世田谷区議会 2021-03-16
令和 3年 3月 予算特別委員会-03月16日-05号
令和 3年 3月
予算特別委員会-03月16日-05号令和 3年 3月 予算特別委員会
令和三年予算特別委員会
予算特別委員会会議録第五号
日 時 令和三年三月十六日(火曜日)
場 所 大会議室
出席委員(四十九名)
委員長 おぎのけんじ
副委員長 河村みどり
副委員長 いそだ久美子
阿久津 皇
石川ナオミ
加藤たいき
上島よしもり
河野俊弘
宍戸三郎
下山芳男
菅沼つとむ
畠山晋一
真鍋よしゆき
山口ひろひさ
伊藤祐二
保育計画・
整備支援担当課長
中西明子
世田谷保健所 所長 辻 佳織
副所長 鵜飼健行
健康企画課長
大谷周平
健康推進課長
相馬正信
感染症対策課長
安岡圭子
世田谷保健相談課長
松田一清
生活保健課長
加藤政信
住民接種担当部 部長 久末佳枝
住民接種調整担当課長
寺西直樹
接種体制整備担当課長
田村朋章
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本日の会議に付した事件
議案第一号 令和三年度世田谷区一般会計予算
議案第二号 令和三年度世田谷区
国民健康保険事業会計予算
議案第三号 令和三年度世田谷区
後期高齢者医療会計予算
議案第四号 令和三年度世田谷区
介護保険事業会計予算
議案第五号 令和三年度世田谷区
学校給食費会計予算
(
福祉保健委員会所管分に対する質疑)
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午前十時開議
○おぎのけんじ 委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
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○おぎのけんじ 委員長 本日は、
福祉保健委員会所管分の予算審査を行います。
それでは、質疑に入ります。
無所属・世田谷行革一一〇番・維新、どうぞ。
◆大庭正明 委員 無所属・世田谷行革一一〇番・維新の質疑を始めます。
まず最初に、岩波書店から出している「世界」というインテリゲンチャの本がありますけれども、それに「自治体としてパンデミックに立ち向かう」という手記を、上下に分かれて、上だけを今月号に区長が載せております。これ、区長という肩書きは何も書いていないですけれども、(「書いてある」と呼ぶ者あり)書いてあるんだ。世田谷区長に転身して、その間、十年間を迎えると書いてあるんで、当然区長として書いてあるんだろうというふうに読者は思うわけです。
そこの一説に、ちょっとその当時の記憶を呼び覚ましてもらいたいんですけれども、最初の緊急事態宣言が解除された去年の五月二十五日以降になると、感染者の数も急減して、比較的落ち着いた時期が訪れたと。この時期に、この頃コロナ対策をめぐって戦略的に二つの柱を立てた、五月の末から六月の初めに区長は戦略的に二つの柱を立てたというふうに書いてあるんですけども、この二つの柱って何なんですか、覚えていますか。僕は全然。毎回メールで、こういうふうになりました、こういうことになりましたというふうに書いて送ってこられていましたよね。あの頃、毎日毎日。
一つは、PCR検査の規模を一気に拡大することだということと、もう一つは、感染者がいなくても介護施設の感染拡大抑止のために積極的に検査を行う、
イコール社会的検査の実施だったと。五月の末から六月の頭にかけて区長はそういう方針を決めたと、二つ立てたと言っているんですけれども、これは庁内的にはそういうことがあったんですか、なかったんですか、時期的に見て。澁田さんだっけ、その頃からずっといたのは。
◎澁田
保健福祉政策部長 当初から従来型PCRの拡充というのはやってまいりましたが、区長がおっしゃるように、落ち着いた頃に今後の戦略を考えるのに、有識者の御意見等を伺って戦略等を立てております。この意見の交換をする前に専門家の先生にお話を伺いに行ったりしておりますので、それで区長がそういうふうにおっしゃっているものと認識しております。
◆大庭正明 委員 だから、庁内的にこれが二つの柱ですよという合議をして、世田谷区としてこの方針でいきましょうと臨んだ記憶はありますかというんですよ。ないでしょう。ありますか。
◎澁田
保健福祉政策部長 区の方針は、コロナ本部のほうで決定するということになっておりますので、その結果については区議会のほうに御報告を随時流させていただいているものと認識しております。
◆大庭正明 委員 コロナ本部にいた副区長、これは聞いていませんよね。五月の末から六月初めに我々に何かこういう報告は来ていませんよね。例の七月二十八日でしたか、テレビ出る以前ですよ、はるか前。
◎中村 副区長 申し訳ありません。「世界」の原稿を今持ち合わせておりませんことと、五月の段階の経過について資料を持ち合わせておりませんので、ちょっと正確な答弁ができません。申し訳ありません。
◆大庭正明 委員 記憶はあるでしょう。こういう二大の柱を立てたと書いてあるんですから。こんなのは我々聞いていないんですよ。だから、区長が勝手に自分の考え方、自分の頭の中で妄想したことを、こういうような公的な手記に書くということは、いかにもとんでもない話なんですよ。要するに、世田谷区全体でこういうふうに取り組んでいたかのごとき印象を与えるじゃないですか。これは区長が勝手に一人で、一人芝居をやっていた頃なんですよ。しゃれじゃないですけれども。まあ、いいでしょう。
今日は根本的に、陽性者だとか、感染だとか、それからいろんな形の言葉の数が出ますね。今日の陽性者数とか、感染者数が増加したとか、それから何て言うんですか、患者数が増えたとか、いろんなマスコミによって報道が違うんで、ここで一度、いわゆる新型コロナに関して、PCR検査での陽性とは何か、陽性と感染は同じなのか、感染と発症とはどういう関係なのか、患者という表現は感染者と同様なのか、まずお伺いしたいと思います。
◎安岡 感染症対策課長 感染とは、ウイルスが体内に侵入し定着、増殖することを指し、発症は、ウイルスに感染した後、体の中でウイルスが増殖することにより発熱等の症状を示す状態になることでございます。
PCR検査の陽性とは、ウイルスが体内に侵入し定着、増殖した感染者の体の中で一定期間を経てウイルス量が増殖し、ウイルスの遺伝子を検出することを陽性と指し示してございます。
感染者のうち、ウイルス検査が陽性になる方を陽性者とお示しさせていただき、感染者はウイルスに感染した全ての方で、このうち検査が陽性で症状がある方を患者、ない方を無症状病原体保有者、一般的に無症状患者とも言われているところでございます。
◆大庭正明 委員 そこで今言ったことを、ちょっと言葉だとよく分からないので、この表にまとめてみました。
一応、ここで、感染とはウイルスが体内に侵入し、かつ定着、増殖することであって、ウイルスが体内に侵入しただけでは感染とは言わないんですよね。はいとか、うんとか言ってください。
◎安岡 感染症対策課長 委員御指摘のとおりでございます。
◆大庭正明 委員 定着、増殖して、つまり細胞に定着して、その細胞から栄養素を取って増殖し始めて、それが感染と言います。その感染した後に体内でウイルスが一定量増殖した場合、この辺で増殖して、この辺でPCR検査をした場合、陽性になる。または、その数が増殖しても一定の数に満たなければ陽性とはならない、そういうことですね。
◎安岡 感染症対策課長 御指摘のとおりでございます。
◆大庭正明 委員 それで、増殖した後に、今度は症状が出る人がいて、または症状が出ない人のパターンが出てくるということですよね。それで、症状が出たときにはもう感染は相当前、三日前とか五日ぐらい前に本当は感染しているというのが最近の症例では見つかって、エビデンスとして出ているということですよね。
だから普通の人は症状が出てから、あれ、おかしいな、ちょっと味覚もないし、新型コロナかなと思って病院に行って、PCR検査を受ければ、当然またここから時間がたっていますから、この増殖が多分増加しているんで、一〇〇%というか、相当の確率で出ると。
でも、今度は、増殖しても免疫力が高くて症状が出ない人がいるわけです。まれにこういう人がいるわけですよね。この人が感染させる率というのは、症状が出た人と症状が出ない人では、人にうつさせる確率はどれぐらい、同じなんですか、エビデンスはあるんですか。
◎安岡 感染症対策課長 委員御指摘の点でございますが、まだ研究途上にあると認識してございます。一つの報告によりますと、症状のある方のほうが症状のない方に比べて感染力が強いという報告はございますが、症状のない方も感染力といたしまして、排出するウイルスの量が多ければほかの方に感染させることがあると報告はされております。
◆大庭正明 委員 症状が出たうちの何割ぐらいが、いわゆる重症化、また、軽症のままで終わるというのは、比率は出ているんですか。
◎安岡 感染症対策課長 国の資料によりますと、全体の症状がある方のうちで軽症は八割と言われています。中等症、いわゆる肺炎等になられる方が一五%、残りの五%が重症になると報告されています。
◆大庭正明 委員 感染して、発症して、今度は十五日間ぐらい、要するに感染から十五日間ぐらいたつと、軽症者の人も快方に向かえば大体元に戻るというような形でいいんですか。つまり、大体十五日間ぐらい、無症状の人も当然そうですけれども、発症した人も十五日間ぐらい隔離しておけば、大体治るという感じでいいんですか。重症化しない人に関しては。
◎安岡 感染症対策課長 感染の機会を得てから発症までの、いわゆる潜伏期間というものはかなり個人差ございまして、最短で一日、最長ですと十四日間と言われてございます。おおむね平均いたしますと五日程度で発症という方が多くなってございます。発症から感染性を有する期間というのは委員御指摘のとおりで、十日間ほどでございますので、その間は隔離をさせていただく状況でございます。
◆大庭正明 委員 まず、ウイルスに感染しない人のほうが現在圧倒的に多いわけですよね。要するに、一個か二個か三個ぐらいは入っているかもしれないけれども、それは通常の免疫力で、もうほとんど入っていないのと同じ。ある一定量のものが入ってくると、ひょっとすると増殖する可能性、定着、増殖する可能性があるわけです。
ですから、日本人の多くの人がこのウイルスと出会ってはいないだろうということがまず考えられるわけです。それで、ウイルスに出会っても、免疫力が強くて定着、増殖しないと。だから、ウイルスは体内に入っているんだけれども、定着、増殖しないから、感染していないという人が多いわけですよ。さらに、ウイルスが入って感染して増殖して症状が出た人というのが、現在は病院に行ってPCR検査を受けて、それで陽性者になっていく。陽性者になるというのも、PCR検査を受けた何割ぐらいが陽性者になっているんですか、それは出ていますか。
◎安岡 感染症対策課長 検査の陽性率でございますが、対象とする集団によって割合が変わってくるところでございます。保健所で行っている検査ですと、やはり感染者数が高いときに濃厚接触者の検査が私どもは多い、陽性になる確率の高い方を検査させていただいているところでございますので、そのような状況になりますと一〇%程度になることもございますが、おおむね五%から一〇%、保健所の検査ですとその数が陽性率となっている状況でございます。
◆大庭正明 委員 だから、要するにここで症状が出た人でも、五%から一〇%ぐらいが陽性者になっていくという形なわけですね。さらに、今度無症状者を見つけることというのは、外見的には全然健康だし、何の症状も出ていないし、ほとんどこれは不可能ですよね。
これは児玉先生も、むやみやたらに調べて無症状者のいわゆる保菌者、ウイルスを持っている人を探すのは不可能だというふうに言っているんですね。ほとんど無意味だと。我々が言っているのは、要するにこの無症状者に対してやっていくのは無駄だということを、資源の無駄遣いだということを一貫してずっと言ってきたわけです。頻度の問題として。
それでこの間、桃野委員が質問されましたけれども、定期検査、随時検査、これは新年度予算に入っているんですけれども、一応その随時検査と定期検査の金額を聞いておきましょう。
◎小泉
保健医療福祉推進課長 定期と随時検査の内訳で、令和三年度当初予算案では四億二千四百万円程度を計上させていただいております。
◆大庭正明 委員 定期検査と随時検査をそれぞれ金額を教えてくださいと言ったんですよ。
◎小泉
保健医療福祉推進課長 定期検査と随時検査は総価と単価ということで内訳がございますが、定期検査の七割ということで計算しますと、二億九千六百万円程度、随時検査であれば一億二千八百万円程度で、合わせて四億二千四百万円という試算をしてございます。
◆大庭正明 委員 我々は、随時検査については、これはもう保健所の補完業務として現実的に成り立っているわけですから、当然また波がばあっと来たときには、この随時検査の必要性は高まってくるし、保健所をアシストする意味では、当然これは用意されてもいいだろうというふうには思っていますけれども、定期検査、要するに半年かかって一回とか、三か月に一遍だとか、しかも施設丸ごとじゃなくて、手挙げ方式の中で任意の人しかやらないということであれば、だだ漏れというか、どこからウイルスが入ってくるかということも含めて、分からないじゃないですか。
それで、桃野委員が聞いたときに、区長はこう答えているんです。今の社会的検査の問題ですけれども、やはりこういう考え方で高齢者施設を守っていこう、確かに二か月に一回、二か月以上かかって一回というのは、桃野委員の言うように頻度として大変長いです、これはもっと短くしなければいけませんと、認めているんですよ。自分の定期検査の頻度の少なさが無意味であるということにつながることをちゃんと述べているんですよね。
副区長、これでも予算化しますか。
◎中村 副区長 社会的検査のうちの定期検査の話ですけれども、確かに代表質問のときにも御質問いただきまして、課題として頻度の問題と、それともう一つ、社会的検査を受検していない施設があるということの二つが課題ですということは明らかにしたつもりです。
ただ、この頻度につきましては、今後、直近でアンケート調査もしまして――失礼しました。受けていないところにつきましてはアンケート調査もして、受けやすいものに改善するということ。また、頻度につきましても、検査の方法も、プール方式の導入なども検討しながら、頻度の短縮化というのも検討していく工夫をしていきたいと考えております。予算のほうは、計上させていただいているのは御案内のとおりです。
◆大庭正明 委員 いや、だからそれが無駄な検査に終わっているということを我々は主張しているんですよ。ちゃんと計画を立てて、一週間に一回、この施設に関しては丸ごと全部やるんだと。ここからはクラスターは出さないんだということで、要するに高齢者施設に的を絞ってやるということが一番現実的なやり方なんですよ、高齢者の中で。でもそこのところに的を絞ってやるというようなことを、きっちりやるという計画を今言えないでしょう。何となくやりますみたいな。
だから、全施設、高齢者施設について確実にやりますよという計画を立てて、それで予算化するんでしょう。これは、腰だめの数字じゃないですか。七割だとか何だとか出ているのは、違うんですか。
じゃ、ちょっと聞きましょう。厚労省で出している十月二十二日の
アドバイザリーボードの中で、三十歳代を一とした場合の各年代の重症化率というのが出ているんですよ。それをちょっと読み上げてもらえますか。
◎安岡 感染症対策課長 委員御指摘の第十一回
アドバイザリーボードの資料の内容でございますが、三十歳代の重症化率を一倍とした際に、六十歳代は二十五倍、九十歳以上は七十八倍と、高齢の方で高くなることが示されております。
◆大庭正明 委員 これは去年の十月二十二日に出されたものですけれども、一応これが大体定説になっているというか、今の新型コロナの重症化率ですよ。三十歳代を一倍とした場合、六十歳代になってくると二十五倍、二十五倍の重症化率になっていく。七十歳代だと四十七倍、八十歳代だと七十一倍、もう九十歳以上になると七十八倍という、限りなくもう百倍に近づく感じになっていくわけですよ。だから、二十代は〇・三倍、十代は〇・二倍、十歳未満は〇・五倍。つまり三十歳を一倍とした場合、感染したら六十歳以降というのは飛躍的に重症化になりやすいというデータがもう出て、これが定説に今なっているわけですよ。
だからこそ、高齢者施設を完全に守らないと、重症化から、今度はお亡くなりになることにつながっていくということから、高齢者施設を重点的に、確実に頻度を高めてやっていかなくてはいけないということじゃないんですか。そのことを我々は、もう一年近い、もう半年以上ずっと言い続けてきているんですよ、頻度の問題。
それで、宮崎副区長も、それは毎日やっていったら財政的にパンクすると言っていました。それは何度も述べました。九十二万人全員やるなんて、区長がもうとんでもない話を言うから、そんなばかげた医療資源の無駄遣い、そんなことを考える人はいませんよ。だから絞って、重症化率の高いところに絞って、頻度を上げながら確実にやっていくということで、どうして計画を立てられないんですか。
◎中村 副区長 現在進めています社会的検査につきましても、御案内のとおり、高齢施設が重症化リスクが高いということで、ここを中心に実施をしています。その上で頻度の話。受検していない施設があるということをどうにかクリアしていくというのが今進めている最中で、基本的には、委員おっしゃる高齢者施設を集中的にということで進めているものと認識をしています。
◆大庭正明 委員 だから、高齢者施設を頻度を高めてやっていないんですよ。頻度が伴わないと、やっているにならないんですよ。それを、一回やったということで何か検査をやっているように聞こえますけれども、やっていないじゃないですか。一度も受けていないところがあるじゃないですか。定期検査も受けていないところもあるんでしょう。定期検査で三か月に一回とかそんなことじゃないですか。ちゃんとした計画をつくって、それで潰していく、コロナの侵入を潰していくという計画がどうしてできないんですかと。
区長の頭の中では、去年の六月にこういう戦略を立てたと言っているんです、彼の妄想の中、頭の中では。頭の外に突然出したのは、七月二十八日のBS―TBSです。みんなびっくりしちゃいましたよ。それが大変なことになって、ああでもない、こうでもないという形で、高齢者施設に絞ってやるということになっていったんですけれども、高齢者施設になることについて頻度は大切ですよ、頻度をやらないと、ただそのときだけの安心パスポートみたいな感じの、そういうようなものになってしまいますよということは言っているわけです。どうなんですか、頻度を上げるようにちゃんとしないんですか。
頻度を上げなければ意味がない。やる必然性がない。頻度を上げるんだったら、予算をもうちょっと増やしてちゃんときっちり受けさせると。そこじゃないですか、そこを答えられないじゃないですか。これは予算審議ですよ。予算審議の内容について問いただしているんです。全く計画性も頻度も担保されていないものがぽんと出て、社会的検査なんていう名前でやっていて、世間体はいいですよ。世間体というか、外に向かっては、世田谷はやっているな、進んでいるなと。だから、岩波の「世界」で寄稿のリクエストなんかが来るんじゃないですか。でも、実態は他区と比べて何も変わっていないですよ。他区のほうがもっとやっていますよ。だから、この無駄なことをやろうとしていることについて問いただしているんですよ。有馬さん、何か手を挙げたいの。
◎有馬 保健福祉政策部次長 まず、御指摘のとおり、制度設計として、入所施設については、定期検査は二か月に一回ということで、ここは頻度は足りていないのはもう十分承知しております。一方、通所施設、訪問施設については、定期検査は二か月に一回ですが、スクリーニング検査が二週間に一回ということで、頻度としては最大一か月三回まで今受けられるということで、制度設計としてはできています。
そういった意味では、入所施設については、制度設計として、まず対応できていないのはもう十分承知しておりまして、一方で東京都のほうがスクリーニング検査を入所施設には行っているので、制度としては区と都の制度を使えば受けられる状況です。ただ問題は、制度をつくったとしても、それが受検に至っていないところも十分把握しておりますので、そこについては具体的にこれから検討していきます。
なお、先ほど副区長からもお話がありましたが、現在行政検査のプール方式についての導入についても今検討を進めておりますので、こういった導入が進み、かつ予算上、単価等が下がってくれば、そこでまた、頻度等の制度については改めて制度設計をしたいと思っております。
◆大庭正明 委員 保坂区政になってから、以前は、きっちりこういう計画ができたんで、このとおりにやらせてくださいと言って、やれなかったことも多かった。だけれども、今は何だかよく分かんないけれども、こんなことをやろうとしているんですぐらいで予算に乗っかってくるんですよ。予算が始まってからこういうふうになりましたみたいな、およそ予算のつくり方が全然変わってきているんです。だから我々もよく分からない。よく分からないまま、判こを押そうとしちゃっているわけですよ。
これだけずさんな形で、何か東京都がどうのこうのとか、それから区長も、やっと国としても、社会的検査について高齢者施設に定期的にしていこうということを国として発信し始めているわけですというふうな形で、国もやり始めたと、何か世田谷の真似をし始めたようなごときのことを言っているんですけれども、そこで聞きたいんですけれども、国のPCR検査は、感染拡大地域の洗い出しであって、区民の医療につなげるものでは直接的にはないと思うんですけれども、そこのところをちょっと答えてください。
◎安岡 感染症対策課長 国が実施するモニタリング検査の趣旨は、感染拡大の端緒をつかむことであり、区民を医療につなげることを直接の目的としたものではございません。なお、国資料によりますと、陽性になった際には医療機関につなぎ、医師が感染を診断した際には発生届が提出される流れを構築しているところでございます。
◆大庭正明 委員 そうなんですよ。ここに書いてあるように、文字化しないと、みんな分からない。さあっと読んでいるから。今課長が言われたのは、国が実施するモニタリング検査の趣旨は、感染拡大の端緒をつかむことであり、区民を医療につなげることを直接の目的としたものではございませんということなんです。感染拡大の端緒なんです、端緒。区民の医療につなげるものではないんですよ。
だから、ここのことを委員会で有馬さんに聞いたんだけれども、要するにこっちのモニタリング検査というのは本当の検査ではないので、改めてPCR検査を受けてもらわないと陽性者にならないというようなことを遠回しに言って、僕は要するに、国がやる、東京都がやるものは端緒をつかむような形の調査であって、どういう広がりがあるかということを全体的に調べる検査であって、世田谷区の社会的検査とは違うんですよ。区長はそれをごっちゃにしているんですよ。
区がやろうとしているのは、頻度が薄い検査をやろうとしている。そこに、こういうモニタリング検査だとかを国がやったり、東京都がやったり、スクリーニング検査をやったりして、同じPCR検査をやるので頻度が上がるということ、国もそれを後押ししているから、もっともっと頻度が上がりますよというようなことで話をごまかしているんです。全然違うんです。
PCR検査を国がしても、モニタリング調査でも、スクリーニング検査でもやったとしても、もう一度世田谷区としてはPCR検査をし直さないと意味がないんですよ。本当の社会的検査を本当にやるとすれば。そこのところを分かっているんでしょ、有馬さん、分かっていますよね。
◎有馬 保健福祉政策部次長 モニタリング、スクリーニング、行政検査の違いは、十分役割は分かっております。
◆大庭正明 委員 だから、モニタリング、スクリーニングと、この社会的検査というのは意味が違うんです。それを同じふうに区長は言って、頻度が三倍ぐらい上がるみたいなことを言っているわけですよ。これは本当に、ごまかされちゃうわけですよ。人が聞くと、頻度が上がったね、頻度が上がってよかったねと言うんだけれども、頻度は上がっていないんです。世田谷独自の検査で頻度を上げるという努力はしないんですか、計画として。こんないいかげんな計画でやれるんですか。
◎有馬 保健福祉政策部次長 まず、モニタリングについては、まだ国から世田谷区に対してお話が来ていないので、これはちょっとまだ動向を見ているところですが、行政検査とスクリーニング検査については、かなり精度も高くなってきていますし、ここについては両方を組み合わせて、歳入の問題もありますので、頻度は両方の検査で高めていきたいというふうな計画を考えております。
現時点では、今お示ししている案にはなりますが、状況が日々変わりますので、検査方法等が変わりましたら、都度議会に報告をさせていただき、御相談させていただきたいと思っております。
◆大庭正明 委員 どうせ変わるんだったら、初めから書き直して、出し直せばいいじゃないですか。状況は刻々と迫っているじゃないですか。
◎有馬 保健福祉政策部次長 先ほどお話のありましたプール方式の導入については、一月の下旬に国から行政検査で認める文書が出まして、それに基づいて必要な検査とか制度確認がありますので、これが実は現時点では行えていない状況です。これを今、鋭意事務を進めておりまして、これが見えれば方策等はお示しできるんですが、現段階ではそこはできていませんので、この段階で予算を示しているところでございます。
◆大庭正明 委員 できてから出してください。できないうちから、何か安直な制度設計が曖昧なものを出すのは議会に対して失敬だと思います。
以上で私の質問を終わります。
○おぎのけんじ 委員長 以上で無所属・世田谷行革一一〇番・維新の質疑は終わりました。
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○おぎのけんじ 委員長 引き続きまして、Setagayaあらた、どうぞ。
◆佐藤美樹 委員 私からは、まず総括質疑の続きで、総括のときに聞けなかったコロナのワクチン住民接種の動画の件でお伺いしたいと思います。
今、区長の動画がホームページにアップされていますけれども、ずっとしゃべっているだけのようなもので、視覚に訴えるものがないので、これを今回、これから医療従事者向けにうめとぴあでシミュレーション接種をやるということですので、その様子を収めて動画としてアップして用いてはということを提案したいと思います。
また、この動画の配信先なんですけれども、やっぱり待ち時間を活用してこういうものを見てもらうというのが一つ有効かなと考えますので、区の窓口にあるタブレット、あるいはスクリーンというものを活用したり、あるいは医療機関、クリニックなどの待合スペースでこういったものを配信するように、こちらも協力していただかなければとは思いますが、この辺についての見解を伺います。
◎寺西
住民接種調整担当課長 現在、多くの区民がスマートフォンなどインターネットを通じて情報を取得しており、動画による啓発は有効であると考えております。既にネット上ではワクチンの接種に関する複数の動画がアップされておりまして、区のホームページでも、一月に実施された川崎市の集団接種会場の訓練の動画を紹介するなど、接種の啓発に活用しております。区でも先般、今お話しありましたとおり、区長から、四月以降の区の接種の方針について動画による発信を行ったところでございます。今後も、予約から接種までの一連の流れを分かりやすく解説する動画など、区民の不安の払拭や、円滑な会場運営等に資する事前情報を提供したいと考えてございます。
また、動画の配信は区のホームページですとか、あと昨日、ワクチン専用の区のツイッターを開設しましたけれども、こういったもので行うほか、くみん窓口の待合場所に設けているデジタルサイネージでも御案内を発信してまいります。
また、御提案の医師会の御協力を得た動画の取組ですとか、また、区内医療機関での配信についても併せて検討を行い、より多くの区民の目に触れる機会をつくってまいります。
◆佐藤美樹 委員 よろしくお願いいたします。
次に、不適切な保育について伺いたいと思います。
今回、福祉保健常任委員会で最初に十一月に報告されて以降、これは虐待であったというふうに今は位置づけて、いろいろな検討、検証をしているところだと思いますけれども、非常に残念なことだったなと思うのと、一方で、もしかしたらこれが氷山のほんの一角なのかもしれないと思うと、やはり今回、全てのうみを出し切って、いい保育の現場に変えていっていただきたいなという思いから質問をしていきます。
まず、保育の現場において、一つ改善の提案としては、自己評価の進め方というところを質問していきたいんですけれども、この自己評価というのが、結局その結果をフィードバックに使われるような、そういった内容で保育士さんが自分自身の保育についての自己評価をしていたかどうかというところがポイントだと思うんですが、今、現状行っている保育の現場での自己評価の内容について、まず伺います。
◎大澤 保育課長 自己評価の取組につきましては、保育実践の改善や充実、一人一人の保育士等の資質や専門性、職員間の協働性を高めるために非常に重要であると認識しております。区立保育園におけます自己評価につきましては、保育日誌等の記録や職員間の話合いを通じまして、定期的に自らの保育実践の振り返り――これが自己評価に当たりますけれども――を行い、互いの学び合いや意識の向上につなげているところでございます。
また、人事考課といたしまして、年度当初に業務における目標などを設定し、十二月及び三月に日々の保育実践の振り返りなどを踏まえ、園長と面接を行い、目標の達成状況や課題などについて確認を行い、人事評価につなげているところでございます。
◆佐藤美樹 委員 今回質問するに当たって、今御説明のありました保育日誌ですとか、人事考課の様式も見させていただいたんですけれども、保育日誌というのは、保育士の先生が担当しているクラスについての保育内容を記載していくものなので、やはり保育士が自身に目を向けて自分のことを評価して記録するというものには当たりません。また、人事考課のための評価というのも、これは保育に限らず、区の全ての所管でやっている人事制度の一環になりますので、これも今言っているような保育士さんの保育内容についてのチェックリストというのには当たらないというふうに見ています。
また、結局大事なのは、評価結果を残して、それもしている、していないではなくて、一、二、三、四、五ですとか、何段階評価かで見える化していく。そういう形式で残さないと、結局それを基に施設長なり、主任なりが面談をするときのフィードバックとしても曖昧になってしまいますので、こういった形式、手法を改善していただきたいと思います。
厚労省でも、今、保育の自己評価のガイドラインというのが出ていまして、そこでも先ほど課長が説明されたような文章や対話による評価と併せて、チェックリスト形式というのをやっぱり組み合わせていかないと有効じゃないですよということはもう書かれていますので、しっかりそういったことを取り入れて改善をしていっていただきたいと考えますが、見解を問います。
◎大澤 保育課長 今般の区立保育園での事例を受けまして、外部有識者による検討会を行っているところでございますけれども、自己評価につきましても、職員のキャリアに応じた保育の振り返りや、中堅職員としての保育に対する考え方の確認、あるいは人事評価の精度を高める仕組みづくりについても御意見をいただいているところでございます。
また、今委員お話がありました国におきましても、昨年三月、保育所保育指針に基づき、保育の質の確保向上を図ることを目的に、保育士と、個人ですね、及び保育所、組織が自らの保育内容等について評価を行うために、自己評価ガイドラインに基本的な考え方と実施方法とが示されております。今後、具体的な方策について検討することになっております。
委員御提案の評価の見える化につきましては、保育士本人はもとより、保育園をはじめ様々な関係者が、保育の目標や内容について理解を共有することによって、保育の質の確保や向上に向けた様々な取組を進めていく上で有効と考えているところでございます。今後、自己評価の具体策を検討していく過程で、このような取組についても検討してまいりたいと考えております。
◆佐藤美樹 委員 自己評価のやり方を変えていっていただく、それも検討していくということですので、ぜひそこは本当にしっかりやっていただきたいですし、今回一つすごく疑問なのは、やっぱりこの件を受けて、施設長である園長先生、その施設長自身もきちんと自分のことを自己評価されていたのかどうかというところも非常に疑問に感じていますし、今申し上げたような自己評価の内容というのは、保育士の先生はもちろんそうですけれども、全員で実施すべきことですので、そういう視点でもお願いしたいと思います。
また、今回の件でいろいろな疑問が残っている中の一つとして、やはりこういったことの声が上げにくかった、もしくは声が上げられても組織として自浄機能が働かなかった、そういった組織風土、組織の雰囲気とか、そういうところにも疑問を感じているところであります。
その自浄機能が働くような、いわゆる風通しのいい職場と言われる部分ですけれども、これをつくっていくためには、トップの姿勢というのも非常に重要だというふうに見ています。トップがどこまでこれについて真摯に向き合って、本当に今回の件を受けて、保育園全体を組織風土というところも含めて変えていくんだという意識があるかどうかというところをお聞きしたいので、副区長にこれは見解を求めます。
◎中村 副区長 ただいまの風通しのよい職場づくりというのは重要な指摘と受け止めます。保育園では、子どものためにとてもよい保育が実践できた事例などを園内で共有して、保育士がやりがいや自信を分かち合うことも大切ですけれども、仮に他の保育士の子どもとの関わりに問題がある場合など、日々の保育の振り返りを通じて、保育士同士が適切な保育を確認し合うという、真の意味で風通しがよい職場づくりが必要と考えます。
そのためには、保育士一人一人が本件を契機として、子どもの最善の利益を守るという使命感を再確認していただきたい。また、真の意味での風通しのよさというものを区立園の組織の風土ということまでにしていく必要があると思っています。
現在、本件に関しての検討委員会から御報告いただくことにしておりますが、この報告には、いわゆる区の経営層のコメントを付して全園に周知徹底をします。また、検討会で示された改善策をしっかり実行しまして、本件のような事態を二度と起こすことのない組織風土の改革を進めてまいりたいと考えております。
◆佐藤美樹 委員 よろしくお願いいたします。
私が自分の娘を預けたことが御縁で、いまだにいろいろと意見を聞いたりしている私立の認可保育所では、そこは昔は無認可の認可外の保育所だったんですけれども、認可外のときから何段階か、ABCみたいな段階でチェックリスト形式で、保育の現場で自己評価というのもやってきて、それをその施設長が面談で用いてフィードバックをしていくというのを実践していました。
本当に言いにくいことですけれども、やっぱり私立の認可の保育園でも、きちんと工夫をして自分たち独自のチェックリストとかをつくっているとかをやっていますので、お膝元である区立園というところが、本当に今回しっかり、そこの辺を立て直していけるようにお願いしたいと思います。
また、この内容を受けて、今回区のほうで保護者向けにアンケートを実施していると思うんですけれども、これについても少しお伺いしたいんですが、区のほうで、区立保育園全園に向けて不適切な内容がありましたかというような設問を追加して、保護者向けにアンケートをお願いしたというふうに報告を受けています。ただ、このアンケートというのが、いわゆる手書きで記載するような形のもので、やはり保育園に自分の子どもを通わせている保護者にしてみると、無記名であっても筆跡で分かってしまいますし、また、さらに言うと、直接園を介さないで保育課に来るようなアンケートでもよかったなというふうに思っています。
今回、教育所管のほうでは、子どもたちに配付しているそのタブレットで保護者にアンケートを答えてもらうような、そういった用い方も検討しているというふうに聞いていますので、保育所管においても、こういったICTを活用して、保護者の生の声を吸い上げるような、そういったアンケートのやり方を検討してはと考えますが、見解をお願いします。
◎大澤 保育課長 区立保育園では、保育園業務支援システムを昨年度、六園に先行導入いたしまして、今年度は残りの園に導入し、ICT化を進めているところでございます。保育園業務支援システム機能の一つに、保護者とのコミュニケーション機能がありまして、保育園と保護者が双方向のやり取りを行うことが可能になります。
来年度からはこのシステムを使い、保護者のスマートフォンなどから欠席や登園予定時間の連絡を園へ、また園からは、これまでの一斉お知らせに加え、健康管理情報を保護者へ伝えることとしております。また、一部の園で連絡帳機能の使用を試行的に開始し、保護者と園との情報のやり取りをスムーズに行えるように進めてまいります。
今後、このシステムの定着をまずは図っていくことになりますが、委員御提案の保護者アンケートにつきましては、システムの親和性や有効性などを見極めながら検討してまいります。
◆佐藤美樹 委員 風通しのいい職場とともに、こういった意見が吸い上げられやすいツールというものも活用して、改革につなげていただきたいと思います。
次に、子どもたちの放課後についての新BOPのテーマで質問したいと思います。
新BOPについては会派としても様々これまでも取り上げてきて、代表質問でも申し上げましたが、今後新BOPを変えていくその一つのキーとしては、民間活用ということをかねてよりこれも言っていることではあるんですが、この民間というところの内容をどうしていくかというのを再三質疑してきたところですが、今回、先月の保健福祉常任委員会で、新BOP事業のあり方検討委員会での報告書というのが紹介されて、その中で、望ましい放課後の居場所というイメージ図が記載をされていました。
一応、ちょっとそれを拡大して、見えにくいですが、イメージが分かればいいです。子どもが中心にいて、新BOP以外もいろいろと子どもが地域のコミュニティーだったり、外遊びの団体だったり、児童館もそうです。そういういろんなところを、新BOP以外も選択できるような、そういった放課後があると望ましいねというのを、区がこれは望ましい放課後ということで出してこられたものです。
でも、子どもたちが自由に新BOP以外も選択できるような、そういった放課後の在り方というふうにするには、これは別の見方をすると、今の区が持っているリソース、人材と場所以外の部分を活用していくということになりますので、これを実現するためのコーディネートする機能というのが必要になっていくと思います。
この様々な、区が持っている以外の人材や場所をコーディネートするためには、やはり民間の人材というのがコーディネーター機能として必要と思いますけれども、見解をお願いします。
◎須田 児童課長 新BOP事業のあり方検討委員会では、新BOPの大規模化や活動スペース及び人材の確保、保護者ニーズの変化に対応するため、規模の適正化や運営体制の見直し、子どもの自立支援等の取組方針が示されました。また、放課後の子どもの過ごし方の将来像として、子どもが自主的にその時々のニーズに合わせて選ぶことができる環境を整備し、子どもが自ら選択した場所において自立し、過ごせる居場所づくりを目指すこととしております。地域には、児童館をはじめとした公共施設のほか、民間団体等が実施している活動や居場所もあり、子どもたちがその場所を知り、つながっていくためには、地域と子どもをマッチングする機能も有効と考えております。
