世田谷区議会 2021-11-30
令和 3年 12月 定例会-11月30日-02号
令和 3年 12月 定例会-11月30日-02号令和 3年 12月 定例会
令和三年第四回定例会
世田谷区議会会議録第十九号
十一月三十日(火曜日)
出席議員(四十八名)
一 番 神尾りさ
二 番 佐藤美樹
三 番 そのべせいや
四 番 青空こうじ
五 番 ひうち優子
六 番 上川あや
七 番 くりはら博之
八 番 つるみけんご
九 番 小泉たま子
十 番 あべ力也
十一番 高岡じゅん子
十二番 金井えり子
十三番 田中みち子
十四番 下山芳男
十五番 加藤たいき
十六番 河野俊弘
十七番 阿久津皇
十九番 津上仁志
二十番 河村みどり
二十一番 いそだ久美子
二十二番 中山みずほ
二十三番 中里光夫
二十四番 江口じゅん子
二十五番 たかじょう訓子
二十六番 和田ひでとし
二十七番 上島よしもり
二十八番 菅沼つとむ
二十九番 高橋昭彦
三十番 岡本のぶ子
三十一番 平塚けいじ
三十二番 中塚さちよ
三十三番 藤井まな
三十五番 大庭正明
三十六番 ひえしま進
三十七番 宍戸三郎
三十八番 真鍋よしゆき
三十九番 畠山晋一
四十番 いたいひとし
四十一番 佐藤ひろと
四十二番 福田たえ美
四十三番 羽田圭二
四十四番 中村公太朗
四十五番 桜井純子
四十六番 桃野芳文
四十七番 田中優子
四十八番 おぎのけんじ
四十九番 石川ナオミ
五十番 山口ひろひさ
欠 員(二名)
十八番 三十四番
出席事務局職員
局長 林 勝久
次長 井上徳広
庶務係長 星野 功
議事担当係長 水谷 敦
議事担当係長 長谷川桂一
議事担当係長 岡本俊彦
議事担当係長 菊島 進
議事担当係長 末吉謙介
議事担当係長 髙橋 亮
調査係長 佐々木崇
出席説明員
区長 保坂展人
副区長 中村哲也
副区長 岩本 康
北沢総合支所長
木本義彦
玉川総合支所長
工藤 誠
砧総合支所長 佐々木康史
烏山総合支所 相馬正信
保健福祉センター所長政策経営部長
加賀谷実
総務部長 池田 豊
庁舎整備担当部長
佐藤絵里
危機管理部長 菅井英樹
財務部長 工藤郁淳
生活文化政策部長
片桐 誠
地域行政部長 舟波 勇
スポーツ推進部長
内田政夫
環境政策部長 清水優子
経済産業部長 田中耕太
清掃・
リサイクル部長
辻 正
保健福祉政策部長
澁田景子
保健福祉政策部次長
有馬秀人
高齢福祉部長 長岡光春
子ども・若者部長
柳澤 純
児童相談所長 土橋俊彦
保育部長 和田康子
世田谷保健所長
辻 佳織
住民接種担当部長
久末佳枝
技監 松村浩之
都市整備政策部長
畝目晴彦
みどり33推進担当部長
釘宮洋之
道路・交通計画部長
田中太樹
土木部長 青木 誠
会計管理者 原田茂実
教育長 渡部理枝
教育監 粟井明彦
教育総務部長 知久孝之
教育政策部長(教育監兼務)
粟井明彦
生涯学習部長 内田潤一
総務課長 後藤英一
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議事日程(令和三年十一月三十日(火)午前十時開議)
第 一 一般質問
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本日の会議に付した事件
一、日程第一 一般質問
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午前十時開議
○下山芳男 議長 ただいまから本日の会議を開きます。
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○下山芳男 議長 直ちに日程に入ります。
△日程第一を上程いたします。
〔井上次長朗読〕
日程第一 一般質問
○下山芳男 議長 一般質問についての発言時間は、一人十分以内といたします。
質問通告に基づき、順次発言を許します。
二十二番
中山みずほ議員。
〔二十二番
中山みずほ議員登壇〕(拍手)
◆二十二番(中山みずほ 議員) 質問を始めます。
まず初めに、区役所本庁舎等整備におけるさらなる
CO2排出削減について伺います。
我が会派の代表質問でも取り上げましたが、世田谷区役所本庁舎等整備では、一次
エネルギー消費量を標準建物の〇・六以下に抑えることを目標とした
ゼブオリエンテッドを取得すると聞いています。しかし、ゼロカーボンシティーを目指す本区においては、省エネ、創エネなどの多様な
CO2排出削減へ向けた手法をより進める必要があると考えます。
二〇一六年策定の基本構想段階から、環境と調和し、環境負荷の少ない持続可能な庁舎を基本目標として設計を進めており、建物評価、
省エネルギー評価でも高い評価を得ていることは承知しております。しかし、二〇二〇年の
気候非常事態宣言発出後、基本構想からの計画の変化はあったのでしょうか。宣言後、どのような議論があったのか伺います。
また、
気候非常事態宣言においては、緑を守り増やすということとともに、
再生可能エネルギーをつくる、使うことも示されています。現在の計画を見ると、屋上は緑化と
太陽光パネル設置の組み合わせとなっています。単純に面積比で見ると、圧倒的に緑化が広く、バランスとしては
再生可能エネルギーをつくる
太陽光発電設備の比率が低いように感じられるのですが、
CO2排出削減効果についての比較はなされたのでしょうか、区の見解を伺います。
区の報告によると、
工事現場事務所においても積極的に
CO2排出削減の取組を進めており、
エネルギー消費量を標準より五〇%以上削減するゼブレディーを達成しているとのことで、その点は評価いたします。一方、さらに検討すべきなのは、本庁舎整備後に、
省エネルギー手法の採用はもちろん、創エネルギーを進めていくことです。現在の
ゼブオリエンテッドからゼブレディーへ向けての具体的なステップの検討はされるのでしょうか、区の見解を伺います。
次に、DV等に起因する別居や離婚に至るまでの女性支援について伺います。
これまで区は、ひとり親支援に関しては様々な支援を拡充してきました。しかし、DVなどを理由とし、別居や離婚に至るまでの女性を支援する社会資源は現状ないに等しいと言わざるを得ません。
世田谷区の
子ども家庭支援センターの相談分析や、同じく世田谷区の
DV相談支援専門員の報告によると、世田谷区の傾向として、保護命令を申し立てるほどの身体的暴力を受けるケースは少なく、それよりも
モラルハラスメント、精神的・心理的・経済的暴力を受けているという相談が多く見られるとのことです。その中には、専業主婦やパート収入では子どもを育て生活するのは難しいなど、経済的な理由によりDVを受けながらも逃げる選択や離婚ができない状況があるということが示されています。
さて、区は、次年度以降、
母子生活支援施設等でのひとり親支援の拡充が図られる予定とのことで、その点では評価いたします。そこで、今ある様々なひとり親支援のうち、一定の条件の下、DVから逃れるための別居や離婚を考えている
ひとり親予備軍にまで対象を拡充する検討はできないものでしょうか、見解を伺います。
ここ一年ほどの間に、私の下にも精神的DVの御相談が複数寄せられており、その内容の傾向として、加害者である夫や父親からまず離れて暮らすことが最大の課題解決となることが多く、その場合、当面の生活支援や居住支援がまず必要となります。
区の女性相談員の方からは、いわゆるシェルターの紹介もされますが、制約がとても多く選択肢とならないのが現状です。今後、居住支援、生活支援など、実質的な支援についての検討も必要と考えますが、区の見解を伺います。
次に、女性相談の機能強化の必要性について伺います。
新型コロナが女性に対して強い影響を与えた背景には、もともと平時において男女共同参画、ジェンダー平等が進んでいなかったことがあり、これが今般のコロナ禍で顕在化したものと内閣府の調査では報告されています。依然として、高度経済成長期の正社員の夫と専業主婦の妻をモデルとした制度や慣行が残っており、このモデルや枠組みに当てはまらない人、例えばひとり親、単身の非正規雇用で働く女性の脆弱性が露呈されました。また、このモデル、枠組みの中でも、家事育児を一手に担い、家族のために短時間労働を選択してきた女性たちは、そもそも経済的基盤がないことが事態の深刻化につながっています。これはさきに述べたDVがあっても家を出る選択ができないことにもつながります。
また、国際医療福祉大学の稲垣誠一教授は、就職氷河期に世に出たロスジェネと呼ばれる世代の単身女性たちは、老後に貧困化する可能性が高いという未来予測を発表しています。
その裏づけの一つが、総務省による二〇二〇年の調査です。これによると、雇用者のうち非
正規雇用労働者の割合は、男性二〇%に対し、女性は五二%にも上っています。こうした背景を踏まえると、女性特有の相談は今後も増加することが想定されます。相談内容の分析結果や社会状況を踏まえた女性相談機能の強化が必須であり、まずは女性相談員の人材育成が必要になると考えます。区の見解を伺います。
らぷらすが、休日、夜間などの相談、そしてメール相談を実施したことで、相談件数が増加傾向にあると伺っています。実際に区民の方からも、休日にも相談ができたことで助かったとの声も届いています。今後も長期的に継続していただけるよう要望いたします。さらに、
新型コロナ感染の第六波の到来も想定しますと、以前にも申し上げましたが、幅広い年齢層で利用されているLINEを導入するなど、より一層の利便性と相談へのハードルを下げる施策が急務と考えます。区の見解を伺います。
最後に、境界領域知能の児童生徒への支援について伺います。
現在、境界領域知能に関する議論が高まっています。境界領域知能とは、知能指数で平均的とされる部分と障害とされる部分の境目に当たるところのことです。七月にNHKで放送されたドキュメンタリーによると、境界領域知能に当たる方は全国民の約一四%程度いるとのこと。幼少期より違和感があったという当事者の声があるものの、自分も家族も気づかなかったりするため健常者とほぼ見分けがつかず、支援のはざまに陥りやすいと言われています。
立命館大学の宮口幸治教授は、日常生活や勉強、仕事、人間関係などで困難を抱え、生きづらさを感じているにもかかわらず、教育や福祉の支援が受けられずに社会的な孤立や経済的な困窮に陥り、罪を犯してしまうケースもあるのではないか。さらには、鬱病になって自殺をしてしまう、そういった悪循環も起きていないかと指摘しています。また、同じく宮口教授は、境界知能の人も、学習の土台となる認知機能の強化に取り組めば状況を少しでも改善できると指摘し、早くトレーニングを受ければ認知機能は改善する可能性は高くなる。できることが多くなると自分に自信を持って成長していくことができる、周囲の人が気づき理解してあげることが大切であると言われています。
さて、世田谷区の教育現場では、境界領域知能についてどのように認知しているのか伺います。
また、ここで大きいのは保護者への気づきの支援と、家庭や学校等での二次被害の抑制です。これらに関する支援を行うことで児童生徒が安心して学習できるようになり、場合によっては、いじめ、不登校、ひきこもりの対策にもつながる可能性が考えられます。十二月には
教育総合センターも開設されます。今後どのような取組が検討されているのか伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎佐藤
庁舎整備担当部長 私からは、区役所本庁舎等整備におけるさらなる
CO2排出削減について三点御答弁申し上げます。
まず、
気候非常事態宣言発出後の方向性の変化についてでございます。
本庁舎等整備では、お話しいただいたとおり、平成二十八年十二月策定の基本構想の段階から、環境と調和し、環境負荷の少ない持続可能な庁舎を基本的方針として設計を進め、二〇二〇年、令和二年三月に取りまとめた実施設計概要では、
建築環境総合性能評価システムによる建物評価、CASBEEでは最高位のSランクを取得し、また、省エネルギーに関しては
ゼブオリエンテッドを達成しております。また、みどり33を目標に掲げる世田谷区として、敷地全体の面積に対し、区条例による基準では二八%のところ、地上面で一五・五%、建物屋上面で一九・五%、合計約三五%を緑化することにより、緑豊かな景観の創出や
ヒートアイランド現象の緩和など
グリーンインフラとしての効果を見込みます。
こうした本庁舎等整備における取組は、区民の生命と財産を守り、持続可能な社会の実現に向けた世田谷区
気候非常事態宣言にも即した計画であると認識しております。
次に、本庁舎等整備における屋上等の緑化と
太陽光パネル設置との
CO2排出削減効果に関する比較の有無についてお答えします。
本庁舎等整備における
各種省エネ配慮項目の
CO2排出削減効果につきましては、設計段階で試算しております。その中で、屋上の緑化面積三千九百平方メートルの植栽と土壌の断熱層による
空調負荷低減効果と、また今回設置している六十キロワットの
太陽光発電設備の発電量を、令和三年一月公表の東京電力の
CO2排出係数を用いて改めて試算しますと、年間の
CO2排出削減効果は、屋上緑化は十六・八トン、太陽光発電は二十四・四トンとなります。これを一平方メートル当たりに換算すると、屋上緑化は年間四・三キログラム、
太陽光発電設備は五十六・四キログラムの
CO2排出削減効果となります。
なお、屋上緑化の効用といたしましては、計算要素とした断熱効果のほか、植物の蒸散作用による外気温上昇の緩和、空気清浄効果、雨水流出の遅延効果、加えて本庁舎では、屋上の土壌基盤への貯留槽設置による
雨水流出抑制等、多くの効果があると考えております。また、本庁舎では四季折々の風景が楽しめる庭園も整備し、多くの区民の方々に楽しんでいただける計画としております。
次に、本庁舎整備におけるさらなる省エネ手法、創エネ手法についてでございます。
本庁舎等整備では、
自然換気システムやCO2濃度による外気量制御など、現時点では
エネルギー削減効果の計算方法が確立されていないものの、実績値では効果が大きいとされる未評価技術を複数採用しております。これらは
ゼブオリエンテッドの判断基準としても公表されており、シミュレーション以上のさらなる
省エネルギー向上に寄与するものと見込んでおります。今後は完成後の建物において、こうした未評価技術も含め、新庁舎における実績値を計測し、設備機器を調整しながら運用を改善し、可能な限り
省エネルギー効果を高めていくことが重要と考えております。
また、紹介もいただきましたとおり、現在進めている建設工事においても、現場事務所は
エネルギー消費量を標準より五〇%以上削減したゼブレディーを達成した上で、使用電力は全て
再生可能エネルギーとするなど、CO2削減のための取組を様々行っております。新しい本庁舎が持続可能な社会の実現に寄与するとともに、区民に親しまれる施設となるよう、引き続き、地球温暖化対策や脱炭素につながる取組を積極的に進めてまいります。
以上でございます。
◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、DV等に起因する別居や離婚に至るまでの女性支援について二点御答弁申し上げます。
まず一点目、今あるひとり親支援の、いわゆる
ひとり親予備軍までの拡充について御答弁申し上げます。
区では、ひとり親家庭を対象とした様々な支援施策を実施しておりますが、離婚成立前であってもDVで裁判所から保護命令が出ている場合には対象としています。一方、それ以外の理由で別居していても離婚が成立していない場合には、多くで対象としておりません。議員御指摘のとおり、DV等を理由に別居しており、保護命令までは出ておらず、離婚も成立していないといったような、実質的にひとり親家庭と同様の生活をしている方への支援は課題と認識しております。この課題認識の下、ひとり親家庭の子どもを対象にしたかるがもスタディルームについては、離婚調停中の場合には、今年度より対象としたところでございます。ひとり親家庭の支援事業は国の制度に基づくものであることから、今後の国の動きも注視しながら、実質的なひとり親家庭の支援の拡充について、引き続き検討してまいります。
次に、居住支援、生活支援など実質的な支援について御答弁申し上げます。
区では離婚前後の家庭相談、またひとり親家庭を対象に、職業訓練給付や貸付など多岐にわたる相談、支援を各総合支所の
子ども家庭支援センターを中心に対応しております。居住支援や生活支援については、
母子生活支援施設において、DVにより避難した母子も入所でき、居住と生活の支援を行っております。また、
母子生活支援施設で実施している母子一
体型ショートケア事業は、ひとり親家庭に限定せず利用可能としております。
今般の社会状況の変化や、ひとり親家庭のニーズの多様化を踏まえ、
母子生活支援施設については、入所家庭だけでなく、広く
ひとり親家庭等も含めて支えていく地域の
ひとり親家庭支援の拠点を目指すとこととしており、
母子生活支援施設の機能強化を行いながら、相談機能とともに生活支援等の充実を進めてまいります。
以上でございます。
◎片桐
生活文化政策部長 私からは、女性相談の機能強化について二点お答えいたします。
初めに、相談機能強化と人材育成についてです。
DV被害者支援をはじめとする女性相談の一次的な相談窓口は、
子ども家庭支援センターと
男女共同参画センター「らぷらす」がその役割を担っております。コロナ禍で相談が急増する中、相談内容などを踏まえた勉強会や研修を実施するとともに、庁内ほか関係機関との連携会議を開催し、情報共有を図っております。
また、
生活文化政策部に
DV相談支援専門員を配置し、支援職員へのケース対応の指導、助言など人材育成に努めるとともに、相談内容の分析を行い、分析結果を相談機能の充実につなげるための検討、提言にも取り組んでおります。今後このような取組を効果的に運用していくためにも、相談内容の集計、分析をより積極的に活用することで、職員の支援力の向上と関係所管等とのさらなる連携強化を図ってまいります。
次に、LINEなど相談手法の拡大についてです。
男女共同参画センター「らぷらす」は、令和二年五月に女性のための悩みごと・DV相談について、平日夜間と日曜日を中心に相談時間と実施日数を拡大し、七月にはメールによる相談受付を開始いたしました。令和二年度の相談件数は一千二百二十二件となり、前年度より四百七十三件増加、増加率は五五%となりました。また、メールによる相談受付は、前年度は三十件、今年度は十月までに三十四件となり、受付後は必要に応じて電話相談や面接相談へ移行しております。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、配偶者等と家に一緒にいる時間が増えたことで相談していることを聞かれるおそれから、自宅からの電話や面接などのための外出がしづらい方も増えていることが相談記録からも確認されております。一人でも多くの方が相談につながるよう、来年度からLINEを活用した相談の導入に向け、今後準備を進めてまいります。
以上です。
◎粟井 教育政策部長 私からは、境界領域知能の児童生徒への支援についてお答え申し上げます。
お話しにありました境界領域知能の児童生徒につきましては、学習面や生活面で困っていることなどに気づき、早期に適切な支援を行っていくことが重要であると考えております。在籍学級の担任等が児童生徒の困難な状況に気づいたときは、
特別支援教育コーディネーターや
スクールカウンセラー等で構成する校内委員会で検討し、指導方法の工夫や校内の人的資源等を活用した支援を実施しております。校内委員会の検討結果を踏まえ、必要に応じて保護者面談を実施し、学校生活の現状を共有しながら就学相談に至るケースもございます。
就学相談では、臨床心理士や教員が発達検査や行動観察を実施し、知的発達の全般的な遅れがあるのか、情緒面の発達に偏りがあるのかなど児童生徒の状態を把握するとともに、児童生徒の可能性を最大限に伸ばすことができる支援や就学先について検討し、保護者とともに考えております。
教育委員会といたしましては、十二月開設予定の
教育総合センターを拠点としまして、教員の境界領域知能に対する理解促進と指導力の向上、専門チームによる支援の充実、
スクールカウンセラーによる心のケアなどを通じて、境界領域知能の児童生徒をはじめ支援が必要な子どもたちが自己肯定感を保ちながら、充実した学校生活を送ることができるよう取り組んでまいります。
以上でございます。
◆二十二番(中山みずほ 議員) 女性の支援についてもう少し伺いたいと思います。
先ほど申し述べたように、いわゆるなかなか支援の手が行き届いていないところの女性たちがいるということは、全国的な内閣府データを見ても、
各種シンクタンクのデータを見ても、かなり明らかに出ています。世田谷区だけ例外とはとても思えません。今
らぷらすでやっているDV相談であったり、各拠点でやっています
子ども家庭支援センターの婦人相談など、そういった相談の分析は少しずつされていると認識していますが、それ以外の所管ですね。例えばぷらっとホーム、ここに駆け込んでくる人たちはどんな状況なのか、男女差はどうあるのか、これは分析がなされていません。また、住まいの
サポートセンターにおいても同じ状況だと思います。ぜひこういった分析を早急に行って、具体的な施策につなげていただきたいと思いますが、区の見解はいかがでしょうか。
◎片桐
生活文化政策部長 再質問にお答えする前に、先ほどの答弁で、相談件数、前年度に四百七十三件増加と言ったんですけれども、四百三十七件の増加の間違いでございました。大変失礼いたしました。
それでは、再質問にお答えいたします。
コロナ禍におきまして、女性の課題がどう顕在したかについて、関係所管が実施する施策を分析し、世田谷区の地域特性を把握することは、女性の様々な課題に寄り添う施策を展開する上で大変重要と考えております。今後、支援を必要とする女性が相談につながり、一人一人の課題に向き合った支援を行えるよう、相談内容の分析やニーズの把握の手法、それを踏まえた相談機能や広報の仕組みなどを至急検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆二十二番(中山みずほ 議員) 今おっしゃられたように、必ずデータは必要だと思います。庁内のオープンデータも含めて、女性が今抱えている問題を分析していただきたいとお願いします。
以上です。
○下山芳男 議長 以上で
中山みずほ議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、十二番
金井えり子議員。
〔十二番
金井えり子議員登壇〕(拍手)
◆十二番(金井えり子 議員) それでは質問を始めます。
まず、予防原則に基づく環境対策について伺います。
生活者ネットワークは、これまでも一貫して、人体にも環境にも影響が少ない石けんの有用性を訴えてまいりました。石油由来の
合成界面活性剤からできている洗浄剤、いわゆる合成洗剤は、手荒れの原因となるだけでなく、界面活性剤が水の中に残り、水質汚染、環境汚染の原因にもなってしまいます。石けんは約一日で完全に分解され、二酸化炭素と水になります。手荒れもしません。
コロナウイルスにも有効です。
昨年、世田谷区の公共施設の手洗い剤について区民とともに調べ、
世田谷地域振興課にも情報をいただきました。やはり手洗い用に合成洗剤の使用が多く見られました。実際に近所の
まちづくりセンターや区民施設などに行ってみましたが、石けんを使っているところはありませんでした。石けんを使わない理由は、これまで使っているものだから、管理会社が買っているなどで特に理由はないそうです。環境や健康影響の理解なく、安易な使用です。本庁舎のトイレの手洗い洗浄剤には、平成二十六年からリサイクル水石けんが使われていました。本庁舎でこんなに長く使われているということは、ほかの公共施設でも使えるはずです。区公共施設の洗浄剤は石けんを使用するべきです。区の見解を伺います。
次に、除草剤、殺虫剤について伺います。
人体に影響が出るような除草剤、殺虫剤が市場に出ています。草や虫のみならず、土の中にいる微生物なども殺し、土壌にも影響を及ぼすものもあります。世田谷区では区施設の除草剤の使用状況を公表していますが、福祉施設などでは健康影響が問題になっている除草剤がまだ使用されています。以前、
生活者ネットワークから使用禁止を求め、区施設では使わないようになったと思っていました。特に福祉施設の利用者には、化学物質などに敏感な方々もおられます。公表するだけでなく、有害であることを伝え、区施設では使用を禁止するべきです。区の見解を伺います。
先日、砧地域の社協だより第四十五号に、地域貢献型自動販売機の設置を進める記事があり、ペットボトルの並ぶ自動販売機の写真が掲載されていました。設置に御協力いただくことで地域福祉の推進につながるものですと書かれています。この自動販売機の増設はCO2とプラスチックごみの削減に逆行しています。地域貢献型とはいえ、私たちには賛成できません。
自動販売機のこと、もちろんそうですが、この中のペットボトルのこと、二〇二〇年第一回定例会の一般質問で、ペットボトルを扱わない自動販売機について提案しました。そのときに、ペットボトルを取り扱わない自動販売機の一部導入について、他自治体の取組事例を参考にしながら、ペットボトルの使用削減に向けて関係所管と協議検討してまいりたいという回答をいただきました。二十三区の中でも、練馬区の本庁舎にはペットボトルを扱わない自動販売機が設置されていると聞いています。世田谷区の本庁舎にはペットボトルの入った自動販売機があります。そもそも区民は、飲み物を買いに区役所に来ようとは思いません。のどが渇いたときに、無料の給水機、給茶機があるほうがよっぽど区民サービスと言えるのではないでしょうか。海洋汚染、地球温暖化につながるこのプラスチックごみの問題、本当に今、待ったなしです。その後の検討でどのように取り組まれているのか、また、ほかにペットボトルの削減を進めるための取組はどのようにされているのかを伺います。
石けん、除草剤、殺虫剤、ペットボトル、このような話をすると必ず施設によってとか、担当所管がとか、委託なのでなどと言われます。しかし、これは全て世田谷区の施設のことです。管理委託であっても、所管がどこであっても、
気候非常事態宣言をした世田谷区の理念の下に、区が責任を持ってリーダーシップを発揮し、環境対策を行っていくべきです。それぞれ仕様書などは異なるということですが、統一した基本的な対策を明記する必要があると考えます。区の見解を伺います。
そして、ゲノム編集食品、市場に出てまいりました。血圧を下げる高GABAトマト、肉厚なマダイに加え、十月二十九日、トラフグの予約販売が始まりました。世界でゲノム編集の魚の流通が可能になっているのは日本だけです。ゲノムとは、生物形成維持に必要な最小限の遺伝情報のことです。その特定の場所を操作して性質を変えるのがゲノム編集です。遺伝子を切って壊したり、操作すると思わぬ変異が起こるおそれもあり、環境が変わったときや世代を超えての影響については分からない、研究室から出してはいけないと訴えるゲノム編集の開発研究者もいます。マダイ、トラフグの会社では、陸上の施設での養殖で生態系への影響が出ないようにすると言います。ということは、生態系への影響が出る可能性があるのです。これからゲノム編集小麦の開放圃場での栽培実験も始まるということです。本当にまだまだ実験段階、未知なものです。子どもたちへの影響を考えると、計り知れない不安が募ります。
昭島市では、学校給食用物資購入基準書を、遺伝子組換えを含む遺伝子操作を行っていないものという記述に書き換えました。はっきり安全とは言えない、まだどんな影響が出るか分からない食べ物を子どもたちに食べさせてはいけません。世田谷区でも予防原則に基づいて、遺伝子組換え食品同様に学校給食に入れないようにすべきと考えます。区の見解を伺います。
続いて、障害のある方の災害時の避難について伺います。
災害時、もちろん在宅避難ができれば一番ですが、避難しなければならない状況も想定し、避難行動要支援者の方の個別避難計画などが進められています。本当に災害はいつどこで起こるか分かりません。学校や施設、作業所、仕事場などで避難訓練が行われていることとは思いますが、自宅からの避難、避難所への避難もしておかなければなりません。地域で行われる避難訓練に障害のある方や要支援者の参加はあるのでしょうか。
避難訓練に参加するにも、支援者が必要であったり、遠慮があったり、周りも声をかけるのをちゅうちょしたりということがあるのではないでしょうか。避難訓練を通して地域の人がお互いに顔見知りになり、声をかけ合えるようになれば安心です。支援者もきっと増えることと思います。障害のある方の避難訓練の参加が求められますが、参加しやすい環境をつくるなど、現状と今後の取組について伺います。
人道憲章と人道支援における最低基準、スフィア基準に、支援や防災計画立案の際は障害者の能力とニーズを考慮に入れ、意識して、物理的またはコミュニケーションや周囲の差別的概念などの問題を取り除き、彼らの支援へのアクセスと参加を促進するようにするとあります。避難所の備蓄品の中に、その避難所に避難される方に必要な情報やコミュニケーションツール、支援グッズはあるでしょうか。
例えば透明マスク、聴覚障害の方や慣れない状況で人の顔の表情から様々読み取ることが必要な方もいます。ほかにも障害によって必要なものがあるかもしれません。地域でその避難所を利用する方に必要な支援グッズを、当事者御本人と話して準備し、避難所運営の方々にも理解していただくことが必要です。見解を伺います。
国分寺市には、災害時等障害者支援バンダナがあります。こちらのようなものなんです。これは国分寺市からお借りしました。このように、例えば耳が不自由ですとか、支援が必要ですとかということが書いてありまして、これをこのように三角に折って、こうして使います。多くの自治体や、また支援団体などもつくっているんですが、国分寺市のものは、一つの角にこのように書き込めるような角があります。例えば大きな音が苦手ですとか、ゆっくり話してください、また、片方の耳が不自由な方などは、聞こえるほう、右側から声をかけてくださいなど、その人に合わせて伝えたいことが伝わるようなものです。避難所などには様々な立場の人が来ます。それぞれに情報が伝え合えるような、そんな工夫が必要です。このような支援グッズ、世田谷区でも当事者の方と一緒につくることを提案します。区の見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎清水 環境政策部長 私からは、世田谷区の予防原則に基づく環境対策について四点御答弁申し上げます。
まず、区公共施設における石けんの使用についてです。
区では、区施設における石けん使用の推進について周知するとともに、区民利用施設等で使用している石けん等の洗剤について定期的に調査を行っており、水環境保全の試料の一部として、石けんや洗剤等の適正使用などによる生活排水対策に役立てております。化学物質の環境への排出の把握及び届出については、化学物質排出把握管理促進法、いわゆるPRTR制度にて必要な物質が定められておりますが、石けんについてはその制度の対象となる成分が含まれていない製品もございます。区といたしましても、公共施設で利用する石けんや洗剤等に関しまして、こうした環境に配慮された製品の使用を施設管理者に周知するなどし、促進してまいります。
続いて、人体への影響が疑われる除草剤、殺虫剤等の使用禁止についてです。
区では、世田谷区環境基本計画後期における環境行動指針に基づき、公共施設や住宅地に隣接する土地等の管理に当たっては、できる限り除草剤や農薬を使用しないよう努めてまいりました。令和元年より、区の管理する施設における除草剤、殺虫剤等の使用状況について調査を実施し、公共施設の運営で使用せざるを得ない場合においては、近隣住民等への周知を行うとともに、環境負担及び安全性に配慮した製品を使用するよう促しております。また、区ホームページに公共施設での使用状況を掲示し、区民の安全安心につながるよう情報提供に努めております。
除草剤、殺虫剤等の使用に関しましては、今後も継続的に製品等の安全性や影響に関する情報収集を行うとともに、施設管理者に対する適正な使用への注意喚起に努めてまいります。
続いて、ペットボトル使用削減の取組についてです。
区では一昨年、世田谷プラスチック・スマートプロジェクトを立ち上げ、区民、事業者への啓発、プラスチックごみの発生抑制を推進しております。ペットボトルの削減対策として、昨年十月より区役所の第一・第二庁舎にマイボトルに給水が可能な浄水器を設置し、区の率先行動に取り組んでおります。一方で、自動販売機については、例えば区役所本庁舎には一階ロビーや地下に設置され、来庁者などに御利用いただいております。令和二年第一回定例会にて、ペットボトルを取り扱わない自動販売機の一部導入について、関係所管と協議検討する旨を御答弁いたしましたが、その後、情報収集し、担当所管と現在協議を始めているところでございます。
議員御指摘のペットボトルの使用削減は、海洋プラスチック
ごみ対策としても大切な課題であり、プラスチック・スマートプロジェクトの一層の推進に向け、取組方針を改めて庁内に周知するとともに、ペットボトルを取り扱わない自動販売機の導入について、担当所管に働きかけを行ってまいります。
最後に、公共施設の管理業務委託の仕様書などに環境対策などについて統一した基本的対策を入れることについてです。
これまで学校など区施設における手洗い用の石けんの使用や除草剤を含む農薬の使用時の注意喚起並びにペットボトルなど使い捨てプラスチック製品の使用抑制を施設管理者に対し周知してまいりました。こうした予防の取組を進めるため、区施設の管理業務委託契約における仕様書に、事業者に理解を求めるという形で環境対策について明記し、事業者への周知や協力につなげるという手法も有効であると考えます。今後も区の率先行動を通して区民の安全安心や環境配慮への理解が進むよう様々な手法を検討してまいります。
私からは以上です。
◎知久 教育総務部長 私からは、ゲノム編集食品の給食での取扱いについてお答えいたします。
ゲノム編集食品は栄養価を高めたり、病気に強くするなど食料を安定的に確保するため効率的な品種改良の新しい技術として研究開発が進められております。ゲノム編集で細胞のDNAに起こる変化は、従来の品種改良や自然界で起こり得る変化と同程度とされており、遺伝子組換え食品とは異なり、国の食品表示基準に基づく表示義務はございません。新しい技術であり、その仕組みまでは広く知られていないため保護者からは安全面での不安が上がることも想定されますので、明らかにゲノム編集食品であることを判別できる場合などは、今後その使用を控えることとしてまいります。
今後もゲノム編集食品に関する新たな知見や国の食品表示基準の見直しなどの動向を注視し、児童生徒が安心して給食を楽しめる環境を整えてまいります。
以上です。
◎菅井 危機管理部長 私からは、三点につきまして御答弁申し上げます。
初めに、配慮や支援が必要な方々の避難訓練などへの参加についてです。
区といたしましては、避難所運営訓練など地域の訓練において、お話しの障害のある方を含め、配慮や支援が必要な方々の参加は進んでいない状況にあると認識してございます。本来は配慮や支援が必要な方々に地域の訓練に参加していただくことで、周囲の気づきや理解のきっかけとなり、より具体的できめ細やかな配慮や支援につながるものと考えております。こうしたことを踏まえ、避難行動要支援者の個別支援計画の作成を通じまして、適切な避難行動を確保するとともに、配慮や支援を必要とする方々の避難所運営訓練への参加を促すことで、具体的な配慮や支援の取組につなげていきたいと考えてございます。
個別避難計画の作成に当たりましては、避難所での生活までを見通し、細やかな支援や配慮につなげる重要な意味を持つものであるということをしっかりと認識いたしまして、庁内の各所管はそれぞれの役割を果たしつつ、連携いたしまして取り組んでまいります。
次に、障害のある方の情報伝達物品の備蓄と、その活用や工夫について併せて御答弁申し上げます。
御提案いただきました透明マスクや災害時支援用のバンダナにつきましては、日常においても必要とする場面があると考えられることから、障害者支援の取組と連携し、日常の使用も想定しながら、他自治体の取組や当事者の意見を参考に調査研究を進めてまいります。また、避難所運営や支援に当たる方々に対しまして、こうした物品の必要性や活用方法について理解を深めていくことが重要であると考えてございます。
個別支援計画策定の取組を進めつつ、訓練への参加を促進する中で、避難所ごとに避難者の状況に合わせた避難所の備蓄について御要望をいただきました場合、関係所管と連携し、危機管理部といたしましてもその配備を支援するなど、きめ細やかな支援に努めてまいります。
