大田区議会 2020-11-26
令和 2年 第4回 定例会-11月26日-01号
令和 2年 第4回 定例会-11月26日-01号令和 2年 第4回 定例会
令和2年第4回定例会 大田区議会会議録 第17号
11月26日(木曜日)
出席議員(49名)
1 番 田中一吉 2 番 松原秀典 3 番 高瀬三徳
4 番 岸田哲治 5 番 大森昭彦 6 番 塩野目正樹
7 番 押見隆太 8 番 鈴木隆之 9 番 湯本良太郎
10 番 伊佐治 剛 11 番 深川幹祐 12 番 長野元祐
13 番 渡司 幸 14 番 高山雄一 15 番 海老澤圭介
16 番 松本洋之 17 番 岡元由美 18 番 勝亦 聡
19 番 広川恵美子 20 番 秋成 靖 22 番 田村英樹
23 番 大橋武司 24 番 小峰由枝 25 番 椿 真一
26 番 田島和雄 27 番 末安広明 28 番 大竹辰治
29 番 清水菊美 30 番 黒沼良光 31 番 佐藤 伸
32 番 菅谷郁恵 33 番 福井亮二 34 番 荒尾大介
35 番 杉山公一 36 番 荒木秀樹 37 番 犬伏秀一
38 番 三沢清太郎 39 番 松原 元 40 番 須藤英児
41 番 植田智一 42 番 野呂恵子 43 番 北澤潤子
44 番 小川あずさ 45 番 庄嶋孝広 46 番 平野春望
47 番 奈須利江 48 番 馬橋靖世 49 番 荻野 稔
50 番 奥本有里
――
――――――――――――――――――
欠席議員(1名)
21 番 玉川英俊
――
――――――――――――――――――
出席説明員
区長 松原忠義 副区長 川野正博
副区長 清水耕次
企画経営部長 市野由香里
総務部長 後藤 清
危機管理室長 須川孝芳
地域力推進部長 今井健太郎 観光・
国際都市部長 飯嶋清市
スポーツ・
文化担当部長 町田達彦 区民部長 小泉貴一
産業経済部長 山田良司 福祉部長 今岡正道
障がい
者総合サポートセンター所長
福祉支援担当部長 張間秀成 森岡 剛
健康政策部長 木田早苗 保健所長 伊津野 孝
まちづくり推進部長
新空港線・
まちづくり調整準備室長兼務
こども家庭部長 浜口和彦 齋藤浩一
都市開発担当部長 青木重樹
空港まちづくり本部長 白鳥信也
都市基盤整備部長 久保輝幸
環境清掃部長 落合邦男
会計管理者 鴨志田 隆
企画経営部企画課長 杉山良樹
企画経営部財政課長 田村彰一郎
総務部総務課長 中澤 昇
教育長 小黒仁史
教育総務部長 玉川一二
教育総務部教育総務課長 政木純也
――
――――――――――――――――――
出席事務局職員
局長 井上隆義 次長 古川雅章
議事担当係長 矢作研治
議事日程第1号
令和2年11月26日 午後1時開議
第1
第 94号議案 令和2年度大田区
一般会計補正予算(第7次)
第 95号議案 大田区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例
第 96号議案 大田区使用料、
手数料等収入金の督促及び滞納処分に関する条例の一部を改正する条例
第 97号議案 大田区
国民健康保険条例の一部を改正する条例
第 98号議案 大田区
後期高齢者医療に関する条例の一部を改正する条例
第108号議案
大田区立田園調布富士見会館内部改修その他
工事請負契約について
第109号議案 大田区
蒲田西特別出張所大
規模改修工事請負契約について
報告第 31号 民事訴訟の提起に係る専決処分の報告について
報告第 32号 仮称大田区
田園調布せせらぎ公園文化施設新築工事請負契約の専決処分の報告について
第2
第 99号議案 大田区新蒲田一丁目
複合施設条例
第100号議案 大田区
新蒲田区民活動施設条例
第3
第101号議案 大田区
介護保険条例の一部を改正する条例
第102号議案 大田区立心身障害者緊急一時
保護施設条例を廃止する条例
第103号議案
大田区立障害者福祉施設条例の一部を改正する条例
第110号議案
大田区立特別養護老人ホームの
指定管理者の指定について
第111号議案
大田区立高齢者在宅サービスセンターの
指定管理者の指定について
第112号議案
大田区立軽費老人ホームの
指定管理者の指定について
第113号議案
大田区立障害者福祉施設の
指定管理者の指定について
第4
第104号議案 大田区廃棄物の減量及び適正処理に関する条例の一部を改正する条例
第114号議案 特別区道路線の廃止について
第115号議案 特別区道路線の認定について
第5
第105号議案
大田区立児童館条例の一部を改正する条例
第106号議案
大田区立保育園条例の一部を改正する条例
第107号議案
大田区立図書館設置条例の一部を改正する条例
第116号議案
大田区立母子生活支援施設の
指定管理者の指定について
第1号追加の1
令和2年11月26日 午後1時開議
第1
第117号議案 大田区長等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第118号議案 大田区監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第119号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第120号議案
会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第121号議案 大田区
教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第122号議案 大田区議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
午後1時開会・開議
○塩野目 議長 ただいまから令和2年第4回大田区
議会定例会を開会いたします。
本日の会議を開きます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○塩野目 議長 まず、
会議録署名議員を定めます。本件は、会議規則第131条の規定に基づき、本職が指名いたします。16番
松本洋之議員、37番犬伏秀一議員にお願いいたします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○塩野目 議長 この際、区長から発言の申し出がありますので、これを許します。
〔
松原忠義区長登壇〕
◎松原 区長 令和2年第4回大田区
議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様のご参集を賜り、厚く御礼を申し上げます。
まず、
新型コロナウイルス感染症についてでございますが、世界の感染者は11月25日に5900万人を超え、我が国においては、11月に入り1日当たりの新規感染者が連日過去最多を更新するなどし、11月22日に13万人を超えました。区においても、11月25日現在、感染者は2054人となっております。一部の国においては、再度の非常事態の宣言や、感染が再拡大し、1日における新規感染者が過去最多を記録するなどしております。冬を迎えると気温の低下や乾燥の影響により、
新型コロナウイルスと
インフルエンザの同時流行のおそれもあります。区は、いち早く、子どもや高齢者を対象に
インフルエンザ予防接種に対する助成事業を実施するなど対策を講じているところですが、区民の皆様、事業者の皆様におかれましても、換気やマスクの着用、うがい、手洗いなどの実施など、改めて感染症対策の基本をしっかりと行っていただければと存じます。
国際通貨基金(IMF)は、10月に
世界経済見通しを改定しました。2020年の世界経済の成長率はマイナス4.4%、我が国の経済成長率をマイナス5.3%と予測し、6月の見通しから0.5ポイント改善したものの、
リーマンショック後並みの
マイナス成長が予測されており、依然厳しい見通しとなっております。
区においても、先の定例会で述べましたように、大変厳しい財政状況を見込んでおります。現在、令和3年度予算案を編成しているところでございますが、改めて休止、廃止、延期も含めた
事務事業見直しや予算の再精査を行い、効果的、効率的な行財政運営に努め、この困難な状況を乗り越えてまいります。
菅首相は、第203回臨時国会において国政方針を示す
所信表明演説を行いました。
新型コロナウイルス感染症対策と経済の両立をはじめ、2050年までに
温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標の表明のほか、デジタル化をはじめ、大胆な規制改革を実現し、
ウィズコロナ、
ポストコロナの新しい社会づくりに向けた司令塔となるデジタル庁の創設についても言及をしております。また、テレワークなど新しい働き方を後押しするために、行政への申請などにおける押印を原則全て廃止する方針が示され、このような国の動きに合わせ、区は現在、行政手続きにおける押印状況の見直しを進めております。
行政のデジタル化は
感染拡大防止につながるとともに、
区民サービスのさらなる向上、事業の効率化にも寄与するものであります。引き続き取組を進めてまいります。
11月3日、
アメリカ大統領選挙があり、民主党のジョー・バイデン氏が次期大統領になる予定でございます。
新型コロナウイルス感染症の影響から郵便投票が普及し、期日前投票が過去最多となり、大勢の判明が翌日になっても決まらない異例の選挙でございました。また、日本国内においては、11月1日に、大阪市を廃止して特別区を設置する「大阪都構想」の是非を問う住民投票が大阪市にて行われました。前回、2015年に続き2回目の住民投票となりましたが、今回の投票結果も反対多数で否決となりました。今回の「大阪都構想」は、本区を含め23区におきましても地方自治の在り方を深く考えるきっかけになったものと考えます。引き続き、世界や我が国のみならず、他自治体等の動向が区政に与える影響を慎重に見極めつつ、日々変化する
社会経済状況を的確に捉え、効果的、効率的な行政運営を行ってまいります。
先日、私は、
小池東京都知事と意見交換を行ってまいりました。限られた時間の中で、
新型コロナウイルス感染症に関する区の現状、対応をお話しするとともに、地域医療、地域福祉への支援の継続や、新空港線の整備と蒲田のまちづくりを進めていくこと、バス事業等の
公共交通事業への支援などについて意見を交わしてまいりました。区民生活における利便性の向上や国際競争力の強化に資する新空港線の整備のほか、蒲田駅周辺のまちづくりを進めることが、区のみならず東京都の発展にもつながるとともに、重要な成長戦略の一つでもあることを強く訴えてまいりました。
意見交換を行った後、東京都は11月19日に「令和3年度国の予算編成に対する東京都の提案要求」を示しました。この中で、新空港線について、「今後の羽田空港の更なる機能強化に的確に対応するため、
空港アクセスの強化を検討すること」としており、区と東京都の新空港線に対する考え方が一致していることを確認いたしました。また、
交通渋滞緩和、空港や湾岸地域の物流拠点との
アクセス向上、物流の効率化などへの効果が期待でき、川崎市側へつながる国道357
号多摩川トンネルについて、「整備推進を図ること」と提案要求をしております。引き続き、東京都に対して区の考え方をしっかりと伝えるとともに、あらゆる機会を捉えて国に対しても伝えてまいります。
そのほか、区政の諸点につきましてご報告を申し上げます。
令和という新しい時代を迎え、区は区政の羅針盤となる新基本計画の策定を進めてまいりました。しかし、
新型コロナウイルス感染症の拡大により区政を取り巻く状況は一変しました。私は、区政始まって以来の難局を乗り越え、早期に区民生活や地域経済を立て直すことが最優先と考え、新基本計画の策定を延期し、緊急課題の克服をテーマとした「新おおた
重点プログラム」を策定いたしました。
新型コロナウイルス感染症の拡大に端を発する緊急事態からの回復、激甚化している大
規模自然災害への対策、子どもたちの学びの保障、新たな自治体経営へのシフトなどを柱としつつ、中長期的に区の発展の礎となる施策も見据えながら本計画を推進し、区民の皆様のより豊かな生活の実現を目指して、的確かつ着実な区政運営に努めてまいります。
大田区は、
学校法人東邦大学と連携し、区民の生活と命を守る
官学連携プログラムとして「
地域連携感染制御学講座」を、11月1日に
東邦大学医学部内に開設させていただきました。本講座では五つの取組を進めていくこととしておりますが、今月18日には、本講座における最初の取組として、区内の飲食店にご協力をいただき、開店時やお客様が来店されたときなどの感染症対策について、
東邦大学医学部の
舘田一博先生にご助言をいただいたところです。今回は飲食店向けの感染症対策の取組でしたが、今後、さらに区民の皆様が安心して生活できるよう具体的な取組を進めてまいります。
大田区と秋田県美郷町は平成17年11月5日に友好都市となり、今年で15周年を迎えました。これを記念し、美郷町では10月31日から11月29日までの期間、「川端龍子 風雲児の日本画」と題した特別展を美郷町学友館において開催しており、既に多くの方が鑑賞されたと伺っております。今年は
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、OTAふれあいフェスタを中止とするなど、友好都市との交流を自粛せざるを得ない状況にございますが、このたび大田区が誇る川端龍子のダイナミックな作品40点を美郷町の皆様に鑑賞いただく機会ができたことで、文化・芸術における交流はもとより、両都市のさらなる友好関係が深まることを期待しております。
今月16日、大田区は
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターと、地域産業の活性化を図ることを目的として「業務連携に関する協定書」及び「覚書」を締結しました。
産業技術研究センターは、産業技術に関する試験、研究、普及及び技術支援等を行うことで、
都内中小企業の振興を図り、都民生活の向上に寄与することを目的として、平成18年に設立された東京都の機関でございます。また、
当該センターの城南支所は、大田区産業プラザと同施設にあり、これまで
区内中小企業への支援のほか、展示会、
イベント参加等を行うなど、本区とは様々な場面で連携を重ねてまいりました。
こうした背景を踏まえ、本年9月に本格稼働となった「
羽田イノベーションシティ」も活用して、さらなる連携強化を目指すため、このたびの締結となりました。協定の締結により、「
羽田イノベーションシティ」へ入居される企業への
当該センターによる技術相談やロボットの実証実験、人材育成や情報発信などにも取り組むことが可能となります。こうした取組を通じて「産業のまち」大田区のさらなる活性化と
羽田イノベーションシティ区
施策活用スペースの交流、連携の一層の促進が図れるものと期待しております。
次に、
羽田イノベーションシティ内に9月に開店した「クレアディスケ」との連携に続き、昨日開店した「タリーズコーヒー」と連携をさせていただき、店内に「大田のお土産100選」の
紹介コーナーが誕生しました。このコーナーでは、
ものづくり分野の製品を中心に、順次選定したものを展示することになっておりますが、今後は100選以外のものについても、本区に関する展示等をさせていただくことで調整を進めてまいります。今後も様々な手法を通じて、新産業創造・発信拠点である羽田から大田区の魅力を発信してまいります。
次に、
新型コロナウイルス感染症拡大により大きな影響を受けている
区内中小企業・
小規模事業者の皆様を支援するため、3月から受け付けている区が利子を全額負担する大田区
中小企業融資あっせん「
新型コロナウイルス対策特別資金」の状況についてお知らせいたします。既に
あっせん件数は3500件を超え、
融資あっせん総額は720億円余となっており、多くの区内企業の皆様が利用されております。これにより、今後10年にわたって区が負担する利子総額は50億円に迫っており、区財政への影響も少なくありません。しかしながら、国難とも言えるコロナ禍において、区内経済をしっかりと下支えし、事業継続していただくために必要な負担であると考えております。
現在、ピーク時と比べて申請件数は落ち着いておりますが、感染が再拡大し、予断を許さない状況が続いております。経済情勢は国の
緊急事態宣言発出後と比べますと回復傾向にあると言われておりますが、引き続き感染症の動向や社会状況などを注視し、区内経済の支援に全力を挙げて取り組んでまいります。
なお、感染が拡大傾向にあり、国や東京都において現在様々な対応が進められていることは承知しております。区民に最も身近な基礎自治体である本区といたしましては、こうした動きをしっかりと注視しながら、
感染拡大防止に向けた取組について、必要と判断したものについてはしっかりと実行をしてまいります。
本定例会に提出いたしました案件は、令和2年度
一般会計補正予算案(第7次)のほか、条例議案19件、その他議案9件、報告議案2件でございます。本補正予算案につきましては、
新型コロナウイルス感染症への対応及び第6次
補正予算編成後に生じた状況の変化に速やかに対応するための予算を計上しました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○塩野目 議長 質問に入ります。
渡司 幸議員、勝亦 聡議員、佐藤 伸議員、犬伏秀一議員、平野春望議員、末安広明議員、小峰由枝議員、田中一吉議員、押見隆太議員、深川幹祐議員、福井亮二議員、庄嶋孝広議員、奥本有里議員、馬橋靖世議員、北澤潤子議員、三沢清太郎議員、松原 元議員、荻野 稔議員から通告がありますので、順次これを許します。
まず、13番渡司 幸議員。
〔13番渡司 幸議員登壇〕(拍手)
◆13番(渡司幸 議員) 自由民主党大田区民連合、渡司 幸でございます。会派を代表いたしまして質問をさせていただきます。
この間、コロナ禍におきまして、区民の生命と生活を守り、懸命に闘っていただいております全ての皆様に感謝と敬意の気持ちを述べさせていただきますとともに、区長をはじめ、区職員の皆様と私たち議員とが共に力を合わせこの難局を乗り越えるという思いを込めまして、私自身初めての代表質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
初めに、財政運営について伺います。平成という時代はバブル経済崩壊からの立て直しから始まりました。大田区におきましても、特に平成3年からの3年間で一般財源は270億円と大幅に減少する中において、毎年75億円、54億円、67億円余という規模の基金の取り崩しが行われました。また、平成4年からは特別区債の大量発行が行われ、平成元年に64.7%であった経常収支比率は85%近くにまで上昇しました。バブル経済崩壊からの立て直しの際に、大田区は一定程度の基金の取崩しを行いつつ、区債の大量発行で乗り切ったと言うことができると思います。
また、松原区長におかれましては、
