世田谷区議会 2012-03-08
平成24年 3月 予算特別委員会−03月08日-03号
平成24年 3月 予算特別委員会−03月08日-03号平成24年 3月 予算特別委員会
平成二十四年予算特別委員会
予算特別委員会会議録第三号
日 時 平成二十四年三月八日(木曜日)
場 所 大会議室
出席委員(四十九名)
委員長 菅沼つとむ
副委員長 福田妙美
副委員長 すえおか雅之
あべ弘幸
石川征男
大場やすのぶ
上島よしもり
上山なおのり
小泉たま子
小松大祐
宍戸のりお
下山芳男
新川勝二
三井みほこ
山口ひろひさ
山内 彰
和田秀壽
板井 斎
岡本のぶ子
佐藤弘人
杉田光信
高久則男
高橋昭彦
津上仁志
平塚敬二
諸星養一
植田靖子
唐沢としみ
桜井純子
高岡じゅん子
てるや里美
羽田圭二
江口じゅん子
桜井 稔
里吉ゆみ
中里光夫
村田義則
大庭正明
田中優子
桃野よしふみ
風間ゆたか
佐藤美樹
中塚さちよ
中村公太朗
木下泰之
あべ力也
上川あや
ひうち優子
青空こうじ
出席事務局職員
議事担当係長 小野貴博
出席説明員
副区長 板垣正幸
政策経営部 部長 宮崎健二
政策企画課長
小田桐庸文
政策研究担当課長
吉原清治
財政課長 岩本 康
広報広聴課長
平澤道男
情報政策課長
栗原康夫
副参事 吉田宗史
研修調査室 室長 野澤 永
次長 小野村 登
総務部 部長 千葉信哉
総務課長 宮内孝男
事務監察担当課長
張堂明観
区政情報課長
淺野 康
人事課長 岡田 篤
職員厚生課長
中村哲也
庁舎計画担当部 部長(
施設営繕担当部長兼務)
柳澤正孝
庁舎計画担当課長
梅田 亨
危機管理室 室長 内田政夫
災害対策課長
笹本 修
危機管理担当課長
砂澤忠男
財務部 部長 西澤和夫
経理課長 大澤 修
課税課長 中里 忍
納税課長 藤間和夫
用地課長 小松幹治
施設営繕担当部 部長 柳澤正孝
施設営繕第一課長
北川秀雄
施設営繕第二課長
市川雅万
会計室 会計管理者 堀 恵子
会計課長 泉谷憲俊
選挙管理委員会事務局
局長 松田隆夫
監査事務局 局長 河上二郎
次長 山本登江子
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本日の会議に付した事件
議案第一号 平成二十四年度世田谷区一般会計予算
議案第二号 平成二十四年度世田谷区
国民健康保険事業会計予算
議案第三号 平成二十四年度世田谷区
後期高齢者医療会計予算
議案第四号 平成二十四年度世田谷区
介護保険事業会計予算
議案第五号 平成二十四年度世田谷区
中学校給食費会計予算
(
企画総務委員会所管分に対する質疑)
────────────────────
午前十時開議
○菅沼つとむ 委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
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○菅沼つとむ 委員長 本日は、
企画総務委員会所管分の予算審査を行います。
なお、本日、遅参の届けが出ておりますので、ご報告いたします。
遅参者は、中塚委員、以上であります。
それでは、質疑に入ります。
公明党、どうぞ。
◆福田妙美 委員 おはようございます。平成二十四年度予算について、公共施設の管理という観点からご質問させていただきたいと思います。
平成二十四年度予算は、国の位置づけは日本再生元年予算、世田谷区では区民の要望にこたえることと健全な財政基盤の維持と両立とされています。特別区税などの歳入の減少、少子・高齢化などの社会情勢の変化に伴い、行政需要が増大をしています。このような状況の中、また、地方分権の流れもあり、地方自治体としての財政基盤の強化は大変に重要な課題であると認識されていることと思います。
予算案の中には財政基盤の維持と記されていますが、維持だけではなく、強化を考えていかなくてはなりません。公共施設という区民の皆様の財産管理をどのように行っていくのでしょうか。今後の公共施設の管理について質問をいたします。
まずは、平成十七年四月に作成された
公共施設整備方針によりますと、平成十六年一月現在のデータですが、公共施設は区内に七百二十施設、延べ面積は百万平米以上。現在は多少違うかもしれませんが、昭和三十年代の建築物の施設老朽化が進み、施設総量を変えず、四十五年サイクルで建てかえれば、今後、約三十年間で年間百五十六億円の改築経費が必要で、ピークは平成三十一年前後で、年間四百億円の経費が必要と書かれております。
厳しい財政状況の中、公共施設整備の財源確保は非常に厳しい状況にあります。こういった四十五年サイクルの改築を、延命作業により耐用年数六十年という長期化で、長寿命化対策へと転換される計画が出されました。改築から延命作業により一時的には経費削減につながるとしても、安全性、耐久性確保の維持費などトータル的なコストの視点から見ていかなくてはならないと思います。
ここで質問をさせていただきます。公共施設の中長期保全計画により、施設の改修費は現在と比べますとどのように変化するか、お聞かせください。
◎北川 施設営繕第一課長 区公共施設については、今後、高度経済成長期の建物を中心として、老朽化により大規模改修工事を必要とする施設の増加が想定されております。このため、区では
公共施設中長期保全計画大規模施設改修の方向性案について、平成二十四年二月に
企画総務常任委員会で報告させていただきました。計画運用については、三年ごとに進捗状況及び財政計画との整合を図り、必要な見直しを行っていきます。
建築物の使用年数、全期間にわたって費やされる建物の改修工事費や光熱水費などを含む維持管理費用は建設費の四倍から五倍とも言われておりますが、改修工事の際には、ESCO事業の活用や設備機器の更新時の効率化を図り、光熱水費等の維持管理費の軽減が図られると考えております。
また、建物の機能や設備性能を維持し、安全性や耐久性を確保するため、およそ十五年のサイクルで効率的に改修工事を行うことが必要であり、計画的に適切な改修を行うことにより、建物をより長く使うことができます。
今回の計画により、建物の改修規模がこれまでより大きくなるため、初期投資はふえますが、効率的な改修や省エネ改修を行うことにより、ランニングコストをできるだけ削減するように努めてまいります。
◆福田妙美 委員 杉並区で、平成二十年六月、屋上の天窓に小学校六年生の男子児童が乗り、強化プラスチックの覆いが割れ、一階床に転落し、全身を強打し死亡したという悲しい事故がありました。転落事故を受け、区内の公共施設の安全点検を実施し、安全確保の修繕を行ったそうです。
老朽化した施設を延命作業で使用し続ける場合は、区民の安全性の確保の対策が新たに必要かと考えます。浜松市では施設管理に、早期発見、早期対応のための施設パトロールの強化対策を実施しております。
ここで質問をいたします。今後の公共施設の中長期保全計画に伴う公共施設の安全性も含めた具体的な対策をお聞かせください。
◎北川 施設営繕第一課長 公共施設の維持管理については、法定点検のほかに、施設管理者による日常点検を行っております。施設営繕担当部では、平成二十一年度に施設維持管理を支援する公共施設保全の手引きを作成し、各所管課に配付しております。毎年四月には施設所管課に対し、
施設維持管理手法などを周知する施設保全説明会を実施しております。また、今後、各施設について三年に一回の割合で、施設営繕担当部の技術職員により施設の点検をしていく予定です。
区民に安全で安心して施設を使用していただくために、施設維持管理をしていく上で考えられるさまざまなトラブルに対応できるように、今後も技術職員のスキルアップを引き続き行ってまいります。
◆福田妙美 委員 ここから、公共施設をより戦略的な財産管理という視点からお聞きしたいと思います。
財政難、少子・高齢化など変化のある社会情勢の中、公共施設の高齢化と需要のミスマッチなどの現状の課題が隠れております。公共施設の維持管理は政策課題でもあります。各公共施設の管理は各所管で行っており、戦略的な観点からマネジメントを行うには、区が所有する全施設の基礎情報、利用状況・運営状況など、すべての情報を一元化し可視化する資料がなくては正しい政策検討もできません。すべての施設の状況を把握し、情報の一元化、可視化と区民公開により、一層区民のニーズにこたえた公共施設の整備となる施設白書の作成は有効な方法と考えます。
二十三区では、杉並区、中野区、練馬区など九区が作成し、区民の皆様への理解促進と議会での活発な議論となる大切な資料となっているそうです。
施設白書は、各施設の利用状況や利用率、トータルコストや費目別費用、利用単位のコストなど算出ができます。施設白書のような資料作成は、基本データのデジタル化や一元化など、さまざまな作業が必要となってきます。
ここで質問をいたします。
今現在、世田谷区では、公共施設の管理のためのハード、ソフトのデータはどこまで整理されていらっしゃいますでしょうか。
◎北川 施設営繕第一課長 近年、施設のより一層のコスト管理の徹底や安全性、省エネルギー対策など効率的な施設の維持管理が求められています。こうした状況を踏まえまして、今年度、今まで施設営繕担当部内のみで運用してきました
施設経営情報システムを全庁展開することで、施設情報の共有化を図り、さらに施設管理のための支援システムを導入することにより、適切な施設保全に活用できるシステムとして再構築いたしました。
具体的には、各施設の図面や光熱水費データなどを一元管理し、関係所管相互間で共有できるようにいたしました。また、各施設所管課からの小規模な修繕や相談を記録し、その履歴を活用できるようにするなど、施設所管課と施設営繕担当部が共同し、効率的に施設を維持管理する体制づくりとして、ハード面から改善いたしました。
一方、このシステムの情報に各施設の利用者数や利用状況、さらに利用者満足度など施設ソフトの情報を公共施設情報として関連づけることにより、さらなる活用の幅が広がるものと考えておりますが、この点につきましては、政策経営部と今後調整してまいります。
◆福田妙美 委員 最後に、今後の施設の総合的な管理を推進する施設白書のような、区民にも公開できるものの作成の計画はされているのか、区としての見解をお聞かせください。
◎吉田 政策経営部副参事 区は、平成十七年度に
公共施設整備方針を策定し、財政計画との整合を図りながら、老朽化した施設の更新や再配置の取り組みを合築、複合化などにより進めております。
今後の公共施設整備に当たりましては、委員のお話にもありましたとおり、杉並区等は施設白書を作成しておりますので、そうしたものを参考にしながらですとか、また、一般的な施設白書の要素であります施設の利用状況や老朽化の状況、それを踏まえましての将来の改築や修繕に要する経費の算定などとともに、今後の人口推計などに基づく将来の施設需要などさまざまな観点からの検討による、施設総量の適正化と再配置の検討をあわせて行う必要があると考えております。
区では現在、基本構想審議会におきましてご議論いただいておりますが、新たな基本構想、基本計画の策定に合わせまして、今後、新たな
公共施設整備方針の検討を進めてまいります。その検討に当たりましては、平成二十四年度中に、ただいま申し上げましたような視点を持って、公共施設に係る基礎的なデータの整理を行うとともに、引き続き施設ごとの修繕の必要性についての調査を予定しております。
また、これらの整理した内容につきましては、区議会への報告をするとともに、区民の方への公開も予定をしております。こうした検討材料を整理し、活用を図りながら、平成二十六年度からの新たな
公共施設整備方針を策定してまいります。
◆福田妙美 委員 続きまして、シンクタンクの政策形成能力の強化対策をという観点から質問させていただきます。
現在、今後二十年の世田谷を決める世田谷区基本構想審議会がスタートしました。基本構想審議会は、自治法上の策定の義務づけは外れましたが、つい最近まで自治体の憲法と言われてきた基本構想です。世田谷区のシンクタンクを所掌していらっしゃる森岡先生に座長になっていただいての議論が開始されています。
平成十二年の地方分権一括法が施行されてから、国や都道府県からの権限の移譲により、地方自治体の政策立案、行政能力の強化が重要課題になっております。
そんな時代の変化が二十一世紀は都市間競争の時代と称されるようになりました。沢田元横須賀市長は、地域は差別化戦略により、これだけはよそに負けない、うちはこれで勝負するというものを創出する、これは地域の個性を最大限にあらわすものという意味で、シビルマキシマムと言えるだろうと発言しています。また、北川元三重県知事は、自治体同士が二十一世紀は住民満足度を競争する時代に突入したと指摘しています。
都市間競争の中を勝ち残っていくため、また、区民の満足度を上げるためには、自治体の政策形成能力の向上が求められます。この政策形成能力を向上させるためには、
自治体シンクタンクをどう発展させていくかが重要になってくると考えます。
自治体シンクタンクであるせたがや自治政策研究所は、地方分権の進展の中で、世田谷区の政策形成能力の向上のために、二〇〇七年四月一日、区の内部組織として設置されました。
せたがや自治政策研究所は、調査研究、情報の収集と発信、政策立案支援、人材育成の四つの機能を研究所の基本軸と定めているそうです。平成十九年度から二十年度は研究所の基盤づくりを重点的に進める期間、平成二十年度から二十一年度は庁内との連携体制を固め、政策形成支援を行う期間、平成二十一年度から二十三年度は区内外の地域社会のさまざまな関係機関と連携し、知恵の共有、開発のための
ネットワークづくりを進める期間とされておりました。そして、平成二十四年度からの次のステップに向けた研究活動などの一層の充実を図るため、運営方針などの見直しを行う時期となっております。
このシンクタンクの今までの予算を見てまいりたいと思います。平成十九年度スタート時点では約一千九百二十一万円、二十年度は約一千七百三十二万円、平成二十一年度は一千六百三十万円、二十二年度は一千五百三十六万円、二十三年度は一千四百四十二万円、そして二十四年度の予算は一千三百九万円というふうになっております。
横須賀市のシンクタンクの計上、二千五百万円ぐらいを例に、世田谷区の予算を絞って決めたと、理事者からの答弁の記録がございました。しかし、横須賀市の研究員の人数が違いました。約四十一万の人口の横須賀市で研究員が約三十人、それに対して予算は約三千万円です。また、八王子市は約五十八万の人口で、研究員は世田谷区と同じ八名体制で、予算は約二百五十四万円です。
ここで質問させていただきます。世田谷区のシンクタンクへの予算は妥当と言えるのでしょうか、お考えをお聞かせください。
◎吉原
政策研究担当課長 今委員のお話がご
ざいましたせたがや自治政策研究所は、平成十九年の四月に設立いたしまして、設立に当たりまして、平成十七年度から世田谷区シンクタンクの設置に関する調査研究というのを実施したところでございます。
その中で、全国の自治体のシンクタンク、基本データなどの調査を進めてまいりました。その中で、世田谷の地域に最も適した
自治体シンクタンク像とか運営の仕組みを検討してきたという経緯がございます。
世田谷区が
自治体シンクタンクを設置し運営していくのは初めてでございましたので、他の自治体を非常に参考にしたところでございます。
お話にございました、例えば横須賀市ですとか八王子市との比較でございますけれども、やはり各自治体の設立の経緯ですとか、さらに研究所の取り組み内容などの違いがありますので、一概に比較するのは難しいものというふうに認識しております。
◆福田妙美 委員 他の自治体の予算を参考に決めながら、一概に比較するのが難しいというご答弁は少々腑に落ちませんが、次の質問に参ります。
先ほど、毎年の予算を申し上げましたが、年々削減されている状況でございます。この八人体制という設立当初から変わっておりませんけれども、年間の予算額は年々削減されている、この要因をお聞きしたいのと、あと、今後も一定の段階まで予算の削減が可能なのかをお聞かせください。
◎吉原
政策研究担当課長 せたがや自治政策研究所の予算額につきましては、委員のご指摘のように、年々予算額が減少してございます。平成十九年の設立当初は、例えば什器備品といった初度調弁経費というのが含まれた関係もございまして、予算額が大きくなっております。
予算の減少の要因につきましては、区が
自治体シンクタンクを設立するのは初めてでございまして、研究所を運営していくために、配属された職員がシンクタンクのノウハウを身につけるということが必要とされました。そうしたことから、民間のシンクタンクに一部支援事業を委託して、共同で研究調査を行って、その中で研究員の資質向上というのを図ってきた経緯がございます。こうした経費を、できるだけノウハウを獲得したら減らしてきたということが減少の要因として挙げられます。
今後の予算でございますけれども、これも調査とか研究、それからシンポジウムの取り組み内容によって大きく変わってくるものというふうに考えてございます。例えば、以前行いました住民力といったような大規模な調査を行えば、当然その件数によって経費もふえてまいりますので、変更があるかというふうに思っております。
いずれにいたしましても、予算をきっちり精査いたしまして、しかも少ない予算の中で、研究所の成果を上げていきたいというふうに考えております。
◆福田妙美 委員 費用対効果がなかなか見えにくいのが研究の分野かもしれません。しかし、シンクタンクは、区民に喜ばれる政策立案を担う一翼となってこそ存在意義が深まります。区民との協働推進でと言われていますが、いま一つ見えてこないのが実情です。区民が抱えた問題の抽出、そして行政の政策形成による問題解決が必要な課題を見抜き、研究テーマとしていかなくてはなりません。
ここで質問をいたします。区民が抱える問題の抽出への工夫をどのようにされているのでしょうか、今までの手法と今後の対応策があればお聞かせください。
◎吉原
政策研究担当課長 ただいまご質問をいただきました研究テーマの設定でございますけれども、当研究所は設立当初より、区民との協働のあり方というのを一つのキーワードにしてございます。社会情勢ですとか、国、東京都の動向なども注視しながら、世田谷区にとって今後重要と想定される、例えば組織の横断的な課題ですとか、組織と組織のちょうど間でなかなか所管がはっきりしないような新しい課題、こういったことを中長期的な視点を持って、研究所がみずから課題を発掘し、テーマ設定を行って調査研究を進めてきたところでございます。
一方で、委員のご指摘のとおり、区民のニーズが非常に多様化、それから高度化しているといった時代背景もございます。区民の方々が抱える課題について抽出、把握していくことも非常に必要だというふうに認識してございます。
そこで、二十一年度から、庁内で公募型というのを庁内に呼びかけて共同研究調査というのを行いました。区民に最も近い所管からの課題を酌み取っている各所管課とニーズ調査、それで所管課と共同の研究調査を行っているということも工夫の一つとして行っているところでございます。
今後ともこうした取り組みを進めることで、中長期的な視点から課題の発掘を基本としながら、関係所管課を通じて区民ニーズを把握し、豊かな地域社会を形成することに寄与する研究を行ってまいりたいというふうに考えております。
◆福田妙美 委員 区民が抱えた問題点は、医療の世界であれば病気に例えます。診療部門で目の前の患者に対し病を取り除く治療を施します。研究部門は病気のメカニズムなどの解析を行い、最適な治療や予防対策へとつないでいきます。まさに区のシンクタンクは病院の研究部門の役割をしています。苦労して収集したデータや研究結果が、政策形成支援、もしくは政策形成そのものに大きな力を与えてこそ意義があります。
ここで質問をいたします。このデータを区民、議員、また職員に信頼を得ることで利用価値が上がると考えます。その点、信頼をかち得る工夫はどのようにされていらっしゃいますでしょうか、お聞かせください。
◎吉原
政策研究担当課長 これまで五年間の研究活動を通じましてさまざまなデータを蓄積してまいりました。これを研究成果として公表してきたところでございます。
委員ご指摘のとおり、こうしたデータですとか研究成果を、広く区民の方々、議員の皆様、区の職員とともに共有することが求められているというふうに考えております。
区民に対しましては、研究成果等をホームページ、また図書館の閲覧等を通じて情報発信を行っております。それからシンポジウム等も開催しております。
それから、議員の皆様に関しては、研究報告書の配付、要請に応じて勉強会などを開かせていただいております。また、地方分権・
地域行政制度対策等特別委員会等では、地方分権の動向等について情報の共有を図っているところでございます。
職員、各所管に対しましては、研究所の報告、研究報告書の送付ですとかイントラのホームページ等で情報を共有してございます。随時、共同研究ですとか立案者支援といったことも行っております。できるだけ関係所管と連携をし、政策形成にも寄与することというふうに考えてございます。
◆福田妙美 委員 区民の皆様に大いに還元できる政策立案支援をぜひともお願いしたいと思います。
そして、最後に質問いたします。ことしの四月で設立から五年を経過します。今後のシンクタンクの方向性をお聞かせください。
◎吉原
政策研究担当課長 昨年度の研究の一つとして、せたがや自治政策研究所の活動検証というのを行いました。設立からこの間の取り組みについて、効果、効率性の観点から課題を抽出し、これに対する改善策を整理させていただいたところでございます。この中で、今までの基本機能を基本としつつ、それ以外に人材育成の明確化ですとか、専門的知識、情報、こういったものを集積していく、こういう集積機能の強化、それから人的なネットワークを拡充していこう、三つの視点で今後の取り組みを進める中で重点事項といたしました。
今後、さらに区の政策形成能力を高め、所管課の政策立案等に寄与していくために、これまで培った研究手法、プロセス等に加えまして、検証結果の視点も踏まえつつ、調査研究活動を中心とした取り組みを進めてまいりたいと考えております。
◆福田妙美 委員 以上をもちまして私からの質問を終わりまして、杉田委員にかわります。
◆杉田光信 委員 私からは、災害対策について質問をさせていただきたいと思います。
世田谷区災害対策総点検まとめが出まして、十分類、八十項目についての現状、課題、これまでの取り組み、今後の取り組みについて検討がされてまいりました。首都直下型地震を初め、東海・東南海・南海連動型地震などの発生が高まっているこの現状の中、区民の生命と財産、健康を守ることが行政の使命であるとの基本的な考えのもと、総点検を踏まえて、災害に強い世田谷の実現に向けてということで、この点検がスタートしたと思います。
私も世田谷に住みまして、消防団員としてことしで十三年目になります。しかし、今現状を考えますと、こういう総点検でさまざま項目が出て、マニュアルに向けて取り組んでいくことは大事ですが、やはり自助、共助、公助、自助は自分の身は自分で守る、共助は助け合う、また、公助は今言った総点検、まとめを含めて、行政が力を出して生命と財産を守る、このような視点だと思います。
その意味で、今回のこの災害対策の質問につきましては、共助ということを思いながら質問させていただきたいと思います。
平成二十三年三月十一日に発生した東日本大震災は、いまだかつて経験したことのない大震災でありました。東北地方に甚大な被害をもたらし、マグニチュード九、大津波、原発事故という大震災から一年が経過しようとしています。今なお復興への道のりは大変厳しく長いものとなっております。
この東日本大震災、この三月十一日、二十三区、江東区では防災行政無線を通じて災害情報を流し、区内百十三カ所に設置したスピーカーから情報を流したそうであります。世田谷と違いまして、江東区は東京湾に面して、世田谷とは地理的には違うところであります。江東区では海面より低い海抜ゼロメートル地帯が広がり、住民への情報伝達がおくれれば大きな被害も出かねない。しかし、放送開始直後から、音が聞きづらい、放送内容がわからないなどの声が区に相次いだそうです。その後も防災行政無線を通じて、電力不足の情報や原発事故をめぐる情報など十二回にわたって流し続けたそうですが、住民からの苦情は絶え間なく続いたそうであります。
江東区の場合、二〇〇六年に全受信機をデジタル機器に変更、音声が鮮明になったはずだったが、マンションの高層化などで音が遮断されたり反響したりしたことで聞きづらくなっていたそうです。また、昨年各地域に深い傷跡を残しました台風十二号と十五号、多くの市町村で土砂崩れの避難勧告や避難指示を出せないまま被害が広がったそうであります。
一方、百九万人に避難を呼びかけた名古屋市で、避難所に逃げたのは五千人弱だったそうです。台風十五号では、名古屋市では直撃に備え、早い段階で市民の半数に当たる百九万五千人に避難勧告指示を出したそうです。しかし、避難所に来たのは四千六百二十八人だったそうです。台風が去った後、住民に尋ねると、広報車や無線の呼びかけは雨音に遮られ、ほとんど聞いていなかったそうであります。
そこで、本区でも災害時に区民への情報をいち早く伝えるために、百八十七カ所に防災行政無線を設置しています。平成二十四年度世田谷区予算説明書(別冊)の重点項目の(1)安全・安心、2災害時情報連絡手段の強化に防災行政無線機の増設等の予算が計上されております。そこで、区として今後、防災行政無線の設置等についてどのように取り組んでいかれるのかお聞きいたします。
◎笹本 災害対策課長 防災行政無線の放送についてお答えいたします。
区内全域を対象に、同時に同一の情報を提供するということで、防災無線につきましては災害時の重要な情報提供手段の一つであると認識しております。
一方では、音声による伝達であることから、長い文章の伝達には適しておらず、また、風雨が強い場合を初め屋内にいる場合などは、状況によっては言葉として聞き取りづらいという状況が生じるなど、伝達手段としての限界があるということも事実でございます。
区では、区民の皆様からの聞き取りづらいというご指摘を踏まえまして、また、設置からこの間、市街地の変化等も考慮して、改善の必要性について認識しております。
そこで、まずは正確に現況を把握するため、ご指摘いただいた地区や現状の無線塔の配置から音声が聞こえにくいと考えられるエリアを対象にしまして、試験放送による音声の到達状況の調査を実施しているところでございます。
このたびの調査結果に基づきまして、防災無線塔の増設やスピーカーの交換といった設備の充実、また、放送を補う形でのほかの手段の併用、区民の皆様に対する活用方法の啓発など、さまざまな観点から総合的に改善を進めてまいります。
なお、当面の取り組みといたしまして、無線が鳴った際に、ある特定の電話番号へかけると、その放送した内容が確認できるサービスを来年度に開始いたします。
また、調査結果を踏まえまして、防災無線塔の増設が望ましいという箇所につきましては、来年度早々に増設の工事をしてまいりたいと考えております。
◆杉田光信 委員 今のご答弁の中で、当面の取り組みとして、無線が鳴った際に、専用の電話番号へかけると放送内容が確認できるサービスを来年度から開始するとありました。ちょっと素朴な疑問なんですけれども、災害時というのはなかなか電話がつながりにくかったり、そういうことが考えられると思いますが、その辺はどのように認識されているのかお聞きします。
◎笹本 災害対策課長 ご指摘のとおり、地震の際には電話がつながりにくいという状況が十分想定されます。電話による自動応答サービスについては、その間、ご利用できないことが考えられますが、この点は一定の限界があるというふうに認識しております。
また、防災行政無線の放送は、地震の際だけではなく、平常時におきましては光化学スモッグ警報の発表を行うということにしております。また、災害につきましては、地震のほかに風水害を初め、また国民保護に関する情報等が国から入った場合については放送を実施いたします。電話による自動応答サービスにつきましては、こうしたさまざまな放送の際にご利用いただくことが可能であるというふうに考えております。
また、大雨で窓を閉め切っている状況での聞き取りにくいという際は、電話が通じにくいということは考えにくいことから、このサービスが機能するのではないかというふうに考えております。
◆杉田光信 委員 続いて、現在、防災行政無線は、災害時、区の災害対策本部からのみ発信ができるシステムになっています。災害時には各総合支所が地域本部になります。地域の実情に応じて避難等の応急対応に当たるようになると思います。そこで、地域の情報をいち早く住民に伝えることが大切であると思います。
そこでお伺いいたしますが、総合支所地域本部から地域の災害情報を発信できるようなシステムを構築すべきと思いますが、区の見解を伺います。
◎笹本 災害対策課長 ご指摘のとおり、災害時には各総合支所の地域本部がそれぞれの地域の実情に応じて避難等の応急対応に当たることとなっております。地区・地域単位での緊急的な情報提供を行う場面も十分想定されるところでございます。
防災無線を放送する仕組みでございますが、区役所に放送設備を設置しております。そこから百八十七カ所の無線塔を通じまして放送を行います。放送エリアは選択が可能でありまして、区全域のほか、放送を行いたいエリアをその都度選んで放送することが可能というふうになっております。
迅速性、的確性の観点から、おのおのの地域からも放送できるようにしてはどうかというご提案でございますが、技術的には、放送設備を各総合支所に配置し、そこから区役所の放送設備を遠隔操作することで可能ではないかと考えられます。しかしながら、財政面や運用面等において課題が多いというふうに認識しております。
特に運用面におきましては、各地域からの放送中は区役所からの放送ができないおそれもございまして、区役所側で各地域の放送をコントロールする必要が生じるものと考えられます。また、他の情報手段、例えば防災メールの配信や緊急情報メール、区のホームページ等で提供する情報との整合ということが、ここに非常に注意しなければならない必要が考えられます。
こうしたことから、地区・地域単位で無線塔を利用した情報伝達を行う際には、当該地域本部からの要請に基づきまして、災害対策本部で迅速に運用できるような体制を検討してまいりたいというふうに考えております。
◆杉田光信 委員 先ほど答弁にもありましたけれども、防災行政無線だけでは限界がある。そのために、先ほどの電話をかけると情報が伝わるとか、今、防災メール、また緊急情報メールというのがありますけれども、これはどのようなものか教えていただけますか。
◎笹本 災害対策課長 防犯メールについては、世田谷区の区民や区に通勤通学する方が事前に登録しておくことによって、区からの災害や防犯に関するメールを受信できるサービスでございます。平成十七年十二月より運用開始いたしまして、三月現在の登録者数は三万五千人余りが登録されております。
ここで届く内容としましては、地震や津波の情報、また、気象の注意報や警報、災害時の緊急のお知らせ、また、天気予報などというような情報になっております。
また、緊急情報メールにつきましては、区内にある携帯電話に地域の災害等に関する情報を配信するサービスでございまして、この三月一日より開始しております。この仕組みにつきましては、災害対策課からセキュリティーの保たれたネットワークを通じまして、各携帯電話会社の専用のサイトを経由しまして、職員が手動で配信するというようなものでございます。この電話会社につきましては、大手のNTTドコモ、ソフトバンクモバイル、KDDI、auと言われている会社の三社でございます。
配信の内容につきましては、避難勧告や避難指示等十五項目を配信することが可能となっておりますが、現実的には、例えば多摩川が非常にあふれやすいような状況になった場合、区内に避難指示や避難勧告ということを出すことが想定されます。
配信の対象につきましては、世田谷区内にある携帯電話すべてになりますが、機種によっては利用できないものもあるというふうに伺っております。
また、電気通信事業者の基地局の場所によってつながる範囲というのが異なってまいりますので、場合によっては隣接する区ですとか市に配信される場合もございますし、また逆の場合も考えられるというふうに考えております。
◆杉田光信 委員 続きまして、防災協力協定についてお伺いしたいと思います。
世田谷区では、関係団体と百九十以上の防災に関する協定を締結しております。締結後に訓練を共同で実施する等の協定に基づく具体的な動きを伴う協定は少ないように思います。地域レベルで具体的な協力体制の構築を進めるべきと思いますが、区の見解をお聞かせください。
◎笹本 災害対策課長 区では昭和五十一年以降、近隣の自治体を初め、警察、消防、医療関係、建設、また町会・自治会、高校や大学など百九十以上の団体と災害時の協力協定を結んでおります。協定団体とは、各団体の状況確認をするために年に一回、文書によるやりとりをしておりまして、相手先の確認ですとか、相手先からの申し出による協定内容の変更や修正なども随時行っておるところでございます。
また、訓練のお話ですが、協定を結んでいるアマチュア無線クラブでは、区の実施する総合防災訓練の際、世田谷区の職員の無線クラブと交信訓練を行うことによって、災害時に機能するように取り組んでいる事例もございます。
また、区内には飲料水の事業所ですとか、高校、大学など協定を結んでいない団体がまだ数多く残っております。これらの団体と災害時の協力協定を結ぶということは非常に効果があると考えております。
今後も実効性のある協力協定の締結に向けまして、区の関係所管と連携して取り組んでいきたいというふうに考えております。
◆杉田光信 委員 今の答弁の中にもアマチュア無線の協力協定を結んだところとしっかり連携をとりながらされているというお話がございました。一九九五年、平成七年、阪神・淡路大震災では電話が不通になったときに、アマチュア無線がとても有効な手段だったそうであります。
昨日も、世田谷のアマチュア無線の防災協定を結んでいる方のところをインターネットで検索させていただきましたら、やはり全国につながっているネットというのがすごくこのアマチュア無線にはあるというふうに、きのう確認をさせていただきました。これはアマチュア無線だけじゃなくて、災害の協力協定を結んでいるところは、年に一回の文書だけの取り決めじゃなくて、実践的に百九十以上あるわけですから、ただ、中には、建築の方、造園の方、さまざま防災訓練とかにも参加されているのは私もよく知っております。ぜひともそういうところにも防災訓練とか声をかけていただきながら取り組んでいただきたいと思います。
また、今答弁にもありました、区内には高校、民間事業者など、まだ協定を結んでいないところがあると思います。そのようなところにももっと積極的にお力をかりられるような取り組みをぜひともお願いしたいことをご要望いたします。
次に、災害対策を進めるに当たって、町会・自治会を初めとする地域団体の主体的な活動が欠かせません。地域の防災力を高めるためには住民力を高める必要があると思いますが、区の考えをお聞きいたします。
◎吉原
政策研究担当課長 委員のお話にございました、多くの犠牲者、さらに甚大な被害をもたらしました東日本大震災におきまして、被災直後の住民同士の救出救援活動などを見ましても、町会・自治会を初めとする地域活動などを通じた地域における人と人とのきずな、つながりの重要性が改めて認識されたというふうに考えております。
私どもせたがや自治政策研究所では、こうした地域での人と人とのつながりの重要性に着目いたしまして、人や地域とのつながりや信頼、また地域参加といった、住民が有するソフトな資源を住民力というふうに名づけまして、望ましい地域社会を形成するための資源として、その効果を明らかにするための調査研究を進めてきたところでございます。
その結果、例えば住民力が高いほど地域への愛着心とか活動意欲が高いという結果が出てございます。例えば災害時でいいますと、避難所の炊き出しを初めとしました、そういった地域の課題についても、自分たちで解決していこうという意識が高いことが明らかになってございます。
住民力のこうした効果につきましては、町会・自治会を中心とした住民主体の防災活動など、今後の地域社会のあり方を考える上で重要な機能を持ったものというふうに受けとめております。
いずれにいたしましても、住民力の向上につながる人と人とのつながりを生かした協働のまちづくりを進めることで、区民の力が最大限に生きる、活力に満ちた地域社会の構築につながるものと考えておりまして、こうした取り組みをさらに推進していこうというふうに考えております。
◆杉田光信 委員 ご答弁ありがとうございました。今いろいろお話をしていただきまして、やっぱり住民力というのが本当に災害時、一番発揮できるところであると思います。これからもいろいろ検証していただいて、災害、またいろいろな問題を抱えていると思いますけれども、しっかり取り組んでいただきたいことをお願いしまして、私の質問を終わります。
◆平塚敬二 委員 私は初めに、既に設置済みのエレベーターの安全確保の推進についてちょっとお聞きします。
