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平成31年 第1回 定例会−02月20日-目次
平成31年 第1回 定例会-02月20日-01号

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  1. 大田区議会 2019-02-20
    平成31年 第1回 定例会-02月20日-01号


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    平成31年 第1回 定例会-02月20日-01号平成31年 第1回 定例会 平成31年第1回定例会 大田区議会会議録 第1号 2月20日(水曜日)  出席議員(47名)   1 番 田中一吉       2 番 松原秀典       3 番 高瀬三徳   4 番 安藤 充       5 番 岸田哲治       6 番 大森昭彦   7 番 松原茂登樹      8 番 伊藤和弘       9 番 塩野目正樹   10 番 押見隆太       11 番 鈴木隆之       12 番 伊佐治 剛   13 番 深川幹祐       14 番 長野元祐       15 番 渡司 幸   16 番 高山雄一       17 番 松本洋之       18 番 岡元由美   19 番 勝亦 聡       20 番 広川恵美子      21 番 秋成 靖   22 番 玉川英俊       23 番 田村英樹       24 番 大橋武司   25 番 小峰由枝       26 番 椿 真一       27 番 田島和雄   28 番 末安広明       29 番 大竹辰治       30 番 清水菊美   31 番 藤原幸雄       33 番 菅谷郁恵       34 番 黒沼良光   35 番 金子悦子       36 番 福井亮二       37 番 荒尾大介   38 番 山崎勝広       39 番 黒川 仁       41 番 松原 元   42 番 岡 高志       44 番 三沢清太郎      45 番 犬伏秀一   46 番 野呂恵子       47 番 奈須利江       48 番 湯本良太郎   49 番 北澤潤子       50 番 馬橋靖世
                   ――――――――――――――――――――  欠  番   32 番  40 番  43 番                ――――――――――――――――――――  出席説明員   区長            松原忠義    副区長           川野正博                         企画経営部長   副区長           清水耕次    未来創造研究室長兼務    市野由香里   総務部長          玉川一二    危機管理室長        井上隆義   地域力推進部長       小泉貴一    観光・国際都市部長     木田早苗   スポーツ・文化担当部長   町田達彦    区民部長          浜口和彦   産業経済部長        飯嶋清市    福祉部長          今岡正道                         障がい者総合サポートセンター所長   福祉支援担当部長      西山正人                  青木 毅   健康政策部長        今井健太郎   保健所長          西田みちよ   こども家庭部長       水井 靖    まちづくり推進部長     齋藤浩一   都市開発担当部長      青木重樹    空港まちづくり本部長    白鳥信也   都市基盤整備部長      久保輝幸    環境清掃部長        落合邦男   会計管理者         近藤倫生    企画経営部企画課長     山田良司   企画経営部財政課長     梅崎修二    総務部総務課長       中澤 昇   教育長           小黒仁史    教育総務部長        後藤 清   教育総務部教育総務課長   森岡 剛                ――――――――――――――――――――  出席事務局職員   局長       鴨志田 隆        次長       三上浩史   議事担当係長   矢作研治 議事日程第1号  平成31年2月20日  午後1時開議  第1   第5号議案 平成30年度大田区一般会計補正予算(第4次)   第6号議案 平成30年度大田区国民健康保険事業特別会計補正予算(第2次)   第7号議案 平成30年度大田区後期高齢者医療特別会計補正予算(第2次)   第8号議案 平成30年度大田区介護保険特別会計補正予算(第2次)   第9号議案 大田区職員定数条例の一部を改正する条例   第10号議案 公聴会等に出頭する者の実費弁償条例の一部を改正する条例   第11号議案 大田区手数料条例の一部を改正する条例   報告第1号 区の義務に属する損害賠償額決定に係る専決処分の報告について   報告第3号 大田区立大森第四小学校校舎ほか1施設改築その他工事(Ⅰ期)請負契約の専決処分の報告について   報告第4号 大田区立障がい者総合サポートセンター増築工事請負契約の専決処分の報告について   報告第5号 仮称大田区京浜島地区備蓄倉庫新築工事請負契約の専決処分の報告について   報告第6号 大田区立清水窪小学校校舎増築工事請負契約の専決処分の報告について   報告第7号 大田区立志茂田小学校及び大田区立志茂田中学校ほか3施設改築その他電気設備工事(Ⅱ期)請負契約の専決処分の報告について   報告第8号 大田区立障がい者総合サポートセンター増築電気設備工事請負契約の専決処分の報告について   報告第9号 大田区立大森第四小学校校舎ほか1施設改築その他機械設備工事(Ⅰ期)請負契約の専決処分の報告について   報告第10号 