大田区においても、今年度、20歳の区民に、感染の有無を検査する検診の施策を開始しておりますが、ここで伺います。
ヘリコバクターピロリ菌検診についての進捗状況をお知らせください。
◎関 健康政策部副参事〔地域保健担当〕 新
成人ピロリ菌検査は、12月から区内184か所の医療機関で検査開始に向け、
東邦大学医療センター大森病院及び大田区三医師会と連携した大田区
ピロリ菌検診委員会において、検査方法や周知方法などの協議を重ね、具体的な準備を進めております。
11月下旬には、検査対象者である新成人約6,000人にご案内と無料クーポン券の個別発送を予定しております。
◆清水 委員 私は、昨年、中学2年生の検診のときにその尿を使ったピロリ菌の検診の提案をいたしました。その提案した理由は、あまねく100%の中学2年生が、検診を受けることができるという理由からでした。
20歳ですと、就職して働いている人や大学等に進学している人、既に結婚して子育てをしている人など、日常生活が忙しい場合、医療機関になかなか行けない、今のご説明でも、やはり医療機関に行かなければいけないということですので、そういうところで、ぜひ多くの方が行けるようにしていただきたいと要望をしました。新しい施策であるこの検診が、受診対象者6,000人、100%が受診できるようにしていただけるよう、そのために、この
ヘリコバクターピロリ菌陽性の場合は、胃がん発症のリスクが高いことの理解を強めていただくこと、検診は簡単であること、無料であること、これを周知していただきたいと思います。区報やホームページ等で発信して、対象者本人だけでなく、家族や友人からも、こんな検診があるから受けたほうがいいよと声がかかるような、そんな努力をしていただきたいと要望します。
私、60歳の職員検診のとき、この
ヘリコバクターピロリ菌の検診を受けました。陽性でした。子どものころの水道は山水でしたし、夏は近くの川で泳いでいましたので、間違いないと思いまして、除菌の薬を飲みました。その結果、陰性となりました。今まで時折あった胃痛や胃もたれがうそのようになくなり、この効果を実感しております。
ヘリコバクターピロリ菌の有無の検査は、血液や尿や便の検査で判定できますから、受診者には苦痛を伴いません。今後、20歳のみならず、
胃がんリスク検査として、がん検診の項目に加えていただくことを要望します。
また、
国民健康保険特定健康診査の際も、尿や血液を検査でとるわけですから、その際にも、実施できるのではないかと考えております。胃がんが減るために、大変大きい検査だと思っております。
先日、九州朝日放送で、尿一滴でがん検査というニュースが放映されていましたけれども、皆さん、ご覧になったでしょうか。線虫が、がん患者の尿に集まる性質を利用して、大腸や胃などにできた15種類以上のがんを、ステージ0や1といった早い段階から見つけることができるという検査だそうです。検査費用は1万円弱、来年1月から実用化されるとしております。それに伴って、この研究の資金援助をしていた自治体があるのですね。久留米市、小郡市、職員120人を対象に、トライアル検査を今月から行うそうです。
また、2014年から、
国立がんセンターを中心に、九つの大学と六つの企業が参加して、血液1滴で13種のがんを発見できるという診断が始まっているそうです。
マクロRNAエクソソームというのだそうですけれども、検査キットの開発等、産学官の国家的事業として、この実用化が始まるそうです。費用は2万円程度です。検査の負担、苦痛をなくすというのは、がんの早期発見や早期治療を実現する上で大変重要なことだと思います。
がん検診について、今回の委員会でも様々なご意見が出されております。費用対効果を求める発言や、がん検診の費用が無料だと健康への意識が低い、ありがたみがない等の意見をお持ちの方もおられますが、がんをわずらった場合の当事者、家族、職場などの影響、負担は計り知れません。医療費も増大します。早期発見、早期治療が何より求められております。そのためのがん検診の受診者数を増やすこと。このことは、日本にとっても大変重要なことと、日本の国もこれを位置づけていると思います。
諸外国は、7割、8割の国民が、がん検診を受診しているそうです。日本では約3割、その中でも、健康保険の種別を見ますと、やはり企業等の検診よりも、市町村国保の方が、7、8割の方が受けていないということが、どの調査でも明らかになっているようです。受診率向上のために、おおた健康プラン(第三次)では、受診機会、曜日や時間帯の充実や要精密検査受診者への受診勧奨など、取り組むとなっておりますけれども、同時に、このおおた健康プランでは、がん検診を受けなかった方の理由についての調査もあります。
その中で、忙しいからと答えた方が23.7%、費用がかかるからと答えた方が17.9%おられました。この方々に対して、受診勧奨について、大田区はどのような手だてをとるのかお答えください。
◎関 健康政策部副参事〔地域保健担当〕 受診率向上のためには、いわゆる健康無関心層に働きかけていくことが最も重要になると考えております。そのため、受診勧奨を行うための検診のご
案内パンフレットやチラシについて、複数の自治体で受診率アップの効果が認められた手法を活用し、新たに作成し、配布を開始しました。
お忙しい方に対しては、パンフレットの中に検診受診の
スケジュール帳機能を設け、計画的な検診受診を促しています。
また、女性スタッフだけが対応する子宮頸がん、乳がんを同時に受けられる集団検診について、休日を中心に開催日数を4日増やして36日間に、検診会場は1会場増やして6会場とし、利便性の向上を図っております。費用面の負担につきましては、検診本来の費用と1割程度の自己負担額を対比し、お得感を強調しています。
今後は、12月にスタートする
健康ポイント事業で、検診受診によりポイントが貯まる仕組みも取り入れ、さらなる受診率の向上を図ってまいります。
◆清水 委員 ご答弁をいただきまして、区も、その受診機会の充実については、医師会等とご協力をいただいて努力をしているということは十分承知しております。
平成26年に有料化を始めたときに、同時に今まで行っていたような期限の制限とか、受けたい人が受けられないということをなくしてくださって、五つのがんについては、希望する方が全て受けられるようになったと。このことによって、受診数が特段に上がりました。そのことは区の努力だと認めております。
それから、乳がん、子宮がん検診は、五つのがんのうち他のに比べて受診率が高い。それについても、今お答えになったような集団の検診の実施、女性スタッフなどの配置ということで、とりわけ女性が受けやすいようにしてくださっているということも、大変努力されていると思います。
しかし、私がお話しをさせてもらった費用の面についてですけれども、たかが500円、自分の健康は自分で守るためにこのぐらいの費用は必要だという声もありますけれども、やはり今、10月1日から消費税が増税になりました。年金も下がっています。給料は、なかなか上がっていません。その中で、毎日の暮らしに追われていて、必要だと思ってもなかなか受けられない、こういう方がいらっしゃるのも事実だと思います。
今お答えになった中に、おおた健康プランにも書いてある健康無関心層、こういう言い方をされて、この方々にも受診機会のために、様々な努力をするということですけれども。この健康無関心層というのがどうして出ているのかということについて、もっともっと寄り添って、区民の暮らしを見ながら、どうしたらがんにならないで健康に生きていってもらうための一つの施策として、がん検診を受けてもらう努力をしていただきたいと切に要望します。大胆な周知の発想の転換が必要だと思います。
私が行ったある地方自治体の公共施設では、トイレのトイレットペーパーに大腸がん検診の受診を勧奨するような印刷がしてあったのがあって、非常に驚きました。そういったことも必要だと思います。毎日暮らしが厳しい人に寄り添うという態度を、とにかくこの健康面の施策では、持っていただきたいと思います。
おおた健康プラン(第三次)、がん対策では、プランが目指す区民の姿、こういう言い方で書いてあるのですけれども、その区民の姿を、がんを予防する生活習慣を身につける、がん検診を積極的に受ける、がんになっても治療を続けながら自分らしい生活を送ると、区民に対しての要望が出ておりますけれども、自治体としての責任も、私は、しっかりと区民に示すべきだと思います。