以上でございます。
◆十二番(金井えり子 議員) 今、御答弁を様々いただきました。ゲノム編集食品についてなんですが、従来のものと自然界で起こり得る変化と同程度というふうにされている、これは多分国がこういうふうに言っている文言だと思うんですが、どうも実際はそういうふうになっていないような話を本当にたくさん聞きます。ぜひぜひそのあたりのことも研究していただきまして、本当に疑わしきは使わない、予防原則で全ての区民、環境を守っていただきたいと思いまして、そちらを要望して、以上で質問を終わります。
○下山芳男 議長 以上で
金井えり子議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、四十一番佐藤ひろと議員。
〔四十一番佐藤ひろと議員登壇〕(拍手)
◆四十一番(佐藤ひろと 議員) それでは初めに、ループを活用した自治体による循環型社会への取組についてお伺いいたします。
私がさきの第三回定例会にて指摘した利便性がよく様々な用途で暮らしや産業に取り入れられてきたプラスチック製品については、地球環境や生態系に極めて深刻な影響をもたらすと問題視されてきた背景から、本年六月にプラスチック資源循環促進法が成立しました。その主眼は、循環型システムの構築へ、リユースやリデュース、リサイクルなどによるプラスチックを適切に管理することが求められています。
捨てるという概念を捨てようという企業理念を基に、これまで使い捨てにされてきた商品の包装を再利用する循環型のショッピングプラットフォームを立ち上げたループジャパンでは、二〇二〇年十二月から二〇二一年二月の三か月間で、リユース容器を使ってテークアウト弁当や総菜を販売する実証実験ループ・テークアウト・ベントウを東京都と連携して実施。さらに本年五月には、小売大手のイオンが首都圏十九店舗でループの商品の販売を開始するなど、サービスの提供範囲を拡大しています。
また、八月三十一日よりECサイトにおいて、事前に募集した東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県在住の五千世帯に対して、ループのリユース容器を使用した食品やヘルスケア用品などをECサイトで販売し、利用者がどのように容器を返還し、循環のサイクルが機能するかをはかる実装調査を開始しました。今後二〇二二年五月からは試験運用、十月からは本格展開を見据えています。
東京都は、ゼロエミッション東京推進の一環として、二〇三〇年までに大規模オフィスから排出される廃プラ焼却量を四〇%減らすことを目標に掲げ、都民と事業者に対して、リユース容器などの使用を推奨しています。世田谷区としても環境マネジメントシステム「ECOステップ」に取り組んでいるのであれば、ワンウェイプラスチックの削減などプラスチックの持続可能な利用に向け、先駆的取組へと大きくかじを切るべきだと考え、二点質問します。
一点目は、区における公共施設管理に伴う洗剤や消毒剤、リネンに係る商品をリユース化することを標準仕様とすべきではないでしょうか。公共事業発注時における仕様書への明記について、区の見解を求めます。
二点目は、行政事務に係る事務用品に関しても、ワンウェイプラスチック製品からの転換を促進すべきです。特にクリアファイルは紙製に、ホチキスは原則使用不可など、まず区役所から率先して実施すべきではないでしょうか、見解を求めます。
次に、入札制度改革への一考察についてお伺いします。
今般、入札制度改革案が示されました。公契約適正化委員会からの答申及び公契約の現況を踏まえ、具体的に踏み込んで取りまとめたことは評価します。しかし、一方で予定価格とは別に、評価基準価格が設定されていたり、公共工事の入札制度条件や工事後の履行が適正に評価できているのか、その評価が生かされているのか、そもそも評価指標が適正なのか、区内事業者の真面目な企業努力がインセンティブとして働いているのか、課題は山積していると言わざるを得ません。
そこで、三つの観点から確認していきます。
第一に、契約後の事業者努力に対する評価指標についてです。公共工事における予定価格は、その金額が公的部門の支出額の上限となるため、適切に設定されなければ効率的な予算執行を推進できません。一方で、事業者が適正な利益を確保できる水準に設定するという視点が維持されなければ、賃金水準が低くなり、生産性に好ましくない結果を及ぼし、従業員の定着率も低くなり質の低下につながるという悪循環に陥ります。ゆえに契約前における価格競争ではなく、契約後の事業者努力を評価制度に導入することこそが、区内事業者の技術力や施工能力などを高めていくのではないでしょうか。そうした視点にウエートを置いた試行導入にすべきと考えますが、区の見解を求めます。
第二に、委託契約の見直しについてです。工事と物品に分類されている入札における公共調達のなぜか物品に仕分けされている委託ですが、現状二百万円以上の予定価格で区が指定した場合に限り、最低制限価格が設定されています。これでは人件費比率が高い案件が、最低賃金を守れない価格での応札が常態化しているのではないでしょうか。委託契約についての改革はいつどのように着手するのか、区の見解を伺います。
第三に、長期継続契約の活用についてです。コロナ禍の影響や事業環境の悪化に伴い、災害対応、インフラの維持管理等を担う能力のある地域の建設企業が減少しています。このままでは地域社会の維持に不可欠な最低限のインフラの維持管理までもが困難を生じかねません。そうしたことを踏まえ、長期継続契約の活用について各自治体で取組が進んでおります。これは単年度から複数年度にわたり役務の提供等を受ける契約の締結を許容して、行政側としては業務負担改善、事業者側にとっては複数年での経営見通しやコスト削減の可能性が高まるメリットが生まれるとのことです。
世田谷区においても、公共施設等総合管理計画で、将来経費が年間約五百八十億円とシミュレーションが示されていることを踏まえれば、指定管理になじまない公共施設の建物管理や、小中学校や公的住宅、道路や公園の樹木管理など、発注形態を包括的に長期継続へと見直すことで効果的かつ経費抑制へとつながると考えますが、それぞれ所管部からの見解を求めます。
次に、小水力発電導入への可能性についてお伺いします。
平成二十一年第二回定例会の一般質問で、私が初めて取り上げました小水力発電。同二十二年の予算委員会での質問に対する区の答弁では、環境総合対策室――当時ですね――と設置の可能性について検討を行うと述べられてから、既に十三星霜経過しております。
当初は小水力発電の設置には様々な法規制があり高いハードルでしたが、二〇一一年、東日本大震災後、エネルギー政策の大きな転換点を迎え、この間一部が緩和されてきました。さらに、小水力等
再生可能エネルギー導入支援事業という補助金制度も活用できるようになり、全国的に導入事例も増えております。一方で、今後の課題としては、法規制、経済性、技術力、地域の理解などが大きく四点挙げられていますが、世田谷区環境基本計画後期に基づき、自然再生エネルギーの利用拡大に向けて、これまでの電力は買うものからつくるものへ主体性を持って真剣に取り組むべきと考えます。
そこで二点質問します。
一点目は、小水力発電に係るこれまでの十三年間の調査検討状況を伺います。
二点目は、区内の地域資源から生み出せる自然再生エネルギーの地産地消の可能性を探るべく、民間事業者へ調査を依頼するべきです。区の認識を伺います。
三点目は、これまでの取組として、他自治体から自然再生エネルギー電力を使用することは否定しませんが、あくまでも仮想電力です。世田谷区として自治力を高めるために、例えば我が党が平成三十一年に提案した環境科学館を試行的に一か所設置し、電力を大切に使う資源保護の意識を高めるための拠点にしてはいかがでしょうか、区の見解を求めます。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎清水 環境政策部長 私からは、ループを活用した循環型社会への取組についてなど五点御答弁申し上げます。
まず、公共施設管理に伴うリネンに係る商品をリユース化へと転換せよについてです。
区は、区内最大規模の事業者として、ごみの発生抑制と資源の有効利用に努め、事業活動の全ての面にわたって環境負荷の低減に取り組んでおります。現在、公共施設の管理を行う指定管理者や管理運営受託事業者に対し、環境配慮に関する特記事項を仕様書に添付するなど、区の取組に理解を求めるよう各施設管理者には周知を行っているところでございます。御提案の清掃業務における詰め替え商品の活用につきましても、事業者に理解や協力を求めるという形で仕様書に明記するなど、周知強化を図ってまいります。
続いて、事務に係る事務用品、製品の脱プラスチック化についてです。
区では、平成十七年に策定した世田谷区グリーン購入方針に基づき、環境に配慮した製品やサービスを優先的に調達するグリーン購入の推進に取り組んでまいりました。また、令和元年度には方針を見直し、国の環境物品等の調達の推進に関する基本方針で定めた全ての品目について、原則として、国の基準を満たす製品やサービスを調達するよう区の方針に明記するとともに、重点品目を拡大するなど取組を強化しております。
事務用品に関しましては、主要材料がプラスチックの場合、再生プラスチックが四〇%以上使用されている、または植物を原料とするプラスチックであることなどを基準に定めており、この基準を満たす製品の購入実績は、令和二年度では九八・四%となっております。脱プラスチック化に向けては、製品調達における購入費用への影響や市場の需給状況等についても留意する必要がございますが、国等の動向も注視し、必要に応じた制度の見直しを行うなど、持続可能な循環型社会の実現に向け、率先して取組を進めてまいります。
続きまして、小水力発電に係るこれまでの調査・検討状況及び自然エネルギーの地産地消の可能性を探る民間事業者への調査についてです。
小水力発電の導入は、水を生かすという視点から、土木所管が河川・水路整備なども含め土木事業全体を進める中で設置の可能性について検討した結果、水利権や事業の採算性に課題があると聞いております。所管といたしましては、これまで環境技術展や講習会などで知見を深めてまいりましたが、区内の中小河川の管理者が東京都であることに加え、他自治体の先例も踏まえますと、事業採算性や維持管理の面で多くの課題があると認識しております。
一方、脱炭素社会の実現に向けて
再生可能エネルギー等の技術革新の加速が今後も見込まれることから、最新の動向や技術情報の収集を引き続き行うとともに、区の地域特性を踏まえた小水力発電利用及び国の補助制度活用の可能性について引き続き検討してまいります。
また、民間事業者への可能性の調査依頼につきましては、民間事業者の持つ技術力、資金調達力などを活用することは有効な事業手法の一つであると考えております。議員御指摘の小水力を含め、区内の地域資源から生み出せる新たな
再生可能エネルギーの地産地消の可能性を探ってまいります。
最後に、環境科学館を試行的に設置し、環境政策の柱に据えるべきという御提案についてです。
区では、科学や環境について楽しく学べる環境イベントの開催や、ホームページ上でいつでも視聴できる環境学習動画の紹介、リーフレットの作成、配布などを通し、未来を担う子どもたちの環境意識の向上に取り組んでおります。従前より御提案いただいておりました常設の科学館の設置についてですが、深刻化する環境問題に対する情報発信や環境団体等の活動拠点としても継続的に利用でき大変有効的な取組になると存じます。例えば既存施設におけるプラネタリウムの活用なども含め、設置可能な施設、財源、運営体制、維持管理の在り方などとともに、今般の気候危機対策の一環として積極的に検討してまいります。
私からは以上です。
◎工藤 財務部長 私からは、入札制度改革について二点御答弁をさせていただきます。
まず一点目、契約後の事業者努力を評価すべきとの御質問です。
区の発注する契約におきましては、公共事業の品質向上や事業者育成の観点から、事業者による工夫を適切に評価してインセンティブを与えるなど、積極的な企業努力を促す仕組みが重要であると考えております。区では、一定金額以上の工事について成績評定を実施しており、施工体制や現場管理、施工管理における基本的な技術力や成果の評価に加えて、事業者による創意工夫や技術力の発揮などの企業努力についても加点要素としております。
この工事成績評定につきましては、従来の施工能力審査型総合評価方式入札においても評価項目の一つとしておりましたが、来年度から試行を開始する新たな総合評価方式においては、評価の実効性を高める観点から評価を細分化するなど、事業者の努力が次の受注機会につながりやすい仕組みとなっています。こうした取組を通じて、事業者の技術力や意欲を効果的に引き出すことで、事業者においては努力に応じたメリットを享受することができ、区においては質の高い事業執行につなげられるような契約手続の運用に努めてまいります。
続きまして、二点目、人件費比率の高い委託契約への改革に着手せよという御質問です。
公契約適正化委員会からの答申等を踏まえ、工事請負契約については、公契約条例の趣旨を具体的に反映した入札制度改革を推進しており、来年度からの試行開始を予定しています。一方、委託契約についても、さきの答申に加えて、本年十月に開催された適正化委員会において、過度な低入札への対策強化などの早急な検討を求められたところです。
こうした経緯を踏まえ、区では委託契約における制度改革についても本年度内に着手するものとし、入札状況の分析や他自治体での事例調査などを行った上で、現在建物清掃等に適用している最低制限価格の設定を他の人件費比率の高い業務へ拡大するなど、効果的な手法の検討を進めてまいります。その後、来年度にかけて適正化委員会や区議会に適宜検討状況を御報告し、御議論いただきながら、令和五年度の契約案件への適用を目指して取り組んでまいります。
以上でございます。
◎釘宮 みどり33推進担当部長 私からは、道路や公園の樹木管理に関わる契約についてお答えいたします。
道路や公園などを構成する施設は多岐にわたり、樹木や草花の維持など造園関連の管理業務だけでも、年度当初の年間契約で七十件ほどございます。特に樹木は美観や大気浄化機能のほか、過去の災害においても、建物倒壊や落下物から防護する機能、延焼を防ぐ機能などがあり、今後も委託事業者とともに、日常のみならず、災害時も見据えて適切に維持管理していく必要がございます。
そのためにも、実情に合った契約方式を採用することは重要であり、特に樹木管理においては枝折れや倒木のリスクを減少させるため、前年度の剪定による影響や樹木の健康状態の変化などを樹上でつぶさに確認しながら作業することが望ましく、現状の単年度契約では限界もあると考えております。一方で、生き物である樹木は常に状況が変化することから、長期継続契約に適するとされる経常的、継続的に一定の業務を行う契約形態となっていない点や、長期継続契約を締結することができる契約を定めた運用基準で樹木管理を対象としていない点など、委託方式の変更には整理すべき課題もございます。
風水害の激甚化や樹木の老齢化が進む中、街路樹や公園樹木を適正に管理することは重要な責務であります。引き続き価格の妥当性を前提としながら、安全性や作業の質を確保していくため、長期継続契約も含め業務内容に適した契約方式を契約所管とともに検討してまいります。
以上でございます。
◎加賀谷 政策経営部長 私からは、公共施設全体に係る発注形態を見直すことでの事務負担軽減につきまして御答弁いたします。
施設維持管理に関しまして、営業種目ごとに一定規模にまとめて発注をし、長期継続契約を締結することは、区の事務負担軽減とともに区と事業者双方にとって事業の安定的な運営に資することから有効な手段であると考えてございます。そのため区では、これまでも、清掃業務や警備業務などにおきまして複数の施設をまとめた長期継続契約を結んできてございます。
御指摘の公共施設等総合管理計画では、年平均経費を約五百八十億円としておりますが、維持管理の発注方法の工夫により施設維持管理経費の縮減につながることも期待でき、年平均経費のさらなる圧縮が期待できる可能性もございます。
一方、規模のメリットを発生させるには、受注する側も一定以上の規模の事業者である必要があり、集約する規模によっては担い手が限られてくることも考えられます。今後、新庁舎での総合管理業務委託なども検討しておりますが、メリット、デメリットなど課題を整理し、さらに対象拡大ができるのか関係所管とも検討してまいります。
以上です。
◆四十一番(佐藤ひろと 議員) 二〇二〇年度から始まっている環境基本計画後期、そこの第二章に、脱炭素社会に役立つエネルギーの利用拡充とその創出を目指すとうたっていますよね。そのうたっている内容と今の部長の答弁、全く逆行していませんか。全然創出を目指していませんよね。私、平成十五年から水環境の話をずっとさせてもらって、降ってくる雨の水を無駄に捨てれば洪水になるから、ためて資源に利活用しましょうということで、たまたま小水力発電の提案をさせてもらったんです。
しっかり、どうすれば実現できるかというふうに、皆さんがつくった計画の実現に向けて真剣に向き合っていただきたい。これがないんだったら、これを書いていることが自体がうそになります。そのことをしっかり踏まえていただいて調査をしていただきたいと思います。第一回定例会でまた聞きますから、来年、よろしくお願いします。
以上で終わります。
○下山芳男 議長 以上で佐藤ひろと議員の質問は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午前十一時五分休憩
──────────────────
午前十一時十五分開議
○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を続けます。
三十六番ひえしま進議員。
〔三十六番ひえしま進議員登壇〕(拍手)
◆三十六番(ひえしま進 議員) 以下、通告に基づき質問いたします。
最近も地震が頻発しておりますが、首都直下型地震をはじめとする震災、あるいは水害、風害など、区民生活に甚大な影響を及ぼす災害はいつ起きても不思議はなく、かねてより指摘されているとおり、日頃からの食料や避難経路の確認といった備えの有無が生死を分かち、私たちは防災について生活の中で常に気を配らなければならないことは論を待ちません。区民意識調査を見ましても、防災・災害対策については最も関心の高い項目であります。
いまだ記憶に新しい台風十九号による被害は、議会からも多くの指摘がなされたとおり、これまでの区の災害対策における課題を浮き彫りにし、改善を促す大きな契機ともなりました。このことを区民生活のさらなる安全性向上に生かすも殺すも、これからの取組次第であります。肝腎なことは、想定外の事態が起こったとしても重層的な対策が講じられる体制が整えられているかということであり、このことは具体的なシミュレーションが万全に行われているかということでもあります。
発災時は、区の災害対策本部と警察、消防、自衛隊といった関係機関と連携が行われることは当然想定されますが、区は避難所における電力の確保、食料や医薬品の提供、道路の障害物の撤去、廃棄物の処理などに関して様々な事業者や団体とそれぞれ協定を締結しております。発災時のこうした諸団体と区の動きについて、全体像をどのように把握しているか、また区民への周知について区の認識をお聞きします。
復興の大きな力になると期待されるボランティアの方々に支援をいただく際には、その拠点としてボランティアマッチングセンターがあります。区内の大学と協定を結び、災害時の体制に備えているということですが、こちらについても発災時にどういった動きになるのか具体的にお聞きします。そして、実際にボランティアとともにこれまで予行練習などは実施しているのか、その予定はあるのか併せてお答えください。
災害対策に関する技術革新は日進月歩であります。特にドローンの使用について、区はNPOと協定を結んでおりますが、どのような活用を想定しているのかお聞きします。ドローンについては、災害時に限らず、今後宅配業務など私たちの日常生活でその用途がますます広がっていくことは間違いないことで、将来の区民サービスに役立てる観点からも、職員の皆さんもドローンについての操作技術や知識について見聞を広める必要があるのではないかと思います。区内で技術習得の講習会なども開かれているとのことですが、活用する考えはないか伺います。
以上述べましたとおり、災害対策において区は各団体と協定を結び、連携協力体制をしいているわけですが、協定を結んだだけで安心せず、重層的な災害対策が本当に実施できるのか、その内容や数、機能面について定期的に精査、点検し、区民の命を守るために非常時に備えるよう強く要望します。
次に、町会・自治会活動についてお聞きします。
決算特別委員会で我が会派の田中優子議員も取り上げましたが、町会・自治会における活動が役員、会員双方の負担になっているという実態があります。区内には現在百九十四の町会・自治会が存在しており、加入率は五二%とおおよそ住民の半数しか加入しておりません。区からは補助金として、令和三年度ですと二千五百八万円が投じられております。長年の懸案でありますが、役員の高齢化が深刻な課題となっており、住民ニーズとのミスマッチも目立ち、役員の成り手不足はもとより、年を経るごとの加入率の低下、個人情報を管理する上でのセキュリティーの点など多くの問題を抱えております。
しかしながら、このような町会・自治会の現状を認識しているにもかかわらず、有効な手だてを講じず、町会・自治会に多くの負担をかけ続けていることについて、区には猛省を促すものであります。特に赤い羽根などの募金集めは本来の趣旨から逸脱し、集めるほうも集められるほうも事実上の半強制になっている現実があり、私の下にも改善を求める声が多く届いております。
赤い羽についてですが、これは社会福祉法人東京都共同募金会が行っている活動ですが、世田谷区生活福祉課がその団体の世田谷事務局になっており、課長が事務局長に就いています。事務局である生活福祉課は各総合支所の
まちづくりセンターに募金活動を依頼し、
まちづくりセンターが町会・自治会にお願いするという構造になっています。社会福祉法人の一事務局と区役所の課が一体化しており、行政の組織を通じて募金活動が展開されるという不可解な状態にあります。まず、こうなっているこれまでの経緯と、二十三区の各区ではどのような関係になっているかお答えください。
こうして
まちづくりセンターから依頼された町会・自治会は、役員をはじめとする担当者が主に戸別訪問して集金するということになります。集金できない家には何度も足を運ばなければならないなど、時間がない中で苦労しているとの声も上がっております。中には、あらかじめ金額が決められている町会・自治会もあるとのことで、これらのことは募金の趣旨から大きく逸脱していると言わざるを得ません。赤い羽根のほかに、社会福祉協議会による歳末たすけあい、日本赤十字社によるものと、事実上、住民には町会費の集金と同じように町会・自治会が行っていると認識されている募金活動があります。区はこうした現状をどう認識しているのか答弁を求めます。
また、募金の趣旨の確認、区内施設に募金箱を設置するなどの工夫のほか、銀行振込や電子マネーを使った決済など、戸別訪問によらない集金方法の周知徹底など、早急に手を打つべきであります。
先ほども指摘しましたように、町会・自治会は高齢化をはじめ、IT化の促進など多くの課題を抱えております。その現状を正しく把握するために、町会・自治会の役員、また住民双方に対して、大規模なアンケート調査を実施し、変革を後押しする必要があると考えます。併せて見解を問います。
最後に、離婚家庭、特に父子家庭への支援についてお聞きします。
直近のデータによりますと、区内の母子家庭数は三千三百七世帯で、父子家庭は四百十九世帯ということでありまして、父子家庭はかなり少ないという印象を受けます。しかし、これは離婚する際、母性優先の原則という概念が支持される傾向にあり、多くは母親のほうに子どもが引き取られるからだと言われております。母子家庭は父子家庭に比べると経済的にも困窮しがちであることから、区でも母子家庭への支援について様々な充実を図ってきたことは周知のとおりであります。
しかし、一方で、父子家庭の実態把握については手薄になっているのではないかと危惧しております。例えば母親であれば、子どもの食事の栄養バランスや身だしなみなどの注意が比較的行き届くのに対して、父親はこれらのことを見過ごしがちではないかという指摘があります。もちろん個人差はあるわけですが、生活の内実に目を向けた場合、現実にそういった傾向性があるとすれば、区はこのような観点も持ち父子家庭支援というテーマにも取り組むべきであると考えます。
まず、父子家庭が生活万般に関して相談する場合、区はどういった体制をしいているのか。また、子どもの異変に気づくのは、多くは乳幼児健診や教育現場であると思いますが、保健所や学校との連携はどのようになっているかを含めて答弁をお願いいたします。
近年、離婚後の共同親権に関する議論が活発化しております。共同親権とは、子に対する親権を父母の双方が持つこと、あるいは父母が共同し合意に基づいて子に対し親権を行使することなどと定義されていますが、我が国の法律では、言うまでもなく婚姻中のみ共同親権が認められており、離婚後は単独親権となります。単独親権は子育ての意思決定などがしやすいものの、親権を失った親の関与が低くなり、子どもの生活環境の悪化を招くなどのデメリットも指摘されることから、米国やヨーロッパ先進各国と同様に、共同親権の導入を望む声も高まっております。
単独親権である我が国においては、どちらかの親が子を連れ去るというトラブルも珍しくなく、離婚後の養育費の未払いのほか、面会交流が行われないなどの問題が起こっております。離婚家庭において尊重されるべきは、言うまでもなく子の人権であります。養育費に関しては区としても様々な後押しを行っていることは承知しておりますが、それに比べて面会交流支援は改善の余地があるのではないかと感じております。
二十三区ですと、港区はNPO団体に委託しており、希望する親の費用も交通費以外はかからなくて済みます。明石市は独自のスタッフが責任を持って関与するなど、積極的な自治体もあります。区の見解をお聞きし、壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎菅井 危機管理部長 私からは、二点につきまして御答弁申し上げます。
初めに、災害時の区と協定締結団体との連携や、その周知についてです。
災害時に警察、消防、自衛隊などの関係機関は、区の災害対策本部に連絡員を派遣し、被害情報や各機関の活動状況の共有、支援要請を行う体制としております。また、災害時の協定締結団体等との連携につきましては、各団体との連絡調整を担う担当部を定め、災害対策本部で集約した情報に基づき各団体への活動要請等を行う体制としております。引き続き各団体との有事の連絡先、通信手段の確認や協定内容の点検、情報連絡訓練など日常からの連携を図ってまいります。
さらに、これらの各団体との協定内容等につきましては、地域防災計画の中で掲載するほか特段の区民周知は行ってございませんでしたが、これらを知ることで区民の安全や災害対策への理解を深めることにつながることも考慮いたしまして、今後啓発等の機会を捉えまして各団体との連携の紹介に努めてまいります。
次に、災害時のドローンの活用などについてです。
災害時のドローンの活用につきましては、協定を締結しているNPOを通じまして、災害時の情報収集を行うことを想定しており、被害状況を撮影した航空写真と地図を基に建物の倒壊や延焼などの状況を把握し、効率的な住宅の被害認定調査や復興まちづくりの検討に活用したいと考えてございます。
区は重層的な災害対策と、常に新たな技術を活用する努力が必要であると考えてございます。そのためには、職員が新たな技術に触れ、活用の可能性を考える機会を持つことが不可欠であり、例えばお話しのドローンの活用につきましても、視察や操作体験を行うなどの機会の創出に今後取り組んでまいります。
さらに、職員の知見を高める取組を率先して進めることは、災害対策のみならず、区民サービス向上に向け、積極的に新たな技術の調査研究を行う機運醸成につながることを意識しながら、今後これらの取組を進めてまいります。
以上でございます。
◎澁田
保健福祉政策部長 私からは、四点についてお答えいたします。
まず一点目、発災時のボランティアマッチングセンターの具体的な動きと訓練についてでございます。
区はこれまで、ボランティア協会を主体とする区内五か所の大学へボランティアマッチングセンターの設置やコーディネーターの養成を進めてまいりました。発災時には、ボランティアのニーズの把握、受入れ、派遣、情報収集及び情報提供を担うこととしております。
区とボランティアマッチングセンターの連携に当たっての手順などは既に整備しており、連絡会を定期的に開催し情報交換などを行っておりますが、これまで区やNPO団体等々と合同しての情報連絡などの訓練は行ってきておりません。実践的な訓練が必要であることは区としても認識をしており、ボランティア協会や危機管理部、NPO団体との調整を現在進めており、来年度早期には訓練を実施するとともに、ボランティアマッチングセンターの役割や活動を広く区民に周知するなど、災害ボランティアが効率的に確実に機能するよう取り組んでまいります。
次に、赤い羽根共同募金のこれまでの経緯と二十三区の状況についてお答えいたします。
赤い羽根共同募金は、社会福祉法人東京都共同募金会より、東京都共同募金会世田谷区協力会宛てに依頼がございます。世田谷区協力会は、町会・自治会、民生委員、社会福祉団体などで構成され、その事務局を区が担い、協力員への説明会の開催や募金の取りまとめ、東京都共同募金会への送金などの事務を担当しております。
世田谷区の赤い羽根共同募金の活動は、昭和二十九年の地区協力会設立以降、区が事務局を担当しており、活動のノウハウが長年蓄積されていることから、引き続き区が事務局を担っております。また、他区も含め地区協力会設立当初は社会福祉協議会も法人化されておらず、行政が事務局を担うことがほとんどでしたが、近年は事務の効率化を図るため社会福祉協議会が事務局を担うケースも多く、現在は二十三区のうち社会福祉協議会が事務局となっている区は十二区、行政が事務局となっている区は十一区となっております。
次に、募金活動の現状認識と戸別訪問以外の募金方法の周知について併せてお答えいたします。
例えば赤い羽根募金では、募金封筒の使用、募金箱の設置、郵便振替、銀行振込、インターネット、電子マネーなど様々な募金方法がございまして、協力員の方には戸別訪問やチラシをポスティングにより配布するなど活動する方が実施しやすい方法で、また無理のない範囲で御協力をお願いしております。
区内で集められた赤い羽根の募金は、地域における民間の地域福祉活動事業や更生保護事業、その他社会福祉を目的とする事業、区民同士の交流促進などに取り組む団体への支援に使われており、昨年度は福祉作業所や高齢者クラブ、地域の子どもまつり実行委員会など多くの団体が助成を受けることができました。
しかしながら、募金活動に御協力いただいている方からは、コロナ禍での戸別訪問がしづらく、どうやって活動すればよいのか、また、地域の方からは募金が何のために使われているのか分からないなどの声もあると伺っております。区といたしましては、募金の趣旨、訪問以外の募金方法、募金の活用方法などを協力員や町会・自治会の皆様に改めて丁寧に御説明し、十分理解を深めていただいた上で、募金を通じた社会福祉活動への御協力を引き続きお願いしてまいります。
以上でございます。
◎片桐
生活文化政策部長 私からは、町会・自治会向けの調査の実施とIT活用に向けた区のサポートの二点についてお答えいたします。
町会・自治会は、近年、加入率の減少が続いておりますが、防犯や防災など区民の安全安心な暮らしを支える地域の核として重要な役割を担っております。現在、区では全町会・自治会に対して、運営の課題に加え、コロナ禍での活動の現状や課題、必要とする支援等を把握するためのアンケート調査を実施しております。調査結果等も踏まえ、今後必要に応じて幅広く区民の声をお聞きするため、アンケートなど手法についても検討してまいります。また、若い世代を中心とする町会・自治会への加入促進に向け、広く取組を知ってもらうためには、今後SNSなどITを活用していくことも重要と考えております。区では今年度、東京都の助成金を活用し、町会総連合会が主催するオンライン導入に向けた相談会の支援や、都が実施するスマホ教室への無料講師派遣事業への参加呼びかけなども行っているところです。
区としましては、今後もSNS運用の支援をはじめ、町会・自治会の活性化や組織力強化に向けた取組支援の充実に努めてまいります。
以上です。
◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、離婚家庭への支援について三点御答弁申し上げます。
まず一点目、父子家庭の生活万般に関して相談する場合の区の体制、二点目、保健所や学校の連携について併せて御答弁申し上げます。
区では安定した子どもの生活が確保できるよう、離婚前後の相談支援を各
子ども家庭支援センターにおいて行っております。その相談の中で、例えば父子家庭で子どもの養育が難しい状況がある場合には、ホームヘルパーの派遣などによる支援を行っているところです。また、経済的な理由による生活困難を抱え、支援を必要としている子どもを早期に把握し、支援につなげるためのせたがや子ども応援気づきのシートを学校等の関係機関に配布し、活用しています。特に今年度は、夏の教員研修のカリキュラムの一つに子どもの貧困対策をテーマに取り上げ、その中でも気づきのシートの説明を行い、連携強化を図ったところです。
さらに、乳幼児健診等の場においては、子どものケアが行き届いていない様子が見受けられる場合には、地区担当の保健師がフォローに入り、必要に応じて
子ども家庭支援センターにつなぎ、情報共有する体制をしいております。
今後も
子ども家庭支援センターをはじめ、保健福祉の関係所管と学校、教育委員会が連携しながら気づきの感度を上げ、支援が必要な子どもとその家庭を必要な支援施策につなげていく仕組みの充実を図ってまいります。
次に、面会交流支援について御答弁申し上げます。
平成三十年度に実施したひとり親家庭アンケート調査結果では、ひとり親家庭の子どもの四七%が相手方と直接会っていないと回答しております。現在区では、面会交流の相談があった場合には、法律相談や東京都
ひとり親家庭支援センター、その他ニーズに合った支援事業を紹介しております。
面会交流は、子どもの生育のためにも必要不可欠であり、離れて暮らす親にとっても、子どもを支えたいという思いを持ち続けることにつながることから重要であると認識しております。しかし、当事者間において様々な課題を抱えていることもあり、国でも法改正に向け議論していることから、国の動きを注視し、区の役割を慎重に見極めた上で、必要な支援を行ってまいります。
以上でございます。
◆三十六番(ひえしま進 議員)再質問いたします。
赤い羽根共同募金ですけれども、世田谷区のように行政が東京都共同募金会の事務局を兼ねている区は十一、社会福祉協議会が十二ということですが、趣旨からしますと、事務局は行政ではなく社協が担うべきだと思いますが、見直す考えがおありかどうかお聞きします。
◎澁田
保健福祉政策部長 赤い羽根募金の事務局についての再質問にお答えいたします。
赤い羽根募金で集められた募金でございますが、区内の障害者、高齢者、子ども等への支援を行う団体等において活用されておりまして、社会福祉的意義のある活動だというふうに認識をしております。今後、赤い羽募金の事務局につきましては、区と社会福祉協議会それぞれの実施体制や取組状況、課題などを整理いたしまして、社会福祉協議会と運営方法について協議をしてまいります。
以上でございます。
◆三十六番(ひえしま進 議員)先ほど答弁で、無理のない範囲で御協力をお願いしていると、募金についておっしゃっているんですけれども、無理のある範囲なんですよね。そこをよく認識していただきたいということと、あと、コロナ禍での戸別訪問がしづらいという話ですが、コロナ禍じゃなくてもしづらいので、よく区民の声を聞いてください。
○下山芳男 議長 以上でひえしま進議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、十三番田中みち子議員。
〔十三番田中みち子議員登壇〕(拍手)
◆十三番(田中みち子 議員) まず初めに、子どもの権利擁護の推進と児童相談業務の見える化について質問します。
