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平成25年  9月 決算特別委員会−10月02日-03号

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  1. 世田谷区議会 2013-10-02
    平成25年  9月 決算特別委員会−10月02日-03号


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    平成25年  9月 決算特別委員会−10月02日-03号平成25年 9月 決算特別委員会 平成二十五年決算特別委員会 決算特別委員会会議録第三号 日 時  平成二十五年十月二日(水曜日) 場 所  大会議室  出席委員(四十名)    委員長       石川征男    副委員長      福田妙美    副委員長      桃野よしふみ              あべ弘幸              上島よしもり              上山なおのり              下山芳男              新川勝二              畠山晋一              三井みほこ              山内 彰              和田秀壽              板井 斎              佐藤弘人
                 高久則男              高橋昭彦              津上仁志              平塚敬二              諸星養一              植田靖子              唐沢としみ              桜井純子              高岡じゅん子              てるや里美              桜井 稔              中里光夫              村田義則              風間ゆたか              中塚さちよ              中村公太朗              大庭正明              田中優子              木下泰之              小泉たま子              あべ力也              上川あや              ひうち優子              佐藤美樹              すえおか雅之              青空こうじ  出席事務局職員           議事担当係長 松見 径  出席説明員   副区長            板垣正幸   政策経営部   部長     宮崎健二           政策企画課長 小田桐庸文           計画担当課長 笹部昭博           財政課長   中村哲也           広報広聴課長 小澤弘美           情報政策課長 庄司秀人   基本構想・政策研究担当部           部長     田中文子           基本構想・政策研究担当課長                  望月敬行   地域行政担当部 部長     城倉 茂           地域行政担当課長                  太田一郎           共通番号制度準備担当課長                  淺見一雄   研修調査室   室長     堀川能男   総務部     部長     萩原賢一           総務課長   星 正彦           区政情報課長 淺野 康           人事課長   堀込章仁           職員厚生課長 山田 実           庁舎計画担当課長                  長岡光春   危機管理室   室長     阿部晃一           災害対策課長 有馬秀人           危機管理担当課長                  椿原一徳   財務部     部長     金澤博志           経理課長   笹本 修           課税課長   金澤眞二           納税課長   竹花 潔           用地課長   桐山孝義   施設営繕担当部 部長     渡辺正男           施設営繕第一課長                  市川雅万           施設営繕第二課長                  佐藤絵里           副参事    窪松泰幸   会計室     会計管理者  河合岳夫   選挙管理委員会事務局           局長     松田隆夫   監査事務局   局長     宮内孝男           次長     関 勝行     ──────────────────── 本日の会議に付した事件  認定第一号 平成二十四年度世田谷区一般会計歳入歳出決算認定  認定第二号 平成二十四年度世田谷区国民健康保険事業会計歳入歳出決算認定  認定第三号 平成二十四年度世田谷区後期高齢者医療会計歳入歳出決算認定  認定第四号 平成二十四年度世田谷区介護保険事業会計歳入歳出決算認定  認定第五号 平成二十四年度世田谷区中学校給食費会計歳入歳出決算認定企画総務委員会所管分に対する質疑)     ────────────────────     午前十時開議 ○石川征男 委員長 ただいまから決算特別委員会を開会いたします。     ──────────────────── ○石川征男 委員長 本日は、企画総務委員会所管分の決算審査を行います。  それでは、質疑に入ります。  公明党、どうぞ。 ◆福田妙美 委員 おはようございます。これより公明党の質問をしてまいります。  昨年の予算委員会で公共施設白書作成の提案をさせていただきました。それから、職員の方々の御尽力で、このたび世田谷区公共施設白書が作成されたことには一定の評価をいたします。白書作成により、各所管ごとに管理をしていた区内の公共施設の全体像を把握することができ、改築の時期を一斉に迎える公共施設整備の計画を立てる基礎データがそろったと言えます。  公共施設白書によりますと、平成二十五年度現在の区内の公共施設数は六百五施設、機能数は八百五十五施設、今後三十年間に築年数六十年を迎える施設数は二百八十一施設、全体の約四六%を占めます。今後、これら施設の改築、改修の経費を複数のシミュレーションで予測しても、年平均が百五十億円から百六十億円の経費がかかり、過去十年間の年平均九十億円に対して増大するとの予測がされています。  平成十九年度以降、区の収入の減少を補うための基金の取り崩しなどで財源不足の対応をしている状況から、今後、収入の大きな増加を見込んでの改築は財政的に難しいと考えます。  このように、公共施設の一斉改築にどう対応するかという課題は世田谷区特有の課題ではなく、全国の自治体の大きな課題となっています。  先日、公共施設の課題に対して、全国の最先端で取り組んでいる秦野市の取り組みを伺ってまいりました。秦野市の取り組みが注目されているのは、公共施設マネジメントが具体的な事業として実施されていることにあります。計画から実践に結びつけている理由には二つあります。これは実態の数字化とグラフ化で、誰でもわかる説明、これは公共施設白書の役割です。  もう一つがシンボル事業です。今回はこのシンボル事業については質問いたしませんが、この事業を進めることになった背景について触れていきたいと思います。  秦野市では、一斉に来る公共施設の更新に対して、施設総量の圧縮を進めるため、施設評価を行い、優先順位の低い施設から廃止をしようと試みてみました。しかし、それぞれの施設には利用者がいます。誰も納得する評価基準の設定は不可能で、声の大きな利用者の勝ちとなってしまう可能性がありました。そこで、より安い税の負担でより高いサービスを実現すると掲げるシンボル事業が大きな成果を出しています。事実を数字で示して、あるべき方向を明確に示すリアリティーだけでは、区民の心理としては単純な施設総量の抑制は受け入れがたいと思われます。  区民の方の御協力を得なければ、今後の施設整備を進めることは困難であります。施設整備に伴う負担感を施設の機能強化や利用者目線の利用のしやすさを担保し、以前より便利で快適と感じていただけることが重要と考えます。  世田谷区の公共施設白書には、今後の取り組みの方向性が五つ示されています。そのうちの二つについてお聞きしたいと思います。  まず一つ目は、合築複合化などにより必要な施設機能を維持しながら、施設総量の抑制です。区内の施設数六百五に対して複合施設は百四あります。昨年からことしに完成した新規の複合施設は、太子堂複合施設喜多見複合施設池尻複合施設の三施設があります。今後も複合化を進めていく世田谷区として、今後のこの複合施設の建設のための設計段階からの整備も必要と考えています。  施設営繕担当部において、平成二十四年五月に公共施設設計標準仕様書を策定されていますが、この目的についてお聞かせください。
    ◎佐藤 施設営繕第二課長 公共施設の複合化を基本とする方向が公共施設整備方針において示された中で、これまで用賀複合施設太子堂複合施設喜多見複合施設の整備を進めてまいりました。これらの施設の設計の過程においては、機能、仕様、品質及び建設コストなどについて、各複合施設間でいかに均衡を図っていくかということが大きな課題となりました。そのため、出張所・まちづくりセンター、地区会館、保育園、図書館といった複合化の対象となることの多い特定の用途について、施設として備えるべき一定の水準を確保し、施設ごとに質的な格差が生じないようにするため、技術的な設計指針として公共施設設計標準仕様書を作成いたしました。 ◆福田妙美 委員 ありがとうございます。この標準仕様書が策定されたことによって、均衡を図ったり、また効率化も含めて今後効果があるというふうに期待しておりますが、この公共施設整備の効率化も含めて、この標準仕様書の策定が今後、世田谷区の施設の整備にどのような期待ができるのかということで、標準仕様書を策定したことにより、実際にどのような効果があるというふうに想定していらっしゃいますか。  また、もし実際にこの標準仕様書を使用されての作業がもう行われていましたら、その現場での効果を教えてください。 ◎佐藤 施設営繕第二課長 実際の現場での効果ですが、公共施設設計標準仕様書を活用して設計を行った施設として、下馬複合施設がございます。策定当初の目的でありました施設としての一定水準の確保のほか、コスト削減、省エネ、さらには災害時を考慮した設計とするため、その手引として標準仕様書を活用することができました。  また、設計作業におきましては、各施設所管部、施設営繕担当部及び委託設計事務所との間で公共施設設計標準仕様書を踏まえ、円滑な協議を行うことができたため、効率的な作業につながったと考えております。 ◆福田妙美 委員 公共施設の設計仕様書による今後の効果の期待ができる部分もありますが、利用する側にとって使いやすい施設への整備が区民サービスであり、かつ施設利用率への向上へもつながっていけると考えます。区民の施設への要望は、施設建設の上で大切な声でもあります。  平成二十四年に喜多見複合施設、そして本年、太子堂複合施設が開設されました。リニューアルしたこの施設を心をわくわくしながら見て歩いてみますと、あれと思う箇所が目に入ってきました。  喜多見の複合施設では、トイレの扉どまりというのがありますが、これは女性などは荷物をかけたりもいたしますけれども、このトイレの扉どまりが非常に高いところにありまして、要は扉の最上部に設置をされていたため、標準の身長の女性ではなかなか届きにくい。また、防犯上もそこにかけるというようなことに関しては少し控えたいという気持ちにもなりました。また、区民の方にもお伺いいたしましたら、やはりここの場所はほとんど高いので、荷物を置くにはこの補完された小さなフックを使うけれども、それは小さ過ぎて利用には余り十分ではないというお声が届きました。  また、太子堂複合施設では、出張所の窓口で区民サービスで設置されたはずの料金案内が、文字が小さく読み取りにくい状況で、読みにくければ情報提供には値しないと思います。現在は少々文字が大きくなったものに交換されたとはお伺いしておりますが、このように、区民の皆様が利用しやすい公共施設設備を今後進めていかなくてはいけないと思います。  喜多見複合施設太子堂複合施設は、既に区民の利用も多い公共施設となっていますが、一方で、公共施設設計標準仕様書には明記されていない施設の使い勝手に関する区民の要望についてはどのように対処をしていくのでしょうか。新しい施設の整備のときに生かされるような形で文章化して引き継げるようにしていくべきと考えますが、区としての見解をお聞かせください。 ◎佐藤 施設営繕第二課長 御指摘のとおり、実際に建設された施設のその後の検証は重要でございまして、利用者からの声など、社会ニーズに耳を傾け、必要に応じて柔軟に対応する必要があると考えております。  現在、施設営繕担当部では、施設の使い勝手などを向上させるための具体な留意事項、例えば階段に手すりをただ設けるだけではなく、握りやすいものにする工夫など、今後の設計工事を進める際の注意事項の事例集としてまとめ、情報システムを活用して職員で共有しているところでございます。  委員御指摘のトイレの使い勝手なども、こうした事例集や公共施設設計標準仕様書などの改訂の機会を捉えまして、関係所管部とも協議しながら反映させていきたいと考えております。  今後も、公共施設設計標準仕様書を基本といたしまして、施設利用者の目線に立った留意事項を蓄積しながら、安全で安心して利用できる施設の整備に努めてまいります。 ◆福田妙美 委員 区が取り組む方向性の二つ目の計画的予防保全、施設の長寿命化、跡地の有効活用などで既存施設などの有効活用という部分がありますが、そこについてお伺いいたします。  学校以外の庁舎や区民利用施設ライフコスト構成比を見ますと、全体の二五%を占める建設費とほぼ同じ二四%を占めるのが修繕費です。今後、計画的な予防保全の役割は大きいと考えます。建物の耐用年数が六十年から六十五年など長寿命化に対応するために、保全サイクルは十五年と一定の基準を定めて保全計画を進めていかれるとのことですが、個々の施設の劣化状況も見きわめながらの柔軟な修繕も必要かと思います。  区では、中長期保全計画を策定されていますけれども、この計画を推進していく上でどのような工夫がされているのかお聞かせください。 ◎市川 施設営繕第一課長 中長期保全計画は、施設ごとに作成された施設カルテに基づき、計画的に工事を行う改修計画として策定したものです。お話しの保全計画を進める上での工夫につきましては、まず施設の詳細な調査を実施し、工事箇所の精査や運営に係る各調整を行います。そして設計を行い、工事に着手するサイクルでの手順を踏み、円滑に工事が開始するように工夫しているところでございます。  また、施設数が多い中、短期間に施設カルテを作成するために、応援体制を組んで現況調査等を実施しましたが、今後、部内応援体制を組んで取り組んでまいります。  さらに、限られた予算の中で、工事部位を技術的な視点で見きわめ、財政所管と調整し、必要な計画の見直しを行いながら、安全で安定した施設整備に努めてまいります。 ◆福田妙美 委員 この中でも施設カルテという言葉が出てきましたが、施設カルテがやはり区内施設の保全、修繕の時期や優先を見きわめる重要な資料であることがわかります。今後、計画の推進を確実に適切に実施を進めていく上でも、各施設の施設カルテの管理は重要かと考えます。  現在、この施設カルテの管理状況はどうなっているのかお聞かせください。 ◎市川 施設営繕第一課長 施設カルテは、外壁や屋上防水、設備機器の安全性や施設の安定に係る影響の部分の劣化状況を把握するために、既に改修計画のある施設や簡易な施設、学校、住宅を除く区長部局の三百十五施設を対象として作成しております。中長期保全計画の推進において、施設カルテは改修時期を判断する上で重要な資料であり、その管理においては、施設の管理状況を最新に保つために、三年に一度を目途にカルテの更新を行い、また、施設営繕担当部で管理する施設経営情報システムと連携させたデータ管理を検討してまいります。 ◆福田妙美 委員 それでは、今この施設カルテというのが、やはりほかの情報とのリンクでさらに業務の効率化が進んでいくのではないかというふうに考えますけれども、そこの工夫について、今後どのようにお考えかお聞かせください。 ◎市川 施設営繕第一課長 その管理につきましては、施設の管理の状況を最新に保つために、先ほど言いましたとおり、三年に一度を目途にカルテの更新を行います。また、当部が管理しております施設経営情報システムと連動させてデータ化を進め、効率的な運用に努めてまいります。 ◆福田妙美 委員 次に、この公共施設白書の中にまた記載されていた内容なんですけれども、公共施設整備方針に基づき、施設運営の効率化を図るために、出張所・まちづくりセンターあんしんすこやかセンターの一体化整備を図っていくとされておりました。区は防災の観点からも出張所・まちづくりセンター単位を基準に、現在はこの地域の力、要は地区力の強化を進めていこうというふうに今行っております。今後、災害時の要援護者支援も含めて、出張所・まちづくりセンターが大きな役割を果たすというふうに考えます。  災害時における出張所・まちづくりセンターの役割について区の認識をお伺いいたします。 ◎有馬 災害対策課長 災害時の出張所・まちづくりセンターにおける役割についてでございますが、災害時には拠点隊として災害対策の本部の最前線に当たって地区の情報収集を担います。拠点隊が各地区で収集した情報は各地域本部で整理、集約され、最終的に区全体の状況として統合することになります。また、出張所・まちづくりセンターは、避難所や地区の住民などから寄せられる災害状況の調査及び情報収集の役割もございます。区の災害対策本部がその役割を果たすためには、地区、地域での詳細な状況を把握することが基本になります。  あわせて、災害時要援護者における出張所・まちづくりセンターの役割についてでございますが、災害時要援護者のリストは、出張所・まちづくりセンターに配備されており、協定を締結した町会・自治会からの安否確認情報を出張所・まちづくりセンターに集約し、リストのチェック等により安否確認を行います。また、介護事業者等が確認した安否確認情報が最寄りにある出張所・まちづくりセンターに持ち込まれた場合には、受け付けた情報を災害時要援護者の安否確認の役割を担う管轄の総合支所に情報提供することになります。  出張所・まちづくりセンターは、災害時における情報収集や安否情報の収集などを行うこととなっておりますが、災害時要援護者支援においても重要な役割を担うことになっておりますので、引き続き庁内関係課や関係機関等と連携を図ってまいります。 ◆福田妙美 委員 今の御答弁の中にもありましたが、この出張所とまちづくりセンターがやはり情報の収集ということもありますが、要援護者の支援ということでも、このリストが出張所やまちづくりセンターに配備されているということも考えていきますと、紙ベースで情報の収集なども行うとは思えませんし、そうしますと、この出張所やまちづくりセンターの役割としても、電力の確保というのが十分でないといけないのではないかというふうに思いますけれども、この電力の確保について、区の見解をお聞かせください。 ◎有馬 災害対策課長 先ほど申し上げました拠点隊の役割、情報収集機能を果たすために、出張所・まちづくりセンターにはポータブルの非常用発電機を初め、活動に必要な資機材を備蓄しております。拠点隊の活動に必要な電力については、今後、職員行動マニュアルの見直しを行う中で、例えば災害時要援護者の安否確認作業で、パソコン等での情報機器の運用をさらに検討することもあろうかと存じますので、そうした業務手順の見直しとあわせて、新たな発電機の配備等を検討してまいりたいと考えております。 ◆福田妙美 委員 私がこの質問をする実は一つのきっかけともなったのが、新しい複合施設に太陽光パネルは設置してあったんですけれども、蓄電はできないという状況で、これではやはり万が一の場合には夜間のときの対応も難しいのではないかなということも思いまして、今後の新しい複合施設の整備にも伴う中で、こういった観点も入れながら整備を進めていただきたいというふうに思います。  以上で私からの質問を終わり、平塚委員にかわります。 ◆平塚敬二 委員 それでは、私からは、まず情報のバリアフリーについて、今回は特にホームページユニバーサルデザインについて伺います。  世田谷区は、昨年の平成二十四年八月二十六日にホームページの管理システムの入れかえを含む全面リニューアルを実施いたしました。その際には、世田谷区視覚情報のユニバーサルデザインガイドライン第三章、ホームページにおけるユニバーサルデザインにあるように、記載内容の表現の基準として、より多くの方へ誰もが使いやすい形でいつでも情報提供できるホームページを目指し、文字主体の表現を行うことにより、アクセシビリティー、誰でもどんな環境でも情報が正確に伝わることの配慮やホームページ読み上げソフトに対応した設計、小さい画面の機器や最新でない情報機器でも利用しやすいような取り組みが行われたものと考えます。  また、区では、ユニバーサルデザイン推進計画の中で、視覚障害者の方が情報を入手するために有効な機器類の普及を位置づけており、ホームページ全面リニューアルに際しては音声読み上げ機能を付加されました。しかし、区内の視覚障害をお持ちの方から、世田谷区のホームページはPDFの添付が多く、ホームページ読み上げソフトに対応した設計とはなっていないとの指摘をいただきました。理由をお聞きしますと、視覚障害をお持ちの方はもともと音声入力のパソコンをお持ちで、読み上げソフトは入っているので、PDFではなくとテキストファイルでないと読み上げられないということでございました。  そこでお聞きしますが、区ではこの現状を把握していますか、お答えください。 ◎小澤 広報広聴課長 リニューアル後のページ作成ではユニバーサルデザインに配慮しており、その一環として音声読み上げ機能を導入いたしました。その際、テキスト認識できないPDFファイルでは、データの変換が技術的に対応できず、音声読み上げ機能に対応できないことを把握しております。音声読み上げ機能に対応し、誰もが利用しやすいページが作成できるよう、世田谷区公式ホームページ作成ガイドライン代替テキストファイルの掲載や文字の表記方法など、具体的な対応を掲載し、庁内に周知しているところでございます。  現在、新ホームページの運営が一年を過ぎたところですが、ホームページをごらんいただいている方からの御指摘により、一部音声読み上げ機能に対応できていないデータがあることを承知しております。 ◆平塚敬二 委員 把握しているということなんですけれども、このホームページ全面リニューアルに際しては、アクセシビリティーの規格を満たした各所管のページが作成されると聞いていました。対応がおくれているのはなぜでしょうか。  そこでお聞きしますが、各所管のページ作成に当たっては、職員へのアクセシビリティー規格を満たしたページ作成意識の徹底や作成能力の向上が重要な課題ではないでしょうか。今後、区はどのように取り組むのか見解をお聞かせください。 ◎小澤 広報広聴課長 ホームページの運営を適切に行い、誰もが使いやすく正確に情報を伝えるためには、職員がユニバーサルデザインに配慮されたページの作成の必要性を理解し、実施することが重要であると認識しております。  そこで、各種機能を効果的に活用したページ作成に向け、世田谷区ホームページ運用方針を定め、考え方を示すとともに、具体的な対応方法や注意事項を取りまとめ、職員に周知してまいりました。また、その内容を庁内イントラネットに掲載し、いつでも確認できる環境を整備しております。さらに、全所管課を対象にした研修を実施しまして、職員への意識啓発や具体的な操作方法を指導するなどの取り組みを進めております。  今後とも、研修の機会や庁内報などを活用し、職員への周知を徹底するとともに、適切な運営に努めてまいります。 ◆平塚敬二 委員 各所管への徹底をよろしくお願いいたします。  さらに申し上げますと、このホームページを所管している広報広聴課が発行している「せたがや便利帳」や区民意識調査においても、ホームページにおいてはPDFファイルの添付のみで、もともとの読み上げソフトには対応されていません。「せたがや便利帳」は障害者の方の情報も多く、区民からの評判もいいですし、区民意識調査は最新の情報がわかることから、視覚障害者の方からは、読み上げソフトの対応を早くするようにとの御要望がありました。  そこで伺いますが、今後、ホームページを所管している部門として、「せたがや便利帳」や区民意識調査の掲載においては、ホームページアクセシビリティー規格を満たす取り組みを示して、全庁のお手本になるような取り組みを進めるべきと考えますが、区の見解をお聞きします。 ◎小澤 広報広聴課長 現在、「せたがや便利帳」や区民意識調査につきましては、音声読み上げ機能に対応しておりません。内容についてのお問い合わせにつきましては、広報広聴課に御連絡いただくよう御案内しているところです。  音声読み上げ機能に対応するためには、地図や図表など、文字で表現しにくいため、テキスト化への対応が難しい部分もありますが、どの部分を音声対応読み上げ機能に対応できるのか検討を進めまして、ホームページから情報を入手できる環境に改善してまいります。 ◆平塚敬二 委員 早期の対応をよろしくお願いします。  次に、地域の防災力の向上に向けて、地域防災リーダーと防災士の活用についてお伺いをいたします。  まず、地域防災リーダーについて、世田谷区実施計画、世田谷区行政経営改革計画の中で、災害に強いまちづくり、地域防災力の強化を見ますと、平成二十二年、二十三年には地域防災リーダー養成、活動の支援の項目がありますが、二十四年、二十五年には記載がありません。  そこで調べてみますと、区では地域防災リーダーを十七年、十八年、十九年と三年間にわたって約三百名を養成し、防災の知識や技術を身につけた地域防災リーダーをフォローアップ研修等で支援し、地元町会・自治会などにおける各種訓練などへの参加、協力を推進することを目指していました。しかし、一部の方を除いてなかなか地域に定着することが難しく、二十四年からは、地域防災リーダーのいない地域においては、町会・自治会推薦の方に防災士になっていただき、地域の各種訓練などへの参加、協力を推進しているそうです。ちなみに二十四年度には五名、本年度は三十八名の方に防災士となっていただく予定と聞いております。  防災士とは、NPO法人日本防災士機構による民間資格で、自助、共助、協働を原則として、かつ公助との連携充実に努め、社会のさまざまな場で減災と社会の防災力向上のための活動が期待され、さらにそのために十分な意識、知識、技能を有する者として認められた人のことであります。  世田谷区においては、養成された三百名の地域防災リーダーの中から約四十名の方が防災士となって世田谷支部をつくられております。また、現在も、地域防災リーダーに関しては、例年、各総合支所においてフォローアップ研修を行っており、百八十名程度が参加されていると聞いております。  そこで伺いますが、この地域防災リーダーと防災士との違いは何なんでしょうか。また、区にはもともとどのような目的を持って地域防災リーダーを養成したのか、また、今後どのように活用していくのか区の見解をお聞きします。 ◎有馬 災害対策課長 まず最初に、地域防災リーダーと防災士の違いでございますが、地域防災リーダーは、防災区民組織の推薦と一般公募で行い、防災士については、御指摘のとおり防災区民組織の推薦で行った違いでございます。受講している内容、目的、位置づけも同様でございます。  続いて、平成十七年から始めました地域防災リーダーの養成につきましては、災害に対する知識や対応力を高めていただき、地域の防災区民組織の中で災害発生時のみならず、平常時からの地域の災害対策の中心となっていただくことを目的に、平成十七年度から十九年度まで実施いたしました。  三カ年で養成した地域防災リーダーの中には、うまく地域で活動できていない方がいるのも事実です。一方、町会・自治会に加入している受講者については、各町会・自治会等の防災区民組織で避難所運営訓練において知識や技術を地域に還元していただいており、引き続き、避難所運営訓練に力を発揮いただけるよう、各総合支所のフォローアップ研修を通じて支援してまいります。  また、地域防災リーダーの中から、NPO法人日本防災士会世田谷支部を立ち上げ、地域での活動とあわせて区全体の防災意識の普及啓発活動を行っております。  現在、防災士会とは避難所運営について密に連携を図っておりますが、今後は、区全体の避難所運営訓練の指導助言を行っていただけるような体制づくりを検討してまいります。 ◆平塚敬二 委員 地域防災リーダーと防災士の役割は変わりはないということはわかりました。  私は、先日、地元の避難所運営訓練に参加いたしました。訓練の当日、区の職員の方も説明の中で強調していましたが、避難所の運営は、本部長である町会長を中心に開設をして、地域の住民の方々で運営することになります。つまり地域の皆さんの助け合いで運営していかなくてはなりません。  そこで、本部長を補佐する知識や技能を持った地域にお住まいの地域防災リーダーや防災士の力が必要になります。あくまでも地域で運営するわけですから、避難所のある地域にお住まいでなければ駆けつけることも、また協力することもできないと私は思っております。  そこでお伺いしますが、区内九十四カ所の避難所運営において、その地域にお住まいの地域防災リーダーや防災士の方々に協力いただくには、今後も平時の訓練において、町会・自治会の方との連携が重要ではないでしょうか。そこに向けて、今後、区の取り組みをお答えください。 ◎有馬 災害対策課長 平成十七年度から十九年度までに養成した地域防災リーダーの中で現在も活躍されている方々については、地域的に偏在しているのが実情です。このような状況を解消するため、平成二十四年度からは、避難所運営の核となる人材が不足している地域を中心に防災区民組織の推薦による防災士資格取得支援のための助成制度を実施しております。この制度により、今年度の申込者を合わせますと四十三名の防災士が誕生する予定となっており、以前に比べますと、防災リーダーあるいは防災士のいない避難所は減少してまいりました。しかし、依然として防災リーダーが不足しているため、引き続き防災士の養成に努めているところです。  さらに、今後、地域防災リーダーや防災士が災害時に避難所の運営を的確にサポートできるよう、防災訓練や避難所運営訓練に積極的に参加していただくことを初め、平時から防災区民組織と連携協力できるような体制づくりを検討してまいります。 ◆平塚敬二 委員 今後とも避難所運営訓練において、運営を的確にサポートする、今私も実際に参加してみて、かなり町会の方は高齢化されているので、そういうサポートする方がいないと避難所というのは運営できないと思うんです。そこに対してやっぱり体制づくりは区がしっかりとバックアップしていただいて、平時のときにそういう関係をきちっとつくっていただいた上で、有事にはしっかりと対応していただくようにしていただきたいということをお願いして、次に移りたいと思います。  次に、公契約における労働条件審査についてちょっとお伺いをいたします。  近年、官から民への流れの中で、公共サービスの公契約を通じた民間企業活用が積極的に進められています。また、平成十五年九月に施行された改正地方自治法により、新たに指定管理者制度が設けられ、地方自治体の業務を民間企業やNPOが受託する例がふえています。  