世田谷区議会 2022-03-24
令和 4年 3月 予算特別委員会-03月24日-08号
令和 4年 3月
予算特別委員会-03月24日-08号令和 4年 3月
予算特別委員会
令和四年
予算特別委員会
予算特別委員会会議録第八号
日 時 令和四年三月二十四日(木曜日)
場 所 大会議室
出席委員(四十七名)
委員長 菅沼つとむ
副委員長 平塚けいじ
副委員長 藤井まな
阿久津 皇
石川ナオミ
おぎのけんじ
加藤たいき
上島よしもり
河野俊弘
宍戸三郎
畠山晋一
真鍋よしゆき
山口ひろひさ
和田ひでとし
教育総務部 部長 知久孝之
教育政策部 部長(教育監兼務)
粟井明彦
生涯学習部 部長 内田潤一
選挙管理委員会事務局
局長 渡邉謙吉
監査事務局 局長
庄司秀人
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本日の会議に付した事件
議案第一号 令和四年度世田谷区一般会計予算
議案第二号 令和四年度世田谷区
国民健康保険事業会計予算
議案第三号 令和四年度世田谷区
後期高齢者医療会計予算
議案第四号 令和四年度世田谷区
介護保険事業会計予算
議案第五号 令和四年度世田谷区
学校給食費会計予算
(補充質疑、採決)
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午前十時開議
○菅沼つとむ 委員長 ただいまから
予算特別委員会を開会いたします。
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○菅沼つとむ 委員長 本日は、これまで審査してまいりました令和四年度予算五件の補充質疑を行います。
それでは、質疑に入ります。
新風・せたがやの風、どうぞ。
◆小泉たま子 委員 おはようございます。新風・せたがやの風の補充質疑を始めます。
岩本副区長は、全庁で地域行政の改革に取り組むと、さきの議会で答弁されました。さらに、担当部は、本庁、総合支所の在り方について、条例、推進計画で明らかにすると答弁しました。ところが、その後に開かれた特別委員会に提出された条例素案はほとんど以前と変わらず、単に既存の
まちづくりセンターの充実強化のみです。これでは
まちづくりセンター充実強化条例でしかない。この区の姿勢に反対します。地域行政の改革によって世田谷区はどう変わっていくか、区民生活はどのようになっているのかという視点が全く欠如しています。
このことから、この
予算特別委員会において、区民・福祉・都市整備領域それぞれに、現在の地域行政の展開の取組を尋ねました。どこも何も具体的に取り組んでいません。地域行政の本質の一つは、大都市における地域内分権の在り方のはずですが、どの領域の部課長、そして技術トップの技監に至るまで、全くそのことを考えていません。一体全体どうなっているのですか。副区長の言う全庁挙げた改革はどこにあるのですか。全くない。区は思考停止状態です。
何点かまとめて中村副区長に伺います。中村副区長は、企画総務で、DXにより生み出された人材は直接区民と接する業務に振り向けていくという考えに変わりはないと答弁されましたが、同時に、地区への人員配置については、人員を増員するのか決めてなく、全庁の定員管理の中で判断すると答弁したのです。これは全くおかしい、論理が矛盾しています。
これからは、直接区民と接する業務は地区にこそ置かれるべきであり、地区の充実が大前提、それが地域行政改革の本質であるはず。地区への人材投入が必然ですが、それを無視していては推進計画など立てられるはずがないのです。地区の軽視です。
まず、伺いますが、区として組織編成を担当する政策経営部門と、人事を担当する人事部門は、地域行政条例の策定と推進計画の策定に向けて、これまでどのような検討を行い、組織、人事について、どのようなことを推進計画に盛り込むつもりなのか、まとめてお答えください。
次に、新たな司令塔の役割が明らかになったことから、司令塔として、早急に本当の意味での地域行政展開の全庁点検を行うべきですが、お考えをお答えください。
その結果、全面的な条例案のつくり直しになるはずです。これは保坂区長の姿勢でもあるはず。地域行政の改革を行うと宣言されたのですから。全庁点検を踏まえた本庁機能の見直し、地域内分権の趣旨を踏まえた支所への権限移譲、区民の視点に立った地区の充実について、区は五月の条例案策定に向けて全力を尽くさねばなりません。
仕事は、人、物、金が整ってこそ成果を上げることができるはずです。この短い期間での取組の中で司令塔はどのように進めていくのか、責任者としての司令塔たる中村副区長のお考え、そして決意について、さきの質問と併せてお答えをいただきます。
◎中村 副区長 地域行政条例の素案につきましては、この間、区民や議会をはじめ、庁内での全庁的な視点からの検討など様々な議論や意見交換を積み重ねてきており、改めて全庁的な点検というものは行わないものの、引き続き内容を精査しつつ、条例素案に掲げる基本方針をより具体的なものとしていくため、全庁で議論を深めてまいります。
特に
まちづくりセンター、総合支所、本庁の役割の整理をはじめ、地域地区の特性に応じた施策を効率的かつ迅速に行うための組織や必要な人員体制など、領域横断的な課題について、検討中のものもございます。
私は、事務方の司令塔として、岩本副区長とともにその役割を存分に発揮し、全庁での議論を加速させて、具体的な方向性を
地域行政推進計画に反映させていきたいと考えています。
また、本議会で御答弁しましたとおり、地域行政とDXを一体的に進めるということ、また地域包括ケアの地区展開をより深化させるため、
まちづくりセンターが児童館を含めた四者連携の中心的役割を担うこと。これはもとより、
まちづくりセンター自らの役割として、地区の課題解決に向けた総合調整機能を実践することなど、これらを目に見える形として実現できるよう取り組んでまいります。
◆小泉たま子 委員 素案を五月に出すというのに、検討の途中とは大変失礼な答弁だと思います。各領域も動かず、企画も人事も動かない。これでは全体が動くはずがありません。まず、企画、人事が先頭に立って検討すべきと申し上げておきます。
改めて条例の目指すべきものは、新しい時代に合った簡素な行政であり、本庁は、国、都など対外的な対応とともに、多様な区民の価値観を踏まえた総合的な政策の策定を担い、総合支所は、中都市レベルである地域の責任主体として地域経営を担うとともに、今後DX改革などで区民、地区と行政が直接結ばれる状態になったときに、その案内人、コンシェルジュの役割を果たすことになります。
地域経営を行うとは、権限と責任を持つということです。そのことから、児童館も
地域包括支援センターも土木部門も、総合支所長の権限の下に置くべきです。他人の所管の下で責任ある地域経営ができるはずがないのです。地区においては行政の縦割りでない総合行政を展開することとし、日常の区民の生命と財産を守る、安全安心に暮らせるための地区の責任主体となるのです。他会派からも言われているように、その責任者を管理職として配置し、その明確な姿として明らかにすべきなのです。
今後は、区民に向けては、区役所が皆様のお近くに出向きます、
ワンストップサービスを実施します、区民に時間を返しますと表明し、その実現に向けて、全庁、全職員を挙げて取り組みます。この基本が条例そのものに表されなければならないのです。お考えを伺います。
◎舟波 地域行政部長 地区におきましては、災害に強いまちづくり、児童館を加えた四者連携による地域福祉の充実を図るため、地区を掌握し、区民活動団体間の連携支援をコーディネートする
まちづくりセンターの充実強化が不可欠でございます。
まちづくりセンターは、区民や活動団体、関係機関の交流の機会を積極的につくり出し、また、DXを活用した窓口を変革することを条例に規定し、職員がより区民の近くで区民生活を支援することができるよう、地区において責任ある役割を果たしてまいります。
また、総合支所は、災害に強いまちづくりや地域福祉の充実などに向けまして、地域の経営方針の下に地区を支援し、総合的な地域づくりに取り組む必要があり、区政への区民参加を促進させ、各種計画に地域特性に即した施策を組み入れ、地域経営の実効性を高めてまいります。
条例素案や条例案の策定に向けましては、このような
まちづくりセンターや総合支所、本庁の役割、職員のあるべき姿などを分かりやすく規定するよう検討を進めてまいります。
◆小泉たま子 委員 各委員から、地域行政改革の全体が全く見えないという問いに対して、区では、できるところからやっていくと言われますが、自ら考えないだけではないでしょうか。そして、何かといえば先進都市に学ぶとトップからして言う。今の世田谷区は先進都市後追い行政そのものです。ところが、DXには先行自治体がありますけれども、地域行政には先行自治体がありません。
そこで、審議会、検討委員会で検討していただくという審議会など丸投げ行政となっています。そこで何が起きているか。
地域行政検討委員会では、第一回令和元年十二月三日において、区側の説明で、平成十七年の出張所改革は正しかったという明らかな誘導があり、議論の方向が決められてしまったのです。
その後、区民委員から、
まちづくりセンターで手続をしてほしいという意見があっても無視、最後に委員長が
まちづくりセンターでの手続の有効性を提起しても無視、参考資料にその意見が載っただけというのは区側の明らかな作為です。さらに、このことについて議会報告がなかったのです。実際に議事録を見なければ分からなかったというのは、明らかな議会軽視です。
まずは、区自身が自ら考えるべきです。区は、区民、職員の声を聞くと言っていますが、一体誰の声を聞いているのか。現在の職員が必死の思いでつくり上げた提案は完全に無視、三月、四月の異動時期の窓口混雑については、区長が謝ったのになお改善されず、担当に聞くと、これでも少しは混雑は減りましたと言うのです。何というお役所言葉。少し混雑が減ればよいのですか、待たされる区民の立場になって考えたことはあるのですか。
抗原検査キットを普通の区民では遠いと言える二子でなぜ配るのか、その際、地域行政担当として地区で配るべきと言わなかったのかと聞きますと、言わなかったと答弁。なぜかと聞きますと、知らされていなかったということ。
岩本副区長は答弁で、地域行政制度の改革の目的を全職員と共有し、自らの業務に照らして、区民の目線で課題を出し合い、改善を図る機運を高め、区民サービスの向上のために努めていくと言われましたが、それが実践されていると思っているのですか。
まずは、この三月、四月に窓口に並ばれている区民の方々にその場でお話を伺い、どこから来られているのか、どのような手続なのか、また、たらい回しはなかったのか、どのような体制になっていればよいと考えるかなどの質問に答えていただき、その解決策から、窓口サービスの在り方を組み立て直すべきです。お考えを伺います。
◎舟波 地域行政部長 今、御指摘の窓口サービスでございますけれども、その具体的な取組に向けましては、窓口の職員とも十分に検討してまいります。また、窓口に来庁される区民の方の御意見を直接伺う機会も設けながら、区民の目線で検討してまいります。
◆小泉たま子 委員 お聞きします。報道によれば、江戸川区では、三十九の窓口業務にAIを導入し、合わせておよそ十一万時間の職員の業務効率化につなげ、効率化で生まれた時間をより丁寧な相談業務の実現に充てるとされ、新年度予算に関連経費一億三千万円を盛り込んだとされています。
対して世田谷区は、DXの活用により人材を生み出し、地域行政を充実させると言われましたが、では、どのくらいの規模で人材を生み出すのかと質問すると、副区長がまだ算定は難しいと言われます。ある区民からは、ほかの区ではこのような話があるが、なぜ世田谷区では取り取り組まないのかと尋ねられました。
本当に情けないのですが、ここで伺いますが、なぜ江戸川区でできて世田谷区でできないのか。この内容を区は知っていたのか。知っていたならば、なぜ情報提供しなかったのか伺います。
◎池田 総務部長 江戸川区の取組は報道により認識しておりますが、このような他自治体の行革への取組事例も参考としながら、世田谷区におけるDX導入の効果を積算し、業務の見直しと人員の再配置につなげてまいりたいと考えております。
◆小泉たま子 委員 あまりにも仕事がずさんすぎます。区民は区役所を選ぶことはできない。そのことを肝に銘じて、区民に信頼される区役所を目指してほしいと思います。
昨日、窓口の様子を見に行ってきました。外に椅子が二十ぐらい並べられており、誰もいらっしゃいませんでしたので、今日はこれはうまくいっている、立って誰も待っている人がいないと思って中に入ってみました。大変な混雑でした。みんな立っています。椅子は満杯です。
お聞きしました。どうなさったんですか、どうしていらっしゃるんですかと。外は寒くてあんなところに座っていられませんと言われました。だから中に入って待っていますと言われました。そういうことでよろしいんですか。そういうことが、区民に寄り添っているということなんでしょうか。もうあきれてしまいました。区長は、申し訳なかったと謝っているわけですよ。その区長が謝ったということは一体何だったんでしょうか。
区長、お聞きします。どのようにお感じになりますか。
◎保坂 区長 窓口混雑の状況、
マイナンバーカード等も手続が加わって、かなり深刻だということで、所管をはじめ対応したとは思いますが、小泉委員おっしゃるように、区民の立場で、待っている側の立場で、立場を変えてしっかり見るという点で、まだまだ不足があるというふうに思いますので、早急な改善を指示したいと思います。
◆小泉たま子 委員 今の状況が、区長が思われている区政運営の集大成ではないと思うんです。今御答弁なさったように、しっかりとやっていただきたい。
それから、五月の条例案まで、推進案まで、計画案まで、もう二か月しかありません。どのようにやっていくのか。全体で総力を挙げて、区長が先頭に立たなければいけません。どうぞ頑張っていただいて、区民に安心を与えてください。
以上で質問を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で新風・せたがやの風の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、減税せたがや、どうぞ。
◆あべ力也 委員 それでは、補充質疑をしてまいります。
私は、ひとり暮らしの世帯が世田谷では五三%、夫婦のみ世帯が一七%といった世田谷区特有の世帯構成に占める割合が、両方で七割を超えているという現状から、再配分の公平性ということを考えて、区民一人一人を尊重した予算の在り方を再考できないかと、今後の区の基本計画の中に盛り込んで不公平感の解消を求めてきておりますけれども、具体的な施策と考えた場合に、健康で過ごすということは全ての区民の願いでありますから、世帯構成に関係なく補助できる施策の対象として、健康診断の充実とか、またワクチン接種などは有効と考えます。
それで提案をしたいと思いますけれども、三点。まず、高齢者の方、障害を持っていらっしゃる方のものではなくて、加齢により聴覚が不自由になられた方に対する補聴器の購入の助成をするという制度をほかの自治体では実施しているところが大変多いです。特に四万円ぐらいを上限に、購入費用の半分を助成するということをやっているようです。
二十三区の状況を見ますと、十四区が実施していて、また三区が検討中だと。実施していないのは六区ということですから、その中に世田谷区は入っているんですね。こういうことをぜひ実施を検討していただきたいと要望したいんですけれども、世田谷区の現状、考え方を問いたいと思います。
二番目が、
おたふく風邪のワクチン接種の無償化ということ、これは今度の予算で八王子市がやるということですけれども、
おたふく風邪は子どもがかかる病気という認識が高いんですけれども、どうも成人の方がかかった場合には特に重篤化するということでありまして、子どもさんがかかって、パパ、ママがかかるという場合があるということなもんですから、子どものときに
おたふく風邪をやっていない、もしくは
おたふく風邪の予防接種をしていないという方に向けて、
おたふく風邪の予防接種を実施するということは大変有効だということです。感染力が大変強いということですから、予防接種の効果というのはそれなりに認められているということですので、ぜひこの予防接種の助成についても、何とか検討できないかというのが二点目。
三点目が、人生百年時代ということで、二人に一人ががんを発症するというようなことでありますから、今がんの予防と早期発見のために、定期健康診断では把握できないがんのリスクを、そうした検査、遺伝子検査で、早めに知ろうというようなことを民間の検査機関がやっているということで、これを取り入れることによってどういう危険因子が自分にあるかということを知ることができるということは、がんの備えや予防にもなりますし、ひいては世田谷区の医療費支出の抑制にもつながるということでありますから、そうした民間の動きとかを取り入れて、遺伝子検査も世田谷区として取り入れたらどうかということです。
それで、現状としては、民間の遺伝子検査は知りたい項目に限定して検査をした場合には、検査キットは千九百八十円、一項目当たりの費用が二千五百円と、料金もそんなに高くはないということですけれども、この点について世田谷区も助成をしていけたらなというふうに思います。
以上三点について、世田谷区の考え方を伺いたいと思います。
◎長岡 高齢福祉部長 私からは、補聴器についてお答えいたします。
補聴器購入費の助成につきましては、高齢者の自立した生活のため、加齢により聞こえが悪くなるといった身体機能の低下に対する支援として、ニーズの把握や他自治体での取組状況等を踏まえて、区民間の公平性や制度の持続可能性など、多角的な視点も考慮しながら検討していく必要があると考えております。
来年度、令和六年度から八年度の三年間を計画期間とする第九期
高齢者保健福祉計画・
介護保険事業計画の策定の検討に着手いたします。ニーズ調査を通じて、高齢者への補聴器購入費の助成に関するニーズの把握に努めるとともに、世田谷区
地域保健福祉審議会の高齢者福祉・介護保険部会において審議することとなりますので、高齢者の
補聴器購入費助成につきましては議論を進めてまいります。
◎辻
世田谷保健所長 私からは、
おたふく風邪ワクチンにまずお答えいたします。
おたふく風邪にかかった際の合併症として、思春期以降に初めてかかると精巣炎や卵巣炎、重度の難聴等がありまして、厚生労働省の審議会では、
おたふく風邪ワクチン定期接種化が協議されております。一方、当ワクチンの副反応について、無菌性髄膜炎はありますが、こちらも同審議会で、その発生頻度や重症度を検証されております。区といたしましては、こちらの助成につきましては、国の検証も踏まえ、メリットやデメリットと等課題を整理してまいりたいと考えております。
続きまして、がんの遺伝子検査の補助についてお答えいたします。
がんの遺伝子検査はがんの診断、抗がん剤の効果や副反応の評価のため、医療機関において行っており、区が実施するがん検診を定める国の指針には現時点では定められていない状況でございます。今後は、世田谷区がん対策推進委員会の御意見をお聞きしつつ、指針の改定など国の動向を注視してまいります。
◆あべ力也 委員 今回質問したのは、世帯間のいろいろなギャップを埋めるために、世田谷区として行政サービスとして提供するものを何とか検討できないかということなんですが、区長、こういう内容で、例えばひとり暮らし世帯、夫婦のみ世帯にサービス提供するということを考えられると思うんですけれども、今後の考え方を区長から伺っておきたいと思います。
◎保坂 区長 ひとり暮らしで孤立、孤独を深めている方にとっても、できるだけ健康に安全な生活改善に資する政策が必要だというふうに思っています。
◆あべ力也 委員 ぜひそういう視点で、世帯間のギャップを埋めるような施策展開をぜひしていただきたい。この三点についても、ぜひ実施に向けて検討していただきたいと要望しておきたいと思います。
以上で私の質問を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で減税せたがやの質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、レインボー世田谷、どうぞ。
◆上川あや 委員 住民票における同性カップルの扱いについて伺います。
現状、同性カップルは世帯を一つにできても、両者の関係性を表す続柄記載は同居人。家族扱いではないその記載に傷つき、落胆する方々がいます。そこで、その記載を変えられないですかという提案です。
まず、同性カップルも住民登録では同一世帯になることができますが、世帯を一つにすることのメリットとデメリットをどのようにお考えでしょうか。
◎舟波 地域行政部長 同性カップルが同一世帯とするメリットといたしまして、一般的には自治体や民間サービスをより広く受けられるようになると聞いております。また、住民票の手続では、同一世帯であれば、住民票の写し等の請求、異動の届出を委任状の提出がなくても行うことができます。その他、影響が想定されるものといたしましては、例えば住民税非課税世帯だった方が、同一世帯としたことによりまして、一方の相手方の所得状況に応じた各種保険料の負担増などが考えられます。
◆上川あや 委員 従来、区では同居をして生計を一にする同性カップルは、住民登録を同一世帯とできる一方で、世帯主との関係性を表す続柄の記載では、同居人以外の記載は選べなかった。これが日本人同士のカップルでは原則だった。この認識に誤りはないでしょうか。
◎舟波 地域行政部長 パートナーシップ宣誓は、戸籍上の婚姻制度とは異なる制度ですので、宣誓をしても続柄を夫や妻とは記載ができません。お尋ねのケースの場合、区では住民票の続柄を同居人としております。
◆上川あや 委員 先ほど日本人同士の同居では、世帯を一つにできても、続柄の記載は同居人しか選べないと言いました。他方、外国人同士で同性婚したカップルは、住民票の続柄の記載を縁故者にもできる。この認識に誤りはないですか。
◎舟波 地域行政部長 窓口事務において実務の参考にしております窓口事務質疑応答集の取扱いに基づきまして、外国の制度で婚姻したと窓口で申出があり、本国において婚姻関係に証する書類の提出があった場合につきましては、縁故者としてございます。
◆上川あや 委員 同居人と縁故者、そのどちらで記載をされても、住民票上同一世帯というだけで、法令上、権利義務に差異は生じず、不利益もないと考えるのですが、この点はいかがでしょう。
◎舟波 地域行政部長 住民票に世帯主との続柄がどのように記載されているかによりまして、何らかの法的効果を有すると解すべき根拠が見当たらないため、法的な権利義務に差異を生じることはないと認識してございます。
◆上川あや 委員 いわゆる養育世帯でも、続柄記載を縁故者とするケースがありますね。ここでも、住民票に縁故者と記載されたところで、法令上、権利義務に差異は生じず、不利益もないのではないですか。
◎舟波 地域行政部長 養育世帯は様々な世帯構成が想定され、養子縁組の届出がない養子については縁故者と記載すると、住民基本台帳法令関係実例に記されております。また、窓口事務質疑応答集では、実家に預けた場合は子の子、親戚宅で養育されている場合は縁故者、知人の子を養育する場合は同居人と記載する旨が記述されております。
続柄の記載内容によって何らかの法的効果を有すると解すべき根拠が見当たらないため、法的な権利義務に差違を生じることはないと認識してございます。
◆上川あや 委員 住民票の続柄記載で同居人と書いても、縁故者と書いても、法令上の権利義務に差異は生じず不利益もない一方で、同居人と書くか、縁故者と書くかで世間の受ける印象は大きく異なります。同居人の表記には、同居の事実を伝えるだけで、両者に特別な関係性を印象づけるものはありません。
一方で、縁故者の縁故は、広辞苑の説明にも、「①血縁・婚姻などのえんつづき、つづきあい。②人と人とのかかわりあい、故あっての人のつながり、つて。」とあるとおり、縁故者と表記されれば一気に親密さを想起することができます。どういう関係か詳細は分からないけれども、両者に絆があると感じ、軽々に他人扱いすることができない重みを感じる方も多いと思うのです。
そこでお願いがあります。住民基本台帳は国からの法定受託事務ではありません。区が一定の裁量権を持つ自治事務であるはずです。ならば、区の判断で日本人同士の同性カップルでも住民票の続柄記載では縁故者を選べるようにしてほしいのです。
実はこの住民票、続柄記載の変更を、私は同性パートナーシップ制度ができた二〇一五年からずっとお願いし続けてまいりましたが、世田谷区が六年間足踏みをしている間に、兵庫県明石市や埼玉県久喜市がパートナーシップ制度の利用者に、縁故者でも選べるようにすると発表し、拍子抜けをしております。なぜ世田谷区はこうも検討が遅いのでしょうか。
また、私が議会事務局の協力を得て二十三区を調査した結果でも、本区と同様に同性カップルを一番初めに認めた渋谷区はもちろん、パートナーシップ制度のない台東区ですら、同居する同性カップルには縁故者表記も考え得ると回答しております。
台東区は、その理由として、根拠一、まず、同居人でなければならない決まり自体が存在しない。根拠の二、重婚や近親婚など事実上の夫婦生活をしているが、民法上婚姻が認められていない場合は縁故者と記載すると、実務の応答集に既にある。この二点を挙げております。
つまり当区にできないはずなどないのです。これ以上追い越されることなく、世田谷区もぜひ選択肢を増やしていただけないでしょうか。
日本人同士の同性カップルにも縁故者表記を認めるよう改めて求めます。区の見解を伺います。
◎舟波 地域行政部長 住民票は住民に関する記録として様々な手続に広く利用される書類であることから、各自治体においてできる限り統一的に記録が行われるべきものと考えております。しかし、住民基本台帳の運用方針や具体的な事務処理を示している住民基本台帳事務処理要領や、窓口事務質疑応答集の記述では、同性カップルを縁故者として記載することを禁止しているとまでは読み取れません。
区は、パートナーシップ宣誓の制度に取り組んでいることからも、同居人としてより縁故者の記載のほうが、より当事者間の実態に近づくものではないかと考えております。社会における性的マイノリティーへの理解が進む中で、当事者の日常生活に支障を少しでも取り除くことができるよう、同一世帯であるパートナーシップ宣誓をした同性カップルが、希望により住民票の続柄を縁故者にできるよう、課題を整理しながら検討を進めてまいります。
◆上川あや 委員 区のパートナーシップ宣誓制度を理解している割合は、区の男女共同参画に関する区民意識調査でも僅か三割にとどまる一方で、住民票を知らない国民はほぼいないと思います。それだけ信用力のある書類ですので、速やかな改善を改めて求めまして、私の質疑を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上でレインボー世田谷の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、世田谷無所属、どうぞ。
◆ひうち優子 委員 本日は、新公会計制度について伺います。
世田谷区は各自治体が作成、公表している財務諸表に加えて、私の提案により、令和元年度決算から、外郭団体や一部事務組合などの連結精算表と内部取引による相殺消去などの内訳表を、さらに今年度から、全事業別財務諸表を作成し公表され、全国の自治体の模範となっていることを高く評価いたします。
ところが、せっかくこれだけの財務諸表を作成し公表されていても、他の自治体が世田谷区と同様に作成しなければ、自治体間の比較ができません。
そこで、他の自治体も同様に、世田谷区を手本として公表されるよう働きかける必要があると考えます。お考えをお伺いいたします。
◎原田 会計管理者 委員からの御提案もあり、世田谷区はこれまで、考えられる全ての財務諸表を作成して公開してまいりました。今後はこれらの財務諸表を基に、各所管課が事業を分析し、より効率的な行政運営に資することを期待しているところです。そのためには、委員お話しの他自治体との比較も必要となってまいります。
世田谷区は、新公会計制度の先進的な自治体の全国的組織である新公会計制度普及促進連絡会議の構成員となっておりますので、まずはこの連絡会の中で、世田谷区の取組を紹介し、全国に広げてまいりたいと考えています。
◆ひうち優子 委員 ぜひよろしくお願いいたします。
次に、健康経営優良法人認定制度の推進について伺います。
健康経営とは、従業員などの健康管理を経営的な視点で考え、健康投資を行うと言われ、従業員の活力向上や生産性の向上など、組織の活性化をもたらし、結果的に法人の利益につなげていこうとするものです。
経済産業省では、健康経営に係る各種顕彰制度として、平成二十八年度に健康経営優良法人認定制度を創設しました。これは優良な健康経営に取り組む法人を見える化することで、社会的に評価を受けられる環境を整備しようとするもので、大規模法人部門と中小規模法人部門の二つの部門で健康経営優良法人を認定し、ロゴマークの使用などを認めています。
経済産業省が、就職活動を行う千三百九十九人に対してどのような企業に就職したいかを尋ねたアンケートでは、福利厚生の充実と従業員の健康と働き方への配慮の項目が、企業の実績や企業の知名度など一昔前は重要視された項目を抑えて一位と二位を独占しています。働き方に配慮された企業が求められており、人口減少の中、区内の法人が健康経営を意識することは、人材確保の競争力を高めることにつながります。また、地域に健康経営優良法人が増えるということは、区民の健康増進にもつながると考えられます。
まず、経済産業省の健康経営優良法人認定制度について、区の考えをお聞かせください。また、区内事業者で、この認定制度を受けている法人の数は幾つあるのか、あわせてお伺いをいたします。
◎田中 経済産業部長 世田谷区地域経済の持続可能な発展条例では、誰もが自己の個性及び能力を発揮することができる働きやすい環境を整備し、起業の促進及び多様な働き方の実現を図ることを基本的方針として掲げています。
また、事業者の責務として、誰もが働きやすい職場環境の整備や従業員の福利厚生の向上等に努めることも定めており、健康経営優良法人認定制度の取組は条例の理念と一致するものであると考えております。
なお、区内の二〇二二年の認定法人は、大規模法人部門で十一社、中小規模法人部門で十三社となっています。
◆ひうち優子 委員 また、全国的にも健康経営優良法人の認定を受けている法人が増えてきており、そのような中、全国の様々な自治体や大手企業でこの制度を後押しする動きが出ています。健康経営優良法人に対する特典として、銀行では融資の金利引下げや保険会社では保険料の割引などが設定をされています。自治体の取組としても、長野県や大分県では、中小企業向けの融資制度の中で、健康経営優良法人に対しては、利率の引下げ、より有利な融資を受けることができます。また、北海道岩見沢市や長野県尼崎市においても、公共調達加点評価として、健康経営優良法人認定を受けている市内事業者に対して、公共工事の入札審査で加点評価を行っています。
世田谷区においても、健康経営優良法人認定制度を認定した企業には表彰制度を設けるなど、企業へのインセンティブを行い、健康増進につなげていただきたいと考えますが、区の見解をお伺いいたします。
◎田中 経済産業部長 SDGsやESG投資など企業の非財務価値が重要視される中、委員御指摘の健康経営など先駆的な取組を行う事業者への支援は、区内中小事業者の人材確保や事業の拡大につながると考えられます。
改正条例の理念を踏まえ、アフターコロナを見据え、区内事業者が継続的に発展できるよう、御提案の表彰なども含めて支援の在り方を検討してまいります。
◆ひうち優子 委員 ぜひ区内事業者に対して様々な働きかけ、また支援を行っていただくことを要望いたします。
以上で質問を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で世田谷無所属の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、Setagayaあらた、どうぞ。
◆佐藤美樹 委員 まず、総括で申し上げた子どもの権利について、今日は離婚の際、あるいは離婚家庭における子どもの権利というところで伺います。
離婚後の子どもの養育支援であったり、面会交流支援ということは、これまでも何度か取り上げてきました。今日は離婚に至る手前の子ども家庭支援センターの相談窓口で相談を受ける際に、子どもがいる場合に、離婚後も両親であり続けるということ、あるいは子どもの権利という視点があるかどうかということを伺いたいと思います。この視点があるかどうかということで、相談後の展開というのが大きく変わってまいります。目の前の離婚のことしか見えなくなって相談に来られている方に対して、子どものことが置き去りにならないようにするためにも、相談員の方たち、家庭相談員、あるいは婦人相談員と言われる方たちでありますが、こういった方たちの例えば研修内容に、面会交流のことも含め、親であり続けることや子どもの権利といったところを取り入れていただきたいと考えますが、見解を伺います。
◎安間 北沢総合支所
保健福祉センター所長 区では、離婚により別れて暮らす親と子どもの面会については、子どもの利益を考慮して実践することが大切だと考えております。総合支所の窓口では、離婚の際に面会を取り決めておくこと等が記載されているひとり親に関するリーフレットを配架し、家庭相談員による面会交流の御案内もしているところでございます。
離婚により親と離れることは、子どもの心に大きな影響を与えることから、常に子どもの権利を優先し、離婚後の面会を含めた養育支援について、子ども家庭支援課の職員は、今後も研修等を通じ相談機能のさらなる充実を図ってまいります。
◆佐藤美樹 委員 研修内容というところで、私も引き続き伺ってまいりたいと思います。
また次に、これも総括で触れた点の延長なんですけれども、総括で環境掛ける経済というような政策のことを触れました。昨今、例えばこのSDGsもそうですけれども、あるいは福祉と教育であったり、あるいはグリーンインフラであれば、土木とみどり政策と領域をまたがって取り組んでいかないと進んでいかないような事業というのが増えてきていると見ています。
それに対して、各所管の方々は連携で取り組むと言われるわけですけれども、では、その予算についてはどうかというと、例えば民間企業であればプロジェクト予算ということでプロジェクトで予算が持てるわけですが、行政は共同予算という立て方はできないので、どちらかの所管がどうしてもその予算については持っていると。この辺が連携が進まないことの一つの要因なのかなとも見ているわけですけれども、であれば、その成果の部分のところで、連携が進んできたことでの成果の見える化というところをこれから見せていっていただきたいなというふうに考えています。
例えばこの二月に始まった新潟県津南町の自然エネルギーの利用促進というところにおいて、これは環境政策部の政策、事業なわけですけれども、区内事業者の方たちの募集を募っていくに際して、環境政策部単体で動いた場合に、例えば十件の成約だったところを、経済産業部と一緒に動いたことで事業者の獲得が二十件だった。であれば、この二十と十の差の十件のところが連携による成果というふうに見せられるわけで、こういった形で、数値化も含めて連携の成果というところを、今後の主要施策の評価のところで見える化していただきたいと考えますが、見解を伺います。
◎加賀谷 政策経営部長 具体的な政策の分野が、例えば環境と経済、緑と防災、さらにはDX、SDGsなど広範囲にまたがる取組を重点的に推進していくに当たりまして、組織を超えた横断的な連携に取り組み、その横断的連携がどのように機能したか、大局的な視点で評価し結果を共有することで、よりよい連携を生む好循環につながるものと考えております。
お話しの決算の際にお示ししております各会計主要施策の成果の中で、基本計画に掲げます六つの重点政策に関しては、横断的な連携の取組について成果や課題などの評価を行っておりますけれども、今後、例えば連携の視点から捉えた成果に数値を加えるなど、連携の成果については、見える化につなげてまいります。
◆佐藤美樹 委員 端的に見える評価というところは、連携をしている所管のモチベーションにもつながっていくと思いますので、引き続き私も見てまいりたいと思います。
最後に、DXの部分でも伺いたいと思います。
今回の予算書別冊の三六ページ、DXの推進ということで十二・七億円計上があるわけですけれども、先日、区民の方でお母様が亡くなられた方から、二か月たって、役所からいまだにばらばらと介護保険だなんだ、還付金だなんだと書類が届いて、いちいち記入して返さないとならない。マイナンバーだ、DXなどと言っている割には、いまだにべらぼうにアナログですねというお話を伺いました。
私自身も、確かに区がDXのRe・Designと掲げて一年たったわけですけれども、一区民としても何が変わったのかなと思うところもあります。
この区民の方のケースも、いろんな書類がばらばらと、同じような書類がいろんなところから届いて、いちいち返さなきゃいけないというのは、名寄せというのができない、名寄せができれば一つ集約してできるような手続も、その辺は個人情報保護条例の壁もあるのかなというふうに考えますが、それを抜きにしてももう少し加速していただきたいと考えますが、見解を伺います。
◎加賀谷
デジタル改革担当部長 区では、DX推進方針Ver・1ですけれども、これに基づき、オンライン手続の拡充やLINEを活用したセグメント配信の開始、介護保険料等の口座のオンライン手続、くみん窓口におけますキャッシュレス決済の導入など、できるところからスモールスタートしております。
DXはデジタルを活用して業務フローを大胆に見直すなど、将来の行政サービスが区民生活の視点でどうあるべきかを常に考えて、改善を繰り返しながら変革を目指すことが必要であると考えております。
来年度から二年間、変革に向けました重点的取組期間と位置づけまして、四月から新たにDX推進担当部を設置して、組織体制の強化とともに、職員一人一人の意識改革におきましては、研修の充実も図りながら、まずはできるところからトライを重ねて、区民がDXの推進を実感できるよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
