また、少子高齢社会への対応や、公共施設の機能更新、区民の暮らしを守る防災対策など、喫緊の重要課題についても着実に成果を挙げております。こうした状況を鑑みますと、平成31年度はまさに正念場であり、重要な局面にあります。このような認識のもと、平成31年度予算案は多様な主体のつながりによる地域課題の解決を支える取り組みや、国際都市おおたの実現に向けてのこれまでの成果を将来につなげる取り組みなどを、優先して取り組む重点課題としており、地域力と国際都市を柱とした将来像の実現を強く意識した予算案を編成いたしました。
◆渡司 委員 これまでの成果を着実なものとするとともに、将来へのかけ橋となる予算としたいという区長の区政への責任感と力強い思いを受け取らせていただきました。地域力と国際都市という、まさに松原区政のキーワードを柱とした新年度予算案に対し、生産的な総括質疑をさせていただきたいと思います。
まず、今回の予算案の歳入における地方譲与税の中に、新たに
森林環境譲与税として2,700万円が計上されています。この
森林環境譲与税が創設される背景について、ご説明ください。
◎市野 企画経営部長 パリ協定の枠組みのもとにおける我が国の
温室効果ガス排出削減目標の達成や、災害防止などを図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、国は平成31年度税制改正の一環として、森林環境税及び
森林環境譲与税を創設することとしてございます。
森林環境譲与税は、国が国内に住所を有する個人に対して、年額1,000円の森林環境税を課し、これを地方に譲与するものでございます。また、森林環境税は目的税として使途が定められ、区市町村の場合、森林整備及びその促進に関する間伐や人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の費用に充当することとなってございます。区といたしましても、低炭素社会の実現に向けて、本財源を有効に活用してまいります。
◆渡司 委員
森林環境譲与税の枠組みにおいては、市町村における継続的、かつ安定的な森林整備等の財源に充てるとの方向性が示されておりますが、本区においては現時点ではどのような施策に活用することができるのでしょうか。区の見解をお示しください。
◎市野 企画経営部長
森林環境譲与税の活用につきましては、国が示す使途の内、木材利用の促進として、(仮称)
田園調布せせらぎ公園文化施設整備工事に充当することを現時点では想定をしてございます。また、恒久財源であることから、今後は施設整備における木材の活用のほか、環境教育への活用について研究を進めるとともに、使途に関する国や他自治体の動向についても注視してまいります。
◆渡司 委員 (仮称)
田園調布せせらぎ公園文化施設は、本区にもゆかりの深い、隈研吾氏への設計委託ということで、近代的でありながら木材のあたたかさを際立たせる特徴的な
隈研吾スタイルによる調布地区のシンボル的な施設になることを期待しております。ほかにも森林整備の財源に充てるとの趣旨のもとでの緑化や、木材の活用促進という意味では、大田区における水辺の環境整備としての緑道の整備や木材をふんだんに使用したボードウォークやウッドテラスなどにも活用できるのではないかと期待をしております。
私自身も
城南地区水辺活性化議員連盟として、大田・品川両区議会の仲間とともに、水辺のにぎわいの創出に取り組んでいるところでございますが、天王洲周辺のウッドデッキやウッドテラスの整備は圧巻であり、品川区の大きなインバウンドの拠点として魅力あるエリアとなっております。本区においても、水辺護岸の緑化や散策路、拠点整備に関しましても森と海のつながりを意識した取り組みとして、ぜひ
森林環境譲与税の活用を施策として取り組んでいただきたいと要望をいたします。
また、環境学習の観点からも、民間の環境団体等の行っている森林に関する持続可能な開発のための教育、
森林ESDプログラムの活用やSDGsの取り組みの推進に資する環境教育の充実などが考えられ、子どもから大人まで区民の皆さんの環境に関する豊かな学びにもつながっていくことと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
また同じく、今回、
環境性能割交付金5,958万8,000円も新たな歳入として新設をされておりますが、その基本的な仕組みについてお聞きします。
◎市野 企画経営部長
環境性能割交付金の原資となる
自動車税環境性能割は、消費税率10%の引き上げ時点におきまして、従来の自動車取得税が廃止されることに伴い、創設されるものでございます。
自動車取得税環境性能割は、自動車取得税の
グリーン化機能を維持・強化するために燃費基準値の達成度に応じて税率を設定し、都道府県が賦課徴収を行います。
環境性能割交付金は、この内、一定割合が区市町村に交付されるものでございます。
環境性能割交付金は使途の定めのない一般財源でございますが、その趣旨を踏まえ、貴重な財源として活用してまいります。
◆渡司 委員
環境性能割交付金は、排ガス性能、燃費性能を向上させる
グリーン化機能の維持・強化を図るという、その創設の趣旨から、
森林環境譲与税とともに
温室効果ガス排出削減、環境意識の向上に資するものであり、日本が環境後進国とならないためにも、
森林環境譲与税、
環境性能割交付金などの活用により、区民の環境学習や温室効果ガスの排出削減の取り組みがより一層進むことを期待し、次の質問に移ります。
次に、本予算案に挙げられている五つの重点課題を中心に質問をいたします。初めに、子育て・教育の充実について、伺います。今回の予算案の重点課題の一番初めに、次代を担う子どもたちの未来を拓く力を育み、切れ目なく応援する取り組みとして、小・中学校の校舎の改築、
