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  1. 世田谷区議会 2018-02-21
    平成30年  3月 定例会-02月21日-01号


    取得元: 世田谷区議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-03
    平成30年  3月 定例会-02月21日-01号平成30年 3月 定例会 平成三十年第一回定例会 世田谷区議会会議録第一号  二月二十一日(水曜日)  出席議員(四十八名) 一番   石川ナオミ 二番   ゆさ吉宏 三番   河野俊弘 四番   青空こうじ 五番   あべ力也 六番   ひうち優子 七番   上川あや 九番   山口ひろひさ 十番   石川征男 十一番  安部ひろゆき 十二番  高岡じゅん子 十三番  田中みち子 十四番  阿久津 皇 十五番  佐藤美樹 十六番  小泉たま子
    十七番  河村みどり 十八番  津上仁志 十九番  山内 彰 二十番  菅沼つとむ 二十一番 加藤たいき 二十二番 上島よしもり 二十三番 大庭正明 二十四番 田中優子 二十五番 桃野よしふみ 二十七番 福田妙美 二十八番 高久則男 二十九番 真鍋よしゆき 三十番  三井みほこ 三十一番 おぎのけんじ 三十二番 江口じゅん子 三十三番 桜井 稔 三十四番 たかじょう訓子 三十五番 中村公太朗 三十六番 藤井まな 三十七番 岡本のぶ子 三十八番 平塚敬二 三十九番 板井 斎 四十番  和田ひでとし 四十一番 上山なおのり 四十二番 畠山晋一 四十三番 中里光夫 四十四番 村田義則 四十五番 羽田圭二 四十六番 風間ゆたか 四十七番 中塚さちよ 四十八番 諸星養一 四十九番 佐藤弘人 五十番  高橋昭彦  欠席議員(二名) 八番   すがややすこ 二十六番 そのべせいや  出席事務局職員 局長     小田桐庸文 次長     井上徳広 庶務係長   小池 篤 議事担当係長 水谷 敦 議事担当係長 長谷川桂一 議事担当係長 菊島 進 議事担当係長 岡本俊彦 調査係長   谷澤真一郎  出席説明員 区長     保坂展人 副区長    宮崎健二 副区長    岡田 篤 世田谷総合支所長        内田政夫 北沢総合支所長        男鹿芳則 玉川総合支所長        小堀由祈子 砧総合支所長 寺林敏彦 烏山総合支所長        進藤達夫 政策経営部長 岩本 康 総務部長   中村哲也 庁舎整備担当部長施設営繕担当部長兼務)        松村浩之 危機管理室長 澤谷 昇 財務部長   菊池弘明 生活文化部長 田中文子 地域行政部長 本橋安行 スポーツ推進部長        平澤道男 環境政策部長 松下洋章 産業政策部長 久末佳枝 清掃・リサイクル部長        原田茂実 保健福祉部長 板谷雅光 地域包括ケア担当参事        岩元浩一 障害福祉担当部長        松本公平 高齢福祉部長 瓜生律子 子ども・若者部長        澁田景子 世田谷保健所長        辻 佳織 都市整備政策部長        渡辺正男 防災街づくり担当部長        関根義和 みどりとみず政策担当部長        髙木加津子 道路・交通政策部長        小山英俊 土木部長   五十嵐慎一 教育長    堀 恵子 教育次長   志賀毅一 教育政策部長 工藤郁淳 生涯学習部長 花房千里     ──────────────────── 議事日程(平成三十年二月二十一日(水)午後一時開議)  第 一 代表質問     ──────────────────── 本日の会議に付した事件
     一、会議録署名議員の指名  二、会期の決定  三、諸般の報告  四、日程第一 代表質問     ────────────────────     午後一時開議 ○上島よしもり 議長 ただいまから平成三十年第一回世田谷区議会定例会を開会いたします。     ──────────────────── ○上島よしもり 議長 これより本日の会議を開きます。     ──────────────────── ○上島よしもり 議長 本日の日程はお手元に配付の議事日程のとおりであります。     ──────────────────── ○上島よしもり 議長 まず、会議録署名議員の指名を行います。  会議録署名議員には、会議規則第七十九条の規定により、   十七 番 河村みどり議員   三十五番 中村公太朗議員 を指名いたします。     ──────────────────── ○上島よしもり 議長 次に、会期についてお諮りいたします。  本定例会の会期は、本日から三月二十七日までの三十五日間とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○上島よしもり 議長 御異議なしと認めます。よって会期は三十五日間と決定いたしました。     ──────────────────── ○上島よしもり 議長 次に、区長から招集の挨拶の申し出があります。保坂区長。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 平成三十年第一回世田谷区議会定例会の開催に当たり、区議会議員並びに区民の皆さんに御挨拶を申し上げます。  まず、名誉区民の鈴木忠義さんが二月十八日に御逝去されました。鈴木先生は区民健康村の設立に御尽力され、世田谷区と川場村の交流の礎を築かれました。区民を代表して謹んで心からの哀悼の意を表します。  さて、第二十三回オリンピック冬季競技大会は韓国・平昌で二月九日に開幕し、今まさに十七日間における熱戦が繰り広げられています。日本代表選手団の活躍を願うとともに、オリンピック憲章にうたわれたオリンピズムの根本原則である人間の尊厳に重きを置く平和な社会を奨励する平和とスポーツの祭典としての成功を期待しています。平昌大会が終わると、いよいよ東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が二年五カ月後に迫ってまいります。  年頭の印象深いニュースに、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王が、昭和二十年、一九四五年に長崎で撮影された原爆被害を受けた少年の写真をカードに印刷し、配布するように指示をしたとの報道がありました。写真は焼き場に立つ少年で、亡くなった弟の亡きがらを背負い、火葬の順番を待つというものでありました。核戦争の危機を伝えるものとして受けとめ、核兵器の廃絶に向けて、平和首長会議の一員として平和都市宣言にある平和への思いを一層強くいたしました。  一月七日には、平成三十年新年のつどいに多くの区民が集う中、ノーベル生理学・医学賞の受賞者で名誉区民の大村智さんによる新春記念講演が行われました。区内にお住まいになりながら研究に没頭し、やがて億単位の人々を救うことになる微生物の発見と医学への貢献をされた御努力はすばらしく心を打つものでありました。  次に、区の人口動向についてであります。  人口の増減だけではなく、世代別の分布や男女比、世帯構成などにも目を凝らす必要があります。二月一日現在の世田谷区の総人口は九十万二百六人と、昨年一年間で七千五百七十二人増加し、とりわけ平成二十七年、八千九百五十七人、平成二十八年、九千二百四十六人の直近三年間で合計二万五千七百七十五人となり、平成二十四年から二十六年までの三年間合計の一万八千百二十四人と比べても増加傾向が高まっています。区の特徴は、人口ピラミッドの底を支える要因としての二十代の転入超過の層が厚いことでありますが、近年は変化の兆しがあります。分析を加えていくと、二十代の転入者数が二十年前の約六割から約七割へと縮少し、あわせて、出産年齢の中心を担う三十代の女性数が平成二十年以降の約十年間は減少に転じています。  国が発表した日本の世帯数の将来推計では、団塊ジュニア世代が高齢期を迎える二〇四〇年には、世帯主が六十五歳以上高齢者で構成される高齢者世帯の四割がひとり暮らしとなる予想の超高齢化の行き着く姿が指摘されましたが、世田谷区の平成二十七年国勢調査でも、高齢者世帯の三四%がひとり暮らしとなり、地域での暮らしの様相が大きく変化をしてきています。  イギリスで孤独担当大臣のポストを設けるとの報道がありました。昨年一年間に行われた孤独に関する調査から、高齢者、身体障害者、子どもを持つ親、子どもなど九百万人以上の人々が常に、もしくはしばしば孤独を感じ、その三分の二の方が生きづらさを訴えている実態が明らかになりました。加えて、孤独が肉体的・精神的健康を損なうとの指摘も踏まえ、孤独に困っている人のための総合的な政策を率いる大臣ポストの新設につながったということであります。  区の人口は九十万人を超え、総人口の増加傾向とともに、今後は、高齢化が再び加速し、東京で高齢者人口が最も多い地域になると推計されています。現在の高齢者世帯約十一万六千世帯、そのうち約四万世帯の単身高齢者が、今後は人口比でも拡大、増加すると予想されます。  せたがや自治政策研究所のシンポジウムでの議論からは、家族への依存が大きい社会では、家族とさまざまな事情で離別し、ひとり暮らしになった場合に、社会関係から孤立して健康や生活意欲にも問題が生じることが指摘され、高齢期になる前に地域社会との接点をつくることが求められています。困り事を家族で解決し、また近所の友人に声をかけ、お互いさまで助け合う地域の力も弱くなっていく中で、地域に頼れる人がいない孤立した人たちもふえています。日常生活の中での普段の付きあいや、誰ともつながりがないという方々にも、地域でのきっかけを提供し、住民同士の顔の見える関係を築き、お互いを支えあう共助、共生の地域社会づくりを進めていく必要があります。  平成二十七年度の世田谷区総合戦略では、今後の人口動向及び年齢構成の推移によっては、区を支える基盤が揺らぐ可能性を指摘し、地域の活力の維持と向上に向けて「魅力あるまち世田谷」を創出することの重要性を打ち出しました。多くの世代の希望の実現、地域人材と社会資源を活用した活力ある地域社会の構築、心豊かな暮らしを実現するための地方・都市との連携・交流の三点を基本目標として具体的取り組みを今般の新実施計画後期に反映をしてまいります。  次に、ふるさと納税や税制改正の影響と対応について申し上げます。  ふるさと納税については、かねてより区のスタンスを示していますが、みずからの出身地や被災地等応援したい自治体への寄附を通して地域振興や活性化を図るとの制度本来の趣旨には賛同するとともに、区としても区民との協働によるまちづくりを進め、寄附文化の醸成に努めています。平成二十八年から呼びかけた児童養護施設退所者等奨学基金は、一年十カ月で五千万円を超えました。宮の坂駅のいわゆる玉電の展示車両の塗装や大蔵運動場スタンドの整備費等へのクラウドファンディングの導入などふるさと納税を呼びかけ、反響を広げて、この二月十五日現在で、区へのふるさと納税は、件数は六百五十四件、金額が四千三百二十一万二百八十七円となり、昨年度末と比較して件数は三倍、金額は一・七倍になりました。  一方で、ふるさと納税による区民税の減収は、年々拡大の一途をたどっており、平成三十年度当初予算では四十億円という大きな減収を見込まざるを得なくなっています。このままでは今後の行政サービスに影響が出かねず、看過できる状況ではございません。昨年三月に、特別区長会として国に要望文を提出しており、四月には総務省より通知が発出され、返礼品の割合を三割以下とすることなどが示されましたが、強制力があるものではなく、まだまだ対策は不十分であります。ふるさと納税制度の過剰な影響を是正、抑制すべきと、この間、先頭に立ってさまざまな場面で発信をしてきておりますが、特別区長会としても緊急の議論を進めているところであります。  また、昨年十二月に示された国の平成三十年度税制改正では、都市部の税収の収奪を目的とした地方消費税の配分見直しが盛り込まれ、東京都全体で約一千億円、世田谷区では約二十九億円の減収となる見込みです。  このような根拠のない東京富裕論に基づく理不尽な税源の収奪である措置に対しては、先般、二月十六日に特別区長会として税源偏在是正措置に対する特別区緊急共同声明を発表いたしました。今後も、二十三区一体となって法人住民税、地方消費税、ふるさと納税等の税収の収奪について異議申し立てをするとともに、制度の是正を強く働きかけていくことにいたします。  平成三十年度は、新実施計画後期のスタートを切る年です。前期四年間の新実施計画の成果を踏まえ、基本計画で定めた六つの重点政策の実現に向けた仕上げの計画と位置づけ、策定を進め、議会とともに論議を積み上げてきました。新実施計画後期は、基本計画に掲げている参加と協働を軸に据え、縦割りを超えた横断的連携を徹底し、区民、事業者、行政が手を携えて地域の自治を進められるよう、全力で取り組みます。  前期計画で構想に着手した地域包括ケアシステムづくりを着実に進め、二十七地区に福祉の相談窓口を設置し、まちづくりセンターあんしんすこやかセンター社会福祉協議会の三者が連携し住民と協働して地区の課題を解決する取り組みを実現しました。また、切れ目なく子育てを応援する世田谷版ネウボラにおいても、子どもたちや子育てを支える地域資源環境を整えてきました。  後期計画でも、この参加と協働を軸に、区民の暮らしを支える取り組みを、基本計画の六つの重点政策に基づき、より積極的に強化し進めてまいります。  重点政策の一つ目、子ども・教育政策では、子どもたちを虐待や貧困から守る取り組みを進めます。そのために、児童相談所の設置など相談支援の仕組みの再整備や、地域で子育てを温かく見守る区民、事業者との協働が欠かせません。子ども・子育て応援都市にふさわしい政策を進めてまいります。  重点政策の二つ目、高齢者、障害者等の保健福祉政策においては、支援を必要とする方の家族も含め、継続的な支援の仕組みを整えることが必要です。地域包括ケアシステムの構築に向け、地区ごとの相談支援の強化や、事業者との協働をさらに推し進め、各サービスや地域資源の確保、地域人材も含めた人材育成を推進していきます。  重点政策の三つ目である災害対策におきましては、地域による消火活動や避難行動支援と耐震化や不燃化の促進など、都市整備施策をあわせて推し進め、住民と行政が一体となって災害に備えていくことが不可欠です。地区での防災塾を通して住民参加によって策定をされました地区防災計画のさらなる周知と更新が必要です。災害ボランティアの受け入れ体制も整え、災害復興ができる環境をつくってまいります。  重点政策の四つ目の環境政策では、省エネルギーの徹底や再生可能エネルギーの普及、資源循環、ごみの排出抑制、みどり33を推進してまいります。いずれも区民の参加、協力がなければ実現困難です。後期計画では、家庭における省エネ等の環境配慮行動の推進や、ごみの排出抑制、再利用、再資源化のいわゆる三R、ひとつぼみどりや植樹など区民の手による緑の創出など、環境共生都市せたがやの創造を目指していきます。  重点政策の五つ目、文化、芸術、スポーツに関する政策では、東京二〇二〇大会を絶好の機会とし、文化、スポーツによる地域共生社会づくりを進めます。外国人など多様な文化的背景を持つ人々との交流や共生、スポーツを通した障害者とともに暮らす地域社会づくり、世田谷の歴史文化の魅力を再発見し発信に取り組みます。  重点政策の最後となる六つ目の地域コミュニティー政策では、区のあらゆる部門で参加と協働に取り組み、区民主体のコミュニティー活動を支援し、地域共生社会の基礎を強化することが重要です。ボランティア活動に参加できるよう、マッチングの仕組み等を整え、支援策をより充実してまいります。  以上、十三の新規事業を含む全五十四事業、四年間の総経費五百十二億円の新実施計画事業に取り組み、基本構想、基本計画が描く世田谷区のあるべき姿に向け、区政を着実に進めてまいります。  一方で、新実施計画のもう一つの柱である行政経営改革の取り組みも、将来の超高齢社会を見据えた強固な財政基盤を確保するためにも、徹底しなければなりません。  後期計画では、世田谷区役所版働き方改革により、職員の能力を最大限発揮できる環境づくりと人材育成を進めるとともに、合理的、効率的な事業執行ができる業務改善に取り組みます。また、二年目に入る官民連携の取り組みを全庁的に展開し、民間との連携による新たなサービスの創造や事業手法の改善、ネーミングライツの推進、税外収入の確保などを積極的に図ってまいります。とりわけ、ふるさと納税による影響を見据えて、新設する担当課に情報を集約し、全庁の各事業分野で創意工夫を凝らしたクラウドファンディングのメニューを充実させ、参加と協働の寄附文化の醸成に努めてまいります。  さらに、昨年度末に策定した公共施設等総合管理計画に基づき、公共施設の一斉老朽化による六百億円を超える保全・更新経費を圧縮するため、施設の長寿命化や計画保全の実施、仕様の簡素化、合理的な更新計画の立案などにより、四年間で四十一億円の経費抑制を図ります。  以上、二十三の新規の取り組みを含む四十項目の行政経営改革の取り組みにより、四年間で計五十四億円の財政効果を上げてまいります。  ここからは、九十万区民の暮らしをつくる参加と協働の予算として編成しました平成三十年度当初予算の重点項目から、新たな取り組みを中心に御説明いたします。  まず、あんしんすこやかセンターにおける相談支援の強化についてであります。  安心できる在宅生活には、医療と福祉が切れ目なく提供できる体制の構築が欠かせません。高齢者等が住みなれた自宅で在宅生活が継続できるよう、四月から、二十七カ所のあんしんすこやかセンター在宅療養相談窓口を開設します。この窓口では、在宅療養資源マップを活用し、在宅での療養生活を支える医療機関の紹介や入退院に関する相談を受け、各センターに配置された地区連携医を通した医療と介護のネットワークづくりに取り組みます。今後、病院から在宅医療へと移行がさらに進む中、在宅医療の啓発や地域ケア会議の充実を図り、医療と介護の連携強化、複合的な課題等を抱える方への支援や、適切な介護予防、自立支援など、地域包括ケアシステムを推進いたします。  次に、認知症施策、高齢者・障害者施策の基盤整備についてです。  区では、認知症に対する普及啓発や早期対応のため、御本人と御家族の視点を重視しています。このたび平成三十二年四月――二〇二〇年でございますが、これ以降、平成を使わせていただきます――梅ヶ丘拠点区複合棟に開設する認知症在宅生活サポートセンターの運営事業者を選定し、この四月から認知症初期集中支援チーム事業や家族支援など、認知症在宅生活サポート業務の一部を前倒しで開始いたします。一方、特別養護老人ホーム等高齢者施設の整備を進めていきます。三月には、上北沢の都有地に定員二十九名の地域密着型特養ホームを、四月には、旧希望丘中学校の区有地に小規模多機能型居宅介護事業所都市型軽費老人ホーム等を併設した定員百十名の特養ホームを、さらに、平成三十・三十一年度には国有地五カ所を活用して地域密着型を含む特養ホーム五カ所、定員三百七十九名分をそれぞれ開設してまいります。あわせて、介護予防では、二十七地区の福祉の相談窓口に配置された生活支援コーディネーターを中心に地区住民や事業者などが協力し、高齢者や御家族の困り事や課題解決のため、高齢者の集う場づくりや買い物支援などの活動を広げていきます。  障害者施設の整備につきましては、特別支援学校卒業生などの進路となっている生活介護施設等の通所施設を平成三十年八月に、宮坂二丁目に定員三十名で整備するほか、上用賀四丁目に予定しております障害者就労施設の整備を平成三十二年四月から平成三十一年六月へと一年近く前倒しをして整備するなど、今後も障害者施設のニーズに対応できるよう施設整備に取り組んでまいります。また、検討を進めてまいりましたせたがやノーマライゼーションプランの一部見直しと平成三十年度から三カ年を計画期間とする世田谷区第五期障害福祉計画の案がまとまりました。第一期障害児福祉計画を同時に策定し、医療的ケアが必要なお子さんと御家族の支援の充実などを図ってまいります。  次に、仮称子どもの近くで働くことができるワークスペース補助事業の実施についてです。  区では、保育待機児童の解消に向けて保育施設整備と定員拡大を全力で進め、三歳児からの待機児がゼロになるなど一定の成果も得ており、引き続き、待機児童対策を進めていきます。一方で、出産、育児を前にして、女性が仕事をとるのか、子どもをとるのか、選択を迫られる状況があります。子育てと仕事を両立させ多様な働き方ができる第三の選択肢もつくり出す必要があります。身近なワークスペースで子どもを預けながら働ける環境を整備し、事業者にも理解を促して、子育てと仕事を両立させる多様な働き方を広げていきます。  そこで、保護者が仕事をするスペースに子どもを預かる機能を持たせた、仮称子どもの近くで働くことができるワークスペース補助事業として二つのタイプをモデル実施いたします。  一つは、産業・雇用政策の視点を合わせ、主に子育て中の方に多様な働き方が可能な基盤を提供し、区内の中小企業が利用可能なテレワークの環境整備により区内企業の人材確保定着を図る、ワークスペース、プラス子どもの預かり機能の一般型のタイプです。  二つ目は、在宅子育て支援の視点も踏まえ、日ごろ利用するおでかけひろばを活用し、子どもはなれた場所で過ごしながら、保護者は近くで仕事をすることができる、ひろば型のタイプです。仕事も子育ても近いところで両立させることができる社会を可視化し、女性のみならず男性の育児参加も促してまいります。子育てと、多様な働き方のニーズに対応した新たな仕組みとして進めていきます。  次に、教育の中から、ICTを活用した学習支援について御説明をいたします。  全体的な学力の向上に加え、千差万別の家庭環境に置かれた子どもたちの学習機会を拡充し、個に応じた学習、教育を推進することが重要となってきております。そこで、区は魅力ある公立学校の取り組みの一環として、区立中学校生徒を対象に、ICTの機能を生かしたeラーニングを活用した家庭学習等の支援を開始します。また、学習状況のデータは授業の改善等に生かすとともに、平成三十三年度開設予定の教育総合センターでの教育研究にも活用してまいります。また、就学援助の対象者で、家庭にICTの環境が整っていない生徒に対しては、パソコンの購入費等の補助を行うことで、子どもたちの学習環境の整備を支援してまいります。  次に、旧希望丘中学校の跡地に、城山、尾山台に続く、区内で三カ所目となる仮称ほっとスクール「希望丘」を平成三十一年二月に開設します。  区内の区立小中学校の不登校児童生徒は五百名を超え、増加傾向であります。平成二十八年十二月に成立した教育機会確保法のもとで、多様な学習機会と体験の機会を持ち、効果的な学習支援につなげるもので、その運営は都内でも初となる民間事業者による運営を目指し、公設民営の学びの場として役割を果たしていくことになります。単に子どもたちに登校を求めることでなく、将来的な社会的自立を支援する観点から、効果的な学習と豊かな体験活動の機会を提供していきます。  あわせて、同跡地に、区内三つ目となる青少年交流センターを平成三十一年二月開設に向けて整備します。若者が、居場所や遊び、学習、音楽、ダンス、芸術、食など、センターを利用する中で、多様な人々と出会い、交流を深められるよう運営を行います。この青少年交流センターは、企画、設計の段階から若者たちが参画して、彼らのアイデアを盛りこみ、つくられました。区は、運営準備委員会、運営委員会を設置し、若者や大人たちとの協働により、若者が力を発揮する地域づくりを担う中核的な拠点となるよう整備、運営し、両施設が連携したそれぞれの取り組みを進めてまいります。  続いて、暮らし・コミュニティから、たばこルールの策定とこれに伴う既存条例の改正と指定喫煙場所の整備について御説明いたします。  区では現在、歩きたばこを区内全域で禁止するとともに、路上での喫煙を区内十二地区で禁止をしています。喫煙への区民の関心の高まりを踏まえ、区における新たなたばこルールを策定すべく検討を進めてまいりました。昨年秋の素案取りまとめとパブリックコメント等を経て、区内全域の道路や公園を禁煙とする新たな内容のルール(案)を取りまとめました。あわせて、区民要望の強いカラスなど野鳥への餌やりによる被害防止も盛り込み、条例名も世田谷区ポイ捨て防止等に関する条例から、世田谷区環境美化等に関する条例に名称を改めるよう提案するとともに、指定喫煙場所の整備を進めてまいります。  次に、アメリカのホストタウンの取り組みについてです。  アメリカ合衆国と世田谷区は、ハナミズキを御縁とした百年を超える交流の歴史があります。今回、東京二〇二〇大会のアメリカ選手団のキャンプ地となったことを契機にホストタウンの登録を受け、文化、芸術、教育など、さまざまな分野での交流事業を展開して、国際交流や多文化共生社会を世田谷のレガシーとして残してまいります。平成三十年度は、区民に対するホストタウンのPRを充実させるため、オリジナルロゴを作成するなど、取り組みを一層加速させていきます。  また、昨年十二月に東京二〇二〇大会に向け、共生社会ホストタウンとして、全国五つの自治体とともに、世田谷区も登録を受けました。共生社会ホストタウンは、パラリンピックの機運醸成に取り組み、パラリンピアンとの交流を通して、ユニバーサルデザインのまちづくりや心のバリアフリーへの取り組み、障害者スポーツの振興などを行ってまいります。区では、障害者スポーツの振興と障害者が町に出やすい環境整備に向け、商店街の協力を得て、店舗などに簡易スロープの設置や視覚障害者のための点字メニューなどの作成費用の助成を行ってまいります。  次に、世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例と取り組みについてであります。  個人の尊厳を尊重し、年齢、性別、国籍、障害の有無などにかかわらず、多様性を認め合い、自分らしく暮らせる地域社会を築いていくことは、国境、民族を越え、目指すべき方向であります。一人一人の違いを認め合うことが多様な生き方を選択でき、あらゆる活動に参画でき、責任を分かち合うことができる社会の実現につながります。男女共同参画社会、多文化共生社会を目指すためには、この二つのテーマに共通した理念である多様性を認め合い、人権を尊重することを掲げて取り組んでいく必要があると考えています。区では、こうした理念を区、区民、事業者で共有し、一体となって男女共同参画と多文化共生を推進し、人権を尊重する地域社会の実現を目指し、本定例会に条例案を提案し、その推進に努めてまいります。  次に、安心・安全から、女性防災リーダーの育成についてです。  東日本大震災の実災害の教訓等から、男女共同参画の視点から防災対策の必要性が指摘されてきました。区では、地域防災計画の修正に当たり、主に女性委員による検討部会を設け、提言をまとめました。この提言を踏まえ、女性防災リーダーの育成及び地域への啓発の推進に取り組みます。まず四月から、避難所運営における意思決定や地域の防災活動に参画し、提言内容の周知、普及と女性防災リーダーの育成に力を入れ、防災対策のさらなる推進を図ってまいります。  次に、木造住宅密集地域の解消に向けた取り組み等についてであります。  まず、新たな特定の防災生活道路沿道における建築費助成です。  区では、緊急車両の通行や円滑な消火・救護活動及び避難を可能とする防災生活道路の整備を進めています。不燃化特区内では、建てかえ連動型で道路用地取得を進めている防災生活道路十六路線において、道路用地取得のスピードアップと沿道建築物の不燃化を促進するため、道路拡幅に協力し、耐火・準耐火建築物に建てかえる建築主に対し、建築費の一部を助成する地区防災不燃化促進事業を実施します。また、不燃化特区のうち区役所周辺地区において、補助五二号線沿道三十メートルの範囲としていた老朽木造建築物等の建てかえ助成の対象地域を区役所周辺地区全域に拡大をしまして、地区内建築物の一層の不燃化を推進し、これらの制度は平成三十二年度までの時限措置として集中的に取り組むことで、木造密集地域の解消に尽くします。  次に、新たな住宅セーフティーネット制度を活用したひとり親世帯への居住支援についてであります。  住宅セーフティネット法とは、住宅政策と福祉政策を結びつけ、空き家、空き室等の既存ストックを社会資源として活用し、住環境と福祉の向上を目指すもので、これまでになかった画期的なスキームであります。  現在、住宅政策の分野では、住宅を確保することが困難で、住宅困窮者に対する居住支援に大きな関心が寄せられています。住まいは暮らしの基本です。質の高い住宅とは、物理的な空間のみならず、周囲のコミュニティーや社会資源とつながっているものであります。住宅困窮者も含めて、今日の社会的貧困とは、社会資源とのつながりが薄く、孤立感を深めた状態をいいます。住宅セーフティネット法が施行された機会を捉えて、まずはこの制度を活用し、ひとり親世帯への居住支援をモデル実施いたします。賃貸人に対する登録住宅の改修費補助を行うことで、良質で、また低廉な民間賃貸住宅の供給を図り、最大月四万円の家賃低廉化補助によって家賃負担を軽減し、ひとり親世帯の自立支援につながる取り組みとして居住支援を実施してまいります。  次に、基本計画の分野別計画に沿い、主な施策の推進について述べます。  外環道東名ジャンクション(仮称)換気塔色彩デザインコンクールの作品展等についてです。区は、外環道の換気塔について、昨年秋に換気塔色彩デザインコンクールを開催し、色彩デザイン及び風景にまつわる俳句、川柳を公募、区民を初めとして全国から百六十六点の色彩デザイン、俳句、川柳は百十一点の作品が寄せられ、入選作品を決定しました。四月以降、審査結果を踏まえ、着彩候補案とするための検討を進め、その検討結果を外環事業者に提案してまいります。  次に、道路交通ネットワークの計画的な整備についてです。  区は、交通渋滞の発生抑制や公共交通機関の利用が不便な地域の解消、歩行者や自転車の安全性の確保のため、都市計画道路、主要生活道路、地先道路を適切な密度で配置し、道路整備を進めております。今後とも、一層計画道路の事業推進に努めてまいります。あわせて、道路の更新については、インフラ老朽化への対応が課題となり、二十三区最長の千九十四キロメートルの道路を管理している区は、適切な維持管理のため、この十年間を計画期間とする世田谷区舗装更新計画を策定し、予防保全型管理による修繕時期の平準化、舗装の長寿命化によるライフサイクルコストの抑制を進めてまいります。  次に、無電柱化への取り組みについてです。  区では、これまで区道の道路延長で約十二キロメートルの無電柱化を実現しました。現在、平成二十六年度から世田谷区電線類地中化整備五カ年計画により、馬事公苑周辺道路などの無電柱化に取り組んでいるところであります。今後、さらに進めるため、仮称世田谷区無電柱化推進計画と平成三十一年度からの無電柱化整備五カ年計画を来年度に策定します。緊急輸送道路などの防災に寄与する路線での無電柱化に積極的に取り組むとともに、新技術や低コスト手法の研究を進め、区道の無電柱化を推進してまいります。  次に、第二次世田谷区教育ビジョン・第二期行動計画案についてです。  情報通信技術の発展や急激なグローバル化など、社会のあり方が大きく変容します。ICT技術の飛躍的発展やAIが社会の細部まで入り込んでくる中で、ライフスタイルも大きく変わり、仕事のあり方や働き方についても予測困難な激動の時代を迎えようとしています。この新たな時代を見据え、豊かな人間性とともに、一人一人の生きる力を育成していくことが何より重要です。このたび、新学習指導要領を踏まえ、英語教育や理数教育、プログラミング教育等の充実、さらには教育総合センターを活用した専門性の高い研究や研修、学校支援、幼児教育・保育の充実など、平成三十年度から平成三十三年度の四年間の行動計画案を取りまとめました。  次に、世田谷区特別支援教育推進計画第二期についてです。  障害の有無にかかわらず相互の人格と個性を尊重し合う共生社会を実現させていくためには、一層の障害者の自立や社会参加を促進する必要があります。障害のある子どもたちの可能性を最大限に伸ばすことを目的とした特別支援教育の充実が大変重要です。そこで、第二期計画では、人的支援の拡充等による特別支援教育推進体制の強化、個に応じた教育環境の充実、指導力や専門性の向上、学校を核とした障害者理解の推進を施策の主な柱に据えて、全ての子どもたちが夢や希望を持って学校生活を送ることができるよう、教育委員会と連携し、世田谷型インクルーシブ教育システムの構築に取り組んでまいります。  それでは、平成二十九年度補正予算について申し上げます。  平成二十九年度の一般会計第三次及び三つの特別会計の第二次補正予算ですが、梅ヶ丘拠点整備費や障害者自立支援給付費、特別区人事委員会勧告に基づく職員人件費の増などの状況変化に対応するとともに、今後の大規模な公共施設整備の財政需要に備え、三十五億円の基金積み立てを行うこととし、合計十八億二千九百万円の補正予算を計上するものであります。  次に、平成三十年度当初予算について申し上げます。