◆佐藤美樹 委員 三六ページにもありますけれども、やっぱり各種手続のオンライン化というところが一番実感するところだと思いますので、少しでも加速させていただきたいと申し上げまして、私の質問を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上でSetagayaあらたの質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、都民ファーストの会、どうぞ。
◆そのべせいや 委員 まずは、予算書の形式について伺います。
現在はA4サイズの冊子を見開きで、左側に款項目の前年度比較と財源内訳、右側に節と詳細な説明が記載されている形式で、人間が冊子を開いて見ることを前提のフォーマットが採用されています。翻って情報公開の観点で、現在既にインターネット上にPDFファイルの予算書も公開されていますが、見開きを前提としているレイアウトが縦スクロールで表示をされるため、偶数ページでは款項目のみ、奇数ページでは節と詳細のみが交互に表示をされ、活用が可能な代物ではありません。
今回、三十年分の予算書をあさって、紙でしか存在しないデータ、あるいは紙面をスキャンした画像ファイルとしてしか存在しないデータを表計算ソフト、スプレッドシートの形式に落とし込みましたが、冊子という形式の都合で、これまでの予算書では前年、また統計書などでも概要を五年程度しか比較をされなかった数値が、長期にわたって比較できるようになったことでトレンドや重点項目の理解ができるようになりました。また、年代別人口や保育園、区立小中学校の在籍者、地価、物価指数等のデータと突き合わせることで、課題のあぶり出しや今後の予測も可能となります。
余談ですが、今回過去の区の予算数値を手入力で電子データ化する中で、平成初期の統計書の記載ミスも発見をしましたが、こうしたミスもこれまで機械判別に適した形で電子データ化されてこなかったからこそ、二十年以上見過ごされたのではないでしょうか。
単年度の読み物としてではなく、未来に当たって、またほかのデータと組み合わせて活用可能となるよう、予算書を紙への出力やA4、A3表示の前提を覆し、ソートをかけたり、編集を前提とする機械判別に適したCSVやエクセルといった表計算・スプレッドシート形式のデータで公開できないのか伺います。
◎加賀谷 政策経営部長 区で保有します各種データのオープンデータ化を順次進めておりますけれども、当初予算につきましてはPDFデータ、区ホームページに公開している内容について、御指摘のとおり、当初予算概要の項目として、二十一年度以降の年度別予算データについては、款別、性質別、財源別などに分けまして、別途エクセルデータも公開しているところです。
様々御指摘ございましたけれども、令和四年度当初予算から、当初予算書と同様の予算データをなるべく活用しやすい形で公開をしてまいります。
◆そのべせいや 委員 ぜひ進めていただきたいです。予算以外の人口統計データなども、データは公開されているものの、本来A列に項目、BC列にデータが縦に長く並べられるようなものも、印刷フォーマットに最適化されて、DEF、またGHIと折り返してぶつ切りになっているようなフォーマットも多数見かけますが、こうしたデータも、改めて公開形式を見直していただきたいということは、今日は要望しておきます。
続いて、福祉保健領域で詳細を伺えなかった三十年で増やした児童福祉費五百九十五億円のうち、保育園四百六億円、児童手当、子ども手当百十五億円、子ども医療費助成四十一億円、また児童相談所十九・五億円でもない、残りの約十四億円で何を目指したのか、改めてお聞かせください。
◎柳澤 子ども・若者部長 区では、平成二十七年度から十年間を期間とする世田谷区子ども計画(第二期)を策定し、妊娠期からの切れ目のない支援を進めるとともに、喫緊の課題であった保育待機児童の解消に向けた保育施設整備や子育ての身近な地域で支える支援の充実などに取り組んでまいりました。
令和二年度からは、子どもの貧困対策ですとか、若者の計画を内包し、令和六年度までの第二期後期計画を策定しまして、幅広く様々な施策を展開しているところでございます。
子ども関係事業の拡充で、委員御指摘のもの以外としては、ひろば事業は新規施設の整備等を図り、七年前の平成二十七年度の歳出予算額では約七千万円でしたが、令和四年度の今回御提案している当初予算では歳出予算額が約三億九百万円となってございます。また、産後ケア事業ですと、新規施設の整備と定員の拡大によりまして、同じく平成二十七年度ですと約一億二千七百万円でしたが、今回の令和四年度の当初予算では約一億八千三百万円としてございます。
今後も妊娠から出産、子どもや若者の健やかな成長への支援から、子どもの命と権利を守るセーフティーネットまで、幅広く子ども・子育て施策を展開して充実してまいります。
◆そのべせいや 委員 まずは、産後すぐとゼロから二歳の子育てに特に重点を置いてきたと改めて理解をしましたが、育てやすさが実感されないと、二人目、三人目と子どもを持つことをちゅうちょする大きな要因ともなりますので、どうか子育てが罰ゲームに感じられない社会づくりを進めてください。
続いて、福祉保健領域で新BOP、学童クラブについて、なぜ予算の九割以上を計上する教育委員会事務局ではなく、子ども・若者部が学童クラブを担当しているのか伺いましたが、学校を遊び場として開放するBOP事業に学童クラブ機能が追加されたため学童クラブ単体の機能は子ども・若者部の管轄、その他は教育委員会事務局が管轄との趣旨でした。
一方、利用実態を見ると、二〇一九年度の新BOPの延べ利用者数は、BOP利用者が三十四万人、学童クラブ利用者が百十二万人と学童クラブ利用者が全体の七五%を超え、現在の新BOPに求められている機能は、一義的には学童クラブで、既に新BOPの中の一機能として学童クラブをすみ分けられて考えられる規模ではありません。
翻って全体を管轄すると言える新BOP運営委員会の担当は教育委員会事務局の生涯学習部、全体の今後の方向性を決める新BOP事業の在り方検討会の担当は福祉領域の子ども・若者部となっており、新BOPという事業について、結局どこが最終的な決定権や責任を持つのかが分かりませんし、過去の答弁を見る限り共同所管という表現が多用され、組織間で調整をするという表現で責任の所在を曖昧にするには都合がよいですが、意思決定や実行の速度を落とし、最終的に目的を達成するのに本当に適当かは分かりません。
実質的に多くの割合が学童クラブに投入されている二十億円の出どころが、社会教育費と教育委員会の職員費にひもづくのか、児童福祉にひもづくのか、どちらにしても変わりがないと思われるかもしれませんが、今、予算委員会で予算の審議をしている中で、予算書を見ても説明を受けないと分からないお金の流れでは透明性は確保できませんし、今回、区役所に様々な過去のデータの確認をしたものの、記録が残っていないためすぐに出ないという回答が多くの部署から来ますが、将来、区役所が現在のデータを消去した後でも、誰が見ても理解が可能な状況を確保しなければ、二〇二二年の放課後の遊び場対策の何に五億円も計上したのか、将来全く分からなくなります。正しい流れで誰もが理解できる形でないことを容認するのならば、予算委員会というプロセス自体が必要ありません。
今後の人口動態や三十五人学級化も鑑み、以前からの経緯を踏まえた学童クラブを新BOPのみに委ねる方針を刷新する今、この間の経緯に引きずられた曖昧で追求から回避できる体制から、責任者の確定や権限の明確化、予算の計上の正常化が図れないのか伺います。
◎柳澤 子ども・若者部長 新BOPは学校を所管する教育委員会と地域の子育て拠点の児童館を所管する子ども・若者部との共同所管でございますが、施設面やBOPなど学校に関わることは教育委員会で所掌し、子どもの生活、遊びなどの運営に係る部分を主に児童館職員が担うこととしていることから、教育委員会と区長部局とで役割を分担して、それぞれ責任を持ってやっておりますが、そこについては常に相互に連携しながら事業運営を行っているところでございます。
◆そのべせいや 委員 最終的な責任者って、どなたになりますか。
◎柳澤 子ども・若者部長 これは共同所管でございますので、それぞれ区長部局の区長、それから教育委員会という形で責任を持って担当しています。
○菅沼つとむ 委員長 以上で都民ファーストの会の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、国際都市せたがや、どうぞ。
◆神尾りさ 委員 支援を必要とする全ての区民を一人も取り残さないためにはどうしたらよいかという観点で伺います。
今の時代は、何か困り事があるときに、多くの人はまずホームページ等で検索をして、必要な情報や支援を探すのではないかと思います。まずは、二人の区民の方に登場していただいて、区公式ホームページを使って必要な支援にたどり着くかどうか試してみます。
Aさん、この方は最近親が亡くなって家を相続した方です。区公式ホームページのトップに情報を探すとありまして、そこに「家、相続」と入れて検索してみます。すると、被相続人の交付手続ですとか、世田谷区空家対策等の事例集、相談の御案内などの情報が出てきます。取りあえず、必要な情報が出てきたのでいいと思いますけれども、総括で取り上げました空き家活用ナビ等の情報も追加していただきたいと思います。
次に、Bさん。この方は、障害のあるけれども働きたいと思っている方です。そこで「障害、仕事」と入れてホームページで検索してみます。すると、障害者就労支援センターや、障害のある方の就職相談窓口などの情報が出てきます。こちらもいいと思いますけれども、福祉領域で取り上げました農福連携事業の情報、新しく始まりますので追加されるとよいと思います。
ひとまずこういった形で、区の公式ホームページから必要な情報にたどり着けるんですけれども、新たに始まる事業ですとか、当事者が必要としそうな情報というのを先回りして考えて、随時ホームページをアップデートする必要があると思います。その作業を一体誰がどのように行うのか伺います。
◎加賀谷 政策経営部長 区の公式ホームページですけれども、令和元年七月にリニューアルした際、サイト内の検索のレイアウト配置を行いまして、検索利用数が以前の二倍になっているという状況がございます。ただ、御指摘のように、検索機能の特性としまして、検索ワードに合致した内容しか検索結果として表示されない部分がありますので、各所管でホームページに掲載する際は、情報を収集する区民などの立場で正しく分かりやすいホームページの作成はもとより、各施策を掲載するリード文に、検索キーワードを意識して使用する必要があります。
今年度、毎月庁内向けにホームページ作成のポイントの発信を行い、ホームページ作成研修なども広報広聴課でチェック機能を発揮しながら行っております。ページ作成技術を庁内各所管にも徹底し、スキルの向上に取り組み、ホームページの情報の迅速なアップデートに心がけてまいります。
◆神尾りさ 委員 つまり事業を担当する各所管部で随時区のホームページ情報をアップデートする必要があって、その方法については広報課で周知をしていて、分からなければ問合せ可能ということでしょうか。部長、うなずいていただければ。―ありがとうございます。
ということですので、各所管部のほうで随時アップデートが必要ですので、部長の皆様には迅速な対応をお願いしたいと思います。
区民の問合せの中で圧倒的に多いのが福祉領域の相談であると思いますが、その中にはホームページ等で必要な支援につなげられる方が少なからずいるのではないでしょうか。そういった方を早急に支援につなげることで、職員の時間をより複雑な問題を抱えた区民への対応に費やすことができるようになると思いますが、見解を伺います。
◎澁田
保健福祉政策部長 現在、福祉の相談窓口では、身近な地区で高齢者、障害者、子育てなど様々な福祉の相談について対応しておりまして、特にどこに相談してよいか分からない場合は、
まちづくりセンターが担ってまいりました。
お話しにありましたとおり、支援を必要とする区民を少しでも早く専門の支援機関につなげることが問題の早期解決につながると考えます。現在、区のホームページには様々な相談窓口や事業の案内を掲載しております。今後は相談したい内容や必要とする支援が明確な方には、ホームページ等の相談窓口の検索方法などで速やかに相談窓口を探すことができるよう、分かりやすい案内の仕方を工夫してまいります。
◆神尾りさ 委員 よろしくお願いいたします。
それでは次に、三番目の区民の方に登場していただきます。Cさん、この方は親の介護は必要だけれども、まだ高校生で大学に進学したいと思っている方です。つまり行政用語ではヤングケアラーとなりますけれども、本人はまだその言葉を知りません。そこで、区のホームページに「介護、進学」と入れて検索してみます。すると、就学相談、これは障害や発達上の特性がある方の教育についての情報、また教育支援資金などが出てきますけれども、この方の場合に必要なのは、より早く相談窓口につながることだと思います。
ちなみに、「ヤングケアラー」と入れて検索をしてみますと、研修会の報告ですとか、子ども、教育、若者などの情報が出てきます。こちらも相談窓口にはつながりませんので、先ほどの御答弁にあった方法で改善の余地があるのではないかと思います。
では、実際にそういった複合的な課題を抱えた区民の方が相談窓口を訪れた際に、どのように早急に支援につなげていくのか伺います。ここにあるのが、ちょっと小さいですが、平成二十六年に地域包括ケアの地区展開モデル事業を開始した際に、福祉の相談窓口である、あんしんすこやかセンターがどのように対応して専門機関に引き継ぐかを示した図です。こちら、当時澁田部長がお作りになったというふうに伺っています。
区民が抱える複合的な課題に対応するには、支援先がこれだけたくさんあるということです。必要な方を早急に支援プランにつなげて、予防的、長期的に支援していくためには、どのように体制を強化させる必要があるのか伺います。
◎澁田
保健福祉政策部長 ヤングケアラーや八〇五〇問題などは、当事者が相談につながらないといった側面もあることから、その周囲にいる関係者が本人や家族の困難さに気づき相談窓口につなげることが必要となります。福祉の相談窓口につながった場合は、まず丁寧にお話を聞き、複合的な課題があり、専門的な対応が必要な場合は、総合支所の各課や専門機関に引き継ぎ、適切な支援が受けられるよう対応しております。
長期的な支援に向けまして、
まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会、児童館のこの四者が連携しまして、地区の共通課題や社会資源を把握し、活動団体や事業者、NPO等と連携して、既存の福祉サービスでは対応できない新たな社会資源開発に取り組む必要もございます。
区としては、身近な地区で様々な相談を受け対応し、参加と協働により地域づくりを進めることを通じまして、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう取り組んでまいります。
◆神尾りさ 委員 今ありましたが、当事者と関わる関係者がまず気づき相談窓口につなげること。また、福祉の相談窓口で丁寧に話を聞いて必要な支援につなげること、地域にある団体等との連携、そういった課題がまだまだありそうで、体制づくりには課題が見受けられますので、今後も注視してまいりたいと思います。
支援が必要な区民を誰一人取り残さないという覚悟で体制の強化をお願いし、以上で質疑を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で国際都市せたがやの質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午前十一時四分休憩
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午前十一時二十分開議
○菅沼つとむ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
区民を守る会、どうぞ。
◆くりはら博之 委員 私からはまず、本年四月からの成年年齢引下げについて質問いたします。
法務省によると、成年年齢の引下げによって、十八歳と十九歳の人は親の同意を得ずに様々な契約をすることができるようになります。例えば携帯電話を購入する、アパートを借りる、クレジットカードを作成する、ローンを組んで自動車を購入するといったことであります。また、進学、就職などの進路決定についても自分の意思だけで決めることができるようになります。
民法では、未成年者が親の同意を得ずに契約した場合は、原則として契約を取り消すことができるとされており、これを未成年者取消権と言います。この未成年者取消権は、未成年者の消費者被害を抑止する役割を果たしてきました。しかし、成年年齢が十八歳となった場合には、十八歳や十九歳の人は、未成年者取消権を行使することができなくなるため、悪質商法などによる消費者被害の拡大が懸念されています。
現に消費者トラブルの相談件数は、十八歳や十九歳に比べて二十歳から二十四歳のほうが圧倒的に多く、成人になりたての人がいかに悪質業者に狙われやすいかが分かります。
ここで質問いたしますが、以前に私が一般質問において取り上げた消費者ホットライン一八八の十八歳、十九歳の人への周知徹底も重要と思います。区は、十八歳と十九歳の人の消費者トラブル防止のためにどのような策をお考えなのか、お伺いいたします。
◎田中 経済産業部長 成年年齢が引き下げられることにより、消費者として経験が不足する十八歳、十九歳の若者が消費者トラブルに巻き込まれる状況が懸念されています。区では被害を防止するために啓発活動は非常に重要であると認識し、国や都とともに取組を進めているところです。
ホームページや消費生活センターだよりに、特集記事やトラブル事例の掲載、区内大学などと協力して、学生向け講演会の実施やチラシ配布などを行い、消費者被害の未然防止に取り組んでいます。さらに、今月には、区広報紙、ツイッター、エフエム世田谷など様々な広報媒体を使い広く情報発信をしております。
また、若年層向けのリーフレットやチラシ、大学の学生向けポータルを活用して、消費者トラブルについての相談窓口である消費者ホットライン一八八、いややや、世田谷区消費生活センターの周知徹底も図り、十八歳、十九歳の若者の消費者トラブル防止に努めてまいります。
◆くりはら博之 委員 御答弁ありがとうございます。
続いて、スポーツの普及に向けた取組について質問をいたします。
スポーツ基本法は、スポーツに関する施策を総合的かつ計画的に推進し、国民の心身の健全な発達、明るく豊かな国民生活の形成等に寄与することを目的に、平成二十三年に施行されました。そこにはスポーツに関する基本理念として、国や地方公共団体の責務なども定められており、地方公共団体は基本法の理念にのっとり、スポーツに関する施策に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的にその地域の特性に応じた施策を策定し、実施する責務を有するとされております。
ここで伺いますが、区では、スポーツ推進計画を策定し、スポーツの推進に取り組んでおられますが、区民のスポーツへの参加機会の確保などについて、区の特性に応じ、どのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
◎内田
スポーツ推進部長 現在策定中のスポーツ推進計画調整計画案では、成人の週一回以上のスポーツ実施率六五%以上を目標としてございます。そして、生涯スポーツの振興、地域スポーツの振興、場の整備、パラスポーツの推進の四つを重点的な取組と位置づけているところでございます。
東京二〇二〇大会を踏まえますと、アメリカ選手が今後国際大会などで来日した際には、区民、特に子どもたちの交流機会の創出をすること、また、区内のトップアスリートによるスポーツに関する交流事業継続することが重要だと認識をしてございます。
パラスポーツの推進といたしましては、新たにボッチャ世田谷カップ予選会の実施によりまして区民の参加機会の拡充や、パラスポーツ競技大会誘致による区民の参加、観戦機会の拡大、そして大会受入れによる人材育成の場の創出につなげてまいります。
区といたしましては、新型コロナウイルス感染症の影響も見据えながら、区の特色でもある大学が多うございますので、この大学との連携やアメリカオリンピック・パラリンピック委員会、USOPCとのつながりを活用して、区民一人一人がスポーツ、パラスポーツに親しむ取組を進めてまいります。
◆くりはら博之 委員 御答弁ありがとうございます。
スポーツの機会確保のために、スポーツができる場の整備が欠かせません。区民から様々な要望があるとは思いますが、スポーツ施設の整備はお金も時間もかかります。オリンピック・パラリンピックの熱気を受け、区民のスポーツ意欲も高まっていると思いますが、今後どのような考え方で施設整備を進めていくのでしょうか、お伺いいたします。
◎内田
スポーツ推進部長 お話しのとおり、東京二〇二〇大会を契機といたしまして、区民のスポーツへの興味や関心、そしてパラスポーツの推進機運も高まり、また、ライフスタイルに応じた記録を狙う競技スポーツから、健康づくりのための運動まで、スポーツ施設へのニーズが多様化しておりまして、スポーツの場の確保が重要であるというふうに認識をしてございます。
現在、上用賀公園の拡張用地から和田掘給水所の上部利用、大蔵・大蔵第二運動場におけるスポーツの施設の整備を予定してございます。それぞれ立地や周辺環境は異なりますが、多様化している区民ニーズを踏まえまして、施設内容を検討してまいります。
また、委員お話しのように、新規の施設整備には費用もかなりかかり、時間もかかりますことから、資金面としては、民間資金活用等の区の財政負担軽減の事業手法の検討や、リコーのテニスコート、またJ&Sフィールドのような民間スポーツ施設の官民連携により、多く区民に利用してもらうなど、場の整備に積極的に取り組んでまいります。
◆くりはら博之 委員 御答弁ありがとうございます。
スポーツ推進部には様々な要望が寄せられるとお聞きいたしました。引き続き、コロナ対策に加え、高齢者の増加やライフスタイルの多様化などに十分配慮したきめ細かい対応を求め、私からの質問といたします。
○菅沼つとむ 委員長 以上で区民を守る会の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、無所属、どうぞ。
◆青空こうじ 委員 私からは、区内のごみ出しのルールについてお伺いします。
私は、自分の利用しているごみの集積所を含め三か所の集積所の掃除をしています。集積所の掃除をしていると、ごみの分別が残念ながら徹底されていません。実際は区のごみ出しのルールを守って、適切に分別してごみ出しをしている方がほとんどで、清掃など管理がきちんとされている集積所もたくさんありますが、また一方で、ごみ散乱防止ネットがあっても、はみ出してごみを出される集積所もあったり、生ごみをカラスに荒らされたり、月に二回のペットボトルを出す日に、風に飛ばされて道路に出てくるポリ袋もあります。
また、適正に分別されていないため、清掃の職員が注意シールを貼ったごみが取り残されるケースもあります。コロナ禍でも清掃の職員は、決められた日にきちんとごみの集積をされております。最近では、コロナ陽性者からのごみも多い状況かと思います。
そこで、世田谷区のごみの出し方や分別の状況は現在どのような状況なのか、お伺いします。
◎辻 清掃・リサイクル部長 委員御指摘のとおり、区内八万か所以上あります集積所の全てが適切に管理され、分別が徹底されているわけではございません。例えば若年層のひとり暮らしのワンルームマンションなど、決められた収集曜日が守られず、常にごみなどが散乱しているような集積所も散見されるのが実情でございます。
また、レジ袋の有料化の影響もあると思いますが、ごみ袋としては耐久性に乏しい薄いものにごみが詰められて排出されることが増え、収集作業中に袋が破壊し、ごみが散乱して、その場の清掃に時間を要することなども起きております。
また、新型コロナウイルス感染症対策としては、令和二年度以降、保健所と連携いたしまして、陽性者の方へごみの排出に関する注意などを呼びかけてまいりました。また、ホームページなどでは使用済みマスクやティッシュなど、ウイルスが付着しやすいごみは飛散しないように新聞紙などの紙類に包むか、別の小袋に入れてからごみ袋に入れて排出するよう協力をお願いしているところでございます。
◆青空こうじ 委員 ごみの分別や出し方について、区のルールを守っている区民の方が大半ですが、しかしながら、針金ハンガーや布団などが可燃ごみに、そして、リサイクルできる紙やガラス瓶などが可燃ごみや不燃ごみに入っていたりすると聞いています。
また、答弁にもありましたが、私の住んでいる地域では単身の若い男性が多く、ワンルームマンションなどは、分別やごみ出しのルールをまだ知らない方が多いと感じています。区民が分別を徹底してルールを守って、ごみ出しをすることは、ごみの減量や円滑なごみ収集作業、町の美化にもつながると思います。そのためには、区民がごみの出し方や分別といったルールをきちんと知っていなければなりません。
そこでお伺いしますが、ごみ出しや分別についての区民への啓発はどのようになっているのか、お伺いします。
◎辻 清掃・リサイクル部長 ごみの出し方や分別方法につきましては、毎年十一月に全戸配布しております資源・ごみの収集カレンダーや、ごみ分別アプリ「さんあ~る」、メール配信サービスなどにより周知しております。また、令和三年二月より、区のホームページ内や粗大ごみのインターネット受付ページにおきまして、分別方法等に関する質問に自動で回答するチャットボットを導入しております。
資源、ごみが適正に分別されていない場合は、張り紙を貼って注意喚起するほか、分別されていない集積所の利用者やアパート等の管理者、有料ごみ処理券を適正に貼付していない事業者などに対して、管轄の清掃事務所のふれあい指導班の職員が直接指導を行い、また区民からの相談に対応しているところでございます。引き続き、ごみの減量や、円滑かつ安全な収集作業に向けて分別の徹底や適正なごみの出し方につきまして、様々な媒体を活用し、区民の皆様に一層の御協力のお願いと啓発を進めてまいります。
◆青空こうじ 委員 次に、使用済みのプラスチックに移りますが、プラスチックは軽くて丈夫、そして成形しやすく大量生産が可能であって、多様なものにも使用されて、私たちの生活に欠かせないものとなっています。
十一月の区民生活常任委員会で、今後のプラスチックの資源循環施策の報告がされ、世田谷区でも家庭から排出される使用済プラスチック製品の分別収集、再商品化の在り方について、従来の方針を見直し、検討を進めるとしていますが、現在区では、ペットボトルと一部のプラスチックを除き可燃物として収集、清掃工場で焼却、熱回収の上、発電や温水プールのなどに活用しているとのことですが、清掃・リサイクルの審議会で議論も始まるとのことですが、今後区の分別はどのようなものになり、そして分別を実施する場合には、区民の周知はどのように考えているのか、使用済プラスチックへの対応をお伺いします。
◎辻 清掃・リサイクル部長 地球温暖化やマイクロプラスチック問題などへの意識の高まりから、使用済プラスチック対策の重要性が高まっております。区は、プラスチックの資源循環について、令和三年度より専門家を交えて研究、検討してまいりました。
その結果、再商品化の手法により二酸化炭素削減効果が大きく変化すること、また最大で年間約二十億円程度の経費が必要になることなど、様々な課題が明らかになってまいりました。
また、委員御指摘の分別も大きな課題でございます。プラスチックの分別収集を実施する場合は、分別区分の変更に伴い、区民の皆様に新たな行動を求める必要があることから、分かりやすい周知徹底方法が重要となってまいります。使用済プラスチックへの対応につきましては、引き続き丁寧に検討を進めてまいります。
◆青空こうじ 委員 分別やごみ出しのルールが区民に浸透して守られることを期待して、私の質問を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で無所属の質疑は終わりました。
────────────────────
○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、自由民主党、どうぞ。
◆真鍋よしゆき 委員 昨年の九月に私の近所で火事がありまして、残念ながら三軒の商店が燃えました。それから半年ぐらいたつんですけれども、先日見慣れぬ市外局番の電話が私のところにかかってきまして、インターネットで火事のことを聞いたんだけれども、大丈夫でしょうかというお話でした。
その方のお話によると、昔、若い頃と言っていましたけれども、世田谷区に住んでいて、商店街の方には大変お世話になったと、そこでいつもよくしてくれたお店が焼けたと聞いて心配で、すみません、突然電話しましたということでした。幸いちょっとしたやけどで済みまして、また再建を目指して頑張っておられるし、元気ですよというお話をしました。また、八百屋さんはどうしていますか、豆腐やさんやパン屋さんはどうしていますかなんていう話で、非常に懐かしそうに話していまして、今ちょっと遠く離れているんで、すぐにお見舞いには行けませんが、必ず世田谷区に行きたいと思いますなんていう話もしてくれました。
そのお電話をいただいたときに、突然だったんですけれども、こうやって若い時代、世田谷区で育っていった方にとってみれば、世田谷区というのは懐かしい場所であり、やっぱりそういう方々の安否というか、そういうことは本当に気になるんだなということが、また改めて感じることができました。
もともとふるさと納税にしても、こうやってお世話になった、若いころお世話になったと、それで自分が一生懸命仕事をするようになって、少しでもお返しができないかなと、こういう純粋な気持ちでそれぞれ御恩返しみたいな形でやっていく制度だったと思います。
それが、区長も言われておりますとおり、またテレビを見ても、もう特集番組で現地ロケやったら最後、そこのふるさと納税の返礼品はこれですよみたいなことになっていって、世田谷区も御多分に漏れず、大変厳しい減収になっているということなんです。
このことについて、この制度が、やはり本来の趣旨から逸脱しておかしい方向に走っている、もうそのとおりだと思うわけですけれども、じゃ、それに抗議だけをして、反対しているだけでもなかなか済む話じゃないですし、今、世田谷区として何を行うのがベストなのかというのをやっぱり考えていかなきゃならないと思います。
この委員会の中でも、他会派の方々から、具体的にこういうのもできるんじゃないか、こういうアプローチもあるんじゃないかというお話もありまして、私もそうだなという気がしています。
このふるさと納税のことについて、他会派の方々もいろいろ質問されているし、我が自民党の中でも質問させてもらっているし、私もこれまでも質問してきましたけれども、印象は何かいまいち乗ってこないというか、ちょっと消極的じゃないかなという気が私はしているんですね。やっぱり区長の立場というのは非常に重いものがありまして、やっぱり区長が返礼品競争にくみしないと、こう言われたら、くみしなくていいのか、その言葉が独り歩きをもしかしたらしているんじゃないかなという気は私はします。
だから、先ほどの方でもそうですけれども、じゃ、世田谷区をふるさとと思ってくださる方に、きっかけづくりを世田谷区はしたらどうだろうかとか思うんです。こういうことがあるんだから行ってみようかみたいな形。例えば商店街でまちバル、今コロナでなかなかできませんでしたが、やっていますね。そういうところにお声をかけて招待したらどうだろうか。そこに行くので、ついでに若い頃いたあの町に寄ってみようとか、こういうきっかけつくりというのはあると思うんです。
それから、体験型で大根を、体験がありましたけれども、246ハーフマラソンなんかもそうでしょうね。今やっていることはいいことなんですけれども、それは組織化、総合化されていないような気がするんです。体験型にして、この間、タケノコ掘りのお話も他会派の方がされていたけれども、大根、サツマイモ、ジャガイモ、イチゴ、ブドウ、ミカン、栗、ブルーベリー、リンゴ、梨、世田谷区の農産物でもこれだけ体験できるわけですね。もちろん区内にお住まいの方と区外の方々にとって在り方が違うと思うんですけれども、また美術館であるとか様々なこういう世田谷区には売りになるものがあるんです。だから、世田谷をふるさとと思ってくださる方へのきっかけづくりや、それからそういう様々なことを駆使して、やっぱり返礼品競争じゃなく、世田谷区の魅力を全国に発信する、こういう発想で取り組むべきだと思うんです。多分、議員の皆さんもそう思っておられると思うんです。
ここでやっぱり重要なのは、区長がどういうリーダーシップを取るかなんですね。ぜひとも、ただこの制度がおかしいと言うんじゃなくて、世田谷の魅力を全国に発信しよう、保坂区長自らが号令をかけて、それで区役所一丸となって取り組もうと、こんな姿勢が大事だと思うんですけれども、区長どうでしょうか。
◎保坂 区長 ふるさと納税について、これまで議員おっしゃるように、この制度自体のおかしさ、そして税制として極度にバランスを欠いているということを申し上げてまいりました。要するに、過度な返礼品競争を批判しながら、そこにはくみしないんだということも言ってきました。そして、地域貢献型の寄附を中心に、うまく工夫しながら寄附を集めようと。二月の末で一億四千万円ぐらい、その他の寄附も含めて、ふるさと納税以外の寄附も入っているかと思いますが、集まってきていますが、流出額が七十億円。これはやはり実質日本一と。四分の三の交付税が来ないということなので、この成果を持っても、やはり私自身、もうとうに限界を超えているというふうにも感じています。
幾つかいろいろ提案をいただくんです。その際に、返礼品競争にくみしない、いわゆる自治体通販に世田谷区はちょっと遅れたけれども加わりますということでは必ずしも、そういう他自治体をコピーするような形ではなくて、世田谷らしさ、文化や芸術、その中で福祉や様々なサポートですね。児童養護施設の退所者支援なんかはそのうまくいった一つだと思いますけれども、そういうことと税収を取り戻していくということをセットにしていく時期に入ってきたんじゃないかというふうに考えております。
今後、ふるさと納税対策として、今、委員御提案の世田谷の魅力を発信しようじゃないかということ、大変大事だと思いますので、従来の社会貢献型、地域貢献型はどんどん広げて続けて、ここに合わせて、新たな展開ということを新年度に向けて指示していきたいというふうに考えております。
◆真鍋よしゆき 委員 今御答弁いただきましたけれども、ぜひともそんな形で区長が鼓舞してくださったら、担当の職員も頑張りますなんて言ってくれましたので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、先般の区民生活の領域でもちょっと触れた地域行政制度のことなんですけれども、様々な議員から質問がありまして、私もこの地域行政制度の条例化について、これも先ほど申しました区長のリーダーシップというか、区長の目指す方向性というのがやっぱり明確になっていて初めて整備されていくんだろうなと思い、また同趣旨の質問もこれまであったと思います。
振り返って、前回ちょっとお話ししたんですけれども、大場区長の時代に、十三年間で総合支所長が二十六人なんですね。平均約二・五年勤めておられる。中には準備室長、準備の段階でやっている方が三人いて、総合支所ができたときに、初代総合支所長になって一年で三人辞められたなんていうこともありながら、平均約二・五年お勤めになった。熊本区長時代は八年間で十九人で約二・一年なんですね。
保坂区長になられてから十年間で三十人で、これもざっとですけれども、約一・七年なんですね。こういう一つの総合支所長という五つに分けられた区の中でのお立場の方の任期を見ても、これまでの地域行政制度というのは重きを置かれたのかなというのが何となく客観的に見えるような気がしているんです。
それで、総合支所長というのは区の役人さんの最高峰で区長の代理。というより、むしろ私は、発足当時から区長の名代で、中には村長とも呼ばれていたんですね。ですから、やはりそういう立場の方が五つの地域にいて、そして行政を展開していく。こういう姿が、今コロナ禍でもあるので一概に申し上げられませんが、総合支所長、誰だったかな、あれ、替わっているんだとかという感じもなきにしもあらずで、果たしてそんな形で臨んでいけるのかなという気はするんです。
またこれも、私から見た感じでは、大場区長の時代というのは、やっぱり地方分権、地域分権、それであのときいろいろやり取りしましたが、本庁はスリム化して地域行政制度を徹底するんだという、一言で言えば地域分権だったと思うんですね。熊本区長の時代というのは行政改革というのが基で、やはり二十七、二十八の出張所から窓口業務を絞り込んで、それでその改革にするんだと。それぞれ思いがあり、哲学があり、また検証すべき中身があると思うんですけれども、じゃ、保坂区長は一体この地域行政制度というのはどういうものを、さっきみたいにだだだだっと言うんじゃなくて、どういうのを目指していくんだというのを、やっぱりここで明確にしてもらう必要があると思いますので、どうお考えなのかお尋ねします。
◎保坂 区長 平成の初めにスタートした地域行政制度、三十年がたちまして、二十八か所の
まちづくりセンターは大きくその役割を発展させていく時期に入ったと考えております。児童館も入れて四者連携、そして住民のよりどころであり、主体的、積極的な全世代型の参加を、デジタル技術も使いながらつくり出す挑戦をしたいと考えています。
コミュニティーの再生とデジタルデモクラシーに支えられた漢字四文字で言えば、あえて住民参加を目指していきたいというふうに考えています。
そして、今般の地域行政制度の改革で目指すのは、行政サービスとして様々な手続、あるいは問合せ相談等がスピーディーに行われる窓口改革を、ICT技術も使いながら推進していくことであるとともに、もう一つはやはり地区地域に眠っている、眠っているという言い方は失礼かもしれないですが、存在している非常に力強い社会資源、グループだったり、個人だったりしますけれども、そういう区民の皆さんの力をしっかり、自治的な力というか、そういったものを合意形成、デジタル技術も使いながら行っていくことを目指していきたいと思います。
そこで、新しい住民と古くからのお住まいの皆さんとの壁や、様々な世代の壁を打破して、そしてまた、デジタルといっても高齢者を置き去りにしない、包摂する配慮をしながらやっていきたいと。
そして、今、御指摘いただいて、一・七年ですか、これは非常に短いなと率直に思いました。総合支所の役割について、今回しっかり議論も進めていき、総合支所長が地域経営を牽引する存在だという新たな位置づけと、何をどこへ、どの範囲でということも明確にしていきたいと思っております。