リーマンショックからの経済立て直しからの区政のスタートでございました。松原区長が初当選されました平成19年から区の一般財源は3年間で470億円の減少となりましたが、このときは区債の発行はある程度抑制しつつ、基金の取崩しや一般財源を対象としたマイナス5%シーリングなどの設定で乗り切ってこられました。それらの大きな経済危機に対し、様々な財政手法を用いてその危機を乗り越えてきた経験の蓄積がございます。
今回のコロナ禍におきまして、1478件に及ぶ
事務事業見直しを行い、7次にわたる補正予算を組み、短期的には柔軟かつ機動的に対応してきていただいているということに感謝を申し上げ、高く評価をさせていただきます。しかしながら、今後の一般財源における減収は3年間で580億円とも言われ、
リーマンショック時を超える減少幅が予測されており、中長期的な財政課題への対応が迫られております。区債などの公債につきましても、近年は環境課題に特化したグリーンボンド債の発行や、子どもたちの未来を守る目的で発行される子ども未来債など特定財源の確保だけではなく、オーナーシップの醸成や投資家層の多様化を狙った公債の発行に取り組む自治体も出てきております。平成の2度の大きな財政危機を乗り越えてきた経験を踏まえ、厳しさを増す今後の財政運営の方向性と区債の発行、基金の取崩し等、財政手法に関する区の見解をお示しください。
次に、
新型コロナウイルス感染症COVID-19の大田区の現状について伺います。東京都においては、連日、陽性患者発生数の増加が報道され、
インフルエンザなど季節性疾患との同時流行について医療体制を心配する声も多く聞かれます。大田区における
新型コロナウイルス感染症の状況と医療体制についての区の所見をお聞かせください。
また、区内特別養護老人ホームや障害者施設での感染の報道に接することも増え、特に80歳代以上は高齢者施設、病院などでの感染が広がりつつあります。重症化しやすい方々やそのご家族のご心配は非常に大きいものがございます。このような状況の中、東京都は高齢者施設における
新型コロナウイルス感染症対策強化事業として、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院の介護保険施設に対し、PCR検査費用などを補助する事業を10月から開始いたしました。一方、この事業の対象とはならない施設については、地域の実情に応じた対策を促進することにより、感染症拡大防止を図るため、都と区市町村との共同による感染症拡大防止対策推進事業を行うこととなりました。新おおた
重点プログラムの緊急対策第一の柱として、区は何よりも第一に、区民の生命と財産を守り、安全・安心な生活が送れるよう支援していく責務があり、医療機関と連携し、感染症対策に取り組み、区民の不安を取り除くとしております。
東京都からの呼びかけに対し、区としてどのように呼応していくのか、区の考えをお聞かせください。
次に、行政運営におきましても、医学的な観点が重要になってきている中での東邦大学との連携について伺います。かねてから、東邦大学では、大田区の三医師会や製薬会社、地域医療支援センターとの共催で、各分野における地域連携学術集会を数多く開催するなど、地域医療の連携や発展に大きく寄与していただいております。平成25年に大田区と東邦大学との連携・協力に関する基本協定を締結した意義は、大変大きいものであったと考えます。また、本年1月にも、昨年の台風での教訓を活かし、東邦大学内に妊産婦避難所を開設することを想定した災害時における学校施設の使用等に関する協定を締結し、さらに、本年5月から6月にかけては、大田区の管理職を対象に、日本感染症学会理事長の東邦大学舘田一博教授を講師にお迎えし、COVID-19の正しい理解と今後の対策等について、3回に及ぶ官学連携人材育成講座を実施するなど、区民の安心・安全のためご尽力をいただいているところでございます。そして、それら今まで培ってきた連携をさらに活かす方向で、今回新たに、11月1日、大田区と東邦大学が連携して感染症の問題に取り組み、区民を守る感染対策のさらなる充実に向け、
地域連携感染制御学講座開設の取組についてプレス発表がなされ、区民の皆様の関心も高まっているところでございます。
そこで、今後の
地域連携感染制御学講座に期待するとともに、今後の具体的な取組についてお聞かせください。
次に、再犯防止推進計画の策定について伺います。法務省の令和元年度版犯罪白書では、昭和から平成にかけての犯罪に関する統計がまとめられておりますが、刑法犯のトレンド自体は変化してきているものの、全体の認知件数は平成14年をピークに毎年減少傾向にあり、平成30年にはピーク時の3割にまで減少してきております。そのように、認知件数、検挙人数ともに減少傾向にある中において、初犯者数、再犯者数ともに減少はしてきているものの、検挙人数全体に対する再犯者人数の占める割合、いわゆる再犯者率は平成9年以降一貫して上昇しており、平成30年には48.8%と検挙された者の約2人に1人が再犯者であることからも、国も再犯防止に着目した取組に力を入れてきた経緯がございます。
また、平成28年からは、薬物使用による犯罪の場合、初犯、再犯にかかわらず、刑務所に服役せずに医療機関につなぎ薬物再乱用防止プログラムを受けてもらうなど、社会の中での保護観察、更生保護を行うことができる制度が整備されたことからも、アセスメントの強化や、犯罪特性に応じた効果的な指導、予後の検証などの体制整備が再犯を防ぐ鍵であることが国からも示されております。
大田区におきましても、再犯者率が依然40%台後半で推移している現状からも、大田区における再犯防止推進計画の策定についても、鋭意準備を進めていただいているところでございます。大田区においては、既に大田区生活再建・就労サポートセンターJOBOTAや更生保護サポートセンターなど全国にも注目されている取組や更生保護を牽引してきた機関もあり、本区における取組は実効性のあるものにしなければならないと強く感じているところでございます。今後の再犯防止を推進するには、特に住居の確保、保健医療との連携、地域のネットワークづくり、様々な民間団体との連携や対象者の受け皿の整備が必要であると考えます。保護司OBでもいらっしゃる松原区長から、大田区における再犯防止推進計画策定の意義と実効性のある計画にするための思いをお聞かせいただきたいと思います。
次に、
羽田イノベーションシティに関連して質問させていただきます。今回のコロナ禍により、
羽田イノベーションシティのスタートも、様々な予定の変更を余儀なくされました。当初の予定どおりに7月3日にはまち開きはしたものの、規模を大幅に縮小した形でのオープニングとなりました。9月18日に本格稼働となりましたが、オープニングイベントにおいても、3密を避けながらの開催であり、にぎわいあるまちづくりは社会状況を見極めつつ徐々に進めていかざるを得ないものと見ているところでございます。しかしながら、このような中においても、オープニングイベントでは5日間で3万人の方々が訪れ、ロボットやモビリティなど先端技術や浮世絵などの日本文化に触れていただけたことは、このまちの可能性をより多くの方々に知っていただく大変よい機会となり、まさに公民連携事業としての強みを活かせた結果であると評価いたします。
第1回定例会での我が会派鈴木幹事長の「
羽田イノベーションシティにかける区長の思いを伺う」との代表質問におきましても、区長は、「公民連携の下、にぎわいを生み出すとともに、区内波及効果を創出する」とのご答弁をされております。ただ、感染症の影響が今後も続くと思われる中、区民の生活や経済活動がどのようになるか不透明な状況であり、このような状況下においては、公民双方が甘受するメリットを明確にし、民間のノウハウや資本などをこれまで以上に活用することで、より効率的、効果的な行財政運営をしていかなければならず、
羽田イノベーションシティでの取組が公民連携のリーディングケースとなることを期待しております。
そこで改めまして、
羽田イノベーションシティで展開されます公民連携事業とはどのようなもので、今後のまちの発展、さらには区内への波及効果の創出にどのようにつなげていくのかをお聞かせください。
また、このまちのコンセプトでは、文化産業と先端産業の融合による新産業創造・発信拠点の形成を目指すこととしております。加えて、このまちでは、スマートシティの構築も進められております。国では、内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省の四つの府省が連携し、スマートシティ官民連携プラットフォームを立ち上げ、その取組を官民連携で加速させようとしているところです。
日本は、人口減少、急速に進む高齢化、多発する都市災害、インフラの老朽化など、世界の多くの都市が今後直面するであろう都市課題に先んじて直面する課題先進国とも言われております。こうした課題に対し、我が国の有する高い技術力、研究開発力を活かし、課題を解決するだけではなく、新たな価値を創造していくことが求められるとしております。このような大きな流れの中、
羽田イノベーションシティにおけるプロジェクトが、昨年度、国土交通省が進めるスマートシティモデル事業の先行モデルプロジェクトに格上げされたことは、
羽田イノベーションシティにおけるスマートシティの構築が我が国において有効な取組であると評価されたものと捉えております。
そこで、
羽田イノベーションシティで展開するスマートシティの構築とはどのような目的で行われ、どのような成果につなげていこうとお考えなのか、区の所見をお聞かせください。
次に、ハネダピオについて伺います。コロナ禍において世界中が大きな経済的危機に見舞われており、この間、大田区においても、大田区産業プラザPiO、大田区民プラザ、大田区体育館、大田スタジアム、アプリコなど、公共施設の利用休止や利用定員の縮小など、全体での減収は莫大な金額となることが予測され、財政への影響は少なくないと考えますが、このようないずれも難しい状況下において、区活用スペースのテナント区画が埋まらないという理由で区を責めることは簡単ではございますが、そのような近視眼的な視点での議論に終始してもよいものか疑問を感じております。
世界的にも移動が制限され続け、第2ゾーンのホテルでさえオープンできない状況ではございますが、大田区は当初の目的であります国内外の大手・中堅企業、大学、研究機関、各種団体、起業家、イノベーターなど多種多様なプレーヤーが集結し、産業のハブ拠点として区内産業への波及効果を生み出すという目的から外れることなく取り組んでいただきたいと考えます。ハネダピオが、近い将来には必ずや区内産業の牽引役として、産業のまち大田を代表する施設となるべく力強く進めていくとの松原区長のぶれることのない決意をぜひお聞かせいただきたいと思います。
次に、虐待防止について伺います。本年6月に、大田区において3歳の幼い命が失われました。亡くなられたお子様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。この事例に関して区は速やかに検証を行い、報告書としてまとめました。報告書における有識者の付帯意見では、問題のある家庭に行政が介入する点を強調して制度を構築した場合、当事者は行政との接点を拒否するか、または問題を隠蔽する可能性が生じる。母子支援、子育て支援という視点から制度を充実させる必要があるとの意見が述べられております。また、報告書では、行政から見えにくいものを把握するために、区全体で子育てに関わる潜在リスクを検知できる仕組みを整えるとともに、複雑化、複合化した支援ニーズに対し、部局間で連携し、相談支援体制を整備し、地域における活動団体との連携の強化を図るとされております。これらの議論は、大田区版児童相談所であります大田区子ども家庭総合支援センター設置に向けた準備においても非常に重要な議論であると考えます。家庭の抱える問題は見えにくいだけでなく、時間の経過とともに複雑化、複合化していく傾向がございます。社会福祉法が改正され、来年4月に施行されますが、地域共生社会の実現に向け、重層的な支援体制を整備し、制度のはざまで孤立した人や家族を支援していく体制を整備していくために、区として、今後支援が必要な家庭に気づき包括的に支援していくために、組織体制も含め、どのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。
次に、環境について伺います。先日、国会において菅総理大臣が、国内の
温室効果ガスの排出を2050年までには実質ゼロとする方針を表明し、話題となっております。平成29年3月に策定されました大田区環境基本計画(後期)においては、長期目標として2050年までに
温室効果ガスの80%削減を目指すとしており、これはそのときの国の方針と合致しておりました。大田区においては、現在まで清掃工場のごみ焼却における熱エネルギーで区立小中学校の電力需要を賄う取組により、年間約5915トンのCO2を削減できる取組や、10月1日より区役所本庁舎に導入されました再生可能エネルギー100%電力への切替えにより、年間約1125トンのCO2削減、また行動様式の変容によるクールアクションの取組など、
温室効果ガスの削減に積極的に取り組んでいただいていることを高く評価いたします。
今回、国が宣言した2050年カーボンニュートラルの目標に対し、大田区におきましても、
温室効果ガスの削減やSDGsの取組等、これまで以上に力強く進めていかなければならないと考えますが、区の見解をお示しください。
次に、学校教育について伺います。平成25年の国のいじめ防止対策推進法の制定を受け、大田区においても、国と都の動きに連動し、平成26年9月に大田区いじめ防止基本方針が策定され、各区立小中学校においても、速やかに各校におけるいじめ防止基本方針がつくられました。その後も、平成29年に国のいじめ防止等の基本的な方針が改定され、学校評価においては認知件数に捉われることなく、認知の感度を上げていく、人権感覚を養うなどの観点が重要であるとされております。
先日10月19日の大田区総合教育会議において、(仮称)大田区いじめ防止対策推進条例の策定についての考えが示され、大田区いじめ防止基本方針の改定についても示唆されました。他区においてもいじめ防止に関する条例が次々と策定されておりますが、条例化がゴールではなくスタートであるという共通認識の下、より深い議論へと進めていかなければならないと感じております。日常に潜むいじめを正しく認知し、いじめ防止策を実効性のあるものにするためには、子どもたちがいじめを正しく理解し、正しく対処する方法を学ぶ機会を十分に確保しなければならないと考えます。また、国のいじめ防止対策推進法では、国、地方公共団体、学校設置者、各学校とその教職員、保護者、地域の責務についても明文化されております。
それら子どもたち自身のいじめに対する正しい理解と対処法を学ぶ機会、大人たちが自らの責務や対応について正しく理解する機会、また、それらを担保することが必要であると考えますが、今回改めて条例を制定することの意義と今後の実効性について、区の考えをお聞かせください。
次に、不登校について伺います。都内公立小中学校における不登校児童・生徒数は、平成25年から増加傾向にあり、平成30年の不登校出現率は小学校で0.74%、中学校で4.33%となっており、大田区においても都の出現率と同様の水準であると伺っております。東京都においては、不登校児童・生徒の社会的自立に向けた支援を実現するために、学校と民間団体がより一層の連携を図る必要があるとし、昨年には教育委員会及び学校と民間施設・団体との連携検討委員会が設置されました。検討委員会には、大田区立山王小学校の池口校長先生、また大田区にも拠点を持つNPO法人東京シューレの奥地理事長のお名前もあり、大田区が不登校に向き合う素地のある地域であることを実感しております。
本区においても、来年度より不登校特例校分教室の開設が予定されておりますが、葛飾区で中学校、江戸川区で小学校の2校の不登校特例校を開校しているNPO法人東京シューレなど、実績のある民間団体との連携も含め、今後の不登校対応に関する区の方向性をお聞かせください。
次に、特別支援教育についてお聞きします。現在、日本の特別支援教育は、特別支援学校における教育、固定学級である特別支援学級における教育、そして、サポートルームなど通級指導である特別支援教室で行われる教育と、基本的には三つの場における特別支援教育を推進していく方向を示しており、都も区も、それに準じて特別支援教育を推進してまいりました。特に平成28年度に大田区立小学校全校に設置されたサポートルームでは、来年度には中学校全校設置に向けて段階的に実施されており、本区の特別支援教育の大きな流れの一つであると認識をしております。特別支援学校、特別支援学級、特別支援教室の対象者数は、国、都、区においていずれも増加傾向にあり、さらに、文部科学省によれば、発達障がい等の児童・生徒が普通学級に在籍している可能性は統計上6.5%とも言われ、大田区立小中学校の在籍人数からしますと、中学校で約700人、小学校では約1900人、合計で約2600人程度が対象となる可能性があり、統計上では半数以上は通級学級等を活用していない現状があると考えられます。
来年度、大田区立小中学校の全校にサポートルームが設置されますが、大田区らしい、きめ細やかな特別支援教育を進めていただきたいと思いますが、量的な見込みも含め、今後のサポートルームの方向性について、区の考えをお示しください。
また先月、大田区教育ICT化推進計画が策定されましたが、もともと学びにくさを感じている子どもたちにとってICT機器は有効なツールであり、かねてより特別支援教育のICT化は注目されてきた経緯がございます。国のGIGAスクール構想においても、障がいのある児童・生徒のための入出力支援装置整備もうたわれております。本区においても、今年度より小学校全校に多層指導モデル、デジタルMIMは導入されているものの、残念ながら、現場での活用は思うように進んでいるとは言えません。特別支援教育においてもICT化を推進していただき、授業のユニバーサルデザイン化など、それぞれの子どもたちの学びにくさの解消に向け、ICTの活用を力強く推進していただきたいと考えますが、区の所見をお聞かせください。
最後に、コミュニティ・スクールについて伺います。コミュニティ・スクールについては、かなり以前から議論をされてまいりましたが、今まで「できる規定」であったものが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正され、平成29年度より「努力義務」となったことは理解しておりますが、少子化の進む地方での学校統廃合の過程において、地域活性化や地域の教育力向上に資する取組として、コミュニティ・スクールを地域づくりの中心的な装置として機能させる上で有効な手法であり、地方を中心に進められてきたという印象がございます。国や都では、コミュニティ・スクールのメリットとして、当該児童・生徒をどのように育てていくのか、地域との連携、相互理解の下、当該校の経営方針が明確になる、また、子どもたちを取り巻く地域の課題解決に向けて、地域と学校が協働して取り組む気運が醸成されるなどとうたっております。