     一般会計の予算規模は三千十八億八千万円、前年度と比べ、一・〇%の増となっております。歳入につきましては、特別区税は、ふるさと納税による減収四十億円の大きな影響がありつつも、人口増に伴う納税者数の増などにより一定の増収を見込んでいます。また、特別区交付金は、財源である固定資産税や市町村民税法人分の増などにより、前年度比で増額としています。一方で、平成三十年度の税制改正における地方消費税配分見直しによる約二十九億円の減収の影響により、地方消費税交付金が前年度を大きく下回っており、全体の収支状況を踏まえ、財政調整基金からの繰り入れを行っているところであります。  歳出につきましては、私立保育園運営費や障害者自立支援給付費などの増により民生費が増となり、公園や道路の用地取得経費の増などにより土木費も増となっております。一方、小中学校の改築経費の減などにより、教育費が減となっております。一般会計に四つの特別会計を合わせました予算額の合計は四千七百八十七億六千百万円、前年比〇・一%の増となっております。  限られた財源を有効に活用するために、引き続き行政手法の大胆な見直し、刷新を軸とする行政経営改革を進め、堅実な財政運営を行ってまいります。  最後に、本会議への提案は、世田谷区支所の設置及び組織に関する条例の一部を改正する条例など議案五十二件、同意一件、報告十二件であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御議決賜りますようお願い申し上げまして、御挨拶といたします。 ○上島よしもり 議長 以上で区長の挨拶は終わりました。     ──────────────────── ○上島よしもり 議長 次に、事務局次長に諸般の報告をさせます。    〔井上次長朗読〕  報告第一号 議会の委任による専決処分の報告(世田谷区立下北沢小学校新築工事)外報告十件 ○上島よしもり 議長 以上で諸般の報告を終わります。     ──────────────────── ○上島よしもり 議長 これより日程に入ります。 △日程第一を上程いたします。  〔井上次長朗読〕  日程第一 代表質問 ○上島よしもり 議長 質問通告に基づき、順次発言を許します。  まず、自由民主党を代表して、四十番和田ひでとし議員。    〔四十番和田ひでとし議員登壇〕(拍手) ◆四十番(和田ひでとし 議員) 今月十八日、世田谷区名誉区民である鈴木忠義さんが御逝去されました。生前の御功績をしのび、心より御冥福をお祈りするとともに、謹んでお悔やみを申し上げます。  それでは、通告に従い、自由民主党世田谷区議団の代表質問を行います。  ことしのNHK大河ドラマは勇気と実行力で新たな時代を切り開いた西郷隆盛の生涯が描かれています。その西郷隆盛が活躍した明治維新のころ、今から百五十年前の日本の人口は三千三百万人程度であったと言われています。その後、医療、衛生状態の改善や食生活の向上等により、人口はうなぎ登りで増加し、昭和六十年の国勢調査では一億二千万人を超えました。やがて時代が平成に変わると、いわゆるひのえうまの要因に伴い過去最低であった昭和四十一年の合計特殊出生率一・五八を下回り始め、日本国内全体が少子化問題を意識するようになりました。  そして、直近に行われた平成二十七年の国勢調査では、百年近い国勢調査の歴史上、初めて総人口が減少に転じ、さらに国立社会保障・人口問題研究所によりますと、出生、死亡の推移をともに中位と仮定した場合でも、三十五年後の二〇五三年には国内総人口が一億人を割り込み、さらに二〇六五年には八千八百万人まで減少すると推計されています。  急速な人口減少は、現行の社会保障制度の維持が危ぶまれるだけではなく、消費者の減少に伴う市場の縮小が進み、我が国の経済成長に多大な影響を及ぼすおそれがあることは周知の事実です。また、昨年十二月の有効求人倍率は四十三年十一カ月ぶりの高水準である一・五九倍となるなど、雇用情勢の改善が継続していると報じられておりますが、見方を変えれば、人口減少に伴う労働力不足が確実に進行していることを物語っており、手放しで喜べる状況ではありません。現にファミリーレストランやスーパーマーケットにおける営業時間の短縮を初め、宅配便の値上げや時間指定サービスの見直しなど、我々が肌で感じる身近なところにも、労働力不足の影響が出てきていることは紛れもない事実であり、日本社会のあり方そのものが問われているように思えてなりません。  このような状況の中、政府は経済再生と財政健全化の両立を目指す予算案を先月二十二日に召集された通常国会に提出しました。持続的な賃金上昇とデフレ脱却につなげる施策を初め、保育の受け皿拡大や幼児教育の段階的無償化など、全世代型社会保障への転換に向けた経費を盛り込むと同時に、安倍内閣発足以降、六年連続で国債発行額の縮減を図るなど、非常にめり張りのある内容であります。少子・高齢化の克服に向け、生産性革命と人づくり革命を力強く推し進めて経済を成長させ、その果実を生かして社会保障を充実し、誰もが安心して暮らせる強固な社会基盤の早期構築を目指す安倍首相の一方ならぬ決意が感じられます。  一方、我が世田谷区についてです。東京市の市域拡張に伴い、世田谷区が誕生した昭和七年当時は十七万三千人程度であった区の人口は、区制施行八十五周年を迎えた昨年には九十万人を突破しました。また、この推計によると、人口の増加傾向はしばらく続き、九年後の二〇二七年には百万人に迫ると見込まれています。世田谷区は十五歳から六十四歳までの生産年齢人口の増加が今後も十年以上継続すると予測される全国でも数少ない自治体の一つと言えますが、納税者数の自然増という現状の上にあぐらをかいて努力を怠ってはいけません。国内の多くの自治体が人口減少に苦しむ状況を対岸の火事ではなく、今後、世田谷区においても起こり得る現象として捉え、世田谷区が進むべき方向性を、区長みずからが示し、その上で課題解決を先送りせず、ひたむきに行政経営改革に取り組む必要があるはずです。  保坂区長の就任以降、我が会派は幾度となく不断の行政経営改革の必要性を訴えてまいりました。しかし、当の区長は馬耳東風のごとく聞き流すばかりか、他自治体に先んずることにこだわり、課題の抽出もおろそかなまま新規事業への着手を最優先する。その一方で、区民への負担や痛みを伴う見直しは職員に任せ、あげく、明確な理由も一切示すことなく先送りだけを指示する。これでは行政経営改革に消極的な区長との印象を拭い去るなどできるわけもなく、さらに申し上げれば、持続可能な自治体運営を担う決意、覚悟すら全く伝わってまいりません。  そこでまず、行政経営改革に対する区長の政治姿勢について伺います。  新実施計画後期の計画期間である今後の四年間には、統一地方選挙や新元号の施行、また消費税率引き上げのほか、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会の開催など、日本国内では区民生活にも直結する大きな動きがめじろ押しであり、まさに激動の時代を迎えます。世田谷区においても、アメリカ合衆国のホストタウンとしての取り組みや本庁舎整備など、失敗や後戻りが許されないプロジェクトを着実に推し進めつつ、次世代に重いつけを残すことなく、誰もが安心して暮らし続けられる地域社会の構築に向けて強固な財政基盤をしっかり確立しなければならない四年間であることは間違いありません。  このような状況の中で示された区の行政経営改革でありますが、基本方針並びに十の視点を見て、正直なところ、衝撃を受けました。振り返ること二年前、世田谷区の将来を見据え、マイナスの視点ではなく、積極的に攻め、プラスの視点からの施策展開につながる未来志向の行政経営計画の取り組みを次期新実施計画の中で明らかにすると声高らかに主張されていたことからも、保坂区長がどのような斬新なアイデアと手法で行革に向き合うのか、我々は多少なりとも期待していたからであります。しかし、提示された内容は、前の計画とさほど変わりがない平々凡々たるものです。せめてもの救いであり、また我々が唯一評価する点は、未来志向という文言を封印したことですが、実際のところは未来志向と名づけたくとも、行革内容が貧弱なため、仰々しい言葉を用いることがはばかられたものと推察をいたします。  そこで伺いますが、保坂区長は、みずからが掲げた未来志向の行政経営改革に向けた取り組みすら着手に至らなかったことについてどのように考え、どのように反省しているのでしょうか。区長自身が発する言葉の重みをかみしめ、我々議員を初め区民の皆様に丁寧にお答えください。  また、ふるさと納税による区財政への影響の増大が懸念される中、区はふるさと納税対策担当課を新設して、税収減への対応を図るとのことですが、行財政改革の基本中の基本は何といっても歳出の削減であります。三十年度予算では、施策事業の効率化と質の向上による歳出削減額が例年と比べて著しく少額であり、区財政の行く末が心配でなりません。行政経営改革に派手な手法は不要です。必要なのは、地味ながらも一歩一歩着実に根気強く断行する覚悟と実行力であると認識しておりますが、保坂区長はどのような姿勢で行政経営改革と向き合い、取り組むつもりであるのか伺います。  また、今後の社会保障関連経費の増大や公共施設の更新需要の増加のほか、大規模事業などの財政需要に的確に対応するためには、今のうちから優先的に財源を投入すべき政策を見定めておくことは不可欠です。しかし、先ほども申し上げたとおり、我々の目には保坂区長が他自治体に先んずることばかりにこだわり、課題の抽出もおろそかなまま、例えばワークスペース補助等の新規事業に着手するなど、事業の整理統合すらできていないように映ります。  区長就任以降、特別区税を初めとする歳入が堅調に伸びている幸運な状況になれてしまい、区の財政基盤はいわゆるメタボ体質になりつつあるのではないでしょうか。手おくれになる前の今こそ、身の丈に合った財政運営に立ち戻るべきでありますが、今回示された新実施計画後期における行政経営改革の取り組み内容では、ゆがみつつある財政基盤の体質改善には不十分であると言わざるを得ません。区はどのような戦略で強固な財政基盤の構築を目指すのか、具体的な手法をお聞かせください。  そして、強固な財政基盤を構築するためには、安定財源の確保が必要であります。区では、本年四月より財政制度担当参事を新設して、都区協議における対応の強化を図る予定でありますが、児童相談所移管に伴う運営経費の財源移譲に関する都区協議を突破口として、特別区の行政需要に見合う都区財政調整制度の再構築に挑むべきと考えます。区長の見解を伺います。  続いて、肥大化する一方の区の予算について伺います。  平成三十年度における一般会計の予算規模がついに三千億円を超えました。九十万都市としてふさわしい予算規模と評価する声もあるかもしれませんが、我が会派は、予算案の内容を見る限り、区が早急に取り組むべき政策の優先順位をつけずに、ことごとく予算計上した結果であると受けとめております。以前より我々は、膨張し続ける予算規模に対して警鐘を鳴らし、区長がリーダーシップをいかんなく発揮して、財政規律の確保に努めるよう主張してまいりましたが、今もってのれんに腕押しの状態です。  中期的な財政見通しを視野に入れ、基金繰入金、特別区債の徹底的な抑制を図り、健全財政を引き継ぐことこそが今を生きる我々の重大な責務であり、区長が子ども・若者施策に力点を置くのであれば、なおさらのこと、次世代を担う子どもたちに重い負担を背負わすことがないよう、これまでの姿勢を改め、財政面に気を配るべきです。相も変わらず場当たり的かつ放漫財政と言っても過言ではない平成三十年度予算案に関し、保坂区長は区民、特に未来を担う子どもたちに対して堂々と胸を張って説明できる内容であると考えているのでしょうか、区長の常識ある見解を伺います。  次に、組織改正について伺います。  我が会派は、かねてより区民の生命と財産を守ることに主眼を置き、小さな政府の実現と民間活用の推進に全力で取り組んでまいりました。それもひとえに限りある財源及び人材を行政が直接担わなければならない分野に、効果的かつ効率的に配分する必要があると考えるからであります。しかし、保坂区長は予算同様、組織についても、将来的なビジョンを描かずに、その場しのぎの対応に終始するなど、組織のスリム化に向けた取り組みをおろそかにしているのではないでしょうか。  刻々と変化する社会情勢に的確に対応するためには、急を要する組織改正が必要な場合も時にはあるでしょう。しかし、今回示された組織改正案を例に挙げれば、昨年四月に変更したばかりの所属名をわずか一年で再変更する行為自体、区民の存在を気にとめない役所中心の対応というほかありません。区民にわかりやすい組織づくりをまずは念頭に置き、そして新たな組織を新設した以上は、所管する事務事業にじっくりと腰を据えて取り組んだ上で、課題解決を図り、組織としての成果を上げることが、区民の利益に直結すると考えますが、区の見解を伺います。  また、二年前には都市整備領域を中心に大幅な組織改正が行われました。都市計画道路補助五四号線Ⅱ期、Ⅲ期区間を優先整備路線から外すという乱暴な判断を行った一方で、当時の保坂区長からはⅠ期区間の平成三十三年度末の完成を目指し、効率的かつ機動的な体制を整えて、用地取得の着実な推進を図るための組織改正である旨の答弁がありましたが、今のところ目をみはる進捗はないように見えます。  区はこの間の補助五四号線Ⅰ期区間の整備状況を顧みて、二年前の組織改正の検証を当然行っていると思いますが、その検証結果と今後の道路整備に要する人員体制の方針についてお答えください。  区では平成二年に道路整備方針を策定以降、四半世紀にわたり計画的な道づくりを進めてきましたが、まだまだその効果は限定的であり、慢性的な交通渋滞の発生や、通り抜け車両による住環境の悪化など、道路ネットワーク整備のおくれが原因として生じる問題を多く抱えております。  また、近年ではいつ起こってもおかしくない首都直下地震に備え、市街地を火災から守るための延焼遮断帯の形成や震災時における物資の輸送等を円滑に行うための緊急輸送道路の重要性が高まっており、さらには、高齢社会の進展に伴い、高齢者の誰もが安全かつ快適に移動できる道づくりが強く求められています。  改めて申し上げるまでもありませんが、都市計画道路の整備を初め、狭隘道路の拡幅、電線地中化等による歩行者空間の確保など、道路環境のさらなる改善は多くの区民の願いであります。区民の生命と財産を守る観点からも、道路率や平均幅員が二十三区の平均を大きく下回る現状を踏まえ、世田谷区の最大の弱点とも言える道路基盤の整備に全力を注ぐべきではないでしょうか、区の見解を伺います。  続いて、道路の保全についてです。  先日の都市整備委員会で舗装更新計画案が報告されました。以前より、この壇上において計画的な路面改良の推進を訴えてきた私からすれば、二十三区で最長の一千キロメートル以上の特別区道を管理している世田谷区の対応としては遅きに失した感は否めません。しかし、この間、予算の都合等により、舗装更新の先送りを繰り返してきた経緯を踏まえれば、一定の評価はいたします。  今回示された更新計画によると、全路線とも良好な路面状態にあるものの、前回調査と比べると徐々に劣化が進んでいることが判明しております。また、舗装に関する区民からの通報や苦情が一年間で二千件を超える現状も考慮すると、これ以上の猶予は到底許されません。区は無駄な工事を省くためにも、ガス、電気などの道路占用企業者との連携を密にとりつつ、年次計画通りに予算を計上し、舗装の維持、更新を効率的に行うべきではないでしょうか。本計画が机上の空論とならぬよう、区民の生活環境を守り抜くという気概を持って取り組む必要があると考えますが、区の決意を伺います。  続いて、区が保有、管理する建築物について伺います。  先ほど質問した路面改良と同様に、区が保有、管理する建築物の保全及び更新も先送りしてはいけない課題の一つです。新実施計画後期には、施設類型ごとの具体的な年次計画等が示されていますが、昨今の工事単価の断続的な上昇や児童数の増加に伴う学校施設の需要増などの影響により、公共施設等総合管理計画で掲げた施設保全、更新経費の抑制目標額の達成が早くも危ぶまれています。公共施設を保有している以上、管理に要する莫大な経費が固定費として重くのしかかるのはどの自治体も同じであります。  例えばさいたま市では、今後百年を見据えた公共施設の再編成を主軸とするアクションプランを策定し、老朽化が進む公共施設の現状や市の財政状況等を丁寧に提示するとともに、施設の規模縮小や統合など、従来の常識にとらわれずに、格段の努力を行う必要性を大々的にPRしています。  区においては、財政状況や行政需要を踏まえた施設整備手法を毎年度検討することとしていますが、検討結果の議会報告はもちろんのこと、区民に対しても区が保有、管理する建築物の現状をわかりやすく周知し、持続可能な施設サービスのあり方について幅広く議論する土台を築くべきではないでしょうか、見解を伺います。  続いて、本庁舎整備についてです。  区議会では、新庁舎議会施設検討会を立ち上げ、議場や委員会室を初めとする議会施設の配置・平面ゾーニング案の策定に向け検討を進めているところです。区においても、昨年四月に設置した本庁舎等整備推進委員会のもとに、テーマごとの六つの分科会を設け、執務環境や窓口等の諸課題に関する具体的な検討を行っていますが、今後も議会と行政が足並みをそろえ、本庁舎整備を推進していかなければなりません。中でも来年三月を目指して作業を進めている基本設計の策定に当たっては、資材、人件費等の高騰に伴う工事関連経費の動向を適宜、財政計画に反映するとともに、整備基本構想において基本的方針の一つに示した区民の安全安心を支える防災拠点となる庁舎の建設手法を徹底的に検証し、その検証経過を随時議会に報告すべきであると考えます。  さて、我が会派は、この間、プロポーザルにより選定された事業者が示す整備計画が区民会館の保存再生を前提としていることから、耐震性や執務スペース等の課題について指摘してまいりましたが、区が事業者の提案どおりに耐震改修工事を施した上で区民会館を保存するのであれば、相応の根拠を示す必要があるはずです。  東京都の構造設計指針で示されている病院や防災設備施設と同等の耐震性が担保されるとの理由だけでは不安が募ります。保存再生であっても、通常時には区民の皆様が安心して利用でき、また、災害時には世田谷地域の調達物資の集積地、配送拠点としても区民会館が十分な機能を保つと区が判断する合理的かつ明確な根拠をお聞かせください。  また、区は昨年、新庁舎における駐車場面積を縮減し、保健所の試験検査機能を本庁舎に集約することを基本設計の与条件に加えるなど、整備基本構想策定時からの状況変化が徐々に生じておりますが、ここで忘れてはいけないのが災害対策機能の強化や行政機能の集約化を初めとする新庁舎整備の当初目的であります。今後の社会情勢の変化等により、新庁舎にさまざまな機能が付加されれば、それに伴う職員数の増加が見込まれます。そして、窓口や執務スペースなどが十分に確保できず、再び近隣の建物や土地を借り上げる事態に陥ると同時に、庁舎の分散化を招き、区民サービスの悪化につながるおそれがあります。区は、五十年、六十年と使い続ける新庁舎整備に当たり、現計画で十分な執務スペースや来庁者用駐車場が確保できると考えているのか、改めて伺います。  繰り返しになりますが、本庁舎整備については、これ以上の後戻りは許されません。災害に強い本庁舎を一刻も早く竣工するよう、この場をかりて強く要望いたします。  次に、災害対策について伺います。  昨年は、九州北部地方を初め、日本各地で豪雨による自然災害が相次ぎました。また、先月の草津白根山の噴火など自然の猛威を見せつけられるたびに、いかに人間が無力であるかを痛感させられますが、我々はこのような災害を貴重な教訓としつつ、防災、減災に対する意識を新たにして前に進むしかないのであります。しかし、時間の経過とともに災害の記憶が薄らいでしまうことも事実であり、いつ起こるかわからない災害に対する日常的な備えがなかなか根づいていない現状が残念でなりません。  言うまでもありませんが、自治体における最も重要な責務は、住民の生命と財産を守ることであり、あらゆる手段を講じて防災力を高めなければなりません。そして、その防災力を高めるためには、自助力及び共助力の底上げと区民一人一人の防災意識の向上を図る必要があります。もちろんこれまでも地域住民の防災組織と区が協働し、さまざまな防災訓練を行っていますが、参加者は毎回ほぼ同じ顔ぶれであるのが現状です。地域の防災力を高めるためには、幅広い住民が防災意識を共有しなければならず、訓練や啓発の取り組みが毎年のノルマとなるようでは実施する意味がありません。  そこで、防災訓練に参加したことがない区民でも気軽に参加できるよう、訓練の実施方法を工夫するなど、地域防災力の向上に資する取り組みを強化すべきと考えますが、見解を伺います。  また、自助、共助だけではなく、もちろん公助力を強化する必要もあります。以前、我が会派が宮城県土木部の業務継続計画、いわゆるBCPについて視察した際、東日本大震災の発生時においては、沿岸地域への支援にBCPが大いに役立ったと伺いました。  区においても、地域防災計画の修正に伴い、業務継続計画を初めとする各種マニュアルの見直しを行ったところですが、それだけで満足してはいけません。職員が計画やマニュアルの内容を熟知し、いざ災害が発生した際には迅速に行動できてこそ意味があるものです。全ての職員が発災時に、的確かつ迅速な対応がとれるようにするための研修や訓練の実施など、今こそ実効性のある取り組みが必要ではないでしょうか、区の見解をお聞かせください。  次に、人材の確保、活用、育成に関し、四つの視点から伺います。  まず、区の人事政策についてです。  冒頭でも申し上げたとおり、政府は国難とも言える急速な少子・高齢化の克服に向け、人づくり革命に着手しています。人生百年時代を見据え、あらゆる人にチャンスをつくるとともに、幾つになっても学び直しとチャレンジの機会が保障される社会への転換が進むことを大いに期待するものであります。また、安倍首相が今国会の施政方針演説において、七十年ぶりの大改革と位置づけた働き方改革についても、長時間労働の慣行の是正や多様な雇用形態を確保することで、女性や高齢者を初めとする労働力の有効活用を図るなど、柔軟な労働制度の確立が待たれます。  この一連の流れは自治体にも波及し始めており、世田谷区役所版働き方改革の取り組みとして、幹部職員がイクボス宣言を行ったことは記憶に新しいところです。これらの取り組みを区長の単なるパフォーマンスで終わらせることなく、職員一人一人が能力や個性をいかんなく発揮し、活躍できる職場環境の整備をより一層進めていただきたいと思います。  また、区は、任期付職員制度の導入など新たな取り組みを始めたところですが、社会構造の変化に的確に対応できる強固な組織の構築に向け、政策立案の責任者である優秀な管理職の確保が急務であります。  そのためには、若手職員のうちから政策決定に携わる機会をふやし、政策形成能力を高める仕組みを築くなど、もう一歩踏み込んだ人材育成戦略が必要であると考えますが、見解を伺います。  続いて、児童相談所の移管に伴う人材確保策について伺います。  都区間における行政のすき間をなくし、子ども家庭支援センターと児童相談所が一体となって地域の支援を最大限に活用した児童相談行政に取り組むため、この間、区では児童相談所の移管を検討しています。しかし、我が会派は児童相談所の移管について、十分な人材や財源の確保が不透明な状況で移管を受ければ、逆に組織の弱体化につながり、児童虐待への対応を悪化させるおそれがあると考えており、これらの課題解決が急務であるとの立場であります。  区はこのたび、児童相談所の実務や人材育成、都からの業務引き継ぎ等の計画化を担当する副参事として、子ども・若者部に専門的知見のある任期付採用職員を配置するとともに、各総合支所には、児童相談所の開設準備を担う課長級職員を配置する予定であります。机上の計算では、体制強化が図られる印象を受けますが、児童相談所と子ども家庭支援センターの両者が十分に機能する体制を整えるだけの人材を確保するめどは立っているのか、改めてお聞きいたします。  児童相談所の移管は子どもたちの命にかかわる重大なプロジェクトであります。開設ありきの見切り発車をせず、人材確保策や財源などの課題を早期に解決し、区民の不安払拭に全力を挙げることを改めて強く求めておきます。  次は、高齢者施策としての人材活用についてです。  新実施計画後期によると、区は、高齢者、障害者、子育て家庭、生きづらさを抱えた若者、生活困窮者など、誰もが住みなれた地域で安心して暮らし続けられる社会の形成を目指して、医療、介護、福祉サービスや社会参加などの総合的な環境整備を進める予定です。  中でも、介護予防や認知症予防、健康づくりは団塊の世代が後期高齢者となるいわゆる二〇二五年問題に向けて、高齢者の生活をよりよいものにするためにも注力すべき取り組みであります。  区では、第七期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に基づき、生活習慣病対策を初め、介護予防・日常生活支援総合事業の充実や介護に資する区民の自主活動への支援などに積極的に取り組むとしていますが、高齢者自身が社会を動かす人材となって活躍するという視点も欠かしてはなりません。  世田谷区の高齢者は豊富な経験、技能、知識をお持ちの方も多く、日本全体で少子化が進み、社会を動かす人材が不足する中で、引き続き活躍していただくことが、地域社会にとっても、また御本人の人生を豊かにする上でも重要ではないでしょうか。誰もが生涯現役で働くという選択肢を選ぶことができるよう、まさに官民が連携して取り組むことがこれからは特に必要と考えますが、区の見解を伺います。  続いて、区内産業における人材育成の観点からお聞きします。  産業ビジョンが約十年ぶりに改定されますが、この十年間におけるICTの向上は目覚ましく、ネットショッピングの急速な拡大など、世田谷の産業を取り巻く状況は著しく変化しました。また、今後ますます発展するであろうAIやロボット、ビッグデータなどの新たな産業技術の活用は、第四次産業革命と言われているとおり、社会や経済のあり方を大きく変える可能性を秘めていることからも、時代の変化を敏感に捉え、区内の産業をさらに発展させる施策が求められています。そして、産業分野においても成長の鍵を握るのが人材であることは間違いありません。  先日示された産業ビジョン案においても、人材育成の施策体系が掲げられていますが、正直に申し上げて、これまでの既成概念から脱却できていない印象を受けます。区は、第四次産業革命をチャンスと捉え、区内産業及び地域経済の発展に向けて力を発揮できる人材をどのように育成していくのか、また、区民の生活を支える商店街や区と災害時協力協定を締結している建設業者など、公共的役割を担っている産業における世代交代の支援も急務であると考えますが、区の見解を伺います。  次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取り組みについてです。  今月九日に開幕した平昌オリンピックでは、連日熱戦が繰り広げられており、テレビで観戦していても、つい応援に力が入ってしまいます。二大会連続で金メダルを獲得した羽生結弦選手を初め、各国の選手の全力プレーに拍手を送るとともに、オリンピックという大舞台に上がるまでに人一倍の努力を重ねてきた全選手に最大の敬意を表したいと思います。  また、大会開催前は韓国国内で国民の関心を高めることに苦慮したとの報道もあり、オリンピックといえども、機運醸成には相当の労力がかかることを改めて認識したところであります。  東京二〇二〇大会開催まで残された時間は長くありません。区内ではJRA馬事公苑において馬術競技が開催されるとともに、大蔵運動場と大蔵第二運動場では、アメリカ選手団のキャンプが実施されます。また、アメリカ合衆国のホストタウンとして、スポーツ、文化、芸術などのさまざまな交流事業の実施も期待されるところですが、世田谷が東京二〇二〇大会の舞台になることを知らない区民もまだまだ多いと言わざるを得ません。平昌大会が終わればいよいよ東京です。区が旗振り役となり、区内全体を盛り上げるべき時期に達したのではないでしょうか。  そこで、東京二〇二〇大会に向けた機運を高め、かつ町のにぎわいを創出するためにも、区民に対するPRを本格的に行うべきと考えますが、区の見解を伺います。  また、東京二〇二〇大会の期間中には、訪日外国人を初め、多くの観光客に対する宿泊施設の不足が懸念されていることから、住宅宿泊事業、いわゆる民泊の活用に期待が寄せられています。  区では、この間、生活環境の悪化防止を基本に観光客等の受け入れ環境を整備する側面も考慮に入れ、住宅宿泊事業の適正な運営に関する条例案を検討してきました。条例骨子案の段階では、月曜日の正午から土曜日の正午までと定めていた制限期間にただし書きを設け、草の根的な国際交流を図る方々に配慮した条例案に前進させたことは評価いたします。制度開始以降も実態の把握に努め、世田谷の特性に見合った民泊制度が運用されるよう、さらなる工夫を求めておきます。  最後に、教育政策について伺います。  新実施計画後期に合わせて教育ビジョンの第二期行動計画が策定されます。英語教育の充実や理数教育、プログラミング教育等の推進など、時代に即した新たなカリキュラムの充実が盛り込まれており、教員の能力向上と並行して着実に進めていただきたいと思います。  また、我が会派はかねてより、教育においては道徳教育の充実が重要であり、道徳性を身につけることで、初めて自身の学力や体力が社会の役に立つと考えております。しかし、このたび示された行動計画における道徳教育の充実の年次計画には、研修の実施や指導資料の検討、作成など、同じ内容が四年間横引きされているだけです。さらに、全教員に占める若手教員の割合が高い傾向が続く中で、いよいよ本年四月より、小学校において教科化される道徳教育の実施に不安を抱いているところであります。  子どもたちの豊かな人間性の育成に向け、よりよい生活習慣や規範意識を身につけさせるためには、道徳教育に対する教育委員会の姿勢をしっかりと現場の教員に示す必要があると考えます。  そこで、教育委員会はどのようなスタンスで道徳教育の充実を目指すつもりなのか伺います。  さて、三十年度予算は学校改築数の減に伴い、教育費における投資的経費が大幅に減少しております。このような年には、次年度以降の改築校の増加に備えて、義務教育施設整備基金に財源を積み立てておくことが健全な財政運営を図る上での鉄則であります。  ところが、政策的な基金積み立ては皆無であり、一方で、eラーニングを活用した家庭学習支援や北沢小学校統合に伴うスクールバスの運行など、議会における議論が不十分である事業に予算が計上されている実態があります。また、議会から費用対効果に疑問の声が上がっている教育総合センターや多文化体験コーナー整備など、器や理念ばかりが先行し、肝心の中身は後から考えるというサイクルが常態化しているとも言わざるを得ません。さらに申し上げれば、特別職である教育長の海外視察を議会報告せずに試みるなど、教育委員会の粗雑な体質に閉口しているのは、我が会派だけではないはずです。  未来を担う子どもたちのことを最優先に考え、教育の充実を図ることは当然必要です。しかし、教育の充実を図るための財源は区民から預かった貴重な税金であり、教育政策を錦の御旗と見立て、次々に予算化する手法にも一定程度の自戒が必要です。  そこで提案いたしますが、教育政策の立案過程を明らかにするためにも、また教育費における経常経費をむやみに増加させないためにも、事務執行の責任者である教育長と予算編成権者である区長が、総合教育会議において議会からの意見や中長期的な財政見通しを踏まえつつ、胸襟を開いて協議し、新たに予算化する事業を取捨選択するなどしてはいかがでしょうか。これこそが教育行政における責任体制の明確化とともに、総合教育会議の設置が義務づけられた法改正の趣旨でもあると思いますが、区長と教育長のそれぞれの見解をお尋ねいたします。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
       〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 和田議員にお答えをいたします。私からは、四点にわたり御答弁をいたします。  まず、未来志向の行政経営改革について、今後どのような姿勢でこの行政経営改革と向き合うのかという御質問です。  直近の区の人口推計では二十五年後には百八万人を超えるとされておりまして、これから超高齢社会に一気に突入することになります。区においても単身世帯は拡大を続けておりまして、家族のあり方の変化、支えあい、助け合いの関係性の希薄化の中で、孤立し、誰にも頼れないという人をどのように支えるのか、今後ますます重要な課題となってきます。また、公共施設の老朽化による更新需要も拡大し、建てかえ等への備えも必要となります。  未来志向の行政経営改革は、従前からの事業見直しにとどまらず、人口増に比例して業務量が増加する状況を大胆な組織改革と行政改革で迎え撃つものであり、既に福祉の相談窓口の二十七地区への展開や総合支所におけるくみん窓口の開設等で先行して実施をしてまいります。また、新実施計画後期では、その実行策として、行政のみが課題を背負うのではなく、区民、事業者の参加を受け、参加と協働を基軸とし、地域や地区に立脚した区民との協働を進めることができる職員の育成、公共施設更新の長期計画など、将来に備えるための改革を盛り込みました。  一方、安定した財政基盤の構築のためには、必要性や有効性の観点からの事業見直し、官民連携や民間活用のさらなる推進、事業手法改善によるコスト縮減の取り組みも大変重要であり、これらの取り組みも新実施計画に位置づけております。三十年度当初計画に位置づけた取り組みだけではなく、改革を粘り強く進めていく取り組みをさらに拡大をいたしまして、不断の行政経営改革に取り組んでまいります。  次に、児童相談所移管に伴う財源移譲に関する都区協議をしっかり実現せよという御指摘をいただきました。  今年度の都区間の協議では、先行する区の準備経費については特別交付金の中で取り扱うことが確認されました。一方、経常的な運営経費については、都区の配分割合を見直すことについて、後から明確な見解が示されなかったため、今後の課題となってございます。児童相談所設置に関して財源確保は不可欠であり、特別区一体となって都側と引き続き協議を進めてまいります。  児童相談所の区による設置は、子どもの生命、安全を第一とするとともに、自治権拡充に向けた分権改革の一つであると捉えています。以前より私は九十万都市世田谷として、特別区の権限や財源は必要以上の制約を受けていると申し上げてまいりました。とりわけ、財政調整制度の議論を進めるに当たりましても、そもそも財調財源である固定資産税、法人住民税等の区への帰属額すら明らかにされておらず、また調整税の四五%が東京都においてどのように使われているのか、その内訳も明らかになっていない、先般、議会からこういった御指摘もございましたので、先日、小池知事との意見交換、各区長、二分ずつだったんですが、この点強く公開を求めた次第です。区の独自性の発揮に当たり、自治権拡充の観点からも、これら基礎となる数字、税収についてしっかり都側に公開を迫っていきたいというふうに考えております。  今後も機会を捉え、都区のあり方検討委員会での議論再開を求めていくなど、税源移譲も含めた都区財調のあり方を提案し、九十万都市にふさわしい財源確保に精力的に取り組んでまいりたいと思います。  次に、平成三十年度当初予算案が未来を担っていく子どもたちに対して胸を張って説明できる内容になっているのかどうかという御質問をいただきました。  平成三十年度予算案は、新実施計画後期のスタートに当たり、基本計画に掲げる六つの重点政策の実現に向けた事業のさらなる推進に向け、地域包括ケアシステムの相談体制の充実や保育待機児解消対策、世田谷版ネウボラや教育環境の充実など、九十万区民の暮らしをつくる参加と協働の予算として編成いたしました。  当初予算として、平成三十年度予算案は、初めて三千億円台となり、新実施計画の開始年度である二十六年度当初予算と比較いたしますと四百四十億円の増となっております。これは民生費への重点配分三百五十億円増によるものが大きく、喫緊の課題である待機児対策として行ってきた保育施設整備や私立認可保育園の運営費などを初めとする児童福祉関連経費が二百二十八億円の増、民生費の増額の六割を超えております。加えまして、障害者福祉関連経費で五十二億円の増、高齢者福祉関連経費で二十六億円の増のほか、国民健康保険事業会計など三特別会計への繰出金や梅ヶ丘拠点整備費の増なども民生費増の要因となっております。  これらの施策の経費につきましては、国、都の補助金や社会保障関連経費の財源と位置づけられている地方消費税交付金を原資にいたしまして、次世代につながる施策の充実を図ってきたものと考えています。  現在の実施計画初年度の児童福祉、教育にかかわる子ども関連予算は六百億円でしたが、平成三十年度予算案では八百七十七億円となり、二百七十七億円の増となっております。また、この間、人口は八十六万七千人から九十万人へと三・七五%の増加を見ており、人口の増加を受け、需要も増大をしています。  一方、歳入の面では、ふるさと納税制度の活用などによる寄附収入の増や土地活用など、収入増にも力を入れてまいりました。このような状況の中、これまでの財政運営において、基金残高が起債残高を上回るなど、健全財政の維持に極力努めてまいりました。  区の歳入の根幹である区民税は、経済状況による変動要因が大変大きいところですが、景気動向を見定めた上で、財政運営に当たることはもとより、中期的な財政需要の見通しを踏まえ、基金積み立てなど財源確保も適切に行うなど、堅実な財政運営を行っていきたいと考えております。  最後に、総合教育会議の活用という御質問でございました。  地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正され、世田谷区においても、区長である私と教育長、教育委員が、教育政策の方向性や推進のための協議の場として意見交換を行う総合教育会議を平成二十七年から区民に完全に公開して開催をしております。今年度も七月、十月と二回教育委員会主催の教育推進会議と同時開催をいたしまして、多くの区民の参加を得ながら、総合教育会議を開催しました。  私は、IT技術の急速な進化やグローバル化の進展、予見が難しい時代の変化の中で、子どもたちがみずから判断し、未来を開く力が必要になってくると考えており、こうした問題意識から、学びの質的転換と新教育センターの役割、幼児期からの豊かな遊びと学びの環境づくり、配慮を要する子どもたちと学びの多様性、子どもの可能性を伸ばす学校外の教育環境、この四つのテーマを設定し、議論を深めてきたところであります。  総合教育会議の役割は、大綱に基づく世田谷区の教育のあり方、方向性の骨格を定めていく場であります。今後も、学校や教育、そして学力や知力はどうあるべきなのか、具体の取り組み課題や区の財政状況を踏まえながら、教育行政のあり方についての議論を一層深め、教育委員会と方向性をしっかり共有する必要があると考えています。  これからの時代を生きる子どもたちにとって、最もよい教育を行うことを第一義に、オープンな場で議論を積み上げ、教育委員会と連携して世田谷らしい質の高い教育を推進してまいります。  以上です。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、六点について御答弁申し上げます。  最初に、強固な財政基盤の構築についてであります。  行政需要の多様化と拡大が続く中で、持続可能な区政運営を図るため、新実施計画後期の行政経営改革では、強固な財政基盤の確立を基本方針の一つとして掲げ、新公会計制度を駆使した行政評価の充実と民間活用など四つを柱として取り組んでまいります。  限られた財源の中では、政策目的に照らし、施策事業の選択を行うことは必須であり、施策事業の優先順位づけが肝要となります。そのため、複雑化し、非効率的になっている業務の手順を整理、標準化することで、AIの視点を入れて、事業手法の最適化の徹底にも取り組んでまいります。  さらに、官民連携や民間活用により、公有財産にとどまらず、幅広く社会資源の活用を図り、公的サービスの担い手の拡大やコストの最適化を図ることが重要だと考えております。  民間からの提案の下地となるサウンディング調査の実施、公共施設整備、運営等での新たな手法の拡大を目指すほか、さまざまな手法による税外収入の確保、区民サービスの向上とコスト縮減の両立に取り組んでまいります。  これらを着実に進めることで、行政経営改革の取り組みの具体化、拡大を図り、持続可能で強固な財政基盤の構築を目指してまいります。  次に、組織改正についてであります。  組織改正につきましては、変化する区民ニーズに的確に応えるため、限られた人員を最大限有効に活用できる体制とするため、毎年度基本方針を策定し、取り組んでおります。平成三十年度の組織改正は、喫緊の課題への対応のほか、世田谷区基本計画が五カ年目となり、今後四年間の新実施計画後期がスタートすることを踏まえ、各種行政計画に掲げた取り組みを着実に推進することを主な目的として取り組んだところでございます。  主な政策課題の対応といたしましては、児童相談所の開設準備が本格化することを踏まえまして、子ども・若者部の体制の強化を図るとともに、各総合支所に組織として保健福祉センターを設置し、地域包括ケアの推進体制の強化を行うこととしました。また、新たな産業ビジョンの着実な推進と東京二〇二〇大会を見据え、経済対策や幅広い産業連携、観光交流の取り組みを強化すべく、体制の整備を行ったものでございます。  今後とも、中長期的な組織や人員体制のあり方と、区民にわかりやすい組織であることに十分留意し、機動性を持って施策の遂行に取り組み、区民サービスの向上につながる組織となるよう努めてまいります。  次に、区民会館の保存、再生についての根拠についてでございます。  区民会館につきましては、区民利用施設であることから、何よりも利用者の安全確保が重要であると考えており、災害時におきましても、人命を確保し、安全に避難場所へ誘導できるよう、建物が倒壊、崩壊しない耐震性能を有することが必要となります。建物の耐震性能につきましては、国の基準で構造体Ⅰ類からⅢ類に分類されますが、平成二十八年九月に取りまとめられました国の熊本地震の被害原因の報告におきまして、一般的な建物に適用される構造体Ⅲ類である新耐震基準について、建物の倒壊、崩壊の防止に有効であったとされております。  本庁舎等整備基本構想におきましては、区民会館は区民利用施設であるとともに、救援物資の集積場所として位置づけておりまして、保存、再生におきましても、建物の倒壊、崩壊の防止を目的とするⅢ類よりも、耐震性にすぐれ、構造体の大きな補修を行うことなく、建物への出入り、物資の搬出入が継続して可能であるⅡ類相当の耐震性能を確保することにより、人命の確保はもちろんのこと、物資集積場所としての機能を発揮することが可能であると考えております。  今後、基本設計の中で区民会館の必要な機能が確保できる構造体Ⅱ類相当以上の建物となる適切な改修方法を検討し、議会並びに区民に御報告し、意見をいただきながら進めてまいります。  次に、新庁舎整備に当たりまして、将来の見込みについて立てているのかという御質問でございます。  本庁舎等整備基本構想では、設計要件といたしまして、災害時に直ちに災害対策本部となる本庁舎等に、必要な機能を初め、区民サービス向上の観点等から必要となる機能や規模をまとめました。  一方で、基本構想段階では検討していくとした項目もございます。お話にございました公用車の駐車場台数や保健所の試験検査機能につきましても検討していく項目としたもので、その後、庁内で検討し、公用車は削減していくこととし、試験検査機能は保健所の一体的な整備の中で、本庁舎に集約することといたしました。現在、プロポーザル提案をもとに、こうした設計要件の修正部分の対応につきまして、検証、検討を行っているところでございます。  職員数につきましては、行政需要の増加等による増要素が見込まれる一方、地域行政の推進や働き方改革等による減要素も想定されます。こうした状況も踏まえつつ、今般の職員数の変化や将来の状況変化への対応を考慮し、本庁舎等の規模算定の一つの基準となる職員数をプロポーザル時点からふやし、三千百名として設計を進めていく考えです。  本庁舎は、二十一世紀半ばを長期にわたり区政を支える拠点となると認識しており、将来を見据えた基本設計の基本的な方針を今後まとめ、設計に取り組んでまいります。  次に、若手職員によります人材育成戦略についてであります。  今後、さらなる少子・高齢化の進展など、社会構造の変化に対し、職員全てがその職責に応じました職務遂行能力が求められることはもとより、管理職におきましては、高い次元での政策形成能力や経営感覚、危機管理能力などが必要とされているものと考えております。  こうした政策形成能力などは、研修計画やOJTといったこれまでの人材育成プロセスに加えまして、若手と言われるときから区の政策形成や区政課題の検討にかかわる機会を得て、参画意識を高めることで、より実践的な経験により、職員が育っていくものと考えております。  本年度、新実施計画の策定に向けたグループワークや、本庁舎整備に向けたワークショップなどへ若手職員が参加するなど、具体的な取り組みを行ってきたところですが、引き続き、多くの若手職員がこうした政策形成や区政課題の検討にかかわれる機会を持つ必要があると考えております。  あわせまして、幅広い視野や柔軟な発想につながるよう、他自治体や民間企業の取り組みを学ぶ機会を確保するなど、今後の区政を担う資質能力を備える人材の育成に取り組んでまいります。  最後に、児童相談所の移管に伴う人材確保についてでございます。  現在、児童相談所への派遣研修や任期付採用職員の採用など、児童相談所の人員体制の整備を進めておりますが、区の児童相談所と子ども家庭支援センターがそれぞれの機能を十分に発揮するためには、子ども家庭支援センターの体制強化も必要になるものと考えております。  強制介入権を持つ児童相談所と在宅支援のサービスを提供する子ども家庭支援センターの役割分担や、虐待通告の受け付けから対応の流れなどを明らかにし、役割に応じた適切な人員配置を行う必要があり、現在その検討を進めているところでございます。平成三十年度におきましては、児童相談所の移管等を踏まえた保健福祉部門の強化に向け、各総合支所に子ども家庭支援センター担当副参事の新設をいたします。  議員のお話にございました各総合支所に新たに配置する児童相談所開設準備を行う課長級職員は、この子ども家庭支援センターの担当副参事が兼務するものであり、児童相談所の開設準備とともに、子ども家庭支援センターの体制につきまして、ともに強化を図ってまいります。  児童相談所開設時におきます子ども家庭支援センターの機能、役割を確実なものとするためには、平成三十年度の早期におきまして、区の目指す児童相談行政の姿をお示しし、御理解を得た上で、平成三十一年度には子ども家庭支援センターの充実を進めたいと考えております。  以上でございます。    〔岡田副区長登壇〕 ◎岡田 副区長 私からは、区内産業における人材育成について二点御答弁申し上げます。  まず、第四次産業革命と区内産業の人材育成についてでございます。  少子・高齢化に伴う生産年齢人口の減少による人材不足や国内市場の縮小などの社会経済状況の変化に対応し、区内産業の生産性の向上や付加価値の拡大を図っていくためには、AIやロボットの活用など、第四次産業革命と言われている新たな産業技術の活用が今後ますます重要になると捉えております。  また、新たな産業技術を区内産業の振興につなげていくためには、今後の区内産業を担う若手・中堅層を中心として、社会の変化に対応し、新たな視点から取り組むことができる人材が輩出されることが必要となります。  具体的な支援策として、AIやIoT等の新しい産業技術の導入に関する専門的な知識やノウハウを有する経営支援コーディネーターの活用や産業技術に関する研究、普及、技術支援などを行っている東京都立産業技術研究センターとの連携による新たなビジネスモデルの開発や産業技術の導入支援などの取り組みにより、区内事業者における新たな産業技術の導入と活用を推進し、それに伴う従業員の知識やノウハウの習得を促してまいります。人材の確保と育成は区内産業を支える重要な基盤であり、新たな産業ビジョンにおきましても、世田谷人材の育成と活躍を産業全体にかかわる重要な課題軸として位置づけております。  まずは区内事業者への支援を通じて、区内産業及び地域経済の発展を担う気鋭の人材の育成につなげてまいります。  次に、商店街や建設業など、世代交代の支援についてでございます。  商店街や建設業を初めとする地域において公共的役割を担っている重要な産業においても、少子・高齢化の進展や働き方の多様化に伴う雇用のミスマッチ、東京二〇二〇大会に向けた建設需要の増加などを起因といたしまして、若手・中堅人材を中心とした担い手不足が大きな課題となっております。区といたしましても、商店街や建設業における人材育成の観点から、商人塾や建設業人材確保、中小企業若年者就職及び定着支援事業の実施など、若手・中堅世代の人材育成支援に取り組んでまいりました。  新たな産業ビジョンにおいても、区内産業における人材の確保と育成に重点を置いていることを踏まえて、まちバル、まちゼミの支援などによる商店街の魅力の発信や建設業の魅力の発信を目的としたPR活動などにより、若手・中堅人材が担い手として意欲を持って継続的に取り組めるよう、業界の活性化を支援していくことにより、世代交代のニーズに備えるとともに、公共的役割の継続と発展を図ってまいります。  以上でございます。    〔堀教育長登壇〕 ◎堀 教育長 総合教育会議の有効活用について御質問いただきました。  先ほど区長からも御答弁がありましたように、私ども教育委員会は、平成二十七年度の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正後、総合教育会議を教育委員会がそれまで単独で取り組んできた教育推進会議と同じ日、同じ会場において連続して開催しております。このことにより、総合教育会議における区長と教育長、教育委員の方々の議論の趣旨がより多くの方々に届くと同時に、教育推進会議に御参加いただいている方々のシンポジウムやワークショップへと充実、発展するなど、世田谷区としての特色ある取り組みとなっております。  今年度は、不登校対策や特別支援教育、また幼児教育や新たな教育センターとしての教育総合センターなどについて議論、検討してまいりました。これらは、第二次世田谷区教育ビジョン・第二期行動計画を初め、特別支援教育や不登校対策、教育総合センター基本設計や幼児教育・保育推進ビジョンの諸計画等に反映しているところでございます。  区長と教育委員会が十分な意思疎通を図り、教育の諸課題を共有し、区民からの意見も踏まえて、教育行政の推進を図ることは重要であると改めて認識しております。  今後とも、さまざまな機会を通してこの新しい制度を活用し、これからの世田谷の教育について協議してまいります。  以上でございます。 ◎小山 道路・交通政策部長 私からは、道路整備に関しまして二点についてお答えいたします。  まず、道路整備に関する組織の検証と人員体制の方針についてです。  下北沢周辺の都市計画道路事業については、一昨年度の組織改正により、執行体制を強化し、注力してきたところでございます。事業実施に当たっては、進捗状況を管理しながら進めており、用地取得率を見ますと、毎年の伸びも上向いてきております。  土地売買契約を結んでも、直ちに建物が取り壊され、土地が更地になるわけではないため、なかなか用地取得が目に見えてこないというところでございますが、全体として着実に進んでおり、数値化は困難ながら、案件ごとの用地交渉の熟度も向上してきており、今後の用地取得契約につながっていくものと考えております。  今後の人員体制についてでございますが、多くの労力を要しました下北沢の駅前食品市場の土地収用に一定のめどがついたことから、既に他の案件、全体の事業推進に人員投入のポイントをシフトさせております。一昨年度の組織改正以降、他の事業執行路線においても、補償説明等の外部委託の活用も進めているところであり、今後も引き続き、より効果的で効率的な人員配置と事業執行に努めてまいります。  次に、道路基盤の整備に全力を注ぐべきとのお尋ねについてお答えいたします。  道路は、高齢者、子ども、障害者を初め全ての区民の生活を支える最も基本的な社会基盤でございます。また、都市の骨格となる地区幹線道路に関しましては、災害時の延焼遮断帯機能、避難路、緊急物資の輸送路などに加え、細街路への通過交通の流入の抑制に寄与するなど、必要不可欠な都市施設でございます。一方、世田谷区の道路整備の水準は大変低い状況となっており、安全な歩行者空間の確保やさまざまな施設への円滑な移動、防災上の問題など、区民の生活に多くの支障を来していると認識しております。  区民の安全安心のために、区といたしましては、今後とも、せたがや道づくりプランに基づき、都市計画道路から地先道路まで、区内の道路ネットワークの計画的な整備に全力で取り組んでまいります。  以上です。 ◎五十嵐 土木部長 私からは、道路の保全についてお答えいたします。  現在、区では、二十三区で最長の一千九十四キロメートルの区道を管理しています。道路は区民生活を支える最も基礎的な都市施設であり、道路を構成する舗装は区民の安全で快適な移動のために常に良好な状態で維持管理する必要がございます。一方、区道全体の舗装の状況については、バス通りなどの主要な区道、生活道路が中心のその他の区道ともに劣化損傷は進行しており、現在の管理手法、更新頻度では将来、劣化損傷が拡大し、道路管理上さまざまな問題が発生するおそれのあることが調査により判明いたしました。  区では、舗装の劣化予測、更新サイクルなど、五十年間のシミュレーションを行い、十年間の舗装更新の予定などを示した世田谷区舗装更新計画を世田谷区公共施設等総合管理計画の個別計画として策定することといたしました。今後は、この舗装更新計画に基づき、舗装の長寿命化によるライフサイクルコストの縮減、定期的な点検の実施などによる予防保全型管理の導入、道路占用企業が行う工事との連携強化などを図ってまいります。  計画実施に向けましては、本計画に基づいた進行管理を徹底し、さらなる効率化にも取り組み、区民の安全で快適な道路利用環境の維持保全に全力で取り組んでまいります。  以上です。 ◎岩本 政策経営部長 私からは、公共施設の保全及び更新について御答弁申し上げます。  公共施設等総合管理計画では、施設の計画的な維持管理や更新を行うことで、建物について整備及び維持管理に係る経費を年平均三百七十億円程度に抑制することを目標に掲げております。一方で、人口増に伴う学校施設などの施設需要の増や近年の工事単価の継続的な上昇など、目標達成を一層難しくさせる要因が生じている状況がございます。  このため、既存施設を適切に保全、長寿命化し、合理的な更新を進めることに加えまして、建物仕様の見直しなどの経費抑制策や財政状況、行政需要を踏まえた建物整備の内容、時期の見直しの検討も必要であると考えております。また、官民連携手法を活用し、施設整備や維持管理に新たな手法を取り入れることの検討も行ってまいりたいと考えております。  こうした取り組みを進める上で、区の公共施設にかかわるコストを初め、公共施設の現状と課題を区民の皆様に御理解いただくことが不可欠であると認識しております。例えばイラストを活用してわかりやすく情報提供するなど周知の方法を工夫し、区民の理解を得ながら施設総量の抑制、経費の抑制に着実に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎小堀 玉川総合支所長 私からは、災害対策について、防災訓練に参加したことがない区民でも、気軽に参加できるような地域防災力の向上に資する取り組みについてお答えいたします。  地域防災力を高めるためには、区民一人一人の防災意識の向上が不可欠です。このため、区では、町会・自治会や事業者とともに、気軽に多くの方が防災訓練に参加していただけるよう、内容や周知方法についてさまざまな工夫をしております。例を挙げますと、内容につきましては、起震車を使った地震体験や煙を通り抜ける訓練、アイマスクをつけたり、車椅子に乗って避難する訓練、スタンドパイプを活用した放水訓練等、親子で楽しみながら防災を学べる体験型訓練を実施しております。  周知につきましては、町会やマンションの回覧や戸別配布に加え、近隣の幼稚園、保育園、小学校にポスターを掲示するとともに、全児童にチラシを配布しております。  訓練は、近隣の福祉施設、大学等にも参加、協力を求めるなど、地区を挙げた訓練としております。多くの方々に参加していただいております。また、お花見や盆踊りなどのイベントで防災を学べるコーナーを設ける町会もございます。  今後は、こうした気軽に参加できる防災訓練や地域行事が多くの地区で実施できるよう、町会・自治会等に提案するなど、地域防災力の向上に引き続き取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎澤谷 危機管理室長 私からは、引き続き災害対策について実効性のある取り組みが必要ではないかとの御質問に御答弁申し上げます。  区では、地域防災計画の修正に伴い、今年度、世田谷区業務継続計画を初めとする震災時の職員行動における各種マニュアル等の修正に取り組んでまいりました。これらのマニュアル等は、災害が発生し、利用できる資源に制約がある状況下で、組織や職員個々が適切な行動をとることができるように、また、職員が適切な行動をとるために必要な資源の準備等について定めたものでございます。
