世田谷区議会 2021-06-15
令和 3年 6月 定例会-06月15日-02号
令和 3年 6月 定例会-06月15日-02号令和 3年 6月 定例会
令和3年第二回定例会
世田谷区議会会議録第十号
六月十五日(火曜日)
出席議員(五十名)
一番 神尾りさ
二番 佐藤美樹
三番 そのべせいや
四番 青空こうじ
五番 ひうち優子
六番 上川あや
七番 くりはら博之
八番 つるみけんご
九番 小泉たま子
十番 あべ力也
十一番 高岡じゅん子
十二番 金井えり子
十三番 田中みち子
十四番 下山芳男
十五番 加藤たいき
十六番 河野俊弘
十七番 阿久津 皇
十八番 高久則男
十九番 津上 仁志
二十番 河村みどり
二十一番 いそだ久美子
二十二番 中山みずほ
二十三番 中里光夫
二十四番 江口じゅん子
二十五番 たかじょう訓子
二十六番 和田ひでとし
二十七番 上島よしもり
二十八番 菅沼つとむ
二十九番 高橋昭彦
三十番 岡本のぶ子
三十一番 平塚けいじ
三十二番 中塚さちよ
三十三番 藤井まな
三十四番 風間ゆたか
三十五番 大庭正明
三十六番 ひえしま 進
三十七番 宍戸三郎
三十八番 真鍋よしゆき
三十九番 畠山晋一
四十番 いたいひとし
四十一番 佐藤ひろと
四十二番 福田たえ美
四十三番 羽田圭二
四十四番 中村公太朗
四十五番 桜井純子
四十六番 桃野芳文
四十七番 田中優子
四十八番 おぎのけんじ
四十九番 石川ナオミ
五十番 山口ひろひさ
出席事務局職員
局長 林 勝久
次長 井上徳広
庶務係長 星野 功
議事担当係長 水谷 敦
議事担当係長 長谷川桂一
議事担当係長 岡本俊彦
議事担当係長 菊島 進
議事担当係長 末吉謙介
議事担当係長 髙橋 亮
調査係長 佐々木 崇
出席説明員
区長 保坂展人
副区長 宮崎健二
副区長 岡田 篤
副区長 中村哲也
玉川総合支所保健福祉センター所長
山本恵造
政策経営部長 加賀谷 実
デジタル改革担当部長(
政策経営部長兼務)
加賀谷 実
総務部長 池田 豊
危機管理部長 菅井英樹
財務部長 工藤郁淳
生活文化政策部長
片桐 誠
地域行政部長 舟波 勇
スポーツ推進部長
内田政夫
環境政策部長 清水優子
経済産業部長 田中耕太
保健福祉政策部長
澁田景子
保健福祉政策部次長
有馬秀人
高齢福祉部長 長岡光春
障害福祉部長 須藤剛志
子ども・若者部長
柳澤 純
保育部長 和田康子
世田谷保健所長
辻 佳織
住民接種担当部長
久末佳枝
技監 松村浩之
都市整備政策部長
畝目晴彦
防災街づくり担当部長
笠原 聡
みどり33推進担当部長
釘宮洋之
土木部長 青木 誠
会計管理者 原田茂実
教育長 渡部理枝
教 育 監 粟井明彦
教育総務部長 知久孝之
教育政策部長(教育監兼務)
粟井明彦
生涯学習部長 内田潤一
総務課長 後藤英一
────────────────────
議事日程(令和三年六月十五日(火)午前十時開議)
第 一 一般質問
────────────────────
本日の会議に付した事件
一、日程第一 一般質問
────────────────────
午前十時開議
○下山芳男 議長 ただいまから本日の会議を開きます。
────────────────────
○下山芳男 議長 直ちに日程に入ります。
日程第一を上程いたします。
〔井上次長朗読〕
日程第一 一般質問
○下山芳男 議長 一般質問についての発言時間は、一人十分以内といたします。
質問通告に基づき、順次発言を許します。
四十五番桜井純子議員。
〔四十五番
桜井純子議員登壇〕(拍手)
◆四十五番(桜井純子 議員) おはようございます。通告に従い、順次質問をいたします。
障害があってもなくても一緒に学び育つ真の
インクルーシブ教育を目指す、これが世田谷区が示す世田谷の教育です。世田谷区は、地域の学校に通うことにこだわり、学校選択制を取っていません。この世田谷区の方針に立つならば、世田谷の子どもであれば誰もが地域の学校に通えるように必要な合理的配慮を徹底し、一日も早く
インクルーシブ教育を実現するべきです。
障害があるかないかにかかわらず、子どもの一日一日は大切です。地域の学校に通い、同世代の子どもたちと一緒に様々な体験をしながら成長することで、友達や地域の人たちとのつながりがつくられます。障害がある子どもが地域の学校に通っているかいないかの違いは、例えば成人式のときに現れます。
地域の学校に通い、一緒に成人する
クラスメートたちがいれば、成人式は同級生と会える同窓会のような場になります。しかし、地域の学校ではなく、特別支援学校などに通っていたら、地域にほとんど知っている人はいないため、仮に成人式に行っても一緒に祝う友達がいないのです。また、その子どもが亡くなったときにも違いが明らかになります。もしも地域の学校に通っていた子どもが亡くなった場合、最後のお別れに同級生たちがたくさん訪れます。しかし、地域の学校ではなく、特別支援学校に通っていた子どもの場合は、お別れに来る同級生は少なく、とても寂しいお別れになるそうです。
子どもの命、子どもの時間が永遠に続くというならば、今のスピード感でもいいのかもしれません。しかし、子どもは明日亡くなってしまうかもしれない、その子どもがどのような環境で育ってきたのか、最後のお別れのときに分かるとしたら、大勢の友達に囲まれて送られるような環境を約束するべきではないでしょうか。同年代の子どもたちと分離され、孤立して育つのではなく、共に育つことを保障することをためらう理由はあるのでしょうか。
インクルーシブな教育環境を阻んでいるのはどのような社会の都合なのか、そこにある社会の壁は、障害がある人を中心にして、どのような社会をつくり出しているのか。そこに、相模原の津久井やまゆり園事件につながるような差別的な意識はないのか、改めて問いかけたいと思います。
そこでまず初めに、
インクルーシブな視点に立った世田谷の就学前の保育、教育の在り方についてお聞きします。
世田谷区は、医療的ケアが必要な子どものために、保育園の設置や看護師の配置などを行い、就学前の子どもも、地域の保育園などに通えるよう取り組んでいます。保育園を視察すると必ず、障害を理由にどこにも行くことができなかった子どもが、入園してほかの子どもたちと一緒に過ごすようになって、精神的にも身体的にも驚くような成長をしているというお話をお聞きします。また、障害のない子どもたちも、一緒に過ごす中で、自分との違いや配慮の仕方を自然に理解し、一緒に学びながら成長しているそうです。初めは、危ないから接触しないようにと気を使っていたことが、必要のない心配だったともお聞きしました。
このように、就学前の幼稚園や保育園の子ども環境は
インクルーシブになってきています。
そこで現在、乳幼児期の教育・保育のあり方検討会で策定中の(仮称)指針・基本方針についてお聞きします。
この指針・基本方針には、
インクルーシブな就学前教育と保育を明確に位置づける必要があると考えますが、方向性をお聞きします。あわせて、
インクルーシブな視点から、就学後の子どもの育ちを見据えた保育の推進について、区の方針が問われます。区の考えをお聞きします。
また、産前から就学前まで一貫した子育て支援を行う
世田谷版ネウボラの理念が、
インクルーシブな視点に立っているのかどうかがとても重要です。就学前の子育ての支援が結果的に分離した教育へとつながらないように、基本的な考え方が問われます。見解をお聞きします。
次に、第二次
教育ビジョン調整計画策定に当たり、今後の世田谷の教育の方向性についてお聞きします。
保育園や幼稚園で
インクルーシブな環境の中、例えば車椅子でも、呼吸器ユーザーでも、経管栄養が必要であっても、同年代の子どもたちと一緒に過ごしてきた子どもも、就学の時期になると障害のあるなしによって分けられるのが今の教育の在り方です。就学前は一緒に育ってきたにもかかわらず、子どもたちは六歳にして、障害があると同じ学校、教室に行かないという経験をするわけです。
一方で、世田谷区は、就学に当たっては、保護者の意向を尊重していると認識しています。それでも、入学後の進級の際には、次の学年はどうするのかと迫られたり、いつ特別支援教育に行くのかという圧力をはねのけなければ保護者の意向を通すことができないのが現場の現状でもあります。
二〇二一年度は、教育ビジョンをはじめとする計画が改定されるとともに、
教育総合センターの開設や不登校特例校の設置準備など、世田谷の教育の大きな変革期となると捉えています。繰り返しになりますが、子どもの一日一日はかけがえのない成長の時期であり、その時期にどのような過ごし方ができるのかによって、人生そのものが決まる可能性もあります。世田谷区が、一日でも早い真の
インクルーシブ教育の実現を目指すならば、この機を捉えて、世田谷の教育、ひいては社会全体を見据えた政策の方向性を示す具体的な取組を明らかにするべきです。
区は、
教育総合センターを真の
インクルーシブ教育の拠点とするとしていますが、具体的な取組を示すことを求めます。見解をお聞きします。
また、
インクルーシブ教育の実践例を集め、ガイドラインを策定するとしていますが、現時点での
世田谷区立学校における
インクルーシブ教育の実践例を、区はどのように把握しているのでしょうか、お聞きします。
そして、重要になってくるのが、今後改定される計画などへの
インクルーシブ教育の実現に向けたスローガンにとどまらない、具体的な明記です。第二次
教育ビジョン調整計画などの改定において、
インクルーシブ教育を具体的に位置づけるとともに、区全体の政策の方向性として、
インクルーシブな視点を実施計画などで具体化するべきです。考えをお聞きします。
次に、
犯罪被害者支援についてお聞きします。
世田谷区は、
犯罪被害者支援に取り組むことを宣言し、関連施策がまとめられ、今年度から相談窓口が設置されました。犯罪被害者の範囲はとても広い上に、支援のニーズも多岐にわたります。中でも、区は潜在化しやすい性暴力被害者への支援に力を入れていきたいとしています。例えばDV被害の中でも性暴力は本人も気づきにくく潜在化しやすい暴力です。性犯罪、性暴力への正しい知識を広げ、被害者が性犯罪、性暴力被害に気づけるような啓発も必要です。
二〇二〇年度
犯罪被害者白書によると、性犯罪、性暴力の被害者の四割が十代であり、男性被害者もいます。また、セクシュアルマイノリティーも被害者となり得ることから、多様な支援体制が求められます。あわせて、
性暴力被害者支援として望まれるのが、一つの窓口で相談から支援、回復にまでつなげるワンストップの支援であることです。都内にも
ワンストップ支援センターはありますが、立地的に遠く、区が独自で
ワンストップ支援センターの機能を持つことが必要です。
性犯罪被害者支援の具体化として、区内クリニックなどを含めた多職種多機関による連携体制を築き、
ワンストップ支援センターの体制をつくるべきです。可能性をお聞きます。
また、先進自治体である中野区などを参考にして、ホームページなどで支援内容を分かりやすく例示することなど、工夫することで、相談しやすい窓口とすることが必要です。見解をお聞きします。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔
渡部教育長登壇〕
◎渡部 教育長 第二次
教育ビジョン調整計画における
インクルーシブ教育の位置づけについて御答弁申し上げます。
全ての子どもたちが様々な人との触れ合いを通して多様な個性があることに気づき、他者への思いやりと規範意識を学ぶという
インクルーシブの理念は、教育分野の事業のそれぞれに実際に反映していかなければならないことは、議員お話しのとおりのことと思います。
さらには、子どもたち一人一人が学びに参加している実感や達成感を持ちながら充実した時間を過ごしつつ生きて働く力を身につけているかどうかが重要であり、今申し上げた理念に裏づけられた環境づくりが、本質的な視点であると考えます。
第二次
教育ビジョン調整計画では、心の
バリアフリー教育をはじめ、専門家チームによる支援の強化、医療的ケア児及び家族に対する支援、ICTを活用した学習環境整備などについて位置づけを明確にするとともに、その実現への方策である実施計画においても、実効性ある組み立てをしていくことといたします。
以上でございます。
◎粟井 教育政策部長 私からは、三点御答弁申し上げます。
まず、一点目でございます。
インクルーシブな保育、就学前教育を(仮称)指針・基本方針に位置づける必要性についてのお答えです。
世田谷区では、子どもの多様性を尊重し、障害の有無にかかわらず、共に学び過ごすという意味での
インクルーシブな教育、保育の視点を基本として、子どもの心身の育ちを大切にし、一人一人の個性を伸ばす子どもを中心とした教育、保育を行っているところです。
お話の(仮称)指針・基本方針については、子どもを権利の主体と捉えることや、全ての子ども一人一人に応じた適切な配慮をすることなど、全ての子どもに質の高い教育、保育が提供されるための方針を
保育部等関係所管部と連携して策定を進めております。
今年十二月に開設予定の
教育総合センターの中の
乳幼児教育支援センターでは、公私立の保育園、幼稚園等の保育士や教員などに向けた研修等を実施し、(仮称)指針・基本方針の共有化を図ることなどにより、幼保小連携を図りながら、全ての子ども一人一人の特性に応じて、適切な配慮の行き届く教育、保育の実現に向けて取り組んでまいります。
二点目でございます。教育センターを
インクルーシブ教育の拠点とするための取組についてのお尋ねでございます。
今年十二月に開設予定の
教育総合センターでは、
インクルーシブ教育の推進を運営計画に掲げております。具体的な取組といたしましては、学校現場において、
インクルーシブ教育を実践する知識やスキルを有する教員の養成、育成に取り組んでまいります。そのため、先進的な取組や専門的な知識、ノウハウなどの情報を集積し、全ての教員が共有できるデータベースを構築いたします。
また、先行実施している
特別支援教育巡回グループについては、教職員に対する具体的な助言により、専門性の向上が図られてきております。今後、活動内容を検証し、専門家チームの質も高めてまいります。
教育環境の整備につきましては、ICTを活用した支援や教育環境の
バリアフリー化などに取り組む予定でございます。
こうした
教育総合センターにおける様々な取組を通じて、全ての子どもたちが共に学び、一人の人間として、等しく認められ、尊重される
インクルーシブ教育を推進してまいります。
三点目でございます。
インクルーシブ教育の実践の有無、具体例についてのお尋ねでございます。
世田谷区立学校では、障害の有無にかかわらず、全ての子どもたちが同じ教室で学びを深めることができるよう、それぞれの障害による困り事等、それぞれの子どもたちの状況や実態に応じながら、日々教育活動を行っております。例えば教室の掲示物や黒板のチョークの色使い、指示の出し方の工夫や
ICTタブレットの効果的な活用、医療的ケア児に必要となる配慮など、個に寄り添った指導が実践されています。
教育委員会といたしましても、
インクルーシブ教育の視点を共有するためにも、研修などの機会を通じながら、教職員一人一人が障害の特性や対応の方法などの知識や技能を身につけ、より深く理解できるよう支援をしていくとともに、教員の専門性向上につながるよう、各学校で実践した授業の指導案や教材などについて、十二月に開設予定の
教育総合センターに集約・共有化していき、学校に広く周知してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
◎和田 保育部長
インクルーシブな視点から、就学後の子どもの育ちを見据えた保育の推進について御答弁いたします。
就学前の子どもに対する教育、保育は、生涯にわたる生きる力の基礎を育むものであり、全ての子どもが適切な配慮や支援の下、身近な人たちとの関わりの中で豊かな経験を重ねていくことが重要と考えています。保育園では、それぞれの子どもの状況に応じ、友達と一緒に生活し、共に学ぶ中で、就学以降の育ちも見据え、生きる力の土台を育む保育を行っています。
一例になりますが、昨年、年長組に進級を控えた医療的ケアが必要なお子さんの対応に関する関係者の連絡会議に教育委員会の担当者も参画し、保育を通じた子どもの育ちや就学後に引き継ぐ配慮等について情報共有等を行い、小学校へとつないでいくことができました。
今後も地域の関係機関や教育委員会と連携しながら、就学後の子どもの育ちも見据えた保育を推進してまいります。
◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、就学前の子育て支援についてお答えいたします。
区はこれまで、妊娠期から就学までの子育て家庭を切れ目なく支援するために、各総合支所のネウボラチームによる専門的な相談支援や
地域子育て支援コーディネーターなど、身近な地域における相談支援が緊密に連携し、地域や医療とのネットワークも図り、多様性を踏まえた相談支援の充実に取り組んでまいりました。
支援が必要な子育て家庭の課題は様々な要因が絡み合い、困難化、複雑化している中、配慮が必要な子どもを育てる家庭についても、適切なアセスメントにより、個々のニーズに合った情報の提供や適切な合理的配慮を受けながら、地域で安心して子育てができるよう支援につなげていく必要があると認識しております。
区としては、就学前の全ての子育て家庭に寄り添い、配慮が必要な子どもを育てる家庭等が、早い段階から相談や地域の子育て支援につながることで、子どもの成長やライフステージの変化で支援や情報が途切れることのないよう、
インクルーシブな視点に立ち、多様な地域資源と連携協力しながら、適切な相談支援体制とネットワークの充実に取り組んでまいります。
以上です。
◎片桐
生活文化政策部長 私からは、二点お答えいたします。
初めに、犯罪被害者への
ワンストップサービスについてです。
区が六月より開設した
犯罪被害者等相談窓口では、警察署等への被害届提出の有無にかかわらず、全ての犯罪被害者を対象に相談を受け、相談者が必要としている支援のコーディネートや支援先へ確実につないでいくほか、警察や各支援機関などへ同行を行ってまいります。
とりわけ、性暴力被害はトラウマとなり、生活面への影響も含め中長期的に渡るため、相談、同行、自立支援のほか、医療的支援や法的支援などを総合的に提供できるよう支援体制を整えておくことが重要と考えております。現在区では、警察署や各支援機関などと連絡協議会を設置し情報の共有を行っておりますが、今後は医師会や法テラスなどと調整の上、
産婦人科等クリニックや弁護士と連絡協議会との協力関係を構築し、実効性のある
ワンストップサービスを目指してまいります。
次に、相談しやすい窓口とするための工夫についてです。
性暴力は交際相手や知人など顔見知りからの被害を受けることが多く、他人に言えずにどうしたらよいか途方に暮れるなど、相談につながりにくい傾向が指摘されております。
区は、
犯罪被害者等相談窓口を区民に広く知っていただくため、「区のおしらせ」やホームページでの周知のほか、リーフレットやカードの作成、配布を行っており、どこに相談したらよいか分からない方も一人で悩まず、安心して相談いただける普及啓発に取り組んでおります。
今後、先行自治体や各支援機関などの事例、犯罪被害者の声などを参考に、対象者へ必要な情報を的確に分かりやすく伝えるため、窓口案内について、改めてホームページなどの見直しを進めるとともに、相談しやすい窓口となるよう検討を進めてまいります。
以上です。
◆四十五番(桜井純子 議員)
インクルーシブな子どもの育ち、環境について、就学前から就学後について、お話をして質問させていただきました。普通学級に通う障害のある子ども、こんなふうに学校で過ごしているということを聞いています。
経管栄養であったという状況ですけれども、給食はみんなと同じように列に並んで、そして同じものを配膳されると。クラスメートからは、リンゴが出ると、好きなリンゴが出てたねという声かけがあったりとか、本当に一緒の時間を教室で過ごすことで、障害がある子どもとない子どもが本当にクラスメートとして打ち解けているということを聞きました。その障害のあるお子さんは、クラスの係もやったり、進級するときに、どんな部活に入るのかという話を同級生としたりとか、本当に子どもというのは垣根なく、障害があるとかないとか関係なく育っていくということが、世田谷の中でも行われています。
ただ、これが校長先生の力量や担任の先生の力量に頼りきりということではいけないと思います。現場をどうしていくのか、このことについてのお考えを、教育長にいま一度お聞きしたいと思います。
また、
犯罪被害者支援については条例が必要だと私は考えておりますが、この点についてどのようなお考えかお聞きします。
◎渡部 教育長 再質問にお答えします。
先ほど御答弁申し上げましたが、実効性のある取組とは、今議会でも様々に御意見をいただいているICTを活用した教育と対面との融合をはじめ、子どもを取り巻く教育環境の整備など、多くの視点を
インクルーシブの観点から捉え直すことと考えています。
区長部局とも連携し、今後全ての教育において
インクルーシブの理念が普及される計画づくりに全力で取り組む所存でございます。
以上でございます。
◎片桐
生活文化政策部長 再質問にお答えいたします。
犯罪被害者支援条例の制定についてですが、先般、学識経験者、関係機関で構成する
犯罪被害者等支援検討委員会の議論におきまして、条例は否定しないが、まずは相談窓口を開設し、しっかり機能させていくことが大事との御意見をいただいたところです。
区といたしましては、今後窓口機能の充実に向けた取組を進めていく中で、お話の条例につきましては、今後検討委員会などの御意見もいただきながら検討してまいりたいと考えております。
以上です。
◆四十五番(桜井純子 議員) 障害の種類によっては子どもの命が短い場合もあります。
インクルーシブ教育は、障害のある子どもたちのためだけではありませんけれども、その教育を届けるのが子どもたちに間に合わないということがないように、世田谷の教育はしっかりと
インクルーシブ教育として取り組んでいっていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○下山芳男 議長 以上で桜井純子議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、三十四番
風間ゆたか議員。
〔三十四番
風間ゆたか議員登壇〕(拍手)
◆三十四番(風間ゆたか 議員)
新型コロナウイルスの感染拡大、この収束のめどが立たない状況で、日頃の生活に苦労をしている方、不安を抱えながら生きている方、まだまだたくさんいらっしゃる状況かと思います。こういった状況でもなお、一か月半後には
東京オリンピックが強硬に開催されようとしている状況に大変な危機感を抱いており、私
たち立憲民主党は、今のこの感染拡大収束のめどが立たない状況で
東京オリンピックを開催するのはあまりにもリスクが高過ぎる、こういうスタンスで延期の交渉を粘り強く進めていくこと、そして、それが受け入れられないのであれば中止をせざるを得ないだろうというスタンスを示しており、これは政府、また東京都に求めているところであります。
私たちは、
東京オリンピックの開催、このことについても世田谷区の税金を使って機運を醸成していくということについてはこれまでも慎重なスタンスでありました。これまでの国際的なスポーツの大会を見れば、勝手に機運は醸成されていくものであり、税金を投じて、世田谷区で機運醸成イベントをする必要が果たしてどこにあるのかということを問うてきたわけでありますから、世田谷区としては、この機運醸成イベント、今年度も予算化されているものはありますけれども、慎重に判断するべきだと考えております。
このコロナ対策をしながら機運醸成イベントで盛り上げていくという一見相反するような取組について、区民の理解を得られるかどうかも疑問ですから、区の判断の基準は何なのか教えてください。そして、この
東京オリンピックの開催については強硬に行われる。行われるということに関しても専門家が警鐘を鳴らしている。その状況に加えて、観客を入れようというそんな方向で検討が進められているというような報道も耳にします。
大変にリスクの高いことでありますけれども、この観客を入れていくということについて、子どもたち、学校単位でオリンピックの観戦に連れて行こうと、こんな東京都の教育委員会であるということ、これは既に文教常任委員会でも報告されてきたことであり、コロナ前であれば、私たちも子どもたちによき思い出としていい経験だと評価をしてきたところであります。
しかし、学校単位で、百人、二百人単位で公共交通機関を使ってオリンピックの競技会場に行くということですら大変なリスクであり、集団感染につながってしまう。これは見るほうから感染するほうにつながってしまう、そんな懸念があるわけでありますから、教育現場の先生方や保護者の皆さんからも、もう中止するべきだといった声が上がっており、区長や教育長にも意見書等が届いていると聞いています。
先日の文教常任委員会でも、私の質問に対し、これは世田谷区独自で中止判断をすることができるということを確認しました。早めに決断をするべきだと、不安を抱えているそんな保護者も多いということを文教常任委員会でも指摘をしましたけれども、まだ教育委員会として結論を出しているという話は聞いておりません。このタイミングで、世田谷区の教育委員会として各学校に判断を委ねるということはするべきでないと既に申し上げましたけれども、しっかりと中止判断をするべきだと思いますが、区の教育委員会の見解を問います。
続いて、私
たち立憲民主党が大事にしている政策の中に、ジェンダー平等であるとか、クリーンエネルギーを中心にしていくだとか、こういったものが幾つかありますけれども、持続可能な社会をつくっていくためにどうあるべきか。国連が定めた開発目標、二〇三〇年までにゴールを十七定めたと。いわゆるSDGsと言われるものがあります。これが定められてからかなり年月もたちますけれども、日本国としてこれにどのように目標設定していくのかということについても、なかなか見えにくいところであります。
そのような状況で、世田谷区はSDGs先進自治体であるべき、このように考えておりますから、世田谷区として持続可能な開発目標をどのように設定していくのかを明確に打ち出し、区民の皆さんとともに、この目標に向かって取り組んでいくべきだと考え、区の見解を求めるところであります。
目標の最後にありますのは、パートナーシップでこの目標を達成しようというのがあります。まさに私たちの会派が求めてきました区民の皆さんの参加と協働によってこの目標を達成するべく向かっていくその大きなチャンスであり、区のSDGsに関する広報はまだまだ足りていないのではないでしょうか。区民の皆さんとともにと言うだけではなく、様々なパートナーシップをつくっていくというのが目標にありますから、これは私が常に求めてきましたNPOとの協働でありますとか、市民団体との協働、こういったこともあります。
最近、頻繁に取り組まれております官民連携もその一つでしょう。さらに言うならば、姉妹都市交流の推進ということも私たちは求めてきましたが、海外の姉妹都市とともに、このSDGs目標達成に向けて意見交換を子どもたちも含めて進めていく、こんな取組をしていくことを求めるわけであります。
世田谷区が先進的に取り組むべきだというのは、二〇一一年、保坂区長が誕生した背景には、東日本大震災、そして原発事故、もう原発は要らない、こういった機運の中で誕生した区長だと認識しており、私たちも自然再生エネルギーを普及させていくことを提案してまいりました。世田谷区独自の取組も進めてきたところでありますし、この環境問題がどうしてもSDGsの中では重きを置かれてしまいます。これは地球全体で持続可能であるためには環境問題から考えていく必要が当然ありますけれども、私が求めてきましたような、例えばマイクロプラスチック。これが海に流出するということで、世田谷区がいまだに人工芝を使っている、これの磨耗によって川に流れ海に流れ、これをプランクトンと一緒に小魚が食す。食物連鎖によって、やがては私たちの口の中に入ってくる。こういったことを行政が加担してはいけないということから、人工芝に関しては徹底的に見直すべきだと。
さらに、陸の豊かさを守るという目標に対しては、グリーンインフラの整備、人工芝ではなく天然芝に切り替えていく。東京都の補助金もあります。こういった取組を次々と進めていくのが世田谷区のあるべき姿ではないでしょうか。
ほかにもクリーンエネルギー、脱炭素、こういったところに関してはほかの会派からも質問があったところですので省略をしますけれども、こういった環境の問題だけではなく、重きを置いていくべきは、ジェンダーの平等ですとか、国による差別、または不平等、こういったものをなくしていこうという取組、これも世田谷区で条例化も含めて進めているところでありますけれども、より一層区民の皆様と進めていく、そんな広報が必要なんだと思います。
さらに言うと、産業に関してもつくる責任、使う責任ということもあります。また、産業による技術革新、こういったことも求められておりますが、例えば今のものづくり学校が新たにリニューアルされる際には、こういったサーキュラーエコノミーを中心とするような企業に入っていただくというようなことも含めて考えていくべき取組だと思います。
さらには、私たちが重視してきました教育と福祉、この分野も含まれておりますから、これもSDGsに含まれているということを世田谷区は広く広報していくべきである。
私は教育の分野でこれまで様々な提言をしてまいりましたが、今日、最後に提言をしますのはリカレント教育、学び直しが注目をされております。世田谷区には知の拠点として図書館を確立させていくべきだということ。さらには、生涯大学や市民大学といった歴史ある世田谷区の取組、これを基盤として、誰もが取り残されることなく学び直しができる、そんな環境をつくっていくこと。これをきちんと目標設定に入れるべきかと考えます。世田谷区の見解を問います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔宮崎副区長登壇〕
◎宮崎 副区長 私からは、SDGsに係ります総合的な目標設定の必要性、また区民に係ります情報発信、PRについて御答弁申し上げます。
SDGsの推進によりまして、持続可能な区政運営を実現するためには、区民、事業者等の多様なステークホルダーとの連携、自治体の枠を超えた広域的な連携により、分野の垣根を超えました広範な課題に総合的に取り組むことが重要であり、そのためにはSDGsの理念が広く認識されることが必要であると考えております。
まずは、次期実施計画、仮称でございますが、世田谷区未来つながるプランにおきまして、施策とSDGsの関係を明らかにすることで、区民、事業者等と施策の目標や方向性の共有を図り、一層の連携を推進するとともに、気候変動への対応や、貧困対策、健康、福祉等、区民に身近なSDGsの目標を軸として、重点的に取り組みまして、区民に分かりやすく発信しながら理解促進につなげてまいります。
次の段階といたしまして、SDGsの年限でございます二〇三〇年を見据え、次期基本計画策定時には、目標達成に向けました具体の道筋を検討いたしまして、持続可能で多様性と包摂性のある区政の実現に向けました取組を加速させていただきます。
以上でございます。
◎知久 教育総務部長 私からは、校庭の人工芝化についてお答えいたします。
学校の校庭整備は、ダスト舗装を基本としておりますが、校庭整備の在り方を検討するため、人工芝化のモデル事業に取り組む旨を昨年二月の文教常任委員会で御報告いたしましたが、その後、複数の会派から、人工芝由来のマイクロプラスチックが海洋汚染につながるのではないかとの御指摘、御懸念をいただいております。
一方で、昨年度に実施を予定していた人工芝化のモデル事業につきましては、
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う事業の緊急見直しにより、一旦延期している状況にございます。
今後の校庭整備の在り方につきましては、財政状況を踏まえつつ、コストや利便性、安全性とともに、御指摘をいただきました環境問題にも十分留意し、モデル事業の手法も含め、引き続き検討してまいります。
以上でございます。
◎釘宮 みどり33推進担当部長 私からは、SDGsにおける区のみどり政策につきまして御答弁申し上げます。
議員お話しのグリーンインフラにつきましては、みどりの基本計画におきまして、水循環の回復や生き物の生息空間を保全、創出するなど、緑の質をさらに向上させるものとして位置づけるとともに、豪雨対策行動計画においても、流域対策を強化するための新たな視点としております。
具体的な取組といたしまして、これまで区では、緑の保全として、民有地の緑化創出、公園や緑地の新設、グリーンインフラの促進としては、レインガーデンの整備、公共施設や民有地における雨水浸透枡等の設置などの取組を進めております。また、生物多様性につきましては、戦略的に進めていくために策定した生きものつながる世田谷プランに基づき、生物多様性に配慮した河川や公園緑地の整備、地下水、湧水の保全対策、水や緑のネットワークづくりなどに取り組んでおります。
今後とも、SDGsに掲げる理念を、こうした取組を通じて区民と共有し、区民との協働で、緑の保全と創出、生物多様性の保全と持続可能な利用を目指し、豊かな陸を守る目標に向けて進めてまいります。
以上でございます。
◎田中 経済産業部長 私からは、産業関連の答弁をいたします。
現在検討を進めている産業振興基本条例の改正素案では、SDGsの理念も踏まえ、地域経済の持続可能な発展を新たに目的として掲げるとともに、事業者による持続可能性を考慮した事業展開やエシカル消費の推進を重要な柱の一つとして設定しています。
区としては、新たな製品開発等を支援するハンズオン支援や多様な世代や業種間の交流連携を促進し、課題解決を図るSETAGAYA PORTの取組、エシカル消費の普及啓発など現在実施している施策の推進に加え、事業者や区民が地域経済の持続可能な発展に向けて自発的な取組を進められるよう、情報発信や環境整備に努めていきたいと考えています。
また、旧池尻中学校跡地活用においては、SDGsやサーキュラーエコノミーなどに係る先駆的な起業家の育成拠点やショールームとしての機能も有する施設としていくなど、検討を進めてまいります。
私からは以上です。
◎片桐
生活文化政策部長 私からは、国、性別の不平等等についてお答えいたします。
SDGsの目標五、ジェンダー平等の達成及び目標十、国内及び各国家間の不平等の是正の二つに共通して掲げられている不平等の是正、解消は大変重要と考えております。
区は、平成三十年に条例を施行し、多様性や人権を尊重する地域社会の実現に向け、男女共同参画と多文化共生の取組を進めております。ジェンダー平等に向けましては、現在、世田谷区第二次男女共同参画プラン調整計画の策定に取り組んでおり、本プランにおける全ての取組は、SDGsの目標達成につながっていくとの認識の下、作業を進めているところです。
また、国内及び各国家間の不平等の是正に向けましては、外国人区民が地域社会で孤立することがないよう、外国人を含めた人の交流や助け合いを促す環境を整備するとともに、教育委員会などと連携し、子どもが海外を体験し、異文化の理解や人権の普遍性について学べる機会を拡充してまいります。
今後もSDGsの理念の実現に向け、区民、事業者ともに取組を進めてまいります。
以上です。
◎清水 環境政策部長 私からは、クリーンエネルギーと脱炭素の取組について御答弁申し上げます。
区では、区民、事業者、区が、それぞれの立場で再生可能エネルギーを利用することで、区全体の再生可能エネルギーの利用拡大を図る取組、世田谷版RE一〇〇を進めております。
具体的には、区施設への再生可能エネルギー一〇〇%電力の導入や交流自治体等との電力連携による取組を進めており、さらに、今年度から、環境配慮型住宅リノベーションの補助対象に太陽光パネルの設置を加えております。今後、さらなる気候変動対策として、再生可能エネルギーのつくる、使うに多くの区民、区内事業者が参画するよう取組を強化してまいります。
また、二〇三〇年に向けた目標設定につきましては、地球温暖化対策地域推進計画見直しの中で、区民とともに検討してまいります。
以上です。
◎内田 生涯学習部長 私からは、リカレント教育と学び直しについてお答えいたします。
教育委員会では、区民の誰もが学び直しできる生涯学習の支援として、区内大学、短期大学等が主催する公開講座の情報を広報するほか、区内六大学と連携し、インターネットを通じて豊かな知識材を発信するeラーニング事業などを行っております。
SDGsでは、目標四、質の高い教育をみんなにを掲げており、リカレント教育が人生百年時代を迎えようとする中にあって、様々な教育機会を通じてキャリアアップを図るなど、より豊かな生活を過ごすための生涯学習社会を実現する一助となるものと認識しております。
教育委員会としましては、今後とも、関係機関等と連携しながら、区民の誰もが、いつでも、どこでも、生涯にわたって学び続けることができる機会の拡充等について検討し、SDGsが掲げる目標に向けて、生涯学習の推進に取り組んでまいります。
以上でございます。
◎加賀谷 政策経営部長 私からは、官民連携などパートナーシップでの取組について御答弁いたします。
持続可能な開発目標の達成に向けた取組は、人的体制や資金、技術など様々な側面で、あらゆる関係者による主体的な取組と相互の連携協力が必要でございます。自治体における誰一人取り残されない社会実現に向けた地域課題の解決に当たりましては、官民のパートナーシップで目標達成を目指すことが不可欠となります。
区は、民間からの提案を求め、官民が連携した事業により、区民サービスの充実をこの間行ってございます。これまで東急電鉄の運行するSDGsラッピングトレインへの世田谷版RE一〇〇ポスター掲示による機運醸成、ドミノ・ピザ社と地域活動団体の連携による困窮家庭の子どもへのビザの提供などが実現してございます。
このように、企業、団体の間でもSDGsの担い手として意識が高まっており、持続可能な社会実現に、あらゆるステークホルダーが協働して取り組めるよう、庁内はもとより包括連携協定の相手方をはじめとする民間企業、NPO等地域活動団体、さらには、内外の交流自治体にも視野を広げてパートナーシップの橋渡しを行ってまいります。
以上でございます。
◎内田
スポーツ推進部長 私からは、オリンピック・パラリンピックイベントにつきまして御答弁申し上げます。
東京二〇二〇大会は、組織委員会や国、東京都が開催を前提として準備を進めている一方、
新型コロナウイルス感染拡大の不安から、開催の延期、反対といった声があることは承知しております。これまで、大会の一年前など節目となる時期にイベントを開催してまいりましたが、コロナ禍におきましては、感染拡大しないよう配慮しながら、トップアスリートの動画を配信するなど機運醸成につながる工夫をしてまいりました。
今後も
新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえながら、機運醸成イベントにつきましては慎重に判断をしてまいります。
以上です。
◎粟井 教育政策部長 私からは、オリンピック・パラリンピックの学校連携観戦についてお答え申し上げます。
オリンピック・パラリンピックの学校連携観戦につきましては、これまで東京都教育委員会において準備を進めてまいりました。