◆真鍋よしゆき 委員 今お答えいただきました区長の考え、思いを皆さんによく伝えていただいて、いろいろやり取りの中で、言っているけれども本当に大丈夫かなとか、今の実態は違うとか、今日の午前中の質疑でもありましたけれども、そのようなことで大変これは重要な課題であり、心配もしています。ぜひともリーダーシップを取ってやっていってもらいたいと思います。
次に、連続立体交差事業のことについてなんですけれども、毎回取り挙げている区民の意識調査で、御案内のとおり、世田谷区は十年連続、道路が狭くて危険と言っているわけですけれども、それが区民の困り事の一番なんですけれども、でも、玉川南部の地域と北沢西部の地域と烏山地域は、御案内のとおり、電車の踏切がなかなか開かない、渡れない。これが一番ですね。
ですから、同じ世田谷の中でも様々なこういう課題があるわけですけれども、そこで、この開かずの踏切解消というのは重要なことであります。京王線の連続事業につきましては、事業認可が下りて事業が始まっているんですけれども、最初の工期からまた伸びていく。それから各駅ごとに工区が分かれているんですけれども、工区によっても進みの違いが数字でも表れてきているというふうに伺っています。
まず、その理由は何なのかお尋ねしたいと思います。
◎田中 道路・交通計画部長 京王線連続立体交差事業は、京王線笹塚駅~仙川駅間の約七・二キロメートルの区間の全ての踏切、これらの開かずの踏切二十五か所を除却するために、東京都が平成二十六年二月に都市計画事業認可を取得し、令和四年度末の完成を目指し、取り組んでまいりました。
本年二月末時点での用地取得率は八割を超えておりますが、用地取得の遅れにより残る工事を考慮すると、期間内に完了することが困難な状況から、このたび東京都が事業施工期間を令和十二年度末まで延伸する認可を受けたところでございます。
本事業による鉄道を高架化する工事では、区間を八つの工区に分けて進めており、用地が連続して取得できた六つの工区では既に工事に着手し、明大前駅東側付近では、下り線の高架橋の躯体が立ち始めるなど工事が進捗しています。また、本年秋には千歳烏山駅付近の工区で、工事着手を予定しております。
一方、上北沢駅付近では、鉄道の南側のつけかえ道路整備に必要となる用地取得件数が他駅と比較して多いことなどから、用地取得が遅れ、工事にはまだ着手できない状況でございます。
◆真鍋よしゆき 委員 この京王線の連続立体事業については、昭和四十年代に複々線で都市計画決定がなされていて、そこは都市計画の予定地内ということで建築の制限をずっと受けてきたと思うんです。今度その効果が複々線、四線から今度は二線でこの工事が始まっているわけです。ということは、その当該の買収をするべき用地というのは、もともと昭和四十年代から建築制限を受けて都市計画の網の中に入っていたわけです。ですから、ある意味の覚悟もあるし、東京都に言わせれば、その部分を都市計画税を減免してきたなんて言っているんです。それだけ分かり切ったところを用地買収していくのに、なかなか進まないから、また八年間延伸する。
本当に公がやることって、工期って一体何なんだろうと本当につくづく思います。そういうことも含めて、それぞれの地権者の皆さんは、にわかに都市計画の網がかかったのではなくて、ある意味、覚悟ができている上での事業だと思います。ですから、今後の対応というのは、そういうものも含めて、きちんと工期を守って開かずの踏切をなくすということが重要だと思うんですけれども、今後の見通しについてお尋ねします。
◎田中 道路・交通計画部長 本事業においては、鉄道高架化のため主に鉄道南側の用地取得が必要となり、また、鉄道南側に現況道路がある場合には、道路付け替えのための用地取得と、高架橋築造工事に先行した、付け替え道路の整備も必要となります。そのため、用地取得の進み具合が事業進捗に大きく影響を及ぼすため、事業主体である東京都からは、用地取得の実務を担っている東京都道路整備保全公社及び京王電鉄等との用地取得の体制等をさらに強化すると伺っています。一方、区では、東京都からの受託により街区単位で用地取得ができた箇所から付け替え道路の整備等を順次実施しております。
今後につきましては、関係機関で用地取得状況等を適宜確認し、課題等を共有しながら進め、工事未着手区間においては、一定程度連担して用地取得ができた箇所から鉄道及び付け替え道路等の工事を予定しております。
区といたしましては、引き続き東京都をはじめ関係機関と緊密に連携し残る用地取得や、付け替え道路等の側道整備工事などの様々な面から事業協力し、関係機関一丸となって取り組んでまいります。
◆真鍋よしゆき 委員 本当に事業が順調に進むように、これからも取り上げていきながら、開かずの踏切の一刻も早い解消を目指してほしいと思います。
それでは、私の最後の質問となりますが、旧池尻中学校跡地の活用につきまして、区民生活の領域でも質問させていただきました。そのときのやり取りを聞いてくださった方もいらっしゃると思いますし、そうじゃない方もいらっしゃると思うんですけれども、先ほどふるさと納税のお話もしましたが、七十億円減収になった、小学校何校が建て替えができなくなる、区長の悲痛な叫びのような報告が、区民だよりもありました。
そういう中で、一万平米を超えるところを、月百万円で貸していく、その前に二億円を超える耐震補強工事等々をやっていく、本当にいいんだろうかと。これまで十七年間やってきたものづくり学校といいますか、池尻中の跡地の活用については、二千万円を超える程度の費用をかけて、そして廃校の利用としての注目も浴びたし、これは一定の評価ができると私も思っています。
しかしながら、これが役割を終え次に入るときに、これだけの投資をして、それだけの家賃といいますか、収入で本当にいいのだろうかと。それならば、一層のこと全部更地にして、前の世田谷公園と一体化して、スポーツができるところ、それから一朝有事の際には避難所できるじゃないか。それから、こういう税収が足らないのならば、PFI、PPP、もう国では法律が二十年前からできているんだから、そして公は何かやるときにはこれを一回検討してやるべきだと国から通達も受けているんだから、こういうことを活用したらどうなのかという、やはり全体的に大事な問題だけに間口を広げて検討すべきだ、そして民間の英知を絞ったらどうなんだという提案をしてきました。
残念ながら、今回の予算については、経済産業部が中心に今の案が出てきていて中身がこういうふうになっていました。これらについては、また後ほどおぎの幹事長のほうから質問があると思いますけれども、その際に、さっき言いました、これだけ大きなテーマであるならば、あらゆる可能性を考えて議論するのが議会の役割であって、その中を一部分だけを切り取って自民党はマンションを造ろうとしているなんていうレッテル貼りをしていることがありまして、これは本当に許し難いことで、それでは本格的な議論もできないじゃないですかという発言をしました。こういうことがある案件というのは、何かきな臭い、何か裏があるんじゃないかとすら思わせてしまうんですね。そういうのはすごく残念なことだと思いますので、真摯に議論をしていきたいと思います。
そこで、今日、私は一点質問。ここは用途地域の中でいろいろ制限を受けているんですけれども、世田谷区が申請して、世田谷区がその他学校と認めていたんで、これまで校舎は使えたわけです。その他学校ならば経費はどれぐらいかかる。だけれども、中身によってはもう学校とは認められない部分というのが相当出てくると思うんですね。そうなった場合はどういう経費がかかるのか。
この間、区民生活の中でもさわりを聞かせてもらいましたけれども、具体的にその他学校と認められた場合の経費、その他の学校でない場合の経費はどうなるのか、改めてお尋ねします。
◎小柴
施設営繕担当部長 今お話しのありましたその他の学校、建築基準法のいわゆる学校の用途で使用する場合、区が負担する経費は、今年度ですけれども、耐震改修に要する費用と、今後建築物を維持するための費用になります。耐震改修工事費としまして、おおむね三千五百万円を令和四年度予算案として計上しております。
その他、公共施設等総合管理計画において、建築物の予防保全改修、外壁、屋上防水、受変電設備の改修工事費をおおむね一億七千八百万円、これを本予算案で計上しております。これらの費用には内装工事費は含んではおりませんで、建築物をあくまで維持するための工事費となっております。
今、その他の学校でなく使用する場合とお話がありましたが、新たに学校以外の用途で利用する部分が出てくる場合、現在予定している工事に加えて、排煙設備、あるいは防火設備、昇降設備、こうした工事が必要になる場合がございます。これらの工事費を算定する場合には、どの階のどの部分に何平米学校として利用するのか、その他の用途が何階のどの部分に何平米出てくるのか、こうしたことが明確になりませんと概算費用の算出は困難です。
いずれにしましても、学校以外の用途で利用する部分が発生する場合、より多くの改修工事費がかかることが想定されます。
◆真鍋よしゆき 委員 ということは、本当に、私はその他の学校という用途の部分が相当出るんじゃないかと思うんです。決まらなければ分からない。それでより多くの改修工事費がかかるということなんですね。ですから、今回の予算が通っても、また新たな追加の支出が出てくる可能性が大いにあるし、それ自体まだ全然読めていない。今こういう中身なんですね。この辺がはっきりしてこないというか、こういう中でどんどんどんどん進んでいくことに対して非常に心配しています。
それから、一億八千万円以下だと議会にかからないので、今度、一回予算が通ったら、あとは一億八千万円以下にしちゃって、どんどんどんどんやれば何でもできちゃうなんて、こんなことになったら大変なことになると思いますので、この辺は心してやってもらいたいと思います。
それでは、山口委員と交代します。
◆山口ひろひさ 委員 キャッシュレス。今回の予算にも、デジタル化の推進の中で、行政手数料のキャッシュレス化というのも挙げられていますけれども、最近やはりよく町なかで、私も買い物なんかをしたりするんですけれども、若い方をはじめ、スーパー、コンビニ、自動販売機もそうですけれども、スマホをかざして買われている姿をよく見ますけれども、まさに本当にキャッシュレス社会が到来するんだなというふうなことを今実感しています。
たまたまスウェーデンでずっと生活をされていた方がいらっしゃって、御主人の仕事の関係でまた日本に戻ってきたんですけれども、何がびっくりしましたといったら、現金を使っていることが一番びっくりしたも言っていました。スウェーデンでは、現金を使うということは、もう本当にないに等しいぐらいだそうです。そういったことを聞きますと、やはり今回コロナ禍の中でデジタル化の後れというのがありましたけれども、こういうことの現れなのかなというふうにも感じています。
こう言いながら、私は残念ながらまだばりばりの現金派でございまして、毎日、諭吉ちゃん、あと樋口ちゃん、野口ちゃんと別れを惜しみながら買い物をしているわけですけれども、ある日たまたまちょっとした買い物をしようと思いましてレジに行って支払いをしようと思って財布を開けたんですけれども、誰一人入っていないときがありまして、財布の中身がキャッシュレスになっちゃっているという、これも一つのキャッシュレスですから、うれしいのか悲しいのかよく分かりませんけれども、できれば、本当に私も努力しながら、スマホをかざして払えるようにこれからしていかなくちゃいけないのかなというふうには思っているんですけれども、このキャッシュレス、世田谷のキャッシュレスといったら、いろいろ質問も出ておりましたけれども、やっぱりせたがやPayですよね。
プレミアムがついたり、またポイントの加算をしたりということでいろいろメリットを出しているわけでありますけれども、なかなか加盟してくれる店舗が少ないということで、加入促進として、導入してくれた店舗には三万円支給しますよというようなことも取り組まれてきたわけですけれども、このせたがやPayはやっぱり普及すれば世田谷の地域通貨として、僕は地域経済の活性化に非常に大きな力になるんじゃないかなというふうに感じております。
世田谷の地場産業というと、やっぱり住宅街ですので、商店、商店街になるんじゃないかなと思います。世田谷区はもう以前からこの条例を定めて、商店街のいわゆる加入促進といったところに力を入れてきたと思うんですけれども、今ほかの組合でもそうなのかもしれませんけれども、今の御時勢、入ってくれないかと言うと、入ることによってどんなメリットがあるんですかと。いわゆる目先の損得じゃないですけれども、そういうことを考えながら加入するしないというのを決める傾向が多いと。
商店街もいろいろ地の方がずっとやっているというのはだんだん少なくなってきまして、店舗を借りてやられている方もいらっしゃるので、それぞれ商店街としてはやはり会員を増やして活性化させるために努力をされているわけですけれども、今回せたがやPayが導入されまして、加入促進でいろいろやられて、店舗を増やすということも私は大事だと思うんですけれども、商店街の組合に加入する一つのメリットになるツールとして、もう少し活用してもよかったんじゃないかなというふうに思うんです。
やはり商店街に入ることによって、このせたがやPayを使い、またそういった恩恵が受けられますよということに、そういうメリットを出すことによって、いろいろ商店街の方も加入に対して苦労しているんですけれども、今回そういうことが結びつかなくて、全然入らなくてもせたがやPayを導入したらそれだけのメリットが受けられてしまうわけですけれども、これから、やっぱりこういった視点というか、戦略というものも、商連さんとの話の詰めというのも必要なのかと思うんですけれども、そういった感覚というのはこれから持っていくべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
◎田中 経済産業部長 今お話しありましたとおり、商店街の加入のメリットとして、商店街、商店街連合会がせたがやPayを活用して、商店街に加入した店舗がポイント還元を上乗せするなど、そういった方法も考えられると思います。まずは東京都の補助金などを活用して試行実施できるよう、商店街連合会と協議して、効果的な支援の在り方について検討してまいりたいと思います。
◆山口ひろひさ 委員 世田谷の中で、よくお買い物は地元商店街とありますけれども、お支払いはせたがやPayでと、俺たちせたがやPayだというぐらい普及するようにしていただいて、そうすることによって世田谷の地域経済というのも活性化されると思いますので、様々な戦略を組んで取り組んでいただきたいと思います。
次に、私は環境学習についてちょっと触れてみたいと思います。
私たち、ふだん生活をしている中で、暮らしやすさ、町の衛生化ですとか、本当に住みやすい地域をつくるために様々な生活の中でのルールというものがあると思います。大きいものから言えば、法律、そして道徳、倫理、また小さなもの、身近なものと言えば、先ほど他会派の方から質問もありましたけれども、ごみ出しや分別といった部分に対してのルールというものもあると思うんですけれども、今、環境問題がいろいろ取り上げられていますけれども、地球規模で二酸化炭素の排出、地球温暖化を防止するために脱炭素社会、いろいろ目標を定めて、世界規模で取り組み、より多く、少しでも、三十年後、五十年後、この地球が、そしてこの国がよくなっていくようにと取り組み、そしてそれが求められているわけであります。
それと同時に、私たちの生活に密着した部分でのプラスチックの問題や、また食品ロス、そしてごみ出し、リサイクルといったことがあるわけですけれども、長い期間がかかる課題かもしれませんけれども、やっぱりこういった問題を解決するためにも、私は小さい頃からこういった環境問題に対する意識というのを取り組ませることが大事だと思っております。
例えばごみ出しにしてもリサイクルにしても、どういったことが問題なのか、ごみを出すことによってどういった問題が発生するのか、そしてまたリサイクルをすることによってどういった効果が出てくるのかということを、しっかりと一人一人浸透させることが大事だと思います。
そういう中で、世田谷区もこの環境教育といいますか、環境学習についてはいろいろ取組を進められていると思いますけれども、やっぱりこうした一人一人の意識が、子どもたちが意識を持つことによって、自分たちで考えて、それをどうしていこうかということを意識することによって、私はこうした社会全体で取り組んでいく問題というものも、やはりその効果が最大限発揮されていくんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、この環境学習について、世田谷区としては現在どういう取組をし、また今後どういう展開を考えているのか教えてください。
◎辻 清掃・リサイクル部長 区では、次世代の環境型社会を担う人材を育成することを目的に、幼稚園、保育園、小学校を主な対象に、体験学習用清掃車両カティなどを活用した体験学習や、各種プログラム、また清掃工場と循環センターの連携の見学会など、多岐にわたり環境学習を展開しております。
小学校における授業プログラムでは、専用のテキストとして「できることからごみへらし」というのを用い、清掃事務所職員がクイズやDVD上映などを交えながら分かりやすく説明しています。主にはごみを減らす理由、ごみと資源の行方、2Rの重要性、資源のリサイクルの流れなどの説明が行われ、小学生でもできる取組について学び考えていただく内容となっております。子どもを対象とした環境学習につきましては、学習の効果が子どもたちから家庭、ひいては地域へと還元されることも十分期待ができるものでございます。
引き続き、2Rや分別に関する啓発を中心にしつつ、質の高いリサイクルの推進に向けた資源循環センターの取組やプラスチックごみへの対応など、委員御指摘のように、子どもたちの学びにつながる環境学習の内容の充実を図ってまいります。
◆山口ひろひさ 委員 子どもたちにつながるというのは本当大事だし、今の答弁の中で、いわゆる学習効果、子どもたちの学習効果が、やはり家庭に、また地域に還元される、ここがやっぱり大事なところだと思います。私たち大人が、いるでしょう、いいよ、置いていっちゃえよなんて考える方が。ただ、やっぱり子どもたちのそういう姿を見て、俺たちもしっかりやらなきゃ駄目だという、そういう子どもたちの力というか、そういう効果というのは、僕は非常にあると思いますので、ぜひこれからそういう部分に力を入れて、そして私たちもそういった子どもの姿を見ながら、自分たちも戒めながら取り組んでいくことが大事なのかなというふうに思いました。
今、環境の質問をさせていただいたんですけれども、ちょっと人工芝について、文教所管で我が会派の加藤委員も頑張っておりましたけれども、これについてはマイクロプラスチックの問題があるので、今回見送りになったということですけれども、僕自身は駒沢小学校さんが人工芝で試行的に、コロナが発生する前ぐらいだったと思いますけれども、そんな報告があって、僕は駒沢小学校は、単なる小学校だけじゃなくて、総合型地域スポーツクラブを実施されていますので、非常に多くの方々が学校を利用し、スポーツに、また文化活動に親しんでるということで非常にいい学校がモデルケースになるんだなというふうに思っていたんですけれども、今回こういうことで変更になりまして、加藤委員も言っていましたけれども、小学校の方々から考えると非常に残念だなという思いはあると思います。
いろいろこういう環境の問題もあるのかもしれませんけれども、私も地元にいますと、人工芝だったらいいのになという声は非常にやっぱり人気が高く、多く受けるわけでありますけれども、今後、技術革新等の動向を見ながら検討していくということで、教育長から答弁をいただいたと記憶しております。小学校に関しての校庭の権限は教育長にあるんだろうと思います。
そんなこともあって、実は大蔵のグラウンドについても、フィールドを人工芝にというような話も以前ありましたけれども、今回はそういったこともあるのか、予算計上はされていないわけですけれども、実はいろいろな企業もこうした対策も組みながら、技術進歩も行っていまして、ちょっと調べたんですけれども、実はよく官学連携と言うじゃないですか。その中で、東京都市大学が、ちょっと前の研究の中間報告になるんですけれども、ハイブリッド芝の調査研究をされている報告がありました。地元の大学がこういうことに取り組んでいるということもありますし、ただ一点のデメリットを見て、いやこれは全部駄目なんだという考え方じゃなくて、人工芝というのは子どもに対する影響、またスポーツ振興、また天候に左右されない、大きなメリットもやっぱりあるわけですので、これから検討していただけるということですので、ぜひそういった総合的な判断をしながら取り組んでいただきたいなと思うんですけれども、官学連携、都市大で研究をしているといったことを踏まえながら、何か御見解がありましたらお願いします。
◎知久 教育総務部長 東京都市大学が研究を行っているハイブリッド芝とは、人工芝の隙間に天然芝を育成させる人工芝と天然芝のハイブリッドのことでございます。人工面のヒートアイランド現象に伴う遮熱環境の改善、また気候等に左右されないグラウンドとしての機能性などの効果検証を目的に研究が行われているとお聞きしております。
御指摘の平成二十五年度の研究成果中間報告を拝見させていただきましたが、その後、海洋マイクロプラスチックのごみ問題、気候変動問題などを背景として、プラスチック資源循環促進法が制定されるなど、プラスチックを取り巻く環境が大きく変化してきているものと認識しております。
人工芝には、今御指摘ございましたとおり、メリット、デメリットがそれぞれございますが、今年度に環境省と連携して、民間事業者が実施しております実証実験ですとか、今御指摘のございました東京都市大学の研究の成果、また植物由来となる新素材の技術開発の動向などにも注視をしまして、関係所管部と情報共有を図りながら連携し、情報収集に努めてまいりたいと思います。
◆山口ひろひさ 委員 実は、これは東京都市大学って、緑の講演とかをよくしていただいて、区長とも非常に御親交が深いんじゃないかなと思います涌井先生が東京都市大学の教授をやられていて、僕もちょっと調べたら、この報告の中に笑顔で涌井先生が出ていらっしゃって、教授と対談するしているようなことがあるわけです。
やっぱりそういう中で、世田谷区もこういう環境問題を一緒に取り組んで頑張っているよということで、多分総合グラウンドのほうは区長に権限があるんだと思いますけれども、こうしたことで前向きに取り組んでいくという、何かくすぐられる気持ちはございませんか。
◎保坂 区長 海洋プラスチックのマイクロプラスチック問題が非常に大きな問題になってきています。一方で、天然芝には養生の期間がありますよね。それで使いにくいということがありますので、技術革新ということで言えば、完全に分解される素材、いわゆる天然芝に代わる素材というのをぜひ都市大にもお尋ねしてみたいと思います。
◆山口ひろひさ 委員 ぜひお願いしたいと思います。それで、今回補充なので、今回のいろんな議論をちょっと振り返って、池尻中の跡地のことに関してですけれども、うちの会派もいろいろ提案、意見等を言わせていただいて、他会派からもいろいろな御指摘があったわけですけれども、僕の感想ですよ。これは、やっぱりこういったことがあるんであれば、あまり急がないで、一年ぐらい時間をかけて議論をして、行政側の区長の考えと、そして議会の考えをすり合わせることによって、僕はよりいい成果が出るんじゃないかなというふうに感じているんですよ。
それで、区長は、多分国会議員時代は、どちらかというと議論が足りないということで政策を遅らせる、止めているほうの方だったと思うので、非常にこの辺に関しては僕は違和感を感じているんですけれども、ぜひ国会議員時代の原点に返っていただいて、そんな視点も含められないかなというものは、僕の感想ですから、何か感じることがありましたらでいいんですけれども、なければいいですよ。ない、いいですね。
◎保坂 区長 しっかり時間をかけて、濃密に内容のある検討を一緒にしたいと思います。
◆山口ひろひさ 委員 僕が一つ心配するのは、保坂区長が区長になれたときに、九五%熊本区政を継承すると、保坂展人は約束を守れる男だというふうな、そんな意識を持たれているんだったら、そんな心配は一切この件に関してはありませんので、それを申し述べまして、自由民主党の午前中の質問を終わらせていただきます。
○菅沼つとむ 委員長 議事の都合により、ここでしばらく休憩し、再開後、自由民主党の質疑を続行させていただきます。
それでは休憩いたします。
午後零時二十四分休憩
──────────────────
午後一時十五分開議
○菅沼つとむ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
自由民主党、どうぞ。
◆石川ナオミ 委員 それでは、自由民主党世田谷区議団の午後の補充質疑を始めてまいります。
ロシア軍がウクライナへの侵攻を開始してから今日で一カ月となります。紛争によって、罪のないかけがえのない命が失われていることに、本当にもう毎日胸が締めつけられる思いです。また先日は、再び三・一一の大震災を思い起こすような東北地方では大きな地震がございました。この地震によっても被災された方も多くいらっしゃいます。私たちはこうした自然災害の脅威についても常に眼前に突きつけられております。戦争の悲惨さ、平和の尊さ、そして改めて大切な命の大事さ、そうした重さを感じる日々でもございます。
そこで私からの最初の質疑は、命ということに軸を置きまして、命に関連する自殺対策、そして拉致問題についても伺ってまいります。
先日、厚労省の今年一月の速報値のデータによりますと、全国で自殺をした方の数、二〇二一年は二万八百三十人で、前年比では二百五十一人減となっているものの、女性と若者の自殺者の数、若干減少しているんですが、高止まりをしているという深刻な状況です。原因はそれぞれ、計り知れない胸の内のつらい状況があると思いますが、特にここ数年は、コロナ禍で将来が見通せず、不安を抱えて暮らしていらっしゃるということが背景にあるということも言われております。
自殺対策は、生きるための支援として社会全体で取り組んでいくものであり、区民の身近な行政として最大の責務を果たすべく、重点施策が必要です。この自殺対策につきましては、先日、つるみ委員からも質疑がございましたけれども、未然に自殺を防ぐために、世田谷区ではこれまでにもクローバーリーフなどのリーフレットをお渡しするなど、令和三年度には主に三十七の取組がなされているということでございます。来年度の予算書にも新規の取組が予算化されていますが、改めて区の現状と取組について見解を伺います。
◎辻
世田谷保健所長 区の自殺者数は、ここ数年、百人前後で推移していましたが、さきに厚生労働省が発表した警察庁自殺統計によりますと、令和三年は百三十四人で、昨年に比べて二十八人という近年にない増加となり、強い危機感を持っております。区の自殺対策につきましては、世田谷区自殺対策協議会におきまして、学識経験者から、医療、警察、消防等地域の関係機関、鉄道会社や自死遺族会等の民間団体にも幅広く御参加いただき、総合的に進めております。
令和四年度の予算では、自殺予防に関する周知啓発の拡充として、子ども・若者世代に向けたアニメ動画の配信や児童生徒のタブレット端末を活用したこころの相談窓口の紹介などを想定しております。若い世代へ訴え、より早期に適切な支援とつなげていけるよう、関係機関並びに全庁の各所管と一層連携して取り組んでまいります。
◆石川ナオミ 委員 強い危機感を持っているというお言葉と、そして全庁挙げて取り組んでいかなければならないということ。本当にそうですね。セーフティーネットを張り巡らせて取り組んでいただきたいというところでもございます。行政の果たす役割ということ、これからの取組、非常に大きくなってくるんじゃないかなと思います。
さて、区長はこの現状はどのように受け止めて対応していくとお考えでしょうか。
◎保坂 区長 今、保健所長から、世田谷区においても自ら亡くなる方の増加がはっきりこのコロナ禍で出てきているという答弁がありました。自殺はその方自身の命を絶つという悲劇であるとともに、残された家族や友人、周囲の人たちを途方もない悲しみと、なかなか癒えないトラウマに陥れるということもあり、何としても自殺を止まっていただきたいという姿勢で、区としても、令和元年十月に、世田谷区自殺対策基本方針において、生きることの包括的な支援と位置づけて、区民に接する全ての区職員、所管課や窓口が気づきの感度を上げるように、そして一層の支援につなげていくように努めてきました。
にもかかわらず、コロナ禍の中で人と距離を置く、一緒に御飯を食べない、ある意味、握手、そういったことも避けるということで、孤立孤独を深めていくという環境がございました。区としては、例えば相当に癒すことのできない苦しみや悲しみに突き落とされたときに、その悲しみに寄り添ってお話を聞いていくようなグリーフケアの取組に取り組んできました。また、ゲートキーパー育成など、これまでの取組を一層強めていかなければならないというふうに思っております。
特に若い世代の自死、自殺に関しては、なかなか区の取組が届いていないということが課題だと思います。積極的に、いろんなところで偶然目に入るということで構わないので、相談、あるいはこういった悩みがあるときにはどうぞというメッセージを、ぎりぎりの最後ではなくて、その手前の段階で希死願望のある方が目にできるような取組を強化しようと、生きるための効果的な支援、全庁を挙げて取り組んでいきたいと思います。
◆石川ナオミ 委員 区長の御答弁の中にも、若い方の自死という言葉がございました。まさに小中高校生が自ら命を絶つということが増加傾向にあるということ。私も同じ世代の子を持つ親としても、本当にこれは心が痛むことであり、何としても減少させたいという思いが強くございます。
コロナ禍で活動が制限されているというところでも、中高生というものが、本当に支援をしている現場にも多くの相談を寄せられているということもあるでしょうし、また、これまでそういう相談をされなかった、しなかった子どもたちすらも今相談をしているということ。それから、相談をしたくてもできない、SOSを発信できないお子様もたくさんいらっしゃるということ、やっぱりその観点で考えていかなければいけないと思うんです。
教育長は、誰一人取り残さないということをいつもおっしゃってくださっています。教育現場ではどのように心のケアをされるでしょうか。答弁を求めます。
◎渡部 教育長 新型コロナウイルス感染症対策が長期化し、今後の見通しが持ちづらい状況下であることで、不安や悩みを抱える子どもが増えてきていると認識しております。学校では、日々の教育活動を通して、複数の教職員で子どもたちを見守り、変化を見逃すことがないよう情報交換を密にしております。
また、教職員だけで子どもの不安や悩みを解決することが困難な場合もございますので、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門職を活用することで、より適切な支援につながることから、必要に応じて福祉の関係部署とも連携をしております。
子どもたちには、命はかけがえのないものであること、今生きている自分の存在を大切にすること、命は失うと取り戻すことができないこと、ほかの命や他者の存在を尊重することを伝えておりますが、引き続き機会を捉えて、学校が徹底した指導ができるように努めてまいります。
子どもたちの命を守ることを最優先に掲げ、子どもの心に寄り添えるよう、学校内の教育相談研修を充実させ、組織でも対応を徹底し、教育委員会一丸となって子どもたちの心のケアに取り組んでまいります。
◆石川ナオミ 委員 ぜひ一丸となって子どもたちを守っていただきたいという思いがあります。自己肯定感を育むこと、また自尊感情を高めるということは、自分自身を大切にすることでもあり、そして、それがひいては人のことを、他人を大切にするという承認ということにもつながってまいります。これこそが人権尊重の理念にもつながるということでもあろうかと思います。
この人権という言葉、皆さんも御承知のとおり、人が人として最低限幸せに生きる権利というところでもございます。これは世界共通のこと。ですから、人が人の命や自由を奪ってはいけないのです。一方的な暴力による主権侵害という意味では、ロシアのこのたびのウクライナ侵攻も、そして拉致問題もこの人権問題の最たるものであろうというふうに私は思います。
拉致問題につきましては、先日の第一回の定例会で、我が会派の阿久津議員からも質問をいたしましたが、続きましては北朝鮮の拉致問題について伺ってまいります。
明日、二十五日で拉致被害者家族会が設立二十五周年を迎えます。家族会の方の高齢化が進んでおります。会の初代代表の横田滋さんが令和二年六月に亡くなり、その後、代表の飯塚繁雄さんが昨年十二月に御逝去されました。家族会の親世代が存命のうちにとしているタイムリミット、もうまさに時間との戦いであるということを私も重く受け止めております。
実は私は、十年ほど前から横田滋さん、早紀江さんの講演を拝聴したり、また個人的にもお話を伺う機会が幾つかございました。実は今回この質疑をさせていただくということで、昨日、横田早紀江さんとお電話でお話をさせていただきました。横田早紀江さん、本当に四十年以上もこの問題に取り組んでいるのに、何でこれ、解決しないでしょうね、石川さん、これ、おかしいと思いませんかという、本当に悲痛な叫びにも似た声が電話越しから聞こえてきたときに、本当にこの言葉が胸に刺さりました。今日はそういう思いで、私この質疑をさせていただいております。
区長も、横田滋さんが御逝去された際にツイッターで哀悼の意をツイートされていらっしゃいました。拉致問題の早期解決に向けて、区長のお考えを改めてお聞かせください。
◎保坂 区長 委員御指摘のように、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会が明日で二十五年目を迎えると聞いております。この間、最前線で声を上げられ、国内外で拉致問題解決に向けた様々な訴え活動を懸命に行われてきたことに敬意を表したいと思います。
しかしながら、その最先頭に立ってきた親世代の御家族の中で、被害者との再会をついに果たせないまま、一人、またお一人と逝去されるという悲しい報道を耳にするようになりました。拉致という犯罪行為によって連れ去られた被害者の一日も早い帰国を切に望むところであります。
北朝鮮による日本人拉致問題は、被害者が全員帰国し、真相が明らかにされない限り、終わることのない重大な人権侵害問題です。全ての被害者を必ず取り戻すという揺るぎない決意と、拉致被害者やその御家族の思いを受け止め、この問題に関心を絶えず持ち続けることが重要だと考えています。
世田谷区といたしましても、こうした人権侵害を風化させることのないよう、問題解決の後押しになるような取組をしっかりと実現してまいりたいと思います。
◆石川ナオミ 委員 その風化をさせないというためには何ができるかというところだと思うんです。言うは易しなんです。それを実行にしていかなければいけないというふうに思います。
内閣府では拉致問題を題材にいたしました教材活用、映画作品の「めぐみ」というのも御覧になった方も多いかと思います。また、こうしたことを実際に国でも推奨しており、各自治体でも取り組むということも始まっております。
また、人権作文のコンクール、これまでの入賞者の作品も幾つか私も拝読いたしました。二〇二一年、昨年の優秀者の中学二年生の作文の一節を御紹介したいと思います。拉致問題を知って、私にもできることは何かないかと考えてみた。まず大切なことは、この拉致問題を正しく知ることだと感じた。「めぐみ」、これは映画のタイトルですけれども、「めぐみ」を見るだけでも多くのことを知ることができたというふうにありました。また、この生徒の作品の中に、拉致をされためぐみさんの立場に立って、どんなにか寂しく悲しく怖かったかと思うと、自分自身なら耐えられないだろうと、そういうことも書かれてありました。
この当事者の目線でこの問題を捉えたとき、この拉致問題は単なる拉致被害者の問題だけではなく、全ての人権問題、人権教育につながってくるのではないかなというふうに思います。子どもたちにこうした教材を活用する意義、教育長はどのようにお考えでしょうか。
◎渡部 教育長 教育委員会では、北朝鮮による日本人拉致問題は、我が国の主権に対する侵害であるとともに、重大な人権侵害であると捉え、毎年十二月の北朝鮮人権侵害問題啓発週間に合わせて、ポスター掲示やアニメ「めぐみ」及び映画「めぐみ」の学校等における上映会の開催を促進するとともに、拉致問題に関する授業の学習指導案についても情報提供することで、各学校での活用を図ってまいりました。
今年度では、各学校において、それらの資料の活用がより充実するよう、活用状況の調査を実施しているところです。ポスター掲示につきましては、多くの学校で取り組んでいるところですが、アニメ、映画の視聴や学習指導案の活用については、コロナによる学級閉鎖やオンライン授業などもあり、授業時間に組み込むことができなかった学校もございました。
次年度以降はこの実態を踏まえ、資料の活用を一層図ることで、拉致問題の被害者やその家族の気持ちを理解することができるようにするとともに、この問題が国家主権及び人権の重大な侵害であることを認識させ、民主主義社会の一員として人権問題を主体的に解決しようとする意欲や態度を育んでいきたいと考えております。
◆石川ナオミ 委員 教育長の意欲や態度を育んでいきたいというその言葉、そのリーダーシップを、ぜひとも教育現場にも生かしていただきたいというふうに思います。
まさにこうした教材を通して、子どもたちがどのように人の立場に立って考えられるか、命を大切に考えられるかということだと思います。子どもたちにとってはアニメのほうが慣れ親しむかもしれませんが、こうした拉致問題の事実を知って解決するというだけではなくて、幸せな家族の時間が引き裂かれたという痛みですとか、つらさとか、それぞれが考えて、こんなことが二度とあってはならないという思いこそが、拉致問題の解決に向けた大きな力となっていくのではないかと思います。
命を守る、また家族愛、いろんなことが、メッセージが含まれています。こうした教材からも人権教育に力を入れていただきたいということを要望いたします。
さて、続きましては、リカレント、リスキリングの導入の可能性について伺ってまいります。