区立小・中学校の暑さ対策として31億9,005万円が計上されています。その校舎の改築に関して、今年は29億円余と過去4年間では最も少ない予算となっておりますが、基本構想・基本設計・実施設計など計画着手に関しては9校、工事及び竣工は4校、合計13校と改築を加速していこうという区の姿勢が見られ、高く評価をいたします。東京2020大会までの建築費の高騰や、建築資材、労働力の不足などを鑑みて、基本構想と基本設計を早めに行い、オリパラ後の景気の落ち込みを回避するタイミングで工事に着手しようという意図を感じますが、今後、長寿命化方針の策定や景気の動向なども踏まえつつ、さらに改築計画のスピードアップに期待をしたいところですが、区の見解をお示しください。
◎後藤 教育総務部長
区立小・中学校は、築40年以上の建物が全体の約8割を占めており、公共施設の中でも特に老朽化が進行しております。現在、教育委員会では年2校、改築校を選定し、来年度分をあわせて、計13校の改築に着手しておりますが、今以上にスピードを上げた施設更新の取り組みが必要と考えております。
教育委員会では、来年度から2か年で学校施設の長寿命化計画を策定する予定です。長寿命化は、建物配置や校庭の形状が変更できないなど、設計、施工上の制約はありますが、一般的に改築工事に比べ、工期や工事費が縮減できるメリットがございます。また、委員がお話しのように東京2020大会後は、これまでより工事業者の人手不足や資材調達の状況が改善されることが期待されます。今後、学校体育館の暑さ対策やトイレの洋式化の集中的な取り組みが加わることから、区財政や改築時期の平準化の視点を十分踏まえつつ、改築や長寿命化の手法を組み合わせた学校施設の更新に迅速かつ計画的に取り組んでまいります。
◆渡司 委員 学校の改修に関しましては、地域事情、地域課題も様々であり、多くの条件を視野に検討しなくてはならないことから、シンプルに決まり切った手順で進むことではないということは十分に承知をしておりますが、バランスのよい計画的な改築のためにも、全校規模での基本的な
スケジュール管理は必要であると考えます。長寿命化方針、長寿命化計画とあわせ、
区立小・中学校の全校規模での
スケジュールづくりを進めていただくことを要望いたします。
また関連ですが、学校施設の整備については、もちろん教育環境の向上が最優先でございますが、全国的にもまだ事例が少ないものの、学校施設と
特別養護老人ホームや
デイサービスセンターなど、地域課題を解決し、住民福祉に寄与する様々な複合化が行われてきております。平成26年に文部科学省が行った、学校施設と他の公共施設との複合化に関する各種調査の結果によりますと、今から3年前の時点でございますが、自治体等の学校設置者のうち、複合化した学校施設を保有する設置者の割合は53.6%と半数以上の自治体で複合化した学校を保有しており、複合化した学校の割合は小学校では43%、中学校でも17.9%の学校が複合化をしているとの報告がございました。その中では、
放課後児童クラブや児童館、保育園などの児童福祉施設が延べ6,806施設と最も多いものの、
老人デイサービスセンター111件、
特別養護老人ホーム2件、障がい者支援施設11件と、地域課題の解決と児童・生徒が多様な主体と交流することを促進する複合化も行われてきております。本区においても地域課題を解決し、住民福祉の観点からも
都市型軽費老人ホームや
ひとり親家庭向けの子育て住宅、障がい者施設など、これまでの複合化計画においては実施事例がない施設と学校施設の複合化についても検討していただきたいと考えますが、区のお考えをお聞かせください。
◎市野 企画経営部長 学校施設は児童・生徒の学習及び生活の
場であり、また地震などの非常災害時には地域の避難所としての役割も担うなど、地域にとって最も身近な公共施設であると認識をしてございます。こうした中、学校施設の整備にあたりましては、良好な教育環境を確保することを前提とした上で、建物の容積率を活用できる場合には複合化についても多角的に検討を進めているところでございます。学校施設を複合化することで、学びの
場である学校を中心とした地域力推進の拠点づくりや、様々な地域課題の解決につながるものと考えてございます。今後も地域のまちづくりを見据えた施設の適正配置など、効果的・効率的な
施設マネジメントに取り組むとともに、学校施設の複合化・多機能化による
地域コミュニティの
活動拠点づくりを進めるため、地域の実情やニーズを踏まえた施設機能について検討してまいります。
◆渡司 委員 新しい学習指導要領では、よりよい学校教育を通じて、よりよい社会を創るという目標を学校と社会が共有し、連携・協働しながら未来の創り手となるために必要な資質・能力を育むための社会に開かれた教育課程の実現を目指すとされております。そのためにも学校単体での運営だけでなく、地域課題を子どもたちの学びと連動させた形での未来の担い手の育成を進めることも重要であると考えます。
学校施設の複合化の際には、お年寄りだけでなく、ひとり親家庭の増加や障がい者福祉などの視点からも、様々な方が地域で支え合って暮らしていくために資する環境整備に果敢に取り組んでいただきますよう、お願いを申し上げます。
次に、学校教育に関して伺います。新学習指導要領ですが、来年は小学校、再来年は中学校で相次いで全面実施となります。新学習指導要領では、何を教えるかではなく、何ができるようになるかという観点で育成すべき資質・能力を整理し、何が身についたかを見取っていくことが求められ、大きな視点変更が必要となっているようです。その中で、主体的・対話的で深い学び、いわゆるアクティブラーニングや、カリキュラム・マネジメントなど、新しい取り組みや概念も多く示されており、教育の専門家ではない私でさえも学校現場を今まで以上に支援していかなければならない必要性を強く感じております。新学習指導要領に対応していくための新年度予算での主な取り組みについて、お聞かせください。
