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  1. 世田谷区議会 2019-06-12
    令和 元年  6月 定例会-06月12日-01号


    取得元: 世田谷区議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-03
    令和 元年  6月 定例会-06月12日-01号令和 元年  6月 定例会 令和元年第二回定例会 世田谷区議会会議録第八号  六月十二日(水曜日)  出席議員(五十名) 一番   つるみけんご 二番   神尾りさ 三番   そのべせいや 四番   青空こうじ 五番   ひうち優子 六番   上川あや 七番   くりはら博之 八番   佐藤美樹 九番   小泉たま子 十番   あべ力也 十一番  高岡じゅん子 十二番  金井えり子 十三番  田中みち子 十四番  和田ひでとし 十五番  石川ナオミ
    十六番  河野俊弘 十七番  宍戸三郎 十八番  津上仁志 十九番  福田たえ美 二十番  河村みどり 二十一番 いそだ久美子 二十二番 中山みずほ 二十三番 中里光夫 二十四番 江口じゅん子 二十五番 たかじょう訓子 二十六番 畠山晋一 二十七番 山口ひろひさ 二十八番 真鍋よしゆき 二十九番 高橋昭彦 三 十 番 高久則男 三十一番 平塚敬二 三十二番 桜井純子 三十三番 中村公太朗 三十四番 藤井まな 三十五番 桃野芳文 三十六番 ひえしま 進 三十七番 阿久津 皇 三十八番 加藤たいき 三十九番 菅沼つとむ 四 十 番 板井 斎 四十一番 佐藤弘人 四十二番 岡本のぶ子 四十三番 羽田圭二 四十四番 風間ゆたか 四十五番 中塚さちよ 四十六番 大庭正明 四十七番 田中優子 四十八番 下山芳男 四十九番 おぎのけんじ 五 十 番 上島よしもり  出席事務局職員 局長     平澤道男 次長     井上徳広 庶務係長   星野 功 議事担当係長 水谷 敦 議事担当係長 長谷川桂一 議事担当係長 下村義和 議事担当係長 菊島 進 議事担当係長 末吉謙介 調査係長   佐々木 崇  出席説明員 区長     保坂展人 副区長    宮崎健二 副区長    岡田 篤 世田谷総合支所長        志賀毅一 北沢総合支所長        髙木加津子 玉川総合支所長        岩元浩一 砧総合支所長 澤谷 昇 烏山総合支所長        西澤 滋 政策経営部長 中村哲也 財政制度担当参事        松永 仁 庁舎整備担当部長        松村浩之 危機管理室長 工藤 誠 財務部長   進藤達夫 生活文化部長 松本公平 地域行政部長 清水昭夫 スポーツ推進部長        内田政夫 環境政策部長 本橋安行 経済産業部長 田中耕太 清掃・リサイクル部長        原田茂実 保健福祉部長 板谷雅光 高齢福祉部長 長岡光春 障害福祉部長 片桐 誠 子ども・若者部長        澁田景子 児童相談所開設準備担当部長(子ども・若者部長兼務)        澁田景子 保育担当部長 知久孝之 世田谷保健所長        辻 佳織 都市整備政策部長        畝目晴彦 防災街づくり担当部長        田中太樹 道路・交通政策部長        五十嵐慎一 土木部長   関根義和 豪雨対策推進担当参事        桐山孝義 教育長    渡部理枝 教育次長   淺野 康 教育政策部長 池田 豊 生涯学習部長 皆川健一 総務課長   菅井英樹     ──────────────────── 議事日程(令和元年六月十二日(水)午後一時開議)  第 一 代表質問
        ──────────────────── 本日の会議に付した事件  一、会議録署名議員の指名  二、会期の決定  三、諸般の報告  四、日程第一 代表質問     ────────────────────     午後一時開会 ○和田ひでとし 議長 ただいまから令和元年第二回世田谷区議会定例会を開会いたします。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 これより本日の会議を開きます。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 本日の日程はお手元に配付の議事日程のとおりであります。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 まず、会議録署名議員の指名を行います。  会議録署名議員には、会議規則第七十九条の規定により、   二  番 神尾  りさ議員   四十九番 おぎのけんじ議員 を指名いたします。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 次に、会期についてお諮りいたします。  本定例会の会期は、本日から六月二十一日までの十日間とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○和田ひでとし 議長 御異議なしと認めます。よって会期は十日間と決定いたしました。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 次に、出席説明員に異動がありましたので、御報告いたします。  お手元に配付の出席説明員一覧表のとおりであります。御了承願います。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 次に、区長から招集の挨拶の申し出があります。保坂区長。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 令和元年第二回世田谷区議会定例会の開催に当たり、区議会議員並びに区民の皆様に御挨拶を申し上げます。  四月一日、世田谷区は三百二十六名の新入職員を迎えました。会場の世田谷区民会館ホールには、緊張と期待に満ちた表情で新入職員が並びました。この八年間で千八百八十名を超える新人職員を迎え、一人一人辞令とともに握手を交わしてきました。もはや全職員の三五%を占めるまでとなり、ベテラン職員の退職とともに区政の最前線を担っています。少子・高齢化と教育改革、地域コミュニティー活性化と環境共生、基盤整備など多くの課題に直面する中、九十一万区政を支えるバトンが引き継がれています。  同じ日に、都立梅ヶ丘病院跡地の保健・医療・福祉の全区的な拠点の一翼を担う民間施設棟、東京リハビリテーションセンター世田谷がオープンしました。高齢者支援施設及び障害者支援施設として多様なサービスの提供が始まりました。この建物の隣では、区の複合棟、保健医療福祉総合プラザの建設が進んでいます。両施設が連携し、保健医療福祉の拠点となる「うめとぴあ」となります。「相談支援・人材育成」、「健康を守り、創造する機能」、「高齢者等の在宅復帰・在宅療養支援」、「障害者の地域生活への移行・継続支援」の四つの機能を実現すべく、二〇二〇年四月の「うめとぴあ」の本格稼動に向け着実に準備を進めます。  五月一日には、三十年続きました平成が終わり、令和へと新たな時代に変わりました。この日、区役所には六百二十六組のカップルが婚姻届を提出し、人生の新たなスタートを切りました。  令和の元号は、日本最古の歌集であり、幅広い階層の人々が読んだいにしえの歌がおさめられている万葉集からの引用とされています。平和で麗しい花を大きく咲かせる時代をつくることを区民の皆様とともに願っています。  ここから四年間の区政運営方針について述べます。  さきの選挙では、区政の各分野で取り組んできた世田谷改革のバージョンアップについて公約に掲げました。この中から、改革を牽引する三つの取り組みについて述べます。  まず初めに、地域行政の検証と改革の取り組みについてです。  昭和五十年代半ばとなる一九八〇年ころに、世田谷区は地域行政制度の検討を始めています。当時の区は、既に人口八十万人を抱え、東京最大の人口であり、全国の政令指定都市と肩を並べる有数の規模の自治体でした。そのころの大場啓二区長は、区長になったときから、世田谷区政は政令指定都市を預かった気構えでと号令をかけたと著書の中で振り返っています。特別区において前例のない政令指定都市の行政区に匹敵するものとして、区内に五つの総合支所を配置しました。さらに、住民本位、区民参加のもと、地域ごとの特性に沿った区民主役のまちづくりや地域の福祉を充実させる方向で、地域行政制度が構想された経緯も述べています。実に構想から企画、十数年の歳月をかけて、平成三年、一九九一年に、区独自の地域行政制度の導入に至りました。  地区、地域、本庁をつなぐ三層構造をベースに、平成六年、一九九四年には二十七地区体制とし、平成九年、一九九七年には保健所と福祉事務所を統合再編した保健福祉センターを五地域に設置しました。平成十七年、二〇〇五年には全ての出張所で窓口サービスを行っていた体制から、取扱件数の多い七カ所に絞った出張所の見直しや、その後のまちづくりセンターへの転換を進めてきました。平成十八年、二〇〇六年に、総合支所内の組織体制を再編しました。  平成二十三年、二〇一一年の東日本大震災以降は、災害対策や復興のために地域コミュニティーの重要性が再認識されるようになりました。私は、区長に就任して以降、このことを念頭に、地区まちづくりに重点的に取り組みました。平成二十八年、二〇一六年には地域包括ケアの地区展開を進め、分散していたあんしんすこやかセンター社会福祉協議会を、住民に最も身近なまちづくりセンターに集約して、全二十七カ所の福祉の相談窓口を設け、また防災塾を開いて、住民の手で七十二時間生き延びるための地区防災計画をつくるなど、まちづくりセンターの機能を強化しました。  総合支所の機能も、ネウボラチームや子ども家庭支援センターを中心に強化しました。また、区民の利便性向上のため、窓口での待ち時間を大幅に短縮したくみん窓口を設置するなど、地域行政制度は、時代の変化の荒波にさらされながら区民生活に根づいてきました。平成三十年、二〇一八年に、保健福祉センター所長を総合支所副支所長の兼任で設けました。  今日まで、地域行政制度の開始から二十八年がたち、十二年の準備期間も含めると四十年の月日が流れました。少子・高齢化の進展や人口の増加などによる地域の姿や社会のありようが大きく変化する時代にあり、住民自治や身近な行政サービスのあり方及び三層構造による行政運営の方法について、区民とともに改めて整理し、将来に向けて持続可能なものとしていく時期が来ています。本庁と総合支所、総合支所とまちづくりセンター、それぞれの関係の見直しも必要です。地域や地区に根差した住民自治をどう形づくるのか、活発な議論をしなくてはいけません。  人口は九十一万人を超え、やがては百万都市も見据えた大都市世田谷区としての自治体運営をどうしていくのか、都区制度や自治権拡充について議論し、区が目指すべき自治体の形を区民に提示して、自治権拡充の道を切り開く必要があります。そのため、参加と協働を一層促進させ、区、区民が、地域行政の基本理念や役割、責務を広く共有し、互いを尊重しながら、相互扶助の活発な地域社会の実現に向けて、打てば響くまちづくりを実現するため、地域行政推進に関する条例制定を進めます。  まず、せたがや自治政策研究所の機能を生かし、この間の地域行政の歩みの歴史を検証し、現在直面する課題の整理を行い、区が目指す地域内分権と自治権拡充についてまとめます。検討に当たっては、区民との意見を交換する場を設け、その都度、議会の御意見をいただきながら、参加と協働による区民主体の条例案としていく決意であります。  第二に、二十三区初となる区立児童相談所の開設に向けた改革の取り組みについてであります。  児童福祉法は、戦後の福祉制度の土台となる福祉三法の一つとして、敗戦直後の昭和二十二年、一九四七年に制定されました。  当時、東京・上野の地下道には、戦災で親を亡くし、野宿を強いられている戦災孤児が多数いて、子どもたちの服は汚れ、ノミ、シラミもたかっていることから、子どもたちを保護した後に、消毒、殺虫のためにDDTを頭から振りかけることもありました。戦災孤児の保護が一時保護所の始まりです。児童相談所は、こうした戦災孤児たちの救済と支援のための行政組織ということであったと聞いています。  その後、時代は大きく変わりましたが、今日でも一部の一時保護所では、子どもたちが保護されるとき、衛生面などを理由に衣服は全て保護所の服に着がえるなどの習慣が続いています。また、食事のときに目を合わせることや、子ども同士の会話が禁止されているなど、少年院などの矯正施設であるかのような処遇も見られます。  児童福祉法制定から七十数年、従来の子ども観の転換を迫るものとして、国連子どもの権利条約の批准が挙げられます。権利主体としての子ども、子どもの市民的権利、自己決定権などが明記され、世田谷区においても、平易な文章で書かれた子ども条例に反映をされています。  児童相談行政は、戦後の混乱期に立ち上げられたシステムから、子どもの最善の利益を実現する仕組みへと時代と社会の要請に応えて構築されるべき時期に入っています。  平成二十八年、二〇一六年の児童福祉法改正により、児童相談所については特別区も設置できるという規定が加わりました。この規定は、自治権拡充のやりとりをめぐる都と区の長い議論の経過から生まれてきたもので、都区間協議で確認された五十三項目の区への検討対象事務の中で、特別に抜き出した最優先項目が児童相談所の移管でありました。東日本大震災を挟んで、都区間の協議が停滞し、歩み寄らない膠着状態が長らく続きましたが、当時の区長会会長による厚生労働大臣への働きかけもあり、児童福祉法の改正がついに実現をしました。  この法改正では、子どもが権利の主体であることが明確になり、子どもと家庭への養育支援から代替養育までの社会的養護の充実が求められることになりました。  また、法改正とともにつくられた国の新しい社会的養育ビジョンでは、就学前児童の里親委託率を七五%に引き上げ、施設での養育から家庭的養育を原則にすることや、家庭復帰の可能性のない場合は、養子縁組みなどを提供して永続的解決、パーマネンシー保障の徹底が示されました。これからは、里親家庭の確保など、代替養育の受け皿の拡充と支援に取り組むなど、一時保護所も含めた社会的養護のシステムを、子どもの権利が保障された子どもの権利条約批准後の水準に引き上げてまいります。  区は、身近な基礎自治体として、子ども家庭支援センターを通して、地域の多様な関係機関と顔の見える密な連携協力関係を築いてきました。また、児童虐待の予防から、気軽な相談、早期発見、早期対応、その後の地域の見守りなどにしっかりと取り組んできました。これまでの経験を踏まえて、区が児童相談所を運営することが、子どもの生命と安全を守るにふさわしいと考え、江戸川区、荒川区とともに、特別区における児童相談所設置の議論をリードし、実現への道筋をつけてまいりました。  先日、来年の四月に世田谷区立の児童相談所を開設するため、児童相談所設置に当たっての政令指定の要請を、東京都の副申とともに、厚生労働省に行いました。開設まであと一年を切り、総合福祉センター跡の改修や一時保護所の整備、児童福祉司や児童心理司、児童相談所職員などの育成、児童相談所と子ども家庭支援センターの一元的な運用のためのルールづくりなど、開設に向けた準備の総仕上げに取り組んでいます。  第三に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした共生社会のための改革の取り組みについてです。  東京二〇二〇大会の開催まで四百五十日を切りました。馬事公苑での馬術競技大会には、国内だけではなく、海外からも多くの訪問客が観戦に来られ、世田谷区をアピールする絶好の機会となります。区では、共生のまち世田谷の実現に向けて、地域経済やたくさんの人との交流が地域の活性化につながるよう、オール世田谷で取り組みを進めてまいります。  オリンピック憲章の根本原則には、「人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく」と明記されています。  また、世田谷区基本構想にも、個人の尊厳を尊重し、年齢、性別、国籍、障害の有無などにかかわらず、多様性を認め合い、人権を尊重する社会を目指すことを掲げています。  平成三十年、二〇一八年に制定しました世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例を基盤に、本年三月に多文化共生プランを策定しました。また、この四月には、平成二十七年、二〇一五年に始めた同性パートナーシップ宣誓において、戸籍上は異性でも自認する性が同じであるカップルを対象に加えるなどの制度改正もいたしました。  区の外国人人口は、五月には二万二千人を超え、アジア諸国など世界各国からの転入増加が続いています。「誰もが共に参画・活躍でき、人権が尊重され、安心・安全に暮らせる 多文化共生のまち せたがや」を目指し、今年度は、せたがや国際メッセや外国人のための日本語教室の実施、在住外国人との意見交換会の開催に加え、ニーズ調査なども予定をしています。  一過性の観光とは一線を画した文化・体験交流型のまちなか観光を展開し、訪日外国人のみならず、在住外国人や海外体験の豊富な区民との交流、協働を進め、区内大学とも国際交流ラウンジなどで連携を図り、国際交流の輪を広げてまいります。  東京二〇二〇大会のレガシーとして国際交流の基盤を確かなものとするため、これまでの姉妹都市の三都市のほかに新たに、子どもたちを対象とした教育・文化交流に、フィンランドのビヒティ市、台湾の高雄市、アメリカのポートランド市との交流を進めます。本年六月には、ウイーンのドゥブリング区長一行が姉妹都市提携三十五周年の再調印式のために訪問され、秋には私たち世田谷区のほうも同区を訪問する予定です。  また、区は都内では最初の共生社会ホストタウンにも登録し、ユニバーサルデザインのまちづくりや心のバリアフリー、障害者スポーツの推進を三つの柱で取り組んでいきます。  ここからは、区政各分野の課題について述べます。  まず、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた具体的な取り組みについてです。  これまで大蔵運動場及び大蔵第二運動場がアメリカ選手団のキャンプ地として決定したことを契機とし、さらにホストタウンとしての登録によりアメリカのスポーツ選手などと区民との交流事業を実施してきました。とりわけ、子どもたちと選手との交流をできるだけ多く実現させることで、驚きや感動を生み、夢や希望、国際理解を深めていきます。また、パラリンピックの正式種目でもあるボッチャの普及を通し、障害者スポーツを推進し、障害理解を深めるなど、世田谷区の将来にわたり刻まれていくレガシーを残していきます。  また、観光案内や交通案内、馬術競技PRなどを目的としたボランティアの募集では、六百五十人の募集に対し、九百名以上の応募がありました。大変高い関心と意欲が区民に広がっていることをうかがわせます。来年の大会に備えての体制づくりとともに、在住外国人との交流を深め、コミュニティーに迎え入れていく努力を重ねます。  あわせて、東京二〇二〇大会を契機とした教育の取り組みについてです。  まず、今年度において、子どもたちのおもてなし事業として、区の歌である「おーい せたがや」に合わせたダンスを幼稚園や小学校、中学校の授業や行事などで踊ります。区民まつりや地域の商店街のお祭りなどで紹介し、来年度には、世田谷区を訪れるアスリートや外国人訪問者に披露するなど、地域とともに東京二〇二〇大会を盛り上げていきます。  さらに、今後、アメリカとの交流をさらに深めていくため、現在、世田谷区とオレゴン州ポートランド市の中学生との交流事業を計画しています。今年度中に、現地の実地調査や参加者の募集を行い、来年度から中学生の派遣を予定しています。  次に、環境とエネルギーについてです。  世田谷発エネルギー革命を実行し、脱原発と自然エネルギー推進を加速し、原発に依存しない脱化石燃料社会への道を開きます。  平成二十七年度、二〇一五年度に策定しました世田谷区環境基本計画が五年目を迎え、現在、後期計画に向けた中間見直しの検討を進めています。再生可能エネルギーの一層の普及促進や豪雨対策などのグリーンインフラの取り組み、住宅の省エネルギー化の促進など新たな課題も含め、持続可能な社会の実現を目指して対策を進めてまいります。  特に再生可能エネルギーの利用については、四月より区役所本庁舎に再生可能エネルギー一〇〇%の電力を導入し、自治体版RE一〇〇に取り組んでいます。引き続き、自然エネルギー活用に取り組む自治体間連携を通して区民や事業者などへも利用拡大を図り、地球温暖化の原因とされる温室効果ガス排出の抑制に努めていきます。  次に、高齢福祉と介護人材対策についてです。  介護などの支援を必要とする高齢者が増加する中、今年度は四つの特別養護老人ホームを開設するなど、介護サービスの基盤整備を計画的に推進しています。介護予防や認知症施策などの取り組みと合わせ、介護が必要になっても住みなれた地域で安心して暮らせる地域づくりを進めてまいります。  一方、労働力人口が減少する中、介護サービスの担い手となる人材の確保は、引き続き厳しい状況にあります。区では、今年度より、事業者が介護職員の採用活動に要した費用や、介護業務の身体的な負担軽減に資する腰痛予防ウエアなどの購入費に対する助成事業を新たに開始しました。介護ロボットやICT機器の導入経費助成など、これまでの取り組みと合わせ、事業者を支援いたします。  区内の介護事業所で働き始めた人たちを対象に、世田谷区介護職員等合同入職式を継続し、介護事業者やハローワーク、介護福祉士養成校などと意見交換も行いながら、さらなる介護人材対策を推進いたします。  また、貧困、格差及び住宅確保要配慮者対策では、世田谷区居住支援協議会を軸に、高齢者、障害者、ひとり親の子育て世帯などの住宅支援体制を強めます。区営住宅を初め、公共政策を格差・貧困対策の柱と位置づけ、空き家活用を本格化します。また、社会福祉協議会を通して、子ども食堂を支援し、食品廃棄防止のフードドライブ事業から食材供給のマッチングを充実します。子ども・子育て支援の地域のネットワークと連携しながら、養育困難家庭を支援します。世田谷区児童養護施設退所者等奨学基金、せたがや若者フェアスタート事業では、この四月から千六百万円を超える御寄附をいただきました。寄附総額は九千百万円、一千件超となりました。反響の大きさを受けとめ、今後の継続的発展を目指し、さらなる事業内容の充実を図っていきます。  次に、子ども分野から保育について述べます。  保育待機児童対策について述べます。  四月一日現在の世田谷区の保育待機児童ですが、前年度より十六人減少し、四百七十人となりました。区では、平成三十年度、二〇一八年度の保育施設整備において、認可保育園八カ所、小規模保育事業四カ所の新設による定員拡充に取り組み、前年比で四百九十二人の定員の増を図りました。待機児童数については、昨年に引き続き減少したものの、今年度は微減にとどまり、また、昨年度ゼロ人だった三歳児で再び十二人の待機児童が生じる結果となりました。入園申し込みをされた保護者の皆様には、御希望の応え切れていないことに大変申しわけなく思っております。  今年度は、待機児童解消に向けた計画上の最終年度です。本年十月から幼児教育の無償化の影響を正確に予測することは難しいのですが、地域別保育ニーズに配慮しながら、保育所整備に全力を挙げるとともに、あらゆる手法を通して待機児童解消を確実に実現できるよう、担当所管に指示をしたところでございます。  次に、都市整備では、災害に強く、緑あふれる美しい町を目指すため、近年多発している豪雨対策のかなめとして、河川や下水道など、ハードインフラ整備促進とともに、雨水を地中で受けとめる区民参加のグリーンインフラの推進を加速します。また、この間、成果を上げてきた木造住宅密集地域の不燃化を促進し、暮らしに密着した狭隘道路の拡幅整備、地先道路、主要生活道路など、ネットワークを整えるとともに、無電柱化の推進など都市基盤整備に取り組み、玉川野毛町公園や上用賀公園の拡張整備を進め、みどり率三三%を目指してまいります。  ここで、建築物の絶対高さ及び敷地面積の最低限度の制限の見直しについてです。  区が目指す将来都市像を構成する一つである、みどりとやすらぎがあり、住みたくなるまちの実現に向けて良好な住環境を維持し、世田谷らしい住みやすい町を形成するため、この四月一日から建築物の高さ及び敷地面積に関する新しいルールの運用を開始しました。  区は、社会状況の変化を受けて、きめ細やかな規制による住宅地の住環境の保全と、緑地や空地などを確保した市街地環境の向上に資する建築物への誘導を図ることが住宅都市としての発展を支える基本であると考え、平成二十七年度、二〇一五年度より、都市計画の見直しに着手しました。  見直しに当たっては、区民の皆様の御意見、学識経験者による検討部会や都市計画審議会の助言を受けて検討を重ね、建築物の高さ及び敷地面積に関するルールの見直しの基本的考え方を策定し、区内の約四割で都市計画の変更を行いました。  敷地面積の制限は、建蔽率にして六十平米から百平米の四種類とし、絶対高さ制限については、市街地環境への貢献や公共性に配慮した特例を設けつつ、地域に応じて十五メートルから四十五メートルの七種類としています。  世田谷区の魅力を高め、光と風、緑を確保した世田谷らしい住みやすい町を目指し、まちづくりを区民との協働で進めてまいります。  次に、教育分野です。  これまで区民参加のもと、世田谷区総合教育会議を重ね、学びの質の転換など教育改革に向けた議論を進めてきました。  地域に立脚した公教育として、義務教育や乳幼児教育の質を高めていくため、若林小学校跡地に教育総合センターを開設し、学校現場の支援、教員への支援、教材のレベルアップとともに乳幼児教育支援センター機能を整備します。  SDGsの理念を発展させたシチズンシップ教育、個性が尊重され、みずからの問いから探求的に学ぶ自律的な学習を定着させます。区立学校で、これまで以上に子どもたちの学習と成長を支援する特色ある教育をつくり出します。  また、子どもたちが情報通信技術の発展など社会のあり方が変容する新しい時代を生き抜く力を身につけるため、ICTやAIなど、多様な情報技術を取り入れ、情報活用力の育成を図っていく必要があります。各家庭のICT機器の学校での活用の検証をいたします。e―ラーニングの活用により、家庭学習支援の全中学校での実施や中学校特別教室へのICT機器の配備、ICT支援員の派遣など、さらなるICT環境の整備を進めます。  教員の多忙化を緩和するため、過度の学校依存からバランスのよい地域と学校の関係を進め、地域運営学校を発展させ、学校と地域資源をつなぐ環境を豊かなものにしていきます。また、特別支援教室の全中学校への開設を進めます。また、医療的ケア児の受け入れ校への看護師の配置、発達障害などの子どもたちのために、きめ細かな学習支援の環境をつくります。全ての子どもたちがともに学ぶ真のインクルーシブ教育を目指します。  さて、ふるさと納税についてです。  世田谷区の影響について、この五月時点での速報値では、令和元年度は約五十三億円もの区税収入が失われることになりました。区は、二十三区一体になり、国へ地域活性化、ふるさと応援の制度本来の趣旨に立ち戻るように訴え、国は返礼品において調達額を三割以下とし、地場産品に限る旨の制度改正を行いました。しかし、ギフト券や高額返礼品等の極端な自治体は制度から排除されましたが、三割以下での返礼品はお墨つきとなり、税源流失をさらに長期にわたり固定化するおそれもあります。引き続き、寄附金控除の上限額の引き下げや、地方交付税による水平調整の仕組みの見直しなど、抜本的な制度改正を訴えてまいります。
