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平成26年  6月 定例会−06月12日-03号

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  1. 世田谷区議会 2014-06-12
    平成26年  6月 定例会−06月12日-03号


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    平成26年  6月 定例会−06月12日-03号平成26年 6月 定例会 平成二十六年第二回定例会 世田谷区議会会議録第十号  六月十二日(木曜日)  出席議員(四十六名) 一番   山口ひろひさ 二番   和田秀壽 三番   上山なおのり 五番   植田靖子 六番   すえおか雅之 七番   ひうち優子 八番   佐藤美樹 十番   石川征男 十一番  新川勝二 十二番  てるや里美 十三番  高岡じゅん子 十四番  上川あや 十五番  青空こうじ 十六番  小泉たま子 十七番  津上仁志
    十八番  福田妙美 二十番  菅沼つとむ 二十一番 三井みほこ 二十二番 桜井純子 二十三番 唐沢としみ 二十四番 木下泰之 二十五番 あべ力也 二十七番 高久則男 二十八番 岡本のぶ子 二十九番 畠山晋一 三十番  上島よしもり 三十一番 あべ弘幸 三十二番 江口じゅん子 三十三番 桜井 稔 三十四番 中塚さちよ 三十五番 中村公太朗 三十六番 風間ゆたか 三十七番 平塚敬二 三十八番 杉田光信 三十九番 板井 斎 四十番  宍戸のりお 四十一番 下山芳男 四十二番 山内 彰 四十三番 中里光夫 四十四番 村田義則 四十五番 大庭正明 四十六番 田中優子 四十七番 桃野よしふみ 四十八番 諸星養一 四十九番 佐藤弘人 五十番  高橋昭彦  欠  員(四名) 四番 九番 十九番 二十六番  出席事務局職員 局長     小田桐庸文 次長     小湊芳晴 庶務係長   岡本守広 議事担当係長 井上徳広 議事担当係長 小野貴博 議事担当係長 松見 径 議事担当係長 水谷 敦 議事担当係長 佐々木 崇 議事担当係長 長谷川桂一 調査係長   小池 篤  出席説明員 区長     保坂展人 副区長    板垣正幸 副区長    秋山由美子 世田谷総合支所長        岩本 康 北沢総合支所長        菊池弘明 玉川総合支所長        堀川雄人 砧総合支所長 永井 努 烏山総合支所長        渡辺正男 政策経営部長 板谷雅光 地域行政部長 宮崎健二 総務部長   萩原賢一 危機管理室長 阿部晃一 財務部長   寺林敏彦 生活文化部長 齋藤洋子 スポーツ推進担当部長        坂本雄治 環境総合対策室長        松本公平 産業政策部長 内田政夫 清掃・リサイクル部長        吉田 博 保健福祉部長 金澤弘道 障害福祉担当部長        小堀由祈子 高齢福祉部長 田中文子 子ども・若者部長        岡田 篤 世田谷保健所長        成田友代 都市整備部長 松村浩之 みどりとみず政策担当部長        男鹿芳則 道路整備部長 青山雅夫 土木事業担当部長        小山英俊 教育長    堀 恵子 教育次長   古閑 学 教育環境推進担当部長        杉本 亨 教育政策部長 伊佐茂利 総務課長   星 正彦     ──────────────────── 議事日程(平成二十六年六月十二日(木)午前十時開議)  第 一 一般質問  第 二 議案第四十二号 世田谷区立多聞小学校改築工事請負契約  第 三 議案第四十三号 世田谷区立多聞小学校改築電気設備工事請負契約  第 四 議案第四十四号 世田谷区立多聞小学校改築空気調和設備工事請負契約  第 五 議案第四十五号 世田谷区立多聞小学校改築給排水衛生設備工事請負契約  第 六 議案第四十六号 世田谷区立太子堂小学校改築工事請負契約  第 七 議案第四十七号 世田谷区立太子堂小学校改築電気設備工事請負契約
     第 八 議案第四十八号 世田谷区立太子堂小学校改築空気調和設備工事請負契約  第 九 議案第四十九号 世田谷区立太子堂小学校改築給排水衛生設備工事請負契約  第 十 議案第 五十 号 世田谷区立大蔵運動場温水プール改修工事請負契約  第十一 議案第五十一号 特別区道路線の認定  第十二 議案第五十二号 特別区道路線の認定  第十三 議案第五十三号 特別区道路線の認定  第十四 議案第五十四号 特別区道路線の認定  第十五 議案第五十五号 特別区道路線の認定  第十六 議員提出議案第三号 解釈改憲による集団的自衛権行使容認を行わないよう求める意見書  第十七 請願の付託     ──────────────────── 本日の会議に付した事件  一、日程第一 一般質問  二、日程第二から第十 企画総務委員会付託  三、日程第十一から第十五 都市整備委員会付託  四、日程第十六 委員会付託省略、表決  五、日程第十七 請願の委員会付託     ────────────────────     午前十時開議 ○山口ひろひさ 議長 ただいまから本日の会議を開きます。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 直ちに日程に入ります。 △日程第一を上程いたします。  〔小湊次長朗読〕  日程第一 一般質問 ○山口ひろひさ 議長 昨日に引き続き、一般質問を行います。一般質問についての発言時間は、一人十分以内といたします。  質問通告に基づき、順次発言を許します。  三十四番中塚さちよ議員。    〔三十四番中塚さちよ議員登壇〕(拍手) ◆三十四番(中塚さちよ 議員) 通告に従い、順次質問してまいりますが、その前にまず、今回の質問の三項目は全て消滅可能性都市をテーマにしております。  増田元総務相らが参加する民間団体、日本創成会議国立社会保障人口問題研究所の将来推計人口のデータをもとに、最近の都市間の人口移動の状況を加味して、二〇四〇年に二十代から三十代の女性の数が半分以下に減る自治体を消滅可能性都市、つまり、人口減少により、将来的に消滅する可能性がある都市として、こう呼んだのですが、消滅可能性都市は既に人口流出、人口減少に悩んでいる地方都市だけではなく、東京二十三区でも豊島区が該当するということで、大変な驚きでした。豊島区といえば、立教大学、学習院大学など、多数の大学を擁し、若い人でにぎわっている町という印象です。その豊島区が将来消滅する可能性があるということですから、当面は人口増が続くと推計されている本区も油断をしてはいられないかもしれません。  そこで質問ですが、最初に、区内大学との連携による地域人材の育成についてお聞きします。  本区では、このたび、昭和女子大学との包括協定を締結しました。この協定では、区と昭和女子大学が連携協力し、それぞれの持つ資源や特色を生かしながら、マッチングと政策形成の向上を図り、地域の課題解決と地域社会の発展に寄与することが目的とされています。地域社会の課題解決には、高齢化と加入率の低下に悩む町会・自治会頼みでは、マンパワーが圧倒的に足りません。区内には、昭和女子大だけでなく、多数の大学があり、若い大学生の力は地域にとっても不可欠です。早くから大学誘致に注力していた足立区では、五大学、行政、民間、地域が連携し、大学生による地域課題を解決するための社会的起業を支援することで、地域人材の育成と地域活性化を目指す取り組みが進められています。  私の住んでいる世田谷の地域では、東京農大の学生がよく地域のイベントに協力しているのを見かけます。例えば防災訓練には、高齢者を抱えて避難する訓練に相撲部の学生が、そして、エコフェスタちとふな、これは先日、船橋小学校で行われましたけれども、環境問題に取り組むサークル、そして、神社のお祭りには応援団が大根踊りを披露したりなど、ゼミや部活、サークル単位で地域活動の核となっている方々との連携がとれており、地域の側のニーズや趣旨と合致する学生団体が継続的に地域にかかわってくれている実態があります。潜在的な地域人材が大学にはたくさんいると予想されます。  今後、足立区の例なども参考に、大学と連携した地域人材の育成や区内のほかの大学とも包括協定の締結を進めて、大学生の関心と地域のニーズのマッチングを図ることで、地域課題の解決に大学生の力を生かすことができるのではないかと考えます。区の施策の今後の展開を伺います。  次に、区の住宅施策と連携した介護従事者の支援についてお尋ねします。  日本創成会議の提言では、東京圏では、高齢者人口の急増により、将来的に医療、介護を担う人材の不足が懸念されています。将来を待つまでもなく、若者の流入が多い都内においても、看護師やヘルパーといった医療・介護人材は既に慢性的に不足しています。社会保障審議会での報告によると、介護業界では依然、有効求人倍率、離職率ともに、他産業と比べて高いことが指摘されており、さらに、景気回復で、ほかの民間企業の待遇が上がると、介護の仕事は相対的に待遇が見劣りし、ますます人が集まらないと現場は懸念しております。  介護施設や病院などは、早出、夜勤、宿直などの不規則勤務があり、長時間の通勤は体力的にもきついため、アンケートなどでは、介護の仕事を探す方は自宅から近いことを重視する方が多いという結果があります。そこで、区内で介護の仕事の就労を検討する方向けに、職場から近くて通いやすく、敷金、礼金なしで安心して借りられる「せたがやの家」の空き室を優先的に紹介することで、区内で介護の仕事を続けてもらったり、他自治体からも区内に介護従事者を呼び込むことはできないでしょうか。  「せたがやの家」は現在、子育て世帯や期限が迫っている物件に四万円の補助を出して入居者を募集していますが、依然、埋まっておらず、まだ空室が八十戸程度あると伺っています。少子・高齢社会の課題解決のため、今の予算の範囲で、子育て世帯に加え、介護従事者を対象に加えることをぜひ検討していただきたいと思います。区の見解を伺います。  最後に、おひとり様の自立支援とネットワークづくりについて質問いたします。  日本創成会議では、人口減少を食いとめるため、合計特殊出生率の二・一までの引き上げを提案していますが、出産に目標を課すということは、リプロダクティブ・ヘルス・ライツの観点から批判もあります。生涯未婚率の上昇により、二〇三〇年には、男性は三割以上、女性も二割以上が生涯未婚と推計されている中で、今後、ふえ続ける高齢者、特に高齢シングルでも安心して暮らし続けられる地域社会づくりを進めていかなくてはいけません。社会学者の上野千鶴子氏は著書「おひとりさまの老後」で、結婚してもしなくても、最後はみんなひとりになる。おひとり様でも老後を安心して暮らせるには、ある程度のお金と友人が必要といったことを述べています。  友人も社会人になるとつくりにくいと言われていますが、お金を用意しておくのは、年をとってからでは確実に間に合いません。近年は特に資産形成が難しい時代になっています。晩婚化で、現役時代は子どもの教育費などで資産形成を考える余裕がなく、子どもの学費を払い終えるころには定年を迎えてしまいます。その定年制も崩壊しつつあり、転職がふえて、中小企業などでは、退職金がない会社も多く、大手企業でも退職金の見直しが進んでいると言われています。さらに、年金水準が低下し、若年層ほど資産形成が難しくなるという年金問題の課題もあります。寿命が延びたことで、親の介護に予想以上に出費がかかり、子に負担が及ぶケースも少なくありません。また、自分も長生きすれば、老後費用もそれだけかかることになります。  今の高齢者は貯金も多く、裕福と言われている一方で、若者は、今の高齢世代と同じように働いて生活していても、老後になって、予想外に生活困窮、生活保護などに陥るケースも出てくるのではないでしょうか。特に女性については、ひとり親世帯、シングルマザー高齢単身女性は二人に一人が、所得が国民の平均値の半分に満たない貧困層と言われており、女性が貧困に陥らないための自立支援も重要です。  男性は、一方で、女性よりお金があるから安泰かといえば、そうではありません。男性は女性の二倍以上孤独死しやすいと言われています。結婚をしても、離婚や配偶者に先立たれたり、引退した後、地域社会にうまくデビューできず、女性以上に孤独に陥りやすいのが男性です。私も長年ヘルパーの仕事をしてきましたが、高齢男性のおひとり様は家事が面倒なのか、余りちゃんとした食事をとらない方も見受けられます。家事や食生活、自己管理をしっかり行ったり、友人づくりを支援し、男性が孤立しないための支援も必要と考えます。  今、こうした自分の終末に向けた終活というのがはやっています。しかし、これは、高齢者の手前になってからでは間に合いません。もっと若い現役世代から、老後を生き抜くための知識、そしてネットワークづくりを意識し、行動していく必要があります。現役世代、そして男女共同参画という観点から、おひとり様でも地域で安心して暮らしていけるための支援の取り組みについて区の見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎板谷 政策経営部長 私からは、区内大学との連携による地域人材の育成についてお答えをいたします。  区におきましては、去る五月二十八日に、昭和女子大学とそれぞれの持つ資源や特色を生かし、相互に連携協力するとともに、地域の課題解決と地域社会の発展に寄与することを目的として、区と大学による産学・地域協働の充実や発展を目指し、包括協定を締結したところです。これまでも区では、区内十三大学と協力した生涯学習、リカレント教育の推進や共催イベント、スポーツや福祉、政策研究など、さまざまな協力連携を進めてまいりました。  議員のお話にありました足立区での区内五大学による大学と地域が連携した活力あるまちづくりなどの取り組みを初め、相模原、町田、八王子などでのさまざまな事例も承知しております。区内大学を重要な地域資源と捉え、地域人材の育成や場の提供など、区と大学の双方にメリットが持てるよう仕組みを構築し、区内十三大学に呼びかけるなど、大学との連携をより積極的に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎松村 都市整備部長 私からは、介護の仕事への就労を検討されている方に「せたがやの家」を優先的にPRしてはどうかの質問にお答えいたします。  中堅所得者向けの優良な賃貸住宅として供給をしてまいりました「せたがやの家」は現在、四十団地六百七十五戸ございますが、昨年度よりオーナーへの返還を開始し、平成三十二年六月には事業を終了する見込みとなっております。これまでの空き室対策としては、入居資格の拡大や家賃二カ月分無料、お勧め物件家賃補助に加えまして、新たに子育て世帯への家賃補助と配慮入居者制度による入居収入基準の引き下げにも取り組んでいるところでございます。子育て世帯につきましては、今年度、これまで二十一件の成約実績がございます。しかしながら、お話にありましたように、空き室がございまして、空き室の低減に向けた一層の工夫が求められるというふうに認識しております。  従来の産業団体や協力不動産店を通じた情報提供に加えまして、お話しのように、介護人材など、勤務地と居住地の近接が重要となる方々に対する住宅案内としまして、福祉所管等とも連携し、「せたがやの家」ファミリー型をさらに広くPRしてまいりたいと考えております。  以上です。 ◎齋藤 生活文化部長 男女共同参画の視点から、ひとりになっても、地域で安心して暮らしていける支援策等についてでございます。  内閣府の第三次男女共同参画基本計画におきましては、単身世帯の増加等に対するセーフティーネットの再構築の必要性が指摘され、貧困など生活上の困難に対応し、防止するためにも、男女共同参画を進める必要があるとの認識が示されております。  区といたしましても、高齢女性や母子家庭の貧困といったことは重要な課題と認識しております。  現在、男女共同参画センターらぷらすで実施しております区民企画協働事業では、区民団体がみずから行う事業を区として支援しており、お話しのような経済的自立も視野に入れた女性の生き方をテーマとする企画の応募もございます。これら団体が企画、実施する講座などを広く区民にPRし、御参加いただくことは、お話しの若い現役世代から老後を生き抜くための知識やネットワークづくりの一助にもなるものと考えております。  今後は、男性、女性にかかわらず、精神的、経済的にも豊かな老後を迎えたいという願いに応えるため、御質問の趣旨を踏まえ、区民や関係団体とも連携を図りながら、さまざまな取り組みを検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◆三十四番(中塚さちよ 議員) 区内大学との連携についてのところで再質問をさせていただきます。  今、世田谷区内のほうでは、人口がふえてはおりますけれども、せたがや自治政策研究所の調査によりますと、二十代や三十代は特にふえていると。でも、一方で、三十代は結構流出もしていて、年齢によっては、三十代では流出のほうが上回っているところもあるそうなんです。やはり子育て環境が非常にいいと思って入ってきたのに、実際には、非常に保育待機児が多いとか、そういった中で、他自治体に魅力を感じて、流れてしまう人もいるのかと思います。  他大学に今働きかけているということを所管の課長から伺っていますけれども、その中に、例えば地域の方々にも入っていただいて、区、そして大学関係、そして地域の方々とで、地域のニーズというのを本当に個別に大学と結びつけていくような取り組みというのを今後何か検討はされているんでしょうか。 ◎板谷 政策経営部長 再質問にお答えをいたします。  我々は、先ほど御答弁しましたように、大学の持つ専門的な知識、学生さんの活力、行動力、そういったところに地域人材として期待をしているところです。お尋ねのありました地域の方々のニーズを伺ってということで、我々は、地域の課題を解決するには、地域の方々にお話を伺い、どのように課題を捉えているかというのが課題解決に向けて必要なことですので、その点も踏まえまして、大学との連携の検討を進めてまいります。  以上でございます。 ◆三十四番(中塚さちよ 議員) 御紹介いただいた他自治体の事例とか、あと、横須賀市などでは、学生さんに家賃補助をして、そのかわり、地域の高齢者のごみ出しですとか、お買い物難民になっている方のお買い物を手伝っていただいたりとか、さまざまな取り組みがありますので、ぜひ今後とも、この点を研究していっていただきたいと思います。  以上で終わります。 ○山口ひろひさ 議長 以上で中塚さちよ議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、二十一番三井みほこ議員。    〔二十一番三井みほこ議員登壇〕(拍手) ◆二十一番(三井みほこ 議員) 質問通告に従い、質問いたします。  まず初めに、野川や野川周辺の環境に関して質問いたします。  東京も梅雨入りし、先週末から世田谷でもかなり雨が降っています。今後の浸水被害などが心配です。昨年七月の大雨では、上馬、弦巻の一帯や谷沢川、呑川流域で道路冠水、住宅内への浸水の被害がありました。治水対策は、安全に安心して暮らせるためには大変重要です。  近年頻発する集中豪雨に対処するため、五月十六日、東京都豪雨対策基本方針改定素案が発表されました。野川については、対策強化流域として、時間六十五ミリの降雨に対し、浸水被害の防止を目指すとなっています。野川の河川整備は、平成十二年に専門家、住民代表、自治体などが参加する野川流域連絡会が設置されるなど、これまでも地元自治体や住民の意見が反映された河川整備が進んでいると認識しています。現在進んでいる河床掘削工事につきましては、毎年二百五十メートルずつ上流に向けて進めてきており、このペースで進むと、平成二十九年から三十二年ごろには、小田急線から谷戸橋までが工事になるのではないかと思います。  このエリアは、カワセミを初め、さまざまな野鳥も飛来するすばらしい環境で、多くの人々の憩いの場となっております。区民意識調査の結果を見ても、「未来の世田谷を担う子どもたちへ残していきたいと考える環境について」は、「住みやすいまち」、「豊かなみどり」、「きれいな空気」、「美しい街並み」、「きれいな水辺」となっています。私たちは、次の世代のためにも、この世田谷の宝とも言える野川とその周辺の環境を守っていかなければなりません。野川の改修工事に関して、野川の自然が保たれるよう、地元自治体として、区民の意見をしっかり東京都に伝えるべきと考えます。区の見解をお聞きいたします。  また、近年、河川の環境的意味、河川整備の手法についても多くの論文が発表されており、水面は癒やし効果が期待できるとも言われています。自然環境の保全に配慮した河川整備、維持管理を進め、河川の持つ多様な効果を社会に引き出していくことが重要と考えます。そのため、野川に生息する昆虫や植物の生態環境に配慮して、野川の自然に区民が親しめるように日常管理をすべきと考えます。区の見解を伺います。  また、今年度、主要事務事業の中で、生物多様性地域戦略の計画策定に向けての取り組みを始めるとなっていますが、野川や国分寺崖線は象徴的な場と考えますが、生物多様性地域戦略の中で、この区域の位置づけはどのようになるのでしょうか。今後の進め方について伺います。  次に、第二次教育ビジョンの取り組み、「子どもたちが体験・体感する機会の拡充」について伺います。  高度情報化社会が進む中で、子どもたちはゲームやパソコン、情報機器に囲まれ、バーチャルな世界に身を置くことが多く、自然や生命に触れ、自然のすばらしさや生命のとうとさなどの感情や感性を育む機会が少なくなっています。このような中、本年度スタートした第二次教育ビジョンでは、子どもたちが自然体験することの重要性をうたっており、川場移動教室、日光林間学校河口湖林間学園の校外学習などを初めとして、子どもたちが体験、体感する取り組みなどを重点的に取り組んでいくことは大変重要です。  このような校外活動で、世田谷にはない自然環境の中で学習、体験することは有意義ですが、あわせて私は、日常学習の中で、さまざまな体験、体感をすることが重要と考えています。学校の中で、学校菜園やビオトープなどを通じて、日々の観察や手入れなどを実際に行い、経験することは、理科や生活科の学習についても、さらに理解が深まることにもつながるのではないでしょうか。  まずは、このたびの第二次教育ビジョンで、日々の教育活動の中で、この「子どもたちが体験・体感する機会の拡充」にどのように取り組もうとしているのかお聞きいたします。  また、この具体的な取り組みの一つとして、豊かな感性を持つ子どもたちが学校で小動物などを飼育して、命のあるものを大切にする心を育てるということは、情操教育を進めていく上でも、その教育的な効果も高いと考えます。子どもたちが飼育動物に触れ合う機会を拡充していくためには、学校における動物飼育支援のための体制の充実を図るべきと考えます。今年度から、そのために、学校において、担当獣医師による飼育指導などを行う学校獣医師制度に向けたモデル事業も進めるとお聞きしていますが、教育委員会はどのように取り組まれていくのか伺います。  続きまして、平成二十七年四月に施行の子ども・子育て支援新制度について質問いたします。  新制度のもととなる子ども・子育て関連三法は、保護者が子育てについて第一義的責任を有するという基本的認識のもとに、幼児期の学校教育、保育、地域の子ども・子育て支援を総合的に推進することを趣旨としており、税と社会保障の一体改革の施策の一つとして積極的に推進していくべきものと考えますが、新制度移行に当たって、世田谷区の課題についてお聞きいたします。  世田谷区には、幼児期の学校教育を担う私立幼稚園が五十八園あり、就学前教育の三割を担っています。保護者もそれぞれの教育観に基づき、幼稚園を選んでいます。新制度施行に伴い、どうなるのか、幼稚園事業者だけでなく、保護者の方々の中にも、不安に思っている方もいらっしゃいます。五月末に新制度に関する政省令や仮の公定価格が公表され、私立幼稚園事業者としても、今までどおり私学助成を受けながら園運営を続けていくのか、あるいは新制度の幼稚園または認定こども園に移行して施設型給付を受けるのか判断を迫られている状況です。  我が会派の代表質問に対して、副区長からは、正しい情報を迅速に提供するとともに、安心して質の高い幼稚園の運営に取り組めるように支援するとの答弁をいただきましたが、本当に今出ている情報だけでは判断ができません。情報を早く示していただくよう国に求めるのはもちろんですが、国から示された仮の公定価格の水準は実態からすると低いと感じます。  私立幼稚園が新制度の施設型給付に移行した場合も、現行の私学助成を受けている運営費水準を維持して、安定的な運営ができるよう環境を整える必要があります。その場合、世田谷区だけでは負担し切れないと考えます。都との連携を含め、どのように支援していくのか、区の考えを伺います。  また、幼保連携型認定こども園が二園、幼稚園型認定こども園が一園ありますが、これらは、四月に始まる新制度で、施設型給付の施設に移行していかなければならないわけですが、新制度における公的関与は不明で、区や都の支援の内容など見えていません。秋に園児募集ということは、夏にはその準備も始まります。定員の設定、保育料、運営費などがはっきりせず、現場は困惑しています。情報がない中でも、区として、事業内容を固めていくことが急務です。区の対応についてお聞きいたします。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎岡田 子ども・若者部長 私からは、子ども・子育て支援新制度への課題につきまして二点御答弁申し上げます。  私立幼稚園が新制度に移行するに当たり、都との連携などをすべきということについての御答弁を申し上げます。  現在、世田谷区には五十八園の私立幼稚園があり、安定した園運営のもと、世田谷区の就学前教育の三割以上を担っていただいております。新制度におきまして、給付型施設の運営費全体を示す公定価格は、利用者負担額と施設型給付費の全国統一費用分及び地方単独費用分の三層構造となっており、施設型給付費部分については、国が二分の一、都区が四分の一の財政負担をするものになっております。さらに、現行で私学助成を受けている運営費水準を維持するためには、都と区で負担する地方単独費用分の充実は必要不可欠と考えており、都との連携は重要と考えております。  新制度への移行に当たりましては、私立幼稚園事業者の意向を十分に踏まえつつ、財政負担等の問題についても、国や都と協議しながら、安定的な運営ができるよう支援してまいりたいと考えております。  次に、認定こども園について御答弁申し上げます。  現行の認定こども園につきましては、平成二十七年四月実施予定の子ども・子育て支援新制度において、移行の辞退を申し出ない限り、施設型給付の施設としてみなされることになります。現在、認定こども園の運営につきましては、幼稚園部分は、私学助成と園が決めた保育料で、また、保育園部分については、保育料と区からの運営費補助で賄われております。新制度移行後は施設型給付となることから、特に幼稚園部分の運営費が現行と比較してどの程度となるかが大きな課題であると認識しております。  国では、去る五月二十六日、子ども・子育て会議及び検討部会の合同会議が開催され、公定価格の仮単価が提示されました。しかしながら、試算に当たって、必要となる地域別の加算率など、詳細がまだ検討中であることから、新制度における給付対象となる施設などの運営費が確実に算出できない状況でございます。区といたしましては、東京都及び国に対し、制度全般の詳細について早期に提示するよう求めるとともに、区として、設備、運営の基準、運営費等の事業内容を固めて、早期に関係事業者に周知を図ってまいります。  以上です。 ◎小山 土木事業担当部長 それでは、私からは、野川や野川周辺の環境について二点御答弁申し上げます。