実施に当たりましては、
新型コロナウイルス感染症への対策のみならず、熱中症への対策など懸案事項があることを認識しており、子どもたちの安全確保を最優先する必要があります。今後オリンピック・パラリンピックの学校連携観戦における最終的な実施の方法や、実施の可否について、東京都教育委員会より示される予定です。
そのことを踏まえ、世田谷区教育委員会といたしましては、これまで学校と相談の上、オリンピック・パラリンピック観戦を教育課程に位置づけ、全校、全学年で取り組んできた経緯もありますので、校長会と調整を進めながら、区長部局とも協議をし、意見を伺った上で実施の可否などを判断してまいります。
以上でございます。
◆三十四番(風間ゆたか 議員) 答弁ありがとうございました。区長部局とも相談をしながらということで教育委員会は検討していくと言っていましたけれども、いつまでなのか、もう迫っているんですね。
区長部局ということですけれども、区長、これは大変に子どもたちにリスクが伴うことですけれども、区長としてこれはやめさせるべきだと私は思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 風間議員の再質問にお答えします。
東京二〇二〇大会について、私自身は開催の可否を判断する立場にはありませんが、他方、聖火リレー、アメリカ事前キャンプ等、区内で行われる、また区民が関連する行事、取組については、感染防止対策に万全を務め、区民に対して説明する責任があるというふうに考えております。
現在、学校教育の現場では、コロナ禍においても感染防止対策に配慮して学校生活を送ることができるよう、教育委員会が作成、随時更新している学校・園における
新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインに基づいて教育活動を行っているということで、私自身もこの内容について伺って共有をしているところであります。
さて、御指摘の小中学生の今大会におけるオリンピック・パラリンピックの観戦についてですが、準備段階にあっては、私もまたとない機会だと考えてきました。一方、現在ですね、子どもの安全を第一に考えようと、以下のような観点で検討をしてまいりました。
学校の現場の声、教育委員会を通してですが、声に耳を傾けてまいりますと、一点目、今、第四波ですが、感染者が、従来株と違って、子どもの感染拡大が起きやすい英国株、またインド株の脅威が存在していることが一つ。二番目に、移動に公共交通機関を使うというやはりリスクがあるという点。そして三番目に、大変暑い時期ですので熱中症対策も同時に必要となることなど、今この状況の下で実施するのは大変困難で厳しいものと考えています。子どもの安全第一、リスクの最小化を最優先していきたいと思います。
◆三十四番(風間ゆたか 議員) 今の区長答弁では、子どもの命最優先、健康最優先ということであれば、もう中止というようなニュアンスだと受け取りましたけれども、教育委員会、この答弁に対していつまでに結論を出すかお答えください。
◎粟井 教育政策部長 お答え申し上げます。
東京都の判断を待って、私どもとしては、さらに感染症や熱中症対策、それから、人数制限による実施とか、そのような内容を伺った上で判断をさせていただきたいと思っておりますので、今のところ時点というものははっきりしておりません。
以上でございます。
○下山芳男 議長 以上で
風間ゆたか議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、五番ひうち優子議員。
〔五番ひうち優子議員登壇〕(拍手)
◆五番(ひうち優子 議員) 本日はまず、世田谷区独自のコロナ支援策について伺います。
今回の緊急事態宣言が約二か月に及んでおり、事業者の方からは大変苦しいという声をいただいております。このための給付策としては、国は、一時支援金、月次支援金などを用意しておりますが、例えば板橋区では、緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金の給付決定を受けている区内事業者に対し、個人事業主十万円、法人二十万円を上乗せして給付しているほか、府中市や君津市など、各自治体によって上乗せなどの独自の支援策を行っております。世田谷区もこの緊急事態宣言に伴う何かしらの独自の支援策を行うべきと考えますが、見解を伺います。
次に、初当選以来、継続して質問してきた自転車の安全利用について伺います。
これまで自転車専用レーン、ナビマーク、ナビラインの整備、スケアードストレイト方式の自転車安全教育、ヘルメット着用、自転車保険加入の促進、シェアサイクル、駐輪場整備など、自転車施策全般についてシリーズで質問してまいりました。コロナ禍で自転車の利用が増えたこと、また、環境の観点から進捗状況と今後について改めて伺ってまいります。
まず、自転車のルール、マナーの周知徹底について伺います。
世田谷区では、これまで中学校全校、千歳烏山コヤマドライビングスクール、各小学校の校庭などで、事故再現型のスケアードストレイト方式の自転車安全教室を行ってきており、自転車のルール、マナーの周知に有効な手法であると考えます。今後さらに、可能な限りスケアードストレイト方式の安全教室を拡大していただきたいと考えますが、現状と今後について見解を伺います。
また、自転車の安全教室をより効果的にするため、次につなげるために、理解度チェックなどの簡易的なアンケートが有効と考えます。目で見たものを文字にすることが大切であり、イベントの際に、例えばインターネット上でのアンケートフォームに記入していただき、すぐに送信してもらうことで、ルール、マナーの定着を行うことができると思いますが、見解を伺います。
次に、自転車専用レーン、ナビライン、ナビマークの整備促進について伺います。
平成二十七年に自転車ネットワーク計画を策定し、整備路線約百六十七キロのうち、十年間で優先路線約七十二キロを定めました。現在の優先路線の進捗率は約三三%ですが、この計画に基づき、コロナ禍においても整備を着実に進めていただきたいと考えます。具体的な整備路線も含め、進捗状況と今後について伺います。
次に、義務化となった自転車保険の加入について、このテーマも自転車の安全対策には欠かせないテーマであります。さらなる加入促進の啓発が必要と考えますが、自転車保険の加入状況と今後の対応について伺います。
さらに、自転車ヘルメットについても伺います。
区の条例により義務化となった十三歳未満の子どもの自転車ヘルメット着用について、保育園や幼稚園などを通して保護者の方に周知徹底を図るなど、さらなる啓発が必要と考えます。区の取組状況と今後について伺います。
次に、民間シェアサイクルとの連携、普及促進について伺います。
現在、世田谷区は民間シェアサイクル、ハローサイクリングと連携しており、主に二子玉川地域で公共施設をシェアサイクルポートとして提供しておりますが、利用率も上がってきており、好評であります。今後、区民の方の新たな交通手段の一つとして定着できるよう、区もステーションの拡大を支援するなど、普及促進を図るべきと考えます。見解をお伺いいたします。
次に、交通標識教育について伺います。
近年の道路交通法改正により、自転車運転者の危険行為に関する罰則が強化され、危険運転は十五項目となりました。子どもであっても自転車運転者は道路標識を守る義務があり、標識を守らないと違反となる以上、学校で教育する必要があると考えます。特に十四歳以上は刑事処分対象年齢であるだけに、事は重大です。以前に議会で取り上げ、質問した際には、主要な標識を書いたクリアファイルを配って標識教育を行ったとのことでしたが、その後の進捗状況と今後について伺います。
また、他の自治体、例えば京都府長岡京市では、公立中学の生徒手帳の巻末には標識の一覧があり、中ほどには危険運転の十五項目及び罰則、強制講習制度及びそれを怠った場合の罰則について明記されています。
また、京都市では、刑事処分年齢の十四歳に到達する中学校二年生の一学期前半で、危険運転の十五項目及び罰則、強制講習制度についても学び、標識のテストもしております。世田谷区でも、他自治体のように、区立中学校の生徒手帳に標識一覧を記載する、そして標識の理解度テストを行うことが不可欠と考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、平成二十八年より度々質問で取り上げてきた新公会計制度について伺います。
新公会計制度は、東京都方式で、都度、仕分けが義務づけられていること、一部事務組合に対して、簡易な持ち分法ではなく、比例連結が適用されることの相乗効果により、企業会計よりも透明性が高いものとなっており、非常に優れた制度であると考えております。
昨年の予算委員会では、新公会計制度について、さらに透明性を高めるために、①外郭団体や一部事務組合を含んだ連結財務諸表に連結精算表を作成、開示すべき、②連結比率を明示すべき、③行政コスト計算書の当期収支差額とキャッシュフロー計算書の行政サービス活動収支差額との差額の内訳について作成すべきと要望し、現在既に作成、公表されており、評価に値します。
本日は、新たに三点質問いたします。
一点目、令和元年度の財務諸表において、一般会計で平成三十年度決算では計上されていなかった有形固定資産の土地建物が約二千五十七億円分あると注記に記載されております。これは、誤差率にして一一%にも上る多額のものであります。企業会計では五%ルールがあり、誤差率五%を超えると不適正というルールがありますので、まずこの点について確認をさせていただきます。
二点目、世田谷区は現在、各会計ごとの財務四表と、主要施策については行政コスト計算書のみ公表しておりますが、今後は区の全事業について、各事業ごとの財務四表を作成して公開すべきと考えます。そのことにより、各事業にかかった人件費を含むコストと成果が分析でき、より効率的な行政運営に資することができます。また、全事業の財務四表は、まだ公表している自治体がほとんどないことから、世田谷区の情報公開に対する評価も高まると思います。見解をお伺いいたします。
三点目、企業会計においては、セグメント報告書と呼ばれる書式があります。これは世田谷区に例えれば、五つの会計と外郭団体や一部事務組合も含めた連結財務諸表を事業領域ごとの横串で分割した貸借対照表や行政コスト計算書に相当します。
企業においては、セグメント分析を活用して、強み、弱みの分析を行い、中長期の投資計画や事業計画の立案を行っております。企業会計と公会計を全く同一の視点で見ることはできませんが、今後の十年後、二十年後を見据えた中長期の投資、資金計画を練る上でセグメント分析が非常に有効な手段と考えます。区の見解を伺います。
次に、過去何度か質問した環境施策について伺います。
温暖化ガス排出量を二〇五〇年までに実質ゼロにする目標を明記した改正地球温暖化対策推進法が、先月二十六日に成立しました。世田谷区も、昨年の政府の二〇五〇年CO2排出実質ゼロ表明に先立って、気候非常事態宣言をし、同時にCO2排出実質ゼロ表明をしたところです。
しかし、世田谷区の推進計画の削減目標は、いまだに二〇三〇年、二六・三%削減と、政府が表明した四六%よりもかなり低い目標のままです。今回、計画の見直しスケジュールがようやく示されましたが、新しい計画の決定は令和五年ということで遅過ぎます。もっと速やかに計画を改定し、葛飾区が示しているようなCO2排出実質ゼロに向けた具体的な年次目標とロードマップを示すべきです。見解をお伺いいたします。
最後に、妊活支援について伺います。
近年、妊活から妊娠、出産、育児まで包括する支援体制を考える自治体が増えてきております。妊活による身体、精神的、経済的な負担の大きさを考慮して、一刻も早く相談しやすい環境を整えること、そして望んだときに妊娠、出産ができるような環境を整えることが急務であります。
例えば横須賀市では、この妊活の相談体制を構築するために、LINEを利用した専門性を備えた民間企業の妊活サポートサービスを導入しており、官民連携で市民の方の妊活を支援しております。世田谷区も横須賀市の事例を参考にし、官民連携で、区民の方に妊活支援を行っていただきたいと考えます。見解をお伺いいたします。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎田中 経済産業部長 私からは、区独自支援策について答弁いたします。
国の月次支援金については、東京都が独自に上乗せなどを行っており、お話しのとおり、他の基礎自治体での様々な支援が行われています。世田谷区では、ウィズコロナ、アフターコロナの状況を見据え、地域連携型ハンズオン支援事業、業態転換及び新ビジネス創出支援補助事業といった区内の小規模事業者が事業を再構築するための支援を行っています。区内事業者が置かれている状況を引き続き注視し、必要な支援の在り方を常に検討しながら、状況に応じて都や国へ支援の要請を行ってまいります。
私からは以上です。
◎青木 土木部長 私からは、自転車の安全利用とシェアサイクルに関する御質問について、六点御答弁を申し上げます。
まず、交通事故再現型の交通安全教室とアンケートに関する御質問について、併せてお答えをいたします。
交通事故再現型の交通安全教室は、スタントマンが目の前で交通事故の様子を再現するものであり、区は、区立中学校を対象として、三年ごとに一回実施をしております。また、小学校PTAや地域の方からの御要望による一般区民を対象とした交通安全教室につきましては、イベント自粛の影響により、昨年度は開催には至りませんでしたが、今年度は相談を既に受けているような状況でございます。
交通事故再現型の交通安全教室は、交通事故の防止に大きな効果があると認識をしております。そのため、より多くの区民に体験していただけるよう、引き続き地域の自主的な取組についても積極的に支援を行いながら、自転車の交通安全啓発を進めてまいります。
また、交通安全教室の理解度を確認するようなアンケートなどの実施につきましては、交通安全教室の内容や参加者の年齢なども踏まえて適切な手法を検討し、参加者の理解の状況や意向などの把握にも努めてまいります。
次に、自転車通行空間の整備についてでございます。
区道における自転車通行空間の整備につきましては、これまで自転車ナビマークなど、自転車走行位置表示を中心に延長約三十六キロメートルの整備を行ってまいりました。このうち、令和二年度は、茶沢通りや等々力通りなど約六・九キロメートルで整備を行うなど、これまで優先整備路線に重点を置きながら整備を進めてきたところでございます。今年度につきましては、旧甲州街道や赤堤通りなど約十キロメートルを対象に整備を実施する予定としております。
引き続き、自転車利用の状況、道路の改修計画等も踏まえながら、安全で快適な自転車通行空間の整備を着実に進めてまいります。
続いて、自転車保険の加入状況についてでございます。
区民交通傷害保険の加入件数でございますが、令和二年度は一万四千二百四十二件でございまして、平成三十年度の六千八百五十一件と比較して約二倍となっております。今年度につきましては、現在、申込み期間中であり、今のところ、昨年度と同程度の申込み状況となっております。募集に当たりましては、「区のおしらせ」や町会回覧等による周知のほか、昨年度の契約者に対して御案内の個別送付を行っております。また、火災保険や自動車保険など特約に附帯している場合もあるため、お問合せの際は併せて御案内をしているところでございます。
区といたしましては、引き続き、自転車利用者の交通安全意識の向上を図るとともに、事故への備えとして、自転車損害賠償責任保険への加入を促進してまいります。
次に、ヘルメットの義務化についてでございます。
区は、十三歳未満の子どもの自転車ヘルメットの着用について、昨年十月に義務化したことを契機として、「区のおしらせ」やホームページをはじめ、区内保育園、幼稚園、小学校等への啓発チラシの配布、町会回覧などにより、子どもとその保護者を中心に、改めて周知啓発を行ってまいりました。
今年度も、ヘルメット着用について記載した小冊子「子育て自転車の選び方&乗り方」を、子育て支援施設であるおでかけひろばなどを通じて配布を始めており、今後は、せたがや子育て応援アプリのプッシュ通信を活用するなど、創意工夫を図りながら啓発を進めていきたいと考えております。
引き続き、交通安全教室や自転車安全講習など、様々な機会も捉えながら、ヘルメットの義務化の周知や意識啓発を積み重ね、子どものヘルメット着用促進に取り組んでまいります。
最後に、民間シェアサイクルについてでございます。
区は民間シェアサイクルによる区民の移動利便性の向上効果や区のコミュニティーサイクル「がやリン」との相互補完の可能性について検証するため、令和二年四月から、官民連携による実証実験を行っております。自転車が置かれているステーションの設置につきましては、この間、事業者が中心となって進めておりますが、区は、区有地十三か所を無償で貸し付け、また、都市再生機構をはじめとする区内関係団体等への情報提供や協力の依頼を行うなど、事業者と連携して取り組んできたところでございます。
民間シェアサイクルが、区民の移動利便性を向上させる新たな交通手段の一つとして定着できるよう、ステーションの拡大を含め、さらなる広域展開や区民周知への協力を行うなど、普及促進に向けて支援をしてまいります。
私からは以上でございます。
◎粟井 教育政策部長 私からは、小中学校での交通標識教育についてお答え申し上げます。
教育委員会におきましては、毎年、区立小中学校全校の一年生を対象に、日常生活で多く見かける道路標識の意味や発達段階に応じた交通安全のルールを掲載したクリアファイルを配付し、子どもたちの交通ルールへの意識を啓発しております。ほかにも、小学校二年生、生活科や五年生、保健の授業で、交通安全や交通事故の原因と危険の回避について学習しております。中学校、保健体育科でも、安全な環境づくりとして道路標識の設置について学んでおります。
今後、各学校では、セーフティー教室などで警察等と連携し、危険運転十五項目に触れ、危険運転が処罰の対象になること等を子どもたちに指導するなど、交通安全教育の充実に努めてまいります。
また、生徒手帳への標識の掲載や理解度テストにつきましては、校長会等で周知し、実施を検討してまいります。
以上でございます。
◎原田 会計管理者 私からは、新公会計制度について三点お答えします。
まず、令和元年度の財務諸表における有形固定資産についてです。
平成三十年度の制度導入時に、区が保有する資産について財産台帳等を基にシステムへのセットアップを行いました。財産台帳では、無償取得した財産の取得額をゼロ円で計上していたため、これを基に平成三十年度の財務諸表を作成しております。導入後、固定資産台帳の整備充実に向けた取組の中で、他自治体との比較可能性を考慮し、無償取得した財産については評価額で計上すべきとの考え方をまとめ、再調達価格で計上し直すこととしました。非償却資産である土地については再調達価格で修正を行い、償却資産である建物については再調達価格から減価償却累計額を控除した金額で計上しております。
なお、このことによる決算書への影響はございません。
今後も、固定資産の計上方法について、他自治体の状況も鑑み、より適切な管理方法を検討してまいります。
次に、全事業の財務四表の公表についてですが、事業別財務諸表の公表により、区民は特定の事業の財務状況を確認することができ、区の説明責任の一層の充実につながることが期待されます。また、行政運営におきましても、事業別財務諸表が公表されることにより、財務状況の改善に向けた取組が意識され、行政経営改革の推進に役立つものと考えておりますので、議員御提案のとおり、令和二年度決算より、事業別財務諸表を公表すべく準備を進めてまいります。
最後に、セグメント分析についてですが、セグメントごとの財務状況などを一覧的に把握することにより、コストを意識した、より的確なマネジメントが可能になると期待されます。そのためには、使用料や固定資産などセグメントをどの単位にするかが重要となります。
また、マネジメントへの活用という点では、部単位の財務諸表を各部長が把握し、部のマネジメントに用いることが考えられますが、中長期で見ていく場合、部の改廃や部をまたぐ事業の移管などの影響を考慮する必要がございます。
このような課題を踏まえ、効果的なセグメント分析の実施を検討してまいります。
私からは以上です。
◎清水 環境政策部長 私からは、地球温暖化対策地域推進計画の改定についてお答えいたします。
区が目指す脱炭素社会の構築に向け、地球温暖化対策地域推進計画改定の際は、二〇三〇年までの中期目標の設定、そのための具体的施策やロードマップの策定など、課題を着実に整理していく必要があります。計画改定では、審議会、学識経験者への意見聴取、区民ワークショップなど様々な御助言や御意見をいただく機会を設け、区民、事業者にとって分かりやすい目標、施策や指標がお示しできるよう検討を進めます。
また、今年度はリーフレットの作成、配布等、普及啓発に取り組むとともに、区としての率先行動など、既存の取組を適宜アップデートし、計画改定までの間にできるところから着手してまいります。
以上です。
◎辻
世田谷保健所長 私からは、妊活支援についてお答えいたします。
区では、妊娠に関する相談は、総合支所健康づくり課に配属の母子保健コーディネーターを中心に受けておりますが、不妊治療につきましては、最新医療も含めたより専門的な内容のため、東京都不妊・不育ホットラインへおつなぎしております。
妊活支援の先駆的な取組として、横須賀市が令和二年度から、LINEを活用した妊活に関する相談サービスを民間事業者と連携で開始したことは把握をしており、匿名で相談ができ、さらに妊活専門家チームによるサポートが受けられるなど、民間ならではの手法であると認識をしております。
御紹介のありました事例も参考に、他自治体の先駆的な取組を注視しながら、今後も引き続き、区として妊活支援についてどのように取り組んでいくべきか、研究してまいります。
以上です。
◆五番(ひうち優子 議員) 自転車の安全対策について、引き続きよろしくお願いします。
また、温暖化対策についてですが、これは待ったなしですので、せめて今年度中の中間見直しを公表すべきことを要望いたします。
○下山芳男 議長 以上でひうち優子議員の質問は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午前十一時十三分休憩
──────────────────
午前十一時二十五分開議
○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を続けます。
十二番金井えり子議員。
〔十二番金井えり子議員登壇〕(拍手)
◆十二番(金井えり子 議員) では、質問を始めます。
初めに、手指消毒の正しい使用方法の啓発について伺います。
コロナ禍で消毒はもちろん必要ですが、消毒液による皮膚トラブルやアレルギー反応などの事例が増えています。肌への刺激が強く、頻繁に使用すると手荒れを起こしやすくなるそうです。また、多くの手指消毒剤に含まれるエタノールは、角膜の細胞を破壊すると言われます。まちでよく見かけるタイプのスタンドタイプ消毒液、大人の手を差し出すのに大変よい高さですが、子どもの顔の高さ、特に目の位置です。大人が消毒しているときに子どもにかかる、子どもが消毒しようとして目に入るなど、とても心配です。
フランス毒物対策センターの二〇二〇年四月から八月までの調査では、手指消毒剤の有害化学物質が子どもの目に入った症例は、前年同月と比べ七倍となっています。日本でも、公益法人日本中毒情報センターの調査で、消毒剤、除菌剤が目に入ったという相談件数が、二〇二〇年は前年の六・六倍でした。小さな子どもたちが、携帯用のスプレータイプの消毒剤などおもちゃのようにまいていることもあります。シュッと吹きかけて安心するということに慣れ過ぎているのではないかと大変懸念しています。
消毒は重要ではありますが、誤った使い方をすれば危険であるということ、もろ刃の剣であるとも言われます。コロナ禍の今だからこそ、啓発していく必要があります。区の見解を伺います。
次に、今後のコロナワクチン対策の分かりやすい情報提供について、順次伺ってまいります。
新型コロナワクチンの接種が進んでいます。職域接種も始まりました。接種券がなくても接種できるということですが、接種券の番号で国のVRSシステムとつながっていると聞いています。情報の共有、これからどうなるのでしょうか。
そして、若者の感染も今広がっています。世田谷区内での接種予約、予定どおりの順番でよいとは思いますが、今後、年齢枠なども広がる大規模接種会場などで若い方々の接種ができるよう、接種券の配布を急ぐ必要があります。作業などの許す限り、できれば前倒しで配布できればと思います。接種券のあるなしの不公平感、分かりにくさ、何よりも区民が混乱を招くことがないようにすることが求められます。
かかりつけ医でワクチン接種ができる個別接種ですが、お医者さんからは、予約作業など通常業務に支障なくできるのか、インフルエンザ予防接種と同じようにできるのか、不安と疑問の声を伺いました。予約に関しては、区の予約システムとワクチンをセットで区が担ってほしいという御意見があります。昨日から、一部で区の予約システムを使った予約が始まりました。その状況を、そしてその経過を心配されているお医者さん方にお知らせいただければと思います。
また、いつも診ている患者さんのみ受け付けるといったお医者さんもいらっしゃるそうです。それぞれのニーズに合うように区でサポートし、個別接種を進める。また、最新のワクチン接種に関する情報も、ホームページを見てくださいのみでなく、広く区民に届けてほしいと考えます。区の見解を伺います。
対象年齢が十二歳からというふうに下がりました。ワクチンは異物を体に入れるものであり、特にコロナワクチンについては、まだまだ事例も少なくとても心配です。低年齢への接種拡大は、きちんとした情報の下に、本人や保護者らが選べるということが何より大切です。学校などでの集団接種となると、注射をしない子どもに対して差別やいじめなども懸念されます。まだ接種券の配布予定にもありませんが、慎重に検討していただけるよう求めます。
低年齢の子の接種だけでなく、ワクチン接種後の副反応について不安の声が多くあります。幸い世田谷区では今のところ重大な副反応の事例はないとのことですが、様々な報道やSNS、口コミなどでいろいろな情報が流れています。何を信じたらよいのか、判断が難しくなります。接種後すぐに出る副反応については会場で対応、それ以降、副反応の相談は東京都新型コロナワクチン副反応相談センターが対応すると伺いましたが、これは区も把握しておくべきだと考えます。副反応の情報について、世田谷区から正確な情報発信をしていく必要があります。区の見解を伺います。
このようにしてワクチン接種が進んでおりますが、ワクチンは、発症予防、重症化予防には有効だが、感染予防としては実証されていないと言われます。また、様々な理由でワクチンを打てない、打たない人もいます。今、小規模多機能型施設や訪問介護事業所などの現場では、職員が世田谷区民であれば今の状況でワクチンを打つことができますが、区外から通ってくる職員だと、その方のお住まいの自治体の対応になります。同じ職場の中で、ワクチン接種ができるタイミングが違ってきています。このことから、現場では仕事上の影響が大変懸念されています。
世田谷区の社会的検査は、これまでも福祉の現場で不安を和らげる一助となってきました。ワクチンの接種、未接種にかかわらず、エッセンシャルワーカーが安心して働けるため、検査体制の維持は必須と考えます。区の見解を伺います。
そして、今とにかく心配なのが地域の医療体制です。新たに広がる変異株は感染しやすく、若者も重症化すると報道されています。熱中症なども増える季節、そして、ワクチン接種にも手を取られます。病気はコロナだけではありません。このような状況の中、オリンピック・パラリンピックの開催が強行されようとしています。それに伴う感染拡大、重症化の増加、医療の逼迫が懸念されます。区が守るべきは、区民の安全、地域医療体制の確保がとても重要です。
これはオリンピック・パラリンピックの関わるところでありますので、スポーツ推進部、そして保健福祉政策部、双方の答弁を求めます。
まちづくりセンターのインターネットによる予約申込みサポートは、利用した方から、区の職員が優しく、対応が丁寧でよかった、手際よく予約してくれたなど、とてもよかったという声がありました。一方で、まちづくりセンターって何という方も多くいました。「区のおしらせ」は、ホームページを見てくださいと言われますが、インターネットなどを使わない方でも、まちづくりセンターへ行けばホームページも見ることができます。もちろん職員の方から説明もしてもらえる、ちょっとしたことも相談できるということが、なかなか区民には知られていません。これを機に、まちづくりセンターが区民のよりどころとなるよう、さらに周知を進めるべきです。
そのためには、積極的なPRが必要と考えます。予約サポートのお知らせを、世田谷区安全安心パトロール車のアナウンスで知った方もいらっしゃいました。外に向けた発信、例えば商店街やスーパー、駅前などで、まちづくりセンターの場所や、こんなことができるなど、またアンケートをするのも有効かもしれません。様々区民にお知らせをすることが必要です。まちづくりセンターの区民周知をどのように進めていくのか、区の見解を伺います。
最後に、災害時の給水について伺います。
区民から、災害時給水ステーションに、震災時にこの場所で水道水をお配りしますと書いてあるが、東京都の水道局に問い合わせたら回答にはとても時間がかかったということで、いざというとき本当に大丈夫なのかという心配の声が多く聞かれました。地域防災計画には書かれているようですが、水道局、世田谷区、そして区民の役割分担について明確にし、区民にも知らせることが必要ではないでしょうか、区の見解を伺います。
世田谷区では、コロナ禍や避難所の収容人数の予想などから、在宅避難を勧めています。避難所にいると得られる給水車や水道復旧などの情報も、在宅になるとどのように伝えられるのでしょう。もちろん、ローリングストックとして、水もある程度の備蓄の呼びかけはありますが、長期間になった場合の備えとして地域の給水について、区民一人一人が知っておくことが必要です。地域の防災マップに、災害対策用井戸が載っているところもありますが、この井戸も電動でくみ上げるものなど本当に多様になっています。また、飲料としてではなく、生活用水としての利用ということも周知が必要かと思います。災害対策を自分事として考え、備えられるよう、区民周知を図ることが求められます。区の見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎田中 経済産業部長 私からは、アルコール消毒について御答弁いたします。
新型コロナウイルス感染症の感染防止対策の一つとして、手指のアルコール消毒は有効な方法で、区としても広く推奨しているところです。除菌や消毒に関する商品については、その成分や使用方法等を確認することなどの啓発をしております。アルコール消毒液を使う機会が増える中、公益財団法人日本中毒情報センターでは、消毒液が子どもの目に入るなどの実例を挙げ、誤った使用方法による危険性の啓発を行っております。区といたしましても、今後の啓発等を検討してまいります。
私からは以上です。
◎久末
住民接種担当部長 私からは、新型コロナワクチン接種について二点御答弁申し上げます。
初めに、医療機関での円滑な体制についてです。
現在区では、個別接種の実施に向けて医療機関のニーズを把握するため、個別接種計画書の提出をお願いしております。接種の予約については、診療所に直接予約をすることで通常の診療に負荷がかかることから、一般患者の予約を受け付けるためには、区の予約システムを利用することも可能であり、区の集団接種会場と同様、インターネット及び区のコールセンターで予約受付をすることができます。
ワクチンの配送については、区と契約した運送業者が設置するコールセンターに必要数を注文し、ワクチン数の管理を区が行い、予約数に合わせたワクチンを配送する予定です。個別接種の実施に当たっては、医療機関のニーズを的確に把握し、医師会をはじめとした関係機関と連携しながら円滑な運営に努めるとともに、区民に分かりやすい情報提供を行ってまいります。
次に、副反応についての情報提供です。
接種が進むにつれて、体験談も含めた副反応に関する情報が数多くメディアやインターネットを通じて発信される中、区が副反応について正確な情報を発信し、区民の不安や懸念を払拭することは重要だと認識しております。
区では、厚生労働省が提供する情報を基に、区のホームページや、「区のおしらせ」で副反応についての周知を行うとともに、区のコールセンターでも副反応に関する一般的な問合せにお答えしています。また、集団接種会場では、接種後の経過観察時に副反応の症状などを説明したチラシを配布しており、その中で、接種後、体に異常があるときに二十四時間相談可能な東京都の副反応相談センターの連絡先を御案内しています。引き続き、様々な広報媒体を通じて、副反応についての正しい情報発信に取り組んでまいります。
以上です。
◎有馬
保健福祉政策部次長 私からは、PCR検査体制の維持について答弁いたします。
高齢者等の重症化や施設内でのクラスター化を防ぐためには、感染者の早期発見が重要であり、無症状でも他者に感染させるリスクがあることからも、無症状者を対象としたPCR検査、社会的検査を実施していくことが有効な手段であると認識しております。
昨年十月より開始した社会的検査ですが、感染状況等に応じて対象の拡大や実施サイクルの短縮などその運用を改善し、今月十三日時点において、定期検査、随時検査、スクリーニング検査を合わせて延べ千八百施設以上、検査は延べ二万八千人以上の方が受検し、さらに今年度は、東京都が実施するスクリーニング検査の活用も進んでおります。積極的に御活用いただけるよう定期的に事業所や施設に対し検査の案内を勧奨するとともに、区のホームページなどを活用し、検査の実施内容や実績を随時掲載するなど、分かりやすい情報提供に取り組んでまいります。
今後の検査体制につきましては、現在進んでいるワクチン接種の状況や、区内の感染状況、変異株への対応、国や都の動向にも注視しながら、状況に応じたPCR検査体制を構築してまいります。
以上でございます。
◎内田
スポーツ推進部長 私からは、オリンピック・パラリンピックと地域医療につきまして御答弁申し上げます。
東京二〇二〇大会は、組織委員会や、国、東京都が開催を前提とし、準備を進めております。区内の大蔵運動場をアメリカ選手団がキャンプとして利用いたしますが、選手団は、感染症にかかわらず組織委員会が準備する医療機関を利用する予定と聞いております。区民のコロナに対する不安を払拭するためにも、区として、アメリカ選手団の受け入れや、東京二〇二〇大会関連事業を実施するに当たり、引き続き、区民への丁寧な説明、情報発信に注力しつつ、感染対策に全力を挙げ、地域医療への影響がないよう努めてまいります。
以上でございます。
◎澁田
保健福祉政策部長 私からは、オリンピック時の地域医療体制の確保について御答弁いたします。
東京二〇二〇大会では、選手団や、訪日メディア関係者等は、組織委員会が準備する医療機関を利用し、感染時の入院や宿泊療養も組織委員会や東京都が調整するなど、地域への影響がないよう調整しているとの情報を得ております。東京二〇二〇大会の医療体制の詳細につきましては、いまだ不明な点もございますが、区内の医療体制への影響につきまして、引き続き情報収集をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎舟波 地域行政部長 私からは、まちづくりセンターのさらなる活用、情報発信やPRについて御答弁申し上げます。
まちづくりセンターにおけるコロナワクチン接種予約支援では、これまで延べ一万三千人の方の予約支援を行いましたが、まちづくりセンターはどこにあるのかというお問合せもいただいております。まちづくりセンターでは、最も身近な行政拠点として、まちづくり、防災活動の支援や、チラシやリーフレット等による紹介、福祉の相談窓口の設置やお困り事の相談、証明書の取次ぎ発行業務などを担っております。また、夏の間は、熱中症予防のお休み処としたり、地区によっては、区民が自由に休憩できるスペースを設け、そこに地域の活動の写真やチラシを掲示するなど、気軽にお寄りいただける工夫も行っております。
今後は、SNSの活用など多様な手法によるまちづくりセンターからの情報発信の充実や、DXの推進を見据えた相談、手続を拡充することなど、様々な工夫により、まちづくりセンターの浸透を図ってまいります。
以上でございます。
◎菅井 危機管理部長 私からは、災害時の給水における都と区などの役割及び給水場所などの区民周知について御答弁申し上げます。
災害時における被災者への給水活動につきましては、地域防災計画において、都水道局は給水拠点や応急給水栓、応急給水用資機材などのハード面の整備を行うとともに、区は給水拠点での給水活動を実施し、その実施につきましては、防災区民組織やボランティアの協力を得た上で行うものと役割分担されております。また、コロナ禍におきまして、区は在宅避難を推奨しており、在宅避難のための給水需要が高まると想定されます。
このことを念頭に、災害時に滞りなく給水活動を行えるよう役割分担を明確にした上で、都と区、防災区民組織等が連携して訓練に取り組んでおります。
区は、引き続き都や防災区民組織等と連携して訓練を重ねるなど、災害時の給水活動の実効性をより高めていくとともに、各家庭における災害時の備蓄の普及啓発と合わせ、区ホームページや啓発チラシなど、様々な媒体や各種訓練の機会などを活用いたしまして、給水場所や災害対策用井戸の場所などの給水情報の周知につきまして、一層力を入れて取り組んでまいります。
以上です。
◆十二番(金井えり子 議員) ありがとうございます。東京二〇二〇大会のことですけれども、医療体制などは組織委員会が準備しているというふうには伺いましたけれども、やはりそれによって周りに影響が及ぼされる、それの影響が一番及ぼされるのは世田谷区民なのではないかととても心配しています。ぜひぜひそのあたりのことをしっかりと体制を整えていっていただきたいと要望いたします。
それから、除菌、消毒に対する商品のところにはいろいろ書いてありますけれども、なかなかそういうところも読まない、もう慣れてしまっているので、そういうところを区から啓発していただきたいと思います。
○下山芳男 議長 以上で金井えり子議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、一番神尾りさ議員。
〔一番神尾りさ議員登壇〕(拍手)
◆一番(神尾りさ 議員) このたび、会派国際都市せたがやを立ち上げました。
この間、国際社会は大きく変化し、日本においては、
新型コロナウイルス感染症の影響やSDGsの推進など、他国と共通する課題に直面する一方で、超高齢化社会に伴う人口構造の変化など、日本が真っ先に直面し、他国からの模範となって対応しなければならない課題も挙げられます。都内最大の人口を有する当区が推進する政策は、都や国の政策にも影響を与え、また国際社会における日本の存在意義にもつながると言えます。