今、健康格差の拡大というものが大問題になっています。国も、健康日本21(第ニ次)において、健康格差の縮小が目標と掲げています。がん検診の受診率が低い集団は、大田区国保の集団だということが明らかですので、ここに重点的な受診勧奨をしてください。このことを強く要望しまして、今日伺いました健康診査、がん検診の受診についての質問を終わります。
◆佐藤 委員 日本共産党の佐藤伸です。
衛生費、保健衛生費、感染症予防費に関連して質問します。
10月1日付のウェザーニュースによると、今季のインフルエンザは異例の速さで流行し始めていますとし、9月15日までの1週間での流行の目安となる、一医療機関当たりの患者数1.02以上は、石川県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、鹿児島県、沖縄県の7県にのぼり、22日には、東京都も流行期に入りました。インフルエンザの感染と重症のリスクを下げるワクチン接種も早目に行う必要がありますと報道しています。
厚生労働省は、ホームページなどで、インフルエンザは、例年12月から3月にかけて流行します。インフルエンザは、
インフルエンザウイルスに感染して起きます。38度以上の発熱や間接・筋肉痛など、全身の症状が急にあらわれ、高齢の方や種々の慢性疾患を持つ方は、肺炎を伴うなど重症化することがありますと、その危険性と予防を呼びかけています。
大田区では、
インフルエンザ予防接種を高齢者、60歳から64歳の障がいなどがある方、65歳以上の方は全員、自己負担、2,500円で受けられる助成を行い、他の自治体で実施されている子ども・小児への予防接種助成は行っていません。高齢者には助成し、子ども・小児の
インフルエンザ予防接種への助成を行っていない理由をお答えください。
◎高橋 感染症対策課長 予防接種には、予防接種法に基づく定期予防接種としまして、集団予防に重点を置いたA類と個人の重症化予防に重点を置いたB類があります。
A類は、主に乳幼児を対象として麻疹、風疹などの予防接種があり、B類として、高齢者への
インフルエンザ予防接種と
肺炎球菌予防接種があります。区では、予防接種法に基づき、65歳以上の高齢者等を対象として、
インフルエンザワクチンの公費助成を行っております。
毎年発生する
季節性インフルエンザに対して、
インフルエンザワクチンがありますが、感染を完全に防ぐことはできないと言われており、発病を一定程度予防することや重症化の予防には効果があると言われています。
高齢者では、発病阻止だけでなく、死亡阻止の効果が高いと報告されていますが、6歳未満の小児を対象とした
インフルエンザワクチンの有効率は、2013から2014年、2014から2015年、2015から2016年シーズンにおいて、50から60%と報告されており、一定の予防効果はありますが、必ずしも高いと言えないことから、区は助成を実施しておりません。
◆佐藤 委員 厚生労働省のホームページ、
インフルエンザQ&Aでは、
インフルエンザワクチンの効果、有効性について、
インフルエンザワクチンの最も大きな効果は、重症化を予防することです。国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者について、34%から55%でインフルエンザの発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています。
厚生労働省が出しておりますリーフレットを見ましても、流行前のワクチン接種が有効ですとしまして、ワクチン接種を受けた高齢者は、死亡の危険が5分の1に、入院の危険が、3分の1から2分の1まで減少することが期待されている。現行ワクチンの安全性が極めて高いと評価されていると評価をしております。
また、同じ厚生労働省の
インフルエンザQ&Aの中でも、
インフルエンザワクチンの有効性は、人を対象とした研究において、ワクチンを接種しなかった人が病気にかかるリスクを基準とした場合、接種した人が病気にかかるリスクが相対的に、どれだけ減少したのかという指標で示されます。
6歳未満の小児を対象とした、2015年から16年シーズンの研究では、発病を防止に対する
インフルエンザワクチンの有効率は、60%と報告をされています。ワクチン接種をしなかった人の発病率、リスクを基準とした場合、接種をした人の発病率リスクが、相対的に60%減少しています。
すなわち、ワクチンを接種せず発病した方の60%、30人のうち18人の例などでも示されておりますように、ワクチンを接種していれば、インフルエンザの発病そのものを防ぐことができたということになります。
現行の
インフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザには絶対かからないというものではありません。しかし、インフルエンザの発病を予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関して、一定の効果があるとされております。
そこで、インフルエンザで最も重い合併症が、
インフルエンザ脳症です。死亡率は約30%で、後遺症も約25%の子どもに見られる重篤な疾患でもあります。大田区内でも、
インフルエンザ脳症を含む急性脳炎が、2015年から今年、2019年9月15日まで、36人の方が疾患したことが報告されております。
重症化を予防し、発病率を60%減少させる効果のある
インフルエンザ予防、ワクチン接種の効果を、国、厚生労働省も認めております。子育て世代を経済的に支援することです。
インフルエンザワクチンは、生後6か月以上の全ての人に推奨されていますが、健康保険が適用されないため、1回の予防接種に3,000円から5,000円前後の料金は自己負担となっております。
それに、6か月以上から12歳以下の子どもは、2回の接種が必要となっております。小児・子どもを対象とした
インフルエンザ予防接種を国に定期接種化するよう求めると同時に、区内の子どもの
予防接種実施状況を調査するよう求めます。
◎高橋 感染症対策課長
インフルエンザワクチンの小児における有効性や安全性に関しての研究は、現在も国において継続して実施されており、区は、その動向を注視してまいります。したがいまして、現時点では、国に定期接種化を要望することは考えておりません。
乳幼児の
インフルエンザワクチンの有効性については、報告により差がありますが、発病防止効果が高いとは言えないと考えます。予防接種の助成については、ワクチンの有効性を考慮して判断することが重要であり、
予防接種実施状況のみを調査することについては考えておりません。
◆佐藤 委員 先ほどもお話をさせていただきましたように、国の行っている研究調査でも、発病率を60%減少させるということが出ております。これは、高齢者に比べても、かなり高い水準で出ているということになります。
国は、今、インフルエンザの予防の有効な方法として、ワクチンの接種、手洗いやアルコール製剤による手の衛生の有効、また、感染を広げないために、せきエチケットを心がけて、人がいるところには行かないようになどと言っておりますが、しかし、子どもたちが学校に行ったり、また、保育園や幼稚園に行く、そういう集団生活をする中で、それを防ぐというのは、やはりなかなか大変になっております。
東京23区では、既に6区、千代田区、新宿区、台東区、世田谷区、渋谷区、中野区で子どもを対象とした
インフルエンザワクチン予防接種への助成が実施されています。
私が、以前、2017年の予算特別委員会で質問したときよりも、都内での実施自治体が広がりました。子どもたちの健康と命を守り、子育て世帯の経済的支援にもつながる、子ども・小児を対象とした
インフルエンザ予防接種への助成を大田区でも実施することを求めます。お答えください。
◎高橋 感染症対策課長 小児における
インフルエンザワクチンは、先ほどご説明したとおり、予防接種による効果が高いとは言えない状況です。そのため、現時点では助成制度の導入は考えておりませんが、国において乳幼児の
インフルエンザワクチンの有効性等の検討が継続しており、その動向を注視してまいります。
インフルエンザの予防策については、手洗いやせきエチケットなどの正しい知識を区報やホームページ、ポスター等を使って普及啓発を継続してまいります。
◆佐藤 委員 手洗いやせきエチケットだけでは防げないということを、国自体も認めて広報しているわけですから、動向を見守るだけではなくて、他自治体でも踏み出している予防接種への助成の実施も含めて、検討を直ちに開始するよう強く求めまして、質問を終わります。
○高山 委員長 以上で、第4款衛生費の審査を終結いたします。
次に、第5款産業経済費の審査に入ります。この款には、自民、共産から通知がありますので、順次、これを許します。
