大田区議会 2021-05-26
令和 3年 第1回 臨時会-05月26日-01号
令和 3年 第1回 臨時会-05月26日-01号令和 3年 第1回 臨時会
令和3年第1回臨時会 大田区議会会議録 第6号
5月26日(水曜日)
出席議員(49名)
1 番 田中一吉 2 番 松原秀典 3 番 高瀬三徳
4 番 岸田哲治 5 番 大森昭彦 6 番 塩野目正樹
7 番 押見隆太 8 番 鈴木隆之 9 番 湯本良太郎
10 番 伊佐治 剛 11 番 深川幹祐 12 番 長野元祐
13 番 渡司 幸 14 番 高山雄一 15 番 海老澤圭介
16 番 松本洋之 17 番 岡元由美 18 番 勝亦 聡
19 番 広川恵美子 20 番 秋成 靖 21 番 玉川英俊
22 番 田村英樹 23 番 大橋武司 24 番 小峰由枝
25 番 椿 真一 26 番 田島和雄 27 番 末安広明
28 番 大竹辰治 29 番 清水菊美 30 番 黒沼良光
31 番 佐藤 伸 32 番 菅谷郁恵 33 番 福井亮二
34 番 荒尾大介 35 番 杉山公一 36 番 荒木秀樹
37 番 犬伏秀一 38 番 三沢清太郎 39 番 松原 元
40 番 須藤英児 41 番 植田智一 42 番 野呂恵子
44 番 小川あずさ 45 番 庄嶋孝広 46 番 平野春望
47 番 奈須利江 48 番 馬橋靖世 49 番 荻野 稔
50 番 奥本有里
――
――――――――――――――――――
欠席議員(1名)
43 番 北澤潤子
――
――――――――――――――――――
出席説明員
区長 松原忠義 副区長 川野正博
副区長 清水耕次
企画経営部長 市野由香里
施設整備担当部長 森岡 剛 総務部長 後藤 清
危機管理室長 須川孝芳
地域力推進部長 今井健太郎
観光・
国際都市部長 青木 毅 スポーツ・
文化担当部長 町田達彦
区民部長 小泉貴一
産業経済部長 山田良司
福祉部長 今岡正道
福祉支援担当部長 張間秀成
障がい
者総合サポートセンター所長
近藤高雄
健康政策部長 木田早苗
保健所長 伊津野 孝
こども家庭部長 浜口和彦
まちづくり推進部長 齋藤浩一 鉄道・
都市づくり部長 高橋竜太郎
空港まちづくり本部長 小貫 勝
都市基盤整備部長 久保輝幸
環境清掃部長 中澤 昇 会計管理者 鴨志田 隆
企画経営部企画課長 高野正樹
企画経営部財政課長 田村彰一郎
総務部総務課長 梅崎修二 教育長 小黒仁史
教育総務部長 玉川一二
教育総務部教育総務課長 政木純也
――
――――――――――――――――――
出席事務局職員
局長 井上隆義 次長 古川雅章
議事担当係長 花谷知典
議事日程第1号
令和3年5月26日 午後1時開議
第1
オリンピック パラリンピック観光推進特別委員会中間報告
1
スポーツ資源の活用による地域活性化について
2 観光のまちづくりについて
3
東京オリンピック・
パラリンピックについて
第2
交通臨海部活性化特別委員会中間報告
1
交通網整備等に関する対策について
2 自転車対策及び交通安全について
3 臨海部(羽田空港に関する事業を除く)の開発及び
産業活性化等に関する事業について
4 京急
空港線加算運賃について
第3
羽田空港対策特別委員会中間報告
1 羽田空港の跡地利用について
2 羽田空港の空港機能について
3 羽田空港に関する事業について
第4
防災安全対策特別委員会中間報告
1 防災対策について
2
危機管理対策について
3
地域防犯対策について
第5
第38号議案 令和3年度大田区
一般会計補正予算(第1次)
第39号議案 大森駅
東口エスカレーター修繕工事請負契約について
報告第10号 条例改正の専決処分の承認について
報告第11号 民事訴訟の提起に係る専決処分の報告について
報告第12号 区の義務に属する
損害賠償額決定に係る専決処分の報告について
報告第13号
大田区立大森第四小学校校舎ほか1施設改築その他工事(Ⅱ期)請負契約の専決処分の報告について
報告第14号 大田区
蒲田西特別出張所大
規模改修工事請負契約の専決処分の報告について
第6
委員会提出第4号議案 大田区
議会会議規則の一部を改正する規則
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
午後1時1分開会・開議
○塩野目 議長 ただいまから令和3年第1回大田区議会臨時会を開会いたします。
本日の会議を開きます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○塩野目 議長 まず、
会議録署名議員を定めます。本件は、会議規則第131条の規定に基づき、本職が指名いたします。20番秋成 靖議員、34番
荒尾大介議員にお願いいたします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○塩野目 議長 この際、区長から発言の申出がありますので、これを許します。
〔
松原忠義区長登壇〕
◎松原 区長 本日、令和3年第1回大田区議会臨時会を招集申し上げましたところ、議員の皆様のご参集を賜り、厚く御礼を申し上げます。
まず、
新型コロナウイルスについてですが、区民の皆様におかれましては、マスクの着用、手や指の消毒など、感染症対策の徹底や、不要不急の外出自粛にご協力いただいておりますことに改めて御礼を申し上げます。
昨年から続く
新型コロナウイルスの感染拡大により、5月13日には世界の感染者が1億6000万人を超え、我が国では5月25日に感染者が72万人を超えました。東京都においては、感染者の増加などから、都内一部地域において、4月12日から
まん延防止等重点措置区域となり、その後、
医療提供体制の逼迫や
変異ウイルスの影響などから、政府は東京都など4都府県に対し、4月25日から5月11日を期間とする
緊急事態宣言を発出しました。
新規感染者数が高い水準にあることや、病床の逼迫が続いていることなどから、政府は対象地域を現在までに10都道府県に拡大し、また、
緊急事態宣言の期間を沖縄県を除き5月31日まで延長としました。区におきましても、5月25日現在、これまでの感染者は7930人となっております。
感染拡大により、各国で
ワクチン開発が行われ、我が国においては、2月から医療従事者の方への
ワクチン接種が始まりました。区は4月19日から
高齢者施設入所者、従事者の方への接種を開始し、5月21日現在、約1500名が1回目の接種を終了し、そのうち約700名の方が2回目の接種まで完了しております。
一方、5月17日に65歳以上の高齢者の方に接種券を郵送し、昨日より
集団接種会場の一部である
区民ホールアプリコ、池上会館ほか一部の医療機関で接種を開始いたしました。初日の25日は、アプリコと池上会館で836人の方がワクチンを接種いたしました。今後は、区内の病院、診療所の皆様にもご協力いただき、接種体制を拡大してまいります。
区では、円滑な
ワクチン接種につなげるため、パソコンや
スマートフォンをお持ちでない方や、
予約受付システムへの入力に不安がある方に対し、6月7日から6月24日までの期間、区内18か所の特別出張所で予約のサポートを行います。また、
民生委員児童委員や関係機関のご協力もいただきながら、65歳以上の高齢者が安心して
新型コロナワクチン接種を受けられるようにいたします。
65歳未満の皆様につきましては、
ワクチン供給量などの見通しがつき次第、随時、区報などにより広く周知させていただきますので、今しばらくの間、お待ちいただくようお願い申し上げます。
ワクチン接種を希望する方に可能な限り早期に提供できるよう、区の総力を挙げて取り組んでまいります。
そのほか、区政の諸点につきましてご報告申し上げます。
東京2020
オリンピック・
パラリンピック競技大会の開幕まで2か月を切りました。区は、地元にゆかりのある選手を紹介し、大会での活躍を応援する動画を4月から配信し、あわせて、
区役所本庁舎などで様々な装飾を行い、大会の気運醸成に取り組んでおります。開幕直前となる7月上旬には、
ブラジル選手団の
事前キャンプ受入れを予定しております。このたび、
ブラジルオリンピック委員会は、大会に出場する選手やその関係者に
ワクチン接種を行うことを発表しており、区といたしましても、
受入れマニュアルに基づく徹底した
感染防止対策を実施し、区民と選手の安全を確保し、安心して大会を迎えられるよう、準備を進めております。
次に、新空港線整備についてでございますが、令和2年3月に私が小池都知事と会談し、知事から「新空港線及び
沿線まちづくり等の促進に関する協議の場」の設置の提案があり、コロナ禍の中ではありますが、これまでに3回開催してまいりました。令和3年3月31日に開催した3回目の協議の場において、乗換利便性の向上について、複数案を比較検討し、関係者調整を進めるための基本となる案を整理することができました。今後は、まちづくりの要素を踏まえて、本案について検討を深めた上で、事業化に向けた関係者調整を一層加速させてまいります。今年度の早い時期に
都区費用負担割合について合意形成を図り、整備主体が設立できるよう、引き続き推し進めてまいります。
今年度は、令和4年度から8年度を計画期間とする次期「おおた子どもの
生活応援プラン大田区子どもの貧困対策に関する計画」の策定年となっております。策定の基礎資料とするため、昨年度、区立小学校5年生及びその保護者、
ひとり親家庭、
地域活動団体の皆様を対象として、「子どもの生活実態に関する
アンケート調査」を実施いたしました。プランの策定に当たりましては、本調査から、子どもや家庭の生活実態、支援ニーズ、また、今般の
新型コロナウイルスの感染拡大が子どもや家庭に与える影響について考察するとともに、地域における子どもや子育て世帯の支援者の皆様、区民の皆様からのご意見を集約し、反映させてまいります。
コロナ禍にあって、子育て世帯が孤独化、孤立化しないよう、社会的包摂の理念をさらに推進し、子どもの最善の利益が優先されるよう、地域とも連携し、庁内一丸となって、子どもの生活応援にしっかりと取り組んでまいります。
次に、呑川の
水質浄化対策についてですが、東京都や目黒区、世田谷区と連携して研究会を立ち上げ、様々な対策に取り組んでまいりました。その対策の一つとして、平成29年度より各種工事を進めてきた高
濃度酸素水浄化施設が完成し、4月から運転を開始しました。この浄化施設は、川の底に多くの酸素を溶け込ませた水を流し込むことにより、水質改善を図るものです。今後は、浄化施設による改善効果を検証しながら、呑川のさらなる水質浄化に努めてまいります。
さて、本臨時会には、令和3年度
一般会計補正予算案(第1次)を提出いたしました。本補正予算案につきましては、大田区議会議長名で緊急要望もいただいた上で、
新型コロナウイルス感染症への対応のための予算、区内産業への経済対策のための予算、当初予算編成後に生じた状況の変化に速やかに対応するための予算を計上いたしました。
一般会計における補正予算案の規模は17億9234万7000円となり、補正後の予算額は2955億6995万円余となっております。
第1次補正予算案に計上した事業から主なものを挙げますと、まず、大田区
商店街プレミアム付地域商品券及び(仮称)大田区
プレミアム付デジタル商品券事業がございます。昨年度行った
プレミアム付地域商品券事業では、59の商店街が発行主体となり、複数商店街での共催も8事業ございました。約1億5000万円の公的負担で4億円を超える消費が地域経済において喚起されるなど、経済対策として効果があったと捉えております。このたびの補正予算案では、こうした商店街主体の
プレミアム付地域商品券事業とともに、コロナ禍により加速したデジタル化・
キャッシュレス化に対応するため、
プレミアム付デジタル商品券の発行も併せて行ってまいりたいと考えております。
デジタル商品券事業については、「東京都
生活応援事業~コロナに負けない~」として、東京都の今年度の第1次補正で予算化された事業を活用し、新たな生活様式の中での消費行動として、デジタル化・
キャッシュレス化をより一層進めていくことを目的としております。現在、
緊急事態宣言下であることから、事業の実施時期については慎重に判断していく必要がございますが、
ワクチン接種の効果などにより、小康期や収束期などのタイミングを見極め、速やかに実施ができるよう、本臨時会での予算計上をさせていただきました。実施方法などについても、鋭意検討中でございますが、区民生活を支え、重要な
地域コミュニティである商店街で多くの皆様にご利用いただけるようにしてまいります。
このほか、第1次補正予算案に計上したものといたしましては、
新型コロナウイルスに罹患し、自宅療養している方の生命を守るため、健康状態の変化が懸念される方に看護師を派遣し、
バイタルチェック等を行う
自宅療養者支援や、
会計年度任用職員を雇用し、保健所の体制を強化いたします。また、障害者施設や
高齢者施設等への
PCR検査経費補助事業などがございます。
本臨時会に提出いたしました案件は、令和3年度
一般会計補正予算案(第1次)、その他議案1件、報告議案5件でございます。報告議案のうち1件は、条例改正について専決処分をし、そのご承認をお願いするものでございます。いずれも後ほど上程の際、順次ご説明を申し上げますので、よろしくご審議、ご決定を賜りますようお願い申し上げ、招集のご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○塩野目 議長 事務局長に諸般の報告をさせます。
〔
井上事務局長朗読〕
1 大田区議会臨時会の招集について
2 議案の送付について
3 執行機関の出席について(2件)
――
――――――――――――――――――
3総総発第10309号
令和3年5月18日
大田区議会議長 塩野目 正 樹 様
また、来場者全員に対して検温を実施し、テニスやボルダリングの体験会では手指や器具の消毒を徹底したほか、ポールウォーキングでは参加者同士の距離をとるなどの三密対策を行った。
区からは、参加者アンケートにおいて、コロナ禍で「スポーツをしなくなった、頻度が減った」と回答した方のうち、「体調が悪くなった」との回答が25%もあったことから、スポーツは健康・体力維持に密接な関係があることを改めて認識し、新しい生活様式に即した自宅でできるスポーツの推奨やランニングなど個人でできるスポーツの機会の提供を推進していくとの報告があった。
