大田区においても、今年度、20歳の区民に、感染の有無を検査する検診の施策を開始しておりますが、ここで伺います。
ヘリコバクターピロリ菌検診についての進捗状況をお知らせください。
◎関 健康政策部副参事〔地域保健担当〕 新
成人ピロリ菌検査は、12月から区内184か所の医療機関で検査開始に向け、
東邦大学医療センター大森病院及び大田区三医師会と連携した大田区
ピロリ菌検診委員会において、検査方法や周知方法などの協議を重ね、具体的な準備を進めております。
11月下旬には、検査対象者である新成人約6,000人にご案内と無料クーポン券の個別発送を予定しております。
◆清水 委員 私は、昨年、中学2年生の検診のときにその尿を使ったピロリ菌の検診の提案をいたしました。その提案した理由は、あまねく100%の中学2年生が、検診を受けることができるという理由からでした。
20歳ですと、就職して働いている人や大学等に進学している人、既に結婚して子育てをしている人など、日常生活が忙しい場合、医療機関になかなか行けない、今のご説明でも、やはり医療機関に行かなければいけないということですので、そういうところで、ぜひ多くの方が行けるようにしていただきたいと要望をしました。新しい施策であるこの検診が、受診対象者6,000人、100%が受診できるようにしていただけるよう、そのために、この
ヘリコバクターピロリ菌陽性の場合は、胃がん発症のリスクが高いことの理解を強めていただくこと、検診は簡単であること、無料であること、これを周知していただきたいと思います。区報やホームページ等で発信して、対象者本人だけでなく、家族や友人からも、こんな検診があるから受けたほうがいいよと声がかかるような、そんな努力をしていただきたいと要望します。
私、60歳の職員検診のとき、この
ヘリコバクターピロリ菌の検診を受けました。陽性でした。子どものころの水道は山水でしたし、夏は近くの川で泳いでいましたので、間違いないと思いまして、除菌の薬を飲みました。その結果、陰性となりました。今まで時折あった胃痛や胃もたれがうそのようになくなり、この効果を実感しております。
ヘリコバクターピロリ菌の有無の検査は、血液や尿や便の検査で判定できますから、受診者には苦痛を伴いません。今後、20歳のみならず、
胃がんリスク検査として、がん検診の項目に加えていただくことを要望します。
また、
国民健康保険特定健康診査の際も、尿や血液を検査でとるわけですから、その際にも、実施できるのではないかと考えております。胃がんが減るために、大変大きい検査だと思っております。
先日、九州朝日放送で、尿一滴でがん検査というニュースが放映されていましたけれども、皆さん、ご覧になったでしょうか。線虫が、がん患者の尿に集まる性質を利用して、大腸や胃などにできた15種類以上のがんを、ステージ0や1といった早い段階から見つけることができるという検査だそうです。検査費用は1万円弱、来年1月から実用化されるとしております。それに伴って、この研究の資金援助をしていた自治体があるのですね。久留米市、小郡市、職員120人を対象に、
トライアル検査を今月から行うそうです。
また、2014年から、
国立がんセンターを中心に、九つの大学と六つの企業が参加して、血液1滴で13種のがんを発見できるという診断が始まっているそうです。
マクロRNAエクソソームというのだそうですけれども、検査キットの開発等、産学官の国家的事業として、この実用化が始まるそうです。費用は2万円程度です。検査の負担、苦痛をなくすというのは、がんの早期発見や早期治療を実現する上で大変重要なことだと思います。
がん検診について、今回の委員会でも様々なご意見が出されております。費用対効果を求める発言や、がん検診の費用が無料だと健康への意識が低い、ありがたみがない等の意見をお持ちの方もおられますが、がんをわずらった場合の当事者、家族、職場などの影響、負担は計り知れません。医療費も増大します。早期発見、早期治療が何より求められております。そのためのがん検診の受診者数を増やすこと。このことは、日本にとっても大変重要なことと、日本の国もこれを位置づけていると思います。
諸外国は、7割、8割の国民が、がん検診を受診しているそうです。日本では約3割、その中でも、健康保険の種別を見ますと、やはり企業等の検診よりも、市町村国保の方が、7、8割の方が受けていないということが、どの調査でも明らかになっているようです。受診率向上のために、おおた健康プラン(第三次)では、受診機会、曜日や時間帯の充実や要
精密検査受診者への受診勧奨など、取り組むとなっておりますけれども、同時に、このおおた健康プランでは、がん検診を受けなかった方の理由についての調査もあります。