来年度実施する関係所管による新BOP事業のあり方検討会におきまして、具体的な施策や方向性等を話し合う中で、御提案のコーディネートをする民間人材の活用についても検討してまいります。
◆佐藤美樹 委員 質問を替わります。
◆つるみけんご 委員 私からは、認知症の方の行方不明者対策について伺ってまいります。
令和元年度、認知症または認知症の疑いのある方の行方不明届出数は全国で一万七千四百七十九件、統計を取り始めてから七年間連続で増加しております。さらに、令和元年度中に所在が確認できた認知症の方の行方不明者一万七千三百四十人のうち、およそ二・七%に当たる四百六十人の方が、残念なことに命を落とされております。
こうした背景がある中、世田谷区では昨年十月に世田谷区認知症とともに生きる希望条例が制定され、その十五条には、緊急時における支援を行うための体制の整備を推進するものとするとありますが、行方不明者対策という命を守るためのセーフティーネットが果たして現行の世田谷区の取組で十分に機能していると言えるのか、このような観点から伺ってまいります。
緊急時に対応するためのSOSネットワークについてはこれまでの質問でも取り上げてまいりましたが、まずは改めて現行の区の対応について確認をいたします。
現状、世田谷区に認知症の方が行方不明になった、あるいは見当たらないなど御家族の方から御相談があった場合には、区はどのように動かれているのでしょうか、伺います。
◎佐久間 介護予防・地域支援課長 区では、あんしんすこやかセンターなどで家族などから相談を受けた際、認知症の方が行方不明になった詳しい情報を聞き取るとともに、警察への行方不明の届出をしているかどうかを確認し、届出をしていない場合は警察への相談の勧奨を行っております。
次に、区で対応できることについて説明させていただき、家族の意向に応じて行方不明の情報を関係機関に流し、共有しております。区役所の内部では、危機管理部と連携し、区役所の全職場及び二十八か所のあんしんすこやかセンターへ行方不明者の情報を発信し、職員が業務で外出する機会等を含め、発見を呼びかけております。そのほか、世田谷区二十四時間安全安心パトロールへ情報を発信し、パトロール中の警備員が区内巡回中に発見できる体制としております。
区外への情報提供といたしましては、東京都行方不明認知症高齢者等情報共有サイトへ掲載することにより、都内自治体や近隣県及び警視庁へ一斉に情報を流し、各自治体内での発見の呼びかけ及び身元不明との照合を行っております。
さらに、見回りネットワークでの高齢者見守りステッカー事業や、社会福祉協議会のせたがやはいかいSOSネットワーク事業の利用や、介護保険等のサービスの利用状況に応じて助言を行うなど、御家族等からの相談に継続的に対応しております。
引き続き、庁内及びあんしんすこやかセンター、警察等の関係機関と連携を強化し、行方不明になられた方への安全安心に努めてまいります。
◆つるみけんご 委員 では、実際に世田谷区に対して行方不明の相談があった場合に、今御答弁いただいた区の行方不明者の捜索のためのネットワークはどのように生かされたと考えておられるのか伺います。
◎佐久間 介護予防・地域支援課長 区に行方不明の相談があった場合、総合支所や出張所、まちづくりセンター、保育園、児童館など区役所の全職場、二十八か所のあんしんすこやかセンターの関係機関において、電子メールなどを通じて行方不明の方の特徴を周知するとともに、世田谷区二十四時間安全安心パトロールへ行方不明の情報を共有し、行方不明者の早期発見に取り組んでおります。
また、警察への行方不明の届出について確認し、届出をしていない場合については、警察への相談の勧奨を行っており、警察との連携の強化に努めております。
◆つるみけんご 委員 今、御答弁の中で早期発見に取り組んでいるとのことでしたが、今の御答弁からは、総合支所や出張所、関係機関等と情報を共有したということは分かりますが、それが果たして現実的に早期発見につながっているのかということが全く見えません。警察への相談を勧めて、あとは様々な平常時の取組の中に情報を流して、共有して終わりということになっていないでしょうか。
本来であれば、区に行方不明の相談があった際、情報を共有された区の職員や区内の二十八か所のあんしんすこやかセンター等の関係機関、世田谷区二十四時間安全安心パトロールなどがどのように動けたのかということが重要であるはずです。それぞれがどれくらい捜索につながるような行動が取れたのか、早期発見のために捜索の目を増やすことができたのか、平常時の見守りのネットワークは緊急時対応として行動するSOSネットワークに切り替えられたのか、こうしたことができて初めて早期発見に取り組んでいると言えるのだと思います。
区は、行方不明者対策を警察にお任せすればよいと思っているのではないでしょうか。行方不明者の捜索には人の命がかかっています。区民の命を守るのは自治体の責務です。
平成三十年度、区が行方不明の相談を受けて、東京都の近隣自治体へ情報共有システムを利用した案件の中には、残念ながらお亡くなりになられてしまった方もおられます。こうした悲しいことが二度と世田谷区で起きないように、捜索のために、より実効性のある有効な取組を実施すべきと考えますが、区の見解を伺います。
◎佐久間 介護予防・地域支援課長 区では、庁内で行方不明者の情報を共有することで見守りの目を増やしていると考えております。また、認知症により外出先から帰れないなどの不安がある高齢者へは認知症見守りステッカーを配付するほか、民生委員ふれあい訪問、あんしんすこやかセンターのあんしん見守り事業、事業所との高齢者見守り協定、高齢者見守りネットワークなどの取組を地域の方々の協力の下、実施させていただいております。
世田谷区社会福祉協議会では、せたがやはいかいSOSネットワーク事業を実施しており、まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社協による、三者連携による徘回発見模擬訓練にも取り組むなどして、地域づくりの推進に取り組んでいるところでございます。
今後、認知症の方が行方不明になったときの対応について、現在の情報共有体制のほか、世田谷区社会福祉協議会が実施している、せたがやはいかいSOSネットワーク事業の実績や成果、課題等について把握するとともに、区の見守り事業をより効果的に連動させるなど、社会福祉協議会や警察などとも連携しながら、よりよい手法について検討してまいります。
◆つるみけんご 委員 ひとまず次のテーマに移ります。
認知症に伴う踏切事故等に係る損害賠償補償制度について伺います。
さきの第一回定例会の一般質問では、認知症施策評価委員会において制度の必要性を言及された御本人、御家族の声をどのように生かすのかと伺いましたが、区はこれに対し、認知症施策評価委員会において、今後も御本人、御家族等から御意見を伺い、引き続き検討していきますと答弁されました。区の議会に対する基本的姿勢に疑問を持ちます。
昨年の第四回定例会で、区長は、近く検討委員会がございますので、この中でこれから打ち出していく希望計画とともに、しっかりバランスよく、また認知症の御本人、御家族の声も実際に聞きながら判断をさせていただきたいと言われました。つまり、近く行われる検討委員会の中で、御本人、御家族の声を聞いて判断するとおっしゃったわけです。こうしたことがあって、その後、十二月の認知症施策評価委員会で御本人、御家族の声を聞かれたのです。にもかかわらず、結局判断ができない。その結果、引き続き検討するというこれまで何度も何度も繰り返してきた答弁をまた繰り返されました。いつまでこの検討という言葉で制度導入の判断を先延ばしにされるおつもりなのか、全くもって理解に苦しみます。
区は、一体全体何がどうなればその判断ができると考えておられるのか、残念ながら区長はいらっしゃいませんが、区としての見解を伺います。
◎佐久間 介護予防・地域支援課長 今回の計画案では、地域の中で条例の考え方を広め、御本人を含む区民が共に認知症について話し合うことで、認知症観の転換を進めていくことを優先的に行っていくものとしております。
認知症施策評価委員会の委員からは、行政として力を入れるべきことは、本当の意味での地域で共に支えることであり、そのための希望条例であるとの地域づくりが重要である旨の意見が出されており、まずは地域の見守りなどのネットワークを強化し、事故が生じない暮らしやすい地域となるように取り組んでまいります。
認知症損害賠償保険につきましては、今後も認知症施策評価委員会におきまして、御本人、御家族からの御意見を伺い検討していき、認知症観の転換、事故を未然に防ぐ地域づくりの取組の進捗状況を見ながら、賠償保険についての検討を整理していきたいと考えております。
◆つるみけんご 委員 今の御答弁では、新しい認知症観への転換が優先事項で、見守りのネットワークの強化で事故が生じない地域をつくると、そうおっしゃったわけですが、事故が起きないようにする取組と、万が一事故が起きてしまったときに区がどう対応するかというのは、どちらか一方を優先し、どちらか一方を後回しにしていいというものなのでしょうか。これらはそもそも施策としての位置づけが異なるはずです。
例えば空中ブランコを思い浮かべていただきたいのですが、練習をする際には当然誰でもセーフティーネットを張って、それから練習に臨むわけです。このときに、周りのみんなが気持ちを切り替えてみんなで見守っていれば絶対に落ちることはない、事故など起こるはずがないということがあり得るでしょうか。私には到底理解できない論理です。もちろん事故は起きないにこしたことはありません。そのために、認知症観の転換、地域づくりが必要ということは理解いたします。しかし、万が一の事故に備え、セーフティーネットをしっかりと張っておく、このことが重要であるはずです。
三月十日の日経新聞でも、認知症の方の踏切事故等を想定した損害賠償の補償制度が取り上げられておりました。記事によると、認知症による賠償責任保険の費用を、一部または全額負担する仕組みを取り入れている自治体は六十三自治体にも上るとのことです。これだけ多くの自治体が必要だと判断し、既に導入している中で、福祉先進都市であるはずの世田谷区はその判断ができないというのが今の区の現状です。
福祉部門の担当副区長である中村副区長に二点伺います。
一つは、損害賠償補償制度について、今までの一連のやり取りを通じて、副区長としてどのようにお考えかお聞かせください。
そしてもう一点は、先ほどの行方不明者対策について、今の区の姿勢で、本当に行方不明の方を救えるのか、無事に発見して御家族の元へお帰りいただくことができるのかということです。
昨年、区内の小学生の男の子が行方不明となった事案がありましたが、このときの区の対応と、先ほど答弁にあった対応を比べると、認知症高齢者に対する行方不明捜索のための取組は明らかに脆弱です。区は子どもと高齢者の行方不明者対策を区別しているのではないでしょうか。このような重大なことにまで縦割りを持ち込む区の姿勢が、私は理解できません。帰りを待つ御家族の思いは同じはずです。区はその御家族の思いに応えられているのでしょうか、副区長としてのお考えをお聞かせください。
◎中村 副区長 まず、認知症の賠償保険についてお答えいたします。
今回、希望計画案の策定に当たりましては、認知症の本人や外部有識者が参加した検討委員会におきまして、新しい認知症観への転換を図りながら、地域の見守りのネットワークを一層強化することで、認知症の方が安心して安全に暮らすことができる地域づくりということを優先的に議論してきたことから、この保険制度について具体的な検討に至ってこなかったということは事実です。この賠償保険制度につきましては、地域の取組を補完する仕組みとして重要な検討課題と認識をしています。引き続き、認知症施策評価委員会の議論を踏まえまして、事故を未然に防ぐ地域の取組の進捗状況を把握しながら、保険制度についての具体的な検討を進めていきたいと考えます。
また、行方不明者の件です。認知症施策の中でも、特に行方不明になったときの対応につきましては、御指摘のとおり御本人の命に関わることもあり、誰もが安心して暮らせる地域社会の在り方そのものに関わるものと考えております。そうしたことから、行方不明の捜索につきましては、地域包括ケアの地区展開を支えるまちセン、あんすこ、社協のほか、町会・自治会、民生委員、警察、消防との連携など、地域社会全体で対応すべきものと考えます。
今後も既存の区の取組を検証するとともに、御本人、御家族から御意見を伺いながら、認知症の方が安心して外出できると思えるような環境づくり、また実効性のある取組を進めてまいりたいと考えております。
◆つるみけんご 委員 以上で終わります。
○おぎのけんじ 委員長 以上でSetagayaあらたの質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午前十一時五分休憩
──────────────────
午前十一時二十分開議
○おぎのけんじ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
日本共産党、どうぞ。
◆中里光夫 委員 それでは、日本共産党の福祉保健分野の質問を始めます。
最初に、新BOP学童クラブの在り方検討について質問をしていきます。
新BOP学童クラブは、全ての希望者を校内に設置されている新BOPに受け入れるという制度設計の下、この間、大規模化、狭隘化、人材確保などの課題が指摘されてきました。我が会派を含め、多くの会派が、これまで職員体制の拡充や大規模化、狭隘化の改善などを求め、繰り返し議会でも取り上げられてきました。また、この間、時間延長のモデル事業も実施されてきましたが、多様な保護者のニーズにどこまで応えるのか、区として見極める時期に来ていると考えます。
新BOP事業のあり方検討委員会の報告が示されました。新BOP事業の在り方について四点質問をしていきたいと思います。
第一は、区の公的責任についてです。
新BOPは、放課後の児童の安全な遊び場を確保し、集団遊びの中から社会性、創造性を培い、児童の健全育成を図るBOP事業と学童保育を統合して生まれました。子どもの精神的ケアや自立を支援すること、近年では要配慮児童を受け入れるなどの役割があります。また、児童虐待など家庭に課題のある子どもに対するソーシャルワーク的役割を、児童館や要対協などと連携して取り組んでいます。
コロナ禍の下、昨年の突然の学校休校のときには、民間学童が休止する中、新BOP学童クラブは、児童館の応援も得ながら、翌日から丸一日子どもを預かる体制をつくり、民間学童の児童にも門戸を広げました。公設公営だからこそ、その役割を発揮したと言えると思います。
区の新BOP学童クラブの公的責任について認識を伺います。
◎須田 児童課長 新BOPでは、これまでも児童の健全育成に取り組むとともに、子ども家庭支援センター等の関係機関と連携し、支援が必要な家庭を発見し、子どもの生活を支えるなど、様々な取組を実践してまいりました。また、要配慮児童につきましても、見守りを丁寧に行うなど、必要な配慮を行いながら、受入れを実施しております。
昨年三月には、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う小学校休校の際に、新BOP学童クラブにおいて、午前中から一日育成を実施するとともに、新BOP学童クラブの休止の際にも、医療従事者等の勤務を必要とする保護者のお子様の預かりを実施するなど、公設公営としてのセーフティーネットの役割を果たしてまいりました。
新BOP学童クラブにおきましては、これまで実践してまいりました公的責任をベースといたしまして、今後の在り方について検討してまいります。
◆中里光夫 委員 区の公的責任は非常に大きいものがあると思います。
次に、第二は、大規模化に伴う課題についてです。
二百人を超えるクラブが複数生まれるなど、大規模化は急激に進んでいます。あり方検討会では、定員制についても議論されています。しかし、定員制を設ければ、定員からあふれる児童が出てきます。区は、学童クラブを必要とする全ての児童の居場所、健全育成に責任を持つべきだと考えます。定員からあふれる児童をどうするのか伺います。
◎須田 児童課長 一部の新BOPでは、登録児童数が大幅に増加し、大規模化が進行しまして、活動場所や人員の確保の面から、規模の適正化は喫緊の課題となっております。一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大により、子どもたちが密にならないような運営を行ったことにより、スペースにゆとりが生じ、こうした子どもたちが伸び伸びと活動できる状況が望ましいという意見を保護者からもいただいております。
検討委員会から示されました定員制の導入につきましては、待機児童を生じさせることではなく、保護者の理解や新たな居場所の創造等により行われるべきものと区としては認識しており、大規模校における定員制の導入も一つの方策として捉え、大規模校の解消に向けた検討を行ってまいります。
◆中里光夫 委員 全ての児童に対するそれこそ区の公的責任、そこは非常に大事だと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
第三は、民間活用についてです。
あり方検討委員会の報告では、人数に制限を設けた場合、参加できなかった児童をカバーする放課後の居場所を考える、その際に、民間の活用を考えるというような議論が出ています。民間事業者を誘致することや、民間学童の利用に経済的な支援をすることも考えられるなど、こういった意見が出されております。しかし、区内の民間学童の多くは、営利目的の塾や習い事に、放課後の居場所としての機能を付け加えたというものです。
民間学童の中には、発達障害児などの要支援のお子さんの受入れを断るクラブもあると聞いています。民間学童に入りたくても、障害特性などで入ることができないお子さんもいることなどを含め、民間学童への経済的支援について慎重に検討が必要だと考えます。
一方、検討委員会では、新たな居場所としてきたっこの事例が紹介されています。きたっこは、北沢小学校統合のときに、保護者の要求から、旧北沢小学校を使って児童の放課後事業を行ったものです。児童館の分館と位置づけて、児童館から職員を派遣しました。旧北沢小に池之上小が移ってきた、この際に北沢地区会館に活動場所を移しました。現在も利用者の評判は大変高く、安心して子どもを預けられると定評です。何よりも実績があります。
きたっこのように、公共施設などを使い、区の職員、または地域団体などが運営する居場所づくりは重要だと考えます。民間活用を考える際、公的責任を明確にし、質の確保に十分留意するというのが新実施計画で示された区の基本姿勢です。この点を踏まえて、慎重な検討が必要です。区は、民間活用についてどのように考えるのか伺います。
◎須田 児童課長 現在、新BOPには、大規模化や人材の確保、延長ニーズへの対応など様々な課題が生じており、新BOP事業のあり方検討委員会では、こうした課題への対応の一つとして、民間事業者等の活用について示されております。
民間の活用につきましては、民間事業者だけではなく、地域で活動する団体等との連携という視点も大切でございます。例えば御提案のきたっこのような居場所につきましても、民間団体等を活用しながら運営することも一つの方策と考えております。
区としましては、次年度実施する検討会の中で、新BOPを取り巻く様々な課題を解決できるよう、地域団体等も含めた民間活用を含め、あらゆる施策について検討してまいりたいと考えております。
◆中里光夫 委員 第四は、人材確保についてです。
非常勤職員の欠員、定着しないという問題や、大規模化が進む中で、児童の安全確保が精いっぱいで、本来の子どもの遊びが発展しないなどの問題が指摘をされています。常勤職員は、欠員もなく定着しています。常勤職員の配置基準を四十人に一人にするなど、基準の見直しについても今後の検討において度外視せずに位置づけていただきたいと思います。
また、非常勤職員の時給を上げるなど、処遇改善を求めます。見解を伺います。
◎須田 児童課長 指導員の配置につきましては、年度当初三百九十七名の配置から四百二十五名まで採用を進め、現時点で必要な配置人員四百九十二名に対し、六十七名欠員が生じておりますが、こうした欠員は、短時間勤務で配置しております指導員百六十名が補っている状況でございます。
全国的な福祉人材不足もございまして、非常勤の指導員に代えて常勤の配置基準を見直すという考え方もありますが、新BOPが主に放課後に運営しているため、児童が不在の時間帯に常勤職員を配置することになりますので、工夫が必要と考えてございます。
指導員報酬につきましては、毎年見直しを行いまして、平成二十八年度から約一万二千円引き上げており、こうした処遇改善に加えまして、最適なシフト設定や効果的な募集方法を実施し、引き続き人材の確保に努めてまいります。
◆中里光夫 委員 工夫が必要だということですけれども、人材の確保、本当に喫緊の課題です。常勤職員の配置基準見直しも含めてしっかりと検討を進めていただきたいと思います。
最後に、時間延長についてですが、区はモデル事業化するについて、一旦休止し、令和三年度に改めて検討を進めるとしています。子どもにとってどうなのか、子どもを中心に、最善の利益を守る立場で慎重な検討を求め、次の質問に移っていきたいと思います。
次は、保育園の問題について質問をします。
昨年、国基準での待機児がゼロになりました。しかし、保育の必要性が認定されながら希望した保育園に入れなかった児童が七百七十三人ありました。今年の入園申込者は昨年より六百二十八人減ったものの、入園可能数三千八百七十八人に対し、申込者数六千十五人、一次審査で漏れた児童は二千百五人に上っています。北沢・世田谷地域を中心に保育園整備はまだ必要です。
コロナ禍で経済状況が悪化している世帯も多い中、今後、保育の需要が増加することも懸念されます。見通しは不明です。今後も認可保育園を中心に、保育の質を守りながら、保育園の整備を進めるべきだと考えますが、見解を伺います。
◎中西 保育計画・
整備支援担当課長 令和二年四月の就学前人口は四万三千九百一人と過去五年で人口が最も多かった平成二十九年と比較して約一千人減少し、また、出生数の減少や育児休業希望者の増加等によりまして、今年度の入園申込者数が前年度を約六百人下回る状況となってございます。
区では、これまで保育待機児童対策といたしまして施設整備に注力した定員拡大を図り、五年間で五千七百人以上の定員を拡大し、令和二年四月には二万四百六十二人分の保育総定員を確保してございます。また、令和元年十月の幼児教育・保育無償化によりまして保護者の経済的負担の軽減を図るなど、ハード、ソフトの両面から安心して子育てができる環境を整備しているところです。
令和二年四月の保育待機児童の解消によりまして、環状八号線の西側など保育施設が充足しつつある地域もあることから、今後は必要な地域に特化し、認可を中心とした施設整備を進め、引き続き保育の質を確保し、安心して子育てができる環境づくりに取り組んでまいります。
◆中里光夫 委員 小学校では三十五人学級が実現しました。コロナ対策と質の高い教育のためです。待機児対策として定員を増やし、子どもを詰め込む弾力化が、この間、私立、区立ともに行われてきました。令和二年四月時点で、区立保育園での弾力化、三百七十八名と詰め込みが行われてきました。弾力化の早期解消が必要です。
また、保育園もコロナの経験を受け、保育基準を見直す時期ではないでしょうか。見解を伺います。
◎中西 保育計画・
整備支援担当課長 定員の弾力化ですが、保育待機児童対策として、認可の定員を一定数超えて受入れを行っているものでございます。
委員お話しのとおり、現在区では、区立のほうで約三百人余、私立園で約二百人分の弾力化を行っております。
令和二年度を初年度とする子ども・子育て支援事業計画では、令和三年度と令和四年度の二か年で定員弾力化運用を解消することを目標としておりますが、新型コロナウイルス感染症の与える影響や令和三年四月の入園申込状況の分析と併せまして、令和三年度中に各年次の達成目標を見直すこととしております。
達成目標の見直しに当たりましては、就学前人口や令和三年四月の保育待機児童の状況等を踏まえまして、定員弾力化実施園の意向等も確認しながら、定員弾力化の解消に向け、方法やスケジュール等について検討をしてまいります。
◆中里光夫 委員 しっかりと進めていただきたいと思います。
次に、ワクチンの問題について質問をしていきます。
介護・福祉事業者に対しては、施設、在宅と分けることなく、ワクチンの優先接種を行うことを求めて質問したいと思います。
介護従事者の優先順位については、入居施設に従事する職員は、高齢者と同じ順位で接種ができるようになりました。この順位は国が決める、その中で、まず医療関係者、そして高齢者、その次に介護従事者と、施設に関してだけは高齢者と同時に接種できるというものです。しかし、在宅ヘルパーについてはこれが違うということで運動が広がってきました。その中で、条件つきで優先接種が進められることになりました。
三月には、三月三日ですか、厚生労働省が在宅介護従事者にも条件つきでワクチン優先接種の対象に加えることを認めたと。この内容は、事業者が感染患者及び濃厚接触者に介護サービスを提供する旨を区市町村に登録し、登録した事業所の職員でサービス提供の意思を有する事業者のみが対象になる。つまり、感染者、濃厚接触者だけが対象というわけです。この手続は、医療従事者や施設介護従事者にはなく、在宅介護に限るものだと。在宅ヘルパーからは、なぜ自分たちだけが条件つきなのかと、施設、在宅と分けることなく優先接種してもらいたい、こういう要望が上がっています。
介護従事者を無条件に優先接種対象とするよう国に働きかけるべきだと思いますが、見解を伺います。
◎寺西
住民接種調整担当課長 新型コロナワクチンの接種に当たり、当面確保できるワクチンの量に限りがあることから、優先的に接種を受けられる対象の決定は国が行うこととされております。第三波のときに、区内でも現にございましたが、病床が逼迫し、高齢者においても、やむを得ず自宅療養を余儀なくされるという事態が生じておりまして、こうした患者等に対して介護サービスなどを継続する必要があるという課題に対応するため、居宅でのサービス提供などを行う意思を有する介護事業所等の職員が、今回優先接種の対象である高齢者施設等の従事者に新たに含まれるよう、取扱いが変更されたものでございます。
区ではこの間、社会的検査の実施など、居宅系サービスも含めた福祉施設全般の感染拡大防止に取り組んできており、こうした区の取組の方向性や国の見直しの動向も踏まえ、国が定めた考え方を基本としながらも、ワクチン接種の効果的な実施や感染拡大防止に資する適切な接種順位について、区として検討を進めてまいります。
◆中里光夫 委員 区は、社会的検査などの中で、こういった在宅を支える介護従事者についての必要性についても痛感しているんじゃないかと思います。しっかりと進めていただきたいと思います。
次に、医療体制の支援について質問をします。
緊急事態宣言の再延長がされて、期限が迫ってきましたけれども、新規感染者が下げ止まらず、増え始めています。リバウンド、変異株の感染拡大などが危惧されています。第三波では、病床が空かず、入院できない多くの感染者が自宅待機せざるを得ない。その間に重症化して命を失うということも起こりました。このようなことを繰り返してはなりません。
医療機関の逼迫は解消されつつあるようですが、次の感染拡大が起こったときに入院できない、医療崩壊を起こさない、そのために今のうちに対策を進めることが重要です。
一般質問で、我が会派から提案した重症者を扱う医療機関から、回復期の患者を受け入れる後方病床の確保に今こそ取り組むべきです。区は答弁で、回復後、リハビリや持病等への対応から自宅に戻れない方が一般病床やリハビリ病床へ転院できず、感染症病床の空きを圧迫し、自宅待機者増加の要因となったとして、また、区市の事例も参考に検討していくと答弁もしています。地域の介護施設の協力を仰ぐなど検討してはいかがでしょうか。
◎羽川
保健福祉政策課長 新型コロナウイルス感染症の退院基準を満たしたものの、リハビリや元の持病の療養といったようなことから、自宅に戻れない方が他の病院への転院や高齢者施設への入所ができずに、感染症病床の空きを圧迫するという状況がございまして、年末年始、感染者の急増の時期にメディアでも取り上げられておりました。世田谷区においても、本人の意思でない自宅待機者が発生した要因の一つであると、そのように考えております。
国や都の取組といたしまして、医療機関に対して、そういう診療報酬の加算ですとか、都では受入れの医療機関への助成金というのを設けているところでございます。また、介護保険施設につきましても受入れに関して、介護報酬の加算や臨時的な扱いというのを行っておりまして、介護関係のところで事業者の団体でも自主的な取組を始めたところがございます。
区では、特別養護老人ホームに対しまして改めて国の取扱いを通知いたしまして、臨時的な扱い等を活用した受入れの促進を図っております。また、現在、保健所の入院調整に当たっては、できるだけ退院後の生活を見越した対応を行っておりまして、区内の医療機関におきましても、加算や助成を活用した受入れ、こちらを前向きに考える病院もあると伺っているところでございます。
委員お話しの地域の介護施設の協力などを含めまして、一時期より感染が少なくなっている現在でございます。こうしたうちに区としてできる対応を検討してまいります。
◆中里光夫 委員 やはり今のうちに準備をすることが大変大事だと思いますので、しっかり進めていただきたいと思います。
次に、個人事業主に国保の傷病手当をということで質問させていただきます。
国保に加入されている事業者の多くは、自営業者、あるいはフリーランス、本人が休業すると、その分収入がなくなり、生活困窮と事業そのものの継続ができない事態に直結します。国の傷病手当金は、給与収入のみ対象としていますが、国に事業主も傷病手当支給対象とすることを世田谷区としても求めるべきです。全国には、長野県伊那市、岐阜県飛騨市、滋賀県野洲市、埼玉県和光市など、自治体独自に個人事業主に傷病手当や傷病見舞金を支給するところがあります。傷病手当は、コロナに感染し、仕事ができなくなった国保加入者への休業補償です。
昨年、他会派の質問に対し、区は個人事業主へ傷病手当が支給されないことを、同じ傷病にかかったにもかかわらず、同じ給付を受けられない点は不平等であるということを認め、国に対し給付すべきと要望すると答弁しています。しかし、区への問合せが少ないとニーズは高いとは言えないなどとして対応をしていません。問題は、問合せの件数ではなく、その人にとってどう必要なのか、その必要性だと考えます。
世田谷区は同性パートナーにも傷病手当を支給する画期的な対応をしました。問合せ件数ではなく、必要性や人権を考慮して決めたのではないでしょうか。改めて自営業者への傷病手当支給を国に求めるとともに、区独自の傷病手当または傷病見舞金を行うことを求めます。見解を伺います。
◎五十嵐 国保・年金課長 御指摘のとおり、傷病手当金は給与等の支払いを受けている者が対象になりますので、給与等の支払いを受けていない個人事業主は対象外となっております。このため、結果として、同じ傷病にかかったにもかかわらず、同じ給付を受けられないということが生じておりまして、こうした制度上の課題につきましては、制度設計者である国において解決すべきものと考えておりまして、区としては、機会を捉えて国に改善を求めてまいります。
区の独自財源による傷病見舞金につきましては、今後、当面継続すると見込まれる厳しい財政状況を踏まえ、必要性、有効性や施策の優先順位、こうしたものを見極めながら、実施の可否を含め慎重に検討してまいります。
○おぎのけんじ 委員長 以上で日本共産党の質疑は終わりました。
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○おぎのけんじ 委員長 引き続きまして、生活者ネットワーク、どうぞ。
◆高岡じゅん子 委員 生活者ネットワークの質問を始めます。
昨年来、保健所を中心に新型コロナ感染症対策を進めてきました。重症化やクラスター化の危険度が高い層に絞ったPCR検査をはじめ、感染症法に基づき、区としてできるだけのことは進めてきたと、私たちは評価しています。
今回のコロナ禍は、従来の感染症法の想定を超えた事態が次々と起こり、世田谷区が残念ながら後手に回ったという部分もあったと考えています。特に在宅療養者の支援についてです。在宅療養者について、世田谷区でも昨年末から一月にかけてかなり切迫した事態になったと聞いています。その経緯と在宅療養者が一番多くなった時期と人数、さらに最新の状況についてお答えください。
◎安岡 感染症対策課長 十二月の区内陽性者数は一日当たりおおむね五十人程度で、入院もしくは宿泊療養の待機者を含む自宅療養中の人数についても、一日当たり百人から百八十人の間を推移しておりました。一方、年末年始には感染が急激に拡大し、一月七日にはこれまで最大の四百四十八人の陽性者が発生いたしました。それに伴い、自宅療養中の人数は一月十一日に千三百九十九人と過去最大を記録いたしました。
なお、一月七日に発出された緊急事態宣言後は陽性者数の減少とともに自宅療養者数も減少し、三月十五日時点の自宅療養中の人数は四十七人でございます。
◆高岡じゅん子 委員 本当にすごい人数を今聞いてしまったんですけれども、三月に入って、私もちょっと気にして見ていましたら、四十人から最大六十人ぐらいで、この自宅療養の方は推移しています。この方々に今はどういった形で支援が届いているんでしょうか、確認いたします。
◎安岡 感染症対策課長 年末年始において新型コロナウイルス感染症の陽性者が急増したことにより、保健所では重症者の方の対応に注力し、急遽これまでと対応を変えたため、不安なお気持ちで自宅療養しなければならない方が多くいらしたことは大変重く受け止めております。
現在、自宅療養者の健康観察については、六十五歳未満で基礎疾患のない軽症者を東京都が担い、都の対象でない方の健康観察を区が対応しています。区では、今般の自宅療養者の急増を教訓に、二月十五日からは民間の医療専門職による自宅療養者への健康観察や医療相談等の二十四時間体制の支援にも取り組んでございます。
また、一月二十一日より食料品の配送やパルスオキシメーターの貸与も開始いたしました。食料品は、都が自宅療養者を対象に実施するほか、都の対象とならない入院待機中の高齢者の方などに対しても、区から飲料やゼリーなどの療養食を配送し、在宅療養を支援しています。パルスオキシメーターについても、自宅療養中の健康観察対象者全員に貸与している状況でございます。
今後も引き続き、安全な自宅療養の体制の構築に取り組んでまいります。
◆高岡じゅん子 委員 私の周辺でも、今年一月、世田谷区でコロナにかかった御家族の方の体験談をお聞きいたしました。その方によりますと、コロナ陽性者になっても家族が入院できず、同居している家族への感染防止の負担も大変重かった。パルスオキシメーターや薬の配布や食料の支援もそのときはなく、一回だけの電話での陽性告知時に、体調確認、症状の経過の確認、感染経路の調査のみで、急変したときの相談窓口を伝えられたが、濃厚接触者となった家族が発熱した場合、本当に受診できるのかなど不安が募った。その御家族は特に新生児を抱えたお母さんが同居していたため、母子同伴入院先の確保は難しいとそのときに言われて、特に非常に不安だったというふうに伺いました。
一月に比べれば、現在、在宅療養の支援体制は整っているということが確認できましたが、このように家庭ごとに違う必要な物資や支援のニーズの把握というのは、世田谷区でも現在は委託事業者が確実に実施しているという理解でよろしいのでしょうか。食品だけでなく、トイレットペーパーや生理用品、おむつなど、消耗品が不足してしまって困っている御家庭もあると思います。確認いたします。
◎安岡 感染症対策課長 令和三年二月十三日の感染症法の改正により、必要に応じ食事の提供や日用品の支給、その他日常生活を営むために必要なサービスを提供することが盛り込まれています。区は、関係所管や関係機関と連携し、自宅療養者への支援に取り組んでいるところでございます。
療養者が自宅で療養する上での日用品の必要性につきましては、療養者の声を基に、区として可能な支援の方策等を精査し、自宅療養者が困ることなく安心して療養生活を過ごせるよう努めてまいります。
◆高岡じゅん子 委員 御相談をいただいた家族の方からも、食品や生活用品を外に買いに行かなければならなかったというふうに聞いています。行き届いた支援に向けて、連絡や相談体制が重要だと考えます。
在宅療養の支援というのは、いわば医療の範疇ということなんでしょうか。現在は物資などの支援は都のコロナの対応の仕組みを活用して支援していると思います。この都と連携した現在の支援体制、令和三年度に入りましても当面維持していくことが必要だと考えますが、見解を伺います。
◎安岡 感染症対策課長 現在実施している東京都のパルスオキシメーターの貸与や食料品の配送等は、令和三年度も継続の予定でございます。区は今回の教訓を真摯に受け止め、自宅療養者におかれては、今後も安心安全に療養期間をお過ごしいただけますよう、都と連携をしながら自宅療養支援を進めてまいります。
◆高岡じゅん子 委員 新型コロナのような新感染症の世界的な発生というのは、地球温暖化と国際依存が進むこの世界では、残念ながら今後も続くと私たちは考えています。
度々申し上げておりますが、世田谷区として、こういった感染症に対する対処計画を再構築することが必要です。その中でも今回分かった在宅療養をせざるを得ない場合でも、感染拡大をきっちりと防げるというような仕組みについても、区として確立していただくように要望いたします。
次に、福祉施設の災害対策について質問していきます。
今回の条例改定で、各種の福祉施設が災害時の事業継続計画を三年以内につくるということが義務化されました。既にひな形となる文案は示されて、施設名のところに自分のところの事業所名を入れてしまえば、形としては計画はできます。しかし、それでは無意味だと思います。
今年度スタッフに新型コロナの陽性患者が出た高齢者施設が他の施設から人的支援を受け入れて、サービスの継続を可能にする相互協力の取組が行われました。このような取組は単独の施設だけで考える事業継続という計画よりも、サービスの継続のために有効ではないでしょうか。専門施設同士の共助の体制づくりとも言えるこのような仕組みをコロナ対策だけに終わらせず、水害や停電など、これから頻々と起こる災害対策に生かし、これからつくる各施設の事業継続計画の中に盛り込んでいくことを提案いたします。見解を伺います。
◎有馬 保健福祉政策部次長 福祉施設においては、災害時でも停止できない事業は多いことから、発災後は区の施設所管課において施設の事業継続の可否であったり、被災状況の確認、公的な支援の必要性を確認することとなりますが、まずは各事業者が事前に計画を立て、発災後も自ら事業継続に努める必要がございます。しかし、被害状況によっては、自助だけではなく、地域の中で各事業者が協力することで業務を継続し、災害時に増大するニーズに応えることが重要であると認識しております。
震災や水害など、災害の種類によっては被災の程度も地域で異なることが想定され、人員、物資の必要性やライフラインの状況も異なります。例えば停電したエリアにおける電気を必要とする福祉サービスを隣接する停電していないエリアにおいて、切れ目なくサービスの提供を継続することも考えられます。
災害時において、事業継続や災害時特有の福祉ニーズも踏まえた協力をしていくためには、平常時より地域の事業所間の協力関係を構築しておく必要がございます。それぞれの所管課において取り組む中で、庁内関係課とも共有を図ってまいります。
