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令和 4年  3月 定例会−02月22日-02号

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  1. 世田谷区議会 2022-02-22
    令和 4年  3月 定例会−02月22日-02号


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    令和 4年  3月 定例会−02月22日-02号令和 4年  3月 定例会 令和四年第一回定例 世田谷区議会会議録第二号 二月二十二日(火曜日)  出席議員(四十七名) 一番   神尾りさ 二番   佐藤美樹 三番   そのべせいや 四番   青空こうじ 五番   ひうち優子 六番   上川あや 七番   くりはら博之 八番   つるみけんご 九番   小泉たま子 十番   あべ力也 十一番  高岡じゅん子 十二番  金井えり子 十三番  田中みち子 十四番  下山芳男 十五番  加藤たいき
    十六番  河野俊弘 十七番  阿久津 皇 十九番  津上仁志 二十番  河村みどり 二十一番 いそだ久美子 二十三番 中里光夫 二十四番 江口じゅん子 二十五番 たかじょう訓子 二十六番 和田ひでとし 二十七番 上島よしもり 二十八番 菅沼つとむ 二十九番 高橋昭彦 三十番  岡本のぶ子 三十一番 平塚けいじ 三十二番 中塚さちよ 三十三番 藤井まな 三十五番 大庭正明 三十六番 ひえしま進 三十七番 宍戸三郎 三十八番 真鍋よしゆき 三十九番 畠山晋一 四十番  いたいひとし 四十一番 佐藤ひろと 四十二番 福田たえ美 四十三番 羽田圭二 四十四番 中村公太朗 四十五番 桜井純子 四十六番 桃野芳文 四十七番 田中優子 四十八番 おぎのけんじ 四十九番 石川ナオミ 五十番 山口ひろひさ  欠席議員(一名) 二十二番 中山みずほ  欠  員(二名) 十八番 三十四番  出席事務局職員 局長     林 勝久 次長     井上徳広 庶務係長   星野 功 議事担当係長 水谷 敦 議事担当係長 長谷川桂一 議事担当係長 岡本俊彦 議事担当係長 菊島 進 議事担当係長 末吉謙介 調査係長   佐々木崇  出席説明員 区長     保坂展人 副区長    中村哲也 副区長    岩本 康 世田谷総合支所保健福祉センター所長        土屋雅章 砧総合支所長 佐々木康史 烏山総合支所長        皆川健一 政策経営部長 加賀谷実 交流推進担当部長        小澤弘美 総務部長   池田 豊 庁舎整備担当部長        佐藤絵里 施設営繕担当部長        小柴直樹 生活文化政策部長        片桐 誠 地域行政部長 舟波 勇 スポーツ推進部長        内田政夫 環境政策部長 清水優子 経済産業部長 田中耕太 保健福祉政策部長        澁田景子 保健福祉政策部次長        有馬秀人 高齢福祉部長 長岡光春 障害福祉部長 須藤剛志 子ども・若者部長        柳澤 純 保育部長   和田康子 世田谷保健所長        辻 佳織 技監     松村浩之 都市整備政策部長        畝目晴彦 道路・交通計画部長        田中太樹 土木部長   青木 誠 教育長    渡部理枝 教育監    粟井明彦 教育総務部長 知久孝之 教育政策部長(教育監兼務)        粟井明彦 生涯学習部長 内田潤一 総務課長   後藤英一     ──────────────────── 議事日程(令和四年二月二十二日(火)午前十時開議)  第 一 一般質問     ──────────────────── 本日の会議に付した事件  一、日程第一 一般質問
        ────────────────────     午前十時開議 ○下山芳男 議長 ただいまから本日の会議を開きます。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 直ちに日程に入ります。 △日程第一を上程いたします。  〔井上次長朗読〕  日程第一 一般質問 ○下山芳男 議長 一般質問についての発言時間は、一人十分以内といたします。  質問通告に基づき、順次発言を許します。  十七番阿久津皇議員。    〔十七番阿久津皇議員登壇〕(拍手) ◆十七番(阿久津 皇 議員) おはようございます。通告に従って質問してまいります。  まず、北朝鮮による拉致問題の解決に向けた取組について伺います。  北朝鮮による日本人拉致問題について、政府は、我が国の主権と国民の生命、安全に関わる重大な問題であり、国の責任において解決すべき最重要課題と位置づけています。平成十八年に施行された拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律では、地方公共団体は、国と連携を図りつつ、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題に関する国民世論の啓発を図るよう努めるものとすると定められています。  二〇〇二年に北朝鮮の金正日、当時の国防委員長が長年否定していた日本人の拉致を認めて謝罪し、拉致被害者五名が帰国してから今年で二十年を迎えます。政府が拉致被害者として認定する十七人のうち、十二人は現在も北朝鮮に残されたままであり、拉致被害の発生から四十五年、一昨年には横田めぐみさんのお父様である滋さんが亡くなり、昨年十二月には田口八重子さんのお兄様の飯塚繁雄さんが亡くなりました。飯塚繁雄さんの後を継ぎ、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会、通称家族会の三代目の代表に就任した横田めぐみさんの弟、拓也さんは、一昨年、横田滋さんが亡くなったことを受けて開いた会見において、政府、国会、マスコミに対し、イデオロギーに関係なく、この問題を我が事として取り組んでほしいと述べられました。拉致被害者やその家族の高齢化が進む中、一日も早い解決のためには、拉致問題を風化させず、自治体として、そして議会として声を上げ続け、強い意思表示をすることが必要と考えます。  まず、拉致問題に対する区長の思い及び区民に対し理解促進する上で、区長として取り組むべき課題について伺います。  あわせて、世田谷区においても独自の啓発活動を推進すべきと考えますが、見解を伺います。  また、平成三十年三月には、内閣官房拉致問題対策本部及び文部科学省から「北朝鮮当局による拉致問題に関する映像作品等の活用促進について」という通知が出されました。この通知は、児童生徒が拉致問題について深く認識し、拉致問題を人権問題として考える契機とするため、アニメ「めぐみ」及び映画「めぐみ」の活用促進などを都道府県教育委員会地方公共団体の長に依頼したものであります。しかしながら、区の教育委員会においては、都からの要請を学校に通知しただけで、各学校における取組の実態を把握できていません。国からの通知文にあるように、理解促進のための各種素材を有効に活用し、全校で分け隔てなく理解促進が進むよう、積極的に取り組まれることを要望するものであります。  これら映像作品等の教育現場における活用の促進と、その実態把握について伺います。  次に、オリンピックパラリンピック大会を契機としたスポーツの推進について伺います。  昨年夏の東京二〇二〇オリンピックパラリンピック大会に続いて、北京での冬季オリンピック大会が開催され、一昨日の日曜日に閉会しました。新疆ウイグル自治区や香港における人権問題に抗議する外交ボイコット、若い選手の人権を損なうような組織的なドーピング疑惑、大量の人工雪による環境負荷など、オリンピックパラリンピック大会そのものの意義が問われる課題が浮き彫りとなった大会において、日本代表の選手団にあっては、過去最高の金三個、銀六個、銅九個、合計十八個のメダルを獲得し、純粋なスポーツのすばらしさと大きな感動を国民に与えてくれた大会でもありました。  区においては、先般スポーツ推進計画の調整計画案をまとめ、令和五年度までに区民のスポーツ実施率を六五%まで向上させるという目標を定めています。言うまでもなく、スポーツの推進は、区民の健康を増進し、心身を健全に保つだけでなく、幸福で豊かな生活を形成し、健康寿命を増進することで、医療や介護の負担を軽減させることに直結します。  区における令和三年のスポーツ実施率は四五・五%と、目標までには大きな開きがあるものの、国においては令和元年度の五三・五%から令和二年度には五九・九%へ、都においては令和二年度の六〇・四%から令和三年度の六八・九%と増加傾向にあり、その要因として、昨年の東京二〇二〇大会の開催が挙げられています。オリンピックパラリンピック大会のみならず、東京マラソンや箱根駅伝など、国内で都度開催される様々なスポーツイベントを契機と捉え、着実に区民の運動機会を向上させ、スポーツ実施率の向上に寄与すべきと考えます。見解を伺います。  また、区内においては、リコーブラックラムズ東京スフィーダ世田谷アースフレンズ東京Zなど、区を拠点に全国で活動するスポーツ団体がありながら、そのリソースを十分に活用できていません。その要因の一つとして、区内におけるスポーツ施設の不足、とりわけ区民が感動を共有する見るスポーツ施設の不足が挙げられます。上用賀公園のスポーツ施設整備大蔵総合運動場の一体化整備という大きな整備事業が控える中、見るスポーツ施設の充実に加えて、プロスポーツ競技団体の支援について積極的に進めるべきと考えますが、見解を伺います。  また、厳しい財政状況の折、これらの施設整備における民間資金の活用についても伺います。  次に、医療的ケア児の支援について伺ってまいります。  全国に約二万人いる医療的ケア児は、医療の進歩もあって年々増え続けており、ここ十年で約二倍、そして今後も増加することが見込まれています。しかしながら、新たなカテゴリーの障害とも言える医療的ケアが必要な子どもたちは、既存の障害児支援の法制度の枠組みに入ることができず、国や自治体の支援が遅れているのが現状です。  昨年六月には医療的ケア児支援法が全会一致で可決、九月に施行され、家族の負担を軽減し、医療的ケア児の健やかな成長を図ることが地方公共団体の責務とされました。医ケア児の支援が責務と明記されたことから、自治体においては、保育所や教育現場で医療的ケア児を受け入れるための支援体制のさらなる充実が求められることになります。  区においては、昨夏、医療的ケア相談支援センターHi・na・taを立ち上げ、通所施設への受入れ補助の拡充、ケア児のいる家庭を応援する団体への活動支援など、独自の取組を進めています。また、来年度は、ふるさと納税の仕組みを活用した医療的ケア児の笑顔を支える基金を財源とした、医療用機器のポータブル電源などを配付する取組を進めているところは評価するところであります。  区内に約百八十名の医療的ケア児を抱える我が区においては、国立成育医療研究センターが所在し、全国から遺伝性疾患や小児がんなど、大学病院等で対応できない希少、難病の子どもたちが最後のとりでとして、外来、入院治療されています。ケア児のいる家庭を多く抱える自治体として、居場所の確保や家族の離職防止に取り組み、子育てが継続していけるよう、さらなる支援の拡充が必要と考えます。区内小中学校、幼稚園など、教育現場における看護師の配置状況と今後の見通しについて伺います。あわせて、保育所等における現状についても伺います。  また、区では、分身ロボット、オリヒメを活用した医ケア児の在宅教育支援に取り組んでいるところでありますが、医療的ケア児等医療情報共有システム、MEISの活用による保護者と学校との情報共有など、ICT技術の活用による医ケア児の支援が進められています。さきの医療的ケア児支援法においては、研究開発の推進も地方公共団体における責務として定めています。医ケア児の支援におけるICT技術等の研究開発の現状について伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 阿久津議員にお答えをいたします。  北朝鮮拉致問題についてのお尋ねでございます。家族や人生を特別奪い去った北朝鮮による拉致問題は、長年にわたる懸命な活動にもかかわらず、いまだに問題解決に至っておりません。拉致という犯罪行為によって連れ去られた被害者の一日も早い帰国を切に望むところであります。  私は、北朝鮮に対して全ての被害者を必ず取り戻すという強い決意を持ち続け、困難であっても、周辺国を含めた粘り強い交渉を進め、その決意に揺るぎがないことを北朝鮮に対して表し続けることが大切だと考えています。世田谷区としても、区民にしっかり啓発する活動は重要だと認識しております。  区は、多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例に掲げる人権が尊重され、尊厳を持って生きることができる社会の実現という理念に基づきまして、こうした重大な人権侵害事件を風化させず、問題解決の後押しにつながるよう、区民の皆様の関心及び認識を深めるための取組を継続してまいります。 ◎粟井 教育政策部長 私からは三点御答弁申し上げます。  まず初めに、拉致問題に関する映像作品等の活用促進についてお答え申し上げます。  北朝鮮による日本人拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であると認識しております。拉致問題の解決のためには世論の一層の喚起が不可欠です。従来から児童生徒が拉致問題について深く認識し、拉致問題を人権問題として考える契機としてもらうため、アニメ「めぐみ」及び映画「めぐみ」の学校等における上映会の開催を促進するよう、毎年十二月の北朝鮮人権侵害問題啓発週間に合わせて、区内の全小中学校に周知してきたところでございます。  今年度は、一人一台端末を活用した児童生徒の動画視聴を促すために、アニメ「めぐみ」の動画URL情報を含む二次元コードで小中学校に配付し、あわせて北朝鮮による拉致問題に関する授業の学習指導案についても情報提供することで、各学校の活用の促進を図っております。今後、これらの資料等の活用状況を把握し、必要な支援を行うことで、拉致問題の理解を深める学習のさらなる推進を図ってまいります。  次に、医療的ケア児に対する支援について、看護師の配置状況について御答弁申し上げます。  教育委員会では、平成三十年に策定した世田谷区特別支援教育推進計画第二期に医療的ケア児の支援を位置づけ、計画的に取り組んでまいりました。現在、区立小中学校への看護師の配置は、会計年度任用職員の看護師が九名、訪問介護ステーションへの委託が二社という体制で行っており、看護師配置が必要な児童生徒の個別の状況を踏まえて対応しております。実施している医療的ケアの種別は、喀たん吸引、経管栄養、酸素ボンベの管理、導尿などがあり、医療的ケア児一人一人に応じたマニュアルを整備し、医師や保護者と連携しながら丁寧な対応を心がけているところです。  今後、区立幼稚園での看護師配置に取り組むとともに、区立学校と幼稚園、保育園の情報共有を密にし、増加が見込まれる医療的ケア児への支援が切れ目なく行われるよう取り組んでまいります。  三点目でございます。医療的ケア児に対するICT技術を活用した新たな支援についてでございます。  教育委員会におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、登校が困難になっている医療的ケア児を対象に、分身ロボット、オリヒメを活用した学校活動への参加について、東洋大学と共同して研究授業を実施しております。  通常の授業のほか、班活動や音楽等の実技を伴う授業や校外学習など、学校生活における様々な場面で活用し、医療的ケア児本人からは、自分の意見を伝えられるようになった、友達とコミュニケーションを取ることが増えたといった感想が上がっております。また、一緒に学ぶ児童から、ホワイトボードが見やすい位置にオリヒメの配置を変える提案や、手足の動作以外に顔の表情の変化をプログラミングしてはどうかなど、オリヒメの機能面についても多くの意見が寄せられました。  こうした子どもたちの意見について、東洋大学を通じて、オリヒメを製作している研究所と共有し、新たな研究開発につなげるとともに、来年度の研究事業継続や、現在医療的ケア児に対して行っているMEISを活用した緊急時の情報共有など、ICTを活用した支援のさらなる充実に向け検討を進めてまいります。  以上でございます。 ◎片桐 生活文化政策部長 私からは拉致問題における啓発活動についてお答えいたします。  拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律において、地方公共団体の責務は、国と連携を図りつつ、拉致問題に関する国民世論の啓発を図るよう努めると規定されております。国や東京都では、ポスターやホームページにより情報発信、講演会開催などの取組を通じて、理解促進活動や拉致被害者の救出につながる情報提供の呼びかけを行っております。区としましては、拉致による人権侵害問題について、より多くの方々と考え、世論形成や行動喚起につながるよう、ポスターなど国や都の啓発物を活用するとともに、毎年十二月十日から十六日までの一週間は、北朝鮮人権侵害問題啓発週間に位置づけられていることから、区ホームページでの普及啓発など、今後手法の検討を図ってまいりたいと考えております。  以上です。 ◎内田 スポーツ推進部長 私からは三点御答弁申し上げます。  まず、スポーツ実施率の向上に向けた取組についてです。  オリンピックパラリンピックをはじめ箱根駅伝など、スポーツ大会の開催は、スポーツに対する関心や機運が高まり、区民のスポーツ実施率の向上にもつながる好機であると認識をしております。東京二〇二〇大会を契機に、フィギュアスケートネイサン・チェン選手小児医療施設の訪問など、USOPCの区民交流事業をはじめとしたトップアスリートと区民との触れ合う場を設けてまいりました。このような取組は、スポーツを実施する機会にもなると考えております。  今後は、新型コロナウイルス感染症の影響も見据えながら、国内の世界大会開催に合わせたアメリカ選手の大蔵運動場における事前合宿誘致と、区民交流事業の創出をUSOPCと議論してまいります。また、新たにボッチャ世田谷カップ予選会開催をはじめ、パラスポーツ大会誘致により、区民の参加、観戦機会の拡大を図り、パラスポーツも推進し、スポーツ実施率の向上に取り組んでまいります。  次に、見るスポーツ施設の充実とスポーツ団体の支援についてです。  トップアスリートの競技を区民が間近に観戦できることは、スポーツに興味を持ち、スポーツを始めるきっかけづくりになると考えております。一方、競技大会が開催可能ないわゆる見るスポーツ施設の整備は、観客席などの施設規模や高度な設備機器の導入、維持管理コスト、加えて会場へのアクセスの確保や近隣住民の理解と協力などの課題がございます。今後、大蔵運動場、大蔵第二運動場の整備におきましては、地域特性や効果と財政負担のバランス等も踏まえ、見るスポーツの場として実現可能性等を議会の意見を伺いながら検討してまいります。  また、お話のリコーブラックラムズ東京とは、地域貢献等を目的に令和二年に協定を締結し、区内小中学生の公式戦招待、区のふるさと納税PRなどに御協力をいただいております。こうした官民連携手法を参考にスポーツ団体と区民との交流の機会を設け、区民がスポーツに親しむ取組を進めてまいります。  最後に、施設整備における民間資金の活用についてであります。  PFIは、公共施設等の設計、建設、維持管理、運営に民間の資金、ノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行うことで、効率的、効果的な公共サービスの提供を図る手法で、民間資金が活用できると認識をしております。  現在進めております上用賀公園の施設整備事業につきましては、アンケート調査やワークショップ、住民説明会等により住民の意見も聞きながら、必要な施設、機能につきまして、令和二年三月に策定いたしました基本構想を踏まえ、基本計画を取りまとめるとともに、計画地の一部暫定利用のため整備開設をいたします。  あわせまして、PFI等の官民連携手法導入可能性調査において、事業費の試算やサービスの内容、リスク分担等を従来手法、官民連携手法、それぞれにつきまして調査をいたします。令和五年度にはその調査結果を評価し、最適な事業手法を決定する予定でございます。  以上です。 ◎和田 保育部長 私からは、医療的ケア児の支援について、保育所における看護師等の配置状況と今後の見通しについて御答弁いたします。  現在、保育の必要性があり、医療的ケアが必要で、子どもの病状等の情報が保護者と保育園との間で十分に共有できる等の要件を満たし、集団保育が可能と判断された子どもを対象に、区立保育園四園で受入れを実施しております。  実施に当たりましては、当該園に看護師二名を配置し、主治医からの医療行為に対する指示書に基づき、看護師が医療的行為を実施しております。その際、実施園ごとに園医や専門性の高い医療機関の御協力を得て指導医を指定し、看護師が行う医療的行為の指導等をお願いしています。また、定期的に実施園及び園医や指導医、主治医などによる会議を開催し、園児の日々の保育の状況や医療的ケアの状況等を確認しながら、保育に当たっているところです。現在、令和五年度に開設予定の玉川地域拠点保育園における受入れに向けて準備を進めるとともに、これまでの実施に際して生じました課題の整理等もしながら、今後の保育園における受入れについて検討してまいります。  以上でございます。 ◆十七番(阿久津 皇 議員) 区長から北朝鮮の問題に関して、周辺国を含めた粘り強い交渉を進める、その決意に揺るぎがないことを北朝鮮に対して表し続けるとありました。難しい外交交渉の中で、きっちりと日本の国としての意思を表明するためにも、世論の形成というのが大変重要になると思うんです。  そのためには、地方自治体の責務、これを果たしていく必要があると思いますけれども、いわゆる人権啓発週間において、区においてもピンクリボンとか、あるいは赤い羽根なんかも含めて、理事者の皆様、つけられていると思います。十二月の人権啓発週間に合わせて、理事者の方々がブルーリボンバッジをつけるなどの、そういった対応も予算をかけずに行うことが可能と思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。  その際、一方で、在日の北朝鮮の方々とか北朝鮮一般の方々に対する差別等、こういったものが行われないようにする配慮も必要であるということは併せて申し添えておきます。  以上で終わります。 ○下山芳男 議長 以上で阿久津皇議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、七番くりはら博之議員。    〔七番くりはら博之議員登壇〕(拍手) ◆七番(くりはら博之 議員) まず冒頭、NHKが来年秋をめどに、受信料の訪問集金活動の外部委託を段階的に廃止していく方針を固めたことについて触れたいと思います。  NHKの前田会長は、十二月定例記者会見において、訪問営業活動について、全面的な見直しをさせており、来年度以降、同じスタイルの営業活動をしない旨を明らかにしました。私が所属するNHK党が問題視して、たびたび国会審議でも取り上げている深夜に女性の単身世帯に訪問する行為や、訪問員が名前や訪問目的を言わないといった非常識極まりない悪質な営業活動が改善するものと期待しております。これもひとえに前回の統一地方選挙、参院選などで示された民意が届いた結果だと思います。  さて、NHKでは、受信契約を取り付ける、あるいは未払い受信料を回収する業務は、放送受信料の契約・収納業務と呼んでいます。NHKによると、令和元年度の契約・収納業務のコストは約三百五億円で、実際に受信契約を交わした件数は約二百十九万件となっています。この件数には、地上契約から衛星契約への切り替えや住所変更も含まれており、純粋な新規契約数とは言えませんが、一件当たり約一万三千九百円にも上ります。税金の無駄遣いとしか言えません。引き続き、私たちNHK党は、区民の皆様のために、NHK問題のさらなる改善に向け、力を尽くしていくことを改めてここに約束いたします。  それでは、通告に従い一般質問を行います。  このほど、大手ディスカウントストアのドン・キホーテがテレビチューナーを外したインターネット動画視聴に特化したチューナーレス・スマートテレビを発売しました。価格の安さも相まって好評を博しているようです。このスマートテレビは、基本的にテレビを受信しないため、NHK受信契約が必要ありません。区では、民間放送局の番組を含む多様なチャンネルを通して区の事務事業に必要な情報、さらに区に関連する報道など幅広く収集するため、テレビを設置していると伺っております。  インターネットは、テレビよりも得られる情報量が多く、より有用と言えます。テレビ局のサイトを見れば、放映された大抵のニュースは何度でも確認ができ、テレビより便利です。リモート会議での大型モニターとしても活用が見込め、NHKの受信契約も要らないチューナーレス・スマートテレビができるところから導入を検討するべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。  続いて、区の教育方針について質問をいたします。  平成十二年に内閣総理大臣の私的諮問機関として教育改革国民会議が創設されました。この会議が創設された背景には、いじめ、学級崩壊、校内暴力などといった教育現場の荒廃、相次ぐ少年事件の発生などがあり、会議では、人間性、学校教育、創造性の三つの分科会で審議が行われ、当時の森喜朗総理大臣に対して、教育を変える十七の提案が意見として提出されました。  その中には、人間性豊かな日本人を育成するために、道徳教育の推進や、一年間の奉仕期間を義務づけるといった内容もありました。戦後の日本の教育は、戦前に日本を覆い、戦争に導いたナショナリズムへの反省から、個人の尊厳や民主主義を尊び、全体主義を生まないことを重視してきたのではないでしょうか。  しかし、いじめ問題や一九九〇年代半ばから二〇〇〇年代初頭に相次いだ集団暴行死事件は、やらないと自分もやられる、やらないと仲間外れにされるといった集団の意識、同調圧力によって発生したのではないかと考えます。戦後日本の出発点は、たとえ周りが間違ったことをやろうとしていても、自分がいけないと思ったならば、はっきりと駄目だと言える人間を育てることにあったと思います。道徳教育は、国家がよいと判断したものを規範として子どもたちに教え込むものであり、また、奉仕活動というものも、もし集団生活を伴うものであれば、集団の意識や同調圧力を逆に増幅させるものであるかと考えます。  ここで伺いますが、真の道徳とは、周りが間違ったことをしようとしても、自分が間違っていると思うのであれば、はっきりとそう言える正しい個人を育てることにあると考えますが、区の教育はそのようになっておりますでしょうか。  次に、区における更生保護の取組について質問をいたします。  更生保護とは、罪を犯してしまった人が罪を償い、社会の一員として立ち直っていくために、本人の強い意思や行政機関の強い働きかけのみならず、地域社会の理解と協力が不可欠であることから、保護司や保護観察官などが、保護観察に付された人や刑務所を仮出所、少年院を仮退院した人の指導監督、補導援助、生活環境の整備を行っていくものです。  ここで伺いますが、区は、昨年に刑務所を仮出所した人、少年院を仮退院した少年少女、執行猶予になった人など、保護観察になった人の人数を把握しておりますでしょうか。  刑務所を仮出所した人や少年院を仮退院した未成年者が順調に社会復帰していくために、また、保護観察や執行猶予になった人の再犯を防ぐことは、区民の安全安心を守る意味からも重要です。保護司さんや保護観察所と連携した区としての取組も重要と考えます。  また、罪を犯してしまった人には、知的障害や発達障害を持つ人も多いとのことです。こうした人たちが居場所をなくさないように、就労支援や生活基盤の整備のほかに、医療へのアクセスも積極的に行うべきと考えます。見解を求めます。  以上で壇上からの質問を終わりにいたします。(拍手) ◎佐藤 庁舎整備担当部長 私からはNHK受信契約が不要なチューナーレス・スマートテレビの導入についてお答えいたします。  区では、特に災害時の情報などをリアルタイムに収集し、迅速な対応を取るためにテレビ受信機を設置しております。あわせて、庁内にはインターネット環境を整備しており、各職場の事務用パソコン経由で幅広く情報を収集し、区の事務事業推進に活用しております。さらに、会議室に設置した大型モニターと接続し、オンライン会議やペーパーレス会議なども実施しております。  議員の推薦されますテレビの視聴機能を持たないいわゆるチューナーレス・スマートテレビにつきましては、既存の事務用パソコンとモニター等により対応が可能と判断しております。新庁舎におきましても、区のDX推進方針を踏まえ、業務効率性の高い執務環境を実現するとともに、引き続き適切な情報収集等に努めてまいります。  以上でございます。 ◎粟井 教育政策部長 私からは学校におきます道徳教育についてお答え申し上げます。  道徳の時間は、昭和三十三年に設定されて以来、週の時程表の中に位置づけられておりました。議員御指摘のとおり、平成十二年には、教育改革国民会議において、道徳の教科を設けることなどが提言され、その後、目標の明確化や内容項目の再構成などを経て、平成十四年には心のノートの導入、平成二十六年には道徳用教材「私たちの道徳」が作成され、発達の段階をより一層踏まえた体系的なものに改善をしてきました。平成二十七年には学習指導要領を一部改定し、道徳教育の充実を図るため、道徳の時間を教育課程上、特別の教科、道徳として新たに位置づけ、考え、議論する道徳へと転換を図っております。