大田区立志茂田小学校及び大田区立志茂田中学校ほか3施設改築その他機械設備工事(Ⅱ期)請負契約の専決処分の報告について  第2   報告第2号 大田区立志茂田小学校及び大田区立志茂田中学校ほか3施設改築その他工事(Ⅱ期)請負契約の専決処分の報告について  第3   第23号議案 大田区青少年交流センターの指定管理者の指定について   第24号議案 大田区立大森スポーツセンターの指定管理者の指定について   第25号議案 大田スタジアムの指定管理者の指定について   第26号議案 大田区賃貸工場の指定管理者の指定について   第27号議案 大田区中小企業者賃貸住宅の指定管理者の指定について   第28号議案 大田区創業支援施設の指定管理者の指定について   第29号議案 大田区産業連携支援施設の指定管理者の指定について  第4   第12号議案 大田区老人いこいの家条例の一部を改正する条例   第13号議案 大田区地域包括支援センター包括的支援事業の実施に係る基準を定める条例の一部を改正する条例   第14号議案 大田区立特別養護老人ホーム条例の一部を改正する条例  第5   第15号議案 大田区特別区道路占用料等徴収条例の一部を改正する条例   第16号議案 大田区公共物管理条例の一部を改正する条例   第17号議案 大田区立公園条例の一部を改正する条例   第18号議案 大田区立下水道関連施設公園等の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例  第6   第19号議案 大田区立児童館条例の一部を改正する条例   第20号議案 大田区こどもの家条例の一部を改正する条例   第21号議案 大田区放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例   第22号議案 大田区立保育園条例の一部を改正する条例  第7   第1号議案 平成31年度大田区一般会計予算   第2号議案 平成31年度大田区国民健康保険事業特別会計予算   第3号議案 平成31年度大田区後期高齢者医療特別会計予算   第4号議案 平成31年度大田区介護保険特別会計予算  第8   議員提出第1号議案 大田区心身障害者福祉手当条例の一部を改正する条例               ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~                     午後1時開会・開議 ○岸田 議長 ただいまから平成31年第1回大田区議会定例会を開会いたします。  本日の会議を開きます。               ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○岸田 議長 まず、会議録署名議員を定めます。本件は、会議規則第131条の規定に基づき、本職が指名いたします。13番深川幹祐議員、37番荒尾大介議員にお願いいたします。               ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○岸田 議長 この際、区長から発言の申し出がありますので、これを許します。                     〔松原忠義区長登壇〕 ◎松原 区長 本日、平成31年第1回大田区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様のご参集を賜り、厚く御礼を申し上げます。  平成から新たな時代のスタートとなる年の元日、東京の空は穏やかな冬晴れのもと高く澄み渡り、多摩川の河川敷などでは、たこ揚げを楽しむ親子連れののどかな様子が見られました。その姿から平成の時代に生まれた方々が、今、親の世代となっていることなどを思い、時の流れの速さを感じるとともに、時代が変わっても変わらぬ光景を区内で見られることのうれしさを感じております。この和やかな光景をこれからもずっと守り続け、次世代につなげていくためには、人と人が立場や世代を超えてつながる「地域共生社会」の構築が必要であります。大田区の地域力をさらに高め、安全・安心で暮らしやすく、魅力と活力あふれるまちづくりをしていきたいと決意を新たにしております。  一方、今年の正月には、元日に台風が発生したという驚くような報道がありました。元日に台風1号が発生したのは、昭和26年の統計開始以来初めてとのことでございます。昨年は、集中豪雨、地震、台風など、日本各地で例年にも増して多くの自然災害が起こり、たくさんの方々の尊い命と生活の基盤が失われました。このような大きな災害が起こらないことを心から願いつつも、様々な災害を想定し、その対策のさらなる強化に向けた取り組みを着実に進め、73万区民の皆様の安全・安心を守ってまいります。  平成17年に1.00にまで落ち込んだ大田区の合計特殊出生率は、平成29年には1.17となりました。大田区における出生率が上昇している一方、子どもを産みたい、育てたいと思う皆様の希望がかなった場合の出生率である「希望出生率」は1.8と言われており、安心して子どもを産み育てられる環境づくりに向けたさらなる取り組みが求められております。こうした中、区は待機児童の早期解決を図るため、保育所整備計画を前倒しで進めており、昨年4月の待機児童数は一昨年の572名から250名にまで大幅に減少しております。一方、認可保育園の入所申し込みは増加傾向にあることから、平成31年度においても16施設850名の定員拡充を目指し、施設整備を進めてまいります。整備に当たりましては、事業者が借地を活用して新たに私立保育所を開設する場合、安定的な運営が図れるよう、開設後、5年間の借地料の一部を助成する取組みを新年度から行ってまいります。また、保育定員が増加することにより、利用者の増加が見込まれる病児・病後児保育についても、1施設の新規開設を含め、52名から70名へ定員を拡充いたします。引き続き、質の確保された保育サービス基盤の整備を進めてまいります。  教育に関する施策について申し上げます。