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令和 3年 3月  予算特別委員会−03月12日-01号

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  1. 大田区議会 2021-03-12
    令和 3年 3月  予算特別委員会−03月12日-01号


    取得元: 大田区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-10-03
    令和 3年 3月  予算特別委員会−03月12日-01号令和 3年 3月  予算特別委員会 令和3年3月12日                午後1時00分開会 ○湯本 委員長 ただいまから、予算特別委員会を開会いたします。  まず、本職から申し上げます。  感染症拡大防止の観点から、傍聴人が激しくせき込むなどの症状が見られた場合、委員長の判断により傍聴人には退場をお願いする場合がございます。あらかじめご了承をお願いいたします。  昨日に引き続き、第1号議案 令和3年度大田区一般会計予算歳出の審査を行います。  第3款福祉費の審査を続けます。  質疑に入る前に、理事者の皆様に申し上げます。質疑時間には、答弁も含まれますので、簡潔な答弁をお願いいたします。  また、答弁の際には、その都度、自己の職名をはっきり告げていただきますよう、お願いいたします。  それでは、エール、質疑願います。 ◆小川 委員 エールおおた区議団の小川あずさです。  中高生について、お願いします。  中高生の居場所として、大田区では現在、東糀谷児童羽田分室、いわゆる羽田の中高生ひろばがあります。今年度は、コロナで学校の休校や各イベントの中止、密を避ける行動の推奨などで様子が違ったと思われますが、コロナ禍での今年度の利用状況をお尋ねするとともに、たくさんの企画やイベントなど工夫を凝らして、居場所の提供をしてくださっていると伺っており、そのような中での人気の講座についてもお示しいただきたいと思います。 ◎増田 こども家庭部副参事〔放課後居場所づくり担当〕 中高生ひろば羽田では、国や都の新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン等に基づき、常時換気やマスクの着用、アルコール消毒などの感染症予防対策を徹底して運営しているところです。また、当該施設の音楽スタジオについては、人数や時間帯の制限を設けて貸出しを行っております。  特に、講座については、少人数で間隔を取った実施に限定しております。そのため、今年度2月末までの利用者数は、昨年度と比較して減少しておりますが、前年比60%を超える約2,750人となっています。  また、今年度実施した講座の中では、受験に向けた自己PRや面接の練習等を行うみらい講座のほか、中高生自らが企画したボードゲーム大会は参加者も多く、好評をいただいている状況です。 ◆小川 委員 新たに、新蒲田の複合施設にも、令和4年には中高生ひろば第2弾ができることになり、大いに期待するところでございます。  ただ、大田区は面積が広く、中高生の行動範囲は徒歩か自転車で行ける範囲で、わざわざ交通費を支払って移動することも難しいと思いますので、できれば調布地区や大森地区などにも中高生ひろばが欲しいものです。
     この地区を含め、現在あります施設内の中で、中高生に特化された利用場所の確保など、現状はどのようになっておりますでしょうか。 ◎増田 こども家庭部副参事〔放課後居場所づくり担当〕 区では、中高生が気軽に集い、交流及び自主的な活動や相談のできる居場所として中高生ひろばを羽田に設置するとともに、区内の委託児童館において平日夜間の時間帯に中高生タイムを設けております。  特に、調布地区の上池台児童館や大森地区の子ども交流センターにおいては、中高生タイムを充実させ、防音設備などを完備し、ダンスや音楽活動等を行える場を提供しております。今後は、新蒲田一丁目複合施設に中高生専用の談話室や講座室を設置するほか、地域の方とタイムシェアで活用のできる音楽スタジオを設ける予定です。  引き続き、中高生の交流、活動、相談の三つの支援を通じて、健全な成長を支援してまいります。 ◆小川 委員 引き続きお願いいたします。  会派の中で、野呂議員や北澤議員も触れてまいりましたが、現在は、施設内のこの音楽スタジオ、楽器の使用料がかかっております。他自治体では、音楽スタジオが無料や、楽器が無料で使用できたりしておりますので、大田区におきましても、中高生ひろばにはお小遣いを持たずに行って楽しめますように今後考えていただきたいと、再度要望いたします。  同じく、中高生のことで、私は、私立の中高で非常勤講師をしていたこともあり、生徒たちと雑談したり、授業中に様子を見たりして接することが多かったのですが、思春期、反抗期と呼ばれるあの世代は、実にたくさんの種類の悩みがあるようでした。  将来のことや、友人や家族などとの人間関係に関する悩みで、楽しそうにしていても人知れず重いものを抱えている場合もあるのですが、中高では教科ごとに先生が変わり、教師側も一日のうちに生徒に接する時間は短いのに、多くの生徒に接するため、個々のそういった異変にも気がつかないままという状態になりがちです。  生徒のほうでは、友人と話したり、家族に言ってみたりで解決することも多々ありますし、学校内にも進学や人間関係の相談窓口を設けているところもあります。しかし、性的なこととか、自分の身体のことなどについては、友人や家族にも話しにくく、保健の先生にも対面で聞きにくいなどあるのではないでしょうか。  そんなときに、顔を見ずに匿名で語れるような相談窓口があるといいなと思っていますが、区で対応できる窓口があるのか、現状をお示しください。 ◎関 健康づくり課長 現在も各地域健康課では、年齢や内容を問わず、保健師が広く様々な健康に関する相談に対応しています。特に、思春期の心や体、性の相談等につきましては、電話で匿名を希望される方もおいでになりますので、そのお方のお気持ちに寄り添い匿名のまま相談をお受けしております。  また、思春期当事者の方の立場に立って考えると、区の保健所に相談の電話をするということは大変ハードルが高いものであるとも推察しております。  このような匿名性の高い健康に関する相談について、東京都は、電話やLINE、メールを活用した24時間365日の相談事業として、「妊娠したかも相談@東京」や「妊娠相談ホットライン」、「女性のための健康ホットライン」を開設しています。  今後もこうしたICTを活用した相談先の情報の効果的な周知を行い、区民が安心して相談できるよう努めてまいります。 ◆小川 委員 よろしくお願いします。  性のことに関しては、誰でも聞きにくいものですが、この年頃の生徒たちが正しい知識なく、好奇心だけで走ってしまうと、特に女子は望まぬ妊娠などというような問題に発展しかねず、事が大きくなってしまいます。正しく聞いて、アドバイスや指導をしてくれる窓口は絶対に必要です。とはいえ、相談するにも勇気がいるとは思うので、今の中高生は小さいときからSNSに慣れていることから、気軽に使えるLINEで深夜まで聞いてくれる相談窓口を区でも開設いただき、素早い支援につなげていただくことができたらと希望します。  さらに、そのLINE相談ということにつきましては、女性というくくりでも区での対応はできないものかと考えております。といいますのも、2020年女性の自殺が2019年に比べ約15%増で、10年以上ぶりの前年比増だったということで、そのような記事を見て、コロナ禍で生活を守ろうとするストレスやもともとあった悩みを友人や家族に会えないことで増幅していったなど、様々な要因が自殺のトリガーになったのではと、同じ女性の立場から気になったからです。  まだ、落ち着かないコロナ禍で孤立する女性が思い詰めず、人目や世間体を気にせず、SOSをLINEで発進できるような仕組みを充実させてほしいと要望いたします。  次に、昨年の予算特別委員会でも質問させていただきましたが、大田区独自での離婚相談ですが、年に2回だったところを今年度より年4回に増やしていただきました。今年度はコロナ禍で外出や人と交流もできない中で、この4回の相談はどのようなものであったでしょうか。お聞かせください。 ◎伊藤 子ども生活応援担当課長 今年度、離婚と養育費に関わる総合相談は、昨年度の2回から回数を増やし、新型コロナウイルスの影響もありましたが、当初の予定どおり4回実施いたしました。利用者数は、昨年度を上回る28名でございました。  将来の離婚に備える方が多数で、弁護士による法的な相談とともに、希望者には大田区生活再建・就労サポートセンターJOBOTAが生活相談にも応じて、予期せぬ生活困窮に陥ることがないよう、多方面からの相談に対応しております。  さらに、離婚届の用紙を取りに来た方にお渡ししている法務省作成の養育費の取り決め方などについて分かりやすく説明したパンフレットも同時にご案内をしております。  相談者からは、「法律の専門家である弁護士のアドバイスは大変参考になった。今後の見通しがつき、安心材料の一つになった」など、相談を受けたことで不安がなくなったとの趣旨の感想を複数いただいております。 ◆小川 委員 やはり、相談に行くことで、心が落ち着くということは、大変大事だと思っております。離婚というのは、家庭が壊れるという一大事で、離婚の前にしっかり考え、専門家の意見を聞いて、その後の生活の計画まで考えるべきことであるのに、感情で先に離婚ありきとする人も多いようです。家庭、家族や友人の相談をしていても、素人のミスリーディングもあるので、第三者への相談は意味があり、区での離婚相談は有意義で、相談することで冷静になり不安がなくなるだけでも救われた人はたくさんいるのではないでしょうか。  しかし、既に離婚してしまった方、生活している方はどうでしょうか。女性は男性に比べ働く先も限られ、まして子どもを育てながらとなるとさらに制限が多く困難です。養育費が支払われていない場合は、なお大変です。このような女性たちに対する区の支援は、現状どのようなものがありますか。 ◎高橋 自立支援促進担当課長 区では、離婚に伴い経済面や生活面で不安のある女性に対して、寄り添った相談事業を実施しております。  生活福祉課では、母子・父子自立支援員により、世帯の経済的問題や就職に関する問題等の相談をお受けするとともに、自立就労するための資格取得に必要な経済的支援などを行っております。また、家庭相談員も家庭内の様々な問題に関するアドバイスを行っております。  さらに、大田区生活再建・就労サポートセンターJOBOTAでは、必要に応じて関係機関の窓口への同行も行うなど、相談者に寄り添った支援を行っております。  例えば、就労支援では、子どもの保育園の送り迎えがある、定期的に通院しなければならないなど、相談者お一人おひとりのご事情に応じた就労先を一緒に探すなど、ハローワークと連携し、支援を実施しております。そのほかにも、現在の家賃等に不安がある方には、ご希望を伺いながら新たな住まいを探すお手伝いなども行っております。  引き続き、お悩み事を1人で抱え込み、孤立が深まることのないよう、様々な支援を行ってまいります。 ◆小川 委員 引き続き、どうぞよろしくお願いします。  このような離婚家庭の問題を解決するのに、今までも申し上げてきましたが、区でも養育費立替事業がなされることを希望します。既にこの事業は、関西方面の多くの自治体が実施に至っています。ついに23区でも、豊島区が令和2年度から実施を始めました。養育費不払い対策は、まずは公正証書が必要なため、豊島区は養育費受取支援という施策で、公正証書作成手数料家庭裁判所の調定や裁判に要する収入印紙代、戸籍謄本など添付書類取得費用を補助してくれるというきめ細やかな支援まで整備され、同行までしてくれるという寄り添いの支援を行っているとのことです。  このような養育費不払いや、ほかにも子どもについての親権問題が、離婚後頻繁に起こっているわけですが、日本の場合、合意さえすれば簡単に届けを出すだけで離婚が成立するという法の整備がなされていないことがそもそもの問題であると、私は思っています。  法務省でも、昨年より、この問題について動き始めたようですが、まだまだ法整備されるまでには時間がかかると思われますので、まずは目の前で起こっている問題にできるだけのことをするべきであり、大田区のほうでも、ぜひ、ぜひ養育費立替事業の検討をしていただき、ひいては離婚を起因とするひとり親とか、子どもたちの貧困を救ってほしいものだと、強く要望いたしまして、質問を終わります。 ○湯本 委員長 次に、自民、質疑に入ります。  渡司委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承願います。 ◆渡司 委員 自由民主党大田区民連合、渡司幸でございます。  今年度、特別区の中でも世田谷区、江戸川区、荒川区の先行3区におきまして、児童相談所が開設いたしました。また、今回の当初予算にも児童福祉費児童相談所基本設計委託料として6,775万3,000円が計上されております。  それらを受けまして、児童相談所開設準備状況について、質問をさせていただきます。  タブレット配信の資料番号@をご覧ください。  大変稚拙な資料で恐縮でございますが、これは先行3区の児童相談所について、私が簡単にまとめさせていただいたものです。前段が少し長くなり、恐縮でございますが、各児童相談所の特徴などについてお話をさせていただきたいと思います。  世田谷区立児童相談所は、旧総合福祉センターを複合施設として改修し、2階、3階部分に児童相談所機能を置き込む形で開設をいたしました。一時保護所は、児童相談所の近隣地に別に整備されましたが、場所は非公開となっております。本来であれば、世田谷区の規模としては、一時保護所の定員は約46名ほど必要であると算出をされましたけれども、施設の関係で定員は26人となっております。  開設後、7月以降はほぼ定員を超え、一時保護の約22%はほかの施設へ保護委託をしている状況ではありますが、区内に児童養護施設の定員枠も多く、養育里親も多いことから、順調な滑り出しであったと報告をされております。  4月1日に開設した時点での東京都からの相談引継件数は112件ということで、やはり引継件数も多いことが分かります。  世田谷区児童相談所の特徴といたしましては、児童相談所機能であります心理、相談、調査、支援等の各係を五つの地域別担当チームに分け、五つの地域に一つずつあります子ども家庭支援センターと同一地区の担当同士がのりしろのように一部重なる支援体制を取ることで、地域との連携を強め、児童相談所子ども家庭支援センターの支援のすき間に落ちるケースがないように連携をしていくというのりしろ型支援という支援を行っております。また、社会的養育における里親率が約20%以上と高いことなどが特徴として言えると思います。  次に、江戸川区児童相談所ですが、愛称を区民からの公募で募り、「はあとポート」と決め、1階部分には地域交流スペースを置き込むなど、区民に親しまれる児童相談所を目指しております。  子ども家庭支援センター児童相談所、一時保護所を同じ建物に集約することで、窓口、指揮系統、支援対応の徹底した一元化を図ることで、初動体制の迅速化と予防機能の強化を図る意図が明確となっております。  児童相談所開設の1年前には、定員35人の乳児院も民間委託で開設をされておりますが、フォスタリング機能を持つ里親ステーションは、児童相談所内に置かれております。一時保護の定員は40人、7月以降はほぼいっぱいで、約15%程度は保護委託で運営している状況が続いております。  令和3年4月からは、定員24人の児童養護施設も民間委託で区内に開設する予定となっております。  荒川児童相談所は、児童相談所子ども家庭支援センターを一体化した子ども家庭総合センターとして、地上4階の新築の建物として整備されました。他の2区より3か月遅れまして、7月に開設いたしました。本来、児童相談所の適正規模は、人口20万人に対し1か所とも言われており、人口約21万人の荒川区は適正規模での設置と言えると思います。令和5年開設予定で、児童養護施設の開設の準備も進められております。  来月からは、ほかにも港区の児童相談所が青山に開設され、11月には中野区が統合した二つの中学校と図書館との複合施設として児童相談所を開設する予定となっております。  本来でありましたら、先行自治体の取り組みを真っ先に視察をさせていただきたいところでございますが、コロナ禍では事例研究ということで、様々なデータなどから質問をさせていただきたいと思います。  大田区は、平成30年3月に大田区児童相談所基本構想・基本計画を策定いたしました。この時点で、基本的なたたき台をお示しいただき、策定時には大変なご苦労があっと記憶をしております。大田区が早い時点で計画を策定されたことを、高く評価させていただきます。  そこで、今年度、世田谷区、江戸川区、荒川区の先行3区が児童相談所を開設し、来年にはさらに2区が開設の予定となっておりますが、それら先行自治体の動向から、改めて大田区の基本構想・基本計画の見直しや開設準備の方向性について、どのようにお考えかお聞かせください。 ◎増田 児童相談所開設準備担当課長 児童相談所基本構想・基本計画は、子どもの最善の利益を守るために、大田区が目指す姿として一元的かつ総合的な子ども家庭支援体制を構築し、「おおたの子どもを守ります」と定め、児童相談所の機能整備の方向性などを示したものです。  また、今年度、児童相談所を開設した世田谷区、江戸川区、荒川区が定めた児童相談所の設置・運営計画等に加え、それぞれの職員体制や施設整備の状況、虐待対応への機能等について、鋭意情報収集し、整理を進めているところです。  今後は、先行して開設した区の情報も活用し、人口規模や地域特性に即し、子どもの権利を最大限に擁護できる大田区ならでは児童相談所の開設に向け、運営計画や人材確保、育成計画を策定してまいります。 ◆渡司 委員 児童相談所の開設におきましては、まず開設までの準備が非常に重要であると考えます。  タブレット配信の資料Aをご覧ください。先行3区における開設までのロードマップをまとめたものです。  3区とも、開設の2年以上前から開設や運営に関する計画を練り上げていることが分かります。  特に、世田谷区におきましては、平成28年の児童福祉法の改正後すぐに平成32年度の早期児童相談所移管を目標とする設置計画を策定し、その後、3回のアドバイザー会議を経て、平成29年5月から平成31年1月まで開設準備のための会議体として全体会と分科会で20か月、合計22回にわたり多角的な視点での検討が進められました。  