     議員のお話にもありますように、周りが間違ったことをしようとしていても、自分が間違っていると思うのならば、同調圧力に流されることなく、自ら考え、主体的に判断することのできる児童生徒を育てることは、考え、議論する道徳の大きな目的の一つであると考えます。  教育委員会といたしましては、正解は一つではない、様々な多様性を認め合うこれからの社会において、自己の生き方を考え、自立した人間として、他者とともによりよく生きるための基盤となる道徳性を養うための道徳教育をこれからも推進してまいります。  以上でございます。 ◎澁田 保健福祉政策部長 私からは区の更生保護の取組について二点お答えいたします。  一点目、昨年度の保護観察者の数についてお答えいたします。  更生保護は、罪を償い、再出発をしようとする人たちの立ち直りを支援し、再び犯罪や非行に陥ることを防ぐことで、地域社会の安全と安心を守る仕組みでございます。主な内容といたしまして、犯罪をした、または非行のある少年が社会の中で更生するよう指導監督や補導援護を行う保護観察や、刑事施設等に収容されている人の釈放後の住居や就業先などの帰住環境を調査・調整する生活環境の調整などが挙げられます。  区における保護観察の開始人数について、東京保護観察所の統計では、令和二年度は六十四人、対象者別の内訳では、保護観察処分少年が二十八人、少年院仮退院者が二人、仮釈放者が二十三人、保護観察付執行猶予者が十一人となっております。  次に、更生保護の区としての取組についてお答えいたします。  国や都における刑法犯検挙人員は近年大幅に減少する一方、検挙人員に占める再犯者の割合を示す再犯率は約五〇%で推移しております。安全安心な地域社会を実現するためには、犯罪を未然に防ぐことに加え、犯罪をした者などの社会復帰を支援する再犯防止の取組を推進する必要があると認識をしております。区では、これまで直接または間接的な再犯防止といたしまして、就労支援や居住確保のほか、身近な福祉の相談窓口など、保健、医療、福祉サービスの利用促進、社会を明るくする運動をはじめとした啓発活動などの取組を行ってまいりました。引き続き関係所管や保護司会、保護観察所をはじめとした関係機関との連携を図り、罪を犯した者が地域社会の一員として円滑に社会復帰できるよう、安全で安心して暮らせるまちづくりを実現してまいります。  以上でございます。 ◎土屋 世田谷総合支所保健福祉センター所長 私からは、罪を犯してしまった人には、知的障害や発達障害がある人もいるとのことで、こうした人たちの居場所づくりや支援について御答弁申し上げます。  議員のお話にございますように、罪を犯してしまった人の中には、知的障害や発達障害がある人も存在するということが国の調査などから分かっています。こうした方々が地域に戻られる際、保護観察所や措置されている医療機関等から区に情報が入る場合がございます。その際、区では、御本人の意向や特性などの状況に応じて、生活保護などの経済基盤の整備や、障害者総合支援法に基づく就労支援等のサービスの導入、医療的な視点からの相談や見守りなど、保健福祉センターの各課が連携して対応しております。  区では、今後、地域障害者相談支援センターぽーと、障害者就労支援センターなどの福祉関係機関や更生保護機関とのさらなる連携強化を進め、御本人が地域で安定した生活が送れるよう丁寧な支援に努めてまいります。  以上です。 ◆七番(くりはら博之 議員) 御答弁ありがとうございます。  まず、NHK受信契約が不要なチューナーレステレビにより、大画面でオンライン会議や幅広い情報をと質問しましたが、既存の事務用パソコンとモニター等で代用ができるとのことで、その旨承知いたしました。  また、区の教育方針と更生保護の取組については、私の中では似た理念のところがあると考えており、コロナ禍の中ではありますが、さらなる丁寧な対応をお願い申し上げまして、私からの一般質問を終了いたします。 ○下山芳男 議長 以上でくりはら博之議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、六番上川あや議員。    〔六番上川あや議員登壇〕(拍手) ◆六番(上川あや 議員) 初めに、京王電鉄が沿線自治体に連絡調整もなく進めている交通弱者にほとんど配慮がない駅改札の無人化と駅員削減の動きについて伺います。  皆さんは、二〇二〇年以降のコロナ禍で、京王電鉄が水面下、駅改札の無人化と駅員削減を同時に加速させていることを御存じでしょうか。京王電鉄に確認したところ、コロナ禍以降、無人化された改札は九駅十二改札、それ以前の無人化まで含めると、その数は十七駅二十一改札に上ります。このうち、区内の無人改札は現状で、明大前駅フレンテ口、下北沢駅西口、千歳烏山駅南口の三改札ですが、ここで注意すべきは改札無人化はなお途上だということです。  京王電鉄に尋ねると、今後のさらなる無人化についてはお答えできないとの回答ですが、京王電鉄労組発行のニュースによれば、さらなる改札無人化と駅員削減を進める意向は明らかです。例えば来月十二日のダイヤ改正で、千歳烏山駅は特急停車駅となり、平日上り方向だけでも四十九本も停車本数が増加します。ところが、京王電鉄は昨年七月の南口改札に続けて、ダイヤ改正の四日後から西口改札まで密かに無人化する計画です。加えて、四月十六日には北口の定期券売場まで閉鎖します。これにより以後、区内で定期券の窓口販売は受けられなくなります。連動して進められているのが駅員の削減です。その数は昨年七月以降、全線で十七名、本年五月の計画分まで含めると二十八名の減となり、この中には千歳烏山、桜上水両駅の計五名も含まれます。  問題は、こうした公共交通機関の運営体制の変化が、影響を受ける沿線自治体に何ら連絡調整もなく行われ、かつ視覚障害者や車椅子ユーザー、高齢者等、いわゆる交通弱者に配慮のない無人化で、既にトラブルまで起こっているという現実です。  昨年末、この件で私も烏山にお住いの全盲の視覚障害者の方から御相談を受けました。京王電鉄が昨年七月、千歳烏山駅南口を突然無人化し大変困っている。タッチパネル式の精算機だけが置かれたが、画面が見えないので操作はできない。インターホンで駅員を呼び出そうにも、手探りで探さざるを得ず、ようやくボタンを見つけ呼び出しても駅員が来るまで待たされる。世田谷区視力障害者協会でも抗議をしているが、改善の見通しもないというのです。  同種のトラブルは区外の駅でも起きています。同時期、駅改札を無人化した京王稲田堤駅では、付近の作業所に通う車椅子ユーザーが一々駅員を呼び出さなければ、改札を通れなくなりました。駅では一旦彼らが作業所に通う時間帯、無人化した駅員ブース横の扉を開くことにしましたが、その後、社内から反対の声が上がり、同改札は閉じられたと聞きました。つまり、同社の人員削減に障害者への配慮などないのです。  千歳烏山駅の御相談は早速区につなぎましたが、区としても南口改札の無人化は青天のへきれきで、視覚障害者が運賃精算できない状況も私からの指摘で初めて知り、区内全体の無人化状況についても把握はなく、今後の改札無人化、人員削減計画についても知らない、尋ねたこともないというのです。これでは困ります。  そこで伺います。一点目に、こうした駅改札の無人化、駅員の削減を障害のある区民から苦情を受けて知る、議員の指摘を受けて初めて知るという状況は改めていただかなければなりません。千歳烏山駅南口の状況は、その後区の口添えもあり、およそ二か月かけて視覚障害者でも操作可能なテンキー付の精算機への交換、インターホンの場所を知らせる音声案内の整備へとつながりましたが、本来、こうした改善は、やむを得ず無人化する場合でも、無人化に先立ち行われるべきものでした。今回、完全に後手に回った区の対応をどうお考えなのですか、区の御所見を問います。  その上で、これを教訓に今後は区内全ての交通事業者との連絡を密に取り、事前の計画把握とトラブル防止に努めるよう求めます。見解を問います。  二点目に、駅員のいる改札に勝る無人化改札などないということです。国土交通省の移動円滑化のガイドラインも、本区が定めたUDの施設整備基準も、無人化を容認する前提で次善の策を定めたものですが、それらに従いテンキー付の自動精算機や音声案内、インターホンを整えても、視覚障害者は手探りでそれらを探さなければなりません。聴覚障害者もインターホンは使えません。介助を要する方々も、結局、駅員の到着を余計に待って、その介助を受けなければなりません。つまり、無人化のツケは必ず交通弱者が払うのです。区民の利益を代弁する立場では安易に無人化を受け入れることがないよう求めますが、いかがですか。  第三に、京王電鉄は区のユニバーサルデザイン環境整備審議会にも委員を出す事業者ですが、国交省のガイドラインも区の整備基準も無視をしています。区はこれをどう評価しますか。また、本件では区のUD審議会も施設整備基準も絵に描いた餅でした。では、今後これらをどう機能させる考えか問います。  第四に、京王線連続立体交差事業との関連です。今後、京王線内では、連続立体交差事業に伴い、駅構内の構造、経路の変更が繰り返されることになるでしょう。日本盲人会連合の調べで、何と四割もの視覚障害者がホームからの転落事故を経験している中で、命を守るホームドアも工事の最終局面まで動きません。ところが、彼らを見守り支援するべき駅員の削減だけが密かに進んでいます。区はこれをどう捉えますか。また、これ以上の駅員削減は控えるよう区は要請を強めるべきではないですか。区の評価と対応を問います。  第五に、京王線では昨年十月、傷害放火事件が起きたことは記憶に新しいところです。京王電鉄では平常時、健常者だけを前提に改札無人化と駅員削減を進めていますが、これで事件、事故、トラブルに対応できると区はお考えでしょうか。  また、視覚障害者の多くが出発駅改札で行き先を告げ、その後の乗換駅、終着駅で駅員から介助を受けるリレーサービスで安全な移動を担保しますが、それらは今後も滞りなく受けられるのか、区の把握と考察を問います。  この質問の最後に、鉄道事業者への支援です。コロナ禍で京王電鉄も乗客数は二割減だと伺っています。経営環境が悪化する中で、障害者、高齢者の滞りのない移動のために、有人改札は維持してほしい、ホーム上の人員も削減しないでほしいと口は出すけれども、人も金も出さない。そのような態度が通るのか疑問です。そのような態度がもたらすのは、結局、人員削減と自動化、無人化で、そのしわ寄せは交通弱者に行くのではないですか、いかがですか。  このような苦境を打開した一例として、宮崎県川南町では、JR九州と協定を結び、町職員が乗り降り等の介助まで始めたと報じられています。区でも学生ボランティアと協力体制を組むなど、柔軟な発想で支援策の構築が考えられるのではないですか。区はどう事業者を支え、多様な区民を助ける考えか、区の考えを問います。  最後に、同性パートナーに対する災害義援金についてです。  昨年、熱海市で起きた土砂災害で遺族に支払われた災害義援金は、今年一月までで一人当たり七百八十四万円、実に大きな支援です。ところが、通例の配分基準では、遺族の筆頭は配偶者で、男女の事実婚がこれに含まれる一方で、同性パートナーは想定外、このため意図せず排除されてきました。  今回の熱海市の配分もこの点は同じですが、世田谷区ではかねてより私から同性パートナーも男女の事実婚と変わらない遺族としての配分を求めてきました。懸案だったこの課題、四月より同性パートナーに対する災害弔慰金支給要綱が始動することに伴い、災害義援金の平等も担保できる見通しが立ったと承知しています。ここに改めて、制度の概要とスケジュールを御説明いただくとともに、積極的な広報を求め、区の対応を問います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎田中 道路・交通計画部長 私からは五点順次御答弁申し上げます。  まず、千歳烏山駅南口改札無人化での区の対応と、今後、区内におけるトラブル防止について併せてお答えします。  現在、鉄道駅における改札の無人化の動きは、都内を含め全国的なものとなっており、国では、駅の無人化に伴う安全、円滑な駅利用に関するガイドライン策定に向け、障害当事者団体、鉄道事業者、国土交通省の三者による意見交換会を実施しております。  今回御指摘いただいた改札を無人化したにもかかわらず、チャージ機に視覚障害者への配慮としてテンキーの整備がなされていないことにつきましては、区から鉄道事業者へテンキー設置に向けた要望書を提出し、設置する方向との回答を得ております。  また、今回の区の対応は後手ではないかとの御指摘につきましては、この間、御不便を強いられた方に御迷惑をおかけし、大変申し訳なく思っております。今後、区といたしましては、改札の無人化等、駅の運用変更に関する情報について、各鉄道事業者からの情報提供を求め、計画把握に努めるなど、連携を強化し、未然のトラブル防止に努めてまいります。  次に、京王線連続立体交差事業に伴い、駅員削減は控えるよう要請すべきについてです。  京王線連続立体交差事業に伴う鉄道工事において、現在、橋上駅舎構造となっている駅については、工事中に使用ができなくなることから、仮設駅舎となる代替施設を設けるなどの検討がなされております。工事期間中は、鉄道利用者に御不便をおかけしないよう、京王電鉄からの適切な情報提供等に区も連携して取り組むとともに、適切な人員配置を含め、安全上の十分な配慮を区としても求めてまいります。  また、今後、鉄道工事が進捗していく上で、鉄道利用者の方々からの御意見などが区に寄せられた際には、京王電鉄や事業主体である東京都とも情報を共有し、誰もが安全で快適に御利用できる交通環境の整備に努めてまいります。  次に、改札無人化と駅員削減を同時に進めているが、事件、トラブル等に対応できるのかについてです。  改札無人化の施策について京王電鉄に確認したところ、今回の内容は、複数改札口を有する駅において、一部改札口をインターホン改札化したものであり、係員の補助が必要な場合には、今までどおり有人改札口より係員が駆けつけ、対応する体制を整えているとの説明を伺っております。しかしながら、補助を要する場合に対応する駅員の手が足りるかと、視覚障害者や聴覚障害者の方から支援として十分ではないとの不安の声も寄せられており、区としては懸念も残ると考えております。  一方、車内や駅構内の非常時における対応については、車内やホーム上に防犯カメラを設置し、リアルタイムで伝達機能を果たす環境整備を二〇二三年度までに構築する予定とのことであり、非常事態の発生を想定した警察との合同訓練など、未然防止に向けた取組も実践しているとのことでございます。  区といたしましては、区民の安全で安心な暮らしを守ることを最優先に、今後の京王電鉄の駅利用者の対応や安全管理についての取組を注視し、必要に応じて要請等を行ってまいります。  最後に、リレーサービスは今後も受けられるのかについてお答えします。  京王電鉄では、これまでも駅での支援が必要な方には、駅係員による電車への乗降の際に必要なサポート支援を実施してきたと承知しております。今後の駅の運用につきましても、駅係員を配置している有人駅であることから、御案内が必要な場合には、モニターを通じて画面越しに対応できるカメラ付インターホンを整備しているほか、必要に応じて係員が直接対応する体制となっているとの説明を受けてございます。  議員お話しのリレーサービスを含む区民の安全な移動の担保につきましては、区としても必要不可欠なサービスと認識しております。京王電鉄からは、障害者に限らず、誰もが安心して鉄道を御利用いただける体制をこれまで同様維持すると伺っておりますので、引き続き取組を注視してまいります。  以上です。 ◎畝目 都市整備政策部長 私からは四点順次御答弁申し上げます。  初めに、安易に駅改札の無人化を受け入れることはないようにについてです。  バリアフリー法改正により、令和三年に改定及び策定された国の公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドラインは、高齢者や障害者をはじめ、全ての人にとって使いやすいユニバーサルデザインの考え方に配慮した旅客施設等のガイドラインでございます。駅改札口の無人化に際しては、やむを得ず無人改札口を設置する場合の対応基準について、国のガイドライン、また世田谷区施設整備マニュアルに設けており、障害者の方をはじめ利用者の方ができるだけ不便なく利用できるよう誘導を行ってございますが、これらの基準を全て満たした場合においても、障害者等の方にとりましては、障害の度合いや特性により負担が増大となることは否めないことから、区といたしましては、障害者への配慮の観点から、まずは有人改札の維持が望ましいとの考えを持っており、各鉄道事業者にもこうした区の基本的な考え方はしっかりと伝えてまいります。  次に、UD審議会、施設整備基準をどう機能させていくのかについてです。  国のガイドラインでは、無人改札口において、視覚障害者、聴覚障害者からの問合せに対応できるよう措置を講ずるとし、区の施設整備マニュアルでも、有人改札の設置が不可能な場合は、全ての人が不便なく利用できるよう、駅舎等の係員につながるインターンホンや呼出しボタン等の整備を基準とし、写真等で例示しており、それに沿い改修等が行われるべきであると捉えてございます。  このたびのテンキーの件については、区のユニバーサルデザインの会議体に鉄道事業者にも参画いただいていること、また、ユニバーサルデザインを推進する立場の所管といたしまして大変申し訳ないことと認識してございます。区といたしましては、改めて施設整備マニュアルがしっかりと機能するよう、鉄道事業者との連携、連絡、調整を徹底し、やむを得ず無人改札口になるとしても、全ての人が安全で安心して利用しやすい駅施設となるよう鋭意取り組んでまいります。  続いて、無人化等による交通弱者への負担についてです。  駅の無人化による利用者への負担の発生は、バリアフリー法やガイドラインを所管する国としても本意とするものではなく、区も同様の考えでございます。障害当事者団体からは、無人駅等の安全、円滑な利用に関わる要請が寄せられ、国との三者による意見交換会で議論されていることからも、区としても、障害者等の方々の不安や生じる負担は解消されなければならないと考えてございます。国は、検討の積み重ねにより論点が整理され、必要な対応方法、設備設置の考え方や留意点がより明確化され、全ての人が安全で安心して利用しやすい施設の在り方について示されてくるものと期待しており、動向を注視してまいります。  最後に、区の基本姿勢についてです。  川南駅は、安全教育を受けた町役場及び観光協会職員が車椅子利用者の介助を行っていた簡易委託駅の事例で、国の移動円滑化に関する事例共有においても、地域と協力し対応できる可能性を示すものとして紹介されてございます。区といたしましては、こうした先行する改善策の事例等についても積極的な情報収集、研究に努めるとともに、鉄道事業者の運営状況を逐次把握し、道路・交通計画部とも連携の上、鉄道事業者との情報共有、協力関係を密にしてまいります。障害者の方が不便なく鉄道を利用できるよう、有人改札維持の検討を基本としながら、鉄道事業者へは多様な利用者の視点に立った丁寧な誘導及び必要な支援にしっかりと取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎舟波 地域行政部長 私からは同性パートナーの方への災害義援金の配分について御答弁申し上げます。  災害義援金は、区に寄せられた寄附金を被災された方々に配分するものでございます。令和元年、台風第十九号の際は、区が設置する配分委員会の審議により、配分対象者や金額などを決定し、人的被害については弔慰金を受給された方に配分をいたしました。  新年度より災害で亡くなられた方の同性パートナーの方に対する弔慰金の支給を開始することに合わせ、弔慰金を受給した同性パートナーの方を含めた義援金の配分対象となり得る者の範囲をあらかじめ定め、その中から配分委員会で配分対象者を審議する要綱等を作成する方向で検討してございます。  実施に当たっての広報につきましては、配分委員会の審議を経て、配分対象者や金額などを決定する性質上、事前の周知は難しい面がございますけれども、人権・男女共同参画担当課と調整を行いながら、広報等について検討してまいります。  以上でございます。 ◆六番(上川あや 議員) 京王電鉄の課題、区民の側に立った御回答だと理解しました。一方で、京王が言うインターホン改札なる造語なんですが、この実態は無人改札に違いないと思います。  先週、千歳烏山駅を御利用の全盲の視覚障害者の方がインターホンを押したところ、押し続けても五分間、駅の係員が来なかったそうです。なおかつ、関係者に問いますと、駅のモニターが二か所一遍には見れないのが電鉄側の構造だそうで、それにもかかわらず、南口改札に続けて西口改札も無人化すると言っているんです。どう考えても無理があります。サービス低下は明らかなのですから、しっかり区民の側に寄り添って、事業者に言いくるめられることがないように、区民目線でこの支援に取り組むよう求めて、私の質問を終わらせていただきます。 ○下山芳男 議長 以上で上川あや議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午前十一時三分休憩    ──────────────────     午前十一時十五分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  一般質問を続けます。  二十一番いそだ久美子議員。    〔二十一番いそだ久美子議員登壇〕(拍手) ◆二十一番(いそだ久美子 議員) 通告に従い質問いたします。  区民利用施設の設備と管理体制について質問します。  当区には四十八の地区会館と二十九の区民集会所があり、区民の団体は会議室や稽古場、和室が安く借りられ、親子連れから学生団体、シニアの勉強会にまで幅広く活用されています。先日、桜町区民集会所を使った方より、靴からスリッパへ履き替える形式となっているが、これは高齢者には負担ではないかという御指摘がありました。調べてみますと、平成二十九年、取手市におきまして、歩行困難者の公共施設への土足禁止部分への立入りに関して配慮を行うようにという同じ趣旨の陳情がなされていました。屋内に入るときは靴を脱ぐ習慣は日本固有のものであり、バリアフリーや国際化の観点から、公共施設は改築を契機に土足式に変わっていくのが主流のようです。  今回の話を発端に、近隣区の品川、目黒、大田、渋谷各区の区民利用施設について調査いたしましたところ、既に土足禁止施設はゼロ、つまり、全施設で土足での出入りオーケー、靴で出入りオーケーとなっていました。関連事項では、中野区は令和元年より区立小中学校に一足制、つまり、上履き廃止への移行を進めています。世田谷区にはスリッパ履き替え式の区民利施設が幾つありますでしょうか、また、土足化していないもしくはあえてスリッパ履きにしている理由を教えてください。  支所の地域振興課とも意見交換しましたが、スリッパ履き替え式が残っているのはおおむね築年数の古い施設で、改築を契機に土足出入りとしたり、エレベーターやユニバーサルデザイントイレを設置するなど設備の更新が見られ、設備が新しいほど利用者も多くなる傾向が見てとれます。区はホームページで、六十九の区民利用施設にオストメイト対応トイレありと表示していますが、古い施設では通常のトイレ内に設備がついているだけで、実質使えないものがあります。  こちらは築二十四年の松原地区会館、こちらは普通の多機能トイレになっていて、普通にオストメイトを使えると思いますが、築四十二年の喜多見地区会館は、これ、普通の洋式トイレの室内に、洗い場もなく、この前に椅子を置いて使ってくださいと書いてありますが、椅子は入らないんです。区内何か所がこちらのような状態なのか、区は把握していますでしょうか。障害者支援の観点から、早期改築が望まれますが、ユニバーサルデザインについてのトイレ改修時期について教えてください。  この使えないオストメイトは地区会館の管理人から指摘を受けたものです。区では現在、町会・自治会、シルバー人材、サービス公社の三か所に業務委託をしており、今回喜多見と松原の二か所の地区会館の管理人に業務内容と課題を聞いてまいりました。  世代は七十八歳から九十代、朝来て受付と事務作業をして、適宜中抜けをして、夜は最後の利用者が出るまで、最大二十二時まで在室しています。清掃は専門業者が入るため、それほど負担ではないが、古い施設では天井の蛍光灯がよく消えて交換が大変ということで、LED化も急がれます。高いところの作業や女子トイレの生理用品の処理など、若い世代や女性の管理人もいれば助かるという御意見もいただきました。また、業務の手引や講習会の機会があるとよいとの要望もございました。年に一度ぐらい管理人講習を行えば、サービスの均質化が図れますし、ふだん一人で業務に就いている管理人同士の交流ができ、地域行政の充実につながるのではないかと思われますが、区の見解を問います。  区民にとっては本庁舎より利用機会が多い区民利用施設が、より快適で使いやすい施設になるよう改修、近代化を急いでいただく必要を申し述べまして、次の質問に移ります。  公有地の降雪対策と、より早い復旧についてお伺いします。  東京の年間降雪日数は約十日だそうで、都市部としては、降雪後にできるだけ早く通常の状態に戻ることが求められます。先日の雪の日の後も、成城と喜多見をつなぐ不動坂の路面凍結を心配する声が地元から聞かれました。区では、通行量が多く、日当たりが悪い急坂など、除雪作業を行っている地点があるのでしょうか、まずお聞きします。  雪の対策にはいろいろあって、例えば坂道などは路面舗装を変える、表面に溝をつける粗面系舗装があります。また、最近よく見られるのは融雪剤である塩化カルシウムをまく方法があります。区はこれらの方法を実施している、または今後取り入れていく予定がありますでしょうか、また、塩化カルシウムは直接触れると危険とされていますが、本化合物の特徴と扱い方、環境への影響などについて教えてください。  塩化カルシウム、こちら、よく御覧になると思いますが、駅とかにまいてあって、今でも解け残っていて、子どもが踏みつぶしたり遊んでいるのもよく見られます。  公有地で一日も早い復旧が望まれるのは、道路以外に学校の校庭もあります。近年では、校庭を荒らさないよう雪遊びを控え、授業や部活動に早く使えるように、教職員が除雪作業を行っていると聞きます。区の校庭の仕様はダスト舗装、ゴムチップ舗装、天然芝の三種類であり、今回その全種類を含む十一の小中学校に校庭の除雪、復旧作業について聞いたところ、全ての学校で雪かきと塩化カルシウムを併用しており、復旧には一日から三、四日程度ということでした。まかれた塩化カルシウムは児童が触れる危険もありますが、塩化カルシウムの特性について児童生徒に周知しているか教えてください。  本件については、地域で行っている除雪活動についても調べましたが、各人のボランティア活動にとどまっているのが実情のようです。ぜひ学校で融雪剤の扱い方や雪かきの手順などを生徒たちに教えていただき、それが地域活動として根づくことを願って、次の質問に移ります。  最後に、児童生徒の心の相談機会についてお伺いします。
     コロナで登校機会が減り、給食時間は自由に話せず、児童生徒の心の健康の維持が課題になっています。世田谷区では従来、いじめや不登校、発達障害などの子どもの問題には力を入れて取り組んできていますが、その一方で、一見問題なく過ごしているその他の生徒と向き合う機会はどの程度設けているでしょうか。  現在、区ではスクールカウンセラー事業として、小中学校全校に相談室を設置し、カウンセラーが相談への対応を行っています。区の集計によれば、最も多い内容は、話し相手、談話で、次が適応や不登校、友人関係であり、区は二位以下を重視していますが、話し相手を求めてくる児童生徒たちが多いことにも注意を払ってほしいものです。もし家庭や行政がこれにうまく対応できていないと、SNSに話し相手を求め、犯罪に巻き込まれる危険もあります。  今回、区外の大学生らに、自らの小中学校時代を振り返ってアンケートをしたところ、全員、校内にスクールカウンセラーや相談室があったが、利用経験があったのはその約半数でした。相談したくてもしづらいというのがその理由です。全員面談はなかったが、そのようなアウトリーチ型の相談や、メールなどでほかの子に知られない相談手段があればよかったとの意見がありました。  区でも小中学校にタブレットを導入してからネット環境での相談が可能になったということですが、ICTを活用した相談の実績、メリット、デメリットについて教えてください。  また、区は平成二十六年より小学校五年と中学校一年に全員面談を行っています。そこでどんな知見を得ていますでしょうか、また、全員面談はなぜこの学年なのか、多くは受験を迎える六年生と中学三年、あるいは小学校中学年で一度面談を行ってはどうでしょうか。  問題行動やSNSの発信がなくても、どの子も等しく気にかけてもらう権利があります。手のかからない子を逆に置き去りにしないように、全ての児童生徒に向き合える相談機会の構築を要望いたしまして、壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎佐々木 砧総合支所長 私からは区民利用施設について二問御答弁申し上げます。  まず、スリッパ履き替え施設数と、その理由についてです。  土足を可としていない総合支所で管理する区民利用施設は、地区会館で二十五館、区民集会所で十三館ございます。こうした施設には、開設当初からスリッパ履きを前提とした設計となっている施設が多く、床がカーペット敷きであるなど、土足利用に適さないという課題がございます。また、スリッパへの履き替えは、地区会館や区民集会所の管理人が常駐しない施設において、管理をしやすい形態として採用しております。施設内の土足化を希望する声がある一方で、コロナ禍となってからは、スリッパ履きを望む声もいただいており、施設によっては履き替え時の負担を減らすため、ベンチや椅子をげた箱の横に置くなどの工夫を凝らしながら運営をしております。今後も利用者の高齢化も踏まえ、施設改修等の機会を捉え、土足化も含めた誰もが使いやすい、管理しやすい施設の検討を進めてまいります。  次に、管理人同士の交流のための講習についてです。  管理業務については、施設により構造や設備が異なるため、共通の管理人講習については現在実施しておりません。このため、管理人の方が交代する際には、十分な引継ぎを受けないまま管理業務に従事することがないよう、施設ごとの管理マニュアルの充実や、施設所管として区から丁寧な説明を行うなど、円滑な管理業務が行われるよう、より一層取り組んでまいります。  管理人間の交流の場につきましては、日常業務に携わっている方や委託先である町会・自治会の意見を伺ってまいりたいと考えております。  以上です。 ◎小柴 施設営繕担当部長 私からはオストメイト対応設備について御答弁申し上げます。  議員御指摘のオストメイト対応設備等は、既存の施設に対して簡易型設備の設置のために、平成二十年頃より改修工事を行い始めた初期の頃のものでございます。現在、全ての地区会館にオストメイト対応設備を設置しておりますが、使い勝手で御不便をおかけしているものもあると認識しております。改修工事の際、通常のトイレブースに簡易型オストメイト対応設備を設置するしかなかった施設で、現在残されているものは、地区会館で四か所、区民集会所でも二か所ございます。現在定められているユニバーサルデザインの基準では、望ましいとされているオストメイト対応設備にするためには、トイレの大きさを大きくする必要があり、ほかの工事との関係で中長期保全改修の機会を捉えたタイミングで工事を行っております。様々な条件はございますが、こうした御不便をおかけしている設備について、優先順位をつけ、できるところから改善に努めてまいります。  以上です。 ◎青木 土木部長 私からは降雪対策について御答弁を申し上げます。  まず、除雪作業を行っている地点についてでございます。  区道上に積もった雪の除雪作業につきましては、交通の円滑と安全を図るため、除雪作業計画に基づき速やかな積雪の除去に取り組んでおります。除雪作業計画では、交通量の多い交差点、坂道及び駅前広場等を中心に除雪作業を行うこととしており、積雪は広範囲に及ぶことから、除雪対象に位置づけられている尾山台の寮の坂、成城の不動坂・ビール坂といった箇所の積雪状況をパトロール等により確認し、優先順位をつけながら作業を実施しております。区では、降雪時においては、今後とも区民の安全安心のため除雪作業に取り組んでまいります。  次に、粗面系舗装に関する御質問でございます。  粗面系舗装に分類される排水性舗装、透水性舗装などは、区内でも多くの施工事例がございますが、区では、除雪対策として行っているものではなく、雨水流出抑制、交通騒音の低減、雨天時の走行安全性の向上などを目的として導入を進めてきております。  最後に、塩化カルシウムについてでございます。  区では、一般に広く使われている融雪剤、凍結防止剤として塩化カルシウムを使用しております。塩化カルシウムは、塩化化合物が水に溶けることによって、水の凝固点が下がる仕組みを利用し、氷雪を融解し、また凍結を遅延、抑制しようとするものでございます。  取扱いの注意点としては、肌に接触した場合、炎症を起こす危険がありますので、散布する際はゴム手袋を着用するなど、直接手に触れないよう注意をしております。また、環境への影響につきましては、雪によって希釈されるため、影響は及ぼさないと考えられております。区といたしましては、区道上の積雪を除去する必要が生じたときには、スコップによる除雪作業のほか、融雪剤の散布も含め、適宜積雪の除去、凍結防止を講じてまいります。  私からは以上でございます。 ◎知久 教育総務部長 私からは学校における降雪対策についてお答えいたします。  降雪時におきましては、児童生徒の登下校動線となる正門から昇降口付近に転倒防止の観点から、降雪前に塩化カルシウムを散布する対策を行うとともに、適宜除雪を行っております。  児童生徒への周知としましては、塩化カルシウム散布時における注意事項として、手を触れないことや、雪を解かす効果が損なわれないように、散布エリアになるべく立ち入らないことなどの指導を行ってきております。  以上です。 ◎粟井 教育政策部長 私からは二点御答弁申し上げます。  初めに、児童生徒へのアウトリーチ型相談機関の充実に関して、ICTを活用した相談の実績等についてでございます。  一人一台のタブレットが配付されたことで、例えば、児童生徒が欠席した際には、双方向型学習支援アプリ、ロイロノートを活用し、次の日の授業内容の連絡をするなど、教員と児童生徒の双方向の連絡が容易になっております。ロイロノートの双方向の機能を活用し、教員と児童生徒が相互に連絡を取り合うことで相談につながるケースがあり、周囲を気にせず悩みや不安などについて相談できるというメリットがあります。一方で、対面であれば、表情から児童生徒の困った様子を把握できることも、ロイロノートの場合は、話の真意を読み取ることが難しいというデメリットが考えられるところでございます。  続きまして、児童生徒の全員面談について御答弁申し上げます。  議員御指摘のとおり、全小中学校に配置されている都のスクールカウンセラーにより、小学校五年生と中学一年生を対象に全員面談を実施しております。小学校では高学年に進級した五年生、中学校では入学したばかりの一年生が、学校生活への不安や人間関係上の悩みを抱くことが想定されるため、全員面談を通して、子どもたちに相談してもよいという安心感を持たせることで、学校におけるいじめ防止等の対応にもつながっていくと考えられます。  本区では、区のスクールカウンセラーも配置しているため、学校の実態に応じて、小学校五年生と中学一年生以外の学年においても全員面談を実施している学校もございます。今後も当区のカウンセラーを効果的に活用し、さらにほかの学年にも全員面談を広げていくよう学校に周知してまいります。  以上でございます。 ◆二十一番(いそだ久美子 議員) おのおの御答弁ありがとうございます。  区民利用施設について再質問させていただきます。  今回、区民利用施設の設備とサービス、土足やトイレ、LEDや管理体制について調べさせていただいて、何か問題があれば、その施設だけ対応することになっているのに疑問を持ちました。そうして、予算措置が取れないことなどの理由に対応も遅くなります。予算がないといっても、本庁舎は今四百億円かけて新築中です。区民利用施設のほうがずっと多くの区民が使う施設であり、苦情や指摘が出てからではなく、区民利用施設の総合的なアップデート、これを区の政策として考える必要がある時期に来ているのではないかと思いますが、この点、中村副区長にお伺いしたいと思います。 ◎中村 副区長 区民利用施設の設備更新について再質問いただきました。  先ほど施設営繕部長から御答弁させていただきましたが、例えばトイレ空間自体を大きくする誰でもトイレの整備などは、建物整備保全計画に基づいて、大規模改修の時期に合わせて対応しているところです。一方で、そうした時期を待たずに早急に対応するという趣旨から、例えば通常のトイレに簡易型オストメイト対応設備を設置している施設もあり、御指摘のとおり、特に初期の頃の設備には使い勝手がよくないものもあるというのは御指摘のとおりだと考えます。  今後も大規模改修に合わせて着実にユニバーサルデザインへの対応を進めるとともに、特に区民集会施設の設備面につきまして、改めて老朽の度合いや現場の利用状況を確認した上で優先順位づけをして、多くの区民の方々が安心して利用いただけるよう、できる限りの工夫を尽くしてまいりたいと考えます。このことについて施設営繕部に総合支所と連携して取組を指示をしてまいります。  以上です。 ◆二十一番(いそだ久美子 議員) 御答弁ありがとうございます。コロナ禍におきまして、あまり皆さん遠出をせず、地元での集会や勉強会が盛んになっている時期ですので、ぜひ早急に対応をお願いして、質問を終わらせていただきます。 ○下山芳男 議長 以上でいそだ久美子議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、四十五番桜井純子議員。    〔四十五番桜井純子議員登壇〕(拍手) ◆四十五番(桜井純子 議員) 通告に従い質問いたします。  初めに、インクルーシブな教育を目指す世田谷の教育の在り方についてお伺いします。  