     まず、野川の改修工事が進んでいるが、野川の自然が保てるよう、区民の意見を区に伝えていくべきとの御質問にお答えいたします。  野川につきましては、現在、時間五十ミリの降雨に対応できるよう、東京都が改修工事を進めているところでございます。区内の区間では、これまでに護岸改修工事がおおむね完了し、現在は、河床を掘り下げる工事を下流側から順次進めているところでございます。工事に際しましては、野川の緑の保全、また、カワセミなどの野鳥や昆虫などの生息環境が守れるよう、区では、これまでも東京都と情報・意見交換を進め、また、東京都に区民の要望を伝えるなど、連携協力を進めてきたところでございます。今後とも、野川の自然環境を保全するため、これまでの取り組みを引き続き行うなど、地元自治体として、区民の声をしっかり東京都に伝えてまいります。  次に、野川の自然に親しめるよう、しっかり日常管理をすべきとの御質問にお答えいたします。  区では、日常管理の一つといたしまして、年二回、河川内の草刈り作業を、下流は吉沢橋付近から、上流の神明橋付近まで、野川の多自然川づくりの自然団体らと調整を図りながら実施しております。この草刈り作業では、野川に生息する動植物の生態環境に配慮し、実際に水が流れる岸辺部分の両側約一メートルの範囲は草刈りを行わず、自然のまま残しております。  また、地元の市民団体とは、平成二十三年に覚書を締結し、河川内の清掃作業等を担っていただくなど、野川の日常管理に当たっては、区と市民団体が共通の認識のもと、協力して取り組んでおります。  今後も引き続き地元の市民団体等と連携をとりながら、親しみの持てる川づくりを堅持し、自然豊かな野川の河川環境の整備と保全に努めてまいります。  以上です。 ◎男鹿 みどりとみず政策担当部長 私からは、野川について、計画策定中の準備に入っている生物多様性地域戦略でどのように位置づけていくかについてお答えいたします。  生物多様性地域戦略につきましては、生物多様性基本法にその策定が地方自治体の努力義務として位置づけられております。区といたしましても、世田谷らしい緑の保全、創出、世田谷の魅力づくり、多様な生物との共生など、緑の質の向上の観点も重要であり、今年度から三年をかけて、区民、事業者、専門家、行政が協働して策定していく予定でございます。  野川につきましては、隣接する国分寺崖線とともに、自然度の高い、区内でも貴重な緑と水の骨格を形づくる場所と認識しております。生物多様性地域戦略の具体的な策定方法や内容はこれから検討していく予定ですが、野川などの重要な区域は計画の中で位置づけてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◎伊佐 教育政策部長 私からは「子どもたちが体験・体感する機会の拡充」について、日々の教育活動の中でどのように取り組むのかについてお答えをいたします。  お話にもございましたように、都市化や高度情報化の進展などにより、子どもたちが直接自然や動植物等と触れ合い、生命の大切さなどを体験、体感する機会が少なくなっております。教育委員会では、こうした状況を踏まえ、各学校の周辺環境や子どもの発達段階に応じて、日常の教育活動の中で、できるだけ自然と触れ合う機会を設けるよう指導してきているところでございます。  例えば小学校低学年の生活科の学習においては、子どもたちみずからの手で継続的に昆虫や小動物を飼育したり、植物や野菜を育てたりする活動を行っております。また、総合的な学習の時間において、近隣の農家の方に御協力をいただきながら、土の耕し方などを教えていただき、実際に土に触れる活動を行っている事例などもございます。このほか、次大夫堀公園の近隣小学校におきましては、子どもたちが公園での田植えや稲刈りに参加し、田んぼの感触や稲刈りの苦労を実感するなど、さまざまな場で自然体験を行っているところでございます。  議員お話しのとおり、教育委員会では、第二次教育ビジョン、第一期行動計画のリーディング事業に「子どもたちが体験・体感する機会の拡充」を挙げており、今後とも、子どもたちが日常の中で実物に触れ、感じ、体験する機会をさらに充実し、自然への畏敬や生命の大切さなど、他と共生する心や豊かな情操などを育めるよう検討してまいります。  以上です。 ◎古閑 教育次長 学校獣医師制度に向けたモデル事業についてのお尋ねにお答えいたします。  お話にございました学校獣医師制度は、獣医師が学校で行う飼育活動を支える仕組みで、学校ごとに担当する獣医師が学校を定期的に訪問して、飼育動物の健康状態の診察や軽度の疾病の治療を初め、児童への飼育指導、学校飼育動物を通して、命の大切さを伝える授業などを行う取り組みでございます。  この間、学校における飼育動物につきましては、動物愛護管理の普及啓発を図る目的で、世田谷保健所の事業として、東京都獣医師会世田谷支部の御協力をいただき、獣医師が区立小学校、幼稚園、保育園で飼育する小動物の飼育指導と軽い疾病の治療を行うとともに、教師や子どもたちに対して飼育指導を行っていただいております。  こうした中で、今年度より、四つの区立小学校で、学校における動物飼育支援活動モデル事業を実施するものでございます。具体的には、現在、モデル校を担当する獣医師と学校が定期診察の進め方や子どもたちへの飼育方法の指導、児童が動物に触れ合う授業などの実施方法等について、打ち合わせ等を行っているところでございます。年間を通じまして、獣医師の方々の指導、助言をいただきながら、取り組みを進めてまいります。また、今年度から始まる東京都の小学校動物飼育推進校として、都内五校のうち、区内の区立小学校一校が指定され、動物飼育に関する研究学習に取り組む予定でございます。こうしたモデル事業や推進校の取り組みを進めまして、その成果を検証するとともに、事業の改善を図りながら、子どもたちの体験、体感する機会の拡充に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◆二十一番(三井みほこ 議員) 新制度に関しては、国が情報を出すのが遅いので、担当部としても本当に大変だと思いますけれども、現場が困らないように、園児募集のスケジュールとか、後ろが決まっていますので、影響が出ないように、しっかり対応をお願いしたいと思います。  また、野川について最初にお聞きしましたけれども、これは本当に子どもたちにとって、体感、体験する機会の拡充ということも教育のところで触れましたが、今の子どもたちにとって、日常の生活の中で、野川の自然というのもすごく貴重だと思っています。そういう意味でも、身近な自然である野川を守っていっていただきたいと思います。  また、学校において、飼育動物を通して、命の大切さということを子どもたちにしっかりと伝えていっていただきたい、そういうことを要望して、私の質問を終わらせていただきます。 ○山口ひろひさ 議長 以上で三井みほこ議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、五十番高橋昭彦議員。    〔五十番高橋昭彦議員登壇〕(拍手) ◆五十番(高橋昭彦 議員) 順次質問してまいります。防災・防犯対策に関する諸課題について質問をいたします。  災害時など、いざというとき、どこで何が起こっているのか、明確な情報が区民の生命を守る上から大変重要です。現在はメールなどによる情報伝達が発達してきていますが、その上で、そこはどこなのかわかりやすい町の表示が必要になります。わかりやすい町の表示の一つに、道路通称名の表示があります。東京都でも、道路通称名の設定の目的を、都民を初めとする道路利用者にわかりやすく親しみやすい名称を設定し、目的地への移動を容易にする道しるべとして都内交通の利便を図り、都内観光や災害時における避難、緊急輸送に役立てるとし、整備を進めています。  そこでお聞きします。世田谷区の区道における道路通称名の設定は現在三十七カ所。防犯、防災の観点からも、またさらに住民が地元への愛着を持てることもあり、主要な区道には通称名をふやして、わかりやすい世田谷のまちづくりに生かしてほしいと思います。まず、区のこれまでの取り組みをお聞きいたします。  通称名のない主要な区道は何と呼んでいるのか。補助何号とか、区画街路何号とか、地域の住民にとって、あそこの道は何と言ったっけと。例えば赤堤二丁目から桜上水を東西に結ぶ補助五四号線など、わかりやすい名称をつけてほしいとの声もあります。今後の区の対応をお聞きいたします。  二点目は、公園や広場における防災設備の設置についてです。  世田谷区における震災対策は、延焼火災への対策が重要であることは周知のとおりであります。不燃領域率を上げる、そのために、道路や公園の整備は区の重要な責務であります。延焼対策のためのポケットパークや広場など、これからも整備を進めていく中で、防災力の向上のために、関連する設備、防火水槽やマンホールトイレなどの防災機能は新設時の必須条件として位置づけ、整備すべきであります。区の考えを伺います。  具体的に、赤堤一丁目と赤堤二丁目に新設を進めている公園があります。これまで区は、地域住民と協議の場やワークショップを進めてこられました。赤堤一丁目は防災機能をフルで整備すると決定したとお聞きしますが、赤堤二丁目緑地はいまだ区は計画の中に盛り込んでいない状況であります。防災機能は新設時の大前提とすべきであります。答弁を求めます。  三点目は、八幡山駅前の整備についてです。  京王線の連続立体交差事業とともに、駅前の広場をそれぞれの駅で検討が進められていますが、その中で、八幡山駅だけは様相が違っていると感じています。それは、各駅では、駅舎の新設や周辺の道路の整備の必要性から、バスやタクシーなどを乗り入れるための交通広場の議論も明確になってきておりますが、八幡山駅は既に高架であり、大きな整備が見込めない状況です。今年度より新設のバス路線が加わり、二系統の路線バスが八幡山駅に入ることになりましたが、今は気持ちだけの小さなバスベイがあるだけであります。  災害時の帰宅困難者対策などを考えると、交通広場の整備は重要です。地域からも期待の声は大きい。松沢病院、東京都との調整を本気で進めるべきであります。見解を伺います。  次に、若者のスポーツの場について質問いたします。  スケートボードやBMX、インラインスケートなど、多くの若者に好まれるさまざまなスポーツ、いわゆるストリートスポーツがあります。BMXは北京オリンピックから正式競技になっておりますし、さきの冬季オリンピック、スノーボードのハーフパイプ競技では、銀メダリストになった十五歳の高校生、平野歩夢選手は、小さいころからスケートボードで常に練習を重ねてきたと聞いています。若者が楽しみながら、身近な地域でスポーツに親しむ機会や場の確保が望まれます。  しかし、残念ながら、こうした新しいスポーツを身近なところで行う場の整備はさまざまな課題があり、進んでいないのが現状ではないでしょうか。例えばスケートボードができるストリートスポーツ広場が駒沢オリンピック公園の中にありますが、先ほどのオリンピックの影響も大きく、最近では、女性や子どもたちのスケーターも目立ち、土日は利用者で満杯、順番や場所待ちの状況になっています。世田谷区内での安全なストリートスポーツの場所の整備の要望も多く聞きます。  これらのスポーツには、広い場所や騒音などの課題もありますが、工夫を凝らして、若者など多くの世代の多様なスポーツニーズに応える場の整備について検討を進めるべきと考えます。区の見解を求めます。  次に、総合福祉センターの跡地利用についてお聞きします。  総合福祉センターは平成元年の開設以来、障害に関する専門機関として、相談から訓練指導まで担い、区の障害施策を大きく進めてきました。平成三十一年には、福祉先進都市世田谷の拠点、梅ヶ丘の拠点が整備されます。これまで以上の福祉施策が充実することへの期待は大変大きいものがあります。総合福祉センターは、その機能の大半を拠点施設へ移行し、現在の建物での事業は平成三十年度で終了することになります。総合福祉センターでの役割は、梅ヶ丘拠点へ移行しない事業もあります。今後、どのような対応になるのか不安に思っている方々もいます。  まずお伺いいたしますが、拠点移行後の総合福祉センター跡地の利用、保育待機児解消や老朽化した保育園への対応などを考えているとも聞きますが、区は検討状況を明確にすべきと考えます。また、実施している事業の移行計画についても明確にし、利用している区民の不安の解消につなげなければなりません。答弁を求めます。  さて、拠点へ移行しない事業に水治療法があります。障害を持った方の機能訓練や変形性股関節症の方のリハビリが行われています。この股関節症の方の話を伺いましたが、通常の温水プールでは対応できない特徴がある総合福祉センターの水治療法室であるとお聞きしました。水治療法を行うことで関節の悪化を防ぎ、寝たきり防止につながっています。健康寿命を阻害するいわゆる介護や寝たきりになる原因の第一位は関節疾患や骨折などの運動器の障害によるものであると統計があります。我が党は、十年後の大介護時代に備える政策を訴えておりますが、運動器症候群、ロコモティブシンドロームの予防の場として、水治療法室は区として必要なものとの位置づけをすべきと考えます。明快な答弁を求めます。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔板垣副区長登壇〕 ◎板垣 副区長 私からは、八幡山駅前交通広場につきましてお答えさせていただきます。  八幡山駅周辺につきましては、地元の町会・自治会などの要望に基づきまして、東京都と連携して、病院周辺におきまして、隅切りの整備や歩道拡幅などのまちづくり事業を進めているところでございます。また、京王線の連続立体交差事業を見据えながら、区では、平成二十一年度に京王線沿線の駅周辺を対象に、駅前広場基本構想を策定しており、この中で、八幡山駅周辺につきましては、これまでの経緯を踏まえ、松沢病院の北側敷地をおおむねの位置として、駅前広場を整備する方向の構想を示しております。  八幡山駅につきましては、お話にありましたように、バス交通との結節機能が必要と考えておりますことから、駅前広場につきましては、今後も東京都と密接に連携し、松沢病院の施設再編動向や京王線の立体化の進捗状況を踏まえながら、地元の要望に応えられるよう、引き続き検討してまいります。 ◎小山 土木事業担当部長 私からは、道路通称名について二点御答弁申し上げます。  まず、区のこれまでの取り組みについてです。  区では、区民に愛され、親しまれ、安心して利用できる道路づくりを目指すことを目的に、主要な区道路線に例えば赤堤通りや茶沢通り等の道路通称名を設定しております。道路通称名につきましては、昭和四十四年に二十一路線を設定し、その後、昭和五十七年に二路線、平成七年に十三路線、平成二十二年に一路線を追加して、現在、三十七路線に設定しております。また、国道や都道につきましても、玉川通りや世田谷通り等、十二路線に東京都通称道路名が設定されております。  区道の道路通称名の選定につきましては、幅員がおおむね十メートル以上で、延長が一キロメートル以上、かつ歩車道が分離されている等の区道路線を対象に公募を行い、町会・自治会の代表者、警察代表者及び区職員で組織する審査委員会における審査により選定することを基本にしております。道路通称名を設定した路線につきましては、道路に道路通称名板を設置するほか、区の刊行物等を通じまして、普及を図っております。  次に、道路通称名について、今後の区の対応についてお答えいたします。  平成七年に道路通称名を公募により選定した以降、都市計画道路などの整備が進みまして、議員お話しの補助五四号線の一部区間など、選定の対象になると考えられる区道路線が数路線開通してございます。さらに、防災・防犯性を一層高める観点から、また、新たな道路通称名の設定について、地域からも要望があることから、道路通称名の追加選定について、今後検討に着手してまいりたいと考えております。  追加選定に際しましては、従来の選定基準のほか、区民に身近な道路についても道路通称名の対象路線にするなど、対象路線の基準についても再検証してまいりたいと考えております。区といたしましては、道路通称名の設定を進めることにより、区民が親しみや愛着を持ち、町の防災、防犯の向上につながる、寄与できる道路づくりを進めてまいります。  以上です。 ◎阿部 危機管理室長 私からは、防災・防犯対策にかかわる諸課題について二点御答弁申し上げます。  最初に、公園広場新設時の防災機能についてでございます。  公園や身近な広場は、都市環境や景観の改善、健康レクリエーションの場、自然環境の保全、地域コミュニティー形成の場など、多様な役割を担う施設として整備されています。一方、災害時には、公園や身近な広場は災害対策上の重要な拠点となります。  世田谷区地域防災計画では、地震に強い都市づくりに向けた具体的な取り組みの一つとして、避難場所や火災延焼の拡大を抑制するためのオープンスペースの確保を掲げてございます。また、みどりとみずの基本計画の中でも、災害時の一時集合所として、あるいは災害復旧の地域拠点となるよう、防災機能を持つ公園をつくり、災害用マンホールトイレや防火水槽、かまどベンチなどを必要に応じて設置していくこととしてございます。これらの計画を踏まえ、新たに公園や身近な広場を設置する際には、可能な限り、防災機能をあわせて整備する必要があるというふうに認識してございます。今後も、防災機能を有する公園や身近な広場の整備拡充に向けて、施設整備所管と連携してまいります。  次に、仮称赤堤二丁目緑地の防災機能について御答弁申し上げます。  仮称赤堤二丁目緑地の整備につきましては、防災機能を整備してほしいとの区民要望が出ていると聞いており、また、これまでも防火水槽の整備について御指摘をいただいてきたところでございます。防火水槽につきましては、当該緑地のある二百五十メートルメッシュ地域は消防水利が充足しておりますが、緑地の西側に隣接するメッシュの消防水利が不足している状況でございます。当該緑地に四十トンの防火水槽を整備することで、隣地メッシュの不足解消には至りませんが、不足する水量の多くを補うことができ、震災時の消火活動に有効な水利となります。不足地域内の防火水槽を設置する場所の確保が非常に困難なことから、当該緑地に防火水槽が必要であるというふうに今認識してございます。マンホールトイレにつきましても、公園が一時集合所として利用が想定されることから、設置及び運用面において、地域での協力を求めながら、防火水槽とあわせて設置に向けて検討を進めてまいります。  以上でございます。 ◎坂本 スポーツ推進担当部長 若者のスポーツの場の確保について御答弁申し上げます。  平成二十六年度に策定いたしましたスポーツ推進計画では、成人の週一回以上のスポーツ実施率を六五%以上とすることを目標に掲げております。現状では、平成二十五年の区民意識調査によりますと、スポーツ実施率は四九・七%で、着実に実施率が向上してきてはおりますが、特に男性の三十から四十歳代、女性では二十から三十歳代でスポーツ実施率が低くなっております。御指摘の若者のスポーツ実施率も含め、高めていくことも課題であるということは認識してございます。  区といたしましては、御指摘のスケートボードなどの若者に好まれるスポーツ、ライフステージに応じたさまざまなスポーツニーズに応えられるよう、お話にございました課題も含めまして、関係所管とも連携して研究してまいりたいと考えております。  以上です。 ◎岡田 子ども・若者部長 私からは、総合福祉センターの梅ヶ丘移転後の活用に向けた基本方針をという御質問にお答え申し上げます。  区では、総合福祉センターの建物及び跡地の活用につきまして、本年二月にお示しいたしました公共施設整備方針に基づく取り組みの方向性に基づきまして、具体的な活用内容の検討を進めているところでございます。総合福祉センター周辺には、園舎の老朽化など、施設面で課題を抱える保育園もあることから、子ども・若者部といたしましては、このような施設の移転統合先としての活用も含め、子育て機能等での活用について検討が必要であると認識しております。子育て支援のさらなる充実が図れるよう、総合福祉センターの建物及び跡地の有効活用に積極的に取り組んでまいります。  以上です。 ◎小堀 障害福祉担当部長 私からは、総合福祉センターの跡地利用の御質問につきまして二点お答えいたします。  総合福祉センターがまず実施している事業のうち、梅ヶ丘拠点に移行しないものについて御答弁いたします。  総合福祉センターが実施している事業につきましては、梅ヶ丘拠点内の民間棟に移行する事業、区複合棟に移行する事業、ほかの機関等で対応可能な事業の三つに考え方を整理しております。梅ヶ丘拠点に移行しない事業につきましては、例えば補装具交付意見書の発行や身体障害者手帳診断書の発行などにつきましては、身体障害者福祉法の指定医がいる身近な医療機関等での対応となります。なお、地下の水治療法室につきましては、現在、関係所管と検討中でございます。いずれにいたしましても、利用者には御不便をおかけしないよう配慮をしながら進めてまいりたいと考えております。  次に、水治療法室についてでございます。  総合福祉センター地下の水治療法室は現在、自立訓練や児童発達支援事業における訓練で行われているほか、障害者などの個人、団体を対象に、水中歩行などのための利用貸し出しを行っております。平成二十五年度の利用実績につきましては、個人登録百七十一人と団体登録二十六団体でございまして、年間延べ利用者数は八千七百七十人でございます。議員お話しのとおり、総合福祉センターの水治療法室は、障害者や関節症のある方などにとって、面積や水深、水温や室温などがほかの施設にはない配慮がされていることから、障害者団体などから残してほしいという要望を伺っております。  一方、維持管理や運営経費に加え、施設や設備の老朽化に伴う改修経費等の課題もございます。こうした課題を踏まえまして、水治療法室につきましては、関係機関と調整を図るとともに、利用者の御意見を伺いながら、検討を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◆五十番(高橋昭彦 議員) いろいろ御答弁いただきました。  ちょっと時間もありますので、再質問したいと思うんですけれども、まず、若者。特に私は前から、中高生の三種の神器ということで、バンドとバスケとダンスというふうな話をよくこの場でしたことがありますけれども、世田谷区はそういった青年層、若者に対しての担当所管をつくって、しっかり支えようじゃないかと、元気にしようじゃないかということが始まりました。それには大変評価をするわけですけれども、そういう意味では、青年を元気にする、そういった観点から考えて、今後のスポーツ施策に、今、部長は研究という消極的なお話でしたけれども、もっと積極的に元気にする施策として位置づけてもらいたい。もう一回御決意をいただきたいと思います。  もう一つ、この総合福祉センターの水治療法室は他会派からも話がありましたけれども、今も部長からお話をいただきましたけれども、要望もいただいている、でも、いろいろ課題がある、検討している最中だというような話ですけれども、私の質問は、必要なものとして位置づけをすべきだというふうに質問しているんです。そういう意味では、どうするのかということをきちっと、区としてどう思っているのかというのをもう少し明確にお答えいただきたい。  この二点、再質問させていただきます。 ◎坂本 スポーツ推進担当部長 再質問がございました。若者、青年を元気にする施策ということで、スポーツの観点からということで再質問をいただきました。  御質問にもございましたように、ストリートスポーツ、こういった場が足りているとは思っておりません。今年度からスタートしましたスポーツ推進計画のほうでも、場の確保ということを一つの大きな柱にして、それで、区民の皆様のスポーツ実施率を高めていこうという目標につなげたいということを考えておりますので、スポーツの場の確保という点について、全ての面において充足しているとは私も思っておりませんので、御指摘の点も踏まえまして、これから計画に沿って、研究、検討してまいりたいというふうに思っております。 ◎小堀 障害福祉担当部長 総合福祉センターの水治療法室につきまして、再質問にお答えいたします。  区といたしましては、総合福祉センターの水治療法室は、障害者などにとりまして、面積や水深、水温、室温などがほかの施設にはないという配慮がされていることは認識してございます。先ほども答弁させていただきましたように、一方で、年間の維持管理費や運営経費、そして、老朽化に伴う改修経費等の課題もございますので、委員の御指摘も踏まえまして、関係所管としっかりと調整を図りまして、検討させていただきたいと考えております。  以上でございます。 ◆五十番(高橋昭彦 議員) ありがとうございます。どうしても口癖で研究、検討という話になるんだろうと思います。でも、一歩前向きな姿勢を感じ取りましたので、ぜひ施策の実現のために頑張っていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございます。 ○山口ひろひさ 議長 以上で高橋昭彦議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、八番佐藤美樹議員。    〔八番佐藤美樹議員登壇〕(拍手) ◆八番(佐藤美樹 議員) それではまず、世田谷の人口動態と行政サービスのあり方について何点かお伺いします。  少子化、人口減少社会に向かっていると言われる中、世田谷では、人口、特に年少人口は増加傾向にあり、このトレンドは二〇三五年まで続くと推計されています。年少人口増加の背景には、転出よりも転入のほうが多い転入超過と言われる動きのものと分析されています。また、区内の合計出生率自体も増加しているそうですが、これは子どもを産むような年齢の人たちが世田谷区を選んで入ってきているという、これもいわば転入現象の一つであるとの見方もできます。  実際、現在の区の人口ピラミッド図を見ると、こちらはパネルを用意したんですけれども、これは政策経営部のほうでこの間出した人口ピラミッドですけれども、細かいところは見えないと思いますが、この一番多い層が三十から四十の層、いわゆる団塊のジュニアを中心とした層のところが圧倒的に突出していて、次が団塊の世代、六十五歳前後という、そういう構成になっています。子育てがしやすそうなブランドイメージがこのような人口動態につながっているとも言えます。  年少人口増加が転入のような変動要因だと、区の努力でコントロールできる類いのものではありませんから、関連する行政サービスの設計には、柔軟性や機動性が求められます。特に保育サービスについては、保育のニーズの予測に対して、実績が常に上振れ、下振れしやすくなってきているわけですから、今まで以上に、ニーズのあるところにピンポイントで対応していく機動性のある整備方法が必要なのではないでしょうか。  ここで、これまでも質問してまいりましたが、小規模保育事業についてお伺いします。
