平成18年 3月 定例会-03月01日-01号平成18年 3月 定例会
平成十八年第一回定例会
世田谷区議会会議録第一号
三月一日(水曜日)
出席議員(四十九名)
一番 新川勝二
二番 下山芳男
三番 赤沢雅彦
四番 稲垣まさよし
五番 すがややすこ
六番 竹村津絵
七番 吉田恵子
八番 桜井純子
九番 大場康宣
十番 新田勝己
十一番 石塚一信
十二番 羽田圭二
十三番 山木きょう子
十四番 あべ力也
十五番 桜井征夫
午後一時開会
○菅沼つとむ 議長 ただいまから平成十八年第一回世田谷区議会定例会を開会いたします。
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○菅沼つとむ 議長 これより本日の会議を開きます。
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○菅沼つとむ 議長 本日の日程はお手元に配付の議事日程のとおりであります。
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○菅沼つとむ 議長 まず、会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員には、会議規則第七十九条の規定により、
十八 番 高橋昭彦議員
三十四番 田中優子議員
を指名いたします。
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○菅沼つとむ 議長 次に、会期についてお諮りいたします。
本定例会の会期は本日から三十日までの三十日間とすることにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅沼つとむ 議長 ご異議なしと認めます。よって会期は三十日間と決定いたしました。
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○菅沼つとむ 議長 次に、区長から招集のあいさつの申し出があります。熊本区長。
〔熊本区長登壇〕
◎熊本 区長 平成十八年第一回世田谷区議会定例会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
春の訪れを感じるこの時期に、区長としてこの議場でごあいさつをさせていただくことも三回目となりました。区長就任から四年目を迎える今日、世阿弥の「初心忘るべからず」という言葉を胸に、安全安心のまちづくりの集大成に取り組み、さらなる飛躍を目指して、区政運営に情熱を持って臨む決意を新たにしております。
昨今、異常気象や想像を超える事故、事件の発生など、当たり前と思うことが大きく揺らいでおります。平成十八年度当初予算編成に当たりましては、安全安心の取り組みとして、一般会計全体の七・三%を占める約百五十七億円を計上させていただきました。区民のだれもが安心して暮らし続けることができるよう編成したこの予算を安全・安心の予算と位置づけ、全庁を挙げて取り組んでまいります。また、就任以来、揺らぐことなく行政改革の方針を貫いてきた結果、公債費比率の減少という成果も実りました。今後も健全な財政運営を堅持していくため、改革を推進してまいります。
次に、三位一体改革につきましては、依然国の関与が残る状態にあり、平成十九年度は区民税の大幅な減収が見込まれるなど、区財政に与える影響は大きくなると予想されます。また、平成十二年度の都区制度改革から間もなく六年が経過し、ことし四月からは清掃事業に従事する職員の身分が都から区へと切りかわります。しかしながら、都区財政調整制度につきましては、既にご案内のとおり、特別区として不満が残る結果となりました。特に主要五課題では、十九財調協議への課題が確認されたことで、やむなく東京都の提案を受け入れることにより、一応の終結をつけることといたしました。これから都区の新しい協議機関において、引き続き都区の役割分担、財源配分について議論がなされるわけでございますが、課題解決に当たりましては、今後とも二十三区が一体となって取り組む必要があると考えております。引き続き区議会の皆様のさらなるご理解、ご支援をお願い申し上げます。
さて、昨年十一月から開始した区長と区民の意見交換会は、これまで十三の出張所地区で開催いたしました。区民の皆様の声に、我が町を愛する思いを強く感じるとともに、私みずからが足を運ぶことで、職員にも現場主義の徹底を図っていきたいと取り組んでいるところでございます。また、来年度には、休日や夜間でも電話での簡単な相談に応じるお
問い合わせセンターを試行的に実施するなど、区民の目線に立ったきめ細やかな施策を展開してまいります。
次に、今定例会に提案しております幾つかの条例についてご説明申し上げます。
今定例会には、世田谷区災害対策条例、二十三区初の世田谷区
健康づくり推進条例、世田谷区文化及び芸術の振興に関する条例等を提案しておりますが、中でもこの三つの条例は十八年度の取り組みの大きな柱になると考えており、後ほど重点施策の中で説明させていただきます。
次に、世田谷区組織条例の一部を改正する条例についてでございます。
「新たな地域行政の推進について(最終報告)」に基づき、本庁、総合支所の組織を再編するとともに、交通政策担当部の設置によるあかずの踏切解消の促進や、みどりとみず政策担当部、介護予防担当部、生涯現役推進課の設置など、区の重点施策や予防型行政の推進を反映させております。
続きまして、平成十八年度の主な重点施策についてご説明申し上げます。
第一点は、「安全で安心なまち」についての取り組みでございます。
今定例会に復興までを想定した災害対策条例を提案しておりますが、条例の自助、共助、公助の基本理念に基づき「安全・安心のまち世田谷」を実現してまいります。水防対策といたしましては、都市型水害への対策が喫緊の課題であり、昨年九月の集中豪雨を教訓に、河川のしゅんせつ工事や護岸改修工事を実施いたします。また、水防用ポンプ、発電機などの水防対策装備や、土のう等の水防用資機材についても一層の充実を図り、万全を期してまいります。
次に、安全で安心なまちづくりに積極的に取り組む自治体の長が一堂に会する
全国安全都市首長サミットを、本年十一月に世田谷区において開催し、市民、警察、自治体等の連携を深めるとともに、安心して暮らすことができる地域社会づくりを推進してまいります。また、地域で行われている自主的な防犯パトロールなどの防犯活動に対する支援体制をさらに強化するため、その活動拠点となる安全ステーションの整備を図ってまいります。
耐震強度の偽装問題は、住まいという生活基盤を根底から覆すものであり、強い憤りを覚えました。区では、いち早く区内関連物件の調査、区の
建築審査体制の強化等を行い、懸案マンションについては、居住者、近隣住民の安全安心の早期実現に向けて、公的支援の枠組みを基本に、法令並びに他の施策との整合性を踏まえた取り組みを進めてまいります。木造住宅の耐震施策につきましても、新年度には、より一層拡充強化する施策を盛り込んでいるところでございます。
次に、高齢者及び障害者施策の充実について申し上げます。
この四月から施行される改正介護保険法に対応して、平成十八年度から二十年度までの高齢者施策や介護保険制度運営の基本となる、第三期の
高齢者保健福祉計画・
介護保険事業計画を策定いたします。区は、導入後七年目となる介護保険を安定的に運営するため、低所得者への配慮や、今回の改正の重点である
地域包括支援センターを介護予防の拠点として地区ごとに整備し、四月から中心の事業となる新予防給付の通所系サービスの負担軽減を図るなど、サービスをご利用いただくための積極的な取り組みに着手いたします。
また、
認知症高齢者グループホームでのショートステイの実施につきましては、このたび、構造改革特区としてせたがや支えあいステーション特区が認定されました。今後、この特区事業を活用する中で、在宅サービスの一層の充実に努めてまいります。
さらに、四月に迫った障害者自立支援法の円滑な移行に全力を挙げるとともに、平成二十六年度までの障害児並びに障害者政策を展望したせたがやノーマライゼーションプランを策定いたします。その基盤整備の一環として、この四月、経堂に
身体障害者デイサービスセンターを開設する予定でございます。また、団塊の世代が退職を迎える二〇〇七年問題につきましては、区は基本計画の
リーディングプロジェクトで掲げた「生涯現役」を推進するため、団塊の世代の経験や知識を地域社会で生かせる仕組みづくりに取り組んでまいります。
第二点は、「魅力的で活力あふれるまち」の取り組みでございます。
八十四万自治体世田谷の風格を支えているのは、歴史、伝統、文化にほかならないと考えています。文化及び芸術の振興に関する条例を策定し、区民の皆様が心の豊かさや潤いを一層享受できる環境の整備や充実を目指してまいります。また、これまで培ってきた文化芸術活動を踏まえ、プレ・
アートフェスティバルと銘打った、
各種ワークショップ、シンポジウム、子どもたちが参加するイベントなどを実施し、新しい世田谷の魅力を発信したいと考えております。
次に、区内中小企業の一層の活性化に向け、この四月に財団法人世田谷区産業振興公社を設立いたします。新公社は、産業からのまちづくりの視点に立ち、既存事業者の支援はもとより、起業・創業支援や意欲ある事業者の育成等にも力を入れるなど、公社ならではの特性を生かしながらさまざまな中小企業振興施策を展開し、地域経済の活性化を図ってまいります。
また、新たな
財団法人世田谷トラストまちづくりの設立は、トラスト協会、都市整備公社がそれぞれ培ってきた特性を最大限に生かし、より一層、
区民ボランティア等のすそ野を広げながら自然的環境の保全や参加のまちづくりに取り組むなど、時代の要請にこたえる改革を行うものであります。
次に、
世田谷ハーフマラソンについて申し上げます。
箱根駅伝など、区内大学の活躍には目を見張るものがあります。また、
世田谷健康マラソンも第三十回を迎えます。区ではこれらを契機に、今年十一月に本格的な
世田谷ハーフマラソンを開催する予定でございます。区内大学とも連携を図りながら、区民の健康増進とスポーツ競技者の育成にも視点を置き、スポーツの世田谷という新たな魅力創出に取り組んでまいります。
第三点は、やすらぎのあるまちの取り組みでございます。
地球温暖化防止のため、平成九年に採択された京都議定書では、
二酸化炭素排出量などの温室効果ガスの排出量について、平成二年度を基準年として削減に取り組むこととされました。区では、本年二月に策定した世田谷区
地域省エネルギービジョンに、平成二十二年度の区内の
二酸化炭素排出量を京都議定書の基準年である平成二年度の排出量レベルに維持する」という目標を掲げました。今後はこの八十四万
区民チャレンジ目標に基づき、区民、事業者、行政が一体となり、エコライフの啓発事業や省エネ機器、省エネルギー設備の普及促進など、省エネルギーのさまざまな施策を推進してまいります。
また、町の中に緑が茂り、四季折々の花が咲くということは、地域が豊かになるとともに、人の心もまた豊かになるものでございます。植物を育て慈しむことは、譲り合いや他人の手助けをしようという心がはぐくまれると言われております。そこで、区では個人個人が、また企業や団体が緑や花を守り育てる、世田谷らしい世田谷花いっぱい運動に取り組んでまいります。
次に、健康づくりの推進について申し上げます。
これまで健康づくりは個人の問題としてとらえられがちでありましたが、これからは地域社会全体で取り組む健康づくりが大切になります。区では二十三区初となる
健康づくり推進条例を制定し、区民、事業者、行政が協働して行う健康づくり活動を基盤に据え、子どもからお年寄りまで世代を通した健康づくりを進めてまいります。また、幅広い区民の健康づくり活動を推進するため、三年間で五千人を目標とした
健康づくりサポーターの募集や、団塊の世代の地域活動への参加の仕組みを構築するなど、新たな健康づくりの諸施策に取り組んでまいります。
第四点は、子どもの施策の充実についてでございます。
区の人口は八十四万人強と、約二万人増加しておりますが、一方、我が国は予測を一年ほど上回り人口減社会に突入したようでございます。超少子・高齢社会に対応すべく、なお一層予防型行政の推進にスピードを上げていかなくてはなりません。現在、区では子ども計画に基づき、産前産後の家庭への訪問支援事業などの在宅子育て支援や、子どもの安全安心を初め、さまざまな子ども施策の充実に取り組んでいるところでございます。今月末には宮坂に子ども・
子育て総合センターを開設し、児童虐待防止にも全力を傾けてまいります。また、保育園の民営化等を保護者の理解のもとに実施し、より幅広い保育ニーズに柔軟に対応してまいります。
来年度の新規施策では、子どもを交通事故等から守るため、小学校や児童館などの施設の周辺道路の路面着色を一斉に行う、全国に先駆けた
子どもセーフティ計画事業や、子育て家庭に良好な居住環境をハードソフトの両面から支援する
子育て支援マンション認証制度の創設がございます。さらに、世代間の支えあい、区民、支援団体、事業者による助け合いなど、共助の観点から地域社会全体で子どもや子育て家庭への支援を進めるため、世田谷区子ども基金の創設を条例として今定例会にご提案しております。今後、子育ての基盤整備を専門的かつ具体的に進め、子育てに夢や喜びを感じることができる地域社会の実現に全力を挙げてまいります。
第五点は、教育の取り組みについてでございます。
私は常々、すべての原点は教育にありと申し上げておりますが、今年度が教育ビジョン推進の元年でもあることから、さまざまな施策について、ここで申し上げたいと思います。
まず、構造改革特区で認定を受けた教科「日本語」につきましては、現在、前筑波大学学長の北原保雄先生を委員長にお迎えした検討委員会で、鋭意カリキュラムの作成を検討しているところでございます。昨年十二月にはパイロット校の松沢小学校で研究授業も行われ、十九年度の全校実施に向けて実践的検討を進め、その成果を全国に発信してまいりたいと考えております。
次に、読書活動の推進でございますが、本から得られる知識は人類悠久の歴史の財産であり、読書にいそしむことは、次世代を担う子どもたちの人格形成にとっても極めて重要であります。現在策定中の
子ども読書活動推進計画に基づき、中央図書館と地域図書館のネットワークを生かして地域ぐるみで読書活動を推進するなど、地域とともに子どもを育てるという世田谷らしい取り組みを、読書の分野でも進めたいと考えております。
次に、区立中学校の教育の基本である知徳体の側面から何点か申し上げます。
