世田谷区議会 2021-10-14
令和 3年 9月 決算特別委員会-10月14日-08号
令和 3年 9月
決算特別委員会-10月14日-08号令和 3年 9月
決算特別委員会
令和3年
決算特別委員会
決算特別委員会会議録第八号
日 時 令和三年十月十四日(木曜日)
場 所 大会議室
出席委員(四十三名)
委員長 加藤たいき
副委員長 いたいひとし
副委員長 ひえしま 進
阿久津 皇
石川ナオミ
おぎのけんじ
河野俊弘
宍戸三郎
菅沼つとむ
畠山晋一
真鍋よしゆき
和田ひでとし
岡本のぶ子
佐藤ひろと
高橋昭彦
平塚けいじ
福田たえ美
いそだ久美子
桜井純子
中塚さちよ
中村公太朗
中山みずほ
羽田圭二
藤井まな
大庭正明
田中優子
桃野芳文
江口じゅん子
たかじょう訓子
中里光夫
金井えり子
高岡じゅん子
田中みち子
小泉たま子
つるみけんご
あべ力也
上川あや
ひうち優子
佐藤美樹
そのべせいや
神尾りさ
くりはら博之
青空こうじ
出席事務局職員
議事担当係長 岡本俊彦
出席説明員
区長 保坂展人
副区長 中村哲也
副区長 岩本 康
世田谷総合支所
総合支所長 清水昭夫
保健福祉センター所長
土屋雅章
北沢総合支所
総合支所長 木本義彦
保健福祉センター所長
安間信雄
玉川総合支所 総合支所長 工藤 誠
保健福祉センター所長
山本恵造
砧総合支所 総合支所長 佐々木康史
烏山総合支所 総合支所長 皆川健一
保健福祉センター所長
相馬正信
政策経営部 部長 加賀谷 実
デジタル改革担当部
部長(
政策経営部長兼務)
加賀谷 実
交流推進担当部
部長 小澤弘美
総務部 部長 池田 豊
総務課長 後藤英一
庁舎整備担当部
部長 佐藤絵里
危機管理部 部長 菅井英樹
財務部 部長 工藤郁淳
施設営繕担当部
部長 小柴直樹
生活文化政策部
部長 片桐 誠
地域行政部 部長 舟波 勇
スポーツ推進部
部長 内田政夫
ホストタウン調整担当参事(
交流推進担当部長兼務)
小澤弘美
環境政策部 部長 清水優子
経済産業部 部長 田中耕太
清掃・リサイクル部
部長 辻 正
保健福祉政策部
部長 澁田景子
次長 有馬秀人
地域包括ケア担当参事(
保健福祉政策部長兼務)
澁田景子
高齢福祉部 部長 長岡光春
障害福祉部 部長 須藤剛志
子ども・若者部
部長 柳澤 純
児童相談所 所長 土橋俊彦
保育部 部長 和田康子
世田谷保健所 所長 辻 佳織
住民接種担当部
部長 久末佳枝
住民接種担当参事
羽川隆太
技監 松村浩之
都市整備政策部
部長 畝目晴彦
防災街づくり担当部
部長 笠原 聡
みどり33推進担当部
部長 釘宮洋之
道路・交通計画部
部長 田中太樹
土木部 部長 青木 誠
豪雨対策推進担当参事
桐山孝義
会計室 会計管理者 原田茂実
教育長 渡部理枝
教育監 粟井明彦
教育総務部 部長 知久孝之
教育政策部
部長(教育監兼務)
粟井明彦
生涯学習部 部長 内田潤一
選挙管理委員会事務局
局長 渡邉謙吉
監査事務局 局長 庄司秀人
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本日の会議に付した事件
認定第一号 令和二年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定
認定第二号 令和二年度世田谷区
国民健康保険事業会計歳入歳出決算認定
認定第三号 令和二年度世田谷区
後期高齢者医療会計歳入歳出決算認定
認定第四号 令和二年度世田谷区
介護保険事業会計歳入歳出決算認定
認定第五号 令和二年度世田谷区
学校給食費会計歳入歳出決算認定
(補充質疑、採決)
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午前十時開議
○加藤たいき 委員長 ただいまから
決算特別委員会を開会いたします。
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○加藤たいき 委員長 本日は、これまで審査してまいりました令和二年度決算五件の補充質疑を行います。
それでは、質疑に入ります。
新風・せたがやの風、どうぞ。
◆つるみけんご 委員 おはようございます。新風・せたがやの風の補充質疑を始めます。
先日の福祉保健領域の審議で、条例設置の世田谷区
認知症施策評価委員会と
プロジェクト推進チームの関係等について問題提起いたしました。その際、副区長のお考え、御感想をいただいたわけですが、ここで改めて、区としての御見解を求めることといたします。
この評価委員会には、区が実施する認知症施策事業に対して客観的な立場から評価検証を行い、区に答申されるという重要な使命があります。さらに、委員については、認知症御本人、学識経験者、専門医や地域の関係団体の代表者などで構成され、区から一歩離れた立場での施策の検証や提案など、大いに期待したいと思います。
ところが、今回この
施策評価委員会の下に
プロジェクト推進チームという、いわば実働部隊が編成され、評価対象の事業の実務を担っていただくよう区として依頼し、その役割をお引き受けいただくこととなりました。これにより、
プロジェクト推進チームが行う事業について
施策評価委員会自身がその運営と結果について責任を持つということになります。非常に特殊な構図であり、このことから、評価委員会の本来の目的である施策事業の客観的な評価ができるのかということ、これが一つの疑問です。
さらに、実際の評価委員会の議事録によりますと、実施される事務事業についての予算要求ともとれるやり取りが行われています。まさに、評価する側とされる側が一体となっている状況です。評価委員のお一人お一人の熱意、意欲は大変すばらしいと思います。だからこそ、評価委員会を評価する立場、評価される立場という混在した中に置くのではなく、早急にこの委員会の正当性を制度的に担保し、本来の機能発揮を保障するということが区の責務です。
これが、ひいては健全な区政運営につながるはずですが、区としての御見解を伺います。
◎中村 副区長
認知症施策評価委員会におきましては、主な役割は、条例上、調査審議であり、条例を具体化していくための議論をお願いしているところです。そこで、希望する委員には
プロジェクト推進チームに参画していただくことで、実態を踏まえた改善につなげる議論ができると判断しておりますが、
認知症施策評価委員会の運営・審議内容に疑念が抱かれることのないように配慮することが必要だと考えています。また、委員には、将来的に認知症施策が新たな条例に沿ったものとして軌道に乗った段階に達したときに、評価に軸足を置いていただくよう考えているところです。いずれにいたしましても、開かれた議論が客観的にできるよう努力し、進めてまいりたいと考えています。
◆つるみけんご 委員 小泉委員に替わります。
◆小泉たま子 委員 私は、世田谷区役所の現在の体質について大いに問題があると考えます。
総括質疑において、DXと地域行政は一体不可分のものであることから、誰が責任者なのかという質問をしたところ、お二人の副区長が密接に連携を取ると言われたのです。非常に疑問でしたが、そのことを基礎に区民生活領域で質問しました。
DX担当副区長が総括答弁で、DXの推進により生み出された人材や時間を地区に振り向けていくと言われたのです。これを踏まえ、
地域行政担当部門に、地区に振り向けられる人材の規模はどのぐらいと想定しているのかと質問したところ、全く質問には答えず、振り向けられた人材の活用方法だけを答弁したのです。
私は、今現在の地区の区関係人材が、割り返してみると一地区当たり六十四名程度となることから、その人材を従来の縦割りを超えて有効活用すべきと主張しています。具体的な数字まで示して提案しているにもかかわらず、区の考えが全く出てきません。この数字の上に、さらにDX推進により生み出された人数が上乗せされるはずであるところ、全く考えていない。これでは、実効性ある
地域行政推進計画などできるはずがありません。
これは、人事担当と地域行政担当が別々の責任者の下にあるからです。密接な連携を取ると言いながら、実は何もできていない。さらに、地域行政推進とDX推進を統合した責任者の在り方について質問した際に、地域行政担当副区長が、地域行政の推進に関しても全庁を挙げた課題だと思っている、思っていると言われました。思っていることが何の役に立つのでしょう。
既に総括質疑で第一会派の幹事長が、地域行政改革が全庁、全職員のものとなっていないと指摘されたばかりであるのにです。これでは、全庁体制での地域行政の推進などできるはずがありません。
さらに、
ワンストップサービス実現はいつかと質問したところ、区は、DXの推進による行政サービスの変革を区民の視点に立って進めると言われました。行政視点ではなく、区民の視点と言われたのです。大変結構なことです。それなのに、具体的なスケジュールは今後詳細化していくという。区民の視点とは言えません。区民の視点とは、具体的に二年後とか三年後には実現するということです。この問題の根本には、連携するという言葉の下に、責任問題、スケジュール問題が隠されてしまったことにあります。今の区は、連携の
無責任先送り行政と言わざるを得ない状況にあります。
少なくとも、DX推進、
ワンストップサービス実現、
地域行政条例策定、
地域行政推進計画、そして地区の充実については、一人の責任者の下でスケジュールを明確にし、着実に推進していかなければなりません。お考えを伺います。
◎舟波 地域行政部長 地域行政の充実に向けましては、DXの推進による行政サービスの変革と、新たな参加と協働によるまちづくりを具体化して、地域行政の条例化を起点に着実に進めていきたいと考えてございます。
DXの推進と地域行政の担任副区長は異なっておりますけれども、両副区長の緊密な連携の下で計画的に進めてまいります。
◆小泉たま子 委員 今の答弁は認めることができません。仕事は結局責任者の問題です。
次に行きます。先ほどつるみ委員からも指摘がありましたが、今の区は、本来自分で考えなければならないことをほかにお任せし、やらなければならないことを丸投げし、さらに悪いことに、その帳尻合わせを下請として処理させられる、まさに、お任せ丸投げ下請行政になっています。認知症の検討についてもその傾向があり、地域行政の検討についても当てはまります。
問題は、このような仕事への姿勢が常態化していて、職員の誰もが今の状態を当たり前と思っていることです。
今回、日本を代表するある電機会社の長年の品質不正問題の調査報告が公表されました。報告によれば、まず問題を矮小化し、なかったことにしようとする社内の事なかれ主義、そして改善を提案すると、言い出した者が取りまとめとなり単純に仕事が増えるという、言ったもん負けの文化。そして、現場が本社に声を上げて助けを求めるにも、結局助けてくれないという現場の本社に対する不信感が問題とされています。これは、全て今の世田谷区役所に当てはまることではないですか。
幾ら現場の職員が地区の窓口の充実を言っても全く耳を貸さない。現場の職員に伺うと、全然上の人は私たちのことを聞いてくれないと言っています。それが皆さん分かっているのですか。やむにやまれず提案書を出しても無視、それを議会で取り上げると、あろうことか犯人探しのようなことをする。何というていたらくですか。あまりにも情けない。
私は、怒りと絶望の中にいるようなものです。でも、諦めるわけにはいかない。世田谷で住み暮らしていく以上、区役所と役人は選ぶことができない。やっていただくしかない。それで、私はできる限りのことをやりますし、言うべきことを言います。徹底的な体質改善を望みます。
さらに、今回ほど渋谷区をはじめとする、いわゆる先行自治体の名前が理事者の答弁の中に出てくることはこれまでありませんでした。そして、まずは先行自治体の例を参考にしながらなど、臆面もなく言う、その姿勢に大いに疑問を持ちます。
昭和五十年代後半からの区の様々な取組、まちづくりという、これまでなかった概念を広げ、全国に発信した都市整備の取組、日本初の地域行政制度の発足、措置から選択へという流れをつくり、介護保険制度の確立に貢献した地域保健福祉の基礎構造改革、全国で初めての子ども部設置と新たな展開など、それぞれが先行自治体のまねをしたわけでもなく、逆にわざわざ日本一になろうと気張ったわけでもない。現場をよく見て、もっともよい解決策を自分たちで編み出してみたら、それが結果として日本初であったり、全国自治体を先導する役割を担ったということです。私はそれを全部見てきています。今の区はこのような気概があるのですか。このままでは、区長の言われる改革は何一つ実現しないように思えてなりません。
これではいけない。そのことから、総括で、いわゆるヘッドコーチの導入の必要性を言ったのです。ヘッドコーチと責任者は役目が異なります。ヘッドコーチとは、高い目標を掲げ、メンバーを叱咤激励し、目標実現への道筋を示し、揺るぎない自信の下、周囲を巻き込んでいく、このような役割のはずです。このような制度の導入を検討すべきです。お考えがあれば伺います。
◎中村 副区長 ヘッドコーチというお話をいただきました。二〇二〇大会で日本の
女子バスケットチームを率いたトム・ホーバスさん。このチームは、スーパースターはいないがスーパーチームだという言葉、印象的でした。メンバー一人一人が力を出し切っていること、チーム力の強さというのを学んだと思っています。
現在区でも、コロナ禍の様々な課題に対応するために全庁的な応援体制を組み、組織一丸となって取組を進めているところです。増大する業務に忙殺する中でも、私たちは多様な行政ニーズに応えて、区民福祉の向上のために歩みを止めるわけにはいかないと考えます。
こうした状況下だからこそ、情熱と気概を持って、知恵を絞りながら今後の区政の在り方を真剣に考え、リーダーシップを発揮して周囲の職員を牽引していくような、ヘッドコーチとなる職員をより多く区の中から生み出せるように、職員の育成に引き続き全力で取り組んでいきたいと考えます。
◆小泉たま子 委員 今、副区長が言われたような人を育てるのがヘッドコーチです。よくお考えください。
経済産業部門のこれまでの活躍、特にコロナ禍における対処等については大いに評価いたします。
その上での池尻中跡地問題ですが、所管の努力は認めますが、この池尻中跡地活用については、何としても単独の部を超えた全区的な検討こそが必要と考えます。その姿勢が見えていない。そのことから、一旦白紙から考えるべきと申し上げております。
産業政策部門におかれましては、より一層世田谷の産業全体の活性化の立場から、条例と連携した新たな取組を期待いたします。
最後に、市民活動支援について伺います。
全国で初めての
市民活動推進担当をつくったはずであるのに、今の区は丸投げそのもの。原点に立ち返って、市民活動支援、NPOの支援など、特に法的な相談など専門性のある相談についても真摯に取り組むべきと考えますが、お考えを伺います。
◎片桐
生活文化政策部長 お話しの専門性が高い相談につきましては、現行体制で対応できる部分を見極めながら、外部専門家の協力をいただく仕組みを検討してまいります。区としましては、今後もNPOなど市民活動団体との協働のまちづくりの推進に向けまして、責任を持って取り組んでまいりたいと考えております。
◆小泉たま子 委員 これで質問を終わります。
○加藤たいき 委員長 以上で新風・せたがやの風の質疑は終わりました。
────────────────────
○加藤たいき 委員長 引き続きまして、減税せたがや、どうぞ。
◆あべ力也 委員 それでは質問してまいりますが、私は、区に証憑の閲覧、証憑というのは例えば契約書であったり、支払い命令書の閲覧をするということの提案をし、区は準備を重ねているということですけれども、今年の
決算特別委員会には間に合わなかったということで、少々これは残念なんですが、引き続き、証憑閲覧を早期に実現できるように、ぜひ検討していただきたいと要望しておきたいと思います。
それで、これは区の本体についてですけれども、外郭団体でも証憑を閲覧できるほうがより分かりやすいということで、私も委員会等で提案をさせていただいているんですけれども、この間、世田谷区は、未来につながるプランという中で、外郭団体の改革を提案しているわけでありますけれども、こうした改革の中に、やっぱり証憑とか、活動そのものの収支や決算が分かりやすいように証憑というか、これは証拠書類ですよね。これが閲覧できるような体制をぜひつくっていただきたいと思うわけです。
こうした中、私にある外郭団体の関係者から告発状が届きました。内容としては、区や関係する東京都からの補助金の不正経理、流用、業務上横領が常態化しており、関係者などが領収書の改ざんを強要されたという内容であります。
分かりやすく申し上げると、例えば支出に関して、五千円の領収書を書かせて、実際には三千円を支払い、差額の二千円を裏金としてプールして飲食等の支出に流用しているというようなことだそうです。業務上横領の時効は七年ということですから、二〇一四年ぐらいまで遡ることができます。区は外郭団体に職員を派遣しており、そうした職員はこうした実態を把握しているといったことも告発に含まれております。
今日は告発を受けて総論として質問をいたしますので、各団体の個体名や職員の個人名は申し上げませんけれども、東京都の上部機関にも告発状を提出し、受理されているとのことです。これは資料として頂きましたけれども、受理印が押されているのが私のところに届いております。
何年にもわたってこうした公金不正が常態化して行われてきた実態がいずれ明らかになるのではないかと思いますけれども、区としては、こうした場合、外郭団体を管理監督する立場から、真相究明と責任の所在、外郭団体の経営報告だけでは分からない実態の調査と解明、また場合によっては、業務上横領での刑事告発も視野に、まずは事実関係の調査が必要であろうかと思いますけれども、区長のこの点についての御所見を伺いたいと思います。
◎保坂 区長 外郭団体の不適切な経理についての告発のお話がございました。
外郭団体は、各分野において区からの補助金、あるいは委託によって公共性、公益性の高い事業を展開しております。また、区の施策の具体的な実現及び関わりが大変深い事業を展開していまして、区民サービスを直接提供することも多いことから、高いコンプライアンスの下で公正で透明な事業運営に努めなければならない。そのために区は、外郭団体の設置者として、所管部を中心に絶えず指導、調整、点検を行っております。
さらに、区の出資団体、補助団体を対象とした
財政援助団体等監査においても、各外郭団体の適切な運用執行ができているかについてもチェックしてきたところであります。委員が今お話しのように、当該団体が事業に係る経費を適正に執行していないということが事実であるならば、直ちにこれはたださなければならない、厳しく受け止めるべきと考えております。
外郭団体がガバナンスをより強化し、自主性、自律性を高め、それぞれの役割をまさにルールにのっとって最大限発揮できるように指導を徹底していきたいと思います。
◆あべ力也 委員 この告発をされた方も、これを公にするべきかどうか大変悩まれたそうです。ただ、自分も関係をしていて、公金をそういう支出に関して不明瞭な点があったり、関係する皆さんがこういうことを、不正の片棒を担がされていたということを、知っているからには黙っているわけにはいかないということの思いで、私のところに告発状を送られたというふうに伺っております。
いずれにしても、税金を原資とする補助金というものでありますから、この真相をぜひ解明していただきたいと思います。
関係の所管、東京都にはもう告発状を届けているということでありますけれども、私のところには届いておりますが、区のほうには正式にはまだ出されていないということですので、正式に出されるということだと思います。あとは刑事告訴等も考えておられるということですから、検察や警察等にも御相談したいというような御意向もあるようです。
いずれにしても、真相を解明していただいて、世田谷区としてそういう事実があったのかどうか、この点についても区民に分かりやすいように、つまびらかにしていただきたいということだと思います。
こういうことが起こらないような外郭団体の改革に向けて、しっかりと計画を立てていただくことを心からお願いいたしまして、私の質問といたします。ありがとうございました。
○加藤たいき 委員長 以上で減税せたがやの質疑は終わりました。
────────────────────
○加藤たいき 委員長 引き続きまして、
レインボー世田谷、どうぞ。
◆上川あや 委員 初めに、選挙の投票所で戸籍名を読み上げ本人確認をする、この呼名を止めることはできないでしょうかという提案です。
戸籍上の性別を伏せ、社会的には別の性別を生き、通名で通していることも多いトランスジェンダーにとって、生活圏での実名の暴露は、まさに生活基盤を失いかねない死活問題です。御存じのとおり、本年六月施行のパワハラ防止法でも、性自認、性的指向といったセクシャリティーの暴露は、病歴の暴露などと並び個人の機微な情報の暴露に当たり禁止行為です。区役所内でこれをやれば懲戒処分の対象です。
同様の苦情が寄せられた足立区では、この夏の都議選から、既にこの呼名を廃止したと報じられました。同報道では、二十三区中四区がこの呼名を廃止しているとのことでした。
現に区でも、さきの都議選の際、通名で通しているのに投票所で戸籍名を大きな声で読み上げられたと苦情を訴える声が寄せられていると聞いています。区の職員に限ってみても、昨年、区に氏名の変更届を出した人のうち、旧姓使用を申請した人は四二・九%という高さです。結婚後は通名で通している方も多いのです。
これだけ戸籍名とは異なる実生活を送る人が多いのに、無配慮に生活圏で実名を暴露することはやめるべきで、本区でも他の方法を工夫していただきたいと願うのですけれども、いかがでしょうか。
◎渡邉
選挙管理委員会事務局長 現在投票所では、選挙人が持参しました投票所の入場整理券により、パソコンで選挙人名簿を検索し、画面に表示される年齢や性別を確認するとともに、お名前をお呼びして本人確認を行ってございます。お名前をお呼びしているのは、瞬時に画面表示される情報のみで御本人であるかどうか判断することが難しく、整理券も自分のものではなくて、誤って家族のものを持参する方が毎回一定数いらっしゃって、万一、そのまま受け付けてしまいますと投票済みとなることから、最終的に本人確認として行ってございます。
御指摘のように、お名前を呼ばれることで苦痛に感じる方がいらっしゃるということは選管でも承知してございます。二十三区の中でも、氏名ではなく他の方法で本人確認を行っている区が六区ございますけれども、その方法による選挙人からの苦情等もあると聞いてございます。
投票に当たり本人確認は欠かせない要素でございますので、これを担保し、その上で誰もが不快な思いをせず気持ちよく投票できるようにする、これは委員会としても目指すところでございますので、改善策の検討を進めてまいります。
◆上川あや 委員 お願いいたします。
続いて、以前、区議会でパートナーシップ宣誓制度の利用者等でも利用できる行政サービスをリストアップし、公開してほしいとお願いしましたが、区外では既にそれを行っている自治体が増えています。それらを見ますと、当区では利用できるか分からないサービスが散見されることが気になっております。
例えば徳島市のホームページでは、納税証明書等の発行について、当区類似のパートナーシップ宣誓書受領書の提示により配偶者と同様に申請ができる、母子健康手帳の交付についても、パートナーシップ宣誓書受領証の提示により配偶者と同様に申請ができるとしています。同じく、当区類似のパートナーシップ宣誓制度をスタートさせた群馬県安中市でも、所得、納税に関する証明書の申請、受け取りなどができると広報されています。パートナーシップ宣誓に対応した税務での配偶者扱いは藤沢市のホームページにも見られ、母子手帳のそれは長崎市のホームページにも出てきます。
区の担当課に伺うと、当区でもパートナーシップ宣誓制度の利用者に、同様に家族としての扱いは可能と判断されたということですが、それぞれ御答弁いただければと思います。
◎工藤 財務部長 納税証明書は、証明の交付を請求する者があるときは、その者に関するものに限り、これを交付しなければならないと規定されており、本人による申請を原則とし、代理人による場合は委任状の提出を求めております。
お尋ねのパートナーシップ宣誓制度を利用される方や同性カップルの方が代理人として手続される場合には、パートナーシップ宣誓書の受領証と本人確認書類を提示いただき、同居が確認できれば同居家族として委任状の確認を省略する対応をさせていただきます。
御質問の趣旨を踏まえまして、今後とも区のホームページ等の周知の充実を図ってまいります。
◎辻 世田谷保健所長 私からは、母子健康手帳の交付についてお答えいたします。
母子健康手帳の交付申請につきましては、原則として御本人からの申請となります。御本人が窓口まで来られない場合、御家族が代理で申請することができます。パートナーシップ宣誓をされている方につきましては、その宣誓書の提示により御家族として取扱いをさせていただき、母子健康手帳の交付を行うことが可能です。
また、母子健康手帳の交付につきましては、区のホームページ等による区民への周知を図るとともに、申請窓口となる関係所管に周知を徹底してまいります。
◆上川あや 委員 ありがとうございます。
最後に、外国籍の子どもたちの就学状況の把握についてです。
外国籍の子どもは義務教育対象者でないために、区教委による就学状況の把握はなおざりそのもので、実に六割以上の外国籍の子どもが学校に通えているのかいないのか分からないままでした。このいずれの学校にも通わない不就学児のリスクが見過ごされ、放置されてきた問題、私からは平成二十三年三月、平成三十年九月、昨年十一月と繰り返し是正を求め、他会派からの質疑にも、さも所管連携で確認するかのように答弁しながら、その実、答弁の履行など全くないではないかと不作為を責めますと、ようやく区教委は、電話連絡や訪問等あらゆる有効な方法を検討し、実施し、不就学ゼロに向けて着実に取り組んでまいりますと御答弁になりました。
この昨年十一月の私への御答弁以降、調査は順調に進んでいると伺っていますけれども、御報告をいただければと思います。
◎知久 教育総務部長 区ではこの間、外国籍の学齢のお子さんがいる御家庭の多言語による就学案内の送付、就学先を確認するアンケートの調査、出入国状況の確認、自宅への訪問調査等、就学状況の把握に努めてまいりました。
令和三年九月末現在、外国籍児童生徒数は八百二十九名、うち七百七十六名の就学状況を把握し、就学先不明者は五十三名となり、割合では約六%となっております。本年十月からは全十三言語による就学案内を開始するとともに、くみん窓口、出張所にて転入・転居先届を出された全ての外国籍の学齢のお子様に対しまして就学状況を確認する取組を強化しており、引き続き就学先が不明の五十三名の方につきましても、確認、把握を徹底してまいります。こうした積み重ねによりまして、就学状況不明者ゼロを目指し取り組んでまいります。
◆上川あや 委員 ぜひとも不就学児ゼロを目指して点検を進めてください。
あと、私が区民生活領域で取り上げた住民基本台帳には決して現われない被仮放免者の子どもの就学案内の送付を改めてお願いをいたしまして、私の質疑を終わります。
○加藤たいき 委員長 以上で
レインボー世田谷の質疑は終わりました。
────────────────────
○加藤たいき 委員長 引き続きまして、世田谷無所属、どうぞ。
◆ひうち優子 委員 本日は双子支援について伺います。
最近、私の周りで双子のお子様を持つ方が増え、双子支援についての御意見を多くいただきます。その中で、第三子出産費助成について伺います。
いただいた御意見の中で、第三子の出産費助成は、出産費用から出産育児一時金を引いた額、つまり通常マックス四十八万円引く一時金四十二万円の六万円をもらえる。しかし、第三子が双子だと、これらをそのまま適用すると掛ける二で十二万円いただけると思ったが、一時支援金が出ているので第三子が双子の場合は出ないとのこと。第三子の双子は二人分でいろいろと大変なのにひどいという御意見です。
まず、双子が第三子の際の出産費も助成していただきたいと考えますが、見解をお伺いいたします。
◎柳澤 子ども・若者部長 区では、平成二十一年度より子どもを産み育てやすい環境を整備することを目的としまして、子どもの出産に要する出産費の一部について、第三子出産費助成を交付してございます。この制度は、第三子以降を出産した場合、助成上限額四十八万円または出産費の額のいずれか低いほう、それから出産育児一時金額を差し引いた差額を助成するもので、令和二年度の支給件数は三百四十一件、歳出額は約一千六百万円でございました。
健康保険制度における出産育児一時金は、妊娠八十五日以上で健康保険に加入している被保険者等に給付される法定給付でございまして、委員お話しのとおり、赤ちゃん一人当たり四十二万円が支給してございます。したがって、双子では四十二万円掛ける二人の八十四万円が出産育児一時金として支給されています。このため、出産育児一時金の給付額が区の第三子出産費助成における一回の出産に係る助成上限額である四十八万円を上回るため、区では支給してございません。
出産費用に係る支援としては、これまでも国で議論があったことから、出産育児一時金の検討状況など国の動向を注視しまして、時期に応じて、区としても必要な制度改正などを行ってまいりたいと思います。
◆ひうち優子 委員 出生率が低い日本において、特に第三子、第四子を生んでくださる方は本当に大変貴重であり、日本にとって国力になると考えますので、引き続きの支援を求めたいと思います。
次に、ツインズプラスサポートの支援についてお伺いいたします。
これも双子のお子様を持つ私の友人から、百二十時間の支援を受けられて本当にありがたいのだが、育児サポートなのに保護者が家にいなければいけないと使い勝手がよくない。母親は、上の子のお世話や送迎、買い物、用事を済ますなど忙しく、一人になってほっとする時間が必要。また、通院や買い物の同行、塾や習い事の送迎が不可というところも増え、区が依頼しているシッター会社は全て可能なので、シッターに頼めることをできるだけ可能にしていただきたい。使用時間も九時から十七時ではなく、せめて十九時か二十一時まで使えるようにしてほしいとの声をいただきました。
このツインズプラスサポートの支援について、このような御意見をできるだけ反映させる形にしていただきたいと考えます。区の見解をお伺いいたします。
◎柳澤 子ども・若者部長 ツインズプラスサポートは、東京都の多胎児家庭支援に関する補助を活用しながら、多胎児を育てる御家庭への妊娠期からの支援の充実を図るため今年度四月より実施してございます。都の補助事業の要件として、ヘルパーが多胎児妊産婦の自宅を訪問し、外出補助や日常の家事育児支援を行っておりますが、保護者等の不在時の子どもの預かりについては対象外となってございます。そのため、保護者等の同行がない保育園などの送迎については支援の対象外となってございます。
サポート内容や利用時間などについては、先行実施のさんさんプラスサポート事業に準じてございまして、ツインズプラスサポートについては開始から六か月を経過していることから、利用状況などについては今後検証していく必要があると認識してございます。
区では世田谷版ネウボラとして、全ての子育て家庭を対象に妊娠期から切れ目のない支援に取り組んでございますので、今後も育児に関する個々の相談に継続的に対応し、見守るとともに、それぞれの子育て家庭に必要な支援につなげてまいりたいと思ってございます。
◆ひうち優子 委員 ぜひ利用状況を検証していただき、実際の声を反映させていただきたいと思います。
次に、大井町線の開かずの踏切解消についてお伺いいたします。
世田谷区内には幾つかの鉄道会社がありますが、田園都市線は、開通当時は新玉川線という名称でしたが、地下鉄として整備されたことから踏切がありません。また、小田急線については、世田谷区内は連続立体交差事業により平成二十五年までに踏切が全て除去されております。さらに、京王線は既に立体化の工事が行われており、この事業により世田谷区内の踏切は全て除去される見込みです。
一方、東急大井町線には多数の踏切が残存しており、通勤通学の安全性、利便性の観点からも早急な対策が必要だと考えます。調べてみますと、二〇一〇年以降、自由が丘~上野毛間だけで十件もの事故が発生をしております。
こうした中、目黒区では、二〇二一年二月三日に公表された令和三年度予算案のプレス資料において、自由が丘駅周辺地区におけるまちづくり活動の支援と鉄道立体交差化の調査・検討費用を計上しました。
そこで質問いたします。目黒区では、今年度予算に自由が丘駅周辺地区のまちづくり活動の支援と鉄道立体化の検討について予算計上しておりますが、目黒区との関わりと連携はどうなっているのかをお尋ねいたします。
◎田中 道路・交通計画部長 目黒区は今年度、自由が丘駅周辺地区におきまして、自由が丘固有の特徴ある町並みを誘導し、にぎわいがあり、安全で快適に過ごすことができる暮らしやすい町の実現を目指すため、都市計画道路の整備と一体的な駅周辺まちづくり及び道路と鉄道の一体化などについて調査検討を実施しております。
東京都が平成十六年六月に策定した踏切対策基本方針においては、自由が丘駅付近の東横線と緑が丘駅付近~等々力駅付近までの大井町線が併せて鉄道立体化の検討対象区間として位置づけられております。そのため、世田谷区内の東横線や大井町線も含めた区間を対象に立体化の検討を行う必要があることなどから、目黒区が実施している調査検討に世田谷区も参加しております。今後も引き続き目黒区と連携して検討を進めてまいります。
◆ひうち優子 委員 目黒区の動きに合わせて世田谷区内にある大井町線の自由が丘駅~等々力駅付近の開かずの踏切解消を図るべきと考えます。区の見解をお伺いいたします。
◎田中 道路・交通計画部長 道路と鉄道の立体化には多くの費用と期間を要し、さらには、交差する都市計画道路の整備や地域におけるまちづくりなどについても検討する必要がございます。現在区内では、京王線の連続立体交差事業が行われておりますが、大井町線につきましても立体化に取り組むべき路線として、引き続き東京都や目黒区及び鉄道事業者などと連携を図りながら、開かずの踏切解消に向けて取り組んでまいります。
◆ひうち優子 委員 よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。
○加藤たいき 委員長 以上で世田谷無所属の質疑は終わりました。
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○加藤たいき 委員長 引き続きまして、Setagayaあらた、どうぞ。
◆佐藤美樹 委員 今日はまず、企画総務領域の続きで、官民連携のことで一点お伺いしたいと思います。
企画総務領域の質疑で、先月末をもって撤退となったトヨタモビリティ東京のオンデマンド交通、喜多見・宇奈根地区でやっていたものですけれども、これがなくなって、今交通不便地域として区が指定した十地区のうち、進んでいる砧地区以外はまたどう進めていくか、今ゼロになっているという状況で、もう一度官民連携の窓口を使って、今Co―Labという窓口を持っていますので、そこを使って民間から提案を募ってはということを官民連携課のほうにお伺いしました。
その際に、こういったその提案募集の窓口は官民連携課がやっていることだけれども、提案内容を詰めるのはこの政策、交通不便地域解消事業の所管である交通政策課が提案内容を詰めないと、自分たちだけではできないんですというような御答弁でした。
ですので、今日はまず、交通政策課所管の見解を伺いたいと思います。
◎田中 道路・交通計画部長 区と民間事業者が連携する官民連携事業は、厳しい財政状況において、民間企業が有するリソースや発想、手法を活用し、区が抱える様々な課題を解決するための有効な手段の一つであると認識しております。
地域の移動環境を考える上では、公共交通機関の状況や道路運送法等の関係法令、事業の安全性や持続性などを考慮する必要があることから、先般トライアルを終了した民間事業者主体の取組を、地域の実情に応じた適切な乗合旅客運送のエリアや運行形態等について検討する地域公共交通会議に報告して確認をしてきたところです。
区といたしましても、公共交通不便地域の重点検討地域対策については、交通不便地域に居住する区民にとって切実な声であり、重要なテーマであることから、民間事業者などからの情報収集に努めるとともに、委員お話しの提案募集につきまして、官民連携所管とも連携しながら可能性を検討してまいります。
◆佐藤美樹 委員 今、部長から、交通不便地域解消ということについては区民の切実な声もあるというふうに、そういう御認識があるということを聞けたわけですけれども、結局、公的資金を注入し続けて全部でバスを走らせるというのは、それはもうもちろんできない手法でありますし、であるからこそ、ここは民間の力を使って民間と協働、共創、そういった形で課題解決をしていくしかないと私は考えています。ぜひとも積極的に、せっかく官民連携の窓口がありますので、活用してやっていっていただきたいと思います。