今年初めの通常国会で、岸田総理が施策の方針の演説において、人への投資ということを挙げていらっしゃいました。その鍵となるのが、スキルの向上、再教育の充実、副業の活用といった、いわゆる人的投資が重要であり、これこそがデジタル社会への移行を円滑に進めるというふうにしております。
また、私は経営キャリアに詳しい植田統さんの御著書を拝読いたしました。「二〇四〇年『仕事とキャリア』年表」という著書の中に、冒頭に印象的な言葉がありましたが、今から二十年後には日本からサラリーマンが消滅しますと、もうはっきりおっしゃっているんですね。新しい働き方についてこのようになっていきますということが説明されていました。
つまり、前から言われておりますが、年功序列ですとか終身雇用などのメンバーシップという雇用制、こういったものがなくなり、今後はアメリカのジョブ型雇用にシフトチェンジするということが言われております。そして、このジョブ型雇用で重視されるのがジョブ、いわゆる職務に見合うだけの経歴、経験、スキルが今後さらに求められてくるでしょうということなんです。
世田谷区の来年度の予算書にも、リスキリングという言葉が登場しています。学び直しということでございますが、このリスキリング、そのスキルを高めることによって、給与面だけじゃなくてキャリアアップにもつながってくるということで、今後は非常に民間企業でもリスキリングが注目されてくるであろうということが言われております。
さて、当区、世田谷区の職員の皆さんはいかがでしょうか。まずは、この現状を伺います。外部からの職員の登用、また外部へ職員の派遣はどのくらい進んでいるでしょうか。答弁を願います。
◎池田 総務部長 新たな行政課題の解決に向けては、今までの手法にとらわれない職員の意識改革を促すとともに、幅広い視野や高い専門性を持った職員を育てる必要がございます。このため区では、民間企業、国、他自治体など外部の人材との交流を通じた人材育成に取り組んでいるところです。今年度の実績といたしましては、外部への派遣として国の省庁に六名、東京都に四名、特別区に七名、民間企業に一名の計十八名を派遣しているほか、外部からの人材登用として、児童相談所やDX推進部門などに九名の職員を配置しております。
◆石川ナオミ 委員 今回予算委員会の中でも、非常に世田谷区のDXを進めていかなければならないのに、なかなか進んでいないよねという皆さんからの御意見が非常に多かったように思うんです。それは私も感じております。ですから、このDXを推進していくためにも、ぜひ専門的なスキルを持った外部人材の登用ですとか、逆に外部へ職員を派遣する、積極的に派遣していくということも必要になってくるということではないでしょうか。
まさに内部に不足しているコンテンツを職員が学んで吸収し続けていくという、人材育成の観点からも区の職員のリスキリングが必要であるというふうに私は考えております。区の見解を伺います。
◎池田 総務部長 社会情勢の変化や新たな施策の展開に伴い、リスキリング、職員に新たな職務スキルを身につけさせることは重要であり、特に民間をはじめとする外部人材との交流により得られるスキルは大変有用であると考えております。
来年度は、DX分野において新たに三名の外部人材を登用するほか、教育や児童相談所などの分野においても外部人材の採用を計画しております。民間企業への職員派遣につきましては、現在コロナ禍で在宅勤務が中心となっており、十分な交流の効果が期待できないことから一旦休止することとしておりますが、感染状況を踏まえて、早期に再開したいと考えております。
引き続き、専門的で高度化するスキルの獲得に向けてまして、関係所管のニーズを的確に捉え、外部との人材交流などに積極的に取り組んでまいります。
◆石川ナオミ 委員 ぜひDXを推進していく、加速させていくというところでも、そうしたいろんなスキルアップを図るような仕組みを構築していただきたいというふうに思います。
さて、最後は本庁舎整備について伺います。
昨年から原油価格の上昇ですとか食品の値上がりが止まらない状況が続いておりまして、またこのたびのロシア侵攻にも拍車がかかっており、幅広い分野でのコスト高が懸念されています。特に大きく聞こえてくるのが建設関連資材の高騰で、世界的な供給不足になるんじゃないかという、そんな心配もされております。
こうした厳しい状況下で、現在区では大規模事業の本庁舎整備、ずっと行われておりますけれども、仮に資材不足があるならば工期の延長ということにも関わってくるんじゃないかなというふうに思います。事業費の高騰、それに伴って財源確保はどうしていくんだろうか、そんなところも心配になってくるところでもあります。
また、施工者選定においては、総合評価方式で区内事業者への発注金額多寡というところが評価項目になっておりまして、落札しました大成建設、およそ八十億円という提案もあったわけなんですけれども、実際にこうした区内事業者への発注、これは私たち会派も積極的に行ってくださいということをお願いしておりました。実際にどのように進んでいるのでしょうか。工事の進捗も含めて御答弁ください。
◎佐藤
庁舎整備担当部長 本庁舎等整備工事に関しましては、半導体等の世界的な需要急増の影響を受けまして調達が困難となっている製品はあるものの、同等品への仕様変更等対応可能な範囲でありまして、現時点では資材不足の直接的な影響は限定的で、工事はおおむね順調に進捗しております。
一方、建築資材価格につきましては、この間も世界的な新型コロナウイルス感染症による移動制限と複合的な要因による原材料の高騰などによりまして大幅に上昇している状況がございます。一般財団法人建設物価調査会の調査によりますと、本庁舎等整備工事の契約を締結した令和三年五月から本年二月時点の九か月間で、鋼材は約五割、コンクリート型枠用合板につきましては約三・五割程度資材価格が上昇しております。
これらに加え、お話しの現在のウクライナ情勢が緊迫する状況下におきましては、さらなる調達リスクが懸念されております。今後とも建設資材の供給状況等を注視し、適宜必要な対応を行いながら、遅延なく本庁舎等整備を進めてまいります。
また、本工事の区内事業者への発注につきましては、令和三年七月の工事着手以降、区では大成建設による提案金額の履行状況を四半期ごとに確認するとともに区ホームページにも公表し進捗管理をしております。令和三年十二月末時点での区内事業者への発注金額は約九億円、提案金額に対する達成率は約一一・八%でありまして、同時期の工事出来高二・八%と比較しても順調に推移していると認識しております。
区におきましても、この間、区内事業者の積極的な参加に向けまして、発注予定項目を、作業所、ホームページで公表したり、区内建設団体の通知や産業広報誌への紹介記事掲載等を通じて周知に努めてきております。本庁舎等整備工事は令和九年まで継続することから、引き続き、区内事業者への確実な発注に向けて、大成建設に働きかけながら取組を進めてまいります。
◆石川ナオミ 委員 遅滞なく進めていただくようお願いいたします。
私からの質疑は終わりで、続いておぎの委員に替わります。
◆おぎのけんじ 委員 私からは、しつこいようですけれども、旧池尻中跡地活用に関して聞いていきたいと思います。
先ほど真鍋委員もおっしゃっていましたけれども、我が会派の主張に対して勝手にレッテル貼りをして、勝手に難癖をつけられることは、私も極めて心外に思っていますので、ここで申し添えておきたいと思います。いろいろ言いたいことあるんですが、時間の関係で割愛させていただきます。
本題に入りますけれども、この予算委員会で、特に総括で保坂区長といろいろやり取りさせていただいた内容を基に、我が会派として、今後の池尻中跡地活用に関する要望というものを取りまとめて、昨日、区長に提出をさせていただきました。副区長をはじめ、ほかの理事の方もいらっしゃいますので、改めてこの場を借りて読み上げさせていただきたいと思います。
「旧池尻中学校跡地活用に関する要望について。
これまで我が会派として、貴重な区有財産の有効活用・収益化という観点、世田谷ものづくり学校事業の失敗を踏まえないまま事業継続を図ることの妥当性などについて、数々の指摘を行ってきた。これらの指摘に対し、区から満足な回答が得られないまま、新たな事業者募集を容認することはできないという判断のもと、事業者募集の延期を申し入れ、この点については受け入れていただいたものと認識している。この機を捉え、区には改めて本事業に対する議会からの様々な指摘を真摯に受け止め、誠実な対応を求めるものである。我が会派として具体的に以下の項目について強く要望する。
一、以下の点につき、我が会派をはじめとする議会との議論を継続し、一定の合意を得られるよう努力すること。
本事業が今後の世田谷区の産業振興にもたらす効果の見立てについて。
産業振興公社における経営相談・創業支援事業、商業課におけるハンズオン支援事業など、既存事業と本事業との役割分担、機能集約について。
校舎・校庭・体育館を一体活用することの合理性について。
二、区があらかじめ想定した事業効果が得られないと判断された場合、速やかに事業から撤退するための基準を定めること。
三、区が考える産業振興策が適切に履行されるよう、また上記撤退基準に照らし、速やかに契約解除ができるよう、事業者との契約形態を再検討すること。
四、今後の耐震補強工事費用に加え、外構工事費用の発生、用途変更に伴う設備投資などが示唆されているが、投資対効果の観点から、これらの財政負担に慎重な判断をされること。また区として、当該敷地を活用した可能な限りの収益確保策を検討・実施すること。
五、池尻小学校PTA及び関係者、関係団体、近隣住民に対し、今後の跡地活用方針について丁寧に説明し、先方からの協議要望にも誠実に対応すること。
六、上記につき、一定の整理がなされるまで事業者公募を開始しないこと。以上」、ということで、提出をさせていただきましたけれども、改めてこの内容について、今後、真摯に御対応いただきたいと思いますけれども、区長、いかがでしょうか。
◎保坂 区長 今、御紹介された自由民主党世田谷区議団、旧池尻中学校跡地活用に関する要望についての要望書のほうですが、昨日、おぎの幹事長から確かに受け取ってございます。
旧池尻中跡地活用については、議会から各種の御指摘、御意見があることと、地元学校関係者との対話をさらに丁寧に行う必要などから、先日御答弁を差し上げたように、当初提示しておりました四月の運営事業者の公募時期は遅らせるという判断をいたしました。今回頂いた要望書については、内容を真摯に受け止め、議会と御議論の上、互いの理解と合意を得ることができるよう努力をしていきたいというふうに考えております。
また、校舎施設の安心安全の観点や産業構造や時代の変化を踏まえた区内産業への新たな支援の必要性から、迅速かつ機敏に取組を進めていけるよう、その検討をしっかりと加速するように、経済産業部に指示をしていきます。
区内産業及び地域経済の中長期的な未来を見据えて、よりよい施設となるよう、区議会の皆さんとも、さらに前向きな議論を丁寧に、また濃密に重ねていきたいというふうに受け止めております。
◆おぎのけんじ 委員 先ほども山口委員の質疑も、時間をかけて濃密な議論をということでしたけれども、ぜひよろしくお願いいたします。
ちなみに、今月十一日に、経団連がスタートアップ躍進ビジョンという提言書を発表されまして、私も見たんですけれども、大変意欲的というか野心的な目標が掲げられていまして、五年後までに、スタートアップの数と、スタートアップのレベルを十倍にするんだと。今、日本だと十社程度しかないユニコーン、企業価値が十億ドル以上の非上場企業ですけれども、これを五年後までに百社にするというようなことも盛り込まれていまして、それにはこういう国策が必要だというようなことも書いてあって、かつ国のほうにスタートアップ庁の設立を求めるみたいなことも書かれてあるんです。
区長も、副区長、経済産業部の方々にもぜひこれを読んでいただいて、かなり迫力が違いますので、こういう分かりやすい成功イメージというものを、池尻においても我々と共有していただきたいということを要望しておきます。
続いて、DXについて伺ってまいります。
DXを語られるときに、よくアジャイルという言葉が出てきますけれども、私なりに理解していますのは、取りあえずサービスをリリースして、その都度出てくる課題や問題点に対して都度都度対応、修正を加えて、徐々にサービスレベルを、クオリティーを上げていくという開発手法ないしは考え方だと理解をしていますけれども、それと対極にあるのが、ウォーターフォール型といって、私も以前、システム開発の仕事に携わったことがあるのでよくやっていましたけれども、要件定義だとか、細かい仕様を固め切った上で開発に入っていくと。途中アルファ版、ベータ版というものの検証を終えて、本番リリースをしていくわけですね。
よほどのことがない限りは、本番リリース後は改修はしないというようなスタイルがオーソドックスだったんですが、昨今はスマホのアプリを見ていても、毎日のようにアップデートが促されてくるように、もうアジャイルというものが当たり前になってきているんだろうというふうに思います。
区長がDXを語られる際に、エストニアを目指すとか、区民に時間を返す改革をするんだということを従前より述べられておりましたけれども、この間、私、代表で聞いたときの答弁の中に、エストニアのような電子政府の実現は理想ではありますが、国の生い立ちや文化の違いなど実現には高いハードルがあることは十分承知していますと、随分トーンダウンというか、今さらですかというかというか、他人事のような感じに聞こえてしまったんですけれども、やっぱりこういうテーマの基本コンセプトの核となるような部分はアジャイルでは困っちゃうわけですね。
私が代表で聞きたかったのは、これからDX時代において行政サービスというのを考えていくときに、今までのプル型からプッシュ型への大転換を迫られてきますよねと。プッシュ型でやっていくといった場合に、今まで一対多だったものが一対一、ワン・ツー・ワンという言い方もしますけれども、それに近づけていったほうがいいんじゃないですかと。
区長は、そのあたりをどうやって具体的にイメージされているんですかということをお聞きしたかったんですけれども、区長の答弁では、来年度から二年間、当面、庁内情報基盤の整備と職員の人材育成に重点的に取り組みますとか、あるいはDX推進担当部を立ち上げますだとか、あるいは三人目の副区長を我々は提案しましたけれども、時期を逸することなくしかるべき判断をしてまいりますというような答弁をいただいたんですね。
ただ、これは全部手段の話でありまして、その目的が何なのかとか、どこを目指しているのかというところが欠落しているわけです。何のために情報基盤を整備するのか、何のために組織を強化するのか、何のために三人目の副区長を据えるのかという、その何のためにの部分がないと意味がないと思うんです。やっぱりリーダーとして目指すべきゴールというものを明確に設定して、そこに向けて最短距離で組織なり、事業なりを導いていくことが私はリーダーの大切な仕事の一つだと思うんです。
私がよく引き合いに出しますのは会津若松市ですけれども、会津若松プラスというサイトは、市民じゃなくても登録できるんでぜひともやっていただきたいと思うんですけれども、初回に年齢、性別だとか、あるいは子どもの有無とか、あるいは興味のある分野、子育てとかスポーツとか、そういうのをチェックボックスを入れるんですね。その後に居住地の郵便番号なんかも登録をして登録が完了するわけですけれども、その上で次回訪れると、その人に合った情報が整理されて表示されるようになる仕組みなんです。
私も子育て世代なので、恐らく私が見るページと保坂区長を見るページというのは、多分がらりと違うものになってくるんだと思います。
翻って、世田谷区の場合はいつ誰が何どき見ても、一律に同じような情報が今表示されていると思います。
お隣の渋谷区が、来年度予算にデジタルコミュニケーションプラットフォームの構築費用として一億二千万円計上されております。事業内容が非常に重要なことが書かれてありますので読み上げさせていただきますけれども、利用者本人の同意に基づき、関連部署間で円滑に情報を共有し、組織横断的に三百六十度支援ができる体制を整えていく、そのためのプラットフォームを構築しますよということなんですね。
私も、渋谷の自民党の区議の方にいろいろ聞いたんですけれども、これは会津若松と同じで、利用したいという方が、希望される方が登録をする仕組みですと。そのときに何らか個人情報を取得することになるでしょうと。ただ、その個人情報を取得してどう活用するかというものは、あらかじめ利用規約なり、活用方針みたいなものに従って、それをよしとしていただいた上で利用をしていただくと。オプトインと言われる形の方を想定しているようですと。具体的には予算が成立して、四月以降、事業者選定に入るということですので、細かい部分はそれからということのようですけれども、そういったものが想定をされているということです。
私が二点感心しましたのは、一つはスピード感です。四月以降、事業者選定するということなんですけれども、九月に一時リリースを予定しているんです。主に子育て分野の情報についてそういった出し分けをしていくことを想定しているわけですけれども、まさにそこからアジャイル的に開発が進んでいくんだと思います。
もう一個が、非常にコンセプチュアルであるということです。というのは、渋谷区の長期基本計画二〇一七―二〇二六という長期基本計画の中に、行政サービスのパーソナライズ化の推進というのが明確に書かれています。その細かい説明も書かれてはいるんですけれども、要はこの長期基本計画ができた五、六年前からもう渋谷区はそういうことを考えていて、その考えに従ってこの事業案が来年度提案されてきたということになるんだろうと思います。
今、私が申し上げた会津若松の形にしても、渋谷型にしても、そのものずばりお聞きしますけれども、あまりこういうやり方というのは保坂区長は好きじゃないんじゃないかなと推察するんです。ただし、DX時代にあって、行政サービスはどうあるべきかというのを考えていくときに、個人情報をどのように取り扱うかということは、いつかはぶち当たる壁、問題だと思うんです。
私が大事にしていただきたいと思うのは、あくまでも区民目線でサービス設計というのを考えていただきたいところです。カスタマーファーストで、区民はこういう情報をどうやって得たいんだろうかと。行政側の都合じゃなくて、区民目線でやっぱり考えていくべきだと思っています。そのときに区民の方から個人情報を取得する必要があるのかどうか、取得して活用する必要があるんだということならば、それに従った制度設計をしていかなければならないと思うわけです。ですから、リーダーとしてそこから逃げずに、やはり一つの方向性というものを明確に、早々に示していただいて、庁内を動かしていただきたいと思うし、議会とも議論していただきたいと思うんですよ。
私は、個人的に渋谷型というのは、一つの目指すべき理想像だと思っていますけれども、保坂区長はいかがお考えか伺います。
◎保坂 区長 まず、渋谷区の取組に関しましては、長谷部区長を通して、区長会総会で隣の席ということもありますし、また同じエリアなので、よくこの問題については話をし、渋谷型の取組については、澤田副区長さんという方を中心に行われているということで、何度か渋谷を訪問したり、あるいは最近だとズームなどで電子会議をやったりとかということで、専ら教わるほうでございますけれども、お聞きをしています。
それから、二十三区全体の共通基盤システムをクラウド化できないかという提案が出ておりまして、これも二十三区全体で参加というふうになかなかなっていないんですけれども、今そこを検討するという議論が行われています。
翻ってみますと、やはりこの間、世田谷区のDX、本当に手前の手前でつまずいてきたと。インターネットにアクセスしながら仕事するのはもう当たり前の話になって随分長いと思うんですが、インターネットにすらつながらないという、いわゆるセキュリティー重視で、そういう方策でやってきた。それをようやく今変えようとしている。ですから、スタートラインが非常に低いところから入っているというのは、私の監督責任も含めて反省しなければいけないと思っています。
今言われたように、個人情報、パーソナライズされたお一人お一人の情報に対するサービスとの組み合わせというのは確かに必要なことだと思っています。そのときに、例えばエストニアでは自分の情報に公的機関がアクセスをしたログが必ず残るようになっていて、そのログを御本人がいつも確認をしているので、自分の情報が悪用されるとか、利用される心配はほとんどないんだというふうなお話も聞いたことあります。
なので、個人情報の保護という問題と両立させながら、どちらかというと、DXで区の事務効率の向上に傾きがちな傾向がありましたので、これはこれでしっかりやりながら、やはり区民の利便性向上がもっと前に来なければいけないという意味で、決して後ろ向きではなく、今のところ世田谷区、いろいろ保守的に事故がないようにということでやってきましたので、そこを隙間をつくらずに、しかし、利便性は向上させていくということで、渋谷区の取組なども多いに参考にさせていただきながら、DX改革を進めていきたいと。
そういったかけ声が実際のプロジェクトとして具体になっていくように、来年度、頑張りたいと思います。
◆おぎのけんじ 委員 渋谷区の場合は、区議の方も言っていましたけれども、区長とか副区長の推進力が物すごいんだということをやっぱり強調されていました。ホームページ一つとっても、こういうことを言っちゃうと申し訳ないんですけれども、使いやすさにおいて世田谷区とは雲泥の差だと思います。
あとは、余談ですけれども、予算概要書のつくりも大変すばらしくて、私、初めて見たに近いんですけれども、すごく見やすくて、分かりやすくて簡潔に整理されていて、ぜひ世田谷区も見習っていただきたいなと思います。
DXに関しては、ほかの自治体、先行事例がいろいろありますから、盗むところは盗んで、ぜひいち早く、コンセプトを明確なものを打ち出していただきたいと思います。
続いて、来年度予算にまちセンと支所をつなぐオンライン相談支援システム、五か所で試行していくということですけれども、これも恐らく初めの一歩で、アジャイル的に始まっていくんだと思いますが、まずお聞きしたいのが、取りあえずまちセンと支所をつなぐということなんですけれども、今の想定として、いかなる相談が
まちづくりセンターに持ち込まれたときにこのシステムが発動するんでしょうか、伺います。
◎舟波 地域行政部長 今お話しの来年度のモデル事業でございますけれども、あんしんすこやかセンターと総合支所の保健福祉センター、あるいは地域振興課等とパソコンやタブレットで端末を利用して遠隔相談ができる体制で実施することを考えております。
具体的には、
まちづくりセンター、あんしんすこやかセンターにおきまして、これまで総合支所の保健福祉課等の担当所管を案内、もしくは電話をつないで相談していたものを映像による遠隔相談を試行し、利用者の声も伺いながらその有効性やプライバシーへの対策などを含め検証してまいります。
また、このようなモデル事業の開始に当たっては、例えば健康づくり課の栄養士による栄養相談など、総合支所の対面による相談事業の中からあらかじめ対象事業を定めて試行をはじめ、順次対象事業の拡大を図るとともに、区民や職員が使いやすい機器の導入にも取り組んでまいります。
◆おぎのけんじ 委員 対象事業の拡大を図るようなことを今おっしゃられていましたけれども、やっぱり私も
まちづくりセンターに持ち込まれる相談というのは多岐にわたるわけですから、当然将来的には本庁との接続というのはマストになってくるんじゃないかなと思うんです。
私がちょっと分からないのは、いろんなオンライン相談支援システムの資料を見ていても、あるいは地行のほうの資料を見ていても、
まちづくりセンターの肩書きというかラベルが福祉の相談窓口となっているんですよ。あくまでもまちセンは福祉の相談窓口というところにとどまっていくのか、そうではなくて、今後、地区の総合窓口的なブランディングになっていくのか、これはどっちなんでしょうか。その最終形を教えてください。
◎舟波 地域行政部長 基本的にはこういうシステムを使いながら、例えばいろんな分野の相談をそのシステムを使ってできるというような窓口の環境整備を進めてという意味では、全体的な業務をそういうシステムを使いながら取り扱っていくということを考えてございます。
◆おぎのけんじ 委員 私も、自信を持って今後区民の方に、困ったことがあれば、
まちづくりセンターに行ってくださいね、受け止めてくれますからというふうに自信を持って言いたいですので、ぜひともその最終形を目指して、今後鋭意努力重ねていただければと思います。
以上で自民党の質疑を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で自由民主党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後二時三分休憩
──────────────────
午後二時二十分開議
○菅沼つとむ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
公明党、どうぞ。
◆津上仁志 委員 それでは、公明党の補充質疑を行っていきたいと思います。よろしくお願いします。
まず初めに、私のほうからは、新型コロナ対策について伺っていきたいと思います。区で実施した抗原定性検査キット配布、また臨時のPCR検査会場の設置について伺っていきます。
代表質問でも指摘したとおり、抗原定性検査キットの無料配布は多くの区民のみならず、医療機関や区の職員など多くの混乱を招く結果となりました。また、我が会派が提案してきた上用賀公園拡張用地を活用した臨時PCR検査会場設置も設置時期が遅れ、必要な時期に十分な機能を発揮させることができませんでした。この間、区内医療機関には発熱患者が増え、ワクチン接種が実施できないなどの状況となりました。また、休日夜間に発熱した際に受診できる発熱外来は非常に限られ、どの医療機関も受診できない状況も区は認識しながら、結局は対応はできませんでした。
災害対策同様、最悪を想定し備えることが行政として非常に大事なことだとは思うんですけれども、区の対応はこれまでの経験を生かすことができず、問題が発生しなければ対応できない状況のように見えました。患者数はピークを過ぎたとはいえ、昨年八月の第五波の感染者数を超えており、第七波を想定して準備をする必要があると感じますけれども、これまでの経験をどういうふうに生かしていくのか、まず伺います。
◎有馬
保健福祉政策部次長 昨年夏の第五波以降の区の取組を振り返りますと、次なる感染拡大に備え、検査体制を充実させるため、保健所による検査のほか、両医師会や区内医療機関に協力を仰ぐとともに、社会的検査では、随時検査の体制を通常時の二倍となる六班体制としました。また、自分のタイミングで検査ができ、速やかに検査結果が判明する抗原定性検査を効果的に活用することとし、希望する施設や事業者に加えまして、第五波時に感染が多く見られ、かつワクチン接種の対象となっていなかった保育園、幼稚園等の利用者とその家族に対し、家庭内感染予防として検査キットの配付を実施しました。さらには、十二月下旬には東京都事業であるPCR等検査無料化事業が開始されたことで、第五波の二倍程度の感染者数を想定した検査体制を構築してまいりました。
しかしながら、一月に入り感染が想定を上回る可能性が高まり、都の検査無料化事業の会場が当時区内に三か所にとどまっていたことも踏まえ、緊急対応として抗原定性検査キットの配布や民間事業者と連携し、都事業の無料PCR検査会場の設置、また上用賀公園での臨時検査会場の設置など対応してきましたが、開始時期や対象者の選定について、検査ニーズに適した時期に実施できなかった点につきましては、反省すべきものと受け止めております。
まん延防止等重点措置が終了いたしましたが、東京都は検査体制の維持、増強もしており、区ではこの四月、五月については少なくとも第六波と同程度の検査能力を維持することとし、夏に向けては、第六波の課題を整理し、様々な資源を活用し、検査拡充に向け検討してまいります。
◆津上仁志 委員 夏に向けてしっかりやってくださるということですので、次の波に備えた十分な体制を整えていただきたいというふうに思います。
それで、行政検査を行う保健所また臨時検査、抗原定性検査キットとは
保健福祉政策部が実施と、医師会など関係団体との連携も強化など、一体となった取組が必要になってくるとは思うんですけれども、今後誰が中心になりながら、こういったものをどこが中心になりながら進めていくのか伺います。
◎中村 副区長 今般の新型コロナウイルスの感染者数の推移ですとか、ウイルス自体の変異など刻々と状況が変化しており、事前に予測して、また臨機応変にスピード感を持って対応していくことが重要と認識しております。そのためには、庁内の関係各部の連携はもちろんですけれども、地域医療を支えていただいている関係団体との連携、協力は不可欠です。
これまでも両医師会においては、検査体制の拡充やワクチン接種をはじめとした取組、両薬剤師会においては抗原定性検査キットの無料配布など、様々な場面で御協力をいただいております。
両医師会をはじめ関係団体の方々とは、ウイルスの変異状況の想定が困難の中、先を見据えた対策を講じていくためにも、専門的知見や人的資源の協力など、今後区と一体となって、さらなる連携体制を構築していく必要があると考えています。
今後も区長を本部長とする新型コロナ対策本部におきます情報共有と意思決定を基本に、実務の責任者である副区長として、感染対策全体の進捗を管理しまして、担当各部が関係団体との連携を促進し、現場の状況を踏まえた効果的な取組を迅速に講じることができるよう、リーダーシップを発揮していく所存です。
◆津上仁志 委員 しっかり取り組んでいただきたいと思います。
最悪を想定して大きく備えていれば規模を縮小する、必要に応じて少なくするということはできると思うんですが、小さく備えていると、最大のものが起こったときにその対応でまた遅れると思うんですね。そのためには、先ほどおっしゃったとおり、しっかりと連携を取りながら、いろんな団体の方とも情報共有しながら、先をしっかり見通せるようなそういった取組にしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に、ワクチン接種について伺います。
東京都が公表した三月十四日時点の世田谷区のワクチン接種率は二二・八%、VRS未入力分を加味すると三三・八%になるとのことですが、それでも二十三区平均の三八・五%にも満たない、決して高い数字とは言えないと思います。我が会派が昨年の十二月八日に要望した予約なし接種もやっと実施が一昨日発表されました。区は目標値を定め取り組んできたはずですけれども、ここまで大きく乖離している現状をどう認識し、いつまでにどの程度の接種率を目指しているのか伺います。
◎久末
住民接種担当部長 昨日、三月二十三日の朝八時半時点での区民全体のワクチン接種率は、VRSを見ると三五・四%、またVRSの未入力分を含めると三九・六%になっております。ただ、これはおっしゃるように、国や東京都の接種率に比べるとちょっと下回っている状況になっております。
接種率についてですが、三回目接種を進めるに当たり、国が二回目からの接種間隔を急遽変更したために、一部は会場の前倒し開始ですとか時間延長を行ったものの、すぐに全体には対応できなかったところは反省すべきと考えておりますが、二回接種された方の全員が接種できるよう、区が設置する集団接種会場、医療機関での個別接種、企業や大学での職域接種などを合わせた計画を立てながら、接種体制の整備に努めてきたところです。
区といたしましては、受けやすい体制を整備し、いち早く接種することができるよう、これまでも目黒区、狛江市、楽天グループ株式会社等職域接種の協力を得たり、集団接種会場の接種時間帯の延長や夜間接種を実施してまいりましたが、今後は予約なし接種を開始するなど、接種率のさらなる向上に努めてまいりたいと思っております。
◆津上仁志 委員 VRS未入力分がこれだけ発生したことも大きな課題だというふうに私は思うんですけれども、この課題は一回目の接種時期からあったことで、三回目の接種では、個別接種を増やしていけば当然予測できる課題だったと思います。接種率に応じた体制を迅速に構築するには、しっかり今どの年代がどのぐらい接種ができているかというような数字を掌握して、それに対して予測をしていく必要があると思います。そのためには、医師会との連携、意思疎通が絶対条件だというふうに思います。
現場の医療機関からは、有症状の方や陽性者の診療などでワクチン接種まで手が回らない状況になっている。また、ファイザー社製ワクチンを希望する方が多いため、集団接種会場をモデルナからファイザーワクチンに変更し増やすなどの措置をしなければ接種率は上がっていかないんじゃないかと感じていますというような意見もあります。接種会場の予約状況を見ても、ファイザーから埋まり、次にモデルナが埋まっていくという状況から見ると、私もそのように感じています。医師会に御協力いただいているのであれば、こういった現場の医療機関の御意見に対し、体制変更を検討することも対策本部の役割だというふうに思います。
小児接種、十二歳から十七歳接種はファイザーワクチンに限定されており、個別接種の供給量の調整も必要となりますが、モデルナ会場からファイザー会場へ変更するなど必要だと感じますけれども、区はどのように対応していくつもりなのかを伺います。
◎久末
住民接種担当部長 十八歳以上の三回目接種につきましては、現在集団接種会場二か所でファイザー社ワクチンを使用しており、他はモデルナ社ワクチンを使用して、一日最大で八千二百二十回接種を行っており、毎日実施実績を報告いただいておりますけれども、ファイザー社で実施している個別接種と合わせて約一万回、一日で接種を行っているところです。
十二歳から十七歳の方の三回目接種はファイザー社ワクチン限定のため、四月時点の対象者約二万七千人強に対し、集団接種会場のファイザー会場二か所の開設日を増やしたり、さらには医師会の御協力を得て、個別医療機関での接種により、希望される方が接種を受けられる体制を確保していきたいと思っております。
今後は接種率向上のため、予約状況も見ながら、接種を希望する方が多いファイザー会場を増やすことについて検討してまいりたいと思います。
◆津上仁志 委員 ぜひ現場の声を聞きながら対応していただきたいと思います。
ワクチン接種の接種率を上げていくということは、区民の命を守る非常に大事な事業でもありますので、会場を設置したりとか変更したりとか、現場の職員の方は大変な思いをされているのは承知しているんですけれども、そういう命を守る事業に携わっているということを認識しながら、大変な中ですけれどもしっかり取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、後遺症アンケートについて伺いたいと思います。
区は、二回目のアンケート調査に二千百七十五万八千円の予算をかけて実施いたしましたが、今月中に結果を公表し、国や都に必要な支援を要望していくと区長は答弁されていましたが、アンケートには自由記載欄もあり、仕事や生活に関するものなど様々な御意見や要望があったというふうにお聞きしております。
区が主体となり、そのような声に応え、必要な支援制度の創出などに取り組んでいくべきと考えるんですけれども、区長のお考えをお聞きいたします。
◎保坂 区長 後遺症アンケート、まず1回目をまとめた後ですが、厚労省の医務技監をお訪ねしてこれを提供し、一日も早く治療方法などを確立する、そして労災認定制度、これはまだなかなか課題があるんですが、広く周知をすることなどを要望してまいりました。また、続いて黒沼東京都副知事にも情報提供しておりまして、後遺症に関する都内の医療機関の情報をここで得ることができ、都の取組との連携を確認してまいりました。
二回目のアンケートについて、最終のまとめが間もなく出来上がってきますけれども、やはり一回目、四月三十日までですから、アルファ株ですね。今回は九月三十日までですから、デルタ株が猛威を奮った。後遺症の出現率、後遺症が現れる率はやはり男女とも多くなっております。また、様々これらを見ていく中で、後遺症は人それぞれですけれども、大方一定の、例えば半年、十か月と落ちていくんですが、中にはずっと症状が継続されている方もいらっしゃると。
自由記載のところが大変多く書いていただいているんですが、これは実は一回目の自由記載欄から八百人近く、細かく書いていただいたものを中心にセレクトしたものですけれども、例えばコロナ感染を職場に言ったところ退職しなさいというふうに言われた、退職せざるを得なかった。また、フリーランスで収入が激減してしまった。あるいは再就労に当たって、PCR検査を自己負担でするようにという条件を出されたなど、雇用に関するお話が多く寄せられた。
区としてこのアンケート調査をやって、おおむね二つだと思います。一つは、やはり治療について、症状ごとに適切に御案内をしていく、既に保健所で運営している窓口を強化すること。二番目に、今のお声にもあったように、例えば傷病給付とか、そういう制度がありますよと。なかなか外からは確認しづらい脱力感とか、立っているともう二、三時間でなかなかもたない、こういう疲労感に関して理解が得にくいというような課題があるかと思います。特に職場での理解だと思います。というところで、例えば社労士の方であるとか、雇用、社会保障関係で既にこういう使える制度がありますよということも含めてアドバイス。そしてまた、生活困窮が大変な状態であれば、生活再建に結びつけた助言というものを取り組んでいける体制を構築する。この二つの面で、この後遺症アンケートを生かしてまいりたいと思います。
◆津上仁志 委員 二つおっしゃられましたけれども、一つについては、医療機関が使えるように、厚労省のほうでもガイドラインを出しながら、後遺症の治療、また対応について出されていますので、そちらはそちらとして、おっしゃられた二つ目がやっぱり大事だというふうに私たちは思いますので、ぜひとも区民に寄り添った、本当に大変な中でアンケートに協力してくださった方々の声ですので、それを無駄にすることのないように、新しい制度の創出も含めて、相談体制の強化もしっかり進めていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。
次に、地域行政推進条例制定について伺っていきたいというふうに思います。
代表質問に対し、
まちづくりセンターは、総合調整機能を担うとの答弁がありましたけれども、私この総合調整機能というのがどういう役割なのかというのがよく理解できていなくて、我々が考えているような、
まちづくりセンターが中心になりながら、ただの割り振りをするようなそんな役割ではないというふうに思うんですけれども、この機能というのはどういうふうな役割を担うことなのか伺います。
