◎丹野 観光・国際都市部副参事〔
文化施設担当〕
勝海舟記念館は、昨年9月に開館以来、区内外より多くのお客様にご来館いただいております。来館者数につきましては、令和2年3月1日現在、2万2,400人、勝海舟基金へのご寄附につきましては、令和2年2月末現在、約4,530万円となっております。
ご来館者の中には、地方から来られる歴史ファンの方々や、団体でお見えになる方々もおり、土日、祝日の天気のよい日は、特に来館者数が多い状況でございます。
◆岸田 委員 この入館者数、区はどのように考えているのか。もっといろいろな、多分取り組みをしていると思うのですけれども、どのような取り組みをしているのか、お伺いしたいと思います。
◎丹野 観光・国際都市部副参事〔
文化施設担当〕 開館後約半年がたち、多くの方々に知られてきているところですが、歴史などに関心の薄い層には、十分周知されていない面もあるようです。そのため、記念館をご存じない方々に対しては、広聴広報課が進めている
シティプロモーション戦略と連携するなど、区内はもとより広く全国の方に向けて情報発信を強化してまいります。
また、既にご来館いただいたお客様に向けては、本年がちょうど勝海舟が威臨丸で
サンフランシスコに渡ってから160周年を迎えることから、海外に目を向けた海舟の先見性を示す展示をアピールするほか、定期的な展示がえや、新規資料により興味を喚起するなど、何度も訪れたくなるような話題を提供し、リピーターの確保に努めてまいります。また、これまでの来館者の中心となる層は中高年層であることから、若年層の集客も増やしていきたいと考えており、特に子どもたちに関心を持ってもらえるように、子ども向けのわかりやすいパンフレットを作成し広く周知いたします。
このように、様々な来館者に沿った広報、周知をすることで、集客に結びつけてまいりたいと考えております。
◆岸田 委員 いろいろ努力をされているのですけれども、同じような施設で、同じような施設と言い方は違うかもしれませんけれども、
日本オリンピックミュージアム、新国立競技場のそばにできた、多分行かれた方も何人かおいでだと思いますけれども、そこの入館者、できたのが大田区の
勝海舟記念館よりも1週間後のオープンが9月14日ということで、たしか12月中に10万人を突破したということも伺っております。これをどのようにお考えなのか、お伺いいたします。
◎丹野 観光・国際都市部副参事〔
文化施設担当〕 委員お話しの
日本オリンピックミュージアムに、私も見学に行ってまいりました。家族連れや、観光バスでの団体客の来館など、大勢のお客様でにぎわっておりました。展示につきましては、今まで開催された全ての
オリンピック大会の聖火トーチの展示や、過去の感動的な場面を映像で追体験できるなど、魅力的なコンテンツで構成されており、いずれの世代の方々にも興味深く飽きさせない展示がなされていると感じました。
勝海舟記念館と比較いたしますと、その規模やコンセプト、立地条件などの違いがありますが、希少性のある展示物、映像の活用、体験を伴う展示方法など、
日本オリンピックミュージアムのよいエッセンスを
勝海舟記念館の展示の参考にしてまいりたいと思っております。
◆岸田 委員 ぜひ、さらに努力していただきたいと思いますし、多分、皆さんご存じだったと思いますが、東京都の広報東京都、3月1日号にやはり
勝海舟記念館、洗足池公園・
勝海舟記念館、大田区のPRが出ているのですけれども、これは区のほうからお願いして出していただいたのでしょうか。
◎丹野 観光・国際都市部副参事〔
文化施設担当〕 区では、
勝海舟記念館の開館前後を通じまして、これまでに様々な媒体を活用したPRを行ってまいりました。その効果もあって、開館以来、新聞、雑誌、広報誌などから多くの取材の依頼をいただいており、話題性のある施設であるとの評判が広がり、委員お話しの広報東京都に掲載したいとのご依頼をいただきました。都の広報により、都内全域へ
勝海舟記念館が知られる機会となるため、広く来館につながるものと思っております。そのほかにも、最近では
JALグループの機内誌3月号や書店に並ぶ大田区のムック本、雑誌等などについても取材があり、記念館として積極的に協力しております。
今後も話題の提供、情報発信を継続し、さらに様々な媒体で取り上げていただけるよう広報に努めてまいります。
◆岸田 委員 ぜひ、いろいろなところに、こちらのほうから、区のほうから積極的に呼びかけていただきたいと思います。
それからもう一つ、今、東急池上線とか、多摩川線の駅にも多分貼ってあるのだろうと思いますけれども、「景勝地洗足池へ、いざ出発進行!」という、こういうガイドがあるのですけれども、これも大田区はやはり関係があるのでしょうか。駅ですと、もう貼っていないのかな、結構大きなポスターが各駅に多分貼ってあるのだろうと思うのですけれども、どのようにこれとかかわっているのか、お伺いしたいと思います。
◎丹野 観光・国際都市部副参事〔
文化施設担当〕 委員お話しの
景勝地洗足池ガイドにつきましては、産業振興課の商店街・個
店グループモデル事業において
支援対象エリアである長原・
洗足池商店街周辺を取り上げた冊子で、大田区商店街連合会及び
東急電鉄株式会社と
勝海舟記念館が協力して作成されたものでございます。
昨年度は、江戸無血開城150年の特別企画として、創作した「勝丼」、「せご丼」を楽しむ、「どんと来い!幕末・
明治プロジェクト」の際にも公民連携により事業が行われました。複数部局の連携及び民間事業者等の協力により、文化振興課、産業振興課が単独で行うのと比べ、相乗効果が見込まれると考えております。このような事業を通じて、実際の来客増に結びつくよう、引き続き連携を強化してまいりたいと思っております。
◆岸田 委員 本当に、せっかくいいものをつくっていただいて、つくっただけではなく後できちんとやっていただきたいと思いますし、またいろいろな努力はされているのですけれども。ちょっと場所も狭いしということでどうなのかなというのが
ミュージアムショップ、単なる陳列棚みたいな感じで、売っているのか売っていないのかわからないような、本当に勝海舟に関するものだけなのです。できれば、いろいろなものを売っていただきたいなと。たまたま、これは東京都の展望室で時間があったので行ったら、おもしろそうだなというものでタブレットにも配信しましたが、こういう、これは北斎なのですけれども、洗足池はやはり川瀬巴水とか、広重とかという、そういう方々も随分関係しておりますし、今年度、来年度の企画で博物館とか記念館でやはり北斎、巴水がやりますよね。それとうまく連携しながら、例えば洗足池だけではなく、やはり大田区全部とか、例えばこういうはねぴょんバッジを売るとか、いろいろなものを考えながらやってもいいのかなと思うのですけれども、ぜひやっていただきたいのですけれども、どう考えているのか、お伺いしたいと思います。
◎丹野 観光・国際都市部副参事〔
文化施設担当〕 これまでのミュージァムグッズの販売数ですが、図録735部、
クリアファイル976枚、ポストカード640枚などでございます。
本年2月には、新たに勝海舟の名言入り鉛筆を販売いたしました。委員ご紹介の葛飾北斎の富嶽三十六景のフレーム画を立体的に組み立てる3Dの模型やパズルなどは、購入後、鑑賞した作品をレプリカとしてつくることであり、自宅で手づくりできるおもしろさや記念館を思い出すきっかけとなる要素を持つ商品かと思いました。記念館においても、
クリアファイルの絵柄にも使用している勝海舟の印章は、来館者の関心が高く、先日、記念館1階のロッカーにも印章のデザインをラッピングしたところ、
クリアファイルの販売数も伸びております。
このように鑑賞した内容と商品とが結びつくことで、来館者の購買意欲が高まるものと思っております。委員をはじめ、記念館に来館された皆様からのご意見、アイデアなどを参考に商品開発を進め、
ミュージアムショップの商品の充実を図ってまいります。