その中で、忙しいからと答えた方が23.7%、費用がかかるからと答えた方が17.9%おられました。この方々に対して、受診勧奨について、大田区はどのような手だてをとるのかお答えください。
◎関 健康政策部副参事〔地域保健担当〕 受診率向上のためには、いわゆる健康無関心層に働きかけていくことが最も重要になると考えております。そのため、受診勧奨を行うための検診のご
案内パンフレットやチラシについて、複数の自治体で受診率アップの効果が認められた手法を活用し、新たに作成し、配布を開始しました。
お忙しい方に対しては、パンフレットの中に検診受診の
スケジュール帳機能を設け、計画的な検診受診を促しています。
また、女性スタッフだけが対応する子宮頸がん、乳がんを同時に受けられる集団検診について、休日を中心に開催日数を4日増やして36日間に、検診会場は1会場増やして6会場とし、利便性の向上を図っております。費用面の負担につきましては、検診本来の費用と1割程度の自己負担額を対比し、お得感を強調しています。
今後は、12月にスタートする
健康ポイント事業で、検診受診によりポイントが貯まる仕組みも取り入れ、さらなる受診率の向上を図ってまいります。
◆清水 委員 ご答弁をいただきまして、区も、その受診機会の充実については、医師会等とご協力をいただいて努力をしているということは十分承知しております。
平成26年に有料化を始めたときに、同時に今まで行っていたような期限の制限とか、受けたい人が受けられないということをなくしてくださって、五つのがんについては、希望する方が全て受けられるようになったと。このことによって、受診数が特段に上がりました。そのことは区の努力だと認めております。
それから、乳がん、子宮がん検診は、五つのがんのうち他のに比べて受診率が高い。それについても、今お答えになったような集団の検診の実施、女性スタッフなどの配置ということで、とりわけ女性が受けやすいようにしてくださっているということも、大変努力されていると思います。
しかし、私がお話しをさせてもらった費用の面についてですけれども、たかが500円、自分の健康は自分で守るためにこのぐらいの費用は必要だという声もありますけれども、やはり今、10月1日から消費税が増税になりました。年金も下がっています。給料は、なかなか上がっていません。その中で、毎日の暮らしに追われていて、必要だと思ってもなかなか受けられない、こういう方がいらっしゃるのも事実だと思います。
今お答えになった中に、おおた健康プランにも書いてある健康無関心層、こういう言い方をされて、この方々にも受診機会のために、様々な努力をするということですけれども。この健康無関心層というのがどうして出ているのかということについて、もっともっと寄り添って、区民の暮らしを見ながら、どうしたらがんにならないで健康に生きていってもらうための一つの施策として、がん検診を受けてもらう努力をしていただきたいと切に要望します。大胆な周知の発想の転換が必要だと思います。
私が行ったある地方自治体の公共施設では、トイレのトイレットペーパーに大腸がん検診の受診を勧奨するような印刷がしてあったのがあって、非常に驚きました。そういったことも必要だと思います。毎日暮らしが厳しい人に寄り添うという態度を、とにかくこの健康面の施策では、持っていただきたいと思います。
おおた健康プラン(第三次)、がん対策では、プランが目指す区民の姿、こういう言い方で書いてあるのですけれども、その区民の姿を、がんを予防する生活習慣を身につける、がん検診を積極的に受ける、がんになっても治療を続けながら自分らしい生活を送ると、区民に対しての要望が出ておりますけれども、自治体としての責任も、私は、しっかりと区民に示すべきだと思います。
今、健康格差の拡大というものが大問題になっています。国も、健康日本21(第ニ次)において、健康格差の縮小が目標と掲げています。がん検診の受診率が低い集団は、大田区国保の集団だということが明らかですので、ここに重点的な受診勧奨をしてください。このことを強く要望しまして、今日伺いました健康診査、がん検診の受診についての質問を終わります。
◆佐藤 委員 日本共産党の佐藤伸です。
衛生費、保健衛生費、感染症予防費に関連して質問します。
10月1日付のウェザーニュースによると、今季の
インフルエンザは異例の速さで流行し始めていますとし、9月15日までの1週間での流行の目安となる、一医療機関当たりの患者数1.02以上は、石川県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、鹿児島県、沖縄県の7県にのぼり、22日には、東京都も流行期に入りました。