◆高岡じゅん子 委員 コロナ禍と事業継続計画づくりを一つのきっかけとして、福祉サービス事業者間の災害時の共助が進むことを期待いたします。
福祉避難所の確保というのも長年の課題です。社会福祉法人が運営主体となっている施設には、地域貢献の義務があります。世田谷区に新規参入した高齢者施設の社会福祉法人に対し、福祉避難所としての協定締結など、積極的な地域貢献を求めることが確実にできているんでしょうか、伺います。
◎三羽 高齢福祉課長 被災された住民の生命の安全と生活基盤を確保することを目的に、現在、五十九か所の高齢者福祉施設と福祉避難所の協定を締結しております。
また、現在、整備が進行中の小学校跡地を活用した特別養護老人ホーム等の整備運営事業者の公募に際しては、募集要項で、災害時における避難住民の受入れ等について、福祉避難所に関する協定を締結していただく旨の規定を設けました。既存の施設と同様、区と事業者で協定を締結する予定です。
なお、介護付有料老人ホーム等については、事業者選定の際、募集要項の基本的事項の中で避難所協定の締結等、地域への貢献に取り組むことを事業者に求めています。
今後も公募の際には同様の規定を設けていく予定です。
◆高岡じゅん子 委員 災害時に福祉避難所として機能するためには、日頃からの地域住民との交流が必要です。開設時に例えば地域交流室のような設置を義務づけるのも一つの解決方法ではないかと思います。施設の防災訓練に近隣住民も参加したり、地域の避難所運営訓練に施設側からも参加したりするなど、地区の防災まちづくりの活動と地域の中の福祉施設の連携を強めていくことが有効です。
そもそも福祉避難所とはどのようなものかという区民の理解もまだ不足しているように感じます。協定を結んだままにせず、地区の防災活動に結びつける区から施設への働きかけを求めます。
保育園の災害の備えについても質問します。
社会福祉法人による世田谷区内での新規開園などで区立保育園が減る一方で、区立以外の保育園が増え続けています。区立保育園においては、災害時利用園児の安全確保を最優先にしながらも、災害時緊急保育などへの対応も視野に入れたBCP計画を持っているというふうに認識しています。
各私立保育園においても、災害時対策計画や事業継続計画をつくっていることと思いますが、この計画の中に災害時の社会貢献、地域貢献の視点を加えられないでしょうか、見解を伺います。
◎大澤 保育課長 災害時には、私立保育園等も含めまして、まず自園の園児の安全確保に努めるとともに、発生後におきましては、保育が必要な園児に保育が提供できるよう体制を整えていくことが必要であると考えております。
また、医療従事者や社会の機能を維持するために就業を継続することが必要な方の園児の応急保育などが必要であると考えているところです。
区立保育園では、災害時や緊急時におきまして、セーフティーネットとして、他の保育施設で保育が困難になった園児の受入れなどの在園児以外の緊急保育の対応を行うこととしておりますが、被災状況によっては私立保育園等での受入れについても検討しなければいけないという認識でおります。
この認識の下、罹災時の応急保育や他の保育施設で保育が困難になった際の私立保育園等の支援体制につきましては、今後関係機関とも相談しながら検討してまいりたいと考えているところです。
◆高岡じゅん子 委員 平常時から様々な垣根を超え、施設と地域、また施設相互間の協力関係を築いていくことが災害時に役立ちます。各担当所管からも積極的な働きかけを重ねて求めます。
続きまして、介護保険について質問いたします。
来年度から始まる世田谷区の第八期介護の保険料は、少しですが、下がることが決まりました。負担する区民の側としては素直にうれしいお知らせです。
一方、介護報酬はむしろ少し、ほんの少し上昇すると聞いていますし、コロナによる外出控えが運動機能の低下を招き、介護度が上がる方が増加するなど、急激に介護給付が増えるという可能性もあります。
介護保険準備基金を活用して、この値下げを実現したといいますが、その経緯についてと、介護保険料を下げても世田谷区の介護保険は安定的な運営ができるのか伺います。
◎瀬川 介護保険課長 第七期においては、要介護認定者数の伸びや保険給付費の実績が当初の見込みよりも下回りました。このため、財源である介護保険料の必要総額も減少し、介護保険準備基金に積立てを行ってまいりました。
第七期末の基金残高は約九十四億四千万円を見込んでおりますが、そのうち五十七億七千万円を活用し、この間のコロナ禍における高齢者の経済的負担軽減の観点を踏まえ、全所得階層の第八期介護保険料の引下げを図りました。
なお、今後の新型コロナウイルス感染症拡大による影響により、今後三年間の認定者数、介護サービスの利用状況及び第一号被保険者の所得状況等に関して、現在の見込みより変動した場合でも、十分対応できるよう、約三十六億七千万円を留保した上で介護保険料を設定しました。
私からは以上になります。
◆高岡じゅん子 委員 介護保険準備基金を上手に活用し、必要な方に必要なサービスが届く介護保険制度の維持を求めます。
昨年の四月、五月、多くの介護サービス事業者が利用控えや、または感染予防のための物資の不足などで機能停止に追い込まれました。その頃に比べれば今は介護サービスの関係者がそれぞれ感染症予防対策を取るだけでなく、世田谷区の社会的検査なども活用し、介護現場からクラスター感染を出さない、こういう体制づくりを進めたことが、本当に今、区民や利用者が信頼し、またサービスの利用ができるという状況に今なっていると考えています。
今は介護サービスの利用が本当にほとんど回復してきているというふうに聞きました。この状況は、この間強化されてきた様々な支援や補助の制度があってのことです。来年度も事業者が安定してサービス提供ができるため、こういった支援の継続が必要だと考えますが、見解を伺います。
◎三羽 高齢福祉課長 東京都では、介護サービス事業所に対する通常のサービス提供時では想定されないかかり増し経費等を補助しておりますが、区では、感染防護支援金等の支給や区福祉人材育成・研修センターによる感染防止研修の実施など、事業者の円滑な運営に向け様々な支援を行ってまいりました。
来年度、国は全ての介護サービスについて介護報酬上の特例を設けるほか、都道府県においては、地域医療介護総合確保基金を活用し、緊急時の介護人材確保や職場環境の復旧、環境整備、連携により緊急時の人材確保支援等を実施するために必要な経費を補助するとしております。
こうした都の制度の活用を促すとともに、区では、感染防護支援金の補助対象を人件費等に拡充の上、来年度も継続します。
引き続き、事業者団体とも状況を共有しつつ、きめ細やかな支援に取り組んでまいります。
◆高岡じゅん子 委員 区独自の支援、人件費等にも拡充した感染防除支援金について言及がありました。心強く感じます。安全安心なサービス継続のため、きめ細やかな支援を望みます。
新型コロナの感染が怖いので、できる限り外出を控えているという御高齢の方の声を今でもしばしば耳にいたします。この状況もほぼ一年、気づかぬうちに歩く力が落ち、高齢の方たちは、転びやすくなるだけではなく、実際に転んでしまったという事例もあります。実は私自身の母も年末に転びまして、骨折して入院しております。
本当にこのような状況に対して、区はどのように介護予防を進めてきたのでしょうか。また、来年度はさらに工夫を凝らして、介護予防事業を活性化することが必要ではないかと考えます。見解を伺います。
◎佐久間 介護予防・地域支援課長 区では、高齢者の体力低下を予防し、自立した生活を維持していただくため、基本チェックリストを活用して、心身の状況の把握、支援が必要な方への早期発見に努め、筋力アップや口腔機能向上、低栄養予防などに取り組んでおります。
また、社会とのつながりが健康維持に重要なため、世田谷いきいき体操等のグループ活動や、身近な地区で交流できる集いの場づくりなどをまちづくりセンターやあんしんすこやかセンターなどの三者連携の中で推進しております。
令和二年度には、新型コロナウイルス感染症の影響により外出を控える高齢者の体力低下が進まないよう、あんしんすこやかセンターが八十五歳以上のおひとり暮らしの高齢者宅等を訪問し、健康状態を確認するとともに、ストレッチ等のリーフレットや、自宅でできる簡単な体操の動画をホームページで紹介するなど、自宅で介護予防に取り組めるよう働きかけてまいりました。
会場で体操等を行う介護予防事業においては、定員を半数にし、二回実施するなど、感染予防を徹底し、人数を減らさない工夫をして継続的に実施しております。
今後もICTを活用して自宅で受講できるオンライン形式の介護予防講座の試行や、自身の体力を知り、介護予防の取組を始めるきっかけづくりとなる講座開催など、様々な手法により、高齢者の自立支援、重度化防止に取り組んでまいります。
◆高岡じゅん子 委員 あんしんすこやかセンターで実施されている区直営の事業についてお答えいただきましたが、住民主体の自主グループによる健康体操なども地域の高齢者の健康維持と社会参加の機会として重要な活動です。来年度後半はワクチン接種が一巡し、高齢者が安心して外に出られるようになった後、コロナ以前の活動再開にとどまらず、高齢者の外出や社会参加がさらに活性化するように、区として一層の支援を求めます。
認知症希望計画に関しても質問します。
条例の前文に認知症に対する見方が大きく変わっているということが書かれています。認知症になると何も分からなくなってしまうという考え方が一般的だったが、認知症になってからも暮らしていく上で全ての記憶が失われるわけではなく、本人の意思や感情は豊かに備わっていることが明らかになっており、尊厳と希望を持って自分らしく生きることが可能ですというふうになっています。
この認識、新しい認知症観を区民全体に広げることが、まずはこの計画の最大の課題です。区は早くからこの認知症サポーターに取り組み、地域でも多くの方がオレンジリングを取得し、認知症サポーターになってくださっています。このサポーターの皆さんに、新しい認知症観を周知し、助けてあげるという立場から、ともに歩むパートナーに変わっていっていただく認知症観の転換が必要だと考えます。今後の取り組みについて伺います。
◎佐久間 介護予防・地域支援課長 本計画では認知症観の転換を重点テーマの一つに掲げ、区民が従来の認知症観から希望ある認知症観へ転換できるよう、広く情報発信に取り組んでおります。
認知症観の転換は、本人から直接話を聞くこと、対話することが重要だと考えております。そのため、条例の理念と本人の思いや体験等を記したパンフレットやホームページなど多様な媒体を本人に参画してもらいながら作成し、普及してまいります。
また、認知症講演会やイベントなどに本人を講師としてお招きして登壇してもらい、直接区民等に本人の声を伝え、認知症の理解を深めてまいります。
認知症サポーター養成講座においても、参加者が本人の体験や思い等を直接聞いたり、本人が出演していただいている動画を見たりするなど、新たなプログラムを取り入れた世田谷版認知症サポーター養成講座を開催し、希望を持って暮らしていける新しい認知症観を伝えてまいります。
話を聞くだけで終了するのではなく、地域の中で活動につながるよう、世田谷版認知症サポーターステップ講座へつなげ、本人とともに活動をしながらパートナーとして育っていくことを推進し、地域全体で新しい認知症観への転換を図ってまいります。
認知症になってからも安心して暮らし続けられるよう、認知症観の転換を図る取組を広く展開してまいります。
◆高岡じゅん子 委員 認知症サポーター養成講座、そしてステップアップ講座の重要性について私たち会派からも求めてまいりました。地区ごとに認知症希望計画に基づくアクションチームをつくっていくということが、やはり計画の中に書かれております。これも地域包括ケアの地区展開を生かしつくっていくというふうになっています。そのためにも、このリーダーの認知症観の転換、すごく大事です。地域福祉の充実や地域行政制度の在り方については、引き続き補充質問のほうで触れさせていただきます。
以上で今回の質問を終わります。
○おぎのけんじ 委員長 以上で生活者ネットワークの質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後零時八分休憩
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午後一時開議
○おぎのけんじ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
減税せたがや、どうぞ。
◆あべ力也 委員 総括質疑の中で、区の障害者の法定雇用率の達成状況についてお伺いをいたしましたけれども、保坂区長からも、来年度の中で二・六%の法定雇用率達成に向けた大変力強い答弁をいただきましたので、区の中でのその雇用ということでの障害者雇用の環境整備については、しっかり見てまいりたいと思いますけれども、大変期待をしながら、見てまいりたいと思います。
それと、区の雇用ではなくて、世田谷区の区民の中での障害者雇用の状況というのが、このコロナ禍において、大変雇用が厳しいという中で、障害者雇用が健全性が保たれているのか、また民間企業における法定雇用率等の達成とか、そういうことも含めてどうなのかなということは大変気がかりでもございます。
そういったことで、区としては、区内にお住まいの障害者の方々の雇用の状況等についてはどのように現状把握をしているのか、まず伺いたいと思います。
◎相蘇
障害者地域生活課長 まず、厚労省のまとめによりますと、全国では、企業の業績悪化などを理由にして解雇された障害者の方は、令和二年四月から九月までの半年間で、全国で千二百十三人に上り、去年の同じ時期に比べまして三百四十二人、率にしておよそ四〇%増えてきているというふうになっています。
このうち、知的障害者の方は四百三十二人で去年よりおよそ八〇%増加、精神障害者は三百十五人で去年より二九%の増加、身体障害者は四百六十六人で去年より二〇%の増加、これが国の全国の様子です。
世田谷区を管轄する渋谷ハローワークにおける令和二年十二月までの障害者の新規求人件数は、昨年より五一・六%減少、就労者数は四二・二%の減少と厳しい状況になってございます。
障害者雇用率の達成状況、昨年度実績で見た場合には、都内で達成した企業の割合は三二%に対しまして、区内の事業所の割合は二四%となっております。この理由としては、大きな企業、大企業ほど障害者雇用の達成率が高い状況がありますが、区内は中小企業が多いため、このような数字になっているかと思われます。
◆あべ力也 委員 区内の障害者の雇用の状況というのは大変厳しいということでございますけれども、特に新型コロナの感染症の状況で、いろんな外出制限とか、環境の変化等で、外出できずに、就業できなくなってしまう障害者の方もいるというふうに伺っております。
そうした障害者の雇用について、区としてしっかりとした対策、対応をしていただきたいと思いますけれども、現状どういう対策を取っておられて、世田谷区の障害者の雇用を守るということで、事業として展開をされているのか伺いたいと思います。
◎相蘇
障害者地域生活課長 区内のオフィスで事務補助業務等に就いていた障害者の方などは、テレワークの拡大により、業務内容の変更を迫られていることがございます。
精神障害や発達障害を持つ方については、テレワークによりかえって安定をしたという方もいらっしゃいますけれども、今後のことへの不安が募って、心身の状況が悪化をして、離職を余儀なくされたりする方もいらっしゃいます。また、知的障害を持つ方は、テレワークへの対応が難しいため、自宅待機が増えて、生活リズムが乱れてしまうという方もいらっしゃいます。
こうした方々については、就労移行施設や障害者就労支援センターが定期的な面談や転職の支援などを行いまして、就労意欲の維持に努めるとともに、オンライン面接の練習等も行いまして、テレワーク拡大への対応を行っているところでございます。
また、企業の障害者雇用を促進するために、世田谷区障害者雇用促進協議会と連携をいたしまして、障害者雇用に積極的に取り組む企業に対して、毎年十二月に感謝状を贈呈し、企業の障害者雇用への理解の促進を図っております。
今後は、障害者の個々の状況に合わせた多様な就労の確保に向けまして、せたJOB応援プロジェクトの取組を通じた短時間の仕事の創出や、農福連携事業など新たな就労場所、就労形態の開拓に取り組んでまいります。
◆あべ力也 委員 いろんな対策をされているようでありますけれども、主に障害者就労に協力をいただいている区内企業なんかに感謝状を送ったりというようなことをされていて、厚労省も全国の企業さんで障害者雇用を促進されている。また、いろいろその新たな取組だったり、雇用定着に向けた取組をしているというようなところを表彰しているというようなことでありますけれども、表彰だけで障害者雇用を維持、もしくは促進をしていくというのにはやっぱり限界があると私は思うんです。やっぱりその企業さんが努力をして、障害者雇用に貢献していただいているというのであれば、例えばですけれども、世田谷区でいろいろ発注しているような事業に関して、入札のときに多少のポイント加算があるとか、障害者雇用に貢献をしているという企業さんに対してそういうポイント加算をするとかというような考え方もできなくはないんじゃないかなと思うんですけれども、将来的にこういうことも含めて、障害者雇用のさらなる促進を検討していただきたいと思いますけれども、副区長、こういう点についてはどうですか。
◎中村 副区長 障害者雇用については、区内の障害者雇用促進協議会と連携して取り組んでいるところです。委員のお話がありました企業へのインセンティブというお話、それも研究させていただいて、中長期的に安定した雇用ができるように努力したいと思います。
◆あべ力也 委員 雇用環境でもしっかりユニバーサルな考え、思想を世田谷区の事業者の皆さんに持っていただくために、区が率先して制度改正に取り組む必要があると思いますので、今、御提案したような内容もしっかり検討していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○おぎのけんじ 委員長 以上で減税せたがやの質疑は終わりました。
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○おぎのけんじ 委員長 引き続きまして、レインボー世田谷、どうぞ。
◆上川あや 委員 若年末期がん患者の在宅療養について伺います。
今から五年前、二〇一六年の四定で介護保険が使えない若年末期がん患者の在宅療養支援の検討を区に求めました。介護保険料の支払い義務対象は四十歳以上です。それ未満の方は、たとえ末期がんで、ターミナルケアに入っても介護保険が使えません。この世代は収入も貯蓄も上の世代より少なく、奨学金の償還やまだ小さな子どもの子育てやローンで何かとお金のかかる世代です。
ターミナルケアに入る以前に多くの患者は十分働けず、あるいは退職を余儀なくされ、それでもかさむ治療費に蓄えも底をつきかけています。しかし、残念ながら、ターミナルケアに入っても、本人、御家族は介護保険を使えません。そのため、訪問介護を受けるのも、訪問入浴を利用するのも、本人や介護者を少しでも楽にするベッドや車椅子、ポータブルトイレ等のレンタルを利用するのも全てが自己負担。介護保険利用者の十倍額を毎月払わなければなりません。これを払えなければ、人生の終末期、家族と別れて入院するか、絶え間ない介護を家族で抱え込むかのどちらかです。
患者御本人はもちろん、それを支える御家族もどれだけ悲しく、苦しく、大変な日々でしょうか。こうした負担を区ではどのように捉えているのでしょうか。また支援が必要だとは考えないのですか。それぞれ見解を伺います。
◎鵜飼 世田谷保健所副所長 区は、思春期及び若年成人世代、いわゆるAYA世代のがん患者は、法制度のはざまの年代で公的支援の機会が少なく、仮に末期がんとなった場合は、患者とその御家族の苦しみは耐え難く、在宅療養を選択した場合の介護負担、経済負担はさらに重いものと認識しております。
そのため、平成二十九年三月に策定した健康せたがやプラン(第二次)後期の中で、思春期、若年成人世代のがん患者に対する支援の検討を新たな施策と位置づけ、がん対策委員会などを通じ検討を行ってまいりました。
引き続き、AYA世代のがん患者の支援につきましては、国や先進自治体の状況、またがん対策推進委員会の意見等も参考に、まずは若年層のがん患者の実態や生活の困り事の把握の方策について検討してまいります。
◆上川あや 委員 健康せたがやプラン後期で新たな施策と位置づけ、がん対策推進委員会などを通し検討を行ってきたという御答弁、うそはないでしょうか。後期プランにたった一行、検討課題に書き加えたことは認めます。しかし、その後の検討は一切行っていない、この事実を本日は問題にしています。
初回の私の質問では、兵庫県が市町村と折半で介護保険と同じサービスを一割負担で利用できる支援策を提供し、横浜市も単費で九割助成を始めたことを紹介し、区にも支援策の検討を求めました。すると、当時、保健所長から、その日も、先進自治体の実績等も参考にしながら、若年世代のがん患者も住み慣れた場所で安心して過ごすためのターミナルケア支援の方策の検討を重要課題と受け止めまして、健康せたがやプラン後期計画に記し、検討を継続してまいりますと、今と同じ御答弁がありました。しかし、重要課題であると答弁では言いながら、唯一あった変化は、健康せたがやプラン後期へのたった一行の明記だけ。区からがん対策推進委員会の会議録も取り寄せ、確認しましたが、若年末期患者のターミナルケアについて言及があったのはただ一回、二〇一七年十一月の第九回会議のこの会議だけです。
会議の席上、区からは、今日はとりあえず項目だけお伝えさせていただきたいと思いますという前振りで、今後の検討課題としての紹介のみがありまして、委員は誰一人、発言はありませんでした。それ以降、いずれの会議でもこの議論は一切していないと所管部にも確認をいたしました。以上の指摘に誤りはないでしょうか。
◎鵜飼 世田谷保健所副所長 委員お話しの第九回がん対策推進委員会において、AYA世代のがん患者の在宅支援について協議しましたが、十分とは言えず、その結果については委員御指摘のとおりでございます。
◆上川あや 委員 ですので、それは協議ではなく、単なる項目の紹介です。それ以後の会議についても一切検討していないですよねと確認をしています。それ以降、区が課題提起をしたのは、他会派から議会で対応を求められたウイッグ等のアピアランスケアについての議論だけ、若年末期がん患者のターミナルケアについては、話も振らず、議論もしていない、違うでしょうか。
◎鵜飼 世田谷保健所副所長 先ほどの委員会以降では、かねて懸案だったがん検診事業の評価の精度管理に関する専門部会の設置やがん相談事業拡充に向けたがん患者ネットワーク会議の設置などを優先課題と捉え、協議してまいりました。
また、令和元年十一月の第十五回委員会においては、がん患者の家族への支援の協議の中で、小児がん等で頭髪を失った子どものかつらのウイッグ等について検討しましたが、AYA世代のがん患者の在宅療養支援の議論まで協議を深めるまでは至りませんでした。
◆上川あや 委員 一回でも議論をしたかどうかを尋ねています。聞いてもいないことをくどくど説明する前に、若年者のターミナルケアについて一切議論したのかどうかを確認しています。一切議論していないのであればイエス。いいえ、議論しましたというならばノー、どちらなのでしょうか。
◎鵜飼 世田谷保健所副所長 若年末期がん患者のターミナルケアの支援についての議論は行っておりませんでした。
◆上川あや 委員 ようやく一切議論をしなかった四年間があることを認めました。
中村副区長に伺います。区が何ら支援策を検討しなかったこの期間に、静岡県、和歌山県、福岡県、鹿児島県が市町村と共同で新たに九割を助成するターミナルケア支援事業を開始し、佐賀県も県の単費で九割助成を開始いたしました。加えて名古屋市、甲府市、浦安市、宇都宮市も市の単費で同種の支援事業を開始しています。当区の放置、無関心は際立って冷たく見えますが、区民に関わる重要課題であるのは明らかなのですから、区は主体的に支援策を検討すべきではないでしょうか。いかがですか。
◎中村 副区長 御指摘の思春期、若年成人世代のいわゆるAYA世代のがん患者やその家族が、公的制度の支援のはざまになっていて、経済的または精神的な負担軽減や支援の検討について重要課題と受け止めていることに変わりはありません。
この間、本件の検討が滞っていたことについては申し訳ありません。
国や他自治体の動向とともに、区内のAYA世代のがん患者の実態を把握し、議会での御議論をいただきながら、区として可能な支援の方策について検討を急いでまいります。
◆上川あや 委員 この五年、御家族共々苦労された、亡くなられた方はもう戻ってきませんけれども、今日のお約束についてはしっかりと守っていただきまして、早期に温かな支援策につなげていただくよう改めて求めて、私の質疑を終わります。
○おぎのけんじ 委員長 以上でレインボー世田谷の質疑は終わりました。
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○おぎのけんじ 委員長 引き続きまして、世田谷無所属、どうぞ。
◆ひうち優子 委員 本日は、総括に続いて、コロナに罹患した際の世田谷区の体制について伺います。
まず、昼夜コロナ対応をしてくださっている保健所の職員の方に敬意を表します。その上で、総括では、保健所の体制強化、人員を増やし、仕事を分散化すべきと質問いたしまして、答弁では、民間の保健師、看護師などの専門人材の活用を拡大するとの御答弁をいただきました。本日は、具体的に六つの改善点について伺ってまいります。
繰り返しになりますが、私の知人A氏とその友人B氏は、十二月末に食事をして、その後、B氏が発熱し、PCR検査の結果、陽性。濃厚接触者であるA氏もPCR検査で陽性でした。A氏は千葉県船橋市、B氏は世田谷区にお住まいで、それぞれの自治体でお世話になりました。お二人は同時期にコロナウイルスに罹患し、頻繁に電話やLINEで情報交換をしており、くしくも二つの保健所を比較することができました。
当時、世田谷区も船橋市も感染者が急増しており、状況は同じ、しかし、初期対応以外、対応に歴然とした差があり、世田谷区在住のB氏は、世田谷区の対応に憤っておりました。私が御意見を伺った中で、千葉県船橋市と世田谷区を比較して六つの改善点が求められます。
一点目、まず陽性となった方への電話対応です。発熱相談センターなど、検査をする病院の案内と濃厚接触者の調査では、世田谷区と船橋市に大きな差はなく、適切に対応してくださったとのことです。一方、陽性となった方が御自身の健康状態の相談などで電話をしようとしても、世田谷区は何度電話してもつながらない一方で、船橋市保健所は陽性者の方の相談の電話はすぐにつながったとのことであります。
二点目、次に隔離措置の宿泊施設の有無です。お二人は同時期にコロナウイルスに罹患しましたが、世田谷区にお住まいのB氏は最後まで宿泊療養はできなかった。一方で、船橋市は感染者が急増していて、宿泊療養は難しいとしながらも、翌日に宿泊可能。船橋市は感染者が急増することを見越して、市独自でホテルを借り上げているとのことであります。
三点目、健康観察です。世田谷区は自宅療養の健康観察は、初日はあったが、その後数日は何の連絡もなし、半ばを過ぎてようやく一日一回電話が来るようになった。生存確認のような感じ。一方、船橋市保健所では、自宅隔離中の健康観察は一日二回、宿泊療養中の健康観察も一日二回とのことです。
四点目、事務対応。感染者は感染症法に基づき、就業制限通知書、就業制限解除通知書、消毒命令書が、世田谷区保健所では三つとも通知されなかったが、船橋市保健所では説明してもらったとのこと。
五点目、自宅療養の際の食料の確保の案内がなかった。
六点目、パルスオキシメーターの貸与がなかったとのことです。
繰り返しになりますが、保健所の職員の方は昼夜問わず一生懸命取り組んでくださっており、本当に頭が下がります。この自治体間の格差は、保健所の人手が足りていないことが大きな原因の一つではないかと考えます。御意見をいただいた六つの点について、それぞれ区の課題認識と今後の改善についてお伺いいたします。
◎安岡 感染症対策課長 年末年始において新型コロナウイルス感染症患者が予想を上回り急増したことにより、保健所では急遽これまでと対応を変えたため、委員御指摘のように、区民の方に様々な御不便をおかけいたしましたことをとても重く受け止めております。
この間、疫学調査や入院調整も増大したため、区は区民の命を守ることを第一に、高齢者や有症状者等の緊急度の高い区民への対応を最優先とし、軽症の自宅療養者への健康観察の電話連絡等が一部滞った時期がございました。
また、都内の宿泊施設の確保や療養期間中の対応は東京都が担い、他区同様、区もこの仕組みを利用しております。
今後、患者数の急増を見越した宿泊施設等の確保に努めるよう都に申入れ、改善を求めてまいります。
一方、自宅療養者の急増を踏まえ、一月二十一日より食料配送、パルスオキシメーターの貸与の開始に加え、二月十五日からは民間の医療専門職による健康観察や医療相談等の支援にも取り組んでございます。
なお、感染症法では、就業制限等の通知は書面による通知を行うことができると規定されており、義務ではないことから、一月以降は感染症患者への対応に注力するため、書面の交付を原則見合わせ、口頭の説明とし、書面を要する方には適宜対応してまいりましたが、今後は丁寧な御案内を心がけてまいります。
区は、患者の方が不安なお気持ちで療養期間を送ることのないよう、より一層患者お一人お一人の気持ちに寄り添った対応を心がけつつ、今回の教訓を真摯に受け止め、今後も対応の改善に努めてまいります。
◆ひうち優子 委員 コロナウイルスに罹患した方の気持ちに寄り添って対応していただきたいことを求めます。
そして、そのためには、まず人員を増やし、仕事を分散化することが必要と思います。その点もよろしくお願いいたします。
次に、不妊治療への助成について伺います。
企画総務委員会所管で、区の職員の方への不妊治療時の休暇制度について質問しました。本日は、不妊治療への助成の拡大について伺ってまいります。
このテーマは過去に他会派の方から質問が出ておりましたが、菅政権になり、不妊治療の保険適用が検討されるなど、大きく動いておりますので、取り上げてまいります。
私の周りでも不妊に悩み、不妊治療を自費で受けている方は多くいらっしゃいます。しかも自費で金額も五十万円から二百万円ほどかかったという友人もおります。
そこで、国の動きに合わせた不妊治療への助成について、区の今後の対応についてお伺いいたします。
◎相馬 健康推進課長 特定不妊治療の治療費について、現在は区は国と都の助成を受けた区民に対して、その治療費との差額について五万円から十万円の上乗せ助成を実施しております。
今般、国は出産を希望する世帯を広く支援するため、不妊治療の保険適用を検討しており、またその適用までの間、所得制限の撤廃、助成額の引き上げ、助成回数の見直しなど、現行の制度を大幅に拡充することとしました。
区としては、今回国の制度は拡充されたものの、治療を受ける区民の経済負担は依然重いものと捉え、現行の区の特定不妊治療助成制度について、国と同様に所得制限を撤廃した上で、当面現行の制度を継続する方向で検討を進めております。
◆ひうち優子 委員 ぜひ今後とも不妊治療にお悩みの方のために助成制度を拡充していただきたく思います。
次に、まちづくりセンターでの子どもに関する相談支援について伺います。
世田谷区は、世田谷版地域包括ケアシステムの全区展開により、高齢者に対する相談支援については、国も視察に来るほど評価されております。
一方、地区の子どもや子育てに関する相談支援は、総合支所単位でのネウボラが充実していますが、地域行政の見直しの中で、まちづくりセンターでの子どもに関する相談支援についても取組むべきと考えます。見解をお伺いいたします。
◎羽川
保健福祉政策課長 各地区のまちづくりセンターにおいて、子育て支援団体等との連携強化により、子ども・子育て家庭の相談対応の充実を図ってまいりたいと考えております。
◆ひうち優子 委員 ぜひまちづくりセンターへの子育ての支援の体制についても検討していただきたく思います。
以上で質問を終わります。
○おぎのけんじ 委員長 以上で世田谷無所属の質疑は終わりました。
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○おぎのけんじ 委員長 引き続きまして、都民ファーストの会、どうぞ。
◆そのべせいや 委員 先月、児童手当の特例給付に年収要件を設け、夫婦の一方が年収千二百万円以上であれば月五千円給付を打ち切り、その分を待機児童対策に向けて付け替える改正案が閣議決定をされ、このまま改正案が滞りなく成立すれば二〇二二年十月より実施となります。
そもそも近年の消費増税の理由は、社会保障費捻出の名目であり、財務省のウェブサイトを見ると、筆頭には待機児童解消と掲げられていますが、今回待機児童対策という名目で子育て支援に要する予算から付け替えるのであれば、少子化も子どもを育てることも社会全体で取り組む課題というよりも、個人の自由、趣味の範囲であるとのメッセージとして理解をしています。
今回は国が子どもを持とうと考える選択にネガティブな印象を広げる政策を取る中、世田谷だけでも子どもを産みたいと考える人へ子どもを持つことにポジティブな政策を取れないか提案をします。
まずは、世田谷区の出生数を伺います。
◎相馬 健康推進課長 令和元年度の出生数は六千八百六十八人でございます。
◆そのべせいや 委員 日本全国の出生数が八十万人後半となり、余談ですが、日本の乳児、赤ちゃんの百二十人に一人が世田谷区民です。一方で、妊娠届の数と出生数の差に対して区の認識を伺います。
◎相馬 健康推進課長 令和元年度の妊娠届出数は七千七百六十九人です。例年、妊娠届出数と出生数には五百人から千人程度の乖離があり、一割程度の方が何らかの理由で出産に至らないものと認識しております。
◆そのべせいや 委員 以下、世田谷区保健福祉総合事業概要の統計から過去三か年の平均で引用すると、妊娠届は約八千、出生数は約七千二百で、その差約八百に対し、死産、法的には十二週以降であることが要件ですが、三か年平均で約百五十となっています。残六百五十のうち、十二週未満の人工妊娠中絶が約四百五十、十二週以降の死産と重複する人工妊娠中絶が百程度です。
一部妊娠届後の世田谷区からの転出もありますが、妊娠届を提出して、母子健康手帳や母と子の保健バッグを受け取ったうち、統計上は約二百五十、実に数百人程度流産もしくは死産であったことが推定されます。
日本産科婦人科学会のウェブサイトを見ても、医療機関で確認された全妊娠の一五%が流産になるとの記載もありますが、実際に母子手帳の交付前の病院での検査から二回目の心拍確認までの間に流産となるケースが多く、世田谷の出生数で考えると七百から千程度が前に述べた数百の流産、死産とは別に流産となっていると推定されます。
母子手帳交付後に流産、死産を経験する人が年間に数百人、また交付前にもそれ以上の数の出産を希望する人たちがいることを考えると、感情的な面からもこの方々が前に向けるサポートをする、具体的には流産、死産に対しての専門のグリーフケアを施すことで、つらい体験のまま終わらせることなく、再度希望に向かわれる方を次の妊娠、出産につなげられると考えますが、区として流産、死産の当事者へのケアの見解を伺います。
◎相馬 健康推進課長 流産や死産などにより、出産に至らなかった場合には、妊婦自身やその家族の体や感情に様々な影響を与え、適切なケアが必要になることもございます。
区は、妊娠期から切れ目のない支援として保健師等の専門職が全ての妊婦を対象に妊娠期面接を行っており、流産、死産を経験した区民の相談にも応じており、保健師等を対象に、流産、死産に関わる研修等も行っております。
出産に至らない場合においても、常に妊婦や御家族に寄り添うとともに、必要な情報収集等を行い、必要に応じた適切な支援機関などにもつなげてまいります。
◆そのべせいや 委員 出産、子どもを持つことは、個別具体的には個人、パートナー間の選択であり、外部から強制ではなく、自らの選択で行わなければならないという前提に立ちながらも、年金や高齢者の定義の見直し、移民の受入れをしない限りは、総論的な少子化対策は重大な社会課題であり、当事者の課題のサポートという側面だけでなく、少なくとも子どもを持つことを希望する人が子どもを持てる支援だけは欠かさず実施しないと、どこでも生きていける裕福層がさらに海外に流出をすることとなります。
現在、金銭的なサポート体制については、不妊治療、また現在では不育症の検査の助成が国で拡大の議論が進んでおり、十二週以上の死産についても、そもそも法律上の出産に当たるため、出産一時金の支給対象となりますが、一方で流産の中でも十二週未満、同じように苦しい思いをして、たまたま十二週以上かどうかで選別するのではなく、せめて金銭的な負担もなくせないでしょうか。
例えば通常に出産に至ると、初回妊婦健康診査費一万八百五十円、続く十三回分五千七十円、超音波検査五千三百円、子宮頸がん検診三千四百円、合計すると約八・五万円の公費負担と四十二万円の出産一時金の対象となります。一方で十二週未満で通常の妊娠継続に失敗をすると、その後の処置について、保険適用はありながらも、通常の疾病と同じく三割負担、高額医療費制度の対象となる場合もありますが、好きで妊娠したリスクは自ら享受する仕組みとなっています。
国が用意した体系であるということは把握をしておりますが、産めなければ罰ゲーム的な課金が発生をしてしまう現制度を、地方自治体の裁量で補完をできないのか伺います。
◎相馬 健康推進課長 妊娠したが、何らかの事情により出産まで至らなかった場合、妊娠の週数や理由に応じて、その後の中絶手術等については健康保険の適用になる場合があります。また、死産した時期が妊娠十二週以降の場合には出産一時金が給付されます。
区では、妊娠期から地域の子育て支援サービスが利用できるせたがや子育て利用券の配付や、特定不妊治療費の助成などは行っているものの、出産まで至らなかった方への経済的な支援は対応しておりません。
委員お話しのあった新たな助成制度につきましては、他自治体の動向や国の動きなどを注視し、妊娠期面接の相談状況や、財政の持続可能性など、総合的に勘案して研究してまいります。
◆そのべせいや 委員 出産まで至らなかったことで使われることのなかった八・五万円のうちの一部、また四十二万円、合計五十万円弱に対して、その五十万円が別のポジティブな形で使われることになると、僕は社会全体にとっても有益ではないかと考えています。
今後、コロナの影響もあり、日本では出生数に影響が高い婚姻が減ることがもう予測がされています。出生減が容易に想定をされる中で少子化という文脈でも、こういった物心からのサポートということはぜひ実現をしていただければということは要望しておきます。
今回この話を取り上げているのは、一般論、また少子化対策としてという側面ではなく、今まさに渦中にいる身として同じ思いをしている人たちの負担を少しでも社会で肩代わりできないかという思いがあるからです。
恐らく第一子のいる私たちは、ほかの悩まれている方々よりも大分恵まれているということは十分承知をしていますが、使われることのなかった母子手帳ですとか、マタニティマークが毎年世田谷区だけでも相当数あること、これだけ少子化と叫ばれながらも様々な流産が通常の疾病と同じく病気として扱われて、高額の会計をその後しているということの不合理をぜひ、区議会の平均年齢は今、どうやら五十四歳だそうですが、どうしても渦中の声としては上がりにくい、そういう現状がありますので、ここで取り上げさせていただきました。数字だけではない実態把握ということをぜひ進めていただいて、物心両面からのサポートを世田谷区に要望して、質問を終えたいと思います。