しかし、これまでも各学校の地域教育連絡協議会において、地域が学校の教育方針に意見を述べることはできましたし、学校や地域の課題解決に向けて、学校、PTAや、学校支援地域本部、町会・自治会、青少対、民生児童委員、保護司などが力を合わせて取り組んできた経緯がございます。現状においても、子どもたちのために学校をよくしていこうとする学校応援団として十分に機能していると感じております。コミュニティ・スクールになることで学校運営協議会が設置され、協議会メンバーは、校長が作成する学校の運営方針、教育課程の編成、予算執行、施設・設備等の整備に対し、管理、協議し、承認を行うという責任が生じます。経営者である校長先生の経営方針に意見を述べるだけでなく、関与できる権限を持つものです。また、教職員の任用に関しましても、任命権者に意見を述べることができるようになりますが、任命権者であります東京都はどこまでそれに応えてくれるものなのかも不安が残ります。
コミュニティ・スクールの学校運営協議会にはいくつかのねじれが存在していると感じております。まず、学校経営者である学校長の経営方針に承認権を持つ学校運営協議会の委員は、教育に関する専門性を持たない方がほとんどであるという点です。二つ目は、教職員の任用に関する意見具申をすることができますが、人事権は東京都教育委員会にございますので、ただの苦情や要求に終わりやすく、学校と協議会メンバーの人間関係を損なうだけの可能性もございます。また、三つ目は、地域とともに運営する学校と国や都は声高に言っておりますが、他区のように学校選択制を取っている区においては、地域とともにつくる学校に地域の子ばかりが通っているわけではないというねじれも生じてしまいます。様々な観点から、コミュニティ・スクール制度の導入は慎重に進めていただきたいという声も少なくございません。
学校は地域のものである、その前に、そこに通う子どもたちのためのものであってほしいと心から願っております。コミュニティ・スクール制度が、そこに通う子どもたちにとってどのようなメリットがあるのかお聞かせいただきたいと思います。
以上、多岐にわたって質問をさせていただきましたが、
新型コロナウイルス感染症により、私たちは多くの制約を受けることになりました。区政におきましても、多くの制約の中で最大限の行政努力を続けていただいているところであると感謝申し上げます。特にこの間、全国でもトップクラスの上限額での大田区
中小企業融資あっせん制度の全額利子補給など、区独自の判断で敢行していただきましたことを高く評価させていただきます。今後も松原区長のリーダーシップの下、チーム大田として一丸となって難局に立ち向かっていただくことをお願いし、私からの質問を終わります。(拍手)
○塩野目 議長 理事者の答弁を求めます。
◎松原 区長 渡司議員の代表質問に順次お答えをしてまいりたいと思います。
まず、今後の財政運営に関するご質問でございますが、本年7月から9月期のGDP速報値を見ますと、年率換算プラス21.4%と経済の持ち直しの兆しが見られ、1年ぶりのプラス成長となったものの、緊急事態宣言などで経済活動が制限された4月から6月期の落ち込みの半分強の回復にとどまる状況でございます。昨今では、1日の新規感染者が過去最多を記録するなど再び
新型コロナウイルスの感染が拡大しており、今後の区財政は依然として不透明な状況でございます。区の基幹財源であります特別区税や特別区交付金の減収が想定される中、感染症拡大防止や自然災害への備えをはじめ、社会保障関係経費や公共施設の維持・更新に係る経費など、多くの財政需要を抱え、令和3年度予算編成に当たっては全庁を挙げて事業の精査を進めているところでございます。議員お話しのグリーンボンド債など新たな資金調達方法も承知しております。幅広い視点から財源確保に取り組む手法の一つと捉えております。
区はこれまで、中長期的な視点から、基金の適切な積立てや特別区債の発行余力を培うなど、減収リスクに備える堅実な財政運営に努めてまいりました。今後はこれまで培った財政力を効果的に活用するとともに、事務事業の見直しなどを進め強固で弾力的な財政基盤を堅持しながら、区民生活を全力で守り抜く行財政運営を行ってまいります。
次に、
新型コロナウイルス感染症の現状の分析等に関するご質問ですが、まず現状の分析についてでございますが、国内だけではなく、区でも感染者数が増加しております。区内患者の主な感染経路としては、家族内や友人、知人との会食が多く、10月の患者数のうち約25%が60歳以上であり、高齢者においても注意が必要であります。区報やホームページ等で
感染拡大防止のため、会話するときはマスクをつける、体調が悪いときは自宅で休むことなどを分かりやすく啓発しております。
次に、医療体制につきましては、区内の各医師会におけるPCRセンターとともに、診療所での検査体制も強化されてきております。入院につきましては、複数の病院でも
新型コロナウイルス患者を受け入れており、保健所と区内病院の連携で対応している部分も多くあります。今後も東京都や区内関係機関等との連携をさらに強めて対応してまいります。
次に、
新型コロナウイルス感染症に係る東京都と区市町村の共同事業によるPCR検査に関するご質問でございますが、第3波と言われる感染拡大の中、高齢者や障がいのある方に必要な対策を講じることは、区民の生命を守る区の重要な責務であります。区は、新おおた
重点プログラムに、区民の生活を支える福祉サービス事業所等が事業継続できるよう支援することを重要課題に掲げ、施策を進めております。お話しのPCR検査に関する事業につきましては、都、区の役割分担を踏まえ、地域の実情に応じた実施体制を組むことができることから、区といたしましても、都と共同で取り組んでいく考えでございます。本事業では、重症化するリスクの高い方が日常生活を共にされるグループホームや有料老人ホーム等の施設を対象に、新たに入居される方が受けたPCR検査費用を補助するものでございます。今後、具体的な進め方を東京都と協議し、施設等で生活される高齢者や障がい者の安全・安心を確保するとともに、安定した施設運営につなげてまいります。
次に、東邦大学との
地域連携感染制御学講座に関するご質問でございますが、
新型コロナウイルス感染症によります感染拡大がいまだ収束の見通しが立たない中で、区はこれまで感染拡大を防止しながら、区民の暮らしや区内経済活動を支える取組を推進してまいりました。このような状況の中で、区民の命と生活を守るため、喫緊の課題であります感染症の問題に取り組み、
ポストコロナ時代を見据えた新たな行財政運営モデル「大田区モデル」を確立することを念頭に本講座を設置いたしました。本講座では、区民や事業者に向けた感染対策等の広報・啓発、職員全体の感染症リテラシーの向上等の取組に加え、医学的な知見に基づく区内感染状況の分析を進め、政策に反映させることなどを目的としております。具体的な取組といたしましては、昨今の会食等による感染の増加を踏まえまして、11月18日には、区内の飲食店において、東邦大学の舘田一博教授をお迎えして、飲食に伴う感染症対策のご助言をいただきました。また、12月には感染症に対する正しい知識を得ていただくために、区民向け公開講座をオンラインにて開催し、
新型コロナウイルス感染症の最新の情報や基本的な情報について、舘田教授からご講義をいただき、区民の皆様に直接聞いていただく機会を設ける予定でございます。引き続き74万区民の安全と安心を守り、的確かつ着実に区政運営を進めていくために、本講座を効果的に実施し、私が先頭に立ってこのコロナ禍を乗り越えてまいります。
次に、区の再犯防止推進計画策定についてのご質問でございますが、区は更生保護サポートセンターの立ち上げや、保護観察中の未成年を臨時職員として雇用するなど、これまで全国的にも注目される先駆的な取組を行ってまいりました。また毎年、区内全域で展開する社会を明るくする運動では、大田区推進委員会を構成する33の関係機関等が連携し、私自身、推進委員長として運動の先頭に立ち、誰一人取り残さない社会の実現を推進してまいりました。
今回準備を進めております区の再犯防止推進計画は、これまで積み上げてきたこうした更生保護の取組の集大成として策定するものでございます。計画の実行に当たりましては、犯罪を犯した方々が地域の中で生活をやり直せるよう、区と関係機関等が情報交換しながら、円滑で緊密に連携し、再犯防止等に関する施策を総合的に推進していく体制が欠かせないものと考えます。こうしたことから、本計画の推進体制として、まずは再犯防止に資する就労、住居、保健医療、福祉等の施策をこれまで以上に推進する庁内体制を整備してまいります。また、保護司会など地域の関係機関等が定期的に集まり、当面する問題や対応について情報を共有し、協議する会議体の設置も見据えてまいりたいと考えております。今後とも地域の理解と協力を促進するための広報・啓発活動及び協力団体、協力者への活動促進支援などのより一層の再犯防止の推進に向けた大きな支援の輪を構築してまいります。
次に、
羽田イノベーションシティにおける公民連携についてのご質問ですが、羽田空港跡地第1ゾーン整備事業における第一期事業は、先端産業と文化産業の二つの産業を軸とし、世界と地域をつなぐ拠点形成を通じた地域経済の活性化や国際競争力の強化を目的としております。この目的を実現するため、公民連携の手法を用いて新産業創造・発信拠点の形成を目指しております。公民の役割分担ですが、区は施策の方向性を固めるとともに、モニタリングなどを通じて民間事業者の先端的な取組を引き出すことで、そこでの人や企業同士の積極的な交流から生まれた新たな発想や技術、にぎわいなどを区民の皆様に広く還元をしてまいります。一方、民間事業者は、区が期待する成果を創出するため、柔軟な発想や機動力を最大限に発揮し、建物の建設から管理運営まで、自らの責任と資金負担によって全うすることとしております。こうした役割分担の下、公民双方にメリットを生み出すため、区から積極的な提案を行うなどモニタリングを通じ、PDCAサイクルを着実に回すことで継続的なまちの発展、さらには区内経済の活性化や回遊性の向上など区内への波及効果を創出してまいります。
次に、
羽田イノベーションシティで構築されるスマートシティの目的と、どのような成果につなげていくかというご質問でございますが、大田区が抱える多様な地域課題を解決し、持続可能な都市とするため、実証的取組を行うテストベッドとして、スマートシティを
羽田イノベーションシティに形成することを目的としております。先端技術を駆使した様々なロボットやモビリティなどの実証実験で得られたデータを蓄積し、分析することで、例えば人間とロボット、自動走行カートと歩行者の共存など、実際のまちなかでの実装を可能にします。民間事業者にとっては、ビジネスのシーズやニーズの把握、区では地域課題の解決に向けたヒントを得て、区の施策にフィードバックさせ、交通不便地域の解消、年代や障害の有無などを超えた社会参加の実現などを目指します。こうした公民双方のメリットを享受できるよう、部局を超え庁内一丸となり、スマートシティの構築はもとより、区民の皆様のより豊かな生活につなげてまいります。
次に、ハネダピオの今後の方策、在り方に関するご質問でございますが、ハネダピオは24時間国際拠点空港である羽田空港に隣接する立地特性を活かして誕生した全国でも例のない新産業創造・発信拠点「
羽田イノベーションシティ」における本区の産業政策の新たな最重要拠点として位置付けております。国内外の多様な主体と区内の事業者が連携できる機会を常設して、異業種分野が積極的に交流、融合し、新たな化学反応を起こすことで、これまでにない技術やアイデアなどの新たな価値を生み出す、いわゆるオープンイノベーションを加速することが可能となります。これまでの産業政策に加え、こうしたオープンイノベーションの取組を行うことによって、持続可能な区内産業の集積維持、発展につなげてまいります。一方、今はコロナ禍のために交流空間での企画や発信には制約が伴い、ハネダピオが本来発揮できる機能が限定的となっておりますが、このような状況においても、海外を含む様々な業種の企業や研究機関、学術機関からのお問合せや視察の申出を受けています。いずれの皆様からも、ハネダピオの持つポテンシャルに大変強いご関心や、連携を希望するご意見などをいただいております。
また、この地は先端産業を活用して地域課題の解決に取り組むスマートシティの構築も目指しており、このほど東京都産業技術研究所と協定を締結したほか、現在、ロボット技術を活用した企業との連携や、地方創生にも貢献する農工連携など具体的な取組も進んでおります。引き続き、新産業創造・発信拠点として、大田区はもとより、国内外のシンボル的ランドマークとなるよう、国や東京都、関係機関、区内企業ともしっかりと連携し、取り組んでまいります。
次に、児童虐待防止に向けた今後の取組に関するご質問ですが、区は周囲から孤立した子育てに陥ることがないよう、今回の検証を子育て世代包括支援センター機能の強化に活かし、具体的な取組として実行してまいります。区ではこれまで、健康政策部とこども家庭部が連携することで、子育て世代包括支援センター機能を果たしてまいりましたが、今後は虐待予防や早期支援など組織対応力を一層強化するため、子ども家庭支援センターを包含することといたします。母子保健施策のコーディネーターである保健師と子育て支援施策のコーディネーターであります子ども家庭支援員が緊密に連携する体制を構築することで、支援が必要な家庭に対し、妊娠から子育て期まで切れ目のない支援をさらに充実してまいります。
また、地域で孤立せずに安心して子育てをするためには、民生委員児童委員や地域の様々な子育て支援団体等による見守りが不可欠でございます。そのため、区は支援が必要な家庭が、地域活動団体とつながる新たな取組を推進し、地域とのつながりを強化することで、行政から見えにくい家庭の問題を見守る体制の強化につなげてまいります。
次に、
温室効果ガスの削減やSDGsの取組の推進についてのご質問ですが、地球温暖化に伴う気候変動は、社会全体に多大な影響を及ぼすリスクであり、国、自治体、事業者、国民が危機感を持って取り組むべき喫緊の課題であります。菅首相は、第203回国会の所信表明におきまして、成長戦略の柱として、経済と環境の好循環をつくり出し、カーボンニュートラルの実現を目指す方針を打ち出しました。企業や研究機関などでは、低炭素化や環境負荷低減に係る研究技術開発や製品化に向けて取組を加速することが見込まれます。このような中で、高度なものづくり技術を持つ区内企業や研究開発型企業の役割はますます重要になってくるものと考えます。このため、区は大田区産業振興協会と一体となりまして、
羽田イノベーションシティ内のハネダピオを活用して、持続可能な開発目標といった社会的課題の解決に取り組む企業と区内企業との連携構築などに努めてまいります。
また、区職員がSDGsに取り組むとともに、地球温暖化対策を実践、共有、発信するための取組でありますおおたクールアクションを推進し、区民の低炭素ライフスタイルの実践や、ビジネスの低炭素化の促進を図るなど、カーボンニュートラルの実現に向けた気運醸成と土台づくりを進めてまいります。区は、引き続き持続可能で快適な社会を次の世代につないでいくため、2050年、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて着実に取組を進めてまいりたいというふうに思っております。私からは以上でございます。
◎小黒 教育長 私からは、教育に関する五つのご質問に答えさせていただきます。
まず、いじめ条例を制定することの意義と実効性についてのご質問です。条例化を図る意義は、公平性、中立性に十分配慮した有識者による組織「大田区いじめ問題対策委員会」を常設し、重大事態が発生した場合には、直ちに調査委員会に転用し、迅速、適切な調査が可能となるところにあります。本区では、いじめ防止対策の具体的な内容につきましては、大田区いじめ防止基本方針を定め取り組んでいるところです。条例制定に伴い、この基本方針の見直しを行い、学校現場における従来のいじめ防止の対策を、より実情に即した実効性の高い内容に改定する予定です。また、条例制定を機に、改めて子どもたちには、いじめが、いじめられた子どもの人間性を傷つけ、心身に深刻な影響を及ぼす人権を侵害する許されない行いであるということ、傍観者として見て見ぬふりをすることは、いじめに加担するものであることを十分に理解させ、子どもたちの人権意識を育む活動に取り組んでまいります。あわせて、教職員にも、いじめを見逃さず、組織として毅然として対応することを改めて徹底してまいります。教育委員会といたしましては、条例制定によって、これまで以上にいじめ認知の感度を高めるとともに、継続的にいじめ防止等の施策について議論を深め、いじめ対応についての検証を重ねることによりまして、実効的ないじめ防止対策を実現してまいります。
次に、今後の不登校対策に対するご質問でございます。議員お話しのとおり、不登校児童・生徒数が全国的に増加傾向にある中、引き続き不登校対策は重要な施策でございます。本区では、これまで適応指導教室「つばさ」を設置し、不登校児童・生徒の居場所づくりを進めてまいりましたが、来年度4月に23区で初めてとなる公立の不登校特例校分教室を開設する予定でございます。不登校の生徒にとって新たな選択肢となる分教室は、不登校の生徒が社会的・職業的自立に向けて必要となる資質、能力を育成する特別な教育課程を編成しますが、将来的には本校化を目指しております。また現在、おおた教育ビジョンを踏まえ、総合的かつ計画的に不登校対策を推進するために、不登校対策基本方針を作成中でございます。加えて、様々な要因で不登校となる児童・生徒の多様な教育ニーズに応えるためには、適応指導教室「つばさ」、不登校特例校分教室という選択肢に加えまして、引き続き民間施設等が不登校児童・生徒の居場所の一つとして選択できることが重要です。今後もより一層、民間施設等とも連携を図りながら、一人ひとりの状況に応じた居場所や学びの場の確保に取り組んでまいります。
次に、特別支援教室(サポートルーム)の今後の方向性についてのご質問です。サポートルームの目的は、発達障がいのある児童・生徒の学習上、生活上の困難さの改善、克服にあります。障害に応じた指導、支援を工夫することで、対象の児童・生徒が在籍学級で有意義な学校生活を送ることを目指しております。これまでのサポートルームでは、特別な指導、支援により、発達障がいのある児童・生徒の集団適応能力が伸長されるとともに、障害による困難が改善、克服されるなどの成果がありました。今年10月31日現在、サポートルームを利用している児童・生徒数は1061名です。令和3年度はさらに増加する見込みでございます。そこで、これまで以上に児童・生徒が抱える困難さや本人の特性、指導目標や具体的な指導方法などについて、巡回指導教員と在籍学級担任との連携を図るとともに、発達障がいのある児童・生徒の特性に応じた適切な支援の充実を図り、自信喪失や、進路、将来への不安などに対応してまいります。今後ともサポートルームの制度に対する児童・生徒や保護者の理解を促すとともに、小中学校間の連携・協力によって、サポートルームを利用する児童・生徒への切れ目のない支援を図ってまいります。