委員からは、はねぴょん健康ポイント事業との連携やアンケートのデジタル化を求める意見があり、区からは、部局間で更なる連携を進めていくほか、おおたスポーツ健康フェスタのアンケートではデジタル化しているとの説明があった。
② おおたスポーツ健康フェスタ
例年、大田区総合体育館で実施しているおおたスポーツ健康フェスタについては、
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、YouTubeのライブ機能を活用し、自宅で気軽にスポーツを体験できる内容での実施となった。高齢者にも人気がある「ストレッチ」や「ヨガ」、子どもも参加可能な「体操」など多世代が楽しめるプログラムだけでなく、タレントのなかやまきんに君を起用した「やせる筋トレ&有酸素運動」プログラムなど、スポーツへの関心を高める内容の動画配信を行った。
区からは、当日は延べ910回、令和2年12月末までには延べ2,140回の視聴回数があり、イベント終了後も繰り返し視聴することができたため、運動の継続につながる効果が得られたこと、また、外出自粛が続くコロナ禍において、動画を活用した取組みを今後も推奨していくとの報告があった。
委員からは、動画を多くの方に見てもらうため、起用するタレントにもSNSで発信してもらうべきではないかとの意見があり、区からは、スポーツ健康フェスタに出演することについてSNSで発信していただき、拡散にご協力いただいたとの説明があった。
③ ランニングステーション
令和2年9月27日、区民が継続的にランニングに親しむとともに健康を増進することを目的として、大森スポーツセンターにランニングステーションを開所した。本事業では、平和の森公園や大森ふるさとの浜辺公園などを巡るアップダウンの少ないコースを推奨していくほか、「走り方ポイント講座」を実施し、ランニング初心者でも気軽に親しめるプログラムを提供している。
区からは、開所から半年を迎えた本年2月末までに合計245名の利用があり、利用者アンケートでは、回答者の35%が女性であったこと、また、コースに関して「走りやすい」や「景色が良い」との感想が94%であった一方で、区内のスポーツ情報や周辺情報を充実させること、距離表示及び案内表示について改善を求める意見が複数あったとの報告があった。
委員からは、近年マラソン人口が増加していることから、様々な媒体を活用した広報や近隣商店街との連携を求める意見があった。また、利用者からの意見が複数あった距離表示及び案内表示について改善を検討しているのかとの質疑に対し、区からは、関係部局と調整を行い、コースの路面上に距離表示及び進行方向を示した案内表示を貼り付ける検討を進めているとの答弁があり、令和2年度中にはその対応がなされる結果となった。
本委員会では、スポーツ環境整備に対する効果検証や
大田スタジアム及び
大森東水辺スポーツ広場ビーチバレー場の無料開放DAY、ふるさとの浜辺公園でのビーチヨガ等の各イベントの実施結果などを踏まえ、多くのスポーツ施設や公園が集積する「新
スポーツ健康ゾーン」の認知度向上に資する事業を行っていく必要があると考えている。コロナ禍の中においても、
スポーツ資源の活用を通じた区民の健康で豊かな暮らしの実現に向け、引き続き調査・研究を行っていく。
(2)観光のまちづくりについて
① 大田区観光情報センター
「来訪者と『まち・ひと』をつなぐ観光拠点」をコンセプトに京急蒲田駅直結の商業施設内に開設している大田区観光情報センターは、
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、来館者数が大幅に減少している。
区からは、ウィズコロナ時代に対応した新たなサービスを展開し、マイクロツーリズムに注力した展示や情報発信を強化することで区内経済活性化を目指すとともに、地域住民に地元の魅力を改めて実感していただき、シビックプライドの醸成に寄与する企画を実施していくというセンターの新たな活用策が示された。
令和2年度は、勝海舟記念館の1周年を記念した「洗足池エリア探訪」イベントを実施したほか、大河ドラマの主人公である渋沢栄一が開発を進めた「田園調布」のまちの地域資源や魅力を紹介するイベントを実施し、区民や近隣都市住民を対象に区内回遊を促す取組みを進めている。そのほか、センター開業5周年を記念し、大田区観光PR特使のシクラメンとコラボしたイベントや友好都市である東松島市の物産展など、様々なイベントを企画し、定期的に実施している。
委員からは、様々なイベントを実施している中で、ホームページの適宜更新や、円滑な周知や情報提供への意見もあった。また、センター本来の設置目的に照らし、コロナ禍で集客が見込めない今だからこそ、様々な視点から機能強化を図り、特に情報発信の機能を強化すべきであるとの要望があった。
② 大田区ウェルカムショップ・まちかど観光案内所事業
平成23年に蒲田が「訪日外国人旅行者の受入環境整備戦略拠点」に選定されたことを契機として運用を開始し、登録店舗・施設は年々増加している。
令和2年度は新型コロナ感染拡大の影響や1回目の
緊急事態宣言後の状況を各店舗・施設に伺うとともに、その他現場の様ざまな生の声をお聞きすることを目的に観光課職員による一斉電話調査を行った。その後、一斉電話調査のさらなる深掘りと、マイクロツーリズムに対応した施策展開を検討するため、全登録店舗・施設に対し
アンケート調査を行った。
区への要望として様々な意見をいただき、来訪者の受け入れでは、営業補償とともに、広告や市場開拓への支援を必要とするとの回答も多く見られた。こうした声を受け、令和3年度に、登録店舗PRの新たな支援策として、大田区観光情報センターに「OTAトライアルコーナー」を設置し、出品者を募集して販売実験を行うとの説明があった。
委員からは、7月に行った緊急電話調査はコロナ禍で大変な状況の実態を把握する意味で有意義である旨の意見があった。また
アンケート調査による深堀りを行うことでより詳しい実態と各店舗・施設の要望を聞きとってほしいとの要望があった。
③ 大田観光協会事業
大田区の持つ地域力を活かした観光まちづくりの推進を目的として設立された大田観光協会では、まちの魅力を演出する事業や産業振興に関する事業など、大田区の特性や魅力を活かした様々な事業を展開している。
令和2年度は、松竹キネマ蒲田撮影所100周年記念として、第8回蒲田映画祭を開催し、621名の方に参加いただいたほか、ものづくり産業との連携事業として実施している「おおたオープンファクトリー」は、
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、オンライン配信となったが、当日は6,000を超えるアクセスがあった。また、コロナ禍でも安全に楽しみながら区内を回遊していただく企画として実施した「おおたの桜を楽しもう2021」では、区内の桜に関する魅力紹介の冊子を作成したほか、桜に関する写真やアート作品を募集し、インターネット上で公開する「さくら展覧会」を開催した。展覧会では、写真は173点、アート作品は17点の応募があった。これらの事業により、区民に地元地域の魅力を再発見していただく機会を提供している。
委員からは、ウェブ上だけでなく、地域の集会室などにおいて桜の写真の展示会を開催したり区役所のデジタルサイネージを活用するなど、多くの区民に事業のPRができるような工夫すべきとの要望があった。また、観光施策を推進していくにあたっては、観光課、大田観光協会、大田区観光情報センターの役割分担を明確化し、個々の力が発揮できるように取り組むべきとの意見があった。
④ 来訪者の受入環境整備
平成22年に策定した「大田区観光案内サイン計画」などを踏まえ、観光情報や案内サイン・誘導サインの充実、公共交通機関との連携、沿道の景観づくりなど、来訪者が快適に回遊できる環境づくりに取り組んでいる。
区からは、東急池上駅の駅舎改良に合わせ、駅付近に新たに2基の観光案内サインを設置するとともに、大田区と東急電鉄株式会社が締結した「地域力を活かした公民連携によるまちづくり推進に関する基本協定」に基づく取組みとして、駅舎内に観光情報コーナーを設置し、駅利用者への情報発信や来訪者の回遊促進につなげているとの報告があった。
委員からは、タッチパネル式の観光案内サインの導入を検討してほしいとの要望のほか、観光情報コーナーについては、情報更新の頻度や具体的な設置場所についての質疑があった。区からは、少なくとも四半期に一度など季節に応じた更新は必要と考えており、設置場所については人通りが比較的少ない場所にあることから、人目につくような工夫を検討していくとの説明があった。
⑤ 東京2020大会を契機とした地域活性化事業補助金
本事業は、朝の涼しく密になりにくい時間帯を有効活用し区内の公園や商店街等の身近な施設をベースに、地域が主体となって、区への来訪者も対象とした区内経済活性化に資する催しや、区民の郷土愛を高めるために行う事業を支援することにより、区への来訪者誘致の促進及び地域の活性化を図ることを目的に募集するものである。
委員からは、補助金の支出にあたって、今後の東京2020大会の動向を注視し、申請のあった事業者に丁寧に対応するべきとの意見があった。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、観光産業は大きな打撃を受けており、インバウンド回復の見通しも立っていない状況にある。本委員会としては、今後の観光需要の回復状況を注視し、ウィズコロナ時代に即した対応だけでなく、コロナ収束後を見据えた新たな観光施策について、調査・研究を行っていく。
(3)
東京オリンピック・
パラリンピックについて
① 東京2020大会の気運醸成
東京2020大会の延期に伴い、大会関連事業の見直しが行われたほか、
新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりイベントの実施が困難な状況にある中、区は、大会の開催に向けた前向きな期待感を醸成していくために様々な事業を行っている。
区からは、令和2年10月から「東京2020大会関連展示キャラバン」を実施し、スポーツを支える区内企業などを紹介する展示を区内18特別出張所や図書館で行うとともに、大田区出身のアーティストSEKAI NO OWARIの楽曲を使用し、区ゆかりのアスリートや区民が出演する大会気運醸成動画を作成して発信することで大会の開催に向けた区民の気運醸成や共生社会への理解促進を図っているとの報告があった。また、令和2年11月から聖火リレートーチの都内巡回展示が開始されており、大田区では、
区役所本庁舎において、令和3年6月14日及び15日の2日間に展示が行われる予定である。さらに、令和3年7月17日には、障がいのある方やその介助者をはじめ多くの区民に、音楽を通じて
オリンピック・
パラリンピックの感動と興奮を身近に感じてもらうため、読売日本交響楽団と連携したスペシャルコンサートを、大田区民ホール・アプリコにて実施する。区ゆかりのアスリートによるトークショーと過去の
パラリンピックのイメージ映像付きコンサートの二部構成で行う予定である。
また、大会期間中には大田区総合体育館においてコミュニティライブサイトを実施し、競技会場以外でも大会の臨場感や会場の一体感を味わうことのできる貴重な体験の場を提供していく予定である。
委員からは、大会の気運醸成を効果的に行うためには、スポーツに興味や関心を持っている方が集まる大田区総合体育館などのスポーツ施設においても展示などを実施するべきではないかとの意見があった。また、動画の作成については、大会の気運醸成のために広く区民に周知し、一人でも多くの方に視聴してもらうという目的を改めて認識してほしいとの要望があった。さらに、コンサートの実施にあたっては、コロナ禍において、会場に足を運ばなくても多くの方が観覧できるよう、オンラインで動画を配信する等の方法を模索してほしいとの意見もあった。
② ブラジル
オリンピックチームの事前キャンプ受け入れ事業
区は、平成29年に
ブラジルオリンピック委員会と覚書を締結し、平成30年には男子ハンドボールチームが区内で合宿を実施している。令和元年8月には、「
ブラジルオリンピック委員会との2020年事前キャンプに関わる協定」を締結し、それ以降、男子バレーボールチームが大田区総合体育館で、女子ハンドボールチームが大森スポーツセンター及び大田区青少年交流センターでそれぞれ合宿を実施している。合宿では、公開練習のほか、着付けなど日本の文化体験や学校訪問などを通じて区民と選手が交流し、区民の国際意識の向上につながっている。
区では、令和3年7月から8月にかけて、大田区総合体育館をはじめとする各施設で事前キャンプが行われる予定であるが、
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、事前キャンプを受け入れる地方自治体には、選手等の滞在場所や移動経路の行程表、遵守すべき感染防止の基本原則などを盛り込んだ
受入れマニュアルの作成が求められている。令和2年11月には、国から
受入れマニュアル作成の手引きが示され、大田区においても
ブラジルオリンピック委員会との調整を図りながら、マニュアル作成の検討を進めている。また、大会における感染症対策の中間整理の内容が公表され、来日後の選手等のPCR検査の考え方が示されている。
委員からは、国からの補助があるPCR検査の実施経費などの費用について、補助上限額が設定されることにより、区の財政負担が発生する可能性はあるのかとの質疑があり、区からは、各自治体の需要見込調査に基づき、国が判断していくとの説明があった。
③ おおたウエルカムボランティア
東京2020大会を契機に区外からの来訪者や
ブラジル選手団を区民と共に「おもてなし」するために募集している「おおたウエルカムボランティア」の令和2年度の活動や研修については、
新型コロナウイルス感染症の影響により、やむなく中止となっている。
区では、ボランティアの心構えやユニバーサルデザインの考え方など活動に役立つ情報をメール配信するだけでなく、ボランティアへのインタビューを行い、これまでの活動を踏まえた成果や課題、ボランティア同士の交流などを紹介することにより、ボランティアのモチベーション維持に努めている。また、
新型コロナウイルス感染症の影響により十分な練習環境を確保できていない状況下において懸命に練習に励むブラジル選手達を激励するため、ボランティアを中心に応援メッセージ動画を制作したとの報告があった。