次に、本会議でも触れたんですけれども、世田谷区未来つながるプランについて、二点ほど聞きます。
まず、DXについて伺いたいんですが、DXの分野が宮崎元副区長から中村副区長に引き継がれて一か月ちょっとたちまして、辞められる前に宮崎副区長がDXについて読まれていた本をちょっとお聞きしたんですけれども、その中で、今日持ってきたんですが、「デジタルケイパビリティ」という本を読まれていたということで私も買って、申し訳ないけれども実はまだ最初のほうしか読んでいないんですけれども、この本の中で、結局DXを成功させるために組織にどんな能力が必要かというのが書かれていて、ざっと見た感じで、一番今の世田谷区のDXを進める中で持っていてほしい能力というのが、DXを進めた先のビジョン。DXを進めていった先にどのような世田谷区、どのような世田谷行政というものを描くか、このビジョンを持っていていただきたいなというふうに思っています。
変化が速い時代にDXの先を見越すというのは非常に困難だと思うんですが、ただ一方で、世田谷区未来つながるプランも、次の二年を、次のさらに先の八年の基本計画、つまり十年後の世田谷区を見越してそこにつなげようというチャレンジをしているわけですので、副区長にもDXの先というのをどのように描いて、どのような世田谷区でありたいと見ていらっしゃるかお聞きしたいと思います。
◎中村 副区長 DXの推進により、そう遠くない将来、都市部と地方の距離的な障壁はもちろん、年齢、性別、障害の有無などにかかわらず、誰もがデジタルで必要な情報を得ることができて、自らの意見も発信して、双方向のコミュニケーションができる、そうした社会が到来すると考えております。それに伴って区の業務もかなり変革されていくと想定します。
区の業務については、まずは区民の参加と協働の機会が多様化するということと、区の業務はより進化した地域行政制度の下で、福祉や地域における困り事への相談業務ですとか、多様な方の交流や協働の場づくりなど、区民一人一人に職員がきめ細かく寄り添った行政サービスの体制にシフトする、こういうことを展望しています。また、様々な社会課題の解決に向けて、民間事業者等との連携による新たな事業の創出など、クリエイティブな業務への展開が求められていると思います。
次の基本計画の検討に当たりましては、こうした区の目指すDXの先の将来像をしっかり見据えて、バックキャスティングの姿勢を持って、時代の趨勢に適応した新たな世田谷区を切り開いていきたいと考えます。
◆佐藤美樹 委員 今、バックキャスティングという言葉、この本にも出てくるんですけれども、まず先のビジョンを設定して、そこから逆引き、バックキャストと、フォーキャストの逆になりますけれども、それで一つ一つの戦略だったり方針というのを立てて、さらにその下の政策に落としていく。こういうのをぜひとも未来つながるプランや、その先の基本計画でもやっていただきたいですし、多分、総括でも触れましたけれども、本庁舎、新庁舎という物理的な意味での区役所というのも、手続のために来るという人は、ほぼいないという未来の中で、その中で世田谷区が持つ価値をどういうふうに今から設定していくか。今、交流とか区民一人一人のニーズに寄り添った政策立案ということをおっしゃっていましたけれども、そういったところに落としていっていただきたいと思います。
最後に、グリーンリカバリーについても、ちょっと手短に一点聞きたいと思います。
グリーンリカバリーについても何度か質疑をしてきまして、このような複合的な政策、複合的な目的を持って達成していくような政策がこれからますます増えてくるというふうに見ています。この辺についても、政策企画のプロセスを担っている所管の見解を伺いたいと思います。
◎加賀谷 政策経営部長 未来つながるプランにおきましても、環境、それから経済、社会、あらゆる面で複合的に政策的に取り組んでいくという視点はお示しをしております。区でもこの間、気候危機対策会議を設置いたしまして、改めて推進会議の着手をしております。それから、今後の次期基本計画の検討も本格化してまいります。
こうした庁内横断的な議論を踏まえまして、様々分野の組み合わせをして取り組んでまいります。
○加藤たいき 委員長 以上でSetagayaあらたの質疑は終わりました。
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○加藤たいき 委員長 引き続きまして、都民ファーストの会、どうぞ。
◆そのべせいや 委員 デジタルツールを活用して区民の声を拾えないか、ソーシャルリスニングについて改めて伺います。
三年前に、直接区役所へ意見を上げるまでではないサイレントマジョリティーの声や、若い世代の声が反映されるよう、また、災害状況の把握に向けてインターネット上の投稿を観測、抽出をするソーシャルリスニングについて提案しましたが、今年五月から、正式に危機管理部でソーシャルリスニングツールを契約し、区内の事件事故、自然災害情報を既にリアルタイムで受け取っています。
区役所や警察、消防宛てに直接集約をされない災害・事件情報を、特に画像、動画でSNSから拾って区民の安全に役立てること自体は大変期待をしていますが、危機管理部に問合せたところ、ほかにキーワードを追加して別のことも観測しても、月額五万五千円は変わらないそうです。
以前からアプリを活用して、最近ではLINEを活用して、道路や公園、街路灯の不具合などを通報するシステムを導入する自治体も増えていますが、わざわざ区まで連絡をいただけるこうした情報だけでなく、ソーシャルリスニングツールにキーワードを追加すれば、SNS上から情報を抽出し、こうした町なかの改善にもつなげられます。ほかにも区の窓口やシステムのUI、UXといったサービス改善、どこにどんな問題意識を吐露している人が多いかといった観測にも利用が可能です。
既にツールが導入された今、抽出するキーワードを増やして、世田谷区の様々なサービス改善につなげていただきたいですが、いかがでしょうか。
◎加賀谷 政策経営部長 ソーシャルリスニングですけれども、SNSでユーザーが自ら発信している生の声を集めることができるということで、例えば区民意識調査ですとか既存のアンケート調査では得られない率直な御意見、感想を幅広く知ることができるというメリットがあると認識しております。
そういった意味で、既存のシステムがございますが、それを補完するという意味で、現在活用の主な情報収集キーワードを、水害、地震、火災、事件、事故の区分で、それ以外の有用性ですとか運営体制を踏まえた活用先を検討した上で進めていきたいと考えております。
◆そのべせいや 委員 よろしくお願いします。
続いて、幼稚園と保育園の一日のスケジュールについて伺います。
まずは、幼稚園で預かり保育を利用する場合と保育園の三・四・五歳クラスのそれぞれの標準的な午睡、いわゆるお昼寝の時間を教えてください。
◎粟井 教育政策部長 区立幼稚園につきましては、区立幼稚園の教育・保育の中では、特に午睡の時間は設けておりません。どうしても睡眠が必要な子どもにつきましては、保健用のベッドで休ませるなど必要な対応を行っております。
◎和田 保育部長 保育園で行う午睡は、昼食後の一定の時間を充てており、それぞれの園児の体力や生活リズムなどの状況を踏まえた上で、各園の判断により行っております。
◆そのべせいや 委員 保育園について「せたがやのほいく」という冊子に、三・四・五歳のタイムスケジュールが載っているようですが、一定の時間とは午睡の目安はどのように記載されているか分かりますでしょうか。
◎和田 保育部長 「せたがやのほいく」に記載のタイムスケジュールは、一例としてただし書きを加えて記載してございますが、午睡は集団で過ごすお子さんが体力を回復したり、脳を休ませたりするものであり、乳幼児の発達過程や一日の活動において必要な取組と考えております。一方で、睡眠の発達には個人差があり、特に四・五歳のクラスでは体力や生活リズムによって午睡を必要とする子と必要としない子が混在する場合があることや、五歳頃の子どもは、小学校就学後の生活も見通して徐々に午睡のない生活に慣れていくようにすることも必要であると認識しております。
区では、区立保育園園長をはじめ、職員を対象に午睡に関する研修を行うなど、子ども一人一人の成長に合わせ、その日の体調なども考慮した上で、午睡を一律にさせるのではなく、発達過程や特性に合わせ、子ども一人一人が自分の生活のリズムを整えていけるよう保育を行っております。
養護と教育の一体的な実施が保育の特性であることから、今後も保育士が子どもと生活をともにし、子どもの心を受け止め、その心身の状態に応じたきめ細やかな保育を行ってまいります。
◆そのべせいや 委員 この「せたがやのほいく」という冊子、今どなたかお持ちでしょうか。お持ちでなかったらいいんですけれども、七ページに、三・四・五歳、十二時十五分から十五時まで、二時間四十五分、午睡の時間ですと記載をされています。
部長がおっしゃっていたように、一例と表記はされています。一ページ前のページをめくって四ページ目の注釈を見てみると、「P六からの『保育園の一日』および『コミック』などは、『世田谷区保育の質ガイドライン』に示されている区内保育施設での望ましいかたちを示しました」と記載があります。一例として書いてあるという今答弁もいただいていますけれども、でも望ましい形として、この二時間四十五分の午睡というのが示されていますけれども、二時間四十五分午睡を取ることは、一例なのか、それとも望ましい形なのか、どちらですか。
◎和田 保育部長 これまでも午睡は保育活動の一つとして、子どもの心身の健康を保つために必要であるとの認識の下、呼吸や顔色の確認などを通して午睡中も一人一人の園児を見守っております。子どもたち一人一人の成長の発達を考慮しながら各園の判断により実施しております。
◆そのべせいや 委員 今使われている午睡という表現は、恐らくSIDS、乳幼児突然死症候群を防止をするようなゼロ歳、一歳、二歳を中心とした、絶対に命を守るんだというようなことのためにいろいろ手だてを打っていこうということは理解をするんですけれども、お迎えが、幼稚園の預かり保育は十六時半で、保育園は十八時以降と前提条件一致しないことがありますけれども、江戸川大学の教授、睡眠研究所の福田一彦氏の研究を中心に、幼稚園児と保育園児の就寝時間の差がおおむね三十分から一時間程度、また午睡の有無と就寝時間が遅くなることや、寝つきが悪くなることと相関関係があると言われているものの、長時間の午睡が夜の睡眠による発達を補う効果にならないということも明らかにされています。
加えて、二〇一八年の保育所・保育指針改定に対する東京大学大学院の発達保育実践政策学センターの意見書によると、アメリカでの先行研究でも四歳児の八五%、五歳児の九八%が午睡をしないという結果も既に示されています。こうした研究を基にしていくと、望ましい形として二時間四十五分午睡が必要ですと記載をしている、あるいはそういうことを推奨しているという状態は改善したほうがいいと思いますし、一人一人の成長に合わせるみたいな話をしていますけれども、昨年、区立保育園で虐待と指摘を受けた九つの行為の中に、午睡の際、おでこに消しゴム置いて動けないようにして寝かせる行為をした、午睡の際、幼児クラスで視界を塞ぐように子どもの顔にバスタオルをかぶせたという報告もありますが、午睡が一律ではない、本当に寝なくてもよかったらこんなことが起きるはずがありません。寝ても寝なくてもどちらでもよければ、寝かせるという言葉は出ないはずなんです。
昨年、この問題検証の中で何が取り上げられていたのか振り返ると、第二回の会議で当該保育園で午睡のチェックリストを新たに作ったという話は出ているんですけれども、そもそも一律に寝かせる必要がないという話題が出ていないです。
時間がないので、どこかまた改めて話したいですが、ぜひ改善をしていただきたいです。幼稚園との整合性を取ってください。
○加藤たいき 委員長 以上で都民ファーストの会の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午前十時五十六分休憩
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午前十一時十五分開議
○加藤たいき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
国際都市せたがや、どうぞ。
◆神尾りさ 委員 区民生活領域の質疑で、「商店街の時間」という絵本について取り上げました。昭和三十年からの商店街の歴史を共有し、未来の町の在り方を皆で考えることを目的とした産官学連携のプロジェクトです。区では、商業課と都市計画課が連携し、平成十七年当時、商業課の職員でいらした知久部長や田中耕太部長も、このプロジェクトのメンバーでいらしたと伺っています。ここにあるのが、制作時に少し先の未来を描いた絵です。
この間、感染症の影響で私たちの生活は大きく変わり、将来人口推計も補正されるなど、今後の十年、二十年先の未来を考える上で大きな転換期に来ています。区政においては、お二人の副区長が替わられ、新たな体制で政策を推進しています。
本日は、この「商店街の時間」になぞらえて、これからの世田谷の在り方を想像し、「世田谷の時間」という絵本を頭の中で描くようなつもりで質疑を行ってまいります。
まずは、この絵の中に、町の人々の生活のよりどころとして描かれるはずの公共施設の在り方についてです。
感染症の影響や事務事業の見直し、小学校の三十五人学級化等を踏まえ、公共施設等総合管理計画は度々見直されてきました。人口推計の補正が示され、財源の拡大が期待できなくなる中、公共施設を維持、管理、運営、そして新たに建て替えることはますます困難になってきています。また、DXの推進に伴い、様々な手続がスマホで行われるようになり、民間との連携など可能性も広がる中、公共施設の役割も時代に合わせて変わっていくことが予測されます。
これからの公共施設には何が求められると考え、どのように計画を推進していくのか伺います。
◎加賀谷 政策経営部長 今後のDXによる区民サービスの展開としまして、例えばですけれども、申請、受付、支払いなど、区民が来庁しなくても様々な手続が行えるようになることで、区の窓口体制は区民の相談支援、アウトリーチ等、より人を中心にシフトしていくことが想定されます。また、デジタル化により、オンラインでの集まりなど区民のコミュニケーションの在り方はますます多様化していくと予想されます。同じ空間で区民同士が共に体を動かし、趣味を共有し、地域課題について話し合うなど、絆を深め参加と協働、実践の場となる施設は、これまでの公共のみならず、民間のスペース活用などで生み出されることも期待できます。
これからの時代に求められる公共施設の需要を見据え、複合化や多機能化、用途転換の手法に加えまして、DXによる維持管理コスト縮減となる取組を行いながら計画を進めてまいります。
◆神尾りさ 委員 次に、経済産業政策についてです。
絵の中で、人々が交流し、にぎやかさを創出する場が商店街であり、地域の個店や事業者です。区内産業を取り巻く社会経済が大きく変化する中、事業者の挑戦を補助金や専門家の助言、ネットワーク等で支援する取組が始まっていますが、新規顧客の開拓や業務改善等を行うには、失敗を恐れず、新たなことに挑戦する意欲を持った人材の確保や育成が必要です。
また、将来の区内産業を担うのは、現在の若者や子どもたちです。専門家によると、今後十年から二十年程度で雇用者の約四七%の仕事が自動化されるという見立てがあります。また、子どもたちの六五%は、今は存在していない職業に就くという予測もされています。つまり私たちが幾ら将来の絵を描こうとしても、二十年後の社会における具体的な職業や地域経済の情勢を想像するのはとても難しいということです。
そうであるならば、今私たちにできるのは、地域社会を担う次世代の人材が自ら課題を見いだし、他者と協働し、新たな価値を創造する力を育成することではないでしょうか。これからの区内産業を担う人材を支援し、また育成していくという観点で、区には何が求められると考え、どう推進していくのか伺います。
◎田中 経済産業部長 気候危機や、足かけ二年にわたるパンデミックなど予測不可能な時代に、新しい価値をもって人々の暮らしと時代のニーズに応える個人、事業者の育成支援はますます重要となっています。コロナ禍を乗り越えるために、事業者が自らの事業を変革するための支援として、解決策を共に考え、区内の専門家が伴走支援する地域連携型ハンズオン支援事業を行っており、アフターコロナを見据え、事業者の変革への後押しを続けるには、世田谷の事業者の力になりたいと考える人材を確保、育成することが必要です。
また、SETAGAYA PORTを通じた若年層への起業・創業支援や異業種間連携の促進に加え、旧池尻中学校跡地の活用においては、既存産業の活性化に寄与しながら未来の産業を担うことができる人材、子どもたちの学びの拠点となるよう検討を進めています。
自ら考え、今ないものをつくる発想力を子どもたちが学べる拠点をつくることが、将来を見据えた世田谷の区内産業の活性化という観点からも必要であり、取組を進めてまいります。
◆神尾りさ 委員 最後は、まちづくりについてです。
上の絵、昭和五十年と下の平成十七年の絵を見比べてみると、町の様子が大きく変化したことが分かります。町はその時々の人々の暮らしや課題に合わせて変わってきており、これからも変わり続けなければなりません。人口構成が大きく変わり、日本は超高齢化社会を迎えます。歩行者空間や座れる場など、町のにぎわいや回遊性を確保した拠点づくり、どこでも自由に使いやすくというユニバーサルデザインに基づいた生活環境の整備、自動運転などの技術革新に伴う公共交通の在り方など、高齢者にとって居心地がよい社会を形成するためのまちづくりについて、どのように考え進めていくのか伺います。
◎畝目 都市整備政策部長 平成十七年に作成した御紹介いただいた絵本は、社会経済情勢や人々の暮らしの変化等を背景に、町はにぎわい発展し、まちづくりの移り変わりを描いたものでございます。
都市整備領域の柱となります都市整備方針は、長期的な視点で目指すべき将来都市像を定め、実現に向けた考え方、方向性を示すまちづくりの総合的な方針で、この間、高齢社会の到来、町の風景、高層マンションの紛争等、その時々の社会課題に対しまして、ユニバーサルデザイン推進計画や風景づくり計画の策定、地域特性に応じた絶対高さ制限の導入など、時代に即したまちづくりに取り組んでまいりました。
近年は、東京二〇二〇大会を契機とした共生社会の実現への取組や、さらなる超高齢化社会の進展、コロナ禍を起因とした新たな生活様式など、変わりゆく社会への対応が求められていると認識しており、例えばユニバーサルデザイン推進事業のスパイラルアップでは、先般路上ベンチ等設置指針を取りまとめたところでございます。
高齢者にとって居心地がよいまちづくりは、都市整備方針で示す住みたくなるまち、快適に移動できるまちといった将来ビジョン、ウオーカブルなまちづくりにつながるものと考えます。その時々の社会動向を的確に捉え、将来へつなげていく区民主体のまちづくり取り組んでまいります。
◆神尾りさ 委員 今の御時勢は変化が目まぐるしく、こういった絵を描いている余裕などもしかしたらないのかもしれません。日々多忙な中、ビジョンを描きながら職務に当たるということは簡単ではないかもしれません。しかし、志を持った職員の方々がいらっしゃることも分かっています。そういった方々の思いが一つでも二つでも形になり、区民にとって住みやすい豊かな町の実現につながることに期待し、以上で質疑を終わります。
○加藤たいき 委員長 以上で国際都市せたがやの質疑は終わりました。
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○加藤たいき 委員長 引き続きまして、区民を守る会、どうぞ。
◆くりはら博之 委員 私からは、ギャンブル依存症に対する区の取組について質問をいたします。
現在、コロナ禍のために選択できる娯楽が減っていることや、スマートフォンやパソコンがあれば簡単に馬券などが購入できることなどから、ギャンブルにのめり込む人が増えていると言われております。
実際、娯楽産業が軒並みコロナで打撃を受ける中、公営ギャンブルは売上げを伸ばしております。JRAの令和二年度の収益金は約三兆十五億二千七百万円、日本モーターボート競走会の売上金は二兆九百五十一億四千二百万円となっており、それぞれ前年度から大きく売上げを伸ばしております。二十三区が共同で運営している大井競馬についても例外ではなく、先日の企画総務委員会所管質疑での他会派からの質問にもありましたとおり、平成二十八年度から令和二年度までの五年間で約一・五倍の売上増となっております。
売上げの多くはインターネットを経由した購入によるもので、より手軽にギャンブルを楽しめる環境となっていることが、ここからも分かります。
このように、どの公営ギャンブルにおいても売上げが大幅に上がっているようですが、ここで懸念されるのがギャンブル依存症です。
ギャンブル依存症とは、賭け事にのめり込み、衝動を抑制できなくなる精神疾患です。高額な借金や家族関係の悪化などのトラブルを引き起こすケースもあることから、WHOも病気として認定しています。政府が平成二十九年度に実施した調査では、依存症経験が疑われる人は推計三・六%で、約三百二十万人に上ると言われております。
区では、ギャンブル依存症の実態をどのように把握しているのでしょうか、お伺いいたします。
◎辻 世田谷保健所長 ギャンブル依存症とは、ギャンブル等にのめり込むことにより、日常生活または社会生活に支障が生じている状態と定義をされております。本人の自覚が薄い場合も多く、家族や周囲の方からも、意志薄弱として理解されにくい面がありますが、精神疾患の一つでございます。
区におけるギャンブル依存症の実態につきましては、精神科医等による依存症専門相談では、令和元年度の相談件数五十五件中五件、令和二年度の相談件数五十八件中六件がギャンブル依存症の相談でした。また、各総合支所では、地区担当保健師が区民のギャンブル等の依存症相談を受けており、令和元年度には二十一人から延べ五十六件の、令和二年度には三十六人から延べ六十六件の相談がありました。一年前と比較し、地区における相談者の実数が一・五倍の増加となり、今後の動向を注視する必要があると考えております。
なお、相談内容につきましては、パチンコや闇
カジノ等がもとで、多重債務から家庭内での関係悪化などの事例を把握しており、深刻な状態だというふうに認識をしております。
◆くりはら博之 委員 御答弁ありがとうございます。業界は空前の利益を上げる一方で、依存症対策には極めて消極的であります。ギャンブルは、一度依存症に陥るとやめたいのにやめられないといったジレンマに入り込み、消費者金融での借金や、時には窃盗などの犯罪につながることもあります。消費者金融での負債が重なり自己破産を申し立てても、使途がギャンブルである場合、免責決定が受けられません。
カジノの解禁を含む、いわゆるIR法の成立を受けて、ギャンブル依存症が精神疾患として公的医療保険の適用対象になりましたが、これは国としてもギャンブル依存症についてその影響を懸念しているからにほかなりません。多くの区民の安心安全を守るという意味からも、ギャンブル依存症対策は重要と考えます。
島根県立心と体の相談センターでは、知的障害、発達障害を抱えるギャンブル依存症の人のためのプログラムなど、様々な独自のギャンブル依存症回復プログラムを開発しております。その結果、多くの依存症の人がパチンコに行く頻度を大きく減らすことや、競馬、競輪などを三か月以上絶つことに成功しているそうです。
ただ、全国的にマンパワーの不足等で、ギャンブル依存症対策まで手が回らない自治体が多いのも事実ですが、業界に期待ができない以上、自治体の役目として対策に尽力するべきです。区民の精神保健を担う立場として、ギャンブル依存症への対策についてお伺いいたします。
◎辻 世田谷保健所長 国のギャンブル等依存症対策基本法が平成三十年に策定され、都は今年十二月に東京都ギャンブル等依存症対策推進計画を公表予定としております。こうした国や都の動きを受け、区としてもギャンブル等依存症対策の強化が課題であると認識をしております。
各支所の地区担当保健師が、必要に応じ、世田谷総合支所と烏山総合支所において実施の精神科医等による依存症の専門相談や依存症家族教室につなげ、共に課題を整理するなど回復に向けた支援を行っております。さらに、世田谷保健所では、毎年依存症をテーマにした講座を開設し、ギャンブル依存症等の当事者から直接話を聞く機会を設ける等の取組も進めております。
また、ギャンブル依存症の特徴として、多重債務に陥り、生活困窮や家庭破綻などから自殺につながる複合的な問題を抱えるとの報告もあるため、区の多重債務支援連絡会や自殺対策連絡会なども活用し、機会を逃さずに治療につなげたり回復支援することは大変重要であると考えます。
今後とも、都の計画等の動向を注視しつつ、関係機関との連携を図り、広く区民にギャンブル依存症が病気であることを訴え、理解促進と普及啓発に努めてまいります。
◆くりはら博之 委員 御答弁ありがとうございます。区民をギャンブル依存症にさせないよう、ギャンブル依存症を克服できるよう積極的な対応を求め、質問を終了いたします。
○加藤たいき 委員長 以上で区民を守る会の質疑は終わりました。
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○加藤たいき 委員長 引き続きまして、無所属、どうぞ。
◆青空こうじ 委員 先日、テレビでスマゴというものを見ました。これは、渋谷区の表参道の商店街で導入しているスマゴ、つまりスマートごみ箱のことです。このスマゴは、ごみを自動で圧縮し、たくさんのごみを収集することができます。ごみが満杯になったらスマゴが通信でその旨知らせるため、ごみがあふれるまで放置されるといった心配もございません。さらに、動力については太陽光発電で賄うため、電気代も要りません。これは、森永製菓さんがスポンサーとなることで、導入費用などもかからなかったと伺っております。
このスマゴを世田谷区においても、例えば下北沢や三軒茶屋では、路上飲みや食べ歩きなどでごみの散乱が問題となっていますので、このスマゴを導入したらいかがでしょうか、お伺いします。
◎田中 経済産業部長 御指摘のとおり、下北沢など路上の飲みや食べ歩きなどの影響で、ごみを持ち帰らずポイ捨てしているといったことがあり、商店街、町会など民間企業等、連携して駅周辺のごみが出やすい場所でごみ拾いを行うなどの対応を取っているところです。
お話しのスマゴ、設置すればごみの散乱を防ぐための一助となると考えています。一方で、渋谷区の表参道にあるスマゴ、民間企業が協賛しているということから費用面を賄っていって、導入には設置費用、そのランニングコスト、それからごみ箱の設置場所や道路占用の問題など多数問題がございます。ただ、商店街のごみ問題については、今後も商店街と連携して対応していきたいと考えております。
◆青空こうじ 委員 今までに見たことのないような公共トイレが渋谷区内に十七か所できます。すごく立派なトイレです。渋谷区に十七個できるんですが、やむを得ず利用することはあるものの、できれば使わずに済ませたい、衛生面や安全性が不安、車椅子での利用ができない、公共トイレのイメージや経験などはあまりいいものではないようです。障害者や妊婦、乳幼児連れのお母さん方、そして高齢者など様々な事情がある方に十分に対応できないのが実情です。
公共トイレとは、本来どんなときにでも、誰でも快適に使ってもらえるトイレであります。世田谷区では、もう二十年以上前に、日本で初めてのトイレサミットを三宿中学校で行ったんです。お隣の渋谷区に負けてはいられないと思うんですが、渋谷区の先進的な事例に倣い、老朽化したトイレをきれいで誰もが使ってみたいと思うトイレに更新してはいかがでしょうか、お伺いします。
◎釘宮 みどり33推進担当部長 委員お話しのトイレ改修プロジェクトは、日本のカルチャーの発信拠点として、海外でも認知度が高い渋谷で、日本財団と渋谷区が協定を結び実施しているものです。建て替えが予定されている十七棟のトイレのうち、現在十二棟が竣工しており、一棟平均で一億円程度の費用がかかっているとのことでございます。
整備費用に対し日本財団から支援はあるものの、今後、部材の交換、修繕など長期的な維持費が通常より高くなることが予想されております。かつて区でも、昭和六十二年度に公共トイレのアイデア募集と一か所の設計コンペを行い、合計十四か所のトイレを新しくしております。
中でも弦巻五丁目の世田谷通り沿いにある世田谷公衆トイレは、なだらかなカーブを描く壁面にガラスブロックを採用することで、明るい室内を実現し、誰もが気楽に入れるゆったりトイレとして整備しております。しかしながら、設置から三十年が経過する中で頻発するガラスの破損や設備の老朽化などの課題もあり、一昨年、デザインを継承しつつ改修工事を行ったところでございます。
現在区内の公共トイレは、道路上などの公衆トイレが駅前を中心に九棟、区立公園等のトイレが二百三十二棟点在しております。
渋谷区の取組のように著名なクリエイターによる施設更新は、費用面での課題はありますが、今後も施設の長寿命化を検討するとともに、ユニバーサルデザインの考えに基づく誰もが使いやすいトイレの更新に計画的に取り組んでまいります。
◆青空こうじ 委員 渋谷区では、誰もが快適に使用できる公共トイレを設置するトイレプロジェクトを実施しています。渋谷区内のトイレを、世界で活躍する安藤忠雄さん、そして隈研吾さんほか十四名のクリエイターの優れたデザインにより建て替えるものです。
私は幾つか見たんですが、朝のニュースなどでも取り上げられていましたが、ふだんは透明なガラスで囲われ、スケルトンのトイレなんですが、人が入って鍵を閉めると不透明になるものや、ひさしがついて大きくせり出したり、傘のような屋根が特徴的なものなど、どれも見た目がよく、安全安心な空間となるようデザインされております。きれいなトイレは町の魅力を高め、生活に優しさを与えてくれるものだと思っております。課題もいろいろあるかと思いますが、知恵と工夫できれいなトイレの建て替えに取り組んでいただきたいと思います。
一方で、道路上の公衆トイレが九か所、公園トイレが二百三十二か所あると言うんですが、建て替えまでに長く使わなければいけません。トイレは暗い、汚い、臭い、怖い、四Kとも言われております。汚く使われて劣化も早く進みます。落書きなども、時には笑えるものがありますが、でも消さないでおくと、どんどん増えていくものです。
先ほどの渋谷区の取組では、トイレの維持管理についても、日本財団さんと渋谷区、そして渋谷区観光協会が二〇二三年までの協定を結び、一日の清掃回数も一、二回増やすなど丁寧な維持管理を行っているとのことです。維持費は継続的にかかるものであって、清掃回数なども増やすことも簡単ではないと思いますが、区の公共トイレの維持管理の状況と渋谷区の取組を踏まえ、改善が可能かどうかお伺いします。
◎釘宮 みどり33推進担当部長 清掃回数の増加により増えた維持費は、現在日本財団が助成しているとのことです。現在、世田谷区では、一日一回以上の日常清掃と細かい部分まで清掃する月一回程度の定期清掃、また通報などを受けての臨時清掃などにより施設をきれいに保っております。渋谷区においても、プロジェクト以外のトイレは世田谷区と同程度の清掃の頻度でございます。
渋谷区のプロジェクトは、協定が終了する二〇二三年三月以降は渋谷区に管理が引き継がれる予定なので、その後の状況も参考として、引き続き、維持管理上の課題を踏まえた継続的な仕様の見直しなどにより、誰もがいつでも快適に利用していただけるトイレとなるよう努めてまいります。
◆青空こうじ 委員 日本でトイレサミットをやったのは世田谷区が一番初めなのです。よその区に負けないように頑張ってください。よろしくお願いします。
以上で質問を終わります。
○加藤たいき 委員長 以上で無所属の質疑は終わりました。
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○加藤たいき 委員長 引き続きまして、自由民主党、どうぞ。
◆畠山晋一 委員 ただいまより、自由民主党世田谷区議団、補充領域の質疑を始めさせていただきます。
私からは、補充ということで、まず防災のことについて。
先週あのように地震が発生をして、改めて皆さん心の中には危機感を持って、防災力を高めるという意識は高い人々が多いということは感じておりますけれども、我々消防団も緊急の配備がかかって参集しました。中には全部きちっと道具を持ってきて、火事があってもいいように対応できるようにという若い子もいたり、全く何も持ってこないで、体一つで来る人もいましたけれども、改めてこの防災という観点からの予防行政のさらなる推進が、そして積極的な施策の展開を図る必要があるというふうに感じましたので、初めに改定をした耐震改修促進計画によって、世田谷区で執り行っております家具の転倒防止機器の取付け支援、またシェルターの設置助成の促進は、現在どのようになっておりますでしょうか。
◎笠原
防災街づくり担当部長 東京消防庁が実施した近年の地震被害調査では、負傷者の三〇%から五〇%が家具類の転倒、落下、移動によるものであり、首都直下地震等の被害想定においても、建築物の倒壊とともに、家具類による多数の被害が想定されております。
現在区では、家具転倒による被害を防止するため、六十五歳以上の高齢者、障害者及び要介護者等が住む住宅を対象に、家具転倒防止器具の取付けについて支援を行っております。また、同様の方を対象に、旧耐震基準の木造建築物にお住まいの方に、建物等の倒壊から命を守るための耐震シェルター等の設置支援も行っております。家具転倒防止器具取付け支援につきましては、六十五歳になられた方に送付される介護保険被保険者証送付時にパンフレットを同封し、新規対象者に直接案内を行うほか、様々な区の広報媒体を活用し周知を行っております。
また、今年度につきましては、玉川消防署が防災の日に合わせ、玉川地区の新聞広告において、家具転倒防止器具取付けを啓発するチラシ約三万部を配布するなど、庁内外の関連所管と連携して取り組んでおります。また、耐震シェルターについても、パンフレット等の周知活動以外に、第二庁舎ロビーで実物の展示を行うなど案内を進めてまいりました。今年度は庁舎建て替え計画に伴って展示を見送っておりますが、今後も様々な機会を捉えて取組を進めてまいります。
◆畠山晋一 委員 世田谷区内には、玉川消防署のみならず、成城消防署、世田谷消防署と三署があるわけですが、玉川消防署さんにはこのようにして積極的に行政側と連携を取りながら、防災の日の強化について取り組んでいる具体の事例があるということで、成城も、世田谷消防署もその辺の連携等も、より一層情報の共有を行って、より一層の防災の強化を、また家具の転倒防止機器の取付けが一軒でも増えるように、シェルターの設置助成がより促進されますことをお願いする次第です。
特に必要になっておりますのが、先ほど答弁にもありましたように六十五歳以上の高齢者の方。高齢者が主な助成対象であるこの施策を、現在コロナの状況下にあるわけですけれども、ステイホームという状況にある中で、高齢者にとってもますますホームが大事になってくるわけであって、ホームを守るためのこの取組に対して、より一層の柔軟な運用が必要になってくるように現下で感じているところですが、何か柔軟な運用を取組としては行っておりますでしょうか。
◎笠原
防災街づくり担当部長 委員お話しの高齢者が主な申請者となる家具転倒防止器具取付支援制度でございますが、パンフレットに同封している申請書を区に郵送すれば申請を受け付けるという対応をしておりまして、来庁しなくても手続を進められるようにしてございます。また、取付け箇所の確認や取付け作業に関しましても、申請者の予定に合わせて、土日、祝日も含めて伺うなど、柔軟に対応しております。
この支援は訪問しての作業となるため、コロナ禍では対人接触を不安に感じ、キャンセルされる方も中にはいらっしゃいます。また、体調不良などにもより急遽キャンセルされる場合もございますが、その際には日程調整を改めて行い再取付けに伺うほか、キャンセルがあった場合でも再申請が可能なことをはっきりと明文化して案内するなど、次につながるように取組を行っております。
今後とも申請者のそれぞれの状況に合わせまして、柔軟に対応できる体制を継続し、万が一の震災時に区民の命を守る取組を推進してまいります。
◆畠山晋一 委員 小さな取付け器具かもしれません。一つの御自宅に一つのシェルターがあることがどれだけ区民の命を守ることに結びつくかということは、誰もが把握しているところですから、より一層の周知徹底を行うようにしていただくことを要望しておきます。