毎年十一月は児童虐待防止推進月間です。全国で虐待防止に向け啓発が行われていますが、令和二年度中に全国二百二十か所の児童相談所が対応した虐待相談は二十万件を超え過去最多を更新、都内の児童相談所が対応した虐待件数も二万五千七百三十六件あり、十年で六倍です。また、コロナ禍で在宅時間が増え、DVの問題が影のパンデミックとして世界中で顕在化しました。DV救済の中での子どもへの対応など、子どもたちの健やかな成長に影響を及ぼす虐待の防止については、社会全体で取り組むべき大きな課題です。子ども条例を制定し、子どもの権利擁護にいち早く取り組む世田谷区の児童相談所は、他の自治体の先頭に立ち、子どもの権利を最大限保障した体制を早期に確立することが重要です。
今月に入り、児童養護施設内の少女と性行為をしたとして、神奈川県や熊本県の児童養護施設職員による暴力が相次いで報道されました。虐待から保護された子どもが保護された先でこうした暴力を受けることはあってはならないことです。施設内での子ども同士の性被害もあることを前提に対策を取る必要があることは、社会的養護が必要な子どもを多く受け入れてきた里親さんからも聞いており、チェック機能や予防策、対応策を強化する必要があります。見解を伺います。
また、令和二年度の世田谷区の児童相談所が受けた相談別対応状況を確認しますと、十一件の性的虐待がありました。年齢では一歳児の乳児から十六歳までの十一人。そのうち実父が六人、実父以外の父親が一人、実の母が三人、その他一人となっています。私たち
生活者ネットワークは、性暴力の根絶を訴えるフラワーデモに合わせ、性暴力の加害者も被害者も生み出さない社会に向けて活動しており、この報告は看過できない問題です。児童相談所の対応について伺います。
世田谷区の児童相談所が開設され一年半が経過し、虐待によって貴い命が奪われるといった痛ましい事件の報道があるたびに、児童相談所での対応などが問題視されてきました。第二回定例会では、一時保護され帰宅した後での虐待死事件は後を絶たないことから、虐待のおそれのある子どもからの丁寧な意見を聞く場の保障や検討中のアドボケイト導入先の一つとして、一時保護され家庭に戻る子どもへのアウトリーチ型のアドボケイトの導入などを提案していますが、進捗は全く変わらず、早期実現が求められます。
また、相談支援体制については地域における子どもに関するあらゆる相談の窓口である
子ども家庭支援センターと児童相談所の職員が住所地域担当制を実施し、同一住所地域を同一の担当者にすることで、一つのチームとして顔の見える関係性を築いていることは強みである反面、担当者との信頼関係が崩れた場合の問題も指摘をさせていただきましたが、いまだ改善が見えません。家庭養育原則に基づいた相談支援体制の充実を図り、家族再統合に向けた子どもと親、双方の相談支援体制をアップデートしていく必要があります。見解を伺います。
世田谷区内の虐待相談対応件数は年々増加しています。子ども家庭センターの対応件数を合わせれば、昨年度は約三千件、そのうち児童相談所で対応した数は千五百二十五件です。世田谷区の児童相談業務が適正に実施されているのかどうか、その質を向上させるためには第三者評価の早期実施が望まれますが、評価を行うために必要な専門性と中立性を担保した適切な実施者がどれだけあるのかといった課題がありました。
一方で、これまで一時保護所、児童相談所の第三者評価ガイドラインの策定やモデル実施に関わってきた専門家、実務家が中心メンバーとなった新たな第三者評価日本児童相談業務評価機関、J―Oschisが創設されたとの報道がありました。立ち上げ段階ではあるものの、二〇二二年度には十か所、二三年度には二十か所、二四年度には三十五か所に増やす予定だそうです。国でも、来年度予算概算要求で第三者評価を受けた児相を所管する自治体への補助金を盛り込んでおり、評価制度を広く進めたい考えだと結ばれています。お手盛りにならない第三者の評価があってこそ対策が進むという視点に立ち、こうした動きを的確に捉えて、児童相談所への第三者評価の早期実施に向け積極的に取り組むことを求めます。見解を伺います。
また、一時保護所については三年に一度の第三者評価の実施を想定していますが、せめて開所後五年程度は毎年受審し、業務の質の向上を充実させる必要があります。見解を伺います。
次に、コロナ禍における子どもたちに対する長期的影響への対応と不登校対策についてです。
新型
コロナウイルスの感染拡大の影響で登校できなくなってしまった生徒がいます。新たな変異株オミクロン株も世界各地で確認される中、過度なストレスや恐怖、不安などが引き金となり、不登校やひきこもりにつながることがないよう対策が求められます。出席停止扱いになりますし、学校へ行かないほうが安心だからあえて登校しない場合は心配の限りではありませんが、家族の意志に押されて登校できない場合もあり、家族も含めた直接的支援が必要です。感染症に起因して学校へ通えない子どもの実態を把握し、家庭へのアプローチも含めた適切な対応を進める必要があります。見解を伺います。
また、コロナ禍ではリモート授業が一気に進みました。登校できない児童に対しては、一人一人の状況に応じたタブレットを活用した担任との個別のやり取りや授業配信が進み、不登校生徒への学びの保障が担保されたと聞いていますが、一人一台の端末が配付されたことによるタブレット上のいじめが起きないか保護者の不安は尽きません。町田市の女子児童が、学校で配付されたタブレット端末でのいじめを理由に自殺したとの痛ましい事件が起きましたが、父親の訴えでは、端末は家に持って帰ってくるのでいじめは家までついてくる。親の寝ている間もついてくるとの言葉に胸が詰まります。タブレット端末がいじめの温床につながることはあってはなりません。世田谷区での対策を伺います。
さらに、世田谷区の不登校の子どもたちは小学校では三百九十二人、中学校では五百七十六人と約千人で増加傾向にあります。新たな不登校生徒を生み出すことがないよう対策強化を進め、一人一人の状況に応じた多様な相談支援や居場所の確保が必要です。
先般、不登校の子どもたちの居場所である三つのほっとスクールの運営評価の結果が報告されました。スタッフの質や学習支援計画の未作成、進路指導における学校との連携など問題が散見されます。ほっとスクールは登校できない子どもへの支援に大きな役割を担っており、さらなる支援の充実が求められます。今回のほっとスクールの運営評価の受け止めと今後の取組について見解を伺います。
特に進路についても、本人も保護者も大きな不安を抱えています。多様な学びの場が当たり前の選択肢になったり、自立につながるような進路に関する情報を得る機会を充実させる必要があります。今年度、新たな進路説明会を開催し、好評だったと聞いています。その参加状況とさらなる拡充を求めます。見解を伺います。
最後に、ランドセル症候群への対応についての質問です。
ランドセル症候群とは、重たいランドセルを長時間背負うことで、筋肉痛や肩こり、通学自体が憂鬱になるなど心身への影響を及ぼす状態のことで、背負う荷物の重さは体重の一〇%以下が望ましいとのアメリカの研究結果もあるそうです。しかし、タブレット端末が増えたことにより子どもたちの荷物はますます重くなってしまいました。宿題に使わない教科書などは学校に置いて帰ることとしているそうですが、学校や先生によっては対応が違っているようです。共通の対応と保護者への周知徹底を求めて、質問を終わります。(拍手)
◎土橋 児童相談所長 子どもの権利擁護と児童相談所における相談業務の見える化について、私からは二点についてお答えいたします。
初めに、家族再統合に向けた支援の充実についてお答えいたします。
児童相談所の相談業務では、子どもの最善の利益のために、必要に応じて一時保護や施設への措置入所などにより、一時的に親子分離を図ることが必要になることもあります。親子分離を図った場合であっても、家庭養育を原則とする考え方から、子どもの状況に合わせて可能な場合は手紙や電話、面会など様々な手法を用いた親子の交流を検討し、家庭復帰に向けて段階的に進めてまいります。
また、家族の再統合に向けては親子関係の評価を行いながら、ケースワークに家族の強みを引き出す面接の手法を取り入れ、家庭復帰に向けた支援プランを丁寧に説明するとともに、子どもと離れて暮らす保護者の気持ちも酌みながら一緒に検討することにより、子どもの安全な家庭復帰が円滑に進むよう支援してまいります。
次に、性的虐待の実情と支援についてお答えいたします。
昨年度の区児童相談所における性的虐待の対応件数は十一件となっております。その中には、保護者の性行為の目撃や家庭内の不適切な接触などが含まれております。性的虐待が疑われる事案が発生した際は、必要に応じて一時保護を行うなど加害者との分離を図り、子どもの安全の確保に努めるとともに、被害確認面接や系統的全身診察の実施など速やかな調査を行い、子どもの心身の被害状況について早期かつ的確な把握を行っております。その後は、子どもが受けた心のダメージに合わせた心理ケアを行うなどの支援を行うとともに、加害をしていない保護者に対しても、子どもの安全の確保や心理状態の理解を深めてもらえるよう継続的な支援をしていくことになります。
性的虐待は子どもの心身や将来に与える影響がとても大きいことから、今後も学校や地域の関係機関などとも連携を図りながら早期発見、早期対応に努め、適切な支援をしてまいります。
私からは以上でございます。
◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、子どもの権利擁護と児童相談所における相談業務の見える化について三点御答弁申し上げます。
まず一点目、児童相談所への第三者評価の実施について御答弁申し上げます。
児童相談所の第三者評価は、子どもの権利擁護機関としての児童相談所が機能しているかを確認するために行うものであり、評価を通じて、児童相談所の業務の質の確保、向上を図ることを目的としたものであると認識してございます。令和元年度の児童福祉法改正において、都道府県知事は、児童相談所が行う業務の質の評価を行うこと等により当該業務の質の向上に努めなければならないこととされ、令和三年三月に、厚生労働省より児童相談所における第三者評価ガイドライン案が示されたところでございます。
今後、区はガイドライン案を踏まえるとともに、国の動向やモデル的に取り組んでいる他自治体の取組なども注視しつつ、区としての児童相談所第三者評価実施に向けた検討を進めてまいります。
次に、一時保護所第三者評価について、毎年度受審すべきではないかについて御答弁申し上げます。
区では、児童相談所開設初年度である令和二年度に、一時保護所外部評価を受審いたしました。この外部評価につきましては、社会的擁護関係施設に向けて厚生労働省より発出されている通知において、三か年度ごとに一回以上受審するとされており、当該通知に準じて区の一時保護所でも三か年に一回の受審を想定しております。あわせて、同通知では、第三者評価基準の評価項目に沿って、毎年度自己評価を行わなければならないともされております。この点を踏まえて、令和三年度においては、一時保護所の内部評価を実施することとしてございます。
議員より御指摘いただきました外部評価の受審頻度につきましては、今年度の内部評価の実施状況なども踏まえつつ、今後検討してまいります。
次に、児童養護施設内での子ども同士の性被害予防策、対応策について御答弁申し上げます。
児童養護施設では、施設職員から、また子ども同士での性暴力を予防するために、職員への研修などによる職員の意識の向上、死角をつくらないような施設のハード面での工夫、複数で対応できる職員体制の確保、また権利ノートを使った子どもの権利教育などを実施し、子どもが意見を言いやすい環境づくりに努めるなどの対応を行ってございます。
区としては、児童養護施設におけるグループホームの整備などについて、小規模かつ地域分散化計画として取りまとめたところでございますが、あわせてこうした取組についても支援していくことで、問題の未然防止や早期発見を図る環境を整えてまいります。
また、里親家庭においては、里親が孤立して密室化することがないように、児童相談所職員や里親委託推進員等が必要に応じて訪問や面接を行うとともに、登録更新時研修などでは、子どもの権利の理解や不適切な対応を行わないために必要な知識の習得をカリキュラムに入れて実施してございます。
引き続き、施設やフォスタリング機関等と連携しながら、社会的擁護の下、養育されている子どもたちへの性暴力を未然に防止し、子どもの権利と最善の利益が守られるように取り組んでまいります。
以上でございます。
◎粟井 教育政策部長 私からは、五点お答え申し上げます。
初めに、新型
コロナウイルス感染症により学校に行けない児童生徒への対応についてお答え申し上げます。
現在、新型
コロナウイルス感染症の影響により登校していない児童生徒につきましては、昨年度から不登校の月例調査の中で、新型
コロナウイルスの感染回避の枠を設けて実態を把握し、対応につなげているところでございます。各学校では、一人一人の状況に応じてタブレット端末を活用した担任とのやり取りやオンラインでの授業配信、ロイロノートを活用した課題提出などを通して、子どもと直接教員が関わりを持つなど、学校に来ていない子どもが担任とつながることができるための取組を進めております。今後もさらに、登校していない児童生徒について実態の把握に努めるとともに、オンラインを活用した教育活動の実施や家庭との連携を図ってまいります。
次に、ほっとスクールについてお答え申し上げます。
今回実施したほっとスクールの運営評価では、区内三施設のいずれも適切に運営しているとの評価をいただきましたが、評価結果を受け、区としてもさらなる運営の質の向上に向け、改善すべき課題もあると認識しております。
教育委員会といたしましては、委員会での御意見も踏まえ、スタッフの資質や専門性の向上に向けた研修の充実を図るとともに、ほっとスクール間の連携や交流を促進し、施設相互でノウハウやネットワークを共有することで、全体の運営の質の向上を図り、多様なニーズに応えられる運営を行ってまいります。
また、支援の取組を定期的に評価、見直しを行う仕組みを構築するとともに、不登校特例校との機能や役割の違いを明確にし、児童生徒一人一人の状態に応じた適切な支援を行ってまいります。今後、次期アクションプランにおいて、これらの取組を着実に推進し、ほっとスクールにおける支援のさらなる充実に取り組んでまいります。
続きまして、不登校の生徒とその保護者の進路に関する対応についてお答え申し上げます。
不登校の生徒とその保護者が抱える進路に対する不安は大きく、進路に係る情報提供の充実は重要な取組であると捉えております。教育委員会では、これまで不登校保護者のつどい進路の会や、ほっとスクール合同進路説明会を開催し、不登校の生徒とその保護者に対し、進路に関する情報提供に取り組んでまいりました。また、今年度からは新たな取組として、八月に進路説明会を開催し、オンラインを含め百名近くの参加がありました。また、十一月にも都立・私立高校八校を招いた個別進路相談会、個別高校説明会を開催し、八十八組の参加があり、改めて情報提供の機会の重要性を認識したところでございます。教育委員会といたしましても、今年度の実施状況を踏まえ、今後も情報提供の内容や機会の拡充充実に取り組んでまいります。
次に、タブレット端末といじめについてお答え申し上げます。
タブレット端末の不適切な使用によっていじめの温床となることは、決して許されるものではないものであると考えております。現在、児童生徒が利用している学習用タブレット端末は一人一人異なるパスコードを設定しており、他人が勝手に操作できないようにしております。また、児童生徒のチャットややり取りは教員が全て閲覧できるようにし、ビデオ会議を主催できるのは教員のみとするなど、いつでも児童生徒のやり取りを確認できるように設定しております。
教員が見守る中で、児童生徒にはオンラインの特性を理解して、円滑にコミュニケーションが図られるようリテラシーを醸成するとともに、トラブルに備え適切な利用に向けて、繰り返しマナー等について指導してまいります。
最後に、ランドセルへの対応についてお答え申し上げます。
タブレット端末が学習道具として増えたことにより、児童が登下校時に持ち運ぶ荷物については、児童の健康や安全等の面からも、今後一層の配慮や見直しが必要であると認識しております。現在、区内各学校においては、持ち帰る教科書や教材の精選を行い、宿題に使わない教科書等は学校に置いて帰ることとしております。あわせて、ランドセルの使用について区や学校としての指定はございませんので、安全性や耐久性、容量、子どもの体格などを考慮した通学用の鞄を使用できるよう、入学時の説明会など適切な時期に改めて各学校に周知してまいります。
◆十三番(田中みち子 議員) 今回性犯罪の件で数字も、虐待の数ですね、十一件ということを申し上げさせていただきました。所管とのやり取りの中で、この数をきっちり把握していないということとか、一歳が被害に遭っているよということも把握していなかったりということが一部ございました。できるだけ早期に第三者評価を導入していただきたいと思います。
○下山芳男 議長 以上で田中みち子議員の質問は終わりました。
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○下山芳男 議長 次に、三番、そのべせいや議員。
〔三番そのべせいや議員登壇〕(拍手)
◆三番(そのべせいや 議員) 保育園と幼稚園のカリキュラムについて伺います。
区立幼稚園の預かり保育では、午睡、いわゆるお昼寝の時間は一切確保していないとのことでしたが、幼稚園の三歳について各園で個別に対応しているとのことでしたが、本当に全ての区立保育園で、一人一人に合わせた対応が徹底されているかについて疑念を抱いています。仮に徹底をされていれば、保育の質ガイドラインと名前をつける冊子に午睡の時間として記載すらされないでしょうし、仮に午睡を強制しないとしても、毎日二時間半以上寝ている子どもの近くで静かに過ごすことしか認められなければ、体を動かしたり歌ったりとやりたいことがある子どもにとって窮屈な時間でしかありません。
加えて気になるのは、昨年発生した問題の検証の中で、寝かしつけの中で発生をした午睡の際おでこに消しゴムを置いて動けないようにして寝かせる、午睡の際、幼児クラスで視界を塞ぐように子どもの顔にバスタオルをかぶせたといった行為に対して、虐待、子どもへの人権の意識がないといった指摘に終始をしたことです。その後、人権擁護チェックリストや午睡チェックリストが導入をされたものの、本質的には寝かせることが保育園だという固定観念の中での対応にとどまり、寝かしつけてまで寝かせることへ疑問を投げかける意見は一切なく、この点からも寝かせなくてよいという意識は、現場はともかく、少なくとも区役所の保育部から欠落していると考えざるを得ません。
また、決算委員会での答弁では、四・五歳について午睡を必要とする子と必要としない子が混在する場合があるとの話でした。二〇一八年の保育所保育指針改定に対する東京大学大学院の発達保育実践政策学センターの意見書によると、アメリカでの先行研究でも、四歳児の八五%、五歳児の九八%が午睡をしないという結果が示されており、確かに混在はしていますが、必要のないほうが圧倒的マジョリティーとなっていることを無視して、年齢問わず、昼食後はそのまま長時間の午睡に入って、起きたらおやつというスケジュールとなっている従来の保育園のルーチンは見直す必要があります。
二時間四十五分が妥当の範囲内とされてきた三から五歳の午睡時間を、当該年齢児童の実態に合わせ、また長時間の午睡によって就寝時間が遅くなることで成長ホルモンが出る夜間の睡眠を阻害しないよう、世田谷の保育に携わる方々の常識を改めて見直していただきたいです。回答を求めます。
翻って、保育園機能、幼稚園機能が混在をしている認定こども園がどうなっているか見てみると、区立で唯一認定こども園である多聞幼稚園ではどちらに所属するかを問わず、十四時から十五時の一時間のみを午睡できる時間として確保しているようです。世田谷区の幼児教育研究の実践の場としての意味合いも持つ区立唯一の認定こども園で、四・五歳児に対し二、三時間ではなく、一時間のみを午睡として枠を確保している理由を教えてください。
また、いよいよ幼児教育センター機能を拡充した新教育センターもオープン、乳幼児期の教育・保育実践コンパスを策定し、統一方針での幼児教育を目指す中で、午睡は運営主体の方針よりも幼稚園の預かり保育と保育園という制度によって大きな差がありますが、制度を超えて考え方を整理できないでしょうか。
ここで、毎日二時間半の積み重ねがどうなるか示しますが、五歳児、年長クラスの後半を除く二年半を、一年間平日二百四十日、毎日二時間半の午睡とした場合、千五百時間を午睡に費やすこととなります。個人差もありますし、ふだんは必要なくても体力を消耗する活動をした日なども加味しても、本人のリズムに本来必要がない大人の都合による午睡が千数百時間発生します。彼らを横目に、幼稚園児や理解のある保育者の下で育った保育園児は、その分体を動かしたり、絵本を読んだり、絵を描いたり、コミュニケーションを取ったりと余分に社会経験を積みます。三から五歳児が一日起きている時間を十二時間で計算をすると、卒園する頃には、三か月から四か月寝かせられていた子どもとそうではない子どもで経験できたことに差が出ます。幼稚園と保育園どちらに通ったか、また、どんな保育園に通ったかで子ども自身の発達や成長にしわ寄せがいきます。大人の都合で無理やり寝かせられることのないよう、区立保育園に限らない統一した対応が必要です。回答を求めます。
続いて、今後の教育方針について伺います。
二〇一五年に、前教育長がフィンランド・エスポー市のサウナラハティ小学校へ行った際の報告書には、学びのスタイルの自由さには驚かされた。教室にソファーがあり、子どもたちは思い思いの姿で座り、あるいは寝そべり、あるいは携帯電話で音楽を聞きながら学んでいる。この学びのスタイルも、子どもが望み、かつ学習の効率が上がるのであれば認めるとのこと。また別のページでは、テストの際も思い思いの方向に机を向けテストを受けていたとのことでした。視察から帰国二日後の文教委員会での視察報告でも、子どもたちの学ぶ意欲をかき立てるスタイルで自主性を尊重ともコメントしています。
一方で、日本の学校教育を見渡すと、ブラック校則に代表されるように、形骸化したルールを疑うことなく尊重することへの優先順位が極めて高く、その結果、個性の芽を摘み、いまだに歯車のような人材を生み出しています。既に機械的な単純作業は機械に取って代わられ、人間に求められる能力が創造性やアイデアを形にする能力に変わった今、学校で先生と呼ばれる大人の言うことをうのみにしてきた人が、機械を導入するよりも安く、疲弊した働き方で買いたたかれているのが日本の現状ではないでしょうか。ヤフーのCSOを務める安宅和人氏は著作の中で、日本が世界から取り残され貧しい国にならないために、違いを排除し、個性を潰すことにつながる気をつけ、起立、休め、前へ倣えといった軍事教練の名残は廃止すべきだと訴えており、この提案に先日発足したデジタル庁のデジタル監に就任した石倉洋子氏も、日本経済新聞系列のメディアで賛同していました。
保坂区長も、二〇一九年には同様の認識があったようで、フリージャーナリストの前屋毅氏の取材の中で、明治政府後の日本の教育は起立、礼、着席で始まって、教員が黒板に板書して、それを子どもたちはノートに写して暗記し、その結果をテストで調べるというスタイルが定着していました。それでうまくいってきた時代もありました。工業化に向かう中でそういう教育で育つ、素直に覚えて正確に仕事を処理し、規則的に同じことをやる若者が求められたからですと、同じ趣旨の指摘をしています。
なぜ起立、気をつけ、前へ倣えといった挨拶の度を超した学校以外では軍隊、消防、警察程度しか使われない号令が日本の標準的な教育の中で必要とされている、いまだに使わざるを得ないのか、個性や自分の頭で考える能力を奪う以上の価値はあるのか、そして問題意識を抱いている区長がいる世田谷区では、同質化への疑問を感じさせなくなるこれらの行為は、もはや過去のものとなっているのか伺います。
最後に、標準服について伺います。
一般的な制服の役割は、貧富の差が表れないこと、私服より経済的なこと、不当に悩む必要がないこと、一体感や帰属意識を醸成できること、パブリックとプライベートを分けやすいことなどが挙げられますが、これらの役割がそのまま現在の公立学校の標準服に必要な機能か、また適切に機能しているかは、改めて考える時期に来ているのではないでしょうか。
例えば一体感は、本来同じ格好をさせて生み出すものではなく、お互いの違いを尊重し合いながらコミュニケーションを重ねてつくり上げるものです。先ほども申し上げたように強制的に同化させることは管理しやすいかもしれませんが、ブラック校則や暗黙のルールと合わさり、子どもの個性を潰す危険性もあります。また、ファストファッションや古着、フリマアプリも定着した今、本当に標準服が経済的かどうかは価格によりますが、過去議会で何度か指摘がありながらも、特段改善には向かっていません。
今回改めて標準服の上下セットの価格の調査を教育委員会へ依頼しましたが、最安値は二万四千円とスーツ販売大手の洋服の青山やイオンといった新たに低価格で制服業界に参入する業者と比較をしても遜色がない一方で、最高値は四万三千円を超し、およそ二万円の差が開いています。上下四万円は市販のジャケットやスラックス、スカートと比較をしても明らかに高く、また高いことに起因して、成長を見越してだらしないサイズのブレザーを買わざるを得なかったり、買い換えるのがもったいないと短い丈で我慢をして着続けることも恒常的に発生しています。
世田谷区では、各校で検討委員会を設置し、総合的に選定しているようですが、これまで価格が下がらなかったことを鑑み、販売店や、場合によっては接待やキックバックが期待できる教員といった高い制服で得ができる人ではなく、保護者や生徒といった実際に支払う人、使う人の意見を重視するなど、教育委員会としてもガイドラインを示し、少なくとも買う側、使う側が納得できる透明性の高い選定へ改善をしてください。
また、メーカーは、制服は耐久性に優れていると必要性を語り、区はSDGs、持続可能性が大切と高らかに叫ぶのであれば、卒業したら廃棄をするか大学生になってテーマパークに着ていくくらいしか使い方がないのであれば、自主的なリサイクルを超えて、学校が全て回収し、次の新入生に配付をしたらいかがでしょうか。そのほうが貧富の差も出ません。
以上で壇上からの質問を終えます。(拍手)
◎和田 保育部長 私からは、二点御答弁いたします。
まず、保育に携わる方々の午睡に対する認識についてです。
十二時十五分からの午睡の時間を記載している「なるほど!せたがやのほいく」は、保護者に向けて園生活を分かりやすく漫画なども交えながら示した小冊子ですが、園の一日の流れをイメージしていただくために、午睡に充てることが一般的な時間帯を一例として示しております。保育所保育指針において、保育園での午睡は生活のリズムを構成する重要な要素であり、一律の取扱いとならないよう配慮が必要なものとしていることを踏まえ、また五歳頃の園児については、小学校での生活も見通し午睡のない生活に慣れていくことも必要であることから、一律の対応ではなく、一人一人の園児に合わせ柔軟に対応することとしております。
さらに、区では、午睡について園から個別に相談を受けた際には具体的な対応について助言を行い、この四月に作成した子どもの人権に関するチェックリストの中にも午睡の事例を含めており、子どもを権利の主体として捉える保育の実践として、機会を捉えて理解を深めるよう促しております。
次に、保育園、幼稚園などの施設の種別に関わりのない午睡への対応について御答弁いたします。
今般お示ししました乳幼児期の教育・保育実践コンパス案は、全ての子どもが豊かな経験をしながら成長していけるよう、教育・保育の関係者が共有すべき基本的な方針について取りまとめたものでございます。今後、教育委員会などとも連携をし、認定こども園や幼稚園、保育園各園が、子どもの発達状況に応じて睡眠や食事、遊びなど一日を通した生活のリズムを整えていき、園児の心身の健康づくりの基礎を培うなど、健康や安全、情緒の安定に配慮した実践を充実させていくことができるよう、具体の事例などを交えて、教育・保育に携わる保育士等への理解を深めながら、実践コンパスを活用した取組を進めてまいります。
以上でございます。
◎粟井 教育政策部長 私からは、二点お答え申し上げます。
初めに、多聞幼稚園における午睡についてお答え申し上げます。
多聞幼稚園は、幼稚園型認定こども園であり、幼稚園枠と保育枠に分かれるなど、在園時間の異なる園児がともに生活する幼児教育・保育施設です。そのため、園児の在園時間の長さに応じ午睡の必要性も異なることとなります。そのような状況を踏まえて、多聞幼稚園では幼稚園枠の園児も保育枠の園児も、十四時までは教育課程に係る活動に一緒に取り組み、十四時以降も在園する保育枠の園児や預かり保育を利用する幼稚園枠の園児については、おおむね十四時から十五時までを午睡の時間としております。
その上で、睡眠の必要性や睡眠時間については、園児の発達の状況や日々の活動内容などにより個人によって差があることから、園児一人一人に応じた園での生活のリズムを形成することに重点を置き、一律とならないよう配慮しております。また、五歳頃の園児については、小学校就学後の生活も視野に入れて、園児の心身の健康の状況に合わせて、徐々に午睡のない生活に慣れていくことができるように柔軟に対応しているところでございます。
次に、個性を生かした人材を育成する教育への方針転換についてお答え申し上げます。
日本における近代的学校教育は、明治五年に発せられた学制以来、時代とともに変化してまいりました。これからの学校教育においては、社会や産業の構造が変化し、知的な豊かさが成長を支える成熟社会に移行していく中で、様々な情報や出来事を受け止め、主体的に判断し、課題を解決する力の育成が必要であると認識しております。
議員御指摘の集団行動につきましては、体育の学習において取り扱っておりますが、体育以外の学習や生活においては、礼儀をわきまえ、ルールやマナーを守る場面等で学んだことを適切に活用できるようにすることが大切であると考えております。
以上でございます。
◎知久 教育総務部長 私からは、標準服について二点お答えいたします。
まず、標準服の今後の方向性、リサイクルについてです。
区立中学校における標準服の見直しに当たっては、検討委員会などで地域や保護者の方々の御意見等を伺い、価格面や校風に応じたデザインなども考慮し選定されていることから、各校が標準服を指定していることは一定の意義があるものと考えております。標準服のリサイクルは、各学校で主にPTAが中心となって実施されています。卒業生などからの寄附によるものですので、サイズや数量にはどうしてもばらつきや限りがあり、リサイクルだけで需要を賄うことは現状では難しいかと考えております。引き続きリサイクルについて、各学校で推進されるよう情報共有などを図ってまいります。
次に、選定に当たってガイドラインを示すべきについてお答えいたします。
新たな標準服の検討に際しては、委員会による会議だけではなく、保護者や生徒へのアンケートの実施や、検討過程を学校だよりや学校ホームページなどで周知するなど、透明性を確保し、保護者や生徒の理解を得られるよう工夫しております。検討委員会の実施方法については、各学校で異なることもございますので、各校に実施内容の調査を行い、教育委員会より、標準的な検討委員会の在り方を示せるよう検討してまいります。
私からは以上でございます。
◆三番(そのべせいや 議員) 集団行動という言葉が学習指導要領に記載されていないということは私も確認をしましたが、特段号令や、やり方について言及はなく、内容については法的根拠がない手引きであったり、教科書という位置づけにはない副読本に記載があるにとどまり、決して国に手法を指定されているわけではありません。また、本当に礼儀やマナーのはんちゅうであれば大人になっても使うはずですが、かかとをつけて両足の角度が四十五度から六十度であることを気にして気をつけの姿勢で直立している大人がどれだけいるでしょうか。ビジネスマナーの作法ですと、ただしいお辞儀は、男性の場合は礼の姿勢と同じく手が横のようですが、女性は手が前にくるそうです。ビジネスマナーが一概に正しいとは言いませんが、義務教育時代に多用したところで集団行動や号令は礼儀作法とも直結はしません。
先ほど引用した前教育長を中心とした視察に渡部教育長も小学校長会を代表して同行されていたようですが、実際に寝転がっていた子どもたちが怠惰な様子だったのか、開放された様子だったのか、集中をしていたのか、目を輝かせていたのかを、視察した渡部教育長へ、なぜフィンランドが寝転がっても効率がよければ個性の名の下に尊重され、世田谷を含めた日本の教育は過度にしつけや体裁を気にしてかえって効率を落としたり、周りと同じことをすることが苦手な人が生きづらくなったりする弊害を抱える手法を、軍隊の時代、工業の時代が終わった今でも続けるのか、根本的な考え方やその発現と言える手法を変えずに、個性で闘う時代を切り抜ける人材をどう育成をするのか伺います。
◎渡部 教育長 再質問にお答えします。
私は校長のときにフィンランドの視察において、教室に置いてあるソファーに座ってタブレット端末を操作したり、何人かで座り話合いをしたりしている姿を見学しました。世田谷区ではオンライン授業や家庭学習は別として、現在の学校の授業においては、椅子と机を使用しており、ソファーに座ったり、床に寝転んだりという手法は取ってはおりません。急速に変化する社会情勢や価値観の多様化などの観点からも、今後、多様な学び方の手法については様々に検討していきたいと思っています。
以上です。
◆三番(そのべせいや 議員) 集団行動は別に日本で開発された日本の伝統ではなく、戦争の時代に軍隊が使っていたものです。日本だけ百年前の常識に支配されているこの価値観のアップデートをしてください。同じ考え方が保坂区長だと期待をしていますので、どうか実体的に変えていただければと思います。
以上で終わります。
○下山芳男 議長 以上でそのべせいや議員の質問は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後零時十七分休憩
──────────────────
午後一時十分開議
○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を続けます。
二十六番和田ひでとし議員。
〔二十六番和田ひでとし議員登壇〕(拍手)
◆二十六番(和田ひでとし 議員) 通告に従い、順次質問してまいります。
まず、首都直下地震に備えてを質問させていただきます。
今から十七年前の平成十六年四月に、国の地震調査研究推進本部は、相模トラフ沿いの地震活動の長期評価において、南関東でマグニチュード七程度の地震が三十年以内に発生する確率は七〇%と推定されることを明らかにしました。その後、平成二十六年四月にも、改めてこの長期評価が行われ、その際、やはり首都直下を含む範囲で、プレートの沈み込みに伴うマグニチュード七程度の地震の発生する確率は七〇%と推定されるとしています。
以来、現在まで、首都直下におけるマグニチュード七クラスの地震は発生していませんが、この間に蓄積されたプレートのゆがみのエネルギーがいつ地震として放出されても不思議ではなく、切迫度が高まっていることは疑わないことと考えられます。いつ起きてもおかしくないと言われ続けている大震災に備えておくことは、言うまでもなく、私たちにとって大変重要なことであります。
平成七年一月の阪神・淡路大震災、そして平成二十三年三月の東日本大震災、そのほかにも新潟、北海道、熊本をはじめとして、全国各地で大きな地震は頻発しております。とりわけ、首都圏に住む私たちにとっては、首都直下地震を想定した様々な情報をどの程度自分たちのこととして捉えているかが重要であります。
国の中央防災会議が二〇一三年に公表した首都直下地震の被害想定でも様々な震源域を仮定しており、世田谷区が位置する都心南部でマグニチュード七クラスの地震を仮定した想定では、南関東の一都三県が震度六弱以上の揺れに襲われ、十七万五千棟が倒壊、七万二千人の救助が必要になり、同時多発の火災で消防力が不足、さらに倒れた建物で交通が渋滞し、消火活動は妨げられ、焼失建物は四十一万棟、建物倒壊と合わせて二万三千人が犠牲になるとされています。さらに、最大で八百万人の帰宅困難者が出るほか、断水、停電により避難者は七百二十万人に膨れ上がると予想しています。