また、大会への参画や自身の持つスキル等の活用により社会経験を積み、精神的な成長に寄与することを目的としている「高校生ボランティア」については、大会の延期を受け、追加募集を行うこととなり、一次募集で登録となった44名のボランティアに加えて106名を追加登録し、高校生ボランティアは合計150人となったとの報告があった。
委員からは、大会が延期になったことにより、高校を卒業し、高校生ボランティアの対象でなくなった方でも、希望者は活動できるように配慮してほしい。また、ボランティアの感染防止策や熱中症対策を含む体調管理の徹底、貴重な経験が思い出となるような記念品の贈呈などを求める要望があった。
区は東京2020大会の延期決定以降、新たな開催日程を踏まえて、様々な気運醸成事業を展開しているが、大会本番を迎えるにあたっては、感染症対策等の多様な課題に対して万全の体制を確保しなければならない。本委員会としては、間近に迫る東京2020大会の開催を見据えた部局間の緊密な連携を区に求めるとともに、諸課題への取組みの進捗状況を引き続き注視し、大会の成功に向けてさらに議論を深めていく。
(4)
オリンピック パラリンピック観光推進特別委員会の今後の展開
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、多くのイベントが中止や縮小となる中、区は東京2020大会開催に向けた気運醸成事業など様々な取組みを進め、開催が直前に迫っている大会への期待感を区民に感じてもらうような機会を提供している。また、区民へのスポーツ推進にあたっては、オンライン配信などを積極的に活用することにより、コロナ禍においても誰もが気軽にスポーツに参加できるようなきっかけづくりに努めている。
一方で、観光施策や国際都市としての取組みは、
新型コロナウイルスの感染拡大により大きな打撃を受けており、地域資源を活用した安心・安全な観光地づくりの推進や多様な情報発信など、ウィズコロナ期に対応した新たな施策の検討が必要となるだけでなく、来訪者が安全に回遊できる環境整備を推進していくことやコロナ収束後のインバウンド回復を見据えた準備を進めていくことが非常に重要な課題である。区に対しては、これまでの事業効果の検証を確実に行い、今後の観光ニーズを的確に捉え、部局を超えた連携・協力体制を構築し、事業に取り組むことを強く要望する。また、本番が間近に迫っている東京2020大会については、様々な制約がある中でも工夫し、大会の成功に向けて区と区民が一丸となるような事業展開に期待する。
本委員会としては、今年度開催を迎える東京2020大会を中心にスポーツ・観光資源を生かしたまちづくりの実現に向けた施策の展開について、多様な視点から調査・研究を行っていく必要性を強調し、
オリンピック パラリンピック観光推進特別委員会の中間報告とする。
――
――――――――――――――――――
○塩野目 議長
オリンピック パラリンピック観光推進特別委員長の報告を求めます。
〔27番末安広明議員登壇〕(拍手)
◎27番(末安広明 議員) ただいま上程されました
オリンピック パラリンピック観光推進特別委員会の中間報告について申し上げます。
本委員会は、
スポーツ資源の活用による地域活性化について、観光のまちづくりについて及び
東京オリンピック・
パラリンピックについての3項目を調査事件とし、東京2020大会を中心に、スポーツを自ら楽しむ人々のみならず、多くの観客や観光客が集まることで地域の活性化を図っていくことを重要な視点と捉え、調査・研究を重ねてまいりました。
区は、東京2020大会に向けた気運醸成事業などの様々な取組に加え、オンライン配信などを活用し、コロナ禍でのスポーツ推進を行っております。一方で、観光施策や国際都市としての取組は、
新型コロナウイルスの感染拡大により大きな打撃を受けており、ウィズコロナ期に対応した新たな施策の検討や、コロナ収束後のインバウンド回復を見据えた準備を進めていくことが非常に重要な課題であります。
本委員会としては、スポーツ、観光資源を活かした地域活性化とまちづくりの施策の展開について、今後も多様な視点から調査・研究を行っていく必要性を強調し、
オリンピック パラリンピック観光推進特別委員会の中間報告といたします。
なお、詳細につきましては、報告書をご一読くださるようお願い申し上げます。以上です。(拍手)
○塩野目 議長 以上をもって
オリンピック パラリンピック観光推進特別委員会中間報告を終わります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○塩野目 議長 日程第2を議題とします。
〔
井上事務局長朗読〕
△日程第2
交通臨海部活性化特別委員会中間報告
交通網整備等に関する対策について ほか3件
――
――――――――――――――――――
令和3年5月26日
大田区議会議長 塩野目 正 樹 様
交通臨海部活性化特別委員長 松 原 元
交通臨海部活性化特別委員会中間報告書
本委員会に付託された調査事件につき、現在までの調査状況を下記のとおり報告する。
記
1 調査事件
(1)
交通網整備等に関する対策について
(2)自転車対策及び交通安全について
(3)臨海部(羽田空港に関する事業を除く)の開発及び
産業活性化等に関する事業について
(4)京急
空港線加算運賃について
2 中間報告
本委員会では、新空港線及びコミュニティバスなどの
交通網整備等に関する事業、放置自転車対策や交通マナーの普及啓発などの自転車対策及び交通安全に関する事業のほか、区内臨海部の開発及び
産業活性化等に関する事業について様々な検討を行ってきた。
また、京急
空港線加算運賃については、早期廃止に向け、専門的に調査・研究を行ってきた。
昨年5月に中間報告を行っているため、本報告書では主に昨年6月以降に行った調査・研究結果について報告する。
(1)
交通網整備等に関する対策について
① たまちゃんバスについて
区は、平成21年10月に交通不便地域における移動手段確保の観点などから、たまちゃんバスの試行運行を矢口地域において開始した。平成30年度の収支率は50.4%となり、本格運行への移行条件(収支率50%以上)を満たしたため、令和元年7月9日、地域公共交通会議の承認を受け本格運行へと移行した。今後の運行継続には、収支率50%以上を維持することが条件として示されている。
区からは、令和2年度の年間実績は収支率29.4%と予測されるが、令和2年度についてはコロナ禍で外出自粛の要請がされた中、バスに限らず公共交通機関の利用者が大幅に減少し、収益も減少しているため、収支率等の数字は参考外であり、令和3年度以降もこの影響は考慮する必要があると考えているとの報告があった。また、このコロナ禍にあっても、運行開始時よりも利用者数が多く、地域に定着していると言えるたまちゃんバスを継続運行させていくため、区としても努力するとの報告があった。
委員からは、
新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況ではあるが、地域になくてはならない交通機関であり、福祉的な役割も担うコミュニティバスであるため、ぜひ存続して何とか地域に残してほしいとの要望があった。
また、区内の他の交通不便地域も課題に挙げられる中、地域を選択して運行をしているため、税負担の公平性の観点も重要であるという意見や、矢口地域での成功を受けて、今後はほかの地域での運行も視野に入れて検討していただきたいとの要望があった。
本委員会としては、たまちゃんバスの運行の状況を注視し、運行継続や新規車両購入に向け引き続き検討を行うとともに、交通不便地域の対策については区全体を総合的に調査・研究をしていく。
② 鉄道駅のバリアフリー化及び機能向上の推進について
鉄道駅での事故防止や安全性の強化を図るため、区内の鉄道駅においては、ホームドア設置等、バリアフリー化が順次進められている。区からは、都が取りまとめた鉄道駅バリアフリーに関する整備計画の報告のほか、平和島駅のホームドア設置開始についても報告があった。
委員からは、ホームドアの有無は視覚障がいのある方にとっては生命に関わることであり、引き続き整備を求めるとの要望があった。
また、構内踏切の廃止、駅機能の高度化を図るため、平成29年度から駅改良工事を進めてきた東急池上駅の改札切り替え及び池上駅直結商業施設(エトモ池上)の開業についての報告があった。委員からは、今後まちのにぎわいを創出していくためには、地域と協議をしながら、駅前広場の開発と合わせて取り組むことが課題であるとの意見があった。
さらに本委員会では、令和2年11月9日、改札切替え後の東急池上駅における鉄道駅総合改善事業及び東京モノレール天空橋駅における鉄道駅総合バリアフリー推進事業の各状況並びに鉄道駅と羽田イノベーションシティの連動性の状況について視察を実施し、現状への理解を深めた。
本委員会としては、鉄道駅のさらなる安全性・利便性の向上に向けて、引き続き調査・研究をしていく。
③ 下丸子駅周辺地区のまちづくり構想(案)について
下丸子1・2号踏切は、平成29年1月に改正踏切道改良促進法に基づき抜本的な対策が必要な踏切に指定され、令和2年度までに抜本的な対策の実施もしくは改良計画の策定が義務づけられている。区では、その抜本的な対策に合わせた下丸子地区のまちづくりのあり方について、有識者、国土交通省、鉄道事業者、区及びオブザーバーとして東京都が参画する研究会を発足し検討を重ねている。令和3年4月には、当地区の20年後の将来像とその実現に向けたまちづくりの方向性の案として、上位関連計画等を踏まえて取りまとめた「下丸子駅周辺地区のまちづくり構想(案)」が報告された。
今後、本案をもとに地域住民や民間事業者等の意見を聞き、まちづくり構想そして「(仮称)下丸子駅周辺地区グランドデザイン」の策定を行い、鉄道と道路の立体交差に合わせたまちづくりを進めていくとのことである。
委員からは、駅周辺には未活用の空き地が多く、その所有者である地主等といった、大きなステークホルダーとなり得る関係者と早い段階から取り組むことを求める要望のほか、まちづくりは地域と行政が一緒につくることが必要であり、幅広い住民と一体になったまちづくりを進めていくことを求める要望があった。
本委員会としては、今後聴取される地域住民等の意見を踏まえつつ、まちづくり構想及びグランドデザインの策定状況を注視していくとともに、下丸子1・2号踏切の課題解決も合わせた下丸子駅周辺地区のまちづくりのあり方について、引き続き調査・研究をしていく。
④ 新空港線について
新空港線は、JR・東急蒲田駅と京急蒲田駅間の約800メートルを鉄道で結ぶ路線で、区内東西交通の分断解消に向けて、区が昭和60年代から整備を目指している路線である。平成28年4月の国土交通省交通政策審議会答申第198号では、「矢口渡から京急蒲田までの事業計画の検討は進んでおり、事業化に向けて関係地方公共団体・鉄道事業者等において、費用負担のあり方等について合意形成を進めるべき」とされている。
区からは、「新空港線及び
沿線まちづくり等の促進に関する協議の場」の開催報告があった。会議は非公開で行われるが、最終的な検討結果については、取りまとめ次第、公開するとのことである。委員からは、新空港線の実現に向けて、着実に事業が進んでいくことを求めるとの要望のほか、コロナ禍において事業の採算性の予測は困難であると考えられ、事業費の予測を誤れば、区民に誤った情報が流れることが懸念されるとの意見があった。
本委員会としては、協議の場の動向を踏まえながら、引き続き調査・研究をしていく。
(2)自転車対策及び交通安全について
① 自転車活用推進について
区は、自転車等駐車対策協議会において、令和3年度から10年間を計画期間としていた大田区自転車等利用総合基本計画の次期計画策定について、
新型コロナウイルス感染症の流行に伴う会議等の中止などによる影響のため、現行計画の期間を令和3年度まで延長し、令和3年度に取り組みを継続しつつ、次期計画に向けた準備を進めるとの報告があった。次期計画では、現行の「とめる」「はしる」「まもる」のキーワードを継承しながら、新たに位置づける「楽しむ(仮)」の視点を加えることで、計画の体系を整理していくとのことである。
委員からは、特定年齢層に対する新たな安全教育機会の創出について、死亡事故の割合の高い高齢者に対する教育機会の充実を求めるとの要望のほか、臨海部のサイクリング環境向上として、自転車と歩行者のコースを分けて安全対策の実施を求める要望があった。
また、区は、自転車駐車場の供給不足の状況を解消するため、令和2年度に、西馬込駅前に新たに自転車駐車場を開設した。
委員からは、駅の利用者増加に伴い自転車駐車場が不足している当地において、引き続き、今後の需要及び不足分への対応を含めた取り組みを求めるとの要望があった。
本委員会としては、放置自転車問題の解消に向け、自転車駐車場の整備や運用の検討とともに、区における自転車の活用推進について、引き続き調査・研究をしていく。
② 交通安全について
区では毎年春と秋の大田区交通安全運動として、自治会・町会や区内関係機関の協力のもと、のぼり旗の掲出や横断歩道付近での見守りなど、地域における交通安全啓発活動を実施している。
区からは、令和2年度の本運動においては、
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、人的な該当啓発活動を控え、のぼり旗の掲出等の資機材のみの活動としたとの報告があった。
また、平成23年度から自転車の走行ルール遵守やマナー向上を図るため、自転車安全教育(スケアード・ストレイト方式)を区内の中学校で実施している。
区からは、スケアード・ストレイト方式による交通安全教育を中学校15校で実施するとの報告があった。委員からは、対象生徒はもちろん、父兄、保護者も参加できる形の検討を求める要望があった。
本委員会としては、交通事故予防に向けた交通ルールの徹底や交通マナーの向上を図る取り組みについて、引き続き調査・研究をしていく。
③ コミュニティサイクル事業について
コミュニティサイクル事業は、大田区自転車等総合利用基本計画において新たな交通手段として期待され、利用意向調査や他自治体の事例調査等を通じて導入を検討し、平成29年3月から3年間の試行事業が実施された。試行期間終了を迎える令和元年度に事業の効果等を検証し、令和2年4月から新たに課題整理のための検証期間を設け、累計利用回数、ポート設置数、事業収支に条件値を設定し、本格実施へ移行するか否かを判断するとした。