部活動は、子どもたちが人間的に大きく成長する人間教育の場でもありますので、区では、新たに管理顧問を設置するなど、指導体制を充実してまいります。一方、学力の維持向上のためには授業時数の確保が求められます。今年度七校でモデル実施した夏休みの短縮の実績を踏まえ、来年度は全校で八月二十五日から授業を開始する予定でございます。
ところで、中学生は心身ともに大きく成長する時期であります。少年法の改正などを契機に、中学生にも社会の一員として主体的に成長していただきたいと考え、十四歳の成人式の開催など、子どもたちの健全育成を目指し、教育委員会とともに取り組んでまいります。
次に、学校の施設について申し上げます。
次代を担う子どもたちの安全確保は最優先すべき課題であり、新たな
学校施設整備基本方針においても、平成二十一年度までに耐震工事を終えるとしたところでございます。また、地域ぐるみで児童の安全を守るという観点から、小学校区ごとに子どもの通学等を見守る安全ボランティアの組織化を急いでおります。
このところ、毎年のように真夏日の日数が更新されておりますが、地球温暖化対策への取り組みは喫緊の課題であります。そのような視点からも、今後の学校改築に当たっては、維持管理体制を整えつつ、屋上や壁面緑化等に取り組んでまいりたいと考えており、あわせて、夏休み前後の授業を効果的に行うためにも、子どもたちに環境への負荷などを学ばせながら、冷房設備の整備を進めてまいりたいと考えております。
続きまして、財政運営について申し上げます。
平成十八年度当初予算につきましては、限りある財源を効率よく配分し、安全安心なまちづくりに取り組む予算として編成いたしました。その結果、一般会計の予算規模は二千百四十八億千九百万円となり、前年度と比べニ・九%の増となっております。
歳入につきましては、特別区税は税制改正の影響や景気の改善等を勘案するとともに、引き続き債権管理の強化に取り組みます。また、特別区交付金は、平成十七年度当初算定の水準を基本といたしましたが、今後、具体的な当初算定内容が明らかになった際に、補正予算等により対応してまいりたいと考えております。
歳出につきましては、人件費は、退職手当が増加する一方で、定員適正化計画の確実な推進や、給与改定の影響により、前年度比で十一億九千万円の減となりました。行政運営費は、事務事業の見直しや内部経費の削減に取り組んだ上で、実施計画事業を中心に、災害や犯罪に強いまちづくりの重点課題に優先的に財源を配分いたしました。また、投資的経費は、市街地再開発事業や、子どもが利用する施設周辺の交通安全施設の整備などを計上しております。
次に、平成十七年度の補正予算について申し上げます。
一般会計におきましては、歳入では、特別区交付金の再調整に伴う増額や、事業の執行状況に応じた国庫支出金の減額、また、歳出につきましては、
耐震偽装マンションに関する対策費などの緊急に取り組むべき課題への対応や、生活保護費の増額、
国民健康保険事業会計や老人保健医療会計への繰出金の増額などを計上いたしました。また、三特別会計においては、保険給付に係る経費の補正を計上いたしました。
以上、平成十八年度当初予算並びに平成十七年度の補正予算について述べさせていただきましたが、景気回復の兆しが見込まれる昨今、生活向上や潤いを実感できるよう財政運営に取り組んでまいります。
最後に、今定例会にご提案申し上げます案件は、世田谷区災害対策条例など、議案八十二件、報告九件でございます。慎重にご審議の上、速やかにご可決賜りますようお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。ありがとうございました。
○菅沼つとむ 議長 以上で区長のあいさつは終わりました。
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○菅沼つとむ 議長 次に、事務局次長に諸般の報告をさせます。
〔霜越次長朗読〕
報告第一号 議会の委任による専決処分の報告(自
動車事故に係る損害賠償額の決定)外報告八件
○菅沼つとむ 議長 以上で諸般の報告を終わります。
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○菅沼つとむ 議長 これより日程に入ります。
△日程第一を上程いたします。
〔霜越次長朗読〕
日程第一 代表質問
○菅沼つとむ 議長 質問通告に基づき、順次発言を許します。
まず、公明党を代表して、五十一番板井斎議員。
〔五十一番板井斎議員登壇〕(拍手)
◆五十一番(板井斎 議員) 公明党世田谷区議団を代表しまして、順次質問並びに提案をしてまいります。
日本じゅうに大きな勇気と感動、そして寝不足を与えてくれた、冬のスポーツの祭典、
トリノオリンピックも十七日間の熱戦を終え閉幕しました。さまざまな困難を乗り越え出場された日本人選手の健闘を、心からたたえたいと思います。
さて、過日の人口動態調査の速報で、昨年十二月、出生数から死亡数を差し引いた人口はマイナス四千三百六十一人となり、初めて人口自然減が確認されたと発表されました。この数字は国外在住を含む日本人全体と日本在住の外国人を含んでおり、日本に住む日本人に限って言えば、昨年の人口減少幅は二万人に達するとのショッキングな内容でありました。日本は少子・高齢化に加え、人口減少社会に突入したのであります。
こうした社会の大きな転機を迎え、世田谷区の財政は、歳出増加要因である社会保障費の増加や施設などストック更新需要の増加、歳入減少要因としては三位一体改革による個人住民税の比例税率化の影響など、今後大幅な税収は望めないと思われます。こうした厳しい課題を認識し、区長は、自助、共助、公助の適切なバランスのもとで、安定できる将来像を示していくことが何よりも重要と考えます。そして、差し迫った課題には迅速果敢に処理していく政治の構想力、先見性、決断、そして行動が、今ほど切望されることは言うまでもありません。
そこで、区長は将来の財政状況をどのように認識されているのか、まずお伺いいたします。
また、今回の予算案は、区長の任期最後の予算となると同時に、三年間の総決算となる節目の予算でもあります。区民の生命と財産を守り、区民のだれしもが安心して暮らし続けられるよう安心安全に力を入れた予算と位置づけられる一方、
世田谷ハーフマラソンなど新たな事業にも取り組まれるようですが、また、それを執行する組織も大きく再編されますが、今回の予算編成を行うに当たり、区政四年目にかける区長の思いがあればお聞かせください。
次に、区長にどうしても伺わなければならないのが都区財調の問題であります。決裂状態にあった都区財調問題は、都区協議会において来年度、主要五課題のうち、清掃関連経費、小中学校改築経費、都市計画交付金について二百億の特別交付金が設けられ、あわせて、都区の役割分担を踏まえた財源配分については、共同機関を設置し、今後の都区のあり方を検討する内容でありました。年度越しの決着は避けられましたが、二〇〇〇年の制度改革時に積み残された五課題について、二百億で過去の清算が終わったという都側の話も聞かれてきます。これでは、二年余り都区検討会の積み重ねをほごにするものであり、百歩譲っても、配分率を決める根幹となっている都区の役割分担について、双方の主張の隔たりが埋まったとは到底言いがたく、共同機関を設置しても、再びゼロからの議論になるのではないかと心配します。
今回、東京都に押し切られた形で決着した要因に、二十三区それぞれの事情で共同歩調がとれなかったこと、世論に訴え切れなかったこと、また、十二年の決着があいまいであったことなどが大きな原因だと考えます。今後、道州制の議論も高まってくると思われますが、東京都が策定した「行財政改革の新たな指針」を読む限り、共同機関が二十三区解体論とも言うべき議論につながるのではないかと懸念されます。
区長は、これまで都区財政協議会の設置など、この問題解決に尽力されてこられましたが、十八年度財調の決着と、今後の都区制度や自治のあり方について、率直な見解をお伺いいたします。
次に、産業振興公社について伺います。
四月より勤労者サービス公社が廃止され、そのサービスを包含した新しい公社が誕生します。外郭団体のありようが厳しく問われている今日、区の産業政策の大胆な改革を目指したものであると前向きにとらえ、全体構想について何点かお尋ねします。
第一は、公社設立目的であります。
昨年九月に提出された、地域産業支援に係る新財団のあり方検討委員会の報告書による新財団設立の目的は、区内産業に対する総合的な支援を行い、中小企業の活性化を図ることで、地域経済の振興と地域社会の発展に寄与すべきとあります。しかし、総合的な支援とは何かという観点から報告書全体を読み通すと、現在の産業振興部の体制でなぜ限界があるのか、なぜ新財団でなければならないのかという、最も重要な点において説得力に欠けているのではないでしょうか。
大規模な新しい外郭団体をなぜこの時期に立ち上げるのか、公社設立の目的について改めて伺います。明快な答弁を願います。
第二に、新産業政策部と新公社との連携並びに人材登用についてであります。
現在提案されている新公社は、産業振興部の多くの事業を引き継ぐ一方で、産業政策部はスリム化し、政策立案を初め、国や東京都との折衝や、区内部におけるコーディネートを主な業務とするようでありますが、これでは屋上屋を重ねるようなものになりはしないか。改めて産業政策部の位置づけを明確に示していただくとともに、新公社との役割分担についてお尋ねします。また、新公社の理事長に大蔵事務次官等を歴任された方が就任予定であると伺いますが、新公社の運命を握るのは言うまでもなく人材の登用にあります。理事長の手腕に期待するところ大でありますが、そのもとで、官を超える斬新な発想で取り組める人材を確保できるのか、お見通しをお尋ねいたします。
第三に、個別事業について触れたいと思います。新規事業の中で、ファンド創設等による起業・創業支援、意欲ある事業者を育成するとあり、世田谷区の産業に新しい波を巻き起こそうとする意欲は高く評価するものであります。ものづくり学校に見られるように、起業、創業への意欲は、若い方々を中心に、いつの世もエネルギーに満ちあふれています。大事なことは、そうしたエネルギーが社会の中で具体的に認知され、評価され、表現されていくことが大事であります。その支援に公社は全力で取り組むべきであります。
一方で、懸命に頑張っている事業家の支援も重要であります。今、世の中が勝ち組、負け組と選別される時代状況になっています。また、残念なことに我が国は、往々にして一度事業に失敗すると二度と顧みられない、事業の失敗が人生の敗北につながる社会構造にあります。我が党は、このような社会状況は決してあってはならないと訴えたいのであります。ぜひ人に優しい新公社として、企業再生の支援にも積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、区の見解を求めます。
この項の最後に、まちづくりとの関係について伺います。産業振興にせよ、商店街の活性化の取り組みにせよ、ベンチャービジネスの起業家の取り組みにせよ、まちづくりに深くかかわってくる問題であります。今を代表する表参道ヒルズを初め、産業の活性化はまちづくりにあると言っても過言ではありません。世田谷区はどんな町を創造しようとしているのか、どんな都市経営戦略をお持ちなのかという命題に行き着くからであります。報告書に「産業界からのまちづくり」とあるので、新公社としては十分その点を意識していると思いますが、確認の意味で見解をお尋ねいたします。
次に、外郭団体と指定管理者制度について伺います。
葛飾区の外郭団体である文化国際財団が、指定管理者の公募において民間との競争に負け、解散せざるを得ない状況になったとの報道がありました。このことは、我が区の外郭団体にも大きな影響を与えると考えます。
当区においては、他自治体と同様、指定管理者制度の導入に当たっては、多くの施設が公募制ではなく、外郭団体を引き続き指定管理者として指定しているのが現状であります。このことは指定管理者制度の導入目的からすれば苦しい選択ではあります、が、三年後に、再度同じ団体を指定するのか、公募にするのかの選択を迫られることは間違いありません。
我が党は、現に指定されている団体が再指定されるにふさわしい団体として評価される前提条件として、さきに示された外郭団体の改善計画が着実に実行されることは言うまでもありませんが、最も憂慮することに、区と外郭団体の意識改革のおくれがあります。世田谷区はこれまで同様に保護する存在ではなく、外郭団体に対して自立を求める存在になることです。そして、外郭団体は世田谷区を仲間ではなくクライアントであるということを全スタッフは肝に銘じ、甘えを排除し、業務に当たることではないでしょうか。
葛飾区の問題を対岸の火とせず、指定管理者導入を契機とした外郭団体の改革をどのように考えているのか、所見をお伺いいたします。
次に、清掃事業について何点か質問いたします。
平成十二年の都区制度改革に伴う清掃業務の区移管に当たり、特別区はごみの中間処理を二十三区共同で行うため清掃一部事務組合を設立しました。しかし、十五年七月、可燃ごみの焼却における一区一工場の原則が崩れ、区長会で、ごみの中間処理に対して、二十三区は工場のある区もない区も相互に協調連携し、全体の責任として中間処理体制を確保することが確認されました。しかし、この決定は、同時に一組が存続することを意味しておりました。清掃工場を持つ世田谷区は当事者であるにもかかわらず、行政も、区議会も、区民も何の関与もできず、ただ報告を聞くだけというこの制度では、地方分権にほど遠いからであります。
そこで伺いますが、このたび一組より、十八年度を初年度とする経営計画と、それを遂行する三年間の経営改革プランが出されました。アウトソーシングなどによる経営改革が二十三区の連携を図るとしていますが、区や住民とのかかわりが希薄であり、果たして実効性のある計画になるのか疑問です。また、十八年度より一部事務組合への分担金が、ようやく人口割からごみ量割に変わります。世田谷区のごみ減量の取り組みがより一層進むことが期待されますが、ごみ量割に変わったことで分担金はどうなるのか、伺います。
また、幾ら世田谷区が努力しても、中間処理にコストがかかれば、努力は焼け石に水になります。先ほど述べたとおり、一組の改革も分担金総額の抑制につながるものと考えますが、あわせて区の見解を求めます。