先日、東京都は、首都直下地震などが起きた場合の被害想定を約十年ぶりに見直すと発表しました。区は、東京都の被害想定の見直しと、これに伴う都の地域防災計画に連動しながら、区の地域防災計画等も見直す予定ということです。しかし、このスケジュールでは、区の地域防災計画の見直しは令和五年度以降になるものと見込まれます。まさにいつ起きてもおかしくない状況の中、都の見直しを待つことなく、区は様々な災害対策を前に進めていかなければなりません。
そこで、新たな被害想定を待つのではなく、今、喫緊に取り組むべき課題が山積している中、区はどのような姿勢で今後の災害対策に取り組むのか、見解を伺います。
待ったなしの課題として指定避難所の体制強化が挙げられます。先ほどのような被害想定の中では、世田谷区においても相当な人数の避難者が出ることは容易に想像できます。さきの定例会、決算特別委員会での私の避難所運営の体制強化の質疑の中では、区は、町会の体制強化に取り組むと答弁しました。避難所運営の体制強化に当たっては様々なお考えもあるかと思いますが、幾つもの課題がある中で、まずは今できることから確実かつ迅速に実施すべきと考えます。区の課題認識と今後の具体の取組を伺います。
次に、世田谷清掃工場建て替えに向けて伺ってまいります。
ごみの処理問題は、東京二十三区共通の大きな課題であり、将来を見据えた計画的な運営が不可欠であります。特に各清掃工場が安定した稼働を続けるためにも、定期的な点検や延命化工事が欠かせません。さらに、焼却炉の故障時には他の工場とのやりくりなども考えておかなければなりません。区内では、千歳工場が令和五年から六年にかけて延命化工事が予定され、世田谷清掃工場は令和八年から十四年までの予定で建て替えが予定されています。二十三区では幾つもの清掃工場がこれから次々と耐用年数を迎えますが、常に安定稼働は必須です。区民生活に大変大きな影響がある清掃工場のごみ処理能力を安定的に稼働させていくため、区内二つの清掃工場の延命化工事と建て替えは大変重要な事業であります。
そこでまず、世田谷清掃工場は、今回の建て替えによって処理能力が倍増されるということですが、改めて区のお考えを伺います。
この建て替え計画に伴って、先月、計三回にわたって事業説明会が行われたと聞いています。大きな事業ですので周辺の方々にとっては大変気になるところだと思います。処理能力が倍増になるということで車両の出入りも多くなり、環状八号線など周辺の交通渋滞等も懸念されますが、何か対策を考えているのでしょうか伺います。
三点目として、一般廃棄物処理基本計画が令和三年度から十六年度までの改定がありましたが、新たに首都直下地震などの有事に備え、前計画には災害等発生時の体制確保が追加され、清掃工場の強靱化、地域防災への貢献と合わせた三つの取組が災害対策の強化として施策にあります。
そこで、今回の建て替えに伴って、大規模災害発生時に備えて、例えば帰宅困難者の受入れや充電設備導入など災害対策機能を盛り込むことができないか、区の見解を伺います。
次に、ふるさと納税による税収減対策について伺います。
昨日の我が会派の代表質問でも述べましたが、ふるさと納税による税収減は大変深刻な問題として捉えなければなりません。そもそもの考え方として、区民にいかに世田谷区への愛着を持っていただくか、また、今は他自治体に住んでいても、生まれ育った世田谷に何とか応援をしたい、そんな寄附文化の醸成が大切であることは言うまでもありません。他自治体との返礼品競争はなかなか難しい状況の中、緑豊かな世田谷、文化芸術都市世田谷にとって何がふさわしいかを考えたときに、例えば二十三区でも数少ない都市農業の特色を生かして、世田谷産の野菜、花卉など世田谷ならではの農産物を返礼品として考えられないでしょうか。
また、文化振興基金への寄附に対するお礼はどのような内容になるのか、そして、コロナ禍で大変厳しい状況が続いているアーティスト支援などの文化芸術活動を支援していけるような返礼品としてできないか、区の見解を伺います。
最後に、かいわい形成地区の指定に向けて伺います。
世田谷区では、平成二十九年度より、奥沢の風景を育むプロジェクトに取り組んでおり、その手だてとして、かいわい形成地区制度の導入を検討しています。地域に配布されている奥沢界わいニュースには、かいわい形成地区は地域の特徴を生かした風景づくりを進めるため、風景に関するルールを設けることができる制度で、地元の皆さんとルールの内容を検討していきますとあります。
このたび、地元の方々と一緒に素案としてまとめ、十一月十三、十四日の二日間にわたってオープンハウスが開かれました。そして令和四年度、区では初めての制度導入になるということですが、改めてこのかいわい形成地区の指定によって、どのようなまちをつくっていこうとしているのか伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎菅井 危機管理部長 私からは、二点につきまして御答弁申し上げます。
初めに、災害対策への区の姿勢についてです。
住宅の耐震化率が向上する一方、高齢化が進むなどしており、社会状況の変化から生じる都の被害想定等の見直しにつきまして、今後の区の対策に的確に反映することは大変重要であり、都の対策との適切な連携が必須であると考えてございます。こうしたことから一連の都の見直しに連動し、区の地域防災計画についても見直していくこととなるため、区の計画の反映につきましては、お話しのとおり令和五年度となる見込みでございます。
一方、今後とも区が取り組むべき喫緊の課題につきましては先送りすることなく、引き続き鋭意取組を進めてまいります。また、その上で都の見直しが行われた場合には、その内容を踏まえまして、適宜必要な修正等の対応を行ってまいりたいと考えてございます。
次に、指定避難所の体制強化についてです。
区は、避難所運営体制の強化が課題であることを認識しており、町会の体制強化はもとより、NPO等による避難所運営委員会のサポート体制の充実などの多様な手法で支援の強化を図ってまいりたいと考えてございます。区はこれまで、NPO、ボランティアに対しまして、まずは地域の一員として避難所の立ち上げや運営への協力をお願いするとともに、復旧・復興期にはそれぞれの持つ得意分野を生かしまして、避難所の避難者支援などに効率よく当たっていただけるよう、ボランティアマッチングセンターの設置などの仕組みづくりを進めてまいりました。
一方、NPOによる避難所の避難者支援につきましては、これらの団体が具体的にどのような支援に当たるのか、また避難所運営委員会からの支援要請の手続など細かなルールづくりができておりませんでした。これを踏まえまして、各団体と避難所運営委員会との顔の見える関係づくりや支援要請から派遣までの手続の整備に向け関係機関と調整に着手したところでございます。これらを進めることにより、避難所の運営体制の強化と避難所運営委員会の負担感や不安感の低減を図ってまいります。
以上でございます。
◎辻 清掃・
リサイクル部長 私からは、世田谷清掃工場の建て替えに向けまして三点御答弁申し上げます。
まず、処理能力の倍増についてでございます。
東京二十三区清掃一部事務組合が本年二月に策定した一般廃棄物処理基本計画によれば、二十三区で排出されるごみの量は、今後ほぼ横ばいで推移するとの予測になっております。二十三区内の清掃工場は二十一ございますが、令和十六年度までに、今後十四の清掃工場が耐用年数を迎えることから、二十三区の焼却能力を安定的に確保するためには延命化を図るための大規模改修を行うとともに、今後建て替える清掃工場については処理能力を拡大する必要がございます。
現在、区内清掃工場の定期点検時には、近隣区の清掃工場に多くのごみを搬入しておりますが、処理能力の拡大により、ほぼ区内の清掃工場だけで受け入れることが可能となり、安定的な処理体制の確保と車両の運搬効率の向上が期待できるものと考えてございます。
続きまして、交通渋滞につきまして御答弁申し上げます。
世田谷清掃工場は一日平均約二百十台の車両が出入りしており、処理能力が倍になった場合、車両の数も倍近く増えることが想定されます。工場の東側に隣接する環状八号線は、三本杉陸橋交差点で一日約五万五千台の通行がある幹線道路であり、影響を最小限にすることが求められます。清掃工場は周辺に渋滞を起こさないよう、車両が出入りする動線には特に注意をして設計しております。具体的には、敷地内に周回路を整備するなど、搬入待ちの清掃車両が周辺の道路にあふれることがないよう対策を講じております。
区といたしましては、近隣住民の皆様へ配慮するとともに、周辺交通への支障を防ぐため、建て替え計画における車両の動線や周回路の設計について清掃一組と十分に協議してまいります。
最後に、災害時の帰宅困難者の受入れについて御答弁申し上げます。
清掃一組では、建て替え工事を行う際などに、災害発生時における地域防災への貢献について、所在区とともに検討を進めることとしております。世田谷清掃工場は広域避難場所である砧公園に隣接しているとともに、基本的に二十四時間稼働していることから、御指摘の帰宅困難者支援に適しているものと思われます。具体的には、防災情報や、水、トイレなどの供給、各種充電設備の貸出しなど、一時滞在施設としての活用などが想定されます。玉川、砧両総合支所からも地域防災力の向上に向けた要望が出されており、清掃一組と協議の場を通して可能な範囲で協力を求め、地域で必要とされる施設にしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎田中 経済産業部長 私からは、世田谷産農産物のふるさと納税記念品取扱いについて御答弁いたします。
世田谷産の農産物をふるさと納税の記念品とすることについて農業関係者にヒアリングをしたところ、野菜や果物、花などは生鮮品であり、鮮度を保ちながら配送することのコスト面などの課題が多く、実現は難しいのではないかとの御意見をいただきました。一方、令和元年度に試行的な取組として、農産物を実際に自分たちで収穫し持ち帰る体験型の記念品として、江戸東京野菜である大蔵大根の引き抜きを実施し、好評を得ました。今後、新型
コロナウイルス感染状況などを踏まえながら、このような体験型の企画を増やしていきたいと考えております。さらに、世田谷産の野菜や果物を用いた加工品を記念品とすることなど、農産物を活用した記念品のメニューを増やせるよう検討してまいります。
私からは以上です。
◎片桐
生活文化政策部長 私からは、ふるさと納税での文化芸術活動を支援いただけるような返礼品をとの質問についてお答えいたします。
現在区では、文化振興基金へ寄附を頂く手法として、寄附者が文化芸術に参加体験できる取組の準備を進めております。具体的には、十二月中旬に世田谷美術館で行うプロムナードコンサートへの御招待をはじめ、今後は美術館、文学館の年間パスポート、ルソーや魯山人など美術館収蔵品の作品シートセットなど、区の魅力ある文化資源を体験いただける機会を提供していく予定です。
今後もアーティスト等の支援や区民が文化芸術に触れ親しむ機会創出の観点から、若手音楽家が活躍できるプロムナードコンサートを返礼品として継続していくとともに、文化振興基金の拡充に向け、文化芸術分野の活動、体験を通じて区への愛着を持っていただくことで、ふるさと納税への動機づけとなるよう取り組んでまいります。
以上です。
◎畝目
都市整備政策部長 私からは、かいわい形成地区の指定についての御答弁です。
かいわい形成地区の指定を目指します奥沢一丁目から三丁目地区には、近代住宅等や緩やかな坂道、庭先の緑が美しい落ち着いた風景のある地区で、周辺には田園調布や洗足池、自由が丘などの住宅地が隣接し、地域全体として自分たちの力で風景を守り育てていく意識の高い地域でございます。一方で、土地の売却や建て替え等に伴いまちの風景が徐々に変わりつつある中、地域の皆様の奥沢らしい風景を次世代へつないでいきたいという思いを受け、平成二十九年度から参加と協働により、まち歩きやワークショップ等を開催し、地域の関心や機運の醸成を図りつつ、奥沢かいわい形成地区の検討を積み重ね、十一月に素案を取りまとめまして、先般、素案の内容を説明しますオープンハウスを開催したところでございます。
かいわい形成地区の指定によりまして、住宅等建築の事前相談の際には、専門家等から風景づくりへの工夫や配慮に関する助言や指導によりまして、さらに地域から愛される風景として、時代を越え、将来へつないでいけるよう、地域の皆様とともに取り組んでまいります。
以上でございます。
◆二十六番(和田ひでとし 議員) 首都圏でマグニチュード七クラスが三十年以内に発生する確率は七〇%だと、こう言われ続けて既に十七年以上が経過しているわけです。私たちは時間がたつとだんだんこういった危機感というのはどうしても薄れていきます。そういったことを特に考えながら、いかに自分たちのものであるというふうに捉えているか、これが大変重要であると考えます。特に避難所の体制については、町会の強化、こういったものも各地区でかなりの温度差があると聞いておりますので、なかなかこれは課題が難しいことかなと思いますが、しかし喫緊の課題であることは間違いないと思います。
そういった中で、ぜひ避難所に、本来ならば行かなくて済むような体制づくり、これがまず、自助の体制づくりが非常に重要であると思いますので、この辺をしっかりと啓発をしていただきながら、避難所の体制についても強化を図っていただきたいこと、これはまず要望しておきたいと思います。
それから、清掃工場建て替えについてですが、ぜひこの災害対策機能、こういったものもしっかりと取り入れていただいて、建て替えに望んでいただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○下山芳男 議長 以上で和田ひでとし議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、二十五番たかじょう訓子議員。
〔二十五番たかじょう訓子議員登壇〕(拍手)
◆二十五番(たかじょう訓子 議員) 通告に従い質問いたします。
まず、区民の暮らしを守る取組について伺います。
生活困窮者対策についてです。さきの常任委員会では、世田谷区の生活保護の相談数、申請数は例年並みに推移と報告されました。しかし、今月をもって特例貸付が終了する世帯が六千三百世帯。支援が打ち切られることで、今後切実な状況が想定されます。また、食料支援、相談を行う反貧困ネットワークで活動する方からは、史上最多の相談数となっていると伺っています。世田谷区民からの相談も一定数あり、相談した理由は、どこに相談すればいいか分からなかった、相談してよいのかが分からなかったというものでした。
私自身もこの間、生活相談を受けている中で、国のお世話になりたくない、生保は恥ずかしい、持家があるから、働いているから受けられない、扶養照会に抵抗があるなど伺っており、生保への誤解と偏見があることを痛感しています。区役所が頼れる場所であり、どんなことでも相談できる、生保申請は国民の権利など、発信していく必要があります。
ここにパネルがあります。このポスターは札幌市が作成し、公共施設などに貼り出しているものです。生活保護の申請は国民の権利ですと大きく書かれています。こんなときに相談してくださいということが具体的に書かれています。小さな子どもがいてフルタイムで働けない、年金では暮らせない、持病が悪化して働けない、コロナで仕事が見つからない。そして、お困りのときは役所へと案内しています。
生活保護の相談を安心してできるよう、札幌市のようにポスターなどを活用した啓発活動に取り組むことを求めます。その際には、扶養照会は義務ではありませんとの文言も加えていただきたい。また、公園、図書館など区民利用施設、掲示板など人の目に触れる場所に貼り出すことを求めます。見解を伺います。
また、必要な方に支援がつながらないということのないよう、年末年始の閉庁期間に入る前に、区のSNSやエフエム世田谷の番組、掲示板などあらゆる媒体での広報強化を求めます。見解を伺います。
生活保護利用者の生活の質の改善と健康対策について伺います。
厚労省は二〇一八年四月以降、生活保護世帯で高齢者や障害者、子どもがいる世帯などに対し五万円を上限にエアコン購入費を支給しています。制度から漏れた二〇一八年三月以前の生保利用者は、生活費をやりくりし、社会福祉協議会の貸付を利用して購入する方法しかありません。保護費の引下げにより生活が厳しいものとなる中、貯金も返済も負担が大きいと伺っています。御病気を理由に生活保護を利用する四十代の女性は、食費は一日千円、光熱費、通信費など固定費を払えば手元に残るのは僅かで貯金もできない。せっかくエアコンがあっても電気代を懸念し、利用を控えていたと伺いました。足立区、荒川区、港区など多くの自治体で、生活保護世帯を含むエアコン購入助成などに取り組んでいます。生保利用者の生活の質の改善と健康を守るため、国の支援対象から漏れた生保受給者、利用者に対するエアコン購入助成、修理、買換えへの補助、夏季加算を求めます。見解を伺います。
子どもの医療費の十八歳までの助成拡充を求め伺います。
子どもの貧困対策は経済支援、学習支援、食の支援、住まいの支援など総合的に全庁的に行うことが重要です。東京都が行った実態調査では、子どもの受診抑制の理由として、自己負担分が払えないことを挙げた人、十六歳から十七歳の子どもの保護者は二・七%、うち困窮層では一八・八%でした。私も直接高校生から、うちはお金に余裕がないから医療機関にかかることを控えていると伺っています。
現状、区では子どもの医療費助成は中学生までです。以降、高校の授業料は所得により無償ですが、通学や部活など行動範囲が広くなり出費は段違いに増え、家計への負担が大きくなります。千代田区、武蔵野市では十八歳まで医療費を助成、北区、品川区では入院費を支給、狛江市では住民税非課税世帯で医療費助成を実施しています。子どもの健やかな育ちの保障と子育て世代の負担軽減のため、全国約四百自治体が行っている十八歳までの医療費助成を当区でも検討する必要があると考えます。見解を伺います。
事業者への支援について伺います。
今般のせたがやPay加入店舗への三万円の支給、十一月から来年一月までのせたがやPayでの売上げ五%分のポイント付与は事業者への支援につながるものと考えます。これまでのせたがやPayは消費喚起策を通した事業者支援としてきましたが、効果はデジタルマネーに慣れている世代や、こうした世代を顧客とする一部の事業者に限定されています。事業者が広く支援を受けられるよう、せたがやPay加入促進が必要です。ポスターなど様々な方法で周知努力を求めます。また、施策期間の延長を求めます。見解を伺います。
せたがやPay、プレミアム区内商品券について、区内事業者への効果検証をしっかり行った上で、来年度実施に向け、情報弱者対策、低所得者を考慮した取組へと見直すことを求めます。見解を伺います。
産業振興基本条例について伺います。
このたび、(仮称)持続可能な地域経済発展条例の検討状況について示されました。現在区は、入札制度改革に取り組んでおり、ダンピングを防止することにより労働者が適正な報酬を受け、事業者の経営も支え育成する公契約条例の視点が盛り込まれたことは画期的です。コロナ禍で大きな痛手を受けている区内の中小事業者の経営環境改善が焦眉の課題であり、産業振興基本条例に公契約条例の趣旨を反映させるべきです。見解を伺います。
次に、地域行政推進条例について伺います。
条例策定に当たり、我が党は住民が自主的、主体的に区政に参加できるよう区が学びや活動への支援を行うことや、区政に対し意見を述べ提案をする区民参加の仕組みづくりを位置づけることなどを求めてきました。二月に示された骨子案では明記されていた区民参加と区民主体のまちづくりの観点が、今般の素案案ではなくなってしまいました。これにより区民の自主的、主体的な活動の権利の位置づけが弱まったのではないでしょうか、見解を伺います。
今回、住民の意見を反映させるための仕組みが盛り込まれました。具体にどのように進めるのか伺います。
岩崎学生寮周辺樹林地の活用について伺います。
当該樹林地は、かつて緑の保全を求める運動があり、区は住民要求に応え、緑地公園として取得に向けた協議を行っています。こうした経緯から樹林の適切な保全が第一です。この間、地域の方からは、公園内にかまどベンチ、防災倉庫など防災機能充実、カフェなどコミュニケーションの場、運動ができる場所、また、都道二一九号線整備により活動の場所が狭くなる烏山プレーパークの移転先としてどうかとの要望も伺っています。地域の要望を大事に進めていただきたい。
区はPark―PFIなどの利活用も検討するとしています。Park―PFIは、公園を設計、施工、運営まで一括で民間企業が担う制度です。指定業者が収益を出すために建蔽率を上げるものであり、樹林を守るためにもPark―PFIはなじみません。民間活用を検討する場合は、その手法についても地域住民とともに考えていく必要があります。見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎澁田
保健福祉政策部長 私からは、二点についてお答えいたします。
一点目、生活保護の相談の啓発活動についてでございます。
現在区では、生活保護制度を説明した生活保護のしおりを各保健福祉センター生活支援課の窓口への配架をしているほか、区のホームページに掲載し、どなたでも御覧になれるようにしており、生活保護の要件や申請手続についてなど制度を広く周知し、まずはためらわずに御相談をいただけるよう取り組んでおります。
各保健福祉センター生活支援課では、生活保護のしおりや区のホームページの内容について、毎年より分かりやすくなるよう検討を行っており、さらに今年度は、お話しにございました札幌市などのポスターなどを参考に、生活保護のさらなる周知手法につきましても鋭意検討を行っているところでございます。今後とも生活保護を申請したいと思われる方が安心して御相談いただけるよう、引き続き周知や丁寧な相談支援に取り組んでまいります。
二点目でございます。生活保護利用者の生活の質の改善と健康対策についてお答えいたします。
猛暑、酷暑の続く近年では、エアコンなどの冷房器具は健康な生活を送るために必要な物品となり、生活保護制度におきましても、平成三十年七月に、要件が満たされれば臨時的最低生活費の給付が可能になりました。また国は、経年劣化による修理や買い替え等につきましては、各月の生活扶助により対応すべきものと整理をしております。区では、最後のセーフティーネットである生活保護制度の方針を基準とし、経済的理由からやむを得ずエアコンの利用を控えた方などに対しましては、適宜、家計相談や社会福祉協議会の貸付を紹介するなど、丁寧に相談に応じております。
区といたしましては、生活保護世帯の実態を踏まえまして、東京都を通じ、国に生活保護における夏季加算の新設などを要望するなど、他都市の事例も参考に、区民の皆様が安心して安全に過ごすことができるよう努めてまいります。
以上でございます。
◎相馬 烏山総合支所保健福祉センター所長 私からは、生活保護に関する年末年始の相談体制についてお答えいたします。
閉庁する年末年始においては、休日、時間外に対応している区役所本庁舎の巡視室にて緊急対応を実施しており、生活保護申請書等の提出があった場合には巡視室から生活支援課に連絡が入ります。また、生活支援課において開庁日まで生活維持が難しいと判断した場合には、緊急援護金による援護を行うほか、一時的な食料を支給いたします。そのほか、いわゆる路上生活の方が交通費を求めて来庁する場合に備えて、巡視室において緊急援護金から支給できるよう準備しております。
あわせて、年末年始に備え、これまで貸付や給付金等を受けてきた方などをその後の支援につなげるためには早めの相談を促すことが重要と認識しており、御提案の方法も踏まえ、早急に関係所管と周知方法を調整してまいります。
以上です。
◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、子どもの医療費無償の十八歳までの拡充について御答弁申し上げます。
区では、子どもの保健の向上と健やかな育成を図り、子育てを支援するため、医療費のうち保険診療分の自己負担分と入院時の食事療養費の定額負担分に係る子ども医療費の助成を平成四年度から開始し、現在、十五歳までの子どもに対して助成しております。実績といたしましては、令和二年度の対象者は十一万四千四百二十人、全て区の負担で年間約三十六億四千十七万円を支出しております。一人当たりで換算いたしますと約三万二千円の助成となり、零歳児にかかる子どもの医療費助成が高く、年齢が上がるにつれて低く抑えられる傾向にあります。
区といたしましては、議員お話しの他自治体における様々な実践例を参考にしつつ研究を行い、子どもの健やかな育ちを保障するために、引き続き取り組んでまいります。
以上でございます。
◎田中 経済産業部長 私からは、三点御答弁いたします。
まず、せたがやPayの周知と施策期間についてです。
御指摘のとおり、今回のせたがやPayの事業が、できる限り多くの事業者への支援となるよう周知を徹底することが重要であると認識しております。「区のおしらせ」やSNS公式アカウントなどでの広報媒体をはじめ、発行主体の商店街振興組合連合会と連携し、区内全商店街や各種業界団体、金融機関等関係機関に周知協力を依頼するだけでなく、小売・飲食・サービス業等の約一万事業者に対し直接案内を送付することで、可能な限り抜け漏れのない周知を行ってまいります。また、実施期間の延長につきましては、新型
コロナウイルス感染症の感染状況の動向や予算執行状況を見ながら適宜検討し、判断したいと考えております。
次に、せたがやPayの利用向上についてです。
商店街振興組合連合会の区内共通商品券及びせたがやPayを通して行っている経済支援策は、区内経済の循環を目指す事業者を支援するものとして実施しております。今回のコロナ禍のような急激な消費の落ち込みに対し、迅速に消費を喚起し事業者を支援するためには、事業実施や決済に時間がかからない電子決済であるせたがやPayの利用をさらに拡大することが重要だと認識しています。
お話しの高齢者などのデジタルツールに不慣れな方を含め、幅広い消費者に利用してもらうことが区内事業者の売上げ向上につながると考えており、引き続き、せたがやPayの初心者向けの情報発信や、高齢者へのスマートフォン講座といった取組を商店街や総合支所など各部と連携して実施し、利用促進を図ってまいります。
次に、産業振興基本条例と公契約条例との関係についてです。
公契約条例では、区内産業の振興及び地域経済の活性化を図ることを目的の一つとしており、基本方針や区長の責務、事業者等の責務において、地域経済活性化の促進に関することを規定しています。産業振興基本条例の改正素案においては、地域経済の持続可能な発展に向けて、公契約条例の目的と同様に、区内産業の振興や地域経済活性化の実現を目指しているものであり、様々な角度からその実現に向けた取組を進めていくことは有意義なものと考えております。引き続き関係所管と連携しながら、あらゆる政策や施策を通して、区内産業の振興や地域経済の活性化、区民福祉の向上に向けた取組を進めてまいります。
私からは以上です。
◎舟波 地域行政部長 私からは、地域行政推進条例に関して二点御答弁申し上げます。
まず、区民参加と区民主体のまちづくりの条例への反映についてでございます。
区民が区政に対し意見を述べ提案をする区民参加や区民主体のまちづくりを推進することは、区政運営の原則であり、(仮称)地域行政推進条例では地域行政制度の充実を図ることにより、区民自治の充実と地域社会の発展に寄与することを目指しております。
今般お示しした条例素案の案では、区民が区政に関する意見を述べ、区政への参加が図れるよう、区が環境整備に努めるとともに、
まちづくりセンターにおける総合調整機能や広報広聴機能の充実、総合支所における区民参加の機会づくりについて、区の責務の観点から規定しております。また、地区からの課題や提案を受け止め、解決に結びつける機能や地域特性に即した計画づくり、施策の実施など、総合支所や本庁の役割についてもお示ししたところでございます。今後、条例素案の策定に向けましては、具体的な取組を併せてお示しし、区議会の議論や庁内検討などを踏まえ、検討を深めてまいります。
続きまして、住民の意見を区政に反映する仕組みづくりでございます。
(仮称)地域行政推進条例の検討では、
まちづくりセンターや総合支所が集約した住民の意見を区政運営に反映する仕組みを強化することを基本方針の一つとして規定することを考えてございます。
まちづくりセンターでは、SNSなどを活用した情報発信を強化するとともに、住民や町会・自治会、NPO、事業者、学校などの多様な関係者が交流する場や、地区の現状や課題を共有する場をつくることを支援し、オンラインツールも活用して、多世代の参加をより進めていきたいと考えております。
また、総合支所におきましては、現在実施している砧地域ご近所フォーラムやまちづくりにおける住民参加の取組などを参考にして、地域の活動をつなぐネットワークを広げる取組を進め、また、特定のテーマによるタウンミーティングなどの開催により御意見をいただき、地域特性や地区からの課題を踏まえた総合支所の取組や全庁的な計画、施策につなげていきたいと考えてございます。
以上でございます。
◎釘宮 みどり33推進担当部長 私からは、岩崎学生寮周辺樹林地の活用についてお答えいたします。
本件緑地の整備につきましては、樹林を生かして整備していくことが大前提になるものと認識してございます。具体的な整備内容や整備手法につきましては、取得の目途がついてから検討していきたいと考えております。また、今後、公園の魅力創出のために導入する施設や機能などの検討を進めていく中で、Park―PFIに限らず、どのような制度を活用していくかも検討してまいります。
いずれにいたしましても、こうした検討に当たっては地域住民の意見を十分にお聞きしながら、地域特性やニーズ、課題などを踏まえて行ってまいります。
以上でございます。
◆二十五番(たかじょう訓子 議員) 生活保護について要望をしたいというふうに思います。
この間に、生活保護利用者の方とお話をして、本当に厳しい生活をしておられるということがよく分かって、これは重大だというふうに思っております。今後、実態を踏まえてという御答弁をいただきましたが、ぜひ実態をつかんでいただく実態調査などやっていただきたいということを要望いたします。
以上で質問を終わります。
○下山芳男 議長 以上でたかじょう訓子議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、十一番高岡じゅん子議員。
〔十一番高岡じゅん子議員登壇〕(拍手)
◆十一番(高岡じゅん子 議員) 初めに、持続可能な世田谷をつくるための若者の政治参加について質問します。
先月行われた総選挙では、全国的に若者の投票率の向上が見られました。世田谷区においても同様な傾向が確認されています。特に十八歳、十九歳の世田谷区の投票率は、十八歳からの初めての選挙時六〇%台だったものが一時三九%にまで下がっていましたが、今回は五五%まで回復してきています。山形県は最近三回の国政選挙投票率県別第一位になっています。この高投票率の陰には、子どもの頃から参加型の主権者教育が行われていることが一因ではないかと言われ、遊佐町で十九期にわたり続けられている少年議会の活動などもテレビで報道されました。
世田谷区でも平成五年から九年の間、子ども議会を設け、若い世代に区政を自分たちのものとして体験できる機会をつくってきました。気候危機など将来世代にこそ影響が及ぶ問題が山積し、従来の延長線上の発想では生き残れない、そんな時代だからこそ、主権者として主体的に政治参加していく若者を育てていくことが必要と考え、順次質問します。
義務教育には、主体的に政治参加をする若者を育てる土台づくりが期待されます。子どもの権利、人権と多様性の尊重ということが学校現場の常識となり、例えば標準服にもパンツとスカート、上着の型などを選べるという中学校も増えていると聞いています。こうした新しい標準服の選定などのプロセスで生徒たちが自分たちの意見を出し合い、そしてまとめ、自律的な仕組みづくりや合意形成に参加し、その成果を実感できれば、自治を学ぶ体験としてのシチズンシップ教育になります。
社会科などの教科としての主権者教育だけではなく、学校での生活全体を通じ意見表明の場をつくり、自己有用感を高めていくことで、自発的に社会や政治に参加参画していくためのシチズンシップ教育、これを充実させていくことが大切です。区の見解を伺います。
若い世代の気候危機問題への関心の高さも、先日の若い世代の高投票率の原因と言われています。世田谷区は昨年
気候非常事態宣言をし、パリ協定の目標を達成するため、足元からのCO2削減に向け、地球温暖化対策地域推進計画の刷新に取り組んでいます。これに当たっては、保坂区長も若い世代とともに実効性のある行動計画をつくっていく方向性を示されました。このための活動の一つとして、十月末、若者環境フォーラムが開催されました。この取組を単発のものとせず、そこでの提案が世田谷区の環境政策に生かされていると実感できる継続的なものにすることが必要です。若者環境フォーラムの実施結果と、そこで出た意見やアイデアの今後の生かし方について伺います。
さらに、若い世代の投票率向上に今回影響したと言われているのが、「#投票に行こう」の動画を使った呼びかけです。若者が若者の感性に合った形で投票という政治参加の大切さを呼びかけたことが、同世代を動かす力となったということです。世田谷区には、若者の情報発信を支援する「ねつせた!」があります。若者環境フォーラムの成果も、この「ねつせた!」を使って若者に効果的に伝えていくことができるんではないでしょうか。
世田谷区で、若者自身の力を生かし、同世代からの自発性のある情報発信をどのように進めていこうと考えているんでしょうか、区の見解を伺います。
世田谷区にも子ども議会があったということを先ほど申し上げました。ここでは子どもに意見をただ発表させるだけではなく、区として正面から受け止め、そして動くということ、そして自分たちが発言することが問題解決につながるという体験と学習の場となりました。最近、江戸川区では、SDGs子ども議会が開かれたと聞いています。若い世代とともに持続可能な都市の在り方を探っていくため、江戸川区のようにSDGsをテーマとした子ども議会を開催するのも、持続可能な世田谷をつくるために、若い世代の声を生かすよい方法ではないかと提案いたします。
区は基本計画に、「子どもが輝く 参加と協働のまち せたがや」を掲げ、子ども・若者向けのシンポジウムなども行ってきましたが、そういった場での区政の提言を実際の政策につなげる仕組みが見えてきていません。若者の提言を実現させるための仕組みをつくるべきだと考えます。区の見解を伺います。
次に、水と緑の保全について質問します。
今年は緑の現況調査の年であり、みどり33に向け世田谷区の緑地が減っていないのか気にかかるところです。区の緑の多くは、区民の個人のお宅や庭や農地、学校や寺院などの民有地になります。民有地の緑を少しでも増やしていくことが最大の課題です。みどり33の実現に向けた現状と課題について伺います。
都市を、コンクリート砂漠と言うことがあります。建物と舗装道路で土壌への雨水の浸透が阻害され、土が乾き、地下水の涵養ができない状況です。世田谷区みどりの基本計画の基本方針一でも、水循環を支える緑を保全するとされていますが、地下水を含む水循環の保全はどのようになっているのでしょうか。なかなか見えにくい地下水の状況ですが、比較的浅い地層にたまっている地下水、宙水を水源とする烏山弁天池の水位が下がっていることなど、地下水の異変の表れではないかと注目されます。弁天池については調査が行われ、今後の対応についても検討されていると聞きます。水循環の保全の現状と、烏山弁天池調査結果と今後の対応について伺います。
地下の地盤や地下水全体の動き、この全体像はまだまだ分からない部分が多いです。大深度地下工事に伴う調布市での陥没事故では、その後さらに広範囲に陥没が見つかるなど、地下の水道(みずみち)が変わることで思わぬ結果が起こりかねないという事実を再認識することになりました。成城地区は湧水の保全涵養に住民全体で取り組んでいますが、崖線上の大蔵団地の建て替え等の大規模工事が湧水に影響を与えているのではないかという懸念の声が私にも届いています。
世田谷区では大規模工事における環境配慮制度があり、具体的な項目で評価点をつけることで、よりよい事業になるよう誘導する仕組みが行われています。環境配慮制度中の具体的な評価点に水循環の保全や
グリーンインフラの視点を書き入れることで、水循環の保全を大切にしている世田谷の政策を事業者により有効に伝えることができると考えます。世田谷区の環境政策の推進と併せた環境配慮制度の見直しを求めます。区の見解を伺います。