     議員御指摘のとおり、実際の災害において、こうしたマニュアル等が十分にその効果を発揮するためには、職員一人一人がその内容を理解するとともに、発災時を想定した具体的な行動訓練が必要であると考えております。そのため、区では、昨年度から、これまでの実動訓練に加え、区における被害想定や災害対策について区職員が学ぶための機会として、全職員を対象とした防災研修を実施するとともに、被災地の自治体等から講師を招き、具体的な事例や必要な心構え等を学ぶための研修を全管理職を対象に実施しております。  また、毎年、警察、消防、自衛隊、ライフライン等の関係機関との合同訓練を実施するとともに、災対各部においても実効性のある訓練を行い、引き続き全職員へ向けたブラッシュアップを図っております。  今後も、研修や訓練等をしっかりと重ねながら、引き続き全職員の災害時の対応力と意識の向上に努めてまいります。  以上です。 ◎久末 産業政策部長 私からは、豊富な経験、技能、知識を持つ高齢者が現役で働くための官民が連携する取り組みについて御答弁申し上げます。  少子・高齢化の進展により、労働力人口が大幅に減少することが懸念され、また、公的年金の受給年齢の見直しが検討されている中で、経済や社会の活力を維持していくためには、高齢者が健康で意欲と能力がある限り働くことができる環境整備が求められております。同時に、高齢者にとっても生きがいを持って社会参加することは、健康維持、介護予防となることが期待されています。  高齢者の就労支援を行っている三茶おしごとカフェにおいても、仕事を希望される高齢者は多く、昨年度の利用者のうち六十五歳以上の新規登録者数は約三百名で、全体の一〇・六%を占めておりますが、就労先も少なく、なかなか就労に結びついておりません。今後は、働く意欲のある方が自己の個性や能力を十分に発揮して働くことができるよう、ハローワークや東京都と連携し、地域で高齢者向けの就職支援セミナーを実施することや、高齢者の特性に合わせたマッチングに向けて、官民が連携して区内の求人開拓を積極的に行うことにより、高齢者の就労促進を行ってまいります。  以上でございます。 ◎平澤 スポーツ推進部長 私からは、東京二〇二〇大会に向けた機運醸成について御答弁申し上げます。  平昌大会でメダルを獲得した選手の中には、区内の大学に在学もしくは卒業したいわば世田谷ゆかりのアスリートが何人もいらっしゃり、区といたしましても大変誇りに感じております。  平昌大会の熱気を東京二〇二〇大会につなげるため、馬術競技会場であり、アメリカ選手のキャンプ地、またホストタウンでもある区のこれからの二年五カ月の取り組みは、まさに正念場を迎えると認識しております。  区では、昨年一月に取りまとめた「二〇二〇年に向けた世田谷区の取組み~東京二〇二〇大会後を見据えて~」が、庁内各所管が主体となって着実に実施されるよう、今年度、スポーツ推進部に新たに調整担当課を設置して、事業の進捗状況の把握や領域横断的な情報共有、事業調整を図っているところでございます。  平成三十年度開会八百日前などの機運醸成イベントの開催を初め、スポーツや観光、国際、文化、芸術、環境、福祉、教育など、さまざまな分野で全庁を挙げて大会のPRを本格化させてまいります。また、ボランティアの活動支援やお話がございました住宅宿泊事業の活用などが進むよう、庁内所管と緊密に連携し、区民の参加や事業者の協力をいただきながら、町のにぎわいの創出に向けてさらに積極的に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎工藤 教育政策部長 私からは、道徳の教科化について御答弁いたします。  道徳が教科となる背景には、平成二十三年に大津市で起こった深刻ないじめによる重大事件や子どもを取り巻く地域や家庭の変化などの問題があり、これからの予測困難な時代を生きる子どもたちが、みずからさまざまな意見交換を重ね、道徳的な判断力や実践意欲を育成することが求められております。  新しい学習指導要領を受け、世田谷区教育要領、特別の教科道徳に、問題解決的な学習や体験的な学習による新しい指導方法や、子どもを認め、励ます内容を数値でなく文章で記述する個人内評価の考え方を取り入れました。  特に道徳的価値に関する考え方や行動、学習状況などについて、一定の期間の中でいかに成長したかを積極的に受けとめて評価することが重要であることから、学識経験者を招いた研修や授業研究、学校訪問での指導助言を行うなどして、教員への周知と授業力の向上に努めてまいりました。また、家庭との連携の機会である道徳授業地区公開講座につきましても、保護者や地域の方へ、道徳の教科化についての周知を進めてまいりました。  今後は、いじめや情報モラルなどの現代的な課題につきましても議論するなど、地域ぐるみでの子どもたちの豊かな心を育む工夫をしてまいります。  こうした取り組みを通じて、これからも質の高い指導方法と子どもの道徳性や学習意欲を伸ばす評価の研究や研修を継続し、全ての教員の指導力を向上させ、道徳教育の一層の充実を図ってまいります。  以上でございます。 ◆四十番(和田ひでとし 議員) 三十年度予算について再質問させていただきます。  今から二年前、我々は区政の停滞を招いている保坂区長に対し、議会の存在を軽視する言動を改めることを求める決議を可決いたしました。その内容は、区議会の意見や提案に耳を貸さない保坂区長の姿勢をただすものでありました。しかし、先ほどの質問で触れたとおり、三十年度予算案には、まだまだ議会での議論が必要な北沢小学校統合に伴うスクールバスの運行やワークスペース補助事業などの事業費が計上されており、二年前の決議の重要さが全く伝わっていないように感じます。  そこで、区長は、区民を代表する我々議員と十分に議論した結果として、これらの新規事業を予算化したとの認識なのでしょうか、改めて伺います。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 和田議員の再質問にお答えをいたします。  区議会と区政は車の両輪として、真摯かつ率直な意見交換をもとに世田谷区政をつくり上げていきたいという思いのもと、これまで基本計画に掲げる六つの重点政策の実現に取り組んできたところでございます。  今般の予算編成におきましても、庁内各部との議論、検討、これを重ねまして、また議会での御意見や要望などの報告を受けながら、限られた財源の中で優先順位を見きわめた上で、喫緊の課題対応など、区民サービスの充実、向上に努めてまいりました。  御指摘の課題につきましては、国との意見交換や地域住民との話し合いを経て、さまざまな御意見、御提案をいただいて、区としても必要性の観点から予算計上した経緯がございます。実施に当たりまして、引き続き御意見を伺いながら進めてまいりたいと思います。 ◆四十番(和田ひでとし 議員) 何度聞いても行政と議会は車の両輪であると、いつもこの文言を使っていらっしゃいますけれども、車の両輪というのは、やはり両方の輪がバランスよく保たれていなければやっぱり前に進めないと思います。今のこの状況を考えますと、決してこの両輪はバランスが保たれているとは私は思いません。ぜひともその点をまた今後の予算委員会でもしっかりと質問させていただきたいと思います。  以上で自由民主党の代表質問を終わります。 ○上島よしもり 議長 以上で和田ひでとし議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後三時四分休憩    ――――――――――――――――――     午後三時二十五分開議 ○上島よしもり 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。     ──────────────────── ○上島よしもり 議長 この際、議事の都合により、本日の会議時間をあらかじめ延長いたします。     ──────────────────── ○上島よしもり 議長 代表質問を続けます。  公明党を代表して、二十八番高久則男議員。    〔二十八番高久則男議員登壇〕(拍手) ◆二十八番(高久則男 議員) 最初に、名誉区民の鈴木忠義さんの御逝去に対し謹んで心から哀悼の意を表します。  さて、教育基本法では、教育の目的とは人格の形成にあるとしております。また、義務教育の目的については、各個人の有する能力を伸ばしつつ、社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うこととしております。  教育があって初めて人間が人間となり、その人間が社会を、国家をつくります。ゆえに、教育こそ全ての根本であり、教育に最高の価値を置く社会こそ、全ての人の幸福を開く基盤であると考えます。よって、私どもは義務教育の機会を保障し、その水準を確保するためには、教育の公的負担を原則とすべきと考えます。  その意味から、親の経済的な事情に関係なく、希望すれば誰もが必要な教育を受けられる環境を整え、全ての子どもに教育を受ける機会を均等に講じることこそは、次の時代の国家形成の基礎づくりのために極めて重要な理念であると考え、幼児教育無償化等の未来への投資を提案してまいりました。また、この子どもへの教育の機会均等は、現在日本が抱える少子・高齢化を克服する道にも通ずるものと認識しております。  それでは、公明党世田谷区議団を代表して順次質問いたします。  初めに、未来を担う子どもへの投資と教育の充実について質問いたします。  我が会派は、今まで未来を担う子どもたちへ教育の充実を目指すべく、幼児教育無償化、給食費無償化、新BOP学童保育の時間延長、新たな児童館の整備、休日、夜間の保育園新設の五つのテーマについて提案、質問してまいりました。  具体的には、幼児教育無償化については、国の動向を注視し、区としてきめ細かく整理、補完すべきと考えます。学校給食の無償化については、所得制限を設定し、平成三十一年度からの実施を、三つ目の新BOP学童保育の時間延長については、平成三十年度からでもまずは各地区一カ所でもモデル実施することを求めます。さらに、新たな児童館の整備については、児童館未設置地区において、民営化を前提として進めることを求め、休日・夜間保育園新設については、最低一カ所、平成三十年度からの実施を目指すことを求めております。しかし、これらのテーマについては、平成三十年度予算には全く反映されておりません。早急に検討し進めるべきであります。  ここで二点お聞きいたします。  まず最初に、未来への投資について区長の見解を改めてお聞きいたします。  次に、区長は未来を担う効果的な投資で何ができるのか、大きな効果をつくり出す施策展開を目指すと述べていますが、この間何を検討してきたのか、今後の展開を含めてお聞きいたします。  次に、行政経営改革の推進について質問いたします。  世田谷区の来年度以降における財政運営は、今後の行政需要にどう対応していくのかが最大の焦点となります。その源となる特別区税は、人口増に伴う納税者数の増加等による一定の増収が見込める反面、ふるさと納税制度による他自治体への寄附額拡大に伴う著しい減収や来年度の税制改正による地方消費税の配分見直しの影響で交付金が前年度を大きく下回ることになります。さらに、区においては、他自治体と異なる人口構成など、社会構造の変化や公共施設の老朽化などによる行政需要の拡大が大きく増大することが明らかです。  そうした現状を鑑みれば、行政コストの縮減や集約化、官民連携による新たな行政サービス手法の導入による相乗効果の視点に基づいて、不断の経営改革に着手すべきであると我が党は再三訴えてまいりました。しかし、今般示された新実施計画後期案における考え方では、最小の経費で最大の効果を上げられるよう、前例にとらわれない行政手法改善を徹底すると明記しておきながら、具体的な記述はなく、相変わらず仮想項目の羅列であると言わざるを得ません。直面する課題に対して、何にお金と時間と人材を投じるのか、またどのように投じるのかを明確にすることが成果重視の政策選択ではないでしょうか。  そこで、二つの観点から具体的に伺ってまいります。  一点目に、運営形態の改革についてであります。  これまで区は、公共施設の運営、維持管理における民間活力の導入に取り組んでまいりましたが、その効果検証、さらには今後の方向性などが示されておりません。既に実施されている区立中学校の学校主事業務の民間委託、また、今後予定されている区立特養ホーム等の民営化における効果や検証をどう捉えているのか、さらに、今後検討すべきであると我が党が指摘している区立公園の指定管理者制度の導入や区立保育園の民営化へのプラン策定など、あわせて区の認識を伺います。  二点目に、外郭団体の改革についてです。  基本方針に基づく取り組みについて、新実施計画後期案で、これまでの状況と今後四年間の方針が示されましたが、各団体における成果と検証に偏りがあります。特に改革の道筋がいまだ示されていないのが社会福祉協議会と産業振興公社です。社会福祉協議会においては、地域包括ケアシステムの構築への一翼の重責を担っているとはいえ、赤字体質からの脱却ができておらず、産業振興公社に至っては外郭としての存在意義を既に失っていると断言せざるを得ません。どのように独立採算を目指していくのか、廃止、統合も視野に入れた基本方針を打ち出すべきです。区の見解を求めます。  次に、適切な補助金の支給という観点から、仮称子どもの近くで働くことができるワークスペース補助事業について質問いたします。  昨年、会派として世田谷区の上用賀で民間事業者が開設している自宅に近接の保育つきシェアオフィスを視察いたしました。この事業者は、多様な子育て世代の需要を見込み、国や都の補助スキームを活用し、既に本区を含め、横浜市、渋谷区などで事業を展開、何よりも目をみはったのは、シェアオフィスを利用する人は、母親だけではなく、父親も含まれ、利用中は安心して保育スタッフに子どもを預けて外出や会議室等で顧客との打ち合わせができ、仕事に集中できる環境が整っていることです。  しかし、今回区が予定しているモデル事業では、ワークスペースに併設される子どもの預かりの場として一般型とひろば型の二つのスキームが示されましたが、二つの問題点を指摘いたします。  第一に、例えば一般型は、子どもの対象年齢と定員数は一歳児から五歳児まで十二名となっておりますが、区の基準の子ども一人につき三・三平米を考慮して施設を確保する場合の賃借料や保育士一人につき子どもの預かりは六名という基準で、実際、一歳児と五歳児が同じ部屋で安全上の問題はないのか疑問であります。  第二に、区が示している補助金額は保育スタッフ二名分総額であり、保育士確保が前提の事業とはいえ、子どもの定期的な利用が見込めない補助金の適切な活用にはならず、その状況を適切に判断する基準が今回発表されたスキームには一切示されていないことです。さらに、一般型では、ワークスペースを利用する保護者が子どもを預けて外出することは認められないなど、子どもを預けている時間帯は集中して仕事をしたいという利用者のニーズを捉えたスキームとは到底言いがたく、補助金の支給期間が切れる五年後に事業採算を見込めず、民間事業者が撤退することも十分考えられます。  区長は、規模は小さいが意味は極めて大きい、民間の同様の施設は利用料金が高いのがネックだったと二月二日付の朝日新聞に報道されておりますが、これは事実でしょうか。利用料金の高い民間施設を補完するために、区が税金を投入し、利用料金を下げるということが区の働き方改革への支援策ということでしょうか。  ここで二点質問いたします。  一点目は、区がやるべきことは安易に運営費を補助することではなく、ワークスペースを運営する事業者に対して、子どもの預かりの場の運営に関する安全対策上のノウハウの提供や区内産業界に対して、子育て世代の女性の多様な働き方が選択できるよう、区内で子どものそばでテレワークができる受け皿づくりへの意識啓発を図り、ワークスペースに併設される子どもの預かりの場の運営費の出資を区内企業に募るなど、区がサポート役に徹することが大事だと思います。区の見解を伺います。  二点目に、民間にワークスペースが都内だけでも既に六百以上、世田谷区内に数十カ所開設されている現状を踏まえ、区が今取り組むべきは、保育サービス待機児解消と多様な働き方への対応という認可保育園の一時預かりや、ほっとステイ事業等の定員数の拡充に必要な事業に税金を投入すべきであると考えますが、区の見解を伺います。  次に、今なすべき組織改革について質問いたします。  平成三十年度の組織改正案が発表になりました。福祉の地区展開に合わせ、区民の行政需要は日増しに増大しております。これまで我が党は、再三、地域包括ケアが機能するためには総合支所の充実が不可欠と訴え、総合支所の福祉の責任者を明確するにするために、保健福祉センターの復活と子ども家庭支援センターの抜き出しを提案し、地区のバックアップ機能の強化を提案してまいりました。このたびの組織編成での保健福祉センター設置、福祉四課編成には大変評価するものであります。しかし、今後も三層構造の中で新たな課題に対応すべく、より重層的な職員配置が求められます。  ここで三点質問いたします。  まず第一点に、総合支所が福祉四課長体制になった分、地区の強化はどのように連携し進めるつもりか、また、これまでと何が変わっていくのか認識を伺います。  二点目に、組織全体の体制についてです。総合支所だけではなく、各部が目下の課題に対応できるよう、担当部や担当課、副参事ポストが増加し変わりました。任期付採用など工夫は見られますが、一方、平成三十二年度開設予定の児童相談所の体制も職員は九十名規模と聞きます。我が党が訴えている民間でできるもの、例えば保育園や図書館、児童館など加速度を上げて改革に取り組むべきであります。管理職の定数や職員定数の管理はどのように考えているか伺います。  三点目は、危機管理監についてです。東京二〇二〇大会まであと二年、特にテロ対策や自然災害対策などについて競技場を抱える世田谷区は最も力を入れなければなりません。防災・危機管理担当者として、自衛官の能力、経験を生かすべきです。国の防衛という任務に携わる自衛官が、退職後、在職中に培った専門的知識等を生かして、地方公共団体に採用されることは、自衛隊と地方公共団体との緊密な協力関係を構築し、相互の連携の強化を図ることに寄与することができると考えます。  これまで区長は、自衛官を非常勤の採用をしたいと答弁していましたが、一年近くたち、全くめどが立っておりません。きちっとした形で常勤での配置を目指し、区民の安全を確保できる区の体制を構築すべきであります。答弁を求めます。  次に、建設産業の振興について質問いたします。  昨年七月に国の建設産業政策会議が発表した建設産業政策二〇一七+10では、建設産業は今後もインフラや住宅の整備や老朽化への対応、さらには災害時の応急復興など、国民生活の安全安心を支えるとともに、都市再生や地域活性化に資する公共施設整備など、経済成長に貢献する役割を継続的に担っていく必要があるとしました。  そのため、国では、建設業従事者の継続的な処遇改善のため、建設キャリアアップシステムの活用や適切な工期設定による労働環境整備等の取り組みの検討を始めています。しかし、生産人口が減少する中、建設産業が個々の企業の取り組みだけで担い手を確保することは困難な時代となっており、産業振興の源泉となる現場力を維持することが本区にとっても急務な課題であります。  これまで我が会派は再三にわたり、建設業を区内産業の四本目の柱と定めるべきと訴えてまいりましたが、今回示された世田谷区産業ビジョン案では、明確に位置づけるどころか、抽象的な表現をちりばめたばかりで、具体的な施策は何一つ示されておりません。  その上で、一点質問いたします。建設産業の振興のために大きな課題となっているのは人材の確保、育成であります。まずはこの大きな課題解決のための支援策を講じるべきです。例えば農業振興では農業塾、商店街振興では商人塾を開き、人材確保、育成に取り組んでいます。同様に建設業についても、塾制度を創設するなど、人材確保、育成の取り組みを進めるべきと考えますが、見解を伺います。  次に、民泊の進め方について質問いたします。  世田谷区住宅宿泊事業の適正な運営に関する条例案が提示されました。東京二〇二〇大会に向け、国内外からの来訪者の増加と安全な民泊をどのように実施するかが自治体に問われております。  区では、民泊について、住居専用地域での制限について議論をしてきたと伺いますが、本区も区民レベルでの国際交流、多文化交流を重点に置き推進するときと考えます。また、世界の人と区民が理解を深め、日本文化に親しめるような施策が必要と考えます。そのためには、いわゆるホームステイ型で、平日も国際交流を行えるように工夫が大事と考えます。まず区の見解を伺います。  とはいえ、地域のことを無視して適切な運営を行わない事業者が発生することも考えられます。区は安全な民泊提供に向け、どのような体制で対応していくのか二点目に伺います。  三点目は、民泊をチャンスと捉え、活用し、観光と国際交流事業の広がりをいかに進めるかであります。本区は、東京二〇二〇大会を契機に国際化を進めるべく、多文化条例も策定を進めております。また、観光事業の弱い世田谷区が脱却する絶好の機会でもあります。観光、国際交流、それぞれの所管での民泊の活用策を伺います。  次に、国際交流と観光について質問いたします。  国は、東京二〇二〇大会までに訪日外国人を四千万人までに増加させる計画であり、先ごろ発表された訪日外国人旅行消費額の平成二十九年の年間値は前年度比一七・八%増の四兆四千一百六十一億円、五年連続で過去最高額を更新、初めて四兆円を突破しました。  これまで党として、観光においては、行政主導での観光協会では、異なる利害を有する団体の合意形成の難しさ、責任の所在、推進するための専門人材の不在などの課題があることを指摘し、再三改善を求めてまいりました。現に組織されたまちなか観光交流協会は、交通事業者、旅行代理店、大学、出版社などが名を連ねる組織ではあるにもかかわらず、これまでほとんど何も生み出せていない現状を見れば、改善の必要性は明らかであります。  観光で稼げるようになるには、民間企業では当たり前に行っているマーケティング視点に基づいた戦略が必要でありますが、この点が全く欠如していることは、これまでの取り組みや今回示された産業振興計画案を見れば明らかです。  次に、国際交流については、今まで区では多文化共生と国際交流の推進に向けて、外国人への支援等を進めてきたところであります。東京二〇二〇大会をきっかけに、区内外の外国人との交流は当然のこと、海外からインバウンドで来訪する多くの外国人との国際交流が重要な視点となりますが、現在、それらを担っている所管の生活文化部、産業政策部は、既に既存の縦割り行政で、そもそも構造的に限界があります。であるならば、外部組織に委ね、一体的な運営を求めるべきではないでしょうか。  例えば前回の代表質問で申し上げた民間による自治体国際化協会、クレアなどを活用した事業展開や国が進めている観光地経営の視点に立った観光地域づくりのかじ取り役としての役割を果たす法人、日本版DMOなども活用していくべきと考えます。  本区においても、優良な企業や団体が参加しているまちなか観光交流協会を責任と権限を明確にした新たな組織体制とするためにも、国の進める日本版DMOに登録し、その体制を一新し、観光と国際交流が一体となり得る組織体を立ち上げるべきと考えます。見解を伺います。  次に、図書館の改革について質問いたします。  先般、第二次図書館ビジョン第二期行動計画案が示されました。民間活力の活用の推進、検証においては、施設機能や立地環境に応じた民間活力を計画的に導入するとのことですが、対象となる図書館や推進方法等が明示されなかったことは残念であります。  ここで三点質問いたします。  一点目に、来年度、梅丘図書館の基本設計が実施されますが、民間活力の導入を前提とする場合、基本設計の段階から指定管理者がかかわるようにしなければ、地域のニーズに応じた多様な運営体制が図れません。武雄市や海老名市の例を挙げて、設計の段階から加わることは必須条件であると申し上げてきましたが、改めて梅丘図書館は、基本設計の段階から指定管理者、民間活力の導入を前提すべきと考えます。教育長の見解を伺います。  二点目に、会派として中央図書館こそ民間活力の対象とすべきとこれまで再三申し上げてまいりました。教育長は昨年の第三回定例会で、平成三十四年度に向けた中央図書館全体の機能拡充にあっては、設計の段階から民間事業者を活用した整備を考えると答弁されておりますが、民間活力活用を含めた運営体制の検討ではなく、完全に民間活力の導入を前提とした検討にすべきと考えます。教育長の認識を伺います。
     三点目に、今回の第二期行動計画案において、民間活力の導入は四年間で五つの地域図書館等の新規活用、更新を進めるとも記載されておりますが、例えば対象館が複合施設内にある図書館であれば、館全体の運営も含めた民間活力の導入が必要となるなど、さまざまな課題をクリアする時間的猶予が必要になると考えます。四年間で五つの地域図書館等の新規活用、更新をスピード感を持って取り組むためには、具体的な図書館名を挙げ、早急に進めることが求められますが、区教育委員会の認識を伺います。  次に、環境施策の推進について質問いたします。  その第一に、環境配慮型リノベーション事業のさらなる促進のために新しい蓄電対策の導入について提案いたします。  我が党が提案し、実現を見た環境配慮型リノベーション事業は、早くも来年度六年目を迎えようとしております。予算規模も二千万円となり、地元地域の工事業者の方々との提携も順調で高く評価するものであります。  それを踏まえた上で、さらなる提案をいたします。環境未来都市を目指す世田谷区として、国が推進するZEH、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス事業は、本区においても推進すべきと考えます。  ちなみにZEHは、簡単に言うと二本の柱から成り立っております。一つは、住宅の高断熱化と冷暖房設備の高効率化による大幅な省エネルギー性能の向上、二つ目には、太陽光発電などによってエネルギーをつくり出す創エネルギー設備の導入、この省エネと創エネで年間に消費するネットのエネルギー量をゼロ以下にする住宅であります。ZEHの普及によって、家庭におけるエネルギーの需給構造が根本的に改善し、エネルギー消費量の大幅な改善が期待されております。  そうした取り組みの一環として、太陽光発電のさらなる導入拡大に向け、太陽光で発電した電力を効果的に利用する蓄電システムの導入促進を図るべく、その導入経費の一部をリノベーション事業の一環として補助すべきと提案いたしますが、区の見解を伺います。  環境施設推進の第二は、科学館の創設であります。  将来、日本が世界と肩を並べ、科学立国として生き延びていくためには、科学に携わる人材の確保は何よりも求められます。その意味でも、幼少の時代からサイエンスになじむ環境に恵まれていることが必須と考えます。  昨年六月に出た我が国の科学技術白書によれば、日本から発表された重要論文集は、二十四年前は世界第三位、十四年前は四位、最近は七位に落ちている現状です。こうした現実を直視し、国はもとより、自治体として子どもたちを取り巻く科学環境をどう充実させていくことができるのか、大きな責務と考えます。そこで、本区で独自の科学館を創設することを提案するものであります。  去る一月に区議団で福岡市科学館を視察いたしました。昨年十月にオープンしたばかりの施設でしたが、名誉館長であられる宇宙飛行士の若田光一さんが挨拶文でこう述べられております。世の中には不思議に思うことがたくさんあります。ふと感じる疑問を一つ一つ解決することで、大きな喜びを感じる瞬間が多いのではないかと思います。日常生活においてこうした疑問を持ち、解決法を考え、実践すること、これがすなわち科学だと思います。日常の何気ない所作が科学を生んでいくことのありがたさを体験すること、子どものときからそうした環境を生み出してあげることが私たちの役割なのではないかと改めて思います。  この福岡の科学館では、運営主体が十四社から成るコンソーシアムチームで構成されており、民間事業者ならではの創意工夫が至るところで発揮されていると感じてなりませんでした。福岡市にも財政負担があり、JR九州が建物を建て、その賃借料を市が負担しているとのことでした。もちろん人口百五十万人の政令市と世田谷区を単純に比較することはできませんが、我が国の将来を担う子どもたちが世界に飛躍してもらうためにも、ぜひとも本区で科学館を創設すべきであります。区長の英断を求めます。  最後に、大介護時代に向けての取り組みについて質問いたします。  我が会派は、これまで二〇二五年、大介護時代に備え、アンケート調査を実施し、在宅への介護・医療ニーズへの対応を再三求めてまいりました。高齢者がたとえ要介護状態になったとしても、住みなれた地域で自立した生活を送り続けることを実現するために、安心して在宅介護を受けられる支援の充実や施設介護に対する需要への備えが求められますが、区の第七期世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画案では、今後の介護サービスの需要にサービス提供が十分にできるのかが見えてまいりません。  特に本区では、単身世帯の占める割合が確実に増加し、認知症の日常生活自立度の判定二以上の人も四年間で約三千二百人増となっており、さらに今後増加が見込まれる慢性期の医療・介護ニーズへの対応など、具体的な方策が必要と考えます。  しかし、その一方で、その担い手となる看護・介護人材の不足が大きな課題となっております。我が党は、これまで介護職員の処遇改善を提案し、国として月額四万七千円の改善を実現してきましたが、急速な高齢化に対する人材の確保は容易ではありません。今後、これらの課題をどう乗り越えて対策を講じていけるかが各自治体に求められております。  ここで二点質問いたします。  一点目に、住みなれた地域で支えあい、自分らしく安心して暮らし続けられる地域社会の実現では、個人の尊厳やその人らしい生活の継続のためにも、自立支援、重度化予防は大変重要であります。このたび、国から介護保険法の一部改正で、自立支援、重症化予防に向けた保険者機能の強化等の取り組みの推進が示されておりますが、区の計画でも自立支援、重度化予防をより明確にできるようにすべきと考えますが、第七期計画の中でどう進めていくのかお聞かせください。  二点目に、特別養護老人ホームを初め、グループホームや小規模多機能型居宅介護事業といった在宅・施設サービスの整備を加速化するためにも、介護人材の確保が最大の課題であります。しかし、現在介護の現場では、福祉人材が枯渇しており、介護の施設はあるにもかかわらず、その運営する人材がいないという大きな問題に直面しております。  地域貢献をしている人が魅力を感じ、継続して仕事に従事していただけるためには、何らかの処遇改善を図る必要があると考えます。例えば区民で区内事業所に勤務する従事者に対して、保育士と同様に家賃助成を行うなどの補助制度を導入することも検討すべきと考えます。区の見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 高久議員にお答えをいたします。  まず、未来を担う子どもへの投資、教育の充実についての私の見解、見識についてということでございます。  区は、区民の皆さんとともにつくり上げた基本構想のもと、行政の最上位計画であります基本計画のサブタイトルに「子どもが輝く 参加と協働のまち せたがや」と掲げています。人口減少により社会全体が縮小していく中、世田谷区で子どもを大切にし、子育てのためのしっかりした土台を築いて未来に引き継いでいこうとするものであります。  その実現に向けて発信いたしました子ども・子育て応援都市宣言では、子どもは地域の宝であり、未来への希望であり、また今をきらめく宝である、こういった認識をお示ししまして、区は、区民と力を合わせて子どもと子育てに温かい地域社会を築くことをお誓いいたしました。  平成三十年度当初予算で、児童福祉並びに教育に係る予算は八百七十七億円と大きく伸ばし、きめ細かな子育て支援及び教育の充実、子どもが輝く、子ども・子育て応援都市にふさわしい土台をしっかり築いてまいります。  核家族化や地域社会とのかかわりの希薄化が進んで、子育てに孤立感や負担感を多く覚える保護者がふえている中で、地域コミュニティーの力をより強くしながら、参加と協働によるまちづくりを進めることが重要と考えています。  子どもたちを地域の宝として温かく見守り、育むためには、その基盤として、お互いにサポートし合うコミュニティーの力が必要です。次世代につなぐ区政運営の観点から、持続可能な財政基盤の確立も不可欠であります。  こうした考え方を念頭に、御提案をいただいております五つの提案を初め、子ども・子育て支援の一層の充実に向けた検討を急ぐよう、担当所管に指示をしているところであります。  次に、環境政策、中でも科学館ということで見解を問われました。  区では、子どもたちが環境、エネルギーについて楽しく学び、科学的に理解を深めてもらえるよう、これまで親子環境学習会での川崎市におきます施設見学、子ども環境イベントの開催などを行ってまいりました。  昨年十月には、大学、NPO、事業者等で組織する実行委員会に区も加わりまして、サイエンスで考えようと銘打った子ども向け体験イベント、環境エネルギー・ラボを開催するなど、新たな展開も図ってきているところであります。  先日、区の新年のつどいで、ノーベル賞を受賞されて名誉区民にもなっていただいている大村智先生の話を私も直接伺いましたが、第一線の研究者のお話として大変すばらしいもので、世田谷区の子どもたちにももっと聞かせたいというふうに思ったところです。  子どもたちが最新の科学技術や機器に触れ、そのすばらしさを実感して、その中で生まれた興味を深め、また、生まれてくる疑問を解決していく機会を提供することは、環境、エネルギーの分野に限らず、大変有意義であると考えています。  一方で、区としての常設の科学館をという御提案につきましては、絶えず進化する科学技術への対応、運営体制、維持管理のあり方など、検討すべき課題もございます。引き続き、子どもたちが科学に触れる機会の創出を図りながら、調査検討を続けていきたいと考えております。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、六点について御答弁申し上げます。  最初に、未来を担う子どもへの投資の関係の検討経過でございます。  御提案いただいています五つの項目につきましては、子ども・子育て応援都市を形づくる上で重要な問題提起と認識しております。  まず、幼児教育の無償化につきましては、国の新しい経済政策パッケージに盛り込まれましたが、認可外施設の無償化対象範囲は、夏までに結論を出すとされております。区では、無償化に伴う財政負担を見きわめつつ、関連する現行補助制度の扱いなどの検討が必要となっております。  また、学校給食が児童生徒の健康の保持増進や食に対する理解を深め、望ましい食習慣を養う役割を担っていることから、御提案のありましたその負担のあり方につきまして重要な課題と受けとめておりまして、幼児教育無償化との整合性も勘案しながら、具体的な検討プロセスを早急に整理してまいります。  児童館についてでございますが、これまでも子どもの育成に係る身近な相談機能を果たしておりますが、児童相談所設置の議論と並行いたしまして、地区におきます役割の整理を改めて行い、再配置のあり方につきまして、その手法も含め検討してまいります。  次に、新BOP学童クラブの時間延長につきましては、人員配置などの課題もあることから、まずは、モデル実施によります具体的検証を行うなど、児童館のあり方検討との関連性にも十分留意しながら、対応を取りまとめてまいります。  休日・夜間保育の拡充につきましても、子育て世帯の多様なニーズへの対応の観点から重要な課題でありまして、費用対効果や実施手法、子どもの育ちへの配慮等、多角的に検討を進めまして、具体的な着手に向けまして方向性を整理してまいります。  これらの課題につきましては、子どもの未来をつくる上で非常に重要ですので、可能な限り検討を急ぎまして、区長に判断を仰いでまいりたいと考えております。  次に、全体的な公共施設の運営、維持管理に民間活力をについてでございます。  区では、これまで公共施設の運営に当たりまして、職員定数の適正化の課題や法制度改正を踏まえまして、質の確保に留意しながら委託化や指定管理者制度の導入、民営化に取り組んでまいりました。  公共施設運営への民間活力の導入によりまして、経費の削減にとどまらず、民間が持つノウハウや知見等を生かしまして、区民サービスの向上が図られてきたと認識しております。