教育政策部 部長 池田 豊
生涯学習部 部長 皆川健一
選挙管理委員会事務局
局長 鈴木孝之
監査事務局 局長 伊藤美和子
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本日の会議に付した事件
認定第一号 平成三十年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定
認定第二号 平成三十年度世田谷区
国民健康保険事業会計歳入歳出決算認定
認定第三号 平成三十年度世田谷区
後期高齢者医療会計歳入歳出決算認定
認定第四号 平成三十年度世田谷区
介護保険事業会計歳入歳出決算認定
認定第五号 平成三十年度世田谷区
学校給食費会計歳入歳出決算認定
(総括説明、総括質疑)
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午前十時開議
○石川ナオミ 委員長 ただいまから
決算特別委員会を開会いたします。
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○石川ナオミ 委員長 本日から、当委員会に付託をされております平成三十年度決算認定五件の審査を行うわけでございますが、さきに決定しております運営方針に基づき委員会を運営してまいりますので、委員の皆様並びに理事者の皆様の御協力のほどをよろしくお願いいたします。
さて、本日は、まず区長より挨拶をしていただきまして、引き続き政策経営部長より総括的な説明を受けた後、各会派の質疑に入ります。
それでは、区長の挨拶をお願いいたします。
◎保坂 区長 皆様、おはようございます。
決算特別委員会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
本日より平成三十年度世田谷区各
会計歳入歳出決算について御審議いただくわけですが、平成三十年度の財政状況は、歳入では、特別区税がふるさと納税による大変大きな影響を受けたものの、納税者数の増などにより増加したほか、特別区交付金も増となりました。歳出におきましては、
私立保育園運営費や
道路用地取得経費、
財政調整基金積立金などが増となり、前年度比で増となりました。
財政健全化判断比率につきましては、平成三十年度におきましても引き続き健全な状況を維持いたしましたが、将来の財政需要に応えられるような財政運営の持続可能性を今後も確保していくことが重要だと考えております。
平成三十年度決算は、新公会計制度を用いた最初の決算となります。決算状況の詳細につきましては、この後、政策経営部長より説明させていただきますが、当委員会の御審議の中で委員の皆様からいただく御意見、御提案については、今後の区政運営に生かしてまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。
本日より長期間にわたる委員会となりますが、委員の皆様におかれましては、体調に御留意いただきながら審議いただき、御認定賜りますようお願い申し上げます。
以上、簡単ですが、御挨拶といたします。
○石川ナオミ 委員長 以上で区長の挨拶は終わりました。
次に、政策経営部長より説明をお願いいたします。
◎中村 政策経営部長 平成三十年度世田谷区各
会計歳入歳出決算の概要につきまして、お手元の「世田谷区各会計主要施策の成果」に沿いまして御説明いたします。
まず、三ページをお開きください。初めに、平成三十年度の財政運営の概要について御説明いたします。
平成三十年度の我が国経済は、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあり、景気は緩やかな回復が続いたものの、都内及び区内の景況感においては、実質賃金や個人消費が伸び悩むなど、経済の好循環の実現が十分に進展していない状況となりました。
このような経済情勢の中、世田谷区においては、新たにスタートした新実施計画(後期)のもと、子育て・若者支援や高齢者・障害者施策、災害対策の強化や自然エネルギーの活用など、基本計画に掲げる重点政策を一層加速させ、計画目標の達成に向けて積極的に展開することを基本に、区政運営に取り組んでまいりました。
平成三十年度の一般会計当初予算額は、歳入面では、特別区税はふるさと納税による大きな減収を見込みつつも、納税者数の増加等を踏まえ増収としたほか、特別区交付金は、財源である固定資産税・市町村民税法人分の増などにより増額となりました。一方、税制改正による配分方法の見直しにより、
地方消費税交付金が大幅な減額となったため、財政調整基金から必要最小限の繰り入れを見込みました。歳出面では、小中学校の改築経費が減となったものの、
私立保育園運営費等の子ども関連経費や
社会保障関連経費などが増加しました。これらにより、一般会計当初予算額は三千十八億八千万円、前年度当初予算比で三十億八千六百万円、一・〇%の増となりました。
その後、一部の学校施設等における耐震性能の再診断、特殊詐欺被害への緊急対策や、大阪北部地震の事故を踏まえた
ブロック塀等除去助成、風疹の流行対策、一部の学校施設における耐震補強設計及び学校体育館への空調設備の設置、
障害者自立支援給付費の増などに対応するとともに、今後の学校施設における耐震補強工事などの財政需要に備えた基金への積み立てなど、四次にわたる補正を行いました結果、平成三十年度の
一般会計最終予算額は三千百六十三億二千九百万円となりました。
それでは、一般会計の決算について御説明をいたします。
四ページをお開きください。なお、決算額などの金額は、百万円未満を四捨五入した概数で申し上げますので、御了承いただきたいと存じます。
第一表、
一般会計実質収支前年度比較をごらんください。表左の区分欄上段、丸Aと表記しておりますが、平成三十年度の歳入総額は三千九十四億九百万円、前年度比二・二%の増となっております。その下、丸Bの歳出総額は二千九百八十一億二千六百万円、前年度比一・〇%の増となっております。この結果、丸Cの
歳入歳出差引額は百十二億八千二百万円となり、これから丸Dの翌年度へ繰り越すべき財源を差し引きました丸Eの実質収支は七十六億六千八百万円となっております。また、実質収支から前年度の実質収支を差し引きました丸Fの単年度収支は十六億七千百万円となり、丸Gの
財政調整基金積立額四十七億六千八百万円を加えました丸Jの実質単年度収支は六十四億三千九百万円となりました。
次に、五ページの第二表、
一般会計歳入決算前年度比較について御説明いたします。この表は、款別の歳入決算を前年度と比較したものでございます。
歳入における主な増項目でございますが、9の特別区交付金が、普通交付金、特別交付金ともに増となったことにより、百二十二億五千万円、二六・四%の増、1の特別区税が、ふるさと納税による大きな影響を受けたものの、納税者数の増などにより、三十一億八百万円、二・六%の増などとなっております。一方、主な減項目といたしましては、20の特別区債が、小学校改築経費の減などにより、二十八億六千七百万円、二二・六%の減、6の
地方消費税交付金が、税制改正による配分見直しにより、二十六億六千二百万円、一四・七%の減などとなっております。
次に、六ページをお開きください。第三表、
一般会計歳入決算財源構成でございます。これは、歳入科目ごとの一般財源と特定財源の内訳を記載したものでございます。
この表の下から二行目の合計欄をごらんください。一般財源の構成比が六八・〇%、前年度より一・七ポイントの増、特定財源が三二・〇%、前年度より一・七ポイントの減となっております。
続きまして、七ページの第四表、平成三十年度都区財政調整結果について御説明いたします。
まず、上段の普通交付金の表ですが、下から五行目、基準財政収入額の合計、丸A欄をごらんください。平成三十年度決定額の再調整欄は一千二百九億七千万円となっており、前年度に比べ十三億二百万円の増と算定されております。
次に、三行下の
基準財政需要額の合計、丸B欄でございますが、平成三十年度決定額の再調整欄は一千七百五十二億五千九百万円となっており、前年度に比べ百三十億六千八百万円の増と算定されております。
その結果、次の行の普通交付金の差引交付額は五百四十二億八千八百万円となり、前年度に比べ百十七億六千六百万円、二七・七%の増となりました。
また、その下の表の特別交付金は、災害などの特別の財政需要などによる経費や、
基準財政需要額で捕捉されなかった財政需要などの合計で、平成三十年度の決定額は四十四億二千八百万円と算定され、前年度に比べ四億八千四百万円、一二・三%の増となっております。
次のページ、八ページをお開きください。以上の結果、一番上の説明文の三つ目の段落に記載してございますように、特別区
財政調整交付金の決算額は、普通交付金と特別交付金を合わせた総額で五百八十七億一千七百万円となり、前年度に比べ百二十二億五千万円、二六・四%の増となっております。
続きまして、第5表【A】
一般会計歳出決算前年度比較について御説明いたします。この表は、款別の歳出決算を前年度と比較したものでございます。
歳出における主な増項目といたしましては、3の民生費が、
私立保育園運営費や
区立特別養護老人ホーム芦花ホーム改修工事費の増などにより、三十九億三千四百万円、三・〇%の増、11の諸支出金が、
財政調整基金積立金の増により、二十四億八千九百万円、一〇八・四%の増、7の土木費が、
道路用地取得経費の増などにより、十五億六千三百万円、五・七%の増、8の教育費が、
義務教育施設整備基金積立金の増などにより、三億六千百万円、一・二%の増となっております。一方、主な減項目といたしましては、2の総務費が、
庁舎等建設等基金積立金や
北沢総合支所改修工事費の減などにより、三十七億九百万円、一〇・四%の減、10の公債費が、特別区債の元利償還金の減などにより、十九億七千万円、二九・一%の減となっております。
続きまして、九ページの第5表【B】でございますが、これは、ただいま御説明いたしました第5表【A】の9職員費を関係各款に割り振り直した表でございます。平成三十年度の各款別の構成比は、3の民生費が五〇・六%と最も高く、続いて2の総務費が一五・二%、8の教育費が一一・六%、7の土木費が一一・三%の順となっております。
次に、同じページ下段の第6表をごらんください。これは平成二十九年度から三十年度に繰り越した事業の執行状況を示したものでございます。繰越明許費は、
公共建築保全業務の推進から、一〇ページにお進みいただき、民家園改修工事までの十九事業、事故繰越しは、
障害者通所施設建設工事の一事業となっており、執行額等は記載のとおりでございます。
次に、同じページの第7表をごらんください。これは平成三十年度から令和元年度へ繰り越した事業と金額を記載しております。繰越明許費は、計画行政の推進から、右側一一ページにお進みいただき、伝統的建築物の保存までの三十八事業、事故繰越しは、
共通基盤システム運用及び小学校改築工事の二事業で、繰越額は合計で五十三億四百万円となっております。
次に、一二ページをお開きください。第8表、
一般会計歳出決算性質別内訳でございます。
人件費、行政運営費及び投資的経費の区分による決算額、構成比等は記載のとおりでございます。
続きまして、一三ページをごらんください。第9表は、各特別会計の決算収支について記載したものでございます。特別会計につきましては、後ほど概要を御説明いたします。
以上が平成三十年度財政運営の概要でございます。
続きまして、主要事業の説明をさせていただきます。
二〇ページをお開きください。ここに記載の各項目は、平成三十年度から令和三年度までを計画期間とした世田谷区新実施計画(後期)の分野別政策に基づく取り組みで、計画の初年度である平成三十年度の実績について御説明いたします。
まず、左側上段、基本計画の分野別政策のうち「1健康・福祉」でございますが、決算額は十五億八千五百万円、執行率は九〇・二%となっております。この分野別政策に基づく取り組みとしては、生涯を通じた一人ひとりの健康づくりの推進、以下十二事業ございます。
次に、左側中段、「2子ども若者・教育」でございますが、決算額が六十七億一千八百万円、執行率は九四・六%となっております。この分野別政策に基づく取り組みとしましては、若者の交流と活動の推進、以下十三事業ございます。
二二ページをお開きください。左側上段、「3暮らし・コミュニティ」でございますが、決算額が四億五千七百万円、執行率は八一・八%となっております。この分野別政策に基づく取り組みとしまして、豊かな
地域社会づくりに向けた区民による参加と協働のまちづくり、以下十五事業ございます。
次に、左側下段、「4都市づくり」でございますが、決算額が三十四億六千五百万円、執行率は七〇・二%となっております。この分野別政策に基づく取り組みといたしましては、
木造住宅密集地域の解消、以下十四事業ございます。
二四ページをお開きください。以上の結果、新実施計画事業の合計決算額は百二十二億二千五百万円、執行率は八五・二%となっております。
次に、二七ページからは、平成三十年度より導入された新公会計制度を用いて分析、評価した結果を掲載しております。
次に、三三ページをお開きください。三三ページから五八ページまでは、基本構想に掲げる九つのビジョンの実現に向け選定された六つの重点政策について、それぞれ政策目的、政策の成果、成果の達成度に対する評価等を記載しております。
まず、三三ページの「重点政策1子ども若者が住みたいまちづくり、教育の推進」でございます。「子ども・子育て応援都市を推進します」を政策目的として、五つの取り組み方針に沿って事業を実施いたしました。
三六ページをごらんください。3)成果の達成状況に対する評価及び今後の政策展開をごらんください。こちらは三段構成となっており、一段目は重点政策全体の成果の達成状況、二段目は五つの取り組み方針の評価を記載してございます。主な取り組みといたしまして、保育待機児童の解消、
世田谷版ネウボラの推進や地域における子育て支援の推進、子ども・若者の交流・活動の支援、支援が必要な子どもへの総合的な支援、質の高い教育の推進などに取り組みました。取り組みに対する評価は記載のとおりでございます。三段目は今後の政策展開を記載しております。
次に、三八ページをお開きください。「重点政策2高齢者・障害者等の在宅生活を支え、孤立させないための
地域包括ケアシステムと住まい」でございます。
四一ページをお開きください。3)成果の達成状況に対する評価及び今後の政策展開をごらんください。ここの二段落目をごらんいただきまして、主な取り組みといたしまして、
地域包括ケアシステムの推進、身近な地区における相談窓口での三者連携、福祉人材の育成・拡充などに取り組みました。
次に、四三ページをお開きください。「重点政策3安全で災害に強いまちづくり」でございます。
四五ページをお開きください。3)成果の達成状況に対する評価及び今後の政策展開の二段目をごらんください。主な取り組みといたしまして、住民の力で被害の拡大を防ぐ、防災意識が根づいた
地域コミュニティーづくり、不燃化や耐震化、豪雨対策等の住民、事業者との協働による推進、道路、公園等の計画的かつ効率的な整備による災害に強いまちづくりなどに取り組みました。
次に、四七ページをお開きください。「重点政策4自然の恵みを活かして小さなエネルギーで暮らす豊かなまちの実現」でございます。
五〇ページをお開きください。3)成果の達成状況に対する評価及び今後の政策展開の二段目をごらんください。主な取り組みといたしまして、環境に配慮したライフスタイルへの転換と
再生可能エネルギー利用の促進、2Rなど環境負荷を生じさせない取り組み、世田谷らしいみどりの保全・創出、たばこマナーが向上するまちづくりの実現などに取り組みました。
次に、五一ページをお開きください。「重点政策5世田谷の文化の創造と知の
ネットワークづくり」でございます。
五三ページをお開きください。3)成果の達成状況に対する評価及び今後の政策展開をごらんください。五四ページのほうに及びますが、主な取り組みといたしまして、文化・芸術・歴史に親しめる環境づくり、知と学びと文化の情報拠点としての図書館の充実、誰もがスポーツに親しめる機会の創出などに取り組みました。
次に、五五ページをお開きください。「重点政策6豊かな
コミュニティ活動の発展と住民自治の推進」でございます。
五八ページをお開きください。3)成果の達成状況に対する評価及び今後の政策展開の二段目をごらんください。主な取り組みといたしまして、地域活動への参加を促進するための環境づくりと区民や事業者による協働の促進、多様性を認め合い、人権を尊重し、男女共同参画と多文化共生を推進する
地域社会づくり、職住近接に向けた産業基盤の強化と多様な働き方の推進などに取り組みました。
次に、七〇ページをお開きください。七〇ページから三四二ページまでは、分野別政策に基づく各新実施計画事業の取り組みと実績などについて記載しております。
まず、七二ページをお開きください。平成三十年度決算より、新公会計制度を活用し、新たに財務分析の項目を掲載しております。中ほど2)財務関連データの
①行政コスト計算書では、人件費や減価償却費を含めたフルコスト情報をお示ししております。
また、次のページの3)行動量の
単位あたりコストでは、各事業の
単位当たりコストの算出により、コストと成果の関係性をより明確にしております。
新実施計画事業における全百三十の成果指標のうち、約半数の取り組みは順調に進んでいるとは言えず、達成に至らなかった要因を分析し、課題を明確化いたしました。次年度以降、この課題について改善を図ってまいります。
主要事業の説明は以上でございます。
続きまして、三四七ページをごらんください。三四七ページ以降は、予算の執行実績について記載しております。
一般会計の決算につきましては、先ほど御説明いたしましたので、ここでは割愛させていただきます。
次に、特別会計の決算概要につきまして御説明いたします。
まず、国民健康保険事業会計でございます。
四一八ページをお開きください。歳入合計欄に記載のとおり、収入済額は八百三十九億六千八百万円で、収入率は九七・八%となっております。前年度比では九十五億九千九百万円、一〇・三%の減となっております。
次に、四二〇ページをお開きください。歳出合計欄に記載のとおり、支出済額は八百三十五億八百万円、執行率は九七・三%となっております。前年度比では八十二億七千八百万円、九・〇%の減となっております。内容といたしましては、制度改正に伴い、都道府県単位での運営になったことや、被保険者数の減少により、保険給付費が減となっております。
次に、後期高齢者医療会計について御説明いたします。
四三六ページをごらんください。上段の表、歳入の歳入合計欄に記載のとおり、収入済額は二百十五億九千九百万円、収入率は九九・六%となっております。前年度比では三億八千七百万円、一・八%の増となっております。その下の表、歳出の歳出合計欄に記載のとおり、支出済額は二百九億二千百万円、執行率は九六・五%となっております。前年度比では五億一千七百万円、二・五%の増となっております。内容といたしましては、被保険者数の増加に伴い、歳入では保険料が、歳出では広域連合への負担金がそれぞれ増となっております。
次に、介護保険事業会計について御説明いたします。
四四八ページをお開きください。歳入合計欄に記載のとおり、収入済額は六百六十三億五千三百万円、収入率は九五・九%となっております。前年度比では二十九億九千六百万円、四・七%の増となっております。
次に、四五〇ページをお開きください。歳出合計欄に記載のとおり、支出済額は六百四十五億八千七百万円、九三・四%の執行率となっております。前年度比では二十九億五千七百万円、四・八%の増となっております。内容といたしましては、要介護・要支援認定者数の増加等に伴い、保険給付費等が増となっております。
最後に、学校給食費会計でございます。
四六八ページをお開きください。上段の表、歳入の歳入合計欄に記載のとおり、収入済額は二十六億六千五百万円、収入率は九三・〇%となっております。前年度比では二十億四百万円、三〇三・二%の増となっております。その下の表、歳出の歳出合計欄に記載のとおり、支出済額は二十六億六千五百万円、執行率は九三・〇%となっております。前年度比では二十億一千万円、三〇七・〇%の増となっております。内容といたしましては、平成三十年度より、新たに二校の中学校及び区立小学校全校の給食費を公会計化したことにより増となったものです。
以上で、平成三十年度世田谷区各
会計歳入歳出決算概要の御説明を終わらせていただきます。御審査のほどよろしくお願い申し上げます。
○石川ナオミ 委員長 以上で政策経営部長の説明は終わりました。
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○石川ナオミ 委員長 ただいまから総括質疑に入ります。
質疑者はネームプレートを質疑者席にお持ちいただくようお願いいたします。なお、持ち時間の終了五分前には予鈴と質疑者席の緑ランプの点灯でお知らせをいたします。さらに一分前には赤ランプの点滅でお知らせをいたします。また、質疑される委員の方は、マイクから離れ過ぎないようお願いいたします。
