほど所管部長が答弁をしましたとおり、平成十六年、東京都が定めた踏切対策基本方針に、鉄道立体化の検討対象区間に位置づけられており、世田谷区といたしましても重要な課題であると認識をしております。  現在、目黒区が自由が丘駅周辺の再開発を契機にした道路と鉄道の立体化の調査検討に世田谷区も参加をしているところでございますけれども、今後、京王線の連続立体事業の進捗を見据え、時期を捉えながら、東横線に加え大井町線を含めた開かずの踏切解消へ向け、関係機関としっかりと連携をして取り組んでまいります。  以上です。 ◆三十九番(和田ひでとし 議員) 大井町線は、特に急行運転が開始してから、なかなか踏切というものが余計開きにくくなってしまったと区民の方からよく聞いております。電車を利用する方々、急行に乗って利益を得るのはほぼ神奈川県民かなと思うんですが、通過してしまう大井町線沿線の皆さんにとっては、ますますこの踏切が開きにくくなっている。こういう事情の中で、やはり今回、こういった具体的な動きがある周辺自治体ともしっかりと連携を取って、計画を進めていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上で和田ひでとし議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、二番佐藤美樹議員。    〔二番佐藤美樹議員登壇〕(拍手) ◆二番(佐藤美樹 議員) 質問を始めます。  先日の厚生労働省の発表によれば、二〇二一年の合計特殊出生率は一・三となり、出生数も過去最少となりました。世田谷区の出生率も直近の二〇二〇年は〇・九九と、一を割ってきており、出生数についても六年連続で微減が続いています。このような変化の中、区が行おうとする子ども・子育て支援事業計画の見直しは、これからの区の子ども関連政策の羅針盤でもあり、この見直しについて三点、方向性と進め方、少子化対策、そして質の確保の論点について伺います。  まず、方向性についてです。  少子化傾向を含め、保育、教育、そして子育て支援の各現場おいて変化を的確に捉え、計画値を定めていく必要があります。様々な変化を捉えるとともに、子どもの最善の利益をどう担保していくかなど、見直しの方向性について見解を伺います。  また、その際、出生数や子ども人口の推移、今後の人口推計及びニーズ調査で入手する各種データをベースに精緻に分析するプロセス、すなわち、EBPMを徹底して計画に落とし込んでいただきたいと考えます。  データ活用については、一方で、今月から松村副区長がDX担当として就任され、リデザインを推進されようとしています。子ども・子育て支援事業計画見直しの策定プロセスに、松村副区長の持つ民間ノウハウが反映され、この計画策定がDXの好事例となることを期待します。事業計画の見直しプロセスにおけるEBPM、データ活用についての見解を伺います。  次に、少子化対策についてです。
     OECDの二〇〇五年のレポートによれば、この時点での分析になりますが、日本が出生率を上げるための政策としては二点、子どもにかかる直接費用を減らすことと、保育サービスの拡充の二点が指摘されています。  保育サービスの拡充、いわゆる待機児童対策については、世田谷区において喫緊の課題としてこの十年ほど取り組んできて、三年前に待機児童数はゼロとなり、その後もゼロを維持していることから、目標達成がほぼなされたと言えます。保育待機児問題が解消されても、なお少子化傾向が変わっていないとなると、OECDレポートにあるもう一つの論点である子どもにかかる直接費用の減、すなわち、経済的負担軽減の政策について、その妥当性を検討すべきではないでしょうか。  子育て世帯の経済的負担軽減について、区の政策メニューは複数ありますが、今回はそのうちの出産費用の負担軽減について伺います。  出産費用については、区内の平均費用データがなく、都内の平均費用データとして国民健康保険中央会が出した六年前のものになりますが、それによると六十二万円とのこと。これに対する助成としては国による出産一時金がありますが、その額は四十二万円ですので、都内で出産している場合には、最低でも二十万円ほどの自己負担が発生していることになります。出産費用への助成として区の政策はというと、平成二十一年より始めた第三子の出産費用の助成があり、これは国の出産一時金に上限六万円まで上乗せをするというものです。  