限られた財源の中で、基礎自治体におきます今後の行政需要の拡大を見据えたとき、より効率的で質の高い業務執行に向けまして、さまざまな手法によりまして民間活力の導入を拡大する必要があります。  新実施計画後期の行政経営改革におきましても、持続可能で強固な財政基盤の確立を基本としておりまして、民間活用をその柱の一つとしております。例えば都市公園法の改正によりまして、Park―PFIなど民間の参入がしやすくなるよう環境整備を進めまして、これまでの取り組みに加えまして、新たな分野においても民間活用の可能性が出てきております。先進的事例も参考としながら、効果検証を行い、公共施設の整備や運営形態につきまして、固定概念にとらわれることなく、官民連携や外部委託等による改革をスピード感を持って進めてまいります。  次に、管理職職員の定数管理についてでございます。  区の管理職の定数は、組織体制と密接に関係してまいります。平成三十年四月には、児童相談所の開設準備が本格化することを踏まえた体制強化を初め、新実施計画後期など、各種行政計画を着実に推進するための組織改正を実施いたしますが、いずれも区政課題の解決に向けて十分機能するよう、外部の専門人材の登用も含めた積極的な人事配置を行ってまいります。  職員定数は、行政需要の変化に対応して、効果的、効率的に遂行するために、管理職を含め必要な人員体制を定めるものであり、限りある人材を有効かつ効果的に活用することが求められます。  そのために、既存の事務事業の見直しはもとより、例えば老朽化した区立保育園を施設更新に合わせて統合し、跡地を私立保育園等として再整備していくことや、区立図書館の民間活用形態の検証など、事業手法の見直しを含めた行政経営改革の取り組みを着実かつ加速的に進めながら、全庁的な視点から事業の優先度を見きわめ、適切な定数配分を行ってまいります。  今後も、さまざまな人事政策のもと、新たな区政課題に機動性を持って対応できる柔軟で機能性の高い組織人員体制の構築に努めてまいります。  次に、危機管理監についての常勤の配置についてでございます。  東京オリンピック・パラリンピックの開催まであと二年余りとなりましたが、区におきましても、馬術競技会場やアメリカ選手団のキャンプ地があることから、開催期間中の自然災害やテロなどへの対策の必要性を認識しております。大会の開催に当たりましては、政府が関係府省庁の連絡会議を立ち上げ、関係諸機関とも連携しながら、テロ対策、サイバーセキュリティー対策、首都直下地震対策、避難誘導対策、感染症対策などの準備を進めており、防衛省、自衛隊におきましても特別行動委員会を設置し、取り組みを強化しております。また、東京都も各種事態を想定した対処要領の策定を進めておりまして、区といたしましても、国や東京都と連携しながら、地域防災計画及び国民保護計画に基づく対応を想定しております。  自衛隊の大規模災害時の活動は国民の大きな助けになっておりまして、区におきましても、災害対策本部運営訓練や関係機関訓練などにより、非常時の連携体制の構築を進めております。  議員お話しの点につきましては、これまでも答弁してきましたように、非常勤の職として検討を進めており、対象となる適任者の推薦を依頼しているところでございます。  次に、民泊の関係でございます。  まず、平日でも国際交流できる工夫が大事だとの提案でございます。  住宅宿泊事業の適正な運営に関する条例の制定に関しましては、区といたしましても、区としての基本的な考え方を昨年の二月に報告したとおり、良好な住環境の確保を基本に、外国人旅行者等の受け入れ環境整備としての側面も考慮して、いわゆる民泊法施行に対する世田谷区の対応について、外部委員による住宅宿泊事業検討委員会及び関係所管課により検討を重ねてまいりました。  条例案は、住居専用地域につきましては、平日の運営を規制することを基本としつつ、ただし書きの規定におきまして、周辺住民への理解が得られていることや、生活環境の悪化を防止する措置が講じられているなど、事業の実施を制限する期間を緩和しても、区民の生活環境が悪化するおそれがないと区長が認める届け出案件にあっては、平日の事業の実施を認めることとしております。  また、条例案の附則におきましては、条例の施行後一年を経過した場合におきまして、この条例の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、条例の変更も視野に入れるとしております。  住宅宿泊事業施行後につきましても、住宅宿泊事業の事業者も交え、関係機関等とも連携を図りながら適正な住宅宿泊事業の運営を確保するための基準策定について早急にまとめてまいります。  次に、安全な民泊提供に向けた取り組みについてでございます。  住宅宿泊事業法では、事業者に対しまして、宿泊者の衛生や安全の確保、周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関する事項などが規定されておりまして、周辺住民からの苦情や問い合わせにつきましては、事業者が適切かつ迅速に対応しなければならないと定められております。  区は、法令等を遵守しない事業者等に対しましては、法に基づき立入調査、業務改善命令等の監督をしてまいります。周辺住民の苦情の一つであるごみの出し方に関しましては、廃棄物処理法及び区清掃・リサイクル条例で事業者の責任により適正に処理することが定められており、法令遵守を徹底するよう事業者を指導するなど、区全体で事業の適正運営の対応をしてまいります。  また、消防署や警察署などの関係機関とも連携して、防火対策、防犯対策の強化などの安全面での取り組みも進めてまいります。  来月十五日からは事業者によります準備行為が開始されます。本事業の届け出受け付け担当所管である保健所が中心となりまして、事業者に対します指導方針であるガイドラインも活用して、本区におきます住宅宿泊事業への理解を深めていただき、周辺住民や宿泊者が安心して利用できるよう、住宅宿泊事業の適正な運営の確保に努めてまいります。  以上でございます。    〔岡田副区長登壇〕 ◎岡田 副区長 私からは、四点について御答弁申し上げます。  まず、子どもの近くで働くことができるワークスペース補助事業について御答弁申し上げます。  区では、保育待機児童対策に総力を挙げて施設整備と定員拡大に挑んでまいりましたが、引き続き努力する一方で、今後の区財政を考慮いたしますと、企業、働き方における子育て支援のあり方の転換も必要となる、このように認識しているところでございます。  現在、働くことと子どもとのかかわりは、働いている女性が保育施設に子どもを預けてフルタイムで働くか、仕事をやめて在宅で子育てをするかのゼロか百の選択を迫られる状況にあると認識しております。  今回御提案しているモデル事業は、子育て中でも子どもと寄り添いながら働ける新しい選択肢を示すことで、子育てと仕事を両立させる多様な働き方を広め、さらに基本構想にある職住近接にもつながり、新たな時間が生まれ、地域で過ごす時間や子どもとの時間を十分にとることができるようにし、企業、事業者にも子育て支援の一つとして、こうした働き方に理解を広げることを目的としてございます。  ひろば型と一般型の二つのモデルのうち、特に一般型は、子育てをするフリーランスの方への支援のほか、区内の中小企業にとっても利用可能なテレワークの環境整備として、人材不足が懸念されている中、区内企業の人材確保、定着につながる取り組みともなるというふうに考えているところでございます。  次に、建設産業での人材確保・育成策について御答弁申し上げます。  東日本大震災の復興特需を契機といたしまして、建設業界では人手不足が長期間継続しており、東京二〇二〇大会の開催に向けた建設需要の増大の影響も受けて、建設人材の確保、育成は建設業界全体の重要な課題になっていると認識しております。  区では、平成二十七年度から建設業の人材確保事業を開始し、昨年度からは建設業人材確保事業と中小企業若年者就職支援事業を一本化することで、若年者を中心として就職先としての建設業の魅力をPRするとともに、就職後も合同企業研修やカウンセリングによる人材育成を図ってまいりました。  建設業につきましては、今後、老朽化した都市インフラの整備や災害時の復旧復興対応を中心的に担うことが想定されることから、新たな産業ビジョンにおきましても重要な都市産業として位置づけた上で、さらなる区内事業者の育成に取り組む方向性を打ち出しております。  中でも人材確保・育成策は、建設産業の振興を図る上で基盤となる重要な課題であり、今後も区の建設業人材確保・中小企業若年者就職及び定着支援事業の実施に加えまして、国などの施策動向を踏まえて、国や都の建設業人材育成支援策の周知と活用促進を図るとともに、塾制度を含めた新たな人材確保施策の検討も視野に入れるなど、さまざまな施策を活用して区内建設業を支える人材の確保と育成を進めてまいります。  次に、民泊の活用と観光、国際交流につきまして御答弁申し上げます。  東京二〇二〇大会を契機として、外国人を初め多くの観光客の来訪が見込まれる中、住宅宿泊事業の活用は、宿泊施設の少ない世田谷区にとって、区外からの誘客を促進し、外国人と区民との交流を生み出す効果を期待することができると認識しております。  観光の観点からは、民泊事業者に多言語対応の各種観光パンフレットやイベントチラシ等との配架、配布について御協力いただくことにより、町歩きを通じて宿泊者と区民が触れ合う機会を創出したり、現在実施に向けて検討している外国語に対応した観光ボランティアガイド事業の利用につなげるなど、魅力的な区内観光の実現を図ってまいります。  また、国際交流の観点からは、民泊を通じ日本の暮らしを体験していただくことなどができれば、互いの言語や文化の違いを知るよい機会となり、多文化共生社会の実現にもつながることが期待されます。  住宅宿泊事業の適正な運営を確保した上で、その活用によりインバウンドを初め多くの誘客を図りながら、魅力的な観光事業の展開により、区内経済の活性化につなげていくとともに、国際交流のさらなる推進を図ってまいりたいと考えております。  次に、国際交流と観光につきましての組織体制につきまして御答弁申し上げます。  世田谷区における観光事業は、いわゆる有名な観光名所がない中でも、自然や歴史的な趣のある文化財、創造性に富んだ文化施設、にぎわいあふれる商店街など、区民の日常生活そのものを体験することができるいわゆるまちなか観光を目指しております。これまでも世田谷まちなか観光交流協会では、参画する六十六の団体が個々の強みを生かしながら相互に連携した観光事業に取り組み、鉄道事業者と連携したまち歩きブックの作成、ホームページに対する助言等を行ってきております。  御提案の日本版DMOにつきましては、法人格を持つ団体が地域の観光事業の中心となり、各種データの収集分析を行い、多様な人材を活用して戦略的に観光事業を実施していくことにより、地域経済の活性化を図るものでございます。  責任体制の明確化や専門能力の活用のための体制整備についての御提案をいただきました。お話しの日本版DMOの取り組みも参考に、まずは産業振興公社観光課を事務局として、交通事業者、旅行代理店、広告関係、大学、商店街、金融機関やNPO等、六十六団体が参画するまちなか観光交流協会の構成団体の知恵や力を区の観光事業の推進力とする取り組みを進めるとともに、三十年度中にお示しする予定の国際交流を専門的、継続的に推進するための体制づくりとあわせ、観光事業の推進のあり方を検討してまいります。  以上でございます。    〔堀教育長登壇〕 ◎堀 教育長 図書館改革について、二点御質問いただきました。  まず、梅丘図書館の民営化についてです。  図書館運営につきましては、第二次世田谷区立図書館ビジョンの基本方針に基づき、民間活力を計画的に導入し、魅力ある図書館づくりを進めているところです。  御質問の梅丘図書館の改築につきましては、平成二十七年度に実施した住民ワークショップでの意見等を踏まえ、基本構想報告書を取りまとめ、昨年九月には平成三十三年度竣工とする整備方針を策定したところです。この整備方針により、羽根木公園と図書館をつなぐ一体的な整備や地域の活動や交流の拠点となるスペースやカフェの併設といったにぎわいと憩いの場の創出など、住民の方々とのワークショップから出された魅力ある図書館を実現していきたいと考えております。  御紹介いただいた海老名市中央図書館や大和市シリウスを視察して、改めて設計等の早い段階から民間活力の活用が重要であることの認識を深めたところです。この視察結果を生かし、来年度の平成三十年度からの基本設計に当たっては、民間の図書館運営事業者等のアイデアやノウハウを活用してまいります。  また、運営面からの民間活力活用につきましては、平成三十一年度の実施設計段階からの一部業務委託を視野に、住民の皆様からいただいた御意見をもとに、知と学びと文化の情報拠点としての魅力ある図書館を梅丘の地に実現してまいります。
     次に、中央図書館についての御質問です。  お話しいただきましたように、中央図書館は世田谷区の図書館ネットワークの中枢であり、区立図書館としての公共性を担保しながら、九十万都市にふさわしい図書館にしていかなくてはなりません。高度な専門書や地域特性を考慮した蔵書構成、充実したレファレンスや事業者のマネジメントなどに対応できる専門性をあわせ持った高い能力を持つ職員の育成も同時に必要です。  平成二十八年度に中央図書館機能拡充基本構想、それを踏まえ、翌年の二十九年度には第二次図書館ビジョン第二期行動計画案をお示しさせていただきました。現在、これらをもとに平成三十四年度の機能拡充に向け、段階的に準備を進めております。  一方で、にぎわいのある新たな空間としてのさらなる充実に向けた取り組みも必要です。ことし九月にオープンする多文化体験コーナーやプラネタリウムとの一体的利活用、平成三十年度に導入するICタグの貼付や一階のアトリウムの活用等によるにぎわいや交流の場の創出、子ども図書館機能の充実などについては、民間事業者の創意工夫を取り入れながら段階的に取り組んでいく考えでおります。  いずれにしましても、第二次図書ビジョン第二期行動計画案でお示しした中央図書館を拠点として、多くの本に出会う世田谷を目指して、多様な民間の活力も視野に入れながら、魅力的な図書館づくりを計画的に進めてまいります。  以上でございます。 ◎工藤 教育政策部長 私からは、行政経営改革の推進について、区立中学校の学校主事業務の民間委託における効果や検証をどう捉えているのかという御質問に御答弁いたします。  学校主事業務の民間委託につきましては、安定的、効率的な業務運営を行うため、平成二十五年度より中学校の学校主事業務について導入しております。委託内容ですが、清掃、樹木の剪定、簡易な修繕等、多岐にわたりますが、委託先の中学校などからは良好な評価をいただいております。  委託校につきましては、平成三十年四月から新たに四校の委託を予定しており、中学校十八校で学校主事業務が委託化されることになります。今後も着実に学校主事業務委託を推進するとともに、受託事業者には仕様書の委託内容を徹底し、質の高い教育環境の充実に努めてまいります。  以上でございます。 ◎瓜生 高齢福祉部長 私からは、三点、順次御答弁させていただきます。  初めに、区立特養ホームの民営化における効果や検証についてです。  区では、急速に高まる施設介護の需要に対応するため、地域の拠点となるモデル施設を目指し、平成七年五月、区立特養ホーム芦花ホームを初め、区立三特養を開設し、医療的ケア、みとり、被虐待者の受け入れなど、セーフティーネットや専門的、先駆的役割を担ってまいりました。一方、社会福祉基礎構造改革や介護保険制度の発足など、高齢者福祉を取り巻く環境は大きく変化し、区立特養は介護保険制度のもと運営され、区の役割はサービスの量と質の確保など、保険者の役割に変化してきております。  区では、新実施計画後期にもお示ししましたように、区立特養の役割や質の高いサービスを継承し、運営法人の創意工夫による自主的、主体的な施設経営により、さらなるサービスの拡充と高齢者福祉の増進を図るため、設置者を区から法人に変更し、民営化することといたしました。  五年間の有期の指定管理委託から民営化することにより、入所者への継続したサービスの提供や法人として人材育成に取り組み、一層の創意工夫を凝らした柔軟な施設運営が推進されるとともに、区立特養では活用できなかった都補助金の活用が期待できます。  現在の指定管理期間が終了する二〇二一年の民営化に向け、詳細検討を進め、利用者、御家族の声をしっかりお聞きし、民営化後は、年一回程度、法人、施設及び区とで意見交換等を行い、質の高いサービスの提供など、その効果について検証してまいります。  次に、第七期高齢・介護計画におきます自立支援、重度化予防への取り組み強化についてです。  区では、健康長寿を目指し、介護予防や重度化防止についてさまざまな機会を捉えて、介護予防事業の実施や支えあいの意識の醸成に努め、多様な主体が参加、協働する支えあいの地域づくりを推進しております。最近の研究により、社会とのつながりが減少することが虚弱の始まりとなり、介護予防、健康増進には、社会参加や何らかの役割を持つことが大変重要であることなどが明らかになってきております。  このことを踏まえ、健康長寿講演会や高齢者みずからが地域で担える役割を考える区民参加型ワークショップの実施など、地域社会とのかかわりを持ち、いつまでも生きがいを持って元気に活躍できるよう、介護予防や健康増進事業をさらに充実する必要があると認識しております。  第七期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画では、基本理念の住みなれた地域で自分らしく安心して暮らし続けられる地域づくりの実現に向け、自立支援、重度化防止の視点に基づき、七つの計画目標を相互に関連づけ、保険者としての機能をより強化させ、区民、団体、事業者、行政が力を合わせて施策の推進に取り組んでまいります。  最後に、介護人材の育成・発掘・確保策についてです。  区では、高齢社会の進展に伴い、一層高まる介護需要に対応するため、地域密着型サービスや特別養護老人ホームなどの計画的な整備を進めており、それに伴い、担い手の確保、育成は喫緊の課題であると認識しております。区では、担い手の確保、育成に向け、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修の受講料助成、介護福祉士資格取得の費用助成のほか、特養ホームやグループホーム等への研修費助成、各種研修の実施に取り組んでおります。  東京都では、介護職員宿舎借り上げ支援事業や離職者等の就業を支援するトライアル雇用事業、紹介予定派遣を活用した潜在的介護職員活用推進事業など、多様な人材確保策に取り組み、来年度はさらに拡充すると聞いております。  また、国は来年十月から勤続十年以上の介護福祉士に月額平均八万円相当の処遇改善加算を行い、それを事業所の収入として、他の介護職員などにも充てられる柔軟な運用を認めるとしております。  区といたしましては、人材確保に向けて国や都の動向を注視し、事業者に対し、制度の周知に努めるとともに、処遇改善加算が取得できるよう、引き続き職員の資格取得支援や研修の充実に取り組んでまいります。  さらに、介護ロボットやICT機器の活用により、介護業務の負担を軽減し、働きやすい職場環境づくりなど、事業者支援に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎髙木 みどりとみず政策担当部長 私からは、区立公園の指定管理者制度の導入についての認識について御答弁いたします。  公園における指定管理者制度は、民間事業者の人材やノウハウを生かしたイベントなどの実施、多様な維持管理業務の効率化などが特徴として挙げられており、公園利用者へのサービスの向上とコストの縮減が主な目的であります。  しかしながら、この制度が運用されてくる中で、継続的な価格競争に伴う利用者サービスの低下や地域住民や団体との関係の希薄化などのさまざまな課題も報告されてきてございます。また、最近では、区立公園のような小規模な公園では維持管理費や業務量の軽減につながらないなどの理由から、指定管理者制度を採用しなくなった自治体も出てきてございます。  公園を効果的に運営していくには、指定管理者制度のほか、委託の包括化などによるコストの縮減や移動販売車誘致やPark―PFIなどの導入による民間活力を生かしたサービス向上など、さまざまな手法もございます。  区といたしましては、引き続き、世田谷区の公園に適した運営手法を検討することで、効率的な公園運営に取り組んでいくとともに、区民参加やさまざまな主体との協働、連携によりまして、これまで以上に親しまれる公園づくりに取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎澁田 子ども・若者部長 私からは、二点御答弁をさせていただきます。  一点目、区立保育園の民営化へのプラン策定についてでございます。  区は、平成十八年度から二十二年度にかけまして、五園の民営化を実施し、検証を行いまして、平成二十四年二月に今後の保育施策推進のための保育施設再整備方針として、今後の方向性をまとめ、現在、平成三十一年度以降、老朽化する十カ所の区立保育園を区立拠点園として五カ所に統合する計画を進めております。また、区立保育園跡地は、平成三十一年度以降、順次、私立保育園を民設民営として整備し、保育定員を拡大する予定でございます。  お話しの民営化へのプラン策定についてでございますが、後期新実施計画案の行政経営改革の取り組みに区立保育園の今後のあり方を盛り込んでおります。この取り組みは、先ほどの再整備方針に基づきまして、拠点園、統合園の整備を着実に進めるとともに、今後の保育需要の状況、児童相談所の移管などの社会情勢の変化により求められる児童福祉施設としての役割を改めて踏まえまして、区立保育園が果たすべき施策を展開していくものでございます。  この取り組みでは、統合により生み出される財源や人員をより必要とされる取り組み、例えば緊急、一時保育の拡充ですとか、地域の子育て支援等に充てるなど、効果的かつ効率的に行革を進める予定でございます。  今後は、計画を推進する過程で、施設の老朽化に伴う統合をどこまで進めるのか、また社会情勢や区民ニーズに照らしながら民営化すべきものと行政が直接担うべき保育施策の整備もあわせて行いまして、区立保育園のあり方を通じた行政経営改革を着実に推進してまいります。  二点目の御質問でございます。ワークスペース補助事業に関しまして一時預かりやほっとステイ事業等の定員拡充を優先すべきという御質問にお答えさせていただきます。  区といたしましては、待機児童解消に向けまして、長時間の保育に対応できる認可保育所を中心に整備を進めます一方で、短時間就労に応える一時保育事業や保護者のリフレッシュなど、理由を問わずにお子さんを預けることができるほっとステイの受け入れ枠の拡充を図っているところでございます。  一時預かり事業を実施する認可保育所は、平成二十五年度には十九カ所でございましたが、新規開設時の整備運営事業者の公募の際に、一時預かり事業実施のための専用保育室の整備等を要件にするなどしまして、本年では三十五カ所の一時預かりを実施しております。  また、ほっとステイは、子育てステーションや単独施設の七カ所で今まで実施しておりましたが、平成二十六年度以降、おでかけひろば内での実施にも取り組み、現在十五カ所で実施をしております。  多様な働き方の広がりに伴いまして、従前のフルタイム就労に対応した保育の提供に加えて、在宅子育て支援のあり方など、今後は多様なニーズに応じた保育の形が求められると認識をしております。  一時保育やほっとステイの一時預かりの拡充を引き続き進めますとともに、ワークスペースの取り組みを通じた検証も行いまして、今後求められる多様な保育の全体像についても検討を進めてまいります。  以上でございます。 ◎板谷 保健福祉部長 私からは、社会福祉協議会の経営についてお答えをいたします。  世田谷区社会福祉協議会は、地域福祉の推進を図ることを目的に、社会福祉法に基づき設置されている非営利の法人ですが、議員御指摘のとおり、財政収支の改善が喫緊の課題となっています。  また、地域包括ケアの取り組みや、生活困窮者自立支援事業の着実な実施に向け、個別支援や地域づくりに関する職員の専門性の向上と成年後見センター等を含む組織内の連携強化など、区民の信頼に応えていくため、一層の取り組みが求められております。  こうした中、社会福祉協議会では、昨年七月に学識経験者等の外部委員を入れた経営企画専門員会に組織、人事、事業のあり方及び財政の健全化について諮問し、平成三十年度に答申を受けて、経営改革計画を策定し、社協改革を総合的に推進していくとしております。  今般、区におきましても新実施計画後期案において、この経営改革計画の方向性と整合を図った方針を示しており、改革計画の検討状況を注視しつつ、法人経営の健全化に向けて、適宜、指導助言を行ってまいります。  以上です。 ◎久末 産業政策部長 私からは、二点御答弁申し上げます。  まず、産業振興公社の改革の基本方針についてでございます。  区は、これまで外郭団体改革基本方針に基づき、外郭団体の自主自立と区民サービスの向上に向けて、外郭団体の統廃合も含めた改革の検討を進めてまいりました。そのような中、産業振興公社につきましては、事業の見直し、新規事業の展開、法人のあり方などの検討を行った結果、これまで公社が培ってきたネットワーク機能や専門性のさらなる活用の観点、東京二〇二〇大会も踏まえ、まちなか観光の強化や雇用、就労、創業支援、勤労者福祉事業など、公社ならではの取り組みを当面の間展開していくことといたしました。  しかしながら、公社は確実な収入源となる収益事業がない中で、収益の約七割を区からの補助金で賄うなど、公社のあり方検討の必要性は認識しておりますので、新実施計画後期案でお示しいたしましたとおり、引き続き公社事業の見直しと、他団体との連携、再編の検討を行い、計画期間内に公社のあり方の具体的な方向性をお示しできるよう取り組みを進めてまいります。  次に、子どもの近くで働くことができるワークスペース補助事業についてです。先ほど副区長から御答弁申し上げましたが、産業政策部からの御答弁を申し上げます。  働き方改革を目指す中で、少子・高齢化に伴う生産年齢人口の減少及び育児、介護との両立など、働き方のニーズの多様化が課題となっております。そのため、フリーランスを含む労働者が仕事と子育てを両立し、職住近接と短時間労働の選択ができること、また、区内中小企業の人材確保と定着支援を目的として、本モデル事業を構築するものです。  区では、ひろば型と一般型の二種類を検討しており、利用者のスタイルによって選択が可能としております。子どもが過ごす場としては、面積や保育士の数は、双方ともに一時預かりの基準を守ることを条件といたします。  補助金の考え方でございますが、一般型につきましては、四年間補助の後、事業の稼働率が上がることで自立することができると考えております。一方、ひろば型は、一時預かり事業等その他の子育て支援事業同様、補助の期間は限定しておりません。なお、補助金の交付につきましては、実態に合わせて適正に執行してまいります。  本モデル事業は、社会的にもまだ認知が進んでいないため、区が先陣を切って主導していく必要があると考えます。区といたしましても、区内事業者向けへのPRを進め、人材確保や定着支援のセミナー等の際に、多様な働き方の考え方を広めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◎本橋 地域行政部長 私からは、組織改革につきまして、総合支所の福祉四課長体制と地区の強化、連携に関して御答弁をいたします。  今般の総合支所の組織改正案では、生活支援課、保健福祉課、健康づくり課を所管する保健福祉センターを五総合支所に組織として設置するとともに、保健福祉センターに子ども家庭支援センター担当の副参事を新たに設けるものでございます。  組織改正の目指すところは、児童相談所の移管等を踏まえ、質、量ともに増加している総合支所における保健福祉部門の課題への対応が喫緊との認識のもと、保健福祉センターに事業を集約し、責任を明確化するものでございます。加えまして、保健福祉センター所長の指揮のもと、新設の副参事が児童虐待などの子ども家庭支援センター事業や移管に伴う諸課題の整理を担うものでございます。  区といたしましては、今回の組織改正によりまして、二十七地区の福祉の相談窓口と子ども家庭支援センターとの連携を深めるとともに、地域コミュニティー施設の運用見直しによる活動の場の確保や活動内容の情報共有を図る中で、子育て関連の活動団体との連携を深めるなど、地区、地域の強化に向けた取り組みをさらに進めてまいります。  以上でございます。 ◎花房 生涯学習部長 私からは、図書館民営化のスピードアップについて御答弁申し上げます。  区立図書館における民間活力の導入につきましては、第二次世田谷区立図書館ビジョンの基本方針に基づき計画的に導入を進めておりまして、第二期行動計画案では、平成三十三年度までの計画期間内に、新たに四館の導入と一館の更新を図ることをお示しいたしました。  具体的な進め方につきましては、改築を契機にした梅丘図書館への民間活力の導入のほか、平成二十八年四月に一部業務委託を導入した世田谷図書館の五年間の委託期間満了による更新などが挙げられますが、多様な運営手法の中から、最適な手法を導入いたしまして、民間活力を活用してまいります。  例えば砧図書館では、住民ボランティアによる読み聞かせが活発に行われ、その団体が事業に深くかかわっており、複数の団体が参加する住民懇談会も行われております。  このような地域特性を生かし、来年度には、住民ボランティアや地域住民などを対象にワークショップを行いまして、住民参加型の事業運営などについて導入を検討してまいりたいと考えております。また、残る二館につきましては複合館ということも視野に入れながら、地域特性や利用状況、立地条件などを勘案して、民間活力活用の利点が最大限に発揮される館へ計画的に導入してまいります。  さまざまな観点から課題となる諸条件を十分に検討し、知と学びと文化の情報拠点として魅力ある図書館づくりを進めてまいります。  以上でございます。 ◎松下 環境政策部長 蓄電システムの導入についてお答えをいたします。  エネルギーの取り組みにおきましては、無駄を減らす省エネ、新たにつくる創エネ、つくったエネルギーをためる蓄エネのいずれも重要であるという認識に立ちまして、区が今般改定いたします地球温暖化対策地域推進計画において、省エネと創エネで年間エネルギー消費量がおおむねゼロとなるネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの普及啓発を進めることとしております。  住宅都市世田谷におきましては、創エネの中心となりますのが太陽光発電、こちらの最近の性能向上とコストダウンを背景に、住宅での設置が進んでおりますけれども、天候による発電量変動が大きいことから、蓄電システムは有効な手法と認識しております。  国や都が設けている蓄電システムの補助制度においても、太陽光発電とセットでの導入を条件に対象としています。一方、現時点では蓄電池の製品寿命が短く、高額という課題がございまして、国は当面は設置補助、中期的には製品の長寿命化と実勢価格の低減を目指している状況がある、こうした中で、環境配慮型住宅リノベーション推進事業の対象への追加につきましては、蓄電システムに関する国の政策動向、機器の技術革新や価格面の状況等を引き続き情報収集するとともに、事業所菅とともに、時期を捉えて適切な判断を行えるよう、部門間の情報交換、調整を緊密に図ってまいります。  以上です。 ◆二十八番(高久則男 議員) 御答弁ありがとうございました。再質問させていただきます。  