それでは、自民、質疑願います。
◆渡司 委員
自由民主党大田区民連合、渡司幸でございます。今年度実施の産業実態調査について伺います。
5年ごとに行われております、総務省の
経済センサス基礎調査などから見える、大田区の産業構造の実態と近年の変化について教えてください。
◎小澤 産業振興課長 大田区の産業構造の実態といたしましては、総務省の「平成28年経済センサス−活動調査報告書」によりますと、構成比率が大きい順に、卸売業・小売業が全体の23.3%を占めており、製造業が14.7%、宿泊・飲食サービス業が12.2%と続いております。
特別区全体で見ますと、大田区は、他区に比べて製造業の占める割合が突出して高くなっており、現在でも、ものづくりが大田区産業の特徴と言えます。
また、区内における近年の変化につきましては、2009年及び2016年の産業大分類別の事業所構成比率で比較しますと、増加幅が大きい産業として、医療・福祉、不動産・物品賃貸業、教育・学習支援の順となっております。
なお、減少幅が大きい産業としては、製造業、卸売業・小売業、建設業の順となっております。
◆渡司 委員 他区と比較して、製造業が占める割合が突出して高いという特徴を持つ大田区でございますが、事業所数の減少のみならず、製造業、特に、中小企業の稼ぐ力を多面的に分析していくことが大切であると考えます。
第4次産業革命と言われますインダストリー4.0発祥のドイツでも、人口減少、少子高齢化の影響で、内需が極めて弱まったことを受けて、粘り強い産業構造改革を行うことにより、製造業、特に、中小企業の輸出主導による経済成長が定着したと言われております。ドイツの輸出全体の25%を中小企業が占めているという現状もございます。
また、ドイツの中小企業は、95%が家族・同族経営であるため、決断が早く、長期的視点で研究開発を実施することが可能であり、半数の中小企業が、2008年から2010年の2年間で、製品、または、生産プロセスで、新たな技術革新を市場にもたらしたという調査結果からも、提案型の技術革新と高い専門性を武器に、国内外での競争力を維持しているということが伺えます。
今回、実施していただいている、
ものづくり産業実態調査ですが、大田区のものづくり産業の将来のために、大変重要な調査であると思いますけれども、マーケティングや事業承継など、調査の項目で、今回、特に留意した点がございましたら教えてください。
◎堀江
工業振興担当課長 今回の調査において、マーケティングに関しては、企業の事業戦略や販路開拓活動、他企業等との連携について、アンケートやヒアリングなどを通じての状況把握に努めております。
また、創出期から成熟期にまでといった、ものづくり産業のライフサイクルを意識した視点に加え、全ての時期において共通する、人材を一つのポイントとして捉え、調査項目を設定しました。
その中でも、事業承継や人材確保、次世代人材の育成などについては、直近の課題として調査実施の際、特に留意したところです。
加えて、より多くの企業に関心を持って調査結果を見ていただけるよう、調査時に得られた好事例をまとめ、紹介する予定です。
具体的には、BCPを整備した企業や新たな技術を活用している企業等、他社の参考となるような企業の情報を質問項目から抽出することで、それらの事例を生かす企業の増加につなげ、区内産業全体の向上に資する取り組みとしてまいります。
◆渡司 委員 調査結果を分析するだけでなく、BCPを整備した企業などの好事例についても参考にしていくとのことですが、BCPは自然災害や大火災など、緊急事態に事業資産の損害を最小限にとどめつつ、事業の継続や早期復旧を可能とするための計画であり、東日本大震災以降は、計画の策定率は上昇しているものの、中小企業の策定率に課題があると言われております。東京都のBCP支援事業などの活用を促進するためにも、しっかりと調査をしていただきたいと思います。
また、世界中から注目されているドイツの中小企業ですが、その特徴として、従業員数50人以上、250人未満の中堅企業に、隠れたチャンピオン企業が多いということで知られています。隠れたチャンピオンとは、競争相手の少ないある特定の分野に特化して、世界のトップレベルのシェアを誇っている企業のことで、ドイツ国内に約1,300社あると言われており、2位、アメリカの400社、3位、日本の200社を大きく引き離しております。
ドイツと日本の製造業など、産業構造には、共通点も多く、ドイツの中小企業の強さには、励まされるものがあります。
今年度、区政施策調査では、ドイツのジェトロ・デュッセルドルフ、また、再生エネルギー医療機器などで有名なエッセン市、刃物の製造で知られるゾーリンゲン市を訪問します。いずれも隠れたチャンピオン企業や、多くの産業クラスターがあると聞いておりますので、ドイツの中小企業支援やドイツのものづくりについて、しっかりと調査をしていきたいと思っております。
今回のものづくり産業等実態調査ですが、前回は、平成26年に実施されましたが、今後の調査の時期と、今回の調査データの活用について教えていただきたいと思います。
◎堀江
工業振興担当課長 ものづくり産業等実態調査については、前回調査を平成26年度に実施し、本年5年ぶりに二度目の調査を実施しているところでございます。
今後の調査予定についてですが、将来の経済情勢も見据えながら、一定期間を経過した時点で、その時々の最新情報を調査によって把握してまいりたいと考えております。
なお、調査によって得られたデータについては、各種産業支援施策へ反映させていくとともに、(仮称)大田区産業振興構想策定のための基礎的資料として活用してまいります。
◆渡司 委員 今後の産業支援、産業振興構想策定に活用されるということで、分析結果を待ちたいと思います。
第4次産業革命、インダストリー4.0では、ざっくりと言いますと、サイバー空間で製品の試作や製造工程のシミュレーションを行い、それらをデジタルデータ化し、丸ごと工場にスキャンするように、実際の製品の製造に移行するシステムをCPS、サイバーフィジカルシステムと言うそうですが、CPSを体験学習できる実験ラボを中小企業が単体で持つことは難しいため、ドイツでは、産学官連携で、そのような実験ラボを各地につくっております。
日本でも、2016年から同様のCPS実験ラボの取り組みが、九州経済産業局の先導で、九州限定の取り組みではありますが、始まってきました。ドイツの中小企業支援のバリエーションは多く、今、お話ししたCPS実験ラボのような技術革新への支援、また、外国市場情報の提供とネットワークの活用支援、さらに資金調達支援などのほかにも、企業がみずからの競争力を高め、成長戦略を実現できるような多面的な支援が行われています。
とはいえ、各企業とも、日々の業務に手いっぱいという状況の中、デジタル化や技術革新など、全てを一度に変えるのではなく、小さなことからスタートできるということを経営者や従業員に理解してもらうことが、最も大切だという専門家もおります。そのためにも、課題の整理や支援の方向性など、調査結果を産業支援に活用していただきたいと思います。
最後に、(仮称)大田区産業振興構想の策定に向けた実態調査では、ものづくり産業以外の産業に関してはどのような調査を予定しているのかお聞かせください。
◎小澤 産業振興課長 今後、ものづくり産業以外の調査では、産業分類別の事業所数や構成比率などにより、区内約3,000事業所を抽出し、アンケート調査を実施いたします。
調査にあたりましては、調査票を非製造業と小売・飲食・生活関連サービス業の二つに分け、産業別の実態をより正確に調査し、各事業者の課題等を丁寧に把握する予定でございます。また、大田区産業の特徴の一つであります、運輸業や、近年、事業所数・構成比率ともに増加している、福祉などの産業にも焦点を当ててまいります。
そのほか、アンケート調査では、実態把握が困難な区内の各種産業団体、関係機関などについてはヒアリングを行い、さらなる実態把握に努めてまいります。
◆渡司 委員 今年度実施の各種産業実態調査が、単純な景況感を問うようなものではなく、大田区の産業の成長戦略につながるものになり、(仮称)大田区産業振興構想が、区内産業の稼ぐ力を後押しするものとなることを期待しております。
また、現在、四半期ごとに調査していただいております、「大田区の景況」などにつきましても、今回の調査や産業振興構想の策定に合わせ、新たな調査手法や調査項目など、より戦略的な産業支援につながるような調査にしていただけますよう要望して、質問を終わります
○高山 委員長 次に、共産、質疑願います。