先日、エレベーター管理会社が主催する防災セミナーに参加してまいりました。内容は、エレベーターの閉じ込めからの救出訓練と、簡単な行動をともにすることによって、マンション住民の防災コミュニティーの構築を目指す取り組みをしているもので、大変勉強になりました。
その後は、そのセミナーの中で話がありました、国土交通省が昨年の八月に発表した既設エレベーターの安全性確保に向けてという報告書や国土交通省のホームページなどを確認したところ、さまざまなことがわかってまいりました。
例えば、昨年の東日本大震災では、震源地から離れた東京都内でも八十四件の閉じ込めが発生し、閉じ込めから救出までの時間が最大で九時間かかったこと。また、大震災後の混乱状況の中では、早期の救出は非常に困難であったこと。中央防災会議首都直下地震対策専門調査会において、東京湾北部地震が発生した場合、エレベーターに一万人以上が閉じ込められることを想定していることもわかりました。安全装置としては、地震時管制運転装置や戸開走行、扉が開いたまま動いてしまう、それを保護する装置、主要機器の耐震補強装置などの設置は、平成二十一年の九月より法改正によって新設のエレベーターには義務づけされましたが、もう既についているエレベーターについては、実際まだまだ対応が進んでいないということもよくわかりました。
そこで質問いたしますが、昨年の震災で区内では何件の閉じ込めが発生したのか、また、公共施設におけるエレベーターの数とその安全装置の設置状況をお聞かせください。
◎北川 施設営繕第一課長 エレベーターの事故防止や耐震性向上などを目的として、平成二十一年に建築基準法施行令の一部が改正されました。改正内容は、エレベーターの戸が閉じる前にかごが動くことを防止する戸開走保護装置の設置、地震時に自動的に最寄り階にかごを停止させる地震時管制運転装置の設置、停電時に自動的に最寄り階にかごを停止させる停電時自動着床装置の設置などを義務づけるものです。
これらの安全装置は、施行令改正後に新築、改築するエレベーターには設置が義務づけられますが、既存エレベーターには設置が義務づけられていません。しかしながら、区有施設については、利用者の安全を図る上で、設置工事に当たって比較的エレベーターの休止期間が短くて済む地震時管制運転装置を中心に設置を進めてまいりました。停電時自動着床装置や戸開走行保護装置については、エレベーターの休止期間が長くとれる場合や設置可能な機種について設置していく方針です。
ご質問にありました区内でのエレベーターの閉じ込めなんですが、この点については、国土交通省とか、または日本エレベーター協会に問い合わせましたけれども、その何人閉じ込めというのは区は把握できませんでした。ただ、昨年の震災における区公共施設のエレベーターへの閉じ込め事故はありませんでした。
また、区有施設のエレベーターは百五十三基あり、地震時管制運転装置未設置は二基、平成二十五年までに設置する予定であります。停電時自動着床装置未設置は十九基あります。また、借り上げ施設のエレベーターは十四基あり、地震時管制運転装置未設置は二基、停電時自動着床装置未設置は五基あります。借り上げ施設については、今後、所管課を通じて施設のオーナーに安全装置の設置をお願いしていきます。
◆平塚敬二 委員 公共施設もまだ一〇〇%ではないという状況がわかりましたし、特に借り上げ施設、これはオーナーさんがいらっしゃるわけですから、しっかりと丁寧にご説明いただいて、早急な対応をお願いします。
次に、今回のセミナーでは、先ほど私、国土交通省の話をしました、首都直下型地震のときは一万人以上が閉じ込められることを想定しているということで、閉じ込めからの救出訓練をされていましたが、やはり公共施設においても震災時に考えられるエレベーターの故障とその対応策は考えておく必要があると思います。区の見解をお聞きします。
◎北川 施設営繕第一課長 震災時に考えられるエレベーターの事故としては、主にエレベーター内の閉じ込め事故があります。これらの主な原因は地震動と停電であります。地震時管制運転装置や停電時自動着床装置が設置してあるエレベーターは、地震等が起こった場合、かごが自動的に最寄り階に停止し、ドアが開きます。地震時管制運転装置や停電時自動着床装置が設置されていないエレベーターは、地震等が起こった場合、かごが階の途中で停止し、閉じ込められる心配があります。また、これらの安全装置がついていたとしても、大規模な地震の場合は階の途中で閉じ込められることも考えられます。
エレベーターに閉じ込められた場合、かご内の非常通報装置から管理室等へ連絡できるようになっております。停電時には非常用バッテリーにより三十分はエレベーター内の照明と非常通報装置が働くようになっております。管理室等で連絡を受けた人は状況を確認し、エレベーター保守管理会社に連絡し、保守管理会社は現場直近の保守員に連絡して、乗客を救出いたします。
◆平塚敬二 委員 今お話がありました三十分間は照明と非常通報装置が働くようになっているといいましても、先ほど私が話をしました、最高九時間閉じ込められちゃうと。電気が消えて連絡もつかない状況が起こる可能性があるわけですね。そういうことを考えますと、この大規模災害時の混乱の中で、まさに火災とか、待つことのできない状況のときも想定しないと、それに対して準備をしておかなきゃいけないんじゃないかと思っています。
この救出訓練に関しては、職員でも資格を持ってもらって、必要なときにはそういう対応ができるようなことも必要じゃないかと考えますけれども、当然エレベーターの閉じ込めからの救出というのは危険が伴いますので、だれでもできるわけではなくて、資格が必要です。
例えば社団法人の全国ビルメンテナンス協会では、救出作業資格者の要件として厳しい資格を決めていますので、業界団体等への協力依頼をして、職員でも資格を取れるような状況にすることが必要じゃないかと思うんですけれども、区の見解をお聞きします。
◎北川 施設営繕第一課長 エレベーターにおいて事故や故障があった場合、通常はエレベーター管理会社の保守員が原則三十分以内に到着するようになっております。しかしながら、大規模な地震の場合は、保守員の到着が数時間かかることも考えられます。
閉じ込め事故が発生した際は、施設に設備管理業者や区職員が常駐していても、救助方法がわからず、保守員の到着を待たなくてはなりません。このため、管理者が常駐する区施設では、エレベーターメーカーや業界団体などが行う講習等により緊急救助方法を学び、利用者の安全をより早く確保することが望ましいと考えております。しかしながら、エレベーターからの救出には危険が伴うため、救助作業時の安全性や民間の取り組み等について今後調査してまいります。
◆平塚敬二 委員 しっかりと取り組みをお願いしたいと思います。
さらには、公共施設を利用される区民の皆様に安心してエレベーターを利用していただくためには、この安全装置の設置情報をエレベーター内に表示して周知してはいかがかと思うんですね。特に地震時の管制運転装置や停電時の自動着床装置、これはちゃんとついていますということがわかれば、皆さんにも安心していただけるのかなと思いますので、そういう情報を提供するべきと思うんですけれども、区の見解をお聞きします。
◎北川 施設営繕第一課長 区公共施設におけるエレベーターの安全装置の設置状況について、エレベーターを管理する所管課が把握することやエレベーター内に表示することは、エレベーターの安全管理上重要であると考えます。
このため、施設営繕担当部としては、再度、区有及び借り上げ施設のエレベーターの安全装置の設置状況を確認するとともに、エレベーターを管理する所管課にその情報を提供していきます。また、安全装置が設置済みの区公共施設においては平成二十四年度中に、設置してある安全装置について、エレベーターのわかりやすい場所に表示してまいります。
今後もできる限り早期に安全装置の設置を進めていくとともに、利用者の方々が安心して利用できるように努めてまいります。
◆平塚敬二 委員 二十四年中にそういう表示をしていただけるということなので、ぜひ早くお願いしたいと思います。
また、先ほども言いましたけれども、やっぱり一〇〇%がついているわけではないので、まずはこの装置があることが安全性を確保することになると思いますから、しっかりと取り組みをお願いします。
続きまして、
公共施設整備方針における民間活力を生かす手法についてお聞きします。
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法の改正法案が昨年の六月一日に公布されて、十一月二十八日に施行されました。
改正内容は、一つはPFIの対象施設の拡大です。改正後は、賃貸住宅や船舶、航空機、人工衛星などが追加され、幅広い分野でPFIの活用が可能になりました。
二つ目には民間事業者による提案制度の導入です。改正後は、民間事業者もPFI事業を計画して、行政に対して提案できるようになりました。まさに民間のアイデアのさらなる活用が見込めようになりました。
三つ目にはコンセッション方式の導入ということで、改正後は、サービスの内容、施設の利用料金を民間事業者が決定することができるようになりました。民間事業者は、公共施設を運営する権利を取得することができるようになりました。利用者ニーズを反映したサービスの提供が期待されるわけですが、そのような改正がされたわけです。
区では、
公共施設整備方針の中で基本的な考えとして、施設の整備運営形態の見直しにおいてPFI方式など民間の活力を活用した広範な手法を検討することを挙げていますが、今回のPFI法の改正をどのように考えますか、そのメリットとデメリットなども含めてお答えください。
◎小田桐 政策企画課長 委員のお話にございましたように、今回の法改正では、主に三点を中心にした改正になってございます。その中で、従来のPFIは、民間の資金により施設建設から運営までを民間事業者が行い、民間のノウハウをサービスの向上につなげる、それによって、行政が施設運営の対価としてのサービス料を一定の期間、割賦払いのような形で民間事業者に支払うサービス購入型という形が主なシェアを占めていました。これに対しまして、施設使用料を民間が直接徴収し、独立した採算を行う独立採算型を増加させるということが、今回の法改正の中心となっている議論でございます。
お話にありましたコンセッション方式PFI、公共施設の運営権を独立した財産権、物権として設定するという方式ですが、行政が民間に付与し、民間はその運営権を担保に資金調達を行いまして、自由度の高い事業運営を行うということが可能となります。これによって独立採算型のPFIの普及が促進されることになるというふうに思います。
また、公共施設等の運営権のメリットとしましては、今申し上げましたとおり、運営権を物権として抵当権の設定が可能となることによって、資金調達が円滑化されるということがあります。また、行政は運営権を付与する対価として、早い時期に施設収入の回収が実現できる、そういうことも可能であると想定されています。
また、デメリットと言っていいかどうかなんですが、制度活用に当たりましては、行政が所有権を有している施設であって、かつ利用料金を民間事業者がみずからの収入として徴収する施設であることが基本であります。また、利用収入による独立した経営が見込まれる施設が基本となっておりまして、そういった面を考えますと、導入の可能性がある区の施設はすべてではないというふうに思われます。
◆平塚敬二 委員 まさにサービス購入型から独立採算性型のPFIということになるわけですけれども、確かに、最後、課長がおっしゃったように、そう考えると独立採算という面で民間が手を出せる施設はそんなにないのかなと私も思います。
次に、私は先日、会派で岡山県にあります総合福祉・ボランティア・NPO会館というのを視察してまいりました。ちっちゃいんですけれども、きらめきプラザというんですが、こういう施設に行ってまいりました。ここはもともと国立病院の建物であったものを岡山県が譲り受けて、PFIの方式によって用途転換をしたという施設なんですけれども、そのときの説明では、もともとPFIを採用するときの理由としては、建てかえによる建設費用の削減効果が一億五千万円見込まれるということで、PFIを採用したそうなんですが、実際に入札をしたところ、建てかえじゃなくて改修工事でいけると。
これはちょっと見づらいんですけれども、建物は縦長の建物でして、ダブルフレーム工法といって、左右からフレームをつけて挟み込むようなことで耐震工事を行ったということで、もともと全部壊して建てかえるつもりが、もともとの既存の施設をコンバージョンして使うというふうになったものですから、これを採用することによって内部の耐震補強は必要ないと。また、配管とかもそのフレームの中でしてしまうということで、さらには仮設の足場をつくらなくていいということも重なって、工事の期間も短縮でき、設計費用、諸経費、建設工事費を大幅に削減することができた。金額で言いますと、県が直接実施した場合の見積もりが六十二億九千万円、PFI事業として実施するときの当初の見積もりが六十一億四千万円だったんです。ところが、実際の入札をしたところ、三十九億四千万円で済んだと。最終的には工事費が二十三億五千万円削減できたという例なんです。
これは大変まれな例なんですけれども、私がここで感じたのは、建設手法とか技術というのは日進月歩で進んでいますので、今後の施設の改築において、民間の知恵をもっと発揮していただいて、そういうPFI方式によってやることが期待できると思うんですが、区の見解をお尋ねします。
◎小田桐 政策企画課長 一般的には、PFIの推進により期待される効果としては、低額かつ良質な公共サービスが提供されること。それから、公共サービスの提供における行政のかかわり方の改革、民間の事業機会を創出することを通じて経済の活性化に資する、そういったものが考えられております。
PFIでは、行政がサービスを直接提供するよりも民間にゆだねたほうが効率的であること、すなわち、同一水準のサービスをより安く、同一価格でより上質なサービスを提供する、そういったことを目指すものでございますが、公的財政負担の見込み額として、公共みずからが実施する場合とPFI事業として実施する場合の経費の差額をバリュー・フォー・マネー、VFMと言ってございますが、これが多いほどPFIの効果が高いものとしております。
また、設計、建設のほかに維持管理を含む運営を民間事業者が行うことになりますので、設計、建設における経費の縮減とともに、将来にわたっての維持管理、運営面での効果もあわせて可能性を検討していく必要があるとともに、先ほど申しましたバリュー・フォー・マネー――差額でございますが――が高いという評価のもとに実施された事業であっても、ご案内いただきました事例とは別に、反対に経営が破綻したという事例もあることはあります。こういったことから、導入に当たっては慎重に検討することが必要であると考えます。
区の公共施設については、改築や既存施設の有効活用としての用途転換など、今後さまざまなケースがあることが想定されておりますので、法改正で導入が可能になった、活用が可能になった制度の可能性も含めまして積極的に研究してまいります。
◆平塚敬二 委員 確かにVFM、バリュー・フォ・マネーが見込めるということはいいメリットなんですけれども、その反対に、経営を長期でお願いしていたにもかかわらず、途中でつぶれてしまっては、これはまた公共が担わなければいけないことになりますので、しっかり検討も必要です。
そこで次に、PFI事業では多くの場合は、各企業の経営状態がPFI事業に悪影響を与えないように、PFI事業を実施するためには、特定目的会社――SPCと言っているんですけれども――を設立して、各企業から独立して、新しい特定目的会社をつくって事業をすると。つまり、資金調達もそのSPCがプロジェクトファイナンスによって行って、公共ではなく、SPCが各企業と工事請負契約や管理運営委託契約などを結んで事業を実施するわけですから、公共は一度に工事費や管理費を支払うことはなく、あらかじめ決めた契約年数でSPCに支払うことになるわけです。この場合、財政の負担は平準化されることが、またこれは一つのメリットであると思っております。
視察した岡山県の場合は、リース会社が代表企業として、設計と建設にいわゆる大手ゼネコンが入って、維持管理運営についてはビルサービス会社が入って、SPCを組んで県と契約をして運営されていました。ちなみに、金利などの計算から十五年契約ということでされていまして、維持管理と運営が十五年で約二十億円、建設費と合わせて約六十億円を十五年で支払うという契約で、年間で言うと四億円、この事業が今七年目に入って、このSPCも今黒字で運営されているということをお聞きしました。
屋上にも実は百十キロワットの太陽光パネルがどんと敷き詰めてあって、まさに環境にも配慮した建物で、すばらしいと思ったんですけれども、区が今後PFI事業を導入する際には、SPCをどうつくられて運営されるのかが課題だと思うんですね。この点についてどう考えるか、区の見解をお聞きします。
◎小田桐 政策企画課長 PFIにおきましては、今お話がありましたとおり、建設会社と維持管理会社、それから施設で行っているサービスを運営する会社、これによって共同されるのは、先ほどお話にあったSPCですね。それが行政とPFI事業計画を結びまして、金融機関から融資を受けて事業を行うというスタイルが一般的な形です。
行政は、PFIの導入可能性調査の結果、効果が高いと判断する事業について、事業の実施方針を定めて公表した上で、民間事業者による共同体から提案を受けます。提案事業者がそのプロポーザルによって選定されて契約に至るというのがPFIの設定する手法でございます。
例えば、区内事業者がこのSPCの会社を設立して、区公共施設の建設・維持管理、運営を行うようなことや、そのSPCが区内の金融機関から資金調達する、例えば信金等から資金調達することで事業を実施するということが可能になった場合には、区内産業の活性化という点でも理想的な形であると考えますが、事業実施方針において、そのような区内に限定する条件設定等が可能なのかということにつきましては、PFI法を初めとして関係諸法令の制約の有無などを確認する必要があるものと考えております。
いずれにしても有効な手法であると考えられますので、研究をしていきたいと考えております。
◆平塚敬二 委員 まさに、今課長におっしゃっていただいたように、区内事業者が区内の金融機関から融資を受けて、区の公共施設を整備できれば、理想的な区内での事業の展開になると思いますので、法令等を確認されて、しっかりと取り組んでいただきたいとお願いして、次の質問に移ります。
次に、災害時の自治体間交流についてお聞きします。
昨年の十月二十六日に、私は仙台で行われました日本自治創造学会仙台大会に参加してまいりました。テーマは「大震災を超えて―地域の復興と自治の再生―」ということ、こういう大会に行ってきたんですけれども、その中で私が最も関心を持ったのが、東京大学の都市工学の教授で、また農学博士でもある石川先生の話なんです。日本とか中国で地震災害の現地調査をもとに、都市工学者の立場から被災地と全国の自治体を組み合わせる、ペアリング支援といった独特の考えを持った先生でありました。
内容は、二〇〇八年の五月十二日に発生した四川の大地震のときに、翌日には中国政府から全世界にインターネットを通してSOSが発信されたと。中国の友人からそのことを聞いて、支援をするかどうか考えていたそうなんですけれども、何と締め切りが三日以内に返事を下さいということで、急いで支援をするというふうにしたんですが、準備にちょっと時間がかかって、六月七日から十一日まで現地調査を行って、東大と慶應大学と西南交通大学という三つの大学が連携して、その復興のデザインを手がけた方です。
そのときに、中国では対口政策と称する、人口が同規模の自治体でペアを組んで支援するペアリング支援というのが当たり前のように行われていたと。この支援のときも、上海市が三年間にわたって入って、上海市から復興されてきたそうです。
また、昨年の東日本大震災においても、ご自身が宮城県の岩沼市の出身とのことで、震災翌日には自主的に学生とともに岩沼市の復興にかかわって、岩沼市震災復興マスタープランをつくられたという報告もありました。
さらに、その話の中で、今回の東日本大震災において関西連合のことが話題になっておりました。ペアリング支援に近いことを行っていたそうなんですけれども、詳しいことがわかればお答えください。
◎笹本 災害対策課長 関西連合についてお答えいたします。
関西連合とは、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、徳島県の二府五県で構成されておりまして、防災や観光、文化振興、産業振興など七分野の広域事務を行う広域団体として、平成二十二年の十二月に設立されたというふうに伺っております。
この関西連合では、地震の二日後に東北地方太平洋沖地震支援対策にかかる関西広域連合からの緊急声明というのを発表いたしました。この中では、京都府と滋賀県が福島県を、大阪府と和歌山県が岩手県を、兵庫県、徳島県、鳥取県は宮城県をということで、被災した自治体としての経験をもとに、非常食や毛布、ブルーシートなどの災害対策の支援物資の提供や、応援職員の派遣、被災者の受け入れなどの被災地支援を行ったとのことでございます。事前にペアリングを組んでいたとのことではございませんが、支援する自治体と支援される自治体を都道府県レベルで組み合わせ、効率的、効果的に、また迅速な支援が行われたというふうに伺っております。
東京二十三区におきましても、特別区の連合体の中で、被災地からの要請によって派遣自治体を選定し、特別区の総力を挙げて被災地の支援に当たってまいりました。また、目黒区と気仙沼市や杉並区と南相馬市のように、災害時の相互協力協定の関係の中で、直ちに被災地支援を行っている事例もございます。
今後、関西連合の事例を参考にしまして、東京都や特別区と連携し、このペアリング支援というものがどういうことか、どういう効果が期待できるのか等を研究してまいりたいというふうに考えております。
◆平塚敬二 委員 当日、南三陸の町長さんや宮古市の市長さんも来られていたんですけれども、そのときに話を聞いたのは、まさに今、実は看護師さんが足りないんですという話をしたら、県知事さんから直接、市長さんとか町長さんに電話があって、何人足りないんだと。じゃ、うちから派遣するから、そういうやりとりをされていたそうなんですね。
まさに国を通さずに直でそういう形で支援をされて、復興に当たっていったということを聞きましたので、ぜひこれも取り込んでいただきたいと思いますし、また、世田谷区においても南三陸町に職員の派遣などを行っていた経緯がありますけれども、この詳しい経緯を教えていただきたいと思います。
◎笹本 災害対策課長 東日本大震災に伴う被災自治体への支援につきましては、二十三区として考えられるすべての支援協力を全力で行うとする区長会方針を踏まえまして、特別区長会からの要請に基づいて、職員の派遣を現在も継続して行っております。
お話しの宮城県南三陸町への支援につきましては、被災自治体からの要請を、東京都を経由しまして特別区の区長会が受け、これを規模や期間、職務の内容等を検討しまして、世田谷区が要請にこたえるという形で派遣が決まったものでございます。
これまで区では、この南三陸町を初め二十一件、延べ二百四十一名の職員を被災自治体に派遣し、支援に当たっておりますが、被災地の復旧復興事業を進めていくためには、増大する業務に職員の人手がまだまだ足りないという状況が続いていると伺っております。
今後は、南三陸町に対する復旧復興事業等のために、一年間の期間で区の職員を派遣するということを行うとともに、被災自治体からのさまざまな派遣要請内容に対応できるように、関係課と連携して対応してまいりたいと考えております。
◆平塚敬二 委員 この世田谷区の災害対策総点検のまとめでも、七一ページに職員の派遣ということで出ています。今回はこういう形でやったんですけれども、やっぱり事前にこういう協定を結んでおくということは大変重要だと思います。
今後、特に高い確率で起こることが予想されている首都直下型地震を考えたときに、他の自治体との災害時の協力協定というのは大変重要だと思いますし、特にこのペアリング支援となると、人口が同規模の自治体ということになりますから、世田谷区の場合は、もう八十八万区民でございますので、まさに政令市とか県のレベルで災害協定を結んでもいいんじゃないかなと思っています。また、海外の都市も視野に入れて、そういう協定を検討していくべきだと思うんですけれども、区の見解をお聞かせください。
◎笹本 災害対策課長 現在、区では近隣の自治体とか友好都市の川場村と災害時の協力協定を締結しております。大規模災害が発生した場合については、近隣自治体との協力協定だけでは必要な支援を受けることが困難なことというのは十分想定されております。人口が同規模の自治体と災害時の協力協定を結んでおくということは、支援する際も、またされる際も理想的であるというふうに考えられますが、お話にありましたように県レベルや政令市レベルとなることから、相手方が非常に限定されるものと考えられます。
一方、海外自治体との災害時の協力協定のお話ですが、災害が発生した場合については、救助、救援、物資の提供等で時間ですね、迅速性が最も求められます。これらのことから、まずは区民まつりなどで交流のある自治体を視野に入れまして、国内の自治体はどういうところと協定を結んでいけたらいいかということを検討してまいりたいと考えております。
◆平塚敬二 委員 確かに二十三区の中で世田谷区だけがどこかの県とか政令市と結ぶというのはなかなか難しいかもしれないんですけれども、海外も今、オーストラリアのバンバリーとか、カナダのウィニペグ、オーストリアのウィーンのドゥブリング区と姉妹都市提携を結んでいますし、人的とか物資は難しいかもしれないんですけれども、金銭的な面とか、こちらも向こうで何かあったときにはすぐ対応ができるようなものは協定を結んで準備していくというのが大事だと思います。
今回の総点検の中で七一ページに「今後の派遣要請に対応するため、全職員より派遣希望者を募り、登録することとした」と書いてあるんですけれども、まさにこうやって、今現在、職員の方でも、いざとなったら私行きますよという方をどんどん募集していただいて、その方が本当に行けるように、また、こちらからも応援するし、何かあったときは応援していただくという体制をつくり上げて、災害に備えていただきたいと思います。
これで公明党の企画総務委員会での質問を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で公明党の質疑は終わりました。
────────────────────
○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、生活者ネットワーク・社会民主党、どうぞ。
◆植田靖子 委員 それでは、質問させていただきます。
まず、毎年自殺者が三万人を超える現状が改善されていません。メンタルヘルスケアに対する要望はますます高まっています。国は、うつ病など精神疾患を抱える人がふえ続けることを重く受けとめて、精神疾患を加えて五大疾病としました。そして取り組むべき重点課題としています。
世田谷区も精神疾患については重点施策の一つとして取り組みを進めています。精神疾患を抱える原因をできる限り取り除いて、仕事に前向きに取り組める環境を整えていくことは生産性を高めることにつながります。
そこで、区の職場環境は、すべての職員の皆さんが伸び伸びと前向きに仕事に専念できる環境になっているでしょうか。職員の心の健康、メンタルヘルスに対する配慮はどのようになっているか、質問します。
平成十年から比べると休職する人はふえ続けています。平成十年の病気休職者二十七人のうち、メンタル系の休職者は十一人、休職者の割合を見ると四〇・七%でしたが、その後ふえ続けて、平成十九年には休職者六十三人中五十一人で、八一%もメンタル系で休んでいます。そして、二十年には六十八人中五十七人で、八三・八%にもなっていました。一番直近の平成二十三年度は、休職者、現在進行形ですけれども、七十四人で、うちメンタル系の休職は七二%の五十三人に上ります。
メンタルの問題によって休職する人の割合は、この間、改善取り組みはありますけれども、依然として休職者数は高いまま推移して、現在まで続いています。
メンタル系の休職者を減らすことが休職者全体の数を減らすことにつながりますが、現在までのメンタルヘルスについての取り組みはどのようなものかお聞きします。
◎中村 職員厚生課長 職員が持てる力を十二分に発揮していくためには、職員の心の健康が非常に重要なことだと認識しております。一方で、委員ご指摘のとおり、心の不調による職員はふえておりまして、絶対数で比較しますと、平成二十三年の心の不調による休職者は五十三人と、十年前の平成十四年の二十四人と比較しますと、絶対数で言うと二十二倍と増加傾向にある状況にございます。
このような状況に対応するため、区としては、平成二十一年三月に職員の心の健康づくりのための基本方針を策定しまして、心の健康づくりに向けた体系的、総合的な取り組みを推進しているところです。
具体的には、心の病に対する誤解や偏見を払拭し、早期発見、早期対応ができるよう、広く職員を対象にメンタルヘルス研修を実施しているところです。特に職場における心の健康づくりを推進する上で、各課長が中心的な役割を担うということから、今年度は人材育成研修の中にメンタルヘルスを位置づけまして、すべての課長を対象に研修を実施することといたしました。
また、相談事業といたしまして、産業医や心理カウンセラーの専門家による相談や、身近にいる係長級をもって設置している職員相談など、職員のさまざまな相談に応じられる体制の整備を図っているところです。
さらに、心の健康診断としてストレス調査というものを実施しております。これは、職員個人のストレス度を測定して心の不調の気づきを促すとともに、職場全体のストレス要因を把握分析して、各課長に職場環境の改善に役立ててもらうということに役立ててもらっています。このように、さまざまに職員のメンタルヘルスの取り組みをこれまで進めているところです。
先ほどの絶対数の比較ですが、失礼しました、十年前から比較して二・二倍という状況でございます。
◆植田靖子 委員 メンタル系の疾患によって長期休職している人もいるようですけれども、区の休職制度はどのようなものなんでしょうか。そして、休職する背景をどのように分析しているのかお聞きします。
◎中村 職員厚生課長 職員の休職制度についてまずご説明いたします。
休職制度は、地方公務員法と区の条例に定める分限処分の一つです。主に心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、またはこれに耐え得ない場合、こういう場合に職員としての身分を保有させるが、職務に従事させないという制度でございます。期間は三年を超えない範囲とされ、最初の一年間は給与の八割を支給、二年目以降は無給となりますが、無給となった時点で、共済組合のほうから給料のおおむね三分の二の額が傷病手当金ということで、最長二年支給される制度がございます。
次に、心の不調による休職者が増加しているという背景でございますが、このことについては、社会の変化が急速に進んで、ストレスの要因が職場だけでなくて、地域や家庭生活の問題を含めて複雑化しているということが背景になっていると言われていると考えております。
その中で、職場での要因の一つといたしまして、この間実施してきたメンタルヘルス研修などにより、心の病について正しく理解し、誤解や偏見が取り除かれたということで、職員みずから、あるいは管理監督者による早期発見、早期対応が一層図られるようになったということが一つあると考えております。
また、年々利用者が増加しています産業医や心理カウンセラーによる相談の中でも、専門医への早目の受診を促すケースが数多くありまして、病状を悪化させてしまう前に、早目に休養する傾向が高まっているというふうに考えております。このことも休職者が増加している要因となっていると考えているところです。
◆植田靖子 委員 休職に至る原因は人それぞれやはり違うと思いますが、その一つにパワーハラスメント、いわゆるパワハラがあります。厚生労働省は、パワハラについて定義し、職場での問題の解決に向けた予防策や再発防止についての報告書をことし一月まとめました。職場でのパワハラとは、同じ職場で働く者に、職務上の地位や先輩、後輩などの人間関係の優位な立場から、通常の仕事の範囲を超えて暴力や暴言、嫌がらせ、仕事への妨害など、さまざまな精神的、身体的苦痛を与え、人としての尊厳を傷つける行為です。
また、パワハラがある職場は、環境が悪化して、全体のやる気が失われて生産性が低下します。パワハラは人権意識が低いことのあらわれであると感じますが、区としてパワハラと職員の休職との関係についてどのようにとらえ、今後取り組んでいくのか、見解を伺います。
◎中村 職員厚生課長 今年度のストレス調査の中で、初めていわゆるパワハラに関する質問を行いました。その結果、男性では七・一四%、女性は八・四九%の職員がパワハラをされていると感じているという回答をしております。また、相談事業においても、職場の人間関係に関するものがふえてきているという状況にはございます。
ご指摘のとおり、パワハラについては、組織の生産性に悪影響を及ぼすだけでなく、職員の仕事への意欲や自信を喪失させ、ひいては心身の健康を損なう要因と言われております。貴重な人材が休職や退職に至ることになっては、区政にとって甚大な損害であると考えております。
今後、厚生労働省の報告を踏まえまして、人事課とも連携して、研修などを通じて周知啓発を庁内に図ってまいりたいと考えております。
また、職員一人一人の尊厳や人格が尊重され、すべての職員が仕事に意欲を持てる職場づくりに向けて、パワハラ防止の総合的な取り組みについて検討してまいります。
◆植田靖子 委員 休職制度は、長期に休職した職員全員が再び自分らしく働けるようになるための制度だと言えます。それでも一たん休職してしまうと職場復帰は難しく、職場復帰できないことになると、新たな職場を探すのは困難をきわめて、そして行き先がなくなるというのが現実です。
そこで、休職者の職場復帰への支援というのがとても重要になると考えますが、どのようになっているのか伺います。
◎中村 職員厚生課長 心の不調による休職者の職場復帰に関しまして、ここ数年の傾向ですが、おおむね三分の二の職員が職場復帰をしております。しかし、中には同一の疾病により再度休職となってしまったり、退職する職員も少なくないという状況にはございます。
休職者の復職に当たっては、主治医の健康診断等を踏まえて、本人と産業医の面談を実施するなど慎重に進めているところですが、より円滑な職場復帰を支援するために、外部の専門機関を活用した事業を実施しているところです。
一つには、平成二十二年度から実施しておりますリワークという事業がございます。これは一定期間、専門機関を会場にしまして、公共交通機関を利用して通勤して、軽作業を行うことを通じて体をならしていくとともに、同じ経験を共有する仲間と交流を図ることで、復職への不安を解消していくというプログラムでございます。
もう一つは、復職する職場側への支援です。これは、心理カウンセラーが職場に出向いて、復帰する職員をどのように迎えたらいいかなど具体的な相談に応じる、グループコンサルテーションと呼んでおりまして、これを必要に応じて実施しているところでございます。
今後ともこうした事業を積極的に活用して、より多くの休職者が円滑な職場復帰できるよう取り組んでまいります。
◆植田靖子 委員 休職した方が一人でも多く、本当に全員が復職できるように取り組んでいただきたいと思います。
そこで、心と体の健康には食べることも大事だと考えています。最近は民間企業でも社員の健康づくりの一環として、社員食堂のメニューにこだわり、話題を集めているところが少なくありません。区の職員食堂でも、もっと職員の健康を積極的に考えた、生活習慣病の予防や改善につながる献立の工夫などが必要ですが、どのようにお考えか、お聞きします。
◎中村 職員厚生課長 第一庁舎の地下にございます職員食堂、これは職員の福利厚生施設事業として、職員互助会で運営しております。職員を初め来庁された区民の方々や事業者の方にも広くご利用いただいております。
この食堂ですが、二十一年度にメニューや価格などへの意見や要望を受けまして見直しを行い、公募によるプロポーザルにおいて、昨年度、新たな委託事業者によりリニューアルオープンをしたところです。
現在、ご指摘の職員の健康への配慮という点でございますが、比較的低カロリーで野菜を多く使用したヘルシーメニューを週三回程度提供したり、白米に加えまして玄米、麦ご飯、雑穀米などの健康米を提供したり、また、健康栄養情報を卓上に配置して、利用者への周知を図るなど、さまざまに工夫を凝らしているところです。
今後も、委員のご提案も視野に入れまして、食堂の委託事業者と相談しながら、職員食堂が食を通じて職員の活力、健康に資する場となるように取り組んでまいります。