しかし、前述したように、国全体の出生率が一・三、区の出生率は〇・九九という状況において、三人目の出産に上乗せ助成するよりも、一人目を出産し、二人目を検討されている方を対象にした上乗せ助成を検討すべきではないでしょうか。国でも出産一時金の増額を検討しているようですが、こうした動きも踏まえ、子育て世帯の経済的負担を軽減することについての区の見解を伺います。  このテーマでの質問の最後、保育、教育の各現場における質の確保の観点から、放課後新BOP学童における配慮を要する児童の受入れと、人員配置の課題について伺います。  子ども人口全体は少子化傾向にあるものの、放課後新BOP学童の登録者数は増加傾向にあり、この間、大規模化、狭隘化の課題についても様々質問をしてきました。現在、知的障害など固定学級を設けている小学校は区内に二十校ありますが、これらに通っている児童は、日中授業を受ける教室も普通学級とは別ですので、放課後の時間、障害の有無に関わらず、一緒の場で過ごせることはインクルーシブ教育の観点からも重要です。  ですが、実際には、配慮を要する児童の新BOP登録については、学校において様々制約があります。ある小学校では、前月までに申込みしないと、BOP利用ができなかったり、また、受入れについて、一日の定員を設けていたりと、私が聞いた範囲でも、配慮を要するお子さんにとって、放課後新BOPは、学校によっては利用しづらい状況です。この課題について、区は子ども・子育て支援事業計画の見直しの中で改善すべきではないでしょうか、見解を問います。  そもそも配慮を要する児童のBOP利用への制約が各学校でまちまちであることや、登録状況についても、二つの所管にそれぞれ聞かないと実態がつかめないこともいかがなものかと考えますが、そこはまた別の機会に問います。  次に、農福教連携について伺います。  先日、障害のあるお子様の保護者の方に、区が粕谷で始めた農福連携事業について話をしたところ、区がそのような事業を実施していることについて全く知らなかったそうですが、我が子が将来就く職業の一つの選択肢になるものかもしれないと希望を見出している様子でした。当事業は、福祉作業所に通われている方たち対象の就労支援事業の位置づけですが、小学校高学年、あるいは中学生の障害のある児童を対象に、体験イベント的な場を展開してはと考えます。  他方、教育所管では、これまでキャリア教育の位置づけで様々な内容を子どもたちに提供してきていますが、障害のある児童向けとなると、保護者の付添いが必要であったり、実際は参加できないこともあるのが現状です。農福連携事業について、教育所管とも連携し、障害のある児童向けの展開をすることで、さらなる広がりや効果を見込めると考えますが、見解を問います。  最後に、みどり率について伺います。  昨年度の調査で区のみどり率は〇・八ポイントの減少となりました。これは、区の面積換算をすると四十四万平米であり、減少内容の大きなものとしては民間の樹林地の減少となっています。世田谷みどり33を掲げ、これまでも区は緑を守る、増やすための政策を区民、事業者向けに打ち出していますが、これまで以上のアプローチや訴求が必要と考え、二点提案します。  一点目は区内事業者向けのアプローチです。区民だけでなく、区内民間事業者向けにも、緑を増やすことに関心を持ってもらえるような取組をしてはと考えます。例えば、我が社のシンボルツリーといった写真つきで、区の緑政策に賛同してくださる事業者について、区ホームページに紹介するなど、関心や賛同を得られるような取組をしてはと考えます。  二点目は、緑政策の意義づけやその意義を体感できるような企画の拡充です。緑と関連性の高い気候危機については、区民の皆さんの関心は高くなっています。以前も紹介しましたが、気候危機対策を狙いの一つとして整備された横浜市のグランモール公園は、様々な技術による緑と水の循環があり、体感できる心地よさを実現しています。私も何度か足を運びましたが、樹木の生む気化熱で心地よい風や涼を感じることができる空間でした。このような緑の意義や気候危機との関連づけが体感できるような仕掛け、施策を通じて、緑に対する区民の意識を高めてはと考えます。みどり率についての区の取組、見解を伺い、以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、子ども・子育て支援事業計画の見直しに関連して、四点御答弁申し上げます。  初めに、子ども・子育て支援事業計画の見直しの方向性について御答弁いたします。  