分科会は、児童相談所と一時保護、子ども家庭支援センターあり方検討部会、そして社会的養護あり方検討部会、そして障がい児支援のあり方検討部会の三つで、全体会であります効果的な児童相談行政推進検討委員会では、その間、第1次から最終案まで4回にわたる計画の見直しが行われました。  最終的には、他部署、他機関との連携やデータシステム等までも含んだ、全163ページの計画となり、大変よく練られた隙のない計画であると感じました。  特に、児童相談所の業務の中には、愛の手帳の発行や障がいに関わる業務も少なくなく、障がい児支援のあり方検討部会が分科会として設置されたことの意義は大きいと感じました。  大田区におきましては、平成30年3月の大田区児童相談所基本構想・基本計画において、基本設計、実施設計から以降、2年目、3年目との表現で大まかな目安として示されています。開設準備の会議体につきましては、令和元年の連合審査会におきまして、大田区では学識経験者児童相談所行政に詳しい方によるアドバイザー会議において、課題や方向性について議論を深めていると伺いました。  そこで伺います。現在までアドバイザー会議はどの程度開催され、今後の会議体の進め方等についても方向が出ていましたらお聞かせください。 ◎増田 児童相談所開設準備担当課長 区では、児童相談所の開設に向け、学識経験者や弁護士などの専門家を委員とするアドバイザー会議を平成30年度に設置いたしました。これまで年4回開催し、児童相談所の機能や組織体制、一時保護の在り方、社会的養護との連携方策等について、ご助言やご意見をいただいてまいりました。これらは、児童相談所の設計や体制づくりなどに活用させていただいているところです。  なお、来年度は、アドバイザー会議の実施回数を5回に増やし、里親などの社会的養護の在り方や、虐待予防と再発防止支援策など、さらに具体的な対策を検討する予定です。  これにより、明確になった課題については、分科会を立ち上げるなど、さらに議論を深めてまいります。 ◆渡司 委員 ぜひ活発な議論をよろしくお願いいたします。  先行3区におきましても、児童相談所子ども家庭支援センターの在り方については、それぞれの区の考え方がよく表われているように感じております。  世田谷区では、児童相談所の開設後も、世田谷地域、北沢地域、多摩川地域、砧地域、烏山地域の5地域に一つずつあります子ども家庭支援センターを残し、要保護児童対策地域協議会の運営とともに一般の子育て相談から虐待事例の在宅支援、虐待予防支援をに担う一方で、児童相談所のほうは強力な法的権限などの高度な専門性を必要とする相談や虐待対応など、それぞれの役割分担を明確にしながら、同一地域を基本としたのりしろ型支援を行っております。  江戸川区では、児童相談所の管轄を生活保護管轄の3地域に分け、相談、支援、援助、心理指導のそれぞれが同一地域を担うことで、相談から自立まで一貫して対応する体制とし、子ども家庭支援センター機能を持つ総合相談係は、健康サポート管轄の8か所で要保護児童対策地域協議会の運営を行い、地域での顔の見える綿密な関係の中での支援を目指しております。  荒川区児童相談所では、在宅支援係が要保護児童対策地域協議会の運営と相談、予防的支援、家族再統合、フォスタリング機能を持ち、子ども家庭支援センター機能在宅支援等を担っております。  先行3区では、子ども家庭支援センター子育て世代包括支援センター児童相談所の機能について、バランスや連携体制などに各区の考え方の違いが見られ、児童相談所開設のタイミングで、それぞれの機能更新や再構築の議論が活発化いたしました。  大田区においても、児童相談所子ども家庭支援センターとの関係や、子ども家庭支援センターの機能強化などについて、区のお考えをお聞かせください。 ◎増田 児童相談所開設準備担当課長 子育てに関する様々な相談等に対して、迅速かつ的確に対応するために、子ども家庭支援センターが担っている機能と児童相談所の機能を、(仮称)大田区子ども家庭総合支援センターに統合します。  子ども家庭支援センター機能では、広く子育ての不安などの相談を受け、在宅支援サービスにより、その悩みを解消する虐待の未然防止の役割を担います。また、児童相談所機能では、一時保護や施設への入所など、緊急かつ重篤な事案などを主に担います。  なお、個々の事案については、相互で共有し連携することで、最善の支援を行ってまいります。  これらの機能をアドバイザー会議では、「大きな、子ども家庭支援センター」と「小さな、児童相談所」というスローガンで表現し、孤立化する親子の不安を取り除けるよう、予防に主眼を置いた虐待への対応強化を確認したところです。 ◆渡司 委員 設置区の中では、世田谷区のように児童福祉分野での地域包括ケアシステムにおける発見、相談機能を高めつつ、地域の見守りの拠点とするため、児童相談所の開設と併せ児童館の在り方と配置について再検討した自治体もございます。  世田谷区では、五つの地域にそれぞれ子育て支援館中高生支援館、子どもの居場所支援館となる館を1館ずつ配置をし、28の小ブロックの中で児童館の未整備地区、重複地区などの整理を行い、児童相談所開設に併せ子ども計画(第2期)後期計画を策定し、児童館の機能更新を図りました。  このように、地域包括ケアシステムのさらなる深度化の起爆剤として児童相談所の開設準備の段階で議論を活発化し、課題の抽出や整理を行うことが効果的ではないかと考えます。  本区におきましても、児童相談所の開設準備のタイミングで、地域包括ケアシステムの構築、子育て世代包括支援センター機能などの視点からも、児童相談所の在り方等について整理していく必要があると考えますが、区のお考えをお示しください。 ◎増田 こども家庭部副参事〔放課後居場所づくり担当〕 児童館では、子育て世代包括支援センター機能として、子育て中の親子の孤立化を防ぎ、子育ての不安や負担感を減らすため、気軽に集い相互交流や子育ての悩みを相談できる場を提供しております。  職員は、児童や親子と寄り添う中で、利用者との信頼関係を築き、相談しやすい雰囲気づくりや、個別の状況に応じた対応に努めているところです。また、虐待の可能性を察知した場合には、速やかに子ども家庭支援センターへの連絡を行うとともに、小学校、保健所等の関係機関と連携し、継続的な支援をしております。  今後は、これまでの児童館の地域の子育て支援拠点、子育て親子の交流促進などの役割を児童相談所の機能により生かせるよう検討してまいります。 ◆渡司 委員 児童相談所をつくり上げていく過程におきまして、社会的養育の考え方についても、区としての方向性を示していく必要があると考えます。  先行3区におきましても、自治体の中の乳児院の有無、児童養護施設の入所可能人数や里親制度の整備状況など、それぞれ違いが見られ、2区においては新たに乳児院や児童養護施設の開設も併せて議論がなされておりました。  東京都におきましても、令和2年3月に東京都社会的養護推進計画が策定され、養護施設の小規模化や里親等への委託率を令和11年には、就学前までで50.5%、学齢期で33.6%、合計で37.4%まで上げるなど、いろいろな面でかなりハードルが上がったという印象がございます。  世田谷区などは、独自の社会的養育推進計画の策定に動いた自治体もあり、社会的養育はとても重要な議論でございますので、児童相談所の設置準備に合わせて議論を深めていただくことを要望いたします。  平成30年度の区政訪問調査、マサチューセッツ州のロバート・F・ケネディ・チルドレンズ・トラストでの社会的養育の調査の際に、事前勉強会では米国においては代替養育の担い手はほとんどが里親であるとのお話を伺っておりましたが、現地アメリカでは養育施設から里親へと移行していく代替養育の方向性は示されてはいるものの、養護施設の必要性はいまだ多く残されているとのことでした。厳しい状況の子どもたちを里親の下で暮らせるようにするため、ある程度事前に安定させるためや、何度も繰り返し里親の下でうまくいかない子どもたちの最終的な居場所としてのグループホームは、今もなお重要であり、日本における社会的養育においても様々な方策が必要になってくるかと思います。  また、同じく平成30年のイリノイ州政府子ども家庭サービ部、DCFSにおける報告書の中で、児童虐待通告についてのアメリカと日本の違いについて触れさせていただきましたが、大田区で児童相談所を開設する際には、次の5点について新たな視点で取り組むべきことも、併せて報告をさせていただきました。  タブレット配信の資料Bをご覧ください。  児童相談所開設まで取り組むべきこととして、@からDまでの要点を書かせていただきました。平成30年度の時点では、現実にはまだまだそこまでは無理だという状況であったと思いますが、今年度の先行3区では、@からCについての取り組みについて、今までの東京都の児童相談所とは明らかに違う米国方式に近い取り組みを採用している自治体も出てまいりました。  特に、Aの児童福祉データベースの整備につきましては、アメリカではかなり進んでおり、ホットライン受理ワーカーが構造化された質問に沿って通告を聞き取りながら、データベースにアクセスし、対象の子どもや家庭がどの時点で福祉システムや警察のシステムと接点があったのかを照会することができます。また、生活保護や障がい、移民データなどとの照合も可能ですが、さらに新しいシステムでは、子どもの個人データ、家族のデータ、通告の履歴や今まで受けた福祉サービス、虐待リスクの度合いなどにより、危険度が高いハイリスクなケースの場合は、検索がヒットした時点でアラートが鳴るなどの仕組みを持たせることも考えているとのことでした。  また、クロス集計機能として、司法判断の判例や介入の予後などについても、ノウハウや結果を可視化できるものが必要になってきており、1人の子どもが緊急一時保護が必要かどうか判断する場合などにおいて、類似のケースに対する介入判断の方向性や、最もふさわしい緊急里親とのマッチングまでも検索できるようなシステムが求められており、平成30年度の時点で2年後をめどに開発中とのことでしたので、そろそろ新しいシステムができている頃かもしれません。  当時の課題としては、まだ州ごとのデータベースの統合ができてないために、州をまたいでの検索ができないなどの課題があるということでした。  資料Bの上の部分は、世田谷区児童相談所運営計画における児童関連システムの一覧で、これらの関係機関と協議して閲覧権やアクセス権に関するルールを定め、必要に応じて児童相談システムと相互に連携できるなど、業務間の綿密な連携の必要について触れられております。  これらのシステム整備については、費用も時間もかかることですので、施設の完成までに精力的に議論していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
    ◎増田 児童相談所開設準備担当課長 児童相談所にとって、社会的養護の考え方などについて議論することは非常に有効だと考えます。  設置予定の(仮称)大田区子ども家庭総合支援センターにおいては、相談の窓口で複数の専門職による受理機能を想定しております。ここでは、聞き取りした内容から事例ごとに最適な担当に振り分けていくことを検討しています。  また、受理窓口での職員の聞き取り技術の向上に向け、児童相談所への派遣経験者や児童福祉司、児童心理司などをバランスよく配置することも考えています。  委員ご紹介の米国イリノイ州子ども家庭サービス部で行っている通告受理時のトリアージなどは、大変参考になる事例であり、議論を深めてまいります。 ◆渡司 委員 次に、人材育成について伺います。  開設を予定している区では、人材の確保が大きな課題となっており、開設時期を遅らせる判断をした区も出てきております。資料Bの下の部分に人材確保についての先行3区と大田区の派遣研修等を表にしてみました。本区におきましても、計画的に派遣研修による人材育成を行っていただいていることが分かります。  先行3区における開設時の人員配置につきましては、人材確保が厳しい状況においても計画的な人材育成で、都の基準の2倍近い人材を確保して開設した区もございます。  令和3年度からの新しい基準では、児童福祉司は人口3万人に対し1人程度、児童心理司は児童福祉司2人に対し1人程度であると定められる予定でございますので、大田区では児童福祉司は最低でも27人、児童心理司は14人程度の配置が必要になるかと思います。  また、一時保護所では、保育士、児童指導担当、看護師や警察OB、弁護士、医師、保健師などの配置も必要になってまいります。先行3区の最終的な職員配置は、表の右側の欄、世田谷区150人、江戸川区145人と非常に多い人数となっております。我が会派の深川議員の要望どおり、計画的な人員の確保と育成が必要でございます。  これら開設予定の各区が人材確保に課題を抱えておりますが、人材育成、人材確保に関する区の所見をお聞かせください。 ◎増田 児童相談所開設準備担当課長 児童相談所が子どもと家庭を総合的に支援するには、児童相談行政を的確に担い得る体制整備が不可欠です。  児童相談所を開設したその日から、その責務を果たすためには、職員が専門的知識と技術を確実に習得できていることが必要となります。このことから、現在、法定の基準を上回る職員の配置計画を基に、児童相談の専門スキルを獲得するため、東京都や川崎市、世田谷区などの児童相談所へ職員の派遣研修を実施し、児童福祉司、児童心理司、児童指導員及び事務職の育成を図っております。  今後も派遣先と派遣人数の拡充に取り組むなど、人材育成を着実に進めてまいります。 ◆渡司 委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。  本区におきましても、児童相談所の開設に向け、様々な議論を重ねていただくことが何よりも重要でございます。  児童相談所をつくるということは、単に建物を造るということではありません。子どもたちを見守る大人たちのまなざしをつくっていくということにほかなりません。建物ができるまでにもやらなければならないことは多く、時間と財源は少ないということを嘆いてばかりはいられません。どうか、チーム大田一丸となって取り組んでいただきますようお願いを申し上げます。  以上で質問を終わります。 ○湯本 委員長 次に、公明の質疑に入ります。  末安委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承願います。 ◆末安 委員 続いては、公明党の末安広明です。よろしくお願いいたします。  中学生の放課後学習支援事業について、本日は伺いたいと思います。  家庭の経済状況が子どもの教育環境に影響するという教育格差の問題は、全国的にも大きな課題となっており、本区においても同様の状況があると認識をしております。  それを示す一つの事例として、今年度初めて実施されました高等学校給付型奨学金事業は、高校等に進学をする住民税非課税世帯の生徒で、平均成績3.0以上を要件に1人8万円が給付されるものでありました。  募集の結果、89名の申込みがあり、70名が最終的に受給対象者に決定したと伺いました。しかし、補正予算計上の際に見込んでいた募集定員の460名から見ますと、390名が受けられなかったこととなり、その主な要因が平均成績3.0以上という条件をクリアできなかったためと聞いております。  このことを踏まえ、私のほうで作成しました一つの想定資料をサイドブックスにアップさせていただきました。  先ほど申し上げました数字とともに、本区の公立中学校の3年生の数は、昨年5月時点で3,500名となっております。また、本区において平均成績を示すデータとして開示されている資料はなかったため、東京都が作成をしました昨年12月末時点での成績に関する資料を基に、平均成績3に満たない生徒の割合を見ますと14.6%となっておりました。これを本区に置き換えてみますと、その数は約511名となります。  先ほど、奨学金を受けることができなかった生徒数390名という数を、もしそのまま当てはめてみますと76.3%という数字が出てきます。これはあくまで推計になりますが、多少の誤差を考慮したといたしましても、7割を超えるという数字は、極めて深刻な数値であると思います。  本日、何よりもこのリアルな実態をここにいる皆様と、漠然とではなく、しっかりと共有をさせていただきたかったというのが、私の一つの思いであります。そして、福祉部はもとより、教育委員会も含め全庁であらゆる手を尽して、この課題の改善に向けて当たらなければいけないということを強く訴えたいと思いました。  その上で、こうした課題に対し、本区で大きな役割を担っているのが、学習支援事業であります。区内4か所で実施され、中学生の学力定着や高校進学の支援を行うとともに、社会性向上を目的とした各種イベントなどが実施をされております。  今回、この事業について、運営事業者の代表の方にお話を伺ってまいりました。現在は160人の定員枠に対し、151名が通っており、生徒の中には経済的な問題に加え、発達障がいの疑いのあるお子さんや、不登校経験者、外国人の方など、学ぶための前提に何らかのハンデを抱えている、こうした方が多くいらっしゃるというお話しでした。  そうした中、まずは子どもとの信頼関係を築き、本人の自主性を重んじながら希望するサポートを行っていくといった寄り添い型の支援に努めているとのお話でありました。  コロナ禍においては、臨時休校によって多くの課題に自立自習で取り組む必要性があった中、教えてもらわなければ全く手が進まない、そうした生徒が多かったことも事実であり、より格差が広がってしまわないかとの懸念もあるとのお話も伺いました。  また、オンライン授業に取り組まざるを得なかった際、企業からの寄付などを募り、数十台の中古端末を緊急で確保したとのお話しには、民間の対応力の早さに驚かされました。  はじめに伺います。改めてこの事業の評価を区としてどのように捉えているのか、お尋ねいたします。 ◎高橋 自立支援促進担当課長 子どもの学習支援事業は、基礎学力の定着と高校進学を支援することを目的として行っております。  教室のスタッフ全員が、一人ひとりの理解度に合わせた個別指導を行うことで、子どもたちは学習意欲が向上し、出席率も高くなっているところでございます。  また、そのほかにも、保護者面談を実施することで、保護者も含め進学に向けた機運を高めることができて、過去4年間、本事業を利用した子どもたち全員が高校に合格することができました。  今年度は、会場での学習支援が困難となりましたが、オンラインによる学習支援を実施することができました。