◎舟波 地域行政部長 区民生活において複合的な課題が大きくなる中で、区は町会・自治会をはじめ、地区のまちづくり活動の支援はもとより、それぞれの活動を相互につなぎ、地区全体で課題解決する意識の醸成と協力体制を築くことが求められております。
まちづくりセンターの総合調整機能ですけれども、地区において、このような協力体制をつくる取組と考えております。具体的には、区民や町会・自治会をはじめ、地区で活動する団体等の交流の機会をつくり出し、また、身近なテーマで開催するオンライン会議やまち歩きなどを通じまして、地区の情報把握から一歩踏み出しまして、課題やその解決の方策を取りまとめ、区民と共有し、まちづくりへの参加を働きかける取組と考えてございます。
また、地区課題の解決力を強化する上で、児童館を含めた四者連携の充実が重要であり、それぞれのネットワークを生かした地区資源の開発に、
まちづくりセンターがリーダーシップを発揮すること。広域的、専門的な課題の解決に向けては、総合支所と連携して本庁等の担当所管と協議を図ることも、総合調整機能の重要なポイントであると考えております。
◆津上仁志 委員 次に、予算委員会の福祉保健委員会所管での我が会派からの質問に対して、
まちづくりセンターが地域包括の中心となるべきとの発言が中村副区長よりありましたけれども、地域行政所管の実務責任者である岩本副区長は、どのようにお考えか伺います。
◎岩本 副区長 介護や子育て、貧困など課題が多岐にわたる中で、その解決策も多面的な対応が求められます。そのため地区の資源や様々な活動を掌握する
まちづくりセンターの役割がますます重要となり、地域行政条例の検討においても、
まちづくりセンターの充実強化の第一の項目として、総合調整機能を掲げております。地区課題をまとめ、解決に取り組む上では、
まちづくりセンター所長が中心となり、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会、児童館との四者の連携においてリーダーシップを発揮し、総合支所、本庁とも協議調整を行うことが重要です。
中村副区長からは、地域行政推進条例の制定を契機として、
まちづくりセンター自らの役割として総合調整機能を実践できるよう、所長の権限の整理、見直しを含め、具体的な取組を進めるとの答弁がありましたが、組織としてこうした役割を発揮でき、課題解決につながるよう、体制や事務分掌など具体の検討を進めてまいります。
◆津上仁志 委員 ぜひよろしくお願いします。
それで、最後に
まちづくりセンター所長は、総合調整機能を高める役割だけじゃなくて、地区内での課題解決に奔走するような、そういう総合責任者になってほしいなというふうに思っているんですけれども、この四者間で連携したくても、今はそれぞれの指揮命令系統があって、今の
まちづくりセンターでは縦割りの壁が存在している状況です。
地域行政推進条例制定によってその壁を壊すような大胆な組織改革が必要と考えますけれども、区の見解を伺います。
◎舟波 地域行政部長 今お話しの四者連携の意向の中で、地区まちづくりを一体的に捉えて、四者の活動を取りまとめ、課題解決に向けた協力体制を地区の中に築いていく、そのような役割が
まちづくりセンターに求められていると考えておりますので、その責任者である
まちづくりセンター所長の機能強化が必要になると考えてございます。
今、委員御指摘の四者の組織が分かれて、指揮命令系統が異なる中で、
まちづくりセンター所長の総合調整機能をどのように働かせるかは地域行政の検討において大変重要な解決すべき課題であると考えております。組織の在り方と併せて、庁内関係所管と検討を深めてまいります。
◆津上仁志 委員 以上で私の質問を終わって、福田委員と交代いたします。
◆福田たえ美 委員 私からは、子ども条例についてまず伺ってまいります。
一九八九年に国連で採択されました子どもの権利条約の批准国である我が国は、長年、子どもの権利を直接守るための法律を持っていませんでした。だからこそ、子どもを守る仕組みは不十分であり、子どもの自殺や虐待がなくならず、一層深刻化をしております。
二月二十五日に、子ども政策の司令塔となるこども家庭庁を設置するための法案を閣議決定いたしました。内閣府の外局として来年四月一日に発足させるということになっております。子どもをめぐる虐待やいじめ、不登校などの課題に政策の縦割りを排して対応するためです。法案では、子どもの安全で安心な生活環境の整備に関する政策の企画、推進や子育て家庭への支援体制の構築のほか、地域の適切な遊び場の確保や虐待やいじめの防止に向けた体制の整備などに当たるとなっております。
我が党として、こども家庭庁の創設と併せて、子どもを権利の主体として位置づけ、その権利を保障する総合的な法律として子ども基本法の制定を求めてまいりました。国を挙げて子どもの権利を横断的に守っていく動きが加速化をしております。子ども基本法の特徴は、子どもの権利条約に基づき、子どもの権利をいかなるときも保障するための総合的な政策を推進する、であります。
本区においては、子ども条例というものがあります。この条例が制定されてから約二十年が過ぎております。その間には、障害者差別解消法の施行や、また、世田谷区においては、世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例制定なども行われました。これらを踏まえた上で、改めて子どもの権利条約の生命、生存及び発達に対する権利、子どもの最善の利益、子どもの意見の尊重、差別の禁止と、これらの視点を改めて確認しながら、条例制定から二十年が経過をした本区の子ども条例を改めて見直す時期と考えます。
実効性ある条例にしていくために、権利条約の子どもの意見の尊重と差別の禁止の観点から、障害の有無や国籍の違いやジェンダーなど、様々な立場の子どもたちが安心して意見を言える環境をつくり、子ども条例に息を吹き込む現代に生きる条例へとすべきと考えます。
条例制定から二十年が経過した子ども条例を現代に即した条例へと見直すために、様々な立場の子どもたちが安心して意見を出し、条例に反映ができる取組を考えるべきと思いますが、区の見解を伺います。
◎柳澤 子ども・若者部長 区は、平成十四年四月に、全ての子どもの権利が守られ、健やかに育つことのできるまちづくりを掲げた世田谷区子ども条例を施行し、その後、子どもの人権擁護機関、せたがやホッと子どもサポートの設置や、子ども・子育て応援都市宣言の発布、区立児童相談所の設置など、様々な子ども・子育て施策に取り組んでまいりました。
令和四年度は、子ども条例が施行されてから二十年を迎えることを契機とし、子ども・子育て会議に子どもの権利部会を設置いたしまして、この間の条例や権利擁護を含めた子どもの施策について改めて評価、検証し、議論を行う予定でございます。
また、障害の有無にかかわらず、広く子どもたちが意見表明できる機会として、子どもを対象としたワークショップや若者が参加してのシンポジウムの開催を予定しておりまして、子どもの権利部会での議論に反映させてまいりたいと思ってございます。
今後も、区民とともに、全ての子どもの権利が守られ、生き生きわくわく育つことができる地域社会づくりを推進してまいります。
◆福田たえ美 委員 ぜひともこの新たな社会状況、区民の実感に即した条例に見直しを行っていただきたいと思います。
次には、区長にお伺いをしていきたいと思います。世田谷区の子ども条例制定から約十三年を過ぎた平成二十七年三月三日に子ども・子育て応援都市宣言を行っています。この宣言は、条例を形骸化させないストッパーとなり、都内でも子ども・子育てが安心ナンバーワンの区であると自信を持って言えるものだと捉えておりました。
ここで区長にお伺いしますが、区長自身、子ども条例制定後、子ども・子育て応援都市宣言を出されていますが、この条例に関して、まずどのように受け止め、考えていらっしゃるか、お伺いいたします。
◎保坂 区長 平成十三年の世田谷区子ども条例ですが、他区に先駆けて、世田谷区が子どもを育てる地域づくり、子育てがしやすい環境づくりに取り組むことを示した、また、子ども自身の視点にも立った画期的な条例だったと考えています。
認知症とともに生きる希望条例を制定する際にも参考にしたのは、できるだけ分かりやすい平易な文章で書かれているというのも特徴だと思います。今御紹介の子ども・子育て応援都市宣言、さらにその子ども・子育てだけじゃなくて子ども自身を応援するという視点も織り込んだつもりです。この間、区立児童相談所がスタートしました。また、長年の保育待機児の問題も解消に向かいました。
一方で、先ほどからの他会派のやり取りにもあったように、子どもがコロナ禍の二年間で大変孤立し、そして苦しい状況、また、子どもの貧困の社会問題化、虐待事件の増加等、かなりこの二年間厳しい状況になってきているなということも感じております。
こうした中、子ども条例が施行された二十年目という機会を捉えて、全ての子どもや若者は一人一人が垣根のない権利の主体である、そして、自らにとって最善の利益を保障されるんだと、そういう観点から、この子ども条例、そして子どもの諸権利について、まさに当事者である子どもや若者が意見表明し、区民とともに議論し、そして生き生きと育つことができる、地域に根差して頑張っていける、そんな議論を経て、しっかりと深化をさせていきたいという思いを持っております。
◆福田たえ美 委員 区長の今の御答弁で、まず、この条例が政策をぶれずに進めていくためには大変大切な羅針盤であるということと、あと、今の現在の状況に合わせて一層バージョンアップを図られるという意気込みをお聞きすることができました。
しかし、この世田谷区の子ども条例が制定されて今二十年が過ぎてまいりましたが、少し私も振り返りますと、条例って何なのかなというふうに疑問に感じるところもありました。条例の第三条に、「子どもがすこやかに育つことを手助けし、子どものすばらしさを発見し、理解して、子育ての喜びや育つ喜びを分かち合う」とあります。また、子ども・子育て応援都市宣言では、「世田谷区は、区民と力をあわせて、子どもと子育てにあたたかい地域社会を築きます」とうたっています。
ところが、先日の福祉保健委員会の所管においても、また、公明党がずっと訴え続けました多胎児支援に関してですが、岡本委員から、多胎児を妊娠された妊婦健康診査の無償化に向けた区の助成も求めるとともに、二歳児まで十分の十の補助が出される多胎児支援事業が本区においてはゼロ歳児に限定していることに、区民の本当の声を聞いているのか、甚だ疑問です。
また、学童クラブの時間延長に関しましても、何回も何回も何回もアンケートを行い、何のために行っているのかという疑問が湧いてきます。アンケートの実施は、区が区民の皆様の声を聞きましたとのパフォーマンスにとどまり、一歩前に進める実態調査になっていないと感じております。孤立し、子育てに苦しむ区民の声は、アンケートでやっと声を届けても、全く区政に届かない。それでは、子ども・子育て応援都市宣言はパフォーマンスにしかなりません。
また、学校給食費の無償化に関しましても、何度となく所得制限の撤廃を求めてまいりました。先日、我が党が行ったアンケート調査でも、給食費の無償化を求める声が多く寄せられました。涙で声にならない声も区政に反映し、誰もが世田谷区で子育てをしてよかったと言えるよう、暗闇にともしびを添える支援こそが、宣言をした区にふさわしいと考えております。
子ども条例や子どもの権利に関して、目標や基本姿勢は理解ができますが、個別の計画や施策へ実際に反映させなくては意味がありません。この点に関して、区長はどのように評価をされていらっしゃいますでしょうか。
◎保坂 区長 子ども条例の推進計画として令和二年四月に子ども計画(第二期)後期計画を定めまして、全体を貫くコンセプトに子ども主体を掲げて、様々な施策に取り組んでいます。後期計画に掲げる施策の実現、推進に当たっては、子ども・子育て会議等においても個別事業の進捗がどうなっているのか評価、検証を行っているところです。
権利条約で盛り込まれた意見表明権は、条例の十一条、子どもの参加で記されており、子ども、若者が置かれている環境を改善し、提案を実現する態度がとても必要だと考えております。
委員からいろいろ具体的に御指摘、改善要望をいただきました。子ども・子育て応援都市をバージョンアップする具体的な施策の在り方について、子ども条例に掲げる理念、そして子どもの権利保障を目に見える形で実現できるよう、検討を進めてまいります。全庁を挙げて、大事な時期だと、子ども条例から二十年ということを意識した取組を進めてまいります。
◆福田たえ美 委員 区長も多分同じだと思いますが、私たちが提案したそういう政策とかが実際に区民のところまで行き届いて、その方が笑顔になったら本当によかったなと思えると思います。ですので、この条例も、また宣言も、確実に計画、また区民の方に喜んでいただけるところまでしっかりと落とし込んでいただきたいと思います。
続きまして、高校三年生までの医療費無償化について伺ってまいります。
今回の第一回定例会において、高橋委員から代表質問で、高校三年生までの医療費無償化について質問をしてまいりました。都が示すスキームは、所得制限があることに疑義があります。
本区においては、区長の強い決意と実行により、中学三年生まで所得制限を設けず、医療費無償化が継続をされています。以前、中学三年生までの医療費無償化について、区長は、少子化が進行している、そして子育て、教育にかかる費用が増大していることから、子ども・子育て応援都市を掲げている以上、この制度は基盤的な意義がある、基盤をしっかり生かして、子育て負担、教育の負担の軽減と子どもが健やかに育つ社会基盤を整備していくのが区の責務と考えていると明確に御答弁をされておりました。変わらぬ区長の御決意をぜひ実行に移す準備を進めていただきたいです。
第一回定例会での高橋委員の代表質問に対し、区長の答弁には力強さを感じると同時に、都に対して力強く働きかけるというところが、東京都に責任を課し、都が所得制限でスタートした場合、区としてこの所得制限撤廃に向けた取組を本当に行っていく決意があるのでしょうか。改めて区長の御決意を伺います。
◎保坂 区長 私も、熊本前区長時代の完全無償化については、行政改革をめぐる議論の中で何度か見直しの俎上に上がったことがありますが、これだけは絶対撤廃してはいけないという信念で継続をしてまいりました。
今般の高校三年生までの無償化に関してなんですが、東京都のいわばこの発表が、以前の本会議答弁で申し上げたとおり、どのような制度なのか、財源はどうなのかについて、区長会に対しても何の説明もできないまま二度ほど空振りで終わりました。つい最近説明がありましたが、それはマル乳、マル子の横引きということで、御案内のとおりに所得制限はありで、そして、完全にしたければ区のほうでどうぞという従来の姿勢と変わらなかったわけです。
これまで二十三区のやり取りの中で、私ははっきり決着させておきたいのは、東京都が、所得制限を超えて二十三区が上乗せしてきた部分は不要なんだと、勝手にやっているんだと、そんなものは勝手にやっているんだから評価しないよと。こういう姿勢はもう改めてもらいたいということを区長会全体としても都に申し上げていきたいというふうに思っております。
結論を言います。私は、中学三年生まで所得制限を設けていないのに、高校生世代だけ所得制限を設ける医療費無償化はあり得ないと思っています。しかし、そこを逆手に取って、完全無償化財源はそうおっしゃるんだから区の財源でどうぞと。これは、東京都のほうも、もう一回これまでの中学生までの無償化、あと三多摩の問題があります。こういったことをちゃんと見て、東京都も子ども基本条例ができましたので、ここで大きく転換するんだと。これだけ少子化ですから、そのことを区長会で求めながら、私としては高校生世代に所得制限をかけることは全く考えておりません。
◆福田たえ美 委員 区長、ありがとうございます。区長としては、所得制限を設けずに進めていくという御決意だということをはっきりと確認させていただきました。ぜひともよろしくお願いいたします。
最後に、学童の延長に関して伺ってまいります。我が党としては再三求めてまいりました新BOP学童クラブの時間延長について伺ってまいります。
私も、この新BOP学童クラブの延長を求めるお声を様々な区民の方からいただいておりました。ひとり親家庭で新BOPの時間に合わせ早い時間に切り上げるということは、今の仕事を辞める、また、改めて仕事を探すということは家計にも大きな影響があるといった、こんな不安な声もいただいておりました。時間延長を求める区民にとって、現状では不安が拭えない実態がうかがえます。
放課後児童健全育成事業は、児童福祉法に基づいて、小学校に就学している子どもで、その保護者が労働、疾病、介護などにより昼間家庭にいない子どもの放課後の時間帯において、子どもの育成支援を行うとともに、その家庭の子育てを支援すると位置づけられています。
働く社会の環境が今大きく変化をしてきております。全国の学童クラブの延長をそれは押し上げている状況です。本来、子どもの育成のために早い帰宅にシフトできる社会環境に変えていくことが一番だとは思いますが、現在は、働く環境に合わせた学童クラブの運営で子育て家庭を支援することが、子ども・子育て応援都市宣言を行った区の責務ではないでしょうか。
区内の二百近い保育園が十九時十五分を超えて延長保育を行っていることから、新BOP学童クラブの十八時十五分を超えての延長が必要なことは容易に想像ができると思います。我が党は再三、時間延長を求めてまいりました。五回にわたるアンケート調査を行っても、モデル事業を行っても、時間延長の実施に一歩も踏み出さない区の姿勢に、またアンケート調査との言葉に、私たちは、前に進めないための理由を探しているのではないかと疑いの念が払拭されません。
新BOP学童クラブの実施時間延長モデル事業の再開については、アンケートを基に判断すると言っておりますが、今回のアンケートで何を判断するのか、お聞かせください。
◎柳澤 子ども・若者部長 区では、これまでも、実施時間延長モデル事業を実施するとともにアンケートを実施してまいりましたが、アンケート結果では、時間延長を必要とする一定程度のニーズは確認させていただきました。ただ、モデル事業での利用数、また時間は限定的なものであったと認識してございます。一方、国の統計を見ますと、午後六時以降の放課後児童クラブの実施数というのは増加しております。
区といしたしましても、延長時間帯での利用しやすい運営方法などに課題があり、再開に当たっては再度、保護者の実態などを確認する必要があると認識してございます。
今回のアンケートでは、狭隘化、大規模化の解消に向けての民間の放課後児童健全育成事業者の活用も視野に入れ、区独自の運営方針の策定に向けて、ニーズなどの調査をするとともに、実施時間延長モデル事業を見据えた保護者と子どもの帰宅時間に関する困窮の状況を確認し、利用しやすい実施方法などの検討に生かしてまいりたいと考えてございます。
具体的には、この一年間で運営時間が午後六時十五分までで実際に困った経験があるかどうか、その際どのように対応したかなど、保護者の状況を踏まえ、区が運営すべき延長実施時間や対象人数などを把握し、まずは現状に合った実施時間延長モデル事業の仕組みづくりに反映させたいと考えてございます。
◆福田たえ美 委員 二十三区中二十二区において時間延長を実施し、国も家庭状況に合わせた時間延長の増加が顕著であることを指摘しております。先延ばしにする理由が全く見つかりません。経済社会状況の不安定さゆえ、働く環境も厳しい状況の中で必死に働く家庭を支えていくのが区の責務と考えます。
新BOP学童の実施時間の延長は、区も必要性を認めているので、先延ばしをせず、モデル事業の再開に踏み切るべきです。区のスケジュールについて伺います。
◎柳澤 子ども・若者部長 放課後児童クラブの運営時間については、国が示す運営指針の解説において、保護者の就労時間や就労状況が多様化している実態を踏まえて、地域における保育所の開所時間や開所日などを参考にすることが望まれるとしてございます。また、二十三区においては、二十一区の公設で放課後児童クラブの時間延長を実施してございます。残り一区は、放課後児童健全育成事業と違う取組をしているところがございます。
新BOP学童クラブの実施時間延長モデル事業の再開に向けては、現在、保護者アンケートを実施してございまして、その結果を踏まえて実施内容も含めて検討し、議会の御意見なども伺いながら、九月までには判断し、お示ししたいと考えてございます。
まず、休止している実施時間延長モデル事業の本年中の再開に向けて、子どもと保護者のニーズに合った持続可能な仕組みとなるよう検討を進めてまいります。
◆福田たえ美 委員 あり方検討会の報告書のアンケートには、放課後を過ごす場所に求められる条件に、学校から近い、家から近いが上位に入っています。区が示した時間延長の児童は一部を外出しという考え方も出しておりました。分断を生み、かつ、ニーズとの乖離が生まれます。全校での時間延長への対応をすべきであります。
早急に全校で新BOP学童クラブの実施時間延長を実施すべきと考えますが、区の見解を伺います。
◎柳澤 子ども・若者部長 新BOP学童クラブの実施時間延長につきましては、モデル事業が一旦休止となってございますので、まずは再度モデル実施をしまして、全校実施に向けた課題を検証、検討していくものというふうに考えてございます。
区といたしましては、モデル実施の状況を確認するとともに、学校外の民間の放課後児童健全育成事業者の誘導も検討してございますので、こうした取組との整合を図りながら、時間延長を本格実施するとした場合の必要な人員の確保、実施時期や規模など、諸課題についても検討を進めまして、令和四年中に見通していきたいというふうに考えてございます。
◆福田たえ美 委員 私からの質問を終わり、いたい委員に替わります。
◆いたいひとし 委員 今、高校三年生までの医療費の無償化の質疑でしたけれども、私はまず、世田谷区でそのために子どもたちに笑顔を届けるためには、しっかりと行財政改革をやって、その財源をしっかりと捻出するんだと、やっぱりそういう思いで、今後の行財政改革を区長をトップにやっていただきたいと思うんです。それをなくして、やはり私はこの子ども条例の意義というのは薄れていくと思っておりますので、一言申し添えておきます。
私から、産業振興公社について伺います。
令和四年二月二十五日付で、世田谷区産業振興公社の改革方針が示されました。私は大変興味を持って読みました。読んだ後の感想は、十六年間の時間を返せであります。この十六年間、我が党が求めていた改革が進まなかったのは、もともと経済産業部は産業振興公社を経済産業部の出先機関として考えており、融資あっせん、経営相談の業務をメインにやっていればよいと考えて、それ以外のことはできるようにしてこなかった、公社も自ら改革を立ち上げるような人材は存在しなかったと、この改革方針を読んでそう強く感じました。
我が党は、これまで、幾度となく区内産業の発展を願い、戦略的な産業振興策を提案してきました。私は、これまでこの十年間の我が党の質疑を読み返してみました。
その提案の一端を述べると、電子決済システムの導入、これはせたがやPayではやっておりますけれども、東京二〇二〇大会を契機とした文化国際交流センターの立ち上げ、アニメ、映画等のコンテンツを活用した産業振興とシティプロモーション、起業創業においては、準備期、創業期、成長期、安定期に沿った支援をすること、経営相談が行える中小企業診断士など固有職員を確保し、ノウハウを蓄積すること。
経済産業部に対しては、産業振興公社とサービス公社、トラストまちづくりとの統廃合、年金だけでは生活が厳しい高齢者への仕事の掘り起こし、起業創業者に対する追跡調査及び区内産業への波及効果の検証、墨田区のようにアウトリーチからの産業戦略策の構築など、挙げれば切りがないほどであります。
我が党は、この産業振興公社からの改革方針の内容は別として、十六年間言い続けてようやくその改革案が出てきたと前向きに捉えたとしても、区は平成十七年に外郭団体の取り組むべき課題や方向性を示し、外郭団体改善方針の策定や、その後の基本計画や実施計画でも、改革に着手すると示してきました。結局は、産業振興公社は改善を散らつかせながら、単なる引き延ばしに終始したのではないかと私自身は結論づける内容でありました。区はこの十六年間をどう総括するのか伺います。
◎田中 経済産業部長 産業振興公社は設立以来、事業者の資金繰り対策としての融資あっせんや経営上の課題解決に向けた相談や支援機関への橋渡しなど、事業継続を支える役割を適切に果たしてきたと考えています。
第三セクターの特性を生かし、区内産業活性化に向けた独自の事業展開を図ることが期待され、区としても働きかけや支援を行ってまいりました。第三セクターならではの産業団体や金融機関とのネットワークを生かした事業者支援を行ってきた一方で、地域産業のイノベーションを促す取組においては、有料でサービスを提供する民間事業者が増える中で、十分な独自性を発揮できていないと認識しております。
今後、地域産業のイノベーションを推進する取組については、区と産業振興公社にはないノウハウを持っている民間事業者が旧池尻中学校跡地を活用した新たな産業活性化拠点において展開し、産業振興公社は、コロナ禍の現状も踏まえ、区内事業者のセーフティーネットとしての役割を地域産業とのネットワークをさらに強化しながら担っていくべきと考えております。
◆いたいひとし 委員 今の民間事業者も増える中で必ずしも十分な独自策を発揮できていないと認識しているとか、産業振興公社は、コロナ禍の現状も踏まえ、区内産業のセーフティーネットとしての役割を地域産業とのネットワークをさらに強化しながら担っていくべきと考えている、この発言は今までなかった発言だと思います。このようにこれまでの見解と大きく矛盾する今の答弁だと思います。こうした状況を把握していながら、なぜ改革してこなかったのかを伺います。
◎田中 経済産業部長 この間、平成三十年度より、旧池尻中学校跡地を活用した新たな産業活性化拠点の在り方の検討を始め、同時に新実施計画の外郭団体の見直しの取組の中で、産業振興公社の事業の見直しと在り方について評価検証を行ってまいりました。
旧池尻中学校については、社会経済環境の大きな変化に対応し、区内産業を再活性化するための拠点とすべく、各地の先進事例を研究する中で、区や産業振興公社では持っていない高度な技能や実績を有する民間事業者を活用する必要があると判断をしているところです。
一方で、産業振興公社は、産業振興公社でしか持ち得ない産業団体等とのネットワークを生かし、事業者を取り残さない経営支援の役割を果たすとともに、ネットワークをさらに広げ、地域活性化の推進を担っていくことを、このたびの条例改正を踏まえた経済産業施策や産業振興公社の経営改善方針の議論の中で改めて整理をしたところです。
◆いたいひとし 委員 この産業振興公社の改革方針には、公社は収益事業を実施していないため、毎年度一千万円から二千万円の不足が生じ、事業経営積立金から支出している、積立金は今後五年程度で枯渇するとあります。
こうした財政状況から脱却する方針として、区のふるさと納税対策を包括的に受託することを提案する、さらに、「世田谷みやげ」のパッケージ、送付を行っているところだが、イベントを活用した体験型の記念品や、過去の寄附者へ継続的な告知等を進める取組の受託を提案する、収益事業を軌道に乗せるまでの二・三年の間、区の外郭団体に対する財政支援方針の特例として、管理者への補助をできないか検討を求めると記載されています。結局、これは世田谷区頼みではないかと思います。
また、ふるさと納税対策は、保坂区長が信条としているふるさと納税対策と真っ向からぶつかるものではないでしょうか。この提案と実現性についての見解を求めます。
◎田中 経済産業部長 産業振興公社が掲げるふるさと納税への提案は、各種イベントのパレードへの参加など観光資源を活用した体験型の取組や、区内事業者のオーダーメード商品など、産業振興公社が長年培ってきた観光資源や事業者とのネットワークを活用すること、こういったことを考えていまして、これらで魅力的な記念品、体験型のものというのが提案できると考えております。
区は、これまで、世田谷ゆかりの品や体験により区外の方に世田谷を知ってもらうことを目指した記念品開発を行ってまいりましたが、産業振興公社の提案はこの方向性に沿いながら、区外からのふるさと納税を確保することにつながると考えております。また、産業振興公社が目指す行政のスリム化にもつながるとともに、産業振興公社の課題である収益の確保を図ることもできると考えています。
さらに、産業振興公社が独自性を発揮できる事業を成長、発展させ、人材育成を推進するなど多くの効果が期待できるものと区としては評価しております。
◆いたいひとし 委員 公社の課題である収益の確保を図るとの答弁でしたけれども、例えば手数料を一〇%として計算した場合、一千万円を稼ぐにはやはり一億円以上のふるさと納税がないと難しいことになります。現実的にかなりかけ離れている提案だと思います。
我が党は、この産業振興公社を解体しても、融資あっせん、経営相談は必要であるし、不足する介護や建設等の人材確保も喫緊の課題であると考えます。しかし、それらは産業振興公社がなくてもできます。そして、我が党は、この池尻中学校の跡地利用と産業振興公社の改革はセットで考えるべきとの立場であります。相談にもたどり着けず、廃業し、倒産している企業に対して、一社でも多く支援につながること、つながる支援が大事であります。
産業振興公社は、こうした課題解決に特化した組織として、限られたマンパワーを生かすべきではなかったのではないでしょうか。最前線の現場へ足を運び、生の声を聞き、政策提言につなげるのが残された道ではないかと思います。真の産業振興公社の改革について区の見解を伺います。
◎田中 経済産業部長 これまで、産業振興公社は、産業団体とのネットワークを生かし、情報誌やチラシ、パンフレットの配布などにより幅広い事業者に対して支援情報を周知してまいりました。
しかしながら、コロナ禍などで経営難に陥る事業者が増えている中、さらに幅広い働きかけを行い、取り残される事業者がいないようなセーフティーネットを構築することが求められております。
かつてのリーマンショックのときでさえ誰にも頼ることなく経営を維持してきた事業者の方々が、今回のコロナ禍での長期にわたる需要停滞の中では、事業継続のために何か支援策はないかと探されていたということが分かっております。このような事業者をはじめ、誰もが相談できる産業振興公社となるためのアウトリーチが必要だと考えております。
他区の事例なども参考に、産業振興公社の職員が積極的に外に出て、事業者の実態を把握し、ネットワークを広げる取組など、アウトリーチ活動を積極的に行うよう働きかけてまいります。
◆いたいひとし 委員 今、アウトリーチという話がありました。しかし(「十六年も前から言ってるんだよ」と呼ぶ者あり)そうなんです。これもずっと前からも言っていたことなんですが、この公社の改革方針には、そのような記載はありません。公社にはないんです。今の答弁では、旧池尻中学校跡地活用と産業振興公社が真に区内産業の維持、発展につながるかというと、私は確信を持てません。これまでの答弁は納得いかないものであります。
重ねて質問しますけれども、外郭団体の役割とは、世田谷区でもスピーディーにできないことを担い、公社でしかできない役割の確立、民間市場でも戦えるノウハウの蓄積や、人材を軸としたネットワークの構築が最大の使命であり、持ち味とすべきであります。それが今、公社にはないということであります。公社が生き残るための独自性をどのように発揮できるのかが今問われております。この点を明確にし、公社のありようの指標を明確にし、また、期間も定め、議論を深めるべきと考えますが、見解を伺います。
◎田中 経済産業部長 御指摘の産業振興公社でしかできない役割の確立については、現在のコロナ禍の影響を踏まえ、まずは事業者の立ち直り支援に当面の間注力し、改革方針で掲げた産業振興公社内部の経営改革を着実に進める必要があると考えております。
その上で、第三セクターとしての強みを生かし、行政だけでは担い切れない区内産業団体や業界団体とのネットワークの要となる取組や、地域活性化や観光など独自の取組を展開してほしいとも考えております。産業振興公社に対して事業計画の策定を要請し、アウトリーチやふるさと納税に係る業務などの年次目標を定め、PDCAサイクルを回しながら計画的に実施できるよう支援してまいります。
産業振興公社の今後の取組は、区の経済産業政策の展開や旧池尻中学校の跡地を活用した新たな産業活性化拠点のあり方と併せて、常任委員会等で報告し、御議論をいただきたいと考えております。
◆いたいひとし 委員 改革を先延ばししている間に、公社の存続そのものが岐路に立っています。産業振興公社の積立金が底をつきかけています。融資あっせん、経営相談をする側が赤字になったら、笑い話になるのではないでしょうか。また、赤字の団体に事業を委託し、補助金を出すことは到底あり得ない話です。そこにさらに税金を投入するとの話には、納得いきません。議会での熟議を尽くし、本当に改革し実践できるのか、いま一度確認が私たちは必要だと思っております。できなければ解散も視野に入れるべきと改めて申し上げ、次の質問に移ります。
次に、ウクライナ危機についてであります。
公明党の山口代表は十五日、ウクライナ情勢などを背景に原油価格や食料品価格の高騰が続き、家計や中小企業、農業者などに幅広い影響が出ていると指摘し、今後の展開次第では戦後最悪の危機に陥りかねず、国民生活を守るため新たな経済対策を検討するよう政府に求めました。また、都議会公明党は、都内の事業者や都民の家計への影響が広がりつつある中、十六日に小池知事に対する緊急要望を行いました。そして、翌日には、都は二百五十二億円の補正予算案を発表しました。
ウクライナ危機は、まさに危機管理であります。区として基金を活用した補正予算など、副区長を長とする専管部署を立ち上げ、遅れることなく対策を講じていく必要があると思いますが、見解を伺います。
◎保坂 区長 お尋ねの危機管理の前提として、昨日、ゼレンスキー大統領のオンライン演説がございました。まず、ロシアによるウクライナ侵攻は絶対に認められない侵略であり、原発周辺への攻撃、占拠など、大変大きなリスクがあること、また、核兵器の使用に言及しているなど、私たちとしては認められない。三月四日に区として抗議声明を出したところであります。
また、戦禍を逃れて避難する人々の受入れに対して、日本として、あるいは自治体として何ができるのかということを関係所管を集めてPTを発足するよう指示しているところであります。
お尋ねの点のいわゆる区内の経済対策についてです。区民の暮らしの全領域を受け持つ自治体として、この影響を最小限にとどめるために、事業者への緊急融資の経営支援をはじめ、失業に追い込まれた区民のための生活困窮者対策としての相談支援、食の支援、そういった区民目線によるアンテナをしっかり張り、幅広い施策への強化をより一層進める必要があると考えております。
両副区長を筆頭にしながら、庁内の全体調整を担う政策経営部と具体の施策を担う各部との横断的な連携の下、区内事業者からの総合経営相談件数や生活困窮者に関わる新規相談件数などを把握し、相談機関に寄せられる状況から、今般のウクライナ情勢における経済危機、区民生活の影響について的確に把握し、具体の対策が必要な場合には補正予算での対応も御相談させていただきながら、時期を逸することなく対応してまいります。
◆いたいひとし 委員 やはり制度融資も最も効果的だと思っておりますので、そこは怠りなく、四月からゼロゼロ融資が始まりますけれども、やっぱりそうした融資制度の創設を求めておきますけれども、これは質問しようとしたんですけれども、要望にとどめます。
次に、ニッケルなどが高騰していて、半導体不足にも拍車がかかっていますし、建設産業に関連する資機材や燃料の高騰に歯止めがかからなくなっています。資機材などの価格上昇やサプライチェーンの停滞は、建設工事を中心に工期遅延や一時停止といった形で影響が出始めています。安心して公共事業を受託できる環境整備が急務ではないでしょうか。区の見解を求めます。
◎工藤 財務部長 区では、世界的なコロナ禍に加え、現下のウクライナ情勢などを受けた工事資材の供給遅滞などへの対策として、可能な限り早く工事を発注するとともに、工事で使用する機器情報を早期に提供し、事業者による資機材等の手配期間の確保を図っております。
また、こうしたやむを得ない事情が契約後に発生し、工事の完成に支障を来すような場合には、設計変更や工期の延長を行うものとし、その旨、事業者へも周知をしたところです。
しかしながら、日々深刻度を増す世界的危機が建設産業に与える影響も鑑みれば、従来のような工事が受注されず、区の事業が停滞する事態も想定しなければならない極めて憂慮すべき状況にあると認識しております。
このため、いわゆる起工課ですとか施設所管課などを含めまして、庁内で危機意識を改めて共有し、発注に関連する市場の動向などの把握に努め、必要により事業者の声も伺いながら、仕様や工期、予定価格の設定を行うとともに、受注者とのコミュニケーションを一層密にして、契約変更の協議などにも迅速に対応するなど、安心して受注いただけるような環境整備に取り組んでまいります。
◆いたいひとし 委員 今の発言はしっかりと関係事業者にお伝えしていただければと思っております。
最後に、避難民の受入れについてお伺いをいたします。
世田谷区も多くの避難民の受入れをしっかりと体制を組んで行っていただきたいと思いますが、見解を伺います。
◎片桐
生活文化政策部長 区内で受入れを行う場合、ウクライナ語に対応できる相談窓口を開設しております東京都とも連携しながら、避難民の方々に必要な生活情報をお届けするとともに、中長期の滞在が見込まれる場合には、日本で生活する上で必要となる日本語を学ぶ機会の提供なども視野に入れているところです。
都においては、学ぶ施設に加え、住まいの確保や生活支援等に向けた準備も進められているところでございますので、区としましても、情報の把握にしっかり努めながら、避難民の方々が不便に感じることなく暮らせるよう、関係所管で連携を取りながら、受入れ体制の整備に取り組んでまいります。
◆いたいひとし 委員 以上で公明党の補充質疑を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で公明党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後三時二十四分休憩
──────────────────
午後三時四十分開議