◎後藤 教育総務部長 来年度の教育関連予算においても、新学習指導要領への対応や授業支援に関して、引き続き、拡充して重点的に取り組んでまいります。
具体的には、グローバル化に対応した英語教育の充実の一環として、区立中学3年生を対象に、
実用英語技能検定を年1回公費負担で実施いたします。また、電子黒板を小学校の少人数教室に追加整備し、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善の一層の推進を図るとともに、児童用のタブレットを活用した
プログラミング教育の取り組みをさらに進めてまいります。このほか、教員の働き方改革として、部活動指導員の拡充や
自動応答機能付電話の整備などにより、教員への支援に努めてまいります。今後とも主体的・対話的で深い学びの視点から、授業改善に向けた支援の充実を図り、新学習指導要領に確実に対応してまいります。
◆渡司 委員 よろしくお願いいたします。2016年からは、英検では5級から
スピーキングテストが導入されており、英語における読み書きする力、聞く力、話す力の3技能をバランスよく高める、またとない機会でございますが、受験料の面で受けられない子どもたちも見受けられ、今回予算化された区立中学3年生の英検公費実施、1,599万円は、子どもの生活応援の視点からも子どもたちの経験の幅を広げていただける施策であると高く評価をいたします。
先月14日、東京都教育委員会では、2022年度の都立高校入試から
スピーキングテストを導入するということを発表いたしました。今年4月に中学校に入学する子どもたちからでございます。発表では、受験生はヘッドフォンとマイクを使い、タブレット端末に回答を録音するという方法でテストを実施し、中学3年生の11月末から12月上旬の休日に一人1回限りで、約8万人の子どもたちがテストを受ける見通しであるということでございます。子どもたちの未来を拓く教育予算でございますので、特別支援教育や新しいカリキュラムに対応するためのハード・ソフトの整備、クーラーやICTなどの環境整備や人的配置も含め、必要なときには必要な予算をしっかりと算定、確保していただきたいと考えますので、よろしくお願いをいたします。
昨年、第4回定例会におきまして、公明党の大橋議員のおおた
教育振興プランの成果に関する代表質問に際し、小黒教育長からは、平成30年度大田区学力効果測定の期待正答率を超えた児童・生徒の割合は確実に上昇している。また、自己肯定感も着実に高まっており、ほぼ全ての分野において成果指標の目標を達成できており、プランで掲げた施策が着実に実行され、教育の確実な改善、充実が図られているとの力強いご答弁がありました。今後は、平成30年度までのおおた
教育振興プランを礎とし、(仮称)おおた教育ビジョンへと名称も一新し、さらなる教育の充実に取り組んでいただけると伺っております。
そこで、新ビジョンに込められた教育長の思いを、改めてお聞かせください。
◎小黒 教育長 これまでの
教育振興プランの推進により、基礎的、基本的な学力の向上、自己肯定感の醸成など、確かな成果を挙げることができました。新ビジョンでは、これらの施策の推進に加え、さらに未来を見据え、未来社会を創造的に生きる力の育成を図ります。具体的には、国際都市を目指す大田区の子どもたちの
コミュニケーション能力の育成を図ります。国語力、英語力を高め、人との
コミュニケーションを通して新たな考えや価値を生み出していく力を育てます。また、未来社会は
グローバル社会です。価値観の多様化は、地域社会の形成にも影響を与えます。新ビジョンでは、考えの違いや多様性を尊重しながら共通性を見出し、ともに生きる力の育成を図ります。また、区にはすぐれたものづくりの技術があります。これらの区の地域資源を生かすとともに、科学教育の充実を図り、論理的、実証的に考え、新たな知識や技術を生み出す力を育てます。さらに、未来社会における人工知能などの情報先端技術の進展を見据え、
プログラミング教育の充実を図るなど、情報活用能力の育成を図ります。
「未来は、今である」という言葉がございます。新ビジョンは未来を見据えるとともに、現在の
子どもたち一人ひとりの成長や変化にしっかりと目を向け、区の掲げる地域力を生かした総合的な
教育振興基本計画として推進してまいります。
◆渡司 委員 小黒教育長の思いを伺い、
コミュニケーション能力やともに生きる力など、学力テストのみでははかれない力を育むためにも、教育のプロではございませんが、私たち地域の大人としても、子どもたちの未来に責任を持ち、健やかな育ちを支援し、見守っていかなければならないと強く感じております。
OECDが3年ごとに各国の15歳を対象に実施している、生徒の
学習到達度調査PISAの2018年の結果分析等は、まだ公開はされていないようでございますが、前回2015年にPISAと同時に実施された
アンケート調査によりますと、学校では
グループワーク等を学校のコンピューターを使ってどれくらいやっていますかの設問に対して、日本の15歳は、「ほとんどやっていない」が91%と、48か国中最下位。学校以外で一人プレイのゲームをやりますかの質問には、「毎日、またはほぼ毎日やっている」と答えた子は43%と、48か国中トップとなっています。また、デジタル機器で問題が生じたとき、自分で直し始めますかという設問に関しては、「当然直し始める」と答えた子は、日本では12%、1位のオーストラリアでは41%が自分で直し始めると答えており、技術大国日本の、ものづくりの大田区としても少々残念に感じる結果となっておりました。
小黒教育長におかれましては、ぜひ強いリーダーシップを発揮していただき、大田の教育のさらなる充実をお願いいたしまして、次の質問に移ります。
次に、
児童相談所開設に向けた取り組みに関して伺います。先日の高瀬議員、松本議員の代表質問でも触れられておりました、児童相談所の開設準備でございますが、今回の予算案では重点課題には入っておりませんでしたが、本区の子どもたちにとって大変重要な施策であると考え、質問をさせていただきます。