災害に強いまちづくりの観点について、一つまた必要になってくるのは、道路造り、また世田谷区内の市街地の整備が大事になってくるわけですけれども、そのときに、市街地の整備を進めるということについては、安全安心な市街地の形成を妨げるものがある。それが、違反建築であったり、また著しく危険な建築物が、地震が発生したときに防災の力をそぐ要因となってまいります。
この状況を把握した上で、世田谷区としてはどのように対処、そして望んでいるのかを伺います。
◎笠原
防災街づくり担当部長 委員お話しのとおり、区民の意識調査の困り事におきましても、道路が狭くて危険との意見が多く、狭隘道路の解消は、災害に強いまちづくりの観点から大変重要な課題であると区も認識してございます。
狭隘道路の解消といたしましては、世田谷区狭あい道路拡幅整備条例に基づきまして、拡幅整備を進めております。おおむね年間五千メートルの拡幅工事を進めておりまして、昭和六十年からの実績といたしましては、昨年度までの累計で百四十五キロメートルの整備を行ってまいりました。
また、建築基準法に違反している建築物に対しましては、パトロールや区民からの情報提供を基に、違反建築物の所有者等に対し是正指導を行っております。さらに、空き家や、また著しく保安上危険な建築物につきましても、該当する法律に基づき、所有者等に対し必要な対応を適切な手順を踏んで、状況により行政処分の措置も見据えながら対応してございます。
今後も災害に強いまちづくりに向け、狭隘道路を着実に減らしていく様々な取組を推進してまいります。建築基準法に違反している建築物、空き家や、著しく保安上危険な建築物については、所有者等に対し速やかな改善がなされるよう、引き続き対応してまいります。
◆畠山晋一 委員 近隣で気になっている方はそういった相談を投げかけていると思いますので、丁寧に一つ一つ対応していただくことと、高齢者の方で外に出られないでそういったものを気にされている方がいて、例えばメール等でも、LINE等でも、こういったものを受け付けられるような体制をつくることによって、一つでも多く安全なまちづくりを進めていただくことを、この点については伺って終わります。
まちづくりついて、今回はまたまたこのパネル、三回目の登場になるわけですけれども、今回は補充ということで、区長自身にまちづくりの姿勢について次に伺ってまいります。
歴史は勝者によって語られるというふうに言われておりますけれども、歴史を見るときには、僕は高校生のときに歴史の先生に、しっかりと俯瞰をして、一つでも多くの情報を得て、それぞれの立場でそれぞれの視点があるということを分析して理解して、その上で、現在、未来へどう結びつけていくかということを学んでほしいということを、実際に高校の先生が全ての歴史教科書を持ってきて、一つの事案に対してどう書かれているかということを、これだけ教科書でも違うんだよということを教えていただくことによって、俯瞰をすることの大切さを覚えております。
ただ、今回のこの本、すばらしいですね。「こんな政権なら乗れる」ということで、思わず、これからのキャスティングボートは保坂区長にかかっていると、もう本当に大絶賛の書籍で、私もしっかりと読ませていただきました。いろいろと勉強になる点もありましたし、この本を僕が読んだこともさることながら、区民の方からも、この本を読んでいろんな意見をいただいております。
その中で指摘したい、確認したい点は多数あるんですけれども、今回はまちづくりという点に絞って区長に伺いたいです。
この書籍の中で、下北沢のまちづくりについて記されている部分では、保坂区長とジャーナリストの視点から見て、区長が経験してきた下北沢のまちづくりに対する強い信念と、熱い思いをしっかりと感じさせていただきました。
身近なことなんですけれども、今うちの娘が大学二年生なんです。大学二年生で、今、彼女が学校でまちづくりについての授業があって、教授さんからの話、先生から話を聞いたんですけれども、その中で世田谷区内の学校なんですけれども、世田谷区内で下北沢という町がありますと。この下北沢で行われているまちづくりが今非常にいい方向で進んでいますと。これは今の保坂区長さんがいたからできたことなんですよ、リーダーってすごく大事なんですよ、リーダーの一挙手一投足をしっかりと学ぶことでまちづくりを学びなさいとうちの娘は授業で聞いた。
これは僕も、娘は今二十歳になりますけれども、彼女は彼女なりに下北沢で生まれて育ってきた。彼女ながらも地元に関わる中で、いろんなまちづくりの変遷、駅が変わってきて、高架だったのが地下になって、地下になって上部になって、町のいろんなイベントに出る中で、いろんな人からこういう流れでこう変わってきているねということを聞いていると、これは区長さん一人だけのことじゃないんじゃないのと彼女は感じたらしい。
それを聞いて、ただ、さっき言ったように、歴史というのは勝者の下で語られてくるんだから、これはしようがないんだよと。勝ったんだし、リーダーなんだから、こうやって進められてきているということも理解しなさいよと。
そこで戻ってきて、僕が歴史の教科書について学んだ俯瞰の話をして、いろんな情報を得て確認していったほうがいいよということのお話をさせていただきました。ただ、彼女を取り巻くほかの生徒さんはそれを知らないわけですから、ほかの生徒さんたちは、世田谷区の保坂区長はこんなすごい人なんだなというような話をして、実は彼女自身が下北に友達を連れていって、実際にこう変わっているよということも見せて、いろんな話をして、まちづくりについての研さんを深めさせていただいたというきっかけもいただいております。
それで、この書籍を読まれた区民の方から、その人はまちづくりにずっと携わってきた方ですけれども、どれほどの思いで地道な努力を行政と重ねてきて、まちづくりを推進してきたかということを改めて考えてほしいということの指摘を受けました。
自分もこの書籍に記された、単純にまちづくりの、区長が書いてある、まず、そもそも再開発という言葉は成り立ちません。これは再開発ではなくて、世区街路一〇号線というまちづくりと、補助五四号線という道路事業が下北沢にあったのであって、私の知り合いの人たちは、再開発ではなくて、まちづくりというふうに考えてやってきている。決して賛成、反対という劇場型で、まるで政争の具に使われてしまうような形でのまちづくりであってはならないし、どんなまちづくりにも、全ての人が違うわけですから、同じ思いをする人というのは、いろんな意見があっても、全員が同じ考えにはならないということは誰もが分かっていること。
賛成もあるし、反対もあるし、推進もあるし、いろんな考えがあって、この事業をどう進めていくというのは、単純にそこだけにならないので、地権者にもいろんな思いで、次なる土地で次なる思いを具現化しようと努力されている方もいらっしゃるし、泣く泣く違う土地に行っている人もいる、近くのところにいる、いろんな思いがあってやっとできてきているんだということを、改めてこの本を読ませていただいて、そこももう少し触れていただきたかったなと。
ただ、この書籍の影響力というのは物すごく大きいんだなというところで、一つ確認しておきますけれども、この書籍の一一〇ページに、下北沢の再開発、駅前広場を含む世区街一〇号線と補助五四号線なんですけれども、ここについて、区は商店街や町内会の古くから地域に根を張っている人たちに限定して意見を聞いて計画を進めようとしていたというふうに書き記されているわけですけれども、この事実はいかがでしょうか。
◎木本 北沢総合支所長 小田急線連続立体交差事業等を契機とする下北沢の都市計画道路事業につきましては、連続立体交差事業等の計画初期の段階より、地元町会、商店街を中心とする下北沢街づくり懇談会や関係した説明会等において、町に関わる多くの方々との話合いを重ねながら進めてきたものと認識しております。
◆畠山晋一 委員 リーダーですから、リーダーに対してそうじゃありませんというのはやっぱり答弁しにくいでしょうけれども、ただ、今答弁にあったように、事業推進に合わせて、関係した説明会において、町に関わる多くの方々との話合いを重ねながら進めてきたんですよと。決して区は、一部の限定した形でまちづくりを進めてきておりません。まちづくりにはいろいろな意見があることを御理解いただいて、この書き記し方は、私はいただけないなというふうに感じております。
この書籍も読み進める中で、やっぱりそうだったんだな、こういうことがやっぱり心配だなというふうに感じる部分が私にはありました。
当然これは区長と、このジャーナリストの方との共著、一緒に書いたものであるわけですけれども、その中に、開発は、こういったまちづくりはスピード感よりも話合いが大切だというふうに唱えているわけですけれども、その区長の姿勢の結果、実は下北沢が発展したという功績がここに記されていますけれども、現場で生活をしている生活者からは、日々変化していく中で、いや、もっとスピード感を持ってやってくださいよと、そのスピード感を重んじない結果が、今、小田急線の上部利用や道路整備の遅れ、暫定的なまちづくりが長引く要因となっているんですよという指摘を受けるんです。
様々な弊害を引き起こしていますし、このことについてはあとで一点伺いますけれども、スピード感ではなく話合いを重視するというこの姿勢が、この先、ほかの世田谷区内のまちづくりの事業、例えば三軒茶屋ですとか、烏山さんですとか、ほかのまちづくりにおいても、その姿勢が弊害になってしまうんではないかなと私は危惧したんですけれども、区長自身の御認識をお聞かせください。
◎保坂 区長 委員も下北沢に長らく根を張りながら、町の変化、人々とのお話、大変貴重な御感想をいただきました。
この本は、政治学者の中島岳志さんとの共著でありまして、この中で中島さんが、スピード感が重視され、即断即決のリーダーシップが評価されるというのは逆で、民主主義におけるリーダーシップは時間をかける忍耐性だということを述べていらっしゃいます。
下北沢については、実は十数年前から、町が変わるということをめぐって、やはり賛否両論あります。もちろん中間的に、どうなるんだろうという疑問符の方、いろいろあったと思いますが、私は参加と協働を掲げて、例えば下北沢らしさ、文化芸術、様々カオスのように芽吹いていくような下北らしさというものはやっぱり壊してほしくないという意見もよく理解できましたし、一方で、区長就任後、町会の方とか商店街の方、お話を聞いていく中で、万が一、火災だ、地震だということになったとき、緊急車両も全く入れないですよということで、やっぱり命の問題だということで、例えば駅前からバスにも乗れない、こういうことでこれは住民悲願だという声も聞きました。
どちらかを選択するという類いの問題ではないなと。両方合体した事業の推進ができるんじゃないかというふうに考えてきました。
その結果、ひとつ時間が確かにかかったことについては、私がそういった熟議を重んじるという姿勢があったのは事実ですが、一方で、小田急電鉄の地下化の工事が、水が予想外に出たりして難工事であったと。したがって、私自身も驚くくらい、やっぱり時間がかかってしまったと。逆にその時間を活用して、ワークショップをやったり、議論を進められたという面がございます。
小田急の社長自らが下北らしさというボードを出して、従来にない、いわゆる町を支える線路空間をつくるということで、今かなり全国あちこちから見学者がいたり、どうやってこういうことをやったんだという問合せ等があるというふうに聞いています。
そういう意味では、ラウンドテーブルでも推進だ、反対だ、中間だというような話は、今、町からはそういった色分けはなくなっていると思います。今後この事業をしっかり推進するとともに、下北らしさと、従来からのリスクの回避を両立させて、新しい今度は魅力が下北沢に広がっていくように努めていきたいというふうに思っています。
◆畠山晋一 委員 確かに小田急さんの工事が遅れた。台風が来たときにも、工事途中で雨水が吹き込んで、雨水が吹き込んだと同時にごみなども一緒に入ってしまって工事が立ち遅れてしまった。小田急さんとしても、全部高架化になったものが初めての地下であったということでのいろんな課題は確かにあったんです。でも、だからこそ、そこでスピード感を発揮してほしいんですよ。拙速という意味でのスピード感じゃなくて、迅速というスピード感をもっと示してほしかった。
そうすると、やっぱり私の思っているスピード感というところ、また地域が求めるスピード感というところで、そこと区長の思っているスピード感には違いがあるなというふうに感じるわけですけれども、区長の思うところのスピード感、この解釈について伺います。
◎保坂 区長 私自身は、スピード感という言葉はなるべく使わないようにしているんですね。というのは、スピード感という言葉はやっぱり人によって大分、それこそおっしゃるように違うだろうというふうに思います。
例えばもう五年も六年もずっと意見がかみ合わなかった。そのかみ合わなかったものを半年かけて、十回話合いをして、少し接点が出て、一緒に対立しないでやれることになったねというのは、私は早いというふうに感じます。
そういう意味で、この下北沢で確かに時間をかけて住民参加をやってきたのは事実であります。その住民参加が決して無駄にはなっていない。実際に、下北沢の駅前広場の設計を今またいろいろ意見をいただいてやっています。本当に細かい部分です。階段の位置だとか、あるいは駅から見たときの風景だとか、いろんな広場、時にはイベントで使うことができるのかとか、いろんな多角的な検討がされていまして、この広場も、下にケーブルを埋め込んだり、様々な過程を経て順調に現在は、いわゆる軌道に乗って整備のほうは進んでいると。
なお、道路部分については先日も買収の件でお話がつきましたと。ただ、それがもっと早くできないのかという指摘があると思いますけれども、所管は頑張って一生懸命、地元に入りながら御理解を得てやっていることと思っておりますので、いいまちづくりにするための無駄な時間ではなかったということを御理解いただきたい。
◆畠山晋一 委員 より多くの方の意見を聞く中での熟議というところでありますけれども、それでも、まだスピード感を持って、まさにさっき道路事業の話で、Ⅰ期の工事に集中して、補助五四号線と、ここのピンクで塗った部分を集中して、こっちのⅡ期目とⅢ期目は優先道路から外してという考えの中でやったわけですけれども、それでもまだ、ここのタウンホールがありますけれども、茶沢通りからの入口のここの部分の用地買収がなかなか進んでいない。こっちが進んだからいいんですけれども、大事なのはこっちなんですよ。ここの用地買収を進めないと、この茶沢通りから工事車両が入ってきて、こちらの駅の整備の本格推進ができない。
できなくはないんです。今は小田急さんが、ここの黄色に塗った部分を特別に今、暫定的に、商業施設にして本格実施しないで、こっちから工事車両を入れられるように協力してもらってようやくできている。でも、ここをもっとスピード感を持って早くやりましょうよというところで、例えば恵泉通りのように、区長自ら権利者の方と意見交換されたという話を聞いているわけですけれども、まさにここに区長自身から意見交換に行って進めていくという状況が必要と私は考えますけれども、いかがでしょうか。
◎保坂 区長 おっしゃる長い過程の中で、駅前マーケットがありましたよね。非常に権利も複雑で、絶対のかないというふうにおっしゃっていた方も中にはいらっしゃった。ここをどうにか解決しようということでは直接お話もしました。
委員おっしゃるように、そこの部分は大変重要ですので、所管によく話を聞きながら、必要なときには直接お話しすることもいとわないつもりでございます。
◆畠山晋一 委員 実は、幸いにしてこっちにリロードができて、こっちも暫定的だと。実は暫定でスピード感が遅いから、今ここの踏切のあったところが非常に危険な状態になっています。自転車も、歩行者も、車椅子も、ベビーカーも、ちなみに社会的実験のループもここで行われていて、大勢の方が集まっている。
でも、たまたまここに交番があるから交通の抑止にはなっているけれども、暫定的だからこそ危険という状況になっているので、スピード感を持って取り組むところは、ここをきちっと整備することにも結びついて、地元の安心になってきますので、そのことにしっかり対応することを要望して、午前中の自民党の質疑を終わります。
○加藤たいき 委員長 議事の都合により、ここでしばらく休憩し、再開後、自由民主党の質疑を続行させていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは休憩いたします。
午後零時五分休憩
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午後零時五十五分開議
○加藤たいき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
自由民主党、どうぞ。
◆石川ナオミ 委員 それでは、午前に引き続きまして、自由民主党世田谷区議団の補充質疑を始めます。
皆さん、町の中でよく見かける光景、景色、そして町の中にある看板、例えばコンビニエンスストアの看板などをぱっと思い描けるでしょうか。その中でもセブンイレブンの看板、ちょっと思い描いてみてください。実はこのセブンイレブンの看板は、色彩のみからなる商標として、日本で登録第一号ということなんだそうです。
では、このセブンイレブンの看板ですが、何色使われているでしょうか。保坂区長、思い描けますか。
◎保坂 区長 三色くらいですか。
◆石川ナオミ 委員 そうですね。基本的には三色なんですが、看板として見るなら白が入りますから四色になるんですね。オレンジ、緑、赤、白ということで四色だということです。
こういうふうに、ふだん何気なく町の中にあるものについては、意識をしないと目に入ってこないというか、情報としてキャッチアップできないということなどがありますよね。私たちは業務の中でも結構見過ごしていることというのがあるんじゃないかなというふうに思うんです。やはり意識して見ていくということにおきましては、そこに対して非常に注意が行くわけですから、常態化していることについても常に改善の余地があるということが言えるかと思います。そうしたら厳しい視点からも、ただいまから行政改革について伺ってまいりたいと思います。
昨年度はコロナ禍を踏まえた厳しい財政状況に対応するということで、年度当初に事務事業の見直しをいたしました。緊急見直しをいたしまして、およそ二十三億円の削減を図り、予算の減額補正が行われました。しかし、行革というのは地道に見直しを続けるということ、また未来つながるプランの素案の中でも、行革を継続して取り組むことでありということで、その場限りではなくということを、しっかりその効果やコストの分析、評価等が必要であるということ、これは継続して行わなければいけない、これは私たち会派も再三にわたって訴えてきた、要望してきたことでもあります。
御存じのように、民間企業ではBPR、ビジネス・プロセス・リエンジニアリングという業務改革、業務改善ではなくて業務改革という考え方が進む中で、自治体もこのBPRのプロジェクトが進んできておりまして、作業の見直しをしたり、今まで別々に行われていた作業を一つにまとめて統合して効率性を高めていくとか、また、これからさらに進んでくると思いますが、RPAというロボットによる再配置というようなことで、今後DXが進んでくると、さらにこれが加速化されていくことが期待されるというか、そういうふうになってくるんじゃないかなと思われます。
そこで改めて、今般まとめられました世田谷区の財政指標を見てみますと、財政の弾力性、ゆとりというところでの弾力性を見るための経常収支比率八一・七%、これは令和元年度の八一・四%より若干高めに推移しています。一般的に見ましても、経常収支比率は七〇%から八〇%以内が望ましいと言われている中で数値としては少し高めになってきていることが気になるところでもあります。
また、都区財政調整における交付金額も減額をされているという中で、財政力指数も〇・七一、令和元年からも横ばいであるということからも、根本的な解決というところで見ていきますと、歳入を増やしていくという手だてが必要になってくるんじゃないかなということが言えます。
では、まずは今後の歳入の見通しについて伺います。
◎加賀谷 政策経営部長 令和二年度決算、お話しありましたけれども、まず歳入の根幹の特別区税ですけれども、前年度比では二十二億円ということで上回ってございますが、一方、特別区交付金では税制改正、それから新型コロナウイルス感染症による影響を受けまして、前年度比でマイナス七十七億円の大幅な減となってございます。
また、令和三年度当初予算では、特別区税は引き続き新型コロナウイルス感染症の影響ですとか、ふるさと納税による減収を見込み、前年当初予算比でマイナス七十六億円、特別区交付金と合わせまして合計でマイナス百二十八億円と大幅な減収を見込んできている経緯がございます。現在、令和四年度当初予算の編成に当たってございますが、特別区税、特別区交付金ともに、今後の見通しが現在ではまだ不透明な状況ということで、令和三年度当初予算とほぼ同額で見込んで進めております。
引き続き厳しい財政状況にあると認識してございます。国、それから東京都の財源は最大限確保するという前提の下、基金、それから特別区債の適切な活用を図りながら、併せて一層の行政経営改革の取組も行っていくと。その上で、地域経済の動向ですとか、納税者数の推移も併せながら状況を見極めて、十二月の都区財政調整の協議の動向、国の経済見通しも十分に踏まえまして、適切な歳入見通しは立てていきたいというふうに考えております。
◆石川ナオミ 委員 御答弁の中でも、ふるさと納税の減収という言葉がやっぱり気になるところなんですね。そして、世田谷区の広報、最新号「区のおしらせ」の中にもふるさと納税が特集をされておりまして、ばんと「七十億が流出!!」という言葉が躍っております。非常に目を引くものなんですが、本当にふるさと納税の減収ということでは、残念ながら今年度も七十億円という減収が見込まれているということで、これは区民税収入のおよそ五・八%に当たるということで、区の財政においても大きな影響が出てくると言われております。
昨年六月に地方税法が改正されまして、返礼品においては寄附額の三割以下の地場産品という基準が設けられまして、改善策が講じられてきているんですが、利用者は増えてきている、増える一方であるということも懸念されております。
実際に全国のふるさと納税に関するネットサイトなどを見ていましても、この寄附額の三割を超えるお得な返礼品がいまだにたくさん紹介されているという現実がありまして、還元率というのは改善されていないのかなというふうにも思われます。
このように、ふるさと納税の課題はこれまでも様々なところで議論されてきました。ふるさと納税においての七十億円の減収ということ、これはやっぱり大き過ぎますね。看過できない問題ですよ。
このふるさと納税につきましては、自治体単位で取り組むことではなく、やはり国においても働きかけていかなければならないですし、やはり原理原則といいますか、原点に立ち返りまして、租税原則をゆがめている現状そのものを改善していかなければならないんだということ。本来、目的に合った制度改正を求めていくべきなんではないかなというところでもあります。
この点につきましては、我が会派も、既に国会議員を通じまして国にも働きかけをしております。そこで、区としても減収の厳しい現状を踏まえて、どのように考えているのか、保坂区長に改めて伺います。
◎保坂 区長 おっしゃるように、ふるさと納税、平成二十七年以降、七年間合算しますと二百七十一億円、しかも、金額がどんどん上がってきていて、ついに七十億円という、小学校なら二つ立派に改築できるという規模になりました。これは、制度自体が使わなければ損ですよという、いわばインターネットを開いても、年末になると、今なら間に合うと働きかけてきます。テレビでも「ふるさと納税やってる?」というCMが流れますので、やらないのは損だよねと。そこの個人の納税ということだけ見れば確かに得なんです。ただ、自治体の税というのは地域の会費とも呼ばれていて、それで道路を直したり、学校を造ったり、保育をやったり、様々やっているわけで、そういう意味では、そこに空いた穴を、ふるさと納税を使っていらっしゃらない方の税源も含めて埋めてきたというのが現状です。
ただし、この金額になってくると、十分埋められない。したがって、先延ばしをする。ぎりぎりにするとか、コストカットをするために計画どおりできないで、翌年に延ばす、あるいは翌々年に延ばすということもやっぱり出てきています。
そこで、やはりこれは最大の行政経営改革だと思っているんですね。つまり、ふるさと納税制度を、少なくとも現状は明らかに行き過ぎだと。最大横浜市とよく言われるんですが、四分の三は交付税として戻ってきます。日本最大が世田谷区なので、そういう意味では特別区長会を通して何度もやりましたけれども、世田谷区としても、議会の皆さんと一緒に議論しながら、やはりこの制度、行き過ぎた部分を大きく是正してほしいと。少なくとも平成二十七年並みの率に下げてもらうとか、ふるさと納税ができる上限を決めるとかということで、持続可能な、地方に区民の方がふるさと納税をしてというようなことを全否定するつもりはないんですが、これは今、明らかに行き過ぎなんでという声を、行動にして示していくときだというふうに考えています。
◆石川ナオミ 委員 我々自民党としても、責任政党としても、やっぱり国に働きかけていくことはしておりますし、区としてもしっかりそこは検討していただきたい、さらに引き続き継続して議論していただきたいというふうには思います。
このコロナ禍におきましては、財源確保をしていくということで、歳出を抑えることはもちろんなんですが、先ほども申し上げましたように、歳入を増やしていくこと、ひいては税外収入というところをこれまで以上に増やしていく、創意工夫が必要ではないかというふうに思われます。
昨年度の税外収入は全体でおよそ一億円余りということですけれども、その内訳を教えていただきます。また、他の自治体の好事例なども参考にして取り組んでみてはいかがでしょうか。見解を伺います。
◎加賀谷 政策経営部長 令和二年度、一億円の税外収入の内訳でございますが、自動販売機やコインパーキングなどの土地等の貸付が約五千五百万円、デジタルサイネージをはじめとしました広告料収入が約一千八百万円、放置自転車の売払いが約一千三百万円、粗大ごみ等の資源化による収入が約八百万円、レンタサイクルポートのネーミングライツですが三百万円、公園等におけます移動販売車による収入が、こちらも約三百万円という内訳でございます。
それから、他自治体の好事例の取組ということでは、例えば埼玉県所沢市などですけれども、マンホールの蓋を活用しました広告料収入ですとか、群馬県前橋市などの清掃車両への広告掲示の収入といった例が見られますが、同様に例えば区が実施するには所有形態ですとか法令規制といった条件が異なる面がございますので、さらに幅広い情報収集や検討が必要かと思っております。
また、シェアサイクルによる自転車通勤ですとか、宅配利用の増大が昨今見られます。こうした需要を区民の利便性の向上といった観点も踏まえながら、改めて狭小スペースなどの活用を見いだして、民間企業からのアイデアを募るなど、新たな税外収入の確保に向けては積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
◆石川ナオミ 委員 そして、行政改革の一つ、やはり官民連携ということも挙げられるわけなんですが、以前、私はソーシャルインパクトボンドという、成果報酬型のスキームで取り組む自治体の事例なども御紹介させていただきましたが、行政のスリム化と効率化、また民間の知恵とリソースを生かした官民連携の手法、いろいろあるんですけれども、そういった手法をどのように取り入れて行政改革を進めていくおつもりでしょうか。
◎加賀谷 政策経営部長 御指摘の費用対効果の向上、それから官民の連携による民間アイデアの活用という部分ですけれども、行政課題の解決に向けては、民間企業なりの柔軟な発想、手法、また、より高い成果の創出に期待が持てるお話しの成果連動型民間委託契約方式、PFS方式、また、そこに民間事業者からの資金を投入して行うSIB方式がございます。
そういった部分を取り入れますと、今まで以上に評価分析が詳細に行われた結果、これまでややもすると十分な成果が得られない固定的な経費かかっている実態がより明らかになることで、効果的な改善も期待できるものではないかというふうに考えてございます。
例えば他自治体などでは、がん検診の受診率向上ですとか健康増進プログラムにそういった手法を取り入れている例もございます。成果の達成状況の改善と将来的なコスト削減が図られていることも見受けられますので、こうした行政改革に向けての取組、民間ならではのアイデア、手法を活用した他自治体の事例も参考にしながら、庁内での対象事業を改めて整理して、民間事業者へも働きかけてまいりたいと考えております。
◆石川ナオミ 委員 ぜひいろんな角度から取り入れていただきたいというふうに思います。
続きましては、都市整備について伺ってまいります。
さきの総括質疑の中でも、道路整備について私は質疑をさせていただきました。その際にも、タイミングを逃さないで取り組んでほしいという要望を強くさせていただきました。
午前中、畠山委員からもスピーディーさ、まちづくりのスピーディーさということについて質疑をさせていただきましたが、保坂区長はスピード感という言葉はあまり使いたくないという御答弁もされていらっしゃいました。ただ、そのスピード感も必要なときはやっぱり発出して進めていかないと、なかなか進むものも進まないのではないかなというふうに思われるんですが、この世田谷区の都市整備はどのように考えていらっしゃるのか、保坂区長に改めて伺います。
◎保坂 区長 ちょっと誤解があるといけないんで、スピード感をなるべく使わないというのは、例えば迅速性という言葉を使うんです。なので、要するに日本語の使い方として言っているということで御理解をいただきたいと思います。
今お尋ねのあった都市計画道路、連続立体交差事業、木密解消など、区としては、都のマスタープランや特に都市整備方針、区としてもつくっておりますので、こういったものに準拠しながら計画的に進めているところです。
先ほどは下北沢のお話をしましたが、もう一つ大きな、これも長時間の時間が経過した二子玉川東地区の再開発につきましても、町が出来上がり、乗降客も非常に増大したと。一方で、やはり再開発をめぐっていろいろな議論もございました。特に出来上がってからは風の害、要するに強風が、ビル風がどうしても風の強い日は吹いてしまって危ないという声がございました。区としては、これは初めての試みだったようですが、定点観測で風速計を置いて、風がどう流れるのか、コンピューターシミュレーションもかけまして、有効な風を防ぐ対策を施すなどをしてきております。
そういったことを経て、エリアマネジメント、二子玉川エリアマネジメンツですね。公共資産も活用しながら町をよりよくしていこうという、様々な商店街から町会から、あるいは事業者も入った活動もできてきております。
京王線の立体交差事業ですが、平成二十六年に事業認可され、開かずの踏切は今現在も続いておりますけれども、早期解消を目指して事業が進んでいるところでございます。この京王線の連続立体交差事業、小田急もそうでしたけれども、該当する駅の数も区内に多いわけです。そういう意味では、それぞれの町並み形成の中で駅前の在り方というのは大変重要ですし、連続立体交差事業の後で町がどのように動いていくのか、高架化はどのように使えるのか、どこまでどうなのかというようなことについて、住民に情報開示をし、地域住民、そこに住んでる方はもちろんですけれども、駅を利用されている周辺の地域住民の声をなるべく丁寧にきちっと聞いて合意形成をしていくのは、遠回りにはならずに、やはりいい町にする意味で必要なことと思っております。
しっかり無駄なくやるという意味では、そこは意識をして、タイミングを逃さずにやってまいりたいと思います。
◆石川ナオミ 委員 迅速に進めていただくというところで、先ほど京王線の連続立体交差事業のお話も出ましたので、烏山地域のことについて伺っていきたいと思います。
京王線連続立体交差事業があり、また烏山は、それに伴って補助二一六号線の道路整備も今進められておりますし、また烏山北住宅、北烏山二・三丁目の団地の建て替えもあります。そして、第一生命グラウンドの跡地、そして岩崎学生寮周辺の広大な敷地の整備というところで、大規模開発が本当にこれからめじろ押しといったところで、大きな変貌を遂げるターニングポイントになっているということも言えると思います。
そして、さらに町の玄関口でもあります千歳烏山駅周辺の整備。特に駅前広場南口なんですが、この整備は既に地権者の皆様が、まちづくり準備会を設置いたしまして意見交換などがなされています。来年度にはこのプロジェクトチームをより強固なものにするために組合化にしていこうという動きもございまして、本腰を入れてまちづくりということを進めていく機運が高まってまいりました。
ただ、用地取得を見てみますと、鉄道事業が現在のところ七七%、道路整備につきましては五一%、そしてこの駅前広場についてはまだ一六%しか進んでいないというのが現状でございます。ですから、この状況がある中で、やっぱりスピード化ということよりも迅速にということであるならば、加速していかなければいけないというふうにも私は思うんです。
そして、まちづくりというこれまでの概念とか機能ではない取組が必要なんじゃないかと。それをスピードアップしていく、図っていくという意味でも、後押しをしていくという意味でも、拠点としての整備が必要なんじゃないかなというふうにも思われます。
例えば、これまで二子玉川、下北沢での再開発に伴っては、平成十八年四月から平成二十七年の三月まで、区では生活拠点整備担当部を設けられまして、平成二十八年四月から三十一年三月までは北沢総合支所内に街づくり事業調整副参事が新設されたと。その後、拠点整備担当課に移行して現在に至っているというところでございます。
ですから、専門の部署が設けられて、よりまちづくりを後押ししていく体制が整ってきていた、そして整っているということで、やはりこれは各部署の連携が取れますし、都市計画は縦割りじゃなく横方向で、しっかり横串を通して取り組んでいくということにおいては、非常に大きなメリットもあるというふうに思います。
ぜひ烏山総合支所内にも拠点整備を担当する所管を新設して、横断的に効率的、機能性のある組織体制を整えていくべきではないかなというふうに考えますが、見解を求めます。
◎岩本 副区長 世田谷区では、まちづくり事業の推進に際しまして、まちづくりの各段階に応じて組織体制の強化や見直しを図りつつ、まちづくりを進めてまいりました。
お話しいただきましたとおり、二子玉川再開発と合わせて生活拠点整備担当部を置き、また、平成三十一年には北沢総合支所に拠点整備担当課を置きまして、下北沢駅周辺の基盤整備に重点的に取り組み、小田急線連立事業に伴う上部利用のまちづくりの整備、誘導に成果を上げてきました。烏山総合支所では参与を置くとともに、令和元年度より道路・交通計画部、都市整備政策部、土木部も含めた関係各課によるプロジェクトチームを設置し、地区計画の導入や再開発検討の支援と併せまして、道路事業や連立事業に関連した様々な課題の対策、検討に取り組んできました。
今年六月の地区計画の策定を契機に、街並み誘導などの地区計画に基づく取組をはじめ、駅前広場南側地区での再開発手法の活用など、今後重層的な取組を総合的に的確に促進する必要があると考えてございます。事業の進捗の状況を見ながら、領域関係所管との役割整理を行いまして、委員お話しの体制強化についても検討してまいりたいと考えてございます。
◆石川ナオミ 委員 世田谷区も当事者意識を持って、先行買収をしている地権者という観点からも、地域の方々と同じ目線で、時には地域を先導して臨んでいくというような強い信念、覚悟が必要であると思いますが、引き続き副区長、答弁願います。
◎岩本 副区長 駅前広場を含む南側地区では、多くの地権者による駅前広場南側地区まちづくり準備会が設立され、再開発準備組合の早期設立を目指して、現在活発に活動が進められております。
区といたしましても、地区内での事業継続や居住継続が可能となるまちづくりと駅前広場の整備を一体的に実現できる再開発事業による手法は有効な取組であると考えており、まちづくりに住民の創意工夫を生かし、地域住民の理解を得るような取組が重要であると認識しております。
引き続き再開発事業を活用した駅前広場整備の実現に向けて、まちづくり準備会を積極的に支援し、主要な地域生活拠点である千歳烏山駅周辺まちづくりに、覚悟を持って全力で取り組んでまいりたいと考えております。
