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  1. 世田谷区議会 2022-06-13
    令和 4年  6月 定例会-06月13日-01号


    取得元: 世田谷区議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-03
    令和 4年  6月 定例会-06月13日-01号令和 4年  6月 定例会 令和四年第二回定例会 世田谷区議会会議録第八号 六月十三日(月曜日)  出席議員(四十八名) 一番   神尾りさ 二番   佐藤美樹 三番   そのべせいや 四番   青空こうじ 五番   ひうち優子 六番   上川あや 七番   くりはら博之 八番   つるみけんご 九番   小泉たま子 十番   あべ力也 十一番  高岡じゅん子 十二番  金井えり子 十三番  田中みち子 十四番  下山芳男 十五番  石川ナオミ
    十六番  河野俊弘 十七番  宍戸三郎 十九番  津上仁志 二十番  河村みどり 二十一番 いそだ久美子 二十二番 中山みずほ 二十三番 中里光夫 二十四番 江口じゅん子 二十五番 たかじょう訓子 二十六番 真鍋よしゆき 二十七番 上島よしもり 二十八番 菅沼つとむ 二十九番 高橋昭彦 三十番  岡本のぶ子 三十一番 平塚けいじ 三十二番 中塚さちよ 三十三番 藤井まな 三十五番 大庭正明 三十六番 ひえしま進 三十七番 加藤たいき 三十八番 畠山晋一 三十九番 和田ひでとし 四十番  いたいひとし 四十一番 佐藤ひろと 四十二番 福田たえ美 四十三番 羽田圭二 四十四番 中村公太朗 四十五番 桜井純子 四十六番 桃野芳文 四十七番 田中優子 四十八番 おぎのけんじ 四十九番 阿久津皇 五十番  山口ひろひさ  欠  員(二名)      十八番 三十四番  出席事務局職員 局長     林 勝久 次長     水谷 敦 庶務係長   星野 功 議事担当係長 長谷川桂一 議事担当係長 岡本俊彦 議事担当係長 菊島 進 議事担当係長 末吉謙介 議事担当係長 髙橋 亮 議事担当係長 阿閉孝一郎 調査係長   佐々木 崇  出席説明員 区長     保坂展人 副区長    中村哲也 副区長    岩本 康 副区長    松村克彦 玉川総合支所長        馬場利至 砧総合支所長 佐々木康史 政策経営部長 加賀谷 実 DX推進担当部長        菅井英樹 総務部長   池田 豊 危機管理部長 大塚 勇 財務部長   工藤郁淳 生活文化政策部長        片桐 誠 地域行政部長 舟波 勇 スポーツ推進部長        大澤正文 環境政策部長 清水優子 経済産業部長 後藤英一 保健福祉政策部長        田中耕太 保健福祉政策部次長        有馬秀人 高齢福祉部長 山戸茂子 住民接種担当部長        久末佳枝 子ども・若者部長        柳澤 純 保育部長   和田康子 世田谷保健所長        向山晴子 技監     松村浩之 都市整備政策部長        畝目晴彦 道路・交通計画部長        青木 誠 教育長    渡部理枝 教育監    粟井明彦 教育総務部長 知久孝之 教育政策部長(教育監兼務)        粟井明彦 教育総合センター担当参事        平沢安正 生涯学習部長 内田潤一 総務課長   中潟信彦     ──────────────────── 議事日程(令和四年六月十三日(月)午後一時開議)  第 一 代表質問     ──────────────────── 本日の会議に付した事件  一、会議録署名議員の指名  二、会期の決定
     三、諸般の報告  四、日程第一 代表質問     ────────────────────     午後一時開会 ○下山芳男 議長 ただいまから令和四年第二回世田谷区議会定例会を開会いたします。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 これより本日の会議を開きます。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 本日の日程はお手元の議事日程のとおりであります。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 議事に先立ちまして、一言申し上げます。  本会議の運営に当たりましては、さきの臨時会に引き続き、新型コロナウイルス感染症への対策を十分講じた上、進めてまいりたいと思いますので、議員各位の御協力をお願いいたします。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 それではまず、会議録署名議員の指名を行います。  会議録署名議員には、会議規則第七十九条の規定により、   二十 番 河村みどり議員   二十九番 高橋 昭彦議員 を指名いたします。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、会期についてお諮りいたします。  本定例会の会期は、本日から六月二十二日までの十日間とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○下山芳男 議長 御異議なしと認めます。よって会期は十日間と決定いたしました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、出席説明員に異動がありましたので、御報告いたします。  お手元の出席説明員一覧表のとおりであります。御了承願います。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、区長から招集の挨拶の申出があります。保坂区長。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 令和四年第二回世田谷区議会定例会に当たりまして、区議会議員並びに区民の皆様に御挨拶を申し上げます。  本年十月一日に、世田谷区は区制施行九十周年を迎えます。世田谷区の形成と礎となる作業に貢献されてきた先達の歩みに思いを巡らしながら、未来を担う子どもたちが参加することのできる行事などを展開していきます。  十月十六日、記念式典を人見記念講堂で開催します。この場において、今日の世田谷区の発展を支えていただいた区民の方々を顕彰し、感謝の意をお伝えします。また、区議会の御同意をいただけましたならば、新たな名誉区民として四名の方を顕彰したいと考えております。  記念式典以外にも、多様な形で区民の方に御参加いただくことのできる関連イベントや行事等も企画をいたします。感染状況を見極めながら、多世代が参画し心に刻む区制施行九十周年にしたいと考えております。  今回の区制施行九十周年から十年後は百周年となります。私たちは今、深刻な危機の時代のただ中にありますが、地域を大切にして温かく互いを思いやる世田谷らしさを財産に着実に歩んでいきたいと思います。  さて、二年に及ぶコロナ禍で、移動の自由が制限され、対面接触を最少化すべく様々な対策を取ってきました。世田谷区でも、今年一月から三月にかけてオミクロン株の爆発的な感染拡大にさらされ、検査、診断、治療のキャパシティーを大幅に上回る危機的事態に直面をいたしました。昨年八月のデルタ株に比べて、重症化例が少なくて症状も軽い方が多かった一方、高齢者を中心に生命の危機に直面し、犠牲になられた方もいらっしゃいます。  ここに、謹んで哀悼の意を捧げるとともに、一人でも死者を抑える努力を継続することを誓い、新たなる変異株と健康危機に備えていきます。  振り返れば、令和二年、二〇二〇年のコロナ禍の初期段階から、感染拡大期に医療が逼迫し、高齢者施設でのクラスターが続発して多くの高齢者が施設内で亡くなったヨーロッパの悲劇を起こさないことを重点目標として、PCR検査体制の拡充や、定期検査と随時検査を組み合わせた社会的検査を実施する体制を構築してきました。  昨年九月からは、定期検査に代わって抗原定性検査キットを活用し、希望する高齢者施設等へ配布、軽い倦怠感など体調が気になる際に素早く検査するとともに、医療チームが駆けつけて周囲の関係者を一斉検査する随時検査も強化してきました。昨年春からのワクチン接種もまた高齢者施設を最優先で訪問接種することから始め、昨年十一月には厚生労働省に対して三回目のワクチン接種を一日でも早く実施できるように働きかけ、十二月末から実施をいたしました。  この二年間、感染症対策やワクチンの専門家も含む医療関係者を中心に、新型コロナウイルス感染症対策本部会議において有識者との意見交換を行い、大局的なアドバイスをいただいてきたほか、区内のコロナ治療に当たる医療機関の責任者と世田谷区医師会、玉川医師会と世田谷保健所、保健福祉政策部を中心とした区の関係所管が情報交換を重ねる連絡会議も重ね、地域医療と保健衛生に係る緊密な連携を構築することができました。  一月からの第六波における急速な感染拡大局面では、これまで機能してきたPCR検査体制も混み合うようになり、発熱等の症状が出たらすぐに検査という原則が揺らぎ、医師の診断によるみなし陽性との扱いも生まれました。地域のクリニックの抗原検査キットの不足に対し、区民への提供予定のキットを急遽、医療機関に回すなどの緊急対応を行いました。  今後は、保健所の検査体制をさらに拡充いたします。第七波については、第六波のピークの約一・五倍を想定し、新たな検査会場の設置を準備しています。社会的検査においても随時検査の体制を引き続き強化していくとともに、迅速に検査結果が判明する抗原定性検査キットを十分に確保し、高齢者施設、障害者施設をはじめ、学校、保育園等への十分な備蓄を図ってまいります。  また、ウイルスの変異の特性を予測するのが困難であることから、区の酸素ステーションの維持、運営は継続をいたします。  次に、新型コロナワクチン接種についてです。  四回目の接種が始まりました。高齢者施設入所者への接種、また一般の六十歳以上の方や基礎疾患を有する方への接種を順次進めています。六月中旬からは集団接種会場を増設するとともに、世田谷区医師会、玉川医師会の協力をいただき、区内の病院、診療所での個別接種も既に開始をしております。  接種券の発送も本格化いたします。三回目接種での実績を踏まえて、引き続き分散発送を行うとともに、コールセンターの体制も強化し、速やかに予約いただける体制を整備します。御自分で予約が難しい方のために、まちづくりセンターでの予約支援も継続します。四回目接種のピークとなる七月、八月に向け、接種体制の確保や円滑な運営の取組を加速してまいります。  一・二回目や三回目の接種にも、引き続き取り組みます。三回目の接種率は五月十七日時点で、対象人口の六割を超えました。五歳から十一歳のお子さんの接種も含め、幅広い世代へのワクチン接種を進めてまいります。  次に、新型コロナウイルス感染症の後遺症についてであります。  変異株による感染者の急増やワクチン接種の推進により新型コロナウイルス感染症を取り巻く状況が大きく変化したことを受け、区民生活への影響を把握し、社会的な理解を進めることなどにつなげるため、昨年十二月に二回目となる後遺症アンケート調査を行い、三月に報告書として取りまとめました。計一万八千五百五十三人の方々を対象に調査を実施し、有効回答数として計六千二百八十九人に御協力をいただきました。  アンケートの自由意見欄には、健康面の不安のほかに、自己負担による検査の強制、感染による給与減や退職、職場の雰囲気の悪化などの労働問題の課題に関する意見がございました。こうした声に応えるべく、労働相談や生活に関する相談窓口等の連携により、後遺症に起因する困り事への相談に総合的に対応できるよう体制を整備したところでございます。  また、四月に二回目の調査結果を基に東京都副知事と意見交換し、社会的な側面での支援などについても要望してまいりました。今後、東京都と連携した後遺症の実態把握と有効な支援の在り方を検討していきます。  二月二十四日から始まったロシアによるウクライナ侵攻は、長期戦の様相を呈しています。ウクライナ市街地への徹底的な破壊やミサイル、砲撃などにより、民間人を含む多くの犠牲者が出ています。  一方的な侵略戦争を自己正当化するプーチン大統領は、世界各国からの非難と経済的制裁を受けても、強硬姿勢を崩さずに特別軍事作戦と称してきましたが、五月九日の戦勝記念日にすら一時的、かつ一部の勝利宣言さえ出すことができませんでした。ロシア側にも多くの死者が出ていることを認めながら、作戦の継続を訴えました。ロシア軍の攻撃により、ウクライナから戦禍を逃れて多くの人々が国外に出て、遠隔地である日本にも多くの方が滞在し、世田谷区内でも新たな生活を始めようとされています。  区では、庁内にウクライナ避難民支援のためのプロジェクトチームを立ち上げ、国に対して、自治体として避難民支援の意思表示の申出を表明しております。区内に在住する御家族を頼って避難される方を含め、住宅環境、福祉・介護・医療、日本語習得の機会提供、子どもたちへの教育など、切れ目のない生活支援が必要となります。  このたび、区の国際平和交流基金も活用して、避難民支援に取り組むとともに、ウクライナ避難民支援を契機として幅広く多文化共生社会を発展させ、在住外国人支援を充実するために、ふるさと納税も含めた国際平和交流基金への寄附を幅広く呼びかけていきます。  さて、区政運営の基盤である次期基本計画の策定に当たっては、二年を超えたコロナ禍が地域コミュニティーや社会経済活動に大きな影響を与えています。さらには、ロシアによるウクライナ侵攻の影響によるエネルギー、食糧不足、中国の長期間に及ぶロックダウンで生じた物流滞留等に加えて、金融緩和を続ける日銀の政策で軌道修正が利かない円の独歩安で輸入コストが高騰、物価高が新たに区民生活を脅かしています。  地球環境の変化と世界情勢の不安定化という時代にあって、区民生活に責任を持つ自治体として、私たちの今を正確に捉える必要が生じております。  世田谷区基本構想(平成二十五年・二〇一三年議決)に基づいた九つのビジョンは、現在もなお必要不可欠な視点ですが、次期基本計画には、一昨年からの激動の二年間を経過して見えてきた哲学、倫理、文明史的視点を持って、新たな局面に向き合い、困難な課題に挑戦する必要がございます。  既に本年三月末に、次期基本計画に向かう二年間に橋をかける世田谷区未来つながるプランを策定し、「区民・事業者の活動を支え地域活性化を図る、コロナ後を見据えた持続可能な社会の実現など、四つの政策の柱の下、次期基本計画の検討のスタートラインに立っております。  世田谷区基本構想と共につくり上げた世田谷区基本計画(平成二十六年・二〇一四年策定)のサブタイトルは「子どもが輝く参加と協働のまち せたがや」です。計画の内容に入る前にマッチングによる政策の推進を図解しながら強調してきました。今日、新たに参加と協働とマッチングを民主的で機動的な行政組織改革に反映させる意義は増大をしています。  この十年間、無作為抽出型区民ワークショップや、幅広い区民参加の議論の場では、優れた分析や提案、角度を変えた論点や手法が活発に語られました。私たちの行政組織は、自らの限られた情報文化圏にとどまることなく、こうした参加と協働の場で忌憚のない意見交換を重ね、政策形成力をさらに鍛える必要がございます。  第一期工事の新庁舎が建設されています。今後、順次建設されていく中庭を囲むように配置される低層棟が連鎖する執務環境は、所管の枠を超えた柔軟で機敏なマッチングを推進し、区民利用スペースの活用も伴って参加と協働が深化する場面をつくることが可能です。  次期基本計画の策定に当たり、参加と協働、マッチングを共にダイナミックに進化させていきます。無作為抽出型ワークショップやシンポジウム、パブリックコメント等の募集に加えて、デジタル技術を活用した新たな意見集約ツールを導入するなど、幅広い世代が参画できるよう工夫をしていきます。  八年前、現在の基本計画を策定した際に、参加と協働、マッチングを区政運営の土台となる価値軸にしました。次期基本計画に向かう現在、この間のデジタル技術の飛躍的な発展を踏まえながら、参加と協働を進展させ、即時即応のマッチングができる柔軟な組織改革を進める可能性が広がっています。この好機を逃さずに生かします。  積極的な住民参加と熟議を定着させるツールとして活用し、デジタルデモクラシーの実現を図るDXを実現します。  七月から実施予定の公募と無作為抽出によるワークショップ形式の区民検討会議について、リアルとデジタルのハイブリッドで開催します。区民検討会議にとどまらず、様々なステージ、段階においてデジタル技術も活用し、広範で多様な区民参加を図っていきます。  また、九月から基本計画審議会での議論を始めます。審議会において、各分野における個別の論点に加え、時代を画する総合的な議論ができるような委員構成とし、区民検討会議からの代表五名程度も参画していただき、議論を行ってまいります。同時並行しながら議会への御報告も重ねていきます。  次に、地域行政についてです。  これまで地域行政制度改革の議論を続けてきました。地区防災の拠点であり、身近なコミュニティーの土台となるまちづくりセンターに、多世代の区民や活動団体の積極的な参加の道を開きます。  さらに、総合支所は地域経営を牽引する役割を担うことを明確にして、総合支所の専門性の向上を図りながら、住民自治と区民参加の下に地域課題の解決力を発揮していきます。  地域行政推進に関する条例の制定に向けて、区民意見や議会での御議論、庁内検討を進め、このたび素案を取りまとめたところです。条例では、区民が必要な行政サービスを利用できる環境や体制などの整備に努めること、区民が区政に関する意見を述べ、区政への参加を促進する環境の整備に努めることなどを区の責務として定めます。  まちづくりセンターと総合支所や本庁舎をオンラインでつなぎ、より身近な窓口で相談や手続ができる環境の整備を進めるため、今年度より五か所のモデル地区において試行を始めます。  また、地域包括ケアの地区展開においては、これまでのまちづくりセンターあんしんすこやかセンター、社会福祉協議会の三者に児童館を加えた四者連携により、特に子どもに関する居場所や情報共有の基盤づくりなどの社会資源開発と子育てネットワークと町会・自治会等の地縁のネットワークとの結びつきを強化します。さらに、地区内の多様な団体等が相互の活動を知り、協力や連携する関係づくりを促進する場や、共に話し合うワークショップ、意見交換会等にオンラインを活用し、区民参加の機会を充実させていきます。このような機会も活用して課題解決に向けた取組をまとめ、総合調整機能を高めてまいります。  今後、素案に対するパブリックコメントや説明会を行い、いただいた意見を基に、条例案、計画案の作成を進めていきます。また、自治体DXを推進して、デジタル技術を用いた区民参加や意見提出も準備していきます。  次に、DX推進についてです。  区では自治体DXを推し進めるために、昨年度、DX推進担当の部署を設けて「Re・Design SETAGAYA」というプロジェクトを進めてきました。  DX推進を本格化させるために、今年度より強力な布陣を敷きました。行政組織に横串を刺していき、デジタルツールを活用して情報共有とマッチングも実現し、地域行政制度から広報広聴機能に至るまで世田谷区役所の文化を刷新し、その厚みを増す時期に入りました。  このたび、区議会の同意を頂いて三人目の副区長として松村克彦副区長を登用しました。松村副区長は、これまでも民間企業の立場から、仕事や組織の在り方の改革、地域包括ケアや障害者雇用の現場を自治体とつなぐ官民連携の経験があると聞いています。早速、DX専任の副区長として、本庁舎整備から地域行政制度、行政組織改革など、区が直面している喫緊の課題解決に当たってもらいます。  次に、公園整備と世田谷みどり33についてです。  このたび、かねてから交渉を進めていました北烏山七丁目にある岩崎学生寮周辺の樹林地について、用地取得のめどが立ち、四月に売買契約を締結しました。  この樹林地は、学生寮の敷地の一部として昭和二十年代から育ってきたもので、長い歴史の中で雑木林として形成され、地域の貴重な緑として近隣の方に親しまれてきました。平成十四年、二〇〇一年には、地域の方より一万人を超える署名を頂くなど保全を求める声を受け、区として取得のための交渉を重ねてきたものであります。ここは、貴重な約三ヘクタールを超える樹林地です。区民共通の地域財産として保全、活用していくため、住民参加の機会を持ちながら、整備を進めてまいります。  みどり33について報告をいたします。昨年度実施したみどりの資源調査でみどり率が二四・三八%となりました。残念ながら、前回五年前の調査と比べて〇・八ポイント減少という結果になりました。  この間、公共施設の緑化や区民の緑づくりの支援などに取り組んできました。五年間で二十か所、二・一ヘクタールの公園等の整備に取り組み、今後は玉川野毛町公園の拡張、上用賀公園の拡張、先ほどの北烏山七丁目緑地など、大規模な公園・緑地整備も進めていきます。一方で、相続に伴う都市農地の減少や敷地の細分化により民有地の緑が失われています。  コロナ禍の二年間でテレワークなど働き方の変化が進みました。職住近接も見直されて、地域で過ごす時間も増えてきた方々も目立つようになりました。緑豊かな住宅都市としての落ち着きや潤いは、暮らしの基盤としてかけがえのない価値になります。  加えて激甚化する気候危機がもたらす水害から町を守るグリーンインフラの推進によって、生物多様性を回復する緑の充実は、都市環境の基軸に据える事業となります。  みどり33は、十年後に迫った区制百年をゴールにしています。区制施行九十周年を機に、住環境を悪化させず、緑を拡充するために、もう一回り大きなムーブメントに結びつけていきます。  次に、下北沢のまちづくりについてであります。  長い年月をかけて下北沢のまちづくりが進んで、全体像が見えてきました。小田急線上部利用は、鉄道事業者と綿密に連携しつつ、北沢デザイン会議等の幅広い区民参加のシンポジウムやワークショップ、意見交換を行いながら進めてきた施設整備も仕上げの段階を迎えています。  下北沢駅南西口前には、区内で保存されていた都電の敷石が並べられた小広場を囲んで、特色ある商業施設ができました。今年の一月には、ここから鎌倉通りまでを歩くことができる区の通路が完成、地域住民や来街者の散歩道としてにぎわいを見せています。  三月末には、京王井の頭線高架下と周辺に、新たな商業施設と区の図書館カウンターがオープンし、多くの人が行き交っています。また、区で整備しましたアクセス道路は歩行者を主体とした道路ですが、緊急時に下北沢駅と茶沢通りを結ぶ車両等の動線としての役割も持っています。また、整備中の駅前広場の地下には、既に百トンの防火貯水槽二基が設置されており、駅周辺の火災等に対する防災能力の向上にも大きく寄与しています。  この間、小田急電鉄は、「BE YOU.シモキタらしく。ジブンらしく。」をキャッチフレーズにして町を支える支援型開発を掲げ、インキュベーション、起業支援としてシェアオフィスもできています。また、京王電鉄では、商業エリアとワークプレイスが同居した遊ぶと働くが混ざり合う新しい下北沢の形を体現する施設を開業しました。  このように、音楽、演劇などサブカルチャーの町として若者を中心に人気がある下北沢において、新たに起業支援の場としてのオフィスなどがオープンすることで働くという要素が加わり、昼間人口の増加や幅広い世代での経済活動が展開され、さらなる町の活性化が期待できます。  新しい町の姿がメディアで紹介されることも多くなっており、さらなるにぎわいの創出とともに、持続可能な町の運営も課題となっています。今後、エリアマネジメントの取組も視野に入れながら、下北沢の魅力をより高めていくまちづくりを、鉄道各社、地域と連携しながら着実に進めてまいります。  また、大規模な再開発事業としては、二子玉川のまちづくりがあります。平成十二年、二〇〇〇年に二子玉川東地区第一種市街地再開発事業として都市計画決定され、平成二十七年、二〇一五年に完成しています。約十一・二ヘクタールの計画区域内に整備された商業、住宅の中高層ビルと、隣接整備した二子玉川公園と併せて、広域生活・文化拠点として活気あるにぎわいを見せています。  ハード面の整備に続いて、持続可能なまちづくりをするために、平成二十七年、二〇一五年に、町会、企業などが連携し、二子玉川エリアマネジメンツが立ち上がり、その後、令和二年、二〇二〇年には都市再生推進法人にも指定され、多摩川の水辺空間を活用した事業や公益還元活動などを行い、さらなる魅力あるまちづくりに取り組んでいます。  また、文化芸術分野では、日本最大規模の子ども映画祭であるキネコ国際映画祭が世田谷区との共催で盛会に開催されています。  引き続き、地域住民、団体、企業などと連携協力し、ネットワークを広げながら、町の発展、活性化を進めてまいります。  次に、旧池尻中学校跡地活用についてです。  この事業につきましては、区議会をはじめ、地元の学校関係者などから様々な御意見をいただいてまいりました。とりわけ、運営や評価の手法、校庭の利用方法、産業振興公社との役割分担などについて、区議会とのさらなる議論や学校関係者との対話を深めることが必要との判断の下、想定をしていました四月の運営事業者公募を延期しました。  その上でこの間、区の経済産業政策の全体像や産業振興公社との役割分担などについてお示しするとともに、五月の区民生活常任委員会においては、拠点の運営方法や施設整備等を含む運営事業者公募の考え方について御報告してまいりました。  五月末をもって、世田谷ものづくり学校は閉館しました。この十七年間、他に類例の少なかった時期から自治体による廃校活用の先駆的事例として、起業創業支援をはじめ、文化的情報発信や地域コミュニティーへの寄与など一定の役割を果たしてきました。