     五十三億円という流出額は極めて重く、見直しの働きかけとともに、内外に思い切った社会的な共感を呼ぶ事業への寄附の呼びかけなど、寄附文化の醸成に努めてまいります。  最後に、令和元年度一般会計第一次補正予算について申し上げます。  本年十月より実施が予定されております幼児教育無償化及び国によるプレミアム付商品券の発行事業などへの対応や、耐震再診断結果を踏まえた一部の小中学校の改築、学校体育館への空調設備設置へ速やかに対応するため、歳入歳出それぞれ六十四億九千六百万円の補正予算を計上するものであります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。  本議会に提案申し上げます案件は、職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例など議案十二件、諮問一件、同意一件、報告七件であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御議決賜りますようお願い申し上げて、御挨拶といたします。 ○和田ひでとし 議長 以上で区長の挨拶は終わりました。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 次に、事務局次長に諸般の報告をさせます。    〔井上次長朗読〕  報告第三十六号 平成三十年度世田谷区繰越明許費繰越計算書外報告六件 ○和田ひでとし 議長 以上で諸般の報告を終わります。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 これより日程に入ります。 △日程第一を上程いたします。  〔井上次長朗読〕  日程第一 代表質問 ○和田ひでとし 議長 質問通告に基づき、順次発言を許します。  まず、自由民主党を代表して、四十九番おぎのけんじ議員。    〔四十九番おぎのけんじ議員登壇〕(拍手) ◆四十九番(おぎのけんじ 議員) 新元号、令和の典拠となった万葉集には、多摩川を取り上げた歌もあります。千二百年以上前、天皇や貴族、防人から農民と幅広い身分の人たちが歌を詠んでいたということ、そしてまた、我々の目の前を流れる多摩川に思いをはせていた詠み手の心にも触れられるということ、天皇を縦糸として、二千年以上連綿と続いてきた日本だからこその世界に誇るべき伝統、文化の重みを改めてこの身に感じるとともに、この日本のすばらしさを後世の方々にしっかり伝え、残していかなければならないと、令和を迎え、意を新たにした次第であります。  さて、保坂区長は、さきの臨時会の招集挨拶で、行政と議会は車の両輪である旨述べられておりました。前期の議会との関係を思い起こせば、即座に額面どおり受け取ることはできませんが、前期の反省を踏まえ、真摯に議会と向き合い、行政と議会とがしっかりとかみ合った状態で世田谷区政を力強く前に進めていくことには、我々も大いに賛同するところであります。  しかし、現実においても、政治の世界においても、アクセルとブレーキを踏み間違えれば大惨事になります。我々自由民主党は、区議会第一党として、これまで同様、区民の生命と財産を守ることを第一義に、区民本位の区政を志向し、変えるべきものは変え、守るべきものは守る、そしてとめるべきときはとめるというスタンスを堅持し、区長以下行政に対し、正々堂々と対峙し、是々非々の態度で臨むものであります。そして、行政運営を計画面、行動面から徹底的にチェックし、建設的な議論を仕掛けていく、それが多くの区民からの負託を受けた我々自由民主党世田谷区議団の果たすべき役割と認識し、我々が目指す区民一人一人が自立しながら互いに助け合える地域社会の実現に向け、全力で邁進する覚悟であります。  それでは、自由民主党世田谷区議団を代表し、順次、質問してまいります。  まず、今期四年間の区政運営について伺います。  我々は、第一回定例会において、本年度の一般会計予算案に反対いたしました。その背景については、さきの議会でるる申し上げたとおりでありますが、数字的な裏づけや根拠が極めて希薄な新規拡充事業が並び立てられ、かつそれらが恒久的負担を伴いつつ、新たな行政需要を誘発しかねない類いのものであり、世田谷区の置かれている現状、予想される未来に照らし、また、持続可能な区政運営の観点から、現時点での政策的優先順位のつけ方に強い疑念を抱かざるを得なかったからであります。  二〇二四年度から新しい一万円札の顔として、日本の資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一が採用されることとなりました。その著書「論語と算盤」の中に次の一節があります。人道や経済の面から弱者を救うのは当然のことだが、さらに政治の面からも、その保護を忘れてはならないはずである。ただし、それは人にただ飯を食わせて遊ばせていればよいというものではない。貧しくなってから直接保護していくよりも、むしろ貧しさを防ぐ方策を講じるべきではないだろうか。  この八年間、区長はさまざまな形でセーフティーネット強化策を展開してきました。しかし、その多くが確たる出口戦略なき支援策と映ります。生活困窮者を初め、社会的弱者と呼ばれる方々に行政の手を差し伸べることはもちろん必要であります。しかし、安易かつ反射的に支援すればよいものではありません。そうした方々が、一刻も早く御自身が置かれている苦境から脱し、自立への足がかりをつかめる制度設計になっていなければ、財政負担はふえ続け、新たな行政需要を呼び起こします。  我が会派は、区民一人一人の自立意識の醸成、向上なくして、今後、持続可能な世田谷区政運営は成り立たないと考えます。  まずはこの点に関し、区長の考えをお聞かせください。  さて、世田谷区の人口は令和十年ごろに百万人を突破することになります。そのときの人口構成を見ると、生産年齢人口比率は今より下がり、従属年齢人口比率は上がる。そして高齢者も子どももふえていく。今後、世田谷区は少子・高齢化ではなく、どの自治体も経験したことのない多子・高齢化という未踏の領域に挑んでいくことになります。  足元に目を向ければ、ふるさと納税による税源流出、幼児教育無償化、児童相談所開設、本庁舎整備、公共施設の維持更新など、財政の圧迫要因はめじろ押しであり、また、待機児童問題、福祉人材不足、特殊詐欺の横行、公共交通不便地域など、区に長年横たわる課題にも解消のめどがつかないまま、新たな課題がどんどん積み上がっている状態であります。  世田谷の人口増は意図的にもたらされたものではなく、結果的にそうなっていることを行政も否定できないと思いますが、他の大規模自治体に比べ、世田谷が明らかに劣後していると感じるのは、自治体としての躍動感であります。私自身、百万人突破というシンボリックな瞬間を迎えることに対し、一区民として獏とした不安を覚えざるを得ません。世田谷の将来に向けた明確なビジョンが見えないことが、あすはきょうよりよくなるという実感、期待感を持ちづらい状況を生み出しているように思います。  先ほどの区長の招集挨拶も、新たな一期四年間における所信表明として、今後の世田谷の大きな方向性が打ち出されるものと期待をしておりましたが、随分あっさりとした各論ばかりの、小さくまとまった、将来に対する期待感、高揚感を全く喚起させない内容に大変失望いたしました。  我々には未来を完全に予測し、コントロールすることはできません。しかし、確固たる信念に基づく明確なビジョンと強いリーダーシップがあれば、希望に満ちた未来を手繰り寄せることができるはずであります。行き当たりばったりの区政運営ではなく、目の前の課題解決と並行して、中長期的展望のもと、この先の世田谷区のあるべき姿をしっかりと見定めて、そこから逆算して今何をなすべきかを判断し、我々区民一人一人が未来に希望を持てる世田谷を形づくっていくことに、区長以下行政は力を尽くすべきと考えます。  そこで伺いますが、区長は十年先、二十年先の世田谷のあるべき姿をどのように考え、そこへのステップとして、この四年間、何を優先的政策として推し進めるつもりなのか、残念ながら、招集挨拶のみならず、このたびの区長の選挙公約からもうかがい知ることができませんでしたので、具体的かつ明確にお聞かせください。  次に、行政経営改革について伺います。  五年前と比較し、区の予算規模は一般会計で六百十三億円、実に二三・八%も増加しています。さきに申し上げたように、多面的な財政負担増が予想される状況下にあって、安易な事業拡大は厳に慎むべきであります。我が会派がこれまで繰り返し指摘してきたように、予算書に記載されている行政経営改革は、断じて改革などではなく、行政経営微修正プランとでも呼ぶべき内容であり、区長の限界が形となってあらわれてしまったあしき事例であると私は認識しています。  他方、区においては、昨年度から新公会計制度の導入により、事業ごとにフルコストの把握が容易になり、実績面の評価にとどまらず、費用対効果、人件費比率、他部門との比較、他自治体との比較など、多角的な分析が可能になりました。区は昨年度より行政評価の再構築も図っており、これらの分析評価を的確に行える仕組みをつくってきたとも聞いております。これまで区の事業評価のあり方を痛烈に批判してきた立場として、本年度の決算特別委員会では、各所管における各事業の分析評価結果が出そろった状態で議論に臨めることを大いに期待するところであります。  次年度予算の編成に向けては、各管理職が事業執行の責任者として評価結果を冷静に分析し、事業の廃止、縮小の判断も辞さない構えが、また、政策経営部においては、各所管の事業を横並びで比較し、明らかにパフォーマンスの劣る事業を、その事業の持つ意義と照らした上で、廃止・縮小候補と位置づけるといった攻めの姿勢が求められます。そうでなければ、新たな行政評価を施す意味も、新公会計制度を導入する意味も全くありません。三十年度事業の決算評価を機に、令和二年度予算編成上、今度こそ大胆と言える行政経営改革が断行されると期待してよいのかどうか、その覚悟を伺います。  また、行政経営改革の一つとして、AI、RPAを徹底活用すべきであるという観点から伺います。  三月の予算特別委員会において、今年度のRPA導入による行革効果額一千万円はいかにも少なく、また実施する所管も中身も決めていないことが発覚し、形骸きわまりないという趣旨の指摘をさせていただきました。  繰り返すまでもなく、AI、RPAを活用した業務改善は、全庁的に応用性、汎用性が高く、これが呼び水となって、さらなる業務改善を誘発する効果も期待できます。少なくとも保育園の入園選考作業など、他自治体での先行事例があるものについては、各所管において、転用の可能性を即時検討するべきであります。ついては、今年度の予算が少な過ぎるがゆえに、全庁的な動きが鈍ることがないよう、各所管における導入検討を政策経営部から強く促すよう求めます。見解を伺います。  次に、地域行政について伺います。  平成三年度の地域行政制度の導入以降、既に二十八年が経過し、その間における区民ニーズも多様化、複雑化してきており、区民に身近な行政サービスのあり方や本庁、総合支所、まちづくりセンターという三層構造による行政運営手法を改めて整理することは一定の意義があると我が会派も認識しております。  また、児童相談所が二十三区において真っ先に移管される自治体として、都区間での自治権拡充の議論をリードしていくことと並行し、総合支所、まちセンの権限を強化して地域の実情に即した課題解決を住民に身近な場所で進めていく、地域内分権を深めていくことが急務であると考えます。  平成二十九年に区が出した資料、「地区・地域の強化に向けた取組みについて」においても、地域コミュニティー強化に向けた方向性として、地域のことは地域で解決する機能や仕組みを整備することや、第一線で区民との日常的な接触によりニーズをきめ細かく把握し、区民参加を充実させることの重要性が記載されています。  政令指定都市並みの規模を有する世田谷区において、地域隅々の課題解決までも本庁が担うことには限界があります。玉川地域だけで渋谷区に匹敵する人口が存在し、まちセンの管轄区域も地方の市町村レベルの人口であることから、実質的に総合支所、まちセンには単なる本庁の出先機関ではなく、また防災・福祉面のみならず、地域の経営主体として機能することが求められます。  実際まちセンには、地域におけるさまざまな生きた情報が集まっています。しかし、それらが有機的に庁内を流通しているようには思えません。その情報を区政運営における貴重な資産と捉え、総合支所や本庁に吸い上げ、連携し、スピーディーな地域課題の解決を図っていく、その仕組みをつくること、そしてそれを裏づけるべく総合支所、まちセンに対し、企画立案、執行権限、人材、予算を充てていくべきと考えます。区の見解を伺います。  また、二月の特別委員会において、地域行政の推進に関する条例制定に向けて検討を開始する旨の報告がありました。区長は、区民参加で徹底議論を重ねるとのことですが、地域行政制度そのものに無関心、何が課題なのかわからないという方が区民の大半を占めるものと思われます。単なる理念条例であれば不要であり、わざわざ区長が職員を従えてまちセン二十八カ所を回り、区民を巻き込む必要性も感じません。  区が想定する条例の中身は、先ほど申し上げた地域内分権を促進する上での実効性を担保するものなのか、また、条例策定により、地域行政制度の進化にどんなプラスの作用を生じさせようとしているのか、見解をお聞きします。  続いて、本庁舎整備について伺います。  全部改築か一部改築かの整備手法すらみずから決断せず、第三者機関に委ねて結論を先延ばししたり、整備手法が確定していないにもかかわらず、一部保存を前提とした調査費用を当初予算案に計上するなど、前期四年間において、迷走する保坂区政の代名詞となったのが、本庁舎整備であります。我が会派において、その進め方に対し、いまだ疑義を持つ者も少なくないということを改めて申し上げておきます。  今年度は実施設計に着手し、施工者選定方法を検討する段階に入っていくわけですが、前期のような混乱、そして予算の膨れ、工期の延長が生じることがないよう、会派として今後より厳しくチェックしていく所存であります。  また、区では今年度、本庁機能を維持するための数回にわたる執務室の移転計画、いわゆるローリング計画についても詳細に検討する予定と伺っております。着工から竣工までの間、来庁者へのサービス低下を招かず、また遅滞なく、安全に工事を進めることができるよう、徹底的な検討を求めます。  また、本庁舎のあり方は、先ほど質問した地域行政制度と密接不可分であります。区が再定義する地域行政制度の理念を、今後、本庁舎を初めとする公共施設の整備方針にも息づかせていかなければなりません。  既に本庁舎は整備計画が走り始めていますが、本来であれば、地域行政制度の理念にのっとった本庁舎の役割、適正規模、人員配置などを見定めた上での整備着手が望ましかったわけであります。例えば新たな本庁舎においては、行政機能スペースが既存庁舎に比べ大幅に増加する予定ですが、安易に職員増を計画するのではなく、あくまで総合支所やまちづくりセンターへの権限移譲に伴う本庁の職務内容、人員計画への影響などと並行して検討する。その結果、余剰スペースが生まれるならば、その有効活用方法もあらかじめ検討しておくなど、今後でき得る限り、本庁舎の整備運営方針と地域行政制度との整合性をとっていくべきと考えます。この点に関し、区の見解を伺います。  次に、区民の生命と財産を守る施策について順次伺います。  まずは、去る五月二十八日、川崎市登戸で起きた凄惨きわまりない殺傷事件に際し、犠牲となられた方々へ、衷心より哀悼の意を表するものであります。  事件から二週間がたち、私自身、いまだ困惑のただ中にありますが、通園、通学時の物理的、心理的死角をついた、まさに想定外の凶行に大きな憤りを感じるとともに、あのような事件を二度と起こさないために、我々は何ができるのか、事件から何を学び、今後につなげていくのか、突きつけられた課題は大変重いと感じています。そして、少なくとも想定できるリスクは一切除去するべきという観点から、ブロック塀対策について伺います。  さきの常任委員会で通学路沿いのコンクリートブロック塀対策の進捗が報告されました。緊急安全点検により、特に緊急性が高いと判断された十五件のうち、七件において改善に向けた取り組みが実施されたとのことですが、残る八件は通学路に依然として残ったままです。当然ながら、そのリスクは小学生に限らず、その道路を通行する全ての方々に及ぶものであります。そのことを改めて認識し、所有者との交渉に臨んでいただくことを強く要望いたします。  また、通学路に限らず、所有者が判明できない空き家等における危険なブロック塀への対応を急ぐ自治体も出てきています。区が平成二十九年度に実施した実態調査では、区内に空き家が九百六十六棟あるとのことですが、空き家におけるブロック塀の有無や状態を区では把握をしているのか、また対応していくつもりがあるのかどうかお聞きします。  続いて、特殊詐欺対策について伺います。  昨年の被害件数は、前年比八十八件増の三百四件、被害総額は七億一千七百万円となり、七年連続で都内ワーストという不名誉な記録を更新してしまいました。  この状況を鑑み、区議会としても、今期より災害・防犯・オウム問題対策等特別委員会において、特殊詐欺を初めとする防犯対策の強化に積極的に取り組むこととなりました。特殊詐欺被害根絶に向けて、区から特別委員会への積極的かつ丁寧な情報提供を改めて強く要望いたします。  さて、昨年、区は特殊詐欺に関し緊急事態宣言をしたものの、これまでの各種対策は全くの期待外れと言わざるを得ません。緊急事態と言うならば、トークイベントの開催やステッカーの頒布といった啓発活動ではなく、犯罪抑止に実効性のある対策を打ち出していくべきです。我が会派から提案した防災無線の活用も単なる啓発広報にとどまっておりますが、荒川区では不審電話が集中する地域に対し、防災無線、青パトを使い、リアルタイムで注意を呼びかける対策を講じています。区民に対し地道に注意喚起を促し続けることももちろん重要ですが、一方で警察と密に連携し、犯行グループに対する抑止策を積極展開するべき段階にあると考えます。見解を伺います。  続いて、豪雨対策について伺います。  昨年は、平成史上最悪の被害をもたらしたと言われる西日本豪雨を初め、区内においても、八月二十七日に一時間最大雨量百十一ミリを記録する豪雨が発生し、各地で甚大な浸水被害が出たことは記憶に新しいところであります。実際に被害に遭われた区民の方々から、既に今夏のゲリラ豪雨を懸念する声を数多くいただいております。  昨年来、区の豪雨対策基本方針に基づいた各種施策を引き続き推進することと、浸水被害が目立った地域に対し、東京都と連携した強化策の実施を求めてまいりましたが、現在の進捗をお聞きします。  また昨年、全く機能しなかった豪雨に関する区民への情報提供についてどのような改善をするつもりかあわせてお聞きします。  次は、児童相談所の開設について伺います。  またもや残忍な虐待事件が起きてしまいました。札幌市における幼児衰弱死の事件では、警察からの面会同行要請に児相が応えていなかった事実が判明しました。毎年五十件、一週間に一人子どもが虐待で命を落としているという事実の裏に、そうしたヒューマンエラーがたびたび潜んでいるということを区としても重く受けとめ、開設までの残り十カ月の間、細心の注意を払いつつ、周到な準備をされることを強く要望いたします。  今回は、開設までに残された課題への認識と解決に向けた対応について三点お聞きします。  一点目は、都から区へのケース移管についてです。  来年四月からのスムーズかつ円滑な開設に向け、都から区へ抜け漏れすき間なくケースが引き継がれなければなりません。目黒区や千葉県野田市の例からも、それまで児童福祉司や心理司がかかわってきた経過や想定リスクなど、ケースの詳細までしっかり抑え、対策を想定しておかなければ、最悪の事態を招くことになりかねません。開設に当たり、区は都の児童相談所から何件程度のケースを引き継ぎ、今年度中はどのような引き継ぎを行い、四月以降、都の職員からは実務的支援はどの程度、いつまで受けられる予定なのか、都との具体的な協議進捗をお聞かせください。  二点目は、人材確保についてです。  昨年十二月に国が示した児童虐待防止対策体制総合強化プランでは、児童福祉司の人口当たり配置基準を管轄区域の人口四万人から三万人に見直しをし、それに合わせてスーパーバイザーや児童心理司も増員を図るなど、全国の児童相談所に体制のさらなる強化を求めています。区からの報告では、開設後の人員体制について計画的に確保を進めていると伺っておりますが、気になるのはその中身であります。児相には複数の十年選手が不可欠だとも言われていますが、四月からの垂直立ち上げには即戦力となるベテランの力が欠かせないと考えます。人数合わせのために、経験値の乏しい職員を集めるのは本末転倒であります。現状、職責に見合った人材がしっかりと確保できているのか、また確保できるめどが立っているのか伺います。  三点目は、警察との全件共有についてです。  目黒区の事件を受けて、昨年国が取りまとめた児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策において、児童相談所と警察の連携強化を掲げています。虐待による外傷やネグレクト、性的虐待があると考えられる事案等で緊急性が疑われる案件については、ちゅうちょなく家庭に踏み込むなど、毅然とした対応が必要です。  そのためにも、日ごろから警察と情報を共有しておき、とっさに対応できる連携体制が必要であります。既に神奈川、愛知、茨城など警察と全件共有に踏み出す自治体はふえてきており、埼玉県では今年度中に児相と警察署間に専用線を引き、リアルタイムでの情報共有を実現する運びとなっています。虐待に関する情報の警察への取り扱いは、自治体により任意となっているのが現状でありますが、さきの自治体においても、全件共有により、当初想定されていた懸念、デメリットも特段生じていないようであります。  区においても、警察との全件共有を前提にして、開設後の連携方法を構築すべきと考えます。見解をお聞かせください。  次に、待機児童対策について伺います。  四月の待機児童数は四百七十名と前年に比べ微減でありましたが、依然全国ワーストクラスに高どまりしています。一方、ゼロから三歳児で定員割れが起きている保育園も八十九園あったと聞いております。昨年以上に地域格差、需給ギャップが広がったことに加え、三歳待機児が再度発生したことがことしの大きな特徴と捉えています。今後、幼児教育無償化により保育ニーズが増加することは間違いありません。  改めて三歳児対策として、小規模保育などに通う二歳児がスムーズに連携先に移行できる体制の構築、また三歳から新規で申し込みが想定される児童の受け皿確保という二つの側面から、どのような対策を講じようとしているのかお聞かせください。  また、今年度、世田谷・玉川・烏山地域は待機児が減少した一方、北沢・砧地域が増加となりました。特に増加の著しい北沢地域は、まとまった土地が出にくく、区内では賃借料相場が高い地域であり、保育事業者からは採算性の問題から整備をためらうということもよく耳にします。  今後、地域偏在の原因分析を進めるとともに、地域によっては時限的にでも、保育の質の担保を条件とした整備費助成の上乗せなどの強化策を検討することも必要と考えますが、区の見解を伺います。  加えて、第一回定例会にて我が会派が提案した入園申し込み時における育児休業延長の希望確認による内定辞退者の減少をという件について、その後の検討状況をお聞きします。  続いて、企業主導型保育施設への対応について伺います。  区内における企業主導型保育は十九カ所で展開され、三百九十名の受け入れ枠が確保されており、世田谷の待機児童減少に小さくない効果をもたらしているものと考えます。しかしながら、昨年秋、区内三カ所で保育士の大量退職があるなど、企業主導型保育施設における問題点の数々が明るみに出てきました。  来年四月には、児童相談所設置市事務として、企業主導型保育施設に対し、区が指導監督権限を有する立場となります。現状、区は区内企業主導型保育施設における課題をどのように把握し、今後の指導、支援につなげていくつもりなのか見解を伺います。  次に、高齢者施策に関し、まずは介護人材確保策について伺います。  豊かな老後を過ごすためには健康寿命の延伸を図り、元気に過ごせる期間をできる限り延ばすことが何よりも重要であります。世田谷区民の平均寿命が延びたという喜ばしい報道もある一方、依然として健康寿命との差は縮まっていません。二〇二五年には日本全体で介護人材が三十万人以上不足するという予想もされており、持続可能な介護サービスの提供を担保する介護人材の十分な確保は急務であります。  実際、区内特養施設においては、入所待機者が約千七百人存在する一方、人材不足が原因でベッドが満床になっていないという現実があります。区は今年度予算において、求人活動経費の助成や介護ロボット等の物品経費助成の拡充を図るとしていますが、これらの取り組みを含め、事業者に対するバックアップをさらに強化し、総合的な人材確保に向け、あらゆる手を尽くすべきです。  今年度の取り組みの進捗状況及び次年度以降に向けた新たな対策の検討状況について伺います。  続いて、認知症事故保険について伺います。  平成十九年、愛知県大府市で九十一歳の男性が徘回中に電車にはねられて死亡する事故がありました。JR東海は家族に七百二十万円の損害賠償を求め、平成二十八年に最高裁は家族の監督責任と賠償責任はないとする一方、家族の状況によっては賠償責任を伴うとの判断を示しました。  認知症患者の徘回などによって引き起こされた事故は近年ふえてきており、その被害者や本人を救済するための賠償保険制度がさきの大府市を初め、神奈川県大和市、海老名市のほか、二十三区でも中野区、葛飾区で導入が進んでいます。神戸市のように制度を条例で定め、住民負担によって損害保険制度を賄う自治体もあれば、条例に位置づけず、民間の損害保険会社と連携して制度設計をしている自治体もあります。  区においても、京王線沿線や東急大井町線など、踏切が残っている地域がありますが、こうした損害保険制度を導入することも検討に値すると考えますが、区の見解を伺います。  次に、教育政策について伺います。  テクノロジーとグローバリゼーションの急速な進化により、十年後すら容易に想像することが困難になりつつある今、近い将来、社会に巣立っていく子どもたちのために今なすべきことは、どんな社会的変化にさらされようとも、自分の創造性や感性に従い、自分で考え判断できる力、言いかえれば生きる力を学齢期に育むことであると考えます。  渡部新教育長はキャリア教育に精通していると伺っております。みずからも学校長から教育長にキャリアチェンジした意思決定の裏には、並々ならぬ苦悩と勇気があったことと想像しますが、これまでの経験も存分に発揮され、世田谷の子どもたちに生きることの意義や働くことの意義を問いかけ、社会に出てから、みずからが果たすべき役割を見据えた教育を推進していただくよう大いに期待するものであります。
     まず率直に伺いますが、教育長がこれまで学校長の立場から感じてきた世田谷の教育行政における課題、教育委員会の組織的課題をどのように捉えているのか、また、特に御自身が推し進めたい教育政策とはどのようなものか具体的にお聞かせください。  あわせて、区長が選挙公約として掲げていた個性を尊重し、みずから問い、学ぶ教育改革の推進とは具体的にどんなことを指していると解釈し、また教育長として歩調を合わせられるとお考えなのか伺います。  さて、令和三年度に開設予定の教育総合センターは、世田谷区の教育を推進する中核的な機関として、学校や教職員を強力にバックアップする機能が期待されます。私はかねてより、教員の多忙化への対策として、働き方改革と並行して、教員の労働生産性にも注目するべきであり、特に新任教師、勤続年数の浅い教員に対し、そもそも社会人として備えるべき資質、スキル、また外的な刺激に対する柔軟性、強靱さを意味するレジリエンスに個人差がある状況を是正するべきではないかということを指摘してまいりました。経験値は別にして、教員一人一人の指導力、また総合的な教育力の差が子どもたちにとっての教育機会の質量面に影響することがあってはならないと考えてきたからであります。  この点に関し教育委員会からは、ミドルリーダーとなる中堅層の不足など、教員の人員構成への課題認識が示され、各学校における指導方法、授業内容の改善のみならず、教員向けの研修形式も工夫の余地がある旨答弁をいただきました。  教育総合センター構想から既に二年が経過し、運営準備組織も整えられ、内部でも相当程度研究、検討が進んでいるものと推察しますが、今後、さきに申し上げたような教員の資質・能力向上策を教育長としてどのように推進していくつもりなのか、また現在の教育センターにおいて、それらを前倒しで実施するつもりはないのか見解を伺います。  続いて、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会について伺います。  先月には観戦チケットの抽せん申し込みが行われ、今月一日には聖火リレーの詳細ルートが発表されるなど、開会を一年後に控え、期待感が大きく膨らむ一方、準備面では一抹の不安を覚えなくもありません。  区は、先月末、USOC本部を訪問し、大会中のセキュリティープランや大蔵運動場の施設仕様等について協議をしてきたと聞いております。今回の交渉の具体的な成果について伺うとともに、特に我々が重要視している大会期間中、大会前後におけるアメリカ選手との交流事業の詳細について具体的な進展があったのか、協議内容を含めお聞きします。  いずれにせよ、もう時間はありません。選手との身近な交流は、多くの区民、特に未来を担う子どもたちにとって大きな心のレガシーとなるものであります。今後も攻めの交渉、協議に臨んでいただくことを強く要望いたします。  次に、三軒茶屋再開発と連動した産業政策の展開について伺います。  三軒茶屋駅周辺地区では、既に地権者を中心に市街地再開発準備組合が設立され、昨年度には三軒茶屋駅周辺まちづくり基本方針が策定されました。「継承し、残していきたい街の魅力」、「空間、動線や安全面での課題の多い都市基盤」、「発展の契機を活かした新しい魅力創出の可能性」という三つの特色に着目し、三軒茶屋における産業の特性やにぎわいの創出、また、職住近接の視点を取り入れた方針は、一定の評価をするものであります。  しかし、現方針はややハード面に寄っており、文化と産業を軸とした町の活性化というソフト面の方針がなかなか見えてきません。百年に一度と言われる再開発が進む渋谷には、大型オフィスタワーが次々と建設され、ことし中にはグーグル日本法人も渋谷に戻るなど、国内屈指のIT産業集積地となることは間違いありません。  言うまでもなく、渋谷に隣接する池尻、三茶はまさに今後の渋谷産業経済圏の恩恵にあずかれる立地であり、この渋谷における産業面での大きな変化を世田谷にとっての好機と捉え、産業政策を根本から練り直す絶好のタイミングであると言えます。  スタートアップを集め、成功に導くまであらゆる手を尽くしている福岡市の例は言うに及ばす、品川区でも、情報通信関連のスタートアップが集まる五反田バレーを中心に、開発助成金や実証実験の環境を整えるなど、スタートアップ支援に本腰を入れています。あまたある成功事例を参考にしつつ、三軒茶屋を世田谷における産業政策上の要衝の地とするべき、池尻にあるものづくり学校の位置づけ、活用のあり方を含め、具体的かつ戦略的な検討を速やかに始めるべきと考えます。区の見解を伺います。  なお、産業政策に関連して一言つけ加えさせていただきます。商店街は、地域住民の豊かな暮らし、安心安全を支える地域コミュニティーの核であります。来週末から発売が始まる区内共通商品券事業は、単に地域の方が地元の商店街で買い物がしやすくなるというだけではなく、地域において、顔の見える関係性がより強固なものとなり、さきに申し上げた理念を地域に定着させる役割も担っています。よって、一時的な景気対策としての国よるプレミアム付商品券とは同列に扱うべきではないということを改めて申し上げるとともに、来年度における区内共通商品券の発行総額については、今申し上げた我が会派の主張を念頭に置き、検討を進めるよう強く要望いたします。  最後に、都市整備について伺います。  都市計画は百年の計との言葉があるとおり、都市整備政策においては、長期的な展望とともに、絶対になし遂げるんだという強い決意が必要であります。そして都市計画は、常に事前に中長期的目標を定めて、徐々に実現を図らざるを得ない性格を有していることからも、事業が軌道に乗るまでは、立ち退き交渉や用地買収など、多くの労力と経費をかけざるを得ませんが、そのことに目を背けていては何も進みません。福祉や教育、産業政策と同様に、都市整備分野にもバランスよく予算を配分し、後世の区民の役に立つ安心安全なまちづくりを推進することを多くの区民が望んでいるのであります。  第二次世界大戦後、我が国は飛躍的な経済成長を遂げた反面、大都市における住宅問題や郊外への無秩序な市街地の拡大などの問題に直面し、昭和四十三年の都市計画法制定に至りました。それから既に半世紀が経過しましたが、最近の世田谷区における都市整備政策は、補助五四号線のⅡ期、Ⅲ期事業が優先整備路線から外されたことに象徴されるように、百年の計どころか、短期短絡的な政策決定に陥っているように思えてなりません。  