◆植田靖子 委員 次に、職員が区民目線の対応ができる研修のあり方について質問します。
区民の声に真摯に耳を傾け、誠実に対応するための心構えを身につけるために、職員の接遇研修は必要です。最近も職員の窓口や電話応対について、不親切、説明が一般市民にわかりにくいなど、地域を歩くと不満の声を聞くこともあります。
区民に対して丁寧に接することは、職員として当然必要なことですが、それだけでは十分ではありません。いかに区民の求めている内容を理解し、わかりやすく的確な情報を提供できるかが問われています。
現状の職員の接遇研修はどのようなものか伺います。
◎小野村 研修調査室次長 接遇研修につきましては、世田谷区職員研修実施計画における重点取り組みの一つとして、平成十九年度から採用年数に応じた内容で体系的に実施しております。
まず、採用一年目で接遇の基礎を学び、採用五年目では採用からこれまでの経験から改めて接遇の基本を振り返り、自身の接遇を再確認する機会とするとともに、後輩の手本ともなる立場であるということを認識させております。さらに採用十年目ではクレームにつながらないための応対の知識や意識の醸成を図っております。こうした取り組みにより、採用十五年目までの全職員が必ず何らかの接遇研修を受講していることになります。
一方、職場としての接遇応対向上への取り組みといたしましては、係長昇任時に接遇における職員の育成のための接遇指導者研修や、例えば総合支所などの職場単位で、その実情に合わせた内容で、非常勤職員から管理職までの全職員が受講する研修を実施しております。加えて、採用年数に該当しない職員につきましても、特別区職員研修所実施のホスピタリティ研修などを選択して受講する体制も整えております。
◆植田靖子 委員 区民の立場に立って考え、こたえることができる職員を育てるには新しい研修メニューが必要です。例えば区民に最も近い出張所や支所などの現場に新人のうちに配属して、区民から持ち込まれるさまざまな問題の解決にはどのような情報提供や対応が必要なのか、体験を通して学び、対応力を身につける研修が必要ですが、どのように考えるのかお聞かせください。
◎小野村 研修調査室次長 今ご提案の職場への配属につきましては、これは人事のほうの問題になると思いますけれども、委員ご提案の体験的な研修というふうに受けとめますと、採用一年目の職員同士が職場を交換し、他の職場を体験する、職場体験研修がございます。この研修におきましては、体験する職場の仕事を通じて、自分自身の職務以外の知識を得るとともに、幅広い視点で区民のニーズを把握できることに加え、多くは窓口職場における区民対応を目の当たりにすることで、自己の接遇対応への気づきにつながるものと考えております。
また、接遇研修の採用一年目では、日常のみずからの接遇応対を振り返り、区民の立場に立って何が必要なのか、何ができるのかをグループで検討し、誠実な応対の実現に向けた接遇応対をロールプレイング方式により体験し、現場で生かせるものとしております。
採用五年目、十年目研修におきましては、これまでの職場での失敗あるいは成功事例を持ち寄り、区民満足度を高めるための対応を考え、研修生同士で共有するとともに、区民の声を事例に、解決に向けた対応を同じくロールプレイング方式で実施いたしております。
先ほど取り上げました職場単位研修では、区に寄せられた区民の声を事例に、職場単位で検討を共有することで、接遇対応における課題解決に向けた取り組みへつなげております。
今後も、委員ご提案の趣旨を踏まえ、区民対応力の高い職員の育成を目指し、重点取り組みの一つである接遇研修の充実を図ってまいります。
◆植田靖子 委員 最も必要なことは、職員の一人一人が常に人権の意識を持って仕事をすることです。人権意識がしっかりと根づいていれば、区民への対応も相手の身になって考えることができるために、おのずと変わります。また、人権意識が浸透している職場であれば、休職者の数も少なく、たとえ休職しても、復帰しやすい職場環境が整っているはずです。
職員への人権研修は、これまでどのように行われてきたのか伺います。
◎小野村 研修調査室次長 人間の尊厳を守り人権を尊重することは、人として、公務員としての基本であると認識しております。世田谷区人材育成方針におきましても、公務員としての高い倫理観と幅広い人権意識を有した職員の育成を図ることを研修実施方針の一つとして定めております。
このため、これまで職員研修では、採用一年目研修を初めとして、主任主事候補者研修、係長候補者研修、課務担当係長研修、統括係長研修、管理職候補者研修において人権研修を実施してまいりました。
特に採用一年目研修において実施する福祉体験研修におきましては、車いす体験、アイマスクを使用した視覚障害の疑似体験や、障害のある当事者との話し合いを通じまして、障害者の視点に立って、区職員として何ができるのかを考える契機としております。
また、主任主事候補者研修、課務担当係長研修におきましては、みずからが人権侵害を受けられた方を講師としてお迎えし、人権尊重、擁護に対する公務員としての役割をより一層認識できる内容としております。
なお、このたび、二十四年度からの研修体系を見直す中で、人権研修は職層にかかわらず、すべての職員がひとしく繰り返し受講すべきであると考えまして、採用一年目、十一年目、二十一年目、三十一年目の職員を対象とした採用年次別の研修として実施することといたしました。
今後ともより充実した研修を実施し、人権問題に対しての正しい認識と理解を深め、鋭敏な人権感覚を持った職員の育成に務めてまいります。
◆植田靖子 委員 新年度には新たに人権についての所管が創設され、ますます職員の人権意識がしっかり根づいていることが重要になります。世田谷区としても区民には人権意識をもっと高めていただくように、職員みずからが高い人権意識を持って区民に対応することが必要です。
それには、区における人権研修がますます重要になります。さらに充実させることが求められますが、今後の人権研修について伺います。
◎小野村 研修調査室次長 委員ご指摘のとおり、来年度より人権担当所管を設置し、区民の人権意識をさらに高めることを目指していく中、すべての職員が高い人権意識を持って区民に対応できるよう、人権研修をさらに充実させる必要があると認識しております。
そのために、先ほど申し上げました採用年次別の研修を着実に実施するとともに、二十四年度より人権施策を担当いたします人権・男女共同参画担当課との共催による新たな研修を検討するなど、より一層充実した人権研修の実施に努めてまいります。
◆植田靖子 委員 それでは最後に、NPO法人の税制優遇について伺います。
地域住民運営型公共サービスが打ち出されるなど、今後の地域のさまざまな公共サービスの担い手として、地域のNPO法人の活動はますます期待されています。
平成二十三年六月、NPO法改正と新寄附金税制が成立し、この改正により、一般NPO法人に対する寄附金が認定NPO法人と同じように住民税の控除対象となる制度の導入が可能になりました。
地域で活動するNPO法人も寄附金が受け取りやすくなるように、まずこの仕組みに対して、区はどう認識しているのか伺います。
◎中里 課税課長 まず初めに、寄附金控除に係る現行の制度では、個人が団体等に対し寄附を行った場合、二千円を超えた部分について、寄附金額に応じて住民税額からの控除を受けることができます。例えば個人が五万円を寄附した場合、控除額は都民税、区民税を合わせまして四千八百円というふうになります。この場合の団体等ですが、日本赤十字社を初め、社会福祉法人や学校法人、認定NPO法人など、世田谷区特別区税条例で寄附金税額控除の対象と定めた団体等に限られております。
現在、百十九団体を指定しておりまして、二十三年度実績では区民税分で約四百五十万円の税額控除がございます。この制度が昨年の地方税法の一部改正により拡充が図られたところです。すなわち、認定NPO法人のほかに、地域に根差した、いわゆる一般のNPO法人についても住民福祉の増進に寄与する団体に対する寄附金については、その団体を各自治体の条例で指定し、寄附金税額控除の対象にできる旨の規定が加えられました。
この条例指定制度ですけれども、各自治体が条例指定をする団体にふさわしいとする独自の方針をもとに、公益性に係る要件や団体運営に係る要件等を定め、指定を希望するNPO法人からの申請に基づき、要件を満たす団体かどうかを実際審査して、最終的に議会の議決を経て、条例で個別指定するというような仕組みでございます。
◆植田靖子 委員 この制度が整えば、区民が地域のさまざまなサービスの担い手であるNPO法人の活動を理解して、積極的に支えようと考えるきっかけになると考えます。
世田谷区では現在、この制度の導入に向けてどのような取り組みをしているのでしょうか。また、実際にこの仕組みが使えるようになる時期についての見通しもお伺いします。
◎中里 課税課長 寄附金控除の対象となりますNPO法人の条例指定制度につきましては、全国の自治体で制度設計に向けて準備検討が進められているところです。しかし、現状では地域によってその進捗状況には差が見られます。先駆的に取り組んでいるのは神奈川県で、県が主体的に制度設計を進めております。そして、県域内の市町村はこの方針を参考にして、これから制度設計に着手していくものと思われます。
住民税は、二十三区を例にいたしますと、都民税と区民税を区が合わせて賦課徴収しておりまして、東京都と二十三区が十分連携し、指定に係る審査基準や提出書類などの整合を図ることが重要です。そうすることで、税務事務を円滑に進めることや、NPO法人に過度な負担や混乱を生じさせないような配慮にもつながっていくと考えております。
現段階で東京都はまだ具体の方針等を示しておりませんで、検討にはまだしばらく時間を要する見込みです。世田谷区の現在の取り組み状況でございますが、他自治体の情報収集を進めるとともに、関係所管と協議を重ねまして、具体の検討に向けた準備を進めているところです。
区としましては、東京都や他区との情報交換を密に図りまして、また動向を見つつ、できる限り早い段階で制度の実現を目指したいと考えております。
◆植田靖子 委員 以上で私の質問は終わり、次に、唐沢委員にお願いします。
◆唐沢としみ 委員 私は、情報公開と区民参加の区政を一層推進する観点から質問してまいります。
保坂区長のリーダーシップのもと、新しい区政が着実に展開しております。車座集会やまちづくり分野での住民対話の実現を初め、新たな基本構想策定に向けた取り組みなど、区民と真剣に向き合いながら区政を前進させています。私が繰り返し主張してきました市民が主役の区政を実現しようとすることを心強く、大いに期待しております。
区は知恵を絞って、区長の示される情報公開と区民参加の区政に全力を傾けて、世田谷区が再び全国をリードする自治体のトップランナーと言われるような、そういう世田谷区にしてほしいと考えております。
そこで、さきの代表質問で、基本構想において情報公開と住民参加の徹底についての見解を伺ったところ、区長から、無作為抽出によるところの区民意見交換会などの手法を取り入れることにより、新たな自治の掘り起こしにつながる、それに期待をするという答弁がありました。
そこで、まずお伺いいたします。この区民意見交換会を通してどのような成果を期待しているのか、目指すものは何なのか、その辺について伺いたいと思います。
◎吉原
政策研究担当課長 急速な少子・高齢化の進展など地域社会が大きく変容する中で、地域コミュニティーの希薄化が懸念されております。その中で豊かな地域社会の形成には、委員のご指摘のとおり、区民参加による区政の実現が欠かせないというふうに認識してございます。
区ではこれまでも、例えば審議会の公募区民の登用ですとかシンポジウムの開催、区民からの意見提案など、あと、委員のお話しのあったさまざまな手法を投じまして区民参加を促進し、区民の皆様からのご意見を反映させてきたところでございます。
今回、新たな基本構想等の策定に当たりまして、これまで一貫して進めてきた区民主体のまちづくりをより一層推進する観点から、区といたしましては初めての試みとなります無作為抽出方式による区民参加のワークショップを実施したいというふうに考えております。これまで積極的に区政や地域にかかわってこなかった方々の意見をぜひ吸い上げてまいりたいというふうに考えております。
これらの意見や提案を基本構想審議会に提供することで、より広範な区民の意見を取り入れた議論が可能になるものというふうに期待しているところでございます。
また、ワークショップの参加を一つの契機として、区政に関する関心を高めていただければと考えております。
◆唐沢としみ 委員 理想としては、確かにおっしゃるとおりだと思います。私は、せっかくの新しい試みが少なくとも理想に近づき、成果を上げられるよう工夫していただきたいと考えるものです。
そこで、区民の自由な発言を保障しつつ、一方では市民としての意見交換会を実現するための工夫も必要だと考えますが、この辺について何かお考えがあったらお伺いいたします。
◎吉原
政策研究担当課長 無作為抽出区民ワークショップは、区民の意識やニーズの多様化が進む中で、いわゆるサイレントマジョリティと呼ばれます、広範な区民の多様な意見を抽出できる方法として認識しております。
さらに、これを有効な場とするには、委員のご指摘の視点が欠かせないというふうに考えております。こうした観点に立ちまして、現在、無作為抽出による意見交換会などを実施している他自治体の事例を収集しているところでございます。実りある意見交換会を実現するには、例えば基礎知識がない方でも議論に参加できるように、わかりやすく区政の情報提供を行うことや、それから、少人数で一定の役割分担のもとでグループワークを進めるなどの手法を取り入れたい、こういったことが必要だというふうに認識してございます。
いずれにいたしましても、区民の方々の貴重な時間を費やして参加をいただくわけでございますので、議論が活発に行われ、ワークショップが有益になるように工夫をしてまいりたいと思います。
◆唐沢としみ 委員 そこでもって、無作為抽出の対象には子どもや外国人などがちょっとかかわってはどうかということもあるわけですが、この辺についてはどうでしょうか。
◎吉原
政策研究担当課長 現在、無作為抽出方式の区民ワークショップに参加していただく方につきましては、性別、年代、地域等を考慮した上で、住民基本台帳のデータから無作為に抽出をした十八歳以上の約千名程度の区民の中から、参加意向を示した方を対象として実施していきたいというふうに考えているところでございます。
したがいまして、区民の無作為抽出の対象外でございます十八歳未満の子どもの世代等につきましては、例えば子ども部や教育委員会事務局と連携をいたしまして、既存の取り組みを活用いたしまして、意見、提案を求めていきたいというふうに考えているところでございます。
また、同じく無作為抽出の対象外となります在住外国人の方のご意見につきましては、基本構想審議会、もしくは部会で、外国人の方にご参加をいただきまして意見交換等をさせていただくことを予定しております。
こうした創意工夫を行いまして、積極的な参加のプロセスを重視しながら、区の特徴ですとか歴史的経緯を踏まえたまちづくりと自治の発展を目指す区政の基本理念となります新たな基本構想の策定に取り組んでまいりたいと思います。
◆唐沢としみ 委員 区長も子どもの声をぜひ聞いてみたいということもありますので、そんなことを含めて、子どもは年齢別とかいうふうになるかと思いますが、いろいろな工夫の中で、あらゆるグループなどが参加できるような工夫を凝らして、多様な声を集めていただくことを要望しておきます。
次に、情報公開について伺います。
私は、決算委員会で広報の重要性を指摘し、何点か質問してまいりました。区長のおっしゃる情報公開とは、要求されてから情報を開示するということだけを指しているのではないわけであって、もっと積極的に、こちらからさまざまな情報を広く区民に示していく広報活動を含めた考え方であります。決定前の段階で検討中の情報をわかりやすく提供し、区民と一緒になって考えるプロセスを通じて、区民を区政に引き込んでいくという戦略的な情報提供を一層充実させるべきであると思います。
そこでまず、決定前の早い段階から積極的に情報を広報していくこと、その必要性について、効果について、区の見解、認識を伺っておきます。
◎平澤 広報広聴課長 委員お話しのとおり、決定前の段階で検討中の情報をわかりやすく区民に広報し、区民のご意見やご提案をお寄せいただくことは大変重要なことと認識しております。
区では、これまでも条例や計画等を策定する際に、素案等の段階で公表する、いわゆるパブリックコメント制度を実施するなどの取り組みをしてまいりました。
今般の新たな基本構想や基本計画の策定過程におきましては、シンポジウムやワークショップの開催、区民意識調査などさまざまな機会を通して、幅広く区民の皆さんにご参加いただき、その策定状況は広報紙やホームページ等でお知らせしていく予定でございます。
区民の方々と区政の課題や情報の共有を図り、区民の区政への参加を促すため、今後、さらに政策形成過程において、適宜広報広聴活動に努めてまいります。
◆唐沢としみ 委員 特に、さきの決算委員会においても、これまでの経験を生かして、区政発展の原動力となる広報戦略を行う必要があると指摘したわけですが、これに対して広報広聴課長は、ぜひ広報広聴活動を、区民が積極的に参加できる、また、区政に関心を持っていただけるような仕掛けを展開していきたいというふうに答えたわけでありますので、その辺について具体的にどうかという気になるわけでありますので、来年度の展開で何か取り組まれるようなことがあったらお聞かせいただきます。
◎平澤 広報広聴課長 区の施策やさまざまな行政情報を広く区民にお知らせすることは区の責務でございます。また、より多くの区民の方々に的確に情報提供していくことが大変重要であると認識しております。
これまでも広報紙を初めホームページやエフエム世田谷によるラジオ放送、メールマガジン、動画広報などさまざまな広報手段を活用し情報提供してまいりましたが、その中でも「区のおしらせ」やホームページにつきましては、ユニバーサルデザインへの配慮や区民の利便性の向上に向け改善への検討を進め、来年度実施する予定でございます。
◆唐沢としみ 委員 答弁でも触れたわけですけれども、「区のおしらせ」の刷新やホームページの改良、あるいは動画配信の活用などを行うことになっておりますが、改めて具体的な内容のねらいなんかについてもしあったら、簡単にお伺いします。
◎平澤 広報広聴課長 来年度の取り組みにつきましては、具体的には「区のおしらせ」は極力経費をかけずに、カラー版の発行回数の増、また文字の拡大、行間や段組みの変更等により、区民にとってより見やすく親しみやすい紙面へと改善を行います。また、増ページすることなく対応できるよう掲載記事を整理し、新たな政策や重点施策の検討状況等を掲載してまいります。
また、ホームページにつきましては、抜本的な改善に取り組み、本年七月の新システムの稼働に向け、サイトの構造設計やデータ移行等に取り組んでいるところでございます。
さらに、動画による広報につきましては、引き続き区長記者会見のほか、シンポジウムや講演会、イベントなどを配信してまいります。
今後もそれぞれの情報提供手段の特性を生かし、区民の方々に情報提供するとともに、さらなる広報機能の充実に向けて取り組んでまいります。
◆唐沢としみ 委員 広報の充実に期待しております。
さて、区民を巻き込むという積極的な広報活動を展開するという取り組みは、やっぱり広報広聴だけにとどまることはあってはならないと思います。区のすべての組織が同様の認識に立つ必要があると思います。例えばパブリックコメントのルールづくりなどの取り組んできたようなことも考えて、広報活動については、区全体のルールを定め、すべての分野で同じようにわかりやすい情報発信を積極的に行う体制を築くことが求められていると思うのですが、そのあたりについてご答弁をお願いいたします。
◎平澤 広報広聴課長 いわゆる広報活動の中には、区内全域にわたってお知らせしなければならないものから、ポスター、チラシ、パンフレット等で特定の方や地域にお知らせすることなど、さまざまなものがあるものと思っております。それらのさまざまな計画や施策、イベント等をお知らせする際には、各所管においてその対象者や範囲等、事業の内容に即して判断し、広報活動を行っているところでございます。
現在、広報広聴課で発行している広報紙、また、運営管理を行っているホームページ等は、各所管課と連携して統一感のあるものにしておりますが、今後、さらにわかりやすい情報発信を行っていくよう、各所管課との連携を進めてまいりたいというふうに思っております。
◆唐沢としみ 委員 広報活動の充実に向けて、引き続き注目していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、区長が提唱された地域住民運営型公共サービスに関連して伺います。
市民が責任を持って公共サービスの一翼を担っていくという考え方が、これからの自治体にとってどのような意義を持っているととらえているのか、そのあたりについて基本的な認識を伺っておきます。
◎小田桐 政策企画課長 区民の方がみずから地域の運営にかかわっていただくということは、自治の意識を高めまして、コミュニティーの活性化につながるものということですが、また、区民や地域で活動している方々からならではのノウハウを生かしまして、地域のニーズに即したサービスを効率的かつ効果的に提供していただくことができるのではないかと考えております。
区の財源や人員に限りがある中ではございますが、このような中で、地域における行政サービスの需要は年々増大しているところでございまして、このような状況の中では、地域住民の方と行政との連携を強化することによって、公共サービスの拡充が可能となると思います。
区民センターの運営協議会や公園管理などを地域住民の方の主体的な管理にゆだねるなど、これまで区が培ってきた区民と行政とのパートナーシップを今後さらに推進していくことにより、地域コミュニティーの活性化に努めてまいります。
◆唐沢としみ 委員 今ご答弁をいただいたわけですが、その基本的認識は、今や、ほとんどすべての自治体が持っている考え方だと思うわけです。しかし、どこで何をいつ実施するかという具体像になりますと、これは大きな違いが出てくると思いますし、また、これからは新しい時代にふさわしい挑戦であり、区にもそうした視点で、これから非常にいろいろな課題が広がると思います。
こうしたことは、世田谷の新しい公共をさらに前進すると、区長が言わんとする、いわゆる地域住民運営型公共サービスという未来に広がるような形になると思います。
そこでまず伺いますが、区は、区長が提唱された地域住民運営型公共サービスについて、例えば地域の防災組織が担っている防災活動や社会福祉協議会などが進めておりますいきいきサロンなどは、これまで区が進めてきた住民活動とどのような点で異なっているのか、異なっていないのかなどを含めてご見解をお伺いします。
◎小田桐 政策企画課長 ご質問いただきました事例は、行政と地域との連携協働という意味におきましては地域住民運営型公共サービスの一つの形であると考えます。地域住民運営型公共サービスは、理念としてはいわゆる新しい公共の一つの類型であると考えますが、地域で需要の高まっている福祉や子育てなどの分野におきまして、今後、より積極的に地域と連携した形で行政サービスを拡大していく、それを意図しまして地域住民運営型公共サービスという表現を用いたということでございます。
◆唐沢としみ 委員 区長は、地域共生の家などを念頭に置き、まず、区内の空き家を地区レベルのコミュニティーセンターに活用するといったイメージをお持ちのようであります。さまざまな形の地域住民運営型公共サービスを展開する手始めに、地区レベルの小さな集会機能から実現の方向性を探るという方法もあるかと思うわけですが、このあたりについてお伺いいたします。
◎小田桐 政策企画課長 現在、区内には相当数、およそ三万五千ほどの空き家や空き室が存在してございます。これらを地域の資産としてとらえまして、所有者の方からご提供いただいた上で、地域の方々に運営を担っていただくという形で、地域に不足する介護、子育ての活動の拠点、また、地域コミュニティーの核となる集会施設などとして活用することはできないかということについて今考えているところでございます。
個人の資産である空き家、空き室の活用に当たりましては、権利関係の整理や公的な施設としての安全性の確保など慎重な検討を要する課題もございますが、これらの課題を整理しつつ、地域での活動拠点の拡充に向けて活用を図ってまいりたいと考えております。
◆唐沢としみ 委員 私は、多くの職員が経験と知恵を発揮して、人と人とが豊かにつながったまちづくりが発展することを願うものであります。それが区長のおっしゃるところの結や、情報と区民参加の区政を実現するかぎになると思います。積極的な取り組みをぜひとも期待して、ぜひ皆さん方も頑張って、世田谷区の区政のためにしてほしいと思っております。
続きまして、次に、厳しい財政状況と人材に関連して伺っていきます。
区長は、財政、そして人員の膨張抑制を続けながら、区民サービスを質、量ともに拡充するという二律背反の難問に挑むことがみずからの役割だと宣言をされました。まさにそのとおりであると思います。しかも、日常の行政実務の経常的な執行、仕事のスタイルを予断なく見直すとして、電算経費や委託費などの内部経費を削減いたしました。確かに現実にとるべきベストの選択であったと評価いたします。しかし、職員の立場に立ちますと、仕事はふえる、そして予算や人は減らすということで、大変厳しいチャレンジであると思います。
こうした中、区民の期待にこたえる区政運営をするために最大の支援はもはや人材であると思います。私は、団塊の世代のベテラン職員の大量の退職、若い方々が昇任試験を受けないという中で、人材確保こそ非常に大事だと思いますが、その辺について、この中でもって区長のいわゆる二律背反の難題をどのように超えていくのか、人材育成についてお伺いいたします。
◎岡田 人事課長 区では人材育成方針というのを定めておりまして、その中で求められる職員像を定めております。それを実現することが二律背反の課題を解決していくと。
○菅沼つとむ 委員長 以上で生活者ネットワーク・社会民主党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後零時八分休憩
――――――――――――――――――
午後一時開議
○菅沼つとむ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
日本共産党、どうぞ。
◆江口じゅん子 委員 よろしくお願いします。
私はまず、平和への取り組みについて質問いたします。
一般質問で私は、平和市長会議から呼びかけられた核兵器禁止条約の早期実現を求める署名をさらに広げるためにという趣旨で質問いたしました。
補足説明をしますと、平和市長会議は、二〇二〇年までの核兵器廃絶を目指し、具体的な行動指針、二〇二〇ビジョンをつくり、世界的に活動しています。その主な取り組みがこの核兵器禁止条約の早期実現を求める署名活動です。そして、そういった活動が現実的に世界を動かし、昨年の国連総会では核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議が採択されています。
二〇一五年、NPT再検討会議で条約交渉開始を実現すべく、まずはことし五月の準備会議に向けてこの署名を大きく広げる必要があります。
区長は、私の質問に対して、ことし八月を焦点に、区として区民にこの署名をしてもらうべく努力すると、大変前向きなご答弁をされました。また、板垣副区長は、ことし一月に広島市で開催された第一回平和市長会議国内加盟都市会議に参加をされました。本当にお疲れさまでした。
そこで、ぜひ参加の感想を副区長にお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
◎板垣 副区長 今お話にありましたように、私は区長の指示によりまして、一月十三日と十四日に広島で開催されました第一回平和市長会議国内加盟都市会議に参加してまいりました。残念ながら公務の都合から十三日午後の出発になりましたので、当日午後に予定されておりました被爆者の体験談ですとか慰霊碑の参拝等には参加することができなかった状況でございました。
翌十四日の午前に会議がございまして、そこには八十八自治体が参加しておりました。今、国内の加盟都市会議というのは千を超える自治体が加盟しておるんですが、当日の出席は八十八自治体が参加しておりまして、そのうち四十二の自治体につきましては、首長さんが参加されているという、そんな状況でございました。
その中で、先ほどお話がありました核兵器禁止条約の早期実現を求める市民署名活動を加盟都市挙げてぜひ取り組んでほしいというようなことの提案がありまして、会議で活発にそういう議論がされていたという状況でございます。
私はその会議に参加しまして、一応お昼で終わりましたので、その後、前日ちょっと見れなかったもので、平和資料館のほうを少し見学させてもらいました。さまざまな写真が展示されておりましたけれども、大変悲惨な写真、あるいは石の階段がありまして、人の影だけが残っているような、そういうものを見たりとかしまして、改めて核兵器の恐ろしさというのを感じて帰ってきたところでございます。
帰りまして、区長には早速報告させていただきまして、署名活動等も提案があったということで、今現在、もう既にリンクを張って署名運動ができるような対応をしているところでございます。
◆江口じゅん子 委員 お忙しいさなか、原爆資料館のほうも見学をされて積極的に取り組まれていて、本当にお疲れさまでした。
そして、この会議では、今副区長がおっしゃられた市民署名活動の展開などを盛り込んだ、第一回平和市長会議国内加盟都市会議総括文書というものが採択をされました。会議では、この市民署名活動展開の際に、次の具体的な展開例を参考にしながら、各自治体の状況に即して自主的に取り組むことが提起されています。
具体的な展開例とは五つありまして、ホームページにリンクを張るですとか、これは現在、区が実践しています。行事や庁舎、公共施設の中に署名コーナーを設置することですとか、町会やNPOなど市民団体との連携や自治体職員みずからなどによって署名活動を推進する、そういったことが提起されています。
早速、ホームページで署名リンクを張っていることは評価いたします。ただ、区民からは、検索をしないと署名ページに行かないため利用しにくいですとか、インターネットが使えない人は、実質この署名を目にすることができないんですね。せっかくの取り組みが、現状のままでは広い区民に知ってもらえず、限定的なものになっています。より広い区民に呼びかけるため、具体的な参考例にある署名コーナーを設置するですとか、また、市民団体の連携など、そういった署名活動推進活動に一層取り組んではどうでしょうか、見解をお伺いします。
◎小田桐 政策企画課長 区では、国内加盟都市会議での要請を受けまして、最も適切な方法として、より広く長期間、区民に対して署名活動をお知らせすることができるというようなことで、オンライン署名について、区のホームページからご案内することといたしました。
委員ご指摘の点につきましては、今後予定している行事等での取り組みを検討するほか、区民の方々がより署名しやすくなるように、現在のホームページ等の工夫もあわせてわかりやすい紹介をしていきたい、改善してまいります。
◆江口じゅん子 委員 大変申しわけないんですが、ホームページのほうはわかりにくくなっていますので、工夫をしていただきたいと思います。
そして、より広く長期間、区民に対して署名活動をお知らせすることができるようというふうにおっしゃられていましたが、では、この取り組みは、この先もずっとインターネット上ではホームページでしていくということでよろしいんでしょうか。
◎小田桐 政策企画課長 その予定で進めております。
◆江口じゅん子 委員 よろしくお願いします。
署名方法はオンライン署名か区民が用紙を印刷する方法の二つになっています。この印刷をする方法の場合は、区のホームページでは、「なお、署名用紙については、直接平和市長会議へご提出ください」としています。その提出先、送り先は広島市、郵送料は自己負担になっています。平和市長会議国内加盟都市会議の議事資料によると、集まった署名は各都市が取りまとめ、または市民団体が直接に事務局に提出とあります。もちろんこれには強制力はありませんが、区が集約して届けることも一つの支援と考えます。区の見解をお願いいたします。
◎小田桐 政策企画課長 区のホームページからご案内している署名ページにつきましては、ご案内のとおり、オンラインの署名、もしくは各自が郵送で提出することになっておりまして、区で署名を集約する方法については、オンラインを活用して区が集約したものを提出する方法とかもあると思います。効率的に提出する方法を工夫して、必要な対応を行ってまいりたいと思います。
◆江口じゅん子 委員 区民の方が署名用紙をプリントアウトして何枚か集めましたと持ってこられた場合も考えられると思うんですね。そういったときの支援のことを考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
◎小田桐 政策企画課長 その都度、その状況に応じて適宜対応を考えていきたいと思います。
◆江口じゅん子 委員 ぜひ検討をお願いしたいと思います。
そして、採択された総括文書では、加盟都市にことし八月ごろを目途に、庁舎などで原爆被害の実態などに関するポスター展の実施と、原爆展、平和学習資料などの活用による核兵器廃絶に向けて、市民意識の醸成の取り組みの推進が決められています。
区は、これらに対しどのように取り組もうと考えているのでしょうか、具体的な計画があるようでしたら教えていただきたいと思います。
◎小田桐 政策企画課長 先ほどの会議においてお示しいただいた項目等については、副区長より検討する旨の指示は受けてございます。これまでの区の平和事業の取り組みに加えまして、現在既に実施しているイベントだとかそういった機会を活用して、ポスター展の実施等について内容を検討しまして、適宜取り組んでまいります。
◆江口じゅん子 委員 副区長が早速、そういったご指示をされまして、大変心強く思っております。
そして、ポスター展の開催については、平和市長会議も各自治体に負担をかけないようにということで、今つくっている最中らしいんですけれども、ホームページからダウンロードできるようにしたりですとか、もしくは平和記念資料館などが貸し出すポスターを活用するとか、長崎市のホームページからダウンロードできるとか、そういったことも具体的に提案をされているので、ぜひ具体的に取り組んでいただきたいと思います。
そして、日本原水爆被害者団体協議会というものがありまして、その方たちがことし十五年ぶりに、新しく原爆パネル「ヒロシマ・ナガサキ原爆と人間」というものをつくられたということです。これをつくった方によりますと、古いパネルと比べ、若い人にもわかるように解説をつけるなど内容も刷新したということですとか、被爆者が高齢化し動けなくなる中で、本当にこれが最後になるかもしれないという思いを込めてつくったということで、後世にこの体験を語り継ぐためのさまざまな取り組みが行われております。ぜひこういったものを購入して展示することも一つの大きな取り組みになると思うので、検討していただきたいと思います。
そして、市民意識を醸成するために平和学習をということに関しては、昨日、上川あや委員が具体的な質問をされております。私もその質問の中で区内に山の手空襲で被害を受けた木が今も残っているということを初めて知りました。戦争遺産の存在を伝えることや、また、戦争・被爆体験者の記録を映像に残してはとの上川委員の質問に、区長は映像化に関しては早速指示をしていきたいとご答弁されています。こうした取り組みが平和市長会議の呼びかけの具体的行動にもなると思います。私からも、ぜひ上川委員の提案を実現することを要望しておりますので、よろしくお願いいたします。
戦争の実態を後世に引き継ぐ、平和を希求し、実現するためには、多くの方と力を合わせ協働することが大切だと認識をしています。福島原発事故後、放射能や核の問題を自分のこととしてとらえ、区内でも子どもを放射能から守ろうという自主的な区民の活動が広がっています。
私は区民の意識の変化を実感しています。区が平和に関するさまざまな取り組みに積極的、主体的に取り組めば、多くの区民がこたえてくれるはずです。私たち日本共産党も、ともに力を合わせていくことを申し上げて、以上で私の質問を終わり、村田委員に交代をいたします。
◆村田義則 委員 きのうの質問で、ちょっと時間の関係で十分できなかったことがありますので、幾つか少し確認だけさせていただきたいと思います。