○菅沼つとむ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
世田谷立憲民主党、どうぞ。
◆中村公太朗 委員 では、世田谷立憲民主党の質問をさせていただきます。
私からも少しウクライナへの侵攻について、絡んで質問をしていきたいなというふうに思います。
ちょうど今日で一か月ということで、当初は数日間でキエフが陥落をするみたいな報道もされておりましたけれども、結果として、一か月たった今日の時点でもまだ遠い異国の地で戦端が開かれているという状況で、大分状況もいろいろ変わってきておりますけれども、避難民の受入れの話もいよいよ具体的に国のほうでも本腰が入ってくるのかなというような状況かというふうに思います。
そうなると、平和都市宣言をしているこの世田谷区でありますし、先進自治体と言っていいんだろうと思いますけれども、やはりいち早く平和に対してできること、ウクライナの方だけではなくて、この戦争に絡んで困られている方、避難をされている方々に対して、やはり真摯に積極的に手を差し伸べられる自治体であるべきなんじゃないかなと個人的には思っておりますので、そういった観点から世田谷区にはいろいろ期待をするわけですけれども、先ほどの答弁とも絡むかもしれませんが、現状、何か区として準備をされているというようなことがあれば教えていただけますか。
◎片桐
生活文化政策部長 ウクライナで主に使用される言語は、公用語のウクライナ語及びロシア語となっておりまして、日本語を話せる方が少ないことが予想されるため、避難民の方々の受入れに当たりましては、生活の様々な場面で言葉の支援が重要になるものと考えております。
区が昨年四月よりくみん窓口等に導入いたしましたタブレット端末による通訳サービスでは、英語やロシア語など十三言語への対応がございますが、ウクライナ語には対応していないような状況です。そのため、多言語支援につきましては、国や都が開設する相談窓口や外国人支援に取り組むNPOなどと連携して対応を図っていく必要があると考えております。
一方、中長期の滞在が見込まれる避難民の方々につきましては、区の実施する外国人向けの日本語教室の受講機会を提供するなど、生活に必要な日本語の習得への支援についても検討してまいります。
◆中村公太朗 委員 今、相談窓口と日本語学校の提供みたいな、大分先に進んだ話をされましたけれども、まずは、受け入れるに当たって、住む場所ですよね。東京都のほうでは何やら百床、百部屋ぐらい都営住宅を拠出する意向というような話も耳に挟んでおりますけれども、何かこれに絡んで区として想定をされていることというのはありますか。
◎畝目
都市整備政策部長 ロシアのウクライナ侵攻により避難を余儀なくされてきた方々の支援といたしまして、各自治体におきましても住宅支援の動きは広がりつつあります。国の様子をうかがう自治体も多い状況でございますけれども、現在も東京都では、先ほど委員からもお話がございましたけれども、百床で最大七百戸まで提供可能とする考えを示してございます。
区といたしましては、国や東京都との情報共有を図りながら、区営住宅等の提供の準備を進め、機動的に対応してまいりたいと、このように考えてございます。
◆中村公太朗 委員 世田谷区は、先ほど言ったように様々な取組を現状しているわけで、いろいろな資産というか持てるものがあると思うんですよね。活用できるかどうかというのはケース・バイ・ケースかと思いますけれども、少し幅広く可能性として探っていきたいなと思うんです。
まず、十二月からスタートしている空き家の活用の事業、マッチング事業がスタートしていますけれども、例えば、今これだけ寄附だったりとか、私の周りでも、持っている物件を一年間は無償でそうした避難の方に提供するつもりですというような発表をされている方もいらっしゃるんですけれども、結構今回のこの戦争、侵略が大分注目がある中で、何かをしたいなと思っている日本の方は結構いると思うんですよね。世田谷も多分結構多いと思うんですよ。
そうした場合に、例えばこの空き家マッチング事業の地主さんというのかな、部屋を持っている側の方に対して、少し売るとか、別転用を考えていらっしゃる方に、例えばこういうパターンもありますよ、例えば一年間無償で提供をするということはできませんかとか、それを例えば今回のその真ん中に入っている事業者側から相談が来たときに提案をしてもらう、選択肢の一つとして、最終的に拠出するかどうかは持っている方次第だと思いますけれども、そういう情報提供をする可能性というのはありますか。
◎畝目
都市整備政策部長 委員からお話がありました民間の空き家等の活用といたしまして、区では、地域のために活用させていきたいという所有者、それから、活用を希望する団体とのマッチングを行います空き家等の地域貢献活用事業ですとか、地域共生のいえの事業で構築しましたネットワークがございます。また、昨年十一月から事業を開始しましたせたがやの家の空き家活用ナビ、これも開始してございまして、こうした事業によります空き家等を活用することも考えられると思ってございます。
ですので、こういったことも活用しながら考えていきたいというふうに考えています。
◆中村公太朗 委員 もう一つ、世田谷区にはホームステイを受け入れるための登録制度がありますよね。基本的にはこれまでは姉妹都市交流をする中で受け入れたりとか、今はなくなりました、留学生会館って昔あったと思うんですけれども、ああいう絡みで交流をするような制度で、登録はごめんなさい、僕もこれをテーマにしたのは一、二年前だと思いますから、当時がどれぐらいの数か覚えていないですけれども、そんな多くなかったかなと思います。
そういうふだんから外国の方を受け入れようとして世田谷区に登録をしている御家族というか世帯がたしかあったと思うんですけれども、例えばそういう方々とのコミュニケーションを取って、そういう避難の方がいらっしゃった場合にはどうなんですかとか、意向を聞くとかということとかもやるつもりはありますか。
◎片桐
生活文化政策部長 区のホームステイボランティア家庭登録制度は、お話しのとおり、姉妹都市交流をはじめとする国際交流の推進を目的としており、今年度末現在で約五十家庭の登録がございます。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により国際交流事業における海外の方の受入れが休止となっている関係で、令和二年度以降は利用実績はございません。
ウクライナの避難民の方々による本制度の活用につきましては、まず、避難民の方々の御希望があることが前提となります。また、ボランティア家庭にとっては、滞在期間や言葉での意思疎通の面で課題も想定されるため、各御家庭の十分な理解と承諾が必須条件となってまいります。ホームステイボランティア制度を活用した避難民の受入れにつきましては、従来の国際交流事業とは大きく異なることから、課題を慎重に見極め、利用者双方の御意向を最優先に活用の可能性について検討してまいります。
◆中村公太朗 委員 利用者双方の御意向は確認をしたほうがいいと思いますけれども、課題を慎重に検討している間に終わってしまう可能性があるので、そこは順番を逆にしたほうがいいと思いますね。
あとは、質問しませんけれども、例えば住宅をたくさん持っていらっしゃる業界団体とか、空き家、空き室が多いですから、そういったところを含めてアプローチできるところというのはぜひしていただいて、準備をしていただきたいなというふうに思うんですね。
次は、先ほど言ったその相談窓口的な支援の問題ですよ。生活支援というのかな、言葉も含めて。確かにロシア語、ウクライナ語というのは、この日本ではなかなか触れる機会があまりない言語ですから、今、区の窓口でも対応していないという状況ですけれども、そもそも論として、区の総合窓口、相談窓口を充実させたとしても、多分、仮にその避難の方がホームステイなりどこか住居を見つけてこちらにいらっしゃったときに、区の窓口に多分行かない、行けないですよね。
そこのリーチが多分できないと思うので、電話なのか、それこそLINEを使うのか分かりませんけれども、やはり、その場から、本当に細かいことまで困ることが想定されますから、そういったところに寄り添えるような状況というのを準備しておくべきで、これはもしかしたら国がやるべきことかもしれないし、都がやるべきことなのかもしれませんけれども、でも、区としてもやっぱり想定をしていかなきゃいけないと思います。
先ほど言ったように、区内には留学生の会とかもいろいろあると思いますけれども、恐らくロシア語、ウクライナ語が堪能な区民の方もいらっしゃると思うし、もしくはテンプル大学に、そうした国から留学されている方がいるかはちょっと分かりませんけれども、例えばそういう可能性もあると思うので、常に先を見据えて、世田谷区にそういうしゃべれる言語を通訳としてできるような方がどの程度いるのかというのは、この時点である程度リサーチを始めてもいいんじゃないかなと思うんですけれども、いかがですか。
◎片桐
生活文化政策部長 相談につきましては、確かに細かいところも聞かれるかもしれないところもありまして、現行、東京都のほうがウクライナの避難民のワンストップ相談窓口を持っておりますので、区としましては、外国人の相談窓口と国際交流センターの連携を取りながら、一時的には受け止めるんですが、必要な相談については東京につないで、先ほど申しましたウクライナの相談支援の言語ができる方もいらっしゃいますので、そちらにつなぐような形の中で対応を図ってまいりたいと思っております。
◆中村公太朗 委員 そうすると、今、区内にいらっしゃるロシア語、ウクライナ語がしゃべれる方だったりとか、そういった国からいらっしゃって日本語がしゃべれる、そうした国の方々という、財産というか、資産は活用する想定はないということでいいですか。
◎片桐
生活文化政策部長 現行、区内に四十六名、ウクライナの方がお住まいになってはいるんですけれども、個人情報もあって、現状どういう方がお住まいになっているかということはつかんでいない現状です。通訳につきましても、現行はやっぱり英語等を中心にした通訳の方というのは、対応できる方は区としても把握はしているんですけれども、ウクライナ語の言語という部分につきましては、なかなかやはり数が少ないこともあって、東京のほうも確保には難儀しているというお話もありますので、そのあたりにつきましては、今後改めて検討させていただきたいと思っております。
◆中村公太朗 委員 行政がやることですから、手順を踏んでとか、ルールを逸脱しないようにというその慎重なところは分かるんですけれども、今の答弁を聞いていると、いざ来たら、いらっしゃっても、東京都では窓口、センターを用意しています、区はつなぎますというたらい回しで、結局伝わらずに本当にかゆいところに全く手が届かないで困るんだろうなということが結構想定されるので、そうならないように、ぜひ、先ほども申し上げました世田谷区だからこそ、積極的に活用して、持てるものを活用して、ちゃんと準備をしていくということをやるべきなんじゃないかなということを意見としては申し上げておきます。
もう一つは、仕事、職ということも考えたんですけれども、なかなかこれは難しいですよね。区内の中小企業にちょっと臨時で一年間、半年間、避難の間働いていただこうといっても、それこそ言葉の壁もあるのかなというふうには思います。世田谷区ではなかなか難しいのかなとは思っておりますけれども、その辺も、現時点で僕は考えついていないですけれども、もし可能性があるんだとしたらぜひ模索をしてもらうぐらいの姿勢は前向きに検討していただきたいなというふうに思います。
それで、今、今回のウクライナの問題に対して寄附を大分される方がいらっしゃいますよね。区のほうに寄附の問合せが来たときにまずどうしているのかを教えていただけますか。
◎岩本 副区長 直接区で受け取る体制にまだ至っていませんけれども、難民の避難事務所であるとか日赤であるとか、それと区のホームページからリンクを張って御案内をする体制を取ってございます。
◆中村公太朗 委員 今、現状はホームページ上に寄附先を掲載して、そちらにという案内をしているんですけれども、例えば今、さっき区長が補正も今後、発生したときに想定するみたいなことを言っていたような気がしたんですけれども、これは、基金みたいなものを創設してしまって、そこに世田谷区に対する寄附をしたいという方の寄附を集めて、何かしら避難された方に対してのサービスに使っていくことというのは、制度上できないんですか。
◎岩本 副区長 基金を設置するための条例が必要になりますので、若干時間がかかることになります。一般的な御寄附を頂く場合でも、一般財源として受け入れて、支出については予算を組まなければなければいけませんけれども、ということは可能ですので、世田谷区として直接歳入をするのか、もしくは三・一一、東日本大震災のときには寄附を受け取っていましたけれども、あれは区の歳入にしないで、普通預金にためておいて直接現金をお届けしたというやり方もしていますので、そういったところは検討させていただきたいと思います。
◆中村公太朗 委員 いろんな方法があるとは思いますし、今回、区が案内しているような寄附先というところがちゃんと届かないとは全く思わないんですけれども、ぜひ世田谷区として何かをするというときには、そういう可能性もあるのかなとか、区民がそういう思いを持っていただいて、世田谷区にもし避難していただいている方がいらっしゃるんであれば、そういったところで何か困ったことに対して使っていけるという可能性がもしあるんだとしたらそういう可能性もあるのかなというふうに思いますので、ぜひ検討いただきたいなというふうに思います。
いずれにしても、日本の国が今回のウクライナ問題についてのスタンス、いろんな外交の関係もあると思いますけれども、世界から見てどう見られているのかなというふうには思うんですよね。マイナスなイメージもないしプラスのイメージでもないんですけれども、やはり平和を希求する日本として、こういう問題には積極的に関わっていって、武力とか云々じゃなくて、本当に困った方々に手を差し伸べるというような国であると、戦争は絶対反対なんだということを一種、僕は表明してもらいたいなと思うんだけれども、やはりいろんな絡みがあって、国としては歯切れのいい感じにならないわけですよね。
であればこそ、東京都、もしくはさらにその下にある、下じゃないかな、この世田谷区という基礎自治体が率先をして、先取りをして旗を掲げて、様々なサービスをしていく準備を進めるということ、まだいらっしゃるかどうかも分かりませんので、ただ、それを見せていくということは僕は絶対に必要なことなんだろうというふうに思いますので、あまり官僚的な考え方に固執をせず、縦割り云々ということにもせず、ぜひとも積極的に、本当に自分自身がこういう状況になったときに、他国に行ったときにこういうものがあったらうれしいなと思うようなぐらいの視点も踏まえて、ぜひそれができるかどうかの検討を行政サイドとしてしていただきたいなというふうに思います。
もう時間がないので、交代します。
◆桜井純子 委員 では、私から、まず民間活用についてお聞きをしたいと思います。
民間をどのように活用していくのか、活用する場面、どういうふうに考えていくのか、それはとても区民生活にも大きく関わってきますし、世田谷区の政策をどういうふうに、どんなスタンスでやっていくのかということに関わってくるということで今回はこのテーマを選んでおります。
まず一つ考えていきたいのは、公務員が担ってきた公共の仕事というもの、この公務というものがどんな意義があるのかということを考えていくことが重要かなと思っています。まず初めにお聞きをいたしますけれども、公共というところのその仕事を公務員が担ってきた、担っているその意味というのをどのようにお考えなのか。公共の考え方ということについてお伺いをいたします。
◎加賀谷 政策経営部長 公共の役割の基本ですが、住民福祉の向上であり、区は区民ニーズをしっかりと捉えて、公的な責任の下、必要なサービスを提供するとともに、常に質の向上を追求していくということが必要であると認識をしております。
また、地方公共団体で働く我々公務員の使命ですけれども、全体の奉仕者であり、住民福祉の向上という目標を達成するため、区民からの税を原資として様々なサービスに変えて、それを業務として日々取り組んでいるということで、公務員は全体の奉仕者として公共の利益のために勤務していると。その点が民間の労働者とは異なる部分であると認識をしております。
◆桜井純子 委員 公務員は全体の奉仕者として公共の利益のために勤務をしている、民間の労働者と違う異なるところがあるんだという認識を持っていらっしゃるということです。
一方で、世田谷区はこれまで公務の労働として公共サービスを担ってきた、例えば図書館、これから学童クラブも視野に入っていますけれども、学校主事や里親支援のフォスタリング業務というのも民間に出していくというようなことで、ここ最近、民間委託を活用する、しかも、新しく、今まで公務がやってこなかった分野について民間の活力を活用していくというのではなくて、これまで公務として担ってきた、公務員がしてきた仕事というのを民間にというところがかなり目立ってきているなというふうに感じています。
なぜ民間委託なのかということですね。いろいろ議論いたしました。いろいろな所管の方としますけれども、そうすると、休日夜間の業務が公務員ではできないというようなことを答えられる方がとても多くて、休日夜間の業務を本当にできないんでしょうかという疑問をまずは持っています。それと、民間であれば、例えば休日夜間できるとしても、その働き方の形態、条件とかそういうものがどのようなところで成り立っていくのか。そこを公務員がもしもやったとしたらどのような保障があるのかというような考え方も実は必要なのではないかと思っています。
そこでお聞きいたしますけれども、休日夜間の仕事は公務員ができないというふうに各所管はいろいろおっしゃったりとか説明に入ってきたりしますけれども、本当にそうなんでしょうか。そして、民間に投げている、その民間でやられている仕事の条件とかそういう諸々、どんなふうな勤務形態なのかということを御存じでいらっしゃるんでしょうか。どのような認識ですか。
◎加賀谷 政策経営部長 区の現状の業務の中でも、休日夜間に、一時保護所ですとか図書館、ごみの収集などの業務におきまして、区の条例を定めている区職員の正規の勤務時間を超えない範囲で交代制勤務の体制を取りながら、必要な職員数を確保しつつ、休日夜間においても事業を行っているということで、公務員は休日、夜間に仕事が、業務ができないという現状ではないと認識しております。
しかしながら、職員数の全体の適正管理とともに、民間独自の弾力的な雇用形態ですとかノウハウ等の強みを生かすということも一方では期待できるといった観点から、より柔軟な執行体制を組むことのできる民間事業者への委託も検討の対象にはなってくると思っております。
ただし、このような場合でも、単に民間に委ねれば安くなるという発想では官製ワーキングプアを生み出すことになりかねませんので、民間に委託する場合であっても、事業者の執行体制をしっかりと確認するなど、区の直営とも比較をしつつ、慎重に検討していく必要があると認識しております。
◆桜井純子 委員 御答弁の中に民間の弾力的な雇用形態というワードがありましたけれども、その弾力的な雇用形態というのがどんなふうに生み出されてきている、その弾力性というのはどこから出てきているのか、どこか犠牲になっているものはないのかということですよね。その答えは答弁の中にもありましたけれども、官製ワーキングプアという層を生み出してきたということです。公務の在り方、公務員だからこそできることということが、これからもう一段階違うフェーズで考えていく必要があるのではないかなというふうに私は思います。
そして、今いろいろと出していこうとしている仕事、これからもしかしたら所管の中で検討される仕事もあるかもしれませんけれども、私は公でやれるものというのは公でやるべきではないかと思います。そこのところの見直し、検討のし直しということも必要ではないかなというふうに考えますけれども、公の仕事ということの見直し、区の見解をお聞きします。
◎加賀谷 政策経営部長 公共の仕事の基本、住民福祉の向上ということで先ほども御答弁させていただきましたけれども、区が様々な政策判断を行う軸となる部分であると認識しております。その上で、区の職員が直接行うよりも、民間企業等のノウハウですとか資源の活用によりまして、より一層サービスの向上が図れる場合については、区の責任主体の下、民間事業者に委託をし、事業を行うということもあろうかと思っております。
今後も区が公共の役割を果たしていくには、民間の力を借りる部分も様々あろうかと思いますが、区が直営で行うか民間に委ねるか、業務の特性ですとか指揮命令の有無など、十分留意しながら、行政の責任を明確にした上で区民サービスの向上、質の確保に資するように適切に判断はしてまいりたいと考えております。
◆桜井純子 委員 いろいろと民間委託に関しては、その件が出ますと、その背景も含めていろいろ議論をさせていただいたりするわけですけれども、一つここで公務労働の民間委託というところで例を取り上げたいと思いますが、四月から始まろうとしているんですよね、学校主事の業務の問題です。
この仕事については、学校現場で発生する事柄について、とても臨機応変に、柔軟に対応していかなくてはならないということ、子どもの安全をしっかりと守っていくというような視点から、偽装請負が懸念されるような、そういう範囲での仕事なんじゃないかということで会派からも指摘をさせていただいてきたわけです。
公務員として責任を持って、そして指揮命令系統というのをしっかりと持ちながら臨機応変に業務を積み上げていかなくてはならないというふうに感じる。偽装請負をしないようにしますというような、仕様書の中で厳格にやりますというような、そういうことを配慮しなくてはならないような仕事というのは、偽装請負を生み出してしまうような内容であるということでありますから、それこそが公務として公共の仕事として公務員がやっていくべき仕事なのではないかなというふうに思います。
こういう仕事が民間委託に本当になじむのかということ、このことについていかがお考えでしょうか。
◎加賀谷 政策経営部長 現在、区が行っている民間事業者への委託の多くには、請負契約の仕様に基づいた事業者が業務を行う業務委託契約でございまして、このような契約で区が現場の従事者に直接業務上の指示、命令をすることは偽装請負となるというふうに認識しております。
例えば区職員と協働して業務を遂行することが必須である業務ですとか、民間事業者が独立して行うことができない業務、こちらについては民間委託にはなじまないものと認識をしております。
民間委託に際しまして、各業務の特性を踏まえて、業務の継続性も考慮しながら、明確な役割の下、民間の力を最大限を発揮することができるという業務を委託すべきと考えております。
◆桜井純子 委員 何点か民間委託にはなじまないという認識をお示しになったわけですけれども、そういう認識がある一方で、私は学校主事という仕事というのは、議事録を見ましたら、平成二十七年三月の、ですから
予算特別委員会ですよね、その中でこの件に関して二回ほど私から質問していました。その中で、小学校と学校主事というのは直接雇用ですよね。職員を新たに採用しているんですよね。そういう仕事として認識をされていたものなんです。
それがどうやって変わっていくのかということは今本当に疑問だし、その議論が全く見えてこなかったということが学校主事の問題、これは一例と言いましたけれども、こういうような議論をしながら民間委託というものが安易な道具として使われて広がっていくことに私は本当に懸念を感じます。
そして、こういったところで、もう一つこの件に関して懸念なのは、昨年の十一月に文教委員会で出された小学校における学校主事業務の民間委託についてというものがあります。ここには、学校主事業務の目的、民間に出す目的を行政執行体制のスリム化、そして事業の効率的執行の観点、その観点から進めるというふうになっているわけです。
子どもたちの教育の現場です。その現場をつくっていく、その職員の人たち、教職員である、そして、そこで本当に、例えばインクルーシブ教育を進めている大空小学校とかは、縦も横もなく、学校主事さんも一緒にインクルーシブ教育に取り組んでいるので有名ですけれども、そういう立場になり得る職員というところに、この二点は行革ですよね、この視点を持って切っていくということがどういったことなのかというふうに私は思います。
ここが大きな問題、ここをこういう発想に立ったということが、私は、民間委託というところについて、これまで進めてきた区の姿勢の問題ではないかというふうに思います。
公務労働から民間委託に外出しをしたというこの学校主事を本当にいいと思っているのか。教育委員会が公教育というものの責任をどのように考えているのかと思いますけれども、御意見があればお聞きします。
◎粟井 教育政策部長 学校主事業務は、子どもたちが利用する学校施設の安全安心の確保や快適な環境づくりという視点で必要不可欠な業務でございまして、直営、民間委託を問わず、教育委員会が果たす責務があると認識しております。
教育委員会といたしましては、行革の視点だけではなく、中学校における委託の実績や評価などに加えて、民間が持つノウハウや専門性等の利点を活用できること、小学校特有の業務についても、委託事業者でも対応可能であることを確認する等の検討を重ねた上で、小学校の委託を実施することといたしました。
今後も、学校主事業務を実施していく中で、民間委託の効果検証をしながら業務水準を確保、向上していくことで、全力でその責務を果たしてまいります。
◆桜井純子 委員 言い訳にしか聞こえませんけれども、教育委員会が出してきたこの学校主事を民間に出す、民間活用するよというその理由というのは、さっき言った二点です。業務執行体制のスリム化と事業の効率的執行の観点です。
小学校でできるかどうかというのは、こういう行革の視点から見てきたということも私は大きな問題だと思っておりますので、これから二校を入れていくわけですけれども、これについては見直しをしていくということも含めて、学校をどういうところにしたいのか、子どもたちを中心にして、教職員、学校をつくっていく、そこに集まってくる大人たちがどんな学校をつくっていくためにどういう人たちがどういう立場でどういう仕事をしたらいいのかという公務の視点に立って考えていくことが必要だと思っておりますので、この件に関しては引き続き議論はしていきたいなというふうに思います。
先ほども申し上げましたが、小学校の学校主事の業務というのは民間委託には向かないという見解というのがかつてあったわけですね。それをどうしてこうやってひっくり返してきたのかということ、その議論が全然見えていません。
民間委託の決定をする際にどれだけの議論がこれまであって、学校現場の職員体制を変えるというこの大きなこと、この方向転換をしたのか、これについては、これは一例ですと申し上げました。世田谷区の政策としてどういうふうに取り組んだのかということがお聞きしたいので、政策経営部としての答弁を求めます。
◎加賀谷 政策経営部長 行政経営の全体の観点としてお答えしますと、効率的、効果的に行政サービスを行うに当たりまして、事業の効率性、それから行政の執行体制のスリム化といった観点もございます。一方、民間事業者のノウハウ活用による相対的な効果の比較検証が必要と認識しております。
御指摘の学校業務への民間委託の導入に当たりまして、学校運営上のメリットも含め、より十分に御議論の上、課題を整理する点もあったものと認識をしております。
今後とも、区が行う事業等を民間事業者に委託する場合には、区民や議会の皆様に御理解いただけるよう丁寧な説明に努めた上で、御議論いただいた上での判断をしてまいりたいと考えております。
◆桜井純子 委員 課題を整理すべきものもあったと認識しているというこの言葉をどういうふうに取ったらいいか分かりませんけれども、これまでのプロセスについては反省をしているという、そういう認識でよろしいでしょうか。
◎加賀谷 政策経営部長 御指摘のとおりの部分があります。
◆桜井純子 委員 民間委託については、本当にメリットがある部分もあるとは思います。先ほど冒頭にも申し上げましたように、公務としてやってこなかった分野で新しく切り込んでいくところ、そこは民間とのコラボレーションでやっていくとか、一緒にやっていくことによって公務の中にも取り入れていくとか、そういう視点を持ってやっていくべきことだと思います。
公務のメリット、公務としてやっていくことの大きなテーマ性というのは、例えば効率的には行えない仕事で、もしかしたら無駄かなというふうに思えるようなことであっても、公務であるからこそしっかりとそこを担っていくことができるということ、これはやっぱり忘れてはならないのではないかと思っています。利潤を生まないところにも必要なものがある、そういう視点でこの民間委託については考えていただきたいと思います。
来年度も様々な分野で民間を活用していこうという御意思もあると思います。そのときに、今回のこの議論は続けさせていただきたいなと思いますけれども、この視点にしっかりと立って、例えば学校主事でしたら、そこの現場の主役は子どもですから、そこのところをぶれさせないで、この業務について考えていただきたいと思います。
それでは、次の質問に入ります。若年女性の支援について、これまで聞いてきた内容について幾つか確認をしていきたいと思います。
若年女性については、自殺率がすごく高くなったとか、あと、予期せぬ妊娠がすごく増えているという状況だったり、金銭的な困難、そして行き場所がないことから、本当に見知らぬ人の家に身を寄せるとか、様々な問題がだんだん顕在化してきたということで、若年女性への支援、この体制を整えてほしいということを一年前に申し上げました。どのように今取り組まれているのかということについて確認をします。
まず、昨年六月からスタートした犯罪被害者相談窓口の状況、その取組についてお聞きします。
◎片桐
生活文化政策部長 昨年六月に開設いたしました犯罪被害者等相談窓口ですが、現時点で三十件の相談があり、性犯罪に関する相談は四件でした。このうち深刻な案件については、性暴力救援センター・東京の相談員と区の相談員が同じ場で相談、対応した案件もございます。
第二次男女共同参画プラン後期計画の策定に当たりましては、審議会や区内活動団体より、若年女性の問題を踏まえた性犯罪、性暴力被害者支援の充実や、関係者との連携強化、居場所の必要性、教育、啓発活動を通じた予防の重要性などの御意見をいただき、計画に反映したところです。
令和三年より、四月の若年層の性暴力被害予防月間において、児童館や若者支援施設、男女共同参画センターらぷらすと協力し、区内の小学校から大学をはじめ、対象を広く取り、ポスターやチラシ、SNSを活用して相談窓口の周知を図っております。
今後、青少年交流センター等の居場所事業につきましても、相談窓口との連携を進めるとともに、今後求められる機能などについて、団体等とさらなる意見交換を通じて支援の在り方について検討してまいります。
◆桜井純子 委員 時間がなくなってしまったので、要望を二点申し上げます。
学校における教員の性暴力の被害についても決特で取り上げました。この点について、これは犯罪ですから、その視点を持って教員に徹底した研修などを行っていただくこと、あと、支援、救済を行っていただくことをお願いしておきます。
それと、母子生活支援施設の在り方について検討していると思いますが、そこも若年女性たちの居場所となるように、検討を来年度進めていただくことを要望して、質問者を替わります。
◆羽田圭二 委員 私からは、個人情報保護法とそれから条例の関係について最初にお聞きしたいと思います。
国の個人情報保護法という法律が改正をされて、これからの個人情報保護条例、各自治体が持っている条例については、国のほうのその法律に一元化していくという考え方が示されて、その上で、これまで持っていた、つまり世田谷は全国の自治体に先駆けて情報公開とか、あるいは個人情報保護条例を持っておったわけですが、これらの影響ですよね。これがこの間も何度か意見、あるいはその質疑が交わされておりますが、この点について改めて確認をしておかなくてはならないことが出てきております。
国の個人情報保護法による個人情報保護ルールなんですが、これは幾つか、例えばこの世田谷区の条例でいいますと、個人情報の関係では収集禁止条項とか、これは国のほうは要配慮個人情報とか言っていますけれども、それからあと、自己情報コントロール権、これらもかなり以前から世田谷の場合は考えてきた。それから、外部提供の制限、これらについても規定をしてきたわけですが、これらは当然のことながら、今後のこの個人情報保護法の改正を受けても維持すべきだというふうに私は考えるんですが、その点についてまずお聞きしておきたいと思います。
◎池田 総務部長 区では、新たな法の下において、これまで蓄積してまいりました個人情報保護の取組を踏まえた制度設計を行いたいと考えまして、先般、世田谷区情報公開・個人情報保護審議会に制度の見直しに向けた諮問を行わせていただいたところでございます。
今般、個人情報保護法の改正は令和五年四月一日から自治体には適用されることになりますが、今後、国から示される政令ですとか個人情報保護委員会規則、ガイドライン等の情報につきましては、審議会に情報提供させていただき、その内容も踏まえて御議論いただく予定でございます。
区といたしましては、引き続き国や他自治体の情報収集に努めるとともに、審議会の答申が出されましたら、その内容を踏まえまして条例の改正素案を取りまとめ、区議会に御報告するとともに、パブリックコメント等を通じて区民の方の御意見を伺いながら検討を進めてまいりたいと考えております。
◆羽田圭二 委員 基本的に答弁は変わっていませんよね。というのは、多分、審議会の議論の経過だとか、それを踏まえて今後対応していくということですから、そんなにその審議そのものが、議論そのものがまだ進んでいないという受け止めができるのではないかと私は思っています。
ただ、基本的に個人情報で何を大事にしてきたのかという点については、それは変わらないというふうに私は思っているんです。つまり、国は確かに、例えば今回でいうと回線結合について、それは規定しては駄目ですよとかいろいろ言っていますよね。しかし、基本的な個人情報の例えば収集禁止条項とか、それはかえってより細かく規定をしていくということも今後必要なのではないかというふうに思っていますから、それらを含めて今後対応していただきたいと、そんなふうに思っています。
それから、もう一つは、民間委託やクラウドサービスがこれからさらに広がっていくだろうと。特に教育現場はそういうようなお話もありますから、そうすると、個人情報が本人が知らない間に外部に提供されていく。もちろん事前の説明だとかがされますから、どういう情報が伝えられていくのかということは、当然、保護者の方や実際の児童生徒にも伝えられていくというふうに私は思いますけれども、それらが極めて慎重に行われなくてはならない、同時に、伝えられていかなくてはならないということが言えるんだと思います。
そこで、最近、区が民間に委託している、あるいは民間と契約をしている、そういう事業において個人情報はどう扱われているかという問題があるかと思います。
清掃・リサイクルで最近、民間企業との連携によって行った粗大ごみのリユース、これがありました。この場合の個人情報はどう扱われているのかということについてまず最初にお聞きします。
◎辻 清掃・リサイクル部長 個人情報保護審議会に含めまして、本実証実験の実施に当たっては、守秘義務や個人情報保護を定めた協定を事業者と締結するとともに、申込者から収集する個人情報を、町名までの住所、返信用のメールアドレス、持込み日時、品物、品数と、必要最小限に限定しております。さらに、本実験は委託契約ではございませんが、委託契約時に適用する電算処理の業務委託契約の特記事項という厳しい内容を協定に加えて、秘密保持義務を事業者に課し、目的外使用及び複写の禁止、業務終了後の個人情報の返却や廃棄、そのほか、情報及び記録媒体等の情報資産の引渡しを求めております。
◆羽田圭二 委員 デジタル化の推進によって、実際に民間委託だとかそういう民間との契約で情報が一旦収集をされると。問題は、この情報が蓄積をされていくということが非常に引っかかっていくわけですよね。ただ、その蓄積された情報が、今の説明のように、一定の期間、それが利用されて、削除あるいは廃棄されていくということは、その過程の中で要するに確認をしていくという作業がどうしても必要なんだということだと思うんです。
先ほど申し上げましたけれども、今後、教育分野、ここで進んでいくことですが、既にタブレットが配付されて、さらにこの活用の中で個人情報がどのようになっていくのかということが問われていくと思います。
文科省は教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインというのを何度か改正をして、この三月に改めてまた打ち出しましたけれども、そこに、情報の処理の在り方、あるいは一旦渡った情報について、詳細にわたってこの民間事業者がどのように扱わなくてはならないかということについて触れておりますが、これらについてまずお聞きしておきたいと思います。
一つは、児童生徒の個人情報データは民間事業者の下に収集され蓄積をされるというふうに思うんですが、この点についてまず説明をいただきたいと思います。
◎粟井 教育政策部長 世田谷区におきましては、令和五年度から運用開始予定の統合型校務支援システムにその学習データと学校生活のデータを組み合わせて、児童生徒の状況を把握できるようにするというダッシュボード機能を設ける予定でございますので、そこの中でシステムで管理する個人情報の種類というものを適切に決定し、十分な保護措置を講じるということは不可欠であると認識しております。
◆羽田圭二 委員 蓄積されたデータがどういうふうに扱われていくのか。目的外利用とか、それは禁止されているわけですから、現行条例でそれに伴って縛りがかけられますが、利用後のデータ廃棄の徹底、これらも含めて確認ができるのか、この点も伺っておきたいと思います。
◎粟井 教育政策部長 タブレット端末によります学びのデータとの連携も図っていきますけれども、その事業者が運営するクラウドサービスの導入を予定しているところでございますが、そのクラウド上に児童生徒の氏名や出欠情報、成績などの個人情報が蓄積されていくこととなります。
◆羽田圭二 委員 現状でいうと、個人情報のデータそのものが事業者側に渡るわけですけれども、それについて、例えば保護者とか、あるいはお子さんも含めてですけれども、それは伝えてほしくないといった場合、どういうふうになりますか。