世田谷区は真のインクルーシブ教育の実現を目指すことを明言しています。実現に向けて、十二月に開設した教育総合センターをインクルーシブ教育の拠点とすることや、ガイドラインの策定などの取組が具体化しつつあります。さらに、現在改定作業が進められている第二次教育ビジョン調整計画や各種計画はとても重要です。昨年十月のビジョンのパブリックコメント募集では、インクルーシブ教育を求める意見が多く集まりました。  ところが、残念なことにビジョンや各種計画には、インクルーシブ教育とは何かという視点がぶれていると感じる記述が目につきます。ここで多用される子どもたちが互いに認め合い尊重できることは、インクルーシブ教育ではありません。ビジョンのパブリックコメントにも、インクルーシブ教育を求める意見に対して、同様の違った答えを記載し、区報にも掲載されたことに教育委員会の不誠実さすら感じます。  区は、インクルーシブ教育をどのように考えているのでしょうか。これまでの議論を踏まえれば、答えは一つ、インクルーシブ教育とは共に学び、共に育つ教育です。インクルーシブ教育をいまだに特別支援教育の範囲に入れることがありますが、インクルーシブ教育は特別支援教育にとどまるものではなく、現在の学校現場や教育の在り方などを変えるという大きな視点に立った、教育そのものの変革につながるものであると明確に示すべきです。さらに、これまでの議論を踏まえ、ビジョンや各種計画には正確にインクルーシブ教育を記すことを求めます。教育委員会の考えをお聞きします。  インクルーシブ教育の実現は、大人、社会全般の問題として捉えることが重要です。現在では、学校長の理解によって障害のある子どもの受入れに差があることは否めません。世田谷の教育としてインクルーシブ教育を位置づけるために、教育委員会としてどのような努力をするのか、見解をお聞きします。  学校に行けない、行かない子どもの不登校は、今の教育制度に対し、このままでいいのかと問題提起をしていると感じます。二〇一六年の教育機会確保法制定は、不登校に対する考え方を大きく変えました。学校復帰を目的とする不登校対策からの脱却は歓迎しますが、居場所づくりという名目で、不登校の子どもを学校現場から切り離すことで、教育制度が抱える本来の問題から目を背けることにつながらないかと考えます。  様々な不登校対策を行っている世田谷区でも不登校は増加の一方です。不登校を学校現場が抱える社会問題として捉えて原因を追求すると、学校が変わることにつながるはずです。学校の根本的な問題として、不登校がなぜ増えているのかに向き合うべきです。不登校への対応において、学校現場の問題をどのように把握し取組を進めるのか、見解をお聞きします。  現在、区は、ほっとスクールや公設民営のフリースクール、また不登校特例校の開設など、不登校の子どもへの対応を行っています。不登校の子どもが行く場所をつくり、学校現場から切り離すことが不登校対策の王道となることは、学校に行けない、行かない子どもは別の場所に行けばいいということにつながり、結果的にインクルーシブとは反対の形を変えた分離教育を進めることにはならないかと、慎重に考えることも必要です。不登校対策は、不登校の子どもの居場所づくりを第一にした取組を続けるのでしょうか、考えをお聞きします。  次に、障害者理解促進と差別解消に向けた条例の意義についてお聞きします。  二〇一六年の津久井やまゆり園事件では、障害者への差別的な思考から大勢の障害者が殺傷されたことが衝撃的に報道され、様々な要因が指摘されました。例えば、なぜやまゆり園という入所施設に多くの障害者が暮らしていたのか、なぜ被害者の名前は伏せられたのか、例えばこの二つの背景には、障害者への差別、排除といった社会の実態がなかったかということです。今回の条例制定は、このような社会のありようを世田谷は変えるという決意の下、世田谷区をどのような社会にしたいのか、将来像を示す条例にしてほしいと思います。社会的包摂の視点に立ち、共生社会、インクルーシブな社会を牽引するための条例、インクルーシブ社会を目指すための条例となることに期待します。  現状では、障害者への理解促進と差別の解消が主に掲げられていますが、障害者のためだけにとどまるのではなく、全区民のための条例にするという視点が重要です。見解をお聞きします。  他自治体に目を向けると、明石市でインクルーシブ条例の制定作業が進められています。内容は世田谷の条例と視点が近く、参考になります。明石市の条例案では、障害者理解や差別をなくすという視点にとどまらず、社会全体をインクルーシブにすることを目標にしています。世田谷区の条例もこの視点で制定することを期待します。見解をお聞きします。  また、明石市の条例で特筆すべき点は、インクルーシブ教育が明確に位置づけられていることです。インクルーシブな社会を実現するためには、教育の果たす役割は欠かせません。今回の条例制定に当たっては、教育委員会の関わりは重要と考えます。教育委員会の考えをお聞きします。  次に、世田谷区行政の人権意識について伺います。  世田谷区が二〇一六年に起こした婚外子差別事件は、婚外子の方が戸籍謄本を申請したときに起きました。申請者は免許証などの顔付の本人確認書類がなかったため、窓口の職員が、本人確認のために父親の名前は当然戸籍に記載されていると考え、名前を書くことを求めました。申請者は戸籍に父親の名前はないと告げましたが、離婚しても名前は書いてあると強制的に父親の氏名を申請書の余白に書かせたというものです。その事件以来五年、この事件を人権侵害事件として認識し、二度と起こさないために戸籍事務の改善を求めてきました。  他自治体のように、戸籍を確認して本人確認の質問をする事務への改善を提案しましたが、区の対応、態度は一向に変わらず、数年前に変えた本人確認書類も差別的な扱いに当たるものです。この間の話し合いで分かったのは、かたくなに変更をしない区の意識は、窓口業務をいかに効率的に行うようにするかにあるということでした。  区がようやくこの事件を人権問題であり、二度と起こさないよう職員の意識啓発をするとしたのは、事件から三年半たった二〇二〇年の予算特別委員会、岡田前副区長による答弁でした。ところが、残念ながら、その後も職員の意識は変わることなく、差別記載と指摘される本人確認書類を使用し続け、人権侵害が起きる可能性は残されたまま現在に至ります。  人権を最優先に考えるべきだと訴えても、二言目には、申請者を待たせる、効率性が損なわれるといった事務効率の問題を引き合いに出します。しかし、第一に考えるべきは人権を守ることであり、人権侵害を起こさないためには手間を惜しむべきではありません。今、世田谷区の人権意識は危機的状況に陥っているのではないかと感じています。一刻も早い改善を求めます。事務処理の効率性と人権はてんびんにかけられるものなのでしょうか、区の人権意識について問います。  さらに、改めて戸籍事務における本人確認の方法について、全面的な改善を求めます。差別記載にも当たる現在使用している本人確認の書類の使用をやめること、戸籍を見て、本人確認の質問をする事務に変えることを求めます。区の考えをお聞きします。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔岩本副区長登壇〕 ◎岩本 副区長 私からは世田谷区行政の人権意識について御答弁申し上げます。  戸籍証明の請求者に対する本人確認において、平成二十八年に差別と捉えるべき事案が発生し、以降、その再発防止に向けた本人確認の方法について運用の見直しを図りながら、関係団体の方々と話し合いを継続してまいりました。  事務効率と人権擁護はてんびんにかける同質のものではなく、人権擁護が何よりも優先されるものであり、区政全体に貫かれるべきものと認識しております。この間、区でお示ししています本人確認の方法は、待ち時間等、窓口での区民サービスの観点も含め様々検討を重ねたものですが、検討に時間を要したことをおわびするとともに、人権擁護の観点から、その改善について改めて指示をしてまいります。  以上でございます。 ◎知久 教育総務部長 私からは、インクルーシブ教育について、教育ビジョン調整計画及び関連計画に明確に示すべきについてお答えいたします。  インクルーシブ教育の実現に当たっては、障害の有無にかかわらず、全ての子どもたちが共に学び、共に育つという基本理念を教育ビジョン調整計画に明確に位置づけ、学校現場の理解を深めていくことが重要であると認識しております。  教育ビジョン調整計画の策定に当たり、この間、区議会での議論やパブリックコメントにおきましても、インクルーシブ教育の推進に関し多くの意見をいただいております。調整計画案では、そうしたことも踏まえ、研修や先進事例等から学ぶことで、子どもたちが共に学び、共に育つというインクルーシブ教育に関する理解が教員をはじめ地域全体の理解の醸成が図られるよう取り組んでいく旨を明記したところです。特別支援教育推進計画など、その他の教育関連計画等につきましても、改めて内容を確認し、インクルーシブ教育の基本理念を明確に位置づけてまいります。  教育委員会といたしましても、各種計画の推進に当たり、インクルーシブ教育の実現に向け、学校長や教職員等が一丸となって取り組めるよう、研修のみならず、ガイドラインの策定を教職員とともに検討を進め、その成果を学校現場に周知、実践されるよう、インクルーシブ教育の理念の浸透を図ってまいります。  以上でございます。 ◎粟井 教育政策部長 私からは四点御答弁申し上げます。  まず初めに、世田谷の教育としてインクルーシブ教育を位置づけるために、教育委員会としてどのような努力をするかというお尋ねでございます。  学校現場におきますインクルーシブ教育の実現に当たりましては、学校長の果たす役割や及ぼす影響は非常に大きいことから、学校長のインクルーシブ教育に関する理解促進は重要であると考えております。障害者権利条約の理念や内容をはじめ、本人、保護者の意向を尊重した就学先を決定する仕組み、保護者の置かれた状態や心情の理解などについて、研修等の様々な機会を捉え学校長の理解を深めてまいります。また、今後インクルーシブ教育の実現に向け、各学校が取り組んだ好事例の共有に向けたデータベース化やガイドラインの策定に取り組んでまいりますが、こうした取組について、教員はもとより、学校長に対しても確実に周知を図るとともに、障害のある児童生徒の受入れについて必要な指導や支援を行ってまいります。  二点目でございます。不登校が増えている原因と、それからその取組について御答弁申し上げます。  世田谷区の不登校児童生徒につきましては、平成三十年度と比較し、令和二年度では、区立小学校一・二六倍、区立中学校は一・一二倍と増加傾向になっており、区立小中学校合わせ九百六十八名となっております。不登校になる要因として、文部科学省の調査では、無気力、不安や学業不振などが挙げられておりますが、世田谷区における具体的な原因については、さらに調査把握に努め、効果的な取組が重要と考えます。学校へのアンケート調査の実施やスクールカウンセラー、教育相談の相談員のデータ分析など、学校現場の問題把握と多様な支援に努め、児童生徒が安心して過ごせる学校づくりに取り組んでまいります。  続きまして、不登校対策は不登校の子どもの居場所をつくることを第一とした取組なのかということについてお答え申し上げます。  不登校児童生徒への支援は、児童生徒が抱える多様な背景により、その支援の内容は様々であると認識しております。現在策定中の不登校支援アクションプランでは、支援の方向性を三つに分け、学校を安心して通い続けられる場所にすること、児童生徒の状況の早期把握、不登校児童生徒を支える居場所の充実などを計画しております。取り組むべき多様な支援策の一つとして、不登校の児童生徒の居場所の運営や不登校生徒の学習意欲に対応する不登校特例校分教室の開設なども合わせて進めてまいります。不登校児童生徒の支援におきましては、児童生徒の多様性や個性を認め伸ばし、児童生徒の状況に応じた多様な支援に取り組んでまいります。  最後でございますけれども、今回の条例制定に当たっての教育委員会の関わりについて御答弁申し上げます。  地域共生社会の実現に当たっては、住み慣れた地域の学校で、障害の有無にかかわらず、全ての児童生徒が共に学び、共に育つインクルーシブ教育を推進し、次世代を担う子どもたちが相互の理解を深めていくことが重要であると考えております。また、教員をはじめ保護者や地域の人々の間でインクルーシブ教育の理念が共有され、地域全体の理解の醸成につなげていくことも重要であり、教育が果たす役割は大きいものと捉えております。  条例制定に向けた検討につきましては教育委員会も参加しておりますので、明石市の取組も参考にしながら、地域共生社会の実現に向けたインクルーシブ教育の推進について、関係所管とともに検討を行ってまいります。  以上でございます。 ◎須藤 障害福祉部長 私からは条例の意義について二点御答弁申し上げます。  まず、全区民のためのものとするということについてです。  社会の中には、障害のある方に対して差別や制限などを生む物理的なもの、制度的なもの、情報に関するもの、意識に関するものといった社会的なバリアが存在いたします。今回制定を目指している条例では、障害者の自立や社会参加などの場面において、障害を理由とする差別が生じることなく、権利が守られるよう取り組む必要があり、そのためには様々な社会的バリアを取り除く必要があります。  一方、地域共生社会という面では、こうした社会的なバリアは、障害のあるなしにかかわらず、ライフスタイルや環境の変化などにより、誰にでも生じる可能性があるものであり、全ての方にとって共に暮らしやすい社会の構築につがるものであるというふうに考えてございます。  続きまして、社会全体をインクルーシブにするという視点についてです。  お話の明石市では、誰もが制限されることなく安心して暮らせるインクルーシブなまちの実現を目指し、条例の制定に向けた検討が進められているというふうに認識をしております。今回の区の条例につきましては、さきに検討状況でお示しいたしましたとおり、障害福祉の分野だけではなく、企画総務や区民生活、都市整備、教育といった各領域の内容を含んだものとなっており、共通の視点としてインクルーシブな地域共生社会を目指すものというふうになっております。今後も関係所管と連携しながら、条例の制定を契機に他の条例や計画等と相乗効果を発揮し、インクルーシブで誰もが自分らしく共に暮らせる地域共生社会の構築を目指してまいりたいというふうに考えております。  以上です。 ◎舟波 地域行政部長 私からは戸籍証明事務の見直しについて御答弁いたします。  戸籍の証明書は、申請時に運転免許証などを提示していただき、申請者の本人確認をした後に発行しており、本人確認に必要な書類をお持ちでない場合は、区が独自に作成した本人確認書に親や子、兄弟、姉妹など分かる範囲の項目を一つ以上記載していただき、それを基に申請者の戸籍と照合して本人確認を実施してございます。  この方式は平成二十八年に発生した差別と捉えるべき事案を回避するため、平成三十年から実施しておりますけれども、申請者御本人が抱える事情などにより、書くことができないことを職員に伝えること自体が苦痛な方もいる、人権擁護の観点から問題があるとの指摘をいただいてございます。
     今般、本人確認書に未記載でも対応する旨の注意書きを入れ、職員研修の強化を図ることを改善案としてお示ししたところでしたが、人権擁護の観点に立ち、戸籍を確認する前の段階で本人確認書を用いている現在の運用を見直す方向で、今年度内を目途に事務処理の詳細と実施スケジュールを検討してまいります。  以上でございます。 ◆四十五番(桜井純子 議員) 教育委員会にお聞きします。  インクルーシブ教育の実現に向けて、学校現場に周知、実践されるよう浸透を図るということをお答えいただきましたけれども、学校現場の変革というところが重要です。変革につながるように取り組むというふうに捉えていいのでしょうか。これは教育監にお聞きします。  それともう一つ、文言のことについて指摘させていただきましたが、インクルーシブ教育についての記載、こちらは検討していただいて修正をいただくということでよろしいんでしょうか、お答えください。 ◎粟井 教育監 桜井議員からの再質問に一点目お答え申し上げます。  インクルーシブ教育の実現に向けましては、実際に対応する学校の意識や対応の変革が必要であると考えております。このたび、教育ビジョン調整計画をはじめ各種計画にインクルーシブ教育の基本理念を明確に位置づけたことは、学校現場においてインクルーシブ教育が実践されるための大きな一歩と捉えております。  教育委員会といたしましても、先ほど申し上げた研修や施策の取組を通じ、全ての学校現場において、あらゆる子どもたちが共に学び、共に育つインクルーシブ教育の実現に向け、積極的に働きかけ取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎知久 教育総務部長 再質問にお答えさせていただきます。  先ほども御答弁させていただきましたインクルーシブ教育の考え方でございます。全ての子どもたちが共に学び、共に育つという基本理念でございますが、現在、調整計画の中でその文言について改めて洗い出しを行っておりますので、修正という形で対応させていただく方向で進めてまいります。  以上でございます。 ◆四十五番(桜井純子 議員) ありがとうございます。しっかりとインクルーシブ教育を全体で取り組むように進めていただければと思います。  そして、婚外子差別の事件です。五年たってやっと人権問題としての解決の方向というところにたどり着いたかなというふうに感じています。一番大事なのは、お聞きをいたしました事務効率というところと人権の問題、これが本当にてんびんの両側に立つのか、乗っけられるのかというところ、ここを本当に間違わないようにしていくことが重要だと思います。スケジュール、今年度中に出されるということですので、それも注視いたしますが、やれない、先延ばしにする理由を幾つもつけるのではなく、それはしっかりと取り払って早めの改善を求めたいと思います。  以上で質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上で桜井純子議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、三番そのべせいや議員。    〔三番そのべせいや議員登壇〕(拍手) ◆三番(そのべせいや 議員) 今年二〇二二年四月より順次育児・介護休業法が改正をされます。四月より育児休業を取得しやすい雇用環境の整備、妊娠、出産の申出への個別周知、意向確認、取得要件の緩和が実施をされ、十月からは育児休業の分割取得、現在の制度に加えた男性向けの実質的な産後休業が可能となります。また、二〇二三年四月からは従業員千人以上の企業の育児休業取得率も公表されます。今回の改正で、職場において、性によって異なる育児休業の実質的な取扱いが是正されることを願っていますが、区として改めて区内事業者へ新たな制度の啓発ができないでしょうか。  一方、育児休業を取得して、いざ、子どもに時間を使ってみようとしても、子育て領域にも多くのアンコンシャスバイアスや母親神話が残っています。まず妊娠届を出すと、母と子の保健バッグを受け取りますが、このバッグの中身の大半が妊娠期に利用するものであり、妊産婦を示す母子保健法における母という表現を用いるのは、現時点での日本社会の着地点であると考えています。  一方、このバッグの中の最も大きな冊子の表紙と背表紙には、ママたちと作ったせたがや子育て応援ブックとタイトルがつけられています。二〇一六年にもママたちと作ったという表現は子育てから男性を蚊帳の外に置いていると苦言を呈したつもりでしたが、改めて二〇二二年、そろそろ変わらないでしょうか、確認します。  同冊子の中身を見ても、ママが主体、ママの世界であり、パパはせいぜいアクティビティーの際に登場する役割で、主体としてのロールモデルは示されず、子育ては男性にとっての居場所ではないと感じさせます。冊子中の表現を逐一取り上げても切りがありませんが、ジェンダー表現について区として基準はないのか、仮にあるならば、現在の基準で男性の子育て領域の進出の高い壁として作用しているため、今すぐ刷新が必要です。  加えて、妊娠届の時点で同性パートナーが提出することも前提としている世田谷区だからこそ、パートナーが必ずしも男性でないケースにも寄り添った表現も必要です。答弁を求めます。  また、ウェブサイトや冊子の表現にとどまらず、おでかけひろば、児童館などで開催をされる講座、幼稚園、幼児教室、習い事、どこに行っても私が目の前にいても、主語はママもしくはお母さんです。例外は保育園と属人的に理解のある人だけというのが実体験です。  常にママと呼ばれることへその場で声を上げることも白い目で見られそうで困った、ちゅうちょしてしまいますが、恐らくそれぞれの世界のマイノリティーの方々が感じている疎外感を、私は子育てをするようになって初めて感じています。せめて区が管轄しているイベントやおでかけひろば、児童館といった場では、主語をママにするのはもうやめていただきたい。せめてこの点くらいは区が指導できないのか伺います。  また、区の用意する場で開催される各種イベントの参加要件を見ても、例えば子どもが主体となるベビーマッサージにも、乳児とママしか参加できないという要件は本当に適切でしょうか。妊産婦向けの骨盤矯正に参加したいのではなく、子どもが主体のプログラムに参加をしたいだけです。出産、母乳といった合理的な区別は理解をしますが、改めて出産した人しか参加できないプログラムは何か、女性しか参加すべきでないプログラムは何なのか、区役所としての考え方を委託事業者、現場へ示してください。  いつでも授乳しやすい場への要望もあるかもしれませんが、ぜひパパが排除されること、それによって子育て領域がいつまでもどんな家族においても、女性のみに依存せざるを得ないことも含めててんびんにかける必要があります。  あわせて、パパ向けとして切り出した講座について、最近ではリトミック、離乳食講座といった、従来、父親向けとして実施をされなかったようなプログラムへも展開が進んでいるようですが、念のため改めて父親を切り出す場についても、せっかく参入障壁を下げた機会で、ジェンダーロールを助長しないという観点もつけ加えていただきたいです。答弁を求めます。  そして、いわゆる母子手帳についても、二〇一一年に大手広告会社の博報堂が作成をした親子健康手帳が採用される例だけでも全国で百九十六自治体、既に一割を超え、江戸川区で世田谷区と同じくミッフィーのデザインですが、二〇二〇年よりタイトルが親子健康手帳、括弧書きで母子健康手帳との表記に変わっており、東京都は子供手帳という名称で検討会を重ねています。どれも法律上の正式名称は母子健康手帳ですが、私の子どもの母子健康手帳を見たところ、確かに妊産婦の健診や経過の病院による記載も見開き一・五ページ分はあるものの、子どもについての毎回の健診や予防接種、発達状況について十倍以上のページを割かれており、実態を踏まえると、子ども手帳が適切かもしれません。  母子保健という考え方を重視するのであれば、もっと妊娠期や出産後も、母体の情報をトラッキングするものに改定すべきですし、そこまでの機能がこの手帳に求められていない現状を鑑みると、子育て領域への性によるハードルを撤廃するターニングポイントとして、母子健康手帳の通称変更を活用してもいいのではないでしょうか。機能や社会への影響力も含め、今後も母子健康手帳という名称が適切と考えるか、ほかの自治体のように変更の余地はないのか伺います。  続いて、四月より保険適用がされる不妊治療について伺います。  妊活という言葉も一般的になり、以前よりも性交渉がもはや妊娠と直結しないことや、不妊治療も社会の中で浸透してきました。実際に不妊治療を経験したカップルは五・五組に一組、二〇一九年に体外受精で誕生した子どもは六万人、十四人に一人とのことで、晩婚化、少子化が進む中、そして保険適用という制度改正もあり、二〇二二年以降、さらに数も割合も増えることが予想されます。  私自身も昨年、三十一歳で精子の検査に行きました。男性の第一子誕生の平均年齢が三十二・八歳とのデータがあるためたかをくくっていましたが、結果は質もさることながら、量が少ないというどうしようもないものでした。WHOの調査によると、不妊の原因は、男性四八%、女性六五%、不明一一%と、必ずしも女性が原因でないことが分かっています。しかしながら、当事者である二十代から四十代すら、女性さえ若ければ妊娠をすると思い込んでいるケースが多く、男性が自分の生殖能力を過信して原因を特定できない結果、パートナーのみに通院、治療、ストレスといった多くの負担を押しつける構造となっています。  同世代を見渡しても、女性は、パートナーの有無を問わず、妊娠の可能性、卵子凍結まで意識しつつ、キャリアとライフプランの可能性を探っており、一方、男性は、特にパートナーがいない場合は、定年までに子どもの学費を出し終えたい程度の考えしかないケースが多く、具体的に自分の生殖機能がどうなっていくかまで考えが及んでいません。また、女性は自分やパートナーの親から孫プレッシャーが強い一方、高齢世代には男性に不妊の原因があるとの理解が非常に少ないため、女性のみが矢面に立たされたり、男性側の状況を差し置いて、若い嫁をもらえという暴論もよく耳にします。この四月は不妊治療が保険適用となり、社会的にも注目が集まるタイミングです。不妊や妊孕性への啓発、特にデータを基に、男性不妊についても啓発や情報のアプローチをあらゆる世代に向けて進めていただけないでしようか。  翻って、世田谷区役所でも、不妊治療休暇を同じく四月より導入しますが、期待する一方、本当に利用できるかも憂慮しています。昨年、人事院が一般職の国家公務員を対象にした不妊治療と仕事の両立に関するアンケート調査によると、三割以上の人が不妊治療を誰にも伝えたくないという結果も出ており、また、予定どおりの通院とはいかないため、事前の計画的な休暇申請はなじまないことから、承認する上司へ翌日や二日後の来院といった、突発的に仕事から抜け出さざるを得ない状況についても改めて啓発が必要です。  加えて、先ほど申し上げたとおり、不妊治療は女性の問題という社会的意識は極めて高いですが、もちろん頻繁に検査、採卵、胚移植と、通院の主体は女性になるものの、男性にも検査や採精が生じるため、男性の利用も想定すべきですし、いわゆる不妊治療の枠から外れますが、パートナー制度の利用者や選択的シングルのケースも含まれてしかるべきです。不妊治療休暇制度で不妊治療と仕事の両立ができるようになることを願っていますが、該当する全ての人が利用できること、また、公表が必ず必要となる休暇制度だけでなく、例えば繁忙期であっても有給休暇を使いやすい状態にする、病院の待合室でのリモートワークなど、異なる方法も含めて融通が利く体制をつくれないでしょうか。  最後に、保育園における重大事故について伺います。  二〇一七年より世田谷区は、保育施設における重大事故集計をウェブサイト上で公表していますが、公表が義務化をされていない情報をあえて広く公開をしていることについては評価をしています。四年間を平均すると、年間に、骨折が十五件、歯の破折等二件、置き去り、迷子三件、その他も合わせると、重大事故とされる事故が年間二十五件ペースで発生をしています。区内の保育園児が二〇一七年度一万六千四百人から二〇二〇年度一万九千四百人と、公表を始めた四年間で供給量を二〇%近く増やしている中で、報告数は二十一件から二十四件と大きく増加傾向はありませんが、置き去り、迷子が毎年数件発生していることについては危惧をしています。  特に置き去りは、三から五歳の遊びの中でのけがのように、細心の注意を払っても完全には除去が難しい事故と性質を異にし、また、そもそも園庭がないからこそ散歩に出なければならず、園庭があれば発生しないことからも、特に区の責務で安全担保に努めるべきです。  先日の新聞報道でも、都内で四年間に九十四件の置き去り、迷子の報告があったとのことでしたが、置き去り、迷子は、骨折などと異なり、客観的な診断の介在がない分、どこまでを報告対象とするかは良心に委ねられており、区の統計、都の統計から漏れている可能性もあります。まずはどのように事故を把握しているのか、また、把握後にどのように再発防止につなげているのか、重大事故だからこそ広く共有をし、事故を減らすための仕組みとならないのか、加えて、今後少なくとも集計をウェブ公開するタイミングで、区議会福祉保健常任委員会で議論の対象として報告をいただけないでしょうか。そして、これまで保育の供給がたびたび議題となってきた子ども・子育て会議においても、待機児童対策が落ち着いてきた今だからこそ、今後、事故防止や安全対策に対しての議論を進められないでしょうか、回答をお願いします。  以上で壇上からの質問を終えます。(拍手) ◎辻 世田谷保健所長 私からは二点、まず母子健康手帳の名称の考え方についてお答えをいたします。  母子健康手帳の名称や内容は、厚生労働省が十年ごとに見直し検討をして、様式を改正し、母子保健法施行規則に定めております。現在、国が定める母子健康手帳という名称は、平成二十三年の検討会報告の妊産婦及び乳幼児の健康の保持及び増進の重要性という観点から、名称変更はしないという結論によるもので、区もそれに従ってきた現状がございます。  令和三年に厚生労働省で開催された母子健康手帳等に関する意見を聴く会では、名称に関する様々な意見が出されており、現在、名称を含む様式について検討中であることを確認しております。区といたしましては、父親、さらに多様な形の家族の子育てにおいて、生涯活用できることを念頭に、国の動向を注視してまいります。  次に、不妊治療の男性や社会への理解促進についてお答えいたします。  特定不妊治療費につきましては、今般、令和四年四月以降に開始する治療が保険診療に位置づけられることが厚生労働省より示されました。高額な治療が保険適用となることは、不妊治療を受ける方にとって朗報であり、これまで自由診療だった不妊治療の位置づけを大きく変える制度改正であると認識をしております。区といたしましては、この機会を捉えて、不妊の原因は女性だけではなく、男性側にもあり、男性も年齢に応じて性機能低下が見られるなど、不妊、また、妊娠に対する正しい知識や情報について、男性も当事者であることを広く区民に向けて周知啓発をしてまいります。  私からは以上です。 ◎柳澤 子ども・若者部長 私からは二点御答弁申し上げます。  まず一点目、せたがや子育て応援ブックについて御答弁を申し上げます。  せたがや子育て応援ブックは、妊娠時から小学校入学までの子育てに関する必要な情報をまとめたガイドブックとして、妊娠届出時や乳幼児を持つ家庭の転入時に配付するほか、御希望の方への配付も行っております。  平成二十四年度に全面改定した際には、子育て中の当事者が求める情報や関心事項に基づいて、掲載方法や構成を整理、見直しを行いました。御意見をお聞かせいただいて作成した経緯から、表紙にママたちと作ったと表記しておりました。ですが、令和四年度発行分から世田谷版ネウボラと変更しております。子育て応援ブックに掲載している各所管、関係機関に対しては、原稿作成要領にて、ママ、パパなどの事業名称や対象者の限定であるか確認していただくよう依頼しており、今後も引き続き適宜表現などの見直しを行ってまいります。  次に、区が管轄しているイベントやおでかけひろば、児童館といった場所での区の指導、父親を切り出す場合のジェンダーロールを助長しない観点について、子ども家庭課と児童課を所管する立場から御答弁申し上げます。  民間事業者が運営するおでかけひろばでは、これまでもパパ、ママのストレス講座など、母親だけに限定しないイベントを行っておりますが、中には母親を対象とした講習会などもございます。また、区立児童館でも、基本的には父親や母親に限定する事業は実施していませんが、例えば事業のネーミングに父親向けといったフレーズを使用して、それまで参加をためらっていた父親の参加率を上げる工夫をしている事業もございます。区としては、イベント事業の内容によっては、対象者を限定することのメリットもあると認識しておりますが、子育てに関わる全ての方におでかけひろばや児童館を御利用いただき、地域における子育て支援の場としていきたいと考えてございます。  今後は、おでかけひろばのスタッフ研修などの機会を捉え、イベント企画や参加者募集の際には、多様な御家庭があることを踏まえ、育児に関わる者が広く参加しやすくなるよう指導してまいります。また、区立児童館においても、多くの方に参加していただけるよう、平日だけでなく、土日にも事業を実施するなど、どなたでも参加できるような事業の実施に努めてまいります。  以上でございます。 ◎片桐 生活文化政策部長 私からは二点お答えいたします。  初めに、パートナーに寄り添った表現方法についてお答えします。  同性パートナーや養育里親も含め、家族や家庭の在り方が多様化している実態を踏まえ、子育ての主体となる方々の表現の仕方について、今まで以上に改善が求められると考えております。性の違いを超え、共に力を合わせて、責任を分かち合う男女共同参画社会の実現に向け、行政にはジェンダーに係る表現に一層の配慮が求められるところです。区には現在、男女共同参画の視点に関する表現のガイドライン等はございませんが、内閣府や他自治体の取組も参考に今後の方向性について検討を進めてまいります。  次に、育児休業の啓発についてです。  今回の介護・育児休業法改正で導入される出生時育児休業制度、いわゆる産後パパ育休や労働者に対しての制度周知、休業の取得意向の確認は、労働者の離職を防ぎ、男女ともに仕事と育児を両立していくために当たり大変重要と認識しております。  事業所に対する労働関係の法改正の周知は、男女共同参画広報紙らぷらすやせたがやエコノミックスへの掲載、三茶おしごとカフェでのリーフレット設置、社会保険・労働相談での個別の相談対応などで実施しております。今後、さらなる広報手段について関係所管と協議してまいります。  以上です。 ◎池田 総務部長 私からは職員の不妊治療のための休暇について御答弁いたします。  