◆阿久津皇 委員 私からは、児童相談所の開設について順次伺ってまいります。
児相の開設まであと半年となりまして、来年の四月には世田谷区児相としてスタートを切ることになるということで、区内で虐待事例が発生した際には、いよいよ世田谷区が矢面に立たされるということです。虐待ゼロの町を目指すという世田谷区においては、万全の体制で臨むことが求められるという観点から質問してまいります。
まず、人材の確保について伺います。平成三十年度中に対応した児童虐待の相談件数は十五万九千八百五十件と、平成二十九年度から二万六千件余り、およそ二割増加しました。これは過去最多ということで、一方で、児童福祉司の数は平成三十年四月現在で三千二百人余りと微増にとどまり、一人当たりの対応件数というのは増加の一途をたどっているという状況です。
政府の目標では、昨年三月の目黒での事例を受けて、二〇二二年度までに福祉司を二千人増員するとしました。また、今般の児童福祉法の改正においては、人口四万人当たり一人から三万人当たりに一人と児童福祉司の数を増強する及び児童福祉司二人につき児童心理司一人を配置することが決まりましたけれども、区では、この配置基準に適合しているのかどうか、お伺いいたします。
◎澁田
児童相談所開設準備担当部長 令和元年六月に、児童相談所の体制強化を図ることなどを目的に、児童虐待防止法や児童福祉法が改正されたことを受け、区は、これを満たした職員配置を計画しております。児童福祉司につきましては三十三人の配置を計画しており、これは平成三十年の児童虐待防止対策体制総合強化プランで示されました人口三万人に一人以上の配置で算出した三十一人を上回っております。また、児童心理司につきましては、一時保護所と合わせまして十七人の配置を計画しており、こちらも児童福祉司二人につき一人以上の配置とする基準を満たしております。
児童相談所の開設以降も、長期的な視点に立ち、求められる能力、資質を備えた人材の効果的な確保、育成に向け、計画的な採用、配置等を行ってまいります。
◆阿久津皇 委員 能力、資質を備えた人材の効率的な確保、育成ということですけれども、新宿区では、二〇二一年度、再来年度の四月に予定していた児童相談所の設置を、人材の確保が困難として、三年以上延期するとされました。これは、法改正による数の増加に加えて、経験豊富な人材を確保するため、育成期間を考えると、三年以上先延ばしにするといったことが必要になるということでありますけれども、今の答弁で、区では、数字上は十分確保しているということなんですけれども、その質の部分といいますか、人材の経験値といったところを含めてどのようにお考えか、お聞かせください。
◎澁田
児童相談所開設準備担当部長 区は、児童相談所の開設に当たり、二十人以上の職員を他自治体へ複数年研修派遣しているほか、これまでの区での業務の経験などに応じた細かな育成プランに基づく業務研修を行っているところでございます。また、重要なリスク判断とその補佐に当たる児童相談所長の経験者などの管理者や専門指導員は、全国の児童相談所でも例にないほど手厚く配置し、開設当初から確実に子どもを守るための体制を確保しております。具体的には、元児童相談所長など、二十年程度の経験を持つ管理職と専門指導員が八人、経験者採用等による児童福祉司の経験者が二人、児童福祉司としての育成期間が三年から四年の職員が六人となっております。
今後は、児童相談所OBなどのベテランの後を継ぐ次の職員を育成していく必要があり、計画的な採用と人材登用を行うとともに、職員個人の力量や資質に頼る業務運営ではなく、常に質の高い援助を行っていくための多職種によるチームづくりにも取り組んでまいります。
◆阿久津皇 委員 全国の児童相談所でも例にないほど手厚く配置するということですけれども、児童相談所においては、人的な不足であったり、リスク管理、リスク判断の問題、あるいは関係機関との情報共有が進まない、そういった閉鎖的な体質も指摘されていて、そういった構造的な問題が存在する中で、全国で悲惨な事件、事故が後を絶たないということが続いています。
また、その児相の職員に関して言われていることが、公務員としての意識が強くて、虐待に対応する専門職としての意識が低いのではないかというところで、これは報道ベースですけれども、できる限り虐待として受けたくない、あるいは早く終わりにしたいといった方向で仕事に当たる福祉司の方もいるということは指摘されています。
その専門職としての意識というところなんですけれども、例えば公立病院の医師、国家資格であるお医者さんなどは、公務員としての意識よりも医師としての意識を持って、人命を助ける、そういった職務に当たられているわけですし、警察や消防、あるいは自衛隊といったところも、公務員でありながら、それぞれの専門家として業務に当たられている。この児童福祉司に関しても、国家資格化というものを求める学識経験者もおりまして、虐待を防いで子どもの命を守る専門職としての意識向上をしっかりと図っていく必要があるんだろうということを指摘しておきます。
また、チームとして組織づくりをしていくとありましたけれども、それは児相内のチームということだけではなくて、警察や保健所、あるいは医療機関、学校、児童館など、より多くの関係機関、区に移管されるということはそれだけ情報共有の壁も低くなるということで、さまざまな機関が情報共有して、子どもを見守る仕組みを整備していかなくてはいけないと思いますけれども、その中で特に警察との情報共有について伺ってまいります。
先ほど述べた十五万件強の虐待通報に関しては、過半数が警察等からの相談ということで、最も多くなっていると。特に六月五日に発生した札幌市での事例ですけれども、二歳の女の子が衰弱死したという事例ですが、ここでは本当に北海道警と市との対応のすれ違い、情報の違い、あるいは対応の違いによって、三度にわたり保護する機会があった、それを逃したということで、目黒区や野田市での数々の虐待事例の教訓が全く生かされていないといった事例でした。
その一度目の見過ごしというのが、昨年九月に、育児放棄が疑われるという内容の通報に対して、札幌市の児相では、家庭訪問して直接面談した結果、問題なしと判断して、そこで一旦終わりにしてしまったということが一度目の見過ごしだと。
その後、ことしに入って四月五日に、近隣の住民から泣き声通報が行われたということなんですけれども、これに関しても、現場には行かれたそうですけれども、目視による安全確認はできずに、母親との電話連絡のみであったと。その後も連絡は途絶えて、それも放置されてしまったと。ここでは、いわゆる四十八時間ルールが守られていないわけですけれども、これが二度目の見過ごしになってしまった。
三度目が、ことしの五月十二日に、また泣き声通報なんですけれども、これが今度、警察に寄せられる。翌五月十三日に南警察署から札幌児相に同行を要請されたが、夜間帯だったため、職員体制が整わないといった理由で児相はその同行を拒否したということでありました。これが三度目の見過ごし。十五日に警察が単独で母子と接触するんですけれども、なかなか保護には至らなかったということです。
五月十五日に警察が単独で母子と接触するんですけれども、その際、児相が同行しなかったことに対して、警察と児相との言い分というのは多少食い違いがあるようですけれども、警察としては専門知識のある児相に同行してほしかったということで、子どもを保護するに至らなかったということなので、ここで警察と児相との情報共有、あるいは連携というものがしっかりとれていれば、守ることができた命だったのかなというふうに指摘をされています。
そこで、区に伺いますけれども、まず、夜間週末といったときの虐待通報、これに対する対応はどのようになっているか、お伺いします。
◎澁田
児童相談所開設準備担当部長 夜間の虐待通告は、深刻な相談も受電する可能性があるため、二十四時間三百六十五日、児童虐待通告に対する体制を整備する必要がございます。夜間休日の児童虐待通告受付業務は外部委託を活用することとしており、受託事業者は、区が作成する緊急度アセスメントシートに基づく聞き取りを行い、必要に応じ、警察への通報や、児童相談所長やスーパーバイザーの児童福祉司への連絡を行う体制としております。また、子ども・子育てテレフォンと統合することにより、子育て相談の中から子どもの生命に危険が及ぶ可能性が高いケースを迅速に児童相談所につなげられるようにするなどの工夫も行ってまいります。
◆阿久津皇 委員 その夜間週末は外部委託するということなんですけれども、これはほかの児相もほとんどそうなのかなと思いますが、まさに札幌児相でも同様の対応であったと。夜間休日の業務を外部に委託し、二十四時間対応できる体制ではあったが、そのアセスメントのところで、やはり間違えたというか、児相の担当者に出動を依頼しなかったということが明るみになりました。
また、そのアセスメントを間違えるということで、こういった手おくれになるといった事例なんですけれども、子どもの命が危ぶまれる事案に対して、二十四時間対応がなかなか難しい児相に対応を委ねるといった制度設計がおかしいのではないかなというふうに考えるところなんですけれども、そのアセスメントの問題、あるいは四十八時間、そもそも四十八時間でいいのかという議論もありますし、その四十八時間がなかなか守られないという状況もある中で、区が児相をこれから運営していくに当たって、不安な要素は大変多いんじゃないかなというふうに考えております。
また、この札幌市というのは、北海道は警察といわゆる虐待事案の全件共有を行っているんですが、札幌市は全件共有に至っていないということで、この連携不足が指摘されるわけですけれども、北海道警は児相に連携を求めたが、市の児相が応じなかったというような事例なんですけれども、世田谷区が警察との全件共有に踏み込めない、踏み込まない、その理由について教えてください。
◎澁田
児童相談所開設準備担当部長 現在、区は、警視庁生活安全部少年育成課と具体の協議を進めているところでございますが、本人の同意なしに情報を相互に提供し合うため、その共有範囲について定義し、共有の必要性を明らかにする必要があると考えております。区が提供する情報の範囲の定義につきましては、国の児童相談所運営指針を基本に、子どもの安全確保を最優先とした視点から、区独自の項目も加えまして、リスクアセスメントを実施した上で共有してまいります。
◆阿久津皇 委員 緊急時には、情報の共有の範囲だったり、共有の必要性というところを考えるいとまはないわけで、また、そのアセスメントの判断そのものがなかなか難しいところで、この事案は児相対応だよね、この事案は子家センだよねみたいな、その判断の一つを間違えるとまさに手おくれになるところなので、ここは引き続き我々の会派としては全件共有を求めていくところなんですけれども、また別の事例なんですが、ことしの八月、つい先々月になりますが、鹿児島で今度は四歳の女児が死亡して、母親の交際相手が逮捕されるといった事件がありました。これについては、薩摩川内市内で警察が四回、女児をそのアパート付近で保護しているということで、警察のほうから児童相談所に一時保護の必要性を訴えたということなんですが、児相は母親の育児放棄を認定しただけで、一時保護が行われなかったということでありました。
こういった事例もそうなんですけれども、警察は、言うまでもなく、虐待情報だけではなくて、DVや家出、行方不明、ストーカーなど、女性や子どもの命の危険がある事案を二十四時間三百六十五日対応しているわけであって、直ちに安全確認、保護、捜索等の活動に当たっている。例えば先ほどの保護された女児ですけれども、家出、あるいはそういった保護された児童を保護した警察が、そこの時点で虐待の情報を持っているのか持っていないのかということで対応が大きく異なる可能性があることもありますし、警察との情報共有が進んでいることが子どもの命を守ること、そのリスクを少しでも減らすためにはできることは何でもやるという精神で、進めていただきたいと思っています。
また加えて、平成三十年四月現在ですけれども、都内の警察職員は四万六千五百名余り。都の児相の福祉司は二百六十六名ということで、その体制は比較するには至りません。夜間週末の対応など、直ちに安否確認が必要な場合には警察の協力が不可欠だろうというところなんですけれども、区長の招集挨拶にもありました、子どもの生命と人権、安全確保を最優先に考えといった観点からも、警察との全件共有は欠かせないというふうに考えますけれども、区長はどのようにお考えですか。
◎保坂 区長 今、担当部長が答えましたとおり、現在、共有をするルール、枠組みをどのようにつくっていくのかということについて、警視庁生安部少年育成課と協議中ということであります。
私自身も、この問題は非常に大事なテーマだと思っています。実は、この児童相談所のみならず、たくさん窓口があるという問題があります。そうすると、子ども家庭支援センターもあるし、警察に入る場合、保健所に入る場合、いろいろある。やはり窓口を一元化するというのは大事じゃないかと。世界でそういう先進事例があるというと、これはくしくもオレゴン州のポートランドだったんですね。これはオレゴン州がやっているんですけれども、保健福祉センターというところがあって、そこは二十四時間、州職員で専門家が必ず輪番を組んで、電話の前に張りついている。そしてその同じ建物の中に、DVとか虐待専門の検察官と警察官がいるんですね。その仕組みをいろいろ教えてもらうと、ちょっと話をしたりとか、ランクづけをします。ここはもう少し経過を見ようかなみたいな。中でやはりこれはというボーダーラインを超えたものについては、何かアメリカは法律で、もう全部瞬間に共有しなければいけないことになっていて、その電話に出ている最中にも、なぜかポケベルを使っていましたけれども、入ってくるんですね。要するに、これはもうチームで行かなければいけないというようなことで対応していました。
日本の場合は、そういう福祉警察的な家庭内事件の専門捜査というか、児童福祉的なことも含めた警察組織というのはまだないので、やはりどうしても犯罪捜査になります。そうすると、例えば泣き声通報とか、そういった大変多いものを全部共有していくのではなくて、やはりどこかで、ここから上は必ず、職員の判断とか主観ではなくて共有するような仕組みが必要だと思っておりますし、児童虐待防止法十条の警察官に同行してもらうという規定は、実は私は立法当時、この虐待防止法の中に、やっぱり児童相談所だけでは何ともできない家庭があるという問題が現にあったので、これを進めていこうということで、皆さんで相談して挿入した部分であるんですね。ですから、警察との連携というのは、今おっしゃった札幌市とか鹿児島の事例などが起きないように、ルールをしっかりつくっていきたいというふうに考えております。
◆阿久津皇 委員 まさにそこの制度設計のところからつくり直さなきゃいけないと思いますし、全件共有をする、その情報の共有が、今の日本の法制度の中で、この施設制度の中で、そのリスクを少しでも減らしていくところで必要なんではないかなというふうに改めて思っているところでございます。
九月二日には、川崎市、相模原市、横須賀市の三市が全件共有に踏み切った。また、九月三日には、今度、大阪市が大阪府警との全件共有にかじを切ったというところがございます。これも、大阪市に限っては、二十代の母親が四歳の息子への傷害の疑いで書類送検されたということなんですけれども、その情報をなかなか府警に提供しなかったと。そういった児相の閉鎖体質も指摘されておりますので、先ほど来申し上げておりますような、国家資格化して専門の職員を配置する。今の制度上なかなかできないのであれば、世田谷の児相は先取りをして、そういった制度、そういった体制を組んでいく必要があるのかなということは指摘をさせていただきます。
また、時間がなかなかなくなってきているんですけれども、さきの法改正において、児童相談所では、一時保護など介入を強化していくということが示されました。法改正の中でも、介入対応をする職員と保護者支援、この支援をしていく職員とを分けて、介入機能を強化していくという方針が示されましたが、区の対応をお聞かせください。
◎澁田
児童相談所開設準備担当部長 区は、国の方針やこれまでの重篤な虐待事件の検証結果等を踏まえまして、児童福祉司の役割を、保護者の同意を得られない場合に、一時保護などの介入を行う担当者と、保護者の同意のもとで支援を行う担当者に分けることとしております。このように重篤度のレベルや必要な支援に合わせ、役割分担を明確にし、組織として効率的かつ効果的に支援に取り組んでまいります。
なお、このような体制のもとで、児童虐待を初めとする各種の相談ケースに当たってまいりますが、子どもの安全確保と同時に、子どもの権利擁護として、子ども自身の意見を尊重し、支援に当たる必要がございます。こうした観点から、一時保護等の介入を行う場合であっても、最善の家庭環境を目指すために、同意型の支援に移行できるよう、粘り強く保護者へのアプローチを行うなど、子どもの最善の利益の確保に全力を尽くしてまいります。
◆阿久津皇 委員 まさにこの介入をしっかりと強化していくことが、子どもの命を守ることに直結すると考えます。なかなか福祉の現場で育った、大学を卒業した方々とかは、そういった親の威圧的な態度に対して毅然と対応することが難しいということも指摘されておりますので、警察等なんかと連携して、しっかりと教育をして介入に当たっていただいて、子どもの命を守っていただきたいと要望して、質問を終わります。
○石川ナオミ 委員長 以上で自由民主党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午前十一時五十七分休憩
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午後零時五十分開議
○石川ナオミ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
公明党、どうぞ。
◆佐藤弘人 委員 それでは皆さん、こんにちは。午後、公明党の総括質疑を行います。
きょう十月一日、いよいよ消費税率が八%から一〇%に引き上げられましたし、幼児教育の無償化もスタートをいたしました。また、我が党が求めてきた世田谷区においての学校給食も、一部、世帯年収七百六十万円以下の皆さんのほうから無償化にということで、一定程度私たちの生活環境も大きく変わってきますけれども、そういった意味で、近年、災害のことについて、災害がいつ起こるかわからない、その発生した後に対して、私たちの生活環境も大きく激変をしてしまう、そうした事態が多発をしています。私のほうから、最初に防災についてお話ししていきたいと思います。
初めに、先ごろの台風十五号、十七号の発生に伴って、千葉県を中心にした関東、それから九州地方、大きな被害がもたらされました。特に停電、断水という、私たちの日常生活において最も不可欠なインフラが滞ってしまったということが非常に報道でも話題になりましたし、私どもにとっても大きな教訓にしていかなくてはいけないというふうに思っておりますが、二〇一一年にも当然、東日本大震災が起きて、そのときも含めて、やはり私たちの意識として、災害が起きたときは何とか整えなきゃいけない、備えていかなくてはいけない、そうした意識は一定程度高まるんですけれども、時間の経過に伴って少しずつ薄らいでしまう。そうしたことは現実的に起こり得ている状況でございます。
特に、地震、それから豪雨水害のみならず、最近は落雷とか、それから風害、そうしたことにおいて、まさか千葉県においても、この台風であれだけ多くのお宅の屋根が飛んでしまうということは誰も想定をしていなかったと思いますが、改めて私たちが住んでいる日本は、国土からすると世界全体のたった〇・二四%しかないんですけれども、世界全体で起こる地震のおよそ二割はこの日本、もしくは日本近海で起きていますし、全世界にある活火山が今千五百と言われていますけれども、そのうち百十は日本国内に存在していることを考えれば、やはり災害と災害のはざまで生きているという認識を改めて深く持たなくてはいけませんし、そのために、よく言われます事前防災をどの程度整えていくことができるのか、備えていくことができるのか。これは行政にとっても、また、私たちの自助の立場においても、しっかりと考えていかなくてはいけないというふうに思っております。
ここで質問ですけれども、今回、千葉県を含めて停電とか断水ということで、想定以上に復旧に時間がかかりました。世田谷区の上下水道は東京都の管轄なので、同じ行政団体としてさまざまな災害対策等の連携はとれていると思うんですが、電気、それからガス、これは今、民間事業者が担っている状況でございます。自由化になったということもありますけれども、当然電気に例えて言えば、発電はさまざま、PPS事業者も含めて自然再生エネルギーをもとにできたとしても、結局は発送電分離なので、送電事業自体はいまだに大手の事業者が担っている。そこで、電気とかガス、このインフラの現在における世田谷区での災害対策に伴う整備はどの程度進んでいるのか。この情報がなかなか共有されないというか、区民に対してもオープンではない。そういう声も幾つか聞かれますので、まずその状況をお聞かせいただければと思います。