○おぎのけんじ 委員長 以上で都民ファーストの会の質疑は終わりました。
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○おぎのけんじ 委員長 引き続きまして、区民を守る会、どうぞ。
◆くりはら博之 委員 私からは、昨年の決算特別委員会に引き続き、生活困窮の方への支援について伺っていきます。
昨年の決算特別委員会時点では、新型コロナの影響で、生活保護を申請する方の数に大きな増加は見られないと御答弁をいただきました。一方で、就労支援とともに、家賃助成を行う住居確保給付金の申請数が大幅に伸びていると伺っています。また、この住居確保給付金は、原則三か月の給付ですが、要件を満たしていれば、二回まで延長でき、昨年十月の時点では、受給者の六割の方が一回目の延長申請をしているとのことでした。
御本人も様々な努力をされていることと思いますが、なかなか経済状況が好転せず、生活困窮から抜け出せない方も多くいらっしゃると思います。
令和三年一月から制度が変更され、三度目の延長ができるようになったと聞きました。
ここで伺いますが、現在の住居確保給付金の申請状況をお伺いいたします。
◎杉中 生活福祉課長 住居確保給付金は、離職・廃業後二年以内で住居を失うおそれが生じている方に対して、就労支援とともに家賃助成を行う制度でございます。令和二年四月下旬より要件が緩和され、休業等により収入が減少し、離職等と同程度の状況にある方も支給対象となりました。
また、支給期間は、令和三年一月より、令和二年度に新規申請した方は、再々延長申請が可能となり、最大十二か月までとなりました。
昨年度の新規申請は百七件であったところ、要件が緩和されたこともあり、今年度は令和三年二月末現在で新規申請六千七百八十件と大幅に増加し、延長申請四千六百五十八件、再延長申請三千四百三十五件、再々延長申請千九百四十件という状況です。
申請者の傾向としては、まず雇用形態としては、自営業、フリーランス、派遣やアルバイト等の非正規雇用の方が多く、業種としては飲食業、タクシー運転手、舞台や演劇等の関係者、講師業等からの申請が多い状況です。
新規申請件数は令和二年五月をピークに減少傾向を示しておりましたが、一月七日の緊急事態宣言の再発令の影響もあり、二月は増加に転じております。
引き続き、ぷらっとホーム世田谷での就労相談や家計相談等の必要性な支援を行ってまいります。
◆くりはら博之 委員 御答弁ありがとうございます。幾ら再々延長ができるといっても限りはあります。住居確保給付金の申請ができなくなると、残された道は生活保護しかないのではないかと思いますが、生活保護の受給者数の変化についてお伺いいたします。
また、住居確保給付金の申請ができなくなった人をどのように支援していくかもお伺いいたします。
◎杉中 生活福祉課長 生活保護の状況ですが、令和三年二月の保護世帯数は八千七百九十世帯、保護人員数は一万百五十六人となっております。令和三年一月の保護世帯数が八千八百三十六世帯、保護人員数が一万二百十三人、一年前の令和二年二月の保護世帯数が八千八百四十六世帯、保護人員数が一万二百九十三人でございまして、対前月比及び対前年比、いずれも減少しており、今のところ生活保護に関しては新型コロナによる大きな影響出ておりません。
令和三年四月より住居確保給付金を受給して、九か月以上となる方には、就職に向けた支援を積極的に行うこととなり、ぷらっとホーム世田谷で住居確保給付金の決定通知書に支援メニューの案内チラシを同封するなどして周知に努めています。
また、ぷらっとホーム世田谷では、就労相談により、その方の状態に応じた仕事探しを行うとともに、家計相談員がその方の経済状態や負債の状況等をお聞きし、必要に応じて無料法律相談につなげる等、支援も行っています。
住居確保給付金の再々延長申請千九百四十件のうち、離職により申請に至っている方は約二割いるため、給付期間が終了し、収入の見通しが立たない等の理由で生活保護が必要となる方には、制度の御案内や場合によっては、ぷらっとホーム世田谷の相談員が窓口となる各保健福祉センター生活支援課に同行する等、支援がしっかりとつながるよう丁寧に対応してまいります。
◆くりはら博之 委員 御答弁ありがとうございました。
続きまして、今年はインフルエンザの患者数が例年と比べてかなり少ないですが、新型コロナの予防のため、徹底されており、手洗い、マスク、換気、人の距離を取ろうといった基本的な感染対策がウイルスを困らせているからだと思います。
ワクチンに頼るだけでなく、今後も基本的な感染予防を取り続けていくことが肝要であると思いますが、今後はこうした取組も、改めて区民に周知していくべきだと思いますが、区の見解をお伺いいたします。
◎大谷 健康企画課長 新型コロナウイルス感染症の感染予防を区民に働きかけるに当たっては、区民一人一人に三密の回避や感染者を増加させないために必要な注意事項を分かりやすく、繰り返し発信することが重要であると考えます。
区はこれまで基本的な対策として、小まめな手洗いや手指の消毒、密閉、密集、密接といった三つの密を避ける、マスクを外しての会話、飲食時のグラス等の共有を避ける、これらを中心に区民に注意喚起を行ってまいりました。
また最近、家庭内感染や施設内感染の割合が増加している傾向を踏まえ、自ら感染しないことに加え、他人に感染させないことも適宜周知していくことが必要であると考えます。
今後もホームページやツイッター、LINE等を活用して、区内の感染状況等、有用な情報をタイムリーに発信しつつ、基本的な感染防止策の重要性を周知するなど、区民に対する注意喚起を継続してまいります。
◆くりはら博之 委員 御答弁ありがとうございました。
以上で質問を終わりにいたします。
○おぎのけんじ 委員長 以上で区民を守る会の質疑は終わりました。
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○おぎのけんじ 委員長 引き続きまして、無所属、どうぞ。
◆青空こうじ 委員 高齢者のコロナ禍における健康維持と認知症の方を介護する家族支援についてお伺いします。
まず初めに、コロナ禍における高齢者の健康維持についてです。
昨年から新型コロナウイルス感染が流行し、世界的に広がり続けて、まだ収束の気配がありません。日本においても、二回の緊急事態宣言が発令され、不要不急の外出控えを呼びかけたり、感染予防に取り組んできました。
国や都、世田谷区においても、様々な感染予防の対策を継続し、実施しております。
今年の二月には、新型コロナウイルス感染症のワクチンが承認され、医療従事者から先行してワクチン接種が始まりました。四月には六十五歳以上の高齢者にワクチン接種の案内を発送し、接種を開始するよう聞いておりますが、ワクチン接種が始まるからといって、すぐに新型コロナウイルス感染症の流行が収まるとは思いません。今しばらく感染予防に注意していく必要があります。
昨年の春、緊急事態宣言発令から、三密、不要不急の外出を避け、手洗い、消毒などの感染予防に取り組むよう言われてきました。町会・自治会の活動や地域のお祭り、イベントなどはいまだに自粛しており、行われておりません。特に六十五歳以上の高齢者は、感染すると重度化するリスクが大きいと言われていることから、高齢者クラブやサロン活動の再開もできない状態が続いております。
ひとり暮らしの高齢者などは、不要不急の外出を控えていれば、一日中家の中でテレビを見るぐらいしかやることがありません。ほかの人と話すこともありません。
このような状態が続けば、体力や気力が低下し、健康を維持することが難しくなります。
そこでお伺いしますが、コロナ禍の中で、外出を控えているひとり暮らしの高齢者などに対しては、区は健康維持に関してどのような働きかけをしているのかお伺いします。
◎佐久間 介護予防・地域支援課長 あんしんすこやかセンターでは、新型コロナウイルス感染防止のため、外出を控えられている八十五歳以上のひとり暮らしや高齢者のみ世帯の約一万人に対して個別訪問を行い、健康状態の確認や相談に乗り、感染予防や介護予防に取り組むよう働きかけてまいりました。
訪問時には感染予防として、手洗い等のチラシのほか、自宅で行える世田谷いきいき体操やフレイル予防のリーフレットを配布するとともに、国立長寿医療研究センターから出しています個人で健康活動ができるオンラインの通いの場、アプリの周知や、区のホームページに掲載している自宅でできる簡単な体操の動画を紹介するなど、自宅でもできる介護予防の取組を案内してまいりました。そのほか、散歩マップや公園の健康器具設置場所、ラジオ体操実施場所等の情報提供を行い、密とならない屋外で取り組める運動も紹介しております。
今後も、不要不急の外出自粛が続く中、高齢者の健康が維持できるよう、様々な取組を進めてまいります。
◆青空こうじ 委員 私は、今日も七時二十分から通学路に立って、子どもたちにおはよう、いってらっしゃいと挨拶をしていましたが、子どもたちと挨拶を交わし、会話することで元気を私はもらっております。今後も、朝の挨拶を続け、健康維持を持続していきたいと思っておりますが。
次に、認知症の方を介護する家族の支援です。
私の妻は、ケアマネジャーとして高齢者の家を回っておりますが、妻からは、昨年から新年にかけて、新型コロナウイルスの感染予防として、デイホームの通所施設の利用や、在宅介護のサービスの利用を控える高齢者が増えたと聞いております。妻は、デイサービスやショートステイの施設は、感染予防を万全にしているので、利用しても大丈夫ですよと声かけをしていますが、心配して外出を自粛している方もまだまだいるようです。
認知症の方を自宅で介護していくことは大変です。我が家でも、おばあちゃんのときに、晩年はデイホームやショートステイを利用しておりましたが、デイホームの利用をお願いすると、家まで車で迎えに来てくれます。また、お昼御飯を出してくれたり、お風呂にも入れてくれて、家族の介護負担が軽くなります。
おばあちゃんがデイホームに行っている間は介護から離れ、自分の時間を持つことができます。しかし、このコロナ禍の中で、そんなサービスの利用を控えると、家の中で一緒に過ごす時間も多くなり、その分、家族の介護の負担も大きくなります。
認知症の方の中には、徘回や物取られ妄想や怒りっぽくなるなど、行動や症状が現れることがあります。そのような行動や症状が出れば、家族の介護負担も大きく、大変です。認知症の方も、介護する家族も、両方ともいらいらします。区では、そのような行動や症状を減らす介護対応の認知症ケアプログラムというのを早くから取り組んでいると聞いておりますが、介護職員向けの取組だそうですが、家族も同じ対応をすれば、問題行動も減るようですが、そこでお伺いします。
認知症ケアプログラムはどのような取組なのか、ちょっと教えてください。
◎佐久間 介護予防・地域支援課長 認知症の人を介護していく中では、妄想や幻覚、怒りっぽさなどの行動心理症状への対応についてはまだ理解が進んでいない状況でございます。
これらの行動心理症状に焦点を当てた適切な介護は、地域生活を支援する上で大変重要であると認識しております。
区では、平成二十八年度より東京都と公益財団法人医学総合研究所が協同で開発した認知症の行動心理症状の改善が期待される認知症ケアプログラムに、他の自治体に先駆けて取り組んでおります。
このプログラムは、行動心理症状を本人の意味ある行動と捉え、その背景にあるニーズを分析し、適切なプログラムを立て、チームで一貫したケアを実施することで行動心理症状を緩和し、介護負担の軽減につなげていくことができるものであります。
介護人材の育成としてこのような質の高い研修のほうを続けていくとともに、認知症のケアに携わる職員を対象とした本プログラムの研修の充実を図りながら、専門職の介護の質の向上に努め、認知症の方の地域生活の支援及び御家族の介護負担の軽減に一層取り組んでまいります。
◆青空こうじ 委員 高齢者の健康維持や家族の介護負担軽減につながる取組にしていただけるよう、区にお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
○おぎのけんじ 委員長 以上で無所属の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後一時四十七分休憩
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午後二時五分開議
○おぎのけんじ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
自由民主党、どうぞ。
◆加藤たいき 委員 それでは、自由民主党の福祉保健領域の質疑を始めさせていただきます。よろしくお願いします。
まず、本日は、私は幼児期における弱視について伺っていきます。
先日の一般質問にて、公明党の福田議員がすばらしい質問をされていたので、それを私からもちょっと追って質問していきたいと思います。福田議員が導入すべきと発言されていた機器については明言はされていませんでしたが、高額なもの、二百五十万円もするものもあるとは思いますが、私からも早期導入の要望をいたします。
弱視は、眼鏡をかけても視力が十分でない場合を指したりするようで、弱視対策のキーワードは、早期発見、精度を上げるだと思っております。私も右目と左目、実はすごく視力が違っていて、右目が一・二、左目が〇・〇二と結構違っているんですけれども、学生時代からもうこれで慣れてしまっているんで、裸眼で特段困っていることはないんですが、我々の子ども世代だったり、次の世代には弱視対策がしっかりできて、そういった子たちがなくなればいいなと思っております。
四歳以下で治療を開始することで九五%の方が改善するようですが、分からないまま通り過ぎてしまい、結果手遅れになってしまう。十歳前後から大人での弱視発見の場合は、治療に有効な反応が得られず、手遅れになるとのことで、早期発見が非常に大事なことが分かっています。
世田谷区の弱視についての検査方法が、家庭で親御さんが行うとのことで、早期発見することができれば改善されるケースが多いこの弱視、福田議員もおっしゃっていましたが、区で発見されている率が〇・五%で、本来二から三%の確率で五十人に一人が弱視の可能性があるとも聞いているので、こぼれ落ちている幼児が多くいるのではないかなと思って危惧しております。
まずはこの精度を上げないといけないと思うんですが、家庭内検診では限界があると思います。区としてはどうこの課題に取り組むのか伺います。
◎相馬 健康推進課長 区の三歳児健診の視力検査では、花や魚など四つの絵の指標を用いた視力検査セット及び予診票を郵送し、御家庭で検査を実施していただき、その結果を予診票に記入して、健診当日に持参していただいております。家庭で適切な検査を実施できなかった場合には、健診会場にて再度検査を行い、健診担当医師の判断の下、保護者に医療機関での精密検査を進めるなど、見逃しの防止、発見率の向上に努めております。
一方で、他自治体や医療機関においては、屈折検査機器の導入により弱視の発見率は向上していると報告があります。屈折検査機器の導入の効果について、スクリーニングの基準値、先行する自治体の状況、専門医の意見などを調査し、研究してまいります。
◆加藤たいき 委員 子どもの一生に関わることですので、家庭内検査が悪いとまでは申しませんが、あまりにも簡易的過ぎてしまって、〇・五%という数字も上がっていますもので、やはり機器の導入が望ましいんではないかなというふうに思っております。
機器導入で、導入した後、精度が上がると、精密検査の対象が増えても、医師にきちんとつなげなくてはいけないんですが、現状では、医師に家庭検診の結果などをどのようにしてつなげているのか伺います。
◎松田 世田谷総合支所健康づくり課長 幼児期の視力検査につきましては、各総合支所で行っております三歳児健診で行っております。この三歳児健診は、子どもの視力異常の早期発見の大切な機会でありまして、弱視などの可能性が考えられる場合には、できるだけ早く医療機関につなげていくことが重要となります。
三歳児健診で医師が精密検査が必要と判断した場合には、一か月以内に医療機関で精密検査を受診していただくよう説明いたしまして、精密検査受診票を発行し、お渡ししております。ふだん眼科医にかかられていない方もおられますので、精密検査を受けることができる医療機関の中から、通いやすいクリニックを保健師と相談しながら選んでいただくなど、行きそびれることがないように、早期受診の必要性と合わせて丁寧に御案内もしております。
後日、精密検査を受診された後、保護者と医療機関からそれぞれ結果を連絡していただいておりますが、連絡がない場合には、改めて保健師が状況を伺い、確実に受診していただけるよう努めております。
◆加藤たいき 委員 四歳以下で治療を開始するということで九五%の方が改善するとのことで、治療用装具というものがあるんですが、それは保険適用と自治体による補助は同時に使えるとのことで、これをちゃんと使えるように促しているのかということは、ちょっと聞く予定だったんですけれども、これはちゃんと医者経由で説明されていることで、ちょっとはしょってしまいますが、聞いています。弱視に限らずに、幼保の入園タイミング、学校入学のタイミングといった節目節目で、子どもに関わる病気や治療にて使える補助等、分かりやすい取りまとめなどを新たに作成して、現状、出産直後の一回しか渡していないはずなので、保護者に上手に周知する方法を今後考えてほしいと思っております。機器によっては、導入すると六か月以降の幼児も利用できるとのことで、冒頭で申し上げたとおり、キーワードは私は早期発見と精度を上げるだと思っておりますので、今、三歳健診ですけれども、四歳以下で、一年間しかないので、もっと早くできるように、これを三歳、二歳にも下げて健診ができるよう要望させていただきます。
次に行きます。次に、高齢者施策を伺います。
予算化されると思っていた生活文化部所管のスポーツジムを利用した高齢者施策が来年の予算案から削除されました。特定のスポーツジムのみが使えるというのは確かにおかしいですし、料金設定によっては、区の財政負担が非常に大きくなる可能性も否めませんということは理解しております。
しかしながら、これはふじみ荘の廃止の代替案として混同した挙げ句に、どこに重きを置いた施策か正直分からなくなってしまったんではないかなと思っておりまして、違う出し方をすれば、見え方、捉え方が全く違う施策になったと思っております。
そもそも居場所という形にフォーカスし過ぎてしまった生活文化部所管であったので、福祉所管で今日質問していくわけですけれども、居場所イコールスポーツジムになったというのを一回置いておいて、介護予防、高齢者の健康増進の観点で考えていけば非常に私は良策だと思っております。
スポーツジムというのは今、いろんな駅の近くに大きなジムから小さなジムがあったり、また住宅街にもあったりと、非常に実は増えてきている場所でもあります。高齢者が使えるようになれば、足を伸ばさなくても、近隣で使える、通うことができる利便性も高いと思いますし、公共の場所を用意しなくても済むという利点もあります。また、区の職員の配置も必要なく、健康に対しての専門の方がそこのスタッフとしていらっしゃるので、私はこれから高齢者にスポーツジムにすごく通ってほしいなというふうに思っています。
民間活用の分かりやすい例にもなるのではと思っているんですが、先ほど特定のスポーツジムに使えるというのは、やっぱり私もそれはおかしいと思うので、ある程度のスポーツジム等、等というところにダンススタジオとかも入ってくると思うんですが、基準を設けて、何人ぐらいのスタッフが常にいないといけないだとか、いろいろと高齢者が楽しく通えるようなプログラムもいろんなところでプロポーザルのように提案してもらって、福祉保健所管で広く募って、もう一度考え直してもらいたいなと思っております。もう一度引き取って検討してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎佐久間 介護予防・地域支援課長 加齢とともに筋力が低下し、さらに運動しないことでますます筋力は低下してまいります。筋力が低下することにより、日常生活に支障が出てくる場合もあることから、高齢者が運動することは大変重要であると認識しております。
区では、六十五歳以上の区民を対象に、区内二十八地区のまちづくりセンター活動フロア等で月二回実施するはつらつ介護予防講座や、全六回の連続講座であるまるごと介護予防講座などのほか、要支援者等の運動機能維持、改善し、自立した日常生活を送るようにするプログラムなど、高齢者の介護予防に資する様々な取組をプロポーザル方式で選定したスポーツジム運営事業者と連携して実施しております。
また、人との交流が介護予防として重要であることから、講座ではグループワークを取り入れ、参加者同士の交流が生まれるよう工夫をしております。さらに、介護予防の取組は地域で主体的に継続して取り組むことが重要となるため、自主グループの立ち上げ支援や自主活動団体への活動費助成など、高齢者の自主的な活動を支援しております。
今後も介護予防に取り組んでいるスポーツジム運営事業者等と連携していくとともに、高齢者の居場所づくりや健康づくりなど、様々な課題について、関係所管と連携して検討してまいります。
◆加藤たいき 委員 先ほど答弁で、民間の事業者がプロポーザルで公共的な場所を使って、いろいろと高齢者の健康増進の活躍をしてもらっているというふうにおっしゃっていましたけれども、この事業をすれば、その空いた場所に違う施策も落とせることもできますし、高齢者の方々が通う間口が広い、民間のスポーツジムのほうが箇所があるので、間口が広い施策になるのではないかなというふうに思っておりますので、ぜひ検討してもらいたいというふうに思っております。
ちょっと一点、全く予定していなかったんですが、午前中の大庭委員の質疑を受けて、私からもPCR検査、社会的検査に対して一点だけ伺いたいと思います。
職員の方々の奮闘や、有馬次長も年度途中から関わることになり、大変な思いをされていると、本当に頭が下がる思いでいっぱいでございます。これまでPCR検査拡充に対しては、我々会派としても、私個人としても反対してきた、拡充に対しては反対してきたつもりは毛頭ございません。ただ、午前中の質疑でも定期検査の頻度に対し、私も決算でもこの件、発言しておりますが、頻度に課題があることは認めたわけだと思っております。
今年度の補正予算で可決されて、この間運用されて、総括も正直私はなかったと思っている中で、もう一回当初予算にのせるのは、やはり私はおかしいと思うわけですよ。制度設計もまだ課題があるなら、補正対応して出し直しが必要ではないかなと思っていて、スポーツ業界なんかで言うと、今、プロスポーツなんかは三日に一度程度PCR検査を受けて、それで試合に臨んだりというふうに聞いてはいますけれども、この定期検査、世田谷区で受けた定期検査、これは成功したと思っているのか、成功したと言えるのか、ちょっとそれだけ伺わせてください。
◎有馬 保健福祉政策部次長 まず、定期検査についてですが、制度設計としてやっぱり四か月に一回というのは頻度としては大変少なかったものだと思います。そうした中で、今二か月に一回という形になっています。ここもやはり制度設計としては、今まで御指摘いただいているとおり、とても不十分なものがあると思います。ただ、予算の関係もありますので、やはり検査方法等を見直さないと、一か月一回とか、そういった回数は実施できないと思っているので、そこの努力は今させていただいております。
そういった意味では、制度はしっかり受けたいところは受けられるようにしなければならないですし、一方で制度をつくった後に、やはり受けられない事業者が、理由があって受けられないと思いますので、そこら辺の把握はしっかりして、こちらも事業者に寄り添って制度を進めていきたいと思います。
そういった意味では、成功か成功じゃないかと言いますと、まだ道半ばなので、この時点で成功したというのはちょっと言い難い状況ではございますが、努力はしたいと思います。
◆加藤たいき 委員 今、スポーツの例で三日に一度というふうに話しましたが、先日、Jリーグが開幕されて、あるチームが新型コロナに選手がかかってしまって、試合が何週間かできなくなったということで、これは前日にPCR検査を受けて、陽性だと分かって中止をしたということなんですけれども、これは短い期間でこの間検査をしていて、発見ができたから現に意味があったというふうに思っております。
Jリーグのプロサッカー選手に限ったことではなくて、高齢者施設で働く方々もプロなんですから、三日に一回程度の定期検査で予算を増額しますというんだったら、金額にもよるとは思うんですけれども、まだ理解を得られると思うわけですよ。ただ、今のスキームだと、東京都のスクリーニング検査、行政検査に値していないわけじゃないですか。そういったことを考えると、私はやっぱりこの定期検査はおかしいとしか思えないわけです。
正直私の持ち時間がもう大分過ぎてしまったので、これまでにさせていただきますけれども、もう一度考え直すなり、私はしてもらいたい、私個人の部分の思いがたくさん入ってしまっているんですが、考え直してもらいたいなというふうに思っておりますが、以上で私の質疑を終え、宍戸委員に替わります。
◆宍戸三郎 委員 私からは、まず加藤委員の質問に引き続き、PCR検査の拡充と委託について伺ってまいります。
新型コロナウイルスの新規感染者数が下げ止まりから横ばいとなっています。また、変異株への感染も増えており、まだまだ先の見通せない現在の状況ではありますが、今までの知見で今後どう対処していくのか少し整理をしておきたいと思います。
緊急事態宣言の延長については賛否様々あるようですが、六〇%以上の人が肯定的に捉えているとの報道がありました。飲食店や旅行関係者の方の困窮状況を考えると、何とかここで感染を食い止めなければなりません。
そこでまず、整理をしておきたいのですが、PCR検査の拡充と委託についてです。私は、昨年からこの問題を捉えて、PCR検査は費用対効果をよく考えてやってほしい。その場合、区の財政状況を考え合わせると、区単独の持ち出しのPCR検査はあり得ないと申し上げてきました。これは決してPCR検査の拡充は必要ないということではありません。第四波を考えた場合、検査の拡充は必要です。
そこで、質問なのですが、昨年から拡充されたPCR検査の実績と、それにかかった費用を教えてもらえますか。
◎小泉
保健医療福祉推進課長 昨年十月から開始しました区内介護事業所等を対象としておりますPCR検査でございますが、これまで約一万六千八百件の検査を実施してございます。事業費につきましては、令和三年度予算で定期検査、随時検査、それからスクリーニングを合わせまして約六億二千五百万円の事業費を見込んでございます。
費用でございますが、二月末の時点におきまして、約二億五千万円を執行したところでございます。
◆宍戸三郎 委員 今、実績を伺っていますと、金額や検査数で見ると計画の半分ぐらいの結果だったということになります。これに関しては、区の持ち出しで行おうと思っていた検査が行政検査として拡充されたわけですから、国からお金が出ることになったということです。この検査にかかった費用は全部補填されるのでしょうか。国が出してくれない区の持ち出しの費用はありますか。
◎小泉
保健医療福祉推進課長 行政検査として実施しております検査でございます定期検査、随時検査でございますが、二分の一が国庫補助の対象となってございます。残りの二分の一につきましては、新型コロナウイルス感染症対策事業の他の事業経費といたしまして、地方創生臨時交付金の算定内容に含まれております。また、先ほど申し上げたスクリーニング検査、こちらは行政検査に該当しない検査でございますが、こちらは東京都補助金の十分の十を活用して検査をしております。
◆宍戸三郎 委員 令和三年度も九月までいわゆる社会的検査をやると聞いていますが、計画の半分ぐらいの実績の中で、どのような費用対効果を考え、またどれぐらいの検査を予定して今後進めていくのでしょうか。また、九月までというのはなぜなのでしょうか、お答えください。
◎小泉
保健医療福祉推進課長 まず、一月の国通知がございまして、その中でプール式の導入ということが示されまして、一つの費用対効果として、プール式を導入すると、検査費の単価が一定下がるのではないかということで、費用の下がることが見込まれるので、効果があるというふうに一点考えてございます。
既に先行してスクリーニング検査にはプール式を導入しておりますが、そちらについては、検査費用が下がっているという実績もございますので、今後、行政検査のほうに導入した場合も同じような効果が得られるものと考えております。
また、九月までというところの御質問でございますが、感染についてはまだ減少化傾向があるものの、依然として感染者が継続しております。今後のワクチン接種が導入されても、すぐには集団免疫はつかないと思っていますので、引き続きこの検査体制は必要と考えているところです。
十月以降の部分につきましては、今後の感染拡大状況ですとか、ワクチン接種状況などを勘案して、今は上半期ということで考えていますが、下半期以降についてはその対応を検討してまいります。
◆宍戸三郎 委員 一般質問でも申し上げましたが、他の自治体から大庭委員のおっしゃったように、ごっちゃになっちゃって理解されちゃっている場合もあると思うんですが、他の自治体からかなり注目されていますよね。そうであれば、効果のあるPCR検査の拡充と結果を求めていかなきゃならないと思うんですが、それに対して要望だけにしておきます。
少し観点を変えて質問します。PCR検査を委託するに当たって、厚生労働省からの法令や通達などで委託できる範囲、あるいは制限というのはあるのでしょうか。あったら教えてください。
◎安岡 感染症対策課長 昨年春以降、新型コロナウイルス感染症拡大による患者数の増加に伴い、積極的疫学調査や患者支援等の保健所業務が逼迫し、国は保健所の専門職の業務負担軽減を図り、専門性の高い業務に専念できるよう周辺業務の外部委託化を推進する通知を発出してございます。
区におきましても、庁内保健師の保健所への配置や民間看護師の活用などの人材確保に加え、発熱相談センター、患者搬送、データ入力及び患者、療養者の健康観察等、多くの周辺業務を外部委託し、専門職がクラスター対応と専門性を発揮できる体制の整備を図ってまいりました。
一方、感染症法で規定された業務のうち、入院勧告や消毒、就業制限等の行政措置に係る業務につきましては、外部委託の対象外でございます。
◆宍戸三郎 委員 入院勧告等の行政処分につながる業務以外は委託できるということですね。この三か月で従来型の検査と拡充された検査を合わせると、一日当たり最大何件のPCR検査をしたことになるのでしょうか。また、庁内から応援を受けたとしても、現在の人員で検査を伴う事務も含め、他の保健所業務を処理していくのに足りているのか、現場の実感はどうなのか、お答えください。
◎小泉
保健医療福祉推進課長 まず、最初の従来型検査と拡充された検査の一日最大件数でございますが、令和三年一月十八日が最大でございまして七百八十一件でございます。内訳といたしまして、区内の地域外来発熱センターで七十、医師会での検査による百十二、世田谷保健所による検査で百八でございます。それとプラスで拡充された、例えば定期、随時の検査でございますが、四百九十一でございます。
それから、もう一つの原因の人数のほうですが、庁内の応援ということで、今保健福祉政策部では、この検査を昨年十月からスタートするに当たりまして、保健福祉領域の各部から職員の応援を受けまして体制を組んだところでございます。
この検査をするに当たりましては、国や都の動向、それから現在の感染状況などを見ながら、例えば定期検査の実施サイクルの短縮ですとか、それから東京都の動きも含めたスクリーニング検査の導入など、いろいろなその時点での制度改善も進めながら、適時適切に事務を進めているところでございます。
◆宍戸三郎 委員 分かりました。
それでは、現在の人員で対処できる行政検査の数の限界はどれくらいと考えていますか、お答えください。
◎小泉
保健医療福祉推進課長 今年度の検査でございますが、十月からスタートした検査では、当初三チーム体制ということで、一日三百五十件としておりましたが、年末年始の感染者数の増加に対応ということで、本年一月末から四チーム体制に増やしまして、一日四百八十件ということで検査のほうを当たっております。
昨年十二月から二月までで最大件数、定期と随時の検査で四百九十二ございましたが、この間、委託事業者につきましても適切に対応しておりまして、特に問題はないというふうに考えてございます。
なお、従来型検査、有症状などの方を対象とする検査でございますが、こちらは昨年十月より一日最大六百件の検査を拡充ということで進めておりますので、これの体制につきましては、引き続き維持してまいります。
◆宍戸三郎 委員 大変な業務であると思います。検査数が増え、陽性者が増加すると職員に大きな負担がかかることになります。その負担軽減のためには、オーバーフローした検査の委託がどうしても必要になります。幸い入院勧告等の行政処分以外は委託可能だということですので、昨年十月からの経験を生かし、また第四波を想定し、今後の委託を推進すべきと私は考えますが、所管課の見解を聞かせていただきたいと思います。
◎小泉
保健医療福祉推進課長 先ほども御答弁申し上げましたが、今年度に引き続き、来年度の検査体制については、拡充された検査のほうでは三チームということで、一日三百五十件を想定しておりまして、区内の感染者が増加した場合には、今年度の一月末に対応したように、体制を変えるなど適宜検査能力の増強を図ってまいりたいと思っております。
また、この検査につきましては、従来から御説明しているところでございますが、いわゆる有症状の方の従来型検査の枠を超えた場合については、随時検査を拡充し、そのときの状況に応じて定期検査を縮小など、随時検査のほうに注力するというふうに考えてございます。
今後もできる限り、この民間活力の活用ということで、今事業者にも委託しておりますが、可能な業務は民間に委ね、専門性の高い業務により検査に専念できる環境の整備を目指しまして、さらなる感染拡大時におきましても、柔軟かつ持続可能な検査体制を構築してまいりたいと考えております。
◆宍戸三郎 委員 今回の経験で、他の業務の進め方の問題も多く見つかったのではないかと思います。また、定期検査に関しても、先ほどからいろいろ指摘されておりますが、そのことに関しても今後考えていただきたいと思います。
また、検査の業務委託を強力に推進するとともに、そのような改善すべき点を速やかに改善していただくことを要望しておきます。
次に、ワクチン接種について二問質問します。
一つ目は、第四波を見据えたワクチン接種の対応について伺います。
コロナウイルス感染拡大ピークとワクチン集団接種が重なってしまった場合、どのような想定をし、準備しているのかを伺います。
◎田村
接種体制整備担当課長 新型コロナウイルスの新規感染者数が下げ止まりから横ばいとなっている現状や、全国各地で変異ウイルスが確認されている現状などから、リバウンドによりさらに大きな第四波を招くおそれがあるとし、対策の徹底と強化が求められています。二月十七日の日本医師会会長の記者会見では、今の感染を第四波が来ないレベルまで徹底的に抑え、ワクチン接種を推進し、一気に収束への道筋をつけることが重要との見解も示されております。
ゴールデンウイークが明けて五月中旬頃から高齢者を対象とする優先接種が区民会館や区民センターなどの区内各地の集団接種会場にて本格的に実施する予定でございます。ワクチンの供給が順調に行われた際は、接種を希望する区民が迅速かつ安全安心に、そして安定的にワクチン接種が実施できるように、医療従事者や従事職員の確保に努めながら、万全の体制を整えてまいります。
◆宍戸三郎 委員 医療従事者や従事職員の確保が十分でなければ、ワクチン集団接種において大きな問題が生じることは明らかです。ぜひとも区民の安全安心確保のためにも、医療従事者や従事職員など、委託先の確保をお願いします。
二つ目は、配慮を要する人へのワクチン接種について伺います。
高齢者や障害者、外国人、またDV被害者など配慮を要する方へはどのような対応を検討しているのか伺います。
◎寺西
住民接種調整担当課長 幅広い区民が対象となる今回のワクチン接種では、接種の御案内から接種券の送付や予約の受付、また実際の接種に至るまでの流れの中で、様々な配慮を要する方へのきめ細かい対応が必要であると考えております。
この間、高齢者や障害者、外国人、DV被害者などの配慮を要する方への対応について、担当所管部と課題を整理し、取組を進めております。例えば接種券を送付する封筒には、視覚障害者向けの音声コードを設けるとともに、裏面には外国人向けの多言語表記を行うなど、様々な方にとって分かりやすい工夫をしております。またコールセンターでは十八か国語での多言語対応を可能としております。
接種に関する情報提供についても、民生委員や福祉施設、また区内の国際交流団体や大学の留学生センターなど幅広い機関の協力を得て、必要な情報を届けるよう取り組んでまいります。
また、DV被害者が安全に接種を受けられるよう、接種券の発送や、コールセンター業務において必要な対策や運用方法を定め、確実な対応を図ってまいります。
引き続き本格的な接種開始に向け、庁内の関係所管と連携しながら、あらゆる方が安心して円滑に接種を受けられるよう取り組んでまいります。
◆宍戸三郎 委員 様々な対応を検討していると感じました。今後も想定外の事態が生じたとしても、円滑な接種が行われることを期待しています。
次に、昨日、我が会派の石川委員が質問しました農福連携事業について伺います。
今回の農福連携事業では、障害者がやりがいを感じて活動することや、農作業に従事することで成長し、運営に関わったり、他の雇用につながったりすることが重要である。障害者はどのような作業を行い、委託事業者にはどのようなことを求めていくのか、区のお考えを伺います。
◎相蘇
障害者地域生活課長 今回新たに開始します農福連携事業では、障害者の就労支援と営農のノウハウを持った民間事業者に業務委託をすることで、障害者の雇用と農地の保全を実現することを目的としております。
障害のある方が就労を目指す過程では、就労の現場の見学や体験などによりまして、技術を身につけて自信を獲得することでやりがいを持って働くことにつながると考えております。委託事業者には、見学や体験実習の実施、障害者の積極的な受入れなどにより、多くの方が参加できるように工夫することや、農作業を細分化し、様々な作業を体験することにより、個々の特性や嗜好に合った作業を見出し、成長につながる取組などの提案を求めていく予定でございます。
区としてこの取組によりまして、障害のある方が農業など新しい分野の適性が見出され、生き生きとやりがいを持って働けるよう事業を進めていきます。
◆宍戸三郎 委員 次に、障害を持つお子さんにとって自然の中で農作物に触れたり、同世代の障害のない子どもや高齢者などと交流することはお互いに有意義であると考えますが、区の見解を伺います。
◎相蘇
障害者地域生活課長 区では、羽根木公園や大蔵運動公園内の梅林で障害者の梅もぎ教室を開催いたしていまして、近隣の障害者施設利用者のほか、都立光明特別支援学校や都立の久我山青光学園視覚障害教育部門からも参加をしていただいております。
こうしたところで、車椅子に乗った児童の障害児の方や全盲の生徒の皆さんは、梅の実の手触りや香りを楽しむほか、自分で取った梅の実でジュースをつくるなどの教室では学べない体験ができると、生徒、教員、保護者の皆様から評価をいただいております。