区からは、令和元年度末までの事業実績の報告があり、サイクルポート設置場所については、平成28年度の事業開始時に7ポート、自転車100台であったものが、令和元年度末までには76ポート、自転車300台までに発展し、利用回数については、3月における前年同月比で約1.7倍の伸び率になっているとのことであった。
委員からは、新たなサイクルポートの設置や自転車の適正な台数の整備の検討をするなど、より便利で使いやすいコミュニティサイクルになるよう求めるとの要望があった。
本委員会としては、コミュニティサイクル検証事業の実施状況を注視し、本格実施への移行について、引き続き調査・研究をしていく。
(3)臨海部(羽田空港に関する事業を除く)の開発及び
産業活性化等に関する事業について
① 空港臨海部グランドビジョン2030の改定について
区では、空港臨海部を取り巻く状況や社会経済情勢が変化していることから、状況に対応した20年後のまちづくりを目指し、平成22年3月に策定した空港臨海部グランドビジョン2030の改定について検討を進めている。
区からは、空港臨海部の事業者や働く方の意見を聴取し反映させるための意見交換会を行うことや、庁内検討委員会及び専門部会での検討、
新型コロナウイルス感染症の影響や地域との意見交換等を踏まえて、2040年における空港臨海部の将来像(案)及び基本方針(案)を整理し、今後、この案を基にプロジェクトなどの計画作業を進めることなどが報告された。
委員からは、20年後の空港臨海部について考えるにあたり、働く人たちの意見を大切にして、計画を進めることを求めるという要望があった。
また、産業の継続性を維持するため、コロナ禍でのサプライチェーンへの影響について、区内の状況を把握してほしいという要望や、区が部局横断で取り組んでいる健康施策について、臨海部のビジョンにも取り入れることを求める要望があった。
本委員会としては、空港臨海部グランドビジョン2030の改定による空港臨海部のまちづくりが、区内産業の活性化など区民生活の向上に資するものとなるよう、引き続き調査・研究をしていく。
② 一般国道357号多摩川トンネルの整備促進に関する意見書提出について
多摩川トンネルは、多摩川を横断し、大田区羽田空港から川崎市川崎区浮島町までの約3.4キロメートルのトンネルを国道357号の一部として整備する事業である。
区からは事業進捗について、平成27年度に事業着手し、令和2年になり準備工事、道路区域変更などが行われており、令和3年3月に立坑工事の開札が行われることの報告があった。
委員からは、羽田イノベーションシティの開業などもあり、今後多摩川トンネルの需要が大きく高まると考えられるため、国土交通省に工事の進捗を早めるよう働きかけてほしいとの要望があったほか、区議会としての意思を示すため、意見書の提出等を検討してはどうかとの意見があった。これらを踏まえ、本委員会では「一般国道357号多摩川トンネルの整備促進に関する意見書」を委員会提出議案として提出し、区議会本会議で議決され、令和3年3月5日、大田区議会議長名による国土交通大臣宛ての意見書を提出した。
委員会としては、区議会からの意見書提出も踏まえた、今後の国土交通省の動向を注視していく。あわせて、区内における道路交通環境の整備の観点はもとより、事故・災害時の代替経路の確保などの様々な面で極めて大きな効果が見込まれ、区民にとっても東京都や隣接近県にとっても重要な事業である多摩川トンネルの整備について、引き続き調査・研究をしていく。
(4)京急
空港線加算運賃について
京浜急行電鉄株式会社は、平成10年11月の羽田空港国内線ターミナル駅開業時から、羽田空港直下へのトンネル建設をはじめとする空港線の延伸工事や、空港線の輸送力増強工事に要した設備投資額などを回収するため、天空橋駅から羽田空港国内線ターミナル駅間では、基本運賃に加えて一律170円の加算運賃を課した。空港線は、大田区民及び空港利用者にとって、なくてはならない公共交通機関であるため、この加算運賃は利用者にとって大きな負担となっていた。
国土交通省は、平成25年10月の通達において、加算運賃は新規路線の開業等に伴い発生する資本費コストの回収完了が終了時期であるが、終了時期前であっても鉄道事業者の経営判断により、減額または廃止することは当然に認められるなどの見解を示している。
大田区議会ではこれまで、京浜急行電鉄株式会社への要望書や、運賃の認可権限を持つ国土交通省への意見書の提出などにより、加算運賃の早期廃止を強く求めてきた。こうした要望活動を続けてきた中、令和元年10月1日、加算運賃は120円引き下げられ50円となった。
区からは、加算運賃の状況について報告があり、令和元年度末における回収率は85.2%、昨年度比3.4%上昇とのことであった。今後について、京浜急行電鉄株式会社としては、回収状況を勘案しながら適時・適切に検討していくとの意向であるが、区としては、引き下げではなく廃止を求めていく姿勢に変わりはないとの報告があった。
本委員会としては、加算運賃についてはあくまでも廃止を求めるものであり、回収状況を注視しつつ早期実現に向けて、引き続き調査・研究をしていく。
(5)今後の交通臨海部活性化特別委員会の展開
新型コロナウイルス感染症の拡大により区を取り巻く環境が大きく変化する中、区は喫緊の課題に対応し、ポストコロナ時代を見据えながら、区民や区を訪れる誰もが安全・安心に移動できる交通環境の実現と持続可能なまちづくりを進めていくことが求められている。
本委員会では、一刻も早い供用開始が急務とされる多摩川トンネルの整備の進捗状況や、都との協議の場が設置されている新空港線の整備について引き続き注視していくほか、本格運行となったたまちゃんバスについて、利用状況等を検証し、事業継続に向けた調査・研究を重ねていく必要がある。
また、区内鉄道駅のさらなる安全性・利便性の向上には、障がいのある方々への配慮が不可欠であり、本委員会では引き続き、ホームドアやエレベーターの設置等、鉄道駅バリアフリー化推進に向けた議論を深め、整備促進を求めていく。
自転車活用においては、コミュニティサイクル事業の検証実施状況を注視し本格実施への移行の検討をするほか、次期自転車等総合計画策定に向けた、自転車を使った健康への取り組み、観光の視点での散走の取り組み、スポーツ施設・イベントとの連携、区民・企業と取り組む自転車活用PRといった先行施策の展開、また、走行環境の整備についても多角的に検討しなければならない。
そのほか、沿線の区民が過重な負担を強いられている京急
空港線加算運賃については、早期廃止に向けて、引き続き回収状況等を注視していく。
本委員会では、地域ごとに様々な特性を持つ大田区に合った交通環境の実現や臨海部の魅力的なまちづくり等を通じて、交通利便性をさらに高め、安全・安心な魅力あるまちとなるよう、様々な角度・視点からの更なる調査・研究を行っていく必要性を強調し、交通臨海部活性化特別委員会の中間報告とする。
――
――――――――――――――――――
○塩野目 議長 交通臨海部活性化特別委員長の報告を求めます。
〔39番松原 元議員登壇〕(拍手)
◎39番(松原元 議員) ただいま上程されました交通臨海部活性化特別委員会の中間報告について申し上げます。
本委員会は、
交通網整備等に関する対策について、自転車対策及び交通安全について、臨海部(羽田空港に関する事業を除く)の開発及び
産業活性化等に関する事業について、京急
空港線加算運賃についての4項目を調査事件とし、多様化する交通ニーズに対応した交通ネットワークの構築や、臨海部における産業の活性化などを実現するために調査・研究を重ねてまいりました。
本区においては、
新型コロナウイルス感染症の拡大により、区を取り巻く環境が大きく変化する中、喫緊の課題に対応し、ポストコロナ時代を見据えながら、誰もが安全・安心に移動できる交通環境の実現と持続可能なまちづくりを進めていくことが求められております。
本委員会では、地域ごとに様々な特性を持つ大田区に合った交通環境の実現や、臨海部の魅力的なまちづくり等を通じて、交通利便性をさらに高め、安全・安心な魅力あるまちとなるよう、様々な角度・視点からのさらなる調査・研究を行っていく必要性を強調し、交通臨海部活性化特別委員会の中間報告といたします。
なお、詳細につきましては、報告書をご一読くださるようお願い申し上げます。(拍手)
○塩野目 議長 以上をもって
交通臨海部活性化特別委員会中間報告を終わります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○塩野目 議長 日程第3を議題とします。
〔
井上事務局長朗読〕
△日程第3
羽田空港対策特別委員会中間報告
羽田空港の跡地利用について ほか2件
――
――――――――――――――――――
令和3年5月26日
大田区議会議長 塩野目 正 樹 様
羽田空港対策特別委員長 渡 司 幸
羽田空港対策特別委員会中間報告書
本委員会に付託された調査事件につき、現在までの調査状況を下記のとおり報告する。
記
1 調査事件
(1)羽田空港の跡地利用について
(2)羽田空港の空港機能について
(3)羽田空港に関する事業について
2 中間報告
本委員会では、羽田空港が地域と共存共栄し、「国際都市おおた」に相応しい拠点とするため、羽田空港の跡地利用、空港機能及び羽田空港に関する事業について、多岐にわたり調査・研究を行ってきた。昨年5月に中間報告を行っているため、本報告書では、主に昨年6月以降に行った調査・研究結果について報告する。
(1)羽田空港の跡地利用について
羽田空港跡地については、平成22年10月に策定された「羽田空港跡地まちづくり推進計画」において、第1ゾーン及び第2ゾーンの具体的な土地活用の方針が示され、「緑と水辺に囲まれ、空港と隣接する立地を活かした、多様な人々が行き交い、魅力とにぎわいのある、世界とつながるまちの実現」をコンセプトに、周辺地域との調和を図りながら空港の持つポテンシャルを最大限に生かしたまちづくりが進められている。
令和2年2月には、第1ゾーン及び第2ゾーンを包含する当該エリアの名称をこれまでの「羽田空港跡地」から、国内外の多くの方が当該エリアを認知し、羽田空港と共に発展していきたいという想いが込められた「HANEDA GLOBAL WINGS(ハネダ グローバル ウイングズ)」に改称し、当該エリアの立地特性を生かした具体的な整備が行われている。
① 羽田空港跡地第1ゾーン整備事業について
羽田空港跡地第1ゾーン整備事業では、過去の経緯や計画、地域の意見等を踏まえ平成27年7月に策定された「羽田空港跡地第1ゾーン整備方針」に基づき、ものづくり技術の国際競争力強化への貢献や地方創生を実現する「新産業創造・発信拠点」の形成に向けた公民連携によるまちづくりを進めている。
令和2年7月には、羽田空港跡地第1ゾーンで推進されるスマートシティプロジェクトが、羽田空港国際ターミナル近傍の地において、最先端のスマートモビリティやロボットを実装し近未来を体感できるモデルケースとして、国土交通省のスマートシティモデル事業における全国の牽引役となる先駆的なプロジェクトとして「先行モデルプロジェクト」の1つに選定されている。
令和2年7月3日に「羽田イノベーションシティ」はまち開きとなったが、
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、オープニングセレモニーは最小限での開催、テナントの開業等も社会状況を踏まえ段階的に行われることとなった。その後、十分な
感染防止対策を講じ、令和2年9月18日より羽田イノベーションシティの本格稼働となり、「文化産業」と「先端産業」の融合というまちのコンセプトを踏まえ、浮世絵を題材とした日本文化の発信やスマートモビリティの実証実験などのイベントが実施された。
区からは、今回のイベントでの様々な取り組みについて、先端技術に触れる機会の提供にとどまらず、実証実験によるデータの収集・分析を通じ、先端技術の活用方法を区へフィードバックし、区の地域課題の解決につなげることを目指していると報告がなされた。
本委員会では、まち開き後の7月に羽田イノベーションシティの現地視察を行い、区施策活用スペース「HANEDA×PⅰO(ハネダピオ)」や交通広場を含む施設について、本格稼働に向けた現況調査を行った。
また、区内企業との親和性の高い国内外の企業を誘致し、多様な主体との交流により新産業創出の拠点とする区施策活用スペースについては、「テナントゾーン」への企業の入居状況や、「交流空間ゾーン」での交流イベントの実施や整備状況など、適時、その現状について区から報告がなされた。テナントゾーンは、令和3年5月6日時点で、17区画のうち7事業者11区画が入居予定で契約締結が完了しているものもあり、既に3事業者4区画は稼働している。また、令和3年3月には、羽田イノベーションシティのコンセプトである新産業創造と発信の拠点の形成に結びつけるために、入居予定者間の相互理解や交流促進を目的とした、入居予定者交流会なども開催している。
委員からは、コロナ禍の厳しい状況ではあるが、区内、区外を問わず、本スペースに入居する企業に対して区が期待するコンセプトがぶれることなく、粘り強く取り組みを続けるよう要望があった。
そのほか区からは、羽田空港跡地第1ゾーン都市計画公園の整備・運営に係る基本計画策定に向けた基礎的な資料として活用することを目的として区民等意見を募集した調査結果についての報告があった。集計結果では、この公園であったらよいものとして「子どもが遊べるもの」が半数以上の声として挙がったほか、自由意見では「スポーツやアウトドア活動に関する意見」がもっとも多く出されている。
委員からは、地域の方々がこれまで培ってきた歴史や伝統などの文化と、新たに訪れていただく方々との融合をどう図っていくのかとの質疑があった。区からは、公園整備において羽田空港跡地の歴史を踏まえることは大事な観点であり、地域の方が歴史等を発信する際の仕組みづくりや、それらを踏まえた整備に関する検討を進めるとの答弁があった。
さらに委員からは、地域の子どもたちが愛着を持って楽しめる公園であり、来訪者には大田区や羽田のまちを感じてもらえる場所として、このコロナ禍の時代の変化に対応した区民が屋外でゆっくりくつろげる場所としての公園整備をしてほしいとの要望が出された。
本委員会としては、第1ゾーンの開発にあたって、まち開きをした羽田イノベーションシティの状況、区施策活用スペースでの取り組みを注視するとともに、区に対しては、事業者からの提案に任せるのではなく区がしっかりと関与すること、また、区民に対して引き続き情報提供を行うことを求め、本区の発展に真に寄与するまちづくりの実現に向けた調査・研究を続けていく。