その中で、オンライン授業は不登校な子どもも参加しやすいということが分かってまいりました。  令和3年度は、新たにオンライン授業クラスを開設する予算案を計上させていただいております。  そして、学習支援事業のアルバイトスタッフの中には、本事業の卒業者も含まれており、卒業者自らの経験を伝えることで、子どもたちのモチベーションアップにつながる効果も出ております。 ◆末安 委員 事業者の方から伺ったお話の中で、私が特に衝撃を受けましたことは、全体の中の流れで教えたとしても、そこについていける生徒は半分にも満たず、今まで塾に通った経験もなく、自分で質問するという経験すらしたことがない、こうしたお子さんが数多くいらっしゃるということでした。中学3年生の段階でもこうした実情にあるのかと、課題の大きさを痛感させられた思いでありました。  それとともに、限られた人間関係や生活環境によって、可能性が育ちにくい側面がある中で、家族でも学校でもない寄り添い型の場の重要性や、そもそもの勉強の仕方からもアドバイスしてくれる側面、さらには様々な社会的な支援の仕組みにつなげていくといった相談機能などは、何よりも大切な部分であり、中学3年生になって初めてそうした機能につながるというのでは、とても遅いように感じました。  そこで伺いますが、学習支援事業の強みの一つとして、学校や家族ではない場の寄り添い型の居場所や相談の機能があると考えます。こうした機能をどのように評価しているでしょうか。また、こうした機能は、ぜひとも中学3年生よりも早い段階で触れられる体制が工夫してつくれないものかと考えますが、いかがでしょうか。 ◎高橋 自立支援促進担当課長 区では、中学生の学習支援に参加している子どもたちに、毎週日曜日、居場所事業を実施しております。そこでは、不定期ですが、料理教室やスポーツ大会などの体験型イベントなどを実施しております。そのほかにも、学習方法の相談や進路の相談を行っております。  居場所事業は、安心して過ごせる場所であるとともに、他の子どもたちやスタッフたちとの交流を通じ、社会性の向上に役立つ重要な場であると考えております。  高校進学に関する様々な情報等が、中学生の早い時期から本人に伝わるということは、本人に進路選択の幅を広げるとともに、学習意欲の向上にもつながっていくと考えられます。  今後は、中学3年生以外の学年の子どもに対して、これまで学習支援や居場所事業で培ってきた手法をどのように広げてゆくことができるか検討を行ってまいります。 ◆末安 委員 オンラインなども活用し、ぜひとも早い段階から関わりを持てる仕組みをご検討くださるよう要望しておきます。  今後、より対策を強化していく上でも、貧困による教育格差の問題は、決して中学校段階だけが大事なのではなく、小学校からの成績などがどのように影響しているのか、また、中学校卒業後にどのような進路を歩んでいかれたのか、そうしたプロセスにも区として目を配ることで、より効果的な対策につながるヒントを導き出せるかもしれません。  そこで伺いますが、学習支援事業の生徒を対象に、より長いスパンでその影響や効果などを検証していくことも重要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。 ◎高橋 自立支援促進担当課長 区では、学習支援事業を終了した子どもたちが、高校等を卒業することができるよう、高校生の中退防止支援事業を実施しております。また、様々な理由から学校を辞めてしまった子には、学び直し支援事業も行っております。現在、教室では、高校などを卒業した後も、相談に来てもらえるような体制を取っております。  なお、中学生の学習支援事業は、平成28年度から開始しておりますが、今年の3月に高校卒業を迎えた子どもたちに対してアンケートを実施し、卒業後の進路や生活状況等を集計いたしました。  今後は、そのデータの検証を行い、利用方法も含めて学習支援事業に参加した子どもたちへの効果的な助言、支援方法を検討してまいります。 ◆末安 委員 また、もう一つ着目したい点は、学習支援事業に通うお子さんたちは、学習面での課題とともに食事面での課題などを抱えているケースも想定されます。  本区としても、近年、子ども食堂の取り組みが盛んとなっており、コロナ禍においてより一層その役割の重要性が高まっていると言えます。  そうした子ども食堂を支援する体制も徐々に充実してきており、来年度予算においては、従前からの子ども食堂推進事業に加え、新たに子ども生活応援基金を活用し、友好都市のお米などの食糧を子ども食堂に配布できる仕組みが盛り込まれました。  また、我が党として、中でも椿議員もその要となって推進し、新たに国において子育て家庭に食材を配布する団体に対し、政府備蓄米を1団体当たり年間300キロを上限に供給できる体制が整いました。かつ、これまで調理をしなければ提供できないとされていた要件も緩和され、より手厚い食糧支援の体制が整ってきたと言えます。  そこで伺いますが、子ども食堂などの支援体制がより充実し、フードパントリーなども盛んに行われるようになってきた中、学習支援の拠点を活用した食糧支援をぜひとも進めていくべきと考えますが、区の見解を伺います。 ◎伊藤 子ども生活応援担当課長 今年度は、コロナ禍にあって、学習支援団体の中にはお子さんへ食糧支援を実施したところもございました。  地域における学習支援の拠点は、貧困の連鎖を断ち切る点から重要であるだけでなく、子どもが安心して過ごせる貴重な居場所の一つであり、そこで食糧支援を行うことは子どもの生活応援の面から効果的であると考えます。  来年度は、大田区子ども生活応援基金を活用し、友好都市の特産品などの食糧を子育て家庭を支援する活動団体を通じて提供する事業を計画しております。  また、農林水産省の政府備蓄米の無償交付事業は、子ども食堂などに加え、子育て家庭へ食材提供をする活動団体にも交付されることとなりました。交付を受けるには要件がございますが、要件を満たす学習支援団体が申請の煩雑さを理由にちゅうちょすることなく活用していただけるよう支援してまいります。 ◆末安 委員 本日は、学習支援事業について取り上げました。貧困による教育格差の問題は、本当に根の深い課題となりますが、ぜひともその改善に向けて、全庁が連携し対策に当たっていただきたいと要望し、質問を終わります。 ○湯本 委員長 次に、共産、質疑願います。 ◆黒沼 委員 シルバーピアについて伺います。  シルバーピアの申込みと入居者の推移は以下のようです。  申込みが5年前の2016年542名、2019年441名、2020年は506名、入居が2016年はたったの38名、2019年27名、2020年途中のようですが10名と、15倍から20倍の申込み状況です。  お聞きします。申込みの多い理由について伺います。 ◎澤 福祉部副参事〔高齢者住宅担当〕 シルバーピアの申込みにあたりましては、住宅状況申込書を記載いただいております。申込みをされた方の申請理由からは、立ち退きについて要求を受けている、日照・騒音などの住環境問題、老朽化などの住宅の危険度などの事業を抱えていることが確認されます。  こうした方々のニーズが、シルバーピアの申請状況に反映されているものと考えております。 ◆黒沼 委員 シルバーピアは、サービス付き高齢者向け住宅として、家賃は公営住宅並み、緊急通報装置つき、バリアフリー設計、生活協力員配置など、見守り機能つきです。サービス付き高齢者向け住宅の建設を国も進めています。高齢者住まい法に基づいて進めています。  大田区でも大いに進めなければならない制度です。ところが、大田区はシルバーピアの増設をやめています。区の住宅政策は、人権として保障する姿勢から、ますます遠ざかっています。  現状はどうでしょうか。高齢者で、現在、居住している住宅で困っている人は4割を超えます。おおた高齢者施策推進プランを見ると、65歳以上の高齢者16万7,600人余になっています。うち高齢者の住まいの現状は、借家が約35%となっています。しかも民間賃貸住宅においては高齢者の入居に拒否感のある賃貸人の割合は59.2%です。現在の20棟402戸であまりに少な過ぎます。これらの高齢者に対して、大田区は区内には民間住宅の空き部屋が有り余っているので高齢者の皆さんもそれを活用してくださいという方針です。  しかし、高齢者の住み替えに支出できる月額費用は、家賃、食事合わせて10万円以下が5割強となっています。シルバーピアは、公営住宅法に基づくものですが、都営、区営住宅の家賃算出基準と同じですから、月額の現状は10万円の皆さんに対して、実態は適切かと考えます。  そこでお聞きします。区内アパートを借りようと思えば、7万円から8万円は必要です。10万円から7万円、8万円を引きますと、2万円から3万円しか残りません。1日500円から1,000円ぐらいにしか使えず、これでは水道光熱費も払えないのではないでしょうか。多くの高齢者の暮らしは、逼迫し、下流老人、老後破産などの言葉がメディアをにぎわす異常事態となっています。民間住宅家賃は高齢者が借りられる低家賃ではありません。それでも民間住宅に住みなさいという立場でしょうか。お答えください。 ◎澤 福祉部副参事〔高齢者住宅担当〕 高齢者の住まい等の状況でございますが、平成30年の国の住宅・土地統計調査によりますと、全国の高齢者の住まいの現状は、65歳以上の世帯では、持家は約82%、借家は約18%となっています。  また、区内には、賃貸用の空き家が約3万8,000戸あると推定されております。  区は、高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく、市町村高齢者居住安定確保計画を包含するおおた高齢者施策推進プランを策定しております。  住まいの確保については、住み替えが必要な方へは、例えば不動産店への同行や物件情報の収集など、入居契約につながる支援を行っております。一方、様々な理由で民間賃貸住宅等への転居等が困難な方に対しては、セーフティーネットとして公的な住宅であるシルバーピアを設置しております。  区は、民間賃貸住宅への入居支援と併せて現在あるシルバーピア等の公的な住宅を活用し、公民両面から高齢者の住宅確保支援を進めております。 ◆黒沼 委員 今の答弁ですが、全国の高齢者の持家等を出しても駄目です、都会の事情はまるで違うのですから。全国なんか平均しても、何の参考にもなりません。もっと真面目に答弁を用意していただきたいと思います。  ここからは、今の答弁からはシルバーピアを今後増設せず、民間を使ってほしいという区の方針には無理があります。区は、国の高齢者住まい法と区の推進プランに基づいて、シルバーピア増設をすべきです。  しかも、高齢者推進プランの高齢者人口の推移は、単身者で4万1,901名から6万3,111名と、今後増加する見通しです。だからこそ、これまで区は高齢者基本方針として、入居が円滑に行われるような仕組みづくりが求められるとしてきたのではないでしょうか。この立場を堅持してほしいと思います。  お聞きします。誰にもみとられず亡くなるという痛ましい孤独死は、民間団体の推計で年間全国で2万人を超えるとされています。見守り制度のあるシルバーピアは適切な制度です。おおた高齢者施策推進プランに基づき、シルバーピア増設に踏み切るべきです。お答えください。 ◎澤 福祉部副参事〔高齢者住宅担当〕 おおた高齢者施策推進プランでは、新たな住まいを希望する高齢者への住宅確保支援として、民間賃貸住宅等への円滑な入居を支援する取り組みを進めております。  現在、区内には賃貸用の空き家が約3万8,000戸あると推定されています。また、サービス付き高齢者住宅など、様々な形態の住まいの場も増えてきております。  区は、このような状況を踏まえ、民間賃貸住宅への高齢者の円滑な入居を支援しており、現時点においては新たなシルバーピアの増設計画はありません。 ◆黒沼 委員 全くひどい答弁です。  改めておおた高齢者施策推進プランを見てみますと、こう書かれていました。民間法人によるサービス付きの大田区の見解では、次のようになっておりました。  利用料金が20万円から25万円程度のものが多くなっており、こうした費用を賄えるのは約10%、これ、大田区の施策に書いてあるのです、10%。低所得の高齢者の住み替えの選択肢に入りません。自ら書いてあるでのではないですか。選択肢に入りません。ですから、当初述べた10倍、15倍の申込みがあるとされる内容を正面から受け止めるべきだと思います。  もし、今の民間住宅の推進をしているというのであれば、家賃助成補助がなければ答弁にならないのです。それを言えますか。 ◎澤 福祉部副参事〔高齢者住宅担当〕 今、住まいについてでございますが、住まいは高齢者が地域で暮らす上での基盤であることから、区は各種の施策を展開しております。  その中で、高齢者が民間賃貸住宅を利用する際に、家賃の支払い等に滞りが起きるのではないかと不安に思う家主から契約を断わられるといったことが課題として上げられております。区は、こうした課題に対応するため、家賃債務保証会社等の紹介や加入料の助成を行っております。また、自宅内での体調不良などが起こった際に連絡を取れる方が確保できない高齢者に対しては、緊急連絡先代行サービス等の紹介や利用料助成も行っております。 ◎澤 福祉部副参事〔高齢者住宅担当〕 区は、引き続き、不動産関係や福祉関係の団体等で構成する大田区居住支援協議会等で、高齢者の住まいの確保に必要な支援を検討するとともに、関係機関によるネットワークづくりを進めております。 ◆黒沼 委員 決定的な間違いだと思います。住まいは人権なのです。ただ、人間らしさを失って住んでいればいい、生きていればいいというものではないのです。そのためには、家賃の助成がない限り、その債務保証というのは情けなくなりますよ。債務保証がなぜ生じるかというと、高過ぎて遅延とか滞納があるからではないですか。知っているわけですよ、区は。だったら、この家賃助成補助をしなければ、ただやっておりますという答弁にはなりません。でなければ、この10万円ほどしか出せない今の大田区の高齢者の実態を調べたわけですから、これにふさわしい制度としては、シルバーピアは一番なのです。そのシルバーピアを断つということは、区民に責任を持たないということになります。責任を持ってください。もう一度お願いします。 ◎澤 福祉部副参事〔高齢者住宅担当〕 区が目指す高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりを進めるというのは、進める上で基盤である住宅を確保することは区の責務と認識しております。  そのために、今現在、各種施策を展開してございます。 ◆黒沼 委員 今、住宅を確保するとおっしゃいました。この確保する制度の中にシルバーピアを大田区はやってきたわけですから、しかも住民の実態を知っているわけですから、人権だと分かっているわけですから、ぜひこの大田区民が人間らしく住む、着る、食べる、この衣食住がきちんとできるための最大限の生活は守ってください。  もう一つ言います。これまでシルバーピアをやってきた中に、区民が障害になっていないのです。区民はうんと協力してきたのです。どういう協力かというと、区民がシルバーピアを区の推奨に基づき協力したいと思うときは、ほとんど相続のときに発生するそうです。相続で発生して、しかし区は常時募集していないわけなのです。そうするとどうなるかというと、その協力をしようと思った方は、相続を早く済ませなくてはならないために、不動産屋に頼んで売るしかないのです。この制度、区民の協力もある、しかしその制度さえ大田区がその気になれば進む、そして区民も喜ばれる、安心できる、その立場に立って、この制度そのものを再検討してほしいのですけれども、いかがでしょうか。 ◎澤 福祉部副参事〔高齢者住宅担当〕 シルバーピアについてでございますが、区が建物を整備するものと、家主から借り上げて整備するものとに分かれております。