私も昨年、アメリカにおける
児童相談所業務や社会的擁護に関する訪問調査をさせていただきましたが、人材育成もさることながら、緊急一時保護や保護者の疾病などにより一時的に子どもたちをケアできる養育里親の拡充や、
子ども家庭支援プログラムの開発、虐待通告や介入に関するデータベースの整備など、まだまだ進めなければならない課題は山積しております。支援を提供できるNPOなど民間団体の育成や、
社会福祉協議会との連携など、時間もお金も幾らあっても足りないというのが現状であると思います。今後、専門研究機関などとの連携や調査研究も含め、まだまだ議論を深めていく必要があると思いますが、区の見解をお示しください。
◎水井
こども家庭部長 区では、これまで里親の確保のための体験発表会の開催や、
グループワークによる親
支援プログラムの実施に取り組んでまいりました。また、課題を抱える家庭の情報共有のために相談や支援の情報を一元管理する
児童相談システムを
子ども家庭支援センターに導入し、保健、教育、福祉の関係部署との情報共有を推進しているところでございます。しかしながら、児童相談所の開設にあたりましては委員のお話のとおり、一時的に保護を委託できる養育里親の確保とサポート体制の整備や、虐待等で傷ついた子どものケアを行うプログラムの実施など、これまで区が経験したことのない取り組みへの準備が必要となってまいります。
そこで現在、区では児童相談所の実務経験を有する学識経験者や、東京都の児童相談所の協力弁護士、
区内児童養護施設の施設長など、児童相談行政の専門家を招いて
アドバイザー会議を設置し、専門的な意見や助言をいただいているところでございます。
また、児童養護施設や里親会など、社会的養護を担う関係機関とも意見交換を重ね、
児童相談所開設後の連携やサポート体制について検討をしております。これらの取り組みを生かして、山積する課題を解決し、開設したその日から児童相談所の役割をしっかりと果たしていけるよう、入念な準備に取り組んでまいります。
◆渡司 委員 私が訪問させていただいたアメリカでは、ホットラインからの虐待通告を受ける
通告受理ワーカー、受理したケースが支援型か介入型かを見きわめるアセスメントワーカー、そして支援を組み立てるケースワーカーなどが完全分業制となっており、支援を提供するNPOなどにおいても、トラウマケアの得意なところ、親支援が専門のところ、里親あっせんに取り組んでいるところなど、それぞれの専門性や得意分野に特化して機能しているところが大変印象的でございました。日本においても分業制を進めるのか、それとも従来
どおりケース担当制なのか、まだまだ議論がわかれるところであるとも聞いております。今後、
アドバイザー会議での助言をもとに国の動向や先行自治体の状況等を注視し、焦らず、丁寧に取り組んでいただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
次に、健康・福祉の充実、環境対策、安全・安心の確保の中から、健康・福祉の充実に関して質問いたします。さぽーとぴあB棟の学齢期の発達障がい児の支援事業が始まり、新たな取り組みに関して期待する声を多く耳にしております。先日、国立特別支援教育総合研究所のシンポジウムとセミナーに参加してまいりましたが、アジア諸国においてもインクルーシブ教育システムの構築に関しては、まだまだ道半ばというよりは、まだスタートラインにたっている状況の国も多く、完全統合教育を目指すのか、または、まず取り出しの個別支援を充実するのかなど、方針が定まっていない国がほとんどのようでございました。それでも、マルチ・多様性・多層的をキーワードに、様々な教材や授業のユニバーサルデザイン化に取り組んでいる先進的な取り組みもあり、それらは主に教育部門がリーダーとなって進められておりました。とはいえ、インクルーシブ教育システム構築や、発達障がいへの理解促進などの課題に対しましては、教育現場のみで取り組めるものではなく、発達支援にかかわる福祉分野との協働がなければ実現することは、大変難しいのではないかと考えております。今回、新たに始まるさぽーとぴあB棟における放課後等デイサービス事業や、アウトリーチ型の地域支援事業などを通じて、学齢期の発達支援を学校と連携し、どのように牽引をしていかれるのか、区の見解をお示しください。
◎青木 障がい者総合サポートセンター所長 発達障がいは本人やご家族の個々の思いに寄り添い、学習面と集団行動面の双方の支援を行うとともに、周りの人の正しい理解を促していく必要がございます。また、委員お話しのとおり、関係機関が支援の方向性を一致させ、相互の連携のもと、その役割に応じた支援を適切に果たしていくことも大切と考えます。学校では、主に学習面の支援を、障がい者総合サポートセンター、さぽーとぴあでは、集団行動面に視点を置き、区立小学校サポートルームに通う児童を対象に、医師による診察に基づく専門スタッフによる個別療育や、放課後等デイサービスを行います。教育委員会、学校現場とも密に情報共有を図り、本事業を着実に軌道に乗せることに注力してまいります。
一方、学校や児童館などを専門家がアウトリーチし、スタッフ向けに発達支援に関するアドバイスや研修などを想定した地域支援事業に取り組みます。部局間連携はもとより、あらゆる支援機関との連携を通じて、区全体の支援力の向上を図り、切れ目ない、一貫性のある支援が図れるよう、障がい者総合サポートセンターは、その中核となって発達支援事業を牽引してまいります。
◆渡司 委員 学校現場では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、特別支援員の活用も進んできてはおりますが、さぽーとぴあでの医師による診断や専門的療育などの取り組みが、学校でのサポートルームでの取り組みと互いの機能を補完し合い、福祉、教育双方向からの支援を充実させていっていただきたいと思います。