◎工藤 危機管理室長 電気につきましては、東京電力によりますと、電気施設につきましては耐震設計基準に基づき設置されており、電力系統は、発電所から連系する放射状の送電線からの電力供給を首都圏の周囲に二重三重の環状で送電線を配置し、そこから網の目のようなネットワークを使い、電力供給を構成されております。送電線は変電所で接続変更ができるため、万が一、一つの送電ルートが使用できなくなっても、別のルートから速やかに送電することができるとされております。
また、ガスにつきましては、東京ガスによりますと、ガスの導管を高圧、中圧、低圧に区分し、それぞれの状態に応じた最適な材料と継ぎ手構造等を採用し、耐震性の向上に努めており、全ての地区単位でセンサーを設置し、揺れの大きさ、ガスの圧力、流量を常時モニタリングしているとのことです。
◆佐藤弘人 委員 当然防災協定等を結んで、災害がいざ起きたときには、さまざまな連携強化をするということなんでしょうけれども、なかなかそういったインフラの一部分についての情報共有というのが私たちには広く知られているわけではないので、非常に不安の声があることも事実でございます。
我が党としても従前から申し上げているように、今、世田谷区も、ほかの自治体、団体、企業、さまざまな形で災害協定を結んでいますよね。問題は、この災害協定が、いざ災害が起きたときに、どういう役割分担で、どういう連携、また指示系統のもとで、どういった復旧復興に携わっていくのか、その辺の具体化というか、その辺をしっかり見直すべきだというお話をさせていただきました。
結局、今は、何かクライシスマネジメントを確立せよみたいな、危機管理を高めていくべきだというお話もよく専門家の間では聞きますけれども、今回の千葉県の停電においても、聞くところによると、千葉県では発電機をかなりの台数ストックをしていたのに、結局、借りに来たのは警察と消防と千葉県内の二つの自治体のみで、半分以上は使われずにそのままとどまっていたみたいなこともあることを考えれば、もちろんこれは想定を超える場合もあるでしょうけれども、単一化した、パターン化した防災訓練ではなくて、ある程度あらゆる想定のもと、非常時の連携強化というのを、訓練を通して課題も整理しながら、改善すべきところは改善していく、そうした実のある災害協定になるべく近づけていく必要があると思いますけれども、その点についての取り組みはどう考えているか、教えていただけますか。
◎工藤 危機管理室長 災害時協力協定につきましては、現在、約三百を数え、避難行動要支援者の支援にかかわるもの、予備避難所などの施設提供、自治体や役務、サービス、物資の提供にかかわるものとなっております。これらは毎年、災対各部におきまして所掌する協定先と区相互の連絡先等の確認に加えまして、継続して検証、見直しを進めており、必要に応じて協定先と具体の運用などについて協議や実動的な訓練を実施しております。これらにつきましては、例年実施しております全庁挙げての災害対策運営訓練等で災対各部がシミュレーションを重ね、さきに述べました協定の連絡先の確認や検証、見直しとあわせまして、震災時職員行動マニュアルなど関係マニュアルに随時反映させることとしております。
想定を超えた場合の対応としましては、これらの具体化を通じて、今ある資源でいかに対応していくかも含め、今後、近年多発する実災害に即した実効性のあるものにするよう、災対各部とともに取り組んでまいります。
◆佐藤弘人 委員 具体的に言うと、やっぱりふだんやっていないことは、いざ災害が起きたときには、やっていることでさえできないのに、やっていないことは当然できないというふうに、もう断言してもいいと思うんですね。ですから、そういったことを考えると、今、例年訓練をしているというふうにおっしゃっていましたが、その訓練の中で、さっき言いました自治体、それから各団体、企業等との災害協定に基づいた訓練というのがしっかり反映されながら、反映された結果において効果検証をして、その都度改善するということに、具体的に災害協定が随時変わっていっているという認識でいいんですか。
◎工藤 危機管理室長 はい、そのとおりです。
◆佐藤弘人 委員 はい、そのとおりですと言われてもよくわからないんですけれども、もちろん想定を超えることは当然あるとしても、やはり想定できる範囲でそういったことを積み重ねていかないと、積み重ねがない限りは、我々も含めて、結局最終的には行政が何とかしてくれるというふうに私たちが依存をしてしまうことも、それはかなり重たいことでもありますから、ある意味では自助と共助と互助があった上で、そこに行政の公助をあわせて初めて災害が起きたときに必要最小限の被害に食いとめて、なるべく命を守る、それからまずはふだんどおりの生活に戻す、最終的には生活再建に基づいて歩みを進める。そういった手順を考えれば、やはりその災害協定の中身というのは非常に重要だと思っていますから、それはよく具体的に個別でやってくださいね、工藤室長。大丈夫ですか。大丈夫ですか。
◎工藤 危機管理室長 今、委員からお話しあったように、先ほど答弁させてもらいましたけれども、各災対でそれぞれ協定をしっかり締結しています。さっき申したとおり、部分的に訓練すべきもの、また見直しということで、年一回ではございますが、春先に必ず顔の見える関係ということで、協定先の番号とか担当を確認していただく。また、夏場に向けては、それに向かってどういったことができるんだということで、そういった意味では我々危機管理室のほうも、いろんな仕掛けというか、そういう工夫も重ねてまいりたいと思います。
◆佐藤弘人 委員 各所管がというのではなくて、災対が、しっかりインセンティブをとってやってくださいね。
あともう一つは、やはり電気ですね。私たちの日常生活は、改めてこの電気に依存度がかなり高いと。電気がないと生活ができないという事態が発生をしていますけれども、これもうちの党として再三申し上げてきましたけれども、やはり発電のみならず、蓄電という概念をしっかり取り入れていかないと、幾ら発電されても、それを送る送電がやられてしまったら、電気を使うことはできません。基本的には自己発電、自己消費ということに振り向いていかないといけないと思いますけれども、まず改めて公共施設、災害が起きたときに非常に重要な拠点となるこの公共施設における蓄電池の配備についての現況はどうなっていますか。
◎工藤 危機管理室長 世田谷区地域防災計画におけます首都直下地震の被害想定につきましては、停電率が一九・四%とされております。また、近年の台風の中で都市部に大きな被害をもたらしました昨年の台風第二十一号における大阪府におけます被害状況を確認しますと、停電が最大で九十七万件に達しており、発災後三日目には九五%、五日目には九九%が復電しております。しかしながら、直近の台風第十五号によりますと、千葉県の大規模停電を踏まえた中で検証が必要であることから、現在、区長の指示のもと、大規模停電に対する備えとしまして、学校施設などの非常電源の配備について点検を進めております。具体的には、特に避難所につきましては一定の電源確保をしておりますが、他自治体で導入しております避難所の電源に電気自動車の蓄電を活用する事例などを参考にしまして、新たな電源確保を検討してまいります。
◆佐藤弘人 委員 もちろん発電機なんかも必要なんでしょうけれども、発電機は御存じのように燃料がないと動かないので、やはりしっかり蓄電池というのを配備しておくということが非常に重要だと思いますし、あとは、以前も提案させていただきましたが、一般家庭用の蓄電池、いまだ一キロワットアワー大体九万円ぐらいなんですかね、市場価格でいうと。一般家庭四人御家族で一日使う電気量が十五キロワットと言われているので、そう考えると、かなりコスト的には高額ではあるんですが、ただ、国も力を入れていて、このコストについては開発も含めて市場を拡大するということで、二〇二〇年度、来年度、市場規模は一千億円ぐらいという見通しも立てながら、コストを落としながら、しっかりと一般家庭においても普及啓発を進めるということでございます。
以前、環境配慮型リノベーション補助制度の中に、環境配慮と別枠で、災害配備型のそうした基金についても、これを今すぐというのはなかなか大変だと思いますが、市場価格の動向を見据えながら、しっかり助成制度に基づいて、できれば発電と蓄電がセットであればいいんでしょうけれども、ただ、既に発電の設備を入れておられて、これまでFIT制度を活用して売電されている御家庭も幾つかあると思います。FIT制度が随時終了して、今度、売電というのがなくなってきますので、そう考えると、自己発電のところに自己蓄電、いわゆる自己消費のための蓄電という設備が一般家庭にも普及していく、ある程度そういった制度を考えていかなくてはいけないというふうに思っております。
結局、九十二万人になろうとしているこの世田谷区で災害が起きたときには、当然避難所に全員が入ることはできませんし、また、いつ何どき、どのタイミングで起こるかもわかりませんので、やはり自治を高めるというその一つの方法として、一般家庭用の蓄電池の助成制度というのをしっかり検討して、実現に向けて取り組んでいただきたいと思いますが、この点はいかがでしょうか。
◎本橋 環境政策部長 家庭用蓄電池につきましては、経済産業省資源エネルギー庁では、家庭用蓄電池の二〇二〇年度の価格目標をキロワットアワー当たり九万円以下としております。また、国の補助金制度は、原則、補助対象設備の設備費が二〇一九年度の目標価格以下の設備のみ補助対象としております。現在、各メーカーでは、これを受けまして、国の価格目標に近づけるための価格抑制や機器の小型化など、製品開発に取り組んでおりますが、太陽光発電システムを含め蓄電池はまだ高額で、製品保証期間など、補助に当たってはさまざまな課題がございます。
しかしながら、このたびの台風十五号に伴う千葉県の大規模停電のように、災害時や停電時の非常用電源としての活用や、区内の温室効果ガス排出量の削減を進める上で、特に卒FITを迎えるこの時期からの蓄電池の設置促進に取り組むことは重要であると認識しております。今後、蓄電池の補助を含めた設置促進策につきまして、関係所管と協議検討してまいります。
◆佐藤弘人 委員 今、本橋さんが答弁されたように、蓄電池もまだまだ高額といえ、アメリカのメーカーのテスラだと一番安いので百七万円ぐらいですかね。あとは、スーツケース型でキャスターがついていてそのまま運べる、そういった蓄電池もあるということで、品川区は、全公共施設にこの蓄電池を今回配備をしたというふうに言っていますから、もちろん公共施設の配備とあわせて一般家庭の普及もぜひしっかりと取り組んでいただきたいということを要望して、次の質問に移りたいと思いますけれども、区内産業への投資ということですね。
旧産業政策部、現経済産業部ですか。私が議員になって、今、五期目。議員生活の中で一番産業政策に落胆していると言っても過言ではない。それぐらい期待をしていた反面、なかなか区の独自の産業政策が遅々として進んでいないという実感を私は持っております。ただ、近年、東京二〇二〇大会も含めて、今、ラグビーもワールドカップをやっていますけれども、訪日外国人の増加に伴って、どうすれば自分たちの地元の自治体、地域が活性化するのかということに非常に重きを置いているほかの自治体が大変多く、それこそもう真剣に取り組んでおります。ただ、そうはいっても、この世田谷区で、一体産業政策の一番の実績は何なのかということを思っても、私ははっきり言って思い浮かびません。プレミアム付区内共通商品券はずっとやっていますけれどもね。
やはりこれは国がとか東京都がということではなくて、世田谷区として区内の産業を、工業、農業、商業、それから建設・土木業、この四つをどういうふうに底上げをしていくのか。もちろん経営者だったり、その事業の手法だったり、そういった責任は従業者にもある一方で、そこを下支えすることが、私は行政の産業政策の重要な意義だと思っているんですね。
よく経済成長イコールGDP、GDPと言いますけれども、一つの数値が経済成長をあらわす、GDPという数値でよく評価をされます。GDPというと基本的には生産ということになるんですけれども、この生産力を高めていけるかどうかが、産業の活性化の肝ではないかなというふうに思います。例えば私が保坂区長に一回の講演を百万円でお願いするということをしたときに、保坂区長は、その講演会で自分のテーマに基づいて講演をするというサービスを生産しますね。私が百万円という支出を払う。保坂区長はその百万円という所得を得る。だから、GDPの数値は生産なんですけれども、そこにやっぱりイコール所得ということが、私はつながってくると思っているので、そこでいかに生産に投資をしていくかというのが非常に重要だと思っているんですけれども、改めて聞きますけれども、さっき言った四つの分野、区内産業、具体的にこれからどういう成長戦略を考えているのか教えてもらえますか。
◎田中 経済産業部長 世田谷区での経済産業の戦略という御質問ですけれども、世田谷区の産業特性としては、大手事業者が少ないということ。ただ、一方で、日々の生活を支える卸売・小売、それから飲食、理容・美容、クリーニングなど生活関連サービス業、そういったものがございます。そういったものが区内事業所全体の約半分を占めております。近年では情報通信事業者が本社移転してきたということで、そういった事業がふえているということ。それから、介護・医療・福祉関連の事業所も増加しているということで、事業所そのものの数でいいますと、経済センサスの調査を見ますと、平成二十四年と二十八年を比較して、平成二十八年で大体全部で二万七千ぐらいの事業所があるんですけれども、二千五百ぐらい増加しているということで、事業所の数で言えばふえておりますので、そういった部分で区内産業が活性化しているのではないかというふうには捉えております。
ただ、当然、各産業別、事業別に課題がございます。卸売・小売業は数が増加していますけれども、卸売業については事業所数が減っているということ。ただ、無店舗小売業というようなものがふえていますので、恐らくインターネットによる販売みたいなものがふえているのじゃないかということですね。
それから、宿泊、飲食、医療、福祉、これらが大幅にふえていますけれども、特に福祉、介護が増加しております。この間、介護保険のサービスを提供するため、それから保育待機児解消のためということで、区内にいろんな形でつくってきたためにふえておりますけれども、一方では人材が不足しているという状況があります。
製造業においても、こちらは経済センサスで見ると、事業所数、従業者数がともに減少しています。準工業地域の土地利用現況調査での状況を見ましても、調査ごとに減っているということで、住宅地で実際に工場をやることの難しさというのはあるというふうに捉えています。
建設業、こちらは事業所数はふえていますけれども、事業者さんにお話をお聞きしますと、当然受注の波があること、仕事の単価の面、それから従業員の高齢化といった部分、人材確保がなかなか難しくなってきて、事業の継続が難しいと。
農業についても、農地面積はずっと減少しています。相続問題もあって、とめるということはなかなか難しいんですけれども、そういったスピードを遅くしていかなきゃいけないと、各それぞれ課題があるわけです。
二年前に産業ビジョンというのを新たにし、それに基づいて課題解決に向けて進んでいるところです。新たな取り組みということで、例えば世田谷区における昼夜間人口の比率も九〇%から九五%に上がっているということもあって、日中、区内で過ごす方もふえているというふうなこともあります。そういったふえているという要素をうまく使いながら、事業所数としても二万七千という数があります。金融機関、大学等いろんな資源がございますので、そういった資源を組み合わせて、プラットフォームという形で、いろんな起業や創業、これからシニアの方々も地域貢献していきたいという思いが多くございますので、そういった方々が極力産業面で区内で活躍できるようにといったことをやりながら、世田谷の産業の活性化というのをやっていきたいと考えております。
◆佐藤弘人 委員 分析はいいんですけれども、だから、やってもらいたいんですよね。何をどうやるのかがよくわからないんですよ。例えば、今、社会問題になっている事業承継だって、二〇一八年に事業承継税制が改正されているのに、そうした契機を利用してさらに支援策をするというわけでもないし、それから都市農業についても、法改正があったにもかかわらず、相変わらず減少に歯どめはかかりません。それから、準工業地域も希少であるにもかかわらず、相変わらず住宅との混在でなかなか事業が継続できないという声も聞きますし、私たちがもう口酸っぱく言っている国際交流も、それから観光も、相変わらずまちなかから抜け出すことができない。一体どこにどういう具体的な案で力を注いで、そこの底上げ、下支えをするのかというのがよくわからないです。
今、部長がお話しになった産業も含めた人材不足、これはサービス業が最も多いとされておりますし、次いで介護事業所で、そこに対する職業訓練だとか人材育成だとか、そうした具体的な策が講じられないまま、ずうっとこのまま来ています。このまま産業が枯渇してしまったら、農地がなくなれば食べる食料がなくなってきます。いざ災害が起きたときに、復旧復興に携わってもらうような中小・小規模事業者の方がいなくなってしまう。道路に穴があいたといっても直す事業者がいない、公共事業も担ってもらえなくなる。だから、もう少し真剣に、世田谷区の経済産業の活性化というところを考えていただきたい。その決意が余り見られないです。もう一度そこを答弁していただけますか。
◎田中 経済産業部長 人口も百万人に近づいているという状況で、昼夜間人口もふえているということ。それから、委員御指摘のとおり、いろんな今までやってこられた方が、なかなか事業が難しくなっているといったような状況がございます。そういった部分で、おのおの産業ビジョンに基づいて事業を展開していくわけですけれども、まずは国や都でもいろんな施策をやっています。それから、例えば都市農業についても、新しく法律ができて、それをうまく施行させていくというようなことがございます。まずは、区内でさまざまな事業をやっている方が、世田谷区、それから産業振興公社に気軽に相談していただけるようにと。そういった方々の声をきちんと聞きながら、世田谷区の地域経済産業というのがどういうものであるのかというのをしっかりと考えて、今後、産業振興基本条例の見直しなんかもしていきますので、そういった中で位置づけていきたいというふうに考えております。
◆佐藤弘人 委員 世田谷区は人口がふえていますけれども、日本全体は人口減少している。だから経済成長しないなんていうことはあり得なくて、日本の人口減少率は世界でいえば第二十二位です。減少率〇・八五で、トップはプエルトリコというところで、一〇・三%もある。でも、人口減少は日本よりも高くてもしっかりと経済成長していますし、この日本の市場においても、確かに生産年齢人口は減っていますけれども、労働力人口は二〇一三年から増加しているんです。ですから世田谷区の特性を踏まえて、具体的な経済の成長戦略というのをぜひ真剣に考えていただきたいということを要望して、高橋副議長にかわります。
◆高橋昭彦 委員 それでは、総括質疑を続けますけれども、私のほうから、我が党がずっと取り組んで、何度も何度もやってきたんですけれども、なかなか進みの悪い二つのことをきょうは質疑をして、前に進めたいと思っています。
一つは認知症の条例について。
私たちは神戸市に行って、認知症の条例をそこで学んで、神戸市の認知症に対する施策が非常に進んでいるということを実感しながら、いろんなことを言ってきました。そして、世田谷区もさまざまな認知症への施策を進めているけれども、しっかり条例化して、しっかり計画目標を立てながら進めていくというような条例をしっかり整備すべきだと。特に来年四月からは、認知症在宅生活サポートセンターが開設をするんだから、そこへ向けてしっかり条例がスタートできるように準備すべきなんだということをずっと言ってきましたけれども、この間の我が党の代表質問の答弁では、まだ検討しますみたいなね。何とまあ、ゆっくりしているなという感じなんですけれども、このスケジュールはどういうふうに進めていくのか、明確に答弁してもらえますか。
◎長岡 高齢福祉部長 現在、区では、認知症施策をさらに推進するため、よりどころとなる(仮称)世田谷区認知症施策推進条例の制定に向けまして、学識経験者、専門医等から成る検討委員会及び認知症当事者や御家族を含む区民の方や事業者等に御参加いただくワークショップ等で意見を伺いながら、検討を進めているところでございます。区といたしましては、今後も認知症当事者や御家族の声をしっかりお聞きし、検討委員会等で検討しながら丁寧な議論を重ね、できるだけ早い時期にスケジュールをお示しできるよう努めてまいります。
◆高橋昭彦 委員 全然具体的なスケジュールにならないんですね。何がひっかかっているんでしょうかね。やる気があるのかという感じがしますけれども。認知症、区長も招集挨拶でも、もう本当に世田谷区自身がこの認知症とどう立ち向かうのかということを真剣に進めようという気があるのかどうか、きょうは本当にそこのところを聞きたいと思っているんですよ。