小中学校体育館の暑さ対策につきましては、昨年の区議会におきまして多くのご議論をいただきました。昨年夏の命にもかかわるような記録的な猛暑を受け、緊急的な暑さ対策を速やかに実施してまいります。区立小中学校の改築につきましては、平成31年度は新たに馬込第三小学校、入新井第二小学校の改築に着手するとともに、既に設計や工事を進めている11校を含めた全13校の整備を着実に推進し、良好な教育環境の確保に努めてまいります。このほか、不登校対策や教員の働き方改革など、教育諸課題の解決に向けて引き続き取り組みを進めてまいります。  超高齢社会が到来した今、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けるための仕組みである地域包括ケアシステムを一層深化、推進することが求められており、その核となる地域包括支援センターの機能をさらに強化していくことが重要であります。昨年11月には、羽田地域力推進センターの中に地域包括支援センター羽田及びシニアステーション羽田を開所し、区民の皆様の利便性と活用の向上を図っております。来年度は、馬込地区に「(仮称)地域包括支援センター南馬込」の新設及び「地域包括支援センター馬込」の移転に向けた準備を進め、それぞれにシニアステーションを開設する予定でございます。また、自立支援・重度化防止の取り組みを推進するため、今年度から老人いこいの家を活用した通いの場として「元気アップ教室」を実施しております。12月末までに延べ3万3000人を超える方々が参加し、元気維持やフレイル予防に取り組んでいらっしゃいます。参加した皆様からは「運動することで体調がよい」、「講座に参加して知り合いができた」、「楽しく通っている」などの声を数多くいただいております。人生100年時代も見据え、引き続き高齢者の元気維持や介護予防、社会参加から最適な介護サービスへの切れ目のない支援体制を着実に整えてまいります。  今年度から3か年を計画期間とする「おおた高齢者施策推進プラン」では、「若年性認知症の支援」を新規計画事業と位置づけております。若年性認知症は65歳になる前に発症する認知症のことで、その方の状態や環境に応じて居場所づくりや家族支援など、様々な側面から総合的にサポートしていくことが求められております。区は来年度から若年性認知症の方を対象としたデイサービス事業を開始する予定でございます。利用者の意思を尊重して、地域社会の中での活動を中心としたプログラムを提供し、住み慣れた地域で暮らし続けられるよう取り組みを進めてまいります。  障がい者総合サポートセンター「さぽーとぴあ」が、来月24日にグランドオープンいたします。平成27年3月の開設以来、ご相談をはじめとする障がい者の方々のご利用は着実に増加しております。また、日ごろから多くの地域の方々に各種イベントにご参加いただいたり、カフェや集会室をご利用いただくなど、地域になじんだ施設となっております。かねてより増築工事を進めておりましたB棟が先日竣工し、現在3月のオープンに向け最終的な準備を進めております。B棟では、これまで障がいのある方々、また、ご家族からも多くのご要望をいただいた医療的ケアを含む重症心身障がい児者などを対象とした短期入所事業を、区立施設としては23区で初めて開始いたします。また、近年、区民の皆様の関心が非常に高い発達障害の支援事業を開始し、学齢期のお子さんを対象として、相談、診察から療育まで一連の支援を学校と密接に連携しながら実施してまいります。施設の1階には、民間企業と連携してカフェをオープンいたします。このカフェでは、障がいのある方もスタッフとして勤務する予定で、焼きたてのパンや区内の障害者施設の自主生産品を販売する予定でございます。おしゃれで落ちついたカフェでくつろいでいただきながら、障害施策への理解を深めていただくとともに、地域交流の場としてご利用いただきたいと思っております。  なお、3月24日は3年間にわたり実施してまいりました「大田区元気シニア・プロジェクト」を総括する事業なども同時に開催し、大田区にふさわしい地域福祉を皆様と一緒に考える機会にしたいと考えております。「さぽーとぴあ」が障害分野を含む今後の地域包括ケアシステムの中核の一つとなっていくことも見据えつつ、地域共生社会の実現に向けたスタートをしていきたいと考えておりますので、多くの皆様にお越しいただければ幸いでございます。  続きまして、健康に関する施策について申し上げます。受動喫煙防止対策の推進について、昨年は、東京都受動喫煙防止条例、次いで改正健康増進法が成立するなど大きな動きがありました。いずれも先月から規定の一部が施行されております。本年7月1日には、学校や病院、行政機関の敷地内における禁煙を定める規定や、飲食店の店頭において喫煙、禁煙等のステッカー表示を定める規定が施行され、来年4月には罰則規定を含め全面施行となります。この新制度が円滑に運営されるためには、区民の皆様のご理解とご協力をいただくことが重要です。そこで区は、区報やツイッターをはじめ、あらゆる広報媒体を活用するほか、地域の飲食店等、関係する皆様への出前説明を実施するなど、きめ細かい対応に努めてまいります。また、来年度は区民の皆様から来所や電話、メールで寄せられるご相談等にワンストップで対応する窓口の開設を予定しております。一方、屋内での喫煙規制が強化されると屋外における喫煙の増加が見込まれます。区は、昨年11月に環境美化審議会からいただいた中間のまとめの答申を踏まえ、分煙環境の整備として、蒲田駅東口、大森駅東口三角広場の喫煙所改修に着手するとともに、乗降客の多い駅を中心に喫煙所の改修、新設を検討しております。また、屋外公共の場における喫煙ルールにつきましては、今月上旬に実施したアンケートで区民の皆様から頂戴したご意見も踏まえ、来年度早期に答申を取りまとめていただくことになっております。今後も屋内、屋外の両面において、ソフト、ハードの両面から各種施策を推進し、望まない受動喫煙の防止に向けた環境づくりに取り組んでまいります。  続きまして、まちづくりに関する施策について申し上げます。