明治時代に鎖国を経て開国した日本が、他国から様々なことを学び大きく発展を遂げたように、日本は今後もより一層視野を広げ、他国と学び合い、高め合いながら、よりよい社会を築いていく必要があります。基礎自治体である世田谷区が、都や国のみならず、国際社会をも意識し、区ならではの特徴的な政策をより一層推進していくことを求め、通告に基づき質問します。
区ではこれまで、フィンランド発祥のネウボラをはじめ、イタリアの幼児教育・保育、イギリスの認知症施策、アメリカの都市づくりなど他国から学び、区の様々な施策に生かしてきました。他国の施策をまねるだけではなく、日本人の習慣や社会生活、区が培ってきた歴史や地域の特性などを踏まえ、世田谷ならではの施策として推進し、地域に根差した事業展開をしてきた事例も見受けられます。特徴的な施策を区の強みとして捉え、世界にも誇れるような施策となるよう、ますます推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
一方、これまで区では、参加と協働を軸に、六つの重点政策に基づいた取組を行ってきました。今般、次期基本計画の策定を見据えた今後二年間の次期実施計画について、社会全体における価値観や行動の変化を踏まえ、これまでの計画の継続ではなく、新たに再構築することとしています。
区民が地域で安心し、生き生きと活躍できる社会を目指し、世田谷の強みとなるような独自の施策や先駆的な施策等をどのように次期計画に反映させていくのか伺います。
次に、安全で災害に強いまちづくりの推進についてです。
災害大国日本において、災害対策の強化は、国際的にも誇れるような安全安心なまちづくりにつながります。現在、区内で宅地として利用されている土地のうち、住居系の割合は約七五%を占めており、区民の豊かな生活を担保するためには、安全なまちづくりが欠かせません。
今般、令和二年度までを計画期間として取り組んできた世田谷区耐震改修促進計画が改定されました。これまで課題とされてきた耐震改修に高額の費用を要することや、旧耐震の建築物に建築基準法の不適合部分がある場合などについても耐震化を促進できるような工夫が加えられており、住宅の耐震化率を現在の九三・四%から九五%以上に上げることを目指しています。また、不燃化推進特定整備地区制度、いわゆる不燃化特区制度は、今後、令和七年度までを計画期間として、既に目標を達成した太子堂・三宿地区以外の地区において、市街地の燃えにくさの指標である不燃領域率を、現在の五〇、六〇%台から七〇%以上に上げることを目指しています。
耐震化率が九五%を超えると、建物が倒壊する件数の減少につながり、また不燃領域率が七〇%を超えると延焼による消失率がほぼゼロになるとされています。つまり目標数値が達成できれば、たとえ災害が起こっても、壊れにくいまち、燃えにくいまちに住んでいるという安心を区民に与えることができるようになります。令和七年度までの耐震化率、不燃領域率の目標値達成に向けて、それぞれどのように取組を強化させるのか伺います。
また、現在区内に残っている約四万四千棟の旧耐震基準の木造住宅や、約一万四千棟あるとされる旧耐震基準の非木造建築物に対しては、助成制度の見直しなどを踏まえた丁寧な普及啓発を行うとしています。区民にとっては、不燃領域率、除却助成などの難しい言葉を用いた説明よりも、一軒一軒における取組が、壊れにくいまち、燃えにくいまちに住むことにつながるのだとイメージできるような説明の工夫が必要ではないでしょうか。
また、地震などが起きた直後にSNS等で耐震に関する情報を提供することで、より多くの区民が自分事として情報を捉え、行動することにつながるのではないでしょうか。より分かりやすく、効果がある普及啓発について、どのような方法が考えられるか伺います。
最後に、子どものための政策についてです。
世田谷区は、平成十三年に二十三区で初めて子ども条例を制定しました。この間、子ども・子育て応援都市宣言や、子ども計画(第二期)など、子どもや子育てを支援する政策に熱心に取り組んできました。
一人の子どもが、妊娠期を経てこの世に生まれ、十八歳で大人になるまでの間に区が提供している事業の数について、子ども計画(第二期)の一覧表にある事業を数えてみると全部で百六もの施策があります。そして、子育て家庭への支援や教育、保育の充実などの各種施策に携わる関係者は、職員のほか、保護者や子育て支援者、事業者など様々です。つまり百六の施策には何百人、何千人もの方々が関わり、一人の子どもの成長を守り、育ててくださっているとも言えます。そういった子ども施策に関わる一人一人が、目の前の事業に専念することにとどまらず、他の施策や地域、社会にも視野を広げ、よりよい環境づくりのためのチームの一員であることを認識できるような取組が必要です。
今年度から始まった新POP学童クラブの放課後児童システムの導入など、縦割りの弊害が影響したと思われる施策も見受けられ、デジタル技術を活用した事業展開がますます推進される中、今後はさらなる連携の強化と、包括的な取組の必要性が感じられます。子育て家庭への支援や子どもの居場所における連携の在り方について伺います。
また、新型コロナ禍で、人と人との交流の機会や活動の場が制限され、日頃からの子どもや家庭との関わりや、身近な見守りネットワークの重要性がより浮き彫りになりました。生活困窮者やひとり親世帯などの予防型施策にも連携して取り組む必要性を感じますが、どのような取組が可能か伺います。
一方で、子どもの生活の主軸にある学校は、社会基盤の根幹であり、現代社会の様々な制度設計は学校を中心に築かれています。これまでは学校教育、家庭教育、社会教育と分けて考えられてきましたが、ICT教育が本格的に導入される今だからこそ、人間同士のつながりを重視して、学校と家庭、地域を連携させ、地域を巻き込んだ学校教育や地域そのものが教育現場に代わっていく必要性を感じます。
子どもは守られたり、教育を受けたりするだけの存在ではなく、子どもも地域社会をつくっているメンバーの一員なのだという意識を学校においても根づかせることで、家庭のみならず、学校と地域が一体となって子どもを育てていく社会をつくることが理想です。
本年一月に、文部科学省の諮問機関である中央教育審議会がまとめた令和の日本型学校教育の実現を目指してという答申では、学校や校長が自主的、自律的な取組を行えるよう、教育委員会は積極的に支援することや、外部人材の活用等をはじめとする社会との連携など、教育行政の推進体制の在り方についても提案されています。
学校運営委員会や学校支援地域本部など、当区の学校を地域で支える仕組みは特徴的ですが、学校と地域との関係性の構築には長い年月がかかるため、より一層の工夫が必要です。まずは、学校長や職員への働きかけの強化や、理解の促進により、学校が地域とつながって運営されていく仕組みを定着させる必要があると考えます。現在教職員に対し、どのように地域運営学校の説明を行っているのか。また、各地域の特徴を生かした特色ある教育活動を推進するため、今後どのように普及啓発や指導、支援を行っていくのか伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎加賀谷 政策経営部長 私からは、二点御答弁いたします。
初めに、特徴的な施策を強みとしてさらに推進することについて御答弁いたします。
世界に誇れるという観点では、諸外国とは歴史や文化、さらには税体系や社会保障制度、立地環境など様々な違いがあり、一概に比較は難しいところです。しかしながら、他国に学ぶべき事例は多く、世田谷区の地域特性等を生かした上で、そうした事例を参考にしてきた取組もございます。
御案内のように、
世田谷版ネウボラの取組では、ネウボラの語源であるフィンランドの妊娠期から就学前まで担当保健師が継続的にサポートしていることを参考としてございます。世田谷版では、区内の充実した地域子育て支援団体や医療機関、産後ケアセンターなどと区の子ども家庭支援センターや保健師などが有機的につながり、地域と医療と区のネットワークで子育て家庭を支える体制として構築をしてまいりました。
また、日本は世界に先駆けて超高齢社会を迎えており、世田谷区は全国的に見ましても平均寿命が長いとされている中、先般、首都圏で初となる認知症とともに生きる希望条例を制定いたしました。誰もが自分らしく希望を持って暮らすことのできる地域共生社会を目指し、認知症の当事者の声も反映しながら、個人の尊厳を尊重することとした区ならではの特徴的な施策であると認識してございます。これら特徴的な施策など、区の抱える課題や地域特性等をしっかりと見据え、他国の好事例等を参考に施策を推進してまいります。
次に、先駆的な施策や独自の施策の次期計画への反映についてでございます。
次期実施計画では、コロナ禍による社会状況の変化等を踏まえ、現在の計画の継続ではなく、次期基本計画を見据え、令和四年度から五年度に、区が集中的、重点的に取り組まなければならない組織横断的連携や区民、事業者等との参加と協働により推進する施策を位置づけるものとしてございます。
例えばSDGsや気候非常事態宣言に基づく取組など、今後動きのある施策や地域行政の取組をはじめとした独自の施策、ひきこもり支援や子ども・子育て支援、高齢者の地域参加促進などで先駆的に取り組む施策、さらには、今後新規に制定する条例に基づく取組など、区の特徴や区民生活、区内事業者等々の実態を捉えて、重点的に取り組む施策が挙げられると考えてございます。
次期実施計画の策定に向けた検討の中では、施策の優先順位を整理し、選択と集中を図った上で精査を行い、本年九月を目途に素案としてお示しいたします。議会の議論をいただき、区民の意見も踏まえ計画を取りまとめてまいります。
以上でございます。
◎笠原
防災街づくり担当部長 私からは、安全で災害に強いまちづくりについて二点御答弁申し上げます。
まず、目標値達成に向けた取組についてです。
区では、昭和五十七年のまちづくり条例制定後、特に防災まちづくりに力を入れ、密集事業を活用した道路整備や不燃化建て替えに取り組んでまいりました。
この間、建築物の不燃化対策として、地域危険度が高く、老朽化した建築物が密集している五地区について、都の不燃化特区制度を活用して取り組み、太子堂・三宿地区では、延焼による消失率がほぼゼロになるとされる不燃領域率七〇%を達成いたしました。残る地区の不燃領域率七〇%に向けて、これまでの取組を継続するとともに、不燃化建て替えの課題でもある建築基準法の道路に接しておらず、老朽建築物の建て替えが困難な無接道敷地の解消のための新たな支援策の検討を進めてまいります。
また、建築物の耐震化につきましては、新たに改定した耐震改修促進計画の下、特定緊急輸送道路沿道の建築物で、段階的な耐震改修への助成など、新たな助成制度の創設や、耐震改修工事の資金が不足する分譲マンションの耐震化を促進するための助成制度の見直しなど、耐震化を促進する上での施策を強化し、取組を進めてまいります。
続きまして、普及啓発の方法についてでございます。
ただいま御答弁申し上げました様々な制度を支援対象者に分かりやすく確実に伝えていくため、不燃化特区制度については、防災街づくり通信を通しまして、地域の方々に、災害時に燃え広がらない、燃えないまちを目指していることを分かりやすく情報発信を行います。また、建築士やファイナンシャルプランナー、弁護士など専門家による講座及び個別相談会の開催のほか、御自宅への出張相談なども実施し、老朽建築物の除却や建て替えに向け、対象者の皆様をサポートしてまいります。
一方、耐震化促進につきましては、木造住宅や非木造建築物などの対象建築物ごとにイラストを交え、分かりやすく工夫したパンフレットを作成しております。今年度からは、旧耐震基準の木造住宅約四万棟に直接案内を配付することや、その他の支援対象建築物にも直接通知していくなど、さらに周知に力を入れてまいります。
また、区民から制度の説明を求められた際には、直接訪問により案内を行うなど、より分かりやすく区民の方に寄り添った普及啓発活動に取り組んでまいります。
コロナ禍で財政状況が厳しい中でも、減災への備えは喫緊の課題であるため、議員お話しのSNSの活用も検討しながら、これまで以上に普及啓発に力を入れ、より安全で安心して暮らせるまちになるよう努めてまいります。
以上です。
◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、子ども・子育て支援について二点お答えいたします。
まず一点目、子育て家庭への支援などの連携についてです。
区では、令和二年三月に世田谷区子ども計画(第二期)後期計画を策定し、計画に掲げる四つの重点政策や個別の施策において、つなぐつながる、参加と協働の視点が生かされるように取り組んでおります。
例えば妊娠期からの子育て家庭への切れ目ない支援では、地域の中でネウボラチームと子ども家庭支援課のケースワーカー、
地域子育て支援コーディネーターなどが情報を共有し、連携しながら、継続的に個別ケースに対応する仕組みがございます。また、昨年度からは、情報収集や相談支援、見守りや居場所づくりなど地区の拠点となる児童館が、
地域子育て支援コーディネーターと、地域、地区の社会福祉協議会との参加と協働により、子育て支援を行う取組を始めたところでございます。
後期計画にありますように、子どもの育ちと妊娠期からの子育てを、子ども主体の理念の下、地域の中で地域とともに見守る、支える取組を推進するには、公的機関に限らず、地域の様々な団体や支援者が連携協働して重層的な支援を行うことが大変重要と考えます。
今後もこれまで以上に関係機関や区民等との連携や協働を進め、全ての子どもが家庭や地域、他者との関わりの中で健やかに育つことのできるまちの創出に取り組んでまいります。
次に、生活困窮者などへの連携した取組についてです。
区では、支援を必要としている子どもを早期に把握し、支援につなげるためのせたがや子どもの未来応援気づきのシート、これを平成二十九年度から活用を開始いたしました。区立小中学校のほか、児童館といった区立の関係機関をはじめ、お出かけひろばや私立保育園、主任児童委員など、民間にも広く配布することで地域全体の気づきの感度を高め、連携強化を図ってまいりました。
また、本年四月からは、生活困窮に関する支援やサービスを漫画やイラストのほか、子どもにも伝わりやすい言葉を使うなどしてまとめた周知冊子である子どもと家族の生活応援ガイドブック、これの配布をはじめ、児童館や区立小中学校教育相談室、民生委員児童委員、子ども食堂などに説明し、活用のお願いをしているところでございます。本冊子では、子どもや保護者が支援サービスを利用する上でのハードルを下げ、支援を必要とする早い段階から自らで必要な支援につながっていけるよう工夫するとともに、支援者にとっても生活困窮に関する支援サービスを包括的に把握でき、保護者に分かりやすく紹介することができるなど必要な支援につなげやすくするものと考えております。
今後につきましては、気づきのシートと新たな冊子の活用における取組を連動させることで、生活困窮世帯やひとり親家庭などの支援が必要な方に対して、地域で見守り、必要な支援につながる仕組みのさらなる充実を図ってまいります。
以上でございます。
◎粟井 教育政策部長 私からは、社会とともに子どもの学びと育ちを推進するための学校の支援についてお答え申し上げます。
世田谷区の学校は、地域に開かれた学校として、地域住民、保護者、卒業生、有識者などで構成する委員が、校長が作成した学校運営に関する基本方針の承認や学校の課題解決に向けた検討など、一定の権限と責任を持って学校運営に参画することができます。このような取組を活用することで、学校は地域の特性を生かした特色ある学校づくりを行うことが可能です。また、地域とのつながりを維持発展させ、地域で学校を支えることで、教員の負担軽減も期待されます。
これまで教育委員会では、各学校が地域に開かれた学校運営を推進できるよう、区外から転入してきた教員や管理職への説明会を実施するとともに、各学校の取組を共有できるよう情報提供を行ってきましたが、その仕組みを十分に生かし切れていない学校もあると思われます。
今後、各学校の特色を発表できる場を設定したり、学校の取組の成果などを共有できるようにしたりすることで、世田谷の教育のさらなる質の向上を図ってまいります。
以上でございます。
◆一番(神尾りさ 議員) 今、御答弁いただきました内容がますます推進されるよう注視してまいります。
以上で質問を終わります。
○下山芳男 議長 以上で神尾りさ議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、二十五番たかじょう訓子議員。
〔二十五番たかじょう訓子議員登壇〕(拍手)
◆二十五番(たかじょう訓子 議員) 通告に従い、質問いたします。
初めに、利用率の低い区民集会施設の今後の取組について伺います。
区は、世田谷区公共施設総合管理計画の重点方針において、利用率が低い施設については、施設の有効活用、他の用途への転用、または廃止、統合などを検討進めるとしています。この中では、高齢者の地域参加促進策の取組の一つである気軽に立ち寄れる居場所の開発、地域コミュニティー活動での有効活用についても検討するとしています。
今年の三月にふじみ荘は廃止となりましたが、政策決定のプロセスで、利用者や地域住民の意見を聴取することはありませんでした。我が党は、住民の参加と協働で進める区の方針と乖離するものであり、問題があると指摘してきました。今回においては同じ轍を踏んではなりません。
この間、私は利用率の低い施設一覧に掲載された北烏山地区会館を利用する高齢者の方にお話を伺いました。近所の仲間で定期的に集まっているが、歩いて気軽に集まれる地区会館を利用している、今後も近所の仲間で集まりたいと伺いました。
世田谷区建物整備・保全計画では、北烏山地区会館は第三期、令和十九年から二十八年での整備を検討するとしています。地域住民からは、建て替えの際に隣接する区有地も活用し、ニーズの高いスポーツ室や音楽室、また五十人規模の会議室などの整備を求め、区に要望しています。この間、議会でも取り上げてきました。
廃止、統合については、地域や住民への影響が大きく、慎重な対応が必要であり、丁寧に進めることを求めます。区民、特に利用団体に早急に計画を示して区民とともに進めていただきたい。見解を伺います。
次に、区内産業について伺います。
まず、産業振興基本条例についてです。
区はさきの常任委員会で、産業振興基本条例の素案を示しました。条例見直しに当たり、この間検討会が三回開催され、議論されてきています。我が党は、成長発展だけでなく、事業の持続的展開の重要性を明確にし、小企業者などを地域経済の主役と位置づけた小規模企業振興基本法を踏まえ、事業者への支援を位置づけること、また、世田谷区では、福祉施設、教育、ITなどの事業者が都内で一番多いという特徴があることから、農業、工業、商業だけにとどまらず、多様な事業者に対応することを求めてきました。コロナ禍における区内事業者の深刻な状況が広がる中、事業者への支援がますます求められています。
産業振興基本条例改正素案に中小・小規模事業者へ配慮が盛り込まれたことは評価します。区内事業者の困難は明らかであり、コロナ禍で窮状にある事業者への支援を行う必要性について、前文などに反映させること、また新たに策定する世田谷区産業振興計画に反映させることを求めます。見解を伺います。
条例素案では、事業者への融資など具体的な内容についての削除が見られます。事業者からは、現行制度からの後退になるのではないかとの心配の声が寄せられています。なぜ変更したのか、変更の経緯、考え方を示していただきたい。
次に、区内事業者への支援についてです。
今般、区は国が実施する子どもが生まれた家庭やひとり親家庭に対する給付支援に対し、区独自に地方創生臨時交付金を活用し、対象拡大や上乗せ支給などを行います。
区民の生活の実態をつかむために、私どもが今年の一月に行った区民アンケートでも、五一%の方が減収になったと答えており、この間、特に影響が大きい経済的基盤が脆弱なひとり親や生活困窮世帯への直接支援を求めてきました。こうした家庭を支えるため直接支援に踏み込んだ区の姿勢を評価します。
一方、区内事業者の切実な状況も明らかです。私は、烏山の商店街を訪ね、経営状況についてお話を伺ってきました。酒を出す飲食店からは、売上げがコロナ前の七割減、協力金などを受けても家賃など固定費の負担が大きく事業継続が厳しいなどの声が寄せられました。多くの店で固定費が経営に大きな負担となっています。今後、厳しい状況にある区内事業者に対する直接支援が必要です。
事業者への家賃支援給付金を再度行うことを国や都に求め、さらに区として、固定費など事業支えるための支援を行うことを求めます。見解を伺います。
次に、ネット環境整備が困難な家庭に実効ある支援を求め伺います。
第一回定例会では、生活保護世帯に対し通信費の支給が収入認定されないよう配慮すること、将来的には就学援助で対応すること、また、保護者の経済的事情、健康上の理由などにより、インターネット回線の契約が困難な場合や、生活苦などにより通信料が他の支払いに回ってしまうなど、通信費の支給が必ずしもネット環境整備につながらない場合があることから、家庭に対し、Wi―Fiルーターなど機材の貸与を求めてきました。
実際に家庭でのICTを利用した学習が始まり、保護者のスマートフォンのテザリングを利用するため、保護者が在宅していないと家庭学習ができないなどの相談が入っていると伺っております。課題も明らかになりつつあります。
区として、機材の貸与や通信費の支援なども含め、全ての子どものICTを活用した学びをどう実現するのか伺います。
次に、困窮する区内大学生への支援を求め伺います。
我が党が行った区民アンケートでは、学生からの窮状を訴える声も届きました。バイトもできず、学費も生活費も賄えない、生きていけない。また、バイトシフトが大幅に減らされ減収、特別給付金は受け取ったがほかに利用できる支援が分からなかったなど、利用の意向もありながらも支援につながらなかった実態が明らかになりました。
また、区内で活動する青年団体の民主青年同盟が、三軒茶屋、烏山、農大前、経堂などで行ったフードバンクの取組では、近隣の大学生が、アルバイトができず生活が苦しい、毎日一食しか食べていない、ほかにも同様の人がいるなどの声が寄せられたと伺っています。少なくない学生が生活困窮に陥っていると考えられます。
区には、大学学長と区長との懇談会など、既に大学との連携の枠組みがあります。学生に対し支援の情報提供を行うこと、学生の実態把握を行い、具体的な支援を行うことを求めます。見解を伺います。
最後に、北烏山七丁目岩崎学生寮周辺敷地について伺います。
先日、常任委員会で、北烏山七丁目にある岩崎学生寮周辺敷地について、土地所有者から用地活用について相談があり、区として用地取得の協議を行う旨、報告がありました。当該地の売却の動きがあった際、マンション整備が懸念されたことから、地域住民の皆さんが区に対し、緑の保全を求め陳情を行い、一万筆の署名を提出したと伺っています。このたびの報告を、区内の地域の方々にお知らせしたところ、公園としての用地取得に大変期待を寄せています。
全事業費は百億円としていますが、広く区民の理解を得るためにも、財源や区の負担が生じるかなどを明らかにし、丁寧に説明することを求めます。見解を伺います。
住民が求めてきた緑豊かな地域を守るため、当該地の樹木の適切な保全を行っていただきたい。また、土地の利活用について検討するとしていますが、ワークショップなど、広く地域住民の声を聞き、住民理解と合意を得ながら丁寧に進めていただきたい。見解を伺います。
以上で壇上での質問を終わります。(拍手)
◎加賀谷 政策経営部長 私からは、利用率の低い区民集会施設について御答弁いたします。
利用率の低い四〇%を下回る区民集会施設、十一施設ございますが、そちらの有効活用につきましては、先般の特別委員会で検討状況のほうをお示しさせていただきました。現在、現状の利用実態の把握とともに維持管理に係る将来コスト、老朽度、用途地域、立地及び近隣施設の状況などを分析いたしまして、さらなる地域のニーズ把握や民間へのヒアリングも行いながら様々な活用の可能性を検討してございます。
また、利用率に反映されていない個人利用枠での活動状況等も考慮いたしまして、現在進めております高齢者の地域参加促進施策の取組の一つであります気軽に立ち寄れる居場所の開発や地域コミュニティー活動の一層の活用も併せて検討してございます。
あわせて、利用率の低い施設と至近の施設との統合の可能性も含めまして、地域資源の有効活用を図る必要があると考えてございます。今後、具体案がまとまった段階で、利用団体や地域の方に対して御説明の機会を設けるなど、施設所管の総合支所とともに丁寧な対応に努めてまいります。
以上でございます。
◎田中 経済産業部長 私からは三点、まずは産業条例関連について御答弁いたします。
産業振興基本条例の改正素案では、区の責務として、事業者の特性に配慮した指針の策定や中小・小規模事業者やNPOへの支援を講ずることを定めており、事業活動の促進を重要な課題であると位置づけています。今後はパブリックコメントなどで事業者や区民の意見を伺い、条例の前文や各条項の内容を改めて検討してまいります。
また、改正条例制定後は、改正条例の趣旨や区内事業者の状況等を踏まえ、地域経済の持続可能な発展に資するビジョンや施策の実施について、区の指針や計画に反映してまいります。
次に、条例の変更理由についてです。条例の改正素案では、検討会議における議論を踏まえ、条例の目的を、産業の振興から、地域経済の持続可能な発展に改めました。地域経済の発展に視点を上げたことにより、区の責務も、中小・小規模事業者への具体的な施策の限定列挙から、融資あっせん等を含むその時々の状況に応じた適切な施策を迅速かつ柔軟に行うことができるよう、他の条文との関係性にも鑑みながら、改めています。
次に、事業者支援についてです。
新型コロナウイルス感染症による消費者の需要の変化、テレワーク、非接触型サービスの展開などの経営環境の変化は、中小企業白書、小規模事業者白書の分析からも読み取れますが、今後も変化が定着する可能性が高く、事業者は以前と同じような形での事業の継続は困難であると想定しています。
国は家賃助成等の資金繰り対策から、事業再構築補助金など事業そのものを転換し、経営を立て直す支援へと移行しています。区としても、国の補助を使いづらい小規模事業者を対象に、地域連携型ハンズオン支援等の経営の立て直しや変化に対応した事業展開を支援しており、今後も拡充を検討するとともに、その時々での区内事業者の実態に即した支援を検討してまいります。また、国や都への給付金の要請のお話がありました。今後の経済状況と、国や都の支援策の内容を注視しながら必要な要請をしてまいります。
私からは以上です。
◎粟井 教育政策部長 私からは、家庭でのネット環境整備が困難な家庭の件につきまして御答弁申し上げます。
モバイルWi―Fiルーターの貸与につきましては、昨年度、コロナ禍に伴う学校休業という特殊な状況への対応として実施しておりました。今後の御家庭でのタブレット端末の利用に際しましては、原則として、各家庭のインターネット環境を利用いただくようお願いしております。家庭へのインターネット環境整備の支援策といたしましては、就学援助認定者及び生活保護受給者等を対象に、毎月の通信費の一部補助を行うICT環境整備補助事業により対応してまいりたいと考えております。この通信費補助は、収入認定から除外されます。
また、議員お話しのとおり、様々な事情により、インターネット回線の契約や支給した通信費の適切な使用が難しい御家庭も想像されます。こうした御家庭につきましては教員が把握し、教育委員会や関係所管との連携により、切れ目のない支援や生活再建につなげていくことで、全ての子どものICTを活用した学びの実現に努めてまいります。
以上でございます。
◎澁田
保健福祉政策部長 私からは、困窮する区内在住の学生への支援についてお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の影響で、大学生のアルバイトがなくなり、親からの仕送りが減少したことで、学用品や食料品の購入ができず、生活困窮になるなどの事例が新聞報道等でも取り上げられております。また、生活困窮者の相談窓口であるぷらっとホーム世田谷では、大学生からの相談にも応じており、相談の結果、緊急小口資金等の貸付や住居確保給付金、フードバンクなどの食の支援につながる学生もおります。
区は、大学生を含む生活に困窮している全ての方に、ぷらっとホーム世田谷の様々な事業を周知し、支援につなげる必要があると考えており、例えば区内大学へのチラシの配布や大学との連絡調整の場を活用し、ICTを利用した周知を検討していただくなどの依頼を行ってまいります。
さらに、SNSを活用している所管課や若者たちがSNSを使用し、世田谷の魅力を情報発信している「ねつせた!」にも情報提供するなど、さらなる周知について検討してまいります。なお、学生の窮状についての実態調査等につきましては、他都市の事例などを参考に、その方法や調査項目などを研究してまいります。
以上でございます。
◎釘宮 みどり33推進担当部長 私からは、岩崎学生寮周辺敷地について、二点御答弁申し上げます。
岩崎学生寮周辺敷地は、隣接する烏山寺町と合わせて良好な景観を形成しており、地域にとって貴重な樹林地として、平成十四年と十五年には保全を求める大変多くの方の署名による陳情が区に提出されるなどの経緯がございます。
こうした中、平成十七年から、本件敷地の取得について所有者と何度か交渉を重ねてきており、これまでは合意には至らない状況でした。今回、土地所有者より改めて土地活用に関する御相談があったことから、区より取得に向けた協議の申入れを行ったものでございます。
一点目のお尋ねであります財源といたしましては、土地開発公社による計画的な取得を図った上で、取得費のおおむね二分の一は、国や東京都の補助金等を見込み、残りの財源部分については、特別区債の計画的な活用を図るとともに、後年度において、都区財調制度の基準財政需要額に算定されることとなります。
いずれにいたしましても、取得に当たっては、区議会をはじめ、区民に向けて丁寧に御説明し、御理解をいただきながら進めてまいります。
二点目のお尋ねであります適切な樹林地保全と地域住民の意見を聞いて進めることについては、整備に当たって既存の樹木を詳細に調査し、岩崎学生寮の長い歴史の中で育まれた樹木や樹林地について新たな緑地のシンボルとできるよう検討してまいります。また、本件敷地が地域にとって貴重な樹林地であり、陳情を受けた経緯も踏まえ、周辺の住民を対象としたアンケート調査やワークショップを実施するなど、地域の方の意見やニーズを十分に把握しながら進めてまいります。
以上でございます。
◆二十五番(たかじょう訓子 議員) 家庭でのネット環境の整備について意見を申し述べたいと思います。
ネット環境が整わない家庭に対して、支援や生活再建に結びつけること、これは大変重要です。しかし、支援につながり、生活再建ができるまでネット環境が整わないというようなことがあってはならないというふうに思います。こうした家庭が安定してネット環境が確保できるよう最大限の支援を要望したいというふう思います。ぜひ実現をしていただきたいと要望いたします。
以上で質問を終わります。
○下山芳男 議長 以上でたかじょう訓子議員の質問は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後零時二十六分休憩
──────────────────
午後一時十五分開議
○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を続けます。
二十一番いそだ久美子議員。
〔二十一番いそだ久美子議員登壇〕(拍手)
◆二十一番(いそだ久美子 議員) 通告に従い、質問いたします。
新型コロナワクチン接種に関する接種済み証明書についてお聞きします。
高齢者が二回接種を終え始めた五月後半より、公的に使える接種済み証明書はいつどのように入手できるのかと、区民から御希望及びお問合せをいただいています。イタリア首相が、ワクチン接種証明書があれば日本からの観光客を受け入れると国会答弁した報道がありました。接種は任意のため、未接種者の差別につながるとして証明書の発行には慎重論があるものの、世界的な動向として、国境をまたぐ移動には接種証明書が求められ始めています。区のほうに、ワクチン接種証明書に関する問合せは来ておりますでしょうか、まずお聞きします。
EU域内及び英国では、旅行者の携帯端末からデジタル証明が読み取れるシステムを開発、日本政府も旅行客のほか、ビジネス、留学などの用途を見込み、VRS、ワクチン接種記録システムと連動した海外渡航用電子証明書の企画検討に入ったと言います。各国のデジタル証明が独自に開発されており、統一基準がないこともあり、報道によれば、当面、紙の接種証明書を先に発行し、後でデジタルに移行するだろうと見込まれています。
海外では、留学生の受け入れにワクチン接種を条件としている大学があるため、文部科学省では、先行して海外留学を予定する学生用に大臣名の英文の接種証明書の発行を準備しているとのこと。これまでも、ワクチン接種券の発行や接種の実務が各自治体に任されていることを考えますと、このワクチン接種済み証明書の発行も区市町村に落ちてくる可能性が高いと思われます。
国内で調べてみたところ、広島市――人口百十九万です――は、五月より、国の統一基準ができるまでの対応として独自版の発行を開始しています。希望者が市のホームページからダウンロードした様式一枚、住所氏名と接種した場所、日時を記載する簡単なものですが、広島市に電話で状況をお聞きしたところ、受付から発行までデータの照合などで早くても一週間以上、二回目の終了時に渡される臨時接種済み証などをなくした場合は二、三か月かかるということです。発行に一か月以上かかるとすると、ビジネス用途には支障が出かねません。
運用スタートは国の指示によるかと思いますが、働く世代以下の接種が始まると、リクエストも増えると考えられます。区としては、ワクチン接種証明書の発行に際し、VRSへの入力、個々のデータの突合など、どの程度運用を想定し、準備できているかをお聞きします。
二つ目です。学校行事を安心安全に行うための児童生徒へのPCR検査についてお伺いします。
世田谷区では、昨年十月より症状がなくてもあらかじめ検査を行うPCR社会的検査を高齢者を対象に開始しています。重症化しやすいのは高齢者ですが、その一方、区内の感染者数世代別割合は、五十歳未満が七割を占めていること、若い世代は行動範囲が広く、軽症、無症状である率も高いことから、若年層が感染を広げるリスクが指摘されています。
昨年春より、感染拡大を危惧して学校行事、修学旅行や部活動が中止、制限される傾向にありますが、青少年の心身の育成には大きなマイナスであり、学年の一年一年は大人の一年と比較にならないほど意味深いものです。感染防止対策をしっかりして、学校行事や部活動を通常どおりやらせてほしいと保護者や生徒から声が上がっています。
令和二年度は、コロナ感染防止を理由として、小中学校の行事、部活動など、どの程度縮小、中止をしたのでしょうか、お尋ねします。
大学では、対面授業の復活や実習、就活に備え、在校生に検査キットによる一斉PCR検査を行うところが増え、次いでワクチン接種が始まるところです。大学生ほど行動範囲は広くないが、日本のティーンエイジャーは塾や部活動で自分の学校以外の生徒と多く接触を持っています。
一斉検査ではないものの、安心安全な学校生活のために、千葉県松戸市――人口四十九万です――では、高齢者やその同居家族以外に、中学校、高校、大学の受験生に一件当たり上限二万円のPCR検査の補助を開始しました。そして本年五月、山口県がまさに私の今回の質問と同じ視点、学校行事や部活動を安心して行えるよう、全高校生及び教職員を対象にPCR検査を実施すると報道発表、現在実施中です。山口県の教育庁に電話取材したところ、五月二十五日現在で受検者数は一万二千百五十九人、全対象者の八九・九%は検査に応じ、うち三人、陽性者が出ています。このデータを世田谷区の全児童生徒数と東京都の感染率で割り掛けすると、陽性者の予測値は三十八人となります。陽性となった生徒にどう対応していくかは他の事例を見て検討が必要ですが、行事の事前検査が当たり前になれば、陽性者が出るたびに差別や偏見という風潮も少なくなってくるんではないでしょうか。
高齢者だけではなく、集団感染が起こり得る状況に応じて他の世代にも適用するのが、区のPCR社会的検査二年目の課題であると考えますがいかがでしょうか、区のお考えを伺います。
市販のPCR検査キット、五千円前後のものを使えば保健所の負担にはならないし、若い世代の無症状感染者も把握できます。
ここで御提案ですが、例えば川場村移動教室など学校行事を安全に執り行うために、小中学校の児童生徒を対象に、潜伏期間を考慮して、行事前のスクリーニング検査を進めてはどうでしょうか。コロナ禍でも学校行事を円滑に実施する、他の方策も含め、区の見解を伺います。
最後の質問です。幼児教育・保育無償化対象外施設への区の助成の在り方について質問します。
国は令和元年十月より、利用者への経済的負担軽減策として幼保無償化を実施しましたが、一部に対象外となった施設があったことが問題となりました。国は、地域にとって重要であると自治体が認める施設には策を講じよとの方針を示し、当区は外遊びの推進を掲げていることから、そのような活動を行う二つの園を調査し、新たな支援対象団体としました。
これにより、利用者には月額二万円、利用料の助成を支給することになり、これは国の制度が追いつかない教育・保育施設への区のきめ細かな対応で、大いに評価できるものです。が、その代わり、これまで区から二園に支給されていた子育て活動団体補助金が打ち切られたということで、一旦は助成金の認定を喜んだ保護者も、お世話になっている園に御迷惑をかけてしまったと心を痛めておられます。
子育て活動団体補助事業補助金とは、どのような要件で、幾つの団体を対象としているか、まずお尋ねします。
利用料助成、これを受け取るのは園児の保護者です。子育て活動団体補助金は受け取るのは団体です。受益者は別であり、本来よりよい保育環境をつくるための施策であるはずで、何の落ち度もない、それどころか一定の評価を得た園への運営費補助を打ち切るのはおかしいのではないでしょうか。
事前に理由を確認いたしましたところ、次のような法的根拠がありました。引用します。世田谷区子育て活動団体補助事業補助金交付要綱第三条、補助金の交付対象団体は、次に掲げる要件を満たすものとする。この五項の後半です。「保護者補助金・就園奨励費等の国若しくは東京都、その他の自治体及び区の他制度による助成を受けていないこと」となっています。
園児の保護者が補助金を受けたら、保育施設への補助金は与えられないと書いてあります。仮にもし園児の家庭が生活保護を受けたら、区はその子が通う園への補助を打ち切るんでしょうか。平成七年から施行されている要綱ですが、どのようなケースを想定したものか分かりづらいので説明をお願いいたします。
話を戻しますと、利用者への助成金は、あくまで家庭への経済的負担の軽減策、園への活動補助は、教育・保育内容の質を担保するもの。後者を削減することで世田谷区の財政は助かるかもしれませんが、保育の質が下がる、もしくは利用料値上げの懸念など新たな問題を引き起こす可能性があります。
当該二園への移行保証と世田谷区子育て活動団体補助事業補助金交付要綱第三条五項の改正を検討いただきたいと思います。区の見解を問います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎久末