ヨーロッパでは非常に認知症施策が進んでいますよね。これは議会でも言ったことがあると思うんだけれども、特にヨーロッパの認知症の国家戦略というのは相当きちっと、高齢社会においてどうやってこれを乗り越えるかということを国が本気で考えているということが、今回調べると本当によく進んでいる。日本は非常にまだまだおくれているなという感じがするんだけれども、例えばイギリスでは、一九九五年に介護者支援法という法律をつくっている。そして二〇〇五年には認知症の意思決定能力法という法律をつくって、二〇〇九年には認知症国家戦略。本当にこの認知症と闘わなきゃいけないという意思を持っている。
この認知症の人の意思決定能力法、この法律は五原則というものが示されているんだけれども、簡潔に言うとこの五原則は、本人にかわって意思決定を行う全ての他者に対して、独断的または客観的価値判断の押しつけを避けて、みずからの行為を慎重に見直すことができる法律なんですよということなんですね。また、意思決定能力を喪失した場合に備えて、全ての人がみずからライフプランニング、事前の指示をつくっておくことを社会の基軸として明確に打ち出しましたというね。
こういうような状況のものというのは、日本ではACPと言って、アドバンス・ケア・プランニングと言われるんだけれども、この考え方が日本では、いわゆる終末期に対して延命治療はどうするのかみたいな話になってきちゃうんだけれども、この認知症においては、終末期はどうするのかというよりも、これから先どうするのか、どう生きるのか、どう生きたいのかということをプランニングしておくことが大事なんだという法律になっているんですね。それを地域においても国においてもしっかりバックアップしていきましょう、国民と行政がしっかりそのプランニングを応援していきましょうというコ・プロダクションという仕組みをつくっているわけだけれども、この欧州では、認知症の人の意思決定支援法と手続の準備、こういう法律をつくったのがもう二十六カ国に及んでいると。やっぱりしっかり整備していますよ。そして、認知症というものを本当にみずからのものというふうに実感をしてやっているというのがヨーロッパ。
じゃ、世田谷区の認知症条例について、ちょっとこれを用いたいとは思うんだけれども、国でも今、基本法を検討しているけれども、世田谷区でやる条例ですから、重点は地域づくり、まちづくりだと僕は思うのね。認知症は誰もがなるんだという、やっぱりそこからスタートしなきゃいけない。当事者と当事者じゃない人というふうに分けていたら、いつまでたっても僕は進まないと思う。誰もがなる当事者なんだというふうに、認知症と診断される一部の人が当事者ではなくて、誰もが自分が当事者であるという意識を持つような状況をつくるのが、僕はこの区の条例なんじゃないかなというふうに思っているんです。それが地域づくりなんじゃないかなと。
誰もがなるんですよ。理事者でいらっしゃるこの皆さんも、認知症にはなるんだというふうに決めて施策をつくるということだと僕は思いますよ。どんな生活をしたいのか、どんな希望を持っているのか。例えば六十五歳になったときに、認知症になるとは全く考えていない人も含めて全員が考えて書き残していくんだというような、そういった私の希望というものをみずから事前に、ライフプランニングを考えるというような運動が、僕は非常に大事なんだろうと思うんです。地域でのその希望をかなえるまちづくりをみんなで応援していこう、そういったことを地区で運動を起こしていくんだというようなことが大事なんだろうと、僕は自治体としてはそうなんだろうと思うんです。
皆さん、考えてください。私がこれから認知症になったら、この後どうやって生きたいかということを。それを例えば書いてみてください。それをみんなで応援しましょうということができるようなものというのが大事なんだろうと僕は思うんです。区の見解を求めます。
◎長岡 高齢福祉部長 御指摘のとおり、認知症は誰もがなり得るものであるというふうに考えておりますので、認知症対策につきましては、大変喫緊の課題であるという認識を持っております。また、誰もが判断能力があるうちに、希望や願いを身近な方に伝えておくことも大切なことであるという認識を持っております。
区では、あんしんすこやかセンター等で配付している認知症ケアパスの中で、私の覚書のページを設け、私の思い、願い等について書いて、家族や親しい人に伝えることができるよう取り組んでおるところです。この認知症ケアパスにつきましては、区のホームページ等で普及啓発に努めているところでございます。
条例の検討においては、認知症当事者が希望を持ち、安心して自分らしく暮らすことができるよう、認知症当事者の尊厳を守るという視点を最大限重視しながら、委員お話しの、これから先どうしたいのか、どう生きたいのかというみずから望む事前のライフプランニングの作成と権利擁護に関する課題についても検討してまいりたいと考えております。
◆高橋昭彦 委員 今言われたケアパスって、これね。これを見ると、自分の名前を書いて、どんな薬を飲んでいるかとか、延命治療についてとか、現在の心境や不安なことを書いてくださいとか、認知症の人に対して渡したりしても、認知症になってしまうことは悪いことなのかなという状況があるのね。こういう後ろ向きな状況ではなくて、前向きに攻め込んでいくような状況をつくっていかなきゃいけないと僕は思うんですよ。
認知症条例というのは、区民全体を巻き込んだ、やはり認知症に対する理解と、そのためにその人を応援していこうというようなものになっていかなきゃいけないというふうに思いますよ。どういうものにつくるのが世田谷らしい認知症条例か、区長、考えはありますか。
◎保坂 区長 高橋委員がおっしゃっている、認知症は誰もがなり得る。もちろんならない方も中にはいますが。我々、私も含めてやはり間違いだったのは、以前、痴呆症という言い方がありました。また、認知症になったら、もうある種、子どもに返るんだからというような言い方。また、それがちょっと行き過ぎると人格を認めないということで、やはり御本人が大変怒り出す。それは、やはりその軽蔑に対して怒っているわけであって、認知症の専門医の方が認知症になられて振り返っておられるのは、やっぱり当事者じゃなくて分析していた立場、自分が認知症になってみると、切りかわって一〇〇%組みかわるんじゃなくて、まだらに変わっていく。そしてまた、時間帯によっても違うんだと。朝は比較的クリアで、昼過ぎからちょっとぼやっとした時間が訪れるとか、御本人のお話としては、専門医の方ですから、非常に重要だと思います。
世田谷で認知症条例をつくるに当たっては、これまでも先進的な取り組みもしてきたと思いますし、ましてや在宅生活サポートセンターというものを全区的に立ち上げるんだというところまで来ましたので、少なくとも認知症当事者が堂々と、差別や排斥を受けずに、また、残存している多くの能力を発揮できる。したがって、認知症の時期に入ったとしても地域の中で生きていけるという人間宣言というか、そういう理念をしっかり打ち込んで、そこにサポートセンターやあんしんすこやかセンター、地域包括ケアの体制も組み込んで、認知症に対する偏見、差別が今も残っていると思いますから、それを一新するような意欲的なものにしていきたいと思っております。
白書に追加して、直近の世田谷区における中小企業の景況というところで、せたがやエコノミックスで景況動向を調査しております。本年四月から六月の景気動向指数は悪化しているということで、特に業種別では卸売・小売・製造業、こういったところは厳しい状況にあるという状況を踏まえております。
区としては、白書作成後も経済指標の動向と、それから区内中小企業者や金融機関などと意見交換を行って、区民や区内事業者の実態の把握というのを努めていきたいというふうに考えております。
◆羽田圭二 委員 状況としては、余り好転しているわけではないということは言えるんだと思うんですよね。それだけにきめ細やかな対応が必要だということにはなっているんだと思うんです。
この白書の中でも、実は開業率だとか、廃業率の分析はなされていますよね。それによると、要するに先ほどもちょっと説明されていましたけれども、不動産業だとか、物品賃貸業だとか、製造業、それから卸売業と小売業の廃業件数が多いというふうには分析されていて、逆に教育だとか学習支援、医療、福祉等の開業率が高いというふうに言われていて、そういう産業については、そういう事業については、営業が維持をされているという分析もされているんですよね。だから、どういうこの分析をして、そして今後の対応として何が必要なのかということは、こういうところからも考えられるんではないかと思いますが、さらに商店街の出店だとか、閉店の状況から見ますと、その結果として区民生活にさまざま影響を与えているというのも、この間言われてきたかと思います。そういう分析はいかがなのでしょうか。
◎田中 経済産業部長 お話しの開・廃業の傾向が区民生活に与える影響としましては、商店街を実際見てみますと、物販系小売店、こういったものが減少して、その後にサービス系、それとか飲食が入るといったような傾向に見られています。例えば小売店が減少することで買い物が不便な地区が生じてくること、そういったことが考えられますが、白書ではここまでの分析というのは行っておりません。こういった区内の経済状況、それから事業者の開・廃業の動向が区民生活にどのような影響を及ぼしているのかというのを分析するには、さらにもう一段階の調査研究が必要ではないかというふうに捉えております。
また、今月から消費税が上がりましたが、消費増税後の小売業などへの影響、こういったものを把握しながら、ちょっと次なる展開を考えていきたいと思っております。
◆羽田圭二 委員 要するに、何のために白書をつくったのかというのがよくわからないんですけれども、要するにもう一つあるんです。区内の雇用、労働についてもしっかり分析しろというふうに我々はこの間、この白書をつくる際に言ってきたんですが、残念ながらこの十分な分析はされていないというふうに私は思うんですよね。
白書では、区内の雇用状況は回復の兆しだというふうに分析していますけれども、雇用形態については分析がなされていないと。つまり、正規雇用とか非正規雇用の割合とか、そういうことについてはつかまれていないんですが、区民あるいは区内に働く人たちの雇用形態や労働実態の分析、ここは難しいかもしれませんが、その分析なしに雇用対策や産業政策を打ち出すことができるのか、この点は疑問なんですが、いかがですか。
もうちょっと早くしゃべってもらえますかね。申しわけないですけれども、時間がありませんので。
◎田中 経済産業部長 御指摘の部分での区内の数字というのは持っていませんが、国勢調査、それから労働力調査等で、非正規の割合ですとか、非正規の方の労働者についてというのを実態の把握はしているところです。ただ、御指摘のとおりの部分がございますので、区内の雇用労働状況を注視しながら、非正規の労働者を企業内で正社員化した場合のキャリアアップ助成金の活用ですとか、それから希望する区民の方、こういった方が正社員での就労ができるような寄り添った支援、こういったことをやっていきたいと、それを強化していきたいと考えております。
◆羽田圭二 委員 ぜひそれはお願いしたいと思います。
それで、分析が弱い、弱い、なっていないという話をしてもしようがないんで、もう一つ、この分析は大したもんだというふうに私は思ったのが、子ども生活実態調査のほうなんです。これは区がやったんではなくて、外にお願いをしたということもあるからかもしれませんが、この中でつかまれたこと、これは区長の冒頭の招集挨拶でもありましたけれども、困窮世帯において、生活費の切り詰めだとか、食品購入の断念といいますか、そういう実態が明らかになったわけです。
区のこれからの政策において、先ほどの経済産業白書、不十分な点は今後分析を強めるということなんですが、それとあわせて子ども生活実態調査をつなげて議論していくということが、今後の区の政策をつくる上で必要なんではないかというふうに思っていますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
◎田中 経済産業部長 子どもの生活実態調査で、例えば小学五年生、中学二年生の御家庭で経済的理由による生活困難を抱えているようなのも一割ぐらいいらっしゃるということ、それからそういったものを分析すると、親が非正規雇用だったりすることという困窮が見えてきています。現在策定中の子ども貧困対策計画で保護者の就労に関する支援について検討しているところで、こういったことを踏まえた上で、両方の調査をうまく合わせて雇用労働施策の次なる展開につなげてまいりたいと考えています。
◆羽田圭二 委員 ぜひよろしくお願いします。
次に、パワハラ・セクハラ問題なんですが、ことしの五月の国会で、労働施策総合推進法の改正案が可決成立いたしまして、パワハラを防ぐための防止策を企業に義務づけるという内容が決まっています。ただ、詳細についてはまだこれからだということなんですが、その一つに、パワハラと業務上の指導の範囲という、その線引きは難しいということが言われていまして、そこに基づいて、さらに厚生労働省はどこからどこまでがパワハラなのかということをしっかり方針に打ち出していくということを言っています。世田谷区のその基本方針もあるんですが、それを変えるつもりがあるのかどうかということと、あわせて、業務上の指導の範囲という判断が現場で下されていないか、この点について、ここでは省略をしてお聞きします。時間がありませんので。
◎田中 総務部長 区では、平成十年に職場におけるセクシュアルハラスメントに関する基本方針を、平成二十八年に職場におけるパワーハラスメントに関する基本方針をそれぞれ策定し、ハラスメントの防止に努めているところでございます。
ことし五月の女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の改正により、初めてパワハラ対策が法制定されたことになりました。また、国は、今、委員もおっしゃったように、法に基づき、職場におけるパワーハラスメントに関しての雇用管理上講ずべき措置等に関する指針を年内に策定するとしており、先日、その骨子案が示されたところでございます。
区は、国の指針に基づき基本方針を改定し、これまで項目になかった妊娠、出産、育児休業、介護休暇等に関するハラスメントやモラルハラスメント、性的指向や性自認に関するソジハラスメントなども盛り込んだ包括的な基本方針とする予定でございます。
国の指針は年内に公表される予定と伺っておりますが、区としても、全ての職員が働きやすく、その持てる力を発揮できる職場環境づくりに向けて取り組んでまいります。
また、職場においてパワハラをどういうふうに認識しているかというような御質問もございましたけれども、課長がパワハラを容認するようなことはあってはならないと認識をしておりますが、業務上必要な範囲を超えないという前提のもと、どこまでが指導でどこまでがハラスメントになってしまうのかということを判断に迷うことも考えられます。区では、相談体制を整備しておりますので、係長職員を初め、管理監督者においてもこうした相談事業の活用を促し、適切な職員の指導、育成に役立ててもらうとともに、管理監督者向けのハラスメント防止研修の充実などに取り組んでまいりたいと考えております。
◆羽田圭二 委員 その業務上の指導の範囲か、パワハラかという、そこの判断の分かれるところなんですが、ここが非常に問題になっているわけですよね。現場が現場の中でそれを勝手に判断するようなことがあってはならないということを重ねて申し上げておきたいと思います。
区の相談体制では、毎年十件以上のハラスメント相談が寄せられていますけれども、防止対策としての研修や相談体制も必要なんですが、そもそも職場のハラスメントがなぜ発生しているのか、現在の仕事量だとか責任度、それから働き方の分析、こういうことも必要なんではないかと思っておりますが、この点はいかがですか。
◎田中 総務部長 ハラスメント行為は、職員個人の尊厳を傷つけ、心身の健康を害するのみならず、職場環境の悪化を招く重大な問題であるにもかかわらず、自分には関係がない、自分は加害者にならないと思ってしまいがちであり、その意識がパワハラ、セクハラがなくならない原因の一つと考えられます。
厚生労働省によると、一般的にハラスメントがある職場の特徴として、職場内のコミュニケーションが少ないこと、上司と部下だけでなく、立場の違う職員が一緒に働いていることや、残業が多い、休みがとりづらい、失敗への許容度が低いなどの環境が挙げられております。区の研修では、何がパワハラに当たるのか、具体的に例を挙げてセルフチェックを行ったり、パワハラと指導の違いをグループで意見交換するなど、ハラスメントを自分のこととして考えられるような取り組みを行っております。
全ての職員がお互いに尊重し合える安全で快適な職場環境づくりに向け、研修などを通して、ハラスメントに対する知識や対応能力を向上させ、ハラスメントを発生させない、許さない職場環境づくりにさらに取り組んでまいります。
◆羽田圭二 委員 ハラスメントのこの相談件数は、現状では伸びているとか、非常に多いとかいう状況ではないかと思います。ただ、なかなかそこに行き着かない、相談までに行き着いていない方も多くいらっしゃるということも一方であるかと思います。この点も踏まえて、ぜひ対応を今後もしていただきたいと思います。
次に、子どもの安全安心ということで、最後の質問に入ります。
来年の二〇二〇オリンピック・パラリンピック、この中では、児童生徒の競技観戦という計画があって、そのことについては既に報告がなされているかと思います。東京都の教育委員会は、ことしの五月に計画案を明らかにし、各学校がその検討に入るよう求めてきたかと思います。既に九月の中旬あたりでその検討内容を報告されたということも一方で聞いているんですが、五歳以上、中学生までの園児、児童生徒のオリパラ観戦、これを実施するという内容かと思います。
一九六四年の東京オリンピック・パラリンピックなんですが、このときは私は小学校四年生だったんですが、全教室にテレビが設置をされて、日本選手が出場する放送時間に合わせてスイッチを入れるということがやられていまして、テレビで観戦をしたということで、今回は競技場まで行けるということなので、子どもたちにとっても非常に期待の持てる内容になっているかと思います。
問題は、競技等の観戦が当然七月から九月まで、ことしのような酷暑の時期に実施されるわけで、子どもたちの会場への移動だとか休憩場所の確保だとか、子どもたちの命と安全をどう守るのか、この点が問われているのだと思いますが、この点についてまずお答えください。
◎池田 教育政策部長 東京二〇二〇大会において、区立小中学校及び幼稚園の全ての子どもたちが、オリンピックまたはパラリンピックの競技を観戦することが計画されております。この観戦が予定されている時期は、熱中症ですとか、台風の接近なども懸念されており、競技の観戦に際しては、子どもたちの安全を第一に考えていかなければならないと考えております。
また、多くの競技観戦者が会場に向かう中、子どもたちの会場への往復における安全確保についても十分に留意する必要があると考えております。
今後、東京都などの協力も得ながら、会場や会場周辺、移動ルートなどの安全確保に継続的に取り組むとともに、天候などにより子どもたちの安全確保が懸念される場合の観戦中止の判断基準の整備や引率者の確保など、園長・校長会とも連携しながら、子どもたちが安全に競技観戦ができるよう取り組んでまいります。
また、この時期、会場周辺を中心に交通規制が行われ、また内外から多くの来訪者が訪れてくることにより、バスを確保することも難しくなることが予想されており、東京都教育委員会からは、競技会場への移動は鉄道等の公共交通機関の利用を基本とするよう通知を受けているところです。
教育委員会といたしましては、子どもたちの安全を第一に考え、東京都教育委員会に対して、子どもたちの移動や観戦における安全面での配慮等について継続して要望してまいります。
◆羽田圭二 委員 全部、質問していないことも答えてしまったかな。余りにも急いでいたもので。
まだ時間があるので、少し言っておきますけれども、会場への移動は、今言われていたんですけれども、原則として公共交通機関を使えというふうに言われているんですよね。電車とか、そういう公共交通機関を使えと。要するに通常のバス移動ができないということが言われているかと思います。そういう点では、会場周辺が、今、言っていましたけれども、非常に混雑が予想されるわけですから、その点についても留意しろと。
それとあと、引率者の数なんですよね。これは泊まりの引率者はクラスで二名だとか言われていまして、その二名は確保するとかいうお話がありますけれども、しかし、大変な暑さの中で移動、しかもバス移動はできないという困難さがあるわけですから、その引率者の数も当然増員が必要だろうという判断が現場からは出てくるんではないかと思います。
それから、今言われましたけれども、中止の判断ですよね。これは、今はプール指導だとかいうことでよくお子さんが、きょうはプールはありませんでしたみたいな話を聞くことはありますけれども、その中止判断の基準だとか、それをしっかり教育委員会として行うべきだということを重ねて申し上げておきたいと思います。この点はいかがですか、もう一度確認をしておきます。