インフルエンザの感染と重症のリスクを下げるワクチン接種も早目に行う必要がありますと報道しています。
厚生労働省は、ホームページなどで、
インフルエンザは、例年12月から3月にかけて流行します。
インフルエンザは、
インフルエンザウイルスに感染して起きます。38度以上の発熱や間接・筋肉痛など、全身の症状が急にあらわれ、高齢の方や種々の慢性疾患を持つ方は、肺炎を伴うなど重症化することがありますと、その危険性と予防を呼びかけています。
大田区では、
インフルエンザ予防接種を高齢者、60歳から64歳の障がいなどがある方、65歳以上の方は全員、自己負担、2,500円で受けられる助成を行い、他の自治体で実施されている子ども・小児への予防接種助成は行っていません。高齢者には助成し、子ども・小児の
インフルエンザ予防接種への助成を行っていない理由をお答えください。
◎高橋
感染症対策課長 予防接種には、予防接種法に基づく定期予防接種としまして、集団予防に重点を置いたA類と個人の重症化予防に重点を置いたB類があります。
A類は、主に乳幼児を対象として麻疹、風疹などの予防接種があり、B類として、高齢者への
インフルエンザ予防接種と
肺炎球菌予防接種があります。区では、予防接種法に基づき、65歳以上の高齢者等を対象として、
インフルエンザワクチンの公費助成を行っております。
毎年発生する
季節性インフルエンザに対して、
インフルエンザワクチンがありますが、感染を完全に防ぐことはできないと言われており、発病を一定程度予防することや重症化の予防には効果があると言われています。
高齢者では、発病阻止だけでなく、死亡阻止の効果が高いと報告されていますが、6歳未満の小児を対象とした
インフルエンザワクチンの有効率は、2013から2014年、2014から2015年、2015から2016年シーズンにおいて、50から60%と報告されており、一定の予防効果はありますが、必ずしも高いと言えないことから、区は助成を実施しておりません。
◆佐藤 委員 厚生労働省のホームページ、
インフルエンザQ&Aでは、
インフルエンザワクチンの効果、有効性について、
インフルエンザワクチンの最も大きな効果は、重症化を予防することです。国内の研究によれば、65歳以上の
高齢者福祉施設に入所している高齢者について、34%から55%で
インフルエンザの発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています。
厚生労働省が出しておりますリーフレットを見ましても、流行前のワクチン接種が有効ですとしまして、ワクチン接種を受けた高齢者は、死亡の危険が5分の1に、入院の危険が、3分の1から2分の1まで減少することが期待されている。現行ワクチンの安全性が極めて高いと評価されていると評価をしております。
また、同じ厚生労働省の
インフルエンザQ&Aの中でも、
インフルエンザワクチンの有効性は、人を対象とした研究において、ワクチンを接種しなかった人が病気にかかるリスクを基準とした場合、接種した人が病気にかかるリスクが相対的に、どれだけ減少したのかという指標で示されます。
6歳未満の小児を対象とした、2015年から16年シーズンの研究では、発病を防止に対する
インフルエンザワクチンの有効率は、60%と報告をされています。ワクチン接種をしなかった人の発病率、リスクを基準とした場合、接種をした人の発病率リスクが、相対的に60%減少しています。
すなわち、ワクチンを接種せず発病した方の60%、30人のうち18人の例などでも示されておりますように、ワクチンを接種していれば、
インフルエンザの発病そのものを防ぐことができたということになります。
現行の
インフルエンザワクチンは、接種すれば
インフルエンザには絶対かからないというものではありません。しかし、
インフルエンザの発病を予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関して、一定の効果があるとされております。
そこで、
インフルエンザで最も重い合併症が、
インフルエンザ脳症です。死亡率は約30%で、後遺症も約25%の子どもに見られる重篤な疾患でもあります。大田区内でも、
インフルエンザ脳症を含む急性脳炎が、2015年から今年、2019年9月15日まで、36人の方が疾患したことが報告されております。
重症化を予防し、発病率を60%減少させる効果のある
インフルエンザ予防、ワクチン接種の効果を、国、厚生労働省も認めております。子育て世代を経済的に支援することです。
インフルエンザワクチンは、生後6か月以上の全ての人に推奨されていますが、健康保険が適用されないため、1回の予防接種に3,000円から5,000円前後の料金は自己負担となっております。