② 羽田空港跡地第2ゾーンの開発について
羽田空港跡地第2ゾーンについては、平成28年6月に国において開発に係る民間事業者が選定され、国際線地区に隣接する立地を生かしたまちづくりが進められている。令和元年12月、「羽田エアポートガーデン」という街区名称や日本最大級1,717室の空港直結エアポートホテルの建設計画などの計画概要が公表され、令和2年2月には、日本文化を感じられる名産品や旅行グッズ、服飾雑貨といった60店舗のショッピングゾーンと30店舗の飲食店が決定し、グランドオープンは同年4月21日とすることが公表された。しかし、
新型コロナウイルス感染症の拡大や、国際線旅客数の大幅な減少が続いている状況を鑑み、開業は延期となっており、現在も開業日は未定となっている。
区は第1ゾーン及び第2ゾーンを含むエリアにおいて、「羽田空港跡地かわまちづくり計画」を活用し、水辺とまちが一体となった水辺空間の楽しみ方やにぎわいづくりに取り組むなど、河川空間のオープン化を進めており、令和2年4月には、全長1.1キロメートルの「ソラムナード羽田緑地」を全面開園した。当緑地には、周囲を一望できる「展望テラス」や「休憩施設」、水辺空間には四季を感じることのできる植栽のある「散策路」を整備している。
本委員会としては、コロナ禍の状況も踏まえ、「羽田エアポートガーデン」の開業に向けた進捗状況を注視するとともに、第2ゾーンの開発が第1ゾーンとの連携や空港機能をサポートする有効な土地活用となるよう、区に対しては、引き続き情報を積極的に収集し、国に対して必要な働きかけを行うことを求めていく。
(2)羽田空港の機能強化について
国は、平成26年に東京2020
オリンピック・
パラリンピック競技大会前を目途とした、羽田空港を含めた首都圏空港の機能強化(発着回数拡大)を提案し、関係自治体等との協議や各地での住民説明会を重ね、令和元年8月、関係自治体等からの意見・要望をしっかりと受け止め丁寧に対応することなどとし、令和2年3月29日より新飛行経路の運用を開始し、国際線を年間約3.9万回増便することを発表した。
本提案には南風運用時においてB滑走路西向き離陸や都心上空飛行ルートなどの飛行経路案が含まれていたため、本区では提案当初より区民生活への影響を懸念し、対応してきており、区議会においても、住民への丁寧な説明や騒音対策、落下物対策を含む安全対策等について、あらゆる機会を捉えて区に対して要望を行ってきた。令和2年3月26日には、運用開始前に行われた実機飛行確認の分析結果を踏まえ、これまで示されてきた対策の確実な実施や、さらなる対策の強化、情報提供等の充実について、大田区長と川崎市長の連名で国に対し要望書を提出した。
新飛行経路の運用が令和2年3月29日から開始され、国は8月に、騒音測定結果や部品欠落等の情報、運航便数などの新飛行経路の状況をホームページで定期的に公表していくこととしたほか、新飛行経路に係る騒音発生状況のよりきめ細やかな把握や丁寧な情報提供のため、令和2年9月下旬から2週間、短期的な測定を実施した。区内では東京都下水道局東糀谷ポンプ所が測定場所となり、国が公表した測定結果では、2週間の測定期間中に南風時の新飛行経路が運用されたのは、風向きや天候等の影響により3日間であったと区から報告がなされた。
委員からは、次回以降の測定に向けては、今回の測定場所や時期に限らず、南風が多い時期や最適な測定場所での実施を国に求めるよう要望があった。
また、令和2年6月より、羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会が国において開催されている。これは、関係自治体等から新飛行経路の固定化回避を求める要望が出ていることや、航空機の技術革新等の進展を踏まえ、もっとも効率的とされた現在の滑走路の使い方を前提とした上で騒音軽減等の観点から見直しが可能な方策がないか検討するものであると、区から報告がなされた。令和2年度中に開催された3回の検討会では、羽田空港において多数の航空機が安全に運用できるか、騒音軽減効果があるかの2つの観点からメリット・デメリットを整理のうえ、技術的選択肢(飛行方式)を絞り込んでおり、今後は、短期・中期・長期の具体的な課題への対応策の検討を行い、さらなる絞り込みが行われていく。さらに、飛行経路設定に必要なA・C滑走路への進入機同士の安全間隔確保等の基準の策定や安全性の評価、運航者との調整、騒音軽減効果の確認等、羽田空港への導入を見据えた検討・検証を行っていくとの方向性が示された。あわせて、出発・到着ともに、騒音軽減等に資する管制運用等を含めた総合的な方策についても検討していくとされている。
委員からは、横風等の時にパイロットが新飛行ルートでの着陸が困難となった場合の対応について懸念があるとの意見が出された。それに対して区からは、デメリット等の中長期的な課題についての対策は、今後さらに検討されていくものと考えており、また横風等の場合には、現行運用に切り替えるなどの柔軟な対応をしていることを区として把握しているとの答弁があった。
また、国土交通省は令和2年度に、新飛行経路の運用開始後において実際に飛行したパイロットと管制官との意見交換会を2回実施しており、パイロットからは、南西風が強い場合には従来経路への運用の切り替えを柔軟に実施してほしいとの意見があったが、国土交通省としては、従前より、気象状況やパイロットからの要求に応じて柔軟な運用を行ってきたところであり、その旨を意見交換の場でも周知している。昨年11月以降は、南西強風時の対応に関する意見は確認されていないと国から聞いているとの答弁もあった。
これまで区が国に対して提出している要望書について、全てまとめてからではなく段階的にでも良いのでその回答を求める必要があるとの要望が本委員会であったことから、区では国に対し、改めて段階的に回答するよう要望を行っている。令和2年度中には、国から南風新飛行経路における標準的なゴーアラウンド経路について、本区市街地上空には設定されていないことが改めて図示により回答がされたほか、南風時新飛行経路運用時間帯のB滑走路西向き離陸について、当面の減便を踏まえた暫定運用として可能な限りB777型機をA滑走路からの離陸に振り替えることなどが報告された。
委員からは、引き続きこのスタンスを意識しながら、国と区の利害関係または意見の調整、情報交換等を進めて欲しいと要望があった。
本委員会では、羽田空港との共存共栄を望む地元区として、地域と空港が調和・共生し、共に発展できるまちづくりの実現に向けた議論を重ねており、機能強化による新飛行経路の運用や国際線の増便は、今後の区民と羽田空港のあり方を左右する大変重要な課題であると捉えている。今後も新飛行経路の運用状況を注視し、国が示している各種対策の確実な実施や更なる対策の強化を求め、区民生活への影響に関する調査・研究を続けていく。
(3)羽田空港に関する事業(航空機騒音)について
① 騒音測定について
区内には、航空機騒音による影響を調査するため、区が設置し24時間体制で常時測定を行っている騒音測定局が3か所、国が設置している騒音測定局が2か所ある。
区は羽田空港から離陸する航空機のうち、区内陸部に進入する航空機の騒音影響、機種情報、飛行高度及び飛行回数等を把握することを目的に、5か所で内陸飛行騒音調査を行なっており、一週間連続の短期測定により行われた令和2年度の調査結果についても、区から報告がなされた。
また東京都では、環境基本法に基づき指定している航空機騒音の環境基準を適用する地域について、羽田新飛行経路の運用開始に伴う見直しを行うため、令和3年1月より「航空機騒音に係る検討会」を開催しており、令和3年度中に騒音基礎調査を都内で実施予定としている。区からは、今後の都の方針について、コロナ禍の影響等による航空便数の減少、機種の変更、国の固定化回避の検討で想定される新たな騒音対策を踏まえると現在の騒音状況は過渡期であり、騒音基礎調査の実施時期を当面の間後ろ倒しにするという報告がなされた。
本委員会としては、区内騒音測定局における測定結果を注視するとともに、区に対しては引き続き情報提供を行うことを求め、航空機騒音による区民生活への影響や更なる騒音軽減対策について調査・研究を続けていく。
② ゴーアラウンド(着陸復行)について
現在、主にA滑走路北向き着陸及びB滑走路西向き着陸時にゴーアラウンドを実施する際、区内上空を旋回する場合がある。安全を確保するための措置ではあるが、航空機騒音など区民生活に影響を及ぼす可能性があるため、区からは定期的にゴーアラウンドの回数や日時・理由などの報告を受けている。
令和2年の羽田空港におけるA滑走路北向き着陸及びB滑走路西向き着陸時のゴーアラウンドの総数は203回で、コロナ禍による減便の影響もあり、回数自体は令和元年よりも減少しているが、依然として部品紛失報告による滑走路閉鎖などの「機材」や、「滑走路離脱遅れ」を理由とするゴーアラウンドが発生している。委員からは、これまでも部品紛失等がないよう徹底して万全な対策を講じ、区からも人為的な理由によるゴーアラウンドはなくすよう再三要望してきているが、国はどのように取り組んでいるのかとの質疑があり、区からは、平成29年度より国は部品欠落の安全対策、チェック体制を強化しており、これにより得られた情報を生かしPDCAサイクルにより、さらなる対策を講じていくと聞いているとの答弁があった。
委員からは、人為的なゴーアラウンドを減らすために、どのような対応を行っているかしっかりと区に情報提供をするよう、引き続き国に求めるとの要望があった。
本委員会としては、安全確保の観点からゴーアラウンドはやむを得ないものと理解する一方で、人為的要因によるゴーアラウンドについては、今後もできるだけ減らしていくべきであると考えている。区に対しては、ゴーアラウンドの発生原因の分析と情報収集に併せ、国や航空会社に対する働きかけを引き続き求めていく。
③ 羽田空港において発生した重大インシデントに関する調査報告書の公表について
令和元年6月15日、東京国際空港においてスカイマーク機が着陸許可を受け滑走路に進入中、全日空機が許可を受け同じ滑走路を横断する事態が発生し、重大インシデントに認定されている。
令和3年4月22日、運輸安全委員会からの調査報告書では、概要と原因、再発防止策について公表された。再発防止策としては、国土交通省東京空港事務所の東京飛行場管制所では、訓練環境と適正に管理するための要領を制定し、訓練監督者が他席と調整しなければならない状況が生じた場合は、実地訓練を中断し、訓練監督者が管制業務を実施することとした。また、訓練生のОJT開始前の初期訓練カリキュラムを拡充し、OJT移行判定レベルを引き上げるとともに訓練監督者に対する再教育を実施したとの情報提供があった。さらに国土交通省航空局交通管制部管制課は、令和元年7月8日から9日にかけて担当者研修を開催し、航空交通の安全と前提としたOJTを適切に実施するための取組を検討するなどの措置を講じたとの報告がなされた。
委員からは、新任者だけでなく転勤者等のOJTについても十分に実施するよう確認してほしいとの要望があり、区からは、国等に確認を行うとともに、このような事態にならないよう引き続き注視していくとの答弁があった。
(4)羽田空港対策特別委員会の今後の展開
羽田空港をめぐっては、現行課題及び新飛行経路運用開始に伴う区民生活への影響、落下物対策等の安全対策、さらに、空港跡地における新産業創造・発信拠点の形成と空港周辺部のまちづくり等々、重大かつ緊急な対応が求められる課題が多岐にわたっている。
最後に、羽田空港を所管する本委員会の使命は、先に述べた諸課題に対して羽田空港周辺地域の住民をはじめとした、区民の思いを十分に反映した対応をしていくことである。今後も地域と空港とが共存共栄し、共に発展できるまちづくりの実現に向け、精力的に調査・研究を行っていく必要性を強調し、羽田空港対策特別委員会の中間報告とする。
――
――――――――――――――――――
○塩野目 議長 羽田空港対策特別委員長の報告を求めます。
〔13番渡司 幸議員登壇〕(拍手)
◎13番(渡司幸 議員) ただいま上程されました羽田空港対策特別委員会の中間報告について申し上げます。
本委員会では、羽田空港の跡地利用について、羽田空港の空港機能について、羽田空港に関する事業についての3項目を調査事件とし、羽田空港が地域と共存共栄し、「国際都市おおた」にふさわしい拠点とするため、多岐にわたり調査、研究を重ねてまいりました。
羽田空港をめぐっては、現行課題及び新飛行経路運用開始に伴う区民生活への影響、落下物対策等の安全対策、さらに、空港跡地における新産業創造・発信拠点の形成と空港周辺部のまちづくり等々、重大かつ緊急な対応が求められる課題が多岐にわたっております。
羽田空港を所管する本委員会の使命は、諸課題に対して、羽田空港周辺地域の住民をはじめとした区民の思いを十分に反映した対応をしていくことでございます。今後も、地域と空港とが共存共栄しながら発展できるまちづくりの実現に向け、精力的に調査・研究を行っていく必要性を強調し、羽田空港対策特別委員会の中間報告といたします。
なお、詳細につきましては、報告書をご一読くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
○塩野目 議長 以上をもって
羽田空港対策特別委員会中間報告を終わります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○塩野目 議長 日程第4を議題とします。
〔
井上事務局長朗読〕
△日程第4
防災安全対策特別委員会中間報告
防災対策について ほか2件
――
――――――――――――――――――
令和3年5月26日
大田区議会議長 塩野目 正 樹 様
防災安全対策特別委員長 高 瀬 三 徳
防災安全対策特別委員会中間報告書
本委員会に付託された調査事件につき、現在までの調査状況を下記のとおり報告する。
記
1 調査事件
(1)防災対策について
(2)
危機管理対策について
(3)
地域防犯対策について
2 中間報告
本委員会では、地震や台風をはじめとする自然災害、また、多様化、巧妙化する犯罪から区民の生命、財産を守り、区民が安全・安心に暮らせるまちづくりを実現するため、調査・研究を行ってきた。昨年5月に中間報告を行っているので、ここで、主に昨年6月以降に行った調査・研究結果について報告する。