住民接種担当部長 私からは、ワクチン接種証明書の準備状況について御答弁申し上げます。
自治体が発行する証明書を希望する問合せは区にも寄せられており、接種が進むにつれて問合せの数は徐々に増えてきております。新型コロナワクチンを接種した方は、接種券に付属する予防接種済み証、または医療従事者の場合は接種記録書に接種したワクチンのシールを貼ることで接種済みであることを示すことができますが、広島市をはじめ、少数ながら証明書を発行する自治体が出てきていることなどから、区でも接種済み証の発行について検討を始めたところです。
一方で、国は、この夏にも海外への渡航者向けに接種済みであることを証明するワクチンパスポートを発行することとしており、こうした動向も見据えながら対応を検討する必要があります。発行の元となるデータは、国のワクチン接種記録システム、VRSが基本になると考えられ、区の集団接種会場などでは接種当日に接種記録を登録していますが、一方で、医療従事者の接種記録はまだ反映されていないなど課題もあることから、接種記録の確認方法や申請要件、証明書の様式について、関係所管とも協議の上、他自治体の事例も参考にしながら検討を進めてまいります。
以上です。
◎知久 教育総務部長 私からは、二点お答えいたします。
まず、昨年度のコロナウイルス感染症による学校行事への影響についてでございます。
昨年度は、
新型コロナウイルス感染症の拡大により、四月から五月の間、区立小中学校を臨時休業するなど、学校生活に大きな影響が出る中、川場移動教室、河口湖移動教室、日光林間学園の宿泊行事につきましては全校で中止となり、中学校の修学旅行につきましては、宿泊を実施した学校は一校のみとなりました。その他、部活動につきましては、緊急事態宣言中の対外試合が中止や延期となり、校内での練習時間の制限もございました。また、学校での行事につきましては、水泳の授業、夏休み期間中のプールは中止となり、社会科見学などを中止した学校もあるなど、制限された学校行事が多くございました。
次に、学校行事前のPCRスクリーニング検査についてお答えいたします。
教育委員会では、今年度の各行事等につきまして、一律の中止ではなく、感染症の状況を踏まえながら対策を講じ、実施をする方向で内容の精査、学校との調整などを行っております。
そのため、現在、緊急事態宣言の発令下にあり、延期しております川場移動教室など宿泊行事については、個別のガイドラインの作成や宿泊日数を減らすなど、より徹底した感染拡大防止対策を行い、体験活動の確保に取り組むこととしております。
議員お話しの学校行事前のPCR検査につきましては事前に陰性であることが確認できるため、安心して行事や部活動を行えるといった一定の効果があるものと考えますが、実施の頻度や費用面、コロナ禍における学校の負担増などの課題もあり、現時点での実施は難しいものと考えております。
教育委員会といたしましては、部活動や学校行事等の実施を通し、子どもたちによりよい体験の機会が確保できるよう、引き続き、他自治体の取組の研究をはじめ、適切な感染防止対策の強化を図ってまいります。
以上でございます。
◎有馬
保健福祉政策部次長 私からは、児童生徒の学校行事のPCR検査について答弁いたします。
保育園や幼稚園、小中学校については、施設で陽性者が発生した場合に随時検査を実施しております。小中学校につきましては、変異株の影響により子どもの感染が増加傾向となってきたことから、今年度より随時検査の対象に児童生徒を含め実施するなど、感染状況に応じた検査体制を適宜整えております。
一方、高齢者施設では、利用者の重症化とクラスター化の抑止、事業を休止した場合の影響の大きさに加え、職員が感染対策をしてもなお利用者との密着が避けられず、感染の拡大が懸念されることから、早期に無症状の陽性者を発見するため定期的な検査を実施しております。
区としましては、区内の感染状況やワクチン接種の状況、国や都の動向等を踏まえながら、施設内において陽性者が発生した場合や、陽性者と接触した可能性が高く不安がある場合には、高齢者のみならず他の世代も含め、必要な施設に迅速に検査が実施できるよう、引き続き取り組んでまいります。
以上でございます。
◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、子育て活動団体補助事業について三点お答えいたします。
一点目、補助の対象団体と数についてお答えいたします。
世田谷区子育て活動団体補助事業は、平成七年度より地域で活動する多様な自主保育グループに対して、保護者補助金が支給されている私立幼稚園との経済的な格差を是正するため、自主保育グループを利用する保護者へも保護者補助金を支給することとし、区として一定の基準を満たす団体へ、在籍幼児の人数に応じた補助金を交付してきたものです。令和二年度は、御指摘の二園を含めて六団体へ支給しております。
次に、子育て団体補助の対象とならない他の助成を受けている場合についてお答えいたします。
国は、子ども・子育て支援制度の地域子育て支援事業における多様な事業者の参入促進・能力活用事業として、一定の基準を満たす活動団体を利用する保護者への利用支援を令和三年度より実施しております。
区では、世田谷区子ども計画(第二期)後期計画の中で、外遊び体験の推奨を掲げ、外遊びを中心とした幼児教育・保育活動を行う団体を、国の多様な事業者の参入促進・能力活用事業の対象団体と位置づけ、今年度より、新たに利用者の負担軽減給付金支給事業を行うことといたしました。
御指摘の二園については、昨年度まで世田谷区子育て活動団体補助事業の対象となる地域の子育て活動団体として補助対象としてまいりましたが、本補助事業は、国や都、その他の自治体及び区の他制度により、運営費補助金及び保育料補助金等の助成を受けていない団体を補助の対象としております。このことから、本年度から新たな利用者負担軽減給付金支給事業の対象となったため、区の子育て活動団体補助事業の対象としておりません。
三点目、子育て活動団体補助の対象外となった団体への対応についてお答えいたします。
新たな利用者負担軽減給付金事業も、保護者の経済的な負担を軽減するものですが、これまでの補助事業が補助金を団体に交付していたのに対し、新たな給付金事業では、給付金を保護者に直接支給することとしたため、団体の収入に影響があるものと考えております。
御指摘を踏まえまして、対象となる団体については、子育て活動団体補助金が団体収入として見込めなくなることによる経営への影響、一方、新たな利用者への給付金支援事業を開始することによる利用者数増加の期待からの経営への変化など、今後確認させていただき、必要な見直しの検討を行ってまいります。
以上です。
◆二十一番(いそだ久美子 議員) 御答弁ありがとうございます。
再質問です。児童生徒へのPCR検査について、教育委員会のほうから、実施の頻度や費用面、学校の負担増で実施は難しいという御答弁がありましたが、コロナを蔓延させないという広い視点で捉えるなら、こういったケースは学校だけで背負うものではなくて、費用面も含め、保健福祉政策の一環として推進すべきではないでしょうか。お答えをお願いします。
◎有馬
保健福祉政策部次長 児童生徒に学校行事前のPCR検査の再質問にお答えいたします。
現在実施しております社会的検査につきましては、感染者または感染疑いのある方に接触した可能性が高い方に対して早期に対応すること、高齢者等の重症化防止や施設内でのクラスター化を抑止することにより社会福祉サービスを継続することを目的としております。
議員お話しにございました小中学校の児童生徒につきましては、区内の感染状況としまして、子ども間の感染が推定される事例が散見されるものの、重症化となった事例は現時点では見られないことから、定期的な検査の実施には至っておりません。
一方、変異株の影響等もあり、学校におけるクラスター化を抑止する観点から、本年四月より随時検査の対象を拡大し実施しているところでございます。
以上でございます。
◆二十一番(いそだ久美子 議員) 他会派からも、ワクチン接種が進んでいる現状で、PCR社会的検査の意義を問う指摘もございました。児童生徒は、当面ワクチン接種の対象にはなりません。高齢者はなっています。その点を踏まえましてPCR検査の有効的な活用をこれから模索していただきたいと思います。
以上です。
○下山芳男 議長 以上でいそだ久美子議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、七番くりはら博之議員。
〔七番くりはら博之議員登壇〕(拍手)
◆七番(くりはら博之 議員) 通告に従い、一般質問を行います。
私は、昨年九月定例会の一般質問において、おととし五月十五日の東京地裁におけるワンセグ機能付カーナビを持っているだけでNHKと受信契約をしなければならないという判決を受け、質問をいたしました。
その際、区の公用車でワンセグ機能付カーナビが搭載されている車両の台数を伺ったところ、昨年九月一日時点での区の保有する公用車の台数はおよそ三百台であり、このうちテレビの視聴が可能であるワンセグ機能付カーナビゲーションが搭載されている車両の台数は二十七台である旨の答弁をいただきました。
そして、さきの三月の定例会予算特別委員会の補充質疑において、公用車のFCV・EV化の推進を求め、その際にも、改めて公用車の台数と、その中でFCV車、EV車、ガソリン車、ディーゼル車の内訳を伺ったところ、本年三月一日現在での公用車の総数は三百十五台であり、FCV車が一台、EV車が十四台との答弁をいただきました。
昨年九月の一般質問の答弁から公用車の台数が増えているようですが、これは、新たに公用車を購入したということでしょうか。新たにFCV車、EV車を導入したということでしょうか。
また、それらの公用車にはワンセグ機能付カーナビゲーションは搭載されているのでしょうか。搭載されている場合、NHKとの契約はどのようになっているかお伺いいたします。
次に、小中学校におけるいじめ問題と、いじめから被害児童生徒をいかに守っていくかについて質問をいたします。
まず、日本人の子どもの就学率は、小学生、中学生共に約一〇〇%に達します。重度の障害や特別の事情のあるお子様以外は、ほぼ全ての子どもが小学校、中学校に通います。ゆえに、日本人の識字率は九九%とも言われ、日本人の高い教育水準の基になっています。
しかしながら、学校では、残念なことに、いじめというゆゆしき問題が発生していることも事実です。ほぼ全ての子どもが学校に行くということは、家庭で親から愛情を注がれて育っている子と、残念ながら、ネグレクトされてしまっている子、また力が強い子と弱い子、周囲に協調できる子とできない子など、様々な子どもが集まるのは当然のことかもしれません。
人は誰しもが個性を持った違う存在であり、その違いや多様性を認め合い、共に生活していく必要がある、このことを子どもたちにしっかり理解してもらう必要があります。
一九六九年生まれの私が十代であった一九八〇年頃から、学校でのいじめを苦にした子どもの自殺が社会問題化し、その都度、いじめを防止するためにはどうしたらよいかという議論が交わされ、子どもたちへの道徳教育の重要性などが唱えられてきたわけでありますが、それから四十年近くが経過した現在でも、残念ながら、一向にこの問題は解決に至っておりません。
いじめを防止し、仮にいじめがあった場合には解決する努力をしなければならない先生までがいじめの原因をつくったり、いじめに加担するいじめの加害者になるケースも報道されています。これは、教育の力によっていじめをなくすことの限界を示しているのかもしれません。
問題は、いじめをなくすための努力もさることながら、今この瞬間も、いじめを受けて悩み苦しんでいる子どもや、学校に行けないでいる子どもをいかに守っていくかということであります。
まず、いじめ被害を受けて学校に行けないでいる子どもの学習の権利をいかに守るかということです。いじめによって学校に行けなくなったことで学習の遅れが生じ、進学時、学習についていけなくなるようなことがないよう、学習支援は行われているのでしょうか、お伺いいたします。
次に、いじめ被害により、不登校に陥った生徒の社会的孤立の防止についてです。
小中学校といじめに遭い、不登校を余儀なくされた子どもが、高校などに進学しても、いじめによって負った心の傷や学習の遅れから再び不登校に陥り、ひきこもりになることも少なくありません。このような状態が長続きすると、精神疾患の発症、自殺、家庭内暴力、非行、将来的な生活困窮の可能性も高くなります。それを防止するためには、中学生でいじめを受け、不登校だった子どもに対して、卒業後も、行政などが引き続き関わりを持ち続け、支援をしていく必要があると思います。
世の中には、いじめられている方こそ、強く生きるべきという精神論や、いじめられる方にも原因があるという論もあります。しかしながら、いじめられる原因とは、ほとんどが後づけされたものであり、誰でも長所と短所があり、他人に全く迷惑をかけずに生きられる人はおりません。
このような誤った精神論などに耳を貸す必要性はなく、いじめは悪という態度で、我々大人が、不幸にもいじめの被害に遭ってしまった子どもの支援に取り組むべきと思いますが、区の見解をお伺いいたします。
続きまして、ひきこもりの成人やその家族に対する支援について伺います。
高齢化した両親が引きこもりの子どもの生活を支える、いわゆる八〇五〇問題が広く認知されてきておりますが、子どもの頃のいじめだけでなく、社会に出てからのストレスなどで、ひきこもりになってしまう方も少なくありません。区では、このいわゆる八〇五〇問題をどのように捉えているのか、実態をどこまで把握されているのか、また、その支援に向け、どのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
以上で壇上からの質問を終わりにいたします。(拍手)
◎工藤 財務部長 私からは、公用車とNHK受信契約について御答弁申し上げます。
区の公用車の総数は、昨年九月一日時点で三百十三台で、本年三月一日時点では二台増がし三百十五台となっております。この半年間の増減の内訳としましては、廃車等による減が十九台、購入による増が二十一台で、ほとんどが買換えでございまして、FCV車及びEV車に動きはございません。
また、この間の買換えに伴い、ワンセグ機能付カーナビゲーションシステムの搭載車両は一台増えて計二十八台となっております。公用車へのカーナビの搭載につきましては、ワンセグ機能の附帯を含め、引き続き各車両の管理所管において検討の上、対応をさせていただいているところです。
◎粟井 教育政策部長 私からは、いじめによって不登校になってしまった児童生徒に対する学習等の支援及び卒業後の支援についてお答え申し上げます。
学校内外の支援の選択肢を充実させ、個々の不登校の子どものニーズに合わせた支援を提供することは重要であると認識しております。その中で、学習支援といたしましては、双方向型学習支援アプリを使って学習プリントのオンラインによるやり取りをしたり、個別学習支援アプリの課題を学習するなど、ICT等を活用しながら、学習指導を行っております。
また、学校以外の場として通うことができるほっとスクール、教育支援センターにおきましても、生活習慣や学習状況などを踏まえた支援を行っているところでございます。ほかにも、保護者の方々を対象に不登校保護者のつどいを開催し、都立高校等の説明会を実施するなど、進路に関する情報を提供する場を設けております。
教育委員会といたしましても、引き続き、不登校となってしまった児童生徒や保護者の進路に関する不安の軽減、課題の解消につながるように支援するとともに、中学校卒業後も支援が途切れぬよう、福祉部門と連携いたしまして、継続的な支援体制の検討を行ってまいりたいと思います。
以上でございます。
◎澁田
保健福祉政策部長 私からは、八〇五〇問題の実態把握や、その支援についてお答えさせていただきます。
区では、三十九歳までの生きづらさを抱えた若者の相談をメルクマールせたがやで、生活困窮相談をぷらっとホーム世田谷で、さらに、あんしんすこやかセンターや地域障害者相談支援センターなど、当事者の状況により、多様な支援機関が取組を行い八〇五〇問題等の相談を受けております。
令和二年度には、これらの支援機関を対象に、ひきこもり実態把握調査を行い、問題の長期化や複合化、当事者の高齢化、相談窓口が明確でないなどの課題を整理し、ひきこもり支援に係る基本方針を策定いたしました。
今年度は、(仮称)ひきこもり支援機関連絡協議会の開催や、メルクマールせたがやでのアウトリーチによる支援、ぷらっとホーム世田谷への精神保健福祉士の配置、発達障害ピアサポート事業、みつけばハウスの対象年齢の拡大により支援機能の強化を図ってまいります。また、令和四年四月には、メルクマールせたがやと、ぷらっとホーム世田谷が連携しました(仮称)ひきこもり相談窓口を三軒茶屋駅近くに設置いたします。
八〇五〇問題の課題は複合的であり、様々な支援機関の専門性を生かした対応が必要となります。若者支援、介護、障害者福祉、就労支援、生活支援、医療、教育など幅広く連携を強化し、支援の充実を図ってまいります。
以上でございます。
◆七番(くりはら博之 議員) 御答弁ありがとうございました。
まず、ワンセグ搭載のカーナビの現状は分かりました。また、不登校児童生徒やひきこもりの方については、コロナ禍であり、さらに厳しい状況になる方もおられると考えます。引き続き、誰一人置き去りにすることのないよう支援を進めていただくことをお願い申し上げて、一般質問を終わります。
○下山芳男 議長 以上でくりはら博之議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、二十八番菅沼つとむ議員。
〔二十八番菅沼つとむ議員登壇〕(拍手)
◆二十八番(菅沼つとむ 議員) 質問します。
最初に、新型コロナワクチン接種についてお聞きします。
世田谷区は二子玉川仮設庁舎をはじめ、十九か所の会場で高齢者のワクチン接種を行っています。世田谷区の高齢者は約十九万五千人で予約ができている人は約十五万人です。
第一に、高齢者の場合、スマホ、パソコンも使えない人もいます。高齢者で予約の終わっていない人の対策を聞きます。
第二に、高齢者のワクチン接種の予約支援対策で、まちづくりセンターで高齢者のための予約の手伝いをしています。大変よかったです。町会、商店街、各団体に前もってお知らせをしなかったのか、知らせていれば高齢者のワクチン接種の予約がスムーズにできたと思います。区に聞きます。
第三に、世田谷区もワクチン接種に慣れてきていると思います。世田谷区は十六歳以上六十四歳以下の約六十二万人のワクチン接種はこれからが本番です。優先接種の対象者は基礎疾患者、障害者の一部、コロナの在宅者、高齢者施設入所者、従事者の区民です。世田谷区の高齢者二百二十施設のうち、何%がワクチン接種が終わったのか聞きます。
第四に、国ではワクチンの国民全員分の確保の目安が立ったとのことです。世田谷区は今後、区内約十三か所の病院でワクチン接種を行います。また、診療所で個人接種も行います。また、接種会場まで来られない人の訪問を医師会に頼んでいます。区は病院、訪問、診療所、個別接種はいつ受けられるのか聞きます。
第五に、自衛隊による大規模な接種や病院、診療所、民間企業、大学など、接種するところが広がっています。スムーズに接種するためには接種券が必要です。世田谷区も十六歳以上五十九歳までの区民に早く接種券を送るべきだと思います。区の考えを聞きます。
次に、用賀小学校改修工事及び学校の改築、耐震工事、三十五人学級に対応する改修工事についてお聞きします。
教育ビジョンで教育環境の整備を進めていくと言いながら、用賀小学校は五十三年たっている学校の改修工事の一期工事から第四期工事計画ができている中、突然と事業の見直しになりました。区立小中学校は公共施設の総合管理計画の八百八十六施設の中でも災害拠点で優先する施設です。
第一に、用賀小学校の改修工事はいつ始まるのか聞きます。
第二に、上用賀には国立医薬食品衛生研究所の跡地、三ヘクタールに大規模な住宅ができれば、用賀小学校の生徒が増えることになります。対策を考えているのか聞きます。
第三に、区立学校を五十年に改築する計画を六十五年に延ばしました。あと十年もたつと小中学校、二十二校は六十五年になります。教育委員会の対策を聞きます。
第四に、区立小中学校の災害拠点である学校の耐震が二十一校終わっていません。耐震の進捗状況といつ終わるのかお聞きします。
第五に、小学校の全学年三十五人学級に向けた普通教室の確保についてお聞きします。クラス数の増加が見込まれる学校数は六十一校中三十五校で、大規模改修工事が必要な学校は十五校です。学校の改修工事で難しいのは、授業中はほとんど工事ができず、夏休み中に改修工事が集中します。具体的な計画と工事事業者の対策を聞きます。
次に、旧池尻中学校跡地の活用についてお聞きします。
第一に、前回の質問で、池尻中学校跡地活用で、民間事業者はどこで利益を出せるのか聞いたら、民間事業者が示すまでは分かりません。また、学校体育館使用料はほかの学校と同じかと聞いたら、民間事業者が示すまでは分かりません。十二月には事業者が決定します。世田谷区はいつまでに池尻中学校の具体的な事業の内容を議会に示せるのか聞きます。
第二に、池尻中学校の土地は一万四百六十七平米で、床面積はものづくり学校、体育館含めて六千二百四十九平米です。民間ベースではものづくり学校だけで一か月八百五十万円になります。校庭、体育館、ものづくり学校全部を含めて民間ベースで一か月幾らになるのか聞きます。
第三に、世田谷区の池尻中学校のものづくり学校、体育館、校庭を含めて、民間事業者に一か月幾らで貸し付けをするのか聞きます。
第四に、世田谷区の目標にしているのは、福岡市の官民共同型施設であり、福岡地所が中心に世界に名だたるグローバル事業を生み出す計画です。また、名古屋市も東亜不動産と市と有償貸付けをして、東海地域の五つの大学が中心に事業を生み出す計画です。福岡市も名古屋市も多くのスポンサーを持っています。例えば九州電力、九電工、リコー、東海東京証券、三井住友銀行、名古屋銀行など、多くのスポンサーがついています。世田谷区の事業者も多くのスポンサーがついているのか聞きます。
次に、地域行政推進条例についてお聞きします。
第一に、世田谷区の地域推進条例で、私も二年間特別委員会で議論してきましたが、具体的に世田谷区は何がやりたいのか分かりません。本来なら、条例をつくるときに形だけではなく、場所の確保、職場の確保、予算の確保が必要です。できているのか聞きます。
第二に、区が示している見直しの方向性で、選挙事務、国勢調査、募金活動、行政機関の回覧など負担軽減を図ります。本当にできるのか、困るのは世田谷区、行政機関です。聞きます。
第三に、町会、商店街、各団体は独立した団体です。世田谷区が地域推進条例に勝手に盛り込めるのかお聞きします。
壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎久末
住民接種担当部長 私からは、新型コロナワクチン接種について、三点について御答弁いたします。
初めに、予約ができていない高齢者への対策についてということです。
この間、区ではまちづくりセンターで職員が接種予約を代行するなど、高齢者の予約支援に取り組んでまいりました。現在、高齢者の予約者数は十四万人強に達しております。国の大規模接種会場での接種者数の約一万人も含めると約十五万人を超えており、想定する該当者の八割を超えておりますが、今後もワクチン接種についてのお知らせは続ける必要があると考えております。
まずは、六月中から開始するかかりつけ医や病院による個別接種の利用状況を見ながら、なお接種予約をされていない高齢者に対しては、あんしんすこやかセンターや民生委員などの協力を得て働きかけを行うとともに、「区のおしらせ」でも、まちづくりセンターでの予約支援を周知するなど、接種を希望される方が取り残されることがないよう取り組んでまいります。
次に、六十歳未満の方への接種券の早期送付について御答弁いたします。
国は、ワクチン接種を加速化するため、自衛隊大規模接種センターの設置や、企業や大学等での職域接種の開始を打ち出すとともに、自治体に対し、標準的には六月中旬をめどに、広く住民へ接種券を送付することを求めています。区はこれらを踏まえ、六月末から五十代へ接種券を送付し、その後もおおむね十歳ずつ、一週間ごとに順次お届けし、七月中には送付を完了する予定です。
今後は、区の集団接種会場については、予約の埋まり具合やキャンセルの発生状況等を見ながら、適切なタイミングで予約枠を設定し、接種を希望する方が速やかに接種を受けられるよう対応してまいります。
最後に、医療機関による個別接種の開始時期及び実施場所についてです。
個別接種の開始時期については、六月中旬以降、準備の整った医療機関から開始できるよう現在調整を行っております。箇所数でございますが、病院については、事前に行った調査で十三の病院から個別接種に御協力いただけると回答を得ております。
診療所、クリニックにつきましては、両医師会を通じて個別接種計画書の提出をお願いしているところですが、現時点では約三百の診療所等が住民への接種を行うことを前提とするサテライト型接種施設として登録をしております。個別接種の実施に当たっては、医師会をはじめとした関係機関と連携し、円滑な運営に努めてまいります。
以上でございます。
◎舟波 地域行政部長 私からは、まちづくりセンターの予約支援及び地域行政推進条例に関する四点について御答弁申し上げます。
最初に、ワクチン接種の予約支援をもっと早く周知していれば、より多くの方が支援を受けられたということについてでございます。
今回のまちづくりセンターでのワクチン接種予約支援につきましては、ネット予約の混雑が発生し、また電話予約もつながりにくい状況となったことから、急遽実施を決定いたしました。当初は十分な周知期間を取ることができなかったと認識しておりますが、その後、広報にも力を入れ、掲示板へのポスター掲示や町会・自治会をはじめ、あんしんすこやかセンターや民生児童委員、高齢者クラブ、ケアマネジャー等、多くの方に周知をいただいたことで、約一万三千件の相談をお受けいたしました。今後とも周知に努め、インターネット予約にお困りの方への周知を行ってまいります。
次に、(仮称)地域行政推進条例に合わせ、職員配置や予算の確保が必要となることについてでございます。
(仮称)世田谷区地域行政推進条例の策定に向けましては、地域行政の見直しの体系や内容を、(仮称)地域行政推進計画としてまとめる予定でございます。条例の趣旨や見直す事業、執行体制につきましては、今後策定する新たな基本計画や実施計画、また分野別計画等に反映させ、予算措置や職員配置等についても具体的に検討してまいります。
次に、地域行政の見直しにある町会・自治会の負担軽減ができるのかということについてでございます。
区はこれまで、地域の安全安心、防災、まちづくりなど様々な課題に対応するため、町会・自治会に御協力をいただいておりますが、町会長会議での地域行政の意見交換などにおきまして、町会・自治会の方々の高齢化や後継者不足等から、区やその他機関からの依頼が負担になってきているという御意見をいただいております。
御指摘の見直しの視点に関しましては、長期的な視点で見直す課題もございますが、例えば国勢調査のインターネット回答のPR強化、選挙の投票管理者、立会人の半日交代制の従事など、制度変更の機会を捉えた依頼方法の工夫、また行政情報の回覧依頼では、他の機関とも連携した依頼数の調整や、区広報板への掲載シフトなどが考えられます。
今後見直しを進めていく上では、全地区で見直せるもの、地区ごとの見直せるもの、長期的な視点で見直すものなど内容の精査を行い、町会・自治会それぞれの実情や意向を十分に踏まえ、具体的な御相談をしながら進めてまいりたいと考えてございます。
最後に、町会・自治会や各種団体を条例に規定することができるかについてでございます。
(仮称)世田谷区地域行政推進条例骨子案では、基本理念等において、多様な主体が地域課題の解決を図り、様々な区民が地域の担い手として一層関わっていく地域社会を目指すことを掲げ、地域コミュニティーの形成や参加、他の活動との連携協力といった区民の役割を努力義務としております。
町会・自治会をはじめ、商店街やコミュニティー組織、NPO、事業者など、多様な関係者とのネットワークを築くことができるよう、地区の実態を踏まえた参加の機会づくりにつきまして、区民や地域の活動団体等との意見交換を重ね、検討を深めてまいります。
私からは以上でございます。
◎長岡 高齢福祉部長 私からは、高齢者施設でのワクチン接種の進捗状況についてお答えいたします。
高齢者施設における新型コロナワクチン接種につきましては、特別養護老人ホームを皮切りに、四月の十二日から開始をしております。現在区内の高齢者施設二百二十施設を対象に、嘱託医による接種のほか、医師、看護師が巡回してワクチン接種を進めているところでございます。
ワクチン接種の進捗状況につきましては、六月十日現在、接種を一回でも実施した施設が二百二十施設のうち九十九施設で四五%、また、接種人数は入所者と施設従事者の計約一万九千二百人のうち、一回目の接種を受けた方が八千六百七十一人で約四五・二%、二回目の接種を受けた方が千四百三十三人で約七・五%となっております。六月からは、施設を巡回する医師、看護師の体制を強化しており、七月末の接種完了を目指して引き続き取り組んでまいります。
以上です。
◎知久 教育総務部長 私からは、学校の改修改築工事について順次お答えしてまいります。
まず、用賀小学校の改修工事についてでございます。
用賀小学校につきましては、平成三十年度、令和元年度の二か年で外部大規模改修工事を実施し、令和二年度からは内部大規模改修工事を四年間かけて実施する予定としておりました。しかしながら、昨年度の事務事業等の緊急見直しに伴い、当該内部大規模改修工事を延期しております。
今後の早期再開に向けて工事内容を精査するとともに、今後の財政状況を踏まえながら、関係所管と連携し取り組んでまいります。
次に、用賀小学校へ想定される大規模開発の影響についてでございます。
用賀小学校の学区域内にある国立医薬品食品衛生研究所の跡地活用において、今後、大規模開発が計画された際も、既存校舎には普通教室への転用可能な教室が確保されていることから、将来の児童増に対応することが可能であるものと考えております。今後の改修工事におきましても、普通教室への転用等に柔軟に対応できるよう計画してまいります。
次に、今後、耐用年数を迎える学校への対応についてでございます。
昭和三十年から四十年代に建設された多くの学校施設は、令和五年度以降、順次、耐用年数である築六十五年を迎えることとなります。今後の改築計画につきましては、平成二十八年度に策定された世田谷区建物整備・保全計画の中で、令和二十八年度までの期間を三期に区分し、各学校を築年別の建物の棟ごとに整備の手法を順次検討することとしております。
厳しい財政状況の中、施設の老朽化の状況や児童生徒数の増加、他の公共施設との複合化などの課題も踏まえながら、関係所管と連携し、整備検討に取り組んでまいります。
次に、耐震工事の進捗状況と見通しについてお答えいたします。
小中学校の耐震化につきましては、令和元年度に工事計画を策定しまして、順次改修工事を進めております。このうち十三校の体育館につきましては、令和二年度中に全ての耐震補強工事が終了いたしました。また、校舎につきましては、耐震性能を示すIs値が〇・六未満である建物については、全て令和四年度までに改修工事を終了させることにしており、本年度も計画どおり小中学校十五校において、補強工事を予定しております。引き続き、残るIs値〇・六以上の建物も含め、全校の耐震化が速やかに終了するよう、関係所管部と調整を図りながら全力で取り組んでまいります。
最後に、三十五人学級に向けた改修工事についてお答えいたします。
今般、小学校の学級編制の標準が、現行の四十人から三十五人に改正され、令和七年度には全学年が三十五人学級となります。三十五人学級の対応に向けて、普通教室を確保するための大規模な改修設計工事が必要となる学校十五校につきましては、令和四年度から令和六年度の三か年の夏休み期間を中心に、順次改修工事を行う計画としております。
工事の実施に当たっては、工事内容に応じた工期設定として、夏休み前後の学校運営中も工事が可能とするなど関係所管と連携しながら検討し、着実に事業が履行されるよう配慮してまいります。
以上でございます。
◎田中 経済産業部長 私からは、旧池尻中関連、四点答弁いたします。
まず、事業者募集の内容についてです。
現在基本コンセプトの実現に向け、具体的な公募要件を整理するため、事業者視点からの事業内容や事業条件、参画可能性について対話を行うサウンディング調査及びそれと並行して住民説明会等を実施しているところです。住民説明会で出された意見やサウンディング調査を踏まえた具体的な活用案につきましては、本年九月頃を目途にお示ししたいと考えております。
次に、賃借料についてです。
旧池尻中学校跡地である校舎、校庭、体育館は、一般的な住宅やオフィスとは異なり、特殊な用途の土地と建物であることから、利用方法等を特定しない限り賃借料の算定は困難であるとの専門家の見解を得ています。
次に、契約金額についてです。
サウンディング調査等を経て旧池尻中学校跡地活用の概要が固まった段階で、事業者に募集する上での想定賃借料の算定をします。その後、プロポーザルで選定された事業者からの提案を踏まえ、事業内容、成果指標やそれに基づく評価方法、評価に基づき賃料設定額が変動する仕組み、利益を基に地域へ還元する仕組みなどについて、専門家を交え、契約金額の詳細について決定してまいります。
次に、スポンサーについてです。
基本コンセプトは、御指摘のとおり、福岡や名古屋を参考にしました。スポンサー等については、サウンディング調査の中でその可能性について確認してまいります。
私からは以上です。
◆二十八番(菅沼つとむ 議員) 質問します。
高齢者施設のワクチン接種が七・五%、ちょっと遅過ぎる。七月までに終わるのか確認します。
それから、池尻中学校の跡地活用、今の答弁で九月末までには何とか示しますということなんですけれども、具体的な内容も示されるのか確認します。
◎長岡 高齢福祉部長 私からは、高齢者施設の接種の状況についての再質問にお答えいたします。
今、議員御質問の七・五%、これにつきましては、二回目の接種を受けた方が今七・五%ということになっております。施設につきましては、今、四五%済んでいるところでございます。先ほども申し上げましたが、七月末を目途に終了を目指して進めてまいります。
以上です。
◎田中 経済産業部長 再質問にお答えします。
先ほどと答弁内容は同じになりますが、住民説明会で出された意見、サウンディング調査を踏まえた具体的な活用案につきましては、本年九月頃を目途にお示ししたいと考えております。
以上です。
◆二十八番(菅沼つとむ 議員) 質問します。
学校の改築で、令和二十八年度までに整備の手法を検討する。
あと二十五年なんですけれども、もうちょっときちんとした方向性を示せるのかお聞きします。
それから、地域行政推進条例の中で募金の活動を見直すということになっているんですけれども、本当に募金の活動をしなくていいのか。福祉だとか、様々なところに影響が出てくると思いますけれども、お聞きします。
◎知久 教育総務部長 再質問にお答えさせていただきます。
公共施設等総合管理計画では、建築より六十五年での改築や長寿命化改修を検討することとしており、学校施設におきましても、建物整備・保全計画の計画期間である令和二十八年度までを三期に分けまして、順次、築六十五年を迎える棟ごとに整備検討するものでございます。整備検討は、その後も小中学校全九十校の建物設備が順次改築改修の時期を迎えることから、令和二十八年度以降も続くものと認識しております。
引き続き、できる限り学校施設を長く使い続けられるよう努めるとともに、計画的な施設整備の検討を進めてまいります。
以上でございます。
◎舟波 地域行政部長 私からは、募金活動についての再質問についてお答え申し上げます。
社会福祉法人等が事業の主体となって町会・自治会等への依頼を行っている募金につきましては、例えば赤十字ですとか、あるいは社会福祉協議会、赤い羽根歳末たすけあい等がございます。これらの募金につきましては、支援が必要な方へ、あるいは支援活動されている団体、また災害や医療活動に活用されるということからしますと、大変重要な取組だという認識でございます。
これらの募金活動への関わり方でございますけれども、町会・自治会ごとに異なっております。参加方法や集め方については様々な工夫をされているという認識でございます。そのため、この課題につきましては、町会・自治会で様々異なって事情も違うことですから、全体での改善は困難であると考えておりますが、今後、区といたしまして、各町会・自治会の課題や状況を十分に把握させていただきながら、できること、あるいは具体的な御相談をしながら改善の検討を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○下山芳男 議長 以上で菅沼つとむ議員の質問は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後二時十六分休憩
──────────────────
午後二時三十分開議
○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を続けます。
六番上川あや議員。
〔六番上川あや議員登壇〕(拍手)
◆六番(上川あや 議員) 区の新型コロナ対策について伺います。区の現対応で見えてきた問題点、見落とされがちな課題の五点について問います。
初めに、高齢感染者の入院調整の際、無症状だった本人に延命措置の意向確認をせず、家族の意向のみが医療機関に伝えられた件についてです。
先月、新型コロナで入院された高齢者の御家族から御相談を受けました。お母様の入所施設で陽性者が出て、お母様も検査を受けると無症状ながら陽性で、感染拡大を防ぐため勧告入院していただくとの連絡が保健所から娘さんに入りました。コロナで入院するという驚きの説明後、保健所からあったのは、お母様が重症化した場合、延命措置を希望されますかという突然の問いかけでした。娘さんは、思いがけない質問に動転し、延命措置を希望すると入院できないというメディア情報も頭をかすめ、母はもう高齢なので希望しませんと答えたそうです。しかし、冷静になると、母に確認してくださいと伝えるべきだった、母に確認もせず、延命措置を断ってしまったと後悔し、繰り返し御自分を責め、鬱々と過ごされたといいます。
このお話の経過を保健所に問うと、本件では区の職員が複数回現場に入り、お母様を含め数名の感染者に直接入院勧告をしたそうです。しかし、延命措置に関する本人への意向確認は施設の職員に任せて現場を去り、その後、施設が御本人に確認することもなかったことが確認できました。一方で、保健所は、早々に娘さんから延命措置は希望しないとの言質を得て入院調整を済ませています。
本来、医療同意は一身専属性が高く、家族にも同意権はないとされています。ところが、本件では家族の意向のみで入院調整されました。お母様の様態が急変し、本人同意もなく、延命措置が放棄されていたら、娘さんは一生後悔したのではないでしょうか。
区には、本件を教訓に、本人の医療同意を第一に入院調整することの徹底を求めます。今後どう対応されるのか、見解を問います。