◆岸田 委員 ぜひ、いろいろな手を尽くしてやっていただきたいなと思います。
それから、あそこの
勝海舟記念館、勝海舟はなぜあそこにお墓をつくったか。どういう理由でお墓をつくったのか、中には富士を見ながら土に入りたいという言葉があるのですけれども、まさにそのとおりのなのか。ただ、今の時期、ちょうど私、写真を撮ってきまして、タブレットに配信していますけれども、ちょうど富士山が見えるのです。ところがお墓の前からですと、今の時期なら見える、よく見ると、天気のいい澄んでいる朝、また夜もシルエットで見えますけれども、朝、夕方などは見えるのですけれども、これは木が茂ってくると見えなくなってしまうのです。これをどう思っているのか。できれば木を切ってしまっていただき、年中、勝さんがお墓から富士山が見えるようにしていただきたいのですけれども、どのように感じているのか、お伺いしたいと思います。
◎保下
都市基盤管理課長 勝海舟に関する文献によりますと、海舟夫婦が眠っているあたりは、区立大森第六中学校の敷地を含めて海舟の所有であったと示されております。また、富士を見ながら土に入りたいという言葉につきましては、海舟がかねがね側近にそのように遺言として言っていたこと、また御松庵の住職様にも頼んでいたことなどが伝承として伝えられております。墓所につきましては、東京都から区へ所有権が移り、現在の洗足池公園に至ってございます。
また、洗足池公園は、近景、遠景が整った公園として、東京都指定名勝となり、勝海舟のお墓から富士山を眺める景観も重要な視点と認識してございます。
四季の移りかわりの中で、公園にある木々に新たな緑が芽吹き、生き生きと青葉が育ち、紅葉、落葉していく中で富士山が見え隠れすることも一つの自然がもたらす風情ある景観であると思ってございます。
区としましては、近景、遠景の整った洗足池公園を今後も保全、活用するため、下枝を剪定するなど適正な樹木の維持管理の中で、眺望にも配慮した公園管理に努めてまいります。
◆岸田 委員 やはり、冬場だけではなく、夏場というか、もうぜひ天気のいい日は見えるようにしていただきたいと思います。また、ちょうど西を向いているわけです、富士山のほうを。建築の、やはり建物の高さ制限などもきちんとやっていただきたいと思いますけれども、どのようにお考えなのかをお伺いしたいと思います。
◎保下
都市基盤管理課長 洗足池公園周辺地域は、南側の中原街道沿道の地域を除いて、第一種
低層住居専用地域に指定されており、建築物の高さの限度が10メートルと定められております。加えて、風致地区にも指定されているため、現在も良好な低層の住宅地が形成されております。さらに、大田区景観計画におきましても、洗足池公園や
勝海舟記念館は、景観形成上重要な景観資源として指定されていることから、引き続き周辺地域の良好な景観形成の誘導に努めてまいります。
◆岸田 委員 やはり、ぜひ、勝海舟の富士を見ながらという、この言葉にきちんと対応していただきたいと思います。
それから、タブレットに写真を配信していますけれども、お墓の前に岩があるのですけれども、これはどこから来た、何の岩なのだか教えていただきたいと思います。
◎丹野 観光・国際都市部副参事〔
文化施設担当〕 勝海舟夫妻のお墓の前の岩につきましては、平成30年度、
勝海舟記念館の開館に向けて墓所周辺を整備するにあたり、設置されたものです。1860年に勝海舟が威臨丸で太平洋を航海し、
サンフランシスコに渡ったことは有名です。岩のモチーフは、太平洋に浮かぶ島ということで、それは、まさに日本をイメージしているものと思っております。
勝海舟記念館へ来られたお客様には、隣接する墓所への案内表示をしていることもあって、墓所を訪れる方が多くおり、この岩のデザインや洗足池を紹介することで、この地区全体の魅力を引き出すことにつながり、記念館来館の思い出が膨らむものと思っております。
◆岸田 委員 全然、私はわからなかった。ここ、この岩、ひょっとして勝さんが腰かけた岩かなと思っていたのです。やはりちょっとおもしろおかしく、おかしくという言い方はあれですけれども。やはりそういうある程度言い伝えではないことも使いながら、ここは勝海舟が腰かけた岩だということをちょこっとどこかに書くとか、そういうこともおもしろいのかな。そういうことを利用しながら、やはり話題性をつくって皆さんに来ていただけるというのも、一つの方法だろうと思います。ぜひ、考えていただきたいと思いますし、今、先ほどおっしゃっていたようないきさつはどこにも書いていないのです。来た人は単なる岩が置いてある、それしかわからないし、何だろうなで終わってしまう。そうではなく、やはりちょっと、やはりもっと丁寧に、本当のことを書くのもいいですし、ちょっと変わったことを書くのも話題性をつくる面ではいいなと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
それから、やはりもう一つ、今日もお天気がよければ庁舎の前に日の丸が揚がって、国旗が揚がっていたのだとも思いますけれども、やはり
勝海舟記念館、やはり国旗を揚げていただきたいなと思います。ちょっと寂しいなと、せっかく私たちのこの東京のまちを救ってきた方に対する礼儀として、ぜひ国旗を揚げていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○渡司 委員長 次に、長野委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承願います。
◆長野 委員 平成14年度予算についてお話をさせていただきます。
平成14年度当初予算額は1,862億7,593万4,000円となっています。これは質問ではありませんが、この予算額について何か皆様お気づきになることはありますでしょうか。ぜひ、ちょっとこの予算額、数字をメモにとっていただきたいのですけれども、1,862億7,593万4,000円。
(「2,000ではないの。」と呼ぶ者あり)
◆長野 委員 いや、1,000です。1,862億7,593万4,000円。
平成14年、2002年は、学校完全週休2日制がスタート、千代田区では全国に先駆けて
歩きたばこ完全禁止が条例化され、大田区では多摩川にあらわれたアザラシの「たまちゃん」が話題となった年です。実質的な予算編成業務を行っていた2001年は、9月に同時多発テロが起き、失業率が5%を超え、年間倒産件数が2万件に迫るなど、日本経済も低調にあえいでおりました。
この予算額1,862億7,593万4,000円は、同じ数字を二度使うことなく、全て違う数字で構成をされています。平成以降の全ての予算案の数字を見てみましたがこれは、この年のみにあらわれている非常に珍しい現象です。これは、一説には、マージャン好きで知られた西野区長が、当時の暗い世相や停滞した経済状況の中で、あえて一気通貫、打破しよういう心意気のあらわれではないかと、公式に認められたわけではありませんが、推察するところでございます。
国も1953年から96年までの間は、一般予算の語呂合わせをやっておりましたが、当時の西野区長のちょっとしたちゃめっ気と言いますか、ご本人のキャラクターが予算額の数字に隠されていたということで、これ自体は、区政や区民に何か影響を及ぼすような類いのことではないのですが、ドライになりがちな行政の事業や業務に何となく血が通っているような、温かみを感じるいたずら心のように思います。ただ与えられた業務をこなす中でも、少し知恵を絞り工夫をする余地があるだけで、その業務、または事業に個性が生まれ、仕事への愛着が育まれるようになります。物事にはハードとソフトがあるように、働き方改革では勤務時間、就労環境の効率化という量的側面の改革と、内容、働きがい、やりがいという質的な側面の改革が必要です。さきの西野前区長の遊び心による予算額のからくりは、時間としてはわずかかもしれませんが、本来かけなくても済む時間と労力を増やしました。しかし、これに携わった職員の方々の記憶に残る平成14年度予算を産んだわけです。