将来世代が世田谷区で生き生きと活動する姿を思い描き、中長期的な視点を持って都市整備政策に臨むことこそ、今を生きる我々の責務であると認識しておりますが、区の見解を伺います。  また、現在、関越道から東名までの区間において着々と工事が進んでいる外環道整備についても触れておきます。  区内道路の混雑緩和や交通環境の向上のみならず、国内物流の効率化や観光地へのアクセス改善など、完成した暁には、区民にとっても、また日本経済にとっても大きな波及効果が見込まれる外環道でありますが、以前、保坂区長が東名以南の計画が一日も早く具体化するように、私みずからが先頭に立ち、今後とも全力で取り組んでいくと力強く答弁されてから、既に二年以上が経過しました。  残念ながら東名以南の計画についていまだ具体化されていないのが現実でありますが、先ほども申し上げたとおり、地元世田谷区のリーダーとして絶対になし遂げるのだという強い意思を持ち、国や東京都に対し積極的かつ継続的に働きかけていくことを強く求めますが、現在も区長の考えに変わりはないのか、改めてお聞きいたします。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 おぎの議員に四点お答えをいたします。  まず、社会的弱者に手を差し伸べることの必要と、同時に財政負担や将来にわたる行政需要ということについての持続可能性についてございました。  私は、区民の暮らしを支える行政のトップとして、児童相談所の開設や医療的ケア児の支援など、支援が必要な方をサポートするための施策に取り組んでまいりました。子どもの貧困対策や生活困窮者の自立支援など、目の前に課題を抱える方々が困難な状況から回復し、地域社会で再び安心して暮らしていけるための支援にも取り組んできたところでございます。  一人一人の区民が地域の主体として生き生きと活躍できる地域社会を実現するためには、住民がお互いを支えあう参加と協働を軸とした共助による地域づくりとともに、当事者の方々がその暮らしを立て直し、再スタートの機会を得るような施策も欠かせないものであり、より一層推進が必要だと考えています。  例えば若者支援についても、確かに予算、労力を必要としますが、長期間に渡る費用対効果を見ると、このセーフティーネットが機能することで、自立への道を開き、何もしなかった無為無策状態に比べて財政安定化に資するとも言われております。  今後四年間も引き続きこうした視点を持ちながら、自助、共助、公助のバランスのとれた総合的政策展開を目指し、区議会の皆様とも議論をしながら、よりよい区政運営に取り組んでまいりたいと思います。  次に、長期的な十年、二十年先のあるべき姿をどのように構想しているのかというお尋ねをいただきました。  世田谷区の人口が九十一万人を超えて、やがて百万都市となる日も近づいている中、子どもや高齢者の数がともに伸びていくという状況を前にして、あるべき未来を描き、暮らしやすい都市へ、コミュニティーを再構築していくことが私の大きな使命だと考えています。  今後、四年間の区政運営方針として世田谷改革バージョンアップの実現に向け、招集挨拶で示したとおり、三つのポイントを述べさせていただきました。  一つ目に込めた思いは、二十八年歩んできた地域行政の土台のもと、世田谷区の自治権拡充と地域行政制度の発展に取り組んでいくという決意であります。一般市に比べ、課税自主権や都市計画決定権を例外的に剥奪されている区の現状に甘んじることなく、特別区という枠にとどまらない自治権拡充の道を開き、自立した自治体の形を提示するとともに、地域内の地区行政制度を持続可能なものとするための条例制定を進めてまいります。  二つ目には、児童相談所の開設を初めとして、保育待機児対策の徹底など、子ども・子育て支援に全力で取り組んでまいります。  三つ目には、東京二〇二〇大会を契機とした共生のまち世田谷の実現に向けて取り組みを進めてまいります。  これらの三つの取り組みに加えまして、十年先、二十年先の将来にわたり魅力ある世田谷を維持するためには、いわば町の魅力を総合的に高めていくことも欠かせない事柄であります。三軒茶屋を初め、下北沢、二子玉川の広域生活・文化拠点を世田谷区のよりポジティブな情報発信の顔として、文化、情報、ビジネス、商業と多様な価値を発信し、世界に開かれたまちづくりを進めてまいります。  今後も世田谷区がより暮らしやすい都市となるよう、強いリーダーシップを持って改革に取り組んでまいります。  次に、まちづくりセンター、総合支所、本庁、こういう体制の中で、現場を優先した地域課題解決のための仕組みの御提案がございました。  地域行政制度は、地域住民に密着した総合的な行政サービスと地域の実態に即したまちづくりを展開するとともに、区政への住民参加を促進することを目的に、平成三年に発足して以来、地区、地域、本庁の三層構造による機能を基本に、世田谷区の行政運営の土台、骨格として、時として変化し、また進化を遂げてまいりました。  特に東日本大震災以降、地域コミュニティーの重要性が再認識され、地区に即した地区防災計画の検討や福祉の相談窓口など、地区まちづくりに私も重点を置いて取り組んでまいります。  一方で、制度スタートから二十八年が経過をして、少子・高齢化、人口の増加、そして地域コミュニティーの希薄化が進んでいくなど、当時とは、地域の姿、社会が大きく変化をしてきております。こうした中で、住民自治や身近な行政サービス、地域内分権のあり方を改めて議論し、さらには、百万都市にふさわしい自治のあり方を構想すべきときにあると考えています。  地域課題は、区民の参加と協働のもと、地域で解決することを基本に、まちづくりセンターとして判断し、対応できる体制を目指して権限を見直すとともに、総合支所や本庁の課題解決に向けた権限や体制のあり方についても、現場の声を尊重しながら議論を進めてまいります。  この条例制定というプロセスを経て、区民や学識経験者と幅広く議論する機会を設け、その都度、区議会での御議論をいただきながら、地域行政制度に関する基本的な考え方を区民、議会、そして区がお互いに共有し、地域行政制度をさらに持続可能なものにしてまいります。 最後に、外環道整備についてであります。  東名以南について整備が実現されない場合は、東京インター周辺の環状八号線や国道二四六号等の幹線道路の渋滞や周辺生活道路への通過交通の流入など、区内の交通環境の悪化が懸念されるところであります。  私は、平成二十九年三月、みずから国土交通省関東地方整備局長に対し、東名以南の整備に向けた考え方やスケジュールを早急に提示するとともに、路線全体の計画を早期に具体化し、事業化を図るよう要望書を提出してまいりました。また、東名以南の整備により影響を受ける自治体として、意見表明等の仕組みを設けるよう、これまで国に繰り返し強く要望してきたところ、国、東京都、川崎市、世田谷区、大田区の五者により構成される東京外かく環状道路周辺自治体意見交換会が昨年六月に設立されました。  この間、意見交換会は二回ほど開催され、世田谷区、大田区がそれぞれ検討状況に対し意見を述べるとともに、九月には関東地方整備局長に区内の現状とともに、さまざまな課題、東名以南の必要性について文書で意見書をさらに提出したところであります。  東名以南の整備を推進するに当たりましては、交通環境の改善とともに、住宅都市である世田谷区の特性を踏まえて、ルート及び第三京浜との接続位置の検討に当たっては、貴重な緑の景観や環境などに配慮する必要もあると考えています。引き続き、早期に東名以南の計画が具体化し事業化が図られるよう、私みずからがあらゆる機会を捉えて、国などに要望するなど全力で取り組んでまいります。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、五点について御答弁申し上げます。  最初に、行政経営改革におきます断行がされるのかということについてでございます。  昨年度の新公会計制度の導入を契機といたしまして、これまで実績管理に重点を置いた行政評価から、成果とコストを重視した評価へと再構築を行ったところでございます。この間、各部長に対しまして、所管する事務事業の責任者といたしまして、成果の達成状況や事業のフルコスト、またそれぞれの事業に見合った評価の視点をもとに、多角的に分析を行い、何が区民生活の実態に照らし、最適な方策であるのかを見きわめ、民間資源や新たな技術の活用、事業の再構築など、手法改革による成果の向上はもとより、既に需要が大きく減少している事業などは縮小、廃止を含め、主体的に見直しを進めていくよう指示したところでございます。  また、政策経営部には、新実施計画に掲げる百五事業、新実施計画事業以外でも、各部と課題を共有している五十事業を中心といたしまして、各部の評価をしっかりと把握し、必要な見直しを支援するよう指示しているところでございます。  今般の新たな行政評価を通じまして、全庁を挙げて一層行政改革を推進し、複数年を要する課題を含めて改善に向けたスケジュールを明確にするとともに、可能なものから令和二年度予算に反映するよう取り組み、具体的な成果をお示ししてまいります。  続きまして、児童相談所の開設に当たりまして、都から区へのケースの移管実務についてでございます。  都との協議の中で受けた情報をもとにした見通しといたしましては、一時保護や児童養護施設への入所措置、その他の援助活動の対象となっている相談ケースといたしまして、全体として約八百件から千件程度引き継ぐものと想定しております。現在、世田谷区、荒川区、江戸川区の三区と都福祉保健局による事務調整を進めるとともに、ことしの十一月より、都と区の職員は合同のケース対応を行いながら、区への相談ケースの引き継ぎを行うことを想定し、都の世田谷児童相談所との調整を進めております。  引き継ぎの手順といたしましては、まずは文書により相談ケースごとの経過記録等の引き継ぎを受け、次に区の児童福祉司と児童心理司は、都の職員とともに、面接や家庭訪問、関係機関への訪問に同行し、児童や保護者と信頼関係を築きながら、新たな担当として引き継いでいくとともに、関係機関との連携に努め、顔の見える関係づくりを進めてまいります。  なお、こうした引き継ぎに向けた協議の中で区の児童相談所開設後も、最長六カ月間、区からの要請により、助言、指導等の実務支援を継続的に行うとの提案を都よりいただいております。また、都の職員の区児童相談所への派遣についても御検討いただいているところであり、都との密接な連携協力のもと、移管によって、子どもの安全に万が一でも影響が生じないよう万全を尽くしてまいります。  続きまして、待機児童対策につきましての北沢地域の件でございます。  平成三十年度の保育施設整備では、前年度から四百九十二名の定員増を図ったところでございますが、予定の整備数を下回ったこともあり、ことし四月一日時点の保育待機児童数は四百七十人と前年度から微減にとどまり、三歳児で再び待機児童が生じることとなったことにつきましては、実務担当者といたしましても大変申しわけなく思っております。  こうした状況を踏まえまして、令和二年四月の保育待機児童の解消、その後の解消状態を継続していくためには、特に世田谷、北沢地域の施設整備を重点的に進めることが肝要であると考えております。しかし、当該地域は保育所整備に適する大規模な土地が少ないことや、商業施設の集積している地域も多いことから、不動産の賃借価格の水準が高く、保育施設整備が進みにくいのが実情でございます。  今後、幼児教育無償化等の影響によりまして、保育関連経費予算の大幅な増加も見込める中でございますが、区といたしましては、財政状況も鑑みつつ、御提案いただきました優先度の高い地域への施設整備強化策につきまして、早急に検討し、令和二年四月の待機児童ゼロの達成に向けまして、引き続き全力で取り組んでまいります。  続きまして、高齢施策の認知症事故保険についてでございます。  区では、これまで認知症初期集中支援チーム事業や物忘れチェック相談会など、先駆的な認知症施策の取り組みを進めてまいりました。これらの施策のさらなる推進を図るため、そのよりどころとなる仮称世田谷区認知症施策推進条例の制定に向けた検討を行っているところでございます。  認知症の方の徘回行動等への対策が重要であると考えておりまして、地域で見守りができますよう、認知症サポーター養成講座を開催し、認知症の正しい知識を学んでいただいております。  また、外出先から帰れなくなったときに、家族などと速やかに連絡ができる高齢者見守りステッカー事業を進めております。一方、鉄道事故等の高額な賠償請求につきましては、先ほども御案内がありましたように、平成二十八年の最高裁で介護する家族に賠償責任があるかは生活状況を総合的に考慮して判断するとの判決が出されており、御指摘の損害保険制度につきましても、認知症対策の重要な課題の一つであると認識しており、条例の制定と並行する形で検討を進めてまいります。  具体的には、先行自治体の実施状況を参考にするだけではなく、保険の専門家にも相談するとともに、認知症の御本人や御家族の意見も伺いながら、認知症の人の意思が尊重され、住みなれた地域で安心安全に暮らしていただける地域づくりに寄与するよう取り組んでまいります。  最後に、東京二〇二〇大会に向けましたUSOCとの協議についてでございます。  東京二〇二〇大会まで一年余りとなる中、アメリカ合衆国選手団のキャンプ実施に向けましたセキュリティーや施設の仕様など、キャンプの諸条件、加えまして、キャンプ後の交流事業を見据え、区議会議長にも御同行をお願いいたしまして、USOCを訪問してまいりました。  キャンプ期間中のセキュリティー対策につきましては、USOC、警察、区の役割を議論し、警察によります二十四時間巡回警備を踏まえ、USOCが改めて警備体制を示すことになりました。また、区民との交流につながるキャンプボランティアの従事内容や採用条件を含め、実施プランを双方で詰めるとともに、工事関係ではレストラン厨房工事の実施などを協議したところでございます。また、交流事業は、キャンプ終了時まで米国選手との世田谷と川場村の子どもたちとのレター交流を初め、オリンピアンによるスポーツクリニック、パラリンピアンによる町歩き、キャンプ見学ツアーなどを実施いたします。  さらに、東京二〇二〇大会出場のアメリカ選手等との子どもたちの交流も継続して協議してまいります。  今般の協議を総括いたしますと、二〇二〇年以降のUSOCと世田谷区との交流をレガシーとして継続することを確認できました。重要な点は、機運醸成事業にとどまることなく、オリパラ終了後も具体的な交流事業を継続実施できるかであります。特に子どもたちとの交流を軸にスポーツに焦点を当て、例えば毎年十月実施の区民スポーツまつり等にアメリカの選手や関係者を定期的に参加するなど、今後、交流事業を提案し、交渉してまいります。  以上でございます。    〔岡田副区長登壇〕 ◎岡田 副区長 私からは、三点について御答弁申し上げます。  まず、本庁舎整備と地域行政制度の検討との整合についてでございます。  本庁舎等整備につきましては、来年度末ごろの工事着手を目指し、この三月に策定しました基本設計をもとに、より詳細な課題を検討し、図面化していく実施設計の作業を進めております。こうした中で、新たな本庁舎の規模を設定する上で基準の一つとなる職員数につきましては、平成二十八年の本庁舎等整備基本構想検討時から議論のポイントの一つとなっておりましたが、お話しの地域行政の推進、さらには働き方改革やIoT技術の進展等による減要素がある一方、自治権拡充や人口増に伴う行政需要の増大等の増要素があることから、現在の職員数をベースとすることとした経緯がございます。  その上で、新たな本庁舎の執務スペースにつきましては、今後の地域行政の推進を初めさまざまな変化に伴う職員数の増減や、組織改正に柔軟に対応できるよう、間仕切りのないオープンフロア、ユニバーサルレイアウトとし、将来仮に職員数が減少した場合の用途の変更等にも対応しやすいしつらえとしてまいります。  引き続き、地域行政制度の検討と整合を図りながら、来年度末着工に向け、遅延なく実施設計に取り組んでまいります。  次に、三軒茶屋再開発と連動した産業政策についてでございます。  三軒茶屋駅周辺は区の玄関口であり、公共交通機関と自動車の双方の交通の便に恵まれ、近年開発が進んでいる渋谷と再開発が完了した二子玉川の中間に位置することから、新たな産業の誘致や集積の場として、また、職住近接の場としての存在感を発揮する可能性がある町と考えております。  三軒茶屋には現在でも多くの店舗や事業所があり、昼夜問わずにぎわっています。また、産業プラザや近隣にはものづくり学校もあり、世田谷区産業ビジョンに掲げました多彩な経験、能力を有する豊富な地域人材を活用したビジネスの創出や多様性を生かした新たな産業育成の場となり得るものと認識しております。  お話しのあったものづくり学校につきましては、現在の定期建物賃貸借契約が、令和二年七月までとなっており、昨年度、外部委員も含めた世田谷ものづくり学校の運営等に関するあり方検討会を立ち上げ、今後の方向性についてまとめ、三軒茶屋駅周辺のまちづくりを見据えながら、新たなものづくり学校の運営のあり方について検討を進めているところでございます。  このようなさまざまな町の特性や資源を有効活用し、再開発などのまちづくりの機会を捉え、官民連携の視点も踏まえまして、三軒茶屋を産業集積、産業の活性化のステージとなるよう、総力を挙げて取り組んでまいります。  次に、長期的な視点に立った都市整備政策についてでございます。  旧都市計画法が制定され、本年で百年を迎えます。都市計画は、人々の安全、健康で文化的な生活ができるように都市をつくり、改善していく仕組みであり、区では目指すべき将来都市像を実現するため、都市整備方針を策定し、都市整備政策を進めてきております。  世田谷区が取り組む都市整備政策としては、自然災害への備えとしての道路ネットワークの形成や建物の不燃化、雨水を地中に受けとめるグリーンインフラや電線地中化の推進、緑の保全創出などがあり、修復力がある町をつくる上で、これらの政策は重要であると認識しております。  議員お話しの都市計画道路につきましては、交通機能のほか、延焼防止などの防災機能、交流の場になる空間機能など、多様な機能を有するため、その連続性を考慮し、関連する事業の進捗にタイミングを合わせ、優先順位を決めて、財源確保のもと、適切に整備を進める必要があります。  区といたしましては、今後も引き続き中長期的な視点を持って都市整備政策に臨み、区民主体の参加と協働により、安全で快適な暮らしをともにつくる都市世田谷を築いてまいります。  以上でございます。    〔渡部教育長登壇〕 ◎渡部 教育長 私からは、三点について御答弁申し上げます。  まず一点目は、教育長として私が目指すものについてでございます。  教育長に就任し、その職責の重さと可能性に日々緊張と希望とを感じています。私は、これまで学校長として、学校の特色や地域の実情を踏まえつつ、子どもたちの発達段階に応じたキャリア教育を実践してまいりました。  学校現場は、多くの経験を積んでいくことが必要な若手教員が増加するなど、さまざまな人員で組織されています。子どもたちの個に応じた教育を推進するためには、人的な部分も含め、さまざまな学校への支援が必要であると感じました。また、このためには、教育委員会事務局の職員が、学校を初めとした現場をよく知ることも必要と感じました。  教育長として、学校現場と教育行政が融合して、世田谷の子どもたちが自分らしく将来へ向けて学ぶことができるような教育施策を進めてまいりたいと考えております。  今後、社会がどのように変化しても、子どもたちが受け身ではなく、主体的に考え、かつ行動し、その過程を通して、みずからの能力を発揮し、自分らしい人生を送り、よりよい社会のつくり手となっていけるようにすることが重要です。子どもたちが主体的に学べるよう、学ぶ意義を理解させ、将来への希望へとつなげられるような教育を推進してまいりたいと考えます。そのためには、教員の資質、能力の向上とともに、教員が生き生きと働き、子どもたちにかかわることができるようにすることが必要です。また、授業によっては学校外の人材を積極的に活用するなどの効果的な組み合わせも重要です。  世田谷の子どもたちの未来のために、これらのことを着実に実施していきたいと考えております。  二点目は、区長の選挙公約に関しての御質問でございます。
     教育委員会では、第二次世田谷区教育ビジョンにおいて今後十年間の基本的な考え方として、一人一人の多様な個性、能力を伸ばすことを掲げており、個性の尊重は、区の教育の根幹をなすものでございます。教員は、子どもたちの持つ無限の可能性を引き出すとともに、子どもたちが互いの存在を認め合い、高め合う関係となるよう導いていくべきものと考えております。  また、国の新学習指導要領では、自分の興味関心から課題を設定し、その解決のために、探究的な学習活動をみずから進めることが掲げられております。子どもの主体性を培い、創造力や感性を養い、自己決定力や実行力を高めることは、子どもに身につけさせたい資質、能力として位置づけられております。  区長の個性を尊重し、みずから問い学ぶ教育改革の推進というお考えは、世田谷区の教育が目指すところと重なるものであり、引き続き、区長部局と連携をして、世田谷区の教育の発展に努めてまいります。  三点目の教員の資質・能力向上策についてでございます。  これからの時代を生きる子どもたちに必要な資質、能力を育むためには、その指導に当たる教員の育成が非常に重要であると捉えております。いじめや不登校、保護者の要望に応じるなど、区民から寄せられた期待に応えていくために、一人一人の教員の力量を高め、学校として対応力を向上させることは急務であると認識しております。  子どもたちの大切な学校生活のことを考えれば、若手教員が研さんを積むまで待ってほしいということは許されません。実際には対応が難しいケースでは、担任一人が抱え込むのではなく、学年の教員がともに考え、解決を目指すよう組織として解決を図れるように取り組んでおります。  若手教員が増加し、指導力を身につける必要のある教員がいる中で、このようなOJTとともに、さらに工夫した研究研修が重要だと考えております。教育委員会といたしましては、教育総合センターの開設を待たず、研修体系の見直し、研修内容や研修方法の工夫改善に取り組んでおり、今後も新たな時代を見据えた教員の資質、能力の向上に向け、さらに有効な方策を検討し実施してまいります。  以上でございます。 ◎中村 政策経営部長 私からは、AI、RPAを活用した行政経営改革について御答弁いたします。  まず、RPAに関しては、これまで職員が手入力してきた保育園の入園申し込みデータの入力を自動化することで、来年四月に入園する申し込みの処理において、入力業務の約五割程度、約二千時間の省力化を目指しています。  昨年度より全庁に対し、RPAの導入の有効性の調査を実施した結果、区の業務は極めて多岐にわたり、少量、多品質であることから、データの量や種類、システムの特性、費用対効果も見きわめながら対象業務を選定しているところです。保育園の入園認定業務でのRPA導入の効果を検証した上で、今年度下半期以降、全庁への波及を加速してまいります。  また、AIに関しては、今年度から他自治体に倣い、AI音声認識技術を活用した議事録の作成支援ソフトを全庁で活用を始めております。また、例えば保育園の入園認定業務へのAI導入について、民間企業や他自治体と意見交換を行っているところですが、これまで丁寧に確認してきた兄弟ごとの入園希望をどう確保していくかなど、課題を洗い出しているところです。  お話にもございましたように、AIやRPAといったツールは広く業務改善を進める呼び水となる効果が大きいと考えております。引き続き、AIやRPAの導入効果が高い業務を見きわめ、政策経営部が旗振り役となり、全庁挙げて業務改善を加速してまいります。  以上です。 ◎清水 地域行政部長 私からは、地域行政につきまして、条例制定の必要性、目的等について御答弁いたします。  今後、二〇四〇年問題など自治体が直面する課題の対応に当たっては、身近な地区や地域で課題を受けとめ、それを総合支所や本庁で支えるという地域行政制度の機能を高めていく必要があります。地域行政は定着した制度ではありますが、二十八年が経過し、区民においても意義や目的が薄れている状況もある中、制度スタート当初からこの間の大きな時代の変化があり、今後もさまざまな時代の要請に対応していく必要があります。  そして地域行政の推進が世田谷区の自治体経営の基盤をなすものであるという認識に立ち、区民や区議会とその意義を共有しつつ、自治体が定めることができる最高の規範である条例の制定を進めていくことが重要であると認識しております。  また、条例化のプロセスにおいて区民との意見交換の場を設け、地域行政の理念である住民参加と協働を一層推進しながら、区と区民が地域行政の基本理念やそれぞれの役割と責務を広く共有していくため、条例の制定に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。  以上です。 ◎田中 防災街づくり担当部長 私からは、空き家におけるブロック塀の把握と対応について御答弁申し上げます。  平成二十九年度に実施した世田谷区空き家等実態調査は、建物と敷地の状況を調査し、総合的に判定したもので、ブロック塀を含め建物に附属する門や塀の状態についても調査しております。実態調査では、空き家等の管理不全な状態を判断するという目的から、門や塀については、ひび割れや破損などが見られた場合のみ状態を把握しております。  空き家等を総合的に判定した結果、著しく管理不全な状態のものを含め、管理不全な空き家等を百六十四棟把握しており、所有者などに対して、門や塀の状態も含め改善の必要な箇所を写真で具体的に示し、文書などにより順次改善を要請しております。  区といたしましては、管理不全の空き家等についてブロック塀を含め状態が改善されない場合には、改めて所有者等に改善を求めるなど、安全で安心な住環境の確保に努めてまいります。  以上です。 ◎工藤 危機管理室長 私からは、二点について御答弁いたします。  まず、特殊詐欺に対する対策についてです。  特殊詐欺発生件数につきましては、本年四月末現在で、昨年比マイナス四十一件の六十件と減少傾向にありますが、アポ電は日々発生しております。  区では、犯行を断念させる効果の高い自動通話録音機につきまして、昨年度は千五百台の貸し出しでしたが、本年度は四千八百七十台増の六千三百七十台を区役所と警察署で無料貸し出しいたします。また、警察署からの要請により、アポ電が集中する地区につきましては、二十四時間安全安心パトロールカーを急行させ、警察と連携した広報活動を行っております。加えまして、防災行政無線を活用しての注意喚起を行っているところですが、引き続き放送時間、場所、頻度等を検討しながら、抑止力のある活用を図ってまいります。  今後につきましても、警察署と連携を図りながら、効果的な対策を講じていきたいと考えております。  次に、豪雨に関する区民への情報提供についてでございます。  国は、平成三十年七月豪雨の被害を受けて、これまでの行政主導の防災対策の強化という方向性を根本的に見直し、住民がみずからの命はみずからが守る意識を持って、みずからの判断で避難行動をとり、行政はそれを全力で支援するという方向を示しました。東京都におきましても、平成三十年七月豪雨に加え、昨年の八月二十七日の豪雨等を受け、水害対策の取り組みを強化しております。  都はこれまで公表していた中小河川の外水、内水による浸水予想区域図を想定最大規模降雨、一時間百五十三ミリ、二十四時間総降雨量六百九十ミリのものに順次更新しており、今後、野川、仙川、谷沢川及び丸子川流域浸水予想区域図が更新される予定でございます。また、この四月には谷沢川、丸子川、呑川が水防法に基づく水利周知河川に指定されております。  今後、これらの情報をもとに、よりきめ細かな情報を掲載し、内水の浸水もわかりやすく表示した水害に関するハザードマップの作成に着手してまいります。  また、区民の日ごろの水害に対するさらなる意識向上に努め、自主的な行動につなげていけるよう取り組みを進めてまいります。  さらに、ゲリラ豪雨時への対応につきましても、民間気象会社に加え、気象庁から気象情報をきめ細かく収集するとともに、警察、消防や東京都などと協議を行い、情報発信の連携等を検討してまいります。  以上です。 ◎桐山 豪雨対策推進担当参事 私からは、東京都との連携など、豪雨対策の取り組み状況について御答弁申し上げます。  根本的な浸水対策となる河川や下水道の整備につきましては、その所管であります東京都との連携が不可欠であり、これまでも建設局や下水道局に対しまして、特別区城南地区の五つの区で構成します東京都城南五区下水道・河川連絡協議会などの複数の場を通じまして、早期整備を要望してきているところでございます。  また、最近では、浸水被害が多発しています中町・上野毛地区などについて、下水道局南部下水道事務所に出向くなど、区民の声を伝えるとともに、浸水被害の軽減について強く働きかけてまいりました。  こうした取り組みの結果、中町・上野毛地区について、下水道局からは下水道雨水管を整備し、先行的に完成した区間を暫定的に貯留施設として活用することを検討することや、下水道施設の点検や清掃、また、半地下家屋への戸別訪問などを実施する旨の話を受けております。  区といたしましては、今後も東京都としっかりと連携するとともに、浸水被害が多発している中町・上野毛地区などにおいて道路にプラスチック製の雨水貯留浸透施設を設置するなど、浸水被害の軽減を推進してまいります。  以上でございます。 ◎澁田 児童相談所開設準備担当部長 私からは、児童相談所の開設について二点お答えをいたします。  まず一点目、人材確保についてでございます。  区は、児童相談所の開設に当たり、二十名以上の職員を他自治体へ複数年派遣研修しているほか、これまでの区での業務経験などに応じました細かな育成プランに基づく業務研修等を行っているところでございます。  開設時の職員の構成といたしましては、元児童相談所長など二十年程度の経験を持つ管理職と専門指導員が八名、経験者採用等による児童福祉司の経験者が二名、児童福祉司としての育成期間が三年から四年の職員が六名、育成期間二年以下の職員が二十五名と見込んでおります。  都の平均的な児童相談所の職員配置構成と比較いたしますと、育成期間が二年以下の職員の構成が高くなっておりますが、一方、重要なリスク判断とその補佐に当たる児童相談所長の経験者などの管理職や専門指導員は、全国の児童相談所でも例になく、手厚く配置するなど、開設当初から安定し、確実に子どもを守るための体制は確保しております。  