第二に、クラスターが発生した施設等への感染防護支援についてです。
クラスターが発生した施設には、区の保健所が介入し、施設の機能継続、再開を支える都の支援金事業や、消毒、清掃に係る経費、医療用マスク、グローブなど衛生用品購入費を助成する区の制度が使えると伺っています。
ところが、前出の施設では、制度を知る管理職や事務職員らが感染し、入院や自宅待機となり現場は混乱、あろうことか、保健所が複数回施設に入っているにもかかわらず、一番大変な時期に区から感染防護物品の点検や提供はなく、大半の職員は、医療用マスクの提供もないままに、飛沫の飛ぶ入所者への口腔ケアやトイレ介助を続けることを余儀なくされました。
この件の経過を区に問いますと、施設から御相談があれば当座の衛生用品の提供はできたという説明です。しかし、支援策を知る管理職が感染した場合、どうアクセスしろというのでしょう。
江東区では、昨年六月から、感染が一人でも出ると区の職員が医療用マスク等を持って現場に駆けつけているといいます。本区でも、クラスター発生時には不足する物品の確認と提供を徹底することを求めます。区の見解を問います。
第三に、移動が困難な重度障害者等への予防接種についてです。
区では、七十五歳以上の高齢者に続けて、重度心身障害を含む基礎疾患を有する者を優先接種対象とし、この六月からは、障害者に対するタクシー券支給の四千円増額も開始をしたと承知をしております。しかし、この間コロナ感染が疑われた重度障害者の中には、ストレッチャーでしか移動ができず通常のタクシーでは移動できないため、PCR検査を受けるための会場に特殊車両をチャーターし、六万円もの経費をかけた方、また、同じく車椅子利用者のためリフト付タクシーでの移動に二万円の経費をかけた方がいるといいます。こうした通常のタクシーが利用できない重度障害者らの移動について、区は以前より区内団体から支援策の検討を求められていたと聞いていますが、なお有効な支援策は示せておりません。
そこで提案ですが、区が今後在宅療養者等に予定をしている在宅接種の対象者に、これら重度障害のある方を加えることを求めます。区の見解を問います。
第四に、住民登録を持たないホームレス、ネットカフェ滞在者等への予防接種についてです。
このような方々に対しては、四月三十日の厚労省の事務連絡で、区も予防接種の情報提供と相談対応、いずれの市町村にも住民登録がない場合の接種券の発行等が求められておりますが、本区の対応は一向に見えてまいりません。漏れのない、しっかりとした対処ができるのか、その手法、スケジュールを問います。
第五に、特別区人事厚生事務組合の下、二十三区一体で処理をしている生活保護法、社会福祉法等に基づく四種の福祉施設、並びにホームレス援護施設の入所者についてです。
これらについても漏れなく接種へとつなぐ適切な対処が求められますが、いかがでしょうか、説明を求めます。
次に、区が公的に行ってきた遺族補償から同性パートナーへの補償が抜け落ちてきたことについて伺います。
まず、河川の増水時等に区の依頼を受け、水防活動に従事してくださる地域住民の方々、また、同じく災害時、区の依頼を受け応急措置に就いてくださる住民等の方々が亡くなった場合の遺族補償についてです。これらについては、区条例、水防又は応急措置の業務に従事した者の損害補償に関する条例に基づきカバーをされ、男女の事実婚なら補償対象となり、遺族補償一時金や遺族補償年金が支払われる一方で、同性パートナーは対象外、何ら補償もなく放置をされています。
同じく、区立学校の健診事業等に御協力をいただく地域の医療者の皆さん、学校医、学校歯科医、学校薬剤師の公務災害補償でも、男女の事実婚なら遺族補償の対象となる一方で、同性パートナーは対象外、ここでも遺族補償の一時金、年金ともに支払わない不平等が放置をされています。
区は、二〇一五年十一月、全国に先駆け、同性パートナーシップ宣誓制度を始めた際、区長と副区長が私の要請を入れ、区内二つずつある医師会と不動産関係団体のそれぞれに、制度の周知と、同性パートナーも家族として受け入れるようにとの要請をしてくださいました。加えて、昨年十一月の世田谷区病院長会においても、区から各病院長に対し、病状説明や面会、手術同意等において同性カップルを法的な婚姻関係にある親族と同様に受け入れるよう依頼をしてくださったはずです。
ところが、さきに述べたとおり、区立学校の事業に協力する学校医、学校歯科医、学校薬剤師の公務災害補償では、同性パートナーは遺族として扱われずに補償の対象外となっています。区が区内医療者に対し求めてきたことと自らがしていることが違うのです。区の男女共同参画と多文化共生の条例では、同性カップルに対する差別は禁止です。区は、率先して、これら遺族補償についても、平等性を担保する責任があるはずです。
新型コロナに罹患し死亡した国保加入者の傷病手当金の遺族支給に関しては、区は私の求めに応じ、この二月から同性パートナーに対する遺族支給を同額とする新制度を施行しております。区内で水防活動等に従事する方や、学校医等の遺族補償に関しても、国の法律に基づく遺族補償とはまた別に、区の独自制度を立ち上げることで、同性パートナーにも平等の遺族補償を担保していく必要があると考えます。
そこで伺います。
初めに、法務を所管する総務部長に伺います。法技術的には、今申し上げたような区の独自制度の構築で国による上位法の改正や法解釈の変更を待たずとも、実質的な平等を担保することはできると考えますが、いかがでしょうか。
その上で、危機管理部と教育委員会に伺います。水防活動の従事者、学校医等の遺族補償で現状の同性カップル排除を改めていく取組にぜひ前向きなお約束をいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。それぞれ見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎辻
世田谷保健所長 私からは、コロナ患者の延命措置の意向確認についてお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症患者の対応におきまして、保健所は、患者の入院先を決めるため、東京都と調整する役割を担っており、入院先の医師による病状の評価や治療の方針が決定する前の段階において、延命措置に係る御意向を入院調整に必要な範囲でお尋ねする場合がございます。また、入院時には、入院医療機関の医師等から適切な情報の提供と説明がなされ、患者の意思が確認されることとなります。
延命措置に係る患者の意向を確認する際には、本来、患者御本人に対して実施されるところですが、御指摘の事案につきましては、家族より聴取した内容を都に報告したことは不適切であったと認識をしております。今後、施設における
新型コロナウイルス対応において、コロナの検査の時点から、入院調整の際に必要な範囲で延命措置の意向確認することを御本人や施設に情報提供いたします。また、患者御本人からの意思確認を徹底し、区の個人情報保護条例にのっとった適切な情報収集に努めてまいります。
以上です。
◎長岡 高齢福祉部長 私からは、クラスター発生施設への感染防護対策支援についてお答えいたします。
施設等でクラスターが発生した場合には、感染防護物品も通常以上の量が必要になることから、区にクラスターが発生した施設等からの連絡があった場合には、当座の施設運営において足りない感染防護物品の有無について声かけを行っております。
お話のありました施設につきましては、施設内の感染者が急増し、複数の担当者が不在になるなどにより、情報が区に伝わりづらくなったことと、区からの確認が十分でなかったことによるものと考えられます。今回、施設での感染防護物品の調達において現場の職員の方に御負担をかけてしまったことにつきまして、誠に申し訳なく思っております。
今後は、保健所で行っている積極的疫学調査時の確認を徹底するとともに、高齢福祉部といたしましても、保健所との連絡を密にし、クラスター発生時には施設へ声かけや確認を徹底するなど、より一層丁寧な事業者支援に取り組んでまいります。
以上です。
◎須藤 障害福祉部長 私からは、移動困難な障害者等への自宅での接種ということについて御答弁を申し上げます。
移動が困難な重度障害者等へのワクチン接種に当たりましては、障害当事者や御家族の精神的、肉体的負担の軽減を図り、安心して接種を受けていただけるよう支援することが重要であるというふうに認識をしております。
先般、障害当事者や御家族、それから支援者の皆様と意見交換を行った際、重度障害の方がPCR検査の会場へ移動するために新たな経済的負担が発生したとお伺いをいたしました。その際、福祉タクシー券の上乗せ支給についても御要望をいただいており、今般、ワクチン接種会場への移動に係る支援策を検討するに当たり、参考とさせていただいたところです。
今後、かかりつけ医の往診や地域の医師訪問による接種が行われることが予定されておりますので、重度障害者や在宅療養者等により自宅外での接種が困難な方につきましても、御自宅で確実にワクチンの接種が受けられるよう、関係所管と連携して対応してまいります。
以上です。
◎澁田
保健福祉政策部長 私からは、二点についてお答えさせていただきます。
一点目、ホームレス等への予防接種についてでございます。
お話がありましたとおり、厚生労働省より、
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種について、ホームレス等に対し周知啓発を行うよう通知がされております。周知に当たりましては、区で作成いたしますチラシによりワクチン接種の基本情報も提供し、ワクチン接種の希望の有無の確認を行ってまいります。具体的には、ホームレスの方につきましては、東京都と特別区が実施主体である自立支援センター渋谷寮が行っております巡回相談の機会を活用しまして、また、ネットカフェ長期滞在者につきましては支所の生活支援課職員がネットカフェを個別訪問いたしまして、ワクチン接種に関する情報提供や接種勧奨を実施することとしております。周知用のチラシが出来上がり次第、七月末までに周知啓発を図り、希望する方には接種できるよう準備を進めております。
二点目でございます。生活保護法等の福祉施設の入所者の予防接種についてお答えいたします。
生活保護法関連の施設といたしましては、生活保護法に基づく更生施設、宿所提供施設、社会福祉法等に基づく宿泊所、ホームレスの自立支援を目的とする自立支援センターがございまして、区内施設へのワクチン接種に関する情報提供を実施しております。また、各施設に入所している方につきましては、各総合支所保健福祉センター生活支援課が個々の利用者の状況を把握しております。
今後、生活支援課のケースワーカーが、区の接種方針に基づき、ワクチンの接種対象者の年齢や基礎疾患の有無により接種時期が異なることなどに留意しながら、保護施設等と連携し、ワクチン接種の希望の有無の確認など、円滑な接種に向けてアプローチし、接種を希望する全ての方が接種できるよう対応してまいります。
以上でございます。
◎池田 総務部長 私からは、法令と区独自の施策の関係について御答弁いたします。
区は、地方自治体として法令に反しない範囲において様々な区民サービスを独自に行うことが可能であると考えております。水防業務に従事した地域住民の方が亡くなった場合や学校医の方が公務により亡くなった場合などにおいて、亡くなった方の同性パートナーの方は、法制度により遺族補償の対象となっておりませんが、亡くなられた方の同性パートナーを対象に区が何らかの給付制度を独自に設けることは、既存の法制度と矛盾するものではなく、法制度を補完するものとして可能であると認識しております。引き続き、関係所管による制度の検討を支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎菅井 危機管理部長 私からは、同性パートナーに対する水防等に従事した際の損害補償について御答弁申し上げます。
区は、水防法等の法令に基づきまして、水防又は応急措置の業務に従事した者の損害補償に関する条例を定めております。本条例では、水防等に従事した者が業務中にけがをした場合の療養補償や休業補償等のほか、亡くなられた場合の遺族補償及び葬祭補償を規定しております。支給対象者は、法令により、本人のほか、配偶者、子、父母などと定められており、同性パートナーは含まれておりません。
区といたしましては、性的マイノリティーも差別しない世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例の趣旨に基づきまして、同性パートナーへの損害補償に向けた課題の整理を進める必要があると考えております。今後は、関係所管と連携いたしまして、区独自の制度策定について鋭意検討してまいります。
以上でございます。
◎知久 教育総務部長 私からは、学校医等の公務災害補償についてお答えいたします。
教育委員会では、学校保健安全法に基づき、区立小中学校へ学校医及び学校歯科医、学校薬剤師約三百三十名の方々を配置しております。主な業務は、定期健康診断への従事や学校保健委員会への参加などで、月一日程度勤務していただいております。学校医等の公務災害補償につきましては、学校への往復路で交通事故に遭った場合や業務中に怪我をした場合などに、療養補償や休業補償などのほか、亡くなられた場合の遺族補償がございます。これらの補償は、法令により補償の範囲や金額、支給対象が定められておりますが、現行の法制度では、遺族補償の支給対象は、配偶者、子、父母などで、同性パートナーは含まれておりません。教育委員会といたしましても、関係所管と連携して課題の整理を行い、同性パートナーを支給対象とした独自の補償制度の構築に向けて検討してまいります。
以上でございます。
◆六番(上川あや 議員) それぞれいただきました御答弁、改めるべきところは改めるという誠意が感じられまして、その点では感謝申し上げます。保健所の対応も非常に多忙を極められているということは一方で存じているんですが、またその一方で、誠実さが求められる業務はたくさんあると思います。ぜひ、いただいた御答弁、有言実行でよい事務、サービスを提供していただくように改めてお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○下山芳男 議長 以上で上川あや議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、二十三番中里光夫議員。
〔二十三番中里光夫議員登壇〕(拍手)
◆二十三番(中里光夫 議員) 通告に従い質問します。
初めに、地域行政制度とDXについて質問します。
地域行政の第一の目的は、地域住民に密着した総合的サービスの展開です。二〇〇五年の出張所改革は、地域行政を後退させました。二十八か所の出張所のうち二十一か所を、窓口機能を削り、まちづくりセンターに変えました。残った七か所の出張所は大混雑。一方、まちづくりセンターの認知度は下がりました。二〇〇〇年の区民意識調査では、最寄りの出張所を九六・一%の人が知っている、どの窓口に行くか分からないときは、とりあえず出張所の窓口に行くという回答が三二・一%でした。一方、二〇二〇年の調査では、認知度は七三%、まちづくりセンターを利用したことがあるは二〇・一%です。
この間、まちづくりセンターで行ったワクチン接種予約支援の取組は、身近な行政の本来あるべき仕事を改めて示しました。我が党として、電話がつながらないなど予約で混乱する多くの高齢者の声を受け、予約開始直後の四月三十日、情報弱者の高齢者支援などを申し入れました。多くの世論を受け、区が要請に応え、実施したことを評価します。この予約支援の取組は区民に本当に喜ばれました。ある町会の役員さんからは、ひとり暮らしの方を訪ねて四人分まとめて予約できたなどの声を伺っています。まちづくりセンターが住民のために必要な支援を講ずれば、住民は利用するのです。
身近な行政としての地域行政は形骸化しているのではないか。身近な行政の拠点である出張所やまちづくりセンターの窓口機能と人員体制の強化が必要です。現状の課題と、区民と行政サービスを結びつけるために、地域行政をどう発展させるか、区の認識を伺います。
住民に近い窓口の強化、対面の業務の強化を進め、家から出られない区民にも行政サービスを届けるなど、まちづくりセンターを身近な行政の拠点として活性化するためにDXを活用するべきです。区の見解を伺います。
次に、区立図書館についてです。
区立図書館の運営体制について、あり方検討委員会の報告書が出され、それに基づいた区の考え方が示されました。我が党は、二館の指定管理者導入の方針について、以下三点の立場で反対します。
第一に、指定管理者導入で明らかになっている課題への対応についてです。報告書は、国と地方の行政改革により、公共部門が担っていた行政サービスの多くが民間部門に委ねられるようになったと、民営化を追認、肯定する認識が示されていますが、あり方検討委員会では、日本図書館協会が公立図書館への指定管理者導入はなじまないという見解を示していることなどにも触れて、継続的、安定的な運営に課題のある民営化の弊害も議論されていました。
区立図書館でも、民間活用で人件費が下がっています。報告書では、指定管理者を導入した経堂図書館では、職員の三分の一程度が一年で入れ替わっているとの記述があります。検証を求めてきましたが、問題が放置され、改善策の提示はありません。図書館が公的役割を果たすには、専門性、継続性、安定性が必要です。民間活用で人件費が下がった、職員が定着しないなどの問題を放置したまま公的責任を果たせるのか、見解を伺います。
第二に、指定管理者の評価です。検討委員会には、民間評価事業者による評価が示されました。利用者からの質問や相談を受けるレファレンスの業務で経堂図書館の評価が高いことが注目されました。その中身は、PDCAサイクルの業務マニュアルを備え、スキル向上の取組をしている、直営館にはマニュアルがないということでした。しかし、これに対し、ある委員は、経堂図書館と直営館で同じ問いのレファレンスをしたところ、経堂では分からないと答えられず、直営館では、調査して後日回答してくれた。経堂図書館の評価が高いのは納得できないという指摘がありました。サービスの質や利用者の要求にどう応えているかという中身での評価が必要です。また、座席管理システムや、農大との地域連携イベントを民間ノウハウとして評価していますが、これが民間でなければできないものでしょうか。
こうした評価を基に民間活用の導入もやむを得ないとしていますが、過大評価、あくまで業者による評価であり、実際に図書館を利用する区民の評価がないことは問題です。区民を交えて評価する必要があります。見解を伺います。
第三に、図書館運営協議会です。図書館運営協議会は、図書館法に基づく図書館協議会を目指すことを求めています。住民参加で地域特性や住民要求を図書館サービスに反映することを盛り込み、その権限も明らかにすることです。図書館の民間事業者を構成員に加えるべきではありません。見直すべきです。見解を伺います。
次に、今国会で成立した健康保険法等の改定についてです。
今般の社会保障制度改悪の問題の第一は、七十五歳以上の高齢者の医療費窓口負担が二倍化、二割負担となることです。対象となるのは、単身世帯で年収二百万円以上、夫婦世帯では合計年収三百二十万円以上です。高齢者から、経済的負担が大変、二倍になったら医者に行けなくなるなどの声が寄せられています。窓口負担二倍化は受診抑制につながり、高齢者の命と健康に直結します。政府は現役世代の負担軽減を口実にしていますが、国会論戦でその額は月約三十円だと明らかになりました。
問題の第二は、都道府県の国保運営方針に法定外繰入れの解消など保険料値上げ圧力を定め、国保の保険料負担を増大させることです。自治体独自の法定外繰入れは保険料を抑える役割を果たしています。しかし、特別区は六年かけて繰入れを減らしていく方針です。今年はコロナ禍で保険料の値上げ幅を抑制しましたが、毎年値上げは続いています。国は、法定外繰入れ解消の圧力をかけていますが、国保の運営主体である自治体には自治権があり、法定外繰入れは禁止されているわけではありません。
区長は、これまで国保の負担軽減を区長会で取り上げ、国への要望書を出してきました。国保料、高齢者の医療費二倍化など、区長は区民への影響をどう認識しているか、また、国保の法定外繰入れの必要性と今後の継続を求め、区長の認識を伺います。
国が就学前児童の均等割の半額を軽減する措置を決めましたが、不十分です。区長は、国保の多子世帯への負担軽減など、区長会で取り上げ、国を動かしてきました。子どもの均等割の軽減やコロナ対策の減免について、国、都に拡充を求めるとともに、区独自の軽減を広げることを求めます。見解を伺います。
次に、保育について質問します。
保育待機児が二年連続ゼロとなりました。区の精力的な保育施設整備を評価します。しかし、自宅から二キロ以内に認可外の空きがあるという理由で待機児にカウントされない人が二百九十五人残されています。コロナ禍による経済状況悪化で今後保育需要が増加することも予測されます。引き続き分析を進め、今後の動向次第で整備を再開できるよう柔軟な対応をすべきです。見解を伺います。
今後の保育施策は、増加する保育施設での保育の質の向上、コロナ禍で孤立する家庭や虐待リスクなど、支援が必要な子どもや家庭への予防型施策、災害時や緊急時のセーフティーネット強化などの課題に取り組む必要があります。平成三十一年策定の「区立保育園の今後のあり方」では、これらの課題を踏まえ、区立園は、子どもの育ちのセーフティーネットの役割を行政の責任の下、担うと規定されました。再整備や定員見直しなどを検討するとしていますが、まず、子どもの育ちのセーフティーネットという公的責任をどう果たすかという観点で検討すべきです。見解を伺います。
コロナ感染対策で、保育現場はエッセンシャルワーカーとしてその役割を担ってきました。子どもに対しても、感染力、重症化リスクが高いとされる変異株の広がりで、保育現場や保護者からは保育士などへのワクチン接種を早く行ってほしいという声が上がっています。保育士などのエッセンシャルワーカーへのワクチン接種を優先して取り組むことを求めます。具体的方策や日程などを早急に示すことを求めます。見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 中里議員にお答えをいたします。
国民健康保険制度についてであります。
改正健康保険関連法は、今月四日に参議院本会議で可決、成立を見ています。主な改正点は、令和四年度後半から一定以上の所得のある後期高齢者の医療費自己負担割合を一割から二割に引き上げること。一方、国民健康保険加入の未就学児の保険料均等割を令和四年度より五割減額することなどが内容です。国保財政の決算補填目的の法定外繰入れは、早期の削減・解消が求められていますが、特別区長会では毎年この点について時間をかけた議論を行い、とりわけこの間、新型コロナ禍の経済状況等を踏まえて、令和三年度保険料算定に当たっては特別区統一保険料として毎年一%ずつ増やすことにしていた納付金の賦課総額参入割合を前年度と同一の九六%で維持することといたしまして、被保険者の負担を抑制いたしました。コロナ禍が厳しい経済状況、生活状況をつくり出していることに配慮して、当面は慎重な扱いが必要なものと思われます。
このたびの法改正に伴う医療費の負担割合増により高齢者が受診を控えることがないように、区としても注視していくとともに、今後も区民負担が急増しないよう、国保財政の運営に努めてまいります。また、国に対して子どもの均等割保険料軽減の対象年齢を拡充せよと、必要な制度改正をさらに求めてまいります。
◎舟波 地域行政部長 私からは、区民と行政サービスを結びつけるために地域行政をどう発展させるかについて御答弁を申し上げます。
高齢化やコミュニティーの希薄化が進む中においては、大規模な人口を擁する自治体として、地区や地域において区民と行政が近い関係の下に行政サービスやまちづくりを展開する地域行政がより重要になると認識してございます。地域行政の検討では、地区を重視した区民参加のまちづくりを図るため、地区の特性を生かした参加の機会づくりをさらに進めるとともに、デジタル・トランス・フォーメーションの考え方に基づくまちづくりセンターの行政サービスの見直しを検討の中心に置いております。
今般のワクチン接種予約の支援は、区民のニーズとマッチした取組の一例であり、日頃からの顔と顔の見える関係の重要性、区民同士のつながりを築くことの大切さを再認識する事例となりました。今後、デジタル化の進展に伴うICT利用が困難な区民の方への対面サービスの充実や、DXの推進による本庁や総合支所とつながる仕組みの導入などにより、より多くの方にまちづくりセンターを御利用いただけるよう、区民の視点に立った検討を進めてまいります。また、まちづくりセンター機能の強化などに合わせまして、職員育成や執行体制の見直しも検討してまいります。
以上でございます。
◎加賀谷
デジタル改革担当部長 私からは、DX推進によって職員体制による影響について御答弁いたします。
デジタル・トランス・フォーメーションは、デジタル技術の導入や活用をきっかけとしました行政システムの変革、変容により、デジタル化にとどまらず、区の将来のあるべき姿を見据えた業務改革の下に行っていかなければならないと認識してございます。DXの推進により、区民の行動や区職員の働き方が変わることで、そこから生み出されました時間やコストを区民に還元でき、身近な場所での相談業務の充実など、ICTの利用が困難な方も含めまして、さらなる区民サービスの向上につなげることができるものと考えてございます。
コロナ禍を教訓としました区民の視点や困り事に立ち返りながら、行政手続や区役所のデジタル化による業務の効率化を図り、区民により身近な地域課題への対応にシフトできる組織体制の見直しにつながるよう取り組んでまいります。
以上でございます。
◎内田 生涯学習部長 私からは、区立図書館について三点お答えいたします。
まず、安定雇用と図書館の公的責任についてです。
現在、指定管理者制度を導入している経堂図書館では、業務要求水準書に適正な労働環境と勤務条件を保持する旨を記載するとともに、毎月の業務報告における名簿等により勤務状況を確認しており、安定的な雇用が確保されていると考えています。また、指定管理料については、公契約条例に定める労働報酬下限額に基づき、毎年度協定により定め、指定管理者からの四半期ごとの収支報告で人件費についても確認しているところです。引き続き、こうした取組をより一層確実に実施することで、区立図書館の公共性のある安定的な運用を行ってまいります。
次に、区民を交えた評価についてです。
議員御指摘のとおり、区民を交えて評価することは重要であり、図書館運営体制あり方検討委員会でも、特に公募による区民委員から、利用者目線で御指摘や御意見をいただいたところです。今まで、民間評価事業者による第三者評価や、指定管理者自らが行う自己評価、教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価、利用者アンケートなど、様々な立場からの評価を実施してまいりました。
今後は、直営の図書館と民間活用した図書館の双方を対象とした魅力ある図書館づくりのより多面的な評価が必要と考えております。今後設置する(仮称)図書館運営協議会では、公募による区民や学識経験者、民間事業者など、多くの方に参画いただき、様々な視点から各図書館の運営状況等を評価してまいります。
最後に、(仮称)図書館運営協議会についてです。
直営の図書館と民間活用した図書館の双方において、区民や学識経験者等が運営やサービス水準を恒常的に評価していくガバナンスの仕組みとして、(仮称)図書館運営協議会を設置します。各図書館の運営状況等を的確に評価するために利用者の視点も踏まえた評価が重要であり、新たな図書館サービス導入の提案などの運営に関わるとともに、各図書館の運営状況を客観的に評価する役割を果たすものと考えております。(仮称)図書館運営協議会での意見や提案が図書館運営やサービス水準に反映されるように、図書館法の趣旨を踏まえながらガバナンス機能を十分に発揮できる体制と仕組みを検討してまいります。
以上でございます。
◎澁田
保健福祉政策部長 私からは、子どもの均等割の軽減や、コロナ対策の減免についてお答えいたします。
新型コロナ感染症流行の影響を受け、収入が一定程度以上減少した世帯を対象とした国民健康保険の保険料減免は、三月十二日の国からの通知で、今年度も引き続き同様の基準で減免を実施することとなりました。子どもの均等割軽減につきましては、令和四年度から未就学児を対象として実施される運びとなりましたが、当区といたしましても、子育て支援のためにも十分とは言えない内容だと考えております。対象年齢の拡充など、必要な制度改正を引き続き国に働きかけてまいります。
本来、国民健康保険は全国統一の制度であり、その制度上の課題は国が責任をもって対応すべきものであり、当区をはじめ特別区では、今年度の保険料率算定に当たり、区民負担を抑制する判断をいたしました。今後も引き続き、保険料等の急増が起こらないよう注意しながら、国保運営に努めてまいります。
以上でございます。
◎和田 保育部長 私からは、保育待機児について二点御答弁いたします。
まず、引き続き分析を進め、施設整備に柔軟に対応すべきについてお答えいたします。
区では、保育待機児がゼロになったこと、
新型コロナウイルス感染症の影響による保育需要の見通しが不透明なこと等から、来年度の新規施設整備について公募を実施せず、新たな区の人口推計等を踏まえ、本年九月に保育施設整備を含めた今後の保育施策の方向性を示すこととしております。
また、御指摘の自宅から三十分未満で登園可能な距離の保育施設等に空きがありながら入所できていない申込者の状況の分析について、昨年度同様に進めるとともに、来年度には、子ども・子育て支援計画調整計画の策定を予定していることから、将来的な保育需要の分析を進めてまいります。
これらを踏まえ、今後の保育需要にも柔軟に対応し、保育が必要な方には保育の提供ができるよう、引き続き保育待機児ゼロの継続に向けた取組と保育の質の充実に努めてまいります。
次に、区立園の定員見直しと子どもの育ちのセーフティーネットについてお答えいたします。
区では、昨年度に続き二年連続待機児童がゼロとなったことから、区立保育園の弾力化定員の解消を進めているところですが、併せて区立保育園の役割の強化にも努めております。具体的には、緊急保育の充実、保育ネット等の地域の保育施設のネットワークを構築し、各施設の相談支援に当たるほか、風水害時をはじめとする緊急時の体制整備などの取組を行っております。
今後もさらなる弾力化の解消を進め、現場で働く保育士がしっかりと子どもと向き合い、さらに子どもを中心とした質の高い保育を実践し、また同時に、今後も区立保育園が地域や地区における身近な児童福祉施設として、子どもの育ちのセーフティーネットとして役割を担っていけるよう取組を進めてまいります。
以上でございます。
◎久末
住民接種担当部長 私からは、保育士等のエッセンシャルワーカーの優先接種について御答弁申し上げます。
保育園や幼稚園、学校においては、日々保育士や教員等が感染対策に注力しながら教育、保育を行っています。多くの子どもたちと関わる中では、自然と接触する機会も多くなり、クラスター発生等にも注意が必要な環境となります。実際に変異株が広がり子どもの感染も増えている中で、保育士等への優先接種は必要であると認識しております。今後、職域での接種をはじめ様々な手法での接種が進む中で、御指摘の保育士をはじめとしたエッセンシャルワーカーの優先接種については、早期に区として考え方を取りまとめてまいります。
以上でございます。
◆二十三番(中里光夫 議員) 区立図書館の運営についてなんですけれども、経堂図書館では年間三分の一の職員、これは三十二人中十人程度が入れ替わるということなんです。これでなぜ安定していると言えるのでしょうか。そもそもこの三分の一も入れ替わってることが問題とならないことが、非常にそれ自体が問題だと思います。実際に起きている問題に対処せずに、前のめりに次の指定管理者導入を定めようとしている、決めようとしていますけれども、こういうやり方は区民の理解を得られない、こう思います。そのことを指摘して、質問を終わります。
○下山芳男 議長 以上で中里光夫議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、十九番津上仁志議員。
〔十九番津上仁志議員登壇〕(拍手)
◆十九番(津上仁志 議員) 質問通告に従い、順次質問してまいります。
まず初めに、高齢化の進む団地での対策について伺います。
都営住宅などは、周辺地域に比べると高齢化が進み、高齢者単身世帯、高齢者のみ世帯が非常に多くなっています。さらに、老朽化に伴う建て替えが行われ、団地自治運営の担い手不足に加え、従来あったコミュニティーの喪失も大きな課題となっています。そういう背景を踏まえ、私は、都営戸山ハイツの暮らしの保健室のように誰もが気軽に立ち寄れ、相談などができる場の創設とその必要性を求めてきました。
大阪府堺市の泉北ニュータウン内にある茶山台団地では、団地を活性化、再生させるため、住民がともにつくるとの方針の下、四年間にわたり住民との対話を重ね、そこから困り事や痛みを知り、それを一緒に解決する体制を築きました。困り事として、買物不便や孤立化などがあり、住民からの、総菜店やカフェがあると便利との声からNPOと住民が協働で店舗運営を行っています。
東京都では、都営住宅における買物弱者支援事業として団地敷地内で移動販売を行っており、区内では三か所の都営住宅で昭和女子大学やNPO法人などが移動販売を行っていますが、そこにコミュニティーが形成できる機能や要素を組み入れなければ、新たなつながりをつくることは困難と考えます。
そこで、大規模集合住宅における課題解決について二点質問いたします。
一点目に、都営下馬住宅では、建てかえ事業が間もなく終わり、高層化で空いた土地に区が整備を求めている高齢、障害施設などについて、東京都との協議が始まると聞いています。この創出用地については、団地特有の課題を解決できるよう、暮らしの保健室や茶山台団地のマルシェのような要素を整備計画に初めから組み入れるべきです。施設利用者だけでなく地域住民への支援につながるよう、創出用地の活用を図るべきと考えますが、区の見解を伺います。
二点目に、建て替えが終わった、または建て替えまで時間を要する都営住宅でも、買物支援などを求める声があります。東京都の買物弱者支援のような取組が進むよう、ニーズ調査を徹底し、実施を望む地域を見つけ出すなど、スケールメリットを出すことで参入する事業者を増やすこともできると考えます。住民と事業者を結びつけることも可能だと思います。区は団地の課題解消のため積極的に取り組むべきと考えますが、区の見解を伺います。
次に、区立公園の活用について伺います。
昨年二月、自治体SDGsモデル事業に選定された豊島区では、公園を核としたまちづくりと暮らしの中にある小さな公園の活用を公民連携による都市空間活用プロジェクトとして取り組んでおり、レストランカフェの設置、コスプレイベントやコンサートなどが開催できる広場運用、コミュニティー農園の運用や、新しく事業をしたい方が出店できる小型店舗の設置など、Park―PFIをはじめとする官民連携での取組を積極的に行い、維持管理コストを収益施設や広場使用料などで賄う取組を行っています。さらに住宅地など身近な場所にある公園では、公園を新たなコミュニティーの場に育てていくことを目的に、できないを話合いでできるに変える、図書館の本や絵本、遊具を運び、飲み物や焼き菓子などを提供するパークトラックの導入、イベントの開催など、住民との対話から様々な取組を生み出しています。
一方、世田谷区では、玉川野毛町公園拡張事業でPark―PFIなど官民連携の取組の検討が始まったものの、これまで求めてきた世田谷公園など、比較的規模の大きな既存公園でのPark―PFI導入などについては検討は行われておりません。また、公園改修時などにはワークショップを開催するなどしていますが、改修のための一時的な取組となっています。収益を出すとともに、身近な公園づくりに区民が協働で新たなサービスを生み出す取組も不可欠ではないでしょうか。
そこで二点質問いたします。
一点目に、区立公園を今後も維持し、拡張していくには、公共だけで担うのではなく、民間活用を進める必要があります。世田谷公園など比較的大きな公園については、カフェなどの収益施設を誘致し、その売上げを維持管理費に充当できるPark―PFIの導入など、改修の計画のない既存公園でも民間活用を進めるべきと考えますが、区の見解を求めます。
二点目に、暮らしの中にある小さな公園を活用するためには、ワークショップなどをきっかけに、やりたいことができる公園にしていくなどの取組を住民と行い、公園を中心に新たなコミュニティーを生み出せるような工夫を凝らすべきと考えますが、区の見解を伺います。
次に、旧池尻中学校跡地活用事業について伺います。
これまで校舎部分を利用し、ものづくり学校として十五年間運営をされてきましたが、インキュベーション施設と位置づけられているにもかかわらず、新たな産業の創出、区内での事業継続などにつながってはおりません。建物改修をきっかけに、校舎、体育館、グラウンドを一体的に活用し、新しい四つのコンセプトに基づいてサウンディング調査が行われます。
しかし、活用されるグラウンドでは、地元の児童生徒が所属する団体の活動や、池尻小学校も授業などで利用されています。また、体育館も、利用率はほかのスポーツ施設同様、九五%を超える非常に高い利用率となっており、選定された事業者が利用制限をした場合の影響は非常に大きいものとなります。
昨年十二月に続き、先日、住民説明会が行われましたが、グラウンドや体育館と一体的に整備する根拠や理由、利用が制限された場合の対応や代替案などについては全く示されない一方的なもので、参加者からは多くの不満の声が聞かれました。
選定される事業者次第などという無責任な対応ではなく、行政として既存施設利用者の活動を確保した上で、提案を受けるのが当然だと考えます。利用率が高く地域に不足するスポーツ施設を制限してまで実施する必要性と、その根拠を住民にしっかりと説明した上で、選定事業者に対しては利用団体の活動が継続できるよう求めるべきであり、利用が制限された場合には活動が継続できるよう支援すべきと考えますが、区の見解を伺います。
最後に、平和教育について伺います。
平和教育は、平和の根幹となる重要な取組であり、二度と戦争という悲劇を繰り返してはならないという観点からも、義務教育期間における平和教育を充実させていかなければならないと考えております。しかしながら、世田谷区の取組は、教育指導要領に基づき、社会科、道徳、国語の授業で取り扱われますが、教員ごとに指導内容は異なり、全児童生徒が主体的に取り組んでいる状況にはなっておりません。
私は、平成二十五年第三回定例会から、世田谷区として指導方法や内容を体系化し取り組むこと、世田谷平和資料館は子どもたちにこそ利用してもらえるよう工夫すべきと具体的に提案もしてきました。しかし、教育委員会からは、平和教育の充実に取り組むとの答弁はあったものの、学校での取組が変わることはなく、開設から六年が経過する平和資料館に至っては、施設利用は近隣の小中学校に限定され、中学校への巡回展は数年ごと、出前授業の実施も一年で数校の実施と、区立小中学校での利用が進んでいるとは言いがたい状況となっています。この状況が果たして大切な義務教育における充実した平和教育と言えるのでしょうか。