最初に、未来を担う子どもへの投資と教育の充実について、区長から見解をいただきましたが、先ほどの見解では、区長の思いが私には全然伝わってまいりません。区長の言葉で子どもへの投資について、その決意や気持ちを再度答弁願いたいと思います。  それから、外郭団体の取り組みについてですが、まず最初に、社会福祉協議会の赤字体質改善について、人事給与制度の見直しをしっかりして経常経費の削減を図るとしておりますが、この実施計画の中での財政計画表には全く反映されておりません。例えば人件費率が三十年度六六・七%、三十三年度は六八・五%と逆にふえるような計算が出ております。どういったつもりでこれを入れたのか理解に苦しみますが、そこを答弁いただきます。  それから、産業振興公社においては、同じく新実施計画案では、平成三十二年度に事業の見直しと法人組織のあり方の具体的な方向性の検討をする。そして、三十三年度に法人のあり方の具体的な方向性を示すということですが、この四年間は、そうすると何もしませんよということに等しいと思います。全く私どもには理解できません。この社協、そしてまた産業振興公社をあわせて答弁をお願いいたします。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 再質問にお答えいたします。  子どもたちへの投資、これについては、現在少子化時代でございます。こういった中で、世田谷区においては、この間、子どもたちがふえてきている。そういった中で、子ども・子育ての応援、子どもたち自身への支援を最優先していくというスタンスでこれまで臨んでまいりました。私の言葉でとおっしゃいますので、保育待機児対策についても大変厳しい状況が続きました。議会からも、あらゆるいわば制限を外して、全精力を投入すべきだという御提案もいただきました。できること、担当職員を先頭に、本当によく取り組んでくれて、次第に、待機児童の厳しい状況、まだ厳しいですけれども、三歳以上の待機児については昨年解消という地点に来ました。また、国に対しても、何度も厚生労働省に通って、例えば土地を提供する固定資産税のオーナーの負担、これを減免しましょうと、これは聞いていただきました。また、区が単費でいわば賃料助成をしましたが、それはもうどんどん膨らんでいくわけです。これについては、持続可能な形でできるように、国の負担、都の負担、これについても速やかに実現をしてくれました。  最優先で子ども・子育て、待機児童解消、そして教育におきましても、例えば学校に行ったときに、図書室が、本はあるんだけれども、閉まっている状況、これはやはり子どもたちが本に触れる機会を、昼休みや放課後、きちっとできるようにということで、いわば学校司書さんの配置ということを教育委員会と相談して実現をしてきておりますし、また特に配慮を要する子どもたちが、御案内のようにふえております。支援についてまだまだ手が足りない、支援員をふやさなきゃいけない、これはまだ必要ですけれども、これについても総力を挙げて。  また、ICT機材について、教育の現場に対する導入が世田谷区もおくれていました。今、決して進んでいるレベルではありませんけれども、できる限り、たくさん学校があり、たくさん子どもがいるので、十分ではありませんが、投入をしてきました。まだまだ課題はあります。本当に教育費、あるいは子育て支援についてもっともっと強く支えていきたいという気持ちであります。  いただきました五つの提案については、副区長から答弁させていただいたように、それぞれ課題はあるんですけれども、一つずつ少しでも前に進めることができないかと、そういった思いで関係機関に報告を求め、指示をしているところでございます。 ◎板谷 保健福祉部長 社会福祉協議会に関する再質問についてお答えをいたします。  社会福祉協議会では、構成比率の高い人件費について、経営改革を進める中で大きな課題であると認識をしており、新実施計画後期案においても改革の方針の中で経常経費の削減を図る旨を記載しております。  御指摘のありました人件費比率の計画数値につきましては、現時点において人件費改善に係る手法等が確定をしていないことから、現行制度における積算値であり、昇給分等を反映した記載となっております。  人件費の見直しは職員のモチベーションにも影響する課題でもあり、社会福祉協議会では理解を得て進めていきたいとしております。現在、職員向けに、社内報を先月までに十五回発行し、経営改革に向けた課題の取り組みについて共有を図っております。  区といたしましても、しっかりと成果が出るよう、進捗状況を適宜確認するとともに、指導助言を行い、経営の健全化に向けた取り組みを支援してまいります。  以上です。 ◎久末 産業政策部長 私からは、産業振興公社の見直しについての再質問にお答えいたします。  産業振興公社につきましては、先ほども御答弁いたしましたとおり、事業の見直しや法人のあり方などの検討を行った結果、これまで公社が培ってきたネットワーク機能や専門性のさらなる活用の観点などから、まちなか観光の強化や雇用、就労、創業支援、勤労者福祉事業など、公社ならではの取り組みを当面の間展開していくことといたしました。しかしながら、引き続き公社のあり方を検討する必要性は認識しておりますので、新実施計画後期案で東京二〇二〇大会を踏まえたスケジュールをお示ししたところでございます。  公社事業の推進と並行して、来年度早々より公社事業の見直し、他団体との連携、再編の検討を開始し、計画期間内に具体的な方向性をお示しするとともに、具体的な成果につながるよう、スピード感を持って取り組んでまいります。  以上でございます。 ◆二十八番(高久則男 議員) 今、区長から答弁がありました子ども・子育ての投資を最優先にしていただくということで、我々が掲げた五つの教育に対する充実に対してもしっかりと進めていただきたいと思いますし、外郭団体の取り組みについては、本当に今やらなければならない緊急課題であるという認識を持って取り組んでいただきたいことを要望して、終わります。
    ○上島よしもり 議長 以上で高久則男議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○上島よしもり 議長 次に、世田谷立憲民主党・社民党を代表して、四十五番羽田圭二議員。    〔四十五番羽田圭二議員登壇〕(拍手) ◆四十五番(羽田圭二 議員) 冒頭、名誉区民の鈴木忠義さんの御冥福をお祈り申し上げます。  それでは、世田谷立憲民主党・社民党区議団を代表いたしまして質問をいたします。  最初に、二〇一八年度予算に関連をいたしまして、国の税制改正等による影響についてであります。  政府は、昨年から消費税増税分を教育費に充てるとして、幼児教育・保育の無償化や大学など、高等教育の負担軽減を挙げています。ところが、この間の教育予算に対する国の対応では、就学援助制度の国の負担を減らし、その負担分を自治体に押しつけてきたと言っても言い過ぎではありません。国は三位一体改革のもと、二〇〇五年度より準要保護の国庫補助を廃止しており、現在の準要保護の制度は一般財源化され、ほぼ全額が区の負担となっております。また、公立保育園や保育室の保育所運営費も同様です。  結果的には、一度削った教育費等を消費税増税という国民の負担によって補填をしようとするもので、そして来年度予算では、生活保護費の削減や介護・医療費の自己負担増を行うとしています。最後のセーフティーネットである生活保護費の削減は、食料品や光熱費など生活費を賄う生活扶助費の削減であり、各家庭への影響ははかり知れません。  さて、世田谷区の一般会計予算が三千億円を超えました。福祉や社会保障、教育への支出増は避けられない状況にあります。区は、特別区民税の増収を見込みながらも、国の税制改正の影響は看過できないとしております。国は、ふるさと納税における行き過ぎる高額な返礼品や自治体間の競争を自制するよう求めていますが、今後、ふるさと納税と地方消費税交付金、さらには法人住民税の一部国税化による区への影響は免れない状況であります。  二十三区で影響額が最も多い世田谷区がリーダーシップを持って、特別区長会とも協力をして、国に改善を求めていくべきです。また、区として寄附文化の醸成に努めていくというならば、世田谷らしい多様なメニューを用意し、提案すべきと考えます。区はどう対応していくのかお聞きします。  次に、通常国会で連日議論となっている働き方改革と区民生活への影響についてであります。  国会では、野党の追及によって、裁量労働制に関する首相答弁の撤回という異例の事態となりました。昨日の国会では、野党から改めてデータそのものの捏造が追及されましたが、政府はデータそのものの撤回をしないばかりか、働き方改革関連法案の提出を諦めておりません。残業時間の規制の一方で、労働時間管理が曖昧となり、長時間労働に歯どめがかからない法制度の拡大は決して行うべきではありません。  第四次産業革命とされる人工知能やビッグデータの活用によって、技術発展と生産性向上が期待される一方で、区民生活や雇用、労働への影響が懸念されています。これまでにも、技術革新の陰で労働が軽減されないばかりか、労働が夜間や深夜帯に及び、長時間労働がさまざまな職場に広がってきました。  さて、区は、区内にコ・ワーキング・スペースなどを提供し、テレワークなどの環境整備をするとしています。多様な働き方を支援することで雇用機会を拡大し、中途退職などの防止や子育てしやすい環境づくりにつながるとしております。ところが、もともと労基法の適用外となっているフリーランスの事業所との契約内容の変更、不当に低い報酬や支払い遅延の実態など、不利な取引や労働環境の改善が求められております。政府は、労基法の適用や公取委による規制によって保護することを今後検討しているといいます。  今回の事業展開への区の支援が、一方で民業圧迫とならないでしょうか。さらに、想定する利用者は、労使関係が曖昧となりかねない労働環境にあるだけに、労働時間管理の困難さにどう対応していくのでしょうか。区の見解を伺います。  次に、格差縮小に向けた同一価値労働同一賃金についてです。  安倍首相は、日本から非正規雇用をなくすことや、同一労働同一賃金の実現を掲げております。さらに、企業に対して三%の賃金引き上げを求めています。パート、アルバイトの時間当たりの賃金の上昇が見られるものの、東京都総務局の調査では、全産業の平均月額賃金はほぼ横ばいになっています。国全体を見ても、名目賃金の上昇の一方で、物価上昇分を差し引いた実質賃金は〇・二%の減となっています。正規・非正規雇用の賃金や労働条件での格差は縮小しておりません。最近の裁判例では、正規、非正規の手当支給や病気休暇等取得の格差について、不合理な労働条件の相違に当たるという判断が出されております。  さらに、区の保育園入園基準においても、非正規就労の場合は、依然厳しい状況にあることが指摘されているように、制度上の改善もまだまだ追いついておりません。また、パート労働者が職場で改善、実現してほしいことの上位は、賃金の引き上げやボーナスや退職金の支給にあります。そこで、区の非正規職員の一時金や退職金制度、福利厚生面の改善を含めた対応が問われていないでしょうか。  民間では、有期から無期への労働契約の変更が進められ、夏季休暇や冬季休暇の取得、扶養手当や住宅手当など、短時間職員の福利厚生の改善を含めた正規、非正規の格差を縮めるための対応も始まっているといいます。区の見解を伺います。  次に、多文化共生社会の確立に向けた課題であります。  オリパラ開催に向けて、言語や文化の違いを超えた交流への期待が強まる中で、交流機会の保障が問われています。国全体で在留外国人が百二十七万人を超え、区内ではことし一月、一万九千九百三十一人に達しているといいます。この数は、昨年一月の一万八千百九十六人と比較をいたしますと千七百三十三名の増加であり、今後さらにふえることが予想できます。うち、技能実習生の数は約百五十名と全体の一%にも届きませんが、昨年の法改正によって外国人技能実習生の対象職種に施設の介護職種が加えられました。既に、建設業などで実施されてきたものですが、技能実習生への人権侵害や権利侵害が多発する中で、包括的な差別禁止条例の制定も視野に入れた対応が問われています。  国連の人権条約を多く批准しているにもかかわらず、包括的な差別禁止法の制定など、国連の委員会勧告に日本政府は応えておりません。東京都は、あらゆる差別の禁止を規定する条例制定に動き出したといいます。  さてそこで、区が今般提案している多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例によって、どこまで包括できるのでしょうか。また、今後策定される行動計画などによって、条例内容の実効性を高めることが問われています。区の対応をお聞きします。  次に、環境・脱原発自然エネルギー元年について質問をいたします。  環境政策では、改めて省エネの徹底や再生可能エネルギーの普及、資源循環とごみの排出抑制、みどり33の推進が掲げられております。とりわけエネルギー転換の課題では、原発の廃止を目標に、原発に頼らない省エネ、再生可能エネルギーの活用が求められております。  東日本大震災から七年、福島原発の事故後の対応が長期化し、放射能汚染対策が引き続き求められています。原発事故から七年が経過した今も、当時住みなれた地域から避難を余儀なくされた被災地では、放射線値は依然高く、避難指示解除後も復興、生活再建のめどが立たない、そうした状況が伝えられております。国は、この間、放射線量が減ったとして避難指示解除等を進めてまいりましたが、震災前の生活を取り戻すことはできないという状況であります。  また、原発廃止に向けた工事期間は三十年、原発一基の廃止処理費用は三百億円から八百億円台とされ、海外では一千億円という試算もあり、放射性廃棄物の保管期間は百年とも言われています。さらに、原発の廃炉で生じる放射性廃棄物の置き場の確保の課題も浮き彫りになっています。  国会では、野党共同によって原発ゼロ法案の成立に向けた動きもあります。先日の国会では、立憲民主党の菅直人元首相が、東京電力福島第一原子力発電所の事故について、自民党政権の責任を追及しました。その際、安倍首相は、原発の安全神話に陥り、あのような悲惨な事態を招いたと答え、政府と電力事業者の責任を認めたものの、今後も原発の再稼働と輸出を行っていくという姿勢は崩しておりません。  区は、この七年間、公共施設の屋根貸しや家庭用の太陽光発電の普及を初め、区民参加による自然再生エネルギー、自治体間連携による電力供給システムの活用などを行ってきました。これらの事業展開が着実に区民の省エネや電力供給のあり方を考え、変えていくきっかけとなってきたとも言えます。二〇一八年度を脱原発自然エネルギー元年として位置づけ、さらに原発に頼らない再生エネルギーの活用拡大に向けて区が発信することが必要であります。区長の見解を伺います。  次に、世田谷版の福祉と社会保障の推進について、ノーマライゼーションプランと障害理解の課題について触れておきます。  東京都は、障害者差別禁止条例を制定いたしますが、区は、条例制定は行わないとしてまいりました。そこで、障害があってもなくても、住みなれた地域で暮らし続けることのできる社会の実現に向けた計画や施策を着実に推進していくことが必要だと考えます。  津久井やまゆり園事件は、防犯体制が弱かったから起きた事件であったのでしょうか。施設の防犯対策や管理、監視に終わらせることなく、虐待防止や差別禁止の徹底が求められています。障害理解は、障害当事者に寄り添った交流、地域での自立生活への支援が欠かせないと考えます。区の見解を伺います。  次に、介護者支援の課題についてであります。  二〇一八年度からの診療報酬と介護報酬の改定内容が打ち出され、住みなれた地域で暮らし続けるための医療と介護の連携とその充実がうたわれています。在宅介護で医療行為が伴う場合は、介護する側の困難さはより増しています。在宅医療や介護の充実は、区がこの間進めてきた地域医療連携が先駆けとなっています。その支援の進捗状況と課題について伺います。  また、在宅介護に欠かせない介護者支援の課題は、介護者のサポートを含めた対応が求められています。要介護認定を受けている方が誰に介護されているかの質問では、家族、親族と答えた方が六一・四%に達しています。在宅での介護は、依然配偶者か子が行っている、その場合が多い状況であります。  介護保険が改正されるたびに高まる家族介護依存によって、毎年十万人が介護のために仕事をやめている介護離職が問題になっております。老老介護や働きながら介護している方も決して少なくありません。また、十代、二十代の子ども、若者も家族の介護のために負担を負っている現状は、二〇一四年の世田谷区の実態調査でも明らかになり、いわゆるヤングケアラーへの早急な対応が求められています。現役世代やヤングケアラーとされる在宅での家族介護者の支援は、一層重要になっています。介護する側の世代も幅広く、横断的な支援、対応が必要になっているのではないでしょうか。介護者支援条例も視野に入れた相談体制の強化など、在宅介護を支えることが問われています。区の見解を伺います。  次に、新たな経済産業政策について、産業ビジョンの位置づけについて伺ってまいります。  経済面では、世界的な情報技術の発展によって、また、社会的には、少子・高齢化による区民ニーズとともに、区内の産業構造や生活・就業環境は大きく変化していると言えます。商業、工業、農業とともに建設業や福祉・環境・教育分野など、産業分野の起業も著しい状況です。こうした変化を見逃さない、経済・産業・労働政策が求められていると考えます。区の見解を伺います。  人工知能やロボット化による失われかねない人と人との関係や人間らしさをどう維持発展させていくのかは、地域社会の重要なテーマとなっています。商店街振興策においても、プレミアム商品券の助成というこれまでの対応にこだわることなく、商店街利用を高めるための時代の変化に応じた多様な支援策が問われております。障害があっても、御高齢になっても、住みなれた地域で暮らし続けるために、買い物困難者、いわゆる買い物難民対策を含めた福祉的支援も取り入れた商店街振興策を強めるべきと考えます。今後、産業振興計画にどう反映させていくのかを含め、区の対応を伺います。  次に、区民参加によるまちづくりについて質問をいたします。  地域生活を保障する区内公共交通網の整備は、都市整備分野における重要な課題です。中でも公共交通不便地域の解消に向けた取り組みや、コミュニティバスの運行を初め、区内南北を結ぶバス路線の拡充などの課題があります。バス運行のモデル実施なども含め、総合的な検討、検証によって区内全体の施策として広げていくことが必要です。区の見解を伺います。  再開発計画を初め、地区計画の策定や道路・公園整備など、まちづくりにおける区民参加の保障が一段と求められています。これまでにも区民参加による公園や広場づくりが進められてきましたが、二子玉川公園など、この間の先進例を視野に入れた対応が必要だと考えます。区の見解を伺います。  次に、誰もがありのままに暮らせる社会の実現について質問をします。  特別支援教育推進計画が第二期を迎える中で、ノーマライゼーションプランで掲げる障害の有無にかかわらず、誰もが住みなれた地域で自分らしく生活を安心して継続できる社会の実現のために、教育部門での対応が問われています。就学先の決定においても、特別支援教室への通級、特別支援学級及び学校への転学は、本人及び保護者の意向を尊重した対応が求められています。区の対応を伺います。  最後に、教員の働き方改革について質問をいたします。  教職員の長時間労働の実態について、東京都や文科省の調査が行われてまいりました。東京都のその対策の一つに、週当たりの在校時間六十時間を超える教員をゼロにするという提案があります。一日当たりの労働時間が十二時間、月当たりの時間外労働が八十時間という長時間労働を前提とした内容となっていないでしょうか。厚生労働省の過労死ガイドラインに規制する月八十時間超の残業時間よりやや下回っているものの、一日平均三時間を超える残業を前提とした働き方では、教員の勤務軽減につながるとは思えません。  区は、休みやすい環境づくりなどを進めてきましたが、現場教職員からの意見を聞いた上で、人をふやすか、仕事量を減らすしかないと考えます。区の対応を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 羽田議員にお答えをいたします。  まず、国の税制改正の影響を強く受けている区として、しっかり対応するようにと、こういう御質問でございます。  おっしゃるように、この間の法人住民税の一部国税化、地方消費税の配分見直し、ふるさと納税制度の拡大、まさに東京を狙い撃ちした国の税制改正の影響は、特別区全体で現時点において一千三百億円を超えています。消費税一〇%になる段階では、二千億円に迫るだろうと予想しています。  これは特別区で言うなら、人口五十万人程度の区の財政規模全体に相当する途方もない金額であり、先般、特別区長会として税源偏在是正措置に対する特別区緊急共同声明を出しましたが、さらに区民生活を守るために、この不合理な国の税源偏在是正のあり方に対して断固反対する、また、是正を求めるということを表明してきたところであります。  また、具体的には、区のふるさと納税の影響は、今回の当初予算案で四十億円と、大変大きな減収を見込まざるを得なくなっています。こうした状況を踏まえ、現在、特別区長会で議論を開始したところですが、世田谷区からは、ふるさと納税制度の是正に向けて、平成二十七年度税制改正以前に戻す、あるいは利用に当たり税控除額に一定の上限を設ける、これは、具体的に試算していくと、今回の四十億円、あるいは二十九年度の三十億円というのが、半分になったり三分の一になったりするわけですけれども、ふるさと納税全面否定ではなく、各地方の特産や、あるいは、ふるさと、被災地に一定の寄附を送ろうと、そこはキープしながらも、今の状態はもう限度を逸しているということを、こういうふうにできないかという提案をもとに、区長会として国に突き出すということを提案して、現在、議論しているところであります。  一方で、世田谷らしい多様な寄附メニューを提案すべきという御提案をいただきました。先ほどの招集挨拶でも触れましたが、児童養護施設の退所者支援のための奨学基金については、一年十カ月で五千万円という大変多額の寄附を、世田谷区民並びに区外、全国の方々から受けております。また、宮の坂の玉電の展示車両を塗りかえましょう、また、大蔵運動場スタンド整備費の、例えば障害者用車椅子シャワー、あるいは座席、こういったものに対するガバメント・クラウド・ファンディングの呼びかけも大変反響が広がっておりまして、一月一日から、既に両者で八百万円を超える寄附が集まっております。  ただ、それ全体で総計しても、まだ五千万とか、四千万台になっているわけで、これをいかに膨らませて伸ばしていくのか、馬事公苑に向かう道すがら、蹄鉄を埋めていこうと、そういうアイデアも出ておりますし、また各所管から、さまざまな区民ニーズ、あるいは非常に魅力的な提案に基づく、環境貢献、教育、福祉、いろんな分野で、このことによって世田谷区をよくしようという提案を今必死になって集めて、区民の皆さんにしっかり提案をしていく、そのことで四十億円と途方もない額でございますけれども、本当にこれをしっかりと取り戻していくという気概で、総力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。  次に、環境問題、脱原発、自然エネルギーについての御質問がありました。  三月十一日から間もなく七年が経過をいたします。あの大きな地震と、その地震直後の福島第一原発事故の異常事態、私は東京電力福島第一原発事故からのこの七年は、この原子力発電が、人類が扱える技術ではないということが証明された七年間ではなかったかと思います。今後のエネルギー政策においては、原発ゼロの社会の構築に向け、省エネルギーや再生可能エネルギー利用に大きく転換をする、この時期だと。  七年という時間は非常に長いですけれども、逆に言うと、今、原発ゼロ法案の提唱者に、小泉純一郎元総理が先頭に立っていると。数年前に再会して、総理のときには大分意見が違いましたけれども、国会でのいろいろなやりとりがありましたけれども、この点に関しては全く意見は同じですということで、随分時代が変わってきたということを感じます。  区としましては、自然エネルギーの活用、これを少しでも拡大をしていくために、世田谷区の屋根、太陽光発電の利用、これは限られてございますので、これだけではなくて交流する自治体と自治体の連携ということで、例えば長野県の電気を世田谷区の区立保育園に供給をする自治体間連携を昨年始めましたし、また、川場村のバイオマスの区民への売電、こういったことも始めました。脱原発自然エネルギー元年にしてはどうかという御提言をいただきました。  原子力発電については、これまで申し上げているように、安全性を確保する対策や重大事故の際の避難計画の検証は全くできていないまま、再稼働するべきではないと考えています。この間の成果を踏まえつつ、お話しのような気概を持って、省エネルギーのさらなる推進や、再生可能エネルギーの利用拡大、これを実現するために、地球温暖化対策地域推進計画などの改定を機に、一層、環境問題への取り組みを強めてまいりたいと思います。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、ノーマライゼーションプランと障害理解について御答弁を申し上げます。  一昨年の七月に発生いたしました津久井やまゆり園での障害者殺傷事件は、社会に対しまして、障害者の偏見や差別についての問題を投げかけた大きな出来事だったと受けとめております。区では、この間、せたがやノーマライゼーションプランの見直しを進めてまいりましたけれども、障害の有無にかかわらず、誰もが住みなれた地域で自分らしい生活を安心して継続できる社会の実現を基本理念としつつ、新たに障害理解の促進と障害者差別解消法の周知を障害者施策の基盤となるテーマといたしまして、共生社会の実現に取り組むことといたしたところです。  また、同時に策定を進めてまいりました第五期世田谷区障害福祉計画におきましても、国が定めました成果目標や活動指標に加えまして、区独自に障害理解の促進と障害者差別の解消、障害者の地域生活の支援、障害者就労の促進の三点を重点取り組みといたしまして、新実施計画後期とも連動させながら着実に計画を推進してまいりたいと考えております。  現在、東京都では、障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例の制定に向けた検討を進めておりますけれども、この中では都区の連携の視点も盛り込まれておりますので、東京都との連携協力の点も含め、障害者施策の充実と差別のない社会の実現に積極的に取り組んでまいります。  以上でございます。    〔岡田副区長登壇〕 ◎岡田 副区長 私からは、産業ビジョンに関連しまして、産業の変化を見逃さない経済・産業・労働政策について御答弁申し上げます。  平成二十八年度に総務省が実施した経済センサス活動調査の速報値によれば、区内事業所の数は、平成二十六年度からはわずかに減少しているものの、ここ十年程度の傾向としては増加の傾向にございます。建設業や福祉・環境・教育分野などについてもおおむね同様の傾向にございます。事業所数が増加する一方、東京二〇二〇大会に向けた建設需要の増加など、区内産業を取り巻く社会経済環境の変化に伴いまして、区内産業の担い手不足は年々深刻化しております。  区としても、このような区内産業の変化を踏まえて、建設業人材確保事業に取り組むとともに、多様な産業にかかわる人材の育成を視野に入れて、起業・創業支援や三茶おしごとカフェによる就労支援などに取り組んでまいりました。三茶おしごとカフェとハローワークの連携により、毎年千名程度の方々が就労につながっております。  また、新しい産業ビジョンにおいては、商業、工業、農業といった従来型の産業分野ごとの枠組みにとらわれず、区民生活、産業活性化、まちづくりという三つの大きな視点から世田谷の産業を捉え、産業横断的な連携による十年後の世田谷の七つのありたい姿とその実現に向けた施策の体系などをお示ししたところであります。  今後は、新たな産業ビジョン及び産業振興計画に基づき、区内の経済産業動向の特徴や変化を的確に把握しながら、広い視野から総合的な経済・産業・労働政策に取り組んでまいります。  以上でございます。    〔堀教育長登壇〕 ◎堀 教育長 誰もがありのままに暮らせる社会の実現へということで、インクルーシブ教育について御質問をいただきました。  区では、せたがやノーマライゼーションプランを策定し、共生社会の実現を目指しています。教育委員会においても、第二次教育ビジョンの重点事業に特別支援教育を位置づけ、人的支援体制の強化や特別支援教室の導入などにより、連続性のある多様な学びの場や、個に応じた教育環境の構築に積極的に取り組んでまいりました。  議員お話しの障害がある子どもの就学相談は、まず、保護者の申し込みにより始まります。その後、医学、心理、教育の専門職で構成する就学支援委員会において、子どもの成長という視点を大切にしながら、児童生徒一人一人の個性に応じた望ましい学びの場について意見をまとめていきます。その意見をもとに、保護者と教育委員会がさらに相談を重ね、最終的には、本人、保護者の意向を尊重して就学先を決定しております。保護者の心情はさまざまであるため、就学相談担当職員や学校関係者は、保護者の意向をよく理解した上で、その心情に寄り添い、学校生活に必要な支援等の確認を丁寧に行うことが重要です。  今後も、校長会や教職員研修等の機会を捉え、保護者や本人の気持ちに寄り添った対応をするよう指導し、障害のある子どもたちが就学後も達成感や自己肯定感などを持ちながら、安心して充実した学校生活を送れるよう取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎久末 産業政策部長 私からは、二点お答えいたします。  まず、子どもの近くで働くことができるワークスペースは民業圧迫にならないか、また、裁量労働制の拡大や労働時間管理の困難さへの対応についてお答えいたします。  区内でコ・ワーキング・スペースを提供している事業者は十カ所近く把握しておりますが、区が来年度補助事業として予定をしている子どもの近くで働くことができるワークスペースにつきましては、区内では類似の機能を持つ施設は、把握する限り無認可保育施設にワークスペースを備えた一カ所であり、なかなか進んでいないのが現状です。そのため、一般型については、区では運営が安定するまでの四年間について補助を行い、その後は自立できるように支援をし、新たな働き方の選択肢について提案してまいります。  また、テレワークのような働き方は、労務管理が難しく、長時間労働にもつながる懸念があることは認識しております。今回の区のモデル事業は、自宅の近くでライフスタイルに合わせた働き方を選択することができるものです。労働時間の管理につきましては、利用者の作業時間を確認できるシステムを必須とする等、長時間労働にならないよう、利用啓発を進めてまいります。  次に、福祉的支援も取り入れた商店街振興策について御答弁申し上げます。  これまでも、商店街によっては、お買い物の品を自転車で自宅に配達するサービスや、町の困り事や悩みを解決する便利屋サービスを実施する商店街、子どもの一時預かりを実施して、地域の子育て支援に取り組む商店街などがございました。また、最近では、障害者が商店街を利用しやすくするスロープの設置などを積極的に協力する商店街もございます。さらに、プレミアム付区内共通商品券の発行に当たっても、高齢者、障害のある方、子育て世代に優先予約枠を設けております。  御指摘のように、福祉的支援を取り入れた商店街振興は、今後の商店街振興に大切な視点だと認識しております。区としては、平成三十年度からの産業振興計画の中で、区民生活や地域環境を支え、高める商店街振興として、少子・高齢化、障害理解などの地域課題への取り組みなど、公共的役割を深めるとしております。  今後は、これまでの各商店街での先駆的な取り組みを参考に、国や都の補助金も活用しつつ買い物支援など、社会に求められる商店街を目指し、課題の解決に向けて取り組む商店街を支援し、実現につなげてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◎中村 総務部長 私からは、区の非正規職員の雇用条件の改善について御答弁いたします。  現在、区では三千名を超える非常勤職員を任用しておりますが、この間、職責に応じた報酬の設定や休暇制度の充実、研修体制の整備のほか、雇用更新回数の限度を撤廃するなど、さまざまな雇用条件の整備改善を進めてきたところです。  一方、昨年の地方公務員法等の改正により、非常勤職員の任用根拠が明確化され、平成三十二年四月からは、ほとんどの非常勤職員を一般職の会計年度任用職員として任用することとなります。この一般職の会計年度任用職員は、これまで支給できなかった期末手当の支給が可能となる一方で、任用に当たっては特別区人事委員会の関与が必要となるなど、制度面で大きく変わる部分がございます。現在、法改正を踏まえ、特別区全体で、臨時・非常勤職員の任用や雇用条件のあり方について検討を開始したところです。  区におきましても、こうした検討状況を踏まえ、国が掲げる同一労働同一賃金の観点からも、引き続き働きやすい環境づくりを進めてまいります。  以上です。 ◎田中 生活文化部長 私からは、多文化共生社会の確立に向けて、今回区が提案している条例でどこまで包括でき、また実効性を高められるのかという点に御答弁いたします。  東京都は、多様性を都市づくりに生かし、全ての都民が東京の発展に向けて参加、活躍でき、安心して暮らせる社会の実現を基本目標とする東京都多文化共生推進指針を平成二十八年二月に策定しました。また、昨年十二月、都議会において小池都知事が、オリンピック憲章の理念に沿ってあらゆる差別の解消を目的とした包括的な条例制定の検討を進める旨の答弁をされたところです。  本定例会で御提案しております世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例は、区、区民及び事業者が一体となって男女共同参画と多文化共生を推進することにより、多様性を認め合い、人権を尊重する地域社会を実現することを目指すものであり、オリンピック憲章の根本原則を踏まえたものであると考えております。  多文化共生の基本的な施策といたしましては、条例八条の第六号に、外国人等への情報の多言語化等によるコミュニケーション支援を掲げております。さらに第七号に、外国人が安心して安全に暮らせるための生活支援を掲げ、居住や教育、労働、医療、福祉、防災等の生活全般の支援を行う予定です。具体的な取り組みにつきましては、東京都の多文化共生推進指針を初め、包括的な差別禁止条例の制定等の動向も踏まえるとともに、審議会、区議会の御意見を伺いながら、平成三十年度に行動計画の検討を行い、多文化共生施策を総合的、計画的かつ着実に推進してまいります。  以上でございます。