また、以前からさぽーとぴあで取り組んでいただいている一般相談支援業務も引き続き、ご尽力をいただきながら、支援のさらなる充実を要望いたします。発達支援に関しましては、医療がやるのか、教育がやるのか、福祉がやるのかというせめぎ合いではなく、使えるものは何でも使う、やれることは何でもやるという視点にたって支援を組み立てていっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
次に、魅力あるまちづくりに関して質問をいたします。今回は新たに、公民連携による地域課題解決として、店舗等を活用した区政情報の発信や事業者と連携したまちづくりとして、1,115万5,000円の予算計上となっておりますが、その具体的な取り組みについて、お答えください。
◎市野 企画経営部長 店舗等を活用した区政情報の発信につきましては、例えば、コンビニや商業施設といった店舗におきまして、区報などの区政情報を広く発信するためのラックやスタンドなどを設置することを想定してございます。
事業者と連携したまちづくりにつきましては、区内に路線を有する鉄道事業者と連携した事業を想定してございます。今後、東京急行電鉄株式会社と基本協定を締結し、お互いの強みを生かしたまちづくりを連携して行ってまいります。区は、これまでの意見交換を通じて、地域の課題や目標を共有する中で、例えば、池上駅周辺エリアにおけるリノベーションまちづくり事業や、まちづくり人材の育成等に関する取り組みの可能性について、検討してまいりました。来年度は、地域のさらなる魅力向上や、にぎわいの創出に向け、東京急行電鉄が主体となって、地域の方々のまちづくりに関する機運を醸成するための情報発信や人材の発掘・育成、コミュニティの形成等に取り組み、区は協定に基づき、それらを支援していくということを想定してございます。
◆渡司 委員 昨年、健康福祉委員会で視察をさせていただきました松本市では、健康寿命延伸都市の取り組みとして、コンビニの
駐車場での簡易健康診断や、健診受診率の低い年齢層をターゲットにした受診促進の声かけなどを行っておりました。今後は区民の要望が多い防災や健康政策においても、公民連携により区民サービスが向上することを期待しております。
そして、本年1月に大田区公民連携基本指針が策定されましたが、この公民連携基本指針は民間委託、指定管理者制度など、これまでの区と民間事業者とのかかわり方においても整合性を持ったものと考えてもよいのでしょうか。
◎市野 企画経営部長 大田区公民連携基本指針は、区が基本構想において民間企業を含む地域の様々な主体と連携・協働するという方向性を示し、これに基づき、これまで多くの主体と連携した取り組みを行ってきたこと、また近年、企業が社会貢献活動を通じて行政とともに地域課題の解決に取り組む機運が高まっていることなどを踏まえ、民間企業等との連携のあり方について、区の基本的な考え方をお示ししたものでございます。
指針では、公民連携の目的や理念、原則など基本的な内容に加え、こうした活動に取り組む企業との連携協定を締結する際のプロセスや連携を推進するための体制整備等について、明確にしてございます。
また指針では、公民連携を大きく二つに分類し、一つは民間企業等が行う地域課題解決に向けた社会貢献活動との連携。もう一つは、公募等の手続による民間企業等との連携としてございます。委員お話しの民間委託、指定管理等につきましては、公募等の手続により進める公民連携であり、指針の中で、これらは法令や区が定める各種規定、ガイドライン等に従うことと明記をしてございます。
◆渡司 委員 昨年、訪問調査で訪れさせていただきましたアメリカでは、NPOなどのような子ども家庭支援の団体や、若者支援を行う民間団体は、国や州から委託を受けて事業を行っておりますが、同時に政策提言を行う役目も担っているというところがほとんどでございました。民間団体が委託事業を実施していく中で、不足している支援や今後必要な施策などを、行政に対してエビデンスを示しながら提言を行うということが事業の実施とパッケージで求められており、非常に対等で建設的な関係であるということに驚きました。今後、公民連携を進めていく上においては、たとえ民間委託や指定管理であっても、上から目線ではなく、ともに課題を解決していく対等なパートナーとして民間の意見にも貪欲に耳を傾け、よりよい関係性を築く初めの一歩としていただきたいと期待をいたします。
次に、重点課題、空港・交通機能向上、観光・産業振興、多文化共生に関して羽田空港アクセス線と新空港線について、伺います。
先月、JR東日本が羽田空港アクセス線の環境影響評価手続を実施するとの発表をいたしました。この路線が整備されれば、都心と羽田空港とのアクセスが強化されるため、羽田空港利用者の交通利便性の向上が期待されるとのことでございますが、まだ決定もしていない羽田空港の増便を見越したフライング的な判断に少々違和感を覚えます。報道を見ると、今回、環境影響評価を行う羽田空港アクセス線
東山手ルートは、羽田空港新駅の次は新橋駅とのことで、区内をただ通過してしまうだけの路線であると感じますが、大田区ではどのようにお考えでしょうか。
◎齋藤 まちづくり推進部長 JR東日本に私どもが確認しましたところ、大田区内に羽田空港新駅以外の駅を整備する予定はないとのことでございました。
また、鉄道事業者が計画してない場所に駅の新設を要望する場合は、請願駅となるため、整備にかかる費用につきましては、要望する地元の自治体が全額負担することが、これまでの慣例となってございます。区としましては、こうしたJR羽田空港アクセス線の動向にかかわらず、来年度から着手をいたします空港臨海部グランドビジョン2030、こちらの改定作業と並行いたしまして、引き続き、臨海部のまちづくりに力を入れてまいります。