     現在、借上げ型のシルバーピアは、区内に12棟ございます。こうした施設は、20年間の借上げ契約を結び、運営をしております。借上げ期間が満了に近くなってきた場合は、引き続きシルバーピアとして活用できる契約の更新に向けた交渉を家主と丁寧に行うなどの対応をしております。  現在、シルバーピアに関する物件提供の申出は受け付けておりません。  区としては、現行のシルバーピアを有効に活用し、必要な方が円滑に入居ができるよう取り組んでまいります。 ◆黒沼 委員 その立場を変えてほしいとお願いしているのです。  20年間借りられるということは、本当に安心して家賃もきちんと入るし、いいことしているなと、この温かさも出てきて、区への協力する住民が生まれてきているわけです。こんないいことないではないですか。それを冷たく打ち切るというのは、やはり新自由主義、しかも経営という言葉を使っているからだと思うのです。本当の地方自治法の地方自治体の仕事をしようと思ったら、住民の福祉なのです。行政運営なのです。経営ではありません。全体の奉仕者なのです。収益追求ではないのです。無駄なことはやらないというのと同じではないですか。必要なことをやるのが自治体なのです。  もう一度読み上げて終わりますが、こういう民間の施設は、区民は借りることができない、このことを書いてあります。これに対するシルバーピアは必要だということも書いてあります。しかし、やっていることと、言うことがまるで違います。書いてあるとおりやってください。  このことを要望して、終わります。 ◆菅谷 委員 座ったまま失礼いたします。日本共産党大田区議団の菅谷郁恵です。  待機児童について、お伺いいたします。  令和3年度大田区予算(案)概要では、これまで保育所の環境整備を行い、令和2年4月時点で35名となる、令和3年4月は待機児童数のさらなる減少が見込まれますと書いてあります。  そこで、先日のこども文教委員会報告では、保留児童数1,091人、前年度よりマイナス222人、1次選考募集の利用調整、希望する園に入れなかったという人数ですね、前年度10園分増やしながら、保留数がまた1,000人を超える、この理由をお答えください。 ◎津本 保育サービス課長 令和3年4月の入所申請数は4,865名でした。入所を希望する児童の受入れ可能数は、新規開設した保育所の定員数と児童数を既存保育所の定員から差し引いた人数の合計の約3,700人です。その差がおおむね1,100名程度となり、昨年と比べて1,313名の保留数は減少させることができております。 ◆菅谷 委員 その差し引きでという数でしたけれども、その1,091人の年齢別、地域別、これを教えてください。 ◎津本 保育サービス課長 現在、令和3年4月入所を申請された方の2次募集の利用調整を終えたところです。1次募集、2次募集を合わせた内定状況などの詳細の分析につきましては、現在調査をしているところでございます。 ◆菅谷 委員 また分かり次第、聞きたいと思いますけれども、予算書で大田区次世代育成支援緊急対策整備事業ということで、私立保育園の開設準備として今年は4億3,000万円余り、それから前年度の予算は700名分を拡充するとして23億円でした。  大田区の区民の約束は、待機児童を0にするという目標を立てていましたけれども、いつの間にか、その0という言葉もどこかに行ったりしていて、その中で区民の約束、この1次、2次、今やっているところだと言いますけれども、今年度、待機児0にすることができるのか、見通しについてお答えください。 ◎若林 こども家庭部副参事〔保育基盤整備担当〕 区は、これまで多様な保育サービスを提供して、待機児童解消に取り組んでまいりました。令和3年度入所申込みにおける1次及び2次募集の利用調整の結果、保留となった方に対しては、東京都認証保育所などの認可外保育施設の空き情報や、ベビーシッター利用支援事業、認可外保育施設等を利用した場合の保護者負担軽減補助金等について、郵送や窓口で丁寧にご案内をしております。  なお、令和3年4月の待機児童数については、ご利用可能な保育サービスについて、きめ細やかな情報提供を行った後に、国が定める調査要領に基づいて確定してまいります。 ◆菅谷 委員 いろいろな利用調整、昨日もお話があって、育休の延長313名しているとか、そういったことが他議員の質問にありました。だけれども、やはりその待機児童の数え方が、どうしても自分が望まないというか、とにかく仕事をするためにはベビーシッター事業とか、そういったものを利用せざるを得ないという、そういう苦しい状況なので、やはり本当にどういうところを望んでいるのかというところをきちっと把握して認可保育園をつくるというこの責任を、ぜひ自治体としてさらにもっと考えてもらいたいと、そのことを求めておきます。  そういった状況の中で、今度、コロナの問題が、今、出たわけです。待機児童をなぜ聞いたかというと、この20年余り待機児童を解消しようと、小泉さんのときから、そういう待機児童解消にずっと邁進してきたのです。その中で、例えば大田区でも面積を測り直して、子どもを詰め込むと、それから小規模保育所、0から2歳の子どもの行き場所が一番多いということで、小規模保育所と園庭がなかったり、本当に通風が悪かったりとか、そういう保育園がつくられてきたわけなのです。  だけれども、今度の三密を避ける、密封とか密接とか、そういうところで新しい生活様式、これが求められています。その三密を避けるためにも、やはり最低基準、国のこの姿勢が必要ですけど、やはり自治体、何といっても国が変わるのには2年、3年と時間がかかります。そういう中で最低基準をどうしていくのか、このことについて、やはり自治体の責務が問われているのだと思います。  突然の学校の休校要請と緊急事態宣言で、どうすれば感染防止と保育が必要な子どもたちを受け入れることができるかと、保育関係者の皆さんは、卒園式、今も卒園式が行われています。それから入園式、それから、ならし保育、またプールの指導とか、食事の取り方、お昼寝の仕方など、本当に一つ一つ職場で話し合いながら苦労してきていると思うのです。  そこで質問します。この新型コロナウイルス感染症は避けることができません。保育所では、感染症が出た場合、休園や、職員が感染した場合は休まざるを得ないと、そういうときに職員の欠員が出ます。大田区として、やはりそういった今の三密を避ける、それから体制をしっかりするというところで、正規職員の増員措置をすべきと考えますが、お答えください。 ◎津本 保育サービス課長 認可保育所の職員配置につきましては、私立認可保育所も含め、国の配置基準より多く配置することを求め、区独自に補助金を交付しております。  新型コロナウイルスへの感染に限らず、職員の長期休暇等も想定し、対応できると考えております。  これまで、各職場の創意工夫により、柔軟に対応していただいていることに大変感謝しておりますが、現時点で正規職員を増員する考えはございません。 ◆菅谷 委員 今お答えいただいた課長などは行政のプロと、ただ保育現場で子どもたちを見ている人たちは保育のプロ、そこのところでやはり本当に先生が休んだときに、保育士が休んだときに、では誰がカバーするのか、パートなのか、それともほかのクラス、何とかやりくりしてとか、いろいろなことでやっているのですけれども、やはりそのところでは、やはり大田区独自がもう少し状況を把握してもらって、本当に行政のプロとしての役割を果たしてもらいたいということを要望します。  次に質問です。コロナ感染症が出たので休園にする、それも日曜日の夜に突然回ってきて、仕事を休めない保護者は預け先を探すのに大変苦労したという声も出されました。また、前定例会でベビーシッターの確保などを我が党もこの質問をしたところですけれども、保育所を臨時休園しなければならないとき、どうしても保育が必要な家庭のために代替保育ができる体制を準備をすべきと考えます。特に、これも自治体の責務です。保育の必要性に応えられるように、適切な場所と人員配置を用意すべきだと考えます。職員の欠員が生じる場合、先ほどと繰り返すようになりますけれども、自治体の責務として保育士を派遣できるような体制、準備をすべきだと考えますが、お答えください。 ◎津本 保育サービス課長 保育士、児童等の新型コロナウイルス感染に伴い休園となった場合において、当該保育園児童を代替保育することは、感染拡大防止の観点から困難であると考えております。  休園となった場合、保護者の方には原則として自宅での保育をお願いしておりますが、仕事を休むことが難しく、お子さんが濃厚接触者でない場合は、ベビーシッター利用支援事業を速やかにご利用できるよう案内書類を迅速に送付して、保育を必要とする保護者を支援しております。 ◆菅谷 委員 前回の定例議会でベビーシッターのお話も出されて、ただ東京都とその個人との関わりなので、なかなかうまくいかなかったりとか、それからやはり私も保育士の皆さんの保育を見ていて、やはり個人で個人を見る、それは緊急的にしようがないかもしれないのですけれども、やはり集団の中で子どもたちの保育をするということが本当に必要なのではないかと、一対一というところで、私なんかは、本当に密接の中で大丈夫なのかといろいろなことを考えるのですけれども、やはりそのことについても、引き続き行政の役割として、問題点として意識して捉えていただきたいと思います。  次に移ります。それから、代表質問で保育園では陽性者が出ても、子どもは重症化しないと、濃厚接触者とせず、職員にも症状がなければ検査をしない、大田区の対応を見直し、保育園、学童、全ての職員のPCR検査を定期的に公費で行うことを求めました。そうしたら、年末年始からの患者数急増のため、暫定的に濃厚接触者以外の検査は実施しておりませんでしたが、今後は感染症者数の状況により対応方針を変更する考えですと、お答えになっております。  どのように対応方針を変更するのか、お答えください。 ◎高橋 感染症対策課長 3月1日より、保育園においてはクラスで陽性者が出た場合は、接触の状況に応じて幅広く検査を実施しております。 ◆菅谷 委員 幅広くというと、どういう範囲ですか。 ◎高橋 感染症対策課長 同じクラスで患者が発生した場合は、園児、また先生については接触の状況を確認した上で対応しております。 ◆菅谷 委員 今、変異型のウイルスでしたか、それも発生してきて、子どもがかなり多いということで、重症化はしないけれども、やはり危険性がある、それで子どもが感染して重症化しないけれども、やはり人に広げていくというところでは、本当に保育士とか、そういったところの、今度もある保育園で8人とか、13人でしたか、保育士と、それから子どもと含めて、今広がっていますけれども、やはりクラスターを本当にきちっと防ぐためには、本当にそこの保育園全体のちゃんとPCR検査をすべきだと思います。  次に関わりますけれども、感染拡大の予防には、保育関係者のPCR検査を自己負担なく実施できるようにすべきです。早期発見と保護、治療が必要です。保育所に看護師がいないところがあります。感染症対策等について、気軽に確実に相談できる体制も重要です。お答えください。 ◎高橋 感染症対策課長 保育園での感染対策は重要と考えており、感染症発生時は電話や訪問しての指導、平時は講演会の実施や新設保育園の訪問等を行ってまいりました。  今後も電話での相談、必要に応じて訪問するなど、適切な感染対策が行われるよう対応してまいります。 ◆菅谷 委員 ぜひ、適切な対応で、よく寄り添うという言葉を理事者の皆さんはおっしゃいますけれども、本当にその親身になって、保健師も少ないし、きちっとそこのところも確保しながら、やはりこの感染症対策に臨んでもらいたいと思っております。  最後にですけれども、先ほどから言ったように、保育士も自分自身が感染源にならないようにということで、いつも緊張状況です。緊急事態の宣言解除後もプールや遠足、また運動会、何としても子どもたちにこれまでの体験を本当に奪わないで、どう実施しているかということで頑張っています。小学校でも35人学級、こういったものが行われておりますけれども、保育士への慰労金支給を大田区に求めます。お答えください。 ◎津本 保育サービス課長 国は、重症化のリスクの高い利用者のと接触がある介護職員、障がい福祉職員への慰労金を盛り込みましたが、子ども分野は重症化リスクも低く、クラスターも少ないことから、学童保育や保育園等の職員は対象外としております。  区としては、引き続きマスク等の衛生資材の配布など、物的支援を行ってまいります。 ◆菅谷 委員 国は、2回にわたってこの保育に対しても50万円としましたけれども、これは個人ではないのです。いろいろなマスクとか、そういうのをそろえたりとかとなっているので、やはり先ほどから言ったように、行政マンにならないで、各福祉職場、保育園に、やはりその実情にあってよく頑張ってくれていると、やはりそういった立場でやってほしいのと、それから最後に、小学校でも35人学級が始まります。4歳児、5歳児、もう、これ、それぞれ30人に1人という保育士の配置なのですけれども、本当に、もうこの三密と、それから新しい生活というところから、最低基準を各自治体で、大変でしょうけれども、見直しをしてもらいたいし、その予算をぜひ獲得してほしいということを申し述べて終わりにします。 ○湯本 委員長 以上で、第3款福祉費の審査を終結いたします。  次に、第4款衛生費の審査を行います。  理事者の説明を求めます。 ◎田村 財政課長 それでは、事項別明細書172ページをご覧いただければと思います。  第4款衛生費でございます。本年度125億5,954万6,000円で、37億8,454万2,000円の増でございます。第1項保健衛生費は、款と同額でございます。  第1目保健衛生総務費、本年度25億7,155万9,000円で、1億1,060万1,000円の増でございます。主なものは、1番、職員人件費で4,077万3,000円の増、8番、地域医療連携の推進で4,627万円の増でございます。  174ページです。第2目感染症予防費、本年度60億6,630万1,000円で、39億246万1,000円の増でございます。主なものは、177ページ、10番、新型コロナウイルスワクチン予防接種で皆増でございます。  第3目生活習慣病予防費、本年度18億7,230万円で、1億2,294万円の減でございます。主なものは、2番、健康診査で1億619万4,000円の減でございます。  178ページです。第4目母子保健費、本年度9億6,792万5,000円で、5,766万1,000円の減でございます。主なものは、2番、母子健康診査の(1)妊婦健康診査で3,539万4,000円の減でございます。  180ページです。第5目公害健康被害補償費、本年度9億9,606万円で、4,436万7,000円の減でございます。  第6目環境衛生費、本年度3,486万9,000円で、58万円の増でございます。  182ページです。第7目食品衛生費、本年度2,470万円で、189万3,000円の減でございます。  第8目動物愛護費、本年度2,583万2,000円で、223万9,000円の減でございます。 ○湯本 委員長 それでは、自民、質疑願います。 ◆押見 委員 自民党の押見隆太でございます。マスクを外させていただきます。  東日本大震災から、昨日で節目の10年となりました。私たちは、当時自民党の有志で東松島市へボランティアに行かせていただきました。ここにいらっしゃる田中議員を筆頭に、松原秀典議員、岸田議員、大森議員、海老澤議員、長野議員、そして議会はもう辞めてしまいましたけれども、安藤議員と松原茂登樹議員と私の9名で作業着を着て、田中議員がハイエースを運転して、私たち詰め込まれながら、東松島市の被災地に行ってヘドロかきのお手伝いを、ボランティアをさせていただきました。  正直、想像していたよりも非常に大変でして、そのときヘドロをずた袋に入れていくのですけれども、大田区の町工場が開発した大田の輪が非常に便利に活用させていただいて、ボランティアをさせていただいた思い出がついこの間のように蘇ります。  そして、翌日は、当時大田区から、そこにいらっしゃる白鳥部長が派遣されていて、同行していただいて、現地をいろいろ見させていただきましたのですが、あの感じたことのない恐怖感は、本当に一生忘れることができません。また、私ども自民党の平代議士も大田区ボランティアセンターのバスに乗って、単身東松島市にボランティアに励んだりと聞いておりますし、大田区民も多くボランティアに参加いただき、そういった取り組みが東松島市との友好都市締結につながっています。  また、まだ復興途中でありますので、引き続き思いを共有してまいりたいと思います。  それでは、まず大田区PCRセンターの件について、お聞きをしたいと思います。  昨年、大田区PCRセンター1か所、夏頃ですか、設立されて、その後、大田区の三医師会、3か所大田区PCRセンターが設置されることとなりました。来年度も1,800万円の予算が計上されているわけですが、この3か所ある大田区PCRセンターの検査数なのですけれども、例えばこの1か月間を見てみますと、2月を見ますと2月8日から14日が3件、2月15日から2月21日が4件、2月22日から2月28日が0件、先週、3月1日から3月7日が1件、これは3か所のPCRセンターで1週間の数字、1か月合わせて合計で8件しか検査が行われていないような状況でございます。  これからも、この最近続いている1週間で0件とか、1件とかが続いている状況で、来年度1,800万円の予算が大田区PCRセンターに対して組まれておりますけれども、区として、もしこの予算が可決された場合、しっかり予算の消化ができるのか、お聞かせください。 ◎高橋 感染症対策課長 大田区PCRセンターは、診療所でPCR検査が実施できない場合に診療所から各医師会のPCRセンターに予約をし、検査を受けていただく流れとなっています。PCR検査が院内で実施できる診療所も増えてきているため、PCRセンターでの検査件数はそれほど多くありません。  しかしながら、かかりつけ医で診察を受け、検査ができる体制を維持することは重要と考えており、来年度は大田区PCRセンターとして継続して対応してまいります。 ◆押見 委員 今、答弁でもありましたとおり、各クリニックで検査体制というのが充実してきているので、なかなかこの0件、1件という検査件数でいいのかなと、やはり少しちょっと思うところもあるのですが、やはりPCR検査の拡充というのは叫ばれております。なかなか予算消化するのが厳しいと思う状況でしたら、例えばこの予算の1,800万円ある枠組みを利用して、今の大田区PCRセンターのほかに、例えば今話題になった新橋駅前のPCRセンター、私も行ってきて検査させていただいたのですけれども、こういったような民間の検査センターを誘致したり、そういった新たな発想が必要だと思います。ぜひ、いろいろ研究をしていただくよう要望をさせていただきます。  続いて、双子ちゃん家庭支援についてお聞きします。  昨日も長野委員が総論から各論まで述べていただいておりますので、かぶる部分もあるかと思いますが、私も昨年双子ちゃん、三つ子ちゃんの多胎児育児支援について質問をさせていただき、もう少し支援の拡充をと訴えさせていただきました。  政府では、多胎妊娠の妊婦健康診査支援事業の拡充を、来年度から始める方向です。分かりやすくいうと、妊婦健診を多胎児を妊娠しているお母さんには回数を増やすという方向であります。こういったことを含め、世間の関心も増していることであります。  多胎児支援について、その後の進捗などありましたらお聞かせください。 ◎荒浪 健康政策部副参事〔地域保健担当〕 区では、次年度から妊婦面接の際にお渡ししている子育て応援グッズをこども商品券に変更し、多胎児を妊娠している方については、胎児の人数分贈呈する予定です。  また、地域健康課で多胎児家庭と多胎児を妊娠中の方を対象として実施している育児学級において、子ども家庭支援センターの職員が参加し、具体的な支援につながりやすいよう、産後家事・育児援助事業ぴよぴよサポートやファミリーサポート事業などのサービスを紹介し、支援の充実を図ってまいります。  妊婦健康診査の費用については、現在、妊婦1人当たり14回の助成を行っており、都内の契約医療機関のいずれにおいても受診票が使用できる都内区市町村同一の仕組みとなっております。  多胎妊婦は、単胎妊娠の場合よりも回数を多く妊婦健康診査を受診することが推奨されており、受診に伴う経済的負担も増すものと理解しております。多胎妊婦への妊婦健康診査に係る費用の追加助成については、これから特別区において検討が始まる見込みでございます。  大田区におきましても、都内での実施が決まり次第速やかに事業を開始できるよう準備を整えてまいります。 ◆押見 委員 非常に前向きなご答弁ありがとうございます。  しっかり行政のほうでも動いていただいているというのが伝わってまいりますので、特にこの妊婦健診の回数の増というのは、非常に肝となりますので、スピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。  続いて、セブン−イレブンに設置したAEDのお話をさせていただきたいと思います。  これ、昨年の3月ぐらいですか、セブン−イレブンに、大田区のほとんどのセブン−イレブンに官民連携の事業の一環としてAEDを、設置を区がしてくれました。