    ◎板谷 保健福祉部長 私からは、区が進めてきた地域医療連携、その進捗状況と課題についてお答えをいたします。  団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年に向けて、医療や介護のサービスを受けながら住みなれた地域でいつまでも暮らし続けられる地域包括ケアシステムを推進しております。今後、医療と介護のニーズをあわせ持つ高齢者のさらなる増加が見込まれる中、平成三十年度には、診療報酬と介護報酬の同時改定が予定されており、在宅で療養生活を送る方に適切な医療、介護が提供される仕組みづくりが喫緊の課題であると認識をしております。  区ではこうしたことから、医療・介護連携のさらなる推進を目指し、平成三十年度から、あんしんすこやかセンター在宅療養相談窓口を設置し、本年度作成をいたしました在宅療養資源マップを活用し、訪問診療や入退院に関する相談を身近なところで受けるとともに、本人や御家族が療養生活のあり方を選択できるよう、医療職と介護職がチームケアで患者を支える在宅医療の周知、普及を図ってまいります。  今後とも、医療職、介護職等の多職種が参加する医療連携推進協議会等で連携の強化に向けた検討を進め、介護者支援の視点も含め、地区連携医事業など、在宅医療・介護連携推進事業の推進を図ってまいります。  以上でございます。 ◎瓜生 高齢福祉部長 私からは、介護者支援条例も視野に入れた相談体制の強化について御答弁いたします。  平成二十八年度に区が実施した介護保険実態調査では、在宅で要介護認定を受けている方のうち、家族、親族が介護されている方は六一・四%、主な介護者の年代は二、三十代から八十歳以上の方まで幅広く、在宅生活を継続する上で、年代に応じた家族介護者の支援は大変重要と認識しております。区では、実践ケアマネジメントの基礎知識を作成し、在宅ケアの中心を担うケアマネジャーに介護者負担軽減など、年代に応じた介護者支援の視点も踏まえたケア計画作成をケアマネジャー研修などで働きかけております。  また、介護者の孤独や悩みを解消するため、家族会や特別養護老人ホームでの家族介護教室の実施、二十四時間いつでも相談できる高齢者安心コール事業に取り組んでおります。一方、ケアラー支援条例を提案している団体は、介護者への社会的な支援を求める活動を行っており、法の整備や条例制定に向けたセミナーの開催などに取り組まれておりますので、その動向を注視してまいります。  区といたしましては、福祉の相談窓口で介護と仕事、子育てとの両立や経済的な困難、ヤングケアラーなど、さまざまな相談をお受けし、ふくそうしたニーズも見えてきております。さまざまなニーズに適切に対応できるよう、関係所管との連携など、支援体制を充実させ、誰もが安心して住み続けられる地域包括ケアシステムの構築に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎小山 道路・交通政策部長 私からは、公共交通不便地域解消について、区内全体の施策に広げるべきとのお尋ねにお答え申し上げます。  昨年度取りまとめました公共交通不便地域対策調査・検討の中間のまとめでは、今後の取り組むべき方向性の一つとして、高齢社会における日常生活上の移動利便性の向上と地域社会とかかわりを持ち、多様に活動できる環境づくりの支援を掲げました。区では、この方向性のもと、今年度からは、砧一丁目から八丁目を調査検討のモデル地区として選定し、これまで地域の方々との勉強会を二回開催したほか、三千名の方を無作為抽出した上、アンケート調査によるニーズの把握等に努めてきたところでございます。区内ではほかにも公共交通不便地域が点在しており、ほかの地域からもコミュニティバス導入の要望をいただくなどしております。  区といたしましては、現在取り組んでいる調査検討を今後、他の地域での対策の検討の素地とし、区内全域に広がる施策へとつなげるためにも、まずはモデル地区におきまして、具体的な事業モデル等に関する勉強会の実施等を通じ、地域の方々との協働により課題解決に向けて取り組んでまいります。  以上です。 ◎髙木 みどりとみず政策担当部長 私からは、区民参加の公園づくりについて御答弁させていただきます。  今後、整備を予定している大規模な公園といたしまして上用賀公園拡張、玉川野毛町公園拡張の整備がございます。四月以降、基本計画の策定に入りますが、緑の拠点となる大規模な公園として、広い範囲から利用者が訪れることも想定し、上用賀公園拡張用地は、緑、スポーツ、防災、また、玉川野毛町公園拡張用地は、緑、歴史文化、防災をコンセプトとして整備計画の検討を行う予定でございます。  世田谷区の区民参加の公園づくりにおきましては、三十年の歴史があり、この十年間では、約百三十回のワークショップを実施してまいりました。二子玉川公園では、アンケートやワークショップなど、さまざまな区民参加の手法により計画づくりを進め、また、多くの子どもたちが参加した植樹祭を開催、管理運営においても、区民の方々が公園サポーターとして管理に携わっていただいており、広く区民に利用される公園となってございます。区と地域の皆様や関係する団体など、多くの方々とコンセプトを共有し、協働による計画づくりや管理などによる区民参加を進め、地域の中で末永く愛され、利用される公園として育てていくということが大変重要だと考えております。  今後、整備計画の検討を行う公園におきましても、これまで培ってきた経験や他の事例も研究しながら、区民参加による公園づくりを進めてまいります。  以上でございます。 ◎志賀 教育次長 私からは、教員の働き方改革について御答弁申し上げます。  教育委員会では、第二次世田谷区教育ビジョン・第一期行動計画の中で、教員が子どもとかかわる時間の拡充をリーディング事業として掲げ、教員の事務負担軽減を図り、教員が児童生徒と向き合う時間の拡充やみずからの研究、研修に充てる時間の確保など、教員本来の職務に十分時間を与えられるよう取り組んでまいりました。  具体的には、各種事務システムの導入、給食費収納の公会計化による事務負担及び負担感の軽減などに取り組んでまいりました。また、部活動支援員制度の充実は、いわゆる学校休業日による休みやすい環境づくり、さらに、教育支援チームによる専門的な立場からの教員への指導、助言などの教員を支援する体制づくりを行ってまいりました。教育ビジョン・第二期行動計画におきましても、教員が子どもとかかわる時間の拡充をリーディング事業として位置づけ、教育支援チームの拡充や特別支援教育巡回チームの設置などのサポート体制の充実、また、学校休業日の拡大などの環境整備を検討してまいります。  施策の実施に当たりましては、お話にありましたとおり、現場の教職員からの意見を踏まえた上で、これらの人的支援の充実と継続した業務の見直しなどを行うことにより、教員が働きやすく、子どもたちへ質の高い教育が提供できるよう努めてまいります。  以上です。 ◆四十五番(羽田圭二 議員) それでは、再質問させていただきます。ノーマライゼーションプランに関連をして、二点ほど伺っていきます。  障害者の自立支援の課題なんですが、個々の障害者の状況に応じた対応が求められていると考えます。特に、最近では自立支援が就労支援のみという、そこに重点が置かれることなく、個々人の意見が十分反映される必要があると考えるわけですが、この点について、一点伺っておきます。  もう一つは、障害者の自立生活を支援する介助者の不足の問題です。これは、先ほども他の会派からも指摘があり、障害者、あるいは高齢者、それぞれに限らず、居宅介護における介助者不足、その介護する側の不足している点について、今後、区はどのような対策をとっていくのかということを含めて、お答えいただきたいと思います。 ◎松本 障害福祉担当部長 障害福祉サービスにつきまして再質問を頂戴いたしました。サービス内容にかかわる御質問でございますので、所管部からお答えをさせていただきます。  まず、障害者施策でございますけれども、障害者差別のない共生社会の実現とともに、個々の障害者に応じたきめ細かなサービス提供の視点から取り組む必要があるというふうに考えてございます。きめ細かなサービス提供でございますけれども、事例でお答えをして恐縮ですが、重度訪問介護というサービスがございます。これは、一昨年には初めて二十四時間対応のサービスを行う方が出てまいりましたが、現在、六名に拡大をしてきております。  それから、障害者の就労の点ですが、現在障害のある方は、一般企業などに就労するほか、施設に通所されていらっしゃいますけれども、障害の状況に応じました働き方ができるようにとの御要望もいただいておりまして、ユニバーサル就労という考え方を、ノーマライゼーションプランの今般の見直しとともに、新実施計画にも盛り込ませていただきまして、その開発に取り組むこととしております。  また、きめ細かなサービスを提供するための介護人材の確保も大変重要な課題というふうに考えております。一昨年に行いました障害者福祉サービス事業者に対します調査でも、介護職員の不足ということが一番多く頂戴をした声でございます。国のほうでは、平成三十年度からの報酬改定、それから処遇改善の加算が実施をされますので、あわせまして都においても支援策を講ずるというふうにしておりますので、こういった施策が十分に生かせるよう、事業者への丁寧な情報提供などを行ってまいりたいというふうに考えております。  あわせまして、若い方の人材を確保していきたいという観点からも、区内の大学等に対して介護人材の養成研修ということも実施をしております。  引き続き、従事者の裾野を広げる取り組みということで、福祉人材研修センターなどと連携をいたしまして、従事者確保に努めながら、さまざまな施策、これを充実させていきまして、障害者の状況に応じた地域生活支援ということに取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◆四十五番(羽田圭二 議員) ありがとうございました。障害者の自立生活を支援するということで、さらに、さまざま拡充をしていただきたいかと思います。  インクルーシブ教育については、教育長から答弁をいただきましたけれども、家族とそれから御本人の意見をしっかり反映できる、そういう仕組みをさらに今後も発展をしていただきたいかと思います。  その点を要望いたしまして、私からの質問を終わります。 ○上島よしもり 議長 以上で羽田圭二議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後五時四十二分休憩    ――――――――――――――――――     午後五時五十五分開議 ○上島よしもり 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。  代表質問を続けます。  日本共産党を代表して、四十三番中里光夫議員。    〔四十三番中里光夫議員登壇〕(拍手) ◆四十三番(中里光夫 議員) 名誉区民の鈴木忠義さんが御逝去されました。心から哀悼の意を表します。  それでは、日本共産党世田谷区議団を代表して質問します。  初めに、平和をめぐる問題についてです。  核兵器の開発、製造、所有、使用などを禁止する核兵器禁止条約が国連で採決されました。核兵器の残虐性、非人道性を訴えてきた被爆者や草の根の平和運動が世界を動かしました。ICANがノーベル平和賞を受賞したのはその象徴です。  世田谷でも核兵器廃絶を求める草の根の運動が続いてきました。一九八五年八月十五日に、核兵器廃絶へ世田谷の良心をと、区民の二年半にわたる署名運動で平和都市宣言が実現しました。平和都市宣言を求める区民の運動には、山田洋次さん、水上勉さん、向井潤吉さん、西田敏行さんなど、区内在住の多くの著名人、学者、宗教者が呼びかけ人、賛同者に名を連ね、多くの個人、団体に広がりました。区議会には七万人を超える十数本の請願署名が次々と寄せられました。議会の記録を見てみますと、区民の請願を受け、区議会各会派が違いを乗り越え、一致点を探って二年間議論を重ね、平和都市宣言に関する決議を全会一致で上げました。これを受け、当時の大場区長のもと、平和都市宣言が発表されました。  二〇一〇年四月に、世田谷区は平和市長会議に加盟しました。広島市長の呼びかけで始まった核兵器廃絶を目指す都市、自治体の運動です。被爆証言集をつくる運動や国連のNPT再検討会議に向けた署名運動などの区民の運動の高まり、そして世界の核軍縮への動きの中で、平和都市宣言二十五周年に当たるこの年、当時の熊本区長が決断しました。現在は、平和首長会議と改め、世界百六十三カ国、七千五百四十二都市が加盟しています。保坂区長も昨年の長崎での総会に出席したり、区のホームページから署名を呼びかけるなど、積極的にかかわっています。  一方、アメリカのトランプ大統領は、核態勢の見直し、NPRで小型核兵器と核巡航ミサイルの導入などを表明しました。日本政府は核抑止力を強めるものだと歓迎の姿勢を示しています。核兵器の使用の可能性を広げるだけでなく、日本への核持ち込みの危険も拡大しています。こうした動きに被爆地や被爆者団体、世界中の人たちが核廃絶の流れに逆行するものと批判しています。  また、安倍政権は、憲法九条に自衛隊を書き込む改憲を狙っています。これは自衛隊がフルスペックの集団的自衛権を持つ軍隊となることを意味します。新年度予算でも、トランプ米大統領の言いなりに、長距離巡航ミサイルなどを購入し、他国を攻撃する能力を持つ、戦争する国づくりを進めようとしています。  憲法九条を守る三千万人署名に取り組む私の知人は、平和への思いを手書きで数百枚の短冊に書き、署名の協力を求める運動に参加しています。平和を求めるための運動が広がっています。  世田谷区の平和都市宣言が目指す方向に逆行する状況も生まれている今、平和都市宣言を今日的に生かし、平和を実現する努力が求められています。区長は新たな決意で取り組むべきです。見解を伺います。  次に、区長の区政に対する基本姿勢について質問します。  ことしは、保坂区政二期目最後の一年です。区民は保坂区政に何を期待し、区政はどう応えてきたのか、保坂区政二期目の三年間の総括と、残り一年、そして来期に臨む区長の決意について伺っていきます。  七年前の保坂区政の誕生は、開発優先の自民党区政からの転換や脱原発を掲げた区長に、区民が期待した結果です。二期目の選挙では、保育、介護、防災まちづくりなど、区長が掲げた公約が切実な区民の要求と一致しました。区民は、保坂区政に対し、公約した区民の要求に応えること、国が進める政策にも区民の立場で対すること、開発優先区政からの転換を進めることなどを期待しています。  二期目の保坂区政は、保育待機児問題では、約五千人分の保育園整備を進め、保育の質を守るための保育士の処遇改善などにも取り組んできました。まちづくりセンターごとの福祉相談窓口の設置や特養ホームの整備など、地域の介護基盤づくりに取り組んできました。国が生活保護基準を引き下げたときに、就学援助の基準を維持し、影響が出ないよう対応したことや、給付型の奨学金制度を創設するなど、子どもの貧困問題にも取り組んできました。区民の期待に応え、成果を上げてきました。  しかし、保育待機児はまだ全国でも最大規模、増加する高齢者の介護の問題もまだまだ深刻です。貧困と格差の拡大、国の社会保障制度改悪で区民の医療や介護の負担がふえています。区民の暮らしを守る区政の役割はますます重要になっています。都市計画道路五二号線などの大型道路整備や図書館民営化など、区民から異論の出ている問題には慎重に対応しなければなりません。区民の期待に応え、保坂区政がやらなければならないことはまだ山積みです。  保坂区政が区民の期待にどう応えてきたのか、今後何を目指すのか、区長自身の評価と決意を伺います。  次に、区政の重要課題について質問していきます。  まず、新実施計画、特に行政経営改革の考え方の転換について質問します。  新実施計画案が示されました。四年間の具体的な区政運営を進める指針です。今回の計画では、前期計画の総括と基本計画の中間総括が新たに加わりました。区政運営の到達と今後の課題が明確になったと評価します。行政経営改革計画は、従来の経費削減ばかり追い求める行革から、区民サービス向上のための区政のあり方を変えるためのものに転換することを求めてきました。この観点から三点質問します。  第一は、組織・人員体制は、経費削減のテーマではなく、信頼される行政のために必要な体制を構築するテーマとなりました。その理由と考え方について伺います。  第二は、民営化、民間活力導入については、区が行政の責任を明確にし、質の確保に十分留意して進めるとしました。その理由と考え方について伺います。  第三は、行政改革の目的は経費削減だけでなく、区民サービスの向上や信頼される区政など、行政のあり方を変えることにあります。計画に明記すべきです。見解を伺います。  次に、施設使用料、利用料の見直しについて質問をいたします。  今回の施設使用料・利用料見直しについて、我が党は、当初から指針の見直しを求めてきました。適正な利用者負担の導入指針は、新実施計画ができる前につくられたもので、新実施計画で示された低所得者への配慮を基本とし、区民負担の見直しに当たっては、事業の継続性と政策目的を踏まえるという観点がなく、利用する者と利用しない者との公平性を保つなど、古い方針が残っていました。見直しを求める我が党の質問に、区は、新実施計画の視点に基づき、使用料、利用料を見直し、指針の見直しも進めると表明しました。ところが、指針は現在に至るも見直しがされていません。  指針の考え方は、行政サービスを必需的か選択的か、利便性か公益性かという角度から四つの性質に区分し、それぞれの利用者負担率をゼロ割、一から五割、五から十割とするもので、施設やサービスごとにどのような負担率が適正か、そもそも負担率の考え方を変える必要はないのかなど、新実施計画の利用者負担の考え方に基づいて見直す、このことが、利用料、使用料を見直す前提となるべきものです。ところが、これらの問題の具体的な議論も行われないまま、使用料、利用料の見直し作業が進められてきました。  今回の区の使用料・利用料見直し提案は、施設の管理運営経費が増加しているもとで、利用者負担割合が低下したことを理由としています。消費税増税や人件費の上昇による委託費などの上昇が、管理運営費増加の主な内容です。電気代などは引き下げる努力がされてきました。実際の経費が上がっているものについては、前回の利用者負担率の範囲内で負担増を求めることは一定理解できます。しかし、施設ごとに見て、実際の管理運営経費の変動と見合わない値上げ、そしてそもそもの施設の利用目的、政策目的に照らして、不適切と思われる利用料、これらについては認められません。  今回の使用料・利用料見直しの中で、議会や区民から指摘された意見を受けとめ、この間先送りされてきた利用者負担の具体的方針の見直しを急いで進めるべきです。区の見解を伺います。  次に、区民の要求、保育の問題について質問します。  保育待機児は、保育園整備が進み、地域によっては充足してきました。しかし、まだまだ数百人規模の待機児が予想され、両親フルタイムでも保育園に入れない、妊娠がわかったときから、いわゆる保活に翻弄され仕事をやめざるを得ない、こういう深刻な状況は続いています。  区は、丁目ごとの保育施設整備の必要性を考慮した地図を公表していますが、特に北沢地域や世田谷地域で施設が不足しています。地域偏在の解消が大きな課題です。低年齢児童施設が増加するもとで、三歳児からの受け入れ先など、これも課題が多いと認識しています。株式会社など多様な事業者が参入する中で、子どもの健やかな成長を安心して任せられる保育の質が問われています。  国や都の保育士処遇改善の手だてが今後も継続されるのか不透明な状況です。区の取り組みも平成三十二年以降が明らかになっておらず、不安の声が上がっています。世田谷区は、新年度予算で千二百六十九人分の定員増を目指すなど、この間、保育園の整備を進め、保育の質を守るための区独自の取り組みを進めてきたことや、保育士の処遇改善を当面継続することを評価しますが、残された課題は大きいと考えます。  保育待機児解消の取り組みの到達、そして今後の課題について区の見解を伺います。  次に、企業主導型保育について質問します。  企業主導型保育は、内閣府主導の保育待機児対策として打ち出されてきました。企業が、事業所内保育事業を主軸として、区市町村の保育園整備とは別枠に整備を進められ、従業員枠のほかに地域枠も定員の五〇%以内で自由に設定できる保育施設です。国から小規模保育事業に準じた補助金を得ることができます。  区内には、既に十七カ所が整備され、さらにふえる傾向です。地域枠の合計は百十四人になっており、世田谷の保育の一定の位置を占めるところになってきています。児童福祉法では、保育は自治体の責任で行うことになっています。ところが、企業主導型保育は、国の補助金などを得るために児童育成協会というところに届け出をしますが、自治体との関係は、認可外保育施設の届け出、つまりベビーホテルなどと同じ扱いです。東京都が指導監督の責任を持ちますが、十分目が行き届いているとは言えません。こうした制度は、国と自治体の保育に対する責任を後退させるものです。  世田谷区は、待機児解消と保育の質を守るためにさまざまな取り組みを重ねていますが、企業主導型保育に対しては何の権限もありません。保育の質ガイドラインや世田谷区独自の保育基準を守らせることもできません。  昨年、二カ所の施設について、東京都の立入調査に区が同行しました。幾つかの指導が行われ、改善がされたとのことですが、他の施設についてはどのような状況か把握できていません。世田谷区の目が行き届かない保育施設がふえていくことになります。保育の質はどう守られるのでしょうか。東京都と協力して、直ちに全ての施設の現状を把握すべきです。  区は、企業主導型保育の現状と質の確保についてどのように認識しているのか伺います。  次に、高齢者の介護の問題について質問します。  いざ必要となったときどこに相談してよいかわからない、国民年金で入れる施設はあるのかなどの不安や、介護離職、老老介護、介護と子育てのダブルケアなど、問題が山積しています。  世田谷区は、まちづくりセンターごとに福祉の相談窓口をつくり、高齢者だけでなく、障害者、子育て家庭、生きづらさを抱えた若者、生活困窮者など、対象を広く捉えて世田谷型の地域包括ケアシステムを推進しています。まちづくりセンターを中心に地区アセスを進め、買い物支援などの独自の取り組みもようやく機能し始めました。今後の展開に期待します。  高齢者施設は、特養老人ホーム、地域密着型特養ホームや小規模多機能居宅介護の整備が進み始めたことを評価します。しかし、必要とされている規模からするとまだまだ小さなものです。特養待機者は千七百五十四人、入居に何年も待たなければならない状況の中、整備計画を前倒しして進める必要があります。地域密着型施設も、まちづくりセンターの管轄エリアを生活圏域として、全てのエリアへの整備を目指していますが、地域偏在が明らかになってきました。北沢地域など、土地などの確保が困難な地域がおくれており、どう解決するかが迫られています。  介護人材の不足が深刻です。スタッフの不足で現場は疲弊しています。給料が労働条件に合わない、仕事を続けられないという状況を変えるための介護職員の処遇改善は喫緊の課題です。区独自に介護職員の人材確保、処遇改善など、進めるべきです。  地域包括ケア、介護基盤整備の到達と今後の課題について、区の見解を伺います。  次に、災害に強いまちづくりについて質問します。  地区防災計画の策定や、住宅耐震工事助成、耐震シェルター設置助成などが行われてきました。しかし、区の耐震改修促進計画で、平成三十二年までに約一万七千戸の除却、建てかえ、耐震改修を促進する目標を掲げていますが、耐震改修工事費の助成を始めた平成十七年からの約十年間に木造住宅の耐震改修工事助成の実績は五百十九件にしかなっていません。高知県では、低コスト工法の普及と補助金の充実で、実質自己負担なしでの耐震改修工事を実現し、実績を大きく伸ばしています。  世田谷区は、新年度予算で住宅耐震助成の拡充がされました。さらに、低コスト工法の研究や普及を進めることで、世田谷でも自己負担の少ない耐震改修を実現し広げるべきです。  住宅耐震化の到達と今後の課題について、区の見解を伺います。  次に、国の政策にかかわる問題です。  安倍政権のもと、社会保障費の自然増を大幅に削減するための改悪が進められています。年金は下がり、医療は一定所得以上の七十五歳以上の窓口負担二割への引き上げ、介護は、要介護度一、二の在宅サービスを保険給付から外す、生活保護基準を引き下げるなど、負担増とサービス抑制が狙われています。介護の現場では、介護保険の保険報酬が低く抑えられる中、介護職の処遇は低く抑えられ、深刻な人材不足となっています。こうしたもとで、区民の暮らしを守る区政への期待と果たすべき役割が重要になっています。  国民健康保険は、新年度から始まる広域化に伴い、国は自治体の一般財源投入をやめさせようとしています。低所得世帯では一カ月分の収入にも匹敵する今でも高過ぎる保険料が、都の試算で、さらに一人平均二万七千円値上げされると示されました。国庫負担の抜本的な引き上げと、都や区の一般会計からの繰り入れを行うことで、保険料の軽減、特に低所得者対策や多子世帯対策をすることが求めてられています。これは、日本共産党が主張しているだけでなく、全国知事会、市長会、特別区長会なども国に要望しています。  新年度予算で二十三区統一保険料方式の継続の方向が示され、都と区による一般財源の繰り入れを行うことが示されたことは一定評価します。しかし、それでも保険料はどうなるのか。六年間で一般財源の繰り入れをやめる激変緩和ということならば、六年後には二万七千円の保険料値上げとなってしまいます。また、国や都による新たな低所得者対策や多子世帯対策はなく、区の独自軽減も示されていません。  区は、国に対し国庫負担引き上げを求めるべきです。また、区は一般会計への繰り入れを今後も縮小することなく続けること、低所得者対策や多子世帯対策を進めることが課題です。今後の取り組みへの区長の決意を伺います。  二十三区統一保険料方式については、昨年十一月の区長会で合意された国保制度改革に伴う特別区の対応方針の中で、二十三区統一で対応することが確認されました。しかし、ただし書きとして、この水準を参考に各区独自に対応することも可ということも明記されました。こうした中で、千代田区や江戸川区などが独自の保険料を設定する動きであると報道されています。