     今後は、早期に耐震補強工事等の必要な整備を行った上で、時代の変化等を踏まえて、新たな価値を生み出す出会いと創造の場として、新たな産業活性化拠点の整備を行っていきます。地元事業者が前向きな取組に挑戦する場、区民が集い交流機会を得て新たな活動にチャレンジできる場、事業者と区民の交流をベースに地域の課題を産業の視点から解決していく場、将来の区内産業を担う子どもたちの学びの場など、地元産業と区民に有益で親しまれる施設となることを目指していきます。  今後、運営事業者の公募の手続に進んでいきたいと考えていますが、引き続き、区民、区議会等への十分な説明や意見交換などに努めながら、事業者の選定にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。  次に、高齢者福祉についてです。  昨年十二月、旧若林小学校跡地に教育総合センターがオープンしたところですが、六月一日には、同敷地の北側部分に高齢者施設が開設されました。地域密着型特別養護老人ホームのほか、認知症高齢者グループホーム、小規模多機能型居宅介護、地域交流スペースが併設されています。要望の強い高齢者施設を整備していくとともに、介護人材を確保することが喫緊の課題となっています。  介護の仕事に光を当てて、新たな魅力を発信するイベントが開催されました。五月三日、玉川せせらぎホールにて「KAiGO PRiDE」の写真展とトークセッションイベントは、広告業界のトップで活躍するフォトグラファーが介護現場で働く一人一人の表情を捉えて撮り下ろしたポートレートが展示され、トークセッションで被写体となった人々も感想を語りました。介護は命を守る仕事、かけがえのないすばらしい仕事というメッセージが伝わってきました。この写真展は、うめとぴあにおいて六月三日まで行われ、大きな反響を呼びました。  次に、障害施策についてです。  区では、東京二〇二〇大会を契機と捉え、先導的共生社会ホストタウンとしてシンポジウムの開催や動画配信など、工夫しながら障害理解促進や障害者差別の解消に取り組んできましたが、いまだ十分な状況ではありません。  こうした状況を踏まえ、障害当事者や家族、関係機関などから御意見を伺い、区として障害理解の促進や障害者差別の解消、目指すべき地域共生社会に向けたスタンスを定めた(仮称)世田谷区障害理解の促進と地域共生社会の実現をめざす条例(素案)を取りまとめました。区民、議会の皆様からの意見を聞きながら、条例案の策定を進めていきます。  また、障害当事者や家族にとって、家族の急病等の緊急事態に当たって、緊急時の相談及び受入れ、対応、地域の体制が課題です。まずは、本年十月より北沢地域をモデル地域として体制強化に取り組む準備を進めております。  次に、ヤングケアラーについての支援です。  区は、今年度、区立小学校に在籍する四年生から六年生の児童、区立中学校に在籍する全生徒及び区内在住の高校生世代に対し、実態を把握するため、ヤングケアラーに関するアンケート調査を行います。  ヤングケアラーの子どもが直面する問題として、家族の介護などのために、年齢に見合わない重い責任や負担が続くことで、本人の育ちや学びに大きな影響をもたらす可能性が指摘されています。子どもが、家事や家族のケアを長時間担うことで、教育機会の喪失による学びの格差の拡大や、本来享受できたはずの子どもとしての時間が失われるなど、子どもの権利が侵害されているおそれがあります。  これまで、家庭内のデリケートな問題であり、本人や家族に自覚がないといった理由から、表面化しにくい構造が現在も続いています。本調査によりまして実態を明らかにし、表面化してこなかった支援のニーズを可視化するとともに、私たち自身のヤングケアラーへの気づきの感度を高めることが重要です。子どもの生の声を聞き、介護等の必要な家族への支援につなげていけるように取組を進めます。  次に、不登校特例校の開設についてです。  令和四年四月一日に、弦巻の教育会館内に不登校特例校分教室「ねいろ」を開設しました。現在、二十名の生徒が入室しており、正規の教員四名のほか、非常勤講師などを配置して、生徒一人ひとりのチャレンジ意欲や個性、能力を伸ばし、社会の一員として自立できる力を育むことを目的とした教育活動を行っています。  また、「ねいろ」におきましては、生徒の実態に合わせた特別な教育課程を編成しています。自らが興味や関心に基づきテーマを設定し、表現活動、体験活動、探究活動を通して学びを深めるキャリアデザイン学習を特色にしています。  今後も、生徒の個性や能力、チャレンジする気持ちを大切にしながら、自立できる力を育む、柔軟かつ特色ある学校運営を行ってまいります。  次に、補正予算案について申し上げます。  ワクチンの四回目接種をはじめとした新型コロナウイルス感染症防止対策や、生活困窮者等支援、原油価格・物価高騰に伴う小中学校給食食材費の上昇などについて速やかに対応するため計上するものであります。  一般会計と学校給食費会計を合わせますと、七十七億三千百万円の増額補正となります。  最後に、本議会に御提案申し上げます案件は、令和四年度世田谷区一般会計補正予算(第二次)など議案十二件、報告五件、同意四件です。何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御議決賜りますようお願いをいたしまして、御挨拶といたします。 ○下山芳男 議長 以上で区長の挨拶は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、事務局次長に諸般の報告をさせます。    〔水谷次長朗読〕  報告第二十五号 令和三年度世田谷区繰越明許費繰越計算書外報告四件 ○下山芳男 議長 以上で諸般の報告を終わります。  ここでしばらく休憩いたします。     午後一時四十分休憩    ──────────────────     午後一時五十分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 これより日程に入ります。  日程第一を上程いたします。    〔水谷次長朗読〕  日程第一 代表質問 ○下山芳男 議長 質問通告に基づき、順次発言を許します。  まず、世田谷立憲民主党を代表して、四十三番羽田圭二議員。    〔四十三番羽田圭二議員登壇〕(拍手) ◆四十三番(羽田圭二 議員) 世田谷立憲民主党区議団を代表いたしまして質問をいたします。  最初に、区民生活の底支えに向けて。  ウクライナ情勢の悪化による原材料価格の引上げや、生活必需品の高騰が与える区民生活への影響を踏まえた経済政策が求められています。区民生活を支える緊急経済政策とともに、コロナ、ウクライナの以前から続く日本経済衰退の原因が、賃金の低下による世帯所得の減に伴う個人消費の減少にあることを認識した自治体レベルからの施策展開が必要と考えます。  今後、物価上昇に見合う賃金の引上げによる世帯所得の増がなければ、経済の好循環は得られません。今年も七月には、中央最低賃金審議会より最低賃金額の答申が出されます。政府は平成二十八年以降、最低賃金は年率三%程度を目途として引上げ、全国加重平均千円を目指すと言ってきました。しかし、全都道府県の最低賃金が八百円を超えることとなったものの、全国の加重平均は九百三十円、千円を突破したのは、東京都の千四十一円、神奈川県の千四十円だけです。それだけに区の公契約条例による労働報酬下限額を千百七十円にしたことの意味は大きいと言えます。  賃金の引上げに向けた区内産業支援と就労支援について、公契約条例の実効性の確保など、賃金格差や労働条件改善、労働時間短縮、社会保険整備、これらに向けた区の対応について伺います。  ロシアのウクライナへの軍事侵攻から百十日目を迎えています。子どもや女性、一般市民の犠牲を目の当たりにする中、一刻も早い戦争の終結を求めるものです。同時に、軍事侵攻の背景に目を向けるならば、東西冷戦以降の国際協調や国際経済の枠組み、世界秩序が崩れ始めているという見方もできます。国境を越えて情報が飛び交い、市場の確保を求める社会において、国際間の競争を規制するルールが機能しなくなっていることが本質的問題なのではないでしょうか。全てを市場と競争に委ねるという経済の在り方を見直すことが改めて問われています。  さて、国内では、生活必需品の物価が急激に上昇し、国民生活に深刻な影響を与えています。区は第二次補正予算によって学校給食食材費の値上げによる自己負担増を抑えるために予算措置を行い、また、公共施設の改修等の工事契約では、工事契約後に建築資材等の高騰の場合には契約金額の変更を行うなどの対応を図るとしています。さらに、せたがやPayなどの活用による区内消費の喚起は、事業者、消費者の支援にもつながる大切な施策と考えます。  地域経済を持続可能なものにしていくためには、事業者、消費者、労働者への支援が欠かせなくなっています。区の地域経済政策の一つに、既存産業支援と起業支援が挙げられています。地域住民の声を大切にしつつも、旧池尻中学校跡地の活用では、起業支援の拠点として機能するよう、スピード感を持って臨むべきと考えます。区の見解を伺います。  新型コロナ感染症の陽性者数の減少やワクチン接種率の増加等に伴い、感染予防対策への対応に変化が見られます。運動会などの学校行事や屋外でのマスク着用の範囲や飲食店、会議室等の人数制限についても緩和されてきました。  国のコロナ感染症対策への遅れや後退に対して、区が先駆けて進めてきたPCR検査の社会的検査の実施や、陽性者の療養後の後遺症アンケートの実施等がその後、国や都の対応の強化につながっていることは誰の目からも明らかです。  感染症病床の確保や検査体制の拡充は、税金の無駄遣いと思われがちですが、そもそも防疫・感染症対策は、予告なき発症と急激な感染の広がりという感染症の特質からも、新たな感染が発生するか否かにかかわらず、常に備えておかなくてはならない課題です。また、コロナ後遺症のアンケートにもあるように、後遺症発症の補償の問題は、医師の後遺症としての診断や職場での理解が得られないまま、倦怠感や身体障害等が長期化し、退職を余儀なくされるケースや、労災補償の対象として扱われないなどの問題にも発展をしています。  新型コロナの感染予防対策については、引き続き防疫・感染症対策の基本に立つことが必要であり、コロナ後遺症に対する相談体制の拡充も大切と考えます。コロナ感染症に対する区の基本的考えと後遺症に対する今後の対応について伺います。  さて、区は、今後のDX推進に向けて、デジタル化専任の副区長を選任いたしました。政策決定におけるプロセスにおける民主主義の根幹をなす熟議、区民参加の拡充や政策決定のスピード化が期待をされています。また、申請や届出等、諸手続のオンライン化等に伴う事務の効率化を対面による地域サービス支援、住民サービスの向上につなげ、併せて労働者の働き方、労働時間の短縮などに生かすことが期待をされています。  副区長は、庁内のデジタル化に向けてどのような構想をお持ちでしょうか。その際、当区にとってふさわしいデジタルデモクラシーをどう前進させるかをお聞きします。  次に、支えあう地域社会の確立に向けてについて質問いたします。  政府は、全世代型社会保障構築会議の中間整理を発表しました。妊娠期から出産、育児の切れ目のない支援の体制をつくるとしており、区の世田谷版ネウボラの全国的広がりや現役世代と子育て世代への支援の拡充が期待されています。しかし、その一方で、高齢者の給付の見直しや負担増が懸念されています。  第一回定例会でも指摘してまいりましたように、国民負担率では、介護、医療の保険料や利用料など、自己負担が増えるなど社会保障負担率の増加が顕著になっています。また、先週発表された合計特殊出生率は二〇二一年が一・三〇、六年連続低下で出生数も過去最低といいます。少子化の背景には、非婚化、晩婚化があるといいますが、雇用の非正規化による個々人の収入減、子育てや教育にお金がかかり過ぎる、このことも挙げられています。現役世代への子育て、就労の支援を強めることで財源を確保し、社会全体で支えあう仕組みをつくることが必要です。  国は、低所得世帯等の子ども一人に五万円の特別給付金を支給します。区は、特別給付金に三万円を上乗せ支給するとしています。支給基準はいずれも児童扶養手当受給者、非課税世帯等の範囲で所得制限付で実施されるといいます。今回の特別給付金は、物価上昇や収入の減など急激な生活への影響を回避するため現金が給付されるもので、恒久的な生活保障ということとは異なります。  区民の暮らしの安心を保障するには、医療、介護の自己負担、教育に係る家庭での負担を軽減することが必要と考えます。その際、所得制限等によって給付の範囲を決めることなく、中高所得者も含めて対象とする普遍的支援とすることが大切だと言ってきました。所得によって選別する給付の在り方は、社会を分断し、支援する側と支援される側の不公平感を生み出します。  東京都は子ども医療費助成について、ゼロ歳から中学校卒業年度までの対象範囲を高校卒業年度まで引き上げる、その提案をしましたが、所得制限と一部自己負担という選別的制度内容は変わっていません。子ども医療費助成は、二十三区全区と三多摩の市町村の多くが既に所得制限も自己負担もなしで行っています。  子ども医療費助成は、高校卒業年度まで引き上げることとなりましても、所得制限を設けずに行うべきだと考えます。また、東京都が全額負担するよう求めるべきです。区の見解を伺います。  区民の暮らしの安心を保障する重要なものに、住まいの確保があります。その際、持ち家中心の住宅政策の見直しが求められていないでしょうか。空き家件数の増加、集合住宅等の老朽化、借家家賃の高騰などの状況を踏まえた対応が求められており、環境に配慮した住宅改修支援の拡充や、借家に住む区民への住宅環境整備や、住居費負担軽減などの課題があると考えます。高齢者、障害者、子育て世代に連なる支援の仕組みが求められていないでしょうか。  生活困窮者を包む居住支援等の拡充や、教育費の負担軽減、学校給食完全無償化に向けた対応など、現役世代の安定した生活を保障する施策展開を講じるべきだと考えます。区の対応を伺います。  法務省法制審議会では、刑法改正について審議が続いております。その一つに、性暴力被害の対象や刑罰の在り方、性交同意年齢の引上げの検討があります。とりわけ性交同意年齢と性暴力の構成要件については議論が続いています。  WHOは、性暴力を不同意性交に加えて、当事者の望まない性的言動及びこれらの未遂を含み、被害状況や加害者との関係性いかんに関わらないと定義をしています。ところが、日本の刑法では、脅迫、暴力の有無を性暴力犯罪の構成要件としております。性暴力では、加害者が巧みに被害者の心をつかんで接近するグルーミングによって安心感を与え、加害行為に入ることもまれではなく、脅迫、暴力が必ずしも立証されない場合があります。  二〇一七年の刑法改正においても、当事者が十三歳以上の場合には、当事者の抵抗を抑圧する程度の暴行または脅迫を伴うことという条件、いわゆる性交同意年齢の引上げと、性暴力立証の構成要件にある脅迫、暴力の項の削除が挙げられていましたが、改正されないままに今日に至っています。  性暴力被害の背景には、家庭や学校、職場での上下関係、地域社会にある男女差別や格差等を含めた地位の優位性、関係性などが影響していると考えます。  区は、犯罪被害者への支援の一環として相談窓口を設立して一年を迎えますが、相談内容等を踏まえた今後の対応が求められています。また、この間の相談内容等が今般の国の法整備に生かされることが大切と考えます。  区は、犯罪被害者支援を通じて、性暴力被害の現状をどのように捉えてきたのでしょうか。また、今後どのように対応していくのかお聞きします。  次に、人に優しい共生社会の実現に向けて質問いたします。  誰もがありのままに暮らせる社会の実現に向けた施策展開が期待されています。区の新たな条例は、障害者差別の禁止とともに、共生社会の実現を盛り込んだ内容となっています。区は、ヤングケアラーの実態調査を開始しましたが、家族介護の実態とともに介護サービスにつながっていない原因や課題を明らかにし、就労や就学につなげるための支援の在り方を含めて対応を図っていくことが必要と考えます。  ヤングケアラーに対する新たな仕組みづくりが求められています。区の見解を伺います。  地域共生社会の実現に向けて、在宅介護を支えるサービスや施設の拡充をはじめ、現役世代の就労や就学を支える支援の仕組み、施設と介護をつなぐ支援などを構築すべきだと考えております。その際、福祉領域と他の全ての領域が相互に協力、検討し合う体制が一段と必要になっていると考えます。まちづくりセンターあんしんすこやかセンター、社会福祉協議会、児童館の四者連携が言われています。  今後、まちづくりセンター機能の強化と、各総合支所、本庁を含めた役割、機能を明確にした地域社会の形成が求められます。地域行政制度の再構築に向けた区の見解を伺います。  次に、気候危機と災害に強いまちづくりについてです。  気候危機は、決して先送りできない課題です。経済システムの見直しとともに、原発に頼らないエネルギー政策への転換、石油化学製品の利用や排出の在り方、自然災害の多発への対応が一段と求められています。  プラスチックの排出方法やリサイクル、リユースとともに、脱プラスチック、代替品への対応もありますが、CO2排出量削減に効果的な取組を展開することが必要です。廃プラ回収品目の見直しを図るなどして、区民の間にプラスチック製品の活用や廃棄の在り方を考えるきっかけを提供することが大切だと考えます。  環境審議会での議論において、より専門性、科学的知見に基づいた検討が求められています。気候危機、CO2排出量削減に向けた区民意識の向上を目指した施策が一段と求められています。区の見解を伺います。  多摩川水域では、東日本台風被害の教訓を生かした対策が求められています。多摩川の溢水を防ぐための河道掘削や本堤防工事、内水氾濫を防ぐための樋門の開閉の改修、下水道整備による雨水管、分水路の新設が進められてまいりました。また、豪雨災害等の指定避難所の変更や新設に向けた対応が求められています。  多摩川の兵庫島付近では暫定堤防から本堤防工事、そこでは自然環境との調和が求められています。区の対応を伺います。  また、多摩川流域における避難所対策では、二〇一九年の台風十九号の際に、高齢者や障害者が遠くの避難所まで移動しなければならない状況でした。今後の公園整備計画とも併せ、豪雨時等水害避難の際の避難所の新設が求められていると考えます。区の対応を伺います。  次に、誰もがスタートラインに立てる社会について質問いたします。  文部科学省は、不登校児童生徒に対する見方を転換するのでしょうか。以前、文科省の不登校児童生徒の実態調査とNHKによる不登校の要因に対する調査では、児童生徒の不登校になった理由が大きく異なっていたことが報じられていました。文科省は、不登校となる原因が児童生徒、家庭にあるが最も多いとしていましたが、NHKの調査では、先生との関係がトップであり、部活、決まりや校則、家庭は同水準だったといいます。  文科省が二〇二一年に児童生徒に調査を実施したところ、NHKの調査とほぼ同様の結果が出たといいます。一人一人の個性や特性を尊重した地域社会の確立が求められています。画一的ではない、一度つまずいてもやり直しの利く仕組みづくりが求められています。  不登校の原因を学校が抱える総合的な問題と捉え、改革の必要性が問われていないでしょうか。不登校特例校はその期待に応えることができるのでしょうか。区教委のその後の対応と見解を伺います。  今年四月には、区内小中学校で五名、都内では五十名ほどの教員不足が生じたといいます。採用試験に合格しても、民間企業や私立学校等に就職するケースや、教員となっても僅かな期間で退職するなどのケースが出ています。教員の働き方、長時間労働や過密労働が依然改善されていないのでしょうか。  三十五人学級の実現とともに、インクルーシブ教育の実現に向けた教員配置の必要性があります。教員の人事権の移譲も同時に求められ、新学期における教員不足の要因と今後の対応を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 羽田議員に、私から三点お答えをいたします。  まず、高校生年齢まで東京都が子ども医療費助成を打ち出したことをめぐる問題についてでございます。  まず、区は中学三年生まで子ども医療費の完全無償化を実施しております。本年一月、東京都は医療費助成の対象を来年度から高校生まで拡大する方針を示し、しかしながら、この三月に東京都が明らかにした制度内容、あらかじめ所得制限をかけた上で、当初、三年間だけは東京都が全額負担、三年間負担の期間後は二分の一、これも全体の二分の一ではなくて、所得制限をかけた上での二分の一、対象世帯の二分の一を東京都が持ちます、こういった内容でした。  これまで二十三区は、東京都の所得制限つきの中三までの医療費助成制度に、完全無償化になるよう上乗せして、例外なき無償化を実現してきました。東京都はこれについてしっかりと評価をし、振り返って、これに対して、これまで不要なことであるという態度を財調協議などで繰り返し表明しているんですが、この態度を反省してもらわないと、まずはいけない。そして、私は、中学三年生まで所得制限を設けていない医療費無償化を、高校生年齢に広げた際に、所得制限をかけることはあり得ないと思っております。  しかし、その事情も東京都は見据えた上で、一方的な発表ということに相なったわけで、他の区長とも相談しつつ、区長会として、まさに乳幼児から小中学生に至る子ども医療費無償化と連続線上の問題として、この費用、財源負担についての東京都と特別区との協議を最低限続けるということを条件に交渉を進めてまいりたいと思います。  二番目、例えば学校給食費の問題など普遍的な支援というようなことについてのお尋ねです。  新型コロナウイルス感染症の蔓延は、大変な混乱、そして物価高を生んでいるのは、委員御指摘のとおりであります。これまでもせたがやPayなどの実施による利用者への還元や事業者支援、さらには、就学援助制度を拡大し、一部の世帯ですが、実質的な給食費の無償化を図る、この場合は、所得要件をつけての実施ということになっておりますが、こうした対応を取ってまいりました。  この間の物価高騰による給食費の実質予算不足の状態で、献立に大きな影響が出ていることから、保護者の負担軽減の観点から、いわゆる保護者負担の値上げは行わず、その部分は区の負担とする食材費支援を今回の補正予算で提案させていただいています。また、低所得の子育て世帯に対する区独自の給付金の支給など、深刻化する区民生活へ素早く対応する補正予算の案を現在提示しているところでございます。  今後、物価高騰などの影響がさらに増大し、現役世代への影響も広がっていくことも考慮をし、家庭や事業者の負担増への対応や就労関係、また住宅確保など、区としてこれまで以上の支援の必要性、ここを財政状況などを見極めながら、例えば学校給食費の在り方についても、適切なタイミングで判断をしてまいる所存でございます。  次に、気候危機についてでございます。  現在、気候危機対策会議において、地球温暖化対策地域推進計画素案の作成に向け、各部におきまして施策の検討を指示しているところであります。まさに気候危機は生存の条件に関わる問題でありまして、通常の政策課題と同列に置くものではなく、全世代の区民参加が求められます。現在進めている気候危機に対する取組では、必ず小中学生から高校生、十代の意見表明と参加を保障していくようにと考えております。