先月30日に開催された「都知事と特別区長との意見交換会」において、私から都知事に対し、新空港線と国道357号多摩川トンネルについて、その整備の早期実現を改めて強く要望してまいりました。新空港線につきましては、現在関係者間で費用負担のあり方等、交通政策審議会第198号答申で示された課題に関する協議を鋭意進めており、合意形成がなされれば、すぐに動き出せる体制となっております。また、平成30年度第4次補正予算案において、整備に向けた区の決意を示すとともに、確実に整備に係る資金を確保するため、積立基金積み増しの予算を計上させていただきました。引き続き、区議会の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。また、京浜臨海部を縦貫する国道357号は、羽田空港と京浜3港を核とした空、海、陸の交通・物流ネットワークの拡充に資する先進的効果が期待でき、首都圏がアジアのハブとしての確固たる地位を確立するうえで大変重要な広域幹線道路でございます。現在、多摩川河口部が未整備であることから、区内幹線道路における主要交差点の慢性的な交通渋滞や、それに伴う周辺環境への負荷等、区へ及ぼす影響は依然深刻な状況となっております。これら喫緊の課題を解決するために、多摩川トンネルの一刻も早い工事着手につきまして、今後も引き続き、粘り強く国土交通省及び東京都へ働きかけてまいります。  続きまして、羽田空港跡地第1ゾーン第一期事業についてご報告申し上げます。昨年は、事業用地である国有地の取得に続き、事業者である羽田みらい開発株式会社により整備が着手され、2020年のまち開きに向け、公民連携による事業が新たなステージへと大きく進展しました。終戦直後のGHQによる住民の強制退去以来、大田区にとって極めて重要な課題である空港跡地の整備につきまして、歴史的な一歩を踏み出したものと考えております。引き続き、区内中小企業をはじめとする地域経済の活性化や大田の魅力発信に寄与する「新産業創造・発信拠点」の形成に全力で取り組んでまいります。区は、区民に最も身近な基礎自治体として、引き続き区民の暮らしを第一に考え、より魅力的で活力あるまちづくりに向け各施策を力強く展開してまいります。  このような中、平成27年に国連で採択された持続可能な開発目標SDGsなどを背景として、近年、民間企業が行政と連携しながら、地域に対する社会貢献に取り組んでいくという気運が高まっており、本区にも多くの民間企業の皆様から地域課題の解決に向けた連携のアイデアをお寄せいただいております。これまで培ってきた自治会・町会、各種団体、NPOなどとの連携・協働の仕組みに加え、民間企業等との連携に関する区の基本的な考え方を取りまとめた大田区公民連携基本指針の策定により、多様な主体との連携・協働と地域力のあり方が明確になるとともに、広がりが増しました。今後、本指針に基づき、民間企業等と連携した取り組みをさらに進め、公民連携の目的である質の高い行政サービスの提供、地域課題の解決、地域の活性化を実現し、区民サービスの一層の向上を目指してまいります。  続きまして、平成31年度予算案についてご説明いたします。平成31年度の収支見通しでは、歳入については、国内ではふるさと納税や消費税10%段階における法人住民税の一部国税化の拡大など、不合理な税制改正の影響、海外では通商問題の動向、経済状況の変化などの影響に留意する必要があります。景気は緩やかに回復していることから、区の基幹財源である特別区民税や特別区交付金は増収を見込んでおります。一方、歳出におきましては、少子高齢社会の対応のため社会保障関係経費が高い水準で推移すると想定されることや、公共施設の更新が集中する時期が到来するなど、引き続き多くの財政需要を抱えております。今後も各年度において、歳出に対し歳入が不足する事態が見込まれる中、政策課題の着実な解決と財政の健全性を両立させていくためには、予算編成における財政規律の維持、資源配分の効率化、公共サービスの効率的な供給の三つの視点を強く意識して、行財政運営を進めることが重要でございます。
     このような認識のもと、予算編成に当たりましては、喫緊の課題に対応するとともに、区民目線に立ち、緊急性、重要性に応じた事業の選択、見直し、再構築に区を挙げて全力で取り組んでまいりました。私は、予算編成上の重点課題として、「次代を担う子どもたちの未来を拓く力を育み、切れ目なく応援する取り組み」、「誰もが、健やかに安全で安心して暮らせるまちづくり」、「多様な主体のつながりによる地域課題の解決を支える取り組み」、「国際都市おおたの実現に向けてのこれまでの成果を、将来につなげる取り組み」、そして「東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に向けた取り組み」の五つのテーマを掲げ、これらの課題に優先的に対応することとし、効果的、効率的に財源を配分しました。  平成31年度一般会計の予算規模は2818億9000万円余で、前年度比約31億円、1.1%の増となる予算を編成いたしました。歳入については、特別区税は特別区民税の増収と特別区たばこ税の減収を見込んだ結果、前年度比で3.4%増の753億円、特別区交付金は企業収益が堅調に推移していることから、4.0%増の759億円となっております。一方、歳出では、「大田区実施計画」に掲げた施策を着実に推進するため、600億円余の予算を計上しました。私は、この平成31年度予算案によりまして、「地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市 おおた」のさらなる実現を目指して、区議会の皆様のご協力をいただきながら、着実な区政運営を推進してまいります。  次に、来年度の予算案に盛り込みました主な事業につきまして、五つの重点課題ごとにご説明を申し上げます。  重点課題の一つである「次代を担う子どもたちの未来を拓く力を育み、切れ目なく応援する取り組み」におきましては、出産、子育て、教育について、ハード、ソフト両面から充実を図ってまいります。