職員の不妊治療のための休暇につきましては、令和四年四月からの導入に向け、条例改正を提案させていただいておりますが、内容としては、性別を問わず、職員が不妊治療を受けるために医療機関に通院する際などに利用することができる休暇となっております。  御指摘のとおり、不妊治療を受ける休暇の取得に際しては、事前に管理職が相談を受けることが想定されるなど、職員のプライバシーや心情に十分な配慮を行う必要があると考えております。制度導入に先駆け、管理監督職が制度の趣旨等を十分に理解し、職員が安心して休暇を取得できる環境を整えるとともに、広く職員に制度の周知を図り、職員に認められた権利として、休暇制度が積極的に利用されるよう取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎和田 保育部長 私からは保育園における重大事故について御答弁いたします。  保育施設における事故につきましては、事故により医療機関を受診したものに加え、園児の置き去り等についても報告を求めております。区では、園からの報告に基づき、その当時の状況などを園から聞いた上で、園児の人数確認や職員間の連携について指導や助言を行い、再発防止に努めているところです。  今年度の区立、私立保育園等職員を対象としたリスクマネジメント研修では、園児の置き去りがあった園から当時の状況をお話ししていただき、予防に向けて注意すべきことなどについて確認することができました。今後もこのような研修を通して、重大事故防止にさらに努めてまいります。また、年に二回発行している安全だよりの中で、置き去り事案も含め、どの園においても起こり得る事故につきまして、事例に対する分析を行い、認可外も含めた保育施設に周知し、注意喚起を行っております。  昨年九月にお示ししました今後の保育施策の取り組み方針の中の重点方針の一つに、保育の質の維持向上に向けた取組強化を掲げており、今後より一層安全対策も含めた保育の質の取組が重要になってくるものと認識しております。このことを踏まえ、今後の保育施策の取組状況を御報告する機会等を捉えまして対応していきたいと考えております。  以上でございます。 ◆三番(そのべせいや 議員) 平日の昼間、父親が子どもといること、これは例外であるとか、多様性の範囲内ではなくて、ぜひとも当たり前を前提としていただければと思います。  そして、なぜ子育てを性役割から解放しなければならないのか、多様性を広げるという美しい話に終始をするのではなく、この三十年間実質賃金が下がり、平均的には昭和の最後から平成世代、我々の世代の子ども時代からの生活水準は、従来の男性が家計を担うモデルではもはや保てなくなっていて、つまり、生活水準を下げるか、子どもを諦めるか、性別役割分業からかじを切るか、どれかを選ばなくてはなりません。この国の未来を見捨てないのであれば、あらゆる性別役割分業を見直さなければならないということを、ぜひ今後の議論の前提として広く共有いただければとお願いをして、終わります。 ○下山芳男 議長 以上でそのべせいや議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後零時十九分休憩    ──────────────────     午後一時十分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  一般質問を続けます。  三十二番中塚さちよ議員。    〔三十二番中塚さちよ議員登壇〕(拍手) ◆三十二番(中塚さちよ 議員) 通告に従い順次質問してまいります。  区への寄附やふるさと納税に関する取組についてお尋ねします。  ふるさと納税による税収減に歯止めがかかりません。平成二十七年度の二億六千万から年々増加し、令和三年度には約七十億円と、世田谷区は全国で最も打撃を受けている自治体として名をはせています。区でも寄附を重要な税収源と捉え、新年度予算案では、世田谷らしい寄附文化を醸成する取組の充実が掲げられており、期待しますが、その中身は具体的に何を考えているのか見えません。  昨日も他会派の代表質問では、税外収入確保策で得られる効果額は一億二百万円、流出額に対してあまりに乏しい、区民の税金を取り戻そうという意欲が感じられないと手厳しい意見がありました。確かに税外収入に関して、最近では世田谷公園のSLのネーミングライツがありましたが、区のアプローチ不足によりなかなか出資者が現れず、最終的には民間広告会社の仲介により何とか見つかったという現状を鑑みても、厳しい意見は真摯に受け止めざるを得ないのではないでしょうか。税外収入を得ることに対し、発想を転換して積極的に取り組むべきです。  これまでの区の取組では、児童養護施設の子どもたちへの奨学金の基金や、クラウドファンディングを活用した医療的ケア児への支援など、多くの寄附が集まりました。区民の温かさを感じるまさに世田谷らしい取組と言えますが、善意を当てにするだけでは、寄附メニューにも限界があります。区で発想の転換ができないなら、頭を下げて民間人の力を借りてはどうでしょうか。  昨年は、紅白で岡山出身のシンガーソングライター、藤井風さんがブレークして、地元里庄町にはふるさと納税、寄附、グッズの売上げなど、多額の税外収入をもたらしました。岡山弁の藤井さんの人柄や、音楽を通して地元の魅力が多くの国民に発信された結果だと考えます。世田谷にはゆかりある有名人、著名人がたくさんいます。芸能人も数え上げるに切りがなく、世界的な芸術家も多数在住されています。こういうときこそ、区長の幅広いパイプを生かすなどして直接お願いできないのでしょうか。  また、藤井さんといえば、藤井聡太五冠の活躍で近年は将棋が大人気ですが、区では前々からゆかりある有名棋士の方が多く存在しています。区内では有志の方々や商店街が連携し、棋士の方々の協力を得て、全国から注目される将棋のイベントが多く行われてきました。近年では、他の自治体でも有名棋士との指導対局等をふるさと納税の返礼品として検討した事例があり、人気を博したようです。こうした例も参考にし、時流に合わせて将棋イベントとタイアップしてはいかがでしょうか。  より幅広い区民や寄附者にメリットが得られる返礼晶や寄附メニューを用意することは、決して高額返礼品競争に参画するということではなく、区の魅力を全国に発信し、納税を通した区政参加の促進や魅力あるまちづくりにつながることと考えます。区の見解を伺います。  次に、予期せぬ妊娠で苦しむ母子をなくすための取組についてお尋ねします。  厚生労働省の研究班や自治体の調査では、コロナ禍で予期せぬ妊娠、望まない妊娠の相談が増えているという結果が示されています。長引く外出自粛、自宅滞在時間の増加、所得の減少などが、DVを含む性暴力被害の増加につながるなど、女性や子どもを取り巻く環境は厳しいものとなっています。支援の取組は待ったなしの状況です。  区では、総合支所ネウボラ・チームが妊娠SOS相談を実施していますが、予期せぬ妊娠を役所に相談するというのはハードルが高いのではないでしょうか。若年者であれば、役所に相談したら、学校や親、近所に知られてしまうのではないかと二の足を踏むことが想像できます。埼玉、千葉などでは専門職のいる民間団体に委託し、妊娠SOSの電話相談を受けています。こうした事例は過去に他の議員も取り上げていましたが、区でも民間の支援機関と連携した取組ができないでしょうか。  NPOで電話相談を受けている助産師の方にお話を伺ったところ、妊娠したかもと不安に思ったそのときに、すぐに相談につながることが悲惨な事件を防ぐためにも肝心だということです。そのための仕掛けとして、学校等、思春期の子どもや若者が使用するトイレに相談先のチラシやステッカーが貼ってあると、相談につながりやすいと考えますが、いかがでしょうか。  また、その助産師さんは以下のようなことも述べていました。いつも感じていることですが、本当に必要な性教育が学校現場では行われていない、つまりは性に対する知識不足が多いと思っています。本当の避妊方法すら知らず、妊娠の知識もない、そんな方が男女ともに多過ぎます。また、同意のない性行為がDVに当たることも知らないなど、知識不足も感じます。日本の性教育の問題です。  以前我々は、議連でフィンランドに視察に行った際、児童館ではコンドームの啓発ポスターが貼られ、職員が子どもたちの性の悩みに相談に乗っていると聞き、とても重要なことと感銘を受けました。性教育、DVやデートDVなどの知識向上が喫緊の課題と考えますが、区はどう取り組んでいくのか、見解を伺います。  最後に、世田谷区社会福祉協議会ぷらっとホーム世田谷の今後についてお尋ねします。  ぷらっとホーム世田谷で行われている生活困窮者への支援とひきこもりの支援ですが、先日、地域の方が生活でお困りとのお話があり、連れ立って三軒茶屋のグレート王寿ビルに相談に伺わせていただきました。予約して行きましたが、受付の横にはずらりと相談に見えた方々が立って並んでおり、座る場所もありません。相談ブースも満杯、職員がフル稼働で相談対応をしていました。そのような中でも、職員の方には長時間にわたり根気強く相談に乗っていただき、気づくと閉館時間を過ぎて、辺りは真っ暗でした。  ぶらっとホームには、コロナ以降、特例貸付けや住居確保給付金の申請に区民が殺到、希望者がいまだ切れずに訪れており、相談者が激増したのに狭いということは以前から耳にしており、同じビルのらぷらすのスペースを借りるなど工夫がされたようですが、私が見た限り、利用者のプライバシーや職員の働きやすさの面でも、相談しやすい環境とは依然言いがたい状況です。新年度には移転の話がありますが、新しい場所は広さは十分なのか、早急に環境の改善を求めます。
     また、ぷらっとホーム世田谷では、困窮者を経済的困窮だけでなく、孤立して困っている人も対象にし、就労支援や当事者の居場所づくりなど、ひきこもり支援を行っています。新年度からは、三十九歳までの若者とその家族の相談窓口であったメルクマールせたがやがぷらっとホームと連携し、年齢を問わないひきこもり支援の窓口が新設されるとのことですが、ひきこもりの方々が八〇五〇、九〇六〇と高齢化し、より深刻化する中で、年齢で打ち切られることのない支援は大変重要です。  身内の話で恐縮ですが、主人の弟は、若い頃の離職をきっかけに、二十年以上ひきこもりに近い生活でした。精神障害と診断され、一時期はデイケアに行きましたが、合わずにやめてしまい、そのまま支援と切れてしまっていたようです。五十歳近くなり、義母の介護認定をきっかけに、地域包括支援センターの保健師や精神科訪問看護師の訪問につながりましたが、母の老健入所後は本人の意思で訪問を断り、我々親族とも連絡が途絶えてしまっていました。その義理の弟が昨年末亡くなったと連絡があり、身内だけの葬儀を行ったところ、私たち親族が知らない方々がお見送りに来られたのです。  聞くと、通所サービスの支援員の方々でした。この一年くらい毎日通所していたそうです。亡くなる前の日も、明日朝起きられるかな、もし俺が来なかったらモーニングコールしてよと話していた。それが朝、本当に来なかったので電話したら、連絡がつかず、残念なことだと肩を落とされていました。私たちは、孤立していたとばかり思っていた義理の弟に、最後までこうして寄り添い関わってくれた方々がいたこと、毎日通える居場所があったことに本当に驚き、感謝の言葉もありませんでした。夫は正直、弟が一人だと、いつか何か事件を起こすのではないかと気が気でなかったようです。様々なひきこもりに関する報道が、当事者への偏見や家族の苦しみにつながりかねない現状を指摘しておきます。  ひきこもりの方やその家族への支援には、介護、高齢、障害部門等の連携と息の長い支援が欠かせません。大人になってからのひきこもりは、離職、退職をきっかけになることが多いと聞きます。背景には、これまで気づかれていなかった発達障害などが隠れていることもありますが、障害認定を受けられないグレーゾーンも少なくありません。デイケア、当事者の活動グループなど、その人に合った福祉サービスや居場所につないで、社会や人との関わりが途絶えないようにすることが重要と考えます。区は今後のひきこもり支援をどう考えているのか伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎加賀谷 政策経営部長 私からは、区への寄附、ふるさと納税の取組について御答弁いたします。  ふるさと納税制度の本来の趣旨は、自治体と政策を自ら選択をし、資金面で参画できるものであると認識しております。区はこの間、共感いただける使い道をできるだけ分かりやすく示すことで、区への寄附につながるよう取組を進めてまいりました。昨年十月から十二月に寄附を募った羽根木プレーパークリーダーハウスプロジェクトは、期間中二百万円の目標を達成し、同じく十月に募集を始めました子どもの学習支援プロジェクトには、一月末までに六百万円近い寄附をいただくなど、一定の成果を上げていると認識しております。  過熱する自治体版通販の中にあって、ふるさと納税による区民税流出の拡大の要因を探るため、寄附者の属性や寄附先の特徴など分析をし、区財政への影響を考慮しながら、効果的に周知するとともに、寄附の動機となるような世田谷らしい特色ある政策をクローズアップして共感を訴えかけるなど、改めて戦略的な取組を組み立ててまいります。また、世田谷への愛着を広く全国の方に持っていただけるよう、御提案の内容も参考にしながら、区の魅力発信とともに、寄附への結びつきについて柔軟な発想で検討し取り組んでまいります。  以上です。 ◎辻 世田谷保健所長 私からは予期せぬ妊娠の対応についてお答えいたします。  予期せぬ妊娠はデリケートな問題のため、区役所のみならず、気軽に相談できる様々な窓口が身近にあることを積極的に周知啓発する必要があると認識をしております。  若い世代向けの相談ツールとして、東京都はLINEのチャットボット「妊娠したかも相談@東京」を開設し、インターネット上での広告や普及啓発カードを都内の高校、専門学校、大学、ドラッグストア、ネットカフェに配付する等、普及啓発を進めております。  区におきましては、ホームページに総合支所健康づくり課の妊娠SOS相談を掲載するとともに、東京都妊娠相談ホットラインのリンクも掲載をしております。実際の相談におきましては、東京都並びに都の民間委託先とも連携をして支援を行っております。さらに、若い世代への普及啓発として、児童館や図書館、青少年交流センター施設のトイレ等に、東京都の普及啓発カードを配備するなど、より多くの若い世代に正しい相談先の情報を提供できるよう、関係所管と調整してまいります。  私からは以上です。 ◎片桐 生活文化政策部長 私からは、性教育、デートDV等の対策充実についてお答えいたします。  性教育を通じて正しい知識を持ち、個人の尊厳を重んじる意識を育むこと、また、DV、デートDV、性暴力の予防と被害者支援を充実することは、予期せぬ妊娠の対策につながる重要な取組であると考えております。  区では、デートDV防止に向けた相談窓口案内カードつきチラシ、小冊子などの啓発物を作成し、区内の中学二年生全員を対象に配付を行っております。また、男女共同参画センターらぷらすで実施する高校でのデートDV出前講座で取り上げる際には、性的同意の大切さや避妊に協力しないこともDVであること、相談先があることなども含めてお伝えしております。今後も予防啓発の重要性を踏まえ、相談につながりやすい環境づくりや各種相談先の紹介を含め、関係所管や民間の支援機関と連携して取組を進めてまいります。  以上です。 ◎澁田 保健福祉政策部長 私からはぷらっとホーム世田谷について二点お答えいたします。  一点目でございます。相談場所の環境改善についてお答えいたします。  現在、ぷらっとホーム世田谷はグレート王寿ビル六階の約二百九十平方メートルの事務スペースにおいて執務をしておりますが、コロナ禍により相談者が増大したため、六階に加えて四階のらぷらす研修室も利用させていただき、合計で九室の相談ブースで相談者への対応を行っております。  令和四年四月からは、メルクマールせたがやとせたがや若者サポートステーションとともに三軒茶屋駅近くのSTKハイツに移転し、ぷらっとホーム世田谷の占有面積は二階と三階を合わせまして約三百四十七平方メートルと、約二割拡大することとなります。また、この移転によりまして、ビル内に相談室が十二室となり、個室型の相談室二室、防音の相談室三室も完備されることから、移転する三事業者が相談室を相互に有効利用することにより、移転後も増大する相談に対応できるよう環境改善に努めてまいります。  二点目でございます。今後のひきこもり支援についてお答えいたします。  令和四年四月に開設するひきこもり相談窓口では、三十九歳までの若者を対象としていたメクルマールせたがやが四十歳以上のひきこもりの方も含めて、専門性を生かした支援をぷらっとホーム世田谷と共同で行います。相談窓口では、自立支援や家計改善支援等の課題に対応するぷらっとと、心理士等の専門職を配置しているメルクマールが一緒に面談し、相談ニーズや課題を共有し、必要に応じて、高齢者、若者、障害などの関係機関との支援会議を行い、主たる支援機関や役割分担を定め、支援プランを作成いたします。支援プラン作成後は、定期的にモニタリング会議を行い、支援の隙間が生じないよう、連携して支援を行ってまいります。  メルクマールの実績から、早期に相談につながった方ほど、就労、就学など社会とのつながりが持て、回復する方が多いことが分かってきております。まずは心配になった方が気軽に相談支援につながり、社会とのつながりが持てるよう居場所の充実などにも取り組んでまいります。ひきこもりは当事者の状況により様々なケースが想定されることから、医療機関なども含めたそれぞれの支援機関がその専門性を生かし、本人や家族の要望も尊重しながら、総合的かつ継続的な支援が実施できるよう、必要な体制整備に努めてまいります。  以上でございます。 ◆三十二番(中塚さちよ 議員) 御答弁ありがとうございます。  メルクマールせたがやのひきこもり支援について、ぷらっとホーム世田谷と共同で行うということですけれども、これがメルクマールの実績から、早期に相談につながった人ほど就労、就学など、社会へのつながりが持ちやすい、回復しやすいということをおっしゃられていますけれども、もともと就労や就学でつまずいたことがきっかけでひきこもりになった方々が、就労、就学するところをゴールにした支援を受けるというのはとてもハードルが高いことだと思います。ひきこもりの方々への支援のゴールが就労、就学なのか、もちろんそれを希望して、そういった方々ばかりであればいいんですけれども、そうではない方々が取り残されるのではないかということを懸念します。もう一度世田谷区のひきこもり支援に関して御答弁をお願いします。 ◎澁田 保健福祉政策部長 ひきこもり支援についての再質問にお答えいたします。  ひきこもり支援に当たりましては、当事者の個人の尊厳と将来の生活に対する希望を尊重し、自己決定や自己選択の自由を尊重しながら、本人のニーズに合った目標設定や寄り添った支援を行うことが重要だと考えております。このため、ひきこもり相談窓口では主たる支援機関を定め、多職種、多機関が連携し、居場所の確保、社会との関係連携づくりや必要に応じた就労支援など、当事者の意向や状況に応じた適切な支援につなげることとしており、令和四年四月にはぷらっとホームとメルクマールが連携して、四十歳以上の方を対象とした新たな居場所づくりにも取り組むこととしております。今後とも、ひきこもり状態を含む社会との接点が希薄な方や、社会との接点が持ちづらい状況にある方とその家族が、気軽に相談支援につながれることができ、当事者が自分らしく暮らすことができる地域づくりに努めてまいります。  以上でございます。 ○下山芳男 議長 以上で中塚さちよ議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、二十三番中里光夫議員。    〔二十三番中里光夫議員登壇〕(拍手) ◆二十三番(中里光夫 議員) 日本共産党世田谷区議団を代表して質問します。  初めに、憲法と平和をめぐる問題です。  ウクライナ情勢や米中の覇権争いなど軍事的な緊張が高まる下で、岸田首相は敵基地攻撃能力保有の検討を公言し、防衛大臣は、自衛隊機が他国の領空に入って軍事拠点を爆撃することを排除しないと述べました。戦争放棄の憲法に反するものです。さらに、岸田首相は任期中の改憲を公言し、九条改憲に前のめりです。日本は、憲法九条を生かした平和外交による国際間の紛争解決に力を尽くすべきです。日本共産党は、毎年開催されているASEAN十か国プラス日米中ロを含む八か国の平和の枠組みを活用発展させることを提案しています。  世田谷区は、平和都市宣言、平和首長会議加盟、平和資料館設置と、平和の取組を進めてきました。保坂区長は、これまでも平和憲法を次世代に引き継いでいきたい、憲法改正を決して拙速に進めることなくと、平和憲法を守る考えを表明しています。保坂区長も呼びかけ人に名を連ねる首長九条の会は、昨年十二月の総会アピールで、憲法審査会での改憲発議を阻止すること、参議院選挙で改憲勢力の三分の二を食い止めることを改憲をめぐる重要な争点として挙げ、戦争につながる九条改憲を決して許さない決意を訴えています。区長の活動は平和を願う区民と運動を励ましています。憲法九条を守るために総会アピールの立場での積極的な区長の対応を求めます。区長の見解を伺います。  次に、コロナ対策です。  都内の感染者数は連日一万人を超え、死者数は連日記録を更新、救急搬送困難事例は二月七日の週で都内二千六百六十二件と深刻な状況です。ところが、政府は対策の緩和に言及し、楽観論を振りまいています。また、政府は取組の全体像を更新しておらず、オミクロン株感染拡大前の対策に終始しています。全国知事会は十五日に緊急提言を発表、オミクロン株の特性等を踏まえた感染対策、危機的状況が国民に正しく認識されるよう、国として強く発信することを求めています。ワクチン接種では、国がブレーキをかけ、接種が大幅に遅れることにつながりました。検査では、国は検査を軽視してきたため、医療機関でさえ検査キットが不足する事態が続いています。医療逼迫、検査キットの不足、ワクチン接種の遅れなど、国の責任は重大です。現状が国民に正しく理解されるよう、国として強く発信すること、国が全般的な対応方針を明らかにするとともに、感染対策の十分な物質的、財政的保障を行うことを国に対し強く求めるべきです。見解を伺います。  主に介護を担っている方が感染した場合、要介護者の感染を防ぐために一時的に避難させ、必要な介護が受けられる仕組みが必要です。この間、事業者から再開を求める声が届いています。区はそのために緊急ショートステイ枠を確保してきましたが、この事業は一月末で終了しました。事業は継続すべきでした。早急に再開すべきです。また、障害者にも同様の対策を求めます。見解を伺います。  自宅療養中の陽性の介護者を訪問介護するには、防護服を装備し、長時間の滞在や体を密着させるなど、感染リスクの高い介護を行います。自宅療養中の感染者への訪問に対し、医師九千五百円、看護師一万五千六百円など加算があるのに対し、介護士はゼロ円です。十七日、区内介護事業者も参加する有志が改善を求め、約三万七千名の署名とともに厚生労働省に要請をしました。訪問介護、障害事業者が感染者を訪問した際の加算創設など、制度改善を国に要望すること、区独自の支援の充実を求めます。見解を伺います。  区内産業のコロナによる影響は、区の調査でも前年比で売上げが半減以下の事業所が四割を超えるなど、甚大な影響が出ています。食品加工業の方は、支援金の対象からぎりぎり外れ、売上げ減少の中、真綿で首を絞められるような思いで商売を続けている、こうおっしゃっています。一昨年の持続化給付金は、法人二百万円、個人、フリーランス百万円を上限に給付。しかし、現在の事業復活支援金の給付額は半分以下です。抜本的な強化、そして迅速な給付を国に求めること、区としても丁寧な申請の支援を求めます。  区がせたがやPayを活用した直接支援に踏み出したことを評価しますが、利用者はまだ狭い範囲にとどまっています。より広い事業者に対する直接支援の再開を求めます。  ゼロ金利融資の再開を評価します。これまでの融資の返済に不安を抱えている事業者も出ています。金融機関に対し、返済条件の変更や借換えに柔軟な対応を求めるべきです。事業者への直接支援、資金繰りを支える援助強化について伺います。  次に、介護の人材確保についてです。  介護事業所の話を聞きました。現場の方々からは、もともとの人材不足に加えて、コロナ感染の影響で大変深刻な事態です。介護職の宿舎借上げ支援の拡充は処遇改善につながり評価しますが、そもそも給与水準が低いことが問題です。さらなる処遇改善が必要です。  介護事業所が人材を確保する際に、人材紹介会社の負担が経営を圧追しています。紹介手数料は募集人材の年収の約三五%、年収四百万円なら百四十万円程度など、金額が請求されます。有料職業紹介の自由化で手数料が大きくなり、本来職員の給与などに回るべきお金が人材紹介会社に流れています。せめて税金や保険料を財源とする公的分野については紹介手数料の上限規制を求めるべきです。国に対し有料人材紹介に対する規制を求めるべきです。  また、新年度予算案での介護職確保策を評価しますが、小規模な通所・訪問事業者からは、施設系の補助が多く、小規模事業所向けの手厚い支援が必要と伺っています。さらなる対策強化を求めます。区の見解を伺います。  世田谷区は特養ホーム千人分の整備計画を進めていますが、待機者は約千三百人、整備率は二十三区中二十一位という状況は改善していません。我が党は、この状況の早期改善、千人計画の上方修正を求めてきました。人材確保と合わせ、特養ホームの千人分整備計画の上方修正を求めます。見解を伺います。  最後に保育です。  世田谷区は、保育の質にこだわり、認可保育園を中心に整備を進め、国基準の待機児ゼロを実現してきました。しかし、人口動向や社会状況、コロナの影響などで保育ニーズは変化し、待機児の今後の動向は不透明です。今後も認可園を中心に保育の質を守りながら待機児ゼロの継続、そのため区立保育園が区立保育園の今後のあり方に示された役割の発揮が重要です。しかし、区は昨年九月、保育定数適正化として当面新たな認可保育園は整備しない、区立保育園の定員見直しと再整備を進める方針を示しました。  一方、短時間保育などの多様な保育ニーズを踏まえ認証保育の支援強化の方向も示しました。この方針に従えば、認可保育園を縮小し、認証など認可外を保育ニーズの受皿としていくことになります。これで保育の質は守れるのか、区立園の定員減や統廃合で将来にわたって区立保育園の役割を果たせるのか、区長がこれまでこだわってきた保育の質を守る基本姿勢の後退ではないでしょうか。保育定員適正化は、保育ニーズが増えたときに定員増もあるのか、適正な保育定員は毎年見直しが必要です。いつ、どのような視点で検証するのか伺います。  区立保育園の役割とは何か、区立保育園がその時々の状況に応じて役割が発揮できるよう体制を整えること、保育関係者、保護者などの参加と協働で進めることを求めます。見解を伺います。  以上、壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 中里議員の御質問にお答えいたします。  議員のお話にもあるように、目下、ウクライナをめぐる情勢は、我々がこうして議論している間にも極めて危険な状態にございます。この間、第二次世界大戦以来という陸上戦力のロシア軍による集中、周辺、ベラルーシ、クリミア半島など、ウクライナは包囲されているような状況にあり、しかも、演習では核兵器が搭載されるミサイルなどの発射も行われ、また、その核兵器の一部使用さえ言及されている、こういう事態にあります。  また、ウクライナには、世界的な大事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所以外にも、稼働中の原発が複数存在しています。原発がある地域での地上戦、ちょっと考えたくありませんけれども、大変な危機が今ここにあるというふうに考えております。  だからこそ、平和的な外交的な様々なアプローチを世界各国は試みていると思いますが、日本政府もその中心に立って懸命に戦争の回避、これを働きかけていくべきだというふうに思います。そのような意味でも、憲法九条を持つ、この日本の立脚点は大変貴重なものだというふうに思いますし、世界の人々が平和のうちに生存する権利を理念としている平和憲法を変えるべきではないというふうに以前から申し上げているとおりであります。  憲法で保障される平和は、全ての人が生きていく上で必要不可欠なものであり、区民の生命と財産を守ることは自治体の責務でもあることから、かつての戦争を振り返り、これを繰り返さない決意を込めて、区民の皆さんとともに、次世代を担う子どもたちに平和を手渡していく。その作業を丹念に続けていきたいというふうに思います。  区としても、一九八五年、昭和六十年の核兵器の廃絶と恒久平和を誓った平和都市宣言に基づいて、今後、現に動いている戦争への危機、ここを何とか回避しようという声を、多くの世界の思いを等しくする皆さんとともに、私は上げていきたいと思います。 ◎澁田 保健福祉政策部長 私からは、国のコロナ対策に対して対応方針を明らかにし、十分な物質的、財政的保障を求めるべきという御質問にお答えいたします。  国のコロナ対策の課題は、まず第一にワクチンの接種間隔でございます。昨年十一月に厚生労働省の専門家分科会は、三回目接種について、おおむね八か月以降とする一方、自治体の判断で六か月以降とすることも可能としたにもかかわらず、厚生労働省大臣は原則八か月としたため混乱を招きました。区長自ら厚生労働省を訪ね、特に重症化リスクの高い高齢者施設に対し、六か月の前倒し接種を要望いたしましたが、受け入れられませんでした。区では、昨年十二月末に他区に先駆けて、高齢者施設の巡回接種を開始しましたが、現在に至るまで全体の接種スケジュールに大きく影響をしております。  第二に検査資源の確保でございます。昨年十一月に感染拡大の傾向が見られる場合に、感染の不安がある無症状者に対し、検査を無料でできるよう支援を行う旨の閣議決定をしたことは一定の評価をいたしますが、PCR検査試薬や抗原定性検査キットの供給不足が生じたことは御案内のとおりです。厚生労働省は優先順位を示しましたが、いまだ十分な供給は確保されず、医療機関や社会福祉施設には区が所有していた分を譲渡し、支援をしている状況でございます。  こうしたことを踏まえて、国に対しましては、病床確保も含めて一歩先を見据えた対策に取り組んでいただくことに加え、第七波、第八波に備えた必要な財源措置について要望をしてまいります。  以上でございます。 ◎長岡 高齢福祉部長 私からは四点お答えいたします。  まずコロナ対策に関して、要介護者を受け入れるショートステイ事業についてです。  在宅で介護している家族が新型コロナに感染した場合に、濃厚接触者となった要介護高齢者を受け入れるための在宅要介護者の受入れ体制整備事業を区内介護施設のショートステイを活用し、昨年五月から本年一月までの九か月間実施してまいりました。受入れ実績は七件で、うち六件は第五波の際の実績でした。当事業を委託した介護施設では、本来のショートステイの予約を二か月前から受けており、区が十一月末の段階で二月以降の当事業の継続の可否を判断する必要がありました。ところが、当時は区内の感染者はほとんどなく、利用に関する相談も九月上旬以降全くなかったため、継続とはいたしませんでした。これまでの約二年の間、変異株の出現や、それに伴う感染拡大の波が繰り返されてきたことを踏まえまして、現在、四月以降の事業再開に向けて施設と協議調整を行っているところでございます。  次に、陽性となった要介護者の自宅療養を支える訪問介護等への支援についてです。  訪問介護事業所等の介護サービス事業所や居宅介護等の障害福祉サービス事業所に東京都は、サービス提供体制確保事業等により、利用者に陽性者が発生した場合等のかかり増し経費に対して補助を行っております。また、区でも、高齢者、障害者施設等支援金として、利用者に陽性者が発生した事業所等には、事業継続に必要な人員確保のための賃金や手当等に補助金を交付するとともに、必要に応じて衛生・防護物品の支援に取り組んでおります。引き続き事業者に対する必要な支援に努めるとともに、国や都に対しては、事業所がサービス提供を安定的に実施するための補助等に関して、機会を捉えて要望してまいります。  次に、介護人材確保の支援等についてです。  区では、介護サービス従事者の確保を支援するため、令和元年度より介護人材採用活動経費助成事業を実施しております。この助成は、求人サイトや求人広告の掲載料のほか、求職者向けパンフレットの作成や自社ホームページの求人情報のリニューアル、事業所PR動画の作成などに利用されております。  来年度は、こうした三年間の利用実績や、介護事業者の方にも参加いただいている介護人材対策推進協議会での御意見等も踏まえ、さらなる対策として、事業所からの情報発信の活用を促す仕組みを見直して、より効果的な支援とするようにいたします。  また、有料職業紹介事業につきましては、採用業務の省力化等のメリットがある一方で、紹介料が事業者の負担となっており、経営に影響を及ぼしているといった声があることは承知しているところでございますので、今後、介護事業者等の御意見も伺いながら、どのように対応するか検討してまいります。  最後に、特別養護老人ホームの整備についてです。  区では、特別養護老人ホームの整備について、平成二十七年度から令和七年度までの中長期の目標としまして、定員千人分の整備目標を定めております。進捗状況は、平成二十七年度から令和三年度までに五百九十三人分の整備が進んでおり、現在累計で二千四十五人分となっております。令和四年度以降、旧若林小学校跡地や弦巻五丁目国有地等を活用して、さらに二百七十人分程度の整備を見込んでおり、今後も目標達成に向けて着実に整備を進めてまいります。その後の整備につきましては、第九期介護施設等整備計画を策定する際に、改めて必要数の推計を実施した上で検討してまいります。  また、さらなる介護人材の確保、定着を推進するために、これまで特別養護老人ホームの介護職員等を対象とした介護職等の住まい支援を、令和四年度からは地域密着型サービス事業所の介護職員等にも対象を拡大して、質の高い介護サービスが安定的に提供できるよう取り組んでまいります。  以上です。 ◎須藤 障害福祉部長 私からは、介護する方が新型コロナに感染した場合の障害者支援、こちらについて御答弁を申し上げます。  在宅で介護を要する障害者の支援につきましては、自宅等へのヘルパーの派遣、それから障害者施設での受入れによる対応を行っております。ヘルパーの派遣につきましては、障害者の御自宅や状況によって施設への派遣を行うこととし、三月まで五つの事業所と契約を結んでおりますが、ふだん関わりのないヘルパーの方が対応するということで、当事者の方について受け入れられるかどうかといった課題がございます。施設での受入れにつきましては、他の利用者と安全性が確保できる民間施設、こちらで対応してまいりましたが、この間の実績が一件であったことや、施設の利用の待機者もいたため、一月末でこちらも終了をしております。  障害者施設は、小規模で動線の区分けが難しい、困難だといった場合など多く、あと親しんだ施設を好むといった傾向もございますので、他施設の受入れについての課題を検証する必要がございます。四月以降につきましては、障害特性に応じて対応できるよう、引き続きヘルパー派遣について調整を行うとともに、施設での受入れについても検討してまいります。  以上です。 ◎田中 経済産業部長 私からは事業者支援関連を御答弁いたします。  長引くコロナ禍の区内経済への影響は長期化する可能性があり、引き続き区内事業者の経営改善に向け支援が必要であると認識しております。  御指摘の事業復活支援金ですが、給付状況を注視しながら、国にも必要な要請を行ってまいります。また、申請の支援としては、申請方法が不案内な方や電子申請に不慣れな方に対しては、国のサポートセンターや産業振興公社が申請サポートを行っており、産業振興公社の相談体制を強化したところです。  お話の事業者への直接的な給付などの支援は、現在、国の事業復活支援金が給付されていることから、今後のコロナ禍の状況や経済状況、また、国や都の特定財源などを注視しながら、必要に応じて施策を検討してまいります。  融資あっせん制度につきましては、区と金融機関とで情報交換を続け、事業者の実情や要望等の把握に努めてまいります。そこでの意見等を融資制度に取り入れたり、さらには金融機関に事業者への柔軟な対応を依頼するなどにより、事業者のニーズに応える制度となるよう引き続き連携協力してまいります。  私からは以上です。 ◎和田 保育部長 私からは保育について二点御答弁いたします。  まず、保育定員の適正化についてです。  令和三年九月にお示しした今後の保育施策の取り組み方針では、保育の質の維持向上に向けた取組強化に加えて、保育定員適正化へ向けた取組を重点方針の一つに掲げ、既存の保育施設の欠員の増加等への対応として、当面の間、認可保育園の新規施設整備を実施しないことや、区立保育園の弾力化解消、定員減などを進めております。  昨年の四月時点ではゼロ歳児の欠員が目立ちましたが、九月にほぼ欠員が解消したことから、年度途中入園のニーズも高まっていると推測しています。また、就学前人口が減少する中、令和四年四月の入園申込み状況から、保育を必要とする方の割合は高まっていると推測しています。その一方、最新の人口推計では、当分の間、就学前人口の減少が続くとされております。  こうした状況を踏まえ、今般お示ししました保育施策の取組状況にありますように、区立保育園の定員調整や再整備計画の方向性に加えて、今後の保育需要の変化に対応できるよう、入園選考の見直しを含めた定員適正化への対応策を総合的に検討し実施してまいります。今後の保育定員の適正化については、保育待機児童ゼロの継続と子どもを中心とした質の高い保育の実現に向け、今後も引き続き保育需要を慎重に見極めながら、子ども・子育て会議等での保育施策を検討し、区議会へも報告しながら進めてまいります。  次に、区立保育園の役割及び保育施策における参加と協働について御答弁いたします。  区立保育園の役割につきましては、平成三十一年二月に定めた区立保育園の今後のあり方において、地域における身近な公設の児童福祉施設として、子どもの育ちのセーフティーネットとしての役割を行政の責任の下担い、全ての子どもの安全と健やかな育ちを保障すると定め、これに基づき取組を進めてまいりました。  今般御報告いたしました保育施策の取組状況におきましても、保育定員の適正化とともに、地域に開かれた子育て家庭への支援の充実を掲げ、区立保育園における一時預かり事業を拡充するとともに、保育施設による地域の子育て家庭支援への役割強化をさらに進めていくとしています。今後も引き続き区立保育園が全ての保育施設間のネットワークの核となり、安全で質の高い保育の提供、子育て家庭への支援など、地域、地区に目を向けたきめ細やかな事業が展開できるよう、社会情勢や区民ニーズに照らしながら、必要な人員や財源を確保するとともに、区立保育園の定員調整等について、保育需要など慎重に見極め、広く子ども・子育て会議や現場の声などを聞きながら進めてまいります。  以上でございます。