     今般の地球温暖化に伴う気候変動の課題については、資源やエネルギー、建物、移動、交通、グリーンインフラなど幅広い分野で取り組んでいく総合的、計画的な対策を進めたいと考えております。  御指摘のプラスチックごみの資源循環など、区民生活に関わりの深い課題についての取組は、気候危機に対する区民意識を高め、行動変容につなげていくためにも大変重要だと考えております。  今後、清掃・リサイクル審議会に諮問するとともに、気候危機対策会議において、また全世代、全区民で議会の皆さんと共に議論をしてまいりたいと思います。    〔岩本副区長登壇〕 ◎岩本 副区長 私からは、二点御答弁申し上げます。  最初に、区民生活の底支えに向けて賃金の引上げに向けた支援についてでございます。  コロナ禍の需要低迷からの回復基調が見えてきた一方で、ウクライナ情勢に端を発した原材料費や食料費の高騰により、経営努力だけでは吸収し切れない負担が生じるなど、事業者の方に取りましても大変厳しい経済状況です。そのため、区では、せたがやPayによるキャンペーンと緊急融資のあっせん期間の延長を補正予算で提案するなど、積極的に事業者への支援に取り組んでいく予定です。あわせて、経済対策としては、労働者の賃金水準の引上げなど、労働環境の改善も両輪で実施していくことが必要と考えております。  区におきましても、最低賃金の事業者への周知、公契約条例による賃金の底上げをリードする仕組みの構築など、多方面から労働条件の改善を図ってまいりました。  今後も引き続き、こうした施策の実効性を担保するため、事業者、労働者双方に寄り添い、様々な支援や制度の周知、働きかけを継続するとともに、就労や労働環境でお困りの方の御相談に丁寧に対応するなど、労働環境の改善に取り組んでまいります。  次に、まちづくりセンター機能の強化と各総合支所、本庁を含めた地域社会の形成について御答弁申し上げます。  今般の地域行政制度改革では、まちづくりセンターは、区民に身近なところで多様な相談や手続に対応する窓口サービス改革を行うとともに、防災、福祉、子育てなど地区を取り巻く実態や課題を区民と共有し、協力して解決を図る総合調整機能の強化を目指しております。地域の災害対策やまちづくり機能、また保健福祉センターにおける幅広い保健福祉の支援体制や専門性を有する総合支所では、地域の社会資源や活動のネットワークも活用し、地域のマネジメントを行いながら、本庁の関係所管とも連携して、地区の支援と課題解決に取り組みます。こうした課題解決に向けた機能連携により、本庁では地域課題を実施計画や各種計画に組み入れ、予算化を図るなどの仕組みの強化につながるものと考えております。  このようなプロセスの起点であるまちづくりセンターは、今後、デジタルを活用した対話やアンケート調査から見えてくる地区課題も捉え、総合支所や本庁につなげ、地域から地区へと解決の流れをつなぐ取組を進めてまいります。  以上でございます。    〔松村副区長登壇〕 ◎松村 副区長 私からは、庁内のデジタル化に向けての構想、そしてデジタルデモクラシーをどう前進させるかについてお答えいたします。  私は、前職で十五年間業務改革や働き方改革に取り組んでまいりました。その経験を踏まえますと、DXを進めるためには、デジタル化に加え、メンバー一人一人の主体性、主体的な判断、そして自由な議論が安心してできる場づくりというのが欠かせません。デジタルデモクラシーについても同様であると考えております。  参加と協働のRe・Designの取組としまして、兵庫県加古川市で導入している市民参加型合意形成プラットフォーム、Decidimなど先進事例を研究していくほか、年齢層を問わず身近なツールであるLINEによるアンケートの導入など、新たな区民参加の拡充に取り組んでまいります。  また、職員が企画相談業務に注力できるように、業務負担を減らせる体制と、それから職場環境を築くことは急務であると考えております。全ての区民にとって快適なサービスをデザインしていくとともに、事務効率化を図り、職員も含めた世田谷区に関わる全ての人の幸せを高められるように取り組んでまいります。  以上でございます。    〔渡部教育長登壇〕 ◎渡部 教育長 不登校特例校の役割について御答弁申し上げます。  全ての子どもたちがその個性に応じて自分らしく学び、それぞれが思い描く未来を実現するためには、議員お話しのとおり、その個性に応じ、たとえつまずいたとしてもまたやり直す、子ども自身が新しい学び方を選択できることが重要です。  令和四年四月に時間や教育の内容を柔軟にした教育課程を編成し、不登校特例校分教室を開校しました。登下校をはじめとする時間に余裕を持たせ、一人一人の生徒の実態に応じ、探究や体験、表現を中心とした新しい学び方であるキャリアデザインを教育課程に入れるなど、従来型の学校とは違う新しい学校としてスタートを切り、今後は新しい学び方のモデルにもなり得るものと考えています。  不登校特例校での様々な取組について効果検証を行うとともに、これまで学校で学びにくかった子どもたちが学びやすい環境についても、生徒や保護者、教員の意見を十分に反映させ、どの子どもにとっても学びやすい環境の在り方を積み重ね、その成果を全校に発信する予定です。何度でもやり直しが利く、自分の方法で学びを追求できる学校に全ての学校がなるように全力を挙げて支援してまいります。  以上でございます。 ◎松村 技監 私からは、多摩川の堤防整備における自然環境との調和についてお答えをいたします。  令和元年東日本台風に伴う甚大な水災害を受けて、現在、国や流域の関係自治体が連携して様々な取組を進めています。お話しの堤防整備につきましては、二子玉川地区水辺地域づくりワーキングを平成三十年三月より九回開催し、地域の皆様の御意見を伺いながら検討を進めてまいりました。  近年、まちづくりにおいても、平常時は楽しく利用でき、非常時にも役立つフェーズフリーという考え方が浸透しており、今回の検討に当たりましても、治水対策としての区民の安全安心を第一にしつつ、河川敷地の利活用や自然環境への配慮も基本理念とし、豊富な緑が残るエリアもあることから、動植物への影響を最小限とする配慮がなされております。  堤防の完成によりまして、治水性の向上とともに、鎌田方面から二子玉川公園まで緑のネットワークがつながり、区民の日常の散策や憩いの場となるウオーカブルな環境が整い、二子玉川地域の一層の魅力向上に資するものと考えており、区としましては、令和六年の完成に向けまして、引き続き国と連携協力をしてまいります。  以上です。 ◎後藤 経済産業部長 旧池尻中跡地活用をスピード感を持って臨むべきとの御質問について御答弁をいたします。  新型コロナの影響、デジタル化やSDGsなど、社会経済環境及び直近の世界情勢等に起因する経済情勢の変化など、区内産業を取り巻く状況は大変厳しいものと認識してございます。旧池尻中学校跡地を活用した新たな施設では、区内事業者への支援に加え、新しい価値を創出し得る事業者や人材を育成、確保し、区内産業のイノベーションを創出、加速するような起業を支援することで、区内産業に活力を与える拠点となることを目指しています。  本年五月末をもちまして、世田谷ものづくり学校は終了しましたが、区内産業を取り巻く状況や施設の有効活用、治安や安全性の観点からも速やかに必要な工事を行い、開設に向けた準備を進めていく必要があると考えています。具体的には、七月以降に運営事業者の公募を開始し、並行して耐震補強工事等を実施した上で、今年度内に運営事業者を決定し、令和五年度中の施設開設を目指してまいります。  以上でございます。 ◎向山 世田谷保健所長 新型コロナ感染症の対応につきましては、三年目に入りました。オミクロン株への置換やワクチン接種の進展により、現在、感染はゆっくりとではありますが、減少する傾向にあり、医療現場の状況も落ち着いてきております。落ち着いた状況だからこそ、新たな変異株の出現や急激な感染拡大に備え、事前に体制を整えていくことが重要であり、防疫対応の基本であると考えております。  全庁からの応援や保健師参集に加え、酸素療養ステーションや社会的検査の期間延長など、保健所体制や検査体制のさらなる強化として、本定例会においても補正予算を提案させていただいたところです。今後も的確なコロナ対応の継続はもとより、新興・再興感染症に対応していくための情報収集、啓発、関係機関との適切な連携による防疫対応に注力してまいります。  次に、新型コロナウイルス感染症の後遺症についてですが、区は、国や他自治体に先駆けて、これまで二回にわたるアンケートを実施してまいりました。二回目のアンケート結果では、自由意見として、労働問題などに関する意見を多くいただいたため、医療相談に加えて、労働相談や生活に関する相談窓口等の連携による相談体制を拡充しました。また、この四月には、区長が東京都副知事と意見交換を行い、社会的側面での支援やオミクロン株の後遺症に関する調査実施について要望してまいりました。  後遺症に関しては、メディアで取り上げられる機会も増えてきており、社会的な注目度も増す中、他自治体でも相談窓口の設置が広がり始め、国は医療機関向けのガイドラインを策定しております。改めて後遺症というものをより多くの方々に知っていただき、後遺症に対して適切に対処できるよう、今後、東京都と連携した後遺症の実態把握と有効な支援の在り方を検討していくとともに、区としても、相談窓口の周知をはじめ、後遺症に関する支援や啓発の充実に努めてまいります。  私からは以上です。 ◎片桐 生活文化政策部長 私からは、性暴力被害の現状と対応についてお答えいたします。  昨年六月に開設した犯罪被害者等相談窓口への相談は、今年の五月までの一年間で三十七件あり、そのうち性犯罪に関する相談は六件でございました。その中には、刑法改正に向けた議論にあるような地位の優位性、関係性を利用したもの、また、成長過程にある若年者に対するものなど、深刻な性犯罪被害の相談もあり、警察署などへ同行したり、性暴力救援センター・東京と連携し対応したケースもございました。  また、性的な被害を受け、相談窓口に電話をしてみたが、結局は話すことができなかったという事例もあり、ある日突然、性犯罪に巻き込まれた恐怖、悲しみ、不安などの感情により精神的に不安定な状況に置かれてしまうことを区への相談を通じて実感しているところです。  区としまして、今後、相談事例をホームページに掲載するなど、相談窓口で何ができるかを分かりやすく伝えて、相談しやすい工夫を図るなど、相談員のスキル向上に努めてまいります。  以上です。 ◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、人に優しい共生社会の実現に向けて、ヤングケアラーに対する新たな仕組みづくりについてお答えいたします。  ヤングケアラーの子どもは、本来大人が行うと想定されている家事や家族の世話を日常的に行うことで、学業や就職、友人関係などへの影響が出ることがございます。区は、これまで子ども家庭支援センターの職員やスクールカウンセラーなどを対象とした個別の講座や青少年地区委員会・補導連絡会合同研修会にて、ヤングケアラーをテーマとして取り上げてきたほか、区内福祉サービス事業所の職員向けの研修において、この問題を広く周知し、啓発を行ってきました。  五月より、区立小学校四年生から中学校三年生まで、そして区内の在住の高校生世代を対象に、ヤングケアラー実態調査を実施しており、夏頃には結果を取りまとめる予定です。今後は、実態調査の結果を踏まえ、教育委員会や高齢福祉部、障害福祉部などの関係部署で横断的に構成するヤングケアラー支援連絡会や勉強会の場で、ヤングケアラーの早期発見から個別の事情を踏まえた子どもを取り巻く様々な場面での支援につながる仕組みづくりの検討を進めてまいります。  以上でございます。 ◎大塚 危機管理部長 私からは、公園整備と併せた水害時避難所の新設について御答弁申し上げます。  多摩川の溢水などにより浸水のおそれがある流域の地区、例えば野毛・玉堤地区におきましては、水害時の避難所に避難するとした場合、最も近い場所でも、国分寺崖線を上がり、環状八号線を渡った玉川小学校、尾山台小学校などに避難することとなります。  現在、この地域では、近くに位置する玉川野毛町公園におきまして、安全安心の公園づくりを基本方針の一つに据え、公園の拡張事業を進めているところでございます。この拡張事業の中では、公園活動の拠点となる施設を災害時の活動も想定した防災機能を有する施設とすることを計画しており、区といたしましては、施設の防災機能を十分発揮できるよう整備を進めるとともに、地域の実情を踏まえた風水害時の運用につきましても、総合支所などと連携しながら検討を重ねてまいります。  以上です。 ◎粟井 教育政策部長 私からは、学校におきます教員不足の原因と、今後の対応についてお答え申し上げます。  小学校におきましては、令和七年度に全学年において三十五人学級が実現することにより、個に応じた指導の充実や教員の負担軽減にも資するものと期待しております。  今後、インクルーシブ教育の実現など、きめ細やかな指導の充実を一層図っていくためには、教員配置の拡充が不可欠であると考えておりますが、今年度当初には、東京都全体で必要な教員を配置できない状況が生じ、区内の学校においても、算数少人数指導の教員や家庭科などの専科教員を担任に配置換えするなどの措置を行っている状況がございます。  教員不足の原因につきましては、今後、任命権者であります都教育委員会による検証、対応が行われるものと考えておりますが、区教育委員会といたしましては、学校での働き方改革を促進し、教員が子どもと触れ合う時間を確保できるような、魅力ある職場となるよう支援をしてまいります。あわせて、都教育委員会に対し速やかな教員配置の実施や、教員配置の拡充についても、国や都へ要望してまいります。  以上でございます。 ◆四十三番(羽田圭二 議員) 二点ほど質問いたしますが、その前に、区長から答弁がありました学校給食費の完全無償化に向けた対応については、少し前向きな答弁だったんではないかと受け止めております。したがいまして、この完全無償化に向けた議論は、この議会でも度々他会派からも意見が上げられてきているかと思います。一定の時期を見て、ぜひ実現をしていただきたいことを重ねて要望いたします。  その上で、コロナ後遺症の関係についてはお話がありました。以前の議会でも我が会派から、ワクチン接種後の副反応、この問題についても様々な対応が求められているということを述べてまいりました。この点について、ぜひ把握、あるいは調査等を含めて、今後の区の対応を伺っておきます。  それからもう一つは、DXの推進なんですが、一定職員の働き方等についても配慮をしていくという考え方が副区長から述べられました。今後、デジタル人材の確保と育成、同時に仕事上の権限、これをどこまで与えていくのか、そして同時に、そのことと併せて処遇改善の問題、この必要性もあると考えております。この点についてのお考えがあれば伺っておきます。 ◎池田 総務部長 私からは、DXに関する職員の処遇等について御答弁いたします。  DXは、区民サービスや区民と区との関わり方などに大きな変化をもたらすとともに、職員の働き方も大きく変わる契機となると考えております。DXの推進に合わせまして、職員が働く環境の改善につながりますよう、勤務条件など整備に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◎向山 世田谷保健所長 私からは、お尋ねのワクチン接種後の副反応についてのお答えを申し上げます。  まずは、ワクチン接種後、副反応が生じた場合は、医療機関やかかりつけ等の医療機関のほうで受診をしていただくということを基本としてございますが、副反応の症状が御指摘のように、遷延するケースが確認されていることを踏まえ、国はこの四月に都道府県に対しまして、副反応の症状に対しての専門的医療機関の名称等の公表に向けて調整を行うよう通知をしているところでございます。  今後、区も東京都にこの調整状況等を確認するとともに、長引く副反応の症状に悩んでいる区民の方の相談にも丁寧に対応し、適切な診断や治療が受けられるよう取り組んでまいります。  私からは以上です。 ◆四十三番(羽田圭二 議員) 以上で質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上で羽田圭二議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、無所属・世田谷行革一一〇番・維新を代表して、四十六番桃野芳文議員。    〔四十六番桃野芳文議員登壇〕(拍手) ◆四十六番(桃野芳文 議員) 無所属・世田谷行革一一〇番・維新を代表して質問します。  初めに、保坂区政の三期目も終わろうとしている。そろそろ大業をなすべきではないかとの趣旨で、学校給食無償化について聞きます。  六月七日の参議院内閣委員会にて、こども家庭庁設置法案などを審査するに当たり、明石市の泉房穂市長が参考人招致されました。泉市長の話は、おおむね以下の内容です。  長らく日本は少子化の加速や経済の停滞と言われているが、原因の一つが、我々の社会が子どもに冷た過ぎることだと思えてならない。子どもを本気で応援すれば人口減少の問題に歯止めがかけられる。経済もよくなっていく。実際に明石市では決断し、実行してきたので、よくなってきた。明石市では、子ども施策を展開し、人口が増え、地域経済が活性化している。明石市の施策は、経済的な負担軽減のための無料化と、寄り添う施策が特徴、無料化は、十八歳までの子ども医療費や中学生までの給食費の無償化など五つの無料化を行っている。全て所得制限なし、子どもにひとしく対応している。しかし、これは自慢できることではない。世界では当たり前のことが日本ではなされていない。日本政府がやらないから、やむなく明石市がやっている。子どもたちには申し訳ない気持ち、遅まきながらやっているという気持ちだ。以上、要約です。  泉市長がこどもを核としたまちづくりを掲げ、財源を手当てし、次々と子育てに関する無料化を実現してきたその実行力は賞賛に値します。一方で、保坂区長が自ら唱える子ども・子育て応援都市宣言のほうはどうでしょう。コロナの世界的流行、ロシアによるウクライナ侵攻、世界的な食料高騰、このような時代だからこそ本気で子ども・子育て応援都市宣言に値する施策を決断、実行すべきではないでしょうか。  区長はツイッターで、政府の子ども関連の施策を繰り返し批判しています。例えば六月四日午前八時二十九分のツイートを引用します。「安倍元首相は少子化の進行を『国難』と叫んで、幼児教育・保育の無償化に踏み切ったが、なぜか三歳以上の限定実施。ゼロ歳から二歳までは保護者負担は変わらない。急いで完全無償化をめざすべきだ。子ども家庭庁が設立されるが、『家庭』を包括する『子育ての社会化』を社会が支える政策転換が必要だ」、引用は以上です。正直何を言っているのか分からない部分もありますが、社会全体で子育てをするという考えには我が会派も大賛成です。  政府の施策に足らざるところがあるのは事実でしょう。しかし、保坂区長、あなたは区長なのですよ。かつての社民党国会議員時代とは違い、行政組織のトップ、実行できる立場なのです。ツイッターで政府を批判し、留飲を下げていてはいけません。  実際に恒久的な施策として給食費を無償化している明石市のほかにも、食料品価格の高騰に対する緊急措置としてではありますが、給食費無償化を大阪市は既に実施済み、堺市が二学期から実施予定です。  かつて熊本前区政は大きな仕事をしました。子ども医療費無償化です。先輩議員に聞くところでは、当時、役所内は、財源の問題から実現は困難と反対一色、助役、今の副区長以下区職員、特に財政課を中心とした職員らが熊本区長に激しく抵抗していたそうです。ところが、これは平成十八年九月二十六日の福祉保健委員会の会議録にありますが、熊本区長は、財源を行政改革によって生み出し、これを実現します。今や中学生まで全ての子ども医療費無償化は二十三区共通の施策になり、全国へと広がっています。  さて、話は戻り、給食費無償化ですが、いまだ二十三区でこれを実行した区はありません。区長が実行すれば、まさに時代のリーダーです。やがてそれをきっかけに、所得制限のない給食費無償化が全国に広がり、保坂区長の名が未来永劫輝き続ける可能性もあります。  区長、今こそ決断、実行です。給食費無償化は、これまで他会派からも、我が会派からも繰り返し提言されている施策です。区長が決断しても、議会から強い反対が起こることはないでしょう。所得制限なしの学校給食費無償化を実現するためには、新たにいかほどの予算が必要か、そしてその予算を行政改革で生み出し、学校給食費無償化を実現すべきと考えますが、区長の見解を伺います。  次に、区長は本気で区民を守る気があるのか聞きます。  ロシアがウクライナ侵攻を開始した二月二十四日から今日で百十日となりました。戦争の犠牲になられた方々へ、衷心より哀悼の意を表します。また、一刻も早い停戦を願ってやみません。ミサイル攻撃によって廃墟となった町の様子が報道されるたびに心が痛みます。  我が国を取り巻く安全保障環境はいかなるものでしょうか。今月五日、北朝鮮が八発の短距離弾道ミサイルを日本海に発射、一日の発射回数では、二〇〇六年、二〇〇九年の七発を超えて最多と報じられました。岸防衛大臣は、一斉発射で迎撃を難しくする飽和攻撃などに必要な連続発射能力の向上といった狙いがあると述べています。  我が国へのミサイル攻撃などあってはなりませんが、備えは必要です。国民保護法では、武力攻撃事態等において、住民の避難及び避難住民等の救援を的確かつ迅速に実施するために、都道府県知事が国民保護施行令で定める基準を満たす施設を避難施設として、あらかじめ指定しなければならないと規定しており、都知事は、市区町村と連携し、避難施設の指定を行っています。  さて、武力攻撃事態等における世田谷区内の避難施設はどこでしょう。区民の皆様御存じでしょうか。ミサイルが飛んでくるぞとなった際の避難場所は、主に区立小中学校です。区は安易に学校を避難場所にしておけばよいと考えてはいないでしょうか。地下施設であれば、学校よりも避難場所として有効だと思いますが、地下に駅がある田園都市線などを持つ東急電鉄に協力を求めることはしないのでしょうか。大深度地下にある外環道はどうでしょう。区民が避難できるスペースがないか検討したり、スペースをつくろうとしたりはしないのでしょうか。その他、学校程度の、またそれ以上の堅牢な施設は区内にまだまだあるはずです。区はもっと真剣に安全な避難場所について検討し、区民への周知も進めるべきです。見解を伺います。  DX担当副区長を迎えてなすべきことについて聞きます。  松村克彦DX、デジタルトランスフォーメーション担当副区長が就任されました。二十三区で初のIT企業出身の副区長と新聞等で報じられ、世間の注目度は高いと感じます。注目度は勢いにつながります。ぜひDX副区長としてロケットスタートを決めてください。そして、今後も区のDXの顔として、どんどん表に出て、情報発信をしていただきたい。区長には、ぜひ副区長が目立つことを妬まないよう努めていただきたいと思います。  そこでまず、DX副区長の情報発信についてです。  現在、副区長が個人アカウントですと断りを入れたツイッターアカウントなどから情報発信されていることは承知しています。これらを副区長としての区のお墨つきアカウントにし、区のDXの現状、課題、進捗や成果などを分かりやすく発信してほしいのです。DXでこれから区民の生活が、そして区職員の働き方がどう変わっていくのか、これらを副区長が自ら発信することに大きな意義があると考えます。見解を伺います。  次に、具体的な取組についてです。  前述のツイッターを見ると、副区長は就任早々庁内を回り、「ザツダン」、これはサイボウズ社で実践されていたもので、「ザツダン」と表記するそうですが、この「ザツダン」の中から様々な情報を得られているようです。古巣のサイボウズ社と比べ、役所が遅れているのはどのようなところでしょうか。庁内の固定電話を廃止してモバイル型に、ビデオ会議の推進、納税、役所窓口、公共施設でのキャッシュレス化の推進、住民票写しや各種証明書をデジタルツールで申請可能にするなど、やるべきことはたくさんあると思います。  区の未来つながるプランでは、二年間の計画でDXの推進が示されていますが、民間企業と同様のスピード感で実現する施策についてもお示しください。まず何にいつまでに取り組むのか伺います。  次に、人材確保についてです。  未来つながるプランには、外部人材等の活用もうたわれています。サイボウズ社では副業も認められているとのことですが、サイボウズ社に限らず、副区長の知る優秀な人材を区にスカウトしていただきたいと思います。見解を伺います。  次に、保坂区政で頻発する事務ミスについてです。  昨今、信じられないと感じる区の事務ミスが相次いでいます。令和三、四年度を振り返ると、以下のものがあります。新型コロナウイルスに罹患した方の三十八人分もの情報を全く違う宛先にファクス送信、新型コロナウイルス感染症後遺症アンケート調査の実施に当たり、陽性者ではない区民二百四十六名に調査票を誤送付、期日前投票所での投票箱の置き間違いで六票の投票が無効に、特別区民税・都民税減免申請において、還付手続を怠り、還付加算金が発生、新型コロナワクチンの管理ミスで三千六百回分以上を廃棄、料金後納郵便料の支払いを忘れて遅延損害金が発生、今月は歯科検診の受診勧奨の資料が誤っており、約五万件の資料再作成、再発送が必要になりました。時間の都合で例示はこれぐらいにしておきます。  まず、これらのミスの中には委員会報告されていないものもありますので、事実確認をお願いします。
     今年の四月、他自治体で役所が四千六百三十万円を誤って振り込み、振込先の男性が返還を拒否し、大きなニュースになりました。区でも令和二年、給付金を誤って二十四人に二重支給するミスがありましたが、これらは全て返還されたのでしょうか。誤支給から二年以上たちます。返還されていないお金があるなら、今後どのように対応するのかお答えください。  令和元年度十二月十七日の企画総務委員会での報告、「区におけるコンプライアンス推進の取組みについて」の中には、区民の信頼を損ねる事務執行上の誤りも発生している。一度損ねた信頼を回復するためには多大な労力を要するとともに、効率的な区政運営に影響を生じかねない。個々の職員がコンプライアンスを意識して質の高い業務を効率的に行うための組織的支援体制の整備に取り組むとあります。その後どのような策を講じ、どのような成果があったのかお答えください。  区長に聞きます。組織トップに、正確な言葉、正確な文書、そして規律へのこだわりが薄いからこそ、それが組織全体に広がるのではないですか。事務ミスをなくすため、まずは区長がそこにこだわるべきだと考えます。見解を伺います。  学校の災害対策について聞きます。  東日本大震災から十一年がたちます。これからもあの震災の教訓を胸に刻み、災害対策に取り組まなければなりません。その一つが、石巻市立大川小学校で起きた悲劇です。発災時に学校にいた児童七十八名のうち七十四名、教職員十一名のうち十名が命を落とすという学校管理下の事件事故としては未曽有の被害を生んでしまいました。  児童らは地震発生から五十分間、大津波警報から四十一分間もの間、校庭に待機をさせられ、その後、津波にのまれてしまいました。実は大川小のすぐそばには、低学年の児童でも容易に駆け上がることができる裏山があり、津波到達地点よりも高い場所に待機可能なスペースもあります。地震発生後、教員の指示で校庭に整列、待機していた児童からは裏山に逃げようとの声も上がったと言いますが、避難行動にはつながらず、結果、多くの命が失われてしまいました。  大川小の児童二十三人の遺族が市と県を相手に損害賠償を求めた裁判で、仙台高裁は、校長らには、児童の安全確保のため、地域住民よりもはるかに高いレベルの防災知識や経験が求められる。校長らは学校の実情に沿って危機管理マニュアルを改訂する義務があったのに怠った。市教委もマニュアルの不備を是正するなどの指導を怠ったなど指摘をし、市と県の組織的過失を認め、約十四億三千六百万円の支払いを命じました。この判決は最高裁で確定しています。  判決は、学校側に強く、子どもたちに対する安全確保義務を課しています。犠牲になった子どもたちの命を無駄にしないためにも、全国の自治体がこの判決を重く受け止めなければなりません。世田谷区立小中学校の校長らは、この判決が示すように、地域住民よりも高いレベルの防災知識を持ち、学校の実情に沿った対策を講じているでしょうか。  都が公表している地域危険度調査を見ると、総合危険度を五段階で示した中で、上から二番目に危険なランク四の地域に立地する区立小中学校が八校あります。少なくとも、この八校の校長は、発災時、学校周辺でどのようなことが起こる可能性があるのか、地域住民以上に理解し、備える必要があると考えます。もちろん、危険度のランクを問わず、それぞれの学校の実情に沿った危機管理マニュアルも必要です。大川小裁判における司法からの指摘を鑑み、学校の防災対策を一段高いレベルに引き上げる必要があると考えます。前述の学校ごとの取組の必要性について見解を伺います。  子どもを守り、育むという視点で続けて伺います。  世田谷区立の学校で、子どもへの対応を警察官に委ねるという事案があるようです。パトカーが学校にやってくる事例が昨年度だけでも複数回あったようですが、まず事実確認をします。私が知る限り、これらの事案は、かつての人気ドラマ「3年B組金八先生」の腐ったミカンのような、いわゆる校内暴力ではありません。もっともドラマの中では、学校に警察を呼ぶのは教育の放棄だという意味のせりふがあったと記憶していますが。  ともあれ、私が憂慮するのは、発達障害のある子どもたちへの学校の対応です。学校において、発達障害についての基礎的な理解は十分でしょうか。個々の児童生徒に対する接し方や指導方法は適切でしょうか。ADHD、注意欠如・多動症の子どもは相対的に我慢が利かないことがあるし、ASD、自閉スペクトラム症の子どもは、不測の事態に直面したり、不快な記憶がフラッシュバックしたりした際に、パニックを起こし、暴れ出すことがあります。しかし、これを止めようと教員が力で押さえ込もうとするなど、誤った対応をすれば、かえって騒ぎは大きくなってしまうことも多いでしょう。