私もずっと要望させていただいて、いろいろ前健康政策部長とは、けんけんがくがくいろいろ議論をさせていただいたりして、ご面倒をいろいろおかけしましたけれども、無事にこのようにAEDを設置されたのですけれども、なかなか、これはやはり認知度が上がっていないのが実情でございます。  去年の4月、5月、6月ぐらいかな、大田区の掲示板にこのセブン−イレブンにAEDがあるよというポスターが出たりしましたし、町会掲示板もちょっと去年はいろいろイベントが少なかったのでスペースが空いてしまったので、そういったところにこのセブン−イレブンのAEDがあるということのポスターを貼っていただいたのですが、なかなか、これはやはり直接セブン−イレブンを地域の人が利用している中で、そこでのプロモーションというのが非常に重要になってくると思われます。  やはりしっかり大田区として取り組んでいただきたいと思いますけれども、このAEDのプロモーションをぜひよろしくお願いします。何か、お答えいただけたらと思います。 ◎佐々木 健康医療政策課長 セブン−イレブンに設置した分も含めて、24時間利用できAEDの広報につきましては、昨年4月に区設掲示板にチラシを掲示するとともに、区報でAEDの設置場所として区施設、交番などのほか、区内セブン−イレブンを並べてご案内をしております。また、区ホームページやツイッター、デジタルサイネージなども活用し、周知をしております。  令和3年度におきましては、区のホームページに全国のAED設置場所のデータベースである日本救急医療財団全国AEDマップへの外部リンクを貼り、区内のAEDの設置場所等の最新情報を提供できるよう、現在準備をしております。引き続き、AEDの広報の充実に向けて取り組んでまいります。 ◆押見 委員 ちょっと答弁前にしゃべり過ぎてしまって、やはりさっき言ったようにセブン−イレブンでのプロモーションというのが重要になると思いますので、もちろんウェブを活用したプロモーションも大切ですけれども、店舗でのプロモーションもしっかり考えていっていただきたいと思います。  次に、4月に予定されております健康政策部の組織改正なのですけれども、新型コロナウイルスワクチン接種も2月頃というか、1月ぐらいから日々状況が変わっていって、もう接種が早くなるよ、認可が早くなるよというのが、日々変わっている状況でございます。  政府でも、菅内閣のエースである河野太郎さんがワクチン接種担当大臣に早い段階で任命され、難関に次ぐ難関が想定され、プロジェクトXになるような壮大な戦いになると就任時おっしゃっておりましたが、現実はそれ以上に激しいようでございます。  私も、ワクチン接種の状況が日々変わっている中、4月組織改正、4月という日程に縛られることなく柔軟に組織改正を行ってほしいと意見をさせていただきました。  結果、健康政策部は政府などとは違い、今までの形のままでの組織となり、議会の場から見ていると、また先日の総括の答弁を聞いていても、やはり2月の時点で組織改正を行い、組織の専門性を強化して、区民の皆様が安心してコロナウイルスワクチン接種を受けられる形がよかったのかなと思います。  健康政策部として、どのように考えているのか、お聞かせください。 ◎木田 健康政策部長 昨年12月1日、健康政策部に新型コロナウイルスワクチン接種調整担当副参事ポストを新設し、部の専門性を生かしながら、ワクチン接種の準備を進めてまいりました。日々職員が懸命に区民に安全に安心して、早く接種していただくための方法を模索してきました。  方向転換を余儀なくされたり、苦労して調整したことが無駄になったり、この3か月間、大事な核となる情報が度々変更になる中で、走りながら考える状況でもありました。  その中で、集団接種の事業者を早期に押さえることができたこと、区民が簡単に予約できる区独自の予約システムの開発ができたこと、また集団接種、病院接種、施設内接種、まだ調整中ではありますが、個別接種や巡回接種など、区民一人ひとりの状況に合わせて接種いただけるよう体制を整えつつあります。  また、この接種体制は、様々な部と連携をして進めております。さらには、議員の皆様からも大所高所から区民目線での、私たち職員では気がつかない課題を教えていただくことも多々あり、大変感謝をしております。  4月からは、健康政策部に保健予防調整担当課長が配置され、担当職員も増員いたします。庁内一丸となって、さらには区議会の皆様にも助けていただきながら、この一大事業を進めてまいりたいと考えております。 ◆押見 委員 組織改正について、疑問に思うところがあったのですが、健康政策部としての意気込みはよく分かりました。  国でも、大混乱の中でのワクチン接種事業でありますので、これからも日々状況が変わって、日々方針を変えることになるかもしれません。私が言ったとおりの組織改正を行ったとしても、多分同じような状況になったと思います。
     そこで、やはりこうやっておけばよかったのにとか、言ったとおりではないかとか批判しても、何も始まりません。多分、区議会議員50人それぞれに思いがあるでしょうけれども、しっかりと前向きにサポートしていくことが、何より区民の利益になると思います。  引き続き、健康政策部は、日々状況が変化し、そして決断を求められ、大変なプレッシャーの中での業務になると思いますが、木田部長を先頭に引き続き笑顔で頑張っていただくことをお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。 ○湯本 委員長 会議が長時間にわたりましたので、しばらく休憩いたします。                午後2時50分休憩                午後3時15分再開 ○湯本 委員長 ただいまから、予算特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、第4款衛生費の質疑を続けます。  それでは、公明、質疑願います。 ◆勝亦 委員 大田区議会公明党の勝亦聡です。  事項別明細書177ページ、第4款衛生費、1項保健衛生費、1目保健衛生総務費に関連いたしまして、新型コロナウイルスワクチンについて、お聞きをいたします。  いよいよ我が国でも新型コロナウイルスワクチンの接種が始まりました。2月22日に、私は山本博司厚生労働副大臣と共に、医療従事者への先行接種が始まりました独立行政法人労働者健康安全機構東京労災病院を視察いたしました。  当病院では、接種対象者である医療従事者の方へ1日30名、7日間で合計210名の方を接種予定と伺いました。そして、この労災病院の杉山院長より、新型コロナウイルの陽性者の入院治療の現況について、説明をいただきました。このような先行接種が院内感染防止や職員の家族内感染の防止になることを期待します。  今後、大田区においても、高齢者の接種や、その後基礎疾患がある方への接種となっていくことが報道されております。3月1日発行のおおた区報では、接種券の発行や事前予約、個人を証明する証明書などを用意し、接種会場に出向くとなっておりました。  1月27日、厚生労働省と川崎市において、新型コロナウイルスワクチン接種会場の運営訓練が実施をされました。報道によると、接種の一連の流れを実演し、受診に来られた方が滞らないか確認、得られた教訓を厚生労働省が各自治体に提供し、実際の接種の円滑な進行を目指すとありました。  この提供された教訓から大田区において見えてきた課題についてお知らせ願います。 ◎上田 健康政策部副参事〔新型コロナウイルスワクチン接種調整担当〕 改めて今回川崎市が発行した「新型コロナウイルスワクチン接種会場運営訓練報告書」を拝見いたしました。  通常の予防接種事業は、協力医療機関で個別接種を実施していますが、今回のように行政が集団接種業務を担うことはほとんど経験がないことから、川崎市で実施したワクチン接種会場の開設、運営に関する訓練報告書は、大変参考になるものであります。  今回の川崎での開設運営訓練では、会場外での受付、会場内での受付、予診票の記入場所、予診室、接種待機場所、経過観察場所など、機能ごとに検証しております。報告書を通じて、どのように接種した人が流れていくのか、受付後、接種し健康観察場所にたどり着くまでの平均時間のほか、予診時の所要時間、感染防護対策などを具体的に示しており、参考になる資料でございました。  今回の訓練報告書から人のスムーズな流れが大きな課題である再認識いたしました。また、接種後に15分から30分ほど健康観察のため経過観察場所にて待機をしていただく必要があります。各会場で十分なスペースを確保できているか、いま一度検証が必要であると考えております。  区の集団接種会場では、集団予防接種業務に実績のある事業者に委託する予定であり、レイアウトも含め運営方法について、これまで協議をしているところでございます。  区は、委託事業者とも協力し、円滑な接種に向け希望する区民の方が安心して接種できるよう努めてまいります。 ◆勝亦 委員 新型コロナウイルスワクチンの国からの提供時期も気になるところですが、どのような会場で接種するのかが気になるところであります。  一時話題になりましたが、練馬区モデルは、かかりつけ医で接種することにより、問診が短時間で済み、行き慣れた診療所での接種は何よりも安心感につながると考えます。また、かかりつけ医を持たない方については、かかりつけ医の位置づけの促進にもつながります。  この練馬区モデルについての本区の所感をお知らせください。 ◎上田 健康政策部副参事〔新型コロナウイルスワクチン接種調整担当〕 練馬区モデルは、1月29日に「早くて近くて安心です」とのコンセプトを掲げ、区内約250か所の診療所による個別接種を中心に位置づけたワクチン接種モデルとして公表されました。  患者が通い慣れたかかりつけ医で接種できるということは、区民に寄り添った対応であると考えます。ただし、ファイザー社製ワクチンを1か所の拠点から50から70の診療所に分配、配送することは、正直リスクもあると考えておりました。  当初、国の説明では、ファイザー社のワクチンは温度管理が難しく、ディープフリーザーからの小分けは3か所までと厳格な管理が必要とされていました。その後、国は取扱い方法を緩和し、自治体の責任で3か所以上の小分けを認めました。  区は、身近なかかりつけ医で接種したいという区民の要望も多くあるため、ファイザー社のワクチンについてはディープフリーザーを設置した会場での集団接種、病院での接種を主軸にしながらも、一部診療所で接種できるように調整してまいります。 ◆勝亦 委員 先ほども申し上げましたが、接種会場が気になるところであります。現在、区で考えている会場設定について、お知らせ願います。 ◎上田 健康政策部副参事〔新型コロナウイルスワクチン接種調整担当〕 区では、現在、区施設を活用した集団接種と病院での集団接種のほか、ファイザー社ワクチンの温度管理やディープフリーザーからの小分けについて、国が取扱いを緩和したことを受け、一部の診療所で個別接種ができる体制の構築を目指し調整をしてまいります。  高齢者施設に入所されている方へ、接種体制を福祉部と調整しながら進めております。ワクチンの入荷量、入荷時期、接種の状況を見ながら、地域での巡回接種も検討しております。 ◆勝亦 委員 あらゆる角度で検討していただいて、区民の皆さんが安心してこのワクチンを接種できる、そういった体制の構築を願いいたします。  先日、区民の方より新型コロナウイルスワクチン接種についてのご相談をいただきました。その方は、ある種の難病を抱えており、人が集団で集まるところには行けないそうです。買い物などもマスクやゴーグルを着用し、短時間で行うと伺いました。そういった方の場合、集団接種は生命存続の危機にさらされてしまいます。  そのような方の場合、コールセンターなどで対応すると考えますが、具体的に集団接種になじまない方について、区では特例措置として考えていることをお知らせ願います。 ◎上田 健康政策部副参事〔新型コロナウイルスワクチン接種調整担当〕 集団接種会場へ行けない方は、難病を抱えている方のほか、在宅療養患者などがおられます。ファイザー社のワクチンの取扱いが緩和されていることから、区は診療所でのワクチン接種についても準備を進めております。  難病患者の方、在宅療養をされている方など、集団接種会場へ行けない方への接種につきましては、医師会と検討の上、調整し、希望する方へは確実に接種できるよう努めてまいります。 ◆勝亦 委員 よろしくお願いします。  新型コロナウイルスワクチン接種が、今後の感染拡大防止のポイントとなると考えております。SDGsの観点からも、ぜひ、1人も取り残さない大田区のワクチン接種体制を要望し、質問を終わります。 ○田村 副委員長 次に、共産の質疑にはいります。  福井委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承を願います。 ◆福井 委員 日本共産党の福井亮二です。コロナ対応について、伺いたいと思います。事項別明細書177ページ、感染症予防費の中に、新型コロナウイルスワクチン予防接種、35億5,158万円が計上されました。  昨日、塩野目議長名で松原区長に対して、ワクチン接種についての要望が出されました。迅速に、地域偏在が出ないように、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  しかし、ワクチン接種頼みではなく、引き続きの無症状感染者を見つけるPCRの社会的検査や医療機関への財政的支援を求めます。  日本共産党大田区議団が行った区民アンケート約5,000通の返信がありました。その中で、コロナ禍の中で生活の大変さが多く列記されていました。その中でコロナに感染された方のお手紙をいただきました。資料の用意をしましたので、PDFになっております。ぜひご覧になっていただきたいと思います。  中身を少しご紹介させていただきます。31日に発症し、その日の検査は陰性。症状は良くならず、4日に受診、PCR検査で陽性。5日に保健所から連絡があり、8日にホテル療養。体調が不調だが、37.5度以上ないために、10日にホテルを退室。その後、証明書発行についての意義、対応についての意見が書いてありました。  それで、4ページ目の最後に、詳しく伝えられたか分かりませんが、絶対に世の中は、この現状を公表して、ひどい現実を分かってほしいと思います。共産党の人々が、日本のために声を上げ、手を挙げてくださることを信じて、ということで、私が質問をいたします。  それでは、まず初めに、このAさんの例で伺いたいと思います。31日発症、4日PCR検査が陽性の場合、ホテル・自宅療養は、いつまで出すのでしょうか。お答えください。 ◎高橋 感染症対策課長 発症から10日経過し、かつ、症状消失して、3日間が必要となるため、例えば、1月31日に発症の場合、その後、症状が消失して、3日以上経過していれば、2月10日までが療養期間となります。  また、味覚障害などの一部の症状は、10日以上継続することもありますが、目安としては、発熱があるかどうかを確認しています。 ◆福井 委員 今の症状がある方で10日間ですよということで伺いました。  今度は、無症状の感染者についての自宅療養は、どれくらいの期間を指示しているのでしょうか。 ◎高橋 感染症対策課長 無症状で陽性と診断された、無症状病原体保有者は、検査をした日から10日間の療養期間となります。一部、陽性の診断後に発熱する事例もあり、個別に対応しています。 ◆福井 委員 今、答弁をいただいたように10日ということなのですね。  それで、症状がある・なしにも関わらず、やはり10日間が必要だということなのです。今回、このAさんというのは、ホテル療養をしていました。コロナ感染者では、自宅療養をされている方もいらっしゃると思います。  それで、お伺いをするのですが、現在、大田区内で新型コロナウイルス感染症の方で自宅療養をされている方は、どれぐらいいらっしゃるのでしょうか。 ◎高橋 感染症対策課長 3月10日時点で、27人となっています。保健所から毎日連絡をし、体調の確認をしています。症状が悪化したときは、入院先を探すなど、対応しています。 ◆福井 委員 27人ということでした。  それで、感染者の方は、外出しないでいくださいという指示が出ているので、Aさんの場合は、ホテルで療養をされていたので、食事が3食出ています。外出を禁止していますので、この食事の問題が、やはり大きな問題になるのではないかと思って調べてみましたら、東京都が、自宅療養者フォローアップセンターを開設しています。ここでは、健康観察や相談窓口、パルスオキシメーターの配付。  そして、自宅療養中に必要な食料品を配送していますよと書いてあるのですね。やはり食事が提供されないと、その感染者が買い物して外出してしまいますので、ここの食事の提供というのが、非常に大事になってくるかなと思っています。  区内で自宅療養をしている感染者に対して、都の自宅療養者フォローアップセンターの実績は、どのようになっていますか。 ◎高橋 感染症対策課長 3月10日時点で、8人の方がフォローアップセンターを使っています。フォローアップセンターでは、持病の有無などで対応できるか決まっていまして、条件に該当し、本人の了解が得られた場合に対応しております。  また、食料の配付については、フォローアップセンターとは関係なく、ご本人が自宅療養で希望された場合は、対応しております。 ◆福井 委員 今の答弁は、食事のほうは、対応されているということでした。  このAさんに関わって、やはり仕事を休んだから傷病手当の問題が大きくなってくると思うのです。Aさんの場合は、31日に発症して、4日で陽性判明、5日に保健所から連絡、8日にホテルに入って、10日で退出。それで、5日間の証明ですよということだったのですが、今、大田区が、自宅療養証明書を出していますが、これは、いつを基準にして発行するのかというのを教えてください。 ◎高橋 感染症対策課長 自宅療養については、ご本人の希望に応じて療養通知書を発行しています。一般的な診断書と同様に、医師の診断した日、新型コロナの場合は、保健所で陽性が確認をされた日から、療養終了となった日までについて、文書を出しております。 ◆福井 委員 それで、実際には、このAさんというのは、31日に発症をしているということで、医者にも31日に行って、しかし、5日間しか、この証明がとれないと。実態と合っていないのではないかという意見が、ここに載っていたわけですね。  やはり、生活をする場合には、休んで補償が入らないと、生活が本当に苦しくなってくると思うのです。やはり実態を見て把握していく。このことが、必要ではないかと考えています。  そして、このAさんの話によると、ホテルの退所ですね。これも改善が必要なのではないかと思っています。