次に、特別支援教育におけるICT活用の推進についてのご質問です。議員お話しのデジタルコンテンツは、視覚化や動作化、音声化などで、児童の読みのつまずきをサポートするコンテンツです。児童・生徒のつまずきを判定でき、かたまり読みや語彙の拡大のためのトレーニングが多数用意されてございます。従来は教員用のタブレット端末のみを使用していたため、複数の児童に対して一斉に実施できない課題がありましたが、1人1台児童用のタブレット端末が配備されることから、一斉に児童・生徒の全員のつまずきが把握できるようになります。また、児童自身が1人で反復学習できるため、個別化した学習が可能となります。さらには、児童の学習の進捗状況は、タブレットのトップ画面に宝島の地図の形で表示されるため、児童はゲームを攻略するような感覚で楽しく学習することができます。今後も優れたコンテンツの導入を促進するとともに、授業のユニバーサルデザイン化を図り、特別支援教育におけるICTの効果的な活用について研究してまいります。
最後に、コミュニティ・スクールに関するご質問ですが、コミュニティ・スクールは、子どもたちを取り巻く社会状況や学校が抱える課題が複雑化、多様化する中で、学校と地域住民が力を合わせて学校の運営に取り組む「地域とともにある学校」を目指すための有効な仕組みでございます。地域の声を活かし、地域と一体となって特色ある学校づくりを進めていくことができます。この取組によって、学校に多様な人が関わっていくことで、多くの大人の専門性や地域の力を活かした教育活動が実施され、学校での学びがより豊かに広がりを持ったものにつなげたいと考えております。まずは、来年度のモデル校5校からスタートいたしますが、教職員、地域の方々、保護者など、コミュニティ・スクールに関わる方々の間で意識や取組の方向性の共有を図ることが重要でございます。教育委員会といたしましては、モデル事業で明らかとなる課題などを慎重に検討し、その後の展開を図ってまいります。
○塩野目 議長 次に、18番勝亦 聡議員。
〔18番勝亦 聡議員登壇〕(拍手)
◆18番(勝亦聡 議員) 大田区議会公明党の勝亦 聡です。会派を代表し質問させていただきます。理事者の皆様には誠意あるご答弁をお願いいたします。
難敵である新型コロナ感染症は、冬に向かうにつれ、第3波を思わせる拡大が続いており、区民生活や経済に多大な影響をもたらしております。特に最近の大田区民への感染拡大の状況には危機感を感じざるを得ません。こうした状況にあって、松原区長はいち早く区民へのメッセージを発せられたこと、また、新春のつどいをビデオメッセージに変更されるなど、区民の安全を守るために懸命なご判断をされていることを高く評価いたします。コロナ禍というこれまで経験したことのない事態に対し、本区は7回もの
補正予算編成を行い、産業、福祉、教育等、区民生活を守る緊急措置を実施しています。新型コロナ感染症のような災害レベルのリスク対応は正解が一つとは限らないため、事業の是非など、その都度様々な評価にさらされることになります。緊急事態下での行政の姿勢としては、まず「なすべきことをなす」に徹するべきであるということは言うまでもありません。
しかし、沈静化した時点、もしくは一定の期間を経た段階で、その対応策について十分な精査を行い、区民への説明責任を果たすことが重要と考えます。本区で言えば、イベント対応、定額給付金支給への取組、産経部の緊急融資制度、PCR検査センターの設置、緊急事態宣言時における職員の勤務体制など、新型コロナ感染症対策本部を立ち上げて以降の対応を振り返り、経験を積み上げることが、今後起こり得るリスクへの対応力をアップする意味でも必要不可欠な資源となり得ます。
昨年の台風対策については、先の決算特別委員会に一部資料が提出されましたが、今回のコロナ禍は、その規模においては比較になりません。一連の対応について、財政支出と連動した内部統制評価を実施し、報告していただくことを要望いたしますが、区長の見解をお示しください。
現在、令和3年度の予算編成作業は佳境に差しかかっていることと思います。現在の感染状況を踏まえても、予算編成に当たっては、これまでの緊急対応から長期戦を覚悟した
ウィズコロナに加え、アフターコロナを見据えた予算編成作業が進められていることと推察をいたします。少子高齢化や人口減少といったこれまでの課題に加え、コロナ禍という新たな課題にどう立ち向かっていくのか、キーワードは「効率性」であり、その肝となるのがデジタル化であり、ICT化であると言えます。
ところで、組織におけるICT化では、よりよい成果を上げるため、事業目的の共有による既存事業の見直しと再構築が重要であると伺います。自治体としては、内閣府が進めている情報システムの統一、標準化が挙げられています。コロナ禍における区政運営に当たっては、例年行われてきた事務事業の見直しから、国が進める情報システムの統一、標準化の方向へと見直しを進める必要があると考えます。行政需要は年々多様化、複雑化しています。この機に、事務事業のフローを見える化し、全職員が課題を共有しながら、効率化できる事業システムの再構築を目指していくことを期待します。事務事業の見直しに資するICT化の視点について、区長の見解をお知らせください。
今後取り組むICT化は、いわゆる情報リテラシーのセンスと技術が求められ、時間と費用を一定程度覚悟して取り組まなければならないと考えます。コロナ禍で先の見えない難しい財政運営となると思いますが、将来を見据えた改革に伴う財政支出については行うべきだという考えを申し添えておきます。
次に、区の公共施設整備についてお伺いをいたします。今年度補正予算で緊急対応してきた様々な衛生対策は、やがてコロナ禍での新しい生活様式を構築するために標準化されていくことでしょう。
ウィズコロナ、アフターコロナ時代の都市政策の見直しは加速度を増して議論が進んでいくものと思われ、そうした知見も含みつつ、本区はこれからの公共施設整備計画を着実に進めていく必要性があると考えます。
新型コロナウイルス感染症の拡大は、公共施設の改修、改築等における設計仕様について、今後新たな基準の検討を進めていくことになるのではないかと考えます。例えば改築計画にある学校では、感染症対策で十分な換気を行う際に、窓から害虫などの侵入を防ぐための網戸の設置や非接触型の水洗器具の標準化などが挙げられています。さらに様々な感染症の感染源となり得るとの調査結果もある学校トイレについては、ダイバーシティの観点からも、その在り方の再考が求められているところです。さらに、国策であるGIGAスクール構想によって全校配置が進められているタブレット端末を筆頭に、電源を必要とする機器の電源容量の確保、またICT化によるLAN環境の整備など、新たな付帯設備の増加が想定されております。
大田区は平成28年、道路、公園等のインフラ施設を除く主な574の公共施設を対象に、大田区公共施設適正配置方針を定めました。これにより、それぞれの公共施設における短期、中期、長期の改築時期を明確にし、既存施設の利活用の促進や複合化の推進、PPPやPFIといった公民連携手法の活用など、様々な選択肢を組み合わせながら施設マネジメントに取り組まれております。しかし、今後、一般財源の大幅な減収が見込まれる中、こうした公共施設の整備計画をより平準化していくことが課題と言われております。
国は平成26年に、各地方団体において、公共施設等総合管理計画の策定に取り組むよう通達を行いました。この通達には、公共施設等の老朽化対策が大きな課題となっている今、早急に公共施設等の全体の状況を把握し、長期的な視点を持って更新、統廃合、長寿命化などを計画的に行うことで、財政負担を軽減、平準化するとともに、公共施設等の最適な配置を実現することが必要となっていると記されています。また、国は、この公共施設等総合管理計画を踏まえ、個別施設計画を令和2年度までに策定するよう要請していることから、現在本区では、各施設に対する個別施設計画の策定に部局間で鋭意取り組んでいると思いますが、現在の進捗状況と活用について見解をお示しください。
総量抑制を図るため、積極的に複合化を進めることは方向性としてはよいものと考えますが、一方で、区民の利便性や安全性の確保、防災の視点など求められる機能の多様化、また、その施設が地域のまちづくりに及ぼす効果など、整備計画以上に、整備後の運営事業にも踏み込んだ総合的な検討を深めながら、より実効性のある計画の策定を進めていただきたいと考えます。また、公共施設の複合化を進めることで、今後不要となる建物や未利用地が生まれます。建物については、その規模によっては改修を施し、新たな経済活動拠点に転換し、自主財源の確保につなげていくことも考えられます。また、土地については、点在する公有地を土地区画整理事業により集約し、新たな種地とする手法や定期借地権を設定して民間事業者の運用を促す手法、また売却するなど、区財政に資する取組のほか、フレイル予防や就労支援の一環などとして農園とするなど、福祉的な活用も考えられます。こうした残存建物や未利用地の今後の活用について、現在区ではどのような構想を持って取り組まれているのか、見解をお伺いいたします。
次に、産業施策についてお伺いいたします。7月3日にオープンした
羽田イノベーションシティですが、足を運ぶたびに視察に訪れている団体を目にします。コロナ禍にあっても注目度の高さを実感し、「世界とつながる大田」の緒についた感があります。いよいよだというときの
新型コロナウイルス感染症拡大には動揺を隠せなかったと思いますが、
羽田イノベーションシティを含めた羽田のポテンシャルは、
ウィズコロナ、アフターコロナの中で新たな価値創造を牽引する力となっていくことは間違いないと考えます。大田区としては、ハネダピオ、蒲田ピオのすみ分けをするとしていますが、改めてハネダピオの方向性について、特にテナント区画と交流空間についてお伺いいたします。
世界中がこの困難を乗り越えながらニューノーマルを模索している中で、ハネダピオには、世界が必要とする技術や情報をいち早くキャッチし、区内企業につなげていくこと、また区内企業の力を発信していくことを使命とした運営が期待されているところであります。テナント区画については、たらればではありますが、コロナがなければ全区画とまではいかなくても、相応の入居者が確保されていたであろうことは想像に難くありませんが、とはいえ、コロナ禍にあっても、4社5区画の入居が決定していることは評価に値します。未入居区画が多いことを無駄な開発の結果だと、ためにする批判の声もあることも承知しておりますが、こうした時期だからこそ、容易に条件緩和などの妥協はせずに、真に目的にかなった入居企業の選定を目指していくことを望みます。
また、交流空間の効果的活用こそ、ハネダピオの真骨頂であると考えます。バーチャル展示会やリモート商談会など、場所や時間の制約を受けないつながりを創出するなど、区内の高度な技術と産業の魅力発信拠点となる活用について区の見解をお聞かせください。
ハネダピオは、大田の産業の未来を拓く希望と期待しますが、その一方、コロナ禍の区内産業は感染拡大をにらみながら綱渡りをしている状況であることは否めません。今年度策定に向け検討されていた(仮称)産業基本構想は、不確定要素が多いということで策定作業が延期されておりますが、新型コロナの収束を待っていては、区内産業を支える方向性を示すことができないのではないでしょうか。特に新型コロナ感染症のようなグローバルリスクへの対応は、中小零細企業が多い大田区のような自治体では、大企業とは違う基礎体力が必要なはずです。
経済産業省では、コロナ禍の5月、「
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえた成長戦略の方向性」というテーマで、産業構造審議会の分科会である成長戦略部会を開催しています。コロナ禍にあって、いかに感染拡大を抑えつつ、経済、社会の構造変革ができるか、世界中が模索する中で、デジタル化、失業なき労働移動、デマンドサイドのマネジメントベンチャー支援等、その道の専門家の意見交換は示唆に富むものでありました。
こうした視点を参考にしながら、このたびのコロナ禍で浮き彫りになった区内産業の強みや弱み、
ウィズコロナ、アフターコロナという新たな価値観、さらには
ポストコロナや、自然災害や、デジタル化の進展に伴うサイバーセキュリティといったリスクへの対応といった、多角的な情報の収集、分析や発信、相談などについて、行政が担う範囲も検討する必要があると考えます。(仮称)産業基本構想の検討の方向性について、区長の見解をお聞かせください。
次に、大田区内におけるキャッシュレス決済の普及策についてお伺いをいたします。我が会派の岡元議員は、第2回定例会の代表質問で、「今回の
新型コロナウイルスの感染拡大やオリンピック・パラリンピックの開催延期をチャンスに変えて、キャッシュレス化への転換をより一層促進していくことができるのではないか、そのための具体策を支援すべき。一時的な財政投入で終わってしまう支援ではなく、それぞれの店舗が自力で生き残っていくために寄り添った支援が必要だ」と述べ、区の見解を問いました。それに対し、松原区長は、「我が国では現金による商い習慣が今も広く残っていることから、キャッシュレス決済に移行しにくい状況がございます。一方で、現金の受渡し自体が感染のリスクを高めるとも言われていることから、リスクを少しでも低下させる方策として、キャッシュレスへの転換は有効と考えております。区といたしましては、店舗がキャッシュレスに向け設備を整える場合の支援など、スマート社会に向けたさらなる取組を進めてまいります」と答弁されております。
経済産業省の調査によると、現金決済の社会的コストは年間約1.6兆円である一方、キャッシュレス化による潜在的経済効果は年間約6兆円に上ると試算されています。
ウィズコロナ、アフターコロナの経済対策としても、キャッシュレス化の推進は必須です。では、なぜキャッシュレス決済はなかなか普及しないのか。一般社団法人キャッシュレス推進協議会が、消費者と事業者双方の導入停滞のボトルネックを調査した結果、消費者側からは、「必要性を感じない」、「使い過ぎを防ぎたい」という意識が高いこと、一方で事業者側からは、「決済手数料が高い」、「初期導入コストが高い」、「入金サイクルが遅い」、「売上が伸びる、お客が増えるといっても実感しづらい」といった意識が高いことが分かりました。つまり事業者側の経費の負担感のみならず、消費者の心理的な壁をどう乗り越えていくかが今後のキャッシュレス化を進める上で大きな鍵を握ることから、決済端末の普及など、ハード対策と併せてソフト対策を進める必要があると考えます。
政府は、現在20%台のキャッシュレス決済の比率を、2025年度までに40%程度、将来的には80%という目標達成に向け、まちぐるみでキャッシュレス化を進める面的キャッシュレス・インフラの構築支援事業を用意いたしました。あわせて、東京では、商店街キャッシュレス導入モデル事業補助金を整備し、本区でも蒲田西口商店街振興組合が応募、採用されています。都の補助金事業のように、導入前のコーディネートや導入後のフォローの仕組みを設けること、キャッシュレスサービス提供事業者と導入希望事業者との橋渡しを行うマッチング事業を実施すること、店舗や商店街に対しての講座や説明会、個別相談会を開催することなどといった、国や都の補助金事業を区内の商店街に引き込んでいく取組を継続して進めるとともに、普及を妨げる心理的な壁を取り除くために、ニューノーマルの消費活動であるキャッシュレス化のメリット、デメリットを紹介する消費者向け講座の開催や広報パンフレット等による周知活動を行うべきではないかと考えます。本区は、地域経済活性化策として、プレミアム付商品券事業を実施しておりますが、商店街の自立的発展や社会情勢を鑑みても、今後キャッシュレス化に重点を置いて施策を進めるべきと考えます。本区が行うキャッシュレス決済の普及促進の取組について、区の所見をお伺いいたします。
世界が立ち向かうピンチではありますが、この機をチャンスに変える知恵を発揮しながら、事業者への支援とともに、賢い消費が経済効果につながるという消費者マインドの醸成で、国際都市として、商い上手の大田を目指していただきたいと思います。
続いて、大田区所蔵文化財の活用についてお伺いいたします。本区は、龍子記念館や熊谷恒子記念館の所蔵品のほか、寄贈いただいた川瀬巴水の版画をはじめとした著名な作家の作品を所蔵しております。本来、こうした所蔵品は区の文化財として一括管理が望ましいと考えますが、29年度まで区民センターで保管していた作品も含め、現在、郷土博物館、龍子記念館のほか、ふれあいはすぬま、区民プラザ等において分散管理されており、改善が行われておりません。現在の保管状況からしても、大切な作品の品質維持という点では、一括管理の早急な整備が待たれているところであります。
一方、所蔵品の活用については現在、各記念館やアプリコアートギャラリー、文化の森、本庁舎2階の展示スペース等で展示がされております。より多くの作品を鑑賞していただけるよう、これからの施設整備の際にはギャラリー機能を付与するなど、展示スペースの拡充に努めていただきたいと考えます。そのことは、大田区文化振興プランの課題解決にもつながるものであり、区の絵画等を寄贈された方々の期待に応えるものとなります。
ところで、区の収蔵品の多くは寄贈品ですが、収蔵経費などを考えると、今後は保管すべき文化資源を確実に収集、保管するための収蔵方針及び基準が必要と考えます。収蔵と展示に関しての区の考え方をお示しください。
本区は平成23年に、大田区地域文化振興プランを策定し、平成27年に名称を改め、大田区文化振興プランを策定しました。その後、文化振興に関する法律や国による文化振興に関する政策の見直しがなされる中、大田区でも文化の振興及び文化を通じたまちづくりについて、基本的な考え方と施策の方針を示した平成31年度から令和5年度までの計画改定が行われました。計画には三つの基本目標の下、七つの施策方針が示され、各目標に示された課題を踏まえ、特に取り組むべき施策を重点施策として位置づけられています。
改定から2年、それぞれの目標を設定した施策が展開されていることと思いますが、重点施策の中でも、勝海舟記念館のオープンに伴い、来館を通して海舟の思いと大田区のゆかりを周知し、地元周辺地域、商店街を巻き込んだにぎわいの創出や、「まいせん」といった歴史、文化、自然をテーマとした回遊性を高める取組には注目しているところです。
我が会派でも、これまで日本遺産への登録や川瀬巴水作品の風景を巡るなど、文化を基調とした区内の回遊性を高める方策を要望しましたが、大田区内には、かねてより再整備が検討されている馬込の郷土博物館や
馬込文士村をはじめ、様々な文化のミニ拠点が点在しています。こうした文化資源を有機的につなぎ、大田区の魅力に親しんでいただくための取組を期待します。区の見解をお示しください。
続いて、コロナ禍における要配慮者への支援について伺います。例年、公明党は、夏に各種団体との懇談会を開催し、ご要望やご意見を伺っています。本年はまず、コロナ禍のご要望を書面で伺い、秋になって縮小した形で懇談会を実施いたしました。その中で、知的障がい者や身体障がい者団体の共通した要望の一つが、在宅介護を行う家庭で、介護者や家族が新型コロナに感染した場合、取り残された要介護者等の一時受入れ体制の整備を望む声がありました。実際に該当者が出たとき、障がい者が通所している施設に連絡を取り、その施設運営事業者が必死に探し回って受入れの入院先を確保されたと伺いました。介護者が