働き方や子どもと子育て家庭を取り巻く状況は、保育待機児童の解消、育児休業の利用の拡大、テレワークの普及等により大きく変化しています。こうした状況も踏まえ、昨年十一月に子ども・子育て会議に子ども・子育て支援事業計画見直しのための部会を設置いたしました。  現在、見直しに当たっては、出生数や未就学児童数の減少、直近の将来人口推計、これまでの進捗状況等も踏まえ、様々な視点で議論しております。出産や子育てを希望する方が子どもと楽しみながら子育てできる環境を整えるためには、子どもの減少に合わせて、単に子育て支援を縮小し、子ども関連施設を統廃合するのではなく、その財源や人員を新たな子育て支援に転換していくことが不可欠です。議員お話しの視点も踏まえ、子ども・子育て応援都市をバージョンアップさせるための方向性について、七月を目途に検討状況をお示しいたします。  次に、EBPMの徹底とデータ活用についてお答えいたします。  子ども・子育て支援事業計画の見直しに当たっては、教育・保育及び地域子ども・子育て支援事業の利用状況の把握や、保護者に対する利用希望把握調査を行い、向こう五年間を期間の各年度の事業の必要量の見込みを推計し、具体的な目標設定等を行うことなどが求められております。  今回の子ども・子育て支援事業計画調整計画の策定のプロセスについては、本年三月に示された第二期市町村子ども・子育て支援事業計画等に関する中間年の見直しのための考え方について、こういった国の通知や、見直しに当たっての様々な視点を踏まえ、本年五月に実施した国、自治体での共通項目によるニーズ調査の結果を正確に分析し活用しながら、子ども・子育て会議でその結果等の検証や評価を行ってまいります。また、世田谷区DX推進方針Ver・1に基づき、EBPMによる施策立案や、データの活用による参加と協働を推進すべく、今回のニーズ調査結果のオープンデータ化やさらなる活用について、関係所管とも連携し取り組んでまいります。  次に、出産費用を含めた子育て世帯の経済的負担軽減について御答弁申し上げます。  出産における経済的負担について、国民健康保険中央会の二〇一六年度調査では、東京都の出産費用平均額は六十二万一千八百十四円、全国平均額は五十万円超との結果も出ており、子育て世帯の経済的負担があることは認識しております。区では、こうした子育て世帯の経済的負担を軽減する目的で、平成二十一年度より第三子出産費助成にて、出産費用と出産一時金の差額を最大六万円まで支援する施策を行っております。また、区では、子どもを産み育てやすい町を目指し、切れ目のない子育て支援を掲げており、安心感を持って子育てしていただけるよう取り組んでおります。今後は、国の出産育児一時金の増額等の経済的負担軽減の議論の動向を注視し、時期を捉え、区として必要な制度改正等を行ってまいります。  次に、新BOP学童クラブにおける配慮を要する児童の受入れ等についてお答えいたします。  区では、子どもの人口が減少傾向に転じる中、本年四月一日現在の新BOP学童クラブの登録児童数は、共稼ぎ世帯の増加等の要因によりまして、前年同月比が七百三十九人増の八千三百二十三人になるなど、新BOP学童クラブの利用児童が増加しております。御指摘のとおり、配慮を要する児童数も年々増加し、必要な指導員の人員も増加しておりまして、福祉人材不足により人材確保が難しい中、短時間の指導員や大学生等によるプレーイングパートナーも活用しながら運営しているところでございます。  区としては、子ども・子育て支援計画策定に向けた議論を踏まえ、配慮の必要な児童の増加傾向の状況なども考慮し、必要な人材と質の確保に向け取組を強化するとともに、効果的な人員配置を検討するなど、新BOP学童クラブを利用する全ての子どもが過ごしやすい環境整備に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎須藤 障害福祉部長 私からは、農福連携事業の中の小中学生向けの体験イベントについて御答弁を申し上げます。  農福連携事業の現在の進捗状況ですけれども、令和四年三月に区内の障害者施設の利用者を対象に農作業の体験イベントを実施いたしました。参加者からは大変好評いただいております。今月から収穫に向けた手入れや水やりなどの体験も実施しており、今後は農業での就職を見据えた体験、また、農作業に親しむ体験イベントの継続を予定しております。  