     制度が大きく変わるもとで、今後、世田谷区としての対応をどうするか、議会での議論も必要です。現在の動向と今後の見通しについて、区の見解を伺います。  安倍政権は、五年前に行った最大一〇%の生活保護基準の引き下げに続き、今後、生活扶助費を最大五%引き下げることや、母子加算の引き下げなどを狙っています。国は、生活保護基準を所得下位一〇%の低所得層と比べた結果、保護基準のほうが高いから基準を下げると言います。しかし、そもそも制度から漏れた低所得層と比べて基準を決めてはならないのです。制度から漏れた人に合わせ、基準を下げていけば、基準はどんどん下がってしまいます。国民の生活を保障するという生活保護制度の本来の役割が果たせなくなります。生活保護基準の引き下げは行ってはなりません。  前回の引き下げで受給者の生活は余裕がなくなり、食事の回数を減らす、入浴回数を減らすなどの話も聞きます。また、生活保護基準は、就学援助を初めとする他の制度の基準となっています。  日本共産党は、生活保護利用は恥、この意識をなくして、憲法二十五条に基づく正当な権利であることを明らかにすること、全ての国民に生存権が保障され、使いやすい生活保護にするために、生活保護法を生活保障法へ名前を変え、国民への周知を義務づけるなど、法改正を提案しています。  生活保護基準引き下げにより、生活保護受給者の暮らしは厳しくなっており、新たな支援も必要です。また、区として生活保護基準引き下げを行わないよう、国に求めるべきです。基準引き下げがされた場合は、他への影響が出ないよう、対応すべきです。見解を伺います。  次に、区の道路行政について質問します。  東京都と世田谷区は、都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)で、都市計画道路を都内千二百十キロメートル、区内五十三・六キロメートルを今後整備する路線と決め、そのうち区内十二・四キロメートルは、優先整備路線として二〇二六年までに事業着手する計画です。  都内の都市計画道路の多くは戦災復興道路として約七十年前に計画されました。計画をつくったときの法的な手続に瑕疵があったことなどが裁判で争われています。東京全体の路線が書き込まれた図面、これを対象に短時間の審議で決定されたもので、各路線についてどのような必要性があるのかや、なぜそのような線形になったのかなどの記録はありません。地権者や周辺住民に相談したり、意見を聞いたりということも一切行われずに決められました。  ところが、東京都は、ほぼ全ての都市計画道路計画について必要な路線だと固執し、世田谷区も追随しています。こうした姿勢は改めるべきです。本当に全ての都市計画道路を整備する必要があるのでしょうか。それぞれの路線について、住民とともに必要性や課題を検証し、廃止、見直しの検討を進めるべきです。全国では、長期にわたって未整備の都市計画道路の廃止、見直しが進んでいます。  都市計画道路補助五二号線は、若林から宮坂間の事業が始まり、宮坂一丁目一二八号線から環八船橋までが優先整備路線とされています。町を分断し、地域コミュニティーを壊す、住民を追い出し、低層の住宅街を壊して、高層化、繁華街化に道を開くなど、住民の反対の声が上がっています。住民は、昨年、都知事に対して二千三百七十二筆の要請署名と質問書を提出しました。  東京都とのやりとりを通じて、五二号線も都市計画決定の手続に問題があったことや、東京都は計画ありきで、地域の実態調査や分析、道路建設による住民生活に及ぼす影響や弊害について何ら把握していないことが明らかになりました。五二号線を優先整備する必要性は認められず、地域住民は、計画の見直し、中止を求めています。  世田谷区は、地域のまちづくりに責任を負う立場から、住民とともに道路整備が町に及ぼす影響を把握するべきです。区として、都市計画道路補助五二号線を優先整備路線とする必要性は何か、また整備する上での課題は何か、区の見解を伺います。  次に、教育ビジョンについて伺います。  私たちは、学校教育において、子どもを中心としたどの子もわかる授業のために、教師が子どもと向き合い、一人一人に目が行き届くことや、授業の準備や研究に取り組む時間と余裕の確保が重要だと考えます。しかし、現実は、教師の忙しさはますます激しくなっています。  そのために業務の見直しが必要です。区教委の見解を伺います。  世田谷区が独自に行っている教科「日本語」や九年教育などの取り組みが大きな負担になっています。現場の教員の負担という観点から大幅に縮小するなど、見直すべきです。  区教委は、教育ビジョンに基づいて、平成二十八年三月、世田谷マネジメントスタンダードを策定しました。これは、世田谷九年教育、教科「日本語」など、世田谷区が独自に行っている五つの事業についての総合的なマニュアルです。学校現場や教育委員会が行うことの役割分担、具体的な内容が示されている百八十七ページにも及ぶ膨大なものです。  教科「日本語」は、世田谷区独自の教科です。日本語のよさや日本文化に親しむために行っているとしていますが、独自の教科書、カリキュラムが定められ、全ての学年で多くの授業時間を割いています。世田谷区独自の教科ですから、授業の準備や授業内容をつくるのに現場で多くの労力がかけられてきました。  マネジメントスタンダードでは、教科の担当を決め、推進のためのリーダーを設置すること、公開授業や体験授業を行うことを義務づけています。朗読活動などの美しい日本語週間の取り組み、校内に教科「日本語」に関する掲示板を設け、月ごとの担当学年を決め、教科「日本語」で学習したことをまとめて掲示することや、全校での書き初めの展示なども推奨されています。日本語のよさや日本文化に親しむことは大切ですが、国語など、従来の教科のほかにここまで労力をかける必要があるでしょうか。  世田谷九年教育は、中一ギャップを解消すると、学び舎と称する小中学校のペアを全校でつくりました。マネジメントスタンダードでは、世田谷区教育要領や学習習得確認調査、これはいわゆる世田谷版学習指導要領や世田谷版学力テスト、その推進、また年間三回開催する学び舎の日に向けた年間の取り組み、各校から担当者が出席する合同会議の開催、そして公開授業の開催などを求めています。小中学校の連携を図ることは大切ですが、世田谷版の学力テストは廃止すべきです。過度な負担となる取り組みを見直していくべきです。  世田谷区独自の制度が教員の大きな負担となっています。廃止、縮小など見直すべきです。見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 中里議員にお答えをいたします。  まず、平和都市宣言について新たな決意をということでございます。  世田谷区は、平和を愛する区民の願いと区議会の平和都市宣言に関する決議の採択を受け、核兵器の廃絶と世界に平和の輪を広げていくことを誓い、四十回目の終戦記念日に当たる昭和六十年八月十五日に、国の内外に向けて平和都市宣言を行いました。この宣言をもとに、区では平和に関する取り組みを進めています。  昨年は、世界の平和を考える上で、二つの重要な出来事がありました。一つは、国連における核兵器禁止条約の採択です。核兵器の開発、製造、所有、使用など、幅広く禁止する内容となっており、世界の平和と安全保障に対して、依然として存在し続けている核兵器の脅威に対峙するために画期的な条約であると考えています。  もう一つは、核兵器廃絶国際キャンペーン、ICANが、ノーベル平和賞を受賞したことです。核兵器廃絶に向けた草の根の活動が世界に認められた意義は大変大きいと思います。平和都市宣言から三十三年目を迎えましたが、核廃絶の道のりは決して平たんなものではありません。  また、広島、長崎で被爆をされた方々も多くは八十代を越しまして、若い世代へ直接被爆体験を継承する活動は年々困難になってきています。恒久平和の実現に向けて、被爆体験を記録するDVDの作成や、学校への出前授業の実施など、今でなければできないことをしっかり実現していくとともに、平和資料館などでの展示の充実など、平和のための啓発事業に積極的に取り組んでまいりたいと考えています。  次に、二期目の保坂区政を振り返り、今後一年間の姿勢ということでお尋ねをいただきました。  人口九十万人となった世田谷区で多様な人々が日々の暮らしを営む中、区民でよかったなと感じられるような創意工夫と温かさを持った区役所、行政施策を展開できるように努めていきたいと思います。  二期目のこの三年間は、基本計画の重点政策にまとめた六つの課題に向けた解決、これに基本の軸を据えて、待機児童解消を目指す保育園整備に総力を注ぎ、また妊娠、出産、そして乳幼児から子どもを一つながりで見続ける世田谷版ネウボラなどの子ども・子育て支援の充実、高齢の方、障害のある方の在宅生活を支え、孤立させないための地域包括ケアシステムの地区展開の構築、災害対策の強化など、先頭に立って進めてきたところであります。  来年度は、新実施計画後期のスタートを切る年になります。新たな計画期間内には、児童相談所移管の円滑な実現を目指すとともに、東京二〇二〇大会の開催、引き続く子どもの人口増への対応とともに、団塊の世代がやがて七十五歳以上となる時期が近づいてくるにつれて、高齢・介護施策の需要の高まりが予想されてきます。この一年は、こうした区政の重要課題に着実に取り組むとともに、将来に向けた課題解決の土台固めも重要であると考えています。  引き続き、九十万区民の暮らしを支えるリーダーとして、基本構想、基本計画が描いている「子どもが輝く 参加と協働のまち せたがや」の実現に向け、区政が直面する課題の解決に全力で取り組んでまいります。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 私からは、三点について御答弁申し上げます。  最初に、国民健康保険にかかわります今後の取り組みについてでございます。  国民健康保険は、被保険者の方に御負担いただく保険料と国や都、区からの公費で賄う制度となっておりますが、従前より、被保険者の年齢構成が高く医療費水準が高い一方で、被保険者の所得水準が比較的低く、保険料負担が大きいという構造的な課題を抱えており、区の一般会計から多額の繰り入れをして補填せざるを得ない状況が続いております。本来、国民健康保険は、国民皆保険の根幹をなす重要な医療保険制度でありますから、国が責任を持って運営すべきものであり、個々の区市町村の繰入金に頼らずとも運営できる制度設計と財政負担を行うべきです。  さらに、東京都も今般の国保制度改革により、区市町村とともに新たに保険者となり、国保の財政運営の責任主体となりますので、財政面での一層の支援を求めてまいります。  また、区では多子世帯や低所得者の方の負担につきましても、国保の制度的な課題であると認識しており、国に対しまして、持続的な社会保障制度を目指し、みずからの責任において取り組んでいただけるよう、引き続き意見、要望を上げてまいります。  次に、国民健康保険の二十三区統一保険料方式における現在の動向と今後の見通しについてです。  今般の国保広域化という制度改革によって、平成三十年度からは、都が各市町村ごとに納める納付金の額を示し、区市町村は保険料収入や繰入金等によりこれを賄う方式とされ、特別区としても従来の統一保険料を維持するが、各区独自の料率とするか検討を重ねてまいりました。その結果、将来的な方向性、具体的には都内保険料水準の統一、医療費の適正化、収納率の向上、法定外繰り入れの縮減に努めまして、段階的に移行すべく二十三区統一で対応することといたしました。ただし、この水準を参考に各区独自に対応することも可といたしたものでございます。  三十年度は、当区を含め多くの区は引き続き統一保険料方式をとりますが、御指摘にありました千代田区を初め三区程度は独自料率をとると承知しております。特別区の統一保険料方式は、広域化を通しまして国保財政を安定させ、保険料水準の統一化を図ることを目的としたものであり、当区といたしましては、この算定方式を今後も基本としつつ、各区の置かれた状況を踏まえ、議会の御意見も伺いながら、適宜対応していきたいと考えております。  次に、施設使用料、利用料の見直しと利用者負担のあり方についてでございます。  今回の施設使用料の見直しは、この間の施設の管理運営経費の増加を踏まえ、区民サービスの維持に向けまして見直しを行う必要があることから、平成三十年十月の料金改定の実施を予定するものであり、本定例会で関連条例の改正案を提案するものでございます。  利用者負担のあり方につきましては、これまで平成二十二年度に策定した適正な利用者負担の導入指針に基づきまして定期的な検証を実施し、施設の管理運営経費の増加などを踏まえ、見直しを行ってまいりました。この指針では、施設の性質区分ごとに利用者負担の割合について一定の基準を定めており、使用料見直しに当たりましては、この基準を一つの目安としてきたところでございます。  一方で、区民生活を取り巻く状況は変化してきており、利用者負担率にとどまらず、今後の消費税増税や幼児教育無償化の動向、またさまざまな区民活動の展開など、社会状況の変化も幅広く捉えた検証を行う必要があり、その上で、使用料見直しの要否を総合的に判断する必要があると認識したものです。  新実施計画後期の自治体改革を進める行政経営改革の視点に立ちまして、また、この間の検証結果や御意見も踏まえながら、新たな施設使用料見直しに関する指針の策定に向けまして、今後、検討を進めてまいります。  以上でございます。    〔岡田副区長登壇〕 ◎岡田 副区長 私からは、都市計画道路補助五二号線を優先整備路線とする必要性と課題について御答弁申し上げます。  都市計画道路は、道路ネットワークの形成や公共交通不便地域の解消、延焼遮断機能の形成や安全な避難路の確保など、区民生活にとって必要かつ重要な都市基盤と認識しています。区内の補助第五二号線につきましては、環状七号線から宮坂付近の補助第一二八号線までの区間は、現在、東京都で事業が進められており、また、補助第一二八号線から環状八号線までの区間は、平成二十八年三月に策定されました東京における都市計画道路の整備方針、いわゆる第四次事業化計画におきまして、東京都が施行する優先整備路線として選定されたものでございます。  第四次事業化計画では、都市防災の強化や、安全で快適な都市空間の創出など、東京が抱える課題解決を目標に骨格幹線道路の整備促進、渋滞対策の推進、災害時の道路ネットワーク機能の拡充、生活道路の通過交通の幹線道路への誘導といった視点から優先整備路線が選定されており、五二号線につきましては、特に安全性の確保の観点から、広域的な検証の結果、その必要性が認められたものと考えております。  道路の整備に当たりましては、関係権利者の方々の御理解、御協力をいただいて進めていくことは重要な課題と考えており、区といたしましては、関係する区民の方の声をお聞きしながら、区民の安全安心のため、都市計画道路の計画的な整備に向け責務を果たしてまいります。  以上でございます。 ◎澁田 子ども・若者部長 私からは、二点御答弁をさせていただきます。  一点目、保育待機児解消の取り組みの到達と今後の課題についてでございます。  区では、この間、あらゆる手法を活用して保育施設の整備に取り組んでまいりましたが、その結果、平成二十八年度においては、千九百五十九人の保育定員の拡充を実現し、平成二十九年四月の保育待機児童数は六年ぶりの減少となり、昨年度と比べて三百三十七人の減の八百六十一人となりました。また、昨年度には、子ども・子育て支援事業計画を見直し、保育総定員の確保量を千七百人程度上方修正するなど、平成三十二年四月までの着実な待機児童解消に向けて取り組みを進めているところでございます。  現在、三歳以上の待機児童は既に解消しており、二歳の待機児童についても地域により一部解消している状況にございます。また、北沢・世田谷地域では、保育施設の整備優先度の高い地域が多いことなどから、今後はより一層、地域ごとの保育需要等をより細かく分析し、三歳児以降の受け皿となる認可保育園を確保しつつ、低年齢児を対象とした保育施設の整備を重点的に進めてまいります。  さらに、来年度の当初予算案におきましても、保育人材の安定的な確保を図るため、保育士等の処遇改善に向けた一人当たり月額一万円の個人給付や住宅確保支援を継続するなど、保育の質の確保を前提といたしまして、待機児童解消に向けて全力で取り組んでまいります。  二点目でございます。企業主導型保育の現状と質の確保についてでございます。  平成二十八年四月から、国の主導で始まりました企業主導型保育事業は、待機児童の解消と仕事と子育ての両立に資することを目的に、区市町村の関与を必要とせず設置可能な事業となっております。平成二十九年四月には区内に一施設でございましたが、現在は十七施設にふえておりまして、区民が利用できる地域枠も百名を超えております。また、今後、八施設が開園を予定しているなど、区内においても急速に拡大をしております。  御質問のございました保育の質の確保でございますが、こちらの施設は国による年一回の指導監査のほか、認可外保育施設の指導権限を有する東京都による立入調査が実施されております。区は、この東京都の立入調査に同行をすることで施設の状況把握に努めております。  今後、児童相談所の設置に伴い、認可外保育施設の指導権限が区に移管されることを踏まえますと、全ての保育施設における保育の質の確保はさらに重要な課題となってまいります。区といたしましては、子どもを中心とした保育が実践できるよう、認可外保育施設を含めた全ての保育施設に対する指導監査や支援に向け、体制を含め検討してまいります。  以上でございます。 ◎岩元 地域包括ケア担当参事 私からは、地域包括ケアの到達と今後の課題について御答弁申し上げます。  区では、誰もが住みなれた地域で安心して暮らし続けられる地域社会の実現を目指し、地域包括ケアシステムを高齢者だけでなく障害者、子育て家庭、生きづらさを抱えた若者、生活困窮者など、支援を必要とする人と捉え、推進してまいりました。さらに、地域包括ケアの地区展開として、平成二十八年七月から、まちづくりセンターあんしんすこやかセンター社会福祉協議会の三者が連携して相談を受ける福祉の相談窓口と社会資源開発による地区課題解決の取り組みである参加と協働による地域づくりを全二十七地区で展開してまいりました。  本年度、地区の社会資源や住民ニーズ、課題などを明らかにした地区アセスメントを作成し、具体的な取り組みを進めており、十一月には成城ホールで地域包括ケアの地区展開報告会を開催したところです。平成三十年度からは、あんしんすこやかセンターの相談機能の強化として、在宅療養資源マップを活用して、訪問診療や入退院に関する相談を受ける在宅療養相談窓口を設置するとともに、現在、二十七地区中十九地区で完了しておりますまちづくりセンターあんしんすこやかセンター社会福祉協議会の三者の一体化の施設整備を平成三十二年度を目途に進めてまいります。  今後とも、国の我が事・丸ごとの地域共生社会の実現に向けた動向も見据えて、区民、関係機関、事業者等と連携して地域包括ケアシステムの深化、推進に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎瓜生 高齢福祉部長 私からは、介護基盤整備の到達と今後の課題について二点御答弁いたします。  初めに、介護基盤整備についてです。  区では、高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の基本理念である住みなれた地域で支えあい、自分らしく安心して暮らし続けられる地域社会の実現を目指し、地域密着型サービスや特養ホームなどの介護基盤の計画的な整備を推進しております。  平成二十七年度からの三カ年の第六期計画期間中に、整備費補助や他施設の併設により看護を含め小規模多機能型居宅介護六カ所、認知症高齢者グループホーム五カ所が開設するとともに、整備が進まなかった地域密着型特養ホームは、公有地を活用し、今年度二カ所開設し、七月には三カ所目が開設予定です。また、広域型の特養ホームは、国有地の活用により今年度一カ所開設し、現在五カ所の整備が進んでおります。これらを含め特養ホームの整備は、七期末の二〇二〇年度までに五百三十人の計画を上回る五百九十三人の整備が進み、第六期計画で定めた二〇二五年に向け、約千人分の目標達成のめどが立っております。一方、北沢地域など土地の確保が難しい圏域における整備が課題で、公有地や民有地の活用など、さまざまな機会を捉えた整備が必要と認識しております。  区といたしましては、公有地の活用機会を的確に捉えるとともに、未整備圏域の区独自の整備費補助制度の拡充や土地所有者、不動産関係団体、金融機関等への補助制度の周知、整備の働きかけなどを継続的に行い、第七期の介護施設等整備計画に基づいた計画的な整備を引き続き推進してまいります。  次に、介護職員の処遇改善についてです。  介護の担い手である介護人材の確保が厳しい中、区が進めております介護基盤の計画的な整備は、人材確保に関する取り組みとともに進める必要があると認識しております。区では人材確保に向け、介護職員初任者研修受講料助成のほか、今年度から介護福祉士実務者研修受講料助成や、介護福祉士資格取得費用助成事業を実施しております。また、介護報酬の処遇改善加算が得られるよう、介護職員のキャリアアップ支援や職員の資質向上に資するさまざまな研修に取り組んでおります。さらに、特養ホームやグループホーム、小規模多機能型居宅介護事業所などに対し、人材の安定的確保とサービスの質の向上を図るための研修費助成を行っております。これまで国は介護職員につきまして、月額四万七千円の処遇改善を行ってまいりましたが、来年十月から処遇改善加算のさらなる拡充を予定しております。また、都においては、介護職員宿舎借り上げ支援事業の対象拡充などに取り組むと聞いております。  区といたしましては、国や都の動向を注視し、FAX情報便や事業者説明会などの機会を捉えて制度周知を図るとともに、介護職員の資格取得支援や研修の充実、介護ロボットやICT機器の活用による職場環境改善に対する支援など、介護人材の確保育成に総合的に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎関根 防災街づくり担当部長 私からは、住宅耐震化の到達と今後の課題についてお答えいたします。  平成七年の阪神・淡路大震災から二十年以上がたち、近年では平成二十三年の東日本大震災、そして平成二十八年四月の熊本地震など、数年ごとに国内で大きな地震が発生しており、区民の皆様の震災に対する不安はますます大きくなっております。区では、住宅の耐震化を推進するため、平成十七年度以降、木造住宅の無料耐震診断、耐震改修訪問相談、耐震改修工事費の助成、また耐震シェルター等設置費助成や家具転倒防止器具取付支援事業などに順次取り組んでまいりました。  その一方、平成二十八年三月の耐震改修促進計画改定時点での住宅の耐震化率は、平成三十二年度末の目標値である九五%に対し、いまだ八七%であり、特に無料耐震診断や訪問相談の件数と耐震改修助成件数との間に大きな差があり、課題の一つとして認識しております。このため、区では、区民の耐震改修をさらに後押しし、住宅の耐震化を一層促進するため、来年度から木造住宅耐震改修工事費助成や耐震シェルター等設置費助成について、災害弱者への助成金の拡充などを行う予定です。  今後は、この制度拡充の機会を捉え、訪問相談の際に御負担が少ない耐震改修方法を御紹介することや、過去に耐震診断を受けたものの、耐震改修をしていない方へ拡充策を御案内するなど、住宅の耐震改修がさらに進むことを期待するとともに、他の自治体や新たな耐震改修手法の研究も継続して行うなど、職員一丸となって取り組んでまいります。  以上です。 ◎板谷 保健福祉部長 私からは、生活保護について二点お答えをいたします。  初めに、生活保護基準の引き下げについてです。  生活保護は、憲法第二十五条の理念に基づく国の社会保障制度であり、生活に困窮する全ての国民に必要な生活費を給付し、最低限度の生活保障と自立支援を行っているところです。  このたび国では、昨年十二月に社会保障審議会の部会で取りまとめられた報告書を踏まえ、今国会に生活保護法改正案を提出しており、保護基準につきましても、平成三十年十月一日施行として、関連する予算措置を行っていくとしております。生活保護基準の見直しは、保護費を直接受給している方のみならず、その基準が国民の生活に直結するさまざまな行政施策に影響を及ぼすことから、基準の改定に当たっては慎重な議論のもとで進めるべきであり、区としても、区民生活に影響が及ばないように国に働きかけを行ってきたところです。  また、国が五年前に基準を改定した際には、区では六十三事業で条例や要綱の変更等を行い、改定前の保護基準に据え置くなどの対応を図ったところであり、今回、基準引き下げが行われた場合には、国から発出されると推測される通知等の内容も確認し、適宜適切な対応を図ってまいります。  次に、新たな支援についてです。  生活保護法に基づく公的扶助以外による援護施策、いわゆる法外援護については、過去には見舞金の支給事業などもありましたが、時代の変遷とともに見直しを重ねつつ、区においてさまざまに実施をしているところでございます。国におきましては、平成十七年度から生活保護に基づく支援のあり方について、それまでの経済的給付を中心としたものから、就労や居宅生活の安定化を図るための支援へと大きく方向転換をしており、区におきましても、被保護世帯の経済的自立や日常生活の自立を支援する施策の拡充を図ってまいりました。今般の生活保護基準の引き下げがされた場合につきましては、先ほど御答弁したとおり、対応を図ってまいります。社会情勢や財政状況等も注視しつつ、被保護世帯が地域において安心かつ自立した生活を送ることができるよう、支援の充実に努めてまいります。  以上でございます。 ◎岩本 政策経営部長 私からは、行政経営改革の取り組みについて三点御答弁申し上げます。  最初に、組織・人員体制のテーマ設定についてでございます。  これまで、組織・人員体制の見直しは、組織体制の最適化を通じて、人員にかかわる経費を可能な限り有効活用するという観点から、持続可能な財政基盤の確立という方針のもとに位置づけておりました。しかしながら、行政需要が複雑化、多様化、拡大する中で、新たな区政課題に的確に対応するためには、人件費コストの最適化という課題のみならず、機動的に対応できる柔軟な組織づくりや高度な専門知識や能力を持った職員の育成など、区政運営のかなめとなる執行体制の整備がより重要となっており、そうした取り組みの中で区民の信頼に応えていく必要があります。このため、新実施計画後期では、執行体制の整備というテーマについて、区民に信頼される行政経営改革の推進に位置づけたところでございます。  次に、民間活力導入と区の行政責任についてでございます。  民間活用は、民間企業などの専門性や資源の活用により、サービスの向上と創意工夫によるコスト縮減を目指すものであり、導入に当たっては、サービス基準の提示や運営状況の検査、監督等により、事業者によるサービスの質を確保することが重要だと考えております。これまでも、例えば保育事業における民間企業参入に際して、保育の質ガイドラインを作成し、行政や事業者の果たすべき責任と役割を定めるとともに、保育所への定期的な巡回指導を行うなど、事業の質を確保する取り組みを進めてまいりました。行政経営改革の取り組みにおける民間活用や、官民連携によるサービスの向上とコスト縮減の視点に関し、行政の責任を明確にしとの文言を用いたのは、政策の実施主体として事業の質を確保する責任があることを改めて明確にしたものでございます。  次に、行政改革の目的についてでございます。  新実施計画後期の行政経営改革では、区民に信頼される行政経営改革の推進を方針の一つに掲げ、都区制度改革や地域行政の推進、また参加と協働を基軸にした区民参加の促進など、新たな行政のあり方を目指す取り組みを位置づけております。  一方で、安定した財政運営を可能にするためには、持続可能で強固な財政基盤の確立と資産などの有効活用による経営改善の方針に基づく取り組みも不可欠であり、これらをともに進めることが自治の推進と独自性のある自治体経営の確立を実現する方策であると考えております。御指摘いただきました行政のあり方の変革につきましては重要なテーマであると考えてございまして、今後、検討をさせていただきたいと考えてございます。
     以上でございます。 ◎志賀 教育次長 私からは、教育ビジョンについて、教員が本来の仕事を行うために業務を見直すべきという点について御答弁申し上げます。  第二次世田谷区教育ビジョン・第一期行動計画では、リーディング事業の一つとして、教員が子どもとかかわる時間の拡充を掲げております。この取り組みの趣旨は、教員が担っている事務の軽減を図り、教員が児童生徒と向き合う時間を拡充させるとともに、みずからの研究、研修に充てる時間をつくり、教員と児童生徒の信頼関係や教員の資質、能力の向上を図ることでございます。  来年度を初年度とする教育ビジョン・第二期行動計画の中でも、この教員が子どもとかかわる時間の拡充を引き続きリーディング事業の一つとして位置づけており、教員が本来の仕事を全うできるような環境づくりという視点は、大変重要なものとして継続してまいります。  今後も、さまざまな人的支援の拡充や業務改善などに引き続き取り組んでいくとともに、教育総合センターなどによる教員の研修、研究等を初めとした教員へのサポート体制の充実を図ってまいります。  以上です。 ◎工藤 教育政策部長 私からは、教科「日本語」、世田谷九年教育などが教員の負担となっている面があると考えるが、負担軽減のために見直すべきことはないのかという御質問に御答弁いたします。  教員が子どもと向き合う時間を確保していくことは、質の高い授業実践や個に応じたきめ細かな教育相談の充実などを図る上で大変重要であり、これまでも教員の負担の軽減について取り組んできております。一方で、いわゆる中一ギャップの解消を図り、小中学校の学びを接続する義務教育学校という考え方や日本語のよさや日本文化を重視する世田谷区独自の施策として、世田谷九年教育や教科「日本語」などの取り組みを進めてまいりました。  一人一人の子どもの学力を正しく把握し、その力を伸ばすなど、よりよい教育を推進したいという考えは、教員も、私ども教育委員会も共通の認識だと捉えております。教科「日本語」については、新たな時代を迎えるに当たり、そのあり方について検討が始まりました。また、教育の専門性を生かしながら子どもとかかわる時間を大切にできるよう、例えば学び舎の会議などの円滑な運用方法について情報交換し、より効果的に対応していきます。  いずれにいたしましても、これらの工夫改善を図り、教員の負担軽減を進め、教員の指導の充実のため、教育総合センターにおける教員の研修、研究などへの支援についても検討をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◆四十三番(中里光夫 議員) それでは、再質問しますけれども、一つは、国保の保険料統一方式の問題で、今回、財調も使って統一保険方式、当面ということですが、六年間の激変緩和と、段階的に対応していくということになれば、昨年の試算である一人当たり二万七千円上がってしまうということになってしまうわけです。この問題については、制度も変わっている中でいろいろあると思いますけれども、しっかりと対応していく、低所得者対策や多子世帯対策も含めて、きちんと対策していくことが必要だと思います。この統一保険料だからということで、そのまま六年間繰り入れがなくなっていくというようなことになれば大変な問題だというふうに思いますので、これについてはしっかり対応していただきたいと、これは要望しておきます。  それから、もう一つ質問ですけれども、保育の企業主導型保育の問題で、答弁の中で児童相談所を開設すると権限が世田谷に移ってくるというお話がありましたけれども、この権限が移ってきたときに世田谷区でどういうことができるのか、それからきちんとしたことをやるためにはどういった体制とか、財源とかがあるのか、答弁できるようでしたら、お願いいたします。 ◎澁田 子ども・若者部長 児童相談所の移管に伴います認可外保育施設の指導でございますが、今現状、東京都のほうにどのような体制で、またどのような項目でというような事務引き継ぎについてマニュアルの提示を求めております。また、現在あります施設の規模、また数等、今後精査いたしまして、体制等を検討してまいるということで進めてまいりたいというふうに思います。  以上でございます。 ◆四十三番(中里光夫 議員) 児童相談所の問題では、相談所そのものだけじゃなくて、そういった権限にかかわっていろんな仕事もついてくるということですので、子どもにかかわる問題で、ここのところをしっかりと対応していただきたいと思います。区長の決意をお願いいたします。    〔宮崎副区長登壇〕 ◎宮崎 副区長 再々質問に御答弁申し上げます。  今までも申し上げましたように、この児相問題の部分につきましては、この児相の移管ということだけでは、もちろん今御指摘もありましたように、ありません。その際にも、この間も東京都に協議を申し入れていますように、この普通交付金という本来恒常的に出てくるその経費については、その協議ベースでいくべきだろうということを再三こちらは申し上げてきています。ただ、今般はまだ三区という準備段階ということなので、特別交付金ということで決着したわけでございますが、引き続き、この財調問題については東京都のほうに協議を申し入れていまして、その区と都の比率も含めてそこは協議をしなきゃならないと思っていますので、それを引き続き粘り強く、二十三区一体で申し入れていきたいと考えています。  以上です。 ○上島よしもり 議長 以上で中里光夫議員の質問は終わりました。  これで本日の代表質問は終了いたします。     ──────────────────── ○上島よしもり 議長 以上をもちまして本日の日程は終了いたしました。  なお、明二十二日は午前十時から本会議を開催いたしますので、御参集願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後七時散会...