こういった遊び心は一見無駄な労力に思えるかもしれませんが、こういう余力や余裕を常に一定程度持っておくことが、緊急時の対応などにおいての余力となります。公務員と言えども人間であり、一度しかない人生をこの仕事にささげているわけですから、自分がそこにいた痕跡を区政の中にわずかな形にでも残すことができるような、言いかえればその人の情熱や個性が生かされる仕事ができるような行政風土をつくっていただきたいと思います。
区政の硬直性や無機質性、柔軟性、躍動性の欠如が指摘されることはしょっちゅうであり、法と条例に定められた事務を執行するという行政としての性質上仕方ない部分、守らなくてはいけない一線はあると思いますが、今の大田区政のあり方がこのままでよいのかと危機感や閉塞感を感じているのはここにいる議員だけでなく、職員、区民の間でも渦巻いているのが事実であります。大田区行政の躍動感のなさの原因の一つは、乱立している各種計画、プラン、ビジョンの類いの作成と、多過ぎる協議会、審議会、推進会議などにあります。
現在、本区には大田区基本構想をはじめとして、幾つの計画、プラン、ビジョンなどがあるのでしょうか。
◎鈴木
企画調整担当課長 区では、大田区基本構想を頂点として、各行政分野の課題解決を図り、計画的に事業を推進するため、各種計画やビジョン、方針等を策定しております。3月1日現在、定期的に見直し、改定を行う計画等、進捗管理を行っている計画等は91件ございます。
◆長野 委員 もちろん法定で定めなくてはいけない計画や、区政運営上必要不可欠なものも多数あるのは承知しておりますが、これだけ多くの計画の類いが存在していて、それを全て冊子化し、定期的に進捗状況の報告をつくって自己評価し、物によっては期間の折り返しがくれば見直し計画を立て、終わりが近づけば次の計画の策定作業に入る、となれば、計画作成に費やされる事務負担は非常に膨大で加重なものであると言わざると得ません。
例えば、5年ごとに改定を行っている大田区
文化振興プランを例にとり、計画の策定経過、推進協議会の運営、中間の評価や見直し、次期計画の準備に至るスケジュールとコストをお示しください。
◎北村
文化振興課長 平成31年3月に策定した
文化振興プランですが、プラン策定に先立ち基礎資料となる区民向け、団体向けの大田区文化振興のための
アンケート調査を平成29年度に実施しております。その結果を踏まえ、平成29年10月に、文化振興施策を推進するにあたり必要な事項を検討するため、学識経験者や区議会議員、区民公募委員などを委員とした大田区
文化振興推進協議会を組織するとともに、第1回目の会議を開催し、その後、平成31年2月まで6回開催しているところでございます。
作成に要したコストについては、委員報酬費やアンケート、策定支援の委託費など、2年間で約1,200万円を執行いたしました。計画策定に携わった人員は、
アンケート調査には係長1名、計画策定には主査1名が主に担当いたしました。現プランでは、検証のために毎年事業を選択し評価を行っていく予定でございます。
また、次期プランは、現プランの計画期間終了前に会議体を立ち上げ策定することになると思います。
◆長野 委員 後ほど、
文化振興プランについては改めて取り上げますが、5年間のプランの策定に2年間1,200万円のコストがかかっています。この膨大な労力と時間に並んで大きな問題だと感じるのは、これらの計画に追われながらの業務が常態化することの弊害として、今現在でできそうなこと、ルーティンでやることが決まっていることばかりを計画に書くようになり、結果的にチャレンジする余地が失われ飛躍や変革が生まれないようになっているのではないかということでございます。
現実に、各種事業の達成度評価や進捗状況などを見ても1や2の低評価が極端に少ないのは、堅実に定められた業務をこなしている一方で、先進的な取り組み、野心的な取り組みが少ない証拠でもあります。そうは言っても、達成度が低いとあなたたち議員が噛みついてくるではないですかと言われるかもしれませんが、議員が低達成度のものに噛みつくのは、できるものしか載せていないのに、やらなくてはいけないことしか載せていないのになぜできないのかという内心の不満があるからでして、難易度の高い目標を掲げての挑戦が苦戦をしていれば、喜んで一緒にブレイクスルーを考えるはずですし、まさにその解決方法を議論するのが各委員会だと思っております。ぜひ、各種計画類の1割程度は、現状では達成難易度の高いチャレンジ枠の目標を立て、それを克服するためのブレイクスルーを行った職員や、それを助けた幹部職員が評価される行政文化を確立していただきたいと思います。
また、計画策定に携わるのは優秀な職員が多いのでしょうから、計画の期間を4年から5年などではなく、6年から8年程度とできるだけ長くとり、作成、評価業務の負担を軽減し、計画作成ではなく目標達成にしっかり腰を据えて注力できるよう人事の柔軟化と職員リソースの有効活用に取り組んでいただくようにお願いいたします。
続きまして、各種協議会、審議会、推進協議会についてですが、現在、これらの会議体は全部で幾つ存在するのでしょうか。
◎中澤 総務課長 区では、公正で開かれた区政運営を図るとともに、専門的な知見を得るため、法令または条例の定めるところにより、区の附属機関として審議会等を設置しております。こうした各部局が所管する審議会等は、その設置目的に基づき、個人情報の保護に関するものから都市計画に関するものまで多岐にわたっており、現在条例に基づき設置する審議会等につきましては35の会議体がございます。
また、これとは別に区政運営や諸計画の策定にあたって区民、有識者、また関係団体等の意見を聴取するために設けているものとして、毎年度、変動はございますが、昨年度末でおおむね41ございます。
◆長野 委員 各種会議体の構成委員についてですが、選定のプロセスはどのようになっているのか、専門性の担保などはどのように判断されているのかお聞かせください。
◎中澤 総務課長 構成委員の選定にあたりましては、一般的に審議内容の専門性を踏まえ、公募の可否を判断しているところでございます。
公募によらない場合においては、自治会・町会等の地域団体や区と連携を取っている関係機関、団体等から推薦を受けるなど、公平性を担保しつつ公正な選定を行っております。委員構成につきましても、男女共同参画の視点を踏まえるようにしているところでございます。
また、専門性の担保につきましては、大田区政に対する高い関心があることを大前提に、会議体それぞれの設置目的に沿った知見や資格を備えるとともに、その分野における経験や経歴などを総合的に勘案し、判断しているところでございます
◆長野 委員 これらのものも、もちろん法令上必要なものや有意義に機能しているものもありますが、やはり職員の業務に充てる労力の配分を考えると負担感も多く、整理できるものについては検討が必要ではないかと感じます。多くの場合、その会議体の座長になることが多く、議論の方向性に大きく影響を与える有識者選定のプロセスも、事前に所管委員会での議論に付すなど、透明性、説得力を確保するための検討をお願いいたします。
また、その会議体での議論の内容が議会での議論にどれだけの影響力があるものなのか、議会で質問した内容に対して、現在行っている諮問会議の結論を待ってからといった答弁を耳にすることもありますが、これらの協議体の合議内容が議会での議論に優越するものなのか、そのあたりの整理について見解をお答えください。
◎中澤 総務課長 委員お話しの諮問会議等につきましては、一部の審査請求における裁決権を有するものなどを除きまして、執行機関が事業実施等における意思決定の過程において区民の意思を十分反映させるとともに、専門的知見等を得るため意見を求める会議体でございます。
区では、こうした諮問会議等からの意見や答申を参考として、行政内部の意思決定を行っているところでございます。