しかしながら、これにとどまらず、児童相談所のOBなどのベテランの後を継ぐ次の職員を育成していく必要があり、計画的な採用と人材登用を行うとともに、職員個人の力量や資質に頼る業務運営ではなく、常に質の高い援助を行っていくための多職種によるチームとして組織をつくり上げていきたいと考えております。  二点目でございます。警察との全件共有についてお答えいたします。  これまで警察との連携体制の構築に当たりましては、福祉的な支援に対する警察の理解を深める取り組みを進めていくと御答弁してまいりました。現在、警視庁生活安全部少年育成課と児童虐待事案の情報共有について協議を進めますとともに、具体的な事案への対応を想定した区内警察四署との連携協議に臨んでおりまして、児童相談所の児童虐待ケースに対する支援の考え方などの説明を交えながら、今後の連携のあり方について意見交換を行っております。  お尋ねのございました警察と共有すべき情報の範囲につきましては、児童の安全を確実に守るために必要なケースについて漏れなくその全件を共有することを方針とする一方、御本人の同意なしに区民の情報を提供することから、その共有の範囲について定義の上、共有の必要性を明らかにしてまいりたいと考えております。  全件共有する範囲の定義に当たりましては、国の児童相談所運営指針に沿い、虐待による外傷があると考えられる事案や、通告受理後四十八時間以内に子どもの安全確認ができない事案などを基本とし、これに加えまして、自治体間の転出入により新たなケース移管があった事案や、警察が児童虐待の疑いがあるとして調査した事案につきましても、その必要性について慎重に検討を進めていきたいと考えております。  以上でございます。 ◎知久 保育担当部長 私からは、保育関連の三つの質問に御答弁させていただきます。  一つ目、三歳児対策として、小規模保育事業所等に通う二歳児の連携先と新規で申し込まれる三歳児の受け皿の確保等についてお答えいたします。  ことし四月一日時点の保育待機児童の状況、特に三歳児で三年ぶりに待機児童が生じることとなった点を踏まえ、三歳児以上枠の拡大に向けた取り組みが必要であると認識しております。このため、不動産所有者や建設会社、保育運営事業者等へ周知、整備、誘導を図っております世田谷区内の地域別保育施設整備優先度マップでございますが、ゼロから二歳児を対象とした保育施設の整備から、ゼロから五歳児を預かる保育施設の整備の優先度へと設定を変えさせていただきました。  今年度につきましては、ゼロから五歳児の保育施設の整備を整備計画全体の約七割を目指してまいります。三歳児以上枠の拡大に向けては、ゼロから二歳児のみを預かる保育室や認証保育所について、三歳児以降の幼児枠を確保した上で認可保育施設への移行支援を進めてまいります。  引き続き、小規模保育事業などを利用する二歳児が円滑に連携先に進級できるよう受け皿確保に努めるとともに、令和二年四月の待機児童解消に向けて、地域の保育需要に配慮しながら必要な地域に必要な保育定員を確保し、効果的な保育施設整備を推進してまいります。  次に、育児休業の延長を希望する保育所入園申込者への対応についてお答えいたします。  御提案の件でございますが、ことし二月に厚生労働省から通知が出され、保護者から希望する保育所等に入所できない場合は、育児休業の延長を許容できることを入園申し込み時に確認できた場合には、入園選考の指数を減点し、入園選考の順位を下げるといった対応が各自治体の選択により実施できることとなりました。  区としましては、入園申し込み時に育児休業の延長が許容できるかを保護者に確認することで、入園内定後の辞退者を少しでも減らし、真に保育を必要とする方に不利益が生じることのない制度となるよう、ことし十月からの実施に向け、入園選考制度の見直しを検討してまいります。  最後に、企業主導型保育施設への対応について、同事業への区の課題認識と今後の指導、支援についてお答えいたします。  企業主導型保育事業については、制度上の課題と今後の指導、支援に向けた区としての課題がございます。制度上の課題に対しましては、昨年度の突然の休園等を受け、区は内閣府に対し、保育の質や自治体との連携の確保といった見直しを強く求めたところ、国が設置した検討委員会がこの三月に改善に向けた報告をまとめ、公表されました。今後は国による制度の見直しの行方を注視してまいります。  また、ことし十月からの幼児教育の無償化の実施に伴い、区は企業主導型保育施設に対する状況確認が求められ、来年四月からは企業主導型を含む認可外保育施設に対する指導権限が児童相談所の設置に伴い、東京都から移管されてまいります。  区としましては、まずは無償化の実施に向け、東京都及び児童育成協会から企業主導型保育施設の情報を収集し、運営状況等の把握に努めてまいります。  さらに、指導権限の移管を見据え、東京都からの引き継ぎを受けつつ、マニュアルの作成や職員のスキル向上に努めるなど指導支援体制の強化を図り、来年四月より適切に指導、支援ができるよう準備を進めてまいります。  私からは以上です。 ◎長岡 高齢福祉部長 私からは、高齢者施策について、介護人材確保の今年度の取り組みの進捗状況及び次年度以降に向けた新たな対策の検討状況について御答弁いたします。  労働力人口が減少する中、介護サービスを適切に提供していくためには、介護人材の確保・育成・定着支援策を強化していく必要があります。  区では、これまでも福祉人材育成・研修センターを設置し、区独自の研修や資格取得支援など、介護人材確保・定着支援策を総合的に実施しております。  ことし四月には、人材確保策の一つとして、昨年度に引き続き、特別養護老人ホームとの共催による就職相談会を開催し、内容を工夫して、昨年度より多くの方に御来場いただくことができました。  また、五月には、人材定着支援策として三回目となります世田谷区介護職員等合同入職式を実施し、介護の仕事のやりがいを再認識することや、事業所を超えた横のつながりづくりを支援いたしました。今年度は新たに事業者が介護職員の採用活動に要した費用や、介護業務の身体的な負担軽減に資する腰痛予防ウエアなどの購入費に対する助成事業を開始し、現在実施に向けた準備を進めております。  また、来年度以降の介護人材対策を検討するため、介護事業者やハローワーク等をメンバーとするワーキンググループにおきまして意見交換を行っております。見学に来た人が就労につながりやすい、また、さまざまな職業の選択肢がある中、介護を選ぶ人は高齢者と触れ合った経験のある人が多いなどの御意見をいただいております。それにより、改めて介護の仕事の魅力発信が重要であることを認識したところでございます。  今後、効果的な介護人材対策に向け、検討を重ねてまいります。  以上です。 ◆四十九番(おぎのけんじ 議員) 再質問させていただきます。  まず、地域行政制度についてですけれども、PCやスマホでいえばOS、いわゆるオペレーティングシステムのようなものが、世田谷区行政にとっての地域行政制度だと思うんですね。その上で、各事業がアプリケーションのような形で動いているようなイメージを私は持っているんですけれども、区長の招集挨拶でも、三層構造による行政運営の方法について、区民とともに改めて整理するとか、本庁と総合支所、支所とまちセン、それぞれの関係の見直しも必要だと述べられておりましたけれども、地域行政制度が二十八年たって、制度疲労が蓄積してきたがゆえに、バージョンアップしたいとか、バージョンアップしようということであれば、まずは区としての思いや方向性をもっと強く打ち出していかないと、私は議論が始まらないと思うんですね。招集挨拶や先ほどの答弁でもなかなか曖昧かつ模糊としているというふうに思います。  あと、自治権拡充の道を開くということも御答弁でありましたけれども、やはり相手あってのことですし、ようやく児相の開設というものが見えてきましたけれども、百万人を迎えるときに世田谷の自治権が大幅に拡充されている状態というのはなかなか想像がしづらいと思います。ただ、今後、自治体として大きく飛躍することをにらむ上で、地域行政の課題を整理して、その整理された課題をこういうふうにして解消、解決していきたいと、それによって区民にとってはこういうメリットが生じる。よって皆さんの暮らしはより今より豊かになって、生活効率も向上しますというようなことを我々は思っているんですというようなことを行政から区民に対して提示をしていくべきだと。そこができないんであれば、そういった具体的な議論というのは始める意味が私はないと思いますので、ちょっとこの点、もうちょっとはっきりと区長の今の思いというものをお聞かせいただきたいと思います。  それから、教員の資質、能力の向上ということで、教育長から御答弁いただきましたが、さすが教育長、学校出身ということもありまして、力強い御答弁いただいたなと思っております。やっぱり教育現場では、日々いろんなことが突発的に起こっていると思いますし、保護者の方からもいろんなことを言われる御時世かなと思いますけれども、そうしたことに対する瞬発的な対応力だとか、コミュニケーション能力だとか、あるいは物事の優先順位のつけ方みたいな、教員として職務を遂行していく上での底力みたいなものを培っていく。それは一朝一夕にはいかないと思いますけれども、私はまだまだ教育委員会として介在できる余地というのは十分にあると思いますので、ぜひそこは力強く推進していただくことを要望いたします。要望なので、御答弁は結構です。  最後に、オリパラですけれども、USOCとの交渉がさぞかしタフなんだろうなということは想像できますけれども、ただ、あと一年後に開会が迫ってきていまして、馬事公苑もかなり立派な格好いいスタンドができてきまして、いよいよだなと思うわけですが、オリパラの競技が世田谷で行われるのみならず、アメリカの選手団、世界最強のアメリカ選手団がやってくる。恐らくメダリストもたくさん出てくることだろうと思います。そうした一流アスリートとの交流を千載一遇のチャンスとしてしっかりと物にしなければならないと思うわけです。特に未来を担う子どもたちにとっては一生を左右するようなことにもなり得るかもしれないわけでして、やはり極めて大きなミッションを背負っているんだというふうに思うわけであります。USOCとの交渉の最前線に立たれる宮崎副区長に、この部分に関する交渉にかける意気込みを改めてお聞かせ願いたいと思います。お願いします。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 おぎの議員の再質問にお答えします。  私の思いということなので、まずは端的に百万都市にこれから世田谷区が至っていくプロセスの中で、現在の特別区という形にずっととらわれているようではいけないというふうに考えております。  四年前に、ちょうど前回の区長選のときだったんですが、私の携帯電話が鳴りまして、電話に出ましたら、非常に久しぶりだなということで、大阪の自民党の閣僚経験者のリタイアした先生から、やあ、保坂君、あなたの書いていることはよくわかりやすいと、今、大阪都構想をめぐって市民投票をやると、ぜひ大阪に来て、二十三区、世田谷区が抱えているいろんな問題について話してくれないかと言われました。千人ぐらいの会場で、自民党だけじゃなくて、超党派のいろんな方が参加されましたが、やはり一つ一つ、例えば固定資産税とか、法人住民税などの徴収権もありませんよとか、また、用途地域すら設定できないんですよと、全国の市町村が持っている権限を、括弧して特別区除くと書いてありますから、いわゆるある意味で村以下だ、こういう中で苦労していますという話をすると、非常に大きな反響がございます。  やはり自治体の形というのはそれだけ大きな関心事でありました。また、このシンポジウムのもとになった、いわゆる大阪都構想のほうも、前段の法制度の改正があって、また長いプロセスを経て、現在進行形で議論されていると。まずは、この世田谷区の自治権拡充の形ということを、これは並み大抵のことではないと思いますね。区民がそのことを理解し、しっかり共有し、そしてビジョンをともに描いて進むという状況をつくらなければいけない。まずは足元からしっかりと見直していこうということで、私は改革の一里塚として、まずは二十八年たった、当時非常に先進的な気概を持ってつくられた地域行政制度、これを見直していこうと。  見直すに当たって、私も含めて十二分にこの経過を知っているというわけではございません。既に亡くなられた先輩方も多い。こういった中で、当時何が語られ、十二年間も議論したわけですから、どんなプロセスをやったのかということをまずは共有して、その上で、私のほうから改革の方向性と、そして論点の提示と、こういうふうにしたいと、それをまさに示さなければ議論が始まらないというのはおっしゃるとおりだと思います。だから、その前段の作業をなるべく早くやって、そして、地域行政の制度改革について、区民とともに、そして議会の皆さんとともに熱い議論を交わしたい。そして、その上で自治権拡充にしっかり向かっていきたい、こういう思いでございます。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、USOCとの協議の関係につきましての再質問に御答弁申し上げます。  今、議員のほうからもお話がありましたように、あと一年という時間が迫っております。この中で、この約二年間を超えるわけですけれども、交渉を続け、さらには一定のキャンプ地に係る部分については契約調印を結び、また、細部にわたりましては確認、サインと、この繰り返しを行ってきたわけでございます。  いよいよ先般言った部分につきましても、本来、確認、サイン等ができればよかったわけですけれども、本番に近くなってきたこともありまして、USOC側といたしましても、いよいよそのアスリートの候補とか、そういう具体的な話に始まっていますので、なかなか具体的な部分について御提示いただけないという状況がございます。  その中で、今お話もございましたように、まずは私たちとすると、キャンプ地で安全に対応していくということはもとよりですけれども、やはりその後の東京二〇二〇大会を過ぎた後も、しっかりその子どもたちのレガシーというものについてつくっていきたいと、こういう思いで交渉を続けているつもりです。この子どもたちの部分におきましては、世田谷区の子どもたちはもとより、川場村の子どもたちも一緒に共有していきたいと、こんなようなことでいろいろ交渉の中でも、具体例についてお話をしてきたわけですけれども、なかなかやはり具体的な話になりますと、誰が来れるかということについてまでが御提示できないということで、USOC側も悩みがあるわけですが、私たちはそれを求めているわけではなくて、やはりその長く続く中で、選手が例えば立ち寄っていただいて、我々の企画の部分のところに一緒に参加していただき、それで、子どもたちと交流をするということが長く続いてほしいし、またそれが具体的にこのアメリカ選手団の、先ほどお話がありましたように、メダリストにも来てほしいですし、仮に候補者であったとしても、それなりの著名な方もいらっしゃいます。そういう方々と触れ合う中で、一つでもスポーツを通じて国際交流などもできてくれば、さらに世田谷区の財産になるのではないかと、このような思いで交渉しているつもりですので、粘り強く相手方の部分との折り合いをつけながら結論を出していきたい、このように思っております。  以上です。 ◆四十九番(おぎのけんじ 議員) 区長は、大阪の話、何度か聞いたことがありますけれども、よほど腹に据えかねる思いがあるんであれば、そういうシンポジウムの場でも結構ですけれども、我々議会、あるいは区民に対してそういった思いを、わかりやすい具体的な形で早く提示をしていただきたいと思います。  リーダーの仕事はやっぱり絵を描くことでありますから、各論の積み上げではビジョンはできないと思いますので、ぜひ世田谷区民にとっての期待感を高めることと、あと職員の方にとっての挑戦の機会をつくり出すということ、そこに区長としてのリーダー、力の使いどころを見出していただいて、ぜひとも頑張っていただくことを要望して、自由民主党世田谷区議団の代表質問を終わります。 ○和田ひでとし 議長 以上でおぎのけんじ議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後三時十分休憩    ──────────────────     午後三時三十分開議 ○和田ひでとし 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
        ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 この際、議事の都合により、本日の会議時間をあらかじめ延長いたします。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 代表質問を続けます。  公明党を代表して、四十一番佐藤弘人議員。    〔四十一番佐藤弘人議員登壇〕(拍手) ◆四十一番(佐藤弘人 議員) それでは初めに、歴史的な改元により令和の時代がスタートしました。人口減少や少子・高齢化の進行に加え、経済のグローバル化や技術革新のスピードも速く、我が国の社会変革は待ったなしの状況です。さらには、国際社会において日本がどのような役割を果たしていけるのか、これら確かな道筋を政治は責任を持って有権者に示していかなくてはなりません。  一方、多くの自治体では、過疎化や財政難などの課題が一段と深刻さを増しており、地域社会のかじ取りを託された我々地方議員の責任は非常に大きい反面、今回投開票された統一地方選では、無投票当選の増加など、担い手不足が浮き彫りになっています。例えば道府県議選では、総定数二千二百七十七に対して二六・九%に当たる六百十二人が無投票当選と過去最高の比率を記録しています。こうした数字からも明らかなように、地方議会や議員の存在意義そのものが問われていると言っても過言ではなく、イギリスの政治家、歴史学者であるジェームズ・ブライスの地方自治は民主主義の学校との格言を引用すれば、より本質的な部分は声が届いたと実感できるかが重要であります。その実現に向けて、公明党世田谷区議団は、区民相談や議会活動、自己研さんに汗を流し、現場力、調査力、政策力などの不可欠な力を徹底して磨いてまいります。  それでは、公明党世田谷区議団を代表して、質問並びに提案をいたします。  保坂区長においては、このたび三期目の当選を果たされました。言うまでもなく、政治の使命は生きとし生ける人間が人間らしく生きる権利、つまり人権の保障と拡大のためにこそあります。一方で、マックス・ウェーバーが言うように、政治とは、かたい板に力を込めて、じわっ、じわっと穴をくり抜いていく作業にほかなりません。四月十九日付の日本経済新聞には、政党組織や候補者がしっかりと基本政策を練り、選挙で有権者の審判を仰ぐ。そうして選ばれたリーダーのいる自治体こそが、令和の時代に対等の関係で国と向き合い、自立した地方をつくる力を得ると訴えています。今後、九十一万世田谷区民の期待にどのように応え、かじ取りを担われるのかを注視しつつ、二点について質問いたします。  一点目は、七つの県と七つの政令市をしのぐ人口規模である我が世田谷区として、新しい時代へ向け期待も高まる一方で、増大する財政需要を鑑みると、限られた予算の中で、社会保障や教育、文化、経済、さらには防災・減災対策と、どの分野に予算を最適に配分すべきか、高度な政治判断が求められます。今の政治に求められているのは、その時々に中途半端な決定を下していくのではなく、共感を生み出せる言葉とそれを実行する意思であり、重要な決断を下す側の覚悟が問われる分岐点に差しかかっていると言えるでしょう。百万都市世田谷が目前に迫っているリーダーとして、保坂区長の今期四年間の共感を生み出せる明確な言葉と、それを実行する意思をお示しいただきたい。  二点目は、我が党は、生命、生活、生存を最大に尊重する人間主義に基づく中道政治を結党以来一貫して実践してきました。華々しく映る右か左かと違い、中道は決して受けませんが、これからの時代は我が国にとって非常に大切なものだと考えます。特に、中道政治を支えるのは中間層の厚さであり、その厚さが豊かさをあらわすのではないでしょうか。  その中間層が近年薄くなってきています。欧米社会を見ても、支配と被支配などの二元論や、分断や排除を生みがちな考え方が誇張されていますが、中道の考え方を社会に根づかせる、それを政策決定、政治決定に反映していくことが一番大事であると考えます。区長の中道政治に対する御所見をお伺いしたい。  次に、未来への投資、教育負担の軽減について伺います。  公明党は、今から四十年以上前の一九七六年、時代を先取りした福祉社会トータルプランを発表し、年金、医療、介護などの社会保障制度の着実な前進、さらに、二〇〇六年には少子社会トータルプランを発表し、幼児教育の無償化や返済不要の奨学金の創設を推進してまいりました。これらの政策を初め公明党が長年主張してきた全世代型社会保障制度の構築は、今大きく花開こうとしています。  本年十月の消費税率一〇%の引き上げに伴う財源を活用した幼児教育の無償化、高等教育の一部無償化、私立高校授業料の実質無償化の無償化三本柱は、公明党が他党に先駆けて取り組んできた大きな流れをつくり出すものであります。そこで、これまで我が党が提案してきた未来への投資、教育負担の軽減の五つの観点について、新たな時代のスタートに当たり具体的な進捗について質問させていただきます。  第一に、幼児教育無償化についてです。  この十月から幼児教育無償化が始まりますが、国制度の仕組みに上乗せした都と区の独自支援が講じられていることから、全ての保護者、事業者への丁寧な周知と同時に、さまざまな問い合わせに対応する専用の相談窓口が必要と考えますが、区の認識はいかがでしょうか。  第二に、学校給食の無償化についてです。  区独自の制度として、我が会派が再三求めてきた区立小中学校での給食費の無償化が、年収七百六十万円未満という所得制限はあるものの、この十月より実施することをまず評価いたします。しかし、これまで保護者への丁寧な周知を求めてきたにもかかわらず、このほど区が児童生徒を通じて四月に学校で配付した資料は、二〇一九年度就学援助のお知らせの中に併記されているだけで、学校給食が無償となる対象の御家庭に申請手続の情報が的確に伝わっているのか疑問です。改めて学校給食の無償化に特化した周知を実施すべきです。区の見解を求めます。  第三に、新BOP学童クラブの開設時間の延長についてです。  本年四月より令和三年三月末までの二年間、まずは五校にて午後六時十五分から午後七時十五分まで開設時間の延長のモデル実施をスタートしました。四月にスタートして一カ月経過後、五月一日の現在モデル校五校では、延長登録児童数は五十三名と文教委員会では報告があり、今後、開設時間延長のモデル事業の効果や手法を検討、また、アンケートを通して検証するとのことです。ここで二点質問いたします。  一点目に、アンケートの実施についてですが、モデル事業実施校のみならず、全区展開を目指すのであれば、全校で実施に取り組むべきです。区の見解をお聞きいたします。  二点目は、個別的配慮が必要な児童についてです。このたびの案で小学校三年生まで対象としたことは評価いたしますが、職員配置の状況で個別的配慮が必要な児童の延長利用登録ができないことがないよう、二年間の検証を待たずに柔軟な職員の配置等を検討すべきと考えますが、区の見解を伺います。  第四に、夜間の認可保育園の開設についてです。  本年第一回定例会の我が会派の代表質問では、夜間保育について、二〇一九年度中に検討するとの答弁でしたが、多様な働き方の保護者に応えるためにも、認可保育園での夜間保育の早期実施が求められています。二〇二〇年度当初から実施できるよう、課題を整理し、体制を整えるべきと考えます。区の見解を伺います。  第五に、未整備地区への児童館誘致についてです。  本年第一回定例会の我が党の代表質問において、児童館未整備地区の解消に向け、本年度策定予定の子ども計画(第二期)後期計画に反映させていくと答弁されています。しかし、児童館のあり方については、昨年七月から既に計四回の区立児童館のあり方検討委員会を開催し、地区における相談支援やネットワークの強化を図るために、地域偏在の是正に向けて検討する必要があるとの意見がまとめられており、次のステップへ進むべき段階ではないでしょうか。そこで、二点質問いたします。  一点目に、今般、あり方検討委員会の報告を受けて、さらに有効な検討が行えるよう、委員構成を見直した新たなあり方検討委員会を開催することを表明していますが、一体いつまで、さらに何を検討するのでしょうか。早急に実施に向けた方針を定めるべきです。見解を伺います。  二点目に、地区の中核を担うのが児童館であると我が会派は再三申し上げてきましたが、七月からは地域包括ケアシステムの地区も二十八地区に拡充されます。まず、未整備地区の中から優先的に三地区を選定し、二十八カ所として児童館を整えるべく、民間活力を取り入れながら、早期に開設を目指すべきです。区の見解を伺います。  次に、二〇二五年大介護時代に備えて、四つの観点からお聞きいたします。  第一に、認知症の人に優しいまちづくり条例について伺います。  我が党では、平成三十年六月の第二回定例会の代表質問において、神戸市での条例を引用して、いち早く世田谷区における(仮称)認知症の人に優しいまちづくり条例の制定を提案してきました。既にこの四月より事故救済制度における賠償保証金最高二億円と二十四時間三百六十五日対応のコールセンターの設置、さらに駆けつけサービスや三千万円までの見舞金の支給など、市民全体で支える町、認知症の人にやさしい「神戸モデル」が始まっています。現在、国においても認知症施策推進基本法案の成立へ向けて今国会に議員立法として提案予定と聞いております。ぜひ我が党の提案に沿った形で、世田谷らしい条例の制定を早期に進めるべきです。区長の見解を伺います。  第二に、フレイル予防について伺います。  我が会派では、五月にオープンした東池袋フレイル対策センターへ視察に伺いました。当センターは、フレイル、いわゆる虚弱対策として、食や会話、口腔の機能維持を中心に取り組みを進め、健康寿命の延伸を目的とした介護予防センターで、生涯にわたりはつらつと活躍できるように、居場所づくり、活躍の場、気づきの場としての機能も追加した多機能型センターでありました。このフレイル予防事業は、千葉県柏市における市民主体のフレイルサポーターによる栄養、運動、社会参加を軸とする包括的フレイルチェックを高齢者の集いの場を活用しながらの取り組み効果が注目を集め、現在全国的に展開が進んでおります。  世田谷区においても、認知症の人に優しいまちづくり条例の制定を契機に、二〇二五年の大介護時代に備え、区内のあらゆる場や機会を通して養成されたフレイルサポーターによる包括的フレイルチェック事業を施策として全区展開へと着手すべきと考えますが、区の見解を求めます。  第三に、暮らしの保健室の整備について伺います。  以前、会派で視察しました新宿区の都営戸山ハイツに開設されている暮らしの保健室に高齢者が地域で暮らす中で、重篤化、深刻化する前の段階で抱える日常生活における小さな不安を気軽に近所で解決できる場としての重要性が高まっております。現在、厚木市や川崎市にも開設されており、訪問看護師が常駐し、健康相談などができ、気軽に立ち寄れるスペースとして高齢者の孤立、孤独化の防止に大きな役割を担っています。介護や医療はもちろん、生活支援についても、問題が大きくなる前に早期発見、早期対応が重要ですが、区の現状では、小さな不安を気軽に相談できる窓口はほとんどなく、福祉の相談窓口も介護に関する相談が主体で、気軽に訪れる場にはなり得ていません。  我が党は、身近な場所で看護師などの専門家に医療や介護、生活に関する悩み事をいつでも気軽に相談できるだけでなく、ふっと立ち寄れ、談笑できる場として暮らしの保健室を、特に高齢化率が著しく高く、独居の方が多く暮らす大規模集合住宅には併設で設置すべきだと必要性を求めてきました。こうした地域特性に応じた暮らしの保健室を生活現場の最前線におけるサテライト機能として位置づけ、都営・区営住宅や公社など、公的集合住宅の建てかえにあわせ、整備に取り組むべきと考えますが、区の見解を求めます。  四点目に、自治体間連携による高齢者の住まいの確保について伺います。  今般、区は第四次住宅整備方針の策定に向けた検討の着手に入るとの報告がありました。しかし、都市計画決定権限のない区において、昨今の住宅事情の変化や新たな課題に対応するにはどのような手法で応えていくのか、その具体的な方策は全く示されておらず、方針の実効性には疑問を禁じ得ません。  特に高齢者の方の住まいの確保は喫緊の課題であり、そうした背景の中、杉並区は全国で初めて南伊豆町と自治体間連携による特別養護老人ホームの整備を実現し、豊島区では、昨年より友好都市である秩父市とのサービス付き高齢者向け住宅プロジェクトを発足させ、二地域居住のあり方についても検討に着手しており、本年秋にはプロジェクト第一号のサービス付き高齢者住宅が秩父市にオープンいたします。  世田谷区においても、既存の民間ストックも住宅セーフティーネットとしてほぼ活用されておらず、サービス付高齢者住宅などが整備されても、土地価格が高いため月額家賃も高額となり、低所得者の方の選択肢には全くなり得ない状況となっています。今後、災害協力協定などを結ぶ他自治体と連携し、高齢者施設を整備し、住まいの確保を諦めざるを得ない方への選択肢をふやし、高齢になっても安心して穏やかに暮らせる環境づくりを早急に検討すべきです。改めて見解を伺います。  次に、世田谷版ネウボラについて伺います。  世田谷区は、これまで近年の子ども・子育てを取り巻く社会状況の変化に対応すべく、平成二十七年に世田谷区子ども計画(第二期)を策定し、重点政策の一つに、妊娠期からの切れ目のない支援・虐待予防を掲げ、妊産婦や子育て家庭に寄り添いながら、切れ目なく支える仕組みを身近な場から充実することを目標として盛り込みました。そして、平成二十八年七月より、妊娠期から出産直後に焦点を当てた世田谷版ネウボラを開始しました。  我が党は、同事業については、面接体制や面接場所等の改善への提案を重ねてきた結果、昨年度の面接実施率が八九・一%と前年度より五・三ポイント増加しており、特に特定妊婦の対応については、保健師や母子保健コーディネーター等の努力の一端がうかがわれます。しかし、世田谷版ネウボラは、妊娠期から就学前までの子育て家庭を切れ目なく支えるための、区、医療、地域が連携して相談支援する顔の見えるネットワーク体制を確立することにあります。  