◆石川ナオミ 委員 ぜひとも後押しをお願いしたいところでございます。よろしくお願いいたします。
それでは最後に、保育整備について伺いたいと思います。
これまでワースト一位であった待機児童が二年連続で解消されたということで、非常に喜ばしいことではありますが、非常にいろんなところに影響もあるわけなんですね。認証保育さんであったりとか、預け控えになって園児が減ってきているというところで、それぞれ保育園の事情も変わってきているなというところがあります。ぜひとも、いろんなところから私どものところにも声が寄せられておりますので、そうした声にしっかりと寄り添って、今後の保育園、どうあるべきかということ、そして世田谷区の未来ある子どもたちのためにどういうふうにしていけばいいのかというのをしっかりと議論をしていただきたいというふうに思っております。
ちょっと私の持ち分の時間が少なくなってまいりましたので、最後に幼児教育の無償化における区の対応について触れておきたいと思います。
現在、世田谷区の私立幼稚園では、無償化給付金の上限金額が月額二万八千五百円でして、その内訳なんですが、国からは二万五千七百円、都からは千八百円、区からは独自軽減加算の千円、合わせて二万八千五百円というふうになっております。しかし、ここで注目すべき点なんですが、この区独自の加算給付金額が二十三区の中では下から二番目の給付額でして、他区の独自加算額を見てみますと、近隣区では、大田区八千円、杉並区では二千六百円、目黒区は一万円ということで、他区と比較しても世田谷区の加算額、ここで僅かという言葉を使うのはちょっと忍びないんですが、千円というところで、あまりにもこれは格差があるんじゃないかなと思わざるを得ません。
このように他区の状況から鑑みましても、世田谷区の私立幼稚園に通うお子さんに対して、また御家族の方々に対しては負担が非常に大きくなっているということが実態です。これを踏まえまして、現行の区独自の給付加算金千円を、二千円もしくは三千円に引き上げることが可能かどうか、見解を求めます。
◎柳澤 子ども・若者部長 区では、私立幼稚園の園児の保護者を対象に、経済的負担軽減等を目的として保育料等について一定額を補助してございます。補助額については、令和元年十月から幼児教育・保育の無償化の実施に伴いまして、区内の平均保育料などを参考に、年収等に応じて月額二万八千五百円から三万八千九百円と設定してございます。
そのうち、国、都の補助を除いた区の上乗せ補助額は、年収に応じ月額千円から七千円ということで、令和二年度決算額ですけれども、約八千五百四十万円という状況でございます。委員御指摘ございました二十三区内の上乗せ補助額を比較すると、全体で五区が上乗せなしなんですけれども、それ以外ですと千代田区、世田谷区が千円ということで下から二番目となってございまして、隣接の四区の中でも低い額になってございます。
区内の各私立幼稚園では、定員割れによって保育料収入が大幅に減少する中で、教職員の処遇改善や経営基盤の安定化を図るため、保育料の増額を余儀なくされているというふうに承知しています。区としては、保護者が区内の私立幼稚園を選択できる環境が守られるよう、国や都の動向を前提としながらですが、保護者の負担軽減や幼稚園運営の安定化に資するため、保護者補助、私立幼稚園の補助の全体について見直し検討してまいります。
◆石川ナオミ 委員 ぜひとも子どもたちを安心して産み育て、心豊かに育てる環境を整えていただきたいということを要望いたしまして、続いて、おぎの委員にバトンを渡します。
◆おぎのけんじ 委員 私からは、池尻中跡地活用について伺ってまいります。
我が会派としましては、これまで一貫して現計画の見直し、再検討を求めてきたわけでありますけれども、大きな方向性としては二つあるかなと思っています。一つはハード、あの区有資産をいかに有効活用して収益化をするかという点、それからもう一つが、そこでどんな事業を営むかという点、この二点で再検討を促してきたつもりであります。
この決特での議論も聞いていて、ちょっと前提が違うんじゃないかなと思った点が一つありましたので前もって指摘しておきますけれども、あの事業、経済産業部が示している、やりたいという事業をやっていく上で校舎、校庭、体育館を使うことがマスト要件であると、耐震補強はマストだということを誰がいついかなる理由で決めたのか、我々はその合理的な説明を一切受けておりません。
総括で我が会派の真鍋委員の質問に対して、区長はこう答弁しておりました。土地の有効活用をという御提案だが、耐震改修という区切りがある。区の産業政策上、どう攻め込んでいくか経済産業部の意欲を評価したいというようなことが述べられていて、まるでわけが分からないなと思った次第です。
そもそも事業をやる土台となる資産を最大限収益化した上で、その事業にチャレンジすることは当然できるんですよ。収益化したとしてもインキュベーション事業というのはできるし、逆にインキュベーション事業をやったからといって収益化できないということはありません。つまりこの事業をやることと、校庭、校舎、体育館を残すことは全くの別問題であるということを多分区長も誤解されていらっしゃるんだと思いますので、まず指摘しておきます。
それで、さっき石川委員からも指摘がありましたけれども、政策経営部の中には、税外収入の確保、ふるさと納税のへこみを取り戻さなくちゃいけない、あるいは官民連携を推進するということをミッションとしている部署がありますよね。世田谷区は、二年前から新公会計制度を導入して、それによって各施設のフルコストがつまびらかになったと。ゆえに、今後は各施設、あるいは施設全体で投資、回収という観点で見ていかなくてはならないということだと思います。
同じく、政策経営部が出している公共施設等総合管理計画という資料がありますけれども、向こう数十年、毎年五百数十億円維持経費がかかっていきますというようなことが書かれていて、その維持経費を削減していくために区民負担を強いるような経費削減策が幾つも列挙されていると。子どもの学校のプールの共同利用だとか、児童館の適正配置だとか、あるいは区民利用率が低い施設の廃止とか。ただ、その一方で、ここの施設をこれだけ収益化をして、稼ぎ出して、維持経費分に充てていきますというような観点が全く欠落しているというのは、どう考えてもおかしいと私は思ってきました。
そこで、池尻中跡地の話になるんですけれども、総括で、真鍋委員が民間の大手不動産会社さんに聞いて、リサーチをされたわけです。政策経営部がやらないから。それによると、七十三年間で定期借地権を設定して百億円の権利金という話もあったと思いますけれども、私も独自に不動産コンサル会社の社長さんの知り合いがいましたので聞いてみました。
たまたまその方は池尻にお住まいだったので、よくあの土地のこと御存じでしたけれども、同じように、七十年間で九十五億円ぐらいだと思いますよと言っていました。あそこは、南道路だし、世田谷公園もすぐ近くで小学校も近い、池尻大橋からも歩いて十分程度、かつ自衛隊が近くにあると。自衛隊というのは地盤が強固なところにしかないというのが通説のようでして、その意味でも大変価値のある土地ですよということをおっしゃっていました。一社だけの見積りならばさっきのような数字になるけれども、複数社競らせれば、もっともっと釣り上がると思いますというようなこともその方はおっしゃっていました。
こういう公共的な土地に定期借地権を設定するというケースでいきますと、すぐ想起されるのが渋谷区の本庁舎ですけれども、あそこは敷地が一万二千四百十八平米あって、そのうちの約三分の一強の四千五百六十五平米に七十年の定期借地権を設定したと。当初、権利金が百五十四億円、この権利金を使って新しい庁舎と渋谷公会堂の建て替えの事業費としたということです。
途中で建築費が高騰してきたので、三井不動産が計画変更を渋谷区に要求してきたと。渋谷区のほうはそれを受けて、当初は三十七階までだったらしいんですけれども、容積率の緩和をして、二階分積み増ししていいですよということになって、結局、権利金が二百十一億円まで上がったということなんです。
行政と民間の間でこれだけのビッグディールができたということと、あと渋谷区側にそれぐらいのタフな交渉ができる人材がいたということに、私はこれを見てびっくりしました。どっちかというと三井のほうが得をしたのかなという気が個人的にはしなくもないですけれども、こういう例を見ても、池尻だっていろんなパターンを想定して交渉することはできると思うんです。
池尻の面積は、渋谷区とそう遜色ない一万四百八十五平米。仮にここに目いっぱい分譲を建てたとしても、一・二階を例えば公共利用するだとか、あるいは校舎部分にだけ定借を設定して、そこへ分譲マンションを建てるけれども、残りの敷地の中に新しい施設を整備すると。その場合は、校舎の解体費用も事業者持ちでできるかもしれないとか、いろいろ検討できると思うんですよ。
ですけれども、今のところ区から出てきているのは、経済産業部がサウンディング調査から導き出した月百万円でどうでしょうかといったところで思考が停止してしまっている。聞くところによれば、校舎の耐震補強費用二・五億円ぐらいかかると言われています。月百万で二・五億円回収するとしたら、二十年かけても回収し切れないんですよ。要は本当にこんなにもったいない使い方を、向こう十年、二十年するつもりなんですかということなんです。
次に、ちょっと中身の話に行きますけれども、我が会派としましては、ものづくり学校は大失敗だったと総括しています。大きく反省点としては三つあると思っていまして、一つは収支構造、運営方法、それから区の関与という三点だと思っています。
まず、収支についていきますけれども、令和二年度を例にとって申し上げますが、売上げが一億四百七十万円、うち八千七百七十万円が賃貸料、これはつまり入居している企業からの家賃収入です。これがほぼだと。支出もほぼ売上げと同じ一億四百二十万円、支出の大半が施設管理業務七千百九十万円。
では、インキュベーション的なことは何をやっているかといったら、起業・創業技術支援事業費、起業・創業の場の提供事業費、新たな産業創出事業費、この三つに分かれているんですね。これはそれぞれ何をやっているんですかと私は課長に聞いたんですけれども、聞いてもよく分かりませんでした。
その残ったお金から、区への施設使用料として千三百二十五万円払っていると。さっき言ったように、八千七百七十万円を入居企業から受け取っていて、区には千三百二十五万円を施設利用料として払っていると。これだけ見ると、壮大なスケールの中抜け事業と見えなくもないんですけれども、だったら区が直営で、ただの箱貸しとかをやったほうがよっぽどましだったんじゃないかなとすら思うんですね。
というのは、運営方法に問題があったからだと思っています。実際、私、入居していた企業の方に話を聞きました。経済産業部がやらないから。
仮にK社としますけれども、私が知り合いがいるというところは抜きにしても、売上げの伸びだとか、マーケットの成長性だとか持っている技術だとか、そういった点から見ても、あそこに入っていた会社の中では最もいけている会社だったんじゃないかなと思っていますが、そこの取締役をやっている彼がはっきり言っていましたけれども、運営会社であるIIDは、インキュベーション的な立ち回りは一切しなかったと。
入居企業者同士を積極性につなぎ合わせるわけでもなく、経営相談に乗るわけでもなく、金融機関を紹介するわけでもなく、途中で手狭になったから、もうワンスペース貸し増ししてくれと言ったけれども相手してもらえず、結局出ていくことになったけれども、区内の物件を紹介するわけでもなく、仲介業者を紹介するわけでもなかったと。正直言って、我々のような次のステージに行きたいと思っている会社にとってはとてもきつい環境だったということをはっきりおっしゃっていました。これ以外も言えないような話をいっぱい聞きましたけれども。
区はいろいろと池尻中に関して答弁する中でよく出てくる福岡のグロースネクストですね。私なりに調べてみたんですが、二〇一九年から二期目がスタートしていまして、二期目の目標としてとても壮大なものを掲げてらっしゃいます。企業価値十億円のスタートアップ百社、これを生み出すんだと。企業価値十億円のスタートアップ百社、規模にしたら一兆円です。これでスタートして、実際二年たって、今のところ入居者企業全体で九十五億円の資金調達を達成していますよということです。
ここは、運営事業者が入居企業と定期的な面談をして、各企業の経営状況を把握されていて、必要とあらばお客さんを紹介したり、あるいはベンチャーキャピタルを紹介したりというような取組をやっていると。二期目からスポンサー企業、これは三十社以上あるそうですけれども、スポンサーが入ってきて、お金を出すだけじゃなくて、事業提携をしたり、協業したり、経営的なアドバイスをしたりというような関係性が構築されているらしいです。
事業者のコメントとして載っていたんですけれども、福岡市がコミットしているからいろいろな企業や著名な方々が応援をしてくれるんだということなんですね。
翻って、世田谷のものづくり学校における区の関与ですけれども、九月に委員会で示された検証資料の中に、ちょっと信じ難い表現があったんですが、読み上げます。「第二期から目標数字の設定はなされているが、KPIの設定およびそれに基づく評価がなされていない」と。これを見て、私はよく意味が分からなかったんですけれども、直感的にちょっとやばいことが書いてある気がしたので、そのとき部長に聞いたんですね。これは何事ですかと。
そうしたら、田中部長の答弁はこうでした。今までのものづくり学校に関して言えば、KPIというか、目標数値を掲げていて、それをきちんと評価していなかったという部分、これが反省点ですと、まるで私の質問のオウム返しのような答弁があったわけです。要はこれ以上でも以下でもないということなんでしょうけれども、額面どおりこれを受け取れば、要は十七年間、何も管理監督していませんでしたということですよね。それで、十七年間放置して好き放題やられたんですよ。もう救いようがない。はっきり言って、時の部長、課長の怠慢だと思いますよ。
それを象徴しているのが、さきの本会議での他会派への答弁であったんですけれども、事業者決定後に評価委員会におけるKPI、その他の評価項目を設定するという答弁をされていたんですね。事業者にしてみたら、何をどう評価されるか分からないのに応募ってできますか。何をどう評価するかも分からないのに、我々議会はこの事業はいいねと言えるんですか。そもそも評価項目は事業者ごとに変動するんですかと思うんですよ。
やっぱり考え方がとても甘い。だって、やりたいコンセプトがあって、その実現可能性が一番高い事業者に委託をしようということじゃないですか。だから事業者側に寄りつくんじゃなくて、行政側に寄りつけさせないと駄目なんですよ。
評価委員会、評価委員会って答弁の中にありますけれども、皆さんが評価委員会にこだわる理由は多分二つあって、多分評価するスキルがないということと、評価委員会をつくることで責任の所在を曖昧にできるということだと思うんです。でも、この事業をやりたいんですよね。やりたい事業の成功か失敗かをはかる物差しを、当事者であるあなた方がなぜ決められないのかということなんです。
ちょっと余談ですけれども、私、十数年前、ベンチャー企業を経営していた頃に、地方自治体の行政マンから熱烈な営業を受けたことがあります。当時、我々の会社はベンチャーキャピタルから出資を受けていて、そのVCが主催する、当時で言えば一大ベンチャー企業イベントみたいのがありまして、毎年一回、いろんな地方都市で開催されていました。
そこにベンチャーが百社、百五十社ぐらい経営者が集まってわいわいやるわけです。昼間はいろんな会社の技術のプレゼンがあったりして、夜はパーティーがあって、その後、町に繰り出すわけです。そこにいろんな地方自治体から来ている行政マンがついてくるわけですよ。それで、お酒を飲みながら、途中から営業してくるわけですね。
あなた方はVCが入っているから、与信管理はオーケーですと。東京に本社があることも分かっているけれども、支社を我が町に出してくれませんかということを営業されるわけです。住宅補助はこれぐらい出しますとか、融資制度はこれぐらい整っていますとか、あるいは地場のこういう企業があるのでコラボレーションしてはどうでしょうかとか、あるいは地元の優秀な大学生をインターンとして雇ってくださいと、よければ採用してくださいというようなことを延々と聞かされるわけですね。
そこはそこで一旦終わって、その後も電話やメールとかで様々な熱意あふれる営業を受けるわけですけれども、結局私も交通費を払うから来てくださいと言われて何箇所か行って、結局島根に出しましたけれども、そういう世界なんですよ。
彼らの場合は、自らの動きが税収に直結するからそこまで動けるわけですけれども、要はそういう世界に入っていくということだと思うんです。インキュベーションを本気でやるということになると。そういう人たちと互していけるんですかと思ったときに、私は全くそんな気がしていない。努力も、研さんもあまりしていないんじゃないかというふうに思います。だから、十七年間野放しになってきちゃったんです。
評価スキルがないから評価委員会ができるまで待っていますじゃなくて、ないならないなりにつくる努力をしなさいよと。事業者と、その向こうにいる入居企業とも対等にやり合えるぐらいの知識は少なくとも持てるようになりなさいよって思うんですね。だって、これはラストチャンスだと思いますよ。もしこれでものづくり学校と同じような轍を踏んだら、世田谷においてインキュベーション事業なんていうのは二度とできないと私は思います。
ここまで言ってきましたけれども、結局はハードの問題じゃなくて、中身の問題なんですよ。フクオカグロースネクストは確かに校舎を使っているけれども、校舎を使ったから成功したんじゃないです。中身がよかったから、今ああやって軌道に乗っているんです。
これまでの世田谷区の振る舞いだとか、最近の答弁を聞いていても、世田谷区がこの事業を手がける上での信憑性だとか、正当性というものが私は著しく弱いと思っています。ですから、本当に経済産業部でできるのか、できないならそれ以外の事業の可能性を探れと言ってきているわけです。
ここまでいろいろ言ってきましたけれども、という我が会派の主張を含めて、ほかの会派からもいろいろ意見が出たと思いますけれども、田中部長、区としてこれらの意見を踏まえて、今後どうされるのか伺います。
◎田中 経済産業部長 御意見いろいろいただきまして、経済産業部として産業の拠点とするコンセプトで、既存施設を有効活用してやりたいということで進めてきました。評価委員会等、様々御指摘いただいたところですけれども、その部分で、公募の前の改善をしていきたいと考えています。
また、これがよりよい施設となるよう広いアイデアというのは当然募っていきたいというところ。それからまた、全庁的な連携の下で検討を進めながら、区民、議会、区内で事業を営む方、そういった方といろいろ意見交換しながら進めていく必要があると考えています。改めて庁内で議論はしてまいります。
◆おぎのけんじ 委員 冒頭申し上げたように、ハード、ソフト両面から再検討をするという理解でよろしいですか。
◎田中 経済産業部長 今ハード、ソフトということで御意見いただいて、私ども経済産業部としては、既存施設を有効活用した上でのソフトの部分、そこはかなり幅広にいろんな意見を聞きながら検討を進めてまいりたいと考えています。
◆おぎのけんじ 委員 再検討することによって従来予定していたスケジュールはどうなりますか。
◎田中 経済産業部長 九月の区民生活常任委員会で年内に公募していきたいという形でスケジュールを示してきましたけれども、再検討する上で、様々な意見を聞きながら考え直さなきゃいけない部分ございますので、スケジュールに関しては変更していきたいと考えているところです。
◆おぎのけんじ 委員 では、岩本副区長にも聞きますけれども、再検討したプランに関して、やっぱりこれだけ意見が出ているわけですから、議会と一定の合意形成ができるまでは議論を続けていただきたいと思いますけれども、そういうことでよろしいですか。
◎岩本 副区長 今、御指摘いただきまして、ノウハウとか熱意の問題もございます。ぜひ区の産業政策へのチャレンジとして取り組みたいと考えておりますので、庁内で検討を続けるとともに、次のステップに進む前に議論を深めさせていただければというふうに考えてございます。
◆おぎのけんじ 委員 ちょっと岩本副区長にもう一回お聞きしますけれども、議会との議論が深まるまでは事業者募集に踏み切らないという理解でよろしいですか。
◎岩本 副区長 いろいろお話しして御理解いただくように努めますが、その議論の到達を踏まえて、公募をするかどうか判断させていただければというふうに思います。
◆おぎのけんじ 委員 繰り返しますけれども、これだけいろんな会派から疑義が呈されているわけですよ。ですから、やっぱり議論を深めに深めなきゃいけないと思うんです。これで議会と一定議論したからいいやということで事業者募集してしまったとしたら、これはもうえらいことになると思いますよ。その辺をよく考えて、これから議会とも真摯に向き合っていただきたいと思います。
さっきハードの話をしましたけれども、中村副区長としては、今やり取りしたようなお考えでよろしいかどうか伺います。
◎中村 副区長 本件につきましては、旧池尻中学校の活用による事業内容をよりよいものとするように、収益の確度を含めて検討したいと考えます。
◆おぎのけんじ 委員 収益の確度も含めて検討するということなので、再検討していただけるということだと理解しましたけれども、現時点では英断だと思いますので、仕切り直しましょう。よろしくお願いします。
ちょっと残った時間で次へ行きます。池尻と同じく、ちょっと先行きが不安なのが地域行政でありまして、総括で聞きましたが、一年条例制定の時期をずらしたわけです。この一年間で具体的には何をするんですかと聞いたんですけれども、ちょっと答弁がピント外れだったので、再度、舟波部長にお聞きしたいと思いますけれども、今後申請主義からプッシュ型行政と大転換点を迎えていく上で、地域行政制度の改革をしていくわけですが、見直しというレベルじゃなくて、大手術と言ってもいいぐらいのレベルだと思うんです。
ついては、本庁部だけで頭でっかちプランをつくっていても駄目で、やっぱり全庁的な改革に向けての機運醸成というものをしていかないと駄目だと思うんですけれども、そういった作業を今されているのかどうか伺います。
◎舟波 地域行政部長 地域行政の充実に関する条例の制定、あるいは推進計画の策定に向けましては、まちづくりセンター所長や関係所管の係長を中心といたします構成の部会を設けまして、まちづくりセンターの充実策を中心に検討を進めているところでございます。
また、条例や計画の検討状況を庁内に広く示して意見を集約するとともに、町会・自治会の支援の在り方、あるいは児童館等のネットワークと地域コミュニティーとの連携、また地域包括ケアの地区展開の実施など、特定課題につきましては関係所管と個別に検討してございます。
地域の実態に即したまちづくりと行政サービスの提供を身近な施設で可能とする、この地域行政制度の改革の目的を広く職員と共有いたしまして、自らの業務に照らして課題を出し合える、そのような機運を高めて充実策の検討を深めてまいりたいと考えております。
◆おぎのけんじ 委員 一年延ばした意味というものをよく考えていただいて、行動していただきたいと思います。
以上で自民党の質疑を終わります。
○加藤たいき 委員長 以上で自由民主党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後一時四十九分休憩
──────────────────
午後二時開議
○加藤たいき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
公明党、どうぞ。
◆福田たえ美 委員 これより、公明党の補充質疑を行ってまいります。
まず初めに、障害理解の促進及び障害者の差別解消、手話言語などの情報コミュニケーション等に関する条例制定について伺ってまいります。
区は、障害理解の促進及び障害者の差別解消、手話言語などの情報コミュニケーション等に関する条例制定に向けた考え方について示されました。条例の必要性につきましては、共生社会ホストタウンとして、地域共生社会の実現を目指して、将来にわたってレガシーを築いていくという区の姿勢を明確に示し、必要な施策を展開していくために条例を制定することが必要であるとしています。
区は、共生社会ホストタウンのみならず、全国でも数が少ない先導的共生社会ホストタウンにも令和元年十月十一日付で認定されています。
ここで伺いますが、区は共生社会ホストタウンとして、これまで心のバリアフリーに様々な取組を行ってきています。これまでの取組で培われてきたこと、また、これからの取組などについて伺いたいと思います。まず、障害施策推進課、スポーツ推進課、都市デザイン課、教育指導課の順に御答弁をお願いいたします。
◎須藤 障害福祉部長 東京二〇二〇大会は、障害ですとか多様性といったことについて多くの方々が情報を発信され、その情報がメディアを通じて多くの方々に伝わり、それぞれが考え、それから理解するというような最大のチャンスであった、機会であったというふうに思っております。区では、この最大のチャンスを生かすために先導的共生社会ホストタウンとして、心のバリアフリーの推進、ユニバーサルデザインのまちづくり、それから障害者スポーツの推進といったことに取り組んでおります。
心のバリアフリーの推進に関しましては、障害理解の促進や差別解消につなげるため、既存にもありますけれども、啓発パンフレットの配布ですとか、それから、小学校へ聴覚障害の当事者の方に行っていただいて子どもたちに教えていただくといったことに加えまして、令和元年度には、アメリカの車椅子ラグビーの選手との交流を通じてのシンポジウム、まち歩き点検、令和二年度には、国や全国の共生社会ホストタウンの自治体とシンポジウムを開催いたしまして、パラリンピックのレガシーを継承する情報発信をしたところです。
こうした取組を通じまして障害理解は進んだものというふうにも考えておりますけれども、障害のある人もない人も共に暮らす地域共生社会の実現に向けましては、今後も障害理解促進等の条例を検討する中で、さらなる心のバリアフリーの推進に向けた取組について、障害当事者、関係機関等の意見を伺いながら検討を進めたいというふうに考えております。
◎内田 スポーツ推進部長 これまで共生社会ホストタウンといたしまして、障害のある人とない人がスポーツ、レクリエーション活動を通じて交流を深めるため、障害のあるなし交流事業、そしてボッチャ世田谷カップ等を開催いたしました。参加者の皆様からは、障害のある人とない人がスポーツのルールを少し工夫することによりまして互いに楽しむことができた、試合形式のボッチャ世田谷カップでは、障害の有無に関係なく同じルールにのっとり真剣勝負ができたとの声をいただいております。
東京二〇二〇大会のパラリンピアンの活躍により、パラスポーツの魅力を再発見する機会となりました。パラスポーツの推進を区のスポーツ推進計画・調整計画の重点取組に位置づけ、区民のパラスポーツに接する機会を拡充し、共生のまち世田谷の実現を目指してまいります。
◎松村 技監 東京二〇二〇大会を契機に、区民のユニバーサルデザインの理解を広げる取組の一つとしまして、馬事公苑の最寄り五駅からの案内について、幅広い世代の方や車椅子使用者などの皆様に御参加をいただいたまち歩きワークショップでの御意見を参考にしまして、様々な方に分かりやすい公共サイン計画を作成して、案内サインや誘導サインの設置をいたしました。それとともに、馬事公苑までの目印となる蹄鉄を平板に埋め込んだブロックの敷設などにも取り組んできたところです。また、ルート上の段差解消や、視覚障害者誘導用ブロックの点検改修、それから周辺の公園トイレの洋式便器化など、都市整備領域の各所管が様々な取組を進めてきたところです。
今後はユニバーサルデザインの生活スタイルの普及啓発のため、バリアフリー設備の適正な利用をテーマとしたワークショップの開催や啓発冊子の発行、また小学校への出前講座などの実施を予定しております。こうした取組を積み重ねて、広く区民の皆様への理解を図ってまいりたいと考えています。
区が目指す共生のまち世田谷の実現に向けまして、引き続き、誰もが利用しやすい生活環境の整備と、それに合わせて、ユニバーサルデザインの普及啓発に取り組んでまいります。
◎粟井 教育政策部長 教育現場におきましては、区内全校におきまして、心のバリアフリーの推進やユニバーサルデザインの普及、障害者スポーツの推進に関する活動に各学校の特色を生かしながら取り組んでまいりました。
具体的には、心のバリアフリーの推進では、車椅子マラソンや車椅子バスケットボールなどのパラリンピアンとの交流を通して、苦難を乗り越え、努力を重ねて目標達成を成し遂げた体験談を伺ったり、障害者スポーツの推進では、ボッチャやゴールボールに取り組み、競技についての理解を深めたりするなどの取組を進めてまいりました。これらの体験を通しまして、児童生徒からは、誰もが一緒に競技を楽しむことができることに気づいたなどといった感想が聞かれ、互いを認め合う心を育むよい機会となりました。
今後とも、東京二〇二〇大会により創出されたレガシーとして、障害や多様性の理解に関する教育を持続的に取り組んでいくよう務めてまいります。
◆福田たえ美 委員 今、共生社会ホストタウンとなってからこれまでの取り組んでいらっしゃいました全所管に御答弁をいただきました。これを聞いていて感じることが、やはりハードとソフトの両面の課題に対して、障害がある人もない人も関係なく、誰もが参加しやすい環境を整備して、そして同じ目的に向かって共に行動をしているということが共通しています。こういった一連の行動が自然と地域で共に生きるために必要な配慮とか思いやりが醸成されているというふうに感じました。
各種障害者団体の皆様から、障害者への声かけなど心のバリアフリーへの取組や、ひとり暮らしを支える福祉人材の育成、居住の場の創設など、ソフトとハード両面の要望をよくいただいております。
国におきます地域共生社会というものは、社会構造の変化や人々の暮らしの変化を踏まえ、制度、分野ごとの縦割りや、支え手、受け手という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えつながることで、住民一人一人の暮らしと生きがい、また地域を共につくっていく社会を目指すものと示しております。
この地域共生社会の実現には、区として、誰もが社会活動に参加しやすい環境の整備が求められています。今回示された条例制定に向けての御説明では、条例の構成案、取組に、見守りとの言葉が多く見られます。共生社会の実現に向けて取り組むために、見守るという言葉は適切ではありません。健常者が障害者の方を、区民が見守るという観点が共生社会ということなのでしょうか。
人が人に対する気遣いや配慮、手助けは当たり前として行うことで、お互いが人権を尊重し、相手を思いやる配慮ができる関係性を築くことこそ、地域における共生ではないでしょうか。常に見守るという上から目線の言葉は排除すべきと考えますが、区の見解を伺います。
◎須藤 障害福祉部長 今、見守りということについて、ちょっと適切ではないのではないかというようなことでお話をいただきました。
まず、東京二〇二〇パラリンピック共生社会のホストタウンでもありましたけれども、その中で、パラリンピックの父と呼ばれる医師のルートヴィヒ・グットマン博士の言葉なんですけれども、失ったものを数えるな、残されたものを最大限に生かせといった言葉のとおり、パラリンピックでは選手お一人お一人がそれぞれの持てる力を最大限に発揮したパフォーマンス、こういったものを見せていただくことで、障害のある方々から多くのことを学ばせていただきました。
一方で、これまで知的に障害をお持ちの方の保護者の方などから、当事者が困っていても誰も声かけをしてくれない、それから当事者が突然パニックになっても誰も助けようとしてくれないといった声も寄せられておりまして、その障害の種別の特性を知り、当事者への配慮、それから手助けを行う地域の見守りということも重要な点かなというふうには考えてございます。
また、九月の福祉保健常任委員会でこちらの条例について御報告をさせていただいた際ですけれども、地域の見守りの重要性についてお示しをしたところ、各委員の皆様からは、障害だけではなく地域全体で差別をなくすというような考え方が必要ではないかといった御意見もいただいてございます。
地域で共に暮らすという中では、障害のあるなしにかかわらず、時には支え、時には支えられる、いずれの場面もあるものと思っております。今後、条例の検討に当たりまして、専門家会議ですとか障害者団体、当事者、家族、こういった方々の御意見を伺う中で、お話しの根本的なことが何かということも含めて議論して、考え方について整理していきたいと考えてございます。
◆福田たえ美 委員 御答弁ありがとうございます。大変大切な条例だと私たちは思っておりますので、そういう意味でも、本当の地域共生社会とは何なのかというのを、私もこの質問をすることになってから非常に考えるようになりました。区民が一緒にこういう機会をいただくことというのは大変大切で、こうあるべきだと決めつけたような条例の書き方でもあったので、そういう意味では、もう一度改めてしっかりと検討していただきたいと思います。
では次に、保健センターにおけるがん検診の充実について伺ってまいります。
我が党が求めてきたがん対策推進条例が平成二十六年に制定され、この間どこまでがんの早期発見、早期治療につながり、区民の健康と命を守ることができたのかということが大変重要な観点になってまいります。世田谷区のがん対策推進条例を制定する意義に関しましては、区では、区民の保健医療福祉関係者及び事業者と一体となって総合的ながん対策を推進することにより、区民一人一人ががんに関する関心を高め、望ましい生活習慣を実践し、がんを予防し、定期的に検診を受けることで、がんを早期に発見するとともに、がんに罹患しても必要な支援を受けながら、自分らしい生活を継続することができる、がんを知り、がんと上手に向き合い、がんになっても自分らしく暮らせる地域社会を実現するためにこの条例を制定するということで、がん対策推進条例が制定されております。
高橋委員が先日の福祉保健委員会所管において、がんでお亡くなりになった三十代の区民の方のことを通じて、AYA世代の在宅支援の早急な取組ということを求めたのと併せて、がんで亡くなる人を出さないということが重要であることを訴えてまいりました。そのために、世田谷区立保健センターが、がんの早期発見に大きな役割を果たすべき、がん対策の拠点となるべきではないかということを訴えさせていただきました。
世田谷区のがん対策推進条例の第八条においては、「区は、がん検診を受診しやすい体制の整備」ということを明記しております。区民の健康増進、がん対策、心身に障害を有する区民の自立を図り、もって区民の福祉の向上に寄与することを目的としているのが世田谷区立保健センターです。この保健センターにおけるがん検診について、この後伺ってまいりたいと思います。
まずは、胃がん検診について伺っていきます。
エックス線の胃がん検診の数というのが減少に転じて、胃内視鏡検診が増加傾向にあると言っております。口からカメラを入れる内視鏡検診に負担感があり、検診をためらう区民がいらっしゃいます。負担感の少ない鼻から入れる経鼻内視鏡を希望する声を聞いております。
ここで伺いますが、胃がん内視鏡検査は、保健センターでは経口内視鏡しか受けられないということですが、体への負担が少ない経鼻内視鏡の導入の予定はないのでしょうか。
◎辻 世田谷保健所長 平成二十九年十月より導入した胃がん内視鏡検査につきましては、保健センターのほか、かかりつけ医の下で安心して受診できるように、区内における約百か所の医療機関において実施できるよう検診体制を整備しております。
御指摘のとおり、保健センターでは経口による内視鏡検査を実施しておりますが、区内医療機関におきましては六十か所以上で経鼻による内視鏡検査が実施できるようになっておりまして、受診を希望する区民が医療機関を選択できるように利便性に考慮しております。
保健センターにおける経鼻内視鏡の導入におきましては、機器導入に伴う経費も勘案し、医療機関における経鼻・経口内視鏡の実施状況も踏まえた上で検討してまいります。
◆福田たえ美 委員 保健センターでの経鼻内視鏡も、ぜひとも御検討していただきたいと思います。
もう一つ、近年若年層の患者が増えている子宮がんについて伺います。
子宮がん検診について、保健センターでも行っているのが子宮がん検診の組織検査や精密検査となっていますが、現在保健センターではどのような流れで行っているのか、また件数等も教えていただきたいと思います。