東京都における宿泊療養施設の運営についてでは、退所は、発症日から記載して10日が経過し、かつ、症状、軽快後、72時間経過した場合、退所します。退所の前日には、医師が問診し、退所を決定しますと書いてあるのですね。  しかし、実際にAさんは、まだ喉が痛い、味覚が分からないと。こういった症状が出ているのにもかかわらず、10日が過ぎたからということで、退室になっているといった実態がありますので、この対応については、私たち、日本共産党の東京都議団を通じて改善を求めていきたいと思っています。  今のAさんの場合の感染者についてお伺いをしましたが、濃厚接触者について伺いたいと思います。  まず、濃厚接触者は、必ずPCR検査をするのか。このことについて確認をお願いします。 ◎高橋 感染症対策課長 濃厚接触者のPCR検査については、本人の希望により行っています。  また、PCR検査で陰性であっても、その後に発症することもあり、14日間の自宅待機をお願いしております。 ◆福井 委員 国の基準では、原則やると書いてあるのですが、希望ということでよろしいのですか。もう1回、確認ですけれども。 ◎高橋 感染症対策課長 基本的には、ほとんどの方が実施されておりますが、中には、ご希望されないという方もいらっしゃいまして、まずは、14日間、自宅待機を求めるということをお願いしております。 ◆福井 委員 やはりしっかりと検査をする必要があるのではないかなと私は、思っています。本来、やるべき人がやっていなくて、検査数が減っているのではないか。そういった見方をする方もいらっしゃるのですね。  それで、今、課長が答弁されたように、濃厚接触者の場合は、陰性でも感染者から接触した日から14日間、自宅待機を要請されるわけですね。この14日間に対して、濃厚接触者への対処、何かフォローというのは、あるのでしょうか。 ◎高橋 感染症対策課長 濃厚接触者については、14日間の不要不急の外出を控えていただくこととお願いしていますが、患者ではないため、区から食料配送等のフォローはありません。 ◆福井 委員 感染者については、国保では、傷病手当金というのが支給されます。  それで、ぜひ濃厚接触者に対しても、個々の傷病手当金を出していただきたいのですけれども、現実問題としては、支給できるのでしょうか。 ◎牧井 国保年金課長 国民健康保険の傷病手当金は、新型コロナウイルス感染症対策の一つとして、国が財政支援を行うとして、特例的に創設されたものです。  対象者は、新型コロナウイルス感染症に感染した方、または、発熱等の症状があり、感染が疑われる方で、一定の要件を満たす方です。  傷病手当金は、労働者の業務災害以外の理由による疾病、負傷等の療養のため、被保険者が、労務に服することができないとき給付されるものです。このため、自覚症状のない濃厚接触者は、支給の対象とはなっておりません。  なお、PCR検査の結果が陰性であっても、風邪の症状や発熱が続いているなど、感染が疑われる方は、支給対象となる場合もありますので、状況を丁寧にお伺いしながら、対応しております。 ◆福井 委員 今のお答えは、やはり疾病でないから、出ますよと。濃厚接触者ですので。  ただ、保健所が14日間、自宅で待機してくださいと言うのであれば、14日間待機できる補償をしなければ、私は、いけないと思っているのです。14日間待機してということは、家を出るなということですから、食事は、どうするのでしょうか。14日間も休むと、賃金は、入ってこないのですよね。  ですから、保健所がそうやってお願いをするのであれば、その補償を併せてやる必要があると思うのですけれども、私は、そのためにも、保健所がお願いをするわけだから、濃厚接触者に対して大田区が補償、または、食料支援を補償するべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◎高橋 感染症対策課長 濃厚接触者は患者ではないため、補償、食料支援は行っておりません。 ◆福井 委員 だから、保健所が要請をしているでしょう。お願いをしますよと。感染拡大をしないために、自宅に待機してください。そうであるのであれば、それなりの対応をしなければいけないではないですか。お願いはするけれども、補償はしない。これだったら、守れませんよ。外出しますよ。  やはり感染拡大を広げないためにいてくださいというのであれば、考えるべきだと、区長、思いますよ。そこが、濃厚接触者にしっかりと自宅にいてもらうための手段をぜひ検討していただきたいと思います。  それで、もう一つ伺いたいのが、保育園、先ほど、菅谷委員の質問の中にもあったのですが、今まで大田区では、園児に感染者が出た場合でも、重症化の事例はほぼなく、集団感染する事例も少ないことから、集団としての検査が必要ないものと考えますというのが、今までの見解だったのです。  それで、先ほどの菅谷委員の質問に対して、幅広く検査をしますと、3月1日からという答弁だったのです。  ですから、実際に、昨日、区内の保育所では、クラスターが発生をしているわけです。  ですから、私は、園児に陽性者が出た場合は、そのクラスの園児全てにPCR検査をする必要があると思っているのです。  ですから、今、幅広い検査をしているという意味は、園児に感染者が出た場合は、同じクラスの子どもたちが、PCR検査をするということでよろしいですか。 ◎高橋 感染症対策課長 年末年始からの患者数急増のために、積極的疫学調査を陽性者と高齢者施設に重点を当て、対応をしてまいりましたが、3月1日より保育園では、同じクラスで園児が陽性と判明した場合は、園児については、全てPCR検査を行っております。 ◆福井 委員 このように考え方を変えて進めていくというのは、本当にいいことだと思っています。  それで、やはり三密が避けられる場所は、介護施設であったり、福祉施設であったり、学校であったり、そして、この保育園・幼稚園もそうです。  やはり、今、考えを新たにして、保育園の園児は検査をするということであれば、私は、ぜひ学校にもやっていただきたいと思っているのです。学校は、40人クラスは、今、隣と隣の間は、50センチしか空いていないのですよ。これの中で、やはり集団感染、クラスターが起こり得る可能性があると思っていますので、ぜひ学校についても、クラスごとPCR検査をしていただきたい。このように要望をして、質問を終わります。 ○田村 副委員長 次に、令和の質疑に入ります。
     須藤委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承を願います。 ◆須藤 委員 令和大田区議団、須藤英児です。感染症について質問します。タブレット資料は、見ておいてください。  昨年1月のサーズコブ2、いわゆる新型コロナウイルス感染者が国内で確認されて以来、社会全体が感染症に翻弄された1年と2か月でした。  令和3年2月17日には、日本国内において、新型コロナウイルスワクチンの接種が開始されました。現在は、100か所の医療機関に所属している医療従事者の約4万人に先行接種が行われていますが、その後は、他の医療機関の医療従事者や65歳以上の高齢者へと順次接種を広げていく予定と聞いています。ワクチン接種をきっかけとして、新型コロナウイルス感染症の早期の収束を期待しております。  以下、新型コロナウイルス感染症をはじめ、広い範囲で感染症に対しての質問をさせていただきます。  最初に、区における感染症対策の概要について、お聞かせください。 ◎高橋 感染症対策課長 保健所では、感染症法に基づき、感染症が発生した場合の患者への対応をするとともに、積極的に疫学調査を行い、感染源となりうる人や場所への対応、感染させたと思われる人や場所への対応を行い、感染拡大防止を図っています。  感染症法で二類に指定されている結核を例に説明いたします。結核対策は、国連のSDGzの一つにも挙げられており、空気感染をするため、世界的に人の動きのある現在、日本国内でなく、各国の動向も見据えた対応が重要です。  また、結核は、感染してから発病するまで、数か月から数年と期間が長いため、長期的な視野に立った対策が求められます。  患者対応として、感染性がある場合は、適切に入院できるよう対応し、また、抗結核薬は、長期間の内服が必要となるため、退院後を含め、関係機関と連携しながら、丁寧な療養支援を行っています。  また、周囲にいる感染させたと考えられる人への接触者検診を行うことや、発病する前の感染の段階で治療を行い、将来的な発病を防げるよう対応を行っています。患者の対応だけでなく、高齢者や医療従事者等が、法律に基づく年1回の胸部エックス線による健康診断を受けることや、区民に向けても長引くせきは要注意など、普及啓発を継続しています。  このように、患者の対応だけでなく、正しい病気の知識を啓発することや、健康診断などの機会を適切に使って事前に発見できる体制も整備し、感染症対策を行っております。 ◆須藤 委員 飛沫感染でなく、空気感染の恐れのある感染症に対しては、また、違った防御対策が必要だと考えさせられました。新型コロナウイルスをはじめ、感染症対策は、知識と理解が必要です。  ただし、感染症と思われる症状が現れたときは、すぐに病院で問診を受け、医師の見立てに従うことが重要だと考えます。  さて、今後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束したとしても、新たなウイルスや細菌などによる感染症の発症が危惧されており、継続的な対策が必要であります。  特に、移送手段の発達に伴い、人や生き物、物を介しての感染原の日本国内への上陸や過去には、日本の風土では、繁殖が難しかった生き物を介した新たな感染症の侵入などが憂慮されており、水際対策が重要であると考えます。  羽田空港や港湾関連用地を有する区において、特に気を付けなければいけない感染症について、お聞かせください。 ◎元木 生活衛生課長 羽田空港や城南島など、港湾関連区域を有する区では、特に気を付けなければならない感染症として、国際貨物コンテナに紛れ込んで侵入するネズミ族が媒介するペストやラッサ熱、航空機内に紛れ込んで空輸された蚊族が媒介するデング熱や、チクングニア熱、マラリア、ジカウイルス感染症などが挙げられます。 ◆須藤 委員 次に、東京オリンピック・パラリンピック大会に向けた保健衛生管理に係るリスクマネジメントにおいて、危害が発生する前に回避させる必要があるものとして、蚊の対策が挙げれています。  また、平成26年9月に、国内感染が報告されたデング熱や海外において、小頭症児の出生が報告されるジカウイルス感染症も、蚊が媒介する感染症として記憶に新しいところです。  区が行っている感染症を媒介する蚊への対策をお聞かせください。 ◎元木 生活衛生課長 区では、デング熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症を媒介するヒトスジシマカなどに対し、対策を講じています。  まず、幼虫期のボウフラには、区道、区立公園、区の施設内にある全ての雨水マスへボウフラから蚊への羽化を抑制する薬剤を投入しています。  次に、成虫期の蚊には、区立公園や区の施設にある樹木や、下草を定期的に伐採して、蚊が潜みやすい場所を取り除いています。  これらの対策を通して、安全で安心な東京都オリンピック・パラリンピックの開催が実現できるよう、感染症対策の面で寄与してまいります。 ◆須藤 委員 水中で成長するボウフラの幼虫対策や、羽化後の蚊への成長対策と、蚊の生活感を捉えての対策を講じていると聞き、安心しました。  しかし、ボウフラの変体を抑制する薬剤を使用した対策を講じているとのことですが、人への安全性や環境への配慮は、考慮されているのでしょうか。お聞かせください。 ◎元木 生活衛生課長 薬剤使用の考え方ですが、いわゆる医薬品、医療機器等法に基づき、感染症を媒介する害虫の防除に用いることができる薬剤は、医薬品と防除用医薬部外品に限られております。  区では、法令で認められたものを使用しております。  また、使用が認められた薬剤の中でも、魚類やその他の動物に対する毒性が極めて低いものを選択して使用しております。 ◆須藤 委員 次に、緊急対策について、質問いたします。  デング熱の国内感染が発生した際には、発生場所があった多くの公園において、駆除作業が実施されていました。  区内において、蚊、媒介感染症が発生したときの対策について、お聞かせください。 ◎元木 生活衛生課長 区では、薬剤散布に使用する噴霧器や、薬剤を備蓄しております。薬剤の備蓄量は、平和島公園を2回作業できる量となっております。  今後も、東京都や近隣保健所、関係部局と協力をして、蚊のいない環境づくりに努めてまいります。 ◆須藤 委員 蚊媒介感染症や新型コロナウイルス感染症に対して、区は、迅速に施策を講じ、多くの努力を重ねて退治していただいていることに感謝申し上げます。  しかし、人と新興感染症や再興感染症との闘いは、今後も繰り返されると想像いたします。新型コロナウイルス感染症が収束した後には、都市間及び国際交流が再開し、区に往来する人も増えてまいります。区が行ってきた蚊媒介感染症対策を継続していただくことを要望いたします。  そして、最後に、昨日、3月11日現在の全国での新型コロナウイルス感染症における全国の死亡者の総数は8,474人で、これは、例年、季節性インフルエンザが原因で亡くなる数より少ないとのことです。  だから、新型コロナウイルスを過剰に恐れる必要はないとの意見があり、共感するところもあります。  ただし、国内感染者が発見されてからの1年間、北は北海道、南は沖縄まで、日本中でマスクをしている状況は異常で、そこまで感染防御を徹底した結果でのこの死亡者数、総数8,474人、他の感染症死亡者が激減していることを考えると、新型コロナウイルスの環境適応能力、感染力は脅威です。  また、花粉症と思い込んでいて、新型コロナウイルスに感染している例があるとのことです。何か症状があり、不安があるようでしたら、まず、医師による問診、そして、医師の見立て、その上でのPCR検査が重要であると考えます。  実は、私も本日、朝一番で新型コロナウイルス感染症の可能性を考え、新型コロナウイルス感染者の多くの事例を見てきた医師による問診と、12回目のPCR検査を受けてきました。  以上です。 ◆犬伏 委員 我が会派の元気いっぱい、須藤委員の後は、なかなかやりにくいものですね。品良く行きたいと思います。  昨日は、東日本大震災の犠牲者の皆さんに黙祷を捧げさせていただきました。押見委員も一生懸命頑張って行かれたようですけれども、私も、気仙沼にある、すこやかという保健所施設に東京都医療救護班の一員として行ってまいりました。医師、薬剤師、看護師と共に、たった1人の事務職として惨状を見てまいりました。  初めて気仙沼に到着したときには、神は、一体何をたくらんでいるのだろう。私は、別に、特に宗教を信じているわけではありませんけれども、大自然という宗教を信じております。神は、この地に何をもたらそう、何を教えてくれているのだろうと思いました。  今まさに、我々は、コロナ禍という、また、新たな神の苦行を受け入れているわけであります。とりあえずは、東日本大震災でお亡くなりになった方、2万2,000人。現在でも4万人の方が、避難生活をされている。この亡くなった方にお悔やみを申し上げて、4万人の方、早く普通の生活に戻れるよう念じながら、質問をさせていただきたいと思います。  まずは、新型コロナウイルス感染症について。私は、そんなに思いっ切り恐れなくていいのではないかと。軽く見てはいけないけれども、そんなに恐れなくていいのではないかという立場から伺わせていただきます。異論のある方もいらっしゃると思いますが。  区内のコロナの陽性者というのは、果たして一体、どれぐらいなのでありましょうか。お知らせください。  そして、その感染者のうち、亡くなった方は、何人ぐらいいらっしゃるのでしょうか。これは、公表されていないので、ぜひ伺いたい。 ◎高橋 感染症対策課長 3月10日時点の大田区の陽性者数は、6,150人です。死亡者数については、公表しておりません。 ◆犬伏 委員 交通事故の死亡者、悪性腫瘍の死亡者、それから、インフルの死亡者、餅を喉に詰まらせて亡くなった方とか、みんな公表されているのですけれども、新型コロナだけ公表されない理由というのは、何ですか。 ◎高橋 感染症対策課長 死亡者数の公表については、様々なご意見をいただいておりますが、数としての公表を希望されない事例もあり、区としては、公表はしておりません。  なお、東京都の陽性者数は、3月10日時点で11万4,201人、死亡者数は、1,518人となっています。大田区の死亡者の割合も同程度となっております。 ◆犬伏 委員 東京都で11万人超えた方が陽性になって、死亡者は、1,500名ちょっと。大体1%ちょいかなという感じですから、大田区では、80人ぐらいの方が亡くなっているだろうと。これは、数字でこうやって推定できてしまうのだから、あえて隠す必要はないと思うのですけれども、この大田区内でコロナ陽性で亡くなった事例、私が勝手に80名ぐらいだろうと申し上げましたけれども、主たる原因が、コロナでない患者というのは、把握されているのでしょうか。  何度も言いますけれども、交通事故で瀕死の重傷になって救急搬送をされて、コロナの抗体チェックをしたら、PCRをやったら陽性だとすると、死因をコロナ死亡として公表されるということでありますので、コロナ陽性で亡くなった事例のうち、主たる死因が、コロナでない患者は、把握していますでしょうか。  もし、把握されているとしたら、コロナが死因の患者の割合は、コロナで亡くなったという方のうち、どれぐらいが、本当にコロナだけで亡くなったのかお知らせください。 ◎高橋 感染症対策課長 区内でコロナ陽性で亡くなった場合の主たる死因については、約8割を把握しています。  うち、コロナが死亡の主因とされているのは、約9割です。 ◆犬伏 委員 そうすると、先ほど、お知らせいただいた東京都の1,518名の死亡者のうち、8割ということは、300人ぐらい。つまり、1,200人ぐらいがコロナで、300人ぐらいは、亡くなった後、陽性検査をしたらコロナだったと。厚生労働省は、その場合には、コロナ死亡で挙げてこいと。人口動態調査は別だけれども、この場合は、コロナで挙げてこいということで、コロナ死亡ということになって、日本全国で言うと、相当数の方が、コロナが主たる死因ではないのに、コロナ死亡とテレビに出てきてしまうという実態が、実は、あるのですね。  それで、大田区内で、令和2年中に亡くなった方というのは、何人ぐらいいらして、主たる最大の死因は、何でしょうか。