そこで二点質問いたします。
一点目に、平和資料館として平和教育にどう寄与できるのか、教育委員会と協議し進める必要があったと考えます。コロナ禍で集まることが困難な状況やタブレット端末が全児童生徒に配布されている現状を考えれば、戦争体験談などの映像や所蔵する資料などを観察できるよう、ネットでも閲覧できるよう整理するなどし、小中学校での活用が進むよう努力すべきと考えますが、区の見解を伺います。
二点目に、世田谷区では、学校ごとに取組や教育方法が異なっている平和教育を広島市、長崎市などのように発達段階に合わせ体系的に取り組めるよう、検討を進めるべきと考えますが、区の見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎澁田
保健福祉政策部長 私からは、都営下馬アパートの建て替え時の創出用地活用についてお答えさせていただきます。
都営下馬アパート建て替え事業に伴い、公益的施設等の整備に活用することができる用地が創出される予定でございます。区では、建て替え計画に対しまして、平成二十六年三月に、東京都が行う公共住宅建設に関連する地域開発要綱に基づき、創出用地に福祉施設の整備を要望し、二十六年九月に都から別途協議する旨の回答を得ております。今後の東京都との協議につきましては、建て替え工事等の進捗に合わせて調整を進めてまいります。
創出予定の用地の用途につきましては、今後、都が決定いたしますが、区の要望により福祉施設として活用される場合には、東京都や新たに整備される施設の整備・運営事業者に、施設利用者だけでなく団地住民や地域のニーズが取り入れられるよう要請をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎田中 経済産業部長 私からは三点、まず買物支援についてです。
買物支援につきましては、区内の都営住宅三か所で実施しており、本年五月からは都営喜多見二丁目アパートで、区内大学と連携した野菜の移動販売を始めました。昨年実施した区民意識調査の結果なども踏まえた上で、利用者や地域のニーズを総合支所と確認しながら、販売品目の拡充や新たな実施場所の検討を進めることで、区民の日常の買物の支援を行うとともに、地域のコミュニティーの活性化にも資するよう、取組を充実させていきたいと考えております。
また、現在見直しを進めている産業振興基本条例の改正素案においては、地域や社会の課題を産業の視点から解決するソーシャルビジネスの推進を重要な柱の一つとして掲げております。区民や事業者と連携協力し、地域や社会の課題の解決に取り組んでまいります。
次に、旧池尻中跡地活用について御答弁いたします。
社会課題を創造性とテクノロジーを用いて解決する起業家の育成や、未来の産業を担う人づくりに向けた取組を行う施設として、また、多くの区民に開かれた空間となるよう、基本コンセプトを策定しました。旧池尻中学校の校舎、校庭、体育館の各施設を一体的に活用することで、それぞれの機能が相互に連携した世田谷の新たな産業・学びの拠点を目指しています。教育委員会とも連携しながら、池尻小学校や、これまで施設を利用されていた方との対応も含め、新たな施設活用について理解が得られるよう取り組むとともに、広く多くの区民にメリットのある施設となるよう検討を進めてまいります。
次に、利用団体の活動の継続についてです。
基本コンセプトについて、本年六月四日に池尻小学校第二体育館にて、六月七日にオンラインにて説明会を実施し、近隣住民や学校施設を利用している方々から施設利用についての御意見をいただきました。なお、現在校庭や体育館を利用している団体等においては、過去の学校跡地活用事例を参考に、近隣の小中学校の状況を踏まえ、代替地の可能性についても確認、検討してまいります。
私からは以上です。
◎釘宮 みどり33推進担当部長 私からは、公園の活用につきまして二点御答弁申し上げます。
まず、既存公園でのPark―PFIについてです。
区は、世田谷みどり33の実現を目指し、新たな公園整備に取り組む一方で、現在六百十一か所ある既存公園の維持管理費の軽減や税外収入の確保は重要な視点であると認識しており、これまでもキッチンカー誘致など具体的な取組を進めてきております。
世田谷公園など比較的規模の大きい既存公園においては、Park―PFI活用などによる民間事業者誘致について、近隣住民や周辺店舗などへの配慮のほか、既存施設との取り合いや施設までの電気、水道などの供給設備の整備費用など課題があり、これまで公園の新設時に検討してきているのが現状でございます。
現在、基本計画を策定した玉川野毛町公園拡張事業においては、便益施設誘致に向け、サウンディング調査を再度行う予定としており、Park―PFIなどの手法も含めた官民連携の検討を進めているところでございます。
今後の既存公園への導入につきましては、これから実施する玉川野毛町公園での経験を基に既存公園で想定される課題などを踏まえつつ、順次様々な公園にも展開できるよう努めてまいります。
二点目として、小さな公園の活用についてです。
区では、瀬田四丁目旧小坂緑地や桜丘すみれば自然庭園など、身近な中小規模の公園において、大学やNPOなどとも連携し、自然観察会や維持管理ボランティアなどを実施してきたほか、プレーパークやプレーカー、エリアマネジメントなどの活動の場としても活用されております。また、移動販売車の誘致やシェアサイクルの社会実験など、民間活力も導入してきております。
しかしながら、これらの取組は、特定のエリアでの展開や地域に根づいた団体が主体となった者が多い上、まとまった情報として区民に向けて発信できていなかったことから、公園でやれることが広く知られていないのが現状かと思います。
区といたしましては、議員御紹介の豊島区の事例なども参考に、区立公園で行われてきた取組を事例としてまとめ、公園を活用したいと考える人たちに届くよう、ホームページなどの改良に取り組んでまいります。また、公園の使い方や課題、地域のニーズについても、皆で一緒に考えるきっかけとなるよう工夫し、今後のワークショップなどの場で活用できるよう作成してまいります。
以上でございます。
◎片桐
生活文化政策部長 私からは、平和資料館についてお答えいたします。
平和資料館では、交通の利便性などから、なかなか足を運べない区民に貴重な資料等を御覧いただくため、地域の区民センターや地区会館などを利用した地域巡回展を開催し、普及に努めているほか、区立の全中学校を対象とした巡回展を実施しております。
平和の尊さについて、多くの区民をはじめ次代を担う子どもたちに伝えていくことは大変重要であり、平和資料館にはその役割が求められています。過去を知り、現在を理解し、未来を展望するという平和資料館の事業目的を改めて念頭に置き、今後、教育委員会などと意見交換を図りながら、全小中学校を対象としたオンラインでの映像配信など、日常生活の中で子どもたちが平和を学び、考えるための実施手法について検討してまいります。
以上です。
◎粟井 教育政策部長 私からは、平和教育の体系化についてお答え申し上げます。
子どもたちが命の尊さを理解し、戦争のない世界平和を願う心を持つことは、当然のことながら、大変重要なことであると考えております。学校では、例えば、社会科の歴史分野で、広島、長崎への原爆投下や、その被害の大きさなどについて学習したり、国語科の読み物教材で戦争を背景にした内容を学習したりするなど、各教科等を通して平和を学ぶ取組を進めております。また、平和資料館職員による出前授業や平和資料館の所蔵する写真や資料を学校に展示する巡回展示の見学などを通じて、子どもたちは戦時下の世田谷の様子などを学んでいるところでございます。
平和資料館に訪問することが難しい遠方の学校におきましては、今後、タブレット端末を活用した授業のあり方を検討し、平和資料館と連携した取組を充実させてまいります。また、議員御指摘の体系化したプログラムにつきましては、今後、他の自治体の取組内容等を研究してまいりたいと思います。
以上でございます。
◆十九番(津上仁志 議員) 答弁ありがとうございました。何点か要望をさせていただきたいというふうに思います。
まず、団地なんですけれども、本当にいろんな課題が山積している状態なので、ぜひいろんな御意見を聞いて、東京都の事業なんかとも連携しながらやっていただきたいと思います。また、下馬は、これからいよいよ具体的に建物がどうなるかということになってきますので、住民との対話の場、これをしっかり設定して進めていただきたいというふうに思います。
平和資料館なんですけれども、もう六年経過して、これは当初から、できる前から、ずうっと教育委員会と連携をして進めてくださいというお話をしてきたんですけれども、結果はこういう状態でした。改めてまた連携して取り組まれるということですけれども、オンラインを使って検討するということなんですが、もうそうなると箱は要らないんじゃないかという議論も出てくるかとは思いますので、しっかり平和資料館のある意義というものを考えていただいて、教育委員会でも平和教育をしっかり進められるよう、研究と言わず、検討していただきたいと思います。
○下山芳男 議長 以上で津上仁志議員の質問は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後三時三十五分休憩
──────────────────
午後三時四十五分開議
○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
────────────────────
○下山芳男 議長 この際、議事の都合により、本日の会議時間をあらかじめ延長いたします。
────────────────────
○下山芳男 議長 一般質問を続けます。
二十九番高橋昭彦議員。
〔二十九番高橋昭彦議員登壇〕(拍手)
◆二十九番(高橋昭彦 議員) 久しぶりの壇上なものですから、なかなか、質問の仕方が忘れたかなという感じがするんですけど、通告に基づいて質問をしたいと思います。
まず一つ目、人と動物との共生について。
二年前、この一般質問で動物の命をつなぐネットワークと題して、福祉との連携で高齢者世帯でのペットについて質問をしたことがあります。それは、少子・高齢化、核家族化の進展によって、犬や猫などに安らぎや癒しを求めてペットを飼う家庭が増えてきている。また、高齢者にとって、心の支えや健康保持の面からも大切な役割を担っており、ペットは単なる愛玩動物ではなく、家族の一員、また、人生のパートナーとして欠かすことのできない存在になっています。
その一方で、動物の遺棄や虐待などが社会的な問題となっており、また、飼い主の不適切な飼育による近隣トラブル、具体的には、多頭飼育崩壊対策やひとり暮らし高齢者の入院や入所によるペットの置き去り、さらに、所有者のいない猫への無秩序な餌やりなど、人と動物との関わりが深くなるほど問題が多様化し、複雑化しています。
このような動物との共生社会の変化に京都市では、これまでの取組を検証し、新たな課題に対応すべく、第二期京都市動物愛護行動計画、京(みやこ)・どうぶつ共生プランを策定し、今年から二〇三〇年までの十年間の目標や指標を明確に示し、豊かな生活の実現を目指すとしています。
世田谷区において、この世田谷区にある計画、止まっている針をここで動かさなければいけないと感じております。ここで三点質問いたします。
飼育困難や虐待、多頭飼育など、区内の現状について、まずお聞かせください。
二点目は、世田谷区の動物との共生条例に基づく計画、人と動物との調和のとれた共生推進プランは、平成十七年に策定され、十五年経過しています。推進プランと名づけられた計画ですから、社会状況に合わせて年月を決めて見直し、目標も更新されていくべきと考えますが、区の課題認識を伺います。
三点目は、新たな課題に対応する第二期共生推進プラン策定の取組を進めるべきです。区の決意を伺います。
次に、地域行政制度について質問します。
地域行政推進条例の制定に向けて広く区民への説明や意見聴取を行うために、四月より岡田副区長を先頭に二十八のまちづくりセンターにおいて町会長会議で意見交換をされていると聞きます。今、地域からは、今回のワクチン接種予約サポートで、まちづくりセンターは区民の役に立つ身近な区役所であるとうれしい声が上がっていますけれども、条例制定を契機に、まちづくりセンターが区民の皆さんにとってさらに身近になって充実していきますとのメッセージが町会長へしっかり伝わることが大事であります。町会長会議での状況と様々いただいた意見を今後どのように生かしていくつもりなのか、まず伺いたいと思います。
前回、三月の議会で私から各地区それぞれのニーズや状況に合った防災対策について、まちづくりセンターの自由度、また、権限が重要と議論いたしました。今回は、地域包括ケア地区展開の地域行政制度の中での明確な位置づけについて質問したいと思ってます。
この四月から、高齢福祉計画や認知症希望計画などがスタートしています。本庁の所管部の作成ですけれども、計画を策定すればよしというわけではないと思います。高齢福祉の計画も地域行政制度の最前線である計画の地区展開こそが要なのだと僕は思います。福祉などの計画策定にはまちづくりセンターの役割が明確になってこそ、世田谷区が大事にしている地域行政制度になるのではないかと思います。
また、地域包括ケア地区展開で、もう一つは、子どもへの支援体制。地区における子どもへの支援は児童館が担い、二十八地区への配置も行う予定であったと思っています。児童館の二十八地区展開はどうなったのでしょうか。三者連携と言われますが、子ども支援の拠点、児童館も含めた四者連携をまちづくりセンターが担う体制を構築すべきであると考えます。あんすこや児童館が地区の町会長会議などと連携できることが町の安心につながります。まずは、できる地区からモデル実施でも始めるべきと考えます。地区展開について、高齢、福祉、子ども、それぞれどのように考えているのか伺いたい。
地区での課題、困り事の解決、地区での新しい取組、防災や地域包括ケアの地区展開など、現在のまちづくりセンターでの体制的には、まちづくりセンターの所長を中心とした充実が不可欠であります。どのように体制づくりを図っていくのか伺います。
次に、少子化対策、今後の子育て支援について伺います。
厚生労働省は、二〇二〇年人口動態統計を発表したと報道がありました。生まれた子どもの数、出生数は八十四万八百三十二人で五年連続の過去最少を更新したと。一人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率も一・三四で、五年連続で低下。死亡数から出生数を引いた人口の自然減は五十三万一千八百十六人となり、過去最大になりました。新型コロナ感染拡大が妊娠出産に影響している可能性があり、コロナ禍で少子化が加速する懸念も強まっているとの内容でした。
国においても、地方自治体においても、少子化対策、子育て支援は政策の根幹であり、少子化社会対策基本法に基づく五年間の施策の指針である政府の少子化社会対策大綱では、希望どおり子どもを持てた場合の出生率、希望出生率一・八を今後五年間で目指すと昨年決定をしています。大綱は、全ての子育て家庭が平常時、非常時を問わず、それぞれが必要とする支援にアクセスでき、安心して子どもを産み育てられる環境を整備すると明記しています。子育てに関する経済的支援、教育費負担の軽減を一層強化することが重要であることは明らかであります。
私たちは、世田谷区に対して四年前より、未来への投資、教育費負担軽減として、給食費の無償化や幼児教育の無償化、学童クラブの時間延長、休日夜間保育、児童館の整備拡充などを五つのテーマとして訴えてまいりました。今改めてコロナ後を見据えて、未来への投資への政策を進めるべきと考えます。特に世田谷区は、子ども・子育て応援都市宣言を区長の肝いりで行い、子育てするなら世田谷というイメージを確立したかなとも思います。その上で、産み育てやすい子育て・教育支援の推進について質問します。
まず、世田谷区の出生率の今後の見通しについてお聞きします。
二点目は、コロナ後を見据えた今後の未来への投資、子育て支援、教育費負担軽減のあり方についての決意を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎辻
世田谷保健所長 私からは、人と動物との共生について順次お答えいたします。
まず、飼育困難や動物虐待、多頭飼育の現状についてです。
現在、区内では、様々な理由によりペットが飼育できなくなることや、不妊去勢手術を施さなかったために適正な飼育ができないほどその数を増やしてしまう多頭飼育崩壊など、人と動物との共生をめぐる様々な課題が生じております。この中で多頭飼育崩壊につきましては、保健所では、昨年度二件の案件に対応しております。また、今年度は適正な飼育が困難になりつつあるケースを一件把握しており、現在、飼い主を訪問して状況確認を行うとともに、庁内関係各課をはじめ、東京都動物愛護相談センター、NPOやボランティア等と連携して解決に向けて対応しているところです。
次に、人と動物との調和のとれた共生推進プランの課題認識です。
区におきましては、平成十七年策定の世田谷区人と動物との調和のとれた共生推進プランに基づいて、人と動物との共生社会の実現を図るべく、様々な施策に取り組んでおりますが、御指摘のように策定から十五年が経過しており、人と動物とを取り巻く状況が変わっていると認識をしております。
例といたしましては、飼い主の高齢化や近隣との関係などの理由によりペットを飼育できなくなったケースや、多頭飼育崩壊の事例がございます。また、一昨年の台風十九号を契機に、各避難所においてブルーシートを敷き、ペットの収容スペースを設ける等の新たな取組が決まるなど、これまでになかった課題への対応も生じております。
こうしたことから、本プランにつきましては、高齢化や新しい生活様式など、コロナ禍の生活も踏まえた時代に即した内容に改める必要がございますので、今後見直しに向けて取り組んでまいります。
最後に、第二期共生推進プランへの取組についてです。
御紹介の京都市動物愛護行動計画は、多種多様化するペットを飼い主の心に潤いや癒しを与えるよき伴侶、家族の一員と捉え、人とともに暮らす社会を構築していくことを目指しており、区といたしましても参考になると考えております。
区におきましては、今年度、人と動物との共生推進のための連携協議会を新たに設置し、学識経験者、関係機関などから御意見をいただきながら、共生の推進についての課題を把握するとともに、その解決に向けて多面的に議論を進めていく予定です。人と動物との共生社会を推進するには、区民からの御理解と御協力が不可欠です。連携協議会からの意見なども踏まえ、人と動物の調和の取れた健康で豊かな生活環境の形成に向け、関係者と密に連携し、取り組んでまいります。
私からは以上です。
◎舟波 地域行政部長 私からは、地域行政の検討について二点御答弁申し上げます。
まず、各地区の町会長会議の状況とその内容の生かし方についてでございます。
(仮称)世田谷区地域行政推進条例に関する区民、活動団体等への説明の一環としまして、四月より各地区の町会長会議におきまして、条例の趣旨、目指すことなど、具体的な事例を挙げて御説明し、意見交換を行っております。
各地区では、地域活動への参加者や町会・自治会への加入者の減少、役員の後継者不足といった共通した課題が挙げられる中、条例の趣旨はよいが、どのようなことが変わっていくのか、条例制定により町会・自治会の負担が増えないか心配、また、広く住民に条例の趣旨を伝え、地域活動を促す取組を進めてほしいといった御意見をいただいております。また、まちづくりを担う地域人材の育成支援や集合住宅入居者や若い世代に地域に関心を持っていただくための取組、学校やPTAとの活動連携の必要性、ホームページやLINE、オンライン会議などの活用に向けた技術的な支援など、地区により様々な御意見をいただいております。
今後、意見を整理する中で、現行の施策と関連するものにつきましては、関係所管と連携して具体的な取組につなげてまいります。また、地域活動への参加の促進など、基本的な考え方や施策の方向性に関するものにつきましては、地域の活動団体や多世代の意見を伺う機会も設け、取組の具体策を検討し、条例や推進計画の策定に反映させ、地域行政改革につなげてまいります。
次に、まちづくりセンターの充実に合わせた体制づくりについてでございます。
地域コミュニティーが希薄化する中でも、身近なまちづくりを促進させるため、まちづくりセンターが地区のまちづくりのコーディネート役として、町会・自治会やNPO、民間事業者など、地域の特性を踏まえた関係者のネットワーク化やマッチングを積極的に進めることが求められていると考えております。その役割を果たすための必要な職員の人材育成やまちづくりセンターへの職員配置のあり方については、区の人材育成方針との関係やDXによる庁内の人員体制の見直し等も踏まえ、検討してまいります。
また、地域包括ケアの地区展開を担うあんしんすこやかセンターや社会福祉協議会の三者と児童館との連携、参加と協働による地域づくりから得られる地域人材との交流や協力、まちづくりアドバイザーの活用など、地域まちづくりを総合的に支援する仕組みづくりについて、総合支所の支援体制と併せて検討してまいります。
以上でございます。
◎澁田
保健福祉政策部長 私からは、福祉の計画にまちづくりセンターの役割を明確にし、また、児童館を含めた四者連携を、まちづくりセンターが担う体制を構築すべきという御質問にお答えいたします。
昨年度末に改定いたしました高齢者保健福祉計画やノーマライゼーションプランでは、地域包括ケアの地区展開の取組といたしまして、それぞれの分野の多様な専門機関があんしんすこやかセンターなど地区の三者と連携することで、地区での相談支援や社会資源開発を進めることとしております。また、子ども計画では、児童館を地区の相談支援や見守りネットワークの中核的役割を果たす機関と位置づけ、
地域子育て支援コーディネーターや地区社会福祉協議会との連携により、地区における子ども・子育ての地域資源開発を進め、現在二十五館ある児童館を二十八地区に再整備する方針としております。既に三者連携に児童館を加えた四者連携に取り組んでいる地区や、町会長会議に児童館やあんしんすこやかセンターなどが加わっている地区もございまして、先進的な取組を生かして連携を展開していく予定でございます。
現在、地域包括ケアの地区展開でのまちづくりセンターの役割は、相談窓口の充実、三者の連携調整、区民や活動団体との調整、支所や本庁との調整としております。今後、(仮称)地域行政推進条例や地域行政推進計画の検討におきまして、地域包括ケアの地区展開のさらなる推進に向けたまちづくりセンターの役割につきましても改めて整理検討し、お示しをしてまいります。
以上でございます。
◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、二点お答えいたします。
まず一点目、世田谷区の出生率の見通しについてです。
先般、国が発表した令和二年人口動態統計月報年計(概数)では、出生数が五年連続で過去最少を更新し、合計特殊出生率も五年連続で低下しております。区の出生数、合計特殊出生率については、平成二十八年まではともに増加傾向にありましたが、平成二十九年から減少に転じております。統計としてまとめている直近の令和元年度では、出生数が前年より五百三人減少し、六千八百六十八人、合計特殊出生率は前年より〇・〇六ポイント下がり一・〇一となっております。これは令和元年の国の一・三六、東京都の一・一五を共に下回っております。
区では、本年七月を目途に新たな人口推計を行うこととしており、子ども計画など中長期的な計画についてはその推計に基づいて策定することとしておりますが、これまでの区をはじめ国、都の少子化の傾向を踏まえますと、区の出生数、合計特殊出生率、共に大きく伸びることは難しいものと考えております。
次に、コロナ後を見据えた今後の子育て支援等のあり方についてお答えいたします。
区では、平成十三年十二月に世田谷区子ども条例を制定し、その推進計画として世田谷区子ども計画を策定し、安心して子どもを産み育てられる環境づくりに取り組んでまいりました。令和二年度からは、子ども計画第二期後期計画に基づき、妊娠期からの切れ目のない支援や、妊娠に関する費用助成、保育施設整備や在宅子育て家庭支援、多子世帯等への支援の充実などに総合的に取り組んでおります。
コロナ禍における外出自粛やテレワークの急速な普及などによる職住近接の進展や行動変容により、子どもを産み育てる環境や地域コミュニティーが変化してきていることから、来年度は、子ども・子育て支援事業計画の中間見直しとニーズ調査の実施を予定しております。
子どもが健やかに成長、自立でき、また、安心して子どもを産み育て、子育てに夢や喜びを感じることができる地域社会を区民と力を合わせて実現することを目指し、今後も世界全体の価値観や生活環境の変化を的確に捉え、効果的な施策について見直しを図りつつ、実施してまいります。
以上でございます。
◆二十九番(高橋昭彦 議員) それぞれ御答弁いただきましたけれども、出生率、妊娠の届出数が非常に下がったという状況があります。そしてまた、今回顕在化したのは、保育園のゼロから二の、要は欠員が非常に多く、八百人を超えた。このことをどう捉えるかだと思います。子育て支援を世田谷はちゃんとやっていますよと言うけれども、やっぱり子どもを産み育てやすい世田谷区に、本気になってやるんだという危機感というか、そういうことが大事だと思うんです。コロナ後、しっかりV字回復させていくぞというような、そういう思いがなければ駄目だと思うので、そういうところをちょっと、特に区長とか副区長は考えなきゃいけないと思うんだけれども、ちょっと決意を伺いたい。
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 高橋議員の再質問にお答えします。
確かに大変な勢いで出生数の減少が起きていますよね。これは、ただ、昨年から一年四か月続いているコロナ禍の中で世界中で見受けられることというふうにも聞いています。実際、最近でこそワクチンの接種が始まって、ある程度の普及の中で、少しずつ出口ですね。今までのこういったいわゆる別途自粛をしているような状態から変わっていくんじゃないかというところが見えていますけれども、この一年間、かなり先が見えない、あるいは仕事がなくなった、あるいは将来、大学もずっとリモートという鬱々とした状態でしたから、その時期に子どもをつくるのはちょっと待とうという皆さんもいらっしゃったことと思います。
保育園の欠員の話がございました。私、これからの時代、日本全国で急激に子どもが増えるなんていうことはありえない。ありえないけれども、これ以上減らさずに少しでも、まずは横ばい、そして、だんだんと子どもたちが増えていく。やっぱり子どもが生まれて子どもに関わって、育てて、それをみんなでサポートしていくことが非常に幸せなんだと。実際私、そう思いますので。というと、その保育園が今ありますけれども、例えば、産後ケアセンターを見ると、やっぱり大人気なんですね。今まで以上になかなか予約が取れないというふうに聞いています。我々母子保健法の改正を国会議員の先生方にもロビー活動して、いわゆる議連の説明会などにもお邪魔して、やりました。だけど、まだ全国で増えていないんですね。
やはりこの世田谷区で、いわゆる妊娠期から乳幼児期、そして就学前、そして学校に通う、一つながりのネウボラと言っていますけれども、さらに強化して徹底的に子育て支援をやる。ぜひ、子どもをみんなで、世田谷で、サポートしていこうよと、こういう大転換、これをしっかり行っていきたいと決意をしております。
◆二十九番(高橋昭彦 議員) 大転換、がっつりやりましょう。しっかり少子化対策、教育負担軽減、そして子育て支援、思いっきり世田谷区が力を入れたなと言えるような形にしなきゃ駄目ですよ。よろしくお願いします。
○下山芳男 議長 以上で高橋昭彦議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、二十二番中山みずほ議員。
〔二十二番中山みずほ登壇〕(拍手)
◆二十二番(中山みずほ 議員) 質問を始めます。
まず初めに、デジタル改革関連六法を受けた区のDX推進と個人情報保護について伺います。
デジタル庁設置や個人情報保護法改正を盛り込んだデジタル改革関連六法が、五月十二日、参院本会議で可決成立しました。この法律には、昨年十二月に総務省から示された自治体DX推進計画の司令塔としての役目が設定されています。この法律を取りまとめる過程において、官邸からオープン・透明、公平・倫理、安心・安全、迅速・柔軟などの十の基本原則が示され、これらの原則にのっとりながら事業計画が進められていくものと考えます。今回は本年度策定予定の世田谷区DX推進計画案を進める上で特に重要と考える原則、迅速・柔軟や安心・安全に関わる点について伺います。
スモールスタート及びトライ・アンド・エラー型業務の選び方や進め方については、さきの特別委員会でも質問いたしましたが、いただいている御答弁だけでは具体的なイメージがつきませんでした。いわゆる役所が得意とする、しっかりと計画を立て、それに沿って実行していく方法以外の仕事の進め方がここでは必要になると考えます。これはDX推進に限らず、このたびのコロナ対策や激甚災害のような不測の事態への対応にも必要な思考であり、今、役所に最も求められているものではないかと考えます。区の見解を伺います。
また、そのためには、外部人材登用や庁内の人材育成が重要となるわけですが、実際には外部人材や民間がもたらすスキルやマインドシフトを具体的にどのような仕組み、仕掛けを通じて庁内全体へ浸透させるのでしょうか、見解を伺います。
次に、基本原則、安心安全に関わる個人情報保護のあり方について伺います。
本年五月十九日に公布されたデジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律により、個人情報の保護に関する法律が改正されました。この法律の改正に関して、区はどのように対応する予定でしょうか、伺います。
また、クラウドサービスの利活用は急激に増大しています。現在の区の個人情報保護条例では、第十八条にある回線結合の条文に倣い、審議会に諮問する形で対応されていますが、DX推進を進める上では時代に即した条例のあり方の検討も必要ではないかと考えます。とはいえ、プライバシー保護への対応は必須であることも確かであり、この両立をどう図るのか、区の見解を伺います。
次に、区のSDGsの取組について伺います。
世田谷区政において、SDGsの考え方は大きな位置を占めつつあります。SDGsは、そもそも普遍性、包摂性、参画性、透明性、統合性という五つの主要原則を軸として、持続可能な開発を行うことを理念としています。この五つの原則は、十七のゴールの設定の上位概念として示されているものです。
他の自治体の事例を見ると、ただ十七のゴールを事務事業へ機械的に当てはめたものや、目標を議論せず、複数のゴールを組み合わせただけのものが散見されます。これは、ただパズル合わせのようなもので、SDGsの本質的な意義を見失うことになると私は懸念しています。世間では、上辺だけのSDGsをやゆするSDGsウオッシュなる言葉もあります。これらの状況を踏まえ、区としてのSDGsの進め方について確認いたします。
まず、今後の区政運営及び新しい施策・事業を検討する際には、国連のSDGs実施指針における前文や主要原則など、いわゆるSDGsの理念に基づいて組み立てていくべきと考えますが、区の見解を伺います。
また、今後の実施計画において、五つの原則など理念を理解した上で、誰にも分かるようにそのことを示すことが必要と考えます。さらには、各所管、区民、事業者などとの分野横断的な取組も求められます。その際の具体的な進め方について伺います。
次に、二〇三〇年までのCO2等排出量削減目標の見直しについて伺います。
世田谷区は、二〇一八年に世田谷区地球温暖化対策地域推進計画を策定し、二〇三〇年度には、二〇一三年度比で温室効果ガス二六・三%の削減としています。また、昨年十月に気候非常事態宣言を行い、二〇五〇年までにCO2排出量実質ゼロを目指すこととしました。国も同時期に二〇五〇年までに実質ゼロを目指すことを菅総理が宣言しています。さらに、日本政府は、二〇二一年四月二十二日、二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標、NDCを二〇一三年度比で四六%減すると発表しました。一方、欧州連合では、二〇三〇年、五五%減を掲げ、パリ協定離脱から復活したアメリカのバイデン政権も、早速、オバマ政権が掲げた目標から二倍近く、五〇%と大幅に削減目標を引き上げました。
そのような中、四六%削減目標で、日本の国際社会における責任は十分なのかという疑問の声も上がっています。国際研究機関、クライメート・アクション・トラッカーによれば、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて一・五度に抑えるというパリ協定での目標達成のためには、日本の温室効果ガスは二〇三〇年までに六二%の削減が必要だとしています。また、長野県では、先週、六月八日に日本の脱炭素化をリードする野心的な削減目標、二〇三〇年までに六〇%減を目指すとリリースされました。
こうした国内外の動きを見ますと、世田谷区の現在の計画、二〇三〇年度二六・三%減では全く足りないことは明らかです。今現在示されている世田谷区の計画によると、今年二〇二一年度は、関連する計画の見直し段階にあり、二年後の二〇二三年四月より新計画施行と示されていますが、これでは遅過ぎます。この点は、昨日の他会派の代表質問や本日の一般質問でも指摘がありましたが、私も同様の思いであります。
環境政策で全国的にリーダーシップを取ってきた世田谷区においては、二〇三〇年のCO2等排出削減目標の計画を前倒しで引き上げるべきと考えますが、区の見解を伺います。
また、環境省は、二〇五〇年までの脱炭素社会実現に向け、今年の夏にもカーボンニュートラル担当審議官の局長級ポストを新設する方向で調整していると発表しています。そして、地方自治体への支援や、他省庁との連携を強めるため、体制を整備すると示されました。一方、現在の区の主要な環境政策体制としては、環境政策部、みどり33推進担当部、清掃・リサイクル部など、関連事業に関わる所管が点在している状況です。二十三区初のゼロカーボンシティーを宣言した世田谷区として、一丸となって強力に取り組むためにも、区長直轄のプロジェクトチームのような組織が必要と考えます。区の見解を伺います。
最後に、特別支援学級におけるICT教育について伺います。
五月十五日に行われた教育委員会主催の保護者向けオンラインセミナーは、千件以上の事前申し込みがあったと聞いています。また、アーカイブの閲覧数も八千六百ビューを超えているという状況は、保護者のICT教育への関心の高さを表していると考えます。一人一台タブレット配布により、家ではユーチューブばかり見ているが大丈夫なのか、また、最低限のフィルタリングで問題ないのかといった保護者の不安の声に対しても、このセミナーでは教育長自らが世田谷区のICT教育における方向性、ビジョンを示したことで、一定の理解が促されたと感じました。また、この方針、ビジョンに関しては、東京新聞でも取り上げられ、専門家からも好意的に評価されておりました。引き続きのセミナー開催を期待しております。
一方、私のもとには、特別支援におけるICT教育はどうなってるのかという声が複数届いています。誰一人取り残さない教育において、同時に進めていく必要があると考えます。特別支援学級におけるICTの利活用をどのように考えているでしょうか。一人一人の特性に応じたアプリの利活用などを検討すべきではないでしょうか。区の見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 中山議員にお答えいたします。
世田谷区のCO2排出削減目標について、庁内体制について御意見がございました。
近年、地球温暖化の影響と考えられる気象異変が頻発をして、各地で甚大な被害が発生しております。この気候危機への対策と行動は待ったなしの状況であります。この状況を脱するため、世田谷区では、昨年十月に気候非常事態宣言とともに、二〇五〇年に二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すことを表明し、宣言を踏まえ、地球温暖化対策地域推進計画の改定に着手し、現在、部長級で構成される環境共生推進会議等を通じて全庁で進捗状況を把握しているところでございます。
地球温暖化と気候危機の影響を最も受けるのは子どもたちの世代です。私は、区民参加の真ん中に子どもたち、若者たちを明確に位置づけ、真剣な議論を積み上げ、ロードマップを作成して、計画に反映させていきたいと思います。
先日、区内の皆さんからこの世田谷区の宣言に対して、お話にもあった二〇三〇年六二%削減をという要請を熱い思いとともに受け取りました。野心的なCO2排出削減目標に挑み、これを達成するために、御指摘のように、さらに強力な推進体制を構築することが必要だと考えており、全庁各領域、各部がまさに当事者となって目標を立てて行動する。そして、区民の皆さん、事業者の皆さんとともに意見交換をし、知恵を出し合って具体的に成果を上げていく。まずは環境政策部を核として関係部署が一丸となって気候変動への対策を具体的に展開できるように体制を構築いたしまして、今後のステップアップを準備していきたいと考えます。
以上です。
◎加賀谷
デジタル改革担当部長 私からは、DX推進に関しまして御答弁いたします。
デジタル・トランス・フォーメーションは、単にデジタル化を目指すものではなく、行政組織そのものを変革していく認識の下、推進方針を示してございます。コロナ禍を契機に区民ニーズへの即時性がこれまで以上に求められる中、これまでのように入念な計画立案による業務改善等に加えまして、走りながら小さな積み重ねを繰り返し検証し、改善を重ねていく手法もケースによっては必要になると考えてございます。
まずはスモールスタートとして、電子申請の拡充や会議、相談等のオンライン環境の導入を図り、トライ・アンド・エラーを積み重ねながら業務フローの見直しにつなげてまいります。
あわせまして、DXを推進する上で重要な鍵となるデジタル人材の確保育成につきましても、職員の育成には一定の時間も必要であり、まずは先進的な知識、経験を有する民間企業も含めた幅広い分野の外部人材の力も借りながら、職員の意識改革やDXスキルの向上に努めてまいります。
以上でございます。
◎加賀谷 政策経営部長 私からは、SDGsの取組に関しまして二点御答弁いたします。
初めに、SDGsの理念を踏まえた施策展開についてでございます。
SDGsの十七のゴールと百六十九のターゲットを掲げました持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダでは、その前文におきまして、世界を持続的かつ強靭な道筋に移行させるために緊急に必要な大胆かつ変革的な手段を取ることを決意していると述べてございます。議員お話しの国のSDGs実施方針で掲げられました普遍性、包摂性、参画型、統合性、透明性という五つの主要原則につきましては、SDGsを推進するに当たりまして、優先課題や分野にかかわらず適用される原則であると示されてございます。区がSDGsの推進を通じて持続可能な区政運営を実現するためには、前文や主要原則など、SDGsの理念をきちんと踏まえ、各施策を組み立てていくものと考えてございます。