また一組に関連して、廃プラスチックを燃やして熱を回収するサーマルリサイクルについても伺います。この決定は、昨年の東京都廃棄物審議会の答申を受け、二十三区の総意として判断に至ったものです。しかし、プラスチックを長年不燃ごみとして取り扱ってきたことから、今回の方針変更について、区民からさまざまな疑問や、焼却することによる環境への影響や安全面に懸念する声が上がっています。一組は既に実証実験を行うことを明示していますが、世田谷区も責任を持ってかかわり検証し、区民に十分説明することが重要と考えます。平成二十年までの実施までに二年しかありませんが、区がやるべきことは何かをお伺いいたします。
清掃事業の最後に、資源回収について伺います。区は昨年の三月に示した一般廃棄物処理基本計画の中で、平成十五年から二十六年をめどとして、一五%のごみ減量の目標が設定されました。それを受けて、来年度から順次、集団回収から区民主体の資源回収に取り組むとしています。予定されているある町会の役員は、区移管前に行われていた集団回収に税金をかけてわざわざ戻す必要はないのではないかと話をしていました。この区民主体の資源回収とは何か、また、これまで行ってきた資源回収と何が違うのか、そのねらいを具体的にお答えください。
次に、障害者自立支援法について伺います。
昨年十一月に成立した同法は、障害の種別にかかわらず、障害のある人すべてが必要とするサービスを利用できるよう、身体・知的・精神障害者のサービスを一元化したものです。また、同法では、国と地方自治体の財政負担が義務化されたことにより、障害者が地域で安心して暮らし続けられる社会の実現が法の上で初めて保障されました。今後、障害者の社会参加が大いに前進することを期待します。
一方、四月の施行を前にして、保護者や当事者から心配の声が届くようになりました。それは、支援費制度ではほとんど無料であった自己負担が、自立支援法ではサービス量と所得に応じて原則一割の負担が生じるからであります。ある先天性の障害者を持つ母親から、今受けているサービスは必要不可欠なものなのに、働くことのできない重度の障害者であればあるほど費用負担がかさむのに、サービスの量で負担を決めること自体無理があるという声を聞きました。
そこで、自立支援法における基本的なことを伺います。
まず、支援費から自立支援法への移行に伴い、安定した財源確保が図られたと思いますが、特に利用者の多い通所サービスにおける歳入と歳出の見込みはどのようになっているのか、お伺いいたします。
さらに、福祉サービス利用料は、所得に応じてゼロ、一万五千円、二万四千六百円、三万七千二百円の四区分に月額負担上限額が設定されていますが、世田谷区では区分ごとの人数と割合がどのようになっているのか、また、新たな負担増になる人数についても具体的に教えてください。
さらに、今回の自立支援法では、介護保険同様、食事の実費負担が加わります。例えば区立の福祉作業所に通っている知的障害者の場合、作業所に行くことでおおむね月に一万五千円程度かかります。それに一食約九百円の昼食を食べると月二万円かかります。合わせて三万五千円の負担になります。数千円の工賃をもらっても、三倍近い負担増になります。自立支援法の趣旨は理解できますが、余りにも急で、大きな負担増になるため、家計に与える影響が大き過ぎるのではないかと考えます。荒川区では、こうした声に対して、在宅サービス利用者負担一〇%を三%に、また、食事代を半額にする軽減策を決めました。世田谷区でも早急に検討し、何らかの軽減策を実施すべきと考えますが、前向きな見解を求めます。
次に、子育て支援について伺います。
急速な少子化による人口減少は、経済成長だけでなく、日本の将来や社会保険制度のあり方まで影響を与える大きな問題であります。我が国の出生数は一九七三年から減り始め、現在は約半分まで落ち込んでいます。少子化は子どもの数が減り続けるという単純な話ではなく、日本が多民族国家を許容するか、あるいは日本人中心の社会を継続するかを選択する時代の到来だとも言われています。
さて、その少子化の要因は、仕事と育児の両立が難しいとの理由で結婚をしない独身者の増加や、結婚しても子育てにかかる費用負担増を理由に出産をためらうなど、社会的要因が指摘されております。我が党は、こうしたハードルを少しでも低くすることが政治の大きな役割であると考えます。少子化時代を迎えた今こそ、社会全体で、生まれてくる子どもが幸せに生きられる社会、子育ての安心が保障される社会、すなわち子ども優先の社会、チャイルドファースト社会の構築が最重要と考えます。さきの衆議院選のマニフェストに児童手当の拡充を掲げ、四月から六年生まで拡充できたのも、こうした思いからであります。
さて、世田谷区では来年度、子ども計画に基づき、さまざまな子どもへの支援策を行いますが、今般、子育て支援の基盤整備として子ども基金が創設されたことは、子育て支援の新たな取り組みとして評価するものであります。区側の説明では、子ども基金の基本財産は地域保健福祉基金から二億円を繰り入れ、一億円の基金を区民から募る計画であると伺っています。この趣旨を考えると、この基金の一番大切なことは、子育てを区民全体で支え合う共助の理念の普及にあると考えます。もちろん基金を維持するための手法も大事です。久留米市や小浜市などでは清掃車両や広報に企業広告を載せ、その収益を基金に当てている例があります。
今後は、五月を子ども基金月間とするなど、啓発と賛助者を募る工夫をしていただきたいと思いますが、区の見解をお聞かせください。
また、少子化といえども、子どもを産み育てる選択は、当然個人の意思が尊重される問題であります。しかし、子どもを産み育てる意欲がありながら、産めないことで悩んでいる不妊カップルも少なくありません。七組から十組に一組は不妊カップルと言われており、近年の晩婚化、生殖年齢女性の子宮内膜症の増加、青年男子の精子数減少傾向など、今後も不妊カップルは増加の兆しを見せています。しかし、不妊治療は保険が適用されない自由診療のため、治療費の負担が少なくありません。全国で不妊治療を受けている患者は三十万人と推定され、治療費は年五十万円かかっているという報告もあります。厚生労働省では、〇四年度から、少子化対策の一環として不妊治療助成制度を始めており、医療保険の対象外である高額な費用がかかる体外受精や顕微鏡受精を希望する夫婦に、年十万円を限度に二年間助成金を支給しています。しかし、自治体によっては国の基準に沿った助成だけでなく、タイミング法や排卵誘発剤など、保険が適用される治療に対しても独自に助成を行っています。
世田谷区として、出産を望む人たちが治療を受けやすい環境を整備することは大変意義あることだと考えます。ぜひ検討していただきたいと思いますが、区の考えをお聞かせください。
次に、保育サービスについて伺います。
かつて前区長は、三つのゼロ作戦の一つに保育園待機者ゼロを平成七年に掲げました。当時としても大変大きな課題でありましたが、以来十年、熊本区長の時代になっても、保育サービス待機児は依然として解決しておりません。区はこの間、平成七年に世田谷区地域保健福祉推進本部を設置。九年には低年齢児枠拡大三カ年計画及び保育園待機者ゼロプランを策定。十一年には、世田谷区エンゼルプランの策定にも着手しました。そして昨年、次世代育成支援対策推進法を包括する子ども計画が策定され、ゼロへ向けた具体的な目標値が掲げられました。しかし、現実はどうでしょうか。区民の期待にこたえられているのでしょうか。行政を最大のサービス産業であると位置づけるならば、保育サービス待機児ゼロは、何をおいても解決に取り組む区民的課題ではないでしょうか。
そこで、区長にお伺いいたしますが、いまだ区民の期待に十分こたえられていないこの現状をどのように認識されているのか、お聞かせください。
加えて、世田谷区の人口は大型マンションの建設に比例してふえ続け、今や八十四万規模となりました。こうした状況を考えると、これからの保育サービス待機児の解消は行政主導ではなく、民間主導に重点を移すべきと考えます。例えば青山学院大学跡地の大型マンション建設で地域還元施設の提供を受け保育室が開設できたように、一定規模以上の建物には条例を制定し誘導する方法や、中小企業が第二創業を考えるときに、新公社と連携し保育室の設立を支援する方法もあります。さらに、一定規模以上の事業所には保育室の設置を誘導することも考えられます。できれば区役所内に保育室をつくることも検討してはどうでしょう。道路と同様、倍のスピードで整備していただきたいと思いますが、今後の需要の見込みとあわせて、区の見解を求めます。
また、認証保育所の保育料助成についてもお伺いいたします。保育サービスは、平成九年に児童福祉法が改正され、措置から契約に変わりました。今では約八百名近くの子どもが利用している認証保育所は重要な保育サービスの担い手であることは言うまでもありません。その意味から、保育料助成の必要性をたびたび質問してきましたが、多様な保育ニーズの方が利用しているので助成できないとの答弁で、積極的な返事がありません。区は多様な保育ニーズの実態を掌握しているのですから、ぜひ公表していただきたいと思います。そして、認可保育園に申し込んでいるフルタイムで働く世帯に対してだけでも助成すべきと考えますが、区の見解を求めます。
子どもの安全対策について伺います。
警視庁のまとめによると、昨年八月から十二月までの四カ月間、都内で不審者による子どもへの声かけ事件が百六十九件も発生していることがわかりました。発表によると、下校途中の被害が約半数で、一人でいるときにねらわれるケースが約七割を占めています。被害に遭った百六十九名のうち百二十九人が女の子であり、小学校一年生から三年生が五十六人と三割以上占め、時間は午後二時から六時に集中しております。まさに下校途中の子どもたちがねらわれている実態が浮かび上がってきます。
こうした児童生徒の登下校時の安全確保のため、全国では登下校時の見守り隊や通学路のパトロールのほか、スクールタクシーやスクールバスの導入や検討が始まっております。世田谷区でも子どもがかかわる犯罪を防ぐために、防犯ブザーの貸与や学校警備員の配置等の対策が行われてきたところです。また、新年度から小学校や児童館の周辺道路のカラー舗装を行い、子どもを取り巻く交通環境を整備する子どもセーフティ計画の実施や、小学校、幼稚園への防犯カメラの設置が行われます。
こうした取り組みは高く評価いたします。しかし、一番大切なことは、安全対策の担い手である学校教職員の危機管理の徹底にあると思います。防犯カメラを取りつければ問題が解決するわけではありません。先日、ある小学校の学校主事さんからお話を伺う機会がありました。その方は、子どもの名前を懸命に覚え、遅刻が多い子どもには声をかけ、道草しながら下校する下級生がいれば、上級生に声をかけるなどさまざまな努力をしているそうです。しかし、残念なことに、通学路の安全確保に対する意識が各学校によってかなり温度差があると話をしておりました。ぜひ防犯カメラの設置を機会に、一層の危機意識の取り組みを高めていただきたいと思いますが、区の見解を求めます。
もちろん通学路の安全確保は学校だけでは限界があります。子どもの安全なくして、学校も、教育も、社会の未来もありません。学校と地域社会が先頭に立って、実効ある再発防止策を講じなければならないのであります。これまで地域の防犯活動は町会やPTAが自発的に進めてきましたが、これからの活動を子どもの安心安全に結びつけようとする子ども安全ボランティア事業が東京都で行われます。
世田谷区としても、新たな地域の人材の掘り起こしとなるまたとない機会ととらえ、積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺いいたします。
最後に、教育問題について伺います。
先月十三日、十年ぶりに改訂される学習指導要領の見直しを審議してきた中教審の教育課程部会から経過報告がまとめられました。内容は、現状の学校週五日制は維持しながらも、国語、算数、理科の教科内容の見直しと授業の充実、また、総授業数の増加を検討すべきことが示されたのであります。実に一九七七年の改訂以来三十年ぶりとなる授業時間増が打ち出されたのであります。しかし、地方から、授業数の増加といっても限度があり、総合的学習や学校五日制を堅持する今回の報告に対して、文科省の顔を立てた玉虫色の報告だと不満も上がっています。いずれにせよ、この報告は、学力の低下を防ぐには、やはり十分な授業時間を必要とするものであり、ゆとり教育を転換したととれる報告内容ではないかと思われます。
さて、我が党は公教育離れに歯どめをかけ、魅力ある学校をつくることが、教育委員会に課せられた命題だと考えます。そのために、これまで学区域の撤廃や二学期制、あるいは中高一貫教育の導入などを提案してまいりました。教育の基本は教員であることは論をまちません。しかし、品川区では小中一貫教育、杉並区は自前の教員養成塾、千代田区は中高一貫教育、江東区や中野区は二学期制の導入など、日本の将来を担う子どもたちに対して、各区がしのぎを削って知恵を絞っているのであります。
かつて、教育長は我が党の質問に対して「地域とともに子どもを育て、すべての学校がお互いに切磋琢磨し、どの学校も信頼と誇りの持てる学校」を目指すと答えられました。この答えは、特色ある学校をつくるより、全学校が一歩前進する方がよいと理解できます。しかし、このままでは各学校が何もせず、ドングリの背比べに終わる可能性が懸念されます。教育長が言う「地域とともに」とは何を示すのか。教育長の目指す教育の先に何があるのか。教育長には大いに期待はしますが、中学校の私立志向に歯どめをかけるべく、具体的な数字目標を掲げるなど、大胆に取り組んでいただきたいと思います。中教審の報告とあわせて見解をお伺いいたします。
教育の最後に、食育について伺います。
食習慣の形成は、八歳になるまでの幼年期が極めて重要であると言われています。事実、ある栄養専門学校で朝食をとらない学生の食生活を改善しようと試みましたが、改善率は六%であったとの調査もあります。すなわち、ある程度の年齢になると、食習慣を改めることは極めて難しいのであります。これまで朝食の重要性はさまざま語られてきましたが、平成十二年度の文科省の調査では朝食抜きの子どもが四%もいると報告されましたが、事態はもっと深刻だと思います。もちろん食習慣は家庭のしつけが基本です。しかし、親世代の三十代でも二〇%近くが朝食をとらない現状にある上、既に親自身が核家族で育った世代となり、食習慣を身につけていないのが現状であります。国では昨年七月の食育基本法の成立を受け、今月には食育推進基本計画を決定し、朝食をとらない子どもたちをなくそうと計画しております。