(1)防災対策について
首都直下地震、風水害等による自然災害から、区民の生命、財産を守るためには、現存するあらゆる資源を活用し、「自助」「共助」の連携による地域力と公助力を結集した災害対応体制の構築が求められている。区は地域の防災力を強化していくために常に実行性のある計画とするため「大田区地域防災計画」の改訂を重ねるなど、ハードとソフトの両面にわたり、地域と一体となって総合防災力の強化を進めている。
① 風水害対策の強化について
区では、区内に大きな被害をもたらした令和元年東日本台風の教訓をもとに、地域防災計画を見直すなど風水害対策の強化に取り組んでいる。水害時緊急避難場所を区内89か所に開設できるよう増設し現地検証および訓練を実施するとともに、区民周知を図るため、災害種別標識を設置するほか、ハザードマップ(風水害編)を改訂し配布した。そして、コロナ禍における感染症対策として、一般避難者と要健康観察者との接触を避けるためのゾーニングやサーモグラフィーなどの備品配備、拠点マニュアルへの反映など運営体制整備を行ったほか、陽性患者の避難先として「ゆいっつ」を専用施設と位置付けた。三密対策を実施することで各避難場所の収容人数が低下することから、多摩川沿いの地域へ補完避難所などによる避難スペースの確保を行うほか、福祉部と連携し、福祉避難所開設に向けた調整を行った。
また、大規模水害発生の危機が差し迫った緊急時に、自らの判断で最善の防災行動を選択するための基礎知識の向上と、
新型コロナウイルス感染症影響下における水害時緊急避難場所の運営体制の強化を図ることを目的に、大田区総合防災訓練(風水害編)を11月15日に志茂田小学校で実施した。案内表示は目線の高さが望ましいとの運営方法の改善につながる意見など、本訓練で得られた推奨事項や検討事項については、当校の拠点マニュアルに反映するとともに、各学校防災活動拠点にも共有するとのことである。
また、令和3年5月20日施行の災害対策基本法の一部改正について、区に関係する主な改正内容として、災害時における円滑かつ迅速な避難の確保を図るため、避難勧告・避難指示を一本化し、従来の勧告の段階から避難指示を行うこととし、避難情報のあり方を包括的に見直しすることや、また、避難行動要支援者の円滑かつ迅速な避難を図る観点から、個別避難計画について、災害時に被害が大きくなると想定される地域にお住まいの方、また移送支援等が必要な方を優先しつつ作成していくよう検討することの報告があった。
なお、自助力向上の取り組みとしては、引き続きマイ・タイムライン講習会などを行っている。
委員からは、風水害対策を反映した地域防災計画の修正を速やかに行い区民周知すべきとの意見のほか、風水害のみならず地震などの災害時、区民がとるべき行動が確実に伝わるよう地域防災計画へ反映する内容をしっかり整理するとともに、区民へのわかりやすい説明を求める意見があった。また、災害対策基本法の一部改正を反映したハザードマップを早めに全戸配布してほしいという要望のほか、マイ・タイムライン講習会のオンライン受講や動画配信などを行い、幅広い世代がより多く受講できるような環境整備を求める意見があった。
震災や風水害等の大規模な自然災害の際には、行政が住民の生命や財産を守ることはもちろん、同時に自助、共助の取り組みの推進が重要である。本委員会としては、区民の安全・安心を守れる施策等、調査・研究を深めるとともに、地震対策にあわせ強化した風水害対策の推進を図っていくことを区に求めていく。
② 災害時医療救護活動について
区では、大規模な地震が発生した場合に備え、平成25年度から区と医師会、病院等医療関係者を構成員とする大田区災害医療連携会議を設置し、平時から災害時の医療体制について検討する一方、発災直後から72時間までの間に実施する災害時医療救護活動について、災害拠点病院を中心に周辺病院との連携訓練を基本とした緊急医療救護所等の開設・運営とともに情報伝達訓練を重ねてきた。
令和2年度は、
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から人が集まる開設・運営訓練は中止とし、情報伝達訓練のみ実施した。区は、訓練を振り返り、今回多くの病院が参加する情報伝達訓練を実施したことにより、災害時グループウェアの統一的な使用方法など円滑な情報伝達体制構築の必要性などの課題認識ができたとした。また、令和2年11月21日に開催した東邦大学医療センター大森病院での訓練には、医療圏が同じである品川区へも参加を呼びかけ、本区・品川区・病院の連携を図ることができたとの報告があった。
委員からは、コロナ禍においては、救急車も病院へ入れないような状況が発生しており、実際に発災した場合の受け入れ体制など具体的なことを明確化し、区民の混乱を招かないように備えるべきとの意見があった。また、区として、大田区総合防災情報システムの導入を進める中、情報伝達訓練の課題解決をするのであれば、情報を一元化し共有していくことこそ大事ではないかとの意見のほか、品川区にある昭和大学病院などとの連携も検討してもよいのではないかといった様々な意見・要望があげられた。
本委員会では、大規模災害から区民の生命と健康を守るため、区に対し、平時から様々なことを想定し備えることを求めるとともに、実効性のある取り組みについて、引き続き調査・研究を行っていく。
③ 火災予防について
令和2年中の区内火災発生状況速報値では、前年比マイナス3件で、168件の火災が発生している。令和2年は焼損床面積も大幅に減少しているが、死者数は前年に比べ1名増え、5名の方が亡くなられた。また、火災原因の第1位は、放火または放火の疑い、第2位がたばこ、第3位がガステーブル等となっており、住宅におけるガステーブル等の火災が増加傾向にあることがわかった。全体としては、電気設備機器が増加、たばこによるものは減少傾向にある。
委員からは、増加傾向にある電気設備機器とは何かとの質問があり、区からは、差し込みプラグ、電気コード、蛍光灯、コンセント、電気ストーブなど電気に起因するものを指しており、電気火災を防ぐため、たこ足配線をしないこと、こまめな清掃、老朽化したものについては取り換えるといった啓発活動に取り組んでいるとの説明があった。そのほか、火災発生時に特別出張所など区の職員が現場へ駆けつける際、被災した区民が安心して相談ができるよう、「大田区」と記されたヘルメットや腕章を必ずつけてほしいといった要望があった。
火災は、直接区民の生命や財産を奪うだけではなく、隣人をはじめとした地域にも不安を与えるものであり、予防は極めて重要なものである。本委員会では、予防策の啓発や環境整備を引き続き区に求めるとともに、委員自らも地域での啓発に取り組んでいく。
④ 大田区地域防災計画(令和3年修正)の策定について
大田区地域防災計画は、区内における地震や風水害等に対して、大田区、防災関係機関がその有する全機能を有効に発揮し、災害の予防及び応急対策、復旧・復興対策を円滑に実施することにより、区民の生命、財産を守り、被害を最小限に抑えることを目的として作成されている。
区からは、令和3年3月に書面開催した大田区防災会議に諮り承認を得たとして、修正案の報告があった。洪水や土砂災害等の風水害対策について、令和元年台風19号における関係部局の課題に対する具体的な取組や対応事項を反映することや、災害時における
新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた関係部局の対策を反映するとの方針を基に、避難対策等の見直し、情報連絡体制の強化、要配慮者対策の充実、治水対策の推進等を修正したとのことである。
委員からは、災害時に必要な正しい情報を受け取るための対策を計画に盛り込み、区民の命と安全をどう守っていくかが重要であるとの意見のほか、区民の意見も聞きながら合意形成していくことが必要であるとの意見があった。
本委員会では、地震、風水害等の被害想定や、発災時の支援体制等の調査・研究を引き続き行い、区に対し、区民の声がしっかりと反映された実効性のある計画となるよう求めていく。
⑤ 大田区災害時情報通信システム実施計画書について
近年発生する自然災害は、激甚化、多発化する傾向にあり、災害から区民の安心・安全を守るためには、以前に増してより戦略的かつ効率的な災害対応を行うことが求められている。区では、多数の災害時情報通信システムが導入されてきており、区全体として有効に機能するシステムとするためには、各個別システムの将来的な更改や統廃合を含めた最適化が必要となっている。
これらの課題に対応していくため、区からは、令和元年度末には区の災害時情報通信システムの新たな整備方針を定めた大田区情報通信システム基本計画書を策定し、これを踏まえ、各システムの具体的な整備内容を定めた実施計画書を作成したとの報告があった。総合防災情報システム、映像・音響システム、デジタル移動系無線について、令和3年度から令和4年度にかけて整備し、避難所の開設や混雑状況など区民が災害情報をリアルタイムに確認できるようにしていくとのことである。
委員からは、災害時にシステムを使いこなし、正しく情報を把握し、発信するためには、担当者の訓練や体制づくりが重要であるとの意見のほか、防災無線が聞こえづらい、ネット環境が無いなどの場合を含めて、区民にいかに正確な情報を伝えるかを想定していくことが重要であるとの意見があった。
本委員会としては、発災時の災害対策本部運営の効率化と区民への適時適切な情報発信がなされるよう、今後もシステム整備の状況を注視していく。
⑥ 東京都行政書士会大田支部との災害時協力協定の締結について
区は、区内に災害が発生した際、被災者等支援に向け行政書士が関与できる業務相談を区と行政書士会が協力して実施するため、東京都行政書士会大田支部との災害時協力協定を締結したとの報告があった。業務内容は、り災証明や災害給付金等の申請に関する相談などであり、区内在住・在学・在勤者をはじめ、区外から区内に避難した人までを対象に、相談にかかる費用、報酬は無料で実施するとのことである。
委員からは、行政書士会の力を借りながらも、区が区民のおかれている状況について情報を持つことは必要であるとの意見や、業務相談に伴う交通費などの必要経費以外の費用負担についても検討をすることを求めるという要望があった。
本委員会としては、協力協定の内容が災害時にしっかりと機能し、実効性のあるものとなるよう、引き続き区に求めていく。
(2)
危機管理対策について
国内初の
新型コロナウイルスへの感染が確認されてから1年以上が経過した。昨年4月の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく
緊急事態宣言発令の後、現在東京都においては3度目の宣言が発令されている。感染者数はいったん減少傾向に転じるものの度重なる感染急拡大は、医療逼迫、飲食店の時短営業、不要・不急の外出自粛、テレワークによる出勤者数削減など、区内事業者をはじめ区民一人ひとりの健康や生活に多大な影響を与えている。
区では、この間、区の本部会議を立ち上げ、庁内情報の一元化を図り、区民への正確な情報の発信に努めるとともに、区民生活支援・区内経済対策に取り組むほか、宣言発令期間中の区施設利用の休止など感染拡大防止策を図ってきた。
委員からは、区は、国・都・区が行う様々な支援策をわかりやすく広報することを求める意見のほか、国や都の対応を重視することは理解するが、区の本部会議として感染急拡大をどう抑え込むかなどの視点に立った検討を深め、区独自で対応することも必要と考えるとの意見があった。また、区職員の勤務体制のあり方など多岐にわたる意見・要望が述べられた。
新型コロナウイルスをめぐっては、各地で感染急拡大を繰り返しており、変異株による影響など、いまだ予断を許さない状況が続いている。本委員会としては、区民の命と健康、暮らしを守るため、国や都の動向を注視するとともに、
危機管理対策について調査・研究を進め、引き続き、状況に応じた迅速で的確な対応を区に求めていく。
(3)
地域防犯対策について
令和2年の区内における刑法犯認知件数は、4,084件と前年比マイナス947件であり、2年連続減少傾向にあるものの、23区別順位はワースト3位となっている。そのうち、区内認知件数の約4割を占める「自転車盗」は、令和2年1月から自転車の鍵かけを義務化とする条例の一部改正などの対策を行った結果、年間1,479件と前年比マイナス594件となり、令和元年の23区別順位ワースト1位から2位へと順位を下げることができた。そのほか、特殊詐欺については、154件、被害総額約3億2,997万円となっており、前年と比較し件数は減少しているものの被害金額は増加し、依然として高い水準で高齢者を中心に被害が発生している。
委員からは、ただ単に認知件数を指摘し防犯対策を検討するのではなく、区民が本当に安心して暮らすことができるまちとなるよう、犯罪の具体的な内容について都市計画や福祉など様々な角度から対策を検討するような区の体制を求める意見があった。
区民を犯罪から守るためには、未然防止の施策とともに、区民一人ひとりの防犯意識を高めることが重要である。本委員会では、引き続き、区に対し
地域防犯対策のさらなる強化を求めるとともに、予防策の効果的な広報・啓発方法について、さらなる調査・研究を行っていく。
(4)防災安全対策特別委員会の今後の展開
昨年から続く
新型コロナウイルス感染拡大は、変異株による影響などもあり、いまだ世界各国をはじめとした人々の生活に多大な影響を与えている。区民の命と健康、暮らしを守るため、各部局が一丸となり、
危機管理対策をはじめとした対応をしていくことが求められている。
そのほか、開催間近の東京2020
オリンピック・
パラリンピック競技大会に向け
新型コロナウイルスをはじめとした高リスクの感染症対策のほか自然災害が発災した場合など、様々な危機の未然防止と被害軽減の対策を強化し、緊急時には迅速・的確な危機対応が求められる。
一方、このような
危機管理対策だけではなく、
地域防犯対策についても地域の防犯力をより一層強化し、犯罪を未然に防ぐことで安全・安心なまちづくりを推進していく必要がある。
また、東日本大震災や熊本地震、大阪北部地震等の経験と教訓を踏まえ、首都直下地震等への備えとして、災害の状況に応じ対応できる防災対策が欠かせない。そして、数十年に一度といわれる大規模な風水害が毎年のように日本の各地を襲う中、令和元年東日本台風の教訓を生かした実行性のある対策が求められている。