世田谷区の緑の将来像を考えるときに欠かせないものに、都市農地の存在があります。世田谷区の農地は、住宅街のただ中に残った貴重な緑であると同時に、農業というなりわいの場でもあります。この二年間、
新型コロナ感染の中、遠隔地に行かずとも新鮮な野菜や果物が手に入り、もぎ取りなどのレジャーも楽しめる世田谷の農業の価値が見直されています。この状況を一過性のものとせず、世田谷区ならではの農業振興を拡充、継続していく必要があります。見解を伺います。
住宅地内の農地特有の悩みとして、近隣への飛散を減らすため農薬などの利用を極力避ける、控える必要があるということを聞き及んでいます。このような農法を実践していることは、多様な生き物と共存する自然の力を生かした農業として近年評価が高まっています。この悩みを強みに変え、農薬や化学肥料に頼らない農業を区としてさらに支援し、せたがやそだちのブランドの付加価値を高めることにつなげられないでしょうか。福祉作業所の加工品でも、せたがやそだちのブルーベリーを使ったものなども見受けられます。規格外品を加工品として生かすことなど、農福連携の視点を生かし、せたがやそだちの新たな付加価値をつくっていくことも考えられます。
前から言われている地産地消に加え、様々な意味でのエシカル消費として価値の高いせたがやそだちをアピールすることで、消費者の側にも、今後も買って農家を支えるという意義を伝えることができると考えます。せたがやそだちに新たな付加価値をつけていくことについての区の見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、持続可能な世田谷をつくるための若者の政治参加について二点御答弁申し上げます。
まず、若者の力を生かした自発性のある同世代からの情報発信活動の推進について御答弁申し上げます。
区では、世田谷の魅力的な情報を高校生、大学生を中心とした若者が、若者自身の視点でSNSを通じて同世代へ発信する活動「情熱せたがや、始めました。」、略して「ねつせた!」と言っていますが、これを平成二十八年度から実施しております。「ねつせた!」では、区内のイベント情報等の発信のみならず、メンバーが興味関心のある活動に自ら参加し取材をし、感じたことを交えて記事を作成、投稿するなど、社会に対する課題意識を持って主体的に活動しております。
議員お話しの若者の政治参加については、例えば選挙の投票日についての投稿にとどまらず、メンバーが区選挙管理委員会事務局職員と意見交換し、若者の視点から、選挙や投票についての質問や感じたことをSNSに投稿するなど、自らの関心を深め、同世代への情報発信に取り組んでいます。今後も若者が主体的に情報発信し、自らの力を生かしつつ、社会参加や社会への関心を高められるよう、区として引き続きサポートしてまいります。
次に、若者の提言を実現させる仕組みについて御答弁申し上げます。
区では、青少年に関する施策について調査、審議する区長の附属機関として子ども・青少年協議会を設置し、平成二十七年度から大学生世代の若者三名が専門委員として加わり、若者の立場で忌憚のない意見をいただいております。協議会からは、本年三月、子ども・若者一人一人が日常的に安心して自らの考えを表現でき、それを受け止め、ともに考える人がいることで、自身の影響力を自覚し、より自発的に社会に関わることができるとの提言をいただきました。
引き続き、協議会において具体的な取組の検討を進めるとともに、今年度は新たに区民団体と協働で、若者の声を拾い広く大人に伝え、ともに考えるプロジェクト、若者の声を拾うプロジェクトを開始いたしました。今後は協議会の若者の専門委員などを中心に具体的な施策につながった取組を積極的に発信していただく機会を設けるなど、さらなる好循環が生み出されるよう、子ども・若者の声が反映される社会の実現を目指し、取り組んでまいります。
以上でございます。
◎清水 環境政策部長 私からは、二点御答弁申し上げます。
まず、若者環境フォーラムの実施結果と今後の活用についてです。
若者たちが主体となり、深刻化する気候危機問題を議論し、一人一人が自分事として捉え、環境に配慮した行動変容につなげていくかを考える機会として、先般、若者環境フォーラムをオンラインで開催いたしました。約五十名の若者が参加し、若者の柔軟な発想と自発性を大切に、区立中学校の代表生徒、高校生や大学生の環境保護サークルなど五つの団体による取組事例の発表や意見交換を行いました。
主な意見として、服のリサイクルやフードロスの削減など身近なことから取り組んでいきたい、一人の百歩より百人の一歩が大切、団体同士の集まりにより活動のモチベーションが上がったなどがございました。今後もこうした場を設けていくとともに、次世代を担う若者たちの意見やアイデアについては、地球温暖化対策地域推進計画の見直しにも活用してまいります。
次に、世田谷区の環境施策の推進と併せた環境配慮制度の見直しについてです。
区では平成七年度より、環境基本条例に基づき環境に大きな影響を及ぼすおそれのある開発事業を行う事業者に対して、環境負荷の低減や環境の保全、回復及び創出に努めるよう環境配慮の要請をしております。この環境配慮制度では、事業者に関係区民等への説明と環境配慮の方策を示した環境計画書及び評価算定書の提出を求めるとともに、その内容について、まちづくり課やみどり政策課などが幹事を務める環境幹事会で検討することとしています。提出していただく環境計画書の中で、水と緑に係る環境の確保を環境配慮項目の一つと位置づけるなど、事業者が水と緑の保全や、
グリーンインフラの視点を持って具体的に取り組めるよう進めております。
環境配慮制度の評価項目については、毎年、環境審議会の御意見をいただきながら改善を重ねてきております。現在進めている世田谷区地球温暖化対策地域推進計画の見直し内容とも整合を図りながら検討を進めてまいります。
以上でございます。
◎粟井 教育政策部長 私からは、シチズンシップ教育についてお答え申し上げます。
子どもたちが環境問題などの予測困難で変化の激しい社会に対応していくためには、将来、自発的に社会や政治に参加参画し、意見表明していくことが必要であり、シチズンシップ教育は大変重要であると考えております。
現在、小中学校では、学級活動や生徒会、児童会活動等を通して、自分たちでルールを決めたり、一人一人の役割について考えたりしながら自己決定することの大切さを学んでおります。また、中学校の社会科では、選挙で投票する意味、決まりの意義、権利と義務等について学び、生徒の政治への関心や社会への参画意識を高めていけるよう取り組んでおります。
教育委員会では、シチズンシップ教育を含め新しい時代に必要な教育課題を学校の特色に応じて取り入れ、将来、社会の担い手となるために必要な資質や能力を育成していけるよう、各学校を支援してまいります。
以上でございます。
◎釘宮 みどり33推進担当部長 私からは、二点お答えいたします。
まず初めに、みどり33の取組についてお答えいたします。
みどりの基本計画では、みどり33の実現のため現計画が終了する二〇二七年度末にみどり率二九%、面積で二百二十ヘクタールの新たな緑の創出を目標としており、そのうち区の面積の七割を占める民有地においては百五十七ヘクタールを目標量としております。そのため、みどり33の実現のためには、公園の整備や農地の保全と併せて、民有地における緑の創出の取組が大変重要だと考えております。
区といたしましては、これまで建築行為等に伴う緑の計画書制度に基づく緑化を促進するとともに、一坪緑の普及啓発や緑化に対する助成など、一人でも多くの区民が自宅で緑づくりに取り組んでいただけるような後押しをしているところでございます。
みどり33の実現に向けては、これらの取組をより加速していく必要があると考えており、まずは今年度実施しております緑の資源調査の結果を十分に分析し、その結果を踏まえて、令和六年度から始まるみどりの行動計画に、より効果的な施策を盛り込めるよう検討してまいります。
続いて、水循環の保全と烏山弁天池についてお答えいたします。
水循環の現状を示す一つの指標となる区内の湧水箇所については、東京都において五年に一度調査を行っており、平成二十五年調査では九十六か所ありましたが、平成三十年の調査では八十か所と減少しております。減少の主な理由として、建物やアスファルトに覆われた雨水が浸透しない区域の増加による湧水の枯渇と考えられております。世田谷区における湧水は、主に地下水が地表に露出してきたものであることから、まずは水循環の回復が重要であり、緑を増やして自然面の保全、確保を進めるとともに、雨水浸透施設の設置など地下水の涵養に取り組んでまいります。
議員お話しの弁天池につきましては、昨年度水量の回復、水質の改善、生態系の改善を目的に調査したところ、流入する地下水の減少、ヘドロの堆積による水質の悪化、また外来種であるミシシッピアカミミガメの繁殖などを確認できました。今後の対応といたしましては、昨年度の調査結果の分析に今年度に引き続き取り組み、長期的な対応策として、周辺からの地下水の導水やヘドロの撤去、計画的な外来生物の駆除など、弁天池の環境改善について検討してまいります。
以上でございます。
◎田中 経済産業部長 私からは、二点御答弁いたします。
まず、都市農業の振興についてです。
新型
コロナウイルス感染症の拡大により、身近な地域での生活が増えた中、区民の方々が区内にも農地があり、取れ立ての農産物の直売所などで入手できることを知り、新たな顧客となっております。また、農産物の収穫ができるふれあい農園事業は、緊急事態宣言による外出規制の影響で近接した区市からの来訪も多くあり、当初の予定よりも早く収穫を終えてしまうなど大変盛況な状況となっております。
今後も農地があることの強みを生かして、ふれあい農園をはじめ、農家指導の下で農作物を育てる体験農園やふるさと納税による収穫体験など、区内JAにも協力をいただきながら、参加型による農業振興の取組の拡充に取り組んでまいります。
次に、せたがやそだちの付加価値の向上についてです。
区内で有機農業をされている農家の方は十九軒で、昨年度よりも三軒増えております。それら農家の方々は、害虫駆除や雑草を取るに当たり農薬を使用しないことから大変手間のかかる作業を行います。農薬や化学肥料を使用する農家も必要最小限の使用にとどめるなどの努力により、せたがやそだちブランドアップに取り組んでいます。
また、今年度、せたがやそだちを活用した加工品ビジネスプランコンテストでは、規格外の野菜を活用したピューレなどもあり、せたがやそだちを有効に活用した製品開発を支援しているところです。今後は、有機栽培農家の支援とともに、ビジネスプランコンテストでの製品開発や、区内障害者施設が製造するジャムなどの加工品へのせたがやそだちを活用してもらい、開発・販売の支援並びにせたがやそだちの価値の向上に向けての取組を検討してまいります。
私からは以上です。
◆十一番(高岡じゅん子 議員) 特にシチズンシップ教育について、子どもたちが未来をつくっていくために、ぜひ同調圧力に流されずに、おかしいことはおかしいと勇気を持って言えるような子どもを育てていただきたいと強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○下山芳男 議長 以上で高岡じゅん子議員の質問は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後二時十五分休憩
──────────────────
午後二時二十五分開議
○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を続けます。
十六番河野俊弘議員。
〔十六番河野俊弘議員登壇〕(拍手)
◆十六番(河野俊弘 議員) 質問通告に基づき、順次質問します。
初めに、三軒茶屋駅周辺のまちづくりについてお聞きします。
この間、前定例会において再開発地域近隣を広い視点で捉え、小さなまちづくりから大きなまちづくりにつなげていく、駅に向かう動線上の公共的役割を担う拠点が連なり、三軒茶屋のまち全体が中心部の再開発へとつながるまちづくりを進めていくべきであると訴えてまいりました。
これまで長年、地域のにぎわいを創出し、御商売をされている方はもちろん、地域の全体の生活を守り進めていく上で、今後どのような三軒茶屋の未来像を描いていくのか、関係する全ての方々の機運を醸成していかなければなりません。
そのためにも、産業プラザビルやふれあい広場の機能拡充はもちろん、三軒茶屋の駅を中心とした動線上に公共的役割を担う建築物の整理をした上で、これまでの三軒茶屋にない新しい拠点となるものを意識したまちづくりを進めていくこと。いわゆる三角地帯と言われる駅周辺にとらわれず、さらに視野を広げれば、環状七号線の内側までが三軒茶屋の住所地となり、駅までのエリアで動線上にある公共的役割を担う様々な拠点を更新していく、旧保健センターの跡地など地域として利活用が待たれる様々な施設があります。これまでの三軒茶屋の歴史をつなぐことで、まち全体が潤い、安心安全な多世代交流が自然と行き交うような地域の様々な拠点を創出していくことが重要であります。
本年九月に第四回まちづくり会議もオンライン開催をされ、そして先日、三軒茶屋一丁目地区においてもゲリラ的にまちづくりにおける内容を周知するイベントを行うなど、進めていると聞いています。現在策定中である区の基本計画となる(仮称)三茶のミライの素案を取りまとめておりますけれども、区の取組状況について改めて伺います。
次に、世田谷区におけるeスポーツの推進について伺います。
これまで本会議や予算特別委員会においてeスポーツの推進について取り上げてまいりましたが、これまでは、若者の区政参画の視点を主に、eスポーツせたがや大会など、eスポーツを起点とした若者層の関心を集約できる機会の創出をしていくべきだと訴えてまいりました。
しかしながら、近年においてeスポーツは、障害や年齢などに関係なく、みんなが楽しめること、多くの人が平等に楽しめる、さらに近年は高齢者のフレイル予防にも効果があると注目されていることがあり、様々な観点で区民に貢献する大きな役割があると考えます。
先日、少し御年配の方とお話しする際にゲームの話をすると、自分もインベーダーゲームはかなりやり込みましたと言われることがありました。ここにおられる皆様にもインベーダー世代、ファミコン世代など様々な当時遊んだゲームに言い換えられた様々な世代の方がいらっしゃると思います。今の子どもたちはスイッチ世代と言えるのではないでしょうか。
記憶に新しい東京オリンピック開会式での入場曲にはゲーム音楽が使用され、大きな話題になることなどから、これからも不変にゲームは世代を通じてつながることができると考えます。
近年ゲームは、今や楽しむことから競技へと発展し、eスポーツと言われるようになり、産業振興の観点からも必要な行政が関わるべき産業として捉えていかなければなりません。
eスポーツは、いわゆるゲームだけではなく、実競技の可視化を目途とした取組で、サイバーボッチャなどを活用したイベントの開催など、他自治体でもeスポーツの可能性を広げています。今後eスポーツが行政に関わり、世田谷区独自の大会の開催やイベントを推進していくことなど、一般社団法人日本eスポーツ連合、JeSUをはじめとするeスポーツ関係各所との連携を進めていくことが必要であります。
eスポーツを区の様々な課題解決に生かし、経済効果、高齢者のフレイル予防、世代間交流の一助を担うなど、新たな社会的意義を捉え進めていくべきではないでしょうか。さらには、実際に体を動かすスポーツとの組合せなど、様々な観点を持ち推進していくべきと考えますが、区の見解を伺います。
また、国の経済産業省が出しているオンラインゲームの海外展開強化等に向けた調査事業では、eスポーツの業界の動向についても多くのページを割いています。スポーツ推進部とともに区経済産業部が連携をし、eスポーツを一つの産業として捉え進めていくべきだと考えますが、併せて見解を伺います。
最後になりますが、世田谷区における喫煙環境の整備について伺います。
東京オリンピック・パラリンピック大会を前に、受動喫煙対策を厳格化する改正健康増進法が施行され、これまで喫煙が認められていた場所についても禁煙エリアとなるケースが増え、現状、愛煙家の方からは、吸う場所が少なくなったという声をよく聞きます。
副流煙によって非喫煙者が健康被害を受けることは対策が必要であるということ、それはきちんとした喫煙場所の整備が同時に進行していかなければなりません。分煙や喫煙所の設置などの措置によって、少しでも非喫煙者が受動喫煙しないようにする対策は急務であります。
そもそも改正健康増進法にある内容においては、喫煙者と非喫煙者の双方が快適な時間を過ごすための法改正ですから、どちらかに厳しい内容になってはいけません。
区においても、これまでは建物や店舗の入り口に灰皿が置かれるケースがありましたが、たとえ屋外であっても非喫煙者が多く通行する場所に喫煙スペースを設置することが禁止されました。喫煙所や喫煙スペースは、たばこの煙が外に漏れないように、壁だけではなくて天井も含めた密閉型の設備にすることが求められています。
現在、区においても、下北沢駅にコンテナ型の喫煙所が仮で設置されておりますが、利用される方からは、空調も効いており、外部に煙が漏れないため、近隣にも迷惑をかけない、よい環境で気兼ねなく喫煙を楽しむことができると好評の声をいただいています。こうした整備をしっかり進めていくことで、吸う方も吸わない方も心地よい環境を整えていかなければならないということです。
現在、世田谷区内の指定喫煙所の整備状況は、民間による喫煙場所設置費補助制度も活用し、指定喫煙所の整備を進めていますが、そのうち民間設置は現在十か所であります。昨年度末の実績から見ても、民間の設置助成制度はあるにもかかわらず、民間による協力が得られていないことが問題であると言えます。
民間の設置が進まない要因として考えられるのは、世田谷区における喫煙場所設置助成の内容であります。区の補助内容については、先行した区を基にしているということですが、これは例ですが、港区は面積に応じ最大一千万円の初期費用に加えて、維持管理経費を年間百四十四万円、千代田区は初期費用を五百万円、維持管理経費を年間二百四十万円、大田区は初期費用を一千万円、維持管理経費を年間六十万円と、いずれも場所を借りる上での賃料、あるいは清掃等の維持管理経費の補助を盛り込んでいるにもかかわらず、世田谷区における補助内容は維持管理経費を含んでいません。
世田谷区における指定喫煙所の設置目標を喫煙場所の質とともに達成するためにも、喫煙所の整備費だけではなく、維持管理経費も補助すべきと考えます。
喫煙所の維持管理経費について、区の示す指定喫煙所の整備指針において、開放日は一日一回以上の清掃をし、清潔であるように適切な管理を実施することとしています。現在の管理については、たばこ事業者であったり地域の商店街、そして社会福祉協議会など厚意によるボランティアによって管理をされています。
維持管理についての補助があることによって、これは区が管理を委託することも考えられ、そこに清掃等に新たな雇用を生み出すこともできるとも考えます。たばこには生産者、販売店、飲食店など多くの人が関わる大きな産業の分野でありますから、これらのことを踏まえ、区の補助金の在り方、区にとっての貴重な財源であるたばこ税収を生かし、質の高い喫煙所の整備を進めていくべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎畝目
都市整備政策部長 私からは、三軒茶屋駅周辺のまちづくりについての御答弁です。
現在策定中の三軒茶屋駅周辺まちづくりの基本計画となります(仮称)三茶のミライは、本年八月に素案を取りまとめまして、トークセッション及び意見交換会を開催し、三軒茶屋駅周辺に関わりを持つ区民や事業者、町会、商店街、大学など百名を超える多くの方々に御参加をいただくとともに、区民意見募集を実施し、取組やアイデア等様々な御意見をいただいたところでございます。
また、お話にございましたが、世田谷総合支所では、素案の周知と併せまして、三軒茶屋駅付近の道路空間の一角を歩行者の滞留空間として活用する社会実験を始めまして、多くの方に立ち寄っていただくなど、庁内の横断的な連携を図りながら、三軒茶屋駅周辺におけるまちづくりの関心や機運の醸成につなげていく取組の実施に努めてございます。
区といたしましては、いただいた御意見を踏まえまして計画を策定するとともに、参加と協働による公共空間の利活用など、身近なところから小さなまちづくりを積み重ね、そして地域の核となる大きなまちづくりにつなげていく取組を積極的に進めてまいります。
以上でございます。
◎内田
スポーツ推進部長 私からは、eスポーツの推進につきまして御答弁申し上げます。
eスポーツは、コンピューターゲームとしての対戦競技ですが、地域の活性化や世代間のコミュニケーションの促進など、地域の課題を解決する可能性がございます。一方、国が定めるスポーツ基本計画におきまして、スポーツとしての位置づけが明確でないなどの課題があると認識をしております。
東京都では、eスポーツの普及と関連産業の振興を目的に、競技大会と関連産業展示会等で構成する東京eスポーツフェスタを開催しております。また、高齢者の健康維持や世代間交流にこのeスポーツを活用するなど、様々な分野で自治体の取組が始まったところです。
今後、区内におきまして、経済の活性化やフレイル予防等を目的としたeスポーツが実施される場合、実際に体を動かす運動、例えばボッチャやパラスポーツの体験と組み合わせた事業展開が図れないか検討してまいります。引き続き国や東京都、他自治体等の動向を注視し、積極的にeスポーツの情報を収集するとともに、庁内におきまして活用事例などの情報共有に努めてまいります。
以上です。
◎田中 経済産業部長 私からは、eスポーツの振興について御答弁いたします。
eスポーツは、ソフトコンテンツや周辺機器をはじめとした産業の裾野が広い分野であり、さらにはeスポーツ大会などのイベントを通じた地域経済の活性化にも寄与する分野であると認識しています。
現在検討を進めている産業振興基本条例の改正素案においては、多様な産業の振興を図っていくことを掲げており、eスポーツもこの多様な産業に含まれ、その振興を図っていくことが重要だと考えています。
今後ますます市場が拡大し、研究も進められていくと考えられることから、市場の動向に加え、国、東京都、他自治体の動向も注視しながら情報収集をするとともに、関係所管と連携し、その振興に向けた取組を進めていきたいと考えています。
私からは以上です。
◎清水 環境政策部長 私からは、世田谷区における喫煙環境の整備について御答弁申し上げます。
路上喫煙やたばこのポイ捨てを防止し、分煙を進めるためには、指定喫煙場所の整備が必要であります。区は区内主要駅周辺の道路、公園、区施設の敷地等の公有地に喫煙場所を整備するとともに、民間の指定喫煙場所設置についても支援してきております。具体的には、東京都の補助制度を活用し、平成三十年度より十三か所の整備費を助成してまいりました。
これまでは、たばこ販売店の協力を得ながら啓発物品の配布など、喫煙マナーの周知に力を入れてまいりましたが、今後につきましては、他区の状況を踏まえつつ、民間の指定喫煙場所の整備と併せて、維持管理経費の支援の在り方についても、清掃等、新たな雇用創出の観点などを取り入れ、検討してまいります。
以上でございます。
◆十六番(河野俊弘 議員) 御答弁いただきましたけれども、まず、eスポーツについては、前にも経済産業部とのやり取りの中で話を挙げさせていただきました。このたびできる産業振興条例の中でも入っていますから、しっかりその点を踏まえて進めていただきたいと思います。
スポーツ推進部のほうでは、そのスポーツの基本計画の中にはeスポーツが位置づけられていないというところが、まず、まだ少し難しいのかなというところはありますが、様々区内でやれる場所があると思います。希望丘の青少年センターであったりとか、そういった場所で一回eスポーツの大会などもやっていることから、様々な場所での連携をしながら、経済産業部、どちらかがやりたい、やりやすい形で、区としてもしっかり進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
あと、喫煙所の整備に関しましても、これはもう言い続けておりますけれども、維持管理経費に関してしっかり出して、今厚意で貸していただいてる民間の方から、なかなか清掃はしんどいという声もありますので、しっかりその辺も踏まえて進めてください。よろしくお願いします。
以上で終わります。
○下山芳男 議長 以上で河野俊弘議員の質問は終わりました。
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○下山芳男 議長 次に、十七番阿久津皇議員。
〔十七番阿久津皇議員登壇〕(拍手)
◆十七番(阿久津 皇議員) まず、超高齢社会に対応したまちづくりについて伺います。
総務省が九月二十日の敬老の日を前にまとめた推計によると、六十五歳以上の高齢者は前年比で二十二万人増の三千六百四十万人と過去最多を更新しました。一方で、総人口は前年より五十一万人減少しており、総人口に占める高齢者の割合、いわゆる高齢化率は過去最高の二九・一%となりました。国連のデータによると、高齢化率二位のイタリアの二三・六%を五ポイント以上上回り、断トツで世界のトップであるということです。
また、高齢化率が七%以上になる高齢化社会から一四%以上になる高齢社会となるまでに、ドイツは四十二年間、フランスは百十四年間の年数を経たのに対し、我が国では一九七〇年から一九九四年の僅か二十四年間と、急速に高齢社会へと突入したことが分かります。
またそれから十三年後の二〇〇七年には、高齢化率が二一%を超える超高齢社会を迎え、その十一年後の二〇一八年には二八%を超え、いまだ定義されていない超超高齢社会とでも言うべき未曽有の領域へと加速度的に高齢化が進展しています。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、高齢化率は今後も上昇を続け、一九七一年から一九七四年生まれ、いわゆる第二次ベビーブーム世代が六十五歳以上となる二〇四〇年には三五・三%、二〇六〇年代には四〇%を超えるとされています。
我が区においても、十月一日時点で人口九十一万七千九百三十二人に対して、高齢者は十八万六千百七十五人と、高齢化率二〇・二八%と、二十三区では比較的低い位置にありますが、その割合は増え続けており、超高齢社会への突入を目前に控えています。
超高齢社会の到来は、想定されていたにもかかわらず、抜本的な対策が取られなかったため、社会保障制度や財政の問題、老老介護や孤独死といった社会問題に加え、高齢者のQOLの低下などの課題が指摘されています。
これらの課題を解決する上で、駅前等の積極的な再開発地域指定を中心としたコンパクトシティー化とウオーカブルシティーの推進に加えて、新たな交通手段への対応といった超高齢社会に対応したまちづくりに早急に取り組むことが求められています。
世田谷区の街づくり条例や都市整備方針において、長期的視野に立った超高齢化に備えたまちづくりの視点を定めつつ、今すぐにできる施策を着実に実行していくことが肝要です。
一方で、地域のまちづくりに目を転じると、成城学園前駅や祖師ヶ谷大蔵駅周辺においては、送迎目的の一時的な停車している車両や、荷下ろしの車両、路上駐輪された自転車などが歩行者や車椅子の通行を妨げ、車両と歩行者が混在し、ウオーカブルからは程遠い現状です。
まず、超高齢社会を見据えた今後の地域のまちづくりについて支所長に伺います。
駅周辺におけるウオーカブルシティーの推進に関しては、車の進入を制限し、歩行空間を確保する必要があります。東京都においては、駐車場の位置に関わる地域ルール制度の見直しを検討しているとのことですが、今回の都の改正の取組について、ウオーカブルシティー推進の視点から、区ではどのように取り組んでいくのか伺います。
また、砧地域では、公共交通不便地域対策として、コミュニティバスの実証実験が検討されていますが、その主たる目的は、高齢者の移動支援や地域参加促進といった高齢者施策に加えて、障害を抱えた方や子育て家庭の支援といった福祉的な視点に立っています。予算面も含めた福祉所管の積極的な関与が必要と考えますが、見解を伺います。
次に、せたがやPayの全庁的な活用について伺います。
せたがやPayについては、参加店舗、利用者とも伸び悩んでいる状態ですが、単なる決済手段として考えたら、大手決済会社と競争にならないのは当然です。せたがやPayの強みは、行政と連動した様々な試みが幅広く実現できることであり、健康増進などの福祉的な試みや、様々な地域活動に参加していただいた方へのインセンティブとしてのポイント付与、あるいは位置情報を活用した防災情報やイベント情報の提供など、全庁的な活用が可能です。商業課によるプレミアム商品券の電子化にとどまらず、政策経営部が旗振り役となり、福祉、地域行政、危機管理など、全庁的に活用していくべきと考えますが、見解を伺います。
また、せたがやPayの持つポテンシャルの本質は、健康増進や地域参加の促進に加えて、利用履歴等の確認による安否確認への活用といった高齢者による利用にあると考えます。せたがやPayを高齢者に、より積極的に、日常的に活用いただくための取組について伺います。
次に、DX推進による事件事故対策の強化について伺います。
八月に小田急線祖師ヶ谷大蔵駅付近にて、電車内での刺傷事件が発生しました。十月には、小田急線の事件を参考にしたとされる事件が京王線内で発生し、これらを模倣した事件も九州新幹線内で発生しました。
これらの事件を受け、国土交通省は対策をまとめ、警備の強化に加えて被害の回避と軽減対策として、AIなど最新の技術を活用し、防犯カメラでの不審者検知機能の高度化などを図るとしました。
具体的には、画像解析による不審者や不審物の検知に加え、映像伝送システムの活用によって現場の映像を遠隔地で確認し、状況の把握や迅速な対応を目指すというものです。
区においても、犯罪が発生してから対応するのではなく、積極的に犯罪を抑止していくといった観点から、最新の技術や知見を活用した防犯対策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
また、十二月三十日には、上祖師谷三丁目一家四人強盗殺人事件、いわゆる世田谷一家殺人事件から二十一年を迎えます。警視庁にとって最重要案件の一つとされ、殺人罪の時効が撤廃されるきっかけとなった事件であり、事件発生当時は、プライバシー保護の観点から一向に進まなかった防犯カメラの設置が事件の発生を契機に一気に進みました。
当時から現場付近に防犯カメラが設置されていたら早期に解決していたとの指摘もあり、大いに悔やまれるところですが、区においては、区立公園や区の公共施設における防犯カメラの設置に消極的であるとの指摘があります。区内諸施設においても、防犯カメラのさらなる設置促進を求めるものでありますが、見解を伺います。
特殊詐欺につきましても、区内の被害額は相変わらず高い状況にあり、手口も巧妙になっています。区においては、録音装置の設置促進によって一定の効果を上げているところでありますが、ナンバーディスプレー機能の活用によって、警察や行政が蓄積した特殊詐欺で利用された電話番号からの架電を防止し、さらなるデータの蓄積や追跡に役立てることが可能になります。
また、固定電話だけでなく、スマートフォンへの架電も増えてきているとのことですが、スマホの機能の活用で特定の番号からの通話を防ぐだけでなく、家族の声を登録することでの、なりすましの判別、警察等への即時情報提供も可能になります。
さらには、ログの解析による発信元の特定も可能になると考えられ、様々な技術を活用した積極的な特殊詐欺の防止についても推進すべきと考えます。見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎畝目
都市整備政策部長 私からは、ウオーカブル推進に関しての御答弁です。
区では、基本構想に示します、より住みやすく歩いて楽しいまちの将来ビジョンの実現に向けまして、ソフトとハードの両面にわたる取組を参加と協働により進めてまいりました。
東京都が検討を進めます駐車場条例における駐車場附置に係る地域ルール制度の見直しは、公共交通の利用促進、環境負荷の低減、町なかにおけるにぎわいの連続性確保、人中心の道路空間への転換等の動きを捉え、都市計画法により計画が定められた区域から、新たに地域ルールの策定可能エリアを拡大するもので、駅周辺のまちづくりに期待できるものと考えます。
区といたしましては、地域の特性を踏まえまして、こうした都の見直しを見据えた制度活用の可能性を検証するなど、引き続き様々な手法を活用しながら、参加と協働により、人の交流を通じたにぎわいの創出や回遊性、魅力の向上につなげ、歩いて楽しいウオーカブルなまちづくりの取組を積極的に進めてまいります。
以上でございます。
◎佐々木 砧総合支所長 私からは、地域におけるウオーカブルなまちづくりについてお答えいたします。
区では、これまでも鉄道の連続立体交差事業などの機会を捉え、誰もが快適に移動できるまちの実現に向け取り組んでまいりました。例えば、祖師ヶ谷大蔵駅南周辺地区においては、回遊性の向上やにぎわいのある魅力的な商業環境の形成を図るため、地区計画で、祖師谷通りに面する一階部分のセットバックや商業・業務系用途への誘導を行っております。
また、駅北側地区においては、今年度末に駅前広場を開設し、地域のにぎわいの拠点として機能することが期待されているほか、商店街では、時間帯による車両の通行制限をするなど、ハード面の整備に加え、ソフト面も組み合わせ、にぎわいと回遊性を高めております。
引き続き、各地域の特性を踏まえながら、高齢者をはじめ、誰もが快適に歩きたくなるような魅力あるまちづくりの実現に向け、議員お話しの視点も踏まえ取組を進めてまいります。
以上です。
◎長岡 高齢福祉部長 私からは、二点お答えいたします。
まず、公共交通不便地域対策への福祉所管の積極的な関与についてです。
高齢者人口やひとり暮らし高齢者の増加に伴い、社会的孤立の防止や健康寿命の延伸等が喫緊の課題となっていることを踏まえまして、区では、令和二年度より居場所づくり、健康づくり、地域参加・地域貢献、知と学び、就労・就業支援の五つのプロジェクトから成る高齢者の地域参加促進施策に取り組んでおります。
現在、都市整備領域で進めている公共交通不便地域対策の取組は、高齢者の外出を促し、高齢者が様々な居場所に移動する際の利便性向上に寄与するとともに、フレイル予防にもつながると認識しております。
今後、高齢者の地域参加促進という視点を含めて、都市整備領域との連携をさらに強化し、情報交換を密にするなど、積極的に関与してまいります。
次に、せたがやPayを高齢者に積極的に活用していただく取組についてお答えいたします。
せたがやPayの利用には、スマートフォン等の端末の操作が不可欠ですが、高齢者は苦手な方が多い状況だと認識しております。このため、高齢者にスマートフォン等の操作を習得する機会を提供することが重要であると考えております。
現在、社会福祉協議会や民間事業者でスマートフォン教室が開催されているほか、東京都の事業を活用し、十六か所の
まちづくりセンターで開始した高齢者向けのスマートフォン教室の中で、せたがやPayの操作体験を実施していく予定でございます。
来年度は、せたがやPayのほか、介護予防の取組や区民の交流をオンラインで実施できるよう、安心すこやかセンターでもスマートフォン教室を開催したいと考えており、具体的な実施内容につきましては、今回の
まちづくりセンターでのスマートフォン教室の実施状況を踏まえ、関係所管と調整、検討してまいります。
以上です。
◎加賀谷 政策経営部長 私からは、せたがやPayの全庁的な活用について御答弁いたします。
せたがやPayは、現在、利用できる場面を増やし、より多くの区民に利用していただけるよう、国民健康保険被保険者の健康保持増進のための健康ポイントを提供し、個人のインセンティブとして活用できる健康づくりへの活用など、新たな事業展開も進めているところでございます。
せたがやPayは、区内の共通基盤として地域通貨的に活用し得る取組であり、今後、地域経済の持続的な発展とともに、行政サービスのDX推進や行政への参加と協働に対するインセンティブとしての活用など、幅広く区民に利用いただくための工夫が必要と考えております。
また、他の自治体の事例でございますが、例えば木更津市のアクアコインでは、アプリ内の歩数計機能を活用し、ユーザー全員で目標歩数の達成で、子ども食堂に食を寄附する取組を実施してございます。