◎池田 教育政策部長 中止の判断基準につきましても、校長会と相談しながら検討してまいります。
◆羽田圭二 委員 世田谷立憲民主党社民党区議団の質疑を終わります。
○石川ナオミ 委員長 以上で世田谷立憲民主党社民党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後二時五十分休憩
──────────────────
午後三時二十分開議
○石川ナオミ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
無所属・世田谷行革一一〇番・維新、どうぞ。
◆桃野芳文 委員 まずきょうは、世田谷区の区史、「世田谷 往古来今」、これについて聞いてまいります。所管をまたいでの質問をきょうはしたいと思っていまして、総括質疑ということで取り上げさせていただきます。
まず、この「往古来今」なんですけれども、平成二十九年十月八日、部数三千部でつくられているものでして、区制八十五周年記念式典、区の区政功労者の皆さんに約千三百部配付されていたり、庁内関係部署に配付されていたりと。私もこれを一つ持っていますけれども、区議会のほうにも配付されております。あと一部販売をされていたりというものでございます。これについて聞いてまいります。
やっぱり歴史というものはお好きな方がいらっしゃって、中には非常にマニアックな、結構細かいところまでごらんになられる方がいらっしゃるようで、一部インターネット上で話題になっているような記述を見つけました。それは、これは非常に間違いが多いと、間違いだらけだということでネット上で書き込んでいらっしゃる方がいたんです。私もどういうことなのかなと思って調べましたら、世田谷区のホームページに実は正誤表が出ていたんです。当然、トップページに出ているわけじゃありませんから、探して、探してやっとたどり着くところに、この「往古来今」でこれだけ間違いがありましたという正誤表が出ていました。
私も数えるのが随分大変だったんで、担当の所管にこれは何カ所間違えているんですかと聞いたら、八十カ所間違えていますと。ということで報告がありまして、八十五周年の区史ですからね。ある意味、世田谷区の顔になるような刊行物なわけですけれども、まず、なぜこんなずさんなものができてしまったのか、区の現在の認識をお答えください。
◎中村 政策経営部長 初めに、世田谷区史であります「往古来今」の初版本に八十カ所という誤りがあったことについては、担当部長としておわびを申し上げます。大変申しわけありませんでした。
その上で、この「往古来今」の誤りの経過、原因について御説明させていただきます。この「往古来今」の編集に当たっては、記念誌編集の専門部会というのを設けまして、四部会で、延べ十八名の学識経験者や区の学芸員により、平成二十八年十一月から編さんを進めてきましたが、それで二十九年の十月に発行したわけですけれども、誤りが多かった要因として考えていますのは、当初、執筆者による最終原稿締め切りを二十九年の七月末と設定していましたが、執筆者によっては原稿の仕上がりがおくれたこともあり、委員の執筆した原稿を関連する分野を担当する執筆者に送付して確認を依頼したり、事務局による校正は行ったものの、それらの期間を十分に確保できなかったこと、事務局においてスケジュール管理が行き届かなかったということにあると考えております。
◆桃野芳文 委員 まず、そのスケジュールですけれども、今二十八年十一月に準備が始まったというようなことでしたけれども、もう少し細かく調べていくと、出版する、本をつくる事業者と契約したのが二十九年五月だということだったんです。かちっと仕事を、こういうものを出しますよという契約が固まったのが五月で、今のお話のように、執筆者の原稿の入稿時期が七月というのは、ちょっといかにもスケジュールが短くて、そこに間に合わない執筆者の方もいたと言いますけれども、余りにもスケジュールが、これぐらいのボリュームのもので、中を見た方は、議員の中でも見た方はいらっしゃると思いますけれども、非常に専門的なしっかりとした内容ですから、これを二カ月で入稿しろということ自体が非常にスケジュールに無理があったんではないかなと思うんですけれども、なぜそんなスケジュールになってしまったんですか。
◎中村 政策経営部長 スケジュールの件ですけれども、印刷を含めて版下をつくる業者は五月の末に決めましたけれども、この専門部会を検討する委員会自体は十一月に発足しています。第一回を二十八年十一月十六日に立ち上げまして、そこで記念誌の章立てですとか、各委員の執筆する分担案、これを議論するなどしてスタートして、翌年一月に第二回、第三回が四月、第四回が五月というふうに第五回まで進めています。また、四月二十七日から七月二十日まで、近世とか古い順に四部会ありますけれども、延べ六回開催されていまして、業者を決めたのが五月末ですけれども、それよりも先だっては準備をしてきた経緯はあります。
ただ、誤りの原因としては、スケジュール管理に行き届かなかったことがあったということは事実であり、反省すべきであると考えています。
◆桃野芳文 委員 具体的な執筆の章立てだとか、どういうものを書いてもらうかというのを決めたのがどのタイミングかというのは、ちょっと事細かに私は把握していませんけれども、今のお話だと、十一月の中旬からスタートということですから、どんなに急いでも書く皆さんにこの内容でお願いしますという話をしてから入稿までは約半年ぐらいだったというようなことになると思うんです。こういうものをつくるに当たって、それが妥当なスケジュールなのかどうなのか、それは押しつけ仕事というか、無理くりお願いした部分がなかったのかどうか、それはしっかりと当事者たる執筆者の皆さんにも御確認をしていただいて、今後のスケジュールづくりに生かしていただきたいと思います。
これは後ほど触れますけれども、現在、区制施行九十周年で、もっとボリュームのある、もっとしっかりした、より本格的な区史編さんの事業がスタートしていますから、同じようなことが絶対に起きないように取り組んでいただきたいというふうに思います。
先ほどの訂正版の話なんですが、ホームページにも公開されていますけれども、これは訂正の内容というのが非常にわかりづらいんですよ。てにをははわかりますよ、ここの部分が正誤表で、これが「て」となっていますけれども、これは「は」ですよとか、そういう細かいことはいいですよ。だけれども、例えば図表とか、地図だとか、そういったところも間違っているんです。それがもう何がどう間違っているのかが全くわからないんですよ、ホームページにぼんと上がっているだけですから。私は、担当の副参事に、これはどこが間違っているのかわからないんで説明してもらえますかって聞いたら、その副参事も説明ができないですよ。聞いても、それは違うでしょうという説明しか返ってこなかったですしね。それはかかわっている人がわからないものが、区民がホームページを見てわかるわけないわけですよ。だから、間違った訂正についても、もう少しわかりやすく皆さんに情報が行くように直していただきたいと思うんですけれども、それについての見解を教えてください。
◎中村 政策経営部長 今、お話がありましたとおり、アップしています正誤表については、当時の地名ですとか、施設の漢字表記などの誤りのほかにも、地図の誤り、例えば世田谷が荏原郡と多摩郡に分かれていたときの郡の境界線の線が誤っていたとか、また、かつて複数の村がどのように変遷してくっついてきたかという行政区画の変遷表など、これらに誤りがありました。
今、区のホームページに掲載している状況は、これらの特に図表の誤りについて、修正後の図表のみを掲載しています。印刷して写真を張って活用していただくことも想定しましたが、御指摘のとおり、どこが誤りなのかわかりづらいというのは確かです。
今後、この正誤表の図表について、誤った図表と訂正した図表をあわせて掲載するとともに、訂正部分を文章でわかりやすく説明することとして、早急に改善いたします。
◆桃野芳文 委員 改善いただきたいと思います。
第二版、増刷版です。増刷版のほうでは、当然その時点で気づいていた誤りについては、訂正したものがつくられたということで、平成三十年三月十五日に改訂版が刷られています。契約金額百二十五万円で、こっちは部数千部、先ほどの平成二十九年十月八日は三千部でしたけれども、部数千部で百二十五万円ということだそうです。
実はその第二版の正誤表も既にあるんですよ。そこまで第一版でたくさんミスをして、これは直さなきゃいかぬということになったにもかかわらず、第二版の正誤表ももう既に出ていると。これは年号の誤りだとか、彦根藩が彦根県になったタイミングだとか、非常に、これもてにをは以上の歴史的事実の訂正がもう既に出ているんです。こういったことも考えて、今、編さんしている本格的な区史、これは本当に大丈夫なんだろうかというふうに思うんです。
それぞれのその執筆者というのはそれぞれ専門家ですから、まずその専門性をしっかりと尊重しながら、事務局がもう事務局に徹してしっかりと全体をコーディネートしていく。こういう間違いが起こらないように、専門家の皆さんの文章をしっかりと尊重しつつ、ミスがあればそれは意見を交換して、恐らくそれが本当に間違っている、どう間違っているのかというのはしっかりと議論しないと、中身は専門的ですから、これはわからない部分もあろうと思いますんで、しっかりとやっていただきたいなというふうに思います。これは改めて申し上げておきます。
それで、先ほど申し上げた新しい区史、今編さんしている区史、これの決算、予算を見ていくと、例えば平成二十九年度決算の事業経費が一千七百万円、平成三十年度の決算で事業経費が一千七百万円、令和元年度の予算で二千五百万円ということで、本当にコストもそれなりにしっかりかかっているものです。これはしっかりまず対応していただきたいということなんですけれども、この区史編さんの前にしっかり対応していただきたいことの一つに、権利関係の整理、これをしっかりやっておいていただきたいんです。
この緑の「往古来今」の中身が別の用途で区に無断で利用されているというような指摘も外部から、これもネット上で、私はそういう情報が書き込まれているのを見たんですけれども、外部からそういう指摘も寄せられているようです。具体的に言うと、この「往古来今」に掲載されている内容が世田谷デジタルミュージアムというところに使われているということで、それは指摘を受けて関連部分を削除したというようなことのようなんですけれども、まず、その経緯だとか、事実確認についてお願いします。
◎皆川 生涯学習部長 世田谷区の刊行物に関しましては、多くの場合、区の組織で作成しておりまして、「世田谷 往古来今」につきましても、出典元を表記しないでデジタルミュージアムに掲載をしておりました。
御指摘の件につきましては、区史編さんの事務局と、それから郷土資料館から出典元を明記すべきですよという助言をいただきまして、八月二十三日に出典元を明記して引用したということでございます。その後、ほかの出版物に掲載している資料に差しかえたところでございます。
四月一日から八月二十二日までの一定期間なんですけれども、出典元を表記しない形で「世田谷 往古来今」の該当部分を掲載していたということがございまして、執筆者の方におわびをしたいというふうに考えております。
現在、世田谷デジタルミュージアムに掲載しているほかの内容につきましても、全件点検作業を行っております。今回の一連の流れを検証しまして、今後、新規に掲載するときには、十分に内容などを確認して進めてまいります。
◆桃野芳文 委員 ちょっとわかりにくい説明なんですけれども、その執筆者の方にはおわびするということと、ほかの件についてもそういうことがないか確認するということはわかったんですけれども、出典元を明記して掲載するべきじゃないかと言われたので、出典元を明記して掲載をしたんだけれども、だけれども、それは後に削除したという説明なんで、出典元を明記すれば許されるという判断なのか、出典元を明記しても許されないという判断なのか、それはどちらなんですか。
◎皆川 生涯学習部長 今回、私どもは、デジタルミュージアムへ引用したというふうに考えておりますので、出典元を明記すればそれで大丈夫だというふうに考えております。ただ、その後、どちらの資料が適切なのかということを再考いたしまして、資料を差しかえたという経緯はございます。
◆桃野芳文 委員 それはよくわからないですよ。引用というのは、引用する理由があって引用するんですよ。こういう説があると、いついつ誰かがこういう研究成果を発表しているから、そこを引用するけれども、自分は別の立場に立ってこういうことを報告するとか、引用する理由があって引用するのはわかりますよ。だけれども、家計図とか、図表とか、そのもの自体に価値があるものを、出典を明記したからって、それは引用とは言わないんじゃないですか。それは剽窃と言うんじゃないですか。
◎皆川 生涯学習部長 私どもは引用というふうに考えております。
◆桃野芳文 委員 それは、権利だとか、著作権だとか、そういうことをしっかりと勉強していただきたいと思いますよ。それをやっていいと言ったら、これからの区史編さんにも私、影響が出ると思いますよ。少なくとも本人に何の話もせずに、そこにあの家系図、デジタルミュージアムに出たのは家系図ですけれども、その家系図を引用元を明記すればそのまま使えるという判断は、法律的に私、間違っていると思いますよ。それはそれでいいんですか。世田谷区としては、法律的にそれは正しいという判断でいいんですね。私は今後やってほしくないから言っているんですけれども、どうなんですか。
◎中村 政策経営部長 「往古来今」の話でいえば、この刊行に当たっては、専門部会を設けて、各委員には、その分野の執筆を依頼して、記念誌に掲載することを前提に、委員の委嘱をして、執筆料を含む報償費を払っているところです。なので、その委員の執筆していただいたものは記念誌には載せることはできると考えています。
一方で、その記念誌に掲載した内容をさらに別の資料として活用するケース、これについては、特に今回、「往古来今」の委員と区との間で特段の契約をしているものではありませんで、ちょっと類似の刊行物も調査した限りでは、特別にいわゆる二次利用のような取り決めをしているケースが把握できていません。
区史編さんみたいな事業については、高い専門性が要求されて、執筆者が有する知見ですとか、研究成果によるところが大きいものとも思っています。今後、このいわゆる二次利用するような場合のルールについては検討していきたいと考えています。知的資源を区民ができるだけ広く利用できるような方向で対応を検討していきたいと思っています。
◆桃野芳文 委員 本件のような使い方を二次利用という表現をすること自体、私はひっかかりますけれども、しっかりその法律関係、権利関係を理解してやっていただきたいなというふうに思います。
今、部長の表現で非常にひっかかるところがあったんですが、出典を明記すれば使えるというふうな判断があって、だけれども、差しかえた資料と差しかえる前の資料でどちらが妥当か検討した結果、差しかえ後の資料のほうが妥当だと思ってそれを掲載しているというような説明だったんですけれども、そういう理解でいいんですか。
◎皆川 生涯学習部長 再考した結果、差しかえた対応をしております。
◆桃野芳文 委員 今の話だと、世田谷デジタルミュージアムに出ている家系図と「世田谷 往古来今」に出ている家系図、これは異なる家系図が出ていて、こっちが間違っているって言っているんですよ。これは、こっちの家系図じゃなくて、デジタルミュージアムに出ている家系図のほうがより正しいと――別の家系図が出ているんですからね――おっしゃっているんですよ。この執筆者のことをこれは否定しているということになりませんか。またそれは正誤表で出すんですか。
◎皆川 生涯学習部長 家系図が間違っているということで差しかえているわけではございません。
◆桃野芳文 委員 だから、今出ているほうが妥当だとおっしゃっているんでしょう。今出ている家系図とここに出ている家系図というのは、人物の関係図が異なっているんですよ。言っていることわかりますか。異なった家系図があって、こっちよりもデジタルミュージアムに出ている家計図のほうが学術的に妥当だから、それを掲載しているんだっておっしゃっているんでしょう。だから、ここに出ている家系図は間違っているっておっしゃっているんですよ。そういう理解でいいんですか。
◎皆川 生涯学習部長 ちょっと難しいんですけれども、私どもは特に間違っているからということではなくて、あくまでも再考した結果、こちらのほうに差しかえたというふうに考えております。
◆桃野芳文 委員 もう一回言いますよ。デジタルミュージアムに出ている吉良氏の家系図と、この「往古来今」に出ている吉良氏の家系図というのは、人間関係だとか、人物の漢字とかが異なっているんですよ。今デジタルミュージアムのほうが妥当だと思ったから差しかえたというんであれば、この執筆者に対して、なおかつ構成を通ったこの本になっているものに対して、この家系図は間違っていますと言っているに等しいんじゃないですか。
◎皆川 生涯学習部長 申しわけありません。もう一度ちょっと検討させてください。
◆桃野芳文 委員 それは、私は、書いている人に対して、これはもう言わざるを得ないですよ。書いている人に対して、これは間違っていると言うんだから、それは世田谷区としてもしっかりと今の発言は検証してもらいたいです。
時間がありませんので、次に行きますけれども、今の九十周年の区史編さんをしっかりしたものをつくっていただきたいという思いなんです。その上で、今の体制について申し上げます。
この八十五周年のこれをつくったときのメンバーに、さらに増員して、よりボリュームのあるものをつくろうというのが九十周年の区史なんです。メンバー、重なっているところもあるんですけれども、この委員長、この区史編さんの顔になる人、このことについて聞きたいんですけれども、通常、世田谷区九十万都市で、しっかりとした何冊かにわたる大きなこの区史をつくるという場合、この編さん委員長というのは、やっぱりその世界で重みのある人が来るというのが、私は普通だというふうに思います。他の自治体の編さん委員の委員長を見ても、やっぱり大学の名誉教授だとか、その世界で非常にたくさん論文を書いていらっしゃる方だとか、例えば国会図書館の検索サービスで論文を引くと、他自治体のこういった委員長をやっていらっしゃる方というのは、九十件とか、八十件とか、論文がヒットするような、そういう方です。
世田谷区のこの委員会、編さん委員で見ると、それぞれの委員の方は、大学の先生、大学の名誉教授も入っていますし、大学の先生が入っていまして、その先生たちの論文件数を検索すると数十件ヒットするような、大変専門性も高いんだろうなと思わせる先生方に入っていただいていますけれども、この委員長が、世田谷区の非常勤職員としてこれまでこういった歴史関係の仕事に、専門調査員ですか、こういったことでお仕事をしてきてくださった方のようです。
当然私も、別にこの方の仕事ぶりとかを何ら否定するものでもありませんし、この方はこの方でそれぞれの立場で、この方の立場でしっかりとしたお仕事をしてきてくださったと思うんですけれども、ただ区史編さんの編さん委員の委員長として、やはり他の自治体の状況だとか、あと委員長以外の委員の顔ぶれだとか、そういったところを見たときに、皆さんの身内でポストを決めて、この人にやってもらったらいいんじゃないかというような感じで決めたように思えて、余りにも区史編さんの顔というにはどうなのかなと、他の自治体と比べるとちょっと様子が違うなと感じざるを得ないんですが、この辺の経緯、あと区の考え方を教えてください。
◎中村 政策経営部長 この区史編さん委員会の委員長ですけれども、二十九年六月に開催された第一回の委員会で委員の互選によって選ばれまして、その前の準備委員会のときも委員長を務められた方です。池上先生なんですけれども、元世田谷区文化財保護審議会委員でもあって、その前は非常勤で専門委員をやっていた方です。近世の歴史、文書の専門家として、世田谷区の資料双書ですとか、世田谷の歴史の執筆、また非常勤で区の専門委員として務めていたときには、当時の世田谷領の代官の配偶者の日記である「大場美佐の日記」というものを現代語にわかりやすく表記してまとめたり、郷土資料館の企画する特別展の指導助言をやったり、世田谷区の近世に関する深い知識と経験を有している方です。
庁内でも検討会によっては、委員も委員長も、例えば大学の権威ある教授の肩書を持つ方にお願いしているケースもありますけれども、そうした方には、例えば海外の知識が豊富ですとか、国の省庁の検討会において早く情報をくれるとか、そういった例もありますけれども、この区史編さんという世田谷区という限られた地域の歴史というテーマにおいては、肩書とかにもかかわらず、地域に根差した研究をしてきた方が貴重な人材であると考えていて、互選ではありますけれども、委員長としてふさわしい人材ではないかと考えております。