諮問の事案が条例案の策定や改正など、議会のご審議に付される場合につきましては、議会へご提案させていただき、ご議論、ご決定をいただくことになるものでございます。
◆長野 委員 今回は詳しく触れることはしませんが、各種表彰事業についても、それが本当の、本来の区の施策目標達成のために必要なものなのか、表彰自体がルーティン化して陳腐化していたり、特定の個人、事業者の満足に終わっていないか、よく検証するとともに、どうしてもやるというのであれば数を絞り、施策目標を明確に定め、その目的にかなうものにしない限りは、それにかける労力、時間等のコストに見合わないと感じますので、一度立ちどまり、見直しと精査をしていただくことを求めます。
美術品の収蔵保管場所についてお伺いいたします。
次年度予算案には、絵画等保管拠点の維持管理として9,931万8,000円が計上されています。この区の収蔵保管する絵画等美術品の保管庫については、現在保管しているふれあいはすぬまの設備更新により新しい保管場所を探す必要が生じたとして、当初製造業等の誘致を目的として産業支援施設である三井不動産インダストリアルパーク羽田の一区画を占有して保管庫とする話が、地域産業委員会にも報告をされました。私は当初よりこの考えには明確に反対しておりましたが、ふれあいはすぬまの建て替えが迫っているとして、やむを得ない判断であると説明を受けておりました。
しかしながら、先日の委員会では、この三井不動産インダストリアルパーク羽田への移転は撤回するとの報告を受けました。この経緯について、ご説明を願います。
◎北村
文化振興課長 絵画等の収蔵庫に必要な条件は、一定の広さが確保できること、大型の絵画もあることから天井高が高く、大型のエレベーターがあること、適切な温湿度管理ができることが必要と考えました。三井不動産インダストリアルパーク羽田は、工業系利用施設として新設され、倉庫としての要件も満たしていたことから整備の検討に入りました。その上で、収蔵を第一義的にしながら、区民還元として可能な範囲で美術品を見せられる機能についても検討を進めてまいりましたが、区民への還元策がどうしても制限的になることや、施設を活用して展開できる文化事業などを総合的に判断し、この施設での整備は見送る判断をいたしました。
◆長野 委員 予算事項別明細書の123ページには、先ほど述べましたとおり絵画等保管拠点の維持管理として約1億円の予算計上がなされておりますが、この金額は三井不動産インダストリアルパーク羽田への移転経費でしょうか。
◎北村
文化振興課長 予算は、収蔵庫に必要な条件を満たす施設として、東京モノレール整備場駅近くの民間の倉庫を想定し、整備に必要な予算を計上いたしました。
◆長野 委員 お答えにあった整備場駅付近の民間施設が候補地となった経過、理由をお示しください。また、いつ契約をして、何年間この場所、または三井不動産インダストリアルパーク羽田を利用する予定であったか、人員は常駐させるのか、今後の収蔵計画はどのようにする予定であるか、お答えください。
◎北村
文化振興課長 絵画等の収蔵に必要な広さや天井の高さ、大型エレベーターなどハード面での条件や、用途地区の制限など文化事業の展開のしやすさというソフト面を検討し、想定施設として令和2年度に必要な額を計上いたしました。
施設の使用期間は、現時点であらかじめ期限を定めているわけではございません。また、施設を借りる場合の一般的な契約は、予算成立後、契約手続きを進め契約することになります。
今後の収蔵計画ですが、区が所蔵する寄贈絵画等の適切な収蔵、保管環境を確保することを一義的にしながら、可能な範囲で区民の鑑賞機会等の区民還元を考慮してまいりたいと考えております。運営方法などは、施設整備について多角的に検討する中で、人員なども具体的に固めていくことになると考えております。
◆長野 委員 私も、1期目当初より大田区の文化芸術施策については何度も質問をしておりましたが、今回出てきました美術品の一般への一部公開という話は非常に唐突のように感じます。
それ自体は悪いことだとは思いませんが、どこで、どのような議論を経て、どのようなレベルのものを想定しているのか、経緯と想定している公開方法、規模等についてお教え下さい。
◎北村
文化振興課長 昨年の春ごろ、三井不動産インダストリアルパーク羽田の計画があり検討を始めたところでございます。
また、整備に一定の費用をかける中で、区民に絵画を見ていただくなどで可能な範囲ではありますが、どのような区民還元を行うかなどを検討してまいりました。寄贈絵画等の公開方法は、基本的には区民ホールアプリコや大田区民プラザの展示室など既存施設等を想定しておりますが、整備施設内においても可能な範囲で公開することを検討してまいります。
◆長野 委員 新しい取り組みをすることは、私としては大歓迎です。大いに応援したいと思いますが、それはその事業に対して十分な情熱と目的意識を持った上で発案されていなくては単なる思いつきと行き当たりばったりにしかなりません。特に今回の美術品保管庫については、大田区の文化芸術施策の大きな柱にならなくてはならない重要な案件でありまして、この迷走ぶり、適当ぶりには当選当初より文化施策について繰り返し質問もし、関心を払ってきた私としては看過しがたいものがあります。
文化振興プランでは、基本目標1の施策方針1、文化活動の基盤の整備で出前型の文化・芸術事業や講演を充実させることや、区が保有する芸術作品を一時的に民間施設に貸し出すことで、文化活動の機会と文化を享受する機会の両方を満たすことができますとし、基本目標2の施策方針2でも、展示スペースと展示機会の拡充の項目の中で、区施設の合築、複合化、再編などによる余剰スペースの活用や、民間施設の活用をあげていますが、今回の方針との整合性について、どのようにお考えでしょうか。
◎北村
文化振興課長 文化振興プラン策定時において、大田区所蔵美術品の活用が十分でないとの認識が出発点にあり、大きくは確実な収蔵と展示機能の充実を図る必要があると考え方針に掲げました。実際の施策を進める中で、全く
文化振興プランのとおりというわけではございませんが、区が保有している美術品の様々な展示機会の方法を示しており、収蔵と展示をバランスよく展開するというプランの考え方に沿って計画を進めていると考えております。
◆長野 委員 収蔵と展示をバランスよくという大きなくくりの話であれば、その中におさまるのでしょうが、各項目から見てとれるのは分散展示であり、私は絵画保管拠点の新規整備は逆の方向性であると思います。
展示、公開を事業目標の中に含むのであれば、集客施設としの活用も考慮すべきだと考えますが、三井不動産インダストリアルパーク羽田にしても、整備場駅付近の施設にしても、非常に一般の方が訪れにくい立地であると思います。プランの基本目標3の推進施策3で文化施設の回遊性の創出をプラン全体の中でも特に重点施策と定めておりますが、既存の各種記念館、郷土博物館や民間の文化関連施設などとの回遊性、動線については考慮されているのでしょうか。
◎北村
文化振興課長 収蔵庫に適した広さや天井高などの条件を備えた倉庫等の施設は、区の内陸部にはなかなか捜すことが困難であり、収蔵条件を満たす施設の選択を優先しておりました。そのため、既存施設や民間施設などとの回遊性や動線などの検討は、十分満たせない部分もあるかと思います。
◆長野 委員 美術品管理のために1億円の寄付金があったはずですが、これについて教えてください。
◎北村
文化振興課長 昨年12月に、絵画等の保管環境が十分でないことをご存じの区内在住の美術関係者から、絵画収蔵環境の整備に活用してほしいと1億円のご寄付をいただきました。寄付金は基金として積み立て、寄付者の意思を尊重した活用を行ってまいりたいと思っております。
◆長野 委員 想定された整備場駅近く施設の賃借料が年間約3,000万円で、5年間たてば1億5,000万円、今回予算計上されているメンテナンスセンターへの初期費用が約1億円、これに美術品の保管環境保持のために寄せられた寄付金1億円を加えれば、それだけで3億5,000万円で、新規に美術品収蔵、展示施設をもっと利便性のよいところに建てることもできると思いますが、いかが考えられましょうか。