今般、国が定める子育て世代包括支援センター及び子ども家庭総合支援拠点の機能が総合支所に設置されたことを経て、児童相談所の開設などの展開を見据えたならば、妊娠期から子育て期にわたるワントップの強化が急務であります。現在の総合支所における機能を包括支援や支援拠点として、さらに強化へとつなげるのか。また、地区への展開も見据えた下地をどう整えていくのか、区の見解を求めます。  次に、地域行政の推進に関する条例制定について伺います。  地域行政制度は、住民に密着した行政サービスと地域の実態に見合ったまちづくりの展開のため、昭和五十四年から検討を始め、平成三年より開始された行政制度であります。全国における地方分権の先駆けとなる世田谷区独自の地域行政制度として、もっと身近に、もっと便利に、打てば響くまちづくりをスローガンに、三層構造の機能を生かしたまちづくりが始まりました。しかし、二十八年経過する中で、地区の拠点にあるまちづくりセンターの役割も変化し、同様に総合支所の担う内容も多様化し、スタート時の平成三年とは社会情勢も大きくさま変わりしました。  我が党は、これまで百万都市世田谷を見据え、区民生活を支える行政システムの再構築、総合支所やまちづくりセンターのあり方の明確化を見据え、地域行政制度の推進のための条例制定を提案し、議論を進めてきました。しかし、本年二月に区から示されている検討の進め方では、区民と地域行政の基本的な考え方を共有するため、区民、学識経験者の参画により、幅広く意見を聞く場や、議論する機会を設け、区議会での議論もいただきながら、複数年かけて検討を進めるとしています。ここで二点質問いたします。  一点目は、地域行政のあり方は、自治体経営のあり方と一体不二です。特に他県や他政令市をしのぐ百万都市に見合った権限、財源をどのように確保していくのか。地域内分権を突き詰めれば突き詰めるほど、特別区制度の壁が大きく立ちはだかります。これからの二十年、特に国の自治体戦略構想研究会における二〇四〇年問題などを考えると、今まさに都区制度からの脱却、世田谷区の自治権獲得をメーンテーマに据えなければ、単に行政構造の組みかえだけの改革に陥る可能性があります。自治体としてどう自治権を拡充し、独立を目指していくのか、区長の決意をお聞きします。  二点目に、幅広く意見を聞く場や議論する機会を設けるとは、どのようなことを考えているのか。また、条例制定の検討組織をどのように立ち上げていくつもりか、スケジュールとあわせて御答弁願います。  次に、新たな事業評価について伺います。  昨年度より導入された新公会計制度が今年度の決算から反映されます。これにより、我が党が主張してきました財政の見える化で行政経営マネジメントへの活用が可能となります。区は、新公会計制度を活用し、行政経営改革に取り組むため、今年度から三カ年の新公会計制度活用計画を策定していますが、計画では区民にわかりやすい財務情報の作成、公表とあります。  例えば、公立図書館運営の例を挙げれば、浜松市では、新公会計制度導入後、施設別のバランスシートの作成でより適正に公共施設の管理を行っています。新たな施設を検討する際には、一人当たり、一冊当たりなどのコストも入れ、多角的な比較検討を行っていました。また、町田市でも、市民向けに公共施設のコストを示す概要版の冊子、あたりコストを作成し、一人当たり、一冊当たりのコストを示し、説明責任を行っています。新公会計制度の導入によりコスト情報を活用することで、図書館を初め、児童館、保育園等のフルコスト情報を用いて、その視点で分析をし、事業を評価すべきです。特に図書館については、民間活力を導入している大和市や海老名市の取り組みを参考に、新公会計制度による事業評価で費用対効果、来館者の推移などの検証を行い、業務委託や指定管理制度との比較検証をすべきと考えます。区の見解をお聞きします。  次に、新教育長の教育方針について伺います。  今臨時会で新たに選任された渡部新教育長は、世田谷区内の小学校で二十三年間勤務されてきた経歴に触れられ、任命挨拶では、キャリア教育の重要性、子どもの無限の可能性を引き出す、一人の子どもも置き去りにしないことなどのお話を述べられました。まず、就任に当たり、新教育長の教育方針について改めて御決意をお聞きいたします。  さて、世田谷区では約八五%の子どもが区立小学校へ就学しており、区立小学校と区内公私幼稚園、保育園等が連携し、乳幼児期における教育と小学校教育との円滑な接続が大変重要であります。世田谷区では、子どもが円滑にその変化に対応することができるよう、カリキュラムの作成や、小学校と幼稚園、保育所等が連携するためのシステムづくりを進めております。  昨年十月の決算特別委員会で、我が会派は、これまでのカリキュラム、乳幼児教育のワークショップなどの実践や、今後実施する公私立幼稚園、保育所等の枠組みを超えた合同研修などを踏まえ、大阪府堺市の取り組みを参考としながら、世田谷版スタンダードカリキュラムの作成に向けた検討を進めることを提案いたしました。  ここで一点お聞きいたします。平成二十八年度の世田谷区保健福祉総合事業概要では、保育園にも幼稚園にも通園していない五歳児は全体の六・三%を占めております。どのような家庭環境においても、就学前教育を全ての子どもが享受できるようにすべきことが重要と考えます。その前提に基づいた就学前教育のための世田谷版スタンダードカリキュラムの作成に向けた検討状況について、教育委員会の見解をお伺いいたします。  次に、食品ロス削減について伺います。  今般、五月二十四日の参議院本会議で、食べられる食品の廃棄の抑制に国民運動で取り組むための食品ロス削減推進法が成立しました。我が党は、二〇一五年に党内においてPTを発足させ、食品業界やフードバンク関係者など幅広く議論を重ねて集約し、法案骨子案を作成したことを受け、成立へと導きました。  同法は政府に食品ロス削減推進の基本方針策定を義務づけ、今後、それらを踏まえ、都道府県と市町村は削減計画を策定し、対策を実施するよう努力義務を課されることになります。食品ロス削減推進法では、消費者や事業者に対する普及啓発、フードバンクの活動支援、事業者、消費者の役割提示など、多様な主体が連携しながら国民運動として取り組むことが明記されました。  国での動きに合わせ、コンビニ業界でも、例えばセブン‐イレブン・ジャパンは、消費期限の近い食品を実質的に値引き販売する方針を示し、全国二万店でこの秋にも購入者に数%分のポイントを付与して還元する予定とのことです。ここで二点質問いたします。  一点目は、食品ロス削減推進法では、食品ロスの削減に関する理解と関心を深めるため、十月に食品ロス削減月間を設けるとしております。世田谷区においても、この十月にキックオフイベントとして、例えば産業フェスティバルなどを活用して食品ロス削減イベントを実施することを求めますが、見解はいかがでしょうか。  二点目は、災害備蓄食の有効活用についてです。賞味期限を迎える前に配布するなどして、災害備蓄食料の有効活用に取り組んでいる自治体がふえています。東京都のモデル事業においても、賞味期限に猶予があるものは社会福祉施設や子ども食堂などに提供、期限が切れたものに対しては養豚業者などへ飼料化、再資源化として役立てています。区における災害用備蓄食の活用の現状と今後の取り組みについて、区の方針をお聞きします。  次に、外かく環状道路東名以南の整備推進について伺います。  現在、外かく環状道路工事が進行中であり、具体的な開通時期を事業者はいまだ明言していないものの、これから数年後には間違いなく開通するものと思われ、まさに東名以南の整備推進は待ったなしの状況です。これまで、保坂区長は、東名以南の計画が一日も早く具体化するように、みずから先頭に立ち、全力で取り組むと答弁してきましたが、一向に進捗する気配すら感じられません。このまま東名以南の工事が行われないということになりますと、世田谷区内における自動車交通の要衝である東京インターチェンジ周辺部での交通渋滞、また、周辺の主要生活道路への通過交通の流入など、交通環境の悪化が見込まれるということになります。東名以南の工事が進まない場合の影響を考えるに、区は危機感をどこまで持っているのでしょうか。今後の整備におけるビジョン、必要性を保坂区長みずからが示し、国土交通大臣に働きかけ、東名以南の推進を先頭に立って取り組むべきであります。東名以南が未整備になった場合の影響などの調査分析の有無についてもあわせて、区長の御決意を求めます。  最後に、園外活動における安全対策について伺います。  先月、滋賀県大津市で発生した散歩中の保育園児二人が犠牲となった交通死傷事故は、保育現場のみならず多くの人に衝撃を与えました。区においても、保育園児の散歩等の園外保育については、待機児童解消の対策のために十分な園庭が確保されていない保育園がふえており、日常的に園外の公園で外遊びをしていますが、散歩コースの安全点検については各園に委ねているのが現状です。  大津市では、今回の事故を受け、公立と私立の保育園、幼稚園などに散歩コースの提出を求め、施設や県、県警と危険箇所を点検し、小学校における道路標識や白線などで運転手に注意を促したり、通行禁止や一方通行、速度規制などを求めるスクールゾーンに当たる(仮称)キッズゾーンを設けるなど、安全対策を講じるとしています。  まず、区立小学校の安全点検と同じように、未就学児の目線で保育園、幼稚園の散歩コースの安全総点検の実施と、区内警察署と連携した安全対策を講じることを求めます。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 佐藤議員に私から四点お答えをいたします。  今後、新しい時代に取り組む共感を生み出す明確な言葉をという御質問でございます。  三期目の区政をスタートさせるに当たって、端的に申し上げて、区長としてのスタンス、発想を短く言うとすれば、今あるものを生かし、いまだないものをつくる。現にあるものを生かし、そして、それを生かすだけではなくて、新しい要素を付加し、組みかえて、いまだないものをつくる。この姿勢であります。  世界を揺るがしているプラごみ問題、原子力発電所の大きなリスク、地球温暖化、全てが大量生産大量消費の私たち自身のライフスタイルを根本的に転換することを求めてきています。スクラップ・アンド・ビルドから、物を大切にして時代とともに用途を変える、まさに知恵が必要な時代であります。また、らせん階段を一歩ずつ確実に上がっていくような漸進的改革、この指標であります。区政は、区民に最も身近な政府である基礎自治体として、区議会と車の両輪で施策を実現させる最前線の現場であります。  また、直面する課題は、同時に、東京及び全国で起こる問題の縮図とも言えます。高齢社会への突入と認知症予防への身近な地域ならではの対応、防災への備え、児童虐待予防と子育て支援の充実、そして指針なき時代を生き抜く力を養っていく教育改革、多様な価値感が広がる社会を支えていく共生社会への取り組みなど、どれも区のみで解決できるものではなく、区民参加と協働によって、打てば響くまちづくりを展開し、前に進めることを必須の条件としています。限られた財源のもとでこの優先順位を明らかにして政策を進めるために、日々決断を重ねていきます。一つ一つの政策に理念を込め、区民に伝え、共感する言葉を刻み、区議会とともに取り組む決意でございます。  次に、公明党の中道政治についての所見ということでございます。  私自身の経験によれば、かつて五十五年体制の自社二大政党時代がございました。一見水と油、右と左というふうに言われてきましたが、自民党ハト派であった宏池会、一方で、社会党右派の政策は重なり合うところがとても大きかったと認識をしています。そうした中で、九十年代半ばに小選挙区制が導入され、そして、公明党も連立与党としての年月を重ねるにつれて、中道の立ち位置をキープされることに苦労されているというふうに感じています。一方で、区政において、区民生活の向上のために積極的な、また現実的な提案をされていること、また、具体的な制度、政策要求の練度の高いことに敬意を表し、中道政治の実践力を評価するものでございます。  これからも自治の担い手である区民が区政へ参加する機会を数多く設けて、合意形成に努めながら、地域の課題解決に取り組んでいくことは非常に重要であると考えています。これからも区民の命と暮らしを支える区政を参加と協働により進めてまいります。これからの四年間につきましても、活発な御議論、建設的な政策提言をいただいて、世田谷区政改革のバージョンアップを推し進めてまいりたいと考えています。  次に、地域行政についてのお尋ねでございます。決意はいかにということでございます。  地域行政制度は、議員おっしゃるとおり、世田谷区独自の自治体経営の基盤として、構想準備に十二年をかけ、発足から二十八年経過をしてまいりましたが、百万都市となる将来を見据えたときには、地域内分権としての地域行政制度のあり方の議論と自治権拡充の議論は、いわばメダルの表裏のようにセットで展開をしていく必要があると考えています。百万都市となる十年後の世田谷区の人口構成は、年少人口、高齢者人口がともに増加する一方で、生産年齢人口は逐次減少していく傾向にあると予想されています。  今後、持続可能な自治体経営を行うために、都区制度によって財源や権限の制約を受けている現状を打破し、独立性を強める自治権の拡充を進めることは、避けられない必須の仕事であると考えています。今後、議会や区民の皆様の幅広い御意見をいただきながら、固定資産税、法人住民税等の課税自主権や、都市計画決定権限を、いわば全国の市町村の中で例外的に剥奪されている現状に甘んじることなく、特別区という枠にとどまらない自治権拡充の道を開き、自立した自治体の形を提示していくとともに、地域行政制度を持続可能なものに刷新していくための条例改正を進めてまいりたいと考えております。  最後に、外環以南についてお尋ねがございました。  東名以南の整備が実現されない場合、東京インター周辺の環状八号線、国道二四六等の幹線道路の交通渋滞、生活道路への通過交通の流入など、区内の交通環境の悪化が強く懸念されるところであります。平成二十九年三月に、私、国土交通省関東地方整備局に出向いて、早期にこの東名以南の計画の具体化及び事業化、そして、ここにかかわって、いわば対応の方針に盛り込まれた協議の場、これを世田谷区の意見表明などの仕組みを盛り込んで、早急に設定すること。そしてまた、現在工事中の区間が完成した際の環状八号線など周辺道路に与える影響予測の対策についての要望書を局長に手渡してまいりました。  こうしたやりとりの結果、国、東京都、川崎市、世田谷区、大田区の五者によって構成されます東京外かく環状道路周辺自治体意見交換会が、平成三十年六月以降、二回開催され、区内の現状とともにさまざまな課題、東名以南の必要性について文書でさらに区としての意見書を提出したところでございます。  世田谷区としては、東名以南の早期整備が東京インターチェンジ周辺等の交通環境等の改善に大きく寄与するものと考えているところから、東京インターチェンジ周辺部の交通予測とその対策をあわせて引き続き要請してまいります。国土交通大臣への働きかけの御提案につきましては、この意見交換会で関係機関と連携協議しながら、準備を進めてまいります。東名以南の計画が一日も早く具体化するよう、私みずから先頭に立って今後も全力で取り組んでまいります。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、五点について御答弁申し上げます。  最初に、未整備地区への児童館誘致、さらには児童館への民間活力についてでございます。  区では、地域包括ケアシステムの推進や児童相談所の移管による総合的な児童相談行政の推進に取り組んでおります。その中では、児童館の機能の充実が重要であり、現状の地域行政下におきましては、まちづくりセンター管轄ごとの児童館機能の再整備については、現在策定を進めております子ども計画(第二期)後期計画の中で明らかにしてまいります。  民間活力の導入につきましては、昨年度のあり方検討委員会での御意見を踏まえまして、今年度は、区の目指す総合的な児童相談行政や児童健全育成等の推進に向けた視点から、他自治体の民営児童館を参考といたしまして、相談支援や遊び、地域とのネットワークづくり、人材の確保育成等の課題の把握整理を行ってまいります。  また、未整備地区への再整備に当たりましては、ハード面では児童館という施設の位置づけや規模から公共施設での整備が基本になると考えておりまして、今後進める予定の公共施設等総合管理計画の見直し作業と整合を図りまして、具体化を進めてまいります。まずは、来年四月からの児童相談所開設にあわせまして、未整備地区や重複地区における地区のネットワークの活用などによる相談支援の体制やルール等を明確化し、年度内に地区における相談支援体制を整備してまいります。  続きまして、認知症の人に優しいまちづくり条例につきまして御答弁申し上げます。  区では、令和二年四月、認知症在宅支援策の中核的な役割を果たす拠点としまして、認知症在宅生活サポートセンターをうめとぴあ内の世田谷区立保健医療福祉総合プラザ内で開設する準備を進めております。また、認知症施策をさらに推進するため、そのよりどころとなる(仮称)世田谷区認知症施策推進条例の制定に向け、議会からも御意見を賜りながら検討を重ねているところでございます。  御指摘のとおり、事故救済制度も含めた認知症条例を制定している自治体もありますので、他の自治体の条例も参考にするとともに、世田谷に即した条例制定に向けて、御本人や御家族の声をしっかりお聞きし、丁寧な議論は何よりも必要と認識しております。今後、認知症の御本人や御家族を含む区民の方や事業者等に御参加いただくワークショップやパブリックコメント等で広く意見をお伺いし、学識経験者や家族、事業者等で構成する条例検討委員会で検討するとともに、議会におきまして議論を重ねてまいります。区民、事業者、行政のそれぞれの役割を明確にいたしまして、認知症の方の意思が尊重され、住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう、世田谷らしい条例の制定に向けまして引き続き取り組んでまいります。  続きまして、高齢者の住まいの確保の選択肢をふやすことについてでございます。  区では、これまで特別養護老人ホームなど介護基盤の整備を初めといたしまして、認知症施策、在宅介護の支援、介護人材対策など、介護が必要になっても住みなれたこの世田谷で暮らし続けたいという区民の願いに応えるため、高齢者を支える施策の充実に取り組んでまいりました。一方、区外の施設への入居相談があった場合は、御本人や御家族が納得できる施設選びができるよう、丁寧にお話を伺い、御相談に応じており、今御指摘ございました選択肢をふやすことの重要性は必要だと認識しております。
     介護が必要な状態になって、なじみのない地域に移り住むことは、環境の変化に伴う心身への影響、家族や知人との関係が希薄になるなど、さまざまな課題がございます。また、御家族にとりましても、面会は遠くて大変、緊急に駆けつけることが難しいという面がございます。  区といたしましては、今後とも、介護施設等整備計画に基づきまして、比較的低額な家賃で入居可能な都市型軽費老人ホームや在宅生活を支える地域密着型サービス拠点などの整備を進めてまいります。あわせまして、関係所管と連携いたしまして、居住支援協議会におきます単身高齢者の民間賃貸住宅への入居支援策を検討するとともに、民間賃貸住宅に関する相談に対応しております住まいサポートセンターの活用などを図りながら、誰もが住みなれた地域で安心して生活できるよう全力で取り組んでまいります。  続きまして、世田谷版ネウボラと子育て支援拠点の関係性でございます。  区は、保健師等の専門職を配置し、これまで培ってきた母子保健並びに子育て支援を担い、一体的に提供できる各総合支所保健福祉センターを子育て相談等のワンストップサービスの相談拠点と捉えております。本年四月には、同センターの相談拠点の機能をより強化するために、子育て世代包括支援センター並びに子ども家庭総合支援拠点の機能を整備し、妊婦及び全ての子ども家庭を包括的に支援することを目指しております。また、区民視点に立ちまして、児童相談所と連携して、子ども家庭の総合相談等を担う子ども家庭支援課を新たに設置したところでございます。  一方、区民に身近な地区に設置します福祉の相談窓口では、子育て相談等に対しまして、相談者の問題状況を聞き取り、ニーズを整理いたしまして、状況に応じた支援や関係機関への引き継ぎを行っております。お話にございます世田谷版ネウボラでは、子育て支援の充実を目指し、区と医療や地域との顔の見えるネットワークづくりを進めております。今後は、さらに地域との連携協力強化や総合支所の地区を支援する基盤の強化に向け、相互の職員の関係性を深めつつ、子育てに関する情報等を共有するなど、より連携を図るよう指示してまいります。  最後に、園外活動におけます安全対策についてでございます。  区では、大津市の事故を受けまして、直ちに教育委員会を初め子ども施策を担う所管が連携し、各施設の屋外活動の移動経路の安全性や、職員の体制などの再確認を求めたところでございます。また、警視庁からも、保育所等におきまして子どもの登園経路などに交通安全上の危険がある場所を把握した場合は、管轄の警察署に連絡することが要請されていることから、関係所管との情報共有を図りながら、子どもを事故から守る取り組みを進めております。  保育園の園外活動は、心身の健やかな成長を促すため、大変重要な活動でございます。安全な園外活動を確保するため、区といたしましては、各園のマニュアル再点検、安全面を検証して決定したお散歩時の移動経路のマップ化を促すとともに、教育委員会による通学路の安全点検結果の活用及び通学路以外のお散歩ルートの再点検を行い、保育ネットを通じた近隣保育施設間との情報共有に取り組んでまいります。  さらに、既に実施中の巡回訪問時での園外活動での職員同行を継続いたしまして、ともに危険箇所等を確認するなど、園との連携を進めるとともに、リスクマネジメント研修の実施など、対策を実践する職員の人材育成支援に努め、園外保育の安全対策をさらに強化されるよう進めてまいります。  以上でございます。    〔渡部教育長登壇〕 ◎渡部 教育長 就任に当たっての私の教育方針について御答弁申し上げます。  私は、臨時会の御挨拶の中で、一人の子どもも置き去りにしない教育、そして、子どもの持つ無限の可能性を引き出す教育を実現したいとお話をさせていただきました。学校現場に長くおりました経験から、一人一人の子どもには多くの可能性があることを感じました。また、キャリア教育を通じて、子どもたちがなりたい自分になるために自信を持つことができるように、異学年交流や地域とのかかわりを持つ機会づくりなどを進めてまいりました。そこでは、子どもたちが生き生きと学ぶ様子から喜びを感じることが多くありました。  先ほどの答弁と重なりますが、活力がありながらも、まだまだ経験を積む必要がある若手教員の増加や、指導力の不足している教員も現にいるという課題もございます。これらの教員の育成を図りながら、個性豊かな子どもたちに合った、よりよい教育を推進してまいります。一人一人の子どもに焦点を当て、子どもの無限の可能性を引き出す教育の実現に向けて、学校全体が一体となって課題に取り組む組織体制の確立や、教職員の業務負担の軽減、地域と連携した教育などを推進し、子どもたちの未来を見据えた教育の展開に全力で取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎知久 保育担当部長 私からは御質問二点についてお答えいたします。  まず、幼児教育無償化の実施に当たり、内容等の保護者への丁寧な周知と専用窓口の設置が必要との御質問にお答えいたします。  御指摘のとおり、幼児教育無償化の制度は、対象の施設等により支給要件等が異なることから、制度全体はかなり複雑な内容となっております。そこで、本年十月からの実施に当たっては、各施設を運営する事業者に対し、各施設に関係する制度を中心に順次説明会等を実施してまいります。  保護者への周知につきましては、対象施設ごとのわかりやすい御案内を作成し、認可保育園や幼稚園は各施設を通じ、また、認可外保育施設の利用者につきましては区から直接各御家庭に通知を発送いたします。各御家庭への通知は七月から順次発送してまいりますが、短期間で問い合わせが集中することが想定されますので、専用のコールセンターを臨時に設置いたします。なお、コールセンターで対応が困難な御質問等については、各施設の担当所管で対応できるよう準備してまいります。また、来年度以降、無償化の対象となる施設の御利用を検討されている保護者向けといたしまして、今後、ホームページの充実など、利用者目線でわかりやすい周知方法を検討し、実施してまいります。  続きまして、夜間保育所の検討状況について御答弁いたします。  区では、夜間保育のあり方を検討するに当たり、本年四月の認可保育所の入園申込書から保護者の勤務実態を調べ、夜間帯保育のニーズを把握するとともに、先月には相模原市の夜間保育所を視察してまいりました。四百八十世帯の保護者の勤務時間等を確認した結果、二十二時以降の保育を必要とする世帯は三世帯ございましたが、いずれも延長保育の利用はなく、保育時間内に保護者が迎えに来られていることを確認しております。また、視察先の夜間保育所の運営法人からは、園の運営に当たって、人材確保の困難さ、財源確保に課題があること、多くの子どもの保育時間は認可の夜間保育所の標準的開所時間である午前十一時から二十二時の利用であることを確認してまいりました。  調査や視察の結果から、認可の夜間保育所を短期で開設することは課題が多いと認識する一方で、現在、五園で実施している二十二時十五分までの延長保育を有効に活用することで、区民の夜間帯における保育需要により応えることができるのではないかと考えております。引き続き、世田谷区にふさわしい夜間保育のあり方について分析を行いまして、方針を取りまとめてまいります。  以上です。 ◎淺野 教育次長 私からは二点御答弁申し上げます。  まず最初に、学校給食に特化した無償化の再周知をすべきということについてです。  教育における保護者の負担軽減の充実を図ることから、本年十月より、給食費や学用品費の一部を支給する就学援助の仕組みを見直し、支給対象者の拡大を図ってまいります。具体的には、就学援助制度の認定所得基準を全体的に引き上げるとともに、給食費の費目につきましては、東京都の高校授業料無償化モデル相当の生活保護基準の二・〇六倍の所得基準まで引き上げ、この目安の給与収入としまして、年収約七百六十万までの中間所得層までが対象世帯となります。  この取り組みにつきましては、より多くの保護者の方々に関心を持っていただくため、本年四月に全小中学校の児童生徒を対象に周知のお知らせを配付しまして、より申請しやすくするために今年度は申込書をお知らせにとじ込む工夫を行いました。さらに、今回の拡充内容について、「区のおしらせ」やホームページに掲載したほか、年間の学校給食費のお知らせにも掲載し、周知を図りました。  見直しは十月からとなりますが、四月から受け付けを行っておりまして、現在審査中でございますが、対象者数もふえたことにより、六月十日時点で申込者数ですけれども、昨年度の六月時点の四千七百八人から八千七百三十四人へと大幅にふえております。再周知ということですけれども、夏休み明けの九月ごろに再度就学援助のお知らせで周知する予定です。作成の際には、給食費の費目につきまして、より多くの方が対象となっていることなども含め、保護者の方がわかりやすいように表現の工夫などを行ってまいります。  続きまして、就学前教育に関しまして、世田谷版スタンダードカリキュラムの作成をということにつきましてです。  区は、平成二十九年七月に子どもを取り巻く環境の変化や乳幼児期における教育・保育の状況等を踏まえ、将来の子どもたちの生きる社会を展望し、乳幼児期における教育・保育を充実していくために、世田谷区幼児教育・保育推進ビジョンを策定しております。  御提案のスタンダードカリキュラムにつきましては、堺市において就学前教育と小学校教育の円滑な接続の推進に重点を置き、全ての幼児における教育水準を確保することを目的として策定されたものと伺っております。区におきましては、就学前教育と小学校教育との円滑な接続を目指し、世田谷版アプローチ・スタートカリキュラムを作成し、より有効に活用されるよう、乳幼児教育アドバイザーの幼稚園、保育所等への派遣などにも取り組んでまいりました。  また、小中学校の義務教育を一体として捉え、質の高い義務教育の実現を図ってきた世田谷九年教育について、学習指導要領や幼稚園教育要領、保育所保育指針等の改定を踏まえまして、幼児教育と義務教育を一体的に捉える新たな枠組みでの展開に向けた見直しを進めているところでございます。  区としましても、御提案のスタンダードカリキュラムなど、幼児教育を進めていく上での基本的な指導方針を作成していく必要性は十分認識しております。今後、質の高い教育・保育を全ての子どもに生かしていくことを目指しまして、教育総合センター内に整備する乳幼児教育支援センターも見据えて、世田谷版スタンダードカリキュラムの作成に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。  以上です。 ◎澁田 子ども・若者部長 私からは、新BOP学童クラブ運営時間の延長モデル事業について、二点お答えいたします。  まず、一点目でございます。全校を対象にしたアンケートを実施すべきという点にお答えいたします。  新BOP学童クラブの実施時間の延長につきましては、保護者の利用ニーズや延長利用の有効性、子どもの過ごし方や自立への影響などを検証・検討するため、平成三十一年四月から五校でモデル事業を開始いたしました。検証・検討を行うに当たりましては、アンケート調査が重要であると考えており、児童や保護者、従事者へのアンケート調査を事業開始当初の六月、夏休み明けの九月、年度末の三月に実施する予定でございます。また、九月と三月のアンケートにつきましては、延長を利用していない保護者も対象とする予定としており、これらのアンケート結果をもとに詳細な利用ニーズや実態、課題の把握を行ってまいります。  まずは、実際に延長を実施している学校の実態把握 や詳細分析をした上で、モデル事業二年目となる来年度は、今年度の結果を踏まえまして、利用者ニーズをより的確に把握できるようアンケート等の調査内容や手法を工夫し、新BOP学童クラブの実施時間延長について検討・検証してまいります。  二点目でございます。