◆桃野芳文 委員 互選といっても、やっぱりそれは実質事務方がそれなりにお膳立てをしないと、そういうものは成り立たないというのはもう皆さんもよくわかっているとおりで、純粋にみんなで議論して選んだということでもないはずなんですよ。そういう話も私、聞いていますけれども、そういうことなんですよ。
それと、もう一個大事なことは、要はその新しい区史をしっかりしたものをつくってもらいたいということなんですけれども、調べるといろいろと問題が出てきているということらしいんです。他の自治体に、例えば資料を提供してもらうというようなことも、本来であれば当然こういう編さんの過程の中であるんだけれども、そういった作業でも相手の自治体の資料館の方が、ちょっとそういうことであれば出せませんというようなことが起きたりして滞っているというような話も聞いていますので、そういうこともしっかりと解決に向けて努力していただきたいというふうに思います。またそれはどこかで続きをやります。ちょっと時間がないので。
分限懲戒処分のことで短時間で少しやっておきますけれども、これは本会議で取り上げましたけれども、世田谷区の職員の懲戒免職処分が取り消されて、区長が懲戒免職だと言った職員の懲戒免職処分が特別区の人事委員会に取り消されて、停職六カ月という形になったというようなことがありました。これまでも取り上げてきたことは、この分限懲戒処分の下し方というか、判断の仕方、これがやっぱりちょっとおかしいんじゃないかと。そういうことも原因で、やっぱりこういう処分が覆ってしまうというようなことも起きているんじゃないかということで取り上げてきました。
これは企総でもやるんで、もうきょうは駆け足で行きますけれども、まず、各所管から事故報告が上がるんです。これは、実務上は人事課長を通じてということらしいんですが、規定上は各所管から区長へ事故報告が上がるということらしいです。区長が服務監察を命じて、処分の内容をまとめていくと。区長が、この職員は懲戒免職が相当だとか、停職六カ月が相当だとか、もしくは訓告だとか、そういうことを区長が処分案をつくるわけです。
処分案をつくるんですけれども、区長がそこで処分を下すと恣意的な処分になるかもしれないから、それを恣意的な処分にならないように、分限懲戒審査委員会というところに区長が諮問するんですよ。この処分でどうでしょうか、妥当でしょうかということで諮問するんです。だけれども、処分をつくる人に対して、区長、副区長、総務部長、総務課長、皆さんが処分案をつくるんだけれども、処分案をつくる人に対して、この分限懲戒審査委員会も、委員会のメンバーも、委員長は保坂委員長だし、委員は副区長と総務部長と人事課長と総務課長なんですよ。これは、だから、諮問と答申と言っていますけれども、保坂区長から保坂委員長に諮問して、保坂委員長が保坂区長に答申しているんですよ。これは今の保坂区長が就任してからも三十件から四十件同じことをやられているんですよ。
私、思うんですけれども、区長、自分で無駄なことをやっているなと思いませんか。自分が処分を決めた内容を、保坂委員長に保坂区長が諮問して、保坂委員長が保坂区長に答申されているんですよ。これはやっていて疑問に思われませんか、おかしなことをやっているなって。
◎保坂 区長 処分は大変重いものから、その処分のどの水準で処分するかは検討していきますが、今おっしゃられた同一のメンバーでほぼ重なっているというふうなことでいいのかということについては、考えてみたいと思います。
◆桃野芳文 委員 これは普通の感覚からいうとやっぱり変ですよね。余計な仕事をさせるな俺にと区長が思ってもおかしくない。だって、自分が出した処分をだめだなんて言うわけないじゃないですか、保坂委員長が。そんなことを言ったら、だったら、保坂区長の段階で直しておけよって言いたくなりますよね、言う相手もいませんけれども。こんな余計な仕事にならないような仕組みにしていただきたいということを、また別の機会でやります。きょうは終わりにします。
ありがとうございました。
○石川ナオミ 委員長 以上で無所属・世田谷行革一一〇番・維新の質疑は終わりました。
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○石川ナオミ 委員長 引き続きまして、Setagayaあらた、どうぞ。
◆佐藤美樹 委員 それでは、Setagayaあらたの総括質疑を始めます。
まず、災害対策について伺ってまいります。
昨今の異常気象であったり、あるいは首都直下型地震など、九十一万人区民の皆さんの生命と財産を守るという災害対策については、区の最大の責務と考えておりますので、この決算委員会を通しても、会派としてさまざまな角度から質疑をしてまいりたいと思います。
先月十五日と二十三日に、今回の台風十五号の停電被害が深刻であった千葉県鋸南町にボランティアに行ってまいりました。この辺の話も踏まえて、まずは停電対策について伺います。
鋸南町の旅館業の経営者の方から伺ったんですけれども、その方のお母様が心臓の弁膜症を患っていて、酸素吸入器を自宅で使用しているので、非常用電源は常に常備はしているものの、電気が復旧するまでもつのかどうかというのが非常に不安だったというお話をされました。在宅医療や、あるいは在宅介護という方がふえてきている中で、自宅で医療機器を使用している人というのも、特にこの世田谷区では相当数いると考えます。
そこで、まず伺うのですが、区としては、こうした在宅医療、介護の日常、自宅で医療機器を使用している方がどの程度いて、どの程度の量の非常用電源が必要かということを想定しているか伺います。
◎工藤 危機管理室長 災害時に電源を必要とします医療器具使用者数につきましては、区としましても把握をし、災害時個別支援計画を作成しており、事前に東京電力が把握しております医療器具使用者数と突き合わせをするなど、漏れのないような対象者の把握に努めております。
御質問いただきました非常電源につきましては、世田谷・砧総合支所におきまして、庁舎の非常用発電機で発電した電力をバッテリー充電に充てることとしており、その他の支所につきましては、可搬式ガス発電機一台と燃料となるガスボンベ二十一本を配備しており、約二十時間の充電が可能となっております。また、東京電力では、区の本庁舎、総合支所、避難所を防災上重要な施設として位置づけており、最優先で復電を行う施設としており、仮に停電が長引いた場合につきましては、電源車を当該施設に配備し、電力供給を行うこととしておりますので、医療器具使用者の方々も、これらの施設でのバッテリー充電が可能であると考えております。
◆佐藤美樹 委員 停電を想定して日常生活にどう影響が出てくるかというのは、特に在宅で医療であったり、介護をという状態である方たちは、まずは自助の部分が非常に重要だと考えていますので、この辺はまた別の領域で伺いたいと思っています。
先日の日経新聞に、想像力の欠如が増幅する危機という記事があって、要は、昨今ずっと想定外というのを繰り返してきているというところに対する問題意識として、やはり制度であったり、マニュアルであったり、あるいはこういうものがあるというシステムがあっても、想像力を働かせて日ごろから備えていないと、やはり想定外は繰り返されてしまうという記事で、なるほどなと思ったんですが、では、どうやってその想定外というところをなくす、想定外を想定していくというところについては、専門家の視点や、あるいは何かしらのこういった事例があるとより広がっていくと思っています。
一つ提案なんですけれども、今回その停電ということについては、例えば今、区民防災会議では、東電の方が委員として出席をされていますが、地域の区民の皆さんが参加する地区防災会議というような場所において、東電の方に来てもらって、どういった停電のときにどういう被害が日常生活に及ぶ、あるいはどういう備えをしたらいいというお話をしていただいたらと考えますが、いかがでしょうか。
◎工藤 危機管理室長 東京電力から直接区民の方に対しまして、世田谷区における電力供給網の仕組み、また停電の想定などを説明してもらうことが、停電に対して正しく備えるためにも非常に有効であると考えております。
今お話がありました区民防災会議、また防災塾等、いろんな機会がございますので、これらにつきましては総合支所などにもお声かけをさせていただき、地域、地区における勉強会などで希望があれば、東京電力に対し要請を行ってまいります。
◆佐藤美樹 委員 次に、災害時のごみの問題、災害ごみについてお伺いしたいと思います。
冒頭も述べました鋸南町に行った際、大変小さくて恐縮なんですけれども、こちらが鋸南町に、台風一週間後に訪れた際の、もう本当にこれは応急場所というか、まず最初に町民の方たちが、実際はボランティアの方たちがここに運んできていましたけれども、とりあえず、まずは家の中のものを、ごみがあると生活再建ができないので、いろんなものを運んでくるという一時的な集積場所でした。
この後、翌週、台風二週間後に、実際、ごみの仮置き場と言われるような場所でボランティアもしてきたんですけれども、町民の数でいうと、鋸南町は八千人の自治体なんですが、非常に大量のごみが発生していて、果たしてこの九十一万人区民がいる当区で、同様な災害ごみが発生した場合に、どうやってその処理をしていくのかというところに課題を感じています。
まずは、お伺いするんですけれども、世田谷区の場合、災害ごみも相当量出てくると考えられますが、ごみの集積、あるいはその運搬といったところについてどのようにさばいていく想定か伺いたいと思います。
◎原田 清掃・リサイクル部長 部では、職員用に災害廃棄物処理マニュアルを作成しているところです。この中で、区の災害廃棄物につきましては、百五十四万トン排出されることを想定して、仮置き場等の確保を進めています。瓦れきや片づけごみの一時的な仮置き場である地区集積所と、大量に発生する災害廃棄物の集積所である一次仮置き場につきましては、合計で百カ所程度地区の公園等に既にリストアップしているところでございます。
これらの仮置き場につきましては、まず、被災住民が直接搬入し、その後、清掃事務所や民間の許可業者が、二次仮置き場となる清掃工場や大規模公園に移動させることとなっております。具体的な手順等につきましては、先ほどお話しした処理マニュアルに時系列に沿ったシミュレーションを行っているところでございます。
◆佐藤美樹 委員 今おっしゃっていただいた災害廃棄物処理マニュアルって、庁内用ということで、私はきのうこちらを所管の方からいただいて、一部しかまだ目を通していませんけれども、質問はしないですけれども、庁内用ではなくて、策定後は議会にも提示してほしいなと。災害ごみは非常に重要な内容ですし、我々も地区の方たちから、恐らく発災時はどこに運んだらいいのというところも聞かれるわけですので、議会にも提示していただきたいなと思います。
それから、この中に、今おっしゃった仮置き場ですとか、地区集積所ということで公園を想定して何カ所かその候補が載っているんですけれども、今まだ候補の段階ですし、いずれにしても、このマニュアルは暫定版という位置づけだと思いますが、人員体制の部分で、何カ所に、例えば必要、最低でもまちづくりセンター単位とか、二十八カ所はごみを一時的に運ぶ場所が必要なんじゃないかなというふうに、鋸南町を見てきて感じていますけれども、こういった何カ所で設けるかによっては、職員の方たちでは到底手が回りませんので、ボランティアセンターとも連携をして、ボランティアの方たちが運搬、あるいは仕分けということも想定していたほうがいいかなというふうに考えます。
それで、この災害ごみについて、ボランティアセンターとの連携についてはどのように考えていらっしゃるかお伺いします。
◎原田 清掃・リサイクル部長 仮置き場などの管理に関しましては、原則は世田谷区災害対策部の清掃・環境部の職員が対応することになっております。さらに不足する場合には、災対総務部と協議の上、災害対策本部会議におきまして、庁内からの応援を求めます。ただし、委員おっしゃるとおり、災害の規模にもよりますが、相当数の仮置き場が設置された場合には、御指摘のとおり、区職員のみで管理することは困難な場合もあると思われます。このため、東京都、他自治体からの応援に加えまして、産業廃棄物や一般廃棄物処理業、建設業、解体業の民間からの支援、さらに御指摘のありましたボランティアの活用を含めて運営することとしております。
◆佐藤美樹 委員 きょうから区の清掃・リサイクル部の方、パッカー車とともに、先ほど申し上げた千葉県鋸南町のほうに行かれるということで、実際にごみの運搬をされてくるということなので、そういった現場での体験も踏まえて、こういったマニュアルを精緻なものにして、先ほど申し上げたように、想像力を働かせて想定外に備えて、マニュアル等をつくっていっていただきたいと思います。
あと、ボランティアのことについても、ボランティアセンターの課題、いろいろあるんですが、それはあした、企画総務のほうで取り上げたいと思います。
次に、こうした気候変動が原因となって起こってくるさまざまな災害について、その対応等、これまで何度か取り上げているグリーンインフラなどについて伺っていきたいと思います。
大型の台風や集中豪雨など、たび重なる災害を受けて、長崎県の壱岐市ですけれども、先日、先月議会で気候非常事態宣言というのを表明したそうです。また、国連での十六歳のグレタ・トゥーンベリさんのスピーチなども反響を呼んで、国内外でこの異常気象への警鐘というのがさまざまな形でとられているかなというふうに感じています。
世田谷区は、環境に関する政策、むしろ先進的な事例がたくさんふえてきているとは思うんですけれども、そうしたその一つ一つの政策は、環境問題にもともと関心がある人たちには響いていると思いますが、そうでない、問題意識はあるけれども、RE一〇〇とか、卒FITというような単語も含めて、ちょっと環境の政策についてはなじみがないという人も多いんじゃないかなというふうに考えます。
今、非常に皆の関心がこういった気候変動や環境問題に目を向きやすい時期でもあると思うので、世田谷区のほうからの積極的な呼びかけというか、例えば区長が何かを発信するということも有効と考えますけれども、この辺についての見解をお伺いします。
◎保坂 区長 おっしゃるように、この壱岐市の宣言は先月の、つい最近の宣言だと聞いておりますし、国連でのグレタさんの訴えは大変大きな、世界の指導者の心を揺さぶったものと思います。
日本においてこのパリ協定のもとで、気候変動というよりも、気象異変に対応していく、あるいはこれに対するおくれている対応をさらに強化していくためには、たくさんの課題があると思います。
また、国レベルでは石炭火力を推進するという政策はやはり転換すること、また、区、区民のレベルでは、我々が当たり前と思ってきたライフスタイル自体の転換をどうしてもしていかなければならないんだという認識、そしてRE一〇〇とか卒FITという言葉は、ある種、環境関係では通じますけれども、一般的な区民には浸透していないと思います。
そういうことを、これは世田谷区の子どもたちも非常に関心が深いことと思います。子どもたちからもこういった気象異変に対する危機感を共有しながら、区民にわかりやすいメッセージと行動提起を行っていきたいと思います。
◆佐藤美樹 委員 グリーンインフラという言葉は、区議会や世田谷区でもかなり使われてきたかなと思うんですが、最近、私も正直、卒FITと、先日、委員会資料を見ても、何回か読まないとわからないな、わかりにくいなと正直思ったぐらい、先進的な政策、一つ一つの政策というのは、ややもすると一部の区民の人にしか響かない、届かないというものになりがちだと思いますので、わかりやすく発信というか、今、問題意識を持っている人たちにこの環境に対してアクションにつながるような、そうした取り組みをと思います。
一つ、グリーンインフラの事例として、横浜市のグランモール公園について取り上げたいと思います。
先日、会派で八月にこのグランモール公園を視察してきたんですけれども、横浜市のみなとみらいの中にあって、みなとみらい、御存じのように、非常に再開発が進んで、高層ビルやさまざまな商業地として発展をしている中で、もともとグランモール公園というのは中心部にあって、公園だけが取り残されているようなところもあったので、横浜市の顔となるような、多くのインバウンドを狙って、また国内外、さまざまな誘致をしていく中で、こういう公園が横浜にあるというような代表事例にしようという意気込みで、ケヤキをふやしたりですとか、舗装の部分も透水性と保水性も加えたグリーンインフラとしての要素をふんだんに取り組んでいって、その結果、整備コストについては二十八億円というようなお金がかかったようですけれども、それだけのものを一つ集中してつくったような形であります。
そういった場所が世田谷区ではどこかないかなというふうに考えたときに、ここまでの規模ではないんですけれども、類似の要素を持つ空間として、馬事公苑の前のけやき広場というのがあるかなと思うので、このけやき広場について取り上げたいと思います。
けやき広場は、馬事公苑の玄関口にあるような立地にありますので、オリンピック・パラリンピックのこの馬術競技の際には、この空間に多くの来訪者が想定されます。また、ここの場所を使って区民の人たちが日ごろより憩いの場であったり、イベントもたくさんしてきているわけですけれども、オリンピック・パラリンピックに向けて、もう少しおもてなしの空間であったり、あるいは先ほど申し上げたグリーンインフラとしてどうかというときには、改良の余地があるかなというふうに考えているんですが、今回質問するに当たって、さまざま所管の方に聞いたら、組織委員会による制約がいろいろあるという話を聞きました。
その馬事公苑のところで馬術が開催されるときの入場整理用の、人がそこに滞留する場所になるですとか、そのために入場整理用の柵を設けるというような制約があるようにも聞いているんですけれども、まずこの組織委員会と、現在どのような調整をされているのか伺います。
◎内田 スポーツ推進部長 御指摘のけやき広場、これは区道の位置づけでありまして、東京二〇二〇組織委員会からセキュリティーなどの安全対策として、けやき広場を活用したいという話を伺っておりますけれども、具体的にどういう使い方をするかにつきましては確定をしておりません。
◆佐藤美樹 委員 どういう使い方をされるか確定をしていないといっても、恐らくそこに人が滞留する場所になるということは想定がされるのと、片や、こちらとしては、教育委員会で花いっぱいというような事業をやろうという計画であったり、あるいは先日、八月にはあそこの場所を使って、シクロポリタン、観光用の乗り物ですけれども、そういうものを走らせたりですとか、やはり馬事公苑のすぐ近くの場所であるからこそ、こちらとしてはいろいろ活用したいというふうに当然考えますし、そのためにもう少しいろいろ改良してもいいんではないかなというふうな思いもあるんですが、この辺について、区長がもし何か考えがあればお伺いします。
◎保坂 区長 御指摘のけやき広場は、一九四〇年、昭和十五年の予定されていて行われなかった幻のオリンピックのときに整備され、六四年のオリンピックでは実際馬術競技大会が開かれる入り口になったと。また、こういった形で整備したのも、当時の都市デザイン、世田谷区全体のまちづくりの中で非常に重点的な場所だということで行ったと思います。
現在、世田谷区以外、世界中そうですが、余りにも桁外れの豪雨に直面しておりまして、これには下水のグレーインフラといいますか、これだけでは持ちこたえられない。なので、グリーンインフラ、これも水を蓄えていこうと。ちょうどけやき広場のすぐ近くに上用賀公園がありまして、そこにレインガーデンという意欲的なものもつくっております。せっかく多くの方が来訪されるので、二〇二〇年大会まで余り月日がありませんが、でき得ることを、このグリーンインフラ的な考え方、そしてここにも雨水貯留槽はありますが、そういうことを強調して来訪者にも伝わっていくような工夫をしていきたいと思います。
◆佐藤美樹 委員 パネルを出すのを忘れていました。ちょっと小さいんですけれども、これはけやき広場のパネルで、先ほど申し上げたように、横浜市のグランモール公園と類似しているというのは、このけやきのことであったり、ちょっとその下の部分の透水性、保水性という舗装というのはないわけですけれども、ここに雨水の浸透枡はあるというようなことを土木の方からは伺っていますが、やはりこれだけの空間、なかなか世田谷区にはないですし、別の機会に神尾区議からシクロポリタンについても取り上げると思いますが、こういった観光資源の一つにもなり得る場所として、まだやれることはやっていただきたいなというふうに考えます。
ちょっと時間がなくなってきたので、本庁舎整備について、あすの企画総務でもさまざま取り上げるんですけれども、一点だけ、リングテラスについて伺いたいと思います。
先日、職員の方とお話をしていたときに、リングテラスを使ってこれから新庁舎になったときに職員の方、庁舎の西棟、東棟の間を移動するということで、その移動する機能性というところを十分に担保しているかどうかということで伺いたいんですけれども、当然リングテラスを雨天のときにも職員の方は移動すると思うので、今も台車でいろいろ書類を運ばれるのをお見かけしますけれども、そうしたことを考えると、あのリングテラスに最低限屋根はないと雨天時には機能しないのかなと考えますが、この点についていかがでしょうか。