     この事業の意義と課題について改めて述べます。この事業の意義としては、これまで補助金等の公的資金がゼロで運営されてきた、いわゆる無認可の保育施設が移行することにより、運営面、保育の質面で向上させられる点が大きいと考えます。最大の課題は、三歳以降の受け皿をどうするかです。ですが、これは、小規模保育事業者側だけでどうにかなるものではなく、受け入れ側となる認可保育所やこども園などにどう設定していくかといった全体の課題と考えます。区として、小規模保育事業を待機児対策としてどう位置づけていくのか見解を問います。  次に、新制度で設定されている小規模保育事業A型、B型、C型のうちのB型についてお伺いします。  B型については、保育士資格の有資格者比率をどう設定するかが主な論点となっています。先ほど、無認可保育所の移行先としての小規模保育事業の意義を申し上げましたが、このような移行支援の観点に立つと、やはり保育士十割のA型だけではない間口も必要と考えます。区として、B型についてどう位置づけ、基準を設けていくのかお伺いします。  待機児のいるところにピンポイントで充足させるという意味では、提案型による認可保育所も有効です。先日、二社決まりましたが、その後、追随がまだありません。区の設定する募集要項がほかの自治体に比べ、ハードルの高い点もあるようで、保育園事業者からは、世田谷はやりにくいという声もあります。世田谷だけが保育園を必要としている自治体ではありませんので、ほかの自治体と比べ、もし手の挙げにくい要因があるのであれば、そこは変えていくような検討も今後の募集状況によっては必要と考えますが、見解を問います。  冒頭申し上げた人口動態の話に戻ると、現在は生産人口が多いゆえに、六十五歳以上の高齢者比率は一九%と全国平均や東京都平均の二一・九%から見ても低い状況にあります。いわゆる支えられる人に対して、支える人が平均に比べ多いということになりますが、団塊の世代が後期高齢者に突入すると言われる二〇二五年以降は、この構成が大きく変わってきます。それまでに介護保険を使わないで済むような元気な高齢者の方たちをいかにふやすか、介護度合いを進行させないかという看護予防の充実が重要であることは言うまでもありません。  ここで、介護予防に関連し、認知症対策についてお伺いします。先日、八十六歳の認知症の夫を一人で介護している女性から、二年前に介護認定を受けたが、デイサービスにも行きたがらないし、食事や入浴などで他人の世話など受けないタイプなので、誰にも頼れないというような相談を受けました。認知症においては、体は元気で、一見普通に見えるタイプで、この方のように日常生活も家族でカバーできてしまうケースなどは、介護保険を利用しようとしても、悩みの部分がカバーされなく、結果として、家族が抱え込んでしまうことがあります。  先日、板橋区では、こうした認知症固有の状況を踏まえ、複数の家族会がケアラーズカフェとして、認知症とその家族で集える場を立ち上げ、メディアに取り上げられました。こうした認知症の方や家族のためのカフェは、デイサービス等、既存の介護施設に行きたがらない患者さんにとって利用しやすいことが多く、人と交流することで認知症の進行をおくらせる効果も狙えます。また、家族にとっては、話を聞いてもらえ、情報交換ができるということで、精神的負担の軽減にもつながります。  区では、空き家を活用しての事例や家族会での取り組みでも、こうしたカフェ的なものがさまざまあるようですが、このような取り組みを区としてどう支援し、今後拡充させていくのかお伺いします。  次に、子ども・子育て支援新制度について、主に利用者への影響がある変更点についてお伺いします。  新制度では、認可保育園利用者一人一人について、自治体が保育の必要性を認定し、認定証を交付することとなっています。保育標準時間の十一時間と短時間の八時間のどちらかで認定を受けるわけですが、短時間、八時間と認定された場合に、入園選考で漏れてしまうのではないかといった質問を耳にすることがあります。保育の必要性認定と入園選考プロセスの関係、そしてスケジュールについてお伺いします。  最後に、オープンデータの活用についてお伺いします。  オープンデータとは、公的機関が保有している情報のうち、誰もが利活用できるようにして開放するデータのことです。情報公開の概念と同義に使うこともあるようですが、若干違います。より自由に二次活用できるようデータを開放することで、オープンデータの第一人者である国際大学GLOCOMの庄司昌彦先生は、オープンデータのことを開放資料とも呼んでいます。例えば流山市では、オープンデータを利用して、アプリ開発のアイデア募集を実施し、保育園探し、保育園選びに利用しやすい保活アプリなどが誕生しました。このような取り組みは、既存の枠組みを超えた課題解決につながるだけでなく、これまで行政に関心のなかった年齢層の区民と、データ活用をきっかけとして課題共有できるというメリットもあると考えます。  まず、こうしたオープンデータの意義と今後の区の取り組みについてお伺いします。  オープンデータについては、最初の一歩をどこからどう着手していくか、どこがイニシアチブをとるかといった課題もあります。横浜市では、庁内の有志で勉強会を立ち上げ、活用方針の策定をしていったそうです。例えば避難所の位置データといったもの一つをとっても、関連する所管は危機管理室、支所の地域振興課、あるいは教育委員会と複数所管にまたがりますから、庁内連携も必須ですが、その中でイニシアチブをとるところがないと、結局何も実を結ばないまま終わってしまいかねません。このような課題を含め、今後の進め方についてお伺いします。  以上で壇上からの質問を終了します。(拍手) ◎岡田 子ども・若者部長 私からは、保育に関連して四点の御質問にお答え申し上げます。  まず、小規模保育事業をどう位置づけるかということについて御答弁申し上げます。  来年度予定されている子ども・子育て支援新制度では、小規模保育や家庭的保育、事業所内保育などの地域型保育の給付施設類型を創設し、これらの施設に対し給付を行うことで、子ども・子育て支援を総合的に推進することとしております。  区といたしましても、世田谷区独自の保育室などを含め、一定の施設条件や保育の質を確保できる施設については、安定的な保育サービスの提供を継続する上で、国からの給付が受けられる保育形態への移行を進めることが望ましいと考えております。しかしながら、小規模保育事業は、保育内容の支援及び三歳からの受け皿を担う連携施設の確保が必要とされており、この連携施設の連携のあり方と整備計画をあわせて考えていく必要があります。今後は、新制度における小規模保育事業や家庭的保育事業などの基準を定め、これら小規模保育事業等も活用しながら、待機児童の八割を超えるゼロ、一、二歳児の解消に向けた整備を進めてまいります。  次に、小規模保育事業B型の保育士割合について御答弁申し上げます。  小規模保育事業のうち、B型につきましては、国の厚生労働省令では、職員配置は従うべき基準とした上で、半数以上は保育士とし、その他は保育に従事する職員として、市町村が行う研修を修了した者とすると規定しております。区としましては、国の基準が高い場合は国の基準を、類似事業の区の基準が高い場合は区の基準をとることを基本的な考え方としておりますが、現在、子ども・子育て部会では、保育士の有資格者の割合については、両論の意見が出されております。今後、子ども・子育て部会でさらに御議論いただき、区としての基準を定めてまいりたいと考えております。  次に、認可保育園の提案型募集の条件に関する課題について御答弁申し上げます。  事業者提案型の認可保育園の募集につきましては、事業者みずからが民間の土地や建物を探して保育園を整備する手法で、今後の保育園整備の中心となるものとして、今年度も募集期間を五回に分けて公募しているものです。提案型の募集要件の中には、園庭の確保、園長、主任に経験豊富な職員を配置すること、園長は原則五年在園すること、職員の経験年数が平均四年以上であること、民間施設給与等改善費の八%の体制確保などを設けております。これらの条件は、保育の質を確保するためには必要な条件であると認識しております。今後も、参入意欲のある保育事業者とのヒアリングなどを引き続き行い、世田谷区の状況なども十分に理解していただいた上で、保育の質を確保しながら、事業者の応募をふやしていけますよう取り組んでまいります。  次に、認可保育園の入園選考のプロセスについて御答弁申し上げます。  入園選考につきましては、例年と同じく九月から申し込みを開始するなど、従来の手法で実施することを想定しております。また、認可保育園などの利用を希望する場合は、新たに入園申し込みとは別に、区に申請をして、保育の必要性の認定を受けていただく必要があります。区では現在、必要性認定の申請について、認可保育園の入園申し込みと同時に行えるよう検討しております。また、現在、認可保育園を利用されていて、継続して利用される方に対しては、在籍する園を通じて、必要性認定の手続を行うことを検討しており、認定を受けた場合は、引き続き在園が可能となります。  いずれにしましても、戦後最も大きな制度改革となることから、早期に制度全体の仕組みを固め、区民の皆様に丁寧な周知に努めてまいります。  以上でございます。 ◎田中 高齢福祉部長 私からは、認知症対策としての地域での居場所となり、家族も悩みを共有できるカフェなどの取り組みをどう支援し、拡充させていくかという御質問にお答えいたします。  認知症カフェは、平成二十四年九月に国が公表した認知症施策推進五カ年計画、オレンジプランにおいて、認知症の方と家族、地域住民、専門職等の誰もが参加でき、集う場として、平成二十五年度以降、普及を進めることとされました。認知症の御本人がみずから活動し、楽しめる場であるとともに、御家族同士がわかり合える人と出会い、交流できる場とすることを目的に、区でも、身近な地域に認知症カフェの設置を進める必要があると認識しております。  区内では、平成二十五年度に区が実施した世田谷らしい空き家等地域貢献活用モデル事業において、デイサービスと認知症カフェを備えた多世代交流拠点をつくるという企画が採用され、開設準備が進められているほか、平成二十六年四月から、デイサービスを運営している法人が自主事業として、認知症カフェを開始していると伺っております。区として認知症カフェ事業を実施するためには、実施方法等のガイドラインが必要であることから、現在、作成を進めているところであり、認知症カフェ事業の早急な実施に向けて、一層準備を進めてまいります。  以上でございます。 ◎板谷 政策経営部長 私からは、オープンデータに関し、その意義について、区はどう捉えているのか、今後の取り組みは及び今後の活動に当たっての進め方についてまとめてお答えをいたします。  オープンデータの推進は、区民に対する説明責任や区民参加の推進、公正で開かれた区政など、オープンガバメントの理念に基づく非常に重要な取り組みであり、創意工夫を生かした公共サービスの迅速かつ効率的な提供、ニーズや価値観の多様化等への対応につながるなど、多くの自治体が住民参加の新たなあり方として注目しているものと認識しております。区におきましても、オープンデータの推進を情報公開制度の充実の一つに位置づけ、世田谷区情報化推進計画における計画事業として、情報政策課や区政情報課を初めとした関係所管による検討に着手してございます。  今後の進め方といたしましては、議員御指摘のとおり、広く庁内連携が必要との認識から、オープンデータの意義をしっかりと共有化し、データ保有所管を初めとする関係所管が連携して取り組むことができる推進体制の整備と、データ公開に当たっての手続、その他の必要なルールづくりを進めてまいります。オープンデータの利用が進むに伴い、区民や事業者の方々がより使いやすいアイデアを提案し合うなど、利用者同士や区とのコミュニケーションが活発になることも期待されますので、御指摘の先進自治体の事例も参考にしながら、区民参加の観点からの利用促進に向けた研究を行ってまいります。  以上でございます。 ◆八番(佐藤美樹 議員) さまざま御答弁ありがとうございました。保育について一点再質問させていただきたいと思います。  来年の四月まで、言うまでもなく、もうあと九カ月しかないわけで、提案型の募集も、設定した目標整備量にはまだ至っていないという状況の中で、やはりやれることはどんどん着手していくしかないと思います。保育の質、保育の質と二言目に――もちろん私も保育の質を落とすと申し上げるつもりはないんですけれども、今、入れていないお母さんたちからは、とにかく入れないことには始まらないんだという声が届いています。そこの本当に切迫しているという危機感を区は持ってやっていただいているのかなというところが若干疑問です。小規模保育にしても、子ども・子育て部会、もちろんそこで議論することは大事ですけれども、その前にもやれることは準備をしていく、やれる方針については、もう募集要項もほぼ固めておくというような前倒しをぜひともお願いしたいと思うんですが、この辺について副区長にお尋ねします。    〔秋山副区長登壇〕 ◎秋山 副区長 今、再質問をいただきましたことに関しまして、多くの保護者の皆様のお気持ち、それから、御期待いただいていることを本当に肝に銘じて、一人でも多くの保育定員を拡大できるように、全力を挙げて進んでいきたいというふうに思っています。ただ、小さな子どもたちが過ごす施設ですので、安心して預けることができる保育環境というのを確保するということは、それは必要だというふうに思っておりまして、新制度における保育施設の仕組みを早急に構築しながら、今お話にありました提案型保育や小規模保育事業、それから家庭的保育事業など、多様な施設の整備も含めまして、待機児童解消に向けまして全力で進めてまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。 ○山口ひろひさ 議長 以上で佐藤美樹議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、十三番高岡じゅん子議員。    〔十三番高岡じゅん子議員登壇〕(拍手) ◆十三番(高岡じゅん子 議員) 通告に従い、順次質問いたします。  初めに、多様な選択を保障する放射線対策について質問します。  今年度の川場移動教室開始に当たり、ハイキングコースで高い放射線量が測定されたという問題に対し、五月末、教育委員会は、従来計測していなかった登山道の空間放射線量の追加測定を行いました。結果は区のホームページを通じ、区民に発表されています。事実に基づく対応のためにも、継続的な測定と情報開示は何よりも優先すべきことです。区立学校の行事として川場移動教室を行う以上、世田谷区の責任として、子どもたちが滞在したり活動したりする場所は区内と同水準の〇・二マイクロシーベルト・アワー以下を目指すのは当然です。この計測結果を、川場村でのより安全な活動環境を実現するために生かすように求めます。区の見解を伺います。  川場移動教室の活動場所の空間放射線量の平均値は〇・一五マイクロシーベルト・アワーです。この値は、基準となる〇・二三マイクロシーベルト・アワー以下ではありますが、ことし四月以降の世田谷区での最大測定値の三倍以上です。この事実が、放射線リスクを最小限にしたいと考える保護者が川場移動教室への参加をためらう背景となっています。東京電力福島第一原子力発電所の事故以後、放射線による健康被害のリスクを無視し、あたかも何の事故も起こらなかったように暮らし続けることは科学的態度とは言えません。  安全な活動を工夫する中で、土に触れる農作業体験は休止されています。キャンプファイヤーをキャンドルナイトにかえるなど、プログラムの選択に工夫した学校もあります。放射線に対する懸念から移動教室を不参加にしても、欠席扱いなど不利益にならない対応はとられていますが、その周知方法は学校により差があります。実施するプログラムについての意見交換の場をつくるなど、どの学校でも同等の情報提供が受けられることも必要です。保護者も学校も子どもの最善の利益を考え、より納得のいく選択ができるよう、選択の違いを尊重し、受け入れる体制を整備していくことが必要だと考えます。区の見解を伺います。  子ども自身に対する説明や、放射線から子ども自身が身を守るための放射線教育を求めてきました。放射線教育に関して、今年度は文部科学省から三・一一以降の東日本の現状についても触れた新たな副読本なども出され、小学生に対する放射線教育の下地は整ってきています。子どもにも大人と同じように、自分自身を守る権利があります。また、そのために必要な情報を得る権利もあるのです。川場移動教室を実施するならば、放射能について、自分自身の問題として考えられるための学習は必須です。事前学習などの機会を捉えて、小学生に対する放射線学習に取り組んでいくべきです。区の見解を伺います。  食品における放射性物質の規制基準が策定過程にあった二〇一一年秋、世田谷区では、食のリスクコミュニケーション啓発事業の一環として、せたがや食の安全・安心区民フォーラムでこの問題を取り上げ、多くの区民が参加し、活発な議論が行われました。目に見えない放射能に対し、主体的に判断し、冷静に対処できるように、せたがや食の安全・安心区民フォーラムなどを活用し、区民への放射能、放射線に対する啓発活動を推進することを求めます。区の見解を伺います。  次に、被災時の実情を想定した災害対策について質問します。  神戸市は、阪神・淡路大震災では被災地として支援を受ける側となり、東日本大震災では支援する側となった経験を持っています。この経験から、大規模災害時、神戸市だけでは対処し切れない事態に対し、他自治体や民間などの多方面からの支援を最大限に生かすため、支援を要する業務を特定し、受け入れ体制などを事前に具体的に定めておくための計画、神戸市災害受援計画を平成二十五年三月に策定しました。この行政への支援受け入れに特化した計画は、応援を要する業務ごとに、受け入れから応援終了までの一連の対応を点検し、支援の力を最大限に地域防災力の向上につなげるものと位置づけられています。  世田谷区の地域防災計画では、応援要請は災対本部から出し、民間、公共を問わず、支援の受け入れはボランティア協会が中心となって担うこととなっています。しかし、例えば被災建物の応急危険度判定など、高度の専門性を必要とする業務への支援について、支援受け入れの体制は明確になっていません。世田谷区はさまざまな自治体などと災害時の応援協定を結んでいます。受け入れ側の準備が整わなかったために、支援の申し出を断るような事態にならないために、事前に応援要請の内容について具体化していくことが必要です。特に専門性の高い支援の受け入れ体制について、神戸市の事例なども参考に、支援を受け入れるための仕組みづくりに着手すべきです。災害時に支援を受け入れ、コーディネートしていく仕組みをつくるべきだと考えます。区の見解を伺います。  いつ起こるかもしれない首都直下型地震。そのとき、避難所運営の担い手に空白をつくらないため、新たにできる学校跡地での避難所運営に向けた準備が必要です。世田谷区の区立小中学校は避難所に指定されており、教職員と学校協議会が平常時から災害時の避難所運営について協議し、訓練なども実施しています。今後、区立学校跡地には、学校としての機能が失われ、学校協議会の存在を前提とした避難所運営はできなくなります。しかし、新しい施設でも、避難所としての機能は必要不可欠なものです。複合施設化される区立小中学校跡地における避難所の施設管理体制と住民の避難所運営組織立ち上げについて区の見解を伺います。  被災時に、防災訓練に参加したことのない大勢のさまざまな人々が避難所に集まってきます。円滑な避難所運営のためには、地区防災に関する地域住民の共通理解を広め、防災活動の裾野を広げることが必要です。避難所運営への関心を広げる活動として、地域住民に知っておいてもらいたい基本的な避難所の運営ルール、例えばペットの同行避難についてなどをプリントにして、回覧や配布などの方法で周知しようとしている避難所運営本部も出てきています。避難してくる圧倒的に多くの地域住民に、事前に避難所運営についての共通認識を醸成することは、立ち上げ時の混乱を回避し、運営への参加を促していくために必要です。  さらに、避難所運営についての理解を進めるため、静岡県では、避難所運営ゲームHUGを開発しました。この避難所運営ゲームHUGは、限られた時間内に二百人以上のさまざまな市民が避難所に集まってくる中、避難所を立ち上げていくグループワークによるシミュレーションゲームです。避難者の年齢や性別、国籍やそれぞれが抱える事情が書かれたカードを避難所の体育館や教室に見立てた平面図に参加者が話し合って配置し、避難所で起こるさまざまな出来事にどう対応していくかを模擬体験できます。  HUGは、静岡県以外のさまざまな自治体でも、避難所運営の訓練プログラムの一つとして取り入れられ、効果を上げています。東日本大震災の前年にHUGを実施した仙台市では、被災当日は、病気を抱える人、人工透析の人、足を骨折したが病院で手当てをしてもらえずに返された人、多数のペット連れの人々など、さまざまな人が避難してきたが、落ちついて対応できたと、HUGの経験が役立った実例が報告されています。  ゲーム形式のプログラムは、避難所運営に興味を持ってもらいたい若い世代の参加を引き出すためにも有効です。平塚市では、ことし一月、HUGを取り入れた訓練を実施し、小学生の参加者から、自分たちの学校のことを一番よく知っているのは自分たちなので、災害が起こったとき、地域の一員として、きょうの訓練のようにできるといいと思いましたという感想が寄せられています。  円滑な避難所運営に向け、地域防災への関心や参加を広げるため、さまざまな手段が考えられます。総合支所は、地域防災活動を広げるため、どのような役割を果たしていくべきとお考えでしょうか。区の見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎古閑 教育次長 多様な選択を保障する放射線対策についてお尋ねがございました。私のほうからは二点についてお答えいたします。  まず、川場移動教室実施に当たっての安全確保についてでございます。  川場移動教室の実施に当たりましては、この間、川場村、区長部局と連携を図り、村内の空間放射線量の測定を初め、村内や区民健康村施設の除染、食品や水の検査など、さまざまな取り組みを行ってきております。この間、月一回、区民健康村施設及びその周辺の測定を行ってまいりましたが、この五月には、川場移動教室で実施する三つのハイキングコースの放射線量を測定し、その結果、毎時〇・〇九三マイクロシーベルトから〇・三三三マイクロシーベルトとなり、多くの地点では毎時〇・二三マイクロシーベルト以下となっております。  今回の測定の中で、ハイキング中に子どもが立ち入る場所ではございませんが、ハイキングコースから少し離れた側溝に土砂や枯れ葉が詰まっている場所があり、毎時〇・六マイクロシーベルトの結果となりましたので、このような場所については、川場村や区長部局と清掃などの対応を協議しているところでございます。  今後とも、川場村とも一層連携を図り、継続して測定し、情報提供を行い、必要に応じて、さまざまな対応を図りながら、川場移動教室を実施してまいります。  次に、保護者に対する選択肢を示した情報提供等についてでございます。  今年度、川場移動教室の実施に当たりましても、改めて放射線の専門家に線量評価をいただき、川場村の客観的な放射線量のデータなどを取りまとめたリーフレットを作成し、必要に応じて、教育委員会が保護者説明会などで、放射線量等を保護者に丁寧に説明を行うとともに、川場移動教室で提供する食品の検査も継続して取り組んでおります。川場移動教室は、教育課程、すなわち授業の一環でありますので、出席参加が基本となりますが、こうした中で、不安が大きいなどにより、どうしても不参加の場合には、児童の不利益にならないよう、学校で課題を行うなどにより、欠席扱いにならないような配慮ある対応をしているところでございます。  川場移動教室について、保護者の皆様の御不安や御心配に対しては、個々の御家庭により、内容もさまざまですが、学校と教育委員会が連携を図り、丁寧な説明や情報提供等に一層取り組むこととしております。また、二泊三日の移動教室のプログラムの行程についても、教育内容とともに、保護者の皆様などの御意見も踏まえ、さまざまな用意されているプログラムの中から、学校として選択するプログラムに工夫を凝らして実施しているのが実情でございます。  今後とも、継続した放射線量の測定と丁寧な情報提供を行い、より安心していただける川場移動教室の運営に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎伊佐 教育政策部長 私からは、小学生に対する放射線教育に関してお答えをさせていただきます。  子どもたちの環境への意識を高め、地球環境の問題や自然災害などについて考えたり、学んだりする学習は大切なことであると認識しております。現在、小学校におきましては、学習指導要領に基づき、社会科や理科を中心に、環境にかかわる内容について学習しております。また、中学校では、三年生の理科で放射線の特性や、医療、産業などでの利用方法等を学習しているところでございます。放射線など専門的な内容につきましては、小学生にとって理解しにくい内容でもございますため、発達段階を踏まえまして、農業や水産業、工業などの各種産業の様子と私たちの生活との関係、公害から国民の健康や生活環境を守ることの大切さなど、子どもたちが理解しやすいように配列した年間指導計画の中で指導しているところでございます。  教育委員会といたしましては、学校とも連携し、授業の際に知識を教えるだけでなく、子どもたちが主体的に考え行動できるよう、さまざまな資料を活用しながら、放射線に関する内容を学習できるよう取り組んでまいります。  以上です。 ◎成田 世田谷保健所長 放射線対策について一点お答えいたします。  食のリスクコミュニケーションなどを通じた啓発活動の推進についてでございます。  リスクコミュニケーションとは、リスクがあるということを正しく理解し、正しく受け入れるために、リスクの許容範囲や低減などについて、区民、事業者、区などの間で情報や意見を相互に交換し、理解を深め、ともに考えようとする取り組みでございます。世田谷保健所では、リスクコミュニケーションの一環といたしまして、平成十五年度より食の安全・安心区民会議を開催し、区民、事業者、区が参加し、情報提供や意見交換の場としております。現在は、せたがや食の安全・安心区民フォーラムと名称を改め、開催しておりますが、平成二十三年度は、原子力発電所事故を踏まえ、「食品と放射性物質」をテーマに二回実施いたしました。ことし十月には、フォーラム参加者の要望等を受け、食品添加物をテーマに開催する予定でございます。  お話しの食と放射性物質について、正しく理解する機会を設けることは重要な課題であると認識しております。