また、国の実施方針におきましては、地方公共団体の役割としまして、行政計画へのSDGsの反映や進捗管理、取組の成果の測定等が求められてございます。区では、まずは次期実施計画にSDGsの理念を反映させ、取組を加速させてまいります。
二点目としまして、分野横断的な取組の具体的な進め方についてでございます。
SDGsの十七のゴールや百六十九のターゲットは不可分なものであり、相互の関係性や相乗効果を重視し、有機的に連動させ、実施すべきものと認識してございます。また、区がSDGsを推進していくに当たりまして、領域や組織を超えた横断的な連携が欠かせないものと考えてございます。
区では、この間、基本計画で掲げたマッチングといたしまして、庁内横断的な連絡会を立ち上げるなど、ひとり親家庭支援や子どもの貧困対策等、複数の領域や所管部が関わり、共有し、課題に取り組んでまいりました。次期実施計画におきましては、領域横断的連携や、区民、事業者等との参加と協働により推進する施策を計画に位置づける予定であり、SDGsも意識して分野横断的な施策展開をさらに進めてまいります。
以上でございます。
◎池田 総務部長 私からは、個人情報保護に関する取組について御答弁いたします。
本年五月十九日に公布されましたデジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律により、個人情報の保護に関する法律が改正され、地方自治体に関連する部分につきましては、公布の日から起算して二年を超えない範囲で施行される予定となっております。
御指摘のとおり、行政サービスにおいても、インターネット回線の利用など、外部との回線結合が区民サービスの提供に欠かせないものとなっており、その状況も踏まえた中で、個人情報を適切に保護するための制度設計が必要であると考えております。
区といたしましては、関係する政令、省令や、国が今後示すとしているガイドラインの内容に関する情報収集に努め、新しい法律に基づく区の情報公開制度や個人情報保護制度の取扱いにつきまして、情報公開・個人情報保護審議会からの御意見を伺いながら検討を進めてまいります。
以上でございます。
◎清水 環境政策部長 私からは、CO2等排出量削減目標についてお答えいたします。
地球温暖化対策地域推進計画改定に当たって、二〇三〇年度までの今後約十年間の中期目標をどのように設定するのかは大変重要な課題であると認識しています。計画改定までの検討期間の中では、審議会をはじめ、区民、事業者の皆さんからも、区民ワークショップなどの機会を捉え、広く御意見をいただき、十分に御議論を尽くしていただいた上で、具体的な施策をお示しし、適切な中期目標を定めてまいります。また、その間にもできることから着手し、啓発用リーフレットの作成、配布による区民事業者との危機意識の共有や、区自身の率先行動をアップデートするなどの取組を加速してまいります。
以上です。
◎粟井 教育政策部長 私からは、特別支援学級におけるICTの利活用についてお答え申し上げます。
先日のオンラインセミナーでは、保護者から特別支援教育におけるICTの有効活用に期待する声が教育委員会に寄せられております。タブレットは、視覚的に見やすい、音声の入出力ができる、文字や画像などの情報を編集しやすいなど、障害の特性に応じた効果的な学習を可能とし、特別支援学級においても、理科の植物の観察にタブレットを活用したり、ドリル系アプリで個人の進度に合わせた学習を実施したりしております。
今年度は、デジタル教材を活用した授業効果を検証する研究校を選定し、一人一人の特性に応じたアプリの有効性や効果的な場面での活用方法など、学校現場に即した実践的な研究に取り組んでいるところです。なお、特別支援学級におけるICT教育の取組については、教育推進会議等の機会を捉え、保護者や区民の皆様に発信する予定でございます。
以上でございます。
◆二十二番(中山みずほ 議員) デジタル・トランス・フォーメーション、このトランスフォーメーションという言葉は大変強い言葉です。SDGsにおいても、このトランスフォーメーションが本質的なところです。
私たちは、今、SDGsと総称しておりますけれども、国連加盟国百九十七か国が採択したのは、トランスフォーミング・アワー・ワールド、いわゆるここにもトランスフォームという言葉が使われております。チェンジではなくトランスフォームというのは大変強い言葉です。チェンジはただ色が変わるだけ、トランスフォームというのは原形をとどめないほど変わるという意味があります。ぜひ、気候変動においてもこのゴールの中に含まれておりますので、早く目標を決めて、野心的な取組をしていただきたいとお願いして、私からの質問を終わりにします。
○下山芳男 議長 以上で中山みずほ議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、十七番阿久津皇議員。
〔十七番阿久津皇議員登壇〕(拍手)
◆十七番(阿久津皇 議員) 通告に従い、順次質問してまいります。
内閣府が先月十八日に発表した二〇二〇年度のGDPは、実質の伸び率がマイナス四・六%となり、リーマンショックが起きた二〇〇八年度のマイナス三・六%を超え、戦後最大の下落となりました。併せて発表した今年一―三月期のGDPは前期比年率でマイナス五・一%、特にGDPの半分以上を占める個人消費は一月に出された緊急事態宣言の影響で飲食や宿泊関連が落ち込み、マイナス一・四%となりました。四―六月期についても、三度目の緊急事態宣言の影響で伸び悩みが確実と見られ、エコノミストの予測も下方修正が相次いでおり、一―三月期よりもさらに下落するとの観測が強まっています。
特に今般の緊急事態宣言では、飲食への対策が強化され、時短営業に加えて酒類の提供禁止が要請されています。飲食業や関連する業種への影響は大きく、区内においても、いよいよ飲食店や卸業者の倒産、廃業が見られるようになり、対策が急務です。区においては、事業者への支援や消費喚起策を様々行っているところではありますが、何よりも大切なのは、しっかりとした感染対策をしている分野に関して、どんどん経済活動再開の後押しをしていくということです。
こうした中、各自治体で取組が進んでいるのが、感染防止対策を行っている飲食店を自治体が認証し、インセンティブを与える第三者認証制度です。政府においては、各都道府県知事に対し、一部自治体で成果を上げている第三者認証制度を導入するよう事務連絡が出され、認証を取得した店舗に対しては時短営業の要請を緩和するなど、インセンティブを検討している自治体も出てきています。
一方、東京都においては、セルフチェックによる感染拡大防止ステッカーの発行にとどまり、その信頼性が乏しい上、飲食店に対しては、防止策を徹底した店舗に対してもそうでない店舗に対しても一律で時短営業と酒類提供の禁止が要請される、そのような不合理とも言える状況が続いています。
区民の安心安全を守り、区内産業を守るといった観点から、また、シフトを減らされているパート、アルバイトといった非正規労働者を支援するといった観点からも、第三者による認証制度を都に先んじて講じ、適切な対策が施されている飲食店に対して時短要請の緩和を都に求めるなど、インセンティブを与える世田谷モデルを構築し、都を押しする施策の実現を求めます。見解を伺います。
次に、砧小学校の改築について伺います。
砧小学校の改築については、昨年度のプロポーザルの不調を受け、事業費の見直しにより大幅な増額となったことから、改築計画そのものが見直されることとなりました。砧小学校は、敷地北東側の通学路の安全確保、敷地内崖地の安全確保、児童数増への対応など課題が多く、平成二十七年度に改築校として選定されました。しかしながら、今般の見直しによって工事着工は当初予定より五年以上遅れることとなり、今後のスケジュールについては改めて示すとされました。この間、子どもたちの安全、地域の方々の安全が毀損され続けています。
一方、地域では、大蔵団地の建て替えが進み、(仮称)コーシャハイム大蔵は第一期工事が本年度中に竣工、来年春には三百八十一戸を募集の予定です。二〇三〇年度には全千二百六十四世帯が整備され、砧小学校の改築の完了を待たずに百名近い児童が増えることが見込まれます。
区においては、工事手法や積算の甘さを反省する一方で、生徒や地域の安心安全を守るためにも、これ以上遅滞することのないよう、計画の確実な進捗を求めます。見解を伺います。
次に、中学校の歴史教科書の再採択について伺います。
小中学校の教科書は、原則として四年に一回、検定及び採択替えが行われますが、中学校の歴史教科書において、一昨年度の検定、昨年度の採択替えの後に一社追加で検定合格となりました。
文部科学省は、今年三月、都道府県の教育委員会などに、採択替えを行うことも可能とした上で、新たに発行されることとなった図書について調査研究を行うこととする通知を出しました。検定に合格した出版社に対する公平性と、子どもたちの教育環境のさらなる充実といった観点から、追加で合格となった教科書についても研究、評価を行い、再採択の手続きを通じて、必要であれば採択替えを行う必要があると考えます。教育委員会に見解を伺います。
次に、安心安全なオリンピック・パラリンピックの開催について伺います。
昨日発表のNHK世論調査によると、東京二〇二〇大会の開催について、これまでと同様に行う、三%、観客の数を制限して行う、三二%、無観客で行う、二九%と、合わせて六四%の方が何らかの形での開催を支持しており、中止すべきという方は五月の調査から一八%減少して三一%と、開幕が近づくにつれ、開催を心待ちにする方が増えています。
一方で、東京二〇二〇大会の開催により、新型コロナの感染拡大に不安を感じる区民もまだまだ多くいらっしゃることも事実です。同じNHKの調査では、東京大会を開催する意義や感染対策について、政府や組織委員会などの説明に、大いに納得している、ある程度納得しているが合わせて二五%、対して、あまり納得していない、全く納得していないが合わせて六九%と、主催側の説明不足が明らかです。逆に言えば、納得のいく説明がなされれば、不安の解消をする方も多いと考えられ、馬術競技を開催し、参加国で最大規模となるアメリカ選手団のキャンプを誘致した世田谷区においては、区民の不安をできる限り解消することが責務であると考えます。
以下伺います。
東京二〇二〇大会開催による区民の最大の不安は、海外から訪れる選手団や関係者による感染の拡大です。選手、関係者と区民との接触の制限、感染症対策について伺います。
また、有観客となった場合、馬事公苑には九千三百人収容のスタンドがあり、全国から延べ数万人が来区されることとなります。馬術競技の会場となる馬事公苑での感染対策についてお聞かせください。
一方で、来日される選手、関係者の方々にとっては、欧米と比較して感染者数は少なく減少傾向にあるとはいえ、ワクチン接種が比較的遅れている日本に来訪することへの不安があることも報道にあるとおりです。特に四年に一回のオリンピック・パラリンピックという最大の舞台において、金メダル争いに最も近いであろうアメリカ選手団への感染リスクはどのように防ぐのか、伺います。
また、一部には、東京二〇二〇大会の中止を訴えてデモ等の活動を行う方々もあり、無許可のデモや私有地への立入りなど行き過ぎた行為も報道されているところです。会場周辺にお住まいの方々からも不安の声が寄せられています。七月九日には聖火リレーも控えており、テロも含めた会場周辺での安全対策について伺います。
また、コロナ禍によって区民の期待したアメリカ選手団のホストタウンとしてのおもてなし事業や選手との交流は軒並み中止となりました。USOPCと交流事業を今後どのように行っていくのか伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎田中 経済産業部長 私からは、飲食店の支援について御答弁いたします。
飲食店での第三者認証制度について、東京都は、コロナ対策リーダーの仕組みを維持すると聞いております。東京都に先んじて区独自に実施せよとのお話ですが、区内飲食店は四千店を超えており、また、休業や時短営業の中で、認証のために訪問点検することは困難であることなどから、実効性のある独自の認証を迅速に行うことは難しいと考えております。
しかしながら、飲食店の支援は重要であり、商店街の若手店主からも、黙食やマスク会食を推進する飲食店にせたがやPayを活用してインセンティブを付与する提案もいただいており、実現に向けて検討をしています。今後も、飲食店の感染対策と営業活動の両面から支援できるよう、様々な全国事例の調査と検討をしてまいります。
私からは以上です。
◎知久 教育総務部長 私からは、砧小学校の改築計画についてお答えいたします。
令和二年二月に改築基本構想を取りまとめた砧小学校につきましては、昨年度に実施した設計施工一括発注方式による事業者選定プロポーザルの不調に伴い、擁壁の再構築手法など再検討を進めてまいりました。その結果、事業費が基本構想策定時と比べ約八億円の増額が見込まれたことから、今後の財政負担への影響を鑑み、今年度予定していた基本設計等を延期し、施設規模の再精査及び整備手法の再検証と幼稚園の改築計画の見直しを進めることといたしました。
一方で、砧小学校は、御指摘にもございました大蔵団地の建て替え等に伴う将来の児童数の増加が見込まれていることや、敷地の一部が土砂災害特別警戒区域に指定され、安全性の確保からも最優先に整備する必要があるものと認識をしております。教育委員会といたしましては、早期再開に着手できるよう、課題の整理に向けて鋭意取り組んでまいります。
以上でございます。
◎粟井 教育政策部長 私からは、教科書の再採択につきましてお答え申し上げます。
令和三年三月、文部科学省より新たに検定を経た中学校用教科書がある旨が公表され、採択の対象となることが判明いたしました。一度採択をした教科書は次の採択までの四年間、同じものを採択しなくてはなりませんが、新たに検定を経た教科書については採択替えを行うことも可能であり、採択権者である教育委員会の判断となります。
現在、学校では採択した教科書に沿った年間指導計画を作成して学習を進めており、採択替えを行う場合は一年間で教科書を変えることによる生徒や教員に与える影響を考慮する必要があります。一方、新たに検定を経た教科書が採択を受ける機会が失われるということで、公平性を欠くのではないかという指摘もございます。教育委員会といたしましては、以上のことを踏まえまして、採択替えを行うか否かも含めて今後検討してまいります。
以上でございます。
◎内田
スポーツ推進部長 私からは、オリンピック・パラリンピックにつきまして順次御答弁申し上げます。
初めに、感染症対策です。
東京二〇二〇大会のプレイブック等に記載されました基本的事項を基に、感染防止対策をまとめた受入れマニュアルを作成し、感染防止対策を行うことになってございます。大蔵運動場のキャンプ会場は、一部フェンスを設置して、アメリカオリンピック・
パラリンピック委員会が占有するエリアを明確に分け、IDを付与された関係者以外の立入りを制限し、消毒の徹底、飛沫対策、換気、三密回避の対策を講じてまいります。また、選手をはじめ海外からの渡航者の行動範囲は、宿泊場所、大会会場、練習会場など、事前に認められた場所のみに制限され、移動手段は専用車両のみとなるため、選手との接触は一部の関係者に限定をされます。
次に、アメリカ選手団の安全の確保についてでございます。
受入れ側といたしまして、選手等との接触の機会を減らすため、キャンプ期間中は、コミュニケーションアプリを導入し、区職員、キャンプボランティア、アメリカオリンピック・
パラリンピック委員会スタッフとが、対面せずに連絡を取り合う対策を取ります。さらに、国の感染症対策をまとめたガイドラインに基づきまして、やむを得ず選手と一定の接触があるスタッフは、定期的な検査と十四日前からの健康観察を行い、選手が安全にキャンプ会場を利用できるよう、感染リスクを減らす体制づくりに取り組んでまいります。
次に、観客の感染症対策でございます。
東京二〇二〇大会の国内の観客数につきましては、組織委員会が国内のスポーツイベントの規制に準じて今月中に示される予定でございます。観客に関する感染症対策は、組織委員会、国、東京都の三者で検討されていますが、基本的な感染防止対策実施の呼びかけに加え、フィジカルディスタンスの確保等の検討が挙げられております。馬事公苑につきましては、観客入場時における検温実施、選手、厩務員、獣医などの関係者の動線と観客の動線を明確に区分し、待機列の密集抑制策などが講じられます。
区といたしましては、基本的な感染症対策を確実に実施するとともに、組織委員会や東京都等の関係部署と連携し、今月改定予定の東京二〇二〇大会プレイブック等に沿って安全で安心な大会の実現に取り組んでまいります。
次に、テロなどのセキュリティー対策でございます。
東京二〇二〇大会につきましては、
新型コロナウイルス感染症の拡大を背景といたしまして、様々な事象を想定する必要があると認識をしております。
区ではセキュリティーの対策につきまして、例えばアメリカ選手団キャンプの実施に向けては、地元警察署、消防署とのセキュリティー会議を重ね、警察が二十四時間体制にて警備するなど、有事の際の対応を協議してまいりました。また、聖火リレーにつきましても、警備計画策定に向け、取りまとめとなる東京都や警視庁、所轄警察署と協議をしてまいりました。大会期間中は警察関係者とさらに連携を深め、有事にあっても速やかに適切な対応が取れるよう準備を進めてまいります。
最後に、USOPCとの交流事業の今後の展開でございます。
区は、キャンプをきっかけにアメリカのホストタウンとして登録され、これまでアメリカ選手との様々の交流事業を行ってまいりました。現在は、当初予定しておりました対面式の交流事業が実施できず、
新型コロナウイルスの影響で東京二〇二〇大会に対する不安の声も寄せられておりますが、区といたしましては、感染防止対策に万全を期し、関係者が一丸となってキャンプを成功させることで、アメリカと世田谷の交流が今後も続き、レガシーにつながると考えております。今後は、新しい生活様式に対応した交流の検討に加え、感染が落ち着いた時期を見据え、選手と触れ合い、少しでも多くの子どもたちへ、スポーツの魅力、夢や希望を与える貴重な体験の場を創出してまいります。
以上でございます。
◆十七番(阿久津皇 議員) 安全安心なオリンピックの開催について区長に再質問いたします。
来日される選手団や観客に対して、それぞれマニュアルを作ったり、アプリを通じたりして、きっちりとした感染対策をされていることはよく分かりましたけれども、それでもやっぱり不安に感じる区民の方は多くて、そういった方々に対する説明は幾らしてもし切れないのだと思うんです。馬術大会を開催し、また、アメリカ選手団を受け入れる自治体の長とあって、間違ってもその不安をあおるようなことはぜひしてほしくないですし、そういった不安を感じている方々に対して、安全に大会を実施します、安心してくださいと、その不安を解消するような、そういったメッセージを、ぜひツイッターなんかも活用して発信していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 阿久津議員の再質問にお答えをいたします。
東京二〇二〇大会について、私が開催の可否を判断する立場にはございませんが、一方、区内で行われる聖火リレー、アメリカ事前キャンプ、また、馬事公苑競技、これらについては感染防止対策に万全を期して、なおかつ、今お話があったように、区民に対してその取組の内容について、あるいは具体について、説明を尽くす必要があると認識をしております。
オリンピック・パラリンピックのあり方について御質問で紹介されたように、厳しい世論もあり、大会まであと一か月余りの時点となっておりますが、今後、感染リスクに対しての専門家の意見も踏まえ、リスクを最小化することを望んでおります。区として、区内と区民に関わることについて、感染拡大防止のため細心の注意を払い、役割を果たしてまいります。
招集挨拶で申し上げたとおり、アメリカオリンピック・
パラリンピック委員会をはじめ、東京都や組織委員会の関係機関と密に連携を取りながら、感染防止対策を徹底して準備を進めてまいります。
◆十七番(阿久津皇 議員) 今、区長おっしゃったように、説明する責任は本当にあると思いますし、しっかりとその責任を果たしていただきたいと思います。
また、第三者認証制度についてなんですけれども、実施はなかなか難しいということですけれども、先ほど答弁であったせたがやPayの活用でインセンティブを与えるということは、マスク会食を推奨したところにはインセンティブを与えるといったことです。そういったことをしたら、店舗側にとっては、いわゆるお客様の目というか、ちゃんとこの店はやっているのかなみたいなところで、お店にとっては最大の第三者による認証というものが働くと思いますので、しっかりとした合理的な対応を取っていただきたいとお願いします。
終わります。
○下山芳男 議長 以上で阿久津皇議員の質問は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後四時五十三分休憩
──────────────────
午後五時五分開議
○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を続けます。
八番つるみけんご議員。
〔八番つるみけんご議員登壇〕(拍手)
◆八番(つるみけんご 議員) 通告に基づき、質問いたします。
初めに、区の基本的姿勢について二点伺います。
まず、各種政策・施策における基本的方針とセーフティーネットのバランスに対する区の基本的な考え方について伺います。
保坂区長は、これまで就任以来、若者ないし子ども政策においては、何よりもまずセーフティーネットの構築、例えば児童相談所や若者対策などのセーフティーネットの構築を重視し、実行されています。九十二万区民の生活を支える上で、セーフティーネットが極めて重要な仕組みであることは言うまでもありません。しかし、緊急時対応、臨時的対応としてのセーフティーネットは、本来区のあらゆる政策において区が目指すあるべき姿を実現するための安全ネットであり、この本来のあるべき姿の追求とセーフティーネット整備はバランスを取っていくべきものです。
さて、現在の区はそのバランスが取れているのでしょうか。現在の区は、子ども・若者対策には、まずセーフティーネット構築に全力を挙げて取り組まれているのに、一方で、別の分野、例えば認知症の方々に対する対応については、セーフティーネットの整備を考えず、基本的方針である見守りや理解促進といった地域づくりを極端に優先し、あるべきセーフティーネットの構築がなされていないのです。
各種政策・施策における基本的方針とセーフティーネットのそれぞれの役割とその位置づけ、全体的なバランスの中で相互の関係を構築するには、区全体として描くあるべき姿から逆算して設計したきめ細やかな制度とその間をつなぐ高度な調整が必要であると考えます。あまりにも一方を優先した対応は、地域社会の発展を阻害し、混乱を招く可能性があるのではないでしょうか。区としての基本的考え方を伺います。
次に、いわゆる検討委員会行政の問題についてです。
区は、地域行政検討委員会や認知症施策評価委員会など様々な委員会を設けて、専門家や区民の御意見を聞いておられます。専門的見地から御意見をいただき、それを政策・施策に反映していくことは極めて重要です。しかし、最終的な政策判断は当然区が行政として責任を持って決断をしていくべきものです。しかしながら、昨今の地域行政検討委員会や認知症施策評価委員会の議事録をつぶさに見ますと、委員会における区の姿勢からは、政策・施策の検討の方向性そのものを委員会に委ねているように見受けられます。まずは、各種委員会において御助言をいただく前に、区はそれぞれの政策・施策において自らあるべき姿を明確に描くべきです。今のままでは区政が検討委員会によって運営されていると言われかねません。区の姿勢を改めるべきです。見解を伺います。
次に、
教育総合センターのあり方について伺います。
世田谷区では、本年十二月にいよいよ
教育総合センターが開設します。その運営計画では、冒頭に、一人一人が自分の可能性を信じ、夢や希望を持ち、たくましく生きてほしいという願いの下、子ども支援、保護者支援、教育支援の機能を持つ学びのステーションとして開設する旨が記されており、区の教育ビジョンにおける基本的な考え方である、一人一人の多様な個性・能力を伸ばし、社会をたくましく生き抜く力を育むということをより一層力強く実現していくことを期待しております。
しかしながら、運営計画に記されている重点事業の中身を見ますと、研究機能や研修機能、相談窓口機能、不登校支援、特別支援などの支援機能やセーフティーネットとしての
教育総合センターの役割が特に強調されており、区の教育の基本的方針とも言える本来的な教育ビジョンの実現と、世田谷の教育の土台づくりにおいて、新たな
教育総合センターがどのような役割を果たしていこうとされているのかが見えてこないことは残念でなりません。
所管とのやり取りの中では、この運営計画からは見えてこないような、一人一人の多様な個性・能力を伸ばし生き抜く力を育むための具体的な取組や、より大きな
教育総合センターの役割を将来的な絵図として描いておられるように見受けられました。
現在示されている運営計画は、本来、教育委員会が目指す
教育総合センターのあるべき姿が十分に反映されていると言えるのでしょうか。
教育総合センターが支援施設の枠を超えて、全ての子どもたちにとって学びのステーションとなるよう、開設を前に教育委員会が目指す教育のあるべき姿とその実現に向けて、
教育総合センターが担う役割をいま一度整理し、区民に明らかにすべきです。見解を伺います。
次に、認知症施策の推進について三点伺います。
まずは、認知症施策評価委員会のあり方についてです。
これまで議会で取り上げてきた認知症の損害賠償保険補償制度は、先日新聞で大きく取り上げられ、東京都昭島市でも導入がなされました。三年前から積極的に検討すると言われていた区長は、昨年十一月の定例会で本制度について、近く行われる検討委員会で御本人、御家族の声を聞きながら判断すると答弁されました。しかしながら、その直後、十二月に開かれた第一回世田谷区認知症施策評価委員会の議事録によれば、本制度に関して、御本人、御家族の御発言は一切なく、区側からの問いかけもありませんでした。果たして、評価委員会及びそれに係る部会において、御本人、御家族の発言の機会が十分に保障されていたのか、会として民主的な運営がなされていたのか、非常に疑問が残ります。
区は、事務局として、御本人、御家族の率直な御意見に耳を傾ける民主的運営がなされていたと捉えているのか、見解を伺います。
二点目に、評価委員会における区の姿勢について伺います。
十二月に行われた第一回部会において、認知症の方の御家族が、賠償責任について訴訟をする家族の負担のことを考えると、そういう取組を入れてくださろうとしている区の方の気持ちは本当にありがたいと発言されたことに対し、ある委員が、別に区の方がお考えになったんじゃなくて、区議会議員の方がおっしゃったので、それをしっかり考えないといけないのですと発言されたとされています。
また、第三回部会においては、ある委員から、前に担当課長さんに何でそれを言うのと言ったら、区議会議員の中にそういうことを言う人がいることと、それが広まりつつあるからというお答えだったと発言されています。疑問です。区の考えは一体どこにあるのですか。こうした姿勢こそ、まさに検討委員会行政と言わざるを得ません。さらに第三回部会において、ある委員より、区議会議員の皆々様が了承してくれるようなものをつくるというのでは本末転倒ではないかとの発言がありました。
委員の方がどのような御発言をされることも自由であり、この御発言自体を否定する意図は全くもってありません。しかしながら、区が自身の方向性を示さず、議員が言っているからといって検討を促し、結果として、区の姿勢が、あたかも区議会議員対専門家の対立構造のような状況を生み出してしまったことは、極めて深刻な問題であると考えます。区の見解を問います。
最後に、区長が先頭に立っておよそ三年にわたって検討してこられたこの認知症の損害賠償保険補償制度の導入の可否について伺います。
全国では多くの自治体が、本制度の導入に踏み切っており、世の中は確実に大きく動き出しています。福祉先進都市世田谷として、区長のリーダーシップの下、認知症の損害賠償保険の補償制度の導入を決断すべきです。見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎加賀谷 政策経営部長 私からは、区の基本的姿勢につきまして二点御答弁いたします。
初めに、セーフティーネットの区のバランスについてでございます。
生活保護などのいわゆるセーフティーネット施策につきましては、基本的には国の責任と財源で行うものであると考えておりますが、その上で、区が行う施策としましては、地域の実情を把握し、国の制度でカバーできない部分につきましてきめ細かい対応を行うことが求められていると認識してございます。区で行っているセーフティーネットに関連した施策としましては、例えば生活保護の予防策として、自立相談や就労相談といった事業を行ってございます。また、コロナ禍において昨年度実施しました生活困窮世帯へのお米の給付などは、国や都の制度の対象外であった高校生世代の子どもがいる世帯にも対象を拡大し、緊急対応として行ったものでございます。
区としての予防の取組により、困難な状況に陥る手前の策をしっかりと構築するとともに、区民の安全と安心を守るために必要な場合には緊急臨時的に対応するなど、バランスを意識して施策を展開しているところでございます。
次に、検討委員会の運営に係る区の姿勢についてでございます。
区におきましては、基本的な方針や重要な計画などを策定する際、検討委員会を設置する場合がございますが、このような委員会の場は、区民委員から区民目線での意見をいただくとともに、学識経験者等有識者の方々から専門的な見識を得られる貴重な機会であると認識しております。御指摘の検討委員会については、区が施策の組み立てを進める上で、区の実態や区民ニーズ等を踏まえて課題や考え方を示し、テーマに沿った意見交換を進めるべく、事務局である区としても適切な運営を心がける必要がございます。施策の決定に当たりましては、検討委員会の意見を考慮し、議会での御議論もいただきながら、区民福祉の向上のために区としてしっかりと判断してまいります。
以上でございます。
◎粟井 教育政策部長 私からは、
教育総合センターのあり方についてお答え申し上げます。
今年三月に策定いたしました
教育総合センター運営計画は、平成二十九年に策定したセンター構想に基づいて策定しております。このため、センターの目指すあるべき姿を示したセンター構想と、センターの具体的取組を示した運営計画とを合わせて
教育総合センター運営における計画と考えております。
また、教育は時代の変化とともに常に変わっていく必要があると考えております。三月にセンターの具体的取組を示した運営計画をお示ししましたが、この取組にとどまることなく、引き続き、社会の変化に応じた見直しを進めていく予定でございます。運営計画は、第二次教育ビジョンの調整計画が令和四年度から五年度に計画されていることから、運営計画の内容については、必要に応じて修正を加えた上で、調整計画、またその次の次期教育ビジョンに引き継いでまいります。区議会及び区民の皆様には、その調整計画やその先の次期教育ビジョン等の策定の過程でお示しし、御意見をいただきながら策定をしてまいります。
以上でございます。
◎長岡 高齢福祉部長 私からは、認知症施策の推進について三点お答えいたします。
まず、認知症施策評価委員会のあり方についてです。
認知症の御本人、御家族の意見は大変重要と認識しておりますが、条例制定後、認知症損害賠償保険に関しましては、第一回目の部会以外お話を伺うことができませんでした。第一回目の部会では、認知症の御本人からは、損害賠償保険につきまして、家族が少しでも助かるのであればよいと思う。また、御家族からは、区民全体の見守り体制や、スーパーや、いろいろな人たちが支えるということのほうが今は大事で、その上で保険があったらよい。また、ほかの方では、賠償責任について訴訟をする家族の負担のことを考えると、そういう取組を入れてくださろうとしている区の方の気持ちは本当にありがたいなと思います。でも、どちらともなどの意見を伺いました。
前年度の評価委員会では、損害賠償保険について議論するに至らなかったものの、区として重要なテーマと考えており、引き続き熟議が必要であると考えております。今後は、認知症施策評価委員会や部会の中で、損害賠償保険について、御本人や御家族を含めた委員が忌憚なく発言し、議論できる会議の運営や雰囲気づくりに一層努めてまいります。
次に、認知症施策評価委員会における区の姿勢についてお答えいたします。
損害賠償保険は、重要な課題のうちの一つとして認識しており、認知症施策評価委員会においても区から次のような説明をしております。既に全国で約五十の自治体、東京二十三区においても三区が導入しております。本区においても、議会等から導入に向けた御要望もございまして、特に本日は御本人様もお見えですので、皆様の御意見をお聞かせいただきたいというふうな説明をしております。
区といたしましては、認知症施策評価委員会及びその下に設置する部会において、認知症の御本人や御家族から、当事者や区民の目線での御意見をいただくとともに、学識経験者等有識者の方々から、区の施策の裏づけとなる専門的な知見を得る貴重な機会であると認識しております。こうした機会をより有効に機能させていただくためには、何より各委員が忌憚なく意見を表明できる会議の運営がなされていることはもとより、いただいた御意見や御議論を踏まえ、さらに議会とも御議論を重ね、最終的には区として財政状況や費用対効果などを考慮して、計画化、施策化の判断をすることが必要と考えております。今後も、評価委員会、部会、また議会での活発な御議論をいただき、検討を進めてまいります。
最後に、損害賠償保険制度の導入についてお答えいたします。
認知症施策評価委員会において、御本人、御家族、学識経験者等の意見により、御意見を伺う中で区としては新しい認知症観への転換を図りながら、地域の見守りネットワーク体制が根づき、一層強化していくことで、認知症の方が安心して安全に暮らすことができる地域づくりをまずは優先して取り組むこととしたところです。今後は、この事故を未然に防ぐ地域づくりを進め、進捗状況を確認していくとともに、既に賠償保険を導入した先行自治体での実績を含めた実施状況を調査し、賠償保険制度導入に関する課題について取りまとめ、認知症施策評価委員会においてお示しし、具体的に意見を伺いながら、議論を深めてまいります。
以上です。
◆八番(つるみけんご 議員) 二点、再質問いたします。
まず、
教育総合センターについてですが、今の御答弁では、やはりこの新たな
教育総合センターの全体像が見えません。厳しい社会状況の中で多額の経費を費やした施設がこれまでの施策事業の寄せ集めとその延長にしか見えないとしたら、教育委員会の努力が足りないと言わざるを得ません。教育委員会は、この新たなセンターの役割の重要性を区民に明らかにしなければなりません。
一人一人の子どもの成長を支え、自立を助け、一人一人が社会の中でそれぞれの花を咲かせられるような世田谷の教育を実現するための基礎となるべき機能こそが求められているはずです。これは教育そのものであり、この実現に向けて
教育総合センターが担う役割と具体的取組内容を現在作成しておられる調整計画にしっかりと明記し、実現への担保とすべきです。責任者である教育長のお考えを伺います。
もう一点、認知症の損害賠償補償制度についてですけれども、区は、以前の御答弁で、制度を導入すれば認知症の人は事故を起こす可能性があるといったマイナスイメージを助長するのではないかと危惧する声をいただいていると言われました。それが、評価委員会でもお話が出ております。しかし、これはやらない理由には全くなりません。このマイナスイメージを払拭していくことこそ、今、行政の果たすべき役割であるはずです。検討委員会の御意見とは別に、区としての考え方が一向に示されない、このことが問題だと考えております。保坂区長、区としてのお考えはないのでしょうか、お答えください。
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 つるみ議員の再質問にお答えをいたします。
認知症損害賠償保険について、昨年議決をいただきました認知症とともに生きる希望条例に基づいて、行政が施策の一つとして実施する場合、損害補償という事後対応だけではなくて、地域の取組を補完する仕組みとして十分な議論が必要であると認識をしております。
御質問の中でありましたように、検討委員会で確かに話し合いますと、私、申し上げました。それが時間が取れなかったり、あるいは時間が非常に短かったりということは事実でありまして、その点は賠償制度の議論が十分できなかったというところを率直に認めたいと思います。御本人の御意見の紹介もありましたが、ちょっと断片的でもありました。
検討項目はそれだけ多くて、そこに多くの時間を費やし、相当遅くまでかかってしまったということで、高齢の認知症の御本人もいらっしゃるという配慮からそうなってしまったわけで、この議論はしっかり続けていきます。そして、所管答弁にもあったように、神戸市をはじめいろんなスタイルで導入がされています。ここ二年、三年のいわば成果実績はどうなのか、どういう議論になっているのか、そこを十分調査した上で、所管の調査と提案とともに、最終的に私自身がこれは判断をしてまいりたいと思います。
◎渡部 教育長 再質問にお答えします。
議員お話しのとおり、
教育総合センターの役割が見えにくくなっているとしたら、これについてはしっかりと対応していかなければならないと考えています。子どもたちの成長に欠かせない主体性や自己有用感などを育むためには、教育現場を中から外へ開き、教育界以外の多くの視点をも取り入れ、推進する基盤となるのが
教育総合センターであると考えます。コロナ禍で教育現場が大きく変化している中で、可能性を秘めた施設であり、多くの方々とともにこの新センターを発展させていくのも教育委員会の役割であると考えております。
今年度は、第二次世田谷区教育ビジョン・第二期行動計画最終年であり、令和四年、五年の調整計画作成の年になっておりますので、従来の運営計画の充実にとどまらず、センターの位置づけ、役割、今後の展開などを調整計画に組み込んでまいります。
以上でございます。
◆八番(つるみけんご 議員) 以上で終わります。
○下山芳男 議長 以上でつるみけんご議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、四十七番田中優子議員。
〔四十七番田中優子議員登壇〕(拍手)
◆四十七番(田中優子 議員) 質問を始めます。
私は、これまで複数回にわたり、ひきこもり、八〇五〇問題を議会で取り上げてまいりました。ここ数年、世田谷区でも中高年を含めた多様なひきこもり支援に力を入れてきていることは承知しております。しかしながら、厚労省の調査事業で、全国ひきこもり家族会連合会が毎年実施している全国実態アンケートによりますと、二〇一九年度までの数年間で、支援を中断したことがあると回答した人が、家族、本人ともに五割前後と高い水準となっています。