◎松村 庁舎整備担当部長 本庁舎等整備におきまして、行政機能部分につきましては、上下移動の少ない低層型で、横移動を中心とした大空間としまして、縦移動はゾーニングごとにエレベーター、階段を配置し、機能的な構成としております。
お話にありました東棟と西棟につきましては、リングテラスのほか、地下一、二階に連絡通路を整備しまして、例えば庁有車の専用駐車場から地下倉庫などに雨にぬれることなく台車等で荷物を搬出できるほか、車椅子での移動にも機能的に活用できるというふうに考えております。
リングテラスにつきましては、テラスの下の地上部を雨天時にも移動可能ということでございますけれども、お話がありました二階レベルの移動につきましては、さらなる機能向上を図るため、東・西棟との出入り口の直線で結ぶ北側のブリッジ部分に屋根をかけ、雨でも利用できるよう変更を行い、さらに機能的な本庁舎等整備を進めてまいります。
◆佐藤美樹 委員 質問者を交代します。
◆神尾りさ 委員 私からは、区の多文化共生に関する取り組みについて伺います。
世田谷区民意識調査二〇一九において、区の多文化共生社会の実現に向けた施策が充実しているとは思わないという回答が七割近くに達しました。ここで、総務省による多文化共生の定義を確認させていただきますと、「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」とされています。
現在、世田谷区の外国人住民は約二万二千人で、その数は増加する一方です。外国人住民も生活者であり、地域住民であることを認識し、地域社会の構成員としてともに生きていくことができるようにするということが重要であると考えます。
これまで地方自治体においては、一九八〇年代後半から国際交流と国際協力という柱として、地域の国際化が推進されてきましたが、多文化共生というのを第三の柱として、地域の国際化を引き続き推し進めていくことが求められています。
まず、当区における多文化共生についての認識と区民意識調査の結果を受けた対策についてお示しください。
◎松本 生活文化部長 区ではことしの三月に、世田谷区多文化共生プランを策定しておりますけれども、その背景には、今お話がございましたように、外国人居住者が年々増加しておりますので、国際交流ということにとどまらず、誰もが安全安心で暮らせる地域社会の構築ということをその背景として認識しながら計画を策定し、その中で多文化共生施策が充実していると思う区民の割合を令和三年度までに八〇%以上にするということを盛り込んでおります。
しかしながら、昨年度の意識調査では、施策が充実していると思う、あるいはどちらかといえば充実していると思う方の割合が三一・五%にとどまっておりますので、さらに進めるべきだと思う多文化共生の取り組みということについても伺っておりますが、多言語表記の充実との回答が多く、目に見える形の多文化共生施策の推進が必要と考えております。
このプランでは、行政情報の多言語化等の推進を取り組みの一つとしておりますので、各種行政冊子やチラシ等の印刷物、あるいはイベントなどで多言語化を進めるなど、これらの取り組みを通じまして、多文化共生施策の認知度向上、これにつなげていきたいと考えております。
◆神尾りさ 委員 ありがとうございました。多言語表記の充実を図るなどの取り組みを強化させるということについては理解しました。
先ほどの区民意識調査では、外国人の地域活動への参加の進捗状況についても問われておりますが、進んでいるとは思わないとの答えが五割近くに上っております。多文化共生の意識を高めるためには、外国人を地域の一員として認識することの必要性を感じます。そして、そのための一例として、外国人区民の町会や自治会などへの参加を促すことも重要ではないかと考えますが、見解を問います。
◎松本 生活文化部長 外国人の方が、居住者が町会・自治会などの地域活動に参加していただくということは、地域住民との相互理解を深めるということだけではなくて、外国人自身が地域の一員として生活すると、こういうつながりが出てまいりますので、大変重要なことと考えております。
先ほど申し上げたプランにおきましても、外国人の方の地域社会における活躍の推進という基本方針の中で、地域活動への参加促進を掲げております。ことしの六月には、町会・自治会の会議で多文化共生について御説明をさせていただいたほか、個別の町会・自治会にもお邪魔をして多文化理解研修なども行わせていただいております。
一方で、法務省が一昨年実施した外国人の住民調査、これの中では、町会・自治会を知らないという方が、世田谷区内の状況ですが、約半数にも上ったということもございますので、地域活動への参加ということを促すためにも、町会・自治会等の役割、あるいは災害時の活動などを知っていただくということが必要であろうというふうに考えております。
今後も、国際メッセなどの機会を通じまして、町会・自治会の方と外国人の接点、こういったことも設けまして、多文化理解の、あるいは多文化共生ということを推進してまいりたいと考えております。
◆神尾りさ 委員 ありがとうございました。町会や自治会を知らない外国人というのはまだまだ多いという認識だと思いますけれども、一方で、外国人がその存在を知りますと、日本における町会・自治会の取り組みというのは本当にユニークで、外国人にとってはクールな文化というふうに捉えられるんじゃないかなというふうに思っていまして、一度参加してもらえれば、引き続き参加してもらったりとか、あと新たな視点で何か意見を言ったりとかいうことで活性化できるんじゃないかなというふうに思っています。今後もますますの積極的な周知とお声かけを要望したいと思います。
最後になりますけれども、今後の多文化共生の実現に向けてどのように施策を展開していくのかについて展望をお聞かせください。
◎松本 生活文化部長 先ほども多文化共生プランのことを申し上げましたけれども、施策の推進に当たりましては、区内で生活する外国人の生活実態の把握、外国人に対する区民意識や地域での困り事の把握、こういったことが必要ではないかというふうに考えております。
区では、これまでも在住外国人の方と日本人の方、居住者を交えて意見交換会などを行いまして、双方の困り事やニーズの把握ということを進めてまいりましたけれども、加えまして、今月には、在住外国人の方二千名を対象に、生活の実態や意識の調査ということを実施しているさなかでございます。外国人への支援につきましては、課題を整理してまいり、その結果も踏まえつつ、今後の取り組みを整理したいというふうに考えておりますが、その結果はまた二月に御報告を議会にもさせていただきたいと思います。
そういった調査などを通じまして、外国人の方の多文化共生の実現ということに取り組んでまいりたいと考えております。
◆神尾りさ 委員 先ほどの答弁の中で、令和三年度末までに多文化共生施策が充実していると思う区民の割合を八〇%以上にするという目標で、個人的には世田谷は強気だなというふうに思ったんですけれども、それを実現させるためには、やはり国際化だけではなくて、きょうここにいらっしゃるさまざまな部署の方々が、例えばイベントを行う際などに、外国人の参加を促したりですとか、最初は日本語ができる外国人に参加してもらうというようなことで、少しずつ意識を改革したりですとか、あと区民が外国人の……。
○石川ナオミ 委員長 以上でSetagayaあらたの質疑は終わりました。
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○石川ナオミ 委員長 引き続きまして、日本共産党、どうぞ。
◆江口じゅん子 委員 日本共産党の総括質疑を始めます。
本日は、十月一日です。消費税一〇%増税が強行されました。日本共産党は廃止を目指し、市民とともに、まずは減税に向けて野党間の協議と共闘を進めてまいります。区においては、さきの私の一般質問に区長が御答弁されたように、区民の命と暮らしを重視し、必要な対応を検討、そして実施することを求めるものです。
それではまず、災害対策について大きく二点伺っていきます。
これまでの各会派の質問でもおっしゃっていましたけれども、災害から区民の命と暮らしを守るのは自治体の大きな責務、本当にそのことを強く実感します。我が党はこの間、従来の想定を超える自然災害が相次ぐ中、区としてこれまでの枠組みを超えた積極的な対策を求めてきました。
先月九日、首都圏を直撃した台風十五号は、関東に上陸した台風では最大級で、記録的暴風雨に見舞われました。区内でも強風で一名がお亡くなりになりました。特に千葉県では、住宅一部損壊、約一万一千七百件、停電は最大六十四万戸、それに伴う熱中症と見られる死亡は四名、県内全ての停電が復旧したのは先月の末でした。改めてお見舞いを申し上げるとともに、日本共産党は、引き続き被災地支援に全力を挙げるものです。
先ほど他会派から千葉県鋸南町にボランティアに行かれたという話があって、本当にありがたいなと思いながら聞いていました。実は私の親戚も大きな被害を受けた千葉県鋸南町に住んでいます。停電により、親戚と連絡が一切とれなくなって、町役場に電話しても避難者名簿に載っていない。約一週間安否がわからず、その週末に鋸南町に行き、再会したときは本当に安堵しました。親戚も高齢ですので、長引く停電、先の見通しがわからない状況に疲れ切っていました。
鋸南町のたった一つの病院やスーパー、ガソリンスタンドは二つしかないんですが、そういったところは全て営業停止、給油ができないので、遠くの町へ買い出しや持病の薬がなくなっているが病院にも行けない。また、町の多くは屋根が一部剥がれ、ブルーシートで応急処置をしていますが、修繕は順番待ちでいつ来るかわからないという状況でした。
私も現地に行って、電気というライフラインが途切れることが、社会生活のさまざまな機能をストップさせ、そしてそれが長期になるほど高齢者など災害弱者の健康被害に直結するということを実感しました。さらに、通信の断絶、情報不足が不安、混乱を増していることを感じました。
今回の被害拡大の背景に、安倍政権が内閣の組閣を優先し、全体の対応と被害実態の把握がおくれたことがあり、政府の責任は大変重いと指摘をするものです。
区長は今定例会の招集挨拶で、強風による停電などのリスクへの備えの必要性を強く認識し、至急チェックをかけるように指示したと述べられました。当区においても、台風の直撃、また首都直下地震などいつ大規模災害に遭うかわかりません。
今般の災害を受け、停電のみならず、通信の確保、災害弱者対策、またおくれている住宅耐震化・不燃化促進など、改めて区民の命と暮らしを守るため、災害対策全般のチェックと促進が必要です。まず、区長の見解を伺います。
◎保坂 区長 改めて、千葉県で長いこと被災されている皆さんにお見舞いを申し上げ、また、区内で亡くなった方にも御冥福をお祈りいたします。
大規模停電については、昨年、台風二十一号で大阪、それから胆振東部地震で北海道全体がブラックアウトするという経験がございました。今回、千葉県で起きた大停電、大阪の場合、昨年三日で回復していますが、これはもう一週間にも及んだと、あるいはまだそれでも電気がついていないところもあったということで、大変長期間に及びました。
そこで、私たちは、一応七十二時間、三日間ということで、いわゆる蓄電、あるいは発電機等の設備を配置してきましたけれども、必ずしも三日間で復電するという保証はないということがここで明らかになったかと思います。
緊急対策会議を開きまして、特に学校において避難所になるということを想定すると、ソーラーパネルがありますが、どこまでどのぐらいの性能があるのか。蓄電池を入れた場合に、どのような機能向上があるのかの点検、また、これから災害弱者、特に酸素吸入されているような皆さんに対して、現状はどうなのか、そして救援に向かうとすれば何ができるのか、それを至急点検して、大地震対策、大地震火災の災害シミュレーション、防災訓練をやっておりますけれども、いわゆる大停電も含めて強風対策、この風ということに対して大変備えが脆弱であるということもわかりましたので、至急進めてまいりたいと思います。
◆江口じゅん子 委員 至急進めていくということで、ぜひ迅速な対応をお願いしたいと思います。
そして今、世田谷区からも、この間、千葉県君津市の支援を対口支援で指定をされ、また、まちづくりセンターなどで千葉県の災害の義援金も受け付けています。先ほど清掃・リサイクル部の派遣という話もありましたけれども、こうした被災地支援への継続的で積極的な取り組みを引き続き求めるものです。
◆田中みち子 委員 今その課題ということで、価格面とか賞味期限、保存方法とか御指摘がありましたけれども、このあたりはぜひ回転備蓄というようなところも何とか工夫をいただいて、せめて指定されている母子避難所だけでも何とか備蓄できるように対策を進めていただきたいと要望いたします。
また、女性の防災リーダーの育成などをこれまで求めてきたわけですけれども、この間の進行状況、現状と課題などがございましたら、お願いいたします。
◎工藤 危機管理室長 多様性に配慮した女性ならではの視点で地域の防災活動等において活躍していただくことを目的に、昨年十一月から女性防災コーディネーター養成研修を実施しております。研修は、全八回で町会・自治会、また青少年委員の方を中心に約四十名の受講者に参加いただいて、今月二十三日が最終回を迎えます。出席率も高く、受講の姿勢も熱心で、ほとんどの方が研修修了となる予定でございます。
研修では、防災知識や多様性に配慮した視点の習得はもちろん、研修修了後に地域でリーダーとして活躍できるよう、コミュニケーション能力やワークショップ等におけるファシリテート技術などを学ぶ講座も実施しております。
今後は、研修修了生が講師となって、地域の防災事業等のさまざまな場において、多様性に配慮した女性の視点からの防災についての啓発を推進していただくことを期待しており、区としましてもそのフォローに努めてまいります。
◆田中みち子 委員 ありがとうございます。今、四十人ぐらい受けられて、ほとんどの方が修了できたということで、たくさんの方がリーダーとなるんだということで心強いです。ただ、そのリーダーになったということで、顔の見える関係性がない自治体なんかに入っていくと、上から目線なんじゃないかとか、ちょっとありがちなことも考えられますので、ぜひそのあたりは区のほうでフォローいただいて、顔の見える関係性というのを事前につくっていただきたいということを要望いたしまして、総括の質疑を終わります。
○石川ナオミ 委員長 以上で生活者ネットワークの質疑は終わりました。
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○石川ナオミ 委員長 引き続きまして、減税せたがや、どうぞ。
◆あべ力也 委員 それでは、質問してまいりますが、一般質問に引き続き、何点かその内容について補足の質問をしてまいりたいと思います。
まず、今、生活者ネットワークさんの田中みち子委員が質問をされました除草剤の内容でありますけれども、これについては、一般質問で質問したときより、今、部長が回答した内容が、禁止をすると、世田谷区がその使用に関しては禁止ということも含めて環境基本計画の中に盛り込んでいくというような回答でございましたので、ほとんど田中みち子委員の質問に対して補足することはないんですが、区長から回答をいただいておりませんでしたので、恐らく区長が御決断をされたんだろうと、私のほうは思いますが、区長、このラウンドアップに関しての区として環境基本計画に盛り込んでいくということに関する決断に関して、御所見を伺っておきたいと思います。
◎保坂 区長 御指摘の化学物質を含む除草剤については、もう諸外国で使用禁止が次々と進んでいる中、国内でも懸念をする声が強まってきているものと感じます。調査をかけて、配慮したとはいえ、使っていた実績があったという報告を受けました。
今後は、公共施設における除草剤などについて、農薬使用に当たっては環境負荷が少ない、いわゆる当該のものなどは使わずに、より安全性の高いものを選択していきたいと考えています。
◆あべ力也 委員 ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思うんですが、ただ、課題としては、残る問題としては、民間の、例えば区民が自分の土地にこうした除草剤をまいたりとかいうことに関しては、行政としては使用しないと、禁止をするという決断をしても、国がこの除草剤を認可している以上、販売を禁止したり、民間の事業者、もしくは普通の民間の方が自分の所有する用地に使用するということまでは禁止ができないということで、世田谷区内において、行政の管轄する、所有する公共施設に関しては、これはまかない、使用していないんだけれども、民有地については使用しているところも出てきてしまうという課題が残ってしまうわけです。こうした課題については、環境課としては、どういうふうに今後、民間に対して、この除草剤に関して情報発信をしていったり、注意喚起をしていくというようなことができるのかどうか、その課題についてちょっと伺っておきたいと思います。
◎本橋 環境政策部長 御指摘いただいています化学物質を含む除草剤の使用につきましては、今、区長からも御答弁がございましたように、区の方針に一定の方向性を打ち立ててございます。
今後、民間へというお話でございますけれども、これは、今、委員もおっしゃったように、国のほうで認可されているということもございます。ただ、区の役割といたしましては、やはり国内外のさまざまな情報を収集して、それをきちっと伝えていく、こういうことが必要ではないかと考えております。それはまた関係所管も含めて、こうした情報収集などに努めまして、情報発信をしていきたいと思っております。
◆あべ力也 委員 世田谷区としては、行政としては、この除草剤は使わないということを決定したということに関しては情報発信をしていけるんだと思いますから、そうした部分での注意喚起をしていくということは可能かと思いますので、ぜひそうした取り組みをしていただきたいと要望しておきたいと思います。
次に、世田谷区のさまざまな行事、それに対する動画配信に関しての質問をさせていただきました。区長も、今後の動画配信の必要性等についてしっかり認識をされているということも確認できたわけでありますけれども、あとはいわゆる動画というもののアーカイブに関しての取り扱いの規定が、今、世田谷区にはないかと思うんです。例えば公文書と同じように、どういうふうな扱いをしていくのかということについて、動画についての例えば保存の期間をどれぐらいにするのかとか、あとデジタルミュージアムというようなことを先行して世田谷区はやっておりますけれども、デジタルミュージアムという中に取り込みながらその保存をしていくのか、さまざまなその議論をしていかなければならない内容というのがあると思うんです。特にそのアーカイブの保存等についての公文書としての扱いとして動画を扱っていくのか、その辺のことについて伺いたいんですけれども、いかがでしょうか。
◎保坂 区長 区の情報発信は、これまで「区のおしらせ」を基本にしてきましたけれども、インターネットでアクセスする方も多いし、今やスマホでこれを見るという方が多数になってきていると思います。という意味では、動画というコンテンツは積極的に使っていきたいと思いますが、現状では、区長記者会見や、あるいは四季の風景、基本構想の審議やシンポジウムなどについてはアーカイブに残していますが、おっしゃるような期間だとか、どれはアーカイブに載っけるかというような基準がまだはっきりと定まっておりません。これはしっかり議論をして、肖像権、著作権、あるいはサーバーの容量、こういったものをしっかり決めて、ただ、全部の記録を見るというニーズもありますが、コンパクトに見たいというのがスタンダードだと思いますので、多くのことを二分とか、そのぐらいの映像でコンパクトに編集して、詳しくは文字で見られるような、そういう情報発信の仕組みを設計していきたいと思います。
◆あべ力也 委員 今、区長の回答に大変期待をしたいと思います。来年になれば5Gということで、その情報量がますますふえて、情報を発信する側と受け手の側の情報量そのものが数十倍にこれからなるということでありますから、その情報の取り扱いの中で、動画というのが大変これからの情報の中心になっていくということでございますので、行政としてもその点についてはしっかり取り組んでいただきたいと、一般質問でもしましたけれども、決特のほうでもしっかりお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
○石川ナオミ 委員長 以上で減税せたがやの質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後五時二十一分休憩
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午後五時三十五分開議
○石川ナオミ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
レインボー世田谷、どうぞ。