現在、食をめぐる状況は、食物アレルギーや食中毒、食品偽装など、非常に多岐多様にわたっております。今後につきましては、区民の意見、要望を伺いながら、リスクを正しく理解し、区民が判断できるよう、食品衛生の正しい知識の普及啓発を行い、区民の食の安全安心の確保に努めてまいります。  以上でございます。 ◎阿部 危機管理室長 私からは、被災時の実情を想定した災害対策について二点御答弁申し上げます。  まず、大規模災害時、他自治体などからの支援を効率的に受けるための仕組みづくりについて、受援についての仕組みを早急に構築すべきではないかとの御質問でございます。  区では、地域防災計画に基づき、震災時初動期職員行動マニュアルや震災復興マニュアルなどを整備するとともに、他自治体との災害時における相互応援協定を締結するなど、応急対策や復旧対策を円滑に遂行することができるような体制づくりに努めているところでございます。  御指摘の神戸市災害受援計画につきましては、支援を要する業務や受け入れ体制などを事前にかつ具体的に定めておくことで、大規模災害時に行政機関だけでは対応できない事態に、他自治体や防災関係機関、NPO、ボランティア、企業など、多方面からの支援を最大限に生かすことを目的としているものと認識してございます。実際、阪神・淡路大震災や東日本大震災では、他自治体からの応援や多くのボランティアが活動する一方で、被災自治体が効果的、効率的な支援活動要請を行うことができずに、当初混乱したケースがあったというふうにも報告されてございます。  首都直下地震が発生した場合、膨大な災害対策業務などに対応しなければなりませんが、その一方で、行政機能が大幅に低下する事態が想定されることから、被災建築物応急危険度判定や家屋被害調査など、業務量が増大する専門的業務を中心に、協定を締結した自治体や関係所管と連携しながら、業務マニュアルの作成、応援の要請、受け入れ方法などについて検討してまいります。  次に、区立小中学校跡地における避難所運営について、どのような施設管理体制と住民の避難所運営組織を立ち上げていくのかとの御質問でございます。  区では、これまで旧若林中学校及び旧希望丘中学校の各学校跡地活用方針において、学校跡地活用にかかわる基本的な考え方をまとめ、その中でも、防災機能の確保、とりわけ避難所機能の確保などを検討することとしております。学校跡地における避難所運営の基本的な考え方といたしまして、体育施設などの敷地内にある施設につきましては、保育園や高齢者施設を除いて、原則として地域防災計画に指定されている第一順位の避難所に位置づけてまいります。また、避難所の運営方法につきましては、町会・自治会を中心に、施設管理者などで構成される運営協議会を立ち上げるとともに、学校跡地では、学校が担っている避難所支援が得られなくなることから、避難所支援の役割をどのように補完していくのか、総合支所など関係所管と検討してまいります。  以上でございます。 ◎菊池 北沢総合支所長 私からは、地区防災力の裾野を広げるための総合支所が果たす役割についてお答えいたします。  区では、昨年度より、出張所・まちづくりセンターの体制整備を図り、地区防災力の強化を進めているところでございます。お尋ねの避難所は、区と地域住民が協働して開設するものであり、その運営は町会・自治会を中心とする運営本部が担っております。この避難所運営を円滑に行うため、定期的な避難所運営訓練に加え、避難所の位置づけやペットの同行避難などの生活ルールを定めたチラシ等を配布し、住民への周知に努めている運営本部もございます。一方、避難所に関する情報が十分でない地区もございますので、各避難所運営本部の自主性を尊重しつつ、先進的な地区の情報を提供するなど、避難所のルールが効果的に住民に浸透するよう努めてまいります。  また、HUGというゲームを活用した自治体の事例の御紹介をいただきました。一つの手法として参考にさせていただきたいと思いますが、このように、避難してきた住民が自主的に役割を担えるような組織をつくることは、地区防災力の強化のみならず、地区の活性化を図るための大切な視点であると考えております。今年度からは、防災塾の開催も予定しておりますので、さまざまな場面で地域住民の参画意識の高揚に努めてまいります。  総合支所としましては、引き続き災害時の自助、共助の普及啓発や地区における助け合いのネットワークづくりを推進するなど、地区の防災力の裾野を広げられるよう取り組んでまいります。  以上でございます。 ◆十三番(高岡じゅん子 議員) 川場移動教室の実施に当たっては、情報の提供と、そして、各家庭の選択の尊重ということをぜひより一層徹底していただきたいと思います。  また、HUGは私自身も経験し、とても有意義なものと感じております。ぜひたくさんの方が活用し、利用できるように……。 ○山口ひろひさ 議長 以上で高岡じゅん子議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、十八番福田妙美議員。    〔十八番福田妙美議員登壇〕(拍手) ◆十八番(福田妙美 議員) 質問通告に従い、順次質問をしてまいります。
     まず初めに、公共施設の有効活用について伺います。  少子・高齢化に伴い社会保障費用の支出がふえる中、これから一斉に改修改築の時期を迎える公共施設の課題に対し、公共施設整備方針に基づき、複合化の推進などにより将来の財政負担の軽減を図るとのことです。この複合化は、ハード面の観点から、一つの土地、建物に複数の施設を集合させることで、建築費、維持管理費などの抑制につながり、ソフトの面では、一つの施設に複数の機能を持たせる多機能化で施設間の相乗効果を生み出し、区民の利便性をより一層高めることが可能と考えられます。  例えば池尻複合施設を見ていきます。この複合施設内の児童館には、十分な防音設備が整備された音楽室があります。児童館は、子ども・若者部の管理下でありますので、限られた時間枠での利用となります。せっかくの防音設備を有した施設としての観点から見れば、有効活用されていない現実があります。このような施設ごとの活用状況を見て利用価値を上げていく工夫で、施設全体の有効活用につながる連携体制が必要かと考えます。  先月、リニューアルオープンした世田谷区野毛青少年交流センターの内覧会に行ってまいりました。この建物は、昭和三十八年に教育委員会所管において社会教育施設として開設されました。今新たな時代のニーズに対応すべく、子ども・若者部に移管され、多世代交流を推進しながら次の担い手づくりの場として公共施設が生まれ変わりました。  実際の野毛青少年交流センターでの若者の生き生きと活動する光景を拝見し、機能の見直しで公共施設が有効活用されることを目の当たりにした次第です。公共施設がただあるのではなく、生かされてこそ価値が生まれてきます。そのためには、区民ニーズを的確に捉え、所管を超えた施設のマッチングが今まで以上に重要であると考えます。今後、さらに区民サービス向上につながる公共施設の有効活用を進めていくべきと考えます。  ここで三点質問をいたします。  一点目に、池尻複合施設の児童館内の防音設備のある音楽室の有効活用など、所管を超えて複合施設内の有効活用について、今後の区の見解をお聞かせください。  二点目に、リニューアルオープンをした野毛青少年交流センターのように、時代のニーズに合った施設の有効活用について、今後の区の見解をお聞かせください。  三点目に、今後公共施設のマネジメントをする上で、区民サービス向上につながる施設の有効活用を進めていく仕組みづくりについてお聞かせください。  次に、がん検診について伺います。  現在区は、がん対策を確実に進めていく上で、がん対策推進条例制定に向けて準備を進めています。医学の世界は日々進歩をし、がんの原因が解明され、がん化させない予防的処置が可能な時代に入ってきています。ウイルスの感染とがん化です。  日本では、年間一万七千人以上が子宮頸がんに罹患し、二千五百人以上が死亡、特に近年、二十代後半から三十代の発症率が増加傾向にあり、子宮頸がんは女性にとって重大な問題となっています。子宮頸がんの原因とされるヒトパピローマウイルスの感染を調べるHPV検査と現在の細胞診の併用で、精度の大幅な向上で病変の見逃しが減り、受診間隔の延長や検診費用の削減も期待できるとされています。今年度から豊島区では導入されました。  検診で死亡率の低下をさせることはもちろん大事でありますが、さらに、前がん病変の段階で見つけて子宮を温存することで、精神的ダメージの軽減のみならず、少子化対策としても大変重要です。  さらに、胃がんは毎年十一万人が発症し、年間五万人が死亡、区のがん死亡原因の二位でもあります。しかし、胃がん検診のバリウム検診は身体的な負担もあるためか受診率は四%から五%で、ほかのがん検診より受診率が低いのが目立ちます。足立区、目黒区では、胃がんの予防、早期発見の観点から、胃がんハイリスク検診が導入されています。これは、胃がんの原因とされるヘリコバクターピロリ菌感染の有無と、胃粘膜の萎縮の程度を見るペプシノゲン値を血液検査で測定し、胃がんになりやすい状態かどうかをAからDの四段階で判定するものです。  これらがんになる前の前がん病変状態を発見する検査導入で、がんのダメージから区民を守ると考えます。現在がん対策条例の策定を進めている我が区が、がん対策を力強く進めていく上でも、リスク軽減の検診の導入を進めていただきたいと思います。  また、がん検診の一番の目標は、がんの発見で治療につなぎ命を守ることです。そのために、がん検診の受診率の向上のための勧奨と検診結果の陽性者が精密検査を受けるように働きかける再勧奨は有効とされます。大腸がんの検診の便検査の陽性の結果について、精密検査の重要性を感じられず放置をしていた声が何度か届きました。区民のがん死亡の上位三位までは男女ともに大腸がんです。検診結果を放置していたことで大切な命を落とすことがあってはなりません。子宮頸がんは、精密検査受診割合は五割を切っております。区として、検診の受診勧奨、精密検査や治療の必要性を伝える工夫をした情報を添えた受診勧奨が行動につながると考えます。  ここで二点質問をいたします。  一点目に、がん予防の観点から、子宮頸がんのHPV検査や胃がんのABC検査などの導入について、区の見解をお聞かせください。  二点目に、がん検診の勧奨と再勧奨について、今後さらに工夫し、推進すべきと考えます。区の見解をお聞かせください。  最後に、虐待防止について伺います。  世田谷区での児童虐待相談対応件数は、平成二十年度から毎年増加傾向にあり、平成二十四年度は新規・継続相談を合わせ千二百四十七件、養護相談と合わせると千九百四十四件になります。虐待は、子どもの心に大きな傷を残します。生涯にわたり癒えるものではなく、その後の人生に苦しみ続けている声が届いております。虐待を受けた子どもが長じて自分の子どもに虐待をするという世代間伝達の危険が高いと言われています。そのような悲劇を繰り返さないためにも、虐待を何としても防がなくてはなりません。  厚生労働省で行われている虐待死の検証から、虐待死の危険因子として、望まない妊娠や妊娠の否定など妊娠期の問題が大きいと言われています。よって、子ども虐待の予防には妊娠期からの支援が必要です。  岡山県では、子どもの虐待を未然に防ぐために、妊娠期からの継続的子育て支援を行うため、周産期医療、母子保健、精神保健などとの連携と仕組みが構築されています。特に医療的、社会的ハイリスク妊産婦が必要な支援にタイムリーにつながることで、心の不安を取り除くことが可能になります。そのためにも、妊娠届け時の保健師との面接が有効と考えます。しかし、実際には保健師がいない出張所などでの届け出者が多い現状です。  区では昨年から、妊娠届出書を提出する際に、簡単なアンケートで現在の状況を把握し、後日連絡をとり、支援につなげていく手法をとっているとのことです。現実はタイムリーな支援や、本当に支援が必要なハイリスク妊産婦とつながるには課題が多いと感じます。支援を必要としている人がつながり、安心して出産に臨んでいただきたいです。ぜひ子ども・若者部との連携で、虐待をさせないとの強い決意で、産前からの切れ目ない支援に取り組んでいただきたいです。  ここで二点質問をいたします。  一点目に、年々区内の虐待相談が増加傾向にありますが、区の現状と今後の対応についてお聞かせください。  二点目に、支援を必要としている妊産婦の方と区の支援につながることで、虐待に至らない、重症化させないことが大変重要です。アンケートの最大活用とともに、その後の訪問を通じて本当に支援を求めている人を見つけ出し、支援を続けていくことが大切です。今後の区の産前からの対策について見解をお聞かせください。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎板谷 政策経営部長 私からは、公共施設の有効活用に関し、三点お答えをいたします。  初めに、複合施設における所管を超えての有効活用についてです。  現在区で保有する施設の多くは、老朽化による改築改修の時期を迎え、多大な財政負担が課題となっております。また、社会保障費の支出がますますふえていく中で、施設の維持管理に配分できる経費は限られており、施設の総量を抑制し、効率的な施設の整備や運営を行い、有効に活用することが求められております。区では、平成二十六年四月に、新たな公共施設整備方針を策定し、施設の複合化による効率的な施設整備や同じ施設を異なる使い道で共有する多機能化を方針に掲げ、新たな施設運営を進めているところです。  旧希望丘中跡地で整備予定の複合施設においては、体育館をスポーツ施設として一般区民に開放できるように整備するほか、青少年交流センターやほっとスクールなども、時間によって相互利用できるようにするなど、施設所管を超えての有効活用を計画しております。  お話にありました健康増進・交流施設においても、児童館の音楽室を初め、休館日や夜間の区民利用をできるようにするなど、施設の多機能化の可能性を検討してまいります。今後、施設の複合化を推進するに当たり、多様な区民ニーズや社会情勢に応じた柔軟な施設利用、また縦割りを超えた施設運営を進めてまいります。  次に、時代に合わせた施設の有効活用についてです。  人口構成や社会状況の変化に伴い、施設を整備した当時よりも利用率が低下している施設につきましては、新たな区民ニーズを見定めた上で公共施設整備方針に基づき用途転換等を進めているところです。  お話にありました野毛青少年交流センターは、これまでの社会教育施設としての取り組みを生かしながら、青少年の居場所機能、地域の次代の担い手を育てる機能など、時代が求める役割を有する施設へと転換いたしました。また、小中学校の統合により生じる学校跡地の活用につきましても、高齢者施設や保育園を新たに整備するなど、ニーズの高い施設機能への用途転換を検討しているところです。今後も社会情勢や人口動態など、時代の変化を先取り、適切な用途転換に努めることで公共施設の最適化を図ってまいりたいと考えております。  最後に、施設の有効活用を進めていく仕組みづくりについてです。  多機能化や用途転換といった施設の有効活用を推進するには、それぞれの施設がどのように利用されているのか、区民の方々は何を必要としているかを把握することが必要であると認識しております。区ではこの間、公共施設白書を作成して、各施設の利用状況や課題を明らかにするとともに、今後の社会動向や人口動態を踏まえ、今後十年間に整備すべき施設の方向性などを示した公共施設整備方針を策定したところです。  今後、より一層公共施設の有効活用を図るため、より具体的な施設需要の把握とともに、施設情報を一元化し、ニーズと施設をつなぎ合わせることや、さらに所管や官民の境を超えたマッチングの視点からの取り組みが重要と考えます。公共施設マネジメント推進課と協力しながら、公共施設整備方針に基づき積極的に進めてまいります。  以上でございます。 ◎成田 世田谷保健所長 私からは、がん検診について、二点お答えいたします。  まず、子宮頸がんのHPV検査や胃がんのABC検査の導入についてでございます。  ウイルスや細菌への感染は、喫煙、食生活などの生活習慣とともにがんの原因の一つとされ、肝臓がんと関連するB型、C型肝炎ウイルス、子宮頸がんと関連するヒトパピローマウイルス――HPV、胃がんと関連するピロリ菌などが知られております。このようなウイルス検査は、一般のがんの発症因子となるウイルスに感染しているかをチェックし、がんに進行する前に治療につなげるというがん予防の観点から実施されております。  お話のございました子宮頸がん検診について、現行の細胞診に併用して実施するHPV検査と、胃がんのリスク検診としてペプシノゲン検査とピロリ菌検査を同時に行い、その結果により胃内視鏡検査に誘導するいわゆるABC検診は、いずれも現時点では死亡率減少効果が確認されていないことから、国のがん検診の指針には盛り込まれず、効果の検証が進められている段階でございます。  区といたしましては、区民が自分の健康は自分で守るという予防意識の醸成を図るための支援や啓発を積極的に行い、科学的根拠に基づくがん予防対策を推進していくことは重要なことと認識しております。今後も国の動きや先行自治体の成果を注視し、がん予防の取り組みに努力してまいります。  次に、受診率向上のための再勧奨についてでございます。  がん検診が、その目的である、がんによる死亡者の減少を実現するためには、受診率を向上させるとともに、精密検査が必要と判断された方を確実に受診につなげていかなければなりません。受診率向上には、お話のございました勧奨、再勧奨が非常に有効でございます。  区は、乳がん、子宮がんについて、無料クーポン券の配布と独自の受診勧奨により、受診率を一〇%前後から二〇%前後に倍増させております。また、胃がん検診につきましては、六十代を中心に検診の御案内を送付することにより、受診者数を伸ばしております。  大腸がん検診につきましては、昨年度から、一次検診に加えて精密検査の結果を保健センターに集約し、精密検査が必要と判断されたが結果が届かない方に対して、受診状況をお尋ねする文書をお送りして受診を促してまいりました。特定健診との同時受診を可能にしたことにより、受診率の向上と、この制度管理により、大腸がんの発見数は平成二十四年度の七十五人から百二十三人へと大幅に伸びております。  今後につきましては、一次検診と精密検査の結果を集約して行う精度管理を、今年度は胃がんと肺がんに、来年度は乳がんと子宮がんに広げてまいります。また、一次検診の勧奨、再勧奨につきましては、費用と効果を分析しながら、より効果的な方向について検討してまいります。  最後に、虐待防止に関する産前からの支援でございます。  区では妊娠期からの支援として、昨年度から妊娠届け出時にアンケートを導入し、各総合支所健康づくり課において、妊娠、出産や産後の育児に関する不安がある方などへの総合支援を行っております。また、母親学級、両親学級の開催により、妊娠、出産、育児情報の提供を行っております。  ほかにも、各児童館、保育園において、地域交流事業などの取り組みを行っているところでございます。妊娠届け出時のアンケートは、妊娠早期からの相談支援による虐待予防の観点も含め実施しております。アンケート結果により配慮が必要と判断された方に連絡をとって相談支援を行っており、連絡がなかなかつかないケースも多い状況ではございますが、導入後は相談件数が四百六十一件から千三百九十七件へと大幅に増加しております。  アンケート記入は任意でございますが、今後はできるだけ多く提出いただくよう促すとともに、回答内容の分析、検証を実施し、アンケートの効果を高めてまいりたいと考えております。アンケートの記載内容から、支援が必要な方に対しては、地区担当保健師による継続的な対応を図るなど、関係部署とも連携しながら、妊娠期からの切れ目のない支援に努めてまいります。  以上でございます。 ◎岡田 子ども・若者部長 私からは、区の児童虐待の現状と対応について御答弁申し上げます。  区における児童虐待の相談件数は年々増加傾向にあり、平成二十五年度は、速報値ではありますが、千三百六件と、平成二十四年度の千二百四十七件からさらに増加しております。これは、児童虐待はまずは通告という住民の意識が高まってきたことに加え、相談内容が深刻化、複雑化してきており、例えば親が精神疾患を抱えていて養育困難が高いケースや、夫婦間の暴力で家庭環境が安定していないケースなど、対応困難なケースが増加し、それに伴う支援の長期化などが背景として考えられるところでございます。  こうした状況を踏まえ、区では平成二十六年度からの世田谷区基本計画に「虐待のないまち・子ども・子育て家庭への支援」を位置づけました。早い段階からの予防、未然防止から、早期発見、対応、再発防止までの体系的な取り組みを構築し、各段階に応じてさまざまな子育て支援施策や虐待予防、防止施策に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◆十八番(福田妙美 議員) 御答弁いろいろありがとうございました。最後に意見を申し上げさせていただきます。  保坂区長は、国会議員時代からこの児童虐待の対策には大変力を入れていらっしゃったということですけれども、世田谷区は虐待のないまちを掲げております。小さな命はみずから声を届けることができません。ですので、だからこそ自治体の早期支援が重要だと考えております。絶対に虐待をさせないとの強い決意で関係所管がしっかりと連携をとり、産前からの切れ目のない支援に取り組んでいただくことを強く要望して、私からの質問を終わらせていただきます。 ○山口ひろひさ 議長 以上で福田妙美議員の質問は終わりました。  ここで、しばらく休憩いたします。     午後零時二分休憩    ――――――――――――――――――     午後零時五十分開議 ○山口ひろひさ 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。  一般質問を続けます。  十七番津上仁志議員。    〔十七番津上仁志議員登壇〕(拍手) ◆十七番(津上仁志 議員) 質問通告に基づき、順次質問してまいります。  これまでも会派として提案をしてきましたシティプロモーション戦略について、まず伺います。  シティプロモーションとは、地域イメージをブランド化し、魅力的なブランドに育て、観光客や転入者をふやすこと、また住民に誇りや地元愛を根づかせることなどを目的とし、さまざまな手法を戦略的に取り入れ実施することで、仙台市、新潟市など多くの自治体が取り組んでおります。二十三区でも、平成二十二年度より足立区がシティプロモーション課を設置し、課長を民間企業より登用し、区のイメージアップなどを目的に取り組みを行っています。また、板橋区はシティプロモーション方針と戦略策定支援について公募型プロポーザルをことし四月に行い、事業者には大手広告代理店が選定され、来年度中にプロモーション戦略が官民共働で策定されるようです。  シティプロモーションを戦略的に取り組む自治体の中には、その具体的な手法の一つにフィルムコミッションを取り入れていることも少なくありません。フィルムコミッションとは、テレビ、映画、CMなど映像作品のロケーション撮影を誘致したり、撮影が円滑に行われるための支援を行う非営利公的機関のことで、国内には百五十を超えるフィルムコミッションが存在し、国内ばかりでなく国際的なロケーション誘致、支援活動の窓口として、地域の経済・観光振興、文化振興に大きな効果を上げている自治体もあります。  神戸市では、平成十二年に神戸フィルムオフィスを設立し、年間百五十本以上の映画やテレビドラマの撮影を誘致し、宿泊費や弁当代などの直接的な経済効果だけでなく、映画やドラマのワンシーンを徒歩、電車、車など移動手段別に訪れられる神戸シネマップを作成するなどし、観光客の誘致だけでなく、市民が地域の魅力を再発見し、新たな観光資源の発掘につなげるなど、間接的な経済効果にもつながる取り組みを行っているそうです。  世田谷区においても、景観、歴史的資産、ウルトラマンやサザエさんなどのキャラクターなど、世田谷ブランドを構築する資源が数多く存在しており、これら区の魅力を内外に発信し、人や企業をいかに引きつけ、産業振興や地域活性化にいかに結びつけていくかなど戦略的な取り組みが必要ではないでしょうか。  区では、まちなか観光協議会で検討を行っているようですが、十一月に導入が決まった世田谷ナンバーでさえ産業振興、観光振興などにどう結びつけるのかさえ見えてこないような状況や、地域、産業、文化など、多くの所管を横断する取り組みであり、現体制では限界があると考えます。  そこで二点質問いたします。  一点目に、地域経営をどう考えるのか、地域の魅力を内外にどう効果的に発信し活用していくのか、戦略的な取り組みが必要です。活力ある民間資源や人材を活用した官民協働型の専門組織を設置し、区の将来像をイメージできるシティプロモーション戦略を策定すべきと考えますが、区の見解を伺います。  二点目に、映像を通して区内の魅力を再発見し、内外に発信する具体的手法として、フィルムコミッションを導入すれば、新たな税外収入の獲得や観光振興、産業振興だけでなく、地域活性化や文化振興にも発展できると考えますが、区の見解を伺います。  次に、防犯カメラの設置について伺います。  犯罪における手口は多様化、凶悪化しており、未成年者が連れ去られ殺害されるなど、若年層が犯罪に巻き込まれるケースも増加しています。都も通学路の安全確保のため、都内公立小学校の通学路に、二〇一八年度までに六千五百台の防犯カメラを設置するとの発表がありました。今や街頭防犯カメラは、犯罪から大切な命や財産を守る上で必要不可欠な設備となっています。  区内の犯罪発生率を見ると、認知件数が減少している一方、侵入窃盗、ひったくり、車上狙いが増加の傾向にあります。区の施設内や区立小中学校の校門や、区立公園の一部には、区が防犯カメラを設置し、商店街へは設置費と維持管理費の一部の補助を実施しております。また、来年度より町会・自治会へも補助を行うと聞いております。しかし、設置についての区の姿勢は、各団体からの申請を待つだけで、設置が必要と思われる商店街や地域には区内の各警察署が働きかけを行っており、区が主体となり犯罪発生率ゼロを目指し、犯罪の発生率の高い地域などへ積極的に働きかけるなど、計画的に防犯カメラの設置が進むような取り組みは行っておりません。  来年度より、防犯カメラが商店街だけでなく町なかに設置しやすくなることは、犯罪抑止、早期の犯人検挙という観点で非常に有効であり評価をいたしますが、プライバシーの侵害にならない運用がされるよう、世田谷区防犯カメラの設置及び運用に関する条例の周知とともに、犯罪発生率の比較的高い地域や、増加傾向にある地域などへは、区が積極的に働きかけることも重要であると考えます。  そこで二点質問いたします。  一点目に、区は設置が必要な地域についてどのように認識しているのか。さらに、計画的に防犯カメラの設置が進むよう各警察署と連携し、特に設置が必要と考えられる地域などへは積極的に働きかけるべきと考えますが、区の見解を伺います。  二点目に、商店街への防犯カメラ機器の維持管理費は、費用の二分の一、上限二十万円までの補助金を設定しておりますが、これまでの補助実績は、平均額は約十八万円と聞いております。