    ◆二十三番(中里光夫 議員) 平和と憲法の問題で、区長に憲法を大切にしているという思いを語っていただきましたけれども、その中で、平和を願う人々とともに、今後も声を上げていきたいというお話がありました。憲法改憲をめぐって、今大きく議論も起こっている、そういった機運もある。区長も参加している首長九条の会では、この改憲の動きを阻止していくという決意も語られていますけれども、区長の今後の具体的な取組の思いであるとか、憲法を守るということについて、もう一度御答弁をお願いします。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 再質問にお答えいたします。  第二次世界大戦以降、世界大戦というものは起きていないわけですが、今回のウクライナ危機については、どこまで規模が広がっていくのか、予断を許さない厳しい状況にあると思います。だからこそ、平和の価値を改めて、そしてその平和を唱えているだけでは平和は維持できず、積極的な外交交渉や、その意味では、憲法の価値をいま一度私自身も振り返り、そして政治的な場面でしっかりと発信をしていくということも大変必要な時期だと思っております。 ◆二十三番(中里光夫 議員) 終わります。 ○下山芳男 議長 以上で中里光夫議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、三十六番ひえしま進議員。    〔三十六番ひえしま進議員登壇〕(拍手) ◆三十六番(ひえしま 進 議員) 以下、通告に基づき質問いたします。  政府の発表によれば、オミクロン株の感染拡大のペースは落ち着き始め、第六波のピークを越えたとのことですが、当然のことながら、気を緩めることなく、予防徹底や三回目のワクチン接種の推進をはじめ、引き続き万全な感染症対策を講じていかなければなりません。今なお新型コロナに罹患して入院されている方や後遺症に苦しんでおられる方々へも、切れ目のない支援を力強く行っていく必要があります。  これまでの世田谷区の新型コロナに関する対策を振り返ってみますと、世田谷モデルの騒ぎから始まり、直近の無料抗原定性検査キットのばらまきやPCR検査バスの導入に至るまで、感染拡大の防止やクラスター化の抑止という、区自らが現行最も注力すべき事柄だと認識しているにもかかわらず、区民の安心安全につながるような有効な手だてを講じられているとは到底思えません。  まず、無料抗原定性検査キットのばらまきについてです。  医療機関での検査キット不足が叫ばれる中で強行したこの事業は、成城学園前駅など区内三か所で計四万キットを配布したとのことですが、身元確認を十分に行わなかったせいで、対象とした区内在住者、在勤者、在学者のいずれにも該当しない相当数の人が受け取った可能性があります。また、区が想定した以上の人出となり、配布日時も早々に切り上げたため、行列してもらえなかった人々から苦情の声が殺到しました。挙げ句の果てにはネット上でキットが転売されるなど、区民に対して配布する目的を十分に説明せぬまま見切り発車で行われた、あまりにもずさんな施策と言わざるを得ません。  そもそも、この事業は第八次補正予算案に含まれているものであり、まだ議会の承認を得ていないにもかかわらず、先手を打って既成事実化するという手法も承服できるものではありません。この一連のキットばらまきについて区の見解を問います。  また、急遽変更したとのことですが、当初、検査キットは区内の薬局を通じて二十万個を配布するという計画でもありました。これはどういう目的で実施する必要があるのか、説明を求めます。  繰り返しますが、全国の医療現場で検査キット不足が問題になっております。メーカーによる増産が急ピッチで行われているとは言うものの、目的を明確にせず、いたずらに医療資源を無駄にするような施策は慎むよう厳しく指摘をしておきます。  次に、上用賀公園の拡張用地におけるPCR検査バスについてです。  この検査バスの利用対象者は、まず無症状というのが大前提で、ばらまき検査キットや都の無料PCR検査、あるいは市販の検査キットで陽性疑いになった人とあります。まず、コールセンターへの予約が必要で、診療所との位置づけから有料であります。一日の検査数は最大三百人という優れものだそうですが、スタートから間もなくの利用者は十人に満たない日が続いたとのことで、後に対象には陽性者が発生した保育園と高齢者・障害者施設が追加されました。対象範囲が拡大される前と後ではどれだけ検査数が増えたのか、実績をお聞きします。また、事業にかかる経費と期限も併せてお答えください。  いずれにせよ、無症状の濃厚接触者限定であります。このように無症状者に拘泥している限り、検査数が一日三百人に達するとは思えず、多額の税金がまた無駄に使われてしまうことは容易に想像がつくわけであります。そうならないためにも、医師会と連携を密にしながら、有症状者の検査実施を速やかに実現するよう強く要望します。  世田谷区は他の自治体よりも比較的早く抗原定性検査キットを導入し、高齢者・障害者施設や小中学校、保育園、幼稚園など各所へ配付してきました。ここで各所の実施状況をお聞きします。何でもやりっ放しではなく、税金を使っている以上、しっかり検証し、有効でない施策は随時見直すべきであります。特に小中学校では行事前検査を行ってきましたが、これまで何人の陽性者が出ているのかお示しください。  区の新型コロナの検査体制は、保坂区長の強いこだわりから、世田谷モデルに始まり現在に至るまで、無症状者に特化したものであります。しかし、検査は無症状者ではなく有症状者にこそスピード感を持ってなされるべきであることは、医療現場が確定診断できず大混乱に陥った今回の第六波から学ぶべき最大の教訓ではないでしょうか。むやみやたらと無症状者の陽性者をあぶり出そうとするのではなく、有症状者の治療に日々奔走している医療機関にこそ手厚い支援を徹底して行うべきだと考えます。今後、区としてどのように取り組むのかお答えください。  次に、人と動物との共生推進ボランティア事業についてお聞きします。  新型コロナの影響で、自宅で時間を過ごす機会が増えるにつれ、ペットを迎える人も多くいます。単身世帯の入院や災害時避難の不安など、区には、これまで以上に犬や猫の飼育にまつわる区民からの相談にきめ細やかに対応し、アドバイスするよう要望します。  内容としては、各ボランティアに対して一件当たり五千円から一万五千円を助成するもので、これまで手弁当で活動されてきたNPOなど、心ある方々の一助となることを祈り、支持するものであります。しかしながら、制度が悪用されるおそれがないとも限りません。不正を排除するために、区は具体的にどのような審査を行い、活動をチェックするのか確認します。また、熱心に取り組まれる人が多く、区民の関心が高い地域猫についての活動支援について考えをお聞かせください。  最後に、我が党の創設者である橋下徹元代表の発言に関する保坂区長の認識について伺います。  区長は一月二十八日、同日付のニューズウィーク日本版に掲載されたブロガーの藤崎剛人氏のヒトラーにたとえるのは「国際的にご法度」かと題する論考をリツイートしました。そのリツイートには、この藤崎氏の論考の中の以下の文章、少々長いですが、そのまま読み上げます。「ナチスの手口に学んだらどうか」と発言した麻生太郎財務相(当時)の発言を、当時維新の会の代表を務めていた橋下氏は「憲法改正論議を心してやらなければいけないというのが(発言の)趣旨だったのではないか」と擁護した。本来はこの発言こそ「国際的にご法度」なはずだという文章が切り取られ、貼り付けされております。  初めに言っておきますが、リツイートは、これまでの様々な法的な見解を見ても、一般的にその投稿に賛意を示す行為であることとみなされていますので、保坂区長が藤崎氏の主張に賛同していると多くの人々は理解をします。  藤崎氏の論考の全てをここでは言及できませんが、以下、趣旨を述べます。事の発端は、菅直人元総理が橋下氏と日本維新の会についてヒトラーになぞらえてツイッター上で批判したことですが、これに対して、橋下氏がヒトラーへ重ね合わす批判は国際的には御法度、また、吉村洋文大阪府知事が国際法上ありえないと反論したことについて、藤崎氏は国際的に御法度や国際法上あり得ないというのは誤りだと述べ、菅氏の発言は論評の範囲内で問題ないとするものであります。そして、藤崎氏は、区長がコピペした文章にあるとおり、麻生氏の発言を橋下氏が言及した内容こそ国際的に御法度のはずだと断定しておりますが、区長は藤崎氏の主張に賛同されていることで間違いないか、見解を伺います。  私は、ホロコーストなどをはじめ、非人道的行為を行った許されざる独裁者として歴史の評価が定まっているヒトラーになぞらえて他人を批判する行為は、それがたとえ政治家同士であっても厳に慎むべきであると考えます。先ほど指摘したとおり、藤崎氏は橋下氏が麻生氏の発言に触れたコメントについて国際的に御法度のはずだと非難しておりますが、そもそも、橋下氏がナチスの手口に学んだらどうかと言っているのではなく、それは麻生氏の発言であり、橋下氏はあくまでその見解を述べたにすぎません。それを藤崎氏は、麻生氏ではなく橋下氏だけを一方的に断罪しており、結果として菅氏の問題発言は免罪されるという文脈のこの論考は、公正さや正確さを欠いた甚だ偏ったものであると言わざるを得ません。  こうした極めて政治色の強い、特定政党とその関係者をおとしめる文章を、公正中立を旨とすべき九十二万区民のトップに立つ区長という立場の公人が軽々しくリツイートしてよいのでしょうか。最近も野党第一党の政治姿勢を批判する内容のツイートを何回もされております。保坂区長のツイッターには十一万人以上のフォロワーがおり、その影響力は決して小さくありません。答弁を求めます。  以上、壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 ひえしま議員にお答えをいたします。  菅直人元総理が橋下元代表に対しての発言に関わったそのブログの記事、これをリツイートした真意は何かという御質問でございます。  まず、私は、橋下氏の弁舌に対して菅直人氏がヒトラーを思い起こすとツイートした件に関して、これで議論が随分広がりましたが、私は菅氏の言葉の選び方に熟慮が必要だと感じてまいりました。すなわち、その表現がよしというふうには思っておりません。ただし、一方で、ヒトラーと重ね合わす批判は国際的には御法度、あるいは国際法上これはないんだと、こういう議論がテレビ等で、メディアで、私も見た番組でもされていました。これに対して大変大きな違和感を感じていたところであります。  私の知る限り、その御法度というのはいかなる構図にあるのか、あるいは、その国際法というのはどういう国際法なのか、不明であります。ツイッターでリツイートした内容、トランプ、バイデン両大統領やメルケル首相ですらヒトラーに例えられたという部分であるとか、ナチスの手口に学んだらどうかという当時の麻生財務大臣の発言について国際的に御法度という形で引用をさせていただきました。あくまでも当時の麻生財務大臣のナチスの手口に学んだらどうかねと、これはアウトだろうと、これは国際的に御法度だろうという趣旨でございます。それについて橋下氏がいろいろ感想を述べている部分はありますが、それについて御法度だというふうに私は思っているわけではありません。あくまでもそういう趣旨でございます。  ナチスドイツ、ホロコースト、議員からも言及がございました。今まさにウクライナ危機でございます。互いに一九三〇年代から第二次世界大戦までのナチスのその時代、そして、選挙によって選ばれたヒトラーの独裁、これを許したワイマール憲法下のドイツの歴史的教訓を生かして、お互い民主政治を守っていきたいと思います。 ◎有馬 保健福祉政策部次長 私からは、新型コロナの検査体制について、五点について順次答弁いたします。  初めに、抗原定性検査キットの無料配布についてです。  区内三か所における抗原定性検査キットの配布につきましては、これまで実施してきた高齢者施設等の随時検査の経験から、職員の約半数が区外在住であることから、対象を区民及び区内在勤・在学の方とし、体調が気になる際等に御使用いただくため、緊急対応として四万キットを配布いたしました。  本事業につきましては、議員お話しのとおり、緊急性を考慮し、手続を簡素化し、また、対象者が多くなり、配布期間を待たずに予定数量に達し、事業を終了することになりました。配布に当たっては、チェックシートにより、転売の禁止や陰性の場合でも偽陰性の可能性がある旨の説明等を実施していたものの、より重症になりやすい方や御家族が陽性になった方に優先してお使いいただくなど、効果的な使用方法を例示する等して御説明できなかったことなど、反省点や課題が残りました。  今後予定している薬剤師会による配布につきましては、重症化が懸念される高齢者や基礎疾患のある方を対象に、区内三か所で実施した配布事業の反省点や課題を踏まえ、検討を進めてまいります。  二点目は、高齢者・障害者施設等における検査状況でございます。  高齢者及び障害者施設については、まず、抗原定性検査では令和三年十一月より、第六波のさらなる備えとして、感染が不安な場合や体調が気になる等を事由として職員が使用する抗原定性検査キットを希望する事業所、施設に約五万キットを配布しました。令和四年一月には、感染状況の深刻化から、配布した抗原定性検査キットを利用者にも使用可能とするなど、状況に応じて運用を変更しております。さらに、二月中旬に入ってからは、高齢者の入所系施設において随時検査を優先的に受け付けるなど、高齢者施設における感染拡大や重症化を防ぐ取組を進めております。  三点目が、保育園、幼稚園における検査状況でございます。  保育園及び幼稚園における状況ですが、高齢者・障害者施設と同様に、十一月に第六波のさらなる備えとして、希望する施設に対して抗原定性検査キットを配付しました。また、第五波では、家庭から保育園に感染が広がることが多かったことを踏まえ、十二月には、園児の家庭内感染予防として、園児の家庭に対し抗原定性検査キットを約七万キット配付いたしました。  一月には、感染拡大が深刻化したことにより、随時検査で一日五百件以上、十施設を超えて対応してまいりましたが、それでも申込みから検査実施まで時間を要することとなったため、保育施設で陽性が発生し、濃厚接触者が特定された場合、抗原定性検査キットを配布するとともに、上用賀の臨時PCR検査会場の利用を促すなど、速やかな検査実施に向けて取り組んでいるところでございます。  四点目が、上用賀公園の拡張用地に開設したPCR検査会場についてです。  一月に入り新型コロナ陽性を確定する検査需要が急増したため、区としての緊急処置として上用賀公園の拡張用地を一部使用し、二月七日より臨時のPCR検査会場を開設しました。実績につきましては、開設当初は、一日当たりの平均受付件数は御指摘のとおり約七件でした。二月九日以降、対象を順次拡大していき、本日時点では、保育や高齢者施設における濃厚接触者、区民で陽性となった方と同居する家族、さらに、医療機関で検査が必要と判断された方まで拡大しております。先週土曜日には一日百件を超えており、二月二十一日終了時点では一日当たりの平均受付件数は約五十三件、二月七日開設からの累計受付件数は四百九十件となっております。  また、事業に係る経費につきましては、予備費一億円程度を活用する予定でございます。また、実施の期限につきましては、令和四年三月下旬を予定しております。  最後に、医療機関支援等、今後の取組でございます。  令和二年度より新型コロナウイルス感染症対応医療機関等に対し、病床確保及び定員受入れに対する支援や発熱外来等の運営支援、休業・縮小施設の再開支援を行っております。  今年一月に入り、医療機関から、症状のある方を検査するため、また医療機関の運営を継続するための職員用としての抗原定性検査キットが不足しているとの御意見をいただき、一月下旬に五万キットを譲渡することを決定し、現時点で三万キットを、残りの二万キットも今月中に譲渡する予定となっております。  区としましては、医療機関が感染拡大期においても事業を継続し、区民等が症状を有した際に身近な医療機関で診療や検査が受けられるよう支援を続けてまいります。  私からは以上です。 ◎知久 教育総務部長 私からは、二点お答えいたします。  まず、学校での抗原定性検査の実施状況です。  教育委員会では、昨年の八月に感染者が急増したことに伴い、社会的検査の担当所管と連携し、二学期から随時検査の補完的実施として、また、宿泊行事や部活動の大会参加前の二つの場合に抗原定性検査を実施しております。  この一月には、感染者と接触した可能性が高く、感染の不安がある場合や体調が気になる場合に、児童生徒にも抗原定性検査キットを配付できるよう対象が拡大されたことを受け、原則、保護者が希望する場合に配付し、加えて、感染者の複数判明による学級閉鎖時にも配付することとしております。  次に、抗原定性検査による陽性者についてでございます。  行事前に行う抗原定性検査は、児童生徒及び保護者の任意の下、実施しており、検査キットで陽性が判明した際に保護者から学校に連絡を入れていただいております。検査の実施状況ですが、二月十八日現在で、宿泊行事前の実施が全小学校の六十一校と中学校十校で約一万二千九百名、部活動の大会参加前の実施が中学校二十四校で約七千七百名、合計で二万六百名に検査キットを配布し、その結果、一名の陽性が判明したとの報告を受けております。  以上でございます。 ◎辻 世田谷保健所長 私からは、人と動物との共生を進めるための取組について二点、まず、人と動物との共生推進ボランティア事業の適切な実施についてお答えいたします。  区ではこれまで、人と動物をめぐる課題の解決に当たりまして、多くのボランティアや関係者の方々に御協力をいただいてまいりました。こうしたボランティアは、活動資金や人員の調達が困難な場合も多々あるため、その活動を支援し、人と動物との共生社会を推進することを目的に、令和四年度より新たに実施する人と動物との共生推進ボランティア事業に係る予算を本会議に御提案させていただいております。  この事業は、犬及び猫の譲渡、一時保護、捕獲、運搬等において、事前に登録したボランティアの活動費用を区が一部支援するもので、登録に当たっては、事業説明会への出席を必須とし、登録審査では面接の実施を予定しております。また、ボランティアの登録に関する要件を定め、活動内容を定期的に確認するなど、活動の質を確保し、維持することを想定しております。  今後、令和四年六月の事業開始に向け、様々な媒体を活用し、幅広く広報をしてまいります。  次に、地域猫活動の支援についてお答えします。  飼い主のいない猫に対し、地域住民の理解の下で不妊去勢手術を行い、餌やりやふんの始末など、地域で猫を適正に管理していく地域猫活動も、人と動物との共生推進に大変重要な取組と認識をしております。  令和四年度開催予定の人と動物との共生推進連携協議会や区民ワークショップでの議論を踏まえ、地域猫活動を検討している区民から活動の進め方や相談に応じる地域猫活動支援ボランティアについても、先ほど申し上げました人と動物との共生推進ボランティア事業の中で、令和五年度より支援を開始する予定です。  私からは以上です。 ◆三十六番(ひえしま 進 議員) 区長に再質問いたします。  菅元総理のヒトラー発言については、二月九日付の朝日新聞が記事を載せておりまして、その中で東大大学院の石田勇治教授は、ヒトラーは絶対悪の象徴であるのは明らか、菅氏に限らず政治家は不用意にその名を持ち出すべきではないと指摘し、法政大学大学院の白鳥浩教授も、ヒトラーは演説のうまさより何より人道に対する罪人、欧米でヒトラーみたいといえば大量虐殺のような連想を生む、その理解が足りないとし、菅氏の投稿は、ポピュリズムの例えで用いるのは軽々しい、相手にレッテル貼りをしたかったのだろうが、日本の見識が問われていると警鐘を鳴らしております。また、JNNの世論調査でも七〇%の人が菅氏の発言は不適切と回答しております。  つまり、国際的や国際法が何を指すかという以前に、ヒトラーは最大の悪でありまして、それになぞらえて論評することが既に問題だとしているのが社会の常識であります。それを擁護する藤崎氏の論考自体が特殊でありまして、不適切ではないでしょうか。保坂区長はジャーナリストとしてもリツイートを削除されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 再質問にお答えします。  先ほども御答弁しましたように、その菅氏の発言自体、言葉の選び方に熟慮が必要であると感じてきましたと申し上げました。この発言自体は別に私は擁護しているというわけではありません。  ただ、一方で、ヒトラーと、ヒトラーのようだと、例えば弁舌の巧みさはというような言い方については、つまり菅直人氏が初めて言ったというものでは全くないわけです。日本に限らずあちこちで言われてきたということを私も見聞きしていますので、これについては、ヒトラーばりだとか、ヒトラーに例えたということが、ひえしま議員がおっしゃるように、ナチスドイツの全行為、そのシンボルとしてのヒトラーということであると、まさにそこは一体化ということになると思いますが、そういう意味では不用意な言葉の使い方ではなかったかなと思います。  先ほども言ったように、国際社会の中で、このブログの内容とも近接してきますけれども、絶対に許されない言葉というのは、ヒトラーはいいこともしたとか、あるいは、そのナチスにも理があったとか、これは絶対許されない、即時辞任ということになります。  そのような意味では、ナチスの手口に学んだらどうかねという発言については、これは国際的に御法度ということでありまして、先ほど御指摘のところを何度か読んでみましたが、その後に続くその橋下氏がその学んだらどうかねという発言について解釈している部分が歴史的に御法度、世界的に御法度だとそのブログの文章は言っているのではなくて、そもそも学んだらどうかねという当初の発言が御法度だということを指しているのかと思います。何度か読んでみてもそのようにしか思えないわけでございます。  そのような意味で、これを機に、ナチスドイツ、ファシズム、なぜあのようなホロコーストが起きたのかということについて歴史的考察を加え、さらに深く発信していく必要もあると思いますけれども、リツイートという断面でしたから、いろんな誤解あるいはひえしま議員のような疑問を持たれたことについては受け止めますが、この問題についてはしっかりと発信をしていきたい。今後もですね、ナチスドイツの歴史的な過ちについてはしっかりと見極めて、これを二度と繰り返さない、その歴史をつくっていくという立場で発信をしてまいりたいと思います。 ◆三十六番(ひえしま 進 議員) 区長はこの藤崎氏の論考にも賛同されて、やはりこれは撤回しないということでしかもう理解できないということであります。  終わります。 ○下山芳男 議長 以上でひえしま進議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後二時二十五分休憩    ──────────────────     午後二時三十五分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  一般質問を続けます。  四番青空こうじ議員。    〔四番青空こうじ議員登壇〕(拍手) ◆四番(青空こうじ 議員) ヘルプマーク、ヘルプカードの障害者の視点に立った活用について。  先日、知り合いの障害のある方から、ヘルプマークをカバンにつけて電車に乗っても席を譲ってくれる人が誰もいなかったと伺いました。また、スーパーやコンビニ、銀行、高速道路の駐車場には障害者優先の駐車スペースがありますが、健常者が平然と車を止めているのを私自身も見たことが度々あります。また、福祉車両の目印のステッカーが貼られているデイサービスの車両に対しても平気でクラクションを鳴らす光景もちょくちょく家の周りでも見かけます。  実際、こうした話を伺ったり自分自身で経験したりすると、以前から耳にしますが、人と人との触れ合い、人間関係が希薄になったという状況は、本当に人情といいますか、地域の助け合いの気持ちが薄れているんだなと痛感しています。  助けが必要な方が身につけているヘルプマークについては皆さんも知っていると思いますが、これは、キャッシュカードと同じぐらいの大きさで、ゴム製の赤いタグに白十字を描いたマークがデザインされていて、義足や人工関節、内部障害、難病など、援助や配慮を必要としていることが外見から分かりづらい方が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせ、援助を受けやすくするためのものです。また、ヘルプマークと併せてヘルプカードもあります。こちらは、聴覚障害や知的障害など困っていることを自分から伝えにくい方が携帯することで、カードに記載した障害の内容や対応の仕方などを参考に周囲の方が援助しやすくするための手段となっています。  ヘルプマークやヘルプカードは、障害者の日常生活でコミュニケーションの手段として使われるだけではなく、緊急時や災害時にも援助を受けやすくするための役立つものであって、一緒に携帯することでさらに手助けの効果が増すことが期待できます。  ヘルプマークは平成二十四年に東京都が開始した取組であって、ほかの自治体にも拡大し、平成二十九年度には日本工業規格に登録されました。これに伴って全国に普及して、世田谷区でも平成二十八年度から事業を開始し、区のホームページや障害者のしおりで啓発活動に取り組んでいます。  ヘルプマークの認知度については、東京都では定期的に調査を行っていて、平成二十六年度と令和元年度のインターネットモニターアンケートの結果を比べてみると、意味を含めて知っていると答えた方が三三・五%から五九%に、見たことがあるが詳しい意味は知らないと答えた方が一八・九%から二四・二%に、知らないと答えた方が四七%から一六・九%となっていて、認知度については徐々に向上していることが分かります。  一方、民間の調査研究機関では、このヘルプマークを利用する当事者の認知度や利用状況について、平成二十九年度に当事者約四百名近くの方を対象に調査を行っています。これによりますと、ヘルプマークそのものを知らないと答えた方が半数近くいて、また、当事者の利用率については二〇%と、かなり低い数値となっています。