◎北村
文化振興課長 絵画等の収蔵環境がよいとは言えないため、早期に収蔵環境を整えたいとの思いで整備に関する検討を行ってまいりましたが、今回、一度立ちどまり、さらに多角的な検討を行うために、三井不動産インダストリアルパーク羽田での整備を見送りました。
具体的には、立地や整備期間、絵画鑑賞の機会の創出の有無、賃借する場合と新設する場合の比較検討、将来の状況変化への対応など様々な要素の検討、精査を行い、できるだけ最適となるよう計画を進めてまいる覚悟でございます。
◆長野 委員 大田区の文化芸術施策において多額の予算がかかり、今後においても長期的に大きな影響を及ぼすようなことが、
文化振興プラン作成の時点で全く想定されていなかったということになります。現プランの発行日は、平成31年3月です。昨年の3月です。これではあまりにも行き当たりばったりで、プランの意義すら問われる事態であると考えます。プランにないことをしてはいけないとは全く思いませんし、変革やチャレンジはよいと思うのですが、周到な計画と文化施策に対する情熱、熱意が全く感じられません。大田区の文化芸術施策はそれでよいとお考えでしょうか。
◎北村
文化振興課長 収蔵や展示をどこで行うかというハードの分野にシフトした検討が重視され、収蔵作品を区民にいかに鑑賞してもらい、作品の本質的な価値を引き出す工夫など区民に向けた熱意が伝えられなかったものと思っております。
今後、展示や作品の活用については、誰に向けて見せるのか、魅力的に作品を見せる方法はどのように行うか、作品に触れた方の感性をどのように引き出させるかなど、美術品の本来の活用についても検討を加えてまいります。
◆長野 委員 実のところを言いますと、私もこの
文化振興推進協議会の委員として、現行プランの策定に関わっておりました。ただ、地域産業委員会の副委員長の充て職として、前任の高山委員からの引き継ぎで後半3回のみの出席であり、引き継いで2回目の協議会では既に素案が取りまとめられている状態でしたので、実質的には区民説明やパブリックコメントなど、公表プロセスに関わる部分での参加でしかありませんでした。
本協議会の開催は、平成29年10月30日に始まり平成31年2月8日までの1年3か月の間に議会選出議員の交代を挟みながらわずかに6回、それと並行し学識経験者2名と区関係者7名が参加する文化施設のあり方分科会という謎の会議が、協議会とは別に3回ほど行われています。この分科会での議論の内容は承知しておりませんでしたが、これを推進協議会の議論と切り分けて行う理由についてお教え下さい。
◎北村
文化振興課長 文化振興プランをつくる上で、現状の施設の状況を確認しておくことや、今後の文化施設のあり方を検討しておく必要がございました。分科会では、大田区の文化を振興する上で、ホール系、展示系、区民活動系ごとに施設が目指すべき方向などを議論していただきました。その結果は、本会である大田区
文化振興推進協議会にフィードバックし、全体の論議に反映いたしました。
◆長野 委員 まさに今回問題になっている文化施設のあり方をそこで話し合っていたわけで、発展的な展望や、こういった大きな動きを想定して盛り込むことができなかったということになります。
素案も行政が作成する上、実質の重要な議論を別のところで、職員のみで行うのであれば、なおさらこの協議会自体何のために行うのか、意義が問われますがいかがお考えでしょうか。
◎北村
文化振興課長 職員は、長期計画や各プランとの整合性や、事務事業の継続性を担保するなどの役割を果たすために、区職員の参加は必要と思っております。一方で、委員お話のように、職員が実際に芸術や美術の現場に携わる方や、美術・芸術に造詣の深い方から、文化・美術の潮流や現状などの率直な意見をいただくことも重要であり、新たな面、現代の動きを捉えた文化の提言などが得られるものと考えられます。
したがいまして、小規模保育所において、0歳児の受け入れを始めるためには、より厳格な基準を設ける必要があり、このメリットが失われるおそれがあることから、これまで受け入れを認めては参りませんでした。
現在、待機児童が解消に向かっている地域におきましては、待機児童が点在する傾向となっておりまして、一時に多数の定員を確保する認可保育園の開設では欠員が大量に生じてしまうことから、少人数の受け入れ枠をあちこちに確保していくということが有効でございます。
小規模保育所での0歳児受け入れは、この要請にこたえるものとなる可能性があることから、その可能性について検討をしてまいります。
また、法外援護費の支援項目が認可保育所に比べて少なくなっているのは、認可保育所のような厳格な基準が適用されないためでございますけれども、令和2年度予算案の編成にあたりましては、項目ごとに検討を行いまして、産休等代替職員費を新たに補助項目に加えることとし、必要な額を計上してございます。
今後も、認可保育所との差異を踏まえながら、運営事業者に対する適切な支援となるように留意してまいります。
◆松本 委員 ぜひ、適切な支援をよろしくお願いしたいと思います。
先ほど申し上げた欠員補填費の金額、本来支給される額に対しての割合でございますけれども、その差額は月額一人当たり15万2,010円になります。つまり、在園時の支給額23万9,920円、マイナス欠員補填費8万7,910円、その差額が15万2,010円となります。
一時申し込み後の欠員数は現時点ではわかりませんけれども、直近の公表欠員数は区内小規模園全体で59名でございました。
仮に欠員補填費を全員分1年間満額支給したと試算しますと、15万2,010円掛ける59名掛ける12か月、それは1億762万3,080円となります。80名規模の認可園を1園新設すると、施設整備補助費が約1億円、運営費も約1億円、合計2億円かかります。
当然、今後の施設整備の見直しを検討していかなければならないわけでございますけれども、令和3年4月開園予定分が12施設と伺っている中で、たった1施設見直しをしただけで、小規模園の欠員数全員分の満額補填費が2年間支給できる計算になります。
どんなウルトラCの施策を打っても、急に子どもは増えません。保育ニーズ・供給数とのバランスを図り、欠員問題が解決するには相応の時間がかかります。このままの状態では閉園する施設も実際に出てまいります。
新規施設整備のための予算を既存施設の立て直しに分配し、まずは計画の見直し、正確な保育ニーズの把握、既存施設の有効活用などの取り組みが急務と考えます。小規模保育園の欠員補填費を拡充する考えはないかお伺いをいたします。
◎間 保育サービス推進担当課長 小規模保育所に対する欠員対策費は、欠員一人当たりの単価に欠員数を乗じた額を交付しております。1歳児の児童と保育士の割合は5対1となっておりますので、欠員一人当たりの単価は以前東京都が給付しておりました保育所運営費補助要綱の中で示された保育士一人当たりの人件費想定額、これを5で割った額としておりまして、認可保育所と同等の金額となってございます。
したがいまして、欠員対策費の増額については考えてございませんが、小規模保育所において欠員が生じている主な要因といたしまして、保育所を2歳で卒園した後の3歳以降の保育が保障されていないことが挙げられていることから、欠員対策といたしましては、小規模保育所を卒園した後に必ず認可保育所等に入園できるよう、その受け皿となる連携園の確保に取り組んでおります。
現在、区内の小規模保育所25園のうち、9園が連携園を確保しており、連携園を確保した保育所のうち、6園が欠員0、残りの3園についても欠員は3名以下という状況になってございます。
区といたしましては、令和3年度末までに全ての小規模保育所が連携園を確保できるよう、認可保育園との調整に積極的に関与しておりまして、連携園の確保によって、小規模保育所の定員の有効活用を図ることで、安定的な運営を達成してまいります。