新型コロナウイルスに感染した場合の区への報告及び支援体制はどのようになっているのか伺います。
先の第2回東京都
議会定例会の公明党の代表質問で、「要介護者等を迅速に受け入れる体制整備とともに、市区町村に対しては財政措置だけではなく、都が調整に加わるなど支援をすべき」と提案しました。これに対し、福祉保健局長は、「都は、地域で一時的に受け入れられるよう、介護施設の空きベッドの確保、自宅から施設等への搬送など、要介護者等の状況に応じて必要な取組を行う区市町村に対して、1000万円を上限に、その全額を支援していく。また、モデルとなる取組事例を示すとともに、関係団体等への協力依頼や、複数の自治体が共同して実施する場合の調整を行うなど、地域における在宅要介護者等の受入れ体制の整備を進めていく」と答弁しました。本区として、この上限1000万円の全額支援を活用した一時受入れ体制の整備について、見解をお示しください。
また、本区では連日、小中学校で陽性者が出ていますが、ひとり親家庭において保護者が感染し、入院する場合、児童も陽性であれば、保護者同様、入院の措置が取られると思いますが、陰性の場合、子どもだけを残して入院生活を送ることは不可能です。ひとり親家庭に限らず、両親が陽性になる可能性もあります。このような場合の相談体制及び児童・生徒の受入れ体制はどのようになっているのか伺います。
例えば中高生であれば、濃厚接触者として在宅を続け、学校にも行けず、長期間1人で、あるいは子どもたちだけで暮らすケースも想定されます。こういった場合の見守りや配食等の物質的支援体制について、本区として検討しておく必要があると考えますが、区長の見解をお示しください。
次に、本区における自殺対策について伺います。以前より、我が会派の田村議員をはじめ多くの議員が会派を超えて質問してきましたが、コロナ禍において、自殺対策や遺族支援は最も重要な一つと考えます。
WHOは今年5月、3密を避けるソーシャルディスタンス(社会的距離)からフィジカルディスタンス(物理的距離)と言い方を改めました。体の距離は離れていても心はつながっているという意味です。しかし、現実は外出が制限され、社会的つながりを維持するのは難しく、コロナうつ、コロナ離婚、コロナDVなど、心の不安が原因と言われる問題が増えてきています。先月公表された令和元年の自殺者数は2万169人と10年連続で減少、統計を取り始めた昭和53年以降で最少となりました。しかし、同じく先月公表された「コロナ禍における自殺の動向に関する分析(緊急レポート)」によれば、減少傾向だった本年1月から6月の自殺者数が、7月から9月は一転して増加に転じ、特に女性の自殺者数の上昇は顕著で、10月単月の速報値では、男性が前年比プラス21.3%に対し、女性はプラス82.6%と大幅に増加しています。
先日、全国自死遺族総合支援センターの藤井美智子氏からお話を伺いました。庁内連携を高めるつなぐシートやお守りカードなど、他区の先進事例も積極的に取り入れていただきたいところですが、一番強く訴えられたのは、「人と人とのつながりを強くしてほしい、そのためにもゲートキーパーの養成を推進してほしい」ということでした。ITを活用した自殺防止相談事業や、自死遺族支援事業を開始してきた本区の取組は一定評価をいたしますが、ゲートキーパーの養成については、おおた健康プラン第3次に基礎講座修了数の目標はあるものの、達成するための具体的な計画がありません。特に区民と接する職員こそ、正規、非正規を問わず全員が基礎講座を受講すべきと考えます。
さらに、福祉や子育て、国保などの窓口対応の方には、応用講座までの受講も必要だと考えます。コロナ禍によってリモートワークが一気に加速し、仕事の在り方が大きく変化しています。緊急事態宣言下では、本区でも出勤数を制限する在宅勤務となりましたが、こんなときこそeラーニングを活用して、ゲートキーパー講座を実施してはいかがでしょうか。ロールプレイが必要な応用講座は無理ですが、座学の基礎講座なら、在宅でも、あるいは通常業務の合間でも受講が可能です。eラーニングを活用する研修はゲートキーパーに限らず、他の研修についても実施可能となります。また、区民を対象とした講座についても、リアルにこだわらず、Zoomによるオンライン研修など、受講者を増やすための工夫によりコロナ禍でも推進は可能ですし、むしろ在宅時間が長いことを最大限活かしていけると思います。ゲートキーパー養成の具体的な推進計画の策定と、eラーニングを活用したゲートキーパー講座の推進について、区長の見解をお示しください。
次に、本区の治水対策についてお伺いをいたします。昨年台風19号の被害を受けて、風水害から区民の生命、財産を守るため、矢継ぎ早に対策がされていることを評価いたします。都市基盤整備部の今年度の目標並びに重点項目に、治水対策、水防態勢の強化として、多発する台風や局所的集中豪雨などによる浸水被害から区民の命を守り、安心できる生活を支えるため、総合的な治水対策をさらに推進しますと掲げています。本年3月の予算特別委員会で、我が会派の末安議員が、田園調布浸水被害について、浸水被害検証調査と田園調布地区内水解析検討に関して、地域に安心を届けるためにも徹底的な原因究明を行っていただきたいこと、さらに、等々力排水樋門が閉じられた場合を想定した検証を行い、地元に対する丁寧な説明を要望いたしました。
本年9月のまちづくり環境委員会では、令和元年台風19号における田園調布地区内水解析検討についての報告がなされました。その際、昨年10月12日の台風の際と同様の、雨量、水位、排水活動、樋門の操作記録を基に、田園調布地区、世田谷区玉堤地区の浸水の様子について、時間ごとにシミュレーションが示されました。中でも等々力排水樋門の操作については、昨年の台風19号の際の道路の冠水や強風による操作不能で全開だったとされる場合と比較して、計画どおりに閉鎖した場合のシミュレーションでは、多摩川からの逆流がなくなり、浸水の広がりが小さくなるとの結果が示されました。当該地域の住民にとっては万全とは言えないまでも、安心へとつながった結果であると受け止めております。
委員会では、本区の四つの浸水軽減策が示されたということで、中でも無人での継続的な排水活動体制の構築については、区が先頭に立ち進めていくべき内容であり、着実に推進していただくことを要望いたします。
現在、国土交通省の多摩川治水対策プロジェクトは、流域全体における治水対策の取組を行っています。国の動きも含めた大田区の治水対策とそのスケジュール感についてお聞かせください。
次に、虐待防止対策について伺います。先の決算特別委員会での我が会派の総括質疑において、本年6月に蒲田で発生した3歳女児死亡事件を受けて行った検証結果に基づき、この事例をどのように捉えているのか、区としての所感及び庁内連携という視点でどのような体制構築を考えているのかなど質疑をさせていただきました。
その際、「区として、庁内の連携が最も重要であると捉えていること、また地域における見守りも重要であると考えており、それらをより強化するための仕組みを構築していく」との答弁がありました。特に注力していく対策として、行政からは見えにくい家庭の状況を把握するための仕組みづくりを進めていくとの方針が示されました。具体的には、リスク検知の精度向上のため要支援家庭の判断基準を設定すること、潜在リスクを可視化するためにシステムを構築し各課の情報連携を図ること、複数の目によるリスク検知を行うこと、地域活動団体などとの日常的なつながりを持てる機会を提供することなどが挙げられております。
そこで伺います。この間、対応策に具体的に着手されていると思いますが、行政から見えにくい家庭の状況を把握するための方策について、現在の進捗状況についてお示しください。
こうした連携支援ツールが機能するということで、どの窓口からでもリスク検知ができる支援につながる可能性が向上することに期待するところであります。
ところで、検証報告書に対する外部有識者による付帯意見に、「虐待リスクの高い家庭を監視する仕組みではなく、当事者が行政を信頼し、相談できる仕組みづくりが求められる」との指摘があるとおり、リスクを検知した家庭を支援につなげるためには、検知されたリスクの危険度を適正に判断すること、その危険度に見合った対応をするための体制づくりが課題と考えます。また、虐待リスクが高いと判断された家庭の対応では、訪問しても不在であるケース、保護者が執拗に拒否するケースも考えられます。より危険度の高い家庭に対しては、しかるべき行動を起こしていくか否かの判断を行っていくことは極めて専門性を要すると考えます。
そこで伺います。今後、情報共有の環境を強化した上で、虐待などの早期発見に結びつけていくためには、職員のさらなる意識改革をはじめ、関係部署が具体的な行動につなげていくための判断基準を早急に構築し、共有していくことが肝要であると考えますが、区の見解をお示しください。
この事件を教訓として、本区の虐待防止対策が大きく進んでいくことを切に願います。
新型コロナ感染症は、私たちに価値観の変容を求めています。日本の慢性的な課題である少子高齢化や地方創生がコロナ禍でどう変わっていくのか。東京に暮らす私たちにとっても対岸の火事ではいられなくなる日が来るかもしれません。数年前には、人口減少による消滅可能性区の中に大田区が入り驚いたことを記憶しています。ましてや、これからの経済状況によっては、経済的理由が結婚すること、家庭を築くことに二の足を踏む若者がこれまで以上に増加する可能性も否定できません。
公明党は、高齢者や子育て世代への支援策に早くから取り組んでまいりましたが、近年、若者世代からは、その前提の結婚という至極個人的なことまで踏み込んだ支援策を求める声が聞かれるようになっています。本区は平成28年3月に、大田区まち・ひと・しごと創生総合戦略を発表していますが、その基本目標3に、「結婚・出産・子育て・教育などの希望を叶え、未来を担う若い世代の活力あふれるまちを目指す」とあります。平成29年の予算特別委員会で我が会派の大橋武司議員が取り上げました新婚世帯を支援する国の結婚新生活支援事業は、人口減少に悩む地方自治体の支援策として実施されており、東京の自治体も対象になっています。この制度が来年度、対象拡大に向けた要件緩和が進められていると伺っています。
そこで、本区としても、今後は婚姻率にも着目しながら、必要に応じて結婚新生活支援事業のような若者支援策も研究していただきたいことを要望し、全ての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○塩野目 議長 理事者の答弁を求めます。
◎松原 区長 勝亦議員の代表質問に順次お答えをさせていただきたいと思います。
まず、コロナ禍の対応に関する内部統制評価についてのご質問でございますが、区では、令和元年6月に大田区内部統制取組方針を策定し、私をトップにいたします内部統制を推進しております。今年度は内部統制を本格的に運用する初年度と位置づけており、コンプライアンスの推進、業務の効率的かつ効果的な遂行、財務に対する適切な事務の遂行、区民の大切な資産の適切な管理運用に取り組んでおります。議員お話しのとおり、特別定額給付金事業やPCR検査センターの設置など、コロナ禍での一連の対応策について、リスク管理の視点から問題点や課題を洗い出し、再び同様の事業を実施する場合、迅速かつ的確な対応や
区民サービスを実現することが重要と考えております。なお、内部統制に関する方針を定めた区長は、地方自治法の規定により内部統制評価報告書を作成し、監査委員の意見をつけて議会に提出することが義務づけられております。今後もリスクを可視化するとともに、対応策を定め、モニタリングして評価を行い、その結果を公表し、改善につなげるという内部統制を推進してまいります。
次に、事務事業の見直しに資するICT化に関するご質問ですが、
新型コロナウイルスとの共存を前提とした社会におきましても、区は、区民に最も身近な行政として、多様化する行政需要を的確に把握し、
区民サービスの向上に努めていくことが重要であります。これまでも区におきましては、多様化、高度化する区民ニーズへの対応、業務効率化の一層の推進に向けて様々な角度からICTの活用に取り組んでまいりました。今後も感染症をはじめ、自然災害などあらゆる状況に対応するためにも、引き続き不断の業務改善に取り組むとともに、これまで以上にICTを積極的に利活用することが必要であります。国は、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの一環として、自治体の住民記録、地方税、福祉などのシステムを全国で統一化、標準化し、手続きの簡素化、迅速化を進めるとともに、業務プロセスの見直しによる行政の効率化を目指すとしております。自治体が標準化を進めることで、システム運用の効率化や費用を低減することが可能となり、より付加価値の高い業務へ人材などの経営資源を投入することが可能となります。区としましても、今年度策定する(仮称)大田区情報化推進計画に、
区民サービスを支える業務システムの統一化、標準化を重点施策の一つとして位置づける予定であり、着実に取り組んでまいりたいと思っております。今後も、
ポストコロナを見据えた
区民サービスのさらなる向上や業務効率化に向けたICT化を積極的に進めてまいります。
次に、大田区公共施設等総合管理計画を踏まえた個別施設計画の策定状況やその後の活用方法に関するご質問でございますが、公共施設の整備につきましては、コロナ禍における新しい生活様式や学校施設をはじめとした更新時期を迎えた施設の対応に加え、財政負担の平準化など財政状況との整合を踏まえ、適切に取組を進めていく必要があります。こうした中、区では、維持管理や更新に係る対策など、施設ごとの具体的な対応方針を定める計画である個別施設計画について、今年度末の策定に向けた取組を進めております。また、令和3年度におきましても、国の要請に基づき策定した個別施設計画を踏まえた総合管理計画の見直しを予定しております。今後の公共施設整備に当たりましては、策定する関連計画も活用し、引き続き長期的な視点による計画的な施設マネジメントを行うことで、財政負担の軽減と平準化や公共施設の適正な配置を実現してまいります。
次に、公共施設整備により発生します建物や未利用地の活用方針に関するご質問ですが、区では、大田区公共施設等総合管理計画を策定して以降、基本的な方針であります施設の適正配置の実現や施設の集約及び有効活用などの五つの柱を中心とした施設マネジメントにより施設整備を進めております。現在、公共施設整備により発生した建物や土地などの跡地については、今後の公共施設の更新や新たに発生する行政需要に対応するための施設の整備用地としての活用も検討しておりますが、今後も複合化等により機能を移転、集約した施設の跡地が発生する見込みです。このため、全事務事業の見直しにおいて方向性を掲げた区の保有財産の有効活用について着実に取組を進めてまいります。今後も、こうした行政資源の有効活用に向けた取組を進めることで、引き続き効果的、効率的な行政経営を実現してまいります。
次に、ハネダピオの今後の活用に関するご質問でございますが、ハネダピオは、本区における今後の産業振興の新たなシンボルとして、また、区内企業や事業者の皆様にとって、国内はもとより世界とつながることで新たな価値創造に取り組むことができる新産業創造・発信拠点として鋭意、整備を進めております。現在、コロナ禍ではありますが、テナント区画への入居や交流空間の整備については、これまで掲げてきた目的や運営方針を変更する考えはなく、引き続き着実な整備と戦略的運営に努めてまいります。テナント区画につきましては、国内外に広く事業展開を進めるための拠点として、さらには、高度なものづくり技術を有する企業集積地と国際拠点空港が隣接する国内でも例のない優れた立地環境を強みとしております。入居につきましては、既に決まっている企業のほかに、現在、前向きに検討されている企業も複数あり、さらには日々多くの視察もあるなど、このポテンシャルを十分にご理解いただけているものとして今後も誘致を積極的に行ってまいります。交流空間につきましては、アフターコロナも見据えた最先端ロボット、IT技術などを活用した取組に加え、世界中のヒト、モノ、情報が行き交う中で、区内企業が様々なビジネスチャンスと出会い、交流、連携することで、区内経済への波及効果を生み出すハネダピオにおける中心的存在として整備、運営してまいります。既に具体的な検討、取組も始まっており、これまでにないイベントや展示会なども今後実現できるものと考えております。距離や時間といった移動の概念を根底から変え、区内企業が世界とオープンイノベーションできる環境が今まさに誕生しつつあります。これまで国内のどこにもなかった仕組みを通じて、区内企業が新たなステージにチャレンジし続けることができる状況を持続可能的に整え、地域課題の解決につながる取組がこの地から広く羽ばたいていけるよう、引き続き挑戦の手を緩めることなく、全力で邁進をしてまいります。
産業振興構想に関する質問でございますが、この構想は、区内産業を取り巻く変化や、羽田空港跡地における新産業創造・発信拠点の整備などによる新たなステージを見据え、産業のまち大田区が目指す将来像を区内事業者の皆様と共有することを目的に、令和元年度より2か年で策定する予定でございましたが、現在は、
新型コロナウイルス感染症への全庁的な対応に併せて、検討作業を延期しております。今般のコロナ禍は、世界の産業構造や経済システムを根本的に変えるとともに、これまであまり意識されてこなかった感染症がもたらす危機対応という概念を強く人類に突きつけました。未知なるウイルスとの闘いが今後どのような社会をつくり出すのか、現時点では分からないことが多く、不確実な時代となっております。また、近年、頻発する自然災害やサイバー攻撃等にも行政と区内産業界は連携して対応していかなければなりません。一方、人々の生活がある以上、必ず経済活動は行われます。その際、区内事業者の皆様には、様々な変化に柔軟に対応し、事業を継続していく体力をより一層蓄えていただく必要があります。区は、こうした事業者の皆様が、自らの足で立つ自立、また、自らを律して社会の変化に向き合う自律ができるよう、引き続き全力で支援をしてまいります。産業振興構想の策定に当たっては、このような考え方を基本方針としつつ、アフターコロナに向けて時機を逸することのないよう、しっかりと見極め、取り組んでまいります。
次に、キャッシュレス決済の普及促進に関するご質問ですが、小売や飲食などの業界団体では、感染症に対応した事業継続のためのガイドラインにおいて、キャッシュレス決済の促進及び推奨を明記し、導入に向けた様々な取組が行われております。また、キャッシュレス決済の普及に際しては、事業者側と消費者側の双方に物理的、心理的なハードルがあることも聞いております。そうしたことから、キャッシュレス決済の普及には、その仕組みや導入方法など、事業者の皆様にもご理解をいただきながら、普及に向けた取組を継続的に進めていく必要がございます。一方で、キャッシュレス決済を行うための有力なツールであるスマートフォンは、平成30年度時点で世帯別普及率が約8割となっており、消費者側の物理的なハードルは年々解消されてきていると考えられます。そのため、消費者側の心理的側面に働きかける周知、啓発、取組が今後一層重要になってまいります。区といたしましても、国や東京都等とこれまで以上に緊密に連携しながら、