     ヘルプマークやヘルプカードの存在を知らせるだけではなく、障害の当事者の方がどのように使ったらよいのか、また、周囲の方はどのように手助けをしてよいのか分からなければ、せっかく周囲の方が援助する気持ちがあっても、ちゅうちょすることになってしまいます。  実際、私の知り合いに尋ねてみたところ、耳や目の不自由な方にどのように接していいのか分からないので、目の前で困っていたとしても手助けをためらってしまうと答えた方もいらっしゃいました。恐らく、多くの方は同様の気持ちなのではないでしょうか。  世田谷区は平成二十八年六月にアメリカ合衆国のホストタウンとして国に登録され、平成二十九年十二月には共生社会ホストタウンとして登録されました。令和元年十月には国から先導的共生社会ホストタウンとして認定され、東京二〇二〇大会終了後も、共生社会の実現に向けた様々な取組を継続し、将来にわたってレガシーを築いていくことを目指しています。  また、区では、せたがやノーマライゼーションプランを踏まえ、障害の理解の促進や障害者の差別解消、情報コミュニケーションなどに関する条例について検討を進めています。今般、条例の概要が示されましたが、条例の制定をきっかけに、地域共生社会の実現に向けて積極的に取り組んでいく区の姿勢を明確にしていくことを目指しております。  こうした区の動きも踏まえて、ヘルプマークやヘルプカードの普及に向けた取組を加速し、人と人とが地域で支えあう気持ちを育んでいくことは、区が目指す地域共生社会の実現に貢献するものではないでしょうか。こうした視点から三点お伺いします。  第一点目として、ヘルプマーク、ヘルプカードについて、さらに周知を行い、区民の理解を深めることで気配りや手助けをする方を増やしていくことが重要と考えます。そのために、できる限り様々な場所や機会に普及啓発と活動を進めるべきと考えます。例えば町なかで公共施設、商店街などにポスターを掲示したり、コロナ禍で難しい場面もありますが、イベント開催に合わせてPRコーナーを設けたりするなど、手段は考えられると思います。区の見解をお伺いします。  二点目には、障害者当事者に、特に配慮を要する人として、医療ケアが必要な方がいたり、区では昨年八月に世田谷医療的ケア相談支援センターのHi・na・taを開設します。医療的ケアが必要な方にとっては、日常生活もそうですが、災害時や緊急時なども想定すると、日頃の備えを十分しておくことが何よりも大切です。そこでPRするなど、医療的ケアを必要とされた方にヘルプマークやヘルプカードの活用を促すことも効果があるのではないかと思います。いかがでしょうか。区の見解をお伺いします。  三点目として、民間調査機関の認知度に対する調査結果から分かるように、当事者の方や家族の方に周知し、有効に活用していただくことが大切です。そのためには、ヘルプマークやヘルプカードの存在を知らせるだけではなく、当事者の方が援助を求めやすくなるような、当事者の視点に立った具体的な啓発の方法を考えることも必要だと思いますが、区の見解をお伺いします。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎須藤 障害福祉部長 私から、ヘルプマーク、ヘルプカードの活用について三点御答弁を申し上げます。  まず、その周知、普及啓発についてです。  ヘルプマークやヘルプカードについては、日常的なコミュニケーション手段となるほか、災害時や道に迷った場合など緊急時にも使用されていることから、障害のある方が外出する際に御活用をいただいております。  区では、ホームページや障害者のしおりへ御案内を掲載するとともに、御希望される障害当事者や御家族の方には、地域の保健福祉センターや障害福祉部等の窓口での配付もしております。お話をいただきました商店街をはじめ、外郭団体ですとか障害者団体の御協力をいただきながら、御提案の手法も取り入れ、ヘルプマークやヘルプカードの普及拡大に取り組んでまいります。  続いて、医療的ケアを必要とする方の活用についてです。  医療的ケアが必要な方には、人工呼吸器等の医療機器をつけていて車椅子で移動する重度障害の方だけではなく、外見からは分かりにくい病気や障害による医療的ケアが必要な方もおられます。災害時や緊急時に医療的ケアが必要な方が必ずしも御家族などと御一緒にいるとは限りません。こうした場合でも、ヘルプマークを提示しておくことで、周囲の力を借りて安全確保にもつながるというふうに考えております。  昨年八月に事業をスタートいたしました医療的ケア相談支援センターHi・na・taでは、医療的ケア児者や家族の困り事や心配事の相談の場として御利用いただくほか、病院を退院する際の在宅生活の支援プランの作成、災害時個別支援計画の作成支援など、こうしたことを行っております。  今後、医療的ケア相談支援センターHi・na・taを利用する御本人や家族等も含め、ヘルプマーク等の周知を図り、活用を促してまいります。  続いて三点目、当事者が援助を求めやすくなるよう具体的な啓発の方法をということについてです。  ヘルプマークやヘルプカードの活用につきましては、都がホームページやリーフレット等により周知を行っているほか、区としても障害者のしおり等でお知らせをしております。  現在、区が検討しております障害理解の促進や障害者の差別解消、情報コミュニケーション等に関する条例では、取組の一つとして、障害当事者や障害者団体等と協働した活動を検討しております。その中では、ヘルプマーク等の活用を促す、こうした取組についても検討していきたいというふうに考えております。  今後も、障害当事者、団体、関係機関、事業者等、こうしたところと連携をしながら、地域で支えあう仕組みづくりの推進をしてまいりたいというふうに考えております。  私からは以上です。 ◆四番(青空こうじ 議員) ありがとうございます。区民の方も、世田谷区の中に結構障害施設があるもので、特に元気よく子どもたちが乗ってくる場面というのは、このマークをかばんにつけたりズボンのベルトにやったりして、ちょっと見づらいというのもありますが、よくバスの中で元気よく乗ってくる子がいます。ぜひそういうお子さんたちにはなるべく席を空けてあげるようにしてやっていただきたいと思います。  日頃から万一の場合に備えて対策を一つでも多く打っていくことが大事だと思っておりますが、区民の安心安全につながっていきます。身近なところから区民の意識を高め、地域の希薄になっている人同士のつながりを少しでも取り戻していくことを、障害があってもなくても、誰もが安心して住める地域共生社会の実現を目指していくことが重要だと思っております。  以上で質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上で青空こうじ議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、十二番金井えり子議員。    〔十二番金井えり子議員登壇〕(拍手) ◆十二番(金井えり子 議員) それでは、質問を始めます。  消費者教育についてまず伺います。  二〇二二年四月から、民法改正により成年年齢が十八歳に引き下げられ、クレジットカード作成やローンを組んで高額な買物などの契約ができるようになります。若者に多い消費者被害救済のための消費者契約法改正もされました。小中高校の消費者教育の充実は、国からも求められています。  金融広報中央委員会の金融リテラシー調査二〇一九では、保護者の金融知識に関する自己評価で自信があると答えた方は一二・一%でした。金融教育は重要と思う反面、自分で教える自信がない方が多いという結果も出ています。  かつては駄菓子屋さんやお使いなどで自然に学んでいたお金を使うという体験も少なくなり、無限に買物ができるかのように思えてしまうカード決済が身近になっている今の子どもたちです。スマートフォン、パソコンなどを使い慣れていて、高額なゲーム課金トラブルも増えています。こんな時代だからこそ、子どもの頃からしっかりとした金銭感覚を育てる、価値観を身につけることが重要です。  いつでもどこでも誰でもできるのが消費者教育と言われますが、キャッシュレスや悪徳商法、被害に遭わない、加害者にならないなど、家庭の中の知識だけでは難しく、やはり学校教育でもさらに力を入れていくべきと考えます。  現在、区立小中学校で使われている家庭科の教科書を確認しましたが、物やお金の使い方、いろいろな支払い方法、見えなくなるお金キャッシュレス、広告の影響など大変詳しく書かれていました。今後さらに進んでいくであろう消費生活の変化。子どもたちは知識を得て、お金という存在について考え行動できるような、そんな消費者に育てていく必要があります。区立小中学校の子どもたちへの消費者教育の現状を伺います。  新型コロナウイルス感染症の影響でアルバイトがなくなってしまった大学生など、また、若者がSNSを使った悪徳ネットワークビジネスの被害に遭うことが多くなっています。仮想通貨や海外事業への投資など、物なしマルチ商法、まさに見えないお金によるものです。  二〇一九年の決算特別委員会で質問しましたが、大学内で先輩から後輩へ、友人間などでねずみ講のように広がる詐欺被害については、消費者センターが大学で消費者トラブル防止講演会や啓発チラシの配布などを行っているとのことでした。オンライン授業中心の大学が多いので、状況も変わってきています。その後、大学との連携、大学生へのアプローチはどのようになっているのか伺います。  消費者教育は、消費者である誰もが受ける必要があり、受ける権利があります。学校に通う世代のみでなく一般の大人も、キャッシュレスや時代によって変わっていく詐欺被害、広告宣伝の影響など、知らなければなりません。ゲーム課金、ワンクリック詐欺、アカウントの乗っ取りなど、どこに落とし穴があるか分かりません。詐欺でなくても、買いたいものではなく企業が売りたいものを買わされてしまう、中身の表示がはっきりしないなど、消費者が賢くなり選別していく必要があります。  世田谷区には消費生活課があり、消費者被害防止など重要な役割を果たしています。特に消費生活センターは、市民と消費者行政が連携、協働し、消費者教育の拠点として機能しているモデルであると言われてきました。その特徴の一つが区民講師の出前講座です。これをもっと活用できないでしょうか。オンライン講座や広報の工夫で消費者教育を幅広く進めるべきと考えます。区の見解を伺います。  次に、ケアラー支援について伺います。  ヤングケアラーとは、大人が担うようなケアを引き受け家事や介護をしている十八歳未満の子どものことです。ケアが中心になる毎日の生活が子どもの健康、教育、幸福度に大きな影響を及ぼす可能性があります。過度のケアで学校を休む、勉強する時間がない、友達と遊べない、部活動ができないなど、成長期の子どもに必要な時間が奪われています。しかし、子どもはケアラーの自覚はなく、家庭内のことは知られたくないなど、周囲からは気づかれにくい存在です。  二〇二〇年度に厚生労働省が全国の中高生を対象に実施した調査では、高校生ではヤングケアラーが二十四人に一人、中学生では十七人に一人いることが分かっています。介護などを始めた年齢の平均は小学生に当たる九・九歳、そして、八〇%がヤングケアラーということを聞いたことがないと回答しています。今、少しずつ報道されるようになってきましたが、この問題の周知を広げ、子どもの声を聞いて支援につなげることが急がれます。  イギリスでは、生徒手帳にヤングケアラーについて、相談、支援の情報が書かれてあるそうです。そこから学校でのサポート、家族への支援、そして支援団体、ピアサポートにつながります。世田谷区では早くからケアマネジャーとの連携で調査もしていますが、そこからがなかなかつながっていないようです。新たにアンケート調査を始めると伺いましたが、この調査が学校の教職員、保護者、子ども自身も、理解や気づき、考えるきっかけとなり、必要な支援につながるものであるよう期待します。調査や周知をその先どのようにつないでいくのか、教育と福祉の連携が重要なポイントです。  先日、ヤングケアラーだった方のお話を聞きました。家族をケアする場合、ケアを代わってほしいわけではない、純粋に家族が心配で学校どころではない、ケア自体がつらい、学校が唯一の自分としていられる場所なので特別扱いしてほしくないなど、様々な事情や思いがあるそうです。まずは、それぞれの子どもが話を聞いてもらえる、声を上げられる場が必要です。これから区が行う調査の目的とその後のアンケート活用について伺います。  ヤングケアラーも含め、家族介護者、ケアラー全体の問題も、本当にこのコロナ禍でさらに厳しいものとなっています。  厚生労働省の発表で、高齢者を介護する家族らによる虐待は、二〇二〇年度、一万七千二百八十一件で過去最多でした。外出自粛、介護サービスの休止、サービスの利用控えなどで家族への負担が増えたことが影響し、ケアを担う人の疲弊感が増しています。家の中のことは家庭で解決しなければという家族主義の意識は、まだまだ根強く残っています。  あるケアラーは、日々介護をするだけの生活を母と二人だけの世界、山奥に取り残されているような感じ、そして、みとり後には自分には何もないと表現していました。ケアラー自身が個人として尊重され、十分な睡眠、休養、余暇、社会参加等の自分の時間が保障されるべきです。ほっと一息つける時間、話ができる場など、家族の介護を担うケアラーへの支援が必要です。世田谷区の現状と今後について伺います。  子育て、介護は社会の仕事、生活者ネットワークはこれを政策に掲げ続けてきました。二〇〇〇年にできた介護保険制度は、介護は家庭内だけで担うのではなく、在宅で介護サービスを受けられる、社会的入院などという医療化ではなく、介護の社会化を進めるためにできました。この制度から二十一年がたちますが、介護保険制度は改定のたびにサービスが削減され、介護従事者の報酬は低く、慢性的な人材不足、その結果、ヤングケアラー、ケアラーによる虐待、介護離職など、こんなにも家族介護の問題が出てきました。  二月十五日の朝日新聞に家族任せ社会の含み損にというタイトルで、医療社会学者の木下衆さんのお話が載っていました。ヤングケアラー問題を機にもう一度、介護保険を鍛え直すべきです。介護を必要とする本人が、自分がどんな介護を受けたいのかを家族の負担を心配することなく安心して表明できる、そして、その実現に向け、多様な専門職が助けていく、それが介護する人の負担を軽減していくことにもなりますと書かれていました。  介護を必要とする本人もケアラーも、自分で選び表明でき、必要なときに必要なサービスが受けられることが、これこそが介護保険が目指してきた介護の社会化です。その重要な介護サービスの人材不足、本当にさらに進んでいます。福祉人材の確保と家族介護者への支援の充実、区の現状と見解を伺います。  以上で壇上での質問を終わります。(拍手) ◎粟井 教育政策部長 私からは、区立小中学校での子どもたちへの消費者教育の現状についてお答え申し上げます。  学習指導要領におきましては、消費者に関する教育について、小学校では社会科や家庭科及び特別の教科道徳、中学校では社会科公民分野、技術・家庭科及び特別の教科道徳で学習することとされております。また、民法が改正され、二〇二二年四月一日から成年年齢が十八歳になることを受け、法務省作成の成年年齢引下げ特設ウェブサイトや解説動画を授業等で活用するよう、区内の全小中学校に周知してきたところです。さらに、消費生活課と連携して、教職員に対して夏期教育課題研修として、消費者教育に関するオンライン研修を実施したり、教員講座の案内をすることで、各学校での消費者に関する教育の促進を図っております。  今後も、これらの活動を継続し、消費者に関する教育の理解を深める学習のさらなる推進を図ってまいります。  以上でございます。 ◎田中 経済産業部長 私からは、消費関連二点、まずは大学生向け周知について御答弁いたします。  成年年齢が十八歳に引き下げられることもあり、大学生への啓発活動は非常に重要であると認識しております。大学生への啓発活動として、区内大学の協力を得て、学生向けにマルチ商法をはじめとした消費者トラブル防止についての講演や教職員向けの研修会のサポートをするなどの取組をしております。また、注意喚起のチラシ配布、学生向けポータルに区や関係機関のホームページや啓発動画のリンク先掲載なども行いました。  コロナ禍において、大学では授業がリアルとオンラインの割合をはじめ状況がそれぞれ異なるため、個々の状況に応じたより効果的な啓発を広げていけるよう、各大学などと相談をしながら工夫をして取り組んでまいります。  次に、成人への周知についてです。  区では、ホームページ、広報誌、ツイッターなどの各種広報媒体を活用して、区民に広く消費生活センターの周知や啓発を進めております。エフエム世田谷においては、消費生活相談員がよくある相談事例をタイムリーに紹介し、年四回発行の消費生活センターだよりでも、その発行時期に応じて特集記事やよくあるトラブル事例を掲載しております。また、あんしんすこやかセンターと連携した消費生活センターの普及啓発を行い、高齢者等の消費者被害防止にも取り組んでおります。出前講座では、暮らしに役立つ情報を分かりやすくお届けしており、区内民間事業所の新入社員向けの講演、講座等も開催しております。  今後も、区民の皆様に消費者トラブルについてより正しく理解をしていただけるよう、講座の内容やカリキュラムの見直しを適宜行い、さらなる活用を図ってまいります。  私からは以上です。 ◎長岡 高齢福祉部長 私からは、介護の社会化とケアラー支援について三点お答えいたします。  まず、ヤングケアラーへの調査についてです。  区は来年度、ヤングケアラーの実態を把握し、子どもや家庭をその後の適切な支援につなげることを目的としたヤングケアラー実態調査を行います。調査の対象は、区立の小学校四年生から中学校三年生及び区内在住の高校生世代の合計約五万人です。区立小中学生は学校を通して、また、高校生世代には郵送でアンケート調査の協力を依頼し、ネット上での回答を予定しております。調査項目につきましては、性別や学年、家族構成、お世話が必要な家族の有無、内容や頻度など、令和二年度に国が行った調査を参考とし、氏名や学校名はお聞きしないなど、個人が特定できないよう配慮をいたします。  調査は五月中旬頃に開始し、夏頃には結果を取りまとめる予定です。調査結果は、子ども・若者部や児童相談所、子ども家庭支援センター、障害福祉部、教育委員会など関係所管で広く共有するとともに、ヤングケアラーを早期に発見し、子どもや家庭を適切な支援につなげられるよう取り組んでまいります。  次に、家族介護者への支援についてです。  要介護高齢者を介護している、いわゆるケアラーと呼ばれる家族介護者が抱える課題は多岐にわたっております。これらの家族介護者が地域の中で孤立することなく、家族に対する介護と自身の仕事や生活の両立、社会参加、心身の健康維持が確保されるとともに、要介護者の介護の質、生活、人生の質もまた同時に確保されるよう、家族介護者への支援を推進していく必要があると考えております。  区では、福祉の相談窓口等において、家族介護者自身の生活、人生の質を維持向上させるという支援の視点を持って初期相談に対応するとともに、様々な課題を抱える介護者に対して、関係所管等と連携をして支援をしております。  また、区ホームページ等により、介護保険や区の在宅サービス、仕事と介護の両立支援制度の紹介など、家族介護者の視点に立った情報提供を図るとともに、家族介護教室の実施や高齢者安心コール事業など、家族介護者が安心して介護を続けることができる環境整備に引き続き取り組んでまいります。  最後に、介護人材への支援を通じて、社会全体で介護している人を支えられるようにすべきについてお答えいたします。  介護保険制度の目的とするところは介護の社会化であり、それまで家族が担ってきた介護を広く社会全体で担っていくことを位置づけたものです。今後、高齢化による介護サービス需要の増大と生産年齢人口の減少が見込まれる中、介護サービスの担い手となる人材の確保及び育成・定着支援はますます重要になってくると認識しております。  区は、令和二年四月に区立保健医療福祉総合プラザ内に福祉人材育成・研修センターを移転し、従来の介護人材の確保、質の向上、定着支援等に加え、保健、医療、福祉の連携や、地域福祉を支える人材の育成支援等の福祉人材全般の総合的拠点として様々な支援を実施しております。  また、区が策定しているケアマネジメント基本方針では、利用者や家族、介護者の意向を尊重するとしており、ケアマネジャーがケアプランを作成する際、高齢者、プロのケアラーだけでなく、家族介護者等にも寄り添ったものとなるよう働きかけをしております。  引き続き、様々な介護人材への支援により、質の高い介護サービスを安定的に確保し、介護が必要な方も、介護している家族の方も、全ての区民が住み慣れた地域で自分らしく安心して暮らし続けられる地域社会の実現に取り組んでまいります。  以上です。 ◆十二番(金井えり子 議員) ヤングケアラーも含めたこのケアラーの支援、ぜひぜひ進めていっていただきたいと思います。要望いたしまして、質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上で金井えり子議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、十三番田中みち子議員。    〔十三番田中みち子議員登壇〕(拍手) ◆十三番(田中みち子 議員) 質問通告に従って順次質問してまいります。  まず初めに、HPVワクチンの積極的勧奨への区の対応についてです。  子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス、HPVの感染を防ぐと言われるワクチンについては、令和三年第二回定例会でも取り上げました。情報提供の抜本的な見直しや子宮頸がん検診受診率の向上、性教育の推進などを求めましたが、情報提供においては全く改善されず、課題が残ります。  HPVワクチンは、二〇一三年から公費での定期接種が開始された二か月後に副反応が相次ぎ、積極的勧奨は中止されていましたが、二〇二〇年、令和二年十月九日付の国からの勧告により、世田谷区では厚労省のリーフレットをワクチン接種対象年齢の女子一万七千人へ個別送付。このことで接種率は前年度比で六倍以上に跳ね上がりました。  直近の国の副反応検討部会の報告を見れば、ワクチンとの因果関係が認められ重篤と判断された新たな被害者が出ているため、区の認識を問いましたが、問題意識は希薄だったと感じ、残念に思っています。  国の報告では、重篤な方は一万人に五人、副反応疑いの方は一万人に九人――約千人に一人ですね――と言われています。世田谷区でのこれまでの接種人数は、二〇一〇年の平成二十二年から任意接種も合わせますと三万七千九百一人になります。ワクチン接種後の健康調査を行うなど、実態を把握する必要があります。見解を伺います。  ワクチン接種後の副反応疑いの報告は、全国の医療機関や製薬会社からPMDAに集まり、区へも報告される仕組みがあります。世田谷区では任意接種として位置づけられていた時期に二件の報告があったそうです。その内容と、今後はPMDAからの情報提供をタイムリーに把握し、議会へも報告すべきです。見解を伺います。  昨年の十一月二十六日付の国の積極的勧奨を再開することに対する区の対応報告では、キャッチアップ接種対象者については国の方針が決定され次第報告するとしつつ、中学一年生から高校一年生の四学年約一万二千人を対象に、三月中に予診票を個別送付する予定です。一方、お隣の杉並区では予診票は送りません。個別通知で対応し、対象者も中一と高一に限定するそうです。さらに、接種希望者へは窓口にて区独自のリーフレットを用いて説明した上で予診票を渡す対応を継続しています。  世田谷区では、事務作業の効率化や予防接種法にのっとって対象者や内容は変えられないとかたくなな態度ですが、ここは一旦立ち止まり、慎重に対応すべきと考えます。なぜなら、今回、積極的勧奨再開に当たり、接種予定のワクチンは、勧奨が中止されていたサーバリックスとガーダシル、この同じものということです。成分について区は確認中とのことですが、私の周りでも改良されたワクチンだと思っておられる方が多く、誤解があると考えます。  また、HPVワクチンは、接種後の重篤副反応の頻度がほかの定期接種ワクチンの平均の八・五倍、全国で百三十二人もの原告が国と製薬会社を相手取って薬害訴訟を争っているワクチンでもあります。スケジュールありきで進めずに、区として確認中の成分情報を入手し発信できる体制を整えてからでも遅くはないと思います。最悪を想定し、最善の対策を行うことが接種主体である自治体の責務と考えます。東京都内で最大の対象者を抱える世田谷区だからこそ、慎重な体制で進める必要があります。見解を伺います。  また、HPVワクチン薬害訴訟全国原告団の皆さんは、対象者が納得して接種するかしないかを選択し、副反応の症状が出た場合には適切な支援や治療が受けられるよう、HPVワクチン積極的勧奨再開に伴う要請書――「寄り添う支援」に近づくための八項目――を全国市区町村宛てに提出し、対策の徹底を求めています。また、国の十二月二十八日付通知でも、相談支援や医療体制等が整備される前の積極的勧奨に慎重な対応を求めており、学校との連携体制も課題があります。  世田谷区の相談支援体制や医療機関、学校と連携した支援体制の現状と課題認識、また、原告団からの要請書に対する区の受け止めとそれら八項目への対応も併せて伺います。  医療体制にも課題があります。令和三年十二月二十一日現在の協力医療機関としては九十六か所の指定がありますが、HPVワクチン副反応支援センターを設けているのは一か所だけです。それは北海道大学病院で、小児科、整形外科、脳神経内科、婦人科、リハビリテーション科、児童思春期精神科、内科といったところが連携し、対応に当たっているようです。しかし、東京都では産婦人科とペインクリニックのみで、偏りがあります。積極的勧奨を行うからには、抜本的に治療できる専門機関を東京都につくることを世田谷区として求めていくべきです。見解を伺います。  ヒトパピローマウイルスには、子宮頸がんを引き起こす十五種類ほどの種類があります。日本において無料で受けられるHPVワクチンは十六型と十八型のみ効果があるもので、その期間も十年程度と限定的である一方、子宮頸がんは、がんになる前の前がん病変の段階で見つけることができる珍しいがんです。ワクチンを接種した場合であっても、二十歳以降二年に一度の定期的な検診でほとんどの子宮頸がんは予防でき、早期発見、早期治療すれば死を避けられるがんでもあります。誰もが受けやすい検診体制を確立し、受診率を上げる対策が必要です。  日本の検診率は四三・七%であるのに対し、検診率八〇%のイギリスでは、訓練を受けた女性の看護師が普通のベッドで検診できるよう進めています。こうした他国の受診率改善に向けた取組を日本でも行えるように国に対して求めていくことはできないでしょうか。区としてできる検診の受診率向上に向けた取組と併せ御答弁願います。  また、検討中の区独自のお知らせには、子宮頸がんは定期健診できちんと予防できるがんであることや、HPVワクチンを打つか打たないか本人がしっかり判断できるよう、ベネフィットとリスクに関する正しい情報を提供し、親子できちんと話し合って納得の上で接種できる内容にすることが求められます。副反応については、被害当事者が作成したポスターいっぱい運動のポスターというものがあるんですが、こんなものも活用するなど、被害者の声をしっかり伝える工夫も必要だと考えます。見解を伺います。  次は、医療的ケア児支援の強化についてです。  医療の進歩で新生児の死亡率が下がる一方、胃瘻やたんの吸引といった医療的ケアが日常的に必要な子どもが増えています。全国で二万人と推計される医療的ケア児の家族の負担を軽減し、子どもの健やかな成長を図ることを目指して、昨年、医療的ケア児支援法が成立しました。自治体での支援が責務となり、保育所や学校などでの医療的ケア児を受け入れる支援体制が求められます。
     世田谷区では、医療的ケア児は百八十人あり、これまでも学校での付添いが必要な場合の看護師が配置されるなど、医療的ケア児支援に力を入れてきたことを評価します。  昨年八月には、医療的ケア児とその家族を支えるための区独自の取組として、医療的ケア相談支援センターHi・na・taが開設しました。これまで課題とされてきた病院退院後の在宅生活支援プランの作成や災害時個別支援計画の作成支援など、医療的ケア児とその御家族が地域で安心して暮らせるための支援が包括的に受けられるものとなります。地域との連携も視野に、いつでも御家族に寄り添うことができるよう、相談日の拡充や広報を強化し、ピアサポート体制を早期に実現することを求めます。見解を伺います。  また、来年度の予算案として約四億六千万円が計上されていますが、持続可能な体制強化を進めるに当たり、財源確保も課題です。今後どのように進めていくのでしょうか。見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎辻 世田谷保健所長 私からは、HPV、すなわち子宮頸がんワクチン等について順次お答えをします。  まず、HPVワクチン薬害訴訟全国原告団からの要請書に対する区の対応等です。  平成二十五年六月に国は、HPVワクチンに関し、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛がワクチン接種後に特異的に見られたことから、積極的な接種勧奨を控えることを定期接種を実施する区市町村へ勧告し、世田谷区におきましても対象者への個別通知を見合わせておりました。  今般、国の審議会においてワクチンの安全性について特段の懸念を認めないことが確認されたとして、国は予防接種法の規定による接種勧奨を行うことを区市町村に通知したことから、世田谷区も令和四年度より対象者への個別勧奨を実施することといたしました。なお、御指摘の要請書にも記載のとおり、積極的勧奨の再開に当たっては、ワクチンの有効性や安全性、相談体制や救済制度に関する情報提供、医療機関及び学校との連携、副反応被害者に対する無理解の解消、子宮頸がん検診受診率の向上等は重要な項目と認識をしております。  区といたしましても、対象者の安全安心を最優先に考え、HPVワクチンの安全性や有効性といったメリットと副反応が起こり得るリスクの両面を対象者に十分に情報提供し、対象者や保護者が主体的に判断をいただくように努めてまいります。  次に、副反応被害の把握と議会への報告です。  予防接種を受けた方が報告基準に該当する症状を有する際には、医療機関の医師等が法に基づき医薬品医療機器総合機構、PMDAに報告をすることとされており、PMDAに提出された副反応疑い報告のうち世田谷区民に係るものは、国、都を経由して世田谷区に情報提供がされます。  なお、平成二十二年度から令和二年度の間、区で把握するHPVワクチンの接種件数は三万七千九百一件で、副反応報告は二件受理をしております。二件はいずれもHPVワクチンが任意接種として位置づけられていた平成二十三年並びに二十四年に接種した際のもので、内容は接種部痛と発熱が一件ずつとなっており、二件とも軽症で、その後に回復されております。  また、御指摘の副反応疑い事案の議会報告につきましては、今後検討してまいります。  次に、HPVワクチンの接種者への健康調査と情報公開についてです。  御提案の健康調査の実施や調査内容の情報公開につきましては、杉並区や武蔵野市等の自治体で実施されていると承知をしております。区といたしましては、まずは現行のPMDAへの副反応報告の枠組みの中で副反応を確実に把握してまいります。また、医療機関には副反応疑い報告の徹底をお願いするとともに、医療機関や対象者から副反応に関する情報を収集した際には、国にも積極的に情報提供をし、ワクチンの安全性の評価につなげてまいります。  次に、医療機関や学校等と連携した相談支援体制についてです。  HPVワクチンにおける区の相談支援体制につきましては、有効性や安全性といった御相談に保健所の専門職が対応しております。また、予防接種健康被害救済制度等に対するお尋ねにも情報提供を行っております。医療機関との連携では、対象者や保護者への不安への配慮や、接種後の体調の変化についても、主治医が決まるまでは責任を持って診療に当たっていただく等、接種に当たっての注意点等が記載された国のリーフレットを医師会を通じて提供し、各医療機関で御対応いただいております。また、学校との連携につきましても、関係所管と連携し、校長会を通じてHPVワクチンの情報提供を実施するとともに、対象者や保護者からの相談に応じるようお願いをしております。  今回の個別勧奨再開に当たりまして、改めて、寄り添った相談や、また丁寧な対応を関係機関にお願いするとともに、御指摘にありました北海道大学HPVワクチン副反応支援センターのような関係する科が副反応に苦しむ方を総合的に診療する取組を東京都に働きかけてまいります。  次に、子宮頸がん検診についてお答えします。  区の子宮頸がん検診は、国の指針に基づき、二十歳以上の女性を対象に、二年に一度の受診を要件として、両医師会への委託により実施をしております。子宮頸がん検診の受診状況ですが、平成三十年度が三万百五十九人、令和元年度、二万八千七百五十人、令和二年度、三万千八百五十五人と三万人前後となっており、受診率では、職場等で受診機会のある方を除いた対象人口率で見ますと、約二一%から二五%という状況です。  今年度からは、受診間隔が二年以上空かないよう、二十歳から六十五歳で前年度に未受診だった方に個別勧奨をしており、若い世代の罹患率急増等のデータを受診票に同封するなど、受診率向上に努めているところです。また、受診しやすさにつきましては、区に寄せられた御意見や苦情等は医師会を通じて各医療機関へフィードバックしてまいります。なお、検診手法につきましては、我が国での実績やエビデンスに基づいて確立をされており、海外の手法や有効性の評価などを慎重に見極める必要があると認識をしております。  最後に、予防接種法の対象者についてお答えします。  予防接種法におけるHPVワクチンの接種対象者は、小学校六年生から高校一年生相当の女子とされております。また、昨年十一月の国通知では、これまで個別勧奨を受けていない方、すなわち令和四年度中学校二年生から高校一年生に相当する女子にも配慮をすることとされております。  区では、国通知に加え、接種を希望する対象者に接種の機会を提供することも勘案し、対象者として、中学校一年生から高校一年生に相当する学年に対して個別送付をする予定でございます。なお、送付の際には、HPVワクチンの有効性に加え、副反応といったリスクを情報提供し、接種者や保護者が接種するか否かを自ら選択いただくことが重要であると認識をしており、区でHPVワクチンに関する有効性やリスク、接種後の注意や子宮頸がん検診の必要性を盛り込んだお知らせを作成し、予診票や接種実施医療機関名簿とともに送付をする予定でございます。  また、議員御指摘のポスター等の内容を送付物に加えるとの御提案をいただきましたが、保健所からのお知らせは有効性とリスクを偏りなく盛り込む必要がありますので、その観点に鑑み、内容を慎重に検討して、対象者や保護者が接種の判断をする際の一助となるよう努めてまいります。  私からは以上です。 ◎須藤 障害福祉部長 私からは、医療的ケア児の支援強化について二点御答弁申し上げます。  まず、Hi・na・taの拡充強化についてです。  事業開始から六か月が経過し、相談件数は延べ百三十九件、相談者の実数が八十九人、主な相談内容といたしましては、医療的ケア児の子育ての不安、保育園や幼稚園等に通うに当たっての情報整理、福祉サービスの利用に関する相談等となってございます。広報活動といたしまして、民間企業と連携したイベントの実施ですとかホームページでの情報発信にも取り組んでおります。  事業を運営する中で、医療的ケアが必要な方の保護者や家族が気軽に立ち寄って相談できる敷居の低い居場所機能の強化ですとか、保護者や家族同士が情報交換できるネットワークづくり、こうしたことにも取り組む必要があるというふうに認識をしているところです。  区といたしましては、令和四年度からスタッフの体制を拡充いたしまして、現在週二日の開所を週四日とし、ピアサポートの視点を大切にしながら、保護者、家族の交流の機会を増やすことなどにより、医療的ケアが必要な本人と保護者家族を支援する機能の充実に取り組んでまいります。  続きまして、持続可能な推進体制に係る財源の確保といった御質問に対してです。  区では、この医療的ケア児の支援について、令和四年度にこれまでの取組に加えて、Hi・na・taの機能強化、放課後等デイサービスでの夕方の受入れを促進するための運営補助の追加、ふるさと納税を活用したポータブル電源の配付、こうしたことを予定をしてございます。  医療的ケア児者の支援策は、東京都からの補助を財源の一部とする事業も多く、医療的ケア児者に対する適切な支援と家族の離職防止につながる施策を今後も推進していくためには、国や都との連携、協力の上、安定的な財源確保が必要となります。  