一方、補助実績は九年間で三十二団体であり対象団体数の約四分の一程度であり、その中には、設置を検討していても維持管理費がネックとなり設置を断念する商店街もあると聞いております。より多くの団体が設置できるよう、補助率の拡充を行うべきと考えますが、区の見解を伺います。  最後に、不燃化特区外の木造密集地域対策について伺います。  木密地域は、道路や公園などの都市基盤が不十分なことに加え、老朽化した木造建築物が多いことなどから、地域危険度が高く、首都直下型地震による東京都の被害想定においても大きな被害が予想されております。また、木密地域では、居住者の高齢化による建てかえ意欲の低下、敷地が狭小などの理由で建てかえが困難であったり、権利関係が複雑で、合意形成に時間を要することなどから、改善、解消のための取り組みが進みにくい状況となっております。そのために特に改善を必要としている地区については、従来よりも踏み込んだ整備促進策を重点的、集中的に実施することで、木密地域を燃え広がらない燃えない町にすることを目的とした不燃化特区制度が創設されました。  しかし、都が指定する防災都市づくり推進計画整備地域内であることが指定要件の一つであることから、特区に指定された地区と同様に、地域危険度が高いにもかかわらず、特区指定にはされない地区が区内にもあります。その地区の対策は、ある意味、特区に指定された地区以上に考えていかなければならないのではないでしょうか。  そのような地区の一つに、上馬・野沢地区があります。都が指定した地域危険度のうち、火災危険度は特区内のほかの地区と同じランク四であり、不燃化領域率を見ても、平成十八年度で五二%、平成二十三年度では五五・六%となっており、特区に指定された地区よりも低い数値となっています。延焼による消失が発生しないと言われる不燃化領域率七〇%まで同じペースで推移すると考えれば、約二十年間は必要となります。特区指定された地区は、不燃化を十年で達成するために取り組みを強化し、同様の危険度がありながら、指定されない上馬・野沢地区についてはこれまでと同じ取り組みしか行わない、このような格差のある取り組みであってはならないと考えます。  そこで質問いたします。  不燃化特区外である上馬・野沢地区での不燃化を進めるため、この地区も不燃化特区に指定されるよう都へ働きかけることを前提とし、今後の取り組みについて、新たな手法含めどのように進めていくのかを伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎内田 産業政策部長 私からは、シティプロモーションにつきまして、二点御答弁いたします。  最初に、官民協働型の専門組織の設置についてお答えをいたします。  区では、産業や観光といった世田谷の魅力を内外に発信し、産業の活性化に結びつけるためにはシティセールスが重要であるとの認識に立ち、新たな産業振興計画の重点事業に、せたがや産業のPR推進事業(シティセールス)を位置づけました。その実現に向けて、今年度より産業政策部に産業連携担当副参事を設置し、検討体制を強化いたしまして、産業のPRと合わせ、まちなか観光の推進など、区の魅力を広く発信するための具体的な検討に入っております。  先日視察をさせていただいた足立区では、お話しのとおり、平成二十二年度にシティプロモーション課を設置し、広告代理店やフリーライターの経験を持つ民間の方を区職員として登用し、そのノウハウを活用して区のイメージアップにつなげております。こうした先進事例を参考に、民間の方の登用や企業への委託、コンサルティング契約、御指摘の官民協働型の専門組織の設置など、さまざまな手法を視野に入れながら政策経営部など関係所管と連携し、民間の力を導入したシティセールスの推進体制につきまして、平成二十六年度中に結論を出し、積極的に取り組んでまいります。  次に、フィルムコミッションの導入につきまして御答弁いたします。  区内には、緑豊かな自然、特色ある商店街、美術館などの文化施設など地域資源があり、映画、ドラマなどの舞台になっていることから、これらの地域資源を世田谷の魅力としてシティセールスの視点から発信することは有効な手法であると認識をしております。
     区では、区内の観光ポイントや文化施設等を、区のホームページ上の観光マップ、あるいは冊子等で紹介しており、あわせて、産業振興公社がまちなか観光の推進として現在観光アプリの開発に取り組んでいるところでございます。  フィルムコミッションは、映画、ドラマなどのあらゆるジャンルのロケ撮影を誘致し、実際のロケをスムーズに進めるための非営利的な公的機関のことです。例えばロケ地に関する相談を一括して受けるほか、撮影場所の施設等の使用許可申請への協力、飲食店の紹介などのサービスを担う機能があり、一定の体制づくりやルールが必要となります。  御提案のフィルムコミッションにつきましては、シティセールスの一環として捉えております。シティセールスの推進体制は二十六年度中に結論を出してまいりますので、その中でフィルムコミッションにつきましても鋭意検討させていただきます。  以上でございます。 ◎阿部 危機管理室長 私からは、街頭防犯カメラの設置につきまして、二点御答弁申し上げます。  まず、設置箇所についての認識と、その計画についてでございます。  防犯カメラは、犯罪を行おうとしている者の犯行を中止させる効果が期待できるとともに、不幸にして犯罪が発生した場合に犯人の特定、犯行の立証にも活用されるなど、犯罪の抑止または犯人の検挙に効果があるとされております。  世田谷区では、平成十七年度から商店街が設置する防犯カメラに関して補助を開始し、平成二十五年度までの間に三十二団体、計四百八台の防犯カメラ設置に補助をしてきたところでございます。世田谷区の犯罪情勢は、刑法犯認知件数が連続して減少し続けているものの、侵入窃盗やひったくり、車上狙いが増加傾向にあるなど、抑え込んでいかなければならない犯罪もございます。これらの抑止のために、犯罪の発生する傾向を踏まえて、地域に防犯カメラの設置を促進していくことが望ましいと考えております。  区では、これまで商店街等が設置する防犯カメラの補助をしてまいりましたが、来年度からは、町会・自治会へも対象を広げていく予定でございます。これにより防犯カメラの設置が可能な地区がふえ、より多くの場所で犯人の行動や逃走経路の捕捉ができるようになると考えてございます。  地元住民の方々に対する防犯カメラ設置の働きかけは、区内の各警察署が精力的に行っておりますが、区といたしましても、地域ごとの犯罪発生件数を町会や自治会の方々に情報提供するとともに、町会長会議などで御指摘のプライバシー保護の観点も含めて防犯カメラ設置への理解を求めるとともに、犯罪被害の抑止に向けた普及啓発活動を推進してまいります。  続きまして、維持管理費助成の拡充についてでございます。  世田谷区では、商店街などによる防犯カメラの設置や維持管理などに補助を行っており、維持管理については防犯カメラの保守点検や保険、機器の修理などにかかった経費の二分の一の補助を行ってございます。他区の状況でございますが、維持管理費等の経費につきまして補助を実施している区は三分の一程度となっており、世田谷区の補助は他区と比べ比較的高い水準にあるというふうに認識してございます。  議員御指摘のとおり、維持管理費助成の拡充につきましては、区といたしましても防犯カメラ設置の促進をするために有効な手段であると考えていることから、今年度は補助の対象外でありました機器の交換について、補助の対象とする見直しを行ってきたところでございます。  今後も設置団体の意見に耳を傾けるとともに、犯罪の発生状況の推移、国や都及び他区の動向なども見据えながら、関係する所管課と連携をし、多くの団体に防犯カメラ設置に向けて積極的な検討ができるよう工夫をしてまいります。  以上でございます。 ◎岩本 世田谷総合支所長 私からは、上馬・野沢地区の不燃化について御答弁申し上げます。  上馬・野沢地区につきましては、御指摘のとおり、不燃化特区の対象になっておりませんが、区として、平成五年から国の補助制度を活用するほか、地区計画の策定、新たな防火規制を指定するなど、防災性の向上に取り組んできております。  こうした取り組みに加えまして、昨年度から主要生活道路一三〇号線の整備について、個別に道路の事業化を行う個別対応事業の実施、通り抜け機能を持つ広場の整備、民有地を活用し門扉等の整備を行う避難路整備助成の三つの新たな取り組みを行うこととし、議会にも御報告したところでございます。  進捗状況でございますが一三〇号線については、個別対応事業による用地買収一件のほか、密集事業として三件の用地買収を行っており、避難路整備助成につきましては、地元町会、関係地権者の御協力のもと、民有地一カ所を避難路として整備していただきました。これらの整備につきましては、地元の皆様の御理解と協力が必要であり、昨年五月には地元説明会を開催したところです。今後も制度の一層の周知を図り、木密解消の取り組みを着実に進めるとともに、木密地域を持つ他区との連携のもと、新たな支援策について研究し、都への働きかけも行ってまいります。  以上でございます。 ◆十七番(津上仁志 議員) 街頭防犯カメラについて再質問をさせていただきます。  来年度から町内のほうにもつくということで、非常に御相談も受けていたものですから、ありがたい、非常に評価するところなんですが、あと、学校の通学路についてですけれども、都の助成のほうは、設置を一回目だけ助成するという形で、あとの更新、五年か六年ごとに更新が必要になってくるんですが、そこは助成の対象にしないということで、教育委員会もそこについてはこれから検討していくということなんですけれども、町の中につけることができれば、そういった通学路なんかも補完できると思います。ですから、今学校運営委員会とか、学校の中で町会とか一緒になりながらやる協議体もありますので、ぜひそういったところにも教育委員会と連携をとりながら、働きかけを行っていただきたいと考えるんですが、その点についていかがでしょうか。 ◎阿部 危機管理室長 町会などへの防犯カメラを普及していくという観点で、再質問に御答弁させていただきたいと思います。  防犯カメラの設置に当たりましては、設置する地域における住民の合意形成が必要であると今考えております。その中で、学校付近にカメラを設置する場合につきましては、御指摘のように、PTAなどなど、学校の関係する組織と連携していくということは、大変重要なことだと考えてございます。  町会などが設置する防犯カメラの運用につきましては、来年度からと予定しておりますが、区といたしましても、設置主体となる町会と、それからPTAなどとの連携が一層進むように、またそれでもって効果的な防犯カメラの運用ができるよう取り組んでいきたいと考えてございます。  以上でございます。 ◆十七番(津上仁志 議員) よろしくお願いします。  あと、フィルムコミッションなんですが、ぜひとも進めていただきたいと思います。最後に要望して終わりたいと思います。  以上です。 ○山口ひろひさ 議長 以上で津上仁志議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、十番石川征男議員。    〔十番石川征男議員登壇〕(拍手) ◆十番(石川征男 議員) 質問通告に従い、順次質問をしてまいります。  平成二十三年三月十一日、東日本大震災の惨事が起きまして三年余りがたちました。この震災を契機といたしまして、三十年以内に七〇%の確率で起きると言われている首都直下地震に備え、防災・減災の議論が活発に行われるようになりました。また、各地域での避難所訓練も東日本大震災を契機として参加者も多くなり訓練内容も充実してきたようにも思います。また、町会・自治会でも、スタンドパイプを購入し防災訓練をする町会がふえて災害対策に対する意識が強くなりました。  このように防災意識が高まる中、世田谷区の二十四年修正の世田谷区地域防災計画では、輸送拠点として、広域輸送で世田谷中央卸売市場、そして地域内輸送拠点として大蔵第二運動場が東京都地域防災計画で指定を受けました。  そこで、地域内輸送拠点としての大蔵第二運動場を含め、区における緊急輸送計画の状況と現在の課題についてお伺いします。  実際に災害が発生した場合に、効果的かつ円滑に緊急物資の輸送が行えるよう検討を進めているとは思いますが、一方、区の人口八十八万人の規模を勘案すると、都からの物資を受ける輸送拠点が大蔵第二運動場の一カ所では心もとない。ましてや大蔵第二運動場は世田谷区の西部の端にあり、広い世田谷を考慮すれば、東部地域にもう一カ所あってしかるべきと思います。また、大蔵第二運動場への輸送路が遮断される場合や大蔵第二運動場自体が使用できない場合も想定しておく必要があります。  以上の観点から、都からの輸送拠点を大蔵第二運動場以外にも設定するなど、いま一度緊急輸送計画を見直す必要があると考えますが、区の見解をお聞きいたします。  大規模な災害が発生した際には、広域輸送基地として指定されている大蔵にある東京都の世田谷中央卸売市場、地域内輸送拠点となっている大蔵第二運動場がある砧公園や大蔵総合運動場周辺の道路には、支援物資を輸送する車両が頻繁に通ることになると思いますが、砧公園、大蔵総合運動場周辺は、このような全国からの大量の物資を受け入れる場として十分な道路整備が行われているとは思えません。  また、世田谷区の地域防災計画では、これらの輸送拠点のほかに、各地域の区民会館が調達物資の集積地及び配送拠点として指定されており、区内の各大学の体育館なども義援物資の集積地として利用することになっております。これらの施設の中には幅員の広い道路に面していない施設もあり、効率的な物資の運搬が行えないようなところもあり、心配している施設もございます。また、災害時に家屋等が倒壊し、道路を塞いでしまうことも考えられ、こうした際の迂回路も必要になってくると思います。  大蔵地区に集まった物資を区内各所にある配送拠点まで輸送し、そこからさらに多くの避難所まで配分しなければならないわけですが、世田谷区全体を見ても道路整備が十分な状況ではなく、現状のままでは防災計画に示す物資の輸送にも影響があると考えます。八十八万人の区民が必要とする物資は膨大な量となるわけですが、これらの物資を区内の隅々まで滞りなく行き渡らせることが、速やかな復旧復興のために大変重要なこととなるのではないでしょうか。  そこでまず、大きな災害から素早く立ち直るために、緊急支援物資が区内の隅々まで速やかに行き渡るよう、災害時の拠点となる施設に通じる道路をしっかりと整備すべきと考えますが、この点について、区ではどのような考えであるのかお尋ねいたします。  次に、この三月に策定されましたせたがや道づくりプランについてお伺いします。  プランの冒頭に、保坂区長御自身のコメントとして、区内の道路整備が不十分で防災上の大きな課題となっていること、このプランが防災・減災の考え方を強く意識し、災害に強く安全な都市を目指した内容となっていることが記されております。以前から、東日本大震災の教訓を踏まえ、防災対策に資する、命を守る、命をつなぐ道づくりを重点的に進めるべきだという考えを訴えてまいりましたが、このコメントを見て、区長も同じような思いをお持ちだということがわかり、大変心強く、今後の道路整備に寄せる期待は大きく膨らんでいるところでございます。  この道づくりプランについては、私もよく読ませてもらいましたが、図や表も多く使われていて、世田谷の道路の現状を初め、世田谷区がいかに道路が不足しているか、なぜ道路整備が必要なのかという説明も大変わかりやすく、この点では大変評価しております。  しかし、例えば優先整備路線はこれまでの計画をそのまま引き継いだ路線も多いことなど、目新しいという印象は薄く、主要生活道路については、優先整備路線はわずか四本しかなく、随分後退した感さえあります。新たな道路整備方針は、防災に重きを置いて策定されたとのことですが、新たな考えや視点といったものはどのようなことが盛り込まれているのかお伺いいたします。  また、この道づくりプランの事業化プログラムは、今後の十年先を見据えた計画であるにもかかわらず、十年後の整備水準は余り高くないようにも思えます。今すでに事業を行っている路線が多数あることや、財政的な制約もあるのだと推察しますが、そのような理由で優先整備路線を絞り込んだのであれば、現在事業中の路線の早期完成はもちろん、優先整備路線の新規の事業化もより一層スピードを上げて、そして着実に進めていくことが必要ではないでしょうか。区として、これからの道路整備の取り組みに関する意気込みをお伺いいたします。  次に、民有地における樹林地の保全対策について質問します。  世田谷区を特徴づける緑の一つとして、樹林地があります。国分寺崖線の樹林地のほか、区内に点在する社寺林、屋敷林などがあり、地域の歴史や文化を育み、良好な生活環境の維持向上に役立っています。平成二十三年実施の世田谷区みどりの現況調査では、三百平米以上の樹林地は公共施設内のものも含め約四千二百カ所、四百六十九ヘクタールあり、緑被面積全体の約三五%を占めています。しかしながら、開発などにより平成十八年から平成二十三年までの五年間で四・六ヘクタールの減少と、徐々に減少していく状況にあります。  区では、みどりの基本条例に基づく保存樹林地の指定九十七カ所、都市緑地法に基づく市民緑地十三カ所、特別緑地保全地区、四地区指定により民有樹林地の保全に努めていますが、指定されている樹林地は全体面積の約七%にすぎません。民有樹林地の保全のために、さらに指定を進めるべきと考えます。  そこで質問いたします。  樹林地保全対策として、今後、市民緑地等の指定をどのように進めていくのかお聞きいたします。また、所有者が相続や資産管理上、どうしても手放さざるを得ない場合があると思います。そのような場合、重要な樹林地については、保全のために用地の取得を考慮すべきと考えますが、区の見解をお聞きします。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎阿部 危機管理室長 私からは、災害時における緊急物資の輸送計画につきまして、二点御答弁申し上げます。  まず、緊急輸送計画の現状と現在の課題についてでございます。  災害時に必要となる物資をなるべく早く被災者のもとに届けることは、被災者の不安の解消はもとより、治安の維持、復旧復興に向かう雰囲気の醸成などの観点からも大変重要であると認識してございます。災害時における物資の輸送を円滑に進めるために、広域的な観点からは、他県などと都内の要所を結ぶ主要道路と、緊急物資などの受け入れ、積みかえ、配分などを行う輸送拠点などを結ぶネットワークを、東京都が中心となり整備をしております。  区内では、輸送計画といたしましては、東京都から届けられる物資を地域内輸送拠点に位置づけている区立大蔵第二運動場で受け入れ、仕分けの後、各総合支所の区民会館へ配送し、その後、各避難所へ届ける仕組みとなってございます。  また、全国から届くことが想定される物資の一次集積につきましては、区内八つの大学と協力協定を締結し、集積地の確保を図っております。現在の課題につきましては、まず区保有車両や協定締結団体からの調達も含め、発災当初は、車両及び燃料の確保は難しくなるものと考えております。また、道路障害物の除去を進めながら配送ルートを調整していくこととなることから、スムーズな配送の実現までには一定の時間を要するものと考えてございます。  続きまして、緊急輸送計画の見直しの必要性について御答弁申し上げます。  区ではこれまで円滑な緊急物資の輸送を確保する観点から、輸送計画の見直しを図ってまいりました。区における緊急物資の窓口となる地域内輸送拠点の指定については、地域防災計画二十四年修正において、従来区役所本庁舎としてきたところを、環八通りや世田谷通りからアクセスできる大蔵第二運動場に変更したところでございます。  昨年度、緊急物資の避難所などへの輸送をテーマに図上訓練を実施し、先ほど申し上げました輸送計画にかかわる諸課題が確認されたところです。また、速やかな避難所への物資の提供という観点から、都の輸送基地から区の大蔵第二運動場で受け、その後、支所で集積地を経由して避難所へという手順の簡略化についても論議したところですが、御指摘いただいた大蔵第二運動場一カ所で受け切れるかといった点も課題となってございます。  区といたしましては、迅速かつ確実な緊急物資の輸送を確保する観点から、都からの物資配送を大蔵第二運動場一カ所で受ける現行の計画を見直し、大蔵第二運動場に加えて、道路づけなどを踏まえ、複数の支所の集積地を地域内輸送拠点に位置づけ、都から配送をそれぞれ直接受ける方向で東京都と協議を行ってまいります。  以上でございます。 ◎青山 道路整備部長 私からは、三点御答弁申し上げます。  最初に、災害時に緊急支援物資が区内の隅々まで行き渡るよう、拠点施設に通じる道路の整備について御答弁申し上げます。  東京都の世田谷中央卸売市場や、世田谷区の大蔵第二運動場の周辺道路の状況でございますが、この二つの施設へアクセスする環八通りや世田谷通りなどの都市計画道路及び美術館通りや大蔵通りなどの主要生活道路につきましては、大型車が通行できる一定の道路幅員は確保できております。一方、これら主要な生活道路以外の地先道路におきましては狭い道路もあり、道路整備が十分とは言えない状況となっております。また、各区民会館や大学のほか、小中学校などの防災拠点施設についても、被災状況によっては災害時のアクセスに課題が生じる施設もございます。  このような実態を踏まえまして、本年三月に策定いたしましたせたがや道づくりプランにおいては、東日本大震災などの過去の災害の教訓から、議員御指摘の防災拠点に通ずる道路の整備や複数の経路の確保なども考慮しまして、今後の道路整備のあり方をお示ししております。  区といたしましては、道づくりプランに基づく計画的な取り組みによって、都市計画道路から地先道路まで、区内の防災拠点に通じる道路の整備を推進し、災害に強いまちづくりの実現を目指してまいりたいと考えております。  次に、せたがや道づくりプランの視点や考え方について御答弁申し上げます。  今回策定しましたせたがや道づくりプランは、議員のお話にもありましたように、防災・減災の考え方に重きを置いたことが特徴でございます。そして、これを実現するために新たに打ち出した方策として、延焼遮断帯、緊急物資の輸送路など、都市の防災性向上に大きく寄与する都市計画道路の整備を重点化しております。  また、今回の道づくりプランにおきましては、優先整備路線以外の路線につきましても、密集市街地の整備事業、東京外かく環状道路整備や、京王線の連続立体交差事業、大規模な団地の建てかえなど、まちづくりの動きに連携し、必要な道路整備を機会を逃すことなく進めていくこととしております。  そのほかにも、新しい考え方といたしまして、事業費を抑制する工夫として、国から譲与を受けた公有地を活用した道路整備を推進することや、事業効果の早期発現のために、取得済みの道路用地を暫定的に整備しまして、歩行者空間を生み出す取り組みなどを検討していくことも本プランでお示ししております。  最後に、区の道路整備への意気込みについてお答えいたします。  現在、区内では道路整備がおくれていることによりまして、通り抜け車両による住環境の悪化、公共交通不便地域の存在など、区民の日常生活にさまざまな問題が生じております。また、ユニバーサルデザインの視点から、安全で歩きやすい歩道の整備などが求められておりまして、何より区政の最大の課題である防災・減災の取り組みにおきましては、道路などの都市基盤の整備は不可欠であると考えております。  さらに、道づくりプラン策定に当たり実施した区民の皆様へのアンケート調査などから、これらの課題に対する道路整備の区の考え方について、多くの方が共感されているという結果もございます。このような声に応えるためにも、今後ともより一層の道路整備の推進が必要であると考えております。  区といたしましては、限られた財源などの制約はございますが、さまざまな知恵を絞り、工夫を凝らし、事業中路線を早期に完成させるとともに、未着手の優先整備路線の事業着手を着実に進め、安全で快適な都市世田谷の実現に向け、全力で取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎男鹿 みどりとみず政策担当部長 私からは、民有地における樹林地の保全について、二点お答えいたします。  まず、樹林地の保全策として、今後市民緑地等の指定の進め方についてお答えいたします。  民有樹林地を保全するために、樹林地の所有者のさまざまな御負担を軽減することは重要であると考えており、日常の維持管理の支援を行う保存樹林地制度とともに、相続税や固定資産税等の減免の税制優遇を受けられる市民緑地制度、特別緑地保全地区の指定などの保全制度活用を一層進めていく必要がございます。  今後とも、世田谷トラストまちづくりと連携し、みどりの現況調査で抽出した三百平米以上の樹林地の所有者の意向を把握し、「区のおしらせ」やホームページ等で周知をするだけでなく、直接所有者に保全のための制度を紹介しながら、保全の意向確認に努め、民有樹林地の保全を進めてまいりたいと考えております。  次に、樹林地の保全のために用地取得を考慮すべきでないかという点についてお答えいたします。  保全制度活用などさまざまな方策によって保全できない樹林地につきましては、御寄附のお願いを含め、区による取得も必要と考えております。しかしながら、財源には限りがあり、全ての樹林地を取得により保全することはできない状況でございます。  樹林地を取得により保存するかにつきましては、都市計画やみどりとみずの基本計画などの計画上の位置づけ、特別緑地保全地区や国分寺崖線保全重点地区などの緑地保全制度の位置づけ、樹林地の規模、自然度合い、形状、接道などの樹林地の状況、国費など特定財源の活用が可能かどうかなどを総合的に勘案、検討し、判断してまいります。その上で、保全が必要な樹林地につきましては、優先順位を定め取得に向けて取り組んでまいります。  以上でございます。 ◆十番(石川征男 議員) 住民の安全保障こそ最大の行政サービスだと防災格言では言っております。いつ起きるかわからないのが災害です。想定外と言われないよう、防災・減災の対策をしっかりしていただくよう要望して、質問を終わります。 ○山口ひろひさ 議長 以上で石川征男議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、十一番新川勝二議員。    〔十一番新川勝二議員登壇〕(拍手) ◆十一番(新川勝二 議員) 質問通告に従い、順次質問をしてまいります。  まず、世田谷区の豪雨対策について伺います。  ことしも、ゲリラ豪雨や台風など雨に備える季節になってまいりました。そんな中、このたび東京都より、東京都豪雨対策基本方針改定素案が公表されました。この見直しは、平成二十五年七月二十三日の世田谷区や目黒区を中心に起きました浸水被害が発生したことも、見直しの背景の一つになっているということであります。  この豪雨による世田谷区の降雨の状況の記録でございますが、最大十分間雨量で、世田谷で二十四ミリ、上用賀で三十ミリも降り、気象庁から世田谷付近で約百ミリの記録的な短時間大雨情報も発表されるなど、猛烈な雨を観測していたということでございます。また、区内の主な被害は、床上浸水百三十二棟、床下浸水三十二棟、地下車庫等浸水が十七棟、さらに道路冠水が三十三カ所の報告もありました。弦巻二丁目の駒沢通りの区の事務センター付近では、下水道のマンホールふたの周辺が、急激な雨水の流入により道路舗装がめくれ上がるというようなことも発生しました。これはニュースの映像にもなりましたので、皆様も記憶されていると思います。  さて、このような背景の中、平成十九年に策定されました東京都豪雨対策基本方針が七年ぶりに改定されようとしております。この改定案によりますと、現方針の対策促進流域から除外されていました谷沢川、丸子川流域が、この素案によれば対策強化流域に追加指定されました。  これまで区議会としても、この流域につきましてはさまざまな議論の中で対策を強化すべきとの結論を持ち、東京都知事に都市型水害対策に関する意見書を提出するなどの努力もしてまいりました。もちろん区側でも東京都に対して対策強化の要請もしてまいったわけでございます。したがって、この改定はこれまでの区及び区議会の努力が実ったものと思います。特に谷沢川、丸子川流域では、この改定により河川改修、さらには下水道雨水管の整備の促進が期待されるわけでありますが、そこでまず質問します。  この改定を受けて、世田谷区は東京都に対して、今後何を要請していくことになるのか、まずお伺いします。  次に、世田谷区がこの改定とともに考えるべきは、この二河川流域における河川や下水道整備などによる豪雨対策の実現であると思います。現在も東京都から下水道については受託事業として行っておりますが、区としても受託事業を拡大など、東京都との連携強化が必要だと考えますが、区の見解を伺います。  次に、現在、見直し作業中の世田谷区の豪雨対策行動計画との関係、さらには行動計画のもとになる世田谷区豪雨対策基本方針と、どのような整合を図るのか。また、この流域の区の役割でもある流域対策をどのように進めていくのか伺います。