個別的配慮が必要な児童の延長利用登録と職員の配置等についてでございます。  現在、新BOP学童クラブでは、個別的配慮が必要な児童については六年生まで利用可能としておりますが、延長実施時間内の職員配置を二人としておりますため、児童への安全面の配慮等から対象は三年生までとしております。五月一日現在の延長利用登録児童は、いずれの学童クラブにおきましても、三年生までの個別的配慮を要する児童が延長を利用できる状況にございまして、利用する際には必要な職員の配置を行っております。  今後は、実施時間延長モデル事業を利用していない保護者に対し、利用しない理由等につきまして、本年九月と来年三月にアンケート調査を実施する予定でございます。その中では、個別的配慮を要する児童の保護者も含めまして、ニーズやモデル事業に対する意見も把握するとともに、その結果を踏まえて、利用対象学年や職員配置についても検討を進めてまいります。  以上でございます。 ◎長岡 高齢福祉部長 私からは、二〇二五年、大介護時代に備えてにつきまして、二点御答弁申し上げます。  まず一点目は、フレイル予防について、区内のあらゆる場や機会を活用して、フレイルサポーターによる包括的フレイルチェック事業を全区展開へと着手すべきとの御質問に対して御答弁いたします。  区では、地域での交流や社会とのつながりを失うことが心身の機能低下の入り口であるというフレイルドミノ防止の考え方に基づきまして、介護予防講座や講演会、ワークショップ等、さまざまな機会を捉えて、栄養、運動、社会参加を軸とした包括的なフレイル予防の普及啓発に取り組んでおります。また、高齢者の社会参加を推進し、区民同士がお互いにサポートし合いながら楽しく継続してフレイル予防に取り組めるよう、講座終了後は自主グループとしての活動を支援するほか、事業の会場準備や体操指導の補助などに御協力いただくあんすこボランティアなど、社会参加の取り組みを実施しております。  今後、既に活動いただいているあんすこボランティアの登録者を初め、地域デイサービスや世田谷いきいき体操グループで活動している方を中心に、区民がお互いにサポートし合いながら実施するフレイルチェックや、フレイル予防の取り組みを拡大してまいります。引き続き、あんしんすこやかセンター社会福祉協議会、保健センター等の関係機関と連携を図り、区民の支えあい意識の醸成とともに、既にあるボランティア活動等の仕組みを充実させ、世田谷らしいフレイル予防の取り組みを推進してまいります。  次に、二点目といたしまして、暮らしの保健室を生活現場の最前線におけるサテライト機能と位置づけ、公的集合住宅の建てかえに合わせ整備すべきとの御質問に対して御答弁いたします。  区内におきましても、都営下馬二丁目住宅周辺では、健康・生活にかかわる相談などに対応できるよう、月一回、あんしんすこやかセンター職員と地域の医療機関の訪問看護師が協力し、近隣の特別養護老人ホームの一角をお借りして、出張暮らしの保健室を実施しております。  また、現在は、転居が完了し取り組みが終了しておりますが、八幡山三丁目都営住宅の建てかえ時には、住民からの要望により、上北沢地区の社会福祉協議会あんしんすこやかセンターまちづくりセンターの三者が連携し、定例的に出張何でも相談室を住宅の集会室で開催し、好評を得ておりました。また、区内の特養と高齢者施設を活用した高齢者身近なお休み処では、外出時の休憩やトイレの利用、相談もお受けしており、継続した支援が必要な方にはあんしんすこやかセンターにつなぐなど、いつでも利用できる身近な見守りや相談の場にもなっております。  あんしんすこやかセンターは、地域の御要望があれば、大規模団地やサロンなどへ出張し、また、御自宅へも訪問するなどして、健康、医療や介護の御相談をお受けしております。また、まちづくりセンターあんしんすこやかセンター社会福祉協議会の三者を中心に、また、これまでの地域の自治会や関係機関の連携などによる取り組みを生かしながら、今後も見守りや介護予防につながる地域の居場所づくりや担い手の発掘などにより、高齢者が安心して暮らせる地域づくりをさらに進めてまいります。  以上です。 ◎清水 地域行政部長 私からは、地域行政の条例制定について、検討組織、スケジュールについて御答弁申し上げます。  地域行政の検討を効果的に進めるため、まず、せたがや自治政策研究所の調査研究を先行させ、地域行政の歩みの検証や、この間の地方自治制度の変遷、さらに全国で取り組まれてきた住民自治の展開事例など、幅広い研究を行い、地域行政の議論に生かしてまいります。また、職員による検討の場を設けるほか、ワークショップやシンポジウムなど、区民参加による検討もあわせて行い、地域行政の基本的な理念も共有しながら進めてまいります。  その上で、区民や学識経験者の参画による検討の場を設け、住民自治や自治権拡充を見据えた地域内分権のあり方などについて、専門的な見地も含め検討いただき、そのプロセスを区民、区議会と共有し、御議論いただきながら、二年を目途に地域行政制度を持続可能なものにするための条例検討を進めてまいります。  以上です。 ◎皆川 生涯学習部長 私からは、新たな事業評価に関しまして、区立図書館について、新公会計制度による事業評価で費用対効果などの検証や民営化との比較をすべきとの御質問にお答えいたします。  新たな行政評価につきましては、事業所管の主体的な事務改善や行政経営改革の推進に向けて全庁で取り組んでいるところでございます。事業を評価する上でコスト把握は重要であり、新公会計制度の活用によって投入したコストの分析と合わせた評価を進めてまいります。  区立図書館につきましては、個別の手法として、貸し出し数や登録者数などを指標に図書館ごとに評価することなども効果的な方法と考えます。その評価を行うには、コストの振り分けなど課題もございますが、より効果的な分析ができるよう、新たな行政評価を進める中でさらに検討してまいります。  この行政評価を踏まえ、事業改善や見直しなどに取り組むとともに、今後指定管理制度や業務委託による運営と直営との比較といった視点での評価なども踏まえ、図書館サービスの充実を図りながら効率的な図書館運営を目指してまいります。  以上でございます。 ◎原田 清掃・リサイクル部長 私からは、食品ロス削減に関するイベントについてお答えいたします。  世田谷区では、食品ロス対策の一つでありますフードドライブ事業につきまして、全国で初めて常設の受付窓口を開設し、現在、区内四カ所の窓口で常時受け付けを行っているほか、小学生を対象とした普及啓発の取り組みが環境省のホームページにも先進自治体として紹介されているところです。  御質問のイベントにつきましては、十月に二子玉川で開催される環境エネルギー・ラボ二〇一九inせたがやや、同じく十月に開催される世田谷清掃工場環境フェアなどで、フードドライブの実施を通じて、区民に向けて法の趣旨を踏まえた食品ロス削減を啓発することを予定しております。  また、法律では、食品関連事業者につきましても、食品ロスの削減に関する施策ヘ協力し、積極的に取り組むことが求められていることから、飲食店や小売店に食品ロス削減に関する啓発ポスターの掲示や、小盛りメニューやドギーバックなど、食品ロス対策は事業者にも経済的メリットがあることを確認する実証事業の実施など、経済産業部と連携して取り組んでまいります。世田谷区は、これまでも食品ロス削減に積極的に取り組んでまいりましたが、今回の法律策定を機にさらなる食品ロス削減に一層努力してまいります。  以上でございます。 ◎工藤 危機管理室長 私からは、災害用備蓄食の活用の現状と今後の取り組みについて御答弁いたします。  区が災害時用に備蓄している食料関係の品目としましては、ビスケット、アルファ米、おかゆ、粉ミルク、保存水があり、これらは再利用も含めた計画的な入れかえを行っております。入れかえ時期につきましては、保存期限の半年から一年程度前に、まず災害時に福祉避難所となる協定施設や区職員の災害時用食料に一部転用しております。次に、庁内に周知し、希望する所管に希望の品目を配付しております。それでも配分できなかった分につきましては、家畜飼料としての活用を図っておりますが、入れかえ数量の多い年度では廃棄せざるを得ないものもございます。  近年の実績でございますが、アルファ米と粉ミルクにつきましては、一昨年度と昨年度は全数量を再利用しており、ビスケットと保存水につきましても、一昨年度はほぼ全数を再利用し、入れかえの数量の特に多かった昨年度につきましても、約七割を再利用しております。  今後の取り組みにつきましては、食品ロスの削減の推進に関する法律の趣旨にも鑑み、災害用備蓄食料につきましても、食品ロスの削減に努める必要がございますので、特に入れかえ数量の多い年度の配分量をふやすことや、新たな配分先を検討するなど、配分の方法を工夫していくことで、さらなる有効活用に取り組んでまいります。  以上です。 ◆四十一番(佐藤弘人 議員) 再質問します。  一点目は、未整備地区への児童館の誘致。答弁では、これから見直し作業に入る、公共施設等総合管理計画の整合性を図るという答弁でしたけれども、その作業は一体いつ行われて、ちゃんと児童館の整備とスケジュールがリンクされているのかどうか、所管の政策経営部にお伺いをしたいと思います。  二つ目は、暮らしの保健室については、その機能については認識をされているということでしたが、それをまたあんしんすこやかセンターにみたいな話をされていましたが、これ以上あんしんすこやかセンターに業務を付与するのは、もうキャパシティーオーバーです。気軽に立ち寄られて、ゆっくり談笑されているのを応対するいとまは、もうあんしんすこやかセンターにはないはずです。ですから、来年四月にオープンする予定の保健医療福祉総合プラザを担う、例えば保健センターが自主事業として、例えばサテライト機能として、その大規模集合住宅に併設をするところでしっかりモデル実施をしてもらうとか、そういった具体的な検討をぜひしていただきたいと思います。  三点目は、外かく環状道路の東名以南の工事ですけれども、今般、区長が改めて国土交通大臣に申し入れをする準備を進めているというお話でしたが、具体的に、例えば東名以南の工事がもし行われなかったとしたら、世田谷区内における交通環境の悪化がどの程度、どのような影響を及ぼすのかという調査分析を世田谷区独自が既にやっているのかどうか。  この三点、御答弁願います。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 児童館の再整備につきまして御答弁申し上げます。  先ほど公共施設等総合管理計画のことについて申し上げました。こちらの計画につきましてですけれども、昨今の学校の耐震関係等で、もう既にこの計画につきましてはかなり実態と乖離しているという状況がございます。それもありまして、今年度の段階で既に見直しの着手に入ったところでございます。スケジュールといたしましては、今年度中に素案をお示しできればと思っております。概略を出して、さらに詰めの必要な部分については次年度にさせていただきたいと思っています。  この件と、先ほど申しました児童館全体の構図ですけれども、そこにつきましては、子ども計画(第二期)後期計画が既に先行して明らかにしていきたいと思っていますので、そこで整合をとっていきたいと、このように考えております。  以上です。    〔岡田副区長登壇〕 ◎岡田 副区長 私からは、外かく環状道路東名以南の再質問にお答えします。  先ほど区長から御答弁申し上げたとおり、現在、事業を行われております関越から東名までの区間の整備で利便性は大きく向上するものの、その後の東京インターチェンジ付近については、幹線道路の交通渋滞や周辺道路への通過交通の流入、こういった交通環境の悪化が強く懸念されております。  東京インターチェンジ周辺部における交通影響につきましては、事業者による交通量予測や分析が行われ、その調査結果を区に提供するように今要望しているところでございますが、周辺部の生活道路に通過交通が流入し、使われる迂回路、いわゆる抜け道などについては、私ども地元である世田谷区が一番よくわかっているということでございまして、区といたしましては、事業者による調査結果の提供を待つことなく、現状の把握や課題の整理等について早急に取り組んでいく所存でございます。  以上です。 ◎長岡 高齢福祉部長 私からは、暮らしの保健室に関して、再質問にお答え申し上げます。  先ほども御紹介させていただきましたが、都営下馬二丁目団地の事例から申しますと、地域の医療機関の訪問看護師が協力して、暮らしの保健室という名前で実施しておるような状況でございます。また、太子堂地区におきましても、三軒茶屋のふれあい広場ブースで太子堂青空保健・相談室というのを、これは地域の訪問看護ステーションとの協力の中で実際にやっているような状況でございます。  今後、いわゆるまちセン、あんすこ、社協の三者が地域の中で、町会とか事業者等との連携によって、こうした場の確保とタイアップというか、連携しながらやっていくのが一つの方策かなというふうに思っております。保健センターの件に関しましては、ちょっとそれは研究させていただくというような形で考えております。  以上でございます。 ◆四十一番(佐藤弘人 議員) 要望にとどめますけれども、暮らしの保健室は、今、都営下馬といっても、月一回ですから、気軽に行ってもあいていませんという話になっちゃうんですよ。だから、研究じゃなくて、しっかり保健センターと協議してください。  それと、先ほど答弁していただいたフレイル予防も、区民主体の自主グループに何か任せるみたいなことじゃなくて、しっかりフレイルサポーターを、これも保健センターが似たような行動を自主的にやられているじゃないですか。そこに組み入れることは別に難しくないはずですよ。そこもしっかり協議をぜひしていただきたいと思います。  最後に、区長に要望させていただきますけれども、ぜひ自治権拡充、世田谷の自立、独立を目指して、きょうはかなりテンションの高い御答弁でしたから、この四年間、さらにそのテンションを上げていただいて、ぜひさらなる困難を突破していただいて、区民のための自治体経営の確立を目指して頑張っていただきたいということを要望して、質問を終わります。 ○和田ひでとし 議長 以上で佐藤弘人議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 次に、世田谷立憲民主党社民党を代表して、四十四番風間ゆたか議員。    〔四十四番風間ゆたか議員登壇〕(拍手) ◆四十四番(風間ゆたか 議員) 四月の選挙を経て、私たち立憲民主党社民党も、現職が全員当選し、議席もふやすこととなりました。保坂区長も再選され、私たちの目指す方向性が区民に期待されているということをひしひしと感じるところであります。より一層加速して世田谷区政を前進させていくためにも、順次質問をしてまいります。まずは、今後の区政運営について四つの項目で伺います。  一つ目は、参加と協働の区政運営と地域行政制度についてです。  保坂区長就任後、さまざまな手法を用いて、参加と協働の区政運営は前進してきたと評価してきました。一方では、区民の地縁団体加入率は低下する一方となっています。個人情報保護が重視され、無縁社会が進み、地域コミュニティーの形成がますます困難となっております。区民が行政とかかわるニーズや期待も多様化してきており、区はこのような時代の変化に応じていかなければならないと考えます。
     ゆえに、今後の地域行政制度を見直していく上では、机上の空論で結論ありきの制度設計をするのではなく、また、突如として自治権の拡充ということを上から落としていくということではなく、多様化する区民ニーズを分析し、地区や地域ごとに対応していくことと全区で対応していくこと、さらには人的支援や対応が必要なものとテクノロジー活用で対応可能なものとに分析した上で、制度設計していくべきだと考えます。区の見解を求めます。  二つ目は、財政について伺います。  今後の見通しについては、前期最後の代表質問でも伺いましたが、この四カ月の間に急遽二つの学校で改築が必要となり、幼児教育無償化問題では、保育園二歳児以下の無償化を見据えた給食費の一部徴収といった変化があり、今後の財政状況に懸念があります。学校給食費の無償化も、所得で線引きしスタートとなり、今後は幼児教育・保育無償化による保育ニーズの増加や、区立小学校の教室不足対応、さらには庁舎や公共施設の建てかえ、再開発など大きな予算を要する状況下、二〇二〇大会後の不況による税収減がリーマンショック級であったとしても、区の財政は持ちこたえられるのでしょうか。  三つ目は、先ほど触れた庁舎整備について伺います。  先日の特別委員会では施工者選定プロセスについての報告がありましたが、四百五十億円を超えるとも言われているこれまでにないほどに大きな予算を伴う事業の請負業者を決めるわけですから、選定における透明性が確保されなければなりません。私たちは、これまでプロポーザルのような選定では評価の基準やその根拠が不明瞭なケースも多いため、あらかじめ条件を定めた上で一般競争入札にすれば、より透明性が確保されるというスタンスで意見をしてまいりました。この事業は難易度が高いとのことですが、評価軸の優先度や重視する比率を明確にした上で選定する必要があります。区の見解を問います。  四つ目は、公文書の管理についてですが、政府のPKO日誌廃棄や森友加計問題、統計資料の改ざんなど、ずさんな公文書の取り扱いにより、国民は不信感を抱いています。先日の常任委員会では、世田谷区公文書管理条例の骨子案について報告がありましたが、これまでの庁内での取り決めを単に条例化するのではなく、厳格なルールに基づき制定する必要があります。特に政策の意思決定にかかわるようなメモやメールの取り扱いなどは公文書と位置づけるなどの定義づけや、職員が勝手に廃棄できないよう定める必要があると考えます。区の見解を求めます。  次に、安全安心対策について伺います。  先日、大津市で保育園児が散歩中に事故に巻き込まれて死亡するという悲しい出来事がありました。世田谷区内には園庭のない保育園も多く、お散歩はとても重要な取り組みと認識していますが、お散歩時の安全対策は万全と言えるのでしょうか。この四月には区内の認可保育園でお散歩中に置き去りにされた児童が警察に保護されたという出来事があり、保護者から相談を受けておりましたが、区は、保育の質の担保という観点から、園外保育における安全対策について何らかの基準やルールを設けているのでしょうか。こういったことに対してはきちんと、目視で確認をしていくということだけではなく、明確な指標が必要だと考えます。  また、このところ、全国各地で車の暴走などによる死亡事故が発生しており、先進国の中でも日本は交通事故死亡者における歩行者比率が大変高いことから、歩行者がより一層守られる環境を整備していく必要があります。区内では、歩行者の多い駅周辺の狭い歩道で暴走する自転車や、赤信号を無視して横断歩道を横切る自転車を毎日のように見かけますが、安全講習などでもはや改善できるようなレベルではなく、その場で注意するなどの取り組みが必要だと考えます。  駅周辺などの問題としては、たばこの問題は一向に改善が見られません。昨年からたばこルールがスタートしたはずですが、歩きたばこや駅周辺での副流煙なども、歩行者の安全や健康が脅かされる状況であり、この問題は解決されておりません。  また、駅周辺に限らず、このところ刃物を持った不審者などの情報が連日通知されていますが、このような問題を解決するために、生活安全の観点から警備員などを配置して対策する必要があると考えます。区の見解を問います。  次に、世田谷区の経済産業政策について伺います。  これも四カ月前に前期最後の代表質問で取り上げたことの繰り返しとなりますが、プレミアム付区内共通商品券については、商店街振興なのか、景気対策なのか、位置づけも検証結果も曖昧なまま継続していることを問題視してきました。今年度、国が取り組むプレミアム付商品券については、消費税増税対策として低所得者と子育て世代の消費に与える影響を緩和し、地域における消費を喚起し下支えすることを目的としていて、商品券取扱店も商店街加盟の有無を問わず広げていくということでありますからまだ理解できますが、従来の区独自の予算づけについては、このまま継続していくことは容認できません。商店街そのものを否定するつもりはありませんが、プレミアム付商品券を発行し続けても、商店街数と加盟店舗数ともに減少し続けているわけでありますから、支援策も根本から見直すべきです。区の見解を問います。  次に、多様性を尊重し、サイレントマイノリティーに寄り添いサポートする区政運営について伺います。  保坂区長就任後、世田谷区は共生社会の実現に向けて、少数派といわれる人たちにも寄り添い、サポートする意思を表明してきたと認識しています。また、ダイバーシティー推進自治体として取り組むことも求めてきたところでありますが、今回はサイレントダイバーシティーという新たな考え方を世田谷区全体で共有していくべきとの観点から区長の見解を問います。  サイレントマイノリティーとは声を上げられない少数派の人たちを意味しますが、例えば成人の発達障害当事者やその家族、働きながら、がんやさまざまな病気と向き合う人や、不妊治療に悩む人、介護と仕事の両立に悩む人や、メンタルの不調に悩む人など多種多様と言えます。このような人たちの総数はもはやマイノリティーとは言えず、むしろ多数派なのかもしれません。サイレントダイバーシティーとは、従来のダイバーシティー以上にその概念を広げて捉えた考え方であり、行政ではどの部署にも支援すべき対象者がいるのではないでしょうか。まずは職員がこのような考え方を共有していけるような研修を行うことを提案します。  そして、これまではサイレントマイノリティーであった中高年のひきこもりは、先月、川崎市で起きた殺傷事件をきっかけに急速に注目されるようになりました。私たち会派は、前回の代表質問で取り上げたばかりですが、世田谷区として早急に取り組むべきことと考え、改めて伺います。  今回の川崎での事件は、報道によると、加害者と同居するおじ、おばが介護ヘルパーの利用を調整していたさなかに起こったとのことです。世田谷区では、介護保険サービスの最初の利用手続に当たっては、区やあんしんすこやかセンターが対応に当たっていますが、その中でこういった八〇五〇問題に該当しそうなケースを把握しているのでしょうか。また、既に介護サービスを利用している方でも、同じような状況の家庭がふえていると聞いています。親の側が家庭内の問題を表面化することを望まず、ひきこもりの子の側には何ら支援や接触がないという場合も少なからずあるのではないでしょうか。あんしんすこやかセンターが地区で行っている地域ケア会議、ケアマネジャー連絡会やケアマネジャーの相談を受けるあんしんすこやかセンター主任ケアマネジャーなどから情報収集するなど、まずは区内における実態把握を行うべきと考えます。区の見解を問います。  そして、早期のひきこもり予防策として不登校対策も重要だと考えます。昨年度、NHKが中学生を対象に行った調査では、五%弱が不登校で、二五%弱が隠れ不登校であることが明らかになりました。近年では、世田谷区内でも、小学生の不登校や、登校渋りも増加傾向にあると感じていますが、このような児童生徒にも学びの保障をする必要があり、公設民営で開設したほっとスクール希望丘は全国的にもその取り組みが注目されています。  現在でも多くの児童生徒が利用していると聞いていますが、区内でも遠過ぎて通えないという意見が寄せられます。世田谷区としては、少なくとも区内五地域に一カ所ずつ公設民営ほっとスクールの配置を目指すべきではないでしょうか。まずは、再来年度予定しているほっとスクール城山の移転の際、公設民営に移行すべきと考えますが、区の見解を問います。  さらには、不登校や子どものひきこもり対策としては、保護者の支援も重要だと考えます。これまで区教育委員会も取り組んできたようですが、必要としている保護者にリーチできていないのではないかと感じています。民間でも、不登校保護者経験者などが相談支援を行っていますが、不登校や登校渋り、隠れ不登校の保護者など、幅を広げて保護者支援を行うべきです。区の見解を問います。  次に、児童相談所で保護される子どもの状況について伺います。  先日、札幌市でまたもや幼い命が親の虐待によって奪われてしまいましたが、児童相談所や警察の不手際、保育園ではネグレクトが疑われていたことなどが報じられています。世田谷区は、このようなことを防ぐために独自で児童相談所を設置すると認識していますが、児相設置の準備状況と今後の対策について幾つか質問と提案を行います。  まず、児童相談所で保護される子どもの状況はさまざまだと認識していますが、中には重篤化した状況の子どももいると聞いています。区が独自に児相を設置するということは、区の関係各所と連携し、虐待予防の早期対策ができること、これが最大の利点だと認識しています。また、児童相談所で保護される児童の中には、発達のおくれや障害を持っている子どもが一定割合いるという話を聞いています。保護者が障害を抱えているケースや、子どもの発達のおくれにいらだつ保護者による虐待、または、札幌市の事例のようなネグレクトなどの事例は保育現場で早期に気づくことも多く、障害施策や子ども家庭支援の部署と連携し、保護者支援を行っていく必要があると考えますが、区の見解を問います。  次に、一時保護所についてですが、従来の一時保護所の問題を改善し、世田谷区では子どもの人権が最大限に守られる環境を整えていくものと、先ほどの区長の招集挨拶でも確認をしたところであります。これについて具体的にどのような取り組みを行っていくのかを伺います。  課題の一つとして、子どもの意見表明権でありますが、現在、英国やカナダでは制度化されているアドボカシーは、三重県が一時保護所で試行するなどの導入が広がり始めています。世田谷区の児童相談所設置・運営計画第三次更新計画(案)では、第十三章にアドボカシーについて記載されているものの、具体的に一時保護所でどのように取り組むのかが見えてきません。世田谷区が具体的にどのように取り組むのかを伺います。  また、一時保護所から子どもの養育先が確保できない状況から、期限を超えて一時保護所にいるケースも多く、子どもがあふれてしまうようなこともよくあることだということを現場の方から聞きました。区は、この防止策を考えているのでしょうか。世田谷区は、社会的養護の受け皿が充足しているのかも気になりますが、子どもが育つ環境を考えれば、施設から里親へという世界的な流れから、国も定めた目標比率を世田谷区は達成するべきだと考えます。区の状況と今後の計画について伺います。  さて、続いて子ども関連で、保育に関する問題について伺います。  冒頭取り上げた幼児教育無償化に伴う問題についてですが、私たちは、親の状況によって子どもが区別されるべきではないと考えており、今回区が提示している保育園給食費の所得に応じた線引きには、学校給食費の一部無償化同様、改善すべきであると考えています。今回の取り組みが普遍化に向けた第一歩であり、今後は無償化対象を広げていく方針であれば理解できますが、区の見解を問います。  そもそも保育園における給食は、食育の観点から教育の一環であり、今回の国の取り決めには大いに問題があると捉えています。区は国に対して引き続き改善を求めていくべきですが、区の見解を求めます。  私たちは、幼児教育・保育の中途半端な無償化策よりも、先に取り組むべきは待機児童解消と保育の質の確保、保育士の処遇改善であるとして、国会では修正案を提出しています。世田谷区は、いまだ保育待機児童の解消に至っておらず、今春も前年同等の四百七十名が待機児童となってしまいました。私たちは、これまでにも、待機児童解消に向けて整備数を拡大していくことを最優先に取り組み、それでも待機児童が出てしまう場合には保育を必要とする度合いの高い人からきちんと保育がなされるよう、選考方法やルールの見直しなどを求めてきました。そこで、改めて特に早急に取り組むべき三点の検討状況について伺います。  一つ目は、時短利用者における五歳児退園ルールです。今や、働き方改革や女性活躍推進の流れから、子育て期に時短を取得できる職場もふえてきている状況下、待機児童のいない五歳児で時短取得をしている場合には保育園を退園しなければならないなどというルールには何の意味があるのでしょうか。すぐにでも廃止すべきです。  二つ目は、個人事業主やフリーランサーが多い世田谷区において、このような人たちには育休ポイントがつかないということも問題です。働き方改革の流れもあり、業種によっては職場から独立してフリーランスとして仕事をそのまま請け負っているような人もふえてきていますが、育休ポイントがつかないということは、区がこのような形の育児休暇は認めないと言っているに等しいと捉えられてしまいます。早急に見直すべきです。  三つ目は、さきの定例会でも求めましたが、育休延長を望みながらも、職場の制度上、不承諾通知がなければかなわないケースがふえている一方で、預け先を確保しなければ職を失ってしまうような状況にある家庭が待機児童になってしまう現状は、早急に制度変更すべきと考えます。あわせて区の見解を求めます。  最後に、世田谷の教育について伺います。  私たちは、教育長がかわり、世田谷の教育がさらに前進していくものと期待していますが、二つの観点から教育長の考えをお伺いします。  まず一つ目は、子どもの権利を学校現場でどのように確保していくのでしょうか。これまでにも学校長や教員による子どもの人権侵害に値するようなケースが区内の学校現場で起こっていました。このようなことは根絶していかなければなりません。学校長を指導できる教育長として、どのように取り組むのでしょうか。また、先ほど一時保護所のアドボカシーについて触れましたが、学校現場においても、児童生徒が子どもの権利条約について理解し、子どもが意見する権利を確保する必要があると考えています。あわせて伺います。  二つ目は、社会のグローバル化や国の教育改革に応じてどのように取り組んでいくお考えなのでしょうか。かつては、二〇〇〇年に総合的な学習の時間が設けられ、教科横断的な学習や国際理解教育、キャリア教育などの導入が期待されているという状況下、世田谷区は教科「日本語」を導入し、その時間を八割も費やしてしまうという誤った取り組みが当時の教育長主導で行われ、私たちは見直しを求め続けてきました。前教育長が取り組んだ見直しにより、ようやく今年度からは多くの学校で教科「日本語」の時間削減となりましたが、貴重な学校教育の時間は取り戻せるものではありません。私たちが求め続けてきた時代に応じた教育の導入は引き続き進めていくべきであり、姉妹都市交流の拡大を初めとする国際理解教育や、シチズンシップ教育、実社会教育などをどのように取り入れていくのでしょうか、教育長の見解を求めます。