指定管理者制度を導入した目的には、民間企業の持つノウハウを活用することによる住民サービスの向上と経費削減の二つが主に挙げられており、その点については一定の成果を上げていると考えます。しかし、一方で、公共サービス基本法では、公共サービスの実施に従事する者の労働環境の整備として、国及び地方公共団体は、安全かつ良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるようにするため、公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保、その他の労働環境の整備に関して必要な施策を講ずるよう努めるものとするとして、国及び地方自治体の責務を明確にしております。  また、総務省の自治行政局長通知によりますと、指定管理者制度の運用についてにおいても、指定管理者が労働法令を重視することは当然であり、指定管理者の選定に当たっても、指定管理者において労働法令の遵守や雇用・労働条件への適切な配慮がなされるよう留意することとしております。地方自治体における指定管理者の選定の際の留意事項としても示されているところです。  そこでお聞きしますが、現在、世田谷区ではどのような方法で指定管理者から労働者の適正な賃金、労働時間等の労働条件を確認しているのか伺います。 ◎小田桐 政策企画課長 指定管理者の施設の管理運営状況、こちらを定期的に把握、検証する中で、その結果を踏まえまして継続的に改善するということは重要だと区では認識しております。  現在、指定管理者から提出される事業報告書や現地調査、そういったものによりまして、各施設の所管課のほうで管理運営状況を定期的に把握、検証しているというのが今、指定管理制度に伴う実態でございます。  お話にございました労働条件につきましても、この中で適正な勤務体系が保たれているかということを確認してございまして、事業者みずからが適正な労働環境の保持、保全を意識していただくということの取り組みをしているというところでございます。 ◆平塚敬二 委員 現状では、そういう形で事業報告書や現地調査等を行っているということなんですけれども、課題があった場合は、指定管理者との間で協議をするということになっているということを聞いております。  板橋区では、平成二十年八月に指定管理者制度の導入施設のモニタリング・評価に関する基本方針を発表して、指定管理者制度導入施設について、効率的な運営やサービス水準の維持向上、利用者の安全対策など、当初の導入目的にのっとり、適切に運営されているかどうかモニタリングをして、客観的に評価、検証を行う取り組みを進めています。  この板橋区の方針には、財務状況及び労働条件の点検の項目が掲げられておりまして、モニタリングの評価を行う評価委員会を補完するため、財務状況及び労働条件の点検を外部の専門家に委託することが盛られています。具体的には、財務状況については、公認会計士、税理士、中小企業診断士のいずれかの資格を有する者に、労働条件については、社会保険労務士の資格を有する者に委託することが定められています。  こうしたモニタリングは、その後、千代田区、北区、新宿区でも導入され、いずれのケースも社会保険労務士による労働条件の点検が採用されています。  そこで伺いますが、世田谷区においても指定管理者から労働者の適正な賃金、労働時間等の労働条件を確認する際には、板橋区のように、専門家によるモニタリング機能が必要ではないかと考えますが、区の見解をお伺いします。 ◎小田桐 政策企画課長 板橋区における労働条件点検につきましては、指定管理者のもとで働く従業員等の労働条件が区民サービスの向上に向けて安定的、継続的に従事できる。公の施設の管理運営業務に責任の担える状況にあるかどうか、これらを確認することを目的に社会保険労務士による現地調査の点検です。各施設の指定機関の間で行っているというふうに聞いております。  指定管理者は、区民サービスに必要な履行能力を備えていることは当然のことですけれども、雇用主として適切な労働環境を確保するということも当然必要であると思います。指定管理者制度の運用に当たりましても、指定管理者としての一定の責任を踏まえまして、区として指定管理者のコンプライアンスの確認に関して、委員の御指摘を参考にさせていただいた上で、実効性が確保される手法について具体的な検討を進めることが必要であるというふうに考えております。 ◆平塚敬二 委員 この板橋の取り組みというのは、まさに指定管理者の話をうのみにするのではなくて、外部のモニタリングを入れて、直接労働者の話を聞くと、ここが一番重要だと思うんですよね。公共施設というのは、皆さん、区民の方から見ると、公共施設で実際に働いている方というのは区の役人だと思っているわけですよ。ではなくて、指定管理者にお願いしているわけですから、そこのしっかりとした労働条件を確保して働いていただかないと、問題もこれからは起きてくるのではないかというふうに考えますので、今後、この取り組みもしっかりと考えていただきながら進めていただきたいということをお願いして、佐藤(弘)委員にかわります。 ◆佐藤弘人 委員 今平塚委員が公契約の話をされましたけれども、私からは公契約条例についてお話をしたいと思います。  ことしの八月に公契約のあり方検討に関する報告書が公表されました。大きく内容は二つで、世田谷区の入札制度改革に対する意見と公契約条例に関する意見がまとめられておりまして、特に後段の公契約条例については、条例制定の意義があるということで締めくくられております。  何で公契約条例の制定に我が党も率先して当初から訴えていたかということを改めて確認をさせていただきますけれども、一般的には国際労働機関という、ILOという通称になっているこの機関が、世界的に公契約における労働条項に関する条約第九十四号らしいんですけれども、これが一九四九年に定められておりまして、ここは労働者の保護を確立した条項ということで、国とか地方自治体が民間の経営主体と契約するときは、そこで働く人々の賃金や労働条件などを最大限考慮しなければいけないというふうに定められているんです。ただ、日本は、このILOの条約にまだ批准をしておりません。  一方で、我が国の地方自治法第二百三十四条においては、この公契約のあり方というのは厳格に定められております。皆さんも御存じだと思いますけれども、入札における予定価格の制限の範囲内で公平をしっかり旨として実施せよと明記をされているんですけれども。  これは私の主観なんですが、私企業、大企業も含めて、中小、小規模、零細企業、その私たちの生活の中では、相手方と、例えばいわゆる何を、どこに、幾らで、いつまでにみたいなことで、そういう契約のもとで経済活動が成り立っているのが民間の中での一般的なやりとりなわけですけれども、その一方で、この公契約というのは、基本的には、国とか地方公共団体が一方的な条件を提示して、それでそのもとであなたたち民間企業の皆さん、しっかりできるのかできないのかやってくださいねというようなやり方になっていると。さらに、その条件のもとで一般競争入札なんかは誰もが参加できて、なおかつ最も安い金額で入札が決まってしまうと。  従来であれば、以前は指名競争入札とか、随意契約だとかいうのがあったりとかして、誰もがなかなか参加できないでいたのが、規制緩和になってこういう条件になったと。それはそれでいいんですが、それがいい方向に行かずに、悪循環になってしまって、結局、一方的な不公平な契約を締結せざるを得ないとか、よく言われる官製ワーキングプアみたいな問題が発生をしてしまって、地域の経済活動自体が疲弊をしてしまっていっているというようなことで、この入札制度の改革、私的には革命と思うんですけれども、していかなくちゃいけないと感じております。  話は戻りますけれども、今回、この公契約のあり方検討に関する報告書が発表されて、条例に対する意義についてはしっかりうたわれていますが、問題は、条例が制定された後、その実効性をどう伴っていけるのか、ここは大変重要で、理念だけでの条例が制定されても何の意味もありませんので、特にこの報告書の中にもうたわれているように、実効性を伴う報告書では、波及的価値をいかに生み出せるかという表現になっていますが、まずこの点について世田谷区としてどう考えているか、お考えを伺いたいと思います。 ◎笹本 経理課長 公契約のあり方検討委員会の報告で指摘されているとおり、いわゆる公契約条例については、法令や経済性、公正性などとの整合性を初め、さまざまな要素を慎重に検討する必要があると考えております。今後、区が仮に条例を制定するとすれば、区の契約の経済性や公平性、透明性等を高めつつ、事業者が地域に根差して継続的に発展し、かつ事業者によって雇用される下請も含めた労働者の労働環境の改善や納税者である区民の利益につながるような仕組みとする必要があると考えております。 ◆佐藤弘人 委員 それからもう一つ、今の答弁にはなかったんですけれども、実効性を担保するための一つの手法として、この報告書にもうたわれていますが、その効果とか、検証などを確保するための第三者委員会の設置についても指摘をされておりますが、この点についてはどうお考えでしょうか。 ◎笹本 経理課長 区では、現在、学識経験者で構成します入札監視委員会を設置しまして、公共工事等の入札及び契約手続における透明性や公正性について御審議をいただいております。仮に公契約条例を制定する場合には、この入札監視委員会を発展させまして、入札制度の運用等についても意見をいただける機関として位置づけをしていけたらよいというふうに考えております。 ◆佐藤弘人 委員 今の二点については、条例制定後にその実効性を伴う担保としてしっかり取り組んでいただきたいと思うんです。  その上で、さらにちょっと細かい話をさせていただきますけれども、条例制定とあわせてこのあり方検討の報告書にもあるように、入札制度についても、改めて考えていかなくてはいけないということに帰着するわけですけれども、まず公共工事、しっかりその履行の質をどう確保するのかということで、世田谷区としても、価格競争だけのあり方から何とか脱却をしなきゃいけないという観点で総合評価、総合政策的な入札への変革へと取り組んでいる、その現状については評価できるんですが、ただ、その評価の評価軸がそれでいいのかと。そういった意味でいけば、まだ道半ばというふうに考えております。今後は、その民間企業の社会に対する貢献度とか、姿勢とか、そういったものを勘案するという多面的な視点が不可欠であるというふうに思っております。  例えば、以前廃止されてしまいましたけれども、今は入札制度の格付というのは、東京二十三区で共同運営でシステム化されている格付なんですけれども、以前は各自治体で独自格付というのを採用していたんですね。これはいろいろ賛否両論あるんですが、やはり区としての事業者の、区の独自の視点でどう評価をしていくかという意味での格付は非常に大事だと思います。  例えばそうした視点をさらに活用すべきということもありますし、以前にも言いましたけれども、公共工事にはコンプライアンスの履行というのは非常に重要になってきます。そもそもそれが適格事業者であるという認定を中小企業庁からお墨つきをされている官公需適格組合というのがあります。これもどう活用していくのか。  さらには、先ほど平塚委員からもありましたように、財務状況とか、それから雇用されている労働者の方の労働保険とか社会保険の点検もそうですけれども、そうしたさらに総合的な総合評価軸をやっぱり取り入れていくべきだと思っておりますが、これからの方向性についてはどう考えているかお示しください。
    ◎笹本 経理課長 お話にありました総合評価競争入札につきましては、区では、平成二十一年度より工事契約の一部を対象に試行的に実施をしております。公契約のあり方検討委員会からも、今後の公契約では、地域経済の活性化や防災への貢献、区民の利益といった広く公共政策的な視点を取り入れていくことが必要との御意見をいただいております。  こうした視点も踏まえまして、二十四年度からは防災協力協定に関する地域貢献評価の視点を新たに導入しておりますが、今年度からはさらなる拡充を図りまして、水防協定締結に関する評価を加点した上で、試行を継続しております。総合評価競争入札制度の方向性につきましては、価格評価とそれ以外の公共的な視点からの評価とのバランス、事務手続の効率化、競争性の確保等に留意しながら制度設計を進めていく必要があるものと認識をしております。  引き続き、御指摘いただいた格付制度のあり方も含めまして、入札制度のさらなる改革に努めてまいります。 ◆佐藤弘人 委員 評価軸は非常に大事だと思いますので、今の災害協定とか地域貢献といっても、非常にファジーなので、もう少し明確な、事業者の方にとって公共工事を請け負うに当たるモチベーションがしっかり上がるような、そうした評価軸を総合評価の一つの指標としてぜひ導入をしていただきたいと思います。  それから次に、予定価格ですよね。今一時期予定価格が非公表だったのが、一部公表になって、また非公表になったり、さまざま右往左往しておりますけれども、この予定価格をしっかりどうやって精査された予定価格として積み上げて、世田谷区として提示できるのか、その体制が非常に問われるわけです。年間三千件近い案件ですから、それを全て職員の方がというのは、それは極めて不可能な話でございます。とは言いつつも、この予定価格が公契約条例でうたわれる最低賃金だとか、設計労務単価の一つの主軸になった上での価格ですから、これをやっぱりいいかげんに積み上げるわけにはいかない。特に最近は、首都圏の入札情報を見ていると、予定価格が合わないで不調になっているケースもかなり多発をしていますが、例えば積算事務所に委託をするとか、さまざまな手法も考えられるんですけれども、今後、条例制定後の予定価格の精査を区としてはどう考えているか、そこもお考えをお聞かせいただけますか。 ◎笹本 経理課長 予定価格が低いのではないか、不正確ではないかという御指摘をいただきました。区が工事などの予定価格を算出する際は、資材の単価や労務単価、これらは実勢価格などを反映して決定されるものであります。これらの価格については、国土交通省が都道府県ごとに適切に改定を随時行っております。また、工事以外の予定価格につきましても、適宜市場価格を調査するなどして設定をしております。しかし、発注の時期等によっては、価格が変動することもありまして、結果的に価格が見合わず、入札が不調になるということも、委員御指摘のとおりあり得ます。  今後もそうした状況を踏まえながら、施設営繕の担当や土木担当など関係部局や発注の元課などと連携を図りつつ、適正な予定価格を設定するようにしまして、入札が不調に至らないように努めてまいりたいと考えております。  また、積算事務所へ委託することについても、費用の問題等もございますので、調査研究、検討させていただきたいと思います。 ◆佐藤弘人 委員 それで、予定価格の精査とあわせて、今最低制限価格というのが設定をされております。これについても、これも私の主観なんですけれども、仮に予定価格がちゃんと精査をされて、一定の最低賃金とか、設計労務単価をベースに積み上げられた価格に対して、本来であれば、その一〇〇%の価格が担保されて、初めて公契約として成り立つんじゃないかなと。  今現行で最低制限価格はたしか八五%から六六%の間でしたよね。そうすると、それを認めてしまうということになると、予定価格が一〇〇%であれば、最低賃金、設計労務単価を一つの最低のベースとして担保されているのに、そこから八五%とか六六%の間で仮に落札されてしまったら、これは全く最低賃金とか設計労務単価の基準を確保できなくなってしまうんじゃないかなと。そう考えると、この最低制限も一切不要になっちゃって、世田谷区が精査をした予定価格に一番近い金額を入れたところがとらないとおかしな話になってしまうと。  とはいっても、以前はこれが官製談合だということで、落札率が高ければ裏でそういうあれがあったんじゃないかというふうに言われてきたのはもともとあるんですけれども、今は官製談合防止法といって、処罰をされる法律もできているので、基本的にはそれは完全にしてはいけないということになっていますけれども、その辺のちょっと矛盾については、今後どうやって考えていくんですか。 ◎笹本 経理課長 公契約のあり方検討委員会の中で事業者さん等にアンケートをした結果の中では、この最低制限価格が必要ないのではないかという御意見があった一方、競争性が損なわれるという相反する意見も頂戴いたしました。  入札における過度な価格競争につきましては、公共工事の品質や区民サービスの低下を招き、下請事業者へのしわ寄せや労働環境の悪化などの問題にもつながるおそれがございます。これらの問題は、採算性を度外視した低価格での受注が大きな原因の一つと考えられることから、適切な価格で受注できますよう、市場の動向や予算執行への影響、国の基準等を踏まえまして、最低制限価格を適正な水準に設定していくことを慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆佐藤弘人 委員 ちょっと慎重に検討するという意味がよくわからないんですけれども、例えばその最低制限価格というよりも、今東京都も含めて各都道府県、それから政令市はほとんど全てだと思いますけれども、契約後VEという手法を取り入れているんですね。契約した後に、その事業者とさまざまな案件に対する民間事業者の独自の工法だとか、手法だとか、要件だとかが勘案されて、もともと予定していたより何%かをコスト削減してその工事が締結をして履行ができたならば、例えばこれは自治体によって違うんですけれども、次の入札のインセンティブとして総合評価としてそれを取り入れてあげたりとか、コスト削減の金額が多ければ、一定の金額を還付したりとか、そういったことをやっているのが、これは民間ではもともとずっとやっていたんですけれども、今地方自治体もこういった手法を取り入れているんですね。  この契約後VEというのは、きょうはちょっと時間がないので、改めてまた別の場所でやりますけれども、例えばそういった手法を取り入れれば、予定価格にほぼ近い金額で入札した後に、その事業者の努力によってコストが削減をされるという、明確にその削減の効果とか、手法とかがやっぱりよく見える、そういったこともぜひ検討をしていただきたいということを要望しておきます。  それから、もう一つ入札に関してなんですけれども、今各業種区分ごとにさまざま、例えば建築だとか、土木だとか、清掃だとか、委託だとか、いろいろありますが、よく分離発注ではなくて、例えば建築工事に解体工事も一緒に入れて発注しちゃう、その一括工事で発注しているケースがよく見られるんですけれども、これはせっかく業種区分ごとに事業者の方に登録してもらっているのに、どうして一括で発注してしまうのか、その辺の考えはどういう基準になっているんですか。 ◎笹本 経理課長 分離分割発注についてでございますが、工事などの請負契約における分離分割発注は、専門業者の技術力の活用や地域経済の活性化、中小企業の受注機会の拡充にとって非常に有効な手段であると認識をしております。  区は、これまでも施設改築工事における分離発注や道路の舗装工事における分割発注など、その活用を図ってまいりました。引き続き、事務事業の円滑な執行、あとコストの縮減等を考慮しつつ、分離分割発注のさらなる適切な運用に努めてまいりたいと考えております。  一括発注が横行するという言い方がふさわしいかどうかなんですけれども、こちらの発注方法につきましては、今後、営繕の担当、また土木の担当等としっかりと調整して、その一括発注ということがなるだけ少なくなるような形、コストの面もございますけれども、しっかり調整していきたいと考えております。 ◆佐藤弘人 委員 その一括発注が悪いというんじゃなくて、業種区分に分けているんだったら、業種区分ごとに発注するのが一般的じゃないですかということを言っているので、そこをしっかりお願いしたいと思います。  それから、入札の最後になりますけれども、先ほど入札が予定価格が合わずに不調になるケースが多発しているのとあわせて、今回二〇二〇年東京オリンピック、パラリンピックの招致が決まりましたけれども、その前から、私も幾つかの建築土木関係――もともとそこ出身なんで大変恐縮なんですけれども――の方から、その招致が決まらないほうがいいみたいな話をちょっと言われて、どうしてですかと聞いたら、工事がふえても工事に携わる人がいないと。人材が確保できないというようなことを言われたんですね。  私もいろいろとヒアリングしたりとか、聞いてみたら、人が確保できないので不調になっているという入札の案件もやっぱり幾つか全国的にはあって、今景気が上向き傾向というようなこともあるので、やはり職人の皆さんはこれまでなかなか単価が低い中でやられていたのが、多少なりとも、国交省が一五%設計労務単価を上げたということも踏まえて、単価が今上がりつつある中で、やはりそういった比較的高いほうの工事、仕事に行かれている傾向もあって、かなりいろんなところでそういった建築土木の人的資源がかなり枯渇をしているということもありますけれども、この辺の認識は世田谷区としてどう考えていますか。 ◎笹本 経理課長 東日本大震災の復旧復興事業をめぐっては、会計検査院が昨年の九月までの一年間の入札状況を調べましたところ、いわゆる不調の割合は二一・一%に上っておりまして、その原因としまして、今御指摘いただきました人手不足というのが大きく絡んでいるというふうに見られております。  この状況は、業界全体の構造的な問題でもありまして、被災地だけに限らず、全国的に広がっておりまして、世田谷区の公共事業を請け負う事業者も例外ではないというふうに思われます。  区における入札の不調の件数は、昨年の同時期と比較しましても大きな増減はございませんが、入札を辞退した事業者の辞退理由としましては、大きなほかの受注案件と工期が重なったりとか、技術者や資機材の確保が困難になったり、採算が合わないと判断したりなど、事業者側の事情としてやむを得ない理由によるものが多く見受けられます。  競争性や公平性を高める上でも、できる限り辞退や不調が生じないように、発注条件等で対応できることに関しましては、関係部局や発注元課などと連携を図りつつ、適切な予定価格を設定するなど、極力工夫に努めると同時に、区内産業の育成及び活性化という観点も加えながら対応してまいります。  また、事業者側の人材確保という意味では、適切な賃金水準の確保が必要な要素の一つと考えますが、区では国の公共工事設計労務単価の改定とその早期適応のための特例措置について、本年五月に事業者へ周知を行いまして、契約変更の協議に応じるなど、技能労働者の賃金水準引き上げ等について適切な対応を事業者へ要請してきたところでございます。  二十三区の課長会でも、この設計労務単価については非常に大きな話題になりまして、区によっては誓約書のような書類を出させるとか、そういうことで末端の労働者の方へ設計労務単価の一五%増が反映されるようなことを周知しようということで、二十三区の中でもそういう動きをしておりますので、世田谷区としましても、その技能労働者の方へ賃金が行き渡るようなことを要請という形で行っておりますけれども、引き続き、まだ協議していない業者もございますので、そういうところに対しては協議に応じるような促しを行っていきたいと考えております。 ◆佐藤弘人 委員 公契約条例についていろいろとお話しさせてもらいましたけれども、そういった背景も踏まえて今回の公契約条例制定後の実効性をやっぱりどう確保していくのか、その実効性の確保についても、どこまできめ細かい点を勘案しながら、公共工事の質をしっかり担保していくのか。コンプライアンスの遵守をしていくのか。さまざまな社会資本、インフラ整備をこれから進めていかなくてはいけない。災害対策も含めてですけれども、防災、減災という観点で進めていくには、やはり人材の確保というのは非常に不可欠でございますので、その点をしっかり留意していただきたいと思います。  最後に、この後、公務員制度改革をやりたかったんですけれども、私は以前質問していますけれども、同じように懸念しているのが、公務員の方の技術系の方が非常に減っているという懸念をお話ししましたけれども、今現状、その改善というか、回復傾向みたいなのがどうなっているかわかりますか。 ◎堀込 人事課長 今入札のお話がございましたけれども、やはり土木建築系の技術職、マーケット的に非常に不足をしている状態でございまして、公務員試験におきましても、特に建築職の倍率が依然低い。今年度につきましても極めて低い状態となっております。区といたしましては、定着化対策ということで取り組んでいるところでございます。 ○石川征男 委員長 以上で公明党の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○石川征男 委員長 引き続きまして、生活者ネットワーク・社会民主党、どうぞ。 ◆高岡じゅん子 委員 生活者ネットワーク・社会民主党世田谷区議団の企画総務所管の質問を始めます。  先日可決されました世田谷区基本構想を実現していくためには、区民の視点に立って、多様な課題に対応できるように柔軟な組織づくりやさまざまな場での区民の参加の推進が欠かせません。例えば予算の分配に対する区民の提案を直接に生かせる仕組みをつくることも有効ではないかと考えます。  区民の生活課題に対する要望は多岐にわたり、一人一人重点課題と感じる課題は異なっています。その課題解決のために自分の住民税が確実に使われている実感を持てることで、自分の住む基礎自治体への参加度を高め、新しい公共の担い手の一人として主体的に区政にかかわれることが、この一%条例と言われる制度の利点です。こういった取り組みとして、市川市の一%条例が国内最初の取り組みとして注目されました。数年前の決算委員会でも質疑され、研究すべき課題との答弁にとどまっております。  現在、この一%条例についてどのように考えられておられるのか区の見解を伺います。 ◎小田桐 政策企画課長 委員のお話にございました市川市の例でございますけれども、市民活動団体の支援のために住民税一人当たりの金額の一%について、個々の住民が直接事前に登録した支援対象団体を選ぶ制度でございまして、平成十七年度に始まったということでございます。現在、実施自治体がふえつつあるという状況であるということを伺っております。  住民が支援対象団体をみずから選択する過程、これを通じまして市民活動を多くの住民に知ってもらい、みずからも活動に参加しようという意識を高めるということで、住民参画による市民活動の活性化、市民活動への住民ニーズの反映などの意義のほかに、行政に対する関心や納税に対する意欲を高める効果が期待される取り組みであるというふうに認識してございます。 ◆高岡じゅん子 委員 住民税の一%を地域の住民の意思を反映して、そして地域のために使う制度として、大阪府の池田市の地域分権の推進に関する条例に基づく予算の提案制度というのもあります。こちらは市川市の制度とは異なって、全住民税の一%相当を各地区の人口によって配分し、その地区の課題に合った予算の使い方を住民同士で考え、またそれを執行していくという仕組みです。  池田市の予算提案制度も地域の特性、住民のアイデアを生かした地域住民自治というものの実現という点で参考にすべきではないかと思います。区の見解を伺います。 ◎小田桐 政策企画課長 先ほどの市川市の例との違いという意味で申し上げますと、市川市のほうは、投票をした市民の実際に払っている住民税の一%、これが財源として重ねられていくという制度である一方で、池田市の事例につきましては、市立の小学校区ごとに学区域内に居住する市民や事業所を有する法人、それから通勤通学者による地域コミュニティ推進協議会というようなものを設立いたしまして、地域内で実施するべきである、または廃止、見直しを行うべきであるという事業を市に提案するという制度でございます。  この制度の中で予算を伴うものも可能であるということになっておりまして、個人の市民税総額の一%を上限額としまして、地域の人口割等を考慮して、それぞれの地域でおよそ六百万円ないし七百万円程度の額が枠として設定されているという制度でございます。  提案をこの協議会から受けた市のほうでは、その内容を審査、調整した上で提案事業を盛り込んだ予算案を議会に提案するという手順になっているということでございます。  池田市の制度は、先ほどの市川市と異なるところとして、推進協議会というものの中で議論されるということでございまして、その中で、地域の一体性の確保や住民と各種団体の活動との連携による相乗効果、こういったものが期待できるとされております。  地域住民や団体がみずから提案した予算によってその地域の中で活動するということで、地域の課題解決が効果的に図られるといった効果を期待して、池田市では取り組んでいるというふうに伺っております。 ◆高岡じゅん子 委員 住民参加の拡充に向けて、予算提案まで踏み込んだ参加の手法を実施している二つの市の制度について取り上げさせていただきました。現在作成中の世田谷区の基本計画では、参加、協働、ネットワークにより、世田谷区の公共サービスを充実させていくため、そのマッチングが課題とされています。お金は社会の潤滑油とも言われ、ニーズとサービスを結びつける大変有効な手段となり得ます。今回取り上げました一%条例のような仕組みは、より多くのさまざまな区民を区政の参加に引き出す仕掛けとして有効だと考えられます。  区民からの予算提案を見える形で実現する仕組みをつくり、その執行までを地域に委ね、そういう世田谷区なりの仕組みを検討すべきだと考えます。区の見解を伺います。 ◎小田桐 政策企画課長 住民参加の推進に向けたさまざまな取り組みとしましては、世田谷区におきましても無作為抽出型のワークショップとか、区民意見交換会など、区民の意見を受けとめるということを中心に取り組みを進めてきたところがございます。御提案いただいた予算提案を含む新たな住民参加の手法、こちらは予算の執行まで含めてということに拡大されている内容ではございますけれども、それぞれ市川市の手法では、例えばどのような事業を対象にすればいいのかという点、また、池田市の例でいきますと、地域コミュニティ推進協議会、これをどういった構成員の組織にするのかといったものについて、それぞれの市では検討されたものと推測しているところでございます。  こういった点を考慮いたしますと、現在区が行っている補助の仕組み、地域団体等に対する補助の仕組みとどういった部分が異なるのかといったものを検証するといったことも必要かと思いまして、今後、さらにそれぞれ自治体の例がふえているということも踏まえますと、多くの自治体の事例なども参考にして、こういう区民参画のあり方について研究してまいりたいというふうに考えております。 ◆高岡じゅん子 委員 ただいま申し上げました一%条例に関しては、幾つかの先行自治体がまたふえておりますので、ぜひ研究していただきまして、世田谷区なりの新たな仕組みというさらに新しい市民の参加、公共の担い手を引き出していく、そういった視点でぜひ取り組んでいただきたいと思います。  続きまして、災害対策について質問いたします。  平成二十四年度は、地域防災計画が改定され、計画の前提の部分に、女性や高齢者、子どもなどの視点を踏まえた対応が十分ではなかったという東日本大震災の経験からの指摘が盛り込まれました。私たちの会派では、この女性や高齢者、子どもなどの視点を踏まえた対応を実現するために、防災会議においても避難所運営について男女のリーダーを一人ずつ位置づけることを求め、工夫するというような答弁を受けております。  世田谷区では、地域防災リーダー養成や防災士の資格取得への補助など、防災におけるリーダーの育成に取り組んできています。