新型コロナウイルス感染防止策を踏まえつつ、このような災害による被害を最小限に抑えるため、区民や地域、企業、団体等の地域力を結集し、自助・共助・公助を連携させることによって、区と地域での防災対策を一層強化する必要がある。
区民の生命と財産を守り、安全で安心して暮らせるまちをつくるため、今後もより一層、多様な視点・観点からの調査・研究を行っていく必要性を強調し、防災安全対策特別委員会の中間報告とする。
――
――――――――――――――――――
○塩野目 議長 防災安全対策特別委員長の報告を求めます。
〔3番高瀬三徳議員登壇〕(拍手)
◎3番(高瀬三徳 議員) ただいま上程されました防災安全対策特別委員会の中間報告について申し上げます。
本委員会は、防災対策について、
危機管理対策について、
地域防犯対策についての3項目を調査事件とし、地震や台風をはじめとする自然災害、また、多様化、巧妙化する犯罪から区民の生命、財産を守り、区民が安全・安心に暮らせるまちづくりを実現するため、調査・研究を重ねてまいりました。
本区においては、令和元年東日本台風の教訓を活かし、自然災害による被害を最小限に抑えるため、区と地域での防災対策を一層強化することが求められております。一方で、昨年から続く
新型コロナウイルス感染拡大がいまだ世界各国の人々の生活に多大な影響を与えている中、各部局が一丸となり、
危機管理対策をはじめとした対応をしていくことが求められております。
本委員会では、区民の安全・安心について、今後も多様な視点・観点からの調査・研究を行っていく必要性を強調し、防災安全対策特別委員会の中間報告といたします。
なお、詳細につきましては、報告書をご一読くださいますようお願いいたします。以上です。どうもありがとうございました。(拍手)
○塩野目 議長 以上をもって
防災安全対策特別委員会中間報告を終わります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○塩野目 議長 日程第5を議題とします。
〔
井上事務局長朗読〕
△日程第5
第38号議案 令和3年度大田区
一般会計補正予算(第1次) ほか6件
――
――――――――――――――――――
○塩野目 議長 理事者の説明を求めます。
◎川野 副区長 ただいま上程されました各議案についてご説明申し上げます。
第38号議案は、令和3年度大田区
一般会計補正予算(第1次)で、今回の補正は、歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ17億9234万7000円を追加し、補正後の歳入歳出予算の総額はそれぞれ2955億6995万8000円となります。歳入で追加する内容は、国庫支出金、繰入金などでございます。歳出で追加する内容は、福祉費、産業経済費などでございます。
第39号議案は、大森駅
東口エスカレーター修繕工事請負契約についてで、契約の相手方は株式会社日立ビルシステム、契約金額は2億3100万円でございます。
報告第10号は、条例改正の専決処分の承認についてで、地方税法の改正に伴い、大田区特別区税条例の一部を改正する条例を本年4月1日から施行する必要があったため、3月31日に地方自治法第179条第1項の規定に基づき、専決処分いたしましたので、同条第3項の規定により報告し、その承認を求めるものでございます。
報告第11号は、民事訴訟の提起に係る専決処分の報告についてで、不当利得返還請求に関する訴えの提起について報告するものでございます。
報告第12号は、区の義務に属する
損害賠償額決定に係る専決処分の報告についてで、庁有車による車両損傷事故ほか1件について報告するものでございます。
報告第13号は、
大田区立大森第四小学校校舎ほか1施設改築その他工事(Ⅱ期)請負契約の専決処分の報告についてで、契約金額を当初の6億1600万円から6億4600万8000円に、工期を当初の令和3年8月20日から令和3年10月29日に変更いたしました。
報告第14号は、大田区
蒲田西特別出張所大
規模改修工事請負契約の専決処分の報告についてで、契約金額を当初の2億1120万円から2億1970万3000円に変更いたしました。
以上、よろしくご審議の上、ご決定賜りますようお願い申し上げます。
○塩野目 議長 質疑に入ります。
この際、議員の皆様に申し上げます。本会議での議員の発言につきましては、会議規則第53条で「発言はすべて簡明にするものとし、議題外にわたり、又はその範囲をこえてはならない。」と規定され、また、質疑についても「自己の意見を述べることができない」と明記されております。したがいまして、議員の皆様には、発言に当たっては、規則で定められたルールに従って行うよう、ご留意のほどお願いしておきます。
本案については、奈須利江議員から通告がありますので、これを許します。
〔47番奈須利江議員登壇〕
◆47番(奈須利江 議員) フェアな民主主義、奈須利江です。第38号、第39号、報告第10号について質疑いたします。
第38号議案 令和3年度大田区
一般会計補正予算(第1次)について質疑いたします。
今回の補正予算には、コロナウイルス感染症対応や、それに伴う経済対策の予算が多く計上されています。子育て世帯生活支援特別給付金給付事業もその一つで、低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金として5億8156万7000円が計上されています。
そこで伺います。子育て世帯生活支援特別給付金給付事業で給付されるひとり親世帯と同等の所得階層にあるひとり親世帯以外の子育て世帯、子育て世帯以外の世帯について、大田区はそうした世帯の有無や困窮の状況について把握していますか。また、それらの世帯に必要な支援を行っていますか。
第39号議案 大森駅
東口エスカレーター修繕工事請負契約について質疑いたします。
大森のエスカレーター改修工事契約は、設置後35年になるため、耐用年数である25年を過ぎていることから、エスカレーター機械の取替えのための議案です。
大森エスカレーター工事は、可決した平成29年度予算に盛り込まれていたものの、1億8000万円という当時の予算は執行されず、関係者との協議を重ねて、今回の契約に至ったと聞いています。結果、平成29年には片側1通行上下のエスカレーター設置で提案されましたが、上りのみ2通行の現在のエスカレーターをそのまま新しいものに取り替えることになっています。
そもそもエスカレーターは、バリアフリー解消のための機器ではなく、バリアフリーの抜本的な解消にはなりません。2億3000万円には駅ビル事業者の営業補償費も含まれていないため、エスカレーター改修のためには、さらにこれら営業補償費もかかります。
グランドデザインの目標7には「駅東西の人々の往来を促進するため、利便性の高い東西自由通路の確保を目指していきます」と明記されているだけでなく、東口では駅前広場改修、西口では池上通り拡幅や広場設置なども既に動き始めています。タイミングによっては、無駄な投資になりかねません。
そこで伺います。今回、ここで2億3000万円を投じることは、計画的、効率的な事業執行、税投入となるよう、今後の大森駅周辺の開発やグランドデザインとの整合性を踏まえて提案されたものですか。
駅ビルを使って確保していたバリアフリールートが使用できなくなっています。今回のエスカレーター改修も下りエスカレーターは設置できません。超高齢社会を迎え、バリアフリールート確保について、大田区、駅ビル、JRで進まない理由はどこにありますか。
報告第10号 条例改正の専決処分の承認について質疑いたします。
この専決処分は、地方自治法第179条第1項にある「普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」に基づき行われた専決処分であると説明されています。昨年の特別定額給付金の給付事務における専決処分に引き続き、この「議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」という理由で専決処分が行われたことになります。
専決処分をした場合、議会に報告し、承認を求めることとなっていますが、専決処分が適法になされていれば、不承認でも長に政治的責任が残るのみであり、処分の効力は有効であると解されています。
一方、それでは、専決要件を満たさない専決処分はどうかといえば、専決要件を満たさないのですから、本来、無効であり、不承認であっても無効であることに変わりはありませんが、1度、専決処分が行われると、当該処分に基づく具体の行為について、住民訴訟等により争われない限り、当該処分の内容で行政が執行されてしまうことになります。専決処分が行われれば、要件を満たさず、無効であったとしても、訴訟などが行われない限り、処分は執行されるということです。それだけ専決処分の要件が満たされているかどうかは重要です。
そこで伺います。特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると説明を受けましたが、この条例改正において、専決処分で改正したのは23区中では17区で、臨時議会を開催した区が5区、通年議会のため、議会で改正した区が1区だったと聞いています。他区で議会を招集することができたのに、大田区が臨時議会開催を議会に求めなかった、あるいは、求めたが開催できなかったなどの理由は何ですか。
大田区の説明のとおり、議会を招集する時間的余裕がないことが明らかだったとすると、国は、地方議会が条例改正に必要な議会招集の余裕がないスケジュールで法改正を行い、公布したことになります。大田区、松原忠義区長は、国のこうした議会招集の余裕がないスケジュールでの法改正が地方自治体の二元代表制における議会と行政との関係にどのような影響を及ぼすと考えますか。以上です。
○塩野目 議長 理事者の答弁を求めます。
◎川野 副区長 ただいまのご質疑に順次お答え申し上げます。
第38号議案について、通告がございました2点のご質問にお答えいたします。
1点目のひとり親世帯以外の子育て世帯、子育て世帯以外の世帯の有無や困窮状況について把握していますかにつきましては、子育て世帯生活支援特別給付金事業のうち、ひとり親世帯以外の子育て世帯に対する支給要件等は国から明示されていないため、現時点では、支給対象を18歳以下の児童を養育する住民税非課税世帯等と想定いたしまして、約3500世帯を見込んでいるところでございます。昨年度、実施いたしましたひとり親世帯臨時特別給付金事業におきましては、家計の急変を理由とした支給件数が約500件でございました。なお、子育て世帯を含む区全体の非課税者数の動向を見ますと、近年、ほぼ横ばいで推移しているところでございます。また、生活保護受給人員数や保護率も同様に、ほぼ横ばいで推移している状況を把握しているところでございます。
2点目のそれらの世帯に必要な支援を行っているかについてでございますが、我が国の社会保障制度の基本的な考え方は、社会保障制度審議会における社会保障制度に関する勧告、社会保障体制の再構築に関する勧告などによりますと、自ら働いて、自らの生活を支え、自らの健康は自ら維持するという自助を基本として、これを生活のリスクを相互に分散する共助が補完し、その上で、自助や共助では対応できない困窮などの状況に対し、受給要件を定めたうえで、必要な生活保障を行う公的扶助や社会福祉などを公助として位置づけているところでございます。低所得者対策は、こうした考え方を前提に、貧困格差の再生産防止の観点から、特に負担と給付の関係が明確な社会保険の枠組みの強化を基本とし、適用範囲の拡大をはじめ、応
能負担やサービス利用の際の負担軽減などを通じて、適切に対応しております。
区は、コロナ禍におきまして、奨学金の拡充や住居確保給付金、
新型コロナウイルス対策特別資金など、当面、必要となる様々な生活支援や経済支援、税や各種保険料の納付相談、減免など、区民生活に寄り添う支援を実施してまいりました。また、区民に最も身近な自治体として、区民お一人おひとりがその能力を最大限発揮し、積極的に社会参加できるよう、就労支援や地域との連携による居場所づくり、お困り事に寄り添う生活支援、サービスを担う人材の確保・育成、地域経済を支える取組など、様々な施策を途切れることなく展開することにより、必要な支援を実施しているものと考えてございます。
第39号議案について、通告がございました2点の質問にお答えいたします。
1点目の今後の大森駅周辺の開発やグランドデザインとの整合性についてでございますが、大森駅東口エスカレーターは、昭和59年に当時の国鉄大森駅の駅舎の改築・駅ビル新築の際に設置されたものでございます。現在に至るまで36年が経過しており、故障の発生により、運行に支障をきたすおそれがございます。また、主要部品は製造中止となり、早急に修繕が必要な状況のため、エスカレーターの安全な運行確保を目的として、本工事を行うことといたしました。なお、今後の中長期的な取組につきましては、大森駅周辺地区グランドデザインの計画に基づき、大森駅周辺のまちづくりを進める中で、駅舎や駅前広場整備の機会を捉えて、ユニバーサルデザインも含めた都市機能の更新に取り組んでまいりたいと考えてございます。
2点目のバリアフリールートの進捗につきましては、区は、令和2年から土地建物貸主でございますJR東日本・アトレ、借主でございます東急ホテルズと協力いたしまして、エレベーターによるバリアフリールートを確保し、移動円滑化施策を鋭意進めてまいりました。しかしながら、大森東急REIホテル撤退に伴いまして、バリアフリールートにございますエレベーターが令和3年1月から運行停止となってございます。区といたしましては、現在、旧大森東急REIホテル内のエレベーターを利用したバリアフリールートにつきまして、後継テナントが決定次第、優先して再開できるよう、JR東日本とアトレに対して交渉を行っているところでございます。さらに今後は、大森駅周辺地区グランドデザインなどの計画を具体化するために、エレベーター、エスカレーターの機能的な運用を含め、駅の所有者であるJR東日本などと連携し、ユニバーサルデザインのまちづくりを進めてまいります。
報告第10号について、通告がございました2点の質問にお答えいたします。