それに、6か月以上から12歳以下の子どもは、2回の接種が必要となっております。小児・子どもを対象とした
インフルエンザ予防接種を国に定期接種化するよう求めると同時に、区内の子どもの
予防接種実施状況を調査するよう求めます。
◎高橋
感染症対策課長 インフルエンザワクチンの小児における有効性や安全性に関しての研究は、現在も国において継続して実施されており、区は、その動向を注視してまいります。したがいまして、現時点では、国に定期接種化を要望することは考えておりません。
乳幼児の
インフルエンザワクチンの有効性については、報告により差がありますが、発病防止効果が高いとは言えないと考えます。予防接種の助成については、ワクチンの有効性を考慮して判断することが重要であり、
予防接種実施状況のみを調査することについては考えておりません。
◆佐藤 委員 先ほどもお話をさせていただきましたように、国の行っている研究調査でも、発病率を60%減少させるということが出ております。これは、高齢者に比べても、かなり高い水準で出ているということになります。
国は、今、
インフルエンザの予防の有効な方法として、ワクチンの接種、手洗いやアルコール製剤による手の衛生の有効、また、感染を広げないために、
せきエチケットを心がけて、人がいるところには行かないようになどと言っておりますが、しかし、子どもたちが学校に行ったり、また、保育園や幼稚園に行く、そういう集団生活をする中で、それを防ぐというのは、やはりなかなか大変になっております。
東京23区では、既に6区、千代田区、新宿区、台東区、世田谷区、渋谷区、中野区で子どもを対象とした
インフルエンザワクチン予防接種への助成が実施されています。
私が、以前、2017年の
予算特別委員会で質問したときよりも、都内での実施自治体が広がりました。子どもたちの健康と命を守り、子育て世帯の経済的支援にもつながる、子ども・小児を対象とした
インフルエンザ予防接種への助成を大田区でも実施することを求めます。お答えください。
◎高橋
感染症対策課長 小児における
インフルエンザワクチンは、先ほどご説明したとおり、予防接種による効果が高いとは言えない状況です。そのため、現時点では助成制度の導入は考えておりませんが、国において乳幼児の
インフルエンザワクチンの有効性等の検討が継続しており、その動向を注視してまいります。
インフルエンザの予防策については、手洗いや
せきエチケットなどの正しい知識を区報やホームページ、ポスター等を使って普及啓発を継続してまいります。
◆佐藤 委員 手洗いや
せきエチケットだけでは防げないということを、国自体も認めて広報しているわけですから、動向を見守るだけではなくて、他自治体でも踏み出している予防接種への助成の実施も含めて、検討を直ちに開始するよう強く求めまして、質問を終わります。
○高山 委員長 以上で、第4款衛生費の審査を終結いたします。
次に、第5款産業経済費の審査に入ります。この款には、自民、共産から通知がありますので、順次、これを許します。
それでは、自民、質疑願います。
◆渡司 委員
自由民主党大田区民連合、渡司幸でございます。今年度実施の産業実態調査について伺います。
5年ごとに行われております、総務省の
経済センサス基礎調査などから見える、大田区の産業構造の実態と近年の変化について教えてください。
◎小澤 産業振興課長 大田区の産業構造の実態といたしましては、総務省の「平成28年経済センサス−活動調査報告書」によりますと、構成比率が大きい順に、卸売業・小売業が全体の23.3%を占めており、製造業が14.7%、宿泊・飲食サービス業が12.2%と続いております。
特別区全体で見ますと、大田区は、他区に比べて製造業の占める割合が突出して高くなっており、現在でも、ものづくりが大田区産業の特徴と言えます。
また、区内における近年の変化につきましては、2009年及び2016年の産業大分類別の事業所構成比率で比較しますと、増加幅が大きい産業として、医療・福祉、不動産・物品賃貸業、教育・学習支援の順となっております。
なお、減少幅が大きい産業としては、製造業、卸売業・小売業、建設業の順となっております。
◆渡司 委員 他区と比較して、製造業が占める割合が突出して高いという特徴を持つ大田区でございますが、事業所数の減少のみならず、製造業、特に、中小企業の稼ぐ力を多面的に分析していくことが大切であると考えます。
第4次産業革命と言われますインダストリー4.0発祥のドイツでも、人口減少、少子高齢化の影響で、内需が極めて弱まったことを受けて、粘り強い産業構造改革を行うことにより、製造業、特に、中小企業の輸出主導による経済成長が定着したと言われております。ドイツの輸出全体の25%を中小企業が占めているという現状もございます。