人数を教えてください。 ◎高橋 感染症対策課長 最新の死亡統計は、平成30年のものになりますが、区の死亡者数は6,467人、悪性腫瘍が死因の第1位で、1,877人となっております。 ◆犬伏 委員 悪性腫瘍、がんですね。がんがトップで1,800人。コロナが推定80人ぐらい。同じ平成30年の東京都の死亡原因をちょっと見てみましたら、1位がやはり悪性腫瘍で3万4,129人、2位が心疾患で1万8,211人、3位が老衰で9,472人、8位が自殺で2,023人、11位が肝疾患で1,802人。東京都の死亡者数を先ほど、1,500人とおっしゃいましたけれども、うち2割がコロナの主因でないとすると、1,300人が東京都でコロナで亡くなったと。  そうすると、肝疾患よりまだ下の死亡数なのですよ。これを毎日、毎日、マスコミが何人亡くなった、何人亡くなったと報道している。  では、例えば、今日、がんで何人亡くなったかと報道しないですよね。がんで東京都は、3万4,000人。20倍以上の方が、がんで亡くなっているのです、毎日。それを報道しないで、コロナだけが亡くなった、亡くなったと言うことによって、国民を強度なストレス、もしくは、ヒステリーの状態に追い込むというのは、いかがなものかなと私は思っています。当然、感染症対策は、しなくてはいけません。  しかしながら、先ほど申し上げたように、サムシング・グレート、この自然は、我々に何を教えているのか。気仙沼で出会った被災者の方々、唯一の励みは、みんな明るかった。きっとこの避難生活が終われば、未来が待っていると思って、みんな身内を亡くしても頑張って暮らしていました。助け合って暮らしていました。ルールを守って暮らしていました。  私たちも、今回のコロナ禍、一体サムシング・グレート、大自然は、我々に何を教えてくれるのか。いたずらに恐れず、いたずらに軽く見ず、必ず我々人類は、コロナ禍に勝つということを信じて、頑張っていこうではありませんか。  さて、コロナに非常に効くということで、イベルメクチンという薬が、大変最近マスコミで流行っています。これは、何の薬かというと、疥癬、この皮膚に寄生虫が来て、かゆいものですね。今から数年前に、大田区内の老人施設で大流行して、おじいちゃん、おばあちゃんは、もうかゆくてしょうがない。ドライバーたちもかゆくてしようがないとありましたけれども、これは、ノーベル生理学医学賞をとった、北里大学の名誉教授の大村先生が、偶然見つけた薬であります。  このイベルメクチンというのをブラジルで投与した州と投与しない州が、大規模な実験をやったところ、投与しない州は、各段に感染が拡大した。投与した市は、感染が収まっていったということがあるのですね。  それから、東京都の医師会の尾崎会長が、菅総理に、これをぜひ開業医で使わせてくれと。そうしたら、菅総理もその気になった。  それから、政党としてあまり好きではないけれども、立憲民主党の中島先生という立派な代議士が、厚生労働大臣に、これは使えるのと質問したら、衆議院予算委員会で。  そうしたら、どうぞ使ってくださいと。保険外適用だけれども、大丈夫だという、ところが厚生労働省は、いまいち乗ってこないですね。多分厚生労働省は、薬害訴訟でもう嫌になってしまって、後ろ向きなのだと思いますけれども、今、この医師の判断で、自由にイベルメクチンを大田区のクリニックや病院で使うことは、可能なのでしょうか。 ◎高橋 感染症対策課長 医師の判断で、患者の了解を得て、イベルメクチンを使用することは可能です。 ◆犬伏 委員 このイベルメクチンは、厚生労働大臣は、適用外で使えると言っているのですけれども、そうすると、保険適用外になってしまう。自費治療になってしまうのでしょうか。 ◎高橋 感染症対策課長 医薬品は、健康保険が適用される疾病が定められており、現時点では、イベルメクチンは、寄生虫症や疥癬には保険適用となっていますが、それ以外の疾病については、保険適用とはなりません。 ◆犬伏 委員 命と保険適用、どちらをとるかというと、私は、命をとりますね。  そして、この疥癬の薬は、口径薬、つまり普通の風邪薬みたいに錠剤なのですよ。  そうすると、先ほど、質問もありましたけれども、自宅療養者にも簡単に配る、簡単に飲める。そして、リスクがない。年間、世界中で3億人の方が、このイベルメクチンを飲んでいらっしゃる。もう20年も飲んでいるのですよ。  そうすると、60億人ぐらいが飲んでいるのだから、安全性には、何の問題もナッシングなのですね。  ですから、保健所の立場としては、区内の医師会の先生方や病院にイベルメクチンをどんどん打って、どんどん飲ませてくださいとは言えないだろうけれども、イベルメクチンという救世主のような薬があるということを、この議場にいらっしゃる方、理事者の皆さんにも知っていただいて、どうかこのコロナ禍という、神が与えたもうた苦難をみんなで協力して、手を取り合って勝ち抜いていこうではありませんか。  以上で、質問を終わります。 ○田村 副委員長 次に、エール、質疑願います。 ◆北澤 委員 おおたエール区議団の北澤潤子です。保健施策の観点からの児童虐待の未然防止について。命と人権を尊重する大田区であることを願って質問いたします。  児童虐待、いじめ、不登校、ひきこもり、自殺、DVなど、様々な社会問題が深刻化し、それぞれに対策が練られているところですが、なかなか出口が見えません。  2000年に児童虐待禁止をうたった児童虐待防止法ができても、児童虐待は、増加の一途をたどり、2013年にいじめ禁止をうたった、いじめ対策基本法ができても、いじめは、増えるばかりです。  例えば、東京都の虐待対応件数は、2013年5,414件、2019年2万1,659件で、対処療法的対策では、限界に来ていることは明白です。各児童相談所は、通告に追われて、本来すべき支援ができなくなってきているのが現状ではないでしょうか。抜本的な対策の転換が必要だと考えます。  都の社会問題にも共通しているのは、心の問題ですが、今回は、児童虐待の対策として、支援と心の回復に焦点を当てて、保健施策の可能性を探りたいと思います。  イギリス政府は、虐待対策のガイドラインをワーキング・トゥギャザーとして、この家族のリスクは何という捉え方ではなく、この子どものニーズは何、家族のニーズは何という捉え方をするそうです。  そして、そのニーズのために、全ての機関が、子どもと親のために協働、子どもを第一に、そのために親とパートナーシップをとるそうです。  昨日の自民党の長野委員の質問にあった、多胎児を持つ親が、1人の子を死なせてしまった例は、この家族のニーズは何という視点で支援が行き届いていたら、回避できた事例かもしれません。  区内の児童養護施設で聞いた話では、施設にいる子どもは、虐待を受けても親に会いたがる。せっかく心のケアをしているのに、会わないほうが良いのにと思っても、夏休みなどに会いに行き、また、心に大きな傷を受けて帰ってくるというものです。子どもは、虐待をされても親が好きで、親を求めます。もちろん子どもの願いは、虐待をしない親になってほしいということです。カナダでは、子どもが保護されたら、親は、更生プログラムを受けなくてはならず、親自身の問題が解消されて、回復したら、家族統合が図られます。  初めは、ちゃんと家族の機能が果たされているかどうか、サポーターが見に来るそうです。  当初は、虐待対策として、強制分離という法制度を整備したものの、今はその限界を知り、心の回復と家族の再会・再統合。虐待の未然防止に舵を切り、成果を出してきている国が増えてきていると聞いています。  日本においても、今の親子分離だけでは、根本的な解決にはなりません。今のままでは、一時保護所は、作れれば作るだけ、いっぱいになってしまいます。こういう考え方があります。残酷な児童虐待を受けて、子どもは、一時保護所に保護されます。保護と言っても、そこは規則が厳しくて、窮屈な生活を強いられます。子どもは悪くないのに、15歳まで、18歳まで児童養護施設に預けられ、そして、その生活が子どもにとって幸せと言えるのかどうかわかりません。  一方、虐待をした親はどうでしょう。何かペナルティーがあるでしょうか。もちろん傷害罪に問われることもありますが、ネグレクトなど、見えない虐待の場合は、親のペナルティーが問われなかったり、何の支援も受けられない場合もあります。それは、変ではないでしょうか。むしろ子どもが、親が一時保護所に行って、回復プログラムを受けてもらって、そして、親の問題を解消する。子どもは、家に残して、近隣の人が、親の代わりにサポートしながら、親の帰りを待ち、そして、家族の統合を目指す。そのような考え方を提唱している人もいます。  本当に、今のままでは、子どもは悪くないのに、自由を奪われるという生活が生まれているという状況を考えなければいけないのではないでょうか。方向修正として、精神保健、母子保健など、科学的な心理分析に基づいて構築されている社会医療分野、保健施策が心の問題に積極的にアプローチして、児童虐待の未然防止と、家族の回復に力を発揮していくことが必要だと考えます。  さて、児童虐待は、健康医療上の深刻な被害をもたらす重要課題です。保健施策としては、赤ちゃん訪問、乳幼児検診などの様々な制度が整えられてきており、保護者のメンタルなど、養育能力や子どもの発達状況から、虐待リスクを見つけ、産前産後ケアなど、子育て支援施策につなげ、虐待予防を図っています。  集団を対象とする制度のほかに、助産師や保健師たちが、現場で子育て不安を抱えた人、悩みを持つ人に寄り添い、個別に関わる場面での対話力、親たちをエンパワーメントする事例からは、保健師が虐待予防の最前線にいる重要な担い手であることが分かります。  エンパワーメントとは、内的力の回復とか、もともと備わっている力が発揮されるという意味で使いますが、大田区の赤ちゃん訪問における、ある助産師の言葉をご紹介します。  知人は、年子の乳幼児を育てていましたが、生まれたばかりの下の子の世話で手一杯。上の1歳の子どもの世話が十分にできずに、ファミリーサポートに預けたかったけれども、預けるための面接に行く余裕もなくて、くたくたぼろぼろの日々だったそうです。
     そこに、赤ちゃん訪問の助産師が来たわけですが、彼女は、その助産師に泣きながら、どんなに毎日大変かを話し、自分は、とても駄目な母親だと訴えたそうです。助産師は、熱心に話を聞いてくれた後で、二人の兄弟に目をやって、その小さな子どもたちの爪を指して、子どもたちに話しかけたそうです。  きれいにしてもらっているわね。いいお母さんね。あなたたちは、幸せよと。彼女はそれを聞いて、今度は、うれしくて泣いたそうですが、彼女にとって、その言葉は、それからの子育ての支えとなり、一生の宝物だそうです。子育ての大変さは、変わらないでしょうが、きっと私は大丈夫と自信を得て、乗り越える力をもらえたのだと思います。うちなるパワーが生まれた、これこそエンパワーメントではないかと思います。  赤ちゃんを育てることは、体力的にも心理的にも、手助けをしてくれる人がいなければ、本当に大変なことです。なぜ泣きやまないのだろう、なぜ食べてくれないのだろう、そういった不安が強くなって、産後すぐに鬱になったり、疲労といらいらで感情がコントロールできなくなって、虐待をしてしまうことがあるかもしれません。  虐待の事件を知って、ひとごととは思えないという母親たちの言葉をよく耳にします。孤独な中で、新生児や乳幼児を育てる親に、個別に直接関わる助産師や保健師という専門職の役割が、いかに重要かと認識します。助産師の態度、言葉かけが、実は、産後鬱や虐待の予防になっているに違いありません。母親の不安やストレスを受け止めることから出発して、その信頼感から、必要なときに助けを求めることにつながるのでしょう。  お聞きします。助産師や保健師は、妊婦面接や赤ちゃん訪問など、個別に直接子育て親子に関わる業務が多いと認識しています。妊婦面接、新生児訪問で1億3,000万円ほどの予算です。専門的な母子保健に関する知識のほかに、高度な対人スキルや人間的な感性で親たちを励ましてきていると考えます。  職員の育成は、非常に重要だと考えますが、その技術は、どのように引き継がれ、共有されていますか。職員育成についての課題には、どんなものがありますか。 ◎佐々木 健康医療政策課長 区の保健師の人材育成につきましては、大田区保健師人材育成ガイドラインに基づき、新任期から中堅期、ベテラン期までの人材育成をOJTを中心に計画的に実施しております。  保健師に求められる能力は多岐にわたりますが、そのうち対人支援の能力のスキルアップには、面接や家庭訪問など、自分の行った支援やその振り返りについて、経験豊富な先輩保健師から振り返り評価を受けることが大変有効です。  このため、職場における保健師の係長が、日常的に振り返りの機会を持つよう留意して、人材育成に取り組んでおります。定期的に開催する保健師係長会において、各職場における人材育成の進捗状況を共有するなど、調整を行っております。  こうした取り組みの積み重ねを通して、相手の心の機微に寄り添った対応力の向上を目指しております。  保健師育成についての課題としましては、採用までの保健師や看護師などの職歴等により、実務経験が異なる状況が多く見られることが挙げられます。これらの状況から、採用後の年数で区分した従来の教育・研修体系よりも、保健師として獲得している能力や個人の特性、経験等を考慮した教育・研修体系が求められていると認識しております。 ◆北澤 委員 ぜひ研修を充実させて、親たちがエンパワーメントされる対応をしていただきたいと思います。  先ほどの助産師の対応で私が感動したのは、暗に母親をほめただけではなく、赤ちゃんに話しかけところです。赤ちゃんへの真っ直ぐな語り掛けは、1人の人格として尊重するという姿勢を母親に見せているかのようです。すばらしい助産師、保健師を持つ大田区に、私は、誇らしくなりました。  2016年の児童福祉法改正では、子どもの権利について明記されました。これまで、子どもは保護される対象という表現でしたが、今度は、権利の主体です。第1条には、全て児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されること。その生活を保障されること。愛され,保護されること。その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られること。その他の福祉を等しく保障される権利を有する。  そして、第2章では、児童の最善の利益が優先して考慮されるようにと明記されました。人権という権利は、私たちが人間として尊厳を持って自己実現していく。  そして、自分らしく生きていくために不可欠なものですから、親と子だからといって、隷属関係、支配関係を戒めるものです。  また、2019年には、親による体罰禁止を明記した、改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が可決成立しました。しつけの一環であっても、体罰を加えることは、禁止となったのです。虐待は、子どもの心身への深刻な影響が懸念されます。暴力はもちろん、無視や暴言など、心理的虐待を含めて、虐待は脳の萎縮、神経系統へのダメージがあることは、科学的にも解明されているところです。  しかし、日本においては、拡張性のなごりがあるせいか、子どもは、親に従えという文化が深く根付いています。  結果、たたいたり、怒鳴ったりすることもしつけの一環だと捉えたり、教育虐待と言われますが、親の価値観を押し付けて、子どもに過度な圧力をかけることがあります。子どもと大人との良い関係を築いていくために、法についての知識と意味を大人自身が学ぶ必要があります。  2018年に実施された大田区子ども・子育て支援事業計画策定に向けたアンケート調査によると、子どもを激しくたたいたり、怒鳴ったりすることがあると答えた保護者が就学前で約4割、小学生で約5割です。体罰という形の虐待は、ごく身近な問題だと言えます。  お聞きします。子どもへの親の対応に関するこれらの法改正を受けて、公明党の岡元議員の提案にもありましたが、母子手帳、また、父子手帳、子育てハンドブックに親権者の責任、虐待の定義、子どもの人権の3点を明示することを希望しますが、いかがですか。  また、読んだだけや聞いただけでは理解できるとは限りません。体罰によらないしつけのこつが分かる体験的な学習ができませんか。 ◎荒浪 健康政策部副参事〔地域保健担当〕 子どもが心身共に健やかに成長するためには、愛情を持って養育されることが不可欠です。  区は、体罰によらない子育てを啓発するリーフレットを母子手帳を交付する際に、全ての妊婦の方へお渡ししています。子どもの接し方については、地域健康課において、子どもの自我が芽生え、食事のしつけが始まる1歳6か月から、自己主張が始まる3歳児を持つ母親を対象に、子どもの発達に合わせた適切な対応方法を学ぶ育児学級を開催しています。  また、乳幼児検診や個別相談を通して、子育てに困難を抱えていると判断した方を対象に行う育児学級においても、家庭での子育ての状況を報告し合い、子どもへの正しい接し方に参加者自身で気付いていただくためのグループワークを実施しております。  同じ悩みを持つ方と共に学ぶことで、不安や孤独感を解消し、母親が子育てに自信を持ち、体罰や虐待を防止することを目指しております。  母子手帳等への子どもの人権など、3点の記載につきましては、他自治体の状況等を情報収集してまいります。  体罰によらない子育ての啓発に関係部署とともに連携し、引き続き取り組んでまいります。 ◆北澤 委員 自分の子どもを持って初めて赤ちゃんを見たという人もいますので、ぜひ拡充をお願いいたします。  子育ての大変さは、子どもがなかなか大人の思うようにならないということです。当たり前のことですが、会社生活に慣れていた人が、効率的に仕事をこなす習慣がついているので、計画どおりに事が運ばないといらいらして、爆発してしまうことがあるでしょう。  再婚して新しいパパに、子どもがなかなかなつかないこともあります。そればかりか、子どもは、この人は信頼できる人かどうかと、わざと困らせたり、試し行動をするので、それに逆上した父親が、虐待に走ることもあるのです。  子どもとは、そういうもので、誰しも苦労しながら育てていると共感し合える仲間がいたり、共感的に聞いてくれる保健師がいることも虐待予防になります。  虐待のリスクについては、親自身が虐待を受けてきた愛着形成の不全、それに加えて生活上のストレス、孤立、子育てのやり方が分からないことなども、主な要因と言われています。  ある母親が、自分は、たたかれて育ち、しかも、放っておかれて育ったので、自分の子育てでも、たたくことに全く抵抗がなかったし、放っておいても良いかと思った。  