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 風間議員の御質問に答えます。  議員からは、サイレントダイバーシティーという考え方を御提示いただきました。  まず、五月下旬に多摩川を隔てた川崎市におきまして、長年ひきこもり傾向にあったといわれる五十一歳の男性が加害者となって、世田谷区在住の外務省の職員の方や小学生らを殺傷した後に自殺するという大変痛ましい事件がございました。犠牲になった方に心から御冥福をお祈りしたいと思います。さらに、一週間後には、練馬区において七十六歳の元農水事務次官の父親が、四十四歳のやはりひきこもり傾向があった息子を刺し殺したという事件が起き、父親から、川崎事件を見て息子に不安を感じたとの供述が報道されています。  ただし、両事件とも、事の背景や、どのような事実経過があったのか十分に解明されていないので、早計にひきこもりと結びつけることについては慎重でありたいというふうに考えております。  人を傷つけ殺害するという行為自体、決して許されるものではありません。しかし、一方で、加害者本人を含めた家族には、日常的に大変深い苦悩と、また、つらい日々があったということは想像にかたくありません。また、こうした事件を未然に防ぐために我々行政に何ができたのか、深刻に考えさせられた事態であります。  御承知のように、世田谷区では、五年前にひきこもりの若者を支援ということで池尻にメルクマールせたがやを設立しまして、五年間でいわゆる累計の相談件数は一万千六百三十二件に上っています。こうした中、世田谷区内で人口比で推定しますと、ひきこもり当事者は四千四百人というふうに推定されておりまして、このメルクマールせたがや、五年間で相談を受けた、あるいは居場所を利用した等の何らかの形での利用が四百六十七件、一〇%の当事者について、かけ橋を渡すことができた。一方で、九割はできていないということでございます。  来所を待つだけではなくて、アウトリーチという取り組みもこのところ強めておりまして、とりわけ若い時期、中学生、高校生の時期における早期の支援の開始が重要だというふうに言われておりまして、社会とのつながりの遮断が長期化しないうちに、居場所あるいはさまざまなきっかけづくりということで、さらなる体制強化をしてまいりたいと思っております。  議員お話しのとおり、見えづらい形で、苦悩し、出口を探し、苦しんでいる方々の課題や思いに寄り添いながら、区民福祉の増進を目指していくことが今日の自治体の重要な役割であるというふうに認識しています。九十一万世田谷区民の相当多くにそれぞれの苦悩があり、そして壁があるということをしっかり認識した上で、議員お話しのサイレントダイバーシティーという考え方について、現在の区政運営、あるいは生きづらさを抱える方々へのサポートについて、しっかり検証してまいりたいというふうに思います。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、四点について御答弁申し上げます。  最初に、今後の財政見通しでございます。  この間の人口増や好調な企業収益に支えられまして、区税収入は増加が続いておりますけれども、国際的な通商問題等による海外経済の動向や金融資本市場の変動、また、十月以降の消費税率のアップ、二〇二〇大会以降のリバウンドなど、景気の先行きは不透明でございまして、常に景気変動リスクも想定した財政運営を行う必要があると認識しております。  議員から御指摘もございましたように、区では、本庁舎整備以降も、引き続き学校改築を初めといたしまして、公共施設の更新需要が長期にわたって継続することが見込まれており、こうした投資的経費が、社会保障関連経費とともに、区財政の圧迫要因となることが危惧されております。  このため、公共施設におけます整備手法の改革、官民連携の取り組み、ICTを活用した業務改善など、これまで以上に多様な視点での行政経営改革に取り組むとともに、広く議会の御意見を踏まえまして、施策の優先順位を見きわめてまいりたいと考えております。  あわせまして、今後の財政需要等を踏まえまして、基金や起債の計画的な活用を図るとともに、現在の予算規模の約一割、三百十一億円を確保した財政調整基金につきましても、景気変動リスクを踏まえまして、さらなる確保に努めるなど、財政の持続性の維持に注力してまいります。  続きまして、公文書の管理についてでございます。  国等におきまして、本来作成されるべき公文書の存在や、保存されるべき公文書が廃棄されていた等の公文書の取り扱いに疑義が生じていることが報道されております。区では、(仮称)公文書管理条例の制定に当たりまして、このような不適切な取り扱いを防ぐため、公文書の定義につきまして、職員が恣意的な判断をしないよう、当初は個人的な備忘を目的として作成された記録であるが、作成者職員の個人的支配の域を超えて保管され、利用されている実態があるもの等の具体的な例示をガイドラインで定めてまいります。  また、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、職員に文書の作成義務を定めることを条例に明記するとともに、(仮称)公文書管理委員会を設置いたしまして、公文書の廃棄判断の適否につきまして、適切な保存期間のあり方を含め、廃棄前に意見を聞くこととしております。  続きまして、サイレントダイバーシティーに関します職員の意識啓発と研修の関係でございます。  職員は、日々の職務におきまして、病気や生きづらさを抱えながら声を上げられない方の立場や状況に応じまして、適切に対応していく必要があると考えております。区では、人権担当所管との共催研修におきまして、多様性やマイノリティーに関する内容を取り上げ、毎年度企画し、実施しております。また、採用一年目の接遇応対研修や人権研修を初めといたしまして、多様性やマイノリティーの理解促進の視点を導入いたしまして、その後、五年間隔の年次で公務員倫理・人権研修を実施し、職員の意識醸成を継続的に図ってきております。  今後も、御指摘にもありました、ますます複雑化、多様化していく社会におきまして、声を上げられない方々の立場を尊重し、寄り添う心構えを持って区政運営に取り組むことができる職員の育成に向けまして、研修内容について充実させてまいります。  最後に、保育に関しまして、五歳児の時短の退園ルール、フリーランスの育休、さらには育休延長希望者の関係でございます。  保育の利用調整基準につきましては、区議会を初め、区民から寄せられた意見要望や、子ども・子育て会議からの提言等を踏まえまして、適宜見直しを行ってまいりました。今回御指摘のありました五歳児クラスで引き続き育児短時間勤務を希望された場合の退園制度につきまして、本年度中に見直しをする方向で検討を進めます。  また、育児休業の延長希望者よりも保育を本当に必要とする児童が、より優先される制度へとのお話につきましては、育児休業の延長を希望される方に対する選考方法につきましても、御指摘の趣旨を踏まえまして、ことし十月からの実施に向けまして見直しを検討しているところであります。  一方、育児休業等取得者への選考制度を見直すことで、自営業者など育児休業が適用されない方との公平性の観点もございますので、区といたしましては、自営業など育児休業制度の適用のない方にも十分配慮し、整合性のとれた選考制度となるよう取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。    〔岡田副区長登壇〕 ◎岡田 副区長 私からは、プレミアム付商品券の見直しと新たな経済産業政策について御答弁申し上げます。  世田谷区産業ビジョンでは、住みなれたところで充実した日々が送れる活力あるまちをありたい姿の第一に掲げ、商店街の公共的役割の深化や、商店街と地域が一体となった地域活性化などを取り組みの方向性としております。現在、地域の祭りや行事など、商店街が地域コミュニティーの中で果たしている役割は大きいと認識しており、商店街に加入する個店が微減する傾向にある中でも、区としては、各商店街や商店街連合会が実施するまちバルや、キラリ輝く個店グランプリなど、商店街と個店の魅力を区民に伝え、区内店舗での買い物、商店街への加入を促進する取り組みを支援しているところです。  産業ビジョンでは、区内の全ての産業が、時代の変化に合わせた新たな視点から活性化を図ることが必要不可欠であるとの認識を示しました。商業振興や商店街振興の取り組みにつきましても、町の変化、キャッシュレスの普及など、時代の変化に対応するとともに、経済産業白書による現況把握を踏まえながら、効果的な経済産業政策を展開しなければならないと考えております。  今後のプレミアム付商品券事業のあり方につきましては、ただいま申し上げたビジョンや白書の観点のほか、消費税増税後の景気動向を踏まえながら検討してまいります。  以上です。    〔渡部教育長登壇〕 ◎渡部 教育長 二点について御答弁申し上げます。  一点目は、子どもの権利をどのように確保していくかでございます。  学校は、子どもにとって安心安全な場であるべきですが、子どもの人権が侵害されるような指導が残念ながら区内の学校において見られます。こうした子どもの心身に大きな不利益を与える体罰や不適切な指導は決してあってはならないものです。そのため、今年度より、子どもの人権を大切にした指導について、全ての教員を対象とし、自己点検や効果的な指導を情報交換する研修を実施するなど、体罰等の根絶に向けての取り組みを強化しております。  また、子どもの権利条約については、学校教育は人権教育を基盤とすることから、教員が趣旨を十分に認識し、子どもたちに指導し、理解啓発を図ることは大変重要であると考えております。子どもの権利条約では、意見表明権も定められており、自分の考えを自由に述べたり、その意見が尊重されたりする機会の確保は重要です。加えて、自分の思いを伝えられないような子の存在を重く受けとめ、その子の気持ちや考えを酌み取ることができるよう、学校、家庭、地域が連携した取り組みを進めてまいります。  二点目は、時代に応じた教育の導入についてでございます。  子どもたちを取り巻く社会情勢や教育をめぐる環境も大きく変わろうとしており、世田谷区の教育も、時代の求めに応じ、迅速かつ柔軟に変化に対応していかなければならないものと認識しております。お話にありました国際理解教育では、東京二〇二〇大会を契機として、子どもたちが外国について深く学ぶ世界ともだちプロジェクトを実施するとともに、今年度からフィンランド派遣、来年度からのポートランド派遣など、子どもたちが海外を経験する機会を拡大しておりますが、子どもたちの国際理解を深めるための取り組みをさらに進めるべきものと考えております。  また、地域の方から仕事への取り組みを学ぶことなどを通じて、これからの社会を生きる子どもたちに、時代に適応した生きる力と確かな職業観や勤労観を育むキャリア教育や、社会の一員として自立し、主体的、積極的に社会にかかわる力を育むシチズンシップ教育については、区の研究指定校の取り組みを進めておりますが、時代の求めるこれらの新たな教育分野にも一層力を入れなければならないと考えております。新たな時代を生きる子どもたちに必要な力や価値観を育んでいくため、新たな視点を取り入れた教育の展開に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎清水 地域行政部長 私からは、参加と協働の区政運営と地域行政制度について御答弁申し上げます。  地域行政制度の開始から二十八年がたち、少子・高齢化の進展や地域コミュニティーの希薄化が進むなど、地域の姿や社会のありようが当時と大きく変化する時代にあって、住民自治や身近な行政サービス、地域内分権のあり方を議論し、百万都市世田谷にふさわしい自治体経営の姿を明らかにする時期に来ていると認識しております。このため、まず行うべきこととして、地域行政制度の導入目的に照らし、また、将来の地域社会の変化も見据えて、現在の三層構造による行政運営について、多様化する区民ニーズやICTの進展も踏まえ、具体的に分析し、検証することが重要と考えております。  地域行政制度の議論の進め方につきましては、せたがや自治政策研究所によるこれまでの地域行政制度の歩みについて調査研究を先行させ、現在直面する課題や他自治体の取り組み状況のほか、区が目指す地域内分権と自治権拡充など、議論の素材についての調査研究を進めます。さらに、職員による業務横断的な討議の場を設けるとともに、地域行政について区民等と基本的な考え方を共有するため、区民、学識経験者等の参画により幅広く意見を聞く場や議論する機会を設けて、区議会での議論もいただきながら、地域行政制度の深化や条例の検討を進めてまいりたいと考えております。  以上です。 ◎松村 庁舎整備担当部長 私からは、庁舎整備におけます今後の施工者選定の透明性の確保についてお答えをいたします。  本庁舎等整備につきましては、工事を数工期に分け、本庁舎機能を工事期間中も継続させ、長期にわたりまして、安全を確保しつつ、円滑に工事を進めることが求められております。そのため、施工者選定に当たりましては、価格のみによる競争入札だけではなく、価格に加え、業務体制や施工技術などの総合的な評価を含めた入札方式など、本庁舎等整備における最適な施工者を選定する手法等を検討する必要がございます。  こうしたことから、さきの地方分権・本庁舎整備対策等特別委員会で報告しましたとおり、学識経験者等を委員としました世田谷区本庁舎等整備施工者選定手法等検討委員会を設置し、専門的な見地から御意見をいただきまして、本事業に適した選定手法等を検討してまいります。検討の内容につきましては、適切な時期に議会に報告、公表するとともに、その後も、決定する選定手法に応じまして、選定の基準などを明確にし、透明性、公正性に留意した施工者選定を進めてまいります。  以上です。 ◎知久 保育担当部長 私からは、御質問三点についてお答えいたします。  まず、園外保育中の安全対策についてです。  保育園の園外保育に当たっては、園外保育のマニュアルの整備や、交通量、歩道の有無などを図示した安全ルートマップの作成、人数に余裕を持った引率など、各園の保育状況に合わせたさまざまな安全対策が検討、実施されております。今回の大津の事故をきっかけとして、園外保育における安全対策のあり方について改めて考え、お話にもございましたさまざまな視点から対策の目視ができる見える化を進めることが必要であると認識しております。  また、現在、対策を実践する職員の人材育成を目的として、園長、主任等を対象としたリスクマネジメント研修を行っているところです。研修では、学識経験者からの講義を初め、最新情報などを共有し、さらに研修の成果が生かされるよう、各園でリスクマネジメント委員会を立ち上げて、危機管理に向けた活動の充実を図っているところです。引き続き、保育園に通う園児が安心して日々の園外での活動ができるよう、巡回支援相談、指導に際しまして、安全対策の状況確認や指導等も行いながら、安全対策の強化に取り組んでまいります。  次に、児童虐待防止の視点から、発達等に課題のある児童など、早期に保育所が気づくことも多いことから、関係機関と連携し、適切な保護者支援を行っていく必要がある、区の見解はということにお答えいたします。  認可保育所では、配慮を要する児童について、日々の生活を通し、健やかな発達につなげていけるよう、発達障害相談・療育センターげんきなどから巡回指導を受け、保育士を初め保育に従事する職員が、その児童の特性理解、向き合い方を学ぶなど、より専門性を高めることにつなげております。また、子どもの発達の過程、保護者支援の手法を、事例研究等を通じ学ぶ障害児保育実施研修を年三回実施しまして、職員のスキルアップを図ってきております。  虐待を未然に防止するには、保護者が児童の特性を理解し、親子ともに成長を認め合い、子育てに喜びを見出せるようにすることが重要です。そのためには、保護者への対応を含めた保育現場の職員のスキルアップが欠かせないことから、今後とも研修内容を充実し、関係機関と連携した取り組みを強化してまいります。  最後に、幼児教育無償化に伴う給食費の取り扱いについて、改めて無償化に向けて検討が必要ではないかについてお答えいたします。  区では、無償化に伴う給食費の取り扱いについて保護者負担を基本とすること、また、徴収に当たり、これまでも区基準保育料が国基準保育料よりも金額を低く抑えてきていることから、今回も同様に保護者負担の低減を図る必要があると考え、国が示す徴収免除対象世帯を区独自で拡充しまして、年収七百六十万円未満相当世帯までとする予定でございます。  一方、国の示した制度では、弁当持参としている園と給食実施園との間で食材料費の取り扱いが異なってしまうこと、三歳未満の子どもの給食費の取り扱いの見直しをあえて見送っていることなど、区としましては、制度自体に十分に詰め切れていない点があると認識しており、こうした点につきましては、国へ意見を上げてまいりたいと考えております。  引き続き、未就学児の給食のあり方については、国の今後の検討状況等を注視しつつ、議会の御意見もいただき、御指摘の点につきましても検討を進めてまいります。
     私から、以上です。 ◎関根 土木部長 私からは、暴走自転車対策についてお答えいたします。  スポーツ自転車や電動アシスト自転車の普及等により自転車のスピードが上がり、歩行者との接触や衝突など、重大事故の危険性が高まっていると認識しております。平成二十七年六月の改正道路交通法の施行により、自転車の危険運転で三年以内に二回以上摘発を受けた場合、公安委員会による自転車運転者講習の受講が義務化され、受講しないと五万円以下の罰金が科せられることになりました。また、法の施行とあわせて、区内の警察署でも定期的に自転車を対象とした指導取り締まりを実施しております。  区といたしましては、暴走自転車を含めた指導、取り締まりの強化について、今後とも、警察署に働きかけるとともに、交通安全啓発により一層取り組むなど、交通事故の防止に努めてまいります。  以上です。 ◎本橋 環境政策部長 私からは、駅周辺の屋外喫煙対策について御答弁を申し上げます。  区では、昨年十月から、喫煙に関して屋外の公共の場所等での環境美化及び迷惑防止を促進するため、世田谷区たばこルールをスタートさせ、喫煙場所の整備や、路上喫煙禁止の注意看板等の設置によるルールの周知徹底に取り組んでまいりました。ルールの施行に合わせ、路上喫煙調査を年四回実施しておりますが、施行前後の推移で見ますと、喫煙場所を新設した下北沢や千歳烏山など、路上喫煙の減少傾向が見られるところもありますが、ルールの周知徹底は引き続き取り組むべき重要な課題であると認識しております。  今後とも、東京都の補助制度を活用した指定喫煙場所の整備やたばこルールの周知看板の増設に取り組むとともに、特に来年の東京二〇二〇大会に向けては多くの来訪者が見込まれることから、環境美化指導員の配置の工夫などによりまして、巡回指導体制の強化に取り組み、たばこマナーの向上を図ってまいりたいと存じます。  以上でございます。 ◎工藤 危機管理室長 私からは、不審者に対する安全対策について御答弁いたします。  区では、犯罪を予防することを目的とし、二十四時間安全安心パトロールを実施しており、不審者情報や子どもに対する声かけ事案等が発生した場合は、区内警察署と連携し巡回警戒を図るとともに、二十四時間安全安心パトロールを現場付近に派遣し、現場周辺や学校周辺、通学路等の巡回警戒を行い、不審者の発見に努めているところでございます。  現在、川崎の事件を受けまして、登下校時の通学路周辺への巡回を実施しており、今後につきましては、駅周辺につきましても巡回ルートとする対応を図ってまいります。また、区は、郵便局や運送業者などの事業者八団体と子どもの安全安心を見守る協定を締結しており、事業者が子ども等にかかわる異常を察知した場合には一一〇番通報するなど、一時的な対応を図ることとなっております。今後につきましても、事業者、警察などと連携しながら安全対策に取り組んでまいります。  以上です。 ◎板谷 保健福祉部長 私からは、中高年のひきこもりに関し御答弁をいたします。  ひきこもりは、本人や家族の苦悩として個人固有の問題とされるのではなく、社会全体として取り組むべきものであると認識をしております。また、昨今の痛ましい事件を鑑みましても、区が積極的に取り組むべき課題であると考えております。  福祉の相談窓口や生活困窮者自立相談支援センター、ぷらっとホーム世田谷では、七十歳以上の方からの経済的な相談や就労相談において、相談者のお話をよくお聞きする中で、就労していない五十歳代のお子さんが同居していることが判明するケースがふえております。こうしたことから、現況把握に向け、まずは民生児童委員の方に御協力をいただき、四十歳以上の方も含め、ひきこもりの実態調査を行う予定です。その結果とともに、支援団体、家族会の方に御協力いただきながら、ひきこもり当事者や家族の方の声をお聞きするなど、今後さらなる実態把握のための調査実施を含め、課題解決に向け検討をしてまいります。  以上です。 ◎池田 教育政策部長 私からは、不登校対策について二点御答弁させていただきます。  まず、ほっとスクールの拡充と公設運営の推進についてでございます。  教育委員会では、ほっとスクールの充実を平成三十年度からの不登校対策アクションプランに位置づけ、定員の超過や遠距離通室の解消を図るため、三カ所目となるほっとスクール希望丘を本年二月に開設いたしました。五月末時点で一日最大で四十名程度の体験利用があり、特に砧地域や烏山地域の小学生の利用が多くなってございます。  教育委員会では、不登校の児童生徒が増加傾向にあることから、不登校傾向等、児童生徒の状況調査を行い、その実態把握に取り組んでまいりました。今後は、状況調査の分析やほっとスクールを含む学校外の居場所のニーズの把握、ほっとスクール希望丘の委託状況の検証なども行いながら、運営主体を含む今後のあり方について検討を進めてまいります。  続きまして、保護者への支援の拡充についてでございます。  教育委員会では、不登校やひきこもりの子どもの保護者の心配や不安の軽減を図ることが子どもの支援の上で重要と考えており、不登校対策アクションプランにおいても、保護者・家庭への支援を施策の柱に掲げているところでございます。  平成三十年度は、カウンセラーの進行のもと、不登校のお子さんをお持ちの保護者の方々がお互いに不安や悩みを話し合ったり、体験者から体験談を聞いたりする不登校保護者のつどいを夜間を含め十八回開催し、延べ二百三十七名の御参加をいただきました。今後は、不登校保護者のつどいの開催日の拡大や、学校には通っているものの教室には入れずにいたり、居心地の悪さを感じている、いわゆる隠れ不登校の子どもの保護者なども参加できることなどを明示し、利用の拡大を図るとともに、参加のできない保護者や、周囲の保護者に向けたハンドブックを作成し、不登校の理解促進に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎澁田 児童相談所開設準備担当部長 私からは、二点お答えをいたします。  まず、一点目でございます。一時保護所における子どもの権利を代弁擁護するための仕組みづくり、アドボカシー保障についてでございます。  児童養護施設等に入所措置された子どもや一時保護された子どもの権利擁護に関しましては、現在、国におきまして、その仕組みの構築に向けた調査研究が行われており、これを踏まえた取り組みが求められることとなります。児童相談所開設以降、区は、施設への措置や一時保護の実施主体となることから、国の検討を踏まえつつ、これに先行し、当区にふさわしい取り組みを推し進める必要があり、せたホッとと連携し、子どもの意見表明支援を行うことなど、具体の検討を進めております。  こうした仕組みづくりに加え、一時保護所の日々の運営に当たりましても、子どもの意見を酌み取るための意見箱の設置や、第三者機関による外部評価の導入などの検討を進めております。こうした子どもの権利擁護のための仕組みづくりを進めると同時に、日々の生活におきましても、就学児童の居室は原則として個室とし、居室のあるフロアで食事を取り分け、少人数でゆったりと食事を楽しむなどの家庭的な雰囲気づくりを行うなど、信頼できる大人たちに守られ、安全に過ごせる場所であることを子どもが実感し、安心して生活できる一時保護所を目指してまいります。  二点目でございます。里親委託率について、国が定める目標を世田谷区も目指すべきという御質問にお答えいたします。  現在、区内の児童養護施設や里親には、区外の子どもが多く措置されており、区の児童相談所開設後も、当面は、広域調整により、都や児童相談所設置区と相互に協力をしながら入所等措置を行うことになると見込んでおります。いずれ特別な事情がない限り、区内での入所措置等を基本に考えておりますが、区の入所等措置されている子どもの実績でございますが、三十年度現在の実績が約百人に対しまして、区内の児童養護施設の定員と里親への登録家庭数は合計で約百四十でございますことから、計算上では必要量を満たしている状況となっております。  しかしながら、実際には児童と里親家庭のマッチングが成立せず、半数の里親が未委託となっている現状もございまして、里親委託率の向上に向けましては、里親登録数をふやすだけではなく、多様なマッチングを可能とする高い養育スキルを持った里親をふやすとともに、養育委託後も十分な支援を行うことが重要であると考えております。  区は、新しい社会的養育ビジョンで示されました里親委託率の数値目標、就学前の子どもについては七五%以上、学童期以降は五〇%以上の達成を目指すこととし、新たな里親希望者の掘り起こしと同時に、専門性の高い里親へのステップアップを促進するため、専門研修等に精通しました民間事業者のノウハウの活用などについて検討を進めており、本年の七月には、その結果を取りまとめる予定でございます。  以上でございます。 ◆四十四番(風間ゆたか 議員) それぞれ答弁ありがとうございました。  安全安心という観点から各部署間での答弁をいただいたところなんですけれども、やはり縦割り行政というか、ある場所に問題が集中している、特に駅周辺の危険性などについて今回触れましたけれども、それについては各部署ごとへの答弁ということになってしまうわけです。ただ、区民の視点からすれば、この場所はこういう問題、たばこの問題であるとか、狭い歩道に自転車が暴走するであるとかという危険を同時に感じるわけであり、それを一つの形で解決策を出してくれることを望んでいるわけです。ですから、部署ごとに警察に要望していくであるとか、今後そのやり方を研究していくだとかということではなく、やはりそれは区全体として対策を考えていく。その一つの解決策として、警備員を配置していくということを提案したわけです。  先ほどの児童相談所と保育の現場との連携も求めたところでありますけれども、今後ますますこういった部署間での連携が求められることになるのだと思います。そういったことを柔軟に検討できるような組織づくりというものを今後進めていってもらうことを求めまして、質問を終わります。 ○和田ひでとし 議長 以上で風間ゆたか議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後五時四十分休憩    ──────────────────     午後五時五十分開議 ○和田ひでとし 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 代表質問を続けます。  無所属・世田谷行革一一〇番・維新を代表して四十七番田中優子議員。    〔四十七番田中優子議員登壇〕(拍手) ◆四十七番(田中優子 議員) 本日、最後の質問となります無所属・世田谷行革一一〇番・維新の会派代表質問を始めます。  保坂区長の取り組むべき基礎的課題について、まず、財政規律と財源確保の問題から伺います。  保坂区政になって八年がたち、また新たな四年が始まってしまったわけですが、保坂区政の一つ特徴的なことを申し上げると、財政規律の問題も、財源確保の問題も、その出どころ、もっと言えば、こじらせ元とも言えるのは、そのほとんどが教育委員会にたどり着くということです。新教育長は、これらの議会での議論はどれほど御存じでしょうか。  平成二十六年に明らかになった、予算書にも、その説明書においても記載のない保坂区長のオランダ視察旅行、その後の説明では、教育委員会の教職員研修費の中に予算があるという極めて不自然なものでした。保坂区長は教職員なのでしょうか。しかも、保坂区長は、そのオランダ視察の成果を全国紙のデジタル版で発表し、原稿料をもらっていたという続きもあって、税金で取材旅行ではないかと問題になりました。  また、平成三十年には同じく教育委員会で、イタリア海外視察が行われましたが、突然、予定にはなかった堀教育長の参加が理由もなく追加され、支出項目に困り、予算計上していない近接地外旅費を使用することで押し切りました。  区長や教育長のこのような突然のわがままな行動に税金が使われていることを、その問題を私たちの会派は指摘してまいりました。トップのこんなところから財政規律の緩みが始まるのです。  さらには、予算審議を大きく揺るがした旧北沢小学校スクールバス事件というものもありました。学校統合を決めるべきときに決めず、曖昧な先送りをした結果、地域をこじらせ、そのあげくに、教育行政として公正公平性が問われた事件でもあり、また、後日スクールバスの需要はほとんどなかったことも明らかになりました。これなどは行政失態を税金で覆い隠そうとした典型であります。あのジャズトランペッター、日野皓正氏による暴力事件も舞台は教育委員会でした。  言うまでもなく、区政をチェックするのが私たち区議会議員の役割でありますが、これまでの経験から、おかしなこと、あるいは事件となるものには必ず財政規律の乱れ、議会のチェックのできないところでの処理、自治法の想定範囲を超えた行政の身勝手な思い込みというものがつきものです。  今回の学校給食費の無償化についても私たちの会派では、そのやり方、手法において大きな疑問を持っております。誤解のないように申し上げますが、義務教育における給食費の無償化は歓迎すべきことだと思います。  そこで、給食費の無償化をやるなら、子どもの医療費の助成に関する条例と同じように条例を根拠としてやるべきであると考えます。  今、区が提案しているのは条例ではなく、要綱で定められている就学援助の中で給食費の無償化を行おうということです。しかし、要綱は保坂区長の裁量の範囲であり、議会の議決は不要です。