また、ドイツの中小企業は、95%が家族・同族経営であるため、決断が早く、長期的視点で研究開発を実施することが可能であり、半数の中小企業が、2008年から2010年の2年間で、製品、または、生産プロセスで、新たな技術革新を市場にもたらしたという調査結果からも、提案型の技術革新と高い専門性を武器に、国内外での競争力を維持しているということが伺えます。
今回、実施していただいている、
ものづくり産業実態調査ですが、大田区の
ものづくり産業の将来のために、大変重要な調査であると思いますけれども、マーケティングや事業承継など、調査の項目で、今回、特に留意した点がございましたら教えてください。
◎堀江
工業振興担当課長 今回の調査において、マーケティングに関しては、企業の事業戦略や販路開拓活動、他企業等との連携について、アンケートやヒアリングなどを通じての状況把握に努めております。
また、創出期から成熟期にまでといった、
ものづくり産業のライフサイクルを意識した視点に加え、全ての時期において共通する、人材を一つのポイントとして捉え、調査項目を設定しました。
その中でも、事業承継や人材確保、次世代人材の育成などについては、直近の課題として調査実施の際、特に留意したところです。
加えて、より多くの企業に関心を持って調査結果を見ていただけるよう、調査時に得られた好事例をまとめ、紹介する予定です。
具体的には、BCPを整備した企業や新たな技術を活用している企業等、他社の参考となるような企業の情報を質問項目から抽出することで、それらの事例を生かす企業の増加につなげ、区内産業全体の向上に資する取り組みとしてまいります。
◆渡司 委員 調査結果を分析するだけでなく、BCPを整備した企業などの好事例についても参考にしていくとのことですが、BCPは自然災害や大火災など、緊急事態に事業資産の損害を最小限にとどめつつ、事業の継続や早期復旧を可能とするための計画であり、東日本大震災以降は、計画の策定率は上昇しているものの、中小企業の策定率に課題があると言われております。東京都のBCP支援事業などの活用を促進するためにも、しっかりと調査をしていただきたいと思います。
また、世界中から注目されているドイツの中小企業ですが、その特徴として、従業員数50人以上、250人未満の中堅企業に、隠れたチャンピオン企業が多いということで知られています。隠れたチャンピオンとは、競争相手の少ないある特定の分野に特化して、世界のトップレベルのシェアを誇っている企業のことで、ドイツ国内に約1,300社あると言われており、2位、アメリカの400社、3位、日本の200社を大きく引き離しております。
ドイツと日本の製造業など、産業構造には、共通点も多く、ドイツの中小企業の強さには、励まされるものがあります。
今年度、区政施策調査では、ドイツのジェトロ・デュッセルドルフ、また、再生エネルギー医療機器などで有名なエッセン市、刃物の製造で知られるゾーリンゲン市を訪問します。いずれも隠れたチャンピオン企業や、多くの産業クラスターがあると聞いておりますので、ドイツの中小企業支援やドイツのものづくりについて、しっかりと調査をしていきたいと思っております。
今回の
ものづくり産業等実態調査ですが、前回は、平成26年に実施されましたが、今後の調査の時期と、今回の調査データの活用について教えていただきたいと思います。
◎堀江
工業振興担当課長 ものづくり産業等実態調査については、前回調査を平成26年度に実施し、本年5年ぶりに二度目の調査を実施しているところでございます。
今後の調査予定についてですが、将来の経済情勢も見据えながら、一定期間を経過した時点で、その時々の最新情報を調査によって把握してまいりたいと考えております。
なお、調査によって得られたデータについては、各種産業支援施策へ反映させていくとともに、(仮称)大田区産業振興構想策定のための基礎的資料として活用してまいります。
◆渡司 委員 今後の産業支援、産業振興構想策定に活用されるということで、分析結果を待ちたいと思います。
第4次産業革命、インダストリー4.0では、ざっくりと言いますと、サイバー空間で製品の試作や製造工程のシミュレーションを行い、それらをデジタルデータ化し、丸ごと工場にスキャンするように、実際の製品の製造に移行するシステムをCPS、サイバーフィジカルシステムと言うそうですが、CPSを体験学習できる実験ラボを中小企業が単体で持つことは難しいため、ドイツでは、産学官連携で、そのような実験ラボを各地につくっております。