     次に、がんの現状と世田谷区の対応について伺います。  がんは、糖尿病と並んで日本の国民病と言われております。一九八一年、昭和五十六年以降、我が国の死因の第一位であり、年間死亡者の約三割に当たる約三十六万人の方々ががんで亡くなっております。また、新たにがんと診断された方は年々増加し、年間八十万人を超えようとしております。生涯でがんに罹患する確率であります累積罹患リスクは、男性が六〇%、女性が四五%、いずれも二人に一人の確率でがんにかかる時代となっております。  がんは日本人の生命及び健康にとって最大の脅威であります。しかし、国のがん統計を見ますと、胃がん、大腸がん、乳がん、前立腺がんでは、早期であれば五年生存率が九割を超える数字となっております。がんの種類にもよりますが、早期に発見し適切な治療を受ければ、ほとんど完治する病気でもあるわけでございます。そのため、いかに早期に発見し、早期治療に結びつけることが非常に重要になると考えます。がん検診は、区が実施している区民検診を初め、職域での検診や人間ドックなどが受診できます。国でも、がん対策基本計画で、国民のがん検診の受診率約五〇%を目指しておるわけでございますが、現実はなかなか難しいようでございます。  区は、これまでがん検診を積極的に進めておりますが、まだまだ目標受診率にはほど遠い状況でございます。さらに、このたび仮称世田谷区がん対策推進条例の骨子案も示されておりますが、早期発見、早期治療により、がんによる死亡者を減らすための積極的な取り組みが必要と考えますが、区の取り組みについてお伺いいたします。  先日の新聞によりますと、厚生労働省からの報告では、働きながらがん治療を受けている人は、全国で約三十二万五千人に上るとのことであります。男女の内訳では、男性では十四万四千人、女性が十八万一千人で、女性のほうが多い状況であります。年齢別に見ますと、男性では六十代が最も多く全体の約四割を占め、次に五十代が多くなっているのに対しまして、女性は五十代が最多で、次に四十代となっております。男性は、肺がんなど高齢で発病するがんが多いのに対し、女性のがんである乳がんや子宮がんは比較的低年齢で発病するといった違いもあるようでございます。また、毎年二十万人を超える労働者世代が新たにがんに罹患しており、その相当数が仕事をやめていると見られているとも報告されています。  がん対策を考える上で、職場におけるがん検診受診勧奨や予防のための意識づけが重要でございます。また、残念ながらがんに罹患された方も、働きながらがん治療が続けられる職場環境づくりは、定年制延長などで就労年齢が高齢化する中で喫緊の課題でございます。そのためには、企業側の理解や職場の支援が不可欠でありますが、区としてがん対策を進める中で、企業、事業者への働きかけについてお考えをお聞きします。  がんは、年齢が高まるにつれて罹患率が高まります。団塊世代が後期高齢者となる今後はますますがんの罹患者は増加することが予想されますし、医療技術の進展により入院期間も短縮され、在宅で療養される方も今後ますますふえると思います。がんと診断されましても、自分らしく安心して住みなれた地域で生活を続けていくためにも、患者またはその家族への在宅療養支援が求められてまいります。  そこで、がん対策における在宅療養支援について、区の考えをお聞かせください。  以上で壇上での質問を終わります。(拍手) ◎小山 土木事業担当部長 私からは、世田谷区の豪雨対策について、三点御答弁申し上げます。  まず、東京都の豪雨対策基本方針改定素案の公表を受け、区は東京都に対しどのような要請をしていくのかについてです。  東京都豪雨対策基本方針は、平成十九年八月に東京都が策定したもので、今回公表された改定素案は、近年の都内における降雨特性や浸水状況を踏まえ、東京都が先月十六日に公表したものでございます。  今回の改定素案の主な内容といたしましては、河川整備では対策強化流域を、また下水道整備では対策強化地区をそれぞれ設定することとしており、当区内では昨年夏の集中豪雨において、大規模な浸水被害が発生した区域を対象とした流域や地域ごとの対応策も示されてございます。また、今回の改定素案では、平成二十年十二月に、当区議会が東京都に谷沢川、丸子川に対する取り組み強化等を要望した都市型水害に関する意見書の内容が反映されてございます。  区といたしましては、区内の豪雨対策の取り組み強化が示されたことから、今後は東京都豪雨対策基本方針の今後十年間の取り組みに従い着実に対策を進めるよう東京都に直接要請するとともに、河川流域ごとに関係自治体で組織しております協議会等も通じ要請してまいります。  次に、区が行っている下水道整備の受託事業の拡大など、東京都と連携が必要との御質問にお答えいたします。  区では、谷沢川流域と丸子川流域につきましては、これまで東京都に対し河川や下水道整備を早急に進めるよう要請してきたほか、当区でも、下水道雨水管の整備を東京都下水道局から受託することや、用賀三・四丁目、上用賀地区を豪雨対策モデル地区に指定し、流域対策を強化するなどさまざまな施策を積極的に進めてきたところでございます。  今後につきましては、下水道の雨水管整備のスピードアップを図るため、下水道雨水管整備の受託拡大、また東京都が行う河川や下水道整備の工事用地の確保のための情報提供や、当区公共施設用地の使用など、区内の豪雨対策が円滑かつ計画的に進むよう、東京都とも連携を図ってまいります。  三点目としまして、区の計画とどのような整合を図り流域対策を進めていくのかという御質問にお答えいたします。  区は、平成二十一年十月に世田谷区豪雨対策基本方針を、平成二十二年三月に世田谷区豪雨対策行動計画を策定し、これまでさまざまな対策を実施してまいりました。このうち豪雨対策行動計画につきましては、今年中の改定を目指し見直し作業を進めており、現在素案の作成に向け、昨年七月の被害状況や、これまでの対策実績等を整理するとともに、東京都の改定素案の内容を確認しながら、流域対策等を強化するための方策を検討しているところでございます。  また、世田谷区の豪雨対策基本方針は、東京都の基本方針を踏まえて策定していることから、東京都豪雨対策基本方針の改定内容を区の方針に反映する必要があるものと認識しており、現在見直しが必要な箇所を精査しているところでございます。  区といたしましては、東京都や流域自治体との連携を積極的に推進していくほか、道路や公共施設への雨水貯留、浸透施設の設置、また助成制度による住宅への雨水浸透施設や雨水タンクの設置促進などさまざまな流域対策を着実に進めることにより、区内の浸水被害の軽減に向け取り組みを強化してまいります。  以上です。 ◎成田 世田谷保健所長 私からは、がんの現状と世田谷区の対応について、三点お答えいたします。  最初に、がんによる死亡者を減らすための積極的な取り組みについてでございます。  がんによる死亡者を減らすためには、検診により自覚症状の出ていない早期の段階でがんを発見し、治療に結びつけることが非常に重要でございます。区では、胃、肺、大腸、乳、子宮の五つのがんについて、平成二十八年度末までに達成すべき目標受診率を設定し、受診しやすい検診体制の整備と個別勧奨の強化により、その実現に努力してまいりました。  大腸がんにつきましては、特定健診、長寿健診との同時受診を可能にしたことにより、受診率を六・三%から一六・六%に伸ばし、目標を達成しております。また、一次検診に加えまして、精密検査の結果を保健センターに集約し、精密検査が必要と判定されながら受診をされていない方に受診勧奨を行う精度管理により、平成二十五年度の受診者のうち、これまでに百二十三名の方からがんが発見されております。  一方、胃がん、肺がんにつきましては、目標受診率との間に大きな開きがあることから、検診体制のさらなる充実に向けて検討を進めるとともに、精度管理につきましては、今年度から段階的に大腸がん以外の四つのがんに広げることにより、がんの早期発見、早期治療に努めてまいります。  次に、企業、事業者への働きかけについてでございます。  禁煙、分煙による職場環境の改善や従業員へのがん検診の受診勧奨、がん治療を続ける従業員への勤務時間内の通院配慮など、事業者が従業員やその家族の健康づくりに果たす役割は極めて大きいと考えております。がん医療の進歩により生存率が向上し、がんと診断された後も仕事を続ける方が約三十三万人いる一方で、例えば体調に配慮した職場への配置転換を進めるなど、がん患者の就労支援に取り組む企業は一割にとどまり、対応のおくれが目立っております。がん患者にとって就労と治療の両立は、生活費や治療費の確保とともに、社会とのつながりや生きがいを持ち続けるためにも重要な課題と認識しております。また、社会にとっても有能な人材がやむを得ず退職することは大きな損失と考えます。  こうしたことから現在検討を進めておりますがん対策推進条例では、健康的な職場環境の整備や、がん検診やがん治療が受けやすい職場づくりを事業者の役割として盛り込みたいと考えており、事業者への働きかけの方法や内容につきましては、今後がん対策検討委員会の議論の中で具体的な施策を検討してまいりたいと考えております。  最後に、在宅療養支援についてでございます。  がん治療が入院から通院、在宅へと重心を移す中、在宅で療養する患者及び家族を支える医療と福祉のネットワークを構築することは、がんになっても安心して暮らせる地域社会の実現に向け、喫緊の課題でございます。そのため、この十月には誰もが気軽に利用できる相談窓口を保健センターに設け、がんに対する悩みや不安などさまざまな相談に応じるとともに、相談者が利用可能な制度やサービスについても御案内してまいりたいと考えております。  また、このがん相談窓口には、在宅療養を支える医師、歯科医師、薬剤師、訪問看護ステーションのリストを備え、入院医療機関からの円滑な移行を促進してまいります。また、具体的な事案への対応を通して、医療、福祉関係者間の連携も深めてまいりたいと考えております。がん患者及び家族が抱える悩みは、がんの種類や進行度、生活環境によって実にさまざまであり、がん対策推進条例においても在宅療養支援について規定するなど、実効性のあるがん対策推進計画の策定に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◆十一番(新川勝二 議員) ありがとうございました。終わります。 ○山口ひろひさ 議長 以上で新川勝二議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、三十三番桜井稔議員。    〔三十三番桜井稔議員登壇〕(拍手) ◆三十三番(桜井稔 議員) 質問通告に基づき質問します。  まず、東急田園都市線の三軒茶屋駅南口のエレベーター設置について伺います。  国道二四六号線南側の歩道にある三軒茶屋駅南口は、地上から改札階を結ぶ五十段の階段があります。そのため車椅子の方は南口を使えません。改札口へ行くには広い国道二四六号線と世田谷通りを渡り、地下広場パティオにおりるエレベーターを使い改札口に行くという、大変遠回りをしなければなりません。また、南口から入る場合、五十段もの長い階段のために、高齢者の方やベビーカーを持った母親、大きな荷物を持った人は大変な不便を強いられております。駅南口の改善は切実な課題になっています。駅利用者など、住民の方々が南口にエレベーター設置を求めて署名行動をしていますが、若い人から高齢者まで多くの人が署名に応じていきます。  この問題について、私は議場で何度か取り上げてきました。今回は、国のガイドライン改正との関係で取り上げます。  昨年、国交省は駅施設のバリアフリー整備ガイドラインを改定しました。バリアフリー法では、駅施設のルートで高齢者、障害者などが単独で健常者と同様の時間、ルート、手段によって移動できるようルートを確保することを義務づけています。今回のガイドライン改正は、バリアフリー法をさらに進めるもので、その内容は、線路によって地域が分断されている場合や離れた位置に出入り口がある場合など、その全ての出入り口にバリアのないルートを確保するとしています。  三軒茶屋駅の複数ある出入り口は大型道路で分断されており、ガイドライン改定でいう、各出入り口にエレベーター、エスカレーター設置が求められます。特に既存のエレベーターから最も離れている南口はエレベーター設置が必要です。五月に住民の皆さんが利用者の声を届け、エレベーター設置を求めて東急電鉄に要請に行き、東急からガイドラインに沿って検討を進めると回答がありました。区は、改正されたガイドラインの実施を鉄道事業者に行わせるべきです。三軒茶屋駅南口のエレベーター設置を確実に進めるよう東急に働きかけるべきです。見解を求めます。  また、区内には四十一の鉄道駅があります。その駅のバリアフリー化はどうなっているのか、複数ルートができているのか伺います。  高齢者、障害者、乳幼児連れなど、誰もが安心して利用できる駅のバリアフリー化に、区のさらなる努力を求めます。  次に、就学援助について伺います。  消費税が八%に増税された四月、五月、町では何もかも値上げ、レシートを見るたびにため息が出る、値段を気にして安いものを買う、年金が下がっているのに出費がふえたなど、増税に対する不安の声を聞きます。特に家計支出の多くを食費などが占める低所得世帯ほど、消費税増税が重い負担となっています。  国は消費税の八%増税に伴い、生活保護世帯に生活扶助費や教育扶助費などを上乗せしてきました。生活保護世帯の一・二倍の就学援助受給世帯は、消費税増税の影響を最も受け、生活費を切り詰め、子どもの教育費などを切り詰めなければ生活できません。ここへの支援が求められております。  就学援助の学用品、通学用品費は、鉛筆や消しゴム、副読本など教育に必要な学用品や、また通学用靴、雨靴、上履き、帽子など通学に必要なものを購入する費用です。これら全てが値上がりしています。就学援助を受けている母親は、子どもの成長は早く、衣服、靴など買いかえなくてはならず、就学援助だけでは足りません。子どもの学用品のために食費などを削るしかないと言っております。就学援助を受けている家庭は、消費税増税で就学援助の実質切り下げにつながっています。  区長はこの現状をどう見ているのでしょう。区長は昨年、生活保護基準引き下げによる就学援助などに影響が出ないよう対策をとりました。六月十日の東京新聞の報道によりますと、生活保護基準引き下げで、全国七十一の自治体で就学援助が切られる家庭が出ていることを報道しております。中野区では二百人が対象から外される事態になっております。このことに対し、吉永純花園大学教授は、子どもの貧困対策法が施行された一方で、義務教育の機会均等を保障する重要な制度から排除される子どもが出るのはゆゆしき事態だと厳しく批判しております。消費税増税による就学援助の実質切り下げも、子どもの教育を保障できなくなることと同じことであります。子どもの教育を保障するために、区は就学援助の費目単価の引き上げを行うべきです。見解を伺います。  また、就学援助費の中で、新入学学用品費は、新たに小学校一年生や中学校一年生になる家庭に出されております。新入学学用品は、小学生でランドセルや上履き、体育着、中学生で学校の制服や体育着、上履きなどを用意します。それぞれ数万円かかりますが、就学援助の新入学学用品費の二万六千円では足りません。しかも、その新入学学用品費は七月末に支払われます。そのため、苦しい家計をやりくりして立てかえております。区は、住民税の確定がされて就学援助を審査しているから七月末になると答えていますが、住民税の確定は五月末です。特に新入学学用品費を受ける家庭については、七月末を待たずに、一日でも早くできるよう検討すべきです。  以上、壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔板垣副区長登壇〕 ◎板垣 副区長 地下鉄三軒茶屋駅のエレベーターにつきまして御答弁させていただきます。  まず、三軒茶屋駅南口エレベーター設置について、東急電鉄に働きかけよということでございました。  お話の三軒茶屋駅につきましては、国道二四六号線南側から田園都市線を利用する方々にとりましては、道路と地下にある改札階を結ぶ円滑に移動できる経路が、三茶パティオのエレベーターを介した一ルートとなっていることから、国道二四六号線や世田谷通りなどを渡る必要があり、お話にありましたように、利用しにくい状況となっていることは認識しております。  この件につきましては、これまでもさまざまな会派から御指摘、御質問をいただいているところでございます。お話しの国道二四六号線南側のエレベーターの設置につきましては、昨年も区長みずからも国道の管理者に協力をお願いしたところでございます。そういう中、東急電鉄より南側のエレベーター設置の可能性について、現地での実測調査を七月に行うとの情報提供があったところでございます。区といたしましては、新たなルートの確保により、駅を利用する方々の利便性が向上するようにこれまでも働きかけてきておりますが、引き続き東急電鉄に働きかけてまいりたいと考えております。  次に、ガイドラインの改定に伴いまして、複数ルートのバリアフリー化について現状はどうかということでございました。  平成二十五年六月に改定されました公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドラインでは、離れた位置に主要出入り口が複数存在する場合に、その全ての主要出入り口においてバリアフリー経路を確保する必要がある旨の記載が追加されております。離れた位置に複数の出入り口がある駅につきまして、私どもで調査したところ、区内四十一駅のうち二十一駅が該当すると考えられ、既に二ルート以上の経路が確保されている駅につきましては、十駅でございました。ただし、これにつきましては区としての調査でございまして、鉄道事業者と確認した数値ではありませんので若干数字が変わるかもしれません。いずれにいたしましても、今後とも鉄道事業者に対し、複数経路の確保に向け働きかけてまいりたいと考えております。  以上です。 ◎古閑 教育次長 就学援助費目単価の引き上げについてのお尋ねにお答えいたします。  子どもたちが健やかに成長していくために、経済的な支援を含め教育環境を整えていくことは大変重要なことと考えております。こうしたことから、区では経済的理由により就学が困難な児童生徒の保護者に対しまして、生活保護と就学援助の制度により必要な援助を行っているものでございます。  こうした中で、近年の世田谷区の就学援助の受給状況につきましては、小学生の家庭で一割程度、中学生の家庭で二割程度で、全体として横ばいの状況となっております。また、支給費目の金額につきましても、多くの費目については他区と同水準となっております。なお、就学援助の受給者の認定基準については、このたびの生活保護基準の見直しに伴う影響につきましても、影響が出ないよう見直し前の基準の適用を基本とし、世帯構成などにより平成二十六年度の基準のほうが高くなる場合は、二十六年度の基準を適用する対応をしております。  いずれにいたしましても、支給費目の単価につきましては、二十三区中二十一区で学用品費については据え置いておりますので、今後とも国や他区の動向、社会経済状況の変化、受給状況の動向等を踏まえて検討してまいります。  以上でございます。 ◆三十三番(桜井稔 議員) 保坂区長に伺います。認識を伺いたいんですが、就学援助の問題で、私は通学用品が、鉛筆や消しゴム、また通学用の靴や上履きなど通学に必要なものを購入するということで、これら全てが、今消費税増税で値上がっているという状況でありまして、生活が大変厳しくなっているということを述べました。就学援助の実質切り下げにつながっているのではないかということを述べたんですが、保坂区長は、こういう今の就学援助を受けている家庭の生活状況認識をどう持っているのか伺います。  以上です。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 桜井稔議員の再質問にお答えいたします。  御質問にありましたとおり、子どもの貧困対策法が施行されたということでありまして、社会全体として、この二十年間、大変所得格差が拡大をしたと。そして、その家庭によって、経済状態によって、その子どもたちの進路が環境因子によって外的に規定されて、いわば排除されていく、あるいは学習等の機会を奪われていくということは本当にゆゆしきことだと思っております。  お尋ねの消費税の影響でございますけれども、全般的にこの際値上げということで、いろいろな商品、費目において値上げが行われているものと思いますけれども、改めて就学援助の対象となっている物品がどのような値上げ状況にあるのかということも確認をしていきたいと思いますし、もう一つは、消費税二段階で引き上げという方向になっております。最終段階を判断というのは、まだこれからということですけれども、諸外国の例を見ても、軽減税率、いわば普通税率ということはかなり当たり前になっている一方で、最終的な決着が一〇%ということになるのかどうかということも、これは大きく子育て家庭、特にひとり親家庭などにとっては死活的な問題になるだろうと思っております。  ですから、御指摘の問題意識を踏まえて、少なくとも子どもたちの学ぶ権利をきちっと支えるという姿勢で、区としては現状の就学援助が、いわば弱体化するとか縮小するということがないように、その一〇%というところまで目を配って、一貫した支援をしてまいりたいと思います。 ◆三十三番(桜井稔 議員) 準要保護じゃない要保護の生活保護のほうは、教育扶助などは引き上げているんですね。これはもうはっきりしているんですよね。八%、三%上がったということで、三%ぐらいの引き上げ率ということで。今改めて調査してみないとわからないというような状況ではなくて、実際はあらゆるものが値上がりになって、学用品を買う方々は本当に大変な状況になっているというのはぜひ認識していただいて、一〇%に上がるまで待つという問題ではなくて、ぜひ八%の段階で就学援助の実質切り下げにならないように、対策をとっていただきたいということを要望しておきます。  もう一つ、三軒茶屋駅の問題で言えば、世田谷区は平成十八年、今から八年前に交通バリアフリー基本構想で、この南口のエレベーター設置が課題になっていて、いまだ何ら変わっていない状況で、先ほど答弁がありましたように、今東急が実測調査を行うということになったので、ぜひそれを確実に実らせていただいて、南口にエレベーターを設置させるということで、そういう決意で東急に働きかけていただきたいということを要望しておきます。  以上です。 ○山口ひろひさ 議長 以上で桜井稔議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、二十五番あべ力也議員。    〔二十五番あべ力也議員登壇〕(拍手) ◆二十五番(あべ力也 議員) それでは質問してまいります。  第一回定例会におきましては、外郭団体の非正規雇用、特に個人業務委託契約について取り上げましたが、今回は、区本体における臨時・非常勤等職員の実態と課題について伺います。  行政においては、これまでの間、行政改革の推進の観点から、正規職員の定数削減とあわせて、臨時職員や非常勤職員の活用が全国的に進められてまいりました。自治労の二〇一二年の調査によると、自治体の臨時・非常勤等職員の比率は三三・一%であり、全国で七十万人以上が雇用されています。これは自治体職員の三人に一人で、今後も増加が見込まれています。現状、既に臨時・非常勤等職員がいなければ自治体業務は回せない状況となっていますが、公務員だからとパート労働法などが適用されず、非正規だからと雇用の保障もない、いわゆる法の谷間の働き手のため、恒常的な業務についているのにもかかわらず、突然雇いどめに遭ったり、更新回数に上限が設定されていたり、その給与や一時金、諸手当などの労働条件においても、国や民間と比べておくれをとり、整備されていません。結果、正規職員と比較すると劣悪で、不安定な雇用の状況に置かれています。  一方、民間では、そもそもパート労働法に基づき、正規と非正規との間での均衡均等待遇の確保が要請されています。また、最近では非正規雇用者の労働環境改善の点から、無期労働契約への転換等を盛り込んだ改正労働契約法も施行されるなどの動きも出てきています。民間企業と行政では、その労働者、職員に適用される法体系は異なりますが、総務大臣も、自治体が通常の労働者との均衡待遇の確保を図るパート労働法の趣旨を踏まえた対応を行うことは重要との答弁を行っており、総務省もパート労働法改正や労働契約法改正などを念頭に、民間労働法制の動向に留意する必要があると指摘しています。  世田谷区においても、この間、正規職員の削減とともに、臨時職員や非常勤職員が増加してきています。非常勤等職員は、区政の各部門で重要な役割を果たしており、区民サービスの提供にも欠かせない存在となっている状況があります。正規職員との均衡均等待遇の考えから、非常勤等職員の待遇を一層改善していく必要があると考えます。  まず区では、正規職員の数に対してどれぐらいの臨時・非常等職員がいるのか。内訳として、地方公務員法第二十二条に定められた臨時職員、三条三項三号の特別職非常勤、十七条の一般職非常勤等のそれぞれについて現状と、区内在住者の人数比率、男女の人数比率もあわせて伺います。また、その賃金、交通費、一時金等の支給状況についてお聞かせください。  特に非常勤職員については、年間を通した雇用であり更新もあることから、長く区役所の仕事をしている職員も多いと聞きます。