◆福井 委員 日本共産党の福井亮二です。
羽田空港跡地第1ゾーン、区施策活用スペースについてお伺いをしたいと思います。
日本共産党大田区議団は、そもそも羽田空港跡地は歴史的経過を踏まえて、土地を返してもらうという観点から購入すべきではないと考えています。そして、土地活用は、区民の憩いの場にするよう求めてきました。
しかし、現実は、大田区が土地を購入し、羽田みらい開発株式会社に50年貸し出すことになりました。大田区の説明は、この中にある区施策活用スペースが中小企業の役に立つとのことでしたので、そのため、今回は、この区施策活用スペースをしっかりと中小企業支援につなげていただきたい、この観点から質問したいと思います。
入居予定者募集要項について、(仮称)羽田研究開発ラボの募集要項の中に、社会課題の解決や新たな事業の創出。または、新たな事業を創出するための企画力、経営能力、技術力等を有するとありますが、名称どおり研究開発が目的であって、このスペースというのは、工場を入れ込むといったことは考えていないのでしょうか。まず、お伺いいたします。
◎臼井 産業交流担当課長 平成27年7月に策定した、羽田空港跡地第1ゾーン整備方針において、羽田空港跡地第1ゾーンは、イノベーションを創出するため、日本経済を牽引していくと考えられる先端産業分野の企業等を積極的に誘致する。この企業誘致を実現するため、中小企業、ベンチャー、大手企業、関係機関等の研究開発拠点やオフィス用の事業用地、公設支援機関の事業スペースを確保するとしてあります。
現在、募集中の(仮称)羽田研究開発ラボを含む、羽田イノベーションシテイは、この考え方に基づき、第1期事業の運営事業者の公募を行い、選定した運営事業者もこの考え方に即して事業計画の策定、建物計画の設計等をしております。
このため、いわゆる工場として稼働できる仕様等にはなっておらず、工場としての募集、貸し出し等は考えておりません。
◆福井 委員 わかりました。
そして、この羽田みらい開発株式会社に対して、大田区は賃料をこれから払うことになりますが、月と年で幾ら払っていくのかというのを教えてください。
◎臼井 産業交流担当課長 大田区は、建物所有者である羽田みらい開発株式会社から、1平米当たり6,000円で借りることになっております。区は、建物所有者から約4,000平米の床を借りますので、月額にいたしますと約2,400万円となり、年額にいたしますと約2億8,800万円になります。
さて、大田区内の区道は約777キロメートル、都道は約39キロメートル、国道は約29キロメートルであります。公道の中で、区道の占める割合が92.8%と高いことには驚かされました。
平成25年の道路交通法改正に伴い、自転車は、原則、車道走行が強調されるようになりましたが、区内の多くの方から自転車走行時、危険を感じる、自動車と接触しそうになったことがよくあるなどの声が寄せられております。
歩道上での自転車と歩行者の接触事故の多発を考えると、自転車の車道通行はやむを得ないと考えますが、いまだに車道走行時に自動車と接触しそうになるなど、私自身も危険を感じることは多いです。
そこで、決算概要説明書269ページの自転車走行環境整備工事及び依託についての質問です。
自転車走行環境における国の位置づけなどのほか、現在までの区の進捗及び他区との比較についてお聞かせください。
◎谷田川 都市基盤計画調整担当課長 自転車走行環境につきましては、国の自転車活用推進計画における、自転車交通の役割拡大による良好な都市環境の形成の目標の中で、実施すべき施策として掲げられ、計画的な整備を促進していくことが求められています。現在、全国で169の自治体が計画・整備を進められております。
区でも、平成28年に策定した計画に基づき、区道約170キロの整備完了を目指し、現在までに約39.9キロ、全体の約23%が完成しております。
また、大田区の取り組みは先進的で、かつ整備は、他区と比べて進んでいる状況でございます。
◆須藤 委員 では、次は、決算概要説明書264ページから265ページの交通安全推進事業全体からの質問です。
私は、大田区内の主たる移動手段は自転車のみであります。逆走してくる自転車をよけようとして自動車と接触しそうになったことが、何度もあります。自転車の左側通行の徹底など、交通事故防止のためにやるべきこと、多岐にわたると思います。
そこで伺います。自転車走行環境の整備済み箇所を安全に走行するためには、区民への啓発と教育の両面がとても重要だと考えますが、区内の自転車交通事故の特徴についてお聞かせください。
◎谷田川 都市基盤計画調整担当課長 平成30年の区内の自転車事故の関与率は41.5%と、増加傾向にあります。特に、30代から50代の年齢層の関与率は、全体の約43%を占めております。
また、事故別の原因では、安全不確認、続いて交差点安全進行義務違反が、例年上位となっている特徴がございます。
そのため、警察署や協力団体と連携し、様々なイベントや体験教室等を通じて、幅広い年代層に交通安全の啓発や教育を実施しております。
また、引き続き、自転車走行環境の早期のネットワーク化を進めるとともに、自転車利用者や歩行者、自動車運転者など、誰もが安全に通行できる自転車走行の環境づくりに取り組んでまいります。
◆須藤 委員 よくわかりました。
では、決算概要説明書265ページの交通安全の実施についての質問です。
高齢者の自転車事故の関与率をお聞かせください。
◎谷田川 都市基盤計画調整担当課長 65歳以上の方の自転車事故の関与率は、全体の27%でございます。
◆須藤 委員 幅広い年齢層に交通安全の啓発や教育の必要を強く感じます。今後も、自転車ドライバーの目線で、自転車の事故防止策や良好な自転車走行環境が何かを日々考え、改善案などがありましたら、また相談させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
では、次の質問に入ります。決算概要説明書274ページの河川維持管理について、質問いたします。
呑川のユスリカ対策は、大田区における長年の課題であり、私も自転車で呑川側道通行時、口や目、鼻にユスリカが入り、不愉快な思いを何度もしてきました。呑川の水源は落合水処理センターからの処理水であり、リンや窒素の多い富栄養水であり、池上橋から上の上流域では水深も浅く、日光が当たれば光合成により、容易に藻が繁殖してしまう環境であります。藻が繁殖すると、藻を住みかとするユスリカも繁殖します。
そこでお伺いします。区のユスリカ対策の現状と、今後の方向性をお聞かせください。
◎岩澤 都市基盤整備部副参事〔調布地域基盤整備担当〕 区では、ユスリカの大量の発生を防止するため、ユスリカの幼虫が生息する河床の藻の清掃を充実させております。平成30年度は、河床を清掃車により43回清掃し、あわせて河床の藻をブラシでそぎ落とす清掃を25回実施しました。さらに清掃車の機能強化を図り、壁面の清掃も行いました。
河床清掃の平成30年度決算額は5,150万2,237円で、全額、東京都の特別区事務処理特例交付金の対象となっております。
このような河床清掃の結果、以前のようなあたり一面を覆うようなユスリカの大量発生の報告は受けておらず、定期的に捕虫器で捕獲した成虫も減少傾向にあります。区としては今後も、現状の河床清掃を継続するなど、呑川のユスリカの大量発生防止に努めてまいります。
◆須藤 委員 では、平成30年度の決算額5,150万2,237円の内訳と、平成31年度の予算の内訳をお教えください。
◎岩澤 都市基盤整備部副参事〔調布地域基盤整備担当〕 平成30年度決算額の内訳は、清掃車による河床清掃の委託料が2,842万3,124円、河床の藻をブラシでそぎ落とす清掃の委託料が2,307万9,113円でございます。平成31年度予算額は5,389万255円で、その内訳は清掃車による河床清掃の委託料が2,869万2,435円、河床の藻をブラシでそぎ落とす清掃の委託料が2,519万7,820円でございます。
◆須藤 委員 河床を走行する清掃車による清掃は43回で2,842万円、1回当たり約66万円、河床の藻をブラシでそぎ落とす清掃は25回で2,307万円、1回当たり約92万円、ユスリカ対策には継続的にお金がかかることがよくわかりました。
呑川は、私が物心ついたときから毎日見てきた川であり、実際に河床清掃の現場を何度も見て、ユスリカ対策の難しさは理解しております。呑川周辺にて、多頻度で多数のアブラコウモリが確認できます。体重7グラムのアブラコウモリが1日に食べる虫の量は3.5グラム、ユスリカの体重で約500匹に相当します。もし100匹のアブラコウモリがいれば、1日5万引きのユスリカを駆除できます。ビオトープ管理士の視点から、今まで魚類によるユスリカの幼虫の駆除などを考えてきましたが、今後はアブラコウモリによるユスリカの成虫の捕食の実態なども個人的に調査していきたいと思います。