また、飛騨高山市のさるぼぼコインでは、アプリの位置情報から、特定のエリアにいるユーザーに対して災害情報をプッシュ通知で発信し、災害復興支援の寄附金をさるぼぼコインで受け付けたりするなど、行政が活用している事例がございます。
こうした取組を参考としまして、引き続き区の様々な施策に取り入れられるよう全庁横断的な取組を働きかけてまいります。
以上です。
◎菅井 危機管理部長 私からは、三点について御答弁申し上げます。
初めに、防犯カメラ設置促進と防犯カメラを含めた最新の技術、知見の活用、二点につきまして併せて御答弁申し上げます。
現在、区が設置、運用する防犯カメラは、庁舎など公共施設に千四百三十九台、区立公園二十一台、区立小中学校の通学路に四百十台の計千八百七十台があり、また、都と区の補助を活用して、町会・自治会、商店街等が設置、運用する防犯カメラは令和二年度末現在で千二百四十六台であり、合わせて計三千百十六台の防犯カメラが設置、運用されている状況でございます。
区といたしましても防犯カメラは犯罪抑止と事件捜査の両面において高い効果が期待されることから、非常に重要な役割を担っていると認識してございます。
議員御指摘のとおり、近年連続発生する凶悪事件に対しまして、防犯カメラによる抑止効果や事件捜査への円滑な情報提供は、区民の安全安心につながるものであり、今後も区民等の権利利益の保護と、安全で安心して生活することができる地域社会の実現の両立を図る適正な防犯カメラの設置、運用と、さらなる設置促進に取り組んでいくとともに、犯罪を抑止する観点からも、庁内関係所管や警察等関係機関、各団体との情報共有をさらに進め、お話のカメラなどの最新技術の革新や知見などの動向も踏まえまして、今後も効果的な防犯カメラ等の活用に努めてまいります。
最後に、特殊詐欺対策についてです。本年の区内における特殊詐欺被害件数は、十月末現在で百九十四件と、昨年一年間の被害件数を既に二十二件上回る早さで急増しており、区といたしましても、より実効性のある対策の早急な検討が必要であると考えてございます。
議員御指摘のとおり、犯行の手口は日々変化、巧妙化しており、最近では申込みがネット上で簡易にできるIP電話など多様な通信手段が特殊詐欺の犯行ツールとして多く使われる状況にある現在、警察では、悪徳なIP電話の転送サービス事業者等の摘発など取締りの強化を図っていると聞いております。
区といたしましても、お話のありました新たな技術の活用など、より積極的な被害防止対策実現に向けまして、今後も事業者や関係機関からの意見聴取を行うなど、調査、研究を進めてまいります。
以上でございます。
◆十七番(阿久津 皇議員) 高齢化に備えたまちづくりですけれども、街づくり条例や都市整備方針の中には、あまり高齢化に備えたという視点が触れられておりませんので、そこも、まちづくりは時間がかかりますけれども、高齢化は着実に進展しますので、そういった視点からのまちづくり、ぜひ進めていただきたいと思います。
それからせたがやPayですけれども、
まちづくりセンターでスマホ教室などを行っていくということですが、なかなか習っても、日常使わないと覚えていかない、身につかないというか、そういうものだと思いますので、せたがやPayとスマホの歩数計のカウント機能などを結びつける、木更津で行われているということけれども、そういったことを結びつけて、
まちづくりセンターのスマホ教室で高齢者に使っていただく、日常的に使っていただくことで初めて身につくのかなと思いますので、そういった仕掛けということもしっかりと講じていただいて、効果を上げていただきたいと思います。
それと防犯カメラですけれども、区内三千か所ということですが、なかなかその中でも、区立公園ですか、その中は二十か所ぐらいということですので、積極的に設置していただきたいですし、いわゆる対症療法的な防犯ではなくて、積極的に抑止していく、そのような積極的な犯罪抑止というものをしっかりと進めていただきたいと要望しまして、質問を終わります。
○下山芳男 議長 以上で阿久津皇議員の質問は終わりました。
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○下山芳男 議長 次に、二十三番中里光夫議員。
〔二十三番中里光夫議員登壇〕(拍手)
◆二十三番(中里光夫 議員) 総選挙後、岸田政権は、任期中に改憲を実現すると表明し、改憲に前のめりです。しかし、世論調査では、政権に優先して取り組んでほしい課題は、景気や雇用、年金など社会保障が八から九割です。憲法改正は三割にも届かず、十項目のうち最低です。国民は改憲を望んでいません。
我が党は、総選挙を市民と野党の共闘で闘い、世田谷で野党統一候補が勝利しました。共闘を深化させ、改憲阻止のためにも共同してまいります。
それでは、日本共産党区議団を代表し、通告に従い質問します。
初めに、未来つながるプラン(案)検討状況について三点質問します。
第一は、参加と協働です。我が党は、参加と協働は道半ばと指摘してきました。ふじみ荘は、区民の声を十分聞かぬまま廃止されました。図書館の指定管理者導入、区立保育園の定員削減・再整備方針、民間学童クラブの誘致などは、多くの区民に知らされないまま、議会中心の検討となっています。
つながるプラン(案)検討状況では、参加と協働を軸に六つの重点政策を着実に推進してきた、参加と協働により政策を進める場や体制は整いつつあるとありますが、この評価は妥当ではありません。
区長はこの間、参加と協働は区政運営の軸と表明してきました。区長が、車座集会や保育の質を大切にする待機児対策などで区民や関係者の声を直接聞き、施策に反映させてきたことや、今後、参加と協働を深化させるとしているのは重要です。区長の姿勢に区民も期待しています。
参加と協働の前提は、情報公開と説明責任を果たすことです。区長の認識はいかがか。新実施計画(後期)における参加と協働の評価と課題について伺います。
つながるプラン(案)検討状況における評価は不十分であり、再度区民の視点での多角的検討が必要です。認識を伺います。
第二は、経済的弱者対策です。四つの政策の柱に基づく取組に、人権の尊重とジェンダー平等の視点を持ち、「誰一人取り残さない」包摂的な社会の実現を目指すと明記されました。今後の区政運営の重要な方向性です。長期化するコロナ禍から区民生活を守ること、特に経済的弱者対策を区政運営の柱に据えることを求めます。
コロナ禍で、区民生活、事業運営は厳しさを増しています。非正規でホテルの宴会場の給仕をしていた方は、コロナで仕事がなくなり、生活困窮者自立支援金などでつないできたが、もう限界だと生活保護を申請しました。年金生活の単身の八十代、年金は下がっているのに、物価は上がり、生活がきつい。骨粗鬆症のため、一か月五千円の注射を打たなくてはならず、負担が重い、こういった声です。
今後、七十五歳以上の窓口負担二倍化や、国保料の大幅値上げなども予定され、国の社会保障制度改変から区民生活を守る区独自の取組の充実も必要です。
保坂区政はこの間、国の生活保護基準の改悪から、区民生活守る独自対応を実施しました。また、コロナ禍で、低所得の子育て家庭への直接給付や、今般、せたがやPay利用者と、限定的ですが、事業者への直接支援に踏み出しました。
長引くコロナ禍での区民生活への区の現状認識はどうか。国の社会保障制度改変から区民生活を守る自治体の役割発揮や、経済的弱者対策を、つながるプランの柱に据えることを求め、伺います。
第三は、区民に信頼される行政経営改革です。
四つの政策の柱は、行政経営改革にも貫かれるべきですが、不十分です。また、財政は厳しいなどとして、痛みを伴う区民サービスカットや公的責任を後退させる民間活用を進めるならば、従来型行革と同様です。
我が党は、参加と協働は進んだのか、コスト重視に偏らず、区民の暮らし、福祉を守る視点で評価、検証を求めてきました。行政経営改革十の視点は、現計画の課題を踏まえ、次期基本計画を見据え、区民に信頼される行政経営改革の発展が必要です。行政経営改革の視点の考え方や基本方針においても、区民目線での再検討が必要です。
行政経営改革の十の視点は、従来の計画と同じ水準です。住民福祉の向上や公的責任を明確にした発展を求め伺います。
区は新実施計画(後期)の評価に対し、この間、区民側の視点に立って取組効果が測れる、評価の手法に工夫を凝らすと答弁しました。しかし、今般示された個別の行政経営改革の取組内容は、区民側の視点に立った評価の手法に至っていません。再検討が必要です。
我が党は民間活用について、経堂図書館の課題も指摘し、公共の責任として、専門性、安定性、継続性の担保を求めてきました。区はコスト削減に主眼を置くのではなく、政策目的のための区が果たすべき役割を整理し、事業効果の最大限の発揮を目指し、在り方を検証すると答弁しました。在り方の検証は進んでいるのか、伺います。
信頼される執行体制では、災害や健康危機に機敏かつ着実に対応するために、行政職を含め、計画的増員が必要です。平時から余力を持った人員体制が、危機から区民生活を守ります。今後の職員定数増を求め、伺います。
魅力ある図書館運営・サービスの推進、区立保育園の今後のあり方、これらは政策の柱に沿って充実させるテーマです。ところが、これが行政経営改革の取組の項目となっている、ここを外すことを求めます。
今議会に図書館の指定管理者の指定が提案されています。経堂図書館の赤字収支や職員の入れ替わりが激しいことを指摘しましたが、これらの解決は担保されるのか伺います。
次に、個人情報保護です。
個人情報保護は、国に先駆け、区が主体的に個人情報保護条例を制定してきた歴史があります。地方分権の流れは、自治行政権、自治立法権、自治財政権を有する完全自治体としての地方政府の確立を目指しています。区は、基本計画で地方分権、自治権拡充を基本方針に掲げています。
ところが今般の個人情報保護法改正は、個人情報の利活用を進めるために国の指定基準に一本化するもので、地方分権の流れに逆行します。また、収集禁止項目の規定がないとか、従来の審議会によるチェックが続けられるのかなど、自己情報コントロール権にも関わる重大な課題も多数示されています。区が築いてきた個人情報保護の水準を守る必要があります。
個人情報保護法改正は、分権の流れに逆行するものであり、認識を伺います。区長会などを通じ国に地方独自の規定を守るよう求めるべきです。
また、条例の見直しに当たっては、個人情報保護を後退させない区の強い姿勢を示し、専門家、区民を交えた広い議論、検討を求め、伺います。
次に、民間学童クラブの誘致です。新BOP学童クラブは、直営が基本です。区長は、さきの議会の我が党の質問に、現在の新BOPの運営を基本と答弁しています。
大規模クラブの対策として、さらなる普通教室の確保、人員体制構築を示しましたが、早急に具体的取組を示すことを求めます。
今議会に、来年二月から募集を開始して民間クラブを誘致する方針が示されました。質を守り、区としての公的責任を果たす基準や仕組みがなく、あまりに拙速です。また、区民などに知らされないまま進められており、参加と協働は貫かれていません。
民間活用は、一度立ち止まり、区民参加で再検討を求めます。
次に、代沢・北沢地域の都市計画道路補助二六号線です。二六号線は、都施行の環状線道路、代沢・北沢地域、淡島通りから三角橋までの起伏の激しい区間が事業化されています。京王井の頭線との交差は、幅三十三メートルもの巨大な掘り割りとなり、地域は大きく分断されます。地域の方から、静かな住宅地が破壊される、まちが分断され、避難路はどうなるのか、学校が多い地域で事故が心配だ、何が地元の利益なのか、都に繰り返し質問状を出しているが、真摯な回答はないと伺いました。多くの住民は道路計画に納得しておらず、根強い反対意見が聞かれます。
さらに、区は街づくり懇談会を開いているが、一部の住民の意見しか反映していない、道路整備前提の集まりに、地域の未来が見えないという声もあります。
静かな住環境を壊し、地域住民の願いに反する道路整備は、中止を含め見直すべきです。区は、二六号線整備による地域への影響をどのように認識しているか。区は独自に地域への影響を検証し、都に対し意見をするべきです。区の見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 中里議員にお答えをいたします。
新実施計画(後期)における参加と協働の強化と課題について御質問がございました。
私は区長就任以来、区民の健康、命、暮らしを守るため、区政に全力を尽くしてきました。今日の区政の骨格となっているのは、車座集会や無作為抽出による区民ワークショップをはじめ、様々な機会で、区民参加によるプランを練り上げ、参加と協働を掲げ策定した基本構想であり、そして、その下につくられた基本計画であります。この基本計画に基づきまして、小田急線上部利用における北沢PR戦略会議、若者の声を聞きながら進めていった居場所整備、認知症の御本人も参画して議論した認知症条例など、この八年間で参加と協働の取組は着実に根づいてきていると感じております。
一方、イベントなど単発の機会による行政への参加にとどまる取組もまだありまして、区民がより区政に関わり、その主体となって地域の課題に取り組むには、まだ課題は多くあると認識しています。
次の十年間は、これまでの延長ではなく、未来に向け変革していく期間となります。デジタル技術も活用しながら、デジタルデモクラシーなどによりコミュニティーや政策形成に、まさに区民が参加をし参画をする機会を広げ、参加と協働をさらに発展、深化させ、住民自治の推進を目指すとともに、区民への情報公開、情報提供の充実を図り、新たな世田谷をデザインしていきたいと考えています。
◎加賀谷 政策経営部長 私からは、未来つながるプラン五点につきまして順次御答弁いたします。
初めに、参加と協働の評価の再検討でございます。
コミュニティーや政策形成の議論を深めていくには、さらなる参加と協働の推進が必要だと考えてございます。こうした認識の下、(仮称)未来つながるプランにおいて、これまでの参加と協働の振り返りを行うとともに、今後の方向性をお示ししてございますが、来年二月の案に向けましてさらにブラッシュアップをさせて、次の基本計画につながる計画としてまいります。
次に、経済的弱者対策についてでございます。
緊急事態宣言の解除、ワクチン接種の促進などにより、景気の持ち直しが期待されますが、依然として厳しい経済状況が続いており、長期間にわたるコロナ禍により、区民生活や事業者への影響は大きなものであることを受け止めてございます。
区では、これまでも区民の健康と命を守ることを最優先に取り組んでおり、(仮称)未来つながるプランの中においても、個別の施策として、居住支援、事業者支援、雇用対策、支援を必要とする子どもと家庭へのサポートなど、経済的な面からの支援となる対策を位置づけております。
また、コロナ禍を踏まえた緊急対応としまして、今般お示ししたせたがやPayを活用した事業者支援をはじめ、区民生活や地域経済の実態を捉えながら、数次にわたる補正予算により対応をしてまいりました。
引き続き区民生活の安全と安心を守り抜くため、今後予定されております国の経済対策の詳細を踏まえた上で、必要な支援策について、区独自の事業も含め検討し、時期を逸することなく講じてまいります。
次に、行革十の視点、住民福祉の向上や公的責任の明確化についてでございます。
行政経営改革十の視点については、現行計画の方針を堅持し、行政経営改革をコストカットや効率性等の観点のみで進めることなく、区民の視点に立った改革とするため、特に「低所得者への配慮の観点を踏まえ」との考え方や、また民間活用、官民連携を進める際の行政の立場を確認する幅広い意味で、「行政の責任を明確にし」との文言を記載してございます。
住民福祉の増進を図ることは自治体の責務であり、区政の全てに貫かれているものと認識しております。今後、計画案の策定に向けた検討において、こうした点を踏まえ、御提案の趣旨も念頭に置いて、行政経営改革の取組をまとめ、十の視点の考え方を基本に、住民福祉の向上となるべく、行政経営改革を進めてまいります。
次に、区民の視点に立った評価手法の再検討、民間活用の在り方の検証についてでございます。
さきにお示ししました未来つながるプラン(案)の検討状況におきまして、計画に掲げる施策の評価については、議会での御指摘も踏まえ、成果指標を施策、事業の実施により、区民、事業者等にもたらす成果や効果を示す指標、アウトカム指標と定義いたしまして、施策の対象者にどのような成果や効果があるのか、区民の視点に立って評価するものとしてございます。
民間活用の在り方につきましては、指定管理者制度運用ガイドラインに基づき、区民の平等で公平な利用の確保の下、区が直営により提供する以上のサービスの充実を図ることを基本に、公の施設の設置者である区の責任の下、施設の設置目的や利用ニーズに合った安定的な運営などの観点から検証し、制度導入の可否を判断しております。
さらに、年度ごとに事業者のモニタリング、自己評価を踏まえて区が実績を評価しており、そのほか、例えば(仮称)図書館運営協議会を設置するなどの仕組みも準備することとしております。
こうした個々の事例の評価、検証を踏まえ、制度の運用についても検証改善に努めてまいります。
最後に、図書館、保育園について行政経営改革の取組項目から外すことについてでございます。
図書館、保育園の取組は、いずれもコストの削減のみに主眼を置くものではなく、限られた財源を有効に活用するため、図書館におきましては民間のノウハウ等を生かして、よりよいサービスを提供すること、区立保育園におきましては、平成三十一年二月に定めた区立保育園の今後のあり方に基づき、地域におけるネットワークの強化などを目指し、十園を、拠点園四園を含む五園に整備をする計画を進めるなど、ニーズの実情に合わせて配置を整理しながら、保育の質の維持向上や、支援が必要な家庭の早期発見、対応など、役割を拡充することにより、区民にメリットをもたらすことを目指しているものでございます。
これらの考え方を踏まえ、いずれの取組も行政経営改革の取組項目に位置づけているものであり、最小の経費で最大の効果を追求する行政運営の基本にのっとって、引き続き計画に位置づけて取り組む必要があるものと考えてございます。計画案の策定に向けて引き続き検討は進めてまいります。
以上でございます。
◎内田 生涯学習部長 私からは、未来つながるプランについて、図書館の指定管理者の課題に関してお答えいたします。
経堂図書館、烏山図書館、下馬図書館の指定管理者候補者を指定管理者として指定するための議案を本定例会に提出させていただきました。
指定管理者候補者からの事業計画書の提案では、今後の五年間の収支計画について、人件費も含めて詳細に精査し、支出超過とならない計画となっており、また、雇用計画は、無期雇用化の推進や昇給昇格の確保など、安定継続雇用に向けた改善案が示されております。今後とも収支や雇用の計画の実施状況をより詳細に把握するなど、サービス水準の担保等に努め、さらに(仮称)図書館運営協議会において評価、検証を行い、魅力ある図書館づくりを進めてまいります。
以上でございます。
◎池田 総務部長 まず、職員の人員体制について御答弁します。
区では、今般のコロナ禍における緊急課題についても、限られた人員を最大限活用すべく、全庁的な応援体制を組み、柔軟に対応しているところであり、今後の職員体制についても、コロナ禍や震災等の災害にも適切に対応できる体制づくりが必要と考えております。
強化が必要な部門にはしっかりと人員を増強していくという考え方の下、事業手法の見直しを含めた行政経営改革の取組等を進めつつ、適切な職員定数管理に向け、職員を計画的に採用してまいります。
次に、個人情報保護法の改正への対応についてです。
個人情報の保護については、全国自治体が条例などにより取り組んできたところですが、今般、社会全体のデジタル化への対応などを目的に全国的な共通ルールを定める趣旨で個人情報保護法が改正されたところです。
区は主体的に個人情報保護条例を整備し、個人情報保護に努めてまいりました。地方分権が進められる中、住民に最も身近な行政主体として、国が今後示すとしているガイドラインなどを注視し、個人情報保護は最優先されるべきものとの認識に立ち、課題等が明らかになった場合には、その改善を国に積極的に要望してまいります。
次に、個人情報保護条例の改正に際しての区民の意見の反映についてです。
区では、国、東京都、他区などからの情報収集に努めるとともに、これまで区が培ってきた個人情報保護の仕組みをベースとして条例の見直しを検討してまいりたいと考えております。条例の検討に当たりましては、情報公開・個人情報保護審議会の御意見を伺うとともに、パブリックコメントなどを通じて幅広く区民の御意見をいただきたいと考えております。
以上でございます。
◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、民間児童クラブの誘致について二点御答弁申し上げます。
まず、大規模校における普通教室確保、人員体制構築の具体的な取組を示せについての御答弁です。
区では、狭隘化の進む新BOP学童クラブにおいて、条例で定める児童一人当たり一・六五平方メートルの活動スペースを確保するため、教育委員会や学校と連携し、普通教室を活用することとしております。まずは、狭隘化と大規模化が進んでいる新BOP学童クラブから普通教室の活用を始め、施設の状況に合わせて必要な人員を配置するとともに、その他の狭隘化が進んでいる新BOP学童クラブについても、教育委員会、学校と具体的な調整を進め、まずは次年度より可能なところから取り組んでまいります。
次に、区民参加で再検討という点について御答弁申し上げます。
昨年度実施した新BOP事業のあり方検討委員会において、民間事業者活用の検討の必要性が示され、今年度、引き続き庁内検討を進めた結果、現在の新BOP事業を基本としつつ、新BOP学童クラブの喫緊の課題である狭隘化や大規模化の解決策として、民間事業者を活用した放課後児童健全育成事業者を誘導することといたしました。
誘導を進めるに当たっては、まず大規模校五校の子ども、保護者に説明し、意見を伺い、今後、学識経験者や保護者等で検討、作成する区の運営方針に反映しながら、課題解決に資する優れた提案をした事業者を持続可能性の観点から、財務状況や運営実績を評価した上で選定したいと考えております。
今後、区の公的責任の下、民間事業者の運営開始に合わせて必要な指導や適切な連携協力ができるよう体制整備に取り組み、保護者等の意見を伺うとともに、議会にも報告して進めてまいります。
以上でございます。
◎木本
北沢総合支所長 私からは、補助二六号線沿道の街づくりについて御答弁申し上げます。
東京都による都市計画道路補助二六号線の事業に伴い、区といたしましては、低層の住宅地としての環境や土地利用が大きく変わると捉え、地域の皆様とともに、まちの将来像について検討するため、平成三十年十一月に街づくり懇談会をこれまで計八回開催してまいりました。
懇談会では、道路整備後の沿道のまちのイメージを参加者と共有するために、立体模型を活用するなどして、まちづくりの様々な意見交換を行ってまいりました。
その中で、道路事業に関する御意見については、その都度、東京都に伝えております。さらに、区といたしましては、懇談会でいただいた様々な御意見をまちづくりニュースに掲載するなど情報共有に努め、引き続き地域の皆様と沿道の街づくりを推進してまいります。
以上でございます。
◆二十三番(中里光夫 議員) 終わります。
○下山芳男 議長 以上で中里光夫議員の質問は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後三時二十五分休憩
──────────────────
午後三時三十五分開議
○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
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○下山芳男 議長 この際、議事の都合により、本日の会議時間をあらかじめ延長いたします。
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○下山芳男 議長 一般質問を続けます。
二十四番江口じゅん子議員。
〔二十四番江口じゅん子議員登壇〕(拍手)
◆二十四番(江口じゅん子 議員) 質問通告に従い質問します。
まず、経済・社会活動を再開しながら、命守るコロナ対策を求め、四点伺います。
一点目は保健所です。感染爆発、医療崩壊となった第五波では、全国で二百五十人が在宅死し、区内でも保健所からの連絡、訪問が行われず、お一人が亡くなられました。さきの議会の我が党の質問に区長は、八月には三千五百人の区民が自宅あるいは自宅待機にあった責任を痛切に感じる。在宅の方の見守り、アクセスが取れるように、区として命を支えていくと御答弁されていました。今般の事態、あってはならないことです。総括及び今後の対応を伺います。
背景には国の保健所統廃合、病床削減の構想、原則自宅療養方針があります。政府の感染症対策本部では、第六波の自宅・宿泊療養者数は最大約二十三万人と想定しています。
我が党は、さきの議会で、この撤回を求めよと質疑し、区長は、コロナの療養には医療職の見守りが必要、国や都の方針を求めてまいりたいなど、答弁されました。この間の対応と、区長を先頭に撤回への積極的対応を求め、伺います。
つながるプラン(案)検討状況では、区民の健康の保持増進と健康危機管理体制の強化が重要施策に位置づけられました。しかし、内容は、健康危機管理マニュアルや新型インフルエンザ等対策行動計画改定にとどまり、不十分です。今般のパンデミックで保健所機能がパンクしたのはなぜか。平成六年の国の法改定で、当区でも保健所が再編されました。五地域で同感染症対策が一か所の保健所に集約され、地域感染症対策は弱体化してきました。我が党は、再編の検証と抜本的強化を求め続けてきました。
区はこの間の答弁で、コロナ感染症が急拡大する中、現在の保健所の体制では限界があり、感染症対策組織の抜本的強化が急務。有事の際に迅速かつ機動的に対応可能な組織体制の構築に早急に取り組むとして、平時からの健康危機管理体制の見直しにかじを切りました。
保健所の再構築と保健師等計画的増員を求め、区長の見解を伺います。
また、つながるプランの記述は、感染症対策組織の抜本的強化などの立場で、再検討を求め伺います。
二点目は、再び感染爆発と医療崩壊を起こさないため、大規模検査の強化を求め伺います。
オミクロン株は世界的に拡大傾向で、予断を許しません。変異株急拡大による感染爆発を繰り返さないため、検査・医療体制の総点検・強化を求めます。
ワクチンと一体に、大規模検査での早期発見による封じ込めが必要です。さきの政府の感染症対策会議でも、感染拡大時の無症状者への無料検査など、不十分ながら拡充方針が示されました。当区が先進的に取り組んできた社会的検査が国を動かしています。
補正予算では、福祉現場や我が党の要望を受け、抗原検査キットを学校、福祉施設、さらに保育園、幼稚園利用家庭への配布に踏み切り、評価します。
今後も社会的検査の対象拡充と、従来の枠にとらわれない無症状者への拡充を求め、伺います。
三点目は、臨時の医療体制整備です。
第六波に向け、医療機関、医師会と連携し、病床拡充、医療が受けられる酸素ステーション、往診・訪問看護の体制強化が必要です。
早期治療による重症化予防は、医療崩壊防止につながります。都のモニタリング会議でも、抗体カクテル療法投与者の約九八%が軽快、このように報告されています。酸素ステーションでの抗体カクテル療法実施を求めます。
また、他区のように、都の酸素・療養ステーションを誘致、病院外来での抗体カクテル実施など、都や医療機関との連携を進め、臨時の医療体制構築を求め伺います。
四点目は、都立松沢病院です。
都議会第三回定例会で、自民、公明、都民ファーストなどの賛成で、独立行政法人化、つまり独法化の定款条例が可決されました。しかし、その都議会議論を確認したところ、多くの会派が都立・公社病院の対応を評価し、なぜコロナ禍での独法化なのかとただしていました。
都はその理由を、地方公務員法などの制約で、迅速、柔軟な人材確保が課題、独法化で確保を機動的に進めるなどとしています。
しかし、平成二十一年、都立病院から地方独法化した健康長寿医療センターの令和元年度の純損失は十億円、その主な要因は、常勤医師の欠員です。都は今年度、非常勤医師も二十名の欠員としています。
また、かつて都立四病院が公社化した際、退職者は二百二十三名にもなりました。非公務員となる独立行政法人化でも同様の人材流出が懸念されます。
また、独法化への都民、区民の理解は得られていません。都などには二十万筆もの反対署名が提出、区議会にも松沢病院の充実を求める陳情が提出されました。
区長はこの間、松沢病院は今後もこれまでと同様、公共的役割を担い続けていただきたい。コロナ禍での医療危機、病床逼迫を踏まえ、医療体制確保の計画見直しを都には取り組んでもらいたい、区長会を通して意見をしていくと答弁されました。
松沢病院独法化による利用区民や地域医療への影響は多大です。認識及び地元区区長として都に独法化中止を含めた医療体制確保計画の見直しを求め伺います。
次に、第二次世田谷区不登校支援アクションプラン素案の検討状況です。
令和二年度の区の不登校児童生徒数は合計九百六十八人、年々増加しています。支援プランに必要なのは、不安や孤立、また心の傷を抱える子ども一人一人に寄り添い、その多様性や個性を認め、心身の成長を支える視点・内容と考えます。また、子どもを支える保護者を包含する視点も必要です。
しかし、プラン素案は、従来の行政、学校、教員の計画となっています。不登校児の現状把握は、学校による調査が主であり、当事者の実態把握が不十分です。学校目線と、それに基づく支援では、教育長が表明されている誰一人置き去りにしない不登校支援にはなりません。
従来の行政計画にとどまらず、子ども・家庭に寄り添い、共有できるプランを求めます。そのためには当事者の実態把握が必要であり、教育長の見解を伺います。
また、プラン素案の基本的考え方、目標は学校側の設定です。再考を求め、伺います。
相談支援に結びつかず、居場所がなく、孤立や不安を抱えている子どもたちが多くいます。予約不要でいつでも行ける、ほっとスクール以外の新たな不登校児の居場所を、全庁横断的に連携し、各地域での整備を求め、伺います。
次に、発達障害児の特別支援教室「すまいるルーム」についてです。
今年三月、都教育委員会は、特別支援教室に係るガイドラインを改訂し、指導期間を原則一年、延長しても二年間までの期限を設けました。さらに、来年度からの段階的な三十五人学級に合わせ、児童生徒十人に対し一名の教員配置基準を、来年度から十二人に対し一人に引き下げる制度改悪を進めています。本来、特別支援教育には、より手厚い支援、配置が必要です。
さきの議会で教育長は、教育長会でもこれは課題にしてきた、引き続き要望していくなど答弁しました。以下二点伺います。
改めてこの問題への区教委の認識を伺います。教育長会などを通じて配置基準引き下げや期限の改善、また、年度途中の児童生徒増加を見越した配置基準を都へ求めていただきたい。
第三回定例会での共産党都議団の質問に対し、都の教育長は、終了時には特別支援教室での指導継続を含め検討し、適切に支援すると答弁しました。期限に縛られず、子どもにとって必要な期間の保障を求めます。
最後に、地域公共交通です。
地域公共交通は、地域の足として不可欠ですが、コロナ禍で事業者は苦境に立たされています。今議会に東急バス運行の喜多見団地から二子玉川駅路線など二路線が廃止、代替として定時定路線巡回及びオンデマンド導入の報告がありました。この事業者努力を評価します。
一方、団地高齢者から、電話して来てもらう仕組みが分かりにくい、団地前のバス停がなくなるのは不便など伺いました。新たな地域の足として定着するよう、地域の声をよく聞き、丁寧な対応を求めます。
路線バス撤退の影響は大きく、特に高齢者は生活の質、身体状況の低下につながります。赤字路線をそのままにせず、事業者、地域、区が協働し、路線維持のための工夫や取組を協議する場をつくるなど、維持のための積極的対応を求め、伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 江口議員にお答えをします。
保健所の組織体制、コロナ対策についてでございます。
保健所は、この間の新型コロナ対策以外にも、平時より新興、また再興感染症など、あらゆる感染症を想定しまして、その蔓延防止や防疫措置など、区民の健康と命を守る健康危機管理業務の根幹を担っている組織でございます。この間、その重要性は多くの区民に深く御理解をいただいたと思います。
人員体制、組織体制を不断に見直し、機能拡充を行う必要があると考えています。新型
コロナウイルスの感染拡大局面において、この間、総合支所の保健師を保健所組織に加えさせていただき、医療職の迅速な参集体制を整備するほか、民間の医療系人材を活用し委託するなど、保健所の体制を急激に拡大、充実してまいりました。
また、今般の補正予算案には、第六波に備えて、人材確保を含めた経費を計上させています。
私は、区民の命を守ることを第一に、計画的な人員配置をし、区民生活の安心につながるような保健所体制の抜本的強化に取り組んでいきます。
次に、松沢病院独法化についての御質問です。
独法化については、法人設立の手続として都議会第三回定例会において定款が可決されたと聞いています。今月十六日に開催された区長会におきまして、東京都から、定款の中で行政的医療を引き続き担っていくことや、災害、感染症等に対して、これまで同様、都の方針の下で対応すると説明されました。
今回のコロナ禍において、医療危機、病床逼迫が広がり、また、松沢病院については、精神疾患のあるコロナ陽性者、あるいは認知症に罹患をして陽性になった方など、幅広く地域で受け入れていただいたということも含めて、この区長会の中で、これまで同様、地域の医療機関の連携や、この感染拡大を経た経験、この医療の地域的な役割や介護ニーズの対応と併せて、手当の充実による医療従事者確保など、独法化に移行してもここを継続し、しっかりやるようにということで念を押し、東京都に対して要望をしたところであります。引き続きこれが担保されるように、区長会を通して東京都に対して発言、要望してまいります。
〔渡部教育長登壇〕
◎渡部 教育長 不登校アクションプランについてお答えします。
不登校児童生徒の支援に当たっては、多様化、複雑化した社会の中でも、本人が精神的、経済的に安定し、豊かな人生が送れるよう、その個性や能力を伸ばし、自立に向けて支援を行うことが重要です。
文部科学省の行った実態調査では、児童生徒や保護者が抱える不安は、学習の遅れや進路、また、先生や友達との関わりなどであることが分かり、今までも各学校や支援機関において状況把握は行ってまいりましたが、社会の複雑化や価値観の多様化により、児童生徒や保護者の抱える課題等は、なおも潜在化していることが分かります。
各学校、保護者の集い、不登校保護者会、ほっとスクール等により、児童生徒、保護者の意見や要望等を、アンケート等の活用により丁寧かつ具体的に把握していくことに努め、当事者の声を支援の取組に反映してまいります。
以上でございます。
◎粟井 教育監 私からは、特別支援教室の教員配置に関する都への要望について、教育監としてお答え申し上げます。
特別支援教室で指導を受ける児童生徒は増加傾向にあり、指導の際には、児童生徒一人一人の特性に応じた指導計画を作成し、きめ細やかな指導を行う必要があります。教員の任命権は、都教育委員会にあるため、特別支援教室の教員の配置も都教育委員会によるものですが、東京都では、国の基準を上回る配置を行っております。
区教育委員会としましては、特別支援教室での指導がより充実するよう、教員の配置や質の確保等について様々な機会を通じて、引き続き都教育委員会に要望してまいります。
以上でございます。
◎粟井 教育政策部長 私からは、三点お答え申し上げます。
初めに、不登校支援アクションプランの基本的考え方、目標についてでございます。
不登校児童生徒への支援につきましては、国より、学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指す必要があることが示されております。
教育委員会でも、国のこの考え方に基づき、児童生徒の多様性や個性を認め、伸ばすことを目指し、社会的自立につながる支援を行うことを支援の基本的な考え方としたところです。
次期プランの目標につきましては、素案の段階では、全児童生徒数のうち不登校児童生徒数の占める割合の改善等を掲げておりますが、支援の基本的な考え方に基づき、学級復帰にこだわることなく、児童生徒の進路の選択肢を広げていくことも踏まえて目標を設定してまいります。