さらに、女性のリーダー養成が必要だと私たちの会派で主張してきたのは、防災士のような防災に関しての知識や技術を伝えるためのリーダーではなく、特に避難所運営においての運営方針の決定に参画し、生活の視点から災害時のさまざまなニーズに対応し、地域でコーディネートできる人材が必要だと考えるからです。  先日、世田谷区内で防災講座の講師を何回も実施している世田谷区地域防災リーダーでかつ防災士の資格もお持ちの方の講演を聞いたという区民の声を聞きました。その中で、例えば被災者の優先順位づけ、トリアージをして、入居者を断るとか、お米を持ってきて避難した人に食券を出して、そして避難所では食事を配るなどの運営手法の例を聞き、世田谷区の避難所運営はどこもそうなるのかとびっくりしてしまったという声を聞きました。  これは発災時、厳しい選択をしなければならないということを最先端の知識に基づいて語られたのかもしれませんが、世田谷区の現在の避難所運営の標準マニュアルに示されているやり方とは異なっているということを確認しております。  区民に対して講習をする内容については、世田谷区の方針に合った内容が正確に伝わるということが大切だと考えます。防災に関するさまざまな人材を育てても、その方たちが地域と結びついて活動しなければ、地域の防災力向上にはつながりません。また、区で養成した防災士などに対し、日ごろから世田谷区の方針をきちんと伝え、地域に寄り添った活動を促し、世田谷区の求める防災リーダー像を明らかにしていくということを求めます。  そして、今やっているこちらのリーダー養成について続けて質問いたします。  十月から今年度の地域防災力向上のための人材育成事業としての防災塾がスタートします。この防災塾など、世田谷区の地域防災の人材育成、特に女性の防災リーダー育成についての現在までの取り組み状況について伺います。 ◎有馬 災害対策課長 女性リーダーの育成の現状でございますが、区ではこれまでも女性の視点を踏まえまして避難所運営マニュアルを作成してまいりました。さらに、平成二十四年の地域防災計画の修正におきまして、防災会議に新たに二名の女性委員に参画していただくとともに、避難所の管理運営においての女性の配慮について計画に記載をしました。  今年度、区民の防災意識の普及啓発活動の強化を図るため、防災塾を行いますが、第一回の受け付け状況を見ますと、申込者の過半数以上は女性となっており、防災に対する女性の意識の高さがうかがえます。また、地域防災計画において、女性や子どもの視点を踏まえた対応が必要であることを明記しているところから、第三回の防災塾では、避難所、仮設住宅の役割と暮らしをテーマにして、男女共同参画の視点や女性リーダーの必要性についての内容を盛り込むことになっております。 ◆高岡じゅん子 委員 防災塾への女性の申し込みが多かったということは、地域に暮らす女性たちが自分たちの町を自分たちで守ることに主体的に取り組もうという意欲のあらわれです。この機運を捉えて、女性の防災リーダーの育成を加速すべきではないかと考えます。  先日、会派視察で仙台市の女性の防災リーダーの育成について視察してまいりました。仙台市男女共同参画センターの運営委託先、NPO法人イコールネット仙台では、今年度五日間、延べ十時間半にわたる女性のための防災リーダー養成講座振り返り編を実施しました。前回の被災体験を振り返り、あしたにつなげることを目的にしたこの講座の修了生は、さらに仙台市主催の地域防災リーダーの養成講座にも参加し、地域からの推薦で受講した参加者とともに学び、関係性をつくるように努めています。  さらに、このイコールネットのメンバーと地区ごとの修了生がチームをつくり、実践編として地域密着型の防災講座「わたしたちの防災講座」を夏休み中の中高生を含む地域の幅広い年代の参加によっても実施しています。この実践編の講座では、地域に住む障害のある子どもと保護者も参加し、相互理解を広げることもできたそうですし、また、さまざまな年齢層の参加者を含むワークショップで、足の不自由な高齢者の居場所はトイレの近くにしようなど、より暮らしやすい具体的な避難所運営の提案が出されています。  こういった仙台の事例から、まず男女共同参画センターの連携を強めて、女性の防災リーダーの育成を進めること、受講後、すぐに地域で活躍する場をつくること、また女性の地域でのネットワークを生かして次世代を巻き込んだ地域防災活動を展開することなど、たくさんの参考にできる点があると考えます。  世田谷区でも、地域のコーディネート機能を持つ女性の防災リーダーの育成に向けて、今年度の防災塾の受講生を受講したままにせず、地域の活動につなげていく工夫が必要です。防災塾の今後の展開も含め、女性防災リーダーの世田谷区における今後の取り組みについて見解を伺います。 ◎有馬 災害対策課長 区では、これまでも女性の視点を持った災害対策の取り組みを進めておりますが、引き続き災害対策における男女共同参画の視点を広く区民に広めていくことが重要であると考えております。内閣府より、男女共同参画の視点からの防災復興の取り組み指針において、事前の備え、予防の中で、自主防災組織における女性の参画を促進するとともに、リーダーに複数の女性が含まれるよう、女性リーダーの育成を図ることとしております。  現在の避難所運営本部において、総務情報担当、避難所担当など、個別担当における女性の責任者は比較的多くいると認識しておりますが、本部長、副本部長になると極端に少なくなるのが現状でございます。  委員御指摘の点につきましては、女性リーダーの育成に向けて防災塾の活用や仙台市を初めとする他自治体の事例を参考にするなど、関係部署と連携を図りながら、研究、検討してまいります。 ◆高岡じゅん子 委員 地域防災力の育成は、災害対策課が全体の計画を持ちつつも、地域密着で、そして男女がともに参画し、進めていくことが大切だと考えます。女性の視点を災害対策に生かすため、関連部署との連携を強め、女性の防災リーダー育成に取り組んでいただきたいと要望いたします。  続けて、障害者優先調達法の実施に伴う区の対応について質問いたします。  ことしの予算特別委員会で、区の優先調達についての進め方について質問し、国、都などの指針が出次第確認して、区も調達指針をつくり、対応していくとの答弁をいただいています。九月五日付で公表された区の障害者優先調達支援について伺います。 ◎笹本 経理課長 区では、九月五日付で世田谷区障害者優先調達推進方針を策定いたしました。この方針は、庁内全ての組織が発注します物品などの調達を適用範囲としており、担当所管課を通じて庁内周知の徹底を図るとともに、区のホームページでも公表しまして、広く情報提供をしているところでございます。  これまでも障害者就労施設等からの物品の調達に際しましては、地方自治法の規定による随意契約を積極的に活用するよう取り組んでまいりました。この方針策定を契機にしまして、改めて環境配慮指針などと同様に、入札契約制度の中におきましても、発注要件や仕様書などに反映していくべきものと考えております。  引き続き、契約の担当所管としましては、予算の適正な執行に配慮しつつ、可能な限り優先的に障害者就労支援施設等からの物品調達に努めてまいりたいと考えております。 ◆高岡じゅん子 委員 今回の指針に従った区の調達を通じ、障害のある方の就労の機会をふやすと同時に、障害にかかわりなく仕事の質に対して正当な報酬が支払われる、公正な契約が結ばれていくことが大切だと考えます。  今回示された指針は、適用範囲が全組織の発注する調達にわたるだけではなく、適用品目も物品と役務にわたり、さらに新たに障害者就労施設などが提供可能なものに関しても、積極的に調達対象とすることが求められています。  障害者の授産施設などの側でも大規模な作業などにも対応できるため、団体間の連携などを図り、新たな受注に向けて努力を見せています。世田谷区の障害者優先調達が、障害を持ちながら働く方々に新たな可能性を示すことを希望しています。  以上で私からの質問を終わり、唐沢委員に交代いたします。 ◆唐沢としみ 委員 私からは、さきの代表質問で我が会派は公契約条例について、適用範囲を広げること、労働賃金や労働環境を保障するものとする、この二点について求めてきました。したがって、公契約について幾つか触れていきたいと思います。  区は、ことしの二月に公契約のあり方検討に関する中間報告書を示しました。この報告書によれば、全国で既に制定された公契約条例は三つのタイプに分かれるとされております。その三つのタイプとは、労働条件の改善を主眼とするタイプ、広く公共政策の実現を目指すタイプ、二つを混合したタイプを指しております。  そこでまず、これらの三つのタイプについて、それぞれどのような内容で、どのような特徴があるのか、端的に説明を願います。 ◎笹本 経理課長 公契約のあり方検討委員会の報告によりますと、公契約条例について三つの類型化をしておりますが、そこでは、一つ目の労働条件の改善を主眼とするタイプについては、公契約にかかわる業務に従事する労働者に対しまして、民間相場以上の労働賃金の支払いを義務づけることにより、いわゆる官製ワーキングプアの防止や労働条件の改善などを目指すものとしております。野田市や多摩市、相模原市などがこのタイプになります。  二つ目の広く公共政策の実現などを目指すタイプにつきましては、公共調達やそれにかかわる入札契約制度に関して、基本的理念や考え方、発注者、受注者の責務を明確にし、公共調達によって履行品質の確保、地域経済の発展、優良企業の育成、環境保全など、さまざまな公共政策の実現を目指すものであります。これは山形県や高知市などがこのタイプになります。  三つ目としましては、この二つを混合したタイプとしております。川崎市や国分寺市がこの例となっております。 ◆唐沢としみ 委員 条例の目標をどこに定めるかによって条例の内容も随分違ってくると思いますが、区としては、現時点でどのようなタイプを目指そうとしているのか、その理由をあわせて御答弁を願います。 ◎笹本 経理課長 公契約条例とは、他自治体の制定例を見ますと、公契約における請負工事などにおいて、労働者の賃金を一定以上保とうとすることが見てとれます。しかしながら、公契約による労働条件、基準の義務づけと憲法や最低賃金法、労働基準法、地方自治法などの法律との問題が解決されていない状況にあることから、仮に公契約条例を制定していく場合は、その内容について慎重な判断が必要であると認識しております。  したがいまして、民間相場以上の労働賃金の支払いを契約の中で義務づけることは困難であると考えておりますが、大事なことは、労働者の労働条件をどう確保していくかということでありまして、そのためにどういった手段をとるかということが最大の課題であると認識しております。 ◆唐沢としみ 委員 公契約のあり方検討委員会で行ったアンケートでは、区が発注しております工事現場で働く労働者の約半数が収入が減ったと答えているわけです。区は、このような区内の労働環境や、また働く人の暮らしをどのように捉えているのか、その辺について御答弁を願います。 ◎笹本 経理課長 区では昨年の六月に事業者やそこで働く労働者の方に対しまして、公契約に関するアンケートを実施いたしました。御指摘のとおり、区発注の工事現場で働く労働者のうち、二百九名中九十二名、率にして四四%の労働者が最近三年間で賃金が減っているという回答をいただいております。  リーマンショックや世界経済の低迷、東日本大震災の発生やエネルギー問題など、急激に変化する社会経済環境の中で、企業の経営環境が一層厳しくなっていることが労働環境の悪化を招いたものと考えられます。これは、世田谷区だけの問題ではなく、全国的な傾向であるというふうに認識しております。 ◆唐沢としみ 委員 我が国の経済情勢は徐々に上向いているというような報道もありますが、多くの労働者の暮らしの状況はますます厳しさが増しているというのが実態ではないかと思います。私は、区内の労働環境を少しでも改善し、働く者の暮らしの向上につなげることが、やがては地域社会の活性化につながり、ひいては、社会保障費の抑制にも大きな効果をもたらすものと考えます。  公契約条例については、うちの代表質問であったように、適用範囲を広げること、労働賃金や労働環境を保障するものとすることを求めているわけですが、改めてこの見解についてお伺いいたします。 ◎笹本 経理課長 先行して公契約条例を制定しましたほかの自治体の条例を見てみますと、その適用範囲を一定額以上の工事請負契約や人件費の比率の高い業務委託契約に限定しておりまして、労働者の賃金を一定額以上にしていくことがその主な目的となっており、それをもって労働者の労働環境の向上を図ろうとすることが見てとれます。  区では、産業経済対策としての視点はもちろん、防災、減災などの世田谷らしい視点も加えつつ、工事だけではなく、委託など、対象とする契約の適用範囲を拡大することが、より実効性のある制度となると考えております。その結果、労働環境の改善、地域社会の活性化にもつながっていくものと考えております。  仮に公契約条例を制定するのであれば、公契約のあり方検討委員会の報告で指摘されているとおり、法令や経済性、公正性などとの整合性を初め、さまざまな要素を慎重に検討していく必要があると考えております。 ◆唐沢としみ 委員 また、経済的に困窮しております若者や、いろいろ意欲を持って働こうということで頑張っておりますけれども、なかなか仕事がないという、働く場が限定されている障害者の雇用についても非常に厳しい問題があると思いますが、雇用改善に結びつくような仕組みをぜひとも盛り込んでほしいと思うのですが、この辺についての区の考えを伺っておきたいと思います。 ◎笹本 経理課長 事業者の若年者雇用や障害者雇用の促進といった区民の利益や公共政策的な視点は、区としても非常に重要な課題であると捉え、幅広い検討が必要と考えております。今後も引き続き、障害者雇用促進法等の法的整合性や産業振興施策との関連性等から、慎重に検討してまいりたいと考えております。 ◆唐沢としみ 委員 先ほどの会派にもあったように、いろいろ答弁で慎重に検討していきたいと、そういうことはわかります。いろんな情報を踏まえながら、世田谷らしい公契約条例の制定に向けてぜひとも取り組んでいただきたいということを要望して、次に移ります。
     次に、職員の人材育成について伺います。  JR北海道での事故の背景では、十分に新規採用計画が行われず、その一つに、ベテラン職員の退職が続く一方で、若手がきちんと育っていないという職員の年齢構成の偏りがあるというような指摘がされております。このような状況は世田谷にもあるのではないか。したがって、若手の人材育成が区政の最重要課題の一つであるとかねてから私も指摘してまいりました。  そこでまず、若手が伸びる職場風土づくりに関してお伺いいたします。  私はこれからの自治体には、職員が伸び伸びと仕事をしていく中で、斬新な発想で柔軟な思考を生み出すような職場環境が不可欠であると思います。職員がどんどん町の中に入っていって町の人と話をする、近くの自治体に行って参考になる政策をじかに見てくる、こういったことが必要であると思います。そうした空気を吸いながら、肌で受けながら、ゆとりある職場環境が必要だと思いますが、しかし、職員の方に聞きますと、とてもそんなゆとりなんかないという声が返ってきますし、また、人員削減で日常業務をこなすことが精いっぱいで、ストレスで鬱になってしまうという声もないわけではないわけです。  そこでまず、若手職員の育成について、人事として、現状と課題をどうつかんでいるのか伺います。 ◎堀込 人事課長 区ではこれまでも団塊の世代の大量退職が続く中で、年齢バランスに配慮いたしました計画的な職員採用、ベテラン職員の技術、知識の継承を意識した配置管理など、組織力の維持向上を目指した人事管理を進めてまいりました。  若手職員の育成について課題ということでございますが、引き続き多くのベテラン職員が退職を迎える中で、申しましたように、職務知識の継承、組織の活性化、こういったところが大きな課題だと考えております。このほか、ただいまメンタルヘルスの話もございましたけれども、例えば中堅若手職員の昇任意欲の低下、こういったところが人事管理面での大きな課題というふうに考えております。  今後、新たな基本構想や基本計画に基づきまして、区政課題を着実に実現していくためには、その組織を支える人材の育成が必要でございまして、職場内のコミュニケーションを深めながら、御指摘のような若手職員が伸びる職場風土づくりを進めることが大変重要であるというふうに考えております。 ◆唐沢としみ 委員 区は、雇用主の立場から労働安全衛生の面で、単にルールを守って対応していればよいというものではないと思います。人材育成という観点から、将来を見越し、ゆとりの持てる職場風土を築き、やる気のある職員を積極的に育成していく姿勢が重要であると思います。人件費削減にばかり目を奪われることなく、必要なところには積極的に人員を配置して、長期的な視点に立って、余裕のある職場づくりを進めることが必要ではないかと考えますが、この辺についての区の考え方を伺います。 ◎堀込 人事課長 区では、この間、行政経営改革計画に基づきます定員適正化の取り組みを進めながら、生み出された人材をその時々の重点課題に投入するなど、限られた人材を効率的、効果的に活用するめり張りある職員定数管理を進めてまいりました。御指摘の職場づくりということでございますけれども、区といたしましても、定員適正化を進める上では、効率的、効果的な組織体制の確立とともに、組織が疲弊することなく目標達成していく力強い組織を構築していくといったことが非常に重要なことだというふうに考えております。 ◆唐沢としみ 委員 また、これは当区だけの問題ではありませんが、女性の積極的な活用も重要であります。民間企業に比べますと、区政での女性の活躍の場は広がってきていると思いますが、それでも、本日の理事者の席を見ても女性はまばらであるという、少ないのではないかと思います。  管理職など、より多くの女性職員の能力発揮について、今後どのように進めようとしているのかお考えを伺います。 ◎堀込 人事課長 管理職への登用など、女性職員の能力の発揮につきましては、区の政策形成の男女共同参画という視点からも、人事管理におきます一つの要素だというふうに思っております。また、特別区では、昨年度の人事委員会勧告におきまして、女性の昇任意欲の醸成等に関する指摘がございました。こういったことを踏まえまして、現在、特別区としての取り組み指針の策定が進んでおります。こういったことから、女性職員による意見交換会なども実施されているところでございます。  今後、区といたしましては、こうした特別区での検討も踏まえながら、引き続き女性職員の登用と能力発揮の視点も含めまして、人材の育成と組織の活性化に資する人事管理を進めてまいります。 ◆唐沢としみ 委員 ぜひとも積極的な取り組みをしていただきたいと思います。  さらに、このたび明らかにされた基本計画について伺います。  職員が区民に信頼され、区民とのきずなを築きながらやる気を持って区政を進めていくという、そのためには、区政の根幹である基本構想に職員の育成をしっかりと位置づけてほしいと思います。  職員はやっぱり世田谷区の財産であり、そして皆さんの意欲によって、また区民との情報共有によってもっともっとレベルがアップし、お互いに関係を重ねながら、区政の基本計画についても、そういったことがつながってくると思いますので、その辺についての区の見解をお伺いいたします。 ◎堀込 人事課長 今回の新しい基本計画素案におきましては、人材育成に関しまして、実現の方策の中で、経営感覚を持ち、危機対応や政策形成の能力にすぐれ、区民との協働を進める人材の育成、配置を計画的に行っていくということでお示しをしてございます。引き続き、この方針のもと、人材育成計画等も踏まえながら、区政課題を着実に実現できる意欲ある人材の育成と強い組織づくりに向けまして、さまざまな人事政策を進めてまいります。 ◆唐沢としみ 委員 ぜひともそれに基づいて取り組んでいただきたいと思います。  続きまして、区民との情報共有に関連して質問いたします。  基本構想に情報公開を徹底し、区民との信頼関係を築くと定め、世田谷区にとって、区民との情報共有はますます重要になってまいります。区民への情報共有にとって最も重要であり、基盤となっているのが広報広聴であります。このごろ広報広聴媒体も多様化し、ホームページやメール、スマホ、タブレットといった電子媒体が生活の情報を入手する効果的な手段として活用されてきております。  その中でも区の広報活動といえば、真っ先に思いつくのが「区のおしらせ」であり、多くの区民が区政情報を広報紙から得ているのではないでしょうか。ことしの五月に実施した区民意識調査では七割近くの区民が区政情報を得ているということが出ておりますので、非常に大事であると思います。  そこでお伺いいたしますが、「区のおしらせ」は多くの区民が情報を得るために効果的な媒体となるようさまざまな改善を行っておりますが、どのような方針に基づいて改善を行ったのでしょうか、伺っておきます。 ◎小澤 広報広聴課長 「区のおしらせ」の使命は、区が行う施策を区民にわかりやすく周知いたしまして、区民の理解を得て、また協力を得ながら、区政の円滑な運営を図ることであると認識しております。紙面作成の際には、政策情報をわかりやすく、ユニバーサルデザインに配慮し、親しみの持てる紙面となるよう方針を示しまして、改善を進めているところでございます。  具体的な改善といたしましては、本年七月一日号より原則として左とじ、記事は横書きといたしまして、写真の比率を高めるとともに、取材、撮影による区の動き、結果の広報を掲載するなどの改善を行ったところでございます。今後も、区民意識調査やメールモニターなどにおいて、広報紙への御意見をいただきながら、わかりやすい広報紙づくりに向けて進めてまいりたいと考えております。 ◆唐沢としみ 委員 今後とも読みやすく、かつ正確な情報がわかりやすく掲載された広報紙の充実を必要としております。引き続き、そのような工夫をして情報提供していただくことを要望しておきます。  さて、広報紙も重要でありますが、区民は広報紙以外にもさまざまな手法で情報を入手しております。区民意識調査によりましても、区のホームページから区政情報を得ているとの回答も多いし、また区民が自治会・町会などの回覧板から情報をとるとか、広報紙以外の手段で情報を得ていることがよくわかります。したがって、広報紙ばかりではなく、他の広報手段を充実していかなければならないと考えます。  とはいっても、それぞれの手法で特性はあり、そしてその特性を生かしていくことが重要であります。例えば区の催し物のような募集などの情報は見出しだけで情報が伝わる広報紙がいいわけですが、一方、ホームページでは、即時性があり、情報を得たいときに手軽に入手できますし、さらには、防災情報など、限られた内容を届けるには、メールとかツイッターといった方法も適しております。これらの情報媒体はその特性を生かした適切な活用がなされなければならないと思います。  そこで伺いますが、これらの広報媒体が効果的に活用できるよう、区の方針が定められているのでしょか。さまざまな広報媒体が効果的に活用されるためにはどのような取り組みを進めようとしているんですか、伺います。 ◎小澤 広報広聴課長 全媒体を対象にした活用方針を定めておりませんが、具体的には、主要施策、事業などにつきまして、広報掲載調査などを行いまして、半年ごとに広報計画を立てて課内で共有し、所管課と調整しております。今後もメディアミックスの観点で、有効な媒体を組み合わせ、情報提供し、区民が得たい状況をさまざまな手段で得ることができる広報となるよう努めてまいります。 ◆唐沢としみ 委員 ぜひとも全職員がこれからは区の広報マンとなって区民との情報共有を深めていきたい……。 ○石川征男 委員長 以上で生活者ネットワーク・社会民主党の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午前十一時四十五分休憩    ──────────────────     午後零時三十六分開議 ○石川征男 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  日本共産党、どうぞ。 ◆村田義則 委員 まず、午前中から議論が続いておりますが、公契約条例の問題について、初めに、区が考える公契約条例の目的に照らした実効性ということについて考えを伺いたいと思います。  公契約条例ですが、私どもも注目しておりました足立区の公契約条例が先日議会で既に議決をされました。この足立区の条例は、労働環境の改善や公共事業の質の向上に向けてどうするかという実効性の問題として、一つは、労働報酬下限額を審議会を設けて区長が決定する。これを目安に、公契約の労働者の労働条件を確保していこうということ。そしてもう一つは、労働報酬の確認方法として台帳の作成や報告を求めると、こういうことを行っております。  代表質問でこの問題を伺いましたが、区のほうの答弁は、その際に、適用範囲が予定価格一億八千万円以上と、これは契約の予定価格という等々を挙げて、実効性に疑問を抱かせるというふうに答弁をしております。とすると、世田谷区のこの問題での実効性という問題について、区はどのように考えているのかということについて、まず伺います。 ◎笹本 経理課長 足立区やほかの自治体の公契約条例を見ますと、委員おっしゃられるとおり、一定額以上の工事請負契約ですとか、そういう契約金額によって対象の件数を絞るというようなことが多くの自治体で行われております。こうした場合、区が結んでいる契約は年間三千件程度ございますので、一握りの契約、工事とかだけに条例の網がかかるというような状態が生まれるというふうに認識しております。  世田谷区では、工事請負契約、また、労働の報酬が絡む委託契約等、ほかの自治体では定めていないところまで踏み込んで――公契約を制定するとしたらの話ですけれども、そこまで対象を広げていきたいというように考えております。 ◆村田義則 委員 足立区は予定価格の上限を高く定めていますので、これは年間十件程度だというふうに言われております。その問題について、当然議会で議決されていますから、足立区の区議会でもいろいろ議論が行われております。その中で、議会と行政とのやりとりを見ていますと、例えばこういう話があります。  この条例で適用されるのは十件程度じゃないかという話がありますと、この問題について区はどう考えるかと、こういう質問に対して、区のほうから、世田谷区がよく言いますけれども、スタートは小さいけれども、将来の目的についてはこれを実現させていきたいということで、足立区と事業者の結ぶ契約が全てこの公契約条例にのっとった形で、きちんとした賃金が払われ、きちんと仕事ができて、きちんと経済が回る、このようにしたいと思っておりますと。つまり、スタートはこういう高い設定になるけれども、では、例えば一億五千万円の契約、あるいは一億円の契約だったら、条例そのものは、条例上は制定対象にはならないけれども、だったらちょっと契約金額が低ければ労働報酬下限額は全くどうでもいいのということには、条例の趣旨からいけば当然ならないと思うんです。そういうことを見越しながら、この条例が制定され、運用されていくということを考えると、私どもは対象を広くということと同時に、そういう一定額以上のものについてより一層厳しいといいますか、厳格な対応をするということも一つの考え方じゃないかというふうに思っております。  それから、実効性のもう一つの論点は、労働報酬の下限を定めるという問題です。これについて、先ほどの答弁で、さまざまな法律との関係で困難があるというような趣旨の答弁をされていましたが、足立区なんかを見れば、その困難に挑戦するというか、あえてそれに対して下限額を定めてそれを守らせるという条例にしているわけですが、この点での実効性については区としてはどういうような考えをお持ちか伺いたいと思います。 ◎笹本 経理課長 足立区の条例は、今お話がありましたとおり、労働報酬の審議会を設置して労働報酬下限額を定めるとか最低賃金以上の支払いを促すとか、さまざまなことが盛り込まれております。その反面、適用範囲を今おっしゃられたように一億八千万円以上の工事請負契約等に絞ることで、対象額を絞ってチェックをしようということが読み取れます。世田谷区の場合、対象を絞らずに広く薄くを対象にしたいというふうに考えておりまして、では、その実効性をどう担保するんだというお話ですけれども、新宿区が労働環境チェックシートというものを契約時に提出させておる取り組みを行っております。新宿区の場合は公契約条例を制定しておりませんけれども、契約時にこういうような書類を添付させることによって、実効性を担保しようという試みをやっておりますので、区としましても、その新宿区の方式を参考にさせていただき、契約時に労働環境チェックシート、ここに書かれている内容は、労働条件や安全衛生関係、労働時間の管理、賃金、各種社会保険の加入等が正しく行われているかどうかということを書かせる書類でございますが、こういうものを契約時に提出させることによって実効性を担保したい。  では、その調査はどうするんだというお話ですけれども、年間何千件もありますので、例えば統計学的に処理して抽出したところに対して調査票を送るとか、必要に応じて聞き取り調査を行うとか、そういうことで実態を調査してまいりたいと考えております。また、この場合、もし疑義があった場合は監督官庁であります労働基準監督署等と連携することも視野に入れる必要があるというふうに考えております。 ◆村田義則 委員 新宿や、また他市の場合もあるんですが、例えばそのチェックシートの中にこういう項目があります。当該契約で最も低い労働賃金単価は幾らですかと、契約相手にチェックのシートで聞くわけです。時間当たり何円と、職種は何々と、こういう項目でチェックを入れるわけですが、そのとき最も低い労働賃金単価は幾らですかと聞いて、それをどういう基準で世田谷区としてはチェックしようということになるわけですか。 ◎笹本 経理課長 最低賃金は都道府県ごとに定められておりますので、そこが一つのラインになるかとは考えております。ただ、今お話しの項目については他の自治体のチェック表でございますので、区はそれをそのままコピーするのではなくて、内容については我々の事務方のほうで精査しまして、どういう項目できちんと守られるべきかということは、今後、条例の検討の中で詳細に詰めていきたいと考えております。 ◆村田義則 委員 それはそうですけれども、条例の趣旨からいったって、労賃がどうだかということは当然チェックの項目に入らなきゃ、そもそも条例の本来の趣旨と違っちゃうんじゃないですか。 ◎笹本 経理課長 おっしゃるとおり、もちろん労賃を守るというのが一番大事なことでございますので、まずは最低賃金、ですから、東京都の最低賃金が守られているかどうかというのは、チェック項目のうちの一番重要な、一番上のほうと言うんですかね、そこに入ってくると考えております。 ◆村田義則 委員 最低賃金という話だったら、言ってみればこれはコンプライアンスの話ですよね。それを下回ればそもそもが法律違反ですから。ですから、そこのところを条例で最低報酬の下限額をその地域地域で独自に定めて、より労働条件の改善をしながら公共サービスの質を担保しようというところに、私は条例の大きな趣旨があると思っておりますので、この問題についてはそういう意見を述べて、ぜひそういう方向で個々の条例でも検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、情報公開制度について聞きます。  基本計画の素案が出されておりますけれども、この基本計画の素案での情報公開の位置づけについてどうなっているか、まず伺います。 ◎笹部 計画担当課長 情報公開についてでございますが、今回の基本計画の素案では、政策を伝えてまいります実現の方策の中で明確にしてございます。主要な課題を区民と一緒に政策を進めていくといった三つの方法論、参加、協働、ネットワークの中で、とりわけ参加を進めていくために区民参加の環境整備という項目の中で、こういった考え方で捉えてございます。  具体的には、区民参加を進めていくためには、情報公開を徹底、充実しまして、区が保有している情報のオープンデータ化を進めていくなど、具体的に示してございます。 ◆村田義則 委員 今お答えがあったように、基本計画の素案では、情報公開について実現の方策の中で区民参加の環境整備という位置づけになっています。しかも、ここでいうその参加というのは、かなり限定的といいますか、参加、協働、ネットワークの循環で区の政策を実行する方策、方法論だと、こういう位置づけになっているのではないかと読み取れます。  一方、世田谷区の情報公開条例では、情報公開の目的を、区民の知る権利を保障する、区が区政に関し区民に説明責任を全うする、区民の区政参加を推進し、もって公正で開かれた区政を実現すると、こう明記されております。先ほど説明のあった基本計画素案における情報公開の位置づけは、情報公開が区民の知る権利を保障するための制度であり、かつ、区政のあり方にかかわる基本的な制度であるという認識からいえば、こういう認識が非常に薄いんじゃないか、余りに便宜的な扱いじゃないかというふうに言わざるを得ないと思うんですが、この点はどのような御認識ですか。 ◎板垣 副区長 基本計画の実現に当たりましては、区民、事業者、行政のパートナーシップのもとで、区民参加を基本に進めることが大切であるというふうに認識しております。今回、基本計画素案にお示ししておりますけれども、先ほどありました参加、協働、ネットワーク、また、これらのマッチングによりまして、各政策の着実な実行、それらを確実に支えていくための執行体制や区民参加の環境を整備することが必要であるというふうに考えております。その方策の一つとして、情報公開の充実や区政の透明化を図りまして、区政の情報をわかりやすく繰り返し伝えることで、区政に関する関心を持っていただけるような取り組みを推進することが重要であるというふうに考えております。  今後の基本計画策定に向けまして、区民に関心を持っていただくための手法なども含めまして、情報公開の位置づけ、あり方について、さらに検討を重ねてまいります。 ◆村田義則 委員 それじゃだめなんじゃないかと私は聞いたんですが、それで結構だと、そういうような答弁に聞こえました。  保坂区長は、情報公開と区民参加と、区政運営の中心に据えることを明言して、これは区民への公約ともしています。その情報公開という制度が、何といいますか、環境整備のための一つの手段というような形で位置づけられているのは私は全く納得できないわけです。  結論的に言いますと、基本計画の中で、情報を、世田谷区政の基本のあり方として、情報公開に対する姿勢や今後の取り組みについてきちっと位置づけて記入すべきだということを言いたいわけであります。  副区長には、ちょうど今から一年前のこの決算議会の場で、副区長には今から二十年前の平成四年の情報公開の運営審議会の提言ということについて紹介させていただいて、副区長は、大変貴重な提言だと改めてその提言を含めて情報公開条例が制度として生かされるよう努めていきたいと、こういう答弁をしているんです。その提言をもう一回紹介しますと、一番冒頭に書いてあるのは、情報公開制度は、区政の主人公である区民に区政の意思形成過程を公開し、区民の知る権利を保障するとともに、そのことを通して、区政の透明化、公正化及び民主化を増進することを目的とするものでありますと。これを創設した情報公開条例は、その意味において区政のあり方に関する基本法的意義を擁するものだと言えるでありましょうと、こういうくだりで出発しているんですね。さまざまな区の政策実現のための一つの手法として情報公開を位置づけるというのは、私は全く間違いだと思いますけれども、いかがですか。 ◎板垣 副区長 先ほど御紹介いただきましたように、そういうやりとりもたしかやっております。それらを受けまして、今、庁内におきましても、情報公開の制度について改めて庁内での検討会もさせていただいております。また、庁議の公開の問題だとか、そういうことも含めまして、今取り組みを進めているところでございます。意思形成過程の情報が一律に全部公開できるかというのは、それはいろいろあろうかと思いますけれども、今、庁内の検討会あるいは庁議の公開等について検討は進めております。  基本計画についてのお話でいきますと、基本計画案を素案として今出しておりますので、今後、案として詰めていく中で、さまざまな区民参加の手法、さらに、情報公開等についてもどういうふうに書き込んでいくかということについては、さらに精査してまいりたいというように考えております。 ◆村田義則 委員 情報公開と区民参加と、保坂区政の柱中の柱ですよ。その問題を基本計画の中でやっぱりきっちりと、今後の区政の基本的なあるべき姿として形を整えて明らかにするということはどうしても必要だと、こういうふうに考えておりますので、これはきちっとお願いしたいと思います。  そこで、今御答弁がありました情報公開の具体的な改善の課題についてです。私たちは、例のデジタルコンテンツ産業誘致をめぐる区の情報公開のありさまを見まして、私なんかは率直に言って愕然としたわけです。そして、その後、区の情報公開制度の総点検、そして先進自治体等も紹介して、かつては世田谷が公開制度の先進自治体だったんですけれども、他の自治体からも学んで区の情報公開制度の改善、改革に取り組むことを求めてきました。即できる改善、それから、さらに抜本的な改善について運営審議会の意見も聞いて改善を図るようにまとめてきて、区長からは、当面検討会を立ち上げて検討するという答弁がございました。きのうの他会派の質疑でも、この問題について、今副区長からも答弁があったように、一定の検討が行われるということはわかりました。  そこで、幾つか具体的な問題について確認しておきたいんですけれども、私たちが直ちにできる改善点として二つ提案してきました。  一つは、情報公開について、区民からの異議申し立てに対して情報公開審査会が行った答申、これをネットで全面公開すべきだという提案をいたしました。これについては、もう既に実行されました。  それからもう一点は、インターネットを活用して情報の開示請求ができるようにしたらどうだと、こういう提案をしてまいりました。この問題について、経過と現状について伺います。 ◎淺野 区政情報課長 情報公開請求におけるインターネットを活用した電子申請なんですが、本年六月一日から実施しております。実施に当たりましては、「区のおしらせ せたがや」、区のホームページに載せさせていただいております。六月一日から実施しまして、今現在、電子申請を使った情報公開請求なんですが、五件請求をいただいております。 ◆村田義則 委員 インターネットで開示請求ができるということで、始まって早速そういう実績も上がっているということですので、ぜひこの二つにとどまらず、実際に運用しやすい情報公開制度となるように、引き続き努力をお願いしたいと思います。  次に、三つ目に、私たちが求めてきたことは、これも昨日の他会派の質疑でありましたが、会議の文書化、それから文書管理規定の整備、これは、きのうの議論で言えば公文書管理法に沿った文書管理ということになろうかと思いますけれども、この問題について質疑がありました。答弁を聞いておりますと、検討は進めているけれども、具体化という点では全く曖昧だという感想を私も持ちました。私は、これからの重要な問題、会議の文書化やら文書管理規定の整備と、こういう情報公開の基本にかかわる問題についてこそ、基本計画の中で世田谷区政の情報公開制度の現状と課題、あるべき姿について基本方針として明記して、実現の方向性をこの基本計画の中で示していくべきだと思いますけれども、この点について見解を伺います。 ◎淺野 区政情報課長 今委員から御指摘いただきましたように、公文書の適正な管理等につきまして、庁内でも議論しておりますし、情報公開・個人情報保護審議会の御意見等も伺いながら、詳細について詰めていきたいと思っております。基本計画への記載ですけれども、そこら辺の議論を含めまして検討させていただきたいと思います。 ◆村田義則 委員 基本計画の所管のほうはどうですか。 ◎笹部 計画担当課長 基本計画につきましては、現在基本計画素案でございます。これから庁内の議論を重ねまして、基本計画の最終案を策定してまいりますので、御指摘の点も受けとめまして、しっかりと議論して検討していきたいと考えてございます。 ◆村田義則 委員 これからの区政のあるべき姿として、この問題をしっかりと位置づけて基本計画をつくっていただきたいということを意見として述べまして、私の質問を終わります。 ○石川征男 委員長 以上で日本共産党の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○石川征男 委員長 引き続きまして、世田谷民主党、どうぞ。 ◆中村公太朗 委員 では、きょうはまず、オリンピック、パラリンピックの影響についてということで質問をしていきたいなと思います。  東京にオリンピックが来ることが決まりまして、私もすごくいいことだなと思いますし、歓迎をしたいなと思っています。日本国民としても、東京と大阪以外の地域がそこまで盛り上がっていないなというのもメディアを通して今若干感じているところでもあるんですけれども、とにかく東京、国民としても都民としても、これは七年後に向けて、気持ちもモチベーションも未来を見据えて非常に盛り上がっていくものなんだろうなということで歓迎をしたいと思いますが、世田谷区民という立場で考えたときに、果たしてこのオリンピック、パラリンピックというのがどの程度影響があるのかということで、少し聞いていきたいなと思っております。  まず、オリンピック、パラリンピックが東京に来るということで、区にとって明確な、直接的な経済的効果というのはあるのか伺います。 ◎中村 財政課長 二〇二〇年の開催が決まりました東京オリンピック、パラリンピックでございますが、今後、江東区など臨海部を中心に会場等の施設整備が進められることとなっておりまして、その整備費は四千億円以上と言われております。会場となる施設につきましては、基本的に国や東京都が整備するものでありまして、建設地となる区が直接費用を負担するということはないと思われますが、会場整備に伴って区で会場周辺の道路を整備するなど、区独自に環境整備を行うことも考えられると思います。  お話しの区財政の影響という点では、都区財政調整交付金の影響が多少考えられると思っております。区独自の環境整備等を行った場合には、その他特別な事情として財調の特別交付金の対象となることが考えられますし、また、オリンピック、パラリンピックが終了後に、会場となった施設が区に移管されるような場合は、その維持管理費が財調交付金の対象となる可能性がございます。  オリンピック、パラリンピックの財政的な影響に関しましては、さまざまな影響が想定されるところでございますが、現在、特別区長会から東京都に経費等の財政負担の全体像を示すよう申し入れているところであります。東京都の動きを注視しつつ、財調交付金も含めて、今後の区財政の影響を見きわめていきたいと考えております。 ◆中村公太朗 委員 今、全部お答えいただいたんですが、要は、これは江東区のほうでこれから大分開発が進んでいくということを受けて、江東区に財調を取られちゃうんじゃないですかという懸念があるんですよ。もちろん、国の施設、都の施設、都がつくるものということがあると思うんですけれども、区がいざかかわったときに、できた後の維持費も含めてですけれども。  今、二十三区の特別区はもろもろ一回都に吸い上げられて、それを特別の交付金の部分に関しては、一つ一つの案件ごとにまた再分配をされるということになっていくわけですから、江東区がオリンピックに関連をして、財調の多くの部分の財源をもし取っていくことがあるんだとすれば、その分世田谷におりてくる財調は減るということに直結をいたしますから、これは世田谷区民としては、もしかしたらデメリットもあるんじゃないかなという懸念をするんですが、その辺はもう一度いかがですか。 ◎中村 財政課長 確かに、委員御指摘のとおり、江東区を中心にいわゆる都心区と言われているところで主に会場が設置されるわけで、世田谷区にはそうした会場が、今回のオリンピック、パラリンピックにはございません。  都区財調ですが、繰り返しになりますが、都区財調の普通交付金の部分が全体の九五%、特別交付金がその五%となっております。この五%の特別交付金のところに、その他特別な事情としてこのオリンピックに伴う区の独自環境整備などが見られるかどうかというところが焦点になると思っております。いずれにしましても、現在、東京都で全体経費ということを特別区長会から示すように要望してございますので、それを踏まえて、精査を改めてしたいと考えております。 ◆中村公太朗 委員 実際に世田谷区で競技が行われないということですから、こちらのほうに選手や観覧者が来て、その周辺でお金が落ちるということもありませんし、はたまた、いろんな工事におけるその特需みたいなものも、もしかしたら江東区も世田谷区と同じように区内事業者優先という形で進めていくんだとすれば、世田谷区の事業者にとっては全くメリットもないまま、世田谷区としては、オリンピックが近くに来て見れるという区民のメリットはあるにせよ、経済的効果というのは少ないのかなというふうにも思うんです。  結論として言うと、仮にそういう財調の影響があるかもしれないという情報が事前に伝わったとしても、世田谷区民の意識やマインドが変わったとも思いませんし、僕個人としても、オリンピック招致は賛成だと思いますけれども、ただ単に都とか国の方針に追従をしてオリンピック招致と掲げるのではなくて、やはり一つの物事をやるに当たって影響する、メリットもあればデメリットもある、そういうことを事前にしっかりと議会であったり、もしくは区民には提示をした上で、一つ一つの物事を進めていただきたいなということを改めて感じましたので、意見として申し上げておきたいなというふうに思います。  それから、私も公契約のあり方を含めて入札関連について質問をしていきたいというふうに思います。  従来から会派として主張しております。区内事業者優先というものはなるべくなくしたほうがいいでしょうと、なるべく一般競争入札をふやしたほうがいいでしょうという考えは変わっておりません。そういった中で、今回大分いろいろ精査をしたこの報告書が出てきましたので、一つ一つ聞いていきたいなと思っております。  まず、低価格での落札について伺いますけれども、安かろう悪かろうというこのキャッチフレーズが事あるごとに議会からも行政からも出てきています。価格競争が品質の低下を招いて問題化をした実例というのが、この世田谷区の工事案件、契約案件において、実際に過去にあったことがあるのかどうか、まず伺います。 ◎笹本 経理課長 御指摘の安かろう悪かろうということですが、過度の価格競争による採算性を度外視した不適切な価格での受注によって、履行の質への悪影響につながり、公共事業や区民サービスの低下となりまして、最終的には納税者である区民の利益が失われることを指すものと認識をしております。  契約の履行の確保のための手段が監督や検査ですが、これらは地方自治法の規定に基づいて行っておりまして、例えば、工事では施行者の決定以降、所管担当監督員による資財や工法などのきめ細かな管理を行うとともに、工事竣工後は検査員による書類検査、現場検査を厳格に実施するなど、区の規則にのっとって、複数の専門職の目で厳しくチェックをしております。
     また、区では工事契約と一部の委託契約に最低制限価格を導入して、極端に低価格な落札、いわゆるダンピングを防いでおります。本制度は、ダンピング防止や履行品質の確保という点からも有効な仕組みでありまして、一定の効果があらわれておりまして、区における工事等においては最終的にはお話しのようなケースはないものと認識をしております。 ◆中村公太朗 委員 現在、複数の専門職の目で厳しくチェックをしていて、最終的にはそういった、安かろう悪かろうという実例はないということですけれども、そうすると今の現状のチェック体制をしていけば、今後も起きないよという認識でよろしいですか。 ◎笹本 経理課長 工事については、申し上げましたとおり厳格な検査を行っておりますし、また、一部の委託につきましては、例えば清掃ですけれども、二百万円以上の年間契約のものについては履行の検査、履行評価ということも始めております。また、現在検討しておりますのが、例えば公園や道路の樹木の選定等の委託契約ですけれども、こういうところにも評価ができないかということで、検査とは別にきちっとした仕様書どおりの履行が行われているかどうかということも検討しておりますので、今後、そういう適応範囲を広げていきながら、粗雑な工事とか委託が発生しないように努めてまいりたいと考えております。 ◆中村公太朗 委員 現状でもしっかりしていますけれども、さらにチェック体制をしっかりしていくということだと思います。  そうすると、価格競争においての品質の低下がないということなんですけれども、この世田谷区の入札制度を取り巻く状況、課題等というところで、まず、一番下のページと言ってもいいようなところの文章に、入札における過度な競争は公共工事の品質や区民サービスの低下を招きという懸念が書いてあるんですけれども、現状、世田谷区として公共工事の品質の低下がないということは、入札における過度な競争ではないということでいいんですね。 ◎笹本 経理課長 区の工事では、最低制限価格等を設定することによって、それ以上の、最低制限価格以下で応札した場合は失格というような制度を設けておりますので、過度に低い金額で工事を請け負うことがないような仕組みをこしらえております。ですから、粗雑な工事についてはないということで認識しております。 ◆中村公太朗 委員 理解しました。  では次に、総合評価競争入札制度についても伺っていきたいと思います。  ちょっと前からこの制度が導入をされて、何個かその項目はあるにせよ、一番まずぱっと浮かぶのは災害時の協定を結ぶことで点数がアップをする、しない。その対象をどんどんふやしていこうということで進められているのかなというふうに認識をしていますけれども、まずちょっと聞きたいのは、もちろん災害時にいざ協定を結んでいるところが何かをしてくれるということの整備で、日常的な入札における優遇措置と言えばいいんですか、総合評価入札においての点数を、評価を上げるという制度なんですけれども、例えば、災害時に限らず、災害時はいつ来るかわかりません。もちろんいつ来るかわからないから事前に整備が必要なんだとは思いますけれども、例えば地域貢献ということで考えれば、平時での地域貢献もこの総合評価入札の評価の一つということにできるんじゃないのかなと思うんですけれども、その辺の考え方というのはいかがですか。 ◎笹本 経理課長 区で総合評価制度を実施しておりますが、やはり一番目立つのは防災協定、また、今年度からは、防災協定に加えて水防協定ということで、どうしても防災系の協定というのが一番わかりやすいといいますか、客観的に見て貢献しているんだなということで、そこをまず対象とさせていただいております。  検討する中で、例えば防災協定の中でも重機、ブルドーザーとかを持っているところは加点しようという議論もあったんですけれども、そこはなかなか持っている業者さんが少ないとか、では、町会に加入しているということをポイントにしたらどうかということも検討しましたけれども、事業所さんで加入しているところは非常に少ないんじゃないかとか、区としてもさまざまな地域貢献ということで検討はさせていただいております。ただ、現在のところは、客観的に見てわかりやすいということで防災協定を結んでいるところを加点するという仕組みになっておりますが、今後もさまざまな、客観的に見てこういう地域貢献をしていれば加点してもいいよなという、誰もが納得されるようなことを加点するということは検討していきたいと考えております。 ◆中村公太朗 委員 わかりました。この本来の趣旨は、区にとってどういうメリットがあるのかなということをしっかりと位置づけて、この総合評価をすべきだと思っているのであって、やはりこの総合評価イコール区内事業者優先の項目に特化をしてしまっては僕はいけないと思っているんです。  例えば災害時の、何か区のためにやってくれるとか、それこそ地域貢献でもいいと思うんですけれども、これは区内事業者じゃなくてもできるんですよ。もちろん、さっき言った重機云々かんぬんで、すぐに持ってこなきゃいけないというときは、区内事業者が、世田谷区にありますから、一番スピード感はあるかと思いますけれども、例えば備蓄品の提供とかを考えた場合には、もしかしたら区外にある大手のところと提携を結んでおいたほうが区にとってはいざというときに大きな貢献になるかもしれませんし、地域貢献ということだって、別に地域の方が地域に貢献をするだけではなくて、地域というと何か限定されたような気がしますけれども、オール世田谷ということを考えた場合には、大きな――大きなというとちょっとあれですね。区外の大手の企業でいいです。大手の企業のほうが世田谷区にとって貢献できることが大きいかもしれないわけですよ。それをあえて、区内事業者を優先するためだけにこの総合評価を、しかも、項目を考えていくという考え方からスタートしてしまうと、すごく区にとってのメリットというのは小さくなっていきます。  ビジネスライクに考えれば、これは順位が、要は入札、応札をした金額が、仮にA社よりもB社のほうが高くても、総合評価でひっくり返って、高い金額で区は発注するという制度なわけですから、本来のA社が出した分とB社が入れた金額の差額というのは、災害時なのか、地域貢献のためのインセンティブというかプレゼントというか、税金が余計にかかる部分というのはその部分のはずなんですよね。それをもうちょっと最大効果として出すためには、もしかしたらもっと貢献をしてくれるという、金銭に換算をした場合にもっとその十倍、二十倍、もしかしたら百倍ぐらいの貢献を日常的に、もしくは災害時にしてくれるというようなところにやることこそ、税金の生きた使い方なんだろうなと思うので、それは別に区内に限らず貢献ができるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、いかがですか。 ◎笹本 経理課長 お話しのとおり、例えば近隣の自治体からでしたら――自治体というか、例えば目黒とか大田とか隣接しているところでしたら、防災協定を結んでいって加点というのも十分考えられますし、そういう隣接している区の事業者の方が区内で地域貢献している例も考えられますので、地域にとらわれず検討はさせていただきたいと思います。  ただ、一方で、東北の被災地のほうでは地元の業者がふだんから道路の管理等を行っていたという事例が生かされまして、図面がなくてもすぐに道路の瓦れきをどけたというような、そういう報告事例もございますので、やはり地元に発注するというのは一定の意味があるという認識は基本的には変わらない部分がございます。委員のおっしゃられた地域貢献については、今後、検討させていただきたいと思います。 ◆中村公太朗 委員 では次に、公契約条例、具体的に条例のほうの話に入ります。  先ほどから質問が出ておりまして、最低賃金に関しては明記が難しいんじゃないかということの答弁かなと思っておりますけれども、改めて確認します。最低賃金は明記をするんですか、しないんですか。 ◎笹本 経理課長 憲法では、賃金や就業時間、休息その他の基準は法律で定めるとしておりまして、労働基準法や最低賃金法などの法整備がなされておるわけでございます。これらについて、条例で何らかの制限を加えようとすれば法律に違反し、加えて、労働条件は法律で定めると規定している憲法に違反するおそれもございます。以上のような状況から、仮に区が条例を制定する場合は、世田谷区独自の最低賃金下限額を義務づけるということについては、法との整合性も含めて極めて慎重に判断せざるを得ないというふうなことで考えております。 ◆中村公太朗 委員 個人的な解釈としては、この報告書の資料版というんですか、最後のページについておりますけれども、実際に今回、公契約についてのアンケートをいろいろとって、実際の労働者さんからもアンケートをとる中でのデータとして、労働者の居住地が世田谷区内というのが一二・九%ですね。ということは、それ以外の、区外の方が八十数%ということですから、最低賃金を明記したとしても結局守られる労働者というのが世田谷区というのは一三%、だから、税金の使い方として二の足を踏んでいるのかなと勝手な推測もしますけれども、実際に働いている労働者自体が世田谷区内にほとんど住んでいないよというこのデータに関しては、どのような評価をされていますか。 ◎笹本 経理課長 昨年六月に実施したアンケートの中で、区内在住の方は一二・数%ということで、世田谷区内に住んでいる労働者が少ないという見方もできますし、賃金が低いから区内の高い家賃では住めないのかなという見方も両方しております。ただ、先ほどの防災の面からしますと、区の職員も区内の在住率というのは四割ぐらいなんですけれども、いざとなった場合、駆けつけられるところに住んでいただくというのは、防災協定の面からは非常に有効だと思っております。本来でしたら、区内にある業者で、そこの従業員は近くに住んでいるというのが理想だとは思っておりますが、これはやはり家賃との関係等、賃金とのバランスもございますので、その辺は数値を上げるというのは、区が取り組んでもなかなか難しいのかなというふうに考えております。 ◆中村公太朗 委員 意見だけ申し上げておきますが、先ほどもありました実効性、具体的な明記がない中での公契約条例、理念的な条例であれば意味がないと、つくる意味は全くないと思っておりますので、そもそものところもちゃんとしっかりとそういう意識で今後作業を進めていただきたいなと思います。  それから、最近不参加や辞退が相次いでいるということです。さまざまな事情があるにせよ、とにかく公告をしたタイミングで、何社か見積書というんですか、最初の原案を見させてくれというところが二社以上あって、それがほとんどが辞退で結局実際の札を入れなかった、金額を入れなかった。それで一社しか残らなかったとしても入札が成立をしてしまうというこの制度にはちょっと疑問を持っていますので、実際に札を入れた、最終的に入札をしっかり行って、見積もりをして金額を入れた、生の数字を入れた企業が二社以上なければ入札はもう一回やり直したほうがいいと思うんですが、その辺いかがですか。 ◎笹本 経理課長 近年、民間の工事もふえておりまして、入札における辞退や不参というのも実際のところ多少ふえる傾向にあるというふうに認識しております。ただ、案件を見て積算をして、その結果の辞退というふうな認識もございますので、全てがその金額が合わないから辞退ということではなくて、理由としては、現場代理人、いわゆる現場監督の方が確保できないというのが一番大きな理由として事業所から出されておりますので、そこは信用して対応をさせていただいております。  お話にありました、札が入らなければ再度入札ということにつきましては、我々のほうも制度をつくらなければいけませんので、ちょっと慎重に検討をしていきたいと考えております。 ◆中村公太朗 委員 きょう議論する中で、世田谷区は過度な競争もないということもわかりましたし、先ほどの総合評価も区内に限らずということを申し上げましたけれども、やはり資本主義というシステムに無理くり手を突っ込んで、区内事業者ということで、あえて必要以上の税金を、例えば一部の事業者さんに限定をして支出をしていくということは、一部の区民の利益にはなりますけれども、その他そういう事業に従事していない税金を納めている方にとってみれば、それはイコール不利益につながりかねないわけですから、しっかりとこの辺の公平性、競争性の担保をしていっていただきたいと重ねて申し上げて、質問を終わります。 ○石川征男 委員長 以上で世田谷民主党の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○石川征男 委員長 引き続きまして、みんなの党・世田谷行革一一〇番、どうぞ。 ◆大庭正明 委員 昨日の続きで、世田谷区の行っている無作為抽出というアンケートの手法について引き続いてやりたいと思うんですけれども、我々がこの問題に着目しましたのは、昨日もお話ししましたけれども、世田谷ナンバーのアンケートの結果というか、回答者の偏りというのが余りにもおかしい、これは本当に無作為抽出でやったのかどうかということを疑えるぐらいのおかしさということから始まりました。  それで、これがおかしい、おかしいと一つだけ言ってもしようがないので、今回、ことしに行われたほかのアンケート調査と比較してみることにしました。その一つは、五月に行われた区民意識調査、それからもう一つは、さきの公共交通特別委員会で報告されました交通まちづくり基本計画の改定に関するアンケートということで、その三つを比較してみたいと思います。  まず、これは実数として、世田谷区のリアルな数字として、世田谷区の世代別の人口分布についてここに書いてあります。こちらに書いてあるのが人口分布で、これは実数です。全部で七十一万六千九百三十一人います。これはアンケートの比較をとるために、十九歳までの年齢を省いてあります。つまり、一月一日現在の二十歳以上の人口で、二十代が十万七千余人、三十代が十五万二千余人、四十代が十四万五千余人、五十代が九万七千余人、それから六十歳以上が二十一万三千余人ということで、それぞれ人口比率というのは、二十代が一五%、三十代が二一・三%、四十代が二〇・三%、五十代が一三・六%で、六十代以上が二九・八%、合計で一〇〇%。  これが人口の分布なんですけれども、当然、世代別でアンケートの回答の偏差というか、二十代は比較的回答をしない場合が多い、五十代は回答しやすいという年代の偏差、特性があるので、それを考え合わせた結果とすると、ことしの五月に行った区民意識調査では、例えば二十代だけでいきますと、九・二%の人が回答している、交通アンケート調査でも六・二%の人が答えている。世田谷ナンバーに関しては〇・二%しか答えていない。〇・二%といっても回答者は三人ですから、二千人回答があった中で三人ですから、実質的には〇・一五%です。〇・一五%を繰り上げて〇・二%と書いてあるので、ほとんど〇・一%に近い数字なわけです。  ほかの二つは似通って、三十代までは似通っているんですね。区民意識調査が一七・二%、それから交通アンケートが一二・六%。ある程度の差はありますけれども、世田谷ナンバーのように三・四%までの落ち込みはないんです。四十代になってくると二〇・一%と一八・二%ぐらいの差、こっちは一一%、相当開きが出てきます。五十代でいくと一四・七%から一六%ぐらいの形。これに対してナンバーのほうは一〇・八%。最後に六十代以上でいくと、実数の人口は二九・八%、ほぼ三〇%ぐらいの人口比率があるんですけれども、回答比率が高いということで、区民意識調査の場合は三六・九%、それから交通アンケート調査は四三・二%、ナンバーのほうは七三・九%。特段この部分が多過ぎる。  ちなみに、区民意識調査は四千人で回答率が五八・九%、交通アンケート調査は一部十六歳以上が入っていますので、その分を入れると二千五百人で三〇・八%、三分の一以下の回答率ということです。それから、ナンバーのほうは、ほぼ区民意識調査と同じ四千人が対象で、回答率が四九・六%、ほぼ二千人ぐらいが回答している。  