出産や子育ての分野では、引き続き待機児童の解消に向けた取り組みを強力に進めるとともに、保育士人材確保を支援するなど、効果的に保育環境を整備しております。また、風疹による感染症対策等のために予防接種事業を拡大するなど、引き続き安心して産み育てられる環境を構築してまいります。さらに、子どもたちの健やかな成長を支援するため、「おおた子どもの生活応援プラン」を推進するとともに、小中学校の校舎改築や体育館の暑さ対策のほか、未来の「国際都市おおた」を支える人材の育成に向けた中学生英語検定料の公費負担、キャリア支援事業の一環とした小学生ものづくり教育など、子どもたちがみずからの将来像を描き目標に向かって成長できる環境を整備してまいります。  次に、「誰もが、健やかに安全で安心して暮らせるまちづくり」につきましては、健康・福祉の分野では、先述したとおり、望まない受動喫煙のない社会を目指し、受動喫煙防止対策や屋外喫煙対策の取り組みを推進します。また、今年3月にオープンする障がい者総合サポートセンターの増築棟の機能拡充、地域ぐるみのフレイル予防、健康維持など、これまでの取り組みをより一層強化してまいります。環境対策、安全・安心の確保では、食品ロス削減プロジェクト等のごみ減量と資源化対策による環境マインドの醸成や、水防災意識の向上のためのマイ・タイムラインの普及啓発、特殊詐欺や自転車盗難対策の強化といった、身近な安全・安心の確保に力強く対応してまいります。また、大阪北部地震を受けてのブロック塀等緊急対策や木造住宅の除却助成制度を新設するなど、倒れない・燃えないまちづくりを推進してまいります。さらに、これまでの大規模災害での教訓を活かし、避難所生活での衛生面の充実のために、新たに自動ラップ式トイレを導入するほか、災害時医療体制を充実するなど、強固な防災体制を構築してまいります。  三つ目の重点課題とした「多様な主体のつながりによる地域課題の解決を支える取り組み」におきましては、ソフト面では、区民協働・生涯学習情報誌の拡充により区民の地域活動への参加を支援してまいります。また、ハード面では、大田区民センター跡地で進める「(仮称)新蒲田一丁目複合施設」の整備や区民活動支援施設こらぼ大森の敷地を中心とした利便性向上のための周辺の公共施設の再編、「森の縁側」をコンセプトとした「(仮称)田園調布せせらぎ公園文化施設」の整備など、既存の公共施設の更新時期を捉え、整備、更新、機能拡充を順次進めていくことで、地域力の基盤の強化を図ってまいります。さらに、「大田区公民連携基本指針」に基づく公民連携の取り組みを加速、強化していくことで、質の高い区民サービスの提供、地域課題の解決、地域の活性化を実現し、持続可能なまちづくりを進めてまいります。  四つ目の重点課題である「国際都市おおたの実現に向けてのこれまでの成果を、将来につなげる取り組み」のうち、まちづくり分野では、これまで推進してきたスクエアを形成する拠点「蒲田、大森、臨海部、羽田空港周辺」などのまちづくりを一層着実なものにしてまいります。また、羽田空港跡地では世界と地域をつなぐ「新産業創造・発信拠点」の形成を着実に前進させるとともに、新空港線の早期整備実現に向けて、関係者間の協議を精力的に進めてまいります。さらに、シティプロモーションやMICEの推進、グローバル人材の育成、活用など、国際都市おおた協会の取り組みの充実、全国初となる勝海舟記念館の整備など、国際都市おおたにふさわしい魅力を拡充してまいります。  五つ目の重点課題である「東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に向けた取り組み」といたしましては、ブラジル選手団の事前キャンプの受け入れ、おおたウエルカムボランティア事業など、いよいよ1年後に控える大会に向け、選手団や観戦のために国内外から来訪する皆様の受け入れ体制を確実に構築してまいります。また、大会を契機に区民のスポーツへの関心が高まることを見据え、新スポーツ健康ゾーンの整備では、多目的利用が可能な施設にリニューアルする大田スタジアム、旧平和島ユースセンターの機能拡充を図り、青少年の健全育成、スポーツ、地域交流、国際交流の拠点として新たに開設する青少年交流センター、日本サッカー協会公認サイズのピッチを整備する森ケ崎公園など、区民がスポーツに親しみ、楽しさを実感できる「スポーツ健康都市」にふさわしいレガシーを創造してまいります。  以上、平成31年度予算案の主な事業についてご説明をさせていただきました。  昨日でございますが、京浜急行電鉄から本年10月に加算運賃の引き下げを実施するとの発表がありました。加算運賃は平成10年から現在まで実施され、これまでも多くの区民の皆様から早期見直しを求められておりました。区はこの間、区議会と協力させていただきながら、加算運賃の廃止、引き下げを要望してまいりました。このたびの加算運賃の大幅な引き下げは、このような区の要望に沿うものであり、羽田空港を含む地域の活性化に資するものであると考えております。引き続き、加算運賃等に係る動向を注視しつつ、利便性の高い公共交通の実現に向け取り組んでまいります。  最後に、中央防波堤埋立地の帰属問題についてご報告いたします。昨年12月10日に東京地方裁判所において、第5回目の口頭弁論が行われ、江東区から準備書面が提出されました。大田区は当該係争地域の歴史的沿革等の観点から、これに反論する旨を伝えてまいりました。公平公正かつ合理的な解決を目指し、引き続き大田区の考え方を丁寧に主張してまいります。  本定例会に提出いたしました案件は、予算関係では先ほど説明をいたしました平成31年度予算案のほか、平成30年度大田区一般会計補正予算(第4次)などの予算案が計8件、条例案14件、その他議案7件、専決処分の報告議案10件でございます。  議案につきましては、いずれも後ほど上程の際、順次ご説明申し上げますので、よろしくご審議、ご決定賜りますようお願いを申し上げます。  