◆渡司 委員 大田区が昭和60年から検討を進めている新空港線に関しましても、羽田空港へのアクセス強化の一助となることが想定されるだけでなく、新空港線の整備により、区内の東西方向の移動が便利になるだけでなく、多摩川線と複数路線との相互直通運転が可能となるため、沿線の各駅においては、新たなにぎわいが生まれ、特にJR線、京急線との結節点となる蒲田駅周辺には、これまで以上に人々が集まる拠点となることが予想されます。
新空港線と、先ほどの羽田空港アクセス線は、いずれも平成28年の国の198号答申において、国際競争力の強化に資する路線に位置づけられておりますが、羽田空港アクセス線が先行して着手したことにより、区が進める新空港線は影響を受けるものでしょうか。区の見解をお示しください。
◎齋藤 まちづくり推進部長 今回のJR東日本が発表いたしました環境影響評価手続につきましては、羽田空港アクセス線のうち、
東山手ルートとアクセス新線に関するものでございまして、主に東京圏の東側の鉄道ネットワークを充実させるものでございます。
一方、新空港線につきましては、区内の移動利便性を向上させるとともに、渋谷、新宿、池袋といった副都心及び川越、所沢、和光市等の東京圏北西部との鉄道ネットワークを強化するものでございまして、先日、JR東日本が発表した路線とは果たす役割が異なることから、区としては引き続き、新空港線の整備に向けて、取り組んでまいります。
◆渡司 委員 国の答申では、この新空港線と羽田空港アクセス線以外にも8号線や大江戸線延伸等、都内に6路線があり、東京都の平成31年度予算案においても、これら6路線の検討に関する費用が計上されております。本区がほかの5路線とは違い、新空港線を優先的に進めていきたい大きなメリットとは、どこにあるのでしょうか。改めてお聞かせください。
◎齋藤 まちづくり推進部長 新空港線は、羽田空港アクセス線とは異なり、空港へのアクセス強化だけではなく、区内の東西方向の移動利便性を向上させる路線でございます。また、他の路線、例えば、地下鉄8号線、いわゆる有楽町線でございますけども、これは豊洲から住吉間の延伸という鉄道路線を延長させることに主眼が置かれていることに対し、新空港線では沿線まちづくり、これを大きな目的にしてございます。このため、まちづくりと一体的に行うことで地元にメリットを生み出す効果がございまして、これが鉄道新線整備の大きな魅力になっております。
区では、新空港線の整備とあわせまして、蒲田駅及び多摩川線沿線のまちづくりの検討も進めております。
◆渡司 委員 先月22日の都政新報においては、東京都は江東区の地下鉄8号線は年度末に向けて調整を加速しなくてはいけない。新空港線は費用負担割合だけでなく、乗り換えに高低差がある蒲田駅の技術的な課題など、区と相談していくとの記述がございましたが、この都の発言に対して、区はどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
◎齋藤 まちづくり推進部長 新空港線は、昭和60年代から検討が進められてきている路線でございます。他の路線と比べても、東京都が発言しているように技術的な課題の詳細について、都区間で協議している状況でございますので、整備に向けた検討熟度は高いと考えております。よって、都区の費用負担割合など、協議が調えば、速やかに整備主体を設立し、事業化に向けて取り組んでまいります。
◆渡司 委員 新空港線は、大田区のまちづくりと一体的に考えていくことで、交通利便性やにぎわいの創出など、相乗効果を生むということがよく理解できました。他の路線とは違う新空港線の大きなメリットは、蒲田駅周辺と多摩川線沿線のまちづくりに大きく貢献する路線であるということですが、ロンドンやシカゴのまちも鉄道、バス、船など、魅力ある交通網が住みやすさとともに大きなまちの魅力となっておりました。大田区を訪れる人々や区民に愛される新空港線の整備と、生まれ変わる蒲田や多摩川線沿線のまちの可能性に、今後も注目してまいりたいと思います。
次に、産業振興について伺います。大田区の魅力の一つに、ものづくり産業が挙げられていることは余りにも有名でございますが、商店街や銭湯の多さ、飲食店の充実ぶりやレコード会社、ブルワリーなど、個性豊かな産業構造を持ち、山の手から下町まで地域特性もバリエーションに富んでおります。その、何でもあるとも言える大田区において、(仮称)大田区産業振興構想を策定する、その背景と狙いについて教えてください。
◎飯嶋 産業経済部長 区では、平成7年3月に大田区産業ビジョンを、平成21年3月には大田区産業振興基本戦略を策定いたしまして、産業振興施策を推進してまいりました。この間、グローバル化が進む中で、産業構造や就業構造など、区内産業を取り巻く環境も大きく変化をしてまいりました。今後、経済のグローバル化や情報通信技術などのさらなる進展に伴う急速な環境変化が予想されます。また、区の産業振興施策においても2020年の羽田空港跡地における新産業創造・発信拠点の整備を契機に、新たなステージに踏み出すところです。
このような状況の中、区内の製造業以外の多様な産業分野にも視野を広げて調査・分析をし、産業のまち大田区が目指す将来像を明らかにすることで、区内産業の集積を維持するとともに、新たな産業分野の成長を促し、持続的な発展を図るため、(仮称)大田区産業振興構想を策定することといたしました。
◆渡司 委員 (仮称)大田区産業振興構想策定について、どのような実態調査、分析をし、構想の策定に至るのか。特に商業やサービス業等に関しては、どのように実態把握、分析を行うのでしょうか。また、工業については大田区ものづくり産業等実態調査もあわせて委託実施される予定のようですが、(仮称)大田区産業振興構想策定と一括して委託をされるのでしょうか。区のお考えをお示しください。