食育については、家庭や地域と連携協力しながら進める必要があると思いますが、世田谷区の現状と取り組みについて見解をお伺いし、壇上からの質問といたします。(拍手)
〔熊本区長登壇〕
◎熊本 区長 ただいまの板井議員の公明党を代表してのご質問にお答えいたします。
まず、私が区財政の課題をどのように受けとめているかというお尋ねでございます。
私は区長就任以来、厳しい財政状況のもと徹底した行財政改善を進め、区民の生命と財産を守ることを最優先課題として区政運営に取り組んでまいりました。財政状況が先行き不透明な中で、社会保障費の増加や、区立小中学校を初めとした公共施設の改築などが大きな課題となっていることはご指摘いただいたとおりでございます。その意味からも、財政自主権の確立に引き続き取り組むとともに、事業の優先順位を明確にして緊急の課題に迅速に対応するなど、めり張りのある財政運営を心がけております。
次に、就任四年目の節目を迎えるが、来年度予算案、組織改正に対する決意のほどはということでございます。
節目の年となる任期四年目の平成十八年度当初予算は安全安心の予算として編成したところであり、安全安心のまちづくりに係る事業経費は約百五十七億円、一般会計予算全体に占める割合は七%強と、重点的に予算配分をいたしました。これは、近年の社会情勢を背景に犯罪、事故等が多発していることを受け、区民が安心して暮らせる地域社会をつくるため、安全安心施策を迅速に進めていく必要があると判断したためでございます。
なお、今回の組織改正についても、平成十八年度予算の重点施策や、予防型行政をより一層着実に実現するため、本庁、総合支所の組織を再編するものであります。
次に、十八年度財調の決着について、私の見解ということでございます。
今回の主要五課題の協議につきましては、各区の行財政運営への主張なども考慮し、十八年度協議においては、十九年度とは一たん切り離した上、やむなく合意したものでございます。しかしながら、ご指摘にありますように、五課題については根本的な解決にはなっておらず、私といたしましても強い不満を感じております。根幹となる大都市事務の課題や、十九年度以降の調整率などについて、引き続き都との協議を進めていくこととなりますが、区の自主自立に向け、二十三区一体となって、粘り強く都との交渉に当たっていかなければならないと考えております。
次に、今後の都区制度のあり方についての私の見解はとのお尋ねでございます。
私はかねてから世田谷区から東京を変えると申し上げ、「安全・安心のまち」を実現するため、財調主五要課題を初めとする都区制度改革に取り組んでまいりました。都区制度のあり方につきましては、現在二十三区と東京都はそれぞれの立場での検討を進めておりますが、今後、新たに設置される都区共同の検討組織において、改めて厳しい議論が行われるものと受けとめております。八十四万区民を擁する自治体世田谷の将来を見据え、自治権拡充の観点から、区の自主、自立を機軸とした都区制度の改革に全力を挙げて取り組んでまいる決意でございます。
以上です。その他につきましては、所管よりご答弁いたします。
〔平谷助役登壇〕
◎平谷 助役 他の自治体の例を挙げられまして、外郭団体、さらには区は危機意識を持って改革に取り組むべきだと、ご答弁をさせていただきます。
指定管理者制度導入三年後の指定のあり方と、外郭団体の改革、その際、区を含めました危機意識が不可欠なことは、まさにご指摘のとおりと認識しております。
このため外郭団体改善方針に基づきまして、各団体では、事業目標、財政計画、人事計画等に加えまして、執行体制の簡素・効率化、人事・給与制度、人材育成等、団体事業の見直し等の計画的な取り組みを求めておりまして、現在、改善に向けた指導を行っているところであります。外郭団体では、この取り組みの一環といたしまして、固有職員の給与制度の改善に着手した団体もございまして、それぞれの団体の事業の特性等を踏まえた主体的な取り組みが、より一層重要性を増しているものと認識しております。
お話にもありました、他自治体の例を対岸の火とすることなく、スピード感を持って改革の成果を着実に出していただくために、区といたしましても、ご指摘の点を十分踏まえまして、継続的な成果の検証を通じて、区民サービスの充実向上に向けた外郭団体の改革を引き続き促進してまいります。
〔山田助役登壇〕
◎山田 助役 まず世田谷区産業振興公社について。第一点目、公社設立の目的、また、区と新公社との役割分担、また、第二点目、都市経営の視点から、まちづくりの戦略はあるのかという点についてお答え申し上げます。
区はこれまで、商業、工業等の区内中小企業の振興に積極的に取り組んでまいりました。区内には特徴ある産業も見られる一方で、事業者数は減少傾向にあり、後継者不足等の問題に悩む事業所も多い状況にございます。このため、社会経済の急激な変化に対応し、産業界に新たな活力を取り入れつつ、世田谷の産業の発展を図る観点から施策を見直し、総合的な施策を展開するため、世田谷区産業振興公社を設立することといたしました。
四月からの新たな体制のもとでは、区は区内中小企業の現状を踏まえつつ、産業振興に係る調査、企画、立案を担い、区内産業活性化の道筋を示してまいります。新公社は、より事業者に近い立場から事業実施を担うとともに、民間の力や人材を積極的に活用し、ご指摘のファンドを初めとする起業・創業支援等の新規事業に取り組んでまいります。こうしたことは、公社組織であるからこそ、円滑かつ効果的に実施できるものと考えております。
また、ご指摘のとおり、産業、とりわけ商業の振興のためには、都市経営の視点を踏まえたまちづくりと一体となった取り組みが不可欠でございます。今後、新たな産業政策部としては、新公社や産業団体、また都市整備部門と連携をとりつつ、ハード、ソフトのまちづくりと連携した産業施策に取り組むことが重要な役割となってまいります。新体制のもと、しっかりと取り組んでまいります。
次に、清掃事業について二点お答え申し上げます。一点目として、一部事務組合の経営計画の評価、二点目としまして分担金の関係でございます。
清掃一部事務組合の経営計画を初めとする諸計画は、清掃一組の抜本的な改革を実施するため、また、経営の理念や具体の取り組みを明らかにするものとして、このたび策定されたものでございます。計画において、一点目として区民や二十三区の施策との連携、第二点として事業運営の透明性の確保が明記されている点、また第三点として計画策定手順についても、計画を先取りする形でパブリックコメントが導入されるといった点など、従前から一歩踏み出したものと一定の評価をしております。
もとより一組としては、二十三区の清掃事業の一翼を担う立場から、職員の意識改革、さらに効率的、効果的な運営に向けた行財政改革の確実な実施が必要なことは申すまでもございません。経営計画に基づき策定されました経営改革プランにも、清掃一組の組織体制のスリム化、清掃工場運営のアウトソーシング、行財政の見直し等の経営改革を進めることが示されております。こうした取り組みにより、歳出の削減や自主財源の確保により、二十三区の負担を可能な限り軽減しなければならないと考えております。
なお、世田谷区の分担額は、十七年度の約三十七億六千万円から、十八年度は、分担金をごみ量割に改めたこと等によりまして一億四千万円余り減少し、三十六億二千万円との資産となっております。今後、透明性が高く、区民に身近な一組を目指し、計画の進行管理を通じて、清掃一組が区民や二十三区に対する説明責任を果たし改革を着実に進めるよう、区としてもしっかりと取り組んでまいります。
続きまして、障害者自立支援法に関しまして三点お答えを申し上げます。
一点目としまして、法の制定で財源の収支見込みでございます。
このたびの障害者自立支援法では、介護給付、訓練等給付などの自立支援給付の部分につきまして、国、都の負担が義務化されます。また、サービスの利用につきまして、原則一割の定率負担が導入され、通所施設等の食費も実費負担となります。こうしたことから、財源的には現行の支援費に比べ安定するものと考えております。しかし、義務化される経費につきまして国の基準が示されていないこと、また、本年十月から実施される地域生活支援事業につきましては、国、都の負担が義務化されず、包括的な交付金制度となること、さらには現行の施設体系が、今後五年かけて新体系に移行することなどから、現状では正確な財源の収支を見込むということはなかなか難しい状況でございます。
次に、自己負担の支払い区分の状況について、また、新たに負担となる対象者数についてお答え申し上げます。
区では、障害者自立支援法の施行に向けまして、平成十八年四月から、サービスを利用される方約二千五百名を対象に所得調査を実施しております。二月末時点での集計結果でございますが、所得分は、生活保護受給世帯が一割、住民税非課税世帯の低所得一及び二の合計が四割弱、一般課税世帯が六割弱となっております。また、通所施設利用者につきましては一般課税世帯が約七割となっており、全体よりも高い割合となっております。利用者負担につきましては、これまでの支援費制度では利用者の約九割には負担がございませんでした。障害者自立支援法では、原則、サービス費の一割と食費を自己負担していただくことになります。したがって、通所施設ではさまざまな低所得者への軽減措置を行ってまいりますが、すべての利用者に何らかのご負担をいただくということになってまいると考えております。
次に、サービス利用者の負担に関する区の考え方ということでございます。
障害者自立支援法は、利用者も応分の費用を負担することにより、皆で制度を支えるという観点から、サービスの利用量と所得に応じた、原則、一定の定率負担が導入されることとなっております。一方、国は低所得者への一定の配慮が必要であるとの考えから、所得に応じた負担上限額の設定や社会福祉法人軽減策を講じております。また、通所施設の食費に関しても、低所得の方に関しましては、三年間、食材料費のみとする軽減策を設定しております。区としても、これらを実施する予定でございます。
しかし、通所施設を利用している障害者は一般課税世帯の割合が高うございます。したがいまして、軽減策の対象とならない方が多く、区としても四月の実施に向けて、利用者に配慮した食費の設定が必要であると考えております。
もう一点、子育て支援につきまして、子ども基金の関連についてご答弁申し上げます。
すべての子どもや子育て家庭への支援を進めるに当たりまして、各家庭みずからが取り組んでいただく自助、公的な支援の仕組みとしての公助、地域がともに助け合う共助のそれぞれが役割を果たすことによりまして、社会全体で子育てを応援する仕組みづくりが必要であると思っております。子育ては親が、また、周囲の人々が協力し合い営むことが基本ではございますが、核家族化や地域とのつながりの希薄化などに対応し、広く社会に呼びかけながら、世代間の支え合い子育てなど、ともに支え合う共助の仕組みを強化していく必要があると考えております。
今度設立されます子ども基金を有効に活用することにより、子育てにおける新しい支え合いを創造してまいりたいと存じます。今後、子育てに関するイベントなどでのPRなど、議員のご提案にありましたような創意工夫、さらに寄附者の意思を最大限尊重することなど、さまざまな機会や場を利用しましてその周知に努めまして、区民、事業者の皆様から温かい支援を募り、共助の仕組みを広げてまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔若井田教育長登壇〕
◎若井田 教育長 他区の教育改革の例を挙げられまして、世田谷区でも改革に大胆に取り組むべきである。また、中教審の教育課程審議経過報告についてのご見解も問われましたので、お答え申し上げます。
中教審の審議経過報告のキーワードは言葉と体験と言われております。四つの基本的考え方が出されましたが、これらはすべて世田谷の教育ビジョンの方向性と一致しており、心強く思ったところでございます。
言葉の重視につきましては、世田谷区が全国に先駆けて、言葉はすべての知的活動の基盤であり、豊かな人間性育成への基盤であるとして、美しい日本語を世田谷の学校から全国に発信し、日本語教育特区の取り組みによって、深く考え、自分を表現し、日本文化を理解する子どもの育成を進めております。
また、教育ビジョンでは体験活動を重視し、長期の中学生の職業体験や小学生の自然体験等、世田谷の新たな体験活動を創造するため検討しております。
審議経過報告では、知的好奇心を育てることなどが大切であるとしておりますが、物理や金融、ジャズなど、日本や世界の一線で活躍している方から直接学ぶ才能の芽を育てる体験活動や、数学・科学的素養の育成など、ビジョンの施策を一層実のあるものにしてまいります。
中学校では、ことしから夏季休業を短縮し、授業の質的向上を図ります。各学校が学校長の経営力を高め、独自の特色を出しながら、地域教育基盤や学校外部評価制度、地域運営学校など、地域とともに子どもを育てる教育を推進し、信頼と誇りの持てる学校づくりを進めてまいります。
次に、食育について、現状と取り組みについてお尋ねがありましたので、お答え申し上げます。
子どもたちを取り巻く社会環境は大きく変化し、食生活の多様化が進んでおります。議員ご指摘の朝食に関しましては、国の義務教育に関する意識調査において、朝食をとる子どもは中学生一年生で約八割、三年生で約七割でございましたが、世田谷区におきまして、昨年末、ある区立中学校で調査をいたしましたところ、全学年とも約九割の子どもが朝食をとっております。
学校では、給食準備などの共同作業を通して協力の精神や社会性を育てることを初め、家庭科の授業や栄養士による指導を中心に、子どもが食に対する理解を深め、規則正しく栄養バランスのとれた望ましい食習慣を身につけるとともに、食事を通して家族とのきずなを深めるなど、家庭での食事の意義を理解する取り組みを進めております。また、保護者には給食だよりや試食会を通した栄養指導のほか、家庭教育学級における食育の講義などを通して食育の啓発を進めているところでございます。
教育委員会では平成十八年度、保健所で予定されている食育推進のための計画策定などに積極的に参画するとともに、区立小学校、中学校の校長会と連携し、早寝、早起き、朝ご飯など、家庭における生活習慣の改善を提案する取り組みなども含め、各学校における食育の一層の推進に取り組んでまいります。
以上でございます。
◎若林 産業振興部長 産業振興公社に関連しまして、私から二点ご答弁を申し上げます。