デジコンの検証委員会の報告書の問題で、情報公開の問題についてきのう触れました。そして、区のデジタルコンテンツシティ世田谷という計画文書をつくる上で、産学連携コンソーシアムがつくったディジタル・コンテンツシティFUTAKOという文書がいわばネタ本、その土台になっているということをこの報告書では指摘しております。この報告書では、その結果として、DCInの提案内容は必然的に本件補助事業に合致する内容となっていた、こういうふうに指摘をしております。
さらに、調査部会の報告書では、さらに具体的にリアルに書いております。F課長及びH係長は、遅くとも同年十二月二十一日までの間に、地域産業振興計画である「デジタルコンテンツシティ世田谷」推進計画案を作成したと。そして、F課長及びH係長は、上記書類の作成に当たり、ディジタル・コンテンツシティFUTAKO提案の資料を積極的に活用し、一部の図面については、ふたこ提案に掲載された図面をそのまま転用した、こういうふうに書いております。
F課長とH係長は、同年というのは平成二十一年の十二月のことですけれども、このときに、このディジタル・コンテンツシティFUTAKOという文書は世田谷区に確かに存在をしていたということだと思うんですね。しかし、私が情報公開請求したときには、この文書は入っていなかったということなんです。その理由について、改めて見解を伺います。
◎淺野 区政情報課長 検証委員会の記述につきましては、委員ご指摘のとおりになっております。それで現在、所管では持っていないということについて、その理由については、そちらについてはわかりかねます。
◆村田義則 委員 文書不存在ということなんだと思うんです。不存在ということは、別にあったけれども、今はないから開示できませんということではなくて、もともとあったことも認識されていないということなんですよね。しかし、この調査報告書を見れば、あったことは間違いないと。きのう、私は質問で、このあったはずの文書がなくなったのは、その当時の部長が異動のときに全部廃棄をしたと副区長が答えて、その廃棄の文書に入っていたのではないか、こういうふうに思われるわけです。だから、あったものがないと。
そうすると、こういう文書というのは、文書管理規程によってその管理というのは決まっていると思うんですけれども、なぜこんな簡単に廃棄されちゃったんですか。きのう質問したとおり、私はこれは大変大事な文書だと思うんです。
◎淺野 区政情報課長 文書管理規程の規定によりまして、文書につきましては、保存年限等を課において定めて保管することになっております。文書管理規程によりますと、保管の単位は課において行うことになっておりますが、その課長の判断において定めるという中で、随時廃棄という形にすることも規定では可能になっております。
◆村田義則 委員 そうすると、今の答弁ですと、ディジタル・コンテンツシティFUTAKOというこの文書は、世田谷区文書管理規程上の定められた職員が職務上作成または取得し、組織的に用いるものとして、世田谷区が保有する文書であったことは間違いないんですね。
◎淺野 区政情報課長 個別の文書の取り扱い、特に委員今ご指摘の文書の扱いについて、所管課でどういう扱いにしておったかは私どもは存じておりません。
◆村田義則 委員 実は決算委員会に出たときは、これは私的な文書だったというふうに区は答弁して、だから対象にならなかったんじゃないかと言っているんですが、そうすると、この文書については正式な管理規程上の文書だが、その責任者、文書管理規程によると保管単位の長、つまり担当の課長が決定して廃棄をしたということでいいですか。
◎淺野 区政情報課長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、委員おっしゃられた今の書類が、所管においてどういう扱いであったのか、どういう保管状況であったかにつきましては、私どものほうでは把握しておりません。
◆村田義則 委員 では、もう一回もとに戻ることになりますが、私的な文書か文書管理規程上の文書かもわからないというのが今の答弁ですか。わからなかったら、別にわからないでいいですよ。
◎淺野 区政情報課長 わかりません。
◆村田義則 委員 私が言いたいのは、この報告書のデジタルコンテンツシティ世田谷という世田谷区の計画をつくる上で、このF課長とH係長がこの書類を活用して、あるいは一部転載して活用したんですから、これは明らかに世田谷区が実際に組織的に管理していた文書であるということは明らかだと思います。こういうふうに活用した場合は、もう明らかに文書管理規程上の文書だと思いますが、一般論としていかがですか。
◎淺野 区政情報課長 所管課におきまして、その文書をどういうような形で持っていて、どういうような形で見て使ったかにつきましては存じ上げておりませんので、その文書の保管状況につきましては、先ほどご答弁申し上げましたけれども、私どもはその部分についてはよく存じ上げておりません。
◆村田義則 委員 だから、こういうふうに組織的に使われているんだから、ここまで書かれていれば、報告文書に書かれていることが事実だとすれば、一般論として言えば、こういうのはもう確実に文書管理規程上の文書というふうに判断していいかということを聞いているんです。なぜあなたに聞くかというと、文書管理規程の中には、区政情報課長の職務というのがあるんです。各課長の文書の管理について、あなたにはこの規定に沿ってきちっとやれるように指導する責任があるんですよ。だから、あなたに聞いているんです。
◎淺野 区政情報課長 委員おっしゃられましたように、そのディジタル・コンテンツシティFUTAKOなる文書を実際に手元に置いて使ったということであれば、組織共用文書に当たる可能性が高いと思われますが、所管課のほうでどういう形で文書を持っていてどういう形で使ったのか、そちらについては存じ上げませんので、先ほどご答弁申し上げたとおりです。
◆村田義則 委員 文書管理規程上の文書になると、廃棄に当たっても、これは手続が必要なんですよね。廃棄を最終的に決定する決定権者はだれですか。
◎淺野 区政情報課長 廃棄を決定するのは保存年限を定めた課の長になります。
◆村田義則 委員 つまり、このときでいえば、正式な文書だったら、ここに出てくるF課長ですよ。廃棄するか廃棄しないか、大事な文書でどうするかという最終決定権者はこのF課長。F課長は、自分が組織的に使っているんだから、自分が組織的に使った文書が文書管理規程上の文書なんていうのがわからなかったら、この人は全然この規定の責任を果たしたことになりませんよ。これを廃棄しちゃった、あるいはなくなっちゃったということ自身が私は大変な問題だと思います。
文書管理規程がちゃんと守られていないと。こういうのがちゃんと守られていないと、情報公開制度というのは機能しないよということを私は言いたいわけです。大事な文書もなくなっちゃったで済まされたのでは、区民の皆さんや私たちだって、ガラス張りの区政も情報公開も何もないじゃないですか。今回、改めてこのディジタル・コンテンツシティFUTAKOを公開してほしいということを私は繰り返し申し入れているわけですけれども、これは私は出すべきだと思うんですね。
きのう、企画総務委員会で言ったのは、そもそも(「総括」と呼ぶ者あり)総括で言ったのは、プロポの提案文書だから出せない、そういう理由で出していないということになっているんですが、それ以前に区が保有してきたことは事実なんですから、現にこのディジタル・コンテンツシティFUTAKOという文書は、今世田谷区は持っているわけですから、これは一刻も早くちゃんと公開していただきたいと思うんですが、いかがですか。
◎淺野 区政情報課長 検証委員会の資料等の公表につきましては、昨日の総括質疑でも秋山副区長を含めてお話しさせていただいておりますけれども、そちらにつきましては、開示、非開示等を判断しまして、説明責任の点から、できるだけ積極的に対応させていただきたいと思います。
◆村田義則 委員 これは一両日、一刻も早くやってください、いかがですか。大体もう結論が見えているんですから、区はこの情報、文書は持っている。かつ、今言ったように、きちっと適正に扱われていれば公開すべき文書だったんです。それを公開しなかった区が、これは明らかに誤りなんですから、直ちに是正してください、いいですか。
◎淺野 区政情報課長 全体につきまして整理しまして公表の手続に移りたいと思います。
◆村田義則 委員 以上で終わります。
◆中里光夫 委員 それでは、私からも引き続いてデジコンの問題について質問をさせていただきたいと思います。
検証委員会の報告書が出されておりますけれども、その報告書の一ページ目の「はじめに」というところで、この事件の全体を非常に要約してというんですか、全体像を簡単に書いてあります。この中では、補助金事業というのは公益上必要がある場合に行うと。あらかじめ定められた用途に補助金を利用し、目的を達成した場合には補助金は返還する必要もなくて、一方、区は補助金に対する相当の対価を受け取ることもない。こういった補助金の一般的な性格からして、適正な執行が望まれているというようなことから始まりまして、そもそも平成二十三年六月九日に、区はこの事業の廃止を決めたと。その理由として、このDCInの財政事情が挙げられているという状況になっています。
この事業者の財政状況の把握がないままに、あるいはその財政状況を知っていながら甘く見て、事業者を選定するとか、事業を推進するというようなことはあってはならないと思いますが、区の認識はいかがでしょうか。
◎岩本 財政課長 財政状況といいますか、補助対象団体の経営実態については、規則等で関係書類を徴収することということで規定がございまして、今ご指摘いただきましたように、補助事業の遂行能力を持っているかということとあわせて、必要最小限の経費で効果を出すという意味から、その団体の収支状況についても把握するということから、財務状況ですとかその辺を把握すべきということが補助金の交付規則、または一般的には交付要綱の中でも定められているというふうに認識しております。
◆中里光夫 委員 としますと、区としてもその事業を推進するに当たって、事業者の財政状況はきちんと把握しなきゃいけないし、それが適正なものであるということをきちんと見ながら進めなきゃいけない、そういうことなんだろうと思います。
ところが、今回の件については、この財政状況の問題で、結局、補助事業の目的が達せられなかったということになると思いますが、区の認識はいかがですか。
◎岩本 財政課長 一般原則として、団体の財政状況がわかる書類を補助の交付申請書に添付するというのが一般的な規定だと思いますけれども、ただ、補助金の種類によってはさまざまございます。例えば個人に対する負担軽減補助であったり、また、補助金の金額が少ないものについては省略もできるといったような運用もやってございます。
今ご指摘の件についてどういった経緯といいますか、やるべきだったかどうかということについては、私はそこまでお答えできませんけれども、一般的には補助の金額、または補助の目的、継続して運営するであるとかというような事業の継続性から見ると、添付書類として必要がある場合もあるし、補助の事業の対象によっては、そこまでの書類の提出を求めないといったような場合もございます。
◆中里光夫 委員 この件について、財政状況がないまま行ってしまった、進めてしまったということが、こうした結果を招いた大きな原因であるというふうに、区はそのこと自身についての認識はいかがなんでしょうか。
◎岩本 財政課長 プロポーザルで補助対象者を決める事業としては、一般的に、例えば地域密着の高齢者施設であるとか、区役所内でいろいろ行われています。そういった場合について、当然決算書類等をお出しいただきながら財務状況についてもチェックをさせていただくということで、規定であるとか募集要領であるとかそういったものについては、できるだけ厳格に定めるというルールは比較的徹底しているんじゃないかと私は思います。
ただ、今委員ご指摘の件について、こういう結果になっているということについては、昨日、さまざまご議論いただいたようなことであるので、その個別の事情について、私としては報告書に書いてある状況なのかなという認識でございます。
◆中里光夫 委員 さまざま手続を決めているんだというようなお話だと思いますけれども、この報告書の中でも必須書類としている決算書がないまま申請を受け付けた、そこに問題があるのではないかというような指摘があるわけですが、この問題は単なる手続のミスというような話ではなくて、そもそも区が財務状況を把握しようという意識がなかったんじゃないか、そういうことが疑われると思いますが、その点についての認識はいかがですか。
◎宮内 総務課長 ご案内のように、世田谷区には補助金交付規則という規定がございまして、そこでは第五条で交付申請に当たっては必要な書類を添付しなさいというような定めがされております。委員ご指摘の決算書の件につきましても、そもそもこの交付規則を定めた趣旨は、交付金の財源が区民の税金であるというところから、その執行に関しては適正にやりなさいというのが本来の目的であって、その上で、当該補助を受ける団体がその補助事業をきちっと完遂できるかどうかというようなことを確認するために、本来は必要書類として添付すべきだったんだろうと思います。
今回の事案で見ますと、報告書を見ている範囲では、そういった部分が欠けていたということになっているわけですから、そういう意味でいえば、本来の補助金交付規則が定めております手続ですとか、確認行為ですとか、そういったものは欠いていたものだというふうに考えております。
◆中里光夫 委員 そうすると、認識が甘くて手続のミスだった、そういう認識だということなんですか。
◎宮内 総務課長 そこの事案で、直接私は当事者じゃないものですから、何とも言えない部分もありますけれども、先ほど申しましたように、少なくとも規則ではこういう形できちっとやりなさいというような定めがあるわけですから、そこのところを欠いた理由というのは私はちょっと存じ上げませんが、結局、本来、この交付規則に定められている手続をきちっと履行していれば、場合によっては避けられた問題もあるんじゃないかなというような認識でおります。
◆中里光夫 委員 幾ら繰り返しても余り進まないと思うのであれですけれども、この問題は、特別な配慮の疑いなどという指摘もありますが、この事業者の財政状況の把握がないと。事業を続けられないという状況があったにもかかわらず、それをきちんとチェックしないで、あるいは甘く見て進めてしまったということなのではないかと思います。この問題については、引き続き別の場所で行っていきたいと思います。
それでは、次の質問にしたいと思います。減災目標について質問したいと思います。
東日本大震災から間もなく一年になります。一般質問で私は、震災が多くの人の命を奪ったということ、そして、今後の災害対策では命を守ること、災害対策の基本を予防と防災対策に置くべきだということを一般質問でも取り上げてまいりました。
阪神・淡路大震災では亡くなった方の九割が建物の倒壊によるものであるということから、中央防災会議は、平成二十七年までの十年間で死者数を半減する減災目標を定めたと。具体目標として建物の耐震化率を九〇%にする。また、世田谷区でも地域防災計画の中で、平成二十九年までに死者を半減する減災目標を掲げて、世田谷では耐震化率を国よりも高い九五%を目指すという目標も立てられている、こういうお話をしてきました。
世田谷区の防災計画全体の中でこの減災計画、減災目標というのはどのように位置づいているのでしょうか。
◎笹本 災害対策課長 減災のお話ですが、具体的には、住宅の倒壊による死者の数を、現行の東京都の被害想定によれば、世田谷区では百人となっておりますが、それを半分にする、五十人に半減させるというものでございます。同様に火災による死者につきましても三百人を千五百人に半減、また、住宅の倒壊や火災による避難者数を三割削減するなどの具体的な数値目標を区の地域防災計画の中に示してございます。
◆中里光夫 委員 この中央防災会議の地域防災戦略の中では、この具体目標、非常に細かくいろいろ出されています。建物の耐震化率は九〇%、家具の固定率が六〇%、密集市街地の不燃領域率が四〇%以上、自主防災組織率が九六%とか、非常に細かく具体的な数値も挙げて、しかも期限を決めて、この死者を半減するための具体的目標というのも掲げていると。私、これはまさにプロジェクト型の取り組みだと思うんですね。目標を決めてやることも具体的に示して、どんどんこれを進めていくと。
区もそれにあわせてさまざまな事業を決めたりしているわけですが、このプロジェクト全体の進行に責任を負うのは、世田谷ではだれになるんでしょうか。
◎笹本 災害対策課長 区の地域防災計画の進捗管理は災害対策課、危機管理室で行っておりますので、私どものセクションになると思います。
それから、先ほどの数値を修正させていただきます。火災による死者三百人を百五十人に半減するというものでございます。失礼いたしました。
◆中里光夫 委員 このプロジェクトですから、その進捗管理を行うというお話でしたけれども、この進捗管理を行っていく上で、今何がどこまで来ているのかという到達点を明らかにするのは非常に重要なことだと思うんです。しかもこのプロジェクトは非常に具体的な数値目標の挙がった、さまざまな事業の組み合わせというふうになっているわけですが、現在の到達点、どの事業がどこまで来ているのか、これについて全体を把握しているんでしょうか。
◎笹本 災害対策課長 東京都ではこの目標を達成するために、東京都の震災対策条例に基づきまして震災対策事業計画というのを定めております。これを平成二十年の三月に定めまして、三カ年で目標達成値を一定程度出すというものでございました。また、三カ年ですので、平成二十三年度から三カ年の計画をつくるということで想定していたということですが、そのさなかに大震災が起こりまして、現在作業がとまっているというふうに東京都に確認しております。
今後、東京都では被害想定の見直しを踏まえた地域防災計画の修正をまず先に行いたいということで、これを二十四年度中に行いまして、その後に新たな震災対策の事業計画を策定するとのことでございます。
この計画の策定に伴いまして、到達点としての数値をそこで集約するということでございまして、それを区としては情報提供を受けまして、区のほうの目標を明らかにしていきたいというふうに考えております。
◆中里光夫 委員 耐震化率がどうなっているとか大規模な調査が必要なものについては、一定東京都の調査も待たなきゃいけないのかもしれないですけれども、このプロジェクト全体を進めていく上では、具体的な事業が世田谷区の中にもたくさんあるわけで、それぞれの事業はどれがどこまで行っているかというのは常に把握している必要があるんじゃないでしょうか、その辺はいかがなんですか。
◎笹本 災害対策課長 おっしゃるとおり、区としましても目標ということで掲げた以上、その達成状況を把握しまして、必要であればその見直しを行っていくなど、進捗管理というのは非常に重要だと考えております。
我々災害対策のセクションとしましては、建物の耐震化ですとか家具類の転倒防止など、または住宅の不燃化などの減災対策が一層進むよう、関係所管課とも連携して、区民や事業者に対して啓発を進めてまいりたいと考えております。また、数値の具体的な把握につきましては、例えば耐震化率とかというのは住宅・土地統計調査等に基づいてはじき出している数値だと伺っておりますので、その数値等を具体的にどこまで発表できるかというのは、今後検討させていただきたいと思います。
◆中里光夫 委員 この減災の目標を達成するために、やはり住宅の耐震化、特に木造密集地域では耐震率はどのぐらい進んでいるのか。ここは重点でやると言っているのに、この現状もわからないということは、一般質問で取り上げてきましたけれども、この点を早急に改善して、今後の計画に反映させるとか、現状もきちんとつかみながら進める必要があると思います。
震度七も想定されるというような報道もされていますけれども、そうしたものに備えた計画を進めるためにも必要だと思います。しっかり進めていただくよう要望して、質問を終わりにいたします。
○菅沼つとむ 委員長 以上で日本共産党の質疑は終わりました。
────────────────────
○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、みんなの党・世田谷行革一一〇番、どうぞ。
◆すえおか雅之 委員 本日は、淡々と質問をしてまいりたいと思います。
経常的な経費の見直しとして、委託費、電算経費、営繕費を合計十一億円削減する、これが今年度の予算の目玉です。そして、最も削減額が大きかったのが電算経費です。この電算経費について質問いたします。
先日の第一回定例会で電算経費削減五億三千万円は本当ですか、こう質問いたしました。そのときのボードがこれです。ここの三百万円しか削減していないんじゃないですか、こういうことを質問いたしました。そのときの大きな骨子というのは、住基法等の改正に伴う改修費のコスト削減、それとか既存のリース機器の更改、延伸によるもの、こういったものが本当に削減できていないんじゃないか、単にこちらはもう事業が終わっただけじゃないか、こちらは先送りしただけじゃないか、こういったことを申し上げました。この点に関して、区の見解をいただきます。
◎栗原 情報政策課長 まず、二十四年度予算の経費削減、単に事業が終了した結果なのではないかというご質問に対してですが、前年度比五億三千万円の削減につきましては、今年度で情報化作業が終了することによる減額分も当然含まれておりますが、主にシステム改修経費、それからサーバー機器の賃貸借経費の見直しを行いました。
二十四年度の予算計上の過程におきましては、各所管課から百四十件に上るさまざまな要求がありまして、その内容につきましては、必要性、有効性、費用対効果などの視点から一件ずつ審査をいたしました。現在の財政状況を踏まえまして、要求の多くは実施の取りやめ、それから見送りをいたしましたが、実際実施するものにつきましても、最小の経費で情報化が実現できるような、さまざまな観点から精査をしました。
具体的な例としましては、例えば街づくり情報システムというものにつきましては、利用上のさまざまな課題がありましたが、システムの更改に当たりまして、現行のシステムを継承しつつ、機器やOSの変更にとどめる方式に変更した結果、新規導入に比べまして約一億円強の経費削減を行いましたし、また、図書館の区民利用端末の更改におきましても、これまでの専用端末を廃止しまして、区民サービスのレベルを下げることなく汎用的な端末に切りかえるという交渉を事業者と行いまして、来年度については九百万円、ただ、向こう五年間につきましては五千万円程度の削減も行っております。
それから、システム更新の延伸は、単なる事業の先送りではないかというご質問ですが、システムを安定して運用するためには、想定される障害にあらかじめ対応しておくことが重要であります。例えばサーバー機器につきましては、数年間にわたり利用することから、ハードディスク、それから電源部品、バックアップ装置など何らかの故障が発生することが多く、その備えとしまして、製造メーカーとあらかじめ保守契約を結んでいるということです。
しかし、機器の法定耐用年数というのが経過した後の保守契約には制約がありまして、例えばサーバーですと五年間、パソコンですと四年間が年数になりますが、製造メーカーもその期間は保守部品の提供を保証してくれますが、その期間を過ぎますと保証していただけないということになります。このため、障害発生時の部品の供給体制を継続することができるかどうかについては製造メーカーとの個別交渉になります。
メーカーは部品在庫、それから同一機種の全国的な使用状況などを勘案して決めていくということになりますが、特に窓口サービスなどに欠かせないシステムにつきましては、障害が発生した場合の原因調査や部品供給までにかかる時間など事業者と調整して、責任を持ってリスクの判断を行うことができるかどうかということが重要でありまして、このような交渉や調整を経て、初めて機器の継続利用が可能になるということで、単なる先送りではないということです。
◆すえおか雅之 委員 もう少し簡潔にお願いいたします。
それで、今お答えになったのは、最初、私はここを聞いたんですけれども、ここは終わっただけの話で、課長は今、五億三千万円の削減もまとめてご説明がちょっとあったと思います。焦点をできるだけ絞っていただきたいと思います。
さらに、ここの延伸、先延ばしにしたということですけれども、これは実際とまってみて、実際余計にお金がかかったらどうなのか、そこまでは起こってみないとわからない話でもあると思います。ですから、政策的に妥当だったのかどうなのかというのは、とまってから判断してわかる、こういうことだと思っています。
では、次に行きます。
結局、前回の一般質問での区のご答弁は、簡単に言ってしまえば、削減には前年度比としての削減額と予算要求に対する削減額との二つがあり、予算要求に対する削減としてかなり頑張っているということだったと思います。この予算要求に対する削減は、こちらでは現時点では検証できません。いずれにしても、対前年度比としての削減の見せ方、いかにも予算削減したかのごとき予算作成者のつくり方自体にはやはり問題があったのではないかと思っております。今後は予算説明書の改善を強く要望しておきます。
ここで問題は、あと幾らぐらい削れるのかということなんですが、まず、世田谷区民一人に係る電算経費は幾らなんでしょうか。類似規模の政令指定都市と比較し、対象業務が少ないにもかかわらず多いのではないか、割高感があるのではないか、私はそのように感じております。
人口や面積の面で世田谷区と同じ規模の自治体は、大田区、杉並区、練馬区、足立区、八王子市、相模原市などがあります。世田谷区は住民一人当たりの経費は幾らだと区は認識していますか。
◎栗原 情報政策課長 平成二十三年、昨年の七月に行いました、特別区の二十三年度電子計算事務費の算定見直しに向けた実態調査という集計結果がございます。これは財調のもとになるような数字ですので、かなり信頼性が高いんですが、それは二十二年度の決算額を人口で割った数字ですが、人口一人当たり、世田谷区は四千三百六十二円となっております。二十三区全体で見ますと、世田谷区は少ないほうから六番目、全区の平均ですと五千七百六十一円という数字が出ています。
◆すえおか雅之 委員 それと近い数値が出ているんですが、総務省の統計によりますと、行政情報化推進経費というのが、世田谷区が三千八百二十六円、大田区は五千九百七十二円と高いわけですが、杉並区は三千二百二十七円、練馬区は三千四百九十五円、足立区は千八百三十五円、八王子市は千二百八十九円、相模原市は二千百三十円となっています。総務省のデータを見る限りでは、同じ規模の自治体の中で、世田谷区は住民一人当たりの経費が高いと出ております。
また、特に政令指定都市なんかは、固定資産税のシステムや水道、病院、消防等の大都市事務の処理もあるわけですから、やはりこの電算システムの経費はかかってもいいはずです。それが相模原市や八王子市はかなり低い。こういうことから、特別区の中でも世田谷区は高いんじゃないかと認識しております。
では、随意契約について質問します。
世田谷区では百九十六ある情報システムの中で、保守運用や改修作業の委託ではそのほとんどが随意契約です。この随意契約は、業者決定後の保守運用や改修作業の委託全体が三八%であり、合計で十四億六千万円です。電算経費が大体四十億円前後ですから、この隋契の占める割合は非常に大きいと思います。
この随意契約に対して価格を削減する余地が多いのではないかと思いますが、区の認識を伺います。
◎栗原 情報政策課長 保守運用や改修経費、随意契約を見直すことで経費削減できるということでございますが、システムを入れる場合については、公募型のプロポーザル方式で経費を見積もりしてございます。システム導入時の一時的な経費のほかに、プロポーザルのときに、ソフトウエア保守費用、それから運用委託などの維持運用に必要な経費、この総額を業者から提出させて評価しております。業者選定時に運用保守費用まで精査し、契約をしているということでございます。
プロポーザル方式は、単に第一位になった者そのまま直接契約するのではなくて、具体的に優先交渉権になった者に対して交渉を重ねながら経費を決めるということなので、五年経費、保守経費まで勘案して契約するようにしてございます。この中で精査をしているということです。
また、法改正や制度改正に対応するため、システムの改修につきましては、業務パッケージソフトの著作権を有する業者でなければプログラムの修正、調査を行うことができませんので、随意契約により作業委託をしておりますが、業者との契約時には、委託する内容を精査して、作業内容を詳しく分析評価しまして、適正な価格で契約しております。
◆すえおか雅之 委員 伺った限りではきちんとやっているように思えるのですが、随意契約の中身等を情報公開請求によりまして一つ一つ一応つぶさに調べてみたわけです。もちろん調べるにも限界があるのですが、契約書を見た限りでの意見、または質問をいたします。
まず、ハード保守契約の実態についてなんですが、ハードの賃貸料や保守料は単価、数量等の積算根拠が明示されていますが、ソフトの保守料、特に人件費に相当する部分の積算根拠が契約書には記載されていません。また、ハード保守とソフト保守を合算して、あいまいな表現で記載されているものもあります。よって契約書では金額の積算根拠がわかりません。
この積算根拠というのは見積書を見る必要があります。しかし、情報公開請求をしても、見積書が非公開のために、どのような積算根拠に基づいて予算が査定され、契約に至ったのか、全く不明です。やはり見積書を見て落札価格と内訳との比較をすることが無駄削減に不可欠だと、契約書を見て感じました。ICT関連経費は、建設経費と比較しても大変大ざっぱであるというのが、これは業界の共通の認識だそうです。
次に、ソフト保守契約について、ここが削減のポイントだと思うのですが、既存のシステムの場合、削減は難しい。これは契約変更が事情変更の原則が適用されない以上、困難だからということです。
そこで、最もコスト削減が期待できるのは何かというと、特命随意契約のうちの人件費に相当する部分です。人件費の内訳というのは、作業工数掛ける単価、これがイコール人件費になります。この単価と作業工数においてどのようなコスト削減を努力されているのか質問します。
◎栗原 情報政策課長 コスト削減の努力でございますが、電算作業委託におきましては、作業規模、作業負荷を適正に把握することが必要でございまして、まず、システム所管課と情報政策課が連携しまして、委託すべき作業内容の分析を行います。その上で、業者に委託作業の工程、期間、作業に要する工数を詳細に提出させるとともに、その必要性についても十分にヒアリングをしまして、妥当と判断した場合に契約をしております。
また、特に多額な経費が必要となる委託につきましては、同規模の他システムにおける実績と比較したり、それから、他自治体での実施状況を調査したりします。さらに、例えば汎用的な機能変更につきましてはパッケージ内に取り込んでもらうということで、費用を削減することを交渉したり、それから、同一パッケージを使用している他区もございますので、その統一を行うというようなことで経費削減をしております。
単価につきましては、他のITベンダーとの比較、それから、作業の内容、作業者の技術度を評価しまして、妥当と判断した上で契約をしております。
◆すえおか雅之 委員 説明を聞くと、なるほどとは思うんですが、契約書を見て感じたことを申し上げます。例えば三百六十三号、これは公共施設利用案内システム保守業務委託、相手がNTTデータ・クリエイション株式会社、契約金が四千二百五十万円ぐらいですね。これは珍しく内訳書というのが契約書の中に書いてありました。ほかはほとんど書いていなかったんですけれども、内訳書には運用保守として月百十九万七千円とあるだけなんです。作業内容、人数、期間が全くありません。こういうのを見ていると、本当にやっているのかな、業者の言いなりじゃないのかな、こういうことを率直に感想として持ちました。
この随意契約の中で一番危ないのが再委託の場合だと、業者の人や専門家の方は言われます。それで、この再委託の件について伺います。
再委託は原則禁止ですが、再委託する場合、世田谷区の承諾が要ります。再委託につき、コスト適正化にいかなる配慮がなされているのか質問します。
◎栗原 情報政策課長 再委託についてのコストの適正化ということでございますが、電算システムにおける再委託というものは、専門的な技術を要する作業に特化した人材を確保して、より効率的かつ正確に委託作業を行うことを目的としまして、一部の作業に限って行うものでございます。このため、再委託を行うに当たりましては、事業者に対してその必要性を確認するとともに、再委託の作業範囲、それから期間、再委託の理由、再委託先の体制などを書面により明確にした上、区が必要と判断した場合に限って承認しております。
再委託は、いわゆる下請業者への丸投げという形態のものではありません。あくまでも委託作業の中で専門的な作業を切り出し、他の事業者に分担をさせるというものであります。これにより契約金額が上下するものではないというふうに認識しております。
◆すえおか雅之 委員 これもいろいろな方にちょっと聞いてみたんですね。どこが一番危ないんですかと言ったら、それは再委託だよ、ずぶずぶだよと言っていました。
ずぶずぶってどういう意味なのかなとよくわからなかったんですが、随意契約書を検討して、例えば七百四十号を検討しました。なかなか見積もりとかないので、どうやって実態に迫ろうかなと思って頭をひねったんですけれども、例えば富士通株式会社というのが、平成二十三年度、基幹システム運用支援作業委託として一億六千七百七十万円ぐらいの契約をしております。富士通株式会社はこの契約を再委託しています。だから、世田谷区が富士通に、そして富士通が次のところに再委託ということですよね。
再委託の相手方は、富士通の子会社が二社と、さらに株式会社オプティマ、株式会社テクノソレイユに再委託しているわけです。委託業務は基幹システム運用支援作業の中でもプロジェクト管理というメーン業務を委託しているわけです。初めから委託すれば安くなるんじゃないかと思います。
そこで、例えば株式会社オプティマというのは、売り上げが大体三十億円ぐらいあるんです。社員が三百五十八人、これはホームページを見ればわかります。ここから割り出すと、一人当たりの月の売り上げというのが六十九万二千円です。大体七十万円ぐらいです。
ところで、世田谷区は一人当たりに幾らぐらい富士通に払うのか。いろいろな業務があるから一概には言えないと思いますが、最近は大分安く抑えてあるんだと担当所管から聞いていました。それでも百三十万円ぐらい、二回目に聞くと百万円から百三十万円かなとちょっと下がりましたけれども、仮に百三十万円と仮定すると、本来七十万円で雇えるところを百三十万円出している。すなわち六十万円損をしていることになります。専門家に聞くと、通常、再委託に出すと大体三〇%から五〇%ぐらい上乗せする。だからずぶずぶなんだよ、こういうことを聞きました。
再委託というのは、これは区でも見ることができないわけなんですね。ここのチェックが、今後、区でもどのようにしてチェックしていくかというのがポイントになるのではないかと思います。
このように契約書を分析してみますと、まだまだ削減の余地があると私は考えています。その対象は、やはり十四億六千万円ある特定随意契約です。競争性のない特定随意契約では、かなり割高の業者見積もりをそのまま予算計上して契約していることが強く推測されます。
情報公開請求で取り寄せた過去の契約書を見ても、内訳が一式としか書かれていないものが余りに多い。見積書は非公開文書として見せてもらえなかったので、関係部署に頼み込みまして、何とか一つでも見せてくれませんか、こうお願いしました。ただ、相手方の企業の営業機密等もあるからやはりだめだ、こう断られました。また、作業工数と単価が記載されていても、実際の作業に対して過大見積もりになっているのではないか、こう疑問視もしています。
さらに、業務の再委託をしているケースがかなりある。その筆頭が世田谷サービス公社です。確かに予算削減は具体的には個別の経費削減を積み上げていく作業になります。財源と権限がない以上、幾ら具体的に削減できるかというのは明確にはできません。少しでも具体的な削減額を明示できないかと、多くの専門家に相談してみましたが、やはり見積書がないことや、業務一部委託において幾ら委託しているのかが不明であるために、削減額の具体的な明確化は困難です。
ただ、随意契約は通常三〇%削減できる。そうだとすると、随意契約が合計で十四億六千万円あるのですから、削減額は四億四千万円。四億四千万円も削減できるかどうか、これはちょっと大きい額ですが、一億円ぐらいは削減できると思っても言い過ぎではないんじゃないでしょうか。
他の自治体では、こういうことに対応するために、外部の専門家をCIO補佐官に招聘しているなどして、かなり経費を削減するケースが目立っています。
ここで提言があります。CIOというのは、情報技術を活用した行政経営を目指し、区の情報化に係る総合管理及び統括を行う部署です。つまり、ICTの統括部門みたいなところです。管理統括部門、今、宮崎部長がやっていらっしゃると思います。ここを補佐するのがCIO補佐官ということになります。