以上で、私の質問は終わります。
○高山 委員長 次に、立憲の質疑に入ります。平野委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承願います。
それでは、立憲、質疑願います。
◆平野 委員 立憲民主党大田区議団の平野春望でございます。
決算概要説明書の270ページの呑川緑道の整備、274ページの河川維持管理の呑川について、お伺いしたいと思います。先ほどの大森委員との質問と重複する部分もありますが、よろしくお願いいたします。
私は毎日、呑川を見ながら宮之橋を渡って区役所に向かいます。その中で、今日は少しきれいかな、今日は少し汚いかなと思いながら、ほとんどは淀んで川の底は見えないわけでありますが、少しでも呑川がきれいになったらいいなと思いながら役所に向かうわけでございます。
そこでお聞きします。区では、BOD、DOなど、いろいろな種類の水質調査を年に4回、呑川で行っていると聞いておりますが、その代表的なBODの数字は、過去の指標と比べてどうなっているのでしょうか。
◎菅野 環境対策課長 平成6年に大田区における下水道普及率がおおむね100%となったことに加えまして、東京都の清流復活事業により水質の改善が図られ、BODにつきましては、平成9年以降、呑川の表層の年間の平均値は環境基準の1リットル当たり8ミリグラムを下回っております。
◆平野 委員 なかなか数字では実感がわかない区民の方も多いと思いますので、生き物でいうと、魚とか鳥とか、呑川沿いの生き物は増えているのでしょうか。
◎菅野 環境対策課長 区では、平成25年度から3年おきに河川や海域におきまして、魚類、鳥類等の調査を行うとともに、特に呑川では、職員が毎日パトロールを実施し、目視による生物等の確認を行っているところでございます。
魚類や鳥類の種類につきましてはほぼ変わりはありませんが、底生動物の種類は増えており、近年は環境がより安定していると考えられます。
◆平野 委員 魚や鳥の種類がほぼ変わらないが、川の底で見られる水中の底生生物の種類が増えていることがよくわかりました。引き続き水質の改善を図っていただき、鳥や魚、底生生物の種類が増えていくように進めていただければと思います。
これは、ある区民の方からお聞きしたのですが、今年の夏は特に呑川が汚い、においもするということでした。そういった水質の悪化や悪臭の防止対策として、区はどのような対応をしているのでしょうか、お答えください。
◎保下 都市基盤管理課長 呑川における水質浄化対策は、東京都や流域自治体である目黒区、世田谷区との連携による呑川水質浄化対策研究会を開催し、総合的な水質浄化対策を検討、推進してございます。具体的には、短期・中期的な取り組みとして、スカム発生抑制装置や河床整正、高濃度酸素水による浄化対策などを進めてございます。
また、長期的な対策としては、下水道局と連携しながら、合流式下水道の改善に取り組んでおります。
◆平野 委員 呑川の水質浄化対策として、短期・中期的にはスカム発生抑制装置、河床整正、高濃度酸素水による浄化対策をしているとお聞きしました。また、堆積した汚泥を除去するしゅんせつ工事も行っていると聞いております。それぞれの取り組みについて、お聞かせください。
◎大田 基盤工事担当課長 スカムの発生を抑制する装置は、保守・点検や台風の接近時を除き、通年稼働しております。
河床の凹凸をなくす河床整正工事は、平成28年度から4か年計画で取り組んでおります。今年度は西蒲田一丁目の双流橋付近から蒲田一丁目のJR鉄橋付近までの約700メートル区間を予定しております。
また、池上五丁目の堤方橋付近から西蒲田一丁目の双流橋付近においては、堆積した汚泥を除去するしゅんせつ工事を毎年実施しております。
高濃度酸素水浄化施設については、現在、設置工事に向けて準備を進めております。
◆平野 委員 先ほどのご説明にあった高濃度酸素水浄化施設ですが、西蒲田五丁目の児童遊園跡地に建設中の施設かと思います。区のおおた未来プラン10年(後期)の進捗状況を見ると、呑川水質浄化対策の推進で執行率72.59%ですが、この未執行はなぜでしょうか。
◎大田 基盤工事担当課長 主な要因は、高濃度酸素水浄化施設設置工事の変更によるものです。
平成30年度は、建屋の新築工事と電気設備工事、機械設備工事、放流管などの設置工事を予定しておりましたが、工事場所が鉄道敷地に近接しており、JR鉄道事業者との施工協議に時間を要しました。そのため、当初の工期内での竣工が困難となり、その後の機械設備工事を令和元年度以降に延期いたしました。
◆平野 委員 令和元年度以降に延期ということで、1日も速い施設の稼働と、それに伴う呑川の水質改善を期待しております。
先日の9月6日の日経新聞の記事で、23区全てで、現在の合流式下水道を分流式下水道に切りかえると、10兆3,000億円かかるという試算がありました。水質改善をするためには、汚水と雨水を切り分ける分流式下水道が一番だと思います。先ほど、長期的には下水道局と連携しながら、合流式下水道の改善に取り組んでいくというご説明がありました。現時点ではすぐには難しいとは聞いておりますが、ぜひ早期に取り組んでいただければと思います。
そういった状況の中で、現在水質改善のために貯留管を整備する計画があると聞いておりますが、こちらの進捗状況はいかがでしょうか。
◎保下 都市基盤管理課長 合流改善のための貯留管は、降雨初期の特に汚れた下水を貯留することにより、雨天時に河川に放流される汚濁負荷量を削減する施設でございます。
東京都下水道局では効率的、かつ効果的に水質改善を図るため、呑川中流域における貯留施設の整備を推進してございます。現在、関係機関と協議を行いながら、貯留管の整備に向けた実施設計を行ってございます。
今後も、事業着手に向け、下水道局と連携を深めてまいります。
◆平野 委員 やはり水がきれいだと、多くの生き物が呑川に集まり、そういった生き物につられて多くの区民の方が呑川緑道に集うのではないかと思います。また、呑川緑道や、その沿道の公園を整備されることによって、休憩場所による触れ合いや語らいの場になると思います。その中で、自然に毎日散歩をする人も増えて、区民の健康増進にも寄与すると思います。
皆様のタブレットに配信した資料をご覧ください。3枚の写真がありますが、これは呑川をよりよくしようと日々、研究、活動をされている呑川の会からいただいた、神奈川県川崎市の二ヶ領用水の写真です。とても美しくすてきな風景だと思いました。呑川もこのようになればすてきだと思いませんか。
そこでお伺いします。現在行われている呑川緑道の整備、その周辺の公園の整備について、現状と今後の計画や展望について、区のご見解をお示しください。
◎浦瀬 建設工事課長 呑川緑道の整備につきましては、平成30年度末までに4,835メートルの緑道を整備しております。また、呑川緑道沿いにおける休憩や語らいの場所となる触れ合い拠点につきましては、おおむね500メートル間隔で公園等を設け、これまでに24か所の整備を完了しております。
なお、今年度の呑川緑道の整備につきましては、東雪谷三丁目において整備を進めております。
一方、川崎市の二ヶ領用水につきましては、都市における潤いや安らぎを与え、多くの市民から親しまれている水辺空間と認識しております。
今後の呑川緑道の展望につきましては、自然環境や景観に配慮した水と緑の空間づくりに努めてまいります。
◆平野 委員 先日の議員研修会で、千葉大学の近藤教授のお話にあった公共健康学。これからは、健康によい環境づくり、0次予防が重要になってきます。公園の近くに住む人は1.2倍頻繁に運動するというデータもありました。これからは、いかに楽しく外に出たいような環境をつくるか、まさに自治体は試されていくのではないでしょうか。そのまちづくり、環境づくりによって病気やけがが少なくなり、認知症も減るなど、健康寿命が延びていく、ひいては福祉予算も抑制できるのではないでしょうか。10年、20年、ひょっとすると何十年のスパンになると思いますが、呑川を整備することによって、そのようなまちが実現できるのではないかと思います。そのための呑川の水質改善や、呑川周辺の環境整備を強く要望して、質問を終わります。
○高山 委員長 会議が長時間にわたりましたので、しばらく休憩いたします。
午後3時05分休憩
午後3時25分再開