まず人材の確保というご質問をいただきました。新公社の運営に当たっては、例えば意欲ある事業者への支援策のように動きの早い経済活動に的確に対応していくためには、民間の力、そのノウハウや人材の活用が不可欠であり、とりわけ有用な人材の確保が肝要だと考えております。新公社の中核にあり、事業運営に携わる産業専門員のほか、商店街などへのアドバイザー派遣や、経営、法律、会計、労務などの相談事業に、積極的に専門家を活用してまいります。今後も事業展開の中で必要な人材の確保に努めてまいります。
なお、新公社の理事には学識経験者や産業振興施策に高い見識をお持ちの方々に就任いただくこととなっております。理事長候補を初めとした、こうした方々のご示唆、ご助言などを、公社運営や事業構築などに生かしてまいります。
そのような中で、一部の自治体では独自の負担軽減策をとっているとのことです。例えば墨田区などでは、通所施設等の食費負担について補助を出すことで、利用者の負担を減らすということです。本区においても負担軽減のための取り組みについて検討していただきたいと考えます。
また、障害者自立支援法では就労支援が重点施策として打ち出されておりますが、本区においては、精神障害者の就労支援など、これまでも進んだ取り組みの実績がありますので、それらをさらに充実し、精神に障害のある人も、通院、服薬を続けながら地域社会での生活が送れるよう支援していくことが重要と考えます。
区としては、今後、自己負担の導入に対してどのような取り組みを行っていく予定か、お聞かせください。
次に、病児・病後児保育について質問いたします。
病児保育は、医師、看護師など専門家による保育という点で、預ける側の親の精神面と預けられる子どもの健康、双方の面で安心できるという利点があり、区の保育サービスアンケートにおいても、約四割の人が必要な保育事業として挙げています。
十七年度予算では玉川地域に一カ所増設の予算組みをしていましたが、実現せず、十八年度予算に新たに計上されています。区では、この施設の増設によって合計三カ所になり、子ども計画において、平成二十一年までに病児・病後児施設を三カ所にするということで目標が達成できたとするようですが、烏山地域、砧地域、また交通不便地域のことを考えると、最低でも五地域に一カ所、つまり五施設の整備が必要であると考えます。医師の確保が困難で施設の拡充ができないということですが、ニーズの高い保育事業であり、区も必要性を認識しているのであれば、暫定的な対応であっても、早急に何らかの施策を講じなければなりません。
例えば千葉県のNPO法人病児保育を作る会が行っているような、医師、看護師、保育士が登録制で病児保育を行う方法など、病児・病後児保育については、多様な考え方のもと施設の拡充を図っていく必要性があると考えますが、区の見解をお聞かせください。
次に、幼保一体化施設についてです。
区では現在、幼保一体化施設として旭幼稚園と羽根木幼稚園の整備が進められていますが、総合施設事業を充実するに当たっては、保育料やスタッフ一人当たりの児童数など、現状の幼稚園の制度と保育園の制度の違いに起因する問題が生じています。総合施設事業に関し、国は昨年十二月に評価委員会による中間まとめを発表し、人員基準、資格基準、設備基準などの要件や基本的な姿勢を示しましたが、この制度に関する具体的な方針はまだ示されておりません。
このような中で、本区では国の定める方針に先駆けて事業の実施を推進していくことになるわけですが、具体的にどのような姿勢で臨もうとしているのか、お聞かせください。
次に、昨年のヒューザー事件に続き、今年度に入って、今度はビジネスホテルチェーン大手の東横インで、身体障害者用の駐車場を倉庫などに改築したハートビル法に違反する不正改造が発覚し、建築確認をめぐる大きな社会問題が立て続けに世間を騒がせました。
東横インの場合は完了検査終了後の違法改造で、最初から違法改造を目的に設計図が二つつくられていた事例もあり、大変悪質な手口であります。法務省でも、これらの不正改造は障害者の移動や利用の自由、安全を脅かし、社会参加を阻害するものであり、障害者への人権侵害であるとして、二月十六日に東横インに改善勧告を出しております。
区では、これから中間・完了検査を強化し、不正があれば強い姿勢で指導に取り組むべきであると考えますが、不正改造への今後の対策について、区の方針をお聞かせください。
次に、下北沢駅周辺のまちづくりについて質問いたします。
下北沢は区内でも特に活気のある商業地、個性的な文化の発祥地として集客効果が上がっているところであり、現在懸念されている防災の観点に加え、沿線の人々が集う、文化や個性を生かしたまちづくりを進めることが望まれております。
街づくり懇談会以外にも下北沢のまちづくりを考えている会があると私は聞いておりますが、少子・高齢化の進展と人口減少社会への突入、本区における自家用車の保有台数の減少、さらにはCO 2排出の抑制など環境問題への意識の高まりなど、近年における社会状況の変化の中で、補助五四号線の整備について幅員二十六メートルの道路が果たして必要であるのかと疑問に思います。
この補助五四号線について、社会状況の変化を見据え、新しい視点から見直しを検討する考えはないのか、区の見解をお伺いいたします。
二点目に、小田急線下北沢駅舎上層部の跡地利用に関して、今から一年前に区の基本方針の中で報告がされておりますが、基本方針策定後の現時点での状況はどうなっているのでしょうか。跡地の利用に関しても、パブリックコメント、PIなどさまざまな手法で、地域住民など多くの人の意見を取り入れて進めていくべきであると考えます。跡地利用の方針について、現況をお聞かせください。
続いて、二子玉川東地区についてですが、Ⅱ―a街区においては、当初予定されていたホテルやショッピングセンターの建設が中断され、昨年新たに示された計画の進捗状況が気になります。また、Ⅲ街区の住宅地においては多摩川沿いに高層建築が建てられるようになり、河川の美観が損なわれるのではないかと懸念されております。景観の保護に関しては、例えば下関市と北九州市では、対岸を挟んで互いの市が関門景観条例を定めて、美観の維持に努めております。
二子玉川東地区については、都市計画道路の建設と地区計画等まちづくりを一体化して進める観点から、Ⅱ―a・Ⅲ街区については、景観上の問題も含め、川崎市とどのような考え方で進めてきたのか、区の見解をお聞かせください。
次に、サーマルリサイクルについてお聞き申し上げます。
平成七年に容器包装リサイクル法が制定され、これまで市町村、事業者、消費者が役割分担をしながらごみの分別回収を進めてきましたが、廃棄物の排出量が増加を続け、最終処分場の残りも逼迫する中で、区では平成二十年からサーマルリサイクルを実施することになりました。
サーマルリサイクルでは廃棄物の焼却の際に発生するエネルギーを利用するということですが、可燃ごみ、不燃ごみの分別をなくしてしまっては、ごみの処分に関する区民の意識も薄れかねず、これまで進められてきた資源リサイクルの観点から逆行しております。また、十分に説明がされないままサーマルリサイクルを行ってしまえば、何でも燃やせばリサイクルになるという誤解が生じ、モラルの低下を招きかねません。
サーマルリサイクルの実施に当たり、排ガス、ダイオキシンについて、区民への情報開示の方法や、排ガス等による問題が起こった場合の具体的な対処の方法や、また、今後、都や国に対しどのように働きかけていくのか、お聞かせください。
次に、京都議定書が発効してから一年を迎えましたが、毎日新聞が行ったアンケート調査では、企業の温室効果ガス排出量や削減計画などについて条例を定めて、独自の報告制度を持つ自治体は四十七都道府県、政令市の中で十九、そのうち個別企業情報の公表を定めている自治体は九つとなっております。取り組みにばらつきが見られているのが今の現状です。
地球温暖化や都市型水害への対策として緑被率を上げることによる効果が指摘されておりますが、国土交通省が平成十五年に発表したシミュレーション調査の報告では、東京都心の十キロメートル四方の緑被率を約一〇%上げることにより、一日の最高・最低気温、平均気温が〇・三%低下することなど明らかになっており、昨年八月には、港区においてさらに踏み込んだ調査が行われ、その効果が定量的に示されたところであります。
このような状況のもと、本区においても、現在、地域での地球温暖化対策の推進などを掲げた環境行動指針を改定し、環境対策に関する区の基本的な考え方を示すとともに、区民、企業、区がとるべき環境配慮行動や数値目標などを挙げています。これについて努力目標にとどまることのないよう、モニタリングなど実現していくための仕掛けが必要と考えます。
区としては、環境行動指針、省エネルギービジョンをどのように実効性のあるものにしていく予定であるのか、数値目標を達成するための具体的な方策をお聞かせください。
次に、教育関連で幾つか質問してまいります。
まず、区長の招集あいさつにもありますように、次世代を担う子どもたちの安全確保は最優先すべき課題であるということは言うまでもありません。こういった観点から、新たな学校施設整備方針に沿って耐震補強工事がおくれることのないよう、しっかり取り組むことを要望します。
そして、小学校区ごとに子どもの通学等を見守る安全ボランティアがスタートするなど、さまざまな取り組みについて評価をいたしますが、地域での安全安心対策は、各所管でしっかり連携をとり、むだのない取り組みを行うことも重要であります。
その中で、小学校の放課後の安全対策について伺います。
新BOP、学童クラブを含めた運営中に不審者が侵入してきた場合、学校職員との連携をどのようにしていくのか、危機管理体制はどうなっているのか、また、新BOPを利用している児童が混乱しないよう避難訓練を行っているのか、お聞かせください。
続いて、学力問題についてお尋ねします。
二〇〇四年の東京都の公立中学校二年生を対象とした学力テストでは、自治体によって平均点に大きく差が開いた一方で、その背景として、学力と家庭の経済力との間に相関関係があるとも指摘されております。学力の低下が、ひいては生きる力の低下へとつながりかねないと懸念される中、生まれ育った地域や家庭の経済状況にかかわらず、子どもたちが基礎的な学力と生きる力を身につけるための新たな教育のあり方が問われています。義務教育の水準の維持向上に向けての区の方向性をお示しください。
次に、障害のある子どもの教育についてですが、これまでの特殊教育――心身障害教育から特別支援教育への転換が進められている中、本区においてもLD等の発達障害を含めた障害のある児童生徒等の教育ニーズにこたえる特別支援教育が進められており、十九年の全校実施に向け、十八年に全校試行の予定で、現在、区立小中学校十校でモデル事業が実施されていると聞いております。
昨年九月に策定された区の特別支援教育のあり方に関して、教育委員会としても準備に全力を注いでおられることと思いますが、LD、ADHD、高機能自閉症等を含む発達障害がある子どもの教育においては、児童生徒一人一人の教育ニーズに合った細やかな支援をしていくことが大変重要であるということは言うまでもありません。
特別支援教育コーディネーターの教員は、通常の教育のかたわら、特別支援教育にもかかわってもらうわけですから、十分な資質とやる気や意欲が備わっていなければなりません。区としてしっかりした人材を指名されることを切に要望いたします。
なお、特別支援教育の実施に際しては、専門の教員が配置されることが望ましいと考えますが、現在、区の中には心身障害学級や都立養護学校も数校あり、障害児の教育にノウハウを持った教員がいると思われます。
そこでお尋ねしますが、特別支援教育コーディネーターとあわせて、区内で専門的なノウハウやスキルを持った人材の活用を図っていくべきだと考えます。区の見解をお聞かせください。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔熊本区長登壇〕
◎熊本 区長 ただいまの稲垣議員の代表質問にお答えいたします。
区長の三年間の実績と、また、安心安全の取り組みの評価についてのお尋ねでございます。
私は、ご承知のように、区長就任以来、区民の生命と財産を守ることを区政の最優先課題として、そして安全安心のまちづくりに取り組んできたところでございます。子どもから高齢者まですべての区民が安心して生き生きと暮らせるよう、福祉、教育、環境、都市づくりなど総合的な取り組みを展開してきたところでございます。そのことにつきましても、前例にとらわれることのない行政改革を進めてまいっているところでございます。
刑法犯認知件数に触れられておりますけれども、平成十五年、安全パトロールを他区に先駆けて実施して、区民の方々のご協力をいただいて成果を上げました。平成十四年と十五年では、安全パトロールもさることながら、管内の警察官の懸命な努力もあり、四割減という実績もあります。最近は、また空き巣犯の人が舞い戻りしてきている傾向があることも事実でございまして、これからも、さらにパトロールを強化推進していく決意でございます。
それから、ご指摘がありましたように、その件数が出ておりますが、ある警察の署長さんいわく、ただ単純にそれを比較されるべきものではない。なぜならば、人口も面積も配慮してのそういう数字ではないはずだということも言っておられますように、今の件数でそれでいいというわけではございませんが、それらを勘案しながら、さらに事件の減少に向けて努力をしてまいりたいと思っております。
この平成十八年度当初予算には、冒頭のごあいさつでも申し上げましたように、安全安心の予算と位置づけているわけでございまして、そのためには対症療法型行政から予防型の行政へと切りかえて、意識も発想も転換をして取り組んでいかなければならないことは申し上げるまでもございませんが、そうした点で、安全安心のまちづくりもさらに努力してまいります。
それから、都区財調の件についてのご質問でございますけれども、主要五課題の決着が玉虫色の決着になっているわけでございまして、私としても、申し上げますように不満でございます。区長会としては苦渋の決断でこれをのんだというのが実情でございます。今後、それらを踏まえながら、十八年度と十九年度を切り離して、さらに協議をしていくという都側の提案に対しまして、これから二十三区が一体となって自主自立できる基礎的自治体となり得るような都区財調を立ち上げなくてはならないという観点で、私もそうした決意のもとに、これからの協議に臨んでいく決意でございますので、ご理解をいただき、また議会の皆様方のご協力もお願いする次第でございます。
以上です。その他につきましては、所管よりご答弁いたします。
〔平谷助役登壇〕