◎辻 世田谷保健所長 区で実施している子宮がん検診の流れですが、受診者は区内約五十か所の医療機関から受診する医療機関を選び、問診及び検体の採取を受けます。各医療機関は検体を保健センターへ送付し、保健センターにおいて一括で検体検査を実施し、検査結果は医療機関を通じて受診者へお伝えする流れとなっております。検診の結果が要精密検査であり、受診者が精密検査をどこで受診したらよいか分からないなどの場合、必要に応じて医療機関から保健センターを御案内いただいております。
なお、実績ですが、令和二年度の子宮頸がん検診は、暫定値ではありますが、検体の検査が三万五千二百六十四件、うち要精密検査となったのが五百十八件となっております。
◆福田たえ美 委員 今、御答弁いただきましたが、保健センターでは検体検査を行っているということで、あと、精密検査が必要であればお受けいたしますという状況だという御答弁ですが、言い換えれば精密検査も行える環境が整備されているということになりますので、保健センターでは今、子宮がん検診の精密検査のみとなっていますが、その前段階のスクリーニング検査という子宮がん検診も受けられるようにならないかといったお声もいただいておりますが、それに対して区の見解を伺います。
◎辻 世田谷保健所長 区の子宮がん検診につきましては、かかりつけ医の下で安心して受診し、検診後の丁寧なフォロー等も期待できることから、区内における医療機関でスクリーニング検査を実施しており、検査の質を均一に保つことができるように、検体検査につきましては保健センターで一括で実施している状況でございます。
保健センターの役割である地域医療の後方支援という観点も踏まえ、安心して子宮がん検診を受診いただけるよう、引き続き努めてまいります。
◆福田たえ美 委員 今いろいろと御答弁いただきましたけれども、ここまで様々ながん検診の実施の可能性というのを確認してまいりました。
なぜなのかといいますと、この前に質問いたしました障害理解の促進、また差別解消への条例制定というのをお聞きしましたが、このことを考えていきますと、地域で共に暮らす地域共生社会を目指す世田谷区であるならば、障害者の方も安心してがん検診が受けられる環境の整備を率先して進めていくべきではないでしょうか。
ノーマライゼーションプランにも障害者のがん検診の環境整備について検討する旨というのが記載されておりました。障害者の方からは、がん検診を受けたくても様々なバリアがあり、検診が受けられる場所がなかったりして、要は検診を控えてしまうといった現状が起きております。これによりますと、がん検診が受けたくても受けられないということは、がん検診を受ける権利が奪われているということになります。誰もが安心してがん検診が受診できる環境整備は喫緊の課題と思います。
また、区内の中小企業の方の健康と命を守るために、保健センターが産業医のような役割を果たすべきではないでしょうか。そういう意味でも、保健センターががん対策の拠点として取組を進めていくべきと考えます。
保健センターでの障害者への配慮がどうなっているのかという点と、また保健センターにおいて、障害のある方もまた誰もが安心してがん検診が受けれるようにすべきです。がん対策の拠点に向けて今後どのように取り組むのか伺います。
◎辻 世田谷保健所長 まず、障害者への配慮ということについて御答弁いたします。
保健センターの障害者の方への配慮といたしましては、胃がんエックス線検診におきまして、聴覚障害者に対応するようタブレット端末を活用し、文字や絵で案内をしております。また、がん検診の位置づけではございませんが、健康診断や健康度測定の際の胸部レントゲン撮影の機器として、令和二年度の保健医療福祉総合プラザへの移転開設に伴い、車椅子を使用されている方への配慮として、寝たままでレントゲン撮影を受けられる装置を導入しております。
次に、がん検診についてでございます。
地域に暮らすどなたもががん検診を受けやすい環境を整備していくことは重要だと認識をしておりまして、御指摘の障害のある方につきましては、各種がん検診の地区医師会等への委託契約におきまして、障害のある方などが正当な理由なく検診を受診できないということを防ぐため、仕様書にその内容等を明示するなどの合理的配慮に基づき検診を受けられるように対応してございます。
一方、保健センターがある世田谷区立保健医療福祉総合プラザは、平成三十年三月に策定した梅ヶ丘拠点整備事業に伴う世田谷区保健センター事業実施方針の中でも、障害者等を含む健康づくり支援の一つとして、区民一人一人が主体的かつ継続して健康づくりに取り組めるよう、健診や検診受診環境や健康教室、指導等のバリアフリーを図るとしております。
保健センターでの障害のある方のがん検診の実施につきましても、移転後の環境を生かして、医師会や関係機関と連携し検討してまいります。
◆福田たえ美 委員 今、御答弁いただきましたが、やはり世田谷区はがん対策推進条例を制定している区でもございます。誰一人も取り残さず命を守っていくというすごい責務で、しっかりとがん対策を保健センターにおいて進めていただきたいと思います。
最後に、屈折検査機器の導入について伺ってまいります。
小学生のお子さんの弱視について悩む保護者から相談を受け、そこからこの原因と治療を調べていった中で、早い段階での治療が有効であるということを知りました。そこで、本年二月二十六日の第一回定例会の一般質問において、三歳児健康診査における視力検査での弱視の見逃しは、その子どもの見える保障を損ない、将来の職種や職業への影響も及ぼすことから、区として屈折検査機器の導入の必要性を訴えてまいりました。
先日、他会派からの質問で屈折検査機器の導入を検討する旨の御答弁がされていました。弱視は家庭で行う視力検査だけでは分からず、屈折検査機器で屈折度合いを検査することで発見されます。その観点から、現在区が行う三歳児健診の会場において、全員を対象として屈折検査を行うべきと考えますが、区の見解を伺います。
◎辻 世田谷保健所長 区では、各総合支所で三歳児全員を対象として三歳児健診を実施しており、例年六千人以上が受診しています。視力検査は自宅で保護者が行い、その結果により精密検査の必要性を判断しています。先行自治体において導入している屈折検査機器を使用した視覚検査は、弱視発見率が大きく上昇しており、区でもその有効性について認識をしています。そのため、区は先行して導入した自治体へのヒアリングや、機器を導入したクリニックへの視察等を行い、導入に向けて準備を進めています。
なお、導入については、三歳児健診において受診者全員に対して実施する方向で検討しております。
◆福田たえ美 委員 本年七月に公益社団法人日本眼科医会が、「三歳児健診における視覚検査マニュアル~屈折検査の導入に向けて~」を発刊いたしました。三歳児健診で屈折異常などにより、精密検査が必要な場合の保健指導について、次のように記載がされています。
視力の発達のピークは一歳半頃までで、六歳以降は発達の余地が少なくなる、精密検査を受けないままに放置することは治療時期を失う可能性がある、弱視になる原因を理解させることで精密検査の受診漏れを極力減らすようにすべきであるというふうに書かれておりました。
六歳に視力の発達ピークを迎えるお子さんもいるということを考えると、治療期間にゆとりを持てる三歳児での弱視の発見と治療に必ずつなげるといった観点が重要になってまいります。その意味でも、治療の時期が限られていることを保護者に十分に伝えていただきたいです。
屈折異常が発見されても治療につながらなければ意味がありません。就学前までに治療を行い、視機能の改善につなげるよう治療の重要性を伝える案内の工夫も必要ですが、この点に関して最大限の工夫を行っていただきたいと思います。区の見解を伺います。
◎辻 世田谷保健所長 屈折検査により、精密検査が必要と判断された子どもの保護者に対して、区は精密検査の必要性を説明し、医療機関を紹介していきたいというふうに考えております。
委員から御紹介のありました視覚検査マニュアルにつきましては区も認識をしており、参考にしております。
精密検査勧奨の案内の工夫につきましては、本マニュアルの掲載例を有効活用し、医師会の眼科医等からの専門的な意見も伺いつつ、保護者に向けて分かりやすい案内を作成してまいります。
◆福田たえ美 委員 以上で私からの質問を終わり、岡本委員に替わります。
◆岡本のぶ子 委員 まず冒頭に、旧池尻中跡地利用については、さきの議論もございましたが、議会の議論をしっかりと熟成させた上で進めていただくことを、改めて私からも申し上げさせていただきます。
それでは、質問に入ります。
二〇一八年に経済産業省が発表したレポートに二〇二五年の崖という言葉が現れました。これは、このままDXが進まないと、古いシステムを使い続けるコスト、デジタルな新ビジネスを始められないことから、日本での経済的損失が年間最大十二兆円に上るということが試算されています。世界デジタル競争力ランキング(六十三の国と地域)で日本の順位を見ますと、モバイル端末の利用者数が、日本は何と六十三の国・地域の中で第一位だそうです。デジタル技術を持った人材はというと六十二位ということです。
本年八月に公明党女性局として開催した女性デジタル人材を育成している先進事例を紹介するオンラインセミナーに参加いたしました。その際、長野県塩尻市の時短就労者を対象とした自営型テレワーク推進事業KADOは、地域産業の活性化に連動した時短ワーカーのキャリアアップに向け、子育て世代、介護者、障害者、若者など約五百人の方が登録をし、塩尻市振興公社が受注をし、例えば十自治体と連携した塩尻モデルなどが紹介されておりました。
国は、これからも職業で価値創出し続けるために、必要なスキルを学ぶというリスキリングの視点を強調しております。長岡市や塩尻市などの事例にもあるように、女性の活躍の場の拡充も含め、デジタル人材の育成から雇用の場の創出まで一貫した支援により、地域産業活性化にも寄与し得る取組を区としても積極的に推進することが必要と考えますが、区の見解を伺います。
◎田中 経済産業部長 現在、区が実施しているマッチング事業などでは、ITによる在宅の仕事の需要がある一方で、求職者のスキルと事業者が求めるスキルのギャップから、就労に結びつかないケースが出ております。御指摘のとおり、IT関連のリスキリングは重要な課題と認識しています。国や都では、ITに関連するリスキリングについての様々なメニューが用意されております。また、今回のコロナ禍を契機に、東京都でデジタル人材育成支援事業が新たに支援メニューに加えられ、区民の方へも御案内をしております。
これからのDX社会の到来を見据えますと、区としても、こうしたデジタルスキルの学びへの支援は今後ますます重要になってくるものと考えております。国や都の支援メニュー、お話しの塩尻市の事例などを参考にしながら、区民が仕事に必要なIT関連のスキルを身につけることで就労につながるようなパッケージメニューについて検討してまいります。
◆岡本のぶ子 委員 ぜひパッケージメニューの検討をお願いしたいと思います。
また、併せまして、理想のデジタル人材とはということについてなんですけれども、理想のデジタル人材とは、ITの知識を身につける、また、組織の業務を理解する、また、課題解決の提案力が必要であるということです。区が今後DXを進めるに当たり、私は、ITスキルは前提とするものの、特に職員の方々には、課題解決に向けた提案力が求められると思っています。
今後、区として、理想のデジタル人材を目指し、区職員の育成が必要と考えますが、区の見解を伺います。
◎加賀谷
デジタル改革担当部長 お話しのデジタル技術を活用して業務等を抜本的に変革していくDXの取組ですけれども、なかなか通常業務に忙殺され、改善の必要性は認識しておりますけれども、従来の業務フローを前提として、改善の視点とか区民視点での検証が行われないなど、改革に至らない状況で行われているものもあろうかと思っております。
一方で、ICT技術を用いる業務に関しましては、これまで技術力を持つ専門のベンダー等への委託が基本で、その結果、経年によるシステムの詳細な部分までは委託事業者のみしか把握できず、改修等に係る経費も高止まりするという弊害も少なからずございます。今後は、電子申請の拡充とかキャッシュレス決済をはじめとしまして、職員自らデジタル技術を活用して、単純な業務等から小さな事務改善の成功体験も積み重ねながら、徐々にデジタル技術の活用に対する知識の底上げを図り、持続的にDXを推進できる体制も構築してまいります。
デジタル庁への職員派遣のお話もございます。同時に職員や組織の意識改革も重要と考えておりますので、特に管理監督者層と言われております管理職、係長職には強く改善に意識を持つ必要がございますので、改めて研修等は充実していきたいと考えております。
◆岡本のぶ子 委員 先日、NHKで、デジタル庁の職員の方が出られたDXってというやり取りの番組を見たんですけれども、まず、デジタル庁の職員の方が民間から来られた方たちと今一緒に仕事をしているそうなんですけれども、特に職員の側が驚いたことは、どうしても職員の発想としては、何か改善しようというと発注しようと、すぐそっちに意識が行ってしまうということで、自分たちで改善しようというところに思いが至らないというのが大きな課題だということもおっしゃられていたので、この理想のデジタル人材という点につきましては提案力が求められると私は思っておりますので、その点をぜひ注視しながら人材育成を、特に管理職の皆様には意識改革から進めていただきたいと思います。
次に、さきの区民生活所管で、おくやみコーナー開設に向けた進捗状況と今後の対応について質問をさせていただいた際、区の答弁では、設置場所を含め、課題をしっかり整理して、御遺族の支援につながるよう、おくやみコーナーの機能を有する窓口の実現に向けて取り組んでまいりますと言われておりました。本日は設置場所の設定と課題整理を、先ほど区長はあまり迅速という言葉は好きではないとおっしゃられましたけれども、迅速に進めていただきたいと思いますので、具体的な設置場所について、御遺族の申請書類を提出する各窓口が総合支所にあることから、私としては、まずこのおくやみコーナーは各総合支所に開設していただくことが望ましいと考えます。支所としての認識を伺います。
◎清水 世田谷総合支所長 区の窓口では、日々、区民の生活に密着した手続を行っていることから、常に区民に寄り添った対応を心がけております。特に、身近な方を亡くされ、おつらい気持ちの中では、戸籍、住民記録、福祉などの手続を速やかにできることが望まれます。今後さらに進展する高齢化社会では、手続を行う方々も高齢の方が多くなることが想定されます。お悔やみ関連の手続において御遺族の負担が軽減されるよう、総合支所をはじめ各関係所管が課題の整理を行い、取り組むことが重要であると認識しております。
◆岡本のぶ子 委員 ありがとうございます。支所長も認識は私と同じであるということを感じました。
その上で、区長は、昨年、第三回定例会で私がこのおくやみコーナーのことを取り上げた際、その再質問で大変熱く答弁してくださいました。その中の最後の言葉が「人生の最期を迎えた家族をお持ちの御遺族に対して、温かい、そして落ちるところがない、遺漏のない対応ができる、その体制を築いてまいりたいと思います」と言われました。それから既に一年が経過し、全国では、二〇二〇年度、昨年度のうちに百六十九もの自治体でおくやみコーナーの開設が進んでおります。全国の自治体において、御遺族の負担軽減には、やはり首長の決断が反映されているものと推察いたします。
改めて区長に、御遺族の負担軽減につながるおくやみコーナーの迅速な開設への道筋を示していただきたいと思います。
◎保坂 区長 改めまして、先ほど他会派に申し上げたのは、スピード感をあまり使わないので、迅速とか迅速性は結構でございますし、必要だと思います。
御提案の趣旨のおくやみコーナーでございますが、私自身が、この二十年で父や母を遺族として見送った経験からも、大変よく理解をできます。その悲しみの中で、一方で多大な事務手続があるわけですから、ここをワンパックにして遺漏なく支援してもらう、これは大変重要な提案だと思っております。
この間、御案内の冊子を改善したり、おくやみコーナーを設けている自治体の視察、見学を担当にしていただくなど、準備はしてきております。一方、DX改革も待ったなし、現在推進しておりますので、インターネット、ウェブサービスの中で、これも同時に構築をしていかなければならないんだろうと思います。そのように、その一年前の答弁からもっと迅速にということだと思います。これはしっかり受け止めて、遺族となった区民の方が、その悲しみを抱えつつ、しかし、温かい対応を区役所から受けられる状況をつくり上げてまいりたいと思います。
◆岡本のぶ子 委員 ぜひお願いします。先ほど区長がおっしゃられたDXは大事なんですが、このおくやみコーナー設置に対してはDXはあまり関係なくて、早急に窓口側の業務を見直していただければ、申請書類を打ち出すことは可能になることは、既に神戸市の視察の内容で分かっております。また、幾らウェブで使えるようになったとしても、このワクチン接種の予約でも、区長がよく分かってくださったように、高齢者の方たちはまちづくりセンターまで支援を求めに来られていたということもありますので、とにかくまず総合支所へのおくやみコーナーの迅速な設置を求めて、次の質問に移ります。
さきの区民生活所管での質疑では、九月に発表になった区の避難行動要支援者避難支援プランの改定(素案)において、福祉専門職と連携した個別避難計画の作成を令和四年度から三年計画で進めることに関連して質疑をいたしました。その際、福祉の専門職の方々が個別避難計画を作成するに当たっては、地区防災の中心となるまちづくりセンターとの連携が欠かせないこと、また、避難行動要支援者約八千三百十名お一人お一人の顔が見える避難行動に向けては、まちづくりセンターが中心となり、地区内でサポーターを募ることの必要性を確認させていただきました。
先週十月七日、二十二時四十一分に千葉県の北西部を震源地とする地震は、足立区でも震度五強を観測しました。首都直下型地震への備えは待ったなしの状況だと私は改めて感じました。その上でなんですけれども、今日は、この個別避難計画の作成に当たって、今、区は紙媒体で考えていらっしゃると思うんですけれども、紙で避難行動の計画を暫定で八千三百十名分作ったとしても、その保管管理から適宜更新ができるのかなというのは不安が残ります。ですので、ぜひこれは個別避難計画を、平時においては内容の更新を容易にできる、また、いざという災害時においては、地区のサポーターさんもしっかりとその内容を確認しながら動けるようにするために、クラウド化の導入を併せて検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎有馬
保健福祉政策部次長 個別避難計画は、国が令和三年五月に改定した避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針において、おおむね五年で作成に取り組むと記載されておりますが、世田谷区では三年で計画をしております。現状、避難行動要支援者の対象者は入れ替わりが多く発生するため、年一回の更新では入れ替わった対象者を把握できないことから、対象者名簿については年三回更新し、可能な限り最新のデータをクラウドに保存するとともに、停電時を想定し、紙媒体でも併せて保存しているところでございます。
今後、情報セキュリティーポリシーを遵守した上で、個別避難計画を安全かつ有効に活用できるよう、クラウドでの管理と紙媒体、両方の管理に向けて検討してまいります。また、作成、更新につきましても、データ及び紙の両方について、本所と総合支所の役割分担やその方法について議論を深めてまいります。
さらに、委員お話しの地域の方々とのクラウドでの情報共有については様々な課題があることから、今回の御指摘も踏まえまして、共有方法の在り方、手法について検討してまいります。
◆岡本のぶ子 委員 ぜひよろしくお願いいたします。
次に、最後に保育の需要についての質疑をさせていただきます。
令和二年四月の待機児童が二年連続して解消された一方で、認証保育所、私立認可保育園において、ゼロ歳から二歳児までの空きが生じ、定員が満たないことにより、運営法人の経営悪化が懸念されました。この事態を重く受け止め、会派として、第三回定例会本会議の代表質問で津上議員が、また、今決算委員会の総括質疑において高橋委員より、私立保育園の定員割れが起きないよう、区立保育園が調整弁を果たすべきであることを申し上げてまいりました。
認可保育園の令和四年四月に向けて、区は、区立保育園の定員を四十九名削減し、調整したとのことですが、果たしてこの削減数で、明年四月の私立保育園のゼロ歳児の定員割れをカバーできるのか疑問です。あらゆる事態を想定した検討が必要と考えます。例えば令和四年四月に向けた入園選考において、私立園の入園選考を先に行い、区立園が私立保育園の定員割れの調整弁として機能させる方策が取れないか、区の見解を伺います。
◎和田 保育部長 今年度四月における私立園の空きが多かったことから、令和四年四月の入園に当たり、私立園の入園選考を先に行い、区立園はその後に選考する方法についての御提案ですが、ほとんどの入園申込者は希望園に区立園と私立園が混在しており、指数の高い方から希望する園へ入園できるという入園選考の原則に抵触する懸念がございます。また、令和四年四月の入園選考につきましては、既に詳細を保育のごあんないに記載して広く区民へ周知し、入園申込みも開始しておりますので、これから入園申込みを行う際の要件の変更を行うことは困難であると考えております。
◆岡本のぶ子 委員 ただいまの答弁から、入園選考時において定員割れが見込まれたとしても、それは既に保護者との入園選考の原則に抵触するので調整はできないということが分かりました。しかし、万が一、来年四月にまた再び定員割れが私立保育園の中で起きてしまえば、状況によっては保育園の存続が危ぶまれる園も出る可能性もあります。私立保育園の誘致を積極的に行ってきた区の責務として、ゼロ歳児の定員割れにより経営が悪化し、園の存続が危ぶまれ、園児や保護者に混乱を招く事態を引き起こすことがないよう、私立保育園の経営安定化に向けた対策が必要です。区の見解を伺います。
◎和田 保育部長 昨年度に引き続き今年度も保育待機児童ゼロを達成することができた一方で、本年四月時点では特にゼロ歳児の空きが増加し、私立保育園等の運営に大きな影響を与える状況が生じました。こうした状況を受け、既存施設の支援強化のため、当面の間、認可保育園の新規施設整備を実施しないとともに、来年四月の入園に向け、区立保育園の定員調整などを進めているところです。今後も、四月時点での空きが生じた場合の対応については、諸課題を整理しながら、私立保育園の安定的な園運営の支援に向けた検討を進めてまいります。
◆岡本のぶ子 委員 まず来年の四月に向けての取組をお願いします。その上で、私ども会派としては、令和五年度四月に向けた取組として、やはり区立保育園が調整弁の機能を果たすことが必要であると考えています。ただ、先ほどのお話のように、保育の申込み上はもう原則抵触するから難しいという答弁もありましたので、今後のことですけれども、保育需要の変化を的確に捉え、例えば地域によっては区立保育園のゼロ歳児枠を大胆に減らし、私立保育園の定員割れを防ぐ取組が求められます。区の見解を伺います。
◎和田 保育部長 ゼロ歳児クラスの年度途中入園が進んでいることや、本年四月から十月までのゼロ歳児人口が増加しているなどの状況もあることから、来年度に向けては、入園選考の申込み状況や選考結果を注視するなど、今後の保育需要を慎重に見極めていく必要があると考えております。あわせて、令和五年四月以降も、区立保育園周辺の私立保育園の空き状況なども見定めながら、区立保育園のゼロ歳児も含めた定員調整についても引き続き検討し、着実に進めてまいります。
◆岡本のぶ子 委員 またさらに、区が示した今後二十年間の保育需要の推計を見ますと、当面十数年間は保育園の需要も減少傾向となるとしております。また、待機児童が連続して二年解消となり、私立保育園の定員割れが出てきている今だからこそ、区立保育園の再整備計画を着実に進めるべきと考えます。今後の具体的な区の取組について伺います。
◎和田 保育部長 令和二年二月にお示ししました区立保育園の今後の在り方に基づく新たな再整備計画についてでは、再整備対象園の決定に当たっての考え方として、子どもの育ちのセーフティーネットとしての役割を果たすことができる規模や、区立保育園の統合、閉園による地区内の保育定員数が減少する影響の視点に加え、地区内に複数の区立保育園を配置している地区におけるおおむね築三十五年以上となる園から選定することを基本としつつ、区立保育園を二か所配置していても、隣接する地区に区立保育園がない地区は対象外としています。
現在、地区内に複数の区立保育園を配置している地区が十地区、築三十五年以上の園が二十三園あります。対象園の選定に当たりましては、地区内の区立保育園の数や築年数、地区内の未就学児童数及び民間保育施設数、人口推計補正値による就学前人口の推計や、入園申込み状況等による保育需要、移転、統合に必要な代替地の確保のめど等も考慮しながら検討を進めております。これらの検討状況も踏まえ、地域の保育需要をさらに分析した上で、来年二月に再整備計画の今後の方向性をお示しし、令和四年度中に新たな対象園も含めた再整備計画を作成してまいります。
◆岡本のぶ子 委員 待機児童解消、そしてさらには今後の保育需要を見極めた上で、私立園をしっかりと守りながらの保育環境の整備、様々難しいかじ取りだと思いますけれども、ぜひ抜かりなく進めていただきたいと思います。
最後になりますけれども、先日、認可保育園にお子さんを預けている若いお母さんから御相談をいただきました。お子さんが生まれて保育園に預けて、両親以外に長時間お子さんと接するのは保育士さんであると。でも、マスクをずっとつけていらっしゃるので、その表情を子どもが読み取るのがなかなか乏しくて、今後、子どもの成長に不安がありますということでした。口元が見えるマスクの着用はできないですかとか、そういったお問合せもいただいたんですけれども、保健所に伺ったところ、それはちょっと、やはり不織布のマスクのほうが感染防止には極めているということで、難しいという話もありました。
今後、十二月には乳幼児教育支援センターが世田谷区にオープンいたします。その中で、こういうコロナ禍で、また、感染症の中でマスクをしている、そういう保育の在り方の中で、お子さんへの育ちをしっかりとサポートできるような、そういう研究もしていただいて、ぜひ発信もしていただきたいと思いますけれども、一言ありますでしょうか。
◎和田 保育部長 区内保育施設では、区立・私立保育園長の代表などにより、コロナ禍の感染予防を図りながらの保育の留意点をまとめたガイドラインを参考にしながら、日々工夫しながら保育を行っております。委員お話しのような乳幼児教育支援センターとの連携も図りながら、それぞれの園が好事例を参考にした保育を展開するなど、子どもの心身の健全な育成を図ってまいります。
◆岡本のぶ子 委員 以上で公明党の補充質疑を終わります。
○加藤たいき 委員長 以上で公明党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後二時四十八分休憩
──────────────────
午後三時開議
○加藤たいき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
世田谷立憲民主党、どうぞ。
◆羽田圭二 委員 最初に、総括と文教所管の質疑での積み残しについて伺いたいと思います。
文教のほうですが、いじめ、不登校、教員の病気休職、そして教員の性犯罪の増加、こういうことに触れられておりましたが、こうした課題の根本原因を明らかにし、公教育が抱える問題として捉え、これまでの教育の在り方を見直す時期に来ていると思いますが、第二次教育ビジョンの調整計画では、これらの課題を総合的に捉えて対応するのかをお答えください。
◎粟井 教育政策部長 委員御指摘のとおり、学校教育の抱える課題は、いじめ、不登校や、教員の休職、新型コロナ感染症対策、性犯罪防止など多岐にわたっているところでございます。区教育委員会におきましては、それらの課題の解決に向け取り組んでいるところでありますが、個別の対応にとどまらず、総合的、長期的な視野に立って教育の課題を捉え、解決を図っていく必要があることを認識しております。現在、第二次世田谷区教育ビジョン・調整計画について最終の見直しを進めるとともに、具体的な取組を作成しているところでございます。こうした様々な課題を俯瞰し、教職員が課題にしっかりと向き合い、解決できるよう、現場目線に立った計画としてまいります。
◆羽田圭二 委員 しっかりやっていただきたいと思います。
次に、これは総括で行いましたが、個人情報の収集とプライバシー保護の問題です。
公共施設を利用する際の利用申出書の在り方について指摘をしました。区は、利用申出書の在り方について、書式も含めて検討するというお答えをいただきましたが、その後の対応について伺っておきます。
◎加賀谷 政策経営部長 新型コロナウイルス感染症の拡大というこれまで経験したことのない事態に直面いたしまして、施設利用者の方に陽性者が出た場合、区として素早く対応できるよう、昨年より参加者氏名の報告の対応をお願いしてまいりました。この取扱いを始めましてから一年以上経過をし、感染防止対策に利用者の方々から御協力いただき、施設利用に係る感染の報告の事例はないという状況で、区全体の感染状況も落ち着いてきている状況でございます。
先般、委員からの御指摘を踏まえまして、利用される方が懸念されることがないよう、急ぎ取扱いの変更について現在検討を進めており、利用申出書は代表者の氏名と連絡先をまずは記載をしていただき、代表者の方に、当日利用者の名簿を作成の上、一か月程度保管をしていただくこととしております。仮に感染の疑いが発生した場合には、保健所が速やかに利用者の把握及び連絡が取れるように備えるため、様式とか運営の検討を併せて行い、準備が整い次第、直ちに実施をしてまいりたいと、このように考えております。
◆羽田圭二 委員 これは重ねて申し上げておきますが、区民がどのような集まりに出席するかしないかは本人の自由であり、誰からも侵害されることはないと。また、出席したことを知られたくない事由もあるということも含めておきたいと思います。
今回の問題は、そもそも施設管理者がその施設利用者の責任者以外の参加者報告をさせることはできないという見解を私は示しました。これまでは、区は参加者名簿を収集してこなかったわけですが、それはなぜかを改めてお聞きしておきます。
◎加賀谷 政策経営部長 区民利用施設に関しましては、これまでも、地域住民の絆を深め、地域コミュニティーを醸成する場として重要な集会施設として、地域の方々が比較的簡素な手続で気軽に集まれるよう運営をしてきたところでございます。今回、利用者氏名の報告をいただきましたのは、先ほど申しましたとおり、新型コロナウイルス感染症の拡大防止というガイドラインに基づいて、区民の方が安全に御利用いただくための必要な情報と考えまして収集をしてきたところでございます。先ほど御説明させていただきましたとおり、御指摘を踏まえまして、急ぎ見直しを図っているところでございます。
◆羽田圭二 委員 もう一つ、区の個人情報保護条例の第六条、ここでは「実施機関は、個人情報等を収集するときは、個人情報等を取り扱う業務の目的を明確にし、当該業務の目的を達成するために必要な最小限の範囲内で、適法かつ公正な手段によって行わなければならない。」とあると。つまり必要最小限の範囲内の情報収集であるということを言っていますが、この点について改めてお答えください。
◎池田 総務部長 個人情報の収集につきましては、個人情報保護条例の規定に照らし業務の目的を明確にし、必要最小限の範囲でというのは委員御指摘のとおりです。今般の区民利用施設などでの個人情報の収集は、感染症対策上の必要性から、御本人の了解の下、必要最小限の範囲において行われたものと認識しております。一方、個人情報の収集に際しては、その手法など実務面において利用者の方への十分な配慮が必要であり、個人情報の収集が適切に行われるよう、引き続き職員への周知啓発に努めてまいります。
◆羽田圭二 委員 これも重ねて申し上げておきますが、本人同意、それから目的の提示ということなんですが、必ずしもされていなかったということを指摘しておきたいと思います。したがって、今回はそれがあったからよいということではありませんが、それ自体もされていなかったということを指摘しておきたいと思います。この点はぜひ確認をしてください。
次に、新型コロナ禍における区内経済について幾つかお聞きしておきます。経済の悪化の下で、事業者及び労働者への支援、これが必要だという観点からの質問であります。
コロナ以前から、様々な経済、あるいは様々な補償形態、これらの矛盾があらわになっていたと。そういう点では、コロナ禍でさらにそれが悪化をしているという指摘をしてまいりましたが、今回も、新型コロナの感染拡大の影響によって、営業時間の短縮とか人の流れが少なくなって企業収益が悪化をする、あるいは解雇や雇い止めなどの雇用状況も悪化をするということだったと思います。
事業者の売上げ減少率なんですが、建設業、飲食サービス等、ここが高い割合になっているということが分かっておりまして、そうした企業の事業主とそこで働いている労働者に大きな影響が出ていると。そこで、今後の事業者支援では、業種・産業別の各事業所の経営状況を踏まえた丁寧な支援が必要だと考えるわけですが、区の考えをお聞きします。
◎田中 経済産業部長 コロナ禍の区内経済への影響は大きくて、総じて見れば需要が大幅に落ち込んでいます。一方で、マスクや消毒薬の販売、巣籠もり需要としてのフードデリバリーやインターネットコンテンツ産業などは売上げを伸ばしていて、業種によってコロナ禍の影響は大きく異なっております。これらの状況を正確かつ網羅的につかむことは非常に難しいと考えていますけれども、例えば区内金融機関から取引先の経営状況のヒアリング、そういった状況の確認ですとか、産業振興公社の総合経営相談窓口での相談内容、こういったものの分析により、どのような業種業態の事業者が困っているかを把握し、可能な限り必要とする事業者に必要な支援を行えるようにしたいと考えています。また、業態転換の支援や経営上のアドバイスにも力を入れてまいります。
今年度より、事業者一社一社の個別の経営課題に対し、専門家が伴走型で解決を支援する地域連携型ハンズオン支援事業を実施しています。基礎自治体である区としては、このような個々の事業者の状況に寄り添った支援が必要であると考えており、引き続き支援の充実に努めてまいります。
◆羽田圭二 委員 都の調査によると、建設業、卸売業、小売業や宿泊業、飲食サービス業、教育、学習支援業、ここにおける離職者が多い、所定内賃金の伸びも悪いということが分かっています。建設業なんですが、一部の事業所を除きますと売上げが落ちているということも分かっており、この間、建設キャリアアップの導入支援等を含めて様々な支援の在り方等が言われてまいりましたが、改めてこの建設業支援については、建設業組合などと協力して考えるべきではないかと思いますが、この点についてお答えください。
◎田中 経済産業部長 区では、人手不足や新型コロナウイルス感染症などの影響を受けている建設業への支援として、人材確保に向けたマッチング、テレワークなどの職場環境整備、建設団体が実施する学習会や従業員が資格取得に要する経費を補助するなど、建設業の人材確保と定着支援に今取り組んでいるところです。
今後の展開として、例えばせたがやPayが建設業でも活用できるようにするなど、あらゆる角度から建設業への支援をしていきたいと考えています。建設キャリアアップシステム、通称CCUSにつきましても、建設作業員の処遇改善や若い世代の担い手確保につながるほか、取引先からの信頼性の向上、施工能力の見える化、事業者のIT化の向上に資するなど多くのメリットがあり、国では令和五年度からあらゆる工事でのCCUSの完全実施を目指しております。区としては、本庁舎整備において、区内事業者を対象としたCCUSに関する現場見学会、勉強会の実施などを検討しております。今後も関係団体などと連携しながら、そういった支援を進めていきたいと考えています。
◆羽田圭二 委員 次に、区民の就労構造なんですが、これは以前の調査で分かっておりまして、非正規雇用労働者、契約とか派遣とか、パート、アルバイトを含めてですが、実は区民の就労構造は、この非正規雇用労働者の割合が高いということが分かっていまして、当時、三年ぐらい前の統計だとは思いますが、五〇%近いというふうになっています。したがって、この契約社員や派遣、パートなどの就労中の解雇や雇い止めが今回特徴であったということなんですが、今回の新型コロナウイルスの影響による相談内容においても、そういうことは分かっているかと思います。