◆上川あや 委員 本日、私からは、外国籍の人に対して極めて閉鎖的、排除的な特別区の職員採用選考について伺います。
まず、全体状況を把握するために、三点お伺いします。
一点目に、特別区人事委員会のもと実施をされている二十三区一体の職員採用選考で、日本国籍であることを必須とした国籍条項は、一般事務職員ほかどれだけの職種に残されているでしょうか。
二点目に、特別区では、一見、外国人に門戸を開いている職種でも、実際には昇任試験は受けさせず、管理職には決してなれない等の任用制限がなお残ると考えますが、どのような状況でしょう。
三点目に、当区で採用する非常勤については国籍を問わないと理解しておりますが、よろしいでしょうか。
以上三点、お伺いいたします。
◎田中 総務部長 特別区の職員採用における国籍要件は、個々の職種における公権力の行使または公の意思形成の参画に携わる蓋然性の度合いなどを考慮して決定されております。現在、国籍要件が付されているのは二十九ある職種のうち、事務職や土木・建築職などの技術職、衛生監視など八職種で、区職員の割合で申し上げますと、約五八%となります。その他の職種については国籍要件はございませんが、在留資格等の一定の要件が必要とされております。
御質問の二点目、採用後の任用、昇任についてでございますが、まず採用後の任用については、外国籍の職員は公権力の行使または公の意思形成への参画に該当する職務には従事させないことが基本とされております。また、昇任につきましては、同様の職務に携わる蓋然性が極めて高いとの考えから、管理職としての任用はしないこととされております。
三点目の非常勤職員の採用につきましては、委員の御認識のとおり、国籍要件は設けておりません。
◆上川あや 委員 今の御説明だけを聞きますと、外国人を地方公務員の職から排除することも一定の合理性があるように聞こえますが、特別区を除くほかの自治体の現状と特別区とを比較しますと、特別区が飛び抜けて閉鎖的、排除的であることは明らかです。
特別区が旧態依然とした国籍条項を一般事務職という根幹の部分で保持をしているのに対して、多摩地域の二十六市は、一般職員の採用について国籍条項を全廃しています。一つもありません。その後の昇進に関しても一切差をつけない市が、このうち十九市に上りました。つまり多摩地域の大部分の市では、国籍を問わず職員採用試験は受けられ、能力に応じて採用もされ、昇進もできる。当然、幹部職員にもなることができ、特段の不都合も生じていず、国から文句も出ていない。こうした実績が長年積み重ねられております。一般事務職の採用試験の入り口から排除し続けている特別区との差は非常に大きいと考えます。
しかも、議会事務局を介して都内二十六市全てを調査したところ、国籍条項を削除した時期も、もはや古過ぎて答えられないという回答が大半でした。加えて、今回、全国の政令指定都市二十市も調べましたが、同じく十三市で国籍条項はもはやありません。ここでも特別区の閉鎖性が際立っています。
そもそも法律上、日本国籍を必須とする公務員は警察や消防など、ごく一部にしかありません。地方公務員法にも排除するべき規定は存在しません。
終戦から八年後、国が公の意思形成や公権力の行使には日本国籍が必要なのは当然の法理という見解を示した経緯はありますが、もう六十六年が過ぎ、時代は地方分権、共生社会へと大きく変化を遂げています。多摩地域ではとっくに全廃をされて問題のない国籍条項が、なぜ今日に至るまで特別区に残るのか説明を求めます。
◎田中 総務部長 特別区における国籍要件は、昭和六十年度以前に、技能系職種や医師、歯科医師の職について削除が行われ、その後、昭和六十年代には保健師や看護師、栄養士、平成に入って福祉や心理職に拡大するなど、順次削除が進められてきた経緯がございます。
その後、平成十年に特別区人事委員会から国籍要件を削除する場合の考え方として、職種の本来業務が専門的、技術的であることや、公権力の行使または公の意思形成への参画に携わる蓋然性が低いことなどを検討の基本とすることが示されております。現在もこの考え方に基づき、国籍要件を取り扱っており、先ほど御答弁申し上げたとおり、事務職や土木・建築職などの技術職、衛生監視の職には国籍要件が付されておりますが、整理すべき課題もあると認識しております。
◆上川あや 委員 二〇〇一年、全国で初めて全ての職種から国籍条項を取り除き、配置、昇任などの任用制限までを撤廃した福井県、旧武生市では、九八年十月から総務課長を中心に職員採用要件見直し研究会を設置して、検討を重ね、半年後、公権力を持つのは市町村長など責任者だけとして、助役まで外国人も就任可能と結論をし、全国的な国籍条件撤廃の流れを生み出しました。
一方で、在日韓国人女性の管理職試験の受験を拒んだ都の対応を容認した二〇〇五年の判例もあり、一部職種について、任用制限を残すべきかどうか、なお多くの自治体は揺れております。しかし、一般事務職の採用試験の入り口から外国籍を一律に排除している特別区の現状というものは、非常に差別を助長する不適当なものだと私は考えております。
世田谷区は、全国で初めて民族・国籍差別を禁止する条例をみずから提案し、施行しております。区は、区民、事業者に対しても国籍差別を認めておりません。外国人であるというだけで採用を拒否することは条例の精神に反します。みずから襟を正すことなしに、どうして区民、事業者に対して平等を求めることなどできるのでしょうか。
二十三区一体の人事制度だからと、多摩の二十六市では全廃されて久しいこうした国籍条件の残置を看過せず、特別区の担当者会議で積極的に課題提起していただくなどの行動を求めます。区の見解を伺います。
◎田中 総務部長 区では、基本構想において、国籍などにかかわらず、多様性を認め合い、自分らしく暮らせる地域社会を築くことを、また、多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例の基本理念においても、全ての人があらゆる分野の活動において、ともに参画し、責任を分かち合うことをうたっております。
国際化が進展する中、現在、区には多様な言語や文化的背景を持つ約二万二千人の外国籍の方がお住まいになっており、今後も増加が見込まれる中、基本構想等に掲げる地域社会の実現に向け、国際交流や多文化共生などへの取り組みは一層重要となります。
このような観点から、区職員として、国籍等にかかわらず、意欲のある方が受験できる環境を整えることは重要であると考えております。一方で、国籍要件の削除に向けては、先ほど御答弁申し上げた採用後の配属先、職務内容などの任用面や、昇任に関する課題もございます。
委員御指摘のとおり、この間、時代も大きく変化しており、社会的な背景や実情も踏まえながら、まずは今挙げた課題等を整理し、議論を深めることが必要であり、その上で特別区人事委員会と協議してまいりたいと考えております。
◆上川あや 委員 ぜひ撤廃に向けて頑張っていただきたいと思います。
以上で終わります。
○石川ナオミ 委員長 以上でレインボー世田谷の質疑は終わりました。
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○石川ナオミ 委員長 引き続きまして、世田谷無所属、どうぞ。
◆ひうち優子 委員 本日は、駅のホームドア・エレベーター整備について伺います。このテーマは、平成三十年第二回定例会で質問をしましたので、進捗状況についてお伺いしてまいります。
二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催において公共交通機関の安全性、快適さが求められ、駅施設の整備が特に大切だと考えます。また、バリアフリーの観点からも、駅のホームドア・エレベーター設置は必須であります。
世田谷区には四十一の駅がございますが、以前からホームドア、エレベーターを整備してほしいとの声をいただいております。その後、ホームドアに関しては、三軒茶屋駅を初め、駒沢大学駅、桜新町駅、用賀駅、二子玉川駅など着実に進んでおり、またエレベーターは、三軒茶屋駅南側に待望のエレベーターが整備をされました。最終的には全ての鉄道駅にホームドア、エレベーターを整備していただきたいと思いますが、現時点での設置状況と今後の整備計画について伺います。
また、前回の質問では、京王井の頭線の下北沢駅について、以前からエレベーターを設置してほしいとの声を取り上げました。特に西口側はバリアフリー対応がおくれており、エレベーター設置、ホームドア設置、そしてトイレも老朽化しており、バリアフリー対応のトイレ整備が必要と考えます。既存の西口改札口のバリアフリー対応について、今後の予定についてお伺いいたします。
◎五十嵐 道路・交通政策部長 昨年の六月以降のホームドアの整備状況ですが、東急電鉄は田園都市線の桜新町駅、池尻大橋駅、大井町線の九品仏駅、二子玉川駅においてホームドアの使用を開始しており、等々力駅につきましても今年度中の使用開始を予定しております。また、小田急電鉄は、下北沢駅地下一階ホーム、東北沢駅、世田谷代田駅において使用を開始しており、梅ヶ丘駅におきましても、本年度中の使用開始を予定しております。
一方、エレベーターの整備につきましては、田園都市線の三軒茶屋駅南口において使用を開始しており、桜新町駅南口につきましては令和二年度の使用開始を予定しております。井の頭線下北沢駅におきましては、本年三月までに小田急線の連続立体交差事業などの影響範囲となる渋谷側の駅舎が完成し、改札階からホーム階へのエレベーター、エスカレーター及びトイレの整備が完了しております。西口改札口のバリアフリー化については、現時点では整備内容及び整備時期は公表されておりませんが、現在、大規模な改修工事が進められており、早期にバリアフリー化が図られるよう、引き続き働きかけてまいります。
◆ひうち優子 委員 次に、このホームドア・エレベーター工事への行政の助成ですが、バリアフリーの観点から、ホームドアは一日当たりの平均利用者数が十万人以上の駅において、都の補助対象事業の場合には、補助対象事業費の三分の一かつホームドア一列につき六千万円を上限に、都の補助対象事業でない場合には、補助対象事業費の六分の一かつホームドア一列につき三千万円を上限に世田谷区が助成を行います。また、エレベーターに関しては、一日当たりの平均利用者数が一万人以上の駅において、補助対象事業費の三分の一かつ七千万円を上限に助成することになっております。この点、各電鉄の事業に対してどこまで助成をするかも考える必要があると思いますが、区民の方の利便性、安全性を確保すべきと考えます。
現在、小田急線では、ホームドアの設置が進められてきていますが、豪徳寺、経堂、千歳船橋、祖師ヶ谷大蔵、成城学園前、喜多見駅についてはホームドアの整備計画がない状況でございます。豪徳寺以西へのホームドアも設置していただきたいと思います。
東京都では、平均利用者が十万人以上の駅でなくてもホームドア助成対象にするといった方針も発表をしております。豪徳寺以西へのホームドア整備について見解をお伺いいたします。
◎五十嵐 道路・交通政策部長 現在、小田急電鉄は、代々木八幡駅から梅ヶ丘駅までの六駅において、二〇二〇年度までの使用開始を目標に、ホームドアの設置を進めております。また、その後、国土交通省が示した整備方針に基づき、一日の利用者数が十万人以上の町田駅、登戸駅など、区外にある八駅を優先してホームドアの設置を進めていくこととしております。
一方、東京都は先月、鉄道駅バリアフリーに関する優先整備の考え方を示し、この考え方に基づき、優先的に整備をする駅に対する補助の拡大充実を図り、鉄道バリアフリーの取り組みを強力に推し進めていくとしております。
区といたしましては、ホームドアの整備に関しましては、ユニバーサルデザインの観点から非常に重要だと認識しており、引き続き、東京都及び鉄道事業者の動向を注視してまいります。
◆ひうち優子 委員 ぜひよろしくお願いいたします。
次に、多摩川河川敷のジョギングコースの整備について伺います。このテーマは以前に他会派の方が取り上げておりましたが、整備を求める声が多いので、私からも質問いたします。
皇居ラン、駒沢公園ランなど都内ではラン人口がふえております。ランは、健康のためにも、ストレス解消にも、また地方での大会は地方創生にもなり、その町を知れる上でも大変よいと思います。私も走っておりますが、世田谷区内では、駒沢公園、砧公園、そして多摩川河川敷を走っている方がふえております。一方で、走りにくい場所があるのも事実です。
次のような声をいただきます。多摩川河川敷の大田区境から二子玉川公園までの区間にかけては砂利道がでこぼこで非常に走りにくい。狛江市に入ると道が整備をされていて走りやすい。世田谷区側だけ何とか整備をしてほしいというものです。ここは国土交通省の管轄で、整備を要望しているとのことですが、国土交通省がなかなか動かないのであれば、世田谷区として河川法に基づく占用許可をとり、世田谷区が舗装していただきたいと思います。狛江市では、市が占用許可をとり、整備をしております。見解をお伺いいたします。
◎笠原 みどり33推進担当部長 委員お話しの区間には、多摩川遊園など国から河川敷を借り受けて設置している公園がございます。それに平行して国が設置管理する緊急用河川敷道路がございます。この緊急用河川敷道路ですが、災害時の緊急輸送路、また河川管理施設の緊急復旧工事用として使用されるもので、幅がおおむね五メートルほど、延長三キロメートルほどございます。現在、砂利道となっており、部分的に水たまりがあるなど、良好とは言いがたい状況は区としても認識し、国に対して改善の要望をしてきているところでございます。
この区域全域を区が占用し、整備する場合、多大な費用、また日々の維持管理等の対応など、課題もあるかと思います。そのため、占用することは慎重に検討する必要があると考えておりますが、河川敷の公園が快適な河川空間の一部としてより一層活用されること、こちらは必要だと認識しておりますので、引き続き、国に対し、地元の声や要望をしっかり伝えていくとともに、改善に向けての協議を進めてまいります。
◆ひうち優子 委員 機会を捉えて、ぜひ国に対して要望していただきたいと思います。要望いたします。
以上で質問を終わります。
○石川ナオミ 委員長 以上で世田谷無所属の質疑は終わりました。
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○石川ナオミ 委員長 引き続きまして、都民ファーストの会、どうぞ。
◆そのべせいや 委員 二〇二〇年四月に保育待機児童ゼロという目標が結局どうなっているのか伺います。
今年度分の全国の保育待機児童について厚労省による集計が終わり、世田谷区は二年ぶりにワーストワンへ後退する結果となりました。いまだ日本一の待機児童を抱える中、待機児童解消という目標に対して議事録、資料を確認すると、半年後の二〇二〇年四月の待機児童ゼロに向けて努力をするという具体性に欠ける答弁しかありません。区民が必要としている情報は、残り半年の現時点でどのように目標達成の見込みが立っているのか、それにより自分の子どもが保育園を利用できるのか、あるいはいつごろになれば特別なことはせずに、育休明けに誰でも入園ができるのか、フルタイムではない場合や求職をする場合まで順番が回るのはいつなのかということではないでしょうか。
九月の福祉保健常任委員会では、今年度計画している整備数に対して四百十三名分のめどが立っていないことが報告をされています。
本日が日本のビジネスイヤーでいうと下半期初日ですが、丸半年で積み残し分の目標達成のめどはどの程度立っているのか、また、仮に施設整備が未達成であったとしても、待機児童がゼロにできるとおっしゃる根拠と手法をお示しください。
◎知久 保育担当部長 令和元年度の計画では、令和二年四月までに千三百八十七名分の保育定員の拡大を見込んでおり、約七割の九百七十四名分の定員増を見通しておりますが、御指摘のとおり、四百十三人分は未達となっています。
一方、保育施設の整備に当たりましては、認可保育園や小規模保育事業の新規整備十六件のうち、特に優先度の高い世田谷・北沢地域において十一件の整備を進めるとともに、待機児童の多いゼロから二歳の低年齢児を対象とした保育施設についても、十六件中十件を重点的に整備し、より効果的な待機児童解消につながるように取り組んでいるところです。
また、ソフト対策といたしましては、育児休業の延長を希望する方の選考の優先順位を下げることで、真に保育を必要とする方が入園しやすくなる選考制度の見直しを初め、今後の入園申し込み状況を踏まえた上で、既存保育施設内の未利用スペースを活用した定期利用保育の実施要請の検討、入園申込者の状況の正確な捕捉と丁寧な利用案内などを進め、来年四月の待機児童の解消に向けまして、引き続き全力で取り組んでまいります。
◆そのべせいや 委員 今年度と来年度が傾向が大きく変わらない限りは、半年後の待機児童ゼロのための整備目標とされている今年度の積み残し分の約四百名に対して、施設整備以外にまず、育休延長希望者については、以前の区のメディアでの回答を引用すると、一年間に二百名弱と推計をされています。
また、定期利用保育の定員拡大させることで幾分かは待機児童を吸収することも可能です。加えて、来年度の入園選考から産休、育休明けの予定の調整基準の変更も行いましたので、働かなければ収入の途絶えるフリーランス、自営業の方から先に門前払いされることはなくなり、一方で雇用保険で一定の収入が確保されることもあり、一歳を過ぎるまでは本当はもう少し子どもの成長を近くで見守りたい意向があったとしても、現実的に一歳児クラスで入園することが困難なため、早期に復帰している方も一定数存在をしています。そうした意向のある方に向けては、本当は安心して一歳児クラスに入園が可能となる整備が求められますが、一歳児保育はゼロ歳児保育と面積や人数配置で単純化をして比較すると、一・五倍強の入園枠の確保が可能です。
ゼロ歳児保育のニーズ調査の結果いかんでは、従来のとにかくゼロ歳児からの復帰を前提とした保育定員を確保するだけではなく、一歳児クラスから安心して仕事に復帰できる入園枠を確保することが今後の保育定員の拡大に貢献すると考えますが、ニーズ把握と今後のゼロ歳、一歳の整備方針について見解を伺います。
◎知久 保育担当部長 保育を必要とされる方々の保育ニーズは、就労状況等によりまちまちであり、区では、保育需要に応じた保育施設整備を基本として進めてきております。また、昨年度実施しましたニーズ調査におけるゼロ歳児人口に占める保育利用意向率は五三・六六%で、平成二十五年度の四一・八七%から一一・七九%ふえ、潜在的な利用の伸びがうかがえます。
こうした状況を踏まえ、先ほども御答弁いたしましたが、入園申込者に対し、育児休業の延長の意思を確認した上で、選考の優先順位を下げる取り組みや、自営業やフリーランスの保護者に、育休明けの調整基準を新たに適用するなどの取り組みを通じまして、特にゼロ歳児については、入園を希望される保護者がより入園しやすくなる選考制度を目指してまいります。
区といたしましては、新たな選考制度を通して、ゼロ歳児のニーズ把握に努めるとともに、実態に即したゼロ歳児、一歳児の定員設定を進めてまいります。
◆そのべせいや 委員 また、先日示された世田谷区子ども計画第二期後期計画素案を確認すると、二〇二〇年度、二一年度は、一部の需要見込みが保育定員の確保総数を上回っており、二〇年度は一歳、二歳で五百三十五名、三歳―五歳の保育希望者で百八十八名、二一年度は一歳、二歳で百九十一名分の需要が確保できない予測が示されています。さらに、五地域別の詳細数値を確認すると、第二期計画の最終年、二〇二四年においても、各地域で年齢別の需要見込みが定員確保総数を上回っています。
需要が供給を上回っている状態こそが待機児童が発生する状態であると考えますが、今回二〇二〇年以降の世田谷区の保育の予測について、改めて公表されたこの数字の意味することと、果たして計画の中で既に需要が上回っている予測で本当に待機児童ゼロは達成、継続されるのか改めて公式見解を伺います。
◎知久 保育担当部長 御指摘の保育需要量見込みは、国の手引に準拠して策定しており、昨年度実施しましたニーズ調査に基づき、現在は利用していないが、必要となったら利用したいといった潜在需要も含んで設定しております。しかしながら、近年の入園申し込みの実績等から類推される確保数についても勘案をいたしまして、確保総数については減としているところです。
また、次期計画期間では、待機児童対策として、定員を超えて各園で受け入れを行っている定員弾力化の解消を図ることとしており、五年で順次解消していく弾力化相当分を令和二年度に一括して確保総数から引いていることから、需要量見込みを確保総数が下回る結果となっております。
区は、令和二年四月の待機児童解消を目指しており、本計画も令和二年度以降について待機児ゼロの継続を前提としたものになっているところです。
◆そのべせいや 委員 あと半年で待機児童がゼロになるという答弁が続いておりますので、とり得る手段、あらゆる手段を尽くしていただければと思います。
今ここで目標について役所を糾弾しても待機児童が減るわけではありませんので、今後、各所管の質疑で待機児童ゼロに向けた提案を個別で続けてまいります。
以上で終わります。