ただ、世田谷区の役所の職員が行うにはやや荷が重い。現在、政策経営部の部長がその職についておられますが、その下で実務を取り仕切っている情報政策課、ここで専門家の数というのはどうしても少ない。全員が区の職員ですから、どうしても専門性を備える人が少ないと思います。区内のICT合理化にも限界があると思います。やはり外部からの専門家をCIO補佐官として補充する必要があるのではないでしょうか。今後の政策提言として、CIO補佐官の導入を要望しておきます。しかも区長直属がよいと思います。
ところで、昨日、区長がICT体制の見直しについて少し発言されたと思います。この点について、もう少し具体的にご説明願えないでしょうか。
◎栗原 情報政策課長 来年度の推進体制の見直しでございます。二十四年度より情報化の推進体制につきましては、まず最高情報統括責任者、今委員おっしゃいましたCIOを政策経営部長から政策経営部を担当する副区長に変更いたします。また、情報システムの効率的な導入や運用等をチェックする、庁内の組織である情報システム運営委員会、それから、情報セキュリティー対策などをチェックするガバナンス推進委員会の組織を統合しまして、情報システム推進委員会というのを組みます。また、CIOを補佐する体制といたしまして、システム技術を専門にする弁護士、それから、大学教授の先生に対しまして、より定期的なご意見を伺うような会議を設けて、外部チェックを受ける予定でございます。
提言をいただきました外部任用型のCIO補佐ということですが、実は検討をいたしました。ただ、人材の問題、経費、他自治体の成果なども評価いたしまして、世田谷区としましては、複数の専門家による多面的なチェックが当区の実情に合っているのではないかということで、二十四年度につきましては、外部有識者委嘱型のCIOの補佐を導入するというふうに考えております。
◆すえおか雅之 委員 CIO補佐をする体制の整備、この点は大変いい試みだと思います。ただ、CIO補佐官というのは、外部につくるのではなく、やはり内部に備える。しかも外から引っ張ってきて、常勤として内部に備えるということです。特別区や他の市町村、都道府県でもかなり例がある試みです。
ちなみに、経費と言いましたけれども、どのぐらいかかるんでしょうか。
◎栗原 情報政策課長 いろいろでございますが、五、六百万円から千五百万円ぐらいの間です。
◆すえおか雅之 委員 CIO補佐官がそのぐらいかかるということですね。
◎栗原 情報政策課長 済みません、外部任用型のCIO補佐官がそのぐらいかかるということです。
◆すえおか雅之 委員 内部に備えるとどのぐらいなんですか。
◎栗原 情報政策課長 済みません、内部型と委員がおっしゃっているのは、外部から人を任用させるという形ですね。それは職員として、例えば一年から三年とか五年とか採用しますので、年間の経費を見ますといろいろですけれども、五、六百万円から、多いところでは部長級、局長級ということで千五百万円ぐらいの報酬を払っているところもあるということです。
◆すえおか雅之 委員 私も大体そのぐらいの額だとほかでも聞いています。それで、大体四億円、四億円はオーバーでも三億円ぐらい削減できるのであれば、プラスマイナスを考えると、とても得なんじゃないかと思います。
では次に、公務員の人件費削減について伺います。
前回、第四回定例会で私は公務員の人件費の削減について質問いたしました。このときに区側の答弁は、千葉総務部長から、現行の法制度や国の動向を含めて検討した結果、〇・二%減額が最終結論に至った、理解を賜りたい、このように発言されたと思います。
ところが、つい先日、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律の公布がありました。それに対して通知を受けました。これをずうっと読んでみますと、国のほうではもう法案が通りました。七・八%でしたっけ。それで、この通知の中には、都道府県内の市町村に対しましてもあわせて周知されるようお願いします。また、地方公務員の給与については、地方公務員法及びこの法律の趣旨を踏まえて、地方公共団体において自主的かつ適切に対応されるよう期待いたします。このようについております。
私が前回質問したときも、やろうと思えば、区長の判断で条例を出し、議会が通せば七・八%だってできる、こういうことを示唆したと思います。その後、こういった通知を受けまして、区の見解がどのように変わったのか、変わっていないのか、変わったらどのように今考えているのかご答弁ください。
◎中村 職員厚生課長 国家公務員におきましては、委員ご指摘のとおり、二月二十九日に国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律が成立したところです。内容といたしましては、昨年九月三十日の人事院勧告、さらには我が国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処するためということで、平成二十三年度については人事院勧告どおりマイナス〇・二三%の給与減額を実施と。平成二十四年、二十五年度については、このマイナス〇・二三%の給与改定分を含めて平均七・八%の給与削減を行う内容でございます。
地方公務員につきましては、この法律の附則にこう書いてございます。委員にご指摘いただいたとおりですが、地方公務員法及びこの法律の趣旨を踏まえ、地方公共団体において自主的かつ適切に対応されるものとする、こういうふうに附則に記載されております。
区といたしましては、二十三年度については人事院勧告どおりマイナス〇・二%の給与改定を既に行ったところですが、国の動向を見据えた今後の対応ということについては、給与は二十三区の統一事項ということになっておりますので、まずは二十三区の区長会においてこの取り扱いについての検討がなされていくものと認識しております。
◆すえおか雅之 委員 世田谷区の財政はよくないと。そして、今後だんだん、今ちょっと株価とか上がっていますが、将来的に見たら、決して経済がよくなっていくとは思えない状況です。公務員の人件費の削減というのは、世田谷区の区民の皆様も期待されていることだと思います。どうかよろしく検討のほどお願いいたします。
以上で終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上でみんなの党・世田谷行革一一〇番の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後二時十三分休憩
――――――――――――――――――
午後二時三十分開議
○菅沼つとむ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
世田谷民主党、どうぞ。
◆中村公太朗 委員 ではまず、補助金全般について質問をしていきたいと思います。
世田谷区が年間を通して出している補助金です。このデジコンの問題でも大分注目されていますけれども、年間、来年度が百五十一億円と巨大な財源部分を誇っているわけです。毎年、ことしで言うと平成二十三年度における補助金の見直し検討状況という冊子が配られて、これを何度もテーマにしてきていますが、これだけの財政難という中で、区全庁を挙げて削減に取り組んでいる中で、いまいちこの補助金の見直し検討状況の中からは、これを削りましたというような大きな変化は読み取れないんですけれども、まずこの二十三年度においての見直し状況で一体何を積極的に見直したのか伺います。
◎岩本 財政課長 補助金の見直し検討につきましては、平成十六年度以降、見直しガイドラインに基づきまして検証、見直しを進めてございます。この見直し、検証については、最小の経費で最大の効果を得るという原則のもとで、補助金執行の適切性を確保するという観点から、サイクルを定めて取り組んでいるものでございます。
二十三年度の主な見直し内容といたしましては、特に外郭団体については、区の厳しい財政見通しや各団体の経営状況等を踏まえまして、新たに二十四年度から二カ年の財政支援基準を定めまして、団体の自主財源の活用などを図りまして、約一億八千万円ほどの削減を行いました。また、その他の施策事業の見直しでは、例えば省エネルギー機器の設置促進事業の手法の転換に伴う補助事業の廃止、あるいは事業実態に即した補助単価の見直しなどに取り組んだところでございます。
◆中村公太朗 委員 外郭団体は取り組まれているという話ですけれども、全体として補助金額は二十四年度予算として上がっていますし、例年そうなんですが、廃止をするものという項目が中にあるんですが、ほとんどがその用途を終えたものということです。あえて言うなら太陽光発電が廃止というかゼロになった以外は、用途、期限を迎えてやめたりとかいうものが廃止の中のすべてであります。大きな部分を占める補助金ですから、やはりこのご時世、それはいい悪いはあると思いますが、決断をしていただいて、これをなくしたんだというようなものが見えてくると期待をしていたんですが、なかったことに関しては残念だなというふうに思います。
それから、これまでも話が出てまいりましたけれども、補助金の支給に関して、特に今回、デジコンの問題が出ましたし、ここで皆さんからも大分議論がありましたが、それだけでなくて、今回の補助金の見直し、もしくは二十四年度執行していくに当たって、デジコンのケースを踏まえた上で、改めて厳しく見直しをしていくこと、精査をしていくというようなことはあるんでしょうか、お伺いします。
◎岩本 財政課長 毎年度、予算の執行に当たりまして依命通達で、規則を遵守した上で適正な執行に努める旨、全庁に要請をしています。特に補助金の執行につきましては、先ほど申し上げました補助金の見直し等に係るガイドラインに基づきまして、交付申請の受理から精算に至るまで事務処理を適正に行って、公平性、透明性の確保に努めるように、庁内にお願いをしているところです。
この間、平成二十一年度に、透明性を高めるということですべての補助金交付要綱についてホームページに掲載いたしました。その際に、改めて要綱の点検、整理を行いまして、補助対象経費の整理、明確化などに取り組んできた経緯がございます。
今後の補助金の執行につきましては、昨日ご答弁もありましたように補助事業の改革委員会を新たに設置するということでもございますので、その検討を踏まえまして、より一層の適正化に向けた改善を図っていきたいと考えております。
◆中村公太朗 委員 わかりました。
それとあと、一点確認をしたいんですが、以前も話題にさせていただきましたが、この補助金の中で、飲食に使っちゃだめだよと明確に規定をしていない、とらえようによっては使えるよと。もしくは、区のスタンスとしては使っちゃいけないという認識だけれども、一度懐に入ってしまえば、お金に色はついていないから、そこは追うことができないんですよというような補助金支給要綱は一件でも今残っているのか、いないのか、教えていただけますか。
◎岩本 財政課長 飲食を目的に、飲食そのものを補助対象経費にするということは原則として認めておりません。ただ、前もご答弁申し上げましたが、要綱自体に飲食禁止という規定がすべて整っているかという面でいけば、いわゆる会議費という名目の中で、常識的な範囲内のお茶であったりといったものが一部含まれているケースはあるかと思います。ただ、それはその補助事業の効果であるとか、例えば地域のコミュニティーづくりのための助成から見て適切であるのか、そういった内容で判断されるべきものと考えてございまして、一律に要綱の規定として飲食に充ててはいけないといった規定をすべての要綱に整備しているわけではございません。
◆中村公太朗 委員 お茶が必要なのであれば、茶菓というふうに記載をすれば、茶菓に限ってはこの限りではないでもいいんですけれども、そういう一文を明記して、それ以外は当然だめですよというものをつくっていくことこそが必要なんだろうなと思っています。数年前にも指摘したので、早急にその検討というか結果を出したほうがいいと改めて忠告しておきます。
いずれにしても補助金ですから、他の団体がやるところに、メーンで区がやるものではないものに区がお金を出している。区が主体者ではないという中で、やはり少しチェックの甘さというか、管理が行き届いていないというのが、今回起きたような問題に通じる部分もあるのかなと思います。二千五百億円程度のうちの百五十億円が補助金に使われるわけですから、ここへの精査とともに、金額の精査もそうですけれども、使われ方ということに関しては、より徹底をしていただきたいと申し上げておきます。
次に、入札についてお伺いをしたいと思います。
我々の会派では、これまで区の入札案件に関しては、一定金額以上は完全な競争入札にするべきである、それによって下がるかもしれない金額は、納税者、すべての区民に還元される予算になるというふうに申し上げてきました。区のほうとしては、現状、区内事業者のみ、もしくは区内業者とJVを組むことでの入札、工事案件のみを方針としているというふうな答弁をいただいています。それは区の今の見解でしょう。
なので、このあたりをもう少し細かく聞いていきたいんですけれども、この方針というのは明文化をされているものなんでしょうか、お伺いします。
◎大澤 経理課長 方針につきましては明文化されてございませんけれども、公共事業として、区発注事業の基本的な意義としまして、地域経済に影響を与えて区内産業を活性化させるということがあります。また、こうした観点から、国においても官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律に基づきまして、国の契約方針の中に地域の中小企業等の積極活用をうたっており、地方自治体に対しては、適切な地域要件の設定等により、中小企業者の受注機会の増大に努めるようにとの要請もございます。
こうしたことから、世田谷区だけではなくてほとんどの自治体が、域内産業の活性化の観点を踏まえて、基本的に区内事業者に発注することを原則としているところでございます。
◆中村公太朗 委員 今おっしゃった国というのも方針ですよね、確認します。
◎大澤 経理課長 国の方針でございます。
◆中村公太朗 委員 今回ちょっと調べさせていただきましたが、一定金額以上は区内業者という条件を含まない入札を行っているのは二十三区中八区ありました。前提として、先ほどほとんどのとおっしゃっていましたけれども、東京二十三区でも八区が一定金額以上は区内事業者という条件を外した入札を行っているそうです。
なぜ区内事業者に限るのかという質問をしたときに毎回出てくるのが、まず区内事業者の育成が必要だからということ、それと区内の雇用の問題、世田谷区民を雇用していただけるようにと、そんな話が出てくるんです。
まず、区内事業者の育成についてお伺いしたいんですけれども、育成と聞くと、育てていくという字が入っているわけですから、区内事業者の育成という言葉自体をとらえると、大きくなっていくというイメージなんですよ。そうすると、僕のイメージですと、区内事業者さんに限定した公共工事を発注して、その結果、その事業者さんが育てられて、競争力を持って、民間でも戦っていけるんだよ、競争力をつけていくんだよ、つまり、その後羽ばたいていくんだよということだと思うんです。にもかかわらず、この世田谷区で行われていることは、依然として同じ業者さんに、区内という枠をつけて、育っていく、羽ばたいていくとか、要は区内事業者から条件を超えて民間に行かれるところというのはそんなになくて、同じ条件の中で、区内事業者という枠で、区内事業者という条件でそこに発注がいく、入札が行われていると。
つまり、要は世田谷区の公共工事を発端にして競争力を得てほかへ出ていくんですよ、もしくはもっと強くなっていくんですよというのであればいいんですが、育成を目的に落とした会社は依然として区の発注工事を受け続けていく。要は育成されていないということですから、これは少しおかしいんじゃないかと思うんです。
区内業者を本当に育成するんだというのであれば、端的に言えば、例えば区内の業者に持ち回りでやらせてもいいんじゃないですか。要は今のシステムでいくと、区内で競争させて、区内の大手さんが毎回公共工事を落としているという実態、明らかにそういう結果が出ていますよ。育成という観点でお金が入っているのであれば、そこは何回落としても育っていっていないわけですよ。そこは条件から外れるわけでもないし、いかに何回工事を落とそうが、区内事業者育成という観点の中で、区内業者の観点から出ていくわけではないわけですよ。
もしくは雇用という面に関しても、世田谷区内にある事業者さんの中で、そこで働いている従業員が世田谷区民であるというわけではないですよね。そこに対してお金を使っていくのであれば、世田谷区民を雇用していくということに対して何らかのお金を使っていくことのほうが直接的だと思いますし、そういう諸条件をインクルードした上で区内事業者だけを優先していくというのは制度として少しおかしいんじゃないのかなと考えますが、いかがですか。
◎西澤 財務部長 今の育成のことのご指摘でございますが、まず、先ほど課長から答弁いたしましたように、いわゆる区発注事業としては、区内で一番の大手の事業者として公共事業を発注する。この公共事業を発注することによって域内経済に影響を与えて、域内産業を活性化させるというのが公共事業の一つの大きな役割であると考えております。そういったことで、ほとんどの自治体で区内産業育成のために区内に発注をしているということがあります。ただ、これも競争性が確保されない限りはやはりそういったことは通らないから、競争性と区内産業の育成を常に勘案しながらやっていく。
現在、契約・入札制度が今の時代に合っていないものですから、公契約のあり方検討会の中で、まさに区内産業の活性化と競争性、質の確保、こうしたことを重点的に、どういった制度がいいのかということを検討していただいているところです。
育成の点に関しましては、確かに委員がご指摘されるように、区外事業者とも競争できるだけの競争力をつけるという観点もございますが、一方で、例えば区の建設業は区内全産業の中の七%、従業員は一万五千人を抱えております。その建設業が区発注事業を受注することで域内産業が活性化しているということもございます。例えば世田谷区建設協同組合は、毎年区が多摩川で行っている水防訓練に出ていただいて、一緒になって防災活動をやっていただく。こうした地域貢献ですとか地元に浸透することで、区の中でのそういった建設業等で質を確保していく、また地域の中のコミュニティーに参加していく、そうした意味での育成という観点もあろうかと思っております。
いずれにいたしましても、区内の産業活性化と競争性、こうしたものを十分勘案しながら、今後とも委員ご指摘の点を踏まえまして検討してまいりたいと思います。
◆中村公太朗 委員 反論はたくさんあるんですけれども、時間がないので、確認をさせていただきたいと思います。
この間の二子玉川の案件にあったように、大手の会社が世田谷営業所をつくりましたと。ということは、区内事業者になるんですよね、イエスかノーで答えてください。
◎大澤 経理課長 支店、営業所を設置すれば、区内事業者と認定されます。
◆中村公太朗 委員 それをとめるすべがないんだったら、もはやその時点で区内事業者というカテゴリーは意味がないんじゃないかと思います。
それから、今後、梅ヶ丘だったり庁舎だったり、百億円、二百億円、数百億円の案件が出てくる可能性がありますが、その際も区内業者と組むJVという条件をつけるつもりですか、いかがですか。
◎大澤 経理課長 今ご指摘のような大規模な工事や特殊な技術を要する場合などについては、これまでも共同企業体、ジョイントベンチャー方式や区外の大手事業者を活用するなど、履行の質や競争性の確保に努めております。今おっしゃった百億円を超えるような大型案件につきましては、競争性の確保とともに、事業規模の面から、その施工能力についても十分留意する必要があると考えておりますので、共同企業体方式や大手事業者の活用により、適切な発注条件の設定を行ってまいりたいと考えております。
◆中村公太朗 委員 つまり、方針というのは例外もあるという認識ですね。
以上で交代します。
◆佐藤美樹 委員 それでは、かわりまして、私のほうから、まず監査事務局機能の市場化テストについてお伺いしたいと思います。
監査事務局の体制ですとか、監査委員、外部監査といった区のパブリックガバナンスについては、さまざまな角度からこれまでも質問をしてきました。きのうも、デジタルコンテンツ事業の選定や補助金決定の経緯や一連の流れが大分ずさんな区の事務体制でやられてきたのではないかと指摘されていましたけれども、こうしたことも、やはり外部の目が入っていればチェックできたのではないかと改めて考えています。
大阪府で二十二年度に庁内全部の業務について市場化テストを実施したということは、区議会で何度か取り上げられているようですけれども、その市場化テストで外に出された九業務のうちの一つ、監査事務局機能というのがこの市場化テストで民間にという判断になったものなので、ここでそれを共有したいと思います。
ちょっと見えにくいんですけれども、ここで特徴的なのは、全部を監査法人に出すのではなくて、監査の種別ごと、また対象部局ごとに、特に今、定期監査について取り上げたいんですけれども、定期監査については、監査法人がやったほうが効率が上がる会計とか財政回りの部分を出して、福祉系の、例えば区で言うと子ども部とか生活文化部、地域福祉部といったところは従前どおり区が実施する、そうした混成チームのような形で定期監査を実施した。ただ市場化テストをしたのではなくて、より効率的な監査をという観点で編成したところに特徴があって、非常に有効な取り組みだと思いますけれども、こうした取り組みについて、区でも実施してはいかがでしょうか、見解を問います。
◎山本 監査事務局次長 限られた資源を有効に活用して多様な区民ニーズに適切に対応していくためには、民間の力を積極的に活用することが必要であると考えております。そのため、監査事務局ではこれまでも、事務局職員の監査を補完する意味で、例えば公益法人会計、企業会計に対する会計経理の分析等専門性が必要な財政援助団体等監査では公認会計士に、また、工事監査では技術士による調査を外部委託しておりまして、専門的な見地からの監査を行っております。
お話しの大阪府における市場化テストの取り組みにつきましては、大阪府としてガイドラインを策定の上、平成十九年二月に大阪版市場化テスト管理委員会が設置されまして、その取り組みの中の一環として、監査業務の一部を外部委託することとしたと聞いております。
定期監査チームのうち一部を混成チームにというご提案をいただきましたが、監査制度のあり方につきまして、国では地方自治法改正に向けた地方行財政検討会議の中でさまざまに議論され、監査機能の外部化などの具体的な制度設計案が三案示されていることから、今後の国の動向等を注視するとともに、監査の実効性を高めるための手法については、区の方針を踏まえて研究してまいりたい、このように考えております。
◆佐藤美樹 委員 監査の体制、何度も何度も言ってきていることなんですけれども、この世田谷区ではまだまだガバナンスが全く弱い。この市場化テスト自体は、監査事務局機能以外にも、先ほど挙げた大阪府ですと債権回収業務ですとか税務のところも外に出すという判断をしていて、こうしたことが、区長の招集あいさつにあった区民サービスの拡充と、一方で人員は抑えなきゃいけないという二律背反のところに際している今の区の状況で特にふるいをかけてみてはと考えますので、ご検討いただければと思います。
次の質問に移ります。次に、区の公共施設のあり方、その整備への改正PFI法の活用についてお伺いしたいと思います。
財政難の状況を受けて、区の行政サービスについては、その根本的な考え方として納税者負担から受益者負担の方向にシフトするという必要が出てきており、また、その施設運営についても、独立採算ですとか自立性といった考え方での施策が必要になってきていると考えております。この点について、まず区の見解をお伺いしたいと思います。
◎小田桐 政策企画課長 行政サービスの提供におきましては、経費の効率化とあわせまして、税で負担する経費と利用者が負担すべき経費を可能な限り明確に区分しまして、それぞれの比率を設定した上で適正な料金を設定するということが重要でございます。
この基本的な考え方を整理するという意味合いから、区では、平成二十二年十二月に適正な利用者負担の導入指針を策定いたしました。公共施設の整備、管理における受益者負担という観点で申し上げますと、まずは管理運営経費について適正な利用者負担の導入指針に基づいて適正化を図り、その上で施設の整備費をサービス利用料により回収する方策として、改正PFI法のもとで新たな整備手法を研究するなど、公共施設の効果的、効率的な運営に努めてまいります。
◆佐藤美樹 委員 改正PFI法については、他会派からきょうありましたので、その詳細は省きますけれども、この法律改正で一番大きな点としては、公共施設等運営権と言われる権利の設定ができるようになった点だというふうに考えています。施設の運営権を持っている事業者が利用料を直接利用者から徴収して、それによって運営権の対価を自治体に払っていく。この間に、利用量が多ければ多いほど、そのマージンの部分は事業者にとっての利益になるというスキームなんです。
こういうスキームですので、この法律を生かすと、ある程度の規模の利用者収入が見込める性質の施設でしたら、例えば世田谷区でやるとしたら、他会派から過去にありましたけれども、砧公園での火葬場ですとか、あるいは松沢病院跡地で行う音楽ホールですとか、あるいは「がやリン」を増設してもいいと思いますし、とにかく利用量が多ければ多いほど、その運営権対価の差額が事業者にとってメリットになっていきますので、手を挙げる事業者もふえてくると思います。
また、再生可能エネルギー事業といったインフラ事業そのものも、区がどこか区外の自治体と組んで事業者を募るといったことも検討できるのではと思いますけれども、この辺についてはいかがでしょうか。
◎小田桐 政策企画課長 今回の改正PFI法でございますが、公共施設等の運営権制度が法的に位置づけられたということで、制度としては自由度の高い事業運営を行うことが可能となっております。独立採算型のPFIの普及促進が進められるのではないかというふうに考えております。区が保有する公共施設について、委託料や指定管理料などを用いずに、サービス利用者の利用料等によって独立採算で運営することができる公の施設、ここの部分では、委員がご提案いただいたものも含めて、今後研究課題となれるかと思います。
◆佐藤美樹 委員 ありがとうございます。
今幾つか、こんなアイデアはどうかというのを出したんですけれども、既存の施設で、例えば今指定管理で委託をしているものであっても、改正PFI法に、要は運営権設定に切りかえるといった手段もとれると思います。今回の改正で、公営住宅から、さらに賃貸住宅に対象施設が拡大されています。例えば賃貸住宅で言うと、世田谷区にも幾つか区が持っている賃貸住宅があると思いますので、そうしたものに、実際には大規模改修とか改善、何かしらの改修が入るタイミングになると思いますけれども、指定管理者制度から運営権設定というふうに切りかえしてはいかがでしょうか。
◎小田桐 政策企画課長 公共施設の運営においては、経費の縮減のみならず、サービスの質の向上を図るための手法を検討するということが必要です。指定管理者制度の運用や施設整備における民間誘導、民設民営などとの比較をした上で、今般の新たなPFI制度の研究を進めたいというふうに考えております。
◆佐藤美樹 委員 ぜひ民間の資金と、経営をそのまま民間に、指定管理者とは違って、運営権設定で民間のノウハウもそのまま踏襲できるというところがメリットだと思いますので、いろいろ検討していただければと思います。
最後に、電算費用についてお伺いしたいと思います。
電算費用は、先ほどもありましたけれども、五億円強の予算削減のうち、翌年に見送るというような内容、システム改修とか更新を一年先送りして予算計上せずに済んだものについてお伺いしたいと思います。
◎栗原 情報政策課長 二十五年度以降に延伸したシステムは七つございます。具体的には、住民記録、住民税、国民健康保険、介護保険などの基幹システム。それから、公共施設利用案内システム、いわゆるけやきネットですね。それから、住民基本台帳ネットワークシステム、人事のOTRシステムの一部などでございます。
◆佐藤美樹 委員 ことし一年先送りというか、あと一年我慢してねということだったと思うんですけれども、そういう形で来年度を迎えて、来年も税収についてはことしと余り変わらない見込みで、要は来年も同じ議論がなされると思うんですけれども、来年もまたさらに延ばすというような手段をとるのでしょうか。
◎栗原 情報政策課長 機器の保守契約の延長も一年間が限度だと考えております。二十五年度の更新作業を行わなければ、万一の障害に対して部品の供給がおくれて機械がとまったり、最悪使用できなくなるということもあります。区民サービスをとめないためにも、今回更新を延伸したシステムにつきましては、次年度については優先的に対応していきたいと考えております。
◆佐藤美樹 委員 私は、電算費用について、業務側の方としか話をしていませんけれども、いろいろな業務を聞いていて、前職で内部監査のツール導入、システム導入的なところに関与していたこともあって、区ではかなりいっぱいいっぱいな中、今、古いものをなるべく使っていこうというか、予算を使わずに済ませようとしているようなところもあるのかなというふうに見受けられますので、費用対効果に見合った改修をお願いしたいと思います。
以上で質問を終了します。
○菅沼つとむ 委員長 以上で世田谷民主党の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。
◆木下泰之 委員 二子玉川再開発の問題についてお聞きしますが、二子玉川東第二地区第一種市街地再開発事業、第二期事業でございます。当初これは、二〇一〇年に計画が出てきたときは五百十二億円ということだったんですが、今度、実際に入札しての事業費は三百九十二億円になっていますよね。百二十億円減っているわけですけれども、これは率にして大体二三・四%ぐらい減っているわけです。
それで、当初の補助金がたしか五十八億円近くでしたね。この補助金を減らしたということで、何か七億円相当減らしたことになると言われているんですけれども、しかし、百二十億円も事業費が減っている以上、五十八億円の補助金は出さなくていいんじゃないですか、これはどう考えますか。
◎岩本 財政課長 二子玉川再開発につきましては、区長からもご答弁申し上げていますが、人間優先のまちづくり等の三つの基本姿勢に基づいて、公共性、公益性の向上をさらに図るということから補助金を見直しさせていただきました。その中で総合的に予算編成の中でご判断をいただいたと思っております。
◆木下泰之 委員 補助金ですけれども、事業の採算性が著しく不利とならないよう、また事業の促進を図るため、国と地方公共団体が補助できることになっておりますと、これは国の役人が書いたものですけれども、国庫補助制度についての解説で出てきているんです。補助金というのは必ずしも出さなくていいわけですよね。世田谷区は財政が非常に困っているわけですから、区長が望めばゼロ査定することもできますね。
◎岩本 財政課長 予算編成権は区長がお持ちでございますので、区長の判断によるかと思います。ただ、この間ご答弁申し上げているとおり、一期工事から三十年積み上げてきた事業というような位置づけにはあると思います。
◆木下泰之 委員 東京で最大級の再開発事業だと言われていて、最初は五百十二億円と言われていたのが百二十億円も減っているわけですけれども、これは見積もり等が適正だったかどうかということについてちゃんと調べましたか、これはどういうふうに調べるんですか。
◎岩本 財政課長 所管外でそこまで申し上げられませんが、ただ、落札率が七五%程度だったと聞いておりまして、補助金のベースで申し上げますと、五十八億円余りだったのが四十四億円余りに落札等で落ちたと。そこから見直しを行い七億円マイナスで、結果、三十七億円程度の補助金の額となったものでございます。
◆木下泰之 委員 東急の再開発ですよね。それで、今回はオフィスビルですね。採算性の問題からいったら、百二十億円もダンピングできたわけだから、五十八億円の補助金がなくたって十分おつりが来るわけですよ。例えば生活保護費で暮らしている方なんかは、収入があったらそれはカットされるわけでしょう。そういうことから考えたら、こんなもの出す必要ないじゃないですかというのが私の見解。
今、一千兆円の国の借金があるわけでしょう。それで、全国でこの種の補助金をどんどんつけていくことによって、結局は国が借金をすることになっているわけです。恐らくパラダイムシフトなどということで考えれば、こういった補助金制度にメスを入れていかなければいけない。何でこんなに豊かなところ、五百十二億円かかるところが三百九十二億円でできたんだから、補助金をもらわなくたっておつりが来るわけですよ。おつりが来るところになぜ補助金を与えなきゃいけないんですか、いかがですか。
◎岩本 財政課長 再開発に対する補助金の要綱を持ってございますが、全体事業費に対して補助対象の項目があって、それに対する補助の割合があるという中で算出された額だと思っています。
◆木下泰之 委員 それから、七億円削減したことを自慢するのであれば、それは七億円削減したことについて新旧対照でちゃんとわかるような資料を出してほしいと言っているんですけれども、全然それがわからないんですよね。これはわかるようにすべきじゃないですか。少なくとも削減はしたわけだから、今後の補助金の運用については踏襲することになるわけでしょう。そういうふうにわかりやすく説明できないんですか。
◎岩本 財政課長 それも都市整備のほうになりますけれども、予算計上に当たっては、補助対象経費は一応予算要求上の見積もりをしているという状況でございまして、それと組合側の事業計画との関係においてどういう形になっているかということだと思います。
◆木下泰之 委員 つまり、財政が逼迫している中でどういうふうに切り詰めていくかと考えていけば、当然そういう資料も出すべきだし、それから、先ほど言ったように、そもそも五百十二億円が三百九十二億円に圧縮された根本原因をちゃんと調べるべきじゃないですか。これはデジタルコンテンツの問題とも絡むかもしれないでしょう。
要するに、大規模にお金がかかると言われていたのが、それこそ七五%ぐらいで済んでいるわけだから、その原因が何であるのかも把握しないで予算編成に携わるんですか。
◎岩本 財政課長 結果的には落札の結果を聞いて、事業費が落ちたということを聞いているだけです。
◆木下泰之 委員 それから、情報公開ですけれども、連立事業の情報公開が東京都からまだ来ていないんですが、これに対してはどういう対処をしているんでしょうか。つまり、訴訟を起こすかという手だってあるわけですけれども、大事な情報が来ていないわけですよ。こんなものが来ていないので、世田谷区は判断できないようなことになっているわけですよ。これはどういうふうに対処されるんですか。
◎板垣 副区長 この間、何度かご答弁申し上げておりますけれども、一部非開示になっているところについては、引き続き東京都には求めておりますが、東京都は東京都の情報公開条例に基づく判断もあるわけで、その部分につきましては、区長からも指示されておりますので、引き続き求めているところでございます。
◆木下泰之 委員 連立事業調査報告書が渡っていないということ自体が非常に不正常なことなんです。これは京王線のみならず、小田急のときからそうだった。下北沢の連立事業についても、それが明らかになってこなかったことによっていろんな障害を受けている。
世田谷区は負担金を払うわけですから、こういったものについては正確にきちっと情報をとった上でないと事業は進められないという立場にある。ストップしても構わないと思いますよ、負担金を出すことになるわけですからね。区民の税金も使うわけですから、情報開示についてはそういうことを十分考えてきちっとやってもらいたい、そのことを申し上げて終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で無党派市民の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、減税世田谷、どうぞ。
◆あべ力也 委員 それでは質問してまいりますが、まず、組織改正に伴ってすぐやる課がなくなるということで、区民の皆さんからも、大変なれ親しんだ課がなくなるというので、わかりにくいという話が出ております。元来、地域振興課と一緒になっていて、すぐやる課の機能というか名前もそのままあったということです。今度、各支所ですぐやる課の機能をそのまま継続するということですけれども、ネーミングをぜひ検討していただいて、例えば地域振興すぐやる課とか、すぐやるという、すぐやる課の名前が残るようにしていただいたほうが私はわかりやすいのかなと思いますので、その辺を検討していただくように要望しておきたいと思います。