非常勤職員は、区役所内部のさまざまな事務部門を初め、保育園や新BOP等の各事業部門など、区政のさまざまな分野で働いています。勤務時間などは正規職員とは異なるものの、その職務内容は恒常的、本格的な業務に従事しているものであり、行政サービスの展開上は、正規職員とともに大きな役割を果たしています。  しかし、その報酬については、正規職員の給料の仕組みとは異なり、基本的に職ごとに一律で定められています。正規職員のように経験に応じて報酬が上がっていくといったものにはなっていません。こうした状況は、非常勤職員のモチベーションにも大きく影響しています。荒川区や千代田区では非常勤職員の経験や能力に見合った報酬額の見直しを実施しています。また、東京都は平成二十五年五月二日、現在ほぼ一律の報酬額となっている非常勤職員の処遇改善に取り組むと発表しています。国は、非常勤職員は単年度雇用が基本であるとして、継続雇用を前提とした昇給制度は認めておらず、先行する二区も制度設計には細心の注意を迫られたと聞きます。どのような処遇設定であれば法制度の範疇と言えるのか。両区の事例を検証、参考にし、世田谷区でも非常勤職員の役割の重要性を踏まえ、報酬については職員経験といった要素を加味した決定方法にしていくべきと考えますが、見解を伺います。  また、非常勤職員は正規職員とは異なり、一時金、いわゆるボーナスの支給はされておりません。非常勤職員に対し一時金を支給していない理由は何か。一時金を正規職員と同様に支給すべきと考えますが、見解をお聞かせください。  次に、雇用期間の問題です。  非常勤職員は、一部の職種を除き、一年の任用で更新限度四回、計五年までというのが基本原則となっているようです。冒頭述べたように、民間では改正労働契約法の施行により、五年で無期雇用への転換が可能になるといった状況も出てきています。有期限の雇用は労働者の生活を不安定にさせるものです。雇用期間の上限を撤廃することが必要と考えますが、区の見解を伺います。  最後に、非常勤職員に対して一時金が支給されていないことに関しては、地方自治法の規定が障害になっている面もあると聞いています。こうした問題を踏まえ、一時、国のほうでも地方自治法の改正の議論があったようであり、今後、関係規定の整備が必要と考えます。区としても、非常勤職員への一時金支給に関し、地方自治法の改正を行えるよう国に対し要請すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎萩原 総務部長 私からは、区における非常勤職員等の実態について、五点お答えいたします。  初めに、非常勤職員、臨時職員の人数、賃金等についてです。  非常勤職員や臨時職員は、区政のさまざまな部門における行政サービスの展開に当たって、大変重要な役割を担っていると認識しております。具体的には、保育園や新BOP、出張所・まちづくりセンターや図書館などを初め、さまざまな職場に配属されており、平成二十六年四月現在、職員数は正規職員五千五十七人に対し、一般非常勤職員が二千五百七十人、うち区内在住者が千八百四十六人で約七二%、女性が八六・三%という状況です。なお、臨時職員が九百四十人程度となっております。非常勤職員は全て地方公務員法第三条第三項第三号に基づく特別職の非常勤でございます。  報酬につきましては、非常勤職員の場合、職務の困難度や資格の有無などを考慮して設定しており、一般的な職では、おおむね時間換算で千百円から千七百円程度、特に専門性が高い職では二千円から三千円程度となっております。また、臨時職員は時給九百円から千三百円程度となっております。このほか、非常勤職員、臨時職員とも、通勤費相当分を支給しておりますが、一時金につきましては、その職の位置づけ、性質等から支給はしておりません。  次に、職務経験の要素を加味した賃金決定をとのお尋ねです。  区の非常勤職員は、先ほどの地公法第三条第三項第三号に基づき任用する特別職の地方公務員という位置づけとなっており、正規職員の勤務形態になじまない職務や専門的な職などに任用することを想定したものとなっております。このことから、任用の単位も一年が基本となっており、法令解釈の上では、例えば任用期間の更新の際に職務経験を加算して報酬に反映することや定期的に昇給するといった制度は基本的には想定されないものとなっております。しかし、非常勤職員の方々は区政のさまざまな部門で活躍しており、職務によっては、業務や同僚を取りまとめる役割を担うなど、職責に一定の差もございます。こうしたことから、区では現在、非常勤職員の職務内容や職責に着目し、必要な場合には職に段階を設け、報酬単価に一定の差をつけているといった対応を行っております。非常勤職員のモチベーションを向上させるためにも、今後も必要に応じて適切な報酬区分を設定してまいりたいと考えております。
     続いて、一時金の支給と国への法改正要請に係る御質問にあわせてお答えします。  非常勤職員に対する一時金につきましても、職務経験の報酬加算と同様に、その職の位置づけや性格等から、現在の法体系の中では支給はできないものと考えております。地方自治法では、正規職員の場合と異なり、非常勤の職員に対しては、報酬の支給及び費用弁償に関する規定があるのみで、いわゆる一時金の支給については規定がございません。しかし、この一時金の問題に関しては、昨年十一月に自治体で働く非正規職員の処遇改善に向けて、一時金等の諸手当を支給できるようにする地方自治法の一部改正案が議員提案で衆議院に提出されるなど、国においても動きが出ております。  国に対する法改正の要請をとの御指摘でございますが、区としましても、引き続きこうした法改正等の動向などを注視してまいりたいと考えております。  最後に、雇用期間上限についてでございます。  非常勤職員の任用更新につきましては、勤務実績等が良好な場合に四回を限度として任用を更新できることを原則としております。非常勤職員は区のさまざまな職場において、多様な職務に従事しており、また、本来、長期継続的な雇用を想定していない職であるなど、その位置づけや職務の性質等から、全ての職において、一律に任用更新限度を撤廃することは難しいと考えております。  一方で、非常勤職員の職の中には、専門的な相談業務など、一定の継続性が必要なものもあることから、こうした職については任用の更新限度を設けないなど、職務の内容に応じた対応を行っているところです。区では、これまで報酬の引き上げのほか、正規職員とほぼ同様の休暇を取得できるようにするなど、福利厚生面も含め、さまざまな労働環境整備に取り組んできているところでございます。今後とも、非常勤職員、臨時職員の方々が安心して働けるよう、引き続き環境整備に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◆二十五番(あべ力也 議員) 再質問いたします。  まず、区長にですが、荒川区の西川太一郎区長は、非常勤職員は補助的な役割という一般的な意識を変え、職務意欲を高めるために常勤職員との格差解消を目指したとのことです。保坂区長は、臨時・非常勤等職員の雇用安定、処遇改善のためにどのように取り組んでいくのか。先行する荒川区は、主任非常勤や総括非常勤の区分を設けて賃金ランクを設け、賃上げを行ったり、研修や福利厚生、残業代なども認めています。このように、国での法改正を待たずとも現状でなし得る対策はあるのではないかと考えますが、区長の見解を求めます。  次に、任用根拠のうち、特別職非常勤、地公法三条三項三号の比率が三〇%ぐらいと高いのは大変不自然であります。実態は学童指導員や図書館職員、一般事務員などであり、臨時または非常勤の職ではなく恒常的な職についていることであり、脱法行為と言わざるを得ません。職員全体の三割を占める非常勤職員が特別職であるということは、おかしいのではないかと思いますが、見解を伺います。  また、そもそも業務執行体制への支障の懸念が指摘されています。比率三〇%の自治体でも、職場単位では構成が過半数になっている場合もあり、職場内のチームワークや三六協定の締結の困難さも懸念されています。業務内容が正規職員と同様の業務を遂行していることから見ても、同一価値労働同一賃金の原則に基づいた賃金の設定が求められます。しかし、給与が正規職員の三分の一ということになれば、ますます正規職員の削減による非正規職員への置きかえにも歯どめがかからず、処遇も低下するという悪循環が続くことは否定できないと考えますが、区の見解を求めます。  世田谷区の臨時・非常勤等職員の占める世田谷区民の比率は七一・八%、二千五百七十人中千八百四十六人で、正規職員の四〇・一%と比べて非常に高いです。その中に占める女性の比率は八六・三%、つまり世田谷区の弱い立場の貧困な働き手をふやすことで、納税者や年金の担い手を減らしていくことは自治体にとってマイナスだと思いますし、女性の自立にも貢献しないと思いますが、この点についての見解も伺っておきたいと思います。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 あべ議員の再質問にお答えいたします。  非常勤職員、臨時職員の皆さんは、区政のさまざまな分野で活躍をしており、区政運営において欠かすことのできない大変重要な担い手であるというふうに考えています。私もこれまで現場で働く非常勤などの職員の皆さんの職務実態や処遇等に関して、さまざまな意見や改善の要望を伺っております。こういった意見も踏まえながら、区ではこれまでも報酬区分に段階を設けたり、休暇制度を充実させたり、非常勤職員の労働環境に関して必要な改善を進めているところです。  今御紹介の荒川区西川区長がこの問題について行った改革についても、数年前に資料を取り寄せ、検討も行いました。ただ、法と制度のはざまにあって、なかなか現状を変えるのが難しいというところにとどまっていて、まだ大きく変えるに至っていないということは事実だと思います。  非正規雇用の問題は、現在、人手不足ということで、これまでの使い捨てということで、民間の長時間で低賃金の、そういった待遇ではだめだという動きが顕著になってきているということですが、これは、区役所にとってもあるいは自治体にとっても、当然同じテーマで議論していかなければならないものだと思っています。  国でも、いわゆる法改正、自治法改正の動きがあったということですが、非常勤職員の方々が安心して働き、さらに活躍できるよう、またその法改正以前に、荒川区西川太一郎区長は特別区長会会長でもありますので、どのように荒川区で実現に至っているのか、なお壁はどこにあるのか、このあたりについて、ぜひ率直に御意見を伺いながら、改善に努めていきたい。御指摘は大きなテーマだというふうに受けとめました。 ◎萩原 総務部長 再質問にお答えいたします。  特別職の非常勤職員は、職の実態からおかしいのではないかというお尋ねでございます。  自治体の非常勤職員には、主なものとして、地公法の三条三項三号の特別職の非常勤のほか、同法十七条の一般職の非常勤職員や二十二条の臨時的任用職員、また一般職の任期付非常勤職員がございます。これらの一般職の非常勤職員、臨時的任用職員、任期付非常勤職員は、例えば大規模なプロジェクトの計画実施や突発的な業務への対応など、一般的に業務終了までの一定の期間に限って任用することができると考えられております。  こうしたことやその職の性格などから、自治体では、一般には地公法三条の特別職の非常勤が任用されており、当区におきましても、その任用する職の職務内容等を総合的に勘案して、特別職の非常勤として任用しているところでございます。  それから、業務執行体制と納税者という視点からの御質問をいただきました。  区では、これまで行政運営の効率化の観点から、事務事業や執行体制等の見直しを進める一方、生み出された人員を重点課題への対応に振り向けるなど、めり張りのある定員管理を進めてまいりました。ますます複雑多様化する行政需要に的確に対応していくために、今後も正規職員や非常勤職員、それぞれの役割や職務の内容や範囲を踏まえ、力強い組織づくりに向けた適正な人員配置を進めてまいります。  また、納税者の視点といった御指摘もございましたが、非常勤職員等の皆様が、区政の各部門でさらに生き生きと働けるよう、今後とも環境改善に努めてまいります。  以上でございます。 ◆二十五番(あべ力也 議員) 最後に意見と要望を申し上げておきますけれども、住民の公務員批判や議会での人員削減と合理化の要求が、結果的には、制度自体の改善ではなく、弱者である臨時・非常勤等職員のさらなる待遇の引き下げにつながってしまうという現実への反省も必要です。正規職員、非正規職員ともに陥っている悪循環を断ち切り、同一価値労働同一賃金の原則等に立ち返った処遇の改善等の検討を重ねて要望し、質問を終わります。 ○山口ひろひさ 議長 以上であべ力也議員の質問は終わりました。  これで一般質問は終了いたしました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後二時二十七分休憩    ――――――――――――――――――     午後二時五十分開議 ○山口ひろひさ 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。 △日程第二から △第十に至る九件を一括上程いたします。  〔小湊次長朗読〕  日程第二 議案第四十二号 世田谷区立多聞小学校改築工事請負契約外議案八件 ○山口ひろひさ 議長 本九件に関し、提案理由の説明を求めます。板垣副区長。    〔板垣副区長登壇〕 ◎板垣 副区長 ただいま上程になりました議案第四十二号より議案第五十号に至る九件につきまして御説明申し上げます。  まず、議案第四十二号より第四十五号に至る四件につきまして御説明いたします。  本四件は、新たな学校施設整備基本方針に基づき、多聞小学校の校舎を改築するものであります。本四件の契約の締結に当たりましては、地方自治法施行令第百六十七条の五の二の規定に基づきまして、一般競争入札により実施いたしました。その結果、議案第四十二号「世田谷区立多聞小学校改築工事請負契約」は、大明・小俣建設共同企業体が落札し、同建設共同企業体と十八億二千百九十六万円で契約しようとするものであります。  議案第四十三号「世田谷区立多聞小学校改築電気設備工事請負契約」は、米沢・由井建設共同企業体が落札し、同建設共同企業体と二億八千八十万円で契約しようとするものであります。  議案第四十四号「世田谷区立多聞小学校改築空気調和設備工事請負契約」は、大立・経栄建設共同企業体が落札し、同建設共同企業体と三億一千七百五十二万円で契約しようとするものであります。  議案第四十五号「世田谷区立多聞小学校改築給排水衛生設備工事請負契約」は、温調・スズキ建設共同企業体が落札し、同建設共同企業体と二億百四十二万円で契約しようとするものであります。  次に、議案第四十六号より第四十九号に至る四件につきまして御説明いたします。  本四件は、新たな学校施設整備基本方針に基づき、太子堂小学校の校舎を改築するものであります。本四件の契約の締結に当たりましては、地方自治法施行令第百六十七条の五の二の規定に基づきまして、一般競争入札により実施いたしました。  その結果、議案第四十六号「世田谷区立太子堂小学校改築工事請負契約」は、神興・本間建設共同企業体が落札し、同建設共同企業体と十七億八千八百二十六万四千円で契約しようとするものであります。  議案第四十七号「世田谷区立太子堂小学校改築電気設備工事請負契約」は、大雄・カコイ建設共同企業体が落札し、同建設共同企業体と二億五千三百八十万円で契約しようとするものであります。  議案第四十八号「世田谷区立太子堂小学校改築空気調和設備工事請負契約」は、田口・大曽根建設共同企業体が落札し、同建設共同企業体と二億六千五百六十八万円で契約しようとするものであります。  議案第四十九号「世田谷区立太子堂小学校改築給排水衛生設備工事請負契約」は、大橋・コート建設共同企業体が落札し、同建設共同企業体と一億八千二百三十万四千円で契約しようとするものであります。  次に、議案第五十号につきまして御説明いたします。  本件は、公共施設中長期保全計画に基づき、大蔵運動場温水プールの劣化部位の改修を行い、あわせて建築基準法に新たに規定された建築物における天井脱落対策に係る技術基準に基づき、プールの天井の耐震化をするものであります。  本件の契約の締結に当たりましては、地方自治法施行令第百六十七条の五の二の規定に基づきまして、一般競争入札により実施いたしました。  その結果、議案第五十号「世田谷区立大蔵運動場温水プール改修工事請負契約」は、株式会社中秀工業が落札し、同社と二億五千七百七十四万二千円で契約しようとするものであります。  以上、九件の契約の締結につきまして、地方自治法第九十六条第一項第五号並びに世田谷区議会の議決に付すべき契約及び財産の取得または処分に関する条例第二条の規定に基づき御提案申し上げた次第でございます。  以上、議案第四十二号より議案第五十号に至る九件につきまして、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 ○山口ひろひさ 議長 以上で提案理由の説明は終わりました。  本九件を企画総務委員会に付託いたします。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、 △日程第十一から △第十五に至る五件を一括上程いたします。  〔小湊次長朗読〕  日程第十一 議案第五十一号 特別区道路線の認定外議案四件 ○山口ひろひさ 議長 本五件に関し、提案理由の説明を求めます。板垣副区長。    〔板垣副区長登壇〕 ◎板垣 副区長 ただいま上程になりました議案第五十一号より議案第五十五号に至る五件につきまして御説明申し上げます。  本五件は、いずれも新たな特別区道の路線の認定に関するものでありまして、道路法第八条第二項の規定に基づき御提案申し上げた次第でございます。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 ○山口ひろひさ 議長 以上で提案理由の説明は終わりました。  これより提案理由の説明に対する質疑に入ります。  なお、質疑についての発言時間は、議事の都合により答弁を含めて十分以内といたします。  発言通告に基づき発言を許します。  二十四番木下泰之議員。 ◆二十四番(木下泰之 議員) 保坂区長にお尋ねいたします。  今回の道路路線認定案件は、京王線の連続立体交差事業案件でありますが、小田急線の連立事業の際の関連側道や駅前広場、関連交差道路に関する道路認定の際と比べると、事業認可時から道路路線認定に至る期間が異常に短いのであります。経堂工区の際には事業認可から十年近くも後の道路認定ということです。この対応の違いは何によるものか明らかにされたい。  小田急線の連続立体交差事業の際に道路認定がおくれた理由として、担当職員は当該地の権利関係が複雑だということを理由に挙げております。事業地の地権者や周辺住民も納得しているとは言いがたいのに、区長の責任となる関連測道や明大前駅及び千歳烏山駅の駅前広場、補助一五四号線や補助二一六号線といった関連交差道路に関する道路認定を急ぐ理由は何か明らかにしていただきたいと思います。  保坂区長は、選挙戦時に公共事業の見直しを公約に掲げていましたし、京王線高架反対地下化推進の市民運動の支援も受け、高架事業や連立事業の見直しを約束していたはずであります。当選直後に震災で中断していた在来鉄道の高架計画を含む都市計画案の説明会も受け入れ、態度を豹変させましたが、その際の理由は連立事業の事業主体が東京都であること、また区政継続の必要性を言いわけとして挙げておりました。しかしながら、今回の道路認定は大場区長のときよりも、熊本区長のときよりも急ぐ認定となっております。連立事業については関連事業も含め抜本見直しをするつもりはあるのかないのかお伺いいたします。  連立事業問題は、事業認可を取り消した小田急訴訟一審判決は裁判官の良心を示した判決でありましたし、また都市計画への異議申し立ての市民の権利を拡大した小田急大法廷判決を経てもなお、下北沢地域の連立事業の裁判は係争中であり、その中で都市計画決定から事業認可のあり方も含め疑義は深まり、下北沢の連続事業をめぐる補助五四号線と小田急線の複々線事業についての都市計画について、憲法問題を惹起する展開となっております。そして、この問題はまさに京王線複々線化の都市計画決定においても同様の問題を内包しているということは、これまでの議会質問でも指摘してきたとおりであります。都市計画のあり方のみならず、都市開発のあり方自体がまさに連立事業問題に問われていると考えます。  京王線では事業認可差しとめの訴訟が沿線住民から提起されたその日に、東京都は事業認可を強行しており、訴訟は取り消し訴訟に切りかえられました。なおこの訴訟の原告団の主任弁護士は、区長の盟友である海渡雄一弁護士でもあります。今回の道路認定は、まさに係争となっている連立事業と密接不可分であります。この道路認定を今議会に提出するに当たり、区長は京王線連立事業を含め一連の連続立体交差事業問題にどのような見解を持っているのか明らかにしていただきたいと思います。  京王線連立事業関連の今回の一連の道路路線認定は、小田急線事業の例からいってさえ拙速であります。日程十一から十五の路線認定案件は、区長みずから撤回されるべきであると考えますがいかがか、お答えください。  以上です。 ◎青山 道路整備部長 何点か御質問いただいておりますが、道路の路線認定は道路を整備し、また将来にわたって道路を管理するため、道路管理者を定める道路管理法上の手続でございます。今回、道路の路線認定の議案を区議会にお諮りしていることから、路線認定の議案としての内容の観点から順次御答弁させていただきます。  まず、京王線連続立体交差事業を小田急線連続立体交差事業の経堂工区と比較したお尋ねがございました。  この小田急線経堂工区の事業に際しましては、道路築造の前に道路の路線認定を行っているところでございます。しかしながら、今回は事業実施に伴う上下水道や電気、ガス、電話等、いわゆるライフラインの整備に際しまして、道路監理者としての権限の行使や道路管理者の立場で連続立体交差事業者等に対して必要な意見を述べ、調整を図るため、過去の連立事業の経験を踏まえまして、早期に道路管理者となることが必要であるとの考えにより御提案したものでございます。  小田急線経堂工区の際には、事業認可から十年近くも後の道路認定とのお話がございましたが、下北沢地区の都市計画道路補助第五四号線と世田谷区画街路第一〇号線につきましては、事業認可から約一年五カ月後の道路の路線認定となっております。また、大蔵地区の都市計画道路補助第二一六号線につきましては、事業認可から約三カ月後の路線認定となっております。区といたしましては、都市計画道路の事業認可後、できるだけ速やかに路線認定ができるように努めているところでございます。  次に、事業地の地権者や周辺住民も納得しているとは言いがたいのに、関連側道や明大前駅及び千歳烏山駅の駅前広場、補助一五四号線や補助二一六号線といった関連交差道路に関する道路認定を急ぐ理由は何かに御答弁申し上げます。  今般、路線の認定を区議会にお諮りする五件につきましては、平成二十六年二月二十八日に都市計画道路事業の認可を受け、既に事業に着手している路線でございますので、今後整備される道路の管理を世田谷区が担うことを明確にするために議案としてお諮りするものでございます。このことは用地買収等に御協力いただく地権者の皆様の生活再建を支障なく進めるために必要であると認識しているところでございます。また、道路の供用開始をするまでの間、用地買収等で取得させていただいた道路予定地を適正に維持管理するためにも必要な手続であると考えております。こうしたことから事業認可を得た後、速やかに道路の路線の認定をお諮りしているものでございます。  次に、今回の道路認定は大場区長のときよりも、熊本区長のときよりも急ぐ認定となっている、連続立体交差事業の見直しをするつもりがないかとの御質問がございました。  このたび区議会にお諮りしている路線の認定案件は、いずれも道路法の規定に基づきまして、これから整備する道路を世田谷区が道路管理者として管理を担っていくために必要な手続と考えております。連続立体交差事業に伴う側道や鉄道と交差する道路、連続立体交差事業を契機とした駅前広場の整備などは交通結節機能の向上や防災機能の強化、さらなる町の魅力の創出などに必要なものであり、区といたしましては、関係者の皆様の御理解と御協力が得られるよう努めながら取り組んでいるところでございます。  次に、京王線連立事業を含め、一連の連続立体交差事業問題への見解についての御質問がございました。  京王線連続立体交差事業において沿線住民により訴訟提起されたことは、新聞報道等でも確認しております。また、その後に事業認可取り消し訴訟となった旨の情報も得ております。連続立体交差事業は踏切による交通渋滞や踏切事故、鉄道による地域分断、緊急車両や歩行者等の交通の阻害など多くの課題の解決につながるなど、区民の長年の悲願を実現するものと認識しております。また、京王線沿線では南北方向の都市計画道路の整備がおくれていることから、区では都市計画道路補助第一五四号線と補助第二一六号線を優先整備路線に位置づけ、京王線連続立体交差事業に合わせた都市計画道路の整備に取り組んでいるところでございます。したがいまして、今回区議会にお諮りする道路の路線認定五件につきましては、都市計画事業の認可を受け、既に事業に着手している路線であり、今後整備される道路の管理を世田谷区が担うことを明確にするために御提案したものでございます。  最後に、今回の一連の道路認定は拙速であり、撤回されるべきであるとのことにつきましてお答え申し上げます。  繰り返しの御答弁になりますが、京王線の連続立体交差事業は交通渋滞や踏切の事故、地域分断など多くの課題の解決につながる区民の悲願であると認識しているところでございます。そして、京王線沿線で整備がおくれている南北方向の都市計画道路の整備につきましても、京王線連続立体交差事業にあわせ取り組んでいるところでございます。区といたしましては、今後事業を進めるに当たりまして、道路整備や駅前広場整備と重複する地権者の皆様の負担を軽減するためにも、御提案を申し上げている今回の路線の認定は必要なものと考えてございます。  以上でございます。 ◆二十四番(木下泰之 議員) 区長に聞いたんですけれどもね。今回こういう形での質疑は初めてのことなんです。今回質疑をしたのは、区長がいるからこそ質問通告もして、区長に対しても聞いているのに、なぜ区長が答えないんですか。区長、答えてくださいよ。    〔板垣副区長登壇〕 ◎板垣 副区長 先ほど……。