◎飯嶋 産業経済部長 (仮称)大田区産業振興構想策定に向けましては、商業やサービス業を含む区内に立地する全ての事業所について、産業分類別の事業所数や、構成比率などを算出し、大田区の特徴を明らかにした上で、今後の区内産業の将来像を描くために必要となる分野を選択し、さらに詳細なヒアリングなどを通じて、実態把握及び分析を行う予定でございます。加えて、平成29年度に実施をしました、産業基本戦略策定に向けたあり方検討の結果等も踏まえて、検討してまいります。
なお、今年度は先行して、総務省が実施した平成28年経済センサス活動調査結果などを活用し、産業分類別事業所数や、従業者規模別事業所数の推移など、基礎的な情報の整理を進めているところでございます。
また、(仮称)大田区産業振興構想策定と同構想の基礎資料ともなります、大田区ものづくり産業等実態調査の委託につきましては、現在のところ検討中であり、議決をいただけましたら、それぞれの事業目的に合致した業者を選定してまいります。
◆渡司 委員 この(仮称)大田区産業振興構想策定という調査の過程におきましても、事業継承や産業クラスターの形成など、様々な課題やヒントがたくさん掘り起こされることと思います。ぜひ、産業振興の種をまくために、丁寧な調査やヒアリングを通じて、大田区全体をくまなく耕していただき、やがて産業振興の種が芽吹き、花が咲くことをお手伝いする大切な作業であるということをしっかりと自覚をしていただきながら、構想策定に取り組んでいただきますよう、強く要望をいたします。
最後に東京2020大会に向けました、区の取り組みについて伺いたいと思います。大田区としては、東京2020大会を機に、スポーツを通じて健康や文化的楽しみへの意識を高め、障がいへの理解や社会参加を促すことが重要であり、人生の楽しみの創出、健康増進に向けてオリパラを絡めた仕組みづくりがレガシーの創出につながると考えております。
今年度末、おおた健康プラン(第三次)や、大田区地域福祉計画の策定に向けて素案が示され、区内の地域ごとの課題などが明確化されました。それらを踏まえ、区の課題の解決や健康増進に向けて、東京2020オリパラ大会を絡めて施策を推進していくことが必要だと考えております。健康政策4地区間で参加率を競うイベントの実施でありますとか、健康ポイント事業などのインセンティブとして、オリパラ観戦チケットや、グッズや景品を提供するなど、区民の行動につながるとともに、オリンピック・パラリンピックを身近に感じる取り組みの工夫ができないでしょうか、区の考えをお聞かせください。
◎町田 スポーツ・文化担当部長 委員のお話のとおり、東京2020大会を機に、スポーツや文化を通じて人生の楽しみの創出や健康増進、障がいへの理解、社会参加促進のきっかけとしていくことは重要と考えております。区は、東京2020大会にあわせ、区の目指すレガシーを定めております。それは、障がいの有無にかかわらず、誰もが楽しめるスポーツ環境が整えられることや、健康増進の意識が高まること、ボランティアや文化プログラムに取り組むことで、区民の参画意識が高まり、大会後も自主的な活動が活発になることなどです。
また区は、東京オリンピック・パラリンピック推進本部を設置し、各所管部においてもオリンピック・パラリンピックに関連する事業をアクションプログラムと定め、大会が身近に感じられるよう、他分野での事業に取り組んでおります。例えば、スポーツ推進課では、成人が週1回以上運動をするスポーツ実施率の目標値を定めており、平成29年度に41.1%、平成30年度には47.6%と、オリンピック・パラリンピックに向けて徐々に高まってきており、最終的には65%程度とすることを目指しております。
このように、スポーツや文化を通じて健康の増進や障がいへの理解が図られるなど、区の目指すレガシーを実現するために、オリンピック・パラリンピックは強力な推進エンジンとなることから、委員のご提案を参考に関係部局と連携を図り、さらなる取り組みを進めてまいります。
◆渡司 委員 全世界的に取り組まれているスポーツ・チャレンジデーの取り組みですが、毎年5月の最終水曜日に人口の近い自治体同士が、午前0時から午後9時までの間に15分以上継続して運動やスポーツを行った人の参加率を競うスポーツイベントでございます。今年は5月28日に開催される予定です。大田区の友好都市であります秋田県美郷町は、7回目の参加であり、今回は神奈川県湯河原町と対戦を予定しております。長野県の東御市は、6回目の出場であり、対戦相手は青森県の藤崎町と決まりました。国内では、58市46町14村と、東京23区では江戸川区を加えた110自治体の参加が決まっております。対戦相手にスポーツ参加率で敗れた場合は、対戦相手の自治体の旗を庁舎メインポールに1週間掲揚し、健闘をたたえることになっており、ワールドチャレンジデーでは外国の地域との対戦も可能とのことです。ちなみに昨年の美郷町の参加率は67.9%、東御市は63%で、ともに対戦相手に勝利しており、江戸川区では51%で対戦相手である山口県下関市の68.7%に残念ながら敗北を期しました。このような取り組みを東京2020大会と絡め、区民の運動やスポーツへの参加意欲を高めながら、ほかの自治体や外国の都市と親しみのある関係を築いていくということも一つの方法ではないかと考えております。
地域力と国際都市を掲げた大田区は、国際的視野を持ちながら地域の特色や特性を考慮していく、「地球規模で考えながら、地域で活動する」、Think globally,act locallyと言われるグローカル化を目指す都市として、未来へ躍動する事業に取り組んでいただくことをお願いして、私の総括質疑を終わります。
○松原〔茂〕 委員長 次に、公明の質疑に入ります。
岡元委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承願います。
それでは、公明、質疑願います。
◆岡元 委員 大田区議会公明党の岡元由美でございます。会派を代表して、平成31年度予算の総括質疑を行います。