○高山 委員長 ただいまから、決算特別委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、第6款土木費の質疑を続けます。
ネットの質疑に入ります。北澤委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承願います。
それでは、ネット、質疑願います。
◆北澤 委員 大田・生活者ネットワーク、北澤潤子です。つい2か月半前までは車椅子生活でしたので、皆様にはご協力、ご配慮をいただきまして、本当にありがとうございました。骨盤の骨が思いのほか早く再生して、もう普通に過ごせるようになりましたが、半年間の車椅子生活はとても貴重な経験となりました。大田区のバリアフリーやユニバーサルデザインについて感じることが多くあり、これからもずっと、土木と都市基盤整備の方、特にどうぞよろしくお願いいたします。
この間、出かけるときは電動車椅子で電車やバスを利用しましたが、電車ではどんなに乗り継ぎがあっても、駅ごとの連携で駅員が待っていてくれて、スロープをホームと電車の間に渡してくれるほか、エレベーターの場所まで案内してくれました。電車の中には大抵車椅子スペースがあり、ほぼスムーズに電車を使うことができました。東急をはじめ、どの鉄道会社でもサービスが徹底していて、本当に関心いたしました。公共交通のバリアフリー化は、障がい者の社会参画に大きく影響します。
今日はユニバーサルデザインタクシー、UDタクシーについて質問をいたします。資料1、2、3をご覧ください。国と東京都は、東京オリンピック・パラリンピックを見込んで、UDタクシーの導入を推進しています。トヨタのジャパンタクシーは、横からのスライドドアで開口部を広くとり、海外からのお客さんも乗り降りしやすい設計、車椅子もそのまま乗れるというふれ込みです。国からは、1台当たり60万円、東京都は上乗せで40万円の補助金を出しており、東京都は平成28年から5年間で66億2,000万円の予算をとり、1万台を目指しています。車椅子ユーザーにとって、普通のタクシー料金で車椅子のまま乗れることは、社会参画への大きなステップになりますが、実際の使い勝手が肝心です。UDタクシーの普及を受けて、大田区はどのような対応をするのかお聞きしたいと思います。
私も実際に使ってみましたが、乗り降りにかなりのスペースを要すること、セッティングに時間がかかることがわかり、運転手にとっても車椅子ユーザーにとっても非常に使いにくいことがわかりました。ジャパンタクシーは横からスロープを使って車椅子を乗せるので、道路の横幅が必要になります。まず車の幅が約2メートル、スロープが約1.3メートル、車椅子の乗り込みスペースが約1メートルなので、乗りおりに必要なスペースは4メートル以上です。一般的な住宅街では車がぎりぎりすれ違いできる4メートル程度の道路が多いので、ジャパンタクシーに乗り込む場所は限定されます。タクシーをとめても、乗ることのできる場所を探して移動するところから始め、運転手にとっては後ろの座席を倒して、スロープを出してセットして、座席を前も後ろも倒して広げて乗せるという一連の動作、車椅子は乗ったら、今度は前向きになるために狭い車内の中で方向転換しなければならないなど、運転手も車椅子の客も結構な作業で、私の場合は15分かかりました。道路を約15分も占拠するのは、非常に難しいことです。電車をおりて駅に着いて、雨が降っていたのでタクシーで帰りたいと思っても、駅には乗り込める場所があるでしょうか。今はタクシーを呼べる便利なアプリ機能がスマホについていますが、UDタクシーへの乗り降りを想定すると、広いスペースと屋根が必要です。
お聞きします。蒲田東口はこれから改修がなされます。車椅子ユーザーがUDタクシーを安心して利用できるように、屋根とスペースを設けることができませんか。
◎大見 拠点まちづくり担当課長 蒲田駅東口では、駅前広場の初動期整備として、令和8年度の完成を目指して、歩行者環境の改善を重視したデザイン基本プランを策定したところです。
現在、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、国や東京都の補助制度もあり、都内のUDタクシーの台数は着実に増えております。タクシー業界としても、今後も積極的にUDタクシーを導入していくとのことです。このような状況の中、蒲田駅東口の初動期整備では、タクシーの乗車空間の確保のほか、歩行者空間やバス乗降空間の確保とあわせて、限られた空間の中で全ての駅利用者が安全・安心、快適に利用できる環境を整える必要があります。引き続き、適切な駅前広場環境となるように、交通管理者やタクシー事業者などと連携しながら、多様な視点で検討してまいります。
◆北澤 委員 羽田空港を有する大田区ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
既存の駅はどうでしょう。例えば西馬込や馬込の駅では、目の前がすぐに国道1号線、あるいは環状7号線です。タクシー乗り場はありません。アプリでタクシーを呼んでも、果たして車椅子が乗せてもらえるかどうか。車の設計と道路の設計は本来、連動させてあるべきです。国道であれば国に、都道であれば東京都に改善を求めて、働きかけていただくことを要望いたします。
先日、議員研修会では千葉大学の予防医学センターの近藤克則先生の講義をお聞きし、健康長寿はまちづくりに秘けつがあるとのお話を伺い、大変納得をしたところです。包括外部監査の報告書では、公園が一つのテーマでしたので、それをもとに質問をいたします。公園は、誰でもが集える貴重な公共空間です。特に今は多くの保育園の代替園庭ともなっていますので、子どもの成長、発達の観点をはじめ、時代に即した機能を盛り込んだ公園が考えられるべきではないかと考えます。
遊具についてお聞きします。一例ですが、我が家の周りには小学生が多く住んでいますが、隣の本町児童公園では鉄棒がなくなり、太鼓橋がなくなりました。小学生の逆上がりの練習も、太鼓橋にぶら下がる姿も見られなくなりました。3、4歳の子どもが太鼓橋の上を登っていき、最後まで行けて、お父さんやお母さんに、見て見てと得意げに言っている姿も以前は見られて、挑戦や達成感を味わえる遊具と言えます。太鼓橋がなくなったことを残念がる声を聞きます。また、都会の子どもは体力のうち、腕の筋力が特に弱いと聞きますが、つかまったりぶら下がる遊具が一つもなくなったわけです。
豊かな遊び空間は遊具の影響が少なくありません。乳幼児の多い地域では低い滑り台など、穏やかに遊ぶことのできる遊具が欲しいでしょうし、特に保育園の代替園庭となる砂場は重要です。小さな子どもにとって、山をつくったり穴を掘ったり、自分の力で素材の形を変えることのできる遊びは、創造性や意欲を培います。友達と協力して川をつくって、水を流すこともわくわくする遊びです。小学生の多い地域では、運動量の多くなる、冒険できる遊具が求められるのではないでしょうか。公園の立地、周辺の子どもの年齢層や保育園の状況に応じて、遊びの形態、子どもの発達や運動能力を勘案して、ふさわしい遊具が考えられるものと思います。
お聞きします。公園の遊具はどういう基準や方針で設置していますか。
◎大田 基盤工事担当課長 公園遊具の設置につきましては、常に利用者の視点に立ち、楽しく活用していただけることを念頭に実施しています。取り組みの一つとして、乳幼児向けの遊具を取り入れた、子育て支援遊び場整備を周辺保育園へのアンケートや、保育士との現地視察等を実施して、蒲田一丁目公園、中馬込児童公園の2公園で整備いたしました。
また、大田区の公式PRキャラクターはねぴょんの幼児向け遊具を特別出張所ごとに設置しています。さらに、健康増進やリフレッシュの場、子ども連れから高齢者までが憩える場の視点から、48公園で健康遊具の設置を行っています。今後も公園の利用状況や周辺施設の立地状況を踏まえ、公園の遊具設置を進めてまいります。
◆北澤 委員 地域の声は聞いていますか。
◎大田 基盤工事担当課長 地域の声は、公園の設計に際しまして意見を聞いて、進めていっているところでございます。
◆北澤 委員 私は、公園の隣に30年住んでいるのですけど、一度も公園のことを相談されたり、聞かれたりしたことがないのですけども、ぜひ公園の近くに住んでいる人たちや子どもたちの意見を聞くような、区民参画の公園づくりを心がけていただきたいなと思います。