◆松本 委員 小規模園を卒園時に、進級先を探すいわゆる保活をする際に、加点がつく自治体は多くあります。その条件は、「加点基準日2歳児クラスの9月1日時点で在園かつ卒園が条件」、ほぼ全ての自治体ではこの条件で加点を付与しております。
ところが、大田区では、基準日や卒園などの条件がなく、1歳児クラスでも加点が付与されています。当然保護者の方はその加点をもって認可保育園への転園希望を出しておられます。
このことのよりまして、どういったことが起こっているか。1歳児クラスの子どもの半数が2歳児クラスへ進級せず、認可園へ転園してしまい、そして翌年2歳児クラスの定員があいたまま年度が始まり、年度内では2歳児クラスの途中入園が皆無のために、1年を通して小規模園の2歳児クラスが欠員だらけといった状態がパターン化しております。これは、残念ながら、小規模園制度が導入されてから今に至るまで、1歳児クラスでの加点が付与されておりました。
このように、1歳から加点付与をしていたら、持ち上がりの進級をしなくなってしまうと誰もがそう思うのに、本区ではどうしてこのような扱いをしているのでしょうか。見直すべきではないでしょうか、所見をお伺いいたします。
◎津本 保育サービス課長 小規模保育所利用児童を対象といたしました利用調整指数の加点制度につきましては、委員のお話しのような弊害があることから廃止を検討しております。
しかしながら、この加点を期待して小規模保育所を選択している保護者もいることから、混乱を回避するために周知期間を設けて実施する必要がございます。
令和3年4月には、全ての小規模保育所で連携園を確保できる見通しで、卒園後の不安がなくなることから、この時期が候補の一つとなると考えております。
◆松本 委員 速やかに、加点をなくすこと、そして連携園をしっかりと確保することを求めておきます。ほかの保護者の方にとっても、不平等感が生じてしまいますし、事業者にとっても欠員が生じ、よいことは何一つありません。当たり前に考えればわかることが行われていなかったことは非常に残念に感じます。
このように、やみくもな施設整備、そしてあわせて1歳児でのこの加点付与が小規模園の欠員がここまで生じてしまった原因だと思わざるを得ません。
この欠員問題に伴う施設整備見直し策、予算の分配案等もまたよりよい形で行われ、区内施設の保育の質の向上や設備の充実につながっていけるよう努力をしていただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。
○渡司 委員長 次に、共産の質疑に入ります。黒沼委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承願います。
◆黒沼 委員 黒沼です。生活保護事業の改善を求めて質問をいたします。安倍政権は、この6年間で二度にわたる生活保護費の切り下げをし、申請者や利用者の人権と暮らしを破壊する制度改悪を連打しています。
保護の水準は、国民生活の最低基準を具体化しているものとされます。それを切り下げすることは、憲法が保障した人権を国民から奪い取り、あらゆる福祉制度を後退させる攻撃にほかなりません。国連の社会権規約委員会は、スティグマ、恥辱のために生活保護の申請が抑制されている日本の現状に懸念を表明し、申請者が尊厳をもって扱われることを確保する、生活保護につきまとう恥辱を解消する手だてをとることを日本政府に勧告しました。これを今取り組む改革をすることです。
ところが、大田区はこのことに逆行することをやっているように思われます。厚労省が2013年の生活保護法改定で資産申請書を出させるよう各地方自治体に通達を出しました。改定法は利用者と福祉事務所が協力して、金銭管理の適正化を図るとしているだけで、共用の根拠とはなりません。しかし、大田区は実行しています。
これを受け取った受給者から、恥辱を覚えた、改善してほしいという要求を私は受けました。日本共産党は、この生活保護法の趣旨に反する資産申告書をやめるよう、要求します。
そこで質問します。タブレットにも示しましたが、資産申告書の記載内容が、さらに恥辱を味わう内容です。丸々日までに福祉事務所に提出してください。提出されないときは、保護の審査の却下、廃止、または停止されることがありますとあります。大田区では、このことで保護の停止、廃止を行った事例がありますか。お答えください。
◎佐藤 自立支援促進担当課長 生活保護は法定受託事務でございまして、区は国の通知等に基づき、適切に事務を行うという必要がございます。資産の申告は書面をもって行わせるよう、国から通知が発出されており、申告の時期は12か月ごととされております。
区では、平成28年から毎年全ての被保護世帯の皆様に提出をお願いしております。大田区では、資産申告書が提出されないことだけを理由に、停止または廃止を行った事例はございません。
適正で、適切な事務を進めるために、国の通知に基づき、資産申告書を提出いただけるよう、今後も丁寧な説明に努めてまいりたいと存じます。
◆黒沼 委員 ただいま答弁いただいたように、この資産申告書に基づく却下及び廃止はなかったとのことです。つまり、効果が出ていないのです。意味のないことを書いていると言わざるを得ません。提出されないときは、保護の申請の却下、廃止または停止されることがありますと、受け取った区民が脅迫に近い不信を持たないよう、削除すべきです。お答えください。
◎佐藤 自立支援促進担当課長 資産の活用につきましては、生活保護法第4条におきまして、保護の要件とされており、保護の決定を行うためには、被保護者の資産の把握は極めて重要でございます。保有する資産を的確に把握するため、資産申告書の文面は国の細則やほかの自治体の文面を参考にしております。
今後も、的確な資産の把握のため、適切でわかりやすい文面となるよう、工夫、検討してまいりたいと存じます。
◆黒沼 委員 2013年の前にも、この4条に基づく資産の報告はあったのですよ。ですからやられていました。でも、やられているときは、相談しながらやっていたのです。こういう指示ではありませんでした。通達は以前、定例議会で私は言いましたが、区営住宅のことも含めて、保証人はいらないことを通達を出しましたが、そのとき従う区、従わない区があるではないですか。これについても、従うか、従わないかは自主的に判断していいわけです。しかも文面も違っていいわけです。何も国に従う必要はありません。厚労省は生活保護の不正受給は支給総額の0.5%前後に過ぎないと言います。99.5%が正しいのです。それなのに、不正受給だけというバッシングもあり、生活に困窮しているのに申請をためらい、孤立死や心中に至るなどの悲惨が全国に起きています。また、収入が最低生活費以下の人が生活保護を受けている割合、捕捉率があまりにも低いことを以前に私も、また我が会派の福井区議もたびたび取り上げてまいりました。日本の生活保護制度の捕捉率は2ないし3割と言われています。OECD基準ですが、ドイツは6割、イギリスは5から6割、フランスは9割、大田区は1万6,345人、平成30年7月現在が利用していますので、これが2割とすると、8万1,715人以上の区民が要保護状態にもかかわらず、生活保護から漏れているということになります。この方たちは、生活保護基準より低い消費で生活をしていると思われます。国連からの指摘も真摯に受け取らなければなりません。
約半年前、ご主人に先立たれ、年金も減少した女性が生活保護を受けることができましたが、窓口に相談に行くたびに複雑な手続きと人生を傷つけられるような扱いに耐えられず、制度を返上してしまいました。とても真面目な方でしたが、二度とあんな目に遭いたくないとのことでした。大田区は、恥辱解消に努め、尊厳をもって扱うことを心がけなければなりません。定期的に捕捉率の調査を行い、公表し、捕捉率の向上を図る目標値をもつことです。