お話しの企画につきましては、区内の小中学校の障害のある児童生徒が参加することで、土に触れる楽しさや農作物が育つ喜び、農作業の大変さなどを経験する貴重な機会となり、将来の職業選択の一つとして農業を考えるきっかけにもつながるものと考えております。区といたしましては、本事業を安定的に運用するためにも、段階的かつ着実な事業執行に努め、今後の体験イベントの対象拡大及び実施方法について、教育所管と実現に向けて連携し具体的に検討してまいります。  以上です。 ◎平沢 教育総合センター担当参事 私からは、農福連携事業における教育所管との連携についてお答えいたします。  区教育委員会では、キャリア・未来デザイン教育の取組として、将来を見据え、社会で自立できる力を身につけることを目的に、芋掘り等の自然体験学習や地域を調べる町探検、ボッチャを通じた交流会等を行っております。  農福連携事業につきましては、障害のある方が実際に働く姿を見ることや、その仕事を自ら体験することは、障害のある子どもたちにとって、将来の職業選択の幅を広げたり、就労について考えたりする上で大変重要な機会になるものと考えております。教育委員会といたしましても、障害のある子どもたちが将来の職業の選択肢を広げられるよう、農福連携事業の取組を特別支援学級設置校長会等を通じて周知するなど、各学校におけるキャリア・未来デザイン教育の充実に取り組んでまいります。  以上です。 ◎釘宮 みどり33推進担当部長 私からは、みどり率向上に向けた取組についてまとめてお答えいたします。  みどり率の減少は、議員お話しのとおり、区内の七割を占める民有地における緑が減少していることが大きな要因となっております。全域が市街化している世田谷区において、世田谷みどり33を実現するためには、区民一人一人の緑を守り育てる意識の醸成と具体的な取組が重要であり、区では、みどりの計画書制度や各種助成制度など、民有地における緑化促進の取組を行っております。  事業者へのアプローチについても、これまで建築事業者向けのガイドライン作成などを行っておりますが、緑づくりを盛り上げていくためには、議員御提案の関心を持ってもらうという視点での取組も必要だと考えており、優良事例の紹介など、新たな取組を検討してまいります。  また、気候危機につきましても、緑は地球温暖化を抑制するためのCO2吸収やグリーンインフラ機能、ヒートアイランドの緩和など、気候変動において重要な役割を担っているものと認識しております。このような緑が持つ有効性について、まずは数値化していくなど、分かりやすく区民に示し、SDGsや気候変動対策への関心の高まりと連動させ、緑づくりに積極的に取り組み、体感していただけるよう様々な施策の展開を検討してまいります。  以上でございます。 ◆二番(佐藤美樹 議員) それぞれ御答弁いただきました。一点だけ再質問させていただきたいと思います。  先ほど子ども・若者部の部長からの御答弁で、オープンデータ化やさらなる活用とありましたけれども、これまでやはりデータ活用、オープンデータもですが、進んでこなかった、あるいは結論ありきで用いられてきたという経緯があると考えています。ですので、こうしたデータ活用について、副区長御自身の見解を伺いたいと思います。 ◎松村 副区長 今の御質問にお答えをします。  政策の立案には、利用者等のニーズ把握をはじめとしたデータに基づいた課題認識が基本だと考えております。まずは各所管でのデータ等の収集、共有方法について整理させていただきたいなと思っております。蓄積されたデータを各部の政策判断や計画策定に活用できるよう、私自身がこれまで持ってまいりましたノウハウを生かしながら、効果的な仕組みについて検討し、各所管のDXの取組を後押ししてまいりたいと思います。  以上です。 ◆二番(佐藤美樹 議員) 具体的な後押しとなっているかどうか、私のほうも見ていきたいと思います。  以上で質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上で佐藤美樹議員の質問は終わりました。  これで本日の一般質問は終了いたします。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 以上をもちまして本日の日程は終了いたしました。  なお、明十五日は午前十時から本会議を開催いたしますので、御参集願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十六分散会...