この農福連携事業については、実際に土に触れ、野菜の植付けや収穫などにより、自然の営みを学んだり、その後の活用により食育を学んだりすることなど、多くの効果が期待できると考えております。農福連携の農園が、障害の有無や年代を超えて多くの方々が利用して交流できる場になるよう、今後の事業の具体化を図る中で検討してまいります。
◆宍戸三郎 委員 農作業に携わった障害者がやりがいを持ち、また購入者が喜び、安定した経営をする、三方よしであることが大切だと思います。そのためには、農作物のロスをなくし、付加価値を高める例えば漬物などのような加工品の開発が重要と考えます。また、それが雇用の拡大につながると考えますが、区の見解を伺います。
◎相蘇
障害者地域生活課長 野菜は、一気に大量に収穫したものや保存期限が短いものは、販売機会を逸して無駄になってしまう可能性がございます。また、虫食いや規格に合わない大きさのものは商品の価値が下がったり、また天候に左右されるなどのリスクがあります。野菜自体の販売だけで安定的な収入を得るのは難しいと認識をしております。
そこで、委員お話しの漬物などの野菜を使った加工品は、規格から外れた野菜を有効に活用できるほか、保存期間の延長、ブランディングによる商品価値の向上を図ることができ、消費者のニーズに応えやすくなるとともに、安定的な事業運営に有効であると考えております。
農福連携事業では、加工品の開発や販路の拡大などに取り組むことを重要な項目とし、今後の運営事業者からの提案を踏まえまして、安定的な事業化を目指してまいります。
◆宍戸三郎 委員 今回の事業は特例子会社等に委託するとのことですが、いつまでも委託し続けるのではなく、障害者自らが企画や経営に参加すること、成果を確認しながら将来を見据えて、内容を見直すことも必要と考えますが、いかがでしょうか。
◎相蘇
障害者地域生活課長 農福連携事業は、障害者の雇用と工賃の向上、都市の農地の確保を目指した新たな取組であることから、事業を実施する中で成果や課題などを明らかにして、事業の安定的な運営手法を見いだし、充実拡充を図っていくことが重要であると考えます。
そのためには、ある程度の期間は区の委託として事業を行うことが有効であり、農地の借り上げを当初五年程度を想定しておりますので、この中で数値の目標などを踏まえた効果検証を行ってまいります。その上で、事業のモデルの修正や農園数の拡大などについて検討して、持続可能な事業展開を目指してまいります。
◆宍戸三郎 委員 商売をしてきた私としては大きな可能性を感じています。継続できる仕組みを構築していただきたいと思います。
次に、第八期保健福祉計画・介護保険事業計画案について伺ってまいります。
今回の計画案は第八期ということで、第七期に引き続き、来年度から三か年の計画を立てようとするものです。したがって、これまでの計画実施の進捗状況を踏まえて、これからの三か年の計画を立てるべきものと思いますが、第七期の計画実施で見えてきた問題点は何だったのか、またそれを踏まえた大きな変更点は何なのか、まずお聞きしたいと思います。
◎三羽 高齢福祉課長 第八期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に当たり、第七期中の課題の一つとして、世田谷区民の平均寿命は全国的に見て大変長いが、健康寿命は長くないという状況から、健康寿命の延伸を捉えました。
また、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、人々の生活様式が変化する中、高齢期を迎えた方々が、これまでの人生で培った自らの知識と経験を生かし、社会的に孤立せず、健康でいるための社会づくりが課題であると認識いたしました。
その課題認識の下、第七期では、高齢者福祉施策全般を計画目標としていましたが、第八期では焦点を明らかにするため、区民の健康寿命を延ばす、高齢者の活動と参加を促進する、安心して暮らし続けるための介護・福祉サービスの確保を図るに集約するとともに、健康寿命や健康観などの評価指標を定めました。
さらに、特に力を入れて取り組むものとして、三つの重点取組、自立支援、介護予防、重度化防止の推進、高齢者が活躍できるまちづくり、介護人材の確保・定着支援を示しております。
◆宍戸三郎 委員 健康寿命の延伸、高齢者が健康でいられるための社会づくりを課題として捉えたということだと思います。そして、その課題認識の下、八期では、健康寿命を延ばす高齢者の活動と参加を促進する、安心して暮らし続けるための介護・福祉サービスの確保の三つの計画目標を立てました。こういうことですね。
今回、議論をして、また提案もしたいんですが、この三つ目の安心して暮らし続けるための介護・福祉サービスの確保の件なんです。計画を立てる上で大切なことは、区民にとって分かりやすい計画とすることだと考えます。区民の皆さんは何を一番知りたいかというと、やはり自分が受けられる福祉サービスのメニューと、その整備数ではないかと思います。
区民の期待に応えるためには、高齢者人口はもとより、介護度の推移などを的確に予測し、需要を中長期にわたり見通しを立てた目標数値と計画年度に落とし込んで、区民に明確に示すことが必要です。
ところが、私が見落としているのかもしれませんが、この中長期の数値目標が、特別養護老人ホームだけしか示されていない、介護老人保健施設から都市型軽費老人ホームまでの三か年の整備数は示されていますが、二〇二五年、令和七年の最終目標が分かりません。入所施設の整備数や在宅でのサービスメニューの中長期目標数について、所管課の考えをお聞きします。
◎三羽 高齢福祉課長 介護施設等整備計画における整備目標については、国の基本方針において、介護保険事業計画との整合性の確保が求められていることから、国及び都が設定している三か年ごとの計画期間に合わせ設定しております。特別養護老人ホームについては、多くの入所申込者がおり、また整備にも時間を要することから、二〇一五年度を初年度とする第六期計画策定の際に、二〇二五年度までの中長期の整備目標を設定いたしました。
一方、二〇二五年及び二〇四〇年を見据えたサービス基盤、
人的基盤整備の重要性が国の指針においてうたわれており、第八期介護施設等整備計画では、二〇二五年に向けての整備方針及び配置の基本的な考え方を定め、例えば看護小規模多機能型居宅介護については、区内地域ごとに一か所以上というような形で、特別養護老人ホーム以外については、配置の基本的な考え方として明確化いたしました。
全ての対象施設についての中長期的な整備の数値目標の設定につきましては、高齢者人口の推計や要介護高齢者の見込み数、介護サービスの供給状況の変化等も踏まえて検討していく必要があることから、今後、第九期計画を策定していく中での審議会等の意見を聴きながら検討してまいります。
◆宍戸三郎 委員 第八期の計画ですから、令和三年から五年の三か年の整備目標があるからいいというのは少し違うのではないかと思います。やはり二〇二五年である令和七年なり、高齢者人口の推計のある令和二十二年、二〇四〇年までの中長期の数値目標を示して、その年度までにこれくらいの施設サービスや個別事業のサービス量を用意します。したがって、第八期の三か年では、各年度の整備目標はこうしますとするほうが区民にとって分かりやすいのではないかと思い、このことは提案しておきたいと思います。
次に、福祉保健委員会で第八期の保健福祉計画・介護保険事業計画案をいただいて、目を通しました。なぜこんなに分かりづらくなっているのかなという疑問が湧いてきました。あっちこっち見ないと実績が分からない、いろいろなサービスの実績は、後ろのほうに参考として載せてある介護施設等整備計画を見ないと分からないようになっています。計画を立てるに際しては、前期の実績を踏まえる必要があるし、目標を立てた以上、実績がすぐ分かったほうがよいと思います。確かにそれぞれの計画の根拠法令が違います。保健福祉計画は老人福祉法、介護保険事業計画は介護保険法、介護施設等整備計画は地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律が根拠法になっているわけです。しかし、基本理念の住み慣れた地域で支えあい、自分らしく安心して暮らし続けられる地域社会の実現は、三つの計画とも全く同じです。
保健福祉計画と介護保険事業計画は一緒になっているのですから、いっそのこと、介護施設等整備計画も含め、三つ一緒にしたらどうかと思うのですが、そのことについて何か不都合でもあるのでしょうか。せめて個別事業に前期目標数値を記載したほうが分かりやすいと思いますが、どうでしょうか、見解を伺います。
◎三羽 高齢福祉課長 老人福祉法に基づく老人福祉計画と介護保険法に基づく介護保険事業計画は、国の指針により一体的に策定するものとされており、世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画はその位置づけとなっております。
介護施設等整備計画は、医療介護総合確保法に基づく計画ですが、介護施策の重要な部分を占めるところから、巻末にお示ししているところです。高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画のサービス種別ごとの整備目標の記載については、現状では主要な内容を記載しているという形ですが、第九期計画の策定の際は、全体としてより分かりやすい記載内容とするよう、御提案の趣旨も含め、地域保健福祉審議会等の御意見もいただきながら検討してまいります。
◆宍戸三郎 委員 ぜひ検討してみてください。
さて、この計画では、三年後の評価指標として、現在六十五歳の人の健康寿命を延ばす目標が挙げられています。今後はどうしても在宅での介護が必要になります。介護が必要になった方に必要な介護サービスを提供するとともに、介護が必要になる方を減らすことが重要です。
実際には、計画案の四ページには、要介護認定者と認知症状の出現数の推移が載っていますが、この四年間で二千六百人も増えています。第八期における介護予防の柱となる事業は何だと考えますか、お聞きします。
◎佐久間 介護予防・地域支援課長 第八期の計画では、区民の健康寿命を延ばすという目標を達成するため、自立支援、介護予防、重度化防止の推進を重点取組の第一番目に掲げております。年を重ねていくと体力や気力が低下し、虚弱になっていくことがございます。このような状態をフレイルと言い、何もせずにいるとますます体力が低下し、要介護状態になってしまうことから、フレイル予防の取組が重要と考えております。
フレイル予防には、運動、栄養、社会参加の三つの要素が大切と言われております。主な取組としまして、六十五歳以上の区民を対象に、日常的に実施できる運動指導や栄養、社会参加の知識が習得できるはつらつ介護予防講座を、区内二十八か所のあんしんすこやかセンターで毎月二回開催しておるところでございます。
また、介護予防に必要な体操実技や運動、栄養、口腔、社会参加などを体験できる全六回のまるごと介護予防講座を各地域で実施しているところでございます。
これらの取組のほか、介護予防手帳を活用した高齢者自身による健康管理や介護予防の取組を支援して事業を展開しております。さらに、高齢者の社会参加促進のため、地域デイサービスなどの住民主体型サービスや、世田谷いきいき体操などに取り組むグループの活動を支援するなど、身近な地区で交流し、介護予防に取り組める通える場づくりも引き続き取り組んでまいります。
今後もこれらの介護予防の取組を充実させるとともに、新たにICTを活用した手法を入れて試行していくなど、健康寿命の延伸につながる様々な施策を実施してまいります。
◆宍戸三郎 委員 私も六十五歳を過ぎており、切実な問題と感じております。実は昨日と今日と松原から歩いてきたんですが、ちょっと筋肉痛になっております。お話にありました介護予防事業はいずれも重要だと思います。区民の健康寿命を延ばすという目標達成のため、介護予防や重度化防止への取組に全力を注いでいただくことを要望して、私の質問を終わり、上島委員に替わります。
◆上島よしもり 委員 この新型コロナウイルスの発生からもう一年を過ぎて、この間、本当に様々な職種、いろいろな職場で、それぞれの立場で本当に大変な思いで今日、何とか社会が動いているなということを改めて痛感いたします。特に一般的に言われております医療関係者をはじめ、いわゆるエッセンシャルワーカーと言われている方々は、大変なプレッシャーの中でお仕事をされていると思いますけれども、今日取り上げます保育士さん、保育園の職員の方々も相当御苦労され、保育に当たっているというふうに思われます。
その点なんですけれども、まず保育担当として、その保育園、また保育士の状況について、この大変な状況の下で、どのように仕事をされているのか、どのように見ていらっしゃるかというのをお伝えいただければと思います。
◎大澤 保育課長 まず、新型コロナウイルス感染症対策によりまして、通常の保育に加え、遊具や玩具の消毒、あるいは給食や午睡などにおきまして、感染予防の観点から、保育園内に極力分散させて保育を行うなど、現場の保育職員には相当の負担をかけて保育に当たっているというふうに認識をしております。
また、保育所をはじめとした保育園職員が、自らが感染者にならないよう、職場以外の生活での感染予防に十分に留意をし、自分を律しながら生活するなど、精神的な部分も含め大きな負担がかかっているものというふうに認識をしております。
区ではガイドラインを作成し、感染防止対策のマニュアル化を図るとともに、これは区立園になりますけれども、作業軽減のため、新たな昼寝マットの購入を進めるなどの対策を行ってきております。
職員のふだんからの努力の積み重ねによりまして、区内の保育施設の感染者は比較的抑えられ、休園などの園運営に与える影響を最小限にとどめているものというふうに認識をしております。これもひとえに施設長をはじめ、多くの職員に感謝しているところでございます。
◆上島よしもり 委員 本当にコロナ禍では、たくさんの職種の方々が陰ひなたで頑張っていらっしゃると思います。
昨日ですか、参院の予算委員会の集中審議ですけれども、尾身会長のほうから、これから解除した後のほうが長いという発言がありまして、まだまだ長いのかな、これは大変だなと改めて思ったわけでございますけれども、今日ここに福祉保健分野の理事者の皆さんがお集まりですけれども、まさに福祉分野の所管の方々というのは、それぞれいろいろなプレッシャーというんでしょうか、いろんなものを抱えながら今、日々頑張っていらっしゃると思います。
そこで、このまだまだこういった状況が長く続くという中で、ぜひお体に気をつけて頑張っていただきたいなと思うんですが、今日は保育士に関してなんですけれども、重ね重ねになりますけれども、保育園の関係者の皆さんというのは、いわゆる私たちの大切な子どもを預かり、命を預かり、頑張っていらっしゃると、大変なプレッシャーの中で仕事をしていらっしゃる方々であります。そういう中で、先ほど保育課長のほうから感謝の気持ちを表していただきましたが、そういった関係者の皆さんにその思いが伝われば、多くの御苦労も癒やされるのではないかなと思います。
特に私はよくやってくださったなと思ったのが、緊急事態宣言が出されましたときに、保護者の方々に対しまして、登園の縮小を求められました。なかなかこれまでの世田谷区の保育の保護者に対する姿勢というのは、結構、あまり強く言えないなみたいな、僕はそういうふうに見ていたんですけれども、こういうよい対応だったなというふうに正直思っております。
そこで、ちょっとお尋ねしたいのは、保育園におきます感染症の傾向というのがどうなっているのか、特に今にわかに広がりつつある変異株の発生がどのように影響していくのか、その辺が気になるんですが、どのように見ていらっしゃるのか教えてください。
◎安岡 感染症対策課長 今般のクラスター対応という点におきましては、保育園でのクラスターというのはほかの集団施設に比べまして数としては少ないと認識してございます。また、実際に人数としてかなり大規模な数でクラスターが発生しているという、一回のその発生における施設内の陽性者の数というものは大きなものになっていないところでございます。
また、委員御指摘のとおり、変異株の動向でございますが、海外及び国内の変異株の発生動向であったり、あとは変異株の感染力、お子様への感染のしやすさ等も指摘をされている状況でございますところから、私どもも保育園をはじめ、集団生活の場における感染対策というところで、変異株を含め、引き続き関係所管や関係機関と連携を取り、適切に対応をしてまいる所存でございます。
◆上島よしもり 委員 これまでのクラスターとしては保育園では少ないということ、ただ、これからその変異株の話をしていただきましたけれども、感染力の強いウイルスである可能性もあるということだと思います。
この間、緊急事態宣言下で登園の縮小を保護者の方々に依頼というか、お願いをしてこられました。そういった中でも、時差出勤とか、またテレワークなどの状況であってもお子さんを預けている御家庭が散見されたと聞いております。もちろんそれぞれの御家庭の事情がありますから、それが全て問題ということではありませんが、今後、さらに厳しいウイルスが発生した場合は、保育士の対応の強化だけでなく、園児のため、またそれぞれの御家庭のためにも、より強い要請というのが必要になるかというふうにも考えられますので、ぜひこの点、感染状況に応じた保育園のBCPというんでしょうか、対応について、区の方針をできれば用意しておいていただきたいと思います。これは要望でございます。
このように、大切な子どもたちを預かる保育園は様々な努力を行ってきておりますし、これからも必要になってくるわけですが、そんな中、今回の区立保育園で起きた事案については、非常に残念に思います。
現在、有識者による検討会で検証が行われているということでございますので、本日はこの件については言及いたしませんが、被害に遭われた子ども、お子さんが心に傷を負わずに、健やかに育つこと、そしてまた同じようなことが繰り返されないことを願います。
保育士さんは、人様の大事なお子さんの命を預かり、日々、様々な規則の下、お子さん一人一人と向き合って、日々の保育を行っております。それに加えて、保護者への対応、また地域との関係づくり、そして今般のコロナ禍での対応など、様々なことに取り組んでいらっしゃいます。そういうことが積み重なって、ストレスとなって、いい保育ができないということもあるのではないかなというふうに思います。
世田谷区は保育の質に力を入れております。他の自治体と比べても、保育にかける力というんでしょうか、場合によっては予算という言い方もありますけれども、断然に大きいというふうに思います。もし仮に保育士の皆さんがストレス過多で疲弊していれば、よい保育が行われず、区の保育にかける力も半減ないしは無駄になってしまいます。保育は環境が重要ですが、その最も重要なところは、人的な環境です。子どもたちが最も感じる、また財産にしていくのは保育士さんの言葉や行い、またぬくもりといったものだと思います。職員が心身ともに健康を維持することが保育の質を上げていくことであり、保育士さんが働きやすい、また働きたい、元気に働ける世田谷区の保育を内側から向上させるべきと考えます。
そういった趣旨で昨年も質問させていただきました。保育士一人一人の声を聞いて区の保育施策に生かしていくことを目的に、アンケート調査を実施すべきと申し上げましたが、その後、御検討いただけましたでしょうか、現状のお考えをお聞きいたします。
◎大澤 保育課長 まず、保育現場で働く保育士などの保育職員が、仕事に誇りとやりがいを持ち、安心して保育を行うことが保育の質の向上につながるものと考えております。その上で、保育現場を支える職員の声を聞いていくことは非常に重要なことと認識しております。
これまでも園長会や巡回支援相談、あるいは研修等の機会を通しまして、現場の職員の声を聞いてきたところでございます。
また、昨年の緊急事態宣言を受けまして、四月から五月にかけまして一斉休園措置を行いましたが、その際に、区立・私立全認可保育園等に対しまして、職員の勤務状況や体制、あるいは保育の提供体制などについて調査を行い、現場の声を聞き、その後のコロナ禍におけるガイドライン作成の参考にもしてきたところでございます。
ウィズコロナ、アフターコロナにおいても、職員にとってよりよい保育環境が保障されることが重要であると認識しております。今後も、保育職員の生の声を聞く機会を設け、状況を見極めながら、保育職員に対するアンケートの実施も考えていきたいと考えております。
◆上島よしもり 委員 これまでも様々な形で現場の意見を受け止めてきたということを理解いたしますけれども、ただ、やはり人を介してとか、また区がこういうことを知りたいということだけ聞いてきたように私は思います。やはりどの分野でも、現場の視点というのは、また違うところから、想像しているものと往々にして違うということがあります。人を介すということで、重要なエッセンスであるとか、またメッセージが読み取れなくなるということもあると思いますので、やはり現場での不安であるとか、課題であるとか、またアイデアといったことなど、いわゆる広く受け止められるように工夫したアンケートを直接私は行っていただきたいと思いますし、ぜひお願いいたします。
SNS上なんですけれども、保育現場がブラックであるということがよく目にするわけでございます。世田谷ではそうあってないと思いますし、あってほしくありません。また、蒸し返すつもりはないんですけれども、区立保育園に携わっている方から、区立保育園の職場について、独特の世界という表現を私は聞いたことがあります。その方は幾つもの区立保育園に関わってきた方なんですけれども、強弱はあっても、押しなべて独特の世界というふうに称しておりました。
その意味することはよく理解できませんでしたけれども、今回の区立保育園で起きたときに、もしかすると、事の根本原因には、職場環境も関係しているのではないかというふうに私はふと思いました。これはあくまで想像というか、思ったことなんですけれども、いずれにしても、お子さんを預かる大事な施設ですから、現場の声を日頃からしっかり捉えていただきたいと思います。
また、これは別の私立認可の保育士さんなんですけれども、その方は子どもが大好きで、保育士をやっています。ほとんどの保育士さんがそうだと思いますけれども、やはり子どもにとってよくないのではないかと思われるということを目にすることがとてもつらいということを聞きました。実際現場ではどういったことがあるのか、そこにどういった原因があり、区としてできることはないのか、机上ではなかなか分からないこと、社会の変化がそういった保育園、児童または御家庭にどう影響しているのかとか、現場の声を政策に生かすことは私はこれから重要になってくると思います。
例えば子どもの状況があまりよくないときなど、巡回支援相談事業を通じて、保育士の相談に乗るようになっておりますけれども、この頻度なんです。まず頻度が少ないということ、また保育士の心配とはかけ離れた形式的な答えしか返ってこないなど、子どものために何とかしたいと思っている保育士さんのそういった不満に結局はつながっているということも聞きます。
質の高い保育というからには、こういったところでもやはり世田谷区として最善の対応をしていく体制が必要と思いますが、現状どのように対応をしているのか、もう少し現場に寄り添った巡回相談、その充実を行ってほしいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
◎大澤 保育課長 区は保育の質の維持向上のために、園長経験者、看護師、栄養士といった専門性を持った職員が各保育施設を訪問する巡回支援相談事業を実施してきております。
現在、世田谷区内には保育施設は三百二十施設ありますが、年間で一回以上の訪問を目指し、保育内容、帳票類の確認、職員の相談、保育の様子、施設内の安全確認、配慮を必要とするお子さんの確認等々を行っているところでございます。
巡回支援相談の際に、現場の職員からの相談につきましても、できる限り具体的な例を挙げながら、助言を行ってきているところでございます。
今後、園の改善に向けた取組を継続的に確認するなど、各保育施設の状況に合わせたきめ細かい支援を実施していくことが課題であると認識しているところでございます。
今般、設置をしております区立保育園における保育のあり方検討会におきましても、巡回支援相談の見直しについて意見をいただいているところでございます。引き続き、現場に寄り添った巡回支援相談になるよう努めてまいります。
◆上島よしもり 委員 ぜひしっかりやっていただきたいと思います。
もう一つなんですが、国の話になりますけれども、昨年十二月に、政府から新子育て安心プランが発表された中に、待機児童が存在する市町村において、各クラスで常勤保育士一名必須との規制をなくし、それに代えて二名の短時間保育士で可とするという文言が入っております。このことは、短時間保育士、いわゆるパート職員への過剰な責任を負ってもらうようなこと、もしくは正規職員へのしわ寄せが起きてきて、働く環境が悪化するという懸念等が考えられます。
また、子どもとの関わりが断片化されるなど、園児の健やかな成長にも影響するなどが考えられますが、これについて区はどのように捉えていらっしゃるでしょうか。
◎大澤 保育課長 区はこれまでも保育待機児解消に向けまして、認可保育園等の整備とともに、保育の質の維持向上に取り組み、量と質の両輪で進めてきているところでございます。
そのため、いち早く一歳児の職員配置を国基準よりも手厚くしたり、保育士等の確保に向け、宿舎借上げ支援事業の実施や保育士等の処遇改善に取り組むなど、常勤保育士等の確保に努めてきたところでございます。
このたび、この国の新子育て安心プランで示されました、短時間保育士の活用につきましては、仮に例えばクラスに短時間勤務保育士二名を充てて保育を行った場合、子どもたちの一日の保育の流れが途切れ、子どもたちも安心して保育を受けられるかなどの懸念があることから、クラスに一名の常勤保育士を配置して保育を行うことが望ましいというふうに考えているところでございます。
なお、この制度の取扱いといたしましては、先ほど委員がおっしゃいましたように、保育待機児が一名でも発生し、区がやむを得ないと判断した場合となっていることから、現時点では活用するような状況ではございません。
今後も常勤保育士等、保育職員の離職防止や人材確保のために、保育職員が安心して保育ができるよう、現場の声なども聞きながら支援を行っていきたいと考えております。
◆上島よしもり 委員 現状問題はない、今のままでやっていけるということはよく分かりました。
しかしながら、この制度を受け入れるほかないような、やむを得ない状況ということにならないとも限らないわけでありまして、必要な対策を継続的に行うことが必要だと思います。必要な対策というのは、これまで申し上げてきたとおり、やはり保育士さんが元気で働ける、そういういい環境をやはりつくることだと私は思います。やはり世田谷区の中で保育士になることが、いわば保育士を目指す方々にとって非常にいい目標というんですか、そういうふうになるぐらいの質の高い保育と言っているぐらいですから、そこのところをやっぱり力入れるべきだと私は思っております。
思い返せば、保育士不足の課題もついこの間まで我々は抱えていたわけでございまして、その解消策として、家賃補助ということで何とか今日に至っているということでございますけれども、現状、充足していましても、今の職場で引き続き働いてくださるかどうかも分からないし、またよい職場がほかに出てきた場合に、そこに移られるということは、もう人ですから、いい環境、いい職場があれば、それは選択は自由でございますんで、そういうことだってあり得るということだと私は思います。
そういった状況に陥ってくると、まさに質に力を入れてきた世田谷区としては、天地がひっくり返るような状況になる可能性もあるわけです。もちろんパートの保育士さんが悪いとは言いませんが、非常に運営が難しくなることは間違いありませんので、そういった観点からも、やはりやるべきことはしっかりやっていくというふうに私は申し上げたいと思います。
そこで、この保育士の環境をよくしていくために、かつて子ども部長もされてきた副区長、保育園のこともよく御存じだと思いますし、今私、るるちょっと推測も含めてお話ししたところもありますけれども、副区長として今後、保育園のこれから、もしくは保育士のこれからについて考えるところをお伝えいただきたいと思います。
◎中村 副区長 お話しいただきましたように、世田谷区では、保育の質というものを大切にしているわけですけれども、それは保育士を含めた現場の専門職の日々の実践にかかっているものと考えています。
今この時間にも、区内の保育施設では多くの保育士が子ども中心の保育に当たっていますが、そうした保育士たちが安心して自信を持って子どもや保護者に向き合えるように、御提案もありましたように、日頃から保育現場の生の声を聞いて、不安や課題も含めて捉えて、職場環境の整備改善に反映させていただきたいと思います。
そうした仕組みづくりについて、今後具体化してまいりたいと考えています。
◆上島よしもり 委員 しっかりやっていただきたいと思います。
国としても女性が安心して働ける環境整備に力を入れておりますので、これはもう少子化対策と併せて、それを支える保育サービスをしっかり守っていくという観点でも、今全体として取り組んでいることですから、区としてもしっかりやっていただきたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。次は、ひきこもりについてでございます。
先日、ひきこもり家族会、世田谷はなみずきの会講演会が行われまして、我が会派からは、畠山議員、石川議員、またほかの会派からも多くの議員が参加されておりました。私も参加しました。コロナ禍にもかかわらず、会場が本当にいっぱいになるほどの参加者で、このテーマが非常に関心の高いものであることを再認識いたしました。
実際、ひきこもりを理解する上で非常に示唆に富んだ内容であり、ひきこもりに対する認識も新たにしました。既に区ではひきこもり支援に関する基本方針案を発表されています。税金を使う以上、全ての施策で成果というものが問われることになりますけれども、このひきこもりについては、成果を求めようとするとかえって効果が得られないという難しい分野であるとも思っております。特に年度ごとに数値で成果を示していこうとすると、これは悪循環をもたらすという懸念も今回新たに私も認識させられました。
そういった中、既に案は示されておりますが、この難しい課題について、区としてどのような基本的な姿勢をもって取り組まれていこうとされているか教えてください。
◎杉中 生活福祉課長 区は、ひきこもり支援の施策や事業等に取り組む際の指針となる世田谷区のひきこもり支援に係る基本方針の策定を進めているところでございます。基本方針では、ひきこもり支援に対する基本目標をひきこもり状態を含む社会との接点が希薄な方や、社会との接点が持ちづらい状況にある方とその家族が気軽に相談、支援でき、当事者が自分らしく暮らすことができる地域づくりを目指すとしております。
基本目標の実現に向けて施策目標を三つ掲げておりまして、一つ目が、相談窓口の明確化、支援機関相互の連携強化、二つ目が、当事者家族、それぞれの課題ニーズに寄り添ったきめ細やかな支援の充実、三つ目が、ひきこもり支援への社会的理解及び支援者育成の促進としております。
今後、区としては、この基本方針に基づいて、ひきこもり支援に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
◆上島よしもり 委員 今お伝えいただきましたけれども、やはり区として基本姿勢、私は今回の講演会を聞いて一番思ったのは、ひきこもりについての共通理解というのは、やっぱりまず我々というか、社会的に理解を深めていかなくちゃいけないのかなということ、あとさっきも申し上げましたけれども、やはり無理に進めていこうとしてはいけないなということがありました。
実は、昨日ちょっとひょんなことで私のところにメールが来まして、知らない方からです。そして中を読んだら、私がちょうどフェイスブックにこの講演会に出たというのを載せていたんですけれども、それを見て元ひきこもりであった方から、ちょっと話を聞いてほしいということで連絡が来ました。今日たまたまこういう質問をする予定だったので、電話かズームかどちらかでどうでしょうかと言ったら、ズームでぜひということで、ズームで話をしました。
その方は、中学の頃からちょっと病気で学校にあまり行けなくなってしまって、その後どんどんひきこもりの状態になって、大学を卒業できたんですけれども、その間、もうほとんど人と接することが難しくて、テストとか、勉強はできるんですけれども、かなり勉強も遅れている中、いろんな人と接することが難しくなって、ひきこもりで、二十四歳かな、大学を卒業できて、今一般の会社員として頑張って働いているという方でございました。
その方のお話を伺っていて思ったというか、伝えていただいたのが、やはり本当に苦しいということでありました。そのときに必要なのは何ですかということであれば、一つは、経済的にやはり心配に、どうしても不安になっているということ、これが何とかならないかなということが一つ、あともう一つは、話し相手となる人がやはり欲しいんだと。今、傾聴活動団体というのがいろんなところにあるようでございまして、こういうところをうまく活用していくのはいいんじゃないですかというアドバイスもいただきました。あとこれは講演会の中でも聞いたような気がしますけれども、支援というのは、御本人よりもむしろ御家族のほうの支援をしっかりしたほうがいいと、やはり御本人の考えていることと御家族の考えていることが随分違う中で、御本人だけに一生懸命やっていても、支援する方がいないときには、結局御家族との時間が多いわけですから、そこでまた元に戻ってしまったり、またひきこもりの悪い循環に入ってしまうという、そんなお話も伺いました。
あと、その方は高校、大学時代なんですけれども、やはり人と話せなかったんですが、その間、ちょっとごめんなさい、よく聞けばよかったんですが、ひきこもりの方々がよく集まるような場所というのは実は若い方にはあるということなんです。だから、ひきこもりというのは決して本当に引き籠もっているんじゃなくて、外に出るんだけれども、人と接することができない、非常に周りから見たら何を考えているのかなと、理解されないことが多いんですけれども、でも、本当に人と接することができないということでございまして、そういった方々を、本当はもっと人と接したいという気持ちを何とか受け止めて、うまくいい方向に持っていくということが世田谷区の施策でできれば、本当に私はいいなと思います。とにかく、御本人ももちろんですけれども、御家族が笑顔になれるような、そういう施策をこれから基本方針を基に、まだ案ということでございますけれども、しっかりと組み立てて実行していっていただきたいということをお願い申し上げまして、山口委員に替わります。
◆山口ひろひさ 委員 今年の漢字一文字、昨年は、二〇二〇年、密という字だったんですけれども、やはりこのコロナ感染症に携わった一年間ということで、この密を避けようということで、私たちの日常生活の中でも、感染防止をするためにこの密というのをすごく意識して、三密、これが提唱されて、その三密から来た密だということで、これも理由の一つだというふうに聞いております。
やっぱりこの三密というと、私だけじゃないと思うんですけれども、どうしても小池百合子さんの顔が思い浮かべられるんですけれども、さすがにやっぱり小池都知事はインパクトが強いなという感じがしているんですけれども、ただ、この三密で密が選ばれたことに対して、非常に悔しがっている人が一人いるんじゃないかなと、私は思うんですけれども、どなたか分かりますか。
分からないですよね。それは、せんだみつおさんです。(「古い」と呼ぶ者あり)古いという話で、若い方は知らない方はいらっしゃるかもしれないですが、僕が高校生ぐらいです。だから、一九七〇年代に、本当によくテレビに出て活躍されていた、コメディアンなのか、タレントの方なんですけれども、千に三つしか本当のことを言わないというんで、せんみつというふうに言われたらしいですけれども、やっぱり千が三に負けるのかという気持ちで、相当悔しがっているんじゃないかなと私は勝手に思っているんですけれども。
ただ、またここでくだらない話をしているな、なんて思っている方ばかりだと思いますが、実はこのせんだみつおさんは世田谷と縁がありまして、僕はちょっと知らなかったんですけれども、実は真鍋委員からお話を聞きまして、もう終わっちゃいましたけれども、タモリさんが司会進行していたお昼のバラエティー番組で「笑っていいとも」でしたっけ、その最初のコーナーに出演者が次の出演者を紹介する友達の輪というコーナーがあるんです。そこにせんだみつおさんが出演したときに、次に紹介したのが、実はその当時の区長だった大場区長を紹介して、お昼のバラエティー番組にタモリさんと掛け合いをしたという話を聞きました。
今、保坂区長もよくテレビにお出になられていますけれども、BSも今あって、放送の番組もかなり多いし、ワイドショーも時事ネタを取り扱った番組が非常に多いので、その当時を考えると、ましてやお昼のバラエティー番組ですから、二十三区の区長が出演するというのは、かなり衝撃的なことだったんじゃないかなというふうに推測するわけです。
では、次、大場区長が誰を紹介したのか、そこまではちょっと真鍋委員に聞かなかったんで、分からないんですけれども、まさか隣の目黒区長、大田区の区長というわけには、番組構成上いかないと思いますので、私が想像しているには、牟田悌三さんあたりを紹介したんじゃないかなと思うんですが、ちょっとこれは間違っていたら申し訳ないんですけれどもね。それで、まだこの番組が続いていたとして、保坂区長がそこに出て、次に誰か紹介しなくちゃいけないわけですけれども、私が想像するには、保坂区長が議会軽視をしなかったら、青空さんだと思います。残念ながら、この番組は終わってしまったので、どうすることもできないんですけれども。
今密の話をさせていただきました。このコロナで密を避けよう、密を減らそうという今流れですけれども、実はこの密が減ることによって、困っている事態があるんです。それは何かといいますと蜜蜂、果物農家とか、そういうところで今、いわゆる蜜蜂がせっせと飛び交って、そういう状況というのが多かったんですけれども、蜜蜂が不足して、だんだんそういう姿も農家の中では見られなくなってきたということです。その一つの理由は、この蜜蜂の用途というのは、いわゆる蜜を取る採蜜と、あと受粉の用途があるらしくて、実は国産の蜂蜜の今人気が非常に高くて、それで採蜜の蜜蜂を供給しなくちゃいけないんで、その受粉の蜜蜂までなかなか供給が追いつかないということらしいです。
あと、ダニですとか、病気、あと一部の農薬の関係もあるらしいですけれども、蜜蜂の大量死というんですか、そういうことも今非常に大きな問題になっているそうで、それもやはり一つの理由だというふうに書いてありました。
では、蜜蜂がいなくなっちゃって、果物農家は大変じゃないかということで、その救世主がちゃんと現れているんです。その救世主というのは実はハエなんです。ハエと聞くと、汚いじゃないかというふうに多分皆さんも思うと思いますが、私もいつの時代の話をしているんだと怒られちゃいますけれども、食卓にはハエ取り紙がありましたし、ハエたたき、台所にはやっぱりフマキラーとキンチョールというのは一家の必需品だったわけです。
ただ、それが自然界で、ハエというのは、死骸や動物のふんを餌にしていて、結局それを病原菌を運ぶという、運び屋みたいなところですけれども、非常に嫌われるというか、汚く扱われているわけですけれども、ただ、でも、皆さん、ハエを見たことがありますよね。よくじっとしているところを見ると、ハエって手を必ずこうやって意外とかわいい仕草をしているんですよ。それを見ながらハエたたきでぱちっとやっていて、今考えれば、ちょっとかわいそうなことをしたなというふうに慈悲の気持ちもあるんですけれども。