そこで質問します。捕捉率に満たない約8割の8万人以上の方の生活向上のため、申請主義だからと放置しないで、自治体としての役割を発揮してください。あなたは需給の権利があります。ぜひ法の活用を考えてみてくださいなどの通知を考えてもらいたいのですが、お答えください。
◎佐藤 自立支援促進担当課長 生活保護の捕捉率の推計につきましては、保有する資産の評価額、また稼働能力の有無といった保護の要件や、親族からの扶養の可能性などといった必要な情報がデータからはわからないという技術的な問題がございまして、捕捉率の推計は困難であるとの見解を国のほうでは示しているようでございます。
生活保護の制度のご案内については、国や東京都、区のホームページで行っておりまして、また、様々な機関の窓口においても、生活にお困りの方は生活保護の窓口へつないでいただいております。
そうした中で、区としては、相談しやすく、かつ丁寧でわかりやすいご案内ができるよう、窓口運営を行う、そうしたことが重要であると考えておりまして、研修等を通じて、職員のスキルアップを図っております。
生活保護の申請書は窓口に置いてございます。また、生活保護のしおりはどなたにも渡せるように、常に用意してございます。
区では、生活に困窮されている方に応じて、大田区生活再建・就労サポートセンターJOBOTAや生活福祉課の窓口で相談を受けておりますが、引き続き、区のほかの相談窓口、大田区社会福祉協議会やハローワークと連携しながら、安心して相談できる窓口づくりに努めてまいりたいと存じます。
◆黒沼 委員 今の答弁は申請主義なのですよ。日本共産党は名称を権利であることを明確にするために、生活保護法を生活保障法とすべきと提案しています。生活保障なのです。6野党会派で生活底上げ法案を提出しました。小田原事件の「保護なめんな」ジャンパー事件は、生活保護世帯の増加に職員の増加が追いつかない脆弱さが原因だったと言われています。この脆弱さが捕捉率の計算を困難にしているのですよ。これを充足すれば、捕捉率はできるのです。その恥辱さの解消と捕捉率の努力を怠っているのが今の答弁だと思います。
ぜひ、生活保護の保護のしおりを改善し、業務内容も徹底的に見直して、憲法に基づく生活保障としての生活保護法を改善し、大田区民のために行政が改善することを求めて、質問を終わります。
○渡司 委員長 それでは、令和、質疑願います。
◆須藤 委員 令和大田区議団、須藤英児です。昨年11月、大田区議会区政施策調査団(令和元年欧州方面)にて、高福祉国家スウェーデンの一般的なシニア住宅(コレクティブハウス)を視察してきました。そこでは、1940年代の建物を改築し、子どもを持たない50名(平均年齢70歳、男性が25%、女性が75%)が、当番制で夕食をつくったり、音楽会やお楽しみ会を開催したりと、生き生きと共同生活をしていました。すてきな出会いもあり、カップルも誕生するとのことです。そこで見て、感じたことは、高齢者の自立した生き方と暮らし方です。
令和2年2月の大田区の人口、73万4,460人、39万6,922世帯で、令和2年1月時点の65歳以上高齢者人口16万6,110人、単身世帯高齢者人口は約5万8,000人です。65歳以上高齢者率は約22.62%、高齢者の3人に一人の34.92%は単身者です。
大田区内でも高齢化率は上がり、単身高齢者の占める割合も上がると見込まれます。その上で、高齢者が元気で生き生きと暮らせる大田区を目指し、高齢者一人ひとりが自助として、元気の維持や介護が必要になったときのために備えることが求められています。
より多くの高齢者が支えられる側から支える側になり、多くの地域資源を活用しながら、互いに支え合える互助の地域の形成が必要です。
また、高齢者が生き生きと生きるために欠かせないのは、社会の中でのつながりや役割を感じられる環境づくりだと思います。大田区内において、地域パトロールや清掃活動など、高齢者が地域を支える現場を数多く見てきました。区として、高齢者が地域を支える取り組みについて支援していることは何かありますか。
◎長岡 元気高齢者担当課長 高齢者による地域を支える取り組みは多様にありますが、一例として、大田区シルバー人材センターの会員の皆様は、地域の支え手として、様々な職種で活躍しているほか、地域イベントなどにおける社会奉仕活動にも積極的に参加しています。区は、同センターの円滑な事業運営のために助成を行っています。
また、大田区シニアクラブ連合会では、見守りや社会奉仕活動に取り組んでいます。区は、シニアクラブ及び大田区シニアクラブ連合会に対して、運営費の助成を行うとともに、シニアクラブ連合会理事会の事務局活動の支援にも取り組んでおります。
◆須藤 委員 それでは、大田区において会員数が3,000名を超えるシルバー人材センターでは、会員相互の交流はありますか。1万5,000人を超えるシニアクラブでは、要介護の状態にならないための取り組みとしてどのようなことをしていますか。
◎長岡 元気高齢者担当課長 シルバー人材センターでは、区内拠点施設3か所においてシルバーサロンを週1回、本部においても月1回開催し、会員相互や地域の高齢者との交流の場づくりに取り組んでいます。
また、地域の中で高齢者がいつまでも元気に暮らしていくためには、高齢者自身が地域貢献を意識しながら暮らしていくことが重要と考え、会員や役員などがみずから知人、友人などに働きかける入会促進に取り組んでいます。
シニアクラブ連合会では、「明るく楽しく元気よく」をスローガンに、大田区民謡大会やゲートボール大会、旅クラブなど、生きがいづくりや外出機会の創出を通して、健康や介護予防に資する多彩な取り組みを展開しております。
一例を挙げますと、11月に大田区民プラザで開催された第33回文芸作品展には、シニアクラブの会員の方々から写真、絵画、書道、手芸品など2,234点の作品が寄せられ、多くの来場者でにぎわいました。
◆須藤 委員 高齢者になっても学び、自分を磨くことは重要で、高齢者ご自身にとっても喜びになると思います。シルバー人材センターやシニアクラブでは学びや研修にどのように取り組んでいますでしょうか。
◎長岡 元気高齢者担当課長 シルバー人材センターでは、接遇・安全や技能・技術の研修に加え、新たな就業にマッチングするための能力開発研修に取り組んでいます。また、入会時に資格や経歴などのスキルの申告をいただき、就業におけるマッチングに活用しており、知識や特技を活用した就業機会の提供として、老人いこいの家の講座の講師として従事いただいている例もあります。さらに、英会話講座も実施して、来るべきオリンピック・パラリンピックにおける来訪者へのおもてなしなども含め、気運を高めております。
シニアクラブでは、社会奉仕活動の一環として、防犯や防災活動の研修に取り組んでいます。また、各種の学習会や教養講座、文化伝承などに取り組み、生きがいを高める文化活動を進めております。
区は、今後、シニアクラブ連合会と連携し、発災時のマイ・タイムラインやスマートフォンのアプリケーション活用の研修など、これからの高齢者の生活に密接にかかわる支援を進めてまいります。
◆須藤 委員 私がよく利用する大森駅西口前、以前はたばこの吸い殻が散乱していましたが、シルバー会員の活躍でたばこの吸い殻を捨てる人が激減し、感謝しております。
また、私は大田区の高齢者が日本各地の災害現場で復旧・復興支援活動に従事し、各自の知識や経験、技術や能力を生かした活躍を数多く見てきました。「自分の命は自分で守る」、自助の強化として、高齢者に向けたマイ・タイムラインに関する研修などの支援もぜひ実現していただきたいと熱望しています。
平成24年度高年齢者就職確保実態調査調査報告書によりますと、シルバー会員が入会後、ふだんの生活に変化があったか否かの質問に対しての回答は、健康が増進した、16%、生きがいがあった、充実した生活が送れるようになった、35%、地域社会の貢献に関心を持つようになった、11%、生活全般に意欲的になった、9%で、生活が前向きに改善されたことを意味する4項目で、合計71%を占めています。