子どもの特性を理解し、適切に対応する必要があります。  学校は現状、そうした子どもへの対応を警察に任す以外はないとするなら、新たな取組が必要ではないでしょうか。教育長が信条とする誰一人置き去りにしない教育の視点からも、子どもの心や発達について詳しい外部の専門家との連携、教職員が、そうした専門家と頻繁に相談できる仕組みの整備など、対応力の強化に取り組むべきだと考えます。見解を伺います。  以上、壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 桃野議員にお答えをいたします。  給食費無償化をめぐる御質問についてでございます。  まず、私は平成二十七年、三月の子ども・子育て応援都市宣言以降、おでかけひろばの拡充、世田谷版ネウボラの開始、保育待機児の解消、また二十三区初の児童相談所、一時保護所の開設、教育総合センターの開設など、子育て支援や乳幼児を含めた子どもたちの教育環境の充実を図り、保護者が子どもたちを安心して育てることができるまちづくりに向けて取り組んでまいりました。  一方、国が先日発表した人口動態推計によりますと、昨年生まれた子どもの数は八十一万千六百四人と六年連続で過去最少が更新されたことからも、子育て支援や教育の充実は大変喫緊の課題であると認識しております。  残念ながらこの十年間の全般で増え続けていた世田谷区の子ども出生数も、近年は、とりあえずこの二年間、コロナ禍の影響もありましたが、減少しているのが現状です。子どもに関わる施策は、妊娠期から出産、育児支援、保育の充実、乳幼児教育や学校教育の充実、医療的ケア児や要配慮児童に対するインクルーシブ教育の実現など、大変幅広い取組を必要としています。  現在、子ども・子育て支援事業計画の中間年の見直し検討を行っており、この中で、今後十年間、子ども・子育て政策のグランドビジョン、方向性を示すよう事務方に指示しているところであります。  御指摘の給食費の完全無償化についても、その方向性を踏まえつつ、追加で約二十億円の予算が必要となる財政負担も考慮し、議員おっしゃる提案内容も判断してまいりたいというふうに考えております。  次に、頻発する事務ミスについての姿勢というようなお尋ねがございました。  区における事務執行上の誤りは、区民の信頼を損ねるものであり、あってはならないものだと考えております。一連の事務ミスに係る監督責任についての御批判は率直に受け止めさせていただきます。また、区民の皆さんにも、改めておわびをしたいと思います。  全庁に対して緊張感を持って職務に当たるよう周知するとともに、このミスの生じる内容を吟味、検討し、発送文書の誤りや分かりにくい文書などは、まずは、多くの区民に多大な時間をその分かりにくい文書で奪ってしまうという結果になることから、発送直前に、今後、文書内容の多面的な確認を徹底すること、そしてこの文書を、いわゆる印刷物の内容を手にして読む区民にとって分かりやすい内容物となるように、担当職員以外の職員の確認も制度化するなど、改善を指示してまいります。    〔中村副区長登壇〕 ◎中村 副区長 私からは、避難施設について御答弁いたします。  本年五月、東京都は国民保護法に基づき、ミサイル攻撃等を受けた際に、爆風などから直接の被害を軽減するための緊急一時避難施設として、都内の地下駅舎百五施設、地下道四施設を指定いたしました。区内では、既に区立小中学校など堅牢なコンクリート造りの九十二施設が緊急一時避難施設として指定されておりますが、今回これに加えての新たな指定はございませんでした。  昨今の世界情勢の急激な変化を踏まえますと、これまで十分とされてきた水準での対策にとどまることなく、区民の安全安心を守る立場から危機感を持ち、率先して緊急一時避難施設の指定拡大の取組を推し進めていかなければならないと考えております。  今後、都は堅牢な建築物や地下施設等の管理者と協議の上、さらに、避難施設の指定を進めていくこととしております。  区といたしましては、区内施設の指定拡大に向けて、どのように都と連携し、また、どのように区内施設に働きかけていくかなど、都と協議の上、具体的な取組を加速させるとともに、より区民に分かりやすく避難施設を周知してまいります。  以上です。    〔松村副区長登壇〕 ◎松村 副区長 私からは、二点お答えしたいと思います。  御質問の順番とちょっと逆になってしまうんですが、民間企業と同様のスピード感で取り組む施策につきまして、まずお答えいたします。  私は、副区長として着任後、各職場の状況確認から始めておりますが、先進的な企業と比較してまだまだICT環境の整備や活用が十分でなく、早急にキャッチアップしなければならないと感じております。  また、現在、庁内の業務改善や区民サービス向上の基盤となる区の情報システム基盤の見直しに着手しておりまして、まずは今年度より順次、モバイル端末やコミュニケーションツールの導入などを進めて、業務の効率化を図り、各職場で業務改革にチャレンジできる体制を早急に整えてまいりたいと思っております。また、気軽に区民参加を促すことができるツールとしまして、LINE活用やオンライン手続の拡充等にも併せて取り組んでまいります。  前職において、十年以上かけて働き方や業務改善に取り組みましたが、技術的には可能であっても、法律や条例などの制度と整合性を保ちつつ、また情報を見える化し、共有する風土づくりも必要になってまいります。当然、あわせて、個人情報などを含め、情報セキュリティー対策にも万全を期す必要があると考えております。  前職での経験を生かしてできることから着実に進め、区に関わる全ての人の幸せを高められるようなDXに力を尽くしてまいりたいと思っております。  二点目です。先ほどの区公式アカウント、SNSのアカウントとして、DXの現状課題、成果等を発信すべきという御質問に対してでございます。  これまで私は、世田谷区政に関する情報発信を受ける側としまして、外から区政を見てまいりましたが、区政の活動を情報発信していくことは、区民の参加と協働、それから情報公開を進める面でも不可欠なものと考えております。特にSNSによる情報発信は、その点、広範囲かつ迅速な情報発信に大いに役立つものであると考えています。  議員お話しいただきましたツイッターでの私のアカウントを副区長としての区公式アカウントの作成ということにつきましては、現在予定しておりませんが、区として、DX推進の現状課題、成果等を発信する必要性は十分に感じておりますので、今後、私がいなくなった後も、継続性もありますので、区の公式SNSアカウントの活用など、区民への積極的なPRに取り組んでまいりたいと思っております。  以上でございます。    〔渡部教育長登壇〕 ◎渡部 教育長 学校と専門家との連携について御答弁申し上げます。  議員御指摘のとおり、一人一人の児童生徒の互いの特性の理解が進まなかったり、人間関係の調整がうまく取れなかったりしてトラブルが発生し、学校内だけの解決が難しく、警察と連携して対応した事例がございました。学校では、教職員が個々の特性に応じてきめ細やかな支援が必要なことから、スクールカウンセラーやスクールワーカー等の専門職や福祉等の様々な機関との連携を図っているところですが、今振り返れば、本件は十分でなかったと考えています。  世田谷区で推進しているキャリア・未来デザイン教育においては、多様な個性を認め合い、共に学ぶことを通して、尊重し合い、高め合うことを目標としています。今後は、一人一人の子どもの成長を支える教員の専門的知見を向上させるために、発達や心理、医療、法律等の様々な専門家と連携して、子どもの特性や心のありよう等を分析するなど、研究研修体制を充実させることが必要になります。  私は、教育長として、教員が安心して子どもに関わることができるよう、今申し上げたサポート機能を充実させ、さらなる学校の対応力の強化に努めてまいります。  以上でございます。 ◎菅井 DX推進担当部長 私からは、外部人材の活用について御答弁申し上げます。  近年、国がデジタル庁を設置するなど、官民を問わずデジタルによって組織や業務、サービスの改革を進めていこうとする、いわゆるDXに対する機運が高まっております。それに伴いまして、デジタル人材の不足が指摘されており、自治体においても例外ではございません。  区では、デジタル人材の活用といたしまして、御案内のとおり、二年前にICT推進課長を民間企業から採用し、また、今年度からはDX推進担当部に副参事一名、係長級職員二名の民間人材の配置を行っております。  デジタル人材不足により、人材の取り合いとも言える状況もあると伺っております。今後も、お話にありました松村副区長をはじめ、総務部など関係所管と連携を図りながら、DX推進に必要な人材確保を着実に進めてまいります。  以上です。 ◎池田 総務部長 私から、事務ミスについて御答弁いたします。  まず、御質問の中でお示しいただいた事務ミスが実際にあったのかとの御質問ですが、いずれも実際に発生していることを確認しております。  次に、令和二年度に発生いたしました特別定額給付金の重複支給のその後の対応でございますが、いまだ一件、十万円について返還いただけておらず、今後も引き続き返還に向けて働きかけをさせていただくこととしております。  事務ミスに対する組織的な対応でございますが、事務ミスが発生した際は、所管部署が発生原因の分析と再発防止策の構築を行うとともに、その内容を総務部に報告し、報告された情報は、部課長はもとより、全庁職員に対して広く周知することで注意喚起を促しているところでございます。また、定期的に各所属の持つリスクを確認し、対応を点検させることを通じて、時間の経過により対応が劣化することを防いでおります。  事務ミス防止に取り組む総務部といたしまして、改めて正確かつ確実な事務執行について全庁に周知をするとともに、各所属で再発防止策を講じているにもかかわらず、類似の事務ミスが発生している事案などを検証いたしまして、再発防止策の見直しを助言することなどにも取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◎知久 教育総務部長 私からは、学校の災害対策についてお答えいたします。  東京都がおおむね五年ごとに調査を行い、公表している地域危険度調査は、地震による危険性を建物倒壊危険度、火災危険度、さらに災害時活動困難度を加味して統合化し、総合危険度として、区部及び多摩地域の市街化区域を対象に、町丁目を単位として測定したものです。  総合危険度は、相対評価により五段階にランク分けされており、世田谷区内には最も危険度が高いランク五の地域はございませんが、上から二番目に高い総合危険度ランク四の地域には区立小中学校八校が立地しております。この八校に限らず、各学校では、教育委員会が策定した学校安全対策マニュアルを踏まえ、地震、風水害、火災発生時などに備えた学校防災計画を策定するとともに、保護者による引取り訓練や避難訓練などを定期的に実施しておりますが、学校長をはじめ、教職員が地域の状況をしっかりと把握した上で、登下校時の児童生徒の安全確保など、日頃からの備えも大切であると認識しております。  八校が立地する総合危険度の高い地域では、区としても、災害に強いまちづくりを進めてきておりますが、東日本大震災から得た教訓を決して忘れることなく、災害から児童生徒を守るため、震災時における危険度の特性などを学校防災計画に反映していくことは大変重要であり、校長会などを通じて、地域課題を踏まえた避難訓練や学校防災計画づくりが浸透するよう、地域の方々の御協力もいただきながら、庁内関係部署とも連携し、取り組んでまいります。  以上でございます。 ◆四十六番(桃野芳文 議員) まず、武力攻撃事態等における緊急一時避難施設について聞きます。  これはどこに区民が避難したらいいかというのが、ほとんど区民の皆さんに全く伝わらない状態なんだと思うんです。内閣のサイトには出ていますけれども、そんなものを見に行く区民ていないわけで、なおかつ、それに出ているところは全てじゃなくて、まだ、指定されているんだけれども、掲載されていないところもある。こういう不十分な状態なので、区は早急に、まず区民に分かりやすく周知するというのはもうすぐにやってもらいたいと思います。見解を伺います。  あと給付金なんですけれども、引き続き返還に向けて働きかけるというふうな答弁でしたけれども、これも令和二年のことですから、これは督促状を送り続けているということでは、もうらちが明かないと思うんですよ。実際に担当した所管というのはもうなくなってしまっていますから、新しくこの仕事を引き継いだところにどれだけの熱意があるのかちょっと私は分かりませんけれども、これは大事なお金ですから、督促状を送り続けるということ以上に、具体的に何をやって、これを返還してもらうための具体的などういう行動を取るのかというのを答えてください。  あと副区長のツイッターの件ですけれども、副区長としてのアカウント作成は予定していないと、区の公式SNSアカウントの活用は考えていくということでした。これは松村副区長はよく御存じだと思いますけれども、役所が型どおりに発信するツイートなんて誰も見ないんですよ。いわゆる最近、中の人という言葉がありますけれども、このツイッターの中の人の体温とか手触りとか、そういうものが分かるものじゃないと区民は見ないし、こっちから情報を届けたいといっても届かないですよ。だからこそ、これは、副区長が人間味を感じさせるような形で、今の課題とか、進捗状況をツイートしてもらうためのアカウントをつくるべきだという提案なので、その辺も踏まえてお答えください。  あと給食費無償化ですけれども、子ども医療費の無償化が幾らぐらい今お金がかかっている事業かというのをまず答えていただきたいんです。それで、これは当初は、熊本区政はこれを全部自力で賄う予定でスタートしましたから、これは世田谷区政、今の子ども医療費無償化の歴史的なプロセスを考えれば、比較して考えれば、財源問題でそんなに腰が引ける問題ではないと思いますから、もう一度答弁をお願いいたします。区長のやる気を聞かせてください。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 再質問にお答えします。  新型コロナウイルス、二年前、どのような経済的な波及があるのかどうか、まだ行末が定まらない状況ではあります。一方で、東京都の医療費、高校生程度の無償化に対しては、所得制限をかけるべきではないという立場から議論しております。当然、議員のおっしゃる趣旨はよく分かりますので、全体の財政のバランスを見ながら、腰はフラットにして、しっかり判断してまいります。 ◎中村 副区長 私からは、避難施設の区民周知について御答弁いたします。  現在お話しのとおり、避難施設については、国の国民保護ポータルサイトで全国の施設が一体的に掲載されており、区のホームページからこのポータルサイトにリンクを貼って確認できるようにしております。このポータルサイトは、お近くの避難施設を検索できるなど利便性に優れる面もありますが、このページまで何度も画面展開する必要もあり、分かりづらい側面もあるところです。  今後、区ホームページに、区内の避難施設の一覧を掲載するなど、緊急時に区民が落ち着いて適切な行動を取れるよう、早急に分かりやすく周知してまいります。  以上です。 ◎松村 副区長 私からは、SNSのアカウントについてお答えいたします。  おっしゃるとおり、なかなか中の人がどんどん出ていかないとというところはあると思います。私はちょっとチャレンジだと思っていまして、公式アカウントでやっぱりバズっているところはいっぱいあるわけで、何を目指すかというところはありますが、きちっと区民の方に情報を伝えるというところを、区の公式アカウントとしてちょっと育てていきたいなと思っていますので、ちょっと温かい目で見ていただければと思います。  以上です。 ◎加賀谷 政策経営部長 私からは、給付金についての事務処理を引き継いでいる所管としてお答えさせていただきます。  この間、お一人の方につきましては、年数回の催告書のほうはお送りをして返還のほうを求めさせていただいております。給付金に関しましても、この間様々、子育て給付金等もございますけれども、贈与契約という関係上、いわゆる税と同じような強制力のある強い督促がなかなかできないという部分もございますけれども、粘り強く、返済能力を見ながら催告のほうをしていきたいと思っております。  以上です。 ◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、子ども医療費無償化の費用について御答弁申し上げます。  現在の中学校第三学年までの医療費無償化に要する費用でございますが、令和二年度の決算額で約三十六億四千万円、令和三年度の予算額が四十億八千二百万円、令和四年度予算額が四十一億八千五百万円でございます。  以上でございます。 ○下山芳男 議長 以上で桃野芳文議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後三時十八分休憩    ──────────────────     午後三時三十分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 この際、議事の都合により、本日の会議時間をあらかじめ延長いたします。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 代表質問を続けます。  自由民主党を代表して、三十八番畠山晋一議員。    〔三十八番畠山晋一議員登壇〕(拍手) ◆三十八番(畠山晋一 議員) 自由民主党世田谷区議団を代表いたしましての質問をさせていただきます。  初めに、質問通告に従い、我が会派はこれまで新しい時代の行政運営の基幹を構築していくDX、デジタルトランスフォーメーションと世田谷区の区政運営、区民サービスの骨格である地域行政制度を俯瞰的に捉え、変革の指揮を執る副区長の配置を求めてきました。また、その際に清新な外部人材の登用を強く求めてきました。このたび就任された松村副区長は民間企業の出身であり、デジタル分野の実績と知見を十分お持ちであると聞いております。
     副区長に就任されて間もないとはいえ、まずはDXについてのロケットスタートを求められる立場であることは自覚されていると思います。CIOとして情報システム関連を専任で所管されるわけですが、実質的にはCDO、最高デジタル改革責任者として業務プロセスの変革や新しいサービスデザイン、そして、その推進を強力に牽引していただくよう期待をしております。  デジタル技術の活用などによる業務改革について、世田谷区の現状をどう認識し、どのような課題を最優先で解決すべきか、また、その際に国や東京都、周辺自治体との連携についてどのような姿勢で臨み、そして、民間の力をいかに活用していくのか、副区長のお考えをお聞かせください。  現在の区政は、新型コロナへの対応により先送りされたままの課題が山積しております。担任されるDXの推進はもとより、これまで培われてきた経験や実行力の下、その手腕をいかんなく振るっていただき、停滞している区政全般に新たな風を吹き込んでいただきたいと思います。一年目の副区長だからと遠慮することなく、これまでの区政を刷新していくくらいの意気込みで職務に当たっていただき、区政全般のトランスフォーメーションの一翼を担っていただくことを大いに期待しております。  さて、区民にとって最も分かりやすいDXの効用としては、区役所の窓口に足を運ぶことなく手続や相談ができる非来庁型の行政の実現です。電子申請、オンライン相談など徐々に体制を整え、充実されてきたものもありますが、DX推進方針策定から一年を経過した現在でも飛躍的に利便性が向上したとの実感には至っておりません。  例えば、お隣の渋谷区では飼い犬の狂犬病予防接種済票の交付や再交付に関する手続などは、多くの方が日常的に利用しているSNSのLINEで済ませることができますが、区では手軽にデジタルで申請することはまだできておりません。電子手続への転換が進まない分野については、区は課題をどのように解決し、進めていくつもりなのか、取組の道筋について伺います。  また、行政手続が円満にデジタルで行えるようになるには、DX先進国の例を見るまでもなく個人の識別と行政情報の連携が必要であり、日本においてはマイナンバーカードの普及が重要なファクターです。  世田谷区でもマイナポータルのぴったりサービスによるオンライン手続の導入を始めているところであり、その効果をより多くの方々に享受していただくには、マイナンバーカードの取得促進が欠かせません。国は交付手続の未申請者に勧奨通知を出すなどして普及に努めており、また、区においても様々な場面を捉えた啓発活動や受付窓口の充実などに取り組んでいるものの、昨年度末の普及率は約四八%と半分にも届いておりません。  健康保険証機能の読み込みのためのリーダーが医療等の現場に行き渡っていないなど、国が解決していくべき課題もありますが、まずは区として、マイナンバーカードの一層の普及に向けて、さらに取組を加速させるべきです。区における現状と課題、今後の具体的取組について伺います。  次に、証拠に基づく政策立案、EBPMの推進について伺います。  区はこれまで、事業の成果とコストを比較し、主に費用対効果という視点を中心に施策の評価、検証を進めてきましたが、例えば、福祉分野においては多額とも言える経費を投入して支援の仕組みを整えるべき政策もあり、費用対効果で評価することが必ずしも適切ではない場面が少なくありません。また、社会環境や個人のライフスタイルが急速に変容する今日においては、新たな事態が次々に発生することが当たり前となり、全てを計算づくに進められるわけではありませんし、状況変化に的確に対応するアジャイル思考が必要です。  こうした中で、数値、実績、効果などに関するデータの裏づけを持って政策を評価、立案していくEBPMは非常に重要であり、最少の経費でより効果の高い施策展開を可能にするものであると考えます。  そのために、まずはDX推進方針に掲げる区役所のRe・Designの一環として、データや情報を庁内で広く共有し、活用し合う仕組みを構築し、その上でEBPMの考え方に対する職員の理解促進・浸透を図り、政策を推進するためのツールとして活用していく必要があると考えます。区の見解を伺います。  次は、行財政改革についてです。  今年度の一般会計の予算規模は過去最大の三千三百三十六億円となりました。その財源のうち特別区税が一千二百七十三億円、特別区交付金が六百四億円と、いずれも過去最大となっております。コロナ禍の影響で厳しい財政状況が叫ばれていたといったことがうそのような好調さですが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻等の影響により国内経済には暗雲が立ち込めており、予断を許さない状況にあります。  また、昨年度七十億円の流出となったふるさと納税も、今年度は八十二億円と、さらに流出が拡大をしております。こうした不安要素に対応するためには、行財政改革の取組を強力に推し進めることが不可欠です。にもかかわらず、今年度の行政経営改革の効果見込み額は極めて物足りないのが現状です。  政策の効果が区民に有効に還元されているのか、社会状況の変化などに照らして事業継続の必要があるのかなど根拠に基づいた見直しを進め、また、税外収入の確保についても積極的に取り組み、年度途中であっても行革効果を上積みする改革を断行すべきです。今後の行財政改革の取組について伺います。  次に、災害対策について順次伺います。  マグニチュード七クラスの首都直下地震や、さらに規模が大きいとされる南海トラフ地震は、今後三十年程度の間に七〇%から八〇%の確率で発生すると言われて、また、富士山の噴火の可能性を指摘する専門家も少なくありません。昨年には、十七年ぶりに噴火に関するハザードマップが改定されました。東京二十三区にも数センチの火山灰が降り、ライフラインに大きなダメージを与える可能性が指摘をされております。  区は、地域防災計画を定め、国、東京都、自衛隊、警察、消防、ライフライン関連事業者等と連携をし、災害対応に当たる計画です。災害発生時、計画に定める対応を円滑に実施できるよう、日頃からの訓練や情報共有が必要なことは言うまでもありません。しかし、昨年度の関係機関との訓練は、オンラインによる情報連携にとどまったと聞いております。  そこで、今年度はより多くの関係機関との定期的な情報連絡機会の設定に加え、図上訓練や地区の避難所運営訓練などにも実際に参加いただき、防災対応力の向上に努めるべきです。区の見解を伺います。  また、計画を絵に描いた餅にしないためには、災害時における電力の確保が重要になります。非常用電源稼働の目安とされる七十二時間分の燃料備蓄について、本庁舎や玉川・砧総合支所はクリアしておりますが、北沢や烏山総合支所では遠く及んでおりません。  さらに、この想定時間は災害対策機能以外の業務では節電対応が前提とのことであり、不安を感じております。災害時に七十二時間で電源が復旧する確約はなく、消防庁は、停電の長期化に備え一週間程度は災害対応に支障が出ないよう準備することが望ましいとの通知を発表しております。  実際に東日本大震災では、停電発生から八日間たってようやく九四%の停電が解消し、解消までには三か月以上要した地域もありました。また、電力が復旧したとしても電力不足から計画停電が行われる可能性もあります。避難所となる小中学校等も含めた対策の強化が必要です。  非常用発電設備の点検や操作訓練の徹底はもとより、備蓄燃料の増や協定団体との燃料の供給体制の確認、さらには太陽光発電システムの併設など、発電手段の確保など災害時の電力確保に万全を期すべきです。見解を伺います。  続いて、在宅避難の啓発、支援について伺ってまいります。  避難所運営マニュアルや震災時区民行動マニュアルによれば、指定避難所は、自宅での居住継続が困難な場合、または二次災害を受ける可能性のある場合のみに一時的に受け入れられ、保護するための施設とされております。しかし、この情報が区民に行き届いているのか、大変心配になる出来事がありました。  先日、複数の町会長の方々から別々に次のような相談を受けました。多くの区民が、災害が発生したら指定避難所に行くものだと思っている。これでは本当に避難しなくてはいけない人を避難所で受け入れることができないのではないかという相談です。  今、大規模災害が発生すれば避難所運営にコロナ対策も求められます。ソーシャルディスタンスを確保すれば受入れ可能人数はおのずと減ってしまい、本当に避難が必要な人の行き場がなくなってしまうことが現実味を帯びていきます。