◎平谷 助役 外郭団体に関連してご答弁をさせていただきます。
外郭団体のあり方につきましては、この間、ふれあい公社の廃止、文化系財団の統合、また、この四月には都市整備公社とトラスト協会の統合を予定するなど、外郭団体全体の整理、見直しを図ってまいりました。
また、熊本区長の下命のもと、外郭団体に対しましては幹部ポストの縮減等を要請してきておりまして、平成十五年四月現在の外郭団体全体の幹部職員ポストに対しまして、この四月のポスト数は十を超える減を今見込んでいるところでございます。
天下りというお話もございましたが、世田谷区の部長級退職者で見てまいりますと、国等の場合とは異なってございまして、外郭団体の常勤役職ポストでありましても年収は退職時の四〇%にも満たない額として、外郭団体の退職時にも退職金は一切支給されません。
お話にございました外郭団体の人事でございますが、基本的には当該団体等からの要請に基づきまして、区長が総合的に判断しお答えしているものであります。お話にありました方は、人格、識見ともにすぐれた我が国有数の方でいらっしゃいまして、つけ加えて申し上げますと、非常勤の理事長でありますことから、報酬は出ません。いわばボランティア的に、世田谷区のためにご尽力をいただけるということで、何とぞご理解を賜りたいと存じます。
いずれにいたしましても、各外郭団体におきましては、区の改善方針に基づきまして執行体制の簡素・効率化、あるいは人事・給与制度の見直し等、計画的に取り組みを進めておりまして、ただいまいただきましたご意見等を十分踏まえまして、今後の取り組みの成果を、議会はもとより区民の皆さん方に明らかにしながら、外郭団体の透明性を高める中で、より一層の住民サービスの向上を通じまして信頼の確保に努めてまいります。
次に、自治基本条例に関しましてご答弁をさせていただきます。
ご案内のとおり、地方自治法に基づく基本構想は自治体の憲法とも言われ、世田谷区では平成六年に新たな世田谷区基本構想をご議決いただいておりますが、その中で、政治、経済、社会のあり方に対する改革、国、地方の行政制度の見直しの必要性、また、自治が民主主義の基本であることを踏まえ、区民の総意と活力に支えられた身近な政府のあり方を掲げております。
平成十二年四月施行の地方分権一括法をもちまして、分権型社会の実現に向けました制度上の枠組みが整えられたわけでございますが、今なお、いわゆる三位一体の改革に見られますように、中央政府と地方政府のせめぎ合いが続いております。
申し上げるまでもなく、自治は、まず何よりも住民に最も身近な政府にあって、公共サービスの提供と負担のあり方、ひいては地域社会とそこでの生活のあり方を住民みずから選択、決定することを基本に、たゆまざる努力が求められるものと理解をしております。
さきに策定いたしました基本計画におきましても、こうした考え方を明示いたしまして、かつ種々の条例におきましても一貫して自治を貫いているものであり、ご提案いただいております自治基本条例につきましては、議会での幅広いご議論を賜りながら、私どもといたしましても、改めて研究してまいります。
〔若井田教育長登壇〕
◎若井田 教育長 義務教育の水準の維持向上に向けての区の方針についてお尋ねがありましたので、お答え申し上げます。
世田谷区では、子どもがどの地域で育っても質の高い義務教育を受けられるようにすることが、教育委員会、学校の責務であると考え、学校選択制を導入せず、少人数教育の推進や補習への講師派遣、中学校の夏季休業の短縮などに取り組み、子どもたちのいわゆる確かな学力、知力の育成を進めております。
こうした取り組みの効果を高めるためには、校長がリーダーシップを発揮し、教員の意欲や資質、能力を高めることが不可欠です。そこで、新たに学校経営塾を創設し、自主ゼミなどを通して、校長、副校長自身の意欲やリーダーシップを高め、そこで学んだことを日々の学校経営に生かすよう、教育委員会も積極的なかかわりを進めております。
また、世田谷区では、すべての知的活動の基盤が言葉にあることから、言葉を大切にする取り組みを全国に先駆けて行い、教科「日本語」を創設して、深く考える力や自分を表現する力の育成を進めております。今後、地方分権の流れの中、教育課程などについても一層規制緩和が進むことが予想され、子どもたちの知力をさらに伸ばしていくため、世田谷区独自のカリキュラムを学校と教育委員会が連携して検討していくことなどが必要です。
教育委員会では、来るべき時代を見通しつつ、教育ビジョンを推進するとともに、世田谷区の学校の将来像についての研究を進め、区民の信頼と期待にこたえる教育の実現を図ってまいります。
以上でございます。
◎西澤 政策経営部長 私からは、官から民への動きの中で、官と民の責任体制の明確化が必要であるが、区の見解はとのお尋ねにお答えいたします。
官から民への転換を推進するに当たりまして、官民の新たな役割分担に沿って、ご指摘のとおり行政の責任を明確にしながら、区民が安心してサービスを利用できる環境を整備することが重要であると認識しております。
行政の責任について、民間委託や指定管理者制度のように、区が事業の実施主体となる場合と、民間移譲という手法によりまして、基本的に民間の自主的な事業展開に任せる場合とでは、そのありようが異なってくるわけでございますが、民間移譲を前提とした場合、行政の役割として特に重要になるのが、提供されるサービスの質と信頼性に対するチェック機能の整備であろうというふうに考えております。
具体的には、第三者機関や専門家によるチェックの仕組みづくりとともに、利用者に対する情報公開や啓発などを積極的に進めるなど、さまざまな局面でサービスの質を担保し、想定されるリスクにあらかじめ対応できる仕組みを整備することが必要となります。
区では、保健福祉サービスのチェック機能を持つ、仮称世田谷区保健福祉サービス向上委員会を設置するなど、こうした課題に対して、他に先駆けて積極的に取り組んできております。今後とも民間活用により多様なサービスの充実を進めるとともに、区民が安心してサービスを利用できる環境整備を進めてまいりたいと考えております。
以上です。
◎稲垣 砧総合支所長 私からは、砧総合支所庁舎、区民会館の改築に関連しまして、PFI手法の検討ということについてお答え申し上げます。
国や自治体などが民間の資金やノウハウを活用するPFI手法につきましては、お話にありました大分市の事例など、自治体におきましても導入されつつありますが、お話のようなメリットが挙げられる反面、導入可能性の調査や事業者選定などに相当の時間がかかること、設計段階で、議会を初め住民の意見などを反映しにくいことなど幾つかの課題も挙げられております。また、事業者が余剰面積を活用できないと収益性が出にくいとの指摘もございます。
砧総合支所、区民会館の整備に当たりましては、喫緊の課題でございます耐震性能の強化などに取り組むものでありまして、この点から、PFI方式ではなく、いわゆる従来方式によることとしたものでございます。
いずれにいたしましても、民間活用の視点は重要な課題でございます。指定管理者制度はもとより、施設管理業務に民間ノウハウを取り入れるなど、より効率的で効果的な運営を目指したいと考えております。
以上でございます。
◎青木 生活文化部長 男女共同参画社会に関しまして二点ご質問いただきました。
初めに、条例制定についてご答弁を申し上げます。
議員もお触れになりましたけれども、官民を問わず、政策や方針決定過程への女性の参画拡大や、仕事と生活の両立支援と働き方の見直しは、男女共同参画社会実現に向けまして大変重要な課題でございます。
平成十九年度を初年度といたします新たな男女共同参画に関する計画の骨子がまとまりまして、現在、パブリックコメントの段階を迎えていますが、新年度に入り、パブリックコメントの結果も踏まえながら、計画策定委員会での議論が進み素案がまとまる段階で、条例につきましてもその方向性が見えてくるものと考えております。
次に、女性の生涯にわたる健康支援の視点を新しい計画に盛り込めというお尋ねでございます。
性差医療の取り組みは大変重要な課題でございまして、このほど策定されました国の第二次基本計画でも男女の性差に応じた的確な医療の推進が挙げられており、当区の新たな男女共同参画に関する計画の骨子でも、生涯を通じた心と体の健康づくりを支援するというテーマを課題として取り上げております。
今後、課題を実現するための具体的な施策を盛り込んだ素案づくりを進めてまいりますが、ご提案の性差医療への取り組みも含めまして、他自治体の施策も参考にしつつ、生涯を通じた女性の健康づくりにつながる有効な施策を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎佐藤
地域情報政策担当部長 地域行政制度につきまして、まちづくり出張所の人員配置など、見直しをどのように進めていくのかについてお答えします。
このたびの地域行政制度の改革は、ご案内のとおり三層構造を基本的に堅持し、簡素でスピード、連携による執行体制を確立しながら予防型行政への転換を進め、これからの時代に合った地域行政を推進していくものであります。
お話にありましたように、高齢社会の進展を展望する中で、とりわけ地区まちづくりの拠点としてのまちづくり出張所と地区での介護予防の拠点となるあんしんすこやかセンター、いわゆる
地域包括支援センターが連携をしていくことは重要なことと認識しておりまして、来年度、まちづくり出張所等の活動フロアを活用した介護予防事業などの実施に向けまして、現在、関係所管において検討を進めているところであります。
お尋ねの人員配置等の見直しにつきましては、大規模な改革ゆえ、全般的な評価検証につきましては三年程度の経過を見る必要があると考えておりますが、まちづくり出張所がこうした役割を十分に果たせるよう、おのおののまちづくり出張所の状況把握をしながら、適宜全庁的な支援体制の強化や適正な職員配置に努めてまいります。
以上です。
◎秋山 保健福祉部長 介護予防サービスの事業者の意向、動向の把握と、区としての指導や支援についてでございます。
介護保険制度の改正により、これまでの要支援、要介護一のうち改善可能性のある方を対象に、自立支援の観点に立ったサービス提供として、新予防給付がことしの四月から実施されます。この新予防給付の対象となる軽度者におきましても、適切なケアマネジメントに基づきまして、これまでのホームヘルプサービスの利用が制度上は可能となっております。
新予防給付のサービス提供事業者の指定は、東京都で受け付けを始めております。介護サービスを提供しているほとんどの事業所が指定申請を行っていると聞いております。したがって、新予防給付のサービスを提供する事業者は確保できるものと考えておりますが、今後も事業者の意向などには注意を払ってまいりたいと考えております。
また、新予防給付のケアプランにつきましては、区は原則として
地域包括支援センターがみずから実施することにより、要支援状態となる前からの一貫性、連続性のある自立支援に向けた効果的な介護予防マネジメント体制を確立するとともに、マニュアル作成や研修会などを実施し、適切な指導、支援を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎亀田 在宅サービス部長 一つは、介護予防でございますが、地域支援事業による介護予防についてどのようにサービス提供体制を構築するかというご質問でございます。
地域支援事業につきましては、一つは、介護保険給付と同様の専門的視点による運動器の機能向上などの通所型介護予防事業があり、さらに介護予防を普及啓発する講演会や講座、住民の自主活動への支援を目的とした認知症予防施策などがございます。介護予防が必要な方につきましては、検診のほか、普及啓発講座などの催しの場を利用したり、実態調査などにより対象者を発見し、
地域包括支援センターにおけるアセスメントにより、適切なサービスや地域資源に結びつけてまいりたいと存じます。
次に、区内で経済活動をする企業が市民意識を持てるような仕組みについて質問いたします。
区では基本計画やさまざまな条例の中で、その主体となるものについて、区民、事業者、行政といった言い方をしています。企業というのはこの事業者に含まれますが、地域社会の重要な一員として、普通の市民と同じように、つまり企業市民として位置づけるとともに、地域貢献を考えながら企業活動をしてもらわなければならないと考えます。
しかしながら、ライブドアの事件の経過などを見ていると、法は守っていますよというだけで、法以外の社会のルール、つまり社会常識や地域で培われたモラルといったものが全く無視され失われつつある。そういう考え方が進むと、法すれすれのところから、さらに利益追求に走り、結果的に法という一線も超えてしまっていることにすら気がつかないという事例が出ています。そのことは、マンションの耐震偽装問題、東横インの違法改修問題など昨今の事件の数々から、私たちも知るところとなっています。
世田谷区に目を向けてみますと、企業による大規模開発やマンション建設などが、建築基準法を守っているということだけで、地域住民の声を無視する形で進められてしまっているケースがあります。建築基準法を守っていても、世田谷区の財産とも言うべき環境を守ることにはつながらないのが問題なのです。
一昨日、会派で元宮城県知事の浅野史郎さんを迎えての勉強会に参加したのですが、そこでも企業の社会貢献ということが取り上げられていました。優良企業の例として、「通販生活」を出しているカタログハウスが紹介されていたのですが、この会社では商品憲法というものを制定しています。
少しご紹介しますと、第一条、できるだけ地球と生物に迷惑をかけない商品を販売していく。第二条、できるだけ長持ちする商品、いつでも修理できる商品を販売していくといったぐあいです。一見、環境問題とか長持ちする商品などを扱うともうからない、利益が減ってしまうと思われがちですが、実はそういう理念が消費者の信頼を取りつけ支持されている、そういう時代になってきているのだと思いました。
企業活動が、法さえ守っていればそれだけでいいのだ、利益を追求して何が悪い、税金だって払っているというような意識では、この世田谷では許されませんよ、世田谷区の高い住民意識に合わせて企業の意識も高めてもらいたい、そういう働きかけが必要だと思うのです。意識の高い住民の気持ちが反映されるまちづくりのために、企業も地域住民の声を聞く、聞く耳を持つということを積極的に推進できるような仕組みが必要であると考えます。