今後の就労支援なんですが、最低賃金の引上げ、言い換えれば、この非正規雇用労働者の増大ということが大きな今日的な様々な問題をつくり出しているということを鑑みて、最低賃金の引上げだとか、離職後の新たな就労紹介、こういうようなきめ細やかな対応が必要だというふうに考えています。最低賃金の引上げが需要を伸ばし、事業主の安定経営につながることを、事業主と労働者双方に啓発していくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
◎田中 経済産業部長 国の労働力調査によりますと、令和二年九月から今年八月までの期間の雇用者数の平均は、正規雇用労働者が対前年比でプラスとなっている一方で、非正規雇用労働者についてはマイナスとなっている状況です。三茶おしごとカフェやぷらっとホーム世田谷での相談においても、対面でサービス提供を行う仕事などに従事していた非正規雇用の方の契約満了やフリーランスの方の減収などの相談が増加しています。区としては、フルタイムへのマッチングや各種給付金の御案内のほか、生活困難を一時的に解消するための短時間や短期間の仕事へのマッチング、介護の基礎的な資格を習得して就職まで支援するプログラムなどの支援策を展開しています。また、求人が多いITスキルへの支援などを検討しているところです。
非正規雇用の方の収入に直結する最低賃金が十月に上がったことを踏まえまして、事業者、区民の方にも情報が行き届くよう、「区のおしらせ」ホームページ、就労支援施設でのポスター掲示など様々な方法で周知に力を入れるなど、非正規雇用の方の就労環境の改善につながるよう努めてまいります。
◆羽田圭二 委員 ぜひその点、今後、対応を取っていただきたいと思います。
次に、現役世代・子育て支援についての質問であります。
八月と九月に、多くの議員がそれぞれ学生のインターンを招いて、それぞれ活動を展開しました。私のほうでは、最後の発表で、大学に学びやすい環境をというテーマで、コロナ禍の大学生の実態や改善策を提案していただきました。大学生の実態については事前にアンケートを取りまして、学費・家賃が払えない、バイトが消えた、パソコンやWi―Fiなど機材がそろうまで時間がかかったなど、そうした実態が明らかになりまして、これらを改善するための学費免除政策、あるいは良質な通信環境の提供、こういうことを学生の方が提案をいたしました。ここで言われているのが、所得制限を設けた現在の奨学金制度ではなくて、全ての生徒が対象になる学費免除制度、これは普遍的支援と言えるわけですが、これらの考え方は、この間、私どもが求めてきた内容でもあります。その意味では、引き続き各家庭の所得に左右されない普遍的支援の拡充が問われているかと思います。
そこで、授業料だとか教科書代以外の費用は家庭の負担となっているわけで、その金額は増加傾向にあるのではないか。この点について最初にお答えをください。
◎知久 教育総務部長 現在、義務教育においては、日本国憲法や法令等によりまして、授業料及び教科書が無償化されております。一方で、子どもが学校に通うことにより必要になります経費といたしまして教材費や給食費などがあり、こちらは保護者の負担となっております。記録の残っておりました平成二十四年と現在との教材にかかる費用の比較では、小学校は平均で一人当たり年間約八千円から現在一万円、中学校では約一万四千円から一万六千円程度となっており、消費税の改定等もあり増加傾向にあるというふうに認識をしております。
◆羽田圭二 委員 学校での自己負担は給食費が最も多額だということで、これも今回、他の会派からも指摘がありましたが、給食費の無償化に向けた対応は、区が行ってきた内容でも一定程度改善がされてきたというふうに思いますが、それらを拡充していくということが今後問われているかと思います。
さらに、その中の一つとして、就学援助の支給要件の緩和とかも含めてこの間やられていましたが、改めて区の基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
◎知久 教育総務部長 区におきます教育に係る負担軽減策といたしましては、一定の所得以下の国公立小中学校へ通われます児童生徒がいる世帯に対する、御指摘ございました就学援助を基本として実施をしてきております。区ではこの間、教育における家庭の負担軽減を図るべく、令和元年十月より就学援助を拡大し、対象所得を四人世帯で世帯収入約五百四十五万円から約五百九十万円に引き上げるとともに、新たに七百六十万円までの家庭を対象に給食費を支援する区分を設けるなど、より多くの家庭へ支援が届くよう見直しを行ってきております。引き続き、他自治体での支援の状況や、新たに生じる教育費の負担なども踏まえながら、就学援助の見直し等について引き続き検討を行っていきたいというふうに考えております。
◆羽田圭二 委員 先ほどのお話がありましたように、実際のその自己負担額は増加傾向にある状況にあると。あわせて、今後さらにその自己負担を減らしていくという考え方は成り立つのではないかと思っています。ぜひそれらを含めて今後も検討をしていただきたいと思います。
質問者を替わります。
◆中塚さちよ 委員 私、中塚からは、トラストまちづくりなど、特に公益財団への移行に関して、あと外郭団体の改革についての質問をさせていただきます。
今回、区から企画総務委員会のほうで示されました外郭団体改革の様々な取組が書かれていますが、これはぜひ進めていただきたいということなんですけれども、私は、これまで外郭団体の改革というのは行財政改革の中でも特に重要と考えておりまして、天下りとか補助金依存体質とか、そういったものについての見直しを訴えてきました。この間、区も変わりまして、退職者が外郭団体に行く場合は議会に情報公開されるようになりました。その結果、悪い意味での天下りというのではなくて、本当に区で培った経験が次に生かされる、そういう期待のできる適材適所の再就職が増えたのかな、よくなったなというふうに実感もしています。
また、社会福祉事業団に関しては給与体系の見直しを行いまして、事業団特養の民営化というのも実現したわけですけれども、介護職員の待遇改善は重要なんですが、一方で、民間が経営努力をしているのに、事業団だけいつまでも補助金が延々と費やされているということで、やっぱり官民格差が出ているのを見過ごしているわけにはいかないというふうに感じていました。
そうした中で、例えばトラストまちづくりを今回特に取り上げたいんですけれども、住宅管理業務というのを、公募をしないで、特別な事情ということで区が行ってきました。サービス公社もそうですけれども、こういった施設管理系というのは今民間で多く担い手がいまして、他自治体でももう公募していると。そういった中で、トラまちがずっとこの住宅管理を公募せずにやってきたということを私は指摘してきたわけなんですけれども、さらに、これが結局足かせとなって、国の公益法人改革の関係で、平成二十三年四月に世田谷区の保健センターとか文化財団とか、ほかの法人が皆、公益の認定を取れたにもかかわらず、トラまちは公益法人に移行できなかったと。やはりその足かせになっていたのが住宅管理。これは国が収益事業というふうに判断したといった背景がありました。
そのような中で今回の取組。このペーパーの中には、トラスト運動や区民主体のまちづくり支援など、団体の設立目的に沿った事業展開、業務展開への特化を図り、公益財団法人の認定を目指すというふうにこの取組に書かれています。本当はこれは今に始まった話ではなくて、もう完全に出遅れて、平成二十三年のときに出遅れて、十年以上膠着して停滞していたというのが実態ではないかと思っています。公益法人になれていれば寄附金の税額控除があるので、寄附というのは非常に集めやすいです。この間、ふるさと納税のブームとかがあって、寄附をする人が増えてきた中で、完全に出遅れてしまいました。公益認定が取れなかったことの損失は大きかったのではないかと感じています。さらに、公益法人であれば、現金だけじゃなく、株式、土地、建物の寄附というのも、取得時から寄附時までの値上がり益が非課税で寄附できるという特殊な特例もありまして、こうした土地や建物というのも、実際はこのトラまちで受け付けるということも可能性としてはあったのではないかと思います。
少子高齢化が進む区内では、高齢者の方々が、思い入れのある自分の一軒家とかをどうするか困っているという人も少なくありません。住んでくれたり管理してくれる身寄りがいない、売るにも一苦労だ、売れなかったりもすると。その間に長期入院とか施設入所となってしまえば、そのままにしておくと管理不全な空き家となってしまう可能性もあります。こうした物件を地域の公共的スペースとして役立てたいという方もいらっしゃるわけですね。実際、今、ある民間事業者の取組で、オーナーが所有する物件の所有権を、賃貸契約を結ぶことで法人として管理を請け負って、空き室を貸して得られた収益から固定資産税を払って、オーナーの負担がない形で恒久的にこうした一軒家とかの資産を地域で生かすという地域での取組もありまして、視察してきて大変興味深い取組というふうに思いました。しかし、世田谷区内の土地、建物というのは、やはり区民の方にとって大きな財産ですから、全く他人の一民間事業者に託すというのは相当に勇気が必要なことでありまして、それこそトラストまちづくりのような公的な団体こそ、そのような事業を担っていくことが求められるのではないかと思っています。
改めて、このトラまちの公益法人化に当たって、現在区の課題である空き家、管理不全住宅の増加を未然に防ぐためにも、遺贈や寄贈等を希望している方々の土地や建物を頂きまして、維持管理して空き家を社会貢献に活用していく、そういった取組は今後考えられないでしょうか。
◎畝目 都市整備政策部長 世田谷トラストまちづくりの顧問会計士によりますと、公益財団法人への不動産の遺贈や寄贈に当たりましては、所有者の譲渡所得税及び財団側の不動産取得に関わる法人税が免除となりますとともに、財団の財産となる土地、建物等の不動産に対する固定資産税や都市計画税につきましては、その資産を活用した事業が公益目的事業として認められた場合には課税はされないとの見解でございました。こうした公益法人化のメリットがある一方で、財団が不動産を取得した際には、建物の耐震化や維持管理面におきまして費用が発生してまいりますことから、区といたしましては、財団に対しまして、不動産の寄贈等やその活用手法などにつきましても引き続き研究検討を進めるよう指導するとともに、助言をしてまいります。
◆中塚さちよ 委員 トラまちが公益財団法人となった場合でも、こうしたことに関しては研究していくということでしたけれども、先般、都市整備委員会のほうで報告がありました新たな官民連携事業、物件の所有者と専門家の方々をマッチングさせて、物件の活用を図ることで空き家の発生を未然に防ぐ、そうした取組が今後展開されるということですけれども、そこで、物件所有者の方の物件の活用について相談に乗っていく中で、公共利用への意向を拾い上げたりして遺贈や寄贈を受け付けていく、そういったような対応というのは、この仕組みの中ではできないのでしょうか。
◎笠原
防災街づくり担当部長 委員御案内の空き家の所有者等と事業者とをマッチングするシステムにつきましては、来週の十月二十日の連携協定の締結に向けて準備を行っているところでございます。このシステムにつきましては、所有者様の意向に沿うようなマッチングの成立、こちらを目指すものでございますので、委員お話しの遺贈や寄贈等につきましては、もちろんシステム運営者がそのまま取得するということは想定しておりませんが、このシステムに御相談いただける対象となると考えております。区といたしましても、運営企業からの情報を基に、区の関連する所管やお話しのトラストまちづくりとも連携し、対応していこうと考えています。
いずれにいたしましても、空き家の所有者等と事業者とをマッチングするシステムにより、これまで区で取り組んできたことが様々ございますが、それに加えまして、流通や利活用の促進が図られ、管理不全な空き家の未然防止となることを期待しております。
◆中塚さちよ 委員 こうした地域の課題を解決していくに当たって、行政には行政で、民間には民間の得意とするものがあると思います。そういうのを生かしながら、この仕組みの場合は最終的には民民の契約になると思いますので、世田谷区としては、ぜひ区民の財産をしっかり守って、なおかつ地域のまちづくりに生かされていくようにしっかり関与していただいて、万一のトラブルとかがあったときには、大きな財産のことですので、しっかり対応に当たっていただきたいと要望いたします。
この寄附とかに関連して、以前、
決算特別委員会で他会派の議員が取り上げておりましたけれども、世田谷区のまちづくりファンドとかNPOに関わっていた方々が中心となって、世田谷コミュニティ財団というのを立ち上げたというのが数年前にありました。コミュニティー財団というのは、そもそも地域の課題解決や公益活動を広く寄附などを集めて行う非営利的な団体のことで、他の自治体にも例があるようです。こうした団体ですとか、先ほど紹介しました土地活用の団体とかも含めて、従来型の組織とかではなくて、こうした社会的企業とかソーシャルベンチャーとかが事業を通して地域をよくしていったり、社会を変えていくことは歓迎すべきことだというふうに感じています。よい団体とか、よい取組とか、いろんなところがありますので、そういうよい団体やよい取組があれば行政も連携をしていくべきというふうに考えますけれども、こうした民間の団体が本来行政がやるべきようなことにしっかり取り組んでいる中で、じゃ、行政の外郭団体みたいなところは何をやっていくのか。区ができないことを、本来こうした外郭団体が担っていくことが期待されていたんじゃないかと思う中で、やはりすみ分けというのもしていかなきゃいけないのかなと思っています。
トラストまちづくりに関しましては、もう十年も停滞していたので、一日も早く公益認定を受けて、公益事業に特化して、区の外郭団体としての高い信頼度を生かし、公益法人にしかできないことに取り組んでいただきたいというふうに考えます。区の見解を伺います。
◎畝目 都市整備政策部長 外郭団体は、行政サービスを補完、支援する役割を担うだけではなく、様々な分野で専門性の確保や独自のノウハウの蓄積に努め、区民サービスの充実、拡大の役割を果たすとともに、行政の肥大化を抑制する効果も果たしております。
世田谷トラストまちづくりは、自然環境や歴史的・文化的環境を保全した美しい風景のあるまちの実現、多様な区民主体のまちづくり、居住環境を魅力的に守り育む活動とコミュニティー形成等に寄与するために設立され、この間、財団の専門性、優位性を発揮した事業展開に向けまして、区民ボランティアや活動団体の参加、参画を得ながら、様々な取組を進めてまいりました。区といたしましては、こうした公益的な役割を果たしていくため、財団に対しまして、トラスト運動や区民主体のまちづくり活動の支援などにおきまして、様々な民間団体等との連携を図りつつも、財団の設立目的に沿った業務の中で役割を発揮するよう、公益財団法人への移行に向けまして、しっかりと指導、調整を図ってまいります。
◆中塚さちよ 委員 保坂区長はこの世田谷コミュニティ財団というのを設立のときから熱心に応援されていたようですけれども、保坂区長という方は、二十三区の中でも非常に少ない、発信力があり区民を巻き込んでいく力を持っている区長さんだなというふうに感じています。前区長ともまた違う、非常に少ないそうした能力を持っている方だと思っているんですけれども、そうした中で、このコミュニティ財団は、まちづくりファンドから生まれたというわけでもないんですけれども、区民の方々がつくった補助金でも外郭団体でもない団体が、トラまちよりも多額の寄附金をクラウドファンディングで集めて、いろんな事業、まちづくりファンドよりも高額な助成金を出すような事業も行っていると。そういったところを応援するのも結構なんですけれども、それより先に、まずはこのトラストまちづくり、世田谷区に昔からあったこの団体でも、本当に昔から活動を熱心にされていらっしゃる区民の方もいらっしゃいます。まずはぜひこちらの改革、改善を一日も先に進めていただき、寄附を集めるにしても先頭に立って取り組んでいくべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
◎保坂 区長 委員おっしゃるように、私、世田谷区をシンボリックに表現できるような、例えば写真に撮って非常に価値があるようなところを時折案内しますが、かなりの確率でそのトラストまちづくりが管理をしていたり、そこで呼びかけられたボランティアの方が維持していたりという場面がございます。
トラストまちづくりは、一九八〇年設立の世田谷区都市整備公社と、その後、設立されましたせたがやトラスト協会が二〇〇六年に統合して、現在十六年目ということでございます。まず、緑の保全、市民緑地制度をはじめとして、地域参加型でのまちづくりの実績があると思いますし、私は、区長に就任して、地域共生のいえ、この取組に非常に魅力を感じまして、その地域共生のいえをできるだけ全て訪問しようということで、訪ね歩いたことを思い出します。
その後、こことも親和性のある空き家の活用の企画提案、そして選定とマッチングをしながら、空き家等地域貢献活用事業をそのトラまちが窓口になって行ったり、グリーンインフラ学校など、参加と協働を実践化していく優れた取組を継続していると思います。そのような意味で、トラストまちづくりが、世田谷区の魅力増進、その根を下ろしていくことについて大変基盤的な大事な役割をしているというふうに思いますが、一方で、御指摘のように、その活動が区民にどこまで伝わっているのか。例えばふるさと納税のお話で、我々はいろんなメニューを出していますけれども、そういう意味で区民に、あるいは区外の方にももっと気づいていただいて、その寄附を集めていくことに私としてもしっかり取り組むことが必要だと考えております。
◆中塚さちよ 委員 よろしくお願いいたします。
時間がなくなってしまいましたので最後の質問になりますけれども、認知症の条例について、世田谷区で認知症とともに生きる希望条例ができましたけれども、一周年のイベントが十一月六日に行われるところです。これに関して幾つか尋ねたかったんですけれども、特に私、介護現場で働く者として思うのは、正直、介護の現場で働く人たちというのは、この区の条例とか計画というものに関しての関心は必ずしも高くないというふうに感じています。でも、今、認知症の方々のケアに日頃一番身近に当たっているのは、本来こうした介護事業者、サービス提供者の方々だと思っています。条例のほうにも、事業者にもその責務というのが定められていますし、こうした現場の専門職、働く人たちの理解と協力というのは不可欠と考えています。しかし、あまり関心が高くないというのは、こうした条例や計画というのを知っていくことが自分たちの日頃の仕事にどう生かされるのか、また、利用者にどういうよい変化が現れるのか、そうした具体的なメリットが分からないからではないかと感じています。
この条例に関して学んでいくことについて、具体的なメリットを分かりやすく提示する必要があると感じております。区の見解を伺います。
◎長岡 高齢福祉部長 区では、世田谷区福祉人材育成・研修センターが実施している認知症ケア研修の中で、令和三年度より、現場の介護福祉職を対象に、条例及び計画について説明し、普及啓発を行っております。この研修では、ケアマネジャーが条例や計画を理解することで、認知症についての古いイメージを希望のある新しいイメージへ転換し、本人が希望する暮らしをケアプランに反映して、よりよいサービスにつなぐとともに、介護職員も、認知症観の転換により、御本人に寄り添ったサービスを提供できるようになると考えております。今後、より多くのケアマネジャー等へ研修の受講を呼びかけてまいります。また、今後、地域でのアクションチームの活動を進めながら事例を集積し、研修に加えて、介護サービスネットワークや世田谷ケアマネジャー連絡会などで好事例を紹介するなどして、現場の専門職の理解と協力を強化してまいります。
◆中塚さちよ 委員 すみません、ちょっと時間がなくなっちゃったので要望のほうになりますけれども、地域行政制度ですね。
これはオンラインでの説明会にすごく多くの方が参加されていました。一回目が九十人で、二回目が四十八人。ぜひこうしたオンラインというのをどんどんさらに進めていっていただきたいと。特に今、自治体がフェイスブックと提携していろんな取組をしているのが散見されています。ちょっと最近トラブルとかもあったようなので、今後、注目していく必要があると思うんですけれども、ぜひ顔と顔が見える関係というのを新しい形で展開していくといった住民参加の在り方も検討していただきたいと要望を申し上げまして、桜井委員と交代します。
◆桜井純子 委員 私からは、まず生活保護行政について質問いたします。
生活保護のことなんですが、都市整備領域のときに居住支援についてお話をさせていただいて、そのときに、若い人たちがすごく相談に来ているという最近の傾向についてお話をさせていただきました。そこのところにつながることがありますので、補充としてこれを取り上げさせていただきます。
まず初めにお聞きをしておこうかなと思うのは、例えば、今、ネットカフェや路上で生活をしているという状況の人が世田谷区の窓口に申請にいらした場合、どのような対応をするのかということをお聞きしたいと思います。居住支援を取り上げましたけれども、やっぱり住むところの確保というのが人権の一番基本的なところになるというふうに思いますので、この点についてお答えいただければと思います。
◎相馬 烏山総合支所
保健福祉センター所長 住所の定まらない方が相談に来られた場合、特別区人事・厚生事務組合が所管する自立支援センターや更生施設、宿所提供施設、民間を含めた宿泊所及びコロナ禍においては宿泊料が保護の基準を超えるもので都と国で協議済みのビジネスホテルなども可能となっており、その方の状況に応じて案内しております。また、DV被害者や高齢者、障害者など経済的な問題以外に特別な支援が必要とされる課題がある場合には、それに応じて、今後の支援に適した居住先や避難先へ誘導しております。
◆桜井純子 委員 それで、この生活保護行政について、各自治体がどんな窓口対応をしているのかという勉強会に参加する機会がありまして、そのときにいろいろな話、ほかの自治体の話もお聞きをしたんですけれども、例えば世田谷区に相談に行きますと、相談シートみたいなものがありまして、その相談シートにはこういうことが書いてあったという支援者の話がありました。相談したいことというところに、仕事に行く交通費がない、食べ物が欲しい(①ビスケット、②おかゆ)、(3)で自立支援センター渋谷寮に入所を希望したい、(4)無料低額宿泊所等に入所したい。ここまでが相談したい内容なんですね。これを皆さんがどういうふうにお感じになるか分かりませんけれども、この四択しかないんです。食べ物がないのところにビスケットとおかゆです。そういうような窓口対応が行われているということを、ちょっと知っていただければなというふうに思います。
その上でお聞きしますけれども、無料低額宿泊所というところがどういうところか御存じですか。
◎相馬 烏山総合支所
保健福祉センター所長 無料低額宿泊所は、社会福祉法に定める、生計困難者のために無料または低額な料金で簡易住宅を貸し付け、または宿泊所その他の施設を利用させる事業に基づき設置される施設でございます。宿所の提供のみ、宿所と食事の提供、宿所と食事の提供に加えて入所者への相談対応や就労指導等のサービスを提供するものがございます。設置は都道府県知事に届出制であり、設置者は民間のNPO団体が多く、居室使用料が生活保護の受給者を想定し住宅扶助以下で設定されていることが多いです。
◆桜井純子 委員 それで、こういう対応をどんなふうにしているのかなということでお聞きをしたときに持っていらした、大蔵荘というところがあるんですけれども、例えばここはどういうところかということを調べました。そうしたら、食費等と住居費ということで、毎月十万六千円が夏辺りで取るお金で、冬は十万七千円取ります。ということは、シングルの人がもらう生活保護費を考えてみれば、手に残るのが一、二万円という状況です。そして食事は朝と晩しかありません。五時から六時の時間の間に食べなければいけないんですが、食べようが食べまいが取られる。そういう無料低額宿泊所というところが選択肢にばんと書いてあるような、こういう相談のカードが出されるというようなことを今世田谷区がやっているということなんですけれども、この点に関して改善を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎相馬 烏山総合支所
保健福祉センター所長 無料低額宿泊所は、生活保護の受給を想定した施設が多いことから、運営団体によっては、利用料を施設の規模や設備にかかわらず最上限に設定して、制度本来の趣旨に反して運営しようとする団体も存在するという話があります。私はまだ着任後、視察等行っておりませんが、そのようなことがないかどうか、確認していきたいと思っております。
また、相談シートにつきましては、相談の内容を漏れなく正確に聞き取るために作成したもので、まずは一部の支所において使い始めたものでございます。相談者の状況に寄り添った選択ができるよう、相談シートを改善いたしました。今後は、五支所で適切かつ公平な対応ができるよう取り組んでまいります。
◆桜井純子 委員 相談シートを速やかに改善していただいたということですけれども、その書き方が変わったからって、その後に対応する内容が改善されていなければ全く意味がありませんので、住むところの相談という先にすぐに無料低額宿泊所、無低と言うんですけれども、無低がイの一番に出てくるような、そういった考え方がもしも残っているとしたら全く意味がありませんので、そこの改善というところもしっかりと検討していただきたいと思います。いかがですか。
◎相馬 烏山総合支所
保健福祉センター所長 改善に向けての検討をしていきたいと思います。
◆桜井純子 委員 ありがとうございます。それで、幾つか生活保護のことについて、本当に時間が足りないので幾つかしか聞きませんけれども、例えば生活保護の申請を行った場合に、そのときに住むところがない、本当に数百円しか持っていない、そういう方がいらっしゃったとき、申請を受け付けたとしても、その日からその人は行くところがないわけですよね。申請が下りるまで路上にいてくださいというわけにはいきません。何か御飯も食べなくてはいけないという状況の中で、他自治体では一時的な貸付けを行うところもありますが、世田谷区はどのような状況でしょうか。
◎相馬 烏山総合支所
保健福祉センター所長 世田谷区においては、生活保護の申請後、決定までに当面の手持ち金がない方に関しては、社会福祉協議会の緊急援護金のうち小口援護金を用いております。金額は一回につき三千円となっております。手持ち金がないなど緊急の場合は、できるだけ早く、当日、あるいは翌日などにケースワーカーが訪問し決定し、緊急の支払い手続など迅速な対応に努めております。
◆桜井純子 委員 他自治体、板橋区の状況ですけれども、板橋区は、生活保護申請を受理した後に、保護決定が行われる前、初回の保護費支給までの間に、期間の生活費として前払い金を一日当たりに換算して二千四百円渡しています。一回につき三千円という、見せていただくと社協からの小口援護金という形ですけれども、そういうことではなくて、生活保護を申請してきた方々のその日から、出会ったときからの一日一日をしっかりと見ていこう、支援していこうという、その姿勢というのがありますので、こういった例を含めて検討していただいて、改善をしていただきたいと思います。一日目から路頭に迷わせない。そういう世田谷区の生活保護行政というものを求めておきたいと思います。
それで、生活保護の状況というのが、本当に若い人が相談に来る状況で、窓口でも今までのノウハウで対応し切れない、どうやって考えたらいいんだろうかということが起きているという話もお聞きいたしました。本当に若い人たちが、何のスキルもない状況で放り出されているような今のコロナ禍であらわになった社会状況を、やっぱり今、セーフティーネットとして、しっかりとこの生活保護行政が支えて、次の日から、そして次の年から本当に自分らしい生活が送れているというところにつなげていかなくてはならないと思います。
少し状況が変わってきたこの生活保護の相談の状況に関して、世田谷区としてはどのように捉えて考えていこうと思っているかを教えてください。
◎相馬 烏山総合支所
保健福祉センター所長 コロナ禍においては、生活保護の相談においても、急な収入減少や家族内のトラブルで居場所を失うなど、これまで生活に困窮する経験のない方の相談など、相談に至るまでの経過や家族状況において個々の対応が必要になっているようなケースが見られております。生活保護は、そのような方々のセーフティーネットであるとともに、個々の環境や状況を把握し、それに応じた積極的な援助を併せ持つ事業と認識しております。生活保護により安定した生活の場を確保するとともに、様々な社会資源につなぐための支援に取り組んでまいります。
◆桜井純子 委員 生活保護の先ほどの板橋の例で、一日当たり二千四百円渡しているんですという話をしましたけれども、もう一つ板橋が取り組んでいる、他自治体にない取組が実はあります。申請があったその後から、すぐにアパート転宅、アパートでしっかりと生活ができるように、今アパートに住んでいない方に対するサポートというのをすぐに開始します。委託先は民間のところになりますけれども、連携をして、ケースワーカーと面談前後にもうアパートを探し始めるような仕組みができているということです。これは本当に支援者の方々からもすごくいい仕組みだというふうに言われています。世田谷区は、まだその流れができていないと思います。その件に関しても、しっかりと検討していただくようにお願いしておきたいと思います。
それで、この居宅支援の質問をしたときにも申し上げました。コロナ禍でネットカフェなどから追い出された方々のために、昨年、ビジネスホテルを借り上げるというようなことがありましたけれども、そのTOKYOチャレンジネットというところを通してホテルに入れる事業については、緊急事態宣言が明けてしまい、これが継続されないだろうという話になっているということをお伝えしたと思います。その期限というのが、そのときに言われていたのが十月十四日です。ということは、若い人たち、そのホテルで何とかしのいで、少しずつのお金でも稼いで生活をしようとしてきた人たちが、相談にいらっしゃる可能性があります。生活保護というのは、少しのお金を稼いでいてもセーフティーネットとしては機能するわけですから、世田谷区の五か所どこに行っても、そういった方々が安心して相談できるような、そういう体制というのをつくっていただきたいと思います。
生活保護というのは憲法二十五条の最低限の生活を保障するためにあるというような言われ方をしていますけれども、こういう考え方があります。その二十五条を超える考え方、憲法十一条では国民の基本的人権を守るということになっています。そして十二条では、国民の不断の努力によってこれを保持しなくてはならないというふうに定められています。さらに、私たちの幸福を追求する権利というのも憲法で保障されていますけれども、最低限の生活というのではなく、幸福をしっかりと追求できる基本的な権利であるという考え方に立って生活保護行政を考えていくこと、こういう転換期に今来ているのではないかなというふうに、この間いろいろと私も勉強させていただいて感じているところです。
ぜひ世田谷区のこの生活保護行政が人権目線に立ち切るということを示すこと、そこで動いていくこと、それによって世田谷区全体の行政の向き合い方、そして向いていく方向が決まっていくと思いますので、この問題については総合支所の問題ということではなくぜひ全庁挙げて、住宅の所管、子どもたちもいるかもしれません、様々な目を向けて、この生活保護行政の底上げというところ、人権意識のまた再構築というところに取り組んでいただければというふうに感じています。
ということで、生活保護行政、これから世田谷区に対して、また事細かにまだまだ言いたいことはあるんですけれども、様々な検討をしていっていただきたいなというふうに考えますが、今私が申し上げたことについて、区としての見解をどのようにお持ちになったかということをお聞きしたいと思います。
◎相馬 烏山総合支所
保健福祉センター所長 生活保護の実施に当たっては、常に公平でなければならないこと、被保護者の立場を理解し、そのよき相談相手になるよう努めること、実態を把握し必要な保護を行うこと、保護のルールを基に温かい配慮の下に生きた生活保護行政を行うことを期待されております。引き続きこれらの基本姿勢を堅持しつつ、社会の状況の変化に伴い新たに多様化してきていることを踏まえて、相談者、あるいは住民の視点から見た相談対応、周知方法など実施の在り方について検討し、改善を進めてまいります。
◆桜井純子 委員 生活保護の相談に来て本当によかったと思われるように、そして窓口にいらした方は、いろいろな思いをして窓口にいらっしゃったと思います。よくこの窓口にいらっしゃいましたと、本当に心を込めて、まず第一声が言えるような生活保護行政をつくっていければなと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
そして最後に、インクルーシブ教育について補足で聞いていきたいと思います。
羽田委員からもありました教育ビジョンの調整計画、今、再構築ということで策定されていて、パブリックコメントが十月六日に終わりましたね。様々な意見が集まってきていると思いますけれども、インクルーシブ教育については、私、何度も申し上げましたけれども、今年度、二〇二一年度は大きな転換期にしていきたい。そういう時期なんだろうということで申し上げてきました。
このインクルーシブ教育について、パブリックコメントの意見をどんな考え方で受け止めていくのか、捉えていくのかということをお聞きします。
◎粟井 教育政策部長 学校教育におきましても、障害の有無にかかわらず共に学び、共に育つインクルーシブ教育を通じて、子どもたちが様々な人と触れ合い、多様な個性があるということに気づき、他者への思いやりと規範意識を学ぶことは重要であると考えております。教育委員会におきましては、第二次教育ビジョン・調整計画の素案に対するパブリックコメントを九月に実施し、インクルーシブ教育の実現に関する御意見についても多数いただいたところでございます。
教育委員会といたしましては、共に学び、互いに支えあうインクルーシブ教育の実現に当たりましては、パブリックコメントの意見を受け止めることが重要であると考えております。教職員一人一人がインクルーシブ教育に関する理解を深め、その実現に向けた取組を共有し、実践できるよう、さきに御答弁申し上げた先進的な事例のデータベース化やガイドラインの策定をはじめとした具体的方策について検討し、第二次教育ビジョン・調整計画の案に反映してまいりたいと考えております。
◆桜井純子 委員 これまで質問をして、区長にも副区長にも教育長にもいろいろと御答弁をいただいていた中で共通していた言葉が、共に学び、共に育つという、共にという言葉です。ぜひこの教育ビジョン全体の理念というか目指すところとして、共にということを大切にしていただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。
◎粟井 教育政策部長 子どもたちが共に学び、一人の人間として等しく認められ、尊重される教育を目指してまいりたいと思います。
◆桜井純子 委員 あともう一つですけれども、ICTというところもキーワードになっていると思います。ただ、例えばICTを使って個別最適化された教育というようなことをいいますけれども、やっぱりその大前提にはインクルーシブであるということがあると思います。個別最適化されて、個別、個別、個別と分かれるのではなくて、そこがつながっていくために個別最適化というのがあるということでやっていただきたいなと思いますが、この件に関していかがでしょうか。
◎粟井 教育政策部長 個別最適な学びというのは、子ども一人一人の状態に合わせ必要な支援を行うということで、その生徒が自分にふさわしい学習方法を見つけ、主体的に学習を進められる環境を整えていくものと考えておりますので、第二次教育ビジョン・調整計画の策定に当たりましては、こうした視点に立って検討を進めてまいります。
◆桜井純子 委員 分断のない共に学ぶ世田谷の教育をつくっていただければと思います。
これで世田谷立憲民主党区議団の質問を終わります。
○加藤たいき 委員長 以上で世田谷立憲民主党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後三時五十六分休憩