本当に避難すべき人を救うためにも、自宅に倒壊の恐れがない人たちは在宅避難をするという情報を、区が責任を持って平時からしっかりと伝えていくこと、発信し続けることが重要です。  そして、日頃から備蓄の推奨やポータブル電源の確保、家具の転倒防止対策などの周知啓発をはじめ自宅への耐震シェルター等設置助成事業の要件を緩和して、より利用しやすい制度に改善するなど、在宅避難の推進に向けては、さらなる周知など一層の支援が必要だと考えますが、区の見解を伺います。  そして、在宅避難ができる人を増やす取組と併せて、民間の資源を活用して避難所、民間の避難場所を増やしていく取組も必要です。区内のインターナショナルスクールをはじめとした私立学校や民間企業、事業所などと様々な形で連携・協力関係を築き、民間の避難所、そして避難場所を増やしていくことも併せて要望しておきます。  また、区は狛江市や川崎市などの近隣の自治体とは別に、同時に被災をする可能性が低い距離にある川場村をはじめとする都外の七自治体と相互協定を結んでおります。協定には物資、資機材の提供、職員の派遣と併せて、被災者を一時収容するための施設の提供という項目があります。物資、資機材の円滑な提供についてはこれまでも議論されてきましたが、被災者の広域避難についてはどのような計画になっているのでしょうか。  さきに述べた富士山の噴火を想定した場合、広域避難の必要性も高まるものと考えます。しかし、希望する方々全員が避難することはできないので、例えば、要配慮者の方に優先的かつ中長的期に避難していただくなどは考えられませんでしょうか。その場合、避難先での継続した支援が必要になります。これは世田谷区が受け入れる場合も同様です。また、避難者の輸送手段も確保しなければなりません。  物資提供など一時的な対応で終わらない広域避難こそ、平時からの十分な検討と相手先との調整が求められます。広域避難に関する検討状況と実効性の担保に向けた取組について伺います。  続いて、スポーツ推進について伺います。  適度な運動やスポーツは心身の健康の保持、増進に重要な役割を果たします。区は、成人の週一回以上のスポーツ実施率六五%以上を目指しておりますが、昨年五月の区民意識調査におけるスポーツ実施率は、コロナの影響により健康増進への意識が高まった令和二年に比べて減少してしまいました。しかし、東京二〇二〇大会や北京オリンピック・パラリンピックといった大舞台での我々日本人選手の活躍はいまだ記憶に新しく、また、今年の秋にはサッカーワールドカップも控えております。これを好機と捉え、日常的な運動習慣やスポーツの推進を加速させていくべきです。  一方で、グラウンドや体育館などの区立施設の不足は顕著で、スポーツ推進に当たっての課題となっております。他区と比較しても一施設当たりの人口が多く、なかなか予約が取れないという声も多くいただきます。本年一月、多目的グラウンドであるJ&Sフィールドが開設されましたが、まだまだ量的ニーズに応えられているとは言えません。  今後、上用賀公園の拡張整備や和田堀給水所の上部利用、大蔵運動場、大蔵第二運動場の再整備が予定されております。これらの施設が全区的なスポーツの拠点となるように、区民全体のニーズを的確に把握の上、連続性を持った計画を立てて順次整備していくべきであります。今後のスポーツ施設整備の進め方について伺います。  そして、スポーツに取り組みやすい環境の整備としては、場の確保に加えて利用料金の問題も挙げられます。例えば、北区では少年団体による野球場やサッカーコートの利用料金を免除、新宿区では東京二〇二〇大会のレガシーとして障害者の方の利用料金も、この四月から個人利用、団体利用問わずに無料、また、杉並区でも少年団体や障害者団体の利用料金を半額にしております。  世田谷区においても、スポーツの裾野を広げる目的やパラスポーツ推進の観点から、幅広い施設で少年団体や障害者団体の利用料金減額について検討すべきと考えますが、区の見解を伺います。  続いて、防災の視点からスポーツ推進について伺います。  三月六日に開催された東京マラソンには二万人近い市民が参加をしました。コロナ禍で市民が参加できるマラソン大会の中止や規模縮小が相次ぐ中、多くのランナーが待ちに待った大会開催でした。  この東京マラソンは二〇〇七年、当時の石原慎太郎都知事がスポーツや観光の振興に加え、平時における防災訓練であると訴え、多くの困難を乗り越えて実現しました。長時間にわたり大規模な交通規制を敷き、関係機関が連携して何万人もランナーを誘導するイベントは防災の視点からも重要な取組です。実際、第一回の開催に当たり、新宿区はスタート地点での三万人近い参加者の滞留を震災時の駅前滞留とみなして観察をし、情報の伝達方法や誘導体制などの課題を抽出しました。  その後、鉄道事業者や事業所などと連携をして駅周辺の帰宅困難者の対策訓練を実施し、その経験を三・一一に生かしております。  そこで、世田谷246ハーフマラソンにおいても、防災の視点も備えた大会として、職員の防災意識の向上と実践的な訓練の場として運営することができないのか伺います。  また、コロナ禍で参加できる大会が減っている区民ランナーにとっても、日頃のトレーニングの成果を確認できる大会の存在は、スポーツを続ける世田谷区民のスポーツに対するモチベーションの観点からも大変重要であります。  希望する区民が一人でも多く参加できるよう、246ハーフマラソンにおける区民出走枠を確保することで、現在六割程度に設定されている当せん者に占める区民の比率を上げるなどの見直しを行うべきと考えます。区の見解を伺います。  次に、地域行政推進条例について伺います。  本件は、区が目指す地域行政像が明確に示されなかったために議論が深まらず、計画の延期を余儀なくされました。そこで私たちは、まちづくりセンター所長に人事権、予算執行権を付与することで地区の実情をよく知るまちセンが主体となり地区課題の解決に取り組む行政組織への転換や、デジタル技術を活用した行政手続や相談業務のノンストップ化、ワンストップ化を提案してまいりました。  区からの明確な回答はないまま時間が過ぎ現在に至るわけですが、委員会では、いまだ条例制定の意義や内容、その構成について疑問が投げかけられるなど、まだまだ議論の余地が十分にあると認識しております。  そこで、改めて条例素案を見ますと、目的に、住民自治の充実を目指すとあります。一言に住民自治といってもいろいろな意味がありますが、条例に規定する住民自治とは一体何を指しているのでしょうか。この条例やその延長線上には、地区の方々が課題解決の意思決定に直接参画することをもイメージしているのではないかと考えてしまいます。  先日の委員会でも伺いましたが、今回の総合調整の中の話としては、想定してはいないと、何とも煮え切らない答弁であり、疑問は払拭されておりません。区が目指す住民自治とは一体どのような姿なのでしょうか。  本条例は、今後の自治基本条例をも見据えたものなのではないでしょうか。改めて、本条例制定の目的を説明願います。また、議会の理解も不十分な条例の制定を急ぐ理由は一体何なのでしょうか。区長に伺います。  次に、旧池尻中学校跡地の活用計画について伺います。  我が会派は、貴重なこの区有の財産を最大限有効活用する観点から、本計画について様々な指摘をしてまいりました。区は、当初予定していた四月の事業者募集を見送り、想定する事業効果を得られない場合の撤退基準の設定や契約解除が可能な契約形態について検討するなど、前向きに動き出していると感じております。  しかし、商業課におけるハンズオン支援事業や産業振興公社における経営相談、創業支援事業などの既存事業との役割分担や、産業振興に係る機能の集約については、まだまだ整理されているとは言えず、改善の余地があります。  また、本計画実施の前提となる校舎の耐震補強工事以外にも、外構工事や用途変更に伴う建築・電気設備工事など、二億円程度の追加経費の必要性が明らかになっております。これまで池尻という一等地にありながら税外収入として月百万円の家賃収入しか見込まない区に対し、可能な限りの収益確保策を求めてまいりましたが、少なくともこれらの追加費用が賄えるくらいの税外収入確保策は検討すべきと考えます。  さらに、設定するKPIの妥当性や、事業者選定委員会及び事業評価委員会における経営者の目線、また投資家の目線の確保など、事業を成功に導く制度設計も重要になってまいります。  これらの諸課題について、どのように解決し事業を進めていくのでしょうか。区の対応について伺います。  次は、認知症対策について伺います。  高齢社会白書によりますと、二〇二五年には高齢者の約五人に一人が認知症になるという推計がされております。この数値を区の人口推計に当てはめると、高齢者だけを見ても区内に四万人近くの認知症の方が暮らしていることになります。認知症になっても一人一人の希望と権利が尊重されて安心して自分らしく暮らしていくためには、暮らしにくさを引き起こす障壁を地域社会から取り除く必要性があります。  そのためには、認知症当事者の参画はもとより、私たち一人一人が認知症について正しく理解をし、自分のこととして捉え、そして認知症になっても暮らしやすい地域社会を構築していく必要があります。  啓発に当たっては、パンフレットやホームページでの周知ももちろん重要ですが、イベントや講演会、さらには出前型での取組が効果的です。町会・自治会、民生委員だけにとどまらず、日々私たちが買物をする商店街や住まいを提供してくださる不動産事業者の方々など、地域社会を構成する様々な方々に啓発を進めるべきです。  認知症とともに生きる希望条例の理念にのっとり、区は、地域で様々なネットワークを有している社会福祉協議会と連携をして、プッシュ型の理解促進の施策を展開すべきと考えますが、区の見解を伺います。  また、子どもや若者も地域社会の立派な構成員として、地域で暮らす高齢者の見守りに大きな力を発揮しております。公園などで遊んでいる子どもが一人歩きをされている高齢者を発見し、保護に至るケースも多くあります。子どもの学びは、親世代の理解促進という効果を見込むことができます。  そこで、小学生向けのガイドブックや副読本などを作成し、さきに申し上げたとおり出前講座の手法なども活用して、区立の小中学校において認知症の理解を深める取組を推進すべきと考えます。教育委員会の見解を伺います。  また、認知症の分野に限らず、施設整備と併せて介護人材を確保していくことは、先ほどの招集挨拶にもありましたが、高齢者施策における喫緊の課題であります。区は、介護事業者等を構成員とする協議会を立ち上げるとともに、この四月から介護職に対する住まい支援や、採用の活動経費助成事業の拡充など支援策を強化していることは承知しておりますが、介護における人材不足は深刻であり、一朝一夕に解消するものではありません。決して高齢福祉部だけの課題として捉えることなく全庁を挙げて知恵を出し合い、協議会での議論を踏まえ、あらゆる手段を講じて介護人材の確保・定着支援を図っていくことを改めて求めておきます。  次は、認証保育所に対する支援についてです。  長年の懸案であった保育待機児は三年連続でゼロを達成している一方、申込者数の減もあって保育事業者の経営状況は深刻な問題になっております。特に認証保育所では定員の二割以上が欠員となっている施設が区内で約三分の一を数えるなど、閉園も考えなければならない状況に追い込まれている事業者も少なくありません。  待機児童が解消した現在にあっても、夜間利用や短時間利用など、多様な保育の受皿である認証保育所の必要性については論をまちません。区でも欠員状況の改善を目指して、この四月から保育料補助の対象拡大に加え、運営費の補助対象の利用時間を拡大するなど、認証保育所に対する支援を強化しておりますが、それでも経営上の問題から撤退について真剣に悩んでいる事業者も多くいらっしゃいます。迅速な保育需給のバランス確保と事業者に対する効果的な支援策の強化を改めて求めます。  しかし、その上でなお、世田谷の保育を支えてくださった事業者が残念ながら撤退を決断せざるを得ない状況になった場合には、せめて円滑に進められるよう、行政として何かできることはないのでしょうか。  実際に閉園を余儀なくされる事業者の方からは、経営上の問題から閉園するのにもかかわらず、内装等の原状復帰費用が追い打ちをかけるようにのしかかり、大変苦しいという声を多くいただきます。原状復帰にかかる新たな補助制度の必要性について東京都と協議するとともに、在園している児童の受入れ先や保育士の再就職先のあっせん等の支援について、区としても検討する必要があるのではないかと考えます。区の見解を伺います。  次に、新型コロナウイルス対策について伺います。  今年の二月にピークを迎えた第六波は、緩やかながらも新規感染者数、そして重症者数ともに減少しております。これまでの知見の積み重ねもあり、政府は、屋外で二メートル以上の距離が取れる場合などにはマスクの着用を求めない、特に夏については熱中症予防の観点からマスクを外すことを推奨する方針を示しました。  しかしながら、予断を許せる状況ではなく、基本的な感染対策を徹底するとともに、感染と重症化のリスクを低減する効果があるワクチン接種の勧奨についてはしっかりと進めていくべきだと思っております。  六月八日現在、世田谷区の十二歳以上のワクチンの三回目接種率は、対象者全体で六三・三%となっておりますが、若年層に目を向けておきますと、三十代は四七・九%、二十代の方は四一%と、年代が下がるにつれて接種率が低くなっております。  接種を受けるかどうかはあくまでも個人の判断に委ねるものですが、特効薬がない現状においては、ワクチンの接種率を高めていくことが区民の生命を守ることにつながります。区としても、接種率の向上に向け、ワクチン接種の効果を区民に対して、特に接種が進んでいない若い世代に対し、しっかりと周知、啓発すべきと考えますが、区の見解を伺います。  今定例会に提案されている補正予算案には、高齢者、障害者、保育施設、小中学校等に対する抗原定性検査キットの追加確保に関する経費が計上されております。検査キットの配布については、これまでの場当たり的、また近視眼的な対応に会派として苦言を呈してきたところであり、今回、どのような根拠に基づき意思決定されたものなのでしょうか。施設によっては検査キットが大分余っているという話を耳にしております。区は、これまで実施してきた抗原定性検査キット配布事業についてはどのように評価し、今回のこの二十万件分の追加調達という判断に至ったのでしょうか。今後の本事業についてのビジョンも含め、伺います。  続きまして、道路整備について。  世田谷区の都市計画道路の整備率は、二十三区中二十一番目と大変遅れております。移動の円滑化だけではなく延焼遮断帯など、防災性の観点からも重要な役割を果たす道路の迅速な整備について、我が会派は最重要課題の一つとして認識し、常々求めてまいりました。しかし、保坂区政になって以来、道路整備のスピードは落ちたと強く感じております。  昨年の決算特別委員会で区長とやり取りをさせていただきましたが、道路整備に対する区長のスタンスはスピード感よりも対話を重視されていると理解をしております。話合いを重ねることで迅速に事業が進むのであるならば大変結構なことですが、果たして成果はいかがでしょうか。  そこで、実績を調べてみたところ、EBPMではありませんが、エビデンスが明らかになりました。保坂区政になってから十年が経過しましたが、この間の道路の用地取得面積は一年当たり平均で約三千六百平米でした。これに対して熊本区政の八年間においては、一年当たり平均で五千四百平米、大場区政最後の八年間においては、一年当たり平均で四千三百平米となっております。  つまり、保坂区政における一年当たりの道路用地取得面積は、熊本区政と比較して約一千八百平米のマイナス、比率にして約三三%の減、大場区政と比較しても約七百平米のマイナス、比率にして約一六%の減。熊本、大場両区政と比較しても保坂区政の道路整備のスピード減がエビデンスとして見受けられます。  新型コロナ対応など喫緊の課題への対応は非常に重要ではあります。災害対策の観点からも道路整備のギアをしっかりと上げてスピードアップを図るべきです。区長の見解を伺います。  次は、教育政策です。  区立の小中学校の校庭において、校庭の一部を天然芝生としている学校を含め、多くの学校でクレイ系舗装としております。このクレイ系舗装については、学校の教室や近隣の住宅に砂じんが舞うことが問題となっており、砂じんを吸い込むことによる健康への影響も懸念されるところです。  こうした中、区は令和二年度の校庭の人工芝生化モデル事業を実施するということで、砂じん対策としても教育環境の整備としても大いに期待していたところですが、このモデル事業は新型コロナ感染症の拡大に伴う事業見直しにより延期となりました。  その後、本年一月に区が示した区立小・中学校の校庭整備における基本的な考え方によると、人工芝の整備は高額な整備費、自然環境への影響の懸念により見合わせるとのことです。人工芝が劣化をし、ちぎれた人工芝が河川に流出し海に流れ出す懸念があるとのことですが、確証データが示されることはありませんでした。  環境面への配慮については理解できますが、子どもが力いっぱい体を動かし、遊ぶことができる場をしっかりと確保することも重要であり、水はけがよく全天候型の人工芝生化により、そうした場と機会を創出していく必要があります。  まずは、各地域幾つかの学校でモデル的に人工芝生化を導入して教育環境の整備を図った上で、導入後に環境負荷、また、芝の流出防止策などについて検証すべきではないでしょうか。教育委員会の見解を伺います。  次に、学校教育におけるタブレットのさらなる活用に関し、二点伺います。  区立小中学校の全児童生徒にタブレットが貸与されてから一年以上が経過しました。タブレットに慣れるという時期はとうに過ぎ、教員間、学校間におけるスキルの差を解消することはもとより、効果的な活用方法を全校に広げ、タブレット学習のメリットを最大限享受していく取組が求められます。  二〇一五年から全児童生徒に一人一台のタブレットを貸与している佐賀県武雄市では、スマイル学習と名づけたユニークな取組を行っております。子どもたちは翌日の授業に関する予習動画を自宅で視聴して登校する。動画は飽きずに視聴できるよう五分程度という短いもので、教員の原案を基に民間企業が制作をしております。動画で予習することで自分の考えを持って授業に臨むことができることから、子ども同士が議論をし、相互に教え合う、学び合う協働学習や応用的、発展的な学習に重点を置いた授業ができていると武雄市は評価しています。  実際、文部科学省の全国学力・学習状況調査の結果を見ると、授業でクラスメイトと話し合う活動をよく行っている、自分の考えを深めたり広げたりできていると回答した子どもが全国平均を大きく上回っております。  教育委員会では、これからの不確実な社会を生き抜く力を持った子どもを育成するため、一人一人が多様な個性や能力を発揮しながら人と関わり、自ら感じ、考え、表現する力を育むことを教育施策の基本方針の一つに挙げております。  この方針の実現においては、官民連携で予習動画を作成し、子どもたちに事前学習を促すことで家庭学習を習慣づけるとともに、協働学習などの主体的に学ぶ授業を展開していくことは有効と考えます。教育委員会の見解を伺います。  続いて、部活動指導への活用について伺います。  教育委員会では外部人材の活用により、部活動指導にかかる教員の負担軽減や部活動の充実を図っておりますが、十分に機能しているとは言い難い状況です。昨年度から、部活動支援員のマッチング業務を委託し、改善を目指していますが、その実績も少なく、根本的な解決策にはなっておりません。  そこで、オンライン指導やタブレットの活用を部活で検討すべきではないでしょうか。具体的には、経験豊富な教員や部活動支援員の指導を複数校がオンラインで共有をし、その指導を基に各校で教員や支援員が個別指導に当たることが考えられます。オンライン環境の準備が難しければ、指導を動画撮影して後日共有することもいいでしょう。もちろん、活動内容との相性からオンラインに向かない部活動もあるかと思います。その場合でも指導動画を共有することは、指導経験の浅い教員や部活動後に復習したい生徒にとっても有効な手法になると考えます。  部活動におけるオンライン指導や指導動画の共有など、タブレットの活用について教育委員会の見解を伺います。  最後に、特別支援教育の体制強化についてお聞きをします。
     区では、昨年四月に区立小中学校全校で特別支援教室の設置を完了するなど、発達障害等の児童生徒に対する支援を充実してきており、我が会派としても一定の評価をするものであります。  しかしながら、特別支援教室を利用する児童生徒数は平成三十年度の一千百十七人から令和三年度には一千七百二十人と三年間で六百人以上も増加をしており、児童生徒に関わる教員からは支援体制が追いついていないという声が届いております。  児童生徒一人一人の特性に応じた適切な教育を受ける環境を整えることは区の責務であり、そのためには必要となる教職員数をしっかりと確保する必要があります。また、特別な配慮が必要となる児童生徒の特性、状況は複雑化をし、かつ多様化してきております。これまで以上に特別支援教育に関わる教職員の専門性やスキルの向上が欠かせません。  教育委員会として、この課題にどのように取り組んでいくのか伺いまして、壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 畠山議員にお答えをいたします。  まず、災害時の体制についてでございます。  大規模災害時においては、国や東京都、警察、消防、ライフライン事業者等の関係防災機関と一体となって災害対応を行うことが不可欠でありまして、平時から迅速かつ的確な活動を可能とする強固な連絡態勢を構築しておくことが重要だと考えております。  このため、発災時には本庁舎に位置します区の災害対策本部に警察、自衛隊、消防をはじめとした関係防災機関から連絡員の派遣を受け、円滑な連絡調整や情報共有ができる態勢を整えているほか、国の京浜河川事務所、また、気象庁とのホットラインのほうも整備しております。今年度からは、区災害対策本部での本部員として災害対策を担当する区内消防署の課長級の消防職員を加えており、態勢の強化を図っております。  昨年度の関係防災機関との訓練は、コロナ禍の中、オンラインとなりましたが、今年度は災害対策本部運営訓練に各機関の連絡員に参加いただき、より現実感のある訓練の実施に加え、関係防災機関との連携訓練も複数回実施しております。地域における防災訓練、避難所運営訓練においても消防署や消防団、ガス・通信事業者と連携した訓練を実施し、地域防災力の向上に努めていきます。  今後も関係防災機関との連携をさらに強化いたしまして、地域防災計画に定めるところの対策を円滑に実施できるよう、対応能力を高めてまいります。  次に、地域行政制度についての御質問をいただいております。  まず、住民自治の確立は区政の根幹にある基本方針であります。そして、お尋ねの地域行政推進条例の意図するところは、開始から三十年、もう区に定着をしてきました、この地域行政制度を検証し、時代に即して再定義することにあります。地域の課題解決に向けた取組と区政への区民参加を一層促進する体制を整備し、地域行政制度の原点である地域特性に即した行政とまちづくりの強化を図り、安全で安心して暮らせる地域社会づくりを目指していくことを目的としています。  御指摘の地域行政制度に係る条例と、また、自治基本条例との関連についてでございますが、この地域行政制度の充実強化について、現在検討中の条例では必要な事項を定めることとしておりまして、自治基本条例については、自治の在り方や枠組み、区民、議会、行政庁の役割を定めて規定する、おおむね骨格がまず違うということを申し上げておきたいと思います。  自治基本条例については、議会や区民の皆さんとの議論で深めていくべき問題であり、まだ十分な議論が行われている段階ではないと。今後の議論に委ねていきたいというふうに考えております。  地域課題が大変複雑化し、身近なところの区民生活の支援を行う必要性が高まっていることから、この地域行政条例を制定することにより、区民に身近なところで多様な相談や手続に対する窓口の整備をはじめとした行政サービス改革、これは区民の利便性の向上であります。また、デジタル技術の応用とデジタルデバイドにも配慮しながら、まちづくりセンターを中心に区民、事業者、区との参加と協働を進め、地域課題の地域の解決力を強化してまいります。  このような地域行政制度の充実強化を推進するため、集中的に議会や区民の意見を伺いながら、よりよい条例になるよう取り組んでまいります。  三番目に、道路整備についてであります。  道路は区民の生活を支える重要な都市インフラの一つであり、区では平成二十六年三月にせたがや道づくりプランを策定し、この間、優先整備路線について新たに着手するなど計画的に事業を進めてきているところであります。中でも都市計画道路は発災時の避難や緊急物資輸送、延焼遮断などの役割を担っていることから整備の必要性や重要性を十分認識しているところであります。災害に強い町の実現のために道路整備を十分計画的に進めていくことが必要だと考えています。  この間、京王線連続立体交差事業に併せて補助一五四号線の明大前駅付近や補助第二一六号線の千歳烏山駅付近の事業に着手いたしましたが、権利関係が輻輳する駅前商業地であることなどによって、用地取得に当たっては特有の課題も抱えております。  こうした状況にもありますが、区としましては権利者の事情を的確に把握し、丁寧な情報提供と御相談に応じ、早期の事業用地取得に向け、区民生活を支えるための道路整備事業を推進してまいります。    〔中村副区長登壇〕 ◎中村 副区長 私からは、三点について順次お答えいたします。  まず、行財政改革についてです。  区は、これまでの行政評価の積み重ねを踏まえ、世田谷区未来つながるプランにおいて、事業の実施が区民や事業者にもたらす直接的な効果となる成果指標を新たに設定したところです。区の施策を社会経済状況の変化に即して見直し、改善を図るために、これらの成果指標やコスト分析に基づく定量的な視点と、社会状況や区民ニーズを踏まえた事業の必要性や有効性、公共性などの定性的な視点による評価を行うとともに、DXによる大幅な、大胆な見直しを含めた総合的な観点から取り組んでまいります。  