そういう中で、蜜蜂のかわりにハエが、クリーンな環境で育てることによって、全くそういう病原菌とか、そういう問題というのはないそうです。逆に蜜蜂よりも体が軽いんで、めしべを傷めないで非常にいい実ができるとか、寒さにも強いし、気候にも左右されないと。ただ、ちょっと欠点があるのは、帰巣本能がないので、蜜蜂はその本能があるので、戻ってくるんですけれども、外へ出たらどこかに飛んでいっちゃうという、単なる運び屋になっちゃうということなんですけれども、だから、なかなか露地栽培には向かなくて、ハウス栽培ですか、そういうところにはもってこいということで、今、蜜蜂に代わってハエを使う農家さんの需要が増えているということです。これは一つのやっぱり人間の知恵のすばらしさというか、すごいなというふうに感じているんです。
これから二〇二五年、超高齢化社会を迎えていくわけですけれども、やっぱりこういう知恵というのを、僕は高齢者の福祉の関係の中でも、やはり共通点があって、使えるものが何かいろいろあるんじゃないかなというふうに感じているんです。
いろいろ調べますと、各企業で、特に高齢者の見守りでIT機器を使った見守りというのがあるんですけれども、ちょっと紹介すると、例えば象印の魔法瓶なんかは、電気ポットを活用して見守りホットラインというのがあるそうです。お湯を注ぐと何時何分給湯とか、そういうのがメールで届くという、これはインターネットの環境がなくてもできるということです。
いろいろあるんですけれども、あとNTTレゾナントというところでは、LEDのいわゆる電球を活用して、それをトイレにつけて、それがいわゆる点灯されないとか、二十四時間ずっと消灯したままだとかいうと、またこれもメール等でお知らせが来ると。
あと日立グローバルライフソリューションズというのはドシテルというのがありまして、これは室内にセンサーをつけて、活動量が多いときはスマホに、かわいい絵だと思うんですが、そういうのがよく動いている、そういうのを知らせたり、東京電力でもちょっとセンサーをつけて、深夜に何かいろいろあると、日常の生活とちょっとリズムが狂ってくると、そういうのを教えてくれたり、パナソニックでも玄関でコミュニケーションが取れるような、防犯のことを含めた、そういうのをやっているんです。
世田谷区も地域での四つの見守り、またサービスとか事業者との連携を深めながら見守り事業をやっているわけですけれども、日本の高齢者というのは、世帯の約三割は今ひとり暮らしらしいですよね。これからやっぱりこういう需要というものは増えていきますし、人材不足というところもありますんで、僕はさっきの蜜蜂からハエの知恵じゃないですけれども、やっぱりこういったものをもっと積極的に活用して、そういう見守りの視野を広くしていくということが必要なんじゃないかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょう。
◎三羽 高齢福祉課長 現在、世田谷区の高齢者人口は約十八万五千人、うち三三%が単身世帯、三七・五%が高齢者のみ世帯となっています。高齢者人口は二〇四〇年の団塊ジュニア世代が六十五歳を迎えるまで増え続け、これに伴い、介護者や見守りの人材が不足していくことが見込まれています。
IoT技術で実現できる遠隔操作、状態把握、動きの探知、通信といった機能を活用することにより、遠隔地からの高齢者見守りや、高齢者が自宅で生活するための訪問介護や在宅介護の現場での人材不足の補完、介護者の負担軽減やケアの向上などが期待されます。
高齢者見守りにおけるIoT技術の活用については、区のDX推進方針を踏まえて、参入が進んだ民間事業からの自身の希望に合ったサービスの選択や、利用しやすい環境整備等も含め、他自治体での実証実験等の成果を踏まえ、研究検討し、あんしんすこやかセンター、町会・自治会、民生委員による身近な地域、地区での見守りと効果的に組み合わせ、重層的な取組を進めてまいりたいと思います。
◆山口ひろひさ 委員 あともう一つ、静岡県の藤枝市で、去年の七月から実証実験をいたしまして、高齢者の見守りに活用しているみまもりパペロというロボットを活用した事業です。クラウド、インターネットを活用してコミュニケーション機能や、またロボットとの会話を楽しむおしゃべり機能とか、家族メッセージ、写真のやり取りを通じて、ひとり暮らしの高齢者の孤独感を癒やし、楽しい生活をサポートするものです。
現在、藤枝市では高齢者が多く利用しているそうで、その中で一番活用されているのがおしゃべり機能だそうです。やっぱり一人でじっといて、黙っていると何かつらいものがあるし、誰もいないのにしゃべっても、隣から、ひとり暮らしなのに声が聞こえましてもちょっと何かあれかなと思うんですけれども、非常にやっぱりしゃべるコミュニケーションというのは、健康増進にも大事だと思いますし、これは、あともう一つ警備会社とも連携をしているんで、例えば緊急時があったときに、家族に代わってその警備会社の方が駆けつけてくれるとか、そういうこともあるそうです。
これは実はNEC、日本電気株式会社で提供しているんですけれども、これからその二〇二二年度までに一万人を提供していこうということで積極的に進めているわけですけれども、やはりいろんな企業がこういう福祉の分野、また見守りの分野でITやそういったものを活用しながらこれからどんどんどんどん増えてくるんだと思うんですよ。
やはり見守りも行政だけではかなり限界がありますので、やはり私はこういうロボットというのも、施設には活用しているところもあるというのはちょっと聞いたんですけれども、やっぱり個人のひとり暮らしのところにでもこういうものというのは僕は必要だと思うんですけれども、区の考え方はいかがでしょうか。
◎三羽 高齢福祉課長 IoT技術を活用した商品やサービスには、AIを搭載した介護ロボットもございます。インターネットを介して離れた場所からの見守りだけでなく、孤立しがちな高齢者のコミュニケーション不足を補う機能、人手不足の現場のレクリエーション機能などもございます。
区では救急通報システム、火災安全システム、高齢者安心コール電話訪問など、高齢者の安全確保や見守りのための事業を実施していますが、高齢化の進展による見守りの必要性の高まりと多様な商品、サービスの普及により、それらの導入など様々な要望が寄せられております。
しかしながら、高齢者人口の急増による公共サービスの需要のさらなる増加に対し、行政の持つ資源だけでは対応することが難しく、民間の資源を生かした公共サービスの充実を図ることが求められています。
このような状況を踏まえ、区のDX推進と併せて、既存事業の手法の転換や事業そのものの見直しも含めて、お話の介護ロボット等の活用する方法を研究、検討してまいりたいと存じます。
◆山口ひろひさ 委員 いずれにしても、これから高齢化社会の中でこうしたデジタル機能といいますか、これからDXが進んでいきますんで、必ずやっぱり使っていかなければならない部分だし、人材不足、そういったものを活用して、弱い部分を軽減して、やっぱり効率のいい福祉事業というのを、これから進めていかなければいけないと思いますんで、ぜひ十分研究、検討して、本当に高齢者の方が暮らしやすい世田谷区を目指してまた頑張っていただきたいと思います。
以上で自由民主党の質問を終了させていただきます。
○おぎのけんじ 委員長 以上で自由民主党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後三時四十一分休憩
──────────────────
午後三時五十五分開議
○おぎのけんじ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
公明党、どうぞ。
◆河村みどり 委員 それでは、公明党の福祉保健所管の質疑を始めさせていただきます。
私からは、介護事業所を対象とした高齢者のPCR検査について質問させていただきます。
先日、区内の介護老人保健施設、老健のショートステイを定期的に利用されている御家族の方から、PCR検査についての問合せをいただきました。話によると、本年一月、ショートステイを利用するに当たり、施設からPCR検査を受けるよう指示があり、証明書代を含め二万数千円の料金を支払って受検されたというのです。
さらに、先月も同施設に入所希望したところ、再び有料にて検査するように依頼があったため、さすがに高額な検査料の支払いが続くと経済的な負担があまりにもかかる、どうしたものかと思案していたところ、世田谷区は介護施設の高齢者にPCR検査を無償で受けられるようにしたと報道で聞いたと家族から言われ、我が家の場合は該当しているのかいないのかといった御相談でした。
まず初めに、介護施設等のショートステイ、短期入所利用の場合、PCR検査は無償で受けることができるのか、PCR検査のいわゆる社会的検査についてのスキームを改めて確認いたします。
◎小泉
保健医療福祉推進課長 昨年十月から開始いたしました社会的検査でございますが、介護事業所等の社会的インフラとなる施設を対象としてございまして、定期検査につきましては、職員及び特別養護老人ホームや老人保健施設などの入所予定者も対象としております。また、昨年十二月からは、施設の御意見も踏まえまして、感染が発生した場合に利用者の代替施設の確保が難しいですとか、特別養護老人ホームやショートステイ利用者を対象に追加ということで検査を実施してございます。
◆河村みどり 委員 それでは、今御答弁いただきましたように、短期入所の場合もちゃんと該当していますよということで、相談者の方は、このような高額な検査料を支払わなくても本来無償でPCR検査を受けることができたと。区は、高齢者の重症化を防ぐとともに施設におけるクラスターを防止するというこの大目的で、高齢者が介護施設に入所の際には無償でPCR検査を受けられる仕組みをつくりました。
PCR検査の予算についてですけれども、先ほどもやり取りがありましたけれども、社会的検査だけでも、今年度については四億九千三百万円、約五億円、そして来年度についても、社会的検査全体で六億二千七百七万円を計上しています。区長肝煎りの施策として、これだけの予算をかけ、世田谷区は高齢者に無償でPCR検査を受けるようにしましたとうたっているにもかかわらず、一方で高額な検査費を支払っていた高齢者がいらっしゃったということは、おかしいと本当に思っております。
今回、区民の方から申入れがあったことで、その施設では無償で受検できるように今回区に整えていただきましたけれども、相談者同様、既に複数の利用者が自費で受検していたということも伺っております。制度があるにもかかわらず、施設側はどうして区のPCR検査を利用せず、高齢者に負担をかけることとなったのか、その理由を伺います。
◎小泉
保健医療福祉推進課長 今委員お話しございましたが、自費で受検した今回のケースでございますが、これまで同様の問合せというものはありませんでしたが、事前に入所予定者の受検についてのお問合せという事例はございまして、実際に社会的検査で対応可能な旨を回答しているところでございます。
また、今回のケースを踏まえますと、社会的検査の対象者や申込方法について、十分に区から情報発信が伝わっていなかった可能性が考えられると思いますので、今後こういったケースが必要な方には、社会的検査を受検していただきますよう、効果的な周知方法を検討する必要があるというふうに考えてございます。
◆河村みどり 委員 今回は申込みの方法とかが十分に伝わっていなかったという可能性があるという御答弁だったんですけれども、当然知っていなければ施設側に伝わっていない、理解していなかったということは大いに問題があると思います。本来なら無償で受けられるはずだったのですが、負担をかけた検査費を返還するぐらい、そういった事案ではないかと本当に思っております。施設に通知を送付しているから当然分かっているだろうと思っていたが、実はそうではなかったわけです。
社会的検査を導入して半年経過するわけですが、先月の福祉保健常任委員会での最新の報告内容を見ると、定期検査を利用している施設は全体で僅か二割程度にとどまっていると。また、宿泊を伴う介護施設、特別養護老人ホーム、また、介護老人保健施設、有料老人ホーム、認知症高齢者グループホーム、そして小規模多機能介護施設の事業所に絞ると約四割の利用率となっておりますけれども、でも約六割の施設が未実施と、まだまだ十分とは言えない状況となっております。さらに老健について、十施設中、実施はゼロとなっていました。
今回の問題について、区は周知不足と言っておりますけれども、そもそもそれだけが原因なのでしょうか。制度の問題や、医療機関が経営母体である老健は区の検査に頼る必要がないとの区の思い込みなど、もっと様々な要因があるのではないでしょうか、いかがですか。
◎小泉
保健医療福祉推進課長 今委員お話しいただきましたが、介護老人保健施設につきましては医療機関が経営母体であるということもありまして、区が実施する社会的検査によらずに、独自でPCR検査をしているということがあるんではないかというふうに考えてございます。
なお、先ほど、率のお話を委員のほうからしていただきましたが、定期検査で、全体で今、介護事業所約千五百か所ということなんですが、三月八日時点でございますが、三百六十九か所受検してございます。なお、介護老人保健施設におきましては、現在三か所の施設が定期検査を受検している状況でございます。
今後、今も紹介いただきましたように、未受検の理由については、先ほども御答弁申し上げましたが、周知の徹底ですとか、来年度早期に実態を把握するためのアンケートなども考えてございますので、そういった中で、改めて施設に確認をしたいというふうに考えてございます。
◆河村みどり 委員 宿泊を伴う六割の未実施の介護施設の中には、今回と同じような事案があってもおかしくない、自費で受検しているケースが生じていてもおかしくはないと思います。とはいっても、今御答弁いただきましたように、区は今の段階では何も掌握ができていない状況、全く見えていないということだと思うんですね。アンケートをこれから実施するということで。ですから、今後、実態調査されるということですから、万が一でも区民に負担がかかることがないように、ぜひきちんと調べていただきたいと思います。
クラスター化させないため、より多くの施設が社会的検査を利用していくことが何より重要であるということは、本当に私自身もそのように思っておりますし、その推進は今後全力で行っていただきたい、そういうふうに思っておりますけれども、その一方で、あくまでも区は、利用するしないは施設の自主性に委ねているというふうになっているわけです。ですから、施設側が何らかの理由で社会的検査に手を挙げない場合でも、入所する高齢者は無償で受けられるようにすべきではないでしょうか、いかがですか。
◎小泉
保健医療福祉推進課長 今お話しいただきましたが、社会的検査の目的というのは、当然施設内の感染対策ですとか、それから検査の結果が陽性だった場合に施設としての対応が必要となるということがありますが、例えば今回のスキームでいけば、職員は検査を受けずとしても、例えばそこにいる入所者ですとか、利用者の方が受検される場合でも、施設を通じてお申込みを受け付けるということで検査はできるというふうに考えてございます。
また、お話しいただいたケースでは、入所予定者の検査を施設で行うこととなりましたが、入所予定者の検査と併せまして、職員とか、そこで既に入所されている利用者の方、一緒に検査の実施を提案するという形もあろうというふうに考えています。
今後、他の施設におきましてもこういった事例があるんではないかと思いますので、先ほども御答弁申し上げましたが、例えば定期検査を実施する日に、入所予定者も併せて受検をしていただくですとか、そういった周知をしながら漏れなく受検を促し、目的である施設内でのクラスター発生を防ぐというところで、さらなる感染対策をやっていきたいと思っております。
◆河村みどり 委員 職員や利用者を含めて検査するという本来区が目指している社会的検査、例えばそれはちょっと利用するつもりはないという施設においても、入所する高齢者たった一人だけのために、そもそも無償で受けられるということですよね。ただ、それは施設側から申し込んでくれればという条件の下になります。そもそもそういったものがこの社会的検査の制度になっているということが、どこまで施設に伝わっているのかなと疑問に思っております。
ちょっと時間もあれなので、ともかく今後周知に努めていただけるということなので、施設側からすると、まだまだ必要な情報が抜け落ちているのではないかと、私はそのように思っております。例えばQ&Aを作成するなど、事業者側の疑問点とかそういったものが解消できるような、もっと具体的な情報提供も考えるべきだと思います。
また、先ほども施設からの問合せがあったから対応できたというような答弁もありましたけれども、利用していない施設がこれだけあるのですから、待ちの姿勢ではなく、もう一歩事業者に出張っていっていただいて、より効果的な周知に努めていただきたいと思います。
今回の事案でも利用しようと思っていたショートステイを控えてしまった利用者がいた可能性も当然考えられるわけです。費用を負担させるだけではなく、区民が享受できる福祉サービスを奪うようなことが起きてしまったと。事業者だけではなく、ぜひ区民にも情報提供していただきたい、この点もしっかり取り組んでいただきたいと思います。
最後になりますが、今回の件に対して、本来は区長にお答えいただきたいところですけれども、副区長にお伺いします。区の重点施策であるPCR検査の無償化について、今回、区民に負担をおかけしてしまったことをどのようにお考えか、また、改善について改めて見解を求めます。
◎中村 副区長 今回、社会的検査について御指摘のショートステイを含めて無償であるということが、区の周知が区内施設に行き渡っておらず、自費で検査を受けていただいた区民がいらっしゃったこと、本当に申しわけなく思っております。
一つには、今施設に対して、社会的検査の受検の割合をもっと高くしていくという課題がありますので、これについて先ほど課長から御答弁ありましたように、アンケートも準備し、広く受検していただく、そのことを通じて周知をしてまいるとともに、今後必要な方に社会的検査をもちろん無償で受検していただけるように、全ての施設に対して、御提案のQAとか、積極的な方法も含めて周知方法を検討して徹底してまいりたいと考えております。
◆河村みどり 委員 ぜひ積極的によろしくお願いいたします。
以上で私からの質問を終わり、福田委員に交代いたします。
◆福田たえ美 委員 私からは、最初に若年がん患者の支援について伺います。
平成二十八年第四回定例会において、十五歳から三十歳前後のAYA世代を含む介護保険に該当しない若者の末期がん患者に対して在宅生活の支援を求めたことに対して、若年世代のがん患者のターミナルケア支援とともに包括的に検討するとの御答弁から数年が経過いたしました。この件に関しましては先ほど他会派からも質疑があり、副区長が区として可能な支援の方策について検討を急ぐと答えていましたが、改めて区の見解をお聞かせください。
◎中村 副区長 お話がありましたとおり、平成二十八年の第四回の定例会において、ちょうど委員から、介護保険の制度の対象とならない若い世代のがん患者と御家族の精神的・経済的・身体的負担の軽減について御質問をいただいたところです。この間、本件の検討が滞っていたことは申し訳なく思っております。
その際、区として御答弁いたしました若年のがん患者のターミナル支援を包括的に検討するということの必要性は変わらないものと考えております。今後、国や他自治体の動向とともに、区内の若年がん患者の実態を把握し、議会での御議論をいただきながら、区としてどういった支援が可能か、その方策について検討を急いでまいります。
◆福田たえ美 委員 私も切実なお声を受けて質問をしておりますので、今後も誠意ある御対応をお願いいたします。
次に、精神障害者保健福祉手帳の申請に関する診断書作成費用に関する負担軽減のための助成について伺ってまいります。
先日、ある婦人の方から、精神の障害を持った二人のお子さんの手帳の更新に当たって、指定医師による診断書が必要であり、その診断書作成にかかる費用負担が重いとのお声が届きました。診断書作成にかかる費用は保険が適用にならないため、約五千円から一万円の費用負担がのしかかります。さらに、身体障害者手帳、療育手帳とは異なり、精神障害者保健福祉手帳の有効期限が二年のため、二年ごとの更新に医師の診断書が必要になります。診断書は、手帳の支給や等級を決定する重要な判断材料となります。この手帳を持つことで、税の控除、免除、サービスなどが受けられます。
現在、世田谷区には精神障害者の方は何人くらいいらっしゃるのでしょうか。
◎宮川
障害保健福祉課長 世田谷区では、令和二年四月時点で精神科通院医療費助成の制度を利用している方が約一万三千人で前年比五%増、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方が約六千七百人で前年比八・五%増となっております。毎年増加している状況です。
一方で、令和元年度に国が行った調査によりますと、人口千人当たり三十三人に何らかの精神障害があると推計されております。この数値を世田谷区の人口に当てはめますと、三万人ほどの方が何らかの精神障害に該当することになります。
区内の精神障害者保健福祉手帳等の交付状況と、国の推計値との乖離について、要因は特定できませんが、例えば病気に対する認識の薄さや未受診など、様々な理由により医療や福祉とつながっていない方が一定数いるものと推察されます。
◆福田たえ美 委員 精神保健福祉法では、精神疾患の症状に対して、医療と福祉の連携が重要であると位置づけられています。実際にはつながっていない区民も一定数いることが分かりました。障害があることで医療費がかさみ、働くことも困難で、経済的に苦しくなります。まして、このコロナということで収入が減少した御家庭もあります。
精神障害者保健福祉手帳取得のこの約六千七百人の中に、低所得の方はどれぐらいいらっしゃるのでしょうか。
◎宮川
障害保健福祉課長 区では、精神障害者保健福祉手帳や精神科通院医療費助成の利用者について、令和二年度から情報システムでの管理を始めたところです。精神障害者保健福祉手帳は二年ごとの更新の仕組みのため、データが蓄積され分析が可能となるのは令和四年度以降となりますが、現在までの精神科通院医療費助成のデータを抽出したところ、三三%の方が住民税非課税の低所得の方でした。
この計算を当てはめますと、参考数値ではありますが、精神障害者保健福祉手帳を所持している六千七百人の三三%、約二千二百人が低所得の方となっております。
◆福田たえ美 委員 データを蓄積している最中ということですが、予測で数字を出していただきました。二年ごとに手帳の更新をする人が約二千二百人、一年にしますと一千百人ということになります。この低所得の世帯の方が、障害サービスを受けるための入り口であるこの手帳の申請、更新の際の経済的負担を感じるのは事実であります。
現在策定中のせたがやノーマライゼーションプラン―世田谷区障害施策推進計画―には、自分らしい生活を安心して継続できる社会の実現との基本理念を掲げ、障害当事者の日常生活や社会生活を支援しますと明記しております。
本区においては、身体障害者手帳取得時には必要な医師の診断書に一万一千七百七十円の助成を行っています。武蔵野市、三鷹市などでは身体障害者の方と合わせる形で、精神障害保健福祉手帳の取得時の五千円の診断助成も行っております。
サービスを受けるために必要な精神障害者保健福祉手帳の申請、更新の際に、低所得の方の費用負担軽減となる診断書作成料の助成等を検討する必要があると考えますが、区の見解をお聞かせください。
◎宮川
障害保健福祉課長 精神障害者保健福祉手帳は二年ごと更新となっているなど、他の障害者手帳制度とは異なる面があり、認定のために定期的に診断書を取得することが、特に低所得者にとって負担となっていると思われます。負担軽減策としましては、例えば障害状況が安定している場合に、手帳の更新期間を延長して診断書を不要とするなど、柔軟な取扱いについて国や都に要望を上げることも検討いたします。
区が精神障害者保健福祉手帳の診断書料助成を行う場合、国や都からの特定財源はなく、区の負担が大きくなることが見込まれます。実施に向けては、対象者の状況等を把握し、必要性や事業効果等について研究した上、区の財政への影響を含めて総合的に勘案する必要があると考えられます。
◆福田たえ美 委員 低所得者の方々にも、一つのこの温かい手をぜひ差し伸べていただきたいと思います。
続いて、次の質問に移ります。続きまして、避難行動要支援者の避難支援について伺ってまいります。
避難行動要支援者への実効性ある支援の必要性を、平成二十八年予算特別委員会、第一回、第三回定例会などで私は訴えてまいりました。我が会派からも何度となく議会で取り上げてきた重要な課題であります。一向に具体的な策が講じられない中、令和元年台風十九号が世田谷区を直撃いたしました。台風十九号を機に、区は多摩川洪水浸水想定区域における避難行動要支援者への支援の在り方を探るため、調査を始めているとのことです。
二月の福祉保健常任委員会で報告をされた多摩川浸水想定区域内にお住まいの避難行動要支援者への調査と、配布予定の避難行動要支援者向け多摩川の水害時避難行動シートについて、まずは伺いたいと思います。
◎濵田 玉川総合支所保健福祉課長 水害時の避難行動要支援者に配慮した避難場所の確保や対応等を検討するために、多摩川洪水浸水想定区域にお住まいの避難行動要支援者に対して、縁故避難やホテルなどへの自主避難を含む、避難先や避難時の同伴者についての調査を実施しております。
調査対象者につきましては、玉川地域二百二十五人、砧地域二百八十人となってございます。調査結果を基に、水害時に区の避難所に避難を想定している避難行動要支援者などの人数から、必要な避難スペースの確保や避難所運営の人員などの体制整備について検討を行います。
また六月には、避難行動要支援者や御家族などが、自らの水害時の避難行動を具体的にシミュレーションできるよう、(仮称)避難行動要支援者向け多摩川の水害時避難行動シートを作成し、対象者や関係者などに配付いたします。町会・自治会や民生児童委員、相談支援事業所などにも御協力いただきながら、実際の水害時の避難に活用できるよう取組を進めてまいります。
◆福田たえ美 委員 調査を基に避難行動要支援者のための避難スペースの確保などを行うとのことですが、時間軸が重要であります。
今月十三日、気象庁の発表によりますと、区内二十四時間総雨量が百十四・五ミリ、三月では観測史上一位の大雨となり、午後二時五十一分には大雨・洪水警報が発令されました。この警報は、警戒レベル三に相当し、避難準備、高齢者等避難開始を発令する目安となるレベルに値します。季節外れの大雨にも対応できる体制整備にスピード感が問われております。
多摩川浸水想定区域にお住まいの避難行動要支援者で、介護、障害が重い方、また避難計画を作成するお手伝いをされると思われるケアマネジャーや町会の人などにお聞きをしてみました。ともに避難先の障害者用のトイレなど、また、横になれる設備があるのかどうかといった施設の確保と併せて、その情報の提供をぜひお願いしたいという要望をいただきました。
江戸川区では、令和元年台風十九号の教訓に、災害時要支援者のため、水害時には福祉避難所を一次避難所として準備をしております。大田区では、要配慮者のため避難所の配慮スペースの整備、障害者用トイレ、エレベーターの有無を表記した避難所情報を提供し、避難を呼びかけております。
まずは、今回配付予定の水害時の避難計画シートを実効性あるものにするためにも、避難行動要支援者の方に配慮された避難施設の確保と情報提供をすべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。
◎濵田 玉川総合支所保健福祉課長 これまでの調査では、トイレなどのバリアフリーの環境や障害特性に配慮した空間の提供などが必要との御意見をいただいてございます。今回の調査結果に基づきまして、水害時避難所における障害特性などに配慮した避難スペースの確保などについて検討を行います。調査結果から検討した避難スペースにつきましては、バリアフリー情報などを含め、多摩川洪水浸水想定区域の避難行動要支援者及び御家族が安心して避難できますよう、避難行動シートと併せまして情報提供を行うとともに、大型の台風などにより洪水などが予想される場合には、早期の避難を呼びかけてまいります。
◆福田たえ美 委員 以上で私からの質問を終わり、高久委員に代わります。
◆高久則男 委員 それでは引き続き、私のほうから質問をさせていただきます。
最初に、障害者施設の整備について伺います。
世田谷区では、障害施策推進計画で、障害のある人もない人もお互いの人格や個性を尊重して、住み慣れた地域で支えあい、自分らしい生活を安心して継続できる社会の実現を基本理念としております。
その理念の下に、区では障害者数の増加や、また、毎年の特別支援学校からの卒業生を中心とした通所施設利用者の増加に対応するために、区立障害者通所施設の整備に取り組んで来ました。しかし、増え続ける障害者施設需要への対応は追いついていないのが現状です。
昨年九月に、障害者施設整備等に係る基本方針が取りまとめられました。その中で、今後十年後、二〇三〇年の施設所要量の想定量が示されました。例えば二〇三〇年に想定される生活介護や就労継続支援、いわゆるB型施設の不足数、生活介護では三百三十四人分不足、就労継続支援B型施設では二百十六人不足と推計されております。また、地域によっても、例えば生活介護、世田谷地域では百四名、また玉川地域では百三十名不足すると、こういった形も細かくこの計画の中で出ておりました。
最初に、生活介護や就労継続支援B型など、二〇三〇年の通所施設の不足、これに対しての区の見解をお聞かせください。
◎相蘇
障害者地域生活課長 区はこれまでも、お話にありましたように、特別支援学校の卒業生を中心とした通所施設利用希望者の増加に応えるべく、区有地や都有地を活用した社会福祉法人等による民設民営施設の整備の誘導等によって障害者施設の整備に取り組んでまいりましたが、施設の需要に追いついていない状況でございます。
施設整備は中長期にわたる取組が必要になることから、今後の障害者の増加を踏まえながら、施設需要への的確な対応を図るために、昨年九月に障害者施設整備等に係る基本方針を策定しております。その中で、今後の特別支援学校の卒業の見込み等から、十年後の最大の所要量として、お話のありました通所施設の生活介護三百四十人、就労継続支援B型二百二十人程度を想定しております。
区としては、施設所要量の確保が喫緊の課題であるというふうに認識をし、この基本方針の重点的に取り組む課題としておりますし、また来年度からの第六期の障害福祉計画でも施設整備の強化を盛り込み、不足する施設の確保を全力で進めていくようにしてございます。
◆高久則男 委員 これから施設整備の強化を図っていくということなんですが、その具体的な取組はどうするかということで、この計画の中では、今後施設整備の具体的方法として、小規模・分散化による新規施設整備の促進であるとか、区立施設、また民間施設など、既存施設の有効活用をしていくというようなことで挙げられておりました。
今日は障害施設整備の具体的な手法について何点かお聞きしたいと思っております。
まず、新規施設整備を進めるに当たって、公有地、区有地の有効活用というのは最優先に考えていただきたいと思います。その最優先の取組としては、まずふじみ荘が挙げられるんではないかと思います。今月、三月末で廃止となるふじみ荘、この跡地を複合化により有効活用を図って、そして障害者施設などの整備を最優先で検討していくものではないかと思っておりますが、区の見解を伺います。
◎相蘇
障害者地域生活課長 区ではふじみ荘廃止後の跡地は、建物を解体しまして、福祉系施設のニーズを踏まえた複合的な施設機能での活用を基本としてございます。
障害者施設の新規の整備を図っていくためには、公共施設の統合や機能転換によって生じる公有地、こういうものは賃料を抑え、まとまった規模の施設建設が可能になるなど多くのメリットがあると考えます。
お話しのふじみ荘を含めて、今後、公有地で障害者施設の活用が見込める土地が生じた場合には、積極的に活用の検討を行い、政策経営部と調整を図りながら、障害者施設整備につなげられるように取り組みます。
◆高久則男 委員 それから、先日、世田谷区のほうの低利用率の区の施設についての情報提供がありました。利用率の低い区の施設については、より利用しやすい工夫を図るとともに、必要に応じて緊急性の高い施設需要を踏まえた複合化や用途転換を図るということでおっしゃっておりました。今後の社会的需要として的確に対応できるよう、先を見通したこの活用というのをやっぱり考えていかなければならないと思います。
この利用率の低い区の公共施設を、今申し上げた緊急性の高い、こういった障害者施設などへのコンバージョンも検討すべき課題だと思っておりますが、この辺の見解をお伺いいたします。
◎相蘇
障害者地域生活課長 障害者施設の整備を進めるに当たっては、新規施設の整備や開設までに時間がかかりますので、既存の施設の活用は直近の所要量確保には有効な手段であると考えております。
現在、具体的に障害者施設の中では、現状の規模、設備、老朽度、利用状況等を検証しまして、建物保全の工事に合わせた施設の改修、利用スペースの有効活用によって定員拡充や事業追加を行っていくとともに、利用率の低い就労移行事業の見直し等による生活介護、就労継続支援B型への事業転換の検討などを行うことにしております。
また、利用率の低い区の公共施設については、政策経営部では、個々の施設の状況により統廃合や他用途、ほかの用途への転換等も含め検討するとしており、障害福祉部としては、障害者施設としての効果的な運用が見込まれるようであれば、障害者施設への転用や複合化等による施設の有効活用の可能性について、関係所管とともに検討していきます。
◆高久則男 委員 それから、区有地以外では、例えば国有地の活用であるとか、また都営住宅の建て替えに伴う余剰地、こういった積極的な活用というのが求められます。東京都に対しては、都営住宅等の建て替え計画の情報提供を求めるとともに、障害者施設、また高齢者施設などの福祉施設の用地として活用できるよう、積極的に東京都に求めていくことを要望させていただきます。
公有地だけでの活用にもやはり限界があり、今後いかに官民連携で施設整備を進めていくかが大きな課題になってくると思います。
区では昨年、みずほフィナンシャルグループとの包括連携協定を結んだと聞いております。金融機関の持つ幅広い顧客基盤や情報収集力等の独自のネットワーク等を生かして、区の抱える様々な課題解決や公共サービスの向上を目的として協定が結ばれたとのことであります。こういった包括連携協定の中には、障害者施策に関する項目も盛り込まれているとのことで、今後官民連携による障害者施設の整備が大きく進むことが期待されるところであります。
それ以外にも、例えば障害者施設整備においては、現在保育園の整備で行っている、いわゆる公募型プロポーザル方式など、こういった手法を活用することも一つの方法ではないかと考えます。あわせて、障害者施設整備の補助金スキーム全体、これもしっかりと見直しをして、運営事業者がより積極的に参入しやすいスキームをつくることも必要ではないかと考えておりますが、見解を伺います。
◎相蘇
障害者地域生活課長 障害者施設を開設する際には一定の敷地が必要であり、近年においても活用ができる公有地が限られているため、障害者施設に適した土地を確保していくのは今後も難しい状況です。
区では、不足していた保育園の整備を進める方策として、土地建物等の所有者に対して、地域社会への貢献及び資産活用の一環として、保育施設の誘致、活用を区のホームページに掲載するなどして案内し、土地の確保を進めるとともに、保育所の運営事業者に対しては情報提供を行って、双方のマッチングを図り、整備を進めてきています。
障害者施設の整備については、これら保育園の整備の事例を参考にして、障害者施設として民間の土地の活用の普及啓発や民間の土地を活用した施設整備のスキームの検討を行います。
また、施設整備を進めていくためには、適切な運営事業者の確保が重要となります。障害者施設の運営事業者が参入しやすく、安定した運営が可能になるように土地の確保や整備、運営の費用等に対する既存の補助制度の支援の検証、見直しを行い、障害者施設整備に向けて全力で取り組んでまいります。
◆高久則男 委員 今の答弁では、保育園整備を参考に、障害者施設として、民間の土地活用の普及啓発や、民間の土地を活用した施設整備のスキームを検討するということでございましたが、今後これを推進していくに当たって、課題はどういったところにあって、またどうすれば民間の土地の活用が前進するのかお聞きいたします。
◎相蘇
障害者地域生活課長 民間の土地を使った障害者施設を整備するための課題としては、大きく三点あると考えます。一点目は施設を整備する土地の確保であり、二点目は運営事業者の参入、三点目は障害者や施設に対する理解の促進だと考えます。
障害者施設の運営事業者は、高齢や保育の分野に比べますと数が少なく、また小さな事業所も多く、介護保険のような公的な大きな仕組みがないために、財政的にも厳しい状況にあることになります。また、人材の確保が新規の施設の開設や定員拡充の最大のネックになっております。そのために、補助や支援の仕組みづくり、人材の確保育成支援策の強化を図っていく必要があると考えます。
また、土地の所有者の理解がないと敷地の提供も困難となりますし、また、敷地を確保し、運営事業者が決まっても、周囲の方々の理解がないと円滑、良好な整備は進みません。例えば実際の施設を見て知っていただくというのが有効であると考えます。開設の前は反対がありましたけれども、開設後は地域と良好な関係を築いて運営をしている既存施設の紹介など、一層の理解促進に取り組んでまいります。
◆高久則男 委員 今お話がありましたように、施設を整備する土地がなかなか見つからないであるとか、運営事業者の資金的な問題、また、施設に対する近隣の理解、課題はあると思いますが、今、本当に最初に申し上げましたように、施設整備量も圧倒的に不足してくるわけですので、しっかり対応していただきたいと思います。
次に、医療的ケアを含む重度障害者への対応についてお聞きしたいんですが、基本方針の中で、これも所要量想定では、二〇三〇年では百五十八名分不足するとの推計が出ておりました。今後新たに一か所程度の医療的ケアを含む重度の障害者対応施設を整備するとのことでしたが、関係団体の方からも大変に期待をされております。具体的にどのぐらいの施設整備を想定しているのか、また、その内容はどのようなものなのか、ここで分かる範囲内で教えてください。
◎宮川
障害保健福祉課長 障害者施設整備等に係る基本方針では、医療的ケアを必要とする重度障害者に対応する通所施設について、令和十二年度までの所要量として最大百五十八人分を想定しております。既存施設だけでは対応困難な見込みであるため、新たに一か所程度の施設整備を図ることといたしました。
新規施設の整備に当たりましては、公有地等を活用して、民間事業者が施設を整備する手法とすることで、区の財政負担軽減を図る方針です。具体的な事業内容といたしましては、障害者総合支援法に基づきます生活介護や重症心身障害者通所事業、障害者グループホームを想定しておりまして、加えて、相談支援の機能を置くことなどによりまして、重度障害児者の支援の拠点的施設になるように検討してまいります。