──────────────────
午後四時十分開議
○加藤たいき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
無所属・世田谷行革一一〇番・維新、どうぞ。
◆桃野芳文 委員 先日、私のほうに御相談がありまして、区内の区立小学校で校長がこういう文書を区内の各学校に配付していますよと。これは問題じゃないですかということで御相談を受けました。これが何かというと、東京都一水会というところの会長から出ている文書で、令和三年度校長・教育管理職(A・B・C)選考第一次合格者名簿の送付についてというホッチキス留めの文書です。私もこれは何だろうなというふうに思いました。そもそもの私に情報提供というか、御相談された方の気持ちとしては、区の交換便、いわゆる公務で使うものに、私的な便り、私信、こういったものを載せて運ぶというのはいかがなものかということで、中身はこうですよということでした。
私もこれは何だろうと思って調べてみると、この東京都一水会という会は小学校の教員が入る団体。全員じゃないですけれども、入りたい人が入る任意団体ですね。中学校の教師が入る任意団体に清和会という会があります。一水会のOBやOGが入るのが伯水会。清和会のOBやOGが入るのが清友会。この一水会、清和会、伯水会、清友会の合わせて四団体から構成された碧水会という会があると。非常にいかめしい、何かどこかの政治団体かどこかの派閥の名前みたいな、こういう団体があるようなんです。一方、教員が入る団体として、一般社団法人東京学芸大学同窓会というのがあります。言わずと知れた、東京学芸大学というのは師範学校を源流に持つ、今は教員にならない方もいらっしゃいますけれども、元は教員を養成する大学です。
この文書については後ほど詳しく触れたいんですけれども、こういう文書が配られていますよということについては事前に教育委員会事務局に確認をしております。
ここでまず聞きたいんですけれども、渡部教育長は、区立芦花小学校と尾山台小学校で校長先生を務めていらっしゃいました。聞くところによると、一水会のメンバーだったというふうに聞いておりますけれども、こういった文書が学校に送られてきて、自らそれをまた配付していくような経験はおありでしょうか。
◎渡部 教育長 そのような文書が来ていたことは存じ上げています。ただ、私がそれを送り返すとか、そういうことをしたことはございません。
◆桃野芳文 委員 渡部校長のところにはこういうのが来ていたということですね。確認します。
◎渡部 教育長 そういう文書は届いておりました。
◆桃野芳文 委員 この一水会のOB、OGは伯水会という会があるみたいなんですね。教育長は伯水会かどうなのか、そこまでは私は知りませんけれども、先ほど言った名簿の送付についてという文書は、関係教育長様とか関係指導室課長様とかという宛先も入っているんですね、各支部長様以外に。世田谷区の教育長とか教育委員会事務局にはこういう文書は届いているんですか。
◎渡部 教育長 今年は教育長と指導課長には届けていないということを確認しました。
◆桃野芳文 委員 今年はというのは、これまでは届いていたこともあるんですか。
◎渡部 教育長 昨年のことはちょっと存じ上げません。申し訳ありません。
◆桃野芳文 委員 昨年は教育長はいらっしゃいましたよね。だから、昨年のことは少なくとも分かるんじゃないですか。
◎渡部 教育長 あまり意識していなかったので、それが届いていたかどうかは確認しておりません。
◆桃野芳文 委員 校長時代にこういう文書の存在は知っていたけれども、教育長になってから届いていたか届いていないかすら意識しないということは、もう日常的に、ああ、こういう文書は知っていますよと、こういう文書は回っていますよということは、もう自然体として受け入れていたということなんだと思います。
ちょっと話は変わりますけれども、この一水会は何かという分かりやすい話がありまして、ヤフー知恵袋というサイトがあるんですよ。多くの方が御存じだと思いますけれども、知恵の共有サービスで、分からないことがあると、インターネットを通じて、私、これについて分からないんだけれども誰か教えてくださいというふうなことを打ち込むと、それについて知識のある人が返事を書き込んでくる。例えば私が麹町中学校内申書裁判って何ですかと打ち込むと、それについて知っている人が、それはこういう裁判ですよということで返事をくれる。あっ、そうなんだ、そういう裁判があったんだということがよく分かる。そういうサイトです。
そのヤフー知恵袋の中にこういうものがあったんですね。「東京都の教員 管理職について質問です。小学校の管理職があまりに足りないということで試験を受け合格したら、全く希望しない所に飛ばされました!飛ばされる時ある人たちに、学芸大学卒の会とか一水会とか入ってないと希望のところへは行けないと言われました。卒業大学ってどの程度関係あるのでしょうか?一方で希望のところに行っている人もいます。この人たちは次は希望のところでない所へ行くことになるのでしょうか?」という質問がある。答えはちょっとおざなりなものが一つ入っていただけなので割愛しますけれども。
あと、先ほどいろいろ併せて碧水会と言いましたけれども、そのうちの一つで清和会。東京都中学校清和会というのはホームページでいろいろと情報を発信されています。その中に会長挨拶というページがあるんですね。会長はある学校の校長先生ですけれども、この会長が、顔と名前を当然出して、挨拶を載せていらっしゃいます。長いですから一部抜き出しますと、こんなことが書いてあります。「東京の教育系大学以外の教員にとって」これは教育系大学というのは恐らく学芸大学のことだと思いますけれども、「教育管理職や指導主事を目指すための先輩との繋がりや学ぶ場が少なく、時に辛酸をなめるようなこともあったと聞いています。そのため、諸先輩方が、学閥の弊害を是正し、研修の場そして教育界を担っていくことのできる人材育成を目指し、つくられました」と。学閥の弊害を是正しと言っておきながら、自分たちが新しい閥をつくっているんじゃないのというふうに思いますけれども、こんなことが書いてあります。
それで、話は戻りますけれども、この校長・教育管理職選考第一次合格者名簿の送付について、交換便でこういったものが実際に送られていますよねということは、今年も世田谷区の支部長と言われる校長にまず入り、そこの校長から区内にこれが配付されていますよねという事実確認をまず事前にお願いしますということで依頼しています。なので、まずこういう事実確認をしたかどうか。それと清和会とか学芸大同窓会も同様のことをやっているのかということについて、まず事実確認だけお願いします。
◎粟井 教育政策部長 学校には出身大学などが母体となった任意団体がございまして、年齢、職層、それから学校、校種を超えて親睦を深めているということは認識しております。任意団体におきましては様々な取組をしていると聞いておりますが、その中の一つに、会員の管理職試験に向けた勉強会を実施しているという事例もあると伺っております。委員御指摘のその任意団体による通知文などを交換便を利用して送付している件につきましては確認が取れましたので、不適切な利用であるということを伝え、今後、適切な手段を利用するよう担当校長に指導したところでございます。
◆桃野芳文 委員 清和会と学芸大同窓会も同様ですか。
◎粟井 教育政策部長 その各団体の状況については把握できておりません。
◆桃野芳文 委員 そんなことないでしょう。事前にお願いしているから確認されているんじゃないですか。
◎粟井 教育政策部長 聞き取り情報によりますと、都の一水会から合格者名簿というものが郵送で来るというような話、それから清和会につきましても郵送で来るという話、それから学芸大学関係につきましては合格者の名簿がないので、その他の連絡で交換便を使うこともあると、そのように伺っております。
◆桃野芳文 委員 それで、こういったものが交換便という公務で使うツールを使って配付されているということは確認できているということなんです。
この肝腎の中身なんですけれども、これは何かというと、校長・教育管理職選考第一次合格者名簿の送付についてですから、これは誰がこの試験に一次合格者として受かったかということが、校長選考受験者名簿と、A選考、B選考、C選考、これが出ているわけですよ。校長と副校長と、あと指導主事でしたかね、教育管理職と言われる人たちの誰が一次試験を通ったかということが、もうこれは名前が出ているのでこうやって掲げることもできませんけれども、その方がどこの自治体のどこの小学校に所属で、フルネームですよ、名前が誰で、年齢、性別、それと誰が一水会の所属で誰が一水会以外か。だから、誰が学芸大学の同窓会かということなんでしょうね、一水会には丸がついている。丁寧にも三角印がありまして、三角印の方は一水会未入会の方です、改めてお声がけをお願い申し上げますと書いているんですよね。だから、学芸大じゃないのに入っていない人は入るように声をかけてよと言っているわけです。これは都内全部、島嶼部も含めて全部ですよ、二十三区だけじゃなくて。世田谷も出ていました。島嶼部も含めて全部出ています。丸、三角、無印。
この文書の日付が令和三年九月八日なんですね。一次試験が終わって、さあ、二次試験を受けるというタイミング。二次試験というのが、これはネットで検索すればすぐ分かりますけれども、大体十月に行われるんです。そのタイミングでこれが、あくまで一水会に所属している人たちにばらまかれているんですね。校長だとか教育長だとか、渡部さんのところには来ているかどうか、昨年の分はちょっと失念しているみたいなことでしたけれども、教育長とか課長とかが宛先に入っているわけです。これをまず配っているわけですね。このタイミングで、こんなものを交換便を使って東京都内のこの宛先全部に、東京都内の一水会に所属している校長先生に全部配付すると。これは何でですかね。何でこんなことをするんですかね。
私、一瞬は分からなかったですよ。最初は何でこんなものを配っているんだろうなと。だけれども、こんなもの、考えたら答えは一つじゃないですか。もうすぐ分かるじゃないですか。二次試験の面接官というのは公にはされていませんよ、公にはされていませんけれども、この宛先に入っている人たち、これがこの選考試験の二次試験の面接官になり得る人たちなんですよ。それは分かりませんよ、必ず自分が選ばれるかどうかは。だけれども、なり得る人たちなんですよ。当然、自分が面接官になったときに、目の前に座っている人が、試験を受けている人が一水会なのかどうなのかなんて分からない。どこの大学出身なのかも分からない。だけれども、この名簿があれば分かるじゃないですか。
先ほど清和会の会長のコメントが出ていましたけれども、もうライバル心むき出しですよね。学芸大学には負けないぞと、我々は過去辛酸をなめてきたんだと、もう堂々と言っているわけですよ、ホームページで。そんな中でこんな名簿を配付する。こんなことが許されると思いますか。世田谷区の教員もやっているわけですよ、区立小学校の教員が。許されるんですか、こういうことが。
◎粟井 教育政策部長 交換便を利用して送付している件につきましては、確認を取ったところ、確実に不適切な利用であるということでございましたので、これは適切な手段を利用するように担当校長に指導したということにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。管理職試験合格者名簿につきましては、入手方法や送付の意図などについては状況を把握しまして、管理職試験の実施者である東京都教育委員会に情報提供してまいりまして、世田谷区教育委員会といたしましては、教職員がその職責を十分に理解して、倫理観や規範意識を一層高め、服務を厳正に努めるよう引き続き指導してまいりたいと思います。
◆桃野芳文 委員 交換便を使っているということは悪いですよ、だけれども、中身ですよね。こういうものを送っているという中身ですよね。今答弁にあったように、送付の意図、これについては状況を把握しというふうにおっしゃいましたけれども、必ずやってほしいですよね。本人がどう言うか知りませんよ、ただ単に頑張れよと言うために配っているんだと言うかもしれませんけれども、そんな子どもみたいなことやらないですよ、いい大人が。何のためにやったんだということをしっかりと明らかにしてもらいたいです。それであと、東京都にもしっかり言って、こういうことが起きていると。一水会、清和会、こういうことが起きているということを言って、しっかりと対応してもらいたいです。
それと、どうやってこんな文書が作り得たかという話ですよ。これは一水会のメンバー以外も出ているんですよ。さっき言ったように全員出ていますから。誰が一水会で誰が一水会ではないかということが峻別できるような資料になっているんですよ。だから一水会以外の人たちのことも分かっているわけですね。これは誰かが不正に個人情報にアクセスしないと、こんな資料は作れないんじゃないですかね。組織的にこんな配付なんていうのはできないんじゃないですかね。どうですか、そんな仕組みはあるんですか。不適切なことをやらずしてこんな資料を作る方法はあるんですか。
◎粟井 教育政策部長 管理職試験につきましては東京都教育委員会が実施するものでございまして、面接官などのような業務担当者というのは秘密事項になっているところでございますので、私どもに対しても明らかにはなっていないところでございます。
◆桃野芳文 委員 いや、だから、それは分かりましたけれども、今私が聞いたのは、こういう資料を作れてしまうような仕組みはありますかというの。だから、誰が試験を受けていて、誰が一次試験に受かったかということを東京都内全部ですよ、島嶼部も二十三区も全部含めてそんなことが把握できてしまう。さっき言ったように、誰が面接官なのかということだって、公にはそんなことはもう当然秘密にしているわけでしょう。もっと言うと、二次試験の日程だって、インターネット上で探して何とかぼんやり分かるぐらいですよ。大体十月ぐらいに行われるというのが分かるぐらいですよ。正確には分からない。正確には公にされていない。それぐらい本来であれば情報管理が徹底されているものじゃないですか。だから、そんなものに対してこんな一覧表が作れてしまうということはあり得るんですかということですよ、不適切な行為をせずして。できるんですか。
◎粟井 教育政策部長 私どもはその直接の所管ではないのですけれども、いろいろな情報を集めた結果、そのようなものがまとめられているのではないかと思います。
◆桃野芳文 委員 これも東京都へ、もうこれは事実として今世田谷区議会で私がしゃべっているわけですから、皆さんが東京都と話をして、本当に情報の出どころ、これが不適切な方法で収集された情報ではないのかどうか。でも、当然これを公にしてしまって、ばらまいていること自体が問題ですよ。それは問題ですよね。まず、それは問題だということを答えていただきたいのと、もう一つは、どうやってこういうデータが作り得たのか。これを世田谷区の教員がハンドリングしているわけですよ、持っているわけですから。何でこんなものが作り得たのか。それについてもしっかりと東京都と一緒になって調べていただきたいと思いますよ。答弁をお願いします。二点答弁。
◎粟井 教育政策部長 現状につきましては、やはり東京都教育委員会にもしっかりと情報提供し、どのようなことが考えられるのか、取り得る対応はどのようなことなのかということについても議論してまいりたいと思います。
◆桃野芳文 委員 私はやっぱりこれを見て、これはとんでもない資料が配られているんだなというふうに思ったわけですけれども、教育長は全くあれですか、これが手元に来たときに、ああ、毎年来ているわねというだけだったんですか。
◎渡部 教育長 今のは、私が校長のときにこういう名簿が来ておりましたが、あまり深くそれを見たことがなかったので、それほど考えませんでしたが、今御指摘を受けて、これはどこが出どころでというところや、この情報の集め方に関しては、やはり状況を把握して、東京都教育委員会にも伝えながら、どのような状況でそれができたのかということを追及していきたいと思います。
◆桃野芳文 委員 世田谷区長は教育ジャーナリストという顔をお持ちなわけですよ。ツイッターでも―教育ジャーナリストじゃなくてジャーナリストというふうに宗旨替えをされたんですかね。ジャーナリストということで、ネットニュースをばんばんばんばんリツイートされているわけですよ。それも一つ伝えるという意味では、そういう伝える、伝えたいという思いなんでしょう。なので、私はこの問題をツイートしてもらいたいですね、今日は夕方。こんなことが行われていますよと、私は教育ジャーナリストとして許せませんとツイートしてもらいたいですね。区長が記者会見でしゃべるとかね。教育ジャーナリストなんだから、いろいろアプローチしたら出してくれるテレビもあるんでしょう、きっと。これで東京都の教育委員会と一緒になってこういう問題をどんどん明らかにして、絶対許せぬということをやってもらいたいですよ。区長の意見を聞かせてください。
◎保坂 区長 今、一連の御質問を伺っていて、大変驚いているところです。学校管理職のいわば試験。一次試験の合否、二次試験にその後行く。これは実施も、その情報管理も東京都教育委員会において行われているということですから、区の教育委員会のほうから、こういう指摘があり、こういう事実はどうだということがあったと、これは当然教育委員会も言うでしょうし、私としても、それは今初めて聞くことでありまして、どういったものなのか、そういったこともジャーナリストとしては、ジャーナリストという側面からも、首長という側面からも、やっぱり事実を確認した上で、それを例えば東京都がどういうふうに言うのか、そういったことを踏まえて、委員おっしゃるところの、これは公平な審査が行われているんだろうかということに尽きると思います。その観点で事態を重く受け止めてまいりたいと。事実が分かったならば、それをつまびらかにすると。発言をするということも含めて考えます。
◆桃野芳文 委員 区長と議員としてではなくて、ジャーナリストと情報を持っている人間として取材を。取材はいつでもオーケーですから、ぜひ声をかけてください。
酸素療養ステーションについて、大庭委員が福祉保健のときに話をしまして、ちょっと時間切れでカウントダウンして、五、四、三、二、一と言って最後なくなっちゃったんですけれども、それについてちょっと聞いてまいります。
これは以前、大庭委員が使ったパネルですけれども、酸素療養ステーション。大庭委員の思いは、二重行政はもうやめてくれよと。区民の大切な税金を、そういう非効率的な形で失うのはもうやめてくれというのが根本的な思いです。この赤い枠の中が東京都が酸素療養ステーションの対象にしている人。この赤枠の外に、酸素投与が必要な人がいるでしょうと。この中等症Ⅱ、呼吸不全ありというカテゴリーの方がいるでしょうと。酸素投与が必要なのに、酸素療養ステーションに入れる人の枠から飛び出ているじゃないか、これはおかしいじゃないかということだったんです。大庭委員の思いはね。
世田谷区においては、ここのところをしっかりやってもらわないと、存在意義がないでしょうと。この酸素投与が必要な中等症Ⅱ、呼吸不全あり、ここの人に対応するような仕組みを持ってもらわないと意味ないでしょう、これをしっかりやってくださいということだったわけですけれども、世田谷区の酸素療養ステーションについて、しっかりとここを受け入れるような仕組みになっているのか、体制になっているのか。これもぜひやっていただきたいという意味ですけれども、それについて答弁をお願いします。
◎辻 世田谷保健所長 今、議員御指摘のとおり、東京都におきましては、そこの軽症と書いてある部分が対象というふうに認識しております。一方、区では、区が必要と判断した方に入所していただいていまして、今おっしゃった酸素の吸入の方も、現状でも受け入れている状況で、今後も受け入れていきたいというふうに思っています。
◆桃野芳文 委員 それをしっかりやってもらいたいんですよ。
それで、もう一個の問題提起は、世田谷区がこの人を酸素療養ステーションに入れたいと思ってもなかなか入れない状況だから、自前で持っておきたいというようなことだったと思うんですね。先日、都政新報を読んでいましたら、この東京都の酸素療養ステーション、九月二十四日の都政新報は、保健所が自宅療養中の患者から重症化リスクの高い患者を抽出し、その紹介を受けて治療するというふうに書いてあるんですね。なので、保健所と東京都の酸素療養ステーションの連携がしっかりできれば、そっちで受け入れてもらえるものは受け入れてもらって、世田谷区の負担は軽くなるというふうに思うんですけれども、この状況はどうなっているのか。世田谷区から保健所がお願いして東京都で受け入れてもらうということができるのか。できていないならそれをやってもらうように、できるようにしてもらいたいというふうに思うんですけれども、それについてお答えください。
◎辻 世田谷保健所長 現状ですが、都のステーションは、自宅療養中の区民が区を介することなく、東京消防庁の調整を経て利用できる施設で、これまで二十九名の区民が利用されております。区から紹介する運用はございません。
御指摘の都への要望でございますが、患者をいち早く適切な療養につなげる方法を確保するという点で、都のステーションも大変重要な役割を果たすというふうに認識をしておりますので、今後、区も利用できることなどを都へ働きかけてまいりたいというふうに考えております。
◆桃野芳文 委員 区内の社会福祉施設で行われる第二弾のほうの療養ステーションで、予算は幾らぐらいになるんでしたっけ。
◎辻 世田谷保健所長 経費といたしましては、おおよそ四億四千万円でございます。
◆桃野芳文 委員 四億四千万円をどう使うかということだと思うんです。東京都がここをしっかりと受け入れてくれるという状況になり、なおかつ保健所から、この人、お願いしますと言った人を受け入れてくれる状況になればいいわけですよ。四億何千万円というお金を別に―もちろんそれをコロナ対策に使うのは当然いいですよ、だけれども、別のことに振り向けられるわけですよ。なので、それはしっかりやってもらいたいんです。
今、幸いにしてコロナは収まっていますから、この先、予断は許しませんよ、予断は許しませんけれども、収まっている状況ですから、今は東京都の療養ステーションは恐らく余裕があるはずですから、今このタイミングで東京都としっかり話をして、新たな仕組みをしっかりつくる。それで足らざるところは世田谷区で独自につくっていくことが必要な部分もあるかもしれない、あるかもしれないけれども、今ある東京都の仕組みをやっぱり最大限生かしながら取り組んでいただきたいというふうに思います。それは恐らくそういうことだと思うので、要望でとどめておきます。
最後に、テレワークについて、少しこれも積み残しで残っていたことだったので聞きたいんですけれども、この間、世田谷区でどれだけテレワークができていたのかということが非常に心配なんです。テレワークというのはあくまで手段なので、それによって生産性が上がったり、職員の健康が守られたり、いいことがあればどんどんやればいいし、弊害があれば、それはそれでカバーしていかなきゃいけない。
そんな中で、これまで議論されたことは、とにかく家にいてください、人流を抑えなきゃいけませんと。七割ぐらいはもう家にいてください、出社しないでくださいというのがこれまで東京都がずっと言っていたことなんですね。この数年でVDIとかシンクライアントとか新しい言葉がどんどん出てきて、世の中、日進月歩どころか、本当に私も分からないことがどんどん出てきます。そんな中で、この世田谷区の中で何が障害になっているのか。例えば法律だとか条例だとか、そういうことが邪魔になってテレワークがやりにくいのか、それとも機器の面でできないのか、仕組みの面でできないのか。ちょっと時間がないので、どこに逼塞のポイントがあるのかだけお答えください。
◎池田 総務部長 テレワークにつきましては、職員については所属長の管理の下で業務を行うことが原則であることから、今般につきましては、妊娠している職員や基礎疾患がある職員などを中心に在宅勤務を行ったところでございます。このテレワークを行うためには、どういった業務を切り分けていくのか、そういった仕事のやり方を変えていくということの検討が必要と考えております。
◆桃野芳文 委員 時間がないので、またこの問題も次なる、コロナの問題はまだありますから、次のステージに向けてしっかり議論していきたいと思います。
私からの質問を終わります。
○加藤たいき 委員長 以上で無所属・世田谷行革一一〇番・維新の質疑は終わりました。
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○加藤たいき 委員長 引き続きまして、日本共産党、どうぞ。
◆江口じゅん子 委員 日本共産党の補充質疑を始めます。
今議会では、行政経営改革、民間活用について議論を重ねてきました。本日は新BOP学童クラブについて伺います。
学童の大規模化、狭隘化、人員不足は長年の課題です。我が党はこの間、学童は直営が基本であって、大規模学童は分割化し、学校外の公設・民間施設の活用検討、また、指導員確保のため時給アップなど、さらなる努力を提案してきました。
国は、平成二十七年、省令基準として、児童一人当たり面積をおおむね一・六五平米以上、支援単位はおおむね四十人以下と定めました。当区の設置及び運営基準条例もそのとおりに改正しています。しかし、この間、条例に則した基準とならぬまま、大規模化が進みました。全国では省令基準どおり支援単位を分割した自治体もあって、区でも条例基準に即した分割化検討が必要でした。区は、大規模化などは課題があり、民間活用検討と答弁していますが、まず、この間の区の努力は十分だったのか、検証が必要です。
現在、他自治体でも、支援員確保困難、多様なサービスなどを理由に民間活用が進んでいます。同時に、それに伴う問題、トラブルも多発しています。今年二月、朝日新聞デジタルで「楽しかった学童保育が… 民間委託、指導員変わり混乱も」の記事が報道されました。内容は、大阪府吹田市では、民間委託したが、現場の指導員が未経験者ばかりで混乱が生じ、再び直営に戻した。同じく守口市では、民間委託前は希望する職員全員雇用としていたが、委託から一年後、指導員十三人が一斉に雇い止めの通知を受け、裁判に発展とあります。さらに記事では、直営より民間委託の経費が多くなっている自治体もあるとしています。小田原市では、時間延長やサービス向上を目的に企業委託を開始。委託費は三年間で約九億六千五百万円。公営時の事業費約二億一千五百万円より人件費などで増加。また、宇都宮市では、委託費は二〇一九年度約五億四千万円だったが、事務に新たな人員配置などで、来年度は約六億七千万円に増加。このように報道されています。二十三区でも杉並区では、民間委託事業者選定後、事業所都合で辞退があり混乱と、このように聞きました。民間委託の共通した問題に、指導員の入れ替わりが激しい、人材確保困難、本当に経費削減になっているのか、こういったことが指摘されています。
区はこの間、他会派の質疑に、学校外に民間事業者活用の整備手法も有効、狭隘化解消、規模適正化、質の高い安定的な運営を図るために早急に検討などと答弁しています。ところが、民間活用により、安定的な運営を揺るがす問題が全国的に多発しております。これに対する受け止め及び問題を直視しての慎重な検討を求めます。検討過程から、議会にも保護者にも、期待される点とともに問題点も提示し、区の公的責任なども明らかにした説明を求め、伺います。
◎柳澤 子ども・若者部長 学童クラブを含めまして福祉の人材が全国的に不足している影響、その他御指摘のような課題がございまして、それを踏まえて、子どもたちのことを第一に考え、安定的に運営できるようにすることが重要と考えてございます。そのため、国や都の補助制度を活用した財政的な支援や運営面を含めた指導監督の体制の構築が必要であり、他自治体の事例も参考にしながら検討しているところでございます。
区は、法律上、民設民営であっても、放課後児童健全育成事業の質と継続性の確保を担う公的な役割があると認識しており、セーフティーネットなどの公的な役割についても具体策を検討してございます。今後、学校外の民間事業者による事業展開の具体策とともに、新BOP学童クラブの運営を基本としたさらなる人員や場の確保策も併せて、年内のできるだけ早い時期に区議会に御報告するとともに、適正な時期に保護者にも丁寧に御説明申し上げます。
◆江口じゅん子 委員 指摘した民間活用による課題を踏まえての慎重な検討を重ねて求めます。
この間、民間活用により、公設学童と同水準のサービス、利用料が確保できないことを指摘してきました。仮に国基準の民間活用といっても、公設のように校庭や体育館などを活用し、子どもが十分活動できる対応は困難です。区は、我が党の指摘に、ニーズに応じて選択できるよう検討と答弁しました。つまり、公設と同様にはできないので、その代わり、時間延長など新たなサービスを付与して選択できるようにすると、このように解釈できます。
さらに問題なのは、選択できると言いつつ、実際は家庭の経済力、子どもの障害の有無などで選別されるのではないかということです。公設新BOP学童クラブ利用料は月五千円、就学援助家庭は免除です。区が昨年実施した保護者アンケートでは、区内の民間学童の利用料平均は月三万円から五万円です。また、公設では、配慮が必要な子どもは六年生まで受け入れ、支援員加配も行います。しかし、多くの民間学童は、発達障害児、身体障害児は受け入れません。また、子どもの放課後の居場所が大きく変容する検討が、当事者の子どもや保護者が知らないまま進んでいます。影響を受けるのは子どもたちです。区長は考えを示していただきたい。
家庭の経済力、子どもの障害の有無などで選別や差異を生じる制度設計は、保坂区長が大切にしてきた子どもの最善の利益を最優先とする基本的姿勢と異なるのではないでしょうか。区長は外遊びの必要性を述べていますが、保証されるのでしょうか。また、大規模化などの課題解決は本当に直営ではできないのか。なぜ民間活用なのか。また、学童の公的責任についてどのような見解か、併せて区長に伺います。
◎保坂 区長 私は、子どもはその一人一人が権利の主体であり、委員もおっしゃるように、子どもの最善の利益を実現することが行政の役割であるというふうに考えてまいりました。平成十七年より全区立小学校で展開している新BOP学童クラブについてですが、全国に先駆けて、子どもの安全を確保した上で、遊びや交流の広がりを持った学校を活用した取組として、貴重な場を提供し続けてきた一方で、近年、子どもの数、児童数が大変増えている学校が幾つもありまして、例えば子どもの居場所の狭隘化、そしてあまりにも大規模になってしまったということで、一人一人丁寧に子どもを見ていくという環境が、子どもの権利という立場から見ても年々厳しくなってきていると認識をしています。そういった意味で、この学童のスペースの過密、また狭隘、そして大規模化、この解決については喫緊の課題だと考えておりまして、子ども・若者部に対しては、さらなる人員の確保を急ぐようにということと同時に、現在の運営の在り方を、学校の特別教室その他をさらに活用するなどして拡充できないかということも、教育委員会と相談しながら、有効な具体的対策を進めるように指示をしております。
また、区がこれまで担ってきたセーフティーネットの役割を果たしながら、大規模化の解消や、子ども、保護者のニーズに対応した放課後の過ごし方の選択肢として、公設民営の学童クラブを補強するサービスとして、民間事業者のノウハウやその運営する場の活用、これを放課後学童クラブの事業について、他自治体の事例なども見ながら、現在検討を行っているところであります。
今後も学校施設の有効活用を進めながら、現在の新BOPの運営を基本にして、子どもの遊びや生活といった子どもの育成環境をよりよくしていくことを第一に、この民間事業者とも協力して、よい環境の構築、子ども第一の放課後環境の充実に向けて努力を重ねていきたいと思います。
◆江口じゅん子 委員 基本は現在の新BOPの運営というふうに認識を示されたことは重要と受け止めております。また、問題解消のための有効な具体策をまとめるよう指示というふうに御答弁されていましたので、早急にしっかり取り組んでいただきたいと要望します。
次に、参加と協働についてです。
今議会を通じ、政策形成過程からの参加と協働は道半ばと指摘してきました。例えばふじみ荘廃止でも、区から計画が示され初めて知った、区民抜きに決めないでほしいなど声が寄せられました。確かに議会は区民の代表として質疑しますが、九十二万人もの多様な区民の声の把握、また反映には困難もあると考えます。
区長はこれまで、車座集会や質を大切にする待機児対策などで、直接区民や関係者の声を聞く機会を大切にし、そして施策に反映してきました。また、我が党の質問に、適切な参加と協働の方法を模索してきた、DX推進方針を踏まえ機会を増やしていくと答弁していて、重要な姿勢と認識しています。これまでの区長の先進的取組を踏まえ、今後、参加と協働をどうしていくのか。また、区民の区政参画、施策への区民意見反映のため、地行条例での仕組みづくりが必要と考え、併せて区長の見解を伺います。
◎保坂 区長 私は、区長就任、地区ごとに三回行いました車座集会をはじめとして、シンポジウムや区民参加ワークショップなど、ふだん区と関わりの薄い区民の方にも、例えばくじ引で参加を呼びかけるなど、多様なチャンネルで話合いを進めてきました。参加と協働は、世田谷区基本計画に大きくサブタイトルに打ち込んでいるとおり、区政運営の軸であり、条例づくりやまちづくりなど大変様々な場面で基軸としてきているものであります。
御指摘いただいたふじみ荘についても、存続を望む声を多数いただきましたが、施設の老朽化等で閉館を決めた一方、その声の中にたくさんあった高齢者の居場所づくりについて、積極的に施策を展開するように担当部に指示をし、一部これは始まっているところであります。まだまだこれは広げたいというふうに考えております。
DXの取組により、自治体と住民の関係を可視化し、いわば中間的な手続、事務処理ですね、このサービスが圧縮され、区と区民、事業者が知恵と力を出し合って、文字どおり共に考えて、議論して、いわば組み立てていく参加と協働の区政を生み出すことが、いわばテクノロジーをバックに可能となる局面にもなってきていると考えております。このような取組を進めることにより、より多くの区民の参加、声を傾聴し、地域行政の推進をはじめとして、今度は住民同士のコミュニティー、そして地域課題解決のツールとして、参加と協働による区政運営をより直接の対面で話し合うことはもちろんですけれども、こういったDXの技術を通しても強化してまいりたいと思います。
◆江口じゅん子 委員 参加と協働の深化、ぜひよろしくお願いいたします。
以上で私の質問を終わり、中里委員に替わります。
◆中里光夫 委員 それでは、私からは、介護人材の確保について質問します。
我が党はこの間、介護の量と質の確保を区政の最重要課題として取り組むことを求めてきました。区内の福祉専門学校は、生徒が集まらず募集を停止する。また、この間、特養ホームを整備しても、職員が集まらず満床まで数年かかるという状態です。喫緊の課題として、介護職確保の強化を求めます。
ある特養ホームでは、相変わらず人材不足だと。コロナの影響で飲食業から入ってくる人がいるが、長く続かない。研修の仕組みなど工夫が必要だとおっしゃっていました。また、訪問介護事業者では、ヘルパーさんの高齢化が進んでいる。五十代から六十代が中心で、八十代の方もいる。求人広告を幾ら出しても人が集まらない。介護のマイナスイメージ、他の業種と比べ十万円も低い処遇など問題があります。かねてより我が党が主張しているとおり、処遇改善、イメージアップ、総合的な対策の充実が必要です。
介護事業所、介護業界全体が人材確保の大変厳しい状況にあります。この間、区が行ってきた家賃助成や電動自転車の助成などは、実効ある対策として現場には歓迎されています。引き続き介護事業者など現場の声を聞き、来年度、必要な予算を確保して支援に踏み出すことを求めます。答弁を求めます。
◎長岡 高齢福祉部長 今後の高齢化の進展により、介護サービスの需要がさらに見込まれることから、介護人材の確保、育成、定着支援はより重要であると認識しております。区では、介護人材に関する現状と課題を共有し、対策を検討するため、令和元年度に介護人材対策ワーキンググループを設置し、区内の介護事業者団体や世田谷福祉専門学校、職業紹介機関などに参加していただきました。お話しの電動アシスト自転車の購入費用助成は、その会議の中で、訪問介護員の移動時の負担軽減を求める声があり、それを受けて、職員の定着支援を目的に実施した事業でございます。本年六月には、ワーキンググループのメンバーを拡充した世田谷区介護人材対策推進協議会を設立し、行政等による取組や介護事業所の人材確保の状況、課題等を共有し、人材不足解消に向け、必要な対策等について意見交換を行っております。引き続き、介護人材対策推進協議会において事業者の声も聞きつつ、中長期的な視点も含め、できることから効果的な施策が展開できるよう取り組んでまいります。