感染拡大防止と利便性向上に資するキャッシュレス決済の促進に向け、取り組んでまいります。
次に、寄贈絵画等の収蔵方針並びに基準と収蔵、展示に関してのご質問でございますが、まず、収蔵方針並びに寄贈を受ける基準については、これまで寄贈を受けるたびに学芸員などが評価を行い、受入れの可否を判断しておりました。今後は、区にゆかりのある作家の作品のほか、ジャンルや収集目的など具体的な基準を整備して、受け入れる作品を判断してまいります。次に、収蔵絵画の保管についてですが、作品は区民の貴重な財産であり、適切な保管と活用が大切です。現状では分散して管理をしており、温湿度管理を含めた収蔵環境の改善が喫緊の課題であります。今後は、収蔵環境の改善とともに、収蔵と展示を機能的に配置、運用する手法について検討し、収蔵施設の整備を進めてまいります。さらに、展示活用につきましては、今後の公共施設整備の際に、多目的スペースにギャラリー機能を加えるなど、展示の拡充に努めてまいります。また、最新のデジタル技術を活用し、鑑賞を楽しむ仕組みづくりについても併せて取り組んでまいります。
次に、区内の文化資源に関するご質問ですが、区内には、馬込、池上、洗足池地区を総称して「まいせん」と呼び、歴史、文化、自然が楽しめる地域として回遊性を生み出しております。洗足池地区に勝海舟記念館、池上地区には池上本門寺や多数の寺院群、馬込地区には多くの作家や芸術家が移り住んだ
馬込文士村での創作活動や交流の歴史があり、川端龍子や尾崎士郎、徳富蘇峰、熊谷恒子の各記念館では、著書や作品を展示、公開しております。さらに、区内各地を描いた川瀬巴水の作品を郷土博物館で所蔵しております。また、その他の地域にも、調布地区の古墳群、あるいは六郷用水、民間の博物館、ギャラリーなどが点在しております。このように区内各所に文化的資産、歴史的資産が広がっており、地域や歴史をテーマとするスタンプラリーやストーリー性を持たせた企画事業を実施するなど有機的に連携させていくことで、地域の持つ魅力を伝えるとともに、来街者の回遊を促す取組をさらに進めてまいります。
次に、
新型コロナウイルスへの介護者の感染に関するご質問ですが、日常的に介護に当たるご家族等が感染した場合に、介護を受ける方の生活を支えることは大変重要です。区は、通所施設などと連携し、早い段階から検査受診などの情報を把握するよう努めております。また、ご家族の状況についてもきめ細かく把握するとともに、福祉サービスを提供する事業所との連携を密にし、受入れ先の確保などに対応しております。
次に、東京都が実施する在宅要介護者の受入体制整備事業に関するご質問ですが、この事業は、在宅で高齢者等を介護する家族が感染した場合、家族が療養に専念できるよう、高齢者等を受け入れる体制を構築するものです。家族が感染しても、高齢者や障がい者が安心して生活できる環境を整えることは重要でございます。区は、こうした事案が発生した際のセーフティーネットを構築するため、本定例会の補正予算議案において、
新型コロナウイルス感染症に係る在宅高齢者・障がい者支援事業に係る経費を提案いたしました。他の公的サービスなどの利用が難しく緊急的に支援が必要な場合に、区内の福祉サービス事業者等と連携した受入れ体制の構築をしてまいります。感染されたご家族が安心して療養に専念し、支援を要する方が安心して家族の回復を待つことができるよう、区として取り組んでまいります。
次に、子どもの受入れ体制についてのご質問ですが、保護者が
新型コロナウイルスに感染し、自宅での養育が困難となった18歳未満の児童への対応につきましては、医療機関で児童を受け入れる東京都の一時保護委託事業がございます。これは保健所からの依頼に基づき、児童相談所が医療機関に一時保護を委託するものです。なお、議員お話しの中高生の濃厚接触者が自宅待機となるケースが生じた場合、東京都と連携し、状況に応じた支援をしてまいります。
次に、ゲートキーパー研修についてのご質問でございますが、自殺の危険を示すサインを発していることが多いため、このサインに早い段階で気づき、寄り添い、相談につなげる中心的な役割を担うゲートキーパーの養成は、自殺対策を推進する上で大変重要でございます。これまで区は、ゲートキーパー養成研修を開催し、区民や区職員、民生委員児童委員、地域の保健福祉支援関係者など約2200人のゲートキーパーを養成してきました。しかし、コロナ禍において全国的にも自殺者数の増加傾向が明らかとなってきた中、ゲートキーパーの存在や役割を広く区民の皆様に知ってもらい、増やしていくことが課題となっております。今後、まずは職員に対しては、議員お話しのeラーニングなどの手法も活用し、受講拡大に向けて取り組むとともに、区民に対しては、研修開催回数を増やすほか、オンライン研修の開催など実施方法を工夫するなど、ゲートキーパーの養成計画を策定し、その養成拡大を目指してまいります。
次に、多摩川緊急治水対策プロジェクトにおける治水対策と予定に関するご質問にお答えします。国土交通省では、令和元年の台風19号により甚大な被害が発生した多摩川流域において、国、都、区が連携して、台風や大雨による水害に対応した治水対策プロジェクトを進めております。この治水対策プロジェクトは、水位低減を目的とした河道掘削に代表される河川における対策と下水道樋管ゲートの遠隔操作化などによる流域におけるハード対策や、マイ・タイムラインの普及促進などのソフト施策を流域全体で連携して取り組んでいくものです。その中で、国は令和2年11月より、水位低減を目的とした河道掘削工事に着手しました。また、区では、令和2年9月に昨年浸水被害のあった田園調布地区に水防活動拠点整備のための用地を取得いたしました。今年度より、取得した用地に建設予定の水防センターの詳細設計を行い、田園調布地区における水防活動拠点の早期完成を目指してまいります。区といたしましては、治水対策プロジェクトの取組の中で、国や東京都、多摩川流域自治体との連携をさらに強化し、流域全体でハード、ソフト両面の総合的な対策に引き続いて取り組んでまいります。
次に、3歳女児死亡事例の検証に基づく対応策の進捗状況に関するご質問ですが、区として、気づくためのあらゆる方策を実行していく所存です。具体的には、区内部の組織対応力を強化することを最優先とし、まずは健康政策部とこども家庭部にある子どもに関する情報を一元管理するためのシステム構築を進めております。このことで、乳幼児に係る健診・予防接種情報、保育施設在籍情報等を重ね合わせることが可能となり、潜在リスクが可視化され、各システム画面上で確認できることとなります。これは本人と接触した際の支援ツールとしてはもちろん、本人と接触できないときにも関係部局と連携して活用することができます。
次に、関係部局の意識改革と連携についてのご質問ですが、保健所や保育施設など乳幼児に関わる部署では、従前から子どもの安全を第一に職務に取り組んでまいりました。今回の検証結果を踏まえ、直接子どもと接しない児童手当などの窓口部門でも、子どもの命を守る視点を持って職務に臨むよう、職員の意識改革に取り組んでいるところでございます。また、3歳女児死亡事例の検証を機に関係部局が一体となって連携する中で、乳幼児健診未受診者を保健所から子ども家庭支援センターに引き継ぐまでの期間を短縮することを決めるなど、鋭意強化に努めております。しかしながら、このような庁内連携でも、事例によってはつかみ切れないものや、難しい判断を求められることが想定されます。今後は、このような困難な事例であっても迅速で的確な対応ができるよう基準づくりを早急に進め、周囲から孤立した子育てに陥ることのないよう、区一丸となって取り組んでまいります。以上でございます。
○塩野目 議長 会議が長くなりましたので、しばらく休憩といたします。
午後3時23分休憩
――
――――――――――――――――――
午後3時45分開議
○塩野目 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、会議時間を延長しておきます。
質問を続けます。31番佐藤 伸議員。
〔31番佐藤 伸議員登壇〕(拍手)
◆31番(佐藤伸 議員) 日本共産党区議団を代表して、質問をします。
10月24日、中米の国、ホンジュラスのロサレス外相が核兵器禁止条約の批准書を国連に寄託することを明らかにし、批准国が条約の発効に必要な50か国に到達しました。条約の規定で、ホンジュラスの批准書が国連に寄託されて90日後の来年1月22日に発効となります。人類史上初めて核兵器を違法化する核兵器禁止条約の発効が決まりました。アメリカ、トランプ政権は、条約を批准した各国に取り下げるよう求める書簡を送りつけ、書簡の中で、米、英、仏、NATO同盟国とともにロシアと中国が条約の潜在的な影響に統一して反対していると強調していました。アメリカをはじめ核保有国の熾烈な妨害活動が繰り返される中で、条約の発効にたどり着いたのではないでしょうか。
国際的にも日本政府の対応が注目されています。日本世論調査会が今年6月から7月にかけて行った調査では、日本政府は核兵器禁止条約に参加すべきと答えた人は72%に達し、参加すべきでないは24%にとどまりました。署名、批准を求める意見書も約500の地方議会で可決しています。日本原水協が10月29日に、唯一の戦争被爆国日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名を広範な著名人の賛同も得て呼びかけました。賛同、呼びかけ人は、田中眞紀子元外務大臣、田中直紀元防衛大臣、作曲家の坂本龍一さん、ピースボート共同代表・ICAN国際運営委員の川崎哲さんなどが名前を連ねています。呼びかけ人の1人でもある作曲家の池辺晋一郎さんは、核保有国が参加していないからどれだけ効力があるのかと言われますが、これまでのクラスター爆弾などの条約でも同じようなことがありました。保有国が参加していなくても条約ができると国際法により効果を発揮してきました。問題は、日本が禁止条約に参加していないことです。日本は批准して核抑止論のむなしさを世界に向かって大きく問いかけてほしい。核を持っているから強いんだということを誇示しているのが核保有国です。それらの国に対して核の恐ろしさを説くのが日本の役割のはずです。日本は唯一の核の被害を受けた国なんだから、恐ろしさや真の怖さを知っている。核抑止論のばかばかしさや幼稚さ、アナクロニズム、時代錯誤だということを世界に説かなければならないと語っています。
これまで党区議団の核兵器禁止条約に賛同し、国に意見を上げることを求める質問に、松原区長は、日本政府の国連総会などを通じて、核兵器保有国と非核兵器保有国とが合意できる現実的かつ実践的な核軍縮、不拡散の取組を核兵器廃絶に向けた現実に即した取組として理解している。大田区としては、区民の皆様とともに平和の尊さについて考え、次の世代に語り継ぎ、平和な世界を築いていく、この趣旨に沿った平和都市実現のため、各種事業に取り組んでいくと答えられてきました。区長が紹介された核保有国も非核兵器保有国も合意できる日本政府の提案は、核兵器廃絶を究極の課題として永遠のかなたに先送りをした上で合意できる課題を探そうというもので、核兵器禁止条約という対立軸とは別の軸を持ち出し、禁止条約支持派の勢いをそぎ、核兵器保有国への風当たりを和らげるものとなっています。しかも、日本政府がこの間、国連総会に提出した決議は、核兵器禁止条約を無視しているため、その先頭に立って活動してきた国々から厳しい批判を浴びる一方、核保有国であるアメリカは棄権、中国、ロシアは反対に回るなど、橋渡しと言いますが、橋の両端が落ち、国際的に破綻をしています。唯一の戦争被爆国、日本の役割発揮が今こそ求められています。日本政府に核兵器禁止条約への署名、批准を求める全国的な署名に区長として署名をし、政府に対して条約の批准をするよう求めます。お答えください。
日本共産党区議団は、11月17日に松原区長に2021年度予算編成に関する要望書を提出しました。この間、区内各団体との懇談、実態調査などで寄せられた多くの区民の声を踏まえた内容で、新型コロナ感染症が広がっている中で項目を厳選した90項目の要望です。速やかに検討し、要望を実行するよう強く求めます。今、区民の生活と営業は、昨年の消費税増税に続き、新型コロナ感染症の影響、最近では第3波の感染急拡大の中で過去最悪の窮地に陥っています。
大田区は、11月13日の総務財政委員会に「予算編成過程の公表について~当初要求状況~」を報告し、1、2021年度予算編成の基本方針、2、予算編成の流れ、3、予算要求状況を公表しました。予算編成の基本方針では、2021年度は、
新型コロナウイルス感染症や自然災害などの危機から区民の暮らしと経済活動を守り、新たな日常の実現に向けた変革を進める予算と位置づけ、中長期的に区の発展の礎となる施策にも留意し、重点課題に特に優先的に取り組み、新おおた
重点プログラムを着実に進めるとともに、これまで実施した
事務事業見直しを反映し、財政の質を高めつつ、健全性を維持し、行政サービスのさらなる向上を図ることを基本として編成することとしましたとしています。予算編成過程の公表についてでは、9月30日時点の予算要求状況で、一般会計の歳出要求額が3022億円で、今年度の当初予算額に比べて148億円、5.1%増となり、歳入は2716億円が見込まれることから306億円の財源不足になると指摘し、歳出においては必要性、緊急性、経費の妥当性を検討し、必要に応じて歳出額の精査を行うとしています。9月29日の都政新報には、「新型コロナ下の財政 各区で事業の見直し進む」の見出しで、
新型コロナウイルス対策で財政支出が増える一方、経済低迷による歳入の大幅な落ち込みが予想される中、各区は本格的な財政危機へ備え危機感を強めているとし、大型施設建設の断念などの事例を紹介しています。記事では、荒川区での西日暮里駅前再開発事業での160億円をかけて計画したホールの建設断念や、世田谷区の総額500億円の事業費を見込んだ本庁舎整備費を15億円縮減した取組、足立区での本庁舎改修設計費5000万円などを見送り、減額補正を行ったことなどを紹介しています。
歳出では、必要性、緊急性、妥当性などの観点から、予算編成過程の公表についてで示された約30億円の蒲田駅前開発や10億円の新空港線整備資金積立基金の見直しを求めます。歳入では、直近の景気動向や特別区税や特別区交付金などを予算に反映させた上で、財政基金からの繰入額や特別区債の発行額を確定させるとしていますが、中長期的視点から、財政基金などからの繰入金や区債を計画的に活用し、区民の世代間の負担の公平に立った運用をコロナ下で大胆に見直すよう求めます。お答えください。
9月14日、15日のまちづくり環境委員会にコロナ禍を踏まえたまちづくりの取組みについての報告がされ、まちづくり推進部が、コロナ禍の中、
感染拡大防止、区民生活支援、区内経済対策の三つの視点から事業の方向性を見直すとしています。「~コロナ禍を経験した社会における~自治体経営とまちづくりの在り方」と題した別紙資料では、経済の活性度の縦軸と時間の横軸のグラフの図を示し、コロナ感染症発生からコロナ感染症収束の時期を第一段階として、区民生活の維持向上・経済復興の推進とし、コロナ感染症収束後に第二段階、国土強靱化への取組強化、第三段階、新しい生活様式の実現で経済の活性度を上げる取組が説明をされています。
党区議団はこれらの事業全てに賛成ではありませんが、感染症収束までの第一段階、生活復興・経済推進の内容は、1、リフォーム助成事業や狭あい道路拡幅助成事業や耐震診断・改修助成事業などの生活維持向上事業、2、道路、公園、下水道などの都市基盤施設の維持向上のインフラ整備事業、3、これらに関する事業の遂行により、区内業者に受発注機会の増大に寄与するとしています。現在は、コロナ感染症が発生し、第1波、第2波を経て、第3波の感染急拡大に見舞われているさなかです。感染収束時までは第一段階、生活復興・経済推進の事業に特化すべきではないでしょうか。ところが、現況は、第一段階にもかかわらず、第二段階での事業に上げられていることが問題です。新空港線(蒲蒲線)整備関連事業の凍結や、当初の計画、予定から大きく立ち遅れている
羽田イノベーションシティにおける区
施策活用スペースでの事業は立ち止まった上で計画の抜本的な再検討を行うなど、この視点での事業の再構築を求めます。お答えください。
現在、冬を迎える中で、日本国内、東京都内、大田区内全てで過去最多の感染者が記録されるなど、まさに
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の第3波に見舞われています。菅首相は10日、感染拡大への最大限の警戒感を呼びかけ、
新型コロナウイルス感染症対策分科会から緊急提言が出されました。しかし、その内容は、クラスターになりやすい業界、集団における事前の連絡網作りや国民に対するさらなる行動変容の呼びかけなど、従来の対策の延長線上にとどまっています。また、21日には、観光需要喚起策Go Toトラベルの運用の一部見直しや、外食需要喚起策Go Toイートも食事券の新規発行一時停止などを知事に求める方針を示しました。人の動きを活発化させるGo To事業については、地域を限り実施することなど大幅な見直しを求める声が続出し、東京都医師会の尾﨑治夫会長は20日、一時中断を提起しました。感染者の急拡大で医療機関が逼迫することへの強い危機感の表明です。批判の強まりの中、頑として見直しを拒否してきた菅政権も態度を変えざるを得なくなりました。しかし、抜本的見直しに程遠いもので、3連休に入ってからのもので、人の動きは活発化しており、遅きに失した表明でした。政府に求められる公的役割をまともに果たさず、静かなマスク会食などのメッセージしか出せない菅首相の姿勢が大問題です。
日本共産党は11月12日、感染拡大の「第3波」到来を直視し、「検査・保護・追跡」の抜本的強化をと題する政府に緊急に対応を求める提言を発表しました。この間、陽性者を見つけ出すためのPCR検査は、これだけの感染の急拡大が起こりながら、その数は8月のピーク時を下回ったまま横ばいで推移しています。これでは感染の封じ込めなど到底できない状況です。現在の感染拡大の第3波に見舞われているという現実を直視し、感染の爆発的拡大を抑止するために、1、大規模・地域集中的検査、社会的検査を政府の大方針に据えて推進すること、2、感染追跡を専門に行うトレーサーを確保し、保健所の体制を抜本的に強化をすること、3、医療崩壊を絶対に起こさないために、医療機関の減収補填、宿泊療養施設の確保を求める3点での緊急対応を求めました。