大田区内にも、豊富な知識、経験、技能を持ち、利用者に喜ばれ、社会に貢献したいと思うシルバーの方々は多数いらっしゃいます。
実際、シルバー会員による仕事は、臨時の仕事、早朝の仕事、若年層や主婦ができない仕事など、多くの利用者から喜ばれていると聞きます。
さらに、シルバー会員は就業することにより、生活リズムを維持し、健康増進・介護予防にもなり、金銭的にも余裕ができ、社会参加・社会貢献を行っている実感が得られ、生きがいを感じることができると伺っています。
また、シルバー会員が元気に働く姿は大田区を元気にしています。シルバー人材センターのシステムは利用者に喜ばれ、シルバー会員に喜ばれ、社会に喜ばれ、三方よしで公益性が高く、人生100年時代の社会をつくる上で不可欠な仕組みだと思います。
シルバー人材センターの会員の方々から出てくる多くの改善点などに耳を傾けて、取り組んでいただくことを強く要望し、質問を終わりにしたいと思います。
◆三沢 委員 令和大田区議団の三沢清太郎です。私からは、ベビーシッター利用支援事業について質問をさせていただきます。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、安倍政権は3月2日から全国の小中高校で一斉休校を要請し、大田区でも多くの子どもたちが休みに入りました。この対策に対して賛否両論ありますが、感染拡大が緩やかになることで、感染医療機関の医療崩壊に歯どめをかけ、薬を開発したりするための時間稼ぎができることを大いに期待するところです。
しかし、そうは言っても、突然子どもたちを家で面倒を見るように言われて、お困りになっている家庭も多いのではないでしょうか。ベビーシッターや家事代行サービスを提供する「キッズライン」という企業が、小学生の子どもたちがいる親906人に対して緊急調査を実施した結果によれば、突然の休校に対して、75.2%もの人が困ると回答しているそうです。
そのようなときに役に立つのがベビーシッター利用支援事業です。大田区は、東京都のベビーシッター利用支援事業を実施しておりますが、利用状況と令和2年度の利用想定を教えてください。
◎早田 こども家庭部副参事〔保育基盤整備担当〕 ベビーシッター利用支援事業の利用実績についてでございますが、直近では、令和元年12月の利用状況となりますが、30名の方が利用しておられます。
利用時間数の合計は、2,902時間になり、一人当たり平均では、月97時間のご利用でございます。
来年度は、対象を2歳児までに拡充することから、1か月一人当たり110時間で、30人の方の利用を見込んでおります。
◆三沢 委員 東京都のベビーシッター利用支援事業は、大田区を含め、都内14区市が実施をしておりますが、大田区以外の区市は全て0歳児から2歳児の待機児童の保護者を対象としています。
大田区も今お話にありましたとおり、令和2年4月から2歳児まで対象を広げますが、これまで0歳児のみを対象とした理由、そして、4月から2歳児まで対象を広げる理由を教えてください。
◎早田 こども家庭部副参事〔保育基盤整備担当〕 東京都のベビーシッター利用支援事業は、今年度より開始いたしました。事業開始にあたり、どれくらいの人数のベビーシッターが確保できるか不透明であり、混乱を避けるため、最も保育負担の大きな0歳児に対象を絞って事業を開始し、ベビーシッターの供給状況を確認しながら、順次年齢拡大を検討することといたしました。
今年度は、これまで順調に事業が推進されていることから、来年度は対象を2歳児まで拡大することとしたものでございます。
認可保育所整備による待機児童対策が進み、一部の地域を除いて待機児童は少数が点在する傾向となっておりますが、このような地域では、多数の定員をまとめて確保する認可保育所開設は、大量に欠員が発生してしまいます。そのため、ベビーシッター利用支援事業は、保育ママ事業とともに、有効な待機児童対策となるものと期待しております。
◆三沢 委員 対象年齢を広げることで、一人でも多くの保護者にサービスをご利用いただけるようになることを願っております。
申請から利用開始までの期間についてもお聞きをいたします。現在、申請から利用開始までおおむね1か月程度かかっているようですが、これではサービス利用者にとって使い勝手が少々悪いように感じられます。もっと短期間でサービス利用ができるようにすべきと考えますが、理事者の見解をお聞かせください。
◎早田 こども家庭部副参事〔保育基盤整備担当〕 ベビーシッター利用支援事業は、東京都が定めた手順によって行われます。利用開始にあたっては、保育所の利用申請で保留処分となったことが前提となるため、区が保留通知を受けた世帯を利用対象者に認定いたします。認定を受けた利用希望者は、東京都の指定するベビーシッター事業者と直接契約を結び、区がその契約を確認して東京都に報告し、さらに東京都がベビーシッター協会に利用対象者であることを通知いたします。通知を受けたベビーシッター協会は利用者IDを発行し、その利用者IDを使って利用開始となります。
多くの区では、保育所の利用申請に対する保留通知を行った後、改めて利用意向調査を行い、希望する方にベビーシッター事業対象者認定通知を行っておりますが、本区においては、利用意向調査を省略し、保留通知とあわせて利用対象者認定通知を行うことで、保留通知を受け取った時点で直ちに事業者と契約できるよう、手続きを簡素化しております。
手続きが複雑な上、区が工夫する余地が少なく、利用者にはお手数をおかけしておりますが、今後も開始までの時間が少しでも短縮できるよう、区として事務の簡素化を検討するとともに、東京都にも機会を捉えて事務の簡素化を求めてまいります。
◆三沢 委員 他区と比べて、大田区なりの工夫を凝らしていることがわかりました。それでも、利用者の利便性向上のためにできるだけサービス申し込みからサービス開始までタイムラグの発生をしないように、引き続き検討をよろしくお願いいたします。
さて、先ほど大田区は、東京都のベビーシッター利用支援事業の対象年齢を令和2年4月から2歳児までと広げることについて話をしましたが、東京都は新型コロナウイルス感染症防止のための臨時休校の伴う小学生の居場所確保のための対策として、ベビーシッター利用支援事業の対象に小学生も追加をすると発表をしました。
具体的には、3月2日から小学校の春休み開始日の前日までの期間、臨時休校に伴い居場所の確保が必要な小学生を対象にしておりますが、大田区はこの事業の活用について、どのように考えておりますでしょうか。理事者の見解をお聞かせください。
◎早田 こども家庭部副参事〔保育基盤整備担当〕 連日、新型コロナウイルス感染症対策としての休校に伴い、共働き世帯等が日中の子どもの預け先に困る状況が報道されております。
本区においては、夏休みなどの長期休業中においても、午前8時30分から児童館及び放課後ひろばにおいて学童保育を実施しており、このたびの休校は夏休みと同じ状況でございますので、通常どおり円滑に児童を預かることができております。
また、教育委員会の協力を得て、休止している放課後子ども教室の従事者及び教室を活用し、学童保育の一時利用の受け入れ定員を増やしており、余裕をもって運営することができております。
したがって、現時点では、休校を理由とする小学生を対象としたベビーシッター利用支援事業を実施しなくても支障はないという状況と言えますが、実施するかどうかにつきましては現在検討中でございます。
◆三沢 委員 必要に応じて、柔軟な対応をよろしくお願いいたします。
次に、本事業の根本的な問題について取り上げたいと思います。それは、格安でベビーシッターサービスを受けることができたと喜んでいたら、翌年に所得税を課税されるという問題です。
東京都のベビーシッター利用支援事業を利用した場合、助成金分は個人の雑所得となります。学費や障害者給付などの助成金については、所得税法9条で定める課税の例外規定にあたるため、雑所得に計上されませんが、同規定には保育費用に関する定めはありません。よって、確定申告をする必要が生じてきます。