1点目の大田区が臨時議会開催を議会に求めなかった、求めたが開催できなかったなどの理由は何ですかにつきましては、条例改正の基となった地方税法の一部を改正する法律案は、令和3年3月2日に衆議院可決、令和3年3月26日に参議院可決となりましたが、施行日が令和3年4月1日である法律の公布は令和3年3月31日となりました。また、公布された法律が官報に掲載されましたことを確認できたのは午後6時過ぎとなりました。議会の招集は、原則として開会の日前、7日までに告示しなければならないとされており、また、常に少なくとも全ての議員が開会までに参集し得る時間的余裕を置いて告示しなければならないとされてございます。今回の改正項目である軽自動車税環境性能割に係る臨時的軽減措置の延長につきましては、令和3年4月1日に施行する必要があり、また、現在の軽減措置を延長する改正で、自治体ごとに判断が変わる内容ではないこと、さらに、区民にとって不利益とならない税率の軽減が延長されるという改正となってございます。専決処分を行った項目以外の地方税法の改正に係る項目につきましては、令和3年第2回区議会定例会に条例改正議案として提出する予定となってございます。区といたしましては、公布された法律の条文を確認して、確実な条例改正を行っており、今回は施行日までに議会を招集する時間的余裕がなかったため、開催を求めませんでした。
2点目の議会招集の余裕がない国の法改正スケジュールが議会と行政との関係にどのような影響を及ぼすかにつきましては、区といたしましては、日程的に議会を招集することが困難と考えられるものについても、一律で専決処分を選択するのではなく、一つ一つの案件ごとに、住民福祉の視点や、区民への影響を常に鑑みながら、法改正の内容やスケジュールをしっかりと見定め、対応してまいります。引き続き、議会と行政の権能や役割を十分踏まえ、適切な関係に努めてまいります。以上でございます。
○塩野目 議長 奈須議員、再質疑ですか。奈須議員、演壇にて再質疑を許可します。
〔47番奈須利江議員登壇〕
◆47番(奈須利江 議員) 専決処分のご答弁をいただきました部分で、1点、再質疑をさせていただきます。
最初の部分でございます。他区で議会を招集することができたのに、大田区ではなぜできなかったのかということについて、ここのところはきちんと答弁をいただけているかどうかというのは微妙なんですけれども、ただ、ご説明の中で、今回の専決処分については、これまでと同様の制度を継続するということ、それから、区民に不利益ではない改正であることから専決処分を行ったということなんですけれども、こうしたご答弁を踏まえますと、必ずしもこうした制度改正や執行においては、区民全員が利益を得るということではなく、利益、不利益が分かれる場合もあると思いますけれども、そのような場合には、専決処分についての判断において考慮なさるというふうに捉えてよろしいんでしょうか。
○塩野目 議長 理事者の答弁を求めます。
◎小泉 区民部長 ただいま再質疑がございました点についてお答えをいたします。
発言通告されました内容についての基本的な考え方は、先ほど川野副区長が申し上げたとおりでございますが、改めてご説明をさせていただきますと、区といたしましては、公布された法律の条文を確認したうえで、確実な条例改正を行っており、今回は施行日までに議会を招集する時間的余裕がなかったために、開催を求めませんでした。以上でございます。
○塩野目 議長 以上をもって質疑を終結いたします。
本案については、報告第11号から報告第14号に至る4件を除き、いずれも所管総務財政委員会に付託します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○塩野目 議長 日程第6を議題とします。
〔
井上事務局長朗読〕
△日程第6
委員会提出第4号議案 大田区
議会会議規則の一部を改正する規則
――
――――――――――――――――――
○塩野目 議長 お諮りいたします。本案については、会議規則第38条第3項の規定に基づき、提出者の説明を省略したいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩野目 議長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
質疑に入ります。
本案については、奈須利江議員から通告がありますので、これを許します。
〔47番奈須利江議員登壇〕
◆47番(奈須利江 議員) 委員会提出第4号議案 大田区
議会会議規則の一部を改正する規則について質疑をいたします。
この規則の改正により、これまで請願提出者に求めていた押印を省略することが可能になります。しかし、押印の省略は、単に押印をなくすのではなく、地方公共団体における押印見直しマニュアルを見ると、本人確認の必要性があり、本人確認の手法は多数存在することから、押印でない方法で代替するということだというのが分かります。
そこで伺います。今回の押印や2項の改正などは、陳情においても同様の扱いでしょうか。請願だけを対象としたものですか。請願だけの場合、その理由は何でしょうか。
押印省略は、内閣府において、書面規制、押印、対面規制の見直し、電子署名の活用促進という規制改革の下に行われています。そのため、この規制改革については、経団連からの要望もあって行われています。今回の議会規則の改正が経済界からの規制改革の流れで行われていることを踏まえ、趣旨に賛同しているから行われる改正でしょうか。
押印をする場合と、しない場合とで、他の手続きや効力に違いはありますか。また、マイナンバーとのひもづけや本人確認の厳格化、運転免許証などの提示などの運用は行われますか。今後も含めお答えください。
今回、加えられる第2項、「請願者が法人の場合の請願書には、邦文を用いて、請願の趣旨、提出年月日並びに法人の名称及び所在地を記載し、その代表者が署名又は記名押印をしなければならない。」と書かれているとおり、あえて邦文という文言を加えていて、外国法人も想定しているように読めます。特にこれまで大田区議会において、外国法人からの請願についての議論はありませんでした。
そこで伺います。外国法人を想定した請願、陳情も対象の場合は陳情もを加えた理由は何ですか。
これまで議会運営委員会や会派代表者会議、幹事長会などで議論されましたか。されたとするならば、どういった議論でしたか。
外国法人を対象にした規則の改正は提案されていますが、個人が提出する請願・陳情についての改正はありませんが、なぜですか。個人が提出する請願・陳情は想定をしていないのでしょうか。以上です。
○塩野目 議長 提出者の答弁を求めます。
〔10番伊佐治 剛議員登壇〕
◎10番(伊佐治剛 議員) 奈須議員から3点の質問をいただきましたので、順次お答えさせていただきます。いつも質問いただきまして、ありがとうございます。
まず、押印の省略を可能とするために、会議規則を改正するとのことについてでありますが、これは請願書のみの取扱いとするのかとの質疑についてお答えをいたします。
大田区議会では、会議規則第97条で「その内容が請願に適合するものは請願書の例により処理するものとする。」と規定しており、陳情書についても、請願書と同様に取り扱うこととしております。このため、今回の会議規則の改正に伴う押印の見直しについては、陳情書にも適用することになります。
次に、今回の会議規則の改正は、経済界からの規制改革の流れにより、趣旨に賛同するために行われる改正か、また、押印をする場合と、しない場合で、手続きや効力の違いはあるのか、また、マイナンバーとのひもづけや本人確認の厳格化の運用は行われるのかとのことでございますが、今回の会議規則の改正は、国の方針等を踏まえ、行政手続き等の簡素化を図ることで、区民等の利便性の向上に資するためのものであります。また、署名か記名押印かによる手続き上や効力の差異はありません。また、今回の改正では、マイナンバーとのひもづけや本人確認の厳格化の運用を行うことは想定しておりません。
次に、外国法人等に関するご質問でございますが、請願書を邦文を用いて記載することについては、これまでも大田区
議会会議規則第92条で邦文を用い記載と規定しており、新たに邦文での記載について規定を設けるわけではありません。また、請願書の提出に当たっては、国籍、個人や法人の別、住所、所在地等により、その提出が妨げられるものではありません。そのため、議会運営委員会等において、外国の法人及び個人等に関する議論はしておりません。奈須議員には、ぜひ議会運営委員会を毎回傍聴いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○塩野目 議長 以上をもって質疑を終結いたします。
本案については、会議規則第38条第2項の規定に基づき、委員会への付託を省略いたします。
討論に入ります。
本案については、奈須利江議員から通告がありますので、これを許します。
〔47番奈須利江議員登壇〕
◆47番(奈須利江 議員) フェアな民主主義、奈須利江です。委員会提出第4号議案 大田区
議会会議規則の一部を改正する規則について、反対の立場から討論いたします。
この規則の改正により、これまで陳情・請願提出者に求めていた押印を省略することが可能になります。
それでは、押印省略はなぜ可能になったのでしょう。押印省略は、経済財政運営と改革の基本方針2020、令和2年7月17日閣議決定、及び、規制改革実施計画、令和2年7月17日閣議決定に基づき、規制改革推進会議が提示する基準に照らして、順次、必要な検討を行い、法令告示、通達などの改正を行うこととされています。経済財政運営、規制改革など、押印省略が経済の視点からの要請であることが分かります。
実際、閣議決定の直前の2020年7月8日に、内閣府情報通信技術政策担当大臣、規制改革担当大臣、規制改革推進会議議長と、経団連、経済同友会、商工会議所、新経済連盟の4経済団体が、新型コロナの感染拡大には一定の歯止めがかかっているが、感染拡大防止、予防のため、新しい生活様式への移行が求められる。また、新しい生活様式だけでなく、ビジネス様式を定着させ、デジタル化を一気呵成に実施する必要があるとして、書面、押印、対面を原則として、制度、慣行、意識を転換して、新しいビジネス様式を再構築させるべき、これまでの日本の商慣行、生活様式をやめて、言ってみれば、ハンコのない、例えば欧米型のビジネス、生活様式に変えようと言っているように読めるわけです。
書面、押印、対面は、グローバル資本が日本に進出して、より効率的に利益を獲得するために邪魔な存在かもしれませんが、私たちがそれらを手放すことで失うものやことは計り知れないと思います。投資家サイドからの要請だけでなく、もっと広く国民レベルで議論すべきです。
しかも、押印をなくすといっても、押印が全く意味のないものではなく、一定の役割を果たしてきたのも事実です。実際、押印省略でハンコなしで手続きできるようになるわけではなく、地方公共団体における押印見直しマニュアルには、押印を求める三つの趣旨として、本人確認、文書作成の真意確認、文書内容の真正性の担保とあり、押印省略は押印を全くなくすということではなく、本人確認の手法は多数存在するから、他の代替手法があれば、押印廃止をしてもよいと言っています。
そして、代替手段の事例には、オンライン申請で認証システムやID、パスワードを利用する、メール申請で利用アドレスを登録する、職員の場合、イントラネットを利用する、窓口、郵送の場合、本人確認書類の写しの受領とあり、運転免許証、マイナンバーカードの写しなどが挙げられています。
これまでの大田区の請願・陳情提出は押印で済んでいたわけですが、今回の押印が省略されれば、これまでより厳格化することになります。しかも、大田区議会は郵送もメールでの受付も認めていませんから、押印省略により、請願の門戸が広がるというよりは、狭まることになるのではないでしょうか。
今、国も大田区もマイナポイントを付与するなどして、積極的にマイナンバーカード取得を進めています。マイナンバーカードの取得率が高まり、将来的に請願・陳情の提出の場面でマイナンバーカードの提示を求めることになりはしないでしょうか。マイナンバーカードの提示なしに、請願・陳情を出せないことにはならないでしょうか。内閣府が示している押印省略のマニュアルどおりに押印を省略することを大田区議会は進めないというのでしょうか。そうなると、請願・陳情などの個人の政治的思想や主張まで番号でひもづけされるようになるのではないかと心配です。
2項で、邦文や法人という言葉から、外国法人に門戸を広げようとしているようにも読めますが、各省庁の文書に英文が増えていることと併せて考えると、グローバル化への対応なのだと思います。世界中の人と仲よくのスローガンは同意しますが、こうした対症療法的なグローバル化の対応ではなく、グローバル化による区民生活への影響について、本質的な議論が必要だと思います。
区議会は、区民や関係者の声を聞くために存在します。押印廃止と、それに伴い発生する本人確認が、提出者の提出の意思を少しでも阻害してはならないと思います。
国が定めている押印廃止におけるガイドラインを大田区議会が全く無視をして押印廃止をするというのが先ほどの答弁だったようですが、それが通るのであれば、そのようにぜひしていただきたいと思います。そこのところは、答弁ではなく、実際のガイドラインのとおりにやるのか、やらないのかという重要なポイントであると思いますので、今後、大田区議会が本人確認をせずに、押印も省略し、陳情も請願も受け付けるというのであれば、それは何よりもこしたことではありませんけれども、国のガイドラインを拝見しておりまして、非常に心配なので、私は反対としたいと思います。
○塩野目 議長 以上をもって討論を終結いたします。
採決に入ります。
本案を起立により採決いたします。
本案は原案どおり決定することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○塩野目 議長 起立多数であります。よって本案は原案どおり決定いたしました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○塩野目 議長 以上をもって本日の日程全部を終了いたしました。
お諮りいたします。明5月27日午後1時に会議を開きたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩野目 議長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
ただいまご着席の方々には改めて通知はいたしませんので、そのようにご了承願います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後2時5分散会...