平成31年度予算は、一般会計総額2,818億9,242万円、新規事業などを抑えた骨格予算としながらも、前年度比1.1%増、過去最高額となりました。10月から実施される消費税10%の影響などは反映されていないことから、今後さらに増えると予想されますが、老朽化している公共施設の改修、改築など、計画的に進めるものはもちろん、気候変動による甚大な災害もいつ起こるかわからないことから、緊急な対応など、予想外の歳出が発生することも考えられます。十分な予算査定を行って編成された予算案とは思いますが、執行に際しては、常に削減の可能性を意識して執行していただくよう要望します。
初めに、児童虐待防止について伺います。昨年3月に目黒区で児童虐待によって5歳の女の子が父親に虐待され、死亡した事件は、社会に衝撃を与え、緊急な対策が講じられました。しかし、本年2月14日、千葉県野田市の小学校4年生が、虐待の事実や恐怖を学校に訴えていたにもかかわらず、犠牲になってしまいました。いずれも一時保護され、一時保護が必要な虐待があると認知されながら守ることができなかった、悔やみ切れない事件です。
そこで、改めて伺います。大田区が児童相談所を開設すると決定した理由をお知らせください。
◎水井
こども家庭部長 区は、区民に最も身近な基礎的自治体である強みを生かすことで、問題を抱える家庭の早期発見と自立に向けた支援を切れ目なく行うことができるとの認識から、児童福祉法改正の機会を捉えて、児童相談所を設置することといたしました。
現在においても、子どもの虐待死事件が相次いで発生しており、事件の検証結果においては、いずれも関係機関の間での情報共有や、引き継ぎ時の認識の違いなどが防止に至らなかった要因の一つとして指摘されております。区が子どもたちを守り、育てるためには、関係機関の情報共有を深めるとともに、可能な限り一元的な組織において対応することが重要です。本区の児童相談所の基本構想、基本計画では、従来の児童相談所と一時保護所の機能に加え、
子ども家庭支援センターの相談機能をあわせ持つ、(仮称)大田区子ども家庭総合支援センターとして整備する計画としており、この要請に応えるものでございます。
◆岡元 委員 一時保護から先の児童福祉施設への入所措置、里親委託や特別養子縁組などの対応が児童相談所、それ以前の通報や相談への対応、潜在化している被虐待児の発見は、
子ども家庭支援センターの役割だと思いますが、大田区が児童相談所を開設し、一貫した支援ができるまでの期間に、それぞれの仕組みのすき間に埋もれてしまう子どもがいてはならないと大変に危惧しています。
昨年、こども文教委員会で視察させていただいた金沢市は、中核市として、横須賀市とともに平成18年に児童相談所を開設しましたが、一時保護所は3年後に開設しています。
児童相談所開設には、先日の我が党の代表質問でも指摘したとおり、東京都との協議など十分な準備が必要です。しかし、慎重であることと、たった今、助けを求めている大田区の子どもたちが存在する現実を、どのように判断していくのかは非常に難しいことです。
建物の建設や配置職員の人数は確保できても、専門的なスキルが重要で、実務の中で身につくものが多いと思います。
子ども家庭支援センターは、子育て支援の役割も担い、児童相談所としての深刻な相談、対応とは異なるものです。現在、品川児童相談所に移行している虐待案件が増え続け、昨年の事件によって東京都が職員を増員しても不足であるのが実情です。だからこそ、本区も
児童相談所開設を予定しているわけですが、早くて3年後の開設予定である今、でき得る限りの対策としては、
子ども家庭支援センターの人材拡充だと考えます。現在、5名の職員が派遣研修中で、庁内報に掲載されたお二人の記事を拝見しました。昨年の代表質問でも要望させていただきましたが、福祉職でない職員の資格取得への取り組みは、いかがでしょうか。
◎水井
こども家庭部長 現在、区の職員の資格取得を支援する取り組みとしては、社会福祉士や精神保健福祉士の資格取得を目指す講座の受講料や、受験料を補助する制度がございます。今年度から児童相談所の実務経験のある学識経験者を講師とした、児童相談所の実情や職場としての魅力を伝える研修を開催し、児童相談所勤務希望者の発掘に努める取り組みを始めております。これらの機会を生かしまして、資格取得についての勧奨を強化してまいりたいと存じます。
◆岡元 委員 児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策に基づく新たなルールが設定され、本年2月28日付で国から通知されました。そのルールのトップには、学校等、児童相談所、市町村、警察の責務を示し、それぞれの責務を最大限果たし、連携を進めることとしています。
本区においても、2月15日、区内5警察署との協力協定が結ばれました。潜在している被虐待児の発見のために、現在どのような連携、取り組みがなされていますでしょうか、伺います。
◎水井
こども家庭部長 虐待を受けている子どもを救い出すためには、区民からの通報や関係各機関との連携により、虐待を受けている子どもを探し出して支援することが何よりも重要でございます。今年度からは、子どもの変化に気づきやすい保育園や幼稚園に
子ども家庭支援センター職員が出向き、保育士等に虐待を発見するための着眼点や通報マニュアルの内容を説明して、早期発見に向けたさらなる協力を要請いたしました。今後は、児童館や学校においても協力要請を強化するなど、より多くの関係者や区民にプライバシーの尊重を前提としつつ、児童虐待の発見に協力していただける体制づくりを推進してまいります。
◆岡元 委員 虐待のサイン、例えば、あざや衣服の汚れ、虫歯など、子どもの変化に早期に気づくために、保育士、または学校の教員の方々に注視していただく情報を提供し、虐待の可能性を発見していただくよう要望します。