区といたしましては、地域における支援の実際や課題等について、機会を捉えて国や都に情報提供を行い、財政支援についても意見を上げながら、今後とも医療的ケア児者と家族の暮らしを支える施策を展開できるよう検討してまいります。  以上です。 ◆十三番(田中みち子 議員) HPVワクチンについて再質問します。  いただいた答弁でも、区の相談支援体制の部分で課題認識が明確になっていないと思います。このままの体制で進めるには少し不安があると感じているんですね。そして、相談支援体制、こういったことがきちんとできなければ慎重に進めなければいけないんだよと国の通知なんかもあるわけですね。ぜひ区長、これは答弁いただき……。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 田中議員の再質問にお答えをします。  HPVワクチンの経過については、私も区長として、当時、副反応の例が報告をされ、積極的な勧奨を取りやめた経過などを存じ上げている次第でございます。  このワクチンの健康被害については、議員お話しのように、現在でも大変お困りで日常生活に支障を来している重篤な例があることは、大変重く受け止めております。いただいている寄り添う支援八項目の中身についても、受け止めていくべきものと考えております。  一方、予防接種の実施主体である区には、接種を受けることのできる方の機会確保として、病棟にお知らせをお届けすることやワクチンの効果などのメリットと同時に、副反応や重篤な健康被害のリスク、その双方の情報を客観性を持って正確に周知する責務があり、最終的に御本人が接種を受けるのかどうかを判断できるよう丁寧に説明をしていく必要があると考えています。  また、副反応や健康被害への支援体制として議員からいろいろ御指摘をいただきました。保健所長が答弁しましたとおりですが、引き続き、国や医師会や関係所管と緊密に連携しながら、慎重にこの体制を築いていきたい、改善できるものは改善していきたいと思います。 ○下山芳男 議長 以上で田中みち子議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後三時三十一分休憩    ──────────────────     午後三時四十分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 この際、議事の都合により、本日の会議時間をあらかじめ延長いたします。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 一般質問を続けます。  八番つるみけんご議員。    〔八番つるみけんご議員登壇〕(拍手) ◆八番(つるみけんご 議員) 通告に基づき質問いたします。  初めに、科学的知見に基づく効率的・効果的行政運営と政策決定の透明性の確保について伺います。  今定例会の招集挨拶において、区長は、このたびの国や都道府県のコロナ対策を見るにつけて、科学的知見と先を見通した広い視野が必要不可欠であると認識したと御発言されました。  国、都のみならず、基本的自治体を含めたあらゆる行政は、この二年間、百年に一度とも言われるこの感染症から、市民の生命をいかにして守り、経済活動を維持していくのか、一つ一つの政策決定をする上で極めて難しい判断を迫られ続けていると私は考えます。  限られた財源と人的資源、物的資源を効率的、効果的に活用し、どのような効果を見込んで、いかなる出口戦略を描き、施策を展開するのか、その判断について、多くの区民の皆様に御納得いただける行政運営を行うには、まさに区長の言われる科学的知見と先を見通した広い視野が必要不可欠です。  科学的知見とそれに基づく政策判断を行うということは、適正な手続により意思決定がなされていること、かつ客観性があるということと一体でなければなりません。  ここで一点伺います。区が科学的知見が必要と御認識に立たれる以上、科学的知見及びこれに基づく政策判断も含めて、区民や議会による客観的検証が可能であるということが前提となるべきと考えますが、区の見解を伺います。  区が取り組んでこられたコロナ対策の一つとして、メディア等でも大きく取り上げられ、注目を集めた施策に抗原検査キットの無料配布事業があります。私のところにも、テレビで見るまで知らなかった、今から行けばもらえるのか、長年税金を払ってきたのに、区外の人に配布しておいて、私たち区民はもらえないのか、遠くて取りに行けないなど、不安と不満の声が多数届きました。  この施策については、他会派からも様々な御意見、御指摘がございました。結果として、区の事業が区民、議会の混乱を招いてしまったことは、一区民としても非常に残念なことです。  これを一つの事例として考えたときに、この検査キット配布事業における区の意思決定は、どのような科学的知見に基づいた判断であったのか。判断の基礎となる客観的データと政策決定過程について、区民、議会に明らかにすべきと考えます。区の御見解を伺います。  先ほども申し上げましたが、多くの区民の皆様に御納得いただける区政運営を行うには、政策決定における判断基準としての科学的根拠が重要であり、適正な手続により意思決定がなされていること、かつ客観性があるということが必要です。  つまりは、事業実施後に改めて検証する際には、区が当時、どのような政策目的を設定し、行動目標を掲げ、いかなる手法を持って事業に取り組んだのかということはもちろん、その検討過程において、どのような庁内議論が行われたのか、手法の決定に当たってほかのアプローチやアイデアがあったのか、どういった根拠を持ってその結論が導き出されたのか、これらが明らかになることが区政への信頼を高めることにつながるはずです。  区長は二年前、令和二年第一回定例会の招集挨拶で、公文書管理条例の制定に向けて、健全な民主主義の根幹を支え、区政の透明性を確保するとともに、現在及び将来の区民への説明責任を果たしていくため、本条例を制定していくと力強く御発言をしておられました。このことからも、区長が区政の透明性の確保と説明責任ということの重要性を大変重くお考えであるものと推察いたします。  しかし、果たして、現在の区は政策決定過程の透明性が確保されていると言えるのでしょうか。現在及び将来の区民に向けて説明責任を果たせるだけの政策判断の根拠を示すことができているのでしょうか。  さきの検査キット事業を一つの先例として、今後の科学的知見に基づく区の全ての政策決定に生かすため、政策判断の基礎となる科学的根拠の明確化とそれに基づく意思決定、政策決定の透明性を確保するための具体的手法を確立すべきと考えます。区の御見解と今後の取組、手法をお聞かせください。  次に、教育ビジョンと調整計画の新たな展開について伺います。  文部科学省の令和四年度予算案には、学校を核とした地域力強化ということがうたわれています。学校を核とし、人づくり、地域づくりの好循環を創出することで一億総活躍社会を実現するという展望です。  一方、世田谷区の教育ビジョン・調整計画(案)におかれましては、地域コミュニティの核となる学校づくりという項目があり、学校施設の地域利用を促進すること、地域活動を支援することなどが記載されておりますが、国が掲げる人づくりや地域づくり、社会全体を押し上げるといった大きな展望を読み取ることは、残念ながらできません。  教育の在り方、学びの意味が大きく転換していく今だからこそ、従来の地域の力で教育力を向上するという方針に加え、教育と学校の力で地域社会全体を押し上げるという大きな視点を世田谷の教育委員会が明らかにされることが必要ではないでしょうか。  地域が学校に、逆に学校が地域に何ができるのか、双方向の関係性をより発展的に構築していくためには、これまで以上に教育委員会と区長部局、特に総合支所やまちづくりセンターとの密接な仕組みづくりも重要です。  現在、様々な形で学校に関わってくださっている方々に加え、より多くの方々に学校の持つ地区施設としての機能を最大限活用していただき、学校が私たち全ての区民にとっての居場所であり、学びの場となるよう、あらゆる創意工夫が必要です。  教育委員会としての学校を核とした地域づくりにおける現状への御認識と展望を伺います。文部科学省の御出身でもある教育監のお考えをお聞かせください。  同じく、文部科学省の予算案では、地域格差、経済格差について、学校を核とした人づくり、地域づくりの好循環を創出することで格差の是正を目指すという一つの方向性が示されています。一方、世田谷区の教育ビジョン・調整計画(案)では、格差ということについては一切触れられておりません。  区が昨年の秋に行ったパブリックコメントでは、計画には格差を生まない教育の視点を取り入れてほしいとの御意見が寄せられました。教育の在り方が大きく変わろうとしている今、従来のように経済格差に起因する学力の格差のみを捉えて教育格差の是正を語ることは、もはや時代遅れになりつつあるとも考えられます。  改めて、教育における格差とは何か、地域社会における子どもたちの現状から定義し直し、全ての子どもたちに健やかな成長の機会を創出していくことが求められているはずです。教育格差に対する教育委員会としての現在の御認識、区内の現状と対策、今後の展開についてお聞かせください。  次に、セーフティーネットに対する区の基本的考え方について伺います。  現在、とある区長の附属機関において、セーフティーネットの在り方について議論が行われています。この中で、専門家の方々から様々な御意見をお出しいただいているわけですが、一区民としては、セーフティーネット、つまりは区民の生命と財産を守るための安全網について、区の基本的なお考えが示されていないことに大きな疑念と不安を抱いております。区は、基礎的自治体が張るべきセーフティーネットについて、どのような御認識をお持ちなのでしょうか。  誰もが制度のはざまに落ちてしまうことのないきめ細やかなセーフティーネット、つまりは安全網を張り巡らせることこそ、区民の生命と財産を守る基礎的自治体である世田谷区役所の存在意義であるはずです。しかしながら、区が張るべきセーフティーネットへの御認識は所管ごとに大きく異なり、そのことが様々な政策にはっきりと現れています。私はこのことに疑問を持ちます。  子ども・若者政策では、児童相談所をつくり、様々な形での居場所づくりに力を入れ、あらゆる観点からセーフティーネットを網羅的に張り巡らされていらっしゃいます。一方で、高齢者施策では、昨日、他会派の代表質問でも取り上げられておりましたが、認知症に係る損害賠償の補償制度について、区は、地域づくりの取組を補完するセーフティーネットの一つとして大切であると認識されながらも、様々な課題を並べ立てるばかりで、先延ばしに先延ばしを繰り返し続けています。  区がセーフティーネットの一つとして大切であると認識されながらも、その整備を前に進めないということは、隙間があるのを知っていて、たとえ落ちても自己責任ですよということを表明されているのでしょうか。このままでは、区民はその立場と境遇によって、セーフティーネットに守られることなく、制度のはざまに落ちてしまうことになります。  区として政策全体にセーフティーネットをなぜ張り巡らさなければならないのか、また、区がセーフティーネットを張ることの意義について、区としての基本的方針を明確にすべきです。区として基本的方針をお示しください。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎粟井 教育監 私からは、二点御答弁申し上げます。  一点目は、学校を核とした地域づくりの認識と展望についてお答え申し上げます。  今後、少子化や高齢化の進展が予想される中、世田谷区においても、学校を核として町全体で地域の将来を担う子どもたちを育てることが必要であると考えております。例えば、小学校と近隣の住民、商店、大学などの方々が垣根を越えて集まり、共通目標を共有することにより互いにパートナーとして連携協働する体制が生まれ、定着した好事例がありますが、こうした取組を各学校と地域に広げていくことが次への課題であると認識しております。その際には、教員の負担を増やさないという観点も重要なことと考えております。  今後は、課題の分析や好事例の共有、普及に一層努めながら、学校と地域の連携の仕組みや様々な地域活動が十分に機能し、学校が地域と双方向で円滑に連携協働して、地域の教育力向上と地域力向上の相乗効果を生み出せる場となるよう、実行に向けた取組を検討してまいります。  次に、教育格差に対する教育委員会の認識と展望についてお答え申し上げます。  教育における格差とは、これまで世間一般的には学力格差、つまりテストの点数差のことを言われ、それが家庭の経済格差と非常に関連があるという形で話をされることが多かったと認識しております。  しかし、一方で、教育の現場では、学びの質が転換していく中で、これからは子どもたちを学力という一つの物差しで測るのではなく、一人一人の多様な個性に目を向け、成長の機会を創出していくためにはどのような対応、教育内容とすればいいのかという考え方がますます重要になるものと考えられます。  必要不可欠なものと考えられるものが知識量ということではなく、非認知能力の育成が大変重要となってきております。これからの社会を生きる力として、好奇心や学びに向かう力、粘り強く頑張る力などの非認知能力等に今まで以上に目を向け、これらの学びの機会を子どもたちにどのように与えていけるか、この機会を十分に提供していくことがこれからの教育の重要な課題であると感じております。このことを念頭に今後の教育行政運営に力を尽くしてまいります。  以上でございます。 ◎加賀谷 政策経営部長 私からは、三点について御答弁いたします。  初めに、科学的知見に基づく政策決定の透明性の確保について二点お答えいたします。  区の見解についてでございます。新型コロナウイルス感染症の拡大は、生命や健康のみならず、経済活動、学校教育など様々な分野に多大な影響を及ぼし、現在、区政が抱える最重点課題であり、その対策に当たりましては、科学的、専門的な知見を含む客観的な根拠を基にした政策判断が重要であると考えております。
     科学的根拠に基づく意味では、特に保健医療政策の分野におきまして、様々な対策に応じて検証を繰り返し行う中で効果が明らかになるものとして、多くの知見を基に取り組まれているものと認識しております。自治体において政策効果の測定に重要な関連を持つ統計等のデータを活用した上で政策判断を行うことは、政策の有効性を高め、的確な検証を可能とし、区民への説明責任にもつながるものであり、自治体レベルでも可能な限り取り入れていくべきものと認識をしております。  次に、区としての今後の取組、手法についてでございます。  政策を論理的に形成するとともに、その後の客観的な評価、検証に資するため、統計等のデータを活用した根拠に基づく政策形成の定着は重要であると考えております。そのためには、データ利活用の担い手となる職員の育成を図る必要があり、区では本年度、せたがや自治政策研究所の取組として、職員を対象とした世田谷版データアカデミーを開催し、ロジックモデルを用いた課題や解決策を分析し、データで根拠づける能力を身につけることを目標にカリキュラムを実施いたしました。  こうした取組を加速させ、データの適切な収集、分析とデータに基づく政策立案の定着、また、根拠となるデータのさらなるオープン化を進めてまいります。  最後に、セーフティーネットに対する区の基本的考え方についてでございます。  少子・高齢化の進行や家族形態の変化など社会状況が大きく変化する中で、区民の生活を支え、安全安心を確保するためセーフティーネット機能の強化を図ることは重要だと認識しております。  セーフティーネット機能とは、最低限度の生活を保障するための所得保障をはじめ、保健、医療、福祉の連携による健康保持に向けたサービス提供、安全安心に暮らせる住まいの確保、社会的孤立の防止など、様々な面から漏れ落ちることなく網羅的に必要な支援を行うことであると考えております。  こうした支援体制の構築における区の役割としては、区民生活や地域の実態に照らし、国や都の制度で必ずしも十分にカバーできない部分などについて、重層的なネットワークの形成や、一定の経済的負担を取り除くための支援などを行うことで、地域で安心して暮らせるようにするものと認識しております。  区独自の支援策を講じるに当たって、国や都の事業との重なりや公共と民間との役割の整理、制度の公平性や継続性などを十分勘案し、必要性を慎重に見極める必要があります。区としては、まずは、生活が困難な状況に陥ることを防ぐ予防の取組に力を注ぐとともに、区独自の支援策については、その時々の社会経済状況も踏まえ、多角的な視点から検討を行ってまいります。  以上です。 ◎有馬 保健福祉政策部次長 私からは、検査キット配布事業における区の意思決定について、判断の基礎となる客観的データと政策決定過程について答弁いたします。  一月中旬から区内における感染者数は急激に増え始め、特に保育園や小中学校での感染は第五波をはるかに上回り始めました。また、保健所の検査や社会的検査の随時検査の検査数も第五波に匹敵する検査数となり、検査体制の逼迫が始まった時期でもございます。  この時点で社会的検査の対象施設の職員及び利用者用として抗原定性検査キットを配布しておりましたが、一般の区民等が検査を受けられなくなることを見込み、区民からの要望もありましたPCR検査会場を二か所設置するとともに、速やかに検査結果が判明する抗原定性検査キットの区施設三か所及び薬剤師会による無料配布、さらには、上用賀のPCR検査会場の臨時設置の検討を始めました。  事業の構築に当たっては、感染拡大時期を逃さず速やかに実施すること、区内で偏りなく配布実施することなどを踏まえ、一月十七日の新型コロナウイルス感染症対策本部にて三か所での配布を審議、決定し、同日に区議会に情報提供しております。  なお、本事業は二月一日の福祉保健常任委員会で報告し、また、感染状況につきましても二月七日の福祉保健常任委員会で報告、また、区ホームページ等でも公表しております。  以上でございます。 ◆八番(つるみけんご 議員) 終わります。 ○下山芳男 議長 以上でつるみけんご議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、二十五番たかじょう訓子議員。    〔二十五番たかじょう訓子議員登壇〕(拍手) ◆二十五番(たかじょう訓子 議員) 質問通告に従い質問します。  まず、地域行政推進条例についてです。  大場区長時代に始まった地域行政制度は、区役所が住む人の近くに来るということを掲げて、行政サービスを住民の身近なところに移し、便利な区役所をつくる一方、これを通じて住民自治の発展を目指すという創造的な提起でした。議会も支持をしてきました。しかし、出張所改革、合理化・効率化推進の行政改革により、地区も総合支所も縮小され、区民サービスが後退し、住民自治の発展を目指すという側面は軽んじられてきました。  今般、地域行政推進条例の素案の案が示されましたが、地区におけるまちづくりを推進すること、住民自治の充実と地域社会の発展に寄与することを目的としていることについて、地域行政を積極的に進めるものと評価します。  区は基本理念に住民自治をより確かなものにすることを掲げ、一人でも多くの区民が区政や公の活動に参加できるようにすることを明らかにしており、その内容は、自治の担い手である住民が区政に参加できる機会を数多く設けることや、地域の課題解決に取り組む区民や団体がお互いに協力して自治を進められるよう支援することなどを掲げています。現基本計画では、参加と協働による地域行政を推進することとし、住民の意見を尊重した区政運営を行うとしています。  その立場から、区が地域行政推進条例を策定するに当たり、住民自治の充実を目的に掲げていることは大変重要だと考えます。地域行政推進条例で住民自治をどう進めていこうとしているのか、区の考えを伺います。  昨年二月に条例素案が示され、一定の権限が想定される住民自治の仕組み、地区街づくり協議会の設置が示されました。その後、権限を有さず、住民が具体的に参加していく仕組みが弱い地区情報連絡会へと変更されています。住民自治を進めるためには不十分ではありますが、広範な団体や個人が参加する仕組みは重要です。多様な住民の参加に門戸を広げることも含め、住民自治の発展を目指していただきたい。見解を伺います。  次に、世田谷区産業振興基本条例についてです。  今般、世田谷区産業振興基本条例の一部を改定する条例が提出されました。見直しに当たり、我が党が求めてきた事業者への支援を位置づけること、多様な事業者を対象にすること、SDGsの視点など、条例案に盛り込まれました。  コロナ禍により、区内には業績を伸ばしている事業者もありますが、その一方、飲食店初め多くの事業者が痛手を負いました。区内の事業者から、経営状況は消費税増税で厳しくなった上に、追い打ちをかけるようにコロナ禍でより状況は悪化した、コロナ対策としての支援で延命できたという部分が大きい、条例の見直しで事業者への支援が位置づけられたことに期待するとの声が寄せられました。  今般示された条例案、世田谷区地域経済の持続可能な発展条例が事業者への支援を位置づけていることは大変重要です。今後、区内事業者の困難に寄り添って支援に取り組んでいただきたい。今後の事業に条例をどう生かし、どう進めるのか伺います。  次に、旧池尻中学校跡地の活用計画の見直しを求め、伺います。  旧池尻中跡地の活用計画では、旧校舎とともに校庭、体育館も一体に民間活用する計画となっています。先日、池尻小学校PTAの方、校庭を利用されている地域の野球やサッカーチームの方からのお話を伺いました。池尻小学校は、小学校の校庭と旧池尻中学校の校庭を一体に利用しており、区内で最大の校庭面積であり、大変貴重です。地域のイベント、スポーツ団体の練習や大会の開催など、十分に活用されてきました。今回の池尻中学校跡地計画が進めば、校庭は今までの六割しか利用できなくなります。  広い校庭を生かし、三宿小学校、多聞小学校、池尻小学校の三校が連携してマラソン大会を開催する取組がありますが、三校の保護者からも反対の声が上がっていると聞いています。六月に開催された説明会以降、池尻小PTAの方や野球やサッカーの団体は、体育館や校庭を今までどおり利用できるよう、事業の見直しを求めて陳情提出に向けた署名活動を行い、短期間に約二千四百名の署名を集めたと伺っています。  そもそも、当区はスポーツ施設が不足しています。こうした中、池尻小学校の広い校庭は大変貴重な区民の財産であり、教育施設として、また、地域のスポーツ施設として活用できるようにすべきです。官民連携の事業を成功させるため、事業者の利益を増やすために、区民生活に欠かせない施設を犠牲にしてはなりません。優先すべきは、区民の福祉の増進です。今までどおり区民が校庭を利用できるよう、計画の見直しを求めます。また、住民の方の要望を伺う機会を十分に設けていただきたい。見解を伺います。  次に、北烏山地区会館の廃止について伺います。  現在、区は、北烏山地区会館を廃止し、跡地活用として障害者施設を検討するとしています。この間、利用者を対象とした説明会が開催され、コロナ禍で参加を控える方もいたと伺っていますが、その中でも十名の方が参加されました。参加者からは、この地域には三十人規模の会議室は北烏山地区会館以外にはない、なくなると困る、独りぼっちの高齢者をつくらないために高齢者のサークルをつくり活動している、この施設があるからこそ続けてこれた、高齢者のこうした活動を認めてほしい、北烏山地区会館の存続を求める、利用率が低い理由について、区は駅から遠く利便性が低いことを挙げたが、駅から遠い地域の住民が必要に応じて利用できることが住民にとっては重要だ、また、個別にマンションの自治会役員をされている方から、自治会の総会の会場として北烏山地区会館を利用している、ここがなくなれば駅前の区民センターを利用するしかない、わざわざバスに乗っていくのかと御意見を伺っています。  統合先の寺町区民集会所には、三十人規模の会議室はなく、代替にはなりません。また、世田谷区公共施設等総合管理計画では、適正配置について、半径五百メートルを利用圏域として各地域に配置していると述べています。  この図は、北烏山の集会機能を持つ施設を中心に半径五百メートルの利用圏域を示した地図です。ここが北烏山地区会館で、この青い丸が圏域になりますが、ここがなくなれば新たな空白地域が生まれます。  北烏山地区会館が廃止になって、こういった統合がされてしまえば、北烏山八丁目・九丁目、給田五丁目の住民は利用圏域外になり、新たな空白地域となります。こうしたことは区民には説明されていません。住民や利用者の理解は得られません。  北烏山地区会館の存続の検討を求めます。この計画は、新たな空白地域が生まれるものであり、住民サービスが低下することは明らかです。どう対応するのか、見解を伺います。  次に、区の事業決定のプロセスについて伺います。  ふじみ荘の廃止に続き、北烏山地区会館、また、旧池尻中跡地利用でも同様、事業決定前に住民からの聞き取りや現状把握、事業による区民への影響を十分に検討せずに廃止や削減となる事業を推し進めるやり方が繰り返されています。廃止により後退する必要なサービスの代替も担保もされず、住民は納得していません。また、今回、施設の統廃合で空白地が生まれるなど、新たな課題も生まれています。住民の方から、区のやり方が大変強引だ、いつからこんなひどいやり方をするようになったのかとの声も伺っています。  参加と協働の区政運営を掲げる当区として、施設、事業の廃止や削減の場合についても、事業の決定に先立ち、住民や利用者からの聞き取りや現状把握、事業による区民への影響を十分に検討し、課題への対応も含め丁寧に進める方針を持っていただきたい。見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎舟波 地域行政部長 私からは、二点御答弁申し上げます。  まず、地域行政推進条例により住民自治をどのように進めるかでございます。  地域行政推進条例の検討では、地域行政制度の充実強化について必要な事項を定めることにより、地域特性に即した行政を総合的に推進するとともに、地区におけるまちづくりを推進し、住民自治の充実と地域社会の発展に寄与することを条例の目的としてございます。  住民自治の充実に向けましては、条例では、区民等が区政に関する意見を述べることができる環境の整備に努めることを区の責務に掲げ、また、まちづくりセンターや総合支所で集約した区民等の意見を区政に反映する仕組みの強化を進めることを基本方針に位置づけてまいります。このような取組を進めるため、まちづくりセンターにおける総合調整機能や広報広聴機能、防災機能、地域包括ケアの地区展開の充実強化を進め、総合支所においては、まちづくりセンターを支援するとともに、地域の人材や団体のネットワーク化、地域における多様な区民参加の機会づくりを進めてまいります。  総合支所の地域経営の取組や成果が各種計画の策定や施策の実施に反映、寄与するよう、本庁所管との関係性の強化にも取り組んでまいります。  続きまして、多様な区民参加促進に向けた取組についてでございます。  区民参加の促進に向けましては、まちづくりセンターでは、住民や町会・自治会、NPO、事業者、学校などの多様な関係者の交流の場づくりを進め、また、SNSやオンラインツールを活用してワークショップなどの開催を支援してまいります。このような取組から身近な町への関心を持っていただき、地域コミュニティーに参加するきっかけづくりを支援するとともに、地区課題を住民とともに考え、まちづくりにより多くの方が携わっていただけるよう取組を進めてまいります。  また、総合支所においては、地域課題などをテーマにしたタウンミーティングを開催し、総合支所の施策の実施に区民参加を組み入れ、また、地域で活動する団体の方々の交流の機会を設け、総合支所を核とした参加と協働による地域経営を目指してまいります。このような取組にはデジタル技術を併用するなど、区民が参加しやすい環境づくりを進め、より多世代の区民参加の促進に努めてまいります。  以上でございます。 ◎田中 経済産業部長 私からは二点、まず、産業条例について御答弁いたします。  産業振興基本条例の改正案では、地域経済の発展と地域や社会の課題解決を両立する地域経済の持続可能な発展を目指していくこととしています。そのために、地域産業の基盤強化をはじめとする四つの基本的方針を掲げ、第五条の区の責務の中で事業者への支援について言及しております。  区ではこの間、業態転換や新ビジネス創出に関する支援、伴走型で成長を促すハンズオン支援、せたがやPayによる個店支援など、区内の中小・小規模事業者を対象とした様々な施策を実施してきましたが、令和四年度もこれらを継続するとともに、改めてコロナ対策の融資を行っていく予定です。  今後も、区内事業者に寄り添いながら、区内経済状況を踏まえ、事業者や区民など様々な関係者と連携しながら、新たな条例の目的実現に向けた様々な施策を講じてまいります。  次に、池尻中跡地活用についてです。  旧池尻中学校跡地活用においては、校庭、体育館を子どもから大人まで広く区民に開かれた場、地域コミュニティーの場、区民と事業者の交流の場、新しく事業に挑戦する方のテストマーケティングの場とするなど、多くの区民や事業者が活用できるようにしていきたいと考えております。  なお、休日や放課後にグラウンドを使用している活動団体などからは、校庭の活用方法について御意見、御要望をいただいており、他の廃校活用も参考に、団体が引き続き活動できるよう、場の確保について検討、調整してまいります。  私からは以上です。 ◎皆川 烏山総合支所長 私からは、北烏山地区会館について御答弁申し上げます。  北烏山地区会館については、令和三年九月に一部改定した公共施設等総合管理計画に基づき、利用率の低い区民集会施設の有効活用策として、同様に利用率の低い寺町通り区民集会所にその機能を移転し、跡地は障害者施設としての活用に向けて現在検討を進めております。  この間、機能移転については、施設利用団体に御説明文書を郵送するなどしてお知らせしたほか、一月下旬には説明会を二回開催し、約十人の参加者から、北烏山地区会館の存続や複合化、利用率が低い要因、寺町通り区民集会所の会議室の規模等について御意見をいただきました。機能移転により利用者の方々には御不便をおかけすることとなり、施設ニーズにどのように対応するかが課題であると認識しております。  機能移転先である寺町通り区民集会所には三十人規模の会議室はありませんが、まずは施設の利便性を高めるため、コロナ禍等も想定して、例えばICTを活用したリモート会議の環境整備などについて検討してまいります。  引き続き地域の方々にきめ細かく説明し、いただいた御意見、御要望に丁寧に向き合いながら検討を重ねてまいります。  以上でございます。 ◎加賀谷 政策経営部長 私からは、区の事業決定のプロセスについて御答弁申し上げます。  御指摘の地域にある公共施設は、区民や地域活動団体が日頃から顔を合わせ、関係性を深めながら、主体的に地域で活動するための基盤を担う大切な場であると認識をしております。  施設の機能移転や廃止の決定におきまして、現状の利用実態や維持管理に係る将来コスト、立地や近隣施設の状況などを分析し、地域のニーズや将来的な利用者数の見込みなど、区民への影響を多方面から検証した上で総合的に判断をしていくことが重要だと考えております。  今後とも、利用者や近隣住民等に御理解いただけるよう説明責任を果たすとともに、御意見等を踏まえながら課題への対応などを丁寧に進めてまいります。  以上でございます。 ◆二十五番(たかじょう訓子 議員) 一つは要望です。北烏山地区会館の問題ですけれども、区民に説明責任を果たしていないという事実があります。今後、皆さんと一緒に対応を考えていただきたいと要望します。  また、池尻中学校跡地の問題ですけれども、住民の方の御意見をぜひ聞いていただきたいというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。 ◎田中 経済産業部長 再質問にお答えします。  今お話のあったとおり、他の廃校活用事例においても、同様の取組をしております。池尻中跡地活用についても、過去の事例を参考にしながら、住民との意見交換をしてまいりたいと思います。  以上です。 ◆二十五番(たかじょう訓子 議員) 終わります。 ○下山芳男 議長 以上でたかじょう訓子議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後四時十八分休憩    ──────────────────     午後四時三十分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  一般質問を続けます。  一番神尾りさ議員。    〔一番神尾りさ議員登壇〕(拍手) ◆一番(神尾りさ 議員) 通告に基づき質問します。  まずは、障害がある方の個性が輝く社会の構築についてです。  東京・竹芝に対話の森、ダイアログ・イン・ザ・ダークという施設があります。ここを訪れる参加者は、グループになり、光が完全に遮断された一〇〇%の闇の中で、目が見えない人が使う白杖を手に持って探検します。そのグループをリードするのは、視覚に障害がある方です。そこでは、外の世界と立場が逆転し、目が見えない人が見える人を支え、導きます。  一九八八年、ドイツの哲学博士によって発案されたこのイベントは、これまで世界五十か国以上で開催され、日本では一九九九年に初めて開催されました。この施設で働く約六五%の人は、視覚に障害があります。つまり、外の世界とはマジョリティーとマイノリティーの立場が逆転します。暗闇の中で目が見えない人が持つ高い能力に気づかされることで、通常は支える立場の健常者は多くを学びます。年齢や肩書などに関係なく、また、健常者や障害者という意識もなくなり、本来あるべきフラットな関係でのコミュニケーションを図ることができるようになります。このような体験をする人が増えれば、世の中は少しずつ本当の意味での共生社会に近づくのではないかという立場から、区の政策について伺います。  区では、せたがやノーマライゼーションプランに基づき、障害理解の促進や差別解消などに関する条例の検討を進めています。個々の人格と個性を尊重し合いながら、共生する社会の実現を目指すために必要なのは、障害がある方を支援するという意識よりも、それぞれが持つ力を認め合い、発揮できる社会とはどのようなものか、一人一人が真剣に向き合う姿勢であると考えます。  今般の条例改正に当たり、障害があるからこその文化や出会い、楽しみについても理解できるような社会の構築に向けて、どのように施策を展開していくのか伺います。  また、アートなど文化芸術の才能や、今後始まる農福連携事業をはじめとする就労の場の拡大など、障害がある方が多様な能力を発揮して活躍できる機会をどのように充実させていくのか伺います。  次に、多文化共生・国際交流政策についてです。  東京二〇二〇大会が終了し、区を挙げて取り組んできたホストタウン・共生社会ホストタウンのレガシーをどのように残していくのかが問われています。  新型コロナ禍でなかなか事業が思うように進まない中、約五百名もの区民ボランティアの登録や、領域を超えた所管部と区民が一体となって進めたおもてなし実行委員会、アメリカ合衆国選手団にエールを送るなど、区民の身近なところで文化や国際を感じられる工夫がありました。ホストタウンとしての機運はアメリカ合衆国という切り口で醸成されましたが、今後はその土壌を生かし、他の国際施策にも発展させていく必要があります。  子どもを中心として、今まで以上に多くの方が国際交流に関心を持ち、関わるきっかけをつくることができたこれまでの取組をどのように今後の施策に反映させていくのか伺います。