以上をもちまして招集の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)               ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○岸田 議長 事務局長に諸般の報告をさせます。                     〔鴨志田事務局長朗読〕 1 大田区議会定例会の招集について 2 議案の送付について 3 執行機関の出席について(2件) 4 辞職願                ――――――――――――――――――――                                        30総総発第12132号                                        平成31年2月12日   大田区議会議長 岸 田 哲 治  様                                 大田区長  松 原 忠 義                大田区議会定例会の招集について(通知)  平成31年2月12日付け大田区告示第89号により、平成31年第1回大田区議会定例会を下記のとおり招集したので通知します。                         記 1 期    日 平成31年2月20日 2 場    所 大田区議会議場                ――――――――――――――――――――                                        30総総発第12132号                                        平成31年2月12日   大田区議会議長 岸 田 哲 治  様                                 大田区長  松 原 忠 義                    議案の送付について  平成31年第1回大田区議会定例会に付議する次の議案を別紙のとおり送付します。  第1号議案 平成31年度大田区一般会計予算  第2号議案 平成31年度大田区国民健康保険事業特別会計予算  第3号議案 平成31年度大田区後期高齢者医療特別会計予算  第4号議案 平成31年度大田区介護保険特別会計予算  第5号議案 平成30年度大田区一般会計補正予算(第4次)  第6号議案 平成30年度大田区国民健康保険事業特別会計補正予算(第2次)  第7号議案 平成30年度大田区後期高齢者医療特別会計補正予算(第2次)  第8号議案 平成30年度大田区介護保険特別会計補正予算(第2次)  第9号議案 大田区職員定数条例の一部を改正する条例  第10号議案 公聴会等に出頭する者の実費弁償条例の一部を改正する条例  第11号議案 大田区手数料条例の一部を改正する条例  第12号議案 大田区老人いこいの家条例の一部を改正する条例  第13号議案 大田区地域包括支援センター包括的支援事業の実施に係る基準を定める条例の一部を改正する条例  第14号議案 大田区立特別養護老人ホーム条例の一部を改正する条例  第15号議案 大田区特別区道路占用料等徴収条例の一部を改正する条例  第16号議案 大田区公共物管理条例の一部を改正する条例  第17号議案 大田区立公園条例の一部を改正する条例  第18号議案 大田区立下水道関連施設公園等の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例  第19号議案 大田区立児童館条例の一部を改正する条例  第20号議案 大田区こどもの家条例の一部を改正する条例  第21号議案 大田区放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例  第22号議案 大田区立保育園条例の一部を改正する条例  第23号議案 大田区青少年交流センターの指定管理者の指定について  第24号議案 大田区立大森スポーツセンターの指定管理者の指定について  第25号議案 大田スタジアムの指定管理者の指定について  第26号議案 大田区賃貸工場の指定管理者の指定について  第27号議案 大田区中小企業者賃貸住宅の指定管理者の指定について  第28号議案 大田区創業支援施設の指定管理者の指定について  第29号議案 大田区産業連携支援施設の指定管理者の指定について  報告第1号 区の義務に属する損害賠償額決定に係る専決処分の報告について  報告第2号 大田区立志茂田小学校及び大田区立志茂田中学校ほか3施設改築その他工事(Ⅱ期)請負契約の専決処分の報告について  報告第3号 大田区立大森第四小学校校舎ほか1施設改築その他工事(Ⅰ期)請負契約の専決処分の報告について  報告第4号 大田区立障がい者総合サポートセンター増築工事請負契約の専決処分の報告について  報告第5号 仮称大田区京浜島地区備蓄倉庫新築工事請負契約の専決処分の報告について  報告第6号 大田区立清水窪小学校校舎増築工事請負契約の専決処分の報告について  報告第7号 大田区立志茂田小学校及び大田区立志茂田中学校ほか3施設改築その他電気設備工事(Ⅱ期)請負契約の専決処分の報告について  報告第8号 大田区立障がい者総合サポートセンター増築電気設備工事請負契約の専決処分の報告について  報告第9号 大田区立大森第四小学校校舎ほか1施設改築その他機械設備工事(Ⅰ期)請負契約の専決処分の報告について  報告第10号 大田区立志茂田小学校及び大田区立志茂田中学校ほか3施設改築その他機械設備工事(Ⅱ期)請負契約の専決処分の報告について                ――――――――――――――――――――                                        30総総発第12239号                                        平成31年2月13日   大田区議会議長 岸 田 哲 治  様                                 大田区長  松 原 忠 義                  執行機関の出席について(通知)  平成31年2月12日付け30大議発第10926号により要請のあった平成31年第1回大田区議会定例会における執行機関の出席者を次のとおり通知します。   