◆高久則男 委員 現在区内では、重度障害者施設は三宿つくしんぼホーム、また、東京リハビリテーションセンター、イタール成城、この施設のみと聞いております。新たな重度障害者の対応施設の整備は非常に重要な課題だと前から私も質問しておりますので、しっかりと整備を促進できるようにお願いして、次の質問に移りたいと思います。
次は、介護事業者への支援について伺います。
代表質問でも二月に触れましたが、介護事業者では、コロナ感染症対策費の増加であるとか、また利用控えによる収益の悪化、介護人材の現場離れなど幾重にも打撃を受けており、大変に厳しい状況に追い込まれて、ますます安定的なサービスの維持が難しくなっております。
私の知っている事業者も、訪問介護の事業を行っておりましたが、利用控えの影響であるとか、ヘルパー人材の確保が難しくなってしまい、昨年、事業所を閉鎖いたしました。区内でもコロナ感染症拡大の影響がじわじわと出てきているのを肌身に実感しております。
東京商工リサーチの調査によりますと、昨年二〇二〇年の老人福祉・介護事業の倒産は百十八件だったそうです。過去最多を更新。介護保険法が施行された二〇〇〇年以降、過去最多だった二〇一七年と二〇一九年の百十一件を上回ったとのことでありました。
最初に、ショートステイであるとかデイサービスなどの利用控えが報道では出ておりますけれども、実際、区内の介護事業所の状況はどうなっているのか、まずお聞きいたします。
◎瀬川 介護保険課長 サービス種別全体の国保連からの請求資料から給付費を前年度同月と比較してみると、昨年の緊急事態宣言下の令和二年四月サービス分、五月サービス分の給付費実績は減収となっていますが、六月サービス分から増収に転じております。
サービス種別で見ると、通所系や短期入所系について、令和二年四月サービス分、五月サービス分の給付費実績は、前年同月比で一〇%台から二〇%台の減収となっており、六月サービス分より回復をしております。
現在も緊急事態宣言が再発令されている中、通所系や短期入所系は利用控えが生じやすいと考えられるため、今後も予断を許さない状況が続くものと認識しております。
◆高久則男 委員 今答弁には出てこなかったんですが、年間を通すと、全区的には介護給付費は一昨年に比べて減っていないというようなことでありました。しかし、個々の事業者では、やはり人件費などが跳ね上がってコスト増になったこともあって、相当苦しい経営になっていることも、私は現場からのお声をいただいております。今年、三月末に多くの事業者は決算を迎えると思いますが、相当厳しい決算状況になるのではないかと危惧もしております。
実際、ショートステイなどを行っている特養などの介護事業者なんかでは、新型コロナ感染症の影響で利用控えが行われて稼働率が低下していく、それで経営が圧迫されているというふうに聞いております。こういったショートステイが利用されずにいるのであれば、利用されていない空き枠を縮小するなど、緊急的に、また柔軟的に対応するようなことも可能じゃないかと思っておりますが、見解を伺います。
◎三羽 高齢福祉課長 特別養護老人ホームを運営する事業者から、併設するショートステイを減床し、特別養護老人ホームの一般床として有効活用していきたいという要望がある点については承知しております。
特別養護老人ホームを整備した事業者に対しては、東京都から定員数に応じた整備費の補助金が交付されるとともに、区からも事業者が独立行政法人福祉医療機構等から借り入れた償還金等の一部を補助しております。これらの補助条件として、入所定員を変更しようとする場合は、東京都や区の承認が必要となることを規定しております。
今回取りまとめた世田谷区介護施設等整備計画において、ショートステイについては、稼働率低下を指摘する施設とサービス不足を指摘するケアマネジャーの供給側とサービス調整側のギャップがあり、第八期計画期間の早い段階でそれを分析し、考え方をまとめていく旨、示しております。
今後、新型コロナウイルス感染症による影響も含めて、ショートステイについて調査分析をより一層進め、関係事業者の意見を聞きながら慎重に検討してまいります。
◆高久則男 委員 新型コロナの影響で経営が悪化する事業者が多い中で、国が二〇二一年度から介護報酬をプラス〇・七%に改定することになりました。二〇一八年度のプラス〇・五四%に続くプラス改定ということで、微増ではありますが、苦境に陥った介護事業者の経営を下支えすることが期待されると思います。
区においても、新型コロナウイルス感染拡大の影響を抑えるためのさらなる支援が求められております。アフターコロナに向けて、介護事業者が事業を継続して実施できるよう、区はどのように区内事業者の支援を行っていくのかお聞きいたします。
◎三羽 高齢福祉課長 都では、新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業者等に対するサービス継続支援事業を行っており、通常のサービス提供時では想定されないかかり増し経費等を補助しております。
区では、高齢者施設等のマスクなど衛生用品の購入費用に対する感染防護、陽性者発生時の支援等の給付、簡易陰圧装置や換気設備等の支援、昨年一回目の緊急事態宣言期間中には、一定以上減収となった事業所に対する緊急支援金の支給等の支援を行ってまいりました。
国は全ての介護サービスについて、四月以降、介護報酬の特例を設けるほか、都道府県においては、地域医療介護総合確保基金を活用した緊急時介護人材確保・職場環境復旧等支援事業により、緊急時の人材確保支援を行うための費用を支援するとしています。また、感染拡大防止のための介護施設におけるゾーニング環境等の整備に要する費用等も補助することを示しています。
引き続き、こうした都の制度の活性も促し、新型コロナウイルス感染症の状況を注視するとともに、事業者団体とも状況を共有し、現場の需要を捉えた効果的な支援策を検討してまいります。
◆高久則男 委員 今答弁があったように、感染防護支援金や陽性者発生時の施設支援金など、事業者支援を行っているということであります。
しかし、現場ではいろいろな支援金のメニューがあったとしても、申請手続が煩雑で、書類作成に大変苦労しているといったお声がございます。特に小さい事業所では、経営者兼プレーヤーになっているところも多くて、申請するところから丁寧な支援をしていただきたいというふうに要望させていただきます。
それから、昨年末頃の第三波襲来時には、医療病床が逼迫して、区内でも一時期千三百名を超える人が自宅療養者となりました。区内の高齢者入所施設でも感染者が発生、医療逼迫によって病院に入院ができず、介護施設内で治療、療養する状況でした。その際、施設側からは、感染症に強い、また重症化に対応できる医師、看護師の派遣などを要望されておりました。現在、介護施設内での感染者が発生した場合には病院への入院が可能となっているとのことですが、しかし、今後の感染拡大に備え、コロナ感染症へのアドバイスをしていただける専門の医師や看護師の派遣など、医療面でのバックアップ体制をしっかりと構築していくことが、高齢者の重症化を防ぐ上からも大変に重要と思いますが、見解を伺います。
◎三羽 高齢福祉課長 区では保健所による助言に加え、感染症対策予防に関する知識を有するアドバイザー派遣を行っており、クラスター防止対策及び業務継続、再開等に関する相談、助言を行っております。介護施設は運営基準により、協力病院等を定めるよう義務づけられており、関係事業者間相互にて、より一層の連携が図れるよう調整支援してまいります。
なお、現在区では、自宅療養者向けに医療相談窓口を設置しており、専門家がアドバイスするほか、往診にも出向く体制となっております。また、高齢者施設で療養する方を当該相談窓口につなぐなど、医療機関との連携の可能性も検討してまいります。
◆高久則男 委員 以上で私からの質問を終わり、岡本委員に代わります。
◆岡本のぶ子 委員 初めに、災害時の避難所におけるペットの同行避難の円滑な受入れについて伺います。
一昨年の台風十九号発生時のペットの同行避難の課題を教訓として、玉川地域でペットの同行避難を円滑に進める活動をされているボランティア団体の皆様と意見交換をさせていただく機会がありました。
その際、水害時の全三十一か所の避難所の運営は区の職員が行うので、ペットの受入れは可能となったが、震災時の全九十か所の避難所の運営は地元の町会・自治会の方々による避難所運営委員会が主体なので、ペットの同行避難の受入れに向けては、区内全域で活動する動物関連のボランティア団体と情報共有や飼い主さんへの啓発が欠かせないとの貴重な御意見をいただきました。
ここで伺います。今後、災害時のペットの同行避難が円滑に行われるためにも、ボランティア団体間の情報共有や飼い主さんへの避難時への備えなどの啓発が図れるよう、区としてボランティア団体間のネットワーク化へのサポートが求められます。例えば年に一回開催される動物フェスティバルの場における普及啓発イベントなど検討できないでしょうか、区の見解を伺います。
◎加藤 生活保健課長 ネットワーク化へのサポートがという御質問ですけれども、私ども、災害時のペットの同行避難が円滑に進むためには、日頃から飼い主に向け避難所のルールや飼い主の責務などの情報を発信することが重要だというふうに考えております。
区では、これらの情報を区のホームページや御指摘のハザードマップ、また、地域の講習会等で周知を図っておりますけれども、一方で、理解が十分でない飼い主の方も散見され、さらなる周知のためには飼い主が中心となって組織されたボランティア団体の協力は不可欠でございます。こうした団体は区内に複数あり、それぞれの地区でペットの災害対策など、地域に密着した活動をされております。
区では、被災動物ボランティアの方向けの研修で、受講生が地域ごとに分かれて、災害対策を進める上での課題や自らの役割を検討する場を設けるなど顔の見える関係づくりを進めるとともに、ボランティア団体や避難所運営組織と協力関係を築くためのサポートというのを行ってございます。
現在、災害時に組織や団体間で最新の情報を共有することの大切さや、ボランティア活動を行う上での心得などを解説した講義の動画を作成しているところです。今後は、この動画などを活用しながら、ボランティア団体同士のネットワークづくりをサポートしてまいります。
◎須田 児童課長 私からは、世田谷区動物フェスティバルの件で御答弁させていただきます。
世田谷区動物フェスティバルは、動物とのふれあいを通して子どもたちが動物に対する理解と愛情を深めることにより、児童の健全育成の向上につなげることを目的として、東京都獣医師会世田谷支部と共同で実施しております。
災害時には、避難所への動物の同行避難や防疫対策は重要であり、ボランティアの方々の果たす役割は大きいと認識してございます。
動物フェスティバルは、子どもたちとともに動物に理解のある多くの方々が集まるイベントであることから、御提案のボランティア団体のネットワーク化の啓発については、関係所管との協議の上、実行委員会へ橋渡しを行ってまいります。
◆岡本のぶ子 委員 次に、災害弱者と言われる高齢者、障害者が逃げ遅れ、犠牲になるケースが後を絶たないことから、事前に一人一人の避難方法を決めておく個別支援計画の作成が本区ではほとんど進んでいない課題を取り上げ、昨年の第一回定例会、予算特別委員会での質疑を通じて、協定を結んでいる町会等の実態を踏まえた個別支援計画作成の改善案として、福祉専門職にその役割を担っていただく取組を私から提案いたしました。
その際、区は、避難行動要支援者支援検討部会にて、関係所管と協議を進めるとの答弁でしたが、この間、個別支援計画の作成の課題への要因分析は行われたのか、その要因に対する区の認識を伺います。
◎小泉
保健医療福祉推進課長 今年度、庁内関係課と避難行動要支援者支援の検討部会を四回開催してきた経過がございます。この部会の中では、これまでの個別支援計画を含めた震災対策をメインに検討してきておりましたが、令和元年の台風十九号を機に、風水害における避難に関する危機感が高まったため、多摩川浸水想定区域における避難行動要支援者の支援をテーマに、避難行動に関するマイ・タイムラインの検討をしてきたところです。
また、既に一部の地域で実施されております自発的な取組もございますが、改めまして、昨年町会・自治会へのアンケートを実施し、その中で支援の担い手不足ですとか、町会加入率の減少に加え、個人情報の取扱いなどの個別支援計画作成も含めた活動への課題というものを、改めて再認識したところでございます。
昨年の十二月に提示されました国の通知で、台風十九号関連の高齢者の避難の在り方最終取りまとめというのが出されておりまして、その中で福祉の専門職の関わりですとか、ハザードの状況、それから対象者ごとの優先度に応じた個別支援計画の策定についての記載がされておりますので、また、これが今年の春頃に国の報告が出る予定でございますので、その報告も踏まえまして検討してまいります。
◆岡本のぶ子 委員 国は今国会に、頻発する自然災害から国民の命を守るために個別避難計画づくりを市区町村に求める災害対策基本法改正案を提出し、令和三年度の内閣府事業には、避難行動要支援者に係る個別支援計画の作成促進のために、各自治体へモデル事業の募集を開始するとしています。
その応募の要件には、地域の介護福祉に関する職種団体等、庁外の関係者との連携した取組を取り入れることが明記されております。いざという災害時に犠牲者を出さないために、個別避難計画作成の要となるのは、全市区町村の取組であります。
国の方針も出た今、改めて福祉専門職と連携して、区内約八千三百人の避難行動要支援者一人一人の個別避難計画を作成し、具体的な避難行動につなげる備えが必要と考えます。区の責任ある迅速な取組を求めます。見解を伺います。
◎小泉
保健医療福祉推進課長 国の通知が今年の一月二十九日に、「避難行動要支援者の避難に係る取組の準備及びこれに伴う地方財政措置の拡充等について」というタイトルで通知が発出されたところでございます。
この通知の中では、今年の春頃に個別避難計画の作成の参考となります避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針を改定、公表するという予定の記載と、それから、計画作成に当たりましては福祉の専門職の関わりが大切であること、それから計画作成にはおおむね五年程度で、その個別避難計画の作成を各自治体に取り組むよう示されております。
この間、玉川、砧の両支所が実施いたしました多摩川浸水想定区域内に居住する避難行動要支援者に向けたアンケートの結果も参考に風水害対策を進めておりますが、今後関係所管とも連携し、区の地域防災計画の改定、それから国の指針と併せまして、令和三年度に区全体の個別支援計画を見据えた避難行動要支援者の避難支援プランの改定を検討してまいります。
また、委員お話しの国のモデルにつきましても、国の通知が発出していることは承知しております。まず、区といたしましては、個別支援計画について、国の通知で示されております福祉の専門職、事業所などを交え、今後改定する避難支援プランを踏まえまして整合も図り、できるだけ早期に関係所管とともに具体策を示してまいりたいと思います。
◆岡本のぶ子 委員 よろしくお願いいたします。
次に、断らない相談支援について伺います。
国は昨年六月に、地域共生社会関連法を改正し、本年四月一日より施行となります。この法改正では、断らない相談支援事業が盛り込まれ、年齢、性別、障害の有無を問わず、相談を受け止め、解決に向けて伴走型で対応していく相談体制をいかに築いていけるかが、各地方自治体に問われております。
本区には多くの相談窓口がありますが、複合的な課題を抱えた方が一人で適切な窓口につながるのは容易ではありません。自分が抱えている困り事をきちんと整理できないまま区の相談窓口に行き、申請条件が合わないことを理由に申請を受け付けてもらえず、困り事を抱えたまま放置されてしまうケースがあるのではないでしょうか。
そこで、身近な福祉の相談窓口で伴走型の支援ができないかという視点で伺います。
まず、平成二十八年度より、まちづくりセンター全二十八か所に設置された福祉の相談窓口には、社会福祉協議会地区事務局の職員が一・五人配置されております。令和三年度の二十八地区の社協地区事務局に対する予算額は約三億一千八百万円計上されており、一地区当たり年間一千百万円が充当されております。まず、福祉の相談窓口における社協職員の役割を伺います。
◎杉中 生活福祉課長 平成二十八年度から、まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、世田谷区社会福祉協議会の三者が連携して、身近な地区での福祉の相談窓口を担っております。
社協へ委託している地域資源開発事業では、高齢者等が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、地域包括ケアシステムの強化に向けた地域づくりを促進することを目的としております。まちづくりセンターの地区ごとに地区担当職員一名及び非常勤職員である地域福祉支援員一名の計一・五人分を配置し、まちづくりセンターやあんしんすこやかセンターと連携し、地域資源開発事業、生活支援体制整備事業及び地区高齢者見守りネットワーク事業に取り組むこととしております。
地域資源開発事業につきましては、相談支援、地区における課題やニーズの把握、分析、地域資源創設及びコーディネートなどを行うものとしております。
◆岡本のぶ子 委員 今後しっかり社協の地区事務局の職員の方々には、CSW、コミュニティーソーシャルワーカーとしてのスキルを身につけていただき、福祉の相談窓口で複合的な課題を抱えた相談者に寄り添い、伴走型の支援で、断らない相談支援の取組が求められます。
また、区として、福祉の相談窓口をしっかり区民へ周知し、安心して御相談いただく工夫が必要です。区の見解を伺います。
◎杉中 生活福祉課長 世田谷区社会福祉協議会では、地域福祉の推進のため、相談者に寄り添い、ニーズを把握し、適切な社会資源につなげるコーディネート機能を持ったCSWの役割が重要との認識の下、平成三十年度から人材育成計画を策定し、専門性の高い人材を確保、育成しております。
コミュニティーソーシャルワーク機能について、職員に対し、理論とともに具体的な困難事例の検討をし、講師による指導、助言を受ける実践的な研修を実施しております。また、係長級職員を対象に、解決がより困難な事例につきましては、地域事務所長がバックアップできるスーパーバイズ研修も行っております。
さらに社協では、地区担当職員、ぷらっとホーム世田谷の職員などが参加する地域福祉実践報告会を開催して、困難事例の連携支援に関する発表を行い、社協内部や外部の専門機関との連携や課題解決に結びつけるノウハウの重要性を共有しております。
今後、相談者の自立に向けた支援を念頭に置いて、社協内部や専門機関との連携を強化し、地区担当職員が適切な支援先へのつなぎや支援の体制づくりを行い、断らない相談支援に取り組むとともに、その周知にも努めてまいります。
◆岡本のぶ子 委員 コロナ禍で浮き彫りになっている生活困窮となる方々が直面する課題に、住宅の問題があります。国は令和三年度より、地方公共団体における福祉・住宅部局の連携による住まいに関するモデル事業への支援を開始するとしています。今後、福祉の相談窓口と居住支援法人や居住支援協議会との連携の強化とともに、ぷらっとホーム世田谷と住まいのサポートセンターの取組を精査し、福祉・住宅の総合相談窓口の設置により、複合的な相談にワンストップで対応できる仕組みを構築することが必要と考えます。区の見解を伺います。
◎杉中 生活福祉課長 生活困窮の相談内容に関しましては様々な課題がございますが、住まいに関する課題ということが含まれていることが多いため、相談支援をする際は、住まいの確保等についても配慮が必要というふうに認識をしております。
ぷらっとホーム世田谷では、生活困窮に関する相談を受けた際、住まいの相談に関しても、住まいサポートセンター等と連携して対応しているところであり、福祉の相談窓口におきましても、地区社協が中心となり、居住支援法人等との連携を強化して、住まいの相談も含めて充実してまいりたいと考えております。
また、委員から御提案があった福祉・住宅の総合相談窓口の設置に関しては、国のモデル事業の動向を注視するとともに、居住支援課とも連携、調整し、居住支援法人や居住支援協議会をはじめ、不動産関係団体の協力をいただきながら、世田谷ならではの仕組みを検討してまいります。
◆岡本のぶ子 委員 次に、地域生活支援拠点の整備について伺います。
先日、重度の知的障害を抱える四十代のお子さんと暮らす七十九歳のお母様からの切実な声をいただきました。休日、夜間などに親御さんに緊急事態が起きた場合、障害のある子どもを保護してもらう施設に確実につながる相談窓口や、施設への移送介助などの支援サービスがないため、自分も子どもも高齢化し、不安な日々を送っている、一日も早く安心できる支援を考えてもらいたいとの切実な声でした。
国は、障害福祉計画の基本指針で、障害者の重度化、高齢化や、親亡き後を見据えた居住支援のための機能を持つ場所や体制整備を全国自治体に求めております。厚生労働省のホームページに掲載されている直近のデータでは、平成三十一年四月までにその整備を完了している自治体数は、全市町村千七百四十一に対して三百三十二自治体の約一九%でしたが、令和二年度末までの整備予定を含めると千四百三十二自治体の約八二%が整備を完了することとなっております。しかし、残念ながらその中に本区は入っておりません。
保護者の高齢化と高齢障害者の重度化の対応は待ったなしです。国が示す地域生活支援拠点事業は、新たな拠点をつくるだけでなく、地域資源を活用した面的整備も含まれており、約半数の自治体で面的整備が進められております。
ここで、区内にある地域資源の数を伺います。
◎太田
障害施策推進課長 地域生活支援拠点につきましては、障害者の高齢化や重度化、親亡き後を見据え、相談や緊急時の受入れ対応、地域の支援体制づくりなどの機能を有するものであり、次期ノーマライゼーションプランにおきまして、令和四年度を目途に、拠点の機能の確保を計画してございます。
区内の地域資源でございますが、計画案の資料として、各事業所の一覧を掲載しておりますが、拠点の機能としては、短期入所や共同生活援助等の障害福祉サービス事業所、入所生活介護等を行う障害者支援施設、地域相談支援、計画相談支援等の相談支援事業所等が挙げられ、これらを合わせますと四百事業所ほどでございます。
◆岡本のぶ子 委員 ただいまの答弁で、区内の障害福祉サービス事業所などが約四百か所あることが分かりました。今後、区内の四百か所の地域資源をつなぐコーディネーターを配置するなどの工夫により、面的な整備は可能と考えます。区の地域生活支援拠点の整備に向けた迅速な対応と実行への道筋を伺います。
◎太田
障害施策推進課長 地域生活支援拠点の機能の確保に当たりましては、拠点の機能が障害福祉サービスや相談支援等で構成されていることから、事業所は事業の運営規定に拠点の機能の実施を位置づけ、区等に届け出ていただく必要があり、事業所の御理解、御協力が必要となります。
拠点の整備に向けましては、事業所や施設、障害者団体等の御協力をいただきながら、区としての拠点の全体像を整理し、実施に向けたスケジュールや対象者、利用方法等について検討の素材をまとめ、専門家をはじめ、障害福祉サービスや相談支援等の事業所の代表者等が出席いたします自立支援協議会と協力するなどして、検討を進めてまいります。
休日、夜間を含めた二十四時間や緊急時の連絡体制を整備する必要があるなど課題はございますが、先行自治体の事例も参考に、連絡会の活用や、個別にも事業所や施設等に説明や働きかけを行い、御理解、御協力をいただきながら、コーディネート機能を含め、令和四年度の地域生活支援拠点の整備に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
◆岡本のぶ子 委員 この間、我が会派としても、重度障害のあるお子さんの保護者から親亡きあと対策への要望をお受けし、再三、区へその必要性を訴え、一昨年、入所施設六十床と緊急短期入所施設二十床を整備したうめとぴあが開設したことは評価いたしますが、うめとぴあの六十床は通過型の入所施設であり、原則三年間となっております。令和三年度がその三年目を迎えます。
通過型に対応するには、地域に受皿となるグループホームが必要ですが、残念ながら現在開設されているグループホームの受皿は、知的障害者区分四までであり、区分五、六の重度の知的障害者の方々は受け入れられていない現状があります。
今後、うめとぴあや在宅で暮らす重度知的障害者が、親亡き後に地域で暮らす環境を整えるために、公有地などのまとまった適地が創出される機会を捉え、日中支援型の重度障害者用グループホームの整備が求められます。区の見解を伺います。
◎相蘇
障害者地域生活課長 区では、施設からの地域移行先や本人が望む自立した地域生活を送る居住の場として、重度の障害を持つ方も含め、個々の状況に応じたグループホームの整備が喫緊の課題であると認識しています。そのため、昨年九月に障害者施設整備等に係る基本方針を策定し、グループホームの整備を重点的に取り組む課題に位置づけるとともに、第六期障害福祉計画に反映させ、計画的に整備を行っていきます。
現在、具体的な整備計画として、さら就労塾@ぽれぽれの千歳台事業所跡地を活用し、定員十人程度の重度障害者のグループホームの整備を予定しており、令和三年に事業者公募を行い、令和五年度の開設を目指しております。今後も区内での公有地の活用や重度者対応の補助制度の見直しなどを行い、日中サービス支援型グループホームを含めまして、障害者グループホームの整備の具体化を図っていきます。
◆岡本のぶ子 委員 最後に、本日の質疑で提案した避難行動要支援者への個別避難計画作成に向けた福祉専門職の活用、住宅確保要配慮者に対する福祉・住宅の総合相談窓口の設置等は、第一に支援を必要とする区民目線での取組が求められます。
今後、福祉所管と関係所管との連携が必要になりますので、その連携を図るためにも、担当の中村副区長のリーダーシップが求められます。副区長の所見をお伺いします。
◎中村 副区長 今回御答弁いたしました避難行動要支援者や相談支援に限らず、一人一人の区民の課題というものは、保健福祉の領域だけにとどまるものではないと考えております。今後、複合的な課題に関係所管が分野領域を超えて、連携を密にして課題解決に取り組めるよう、他の領域を担任します二人の副区長とも一丸となって、区民目線からの施策の推進というものに努めたいと考えます。
◆岡本のぶ子 委員 よろしくお願いいたします。
以上で公明党の福祉保健所管の質問を終わります。
○おぎのけんじ 委員長 以上で公明党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後五時七分休憩
──────────────────
午後五時二十分開議
○おぎのけんじ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
世田谷立憲民主党社民党、どうぞ。
◆風間ゆたか 委員 早速質問してまいりますが、私が議員になって最初に質問した質問、三つある中の一つが保育園の待機児童問題ということでやってきましたが、それが昨年度、国の基準では解消されたということについては、区も相当な努力をしてきたものと捉えています。
ただ、十四年前のときには、子どもがこの先減っていくからという何の根拠もない甘い見込みの下に、全く整備する気がない答弁だったんですね。じゃ、その人口推計はちゃんとやったのかということについても、やっていないという状態で、国の推計から人口減少が世田谷も起こるだろうということだったわけで、私の生活実感からすると、当時周りで子どもを産み育てる人たちが移り住んできたりだとか、子どもが二人目、三人目というような人たちが増えている実感があったし、なおかつ共働き世帯が増えてきているというような感覚があったから、絶対この先、待機児童はますます増えていくぞと。私がなった当初、二百数十人だったものが次三百人台ですか。そこから年々増えていってということで、慌てて整備し始めても全然追いつかなかったというようなことをちょっと思い出しますと、改めて、やはりその傾向が見えてきたときに、行政としてしっかりと事実を把握していくということが重要なんだろうなと思います。
そういった生活実感、皆さんも、世田谷区内に住んでいる職員の皆さんもいるでしょうから、持っている方もいらっしゃると思いますけれども、管理職になるとどんどん世代が上がっていって、少し時代が変わっていってしまっているというようなこともあろうかと思います。私自身もそうですけれども。
今のこの保育の問題については、国基準で待機児童はゼロということになったかもしれません。しかし、ライフスタイルの多様化、コロナの影響ということによって、保育の利用ニーズも大分変わってきたりだとか、働き方も変わってきているという状況にこれからどう対応していくのかということを、今回、私たちの代表質問でも議論をさせていただいたところであり、それは短時間で働くような人たちでも、保育を必要としている人たちが預けられるような状態を目指していくということなんだと思いますね。
これは、私が最初の一般質問をしたときに、保育を望む人全てが入れられるような状態を目指すべきだと言ってきましたので、代表質問の答弁では、その方向性をきちんと世田谷区はまだ追求しているということを確認できて安心したわけですけれども、もう一つ、今日のテーマにしたいなと思っていることは、今の様々な働き方に応じられているのかどうか、または、働きたいと思ってもコロナの影響で働くことができず仕事を探し続けている人、そういう方々が入れている状況なのかどうかということについて、少し議論を進めていきたいなと思うんですね。
一次選考では、認可保育園に申し込んで入れなかった人たちが、枠を見れば分かるとおりに、かなり今回もいらっしゃった。例年のように私のところにも入れなかったという御相談が来たわけですけれども、中には母子家庭、仕事がないから生活保護、仕事をして自立したいと思っているから求職中だけれども仕事が見つからない。こういう方は、基礎点が低いから認可保育園に入れないんですよね。いつまでたっても子どもが家にいる状況で、まともに就職活動もできないという状況で、本人は自立したい、仕事をしたいと思っていても、預け先が確保できないがために就職活動も思うようにできない。こういうような人たちが一次選考で入れない、二次ももしかしたら入れなかったかもしれませんけれども、何とか入ることができている人もいました。そうなったときに、これからの保育の必要性を認定していくということにおいては、基準の見直しをきちんとやっぱりしていく必要があるんじゃないかと。
ある一定数の人たちが認可保育園に入れるようになったという状況がようやく実現できたのだとすると、認定した後の人たちが希望どおりに入れていない。物すごく遠いところの保育園に決まってしまって、二次まで待った人のほうがより近いところに入れたなんていうことも聞こえてくるわけですね。そうなってきたときに、保育の必要性を認定した人、転園を望んでいる人たちもそうですけれども、認可保育園に入れている人は基本的に保育を必要とする人と認められているんだとした場合に、この人たちが、最初はかなり遠いところで入れたところに預けていたけれども、転園を希望して、より近くのところが空いているのであれば、まずその人たちが転園をするとして、その優先度というのを見直していく必要もあるのではないかというようなことも御意見としては多々いただくところですし、そんなことも含めて、保育を必要としている人たちがどういう方々なのかということを見直していく時期になってくるんじゃないかなと思いますけれども、区としては今どのような認識でしょうか。
◎伊藤 保育認定・調整課長 入園申込みに当たって各家庭の保育ニーズは多種多様であり、現在、区が行っている選考は、各家庭の状況を正確に指数に置き換えるため、職員が細かに確認して、選考作業を行っております。
令和三年四月入園選考では、待機児童の解消により上位希望園での内定者が多くなっております。しかし、委員御指摘のとおり、それでも内定に至らなかった方も多くいらっしゃいます。また、内定者の中には、下位希望園内定により辞退をする者のほか、認可保育園と同じ負担となるように認証保育所の補助制度を拡充したことで、上位希望園内定者においても、近くの認可外保育施設への入園を選ぶ方も少なくないといった状況でございます。
こうした入園選考におけるミスマッチは依然として多くございまして、今後ミスマッチの改善に向けて、AIの活用や選考基準の見直しを図ることで、マッチング精度の向上に取り組んでまいりたいと考えております。
◆風間ゆたか 委員 見直しは検討していくということですから、常に状況に応じて基準なんかも変えてきているという認識はありますけれども、例えばこのコロナ禍にあって在宅勤務をされているような人たち、これは組織に属してこのような働き方をしている人もいれば、フリーランス、自営業として在宅で働いている人もいると。働き方として同じ状況なのであれば、この人たちは働き方としては保育の必要性という意味では同じではないかというような見方もできますし、その意味においては、育休みなしを取り入れたり、そういう見直しをしてきたということは評価できることだと思うんですね。
これを、一つ一つ今まで職員の方々が状況を把握して指数化して、それを当てはめていってというような選考の仕方をしていたのを、DXの流れからいって、これはすぐにでも導入できるのではないかと。選考のマッチングについては、先ほどAIだとかという話もありましたけれども、詳しい方に話を聞いていると、AIなんていうことをやらなくても、システムを組んでそれをはめ込んでいけば一瞬で決まってくるものだろうという意見を専門家から聞いたこともありますので、これはもうすぐにでもできることですし、そのシステムの組み方によっては、それほど高額なものを投資しなくてもできる可能性もありますから、ぜひこのところは早急に取り入れていくべきだと思いますが、どんな検討状況でしょうか。
◎伊藤 保育認定・調整課長 AIの活用につきましては、確かに指数化されたものを整理していくというのはAIのほうが得意なんですけれども、申請時ではかなり自由意見という形で、定性的なものもあると。それらを指数化していく中で、まずは指数化していくこと自体が結構必要になってきているところがありまして、まずは申請の電子化というのをDXに当たっては先にやっていく必要があるんではないかというふうには考えております。
ただ、いずれDXを推進する中で、AIが普通な状態になっていくことも考えられますので、そういった活用も踏まえながら検討してまいりたいというふうに考えております。
◆風間ゆたか 委員 AIに移行していく上では、そういった定性的なものもデータ化していくということで、そのデータを食わせていくということで、移行していくこともできるでしょうから、電子申請によって、まずはシステムを組んでマッチングのみをしていくというやり方もあるでしょうし、それはもう早急に取り組んでいく必要があるんだろうなと思います。
保育の関連のところで、次の質問につながってくることなんですけれども、私も保育園に子どもを三人預けていて感じることで、やっぱり子どもの発達状況というのが同級生でもばらばらで、同級生といっても一年近く違いがある子もいるわけですから、保護者によっては心配することもあるでしょうし、場合によっては本当に発達の遅れが、保育士さんによって、傾向が見られるというような助言があったりして、「げんき」に行ったりとかというようなこともあったと思いますけれども、子育てを初めてしている保護者にとっては、自分の子どもの状況というのがどうなのかとやっぱり心配になってくる方も多いと思いますし、それを初めて、ちょっと遅れがあるということを知ったときには、受け入れたくないと感じるような保護者もいらっしゃると思うんですね。
保育士さん、保育園によって、その接し方というものは、世田谷区の保育課としては何らかの基準を持っているのかということについて、ちょっと聞かせてください。
◎大澤 保育課長 区では、ノーマライゼーションの考え方の下で、集団保育が可能な配慮が必要なお子さんについての受入れは行っております。また、日々の保育の中では、発達の障害ではなくて、発達の特性と捉えて、子どもの特性を理解した上で一人一人の状況に応じた保育を行うように心がけているところでございます。
◆風間ゆたか 委員 両親共働きで、発達の、そういったことになかなか時間を取れないというような家庭もあるかもしれませんし、その中でも助言を受けて「げんき」に行ってみたというようなところで、少し遅れがあるということを知る。じゃ、知った後にどうしようとなったときに、通所ということだったりするのかもしれませんが、働いていると土日にそういったサービスを受けることがなかなかできないというような話、相談を最近受けるようになってきたんですね。日中ですら、なかなか未就学児童が通えるようなところがないというような声を聞いていますけれども、これは区としてはどのような認識でしょうか。
◎大澤 保育課長 保育園では、日々の保護者とのやり取りの中で、子どもの関わりにつきまして相談を受ける場面がやはりあります。その際に、発達の状況だけを指摘するのではなくて、保育園での子どもの様子ですとか、その中で例えば友達との関わり、あるいは大人との、保育士との関わり等、丁寧にその辺の情報を共有しながら行っております。その中で、やはり保護者が気がついて何とかしていきたいというような御相談を受けております。そういった場合については、相談機関につないだりといったような状況もあります。
◆風間ゆたか 委員 我々の会派の中山委員が一般質問でも取り上げましたけれども、放課後デイサービスが異常に待機が多い状況だということで、それはもちろん認識していると思いますが、就学前の子どもたちも待っている状況だということを耳にしますけれども、障害の担当課としてはそれはどのような認識ですか。
◎宮川
障害保健福祉課長 発達の障害で、遅れですとか、凸凹の特性があるお子さんたちの相談や通所のことですけれども、区では梅ヶ丘拠点の保健センター専門相談課ですとか、発達障害相談・療育センター「げんき」のほうで相談や療育のほうを行っております。
働く保護者の支援というところでは、子どもさんの年齢状況、人口の状況などを見ましても、一定数増えているものという認識でございます。
◆風間ゆたか 委員 特に働いている保護者が土曜日、日曜日に相談をしたりだとか、通所によって訓練をするところが非常に足りないというような話を受けているわけですね。
就学後の子どもたちに関しては、答弁でも、待機しているお子さんたちがどれぐらいいるのかということを調査していくというような答弁があったかと思いますけれども、これからは保育の待機児童というものがある程度国基準で解消したということについては、先ほど申し上げたとおりなんですけれども、やっぱりこういった発達の凸凹がある子どもたちが早期に訓練をしていくということで、それを望む保護者たちがこれだけ待機しているということを区が全体として認識していく必要があると思うんですね。
ですから、就学前の子どもたち含めて、きちんと状況を把握していくとともに、土日に関してはほとんどやっているところがない、日曜日に関してはほとんどないというようなことを聞いていますけれども、区がやっている「げんき」については、土曜日は開所しているけれども日曜日はやっていないと。やっぱりこういったことは民間でなかなかやっていけないんだとすると、今後は区が率先して、「げんき」ですとか、梅ヶ丘の土曜日、日曜日の積極的な開所ということも、区が先導していく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