11月10日の政府の新型コロナ対策本部では、東京都新宿区歌舞伎町での重点検査数や陽性者数の推移を示す資料が配られ、大規模、地域集中的なPCR検査を実施したことにより陽性者数が減少したことが統計的分析で明らかになったと分析をされています。添付されたグラフでも、重点検査の拡大の後、陽性者数が低減していることが明確に示されており、エピセンター、感染集中地化した地域での集中検査の効果が示されています。大田区での検査体制を強化した上で積極的なPCRなど検査を行うことを求めます。この間、1か所だったPCR検査センターを3か所に増設し、検査体制を強化されたことは評価しますが、現状の検査基準、
新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領での検査基準を広げ、感染集中地での無症状者も含めた大規模、地域集中的検査と医療、介護施設などの社会的検査を行うよう求めます。その際、区独自の事業として進めると同時に、国や東京都に対して財政支援を行うよう求めます。お答えください。
9月から11月の大田区での感染経路別陽性患者数の推移を見ると、3割から4割台の陽性患者の感染経路が不明となっているなど、依然として高い水準となっています。現在の急激な感染拡大に対応し、陽性者を着実に把握、保護していくためには、感染追跡を専門に行うトレーサーが不可欠です。この間、欧米の国で感染の再拡大が起こっている要因の一つに、陽性者の追跡、コンタクトトレーシングが十分にできていないことが指摘されていることからもトレーサーの確保は急務です。ところが、政府対策本部の資料によれば、保健所を応援する人材として確保されている人数はとても少ないことが問題になっています。国がその責任で緊急に人員の養成、確保を図ることを大田区からも強く求め、東京都とも連携して人材を確保して保健所体制を抜本的に強化するよう求めます。その際、これまでの兼務配置で対応するのではなく、新規に保健師などを雇用し、対応するよう求めます。お答えください。
医療崩壊を絶対に起こさないための取組が急務です。各地で感染者が急増する中で、既に病床の逼迫や宿泊療養施設の不足が起こり始めています。国が医療機関のコロナ対応支援のために設けた緊急包括支援交付金、総額約3兆円は、10月末時点で2割弱しか現場に届いていません。これでは医療現場の疲弊は打開できません。コロナ影響で赤字に苦しむ医療機関への減収補填の実行は待ったなしの課題です。この間、区は空きベッド保障や感染防護具や医療用器材を支給してきました。先月の第3回定例会、決算特別委員会での党区議団の清水議員の医療機関の実態についての質疑に、厳しい状況と承知をしていると答えられています。減収の実態に合った減収補填を国に大至急求めると同時に、区独自の支援をさらに拡充するよう求めます。お答えください。
菅政権が進めるデジタル化によって、区民の暮らしや地方自治はどうなるでしょうか。例えば、政府内では自治体の窓口業務のオンライン化や無人化も検討されています。狙いは職員削減です。オンライン化は、窓口業務について行政手続きを受け付けるだけの仕事にしてしまいますが、窓口業務は行政手続きを受け付けるだけの仕事ではありません。行政サービスを必要とする区民と直接対面して、生活の相談に乗り、それを最適な行政サービスにつなげる仕事でもあります。自治体の役割は、憲法が保障する個人の尊厳に立脚した人権保障です。このような仕事をAIやロボットだけで担えるとは思えず、拙速に進めるべきではありません。第32次地方制度調査会答申では、広域性が強調され、今の地方自治体が唯一の行政サービス提供主体ではないという発想です。例えば医療や介護でも広域行政体が担うことになり、そのために自治体が持つ様々な住民の個人情報を民間とも共有し、それをデジタル化で進めるというものです。こうした自治体丸ごとデジタル化の実験がスーパーシティ構想です。これではデジタル化によって一層の格差拡大や監視社会への懸念が出ています。デジタル化で便利になると言っても、個人の尊厳やプライバシー保護を前提に進めなければなりません。地方自治体は住民を守るという本来の住民自治が求められています。
今年4月、首相官邸で開かれたIT総合戦略本部と官民データ活用推進戦略会議の合同会議で、当時の安倍首相は、ウイルス感染症に対してITやビッグデータを駆使して対峙しなければならないと強調し、テレワーク要請、行政手続きのデジタル化の前倒しやオンライン教育の加速などを推し進めています。7月の両副区長名で出された来年度予算編成、組織・職員定数の基本方針についてに、RPAなどのICT技術の活用などにも現れています。デジタル化は、先端技術を国民生活向上のためにどう活かせるか、個人情報とプライバシー保護をどう厳格に守るのかなどの課題があり、政府主導で拙速に進めるデジタル化推進計画を大田区として慎重に対応するよう求めます。お答えください。
内閣府が11月16日に発表した7月から9月期の国内総生産、GDP速報値は、物価変動を差し引いた実質で前期比5.0%増と4四半期ぶりにプラスになったものの、GDPの実額は、コロナ前の水準を下回るだけでなく、消費税を10%に増税した後の水準よりさらに悪化しています。前期比プラスといっても、前年水準には遠く及びません。GDPの実額は年換算で508兆円、1年前の7月から9月期に比べ32兆円減っています。個人消費も22兆円減少しています。区内においてはさらに深刻で、9月に発表された大田区の景況4月から6月期では、製造業での業況判断が前期のマイナス51から今期マイナス81、悪化傾向が非常に大きく強まっていて、来期予測もマイナス82と改善の見通しが見えない状況です。これは消費税増税直後の昨年10月から12月期でもマイナス43でしたから、かつてない厳しい景況に見舞われています。小売業での業況は、前期マイナス71から今期マイナス66とわずかに持ち直したものの、依然として厳しい景況に変わりはありません。来期予測ではマイナス74と前期以上の落ち込みが予測されているなど、製造業と同様厳しい景況にあります。事業者のコメント欄には、製造業では、仕事がない、取引先が
新型コロナウイルスによる不況のため仕事激減、全ては
新型コロナウイルスに尽きる、営業に行けない、発注があっても材料の入手ができないなどで、小売業では客数及び売上げの大幅な減少、
新型コロナウイルスの影響が続いているため売上げがゼロですなどの厳しいコメントが並んでいます。菅政権が新設した成長戦略会議に、アメリカ金融大手のゴールドマン・サックス出身の企業経営者デービッド・アトキンソン氏がメンバーに起用されました。アトキンソン氏は、日本の生産性が低いのは中小企業が多過ぎるからだ、無駄にたくさんの人を雇う中小企業は現在のような労働生産性の向上が求められる時代では邪魔な存在でしかないとの発言を繰り返し、中小企業の合併、統合、淘汰を主張しています。一方、アトキンソン氏とともに成長戦略会議のメンバーを務める竹中平蔵パソナ会長は、コロナ禍での中小企業支援策で大事なのは、もともと経営が危なかった企業は救済しないということだと主張、淘汰されるべき企業を残しておくと将来的に日本経済の弱体化につながりますなどと述べています。コロナ禍に乗じた中小企業再編を進める政府内での危険な動きを見過ごすわけにはいきません。今、区内経済を支える中小企業支援策は、
新型コロナウイルス第3波の現状を見ても、この年末、中小企業にとっては一刻の猶予もない。安心して年を越せるよう、早急に全ての事業者の事業維持のための持続的支援を行うことが求められています。
まず、融資制度のさらなる拡充を求めます。区は、
新型コロナウイルス対策特別資金を新設し、融資限度額は当初の500万円から5000万円に、返済期間は当初の36か月以内から108か月以内に、返済据置期間は6か月以内から12か月以内に拡充しました。しかし、感染拡大も第3波の急拡大を迎えている現況において、長引くコロナ不況の中で融資制度の拡充が必要です。
新型コロナウイルス対策特別資金の返済期間や返済据置期間の延長など拡充と、かつて大田区が実施していた信用保証協会の融資枠がいっぱいになった事業者向けの区が直接保証する特別融資の新設を求めます。お答えください。
次に、営業の存続の窮地に陥っている区内中小業者への直接助成が今こそ必要です。区はこの間、実質的に直接飲食店を支援する大田区
感染拡大防止協力金を東京都が実施する営業時間短縮に係る
感染拡大防止協力金の支給を受けた飲食店などに対して、協力金を上乗せして支給、実施しました。この
感染拡大防止協力金の対象条件を広げることや、国や都が行っている家賃支援給付金上乗せ支給や、かつて大田区が実施したものづくり経営革新緊急支援事業など、区内中小業者へ直接助成の実施を求めます。お答えください。
新型コロナウイルスの感染拡大は、日本社会の深刻なジェンダー格差を改めて浮き彫りにしました。医療、介護、障害福祉、保育、学童保育など、この間の自粛、休業要請の下でも仕事を休まず、社会の基盤を支え、命と健康を守ってきた分野は、女性労働者が多い分野です。この分野で働くいわゆるケア労働者がいかに低賃金、人手不足による過密労働など劣悪な環境に置かれてきたことが改めて問題になっています。介護、福祉、保育労働者の平均賃金は、全産業平均より月10万円低い水準にとどまっています。それらの労働が女性の仕事、家事代行とみなされ、低く評価される傾向があるためです。専門性にふさわしい処遇への抜本的改善と、職員の増員による人手不足、過密労働の解消が求められます。現在、策定中の第8期大田区男女共同参画推進プランでも、あらゆる場所でのジェンダー平等の実現が求められています。
まず、選択的夫婦別姓の推進についてです。結婚の際、夫婦が同姓か別姓かを選べる選択的夫婦別姓について7割の人が賛成と答えていることが研究者と市民団体の共同調査で分かりました。調査に当たった早稲田大学の棚村政行研究室と選択的夫婦別姓・全国陳情アクションが11月18日、明らかにしました。調査はインターネットを通じて10月に実施、全国の20歳から59歳の男女7000人が回答しました。選択的夫婦別姓について、自分は夫婦同姓がよい、ほかの夫婦は同姓でも別姓でも構わない35.9%。自分は夫婦別姓が選べるとよい、ほかの夫婦は同姓でも別姓でも構わない34.7%と、賛成と答えた人は合わせて70.6%でした。一方、自分は夫婦同姓がよい、ほかの夫婦も同姓であるべきだとして反対と答えた人が14%です。また、別姓にできなかったことで結婚を諦めたことや事実婚にしたことがあるという人も全体の1.3%に当たる94人いました。
11月6日の参議院予算委員会で、我が党の小池晃参議院議員が、2001年当時、自民党国会議員有志が党三役に、選択的夫婦別姓導入に向けた民法改正について早急かつ徹底した党内議論を進めることなどを申し入れた際、菅、上川両氏が賛同者に名を連ねていたことを指摘し、読売新聞で別姓導入に理解を示す菅義偉衆議院議員は、不便さや苦痛を感じている人がいる以上、解決を考えるのは政治の責任だと話すと紹介された記事を示し、別姓導入を進めてきた方が総理になり、法務大臣になった。政治の責任を果たすときではないかと追及しました。菅首相が、自身がかつて選択的夫婦別姓を推進する立場で議員活動をしていたことを認めた上で、私は政治家としてそうしたことを申し上げてきたことに責任があると答弁をしています。また、上川陽子法務大臣は、国民の間には意見が分かれている状況にあるとしつつ、社会情勢に十分配慮する必要があることも確かだと答弁しています。東京都議会でも、昨年6月に、選択的夫婦別姓の法制化を求める意見書の提出を求める請願を賛成多数で議決をしています。大田区として策定中の第8期大田区男女共同参画推進プランに選択的夫婦別姓の議論の経過を紹介、掲載し、国に対して選択的夫婦別姓の推進を図るよう意見を上げることを求めます。お答えください。
第8期大田区男女共同参画推進プラン素案の基本目標Ⅰ、誰もが尊重される安心・安全なまちを築きますには、「重大な人権侵害となる性同一性障害や性的指向の異なる人たちへの偏見や差別、DVやセクシャル・ハラスメントなどのあらゆる暴力の防止や適切な支援を行い」の文章がありますが、DVやセクシャルハラスメントなどのあらゆる暴力の防止などと併記せず、LGBTQ、SOGIの解説、説明と併せて、差別解消推進の項目を立て、計画を進めるよう求めます。また、東京都内でも、渋谷区、世田谷区、豊島区、江戸川区、中野区、港区、文京区の7区、府中市、小金井市、国分寺市の3市に広がったパートナーシップ制度を大田区でも導入を進めるよう求めます。お答えください。
来年2021年から第8期介護保険事業計画が始まります。介護保険料は3年ごとの見直しのたびに保険料が毎回値上げされ、保険料の基準月額は、介護保険制度が始まった2000年の第1期事業で3070円から現在の第7期事業で6000円に、約20年間でほぼ2倍になりました。第8期事業計画でもさらなる保険料の値上げが予想されており、コロナ禍で経済的にも心身ともに疲弊した区民の負担能力の限界に近づいています。2019年度、昨年度決算で、介護給付費準備基金は、当初の積み立ては2億円余、その後の補正で8億円余となり、合計53億円余になりました。今年度は第7期事業の最終年度になりますが、さらに準備基金が増えることが予想されています。介護給付費準備基金は、第6期事業では35億円の積み立てとなり、第7期事業では、その一部を保険料の増加抑制のために活用しました。来年度から始まる第8期事業で、今期、第7期で積み立てられた介護給付費準備基金の全額を使って保険料引下げを行うべきです。また、現在17段階になっている保険料の所得区分を高額所得者区分の上限額を引き上げるなどしてさらに細分化をし、高額所得者に負担を求める中で低額所得者の保険料の引下げをするよう求めます。お答えください。
第8期介護保険事業計画で検討している一つに、補足給付のさらなる改悪があります。補足給付とは、2005年の制度改悪で、施設利用時の食費、居住費を保険から外し、全額自己負担になった際、低所得者の負担軽減として導入されました。第8期の検討内容では、預貯金などの資格要件を3段階から4段階に増やし、年金収入が120万円を超える場合、資産要件を500万円以下に引き下げる内容があります。こうなると補足給付額は2万2000円減額され、食費、居住費負担が特養ホームの多床室利用者で自己負担額は年間約30万円増えることになります。低額年金者の人にとって介護が必要になったとき、最期まで利用できる施設は特養ホームしかありません。特養ホーム待機者が常に1000人を超え、待機中に亡くなる人も後を絶たない中、今やるべきことは国の責任で特養ホームの抜本的増設しかありません。補足給付の改悪を止めるよう国に求めることです。お答えください。
また、弾力化という名の下に、総合事業対象者を要介護者へ拡大しようとしています。要支援1、2を総合事業として、通所、訪問サービスを介護保険から外している大田区でも様々な問題が既に出ています。党区議団が行った介護事業者へのアンケートでは、大田区は特に卒業というやり方で介護保険外しがひどいや、ヘルパーの仕事が減ったなどの実態がありました。また、利用者からも、デイサービスの回数が減らされたのは納得がいかない、状態がよくないにもかかわらず卒業と言われたなどの声が寄せられています。介護を受ける方も、事業を行う方も、制度あって介護なしの危機的な状況です。さらに、総合事業対象者を要介護への拡大を、国会の審議を経ず、保険者、自治体の判断に委ねることを、法律改定ではなく省令改定で、10月22日厚生労働省老健局が情報提供をしています。ケアプランの有料化は取りあえず先送りになりました。区は、要介護の総合事業への拡大を止め、大田区は介護保険の保険者として、区民の介護サービスの維持に最大限力を尽くすことを求めます。お答えください。以上で全質問を終わります。(拍手)
○塩野目 議長 理事者の答弁を求めます。
◎松原 区長 佐藤議員の代表質問に順次お答えをさせていただきたいと思います。
まず、核兵器禁止条約についてのご質問でございますが、菅首相は、今月5日の参議院予算委員会におきまして、日本政府はこれまで核兵器のない世界の実現に向け、国際社会の取組をリードしており、核兵器禁止条約については、ゴールは共有している一方、現状では、同条約はアメリカをはじめとする核兵器国やカナダ、ドイツなど多くの非核兵器国からも支持されていないところですと発言されています。また同時に、菅首相は、こうした流れの中、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、地道に現実的に核軍縮を前進させる道筋を追求していくことが適切であり、こうした我が国の立場に照らし、同条約に署名する考えはなく、引き続いて立場の異なる国々の橋渡しに努め、核軍縮の進展に向けた国際的な議論に積極的に貢献をしていきたいと、これまでと変わらない方針を示しております。区といたしましても、国の方針を踏まえるとともに、平和都市宣言を行った区の責務として、区民の皆様とともに平和の尊さについて考え、次の世代に語り継ぎ、平和な世界を築いていくという趣旨に沿って、平和都市宣言実現のため、引き続き基礎自治体として平和関連の各種事業を着実に進めてまいります。
次に、世代間の負担の公平性に立った財政運営に関する質問ですが、区は、
新型コロナウイルス感染症への対策をはじめ、少子高齢化への対応や更新時期を迎える公共施設の維持・更新のほか、蒲田駅周辺のまちづくりや新空港線の整備といった重要な成長戦略となる社会資本の整備など多くの財政需要を抱えております。区財政は景気の影響を受けやすい構造を有しており、
新型コロナウイルス感染症の影響による減収が想定され、今後は多額の収支ギャップが見込まれる状況です。区は、こうした状況にありましても、基金や区債といったこれまで培ってきた財政の対応能力を発揮し、負担の公平性や平準化にも配慮し、中長期的な視点の下、強固で弾力的な財政基盤を堅持しながら、区民の暮らしを支え、区政の諸課題に着実に取り組んでまいります。
次に、新空港線や
羽田イノベーションシティにおける区
施策活用スペース事業、いわゆるハネダピオについてのご質問ですが、区のコロナ禍を踏まえたまちづくりでは、第1段階を生活復興・経済復興として、第2段階を国土強靱化として、第3段階を
ウィズコロナ、アフターコロナの視点から、新しい生活様式を実現する取組として3本の柱を推進してまいります。この3本の柱は、区の財政状況やコロナの収束時期などを勘案しながら、複合的に適切かつ効果的に実施することが重要であります。そのため、現在は第1段階に位置づけられている生活復興・経済復興として、住宅リフォーム助成などの区民生活の向上や区内事業者の受注機会の増大に資する事業に軸足を置いております。加えて、第2段階の国土強靱化の事業として、都市機能の耐久力、復元力の強化のために、耐震化・不燃化事業や新空港線を契機とする蒲田のまちづくり事業などにも併せて取り組んでまいります。その際には、感染症だけではなく、近年激甚化している災害等への対応が安全・安心なまちづくりにも非常に重要な視点であることから、今後策定する国土強靱化地域計画に明確に位置づけ、着実に進めてまいります。また、ハネダピオにつきましては、コロナ禍により非常に厳しい
社会経済状況の中で、区内企業の受注機会の拡大や今後成長が見込まれる成長分野や先端産業への関与の機会を創出するなどの効果を見込んでいます。持続可能な社会を目指し、区内産業の今後の発展に不可欠と考えるハネダピオの見直しについては考えてございません。
次に、