    山口ひろひさ 議長 以上で木下泰之議員の質疑は終わりました。  これで提案理由の説明に対する質疑を終わります。  本五件を都市整備委員会に付託いたします。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、 △日程第十六を上程いたします。  〔小湊次長朗読〕  日程第十六 議員提出議案第三号 解釈改憲による集団的自衛権行使容認を行わないよう求める意見書 ○山口ひろひさ 議長 本件に関し、提案理由の説明を求めます。  なお、提案理由の説明についての発言時間は、議事の都合により十分以内といたします。  二十三番唐沢としみ議員。    〔二十三番唐沢としみ議員登壇〕(拍手) ◎二十三番(唐沢としみ 議員) 議員提出議案第三号「解釈改憲による集団的自衛権行使容認を行わないよう求める意見書」の提案理由を、提案者を代表し申し上げます。  これまで政府は、集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利であることから、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するために必要最小限度の範囲にとどめるべきものであると解し、集団的自衛権行使を行使することはその範囲を超えるものであって、憲法上許されないとしてきました。しかし、安倍政権は、これまでの政府見解を無視し、憲法の解釈を変えることにより、集団的自衛権の行使を可能にしようとしています。  近代国家において国家権力は憲法によって拘束されるべきものであるとする、いわゆる立憲主義が広く採用されています。憲法は、政治権力が平和、自由と民主主義、基本的人権を侵すことがないように、国民主権の立場に立って権力を縛ることに本質的役割があるものです。  よって、現政権である安倍政権が、従来の国会議論の積み重ねを覆し、閣議決定で憲法解釈を変更しようとしていることは、憲法を軽視し、立憲主義を否定する以外の何物でもありません。だからこそ、立憲主義を守る立場から、集団的自衛権の行使を容認する解釈改憲を行わないよう、世田谷区議会として政府に対し強く要望すべきであると考えます。  政治の場に身を置く者として、立憲主義の否定を決して許してはなりません。現政権に対し、世田谷区議会から解釈改憲による集団的自衛権行使容認に反対する意見書を提出すべきと考えるわけです。皆さんの賛同をお願いするものであります。  以上で提案理由の説明といたします。(拍手) ○山口ひろひさ 議長 以上で提案理由の説明は終わりました。  ここで、委員会付託の省略についてお諮りいたします。  本件は、会議規則第三十八条第三項の規定により、委員会付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○山口ひろひさ 議長 御異議なしと認めます。よって本件は委員会付託を省略することに決定いたしました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 これより意見に入ります。  なお、意見についての発言時間は、議事の都合により一人十分以内といたします。  発言通告に基づき、順次発言を許します。  六番すえおか雅之議員。    〔六番すえおか雅之議員登壇〕 ◆六番(すえおか雅之 議員) 本件意見書は、解釈改憲による集団的自衛権行使を行わないことを要望するものです。私は、本件意見書に反対します。以下理由を述べます。  まず、集団的安全保障の中で、集団的自衛権を認める必要性について述べます。  集団的自衛権を認める必要性があるのか。現在の国際状況を見ると必要性は高いと思います。日本周辺の安保環境は厳しさを増しています。北朝鮮は、昨年十二月に弾道弾ミサイルの発射実験を行い、米本土まで射程におさめる技術を持ちつつあることを誇示しています。ことしの三月には、朝鮮戦争の休戦協定を白紙に戻すと宣言し、周辺諸国を威嚇しております。きょうの朝刊には、東シナ海上空を中国軍機がまた自衛隊機に異常接近したとありました。  このような国際状況のもとで一国が自国の存立と安全を維持するためには、国連憲章にあるように、集団的安全保障体制を構築する、そして国連軍が来るまでの間、個別的自衛権のほか、集団的自衛権の行使が必要不可欠です。日本は一国のみで自国の独立と安全を保持できる国ではありません。よって集団的自衛権を認める必要性はあります。  では、現憲法下において集団的自衛権を行使できるのか。この点につき意見書は、閣議決定で憲法解釈を変更することは立憲主義の否定であるので、集団的自衛権を容認する解釈改憲に反対するというものです。しかし、政府が憲法解釈を見直しすることは必ずしも禁止しているわけではありません。例えば憲法六十六条の文民の解釈は変更されました。従来、軍国主義思想の持ち主でなければ文民とみなし、現役自衛官も文民足り得るとしておりましたが、政府は、武力組織の中に職業上の地位を占めていない者と解釈を変更し、現役自衛官を文民から外しました。この際、憲法改正手続はとっておりません。これは憲法の枠の中での解釈変更だからであり、全く立憲主義に反するものではありません。  自衛権についてもそうです。憲法制定当時、政府は、憲法第九条二項により自衛権を行使する手段が物的、法的にないため、侵略に対し、自衛権が行使できないと解釈をし、自衛権の行使は否定されるとしました。これを受けて、自民党の吉田茂総理は、侵略戦争のみならず、自衛戦争もできないと答弁しました。これに対して、何と共産党の野坂議員は、戦争には侵略戦争と正しい戦争があり、正しい戦争、すなわち自衛戦争は認めるべき旨の質問をして、政府の解釈を批判しています。自民党と共産党、どっちが一体保守かわからない時代もありました。  その後、内閣の憲法解釈は変遷をし、自衛権はある、それから個別的自衛権だけある、さらに在日米軍を守ることもできる、そして自衛権行使は必要最小限だ、さらには、集団的自衛権は行使できないとの六段階にわたって解釈を変更してきました。憲法解釈は変更できます。憲法の枠の中であればその必要性があり、法的な説明が可能であることを条件として、憲法解釈は改正手続を踏まなくても可能です。  必要性は冒頭で述べました。そこで、法的な説明が可能か、具体的には集団的自衛権は行使できないとした憲法上の根拠は何かです。この点、当時、政府が集団的自衛権を行使できないとした根拠は、自衛権の行使は必要最小限にとどまるとし、集団的自衛権は必要最小限を超えるからだと言いました。しかし、首相の参議院本会議における公式答弁にもあるように、必要最小限に関する基準も世界の情勢により移動します。必要最小限という枠は移動するのです。  私は、最高裁の今までの判例を検討した結果、集団的自衛権は行使できないとした憲法上の根拠はないと考えています。砂川事件最高裁判決は、九条により我が国が主権として持つ固有の自衛権は何ら否定されるものでないと明言しています。  最高裁は、憲法九条があるからといって、我が国が主権として持つ固有の自衛権は認められると指摘しているのです。そしてその判決の中で、我が国は、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然とし、我が国の平和と安全を維持するための安全保障であれば、その目的を達するにふさわしい方式、または手段である限り、国際情勢の実情に即応して適当と認められるものを選ぶことはできるとしています。すなわち、平和と安全を維持し、国家の存立を全うするためであるなら、必要な措置をとり得るのです。個別的自衛権がよくて、集団的自衛権がだめとカテゴリカルに決まっているわけではありません。  集団的自衛権といってもさまざまな段階があるのです。結局は、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置か否かがポイントであり、その措置であれば、個別的自衛権でも、集団的自衛権でも行使できるし、そうでなければ行使できないのです。しかも、最高裁は必要な自衛のための措置は国際情勢によって変わるとまで言っています。逆に問いたいくらいです。集団的自衛権を認められないとする憲法上の根拠は何なのだと。後から壇上に上がる方は、この点を明確にしてほしい。  もっとも、確かに憲法解釈を時の内閣が安易に変更するということは極めて危険です。これは意見書賛成の立場の方々が最も心配していることだと思います。実際、明治憲法十一条につき、統帥権の解釈を軍部が乱用しました。その結果、太平洋戦争や日中戦争の拡大を生んだと私は考えています。憲法解釈を時々の内閣が安易に変更することは決して許してはなりません。  この意味で行使の限界は、国家安全保障に関する基本法を制定し明確にする必要があると考えています。さらには、事前もしくは事後に国家の承認を必要とすべきです。仮に集団的自衛権が行使可能でも、国会が拒否できるようにする。例えばアメリカやイギリスの議会のように。このような具体的な手続のもと、集団的自衛権の行使が、何ができ何ができないかを明確にするべきです。  要するに、日本は自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な措置をとることはあり得ると言いたいのです。ただ、憲法解釈を時々の内閣が安易に変更することは極めて危険だから、基本法の制定や国会の承認等の歯どめをかけて、できることとできないことを明確にする、それが平和を維持する最善の方法だと言っているのです。  最後に、去年、富士の自衛隊総合演習を見に行きましたが、あいた口が塞がりませんでした。近代兵器の破壊力のすさまじさ、戦争は人間がやるものではないとつくづく思います。  国連憲章は、国際紛争を解決する手段としての侵略戦争を認めていません。日本国憲法も当然禁止しています。問題は、ならず者国家が侵略してきた場合に、個別的自衛権しか行使できないのか、それとも集団的自衛権も行使できるのかです。私は、判断のポイントは、いずれの方法が自国の平和と安全を維持し、国家としての存立を全うすることができるかだと思います。国際情勢を見て、冷厳に現実を直視したなら、ならず者国家の侵略を防ぐには、集団的自衛権の行使まで認めることが日本の平和を維持する方法だと思います。  以上の理由より、本件意見書に反対します。(拍手) ○山口ひろひさ 議長 以上ですえおか雅之議員の意見は終わりました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、二十四番木下泰之議員。    〔二十四番木下泰之議員登壇〕(拍手) ◆二十四番(木下泰之 議員) 上程されました「解釈改憲による集団的自衛権行使容認を行わないよう求める意見書」につき、賛成の立場で討論を行います。  安倍政権は、歴代政権が積み重ねてきた九条の解釈を変え、同盟国のために戦える集団的自衛権の行使容認へ突き進もうとしております。戦争の放棄を規定した憲法九条は次のように規定されております。「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」、この憲法規定にもかかわらず、個別的自衛権は認められるとして保安隊は結成され、自衛隊に改組され、現在に至っては世界有数の武装力を日本は保持するようになっております。このこと自体許しがたい問題ではありますが、歴代政府も、この自衛隊が日本を防衛するために個別的自衛権を行使することはできるとしても、集団的自衛権を行使できるとはさすがに解釈してまいりませんでした。  集団的自衛権行使を一たび認めてしまえば、安全保障を結んだ国、具体的に言えば、米国が行う軍事行動に加担し、ひいては戦争をする国家となってしまう道を開くことになります。地球の裏側でアメリカが戦争を起こしたときに、それに加担する、そういったことにさえなりかねません。例えばイラク戦争も、先ほどならず者国家というようなことがありましたけれども、それに加担して、後でそれが間違いであるということになっても、それに加担してしまう。そういったこともあり得るわけであります。  我が国の憲法は、悲惨な二次大戦での日本の敗戦の結果、生まれました。日本はポツダム宣言を受諾することによって、旧来の軍事国家から決別し、戦争と戦力を放棄する宣言を持った世界に類いない憲法を持つ国として出発いたしました。広島、長崎に原爆を落とされ、戦に敗れ、この憲法を受け入れることから日本は新生し、廃墟からの復興を遂げました。  日本の戦没者だけでも三百十万人、第二次世界大戦における連合国、枢軸国及び中立国の軍人、民間人の被害者数の総数は五千万から八千万人とされ、当時の世界の人口の二・五%以上が被害者となったわけであります。戦争を廃絶しようという積極的意思の込められたこの憲法は、このとうとい犠牲者のしかばねの上に打ち立てられていると言えましょう。その歴史的事実を忘れてはなりません。  戦後の世界は冷戦対立があり、核熱戦争の危機を経験してまいりましたし、冷戦後も諸国間の対立があることも事実であります。極東もいろいろな紛争があることも事実であります。しかしながら、この間、日本は国家として、ただの一人も他国の人々を軍隊を使って傷つけることはありませんでした。この事実こそ誇るべきことであって、このことが国の外交や通商の基礎となってきたのであり、日本の発展の基礎ともなってきたことを肝に銘ずるべきであります。戦前への回帰は日本衰退の道であります。  今、教育問題でも何でも、戦前を懐かしむような感じが非常に出てきております。安倍首相の言動を見ても、非常に復古的なものを感じます。非常に危険だと思います。  恒久平和について論じました哲学者のカントは、真に民主的な国は必然的に平和を愛好し、逆にまた平和国家であるためには、まず民主国家でなければならないというふうに言っております。  上程された意見書にありますように、近代国家においては、国家権力は憲法によって拘束されるべきであるという立憲主義が採用されているのであり、選挙で一時的に多数派を握ったからといって、閣議決定で憲法解釈を百八十度変更するなどということは、憲法を軽視し、立憲主義を否定することにほかなりません。  今回の意見書を読めばおわかりと思いますが、意見書の主張は、護憲派、改憲派とも賛成できる内容となっております。つまり、先ほど集団的自衛権に賛成だという方がいましたけれども、そうであるならば、憲法改正してからなさればよい。私は反対しますよ。それから、国民の多くは反対するでしょう。しかし、そのことが非常にできないという、そういう現時点の要請から解釈改憲でいこうという形にしていくこと自体が、非常に間違っているというふうに思います。  気になることがあります。議運であらかじめ今回の意見書の賛否表が配られましたが、現内閣に属しながら、集団的自衛権容認に抵抗を続けているはずの公明党の所属議員が否決の態度を表明しているということであります。戦前弾圧された経験もあるでしょう。これは公明党さんではなくて、その友誼団体といいますか、非常に近しい関係にある創価学会の方でございますが、そういった経験をお持ちの方々が結成されて、今政教分離ということでおやりになっていますけれども、庶民を代表する平和の党として存立してきたこの党が、平和や正義に基づいて、やはりこの問題については厳しい態度をきちっととる、そのことを地方議会でも貫いていただきたい。そういうふうに思うわけです。飯島内閣参与のおどしに負けてはいけませんよ。いいですか。公明党さんに今大きな一つの(「外野から言われたくないね」と呼ぶ者あり)鍵があるんですよ。外野から言われたくないんだったら、ここできちっと意見表明をすればいいじゃないか、そういうふうに思います。  以上、解釈改憲による集団的自衛権を行わないように求める意見書への賛成討論とするわけですけれども、立憲主義について一言申し上げておきます。立憲主義を否定するということは、法治主義の否定でもあります。そして、まさに民主主義の否定ということになります。今こういった解釈をどんどん変えてしまう、そういったことによって政治が信用されなくなっている。選挙公約を平気で破る、そういったことも通常のことのようになっております。世田谷区議会も、ある意味では世田谷区政も非常に不信感を持って見られる、そういった状況になる。これはやはり政治がきちっと語った言葉に責任を持つ、そういったことが必要だというふうに思います。  今回の立憲主義を踏み外すようなこの行為は、恐らく日本の政治を非常に悪くしていくでしょう。そんなことを許してはなりません。ぜひ今回反対の意見を表明している方も、今行われているのはまさに討論でございますから、ぜひ考え直していただいて、態度を改めていただきたい。そのことをお願いいたしまして、賛成討論といたします。(拍手) ○山口ひろひさ 議長 以上で木下泰之議員の意見は終わりました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、四十三番中里光夫議員。    〔四十三番中里光夫議員登壇〕(拍手) ◆四十三番(中里光夫 議員) 日本共産党世田谷区議団を代表して、議員提出議案第三号「解釈改憲による集団的自衛権行使容認を行わないよう求める意見書」に対し、賛成の立場から討論に参加します。  安倍首相と自民党は、今国会の会期中にも閣議決定による集団的自衛権行使容認の解釈改憲を強行しようとしています。  集団的自衛権を行使するとは、日本が武力攻撃を受けていないのに、他国のために武力行使を行うことです。自衛という名前がついていますが、日本の国の自衛とは全く違うものです。その行使を容認するということは、海外で戦争をしてはならないという憲法上の歯どめをなくすことです。  集団的自衛権の行使が問題となった具体的事例は、ならず者国家と言われたイラクに対するイラク戦争です。アメリカが主導したイラク戦争に日本は自衛隊を派遣しました。この派遣の根拠となった特別措置法では、武力行使をしてはならない、戦闘地域に行ってはならないと歯どめが明記されていました。補給やインフラ整備の任務につきましたが、自衛隊は戦争に巻き込まれることなく、一人の死者も出しませんでした。同じ補給活動でも、こうした歯どめのないNATO諸国は、集団的自衛権の行使として参加し、戦闘に巻き込まれ、多くの戦死者を出しました。当時のアメリカ高官が、日本が集団的自衛権行使を認めていれば派兵要請したと思うと証言しています。集団的自衛権の行使を認めれば、武力行使しない、戦闘地域へ行かないという歯どめがなくなり、自衛隊も戦争に巻き込まれるのではないでしょうか。  衆議院予算委員会での日本共産党の質問に、安倍首相は二つの歯どめを残すとは言いませんでした。自衛隊の活動を拡大し、自衛隊が戦闘地域まで行き、武力行使を行うことがあり得るということです。集団的自衛権の行使を容認すれば、イラク戦争のような戦争が起こったときに、これまでの歯どめを外して自衛隊を戦地に送り、日本を海外で戦争する国にしてしまうということです。日本の国のあり方を百八十度転換するものであり、日本共産党は絶対に認めることはできません。  安倍政権が行おうとしている閣議決定による解釈改憲は、日本のあり方を百八十度転換する大問題を、国民の意思を直接問う手続を経ることもなく、内閣の判断で変えてしまうということです。これは立憲主義をないがしろにした暴挙です。  近代憲法は、アメリカの独立宣言、フランス革命の人権宣言から始まりました。権力を縛り、人権を守る立憲主義は、今では近代国家共有の価値観です。  日本国憲法は最高法規であり、国務大臣等に対し憲法尊重擁護義務を課しています。これは、国家権力は憲法によって拘束されるという立憲主義に基づくものです。憲法の解釈は、国の最高機関である国会での議論の積み重ねや最高裁判所の判断からつくり上げられたものです。これを無視し、閣議決定で内閣が勝手にその解釈を変えてしまったのでは、時の権力が憲法の縛りは受けないと宣言するようなものです。憲法を軽視し、立憲主義を否定する解釈改憲は到底認めることはできません。  安倍政権の暴走に対し、解釈改憲をやめさせようという世論と運動が急速に広がっています。全国各地でデモや集会が行われています。九日には、集団的自衛権行使容認の解釈改憲に反対する学者らが結成した立憲デモクラシーの会が国会内で記者会見しました。呼びかけ人は、憲法学者、政治学者など六十七人となり、賛同者も約千人に達しています。会見で、千葉眞国際基督教大学教授は、国民安保法制懇、九条の会、その他の市民団体、人権団体、平和団体と一緒に連携して声を上げるべき決定的な時期に入ったなどと訴えました。改憲論者でもある小林節慶應大学名誉教授も、解釈改憲は憲法に管理されている内閣が決めることではないと厳しく批判しました。与党の中からも、自民党有力者の古賀誠氏、加藤紘一氏、野中広務氏などがしんぶん赤旗に登場し、立憲主義を守るべきだとインタビューに答え、発言しています。マスコミ各紙の世論調査でも、国民の多数が集団的自衛権行使の解釈改憲に反対を表明しています。  日本共産党は、多くの国民、党派を超えた共同で解釈改憲による集団的自衛権行使容認反対のために奮闘することを改めて表明します。  今回提案されている意見書は、憲法改正に対する意見の違いを超えて、立憲主義を尊重し、解釈改憲に反対するという点で一致できるものです。この一点で力を合わせようと、七日、超党派の区議会議員有志が経堂駅で解釈改憲反対の街頭アピール行動を行いました。多くの区民が話を聞いて、私たちに激励の声をかけてくださいました。  同僚議員の皆さん、ぜひこの意見書に賛成し、世田谷区議会から解釈改憲反対の声を上げていこうではありませんか。  以上、賛成討論といたします。(拍手) ○山口ひろひさ 議長 以上で中里光夫議員の意見は終わりました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、二十二番桜井純子議員。    〔二十二番桜井純子議員登壇〕(拍手) ◆二十二番(桜井純子 議員) ただいま上程になりました議員提出議案第三号「解釈改憲による集団的自衛権行使容認を行わないよう求める意見書」について、生活者ネットワーク・社会民主党世田谷区議団を代表し、賛成の立場から意見を申し上げます。  本件は、政府に対して閣議決定で憲法解釈を変更することによって集団的自衛権行使を容認する手続を行わないよう意見書の提出を求めるものです。  そもそも集団的自衛権とは、日本と関係する国が他国の攻撃に遭った際に、日本の自衛隊が参戦することを認めるものです。すなわち、日本が何ら攻撃を受けなくとも、自衛隊が武力行使することを認める内容です。  集団的自衛権行使は、憲法上許されない、これが歴代政権の憲法解釈です。日本国憲法は、第九条において、紛争解決の手段のために武力行使を行わない、このことを全世界に宣言しました。したがって、日本政府は、日本国への直接の侵害、武力攻撃を受けた場合以外は武力行使を行うことはできないという考えを堅持してきました。ところが、安倍政権は、長年政府がとってきたこの考え方を覆そうとしています。しかも閣議決定で現行憲法の解釈を変更しようとしているのです。  日本は最高法規の憲法を基本に法律や条例などを制定して政治をつかさどる立憲主義国家です。憲法は、時の政府が政権の変更によってたやすく改正できない仕組みを第九十六条によって規定しています。憲法改正のための発議は、国会の衆参両院それぞれ三分の二以上の賛成がなければできません。さらに、改正手続は、国民投票によって二分の一の賛成がなければ行うことができない仕組みを憲法みずからが規定しているのです。  安倍首相はこの手続を行わずして、第九条について閣議決定で解釈の変更を行い、日本の自衛隊が参戦できる仕組みをつくろうとしているのです。これは憲法みずからが保障する改正手続を否定するばかりか、立憲主義そのものを否定するものです。  さて、日本の安全保障は、日本国憲法を柱に専守防衛に徹してきました。これは自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置という一九七二年に田中内閣が示した政府見解に基づくものであり、個別的自衛権は含まれるものの、集団的自衛権は行使できないという歴代政権の考え方が堅持されてきました。安倍首相は、七二年の政府見解さえも歪曲して解釈変更を行おうとしています。安倍首相の言う積極的平和主義の具体化とも言うべき特定秘密保護法制定、国家安全保障会議設置法、武器輸出三原則の緩和、そして集団的自衛権行使の容認という一連の国家安全保障戦略は、決して積極的平和主義と言えるものではなく、その危険性を改めて問題視しなければなりません。  一連の国家安全保障戦略の背景には、経済のグローバル化と中国の経済成長、中国、ロシアの経済協力があります。日本が中国を初め、アジア諸国での経済権益を高めるために、アメリカとの軍事協力を強化するというのが安倍首相の考え方であり、軍事力を背景にした経済進出は、かつて日本が戦争への道へと突き進んだ状況をも思い起こさせる内容です。さらに、武器輸出三原則の緩和の背景には、日本の軍事産業の要請があります。現在の自衛隊に売り込む武器は一兆六千億円の市場とされ、これが世界に売り込むことが可能になれば、四十兆円の市場に膨れ上がるとされています。  日本がとる道は、武器の輸出を緩和して、世界に武器を売り込むことではなく、紛争の防止や解決に向けた平和的な対応をとることです。  さて、一方で疑問にも答えておかなければなりません。日本諸国における個別課題では、朝鮮半島や東アジア情勢、尖閣諸島や海洋資源をめぐる緊張、マラッカ海峡における海賊の出没、日本が資源を輸入する際の公海上の安全確保などです。  さきに行われた日朝外交交渉では、拉致問題の解決に向けた対応などが再び確認されるなど、対話と交渉の重要性を改めて認識させました。さらに、この間の公海上や領土をめぐる安全対策では、挑発行為に乗ることなく、緊急避難、正当防衛の範囲での対応、警察官職務執行法に基づく海上保安庁を中心とした警察権の範囲で対応してきたことが衝突の拡大をもたらさなかったとも言えます。  日本は、外交政策において粘り強い対話と交渉による平和外交政策をとってきました。この考え方は、経済援助にも生かされ、経済開発援助、ODAの大綱においても、武力に頼らずに民生分野で協力し、影響力を高めていくとして、新興国の技術開発や経済協力を進めてきたのが特徴です。  今日本政府に求められているのは、閣議決定で集団的自衛権行使を容認することではありません。平和憲法に基づく粘り強い対話と交渉による外交政策を堅持することと、内需拡大型の国内経済をさらに安定したものにしていく経済政策をとり、福祉と社会保障、雇用の安定を重点課題として取り組む姿勢です。  立憲主義と真の意味での日本の平和を守るために、解釈改憲による集団的自衛権行使容認を見過ごすわけにはいきません。よって、世田谷区議会からこの意見書を提出するべきであり、その行動に大きな意義があるということを強く申し上げて、生活者ネットワーク・社会民主党世田谷区議団の賛成意見といたします。(拍手) ○山口ひろひさ 議長 以上で桜井純子議員の意見は終わりました。  これで意見を終わります。
     これより採決に入ります。採決は起立によって行います。  お諮りいたします。  本件を原案どおり可決することに賛成の方の起立を求めます。    〔賛成者起立〕 ○山口ひろひさ 議長 起立少数と認めます。よって議員提出議案第三号は否決いたしました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、 △日程第十七を上程いたします。  〔小湊次長朗読〕  日程第十七 請願の付託 ○山口ひろひさ 議長 受理いたしました請願は、請願文書表に掲げましたとおり、福祉保健委員会に付託いたします。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 以上をもちまして本日の日程は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十七分散会...