それで、質問でありますけれども、まず情報公開という観点から、各部での少額決裁に関する情報公開ということで質問してまいります。
区長は、情報公開、区民参加と就任以来言われておりますけれども、各部での少額というと、五十万円以下は課長決裁ということなんですが、他会派もきょういろいろ質問をしている中で、いろいろな情報をとるといった場合に、情報公開請求をしないととれない情報がたくさんある。行政の側がすべての情報を握っていて、情報格差という場合には、行政と市民、議会とは一〇〇対ゼロというのが行政活動に関する情報格差だと私は思っております。
例えばいろんな自治体の中で、世田谷区はそういうことがあったかどうかはわかりませんけれども、一部の自治体で裏金づくりをしたりとかなんとかというようなことの不祥事は、こういった少額決裁の中に積み重ねて起こってきているのが実態だということだと思います。ですから、五十万円以下の少額決裁に関しては情報公開請求をしなくても開示してしまうというようなことをぜひやっていただきたいと思うんですが、少額決裁の現状の総額はどれぐらいになるのか伺いたいと思います。
◎大澤 経理課長 少額決裁、契約事務規則で五十万円以下につきましては、所管課長、収支命令権者に任された契約権限でありまして、二十二年度の所管課での契約の実績につきましては約七万五千件、額にしまして約四十億円となってございます。
◆あべ力也 委員 そうすると、四十億円というのは、いわゆる人件費とか固定費を除いた支出の中での占める割合はどれぐらいになるんですか。
◎大澤 経理課長 主に消耗品とか印刷といった経費でございまして、人件費等はここには入ってございません。
◆あべ力也 委員 そういう固定費を除いた部分での支出の中で、この五十万円以下の支出というのは決算額の中でパーセンテージ的にはどれぐらいを占めるんですか。この四十億円というのは何%ぐらいなの。
◎大澤 経理課長 私どものほうでは契約権限を委任していますので、その何%というのは把握してございません。
◆あべ力也 委員 いずれにしても、一般会計で二千何百億円という中で、その中の半分以上が人件費ですよね。そうすると、少額決裁で四十億円という相当な額があるわけですから、これを情報公開請求しないとわからないというようなことではなくて、やっぱり細かいものも情報をしっかり公開していくというふうに私は転換をしていくべきだと思うんです。
税金は区民の方は皆さん大変な思いをして払っているわけですから、その支出に関して情報公開がないということは完全に立場が全然違うわけですね。ですから、区民から集めた税金を行政の側がどういうふうに支出をして、それで納得がいくような支出がされているのかという情報公開をすることが、これからの自治体に課せられている課題だと私は思いますので、ぜひ情報公開ということを今後していただきたいと要望しておきます。
今の状況ですと、情報開示請求をしても、例えば黒塗りになって出てくるとか、一部の情報に関しては、これは個人情報であるとかなんとかということで情報開示ができないような状況であれば、まさに公務員の公務員による公務員のための政治が行われていると言っても過言ではない状況でありますから、できるだけというか、ほとんどの情報は今後は開示をするというような考え方をぜひ徹底していただきたいと要望しておきたいと思います。
次に、震災以降、自治体が抱えているいろんな情報をどういうふうに提供していくのかというのが一つの課題になっておりますが、今般、二子玉川では東急さんが、今皆さんいろいろお使いになっていると思いますけれども、スマートホンを使った情報提供をするということであります。民間と行政の情報の提供が同じようなことになってきている中で、民間のこうした情報提供に乗っかっていくということも大事だと私は思うので、ぜひ今回の二子玉川の情報提供に行政情報も乗るように、東急側に協力を要請していくことも大事かと思います。
それと、区ではツイッターの情報提供というのを震災以降始めました。これは震災とかそういう状況の中で、危機管理上、情報提供していく上で大変便利なツールだということで重宝がられているんですけれども、今、世田谷区は世田谷区オンリーで出しているんですが、各総合支所とか身近な施設のツイッターというような情報提供のあり方もあるのではないかと思うんです。それをホームページ上で一元管理していけば十分できるということなので、その点、ちょっと区としての見解を伺っておきたいと思います。
◎平澤 広報広聴課長 新たなメディア媒体にはそれぞれ特徴がございます。区の情報を、どのような情報をどのような形で提供できるのか、その可能性について研究してまいりたいというふうに思っております。
◆あべ力也 委員 簡潔な答弁をありがとうございました。しっかり研究していただいて、災害になったときなんかは、特に区民の方は情報が一番大事でありますから、情報提供のあり方をしっかり今後とも検討していただきたいと……。
○菅沼つとむ 委員長 以上で減税世田谷の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、レインボー世田谷、どうぞ。
◆上川あや 委員 初めに、区の区民意見提出手続、パブリックコメント制度について伺います。
先日、一人会派、無所属合同で予算説明を受けた際、区の第三期障害福祉計画素案に添付されたパブリックコメントを拝見して、私は違和感を覚えました。区内在住、在勤の障害者の方々に直接かかわる計画づくりでありますのに、そのパブリックコメント募集の手法には障害特性に応じた配慮が全く欠けていると感じたからです。
区の募集方法は、従前のさまざまなパブリックコメントと同じように、持参、郵送、ファクシミリ、ホームページから住所、氏名を記入し送付してくださいといったご案内がすべてです。記入を求めるということは、つまり文字に書いて出してくれということなんでしょう。文字を書いたり入力することが難しい障害者、あるいはその両方が不可能という障害者の方々はどう意見を表明したらよろしいのでしょうか。コミュニケーションに困難を抱える障害者の方々のご意見ははなから想定外ということでは、全く本末転倒だと私は思いました。
一方、さいたま市のノーマライゼーション条例にかかわるパブリックコメントの案内文を拝見しますと、点字、またテープ等の録音物による意見提出も当然認めるということがはっきりと書かれておりました。世田谷区でもこうした配慮こそ必要だったと思いますけれども、いかがでしょうか。
◎平澤 広報広聴課長 区で実施している区民意見提出手続、パブリックコメントにおきましては、視覚障害の方々でもその内容がわかるように、ホームページにおきまして音声読み上げソフトに対応するテキスト版でも掲載するようにしておりますが、ご指摘のとおり、ご意見を提出する際に、文字による記載の方法のほかの提出についてご案内がございませんでした。広く意見をちょうだいするという観点から、文字以外の方法による提出についても十分に配慮すべきでした。
◆上川あや 委員 保坂区長が言う区民参加が泣くと思います。当然のご判断です。
私が調べたところでは、今回のような障害者に直接かかわる計画づくりだけでなく、パブリックコメント制度全体として、点字等での意見の提出も当然認めていくと要綱等で明文化している市町村も多かったです。私がネット上でざっと調べたところだけでも、仙台市、登別市、豊川市、四日市市、北名古屋市、河内長野市、富田林市、垂水市等々で点字等での意見提出が認められておりました。世田谷区もパブリックコメントという制度全体に共通するルールとして、これを明文化する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
◎平澤 広報広聴課長 点字等の受け入れについて明文化せよとのご指摘でございますが、点字を含めまして、視覚障害者等からのご意見受け入れにつきましてはさまざまな方法が考えられます。そのため、受け入れ方法を検討し、受け入れ体制を整えていくとともに、明文化につきましても適切に対応してまいります。
◆上川あや 委員 明文化していただく際には、おっしゃっていただいたように、障害者それぞれの特性を考える必要があると思います。例えば耳が不自由な聾者の方々、母語は手話であって、日本語は不得意な方が非常に多いです。ですので、庁舎には毎日手話通訳者の待機時間もありますし、また、区が業務委託をしている手話通訳者の派遣センターの運営もあるわけですから、こうしたところを介して、パブリックコメントの提出だって手話で柔軟に受け入れるべきだと私は考えます。
また、目の不自由な方々からは、何も手間のかかる録音物の形でいただくということを強いなくても、担当課にお電話で意見提出いただく形で、それを受け入れるのだって私はいいと思うんですね。丁寧に区役所の人たちがお伺いをして、復唱して確認をして、それを記述すればいいということだと思います。ぜひさまざまな区民の立場に立って対応を図っていただきたいと考えます。この点はいかがでしょうか。
◎平澤 広報広聴課長 視覚障害を持たれた方々が電話にてご意見を提出されることにつきましても対応は可能でございます。昨年九月に実施いたしました第三期世田谷区障害福祉計画素案におきまして、視覚障害の方からパブリックコメントをしたい旨のお電話をいただき、担当所管の職員が意見内容を聞き取り記録した実績もございます。障害をお持ちの方々もご意見が提出しやすいように、障害をお持ちの方へのご案内を含め、ご不便をおかけしないような形をとってまいりたいと思っております。
◆上川あや 委員 ぜひきめの細かい形でお伺いいただいて、当事者に届く情報提供の努力をお願いしたいと思います。
続きまして、話は変わりますが、区が所有する映像資料の保管について伺います。
かつて映像資料の中心を担ってきたのはフィルム類だと思うんですが、これが昨今、ビネガーシンドロームといいまして、加水分解という過程で経年劣化するということが知られるようになってきました。一部の自治体ではこの記録保存をすごく急いでいるんですね。
区と区教委に確認しましたところ、区がかつて作成し、テレビ放映した「風は世田谷」、こちらのシリーズ、また、区教委で作成した教育用映画の大部分については、確かにこの間の緊急雇用対策事業を使ってデジタル化が進捗したということで、これ以上の画像の劣化や滅失は防げたのかなと思いました。ただ、そのほかの映像記録、また各部各課が記録保存したようなもの、こういった映像については、どこの部にどれだけ資料があるのか、また、その管理はどうあるべきかといった共通化は全くないんだそうです。
区民共有の財産として映像を管理していく観点からは、現状の野放しということは改めていただきたいと私は考えています。この観点についてどうお考えになるでしょう。
◎平澤 広報広聴課長 委員ご指摘のとおり、広く使われてきたフィルム、またビデオテープにありましても劣化してしまうということは十分知られていることでございます。これらの映像を後年に伝えていくために、デジタル化するなど保管に努めることが大変重要であると当然認識しております。
区ではこれまで、お話にございましたとおり、広報広聴課にて制作いたしましたテレビ番組「風は世田谷」、教育委員会におけます文化財記録映画のデジタル化を行うなど、主要な資料の保存については取り組んでまいったところでございます。今後もこれらの作業を地道に継続する必要があると考えておりまして、既にデジタル化したもの以外にも貴重でデジタル化する必要がある映像資料はないかなど、改めて確認するなどし、保存に努めてまいりたいというふうに考えております。
◆上川あや 委員 「風は世田谷」のデジタル化については、所管の課長からも確かに伺ったんですが、DVD化は各一枚つくっただけということで、これもちょっと私はどうなのかなと思ったんです。つまり、今、区政情報センターで貸し出しをしていますけれども、今どきビデオプレーヤーなんて持っている方はいなくて、DVDを保存用に焼いたということでは貸し出しなんか全くできないんです。あるだけではやっぱり意味がなくて、活用していく方策もしっかり考えるということを忘れないでいただきたいと思います。
若干時間がありますので、一言いただけますか。
◎平澤 広報広聴課長 貴重な映像は区民の共有の財産として考えておりますので、順次、できるところからやっていきたいと思います。
◆上川あや 委員 今、コンパクトディスクも百円ショップで安く売られていますし、著作権があるような区の作品であれば、それほどお金はかからないことですので、こういった区民にどう提供していくのかを必ず忘れずに、実践に生かしていただきたいと思います。
以上で私の質問を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上でレインボー世田谷の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、世田谷無所属、どうぞ。
◆ひうち優子 委員 本日は、フラワー作戦について伺います。
地域の人々が公園や緑道、路地裏などで花の世話をすることで、不審者への監視の目をふやし防犯につなげる、杉並区のフラワー作戦に国際的な注目が集まっており、韓国やオーストラリア・ビクトリア州などから視察が相次いでおります。また、海外だけではなく、全国の自治体から視察や問い合わせが相次ぎ、静岡や沖縄、福岡県などから約二十自治体の担当者が視察に訪れているとのことであります。
ここで、世田谷区でも、公園や線路沿い、また、区有地を暫定的に利用し、花いっぱい運動を行っております。それに関連して、平成二十一年第一回定例会で、区内を歩くと長い間使われず草が生い茂っている残地を見かける。せっかく確保した土地なので、次の用途が決まるまで花や植物を植えるなど、地元の人々に開放し、区有地を暫定的に利用すべきとの質問をしました。その進捗状況についてまず伺います。
◎大澤 経理課長 区が所有します公有財産の有効活用につきましては、平成十八年度に作成した有効活用指針に基づきまして、保有目的が達成し終えた土地につきましては売却を基本とし、保有目的に応じた用途に供するまでに相当期間を要する場合は、庁内の他所管での活用や貸し付けなどの暫定利用を図っております。これまでも、自転車の保管場所や駐車場としての利用などの庁内活用を進めるとともに、有償でコインパーキングとして貸し付けるなど、税外収入の確保も図ってきております。
委員ご提案の区有地の暫定利用の花づくり等につきましては、公有地の有効活用の中で検討を行いまして、地域の町会等の協力団体と連携し、現在二カ所で実施してございます。今後とも、公有財産の有効活用の一つとして、関係所管と連携し花づくりなどを進めてまいりたいというふうに考えております。
◆ひうち優子 委員 今後も緑に対する意識と防犯という観点からも、暫定的に使える区有地があれば、積極的に花づくりとして地元の方々に開放していただきたいと思います。
先ほどのフラワー作戦ですが、杉並区では二〇〇〇年から二〇〇二年にかけて、二十三区でもワースト上位だった空き巣発生に危機感を抱き、自主防犯パトロール隊への支援策などを盛り込んだ安全美化条例を施行、警視庁OBによるパトロール隊も結成するなどした結果、被害は何とか千件にまで減りました。その際に、空き巣に入られた百軒への調査で、玄関先や庭先に花を飾っている家の被害は二件しかなかったという歴然とした結果が出たのです。よって、以前から行っていたフラワー作戦を二〇〇六年以降本格化させ、花を植えたり世話をしたりするボランティアの花咲かせ隊に地域の見守りも要請し、二〇〇二年に千七百十一件だった空き巣の件数は、二〇一一年には百四十一件まで減少したとのことであります。
花を植えることで、区民の方の緑に対する意識啓発はもちろん、不審者への監視の目ともなり、自然にパトロール効果になり、一石二鳥だと思います。世田谷区も花いっぱい運動と題し、地域のボランティアの方々が緑道や公園、また区有地を暫定的に利用し行っておりますが、さらに各地域で花いっぱい運動を広げるとともに、花いっぱい運動のボランティアの方々に地域の見守りを要請し、防犯につなげていくことが有効であると考えますが、区の見解を伺います。
◎砂澤
危機管理担当課長 区では、世田谷みどり33実現の取り組みの一つとして、商店街等の歩道等に設置したプランター、公共施設等の花壇、公園、緑道などを対象としたみどりと花いっぱい活動を行っており、現在二百二十四団体で活動しております。
みどりと花いっぱい活動を行っている団体は、草花の植えつけや清掃などのほか、日常的な維持管理を行っており、地域の目となることで、不審者や空き巣などに対しても有効なものと認識しております。したがいまして、これらの団体による日々の活動が防犯対策として有効であることをPRし、不審な人物を見かけたときは一一〇番通報を行うなど、関係所管と調整してまいります。
◆ひうち優子 委員 花を植えて育てるという日々の活動が防犯対策にもつながっているということをPRしていただき、そして、地域の見守りとして、不審者の一一〇番通報などを要請していただきたいと思います。
次に、区が実施する各種説明会の情報公開について伺います。
以前、太子堂かいわいに住んでいらっしゃる方から、次のようなご意見をいただきました。私の周辺では、三軒茶屋再開発、太子堂小学校改築、防火規制などさまざまな動きがあります。ここで思っていることは、説明会に行かれない人たちのために、ホームページなどで説明資料や質疑応答を公開してほしいということです。回覧板でも説明会の案内は来ても結果は回ってきません。説明会に関する世田谷区のURLも掲載されていないものが多い現状があります。説明会に行こうと思っても、仕事や家庭の事情でままならず、また参加者も固定化し、たまに行ってもなじめない状況ですというものです。
現在、東京都建築安全条例に基づく新たな防火規制の区域指定の検討過程など、ホームページで公開しているものもありますが、一方で、太子堂小学校の改築の説明会など、ホームページで情報公開をしていない説明会もあります。
ここで、区が実施するさまざまな説明会について、原則としてホームページで内容を公開することとし、当日参加しなくてもインターネットを通じて意見を言える仕組みをつくるべきと考えますが、いかがでしょうか、区の見解を伺います。
◎平澤 広報広聴課長 まちづくりや区施設の改築などに当たりましては、その検討過程において情報公開するとともに、住民参加により進めていくことが必要であると認識しております。これまで説明会などに広く区民の方々の参加を求め、詳しく説明し、また、ご意見をちょうだいするなどしてきているところでございます。
検討過程におきまして適宜情報を公開していくことが必要であり、情報公開の手段としてはホームページの活用も有効と思われます。また、インターネットを通じて意見をいただく仕組みも考えられます。これらの説明につきましては、規模の大小や内容の違い、また文章だけで十分に伝わる内容かなど、その実施方法を一律に定めることは難しい面もございますが、今後、さらに可能なところから、ホームページなどを活用した情報公開を広げていきたいというふうに考えております。
◆ひうち優子 委員 公開できる情報については、可能なものからできるだけ公開していただくことを要望させていただきます。
以上で質問を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で世田谷無所属の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 引き続きまして、無所属、どうぞ。
◆青空こうじ 委員 間もなくあの三月十一日がやってきます。大変な被害をもたらした東日本大震災に対し、私はこの一年、自分にできることは何だろうと、常に自分に問いかけてきました。少し前の話になりますが、三宅島が噴火したときに、島の人たちは都内に船でみんな避難しました。私は、八王子や立川で避難生活を送っていた人たちに対し、毎月のお誕生会の司会をやったり、チャリティーゴルフのお手伝いをしたり、そして暮れにはクリスマスパーティーで漫才と司会などをお手伝いしました。
こういった経験もあったことから、長く芸人の世界に身を置いてきた私ですが、人間として今回の東日本大震災でも何かのお役に立てるかもしれないと思い、芸人仲間に声かけして、まず初めに、福島県のいわき市で寄席を無料で開催したり、台東区の池之端の野外ステージなどでチャリティーイベントを開催しました。被災者の方がひとときでもつらいことを忘れられるよう、漫才やコント、そして紙切りなど、自分たちの芸を精いっぱい披露させていただき、被災者の方々にも笑いを届けることができたと思っております。また、肝心の募金活動にも、こういったイベントの中で呼びかけもいたしました。
世田谷区内でも、まず初めに千歳烏山、三軒茶屋、下北沢、自由が丘、成城学園前、二子玉川、また、二十三区の主要な駅で街頭募金にも参加してまいりました。こうした活動はこの先何年間続けていけるかわかりませんが、被災者の方の傷がいえるまで可能な限り、また、私の体力の続く限り続けていきたいと思っています。
今回の東日本大震災に関して質問に入りますが、世田谷区の職員の皆様は、いざ災害が起きたときは、それぞれ決められた役割があると聞いております。いち早く決められた場所に駆けつけ、区役所を災害対策本部として機能させなければいけないと伺っております。災害はいつ起こるかわかりません。もし真夜中など電車などが動いていないときに、そういう時間帯に起きることも考えられます。この場合、区の職員はどれぐらい参集ができるのか、まず初めに、これからお伺いします。
◎笹本 災害対策課長 区内で震度五弱以上の地震が発生した場合には、職員の非常配備態勢というのが指令されまして、区の職員は、あらかじめ指定されている参集場所に速やかに参集することとなっております。
お話しの休日や夜間に災害が発生した場合ですが、公共交通機関が停止するということも考えられます。遠隔地に住む職員の多くは参集手段がなく、速やかな参集が困難ということが考えられます。したがいまして、初動段階のしばらくの間は、区内や隣接する地区に在住する職員のうち参集可能な職員を中心に応急対応に当たるということになっております。
区内及び近隣自治体に住んでいる職員につきましては、職員の約半分程度、約二千六百人でありますが、そのうち、職員自身や、また家族の被災によって一割程度は長期にわたって区役所に来ることができないと想定されております。残りの九割の職員が時間経過に沿ってどの程度参集できるのかですが、発災から一時間経過時点で約百八十名、二時間で三百九十名、四時間で約九百三十名、八時間で千三百名、二十四時間後で二千名を超える職員が、区役所や総合支所、各出張所やまちづくりセンター、また小中学校等の拠点に参集するというふうに想定しております。
地震の規模や被災状況によっても参集状況は変わってまいりますが、いずれにしましても、区の職員に対して、いざというときに円滑に参集できるように、日ごろから準備を行うよう引き続き周知徹底してまいります。
◆青空こうじ 委員 これは真夜中なんですが、今度は勤務時間中、お昼ご飯を食べている最中に、急に地震が起きてどうしても行かなきゃいけないというときにはどうなるのかお伺いしたいと思います。
◎笹本 災害対策課長 勤務時間内に災害が起こった場合ですが、出張所やまちづくりセンターに設置します拠点隊につきましては、災害初動段階において区の災害対策本部の情報収集活動等の最前線の役割を担うことになります。その観点から、拠点隊における職員の体制の早期の確立というのは極めて重要であると認識しております。
拠点隊とは、出張所やまちづくりセンターに勤務する職員と区役所等ほかの場所から参集する職員によって構成されるものでございます。勤務時間内に地震が発生した場合、拠点隊に駆けつける職員は、みずからの職場で同僚と利用者の安全確保を行った上で、速やかに所属長に拠点隊に参集することを報告し、指定の拠点隊へ参集行動を開始いたします。参集手段は自転車やバイク、徒歩を想定しております。
拠点隊への迅速な参集を確保する上で、参集する職員自身はもとより、送り出す側の所属長や職場全体の意識というものも必要であることから、一月十九日に行いました防災訓練におきまして、参集行動開始までの手順を、本庁や総合支所の各所属単位で改めて確認したところでございます。
◆青空こうじ 委員 以前、三軒茶屋でオール世田谷おやじの会の会合をやっているときに、打ち上げでちょうど乾杯と言った瞬間に、地震がぐらっと来ました。自衛隊の方がたまたまオール世田谷おやじの会に二人いました。震度四以上になると、すぐ近くの自衛隊に行かなきゃいけないというのですが、世田谷区でもそういうことはあるのか、ちょっとお伺いしたいんですが。
◎笹本 災害対策課長 勤務時間中、例えば食事中などに地震が起こることも十分想定されます。そういう場合も、職員については指定された場所にいち早く駈けつけるように指導徹底を行っていきたいと思っています。
◆青空こうじ 委員 世田谷区は池尻と用賀に自衛隊があるんですが、それへの連絡というのはどうやってとるんでしょうか。
◎笹本 災害対策課長 自衛隊には自衛隊自身が持っている無線の設備もございますし、また、区のほうが設置しておりますデジタルの無線というのもございます。ですから、双方独自の無線のシステムを持っておりますので、最悪、片方が故障した場合等につきましても、自衛隊との連携というのは速やかに行われるようになっております。
◆青空こうじ 委員 よろしくお願いします。
以上で質問を終わります。
○菅沼つとむ 委員長 以上で無所属の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後三時四十四分休憩
――――――――――――――――――
午後四時十五分開議
○菅沼つとむ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
自由民主党・新風、どうぞ。
◆大場やすのぶ 委員 まず、世田谷区における外郭団体改善計画について質問をいたします。
二十四年、二十五年度の取り組み案が二月に議会に示されました。簡単に振り返ってみますと、区では十年間を見通した外郭団体改善方針を十七年度に定め、三年から二年の短いスパンの改善計画を定めています。今回の取り組み案は、この改善方針の最終の二年間を対象にしたものと理解しています。また、公益法人制度改革などをきっかけに、区では二十年度に外郭団体改善方針に基づく取り組みの方向性等について策定をしています。これらの改善方針や方向性をもとにして、二十一年度に策定した改善計画、二十一年度から二十三年度を受け継ぐのが今回の取り組み案になると思っています。
ところで、基本構想、基本計画策定に着手した現在、外郭団体が進むべき方向がこれらとずれていてはなりません。区もそのような認識に立ち、この案を示されているものと思います。しかしながら、いろいろな計画などを背景にして考えていくのは何とも複雑でなりません。基本計画などと整合した次の改善方針や方向性を改めて定めていくのでしょうか。まず、外郭団体改善の土台なり軸足に当たるものは何なのか、改めて区のお考えを伺います。
◎小田桐 政策企画課長 外郭団体の改善計画につきましては、平成十七年度に策定しました外郭団体改善方針に基づきまして、各団体において毎年度取り組むべき課題を明確にし、基本的な方向性、目標年次を定めて、自主的、自立的な経営改善に取り組むよう指導してまいりました。
各外郭団体におきまして、二十四年度、二十五年度の外郭団体改善計画を現在策定しているところですが、区としましては、この二年間を新たな基本構想、基本計画に向けた基盤づくりの年次と位置づけております。外郭団体につきましても、同様の視点から改善を図ってまいりたいと考えております。また、二十六年度以降につきましては、新たな基本構想や基本計画を踏まえた改善の方針や方向性を示すことになります。
委員ご質問の改善の軸足についてでございますが、まず、改善の取り組みが団体の自主的、自立的なものであることが基本となるものと考えております。その上で、区の基本計画や財政見通しなどと整合を図り、執行体制の簡素・効率化、人事・給与制度、人材育成、経営の透明性の向上、そういった経営の基盤を整えた上で、各団体の将来に向けた役割を再認識して事業を見直し、改善の取り組みを進めるよう指導してまいります。
◆大場やすのぶ 委員 土台であり軸足になるものが先々ぶれては、せっかくの取り組み案も砂上の楼閣となりかねませんので、外郭団体改善の羅針盤を明らかにしておきたくて、今の質問をいたしました。
もう一つ確認しておきたいことがあります。報告にもあるように、区は外郭団体の改善計画の進捗状況を評価し、指導調整を行うことで外郭団体の改善を図るということからも、指導的な立ち位置から、今後定められていく基本構想や基本計画の方向次第によっては、外郭団体に対して改善のかじ取りの方向を変えることがあり得るのかという点についても、区のお考えを伺いたいと思います。
◎小田桐 政策企画課長 外郭団体は、行政サービスを補完、支援する役割を担うだけではなく、文化・スポーツの振興や健康増進、市民活動支援、公共施設維持管理などさまざまな分野で専門性を生かしながら、区民サービスを拡充する役割を果たしております。現在、審議会でご議論いただいている基本構想、基本計画は、今後の世田谷の公共サービスの将来に向けたものであり、各外郭団体に対しても区と連携して取り組む事業の方向性が示されることになります。
平成二十六年度を初年度とする外郭団体改善計画の策定に当たりましては、新たな基本構想、基本計画の検討を踏まえまして、外郭団体が担ってきた役割、実績も考慮した上で、さらに新たな区のビジョンの実現に貢献できるよう指導してまいります。
◆大場やすのぶ 委員 そこで、少し具体的にお伺いしたいと思います。この取り組み案の一ページに、「外郭団体は、行政サービスを補完・支援する役割を担うだけでなく、文化・スポーツの振興や健康増進、市民活動支援、公共施設管理など、さまざまな分野で専門性を活かしながら、区民サービスを拡充する役割を果たしています」とあります。
ここで一番最初に文化・スポーツとありますので、そこを例示にしたいと思いますが、演劇や音楽、美術、文学など専門分野における財団によっては、講演や展覧会など数年先を見据えては計画を立て、段取りを進めているはずです。また一方、スポーツを専門とする財団も、国体などをてこに地域スポーツ振興の段取りを考えているはずです。そうなりますと、それぞれの財団が検討している中長期の考えと区が今回示した取り組み案にギャップが生じかねません。そこを調整、指導なさっていかれると思うのですが、区が中長期のビジョンの骨格でも示さないとずれが生じるのではないかと危惧をいたします。
区では、二十四年度から二十八年度までの世田谷区中期財政見通しも示されています。今回の二年スパンのものはそれでよしとしても、このような中期を見通した感覚で、外郭団体にも改善の見通しを示すことも必要ではないかと思いますが、区のお考えを伺います。
◎小田桐 政策企画課長 委員お話しのとおり、本来、外郭団体の改善計画は、団体がそれぞれが持つ専門的見地から計画している事業の期間、その進捗状況等によって、取り組むべき改善の内容や期間設定も異なりますが、区としての中長期ビジョンにつきましては新たな基本構想や基本計画でお示しすることになり、その中で外郭団体と区との協働の方向性も明らかになります。
区といたしましては、各外郭団体には民間事業者としての自由な発想による事業の工夫に期待するところでして、その視点から、区の中長期ビジョンと整合を図りながらも、各団体において柔軟な発想による改善に取り組むよう指導してまいります。
◆大場やすのぶ 委員 先ほど例示した、それぞれの財団がよかれと取り組んでいることでありますので、その調整、指導のかなめとして、区には大所高所に立った見通しを示していただきたいことを申し上げて、次の質問に移ります。
次に、ESCO事業について質問いたします。
公共施設は、地域コミュニティーの拠点、災害時の防災拠点として、今日まで重要な役割を果たしてきました。その公共施設も全体的に老朽化が進み、近年の著しい社会的環境の変化に適応できない施設も多く見られるようになりました。しかしながら、昨今の厳しい財政状況において公共施設の整備がなかなか進まない状況です。
私は、財政状況が厳しい中でも公共施設の整備と省エネを推進する手法の一つとして、平成十五年度からESCO事業の導入について提唱してまいりました。ESCO事業は、既存施設の省エネ改修工事を行うとともに、その費用を光熱水費削減分で賄うため、コスト縮減と省エネが同時に達成でき、公共施設整備の一つの手法として期待できます。
施設整備のコスト縮減と環境問題が大きく取り上げられる中、区は昨年、本格的なESCO事業を総合運動場施設で導入することを決め、本年二月八日の環境・エネルギー問題対策特別委員会において事業者提案の内容が報告されました。最優秀提案事業者の提案内容は、総合運動場の年間の光熱水費について約四千四百万円の削減を行い、消費エネルギー削減率は三三%というものでした。今後、最終提案事業者が施設の詳細調査を行い、区との協議が調った後に、本年八月ごろにESCO事業者と契約を結び、平成二十四年度に総合運動場施設の消費エネ改修工事を行うということですが、そこで大きな成果が得られることが期待されます。
そこで、まず初めに伺いますが、今回の総合運動場施設の事業者提案について、区はどのように評価しているのかお伺いいたします。
◎北川 施設営繕第一課長 総合運動場施設ESCO事業につきましては、昨年九月に事業提案の公募を行い、十二月に選定委員会で審査し、最優秀提案事業者と優秀提案事業者を選定いたしました。最優秀提案事業者の提案内容は、本年二月の環境・エネルギー問題対策特別委員会に報告させていただきましたが、電気、ガス、水道の光熱水費削減額が年間約四千四百万円になることが期待できます。これは、現在総合運動場施設で使用している年間光熱水費の約四分の一に当たり、また環境の面では、消費エネルギー削減率は三三%、原油に換算すると約四百キロリットルの削減になります。これは総合運動場施設の削減分だけで区長部局の年間消費エネルギー量の二・五%に当たり、省エネ法で目標とする区長部局の年一%の削減が余裕を持って達成できます。そのほか二酸化炭素削減率は三一・三%でした。
さらに、当初の省エネ改修工事に係る費用約一億七千八百万円はESCO事業者が負担し、区は毎年、サービス料として光熱水費削減分以内でESCO事業者に支払うため、区の新たな負担を伴うことなく、省エネ効果のある設備機器に更新することができます。このように、総合運動場の施設整備に当たり、財政負担軽減と環境負荷低減が期待できます。
◆大場やすのぶ 委員 今の説明でも財政負担軽減や環境負荷低減の面で大きな効果が期待できるということですが、これだけの効果が出るならば、もう少し早く実施できなかったのかという思いも正直あります。
私は、昨年から今回の事業導入までの経過を見てきましたが、事業の導入可能性調査や事業提案の公募、選定委員会の審査による最優秀提案事業者の選定など、事業を進めるに当たって職員の事務的な負担が大きいことは理解できます。しかしながら、平成十五年度の私の提案から今回の本格的なESCO事業まで大変長い年月がかかった要因がほかにもあるのではないかと思います。
そこで伺いますが、これまで実施に踏み切れなかった原因は何であり、どんな課題があったのか。また、今後も他施設でESCO事業を推進していくためにはどのようなことが必要なのか、区のお考えをお伺いいたします。
◎北川 施設営繕第一課長 ESCO事業は、省エネ効果の高い設備機器への更新や空調、給水システムの変更などにより省エネを実現し、光熱水費削減に結びつけなければならず、高度な技術力が必要となります。民間のESCO事業者の事業提案を活用していくためには、区においてもプロポーザルを実施する体制の整備と事業提案の内容について理解する技術力が必要となります。これまで時間はかかりましたが、ESCO事業導入のための推進体制の整備と技術職員の技術力向上に努めてまいりました。
総合運動場施設のESCO事業につきましては、事業主管となるスポーツ振興担当部のほか、環境総合対策室や技術職員を擁する施設営繕担当部が協力して行う体制を整えて取り組みました。今回の総合運動場施設の本格的なESCO事業を通じて、庁内推進体制の整備、事務局の体制整備、技術職員の技術力向上が非常に重要であることがわかりました。特に新たな課題に挑戦していこうとする職員の意欲を引き出し、取り組んでいくことが重要であることを学びました。
◆大場やすのぶ 委員 職員の技術力の向上とか、職員の意識が大変重要だということがわかったということでありました。
また、先月の
企画総務常任委員会におきまして、老朽化した公共施設の外壁からモルタル等が落下し、また、耐用年数を大幅に超えたボイラーなどの熱源機器の故障によって長期に冷暖房が停止する心配があることから、今後、計画的に施設改修を行い、その際、トータルコストや消費エネルギーの縮減にも努めていくとの報告がありました。財政状況が好転しない中でも、特に安全面や施設運用面における公共施設の整備は必要であり、施設整備に当たっては省エネの推進も非常に重要となっております。