◎粟井 教育政策部長 そのクラウドサービスの導入に当たりましては、取り扱う個人情報の項目及び件数、取扱場所等を明確にした上で、令和四年度中に情報公開・個人情報保護審議会に諮問して、その了承を得た上で導入する予定でございます。その際には、保護者、それからユーザーの方々の個人情報つきましては、現行の個人情報保護条例の規定に沿って収集禁止事項等を事業者にもしっかりと遵守させていきたいと思っております。
◆羽田圭二 委員 現行条例では、要するに審議会にかけてということで多分対応されるんだとは思うんです。ただ、今質問したのは、個人が言った場合にはどうなるのかということを質問したわけですね。それは答えなくていいです。答えられないと思いますから。
それから、最後ですが、オンライン教育についての一定の成果みたいなことは我が会派も言ってきましたから、不登校のお子さんがオンラインに参加していたとか、そういうお話だとかも教育長からも言われていましたけれども、その成果は成果としてしっかり見ていくんですが、他方で、教員が子どもたちとリアルに触れ合うことの必要性、大切さといいますか、これは今の教育には欠かせないというふうに私は思うんですが、その点、教育長はどうでしょうか。
◎渡部 教育長 今お話しのとおり、一人一台配付されたタブレットは、ロイロノートとかとかチームズとかの中で、子どもたちが自由に意見を重ねるというようなことで学びに広がりと深まりが見られるという成果が見られました。
一方で、日々の授業の中で友達と切磋琢磨して学ぶことや、自然や文化に触れる豊かな体験活動、また、異年齢集団とか地域の方々など多くの関わり、それが子どもに意欲と自信をもたらすなど、対面だからこそ得られる価値が大いにあると考えています。
子どもたちの調和の取れた成長を目指して子どもたちの心身の発達段階や特性や地域の実態を考慮して、オンライン学習と対面の学習を両立させて、子どもたちが多くの人と関わりながら学ぶ教育を推進してまいります。
◆羽田圭二 委員 この項は個人情報保護の問題を中心に質疑をいたしましたけれども、世田谷の条例が後退しないようにということを改めて求めておきたいと思います。
次に、総括の際にも行いましたが、コロナの後遺症の問題です。
先ほど公明党からも後遺症問題について質疑がありましたが、私からは区の職員の対応についてまずお聞きしておきたいと思います。コロナの感染症陽性者となって職員が仕事を休んだ場合の休業補償等について教えてください。
◎池田 総務部長 会計年度任用職員を含みます区の職員が新型コロナウイルス感染症に罹患した場合ですが、有給の事故欠勤の取扱いとしております。また、強いだるさですとか高熱などの症状が見られ、罹患の疑いがある場合や、同居家族等が陽性となり濃厚接触者となった場合についても、同じく有給の事故欠勤が適用できるようになっております。
◆羽田圭二 委員 それは会計年度職員も一緒だということで、今説明があったんですかね。
◎池田 総務部長 会計年度任用職員についても同じ対応でございます。
◆羽田圭二 委員 もう一つは、療養後の後遺症が出た場合の対応についてどういうふうになっているかということなんですが、これが先ほど区長からもお話があったのと、それから、公明党の質疑の中で委員が言われていましたけれども、実際にそれが後遺症として扱われない、あるいはそれによって不利益を得る場合があると。
それで、この点については、厚生労働省が労働時間の短縮だとか、あるいは安全配慮義務という法の規定がありますけれども、それに基づいて一定の対応を図るべきだと。つまり、本人が体がだるいとか、あるいはその症状が長く続いているとか、そういった場合にはそれについて配慮すべきだという厚生労働省の見解があるんですが、それらを含めてどのように対応しているかをお答えください。
◎池田 総務部長 新型コロナウイルス感染症による後遺症が確認された場合につきましては、年次有給休暇や病気休暇を利用することができますが、病気休暇が長期化いたしまして九十日を超える場合につきましては、通常病気休職に移行いたします。
区職員への後遺症の影響といたしましては、現状といたしまして、二月末現在ですが、常勤職員二名が病気休暇を取得している、うち一名が長期化しまして病気休職に移行しているという状況でございます。また、会計年度職員につきましては、四名が病気休暇を取得し、うち一名が長期化によりまして病気休職に移行してございます。
給与上の取扱いにつきましては、会計年度任用職員につきましては、病気休暇や病気休職は無給となっておりますが、社会保険の適用のない一部の場合を除きまして、社会保険による傷病手当金が支給される形となっております。
◆羽田圭二 委員 後遺症という診断が下りないということも聞くんです。つまり、医者が後遺症かどうか分からないから、簡単に診断書は書けない。仮に書いたとしても、先ほどの民間の例ではありませんけれども、必ずしもそれを認めるかどうかというのは、非常に微妙なところなわけですね。
多分、恐らく区はまだそういった対応にとどまっているのではないかというふうに思いますが、その点はいかがですか。
◎池田 総務部長 区の病気休暇につきましては、例えば後遺症という診断名が出ない場合でも、例えば医者にかかったですとか、医者のほうで勤務に適しない状況であるというふうなことをおっしゃっていただければ、適用できるものとなっております。
◆羽田圭二 委員 その内容ではないということですよね。病気休暇が認められると。
ただ、問題は、先ほどの区長のお話ではないですけれども、労災補償とかいう話になるとかなりハードルが高くなっていくと。つまり、立証をしなくてはならないとか、そういった問題もありますから、それを含めて、今回の後遺症アンケートを通じて得られた区民の皆さんからの指摘、これをぜひこれからの対応に生かしていただきたいと、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
以上です。
○菅沼つとむ 委員長 以上で世田谷立憲民主党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後四時三十六分休憩
──────────────────
午後四時五十分開議
○菅沼つとむ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
無所属・世田谷行革一一〇番・維新、どうぞ。
◆田中優子 委員 最初に貯水槽についてですが、三月九日の企画総務領域の日に、私どもの会派の桃野委員が、貯水槽をなくして水道直結化をさらに進めよという趣旨で質問いたしました。そのとき、区から合計五か所の水道直結化工事が完了したと答弁があったんですけれども、その効果額を聞く時間がなかったので、私から伺います。効果額はどのぐらいだったのか、お願いいたします。
◎小柴
施設営繕担当部長 先ほどお話があった五か所の改修工事によって受水層を撤去したお話ですが、受水槽撤去前に必要であった圧送式ポンプの点検費用と水槽の年間点検費用、この五か所の合計で約八十二万六千円かかっておりました。水道を直結化するために設置が必要となった増圧ポンプ四か所の年間点検費用が約二十二万一千円でございますので、差引き約六十万五千円が受水槽の撤去、水道直結化によった効果となります。
◆田中優子 委員 水道直結化を進めたほうが費用対効果の面でもよいということですから、今後も進めていただきたいと思います。
次に、多胎妊娠への支援について伺います。福祉保健領域の日に岡本委員からも質疑がありましたが、今日は私から詳細について質問させていただきます。
先日、区民の方から相談がありました。娘が双子を出産する予定なのですが、通常一か月に一回の妊婦健診が双子の場合は二週間に一回必要と産科クリニックで言われました。そこで、娘が区に問い合わせたところ、双子であっても十四回分しか補助が出ない、残りは全て自己負担と言われ、非常に驚き、がっかりしています。世田谷区は多胎児出産に非常に冷たいということなんです。
まず確認ですが、区内で多胎妊娠と多胎児の出産は大体年間どのぐらいあるでしょうか。
◎辻
世田谷保健所長 世田谷区に妊娠の届出をされた多胎妊婦は、令和二年度は八十九人、令和元年度は九十人でした。また、区内での多胎児出産数は、令和二年は百五十五人、令和元年は百四十七人でした。
◆田中優子 委員 毎年九十人前後の多胎妊婦さんが出ているようなんですけれども、当区では、国が今年度から取り入れている多胎妊娠の妊婦健康診査支援事業、すなわち五回分を上限として基準額の二分の一補助が出る、それをどのように使っているのか伺います。
◎辻
世田谷保健所長 現在の妊婦健診の費用助成は、単胎、多胎の区別なく十四回分を助成しており、妊婦自身が区が発行した受診券を都内医療機関に持参し費用助成を受けられる都内共通の方法で実施しており、国や都の補助金はなく、全て区の予算で実施をしております。
◆田中優子 委員 つまり、多胎妊婦に対し、健診回数が増やせるように、国が二分の一の補助を出すとしているにもかかわらず、区はそれを使わないで、相変わらず十四回のみ、健康診断回数が増える多胎妊婦さんへの支援を何もしていないということなんですね。この一年何をやっていたのかと思いますが、さらに、東京都が来年度から予定しているという基準額の四分の一の補助、これを加えると世田谷区の補助は四分の一で済むことになります。
そのような条件下にあって、福祉保健での答弁、国と都の助成を踏まえ、今後、費用助成について導入できるよう取り組むというのは、あまりにものんびりといいますか、今から検討ですか。それじゃ遅すぎませんか。区民のことを全く考えていないように思いますけれども、毎年多胎妊娠をされている方が九十人前後いるにもかかわらず、今年度は国の助成を生かしての支援を広げることはせず、一年過ごしてしまった。その反省はないのでしょうか。その上さらに、来年度、つまりもう来月ですね、来月から国に加え都の助成も出ることが決まっているのに、相変わらず今後検討、庁内での調整が必要だとか、そんなことを言っている場合ではないと思うんです。区民が聞いたら怒りますよ。今現在も多胎妊娠をされている方がいらっしゃるというのに、何をそんなにもたもたしているかと思います。
ここで伺いますが、国と都の助成を使えば、区の負担は四分の一で済みます。五回を限度としているということもあり、多胎妊婦さんは約九十人ということからすると、どのくらいの予算が必要になるか、お答えください。
◎辻
世田谷保健所長 区が単独で負担する予算として五十万円程度と見込んでおります。
◆田中優子 委員 五十万円程度なんですね。五十万円で、想定される多胎妊娠の妊婦さん約九十人全員に五回健診の補助を増やせるんですよ。だったら来年度からやりましょう。やらない理由はないと思いますよ。もし手続などに時間を要するのであれば、一時立て替えてもらって、後から助成することも可能だと思います。区の見解を伺います。
◎辻
世田谷保健所長 国や都の助成事業を活用した区としての多胎妊婦健診の導入に向けた検討を加速いたします。
◆田中優子 委員 国や都の助成を活用して検討を加速すると。前向きなのかもしれないんですけれども、加速して、いつまでに検討を終わらせて、いつから始めるんですか。来年度内に始められますか。伺います。
◎中村 副区長 多胎妊婦が必要な健診を受けられることは重要と認識しています。必要な回数ですとか開始時期を含めて課題を急ぎ取りまとめて、費用助成について早期に制度設計できるよう、改めて所管に指示をいたします。
◆田中優子 委員 保坂区長に伺います。これはいつから始めるのか、来年度内に始められるのかどうか。今まさに多胎妊婦さんたちが持っているんですね。ここで光が当たるのか、またがっかりするのか、そこの境目にいるんですよ。
五十万円ですよ。それでほぼ全員の多胎妊婦さんたちが五回も健診回数を増やせる。諸解題があるのは分かります。でも、来年度からできるのかできないのかぐらいの答弁はあってしかるべきじゃないですか。それはもう、区長が責任者ですから、区長が来年度内には何しろ始めますと言ってくださることでどれだけ光が当たるかと思いますけれども、非常に重要なお答えだと思いますが、区長、一言お願いいたします。
◎保坂 区長 今、委員の質問で、国や都の制度があり、区の財政負担も五十万円ということでありますので、加速すると現状言っていますけれども、極力早い時期に実施できるように、改めて指示してまいります。
◆田中優子 委員 極力早い時期、まさか来年度からにはならないですね。それだけお答えいただけますか。お願いします。失礼しました。再来年度です。来年度は四月からですから。まさか再来年度にはならないでしょうね。お答えください。
◎保坂 区長 年度当初はもうすぐ来てしまいますが、再来年度にならないようにきちっと指示してまいります。
◆田中優子 委員 区民の皆さんは待っていますので、ぜひとも来年度中に実施できるようにお願いいたします。
私からは以上で、大庭委員と交代いたします。
◆大庭正明 委員 企総と総括で本年度が最終年に当たる新実施計画、これは八年間の総括というか結果が達成率において半分にも満たない、三割台、または四割前後だということで、逆に言うと六割近くが未達成だったということを明らかにしました。区側もそれを認めております。
それで、私は今、財政的な問題について非常にタイトな状態ではないかというふうな認識があるんですけれども、見て御覧のとおり、これは昨年の予算書です。昨年の予算書のところで、令和三年度の見込みで、特別区債と基金の年度末残高見込みということで、この黒いほうが黒字で、赤いほうが赤字という意味で借金ということですね。これでいくと、令和四年度に八百三十二億円の黒字というか貯金、基金に対して、八百四十二億円の借款というか借金ということで、去年ですよ。これは去年の予算書に載っけていたものなんですよ。
これは、傾向とすると、やはり当然、コロナだとかがいろいろあって非常に見込めないものもあったということもあるんでしょうけれども、これが、今年の皆さんお手元の本会議招集挨拶、議案、令和四年度世田谷区予算説明書(別冊)の七九ページにこれが書いてあります。これを見ると、去年はどんどん令和四年度から逆転して借金のほうが増えていくという記載が、令和四年度、今年の予算書を見ると全然逆になっているんですね。見てのとおり、黒字は若干ここで増えるんですけれども、ここからが下がっていくんですけれども、それ以上に借金がどんどん減っていくと。令和四年度でいくと、一千百七十三億円の基金に対して五百六十億円の借金、倍の貯金になっているという形になっているんです。
令和三年度から比べると、たった一年で、これは見通しですよ、見込みですから、見込みがこういう形で増えていくものが、逆なんですよね。こういう形では減ってはいくんですけれども、それ以上に赤字というかこれが減っていく。この見込みがこんなに違うということはどうしてなんですか。
◎中村 副区長 お話しの令和三年度と令和四年度の基金と負債の関係の見立てが全く違うというお話ですが、大きいところでは、令和三年度予算と令和四年度予算の税収見込みが大きく異なったというのが大きな要因になっています。
具体的には、令和三年度のほうですけれども、基金と負債が逆転するやつですね。それは、令和三年度の当初予算の編成時では、コロナ禍の中で外出自粛や経済活動の停滞などにより特別区税、特別区交付金、共にリーマンショックを超える大幅な減収を見込んでいました。さらに、当面の間はコロナ前の税収水準には戻らないという見込みもしていたところです。一方で、三年度、その後、企業収益が堅調に推移したことなどにより減収には至らなくて、令和四年度の当初予算では、かえって特別区税、特別区交付金が過去最高の規模になったという違いが大きく出ました。
これが令和三年度と令和四年度の特別区債と基金の年度末残高の見込みが大きく乖離した、変動した要因と考えています。
◆大庭正明 委員 今の話を丸めて言うと、要するに、今年度は二百億円近い財政収入があったと。それを織り込んで見込みを立てたら、こうなっちゃったということなんですよ。
私が疑問なのは、単年度、つまり、一昨年はコロナ状態で悪くて、税収が悪くて、非常にマイナス面が多かった。だから、それに基づいて計算したらこうなった。今年は税収が意外に増えたから(「逆です」と呼ぶ者あり)逆か。ごめんなさい。こっちは税収が少なかったから少ない計算でやったらこんなふうになってしまった。今年は税収が多いから、こんなような大幅な黒字的な財政状態になってしまったと。しかも、令和七年のレベルで比べると全く逆転なんですね。九百八億円の黒字と四百四十九億円の赤字に対して、去年は一千百九十三億円に対して四百七十三億円の黒字しかない。全く逆、真逆のことですよ。令和七年度といったって、あと三年後ですよね。たった三年後の予測がこんなふうに違ってしまう。これはどういうことですか。
◎中村 副区長 令和四年度の当初予算の編成時、一月ですけれども、この当時、感染状況や地域経済の動向など、今後の経済見通しが非常に不透明ということで、五年度以降の特別区税と特別区交付金を、過去最高の税収という異例の水準ではありましたけれども、令和四年度の当初予算の税収と同水準で、横引きで仮定してシミュレーションをしました。その結果、三年度のものとはまた変わったということになっています。
繰り返しになりますけれども、税収を今年度の直近のものと横引きに将来を見たシミュレーションになっているので、そういう結果になったということです。
◆大庭正明 委員 そんなことってありますかと言っているんですよ。つまり、今年の状況がよかったから、これから何年間か、十年間ぐらい、いいことが続く、今年と同じことが十年間続く、十年後というか八年間分かな、八年間続きますよという予測が出ると、令和四年度のこういう形になってしまうと。去年のように税収が悪いという状況が続くと、それが十年間続くという形で書いてあるだけなんですよ。
そんな見通しというのは、通常の常識でありますか。通常、それはあり得ないでしょう。これはもともと平成二十六年、区長の指示で予算書にわざわざ入れるようになったんですよね。区長の指示で。それ以前、こういうのは出てなかったんですよ。出ていたのは、去年と新年度分ぐらいしか出していなかったはずなんですよ。それしか確定的なことはできなかったから。
それは、区長の指示の下でこんな単純な横引きというか、要するに今年の状態が八年間続く形で予測を出せというような、あり得ない、通常だと経験則に基づいてトレンドというのを見て、今年は異常だよねと。今年の税収というのはやっぱり異常だと思いませんか。こんなものが十年間続くなんて思っていませんでしょう。
◎中村 副区長 過去最高ということなので、この最高が同じように更新されるということは、可能性としてはそんなにない、あるかどうか不透明なところがあると思います。不透明だからこそ直近で予想できたものを将来の横引きに使ったというのが率直なところです。
◆大庭正明 委員 何を言っているんですか。要するに、そんなことはあり得ないでしょう。今年はラッキーだったんです。よく分からないんですけれども、とにかくいろんな面で、イベントの中止だとかそういう形で執行されなかった税金というのがあるわけですよ。そういうものも含めて、いろいろ次のときに繰り越したような形で税収がどっと増えたような形になっているんですよ。
区民の懐具合が―企業はよかったんですよ。企業の市町村民税分は多分よかったと思うんです。ただ、個人の所得というのはそれほど伸びていないはずなんですよ。それが十年間も伸び続けるようなことというのはあり得ないんですよ。あり得ないということを、副区長も半ばそれをお認めになっているわけですよ。十年間これが続くのはちょっとあり得ないなみたいなことをちゃんと言っているでしょう。そういうものに何でこんなものを予算書の説明書に載っけるんですか。(「下、下」と呼ぶ者あり)こっちだ。ごめん、ごめん。こっちね。こっちに載っけるんですかねと。信じられないんですよ。
私は、だから、総括と企総で、これまで過去八年間の実施計画が四割前後でしか達成できなかった、八年間の過去も、これは毎年毎年やっているから分からなかったんですよ。つまり毎年毎年目先のいろいろ議論とかそういうことばっかりだった。トータルの計画という流れの中で見ると、八年間で達成しなくちゃいけないことというのが十あったとしても、結局八年間たってみたら四割、半分以下しかできていなかったということは、唖然とするわけですよ。八年間という期間の中でやったことは半分以下なんですから。
片や、今日質問しているのは、まさに新年度予算なんですよ。新年度予算での未来的な展望というものが前提にありながら我々は議論をするわけですよ。将来どうなるのかな、税が前広というかな、ある程度こう伸びていくのかなというような形で予算委員会に臨むのと、いや、やっぱり税収はきついよ、かなりこれが大変だよねというような前提で臨むのでは、やっぱり全然スタンス違うはずなんですよ。
未来もいいかげん、過去もいいかげん。私たちは何も信じて保坂区政を信じればいいんですか。あくまでも我々は数字の議論をしているわけですよ。実態がどうだこうだということじゃなくて、予算書という数字の中に表れた、そこから想像される実物とか実態だとかサービスだとか、そういうものを想像しながら議論をしているわけですよ。その前提となるものがどんどん崩れている。崩れているというか、いいかげんだということですよ。
まさに私が、四年前か、三年前に言ったその時々の一面をもってして長期的な様相に見せるという保坂さんの特性なんですよ。その時々の一点、それで計算してこういうのを出しているわけじゃないですか。これを見る限りは、ある意味ばら色じゃないですか。税収が少なくなってきたとしても、それに見合った形で借金をどんどん返していくという形は、縮小しながらもどんどんやっていく、借金が減っていくというのは、理想的な展開になるじゃないですか。
それで今度、基本計画をつくるんでしょう。基本計画のあれは何年ぐらいを計画してつくるんですか。
◎中村 副区長 この財政見通し、中期財政見通しと連動していますけれども、この財政見通しは例年一月と八月に更新をしています。一月は今のこの予算概要に載っているもので、八月は予算をスタートするような時期というところで、かなりこの間もコロナで経済状況も刻々と変わっていますので、その都度、もっと精査にそこを見ていかなきゃいけないと思っています。
基本計画をつくるとき、また、公共施設等総合管理計画も併せてつくりますけれども、そのときには二十年を超える期間での財政シミュレーションを行う予定になっています。その際には、一時期の税収見通しで二十年もそこを横引きというのはさすがにできないと思います。二十年先を読むのはかなり困難な部分もありますけれども、例えば条件を複数置いて、今の税収が横引きだったらこういうことになる、上向きだったらこういうふうになる、そうでなかったらという複数の、人口推計の上位、下位とか、ああいうイメージを持って工夫を加えていきたいと思っています。いずれにしても、より慎重な財政見通しの見立てをしていきたいと考えます。
◆大庭正明 委員 普通の算数というか普通の数学で分かるようなシミュレーションというんですか、予測というか、単純に今年の結果というか去年の結果を横引きしただけのものを予算書に載っけるなんていうのは、あまりにも無責任であって、政経部がやっているのであれば、ある意味、信じちゃうわけですよ。こういうもんなのかな、政経部が作った資料というものがこういう形で見通しというか、出ていると言っているんだけれども、これは、一つだけみそというのは、任期末のところで常に黒字なんですよね。(「何の」と呼ぶ者あり)区長の任期末ですよ。前回もそうなんですけれども、区長の任期末が近づくと、そこのところは黒字になっているというのがこの単純な計算のことなんですよ。前回もそうなんですよ。
前の任期の末は令和元年ですから、元年のときに出したのは令和二年度ぐらいに赤字と黒字が転換するという形で出ていたんですよ。今回は、やっぱり任期末が近づくと、令和四年度では全然逆転しないというような形になっているんですよね。
ですから、そこのところでお聞きしたいのは、これはシミュレーションを行っていないということですか。単純に横引きしただけだということですか。さっきのお答えですと。
◎中村 副区長 税収はこの令和四年度の四月のものをほぼ横引きしています。三年度のところは、リーマンに匹敵するような状況だったので、リーマンの過去のパターンがありますので、どのぐらいに税収が戻るかという、その見立てをした上でつくったものです。
◆大庭正明 委員 これは平成二十六年度から私は集めましたけれども、令和三年度のほうに大体近いんですよ。こっちのほうに近いんですよね。じゃ、令和四年度だけがシミュレーションしていなかったということなんですか。
◎中村 副区長 今年の一月時点のそれと、今、ウクライナもオミクロン株もあって、かなり経済状況も変わりましたけれども、一月時点で非常に不透明だという判断の下に横引きを今回だけしています。
◆大庭正明 委員 だから、こういうものというのは同じ尺度でやらなくちゃいけないのに、令和四年度だけはそのシミュレーションをしなくて、素でそのまま数字を乗っけてこういう形になっていると。これで財政を組まれた日には、政経部というのはもう区長の財政的な美容整形をするような、整形手術をしているような形がするんですけれども、これはどうなんですか。やっぱりこれは間違っていると思いますか。
こんなの、これを公の予算説明書に堂々と白黒で載っけているんですよ。色をつけたのは私ですからね。皆さんの見ているのは白黒で、そっち側は見られたくないから白黒にしているので、見られたいところだけはかなりカラーにしているという分かりやすいことをやっていますけれども、これはどうなんですか。こんなのを議員または区民が見て、財政あるじゃないのって、五十万円なのに何けちなことを言っているんですかという話ですよ。幾らでもお金はあるじゃないですかって。こんな財政がある程度健全であれば。どうなんですか。
◎中村 副区長 繰り返しなりますけれども、今後の見通しがかなり不透明な時期になったので、その時点のものを横引きしたということで、これを一月と八月に今後も更新をしていきますので、その際にはまた改めて税収見通しはしていきたいと思います。
◆大庭正明 委員 これは平成二十九年度に、五年ぐらい前かな、出したパネルで、これは平成五十八年と書いてありますから、令和二十八年までの予測なんですよ。今から五、六年前に二十年計画というのがもう出ているんですよ。それで、この八年間で行革をやりましたか。行政改革、行政経営計画というのはどれほどやったんですかというんです。
行政経営計画をやればこのぐらいになるかもしれない、やったら二千億円をはるかに超えちゃいますよということを五年ぐらい前に私がここで質疑したんですよ。だから行革をやらなくちゃいけない。行革っていろんな意味がありますけれどもね。単なる人切りだとかそういう人件費カットとかというカットだけじゃないですよ。いろんなもののカット、利活用をしながら行政改革をしていかないとこうなりますよということをこの場で申し上げたつもりなんですよ。
それを、行政経営計画というのを平成二十六年度にやめて、新実施計画の中に入れちゃったんです。入れ込んで、その中でわけが分からなくなっちゃったという形で、尺度が別だったら分かりますけれども、それを入れ込んだんです。新実施計画の中に入れ込んでやっていた。その新実施計画というものの達成率が四割前後だったということは、併せて強力な行革をやったという記憶も私はないし、実感もないし、やっぱりその辺はどうなんですか。やったんですか、やらないんですか。
◎加賀谷 政策経営部長 先般の企総委員会でもいろいろ御指摘いただきましたけれども、前期の取組、実施計画の中に行政経営改革の取組も掲げておりまして、記載しておりますけれども、前期で申しますと八十億円を上回る累積額ですけれども、四年間の取組、それから、今般の令和三年度の見込みも含めまして約七十億円を上回る規模ですから、トータル八年で百六十億円近い行政経営改革の効果額ということで掲げています。
◆大庭正明 委員 それで足りるんですか。つまり、それがそんなレベルで、こんな平成四年のところのこんな形で財政がある程度健全化してくるような縮小の健全化になるんですか。つながるんですか。答えてください。
◎加賀谷 政策経営部長 今後ますます公共施設の改築需要は高まりますので、そういう意味では、さらに取組が必要ということで認識をしています。
◆大庭正明 委員 さらにということは足らないということでしょう。だから、足らないのにこういうのを片方で出すなんていうことは、無責任極まりないじゃないですか。自分たちでやっぱり行革はうまくいっていないよね、区長はあまり行革に対してはやっていないよねということは分かっているわけでしょう。
分かっていながら、今年に限ってこういうような財調と財政が一時的によかったことを横引きするような資料を我々に提示して、あたかも、世田谷区はお金の面で余裕があるわけじゃないけれども、そんなに基金をどんどん取り崩さなくちゃいけないような危険な状態じゃないというようなイメージを与えるというのは、非常に誤解を与える基じゃないですか。
◎中村 副区長 そういう意味では、これを単体で見た場合には楽観的な将来像に見えるかもしれません。そこはシミュレーションの仕方の反省点はあります。ただ、一方で、財調基金に毎回積み上げて、予算の一割以上を持つですとか、今後安定的に区政運営できるための慎重な財政運営はしているところで、決して議会の御答弁なり議論の中でも楽観視しているような姿勢で御答弁、御説明しているつもりはありません。
◆大庭正明 委員 目は耳ほどに物を言うといって、こういうのを見せられればこっちのほうを信じちゃいますよ。幾ら言葉で緊張感を持っているとか慎重にやっているとかと言ったって、これだったらどう見たって、そんな緊張感を持たなくても、こんなに減っていくんですよ、どんどん。こんな減っていく見通しを立てられたら、やっぱりそれを信じちゃうじゃないですか。
あなた方が悪いわけじゃなくて、あなた方以外のたった一人の計算の方法が大体間違っていると。この計算方法の間違いは、この間の企総のところでもちゃんとやりましたよね。八十キロの人が六十キロに減らして、一体体重を何キロ減らしたんですかといったら、五十キロですというのが保坂区長の考え方なんですよ。これは、あなた、ちゃんと図が出ていますので、ビデオを見直してください。勉強してください。
あまりほかの人を責めるのもなんですけれども、やっぱり以上のことを見て、これまでの過去、それからこれからの将来を見ても、なかなか信じ難いような状態にあなた方はいらっしゃると。そこで書かれたような予算書については、我々はやはり批判すべきところは批判しなくちゃいけないし、突くべきところは突かないと、世田谷区の健全な財政運営の今後が保てないということを申し上げるために、私は臨時というかな、当初予定はなかったんですけれども、来ました。
以上で質問を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で無所属・世田谷行革一一〇番・維新の質疑は終わりました。
────────────────────
○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、日本共産党、どうぞ。
◆中里光夫 委員 それでは、日本共産党の補充質疑を始めます。
保坂区政三期目も残り一年となりました。今後十年を見据えた次期基本計画の検討も始まります。限られた任期で保坂区政が推進してきた参加と協働、そして区民の暮らしや福祉を優先する区政の発展が必要だと考えます。今日は区長に質問していきます。
まず初めに、地域行政についてです。
次期基本計画の検討に向けた有識者との懇談会の議事録を読ませていただきました。自治政策研究所所長や五つの各分野の審議会の会長などが意見を交換していました。これまでの基本計画の副題にもなっている参加と協働、これについて今後の発展を望む意見が続いていました。
大杉自治政策研究所長は、区政を推進する基本の部分をしっかりできないだろうか、場合によっては、区民参加や協働の根拠となる自治立法を考えてもよいのでは、区政全般の参加や協働を明確に位置づけて考えることも必要になるのではないか。
それから、子ども・子育て会議の森田会長は、子どもや若者を区政を一緒に動かしていく主体として位置づける、子どもの参加と協働、それから、地域の中で生きていく主体として、彼らの意見をきちんと聞く、彼らの意見に基づき施策や事業に生かす、こういう見解を述べていました。
そして、都市計画審議会の中村会長は、世田谷らしい地域コミュニティー、平時にも災害時にもみんなが助け合うコミュニティーの在り方を考えていかなければいけない。世田谷らしいコミュニティーのお話をしていました。
地域行政の理念は、都市としての一体性を保ちながら、住民自治の実を上げるため、区内を適正な地域に区分して、地域の行政拠点を設置し、これを中核として地域の実態に即したまちづくりを展開するとともに、区政への住民参加の促進を図り、住民自治の確立を目指す、これが地域行政の理念と言われています。
区長は、令和三年九月議会の招集挨拶の中で、DXの推進を踏まえた新たな行政サービスと参加と協働の変革に取り組む中で、
まちづくりセンターや総合支所における広報広聴の機能を強化し、参加と協働を土台として、より住民参加を推進する姿勢と取組を条例に組み込んでまいりますというふうに述べています。しかし、現在の条例や計画の素案を見てみますと、この住民参加ということは書かれているんですが、区民が主権者として主体的に地域や区政に関わっていく、これに対する記述が弱くなっていると思います。
地域行政推進条例の素案では、条例の目的に住民自治の充実とありますが、条例が目指す姿や区としての定義が語られていません。私たちは、住民が主体的に地域の課題解決をしたり、区政への参画を進めていくもの、協働や参画の観点の明記、これが必要と考えます。区長の認識はいかがでしょうか。区長は条例で何を目指していくのか、お聞きします。
◎保坂 区長 地域行政制度改革では、有識者の方々から極めて有益また本質的な御意見をいただきました。地域課題が大変複雑化していく中で、区民ニーズをきめ細かく捉えて、参加と協働による取組を一層、地区の中で、地域の中で、デジタル技術も活用しながら推進をしていく改革だと思っております。
この条例化を契機に、多様な地域コミュニティーの担い手が創意工夫を凝らした主体的なまちづくりを進め、地区、地域において多様なテーマで住民同士が話し合い、物事を進めていく機会を多く持つことが大変重要です。その際、区民の間にある一種の分断、これを克服する工夫も必要で、例えば古くからお住まいの住民と新たに越されてきた住民の間、あるいは世代間のギャップ、また、女性の立場、男性の立場、こういった枠を乗り越えていくことが大事だと考えております。
地域行政推進条例においては、このような課題が読み取れるように検討を加え、多くの区民の理解を得ることが必要です。地行改革が住民自治の充実につながり、安心と希望の持てる地域社会をこの住民自治の力で、よりよく実現することを目指してまいります。
◆中里光夫 委員 主体的なまちづくりを進めていくと。そうした姿がよく読み取れるようにさらに検討を加えるというお話ですけれども、やはりこの住民の主体的な協働や参画の観点を条例や計画に位置づけていく、しっかり書き込むことが必要だと思いますが、区長、いかがですか。
◎保坂 区長 御意見を参考に、私は先ほど他会派の質問に住民参加の四文字もお答えしました。そういう観点でさらに検討を進めてまいります。
◆中里光夫 委員 しっかりと主体的なまちづくり、これがよく読み取れるようなということですから、そこをしっかりお願いします。
次に、災害から区民の命と暮らしを守るという問題です。
今期、さらなる推進が必要なのは、コロナパンデミックや震災や水害などの自然災害から区民の命と暮らしを守ることです。
まず、コロナパンデミックのことですが、この間、この二年間は本当にコロナとの闘いでした。パンデミックはまだ収まりません。引き続きコロナから区民の命と暮らしを守ることが区政最大の課題だというふうに思います。
まん延防止措置が全国で解除されました。しかし、昨日の区のホームページを確認しましたけれども、現在の区内の感染状況、新規感染者は二百人から五百人のあたりを推移していると。入院中の方が七百二十六人、宿泊療養中が百九十四人、自宅療養中が四千七百八人、小中学校の学級閉鎖は十五校二十二クラス。年明けから三か月近く、高い感染の状況が今も続いていると。保健所や医療現場の厳しい状況が長く続いています。まん延防止措置が解除され、人流が増えれば、リバウンドや第七波になることが危惧されています。政府の感染症対策分科会の尾身会長も、年度末の人の動き、BA・2株の懸念、感染の再拡大やリバウンドが予想されるというふうにも述べています。
我が党は、コロナから住民の命と暮らしを守る四つの柱ということでこの間、提起してきました。一番目はワクチンの早期接種、第二は大規模検査の実施、第三は保健所体制の確保や医療への支援、そして第四は暮らしと営業を守る支援です。
保坂区政のこの間のコロナ対策は、ワクチン接種では高齢者施設での集団接種や保育や介護の現場で働く人の優先接種に取り組むなど、感染リスクや重症化リスクの高いところへの対策、これを進めました。また、検査では、社会的検査を職員のみならず利用者や家族にまで拡大していく、保育園や介護の現場でこういったことをやりました。地域、施設のクラスターと感染抑止の大きな効果につながっていると思います。さらに、広く区民対象の検査キットの配布にも踏み出しました。保健所の体制の強化や医療機関への支援も独自に進めてきました。暮らしと営業への支援では、区独自のゼロ金利融資、ひとり親世帯への独自支援やせたがやPayを使った直接支援にも取り組んでできました。これらを評価します。
リバウンドや第七波に備えた今後の取組は、特に保健所や検査の体制、暮らしや営業の支援の強化が必要となります。第六波では、区が当初想定した感染者数をすぐに超えて、その数倍の規模に広がりました。保健所の体制は逼迫し、電話もつながらず、在宅療養者に支援物資もなかなか届かない、こういう事態にもなりました。第七波に備え、保健所や在宅療養者への支援の体制を検証し、十分な準備を進めるべきです。
私の知り合いの音楽関係の仕事をしている方から、コロナで仕事が激減して、給付金で何とかつないでいるんだというお話も聞いています。特に自営業、フリーランス、非正規、こういった方々の事業や暮らしの状況は大変厳しい。支援の拡充を進めるべきです。
区長はこれまでのコロナ対策をどう評価するか。また、今後、検査や保健所の体制の強化を行うべきです。暮らしと営業の支援を拡充するべきです。区長の考えを伺います。