副区長           川 野 正 博  副区長           清 水 耕 次   企画経営部長   未来創造研究室長兼務    市 野 由香里  総務部長          玉 川 一 二   危機管理室長        井 上 隆 義  地域力推進部長       小 泉 貴 一   観光・国際都市部長     木 田 早 苗  スポーツ・文化担当部長   町 田 達 彦   区民部長          浜 口 和 彦  産業経済部長        飯 嶋 清 市   福祉部長          今 岡 正 道  福祉支援担当部長      西 山 正 人   障がい者総合サポートセンター所長                 青 木   毅  健康政策部長        今 井 健太郎   保健所長          西 田 みちよ  こども家庭部長       水 井   靖   まちづくり推進部長     齋 藤 浩 一  都市開発担当部長      青 木 重 樹   空港まちづくり本部長    白 鳥 信 也  都市基盤整備部長      久 保 輝 幸   環境清掃部長        落 合 邦 男  会計管理者         近 藤 倫 生   企画経営部企画課長     山 田 良 司  企画経営部財政課長     梅 崎 修 二   総務部総務課長       中 澤   昇                ――――――――――――――――――――
                                           30教教発第13477号                                        平成31年2月13日   大田区議会議長 岸 田 哲 治  様                          大田区教育委員会教育長  小 黒 仁 史                  執行機関の出席について(通知)  平成31年2月12日付け30大議発第10926号により要請のあった平成31年第1回大田区議会定例会における執行機関の出席者を次のとおり通知します。   教育長           小 黒 仁 史   教育総務部長        後 藤   清   教育総務部教育総務課長   森 岡   剛                ――――――――――――――――――――                      辞  職  願  このたび一身上の都合のため平成30年12月31日付で議員を辞職いたしたいので許可くださるようお願いいたします。  平成30年12月20日   大田区議会議員 荻 野   稔                            大田区議会議長  岸 田 哲 治 様               ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○岸田 議長 次に、会期についてお諮りいたします。この定例会の会期は、本日から3月14日までの23日間としたいと思います。これにご異議ありませんか。                   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○岸田 議長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。               ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○岸田 議長 次に、議員の辞職について申し上げます。ただいま事務局長に報告させましたとおり、荻野稔議員から平成30年12月31日付けをもって辞職したい旨の辞職願が提出されました。本件につきましては、地方自治法第126条の規定により本職において許可いたしましたので、ご報告いたします。               ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○岸田 議長 質問に入ります。  高瀬三徳議員、松本洋之議員、金子悦子議員、田島和雄議員、秋成 靖議員、山崎勝広議員、松原 元議員、高山雄一議員、伊佐治 剛議員、湯本良太郎議員、伊藤和弘議員、馬橋靖世議員、大竹辰治議員、黒沼良光議員、三沢清太郎議員、野呂恵子議員から通告がありますので、順次これを許します。  まず、3番高瀬三徳議員。                  〔3番高瀬三徳議員登壇〕(拍手) ◆3番(高瀬三徳 議員) 自由民主党大田区民連合の高瀬三徳でございます。質問通告に従い、会派を代表して代表質問を行います。  平成時代も残すところ2か月あまりとなりました。戦争や世界体制の変化を経験した昭和を引き継いだ30年間。昭和と比べれば半分の年月ではありますが、大規模な自然災害や事件、事故など多くの出来事や社会変化がありました。  一方、区政に目を転じますと、平成19年から松原区政が始まり、翌年にはリーマンショックが起き、経済が混乱する中、区は中小企業向けに緊急の融資相談をいち早く開始しました。この10年で福祉費が約1.5倍になり、区民福祉の施策の充実を図ってこられたなど、この間、基本計画「おおた未来プラン」のもと、地域力と国際都市を2大政策として、様々な施策における事業が展開され、区政は大きく進展いたしました。  昨年の第4回定例会において松原区長は、我が会派からの「重要な施策を成果として花を咲かせる責任が松原区長にはある」という代表質問に対し、「引き続き区政に対し責任を果たす」と力強く答弁され、あわせて「次世代にしっかり引き継げる地域社会をつくることを何よりも優先したい」と引き続き区政を担う意思と覚悟を表明されました。この間の区政12年を振り返ると、実に多くの成果がありました。そして、常に未来志向を大事にしてきた結果、これからの区政を力強く切り開く数多くの機運が様々な分野で高まっており、今まさにそれらを開花させるチャンスが到来しております。  