給食費の無償化のような大きな事業を要綱でやってしまおうというところに大きな疑問を感じております。  また、子どもの医療費に所得制限が設けられていないのに、子どもの給食費には所得制限を設けるというのも公平公正の観点からなぜとバランスを欠いていると感じますし、そもそも所得制限のあるものを無償化と言っていいのかどうかも疑問です。それは補助にすぎないのではないでしょうか。  それからもう一つ大きな疑問は、就学援助の申請利用者は対象者の五割とのことです。つまり半分にしか行き渡っていないのです。その中で給食費無償化をやろうということは、最初から半分の申請しかないだろうということを見越していて、財源はそんなに必要ないという安易な姿勢が見え隠れいたします。つまり、就学援助の五割申請を逆手にとっての提案ではないでしょうか。強い言い方をすれば、最初から申請していない五割の区民を見放しているのです。もちろん申請者がふえれば、それなりの増額補正予算はするのでしょうが、数字にはあらわれない予算の考え方の根底には、ちょこっとやってしまおうという安易な発想がうかがえると同時に、本当はしたくないんだけれどもという財政当局の本心も感じ取れなくもないというものです。  新たに就任された新教育長、渡部教育長は、一人の子どもも置き去りにしないとおっしゃっています。であれば、本来、保護者の教育負担軽減の本丸である就学援助が、申請主義のもとで半分にしか行き渡っていないということを問題にすることのほうが先ではないかと考えます。このことは答弁は求めませんが、以下四点伺います。  世田谷区の就学援助費は、平成二十九年度決算ベースでは約四億九千万円です。第一の質問は、今回の所得制限を入れた就学援助での給食費無償化予算を入れた場合、年間ベースでどのぐらいになるのか伺います。  第二に、その場合、世田谷区の全児童生徒の中でどれぐらいのパーセントが適用されることになるのか伺います。  第三に、先ほども申し上げましたが、就学援助には申請主義という壁があります。現実に五割の申請しかしていません。これを要綱ではなく条例にして、申請なしで、つまり全児童生徒の学校給食費無償化――本当の無償化です――にした場合の予算額の推計を伺います。  四点目、最後に、給食費無償化を条例化にする考えはあるのかないのか伺います。  次に、財源確保の問題に関してです。  世田谷区では、昨年から緊急事態が発生しています。公共施設の耐震診断問題であります。特に区立学校施設に疑問が投げかけられ、予想もしなかった莫大な予算の支出が今迫られています。区立小中学校は、首都直下等の大災害時には緊急避難所にもなる公共性の高い施設であることは言うまでもありません。当然、議会としても一刻も早い施設の安全性の確立を求めてまいりました。  そして、今から九年前ですが、平成二十二年五月二十六日の文教委員会の議事録で確認しましたが、区立小中学校の耐震化工事は平成二十一年度において完了したということになっています。以後、私たちの会派が奥沢区民センターの耐震性の問題を指摘すること、これを除いては、世田谷区における耐震性の議論は災害対策の中枢機能を担う本庁舎に絞られることになったはずでありました。  奥沢区民センターの件は後ほど触れます。  さて、平成二十一年度に完了した区立小中学校の耐震化がどうして昨年になって疑義が生じたのか、実際には疑義どころか、世田谷区として現在も再診断を行っているわけですから、極めて大きな財政問題に直結することが想像できます。区の説明によれば、簡単に言えば、耐震診断そのものが老朽化していたということです。  ここで問題にしたいのは、これで二年前につくった世田谷区公共施設等総合管理計画の前提が大きく崩れたということであります。早い話、予想だにしなかった大型予算を伴う耐震補強工事が出現してしまい、世田谷区公共施設等総合管理計画は全面改定が迫られている事態ではないのかということです。  そこで、二点に絞り質問いたします。  一つは、世田谷区公共施設等総合管理計画の変更と財源見通しについて、財政計画に及ぼす影響はどれくらいか伺います。  二つ目は、二十二年ぶりの黒字化なる区長の著書における言葉は、一瞬の事実をあらわしたものであり、昨今の世田谷区の財政状況からすれば、極めて個人的な自慢話の類いという認識を世田谷区の財政当局としては持っているのかお尋ねします。  次に、地域行政制度に解はあるのか、つまり答えはあるのかについて質問いたします。  保坂区長は、よく世田谷区の人口は七つの県より多く、政令指定都市のレベルだとおっしゃっています。確かに人口だけで言えばそうでしょう。では、実際世田谷区が都区財調制度から脱却し、政令指定都市になれるのかといえば、現実的には不可能だということが過去に検証されているのではと私どもは理解しております。  そのような中で、世田谷区においては、地域行政制度ができて間もなく三十年が経過しようとしています。その目的とは、一言で言えば地域のことは地域で解決するということに尽きます。しかしです。実際にはこの三十年で行政の解決能力よりもはるかに解決課題のほうが圧倒的にふえています。  一方で技術の進展、特にコミュニケーションツールの進展は、平成時代を通じて驚くばかりです。当然のごとくコミュニケーションマナーも激変しています。例えば町会の回覧板、これは判こを押して隣の家のポストにこっそり入れる家が大半です。ピンポンと押して一々対面して渡すことはほとんど見受けられません。また、連絡もスマホであり、通話よりもメール、メールよりもLINEという時代です。さらに個人情報を守るということから、小学校や中学校の友達の名簿すら存在しない時代、住所は知らない、でも、LINEではつながっている、そういう住民関係が今なのであります。  今後さらなる通信技術の進展により、5Gの時代になれば、住民というものの概念すら変わってくるでしょう。地域行政制度といっても、二十三区は財政調整制度で縛られており、二十三区均一の行政サービスの提供という枠がはめられています。児童相談所の設置を除き――この児童相談所というのは財政調整制度の外にあるもので、世田谷区が独自に開設することとした、言ってみれば二十三区一体の枠から一歩踏み出した自治権拡充を体現するものと言えますが、その児童相談所の設置を除いては、世田谷区は他の二十二区に比べて行政が特段に進んでいるということは財政的にはほとんど考えられません。要は先人の知恵であった地域行政制度の発想は当時としてはすばらしいものだったかもしれませんが、既に時代おくれではないかということです。  地域行政制度開始のころ、町会加入率は六六%、約三分の二もありました。現在では五割台を維持するのがやっとという状況です。この先はもっと減るかもしれません。このことをもって町会加入率を上げることが地域行政制度の目的になるとすれば、時代錯誤の行政目的だとならないでしょうか。  首都直下地震が叫ばれる今、災害時に必要な地域の力、運命共同体的なきずなというものは、行政だけでつくれるものではなく、住民の自助の意識が必要不可欠であると考えます。  るる述べてまいりましたが、以上のことを踏まえ、二点伺います。  最初に、世田谷区は現状では政令指定都市にはなれないということは、かつての大場区政の時代に検証済みのことではなかったのでしょうか、伺います。  二点目は、政令指定都市だの、地域行政制度の方向性を探るよりも、国の特区制度を申請したほうが住民自治の満足度を上げる近道ではないかと考えます。特区の申請で東京都の財調制度の縛りを突破すること、それでこそ可能ではないのか、区の見解を伺います。  次に、災害対策と公共施設及び民間施設に関して伺います。  さきに述べたように、公共施設の再設置計画である世田谷区公共施設等総合管理計画が、残念ながら前提が崩れたことは申し上げましたが、世田谷区における民間マンションも同様に老朽化しています。さらに、マンション所有者の高齢化も進んでいます。国土交通省の発表によれば、平成三十年度の、これはオールジャパンということではありますが、マンションの世帯主の年齢割合ですが、七十代以上が二二%を占めているということです。  首都圏、またマンション建築が比較的早く始まった世田谷区においては、七十代以上の比率は二二%を超えているのではないでしょうか。もちろん、七十代で新築マンション購入というケースもあるでしょう。しかし、同じく国土交通省の資料によれば、マンション全体の約一割が築四十年を超えている、そして築三十年に至っては全体の四分の一を占めているということです。これはあくまでもオールジャパンの数字ですから、世田谷区にそのまま当てはめるとは言いませんが、しかし、それほど離れているものでもないと思います。  古いマンションがそれなりの改修や修繕、また耐震化を図っていれば問題はないと思いますが、築年数が最も古いマンションにおいては、管理組合すら不明というところもあるという話です。それで改修、改築などできるでしょうか。  さて、ここで冒頭述べました奥沢区民センターの件に触れます。あの耐震不足のビル兼マンションについて私たちの会派が取り上げて九年にもなります。計画はあれども何も進んでいません。このことは前の質問と重なります。地域のことは地域で解決するという地域行政制度の目的ですが、地域よりも狭いマンションのことはマンション住民で解決する、それすらもできていないのが実例です。権利関係の複雑さもあるでしょう。このことはマンションに限らず、空き家問題として、既に世田谷区に出現しています。時間の経過とともに相続を経て、権利の複雑化が進んでいきます。  現在は農地が宅地化され、新たな住宅供給が進み、新住民がふえる一方で、住民が高齢化し、その住宅自体も老朽化している地域もふえてきています。常に若い人たちだけの世田谷区であれば、希望を掲げるだけで政策として成り立つかもしれません。しかし、災害対策という面からすると、高齢者と、それとともに老朽化した住宅という観点からの政策は、保坂区長の関心もなきがごとしのように見受けられます。  世田谷区に若い人口がふえることは喜ばしいことです。かといって、現実は高齢者問題が深刻になってきています。それは、その高齢者が住まう住宅の老朽化問題も漏れなくついてくるということでもあります。  災害対策の問題について、従来、公共施設の問題が中心となり、議論されてきましたが、世田谷区は住宅都市であります。以下、区民である住民、住宅の観点から一点伺います。  首都直下が必ず来る、しかもたった一回ではなく、波状的に、これは熊本地震における本震が二度目だったということからもわかることですが、また数年後にも襲ってくる、このことは、新潟県中越地震及び新潟県中越沖地震などですが、それらのことから、建物が倒壊はしていないけれども、住めないという住宅の大量発生が容易に想像できます。世田谷区内における老朽化住宅に対する復旧復興計画と個人の権利関係の解消策はどのように考えているのか、そもそもその基本的、基礎的なデータはあるのかについて伺います。  最後に、今後百年を見渡すと、地下開発が都市計画の視野に入ってくることが考えられます。保坂区長の外環道に対する姿勢は、イデオロギー的、視野狭窄的と言っていいと思われます。そんな公私混同を続けていてよいのでしょうか。外環道の問題は、百年後を見据えると、世田谷区の地下開発の黎明期に当たる時期と考えます。  そこで、時間の関係で二点だけ質問します。  今後、区は世田谷区の地下空間をどう考えるのか。  電柱地中化等も世田谷区は計画的に関与しているのかについてお答えください。  以上で檀上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 田中議員にお答えします。
     政令指定都市になれないということを大場区長時代に確認したのではなかったかというお尋ねでございました。  世田谷区の未来のあるべき自治の形を考えたときに、何よりも住民の声を反映した政策をしっかり構築できる裁量と権限、これを裏づける自主的な財源を持つことが何より必要だろうというふうに考えています。かつての大場区長も、世田谷区が市並みの自治体になった後のステップとして、当時おおむね百万都市が対象とされていた政令指定都市を目指していたものと伺っています。  平成十二年、二〇〇〇年の都区制度改革により、ようやくにして特別区は、都の内部的団体から基礎的な地方公共団体に法的に位置づけ直され、普通市に近づくことができましたが、ただ、しかし、本来基礎自治体が担うべき事務の一部がいまだ東京都に留保されるなど、道半ばの改革であります。  一方、平成の大合併の時期に国は政令指定都市の指定の弾力化を掲げて合併した場合の約七十万人以上の市であれば指定されるなど、従来の実質的要件も変化してきております。  こうしたことから、私は百万都市となることを見据えた大都市世田谷におきまして、多様な住民の声を反映していくためには、かつての大場区長時代からの自治権拡充運動を引き継ぎ、特別区から新たな自治体の形に進むことが必要であり、政令指定都市、あるいはこれを超える新たな自治体の形をつくる法改正を求める必要があると考えております。  区議会、区民の皆様としっかり議論を重ね、国や都にも働きかけ、自治権拡充、自治体としての独立性を切り開いてまいりたいという思いでございます。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、三点について御答弁申し上げます。  最初に、世田谷区公共施設等総合管理計画の変更と財源見通しについてでございます。  平成二十九年三月に公共施設等総合管理計画を策定以降、学校等の耐震再診断への対応など新たな課題が多数発生しており、計画策定時にお示ししました年間五百五十億から乖離が生じている状況にございます。  具体的には、学校等の耐震再診断への対応として、仮に全校を耐震補強した場合、約七十億円、学校体育館への空調設備設置経費として約三十六億円程度の新たな財政負担が想定されております。また、計画策定時から区の工事に係る積算標準単価も五%程度上昇しており、今後、一層乖離が進む状況も見込まれることから、今年度、計画の見直しに着手したところでございます。  五カ年の財政見通しでは、現時点では収支は均衡する見込みとしておりますけれども、今後、超高齢社会への突入など、社会状況も大きく変わることが予想される中で、安定した区税収入が見込めなくなり、その一方で、公共施設の更新経費が社会保障関連経費とともに、区財政の圧迫要因となるなど、行政サービスへの影響が危惧されるところでございます。  こうした社会状況の変化や急激な景気変動にも耐え得るよう、将来を見据えた財政運営が必要不可欠であり、公共施設の整備手法の改革など、ハード面での経費抑制とともに、ソフト面におきましても、継続的な事業の見直しなど、行政経営改革の取り組みを進め、適宜議会の御意見を聞きながら、改めて将来経費の見通しをお示ししてまいります。  次に、二十二年ぶりの黒字化に対する財政当局の認識でございます。  平成二十五年度の決算におきまして、二十二年ぶりに基金残高が特別区債残高を上回る状態になったことで、持続可能な財政基盤の構築に向けて前進したという認識をお示ししたものと理解しております。  一方で、基金残高が特別区債残高を上回ったことのみで将来の財政の健全化が担保されるものではなく、来年度以降、本庁舎整備や玉川総合支所改築等に伴い、再び特別区債残高が基金残高を上回る見込みを立てております。  景気変動の影響を受けやすい特別区といたしましては、現在の財政構造におきましては、まずは財政調整基金の確保が重要であり、令和元年度末には財政調整基金の残高見込みが予算規模の約一割となる過去最高の三百十一億となるなど、区のレベルでの景気変動に耐え得る財政基盤ができつつあるものと認識しております。  今後も予期せぬ景気変動や将来の財政需要等を見据え、基金残高の確保に努めるとともに、常に危機感を持って行政経営改革等に基づく取り組みを進めるなど、持続可能で強固な財政基盤を確保してまいります。  最後に、政令指定都市よりは、特区申請で財調制度等の縛りを突破できるのではないかという御提案です。  特別区は、昭和四十九年の自治法改正によりまして、区長公選制が復活したものの、昭和二十七年より平成十二年改革までおよそ五十年にわたり、都の内部団体の位置づけのままでございました。その中で、途絶えることなく自治権拡充運動を行ってきたことで、五十年を経てようやく法改正がなされ、基礎自治体に位置づけられたところでございます。  しかしながら、特別区といたしましては、平成十二年の特区制度改革以降も、都と特別区の事務の役割分担や財政自主権に制限があるなど、依然、さまざまな課題が残されており、真の都区制度改革がなされていないという問題認識を持ち続けているところでございます。  特区というお話がございましたが、こちらは特定の行政目的を達成するための手法としては有効となりますが、財源問題を含めました世田谷区の自治のあり方につきましては、区民生活にも直結する大変大きな課題となりますので、十分な検討と区議会での御議論、そして区民への丁寧な周知を行った上で、権限の拡充や財源の確保に向けた法改正へとつなげていくべきと考えております。  以上でございます。    〔岡田副区長登壇〕 ◎岡田 副区長 私からは、都市計画等における地下空間の活用について御答弁申し上げます。  都市部では、限られた土地を有効に活用し、生活機能を向上させるため、地上部とあわせ、重層的な地下利用が進んでおります。具体的には、地下鉄や高速道路などの交通施設が地下に整備されるなど、地下利用は大きな役割を担っております。  区内における地下利用といたしましては、自転車駐車場、都市高速道路や都市高速鉄道、電線共同溝、または豪雨対策としての地下河川、公園の地下を利用した雨水貯留施設、こうしたものがあり、電線地中化につきましては、今年度、世田谷区無電柱化推進計画を策定する予定でございます。  こうした地下利用としては、東京都の都市づくりのグランドデザインにおきましても、地下鉄と町をつなぐ空間の活用によるスムーズな移動やにぎわいの創出を取り組みに掲げております。  また、先般、日本橋上空にかかる首都高速道路が地下化される案も発表されたところでございます。このように、地下利用については、安全性の確保、環境への配慮、景観保全など、生活機能や町の魅力を向上させる面で可能性を秘めているものであり、区といたしましても、さらに地下空間を活用した安全安心で活力ある都市整備政策に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎淺野 教育次長 私からは、財政規律と財政確保につきまして四点の御質問をいただきましたので、御答弁させていただきます。  今回の就学援助制度を活用しました教育における負担軽減施策に関してですが、まず最初に、就学援助費なんですが、年間ベースでどのくらいになるのか、また、今回の政策で全児童生徒の中でどれぐらいのパーセントが適用されるか、また、学校給食全体を無償化した場合の予算額の推計ということの三点まとめて最初に御答弁させていただきます。  このたび教育委員会では、子ども・子育て応援都市にふさわしい子育て支援の施策として、教育における負担軽減施策を充実し、本年の十月より、就学援助制度の枠組みを見直すこととしました。  令和元年度予算としましては、半年分として八千二百十五万円を計上させていただきましたが、就学援助全体の予算は六億六千七百七十九万円となっております。このたびの政策の拡充に関する予算見積もり時の推計としましては、就学援助の対象者全体は児童生徒約四万七千人のうち、約一万六千人となると考え、約三〇%が適用となると想定しました。  なお、施策拡充前の就学援助対象者の推計ですけれども、約一万人で、約五千人の方が就学援助の申請を行っております。  また、申請ではなく給食費について全児童生徒を対象とした場合、必要となる予算は約二十五億円と考えております。  次に、就学援助制度に関してですが、条例化する考えはあるのかということで御答弁申し上げます。  就学援助は、直接的には学校教育法第十九条に基づき実施しているものです。その際の手続、条件及びその他事務処理上の基本的事項につきましては、世田谷区就学援助実施要綱において規定しております。要綱では、認定基準等を規定しておりますが、こうした内容の変更の際には、適宜議会報告させていただいており、これに必要な予算につきましても御審議いただいているところです。  今後も議会の御意見を頂戴しながら、必要な方に必要な支援ができるよう、適切な運用に努めてまいりますが、就学援助制度の実施に関することにつきまして条例化する必要があるかどうかにつきましては、今後の検討課題とさせていただきたいと存じます。  以上です。 ◎畝目 都市整備政策部長 私からは、災害対策として住宅の復旧復興計画等について御答弁を申し上げます。  首都直下型地震等による東京の被害想定によりますと、冬の夕方の火災が最も多くなるケースでは、区内の建物のうち、揺れによる全壊が六千七十四棟、火災による焼失が二万一千七百二十七棟、また半壊は、木造が一万四千六百七十二棟、マンション等非木造が二千四百八十八棟と想定してございます。  震災後は、直ちに被災建築物応急危険度判定や被災宅地危険度判定を行いまして、被災地建築物の被災状況を把握し、応急修理や応急仮設住宅等の供給を実施するとともに、東京都及び区の震災復興マニュアルに基づき、住宅復興委員会による専門的、技術的な助言、提言のもと、住宅復興計画を策定してまいります。  被災者の住宅復興につきましては、みずからの再建を支援するとともに、被災したマンションの区分所有者等に対しまして、再建を速やかに進めるため、権利関係の整理や合意形成の促進に向けまして、マンションの建てかえや改修アドバイザーなど、専門家の派遣や被災者が資金不足による再建が困難な場合等には、復興特別融資や利子補給など、住宅金融支援機構などの機関と連携した支援を行ってまいります。  区といたしましては、世田谷区マンション実態調査に加えまして、来年度、東京が東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例に基づき実施を予定してございますマンションにおける管理の状況を把握するための届け出などの制度や、マンション交流会等におけるネットワークなどを活用するなどし、東京都と連携し、現状の把握に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◆四十七番(田中優子 議員) 保坂区長の答弁にありました自治権拡充のための政令指定都市を超える新たな法制度とは、具体的にどういうものを指しているのか教えていただきたいと思います。  また、その法改正をされるのをただ国にお願いしながら待っているということなのでしょうか。その姿勢についてもお答えください。  それと他会派の答弁で区長は、一般的な市と比べると二十三区は課税自主権と都市計画決定権が剥奪されているとおっしゃっていました。東京都からは、だったら、上下水道、浄水場、ごみ埋立地はどうするのか、世田谷区にそれができるのかと、既に大場区政時代にそのことを突きつけられていたと思うんです。まずそのことを副区長に確認したいと思います。  そして、それら一つ一つの具体的な解決策を持っているのかですよ。権利がないと言うんだったら、それをちゃんとやるから、それをよこしてくれ、権利をよこしてくれという具体策を、解決策を持っているのか、これも区長に伺いたいと思います。  また、給食費の無償化です。これは一度入り口をあけるとその勢いというのはとまらないと思うんです。ということはこれまでのいろいろな無償化の、無料化のモデルから明らかです。今般の所得制限つきの給食費無償化では、年間に一億六千万円ということですけれども、全児童生徒に広げると二十五億円となるという答弁がありました。保坂区長は二十五億円に広がることも覚悟されているのかどうか、それともあくまでもこれは所得制限つきでいくのだ、一部に対する補助にとどめ、それを給食費無償化と言い続けるのかどうか、その点についてもお答えいただきたいと思います。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 田中議員の再質問に二点お答えいたします。  政令指定都市、これを実際返上しようと、解体しようというのが大阪維新の会で進められている、大阪市民投票で問われた内容です。大阪都という制度もなかったわけです。したがって、政令指定都市を超える制度、どういうものかということがお尋ねですけれども、まさにそれこそ、これから始める地域行政の条例化をめぐって、議論を丁寧に重ね、議会の中でも他会派の答弁で御説明しましたけれども、まさにどのような形の自治体を目指していくのかということ、自治権拡充の道の中で、政令指定都市なのか、あるいはそれを上回る、例えば横浜市などは特別市構想というのを、政令指定都市でもだめだということで、以前出した時期がございます。そういうことも含めて幅広に考えていますけれども、今の段階では、まずは過去を検証し、現在ある地域内分権、これを再構築するということに全力を注ぎながら、自治権拡充の、ただし、区民の理解がなければ、議会との議論もしっかり積み上げていかなければいけないということでございます。  次に、給食費の問題ですけれども、これは就学援助の枠組みの中で確かに半分しかないというのは事実でございます。このところ、まだ広報も足りないと思いますけれども、しかしながら、以前の申込者より多い申込者が登録されていると、申し込みを受けているというふうに聞いておりますので、なお教育委員会には努力をしてもらい、なお、この制度があることを知らずに申し込まなかったという人が出てこないように周知を図っていきたいというふうに思います。完全に無償化だということであれば、それは、要するに完全無償化ということで、二十五億円という財源が必要なわけで、これは持続可能な財政との兼ね合いでこういったスタートをするというふうに判断したところでございます。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、大場区長時代に、言ってみれば、都の事務と言われている部分についてのものができないじゃないかということで、こういう議論の部分について立ち切れたということの御指摘に対しての御答弁を申し上げます。  確かにあの当時、項目的に都の事務についてのものをどこまでやるのかということについてかなり議論がありました。清掃とかそういう部分のところについてのものを幾つかセレクトする中で、幾つかのやりとりがあったということで、平成十二年だと思いますが、特区制度改革と言われているものが、当時、未完の制度改革ではないかというようなことをいろいろ言われたということがございましたが、一歩前進している、それが、先ほど申しました基礎自治体のステップを踏んでいっているというふうに理解をしています。  その具体的な内容についてのことを、平成十九年だと思いますけれども、世田谷区としては独自に今度は研究をして、東京都の事務に係りましても、こういう方法をとれば特別区としてできるんじゃないかというのが、いわゆる一定の事案の部分に対しては広域連合的なものをやっていくという方法を議会の中でも議論いただきまして、一つの成案みたいなものをつくっていったと。これをどうするのかということまでは、ちょっとその当時の話ですけれども、各特別区にいろいろアピールをしていって、議会の中でもこういう御意見が出ているんだということについてを東京都にぶつけた、こういうことをやってきました。  結論から言うと、なかなかやっぱり新しく都と区の関係を整理していくという部分には至らなかったわけですけれども、方法論としては、その当時を申し上げたとおり、やはり特別区間の部分の中での共同、もしくは東京都のほうに委託をするという方法もありますので、全てを持ち込むことが全てこの特別区という部分から変わっていくということではないと思います。  ただ、先ほど来、特区というお話をいただいたのは、確かに方法論、断片的にやっていく方法論としてはそのときも議論があったわけです。ただ、今回の部分については、そこを乗り越えて、目指すべきものは税の問題とか、そういう自主権の問題とこの部分を触れていっていますので、そこはやはりゴールとして政令指定都市ということを目指すべき、もしくは先ほど区長のほうからあったように、法の枠組みも変えようとしている部分があるんだから、そちらのほうを使うという方法のほうがベターじゃないかということを申し上げております。  特区の部分におきましても、仮に一部の自治体が特区申請をした場合でも、この狙いはあくまでそこでモデル的にやったものが全国に広めるほうが効果があるという法改正に結びついているものもありますので、そういう手法とは今回違うということで、あえて特区という方法はとらないんじゃないかということで申し上げました。  以上でございます。 ◆四十七番(田中優子 議員) 自治権拡充について、保坂区長はもう本当に威勢よく、勢いよく、いかにもやっています、やりますというかけ声だけのように私は感じています。具体的な中身は今回の質問でも全然あらわれていないということがわかりました。  それからもう一つ、せっかくですので、新教育長に伺います。  先ほどの質問の中でも申し上げましたけれども、一人の子どもも置き去りにしないというふうにおっしゃいましたけれども、半分が今、就学援助費が置き去りにされています。このままでいいのだろうかということと、その中で給食費をやろうということは同じことが繰り返されるのではないかと思いますが、その点についてはいかがお考えでしょうか、お答えいただきたいと思います。    〔渡部教育長登壇〕 ◎渡部 教育長 一人も置き去りにしないという御挨拶を申し上げたわけですが、給食費のことで、今、無償化のことでいろいろなお話があっています。私としては、一人の子どもも置き去りにしないという言葉を使わせていただいたのですが、給食費ということに関しては、まだそこのことに関してのことでそのときに使ったことではなかったので、これから先、給食費のことについても考えていくべきだというふうに考えております。これから、今お話をいただいたことをもとに考えてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 ○和田ひでとし 議長 以上で田中優子議員の質問は終わりました。  これで本日の代表質問は終了いたします。     ──────────────────── ○和田ひでとし 議長 以上をもちまして本日の日程は終了いたしました。  なお、明十三日は午前十時から本会議を開催いたしますので、御参集願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時三十四分散会...