例えば、会派としては企業市民活動条例とか企業情報公開条例のような、企業に対して一市民としての意識を高めてもらうような包括的な条例をつくるのはどうだろうかということも議論したところですが、それはともかくとして、区としても区内、区外を問わず、企業に市民意識を持たせる仕組みの検討をすべきではないかと強く思うところです。区の見解をお聞かせください。
最後に、地域コミュニティーの醸成に必要な区民の定住誘導策について伺います。
定住について、昨年区が行った区民意識調査の結果を見ますと、世田谷区に二十年以上住んでいる区民は五〇%を超えています。また、これからも世田谷区に住み続けたいという区民は七六%であり、定住志向は高くなっています。区の基本計画は「いつまでも住み続けたい『魅力あふれる 安全・安心のまち世田谷』」を最大の目標にしており、それは熊本区長の思いでもあると思いますが、我々は地域コミュニティーの醸成の観点から、区民の定住誘導策を訴えるものであります。
ご承知のように、地域コミュニティーは一朝一夕にしてできるものではありません。定住者が多く、その方々が長年にわたって地域での交流や触れ合いの中で、地域コミュニティーを形成してくださってきているからこそできるものと考えます。
この考え方は、もちろん世田谷の魅力に引かれ、ほかから移住される方々を排除するものではありません。定住されている方が多く、地域をよく知り、コミュニティーができているからこそ、新しい方の受け入れ体制も整うということになるのです。そういう意味では、長く住んでいる方々は、その地域において頼もしい存在であると言えるでしょう。そして、世田谷に長く住み続けたいと思っていただくには、より積極的な誘導策が必要だと考えます。
そこで、一つの提案をしたいと思います。九州の福岡、佐賀、長崎、熊本、大分の五県が共同で、少子化対策の一環として子育て支援事業に取り組むという記事が西日本新聞に載っていました。その制度とは、飲食店や衣料品店、映画館などから協賛を募り、賛同する企業や店が、小学校入学前の子どもがいる世帯に割引やプレゼントなどの特典を与える仕組みのことです。
これは子育て支援策ですが、例えば世田谷区では長く住んでいらっしゃる方に積極的に証明書を発行し、その証明書がさまざまな場面で有効に使えるような取り組みを考えるべきではないでしょうか。一つの例えですが、産業振興の観点から協賛する企業や店を発掘し、地域に貢献できる体制をつくるという戦略もあると思います。
この一つ前の質問でも述べさせていただきましたが、こうした取り組みによって、世田谷区で事業をすることイコール、世田谷という町、地域に溶け込み、地域に貢献し、企業市民意識を高めることにもつながると思うのです。
そこで伺いたいのは、こうした制度が可能かどうか、そして取り入れてみようという考えがおありかどうか、区の見解を伺います。
以上でせたがや政策会議の壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔熊本区長登壇〕
◎熊本 区長 ただいまの富永議員の代表質問にお答えしてまいります。
行財政改革の成果と今後の取り組みについてのお尋ねでございますが、私が取り組んでまいりました改革を、行政改革、政策の重点化、都区制度改革、この三つの切り口からお尋ねいただいたところでございます。
まず行政改革につきましては、ご承知のように、民間の方から成る政策評価委員会を立ち上げまして、二千六百余に及ぶ事業の再評価をお願いし、その検討結果を踏まえて、職員定数の削減や外郭団体の改善、全庁的な機構改革、さらには公債費比率の軽減など、大きな成果を上げ得た部分と自負しております。
なお、区民の生命と財産を守ることを区政の最優先課題として、「安全・安心のまち世田谷」の実現に向けて、防災や子ども施策など抜本的な充実を図る政策の重点化と予防型行政への転換を着実に進めてきております。
都区制度改革につきましてのお尋ねですが、いわゆる主要五課題については、申し上げておりますように、区長会としては苦渋の決断をしたわけです。時期的にも各区とも予算時期を控えておりますだけに、これが長引くことによって、都民への影響を考えながら決断されたものでございまして、これで終わりではなく、今後とも都区協議をさらに重ねていくということが担保になっているわけでございます。
いずれにしましても、この都区間協議の中で特別区の自主自立を目指していくべく、都区財政調整制度の研究の成果を特別区の自主自立を目指すために生かした政策として取り組んでまいりたいと思っております。
いずれにしましても、私にとりまして余すところのこの一年間、申し上げますように、今までの対症療法型の行政から予防型の行政への転換を進めながら、区民の方々が安心して住み続けられる世田谷の実現を目指すために最善の努力をしてまいる決意でございます。
皆様方のご理解とご協力をよろしくお願いいたしまして、その他につきましては、所管からお答えさせていただきます。
以上です。
〔若井田教育長登壇〕
◎若井田 教育長 日本語教育特区の取り組みにつきましてお尋ねがありましたので、お答え申し上げます。
現在、検討委員会を設置し、新しい教科「日本語」のカリキュラムと教科書に相当する教材について検討いたしております。世田谷日本語教育特区の認定とその取り組みにつきましては、現在の中央教育審議会教育課程部会の審議にも大きな影響を与えていると聞いておりますが、世田谷から全国に発信し、今の日本の教育の混迷に一石を投じる試みとして、やりがいのある張り詰めた気持ちで検討を続けております。
これまで義務教育の子どもを対象としたこのような試みがないために、検討委員会では多くの意見が出されましたが、古典や漢文などの文学的素養を身につける、郷土に伝わる文化を理解し継承するなど、カリキュラムの十の柱を固め、現在、作業部会で授業を実施しながら教材を作成しております。教材につきましては、担当出版社も決め、世田谷日本語教育特区の準教科書として、全国でも使っていただけるよう広めたいと考えております。
言葉に対する力を高めることは、知力を高める基盤であるとともに、豊かな人間性をはぐくみ、人としての人格を磨く原点であり、質の高い取り組みとなるよう鋭意努力してまいります。
以上でございます。
◎西澤 政策経営部長 私からは、四点につきまして、順次ご答弁をさせていただきます。
まず住民の適正規模を考えることの必要性に関連いたしまして、人口規模と権限に関する区の考え方と、人口の適正規模というものを意識した政策の必要性についてご答弁申し上げます。
ご指摘いただきましたように、世田谷区は八十四万規模の人口を有しておりまして、全国自治体の中でも、政令指定都市を除いた、まず一番目の大きな人口を抱えてございます。これは最近の話ではございませんで、以前からそういうような状況でございまして、そうした世田谷区の人口規模に見合った適正な行政執行を行うために、これまで区独自の地域行政制度、こうした制度を用いまして、区の中での内なる分権を行いながら、行政サービスの提供に努めてきたところでございます。そうした制度の中で、いわゆる福祉ですとか、保育ですとか、教育ですとか、すべての行政施策につきましては、世田谷区の大規模な人口規模に合わせた展開をしてきているものと認識してございます。
一方で、世田谷区はその人口規模からすれば、政令指定都市並みの権限や財源が与えられるべきでございますけれども、現在までのところ、制度上許されないということが現状でございます。
そういった観点から見ましても、この間取り組んでおりますいわゆる都区制度の改革につきましては、世田谷区の自主自立を基礎とし、権限を拡充する意味におきましても、全力を挙げて取り組んでいかなければならない課題であるというふうに考えております。
また、人口規模と居住環境との関係でございますが、一般的に人口の増加は商店街の活性化など地域振興につながり、また、税収の増が期待できるなどのメリットをもたらす。そうした一方で、過密による交通渋滞ですとか環境問題、さらにはごみ問題、こうした課題が増加をいたしまして、道路、交通や、教育、災害、治安対策などの公共サービスの支出の増を伴うというふうに言われているところでございます。
区では基本計画の中で、人口の微増が続くという想定の中で、区民の良好な生活環境を確保していくことが大切であるというような計画を立てておりまして、これまでも良好な住環境の確保や、区民生活の安全安心に向けたさまざまな取り組みを進めてまいりましたが、お話にありましたとおり、政策や施策の展開に当たりましては、適正な人口がどの程度であるのかを常に念頭に置きながら施策を展開していくことが必要であるというふうに考えております。
次に、企業が市民意識を持てるような仕組みを検討すべきであるというご質問でございます。
地域社会は、区民だけでなく、企業や事業者など、さまざまな方々によって構成されて成り立っているところでございます。こうしたことから、世田谷区の基本計画の中において、地域の構成員がそれぞれの役割分担と相互協力によって地域社会を築いていくこと、すなわち協働の推進を基本的な考え方に掲げまして、区民、事業者等との連携協働を一層発展させていくことを目指しているところでございます。
このような中で、企業や事業者の方々が利益の追求だけではなく、地域社会の構成員として地域貢献をしていただくことは大変重要なことと認識しております。このため、世田谷区ではこの間も、例えば建築物の建築に係る住環境の整備に関する条例におきましては、環境空地や駐輪場の設置を求めたり、国分寺崖線保全条例や斜面地における建築物の制限に関する条例、また、みどりの基本条例におきましては周辺の住環境との調和を図るよう働きかけたり、また、産業振興基本条例では小売店等へ商店街への加入の協力を促すなど、企業や事業者等が地域社会における構成員として貢献する施策に取り組んできております。
こうしたことも踏まえまして、今後とも企業や事業者等による地域貢献の促進や、区民との連携協働の取り組みの充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
最後に、地域コミュニティーの醸成に必要な区民の定住策、具体的には定住者に証明書を区が発行して、有効な取り組みを行う提案についてでございます。
区は、基本計画で「いつまでも住み続けたい『魅力あふれる 安全・安心のまち世田谷』」を目指しております。この計画では、十年後の将来目標としまして、「安全で安心なまち」「魅力的で活力あふれるまち」「健康でやすらぎのあるまち」「世田谷の文化を育み、未来が輝くまち」「区民が創るまち」を掲げまして、さまざまな施策を展開しているところでございます。
こうした中で、ご指摘のように、平成十七年六月に実施いたしました区民意識調査では、定住意向として七六・五%、約八割の方が世田谷区に住みたいと思うと回答しておりまして、定住意向が高いことを示しておりまして、このことにつきましては、区としても十分認識しているところでございます。
ご提案の中にありました証明書につきましては、行政の証明として発行することは可能であるというふうに考えております。今後の地域コミュニティーの醸成のためにも、区民の定住意識を向上させることは大変重要であるというふうに考えておりますので、定住施策につきましても、今後とも研究してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
◆三十五番(富永早苗 議員) 一つ、もう少し広い観点から助役に伺いたいんですけれども、人口の適正規模ということについてなんですけれども、先ほど部長から答弁していただいたのは、これまでも人口規模を意識して施策を展開してきたし、それから、今後も適正人口を常に意識して政策を考えていくというふうにお答えをいただいたと思います。でも、私が伺いたかったのは、さらにもう一歩踏み込んだ、緑と空と日の光がある住環境を維持していくためには、一体適正な人口というのはどのくらいなんだろうか、それを考えた政策を打ち出していくべきではないか、そういうことなんですね。
言いかえますと、ふえるならふえるに任せて政策を展開する、減るなら減るに任せて政策をするという事後処理的なそういうものではなく、先ほど区長も予防型とおっしゃっていましたけれども、そういうふうなところのことを伺いたいと思っておりましたものですから、そのことについてちょっとお答えいただけたらと思います。
大型マンション開発がふえるから人口もふえていくわけですね。でも、世田谷の面積は決まっていると。でも、そのためにはどういう政策を展開していけばいいのかというのがあると思いますので、その人口をどのくらいに設定したらどういう政策をするというのがあると思うので、ぜひそういう観点からお答えをいただきたいと思いますが、お願いします。
〔平谷助役登壇〕
◎平谷 助役 なかなか難しい問題なんですが、私、以前本で読みますと、地域というあるエリアがあって、気象条件があって、幾つかの要素をかみ合わせますと、一定の上限の人口というのは計算値が出るそうです。その本によりますと、日本の人口は今一億二千万ですが、日本の国土を考えると、およそ七千万ぐらいだろう、こういうことが言われておりまして、そういうことを今おっしゃっているわけではないと思うんですね。
したがって、ある種、人口政策というのは、世界の中の、私が知る限りは発展途上国が百三十ぐらいあるんですが、そのうち大体七十くらいの国におかれまして、そういうある種強制的な人口抑制策がとられておるんですが、往々にして、失敗しますと政権交代につながるというふうなこともございまして、なかなか難しい問題ということでございます。
世田谷区に引きかえて申し上げますと、昭和五十年代当初、ここにおられる議員の方もご存じだと思いますが、当時、適正人口を算出した経緯はございますが、それが今日に通用するかどうかは、またこれもよくわかりません。
いずれにしましても、私自身勉強しまして、改めてまたご答弁をいただく機会をちょうだいしたいと思います。どうも失礼しました。
◆三十五番(富永早苗 議員) ぜひ引き続き研究していっていただきたいと思います。
先ほど教育長から日本語教育特区への思いを語っていただいたんですけれども、私たち会派でよく話しているんですね。でも、これもぜひ全国に広げるというのは話していて、教育長もそう言っていただけました。でも、それを私たちは英語とか外国語に翻訳して、世界でも広げたい。そして、それを大人も……。
○菅沼つとむ 議長 以上で富永早苗議員の質問は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後四時四十四分休憩
──────────────────
午後四時五十五分開議