私はかねてから、財政状況が厳しい今だからこそ、みんなで知恵を絞り施設整備を推進していくことを提唱しており、ESCO事業はその有力な手法の一つであると考えております。
昨年の東日本大震災において、公共施設は災害時の防災拠点として重要であるとともに、震災後も機能を維持し、継続して使用できることが重要であることが改めて認識されました。また、昨今のエネルギー事情から、さらなる省エネにも努めなければなりません。
このためにも、公共施設整備において財政負担軽減と環境負荷低減のため、今後も積極的にESCO事業を導入していくべきと思いますが、区のお考えをお伺いします。
◎北川 施設営繕第一課長 区公共施設は、今後、安全上や運営上の面から計画的に整備していくことが必要です。その際、コストや省エネにも十分配慮することが重要であるとの観点から、本年二月の
企画総務常任委員会において、
公共施設中長期保全計画大規模施設改修の方向性(案)について報告させていただきました。
今回の総合運動場施設のESCO事業で、エネルギー使用量が大きな施設や利用時間が長い施設ほど事業効果が大きいことが明確になりましたので、今後、
公共施設中長期保全計画の中で、それらに該当する施設を対象にESCO事業導入を検討してまいります。
また、
公共施設中長期保全計画を進めるに当たって、ESCO事業はトータルコストや消費エネルギー縮減を図る有力な手法の一つとして考えております。さらに、今回の事業を通じて、より効果的にESCO事業を推進する方法の研究とともに、職員の技術力向上や育成を進めてまいります。
今後も、公共施設整備に当たりESCO事業を積極的に活用しながら、財政負担軽減と環境負荷低減に努めてまいります。
◆大場やすのぶ 委員 積極的なご答弁でありがとうございました。ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
次に、ホームページに関する質問をいたします。
ホームページは、広報紙と異なり、新しい情報を得るだけでなく、過去の事柄、あるいは行政サービスの仕組みや内容について知りたいときにも大変に役立つ、なくてはならない情報ツールとなっております。それだけに、すべての人にわかりやすく使いやすいホームページの構築が求められており、私はこの間、特別委員会でも何回かこの点について質問させていただいております。
区では現在、ホームページの改善に取り組まれ、ことし七月にはリニューアルされると伺っています。私は、二十二年の決算特別委員会で区ホームページの問題点、課題を伺ったところ、情報の分類がわかりにくい、必要な情報にたどり着きにくい、全体の統一感がないといった点を挙げられていましたが、今回のホームページの改善で、これらの課題についてどのように改善されたのか、まず状況をお伺いいたします。
◎平澤 広報広聴課長 現在の区のホームページには、情報分類がわかりにくい等の幾つかの課題があると認識しております。今回の再構築に当たりましては、この間、現在のページ構成やアクセス数をもとにした分析を行い、それを次期ホームページの構造設計に生かしたり、新たに情報分類を全面的に整理するなど大幅な見直しを行っております。また、区のホームページ全体を作成、管理するコンテンツ管理システム、いわゆるCMSと呼ばれているものの入れかえも予定しており、この機能を活用する中で、目的とするページを探しやすくし、トップページから直接詳細ページに飛ぶことができるようにしたり、複数のルートから情報を探すことができるようにしたりするなどの改善をいたしたいというふうに考えております。
さらに、現在、一万ページ以上に及びます個別ページを新たなシステムにデータ移行するに当たって、各所管も交えて一ページごと目視によるチェック作業を行い、不適切なページを修正するなどの作業を行っており、これまでの課題の改善に向けて取り組みを進めているところでございます。
◆大場やすのぶ 委員 しっかりと取り組んでいただきまして、よりわかりやすい、使いやすいホームページの構築に取り組んでいただきたいと思います。
次に、使いやすいホームページという視点に立った場合、高齢者や障害を持った方々を含め、だれもが使いやすいことが重要です。今回の改善でこれら高齢者や障害者などにも配慮した点としてどのようなことが挙げられるのでしょうか、お聞かせください。
◎平澤 広報広聴課長 現在のシステムにおきましても、読み上げソフトに対応させるためにページ作成を行う上で配慮すべき点について、研修や日ごろの事務運用の中で各所管課の担当者に周知し、適切なページ作成となるよう努めてまいりましたが、読み上げできない画像化されたPDFファイルだけしか添付されていないなど、高齢者、障害者にとって必ずしも使いやすいホームページになっていなかったところがございました。
今回の改善に当たっては、先ほど申し上げましたデータ移行に当たっての目視によるチェックの際、システムでは対応できないさまざまな点についても十分に確認するとともに、PDFファイル等読み上げの妨げとなる添付等がされた場合にはエラーメッセージが出るなど、日ごろから各所管課がホームページを作成する際に、これらの点に十分に留意するようなシステムを採用するなど、これまで以上に、高齢者、障害者等に配慮した画面づくりができるよう配慮いたしております。
◆大場やすのぶ 委員 配慮しているということで、高齢者、障害者の方々にとってもより使いやすいホームページの構築に向けて十分な対応をお願いいたしたいと思います。
さて、ホームページは広く即時に簡単に情報提供ができることから、災害発生時の情報伝達における役割も非常に大きなものがあります。さきの東日本大震災において区では、帰宅困難者対応を初め、災害情報をホームページ上に掲載し情報提供されましたが、今回の経験を通じて、現在のホームページにおける災害時の対応に問題はなかったのか、そして、新しいホームページではそれをどのように改善されるのかお伺いいたします。
◎平澤 広報広聴課長 昨年の東日本大震災発災後におきましては、迅速な情報提供に当たって、改めてインターネットやホームページの果たす役割の重要性を認識するとともに、現在のシステムの持つ課題が明確になったところでございます。
現在のシステムでは、緊急に災害情報用にまとめたメニューページを用意したり、ページを即時に更新するといった対応ができず、手作業でホームページ上のプログラム言語を書きかえたり更新することが必要でございまして、これら作業に習熟した職員の人手に頼るなど、所管をまたいで一度に多くの情報を即座に提供するといったことが難しい点がございました。
新しいシステムにおきましては、これらの課題を改善し、複数のページを関連づけながら同時に更新したり、作成したページを即時に公開することを可能にするといったソフト面での改善とか、災害を考慮した堅牢なデータセンターに、専門業者が設置して管理する機器を区が利用していくというハード面での災害対応力の向上も図ってまいりたいというふうに思っております。
◆大場やすのぶ 委員 災害時には、特に的確な情報をできるだけ早く区民に情報提供することが大切ですので、ぜひ災害対応力の充実を図っていただきたいと思っております。
ところで、区内在住の外国人の人々にとっては、日ごろから情報収集の手段が限られており、外国語によるホームページからの情報発信は有効な手段と考えられます。特に先ほどの災害時を初めとした緊急時においては即時性の観点からいっても大変に有効と考えますが、東日本大震災の際の区のホームページ上での外国語の対応は不十分ではなかったかと思います。この点についてどのような課題があり、また、これらの課題は新しいホームページ上では改善されるのかお伺いいたします。
◎平澤 広報広聴課長 委員ご指摘のとおり、災害時などの緊急時における外国語による情報提供に関しましては、翻訳や即時性などの体制面で課題がございました。しかしながら、近年の技術革新により、システムによる自動翻訳の精度が向上してきたこともあり、ホームページ上での情報を即時に自動翻訳して表示するサービスが比較的低コストで提供されるようになりました。都内各自治体においてもこれらを活用する例がふえてきております。
区においても、これら自動翻訳サービスの機能について情報を集め、区のシステムに適合するか、翻訳精度はどうかなどの調査を行っているところでございます。システムによる自動翻訳は、専門家が翻訳する精度には及ばないものの、外国語で提供できる情報量が格段にふえるなど、緊急時の情報提供においては役立つと考えられます。このたびの再構築の稼働時期に合わせて、英、中、韓、三カ国語の自動翻訳サービスの導入に向けて検討を進めているところでございます。
◆大場やすのぶ 委員 導入に当たる場合は、より役立つサービスを導入されるよう十分に検討していただきたいと思います。
幾つか質問してまいりましたけれども、今回の改善によって、区のホームページの機能が現在のものと比べてかなり向上することがわかりました。しかしながら、向上させるべきはホームページの機能だけでなくて、区がホームページからどのような情報をどうわかりやすく発信するか、つまり情報の内容の充実にもかかっています。実際にホームページを作成する職員のスキルアップにも十分取り組まれることを強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
次に、債権管理重点プランについて質問をいたします。
世田谷区の全債権の収入未済は、二十二年度決算において百七十七億円あります。債権管理重点プランでも問題意識を持って取り組んでいる姿勢はわかりますけれども、現在、徴収強化や電話催告センターの活用など、これまでの取り組みが改めて載っているとだけしか思えません。債権管理の取り組みについて何か新機軸が求められると考えますが、区の見解をお伺いいたします。
◎大澤 経理課長 債権管理の新機軸についてでございますが、現行の債権管理重点プランにおいては、弁護士等の専門家と連携した取り組みや電話催告センターにおける民間活力の導入、携帯電話を利用したモバイルレジによる収納等、主に公金の債権回収業務に関する官民の連携や新たな収納方法による納付機会の拡大といったテーマについて取り組みを行ってまいりました。
具体的な実績としましては、弁護士と連携した私債権の整理回収業務では、二十二年度に委任した二十九件の約半数以上、十六件で約二千四百五十万円の支払いに応じてございます。また、電話催告センターの催告業務では、平成二十一年度より民間事業者に業務委託しております。二十二年度からは、特別区民税、国民健康保険料に加え、保育園の保育料まで催告業務を拡大してきております。また、二十三年度から新たに導入したモバイルレジでは、特別区税、国民健康保険料、介護保険料において、これまでに約三百件程度の納付がございました。
委員からご指摘がありましたとおり、平成二十四年度を初年度とする新たな債権管理重点プランにおきましては、債権管理のさらなる効率化のためには新たな取り組みが求められている状況にあると認識しております。こうした取り組みに関しましては、次期プランを実施する中で、債権回収の工夫に取り組む他自治体等の例も参考にしながら研究を行い、区の債権管理の強化に努めてまいりたいと考えてございます。
◆大場やすのぶ 委員 なお一層の取り組みをお願いいたしたいと思います。
次に、債権管理重点プランには課題として口座振替利用の推進や徴収体制の検討等が示されていますが、このうち徴収体制の検討は新機軸の芽となると思います。公債権の中心である区税を所管する納税課で具体的な検討は行われないのか、区のお考えをお聞きいたします。
◎藤間 納税課長 特別区民税の収納状況でございますが、現年分がおおむね九七・五%、滞納繰越分が二五%前後の収納率で推移しております。税の効率的、効果的な徴収のためには、現年度のうちに徴収し、滞納繰り越しとさせないことが鉄則でございます。納税課では現在、課員八十九名、九係、そのうち徴収事務には五十五名、六係で当たっておりますが、主として地域割り組織で運用しており、現年分徴収の鉄則が必ずしも十分貫かれているとは言えない状況にあると考えております。
そこで、収納率の向上に向けて、現年分の早期からの相談、徴収を充実すること、量的な整理と質的な整理を切り分けること、機動性を持たせること等の視点から、組織のあり方の具体的な検討を始めてございます。
◆大場やすのぶ 委員 ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
以上で私からの質問は終わります。
◆新川勝二 委員 私からは、初めに、公共施設の品質向上とコスト管理についてお聞きしてまいります。
私は、昨年度の予算特別委員会において、公共施設の品質向上とコスト管理について提案を含め何点か質問いたしました。本日は、その後の検討経過と総合的な取り組み方針を中心にお聞きしたいと思います。
昨年の東日本大震災では、公共施設が災害時の防災拠点として非常に重要な役割を果たすとともに、震災後に電気、水道、ガスなどのライフラインが一定期間停止しても、継続して使える建物にすることが重要であると改めて認識いたしました。このため、今後、公共施設を新築または改築する際には、昨年の大震災を教訓に、安全で災害に強い建物にすることが大事であると思います。
このようにさまざまな災害の状況を想定して、それに対応できる必要な機能を備えることは、それなりのコストはかかりますが、私は、これまでのコスト管理の取り組みを徹底的に見直すことによって建設コストの縮減を図りながら、公共施設の品質向上も達成できると考えております。
そこで、冒頭に申しましたように、昨年の予算特別委員会で私は、建設コスト管理のために、実態に合った建設費の算出方法と建設時の標準仕様書の整備について提案いたしました。
まず初めに、実態に合った建設費の算出方法でございますが、建物の計画の初期に建設総額をできるだけ精度を上げて算出するということは、建設コストの管理にとって非常に重要であると指摘したところでございますが、区から、建設計画の初期段階における建設費の適切な算出方法について早期に検討する旨の答弁がありましたが、その後の検討経過はどうなっているか、お聞きしたいと思います。
◎北川 施設営繕第一課長 建設計画の初期段階における実態に合った建設費の単価設定は、設計を進める上で建設コスト縮減のスタートラインであると考えております。そこで、東京都で使われている標準建物予算単価の考え方を参考にしまして、世田谷区の施設として実態に合った建設費の単価設定を検討してまいりました。
建物の工事には、大きく建築、電気、機械の業種があり、それらの工事費の比率を計画建物の用途から概算で示せるようにいたしました。また、建設コストは建物の構造、基礎の形式などにより大きく影響されることから、できるだけ計画建物に類似した標準建設費から算出できるようにいたしました。
また、昨今の社会的背景から建物に付加すべき要素もあります。例えば太陽光発電、ユニバーサルデザイン、緑化、雨水浸透などですが、今後、このような要素は増加する傾向にあるため、コスト負担をしっかり把握し、必要なもの、必要でないものを初期の設計段階で確認、判断できるように整理いたしました。それにより、設計段階での建設総額は従来よりも精度を上げて算出することができるため、今後、コスト管理が適切に実施できるものと考えております。
◆新川勝二 委員 次に、建設時の標準仕様書の整備でございますが、同じ目的や用途の建物であっても、内装や外装などの仕様において違いが生じてくる場合があります。公共施設は、保有すべき一定の水準は確保しつつ、施設間の質的な格差が生じないようにすることが大切であると思います。このためには、公共施設の設計時において標準的な仕様を整備しておくことが重要であると考えます。
これまでも区は、多くの公共施設を設計してきた実績があるために、そのノウハウを集約して、建物用途ごとの設計標準を整備することが可能であると考え、建設時の標準仕様書の整備について提案したところ、区から、建設計画の初期段階における建設費の適切な算出方法と並行して調整、検討する旨の答弁がありましたが、その後の検討経過はどうなっているか、伺いたいと思います。
◎北川 施設営繕第一課長 今回の公共施設の建設に当たっての標準仕様書の作成では、近年の実績などを踏まえ、あんしんすこやかセンターを含む出張所とまちづくりセンター、地区会館、保育園、図書館の四用途の施設について、関係所管の協力を得まして標準仕様書を検討してまいりました。標準仕様書の作成では、計画施設に求められる機能を明らかにし、公共施設として保有すべき水準の均衡を確保すること、また、過去の実績などを踏まえ、特注品を使うのではなく、徹底した市販の汎用品の使用などが主要テーマになり、これらを検討、作成いたしました。
しかしながら、今回は新たなテーマとして、災害時においても施設が安全で継続的に使えるようにする災害時の公共施設の役割、さらには再生可能エネルギーや高効率機器を積極的に採用するなど、環境に十分配慮することも検討すべきテーマとして位置づけました。これにより、この標準仕様書は実態に合った建設費の算定に際してのよりどころとなり、公共施設の品質の向上、コスト管理の観点からも効果があるものと考えております。
標準仕様書については現在ほぼまとまり、平成二十四年度から区公共施設の新築、改築における基本設計、実施設計で活用していくとともに、改修工事についても準用してまいります。
◆新川勝二 委員 昨年の予算委員会で、私の提案を含めて質問した実態に合った建設費の算出方法や建設時の標準仕様書の整備については、区はこの一年間で積極的に取り組んで、ほぼ問題を解決したということは大変評価しております。
また、私は昨年の質問の中で、公共施設の品質向上とコスト管理は豊富な実務経験と高い技術力が要求され、これまでの設計技術やノウハウを積み重ね、技術職員の経験と能力を結集することが重要であると指摘しました。これに対して区は、インハウスVEの取り組みや若手職員の技術研修を取り入れるなど、公共施設の品質向上とコスト管理を推進するためには、さまざまな取り組みを単独で進めるのではなくて、それぞれ連携をとって総合的に取り組まなければなりません。
区民の生活と安全に深くかかわる区の公共施設は、区民にとって貴重な財産であり、今日の厳しい財政状況の中で必要以上に華美にすることではなくて、公共施設としての必要な水準を確保しつつ、建設コストを少しでも抑えて施設整備をしていくことが重要であると思います。
このためにも、公共施設の品質向上とコスト管理について総合的な取り組み方針を策定すべきと考えますが、区のお考えをお聞きいたします。
◎北川 施設営繕第一課長 公共施設の品質向上とコスト管理について、設計スケジュールの要所要所で組織として計画的に取り組むことが重要であると考えます。公共施設の設計は、基本構想から基本設計、実施設計へと移行し、それぞれの設計段階で目的と設計制度に合わせて建設コストを示すことになります。
そこで、総合的な取り組みといたしましては、基本構想段階で標準仕様書を示し、コストに関する課題をしっかり抽出します。次の基本設計段階で、できるだけ計画建物に合わせたコストを設計事務所に提示し、求められる品質を確保します。また、この段階で省エネなどの社会的要因により付加する要素なども整理し、コストの視点から設計内容の妥当性を明確にします。さらに、コスト管理に最も効果のある段階である基本設計終了時において、職員によるコスト管理手法でありますインハウスVEを実施し、これにより確実に建設コストの縮減を図り、縮減した建設単価をもとに実施設計に取りかかることにいたしました。
このように、設計のスケジュールに合わせ、組織としてコスト管理のための取り組みを実践することにより、建設費を三から五%縮減することを目標とします。今後も技術職員のさらなる意識改革を図り、公共施設の品質向上とコスト管理に取り組んでまいります。
◆新川勝二 委員 今答弁があったように、コストの問題は建設にとって重要であると思います。今後も努力して、いい仕事をしてほしいと思います。
それでは、次の質問に移ります。次に、防災問題から質問をしてまいります。
もう一年過ぎようとしていますが、三・一一、東日本大震災の事例を引くまでもなく、沿岸各地を襲った地震と津波の恐ろしさを知らされました。そのときに、世田谷区では震度五弱を経験してまいりました。恐ろしさに何もできなかったことを改めて思い出します。今、第二庁舎の一階ロビーで宮城県女川町の被災記録の写真展が展示されておりますが、津波で平地のほぼ大部分が壊滅状態だったということがわかります。津波の恐ろしさが生々しく伝わってまいります。
もう十七年たちましたが、阪神・淡路大震災当日の朝、管理人が学校の門をあけると、門の外に詰めかけていた避難者がどっと校内に入ってきたといいます。想像を絶する大災害の前には自然の脅威に恐れおののくしかありませんが、備えあれば憂いなしといいます。各家庭において十分な備えがあれば、被害を最小限に食いとめることが可能でございます。
また、のど元過ぎれば熱さを忘れるというように、ともすれば時間の経過とともに関心が薄れ、危機意識が低下することがあります。危機管理は危機を危機として感じたときに始まると、危機管理の箴言の一つであります。
我が国は地震大国と評されます。特に地震を中心とする災害には、常に危機意識を持って取り組むことが大切であります。死者が二万人近くにも及ぶ東日本大震災、被災された方々の悲しみ、苦しみ、捜索活動や復旧活動に従事された方々の慟哭、辛苦を忘れてはならないのであります。日常の安全点検、危険度を減少させる対策、安全な避難経路の確認、避難生活での二次災害の防止など、家族一丸になった取り組みに期待がかけられます。
また、学校というのは、災害時、外部の救援体制が整うまでの初期段階における防災・避難機関として重要な役割を果たします。そのようなとき、避難所にはさまざまな人々が出入りいたします。避難所運営について大事なことは、現場が混乱しないことであります。
そこで、一目で役割がわかるようなスタッフジャンパー等を着せることはできないか、お聞きいたします。
◎笹本 災害対策課長 災害の発生した際には、区の職員は防災用のベストや役割が記載された腕章等を装着し、区の災害対策本部の職員であることがわかるように表示することとしております。一方、避難所における避難所運営本部の部員につきましては、「本部」や「給食物資担当」などが記載され、役割ごとに色分けがされた腕章をつけることとしております。また、医師会から派遣される医師や看護師、ボランティアの方などは役割が明記されたベストを着用することとしております。
避難所における役割を明らかにするためにこのようなベストなどを着用することは、避難所運営上有効であると考えられます。今後、被災地の例などを参考にしながら、避難所運営委員会の意見も伺って、スタッフジャンパーというご提案がございましたが、どのようなものを着用することが効果的か、関係所管とともに検討してまいりたいと考えております。
◆新川勝二 委員 地震時に一番恐ろしいのは火災の問題であります。身近なところで起きてしまった場合の対応が一番避難所の運営では緊張します。ふだんから市民生活による防災コミュニティー活動を通じて安心安全な地域づくりを推進することが必要であるということを痛感いたします。地域防災は市民生活の基盤であり、災害危険が蓄積する生活圏で推進することが重要でございますが、防災行政はこれへの対応がうまくできていないんじゃないかなと指摘されます。その意味では、区民にとって身近な出張所・まちづくりセンターの役割が大事であると思います。
世田谷区では、住宅密集地域が多く存在していますし、また、震災時の復旧後の通電火災等も指摘されるわけでございます。また、シナリオのない防災訓練と言われて、ふだん生活している市街地、道路や公園などが避難訓練会場となる発災対応型の防災訓練などがありまして、先日、若林・梅丘地区で行われましたが、仮想町会本部を立ち上げることや、人命救助、災害時要援護者避難訓練、そして初期消火や延焼火災防止などが行われました。
ここで問題になるのは初期消火、そして延焼火災防止であります。スタンドパイプというのがありますが、スタンドパイプは各町会でも持っているところがありますけれども、十五、六万円もするということであります。全部の町会が用意しているとは限りません。
そこで、出張所またはまちづくりセンターに常備しておくことが有効ではないでしょうか、お伺いいたします。
◎笹本 災害対策課長 地震等が起こった場合は、やはり火災が一番心配されるわけでございます。その初期消火の道具としましてスタンドパイプというものがございます。これは消火栓の水圧を利用する消火器具でありまして、消火栓が設置されている箇所であれば、D型ポンプのような動力を必要とせず、ホースと筒先、消火栓をあける器具があれば迅速な消火活動が可能になります。操作方法を習得することで、女性でも使用が可能であり、平常時及び震災時における地域防災力の向上を図ることができると認識しております。
区では来年度、お話しのように全出張所・まちづくりセンターにスタンドパイプを一台配備する予定でおります。配備後につきましては、区の職員や近隣町会などの方に対して消防署から操作方法の指導を受けるなどによって、火災発生時には区民の方がスタンドパイプを使用して消火活動を行えるなどの効果が期待できます。
今後は、防災区民組織に対しましてスタンドパイプの有効性の周知や防災資機材助成を活用したスタンドパイプの配備促進を進めていきながら、地域防災力の向上に努めてまいりたいと考えております。
◆新川勝二 委員 行く行くはスタンドパイプが各避難所、町会にも配備できるとよいと思います。
専門家は、今後数年間、M7クラスの大地震が日本じゅうのどこかでいつ起きてもおかしくないと警戒を呼びかけておりますが、しかし、もし起きた場合、そんなとき避難所で一番困るのは水の問題であります。災害による断水時における飲料水の補給の問題で、避難してくる人々に対して、あるいは自宅にいる人が飲料水を欲しいと避難所に来る場合とか、帰宅困難者が飲料水を求めてくる場合とか、避難所に常備している飲料水だけでは足りなくなってくる場合が出てまいります。給水車が来ないという場合も想定しておかなければいけないと思います。
そこで提案ですが、先ほど申しましたスタンドパイプを利用して消火栓から給水をとれないだろうかと考えるのですが、お考えをお聞きします。
◎笹本 災害対策課長 災害による断水時における飲料水の確保につきましては、各家庭での自助による備蓄をまずは基本といたします。公助による給水につきましては、区内や隣接する自治体にございます十二カ所の給水拠点で配付することとしております。東京都では給水車を何台か保有しておりますが、主に病院等重要な施設への供給に使用することが想定されます。
また、東京都では十二カ所の給水拠点での配付を補う手段として、お話にありましたように、消火栓からスタンドパイプを活用しまして水道水を供給する手法を検討していると伺っております。消火栓は区内に約九千カ所あることから、状況によっては避難所により近い場所で仮設の給水拠点を開設することが可能と考えられます。この仮設給水の手法につきましては、一月十九日の世田谷区の防災訓練や、お話にありました三月四日に若林・梅丘地区で行われました発災対応型の防災訓練におきまして、東京都の水道局によりますデモンストレーションが行われ、区も見学や体験をさせていただきました。
この新たな手法につきましては、簡単な方法で飲料水を確保できるということから、災害時における飲料水確保の一助となる可能性はございます。しかし、運用面や安全面から課題も多くあると聞いておりまして、東京都による検討を注視してまいりたいと考えております。
区といたしましては、生命維持に欠かせない飲料水の確保の重要性については十分認識しており、給水拠点開設訓練の実施や飲料事業者との災害時の協力協定の締結など、区が取り組める対策を今後も進めてまいります。
◆新川勝二 委員 給水の問題は切実な課題となりますので、よろしくお願い申し上げます。
きのうの日本経済新聞には、「首都直下地震で震度七も」という見出しで、首都直下を震源とする東京湾北部地震で従来の想定を上回る震度七という揺れが首都圏の一部を襲う可能性があるとの分析結果を発表したといいます。二十三区東部の沿岸地域や神奈川と東京都の境界付近など、従来でも最大で震度六強としておりました。震度六弱だった世田谷区にも影響があるかもしれません。
防災・避難所として学校が効率的に機能するためには、学校と地域とが一致団結して取り組まなければなりません。このためには、学校と地域とが日ごろから連携を深め、万が一の事態に備え、円滑な協力体制が組めるようにしておく必要があります。そのためには、地域の町会と学校協議会とが定期的に会合を持ち、組織的に活動できる体制を整えることが大事であります。避難所運営のチェックリストなどをつくり、持って、準備しておく必要があると思います。
釈迦に説法という感が否めませんが、避難所を開設した場合、混乱のないように力を合わせて運営しなければなりません。危機管理室の役割は大きい、重いと言わざるを得ません。区民に情報を早期に発信し、区民の不安を取り除いてほしいと思います。
以上で私の質問を終わります。
◆石川征男 委員 私は、住民力の調査研究と人口動態についてお聞きいたします。
せたがや自治政策研究所の「世田谷区民の『住民力』に関する調査研究」が日本都市センターの主催する第二回都市調査研究グランプリで自治体実施調査研究部門の優秀賞に選ばれたということで、先日、一般質問の冒頭で我が党の小松議員からも紹介がありました。この賞は、全国の都市自治体十三団体で行った調査研究の中から選ばれたということで、せたがや自治政策研究所の努力の結果であると高く評価するものであります。本日は、その住民力の研究が今後どのように生かされていくかという観点に立って、幾つか質問をしてまいります。
区議会議員にも住民力研究報告書が配られたところでありますが、概要を読みますと、この住民力は、行政と住民のパートナーシップを形成する上で重要であるとされています。住民力が高ければ、地域への愛着心や参加意欲、また、住民解決志向も高まるということです。単純に考えれば、世田谷区の住民力を底上げすれば、個々住民の意識が向上し、ひいては地域での問題解決志向が高まると理解できます。しかしながら、報告書では学術的な表現が多いこともあり、なかなか理解しづらいところも正直あります。
そこで伺います。この研究は何を目的とし、何が明確になったのか、わかりやすくご説明をお願いします。
◎吉原
政策研究担当課長 ただいま委員のお話にもございましたとおり、この研究におきましては、住民力を人や地域とのかかわりですとか町内の方々への信頼の度合い、また、その区民の方が個人で持っているネットワークの量といった、住民の持つソフトな資源というふうに定義をいたしました。この住民力が望ましい地域社会を形成するための資源としてどのような効果を発揮するのかを明らかにすることを目的として、二〇〇九年九月に、二十歳以上七十五歳未満の区民約一万名の方を対象とした統計的な標本調査の結果をもとに分析を進めてきたところでございます。
今委員がお話しになったいろいろな結果が出ておりますが、そのほかに、分析の結果、住民力が高い方ほど地域への愛着、地域活動への参加意欲、それだけではなくて、例えば国政選挙ですとか地方選挙といった、両方の投票行動の頻度も高いという結果が出てございます。さらには、例えば子どもの見守りですとか高齢者に対する簡単な支援、それから、地域の課題解決というのは、自分たちで解決しようという意識が高いということが非常に明らかになってきているところでございます。
また、住民力を男女別に見てみますと、例えば男性の住民力というのは実は戸建て率ですとか老年人口比率と、また、女性の住民力というのは年少人口比率と非常に高い相関がございました。男女で差が非常にはっきり出たところでございます。また、二十七の出張所・まちづくりセンター別に解析をしましたけれども、それぞれ地域ごとに差が出ているということが確認されたところでございます。
さらに、世田谷にお住まいになる年数が短い、居住年数が短いですとか単身世帯である、それから三世代世帯でないという、いわゆる住民力が低い傾向の方たちが住民力の高い地域に行きますと、住民力の低い地域に比べまして、こうした方々の住民力も上がるということが出てございます。つまり、地域全体の住民力が個々の住民の住民力に影響を与えているということが明らかになったと認識しております。
◆石川征男 委員 住民力分析は、一万人を対象とした標本調査のもとにさまざまな観点から行ったということで、男性、女性による住民力の違いが明らかになり、また、居住年数が短い方、単身の方は住民力が低い傾向があるということですが、この分析結果が一律に当てはまるものではないと思います。
現段階では、標本調査分析結果ということで個人の考えや意識が明らかになったものであり、住民力の高い地域での住民参加についての検証が必要だと考えられます。ことしも引き続き住民力の研究を進めているようですが、今年度の研究はどのような観点から行われるのかお聞きいたします。
◎吉原
政策研究担当課長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、住民力が高い地域では、居住年数が短く、単身であるといった方々の個々の住民力も高くなってくるという傾向がございます。そうした地域では、例えば町会ですとか自治会、市民活動団体などによる地域活動が他の地域と比べて活発で、こういった活動の参加を通じて、人と人、地域とのつながりが構築できるのではないか、個々の住民力を高めているということが考えられるところでございます。こうした仮説を実際に検証しようということで、標本調査ではなくて実際に調査分析、検証していこうということで、ことしやっているところがございます。
本年度の研究では、住民力の高い地域、実際に日ごろからいろんな活動をなさっている地域団体のところに伺いまして、研究員がヒアリングをしているところでございます。例えば非常に住民力の高い青少年地区委員の方ですとか支えあい活動をやっているところに伺って、その特徴のある活動内容ですとか区民主体で進めている運営の手法、それから、若い世代を中心とする新しい担い手をどう発掘するかとか、参加をどう促進するかとかといういろんな取り組みなんかを調査しているところでございます。
現在、調査研究を現在進行形で進めているところでございますが、今後、こうした具体的な事例から得られました手法やノウハウといったものを蓄積いたしまして、他の地域で導入といった水平的な展開などの可能性を探ってまいりたいと考えております。
◆石川征男 委員 住民力の得点の高い地域について、その地域の取り組みの具体的事例などを調べ、他地区への導入を意図した調査研究であるということです。せたがや自治政策研究所としては、この成果を何らかの施策に結びつけ、世田谷区の住民力を高めていくことが求められると思いますが、お考えがあればお聞かせください。
◎吉原
政策研究担当課長 今委員のおっしゃられたとおり、この成果を、今後調査分析を進めまして、本年の五月をめどに報告書としてまとめていく予定でございます。現時点におきまして、例えば地域支えあい活動のサロン等の参加者の方、いわゆる支えられる側から今度は支える側に回るといった仕組みですとか、地域活動へ参加して、やりがいだとか楽しさを実感してもらうことで、その後、うまく若い方々も担い手になっていくという特徴のある取り組みが今現在確認されているところでございます。
今後、こうしたノウハウの蓄積を進めまして、先ほど申し上げました他の地域での導入ですとか、例えば住民力の高い区民に対しまして、より自主的、主体的な地域参画を推進することで、地域全体に波及効果が期待できないかな、こういった取り組みが考えられないかなとか、また、逆に住民力の低い世代ですとか地域を対象といたしまして、まずは気軽に地域活動に参加できる取り組み、例えばきっかけをどうつくるかとか、場づくりだとか、そういった施策にいろいろ反映させられないかということを考えているところでございます。
とにかく世田谷は非常に大きく、世田谷区全体で八十八万区民ということでございますので、一律の施策ではなくて、地域の特性、また、そこで生活している区民の方の特性、地域で展開されている活動の実情に合わせたきめ細かい施策を展開することによりまして、より効果的な取り組みということが可能になるのではないかと考えております。
そのためにも、私どもの研究の成果を出張所・まちづくりセンターを初めとしまして全庁で共有して、また、区民ですとか地域団体に対しても積極的に情報発信を行いまして、それぞれの地域での特性を生かした取り組みを進めまして、区民主体の地域づくりを実現してまいりたいと考えております。
◆石川征男 委員 この住民力の研究に関しての講評を読みますと、住民の行政への関与の力量を二十七に分割した区域で定量測定し、その向上のために関係する要素を明確にしており、今後の行政に有効な研究であると評価されています。ぜひとも世田谷区政の発展につなげるため、政策、施策に反映させる努力をしていただきたいと強く要望して、次の質問に入ります。