子どもの遊びにおける危険には、リスクとハザードがあります。子どもがチャレンジする中で、事故の回避能力を育む、子どもが判断可能な危険性、リスクと、遊具に釘が飛び出ていたり、壊れていたりする事故につながる危険性、子どもが判断不可能な危険性、ハザードとに区分されます。包括外部監査の報告書によると、緊急修繕が必要なものも含め、劣化がある遊具は大森地区に82基で全体の15%、糀谷・羽田地区には58基で全体の15%、調布地区と蒲田地区には緊急修繕の必要のあるものはなく、調布地区は14基で全体の3.5%、蒲田地区が30基で全体の7%となっています。このように地域差があります。
お聞きします。遊具の劣化については地域によるものか、使用頻度によるものか、分析する必要があること。物的ハザードはできるだけ早く取り除くべきで、現在の年1回の定期点検では足りないと意見されていますが、これについては今後どのような計画を持ちますか。
◎石井 公園施設担当課長 公園の遊具に関しましては、国土交通省の都市公園における遊具の安全確保に関する指針において、定期点検を行わなければならない旨が規定されております。定期点検は、公園管理者が必要に応じて専門技術者と協力して、一定期間ごとに行う詳細な点検のことであります。定期点検の頻度は年1回以上とするとされております。よって、大田区では、これに基づいて年1回の点検を実施しているもので、区内の全遊具を対象として、専門技術者による点検を実施しております。
これに加えて、日常点検として、公園維持業務における公園巡回時等に目視での確認を行っております。これらにより、遊具における危険を発見するために十分な体制をとっていると考えてございます。今後も引き続き、遊具における安全確保を図ってまいります。
また、遊具の劣化度合いの傾向につきましては、今後も引き続き点検を継続していく中で、分析を行ってまいりたいと考えてございます。
◆北澤 委員 地域差があるということなので、これからもしっかり分析をして、修繕できるところはしていただきたいと思います。
これまで議会で何度も取り上げられてきたボール遊びについてです。子どもの最も好きな遊びの一つのボール遊びについては、子どもからも親からも要望がずっと届いていますが、できる公園は区内に12か所しかなく、しかも地域に偏りがあります。資料5をご覧ください。区内のほとんどの公園には、一律にボール遊び禁止の看板が設置されています。確かに近隣からのクレームに大田区が苦慮されていることは察するところです。しかし、そうでもあっても、子どもの声を聞くこと、成長を育む環境を守る努力、看板の言葉には子どもへの配慮が必要だと考えます。
品川区の看板、6番をご覧ください。「人に迷惑をかける遊びはやめましょう」として、禁止という言葉を使っていません。世田谷区のある公園では、7番、「こっちに向かって投げたり蹴ったりしないでください」と、住宅に面したところに看板がつけてあったり、8番は、「赤ちゃん、幼児がいるときはサッカー、野球などの球技はやめましょう」としています。いずれも、なぜいけないかが子どもにわかるように書かれています。子どもに向き合う自治体の姿勢があらわれていると言えます。大田区も子どもを尊重する気持ち、子どもに理解を求める気持ちを看板に反映させてほしいと思います。
なお、現時点での協議の進捗状況ですが、新たに騒音等による作業時間の制約や附帯工事の増加など、施工条件に変更が生じております。そのため、補償費算定を深度化しているところですが、補償費が大幅に増える見込みであり、現在の計画のまま進めることは難しい状況でございます。
一方で、「おおもり街なか“すいすい”プラン」では、バリアフリールートとしてエレベーターの設置が必須となっておりましたが、JR東日本、アトレ、東急ホテルズの協力により、大森東急REIホテルの既存エレベーターを活用することで、ルートの確保が可能となりました。現在、改修工事に着手しており、令和2年夏ごろから運行を開始する予定でございます。
◆大橋 委員 よくそんな簡単に難しい状況でありますと言えますね。
平成29年度、工事予算が計上されても工事が進まないため、私は理事者にお聞きしました。すると理事者からは、補償店舗が増えたため、翌年、平成30年度に工事を行いますとの回答があり、とても残念ですがやむを得ないと思い、来年度との理事者の言葉を信じて、多くの区民の皆様に事あるごとに説明をし、お伝えをしてまいりました。そして、その30年度、いつから工事ですかと理事者にお聞きすると、今度も、さらにまた補償店舗が増えたので、今年も見送りますと。必ず来年は行いますとお話がありました。
区民の皆様に工事を行うと正式に公表しているにもかかわらず、さらに区の言葉を信じ、30年度工事を行うことも多くの区民の皆様に説明もしており、私自身、区民の皆様に大変申しわけなく、本当に苦しい思いをしました。しかし、必ず行いますとの言葉を信じるしかない、そう思い、また再度、区民の皆様にはしっかりと説明をしていこうと決めました。その上で、多くの皆様には、必ず来年実施をいたしますとお伝えしてまいりました。しかし、今ありましたご答弁、工事期間も延びて、かなり補償額が増加となり、現実、エスカレーター設置は難しいですと。一体どうなっているのですか。設置します、工事しますと区民に公表し、住民説明も行い、地域も、障がい者の方々も、多くの区民の皆様に期待をさせて、これだけ長い期間があるにもかかわらず、今になって設置できませんとは。補償費が予想より増えたため、工事期間が長くなったためと、なぜもっとJRと、いや駅ビルと詰めてから公表しないのですか。区も努力をされて、JR、そして駅ビルと交渉されてきたのかもしれませんが、この展開はあまりにも大きい問題です。
今まで、JR、駅ビルとどういう交渉をされてきたのでしょうか。設置箇所の様々な検討、工事の短縮、コストの削減に向けた検討や話し合い、詰めも行われずに公表したのですか。なぜこういうことになったのか。また、具体的に補償店舗、工事期間、どうなっているのか。店舗補償、整備費の負担割合も含めてお答え願います。
◎深川 まちづくり計画調整担当課長 これまで、基本設計、実施設計を進める中で、様々な設置場所や設置方法について、工期短縮、コストの削減の視点から、施工方法を含めJR東日本とともに検討を行ってまいりました。実施設計を受けて、店舗を営業しながら工事を進める際の影響や附帯工事の範囲についてアトレと協議を行い、設計内容の見直しと、各テナントに対する補償費の算定を行ってまいりました。
補償対象店舗と工期の変化につきましては、基本設計時3店舗10か月、実施設計時8店舗10か月、その後の協議などを経まして、12店舗20か月へとそれぞれ増加しております。
費用の負担につきましては、昭和59年のエスカレーター設置時に、大森駅中央階段エスカレーター設置工事協定及び大森駅中央階段エスカレーターの設置管理に関する覚書を締結しており、移転変更などに関する整備費用を区が負担し、運行に関する費用はアトレと折半することとなっております。そのため、今回の工事費や補償費につきましては、区が全額負担することとしております。
◆大橋 委員 駅に来られる方は、ほとんど電車を利用するため、もしくは駅ビルを使われるお客様がほとんどだと思います。JRや駅ビルにとってはお客様です。なぜ店舗全ての補償、整備費用全額を大田区負担なのでしょうか。JRや駅ビルの建物です。本来、工事費、店舗補償、そして、運行に関する費用も、JR、駅ビルが負担して行い、そこに区が補助するというのが本来と考えます。
また、JRや駅ビルはバリアフリーの取り組みを何といわれているのでしょうか。長年要望してまいりましたエレベーターの改善は、東急ホテル、駅ビル、JRには大変感謝とともに、区長をはじめ理事者の皆様には高く評価をいたします。しかし、多くの方が階段を使用するため、エスカレーターの設置は必要な取り組みです。駅ビルが開いていない朝や夜の時間帯は、足の悪い方も階段でおりることになります。JR大森駅は、JR単独駅としては東日本で一番乗降客が多いと言われている駅です。にもかかわらず、くだりのエスカレーターが設置されない。この件、区としてどう思われますか。
また、以前取り上げました東口のタクシー乗り場の危険な勾配の改善も、全く返答がありません。一体、バリアフリーを進めている時代に、JRにお聞きしたいところでありますが、どのように区として働きかけをお考えでしょうか、お答え願います。
◎深川 まちづくり計画調整担当課長 大森駅東口エスカレーターの利用者の多くは、委員お話しのとおり、JR東日本の乗客であるのはもちろんですが、区内在住、在勤の方々でもあります。そのため、区としましても、老朽化したエスカレーターの更新と下りエスカレーターの設置の必要性を強く認識しておりますので、今後も粘り強く取り組んでまいります。