公的支援を信用できなくなった方々の中には、不登校やひきこもりの自立支援を掲げる民間団体に頼るという方もいます。しかし、そのような民間団体には適正な基準や法的規制がないため、数々のトラブルが発生しています。特に、ひきこもりの再生をうたった引き出し屋と称するビジネスのトラブル、これは大変深刻です。高額な費用の請求だけでなく、預けた子が放置され、遺体で見つかったという事件まであります。職員による性加害事件もあります。非人道的なことが起こっているというのです。
まず伺いますが、この引き出し屋の問題について、区はどのように認識しているかお答えください。
また、このような悪質な民間団体につながらないよう相談者に伝える必要があると思いますが、区ではどのように啓発しているかお答えください。
さらに、相談に関わる全てのスタッフに悪質な被害を周知し、情報を共有することが必要だと考えます。引き出し屋の実態を現場の職員は理解しているでしょうか。最悪の事態に陥らないよう、引き出し屋のような民間施設の利用を検討する相談者がもしいたら、まず注意喚起を促していただきたいです。関係所管それぞれにおける対策についてお答えください。
次に、ほっとスクールの運営に係る評価検証について伺います。
二〇一七年二月に施行された教育機会確保法から四年半がたち、学校以外での学びの機会の場としてフリースクール等が法的に位置づけられ、子どもの居場所も多様な形で増えつつあります。世田谷区では、現在、心理的理由などにより不登校の状態にある児童生徒の居場所として、城山、尾山台、希望丘の三か所の教育支援センター、ほっとスクールを展開しています。そのうち、二〇一九年二月に新設されたほっとスクール希望丘は、初めて民間委託で運営されていますが、施設が新しいということや、フリースクールの運営で実績のあるNPO法人東京シューレが運営を担っているということもあり、大変好評です。
ただ、この法人をめぐっては手放しで喜べない極めて深刻な負の実績もあることが分かってきています。傘下にある同法人系列の宿泊型施設において、一九九八年度から二〇〇〇年度までの長期にわたり、職員が利用者の女子生徒に対して繰り返し性的加害を犯していたのです。同法人は二〇一六年に裁判を提起され、二〇一九年七月に和解となりましたが、その事実を公表したのは二〇二〇年二月になってからでした。世田谷区との委託契約は、この事実が伏せられている段階で行われています。当事者同士の紛争は、裁判の和解という形で決着していますが、なぜ起きたのか、組織は性暴力にどう対応してきたのかといった大変重要なことが未解明のままであります。現在第三者検証が行われているということですが、解明には時間がかかると表明されています。
まず伺いますが、ほっとスクール希望丘の委託先である東京シューレの問題について、区はどう捉えているでしょうか。
この性加害の問題が大きく報じられ、同法人が加害事実を公表した際、私は教育委員会にお尋ねしましたが、そのときは、事件が起きたのは別団体であり、同法人はしっかりガイドラインを作成しているため問題ないという回答でした。別団体ではなく同系列の団体だったのです。
今回改めてほっとスクール希望丘の委託業者をどのように選定したのか、選定メンバーの構成や区としての選定基準は策定しているのか、対象となる事業者はどのくらいあったのか等について伺います。
また、ほっとスクールは子どもたちにとって安全で安心な場所でなければなりません。そのためには、常日頃からスタッフの研修が必要であると考えますが、質の確保のための評価検証はどのように行われているでしょうか、お答えください。
最後に、保坂展人さん個人ツイッターについて取り上げさせていただきます。
世田谷区長である保坂展人氏といえば、フォロワー数十万人以上という絶対的な存在感で、圧倒的な発信力をお持ちです。発信力があれば影響力も多大で、それだけにツイート内容については人一倍正確性が求められます。だからこそ、これまでに何回も保坂展人さん個人ツイッター、以下保坂ツイッターとさせていただきますが、それについて議会で会派を挙げて問題点を指摘させていただいております。
しかし、残念なことに、間違ったことをツイートして、それを指摘されても、直さない、謝らないということが続いています。その代表的なものとして、二〇一九年十月、多大な被害をもたらした台風十九号の際、一番大事な避難情報に関して、保坂区長は区の危機管理室の公式ツイートと違うことをツイートしていたにもかかわらず、その明らかな間違いを議会で指摘しても、認めない、謝らないという態度を貫いておられました。考え方の違いとか、意見の相違というものではなく、事実誤認であるにもかかわらずです。
そして、今回もまた、お騒がせツイートがありました。それは、昨日の他会派の代表質問でも取り上げられていましたが、五月八日八時一分の保坂ツイッターであります。ある機関からファイザー社のワクチン期限が六月末まで、そこまでに打ち終わらないと使えなくなるという相談を受けている。一体出荷はいつだったのだろうというツイートであります。
この謎のツイートに対し多くの方々から疑問のコメントが寄せられました。ある機関って何、このツイートは一体何を意図しているのか、医療従事者の方からデマの指摘が相次いでいますよ等々。
ここでまず伺いますが、区長、このツイートのある機関とはどこですか。また、医療従事者の方からデマの指摘がなされていたというお騒がせの状況について、どうお考えでしょうか。
このツイートのことで、私にもどういうことなのか追求していただきたいとコメントやメールが来ましたが、区に確認したら、区に対しても疑問や苦情の声が幾つも届いたとのことでした。そして、それに対する区の回答がまた波紋を呼びました。御意見をいただきました保坂展人個人のツイッターにつきましては、申し訳ございませんが、区では関与しておりません。いただいた御意見につきましては本人にお伝えいたします。これは、広報広聴課長名の区としての正式な回答です。こんな回答を出さざるをえない自治体がほかにあるでしょうか。区職員の皆さんの御苦労というか、苦悩というか、気の毒なくらいひしひしと私には伝わってきました。
しかも、先月はちょうどワクチン接種の予約が始まり、電話もファクスもインターネットもつながらないと問合せが殺到していた大変な時期でありました。保坂区長は、保坂ツイッターの問題で区職員に余計な仕事をさせていることに何も感じないのでしょうか。
この回答を見た区民の方々は、当然ながらみんな怒っています。呆れています。ガバナンスがなっていないと。そこで私、本日、区民を代表して改善を求めさせていただきたいと思います。
こちらは保坂区長の個人ツイッターですね。保坂展人、ツイッターの青バッジがついています。そして、ここに世田谷区長と、まず一番最初に書かれているわけですね。世田谷区長なんですから、これを取り下げろとは申しません。そんなことは言いません。ただ、せめて、世田谷区が認めた区長としての公式アカウントではないんですよということが、この中に表明されているべきではないかということが、今回の提案でございます。
例えば、こちらは文京区長をされている成澤廣修氏のツイッターなんですけれども、文京区長をしています、でも、このツイッターは個人管理ですと、きちんとこういう断りを入れてるんですね。その一言があるとないとでは大違いだと思います。そうすれば、区長の発信だと区民が誤解してしまわないように、何か言っても、随分と区職員に無駄な負担をかけたり、区民を怒らせたりすることが軽減されるのではないかと思います。保坂区長の誠実さが問われていると思いますが、区長、いかがでしょうか。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 田中議員にお答えをいたします。
御指摘のツイートにつきましては、六月末の期限のファイザー製ワクチンが無駄になるかもしれないという情報を得て発信したものでありまして、詳細な情報元については、差し支えがありますので、ある機関と表記をさせていただきました。この内容、謎と言われました。謎解きを申し上げます。
五月十四日に特別区長会が開催されました。その場で私は、三月に医療機関、基本型接種施設に配付されたファイザー社のワクチンに六月末で使用期限を迎えるものがある。東京都の予約システムが二週間停止し予約も滞ったことから、期限切れを迎える心配の声がある。そして、区長会に本件も含めてお呼びした東京都のワクチン接種の調整担当者に、医療機関同士の調整や住民接種での活用も含めて、無駄にしないように調整を図ってくださいと、このように要請しました。
直ちにその夜、東京都福祉保健局の担当部から、この基本型接種施設、連携型施設の医療機関に対して、医療従事者向けワクチンの接種に係る協力依頼についてと、こういった通知が出て、ワクチンに余剰がある場合は、連携型施設や地区医師会と連携し、地域の医療従事者に接種するようにと促し、なお、余剰がある場合は東京都で調整します、こういう文書が流れました。これによって、六月末期限のワクチンも有効に無駄にしないで活用することができたというわけです。
新型コロナウイルス感染症に関する区民の声は昨年三月から急増しておりまして、議員御指摘の区のホームページやツイッター等以外の御意見、この場合は私のツイッターに対する意見ということですが、区民の声として区に届いた場合は、御紹介の文面で、事案にかかわらず同様に対応しているということになります。
もう一つ、御提案をいただきました。成澤さんも親しくさせていただいていますが、成澤区長のような断り書きを入れるべきではないかということです。私もフォロワー数の多い首長のツイッターを見てみましたが、例えば大阪府知事の吉村さん、特にそういう断り書きはありません。いろいろ見ますけれども、この断り書きというのは初めてです。こういうスタンスでツイッターを始められたのだなというふうに思います。
私のツイッターについて、これはちょっと混同しますが、公式ツイッターですね。公式というのは、区が当然認めていないです。この公式というのは、ツイッター社が、私は偽物じゃない、なりすましじゃないということを認めた、認証したということがこのブルーバッジなんですね。なので、公式ツイッターと、こういうふうに言います。
公式ホームページという言い方がありますよね。自治体の首長や大臣などの政府機関の政治家も、みんな公式ホームページを持っています。その中で、役所の仕事、そして自分の政治的主張、地元活動など、触れられています。
私は、政治家として世田谷区の自治体の長であるという立場から、政治や文化、社会的現象に対して自分の意見や紹介したいニュースを幅広く発信しております。区が発表する情報に関しては、これは原則リンクをしまして、ここに私自身のコメントを付して、これを進めていこうとか、あるいはこういうわけだとか、そういったコメントを付した発信をして広げております。
個人ツイッターに政治家としての個人の意見や、こういった文化的・社会的事象を紹介したりすることは、政治家としての必要な活動であり、これは同一人物で切り分けることは困難であります。どの情報も私個人として、この個人の中には首長であるという立場、政治家である立場、あるいはジャーナリストとして活動してきたといった経歴、全てが一つの人格になっているわけで、これを率直に発信しているのは、他の首長も同様に、その職にあることを、アカウント自体を何とか市長とか何とか県知事、こう書いている方もいるんですが、私の場合は、ちゃんと自分の名前を書いております。
そういう意味では、政治家としてその考えや認識を発信していくことは、首長としての仕事や立ち位置の上で感じたことをより広く、よりよい社会を構築していくという意味で大変大事な仕事だと思っております。
◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、いわゆる引き出し屋について三点お答えいたします。
一点目、区の認識についてでございます。
区は、昨年度実施した支援機関を対象としたひきこもり実態把握調査において、ひきこもり期間の長期化や、将来に不安を抱える家族の声など、ひきこもり本人だけでなく家族の状況についても把握したところです。
いわゆる引き出し屋については、そういった家族の不安や、何とかしたいとの思いに乗じ、本人の自立支援をうたいつつ支援プログラムを行わない、対応が説明と異なる、家族に高額な費用を請求し、本人の意思を考慮せず自宅から連れ出し、さらには、例えば監禁するなど、本人に深刻な人権侵害を及ぼすといった悪質な例を報道等で承知しているところでございます。また、本人がその後社会復帰を果たせた場合であっても、引き出し屋を頼った家族との間に深い傷や溝が生じ、本人や家族に長く禍根を残すこととなった例もあるということを併せて認識しております。
二点目、悪質な民間団体につながらないように、区の啓発についてでございます。
区では、平成二十六年度にメルクマールせたがやを設置し、ひきこもり等、生きづらさを抱えた若者の相談支援を行ってまいりました。これまでの支援実績を分析した結果、早期に支援につながった方ほど社会的自立に向けた動き出しがスムーズであったことなどから、平成二十八年度より十代を重点に置いたティーンズサポート事業に力を入れ、毎年、区立中学校全校生徒にリーフレットを配布し、周知に努めているところでございます。
また、昨年七月には、教育委員会主催の不登校保護者の集いにおいて事業紹介を行なったほか、昨年度は
新型コロナウイルス感染防止のため実施できませんでしたが、例年、区立中学校全校を訪問し、事業周知の協力依頼を行っております。さらに最近の傾向では、ネット検索をきっかけに事業につながる方も多いことから、本年四月より新たにメルクマールせたがや独自のホームページを開設し、ウェブからお問合せができるフォームを配置するなど、支援機関につながる入り口の拡充も進め、さらなる啓発に取り組んでいます。
最後に、引き出し屋の実態、支援に当たっている職員の理解、相談者への注意喚起等の対策について、子ども・若者部所管における取組についてお答えいたします。
相談支援に当たっているメルクマールせたがやでは、事業に関連する社会的課題について常に把握に努め、区と定期的に認識を共有する機会を設けております。また、引き出し屋などひきこもりの方に関わる報道や社会の動き、利用者対応における注意喚起などは、メルクマールせたがやにおいては毎朝のミーティング等で施設長より全職員に伝え、現場での適切な対応を徹底しております。さらに、個別の御相談や年十五回ほど開催してございますひきこもりの方の家族会、家族セミナー、地域に出向いての説明会、研修会等の場で引き出し屋について御質問を受けることもあり、これまでに把握している事例などを御紹介し、慎重に検討するよう注意喚起をし、このような事態に陥ることがないよう丁寧な説明と防止対策に努めているところでございます。
今後も、時々刻々と変化する引き出し屋などのひきこもりの方に関わる情報や社会的課題の職員間の共有を徹底し、相談支援の対象となる御本人や御家族の状況を的確に把握し、適切かつ丁寧な相談支援に努めてまいります。
以上でございます。
◎粟井 教育政策部長 私からは、四点のお尋ねにお答え申し上げます。
一点目でございますが、引き出し屋の実態について、教育相談の現場の職員の理解についてのお尋ねでございます。
不登校をはじめとした教育に関する相談に応じる教育相談室では、各教育相談室間での情報共有の場を定期的に設けているところでございます。いわゆる引き出し屋のような社会的課題やその対応につきましては、こうした機会を活用し、職員に対し注意喚起と適切な対応について理解を深めてまいります。今後も、こうした社会的課題や適切な対応について職員に周知徹底をするとともに、不登校児童生徒とその保護者が孤立せずに適切な支援につながるよう、学校やスクールカウンセラー、教育相談室が連携を図りながら、丁寧な相談支援に努めてまいりたいと思います。
二点目でございます。東京シューレの問題についての区の受けとめでございます。
お話にございました過去に東京シューレが主催する宿泊型フリースクール活動で起きた問題につきましては、当初、訴訟が和解によって終了したとの事実を除き、守秘義務があることから詳細については公表できない旨の報告がございましたが、その後の当事者間の話合いの中で、対外的に責任と再発防止に向けた取組を示す必要があるとの判断から、公表するに至ったと聞いております。
今回の件を受け、当該法人では、再発防止に向け、第三者を含む人権委員会の設置、相談窓口の開設、計画的、継続的な職員研修の実施、職員の倫理綱領と行動規範、職員採用ガイドラインの策定などの再発防止策を講じております。区といたしましても、公表に至った経緯を踏まえ、こうした再発防止策が着実に推進されるよう適宜状況を確認するなど、法人としての取組を注視してまいります。
三点目でございます。民間委託でございますが、どのように民間業者を選定したのかということのお尋ねでございます。
ほっとスクール希望丘の運営につきましては、教育機会確保法及び同法に基づく基本方針を踏まえ、社会的な自立に向け、より効果的な学習支援や、多様な体験活動の充実を図るため、民間団体の委託による運営としたところでございます。事業者の選定方法につきましては、国及び区の不登校施策を十分に理解し、社会的自立に向けた新たな取組を実践することができる事業者を選定する必要があったことから、公募型プロポーザル方式とし、四社から参加表明書の提出がございました。
選定に当たりましては、区のプロポーザルのガイドラインに準拠いたしまして、実施要領、審査要綱等を定め、実施体制や提案内容等の評価項目に基づき、教育政策部長を委員長に、当時の教育相談・特別支援教育課長、教育政策部副参事、指導主事、教育相談専門指導員の五名から成る選定委員会による審査により、委託事業者を決定したところでございます。
四点目でございます。ほっとスクールのスタッフたちへの研修に関するお訪ねでございます。
ほっとスクールにおける運営の質の確保に当たりましては、職員個々の専門性の向上に向けた研修の実施が重要と認識してございます。過去、ほっとスクールでは、不登校施策に関する研修や事例検討等を定期的に開催し、良好な事業運営に必要な知識や技能の取得に努めているところでございます。また、三か所のほっとスクールによる合同での会議や行事を通じて、お互いの学習環境やプログラムの情報交換を行い、それぞれの施設を利用する子どもたちにとって、よりよい事業運営につなげるための取組も進めております。
教育委員会では、今年度、ほっとスクール希望丘を含めた三か所のほっとスクールを対象に、利用者アンケートや訪問調査を行い、この間の運営等について評価、検証を行う予定でございます。評価検証の結果を踏まえ、研修の内容やあり方についても必要な見直しや改善を行うなど、ほっとスクールにおける運営の質の向上に向けた取組を進めてまいります。
以上でございます。
◆四十七番(田中優子 議員) 保坂展人さん個人ツイッターについて、再質問したいと思います。
根本的なことが分かっていらっしゃらないのだなと感じました。私は、区長と名乗るなとか、政治家としての発信がよくないとか、同一人物を切り分けろなどとは言っておりません。世田谷区長としての公式なものではない、世田谷区が関与しているものではないというアカウントだと、あくまでもこれは個人ツイッターのアカウントなのだと、別に公式を使っちゃいけないということでないですよ。それが分かるようにプロフィールに明記すべきではないですかと申し上げているんです。
そうすれば、区長なのに区政と関係ないことばっかりツイートしているという区民の区への苦情とか、区民のストレス、大分減るんじゃないですか。対応する区の職員もかなり楽になると思いますが、なぜその一言の断りが明記できないのか、お聞きいたします。
〔保坂区長登壇〕
◎保坂 区長 具体的な御提案をいただいているわけですが、改めてツイートする内容を振り返ると、先日も、昨日ですか、例えばエッセンシャルワーカーへの検討ということについて御質問があります。私は、区長として日々取り組んでいる業務に対して責任が持てないこと、あるいは、デマとかうそとかそういうことは一切発信しておりません。少なくとも、発信した以上はその言葉について責任を取る、こういうことでやっております。
なので、世田谷区長として、まさに文字どおり一〇〇%発信していることもあります。また、一〇〇%に近く政治家として、政局論とか、ありますよね。ただ、それが二つ混じる場合もあります。なので、そのあたりを印でもつけろということであれば、ちょっと考えてもいいですけれども、ただ、そういうほかの首長さんのツイッターもちょっとよく見ていただいて、いや、成澤さんの工夫されたことがそれなりにやっぱり広がってきているんだよというのは、彼がどうしてそういうクレジットをつけたのかも、毎月会いますから、聞いてみます。
そういう意味で、御提案いただいていますので、責任を持ったツイートをしろと、それから、誤解とかいろんな曲解とか、広がらないようにしろというところは受け止めたいと思います。
◆四十七番(田中優子 議員) 受け止めていただけたということで、大変期待したいと思います。ぜひ今後の区長ツイッターアカウント、プロフィール、注目したいと思います。これで質問を終わります。
○下山芳男 議長 以上で田中優子議員の質問は終わりました。
────────────────────
○下山芳男 議長 次に、四十番いたいひとし議員。
〔四十番いたいひとし議員登壇〕(拍手)
◆四十番(いたいひとし 議員) 初めに、学校におけるコロナ感染症対策等についてお伺いをいたします。
新型コロナウイルス感染症については、今なお警戒が必要な状況にあります。こうした中でも持続的に児童生徒の教育を受ける権利を保障するため、学校においては、感染及びその拡大のリスクを可能な限り低減した上で、学校運営を継続していく必要があります。各学校においては、文科省のガイドラインに沿って感染症対策に尽力していますが、その中心は手洗いです。外から教室に入るときやトイレの後、給食の前後など、流水と石けんで小まめに手を洗うことが指導されています。
しかし、自動水栓でない蛇口で手を洗った後にレバーやハンドルを触れると汚れが再付着してしまいます。手洗いの効果が減ってしまいます。より衛生的に手洗いをするには自動水栓にすることが必要です。特に不特定多数の人が使用するトイレの手洗い場の衛生対策として、自動水栓は、より効果を発揮します。さらに、自動水栓を導入することで、石けんで手を洗っている間、水は止まり、手洗いの後も蛇口の締め忘れがなくなるため、高い節水効果も期待できます。
区としては、まず児童生徒が使用するトイレの手洗い用蛇口を非接触型の自動水栓に改修すべきと考えますが、区教委の認識をお伺いいたします。
コロナウイルス感染症に関して、保護者より、トイレの水を流す際に発生する飛沫、エアロゾル感染防止のために便器の洋式化を求める声を伺っています。あるメーカーが学校の和式・洋式トイレと身の回りの菌の数を調査した結果、一番多いのが和式トイレの床で、次が水栓の蛇口という結果が出ています。これに対して、洋式便座は天日干しした衣類と比べても菌が非常に少ないことが確認されています。この結果から、
新型コロナウイルス対策のみならず、学校トイレの衛生配慮として、便器の洋式化が重要だと考えます。学校は、避難所となる施設でもあり、バリアフリーの観点からも、洋式化は必要不可欠だと言えます。
世田谷区の洋式化整備率は二十三区中二十二番です。最下位の大田区が汚名を返上しようと、今年度一般会計補正予算にトイレ洋式化工事一・四億円を盛り込んでいます。区教委として計画的な整備を急ぐべきと考えます。抜かれてしまいます。認識をお伺いいたします。
次に、生理の貧困について伺います。
予算特別委員会で、生理の貧困について取り上げました。#みんなの生理が生理の貧困についてアンケート調査を行ったところ、過去一年間に、経済的理由で生理用品を買うのに苦労したことがある、買えなかったことがあると答えた人は合わせて二六%、生理用品を交換する頻度を減らしたことがある三七%、トイレットペーパーなどで代用したことがある二七%と、大変に深刻な状況が浮かび上がりました。
都議会公明党は、コロナ禍で女性の雇用、所得環境が大きく悪化していることを考え、この問題をいち早く取り上げた結果、九月から全都立学校の女性用トイレに生理用品を配備することが決まりました。また、各区においても取組がなされています。例えば中野区では、企業からの広告収入によって、区の負担なく生理用品を提供できるスキームを検討中と聞いています。区としても、生理の貧困については、所管を横断し、また、企業や区民を巻き込んだ市民運動として取り組む必要があると考えます。見解を求めます。
また、私は、生理の貧困はジェンダーギャップの視点で捉えることも大切だと思います。すなわち、義務教育においては、性差によらない合理的な配慮が欠かせません。区教委も東京都と同様にモデル校を選定し、トイレに設置するなど、積極的に対処すべきと考えますが、見解を求めます。
次に、多摩川の水害に備えた避難行動要支援者について伺います。
二年前の十月、甚大な被害をもたらした台風十九号は、私にとって大きな転換点となりました。自然の持つ大きな力に打ちのめされたと同時に、命の大切さを痛感し、二度とこのような経験はしたくないと強く決意をしました。その経験から、人命を守る対策を最優先にすべきと考える観点から、介護度の高い高齢者、重心の障害者、妊婦など、一時避難所となる体育館では無理な方に対して福祉避難所を開設するべきと、そして、そのニーズに応えるべきと強く訴えてまいりましたが、これまで明確な答弁はありませんでした。
その中で、先般、避難行動意向調査結果が明らかになると同時に、個別に地区会館等を避難所として案内することが示されました。このことは一定の評価をしますが、しかし、意向調査の回答が得られなかった方、四割の人こそ、家族や支援者の不在も十分考えられます。より詳細に生活実態を把握し、必要に応じてケアマネなどと連携し、個別避難計画を作成すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
昨年秋、洪水ハザードマップが全戸配布されました。それを見た玉堤や野毛地域の住民から、なぜ水害時の第一次避難所が、学区域でなじみがあり、かつ、近距離にある玉川小学校、尾山台小学校ではなく、地理感が全くない中町小学校、八幡小学校になるのか、半ば怒りとお叱りの声をいただきました。
台風十九号の被害を受けて、東京都市大学が行った調査で明らかになっているとおり、高齢者ほど避難情報が得られにくく、避難しなかった割合も高くなっています。避難方法は、高齢者ほど徒歩の割合が高くなっています。マップのとおり避難所に行くには、雨の中、急坂を三十分以上も歩くことになります。しかも、避難所となる体育館は二階にあります。理解に苦しみます。地元町会では、東京都市大学の調査を受け、早めの避難行動を促すことに力を入れています。
区の方針はこうした実態とかけ離れており、足を引っ張る対応です。水害時の一次避難所は高齢者や配慮を要する人を受け入れるために開設することを考えると、一番近いところに開設すべきです。見解を求めます。
最後に、障害者へのワクチン接種について伺います。
今日から、六十歳から六十四歳、基礎疾患をお持ちの方、高齢者施設等の従事者への接種券が届きます。基礎疾患を有する者の範囲には、重症心身障害者、重い精神障害者や知的障害者が含まれますが、中軽度の身体障害者や聴覚や視覚に障害をお持ちの方は含まれません。このことに関して、肢体不自由者団体や通所施設関係者、視覚障害をお持ちの方から様々な御意見をいただいております。特に重症心身障害や知的障害がある方には、障害特性によりマスクを着用して静かに並んで待つことが苦手で、一般の方と一緒にワクチン接種をすることが困難な方も多くいることから、高齢者施設と同様に、医師等が施設に出向き接種することが可能となるよう配慮すべきと考えます。通所施設には慣れた職員もいることから、安心して接種が可能と考えます。肢体不自由者においても車椅子を利用する方も多いことから、人的にも物理的にも配慮が求められます。
いずれにせよ、保護者や施設関係者と協議をして、十六歳以上全ての区民にワクチン接種券が届く七月二十日までに、遅くとも障害種別に応じたきめ細やかな接種を可能とすべきです。見解を求めます。
また、視覚・聴覚・精神障害のある方に対しても、合理的な配慮が求められます。接種券に書かれている十桁の接種番号を電話で伝えることが困難なので、ヘルパーの助けを借りて電話をしたが、予約の申込みが集中して、一向につながらなかったという御相談をいただきました。
練馬区では、聴覚障害者には手話付動画、視覚障害者には音声読み上げ機能、知的障害者には平易な文章にルビを振るなど、障害特性に応じた配慮をしています。特に、区内四か所に予約サポートセンターを開設して、障害者へのきめ細やかな対応を行っています。
視覚や聴覚に障害のある方、精神障害者に対しては、合理的な配慮の観点から、個別、巡回、訪問など、接種方法の選択肢を示すほか、移動支援や社会資源等を周知することが求められます。見解を求めます。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎知久 教育総務部長 私からは三点、順次お答えいたします。
まず、非接触型の蛇口についてでございます。
現在、校内に設置されている水道蛇口の使用は、手洗い以外に水飲み、掃除などに使用することからハンドル式を基本としておりますが、トイレにつきましては、衛生面の観点から、改築やトイレ改修時において非接触型となる自動水栓を設置しており、節水対策にも寄与するものと考えております。トイレ改修の予定のない学校につきましては、蛇口の形態に応じて乾電池一体型など簡易的な自動水栓の導入の可能性も含めて検討しており、昨年度は、小学校一校においてトイレの蛇口七か所をコンセント式の自動水栓に交換しております。
学校における感染症対策としましては、石けんや消毒用アルコールを設置するとともに、消毒液を使用した清掃を行うなど、環境衛生を保つように努めておりますが、引き続き、学校と教育委員会が連携して、感染症対策とともに節水対策にも取り組んでまいります。
次に、トイレの洋式化についてお答えいたします。
学校のトイレ整備につきましては、児童生徒の快適な学習環境を確保するため、平成十一年度にトイレ改修マニュアルを策定し、その後も学校トイレ工事共通仕様書の改訂を重ねながら、計画的にトイレの洋式化を進めておりますが、災害時の避難所としての機能向上などの観点からも、洋式化を加速させる必要があるものと認識しております。
今年度は、小学校三校、中学校一校におけるトイレ大規模改修工事のほかに、厳しい財政状況を踏まえて効率的かつ効果的に進めるため、比較的安価で行える便器について、洋式に交換する個別改修工事を複数校で実施を予定しております。引き続き、学校トイレの洋式化率八〇%の早期実現に向け、学校や関係所管と連携して取り組んでまいります。
最後に、生理の貧困についてお答えいたします。
家庭の経済的な理由などにより生理用品を購入できない、利用できない状況にある児童生徒が一定数いるものと考えられ、教育委員会としましても、支援に取り組むべき課題であると認識しております。先般、東京都から災害用備蓄物品の買換えにより生じた生理用品の無償提供を受け、全小中学校へ配布いたしました。その際、区内では一割を超える子どもが生活困難層にあることを伝えるとともに、配布方法や設置場所に配慮するよう依頼をしたところでございます。その結果、一部の学校からは、保健室だけではなく、トイレにも設置したとの報告を受けております。
今後、既にトイレに設置している学校に加え、一部の学校の協力を得て保健室以外での配布を試みるなど、それらの実施結果を踏まえ、生理用品を必要としている児童生徒がより手に入れやすい適切な設置場所や配布方法を検討してまいります。あわせて、必要数を確保するため、民間企業の協力や災害用備蓄物品の活用なども含めて、関係所管とも連携して様々な方策を模索してまいります。
以上でございます。
◎澁田
保健福祉政策部長 私からは、生理の貧困対策についてお答えいたします。
生理の貧困への対応は、当事者が声を上げにくく、生活困窮のみならず、生理用品を購入できないことによる社会参加の機会の喪失など、社会的な課題となっているものと認識しております。このため、生活困窮者の相談窓口ぷらっとホーム世田谷におきまして、生理用品メーカーから提供していただきました試供品一万個や、区が東京都より提供を受けました防災備蓄品の生理用品三千個をぷらっとホーム世田谷や地域社会福祉協議会、また、こどもフードパントリーとも連携し、様々な理由で生理用品を購入できない女性に対し配布をしており、在庫も少なくなってまいりました。さらに、ぷらっとホーム世田谷と同じ建物にございます世田谷区立男女共同参画センターらぷらすと連携いたしまして、らぷらすの利用者にも生理用品を配布する新たな取組の準備を進めております。
今後とも、区の関係所管、社会福祉協議会や男女共同参画センター等の関係機関、生理用品等を取扱う企業など、多様な団体との連携協力を検討しながら、生理の貧困への支援を継続して行えるよう努めてまいります。
以上でございます。
◎山本
玉川総合支所保健福祉センター所長 私からは、水害時の避難行動要支援者への避難行動意向調査未回答者への対応についてお答えいたします。
区では、水害時避難所の収容人数等を勘案し、要支援者に配慮した避難場所を確保するため、令和三年三月に避難行動意向調査を実施いたしましたが、対象地域にお住まいの避難行動要支援者五百五人のうち、玉川地域では七十五人、砧地域では百二十四人が未回答となっております。
議員御指摘のとおり、未回答者の状況把握は重要であると認識しており、再調査を進める中で、ケアマネジャーやあんしんすこやかセンター等の支援者と連携しながら、未回答者の避難行動の意向を確認し、必要な避難スペースの確保と避難の受入れ準備を進めてまいります。
また、多摩川の洪水を想定し、事前に避難先や避難のタイミング、移動手段の確保や必要な持ち物等の具体的な避難行動をシミュレーションして準備していただくための避難行動要支援者用多摩川洪水時避難行動シートを今月下旬に個別に配布する予定です。ケアマネジャー等の支援者にも情報提供し、このシートを活用しながら、要支援者の円滑な避難に努めてまいります。
なお、災害対策基本法等の改正が令和三年五月二十日付で施行され、市町村に作成が努力義務化された個別避難計画の推進につきましては、これまでの調査等により得られた情報も参考にしながら、庁内で組織する避難行動要支援者支援検討部会等において、関係所管等と検討を進めてまいります。
私からは以上です。
◎菅井 危機管理部長 私からは、水害時避難所について御答弁申し上げます。
水害時避難所の開設運営につきまして、区はこの間、玉川区民会館を含めて、台風接近、上陸の二十四時間前までに開設する水害時避難所第一次を新たに三か所指定するとともに、自家用車で避難する方の一次避難施設として民間駐車場を協定により確保するなど、避難施設の拡充を行いました。さらに、都立駒沢公園体育館及び都立深沢高校を水害時避難所として活用する方向で、現在、都の関係部局と調整をしているところです。また、各水害時避難所におきましても、高齢者や障害者の方など配慮が必要な方の受入れスペースの確保などについて対応してまいります。
今後も引き続き、水害時避難所の開設、運営につきまして、実際の運用をした際の避難所の状況や、新たに整備される区施設の活用などの状況、また、お話のありました区民の皆様の御意見なども踏まえながら、関係所管と連携して不断の見直しを図ってまいります。
以上です。
◎須藤 障害福祉部長 私からは、障害者へのワクチン接種について、二点御答弁申し上げます。
まず、通所施設での接種など障害の特性に応じた接種についてです。
障害のある方へのワクチン接種に関しましては、その障害特性等により様々な配慮が必要だというふうに認識をしてございます。お話のように、通い慣れた施設でふだんから接している職員の方の支援を受けることができれば、安心して接種をしていただけるものと考えてございます。このため、高齢者入所施設の接種を参考に、障害者通所施設において巡回接種を行うことや、集団接種会場に施設の職員の方に同行いただき接種を行うなど、施設を通じて利用者に意向を確認しながら接種方法の検討を進めております。
基礎疾患を有する方などへの接種券の発送も本日から始まってございます。接種を希望される方ができるだけ早期に安心して接種をいただけるよう、引き続き、各障害者施設の運営事業者や関係所管部と連携しながら取り組んでまいります。
続きまして、障害のある方に対する合理的配慮と移動支援などの周知について御答弁申し上げます。
障害者へのワクチン接種に伴い、予約に当たりましては、視覚障害者に配慮した音声コードの活用ですとか、聴覚障害者に配慮したファクスによる専用受け付け、専用枠の確保等、対応をさせていただいております。また、接種会場においては、バリアフリーの施設を確保することや、区職員による誘導、手話通訳者の派遣の支援を行ってございます。
接種会場までの移動支援につきましては、同行援護等の法内サービスや地域生活支援事業等における移動支援事業がワクチン接種での活用が可能と国から示されておりますので、区としても対応しているところでございます。
今後、障害当事者や家族、障害者団体等の声を伺いながら、接種を希望される障害者が確実に接種を受けられますよう、移動支援事業など、既存の制度の活用について改めて周知を図るとともに、総合支所などの関係機関と連携し、合理的な配慮の確保に取り組んでまいります。
以上です。
◆四十番(いたいひとし 議員) 再質問します。
このコロナ禍になり、生理の貧困のみならず、まちづくりセンターでの接種予約の受け付け、また低所得者対策、様々なことをこのコロナ禍で職員は経験されたと思います。そして、学ぶこともたくさん多かったと思います。
役所は、役に立つところです。全職員がコロナ対応をよい機会と捉え、柔軟な組織運営をすべきだと考えますが、区の見解を求めます。
◎宮崎 副区長 再質問にお答えします。
今御指摘にありましたように、今回のコロナ経験というのは、区の職員にとりましてかなり衝撃的でもあり、また、これは将来につなげなきゃいけないという認識に立っていると思います。今回の議会の中でも、SDGs、DXなど、いろんな形で横断的に取り組んでいかなきゃいけないのは、連携という言葉を今頻発してますけれども、それはやはり一人一人の職員の自覚、スキル、こういうことを積み重ねる中で、集合体になって、いいものが出てくるものと思っています。
今御指摘ありましたように、今後これらを生かしていくためにも、組織もかなり柔軟的に対応してきましたし、人事配置も、こういう緊急事態ですので、兼務もかなり多く出てきている。こういう中で、乗り切り策を考えて、以降、いろいろ予測しがたいことが起きていますけれども、一つ一つ乗り越えていきたいと、このように考えております。
以上です。
◆四十番(いたいひとし 議員) 以上で質問を終わります。
○下山芳男 議長 以上でいたいひとし議員の質問は終わりました。
これで本日の一般質問は終了いたします。
────────────────────
○下山芳男 議長 以上をもちまして本日の日程は終了いたしました。
なお、明十六日は午前十時から本会議を開催いたしますので、御参集願います。
本日はこれにて散会いたします。
午後六時十八分散会...