日本でも、2016年から同様のCPS実験ラボの取り組みが、九州経済産業局の先導で、九州限定の取り組みではありますが、始まってきました。ドイツの中小企業支援のバリエーションは多く、今、お話ししたCPS実験ラボのような技術革新への支援、また、外国市場情報の提供とネットワークの活用支援、さらに資金調達支援などのほかにも、企業がみずからの競争力を高め、成長戦略を実現できるような多面的な支援が行われています。
とはいえ、各企業とも、日々の業務に手いっぱいという状況の中、デジタル化や技術革新など、全てを一度に変えるのではなく、小さなことからスタートできるということを経営者や従業員に理解してもらうことが、最も大切だという専門家もおります。そのためにも、課題の整理や支援の方向性など、調査結果を産業支援に活用していただきたいと思います。
最後に、(仮称)大田区産業振興構想の策定に向けた実態調査では、
ものづくり産業以外の産業に関してはどのような調査を予定しているのかお聞かせください。
◎小澤 産業振興課長 今後、
ものづくり産業以外の調査では、産業分類別の事業所数や構成比率などにより、区内約3,000事業所を抽出し、アンケート調査を実施いたします。
調査にあたりましては、調査票を非製造業と小売・飲食・生活関連サービス業の二つに分け、産業別の実態をより正確に調査し、各事業者の課題等を丁寧に把握する予定でございます。また、大田区産業の特徴の一つであります、運輸業や、近年、事業所数・構成比率ともに増加している、福祉などの産業にも焦点を当ててまいります。
そのほか、アンケート調査では、実態把握が困難な区内の各種産業団体、関係機関などについてはヒアリングを行い、さらなる実態把握に努めてまいります。
◆渡司 委員 今年度実施の各種産業実態調査が、単純な景況感を問うようなものではなく、大田区の産業の成長戦略につながるものになり、(仮称)大田区産業振興構想が、区内産業の稼ぐ力を後押しするものとなることを期待しております。
また、現在、四半期ごとに調査していただいております、「大田区の景況」などにつきましても、今回の調査や産業振興構想の策定に合わせ、新たな調査手法や調査項目など、より戦略的な産業支援につながるような調査にしていただけますよう要望して、質問を終わります
○高山 委員長 次に、共産、質疑願います。
◆福井 委員 日本共産党の福井亮二です。
羽田空港跡地第1ゾーン、区施策活用スペースについてお伺いをしたいと思います。
日本共産党大田区議団は、そもそも羽田空港跡地は歴史的経過を踏まえて、土地を返してもらうという観点から購入すべきではないと考えています。そして、土地活用は、区民の憩いの場にするよう求めてきました。
しかし、現実は、大田区が土地を購入し、羽田みらい開発株式会社に50年貸し出すことになりました。大田区の説明は、この中にある区施策活用スペースが中小企業の役に立つとのことでしたので、そのため、今回は、この区施策活用スペースをしっかりと中小企業支援につなげていただきたい、この観点から質問したいと思います。
入居予定者募集要項について、(仮称)羽田研究開発ラボの募集要項の中に、社会課題の解決や新たな事業の創出。または、新たな事業を創出するための企画力、経営能力、技術力等を有するとありますが、名称どおり研究開発が目的であって、このスペースというのは、工場を入れ込むといったことは考えていないのでしょうか。まず、お伺いいたします。
◎臼井 産業交流担当課長 平成27年7月に策定した、羽田空港跡地第1ゾーン整備方針において、羽田空港跡地第1ゾーンは、イノベーションを創出するため、日本経済を牽引していくと考えられる先端産業分野の企業等を積極的に誘致する。この企業誘致を実現するため、中小企業、ベンチャー、大手企業、関係機関等の研究開発拠点やオフィス用の事業用地、公設支援機関の事業スペースを確保するとしてあります。
現在、募集中の(仮称)羽田研究開発ラボを含む、羽田イノベーションシテイは、この考え方に基づき、第1期事業の運営事業者の公募を行い、選定した運営事業者もこの考え方に即して事業計画の策定、建物計画の設計等をしております。
このため、いわゆる工場として稼働できる仕様等にはなっておらず、工場としての募集、貸し出し等は考えておりません。
◆福井 委員 わかりました。
そして、この羽田みらい開発株式会社に対して、大田区は賃料をこれから払うことになりますが、月と年で幾ら払っていくのかというのを教えてください。
◎臼井 産業交流担当課長 大田区は、建物所有者である羽田みらい開発株式会社から、1平米当たり6,000円で借りることになっております。区は、建物所有者から約4,000平米の床を借りますので、月額にいたしますと約2,400万円となり、年額にいたしますと約2億8,800万円になります。