◆中里光夫 委員 できることからということですから、来年度、ぜひしっかりと予算を確保して進めていただきたいと思います。
また、行政の様々な支援はあるけれども、手続が煩雑で利用したくても諦めていると、そういう実態を伺いました。小さな事業所は事務専用の職員を雇う余裕もなく、複雑な事務手続にとても手を割けないと。また、補助を受けると報告事項も増え、事務に手を取られる負担が増えていくとおっしゃっています。補助制度の手続を簡素化し、使える制度に改善すべきです。見解を伺います。
◎長岡 高齢福祉部長 区では様々な助成事業を行っておりますが、申請書に添付する資料が多く、また、申請書の書き方も分かりにくいといった声があることは承知してございます。こうした声を踏まえまして、令和二年度からは、例えば財産目録や貸借対照表、収支計算書などの書類については、高齢福祉課が所管する助成事業であれば、一度提出すれば他の助成事業では省略できるよう努めているところでございます。引き続き申請書や添付資料の見直しを進めるなど事業者の負担軽減に努めるとともに、相談にも丁寧に対応し、事業者が利用しやすい助成事業になるよう取り組んでまいります。
◆中里光夫 委員 本当に小さいところはそういった事務に手が割けないという現実があるわけですから、そこはしっかりと進めていただきたいと思います。
介護職は、コロナ禍で感染のリスクを負いながら、日々利用者に向き合っています。ところが、この間、現場の方に聞き取りをする中で、感染抑止につながる社会的検査を知らない、こういう声を聞きました。また、特に小規模な通所・訪問事業所のヘルパーさんからこういったことを聞いています。通所・訪問事業所の社会的検査の受検率が低い。これはこの間も指摘してきたとおりです。介護事業所にはファクスで通知がたくさん来るけれども、見る時間もないし、見る内容が分かりづらい、こういう声も届いています。コロナの陽性者が発生した場合など、サービス提供体制を確保するための補助を都と区は行っていますけれども、これも知られていない。早急な改善が必要です。一方、ある訪問事業者は、区の制度を理解して、社会的検査の定期検査をこれまで十五回受けましたと、こんなふうにもおっしゃっていました。理解が広がれば、活用されて感染抑止にもつながっていくと思います。
社会的検査などが現場に知られていない。告知や周知の工夫をすることを求めます。定期検査は中止中ですけれども、第六波に向けて、必要な社会的検査の強化を行うことを求めます。見解を伺います。
◎有馬
保健福祉政策部次長 施設や事業所に対し、適宜、実施内容の周知や検査を勧奨していくことは重要でございます。現在、介護事業所に対し、委員お話しの介護保険FAX情報便のほか、定期的な事業所への郵送による通知や、区のホームページなどを活用し、検査の実施内容の紹介や検査の勧奨を実施してまいりました。事業所に対して理解を広げ、社会的検査を積極的に活用いただくために、アンケート等を通じて事業者の状況の把握に努めるなど、広報の手段や記載内容を適宜見直しながら、事業者や利用者へ分かりやすい最新の情報を提供してまいります。
社会的検査は、令和二年十月の開始以降、対象の拡充や実施サイクルの短縮のほか、スクリーニング検査や抗原定性検査を導入してまいりました。今お話しのありました第六波も想定し、感染状況等に応じて今後も運用の改善を図るなど、効果的な検査を実施してまいります。
◆中里光夫 委員 第六波に向けてしっかりと取り組んでいただきたいと。そのためにも、特に小さな事業所がしっかりとできるように、情報が伝わるようにということを本当に求めていきたいと思います。頑張っていただきたい。
次に、災害対策について伺います。
世田谷区耐震改修促進計画が今年の四月に改定されました。住宅などの耐震化について、現状と令和七年度末の達成目標が示されました。住宅耐震化は、住宅総数約四十八万戸のうち約四十五万戸、九三・四%まで耐震化が到達したと見込まれ、九五%以上のおおむね解消した状態を目指すとしています。
我が党は、地震から命を守る第一は建物の倒壊から命を守ることだとして、住宅耐震化の促進をこの間求めてきました。そして、静岡などで視察した例なども示しながら、耐震化が必要な住宅全てに個別に訪問、案内する必要性も訴えてきました。今回の計画で、旧耐震基準の木造住宅の所有者に対し、耐震化支援制度の案内をするなどの普及啓発を行う、こういう方針が打ち出されて、チラシの配付、訪問、案内が始まりました。個別の案内訪問の活動で、建物の状況など実態把握が進んだと思われますが、いかがでしょうか。
◎笠原
防災街づくり担当部長 委員お話しの個別の案内でございますが、平成二十八年度の土地利用現況調査、この資料から対象となる旧耐震基準の木造住宅を抽出いたしまして、今年度は世田谷・北沢地域で対象となる約一万九千棟にポスティング作業を行ったところでございます。九月末時点でございますが、そのうち約一万二千棟へポスティングすることができまして、その他の対象と考えていた建築物につきましては、新築されたり、あるいは更地になっていたり、また、木造住宅でなかったものなど、照合ができないものも含めまして、旧耐震基準木造住宅の実態把握が進むこととなっております。また、ポスティングの際に行っているアンケートでは、区の支援を受けずに既に御自身で耐震改修工事を行っている方も多数いることも分かりました。今後も、年度を分けて支所単位の地域でポスティングを予定しております。引き続き木造住宅のポスティングを進め、耐震化につながるよう取り組むとともに、実態把握に努め、今後の対策に生かしてまいります。
◆中里光夫 委員 個別具体の実態が分かってくるというのは大変重要なことだと思います。我が党は、住宅耐震化とともに、耐震シェルター、感震ブレーカー、家具転倒防止の三点セットの普及を求めてきました。住宅耐震化、耐震シェルターなどは防災街づくり課、感震ブレーカー、家具転倒防止などは災害対策課が所管していると。縦割りではなく、命を守る緊急対策、抜本的対策を一体に、早急に進める必要があると思います。個別の案内、訪問の活動と併せて進めるべきだと考えますが、取組の現状、今後の進め方について伺います。
◎笠原
防災街づくり担当部長 委員お話しの家具転倒防止器具の取り付け、また耐震シェルターの設置、さらには感震ブレーカーなどにつきまして、それぞれ周知等を行っております。支援制度やあっせんの周知に関しましては、これまで行ってきた周知に加えまして、今年度のポスティング等につながる訪問しての説明を行う機会を活用いたしまして、この三点セットの案内も一緒に行っていくなど、危機管理所管と緊密な連携の下、さらなる普及啓発に取り組んでまいります。
◆中里光夫 委員 そうした取組を進めながら、ぜひそこで集めた状況をしっかりと今後の対策に進めていただきたいと思います。実態を分析し、助成を増やす、こういった見直しを進めていただきたいと思います。
以上で終わります。
○加藤たいき 委員長 以上で日本共産党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後五時六分休憩
──────────────────
午後五時二十五分開議
○加藤たいき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
生活者ネットワーク、どうぞ。
◆金井えり子 委員 生活者ネットワークの補充質疑を始めます。
医療的ケア児支援法が今年九月十八日に施行となり、これまでの努力義務から、自治体の支援は責務になりました。二〇一九年の
決算特別委員会で、私も、医療的ケア児支援、学校での看護師配置について伺いました。そのときは週三日程度、試行的にということでしたが、昨年には法整備に先駆けた看護師配置となっています。希望する教育を誰もが当たり前に受けられることは本当に重要なことです。
大阪府豊中市では、本人、保護者、市立病院、小児科部長、学校長、教育委員会、指導主事、看護師で医療的ケア検討会を行い、主治医とも連携しています。世田谷区でも、看護師、教職員、そして保護者、そして何より本人の気持ちを最優先に、チームとしてのサポート体制が必要と考えます。学校での支援体制の現状を伺います。
◎粟井 教育政策部長 教育委員会では、平成三十年度より、区立学校に医療的ケアを行う看護師が試行的に配置されておりましたが、令和二年度からは本格的に看護師を配置し、医療的ケア児及び保護者の支援に取り組んでおります。学校で安全に医療的ケアを実施するためには、本人や保護者を含め、関係者が一丸となって支援していくことが重要であると考えております。このため、校内における支援に当たりましては、本人、保護者の意向を丁寧に聞き取った上で、医療的ケアを行う看護師をはじめ、管理職、養護教諭、学級担任等の役割を定め、対応しているところでございます。また、校外からも医師や教育委員会の職員がバックアップをする体制を取っており、緊急時を含めた組織的な対応に努めております。今後も、医療的ケア児一人一人の状態に応じた支援を心がけ、将来の社会参加や自立に向けた力を育んでいけるよう取り組んでまいります。
◆金井えり子 委員 バックアップ体制は整っているということですけれども、通常授業のほかに、校外学習などではどうでしょうか、伺います。
◎粟井 教育政策部長 医療的ケアを行う看護師を配置している児童生徒につきましては、遠足や宿泊行事などの校外学習の際も、看護師による医療的ケアを実施しております。校外学習での医療的ケアは、日頃の校内における実施環境とは異なり、リスクも高くなることから、事前準備をしっかり行う必要がございます。そのため、実地踏査の段階から、保護者や医師と連携し、医療的ケア児一人一人の状態を踏まえた医療的ケアの実施方法や、移動交通手段の検討、施設のバリアフリー化の状況を確認するなど、きめ細かな計画を立てて実施しております。校外学習も重要な学習の機会であることから、今後も本人や保護者が安心して参加できるよう支援してまいります。
◆金井えり子 委員 この校外学習などが行けないということは、本当に本人にとっても厳しいことになってしまうので、ぜひぜひ安全安心な体制を取って、ほかの生徒たちと同じように行けるようにしていただきたいと思います。
これまでも、この医療的ケア児の保育園や幼稚園入園、それから小学校入学といった節目には、保護者や本人、周りの方々は大変な御心配があったと思います。今、世田谷区では、学校などの体制も整って、八月には医療的ケア相談支援センターHi・na・taも開設され、本当に先進的と言われています。今後、義務教育の先、区立中学から区立でない高校進学のとき、また、区外への転校の際の引継ぎなども、切れ目ない支援が必要です。区の見解を伺います。
◎粟井 教育政策部長 まず、区立保育園に在籍している医療的ケア児からでございますが、教育委員会の担当者が園主催の医療的ケア連絡会に出席し、医療的ケアが行われている状況を確認するなど、小学校での受入れがスムーズにいくよう取り組んでるところでございます。また、中学校進学に当たりましても、就学相談の段階から、本人、保護者の心情に寄り添い、就学先における医療的ケアの実施環境をハードとソフトの両面からバックアップしております。区立学校から転出する際には、医療的ケアに関する情報をはじめ、看護経過や学校での生活状況を転出先の学校へ引き継いでいるところでございます。教育委員会といたしましては、高校進学も含め、学校が替わる際には、関係者間の連携や情報共有を丁寧に行い、切れ目のない一貫した支援のさらなる充実を図ってまいります。
◆金井えり子 委員 切れ目ない一貫した教育、ぜひよろしくお願いいたします。
先日ちょっと伺ったことがありまして、災害時の医療的ケア児の福祉避難所利用や電源確保のことが本当に御心配という声を伺いました。支所では、人工呼吸器をつけている方の災害時個別支援計画を作成しているとのことでした。医療機器メーカーなどとも連携して、いざというときの電源確保、また、不具合が起きたときの対処など、きめ細かく準備がされています。
このほかの医療的ケアが必要な方や医療的ケア児の個別避難計画は、医療的ケア相談支援センターHi・na・taが作成を支援すると伺いました。在宅避難も含め、この避難計画が実際にきちんと活用されるのか、特に地域との連携が求められると思います。区の見解を伺います。
◎須藤 障害福祉部長 個別の避難計画は、避難行動要支援者の状況等に基づき、災害時の避難先や配慮が必要な事項などを記載するものとなってございます。医療的ケアが必要な方の場合には、健康面での留意点や医療機器の使用等について、医療関係者との確認などの作業も必要となります。本年八月に開設いたしました医療的ケアの相談支援センターHi・na・taでは、人工呼吸器使用者以外の方の医療的ケア児等を育てる世帯を対象に、本人、家族等が作成する個別の避難計画、こちらの作成を支援していくこととしております。
災害時には、自助、共助といったことも基本となりますけれども、水害、地震など災害の種類や自宅の状況等によって避難先が異なってまいります。医療的ケア児等を育てる世帯の場合は、移動の支援や、電源、それから衛生用品の確保などが重要ということで認識をしてございます。医療的ケア児等の個別の避難計画が実際に災害時に有効に機能するよう、本人、保護者の同意を得ながら、地域や関係機関と共有することに加え、一緒に検証作業を行うことで有効性を検証し、医療的ケア児を育てる世帯の安心向上を図ってまいりたい。
◆金井えり子 委員 本当に御不安を抱えていらっしゃる方はたくさんいらっしゃると思います。ぜひその不安を取り除けるような個別支援計画をお願いしたいと思います。
続いて、世田谷区重症心身障害児(者)等在宅レスパイト事業、こちらについて伺います。
利用回数の制限がなくなるなど使いやすい制度になったと聞いていますが、この制度は、新型コロナウイルス感染症対策として、令和二年度、三年度のみとされています。これはコロナの特例だけでなく、来年度以降も継続すべきと考えます。区の見解を伺います。
◎須藤 障害福祉部長 在宅レスパイト事業は、重症心身障害児(者)等の居宅に看護師等を派遣し、家族に代わって医療的ケア等を行うものです。これまで看護師等の派遣は、一世帯当たり、年度内で二十四回を超えない範囲で、月四回が上限となっておりました。今般のコロナ禍の影響を踏まえ、令和二年度、それから三年度につきましては、特例として回数の制限をなくし、年間で九十六時間を上限に利用できることとなってございます。本事業は都の補助金を活用しているため、特例がなくなった後に同様の対応を継続する場合、区の独自の財政負担となるなどの課題もございます。ただ、区といたしましては、利用者の声を踏まえ、事業の柔軟な対応が望ましいというふうに考えてございますので、他区とも連携し、都に対して継続するよう要望してまいりたいというふうに考えてございます。
◆金井えり子 委員 利用者の声をぜひぜひ反映させていっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、次の質問です。一般質問でも高岡委員が取り上げました世田谷清掃工場建て替えについて伺います。
世田谷区は、とても性能のいい炉が入ったので、プラスチックも一緒に燃やして大丈夫という説明でしたけれども、このガス化溶融炉は、度重なる作業室内でのダイオキシン流出などの問題もあり、建設後十八年での建て替えとなりました。危険なガス化溶融炉の廃炉は、要望していた私たちも、そしてこれまで注目してきた区民も、本当にほっとしたところです。
生活者ネットワークからは、かねてから、ごみは燃やすのではなく、できる限り分別し資源化すると提案してきました。この一年ほどで、ごみ量やプラスチックごみに対する東京都や国、日本中の政策もがらりと変わりました。しかし、この世田谷清掃工場の建て替え計画は、中長期計画そのままで、時代の変化が反映されていません。プラスチックごみを分けて資源化、可燃ごみを減らす、その流れに逆行するかのように、これまでの三百トンから六百トンを燃やせる大きな炉にするといいます。
先日、私も、世田谷清掃工場建て替えの説明会に参加しました。東京二十三区清掃一部事務組合は、可燃ごみを燃やすのが仕事とおっしゃっていましたが、「ごみれぽ23 2021」清掃一組の概要、経緯・目的の中には、お仕事はごみの中間処理と書いてあります。中間処理は焼却だけではありません。焼却能力の向上のための施設ではなく、CO2排出量が十分の一になる炉が必要です。今、みんなが納得するCO2を出さない持続可能な新たな中間処理手法、技術をもって、清掃工場の建て替え計画を考えるべきと考えます。生活者ネットワークからは、焼却炉を小さくし、中間処理施設の場所を確保することを提案していますが、建設的な回答がいただけていません。
施設の用地については、説明会の場でも、これまで区や区民には大変な負担をおかけしたので、区から要請があれば誠意を持って対応すると清掃一組は答えていました。では、区はどうするのか。今後のごみ削減、プラスチックごみをどうしていくのか、区の見解を伺います。
◎辻 清掃・リサイクル部長 可燃ごみをはじめとしたごみの削減は、清掃事業移管後の各区の取組によりまして一定の成果を上げてございます。ごみ量の減少が進めば、清掃工場の負担も減り、清掃工場の規模の見直しも将来的には可能と思われます。ごみ全体の中で大きな割合を占める可燃ごみは、清掃工場で焼却処理することで、公衆衛生を向上させるとともに、燃やす際に発生する熱は、発電や公共施設への熱供給源として有効活用されています。しかしながら、可燃ごみの中には、食べ残し、調理くず、紙、プラスチック類など、減量や資源化することが可能なものがまだ多く含まれております。今後は、より一層の発生抑制策に取り組むとともに、お話しのプラスチックごみの資源化につきましては、来年度から清掃・リサイクル審議会を開催し、学識経験者や区民、事業者、それぞれの委員の意見を伺いながら、丁寧に進めてまいります。
◆金井えり子 委員 今、清掃工場の規模の見直しも将来的には可能というふうに言っていただいたので、期待したいと思います。ぜひこの世田谷清掃工場建て替えにもそれが反映できると一番いいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、次の質問です。一般質問でも伺いましたが、妊産婦のコロナ陽性、濃厚接触者などの受入れ体制について伺います。
墨田区では、妊娠後期の妊婦が緊急入院できるよう、専用病棟として病床を確保し、保健所から直接要請できると報道で大きく取り上げられています。世田谷区ではどうなんでしょうか。ホームページを開いたところ、妊婦のワクチン接種情報ばかりです。コロナ陽性になったときに出産が重なったら、濃厚接触者となったときにどうすればいいかなど、情報がありません。全てかかりつけ医に相談では、不安が大き過ぎます。区のコロナ陽性の妊産婦の受入れ体制の現状と情報の公開について伺います。
◎辻 世田谷保健所長 原則、コロナ患者は、妊産婦も含め、東京都が広域の入院調整を行っておりますが、妊産婦及び子どもが陽性となった場合の専用の受入先として、区内の周産期・小児医療機関に四十四床の病床があり、区民が使用した場合には、区は病院に対して補助をしております。また、御指摘のように妊娠中に感染への不安を抱える方もおり、妊娠中の感染対策や、御自身が罹患されたり濃厚接触者となった際の対応など、有用な情報を分かりやすく提供することは大切であると認識をしております。今後、妊産婦の方へ提供する情報や情報発信につきましては、関係所管と連携をしながら対応してまいります。
◆金井えり子 委員 情報をしっかり出していただきたいと思います。特に墨田区のホームページなどを見ますと、本当に寄り添い型の支援というページがあるくらいなんですね。妊産婦に対しての寄り添い型の支援というページがありますので、ぜひそういったところまで見ていただけたらと思います。お願いいたします。
次の質問です。香りによる害、香害について伺います。
国の消費者庁、厚生労働省、文部科学省、経済産業省、環境省の五省庁がポスターを作りました。香りの害は、五省庁を挙げて取り組むべき問題となっているのです。ただ、このポスターよりも世田谷区のチラシのほうが、化学物質の危険性などをきちんと伝えており、啓発には有効と考えます。文教所管では、田中みち子委員が学校や幼稚園での啓発を求め、世田谷区のチラシをポスター大にして掲示するという回答をいただいています。
私からは、保育園での移香、移り香についてです。保育園では着替え用の洋服を用意するようになっていると思いますが、名前の書いていないものを匂いで嗅ぎ分けるんだそうです。これは誰々ちゃんちと匂いで分かるそうなんですね。それほど皆さん強い香りをつけていらっしゃるということで、保育園から帰ってくると、本当にいろんな匂いを身にまとっているということで、この香りの元となっているもの、これは化学物質ですよね。物によっては脳に影響を及ぼすような恐ろしい物質もあります。化学物質過敏症は、有害な化学物質に多く触れることによって発症します。小さな子どもたちがそのような中で過ごすことは、あまりにリスクが高過ぎると考えます。
保育園でも、学校、幼稚園と同様に、ポスターの掲示、チラシの配付などから、保護者や先生方にもきちんと周知を図るべきと思います。見解を伺います。
◎和田 保育部長 香りによる害、香害については、これまでも区立保育園において、保育士が子どもをだっこする際や触れ合うときに園児の服に匂いがついたり、午睡用のシーツを週末に持ち帰るときに、ほかの園児のシーツの香料の匂いが染みついているなどの具体的な相談を受けております。その都度、園内で状況を共有し、職員一人一人が柔軟剤の使用に気をつけたり、保護者へ情報提供する等の対応をしてまいりました。
香害については、いまだに十分に正しく理解されていないこともある場合がありますので、職員一人一人が正しい知識を身につけることが必要であると考えております。園長会などで、これらの事例や、世田谷保健所が作成したポスターやチラシなどを活用しながら周知を図るなど、子どもや保護者などの健康や安全を守っていけるよう努めてまいります。
◆金井えり子 委員 本当に、この匂いが嫌いとか、そういったところではなくて、本当に健康に被害を及ぼすというところをしっかりと伝えていただきたいと思います。
世田谷区では相談窓口をつくっているということなんですが、実は、香りで悩んでいる方が、相談窓口をつくってほしいんですと、この間、言っていました。つまり区の相談窓口を知らなかったんですね。かなりいろんなところでいろんなことを調べていらっしゃる方なんですけれども、それでも知らなかった。香害自体の周知とともに、相談できるということも伝えていただきたいと思います。これはホームページだけ載っているのかなと思うんですけれども、ホームページだけじゃなくて、様々な媒体を使って、せっかくある窓口を活用すべきと考えます。
本当にこの香りの問題って難しいんですけれども、区民の方から、広報掲示板、あれを活用したらどうかという提案をいただきました。国や世田谷区のチラシなどを期間ごとに変えながら掲示するのはいかがでしょうか。今、国から出たものを含めると三種類になりましたので。また、以前から申し上げておりますけれども、啓発講座なども効果的と考えます。オンラインやユーチューブなどを活用して、より多くの方に知っていただけるような工夫を求めます。区の見解を伺います。
◎辻 世田谷保健所長 世田谷保健所では、平成二十九年度に、化学物質に頼り過ぎない生活を送るための情報をまとめたチラシを作成し、区政PRコーナーへの展示に加え、健康に関するイベントや、区立小学校への配付などを行ってまいりました。近年では、図書館、まちづくりセンターなどでのチラシの配付や、区の広報掲示板での掲示も行っております。また、講演会の開催、区ホームページやツイッターなどSNSを活用した情報発信にも力を入れております。
今後も、化学物質過敏症に関する保健所の相談窓口の区民への周知を進めるとともに、講演会のオンライン開催などの工夫や、公式ツイッターでの発信、チラシを目につきやすいようポスターサイズに印刷して活用するなど、効果的な周知活動を行ってまいります。また、教育委員会をはじめとして、庁内関係所管との連携をさらに推進し、化学物質に頼り過ぎない生活を送ることの大切さを広く区民に周知してまいります。
◆金井えり子 委員 よろしくお願いいたします。
では、次の質問です。オリンピック・パラリンピックは一年延期、無観客で行われました。上用賀公園拡張施設はシャトルバスの発着場となり、巨木を残すのが基本方針だったはずなのに、シャトルバス運行のため、六本の大きな木が切られました。関東中央病院の緊急車両の出入口とシャトルバスの動線なども大変問題視され、住民の方からは本当にいろんな意見が出ていました。しかし、挙句の果てにシャトルバスは走らないというふうに、とても振り回された感がありました。
周辺に住む住民の方から、これまで上用賀公園拡張施設について住民アンケートなども行われたが、このオリパラ騒ぎでそれっきりになってしまったという声を聞きました。あのアンケート一枚で住民の意見は聞いたとされるのかと不満に思っていらっしゃる方もいらっしゃいます。区民参加で行われるはず。区民に対しきちんと説明し、今後のスケジュールなども示すべきです。
また、スポーツ施設整備がこれから行われるということですけれども、シャトルバスのときと同じく、関東中央病院の緊急車両の出入口の問題や、車の多い世田谷通りの横断歩道の設置など、区民の要望も多くあります。区の見解を伺います。
◎内田 スポーツ推進部長 上用賀の公園拡張施設整備につきましては、令和二年、基本構想を策定したところでございますけれども、東京二〇二〇大会の一年延期、感染症対策に伴う事業見直しによりまして、基本計画の策定などは、令和四年度を想定してございます。今後、この基本計画の策定に当たりましては、委員御指摘の緊急車両や歩行者の動線なども含め、地域住民の方々の御意見を聞きながら検討してまいります。
◆金井えり子 委員 本当に住民の意見を聞いていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
私たち生活者ネットワークは、このオリンピック・パラリンピックは本当に問題があると当初からずっと訴えておりましたけれども、本当に様々な問題を抱えてオリンピック・パラリンピックは終わりました。今、総括がなされる時期と思います。ここで区長に、その世田谷区にとってのオリンピック・パラリンピックは何だったのかなというのを伺いたいと思います。時間をたっぷり残しました。補充質疑は私が最後になりますので、区長から一言お願いします。
◎保坂 区長 東京二〇二〇大会、おっしゃるように新型コロナウイルス感染症の拡大防止ということで、都内では無観客で行われました。おもてなし・交流・参加実行委員会を事前につくりまして、来訪者の受入れ、そして交流、また、聖火リレーを世代を超えて、子どもたちも含めて盛り上げるなど、プレ企画も含めて様々な企画を持ってまいりましたが、ほぼ全て、楽しみにしていた企画は中止、あるいは延期になり、ここは大変残念に思っております。
このような状況の中、テレビを通してではありましたが、女子ボクシングで金メダルを獲得した入江選手に先日訪問いただきました。そういった活躍も大きな勇気を与えてくれました。また、アメリカ選手団のキャンプも、延べ三千六百人の選手が過ごして、一人も陽性者を出すことなく、しっかりチェックをして、また、メダル獲得者の六割がこの世田谷のキャンプを利用したということであります。ただ、これも交流は全くできなかった。しかし、コロナの感染状況をよく見ながら、今後、必ずその交流は再開をしていこうというふうに考えております。アメリカ合衆国ホストタウン、共生社会ホストタウンとしての取組を継続していくことがレガシーとなるように考えております。
○加藤たいき 委員長 以上で生活者ネットワークの質疑は終わりました。
これで、令和二年度決算五件に係る質疑は全て終了いたしました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後五時四十九分休憩
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午後六時五分開議
○加藤たいき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
認定第一号から認定第五号に至る五件に対する各会派の態度表明に入ります。
なお、態度表明は自席よりお願いいたします。
最初に、自由民主党、どうぞ。
◆石川ナオミ 委員 自由民主党世田谷区議団は、令和二年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定外四件全てに賛成いたします。
なお、意見につきましては本会議場で述べます。
○加藤たいき 委員長 次に、公明党、どうぞ。
◆福田たえ美 委員 公明党世田谷区議団は、令和二年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定外四件全てに賛成いたします。
なお、意見につきましては本会議場で申し述べます。
○加藤たいき 委員長 次に、世田谷立憲民主党、どうぞ。
◆羽田圭二 委員 世田谷立憲民主党区議団は、二〇二〇年度世田谷区一般会計外四会計決算認定全てに賛成をいたします。
なお、意見は本会議場にて申し述べます。
○加藤たいき 委員長 次に、無所属・世田谷行革一一〇番・維新、どうぞ。
◆桃野芳文 委員 無所属・世田谷行革一一〇番・維新は、令和二年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定外四件全てに賛成をいたします。
なお、意見は議場で申し述べます。
○加藤たいき 委員長 次に、日本共産党、どうぞ。
◆江口じゅん子 委員 日本共産党世田谷区議団は、令和二年度世田谷区一般会計、介護保険事業会計及び学校給食費会計の各決算認定に賛成し、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療会計の各決算認定に反対いたします。
なお、意見については本会議場で述べます。
○加藤たいき 委員長 次に、生活者ネットワーク、どうぞ。
◆金井えり子 委員 生活者ネットワークは、令和二年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定外四件全てに賛成いたします。
なお、意見につきましては本会議場で申し述べます。
○加藤たいき 委員長 次に、新風・せたがやの風、どうぞ。
◆つるみけんご 委員 新風・せたがやの風は、令和二年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定外四件全てに賛成いたします。
なお、意見につきましては本会議場で申し述べます。
○加藤たいき 委員長 次に、減税せたがや、どうぞ。
◆あべ力也 委員 減税せたがやは、令和二年度歳入歳出決算認定全てに賛成をいたします。
なお、意見につきましては本会議場で申し述べます。
○加藤たいき 委員長 次に、
レインボー世田谷、どうぞ。
◆上川あや 委員
レインボー世田谷は、令和二年度世田谷区各会計歳入歳出決算認定五件全てに賛成いたします。
意見は本会議場にて申し上げます。
○加藤たいき 委員長 次に、世田谷無所属、どうぞ。
◆ひうち優子 委員 世田谷無所属は、令和二年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定外四件全てに賛成いたします。
なお、意見につきましては本会議場で申し上げます。
○加藤たいき 委員長 次に、Setagayaあらた、どうぞ。
◆佐藤美樹 委員 Setagayaあらたは、令和二年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定外四件全てに賛成いたします。
意見につきましては本会議場で申し述べます。
○加藤たいき 委員長 次に、都民ファーストの会、どうぞ。
◆そのべせいや 委員 都民ファーストの会は、二〇二〇年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定外四件全てに賛成します。
なお、意見は本会議場で申します。
○加藤たいき 委員長 次に、国際都市せたがや、どうぞ。
◆神尾りさ 委員 国際都市せたがやは、令和二年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定外四件全てに賛成いたします。
なお、意見については本会議場で申し述べます。
○加藤たいき 委員長 次に、区民を守る会、どうぞ。
◆くりはら博之 委員 区民を守る会は、令和二年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定外四件全てに賛成いたします。
なお、意見は本会議場で申し上げます。
○加藤たいき 委員長 次に、無所属、どうぞ。
◆青空こうじ 委員 無所属は、令和二年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定外四件全てに賛成します。
なお、意見につきましては本会議場で申し上げます。
○加藤たいき 委員長 以上で各会派の態度表明は終わりました。
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○加藤たいき 委員長 引き続き採決に入ります。採決は二回に分けて行います。
まず、認定第一号「令和二年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定」、認定第四号「令和二年度世田谷区
介護保険事業会計歳入歳出決算認定」及び認定第五号「令和二年度世田谷区
学校給食費会計歳入歳出決算認定」の三件についてお諮りいたします。
本三件を認定することに御異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○加藤たいき 委員長 御異議なしと認めます。よって認定第一号、第四号及び第五号の三件は認定することに決定いたしました。
次に、認定第二号「令和二年度世田谷区
国民健康保険事業会計歳入歳出決算認定」及び認定第三号「令和二年度世田谷区
後期高齢者医療会計歳入歳出決算認定」の二件についてお諮りいたします。採決は起立によって行います。
本二件を認定することに賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○加藤たいき 委員長 起立多数と認めます。よって認定第二号及び第三号の二件は認定することに決定いたしました。
以上で当委員会に付託されました決算審査は全て終了いたしました。
────────────────────
○加藤たいき 委員長 この際、区長より発言の申出があります。
◎保坂 区長 委員の皆様方には、長時間にわたって令和二年度世田谷区各会計歳入歳出決算の御審議をいただきまして、誠にありがとうございました。
ただいま採決をいただいたところでございますが、この決算委員会の御審議の中で委員の皆様からいただいた御提案、御意見、御指摘について、今後の区政運営に生かしてまいりたいと考えています。
引き続き、コロナウイルス対応を含めまして、九十二万区民のため全力で区政に取り組んでまいりますので、委員の皆様には、今後とも御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
最後に、委員長をはじめ運営委員の皆様には、委員会の円滑な運営に特段の御配慮をいただきましたことに改めて御礼を申し上げます。
以上、簡単ではございますが、御礼の挨拶といたします。ありがとうございました。
○加藤たいき 委員長 以上で区長の挨拶は終わりました。
ここで正副委員長を代表いたしまして、一言御挨拶を申し上げます。
委員の皆様には、七日間にわたり熱心に御審査いただき、充実した委員会となりましたことを心より御礼申し上げます。
また、理事者の皆様におかれましては、この委員会を通じて出されました各委員からの意見や提言などを十分に御理解いただき、今後の区政に反映していただくとともに、世田谷区のさらなる発展に向けて、一層の御尽力をお願い申し上げる次第でございます。
運営委員をはじめ委員の皆様、そして理事者の皆様の御協力に心より感謝を申し上げ、甚だ簡単ではございますが、正副委員長を代表しての挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。(拍手)
────────────────────
○加藤たいき 委員長 以上をもちまして
決算特別委員会を散会いたします。
午後六時十四分散会...