◎保坂 区長 二年前に新型コロナウイルス感染症が区内で発生して以来、区政最大の長期にわたる危機管理、最重要課題として、区民の命と健康を守ることを最優先で取り組んでまいりました。社会的検査を含む検査体制の強化、自宅療養者の方の支援体制構築、ワクチン接種、医師会の協力もいただきながら感染拡大防止策を進めるとともに、特別定額給付金や生活困窮者自立支援金等の生活支援策、区内事業者への緊急融資、飲食店支援などの経済対策、全庁を挙げてこのコロナ対策に取り組んできたところであります。
今後については、四月以降も引き続き区民の検査機会の確保に努め、行政検査体制のほかに、事業所や施設内で感染者が発生した場合に実施する随時検査の強化、感染不安になった際に御利用いただける抗原定性検査キットの保育園・幼稚園施設などへの配付など、社会的検査を継続して実施できる体制をつくってまいります。
保健所の体制については、区民の健康と命を守る健康危機管理業務の根幹を担う組織であるという認識の下で、来年度は保健師、事務職の増強を図るなど、保健所体制の強化にも取り組んでいきます。
感染者が減り始めていく下り坂の時期に次の波、今だと第七波ということになりますが、この準備をすることが肝要です。今後も、感染フェーズに応じた効果的な感染症対策、生活困窮者への支援、区内事業者への事業継続のための支援、時期を逸することなく、総合的に進めていくとともに、コロナ後の社会の実現に向けて、出口戦略を見据えて、区民の暮らし、健康、命を守ることを優先して取り組んでまいります。
◆中里光夫 委員 我が党はこの間、社会的検査の対象拡充、そして体制強化を求めてきました。さらにこの間の取組を踏まえての改善が必要です。特に社会的検査では、学校や保育園、介護事業所などに周知を徹底して、十分な検査キットの配付をすること、また、介護事業者から、随時検査実施日まで何日もかかった、すぐに検査してほしいとか、土日も実施してほしい、定期検査があれば安心できるなどというお話を伺っています。
今後、第七波、八波が来たときに新年度予算で対応できるのか。必要なら補正予算を組んででも対応する必要があります。今後十分対応できるよう体制の強化を求めます。区長の見解を伺います。
◎有馬
保健福祉政策部次長 令和四年四月以降の社会的検査は、引き続き随時検査及び抗原定性検査を実施することを予定し、新年度予算案に計上しております。次なる感染拡大期である第七波は四月、五月を想定し、現時点では少なくとも第六波と同程度の体制を組むこととしております。第八波は七月、八月を想定し、第六波の教訓から、抗原定性検査キットやPCR検査に必要な容器等の事前確保に努めるとともに、検査拡充に向けて検討してまいります。
また、抗原定性検査キットの施設への備えとしての配付でございますが、希望する施設に対して、令和三年十一月以降、順次実施してまいりましたが、委員お話しのとおり、配付希望が施設全体の五割でございました。また、令和四年一月の第六波では供給不足が生じたことも踏まえまして、令和四年度につきましては、改めて関係所管部と連携を図りながら、四月早々にも当該配付事業を積極的に備蓄いただくよう施設へ周知してまいります。
◆中里光夫 委員 随時検査で時間がかかったとか物が不足したとか、こういうことを繰り返さないようにしっかりと体制も強化して臨んでいただきたいと要望します。
それでは次に、震災などの自然災害の問題です。
首都直下地震はいつあってもおかしくありません。先日の地震で広範囲にわたる停電が起きました。地震による発電所の停止を引き金にして、大規模停電を阻止するための電力需給バランスを取るシステムが自動的に送電網を切り離したと。東電管内では二百九万軒、世田谷区内でも約二万七千八百五十軒が停電したと。ここ数日、火力発電所の地震からの復旧が進んでいないことと、急な寒さによる電力需要増加から停電のおそれがあると節電の呼びかけが行われていました。
また、二〇一八年の北海道地震では、この電力需給バランスの崩れから発電所停止の連鎖が起きてブラックアウトとなりました。二〇一九年の千葉県の台風被害による送電線倒壊では、長期にわたり停電が続いたと。停電のリスクに対する対策に今、関心が高まっています。
我が党は、避難所の非常用電源の強化を求めてきました。災害時であってもエアコンが使えるかが命に関わることもあるんだと。エアコンも使える避難所ということを言ってきました。現在、避難所に配備されている非常用の電源は、発電機用のガソリンが三十リットル、ガス発電機用のボンベ四十六本、それからソーラー式の蓄電池というような状況です。
避難所で使用する電源機器は一日当たり二十九キロワットを想定しているということです。この二十九キロワットは、その中身は何かというと、アンプとマイクのセット、電話、ファクス、防災無線、PHS、受信機、テレビ二台、ラジオ、投光器と、本当に最低限避難所を運営するものと。これは被災者となる区民が避難生活を送るための電力には全然想定されていない。非常用電源はそういうものには全く回っていかないと。この充実は待ったなしの問題です。
区長も以前の議会で、太陽光発電、蓄電、バッテリーなどをそろえていくんだ、エアコンを稼働するには電源車の手配がないと難しいが、これがどうできるのかも検証する、課題についてできるものから着手するというふうに言っています。その後、ガス自立式エアコンの設置の拡大や電気自動車の活用も始まっていますが、まだまだ一部です。
災害時の非常用電源の確保が現状でよいと考えるのか。今後どうしていくのか。まず、福祉避難所の電源確保を始め、避難所電源の確保を計画的に取り組むことをやるべきです。区長の考えを伺います。
◎保坂 区長 指定避難所や災害時の支援活動の拠点となる区の施設におきましては、非常用の発電機器の配備やEV車、電気自動車の災害時配置などを進め、避難者の受入れや情報連絡活動など必要な三日分相当の電力を確保しています。
さらなる電力の確保に向けては、進歩を続ける再生可能エネルギー技術の新たな活用について検討を進めつつ、燃料を用いる発電機器の配備や、蓄電池を活用した施設への太陽光発電設備の整備の一層の促進を図るなど、できることから着実に進めてまいります。
停電が長期間にわたった際の在宅避難者の電力確保につきましても、家庭でのEVや太陽光発電の普及拡大を進め、その電力を有事には地域で共有する電力の自助、共助、相互扶助を促進することが最大の解決策であると考えています。この促進に向け、効果的な区の支援について引き続き検討を進めてまいります。
そして、自然の恵みを生かし小さなエネルギーで暮らす豊かな町の実現は、災害に強い自立的な電源の確保を可能とする地域社会を実現することでもあり、災害対策を考える上で重要な視点として、区を挙げてその実現に向けた取組を今後もさらに改善をしてまいります。
◆中里光夫 委員 できることから着実に進めるということなんですが、やはり計画的にこれは取り組んでいくことが必要だと思うんです。とにかく手をつけていくということではなくて、きちんと計画的に進める必要があると思いますが、いかがですか。
◎菅井 危機管理部長 今お話しいただきました避難所におきましては、三日間、ガソリン・ガス発電機などを含めまして稼働させて、電源を確保していこうと考えてございます。さらに、その上、どこまで目標を定めていくかというのは、今後のまたさらなる電源確保ということになりますので、新たな技術の発展だとか、また、各家庭、事業者への再生エネルギーの拡大状況だとか、また、国や東京都、電力会社の取組などを踏まえまして、さらに検討を進めていきたいと考えてございます。
◆中里光夫 委員 検討ばかりで進む気がしません。きちんと計画を立てて取り組んでいただきたいと強く要望します。
最後に、補聴器補助について質問します。
補聴器の購入補助は、重度の難聴の方には、障害者の補装具としての支援制度があります。また、中等度の難聴に対しては、十八歳以下の子どもに対しては都の助成制度があります。しかし十八歳以上の中程度、軽度の難聴者には補聴器の補助制度はありません。しかし、近年、自治体による補聴器助成が広がっています。中程度の難聴であっても、人の会話を遠ざけ、社会活動に支障を来します。三鷹市では、十八歳以上の中等度難聴者への補聴器購入助成を始めます。こうした動きが広がっています。
区は、十八歳以上の中等度難聴者への補聴器購入補助の意義についてどのように考えるでしょうか。
◎須藤 障害福祉部長 身体障害者手帳の交付の対象とならない中等度の難聴の方に対する支援につきましては、言語の習得、それから生活、それからコミュニケーション能力の向上、こういったことの促進をし、児童の健全な発達を支援することを目的に、東京都の補助金を活用して、補聴器の購入費用の一部、全部の助成をしているものとなります。
お話しの十八歳以上の方への支援につきましては、学校ですとか仕事、それから日常生活の様々な場面におきましてコミュニケーションのサポートに資するのではないかというふうには考えてございます。
今後、対象となるものの範囲、または財源といったような課題、それから公平、継続といった観点などを踏まえまして、他区の状況も参考に、関係所管との整理が必要かというふうに考えてございます。
◆中里光夫 委員 難聴が高齢者の社会参加を遠ざけ、認知症やフレイルの原因となることは、多くの専門家が指摘しているとおりです。外出する機会が減った、聞き間違いが多い、補聴器は高価なので購入をちゅうちょしている、こういう声が私たちのもとにも届いています。
これまでの調査で、聞こえが悪くなっている高齢者が世田谷で全体の三割いると。需要もあります。補聴器の使用が効果があることも分かっています。東京都の補助制度も使えます。多くの自治体で実施しています。
高齢者の孤独対策、認知症対策という区が進めようとしている政策のためにも、補聴器を区が積極的に普及を図るくらいの取組が求められるんじゃないでしょうか。高齢者の補聴器の必要性について、区長の認識を伺います。
◎保坂 区長 聴力が低下をして、よく聞き取りにくい、これが孤立を深めたり、孤独をさらにそこに押しやったり、周囲とのコミュニケーションの確保が困難ということは、大変御本人にとって大きな問題だと思っております。聴覚に関するバリアフリーを進め、日常生活の質を高める上で補聴器を使用することは大変大事なことだと考えております。
◆中里光夫 委員 早く実施するべきです。区長の考えを示してください。
◎保坂 区長 これは他自治体の取組状況を踏まえて、持続可能な制度として検討していく必要があると思います。令和六年から八年度の三年間を計画期間とする第九期
高齢者保健福祉計画・
介護保険事業計画の策定で検討に着手してまいります。
◆中里光夫 委員 検討に着手するということですが、これを急いで実施していただきたいと思います。
以上で終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で日本共産党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後五時四十六分休憩
──────────────────
午後六時開議
○菅沼つとむ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
生活者ネットワーク、どうぞ。
◆高岡じゅん子 委員 生活者ネットワークの補充質疑を始めます。最後の質問者です。よろしくお願いします。
令和四年度の予算で世田谷区は、長引く新型コロナの影響から区民生活を立ち直らせるための取組を進めることが求められています。総括質疑のときに区長も既に言及されていますが、生活者ネットワークは、このコロナ禍で拡大したと言われる女性の貧困と、正規雇用と非正規雇用の賃金格差による経済の格差拡大を今後どのように食い止めていくかということに注目しております。
昨年度末、結果が発表された区内企業の男女共同参画に関する意識と実態に関する調査では、区内企業雇用者の非正規の比率というのは女性のほうが圧倒的に高くなっています。こういった調査結果は、産業政策や雇用対策にどのように生かされているのでしょうか。
正規雇用と非正規雇用の格差をなくす同一価値労働同一賃金となる働き方が求められていると考えます。区長の見解を伺います。
◎保坂 区長 昨年の区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査では、男性の非正規社員比率が約四割、一方で、女性の非正規社員比率が七割を超えておりまして、御指摘のとおり、大変な差がございました。一方で、昨年、同一労働同一賃金の実現に向けパート労働者法等の関連法案が施行されたことに伴いまして、誰もが働きやすい環境の整備に向けて、企業側の努力が求められていて、区でもその周知に努めているところです。
地域経済の持続可能な発展条例におきましても、誰もが御自身の個性や能力を発揮することができる働きやすい環境を整備することを基本方針に掲げています。さらに、今回、公契約条例に基づく評価項目を区の契約に関わる総合評価入札の中に公契約条項という形で入れまして、この中にジェンダー平等の視点からも企業の取組を促す項目を入れております。
また、女性の就労をサポートするらぷらすや三茶おしごとカフェにおける労働相談、カウンセリング、マッチングの支援に加えて、次年度から新たにITリスキリングを支援する取組も始めます。
仕事で必要なスキルが日々進化する中、非正規雇用の女性など、リスキリング支援は今後ますます重要になると認識しておりまして、事業の効果を見ながら、格差の是正に向けた支援を強めてまいります。
◆高岡じゅん子 委員 本当に持続可能な地域経済の発展には、誰もが自分らしく、そして生きがいや尊厳を持って働けるディーセント・ワークの実現が必要です。新しい条例の趣旨を労働に関する相談などに生かし、女性が多数を占める非正規雇用者の権利を守ってください。また、総合入札方式の評価の中にジェンダー平等の視点が入ったことは評価しております。また、世田谷区の非正規職員の処遇改善に関しても、私どもも注目しておりますので、よろしくお願いします。
いわゆるまん防というやつは全国で終了いたしましたが、新型コロナ感染症への区民の不安は残っています。半数以上の区民がまだ三回目のワクチン接種を受けていません。十一歳以下の子どもへのワクチン接種も始まりました。接種のメリットとリスクに関して、まずは正確な情報提供が必要だと考えます。接種後の副反応が出た場合、どう対処すればよいのかと不安を持つ保護者も多くいます。新型コロナにかかった方の後遺症に関しては、世田谷区のホームページに対応できる病院の一覧まであり、情報が充実してきていますが、ワクチン接種後の副反応が疑われるとき、どこで治療を受けられるのか、情報が不足しています。
今後も新型コロナワクチンの接種が継続されていく中で、世田谷区が副反応の相談も受け止め、頼りになる医療機関の情報なども提供できることが必要ではないかと考えます。見解を伺います。
◎久末
住民接種担当部長 新型コロナワクチンの副反応については、医学的知見が必要となる専門的な相談体制は都道府県が確保することとなっており、東京都では、看護師、保健師等の医療職を配置した副反応相談センターを設置しております。区の集団接種会場では、接種を受けた方に連絡先を記載したチラシを配付しているほか、区のコールセンターでも、副反応に関する専門的な相談は都のセンターのほうにつないでおります。
副反応の相談先の医療機関としては、区から特定の医療機関は案内しておらず、まずは、接種を受けた医療機関か、かかりつけ医に相談していただくことを基本としております。かかりつけ医がいない場合は、ワクチン接種を行っている医療機関に受診をしていただきたいと思っております。
三月十八日の国の副反応の分科会では、副反応の症状が長引いている方がいる可能性を想定し、都道府県に対して、副反応の相談窓口や専門的な医療機関に関する体制の確認や見直しを近く依頼することとされました。こうした動向を踏まえ、都の相談窓口とも連携し、かかりつけ医や接種医がさらなる対応を必要とした場合に専門的な医療機関を紹介する体制づくりに取り組むなど、より区民にとって分かりやすく安心できる情報提供に努めてまいります。
◆高岡じゅん子 委員 接種後一日か二日の軽い副反応は多くの方が経験していますが、長引く方もいて、この症状に厚生労働省で注目し、対応に向け動き出したということは当然です。新型コロナワクチンはメッセンジャーRNAワクチンという新しいタイプのワクチンであり、反応に関しても今のところ対症療法ぐらいしかありません。専門的な医療機関が必要です。世田谷区としても、国や都の動向を注視し、医療機関とも協力し、一日も早く区民が安心できる情報提供を求めます。
さて、令和四年、五年の実施計画である未来つながるプランにSDGsの視点が入ったこと、これを私たちは評価しております。ここにお見せしているのは、ストックホルム・レジリエンス・センターが提唱したSDGsの十七のゴールがどのように有機的につながりあって誰一人取り残さない世界を目指すのかということを示したウエディングケーキモデルと言われる概念図です。例えば産業と技術の基盤をつくろうという経済の目標は、その下にジェンダー平等だったり平和だったりという社会のものが支えていて、さらにその下、安全な水と、そして安定した気候、そして海や陸の全ての生物、こういった環境が土台となって初めて社会と経済が回っていく、こういったものが概念図とされています。
つながるプランの各重点施策のKPIなどが明記されたページには、その施策につながりが強いSDGsのゴールだけが表示されていますが、例えば施策の一番、地域防災力の向上を例に取っても、そもそも極端気象が洪水の原因になっているということや、災害対策にはジェンダーの視点が必要であること、また、災害時にも子どもの教育の継続が図られなければならない、そういったことなど、他のゴールについても視野に入れて進めていくことが必要です。特に気候危機や自然保護、エネルギーの問題は全ての社会、経済、これの支える基盤であるということを常に意識して施策を進めていただかなければなりません。SDGsをはやり物としてイメージアップに使いつつ、事業の本質的な体質転換をしようとしないSDGsウオッシュ、SDGs偽装みたいなものに区が陥る可能性もあります。
気候非常事態宣言をして気候危機対策基金を立ち上げる世田谷区にもかかわらず、自動販売機のペットボトル飲料を減らすことすらできず、植物由来のペット樹脂であれば環境負荷も少ないので使い続けてもいいというような認識では、ちょっと恥ずかしいと思います。子どもたちにもぜひ本質的な理解を促していただきたいと思っています。
世田谷区の職員全員がSDGsの本質を理解し、環境配慮や気候危機対策の率先行動を実践できるよう、人材育成が必要です。研修計画にどのように取り入れられていくか伺います。
◎池田 総務部長 常に変化する社会情勢の中で、必要な識見を持ち、施策や行動に移すことができる職員を育成していくことが重要であり、来年度の職員研修計画の中でも、区の新たな行政計画である世田谷区未来つながるプランの実現につなげる人材を育成することとしております。
特に環境への配慮は、区政に携わる職員に共通して必要な識見であり、環境政策部との共催研修として、各職場での環境配慮行動を促すための環境活動責任者研修の実施を予定しております。
引き続き、環境政策部などの庁内関係所管とも連携し、職員がそれぞれの職場で高い意識を持って環境問題などに取り組むことができるよう、研修の実施に取り組んでまいります。
◆高岡じゅん子 委員 責任者だけでなく、一人でも多くの職員が環境配慮に関する研修を受講することを望みます。また、自分たちの行動を区民がいつも注視している、注目していることを自覚して、環境によさそうなことを言う人ではなく、環境によいことを実践する人になるよう、研修、人材育成を進めてください。
エネルギー施策について質問します。
東日本大震災から十一年、先日も地震で世田谷区内に停電が起こりました。太陽光発電に蓄電池を併せ、夜も電源が確保できることに改めて注目が集まっています。FITの買取り期間が順次終了していく区民がたくさんいます。蓄電池導入を促し、電気の地産地消を進める最高のタイミングになりました。
東京都の補助に加えて世田谷区の補助金も併せて使えることなど、区の助成事業を区民に周知し、蓄電池の設置促進を図るべきだと考えます。取組について伺います。
◎清水 環境政策部長 区では、区内事業者による既存住宅を対象とした省エネ改修工事経費の一部を助成する環境配慮型住宅リノベーション推進事業を行っており、助成メニューの一つに太陽光発電システムの設置がございます。また、令和二年度より区民向け蓄電池の導入補助事業を行っており、定置型蓄電池には上限五万円、小型のポータブル蓄電池には上限一万円を補助しております。こちらは新築、既存、また区内事業者かどうかを問いません。
定置型蓄電池においては、太陽光発電の余剰電力の買取り期間が満了した卒FIT対策にも御活用いただいております。東京都も、令和四年度より新たに太陽光発電設備等の設置を進め、住宅の再エネ化を促進する補助事業を行う予定と聞いており、区の補助事業は、東京都の補助制度との併用が可能でございます。
区としましては、今後、ホームページや窓口等にて区及び都の補助事業を併せて周知し、電気の地産地消を着実に進め、ゼロカーボンシティーの実現に向けて取り組んでまいります。
◆高岡じゅん子 委員 この事業で蓄電池を設置した方にはせたがや版RE一〇〇の賛同者にもなっていただき、電気の地産地消の輪をさらに広げていってください。
また、来年度の予算には、新規事業として電気自動車の急速充電器の整備が計上されています。こちらは、EVの利用や普及促進に役立てることが有用だと思います。セルフでの料金支払いにして、区施設が使われていないときにも使えるようにするなど、工夫ができるのではないでしょうか。
急速充電器の整備とEV車の普及に関して見解を伺います。
◎清水 環境政策部長 東京都は、二〇三〇年までに乗用車の新車販売に占めるゼロエミッションビークル、いわゆるZEVの割合を五〇%とする目標を定めており、今後、電気自動車、EVの普及に伴い、充電インフラの整備の重要度が増すと思われます。
急速充電器の設置については、ゼロエミッションビークルの普及に向けた区の率先行動として、普及啓発を目的とし、まずは区の公共施設の駐車場に設置する予定で、現在、設置場所の検討を進めているところでございます。今回導入予定の急速充電器は、区が直接充電料金を徴収する形ではなく、充電ネットワーク事業者から提携料が支払われるシステムを考えております。
委員御指摘のEVの普及促進につなげるため、啓発効果が高く、土日など区施設が使われていない時間帯にも利用可能な設置場所の選定に向け取り組んでまいります。
◆高岡じゅん子 委員 本当に町が変わることで生活が変わっていきます。EV車の普及には、ガソリンスタンドのように急速充電ポイントが町の中に増えていくことが必要です。税外収入につなげる手法の検討にも触れていただきましたが、充電ネットワーク事業を環境エネルギー産業として育てていくということも視野に入れて、経済産業部とも連携し取り組むことを求めます。
最後に、世田谷区のDX推進について質問します。
国は、二〇二五年度までに各自治体の基幹業務システムを標準システムに統合し、ガバメントクラウド上で運用することを求めています。住民基本台帳や生活保護など、現場を預かる基礎自治体は、個人の尊厳に関わる機微にわたる情報を日々取り扱っています。たった四年で強引にそれらの情報がガバメントクラウドというブラックボックスに統合されてしまうようなイメージがあり、戸惑いと不安を感じています。
住民票の取扱いは各自治体の基礎となる業務ですが、DV被害者の情報保護など、特に注意を払わなければならない業務もあり、標準システムを、生の情報を扱っている現場の声を生かしたものにしていく必要があります。
自治体情報システム標準化・共通化に当たり、課題の共有や現場の意見の反映はなされているのでしょうか。世田谷区としては、この標準準拠システム移行に対してどのような考えで取り組もうとしているのか伺います。
◎加賀谷 政策経営部長 現在、国主導で進められております標準仕様の策定では、自治体や関係ベンダーに対しまして意見照会が行われ、世田谷区も含め全国の自治体から様々声が上げられております。
御指摘のDV等支援対象者への配慮に関しましても、自治体からの意見照会結果に基づきまして、DV等支援対象者の住民票の写し等の交付制限ですとか、住民記録システムからの支援措置情報のデータ連携機能などが標準仕様化されております。
今後も、特別区長会事務局を通じた課題共有やデジタル庁、総務省との意見交換を行うなど自治体間で連携しながら、国に対しても区の要望を伝えてまいります。
また、現時点では国からの情報が十分提供されていないため、国の示す標準準拠システムへの移行の目的や意義に基づいて実現が可能なのか、まだ評価できる状況にはございません。区としましては、区民サービスの品質の維持向上を基本としながら、既存業者依存からの脱却、ベテラン職員から若手職員へのノウハウ継承を抜本的な業務改革やDX推進の足がかりとするなど、区としての目的や意義をしっかりと捉えながら、庁内推進体制により取り組んでまいります。
◆高岡じゅん子 委員 国に言われるまま標準に合わせていくのではなく、区民、国民のためになるシステムづくりに世田谷区が積極的に関与していくことが必要です。また、常に区民に説明、周知しながら進めることを求めます。
デジタル関連法の一環として個人情報保護法が改正され、各自治体の持つ個人情報保護条例は、令和四年度中に大きく見直すことが求められています。先ほどの質問でも触れましたが、区民は、区に預けている自分たちの個人情報が何か大きなブラックボックスの中に吸い上げられてしまうというような不安を抱いています。
従来の世田谷区の個人情報保護の仕組みでは、電子的な個人情報の回線結合に関してとても丁寧に扱い、情報公開・個人情報保護審議会に諮ってきたと聞いています。ここで一問飛ばしまして、こちらで聞いておりますことでは、本当に令和二年度・三年度、諮問件数の半分以上がこの回線結合に関する諮問であったというふうに聞いています。
情報公開・個人情報保護審議会は大変活発に審議が行われていますが、それが本当に回線結合に関して丁寧に扱ってきたということを確認いたしました。改正された個人情報保護法では、各自治体の審議会には特に必要であると認めることに限定して諮問ができるというふうにされています。事前審査により区民の個人情報を守るという世田谷区の自治による取組をできる限り今後も継続していただきたいと思っております。
世田谷区が長年積み上げてきた個人情報保護の仕組みを生かし、今後も審議会が有効な活動ができる方向で法改正に対応していただくことを求めます。見解を伺います。
◎池田 総務部長 今般の法改正は令和五年四月一日から自治体に適用されます。区では、これまで蓄積してまいりました個人情報の取組を踏まえ制度設計を行いたいと考え、先般、審議会に制度の見直しに向けた諮問を行わせていただいたところです。審議会においては、令和四年六月頃の答申を予定していると伺っております。
区といたしましては、引き続き国、他自治体の情報収集に努めるとともに、審議会の答申を踏まえ条例改正素案を取りまとめ、区議会に御報告するとともに、パブリックコメント等を通じて区民の方の御意見を伺いながら検討を進めてまいります。
◆高岡じゅん子 委員 情報公開・個人情報保護審議会自体に今後の対応について諮問しているとのこと、答申の内容などを素早く区民と区議会に伝えていただき、しっかりとした個人情報保護の方針を示し、区民に信頼される世田谷区政の姿を示していただくように要望いたします。
区長は、世田谷区Re・Designのコンセプトとして、単なる行政手続のデジタル化ではなく、住民自治や区民の参加と協働を深化させるデジタルデモクラシーの推進に言及されています。一方、地域で令和四年度の具体的な活動というふうに感じられるのは、デジタルデバイド対策として二十八の地区でスマホ教室だけ、そんなふうに区民に見えてしまうのではないかというふうに危惧もあります。
数年前にカリフォルニアに転居した友人は、近隣の地図など、引っ越してすぐ地元情報を求めて出張所のようなところに行ったところ、その頃既に紙の情報というのはなく、その代わり小型のタブレット端末に近隣情報が満載されているものを貸し出されたという話を聞きました。インターネットにアクセスできるツールは、今では生活の必需品となっています。ホームレス支援の方たちの仕事を始めたいという方への支援は、まず携帯端末の貸出しだそうです。スマホあれば、自分で日払いの仕事を探すことも、面接の予約を取ることもできますが、逆にそれがなければ社会参加の糸口しかつかめないというのが現代の社会です。
DXを通じた誰もが参加できる区政の実現に向けて、区長のビジョンを伺います。
◎保坂 区長 私が区長に就任して以来、先人たちが築いてきた住民参加、参加と協働が大変大事な世田谷区の伝統であり、文化であると考えております。基本構想に掲げたひとりでも多くの区民が区政や公の活動に参加できるようにする、この実現のためにも、幅広い世代が区政への関心を高め、多様な声を反映させることを目指して、車座集会をはじめ様々な取組を進めてきましたが、昨今の急速なデジタル技術の進化により、これまで区政に無関心、あるいは参加したくても機会がなかった区民の方に広く無理なく参加できる仕組みづくりが可能となり、一部、ズームを使った会議等も区民参加が始まっております。
世田谷区DX推進方針にある参加と協働のRe・Designは、単なるデジタル技術を使ってその機会を増やすだけではなくて、デジタル技術を活用しながら区民との対話と合意形成を発展させ、区民主体の行政サービスへの変革を目指すものと考えています。例えば兵庫県加古川市の市民参加型合意形成プラットフォームなどは、参考にしたい取組の一つであります。
私は、デジタル技術を自治体行政の抜本的な変革に用いるときには、住民の参加と協働、そして自治、すなわちデジタルデモクラシーの観点が必要不可欠だと考えています。同時に、公共的価値を一緒につくり上げていこうという協働の観点、これもまた不可欠な要素とだと考えています。
来年度から、次期基本計画の策定の中でも早速、こういった様々なツールを使いながら、基本構想のビジョンに基づいて、区民主体の参加と協働でデジタル活用においても多くの皆さんの合意を紡いでいく、誰もが暮らしやすい世田谷の未来に向けた政策を一緒につくってまいりたいと思います。
◆高岡じゅん子 委員 区長の今のビジョンですが、まだまだ区民が理解し活用できる形には至っていません。デジタル化はあくまでも手段であり、対話による熟議の民主主義、住民自治の推進を求め、生活者ネットワークの質問を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で生活者ネットワークの質疑は終わりました。
これで令和四年度予算五件に係る質疑は全て終了いたしました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後六時二十四分休憩
──────────────────
午後六時四十分開議
○菅沼つとむ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
引き続き、議案第一号から議案第五号に至る五件に対する各会派の態度表明に入ります。
なお、態度表明は自席よりお願いいたします。
最初に、自由民主党、どうぞ。
◆おぎのけんじ 委員 自由民主党世田谷区議団は、令和四年度世田谷区一般会計予算外四件全てに賛成いたします。
なお、意見につきましては本会議場で申し述べます。
○菅沼つとむ 委員長 次に、公明党、どうぞ。
◆福田たえ美 委員 公明党世田谷区議団は、令和四年度世田谷区一般会計予算外四件全てに賛成いたします。
なお、意見につきましては本会議場で申し述べます。
○菅沼つとむ 委員長 次に、世田谷立憲民主党、どうぞ。
◆羽田圭二 委員 世田谷立憲民主党区議団は、二〇二二年度世田谷区一般会計予算外四特別会計予算について賛成をいたします。
なお、意見は本会議場で申し上げます。
○菅沼つとむ 委員長 次に、無所属・世田谷行革一一〇番・維新、どうぞ。
◆桃野芳文 委員 無所属・世田谷行革一一〇番・維新は、令和四年度世田谷区一般会計予算に反対をします。その他四件の予算には賛成をいたします。
意見については本会議場で述べます。
○菅沼つとむ 委員長 次に、日本共産党、どうぞ。
◆江口じゅん子 委員 日本共産党世田谷区議団は、令和四年度世田谷区一般会計予算、世田谷区
介護保険事業会計予算、
学校給食費会計予算に賛成し、令和四年度世田谷区
国民健康保険事業会計予算、世田谷区
後期高齢者医療会計予算に反対します。
なお、意見は本会議場で申し述べます。
○菅沼つとむ 委員長 次に、生活者ネットワーク、どうぞ。
◆高岡じゅん子 委員 生活者ネットワーク世田谷区議団は、令和四年度世田谷区一般会計予算外四件全てに賛成いたします。
なお、意見については本会議場で申し述べます。
○菅沼つとむ 委員長 次に、新風・せたがやの風、どうぞ。
◆つるみけんご 委員 新風・せたがやの風は、令和四年度世田谷区一般会計予算外四件全てに賛成いたします。
なお、意見につきましては本会議場で申し述べます。
○菅沼つとむ 委員長 次に、減税せたがや、どうぞ。
◆あべ力也 委員 減税せたがやは、令和四年度世田谷区一般会計予算外全ての予算案に賛成をいたします。
なお、意見につきましては本会議場で述べさせていただきます。
○菅沼つとむ 委員長 次に、レインボー世田谷、どうぞ。
◆上川あや 委員 レインボー世田谷は、令和四年度世田谷区各会計予算五件全てに賛成いたします。
なお、意見につきましては本会議場にて申し述べます。
○菅沼つとむ 委員長 次に、世田谷無所属、どうぞ。
◆ひうち優子 委員 世田谷無所属は、令和四年度世田谷区一般会計予算外四件全てに賛成いたします。
なお、意見につきましては本会議場で申し上げます。
○菅沼つとむ 委員長 次に、Setagayaあらた、どうぞ。
◆佐藤美樹 委員 Setagayaあらたは、令和四年度世田谷区一般会計予算外四件全てに賛成いたします。
なお、意見については本会議場で申し上げます。
○菅沼つとむ 委員長 次に、都民ファーストの会、どうぞ。
◆そのべせいや 委員 都民ファーストの会は、二〇二二年度世田谷区一般会計予算外全てに賛成いたします。
なお、意見は本会議場で申し述べます。
○菅沼つとむ 委員長 次に、国際都市せたがや、どうぞ。
◆神尾りさ 委員 国際都市せたがやは、令和四年度世田谷区一般会計予算外四件全てに賛成いたします。
意見については、本会議場で述べます。
○菅沼つとむ 委員長 次に、区民を守る会、どうぞ
◆くりはら博之 委員 令和四年度世田谷区一般会計予算外四件全て賛成いたします。
なお、意見につきましては本会議場で申し上げます。
○菅沼つとむ 委員長 次に、無所属、どうぞ。
◆青空こうじ 委員 無所属は、令和四年度世田谷区一般会計予算外四件全てに賛成します。
なお、意見を申し上げますが、本会議場で申し上げます。
○菅沼つとむ 委員長 以上で各会派の態度表明は終わりました。
────────────────────
○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして採決に入ります。採決は三回に分けて行います。
まず、議案第一号「令和四年度世田谷区一般会計予算」についてお諮りいたします。採決は起立によって行います。
本件を原案どおり可決することに賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○菅沼つとむ 委員長 起立多数と認めます。よって議案第一号は原案どおり可決と決定いたしました。
次に、議案第二号「令和四年度世田谷区
国民健康保険事業会計予算」及び議案第三号「令和四年度世田谷区
後期高齢者医療会計予算」の二件についてお諮りいたします。採決は起立によって行います。
本二件を原案どおり可決することに賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○菅沼つとむ 委員長 起立多数と認めます。よって議案第二号及び第三号の二件は原案どおり可決と決定いたしました。
次に、議案第四号「令和四年度世田谷区
介護保険事業会計予算」及び議案第五号「令和四年度世田谷区
学校給食費会計予算」の二件についてお諮りいたします。
本二件を原案どおり可決することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅沼つとむ 委員長 御異議なしと認めます。よって議案第四号及び第五号の二件は原案どおり可決と決定いたしました。
以上で当委員会に付託されました予算審査は全て終了いたしました。
────────────────────
○菅沼つとむ 委員長 この際、区長より発言の申出があります。
◎保坂 区長
予算特別委員会の終了に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
ただいまの採決の結果、令和四年度各会計予算につきまして、原案どおり御可決をいただきまして大変ありがとうございました。
委員の皆様には、長期間にわたりまして御審議をいただきました。御審議の中でいただいた御提案、御意見、御指摘については今後の区政運営に生かしてまいりたいと考えております。
今後とも区民要望を的確に捉え、サービスを安定的に継続するとともに、将来を見据えて財政運営に取り組んでいきたいと考えております。
引き続き、委員の皆様には御理解、御協力をいただきますようお願いを申し上げます。
最後に、委員長をはじめ、運営委員の皆様方には、委員会の円滑な運営に特段の御配慮をいただきましたことを改めて御礼を申し上げます。
以上簡単でございますが、挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
○菅沼つとむ 委員長 以上で区長の挨拶は終わりました。
ここで正副委員長を代表して、一言御挨拶をさせていただきます。
委員会の皆様には七日間にわたり熱心に御審査いただき、充実した委員会になりましたことを御礼申し上げます。
また理事者の皆さんにおかれましては、この委員会を通じて出されました各委員からの意見などを十分に御理解していただき、今後の区政に反映させていただくとともに、世田谷区のさらなる発展へ向けて一層の御尽力をお願い申し上げます。
委員会運営においては、運営委員をはじめ、委員の皆様、そして理事者の皆さんの御協力に感謝申し上げ、簡単ではございますが、正副委員長を代表しての挨拶とさせていただきます。お世話になりました。(拍手)
────────────────────
○菅沼つとむ 委員長 以上をもちまして
予算特別委員会を散会いたします。
午後六時五十分散会...