こういう形で、これがことしの五月、これが四月、これが七月、人口動態からするとそれほど人口の動きがない中で行った中で、やはり我々は世田谷ナンバーのアンケートの結果というのは余りにも偏りがあるんじゃないかと思うんですけれども、宮崎部長、その辺はどう思われますか。素直にお答えください。 ◎宮崎 政策経営部長 その数字から申し上げられることは、かなり偏っているというふうに思います。 ◆大庭正明 委員 無作為抽出のアンケートについては、いろいろここにも掲げてありますけれども、いろんなアンケートが行われている。これは統計学的にいって、ある一定の数量、サンプルをとれば、ほぼ世田谷区全体の意向というか、区民の流れというか、意思の流れが推量できるんじゃないかという形で、統計学的に四千とか二千五百とかという数字をとられると思うんです。  それに対して偏りが出てくるというのは、原因を追求されましたか。どうしてこういう偏りがあるのかと。 ◎宮崎 政策経営部長 まず、原因についての追求はしておりません。この無作為抽出と言われているものについては、いわゆるピックアップをしていく際に、誰々ということについての、言ってみれば個人的な名前を引っ張り上げてくるということではなくて、与えられた条件が、今般、二十歳以上、十地域別ということでしたので、その部分に沿って抽出をしたものというふうに理解はしております。 ◆大庭正明 委員 これは確率というところが統計学は成り立っているわけですけれども、簡単に言えば、さいころを十回ぐらい振れば、一の目が連続して何回も出ることもあるかもしれないけれども、例えば千回とか一万回ぐらいさいころを振れば、そのさいころが均等で正しいものであれば、大体確率的に六分の一になるというような形で、結果が全て全体を見通せるというのが統計学の基本になっている確率の考え方だと思うんです。  それで、四千をとってみるということは、四千人ぐらいの人を無作為抽出でとれば、大体、世田谷区全体の区民の意思がわかるということを前提として調査をしているということじゃないんですか。 ◎宮崎 政策経営部長 いわゆる区民の方が満遍なくどのような考え方をお持ちかということについてのお尋ねだと思いますけれども、今般与えられている条件だけで必ずしもそこまで言えるのかどうかというのは、私は確信を持てません。 ◆大庭正明 委員 そうすると、これは所管が違うんですけれども、何のためのアンケートだったのかと、この世田谷ナンバーのアンケートが。今部長は、要するに何を調べているのかわからないかもしれないみたいなことを言われたわけですよね、この調査結果から見ると。 ◎宮崎 政策経営部長 今回与えられた条件を重ねて申し上げますと、まず、二十歳以上ということしか条件が入れられていないことと、それから、区内全体の人口分布についてのことは意識して、十地域という条件で抽出したものというふうに理解しております。 ◆大庭正明 委員 では、ちょっと具体的に、きのうのことをもう一回、今度は担当所管に尋ねますけれども、まず商業課のほうから、世田谷ナンバーについてアンケートをとりたいので、予備も含めて四千五百人分のデータが欲しい、無作為抽出でやってくれというような要請があって、それを受けて情報政策課の中では、附属というか、委託契約をしているSEの方に、住民基本台帳から二十以上の四千五百人を無作為で抽出してくれというような、要するにプログラムというか、コンピューターが動く仕組みをつくってもらって、それをコンピューターにかけて、住民基本台帳から四千五百人を抜き出したということですよね。これはまず確認です。 ◎庄司 情報政策課長 今御指摘いただきましたとおり、商業課の依頼に基づきまして、作業は情報政策課でございますが、こちらは委託で行っておりますので、委託の事業者がいわゆるプログラムを作成し、実行し、作成できたデータを商業課に引き渡したというものでございます。 ◆大庭正明 委員 無作為抽出という場合ですと、ある意味ばらばらだと、特性がないということになるわけです。四千五百人分をとるということは、特に偏りがないという結果が出るはずなんですけれども、人口比の偏りはありますけれども、地域特性があったとしても、それ以外の偏りはないだろうと。それで、今のシステムでは、無作為抽出でやったということを誰が確認できるんですか。 ◎庄司 情報政策課長 現在の委託でこの業務を行っている形では、今回であれば商業課からの依頼に基づいて、情報政策課が委託している事業者が作業を行っているわけですが、作業を行うに当たって、依頼が書面で来ているわけですけれども、その書面の内容と、実際の実行したい意図、そういったところの確認を行った上で、一回テストデータの抽出を行って、そのテストデータを引き渡して、所管の確認を得て、その上で本番が実行されてデータを引き渡すという形になっておりますので、プログラムの中身自体の確認というよりは、出力されたデータをもって確認をするというような状態で業務を行っているということでございます。 ◆大庭正明 委員 その出力したデータというのは、今回の場合は、住所と氏名と郵便番号、この三つしかないわけですよね。そうすると、例えばその横に年齢だとか、これで言う在職、世田谷区に住んでいる期間だとかそういうデータがある程度付記されていれば、だんだんばらけているなということはわかりますけれども、名前と住所と郵便番号だけをピックアップされたのを見ても、これは年齢のばらつきがちゃんと出ているのかな、いや、これは全部二十が抜けているよねとか、ほとんど二十が抜けているよねという形というのはわからないでしょう。だから、その確認ができているかということなんですよ。それはできていませんよね。 ◎庄司 情報政策課長 委員御指摘のとおり、今回の作業につきましては、出力項目として指定されておりますのは、郵便番号と住所と氏名ということになりますので、これを確実に確認するということになれば、生年月日の出力も必要だったというふうに理解しております。御指摘のとおり、こちらの要件提示段階での所管課の意図の確認ですとか、テストを行う際の必要な情報の提供ですとか、具体的なテストの手法、こういったものに対する情報政策課からのアドバイスが不足していたと認識しておりますので、今後こちらについては、工程の見直し等含めまして改善を行ってまいりたいというふうに考えております。 ◆大庭正明 委員 だから、今までは、要するに書類上はこれこれこういうふうにしてありますとか、これこれこういう要件で抜き出しましたと書類上は書いてあるけれども、実際データそのものが本当にそのとおりに抜き出されていたかどうかについては、これまでの部分については確かだとは言えないんでしょう。部長、答えてください。 ◎宮崎 政策経営部長 今回の件についてはそのように理解をしております。  ただ、今般のこのお話をいただきまして、区民の調査をかける際のデータ抽出の方法については、この数年間の分については調べさせていただきました。その中で、調べる意図の部分においては、年代別の分布を最初から指定してくるケース、それから、何歳以上という形で御指定をいただいて抽出したケースにおいても、例えば年齢を一度打ち出してくださいというようなケースもございまして、必ずしも今言った所管部のほうのチェック体制がなかっただけではないんだろうと思っていますが、今般のケースについてはそれが行われていないという状況はございます。 ◆大庭正明 委員 次に、問題点として、委託のSEが商業課のサーバーの中に入ってデータをコピーして自分のところに持っていたということが明らかになったんですけれども、その理由をもう一度お聞かせください。 ◎宮崎 政策経営部長 今般の行為そのものについては、五月にそれが行われているようですけれども、具体的には抽出をした際の、今のお話とも絡むんですけれども、どういうような抽出方法であったかということについてのお問い合わせを商業課から情報政策課にいただいている、SEのほうにですけれども。その際にやりとりがあったようですけれども、その際に、データが情報政策課にもないと、きめ細かな御質問に対してお答えができないということで、SEが商業課のほうのコピーをした、こういう事実でございます。 ◆大庭正明 委員 課長に伺いますけれども、これはコピーをしなくてもそのぐらいの応答、答えは――つまり、なくてもそのぐらいの応答はできる内容ですよね。このオリジナルコピーが手元になくても、手元で見なくては答えられないというようなレベルじゃないと思うんですけれどもどうですか。お答えできれば、部長でもいいですよ。 ◎庄司 情報政策課長 具体的にきのうも日付が出ておりましたが、五月二十三日にコピーが行われたわけなんですが、その前段の問い合わせは手元にデータがなくてもできたものでございます。ただ、将来にわたって、今後いろいろな御質問が出てくるということを、ある意味予測して、それに備えてということで情報政策課保有のサーバー間でのコピーではございますが、行ったというところでございます。 ◆大庭正明 委員 では、部長にお伺いしますけれども、委託の範囲として、そんな余計なことまで、つまり将来のことですよね。そのために今コピーするなんていうことが、委託契約の間で行われるかどうか、僕は不思議でしようがないんです。職員であれば気を回してということもあるかもしれないけれども、委託先ですよ。委託先の人間が、今必要もないのに、今までの質問であれば全然コピーしなくても答えられたというのに、将来質問があるかもしれないから勝手にコピーをするということは、常識的に考えて、あるんですか。 ◎宮崎 政策経営部長 まず、今回のこの業務そのものについては、改めて委託契約等を確認したところ、この運用に係ることについての、この運用に関することという言い方をしていますけれども、そういう作業指示書を区のほうから出しています。したがいまして、SEのほうといたしましては、所管部からの問い合わせに、当然その一環としてお答えするということを考えたと思います。それで、その部分についてのデータの今後のやりとりもあり得るということで、善意でSEのほうはコピーをしたと、私としては理解しております。 ◆大庭正明 委員 今の部長の答弁だと、コピーすることまで許可していたみたいな委託契約だったんですか。判断で勝手にコピーしていいよということなんですか、そうじゃないでしょう。 ◎宮崎 政策経営部長 先ほど、業務の流れとして、概括的ですけれども、こういう運用に関することという指示はあったということを申し上げました。今般のコピーの部分については、本来、事前に情報政策課の職員なりに了解をとるべきだということの認識は変わりません。 ◆大庭正明 委員 委託先としては当然のことじゃないですか、そういうことはやっちゃいけないことはわかっているわけでしょう。それが、区の意思もなく勝手にやったということなわけですよ。僕はどうも原因がわからないんですね。  きょうは、一応回答編ということで、一体何が行われたのか。これが世田谷ナンバーのさっきの形を変えたやつです。二十代の回答者が三人しかいない。回答数は約二千です。それから、どのぐらいの期間住んでいるのかということで、千九百七十六人の方が答えて、全体の九九・六%の人が、十年以上住んでいると。このような結果になるというのは、僕は商業課のほうをいろいろ調べましたけれども、商業課のほうのデータを見る限りにおいては、例えば商業課にあるほかの名簿に切りかえて差しかえるとか、そういう作業をしたのかなと思うんですけれども、したにしても、例えば二十代がゼロだとか、十年以上住んでいるのがほぼ一〇〇%ということはできないんですよ。名簿を全部シラミ潰しに調べて、こういう結果が出るようなことを予測しなければ。  そうすると、このきれいなばらつき、二十代がほぼゼロ、十年以上が一〇〇%。このような形のものというのは、恐らく私たちの推理では、情報政策課の最初の切り出し、情報抽出のやり方に何か問題があったんじゃないかなということで調べてみました。  そうすると、こういうやり方をするとほぼどんぴしゃりに当たるんです。というのは、まず切り出しの仕方で、世田谷区に三十五年以上住む人だけで四千人を選んだ場合というのは、実数でいきますと約十五万人。世田谷区に三十五年以上住む人の数が十五万人いて、三十から三十九歳が七千二百二十一人で四・八%、四十歳から四十九歳までが一万六千八百三十六人で一一・二%、五十歳から五十九歳が一万四千六百九十二人は九・八%、六十歳以上というのは十一万一千五百八十二人で七四・二%。これは実数ですから、当然これの近似ですから、このような形のコマンドで切り出せれば、恐らくこっちのほうの数字になるということが我々の推理なんですけれども、それをしていないという確証は持てますか。 ◎宮崎 政策経営部長 現在、先ほどの図でもございましたとおり、データそのものは一回情報政策課のほうでは廃棄、これはルール的に一カ月で廃棄しているわけです、当初の部分について。これがまず消えていること。同時に、その段階でのプログラムも消えているということがございますので、今確証を持てるかと言われれば、数字的に言うと、横並びにしますと近いわけですけれども、だからといって、三十五年以上の条件を入れたんだろうということについて確信を持てるわけではございません。逆に言うと、そこの部分については不明です。 ◆大庭正明 委員 三十五年以上というのは、一つ我々はいろいろ考えた末に、こういう仕方しかないんじゃなかろうかというやり方で、これは故意なのか故意でないのか。つまり、プログラムの一行を書きかえちゃう。二十歳以上ではなくて、三十五年以上住んでいる人という形に一行書きかえるというか、書き間違えちゃうとすれば、こういう結果が出る可能性が、回答の仕方からするとあるわけですよ。だから、我々は、意図的なのか、ミスでそうなったのか、プログラムミスなのかどうかわからない。  それから、先ほどの課長の答弁によると、要するにミスがあったとしても、それを検証するようなシステムがないということなんですね。そうすると、これは今ある名簿の中で、例えばこういう特性が出てこないかどうかというのを確かめていただけませんか。 ◎宮崎 政策経営部長 時間をいただきまして、今までのデータをとってくる分のところに、今言った条件を入れると本当にどういうふうになるかということでしょうから、それは試してみる価値はあるかもしれません。 ◆大庭正明 委員 きのうも言いましたけれども、現在商業課に残っているオリジナルというデータも、書きかえられた後、もしくはコピーしたものの再コピーということであって、本当に最初に情報政策課が二十以上で四千五百人、予備も含めて出したものかどうかというのも疑わしいわけです。それにも疑問があるわけです。手が加えられているわけですし、コピーのコピーですから。でも今、少なくともこの原因を追求する段階で、今あるものと住居特性、何年以上住んでいる人とかというのがほとんどぴったりだということでないような形のものを一つ潰していくことによって、また原因追求になると思うんです。  ひょっとすると、世田谷区が使っているメーンフレームのコンピューターが故障を起こしている可能性だってないわけではないです。わからないわけですから、我々が使っている中で。どんどんずれているという可能性だってあるわけです。ですから、今回のことをひとつ契機にして、専門家の養成ということも要望したいし、やはり検証をしていただきたいということで、この続きはまた区民生活でやります。 ○石川征男 委員長 以上でみんなの党世田谷行革一一〇番の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後一時四十八分休憩    ──────────────────     午後二時五分開議 ○石川征男 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  緑の党グリーンズジャパン世田谷、どうぞ。 ◆木下泰之 委員 他会派からも情報公開の問題、情報操作の問題、いろいろと追及されているわけなんですが、基本構想を読みますと、情報開示に関係するものが出てきているのが、「ひとりでも多くの区民が区政や公の活動に参加できるようにする」というビジョンの中で、「区をはじめ公の機関・組織は情報公開を徹底するとともに」と書いてあるのが唯一なのかな。これ以外に書いてあるところはありますか。 ◎望月 基本構想・政策研究担当課長 今委員御指摘のとおり、将来目標を掲げた九つのビジョンの「ひとりでも多くの区民が区政や公の活動に参加できる」という(「いいですよ、確認ですから」と呼ぶ者あり)はい。そこで情報公開を徹底しております。 ◆木下泰之 委員 それから、今度基本計画のほうを見ると、先ほど他会派からありましたので、省略しますけれども、実現の方策にしか載っていないわけです。  そこで、聞いておきますけれども、私は基本構想として非常に落第だと思うんです。つまり世田谷区はやはり情報公開と住民参加ということで、区長もそれを第一に掲げて当選されてきたわけだから、少なくともそれについては丁寧に書かなきゃいけないはずですが、書いていない。  ところで、書いていないので、確認しておかなきゃいけないんですけれども、世田谷区は一応情報公開制度は持っていて、当時は、できたときは先進的だと言われていたんですよ。もうほかに超えられて一周おくれ、二周おくれぐらいにはなっちゃっていますけれども。ただ、少なくとも情報公開が基本であると。つまり区民主権があり、情報公開が基本であると、公にオープンにするのが当たり前だと、それはそういうことを前提に考えてよろしいですね。いかがですか。情報公開が当たり前であると。 ◎宮崎 政策経営部長 今般の出し方として、区民参加と情報公開、これが対になっているというふうに理解しております。 ◆木下泰之 委員 だから、かつての積み重なってきた世田谷区の情報公開制度の基本にかかわることですよ。つまりそれは、例外規定は設けるけれども、基本は区民の情報なんだと。区民主権ということはそういうことですよ。それはいいですね。 ◎宮崎 政策経営部長 そのように理解しております。 ◆木下泰之 委員 だとしたら、基本計画をつくる際には、その線に沿ってちゃんと書き込むべきだし、情報については、意思形成過程については、これはきちっとそういうものとして書くべきだと思います。書いてあることは、要するに区民参加の中でしか書いていない。非常に問題だと思います。  それで、町会・自治会の問題をお聞きしますけれども、町会・自治会ですか、いわゆる加入促進条例をつくろうとしているわけですけれども、これは法的根拠はありますか。関連法か何かありますか。町会への区民参加。 ◎田中 基本構想・政策研究担当部長 基本構想にそれを書き込んだというのは、区民の活動を支援するという立場から書き込んだものでございます。 ◆木下泰之 委員 ですから、加入促進についての条例を定めることは法的な根拠はないと思うんですね。これを書くことによって何を狙っているんですか。 ◎田中 基本構想・政策研究担当部長 基本構想の前文にも書いてございますとおり、私たちは世田谷区がこれまで培ってきた自治の追求であるとか、区民を主体とした活動というものをこれからも進めていくことが大切だという観点から、それを支援する必要性があると考えまして、そのように書き込んだものでございます。 ◆木下泰之 委員 加入促進といいますけれども、問題は私的な団体なわけですよ。それで、問題は情報公開なんかについても、例えばまちづくり協議会なんかをやるときに、参加する主体として町会・自治会がそこに参加できて、個人が参加できないというようなこともあるわけですよ。そういう問題点の中にあって、町会・自治会が本当に地域の意見を全て代弁している、そういう組織であるというふうに思いますか。 ◎田中 基本構想・政策研究担当部長 全てを代弁する組織だという認識で書いているものではございませんが、非常に重要な組織であるという認識はございます。 ◆木下泰之 委員 何回か紹介しましたけれども、町会というものが日中戦争のときに上からの命令でつくられた組織であるということは御存じだと思います。これは世田谷区の研究資料に書いてあるわけですよ。そういう問題があって、もちろん町会の中には、戦後の民主主義化の中で、それに沿ったいろんな改革もされて、それなりに役割を果たしているところがありますけれども、しかし、基本はやはり宗教問題を一つとったって、そう簡単に全員が合意できるようなものではなかったりもするわけですね。ですから、町会について加入促進ということを言ってしまうと、加入するのが当たり前であると。つまり加入しなければならないというふうに強制される可能性があるんですよ。それを排除するためには、何がしかの方策をとる必要があると思うんですけれども、そういうことは考えていないんですか。 ◎田中 基本構想・政策研究担当部長 私たちが基本構想の基本的な考えといたしましたのは、区民の主体的な公のかかわりということでございまして、町会・自治会への加入を強制するなどという表現はもともとございませんし、そうした意図もございません。 ◆木下泰之 委員 少なくとも過去の歴史も含めて、中立公正であり、公開であり、透明性を確保する、あるいは独立性をちゃんとそこに担保する。そういった文言を入れて加入促進をするならまだしもいいと思うんですよ。そういうふうにするつもりはないんですか。 ◎田中 基本構想・政策研究担当部長 そもそもこのビジョンに書き込んだのは、町会・自治会、NPOの活動にも加わるなどという区民参加活動への例示として書き込んだものでございますので、先ほども御答弁申し上げましたとおり、主体的な参加が基本であって、強制するという意思はございません。 ◆木下泰之 委員 参加促進条例が用意されていないんだったら、あなたの言うこともわかるけれども、現に参加促進条例がつくられようとしているんですよ。つくる以上は、透明性や公開性や独立性をちゃんと確保するということが言えない限りは、これは区民に到底納得がいかないものだと思うんですけれども、それを入れる努力はしませんか。 ◎田中 基本構想・政策研究担当部長 基本構想は既に御議決いただいたものでございますので(「条例の問題を聞いているんですよ。素案の問題」と呼ぶ者あり)
    ◆木下泰之 委員 素案が既に提示されているわけでしょう。それについて聞いているんですよ。基本計画の中にも入ってきている。だから、そういうことを入れるつもりはあるのかどうか聞いているんです。どうですか。 ○石川征男 委員長 以上で緑の党グリーンズジャパン世田谷の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○石川征男 委員長 引き続きまして、新風21、どうぞ。 ◆小泉たま子 委員 一般質問で避難所配置の総合的な見直しを質問いたしました。指定の一次避難所が余りにも遠かったり、坂道があったりして、区民から見て余りにも非現実的な場所があったからです。それに対する答弁にはびっくりいたしました。相談があったときには、指定にこだわることなく、最寄りの、あるいは避難しやすい避難所を案内する。さらに、一次避難所の配置を見直すことは困難であると、こうされました。全く区民が不在の議論です。  一次避難所というものを区立学校を活用するという観点からのみ考えており、区民がいかに緊急時に避難しやすいかという観点が抜け落ちています。いざというときに柔軟に対応すると言われますが、いざというときには、役所の言われるように柔軟に対応できるものではありません。いざというときにこそ、安心して迷わず利用できる。そのための整備が必要なはずです。  災害対策は、安全安心のまちづくりの基本です。区は災害対策の総点検を行うと言われました。さらに、在宅被災者支援での避難所の役割について質問しましたが、国の指針を踏まえなどと、全く人任せです。必要と判断したならば、まず区として取り組むべきです。  この二点について考えを改めるべきと思いますが、御意見を伺います。 ◎有馬 災害対策課長 まず、避難所の配置でございますが、第一順位の避難所や対象区域については、距離のほか、避難所運営の担い手である町会・自治会の区割り等も踏まえてしております。また、これまでさまざまな周知を行ってきており、一定の浸透も図られていることから、全区的な見直しは難しい状況にあります。  一方で、地域、地区の特性を踏まえた避難体制の構築の必要性についても認識はしているところです。現在、区内の大学等との間で第二順位の避難所としての利用となっておりますが、今後の検討の中で第一順位の避難所としての協力体制が整った場合には、計画に明記した上で、関係の区民等へ周知を図ってまいります。  次に、在宅被災者についてでございます。  さきの定例会で在宅被災者に対する具体的な課題として、第一は情報の提供、第二は物資の提供、第三は高齢者等、支援を要する方への継続した福祉サービスや見守りの三点を挙げました。具体的には、避難所に掲出されている情報や区から提供される情報の提供、配給物資の在宅への提供を行うため、家族、隣近所、町会・自治会等、多種多様なネットワークとの連携方法を検討してまいります。  また、福祉サービスや見守りについては、現在、保健福祉領域を中心に介護事業者等との連携に向けた検討を進めているところです。今後、二十六年七月を目途に職員の初動期マニュアルの更新を行う中で、具体的な仕組みづくりについて検討してまいりたいと思います。 ◆小泉たま子 委員 安全安心は行政の基本です。世田谷区は何を優先順位としているのでしょうか。とても疑問です。  次の質問に移ります。  総括質問で役割分担行政、そして責任分担行政ということを申し上げました。今の世田谷区政は、課題を解決するのではなく、問題を分析し、役割分担を決め、そして責任を分担すること、そのために誰が責任者かわからなくなっている、そのことを申し上げました。この典型が現在の地域行政制度です。本庁と支所でどちらがどのような仕事を分担するのか、その検討がいつまでもいつまでも続きます。  地域の現場では、常に新しい問題が発生している状況です。その問題に対して、まず所管がどこかを探すことが仕事の初めでは、解決する問題も解決しません。問題がいつも堂々めぐりでたらい回しです。まちづくりセンターの所長がかわり、児童館長がかわり、支所長がかわると区民への対応がかわる、それ以上に地域、地区の雰囲気までが変わるというのが現実です。  地域行政制度というものは、世田谷区の宝物だと思うのです。一般質問で地区でのルールづくりを地域行政制度の内容と位置づけるべきであると申し上げました。答弁が区長でしたので、明確なお答えがいただけませんでした。あえて担当の答弁は求めませんが、地域行政制度はこのように地域経営に直接役立つものとすべきなのです。  地域行政制度は、区民参加を制度的に保障するものですが、その役割は変化してくるはずです。きのうも申し上げましたが、今後は、行政の最大の仕事として、地域、地区の経営ということが大切となるはずです。そのための指針となるものが、世田谷独自の地域行政制度です。  この地域行政制度をつくり直していく。仕事の役割分担の指針ではなく、地域、地区の課題解決の仕組みとしていくべきなのです。何か物事が動いていくためには、人の心を動かすことがとても必要です。仕事をするには、わくわく感がとても大切だと私は思うのです。  地域行政の担当者は、地域行政制度の新たな構築によって、人の心を動かしていく、そのような心意気が必要と思いますが、いかがでしょうか、伺います。 ◎城倉 地域行政担当部長 地域コミュニティー、これは地域で暮らす人たちがつくり上げていくものというふうに考えております。そこにはこんな町にしたいという思いが重なり合ってできていくというものだと考えております。そこで暮らす人たちのそういう気持ちを醸成していくことが大事であって、そこでかかわる職員、ここは地域の人たち、地域で暮らす人たちとの関係づくりがあって、初めて仕事にかかわれる、あるいは地域の人たちに受けとめられる、受け入れられるということがありますので、そういう気持ちを強く持って私たちはやっていかなければいけないというふうに考えております。  地域行政、今お話にございましたけれども、やはり地域の課題を解決するための仕組みだというふうに思っております。ですから、私たちはそこにかかわるに当たって、今経営という言葉がありましたけれども、地域をよりよくするという意味での経営という感覚、そういう気持ちを強く持って取り組んでいきたいというふうに考えております。 ◆小泉たま子 委員 この前も申し上げましたけれども、地域とのかかわりについて一周、二周おくれていると私は思うんです。本当に真剣に取り組んでいかないと、非常に区民に迷惑がかかる。助かるものも助からない。よくなるものもよくならない。改善できるものも改善できない。そういう時代が起きてきますので、本当にしっかりと取り組んでいただきたい。わくわく感を持って取り組んでいただきたいと、こう思います。  以上で質問を終わります。 ○石川征男 委員長 以上で新風21の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○石川征男 委員長 引き続きまして、減税世田谷、どうぞ。 ◆あべ力也 委員 それでは、きょうは災害とか防災という視点で幾つか伺ってまいりたいと思います。  まず、特別警報というのがこの前国のほうで基準ができまして、特別警報は住民への周知が自治体に義務づけられたということでありますが、世田谷区のこうした災害に対する住民への周知の体制というのはまずどういうふうになっているのか伺いたいと思います。 ◎有馬 災害対策課長 特別警報の周知が自治体に義務づけされましたが、特別警報の区民等への伝達については、現状はテレビやラジオなどのメディアによる伝達にあわせ、区が利用できる、例えばホームページやメール配信サービス、ツイッター等、あと防災無線等を使いまして実施してまいります。 ◆あべ力也 委員 そうすると、テレビとか、ほかのメディア任せということなんですか。世田谷区自体はメールとか現状のもののようですけれども、私は以前に、第二回定例会のときに、スマートフォンが今普及をしていて、それに対するアプリを配信してやってみたらどうかという提案をさせていただいていて、二十三区も、例えば文京区であったり、足立区であったり、江東区であったり、最近は港区も情報のアプリを作成して配信するというようなことを始めたということなんです。  特に防災とか災害に関しては、位置情報が、本人が特定ができて、そこからいろんな情報を引き出せるということで、大変役立つツールだと思うんですけれども、前回、その回答をいただいたのは、これについて今予算的な問題とか、そういうことも含めて検討しているというような回答をいただいておりますけれども、その後、どういうふうになっているのか、その点をちょっと伺っておきたいと思います。 ◎有馬 災害対策課長 今アプリの活用というお話もございました。他の自治体等も導入に向けて進めておりますので、確かに情報伝達に係る技術の進展等もありますので、当課としましては、検討を進めているところです。 ◆あべ力也 委員 それでは、しっかり検討して、他区との情報格差にならないように、ぜひ導入を早期に進めていただきたいと要望を改めてしておきたいと思います。  次に、世田谷区の防災訓練、これは区民のじゃなくて、世田谷区の体制としての防災訓練は、現状としてどうなっているのか。年間の回数とか、その実施方法等についてはどういうふうになっているのかちょっと伺いたいと思います。  というのは、大震災のときに、オリエンタルランドという会社がありますけれども、皆さんよく知っている東京ディズニーランドを運営している会社です。あそこは年間約百八十回ぐらいの防災訓練をしていて、大変震災のときにパニックにならなかったというような報道を聞いておりますけれども、世田谷区の本体は、今防災訓練に関してはどういうふうにやっているのか伺っておきたいと思います。 ◎有馬 災害対策課長 世田谷区全体として大きな防災訓練につきましては、今年度でいきますと、八月に一回行いました。また、各部においては、事業者と連携して実施しているというようなお話も聞いています。また、我々災害対策本部におきましては、毎月一回実施をしているところです。 ◆あべ力也 委員 毎月一回ということだと、十二回ということですか。いろいろやり方はあると思うんですけれども、災害はいつ起こるかわからないということですから、例えば時間帯を、朝の時間であるとか、日中であるとか、夜間とか、いろんなシチュエーションを検討していただいて、それもこういう訓練をやるんだということではなくて、本部のほうから抜き打ち的に、支所もありますし、いろんな部署もあります。そういう防災に関した訓練の仕方そのものを工夫していただいて、役所が防災に対応する体制を確立していくということも、その訓練の一つにはあると思うんですが、そういう考え方はどうでしょうか。 ◎有馬 災害対策課長 御指摘のとおり、まだまだ不十分な部分がございますので、委員御指摘の抜き打ちによる参集訓練なども含めましてさまざまな工夫をしてまいりたいと思います。 ◆あべ力也 委員 それと、次に、避難所の運営に関してでありますけれども、ペットが原則同行するということになりました。これは環境省のほうからそういうことになったようですけれども、今避難するときにペットを同行するといった場合の避難所のトラブルの回避の対策であったり、自治体の体制そのものの体制をつくるというようなことをこれからやっていくというようなことでありますけれども、世田谷区としてはペットの避難所での扱いに関してはどういう取り組みをしていくのか。  また、ペットを受け入れるということになりますと、人と同じように、ペットも生き物ですから、例えばペットフードとか、わんちゃんであればペットシーツを用意するとか、あとはケージとか、そういうものもいろいろ必要になってくるのかと思いますけれども、そういうことに対する考え方等も、準備等も伺っておきたいと思います。 ◎有馬 災害対策課長 今のペットに関する自治体の体制づくりでございますが、区では、避難所運営マニュアル標準版におきまして、ペットの受け入れについて記載しております。具体的には、避難所では人と動物の滞在スペースを分けたり、また受け入れ可能な動物を人に危害を加えないものに限定するなど、生活していく上でのルールを定めております。  先ほどありました物資等につきましては、基本的には御本人たちで負担していただくということで考えております。  一方、ペットも避難所ではストレスを受けるため、自宅が無事で安全に過ごせる場合には、自宅にとどまっていただくことも含めて啓発をしてまいりたいと思っております。 ◆あべ力也 委員 物資等については本人等で調達をしていただきたいという今御返答がありましたけれども、実際災害が起きて、避難所へ逃げましょうというときに、自分のものも持たずにペットフードだけ持って逃げるということはあり得ないと思うんですよね。ですから、この点については、まだ区としてきちっとした考えを出されていないんだと思いますけれども、いろんな災害対策の備蓄に関しても、ペットの用品についても検討していただけるように要望しておきたいと思いますが、最後にこの点についてはどうでしょう。 ◎有馬 災害対策課長 まだペットに関しては、確かにこちらも周知不足なところがありますので、今の御意見も踏まえて検討してまいりたいと思います。 ◆あべ力也 委員 以上で質問を終わります。 ○石川征男 委員長 以上で減税世田谷の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○石川征男 委員長 引き続きまして、レインボー世田谷、どうぞ。 ◆上川あや 委員 公益通報者の保護について伺います。  まずは、さきの本会議でも取り上げられました世田谷保健所が起こした不祥事についてです。  本件では、区内の弁当製造、配送業者に勤める従業員の方から内部告発を受けた区保健所が抜き打ち検査に入った際、事業者に告発の事実を漏らしてしまい、通報した従業員が即日解雇をされたと報じられました。本会議では、保健所長も立入検査の際、職員の口から○○と言っている人がいると受けとめられる発言があった。つまり告発をにおわせる発言があったと認め、また、その後、通報者が東京都に相談に行っていると、業務上知り得た情報まで暴露したことを認めましたが、これは公益通報者保護の理念、原則に明らかに反しています。職員の守秘義務違反もまた明らかです。にもかかわらず、保健所は、これら発言を含む調査そのものが適切に行われたと答弁を繰り返してはばかりませんでした。反省がないにもほどがある、厚顔無恥な答弁、許しがたい答弁だと私は受けとめています。  この質問の最後で総務部長が答弁に立ちまして、今回の不適切な発言に関しましては、服務規律の観点から必要な対応をしたところでございますと言ったところで時間切れとなりましたが、この答弁自体、服務規律上問題があった、つまり処分が必要なほどお粗末な対応があったと区として認めている発言にほかならないと考えるんですが、いかがですか。 ◎堀込 人事課長 先日の一般質問の際、世田谷保健所長より通報者が東京都に相談に行っているという趣旨の発言があり、不適切なものとしておわび文を出したとの答弁がございました。  総務部といたしましては、一般質問の総務部長答弁の繰り返しになりますが、服務規律の観点から、当該職員に対し必要な対応をしたところでございます。 ◆上川あや 委員 繰り返しの答弁を求めたわけじゃないんですが、ともかくお粗末だったことは間違いないんですね。  実はこの件をめぐりましては、私もこの六月に保健所と総務部に事実確認を行いまして、課長と話し合いをそれぞれ持ちました。その際、非常に問題があるなと感じましたのは、職員からの通報を受ける職場として、また、職権を持って外部労働者からの通報を受け付けて調査する、そういった職権を持つ職場として、どのように対応するべきかに対しての職員への研修が全く行われていないということがわかったんですね。  総務部から研修資料の提供もるる受けましたけれども、どの資料を見ても公益通報の「こ」の字も出てまいりませんでした。結局、公益通報制度全体を統括する総務部でも、研修全般を取り扱う研修調査室でも、また、今回のように職権を持っている保健所等でも、公益通報に焦点を当てた研修は全く行われていないようです。こうした平素からの対応力強化、養成の欠如が一連の不手際の原因にあることは明らかだと感じます。  この点、総務部にも課題認識を共有いただきました。その上で、研修調査室に、この研修の充実について話し合っていただいたんですけれども、当の研修調査室は、公益通報の単独講座とするには内容が少ない、また倫理研修などの流れで説明するほうが理解しやすいのだと消極的で、これまで同様、一言研修に差し挟めば事足りると考えているようでありました。  公益通報制度そのものの普及啓発を図っている消費者庁では、平成十八年以降、毎年行政職員を対象とした公益通報研修会、特化した研修会を二時間から二時間半かけて実施をしています。また、多くの企業は、この問題で一歩対応を誤れば、通報者の人生を暗転させ、会社の存亡危機に陥れかねない非常に重要でセンシティブな問題であると捉えて、対応力の強化に力を入れています。にもかかわらず、区の認識は依然として甘過ぎるんじゃないでしょうか。  区も今回の反省に立てば、当然再発防止策の徹底を図っていただかなければ私はうそだと考えていますけれども、この点、いかがですか。 ◎星 総務課長 区は公益通報制度上、事業者として、区職員からの通報を受けるだけでなく、法に基づく指導監督権限を有する行政機関として、御指摘の保健所による食品衛生指導業務のほか、環境保全に関することなど、民間事業者からの通報を受けることとされています。  区では、こうして寄せられた情報に基づく調査、指導など、一連の事務処理がそれぞれの根拠法令等に基づき行われることや、通報者の保護にかかわる守秘義務等は、公務員として基本的に遵守すべき服務上の問題であることなどから、単独での講習ではなく、公務員倫理のカリキュラムの中で総合的に実施することが効果的であると考え、実施しているところでございます。  しかしながら、職員の研修につきましては、さまざまな手法が考えられ、公益通報に特化した研修もその選択肢だと認識しております。  いずれにいたしましても、区といたしましては、御指摘の保健所の事例も教訓とし、より効果的な研修実施に向け、研修室とも連携しながらさらに取り組んでまいります。 ◆上川あや 委員 その徹底を願います。  最後に、区の職員等からの通報について伺います。  区の職員等からの不正の告発をお手盛りで握り潰せる現行の公益通報制度の改善を求めます。私の三回にわたる関連の質疑を経まして、世田谷区でも外部に弁護士を置いた第三者窓口ができました。また、区の出入り業者にも通報の窓口が示されていなかったのを示していただきました。さらに、通報の受け付けの範囲を法に定める最低限の範囲から、格上げをしていただいて、広く捉えるようにしていただきました。この点は評価をします。  しかし、区の不正の告発を区自身が秘密裏に調査、処理できる、つまり握り潰すことさえ可能な現行制度の最大の欠陥をまだ改めていただいておりません。この点、杉並区、中野区、千代田区等、都内五区がそうであるように、第三者の通報窓口が権限を持って調査をするようにするべきです。この点の改善を何度言ってもなぜ拒むのか、その理由を求めます。 ◎星 総務課長 公益通報相談員につきましては、平成二十三年九月に設置して以来、現在まで通報受理の実績がございません。通報がないこと自体が悪いこととは認識しておりませんが、職員が本制度を認知し、理解していくことが前提となることは言うまでもありません。  御指摘のとおり、他区の制度では、相談員に調査権を付与している事例も承知しているところでございます。区といたしましては、制度がよりよく稼働するよう、引き続き取り組んでまいりますが、現時点では、相談員に調査の権限を付与することは難しいと考えておりまして、職員への制度の周知徹底について、機会を捉えて積極的に行っていきたいと、こういうふうに考えております。 ◆上川あや 委員 なぜ難しいのかの理由を聞いているんですが、それは御答弁になっていないんですね。こういうサボタージュみたいなことはやめていただきたいんです。  これは引き続き補充のほうでも質疑をしてまいりますので、よろしくお願いいたします。逃げられません。  終わります。 ○石川征男 委員長 以上でレインボー世田谷の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○石川征男 委員長 引き続きまして、世田谷無所属、どうぞ。 ◆ひうち優子 委員 本日は、平成二十四年度決算を中心に、区の財政状況について基本的な部分を伺ってまいります。  区の決算概要に基づき、まず決算の収支状況についてお尋ねいたします。  決算概要の冒頭一ページによると、今回の決算では、歳入総額と歳出総額の差し引きが四十一億五千七百万円となっており、使い道が決まっている翌年度への繰り越し十三億七千二百万円を差し引いた実質収支が二十七億八千五百万円となっています。この実質収支については、昨年度決算の実質収支十八億九千万円と比べるとほぼ一・五倍の規模となっています。平たく言うと、黒字の幅がふえたということになり、よいことではありますが、そもそも自治体の決算では、もちろん赤字は問題ですが、民間企業のように黒字幅が多ければいいというものでもないと思います。  そこで、決算収支を見る際、実質収支は基本的な指標であると思いますが、今回の区の実質収支額についてどう評価しているのかまず伺います。 ◎中村 財政課長 区の決算収支につきましては、利潤追求を目的とする民間企業とは大きく異なりまして、住民の福祉の増進という地方公共団体の役割を果たすため、税を中心とする財源を有効に活用すべきことを考えますと、黒字、すなわち余剰金の大幅な拡大は必ずしも望ましいことではなく、委員お話しのとおりと認識をしております。  二十四年度決算の実質収支が前年度と比べて拡大した理由といたしましては、四年ぶりの特別区税の増収を初め、財調交付金の増など、歳入が比較的堅調だったことと、歳出面として社会保障関連など、財政需要は引き続き増大したものの、学校改築や公園、道路の用地取得など、投資的経費が大幅に減となったことなどによるものです。  この実質収支二十七億八千五百万円は、二十五年度の一般財源として繰り越されておりまして、このたびの補正予算の財源としても有効に活用させていただいているところです。また、評価といたしましては、財政規模に対する実質収支の割合が一般的にはおおむね三%から五%が適正とされているところ、二十四年度の世田谷区の数値は一・七%という水準にはなりますが、約二千四百億円という財政規模等に照らすと、適切な範囲であると考えております。 ◆ひうち優子 委員 ただいま実質収支について適正の範囲という答弁をいただきましたが、一方で、持続可能な財政運営という視点から一つの目安となる起債と基金の関係では、借金である特別区債の残高が貯金である基金の残高を上回っている状況にあります。二十三区の中では、このように借金が貯金を上回っている区は世田谷区を含めて六区しかありません。足立区や江戸川区など、自区内の税収が少なく、例年多くの財調交付金が配付されている区でも、貯金が借金を上回っているという状況です。  そこでまず、区の借金である特別区債の残高についてお伺いします。  決算概要一二ページにグラフが掲載されていますが、これを見ると、特別区債の残高は、平成十五年度に約千二百七十三億円あったものが平成二十四年度には約六百八十一億円となっており、約十年間で半分になっております。こう見ると、かなり速いスピードで財政の健全化が進んでいるように見え、借金が減っていくということはとてもいいことであると考えますが、一方で、そのペースが速過ぎると、場合によってはその反動が出てくる可能性もあるのではないかとも思います。  そこで、特別区債の毎年度の発行水準、特別区債残高の削減について、どのような考えで行っているのかお伺いします。 ◎中村 財政課長 特別区債につきましては、公共施設や小中学校の建設など、大きな経費を伴う投資的な事業について、財政負担の平準化のほかに将来にわたって利用できる施設建設に起債を充てることで、将来の区民にもその経費を御負担いただく、いわゆる世代間負担の公平化という観点から活用しているところです。  毎年度の特別区債の発行の考え方といたしましては、今後の残高が低減していく水準を維持していくことを基本としているところです。二十五年度の発行につきましては、学校改築事業などに合わせ、約四十九億円発行の見込みとなっております。  委員お話しのとおり、特別区債残高につきましては、この間、着実な償還と起債の抑制により、およそ半減するに至っていますが、今後、梅ヶ丘整備などで起債額が一時的に増加することが見込まれております。今後も起債の必要な事業について、後年度負担を考慮して、特別区債残高を低減させることを基本としながら、有効に活用してまいります。 ◆ひうち優子 委員 続いて、区の貯金である基金の関係についてお伺いします。  今回の基金からの繰入金の決算額は二十二億九千九百万円で、前年度と比較すると九億三千四百万円の増となっています。つまり貯金をおろした額が昨年度よりふえているということになります。また、一一ページ、基金残高の推移を見ると、ちょうど山形になっており、平成十五年度以降二十年度までは残高が大きく伸びていますが、二十年度を頂点にそれ以降は右肩下がりとなっております。ただ、この右肩下がりも特定目的基金が大きく減っているためであり、財政調整基金を見てみるとほとんど横ばいで減っておりません。  そこで、基金の積み立てと活用についての考え方はどのようになっているのか、また、財政調整基金についてはほぼ横ばいですが、現在の積立水準が適切と考えているのか伺います。 ◎中村 財政課長 世田谷区は、御案内のとおり、地方交付税の不交付団体であり、またいわゆる赤字債が発行できないということから、急激な社会経済環境の変化に対して自力により対応していかなければならないということから、一定規模の基金を確保することが安定的な行財政運営を図るために不可欠なことと認識をしております。  こうしたことから、特に経済状況の変動による財源調整のための財政調整基金については、取り崩しを極力抑制しまして、この間、基金残高全体が減少する中でも一定の水準を確保するとともに、平成二十五年度当初予算におきましては、財政調整基金の取り崩しをゼロとしたところでございます。  冒頭、委員から御指摘がありましたとおり、基金残高が借金である起債残高を七十億円下回っている状況にもあり、引き続き、今後の行政需要を見きわめながら、基金残高の確保と特別区債の残高の低減を図ることを基本に努めてまいります。 ◆ひうち優子 委員 このところ、企業収益も回復しており、区としては特別区交付金がふえる予測もあると思いますが、一方で、昨日正式に表明された消費税増税やそれに伴う経済対策の影響がいまだ不透明であり、さらに地方法人課税の見直しとして、都心部の税収が財政力の弱い地方自治体に回されるような検討も進んできていると聞いております。今後、こうした動向を注視しながら、持続可能な……。
    ○石川征男 委員長 以上で世田谷無所属の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○石川征男 委員長 引き続きまして、未来あらた世田谷、どうぞ。 ◆佐藤美樹 委員 今回は、今後の施設管理について、まずその資産データの管理という点についてお伺いしていきたいと思います。  今回の公共施設白書で施設ごとの人件費、維持管理費、減価償却費といったコストを一元化させたエクセルシートを載せています。今後は、これらのその情報を施設営繕課で管理しているシステム、施設経営情報システムという名前だそうですけれども、こちらで一元化してアップデートをしていくというように伺っています。  施設ごとのコストとともに、今後、複合化などで変わってくる床面積についても、ここにその情報が集約されていけば、資産管理の情報としてはかなり精緻なものになっていくのではないかと期待しています。  もう一つ、その施設等の資産残高を管理しているシステムとしては財産管理システムといういわゆる会計システムがあると思うんですけれども、こちらのシステムの中では、建物の取得時にその取得原価のものを登録して、それ以降、大規模改修のときに、床面積が変わるような改修ということですけれども、その工事価格を計上するような管理の仕方ということです。  同じ施設についての資産の残高を管理しているわけですけれども、この二つのシステム間で、データの更新する頻度と細かさが違うとずれてくるだろうということが予測されます。この残高の差異について、今後どのように対応していくのかお伺いしたいと思います。 ◎窪松 施設営繕担当部副参事 公共施設白書の今後の取り組みで、公共施設マネジメントの推進を挙げております。公共施設マネジメントを推進するには、区が保有、管理する公共施設を経営的な視点から検討、整理する必要から、これまで施設所管課などで個別に管理されていた人件費や維持管理費、減価償却費などのコストに関する情報とともに、築年数や延べ床面積などの施設の基本情報を一元的に管理して、各施設の分析や評価につなげていくことが重要と考えております。  公共施設白書のデータはこうした考えで情報を一元化したものでございますが、今後は、適切な施設保全を行うための目的に運用されている施設経営情報システムに施設白書を集約、管理しながら、各施設の分析、評価などに活用することを検討しております。  今回の施設白書につきましては、関係所管のデータを一定のルールに基づいて活用し、作成してまいりました。御指摘の残高の差異については認識しており、今後も関係所管と情報の共有を図りながら、課題について研究してまいります。 ◆佐藤美樹 委員 御答弁ありがとうございます。差異があることは認識されていて、課題について研究していかれるということなんですけれども、実際同じ施設の資産の残高で、しかも二つとも、財産管理システムのほうはバランスシートとして公開していて、今回の施設管理のほうのシステムの情報は、公共施設白書として公開していて、両方公開情報ですので、やはり残高に差異があるという状況は、研究してまいりますというよりは、もう着実に調整していきますというような、そういった御答弁が欲しいところです。  実際二十三年度のこの公共施設白書での減価償却費六十四・九億円というふうに載っているんですけれども、バランスシート上ですと、二十三年度、違う数字で載っていますので、こういうことはやっぱりあってはいけないのではないかなと思っているので、一回年度末に調整すればいいだけの話だと思うので、もう一声御答弁いただけますか。 ◎窪松 施設営繕担当部副参事 委員の御指摘のとおり、この差異については何らか調整していく必要もあるかと思っておりますので、精力的に検討してまいりたいと思います。 ◆佐藤美樹 委員 よろしくお願いいたします。  次の話題に移ります。次に、サービス公社についてやはりちょっと触れたいと思います。  サービス公社については、二十四年度赤字決算だったということで、その担っている個々の事業の妥当性とか合理性というものと、そもそものサービス公社の存在意義というものも見直す必要があるのかなというふうに考えています。  ここでお伺いしたいんですけれども、そのサービス公社を今子会社として抱えていることのメリット、逆にサービス公社をなくしてしまった場合のデメリットというのはどのように考えていますでしょうか。 ◎小田桐 政策企画課長 世田谷サービス公社については、設立以来、障害者、高齢者、女性など、区民雇用の拡大に取り組むとともに、公的性格と企業的性格をあわせ持つ経営体として、行政と密接な連携をとりながらニーズの変化に対応した区民サービスを開発、提供するなど、いわば区の子会社として公共的サービスの実践に努めてきたというところでございます。  地域の課題を民間の経営手法で解決できる、区民生活に密着した公共的サービスを実践する地方公営企業であるということがサービス公社の存在意義であると区としては認識してございます。  サービス公社を仮に失うということになった場合には、障害者や高齢者など、多くの区民雇用を喪失するということになりまして、現行の法制度のもとでも、民間企業において容易にこれらの区民を受け入れられないのではないかというふうに懸念されるところでございます。また、高い収益が上がらないような事業については、民間企業が敬遠しがちであるということによりまして、区がそういった事業については、行政の枠外の手法で、また、直接担っていくということにならざるを得ないのではないかということが予想されます。  区民ニーズに応える良質な公共サービスの提供を通しまして、地域産業との連携や地域貢献に積極的に取り組む同社の役割ということは、いまだ大きいというふうに認識してございます。 ◆佐藤美樹 委員 親会社が子会社に事業を出して、民間ですと、例えば法的制約がある場合は、子会社にやらせるというようなこともあると思いますし、さらにそれをアウトソーシングする、外に出すというときは、そこがコア事業でない、独自性の高いものではないという判断のときに外に出すと思うんですけれども、今お伺いしていると、やはり障害者雇用というところが独自性、サービス公社の意義だということなので、本当にサービス公社以外にないのかというのを今後ますます厳しい目で見ていただきたいなというふうに思います。  以上で終わります。 ○石川征男 委員長 以上で未来あらた世田谷の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○石川征男 委員長 引き続きまして、みんなの党、どうぞ。 ◆すえおか雅之 委員 今回は、前回の続きなんですが、基本構想の公共的指針というのは一体何なんだということを受けまして、さらに本丸である基本構想の議決に関する条例の問題点、これをテーマとして挙げたいと思います。  寡婦の件では、世田谷区はおくれをとりましたから、これは全国的にミスが起こっているんじゃないかと、世田谷区は全国に先駆けて訂正してほしい、こういうテーマです。  まず、公共的指針の意味なんですが、ここでちょっと図をつくりました。今回できた基本構想はこれなんですが、公共的指針ということで、公共計画ではありません。行政計画が何かと申しますと、そもそもこれは構想委員の大杉先生に言わせると、行政を主体とした内部管理と社会制御が主目的である計画を言うと。簡単に言ってしまえば、組織経営とか内部経営の話です。これに対して公共計画というのは、これなんですけれども、行政計画のみならず、広く地域を巻き込み、地域づくりの指針となる計画を言うと。簡単に言えば、外部経営とか地域経営の話です。  公共的指針という言葉を使ったのは、ここまでは言っていないよというのが行政の皆さんの考え方だったようです。理事者は、前回の一般質問で区民の役割を、区民は主体的に公にかかわり、地域とのつながりをさらに深め、自立して自治をより確かなものにすると答弁しました。また、事業者の役割は明記していないのですが、区民と同じ役割だという答弁をいただきました。区民が役割を担うとして、具体的にどのような公共を担うのか。区民や事業者が担うという公共の範囲の明示と、また具体例、具体的にはどのような公共事務を念頭に置いているのか質問します。 ◎望月 基本構想・政策研究担当課長 世田谷区では、区民と事業者と区が適切な役割分担のもと、各主体が責任を持って連携しながら世田谷の町をつくってきたと認識しております。具体的には、これまでも行われてきた高齢者の見守りや防犯パトロールを初めとしたその時々の時代に応じた地域の課題の解決に向けた取り組みは、その一例であると考えております。 ◆すえおか雅之 委員 これらの区民による公共に対して、行政計画としての行政の役割を定める下位計画である基本計画だけでなく、区民の役割を定めた公共計画としての下位計画も策定されるべきです。すなわち行政計画の下には基本計画や実施計画がありますが、この公共的指針と言われるところには、基本計画に対峙するようなものが全くないわけです。  この区民の役割を定めた公共計画としての下位計画の策定は現在具体的にあるのか、また、仮に現時点でないとしたなら、将来的にどのような展望を持っているのかお答えください。 ◎望月 基本構想・政策研究担当課長 現在、世田谷区基本構想を実現するため、区が取り組む施策をまとめた行政計画としての基本計画や新実施計画の策定を進めているところです。基本構想の実現に向けた区民の役割や主体的な参加のあり方などについては、今後、区民の皆さんとともに議論しながら取り組みを進めてまいりたいと考えています。 ◆すえおか雅之 委員 結局、今の答弁は何を言っていたかといいますと、要は基本計画は行政計画だという話なんですよ。つまりここ、これしかない。基本計画を実際に見ましても、協働、協働と言っておりますが、場の仕組みをつくるとか、協働の礎を築きますとか、ハードをつくるとか、そういうものでしかないんですよね。公共性が高いところを公共的指針と言っているのですから、中身についても、内容面についても協働してはいかがでしょうか。質問します。簡単に。 ◎望月 基本構想・政策研究担当課長 委員が公共計画と言っておりますが、この間、この公共的指針というのは、確かに基本構想審議会の委員のお一人が公共計画という概念を提唱されていることは承知しておりますが、基本的には、審議会の中でも区民と事業者、区が担い手としてビジョンを共有するが、区が担う役割を基本としながら、区民の主体的参加を呼びかけるというものになってございます。そうしたことから、公共的指針としておりますので、委員の図の狭義の公共計画の一部にはかかるとは思いますが、全体の枠組みではないということです。 ◆すえおか雅之 委員 では、具体例で聞きますが、保育事業に株式会社が参入するということが世田谷区でも具体的なテーマとなってまいりました。保育事業自体は公共事業ですから、これは当然公共的指針の中身に入ると考えていいんでしょうか。 ◎望月 基本構想・政策研究担当課長 そこら辺の仕切りというのは大変難しくて、行政のニーズとして保育園の運営がある場合、その誘致などの計画づくりは区が行うことになりますが、地域の課題や地域の実情を踏まえて、その時々の最適な担い手が運営を行うというものであると考えております。 ◆すえおか雅之 委員 それを聞いているんじゃなくて、保育事業自体は公共に間違いないわけでしょう。それを民間に任すときに新しい公共という位置づけでこの公共的指針の中に入ってくるんじゃないかと聞いているんですよ。 ◎望月 基本構想・政策研究担当課長 そのとおりでございます。 ◆すえおか雅之 委員 では、いよいよ本丸に入ります。以前から何回も質問で問題にしてきましたが、基本構想におきまして議決に関する条例があります。具体的には、「地方自治法第九十六条第二項の規定により世田谷区における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想の策定、変更又は廃止を議会の議決すべき事件として定める。」とあると。この行政の運営というのは一体何なんでしょうか。 ◎望月 基本構想・政策研究担当課長 行政の運営とは、住民の意思に基づいて、地域住民の生活の向上を図るために地方公共団体の全体の運営を行うことであります。その運営に当たっては、住民の参加を図り、また区民、事業者と協働して地域の課題解決を進めることも含まれると考えます。 ◆すえおか雅之 委員 今、地方公共団体の全体の運営を行うと言いましたが、全体は何を指しているんですか。 ◎望月 基本構想・政策研究担当課長 全体というのは、地方公共団体にかかわる全ての事務ということです。 ◆すえおか雅之 委員 地方公共団体ということは、主体が地方公共団体ということですよね。質問します。 ◎望月 基本構想・政策研究担当課長 そのとおりでございます。 ◆すえおか雅之 委員 補充で続きをやりたいと思います。 ○石川征男 委員長 以上でみんなの党の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○石川征男 委員長 引き続きまして、無所属、どうぞ。 ◆青空こうじ 委員 昨年十二月は、衆議院選、都知事選、都議選の補欠の選挙もございました。ことしに入ってから六月の都議選、七月の参議院選と選挙が続きました。しかしながら、残念なことに、いずれの選挙でも若者の投票率はほかの年代と比べて低く、実際に投票所でも投票する若者の姿は少なかったと聞いています。  未来を担う若い世代が投票に行き、政治に対する意思表示をしっかりと行うことが日本の将来に必要不可欠です。若者の政治に対する関心を高め、投票率を向上させるためにはどうすればよいのかを真剣に考えるべきだと私は思っております。  さて、昨年、ことしの選挙を通じて改善すべき課題が見受けられましたので、質問します。  そろそろ学校を投票所から除いたほうがいいのではないか。区内には投票所が百十四カ所あります。そのうち、私立や大学を含む学校の投票所は七十二カ所です。また、冷暖房が設置されていない投票所は四十七カ所で、ほとんどが学校の体育館や格技室となっています。エアコンがない学校では、真夏や真冬の選挙の際には、投票当日、投票に来てくれる方だけではなく、早朝から夜遅くまで投票所に詰めて仕事をされている立会人の方や区の職員も非常に暑い思いや寒い思いをされていると聞いております。  今の時代、エアコンのない施設を投票所にするという考えを改めたらどうでしょうか。地域には総合支所、出張所・まちづくりセンター、区民センター、地区会館など、エアコンの完備された公共施設が多くあるので、そろそろ学校ではなく、そういう施設に投票所を構えるべきだと思うんですが、区の考えをお伺いします。 ◎松田 選挙管理委員会事務局長 選挙の投票区につきましては、選挙管理委員会では、一投票区の選挙人は一万人程度に抑えること、投票所までの距離はできるだけ短くすること、町丁目の分割をできるだけ避けること、鉄道や幹線道路を越えないことなどの基本的な考え方に基づきまして、現在百十四の投票区を設けております。また、投票所につきましては、できるだけ投票区の中心に位置していること、バリアフリーの観点から支障がないこと、投票所として必要なスペースを確保していることなどの考え方に基づきまして、区立の施設を中心に設置してございます。  投票区の中に区立施設等が複数ある場合には、委員御指摘のとおり、冷暖房設備の有無といった条件を加味しまして、投票所を選定してきているところでございます。  昨年の十二月の選挙では三つの選挙が同時に行われまして、五票の投票ということで、投票所が大変混雑し、選挙人の方には長くお待ちいただく結果となってしまいました。このことからも適正な投票所運営の視点からは、十分なスペースの確保が重要であると考えております。  このように広いスペースの確保の観点から、学校の体育館や格技室を投票所として使用している現実がございますが、今後も選挙執行の時期、選挙の規模、有権者数の増減、公共施設の配置状況、冷暖房設備の整備状況などを総合的に考慮いたしまして、適時適切に投票所を見直してまいります。 ◆青空こうじ 委員 六月の都議選、七月の参議院選が終わり、もう三カ月もたっていますが、いまだに町なかには候補者の政党のポスターが剥がされずに残っているのがよく見受けられます。交差点のブロック塀、駐車場やガソリンスタンドの壁などにいろいろな候補者のポスターがたくさん張られて、そのままのところもあります。みどり33や町の景観づくりにも力を入れている世田谷で、こういうポスターがあちこちに残っている状況は、大変残念であり、剥がし残しのポスターに対して取り締まりを厳しくできないかと思います。  そこで伺いますが、法律的に剥がさせる命令をしたり、従わない人には罰則を与える規定はないのでしょうか、お伺いします。 ◎松田 選挙管理委員会事務局長 公職選挙法では、立候補予定者の氏名等が表示された個人の政治活動用ポスターにつきまして、任期満了の六カ月前の日から選挙期日までが、また、立候補予定者の氏名等が記載された政党等の政治活動用ポスターにつきましては、選挙の公示日や告示日に立候補の届け出をして候補者となった場合、公示日や告示日の翌日から選挙期日までが掲示禁止期間と定められております。  これらの政治活動用ポスターが掲示禁止期間になお掲示されている場合、選挙管理委員会は撤去命令を発することができると公職選挙法に規定されております。世田谷区においても、選挙の公示日や告示日の翌日以降、通報等があった全ての違反ポスターについて、選挙管理委員会から直ちに管轄の警察署に所在地等を連絡し、警察の現場確認が終了した後、直ちに掲示責任者等へ連絡して、撤去命令を出して対応してきております。  このように、公職選挙法では、掲示禁止期間やその期間中の政治活動用ポスターの撤去などについて定めておりますが、選挙終了後も剥がし残しているポスターについては、撤去命令の権限や違反した者への罰則などの規定はございません。 ◆青空こうじ 委員 政治活動や選挙運動の手段の一つとしてポスターを張ることは認めていますが、候補者はポスターを張ることだけしか頭になく、選挙が終わればあとは知らない。そして剥がさないでは、社会的常識やモラルに欠けていると言わざるを得ません。実際にポスターを張るのは、候補者本人だけではなく、支援者やアルバイトの方かもしれませんが、候補者本人が剥がすことまで責任を持って行うのが政治家として、また政治家を志す者として、そして社会人としての責務ではないでしょうか。  区としてこうした実情をどのように認識しているのか、改善していく気持ちがあるのかお伺いします。 ◎松田 選挙管理委員会事務局長 ポスターの剥がし残しが存在することにつきましては、委員のおっしゃるように、各候補者個人や政党等の政治活動や選挙運動にかかわる法令遵守の意識の違いによるものが大きいものと考えております。  選挙管理委員会では、政治活動用ポスターの掲示禁止期間前にポスターの掲示責任者や政党等に、ポスターの掲示禁止期間、撤去期限、該当ポスターの撤去依頼等を事前に文書で通知しております。加えて、都議会議員選挙や区議会議員選挙、区長選挙の立候補予定者説明会においても、ポスターの撤去依頼の周知を行っております。  今後も各選挙の執行に当たりましては、ポスターの掲示禁止期間の前の段階から立候補予定者にポスターの撤去について周知を徹底し、違反ポスターについては、警察とも連携を図り、撤去をより一層徹底することで、剥がし残しが出ないように取り組んでまいります。 ◆青空こうじ 委員 やっぱり世田谷区はみどり33と言っているんですから、ポスターを見てすごく格好いい、GACKTとか、ああいうのだったらわかるけれども、みっともないポスターはなるべく剥がすようにお願いして、質問を終わります。 ○石川征男 委員長 以上で無所属の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後三時十二分休憩    ──────────────────     午後三時四十分開議 ○石川征男 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  自由民主党、どうぞ。 ◆和田秀壽 委員 それでは、自由民主党の質問を始めます。  まず初めに、世田谷区の職員の健康管理について伺ってまいります。  八十八万人という大変多くの人口を抱える世田谷区で働く正規職員数は約五千人と聞いております。日々、区民のためにさまざまな職場で業務に励んでくれていますが、この五千人という人数は民間で言えばまさに一大企業と言える大変大きな数字です。どのような企業でも、存続していくために必ず必要となるのが人材育成と言われ、よい組織にはよい人材育成が必ずあると言われております。  世田谷区は、住みやすい町、憧れの町として、東京だけでなく全国的にも知られてきている住宅都市と言われています。そのような中、世田谷区は行革を進めながら区民サービスを向上させていくために、職員の皆さんには、まず、心身の健康管理に気をつけながら職務に励んでいただきたいと思います。  さて、現代社会では、特に心の健康管理がますます重要になってきていると言われております。私の子どもたちもそれぞれ社会人として巣立っていきましたが、最近少し気になることとして、会社へ勤め始めてある期間で、環境になじめず、ついていけなくなってやめてしまう仲間が多くいると聞きます。もちろんいろいろなケースがあり、一概には言えませんが、特にストレスを抱え込んでしまい、潰れてしまうということです。ストレスという言葉で簡単にはあらわせない複雑な現代社会の象徴かもしれません。  そこで、世田谷区を支えていく区の職員の健康管理について、幾つか質問をいたします。  まず、現在の区職員の病気による休職の現状についてですが、その人数はどのくらいいるのでしょうか。 ◎山田 職員厚生課長 職員の病気休職についてでございますが、平成二十四年度の病気休職者数は全体で九十一名となっており、このうち、いわゆるメンタル系の休職者は六十一名と全体の約七割を占めている状況でございます。 ◆和田秀壽 委員 現在九十一名ということですが、次に、この休職者の人数のこれまでの変動についてはどのような経過となってきているのでしょうか、伺います。 ◎山田 職員厚生課長 例えばですが、十年前の平成十五年度と比較すると約三倍、さらに、それ以前の平成八年度と比較すると六倍以上となっておりまして、メンタル系を中心に増加傾向が続いております。最近数年間では、全体で九十人前後、メンタル系では六十人前後で高どまりしている状況でございます。 ◆和田秀壽 委員 大変大きな数字だと思うんですが、さらにその内容として、年齢ですとかあるいは男女別などではどのような特徴になっているのか伺います。 ◎山田 職員厚生課長 年齢構成につきましては、特定の年代に偏っているということはなく、二十代から五十代の職員まで全体的に増加している状況となっております。また、男女比につきましては、ここのところ、若手の女性職員が若干増加している傾向はございますが、各年代とも大きな偏りは見られない状況にございます。 ◆和田秀壽 委員 この現状を聞いて、正直言って驚きました。特にこの十年間で三倍にふえてしまっているということは、深刻に受けとめなければならないと思います。中でも、メンタル系の休職者の増加傾向が続いているところがとても気になります。また、年代が若い層ばかりではなく、偏りがない状態で全体的に増加しているという状況も大きな特徴のようだと思います。  そこで、このような休職者増加の背景について、区はどのように捉えているのでしょうか、伺います。 ◎山田 職員厚生課長 心の不調による休職者が増加している背景といたしまして、職場、家庭、地域を初め、社会全体の変化が急速に進み、ストレス要因が複雑化、複合化していることが言われております。これらに加えまして、区では、研修の実施等により心の病に対する誤解や偏見が取り除かれ、理解が深まるとともに、管理監督者による早期発見、対応が図られるようになったこと、また、産業医や心理カウンセラーによる相談の中で、専門医への早期の受診を促すケースが多くあり、早目に休養する傾向が高まっていることなども休職者増加の要因となっていると考えております。 ◆和田秀壽 委員 原因として、いろいろ複雑な要因があることは確かだと思います。病気は初期の段階で治療することが必要であり、早く自分の症状に気づき、そして、早期治療をすることは大切な方策だと思います。専門医への早期受診によって、早目に休養する傾向で数字が上がっていることもあると言われましたが、一方で、治療を受けながら、あるいはリハビリをしながら業務を続けている職員もいると聞いております。ここにあらわれている数字以上に、潜在的に心の病に悩んでいる職員も実はいるのではないでしょうか。  平成二十五年度のこころの健康づくり事業一覧によりますと、職員のメンタルヘルスケアは、単に職員自身の心の病への対応にとどまらず、職員が持てる能力を十分に発揮するとともに、職場全体の活力や生産性を高め、自治体としての責務を全うするために欠くことができないものですと、このようにありますが、まさに現代を象徴するこのような事態の中で、休職者の増加が区の業務や区民サービスに支障を来すようでは困ります。  そこで、このような区の職員休職者の増加の対応について、区の見解を伺います。 ◎山田 職員厚生課長 休職者増加の状況に対応するため、区では平成二十一年三月に策定いたしました職員の心の健康づくりのための基本方針に基づき、研修調査室との共催によるメンタルヘルス研修の実施や、身近な相談としての係長級職員による職員相談、産業医による相談や外部心理カウンセラーによる個人カウンセリング事業など、さまざまな相談に応じられる体制の整備を図っております。  また、心の健康診断として毎年ストレス調査を実施し、ストレス数値の高かった職員のフォローはもちろん、組織評価により健康リスクの高い職場に対しては、外部心理カウンセラーがフォローアップ面接を行い、職場全体のストレス要因を把握、分析し、職場環境の改善に努めております。 ◆和田秀壽 委員 先ほど休職者の年齢構成について伺いましたが、答弁では、休職者の年代に偏りはなく、全体的にと言われました。つまり、幹部職員、中堅職員、若手職員と広範囲に及んでいるということで、このままだと世田谷区という巨大な組織にとって深刻な状況にもなりかねないのではないか、また、人材育成という面でも大変心配になります。  当然、区としても重要な問題として受けとめていると思いますが、最近のIT社会の発達により、特に人間関係への適合がうまくできない人が多いと言われております。これは世の中全体の傾向だと言われますが、どんなに機械化が進み、便利な時代になっても、やはり突き詰めれば最後は人と人だと思います。
     このような中、最近気になりますのがクレーム対応の問題です。いわゆるクレーマーと言われますが、職場によってはかなり厳しいクレーム処理を余儀なくされるケースもあると聞いています。例えば鉄道会社では駅員が乗客から受けたり、また、学校では先生が保護者から受けたり、いろいろな職場でのケースがあり、また、深刻な事態も起こっています。  そこで、このクレーマーから受けるストレスへの対応策について、区の見解を伺います。 ◎山田 職員厚生課長 いわゆるクレーマーから受けるストレスへの対応策といたしましては、研修生が実際に出会った具体的な事例からクレームの背景を考え、グループワークを交えてメンタルヘルスの観点からクレーム対応の基本を学ぶ研修や、精神科医師を講師とした管理監督者向けの研修などを実施しております。  また、クレーマーにより職場全体のストレス状態が高くなった場合には、外部心理カウンセラーが管理監督者に状況等を確認した上で職場にカウンセラーが出向き、職員に対して対処の工夫や助言をする取り組みなどを実施しております。さらに、今年度は、カウンセラーと所管、当課が連携しての職場研修も計画しているところでございます。  適切な対応方法を身につけ、ストレスコントロールの対処の仕方を学ぶことで、クレーム対応者の心理的負担を軽減することができます。今後も、研修や専門家による指導助言などを通じて、職員の心の負担の軽減を図ってまいります。 ◆和田秀壽 委員 発展する企業であるとか、あるいは繁盛するお店の条件の一つとして、このクレームの処理をいかにしっかりと対応できるかが大切と言われています。これからの世田谷区を支えていく職員の人材育成については、大変重要な課題として捉えていただきたいですし、また、そのためには、変化の激しい複雑化する現代、名実ともに暮らしやすい世田谷区を目指していくためにも、現場で働く職員の健康管理には、区としてより一層しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  次に、このたびの第三回定例会では、世田谷区公共施設白書が発表されたことにより、公共施設に関する質問が多い中、私は一般質問で玉川総合支所の建てかえについて伺いました。その中で、地域の拠点でありながら支所機能が分散してしまっていること、オープンスペースがないこと、またバリアフリーの問題点などがあり、その上、築四十六年と五つの総合支所の中で最も老朽化が進むなど、改築は必要不可欠であると思われます。公共施設は箱物で、整備するにしても現状を維持していくにしても、どちらにしても予算がかかり、ともすると無駄であるというような主張もあります。しかし、区民に行政サービスを提供する大切な拠点であることと同時に、地域防災の重要な拠点であることを忘れてはならないと思います。  そこで、公共施設白書でも今後の維持コストの負担について問題提起がされていますが、区は、その抑制の工夫についてどのように考えているのか、見解を伺います。 ◎小田桐 政策企画課長 公共施設白書においてお示ししましたように、多くの公共施設が老朽化により更新時期を迎えるために、改築、改修にかかる経費、今後、現在の施設をこのまま維持するというだけでも大きな負担になっております。こうした現状を踏まえまして、新たな整備方針素案におきましては、施設総量の抑制や配置の見直しなど、五つの方針をお示ししたところでございます。これによりまして、必要な施設機能を維持するための財源を確保し、必要な改築、改修など、施設の更新を確実に行ってまいります。今後、施設の老朽化や利用の状況、配置の状況などを総合的に判断しまして、複合化や施設機能の再編などさまざまな手法によりまして、改築、改修にかかる経費の抑制に努めてまいりたいと考えております。 ◆和田秀壽 委員 この公共施設の改築については、必要かどうかの見きわめを厳しくかつ客観的にして、区民へきちんと説明する必要があるのではないでしょうか。その上で、改築すべきものは技術的な判断も加味した上で総合的に考えていくべきと思いますが、この点、区の見解を伺います。 ◎市川 施設営繕第一課長 建物が改築に至る判断要因といたしましては、耐用年数があります。この耐用年数とは、建物の機能、性能が劣化によって低下し、限界を超え、かつ通常の改修を行っても回復しない状態になっていると定義されます。この耐用年数について考える場合、建設した時期や施工精度、メンテナンスへの対応状況、地震などの自然災害による影響など、耐久性を左右するいわゆる物理的劣化がございます。日本建築学会では、一般的な耐用年数は、構造躯体を捉えて、鉄筋コンクリートの場合、約六十五年としております。  また、これ以外の要因といたしまして、技術的な進歩や改良による機能向上からの陳腐化、また、法令規制の強化、具体的には建物耐震化、ユニバーサルデザイン化への対応、あるいは省エネ化の対応などでございますが、法規制の強化による機能的劣化もございます。  さらに、社会的要求レベルの向上により、OA化や面積の増大など、要求される水準が変わることによる社会的劣化及び需要の有無による経済的要素がございます。こうした要因をもとに、公共施設としての役割を十分考慮し、総合的に改築の判断をしていくものであると考えます。 ◆和田秀壽 委員 耐用年数については、物理的劣化、機能的劣化、社会的劣化といろいろな要素があることはわかります。  そこで、これからの改築のばらつきについてなんですが、今回発表された公共施設白書によりますと、このまま築年数だけを固定して判断してしまうと、年によって改築の件数が多かったり、あるいは少なかったり、つまり予算面からも大きなばらつきが生じてしまうことがわかります。  そこで、例えば、改築に当たっては築年数だけを基準に決めるのではなく、計画的に平準化を図ることも必要と考えますが、この点、区の見解を伺います。 ◎小田桐 政策企画課長 区はこれまで、人口の増加、行政需要などに応じまして、区民集会施設や学校、保育園など、種別ごとに必要な機能、配置条件などを考慮しながら施設の整備を行ってまいりました。こうした施設整備の過程におきましては、人口、行政需要の急増に対応する必要があったことから、委員お話しのように築年数が年度ごとにばらついているという状況がございました。  区では、公共施設の継続的な運用を行うために、公共施設中長期保全計画を策定いたしまして、施設の老朽化などの状況に応じて適正な時期に改修を行い、予防保全にも努めております。施設の改築に当たりましては、施設の老朽化、利用状況、周辺施設との複合的な整備などを総合的に勘案しまして、財政負担を平準化するために、イノベーション等による長寿命化や小破修繕等、施設の維持管理に要する経費の将来予測等を考慮した上で前倒しするなどの工夫が必要だと考えております。  今後、施設の老朽化が進むために、改築、改修にかかる経費は、委員お話しのとおり増加が見込まれているという中で、安定した財政運営を行うためにも、複合化や再編などのさまざまな手法によりまして、財政負担の平準化を図りながら効率的かつ効果的な施設整備に努めてまいりたいと考えております。 ◆和田秀壽 委員 玉川総合支所は、熱源確保などの改修に大きな費用をかけたばかりと言われ、また、施設の耐用年数から改築を問題視する意見もあります。玉川地域の核となるこの総合支所の改築に向けて、さらに、同じ玉川地域にある奥沢まちづくりセンターのように、築五十年以上が経過しており、年数だけではなく、物理的、機能的、社会的な劣化が進んでいる施設、また、築四十一年が経過しております奥沢区民センター、図書館、子育てひろばの入るビルの耐震診断、耐震補強の必要性など、それぞれの地域の実情に合わせて、計画的かつ戦略的に進めることが当然必要であると考えていることを申し上げておきます。  以上で私の質問を終わり、あべ(弘)委員に交代をいたします。 ◆あべ弘幸 委員 それでは、私のほうからは区庁舎などの次世代の自動車充電インフラ整備促進事業について伺います。  現在、世界的にも国内的にもCO2の削減が叫ばれている中で、区も積極的に取り組んでいると聞いております。区の環境基本方針で五つの方針、環境配慮及び行動の取り組み、環境負荷の低減、区民の健康と生活環境、成果などの公表、持続的な改善に努めるとあります。地球温暖化防止に向けて、運輸部門、家庭部門、産業部門のCO2削減に努力しているところですが、近年、その産業部門、家庭部門では増加傾向にあります。区は、排出される多くのCO2は自動車が起因していると明言もしています。  ここで、東京都は低公害、低燃費車の普及、導入義務を提唱しておりまして、カーボンマイナス東京プロジェクトの中で、気候変動対策の五つの方針で、自動車交通のCO2削減を加速すると述べております。ただし、電気自動車、EVは環境に優しい乗り物と周知されておりますが、航続距離が短いことや、充電インフラの整備が進まず、普及をしていません。  国は、二十四年度の補正予算で次世代自動車充電インフラ整備促進事業を立ち上げ、それに賛同した地方自治体である東京都は、その整備ビジョンに参加することになりました。国の方針では二〇二〇年ごろ、ちょうど東京オリンピックが開催の年に当たりますが、急速充電設備五千基、普通充電設備二百万基の設置目標を掲げ、東京都内では二百五十一カ所に設置するとされています。  そこで伺いますが、世田谷区内に含まれるブロックの補助対象基数及び既に申し込みが済んでいる件数はどのようになっているかお答えください。 ◎星 総務課長 国では、電気自動車等の充電インフラ整備の拡大策といたしまして、充電器購入費とその設置にかかわります設置工事費に対しまして、御紹介がございました次世代自動車充電インフラ整備促進事業による補助を創設したところでございます。これを受けまして、東京都は本年六月に都内全域に急速充電設備または普通充電設備を二百五十一カ所設置する整備ビジョンを策定いたしまして、対象地域を十キロ四方を基本とする設置エリアに分け、設置エリアごとに設置箇所数を設定しております。  この中で、世田谷区は三つの対象エリアブロックに分かれておりますが、エリアブロック内の設置対象箇所数は合計で四十二カ所となってございます。九月二十七日の段階で、四十二カ所のうち十六カ所の申込件数があり、その中で、世田谷区内の申込件数は七件であったと伺っております。 ◆あべ弘幸 委員 以上のように、既にかなりの数が申し込みをしているそうです。世田谷区は、地方自治体として申し込みはしていないというふうに聞いておりますけれども、二十三区の自治体で参加表明した自治体があるとも聞いております。実際はどのようになっているか、それについてもお答えいただけますか。 ◎星 総務課長 現時点で東京都の確認が終了しておりますところは三区であると聞いております。三区のうち一区につきましては、本庁舎の改修にあわせまして地下駐車場への設置を予定しております。東京都の確認が終わりまして、同補助事業の実施主体であります一般社団法人次世代自動車振興センターへの申請まで終了していると伺ってございます。  そのほかの二区でございますが、区内の出先機関二カ所への設置や、庁有車の駐車場であった場所への設置を計画しているというようなことを伺ってございます。両区とも、東京都の確認が終わった段階であり、現在、同センターへの申請の準備を進めている状況にあるということで伺っております。 ◆あべ弘幸 委員 今回のビジョンは、二十五年三月十九日に開始しまして、実際都からの説明は七月になってからというふうに聞いております。期間が限定でございまして、受け付け期限が二十六年二月二十八日、また、設置及び支払い期限が二十六年十月三十一日までと、期間的に非常に制約が多いことは十分承知しているわけであります。  しかし、区では平成二十五年三月での世田谷区地球温暖化対策地域推進計画アクションプランというのを策定しておりまして、区は、区内の最大の事業者であることから、当然ハード、ソフトの両面から率先した温暖化効果ガスの削減に取り組んでいかなければならないと思っております。また、七月三十日に国内自動車メーカーの四社が、自動充電インフラに向けた共同プロジェクトとして、国の補助金では足りない部分も賄うことや運営費用も補助するなど、官民双方から充電インフラを整備しよう、促進しようというふうにしているわけであります。  そこで伺いますけれども、他の区が申請しているように庁舎駐車場の利用を前提に考慮しまして、世田谷区もぜひ参加するべきだと思うんですけれども、現在の区の見解について伺います。 ◎星 総務課長 現在、施設店舗、マンションなど官民を問わず設置者の募集を行ってございます。この事業では、最大で充電器購入と設置工事費の三分の二が補助されます。その三分の二の補助要件といたしましては、一つ目が、充電設備が公道に面した入り口から誰もが自由に出入りできる場所にあること、二つ目が、充電設備の利用を他のサービスの利用を条件としていないこと、三つ目が、利用者を限定していないこととされております。  この要件を満たし、本庁舎などに設置する場合には、既施設内の設置場所や電源の確保、設置後には、管理方法や利用に供する考え方、利用料金など制度全体の仕組みについて多くの課題もあると想定されると思っております。電気自動車など、エコカーの利用促進は低炭素社会の実現に向けた時代の流れでもあり、庁舎管理の所管としてもさらに進めていく必要があるものとは認識しておりますので、今後、環境所管など関係所管とも連携して、研究させていただきたいと思っております。 ◆あべ弘幸 委員 御答弁ありがとうございました。  次の項目に行きます。  新公会計制度について、他会派からも第三回定例会の一般質問にもありましたけれども、前石原都知事が、トップダウンによって、都が二〇〇六年に新公会計制度へ移行しまして、都内の他の自治体へも導入を呼びかけたということでございます。さらに、本年五月には都は固定資産台帳整備の基本手順というものを策定しましたけれども、ここで伺いますが、この固定資産台帳整備の基本手順とは一体どういったものなのか、また、その新公会計制度のメリット、また、当然メリットがあればデメリットもあると思うんです。特に運営費なんかも含めてお答えいただければと思います。 ◎笹本 経理課長 固定資産台帳の整備の基本手順についてお答えいたします。  区は、平成二十一年度決算から保有財産の状況や正確な費用を把握し、区の財政状況をよりわかりやすく分析するために、企業会計の手法による財務諸表の作成に取り組み始めました。財務諸表を作成する上で、その中の一要素となる固定資産台帳の部分の整備が必要になりますが、資産の把握方法や取得価格の算定方法など、整備に向けた具体的な手順を整理したものが、東京都の示す固定資産台帳整備の基本手順となります。  この基本手順は、これから台帳整備に取り組む自治体に向けて、取り組みやすさを重視し、バランスシートへ計上する資産の把握やその取得価格の算定を簡易かつ円滑に進めることを目的に取りまとめられております。既に取り組みを進めている当区といたしましても、この基本手順を参考にしながら庁内組織である公会計改革検討会で具体的に検討し、道路などインフラ資産の評価の制度の向上を図ってまいりたいと考えております。 ◎河合 会計管理者 私からは、新公会計制度のメリットとデメリットについてお答えをいたします。  まず、メリットでございますが、新公会計制度では、発生主義によりストック情報、それからフロー情報を相対的あるいは一覧的に把握することが可能になり、運営費を含めました財政の見える化に有効であると認識してございます。  一方、デメリットといいますか、課題ということになると思いますが、現行の官庁会計方式は法定されておりますので、御質問の企業会計方式を取り入れた新公会計制度はあくまでも現行の公会計制度を補完するものでございます。したがいまして、新公会計制度を導入する場合は、二重の会計制度を設けて会計処理をしていくということになります。そのため、国の研究会でも地方公共団体の財政負担、そして、事務負担の問題が実務上の課題の一つとして取り上げております。 ◆あべ弘幸 委員 以上の答弁いただきましたとおり、新公会計制度は網羅的、体系的なフローのストック情報を提供して、政策でのコスト情報を提供、予算に反映できるようなメリットがあると。当然、財務、業績情報、予算の編成、配分にリンクさせるなど、会計処理に複式簿記を用いて政策別に予算、決算制度を導入し、発生主義予算、アウトプット型予算を導入、入れるメリットがあるというふうにも聞いております。  既に幾つかの先進国や地方の自治体も導入しているというふうに伺っていますが、ここで伺いますけれども、二〇〇六年に都が導入して、他の自治体でも導入を呼びかけているというわけですよね。それにもかかわらず、多くの自治体が導入しない。それなりの理由が多分あるのではないかと思いますが、それについてお尋ねします。 ◎河合 会計管理者 新公会計制度につきましては、国は平成十八年五月に基準モデル、改訂モデルの二つの会計モデルを示し、地方公共団体の新公会計制度への取り組みを促して、その後、今後の新地方公会計の推進に関する研究会におきまして、財務書類作成の検証や推進方策の検討を行っております。  来年四月を目途に最終報告を行うというスケジュールが示されており、その報告を受けて、国が新たな基準を示し、地方公共団体に対して新たな公会計制度の導入の要請をするものと考えております。  一方、東京都は平成十八年に複式簿記、発生主義会計を導入し、新しい財務会計システムにより会計処理を行ってございます。これには三年半の検討、準備期間と、約二十二億円の開発費用、経費を擁しております。多くの自治体で導入に至っていない理由ということでございますが、このように複数の会計モデルが存在し、また、新公会計制度の導入には、パッケージ化され、安価になってきているとはいえ、相当の経費、それから準備期間を伴いますので、来年の四月の国の動向に注目しつつ、慎重に対応しているということが背景にあると考えてございます。 ◆あべ弘幸 委員 それに関連して、世田谷区の公共施設白書には記載されていない公園などの土地、建物の資産評価は二十一年から、また、道路は平成二十三年に資産評価を既に行っているというふうに聞いているんですけれども、これについてはどのようなものかについてちょっと説明をいただけますか。 ◎笹本 経理課長 区では、国の公会計改革推進の趣旨に沿いまして、平成二十一年度決算から公有財産台帳や備品台帳に基づきました新たな固定資産台帳の整備に取り組んでおります。台帳整備の整ったものから段階的に反映し、財務諸表の精度の向上を図っております。平成二十一年度は、公有財産台帳に記載されております取得価格などを固定資産台帳に反映させました。公園につきましても、公有財産台帳により管理していることから、他の施設用地と同様に評価を行っております。  また、平成二十三年度からはこれまで地方財政状況調査を用いて計算していました道路などのインフラ資産を、固定資産台帳による評価に変更いたしました。これは、都の建設局が作成した年度別東京都道路現況調査の幅員別面積、幅員別延長などをもとに基準地価格、市街地価格指数により計算した数値を反映させているものでございます。 ◆あべ弘幸 委員 新公会計制度は、財政の見える化により資産の実態を正確に把握、老朽インフラの適切な維持管理、更新には有効だというふうに聞いております。現在の区の施設の維持管理についてはどのようになっているかについてお答えいただけますか。 ◎窪松 施設営繕担当部副参事 今後、公共施設の老朽化が進み、改築や改修が必要となる公共施設がさらに増加していく現状では、施設の改築、改修にかかる経費とともに、年間約百七十億円かかる維持管理経費の適正化を進める必要があります。