新型コロナウイルス感染症の検査体制強化に関するご質問ですが、PCR検査はあくまでも検査した時点での結果であること、検査結果も完全なものではないことなどを考慮し、感染者が急増している状況の中では、必要な対象者が検査を受けられる体制をつくることが重要と考えます。現在は、軽度の症状でも医師会PCRセンターや診療所等で検査ができる体制もできております。今後も体制整備の充実に取り組んでまいります。したがって、今のところお話しの国や都へ財政支援を求める考えはありません。
次に、保健所の体制強化に関するご質問ですが、今般の
新型コロナウイルス感染症対策に対しましては、これまで保健所内の保健師のみならず、福祉部の保健師を兼務配置し、人員体制を強化して対応しているところです。また、保健所が運営する
新型コロナウイルスに関する電話相談窓口の業務の一部を外部委託し、体制を拡充しております。さらに、保健師が感染経路の追跡や感染者の健康管理等の専門業務に集中できる環境を整備することが重要であることから、保健師でなくても対応可能な業務に保健師以外の職種を充てる取組も進めております。加えて、緊急対応として、令和2年度の配分定数を見直し、感染症対策課はじめ優先度の高い施策を実施する所属へ優先的に人員の再配置を行ったところです。一方、厚生労働省は、都道府県を超えた緊急時の対応を可能とするため、自治体間、関係団体からの保健師等の専門職の応援派遣スキームを構築するとともに、資格を持ちながら働いていない保健師を集めた人材バンクを都道府県ごとに設けることを発表しております。区といたしましては、引き続き国、東京都と連携し、区民の皆様の生命、安全を守る施策に全力で取り組んでまいります。
次に、医療崩壊を起こさないための取組に関するご質問ですが、国は、これまで国民の健康と安心につなげるため、医療機関等への支援を様々実施しております。一例として、中等症以上の
新型コロナウイルス感染症の入院患者に対する診療報酬について、救急医療加算を5月に3倍、9月に5倍としております。また、重点医療機関や協力医療機関の病床確保料を1床当たり1日5万2000円から7万4000円に4月1日に遡って引上げを行うなど、国は適宜対応をしていると承知しております。区は、これまで
新型コロナウイルス感染症から区の地域医療体制を守ることを目的に、
新型コロナウイルス感染症患者受入医療機関への支援に加え、病床を安定的に確保することを目的とした事業を通じて、区民の健康と安心を守る取組を推進しております。区といたしましては、引き続き感染症患者の発生状況を注視し、適切に対応をしてまいります。
政府が進めますデジタル化に関する取組についてでございますが、国は、国民が安全で安心して暮らせ、豊かさを実感できるデジタル社会の実現を目指すとしております。また、デジタル手続法を制定し、行政手続きの原則オンライン化や、行政サービスをデジタルで完結させる取組を推進しています。今後、国はデジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの推進により、社会をよりよいものへと変革を進めるとともに、地方公共団体の個人情報保護制度については全国的な共通ルールを法律で規定するなど、検討を進めております。区といたしましては、こうした国の動きにも注視し、個人情報保護等の情報セキュリティと区民の皆様の利便性向上の両立を図るとともに、
新型コロナウイルスとの共存を前提とした新しい生活様式への対応を踏まえた(仮称)大田区情報化推進計画を策定し、ずっと住み続けたい大田区の実現に向けて、区民生活に寄与するデジタル化に引き続き積極的に取り組んでまいります。
次に、融資制度のさらなる拡充に関するご質問ですが、
新型コロナウイルス対策特別資金は、現在の
あっせん件数が3500件を超えております。そのうち5000万円の融資申込者数が全体の約4分の1、平均あっせん額は約2000万円となるなど、多くの事業者の皆様にご利用いただいております。返済期間及び返済据置期間の延長は、事業者の負担を一時的に軽減するメリットもありますが、一方で毎月の返済額の増加につながるため、慎重な判断が必要となります。国の制度であるセーフティネット保証4号や危機関連保証は、
新型コロナウイルス感染症の発生に伴い発動され、通常の保証枠とは別枠の保証として利用することができます。こうした国や都の融資制度が充実してきたことから、事業者が借り入れを検討する中で多様な融資制度から最適な資金調達を選択することが可能となっております。区といたしましては、現在制度の拡充や直接保証については考えておりません。
次に、区内中小事業者への直接助成に関するご質問ですが、大田区
感染拡大防止協力金については、今夏の第2波と言われる感染拡大局面において、夜間に酒類の提供を行う飲食、カラオケ店に営業時間の短縮にご協力をいただき、感染拡大を防止することを目的に実施したものです。なお、今般の再拡大局面においても、東京都等の動向を把握しながら対応してまいりたいと考えております。区では、感染拡大の影響を受けている
区内中小企業、
小規模事業者の皆様に対し、ものづくり工場立地助成やプレミアム付地域商品券事業、繁盛店創出事業など様々な緊急経済対策を行っております。こうした支援をご活用いただくことで現在の危機にご対応いただくとともに、アフターコロナを見据えた経営体力を蓄えていただくことが重要と考えており、現時点で中小企業、
小規模事業者に対する新たな直接助成を行う考えはございません。
次に、選択的夫婦別姓に関するご質問でございますが、選択的夫婦別姓について、これまでも国において様々な議論が行われていることは承知しております。社会における活動や個人の生き方が多様化する中で、女性が不便さを感じることのないよう、国のマイナンバー制度においても旧姓使用が認められるなど、旧姓使用に関しては区や企業において一般的に認められております。一方で、選択的別姓制度については、平成8年及び平成22年に法務省において法制審議会民法部会の答申を受け、民法改正案を準備しましたが、国民各層に様々な意見があること等から、いずれも国会提出には至っておりません。第8期大田区男女共同参画推進プランへの国等の議論の紹介、掲載については、パブリックコメントでの意見等を参考にしてまいります。また、国への意見書提出とのことですが、引き続き国の動向等を注視してまいります。
次に、パートナーシップ制度に関するご質問ですが、現在策定中の第8期大田区男女共同参画推進プランで、誰もが活躍できる社会の実現に向けた取組を進めてまいります。プラン素案では、性的指向とDVについては、基本目標Ⅰ、誰もが尊重される安心・安全なまちを築きますに位置づけておりますが、個別目標で別々の対策として記載しております。また、LGBTQとSOGIのプランへの解説、説明の記載につきましては、パブリックコメント等での意見を参考に検討してまいります。性的少数者、いわゆるLGBTQの方々につきましては、差別や偏見を受けることのないよう正しく理解し、人権が尊重される環境づくりを進めることが重要です。また、パートナーシップ制度の導入については、他の自治体で導入していることは承知しておりますが、社会保障や相続など法律にかかわる部分が多いため、引き続き、国や他自治体の動向を注視してまいります。
次に、第8期介護保険事業計画に関するご質問ですが、介護保険事業計画は、計画期間の高齢者数の増減、国が示す報酬単価、関係法令の改正内容などを基に計画を策定するものです。計画の策定に当たって、現時点では、国が示す素材が出そろっていないことに加え、区内の高齢者人口についてもコロナ禍の影響を加味した推計の途上です。次期計画につきましては、持続可能な社会保障制度となるよう、保険者として責任ある計画を立ててまいります。介護給付費準備基金の使途並びに介護保険料につきましては、関係法令を遵守し、適切に判断していきます。
次に、補足給付の基準改正に関するご質問ですが、介護保険制度は、厚生労働省が設置している社会保障審議会介護保険部会において、3年に一度の介護保険制度の見直しに向け、議論が進んでいるところでございます。補足給付について、現在、審議会の中で基準の見直しが検討されていることは承知をしております。介護保険制度は、国が制度設計を行う社会保険制度の一つであり、今後も持続可能な制度構築に向け、政府が責任を持って取り組んでいくものと考えております。このため、審議会の議論の経過、来年1月の通常国会における介護保険法改正案の審議動向など、国の動きを引き続き注視していくことが区としての立場と考えております。
次に、区民の介護サービスの維持に関するご質問ですが、国はかねてより社会保障制度改革についての検討を進めており、今後も議論が継続するものと捉えております。厚生労働省は、昨年12月の社会保障審議会で、介護保険制度の持続可能性の確保のための諸課題を検討しております。その中で、要介護者の状態像等を踏まえた適切なサービス提供体制を確保する観点などから、生活援助サービス等に関する給付の在り方については、引き続き検討を行うこととされております。区といたしましては、こうした動向を踏まえ、今後も保険者として適切に対応をしてまいります。以上です。
○塩野目 議長 質問の途中ですが、日程の追加についてお諮りいたします。
第117号議案 大田区長等の給料等に関する条例の一部を改正する条例ほか5件が追加で提出されました。
これを本日の日程に追加し、直ちに議題といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩野目 議長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○塩野目 議長 追加日程第1を議題とします。
〔
井上事務局長朗読〕
△追加日程第1
第117号議案 大田区長等の給料等に関する条例の一部を改正する条例 ほか5件
――
――――――――――――――――――
○塩野目 議長 理事者の説明を求めます。
◎川野 副区長 ただいま上程されました各議案についてご説明申し上げます。
第117号議案は、大田区長等の給料等に関する条例の一部を改正する条例で、区長及び副区長の期末手当の支給月数を改定するため、改正するものでございます。
第118号議案は、大田区監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例で、常勤の識見監査委員の期末手当の支給月数を改定するため、改正するものでございます。
第119号議案は、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例で、職員の期末手当の支給月数を改定するため、改正するものでございます。
第120号議案は、
会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例で、
会計年度任用職員の期末手当の支給月数を改定するため、改正するものでございます。
第121号議案は、大田区
教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例で、教育長の期末手当の支給月数を改定するため、改正するものでございます。
第122号議案は、大田区議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例で、議会議員の期末手当の支給月数を改定するため、改正するものでございます。
以上、よろしくご審議の上、ご決定賜りますようお願い申し上げます。
○塩野目 議長 質疑に入ります。
この際、議員の皆様に申し上げます。本会議での議員の発言につきましては、会議規則第53条で「発言はすべて簡明にするものとし、議題外にわたり、又はその範囲をこえてはならない。」と規定され、また、質疑についても「自己の意見を述べることができない」と明記されております。したがいまして、議員の皆様には、発言に当たっては、規則で定められたルールに従って行うよう、ご留意のほどお願いしておきます。
本案については、奈須利江議員から通告がありますので、これを許します。
〔47番奈須利江議員登壇〕
◆47番(奈須利江 議員) フェアな民主主義、奈須利江です。
第117号議案 大田区長等の給料等に関する条例の一部を改正する条例、第118号議案 大田区監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例、第119号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例、第120号議案
会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例、第121号議案 大田区
教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例、第122号議案 大田区議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例について質疑いたします。
これらの議案は、区長、監査委員、職員、
会計年度任用職員、
教育委員会教育長、区議会議員などの期末手当の支給月数を改定するための条例改正議案です。特別区人事委員会の報告及び勧告に従い、令和2年特別区職員の給与に関する報告及び勧告の民間における特別給の支給状況を勘案し、特別給(期末手当、勤勉手当)の年間支給月数を0.05月引下げ4.6月とするものです。公務員、特別職等の給与、報酬、費用弁償は、客観性を担保するため民間に準拠し、一定の比較対象を定めて算定されてきました。民間給与を公務員給与の比較対象として妥当としている理由として、民間は労使交渉により決めていることも理由の一つになっていると聞いています。この仕組みは戦後すぐに決まり、今日まで行われてきています。ところが、今回の報告及び勧告は特別給のみの改定で、給与の改定はこれから出されるなど、昨年と比べて大幅に変わっています。こうした給与と特別給に分けて改定したことは過去にはなかったと聞きました。調査方法もコロナを理由に、訪問によらず、通信等の方法を用いて実施していますが、これもこれまでにはなかったことです。報告書の全体のページ数が昨年の81ページから17ページに減っていることからも分かるように、改定の際に公表されてきた資料も激減していて、初任給の増減額などの状況、ベースアップを行ったかどうか、定期昇給制度があるかないか、行ったか、中止したか、物価指数なども示されていません。
そこで伺います。大田区は労働環境や経済、金融状況、物価などの変化をどう捉えていますか。また、そうした状況の中で、区長、監査委員、職員、
会計年度任用職員、
教育委員会教育長、区議会議員などの給与、報酬、費用弁償を引き下げることにより、区民生活に影響はありませんか。あるとしたら、その影響を防ぐために何をすべきだと思いますか。以上です。
○塩野目 議長 理事者の答弁を求めます。
◎川野 副区長 第117号議案から第122号議案について通告がございました、3点のご質問にお答え申し上げます。
1点目の区は労働環境や経済、金融状況、物価などの変化をどう捉えているかにつきましては、公務員は全体の奉仕者として公共の利益のために勤務する点で民間の労働者とは異なり、労働基本権に一定の制約が課せられております。その代償措置として、社会一般の情勢に適応した適正な給与を確保する機能として人事委員会による給与勧告制度がございます。給与勧告の手順といたしましては、特別区職員と特別区内の民間事業所の従業員との給与比較を行うため、民間給与実態調査を行っております。本年につきましては、6月29日から7月31日までの期間で、特別区内の企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の事業所から無作為に抽出した1107事業所を対象に昨年8月から本年7月までの特別給の支給状況について調査を実施いたしました。特別区人事委員会はこの調査に基づき給与比較を行うとともに、特別区における標準的な生計費や経済、雇用情勢、国や他の地方公共団体の状況なども勘案し、23区の区議会と区長に対して勧告するものでございます。
私どもといたしましては、特別区人事委員会による勧告は、労働環境等社会一般の情勢を反映したものであり、基本的には勧告を尊重する立場にあると考えております。また、職員の勤務条件につきましては、通常、職員団体等との労務交渉により決定されるものでございますが、23区は人事行政の連帯的運営を継続していくことが求められており、特別区の人事制度を共通にせざるを得ないことから、労務交渉を統一で行うこととなっております。給与勧告を踏まえた職員団体等との統一交渉の結果については、時機を失することなく適切な時期に反映することが重要であり、また、区長等の特別職の給料、報酬等につきましても、特別区人事委員会の給与勧告を参考に、大田区特別職報酬等審議会において検討され、その答申を踏まえ、議案として提出するものでございます。
2点目、3点目の区長等の給与、報酬、費用弁償を下げることにより区民生活に影響はないか、あるとしたらその影響を防ぐために何をすべきかにつきましては、今回の条例改正により、職員の平均年間給与は約2万円の減収となりますが、区民生活への影響はないものと考えてございます。私からは以上でございます。
○塩野目 議長 以上をもって質疑を終結いたします。
本案については、いずれも所管総務財政委員会に付託します。
なお、本案中、第119号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例及び第120号議案
会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例につきましては、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき、あらかじめ特別区人事委員会の意見を聴いておきました。タブレット型端末に配信の写しのとおりですので、ご報告いたします。
――
――――――――――――――――――
02特人委給第507号
令和2年11月25日
大田区議会議長 塩野目 正 樹 様
特別区人事委員会委員長 中 山 弘 子
地方公務員法第5条第2項に基づく人事委員会の意見聴取について(回答)
令和2年11月24日付2大議発第10632号により意見聴取のあった下記条例案については、異議ありません。
記
第119号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第120号議案
会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○塩野目 議長 本日はこの程度をもって延会とし、明11月27日午前10時から会議を開き、質問を続行したいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩野目 議長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
ただいまご着席の方々には改めて通知はいたしませんので、そのようにご了承願います。
本日はこれをもって延会といたします。
午後4時51分延会...