次に、ほっとスクール以外の居場所についてお答え申し上げます。
次期プランにおきましては、ほっとスクールにおける受入体制の強化をはじめ、ほっとスクール等につなげるための中間的居場所やオンラインを活用した居場所等、多様な居場所の確保に向けた取組を進めてまいります。
一方で、不登校児童生徒の中には、ほっとスクール等に行くことも負担に感じる児童生徒もいることから、より身近で気軽に行くことのできる居場所の確保も必要と考えております。教育委員会といたしましても、児童館や青少年交流センター等の既存施設における利用状況を把握し、関係所管とも連携や情報共有を図りながら、安心して通うことができる多様な居場所の確保に取り組んでまいります。
最後に、特別支援教室の支援の期間についてお答え申し上げます。
特別支援教室では、対象児童生徒が抱えている学習上または生活上の困難を改善、克服し、在籍学級での有意義な学校生活につながるよう指導を行っております。今回、東京都教育委員会から示された原則の指導期間の一年間とは、対象児童生徒一人一人に指導目標を設定して指導を行い、指導目標がどの程度達成されたか等について保護者と学校で検討を行い、より適切な指導へ結びつけるものと捉えております。区といたしましても、原則の指導期間内に指導目標を達成できない等の継続した指導が必要な児童生徒に対し、改めて支援策を検討し、特別支援教室での指導の継続も含め、必要な支援を行ってまいります。
以上でございます。
◎辻 世田谷保健所長 私からは、コロナに関して四点お答えいたします。
まず、今後、区民の命を守るための対策についてお答えいたします。
先般御報告した事案は、第五波のピークの中、連絡、訪問ができず、亡くなっていたことが判明したもので、重く受け止めております。
第五波の対応では、保健所からの陽性連絡、連絡が取れない方への対応、陽性者への健康観察等が逼迫したため、第六波に向けては、保健所における区職員、委託事業者の体制を拡充するとともに、医師会や地域の医療機関など、区内の医療資源を結集し、健康観察を強化し、併せて連絡のつかない患者に区職員等が確実に訪問する仕組みを構築するなど、必要な体制の見直し、拡充を図り、同様の事態を繰り返さないよう、患者の命を守るため最善を尽くしてまいります。
次に、コロナの自宅等の療養方針についてお答えいたします。
第五波の当時、国は感染状況を念頭に、重症化リスクを踏まえ、無症状、軽症患者のうち、やむを得ず宿泊療養を行わない方は、自宅療養となることを示し、当初は中等症も自宅療養という方針でしたが、その後、方針変更がされ、入院・宿泊療養となったと認識をしております。
区はこの間、一貫して国や都に対し、入院・宿泊療養施設の適切な確保を強く要請し、第五波の後半になってようやく入院・宿泊療養施設が拡張された経緯がございます。
仮に第五波と同等の感染規模で第六波が来た場合、入院・宿泊が逼迫する可能性も想定されることから、今後も入院・宿泊療養施設の確保を国や都に働きかけてまいります。
次に、新型
コロナウイルス感染症対策のつながるプランへの反映です。
つながるプランの施策に記載された健康危機管理体制の強化につきましては、今般の新型
コロナウイルス感染症への対応も踏まえ、区の健康危機管理マニュアルや新型インフルエンザ等対策行動計画の見直しへの着手が主な内容でございます。
加えて、健康危機管理体制の強化に向けて、今般の課題、経過も踏まえ、来年二月に当プランに記載する内容について、さらなる検討を進めてまいります。
感染症の拡大に対応可能な保健所の組織体制につきましては、平時、有事双方に迅速に対応する指揮命令系統の整備、全庁応援、参集体制の確立など、あらゆる手法を駆使し、必要なマンパワーの確保に取り組んでまいります。
最後に、酸素療養ステーションとコロナの医療体制です。
世田谷区の酸素療養ステーションは、第五波の感染者数減少に合わせ、十月十五日に一か所目の運用を終了しており、現在、次の感染拡大に備えるため、患者十六人が療養できる施設を確保し、十二月中旬には、運営に当たる医療人材を配置する準備を行っております。
新たな施設では、都内での抗体カクテル療法の実施状況を踏まえ、抗体カクテル療法や点滴、ステロイド投与なども含め、酸素療養ステーションで行うべき処置を検討してまいります。
臨時の医療体制につきましては、都に対しては、引き続き入院・宿泊療養施設の確保を働きかけ、区内では、区の酸素療養ステーションの活用、地域の医療機関と連携した健康観察などにより複合的に取り組んでまいります。
以上です。
◎有馬
保健福祉政策部次長 私からは、感染爆発と医療崩壊を起こさないための大規模検査による早期発見の充実強化について答弁いたします。
感染拡大を防止し、社会経済活動を継続するためには、感染者の早期発見、早期対応が重要です。社会的検査では、感染拡大への備えとして、これまでの取組に加え、区内の保育園や幼稚園等の利用者及び同居する家族に対して、抗原検査キットを今後配付するなど、検査による感染拡大防止を新たに取り組んでおります。
現在、国は、感染拡大傾向時に、ワクチン接種者を含め、感染の不安がある無症状者に対しての検査を無料とする支援を行うこととしており、区として有効と考えますが、詳細はまだ示されておりません。今後は、その動きを含めた国や都の動向に注視するとともに、国内さらには海外の感染状況やワクチン接種状況等も加味しながら、検査に係る財源の確保や運用場所、方法などの具体的な課題について検討を深めてまいります。
私からは以上でございます。
◎田中 道路・交通計画部長 私からは、地域公共交通維持の取組についてお答えします。
区ではこれまで、公共交通不便地域の解消や南北交通のネットワーク強化などを図るため、バス事業者との連携、協力により、コミュニティバスを導入するなど、バス路線の維持拡充に向けて取り組んでまいりました。
一方、バス事業者においては、従来からの運転手不足に加え、新型
コロナウイルス感染拡大に伴う利用者減少により大変厳しい経営状況に直面しております。今回、喜多見・宇奈根地区の路線は特に厳しい状況でありましたけれども、区から路線維持を要請してきたこともあり、事業者が収支改善に向け、新たな運行形態により路線を維持することとなったものです。
区といたしましては、地域公共交通の維持、確保に向けて、これまで以上にバス事業者との連携強化、情報交換を行うとともに、広く地域の皆様や、区の関係所管とも連携、協力し、バス路線維持のための検討を進めてまいります。
以上です。
◆二十四番(江口じゅん子 議員) 無症状者への検査拡充は、国からも一定の方向性を示されているので、オミクロン株流行拡大の兆しを見せています。しっかり取り組んでいただきたいと要望し、終わります。
○下山芳男 議長 以上で江口じゅん子議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、二十八番菅沼つとむ議員。
〔二十八番菅沼つとむ議員登壇〕(拍手)
◆二十八番(菅沼つとむ 議員) 質問します。
最初に、世田谷区の私立幼稚園に対する助成金についてお聞きします。
今、世田谷区の小学校においては、五割以上が幼稚園からの児童であり、その九割が私立幼稚園からの就学です。世田谷区の公教育の一定の役割を果たしています。また、新型コロナにより保護者の収入減、また景気の悪化の原因により、幼稚園の支払いの負担感が増しています。
第一に、世田谷区の隣の目黒区と比べると、目黒区の幼稚園の独自加算金は一万円で、世田谷区の独自加算金は千円です。九千円の開きがあります。また、目黒区の幼稚園総合給付金は三万七千五百円で、世田谷区の総合給付金は二万八千五百円で、二十三区で下から二番目です。なぜ二十三区の中で給付金が低いのか、聞きます。
第二に、保育園の職員には毎月八万三千円の家賃助成金が給付されています。幼稚園の職員には家賃助成金はありません。幼稚園も保育園も同じ子育てです。世田谷区私立幼稚園の独自給付金を増やすべきです。区の考え方を聞きます。
次に、世田谷公園の野球場・サッカー場の有効利用について聞きます。
以前の世田谷公園の野球場のグラウンドは、前日、雨が降ると、当日、使うことができません。利用度の悪いグラウンドです。
そこで、みどり33推進担当部は世田谷区で初めて人工芝にして、野球場だけでなく、雨でも冬でもできるサッカー場を使えるようにして、先の見える対策をして利用率を上げました。
しかし、世田谷公園の野球場、サッカー場は毎年十一月から三月の五か月間、夜五時から九時までの間は使えません。世田谷区民は野球場、サッカー場、テニスコートは、ナイターで使える施設は少なくて貴重な場所です。十一月から三月までの五か月間を有効利用するべきと考えます。区に聞きます。
次に、上用賀一丁目国立医薬品食品衛生研究所についてお聞きします。
上用賀一丁目国立医薬品食品衛生研究所は、約七十年間研究をやっていましたが、新たな研究所が川崎市にできて移転しました。今は建物の解体工事を行い、令和四年九月に工事が終わる予定です。
上用賀一丁目の国有地の敷地面積は約三ヘクタールある広い土地です。土地の利用の変更による地域への影響は大きいと思います。また、平成二十五年から上用賀一丁目まちづくり協議会をつくり、世田谷区の協力を受けて地区計画を令和二年につくりました。
第一に、上用賀一丁目まちづくり協議会は十五年間も世田谷区とともにまちづくりをしてきました。この地域は災害時の避難場所の空白地域です。国立医薬品食品衛生研究所の跡地に災害時の広場など、考えていただきたいと思います。区に聞きます。
第二に、令和四年九月には解体工事が終わる予定です。上用賀一丁目まちづくり協議会は、世田谷区とともに地区計画をつくってまいりました。世田谷区は積極的に厚生労働省、財務省に上用賀一丁目地区計画を説明し、協力していただけるように努力していただきたいと思います。区の考えを聞きます。
次に、旧池尻中学校跡地活用についてお聞きします。
十一月の常任委員会では、池尻中学校の活用は、サウンディング調査の結果及び今後の具体的な方向性について、議会に九月にも報告できず、十一月にも報告できず、令和三年度中に報告することになりました。また、政策経営部は池尻中学校の跡地の検討を進めることになりました。
第一に、池尻中学校跡地活用は、令和三年度中に具体的に報告を議会に何月に示せるのか、聞きます。
また、産業活性化の在り方について再度検討を行うとありますが、時間がかかると思います。何回ぐらい検討するのか、また、何月ぐらいに検討結果が出せるのか、聞きます。
第三に、池尻中学校の活用では、基本コンセプトで校庭、体育館、ものづくり学校で一体性を持って区民に開かれた空間にしますと経済産業部は示していますが、一方、教育委員会の答弁では、池尻小学校の第二校庭を含めて、そのまま校庭を使いたいという要望も出ています。
池尻小学校の校庭はどこまで使えるのか、境界線が決定していません。境界線が決定してから民間事業者にサウンディング調査をするべきです。常識だと考えます。区に聞きます。
第四に、池尻小学校の校庭の境界線は何月までに決定するのか聞きます。
壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、私立幼稚園に対する助成金について、二点御答弁申し上げます。
まず一点目、私立幼稚園の保育料に対する補助金が他区に比較して低いという点について御答弁申し上げます。
区では、私立幼稚園等の園児の保護者を対象に、経済的負担軽減等を目的として、保育料等について一定額の補助をしております。令和元年十月からの幼児教育・保育の無償化の実施に伴い、補助制度を新たに見直し、国と都が示す基準額と当時の区内の平均保育料、約二万八千円とを比較した上で、年収等に応じて区の補助額を月額千円から七千円とし、合計で月額二万八千五百円から三万八千九百円を上限とする区の補助基準額を設定いたしました。
議員の御指摘にございました目黒区では、区の補助月額一万円を含む月額三万七千五百円を補助基準額としておりますが、一方、目黒区内の平均保育料は月額約三万四千円となっており、こうした状況等に応じて区の補助額を設定しているものと認識しております。
各区独自の補助額につきましては、それぞれの区の状況により設定しているものと把握しており、区によっては財政負担の在り方などについて課題もあると聞いております。
次に、区独自の補助額の増額について御答弁申し上げます。
御指摘のように保育士をはじめとした保育関係施設職員に関しましては、定員拡大に伴い、施設増により人材確保が喫緊の課題となっており、国や都の制度を含め、家賃助成制度などの支援が行われております。
区内の私立幼稚園においても、年々人材確保が厳しい状況になっている一方で、新たな補助制度の創設に当たっては、保育士等処遇改善と同様の国や都の制度がない中では、区独自の取組による財源負担も生じるため、課題が大きいものと考えております。
区といたしましては、人材の確保や定着、離職防止といった視点は重要であると認識しており、現行の幼児教育振興補助金の在り方などを含め、関係機関と丁寧に意見交換を重ねるとともに、議員お話しの保護者補助の見直しについては、保護者が区内の私立幼稚園を選択できる環境が守られるよう、保護者の負担軽減や幼稚園運営の安定化に資するため前向きに取り組んでまいります。
以上でございます。
◎釘宮 みどり33推進担当部長 私からは、世田谷公園の運動施設の夜間利用についてお答えいたします。
世田谷公園にあるテニスコート及びサッカー場と併用している軟式野球場は、一九八四年に夜間照明が整備され、これまで終了時間を、四月から十月は二十一時まで、十一月から三月は十七時までとしてまいりました。
この終了時間は、夜間利用が及ぼす近隣への生活に配慮し、照明整備をしたときの説明と、近隣の方々の御協力の下、設定されております。
これまで時間帯の延長を求める声がある一方で、マナーの悪い夜間利用に対する御意見を多くいただいていたこと、また、延長に伴う受付や駐車場運営などに二百万円ほどの経費がかかることなども課題だと考えております。
しかしながら、スポーツ需要の高さなどに応えていくためにも、施設の有効利用を図るべきとは考えております。年間を通して二十一時まで延長すれば、二時間を一コマとする総コマ数が、野球場で約三百、テニスコートで約六百増え、経費増を上回る収入が見込める可能性もあります。
現行の時間帯での運用が長年にわたっていることから、引き続き近隣住民に十分に配慮することを前提としながらも、世田谷公園スポーツ施設の夜間延長に伴う費用や運営課題などを精査し、延長の可能性について検討してまいります。
私からは以上でございます。
◎工藤
玉川総合支所長 私からは、上用賀一丁目地区の国有地について二点御答弁いたします。
厚生労働省が所管する上用賀の国立医薬品食品衛生研究所跡地につきましては、地元まちづくり協議会からのまちづくりの提案を契機に検討を進め、区では昨年十二月に上用賀一丁目地区地区計画を変更しております。
本地区計画では、馬事公苑一帯が広域避難場所であることを踏まえ、国衛研跡地における戸建て住宅の建築の制限、建蔽率の制限、歩道状空地や広場などの空間確保を定めております。
これら地区計画による建物などに対するルールを活用しながら、国衛研跡地に避難上有効なオープンスペースの確保を図り、将来予想される土地利用の転換後も、広域避難場所としての機能の維持を図ってまいります。
次に、国への働きかけについてです。
現在、国衛研跡地では、更地化に向け、建物の解体・除染工事が進められており、工事完了後、厚生労働省から未利用国有地の管理処分を所管する財務省に移管され、その後の売却を含めた跡地利用方針については財務省が検討を行っていくことになると区では認識しております。
区はこれまでも、地元町会や協議会からの国衛研敷地内の樹木の保全要望などに対し、厚生労働省への橋渡しなどを行ってまいりましたが、引き続き地元からの御意見、御要望などに耳を傾けながら、国に対しては、広域避難場所としての機能の維持、向上を目指す地区計画の方針にのっとった土地利用になるよう働きかけを行ってまいります。
以上です。
◎田中 経済産業部長 私からは四点、まずは跡地活用の状況について二点御答弁いたします。
令和元年十一月の区民生活常任委員会で報告した世田谷ものづくり学校事業の検証と今後の方向性についてをベースに、有識者との意見交換、基本コンセプト作成、サウンディング調査などを実施してきましたが、この間の区民、事業者、議会等の御意見を踏まえ、現在、改めて政策経営部とともに旧池尻中学校施設の活用方法について及び産業活性化拠点のあり方についての検討を進めております。
次に、有識者との意見交換についてです。
経済産業部を中心に進める産業活性化拠点のあり方については、新たな活力の創出や既存産業の活性化の方策など、区民、区内事業者にどのような価値をもたらすかといった観点も含め、有識者や産業関係者との意見交換を複数回行い、内容を補強していきます。
これら二点につきまして、それぞれお示しするタイミングが異なることもありますが、十二月から二月くらいを目安にして議会に報告したいと考えております。
次に、小学校との境界線について、また、その境界線を確定させる時期についての二点についてです。
池尻小学校と旧池尻中学校跡地活用の敷地境界線につきましては、本年二月の文教常任委員会にて、そのおおむねの位置をお示しし、その位置を基本としてサウンディング調査を実施いたしました。
一方、この間、グラウンドを利用している方々からも意見をいただいており、教育委員会とも調整を進めています。
境界線を決める時期については、現在、政策経営部とともに進めている検討の結果を踏まえ、適切な時期に教育委員会とも協議しながら判断したいと考えております。
私からは以上です。
◆二十八番(菅沼つとむ 議員) 質問します。
世田谷区の私立幼稚園の助成金は、令和元年度では七千円ついていたんですよ。それが、国、東京都が補助金を出すと、世田谷区は七千円を千円に下げたのです。
また、目黒区では、東京都、国の補助金がついても、助成金がついても、逆に一万円に上げているのです。それから、また大田区は、都、国の補助金がついても、八千円のまま今まで来ている。だから、これだけ世田谷と格差が開いている。幼児教育の重要さというのをほかの区は認めているわけですよ。それで、目黒区とあまりにも格差がついている。
それから、世田谷区の私立幼稚園の保護者の負担軽減も考えないと。保育園のほうはやっているけれども、家賃補助も何もないわけですから、再度答弁をお願いします。
次に、今の答弁でも、池尻小学校の校庭から第二校庭を含めて、境界線を決定する時期については、経済産業部、それから政策経営部、教育委員会と適切に協議しながらやりますと言うのだけれども、適切な協議というのはいつなのか、聞きます。
それから、校庭の境界線が決定しないで、例えば民間事業者にそれを入札できるのか。常識的には、そんな、民間ではあり得ないことなんだ。そういう計画でよいのか、二点目に聞きます。
三点目は、池尻中学校の跡地の、教育委員会の所管ですが、教育委員会の所管のまま、それを入札するのか、所管替えをするのか、その辺をお聞きします。
それから、池尻中学校の跡地で、令和三年度中とおっしゃっていますけれども、第一回定例会、予算委員会を除くと、常任の定例会は、あと二回、十二月と二月しかないのです。本当に大丈夫なのか聞きます。
◎柳澤 子ども・若者部長 菅沼議員からの再質問に御答弁申し上げます。
まず、私立幼稚園の保護者負担の軽減についてでございますが、現行の助成額につきましては、幼児教育・保育の無償化に伴いまして補助額の見直しを行ったところでございます。ただ、区内の各私立幼稚園では、子どもを取り巻く状況の変化により、近年、保育料の増額を余儀なくされているという状況もございますので、区といたしましては、保護者の方が区内の私立幼稚園を選択できる、こうした環境が守られるよう、保護者補助の上乗せ部分の見直しに向けて前向きに取り組んでまいります。
また、保育士の処遇改善と同様の取組につきましては、国や都の制度がないという中では、区独自の財源負担といった大きな課題もございますので、慎重に取り扱う必要があると考えてございます。
以上でございます。
◎田中 経済産業部長 再質問にお答えします。
池尻小学校と旧池尻中学校跡地活用の境界線をいつ決めるのかという御質問については、令和三年度を目途に実施したいということで、現在、諸調整をしているところです。
また、入札できるのかという御質問ですけれども、今回、敷地を確定しなければ、事業者がやる範囲というのが決まりませんので、これは入札ではなくプロポーザル形式ということで、今、想定しておりますけれども、敷地の境界線は確定後にプロポーザルを実施するということで考えております。
次に、その敷地について、教育委員会の所管のままなのかという御質問につきましては、こちらは経済産業部の所管としての活用ということで考えております。
次に、跡地活用について、議会への報告期間があと二回しかないという御指摘につきましては、現在、政策経営部とともに急ぎ検討しているところ、その部分を取りまとめまして報告していきたいと考えております。
以上です。
◆二十八番(菅沼つとむ 議員) 世田谷公園の野球場、サッカー場は、やはりあるものですから、地域にはある程度、御迷惑かけないようにして、やはり有効活用するべきだと思っています。
池尻中学校の跡地活用、これはなぜかというと、九月にも、やはり具体的なやつを議会に示さなかった、十一月も示さなかった。三月に示しますと。第一、来年の第一回定例会のときに、私たちに、議員全員に、こういうわけで、池尻中学校を有効活用できますよというものを示せなくては判断できない。やはりその辺をきちんと区として考えていただきたい。
終わります。
○下山芳男 議長 以上で菅沼つとむ議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、四十三番羽田圭二議員。
〔四十三番羽田圭二議員登壇〕(拍手)
◆四十三番(羽田圭二 議員) 最初に、コロナ禍を踏まえた地域経済政策について伺います。
今後、地域経済を持続可能にするためには、コロナ以前の経済に戻ることではなく、コロナ後を見据えた中長期的ビジョンを打ち出すことが必要だと考えます。
規制緩和によって官から民へと民間活力を強めた一方で、公共サービスに参入した企業は市場を広げてもうかり、一定税収が増えたと言います。しかし、他方では非正規労働者が増え、低賃金化が進んだものとも言えます。
低所得層の個人所得は以前より下がり、個人消費はどの世帯層においても落ちていると言います。需要が伸びなければ、企業は設備投資を控えるというのが現在の経済です。
新しい政府は、前の政府と同様、賃上げに積極的な企業への税制優遇措置等を打ち出しました。そもそも賃上げ企業への優遇措置は、税制面や新たな投資などに対して行われるなど、既に導入されていたものです。にもかかわらず企業が賃上げに消極的だったのは、需要が伸びなかったからであり、個人所得が増えなければ物を買わない、物が売れない、そして新たな投資は行えないというのが企業の姿です。
需要を伸ばすためには個人の所得を増やすことが必要であり、個人所得を増やす近道は、貸金の引上げにほかなりません。
そこで、公契約検討委員会や労働報酬下限額検討部会では、来春からの労働報酬下限額の引上げが言われています。労働報酬下限額の引上げは、都の最低賃金額とともに、区内で働く労働者の貸金引上げにつなげなければならないと考えます。区の見解を伺います。
家計支援の生活給付金は、その場しのぎで根本的な解決には至らないと言えないでしょうか。コロナ禍で生活に著しい影響が出ている人々への支援を継続するとともに、これまで恩恵が得られなかった現役世代や次世代を含めた全世代を包摂する支援の仕組みを確立することが必要です。
無年金や僅かな年金で暮らす高齢者をはじめ、ひとり親世帯への現金給付とともに、かねてから提案してきた福祉、保育、教育分野などサービスの無償化に向けた普遍的支援の拡充が求められています。
今日は元気で働いていても、明日は病気や、けがをして働けなくなるかもしれません。家族に介護が必要になったとき、子どもの進学費用がかかるとき、その時々の家庭の負担を取り除くための制度やルールづくりが必要です。
ところが、格差が広がり、税の恩恵を受ける側と受けられない側との分断と対立が生じるようになってしまったと言っても言い過ぎではありません。
この分断や対立をなくすためには、新たな制度の確立に向けた双方の話合いが欠かせません。
今後の区政運営では参加と協働が一段と求められています。社会全体が包摂する制度づくりには、当事者を含めた多様な意見が集約されることが必要と考えます。区の見解を伺います。
先日開催された世田谷区公契約シンポでは、改めて参加と協働の意味が確認されたと思っています。事業者と労働団体、区民、区が一つのテーブルに着いて、条例制定、労働報酬下限額の在り方、入札制度改革などについて議論を重ねる中から一定の方向性が見出されたことです。本来対立する意見も、経済や社会、互いの状況を認識しながら議論することで、一致点が見られるのだと思います。
次に、総合的な視点に立った教育政策について伺います。
いじめによる自殺、不登校児童生徒の増加、教員の病気休職や不祥事の現状など、公教育が抱える問題に個別の対策が取られてきました。ところが、これら問題の背景には、現在の学校教育が抱える課題があるのではないでしょうか。
いじめ、不登校、教員の長期病欠、不祥事などを学校教育が抱える問題として総合的に捉え、今の教育政策に何が必要なのかを考えるべきです。区の見解を伺います。
児童生徒、教職員等の多様な意見を取り入れた学校運営が、誰にとっても楽しい学校づくりにつながっていくのではないでしょうか。
今、公立学校においてイエナプランの採用が始まっています。これまで公立学校での異年学級編制は、児童生徒が激減した学校以外は認められてきませんでしたが、来年度は広島県福山市において、公立学校初のイエナプランによる教育が実施されると聞きます。
現在、区内では、中里小学校の世田谷区研究推進校としての取組があります。毎週木曜日の午後の総合的な学習や週三回の短時間学習の場に限定はされてはいますが、学年を超えたクラスの編制の下で、子どもにとっては互いに学び、自由に意見が言える場になっていると言います。
また、教員にとっては、担任一人が課題を抱え込まずに、学年を超えて相談し合うなどの機会が生まれていると言います。
年齢を超えた子どもたちが一緒に学び合うことで、教職員も子どもたちも対話を大切にすることで、いろいろな考え方を知り、理解を深めていくことにつながり、信頼関係が生まれているとされています。
区立中里小学校で実施してきたレインボープランはイエナプランにつながるところがないでしょうか。この間の検証結果を踏まえ、区の教育政策にどのように生かしていくのか、お聞きします。
次に、地域特性を生かした魅力ある都市政策について伺います。
地域特性に応じたまちづくりが求められています。外環道工事の陥没事故では、掘削現場周辺の土壌や地質調査の不十分さが指摘されました。水と緑など、自然環境とともに景観や風景など周辺環境との調和など、以前から問われてきた課題が背後に追いやられていないでしょうか。
地域特性と言った場合、改めて水脈や地質や土壌などを踏まえた建物の建設や土地利用の在り方が求められています。区は、土地利用周辺の水脈や地質、土壌などを事前に把握することが大切になっていないでしょうか。事業者や周辺住民への情報提供含めた区の対応を伺います。
中規模の土地利用転換では、集合住宅等の建設が顕著になっています。建築主の事前説明が不十分なまま、周辺住民の声が届かないまま着工される場合も多くなっています。
工事計画を報告することや、周辺住民の声を把握するための説明会の開催を義務化できないでしょうか。区の対応を伺います。
既存の道路計画では、商店街が寸断されるケースが散見されています。計画されている道路幅にもよりますが、地元商店街や周辺住民の意思決定がより重要になっています。
道路用地の土地買収では、小売店等が転居またはセットバックによって撤退するケースがあり、また、道路計画が長期化しているために、まちづくりが進展しないこととなり、既存の小売店等の収益の悪化につながっているという指摘もあります。
街路事業における歩道整備や町並みの形成など、まちづくりにおいて住民参加の徹底が一段と求められていると考えます。区の見解と今後の対応を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 羽田議員にお答えをいたします。
参加と協働、そして社会的包摂に関してでございます。
区では基本計画において、区民が主体的に地域を運営する住民自治の確立に向け、参加と協働を区政運営の土台に据えてまいりました。この考え方に基づいて、各地区単位で車座集会を過去三回開催し、テーマ別のシンポジウムや、また無作為抽出による住民ワークショップなどを行い、多様な意見をいただいてまいりました。
また、基本計画では、誰もが世田谷区の一員として、それぞれの方が自らの意思で生き方を選択しながら地域社会に参加することができるという社会的包摂の仕組みづくりについて基本方針に掲げております。
区民や地域の課題がますます複雑化する中で、同じ地域で生活する方々の参加と協働により、互いの理解を深め、合意形成を図っていくことは大変時間がかかります。また、議論を重ねるという労力も要しますが、しかし、それをいとわず、しっかりと実現させていくべきだと考えております。誰一人取り残さない包摂的な社会をつくるために必要な考え方と手法であると考えております。
今後より広く多様な区民意見を集約し、参加と協働をさらによいものにしていくためには、飛躍的な開発が進んでいるデジタル技術の活用も不可欠と考えています。デジタルを活用した多様な参加と協働を発展、深化させるデジタルデモクラシーにより、さらにその先を見据えた区政運営を進めてまいります。
以上です。
◎松村 技監 私からは、地域特性を生かした魅力ある都市政策について、街路事業における住民参加の徹底についてお答えをいたします。
区では、都市計画道路事業などの新規着手に合わせまして、地域の特性などを踏まえ、土地利用に係る都市計画の変更、地区計画の策定などによりまして、沿道地区の生活環境等の維持向上、地域特性に即した町並みの形成を目指したまちづくりに取り組んでおります。
この取組に当たりましては、事業に御協力いただく方々をはじめ、地域の皆さんの参加を得た街づくり懇談会などを開催しまして、意見交換を重ねながら進めてきております。
地域の声を丁寧に伺い、地域の皆さんとの協働により沿道地区のまちづくりを進めることによりまして、例えば商業地において、事業地の用地取得に伴い、一たびは既存の商環境が影響を受ける場合があっても、都市の基盤を整えつつ、新たなまちの再生と発展につながる将来ビジョンを地域の皆さんと共有し進めることができるものと考えております。
また近年、ウオーカブルなまちづくり、居心地がよく歩きたくなる道路など、地域のにぎわいと発展に資する道路空間の活用がクローズアップされております。
幅員の広い歩道が整備される事業などでは、道路空間がエリアマネジメントなどの地域主体、住民主体の活動のフィールドとなり、区も適切に支援することで、地域特性を生かしたまちの魅力の向上や、新たなにぎわいの創出につながるものと考えております。
今後も街路整備が地域の防災性の向上や交通の円滑化などの機能の実現のみならず、地域の皆さんの参加と協働により、魅力あるまちづくりに資するものとなるよう、引き続き取り組んでまいります。
以上でございます。
◎田中 経済産業部長 私からは、賃金の引上げについて御答弁いたします。
労働報酬下限額は、世田谷区公契約条例に基づき、本年三月に公示され、現在、予定価格三千万円以上の工事請負契約の最も低い単価及び予定価格二千万円以上の委託等の契約は、一時間当たり千百三十円となっています。これは、東京都の最低賃金額千四十一円を上回る金額です。
区との契約業務に従事する方の適正な労働条件の確保という労働報酬下限額を定める趣旨を踏まえ、この取組を呼び水にして、区内労働者の労働条件の向上につながるものと期待されるところです。
そのためには、賃金が上がる土壌づくりとして、デジタル化など生産性向上への取組等が極めて重要と考えており、区では、職場環境整備支援、ハンズオン支援、業態転換及び新ビジネス創出支援補助等の支援に取り組んでいます。
また、国においても、看護、介護、保育、幼児教育などで働く人の収入の引上げを含め、設備の投資や働く人の処遇改善を行う事業者への助成を拡充するとしています。
引き続き公契約条例の所管とも連携し、事業者にこうした区や国、東京都の取組の周知に努め、働く人の賃金向上につながるよう支援してまいります。
私からは以上です。
◎粟井 教育政策部長 私からは、二点お答え申し上げます。
初めに、今の教育政策に必要なものということでございます。
議員御指摘のとおり、学校教育の抱える課題は、いじめ、不登校、教員の長期病欠など多岐にわたっております。それらの解決に向けては、学校教育を取り巻く様々な社会環境の変化を見据え、課題に対する原因を多面的に捉えていくとともに、総合的、長期的な視点に立って、子どもや教員等の意見を柔軟に取り入れた学校運営を進めていくことが重要であると認識しております。
教育委員会といたしましては、誰もが安心して過ごすことのできる魅力ある学校を創造するために、
教育総合センターにおける子どもや教員に対する相談機能を充実させて、子どもや教員の不安の解消に努めるとともに、相談の内容を分析することで、今後の教育政策に生かしてまいります。
次に、中里小学校でのレインボープランについてお答え申し上げます。
中里小学校につきましては、今年度、世田谷区教育委員会研究指定校として中里レインボープランとして、教育研究に取り組んでおります。
この中里レインボープランでは、イエナプランを参考としながら、低中高学年ごとのファミリーグループをつくり、年間を通じて週三回、十五分間の短時間学習を設定しております。その中で漢字の書き方を教え合ったり、詩の朗読を披露し合ったりするなど、異学年の子どもたちが活発に学び合っております。
このように異学年からの多様な考えに触れる機会を通して主体的に学ぶ姿や、相互に認め合う中で自己肯定感が高まるといった学習効果に加えて、教員間の協力体制の構築にもつながっております。
教育委員会といたしましても、合同研究発表会にて、その成果を広く区内に発信するとともに、成果などのデータを集積し、教育施策の立案に生かしてまいります。
以上でございます。
◎工藤
玉川総合支所長 私からは、地域特性に応じたまちづくりについて二点御答弁いたします。
まず、地域の情報提供についてです。
総合支所では、区民の自主的なまちづくり活動や、地域が守り育てていること、地域住民の思いなど、様々なまちの情報の蓄積がございます。
また、過去の建築工事の際に測定された地下水位、ボーリングデータなどの地盤状況が分かるデータも保有しております。
それらの情報を建築事業者が建築計画を進める上での窓口相談等の機会を通じて情報提供することにより、事業者が建築計画に反映したり、工事施工に当たっての振動対策などの配慮事項につながるよう、事業者と情報共有していくことは、地域特性に応じたまちづくりにおいて大変重要であると考えております。
今後も関係所管との連携を図りながら、建築事業者に対しましてきめ細やかな地域情報の提供を行い、地域特性に応じたまちづくりを進めてまいります。
次に、建築に伴う説明会の開催についてです。
敷地三千平方メートル以上または延べ床面積五千平方メートル以上の建築計画では、街づくり条例に基づきまして、説明会による建築構想段階での周辺住民への情報提供が義務づけられております。
一方、これ以下の規模の中高層の建物では、中高層建築物等の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例において、建築確認申請前の標識設置や近隣への計画説明の義務を定めておりますが、説明会の開催義務までは定められておりません。
そのような中、総合支所におきましては、計画地周辺にお住まいの方などから、建築事業主からの事前説明が不十分なことや、住環境の変化に対する御心配などの御相談が寄せられることがございます。
その際には、事業者に対しまして、個別訪問などにより、詳しく丁寧に計画を説明するよう指導しており、また、説明会開催の要望などがある場合につきましては、意見交換の場づくりにより、周辺住民の方への建築計画への理解が得られるよう、より丁寧で誠実な対応として、建築事業者への説明会開催について提案、要望するなど、調整を図り、近隣紛争に発展しないよう努めております。