また、実効性のある税外収入の確保に向けて、引き続きコインパーキングや宅配ロッカーの設置を進めるとともに、今後は区の未利用地や施設内の空きスペースの情報をホームページや官民連携プラットフォームで発信し、民間企業等の利用ニーズとのマッチングを図るなど、新たな取組を進めてまいります。  行政評価及び執行実績を踏まえた次年度以降の予算への反映はもとより、状況の変化を捉えた年度途中での軌道修正を含め、不断の行政経営改革の取組による効果額の上積みを図ってまいります。  次に、認知症施策についてです。  区では、条例が目指す地域共生社会の実現に向けて、従来の認知症観を転換し、認知症になっても尊厳と希望を持って自分らしく生きることができることについて、地域社会を構成する多様な方々へ理解を促すことが重要であると考えております。  昨年度は、これまでの認知症サポーター養成講座について、新たな認知症観を知り、認知症を自分事として捉える世田谷独自の内容に刷新するとともに、各地区の安心すこやかセンターがまちづくりセンターや社会福祉協議会等との連携の下、認知症があってもなくても誰もが気軽に参加でき、身近な地域、地区で共に活動するアクションチームの立ち上げを進めてまいりました。  今後、地域の様々なネットワークと情報を持つ社会福祉協議会との連携をより密にし、出前型の理解促進策を展開するとともに、アクションチームの立ち上げを加速し、認知症になってからも誰もが安心して暮らすことができる地域共生社会の実現に取り組んでまいります。  次に、認証保育所に対する支援についてです。  区では、三年連続で保育待機児童ゼロとなる一方で、認証保育所の中には経営上の理由などから閉園に至っている施設がございます。区はこれまで、認証保育所に対して需要の多い一歳児の受入れに対する補助の増額のほか、多くの保護者が認証保育所を選択できるよう、保育料の負担軽減補助金の増額や、短時間での利用を可能とする制度改正など、支援を行っております。  認証保育所が閉園する場合、事業者に対して事前の協議を求めているところです。子どもや子育て家庭への影響が最小限となるよう、閉園の時期や在籍している子どもの転園の方策のほか、保育士の再就職など、寄り添った相談支援をしてまいります。  今後、御提案のありました閉園に向けた補助制度を含め、認証保育所の現状を踏まえた支援について東京都に申し入れるとともに、引き続き事業者と意見交換を行いながら、保育を必要とする世帯だけでなく、広く地域の子育て家庭が認証保育所を利用できるよう、さらなる支援策について検討をしてまいります。  以上です。    〔岩本副区長登壇〕 ◎岩本 副区長 私からは、二点御答弁申し上げます。  初めに、スポーツ施設の整備についてです。  区は、これまでもスポーツの場の確保や整備に努めてきましたが、東京二〇二〇大会などによりスポーツへの関心が高まる中、一部施設では区民のスポーツ需要に応え切れていない状況があると認識しております。世田谷区スポーツ推進計画(調整計画)では、スポーツの場の整備を重点的な取組として掲げ、上用賀公園拡張用地におけるスポーツ施設の整備や大蔵運動場、大蔵第二運動場の整備などに具体的に取り組んでいくこととしております。  上用賀公園拡張整備におきましては、今月より近隣住民に対して丁寧な説明を行っていくとともに、ニーズを的確に把握するため、区民ワークショップなどを通じて今年度内に基本計画を策定していく予定としております。大蔵運動場、大蔵第二運動場の整備につきましても、九十万区民を支えるスポーツの場として上用賀公園拡張用地における整備内容なども踏まえ、施設の役割や機能を充実できるよう検討を進めてまいります。  また、和田堀給水所上部利用につきましても、今年度以降、地域の課題やニーズ、東京都との協議を踏まえ、基本設計に取り組んでいく予定であり、スポーツ施設の整備を着実かつ計画的に進めてまいります。  次に、池尻中学校跡地活用について、今後の区の対応について御答弁申し上げます。  旧池尻中学校跡地を活用した新たな産業活性化拠点については、議会からの御意見、御指摘を踏まえた検討に加え、地元小学校PTAや子どもスポーツ団体をはじめとする地域住民からの声に向き合い、対話を重ねながら調整、検討を深めてまいりました。  御指摘の既存事業との役割分担については、より相乗効果が高まると考えられる事業は新施設へ移管し、実施することや、KPIの妥当性については専門家から成る選定委員会の意見を得て補強、修正を行うなど、柔軟な検討を心がけてきました。  また、拠点の運営、評価に当たっては多様な視点が必要と考えておりますので、有識者や専門家などから成る評価委員会を設置し、事業の適切な評価を行うことに加え、経験に裏打ちされた助言や指摘を得ることができる体制を構築し、地域への経済波及効果の検証も行い、今後生じる運営上の課題に対応し、取組を進めてまいります。  引き続き、議会の意見や地域の声、事業者の意見を踏まえ、しっかりと検討を重ねながら、より効果的な施設としてまいります。  以上でございます。    〔松村副区長登壇〕 ◎松村 副区長 私からは、DXの現状認識と最優先課題、それから、国、都、周辺自治体との連携や民間の力をいかに活用していくかについてお答えいたします。  今、私は現状把握のために職員との対話を始めております。その中で今のところ感じたことは、仕事が専門化されているということ、それがゆえに縦割りの意識や横の連携不足といった風土面の課題が一つ、それから、生産性を支えるICTの充実の遅れというツールの課題もございます。また、多様な働き方を促す等、環境変化に応じたルールづくりというのが不十分だといった制度面の課題も何となく見えてきております。これら三つがDX推進の妨げになっているのではないかということでございます。  改革に向けて、まず組織風土を改革していきたいなと考えております。職員が共感できる区のミッションを言語化し――私が考えるミッション、今のところは現在及び将来の世田谷区に在住、在勤、在学する方々の幸せを極大化するということになりますが、区の全ての分野の職員との対話を通じまして、このミッションの達成に向けたチームワークの構築を進めてまいりたいと思っております。  また、前職で取り組んだ官民連携やコミュニティーづくり、これらを通して国、自治体、ICT企業、地域団体といったつながりを持つことができております。世田谷区のDXを応援するよと言っていただいている方も多くいらっしゃいます。そうした方々をも巻き込んで世田谷区のDXを推進してまいりたいと考えております。  今回、御縁をいただき行政側として地域課題解決の主体者にならせていただくことになりました。世田谷区に関わって幸せになったと言っていただけるようなチームワークあふれる世田谷区の実現に全力で取り組んでまいりたいと思います。  以上です。    〔渡部教育長登壇〕 ◎渡部 教育長 特別支援教育の体制の強化について御答弁申し上げます。  配慮を要する一人一人の子どもたちがその個性に応じて力を存分に発揮するためには、子どもたちの周りの理解が必要になります。教職員や子どもたち、保護者の理解に包まれ、また、地域の中で豊かに過ごすために、住民の方々に理解をしていただく社会基盤の構築が不可欠です。常に活動を共にしている教職員や子どもたち、保護者の理解は進んだとしても、子どもたちを取り巻く地域や社会の中で、その一人一人の子どもたちの特性や個性を理解し、成長を見守る意識の醸成は一朝一夕にできるものではなく、様々な過程を経て進んでいくものと考えます。そのため、地域を巻き込んだ活動が必要です。  これまでも共同学習や副籍交流などにより理解の促進を図ってまいりましたが、今後はさらに地域に出て学ぶ環境学習や地域の清掃等のボランティア活動など、様々な機会を捉え、PTAやおやじの会などの協力を得て、地域全体として理解促進が進むような活動の幅を広げてまいります。  全ての子どもたちがその能力や可能性を最大限に伸ばし、自立した社会参加が送れるよう、学校を核とした地域活動に全力を挙げて支援してまいります。  以上でございます。 ◎菅井 DX推進担当部長 私からは、二点について御答弁申し上げます。  初めに、電子手続についてです。  区では、コロナ禍等の社会状況や区民ニーズを踏まえまして、東京都共同運営電子申請システムのオンライン化に重点的に取り組んでまいりました。特に区民ニーズが高く対象者が多い手続、例えば、新型コロナ接種券の発行受付や保育認定、学校就学関連の申請等をオンライン化した結果、令和三年度は前年度と比較いたしまして電子申請の手続の数が百四十件から三百五十五件、受付件数が約二万四千件から約十三万三千件と大きく増加いたしました。  また、令和四年度には、四月から税や国保、保育園などの口座振替手続をオンライン化したほか、二十六業務のオンライン接続を予定しています。  一方で、国や東京都の規程の変更が必要なもの、区のシステム改修が必要なもの、手数料決済システムの導入が必要なものもあるため、他自治体や民間企業とも課題や情報を共有し、優先順位をつけながらオンライン化を進めているところです。  既にオンライン化された手続を含め、単なるデジタル化にとどまることなく、手続内容それ自体の見直しや、区ホームページやLINEを入り口としてスムーズな手続へ御案内するなど、ユーザー視点での見直しが不可欠であると考えています。区民の利便性の向上、事務処理の迅速化に向けまして、全庁を挙げて取り組み、行政手続のRe・Designをさらに加速してまいります。  次に、証拠に基づく政策立案、EBPMの推進についてです。  議員御指摘のとおり、EBPMは政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化した上で合理的根拠に基づくものとする手法であり、効果的な政策の実施に資するものと認識してございます。区では現在、未来つながるプランに基づき、EBPMへの活用も視野に、庁内オープンデータの整備について検討を開始したところでございます。  一方、せたがや自治政策研究所において昨年度より職員を対象にせたがや版データアカデミーを実施し、EBPMの実践やデータを活用して施策を考えることのできる職員の育成に取り組んでおります。また、区ホームページ上の統計情報館に掲載する情報のオープンデータフォーマットへの対応の検討も進めております。  まずは、庁内に共有できる利用効果の高いデータの選別、集積や更新の方法、セキュリティーを含めた運用面での課題等を整理いたしまして、先進自治体の事例等も参考に、庁内でのデータ共有の仕組みの構築と効果的な活用に向けた検討を関係所管と共に進めてまいります。  以上でございます。 ◎舟波 地域行政部長 私からは、マイナンバーカード普及に向けた取組について御答弁申し上げます。  最新の区のマイナンバーカード交付数は、五月末時点で四十五万一千八百四十五枚、交付率は四九・一%となってございます。三軒茶屋の専用窓口や各総合支所の特設窓口、また、地域を巡回する臨時窓口を設置し、迅速な交付を行える体制を整えております。行政手続のデジタル化を進める上でマイナンバーカードの普及が大変重要であり、国が進める健康保険証利用や公金受取口座登録等によるマイナポイント事業の実施に当たっては、区の窓口において申請の支援を行っております。  一方、内閣が平成三十年に行った世論調査では、マイナンバーカードを取得しない理由として約五七%の方が必要性が感じられないと回答してございます。マイナンバーカードの手続方法のほか、健康保険証利用や確定申告の電子申告等の利便性について、六月からツイッター等の区のSNSを活用して発信してまいります。七月からは新型コロナワクチンの接種証明書が電子で手軽に受け取ることができる利点を掲載したチラシをワクチン集団接種会場に配架いたします。  引き続き、様々な機会を利用してマイナンバーカードのメリット等をより多くの方にお伝えし、交付促進に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎大塚 危機管理部長 私からは、災害対策について三点御答弁申し上げます。  初めに、災害時の電力確保についてでございます。  災害時における電力確保の最大の解決策は、家庭でのEVや太陽光発電などの普及拡大を進め、その電力を有事の際には地域で共有する自助、共助による電力の相互扶助を促進することであると考えております。  一方で、いつ起こるか分からない震災に備えまして、区におきましては庁舎や指定避難所において非常用発電設備の整備や再生可能エネルギーを活用した電力の確保に努めてきたところでございます。  このような中、今般公表された都の新たな被害想定や本年三月の福島県沖の地震に伴う停電の発生なども鑑みますと、改めて災害時のさらなる電力確保が必要であり、このことは在宅避難推進の大きな鍵になるとも考えております。  しかしながら、現状におきまして即時にさらなる電力確保を進めるとした場合、燃料による発電に頼らざるを得ず、燃料の確保が大きな課題となってまいります。  区といたしましては、最大限の燃料備蓄や実効性のある供給ルートの確保、また、自治体協定を活用した燃料、発電機の確保に努めることに加えまして、再生可能エネルギー技術の革新や、災害時に強いと言われる都市ガス、LPガスなどを活用した移動式のコンパクトな非常用発電機の開発などの動向も注視しながら、引き続き万全な電力供給体制の構築に取り組んでまいります。  続きまして、在宅避難の推進についてでございます。  発災時に身を守るための適切な避難行動や在宅避難の考え方、そのための備えなどを広く区民に浸透させることは区の責務であり、より一層効果的な周知啓発に取り組む必要があると認識しております。  今般公表された東京都の新たな被害想定では、議員お話しの家具転倒防止器具の設置をはじめとする家庭内での対策の実施率をさらに向上させることにより、死者などの人的被害を最大で八割程度減少させることが見込まれると示されております。  また、今後検討が進められる東京都地域防災計画(震災編)の改定方針におきましても、家具の転倒防止などの備えを促す方策について、今後具体化を図るべき項目として挙げられているところでございます。  都は併せて、災害用備蓄などの備えを促す方策を展開するとしておりまして、こうした都の取組も活用しながら、今後、区としても一層の支援の拡充に取り組んでまいります。  最後に、広域避難に関する取組についてでございます。  大規模災害により甚大な被害を被り、復旧、復興に時間を要する場合、区は災害関連死を防ぎ、生活再建に向けて活力を持って取り組めるような生活環境を確保する必要があると認識しております。  そのための備えの一つとして、区と同時に被災しない位置関係にあり、かつ高速道路及び迂回可能な国道などにより到達可能な都外の七自治体と物資の提供や被災した方の避難などを行うための相互の協力協定を締結しております。  これらの自治体とは年一回、意見交換会を実施し、協定の内容の検証や、各自治体の特色の把握、災害対策に関する情報共有など連携を深める取組を重ねてまいりましたが、協定の実効性をより確かなものとするために、今年度より四半期ごとに検討会を行い、例えば、福祉的な配慮を要する被災者の受入れなど、具体のテーマに沿った実務的な検討を行うこととしております。  これまで、議員御指摘の避難者の輸送手段などにつきましても詳細まで十分に検討できていなかった現状があり、このことをしっかりと課題として捉え、この検討の場において協議を進めてまいります。  以上でございます。 ◎大澤 スポーツ推進部長 私からは、スポーツ推進について御答弁いたします。  まず、幅広い施設で少年団体や障害者団体に対する利用料金減額についてでございます。  現在、プールやトレーニングルームの個人利用におきまして、子どもや高齢者、障害のある方につきましてはそれぞれ料金を設定しており、一般料金に比べ低い料金となっております。また、団体利用では主に中学生以下で構成される団体につきましては、学校施設や二子玉川緑地運動場の少年野球場、少年サッカー場の利用を無料としております。  一方、少年団体がこれ以外のスポーツ施設を利用する場合や、障害のある方が団体でスポーツ施設を利用する場合につきましては、利用料金の減額はない状況でございます。東京二〇二〇大会を通しましてスポーツに対する関心が高まっており、改めて子どもから高齢者、障害のある方など誰もが気軽にスポーツに親しめるよう、さらなる環境の整備が必要であると認識しております。  議員御指摘の子どもや障害のある方のスポーツの機会の充実の点も含め、世田谷区未来つながるプランにお示ししているとおり、区民利用施設等の使用料、利用料につきましては、区民生活を取り巻く社会状況の変化も幅広く捉え、検証を行ってまいります。
     次に、世田谷246ハーフマラソンにおいて、防災訓練の視点を備えた大会としての運営及び区民の参加枠について御答弁いたします。  世田谷246ハーフマラソンでは、参加者が安全安心な中で大会に臨めるよう、競技中の大規模地震の発生等各種有事に対応するための危機管理マニュアルを作成し、各地点への責任者の配置等を行っております。そのため、大勢の参加者が集まる中、従事職員が有事の際に冷静に対応するためには日頃の訓練が必要であるという意識を持つことは大変重要であると考えております。  訓練を大会と同時に行うことが運営体制等から現状では難しい状況ではありますが、職員が危機管理意識を強く持って従事することで、平時の防災訓練の場にもつなげていけるよう、大会を通して職員の防災意識の向上に努めてまいります。  また、世田谷246ハーフマラソンは毎回多数の参加希望がございますので、多くの区民の方に参加いただけるよう、区民当せん者の割合を約六五%に設定し、抽せんを行っております。昨年実施いたしました第十六回大会では、一般当せん者のうち約六七%に当たる区民が当せんをしております。  今後も引き続き、課題等を整理しながら、適正な定員枠の設定も含め、多くの区民の方に参加していただけるよう、関係機関の御意見も伺いながら区民の参加枠について検討してまいります。  以上でございます。 ◎粟井 教育政策部長 私からは、三点御答弁申し上げます。  初めに、区立小中学校における認知症の理解を深める取組についてお答え申し上げます。  学校の教育課程におきましては、認知症そのものについて学習する教科はございませんが、中学校の家庭科における高齢者との関わりや介助行動を中心とする介護の基礎の学習の中で認知症についても触れているところでございます。  認知症に対する正しい理解のためには、児童生徒の発達段階に応じた学習が必要となります。これまで区内の小中学校におきましては、高齢者福祉施設等への訪問や交流、職場体験などの体験的な活動、あんしんすこやかセンター主催の出前授業、認知症サポーター養成講座を実施しております。今後も関係機関と連携し、小中学校における認知症を含めた高齢者に対する理解を深める学習のさらなる推進を図ってまいります。  次に、タブレットの有効活用に関し、予習動画や事前学習の促進についてお答え申し上げます。  議員御指摘の学習方法は、いわゆる反転学習と呼ばれ、例えば、理科の実験を伴う授業において、児童生徒が授業前に実験方法や器具の使い方を解説する動画を視聴しておき、授業を効率的に進め、多様な実験方法を試したり、結果をじっくりと協議し合い、深い考察を導き出したりする学習方法でございます。  世田谷区内におきましても反転学習を取り入れて授業を展開している事例がございまして、その実践を紹介する動画をユーチューブで配信して教員への普及啓発を図っているところでございます。  また、教育委員会が指定する研究校におきまして、反転学習も含めてICTを有効に活用した多様な学習方法を開発するよう努めているところでございます。  今後は、各学校の研究成果をデータベース化して学校間で円滑に情報共有することにより、区内の全ての学校において積極的にICTを活用して充実した学習に取り組めるよう支援してまいります。  次に、特別支援教育の体制強化における教職員の確保についてお答え申し上げます。  東京都では、都独自の方式であります特別支援教室を導入し、平成二十八年度からは区内全小学校で、平成三十一年度からは区内全中学校で巡回指導を実施しております。教員の任命権は都教育委員会にあるため、教員の配置も都教育委員会によるものでございますが、東京都では国の基準を上回る配置を行っているところでございます。  区教育委員会といたしましては、今後も児童生徒一人一人の特性に応じたきめ細やかな教育を実現するため、引き続き、国や都に教員数の拡充について要望してまいります。  以上でございます。 ◎久末 住民接種担当部長 私からは、新型コロナワクチン三回目接種の若い世代への周知啓発について御答弁申し上げます。  三回目接種には、二回目接種から時間の経過とともに低下する抗体価を再び高め、感染予防や重症化予防を持続させる効果があります。オミクロン株が流行する現在も若い世代の新規陽性者が主流であり、接種の効果の周知啓発と接種しやすい体制整備を両輪で進めることが必要と考えております。  区ではこの間、週末の夜間接種や予約なし接種を実施したほか、四月下旬から五月の大型連休にかけて接種数増加強化期間と位置づけ、ファイザー社ワクチンの会場を増設するなど、若い世代を主なターゲットにした促進策に取り組んでまいりました。  このPRに当たりましては、SNSなどのウェブ媒体の活用はもとより、電鉄会社の御協力の下、駅構内へのポスター掲示や報道機関の取材、プレスリリースを通じテレビや新聞等のメディアによる発信も行ったところです。  東京都は、三回目接種済みの方等を対象に都民の都内旅行を補助する都民割を試験的に再開しており、国も、このいわゆる県民割の利用を全国へ拡大する予定としております。区でもこの機を捉え、夏休み前の七月一日から週末の夜間接種を再開いたします。引き続き、様々な媒体を用いて、三回目接種の効果も含めて積極的な周知に取り組むことで若い世代の接種率向上に取り組んでまいります。  以上です。 ◎有馬 保健福祉政策部次長 私からは、抗原定性検査キット配布事業について答弁いたします。  本年四月の福祉保健常任委員会で報告した第六波の検証で示したとおり、第六波では一部の施設において検査に遅れが生じたこと、また、本年四月に実施したアンケート結果等を受け、感染抑制には施設への抗原定性検査キットの事前配布が有効であると判断し、今回の補正予算の提案に至っております。  抗原定性検査キットはPCR検査と比べて安価であり、かつ事前に配布し備えておくことができるため、体調が気になる場合に検査を実施し、その場で結果が判明いたします。また、PCR検査と比べ精度は劣りますが、ウイルス量が多い場合のみ陽性と判定するなど、社会経済活動の促進には適しております。  こうした抗原定性検査キットの特徴を捉え、今回の二十万件分の追加により各施設に事前に配布し、備え置くことで、感染拡大時には速やかに検査を実施し、感染拡大防止や事業継続につなげてまいります。  一方、重症化リスクの高い高齢・障害者施設等は抗原定性検査キットに加え、随時検査体制、こちらはPCR検査になりますが、こちらを強化するなど、感染リスクや費用対効果を踏まえた体制としております。今後も区内の感染状況の推移等を見定め、国や都の動向にも注視し、検査を必要とする施設に対し、状況に応じた検査体制を構築してまいります。  私からは以上です。 ◎知久 教育総務部長 私からは、校庭の人工芝生化についてお答えいたします。  教育委員会では、本年一月に校庭整備における基本的な考え方を取りまとめるとともに、校庭の人工芝生化につきましては、延期しておりましたモデル事業を一旦取りやめたことから、教育長と本年四月にモデル校に予定していた駒沢小学校へ訪問し、学校長と地域の方へこれまでの経緯等について説明を行ってきたところでございます。  人工芝には、議員お話しのとおり様々なメリットがございますが、人工芝の主な材料でもあるプラスチックについては、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律が本年四月に施行されるなど、より一層の削減やリサイクルに向けた取組が求められているものと認識しております。  人工芝生化のモデル事業の実施につきましては、環境省と連携して民間事業者が実施している人工芝の流出抑制の実証実験結果や、環境に優しい新素材の開発など、人工芝に関する自然環境への影響を踏まえた上でクレイ系舗装の採用が困難な学校の校庭整備に際し、改めて検討を進めてまいります。  以上でございます。 ◎内田 生涯学習部長 私からは、部活動におけるタブレットの活用についてお答えいたします。  区では現在、部活動支援員制度をはじめ、部活動と支援員のマッチング業務委託や区内大学等の学生派遣事業など様々な手法を通じて部活動の充実及び教員の負担軽減等への対応に取り組んでおります。  これらの取組に併せ、議員お話しの生徒に配付されているタブレットによるオンライン指導や指導動画の活用等は、指導側にも対面とは異なる指導手法が必要とされるなど課題があるものの、運動部はもとより、文化系部活動の活性化にも新たな効果をもたらすと考えられることから、他自治体の実績等も踏まえながら導入に向けての検討を進めたいと考えております。  まずは、プロスポーツ選手やオリンピアンをはじめ様々な分野の指導者等による多様なユーチューブ動画の活用など、部活動の指導においても効果的な使用例を各学校に周知し、また、学校間での活用事例の共有を支援するなど、部活動におけるタブレットの有効活用を積極的に進めてまいります。  以上でございます。 ◆三十八番(畠山晋一 議員) 再質問いたします。  旧池尻中学校の跡地活用についての区長の決意と覚悟についてです。  前回、このものづくり学校が議論されたときは私自身も一議員として賛成をした立場であり、その結果が今この結果になったことに対して私も責任を感じております。あの池尻という土地、広大な土地、学校、公園、都道、国道、病院、潜在的に大きな魅力を持った土地です。そこをあのものづくり学校で生かし切れなかった。検証もきちっとできなかった。それなのに、このことを進めようとしている。そのことに対して、もちろんうまくはいってほしい。しかし、うまくいかなかった場合、今回のものづくり学校がまさにそうです。うまくいかなかった後の結果をどう責任を持って対処していくのか、その決意と覚悟を区長がどうお考えになるのか、答弁をお願いします。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 旧池尻中学校跡地活用について、再質問をいただきました。  区は本年四月、今後の経済産業政策の方向性、理念を地域経済の持続可能な発展条例と新たな条例で位置づけ、条例の理念を実現するための施策に中長期的な視点で取り組んでいくこととしております。