     また、今般の組織改正(案)では、文化・国際課の設置とホストタウン業務の移管が示されました。生活文化政策部は、諸外国との交流や文化・芸術振興、人権施策等、幅広い業務を担っています。未来つながるプランの四つの政策の柱の一つとして多様性の尊重を位置づけていることも踏まえ、今後の多文化共生・国際交流の推進に向けた事業をどのように展開し、強化させていくのか伺います。  最後は、SDGs時代におけるインフラ整備についてです。  この間、人々の日常や価値観などが変わり、物を所有する時代から共有する時代へと移行しています。区内の乗用車保有台数は年々減少傾向にあり、車中心の移動形態が変わりつつあることは明らかです。車は一日の大半が駐車場に置かれ、その使用率は一、二%とされます。車を所有しなくても、それと同等の移動の自由を得られる仕組みが、現在国を挙げて進められるMaaSです。  MaaSとはモビリティー・アズ・ア・サービスの略で、地下鉄、バスなどの公共交通やタクシーと車や自転車シェアなどを一括し、アプリと連携させたサービスです。家から目的地までの最適ルートをかかる時間や料金などを比較して提示し、予約から決済までが可能になるとされます。海外、特に欧米には既にそういったインフラ整備が進んでいる都市があります。  国では、二〇一九年六月に統合イノベーション戦略二〇一九が閣議決定され、設立されたスマートシティ官民連携プラットフォームを構成するのは、企業、大学、研究機関、地方公共団体など八百七十一団体です。二十三区では、新宿区、千代田区、豊島区など、既に八つの自治体が参加しています。  MaaSの取組を発展させる主体は、一、移動する人、二、交通事業者、三、オペレーター、そして四、その他の事業者や自治体であるとされます。その中で自治体に求められる役割は、MaaSの活用によって人々の暮らしがどのように変わるのかという大きな目標設定に関わること、そして、様々な利害関係者が意見を交わし、競争関係から協調関係へ変わるための中立的な立場となることです。MaaSの概念の共有によって、百人の利用客を数社の事業者で取り合う意識から、潜在利用客の外出を促すことで、百人を五百人、そして千人に増やせる可能性を共有することにもつながります。  また、区においてMaaSへの取組を加速させることは、地域通貨のせたがやPayや産業連携などの経済産業政策、移動支援の充実を掲げる福祉政策、今後整備予定の大蔵運動場、大蔵第二運動場や、上用賀公園における駐車場の在り方など、様々な政策にも影響をもたらすことが予測できます。MaaSの普及に必要な人口は、欧州では五十万人規模と言われます。人口百万人規模の当区で検討を進めることは、都や国の政策にも影響を与えるのではないでしょうか。  現在、当区では新たな基本計画を策定する時期にあり、SDGsを意識し、あるべき未来の姿から逆算したバックキャスティングの視点を持って検討を進めるとしています。区民が自由に移動でき、環境への負担を減らせるインフラ整備について、十年後を見据えた次期基本計画の俎上にのせるべきと考えます。見解を伺います。  一方で、MaaSの活用によって車の所有が減れば、環境政策にも大きな効果が期待できます。令和五年三月の改定に向けて検討が進められる世田谷区地球温暖化対策地域推進計画には、自動車に過度に依存しない都市づくりを目指すとあります。また、昨年九月には、領域を超えた部長級で構成される気候危機対策会議が設置されました。改定される推進計画への位置づけを見据え、まずは気候危機対策会議のテーマとしてMaaSの視点を取り入れた議論を展開すべきと考えますが、見解を伺います。  現在、喜多見・宇奈根地区と砧地区の交通不便地域において、デマンド型交通に基づいた取組が検討されています。需要が集中する時間帯があるなど、様々な課題が挙げられますが、MaaSが活用できれば、利用者の希望に沿った移動方法を提案したり、広告スポンサーと組むことで料金負担を下げられたりする可能性があります。  また、民間シェアサイクルの実証実験においては、今般二年間の延長が報告されましたが、将来的には、区と単体の事業者に限らず、様々な事業者を含めたMaaSの視点でアイデアやデータを共有し、より採算性が高く持続可能な仕組みの構築を目指すべきです。  昨年十一月、港区が数社の民間企業と連携し、交通課題の解決を目指した実証実験を行いました。当区でも、昨年秋に世田谷公園において、地域と民間のモビリティー、図書館と大学などが連携した子どもを主体とするイベントが開催されました。少しずつではありますが、環境に優しい移動の在り方について体験し、考える機会が生まれています。  区は、都市整備方針に掲げる環境と共生した低炭素都市づくりの一環として、自動車に依存しない社会への転換を図ることとしています。コロナ禍において生活環境も区民の意識も大きく変化している中、実現に向けて取組を加速させる必要があるのではないでしょうか。伺います。  また、交通まちづくり計画では、必要に応じてMaaSの活用や支援を検討するとしていますが、その必要があるのは今ではないでしょうか。まずは前述の気候危機対策会議等の庁内会議を活用しつつ、地域公共交通会議などを通して民間との連携にもつなげていく必要があると考えますが、見解を伺います。  MaaSの視点を取り入れたまちづくりが進めば、環境に優しく、健康で豊かな暮らしにもつながっていきます。守りではなく攻めの姿勢で前進することを強く求め、壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎須藤 障害福祉部長 それでは、私から、障害者の個性が輝く社会の構築について、二点御答弁申し上げます。  まず一点目は、障害があるからこその文化や出会い、楽しみについて理解ができるような社会の構築についてです。  地域共生社会の実現に向けては、障害のある方を単に支援の対象として捉えるのではなく、個々の人格や個性を尊重し、持てる力を発揮して、地域の中で生き生きと暮らし続けられることが重要であるというふうに認識をしております。  現在検討中の条例では、障害への理解を促進し、障害を理由とする差別を禁止することや、誰もがあらゆる分野の活動に参加し活躍できる機会を確保することなどについて検討をしております。  お話しのように、障害のある人とない人が同じ場面で一緒に何かを体験することは、障害のある人は自分の能力に気づき、障害のない人は障害理解につながり、その後の行動を変化させる効果が期待できます。今後、関係所管とも連携し、効果的な施策について検討してまいります。  続きまして、多様な能力を発揮して活躍できる機会の充実についてです。  障害のある方が自ら能力を発揮して活躍するためには、活動できる場所や場面を増やすとともに、それを選択できるということが必要であるというふうに考えております。  区では、国家資格を有します視覚障害の方が行うはり・きゅう・マッサージサービスや、企業と連携した農福連携事業、精神障害者のピアサポート活動など、活動できる機会の拡大に取り組んでおります。障害のある方の優れた技能を生かし、文化芸術などの活動を通じて生きる勇気や感動を与えているというような事例もあることから、障害のある方の活動できる場を拡充し、選択が可能となるよう、庁内で連携して取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。 ◎小澤 交流推進担当部長 私からは、今後のホストタウン・共生社会ホストタウンの取組についてお答えいたします。  世田谷区は、大蔵運動場がアメリカ合衆国選手団のキャンプ地に選ばれたことを契機に、ホストタウンとして、アメリカ合衆国オリンピックパラリンピック委員会やアメリカ大使館など、アメリカ合衆国関係者とのつながりを築き、子どもたちとのスポーツ交流事業を基軸に取組を進めてまいりました。東京二〇二〇大会は終了しましたが、区はホストタウン・共生社会ホストタウンの取組を継続し、例えばアメリカ合衆国政府関係者との交流や心のバリアフリーの推進、ユニバーサルデザインのまちづくりなど、多文化や多様性、障害への理解を進め、共生のまち世田谷の実現を目指してまいります。  その際、全庁において広範囲な観点から具体的な取組をおのおのの担当所管が進めることから、令和四年度に関係課長をメンバーとするホストタウン・共生社会ホストタウン連絡会を設置し、生活文化政策部が事務局機能を担い、情報共有や意見交換、事業調整を行い、その結果を全庁で共有し、効果的に進めてまいります。  以上でございます。 ◎片桐 生活文化政策部長 私からは、多文化共生・国際交流の推進についてお答えいたします。  区ではこの間、姉妹都市のみならず海外都市との国際交流を進めながら、平成三十一年三月には世田谷区多文化共生プランを策定し、在住外国人の生活支援や多様な文化を受け入れる意識づくりにも取り組んできたところです。  東京二〇二〇大会のビジョンにも掲げられた多様性と調和は、区の国際交流等に関する施策の基本的な考え方にも相通じるものであり、区がアメリカのホストタウンとなったことをきっかけとして深まった多様性への理解や国際理解などは、貴重な財産として継承していくべきものと認識しております。  全ての人が多様性を認め合い、人権が尊重される地域社会を目指すことは、世田谷区未来つながるプランの施策の一つにも位置づけられております。今後も、東京二〇二〇大会を契機として、多様性や国際交流への関心が高まった区民が活動に参加できる機会をせたがや国際交流センターとも連携しながら創出し、区の多文化共生・国際交流施策の推進に一層取り組んでまいります。 ◎加賀谷 政策経営部長 私からは、次期基本計画の検討における官民連携インフラ整備について御答弁いたします。  お話しのMaaSは、SDGsのターゲット十一の二で掲げられた「すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する」という目標につながる取組として認識をしております。  MaaSの取組は、フィンランドのヘルシンキにおいて、域内の自家用車をゼロにするという目標に向けて開始したものが始まりとして、バックキャスティングによる逆算の視点が、移動における利便性の向上に加え、都市部の渋滞緩和、環境負荷の低減等の複合的な課題解決につながる効果を生んだ事例であり、コロナ禍での三密回避や就労形態の多様化といった新たな課題にも対応する取組であると考えております。  十年後の区の方向性や将来像を踏まえて、次期基本計画の個別政策の具体的な検討を進めることとしております。お話しの趣旨も踏まえ、関係所管と連携の上、将来像から逆算した施策を横断的に検討し、議会との議論を重ね、次期基本計画の策定に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎清水 環境政策部長 私からは、気候危機対策会議のテーマとしてMaaSについて議論を展開すべきとの御質問に御答弁申し上げます。  区内における二酸化炭素排出量のうち、自動車等の運輸部門が占める割合は、家庭部門、業務部門に続き約一六・八%となっており、移動、交通における対策は、区が掲げる脱炭素社会の実現に向けた重要な課題となっております。  MaaSの活用は、自家用車の利用低減や交通渋滞の緩和といった環境面での好影響に限らず、様々な分野に波及し、複数の課題の同時解決につながる横断的な取組であると存じます。全庁的な議論の場である気候危機対策会議において、テーマとしてMaaSの活用を取り上げることは、検討を進める上で望ましいことであると考えております。  以上でございます。 ◎畝目 都市整備政策部長 私からは、区の都市整備方針における自動車に依存しない社会への転換に関してです。  都市整備方針では、目指すべき将来都市像の四つのまちの姿の一つに誰もが快適に移動できるまちをビジョンに掲げ、公共交通ネットワークの充実とともに、徒歩や自転車利用の推進等、交通環境の質の向上等を示してございます。  この実現に向けましては、分野別方針等に交通まちづくり基本計画や自転車等の利用に関する総合計画等を策定し、コミュニティバスの導入促進、コミュニティーサイクル「がやリン」の整備や民間シェアサイクルの実証実験による自転車シェアリングの普及促進など、様々な取組により公共交通ネットワークの推進や利便性、快適性の向上を官民連携により図ってまいりました。  新型コロナ危機や気候危機、SDGsの推進と社会状況の変化、これに伴う多様なライフスタイルや意識の変化は、東京都においても、区域マスタープランにおいて、持続可能な都市づくり、ゆとりある回遊性を支える都市施設を示してございます。  区といたしましても、こうした変化を的確に捉え、区民主体の参加と協働の下、よりスピード感を持って、低炭素都市づくりに寄与する交通基盤、交通環境のさらなる発展に向け取組を進めてまいります。  以上でございます。 ◎田中 道路・交通計画部長 私からは、MaaS活用に向けての庁内や民間との連携について御答弁申し上げます。  お話しのMaaSは、移動の利便性向上に加え、既存公共交通の有効活用や外出機会の創出と地域活性化など、地域が抱える様々な課題の解決に資する有効な手段となり得るものと認識しております。  国内では、観光地やニュータウンなど範囲を限定してのサービスが提供されています。一方、多数の交通事業者が複数の自治体にまたがって路線を運行している都内においては、MaaSの普及のためには広域的視点からの取組が必要となり、都内においては、東京都が公募し、交通事業者などを実施主体としたMaaSの実証実験が行われております。  区では、令和二年四月に改定した世田谷区交通まちづくり基本計画(中間見直し)において、MaaSについて、技術開発など社会動向を注視するとともに、民間企業などとの連携も視野に入れつつ、必要に応じてその活用や支援について検討するとしており、引き続き、国や東京都の動き、さらには地域公共交通会議などを通じて交通事業者から情報を収集し、庁内会議なども活用しながら、MaaSについて積極的に調査研究を進めてまいります。  以上です。 ◆一番(神尾りさ 議員) MaaSについて改めて要望します。  まずは、道路・交通計画部が提案し、気候危機対策会議を活用して議論を開始すること、そして、MaaSの概念を庁内で共有した上で、民間との連携を図っていくこと、積極的に今後、議論や取組が進められることを強く要望し、以上で終わります。 ○下山芳男 議長 以上で神尾りさ議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、五番ひうち優子議員。    〔五番ひうち優子議員登壇〕(拍手) ◆五番(ひうち優子 議員) 本日は、PCR検査についてまずお伺いいたします。  オミクロン株が増え始めてから、私のところに、ニュースで世田谷区の無料PCR検査ができるとの報道を見たが、無料のPCR検査ができる場所があれば教えてほしいとの問合せが多くなりました。皆様の声をお聞きする中で、熱が出た、濃厚接触者になったといったときに、区民の方の不安な気持ちを払拭するために、気軽にPCR検査を受けられる場所が必要だと強く思いました。  先日まで代田区民センター、宮坂区民センターで、また、現在は大蔵第二運動場、各薬局、上用賀公園拡張用地で無料のPCR検査が受けられます。今後さらにPCR検査の拡大が必要と考えますが、今後のPCR検査体制について改めてお伺いをいたします。  次に、シェアサイクルの拡充について伺います。  世田谷区は、民間シェアサイクル事業者と令和二年四月より、砧・玉川地域の公有地をステーションとして提供し、官民連携による実証実験を開始しております。この間、利用回数が令和二年四月の五千八百七十二回から令和三年十一月には三万七千七百四十五回と順調に増えているなど、区民の方の交通手段の一つとして一定の効果が出ており、今後、さらなる発展を期待したいところです。  世田谷区は、本格実施を行うことを視野に入れ、実証実験を二年間延長し、官民連携事業としての効果と課題を見極めるとのことですが、ステーションが区内全域に広がることで、さらに区民の方の利便性向上に貢献できると考えます。  今後、民間シェアサイクルが新たな交通手段の一つとして定着できるように、世田谷区としても、実証実験において、現在、砧地域と玉川地域に十三か所ある公有地へのステーションを他の地域へも広げ、民間シェアサイクルの普及促進をさらに支援すべきと考えます。今後の展開をお伺いいたします。  次に、サイクルマップの活用について伺います。  現在、コロナ禍において感染リスクの少ない移動手段として自転車の人気が高まっていることから、サイクルマップをより多くの方に活用していただきたいと考えております。  現在、世田谷区では、自転車専用レーン、ナビライン、ナビマークが整備されている場所や、等々力渓谷、次大夫堀公園など世田谷区の名所を掲載したサイクルマップを作成をしております。せっかくあるマップをより多くの方に活用していただきたいと考えます。  そのために、まず、サイクリングの際にはスマートフォン使用が重要な要素となっていくことから、現在あるサイクルマップをスマートフォン対応にすることが必須です。世田谷区全体のマップを幾つかの地域に分けて、サイクルマップを使いやすいようにスマホ対応したほうがよいと考えます。見解をお伺いいたします。  また、世田谷区を表すキーワードが幾つかあります。例えば文化・芸術のまち、歴史の町、緑の町など。現在、せたがや文化マップやせたがや花マップ、観光ガイドマップ、せたがや見どころマップ二十四物語など、テーマに応じた既存のマップがあります。よって、これらのマップをサイクルマップのサイトの下に掲示するなど、サイクルマップとリンクさせれば、これら既存のマップが活用でき、区内のサイクリングがより楽しくなると考えます。見解をお伺いいたします。  次に、本日は、図書館のDXという観点から幾つか質問をしてまいります。  まず、図書館DXの一つ、電子図書館についてです。私は平成二十五年から電子図書館の推進を幾度となく取り上げてまいりまして、ようやく一昨年十一月に導入に至りました。利用者の方からは、コロナ禍、図書館に行くことなく本が借りられる、時代の流れ、また、高齢なので、視力に問題がある中、電子図書館はありがたいという好評の御意見をいただいております。また、利用登録者数も約三倍に増え、今後ますます期待をするところであります。  一方で、昨年三月の定例会で取り上げましたが、図書について、古い本が多い、貸出期間二週間、予約数二点、予約取り置き期間一週間を広げてほしいとの声もあります。今後、電子図書館を発展させていくために、利用者の方の声を聞き、よい方向に改善していただきたいとの質問をいたしました。新しい電子書籍の増加、貸出期間、貸出数の改善など、その後の進捗状況についてお伺いをいたします。  次に、電子図書館は、図書館のDXを進める上で不可欠であります。電子図書館が開設されましたが、現在、電子書籍は図書館の蔵書全体の僅か〇・一%にすぎず、電子図書館先進国のアメリカやカナダ、シンガポールなどと比べると、まだまだ遅れております。  電子図書館は、コロナ禍において感染予防のため図書館が閉鎖されたときにその有用性が証明されました。今後の電子書籍の導入計画についてお伺いをいたします。  次に、これも私が提案した滞在型図書館への図書の自動貸出しについてです。現在、中央図書館、十二の地域図書館で自動貸出しができますが、今後は図書館のDXの観点から、全館に自動貸出機能を整備すべきと考えます。見解をお伺いいたします。  次に、図書館レファレンス機能の向上について、これも図書館DXの観点から新たな提案をいたします。  図書館法第三条第三項にあるとおり、公立図書館の存在意義としてレファレンス機能があります。全国の図書館のレファレンス事例を掲載した協同データベースを見ると、来館者の様々な要望に対して適切な本を紹介している全国の図書館の事例があります。  例えば、ある図書館では、イギリスの南極探検隊が出した隊員募集の広告が有名と聞いたが、これに関する資料はないかという質問に対して、司書は、広告論講義という書籍の中に広告の内容が載っていると紹介をしたり、別の図書館では、犬の車椅子の作り方が載っている本はないかに対しては、館内資料に車椅子そのものの作り方が載っている資料はないが、犬の介護用品の作り方が載った本三冊と犬用車椅子の写真と説明が載った資料を紹介したなどの事例が多数掲載をされております。  区長も図書館における非来館型のサービスやレファレンス機能の取組を進めると言われております。  そこで、図書館におけるDXの観点から、司書の資格を持った職員の方がオンラインで各図書館のレファレンスを行うことを提案いたします。  一方で、司書の人員不足を補完する観点、また、図書館DXの観点から、自動でお勧めの図書を紹介をするAI司書の導入も検討してみてはいかがでしょうか。既に民間ではAI書店員を導入し始めており、AI書店員が推薦した本は、人間の書店員が推薦した場合と比べて約三・四倍の販売数になったとのことです。  図書館司書のオンライン化やAI司書の導入について、お考えをお伺いいたします。  次に、地球温暖化対策について伺います。  昨年の第二回定例会で、現行の世田谷区地球温暖化対策地域推進計画の目標が、世田谷区が表明をしたCO2排出実質ゼロと整合性が取れていないため、早急に改定することと、今年度中にせめて計画の中間見直しを公表することを要望いたしました。その後、今回改定案が示され、二〇五〇年CO2の排出実質ゼロに向けた二〇三〇年度の中間目標値が明示をされました。  私は、世田谷区が本気でCO2排出実質ゼロを達成するためには、環境政策部だけではなく、全ての所管が目標を定めて取り組む必要があると主張をしてまいりました。CO2の排出実質ゼロを実現するためには、みどりの保全・創出というマイナスカーボンの施策はもちろん必要ですが、産業部門や廃棄物部門など各部門のCO2削減の施策が必要です。  世田谷区では、各部が行政計画を策定して、それぞれの目標達成に向けて取り組んでおりますが、現状では、各部が取り組んでいる施策とCO2削減効果とが何ら関連づけられておりません。例えば清掃・リサイクル部では、ごみ減量の目標を定めて取り組んでおりますが、それによってごみ収集車や清掃工場から排出されるCO2がどれぐらい減るのか、また、世田谷区みどりの基本計画には、二〇三二年に区の面積の三分の一を緑にするという目標が定められておりますが、それによってCO2の削減効果がどれぐらいあるのかという視点も今後、各部の行政計画に入れていく必要があると考えます。見解をお伺いいたします。  次に、環境省が一月二十五日から二月二十一日まで募集したCO2排出ゼロに向けたモデル地域についてお聞きします。  国が再生可能エネルギー導入などを支援し、環境配慮のまちづくりのモデルとするためにCO2排出量を実質ゼロにする先行地域を募集しました。選定されれば、来年度に新設される交付金によって、世田谷区が取り組むCO2削減施策に対して三分の一から三分の二の補助が得られるほか、国から先進技術の提供も受けることができます。  世田谷区は、気候非常事態宣言と同時に二〇五〇年CO2排出実質ゼロを表明したのですから、応募すべきと考えますが、応募状況についてお伺いをいたします。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎有馬 保健福祉政策部次長 私からは、PCR検査の拡充について答弁いたします。  現在、感染不安を感じる無症状の方が無料でPCR等検査を受けられる東京都PCR等検査無料化事業が実施されており、二月十六日時点で都内四百二十六か所に検査会場がございます。区内では、ドラッグストアのほか、川崎重工業株式会社と区が連携し、区施設を検査会場として提供し実施するなど、現在二十三か所となっており、こちらを増やす方向で検討してまいります。  さらに、区では、感染拡大の深刻化に伴い、現在の検査需要に応えるため、診療所の位置づけで保険診療のため、千円から二千円程度の有料にはなりますが、臨時PCR検査会場を上用賀公園の拡張用地に開設したところでございます。  今後でございますが、医療機関の抗原定性検査キットの不足解消のための五万キットの譲渡を二月中に目指すほか、薬剤師会による抗原定性検査キット九万キットの配布を予定しており、令和四年四月以降も社会的検査を継続して実施し、感染状況等を踏まえながら、必要な方への検査が迅速に実施できるよう努めてまいります。  以上でございます。 ◎青木 土木部長 私からは、自転車に関する御質問について御答弁を申し上げます。  まず、シェアサイクルの拡充についてでございます。  区では、令和二年四月より、民間シェアサイクルによる区民の移動利便性の向上効果やがやリンとの相互補完の可能性について検証するため、民間事業者と連携した実証実験を行っております。  自転車の貸出しや返却を行うステーションにつきましては、この間、事業者が中心となって設置を進められており、区内でも利用環境が広がりつつある状況となっております。一方で、ステーションが少ない地域では、実証実験の効果がまだ十分に見られない状況もあることから、公有地における新たなステーションの可能性について、現在、庁内の施設管理所管に相談を行うとともに、区内自転車等駐車場への設置についても検討を進めているところです。
     ステーション設置は、公共施設の利用者にとっても利便性が向上するため、設置が可能な公有地については順次拡大に努めるなど、事業者と連携してステーションの拡充に取り組んでまいります。  次に、サイクルマップの活用について、地域ごとに分けたサイクルマップに関する御質問と、テーマに応じたマップのサイクルマップのサイトへの提示に関する御質問を併せてお答えをいたします。  区は、区内の名所、旧跡等の観光スポットと併せ、レンタサイクルポートや自転車等駐車場、自転車通行空間などの情報を掲載したサイクルマップを作成し、区政情報センターやまちづくりセンター等で配布しております。あわせて、産業振興公社を通じてサンチャキューブ等の観光情報コーナーでの配布、公式観光情報サイトへの掲載等も行っており、多くの方に御利用いただいている状況です。  区といたしましては、区民が町の魅力、自転車に乗る楽しさを再認識していただけるよう、スマートフォンでの御利用も想定して、サイクルマップをエリアごとに分割して掲載するなど、表示方法の工夫を行ってまいります。  また、サイクルマップを効果的に活用していただくため、ホームページ上で区の観光マップ集や観光情報サイトとのリンクを貼るなど、サイクルマップと観光情報との連携強化を図ってまいります。  私からは以上でございます。 ◎内田 生涯学習部長 私からは、図書館のDXとして四点、電子図書館、レファレンス機能の向上について順次お答えいたします。  まず、電子書籍の数の増や改善等進捗についてです。電子書籍サービスは二十四時間利用可能な非来館型サービスとして、令和二年十一月にコンテンツ約四千三百点で開始し、令和三年一月末のコンテンツ数は約八千点、利用登録者は約五千五百人でした。令和四年一月末現在で、コンテンツ数は約一万点、利用登録者は約一万八千人、貸出数は累計で約二万件となるなど、多くの御利用をいただいております。  電子書籍の貸出期間は、通常の図書資料と同様に二週間としておりますが、貸出数、予約数については、多くのコンテンツが貸出中とならないよう、いずれも二点までとしています。利用者からは、貸出数等を増やしてほしいとの御要望をいただいており、今後、コンテンツの充実や貸出予約状況を検証しながら改善について検討してまいります。  次に、今後の電子書籍の導入計画についてです。  今後、より一層多様な区民の要望に応えるため、様々な電子書籍コンテンツを充実していくことを計画しております。コンテンツの数を増やすことはもとより、どのようなコンテンツを収集していくのかも重要です。  電子書籍の購入に当たっては、各分野の基本的及び実用的な資料を中心に収集するとともに、通常の活字を読むことが困難な利用者への読書機会を確保するため、音声や動画による表現や、文字の拡大、縮小が自在であるといった電子書籍の特性を生かした資料収集を行ってまいります。また、家庭での子どもの学びや読書の支援に努められるよう、児童書についても積極的に収集するなど、より魅力的な電子書籍コンテンツの充実を図ってまいります。  次に、図書館全館への自動貸出機能の整備についてです。  世田谷区立図書館では、平成三十年度に世田谷図書館と経堂図書館にICタグを活用した自動貸出機を初めて設置し、その後順次、他の図書館への設置を進めてまいりました。  令和四年度には、地域図書館二館、地域図書室五室への設置を予定しております。これにより、令和五年度から改築工事着工を予定している梅丘図書館以外の全ての図書館、図書室に自動貸出機が導入されます。梅丘図書館につきましては、令和七年度の改築後の開設予定に合わせ、自動貸出機のほか、インターネット等で予約した図書資料をカウンターでの確認なしに貸出しすることができる予約資料コーナーの設置を予定しています。  貸出しの際の時間短縮、プライバシー保護などの利用者の利便性向上とともに、カウンター業務の省力化を図り、相談業務を充実させるなど、業務の改善につなげることを検討してまいります。  最後に、図書館DXによるレファレンス機能の向上についてです。  レファレンスは図書館の重要な機能であり、第二次図書館ビジョン第三期行動計画(案)においても、レファレンスサービスの充実について、重点プロジェクトにも位置づけをしております。利用者からの多様化する相談に的確に対応するため、従来の図書館の紙資料を活用したレファレンスだけではなく、インターネットを活用した商用データベースの充実や、国立国会図書館が運営するレファレンス協同データベースなどを活用し、様々な情報を基にしたレファレンスを行ってまいります。また、来館者からの相談の中で難易度が高い案件については、オンラインにより中央図書館で対応し、地域図書館を支援する仕組みを順次整備します。  議員お話しのAIの活用につきましても、膨大なデータを蓄積、分析してレファレンスに生かすなどの新たな技術の動向に注視をし、レファレンス機能の向上について取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎清水 環境政策部長 私からは、地球温暖化対策について二点御答弁申し上げます。  まず、各分野の行政計画にCO2削減という視点を入れるべきという御質問についてです。  地球温暖化や気候変動への対策は、環境所管の取組だけで達成することは限られており、各所管がそれぞれの分野において取組を進めていくことが必要です。  区では、全庁的な議論の場である気候危機対策会議などを活用し、庁内における地球温暖化対策の浸透化を推し進めておりますが、現状では、各部で策定している行政計画においてCO2削減効果について踏み込んでいる内容はごく限られたものとなっております。様々な領域における計画や施策と気候変動対策をひもづける視点は今後ますます求められることから、環境政策部としても、こうした視点に立った議論が進むよう、気候危機対策会議などの場などを活用し、働きかけてまいります。  続きまして、環境省が募集したモデル地域への応募状況についてです。  国が提唱する脱炭素先行地域とは、二〇五〇年のカーボンゼロに向けて、民生部門の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを実現し、かつ、その他の部門等においても、我が国全体の二〇三〇年度目標と整合する削減を地域特性に応じて実現するモデルとなる地域です。  脱炭素先行地域の選定に当たっては、地球温暖化対策地域推進計画の改定など様々な要件があり、また、エントリーをする場合には、将来にわたって区民生活に影響を及ぼす計画の策定が必要となることから、長期的なビジョンを持って検討を進める必要がございます。  都市整備領域をはじめとする関連部署とも情報共有し、連携を図りながら、積極的に検討を進めてまいります。  以上でございます。 ◆五番(ひうち優子 議員) 以上で質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上でひうち優子議員の質問は終わりました。  これで本日の一般質問は終了いたします。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 以上をもちまして本日の日程は終了いたしました。  なお、二十四日は午前十時から本会議を開催いたしますので、御参集願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時十三分散会...