しかも、子どもが人からかわいいとほめられると、子どもに嫉妬してしまい、かわいがれなくなるというのでした。  幸い、彼女は、自分とは違う子育ての仕方をしている友人に触発されたこと。信頼できるその友人に話を聞いてもらった、傾聴してもらったことで、自分の子どもの頃の寂しかった経験を受け止めることができて、自分の心を客観視でき、子どもに新たな気持ちで向き合うことができるようになったそうです。子どもにこれまでたたいていたことを誤って、子どもの求めに応じる心を持つことができるようになったそうです。  人は、育った環境に影響されるので、彼女が子育ての半ばで、子どもとの関係を改善させることができたのは、子どものこれからの成長・発達を考えると、本当に良かったと思います。  傾聴とは、相手の話を共感的に、肯定的に評価をせず、真摯に聞くということですが、そのように話を聞いてもらえると、気持ちが楽になり、ストレスが解消したり、承認欲求が満たされて自己肯定感が高まります。  自分の状況を客観的に見ることができて、心を整理できて、次の1歩を踏み出す勇気が湧くなど、大きな効果をもたらします。  また、傾聴を学ぶことは、自分を冷静に振り返ったり、親子関係や夫婦関係を良くする。お互いを尊重し合える関係づくりへの訓練ともなります。不登校やひきこもり等、課題のある親子関係においても、とても大切な関わり方の指針となります。  日本の殺人発生件数は、年々減少していますが、親族殺人が増え続けており、全体の半分以上が親族殺人です。世界的にも日本の親族殺人の多さは、異常のようです。家族であっても、相手の尊厳を傷付ける言動が、いつしか恨みになってしまうのかもしれません。  お聞きします。親が傾聴力を持つことで、良い親子関係の構築と子どもの自己肯定感の育ちにつながります。  また、夫婦関係や親自身の心の問題の解決にも非常に有効で、安定した子育てにつながると考えられます。母親学級、両親学級、また、出産後に親たちに傾聴を学ぶ機会を提供することはできませんか。 ◎藤倉 蒲田地域健康課長 良好な親子関係が構築できることは、虐待の防止や親子両者にとっての心の健康を保つためにも、大変重要であると考えております。  そのため、現在も区が実施する母親学級や両親学級、加えて、産後の育児学級など、様々な機会を活用し、良好な親子関係構築のためのコミュニケーションの具体的な事例説明や実技を取り入れ、お伝えしています。  今後、そのコミュニケーション技法の一つとして、相手の話に心を傾けて聴くという傾聴につきましても、伝えることができるよう考えてまいります。 ◆北澤 委員 今、スマホ世代の親が増えているということで、コミュニケーション能力がなかなか育っていないという状況もあると思いますので、ぜひ傾聴の講座を充実させていただきたいと思います。  地域の中でも、傾聴力は、日頃の何気ない会話から、子育て家庭をエンパワーメントすることができ、また、近隣で出会う子どもから話を聞くことができるかもしれません。子どもの変化に気が付いたり、子どものSOSに気が付くことができて、虐待の未然防止や地域保健の向上につながります。  お聞きします。この2月に国では、孤独・孤立対策担当室が設置されたほど、孤独が人の心身の健康をはじめ、様々な社会課題の背景になっていることが分かってきています。  自分のことを分かってくれる人、しっかり話を聞いてくれる人に出会うと勇気付けられ、うれしいものです。地域の中の傾聴力は、地域を支える力にもなり、また、虐待防止にもつながります。傾聴の技術を取得する講座を開催して、多くの人が、地域で人の話を上手に聞くことができるように促すことを提案しますが、いかがですか。 ◎佐々木 健康医療政策課長 傾聴は、対人コミュニケーションを円滑に進める上で重要な要素の一つと認識しております。  傾聴に特化した講習会は、ございませんが、傾聴についての理解促進を含む講習会は、開催されており、子育て支援策などに関わる事業全体の中で検討・実施していくべきものと考えております。  例えば、当課で主催しておりますゲートキーパー養成講座がその一つです。本人の気持ちを尊重し、話を聴く、すなわち傾聴がゲートキーパーに不可欠な要素とされております。  ゲートキーパー養成応用講座では、具体的な事例を基にしたロールプレイングも取り入れて、上手な聞き方について学ぶ機会を提供しております。  また、昨年度、おおた区民大学の一環として予定された講座、「自分も相手も大切にする方法〜アンガーマネジメントの視点から〜」は中止となりましたが、上手な話の聴き方など、他者との人間関係を考えるアンガーコントロールに関する学びの場として企画されたものでございました。  今後も、各部局と連携して各種講座、講習会を実施する中で、傾聴力の浸透にも留意をしてまいります。 ◆北澤 委員 傾聴は、なかなか奥が深いものなので、ぜひ単独の講座も開催していただきたいなと思います。  しかし、傾聴だけでは、手に負えない子どもの頃に受けた虐待で、鬱や精神疾患を抱えた人、深刻なトラウマやフラッシュバックに苦しむ人もいます。虐待をする親の中には、高い確率で子どもの頃の被虐待経験を持つ人がいるということで、よく知られていることですが、そのことを考えても、早期の治療が必要です。  お聞きします。精神保健福祉相談では、依存症相談はありますが、トラウマやフラッシュバックに苦しむ人の相談は、受けますか。  もし、そういう窓口がないのであれば、開設をして、広く周知することを希望しますが、いかがですか。 ◎佐藤 大森地域健康課長 地域健康課では、心身の健康について、保健師による電話相談、所内での面接、家庭訪問など、個別に相談を行っており、保健師が相談を受ける中で、必要に応じて、精神保健福祉相談の利用をご案内させていただいております。  精神保健福祉相談は、医療につながりにくい精神疾患等でお困りのご家族や当事者の方、また、様々な心の問題を抱える方の医療、保健、福祉についての相談事業として、精神科の医師と保健師が対応する予約制事業で、各地域健康課で実施しています。  統合失調症、うつ病、ひきこもり、嗜癖の問題、思春期の心の問題など、様々なご相談に対応しており、トラウマやフラッシュバックに苦しまれている方の相談もお受けしています。  精神保健福祉相談は、区報やホームページでご案内をしています。  さらに、絆メールやはねぴょん健康ポイント事業などでも発信し、周知してまいります。 ◆北澤 委員 気が付かない人もいるかもしれないので、ぜひ、多くの人たちが気が付いて、つながるように、周知をお願いいたします。  さて、社会的養護の下にある子どもたちの心のケアについて考えたいと思います。野呂委員の代表質問にあったように、現状、東京都の一時保護所では、厳しい管理的な体質が報告されています。  今度、開設される大田区の一時保護所の運営方針について尋ねたところ、区長は、子どもの権利擁護を第一に考えた、大田区ならではの施設整備や支援を考えているという答弁をされました。多くは、家庭での虐待から逃れてきている子どもたちです。最善の利益が守られることを期待するものです。  昨年、品川児童相談所に保護された子どもは239人で、そのうち大田区の子どもは、169人です。多くの場合、一時保護所を経て、次に、児童養護施設等の施設、あるいは、里親の下に措置され、児童相談所は、連携をとっていきます。子どもたちがその後、どう成長していくのか。保護することが、子どもの人生に大きな影響を及ぼすことでもありますので、私たちは、無関心ではいられません。  お聞きします。児童相談所で一時保護所に保護された子どもが、その後、児童養護施設等に入所した場合、子どもたちは、どのように支援されますか。 ◎武藤 子ども家庭支援センター所長 都内には、複数の児童養護施設があり、施設ごとに対応が異なる場合もあります。養護施設等に入所した児童の日常的な生活においては、養育担当職員が、保護者に代わり、児童とコミュニケーションを図っております。児童の中でも、精神的な配慮や丁寧な関わりが必要と考える児童には、臨床心理師がフォローしており、必要に応じ、精神科医のアドバイスを伺う場合もございます。  また、児童の自由な意見を聴取できるよう、施設ごとに工夫を凝らし、聴取した意見は、学識者、地域を含めた第三者委員会などでも検討し、問題や課題に取り組む場合もあります。 ◆北澤 委員 多くの施設では、子どもに寄り添って、情熱を持って子どもの成長を助けていますが、残念ながら、今の話にもあったように、施設間の格差というものもあるということと、残念ながら、施設内虐待も後を絶たず、2008年には、児童福祉法に施設内虐待の防止が明記され、また、施設内虐待等について、届け出や通告があった場合は、それを受けて調査する制度も法定化されました。  厚生労働省では、届け出の状況と都道府県市が対応した結果について、毎年度取りまとめて公表しています。被措置児童等虐待届出等制度の実施状況について、というサイトを見ると、例えば、平成30年度の届け出受理件数は、246件でした。  虐待の内容は、身体的には、身体的暴力として、他児をからかった複数の児童に対して、モップを足に挟ませて15分程度正座させた。注意に反発する児童による暴力や暴言に対し、職員が児童に馬乗りになり、右腕を複数回強くたたき返した。  性的虐待としては、施設内での個室等で児童にキスをするなどの行為を繰り返した。夜勤時に夜遅くまで、児童の悩みを聞いているうちに性的関係に至り、その後は、夜勤のたびに施設内の休憩室等で性行為に及んでいた。児童と性的な関係を持ち、服を着ていない写真をデジカメ等で撮影した。心理的虐待では、児童に対し、日常的に無視や自尊心を傷付ける言動を繰り返したなど、多数報告されています。  これらはほんの一部ですが、驚くばかりの虐待です。残念ながら、乳児院でも、里親の下でも虐待の報告があります。  昨年、12月に、埼玉県の児童養護施設を告発した22歳の青年のことが、NHKのウエブニュースで取り上げられていました。彼は、生後すぐに乳児院に入れられ、続いて児童養護施設と、子ども時代の全てを施設で過ごした青年です。彼の話によると、この施設では、なぐる・蹴るは当たり前で、叱られたときの仕打ちが、モップの柄を足に挟まれて正座を数時間させられそうです。痛さで泣きさけぶ子どももいるほどで、しばらくは歩けなくなるそうです。  また、施設の食事ですが、週に1回は、食事がカップラーメンだけのときがあるそうです。また、何かの罰で食事が与えられないときもあり、空腹がつらかったと話していました。  施設退所の折、漏らしたらただでは済まないぞと脅かされたそうですが、今でもその施設で暮らす仲間を思って、思い切って彼は、実名で告発に踏み切ったそうです。モップを挟んで正座をさせた虐待に関しては、事実を認めた施設ですが、後のことは、調査中だとの報道でした。  被虐待児が、社会的養護の下で再び虐待されれば、社会への信頼感を失い、無気力になるほど深刻な精神病に陥るなど、その後の人生に大きなハンディを負う恐れが高まり、絶対に起こってはならないことです。  お聞きします。学校で教師による暴力が行われたら、保護者が黙っていません。  しかし、社会的養護の下では、子どもたちの保護者に養育能力がなかったり、あるいは、両親がいないなど、誰も守ってくれない可能性があります。  また、子ども自身で十分に説明することや立証することは、さらに難しいことです。子どもの意見表明権を守るためには、子どもの意見を代弁する大人が必要だと考えます。自分の代わりに、代理人が表明すアドボカシー制度の導入や第三者委員会の提言にあるように、子ども一人ひとりに代理人・弁護士を付けることが有効だと考えました。いかがですか。  また、心理的ケアが効果的に行われているかどうか、検証する仕組みをつくりますか。 ◎増田 児童相談所開設準備担当課長 現在、一時保護所の設置に向け、子ども本人の意思や人格を尊重した保護及び養育が実施できるよう検討を進めております。  児童養護施設への入所や里親への委託を行った後においても、子どもの権利擁護を第一に考えていくことが重要と考えております。  そのためには、児童福祉司等の職員が、措置後も継続してきめ細やかに子どもに応対し、意見の表明を支援できる児童相談所の体制が必要です。  今後は、その体制の整備に向け検討していくとともに、委員ご質問のアドボカシー制度や子どもの代理人の在り方、心理的ケアの効果検証の仕組みづくりについて研究してまいります。 ◆北澤 委員 よろしくお願いします。  退所後の支援への取り組みも重要な課題です。  会派で児童養護施設を退所した当事者の話を聞きました。彼女は、18歳での退所後、ブラック企業で働き、残業代も払われない過重労働に耐え切れず、辞めましたが、相談場所が分からなかったこと。携帯を契約するにも、家を借りるにも、腹膜炎を起こして緊急手術をしなければならないときも保証人がいなくて大変困ったそうです。  多くの施設退所の若者は、社会経験が圧倒的に不足している中で、自分に自信が持てず、孤独で社会から見捨てられたという思いと、子どもの頃の虐待のトラウマが解消されないままで、重い精神疾患に苦しめられている場合も少なくないそうです。  大田区における3歳女児死亡事例検証報告書に対する外部有識者による付帯意見には、本事例の母親は、児童養護施設を退所した後に上京し、子どもを養育していたとされる。児童養護施設を巣立った若者は、生活や人間関係に悩みを抱えても、頼る人が身近におらず、孤立していることが多いのが実情である。こうした若者が、伴走してもらいながら、困難を解決していく支援が求められる。児童養護施設を退所した若者が、1人で困難を抱えなくても良い社会をつくり出すために、大田区としての取り組みを期待したいとあります。  人権を守るという固い決意の下、被虐待児、社会的養護下の子どもたち、退所後の青年たちが、もう一度、自分は大切な人間なのだと思えるように、一人ひとりが回復に向かって、エンパワーメントを図れるようなサポートをしていく必要があります。  誰一人取り残さないよう、ただのお題目にせず、全ての子どもの可能性が妨げられることがないようにしなければなりません。  虐待の背景には、人間関係にある支配構造、男が女を、親が子、上司が部下を支配するという力によるコントロールの構造があるので、人は、誰しも平等、対等であり、一人ひとりが尊重されるべき存在であるという人権意識を社会全体で確認していくことが必要です。  日本は、特に、東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元内閣総理大臣の女性蔑視発言に見るように、ジェンダー平等の意識が低いので、心してその意識を変えていくためには、教育が必要です。  第3回定例会でも提案しましたが、中学校におけるデートDV教育など、同意なくしての性行為は、許されないことなどの人権教育。  また、小学校では、体験的な人権教育や暴力から身を守るCAPのプログラムにもぜひ取り組んでいただきたいと考えます。
     保健師が学校に出向いて、命について話したり、乳幼児親子に協力してもらい、子どもの誕生の喜びを保護者に語ってもらうことなど、保健部局と教育委員会が連携して、発達に応じた体系的なプログラムをつくることが大切だと考えます。  お聞きします。義務教育のできるだけ早いうちに、虐待の定義、子どもの権利、助けを求める窓口を明確に知らせる必要があります。  また、人権教育を含んだ包括的性教育も必須だと考えますが、どのように取り組みますか。 ◎岩ア 指導課長 小学6年生と中学校全学年の生徒に配付している人権教育に関する学習資料には、児童の権利に関する条約と解説を掲載し、批准国は、子どもにとって最善の利益を実現するために生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利を守るようにすることが大切であることを学んでいます。  次年度には、人権・男女平等推進課と連携して、中学校でのデートDV防止に向けた講座の実施や、小学生が虐待の定義を知ることができる資料の配付などを行い、子どもの命や人権を守る取り組みを一層充実させてまいります。  また、教育委員会では、教育センターなどの相談機関の電話番号等が記載された一覧を配付し、様々な悩みに対して、電話相談ができる窓口を全児童・生徒に周知してまいります。 ◆北澤 委員 よろしくお願いいたします。  児童虐待が増え続け、2019年度は、19万3,780件にのぼり、過去最多を更新しました。子どもの未来を奪う虐待は、全力でなくさなければなりません。児童相談所ができれば解決するわけではなく、子どもが保護されてそれでおしまいではありません。人の健康は、何によって保持されるのか。傷ついた心は、どのように回復するのかを追求することが、虐待の未然防止になると確信します。  傾聴の力、子どものニーズを知って応えること。親子が楽しめる公園作り。人との出会いを促す居場所づくり。人がエンパワーメントされる、そのような地域づくりの仕掛けを行政が行うことが、地域保健ともなるのではないでしょうか。  大田区自身の傾聴力を期待するものです。子どもの声に耳をすませ、健康な地域づくりに邁進していただきたいと思います。  持続可能な開発目標、SDGzの推進を図るべく、その要素を新おおた重点プログラムに取り入れましたが、特に、3の「全ての人に健康と福祉を」、5の「ジェンダー平等を実現しよう」が、実現することを願って、虐待の発生予防に保健の本領が発揮されることを願います。  そして、子どもの権利を守るという、私たち大人の宣言としても、大田区独自の子どもの権利条例がつくられることを願って、質問を終わります。 ○田村 副委員長 以上で、第4款衛生費の審査を終結いたします。  次に、第5款産業経済費の審査を行います。理事者の説明を求めます。 ◎田村 財政課長 それでは、事項別明細書の184ページをお開きいただければと思います。  第5款産業経済費でございます。本年度、60億3,046万9,000円で、3億9,847万9,000円の増でございます。第1項産業経済費は、款と同額です。  第1目産業経済総務費、本年4億5,304万8,000円で、882万3.000円の減でございます。  第2目産業振興費、本年度、36億3,268万5,000円で、4億3,311万6,000円の増です。主なものは、187ページ、13番、経営基盤の強化支援で、8億4,630万1,000円の増です。  第3目産業施設費、本年度、19億4,473万6,000円で2,581万4,000円の減でございます。  以上でございます。 ○田村 副委員長 本日は、この程度をもって、予算特別委員会を閉会いたします。                午後4時41分閉会...