◎宮川
障害保健福祉課長 発達障害等の子どもの支援に関する区の拠点的な施設のうち、区立発達障害相談・療育センター「げんき」につきましては、土曜日開所しておりまして、平日に相談や療育に来られない方に御利用いただいております。
「げんき」だけでなく、梅ヶ丘拠点の保健センター専門相談課ですとか、東京リハビリテーションセンター世田谷の児童部門が土日の対応等を行っていく場合には、人員確保などの運営体制の見直しや関係機関との連携などの課題があると認識をしております。今後、それぞれの運営事業者と協議を重ねまして、働く保護者が利用しやすい仕組みづくりに向けて工夫すべき点などを検討してまいります。
◆風間ゆたか 委員 中山委員が一般質問で取り上げた際には、世田谷区では地代が高くてなかなか民間事業者が参入しにくい、せっかく参入しようと思っても様々なルール、障壁があるというようなところで取り上げたと思いますけれども、区はやっぱり、今度は一丸となって、この発達の凸凹がある子どもたちの支援ということを全庁を挙げて取り組んでいってほしいなと思うんですね。
かつて、この保育の問題に一生懸命取り組んできた人がこの領域の副区長になったということは、非常にその面でも期待ができるわけですけれども、副区長、このあたり区としてきちんと数字を把握した上で力を入れていく、民間業者ができないということであれば区が率先してやっていくということも含めて検討していく時期なんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
◎中村 副区長 ただいまの凸凹のある子どもの対応する機関とか施設については、まず改めて実態を把握しましてニーズを確認していきたいと思います。その上で、民間事業者の参入環境ですとか、そういうのを改めてみます。この間の保育では、民間事業者の誘導にはある程度実績もありますし、ノウハウがあります。それが全部そのまま参考になるかは分かりませんけれども、それも活用しながら、放課後デイ等の整備誘導については検討して、具体化していきたいと思います。
◆風間ゆたか 委員 発達障害の子どもの支援ということについては、札幌市が非常に事業者数も多いということで視察もしてまいりましたけれども、東京二十三区の中でも、世田谷区は人口比で見てもやっぱり数としてはまだまだ足りないという状況。これは放課後デイのほうが深刻だというふうには聞いていますけれども、より早期にやっぱり発達の遅れのある子どもたちを支援していくということを、ぜひ区として取り組んでいってもらいたいと思います。
この件に関しては、明日の都市整備領域でもほかの会派の委員が取り上げる予定ですし、区全体で取り上げていってもらいたいと思いますので、引き続き質問、議論を重ねていきたいと思います。
質問を替わります。
◆桜井純子 委員 では、私からはまず、若年女性、若者への支援ということで質問をさせていただきます。
児童福祉法の枠外になってしまう若者の支援というところにしっかりと目を向けていかなくてはならないということで、この質問をさせていただくわけです。
若者自身、ティーンエージャー、経験も乏しい存在であって、社会的資源とのつながりも薄いという中で、今の状態で言えば、地域の中で若者たち、まあ子どもですけれども、そのティーンエージャーの子たちが自分自身で何とかしなくてはならない、生き延びていこうとしているという、そういった実態をまだまだつかみ切れていないということもあるかもしれませんけれども、手を差し伸べるすべなくいるというのが今の実態ではないかと思っています。
ちょっと話がそれますが、性暴力、性犯罪の話をするときにレイプ神話という話を必ず私はするんですけれども、このレイプ神話というのは、レイプの被害に遭った人に対して、その犯罪、暴力が起きた原因を探そうとする社会の在り方ということです。例えば服が派手だったからじゃないか、お酒を飲みについていったんじゃないか、その人の家に行ったんでしょう、家に上げたんでしょう、暗い道を通っていたんじゃないか、そういったこと。被害に遭った人に対して、暴力に遭った、犯罪に遭ったことがしようがないんじゃないかと、あなたに原因があるというふうに言うのがレイプ神話ということなんですけれども、こういう被害者のせいにするということについて言えば、若い人たちに対するまなざしが実は少し似ているんじゃないかと思っています。
例えば非行的な態度をしている子どもたちに対して、どうしてそうなったのということよりも、その非行に対して罰を与えるような、そしてそういう子どもだよねというレッテルを貼るような、そういう社会になっていないかということを私たちは考えていかなくてはならないんじゃないかなと思っています。
例えば家に帰れない、町を徘回している子ども、集団になっているかもしれませんし、一人かもしれません。そういう子どもたちを、どういう子なんだろうということで、不良だねみたいな目で見ているだけでは、行政としては無策に近いんじゃないかと思います。そして、その社会の在り方自体も変えていく責任があるんじゃないかなというふうに感じています。
例えば少年院に入所している子どもの六割以上が被虐待体験をしています。虐待に遭った体験をしているということがデータで出ていますけれども、その虐待体験をしている子どもの男の子の四七・五%が家出をした経験があり、女の子で言えば八一・八%が家出をした経験があります。女の子のほうは性暴力、性虐待ですね。家族からの性暴力に遭っている子が、想像以上にいます。
そういう状況の中で、子どもたちに今起きていることを、あなたのせいだと、何とかしろと、自分の生活態度を変えればいいじゃないかというような自助努力を求めるというのは、ちょっと間違っているなというふうに考えています。
ただ、今、子どもたちをどうにか保護しようと思っても、例えば児童福祉法の中に入らない年齢です。十八歳から十九歳になっていくと、そこで救っていくことができない法の枠に入らない子どもたちがいて、そういった子どもたちに対して、ティーンエージャーの枠外から出ていく前からの支援というものを考えていかなくちゃいけないと思っています。
例えば町にいて行き場のない女の子たちを、暖かい布団があり、食べ物がありという、そういう場所に入所をさせている民間の団体がありますけれども、聞くところによると、今入っている女の子たち全てが十九歳だと言っていました。十九歳、これが法外の子どもたちの年齢です。
こういう状況というのは、世田谷区でどんなふうにつかんでいったらいいかなと考えたんですが、例えば子ども家庭支援センターです。地域の中の子育て支援をしている視点から見ると、子どもたちが一歳一歳年を重ねていく中で、支援が必要だけれどもだんだん手を離れてしまうというような状況があるのではないかと思います。とりわけ若年女性というところで今回はテーマを絞らせていただいていますけれども、そういった子どもたち、若年女性の支援というのはどんな状況になっているのかお聞かせください。
◎大里 烏山総合支所
子ども家庭支援課長 子ども家庭支援センターでは、女性や若者、またその家庭における問題に対する相談を受けまして、インテークを通じ、相談者のニーズを整理し、背景を捉え、相談者の立場に寄り添った支援を行っております。現場の相談員は、家庭や若年女性からの相談を受け、福祉サービスに限らず、思案し、工夫をしながら支援し、必要な場合においては、保健福祉センター内の各課や民間団体と連携し、活用可能なサービス提供に努めております。
一方で、若年女性が相談窓口につながらない、または制度要件により御自身が期待するサービスに合わず、相談や支援が中断する事例もございます。子ども家庭支援センターは、これからも専門相談窓口機関と協働し、一緒に考え寄り添いながら支援を行い、必要な方が安心して御相談いただけるよう、「区のおしらせ」や掲示板、要保護児童支援地域協議会等での相談窓口の周知を図ってまいります。
◆桜井純子 委員 今の答弁の中で重要なのは、相談窓口につながらない子がいる、また、制度の要件によって期待するサービスに合わないということは、しっかりとした支援が整わないということです。そして、もっと言うと、相談支援が中断するケースがある。ティーンエージャーの女の子たちが、相談支援が中断したままどうなっていくのかということに、本当に想像力をたくましくして、どうしたらいいんだということを考えていかなくちゃいけないと思っています。
世田谷区は児童相談所を開設しましたので、児童相談所というのは非行というところにもアプローチをする、そういった専門性を持っていますが、児童相談所の現場ではどんな状況でしょうか。
◎河島 児童相談所副所長 児童相談所では、虐待や非行、障害など様々な児童の問題に関する相談を受け、児童福祉司や児童心理司が支援をしております。その中で、時に一時保護など強力な法的権限を活用しながら、児童や保護者からの聞き取りを行い、家族構造や社会的、心理的な分析をし、支援を組み立てる専門的な機能を有しております。
また、十八歳を超えるケースについても、個々の状況に合わせて、必要に応じて児童相談所の関わりを延長しながら、フォーマル、インフォーマルに関わらず、様々な地域の資源につなぎ、児童相談所の支援終了後も児童が自立して生活していけるように努めております。
一方、委員御指摘のように、問題が顕在化する前の家庭に支援をしていくことは難しい面があります。こうした家庭の支援の際には、家庭の問題が複雑化、深刻化する前に、関係機関や地域の支援団体の方々の御協力を得ながら、より早期の段階で児童が安全に過ごせる場所の確保や信頼できる大人との関わりの場面を増やすことが重要であると考えております。
こうしたことを踏まえ、児童相談所の現場での経験を庁内で共有し、施策形成に積極的に関わって、児童の育成支援に努めてまいりたいと考えております。
◆桜井純子 委員 児童相談所の専門性というのをしっかりと地域に分けていくというか、その専門性を発揮していっていただきたいなというふうに思っています。
世田谷区は、幸いにしてという言い方をしていいかどうかちょっとあれですけれども、青少年交流センターというのを三つ持っていて、今回コロナの状況で施設が閉まったときに、アウトリーチで子どもたちがいるところを回っていったというようなことも聞いていますけれども、ここがもっと居場所として、そしてアウトリーチをするという地域展開というか、そういう形で若者支援というところにも行くといいんじゃないかなというふうに思っていますけれども、この件に関しては、三つの青少年交流センター、そういったところが若年女性の支援というところで、例えばらぷらすとも連携するなどを含めて事業展開をしていただきたいと思いますけれども、そういったところについてはどのようなことをお考えでしょうか。
◎望月
若者支援担当課長 青少年交流センターは、中高生から三十九歳までの若者が気軽に立ち寄れる居場所、ときには若者に寄り添いながら支援する施設として、区内三か所で運営しております。
委員御指摘の十八歳以上の課題を抱える若年女性が青少年交流センターを利用した際には、当事者に合った伴走支援をしていくとともに、これまで以上に気づきや支援の感度を上げ、適切な支援先がある際にはつないでいくなど、ほかに利用している居場所などと連携し、今後も支援していく必要があると考えております。
現在、世田谷区男女共同参画センターらぷらすが所有する若年女性への支援の啓発を含む男女共同参画に関する図書を借用し、まずは希望丘青少年交流センター内の本棚にらぷらすコーナーをつくる準備を進めており、四月下旬からの閲覧を予定しております。今後も、この事業を他の二つの交流センターへ広げるとともに、らぷらすを含む若者関連施設との連携を強化しながら、若年女性を含む若者全般の支援に引き続き取り組んでまいります。
また、世田谷区子ども・若者支援協議会の部会等でも、若年女性の課題について情報を共有しながら検討してまいります。
◆桜井純子 委員 ぜひ三つの青少年交流センターがあるというこの強みを生かすことと、あと所管領域が違うということがあって、なかなか連携が取れてこなかったと思いますけれども、らぷらすとの連携というところも強めていっていただきたいなというふうに思います。
少年院に入所してしまった子どものこういった言葉があります。自分の身に起きていることがどういうことなのか、例えばDVを目撃しながら育つこと、これがどういうことなのかということを知りたかったと。知っていれば、もうちょっと自分自身で助けを求めたり、自分の行動を考えることができたんじゃないかということを言っているというのも読んだことがありますけれども、そういった発信の場所にもなっていくと思いますので、昨日も聞きましたけれども、らぷらすと青少年交流センターの連携というのをぜひ強めていただければと思います。
そして、もう一つ、子どもたちに関わるところ、それは児童館、プレーパークというところだと思いますけれども地域の中でどんなふうな場所として支援体制を考えていっているか教えてください。
◎須田 児童課長 児童館を利用している子どもたちは、成長の過程において、館内で話し相手や仲間を求めるようになってまいりますが、こうした中で、職員と信頼関係を築きながら、児童館を自分の居場所とする子どもたちもいらっしゃいます。十八歳以降も児童館を訪れ、職員へ話し相手を求めたり、相談したりしながら継続して関わる青年層もいる中で、支援を必要とする若年女性との関わり、児童館で相談に乗った上で、関係所管と連携して支援につなげるケースもございます。
プレーパークにおいても、幼児や小学校の頃から中高生以降までの継続した利用者もおりまして、例えば中高生の支援としましては、法人の自主事業にはなりますが、青年層からの声から始まりましただべり会や夕食会を中高生の居場所として取り組まれており、問題を抱えた子どもたちの発見につながっていると聞いておりまして、区としても重要な取組と認識してございます。
児童館は、児童福祉法に基づく十八歳未満を対象とする施設ではございますが、青少年交流センターやプレーパークといった若者の居場所となる関係機関とも情報交換等を行いながら、支援が必要な若年女性を見落とさないよう意識を持って取り組んでまいります。
◆桜井純子 委員 居場所というのは本当に重要なことなんですね。キーワードとして。細くでもいいのでどこかとつながっていること、そして居場所がそのときそのときで変わってもいいんですね。ですから、地域の中に、世田谷区の中に安心して行けるところがこんなにたくさんあって、このときにはこっち、このときにはこっちというふうにできるようにしていくことが重要だと思います。プレーパークの取組も重要だという認識だということをお聞きしましたので、そこを広げていっていただければなというふうに思います。
そして、もう一つ聞いておきたいことというのが、先ほど烏山の御答弁の中にもありましたけれども、制度要件によってサービスが合わない場合があるというような答弁がありましたけれども、子どもたちの力ではどうにもならないことの一つというのは経済的な問題だと思います。例えば本当に困難な状況の中で育っていても、次の自分の人生を思い描くときに、例えば学校に行きたい、専門学校に行きたいといったときに、条件によっては、例えば今ある奨学金の制度、世田谷区が持っている奨学金の制度というのは、給付型のは使いづらいということで、本当に目の前にある制度がこの子には使えないという状況が地域の中に起こっているということもお聞きをします。ですので、こういった状況というのを何とか変えていきたいなというのが私の考えです。
今あるのは、児童養護施設を卒園した子どもたちに対して給付型の奨学金という制度があります。これは、本当に法の中には収まらない、そういった制度を世田谷区が独自につくったものであります。この法の中に収まらない子どもたちに対して、何とかこれを使えるようにできないか、そういったことを考えます。地域の中にそういう状況というのがどれぐらいあるのか、子どもたちに対してその制度を使うとしたらどんなことが必要なのかということを、まずはきっちりと現状調査をして、この制度の改善の検討というところを考えていただきたいと思うんですが、調査をするということを、まずいかがでしょうか。
◎長谷川
児童相談支援課長 委員のお話がございました、区のフェアスタート事業は、児童養護施設や里親の元を巣立つ若者を対象としてございます。お話しのように、施設の対象者やひとり親以外の進学に困難を抱えた若者への支援に当たりましては、正確な実態把握と、これに基づく持続可能性が担保された制度設計が不可欠になるものと見通されます。
貧困や児童虐待などへの負の連鎖を断ち切るために、広く進学のチャンスをつかむための支援を考える価値は大きいものの、多くの課題もございますことから、今後の検討といたしたいと考えております。
◆桜井純子 委員 今日の質問というのは、今なかなか目を向けてもらえていない、そういった子どもたちに対して目線をしっかりと向けてほしいということ、そしてそれを向けたときに、今ある施設や制度でいいので、その子たちに使えるような制度にしていく、場所にしていく、このことによって早急に子どもたちをしっかりと支援のところにつなげて、自分で人生をつくっていけるような、そういった世田谷区にしてもらいたいなということで質問をいたしました。これに関しては、引き続き追っていきたいと思います。
では次に、障害者差別の問題について質問をしたいと思います。
東京都は、障害者差別禁止条例というものを持っています。この条例を見ますと、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加の機会が確保されること、そして言語、手話を含む、その他の意思疎通のための手段について選択の機会が確保されること、ここがすごく注目だと思うんですが、障害のある女性が障害及び性別による複合的な原因により特に困難な状況に置かれている場合などに適切な配慮をしようということなど、結構この東京都の障害者差別禁止条例というのは中身がよくできているというふうに言われています。
世田谷区は、障害者差別禁止条例をつくるということを明言しているわけですけれども、この作業、来年度から始まるものだと私は思っています。この作業をすることというのは、そのプロセスがとても大事で、どんな人が関わるのか、そしてつくっているその過程が区民にどれだけ可視化されているのか、そういったことが重要で、そういうことを丁寧に行うことによって、なぜ障害者差別を禁止する条例が必要なのか、障害者の置かれている状況も含めてアピールしていく、キャンペーンみたいしていくことができると思うんですが、この条例づくりについて、来年度四月から始まりますが、どんなふうに行っていこうと思っているのかお聞きします。
◎太田
障害施策推進課長 障害者の差別解消や手話言語に関する条例につきましては、現在策定中の次期ノーマライゼーションプランに位置づけ、重点的に検討することにしてございます。
検討に当たりましては、幅広く御意見を伺えるよう、専門家や関係機関、事業所、施設、障害者団体等に御協力いただくことに加えまして、講座やシンポジウム、オンライン会議等を通しまして、区民の方の声を直接伺うということも考えてございます。また、会場に行くことができない障害当事者や御家族の方、地域の学校に通われる医療的ケア児など障害のあるお子さん、御家族の方などの御意見を伺うための配慮も必要だというふうに考えてございます。
より多くの方に関心を持っていただけますよう、効率的で効果的な啓発の手法を検討、実施し、東京都などの先進自治体の取組も参考にしながら、スケジュールを含めて、できるだけ早期に方向性をお示ししてまいりたいと考えてございます。
◆桜井純子 委員 この地域の学校に通われている医療的ケア児など障害のあるお子さんは、特別支援学校とかそういうところだけではなくて、地域の本当に普通学級に通っているお子さんたち、そして保護者の方たちの意見というところもしっかりと聞いてもらいたいというふうに思います。
時間がないので、あと一問、早めに聞きたいと思います。
実は世田谷区の中で、この制度は差別的じゃないかということで追ってきた一つの事業があります。緊急介護人派遣制度事業というのが、精神障害の方々がその対象となっていなかったということで、これについて改善をするということをおっしゃっていますけれども、どんなふうに取り組んでいくのか、来年度早々に改善に持ち込んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎太田
障害施策推進課長 緊急介護人派遣事業につきましては、在宅の障害者が一時的に日常生活を送る上で支障がある場合に、障害者自らが介護人を推薦しなくても区から介護人を派遣して生活を支援する登録介護人制度がございます。登録する多くの方が六十五歳以上であることや、仕事の合間や週末にのみ従事できる方がほとんどで、精神障害の方も含めて、緊急時に介護人を派遣するためには、より多くのヘルパーを確保することが課題と認識してございます。
現在、関係所管と精神障害を対象とする見直しを進めており、その中で障害者団体や家族会に御意見をお伺いしたり、登録介護人に対してアンケートを実施した結果、三分の一程度の方が精神障害者の支援に関心があるということに加えまして、当事者と普段から接していらっしゃるピアサポーターに介護人として御登録いただくということなどの提案も寄せられております。
新たに介護人を確保するためには、要件や手続、精神障害を含めた研修などの課題はございますが、来年度の早期に実現できますよう、関係所管とさらに検討を進めてまいりたいと考えております。
◆桜井純子 委員 ありがとうございます。しっかりと進めてください。
質問者を替わります。
◆中塚さちよ 委員 本日、立憲社民の最後の質問となります。
他会派からもありましたけれども、新型コロナウイルスのワクチンについての質問をさせていただきます。
ワクチンが我が国でも今、医療従事者から接種が始まったところです。ワクチン供給には限りがあるということで、まず優先順位を定めてやっている中で、全然見えないと思うんですけれども、このような順番で、一番優先が医療従事者、次が高齢者、それから基礎疾患のある方、その次が高齢者施設等の従事者、あとはそれ以外の人、こういう段階になっているわけなんですけれども、この中にありますように、ハイリスクである高齢者の介護に当たる介護従事者への接種は、施設勤務者は一応優先順位の三番目に来ているんですけれども、一方で、訪問とか通所とか、在宅の介護サービスに携わっている方々は、全く優先順位じゃなくて、この一番下の我々とか、上記以外の人、ここに入っているという状況です。
このため、今、介護現場のほうから、訪問の仕事であっても高齢者の方と密に接するお仕事ですので、施設とか在宅とかということにかかわらず、介護従事者は全て、福祉介護は優先接種の対象に含めるべきではないかといった要望がありまして、国で今、立憲民主党も三月八日厚生労働省に申し入れた結果、国のほうでも、報道等で目にしていらっしゃる方もいらっしゃると思いますが、訪問のヘルパーさんなりも、感染した方に対応するという意思表示があれば、自治体の判断で優先接種をしてもいいと、そのような答弁があったというふうに認識しております。
これは自治体の判断で、訪問とか通所であったり、施設以外の介護従事者というのも優先して接種をできるものなのでしょうか、確認させてください。
◎寺西
住民接種調整担当課長 これまで新型コロナワクチンの優先接種の対象となる高齢者施設等の従事者につきましては、今委員お話しありましたとおり、入所施設の従事者とされておりましたけれども、先般、自宅療養中の新型コロナウイルス感染症患者等に介護サービスの提供を行う意思を有している介護事業所等の職員を新たに優先接種の対象とすることができるということが示されております。
この優先接種の対象とするに当たりまして、まずその従事者本人がそうしたサービス提供を行う意思を有しているということ、それから、サービスを行う事業者も同様の意向を有しているということに加えまして、区市町村の判断が必要だとされております。
この区市町村の判断につきましては、国の通知において、区市町村が必要に応じて都道府県にも相談した上で、地域の感染状況、医療提供体制の状況等を踏まえて、感染が拡大した場合に在宅の要介護高齢者や要支援高齢者が自宅療養を余儀なくされ、こうした者に対する介護サービスの継続が必要となることが考えられると判断した場合ということが示されております。これらに基づいて、優先接種の対象とすることは可能だということになってございます。
◆中塚さちよ 委員 そもそも国の言っている話はひどい話であって、感染して症状が出て自宅で療養している人に行くと決めているんだったらば、ワクチンを優先接種しますと。そんなこと言う人がワクチンを打って現場に行って介護してきてくれと言いたい気分なんですけれども。
そもそも考え方として、症状が出て自宅療養している人以外にも、無症状でも感染している人はいらっしゃいますよね。誰が感染しているか分からない中で濃厚接触をする仕事をしているのが、訪問なり通所なりの介護現場の人たちなわけです。だから、そもそもその感染者に対応したつもりはなくてもしているかもしれない、そういった前提がありますし、あるいは感染者に対応したくない人でも、そうじゃないと思って行っていたら、その方が実は感染しているかもしれない。
そういった状況の中でサービスに行くというわけですから、もともと世田谷区ではそういった前提があったので、社会的検査、症状があるなしにかかわらず定期検査をしてあぶり出すというようなことをやってきた世田谷区のこれまでのそうした施策との整合性を考えても、自宅療養している人に行く意思があるかどうかということにかかわらず、在宅とか施設とかにかかわらず、全てのこうした介護福祉のサービス従事者には優先的に接種するというのを世田谷区として、自治体としての判断ができるのであれば、そういうふうにすることが、これまでの施策との整合性でいくと当然そうあるべきだというふうに私は考えるんですけれども、ちょっと副区長に御答弁いただきたいと思います。
◎中村 副区長 国が言う訪問介護事業者、従事者のワクチンの接種の条件ということについてですけれども、区では、今お話しいただきましたように、この間、社会的検査の実施を通じて、訪問介護事業者などを含めた福祉施設を社会的インフラと位置づけて、感染拡大防止と事業の継続に取り組んできております。こうした区の取組の方向性を踏まえまして、国が定めた考えを基本としながらも、区としての優先接種の順位や条件づけというものを判断してまいりたいと考えております。
◆中塚さちよ 委員 世田谷区の考え方というのはしっかり示していただいて、本当に今大変な現場で働いている、もう本当に他会派の方からもいろんなお話があったと思います。病院に入れない人たちを最後までケアをしているとか、そういうふうに対応した方はもうほかに出られないですから、感染者の対応を最後までずっとし続けなきゃいけないんですね。本当に厳しい状況の中で仕事をしている介護従事者の方々に、ぜひちょっと温かい施策というんですか、最低限の配慮、最低限のことをしていただきたいというふうに思います。
あと、在宅の高齢者の方々なんですけれども、高齢者にも当然このワクチン接種をしていくわけなんですけれども、やはり在宅といっても要介護の方々は自分で接種会場に行けない方もいらっしゃると思います。今はヘルパーさんの介助が必要なのではないかというふうに考えたりもするんですけれども、こうした自力でワクチン接種会場に行けない人への接種準備の体制というのはどういうふうになっているんですか。
◎田村
接種体制整備担当課長 世田谷区では、新型コロナワクチン接種実施計画を策定いたしております。計画では、住民接種の実施に当たって、区民への迅速かつ円滑な接種及び安全性を最大限に配慮した運営を行うこととしており、接種の方法といたしましては、区施設での集団接種、区内病院等での個別接種、入所施設等への医師等の派遣をして接種を行う巡回接種等を組み合わせて実施することとしています。
委員お話しの自宅から接種会場まで来所できない在宅療養中の方には、訪問医等に御協力いただき接種を行うことを基本とし、状況に応じて医師や看護師で編成したチームによる巡回接種も行っていきたいと考えています。集団接種会場に来所できない方でも接種ができるよう、施設の嘱託医や訪問医師、世田谷区、玉川両医師会及び関係団体等と調整しながらワクチン接種を希望される方が迅速かつ円滑に接種していただけるよう、万全な体制を整えてまいります。
◆中塚さちよ 委員 世田谷区の要介護の在宅の高齢者はすごい人数いますので、しっかり接種が進むように体制のほうを準備していっていただきたいと思います。
それから、PCR検査、社会的検査についての質問をさせていただきます。
これも他会派から厳しい意見が多かったと思うんですけれども、いろいろな質問が出ておりました。定期検査とか、効果があるんだろうかといった厳しい意見も出ておりました。ちなみに私もケアマネジャーやっていますけれども、弊社も協力することになりまして、明日私も唾液を取ってくるわけですけれども、これをやるとなりますと、上司から、これは引っかかると会社が大変なことになるから、もう飲み会は当然のこと、マイクリレーでの街頭演説は絶対やめろとか厳しく言われまして、日頃から、日常生活ももちろん気をつけていますけれども、さらに気をつけなきゃいけないと、そういった引締め効果というんですかね、非常にそういった面では効果はあるのではないかと思います。
ただ一方で、それを受けること自体はね、強制ではありませんよということは、上司からもやはり何度も言われる。そうしますと、やはり日頃の生活から、もしかしたら症状はないけれども自分は感染しているんじゃないかなという不安のある人は受けないという選択肢も当然あるわけですから、検査の頻度の問題もありますけれども、本当に受ける必要があるかもしれない人が受けないというような、そういった課題というのはやはり残っているわけですね。
あと、私もこれで、一回終わったら当分検査が回ってこないとなればちょっと気が緩むと、そういう可能性もあるわけですよね。非常に社会的検査はまだまだ、効果もあると思っておりますけれども、いろいろ改善する余地もあるのかなと思っていますが、その一方で、随時検査のほうですけれども、これは濃厚接触じゃなかった方でも、同じ職場で感染者が出たら受けられるということで、これは定期検査よりも、陽性率の発覚する数字も高いと。早期発見と感染拡大防止に役立っているというふうに考えます。
しかし一方で、この随時検査も、その職場に来て必ず検査してもらえるかというとそうじゃなくて、検査場まで行かなきゃいけない。陽性者が出た人と接触したりして感染しているかもしれないという方が自力でその検査場まで行くことがなかなか大変であったり、あとは、結局そうなると、事業者のほうで自費で、自腹でPCRを全従業員にやりましたとか、本当にそういう会社が非常に多くあります。
今、国のほうで交付金があって、こうしたコロナ関連に使える交付金というのが出ているようなんですけれども、それも三月で終わりになってしまうというふうに聞いていまして、そうするとやはり事業者さんがやっているPCR検査など、感染対策の取組の予算が非常に厳しいという中で、例えばそれを受けに行くための、随時検査を受けに行くための働いている人たちの負担とかいうことも考えると、そうした負担軽減というのを区としても考えていただきたいなと思っております。
例えば練馬区とか足立区とか、ほか全国でも、事業者でそういうふうに自前で行ったPCR検査に対して補助をしているような取組も多くあるというふうにも聞いております。世田谷区としても、今後こうした働く方々、あるいは事業者のコロナ関連のPCR検査等々の負担軽減について、何かしらお考えはあるのでしょうか。
◎小泉
保健医療福祉推進課長 ただいま随時検査ということでいろいろ御示唆いただきましたが、まず施設訪問型で、今の社会的検査の定期とか随時を実施しておりますけれども、基本は施設訪問する場合と、それからどうしてもその日時によって受検できない方がいた場合には、例えば区のほうで御用意している施設がありますので、そちらにお越しいただくという手法を取ってございます。
また、定期、随時で日時を指定して検査して訪問する場合で、どうしても都合がつかないという場合には、今年一月からスクリーニング検査も導入してございまして、特にその通所系、訪問系の方はなかなか御都合が合わないというニーズもありましたので、唾液で御自宅で検査キットを送る手法ということで、バリエーションを増やしながら検査機会を増やしているという状況でございます。
今の委員御指摘ございました練馬の事例がありましたけれども、検査費用に関する負担支援ということですが、基本的には先ほど他会派でも御答弁申し上げましたけれども、施設の中で利用者、それから職員、入所予定者を含めて、対象となる受けられる方は漏れなく受検いただくような機会を、こちらも周知も含めて徹底したいというふうに考えています。
その中で受けていただくためには、まず区としてやっている社会的検査は無償ということでございますので、その支援策ということもございますが、早期に、年度が替わりましたら施設の実態を把握するアンケート調査も予定してございますので、そういった施設の声を聞きながら、どういった仕組みがいいか、よりよい方法ができないかということで、検査の在り方を含めて、よい手法をしながら検査を継続したいというふうに考えてございます。
◆中塚さちよ 委員 事業者さんからのアンケートなり、意見なりをしっかり踏まえて取り組んでいってください。
次の質問です。喫煙所に関することです。
コロナ禍で、結局、社会的検査の報告でも出ておりましたけれども、喫煙所というのは、やはりどうしてもコロナの感染リスクが高いということで、全国的には今、公的な喫煙所を廃止する事例が増えているんですね。日本禁煙学会のホームページで調べましたところ、去年の緊急事態宣言以降、駅とか公共施設、民間施設、あとは杉並区とか区でやっている公営喫煙所がありますよね。世田谷区もありますけれども。杉並区は、昨年の五月一日から十五か所の利用をやめたと。北区も四月二十七日から駅前等の喫煙所八か所を閉鎖していると。
非常に喫煙場での感染リスクもありますし、受動喫煙でも同等のやはりリスクがあると。特に喫煙者に関しては、コロナにかかったときの死亡率が八%増えるといった調査結果もあるということがこのホームページでも示唆されています。世田谷区では同様に、こうした喫煙所を停止する、廃止するといった取組は行っているのでしょうか。
◎鵜飼 世田谷保健所副所長 区では、歩きたばこや路上喫煙防止、また、分煙する上で指定の喫煙場所は必要なものと認識する一方、新型コロナウイルス発生予防の観点から、換気の悪い密閉空間、多数が集まる密閉している場所、間近で会話が発生する密接場所の三つの密が重ならないことが重要と捉えています。
特に下北沢、三軒茶屋などの利用者が多い指定喫煙場所での利用定員制限や密防止のための立ち位置の表示に加えて、会話を控え、長時間の利用を控える等、注意喚起の張り紙を提示するなど、感染症対策を講じているほか、禁煙にチャレンジのリーフレットを置き、禁煙を促す取組なども行っております。
◆中塚さちよ 委員 私、世田谷区は、ちょっと他の自治体から見て、なかなかこの禁煙に対する取組は少しまだ手薄なところがあるんじゃないかなと感じていたんですけれども、私も前から話していますが、北海道は生まれたところなんですけれども、非常に残念ながら喫煙率が高いんです。道庁の喫煙所でやはりコロナが、北海道も今回、札幌とかでコロナが大変でしたので、そこの喫煙所、三密だから危ないということで窓を開けていたら、今度、受動喫煙でその煙が来るということで、非常に道民からの苦情が増えて、それで、北海道は道庁の喫煙所を撤廃しました。ただ撤廃するだけじゃなくて、やっぱり職員の方の健康を守るために、この機会にしっかり禁煙してくださいと、禁煙を取り組む方にはその助成をしますよといったことをやったわけですね。
世田谷区も、今ちょうど仮設庁舎を造ったり、いろいろしているところですけれども、もともと新しい庁舎の屋上庭園で、区民の憩いの場に喫煙所ができるということで私不安に感じていたんですけれども、ぜひこの仮設庁舎とかの機会に、喫煙所での三密での喫煙環境をなくすということですとか、あとは職員の方の一層の禁煙推進というのを図るべきと考えております。区の今後の取組はいかがでしょうか。
◎鵜飼 世田谷保健所副所長 お話しの新庁舎の屋上庭園に計画する喫煙所では、庭園利用の動線と分けた位置に設置した天井と壁で覆われた屋内型とするほか、トイレに求められる三倍程度の換気能力で空気が入れ替わる施設を備えるなど、受動喫煙防止や、コロナウイルス感染防止を徹底する予定で準備を進めております。
また、職員に対しては、受動喫煙に対する法や条例等を遵守することや、休憩時間を除く勤務中の喫煙を行うことを禁止しているほか、喫煙習慣のある職員に対しては喫煙本数の縮減を図る観点から、庁内報や職員向けの健康管理に関するニュースレターの媒体を活用し、禁煙外来の周知、健康管理セミナーなど、禁煙に向けた取組等を進めております。
引き続き、関係所管と連携し、職員、また区民への健康管理の観点からも、禁煙に向けた周知啓発について努めてまいります。
◆中塚さちよ 委員 体の健康を守るために、ぜひよろしくお願いします。
次の質問に参ります。本日、他会派の方、幾つか弱視の方について支援のお話がありましたけれども、私からは、難聴とか聾の方、聴覚障害の方に関する質問をさせていただきます。
このコロナ禍になりまして、いわゆるパーソナルソーシャルディスタンス、距離を取るようになった、なおかつパーティションとか、こういうのを使っていますよね。それで、マスクなんです。これが非常に難聴の方にとって、とにかくもう聞こえにくいと。これまで補聴器とかで何とか聞こえていたんだけれども、このパーティションも本当すごい、これが一枚あるだけで大分聞こえが悪くなる。おまけに近づいて話してもらえないし、マスクですよね。これは聾の方からすると聞こえにくくなるだけじゃなくて、口元を見て判断している部分もあるので、この口が見えないということで非常に不便をされていると。
なかなかこうしたことが、一般の健常の人には理解されない部分があるということなんですけれども、区として何かこうした聴覚障害とかの方のためのコミュニケーションの支援について対応を取っていらっしゃるのでしょうか。
◎太田
障害施策推進課長 新型コロナウイルス感染症予防のために、ほとんどの方がマスクを着用されているという状況でございますので、聴覚障害の方にとっては、なかなかコミュニケーションが難しいという、障害者団体からもお聞きしてございます。
新型コロナウイルス感染症の影響で、やむを得ず中止した手話講習会を補うためのフォローアップ研修では、委託先の聴覚障害者協会から御提案を受けまして、口元が隠れない透明マスクを着用しましたり、あとは区の窓口を訪れた聴覚障害者の方を支援する待機手話通訳者、この方にはフェイスシールドを使用してございます。
今後は、障害理解の促進のために、区職員や事業所に向けて実施しております研修の内容に盛り込みましたり、あと、窓口に備えている筆談機の利用をさらに促進するなど、啓発方法を工夫してまいりたいと考えてございます。
◆中塚さちよ 委員 聞き取った言葉をそのまますぐ文字にするようなアプリとかも私もいろいろ試してみたんですけれども、まだまだ誤変換が多くて、すぐに実用というところまでにはいかないので、区としてできることの取組を進めていっていただきたいと思います。
もう一問予定していたんですけれども、申し訳ありません。これで終了いたします。
○おぎのけんじ 委員長 以上で世田谷立憲民主党社民党の質疑は終わりました。
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○おぎのけんじ 委員長 以上をもちまして本日の質疑は全て終了いたしました。
本日の委員会はこれにて散会いたします。
午後六時二十四分散会...