今後につきましても、周辺環境等への配慮と、相互の近隣関係を損なうことなく、理解を得ながらの建築計画が進められるよう、区民と事業者の間に立ち、紛争予防に取り組んでまいります。
以上です。
◆四十三番(羽田圭二 議員) 今後の都市政策の項なんですが、住宅街における建築行為のうち、集合住宅の建設によって地下を掘削するというケースが多くなってきているということです。それは低層の住宅街でその集合住宅が建つということで、周辺環境への影響が出てくるということになるかと思います。
今までそういう建物がなかなか建っていなかった、その地域に建てられるということなので、今回指摘しました地盤や水脈や地質、土壌などの調査、これらはもともと建物を建てる側が行うわけですが、あらかじめ情報をつかんでいる区が、しっかりとそれを踏まえた対応策を取って動く必要があるだろうと。
それは事業者側だけではなくて、同時にその周辺住民に改めて、今そうした状況にあるということを伝えながら対応を取っていく、それが逆に紛争防止にもつながっていくのではないかと私は考えております。
それから道路計画の関係は、先ほど答弁ありましたように、地域の声をできるだけつかみながら、参加を通じて行っていくということですが、これらも今後、よりそれぞれの心に寄り添った対応を重ねて求めておきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○下山芳男 議長 以上で羽田圭二議員の質問は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後四時四十五分休憩
──────────────────
午後四時五十五分開議
○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を続けます。
五番ひうち優子議員。
〔五番ひうち優子議員登壇〕(拍手)
◆五番(ひうち優子 議員) 本日は、前回の定例会に引き続き、ワクチン接種体制について、まず伺います。
前回の質問では、当初、四十代以下の世代の方から、ワクチンの予約が全く取れないという問合せを多くいただいたこと、一方で、新宿区では二十代から五十代の接種を優先的に行っており、かなり早かったことを取り上げ、区内事業者の職域接種枠や近隣自治体のワクチン枠、余剰ワクチンの接種、区内クリニックでの個別接種の拡大など、様々な工夫を行いワクチン接種体制を強化していただきたい旨の質問をいたしました。まず、現在の区内のワクチン接種率について伺います。
次に、一回目、二回目のワクチン接種の経験を踏まえて、三回目のワクチン接種にどのように生かしていくのか、ワクチン接種体制についてお伺いをいたします。
次に、教科担任制について伺います。
私は、昨年の第四回定例会で、私自身が小学校から教科担任制で育ったことから、自分自身の経験を踏まえて、学級経営と教科を分離することで教員の負担軽減につながること、また、子どもたちにとって、多くの先生に接する機会が増えることなどから、教科担任制を積極的に導入するように質問をいたしました。
その後、文部科学省は、二〇二二年度から公立小学校の五、六年生の英語、算数、理科、体育を対象に、教科担任制を本格導入することといたしました。しかし、文部科学省によると、教科担任制の導入に伴い、四年間で全国で約八千八百人の教員の増員が必要ということです。
一方で、財務省は財政制度等審議会で、公立の小中学校が連携をして、教員を中学校から派遣をしたりオンラインを工夫すれば、教員を増やさなくても導入できる可能性があるとしています。
そこで、来年度から導入される教科担任制について、前回からの進捗状況と、教員の確保など今後の方向性についてお伺いをいたします。
次に、電動キックボードの安全対策について伺います。
私はこれまで、日本でも普及し始めている電動キックボードについて、安全対策を早急に講じる必要があると質問をしてきました。懸念していたとおり、運転マナーの悪化が全国的に深刻な問題となっております。
大阪では、電動キックボードの無免許運転の摘発が相次ぎ、歩行者をひき逃げして重傷を負わせたとして逮捕者が出たほか、東京でも、赤信号を無視して交差点でタクシーと衝突した無免許運転の女性が送検されたことが、先日、報道されました。東京都での事故件数は昨年の約十二倍となっております。
日本より先行して電動キックボードが普及している海外でも、事故の多発を受けて規制強化を実施しております。
世田谷区内でもかなりの頻度で電動キックボードを見かけるようになり、私のところに、小学校高学年くらいの女の子が、ナンバープレートをつけていない違法な電動キックボードで、一方通行を逆走しているところを目撃した、自動車と衝突する寸前だったとの声をいただきました。
そのような中、東京都内の各自治体で、電動キックボードのシェアリングサービスを行うための公道での実証実験が行われ始めております。
電動キックボードの先進国であるフランスでは、公道に電動キックボードの専用レーンを設置し始めておりますが、国内では、実証実験のみが自転車専用通行帯を走行できるにすぎません。
そこで、世田谷区として、今後ますます普及する電動キックボードに対して、早急に安全対策や区民へのルールの啓発などをする必要があると考えております。
他自治体、目黒区、品川区、中央区、港区、荒川区、葛飾区は、区の公式ホームページで電動キックボードに対して注意喚起を行っております。世田谷区でもホームページで注意喚起を行うなどして、電動キックボードの安全対策、ルールの啓発を行うべきと考えます。見解をお伺いいたします。
また、本来、免許が必要なため、小中学生は電動キックボードに乗れないはずですが、学校教育での啓発をする必要があると考えます。この点、教育委員会に見解をお伺いいたします。
次に、区営住宅へのエレベーター設置について伺います。
前回の定例会で、上用賀の方からの声、上用賀五丁目の区営住宅の二号棟にエレベーターが設置されていない。八十代、九十代の高齢の方が多く、階段で四階は、ごみ出しなどかなりきつい、大変との声をいただき、区営住宅へのエレベーター整備について質問をいたしましたが、あまり前向きな答弁をいただけませんでした。
その後、調べてみたところ、国土交通省内に検討会議が設置され、長崎県や兵庫県、そして滋賀県、また隣の川崎市でも実績があることが判明をいたしました。
特に川崎市の場合は、従来の方法とは逆に、ベランダ側に通し廊下を増築し、エレベーターと非常階段を設置する方法であります。
また、滋賀県長浜市の事例では、従来の入り口側にプライバシーを配慮して、少し離れた位置に通し廊下を設置し、かつバリアフリーも実現できます。
特に隣接する川崎市とは、包括連携協定も存在しており、川崎市や滋賀県長浜市の事例を参考にして、高齢化の進む住宅へのエレベーターを設置していただきたいと考えます。見解をお伺いいたします。
そして、高齢化が進む中、建て替えを待ってはいられないという高齢者の方も多いと考えられるので、世田谷区として積極的に対策を講じるべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。
次に、シリーズで質問をしている自転車の安全対策について伺います。
先日、商店街企画の世田谷公園での交通安全イベントに行ってまいりました。世田谷区も参加をしておりましたが、親子向けに自転車の乗り方、危険行為など、実際にデモンストレーションを行っており、大変分かりやすいものでした。
世田谷区では、以前からスタントマンを使った事故再現型の自転車安全教室を、中学校で三年間に一回は必ず受けられるように行っているほか、地域からの要請で、一般向けに町なかでも行っております。
コロナ禍でイベントが自粛されている現状ですが、一方で自転車の利用者は確実に増えております。アフターコロナとして、自転車の安全イベントを、地域からの要請に積極的に対応していただきたいと考えます。
特に世田谷公園での交通安全イベントは、小学校前の保育園児、幼稚園児に対して行っており、子どもはもちろん、子どもを連れた親にも自転車の安全対策について関心を持っていただいたと考えております。
特に幼児期においては、心身の発達段階に応じて、自転車も含めて交通ルールを学ぶことが大切と考えます。未就学児に対して継続的に、自転車も含めた交通安全教育を行っていく必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。
また、以前に区民の方から、保育園、幼稚園に送り迎えする保護者の方の自転車が、スピードが出ているという声を受け、保育園、幼稚園に送り迎えする保護者の方向けに、出前教室や冊子を配布して安全教育を行っていただきたいと質問いたしましたが、その後の進捗と今後についてお伺いをいたします。
次に、シェアサイクルの普及について伺います。
現在、世田谷区では、ハローサイクリングと公共施設を提供して、連携を行っております。区民の方からは、ドコモのシェアサイクルとも連携をしてほしいとの声をいただきます。
そこで、ドコモやループなど区内の民間事業者が実施している様々なシェアサイクルと連携をすることが、区民の方のシェアサイクルの利用範囲を拡大し、選択肢を広げる上で有効と考えます。見解をお伺いいたします。
次に、図書館カウンターについて伺います。
図書館カウンターは本のない図書館で、何も大きな図書館を造らなくても、本の貸出し、返却、取り寄せ機能だけを整備をすることで、駅近で、図書館が整備できない場所でも有効であると何度も繰り返し申してまいりました。
三つ目の図書館カウンターが、ついに下北沢に整備予定となっております。図書館カウンター下北沢の進捗状況についてお伺いをいたします。
最後に、環境に配慮したESG債の購入について伺います。
世田谷区は、ふるさと納税により七十億円もの財源流出が見込まれる中で、二酸化炭素排出実質ゼロを達成するためには、歳入の確保にも積極的に取り組む必要があります。
そこで、税外収入を確保するための方策の一つとして、積立基金を債券などで運用して利子収入を得る仕組みの取組についてお伺いをします。
世田谷区は、積立基金の運用により超低金利水準が長く続く中でも、二十三区で突出してトップの年間二億円を超える利子収入を上げて税外収入を確保していることを高く評価いたします。
一方で、国際エネルギー機関によると、パリ協定の目標達成には、二〇四〇年までに世界全体で八千兆円の投資が必要になると言われ、そのため日本でもESG債を発行する動きが広がっています。
そこで、今後、世田谷区でも債券を購入する際、環境に配慮したESG債も検討することを提案いたします。ESG債を購入することによって税外収入を得ると同時に、環境問題に積極的に取り組んでいる世田谷区をPRすることができると考えますが、見解をお伺いいたします。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎久末
住民接種担当部長 私からは、三回目接種に当たって、一、二回目の反省をどう生かしていくのかについて御答弁申し上げます。
区では、本日時点で対象者の八一・四%が二回目の接種を終え、接種が進んでいる状況と認識しております。一、二回目接種では、高齢者の予約に混乱があったことや、若年層の接種券送付とワクチン供給減の時期が重なり、接種予約を一時停止したことなど、三回目に向け改善すべき点が様々ございます。
三回目接種では、接種券の小分け発送やコールセンターの回線増により円滑な予約を図り、一、二回目接種の実績を踏まえて接種体制を整え、予約が取れない、接種が進まない時期が生じないよう努めてまいります。
また、診療所等での個別接種の実施や、区内職域接種の情報収集を行い、多様な接種機会を確保するとともに、接種機会が遅れることがないよう、ワクチン供給については、都や国に供給見通しの早期の提示と、必要な時期に必要な量を供給するよう要望してまいります。
以上でございます。
◎粟井 教育政策部長 私からは、二点お答え申し上げます。
初めに、教科担任制についてお答え申し上げます。
教科担任制につきましては、今年度より区内小学校一校が都教育委員会より小学校教科担任制等推進校に指定され、中学校理科の専科教員を配置するとともに、担任による教科の持ち合いなどにより研究を進めております。
これまで学校からは、専門性の高い学習指導や中学校における生活指導のノウハウの伝達、児童が担任以外の教員と接する機会が増えることによる支援の幅の広がりなどの成果が報告されております。
区教育委員会といたしましては、推進校の取組や、国や東京都の動向を踏まえ、教科担任制の在り方を検討してまいります。
次に、電動キックボードにおける学校教育での啓発についてお答え申し上げます。
電動キックボードは、最近まちで目にするようになり、子どもたちにとっても関心の高いものでありますが、公道を走行する際は、運転免許証や自賠責保険加入が必要であり、自転車とは道路交通法の扱いが異なるものであると認識しております。
学校では交通安全教室等で、自転車の乗り方と併せてキックボードの使用についても指導を行っております。今後は電動キックボードについても、その取扱いが明記されている道路交通法の遵守が必要であることなど、交通社会の一員としての安全教育に取り組んでまいります。
以上でございます。
◎青木 土木部長 私からは、四点について御答弁を申し上げます。
まず、電動キックボードの安全対策に関する御質問でございます。
電動キックボードは、実証実験中のシェアリング事業者によるものを除き、道路交通法上、原動機付自転車という取扱いになっており、交通法規に基づく安全な運転が義務づけられております。
しかしながら、ナンバープレートがなく、保安基準が満たされていない車両、歩道での走行など交通ルールが守られていない事例も見られ、区内においても電動キックボードに関連した交通事故が起きていると警察署からは聞いてございます。
区といたしましては、今後、区のホームページ等で注意喚起を図るなど、法令遵守の徹底や安全利用の啓発について、警察署とも連携を図るとともに、悪質な運転者への注意や指導については、引き続き警察署に申し伝えてまいります。
次に、幼児向けの交通安全教室に関する御質問でございます。
自分で歩けるようになる幼児期において、道路を安全に横断するための基本的な交通ルールを習得することは、交差点での重大事故の防止につながるものと考えております。
そのため、私立幼稚園や認定こども園に対し、児童向け交通安全教室の実施を呼びかけ、道路標識の意味、歩行者の通る場所、横断の仕方等基本的な交通ルールについて、参加や体験による啓発を行っており、昨年度までの五年間において延べ四十六園で実施し、今年度も十二園で予定をしております。
また、この間、地域の交通安全イベントにおいても、幼児向け交通安全教室を開催しており、七百名を超える親子に参加をいただきました。基本的な交通ルールや、自転車に乗るときの注意点などを学ぶ場ではありましたけれども、親子で交通安全の意識を持っていただくよい機会となっていると考えております。
区といたしましては、地域のイベントなど様々な場を活用しながら、引き続き幼児向けの交通安全教室に取り組んでまいります。
続いて、保育園等の保護者に対する自転車の安全教育についての御質問でございます。
保育園、幼稚園の送り迎えをする保護者は、長時間の交通安全教室を受講することが難しい実態があるため、区としては、通園等で自転車を利用されている保護者向けに小冊子「子育て自転車の選び方&乗り方」を広く配布し、自転車の安全利用の啓発を行っております。
また、このたび緊急事態宣言が終了したことから、未就学の子どもや保護者が集う場である区内のおでかけひろばに呼びかけ、自転車安全講習の実施を再開いたしました。
また、認証保育所の事務連絡会等を活用し、各園に対して保護者向けの講習会の実施希望を確認するなど、取組の強化を図っているところです。
区といたしましては、警察署とともに自転車安全キャンペーンを実施するなど、引き続き手法にも工夫を凝らしながら、子育て世代に向けた自転車の安全利用の啓発を広く積み重ねてまいります。
最後に、シェアサイクルの普及に関する御質問です。
区では、区民の移動利便性の向上や、区のコミュニティーサイクル「がやリン」との相互補完の可能性等を検証するため、民間提案型の民間連携事業として、令和二年四月から民間シェアサイクルの実証実験を進めております。
都内では複数の事業者によりシェアサイクル事業が展開されておりますが、自転車が設置されているステーションの分布状況も様々であり、また、事業者間での相互利用もできないことから、区内における各社の事業展開の状況にも注視しているところです。
区といたしましては、今後新たな事業者からの官民連携の提案があった際は、効果や条件、費用負担の有無等を踏まえ、連携の是非について判断を行うなど、民間シェアサイクルの普及促進を適切に支援しながら区民の移動利便性の向上に取り組んでまいります。
以上でございます。
◎畝目
都市整備政策部長 私からは、区営住宅の設置に関する二点の御答弁です。
初めに、川崎市などの事例を参考にした取組についてです。
築年数が古い区営住宅は、当時、法等に設置義務がなかったことから、エレベーターの設置はされてございません。他の自治体におきましても同様で、川崎市では、国の公的賃貸住宅長寿命化モデル事業により、階段室型の五階建て住宅の一棟におきまして、ベランダ側バルコニーの前に通路とエレベーターを新設してございますが、居住者の日照やプライバシー、共益費の承諾が難しいなど課題もあると聞いてございます。
また、東京都では廊下型の三階建てから五階建て十戸以上、階段室型は五階建て十戸以上の要件に計画してございますが、同様の課題が多いと聞いてございます。
長浜市の事例は、五階建ての空き家となりました建物の階段室を改修し、エレベーターや共用廊下を新設してバリアフリー化を図り、民間賃貸住宅としたものと伺ってございます。
区では、エレベーターのない区営住宅は五十四棟ございまして、入居者の高齢化が進む中、生活支援の取組は大変必要であると認識してございます。区といたしましては、都営住宅や他自治体、また御紹介等の取組、設置状況や費用、基準、また課題対応の取組など、収集した事例を参考に研究を進め、取り組んでまいります。
次に、高齢化が進む中、対策を講じるべきについてです。
区営住宅における居住者の高齢化に際しましては、電話や訪問による安否確認に加えまして、センサー対応など、検討を行ってございます。特に単身化されました世帯には、高齢者住宅への移転希望調査を行っておりまして、空室発生により順次対応をしてきているところでございます。
区といたしましては、引き続き見守りにより入居者の状況を把握しながら、エレベーターのない住宅におきましては、階段の上り下りの厳しい現状からも、まずは一階の住居や高齢者住宅に移転していただくなど、ソフト面での対応を図りつつ、他事例の研究を進め、入居者が快適に健康に生活できるよう取り組んでまいります。
以上でございます。
◎原田 会計管理者 私からは、環境に配慮したESG債の購入についてお答えします。
厳しい財政状況が続く中、少しでも税外収入を得るために、会計室では、元本割れのない安全性、緊急の需要に対応するための流動性を確保した上で、積立基金の運用を行っています。
議員御指摘のとおり、SDGsへの関心の高まりや地球温暖化対策の資金とするため、近年では、いわゆるESG債が多く発行される傾向があります。ESG債を購入することにより、発行元のホームページ等で環境問題に関心の高い自治体として紹介されることもあり、債券の安全性、流動性、効率性を考慮した上で積極的に購入を検討してまいります。
以上でございます。
◎内田 生涯学習部長 私からは、図書館カウンター下北沢の進捗状況についてお答えいたします。
令和四年三月下旬に開設予定の図書館カウンター下北沢につきましては、入居する商業施設の建物本体の工事はほぼ終了し、十二月からは各テナントの内装工事が始まるところです。
図書館カウンターを運営する事業者につきましては、現在、プロポーザルによる事業者選定を進めており、十二月中には事業者を選定する予定となっております。
十一月には京王電鉄より、商業施設の名称がミカン下北となり、図書館カウンターが設置されることも発表されました。区としましても、開設に向け着実に準備を進めてまいります。
以上でございます。
◆五番(ひうち優子 議員) 御答弁いただきましてありがとうございました。
最近、自転車のほかに電動キックボードと様々な乗り物が普及し始めております。安全対策をしっかり講じていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○下山芳男 議長 以上でひうち優子議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、四十四番中村公太朗議員。
〔四十四番中村公太朗議員登壇〕(拍手)
◆四十四番(中村公太朗 議員) 今回も入札制度改革についての質問から入らざるを得ません。今進められている制度改革の取組は、改悪となりかねないおそれがあり、これまで幾度か指摘をしてきましたが、残念ながらこれまでの答弁では、それが払拭されるような説明がされていないからであります。
特に新しく評価基準価格を設定することによる影響は、競争力がある区内事業者が、自社の積算よりもあえて高い金額で応札せざるを得ない環境を生み出します。
これから競争力を磨いていこうという区内事業者にしても、市場原理から外れた、中途半端に緩い特殊な積算をするという環境が常態化することによって、世田谷区と以外の工事契約における競争力を養うことが困難なことになるかもしれません。
改めて申し上げますが、これでは区内事業者育成とは真逆の、区内事業者衰退を助長する制度になってしまうのではないでしょうか。
区内事業者を工事能力に沿った積算ではなく、数当てゲームに巻き込むことは、納税者にとっても区にとっても、そして事業者にとっても将来的なメリットのない制度であると断じておきます。
来年度から試行が実施されるに当たり、実情に沿った不断の見直しを徹底すべきですが、例えば同種同規模の工事案件かつ同じ事業者の積算において、一般競争入札の応札額と、今回導入する総合評価方式の応札額の結果に差異があった場合、しっかりとした比較分析で原因を把握し、その状況によって予定価格の見直しや評価基準価格の設定における基準見直しも含めてブラッシュアップしていくつもりがあるのか伺います。
もう一点、総合評価方式の配点項目について指摘をします。
今回の制度変更によって、工事成績と優良工事実績が細かく配点の対象となります。現在は受注した工事が竣工した後に、区による採点が行われて工事成績評定が決まり、年間を通して上位十の工事が優良工事実績として点数が公表され、当該施工事業者は総合評価の入札で加点されるという制度が運用されています。
一方で、優良工事以外の工事は、その成績評定が非公表となっており、恣意的な加点、減点を操作することが仕組み上は可能な制度となってしまっています。
透明性を高めて不正の生じる可能性を排除するために、非公開にするメリットが見えないこの成績評定の運用について、今回の制度改革の導入に合わせて完全公開にするべきと考えますが、区の見解を伺います。
次に、小中学校の国際交流について伺います。
姉妹都市への海外派遣、中でもホームステイについては、子どもたちの成長過程において、多様化した社会で生き抜いていくための様々な感覚を養うことができる貴重な経験であり、派遣枠の拡大は十五年間継続して取り組んでいるテーマです。
残念ながらこの二年間、コロナ禍で、派遣枠拡大どころか、事業は中止せざるを得なく、対象学年の成長の機会が失われてしまいました。この海外派遣ができなかった学年に対して、教育における機会平等の観点からも、実施ができる状況になったタイミングでのフォローが必要かと思いますが、教育委員会として追加の機会提供など、何かしらの取組は考えているでしょうか、伺います。
また、従来の実施についても、仮に感染状況が落ち着きを見せているという前提で、来年度はどのように計画し、準備を進めているのか、また、これから進めていくつもりなのか、その状況を伺います。
特に検討段階で足踏みとなっているポートランド及び台湾との交流の実施に向けた相手方との継続的なコミュニケーションについて、現在の進捗をお聞かせください。
とは言いながらも、感染状況の見通しは極めて厳しい環境です。欧米では既に感染者数の増加が始まっており、姉妹都市もあるオーストリアでは、新規感染者数が過去最多を更新し、現在、全土でロックダウンが実施されています。加えてオミクロン株による影響と警戒が全世界に広がっています。
日本でも第六波が懸念されており、先を見通した準備は必要不可欠でありながら、目下コロナ禍における代替策もより充実させていくべきです。
そうした中、先般報告されたオンラインを活用した海外交流事業の実施について、推進の方向はもちろん評価しますが、参加者がたったの二十名というのはいただけません。この取組こそ、派遣できなかった対象学年へのフォローだけに使うのではなく、オンラインのメリットを最大限に生かした幅広い展開が必要なのではないでしょうか。
カリキュラムへの影響などで特定の学年だけに限定されてきた海外派遣の交流実施にもこだわる必要がなくなりますし、私立や国立に通う区内の子どもたちにまで参加の機会を広げていくべきと考えます。
まずは今年度、試行的に実施し、来年度以降の在り方を検討していくとのことですが、しっかりとこの観点を踏まえて検討していくべきと申し上げて、区の見解を伺います。
次に、幼保小中の交流、連携について質問します。
核家族化と少子化が進む中で、子どもたちを取り巻く環境は大きく変わっています。兄弟がいない子どもにとって、同学年以外の子どもと触れ合う機会は極めて限られていますし、兄弟がいたとしても、幅広い年代と触れ合い、世話をする、される、教える、教わる、幼少期から価値観を広げることは、成長を育み、人格形成に大きく寄与します。
年長園児と五年生の交流や、一年生と六年生がパートナーとなる活動は実施されているケースがあるようですが、必須の取組として、そのボリュームを増やしていくべきと考えます。
もちろん世田谷区の特性として、私立小中への進学という課題もありますが、その関係性が継続しつつ、深まっていけるような取組に注力すれば、そのつながりが将来的な世田谷の新たなコミュニティーとして、地域を支える大きな柱の一つになると確信します。教育委員会の認識と今後の取組について伺います。
最後に、災害時の備蓄品について質問します。
まずは緊急避難所等に常備してある非常食ですが、これらは消費期限を迎える一定期間前には入替えを行い、地域の方などへの配布が行われていると聞いています。しかしながら、技術革新と商品開発が進む中で、現在では二十五年保存可能なものまで登場しています。
担当所管では、こうした市場の動向をしっかり捉えて、購入と管理について適切な見直しをしているのでしょうか。単純に購入価格での費用対効果に加えて、長期保存が可能になることによる入替えの回数減、それに伴う労力減など、多角的に比較をした上で、様々なロスがない準備を徹底すべきですが、現在の取組状況を伺います。
続いて、家庭における非常時の備蓄品についても伺います。
区民全体が当事者となるような甚大な災害が発生した際、代表質問でも触れましたが、避難所の収容人数を考えれば、多くは在宅避難となります。しかし、十分な備蓄を準備している家庭は、全国的には二割や三割程度にとどまっているとのデータもあります。区として現在の世田谷の状況、その数字を高めるため、どのような取組をしてきたのか、今後どう進めていくつもりなのか伺います。
また、備蓄に回す余力のない困窮世帯に対して支援をする制度の有無を含め、どのような対策を取っていくのか、方向性をお示しください。
また併せて、災害時に支援物資の配布が実施された際に、避難所まで受け取りに行けない方への受渡しの支援もしくは平時からの備蓄の支援について、区の見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎工藤 財務部長 私からは、入札制度改革について二点御答弁をいたします。
まず一点目、施工実績による一般競争入札との比較検証と見直しについての御質問です。
今回の入札制度改革は、公契約条例の趣旨を入札制度に具体的に反映させ、適正な労働条件の確保や経営環境の改善を図り、品質と価格のバランスの取れた公共事業を目指すものでございます。
こうした考え方の下、来年度より試行する新たな総合評価方式入札では、試行能力、地域貢献に加えた公契約条例に基づく取組を評価するとともに、価格評価についても評価基準価格を新たに設定し、この価格を下回ると価格点が低減する仕組みとなっています。
この大きな改正に当たっては、試行実績の検証が欠かせないものと考えており、その要素の一つである入札価格についても、これまでの総合評価方式との対比に加え、価格のみの競争入札における工種、規模などの条件が類似する案件との比較分析も行いたいと考えております。
そのほか、入札参加事業者へのアンケート調査も併せて実施し、新方式における入札行動の変化などを含めた多角的な検証を進め、公契約適正化委員会や区議会にも御報告の上、検証結果に応じて、早期に必要かつ適切な見直しを図りながら、より効果的な制度運用につなげてまいります。
続きまして二点目です。工事成績評定の透明性や公平性の確保についての御質問です。
区では、一定金額以上の工事について、工事請負者の適正な選定や指導育成に資することを目的として、施工体制や現場管理、施工管理等の成績評定を実施しております。
この工事成績評定については、従来の施工能力審査型総合評価方式入札においても評価項目の一つとしておりましたが、来年度から試行を開始する新たな総合評価方式において、評価の実効性を高める観点から、評価を細分化するとともに、不良等の成績は減点とするとしています。
工事成績の評定に当たっては、担当者による恣意性が入り込まないよう、東京都と同様の基準を設け実施してきたところですけれども、今回の入札制度改革では、より透明性、客観性が求められることから、新方式の実施に合わせ、これまで非公表であった詳細な評価対象項目や評価対象工事全ての評価を公表する方向で準備を進めてまいります。
以上です。
◎粟井 教育政策部長 私からは四点お答え申し上げます。
初めに、コロナにより海外派遣に参加できなかった子どもたちへの手当てについてお答え申し上げます。
教育委員会といたしましては、新型
コロナウイルス感染症の影響で海外派遣の機会がなくなってしまった子どもたちにも、海外の人々や文化などに触れながら国際理解を深め、外国語を用いたコミュニケーション能力を育成する機会を設けていきたいと考えております。
今年度対象でありました小学校五年生と中学校二年生を来年度の募集対象に入れていくことも含め、コロナ禍により海外派遣の機会を逃してしまった子どもたちへの実施についても、今後検討してまいります。
次に、海外派遣の来年度の実施に向けての準備についてお答え申し上げます。
来年度の海外派遣につきましては、現在、受入先と調整しているところでございます。姉妹都市のオーストラリアのバンバリー市、オーストリアのウイーン市ドゥブリング区、カナダのウィニペグ市に加え、フィンランド、アメリカのポートランド市とは定期的に連絡を取っており、今後は社会状況を見ながら海外派遣の再開の機会を探ってまいります。また、台湾につきましても新たな派遣先として早期実現に向け準備を進めてまいります。
続きまして、海外派遣が難しい現状の中でのオンライン交流についてお答え申し上げます。
今年度は、二月に土日の二日間で、世田谷区立中学校の二、三年生二十名を対象にオンラインによる海外交流を試行的に実施する予定でございます。二日間を通じたプログラムで、本区の中学生とオーストラリアの家族がつながり、交流を深めてまいります。
あわせて、国際課と連携して、オーストラリアの学校と区立小中学校の学校間の交流についても進めているところでございます。
今回のオンラインによる海外交流事業の効果等を検証するとともに、来年度以降の実施に向けては、対象学年の幅を広げたり、世田谷区に在住している国立や私立に在籍している子どもたちの参加も検討してまいります。
今後、一人一台のタブレット端末を活用した海外の人たちとのオンライン交流を行うことで、児童生徒の国際感覚やコミュニケーション能力の育成に努めてまいります。
最後に、幼保小中の交流、連携の現状と今後の取組についてでございます。
幼保小中の交流、連携につきましては、幼稚園教育要領や小中学校の学習指導要領等において、その重要性が明確化されております。
区内には、年長の幼児と小学校五年生の児童が交流活動を行うことで、翌年には一緒に活動した小学生が最高学年となって新入生を迎えることができ、校内での交流につなげるという取組を行っている園・学校がございます。
また、小学校一年生と六年生がパートナーをつくり、年間を通して共に活動し、二年後に小学校三年生と中学校二年生へと進級した中で、その関係性を生かして、一緒にジャムづくりを行っていた学校では、中学生は小学生の成長を感じ、小学生は中学生のすばらしさをさらに感じる活動となっておりました。
このように、子ども同士の交流が単発的なものではなく、成長に合わせて継続的に行われることは、子どもの発達や学びの連続性を保障するとともに、将来の新たなコミュニティーの構築にもつながると考えております。
今後は、学び舎の特性を生かして、継続的に行われる幼保小中の交流について取組の幅を広げてまいります。
以上でございます。
◎菅井 危機管理部長 私からは、二点につきましてご答弁申し上げます。
初めに、指定避難所の備蓄品についてです。
備蓄品は、調達しやすいもの、安価なもの、多くの人が食べやすいもの、栄養面などを勘案いたしまして選択してまいりました。また、ビスケットなどの物量が多いものは、複数年をかけまして入替えをしており、備蓄品の均一化などの観点から、これまで大幅な見直しはしておりませんでした。
しかしながら、多様なニーズがあることや、品目が多様化していること、また、今までよりもより長期の保存が可能な保存食も開発されていることなどから、費用対効果なども踏まえた見直しに取り組む必要があると認識してございます。
見直しに当たりましては、多様なニーズへの細やかな配慮のために、避難所運営に携わる方々や、女性防災コーディネーターにも御協力をいただくことなどを検討しているところであり、早期の具体の見直しに向けまして検討を急いでまいります。
次に、在宅避難を想定した家庭への備蓄の推進と、備蓄が困難な家庭などへの支援についてです。
令和二年度の区民意識調査では、三日以上の食料を備蓄している区民の割合は約六四%となっており、区といたしましては、今後この割合の向上と、さらには七日以上の備蓄の達成を目指しております。
在宅避難を想定した家庭における備蓄の推進につきましては、町会・自治会や地域の活動団体を通じての啓発や、ローリングストックの具体的な実践例の周知、また、これらをSNSなどの媒体を通じて発信するなど、時代に即した手法により、新たな発想による備蓄の工夫の紹介など、取り組んでまいります。
また、新型
コロナウイルス感染症の拡大により在宅避難の一層の推進が求められる中、経済的な理由から備蓄ができずにいる家庭や、家庭で備蓄が尽きた後に避難所などに支援物資を受け取りに行くことが困難な方々について、その実態把握や具体の対策が十分にできていない現状がございます。
今後、意識啓発や物資のあっせんにとどまらず、避難行動要支援者の個別避難計画の作成の取組や、日常生活の支援との密接な連携が必要であると考えており、今後、庁内の各所管や関係機関、地域の方々とともに具体の検討に取り組んでまいります。
以上でございます。
◆四十四番(中村公太朗 議員) それぞれ答弁いただきました。僕に限った話ではありませんが、恐らく皆様方が今ここで発言した内容は、この場を乗り切る、議会を乗り切るためではなくて、しっかりと言葉に責任を持ってやっていただけるものだと思っています。行政はこれまで遅い遅いと言われてきましたけれども、それを払拭するように、この議会でやり取りされた答弁どおりに、しっかり見直すものは見直す、検討するものはちゃんと検討するということを徹底していただきますように指摘をして、終わりとさせていただきます。
○下山芳男 議長 以上で中村公太朗議員の質問は終わりました。
これで本日の一般質問は終了いたします。
────────────────────
○下山芳男 議長 以上をもちまして本日の日程は終了いたしました。
なお、明十二月一日は午前十時から本会議を開催いたしますので、御参集願います。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時三十六分散会...