また、大森駅東口周辺のバリアフリーの推進につきましては、今回のエレベーターによるバリアフリールートの確保のように、JR東日本をはじめとする関係機関との協力体制が不可欠です。引き続き、協力体制を堅持しながら、ユニバーサルデザインのまちづくりの推進に向けて取り組んでまいります。
◆大橋 委員 必ずお願いします。
大森駅東口下りエスカレーターの設置について、補償費が大幅に、かなりの増額になったことについて、本区は福祉や防災をはじめ、ほか様々な課題があり、エスカレーターだけに多額な予算をかけられない、それは私も思います。しかし、大森駅に下りのエスカレーターは必要です。区民のため、駅利用者のため、コスト削減も含め、設置箇所や工事の進め方等、様々、よくよく検討、調整、代替案等を検討し、引き続きの取り組みを要望いたします。
以上で質問を終わります。
○高山 委員長 次に、田島委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承願います。
◆田島 委員 大田区議会公明党の田島和雄でございます。
都市整備費のうち、ブロック塀など、危険な塀の耐震改修について、まちづくりの観点からお伺いいたします。
去年、平成30年6月18日に、大阪府北部を震源としたマグニチュード6.1、最大震度6弱の地震が発生し、人的被害としては死者6名、負傷者369名の被害が出ました。この大阪府北部の地震は、午前7時58分ごろという通学時間帯に発生したこともあり、高齢者もいらっしゃいましたが、特に通学路を歩行していた小学生が、倒れてきたブロック塀の下敷きとなり、お亡くなりになるという大変痛ましい事故が起きました。その事故を受け、ブロック塀などの危険な塀が改めてクローズアップされ、耐震チェックや耐震改修が全国的に大きなうねりとなったことは記憶に新しいところです。
本区においては、大阪府北部の地震を受け、まちづくり推進部が中心となり、本区の職員が総出に近い形で、真夏の猛暑の中、公共施設や通学路などに設置されているブロック塀などの危険な塀の緊急点検を行いました。大田区は、公共施設が多いと言われるにもかかわらず、スピーディーに点検されたことに敬意を表します。この緊急点検の結果、危険箇所が複数見つかりました。そのうち、小中学校、庁舎や公園、緑地など、区が所管している公共施設などの情報が本区ホームページにブロック塀の安全対策対応状況として掲載され、随時更新されております。それを拝見しますと、対応済みのところもありますが、調整中のところがまだまだ多く見受けられます。
伺います。調整中であるのは、どういう理由からであるのかお知らせください。
◎榊原 都市計画課長 委員お話しのとおり、昨年6月から、区では公共施設や通学路などのブロック塀について、実態調査及び改修工事を行っており、その結果を区のホームページにて随時更新してお知らせしております。直近では、本年10月1日に更新しておりまして、公共施設における改修工事着手からおよそ1年間で、22か所の施設で改修が完了したところでございます。
調整中のブロック塀につきましては、ほとんどが公共施設との隣地境に設置されておりまして、それらの境界が確定されていないことなどから、改修には境界確定に加えまして、塀所有者の特定などが必要不可欠となっております。そのため、隣地関係者との調整に時間要しているところでございます。
なお、これらの調整中の塀につきましては、技術職員が点検をした際に、状況に応じて周囲に立入禁止のバリケードを設置するなど、安全の確保にも努めているところでございます。
◆田島 委員 本区だけでは改修を進めることができない。なかなか難しい状況であることは理解いたしました。
では、そういう状況の中で一つ一つ改修を進めていくには、今後、本区としてどのように取り組まれるのか、見解をお伺いいたします。
◎榊原 都市計画課長 今後の対策としましては、境界の確定など隣地関係者との調整が終わった塀から、迅速に改修工事に取り組んでまいります。
一方、隣地関係者との調整に時間を要する塀につきましては、塀の劣化状況などを反映した台帳をもとに優先順位を設定しまして、早期改修に着手できるよう、調整を進めてまいります。
これらの取り組みを積極的に進めまして、今年度末までには、さらに9か所の施設で改修を予定してございます。そうなりますと、全体で約3割を超える公共施設でブロック塀の改修が完了する見込みとなってございます。
◆田島 委員 さらに難しいと思うのは、通学路などでも危険な塀が民間の敷地にある場合です。そうした民地と呼ばれる民間の敷地に設置されている危険な塀の撤去と改修を促すため、本区においては年度の途中にもかかわらず、去年、平成30年9月から、ブロック塀等改修工事助成事業をスタートさせました。ワンストップ相談窓口を設置したこととあわせ、令和2年度までの時限措置ではありますが、同助成事業を始めたことを高く評価いたします。
伺います。昨年度の同助成事業の利用状況と通学路沿いの危険な塀の改修はどれだけ進んだのかお知らせください。
◎中村 まちづくり推進部副参事〔耐震改修担当〕 平成30年9月以降、民有地における区の助成事業を活用したブロック塀の改修実績は、ブロック塀等改修工事助成事業が13件でした。狭あい道路拡幅整備事業で22件、生垣造成助成事業で3件、合計38件となっております。そのうち、通学路沿いのブロック塀は9件でした。
また、区が大阪府北部地震発生後に通学路沿いのブロック塀を調査したもののうち、高さ2.2メートルを超えるもの120件と、劣化等がある塀23件、合計143件について再調査を実施したところ、20件が自主的に改修を行っているのを確認いたしました。
◆田島 委員 しかし、大阪府北部の地震から、今現在、1年以上経過をいたしまして、その間、集中豪雨被害や台風被害が頻発していることもあってか、ひところよりもブロック塀に対する区民の関心が薄れていることを危惧しております。
タブレット資料をご覧ください。9月9日に上陸した台風15号は、大田区各地にも大きな爪痕を残しましたが、あるところではブロック塀が崩れておりました。不幸中の幸いで、けが人はなかったようですが、暴風で倒れるのであれば、地震の際にも倒れるのではないかと、ますます危惧いたします。公共施設よりもさらに困難をきわめると考えられる民間の敷地のブロック塀などの危険な塀を改修していくには、ターゲットを絞り、通学路沿いなど、重要度の高いところにより有利な制度を設け、改修の働きかけを敷地所有者などに行うなどの必要があると考えますが、本区の見解をお伺いいたします。
◎中村 まちづくり推進部副参事〔耐震改修担当〕 区のブロック塀等改修工事助成事業は、通学路を含む道路沿いの塀を対象としています。特に、通学路の安全確保は重要と考え、まちづくり推進部及び教育委員会が連携して改善のお願いに取り組んでまいりました。しかしながら、令和元年の助成制度を活用した改修実績は、9月末まででブロック塀等改修工事助成事業の7件を含む27件になっております。
区が実施したアンケートでも、申請方法の簡略化や助成金の増額などのご意見をいただいております。通学路沿いのブロック塀等にターゲットを絞り、安全の確保に向けて、引き続き助成制度の普及に努めるとともに、制度改善に努めてまいります。
◆田島 委員 一方、国は、緊急輸送道路などの避難路の沿道にある建築物に付随する塀についても、建築物本体と同様に耐震診断を義務づける対象に加えるとした改正、耐震改修促進法施行令を平成31年1月1日に施行しました。
伺います。政令改正を受けて、緊急輸送道路などのブロック塀の状況についてお知らせ願います。
◎中村 まちづくり推進部副参事〔耐震改修担当〕 耐震改修促進法施行令の改正によるブロック塀等への耐震診断義務づけにつきましては、緊急輸送道路の閉塞防止を目的に、一定規模以上のブロック塀について、耐震診断が義務づけされるものです。現在、東京都は、耐震改修促進計画を改定して、診断義務づけ対象及びその範囲の指定を検討中だと聞いております。
また、区も東京都に合わせて診断義務づけ対象及びその範囲の指定のため、耐震改修促進計画の改定を検討中です。このため、現時点で区内に診断義務づけ対象はございませんが、今後、必要に応じて対策等を検討してまいります。
区は、今後も、危険なブロック塀等の改善に取り組んでまいります。
◆田島 委員 ブロック塀等改修工事助成事業を時限措置としたのは、ブロック塀などの危険な塀を速やかに撤去し、より安全なものに改修していくためであると理解しております。その目的を実現するために、本区のさらなる対策強化を求め、質問を終わります。
○高山 委員長 本日は、この程度をもって、決算特別委員会を閉会いたします。
午後4時40分閉会...