さきに述べたとおり、区政を支えていくものは区民の力であり、この住民力が大きな影響を及ぼすことがわかったわけです。しかし、その区民自体が今後将来的に減少するとされております。また、人口の自然増減や転入転出による年齢構成の変化も影響があるのではないでしょうか。今後の人口動態は区政に大きく影響を与えるものと考えられます。そこで、その根拠となる人口統計について幾つか質問してまいります。
さて、一昨年、平成二十二年実施の国勢調査によって、全国における日本人だけに限った人口が、一九七〇年の調査から日本人と外国人とを分けて統計をとり始めて以降、初めて減少に転じたことが確認されました。ところで、一九七四年当時の厚生省の諮問機関である人口問題審議会は、人のふえ過ぎへの危機感を背景に、人口白書を通して人口抑制を促す提言を行っておりました。それがまさに効果をあらわしたと言うべきか、現状は少子・高齢策に苦慮しているという皮肉な結果を目の当たりにしております。
また、去る一月でありますが、国立社会保障・人口問題研究所による日本の将来人口に関する五年度ぶりの発表によれば、ここ数年の出生率の回復を反映させたものの、今後は出生数より死亡数が上回る自然減の傾向が続くことから、五十年後の二〇六〇年には約八千七百万人と、現在の約三分の二になると推計しております。年齢構成は六十五歳以上の高齢者が四割を占めると予測され、社会保障等の面で現役世代が支えていく姿が、いわゆる騎馬戦型から肩車型に変化することが確実になったようです。
また、こうした状況に至れば国の労働力人口の不足は明らかで、これを補うには相当数の外国人労働者を受け入れざるを得ないという一筋縄ではいかない課題が現実のものとして迫ってきていることにもなります。フランスの著名な歴史人口学者も、日本など先進国に共通する少子・高齢化のマイナス要因は教育の拡充や技術革新によって補われているが、いずれ限界に達することから、移民の受け入れは避けて通れないとの考えを述べております。このように国の盛衰にもかかわる人口推計ですが、これには国勢調査による人口データが欠かせません。
そこでまず、改めて国勢調査の意義についてお尋ねいたします。
◎小野村 研修調査室次長 国勢調査につきましては、今から九十二年前の大正九年より五年ごとに実施されておりまして、日本国内に居住するすべての人と世帯の実態に関する統計を作成し、国及び地方公共団体における行政施策の立案、実施、その他の基礎資料とすることを目的としています。世界各国でも同様の目的で実施され、極めて重要な調査と位置づけられております。
その調査の結果は、まず衆議院小選挙区の確定、あるいは地方交付税の交付額の算定など、多くの法令の中で利用を図られるべきことが規定されております。区においても、福祉保健、産業振興など多方面の施策立案や各種施設の整備計画策定に当たって、基本的なデータとして活用しております。さらに、我が国の行政運営の基礎をなす情報基盤としての役割を果たすほか、民間企業や各種団体においても需要予測や店舗の立地計画等の経営管理を行うために活用され、社会経済の発展を支えるという大きな役割を果たしております。
◆石川征男 委員 次に、一月末の千葉県の発表によれば、県内の人口が一九二〇年の統計開始以来初めて減ったということで、これまで増加基調が続いてきた東京、神奈川、埼玉を含めた一都三県の中にあって、先陣を切って人口減時代に入ったことになります。二〇一七年までは人口増を続けるとの予測が早まったものであり、その原因としては、東日本大震災による液状化の被害発生や放射線量の高いホットスポットとされた自治体の出現により流入人口が激減したこと、高齢化に伴いふえつつあった死亡者数が出生数を逆転し、いわゆる自然減に突入したことが考えられるようです。
そこでお尋ねしますが、平成二十二年の国勢調査における世田谷区の人口の増減状況としてはどのような傾向が見られるでしょうか。
◎小野村 研修調査室次長 平成二十二年の国勢調査に基づく区の人口は八十七万七千百三十八人で、前回調査と比べ三万五千九百七十三人の増、率にしてプラス四・三%となっております。男女別では、男性四十一万九千六百七十一人に対し女性は四十五万七千四百六十七人と、女性のほうが三万七千七百九十六人上回っており、前回からの増加率の比較でも、男性三・六%に対し女性は四・九%と、女性のほうが上回っている状況にあります。
また、人口を年少人口、生産年齢人口、老年人口の三区分別に見ますと、十五歳から六十四歳の生産年齢人口の割合は七〇・七%で、全国の六三・八%、東京都の六八・二%を上回っております。一方、世帯の数は前回調査から四・四%増の四十四万八千九百六十一世帯となりましたが、このうち約半数の二十二万三千二百十六世帯が単独の世帯となっており、これは東京都の四五・九%、全国の三二・四%を上回る状況にあります。
◆石川征男 委員 同じく一月初めの新聞報道によりますと、東京都においてもその将来人口について平成二十二年の国勢調査を基準に推計したところ、八年後の平成三十二年には一千三百三十五万人のピークを迎え、その後は減少に転じるとの結果が出たとのことです。また、同じ平成三十二年には、高齢化率は二四%に達するとともに、高齢者のひとり暮らし世帯は八十四万人増加し、これは高齢者の四人に一人の割合に当たることになるようです。
こうした推計の基礎となる国勢調査においても、調査員の多くを町会・自治会関係の方が占めるという関係で、その高齢化が課題となっているようですが、これを含め、国勢調査を実施する上での課題についてお伺いいたします。
◎小野村 研修調査室次長 区では、長年にわたる町会・自治会のご協力のもとに、調査員の選任に当たり、昨年の国勢調査では全調査員の約八割に当たる約三千八百名の方々に活動をしていただきました。しかしながら、平成二十二年の国勢調査の結果、区の高齢化率が一八・三%に達したことにもあらわれているとおり、調査員の方々の高齢化が進んでいることを考えますと、調査員の確保は非常に重要な課題であります。
また、調査員には事前の事務説明を行うわけですが、百の会場を使用し、総計百五十回に及ぶ説明会を調査期間直前の短期間で開催する必要があるため、会場及び運営要員の確保や円滑な運営も課題となっております。さらに、区民から提出された調査票の処理に当たりましては、調査票の提出方法が郵送に切りかわったことでその整理事務が新たに加わったため、従来以上に厳しい日程の中で調査名簿との照合や調査票の内容点検等の審査業務を行うことになりました。このため、より正確かつ効率的な点検方法の工夫や従事職員等の確保も課題となっております。
◆石川征男 委員 今お聞きした課題の中では、やはり調査員の確保、特にその高齢化への対応が難しいのではと思います。安易に公募というわけにもいかないような気もしますが、次回の調査に備えてどのような対策をお考えなのかお聞かせください。
◎小野村 研修調査室次長 世田谷区では、人口面積が広いこともございまして、約七千九百に上る調査区に対し約五千名もの調査員が必要でございます。したがって、今後とも町会・自治会のご協力は欠かせませんが、先ほど高齢化のお話をいたしましたように、これまでどおりの人数をお願いできない事態も生じかねないというふうに考えております。
そこで、国勢調査を含めた各種統計調査に対応するために、統計調査員登録制度というものを私どもで持っておりますけれども、そこには現在約二百名の登録がありますが、今後定期的に登録募集を実施するなどいたしまして一層の増員を目指し、人材確保を図ってまいりたいと考えております。
また、調査員の公募でございますけれども、多くの人数を募集するには業務委託などの方法をとらざるを得ないと考えられ、その際の経費の確保が課題となる一方、調査員としての質を確保していくためには、選考方法の工夫等の課題もあります。
今後とも調査員の確保に向けて、さらに調査研究を進めてまいりたいと考えております。
◆石川征男 委員 高齢化がますます進展していきます。ぜひとも計画的に調査員の確保並びに対応をしっかりやって、調査をしっかりやってください。
これで質問を終わります。
◆小松大祐 委員 先輩がたくさん時間を下さったので、よろしくお願いいたします。
まずは行政経営改革について伺いたいと思っております。
財源不足がここ数年ずっと続いていく中で、さまざまな取り組みから来年度は約二十億円の歳出削減効果を捻出したという一連の取り組みについては、担当所管及び関係の所管の努力に対して敬意を表したい、そのように思っています。一方で、先日お配りいただいた世田谷区予算説明書(別冊)の六ページにあるように、行政経営改革の取り組みといった一覧があるんですけれども、この中身と経営改革という表現に非常に大きな乖離を感じています。
例えば、区長が常々これ見よがしにおっしゃる電算経費の見直しも、電算経費の見直しというのは行政経営の改革と言うにはちょっと大げさ過ぎるんじゃないかなと。あくまで業務の改善とか業務効率の改善といったお話であって、ここにも書いてありますけれども、施策事業の見直しや効率化を図ったということにすぎず、行政経営を改革したという取り組みとしてはまだまだ弱いのかなと思っています。
世田谷区に限りませんけれども、いろいろ改革、改革というようなことが取りざたされている中で、ここの中でも、例えば税外収入の確保というようなことも書いていますが、我々がこれからつくっていかなきゃいけないのは、中期見通しの中にもあるように、やはり四十億円、五十億円といった新たな行政経営改革による財源の捻出なわけでございまして、この一億円ぐらいというものをここに書くのには忍びないぐらいの改革が必要なんじゃないかなと思っています。
一点目の質問なんですけれども、行政経営改革という言葉を使う以上は、既存の行政の仕組みを現状に合わせて最適化するというようなこと自体が改革だと思っているんです。例えば事務事業であったり、ナレッジやノウハウが非常に重要な債権回収等の業務を近隣区で統一化して業務効率を上げるというようなことは検討の余地があるのかなと思うんですけれども、それはいかがでしょうか。
◎吉田 政策経営部副参事 区はこれまで、清掃一部事務組合、広域臨海斎場一部事務組合、電子自治体共同運営等、近隣の自治体と連携し業務の効率化に努めてまいりました。お話しのありました債権回収や自治体クラウドなどは、近隣を含めた自治体同士で協力して業務を行うことで、規模の拡大による効率化や職員のノウハウの蓄積などが行われている事例であると認識しております。しかしながら、共同して業務を行うに際しては、個人情報保護や組織の体制づくり、経費の分担方法、費用対効果など、個々の事業において多くの課題もあるものと考えております。
今後とも、行政経営改革に取り組むに当たり、自治体間の連携による事務処理につきましては有効な手段の一つであると認識しておりますので、中長期的視点で研究してまいりたいと考えております。
◆小松大祐 委員 簡単にはいかないというようなことは私も重々理解しておりますし、そういった大変なことに取り組むこと自体が行政経営改革なんだというふうに思っております。二十三区初め、ほかの自治体でも幾つか事例もありますので、柔軟な発想で既存にとらわれず、区長も熊本区長からはそうやって引き継いだという話を伺いましたので、そういったことも考えて、検討の着手自体は早期に取り組んでいただきたいなと思っています。
特に、先ほど我が会派の大場委員から債権管理の新機軸についていろいろ話をさせていただいて、答弁もいただきましたけれども、私も以前聞いたときに、特に高額困難案件等については一朝一夕にいかないというか、やはりノウハウの蓄積や経験といったものが非常に問われる業務かなと思っておりまして、こういったものこそ、これまでの延長線上ではない新たな回収の方法等をいろいろ、近隣区とかと協力しながらやる方法であったり、民間活用であったり、そういったことに取り組んでいただければなというふうに思っています。
では、続いて質問いたします。行革及び財政健全化の取り組みの中で、総人件費の圧縮というようなことも非常に重要な検討事項であると思っております。ただ、人件費を下げるという方法は、一つは一人当たりの給料を削減するという方法もあるかと思います。今回、国家公務員のほうでは七・八%という話が他会派からも出ていましたけれども、給与削減だけではなくて、民営化であったり、先ほどからたくさんの方から質問があるような、地域連携によって行政の役割とか守備範囲自体を見直す、再編するということで、人員の新たなキャパシティーみたいなものをもう一度見直すことでの人件費の圧縮というようなことを考えていくことも大事かなと。むしろ私はそちらのほうが、総人件費を抑制するといった意味では重要な取り組みなのかなというふうに考えているんですが、区の見解はいかがでしょうか。
◎吉田 政策経営部副参事 平成二十四年度からの行政経営改革計画案では、定員適正化等の推進の取り組みを掲げ、人件費の削減に取り組むこととしております。同じく計画案の中では、民間活用によるコスト削減の視点から、ごみ収集作業における民間活用、区立保育園民営化結果を踏まえた効率的な保育施策の推進、学校給食の提供方法の転換等の取り組みを掲げ、コスト縮減を図ることとしており、計画に基づいた取り組みを着実に行ってまいりたいと考えております。
委員のお話がありました、また、区政運営におきまして求められる行政サービスが急増する中で、地域住民や地域団体、こちらは町会・自治会、商店街、またNPOなど地域に身近なところで活動されている団体の方が参加し運営する地域住民運営型公共サービスへの取り組みも視野に入れていく必要があり、地域のご理解とご協力をいただきながら、行政と地域が連携する形で公共サービスの充実を図ってまいりたいと考えております。
◆小松大祐 委員 答弁に挙げられたような商店街であったり町会・自治会というのは、既に公共的役割を担っていることは言うまでもありません。そういった地域に根差した組織の力を有効に活用するというか協力をいただいて、適正な裁量であったり予算を配分することでスリムで効率的な行政へ移行していくというのが、高齢化が進んでいく中、財政が縮小していく中で、今後、世田谷区政が目指す姿なのかな、そのように思っています。何もかも区がやるというのは、もはや時代錯誤だと思っています。
以上の流れから、先ほど岡田課長が手を挙げてくださったので、人材マネジメントについて伺いたいというふうに思っています。
世田谷区の職員は、ご存じのとおり五千人を超える巨大な組織でございまして、ある意味、非常に大きな人的資源を世田谷区は持っているというようにも言えるかなと思います。これは世田谷区に限りませんが、公務員のことをコストとか無駄の象徴と言うような向きもあります。大好きな黒澤明監督の映画で「生きる」というのがあって、昭和二十七年の作品ですけれども、当時から公務員というのはどんどんたらい回しにするような、お役所仕事の批判の対象というような、これもそういったことを描いた作品ですが、昔からそういう存在として描かれたり認識されている部分もあるかと思います。
財政が厳しくなる中で住民サービスの質をどうやって維持していくのかということが、今、この世田谷区政にも求められている命題かと思います。また、社会環境とか人口動態がどんどん変化していく中で、行政需要への対応についても、皆さんを初め、試行錯誤されていらっしゃるかなというふうに思っています。
このように自治体職員を取り巻く課題というのは山積していく中で、昨今もマスコミの公務員バッシングというのが非常にあって、一方で私はそういった風潮が続いていることに対して憂慮しているところがあります。財政健全化に向けてあらゆる経費を縮減していかなければいけないのは確かですし、歳出の中では人件費というものが非常に大きなウエートを占めているのも事実です。なので、私も総人件費については縮小していかなければいけないというふうに思っていますし、そういった取り組みについて、会派も含めて推進をしていこうと思っていますが、コスト削減という名のもとに、何でもかんでも給与カットすればいいとか人を削ればいいというような議論だけが先行してしまっている、テレビの先にあるような世界は本当に無秩序で、こういった事態は避けるべきなんじゃないかなというふうに思っています。
なので、先ほどとも重複しますけれども、改めて自治体の役割や守備範囲の再構築というものをまず考えて、その上で役割を終えたものについては大胆に積極的に民間に移管したり、地域に移管したり、行政がやるサービスとしては役割を終えるというようなことをしていくべきなんじゃないかなと。つまり、フレキシブルな運用を目指していくべきじゃないかなというふうに思っています。
そうした中で、行政経営改革の一連の過程で委託費が多いということで、どんどん自前に戻していきますよ、自前主義でいくよというようなことが区長の口からも出ていましたけれども、今後、職員というのはまた揺り戻してくるものなのかどうか、そういった見通しを伺いたいんですが、お願いします。
◎岡田 人事課長 区ではこれまで、行政経営改革計画に基づきまして、現業系職員の退職不補充、施設の民営化、委託化、組織の再編、事務事業効率化、こういったことで職員数の削減を行ってまいりました。今後を見通したときですが、職員定数につきましては、効率化の視点から職員数を見直す、これは常にやっていかなければいけないことだというふうに考えております。また一方で、新しい時代に的確に対応していける柔軟性のある少数精鋭で強い組織を目指す、いわゆる質の面での適正化といったことも重要だと考えているところです。
こういった観点から、今回、新たな行政経営改革計画に掲載させていただきましたが、今後の職員数の推移につきましては、おおむね二十七年度までの五年間で七十名の職員数の減を予定してございます。人件費といたしましては、変動要素もございますが、影響額として六億三千万円ということで想定をさせていただいております。
今後、少子・高齢化への対応、それから、国や都から事務移管も予定されております。こういった中で区政の担う役割はますます複雑になっておりますし、要求水準も高くなってくるというふうに考えておりますので、今委員からお話がありましたように、今こそ業務手法の転換、あるいは守備範囲の見直しといった工夫を凝らしながら、適正な職員体制を構築していかなきゃいけないと考えているところです。
◆小松大祐 委員 関連して、先日の新聞で、二〇一三年度の国家公務員の新規採用数の上限を、二〇〇九年比較、政権交代前に比べて四割超削減するといった記事が掲載されていました。先ほどの理由から、公務員の数を縮減していく、行政のスリム化や業務効率化といったことは非常に重要な取り組みだと思うんですけれども、それで新卒者にしわ寄せがいくというようなことは危惧するべきかなと思っています。
というのも、一九九〇年代半ばから続いた就職氷河期のときに新卒採用で入られた方というのが多分今四十歳前後で、民間企業の管理職クラスだと思うんですけれども、どの大手企業も、やはりこういったところで人材を絞ってしまったことで管理職不足に陥っている。この世代の人材の質や量が非常に枯渇しているということで、小泉バブルが来たときに大量の中途採用を行わなければそういったことが補てんできなかったというような事態がありました。
組織の活性化であったり新陳代謝ということを考えますと、コスト削減ということだけで採用数を新卒採用で調整するようなことがあっては、長期的に継続していかなければいけない行政にとっては、なおさら職務に悪影響が及ぶということを懸念しています。
そこで、世田谷区の場合、区の職員の退職ピークというのが数年後に訪れるのかなと思いますけれども、そういった面で、次世代幹部職員に当たる中間層については十分なのか、また、新卒採用について今後の見通しというものをお聞かせください。
◎岡田 人事課長 今委員からご指摘ありましたように、組織運営をしていく上で職員の年齢構成というのは非常に重要だと思っております。世田谷区の場合、今後十年間ほどは約百五十人規模の職員が毎年定年退職をしていく。特に五年後、二十八年度末ですが、二百名を超える職員が定年を迎えるということで、組織力の維持というのが大きな課題になってくると思っております。
こうしたことで、組織の年齢構成の均衡を図るとともに、民間企業での有用な職務経験を有する人材を幅広い年代層において確保することを目的としまして、特別区の人事委員会で平成十五年度から経験者採用制度というのを取り入れております。職種により異なりますが、資格、年齢要件としましては、二十八歳から四十九歳までというような幅広い年齢層を対象にしております。
世田谷区では、平成二十三年度までで事務十七名、土木九名、建築二十名、機械六名、電気十一名と、技術職を中心に六十三名の経験者採用を行ってきております。お話しのとおり、引き続く大量退職に備えるためにも年齢構成を考慮した計画的な採用を行いまして、職員数を的確に確保していくことは非常に重要だと思っております。今後とも経験者採用制度を積極的に活用しまして、優秀な人材を的確に確保しながら、バランスのよい職員体制の構築に努めてまいりたいと考えております。
◆小松大祐 委員 民間企業が採用を絞ってくるような、こういった不況の時期は、公務員の人気というのが高まってくる時期でもあって、新卒採用の優秀な人材を確保するチャンスかなというふうにも思っておりますので、ぜひその点を含めて頑張っていただきたいなと思います。
そうした中で、公務員住宅についても、公務員批判の一連の流れで否定的な報道が非常に多いというふうに思っています。一方で、災害対策要員の確保であったり、保育需要が高まる中で、保育士の確保及び優秀な人材を採ろうとしたときに、世田谷区だけではなくて、東京都外からも含めて優秀な人材が世田谷で勤務して働けるような環境をつくるといった意味で、採用力を補てんするねらいから適正な福利厚生というのは、戦略的に使うのであれば必要な部分もあるのかなと理解ができるんですけれども、区としてはどういうふうにこういったことを考えていらっしゃるんでしょうか。
◎中村 職員厚生課長 職員住宅につきましては、職員の福利厚生という面に加えまして、災害時に必要な要員の確保ですとか新規採用の獲得という目的が大きくなってきていると認識しております。ご指摘のとおり、職員住宅の入居者は災害時の第一次非常配備態勢職員としての役割を担っております。災害時には指定された出張所などの施設に参集しまして、災害応急活動や施設の機能確保などに従事することになります。
昨年十月一日現在の数字ですが、第一次非常配備態勢職員が千百五十六名おりますが、このうち約二一%の二百四十四名という職員が職員住宅の入居者となっております。職員の区内在住比率が現在四割を切るという中において、地震等が発生した場合に、災害応急活動要員として大きな力になるものと考えております。
また、先ほどお話がありましたが、今後、定年退職者の増加に伴いまして一定規模の職員採用が見込まれています。世田谷区の採用試験、特別区ですとか保育士試験には全国から受験者が集まってきますが、他の自治体と併願している者が多いことから、優秀な人材を確保していくためにも、職員住宅の役割は大きいと認識しているところでございます。
一方で、厳しい財政状況の中で時代に即した見直しも必要であるとの認識のもとに、昨年度行いました政策点検に基づく取り組みとして、職員住宅一カ所二十六戸を段階的に廃止するということにいたしました。
いずれにいたしましても、委員のご指摘も含め、職員住宅については、今後も独身型を中心に一定程度の戸数は必要と考えております。
◆小松大祐 委員 民間企業と違って、公務員は人材流動性の低い職域だというふうに思っていますので、本当に新卒採用の力になるのであれば、一定程度、どのぐらいが適正なのかというのは議論の余地があると思っています。
一つ、先ほど区内居住率が四割を下回っているということで、二十代を除くと三割程度かなと思っています。年齢を重ねるごとに区内居住率が下がっていってしまって、また部長級になると上がる。それは多分、多少お給料の影響があるのかなというふうに思っているんですけれども、少し寂しいなとも思っています。これが五割だったらいいのか、六割だったらいいのかという話では全然ないんですけれども、もう少し自分の勤めているサービスを、いわゆる一消費者としても利用してもらえることになると、本来は区民の方との会話がもっとダイレクトにできるのではないかなというふうに思っています。我が国には居住移転の自由というものがありますので、強制力は働きませんけれども、積極的に住まうことを推奨したいなというふうに要望したいと思います。
続いて、公共施設について質問させていただきます。
先日、総括で宮崎部長のほうから、公共施設については総量抑制と機能維持という二つの方針で取り組んでいるというお話がありました。区庁舎を初め高度成長期以降に建築されたものが非常に多数あり、それらの寿命が来ているというのが公共施設の問題でございます。我が会派の下山委員からも質問させてもらいましたが、もう少し伺いたいというふうに思っています。
メンテナンス費や管理委託費というのが年間約百八十億円、これに加えてハード経費として、学校関連の改修費も含めて大体毎年七十億円から八十億円かかるということなんですが、現時点での評価だけを行うと、どの施設が大事でどの施設が大事じゃないかという議論をすると、ほぼすべてが多くの区民にとって欠かせない不可欠な施設という判断を下さざるを得ないとも思います。ただ、十年先、二十年先、先ほど人口動態の話が石川委員からもありましたけれども、そういったときの世田谷区の財政力や区民の姿を想像したときに、本当にこれをすべて現状維持すべきかどうかといったことについては、足をとめてもう一回精査する必要があるんじゃないかなというように思っています。
区長もよくおっしゃいますけれども、長寿命化を図りますというのは当たり前の話であって、これまでが異常だったのかもしれません。公共施設の長寿命化の取り組みということは、これからもぜひやっていただきたいなと思いますけれども、本当に残さなきゃいけない施設なのかどうかといったことについての議論が少し欠けているような気がしています。
財政健全化のためにどんどん売却しようという話をしたいわけではなくて、例えばみどり33の実現に向けて推進しようとしたときにも、結局お金がないので区は農地を買い取れませんというようなケースがたくさんあります。(「全部だよ」と呼ぶ者あり)そうですね、全部ですね。そういった形の中で、人口動態が変化していく。例えば環七から東側と環八から西側というのは、恐らく人口も大きく変わりますし、その世代構成も今以上にかなり色が分かれてくるのかなというふうに思います。そういったときに、施設需要というのは恐らく変わってくるんじゃないかなと思っています。
こういった意味で、公共施設のあり方についての再考ですが、売却とか合築、複合化等の資産マネジメントの戦略というのはどのように策定されているのか、七百二十ぐらいある施設についてはすべてこれからも保持する方針なのか、その点について教えてください。
◎吉田 政策経営部副参事 区の公共施設は高度経済成長期に建築されたものが多く、この間の施設需要に対応して整備を行い、現在の施設数となっております。公共施設につきましては、その施設数や配置が適切であるのか、また、最適化を図るためにはどのように取り組むべきなのかを検討する必要があると考えています。検討の結果として、人口の構成の変化を初めとした社会の変容により、廃止、統合や再配置を行うものもあり、また、新たな施設需要により、本日お話も出ていましたが、PFI等民間の活力を活用した整備も必要になるものもあると認識しております。
これらの取り組みを計画的に行うための施設整備の基本的な方針として、今後、新たな基本構想、基本計画の策定にあわせて新たな
公共施設整備方針を策定してまいりますが、既存の施設数を維持するというのではなく、資産の有効活用のためにも、最適な施設数と配置について、方針の策定に際して検討してまいりたいと考えております。
◆小松大祐 委員 施設の有効性というか、これを残したほうがいいのかどうかとかという判断をするときに、一つは利用率みたいなものもあるのかもしれないですが、統計書を見ると利用率自体はわかるんですけれども、それだけではあらわれない価値といったものが、それだけではわかりません。例えば不動産的な資産価値もそうでしょうし、利用状況や今後の地域住民のニーズといった将来需要も含めて、区のほうでまず整理をしていただいて、それを早く議会のほうに明らかにしてもらった上で、これはどのくらいを残していくべきなのかといった議論を進めたいと思っているんですけれども、そういった準備については今どんな状況でしょうか。
◎吉田 政策経営部副参事 区では、保有資産の状況や費用の分類を詳細に把握し分析を行うため、企業会計手法による普通会計の財務諸表を作成しています。
会計上の資産価値とは別に、今委員お話しがありましたけれども、現在の個々の公共施設の不動産価値を算定することは、建物につきましては施設数と算定に要する経費の面から難しい面もあると思っております。ただ、施設の利用状況をまとめた上で、資産価値に対してその活用がどうなっているのか、価値に見合う活用が図られているかなどを分析することは、有効に資産活用するためにも必要だと認識しております。
今後、他の自治体の例なども参考にして適切な方法について検討するとともに、議会のほうにも報告をしてまいりたいと考えております。
◆小松大祐 委員 資産の利活用等についてのノウハウというものは専門性も非常に必要になってくるかなと思っています。現在は専門組織がないんですけれども、将来的にこういったものを考える場合、行政経営改革の効果が二十億円ということを考えると、公共施設のマネジメントによる財政インパクトは非常に大きいと思うので、いち早くプロジェクト化、将来的には組織化というものを検討したほうがいいんじゃないかと思うんですが、そういった準備はいかがでしょうか。
◎吉田 政策経営部副参事 現在、公共施設の整備に係る計画及び調整につきましては政策経営部、公有財産の管理の総括に関しては財務部、区建物の保全等につきましては施設営繕担当部がそれぞれ専門的に担当させていただいておりますけれども、庁内に領域横断的な検討会議を設けて、土地、公共施設に関する中長期の展望のもとで、区としての方向性の検討や資産の利活用に取り組んでいるところです。
このため、専管組織があるというような状況ではないんですけれども、今後、新たな
公共施設整備方針の作成をしてまいりますが、方針の策定に当たっては、施設の利用状況や老朽化の状況を踏まえての将来の改築や修繕に要する経費の算定などとともに、今後の人口推計などに基づく将来の施設需要の予測など多様な観点から、公共施設を取り巻く状況を把握する必要があると考えています。
これらの取り組みに当たりまして、引き続き庁内横断的に職員による調査や分析を行ってまいりますが、ご提案のありました専管組織につきましても、新たな
公共施設整備方針の検討を進める中で検討させていただきたいと思います。
◆小松大祐 委員 ぜひ積極的に速やかに取り組んでいただきたいというふうに思います。
同じ施設であっても、例えば茶室は三〇%ぐらいの利用率で、会議室は八〇%を超える利用率というような施設もあったりしていて、これは新たに会議室をつくるよりは、例えば茶室を会議室に変えてしまったほうが地域住民のニーズに合うのかもしれないということも含めて検討するべきかなと思っています。
ということで、続いて次の質問に移らせていただきます。
最後に、シンクタンク機能の強化について質問いたします。
今後の区の財政というものは、将来を見据えて強固な財政基盤を確立することが最優先課題かなというふうに認識しています。そうなると、歳入の減少基調にある中において、歳出総額の抑制と次世代社会を見据えた重点配分予算が主たるテーマであると思うんですが、こういった予算を組もうとしたときに必要なのが予測力であったり分析能力というようなことかなと思っています。
今の待機児の話とかもそうかもしれませんが、その課題が噴出してからそれを防ごうとしていくと、どうしても場当たり的になってしまうというか、余分なコストがかかってきてしまう。そういったことも含めると、先に未来を見据えて何に予防線を張っておく必要があるのか。せっかく人口動態の調査をしているわけで、そういったことを使ってできないかなというふうに思っています。
そうした中で、石川委員からもありましたけれども、先日、世田谷区のシンクタンクの研究成果がグランプリをとったということは非常に重要な意味合いを含んでいるのかなと思っています。予算の優先順位を決定していくには、議会の中での熟議が必要になってくるのかなと思うんですが、議会の中でもより一層議論が活発になるようなデータの提供等も、このシンクタンクに担ってもらえるといいのかなと期待をしているところです。
そこで、予算については午前中、福田委員からも質問があったと思うんですけれども、実際その専門性を持ったスタッフ、研究員の拡充であったり、新たな調査研究テーマについて、来年度以降の方向性を伺いたいんですが、お願いします。
◎吉原
政策研究担当課長 ただいま委員のほうからお話がございましたいろいろな課題がございまして、私どももシンクタンクの機能の発展、充実を課題というふうに認識しておりました。二十四年四月から新たに特別研究員の採用を予定したところでございます。
調査研究のテーマにつきましては、区における計画策定等に活用することですとか所管課との共同研究、こういったことを考えて中長期の視点を持って選定しているところでございます。例えば今年度につきましては、今後の人口推移による課題をとらえて超高齢社会、特に健康な方からの視点で分析ができないかということをテーマにしております。
◆小松大祐 委員 予算といっても千四百万円、千五百万円といった話であって、二千四百四十億円を超える予算の中からすれば、これの拡充といったことは非常に積極的にやって問題ないような分野なんじゃないかなと思います。ここでの予測力によって未来の世田谷区の適切な予算配分ができるのであれば、それは有効な投資だというふうに考えています。ぜひ予算拡充に向けて頑張っていただきたいと思っているんですが、もう一個、議会との連携についてちょっと伺いたいと思っています。
議会も政策研究に対するリテラシーを高めていかなければいけない、そういった必要性はあるというふうに思っているんですが、議会との連携について、現状、これまでどういうことをされてきたのか、今後どうやってより強化していくのか、それについての見解を教えてください。
◎吉原
政策研究担当課長 ただいま委員のほうからお話がございました議会との連携につきましては、せたがや自治政策研究所が発行する研究報告書等の配布、また要請に応じまして、研究報告に関する勉強会なども開かせていただいているところでございます。また、国の地方分権ですとか都区制度改革の進展状況に応じまして、地方分権・地域行政制度対策等特別委員会で最新の動向をご報告させていただいているところでございます。
今後も、いろいろな研究、私どもで収集したいろんなデータ、そういったものを適宜議会にご報告させていただきたいと考えております。
◆小松大祐 委員 先ほどテーマの中で超高齢社会、特に元気な高齢者に向けての調査を強化したいということで、非常に期待したいなと思っています。
石川委員の質問とも重複しますけれども、高齢化していくということはもう間違いのないトレンドであって、そうしたときの人口の高齢化と住民税がどうなっていくのかというのは非常に重要な要素かなと思っています。例えば三鷹市では、賃金上昇率や年金給付水準、年代別賃金カーブ等を加味した、世田谷区の中期見通しとはまた違ったロジックでの将来シミュレーションをやっていたりします。それを仮に世田谷区でやった場合、恐らく今回の中期見通しとはまた違った形の――どっちが正しい、正しくないの話ではなくて、ちょっと違った形の将来の財政の姿が描かれる可能性があるんじゃないかなというふうに思っています。
三鷹市の場合、悲観シナリオで見ると、二〇三〇年には住民税と扶助費が逆転するというか、扶助費だけで住民税を上回ってしまうような結果が出ていたりします。そうなったときには、例えば民生費とかについてもどのくらい工夫していかなきゃいけないのか、どのくらい前から予防していかなきゃいけないのかといったことももう少し鮮明になってくるのかなと期待をしています。そういった意味で、これは議会だけでやっていくには難しい部分もありますので、ぜひ高齢社会に向けて、得意とするような専任のスタッフ、研究員を採用することも含めて取り組んでいただきたいなというふうに思っています。
ようやく赤がつきましたので、最後に要望したいなというふうに思っているんですけれども、(「ようやく」「早く押して」と呼ぶ者あり)貴重な時間だったのに済みません、言葉が悪かったです。
人口論についてなんですけれども、今言った高齢化社会に向けて積極的にアウトプットもしていただきたいなというふうに思っておりますので、そこのところを最後に要望して、私からの質問を終えたいと思います。
○菅沼つとむ 委員長 以上で自由民主党・新風の質疑は終わりました。
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○菅沼つとむ 委員長 以上をもちまして本日の質疑はすべて終了いたしました。
本日の委員会はこれにて散会いたします。
午後六時十五分散会...