○菅沼つとむ 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
代表質問を続けます。
日本共産党を代表して、二十四番中里光夫議員。
〔二十四番中里光夫議員登壇〕(拍手)
◆二十四番(中里光夫 議員) 日本共産党を代表して質問します。
先日、あるひとり暮らしの高齢者に米寿のお祝いの言葉をかけると、ちっともうれしくない、毎月赤字が続いて貯金がなくなる、死ねということかしらと言われました。年金生活のある方は、「確定申告で税務署に行って、思わず大声を上げた、増税にびっくりした。」と言っていました。
庶民大増税が区民に襲いかかります。定率減税の半減、老年者控除の廃止、年金控除の縮減など増税の影響は、区の来年度予算で五十二億円に上ります。国保や介護保険料も値上げされようとしています。
年金による年収が二百六十万円のひとり暮らし高齢者は、これまで住民税非課税でしたが、来年度から住民税が課税され、連動して国保や介護保険の保険料にも影響が出ます。住民税、国保料、介護保険料を合わせた負担は月当たり五千十六円から一万九千六百七十七円、年間十七万五千九百円の負担増です。
小泉内閣は、庶民増税、社会保障の切り捨てなど、改革の名で痛みを押しつけてきました。医療改悪や消費税増税もねらわれています。痛みの先にあったのは格差社会と貧困の広がり、耐震偽装問題、ライブドアショックなどです。財界、大企業による利益至上主義の政治は社会のゆがみを進行させています。
日本共産党は、国民の皆さんと力を合わせ、庶民大増税に反対、社会保障の充実、国民の暮らしと安全を守るルールの確立など頑張ります。
国の悪政から、区民の暮らし、福祉を守り充実させるのが地方自治体本来の仕事です。ところが、熊本区長は就任以来、紙おむつ支給の有料化、就学援助の支給対象縮小、福祉タクシー券の削減など、暮らしや福祉の施策を次々と削り、学童クラブの正規職員削減、区立保育園の民営化、出張所窓口の廃止など、区民サービスを直接担う職員も削減を進めています。紙おむつ代が大変、出張所が不便になったなど、怒りの声が広がっています。
熊本区長は、こうして三回の予算編成を通じて、五十項目以上、年間約七十億円分の暮らしや福祉、教育の区民サービスを縮小しました。区長は自分が進めている区政が区民に耐えがたい痛みを押しつけているという認識はあるのか、伺います。
一方、熊本区政は大型開発には大盤振る舞いです。来年度は、二子玉川再開発に四十四億円、成城や経堂の駅前広場や大型都市計画道路に四十六億円、砧庁舎建てかえに五億円の予算が計上され、合わせて九十五億円です。
砧庁舎の建てかえは目に余るむだ遣いです。耐震補強と必要最小限の補修は五億円もあればできるのに、四十億円かけて建てかえを行おうとしています。すべて区民の負担です。基本構想では防災拠点にするとありますが、現在でも災害対策の地域本部です。援助物資集積場所は交通の便のよい区内の大学などに協力を求める方が適切です。
行政サービスや区民活動は庁舎床面積が三分の二に縮小され、今より後退します。保健福祉センターは統合され、健診を行うスペースも三分の二に縮小です。区民会館ホールは四百十四席から約三百席に、百席も削減されます。区民も利用している食堂や理髪室は廃止してしまいます。
また、環境へ配慮すると言いますが、建物の建てかえ自体が環境への大きな負荷となります。建物にかかわるCO 2排出の四割が建設時のものと言われています。建物の寿命を伸ばすことが環境への最大の貢献です。砧支所の建てかえは大量のCO 2と産業廃棄物を吐き出す環境破壊です。
多額の区民負担で建てかえるのに、区民にとってプラスになることがありません。地元からも、今の方がいいんじゃないかと声が上がっています。本当の理由は建てかえそのものに目的があるとしか思えません。古いゼネコン政治の復活ではないでしょうか。
建設業界の建通新聞では、世田谷区は二日、二〇〇六年度予算案を発表した。砧総合支所庁舎、区民会館の建てかえで、基本・実施設計と事務所棟の新設に着手する云々、投資的経費は対前年度比二二・四%増の三百三十四億九千四百万円となったと書いています。建設業界が熊本区政の予算と砧庁舎建てかえに熱く注目しています。
庁舎の建てかえは、区長の政治決断なしにはできない問題です。区長の説明するような理由で建てかえが進められるならば、砧庁舎にとどまらず、今後、庁舎の建てかえが歯どめなく続きます。今後の区民負担は数百億円となります。
区長は、庁舎建てかえについて区民の理解を得られていると考えているのか、伺います。
砧庁舎の建てかえ計画を撤回し、耐震補強工事に切りかえることを強く求めます。区民の暮らしを守り、福祉を増進することこそが地方自治体の仕事です。むだ遣い、痛み押しつけの区政運営を直ちに改めることを求めます。
次に、区民の切実な願いにこたえる区政を求め質問します。
まず子育て環境の改善について伺います。
安心して子どもを産み、育てることのできる社会をつくることは、日本国民の未来にかかわる大問題です。長時間労働をなくし、家庭生活との両立ができる人間らしい労働を取り戻すこと、男女差別、格差をなくし、女性が働き続けられる社会を築くこと、保育所や学童保育など、子育ての条件改善に取り組むこと、子どもの医療費無料化を拡充すること、若者に安定した仕事を確保することなど、子育て環境の抜本的改善が必要です。
世田谷の子育て環境はどうでしょうか。大規模マンションが次々と建設される中で、子どもの人口もふえ、校舎の増築が必要になった小学校もあります。小児救急医療の不足はますます深刻です。二十四時間対応の小児救急医療機関は成育医療センターだけでは足りません。
子どもの医療費は、二〇〇五年度、小学三年生まで無料化されましたが、他区の状況を見ると、中学三年生まで医療費が無料化されている区が三区、入院費だけの補助などを含めると、既に十区が中学三年生まで医療費助成の対象にしています。
区立保育園の申し込みは、昨年四月の実績で九百五十四人が選考からあぶれました。認証保育所では保育料が高く、あきらめざるを得ない人も出ています。所得に応じた保育料で安心して預けられる認可保育園や保育室が圧倒的に足りないのに、認可保育園は六年間、保育室は五年間、ただの一つも増設していません。
小さな子どもを連れて外出すると授乳の場所に困る、こんな声が寄せられました。区の施設で授乳できる部屋があるのは、区役所の子ども部と北沢タウンホールのらぷらすの二カ所しかありません。
一人一人の子どもに目が行き届く充実した教育、勉強がよくわかり、学校が楽しくなる三十人学級の実現が求められています。
世田谷の子育て環境について、次の六点伺います。
一、都立病院や民間医療機関での深夜時間帯の小児救急医療の実施を求めるべきです。
二、子ども計画に認可保育園の増設が示されていますが、計画を前倒しして、一刻も早く行うよう求めます。
三、病後児保育も予算が執行されず、新たな施設が実現していません。来年度こそ必ず実現するよう求めす。
四、子どもの医療費は中学三年生まで無料とするよう求めます。
五、保健福祉センターや児童館、区民センターなど、区の施設で授乳できる場所を整備し、さらに民間の施設も含めたガイドマップなどをつくることを提案します。
六、区として三十人学級実施に向けて準備を進めるべきです。
◎真野 北沢総合支所長 私からは、五四号線の事業認可についてのご質問にお答えします。
下北沢地区の補助五四号線につきましては、所定の手続を経て、平成十五年一月に都市計画の計画変更をしております。その後、現況測量説明会を開催し、さらに用地測量説明会を実施してまいりました。現在、事業認可取得につきまして、駅前広場も含めた、道路事業に係る多くの権利者の方々へ個別の事業説明や相談を行いながら、丁寧に、かつ速やかに、測量などの事業認可取得に向けての必要な作業を進めてまいりました。したがいまして、当初のスケジュールに沿いまして年度内の事業認可取得に向け、都市計画事業の認可権者であります東京都と協議を進めているところでございます。
いずれにいたしましても、小田急線の連続立体交差事業におくれることなく必要な道路整備を進めていくために、早期の事業着手を目指してまいります。
次に、じっくり話し合いながら計画を練るべきだというご質問でございます。
下北沢のまちづくりにつきましては、区は、これまで街づくり通信やホームページなど情報を提供しながら、地元下北沢街づくり懇談会や、町会、商店会など、数多くの方々の意見をお聞きし、また、意見交換会や説明会などを数多く積極的に開催し、町の持つさまざまな課題を解決すべく、これまでやってきたものでございます。
いずれにいたしましても、世田谷区といたしまして、平成二十五年度完成予定の小田急線連続立体交差事業とともに、駅前広場を初めとした道路整備、また、地区計画策定による町並みの誘導、そのほか各種事業をあわせて進めていくことで、下北沢がさらに大きく発展していけるよう推進していく考えでございます。
以上でございます。
◎室星 危機管理室長 国民保護計画について二点ご質問をいただきました。順次お答え申し上げます。
まずは国民保護計画に基づく住民避難と自衛隊の行動の支援等が同時に行われているかということについてお答え申し上げます。
武力攻撃やテロ等の事態の認定につきましては、国が武力攻撃事態対処法に基づき、国際情勢や相手国の意図、軍事的行動等を総合的に勘案し判断されるものでございます。これに基づく対処基本方針が定められた場合には、区は国民保護計画に基づいて、警報の伝達、救援の実施、避難の指示等の措置を実施しなければならないことになっております。こうした事態に対し、国や東京都等と連携協力して適切に対処することが必要であると考えております。
続きまして、国民保護計画は区民の安全にとってどのような意味があるかということにお答え申し上げます。
国民保護計画は、外部からの武力攻撃やテロ等の事態から国民を保護するため、国民保護法に基づき、区に作成が義務づけられております。区といたしましては、国のスケジュールに従い、平成十八年度に作成する予定でございます。今後作成する国民保護計画は、国や東京都、区が協力連携して、区民を保護するための措置を実施すること等を定めることになりますが、これにより、区民の生命、身体及び財産の擁護が図られるものと認識しております。
以上でございます。
◆二十四番(中里光夫 議員) まず区長ですけれども、質問では痛みを区民に押しつけているという認識があるかという質問だったわけですけれども、区民だけに痛みを押しつけていないというお言葉があったかと思うんですが、痛みを押しつけているのか押しつけていないのか、それはどうなのかということをもう一度お答えいただきたいと思います。
それから、砧の庁舎の問題ですけれども、質問では区民の理解を得られていると考えるかという質問をしているんですが、委員会で報告をしたというお話でした。私は委員会にも出ていましたけれども、今回、四十億円の区民が負担する庁舎建てかえですから、これは一人頭で計算すると五千円、四人家族で二万円、全区民が負担しなきゃいけない。だから、そこをお願いしますということで、全区民にきちんと説明する必要があると思うんです。委員会への報告だけでは全区民に説明したことにならないし、実際に理解が得られているかどうか、そこのところをもう一度お答えください。
〔熊本区長登壇〕
◎熊本 区長 中里議員の再質問にお答えいたしますが、行政改革、また職員の定数の問題等も、ご承知のように、大変に厳しい査定のもとに行っているわけでございまして、そうしたことを考えながら、区民の方だけに痛みを与えているのではないということを申し上げたわけでございますので、ご理解いただけると思います。よろしいですか。
◎稲垣 砧総合支所長 砧総合支所の建てかえにつきましては、現在、ご議決をいただきました予算に基づきまして基本構想を策定しているところでございます。この中ではいろいろとご意見をいただいてございます。集会施設のこと、それから急勾配の玄関階段の改善、あるいは駐車場の確保、それとか施設のバリアフリー等々とさまざまなご意見をいただいております。これにこたえていくのが私どもの役割だというふうに考えております。
以上でございます。
◆二十四番(中里光夫 議員) 区長の区民だけに痛みを与えていないと、これは区民に痛みを与えているというふうに受け取っていいものかと思います。
それから、砧で意見を伺っていると言いますが、全住民、だれでも参加できるような説明会を大規模にやられているかというと、これはやられていないわけで、説明は全く不十分だというふうに思います。
それから、下北沢の問題ですけれども、先日、商業者協議会が区長に直接会いたいんだということで来ましたけれども、忙しくて五分の時間もとれないということで、まだ会われていないということを伺っています。計画推進をする人たちが東京都に請願を出して、そのことをご報告した折に、区長とお会いしたというお話を聞いたんですけれども、これが事実かどうか。もしそうだとしたら、都合のいい相手にだけ聞く耳を持つという、そういう姿勢になるんではないか。問題じゃないかと思いますが、伺います。
〔熊本区長登壇〕
◎熊本 区長 区民だけに痛みを押しつけているということのご指摘ですけれども、痛みを分かち合っているということです。痛みを分かち合っているということでご理解いただきたいと思います。
以上です。
〔平谷助役登壇〕
◎平谷 助役 今のお尋ねの中で、下北沢に関連いたしまして、商業協議会の方ですかね。いきさつは、区長室の方にご連絡がございまして、実はその日は区長のご都合がつかないんですよということをあらかじめ代表者の方に申し上げて、わかりましたということで、区長室の方にお見えになって、その際、議員もたしかおられたかもしれませんが、区長室長が基本的には対応させていただいて、区長に直接お渡ししたいのでということで、当日、要望書はお持ち帰りになりました。その後、区長のご自宅の方に代表者の方からご郵送でちょうだいしておりますので、区としてはその段階で正式に受理をさせていただいた、こういうふうな事情でございます。
○菅沼つとむ 議長 以上で中里光夫議員の質問は終わりました。
これで本日の代表質問は終了いたします。
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○菅沼つとむ 議長 以上をもちまして本日の日程は終了いたしました。
なお、明二日は午前十時から本会議を開催いたしますので、ご参集願います。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時四十一分散会...