維持管理経費の適正化を図るには、清掃などの委託経費や建物にかかる修繕費などのコスト情報と施設の利用率、延べ床面積などの情報を一元的に管理するとともに、利用人員や延べ床面積に対する施設維持管理経費を把握し、コスト削減に向けた検討を行いながら業務の見直し等をつなげることが考えられます。また、光熱水費のデータを集計し、各施設の電力の使用状況を精査し、特定規模電気事業者、いわゆるPPS契約への移行や、民間事業のノウハウを活用するESCO事業の導入可能施設を選定するなど、光熱水費の削減にも活用してまいります。  さらに、集約した客観的データを活用し、分析、評価した結果を各施設所管課において目に見える形でグラフを地図上に表示し、施設間の比較を可能にするなど、維持管理経費の適正化に向けて検討してまいります。 ◆あべ弘幸 委員 最後に、現在の決算における財務諸表なんですけれども、老朽インフラの適切な維持管理更新には活用できているのか、それについてお尋ねしたいんですけれども。 ◎中村 財政課長 毎年の決算において作成しています企業会計手法による財務諸表についてですが、この中では、例えば企業会計では損益計算書に当たります行政コスト計算書、これを施設別に作成することにより、区民利用施設や区立保育園、新BOPなど、施設の種類ごとに行政コストと収入の分析を行い、利用料の見直しに当たっての基礎資料とするなど、活用を図ってまいりました。  その一方で、委員御指摘がありました老朽インフラの改築や改修に当たっての活用という点ではそこまで至っておらず、今後の課題であると認識をしております。先ほど答弁の中にもありましたが、来年四月を目途に国の研究会におきまして企業会計手法による新たな財務会計モデルが示されるものと想定しております。  こうした公会計制度改革の動向を見きわめまして、制度改革の趣旨に沿いながら一層の財務諸表の活用ができるよう、取り組んでまいります。 ◆あべ弘幸 委員 答弁ありがとうございました。  今後も会計改革検討委員会で、より実践的な手法を検討していただきたいと思っております。  最後の質問に参ります。  地域再生の役割を持つ大学の地域貢献度について伺いたいと思います。  日本経済新聞社の産業地域研究会が、以前全国の七百三十三校、回答は五百三十二校だったそうですが、その大学を対象に、大学が人材や研究成果などを地域にどれだけ役立てているかをはかる地域貢献度というものをどうも調査したんだそうです。  そこで伺いますけれども、世田谷区にある大学で、五百三十二校のうち上位二百校に掲載された大学は幾つあったか伺います。 ◎小田桐 政策企画課長 こちらの調査の中で、こちらは二十四年九月に行ったものでございますが、世田谷区内に本部を持つ大学が三校と区内に学部を持つ大学が一校、合計四校が二百校にランクインされているということでございます。 ◆あべ弘幸 委員 ちなみに、世田谷区にある大学は幾つあるんでしょうか。 ◎小田桐 政策企画課長 現在、世田谷区内には十二の大学がございます。国士舘大学、駒澤大学、産業能率大学、昭和女子大学、成城大学、多摩美術大学、東京医療保健大学――旧青葉学園短大でございますけれども、それから東京農業大学、東京都市大学、日本大学、日本女子体育大学、日本体育大学と以上の十二になってございます。 ◆あべ弘幸 委員 十二校もあるわけなんですけれども、上位二百校にたった四校しか掲載されなかった事実は、私としてはちょっと残念に思うところであります。  貢献度を決める内容で、地域によっていろいろ考えが違うと思いますけれども、世田谷区にとって必要と考える内容については、どのようなものがあるのかお答えいただけますか。 ◎小田桐 政策企画課長 今回の調査では、地域貢献の内容を決めるものとして、地域貢献の推進体制である組織、制度、それからボランティア活動の推進や災害支援などのボランティア、防災の項目、それから三点目として、学生の地元への就職やインターン実績などの学生という項目、それから四点目として、産学連携を中心とした企業、行政の項目、最後五点目として、住民向けの講座や施設の開放度などを対象とした住民と、以上五つの分野に分けてのアンケートをとって、点数化したというものでございます。  この五つの分野はいずれも重要なものと考えておりますけれども、区内大学の学部、学科の設置状況や区政、それぞれの自治体の課題、住宅地を中心としている世田谷区の状況、こういったものから世田谷区においては、大学との連携について、ボランティア、災害対策の項目や、住民の分野、こういったものが中心となっているものと認識してございます。  大学の知見、専門性、それから学生などのマンパワーや大学の施設といった多様な資源、区にとりましても貴重な地域資源であると考えております。今後とも、区民への公開講座の実施や行政と協働した事業の実施、区民、行政、学生との連携、大学との共同研究、そういった多様な分野でさらなる連携によりまして、世田谷区にとって大きく貢献していただける可能性があるのではないかというふうに考えております。 ◆あべ弘幸 委員 今回の貢献度の調査の上位校の共通している項目は、全学を挙げて地域貢献に取り組む組織体制を整えているのか、防災対策を強化しているのか、商品開発などで地元の企業などと連携を積極的に進めているのかという項目でありました。  例えば、すぐそこの国士舘大学は、地域住民や自治体に向け、防・減災に関連した訓練、講座、提言などを実施したほか、避難場所として飲食料の備蓄に加えてマニュアルを製作するなど、体制を充実させていると聞いております。  文部科学省は、二〇一七年末までに大学改革の上程を示す大学改革実行プランの中で、地域再生の核となる大学づくりが盛り込まれまして、本年度の予算で四十二億円が盛り込まれました。一大学当たり最大一億円の支援を想定しているそうです。  また、今回の調査で大学の地域貢献は必要と考えている大学は八五・三%に上っているわけです。しかし、実際の活動の障害は資金不足であったり、人材不足であったり、学内のコンセンサスが確立不備であったりということであるそうです。その産学連携を推し進めて、やはり区としても実践的に各大学との協議の場をつくりまして、関与する必要があるんじゃないかなと思っているわけです。区の見解について伺います。 ◎小田桐 政策企画課長 お話しの協議の場についてでございますけれども、過去に区内大学の学長と区の特別職のほうで、連携等について話し合うことを目的としました学長懇談会というものを平成元年からおおむね三年に一回という頻度で開催していたということはございます。その後、平成十七年に区内大学との連携に関する基本協定、これを締結したことを契機に、それ以降は分野ごとに具体の取り組みを進めているということでございます。  このような懇談会、取り組みを通しまして、区では、大学と連携を進めて学校教育や生涯学習、産業政策、子育て支援、ごみ減量、防災、減災、そういったさまざまな分野で大学に集積される知識、情報やノウハウ、地域での活動に不足する若い人材などを生かした実践を進めているというところでございます。大学との連携に当たりましては、連携を行うことが区と大学生、双方にメリットがあるということが必要でありまして、行政における地域の課題や行政需要への対応と大学における地域貢献をするという考え、これが一致するということが必要になります。  区と大学だけでなく、ボランティア活動の推進や産学連携等も視野に入れて、区内の企業、団体等と大学との連携につきましても、区としてどのような形で支援や関与ができるのかということを、改めまして検討してまいりたいと考えております。 ◆あべ弘幸 委員 以上で私の質問を終わりまして、新川委員とかわります。 ◆新川勝二 委員 それでは初めに、区の災害対策について、区の参集体制について質問します。  東日本大震災以降、区では首都直下地震の新たな被害想定などを反映した世田谷区地域防災計画の改定や地域行政制度の見直しに伴って、出張所・まちづくりセンターを地区防災の支援担当とし位置づけ、地区防災対策の強化に取り組んでいると聞いております。  さて、区民の生命、財産を守ることは行政の責務であり、減災に備えたハード、ソフトのまちづくりを推進することは非常に重要であります。これまで以上に自助、共助が重要になってまいります。とりわけ、発災初動期には速やかに区の体制を構築し、災害対応に当たるべきであると思っております。  そこで、発災時における区の参集体制についてどのように考えているかお伺いします。 ◎有馬 災害対策課長 区の参集体制でございますが、区内で震度五弱以上が観測された場合などにおいて、区は災害対策本部を設置し、応急対策に当たることとしておりますが、本部に従事する職員の参集基準や参集場所を非常配備体制として定めております。非常配備体制の指定に当たっては、区災害対策本部体制の速やかな確立を図るため、初動の業務に応じた活動拠点を絞り込み、それぞれの活動拠点に職員を効果的に配分することが重要だと考えております。活動拠点は、本庁のほか各地域の拠点となる総合支所、出張所・まちづくりセンター、土木公園管理事務所のほか、避難所となる区立小中学校等を想定しております。  区では、これまでも配備体制について必要な見直しを行ってきたところですが、震災後の検証並びに地区防災対策の強化にかかわる検討を踏まえ、抜本的な改善を図っていく予定です。具体的には、区内の震度に応じて三段階設けていた参集区分を一段階とし、震度五弱以上で一旦ほぼ全職員がそれぞれ指定された場所に参集することができないか検討しているところです。さらに、要員の配分の見直しとして、拠点隊として区本部の最前線で活動する出張所・まちづくりセンターに重点的に職員を配置する予定です。 ◆新川勝二 委員 続いて、初動期の対応についてお伺いします。  大規模な災害が発生した場合、被害をゼロに抑えることはできませんが、発災後の初動期に迅速かつ的確に対応することが被害の拡大を防止し、区民の生命、身体及び財産を守ることにつながります。  そこで、区の職員が参集した後に、各職員は迅速かつ的確に行動できるのか伺います。 ◎有馬 災害対策課長 初動期においては、命を最優先に迅速、的確に対応し、被害の最小化を図る必要があることから、発災直後から職員が迷わず速やかに行動できるよう、具体的な活動内容を整理したマニュアル等を整備し、日ごろから精通しておくことが重要であると認識しております。  区では、災害対策本部を構成する災対各部を単位として、震災時初動期職員行動マニュアルを整備しております。拠点に参集した職員は、このマニュアルに従い活動することとしております。また、マニュアルでは、災対各部間における連携についても整理し、組織としての活動が可能となるよう、配慮しております。マニュアルの記載内容の検討や見直しは随時各部で行っているところですが、本年三月の地域防災計画修正、さらに、近々予定しております非常配備体制指定の見直し等に基づきまして、十一月から全庁を挙げてマニュアル見直し作業に取り組んでまいります。  見直しに当たりましては、命にかかわる初動三日間における業務の仕分けが適切にできているのか、また、重点となる対策の具体的な手順が示されているのかなどを重点に検証したいと考えております。マニュアル見直し後は、マニュアルに基づく訓練を実施し、その検証結果を反映するという作業を繰り返し、常にレベルアップを図ってまいりたいと思います。 ◆新川勝二 委員 次に、初動期以降の対応についてお伺いします。  初動期の迅速かつ的確な対応もさることながら、次の段階で復興業務を見据えておかなければ、対応のおくれに伴い、区民生活にさまざまな影響を及ぼします。被災された方々の被害を速やかに回復するためにも、生活基盤をできるだけ早く再建し、一日も早く被災者の暮らしの安定を図ることが重要であると考えます。  そこで、初動期以降、復興業務も見据えた区の対応について伺いたいと思います。 ◎有馬 災害対策課長 初動期以降の対応についてでございますが、区では初動の対策を推し進めながら復興対策本部を設置し、復興に係る基本方針や計画を策定した上で、区民や事業者とともに町の復興、暮らしの復興に取り組むこととしております。  震災後の復興対策については、長い期間にわたりソフト・ハード両面の多岐にわたる施策を複合的に推進する必要がありますが、区では、これらの円滑な推進を確保する観点から、全庁的な行動指針となる震災復興マニュアルを整備しております。こちらのマニュアルにつきましても、初動期職員行動マニュアル見直し後に内容の精査を予定しておりまして、特に発災初動期の活動を終えた四日目以降、一週間程度までの間における業務を中心に、具体的な手順を確認し、実行性を確保してまいりたいと考えております。 ◆新川勝二 委員 私も夏に、南三陸の視察を行いましたけれども、二年半たったということでございますが、復興はまだまだこれからという感を深くしております。世田谷では、火災に注意して安全を確保していきたいものだというふうに思っております。
     次に、施設の維持管理についてお伺いします。  我が会派では、さきの第二回定例会において、公共施設の老朽化に伴う、その対策として、財政的な問題や技術職の不足など、多くの自治体でその対応が大きな課題となっておりますが、公共施設の整備について伺ってまいりました。  この九月には、公共施設白書が策定されまして、区の公共施設の基礎データとなる建物のストック情報とコスト情報が明らかになりました。この中で、公共施設の数は八百五十五施設、総延べ面積は約百二十万八千平米となっております。市街化が進み、その結果、学校や区民施設などが高度経済成長期に多く建設されましたが、少子・高齢化など社会構造の変化など、求められる施設機能も変化し、現在のような状況になったと思います。  建築物は建てたときから、大げさに言えば劣化が始まるといいます。適切に維持管理し、安全で使いやすい施設を継続的に区民に提供するのは当然でございます。白書においては、既存施設の長寿命化、計画的な予防保全など、既存施設の有効活用が今後の取り組みの方向性の一つと示されております。  また、平成十七年四月に出されました公共施設整備方針でも、取り組みの基本的な考え方として、既存施設の長寿命化やライフサイクルコストの縮減が示されております。既存施設の部位、設備などの特質を踏まえて、劣化や機能低下に対する適切な修繕を行うことが長期利用を図る上で重要であり、お金や手間もかなりかかり大変でございますが、良質なストックとして活用する時代であるかと思います。この間、区施設の耐震化問題については、耐震診断を実施し、必要な補強工事対策が一段落いたしました。これからは、安全で安定的な施設運営や、既存施設の長期利用を推進するということが求められてくると思います。  区では、平成二十三年と二十四年の二カ年で、公共施設の中長期保全計画を策定し、この計画に基づいて予防保全の工事を今年度から営繕部門が進行管理する形で実施していると聞いております。私は、技術部門である営繕部門が十分に関与する形で財政所管と調整を図り、修繕や改修工事を計画的に行うことが必要であると思っておりますので、大変評価しておりますし、期待もしておるわけでございます。  施設の老朽化は待ったなしでございます。白書で指摘されているとおり、築三十年以上が現在二百八十一施設、約四六%になっていると思います。これまでも、維持管理経費の縮減を図るために、指定管理者制度の導入、PPS、ESCO事業の導入などにも取り組んできていることは承知しております。白書が出され、今後の公共施設のあり方を示す新たな公共施設整備方針も策定されるのでしょうが、私は、改修などを適切に進めるには、関係所管との連携のもとで技術部門の取り組みが重要であろうとの思いから、幾つか改めてお聞きいたします。  まず、建設コストについては、設計時にインハウスVEを実施して、事業費の削減に努めていると聞いておりますが、限られた予算を有効に活用する上で、どのようなコスト削減の取り組みを行っているのか、まずお伺いいたします。 ◎市川 施設営繕第一課長 厳しい財政状況が続く中、施設営繕担当部では営繕コストの一層の縮減を進めるため、さまざまな方策に取り組んでまいりました。これまでは一律的に設定していた一平米当たりの建設費を、構造物や標準的な設備の要素と敷地条件等による変動する要素に分け、それぞれの案件ごとに積み上げ、適正な工事費を算定することとしました。  VE、いわゆるバイオエンジニアリングにつきましては、平成十年度から実施しており、平成二十四年度は(仮称)下馬複合施設新築工事、多聞小学校改築工事、太子堂小学校改築工事のそれぞれの基本設計終了時に実施し、当初予定工事費の一%から二%を削減しています。また、建てかえ需要が大きく見込まれる出張所・まちづくりセンター、地区会館、保育園、図書館の四用途の施設について、コストを抑え効率的に施設整備を進めるため、公共施設設計標準仕様書を策定し、華美とならないよう、使いやすい施設づくりを進めております。  これらの一連の取り組みにより、平成二十四年度は三件の新築改築工事において、二億八千万円程度の建設コストの削減を行いました。今後もこれらの取り組みを継続し、新たな工法、材料などによるコスト削減について調査研究を続け、建設コストを削減してまいります。 ◆新川勝二 委員 二億八千万円の削減と言いますが、大変な、一カ所当たり九千万円ぐらいですか。これは主にどんなことが原因でしょうか。 ◎市川 施設営繕第一課長 基本設計時に仕入れしたものでございますが、具体的に聞いている話といたしましては、新たな建物につきまして、基礎構造について大きく変更して、工事費が大幅に削減されたということと、あと、ついては設備関係でございますが、当初予定に想定した設備より、その後、詳細設計が進んだことにより、さらに小さな設備で対応できるというような小さな積み重ねを重ねて、結果、こういう額に達したというふうに聞いているところでございます。 ◆新川勝二 委員 既存校舎の仮校舎を利用するというようなことも大変効果があると思いますが、その点はどうですか。 ◎市川 施設営繕第一課長 既存校舎の活用についてのお話でございますが、改築等において仮校舎を建てるかわりに既設の校舎を使うということにつきましては、さまざまな条件がございますので、教育委員会等と調整しながら、なるべくできる方向で調整しているところでございますが、今後ともそのようなさまざな手法について調査研究してまいりまして、コスト削減に努めてまいりたいと思います。 ◆新川勝二 委員 次に、施設の維持管理は各施設を所管する課が対応するものでありますが、各所管には専門技術者や手なれた担当者がいるわけではありません。営繕所管に相談して、その場その場での個別対応が中心であったと思います。今回策定した公共施設中長期保全計画では、区全体として施設を捉えたものとなっており、進行管理をしっかりと行い、断行しなければならないと思います。優先順位をつけて計画的に対応しており、耐用年数等を見た場合、劣化や機能停止等による緊急対応も出てくるものと思います。緊急対応もしながら、予防保全対応に着実に転換を図らなければならないと感じております。  そこでお聞きしますが、事後保全から予防保全に対応を転換した背景、狙い、保全計画を推進するにおいて問題があれば、教えていただきたいと思います。 ◎市川 施設営繕第一課長 区の施設の老朽化が進んでおりますが、そのため、近年、雨漏りや夏の時期の空調停止など、予期せぬ事態により施設の運営に支障を来すことが多くなってきております。そこで、施設営繕ではこうしたトラブルを未然に防ぐために、事後保全の対応から予防保全の観点により、改修履歴や現地調査等による施設ごとのカルテを作成いたしました。これは住宅と学校は除きます。それをもとに、安全性と施設の安定的運営を目的に、全庁的な視点から優先順位をつけた十年の改修工事計画を関係所管と調整して策定いたしました。計画の狙いは、施設の安全安心な運営、工事費の平準化、集約化による効率的、効果的な改修であります。  計画を進める上での課題といたしましては、工事中の代替地の確保が難しく、運営をしながらの改修工事をせざるを得ない場合など、工事範囲や工事期間の制約があり、休日と夜間の工事を行っています。円滑な推進を図るため、施設所管と調整を行うとともに、限られた期間での工事管理、安全管理が主な課題となっております。  今後とも、関係所管との連携を密にとり、公共施設中長期保全計画を着実に進め、安全で安心な公共施設の整備に取り組んでまいります。 ◆新川勝二 委員 私も建築関係の仕事をしておりましたので、施設づくりには計画段階から竣工までさまざまな協議、調整、近隣対応、安全管理など大変な苦労があると思います。予算、工期も決まっておりますから、先を読んでの段取りや調整対応にも神経を使っているわけでございます。  昨今は、ベテラン職員の退職によって若手技術職員がふえたと聞いております。改築や改修などの業務を進める上では、営繕技術職員の力量がこれまで以上に求められます。特にこれからを担う若手職員の育成が大事であります。  人材育成にどのように取り組んでいるのか伺います。 ◎佐藤 施設営繕第二課長 委員お話しのように、公共施設白書では公共施設の老朽化が進む現状と、改築、改修を迎える施設の増加が示されました。限られた財源の中で、安全で質の高い公共施設づくりを実現していくためには、工事に携わる職員に高い技術力や調整能力が求められます。  御指摘のように、施設営繕担当部では世代交代が急速に進んでおります。部全体に対する採用五年目以下の若手職員の割合で見ますと、平成十九年から二十四年度までの五年間で約二%から約三三%へと増加しております。職務知識、技術力を持ちました職員の養成ということが、短期間では容易ではないということもあり、大きな課題となっております。  そうした中、施設営繕担当部では、例えば、施工中の現場が重要な工程を迎える節目に、ベテラン職員が若手職員に現場管理のポイントを指導するなど、日常業務を通じまして、若手職員の実務能力の向上を図っております。さらに、各種技術研修会などへの参加、部内の勉強会などに若手職員の積極的な参加を促すなど、さまざまな機会を捉えまして、知識、経験の習得を図り、実践力のある職員の育成に努めております。  今後とも、公共施設に携わる職員としての技術力向上とコスト意識啓発を組織を挙げて推進するとともに、安全で安心な公共施設の整備に取り組んでまいります。 ◆新川勝二 委員 若手には経験が大切であると思います。これからも日々精進して、ぜひいい技術者になってほしいと思います。  これで私の質問を終わります。あとは山内委員に。 ◆山内彰 委員 ICT分野での業務継続計画、BCPの取り組みについてお伺いをいたします。  東日本大震災では、岩手県と宮城県の自治体で住民基本台帳などの重要データが失われてしまいました。復旧が困難な事態に陥った、また、通信網も大きなダメージを受け、多くの自治体や企業で業務継続に支障を来したと聞いております。また、東日本大震災を教訓にして自治体としていかにして業務継続を確保するか、また、いかにして住民に関する重要なデータを守るかが問われております。  たまたま「ワールドビジネスサテライト」を見ていたのですが、静岡県藤枝市と沖縄県の宮古島市との間で行われている重要データの相互保管は、定期的に宅急便などを利用して行っていました。何かセキュリティーに問題もあるような気がしますけれども、大震災があった場合、どちらかが機能していれば業務のダウンも防げそうな気がいたします。  世田谷区においても、地震など大災害では、区内の通信網に大きなダメージを受けることが想定され、復旧には相当の期間を要する可能性があります。区では、平成二十二年三月に、ICT基盤管理部門における業務継続計画を策定いたしました。今現在、どうなっているのかお聞きいたします。 ◎庄司 情報政策課長 平成二十二年三月に策定いたしましたICT基盤管理部門における業務継続計画の中では、職員の参集ですとかネットワークなど、復旧につきまして一カ月程度かかるものと見込んだ上での計画を立てております。 ◆山内彰 委員 そうなると、かなり長い間復旧できないということで大変だと思いますが、基幹システムというか、住民基本台帳とか税、国保などの重要システムのデータについては、月に一度ぐらい、磁気テープにバックアップして、埼玉県内の保管施設を持つ業者に向けて預かっていただいているということですが、世田谷区との距離が余りにも近いような気がするんです。何か心配なんですけれども、大丈夫なんですか。 ◎庄司 情報政策課長 事業者の埼玉県の保管施設なんですが、東京都との同時被災を回避するとともに、緊急時にバックアップ媒体が区役所に迅速に搬送できる交通条件その他を満たすところということで、都心から六十キロメートルということで設置されております。また、保管場所自体は高度の耐震性を有しておりますので、地震の際にも被害を受けにくいということで認識しております。バックアップデータの確実な保管と、基幹システムが被災した場合の早期復旧の観点から、現在の保管場所が適しているものと考えております。 ◆山内彰 委員 業務の継続を確保するためには、富士通の横浜データセンターと区の間を結ぶ通信網を二重化して、さらに、弦巻の事務センターにバックアップシステムを用意して万全を期していると聞いておりますが、さらに大災害の対策も考える必要があると思うんです。二重、三重のバックアップシステムを構築していかなければならないと思うんですが、いかがでしょうか。 ◎庄司 情報政策課長 御質問のデータセンターへのシステムの移しかえにつきましては、一月の稼働ということで現在作業を進めております。こちらのデータセンターは、巨大地震にも耐え得るすぐれた耐震性を備えておりまして、場所は横浜なんですが、内陸部に位置しておりますことから、津波の影響などもほとんどないという立地でありまして、それから、データセンターの安全基準、こちらに照らしましても、高いレベルの安全性を有しているというふうに評価しております。  しかしながら、さらなる大災害を想定した対策も必要であるということは認識しておりますので、通信網の二重化ですとかバックアップシステムの用意に加えて、こちらのデータセンターは同じシステムを使っている他の特別区、こちらと共同利用を行うということになっておりますので、それらの区との協力体制なども含めまして、課題等を整理して計画を立てていきたいというふうに考えております。 ◆山内彰 委員 先ほども述べましたが、藤枝市と宮古島市が基幹システムの重要データの相互保管ということをやっているということで、こういうことをやると、どっちかというと宅急便でやっているような映像でしたけれども、経費的にも安くて、もし同じようなシステムを利用しているのであれば、世田谷区としてもそういうことが可能ではないかなと考えますけれども、実際はどうなんでしょうか。 ◎庄司 情報政策課長 現在、磁気テープを使ってバックアップ媒体を埼玉県の施設に搬送しておりますけれども、こちらの三本のテープにおさめまして、このデータ保管事業者が搬送している運用となっております。運送事業者につきまして、セキュリティー便ということで、非常に強固なセキュリティーを持った搬送方法がございまして、こういったものを利用した遠隔地の自治体への搬送ということも、現在テープ三本でやっているというところもございますので、十分可能というふうに考えております。  また、磁気テープを用いずに通信回線を利用してバックアップするということも技術的に可能でございますので、遠隔地へのデータバックアップについては、御紹介いただきました藤枝市と宮古島市で行われているような相互保管の事例も参考としつつ、通信回線による電送ですとか、あとは実際の被災時のデータの取り寄せ、こういったところも含めて、費用対効果も含めまして課題等を整理しまして、検討したいと思います。 ◆山内彰 委員 先ほど他会派からオリエンタルランドの話がありましたけれども、区では月に一度ぐらいの訓練をしていると。こういう磁気データの保管とか、それからバックアップシステムの立ち上げとかいろいろな訓練なんかも今後きちっとやっていただけたら、多分やっていると思うんですけれども、そういうこともしていただきたいと要望を申し上げます。  次に、世田谷公園について質問をいたします。  七月の常任委員会で報告のあった(仮称)せたがや平和資料館の基本構想では、現在の平和資料室の機能移転を基本に、ライブラリー等の機能の充実を図り、施設の利用のしやすさを高め、施設利用度の向上を図るという基本的な考え方が示されました。世田谷公園というのは、いろいろな平和のモニュメントがありますけれども、平和の祈りとか平和の灯とか、それから被爆二世のアオギリ――アオギリは広島市の二世で、柿の木は長崎市の二世だと聞いております。それが噴水の周りにコンパクトにまとめられていまして、本当に自分自身そこの場所が好きなんですけれども、ある意味ではきちっとそこにまとまってできているということが感じられます。  世田谷区は平和都市宣言をしておりますし、こういうものをつくり上げていくということは非常に平和教育ということでありがたいことだと思っています。  そこで、平和事業の取り組み、今後、こういうコンパクトにまとめていくことがあるということで、区はこれから平和事業をどう考えていくかということをお聞きします。 ◎小田桐 政策企画課長 これまで平和資料室においては、常設展示のほかに教育センターでの特別展や地域の巡回展、中学校の巡回展などをやっておりまして、それ以外にも、平和都市宣言記念事業としての映画祭や、語り部の方による戦時下の暮らしを聞く会などがこれまでの平和事業でございました。今度新たに開設する予定でございます(仮称)せたがや平和資料館においては、この平和資料室の機能移転を基本としまして、これまで行ってきた平和事業、それから、新たにライブラリー機能や多目的室の設置等によって平和に関する事業の拠点的な機能をこちらで持たせていきたいというふうに考えております。 ◆山内彰 委員 さきの本会議では、他会派から平和資料館の運営に区民が主体的にかかわるよう、区民参加の提案がございました。区民参加の視点が大変重要であるということは言うまでもありませんが、一方で、公共施設にあって、利用者に対して公平性の確保という視点も欠かすことはできないと思います。そのために、特定の団体や個人が施設運営に深くかかわることは、施設運営の公平性を妨げる結果を招きかねないため、厳に避けなければならないと私は考えております。  一般的には、専門家への依頼や区民公募により運営体制を組むことが考えられますが、平和の取り組みは区だけでなく区民においても活発に行われており、ちまたにはいろんな主張をする活動、さまざまな団体が存在をしております。  こうした状況の中で、区は公平性を保ちながらどのように施設運営を進めていこうと考えているのでしょうか。 ◎小田桐 政策企画課長 これまで、平和資料館の開設の基本構想につきましては、さまざまな区民の方や団体からたくさんの意見をいただいております。公共施設の公平性ということも十分考慮した上で、今後、議会や区民の御意見をいただきながら、具体的な運営手法を、公平性を保つという観点も含めて、公募、そういったものも考えながら、運営の仕組みを考えていきたいと思っております。 ◆山内彰 委員 先ほども私は言いましたけれども、世田谷公園全体が平和記念公園みたいな感じになっています。その一つ一つが重要であるので、それをきちっと生かしていくことが一番大切なことだと思います。そして、規模的にも委員会で話されたとおり、例えば二階にすると隣はプールですし、やはりきちっと考えていかなければならないところがあるので……。 ○石川征男 委員長 以上で自由民主党の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○石川征男 委員長 以上をもちまして本日の質疑は全て終了いたしました。  本日の委員会はこれにて散会いたします。     午後五時散会...