旧池尻中跡地を活用した新たな拠点は、産業振興条例改め、この発展条例ですが、この条例の理念を具現化する中心地的な施設として構築しており、条例に基づく、ひもづくことで、人事異動等に左右されない次代を見据えた一貫した方向性に基づいた取組が可能になると考えております。  また、本施設を通した事業者支援や施設の健全な運営を行うための運営委員会、有識者を含む評価委員会等を設置し、指摘や助言などを受けながら運営評価をしていただく仕組みを構築することで、チェック・アンド・バランスを効かせていきたいと考えております。  私としては、ものづくり学校は、就任のときにはもう既にあった施設でございますが、全てがマイナスというふうには全く考えておりませんで、一定の成果は築けたものというふうに考えております。  今後つくり出される産業集積、意欲的、挑戦的な取組が交差して世界中の優れた研究や様々なチャレンジがしっかり集約されて、また、その場からも発信をされるレベルの高い、質のよい活動を集積することで、区内の地域経済、そして若い世代にしっかり道を開く施設として、不退転の覚悟を持って取組を進めてまいります。 ◆三十八番(畠山晋一 議員) 不退転の覚悟で臨むと。私どもも不退転の覚悟を持ってしっかりとチェックをしてまいります。やはりいいところもあったと思います。しかし、経済的な効果は果たして生んだんだろうかと思うと、生んでいないに近いようなところがあるように私は感じておりますし、その部分で、だからこそ今回の部分では成功させなければいけない、そういう決意と覚悟を我が党も持っているところでございますので、その観点からしっかりと取り組んでいただきたい。  地域行政推進条例については、区長自身が答弁の中で住民の自治基本条例ではないとはっきりと答弁をいたしましたので、今後もこの部分に対して住民自治ですとか、様々なキーワードを活用して私どもを誤解させるような、錯綜させるような、誤解を招くようなことがないように、この地域行政推進条例に取り組んでいただくことも併せてお願いし、また、EBPMの観点から道路の話をさせていただき、区長にしっかり進めていただくことを要望しましたが、残念ながらこれは代表質問ですから、補助五四号線というキーワードが出てこなかったのが私は残念でなりませんが、この道路をまさに進めていくことが世田谷区政の道路を進めていく、まさに第一の大事な道路であるにもかかわらず、その点の答弁がなかったことを残念に思います。  また、人工芝生化もまだ協力を、この先しっかりと検討していくということでありますけれども、この辺も不退転の決意を持って臨んでいくことを要望して、自由民主党の代表質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上で畠山晋一議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後四時五十五分休憩    ──────────────────     午後五時十分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  代表質問を続けます。  公明党を代表して、四十一番佐藤ひろと議員。    〔四十一番佐藤ひろと議員登壇〕(拍手) ◆四十一番(佐藤ひろと 議員) 二月二十四日にロシア軍がウクライナに侵攻してから四か月がたとうとしています。引き続き、このような侵略を断固許さないという決意の下、平和と安全保障に全力を尽くさなければなりません。そんな中、三月二十一日、ロシア外務省は声明を発表し、日本との平和条約交渉を継続する意思がないと表明し、北方領土交渉は当面、動かなくなりました。しかし、ロシアは日本の隣国であるという客観的な状況は変わりません。今後、ウクライナでの戦争が終結に至ったとき、日本はロシアとの関係を再修復しなくてはなりません。  その際、最も重要な基礎となるのが互いを人間として尊敬し信頼し合うことから始められるかどうかです。結局、国と国を結ぶのは、人と人をつなぐことから始まり、人と人とをつなぐのは、互いを人間として尊敬し信頼し合うことから始まります。  さて、我が党は本年、党創立者が「大衆とともに」の指針を示されて六十年の節目に当たります。その本質は、世界を分断してしまう思考や側に立つというのではなく、平和の側、民衆の側に立つということです。戦争ほど残酷なものはない。戦争ほど悲惨なものはないという不変の価値観の下、一日も早い停戦を願い、どこまでも対話による外交によって平和回復への道を探る努力をすることが平和の側に立つということです。  我が党は、この指針をどこまでも貫き、長引くコロナ禍や相次ぐ大規模災害、ウクライナ情勢などによって区民生活に強い影響を及ぼしていることを踏まえ、生活現場の最前線に足を運び、丁寧に声を聴き、政治に届けて、生活に反映する、その使命と責任をしっかり果たしてまいります。  それでは、公明党世田谷区議団を代表して質問並びに提案をいたします。  初めに、行財政改革についてお伺いします。  地域再生、地域振興が我が国の重要課題に位置づけられ、これに地方分権が重なり行政の経営力が課題解決の重要な鍵となる行政経営改革が長年にわたり叫ばれています。しかしこの間、世田谷区ではいつ、何に着手し、どのような効果が得られたのか、その具体的な総括もなく今日に至っています。  結局、私たちの目に映るのは、有識者で構成した審議会などの答申風景と、それに基づいた計画骨子の発表だけで、税収不足を声高に叫び、改革、改革と主張しながらも旧来からの方法を堅持し、失敗やその反省を生かすこともできない組織構造です。  これでは、いかに個々に能力があったとしても区民に受け入れられるわけがありませんし、後手、前例踏襲、先送りという刷り込まれたマイナス型行政サービスでは、これからの時代は通用しません。今後、大小にかかわらず問題や課題を自分自身のこととして深く認識し、自ら改革への行動を起こしていく当事者意識がなければ、最も内部変化を拒む行政組織に奥深く陥ってしまうのではないでしょうか。  制度導入に走るのではなく、内部を優先せず区民基点を貫くこと。部分改革ではなく、全体を対象にして一気に全庁を改革すること。仕組みは難しくせず、簡潔なモデルを創造すること。トップに頼らず、職員参加によるミドル、ボトムアップで改革を実現すること。これが改革の原則であり、その実現こそが最終的に区民の信頼を得ることにつながるのだと確信いたします。  そこで、二点質問いたします。  一点目に、今月一日より松村副区長が就任されました。我が党はこれまで、加速化する行政手続のデジタル化に対応するため、戦略的な視点で推進する司令塔としての役割と民間で培ってきた知識と経験を総動員して、遅々として進まない行財政改革を圧倒的なパワーで牽引できる人材登用を求めてきましたので、大いに期待するものであります。  今後、DX推進のみならず、税収依存体質から稼ぐ公共への転換も含めた持続可能な財政基盤の構築と併せ、新たな行政サービスの在り方、向上に関してもぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、御所見をお聞かせいただきたい。  二点目に、これまで何度も申し上げてきましたが、我が党が提案して実現した新公会計制度を最大限に活用した事業の分析を行い、判断する物差しをしっかりと持つべきであります。よって、事業評価に特化した部署を創設し、時代の環境変化に対応できる行政経営のフレームを構成するべきと考えますが、区の見解を求めます。  次に、マイナンバーカードを活用した経済対策についてお伺いします。  コロナ禍の令和三年五月にデジタル関連法が成立し、デジタル庁の機能、位置づけなどを定義した法律が整いました。その目的は、デジタル社会形成に向けた各種の調整業務を支援しつつ、遂行を図ることで行政の縦割りを排して、行政サービスを向上させる司令塔の役割を定義したことです。  また、コロナ禍における給付金制度で浮き彫りになった行政制度の改善についても定められています。例えば、給付金をスピーディーに支給できるように、預貯金口座の情報をマイナンバーとともに政府が運営するオンラインサービス、マイナポータルへ登録できるようになり、国民の手続負担軽減のために災害時や相続時などに迅速に口座照会できるように設計されています。  加えて、地方公共団体の基幹系システムに関する基準を国が定め、行政運営の効率化と住民の利便性の向上を目指すことを目的として、世界から取り残されつつある我が国のデジタル化を大きく前進させる機会となります。  そこで、二つの観点から質問いたします。  第一に、個人での活用についてです。  三年にわたる新型コロナウイルス感染症に象徴されるよう、今後も未知のウイルスの出現や大規模災害などの際には、迅速な給付金、支援金の交付並びに申請型からプッシュ型への支援体制への転換が求められます。現在、区では令和四年度末を目指して、マイナポータルからマイナンバーカードを用いてオンライン手続を可能にするとともに、それ以外の各種行政手続について、三十一業務のデジタル化が進められています。  その一方で、大前提としてマイナンバーカードの取得率の向上が重要になります。六月一日付の区のマイナンバーカードの取得率は四九・一%であり、いまだ対象者の五〇%に至っていません。総務省が示したデータでは、四十五歳から五十四歳までの世代の交付率が一番高く、五十歳代以下は女性が、六十歳代以上は男性の交付率が高い傾向性があります。  こうした一定数で交付申請が止まっている現状を踏まえ、マイナンバーカードの普及への一層の工夫が必要と考えます。例えば、国のマイナポイント第二弾のポイント還元に区独自のインセンティブとなるせたがやPayとの連結を付与し、給付率向上に一層の活用を進めていくべきです。区の見解を伺います。  第二に、キャッシュレス決済と疎遠になっている方への還元方法についてです。  昨年九月、民間カード会社が実施したクレジットカードに関する総合調査におけるキャッシュレス保有率では、最も保有率が高かったのはクレジットカードで八五・九%、次に多いのが電子マネーで七五・五%と多くの人が利用しています。さらに、コード決済のサービスも増加傾向にあり、その利用者はさらに増えていくだろうと分析している一方で、業種別の決済利用率についての調査では、どの業種でもクレジットカードと現金の利用率が高いことが判明しています。  このように、マイナンバーカードを取得しても還元されるマイナポイントを受け取らない方が一定の割合で存在していることを踏まえれば、そうした方々にも確実に恩恵を受けられるよう、キャッシュレス決済以外のポイント還元についても選択肢を用意すべきではないでしょうか。区の見解を伺います。  次に、公共事業における柔軟な対応についてお伺いします。  先月、我が党として、物価高騰から区民生活を守る新たな経済対策に向けた緊急要望として、公共事業発注における柔軟な対応を保坂区長へ申し入れました。区では、既に本年二月に半導体不足等に伴う資機材の納期の遅れ等に伴う工事の対応について発表しましたが、資材価格が異例の上昇、建設コストが急騰、ビル用鋼材が十三年ぶりに高い水準に達している現状を踏まえ、区として今後、公共事業を予定どおり発注、履行していくこと、さらに、請負事業者に対して複数年の予定案件を公表して受注できる体制を整えるなど、もう一段の配慮を考えるべきです。  その上で、二つの観点からお伺いいたします。  第一に、建設業等における原材料費等の高騰に係る円滑化対策についてです。  コロナ禍や自然災害によって海外の生産拠点が被災したため、昨年来、建設資材や原材料価格が高騰しています。そこにウクライナ情勢が加わったことにより区内の多くの事業者は経営努力で対応できる水準を超えている状況下にあります。特に公共事業発注前後にかかわらず、原材料費等の取引価格を反映した適正な請負代金の設定や工期の円滑な延伸の確保が図られるよう、速やかな対応を随時実施することが重要です。  また、契約期間内の請負代金の変更については、スライド条項に基づく変更請求という、これまでの適用範囲の次元を超えたペースになりつつあります。ついては、契約後、工事期間中に資材の高騰、物品不足に伴う価格上昇、工期延伸等が発注者に適切に転嫁されるよう、適正かつ柔軟な対応を行うことはもちろんのこと、区から請求について投げかける対応をしていくことが必要です。区の認識を問います。  第二に、公契約条例を掲げている世田谷区においては、下請事業者への不払い等が発生することがないように監督責任を果たすことも肝要です。特に建設業法の対象とならない本体工事以外の役務等の請負工事や物品における委託においては注意を注ぎ、対応することを求めますが、区の見解を伺います。  次に、中間所得者層への重厚な支援についてお伺いします。  長期化するコロナ禍による経済損失に加え、ロシアのウクライナ危機による物価高騰は、一世帯当たり年間八万円の負担増という試算が今般示されました。こうした状況は、公的支援が特に薄い中間所得者層の暮らしの安心感も脅かされている現状があります。  例えば、令和二年の国税庁の民間給与実態調査統計での平均年収は四百三十三万円となっています。また、給与所得者の総数五千二百四十五万人のうち、年収四百万円超五百万円以下に該当するのは七百六十四万三千人、割合にして一四・六%、さらに年収三百万円超四百万円以下は九百十三万人、割合は一七・四%と最も高い層となります。  国が衰退しないためには経済の成長が不可欠であり、経済成長に併せて物価や賃金も上昇していくのが自然な成り行きです。ところが、過去三十年間、日本の経済状態は低迷しているのが現状です。現金給与総額は二〇〇〇年と比較して八・五%ダウン、また、給与総額をベースにした高齢者も含む全国・全世帯消費支出もこの二十年間で一二・三%ダウン、さらに様々な統計を見ても雇用者全体の低年収化が進んでおります。  そうした深刻な状況を踏まえると、中間層は税・社会保障負担においても相対的に不利な立場に置かれていると言われており、中間層がさらに痩せ細れば日本経済や健全な社会の持続性を揺るがしかねません。
     そこで、三点質問いたします。  一点目は、我が党の提案で実現した政府の総合緊急対策で地方創生臨時交付金が拡充され、一兆円のコロナ禍における原油価格・物価高騰対応分という新たな枠が盛り込まれました。これにより、住民の暮らしや事業者を守る手だてとして、各自治体の判断によって様々な事業に充てることができるようになりました。  他自治体では、生活者支援として水道料金をはじめとする公共料金の負担軽減などへの充当や、事業者については、バスやタクシーなど地域公共交通支援、トラックなど物流維持に向けた経営支援、公共料金への補助などに充当しています。  一方、世田谷区においては、今般、国事業の子育て世帯生活支援へ独自に三万円を上乗せするとの方針を示していますが、この間、支援の手が薄い中間所得者層を含めた幅広い総合的な支援への充当にすべきです。今後の区の認識を伺います。  二点目は、東京都の高校生等医療費無償化についてです。  所得にかかわらず都の財源で給付することを求める一方で、独自に所得制限を排して全ての方を対象とすべきです。改めて現状と区の判断を伺います。  三点目は、学校給食費についてです。  今般の補正予算で食材費の値上げに対応するため、補正予算を組んだことは評価しますが、改めて学校給食費の完全無償化に向けた抜本的な取組を求めます。区長の見解を伺います。  次に、高齢者のいきいき健康事業についてお伺いします。  長期化しているコロナ禍の中、高齢者の方々の多くが外出を自粛され、運動機能や認知機能の低下が懸念されていましたが、今年のゴールデンウイークは全国で行動規制が解除されたことによって多くの方々の交流が活発になりました。そうした中、目立ってきているのが、高齢者が自宅や近所を散歩中に転倒し、顔や頭、肩、足などにけがをされたという声を耳にするようになったことです。残念なことに、コロナ禍の外出自粛による筋力低下が原因によるものと考えられます。  また、人や地域との交流が断たれたことにより孤立や孤食による栄養低下が進み、体力が衰え入院、その後回復に至らず介護施設へ入所されるという方もおられます。世田谷区の今後の政策課題では、お元気高齢者の事業は掲げられていますが、残念ながら我が党がこれまで介護予防の柱として推進を訴えてきたフレイル予防への対応策は全く取り上げておりません。健康寿命の延伸には、高齢者の方々が御自身のライフスタイルに合わせたフレイル予防ができる機会を創出する新たな仕組みが必要と考えます。  そこで、令和元年第三回定例会の代表質問でも取り上げました練馬区での高齢者いきいき健康事業を重ねて紹介しますと、同事業では七つのメニューが提示されており、それぞれ好きなメニューを選ぶことができるよう、より自主的に社会参加を促進する取組をしております。  例えば、外出の機会として週一回午前中に、区内三十五か所の区立施設で体操や趣味の活動を行い、お弁当などの会食をするいきいきデイサービス事業の利用券、六百円掛ける五回分など、誰でも参加できる環境を提供しています。固定化されたグループではなく、自由に選択できることも魅力的であり、翌年には違うメニューを選択できるという多様な楽しみ方にもつながっています。  長引くコロナ禍により、知らず知らずのうちに低下してしまった体力を増進するためにも、たとえ知り合いがいなくても気軽に参加できる仕組みが必要です。  そこで、質問いたします。  まさに今、時宜にかなった高齢者のフレイル予防のために世田谷版いきいき健康事業の創設を求めます。区の見解を伺います。  次に、児童館未整備地区への運営手法についてお伺いします。  我が党は、平成二十九年の決算特別委員会より、現代の働き方や生活スタイルの多様化が進む中、区民ニーズに応えるために、未整備地区への新設館については、柔軟な運営を可能とする民間活用を着実に進めていくことを提案してきました。以来六年有余、この間、児童館の在り方についての議論を重ね、検討を注視してまいりました。  民間活用を検討すべきその理由を改めて申し上げると、児童福祉法の規定に基づく児童福祉施設である児童館は、子どもたちの健やかな成長、発達、そして自立が図られることを地域社会の中で具現化する施設であり、かつゼロ歳から十八歳未満の全ての子どもたちが使うことができるという他の児童福祉施設にはない特徴があります。  にもかかわらず、既存の区立では毎週月曜日及び隔週日曜日が休館、開館時間も十八時までであり、音楽室を併設している館であっても延長は十九時までと、年齢層ごとのニーズや特色のある運営、さらには地域の子育て支援拠点としての機能が十分に発揮されているとは言えません。  今般、整備することが示された奥沢地区の児童館を含め、未整備地区における児童館整備においては民間活用を進め、直営では困難であった多様なニーズに応えられるよう施設整備をするべきではないでしょうか。区の見解を伺います。  次に、新BOP学童クラブ事業の運営改革について伺います。  先日、放課後児童健全育成事業の運営方針(素案)の検討状況等について報告があり、一旦休止していた時間延長モデル事業を今年度中のできるだけ早期に五地域各一か所ずつ再開する、また、今後全校で実施できるよう進めるとのことでした。我が会派が平成二十九年の第三回定例会代表質問で取り上げて以降、長年求めてきた学童クラブの時間延長について、再び前向きに取り組む姿勢に転じたことは評価をします。  しかし、一方で、現場からは、事務局長や常勤職員が長期休養中や慢性的な指導員不足の学校もあるなど、職員の適正配置が機能しておらず、そもそも新BOP学童クラブ事業の運営自体が実質的に体をなしていない現状があるとの声が届いております。こうした課題は従前より浮き彫りになっているにもかかわらず、なぜ一向に改善されていないのでしょうか。これまで現場に従事する職員と本庁との意思疎通はどのように行ってきたのでしょうか。世田谷区における先送り行政の一端を垣間見る思いがしてなりません。  今回のモデル実施は、保護者の多様なニーズに合うよう、利用しやすい条件の検証など、全校実施を前提に着実に進めていかなくてはならない重要な分水嶺になる取組です。そのためには、山積している新BOP学童クラブ事業の課題についても改善の道筋を示していかなければ制度疲労から制度不全に陥ります。  そこで、二点質問します。  一点目に、時間延長に伴う運営体制整備と併せて現行課題を解消する道筋も定めながら進めるべきと考えますが、見解を求めます。  また、時間延長モデル実施再開後、全校での実施に向けた開始時期をどのように考えているのか、改めて見解を伺います。  二点目に、大規模化、狭隘化の解消も待ったなしの状態です。これ以上、直営だけで対応することは不可能な状態で放置されているのが現状です。民間活用を早急に取り入れ、学校内外連携型学童クラブ事業へ転換していくべきです。区の方針を伺います。  次に、地域行政推進条例についてお伺いします。  今般、(仮称)世田谷区地域行政推進条例及び推進計画、それぞれの素案が示されました。我が党がこれまで明確にするよう求めてきた四者連携による地域包括ケアの地区展開が明記されたことは評価したいと思います。特に、まちづくりセンターが中心となって子どもを含む複合化した課題に四者による相談対応を確立することや課題等への対応、児童館との連携による相談の充実、子ども関連の社会資源開発に取り組むことなどが示されています。これにより、我が党が長年主張してきた出前型福祉、身近な地区での福祉の展開が一歩前進することを大いに期待しています。  しかし、条例素案や計画素案の全体を見通しますと、まだ明確になっていない点が多くあります。  そこで、四点にわたり質問いたします。  一点目に、地域行政推進条例を制定する目的についてですが、条例制定によって何を改革するつもりなのか。何が変わるのか、改めて見解を伺います。  二点目に、二十八か所のまちづくりセンターそれぞれの課題に自主的に取り組むために、まちづくりセンター所長への権限と財源の付与を、我が党はこの間最も重視してきました。その理由は、受動的な姿勢から能動的なまちづくりセンターに変わることで、町会をはじめ地域の活性化につながるからです。この条例制定を機に権限、財源の付与を明記する時宜を逸してはなりません。見解を求めます。  三点目に、まちづくりセンターでは、地域包括ケア地区展開に伴う地域防災力の強化が待たれます。それには地区情報連絡会などの交流の機会を通して災害想定見直しに応じた災害対応の充実も期待できます。その上でまず、避難行動要支援者への支援強化については総合支所とどのように役割を整理していくのか、まちづくりセンターでの活用と併せて見解を求めます。  四点目に、町会等の地区に積極的に出向いて感じた課題をテーマにしていくなど、職員のまちづくりセンターからの積極的な発信が必要であります。そのためには、地区の規模や人口構成、さらに地区の特性や課題に応じた職員の適正配置が重要となりますが、今後の見直しについての考えを伺います。  最後に、災害対策についてお伺いします。  去る五月二十五日、東京都は首都直下地震等による新たな被害想定を公表しました。世田谷区の被害想定では死者、負傷者は微減、また、被害を受ける建物棟数も減少となっていますが、エレベーターの停止による避難者の増により、発災一日後の避難生活者は約五万七千人増と想定されており、決して予断を持つべき状況ではありません。  そこで、二点質問いたします。  一点目に、今年度予算に対する意見開陳でも申し述べましたが、災害協定の抜本的な総点検についてです。住宅の耐震化率が増えた一方で、高齢化が進んだことによる地域の社会状況の変化や科学技術の進歩も踏まえた新たな協定も視野に入れ、災害協定をより実効性のあるものに見直すべきです。特に、経年により形骸化した各関係機関との災害協定を危機管理部門が責任を持って総点検をしなくては、現状の各所管任せの状態では、有事には必ず機能不全に陥ります。  これまでの各地における災害を検証しながら、幾つものパターンを想定した上で、どのような状況下で、どういう関係団体に対し発令するのか、指揮命令系統を一元化すべきです。改善に向けた区の見解を伺います。  二点目に、先日の指定避難所運営の見直しについての委員会報告の中で、最大の課題としては、避難所での受入れ可能人数の圧倒的な不足があります。区では一か所の指定避難所での平均避難者数を千三百人と想定しているとのことですが、現実的には極めて困難と考えます。また、官民連携による避難所を増やしていくことも検討すべきですが、まず着手すべきは、復旧までの数日間、できる限り在宅で避難生活を過ごせる準備を啓発するための対策が不可欠です。平成三十一年第一回定例会でも取り上げた災害対応型装備助成制度を創設して、既存の区民向け蓄電池の導入補助事業を含め、二次被害を最小限に抑える備えにつなげられるよう検討すべきと考えますが、区の見解を求めます。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 佐藤議員に、三点お答えをいたします。  まず、高校生にかかる医療費無償化をめぐる問題についてです。  冒頭申し上げますが、私は中学三年生までは所得制限を設けず、高校生世代だけ所得制限を設ける医療費無償化はあり得ないものと考えております。その上で、本年一月、東京都は医療費助成の対象を高校生世代まで拡大する方針を示し、三月に都から示された内容においては、あらかじめ所得制限をかけた上で、当初三年間は都が全額負担、その後は所得制限をかけた上で区と都の二分の一ずつの負担にしたい、こういった制度でございました。  二十三区は、これまで東京都の所得制限つきの中三までの医療費助成制度にそれぞれ上乗せをする形で例外なき完全無償化を実施してきました。都には、これについてしっかり評価、総括をするように度々申し上げてございます。  三月の区長会以降、これまでの経緯も含めた財政面での具体的な議論をしてきましたが、都から、少しずつニュアンスはよくなってはきていますけれども、まだ明確な回答はありません。その一方的な発表と、これまでの姿勢を改めろということを私も区長会の中で主張しております。ぜひ議会の皆様にも、乳幼児から中学生までを対象に継続してきた医療費無償化への都側の正当な評価、これは必要な事業だったということをした上で、今回、高校生対象の事業開始に当たっては、特別区側と都側の今後の協議をしっかり継続して、どういうふうに負担を、いわば上乗せ部分というのは必要な経費なんだということを含めた協議をすること、このことを強く求めているということを御理解いただき、実質、この制度の、いわば矛盾を抱えながらのスタートについて、しっかり特別区側、区側の立場を明確にするということを御理解、御支援をいただきたいと思います。  次に、学校給食について、これは他会派からの御質問にもお答えしているとおり、子ども・子育てや様々な保育待機児、あるいは児童相談所等、あるいは不登校対策、教育総合センターと、この間、取り組んでまいりました。このところの無償化をめぐる問題については、令和元年十月に就学援助制度を拡大して、区立小学校では約二四%、区立中学校では約三五%の世帯で実質的な給食費の無償化を図っているところでございます。  新型コロナウイルス感染症が長期化する中で、学校給食の食材高騰の問題がございまして、これについて、食材献立メニューの質の確保のために、保護者負担はなしで公費で食材費支援を行うことを今回決断いたしました。  給食費の完全無償化には約二十億円の財源が必要となり、財政運営上の大きな負担となるため、これまでは慎重な判断をすべしと考えてきました。今後の負担軽減については、子ども・子育て応援都市としての総合的なビジョンに立脚した上で、議会の御意見を受け止め、熟慮しながら、しかるべきタイミングで判断してまいります。  次に、地域行政制度についてでございます。  この条例化については、議会からの問題提起に応える形で作業を着手いたしました。地域行政制度の条例化によってデジタル社会を見据え、区民に身近なところで多様な相談手続に包括的に対応する窓口機能の充実をはじめとした行政サービスの改革を進展させること、防災防犯、介護、子育て、社会的孤立、貧困など多岐にわたる地域課題の解決に向けて、地区、地域の実態に即した取組を促進する体制を進めてまいります。  住民の利便性の向上のため、まちづくりセンターでのオンライン相談手続の実施や、児童館を含めた四者連携により、住民と共に地区課題に取り組んでいく行政の在り方の改革を進めてまいります。住民自治のコミュニティー活動の充実のために、まちづくりセンターを中心として、こういったデジタル技術を活用した広報広聴の充実により区民交流をつくり出して、防災・防犯活動及び日常不断のまちづくり活動の促進に役立ててまいりたいと思います。  このような取組を地域全体で支えるため、総合支所においては区民ニーズを全庁的な計画予算に反映させる企画調整機能を強化させ、地域の取組の成果を区政全体に反映、寄与できる体制強化を図ってまいります。    〔中村副区長登壇〕 ◎中村 副区長 私からは、三点について順次お答えいたします。  まず、新BOP学童クラブの時間延長についてです。  三月に実施しました保護者アンケートの結果では、現在の六時十五分までの運営時間で困ったことがあると二三・九%の方が回答しており、多くの方が仕事を断るなどの調整や、子どもだけで留守番をさせているなど、子どもと働く保護者への影響が示されました。その結果を踏まえ、新BOP学童クラブの延長モデル事業については年内のできるだけ早期に再開いたします。  延長モデル事業の再開に当たっては、延長事業を担当する指導員を配置するなど、必要な人員を確保した上で、延長が必要なときにだけ御利用いただくスポット利用など、新たな取組についても実施していきたいと考えております。  時間延長の全校実施については、モデル事業の実施状況を踏まえ、早期の実現と安定した運営ができる体制の整備に向けて、年内に道筋をお示ししてまいります。  次に、新BOP学童クラブの大規模化、狭隘化の解消についてです。  新BOP学童クラブでは、待機児童が生じないよう定員を設けず運営をしておりますが、児童数の急増や保護者の働き方の多様化などに伴い、大規模化や施設の狭隘化が進んでおります。また、小学校の三十五人学級の導入に伴い、活動スペースの確保についても急務となっているところです。  区では、大規模化や狭隘化の解消のため、普通教室の活用など、学校内のスペース確保に努めるとともに、学校外に民間放課後児童健全育成事業者の誘導を検討しております。現在、事業の質を確保するため、民間と新BOP学童クラブに共通する区独自の運営方針の策定に取り組んでいるところです。  この運営方針とともに、九月を目途に民間の放課後児童健全育成事業の活用についての考えをお示しし、令和五年二月に事業者募集、令和五年度中の開設を目指してまいります。  区といたしましては、新BOP学童クラブについては子どもたちのセーフティーネットの役割を果たすために直営を基本とし、学校外の民間事業者とも協力、連携しながら、子どもたちの成長にとって貴重な時間である放課後が豊かに充実したものとなるよう取り組んでまいります。  次に、災害協定についてです。  区では、物資の優先供給や専門人材の派遣など、事業者等と災害時協力協定を締結しております。その数は、現在約三百七十に上り、多くの事業者や団体の方々の御協力の下で災害対策事業が成り立っていると認識をしております。この災害時協力協定については、平成二十九年度から毎年、災害の発生時に協力要請を行う各部において連絡担当者の相互確認や協定内容の検証等を行っており、危機管理部でこれらが適切に実施されているか点検を行っております。  一方、災害時に区からの要請に基づき協定団体が実際に活動することができるよう、協定団体と共に訓練を実施し、その結果を踏まえ、情報集約や伝達方法の在り方について適宜見直しを図ることが望ましいものと考えておりますが、これらを実施できている団体は一部にとどまっている状況でございます。  今後、これらの合同訓練等の拡大を図るに当たりましては、全ての協定団体について一度に訓練を実施することは困難であること、また、協定内容に応じてどのような訓練内容とするか整備が必要であるなどの課題がございます。これらについて具体的な検討を進め、災害時協力協定をより実効性のあるものとし、来るべき大規模災害への備えを強固なものとしてまいります。  以上です。    〔岩本副区長登壇〕 ◎岩本 副区長 私からは、地域行政推進条例について、まちづくりセンター所長への権限、財源の付与について御答弁申し上げます。  地域行政制度の改革において、まちづくりセンターは、日頃寄せられる困り事や地区の活動団体などとの関わりの中で地区の課題を把握し、あんしんすこやかセンターや社会福祉協議会、児童館の四者連携会議の中心となって取りまとめ、解決に向けた立案をするなど役割を担います。  また、まちづくりセンターは、課題解決に向けて地区の様々な人や団体をつなぐ社会資源の開発支援の強化や、オンライン相談などの窓口サービスの改革を進める中で果たすべき役割が広がることから、事業や予算の在り方について見直す必要があると考えております。  まちづくりセンターに求められる役割を踏まえ、地域行政推進条例案や推進計画案に権限に属する事務の配分など必要な記載を行い、現行の出張所処務規程に定めるまちづくりセンター所長やまちづくり・防災担当係長が決定、または調整する事案などを整理してまいります。  以上でございます。    〔松村副区長登壇〕 ◎松村 副区長 私からは、DXと行財政改革についてお答えいたします。  前職で十五年間、働き方改革へ携わってまいりました。その中でどのような議論が起こり、改善し、生産性が上がっていったかという経験をしてきております。この経験は、これからの区のDXに大いに生かせるものと考えています。  また、IT業界や国や地方自治体、福祉業界などいろんな方々の英知をいただいて貴重な人脈を築いてまいりました。そうした方々と意見交換しながら区のDXに生かしていけることも自らの強みだと考えております。  一方、地域の問題解決につきましては、官民連携でチームをつくって効率的に情報共有をしていくということが必要だと考えておりますが、しかしながら、連携するためのICTツールの活用だったり、複数の組織が同じ目的に向かって連携して動くという風土がなかなかうまくいかないというのが、私がもどかしく感じてきたところでございます。このたび、副区長として実際に行政側に身を置いて、これらの問題解決に当たっていけるというのは大変うれしく思っております。  今後、デジタルを十分に活用して、環境変化やICT技術の進化に合わせて組織や風土の改革、それから、参加と協働の推進を進めていくことで区政の様々な課題解決とともに、持続可能な行財政の改革につながるような取組にしていきたいと思っております。  以上です。 ◎加賀谷 政策経営部長 私からは、二点御答弁いたします。  初めに、事業評価に特化した組織の新設についてでございます。  区では、実施計画事業をはじめ各事業実績の評価とともに、業務改善や行政経営改革の視点から行政評価を実施し、これまでも各事業の目標達成度合いをはかる成果指標の導入や、新公会計制度を活用したコスト分析など事業評価を反映し取り組んできているところでございます。  加えて、今年度ですが、新実施計画(後期)事業以外の事務事業につきまして、成果や手法に課題を有する事業や、令和元年度事務事業評価に基づく取組から三年を経過しておりますので、そういった事業等から評価対象事業を選定しまして評価を実施してまいります。  コロナ禍の社会においては様々な変化があり、今後はこれらの変化を踏まえた各事業の評価、検証を行う必要があると考えており、外部評価の導入は事業の必要性や成果やコストを重視した客観的な評価のほか、公共の役割など踏み込んだ視点での評価も期待できるものと考えております。  新公会計制度を活用したこのような視点は庁内で育ってきておりますが、さらに評価の視点やその結果を活用できるよう、外部講師による管理職研修を行い、会計士からのアドバイスを得ながら庁内のスキルアップを図り、見直しにつながるよう進めてまいります。  専管部署の設置についてですが、政策経営部一体となってこれまでの積み重ねてきた知見を基に評価を行うとともに、DX推進担当部とも連携しつつ必要な改革を行い、適切な行政経営を行ってまいります。  次に、地方創生臨時交付金を積極的に活用し、中間所得層も含めた幅広い層への総合的な支援についてでございます。  先般、地方創生臨時交付金の拡充が示され、原油価格、物価高騰対応分としまして、区では約十三億四千万円が新たに交付されることとなってございます。この交付金のうち、このたび約八億八千万円を活用し、生活困窮者等への支援や、小中学校給食食材費上昇への対応など、速やかに実施すべき施策につきまして、令和四年度第二次補正予算案に計上し、本議会に提案しているところでございます。  今後、負担増が当面続くと見込まれる中で、区としてはさらなる対策を講じていく必要があると認識しており、現在、各部において原油価格、物価高騰などへの影響による必要な対応や支援策について検討を行っております。  一昨年の特別定額給付金の支給以降、低所得者層への支援が行われている中、例えば、夫婦のみ世帯や単身世帯などの層に対しましては必ずしも十分な支援が届いていないことは認識をしております。今後、区民生活の実態や状況等を十分に把握、分析した上で、さらなる対策につきまして、御指摘の幅広い層への支援を含め、地方創生臨時交付金の追加交付見込み分を含めた積極的な活用を図ってまいります。  以上でございます。 ◎後藤 経済産業部長 マイナポイントをせたがやPayで受け取りができないかといった御質問について御答弁をいたします。  御提案のように、せたがやPayがマイナポイントの受け取り手段となることで、せたがやPayを新たに利用される方の増加が見込めるなど、普及拡大の一助になると考えてございます。また、せたがやPayを既に利用されている方にとってもマイナンバーカード取得の動機づけになると思われます。
     マイナポイントの受け取り申請について、区からせたがやPayの運営主体である世田谷区商店街振興組合連合会に情報提供を行いまして、商店街振興組合連合会において、現在、申請に向けて調整を進めているところでございます。  以上でございます。 ◎舟波 地域行政部長 私からは、二点御答弁いたします。  まず、キャッシュレス決済にポイントを付与する制度を利用できない方へのマイナンバーカードの推進についてでございます。  令和三年に民間のカード会社が行ったアンケート調査では、クレジットカード保有率は約八六%、電子マネーについては七六%、二次元コード決済の保有率については六四%となってございます。キャッシュレス決済は普及してきているものの、高齢者の方などキャッシュレス決済を利用していない方もいらっしゃいます。一部の自治体では、マイナンバーカードの提示によりまして店舗で割引を受けたり、あるいはマイナンバーカードの新規申請者にギフト券やノベルティグッズといったプレゼントを提供することにより新規交付を推進している事例もございます。  キャッシュレス決済を利用していない方にマイナポイント以外の何らかのインセンティブを提供することはカード取得の後押しとなり、交付促進に寄与するものと考えております。国の補助金を活用するなど区民負担のない方策を念頭に、あらゆる観点から様々な可能性を区としても引き続き検討してまいります。  続きまして、地域行政の推進に伴うまちづくりセンターの体制についてでございます。  地域行政の改革では、まちづくりセンターが地区情報を積極的に発信し、様々な活動の交流を支援する中から地区課題をまとめ、区民や総合支所と連携して課題解決に取り組む機能の充実強化を図ります。  また、区民に身近なところで様々な相談や手続に対応する窓口の改革や、児童館を含めた四者連携の下に総合調整機能の充実強化を図ることを目指します。このような機能の充実強化を図るため、まちづくりセンターの執行体制を整備する必要があり、その機会を捉えて地区の人口規模やまちづくりの状況、課題などの特性も勘案した人員配置の考え方を整理してまいります。  以上でございます。 ◎工藤 財務部長 私からは、公共事業における柔軟な対応について、二点御答弁をさせていただきます。  まず一点目、原油・物価高騰及び資材調達支援などに伴う工期設定の延期や工事費の増額変更に対応せよという御質問です。  感染症拡大やウクライナ情勢などの影響による資材の不足や納入遅滞に対応するため、区では可能な限り早期の発注に努めるとともに、工事に用いる機器一覧を入札公告時に提供し、契約後も柔軟に設計変更や工期の延長を行い、事業者による円滑な履行確保を図っているところです。  また、今般の入札制度改革の一環として、より実勢価格に即した予定価格の設定にも取り組んでいます。契約後の物価高騰への対応については、工事契約約款に定められた、お話のスライド条項を的確に運用していくこととし、従前から対象であった鋼材類、燃料油に加え、その他の資材も適用対象とするとともに、請求方法などを整理の上、事業者に分かりやすくお示しできるよう検討を進めています。  六月末には区内事業者への通知や区ホームページへの掲載のほか、契約中の相手方に対する個別説明を開始したいと考えており、必要かつ適切な契約変更請求につなげることで区発注工事の確実な進捗を期するとともに、今後の受注確保が図れるよう、工事監督所管と連携し、準備を急いでまいります。  続きまして、二点目でございます。委託事業などにおいて下請事業者への不払いなどが発生しないよう特に注意し、監督責任を果たせという御質問です。  区では、公契約条例制定以来、委託事業者などを含めた公契約の履行過程における賃金の支払い等、適正な労働条件を確保するため、労働報酬下限額の設定、チェックシートによる確認や事業所実態調査などに取り組んでまいりました。  さらに、昨年二月の公契約適正化委員会の答申において下請事業者を含めた条例周知の強化及び下限額遵守の徹底が求められたことから、本年度より条例の詳細な手引の公開や、下請先を含めた従事者一人一人への下限額周知カードの配付と配付確認などの取組を実施しております。  また、現下の社会経済情勢から懸念される下請事業者への不払いや労働環境の悪化などのしわ寄せを防止するためのダンピング対策強化について、工事請負契約に続き委託契約においても実施を急ぐよう同委員会から指摘を受けており、来年度契約案件への適用を目指して具体的検討を進めております。  特に委託事業については、その多様性からあらゆる契約に効果的なダンピング対策の制度設計は簡単ではありませんが、条例周知及び遵守徹底の取組とともに全庁的な推進に努め、区の監督責任を果たしてまいります。  以上でございます。 ◎山戸 高齢福祉部長 私からは、高齢者のいきいき健康事業について御答弁いたします。  御案内の練馬区が実施している高齢者いきいき健康事業は、七十五歳以上の後期高齢者を対象に、外出のきっかけをつくることにより社会参加を支援することを目的としたもので、七つのサービスの中から希望者が一つ選択し、三千円相当分の利用料を区が補助するものと聞いてございます。  サービスメニューにある公衆浴場の入浴券や、はり、きゅう、マッサージ事業、スポーツ施設の利用などは、当区では六十五歳以上とし、幅広い高齢者を対象に無料または低廉な料金で利用できるものとなってございます。区は、多くの高齢者がより継続的に外出し、社会参加をすることでフレイル予防につながるよう、令和二年度から関係所管と連携して居場所づくり、健康づくりなどのプロジェクトで構成される高齢者の地域参加促進施策を実施してございます。  なお、令和三年度の入浴券の支給者数は一万九千九百人でございました。また、居場所づくりプロジェクトでは、現在、千歳温水プール健康運動室などでモデル実施をしており、スマホ教室などの参加型プログラムは利用者から好評をいただいております。今後、ほかのプロジェクトも含め、より多くの高齢者の社会参加が進むよう、施策の周知と魅力あるメニューのさらなる充実に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、児童館未整備地区の運営手法について御答弁申し上げます。  区では、区内二十八か所の各地区に児童館を整備することとし、未整備の八地区について学校等公共施設の複合化による改築等の機会を捉え、計画的に整備を進めていくこととしており、本年度中に具体的な整備計画をお示ししてまいります。また、児童館の果たすべき機能を十分に発揮できるよう、開館日や時間の見直しや、夜間、休館日の施設開放など、施設の特性を踏まえた柔軟な対応に向け検討を進めてまいります。  児童館は、未整備地区に新たに整備する館を含めて、地区における子ども・子育て世帯のセーフティーネットの役割を果たすため、職員の人材確保、育成、支援力の向上を図り、引き続き区が運営を担ってまいります。  今後とも、児童館に求められる役割に十分応えられるよう、地域で活動する様々な団体を含め運営に当たり、民間の力を活用する工夫についても検討してまいります。  以上でございます。 ◎佐々木 砧総合支所長 私からは、避難行動要支援者に対する総合支所及びまちづくりセンターの役割と取組強化についてお答えいたします。  砧総合支所と玉川総合支所では、令和元年の台風第十九号を踏まえ、浸水想定エリアにお住まいの避難行動要支援者に対して保健福祉課が調査票を送付し、個別避難計画の作成に取り組むとともに、水害時の備えや自主避難を推奨する行動シートを作成、配布しております。  また、総合支所内の各課、まちづくりセンター、福祉施設等と合同で昨年度実施した避難所運営訓練では、要支援者の方にも御参加いただき、施設や動線、使用するベッド等の検証を行いました。現在、この検証に基づき、避難所における課題を抽出し、改善に向け取組を進めているところでございます。  これらの取組を踏まえ、今後、まちづくりセンターでは、地域行政推進条例や推進計画に基づく体制の整備を行い、地区の特性に合わせた避難等の周知啓発や訓練、地域資源の開発、支援者との連携の強化などに取り組んでいく必要があると考えております。  私からは以上です。 ◎大塚 危機管理部長 私からは、在宅避難のための新たな助成制度について御答弁申し上げます。  在宅避難の推進に当たりましては、家庭で十分な備えをしていただく必要がございます。これらの備えの普及促進は区として喫緊の課題であり、区民が在宅避難を積極的に行うための様々な支援策について急ぎ検討を進め、具体化を図ってまいります。その一環といたしまして、議員御提案の新たな助成制度の導入を検討するに当たりましては、国や都の動向を踏まえた財源確保や持続可能性を見据えた助成条件の設定、費用対効果の見極めなどが課題となりますが、都が公表した新たな被害想定を踏まえまして、危機感を持ってその実現可能性を検討してまいります。  以上です。 ◆四十一番(佐藤ひろと 議員) すみません、三点、再質問をします。  一点目、事業評価ですが、政策経営部で担うというお話でしたが、日々の業務で忙殺されている政策経営部で常に各所管の事業評価ができるとは思えません。例えば、自治政策研究所に担ってもらうとか、明確にその役割をしっかり決めていただいて、達成できるかどうか、それをしっかり再考していただきたい。もう一度、答弁をお願いします。  二点目は地域行政の制度ですけれども、これは、我が党は長年、まちづくりセンター、特に地区の強化ということに力を入れてきました。強化するには、管理職としてしっかりその責任と役割を果たしてもらわなくてはいけないので、そのための権限と一定の財源を区長から委任をしてもらって、自分たちの町は自分たちでしっかりつくり上げていく、その課題も解決していく、そういう認識の下、この条例制定が大きな分岐点になりますから、そこでこの権限が付与できるかどうか、明確な答弁がないので、もう一度お願いします。  最後に、児童館の未整備地区の民間活用ですけれども、これについても、先ほど代表質問でも述べましたが、例えば新BOP学童クラブでも様々な定員の適正がうまく機能していない。これから本当に直営で担っていけるのかどうか。職員の数を多く増やすことができずに会計年度任用職員を増やして、何となく中途半端になってしまうような、そんな状況を考えれば、児童館においても、既存館は別としても新設館はしっかり民間の力を活用できるかどうか。公立と民間と市場化テストするぐらいの勢いで検討していただきたいと思いますので、その点も、もう一度、お答えいただきたいと思います。 ◎岩本 副区長 まちづくりセンターへの権限付与の再質問についてお答えをいたします。  今回の条例では、まちづくりセンターの充実強化を目的としまして、具体的には多様な相談、手続に対応できる窓口の改革、様々なまちづくり活動の支援の強化、また、四者連携の中心となって課題解決に取り組むといったようなことを実現していきたいと考えてございます。  こうした実現のためには、まちづくりセンターにおける必要な役割が広がることから、総合支所及びまちづくりセンターの権限に属する事務を適切に配分して組織を整備するといったことが必要でございますので、そういったことを明記していきたいと考えてございます。必要な権限の強化については、臆することなく取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。 ◎中村 副区長 事業評価について再質問いただきました。お答えいたします。  今の事業評価自体は、決して十分であるとは考えておりませんで、レベルアップが必要と考えております。そのために、個々の事業の評価については実際に事業を実施して区民の意見をじかに聞くことができる所管部が主体的に評価をし、区民の改善に結びつけていくことが重要と考えております。そうした組織風土を最終的には培っていきたい、それを目標にしたいと思っています。  引き続き、政策経営部が全庁の事務事業の実施状況ですとか予算、区民の声の情報を一番持っているところでもありますので、自治政策研究所の力を借りるという御提案もいただきましたが、それも含めて検討させていただきながら、全庁のスキルアップと踏み込んだ評価の実施をバックアップして、強化して、具体的な行財政改革につなげていけるよう取り組んでまいります。  以上です。 ◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、児童館等の運営についての再質問にお答えいたします。  児童館については、二十八地区に展開することを想定し、地区の地域包括ケアの四者連携を進めるとともに、子ども・子育て家庭の見守りや相談支援の中核的役割を果たすこととしております。一方、新BOP学童クラブにおいては、配慮を必要とする児童の受入れや支援が必要な児童について、児童館や子ども家庭支援センターなどと連携しながら見守り支援などを行うとともに、今後、学校外に誘導する民間の放課後児童健全育成事業と連携した支援の充実の役割も担ってまいります。  こうしたことから、区といたしましてはセーフティーネットの役割を果たす児童館や新BOP学童クラブの運営については、人材確保や人材の育成を強化した上で区の職員が担ってまいります。  あわせて、学校外に民間の放課後児童健全育成事業を誘導するとともに、児童館での民間事業者や地域団体など民間の活用の工夫を検討するなど、区と民間が果たすべき役割を整理し、連携して取り組める環境整備に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◆四十一番(佐藤ひろと 議員) 限られた人材なんですから、直営でしっかり担わなくてはいけないもの、それから、民間にお願いするもの、このめり張りをちゃんとつけていただかないと、これからこども家庭庁が創設されれば、子ども・若者部でいいのかという議論も出てきますから、この点をしっかり踏まえていただきたいと思います。  最後に、保坂区長から学校給食完全無償化の前向きな御答弁をいただきました。ちょうど我が党として平成二十九年の初頭から未来への投資ということで、教育負担の軽減という五つの項目の中から、私たちは取り上げさせていただいております。やはり所得制限で分断をするということはあってはならないと思います。もちろん、財源の確保と併せて前向きな検討をしていただくということで、しかるべきタイミングに判断ということですから、我々もしかるべきタイミングで大いに期待しておりますので、よろしくお願いいたします。  以上で公明党の質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上で佐藤ひろと議員の質問は終わりました。  これで各会派の代表質問は終了いたしました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 以上をもちまして本日の日程は終了いたしました。  なお、明十四日は午前十時から本会議を開催いたしますので、御参集願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時十五分散会...