最初にお伺いいたします。これまでの区政12年間を強固な土台とし、松原区長のリーダーシップのもと、持続可能な未来に向けてさらなる成果を積み上げていくことが、今の、そして未来に向けた区政には必要だと考えます。これまでの成果、実績に対する区長のご感想とともに、引き続き区政のかじ取りを担うとされた決意を改めてお聞かせください。  次に、東京圏への人口の一極集中に関連してお尋ねします。総務省の2018年の人口移動報告によりますと、東京圏は転入者が転出者を約14万人上回る転入超過となった一方で、全市町村の約7割では転出超過でありました。こうした東京への人口流入は新たな行政需要が生じる大きな原因でもあり、現在、国が進めている東京の財源を奪い地方に振り分ける税制改正がいかに不合理であるかを証明しております。引き続き、松原区長におかれましては、関係機関と連携しながら、国に対して強い姿勢で臨んでいただきたいと要望いたします。  人口推計によりますと、全国的に人口減少が加速度的に進む一方で、大田区においては、今後もしばらくは緩やかに増加します。人口構成では高齢化が急速に進む一方、子どもの数に大きな変動はなく、結果として生産年齢人口比率が相対的に減少していくという、かつて経験したことのない社会環境が今後の区政を取り巻くことになります。  そこで伺います。人口構成の変化に伴う社会環境の激変と公共施設の機能更新、さらには伸び続ける社会保障経費など、今後の区財政を取り巻く環境は相当厳しいものになり、国際化の一層の進展などによって新たな行政課題の発生も確実視されます。将来にわたって持続可能な行財政運営を維持していくためには、戦略的な中長期の政策ビジョンが極めて重要だと考えます。区長のご見解を伺います。  こうした状況のもと、「地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市 おおた」のさらなる実現を目指す平成31年度予算案がまとまり、総額2818億9242万円、前年度比31億円余、1.1%の増となる一般会計が編成されました。  そこで伺います。基本構想の中間の節目として、平成31年度予算案を編成し終えた今の区長のご感想と本予算に込めた思いをお聞かせください。  次に、児童福祉について質問いたします。  児童虐待の通告数は年々増え、10年前の約13倍に上り、摘発件数は前年比217件増の1355件となっています。現在も胸が押し潰されそうになる痛ましい児童虐待のニュースが連日報道されており、強い憤りを禁じ得ません。こうした中、厚生労働省では児童虐待への対応を強化するために、全国の児童相談所に弁護士の配置を義務づける調整に入っております。児童虐待が相次ぐ中、児相が法的権限をためらわずに行使して子どもを守るには、日常的に弁護士がかかわる体制が必要と判断したもので、今年の通常国会に提出する児童福祉法改正案に盛り込み、2022年4月から義務化を目指すとのことです。法改正によって特別区も児童相談所を設置できることになり、本区をはじめ多くの区で準備が進められております。  そこで伺います。本区における現在の児相設置に向けた進捗状況をお聞かせください。あわせて、子ども家庭支援センターとの役割分担も踏まえ、今後の児童福祉政策について区のお考えをお聞きいたします。  次に、いじめについて伺います。いじめに関する報道も耳にしない日はないような状況です。本区においては、これまで学校、家庭、行政、教育委員会、地域などで一体となった取り組みが進められてきたとは承知していますが、残念ながら根絶には至っておりません。いじめを受けている子どもはSOSを出しにくい環境にあることも多く、周囲の大人がいち早く察知して、子ども家庭支援センター、児童相談所、警察などが一致して対応する体制をより盤石なものとしなければなりません。対症療法的ではなく、未然防止の観点から教育委員会と区長部局が縦割り行政を打破し、一体となって緊密な連携のもと、強い気概を持って臨まなければ事態は一向に改善しません。  そこでお伺いいたします。現在の本区のいじめの実態と取り組み状況及び未然防止の観点も含めて、実践的で実効的な対策について、区はどのようにお考えなのかをお伺いいたします。  次に、防災に関連してお聞きします。  防災対策は世論調査でも毎回1位や2位に入るなど、日ごろから区民の関心が大変高くなっています。水害をはじめ、地震や台風などの災害が発生したら、その復旧には大変な時間と労力、経費を費やすことになります。そこで、いつやってくるかわからない災害に、平時から安定的な予算措置を講じて防災対策を行うことができるように、また、いざ発災したら迅速な対応ができるように、防災と災害対策を目的とした基金の設置をご検討いただきたいと思います。区民の生命と財産を守るために区にとっても大変有効と考えますので、ぜひその設置を要望いたします。  その中で、先日、全国20の政令市と東京23区の指定避難所のうち、38%に当たる施設が洪水の浸水想定区域に存在しているとの報道がありました。23区エリアは海抜ゼロメートル地帯が広がる東部を中心に5割が浸水想定区域に当たるとされ、対象の自治体では浸水被害後の避難生活先の確保を課題として、他自治体への広域避難の検討に乗り出しています。  本区においては、区立の小学校、中学校等の91か所を避難所に指定しています。避難所は大きな地震で家屋が倒壊、焼失して住む家を失った人が一時的に避難生活を送る場所ですので、耐震性はもちろん、立地環境の安全性も当然求められるところです。  そこでお伺いします。本区の避難所の立地環境はどのようになっているでしょうか。東京湾や多摩川などに接する低地の地区もあり、地震への対応に加えて浸水被害への対策は大変重要です。現在の状況及び今後の取り組みについてお聞かせください。  次に、新空港線について伺います。首都圏全体を見渡してみると、主要な乗り換え駅である池袋、渋谷、東京、品川、川崎、横浜などは、それぞれが新たな時代に向けた進化を遂げつつ、鉄道駅とあわせてまち全体が大きく生まれ変わろうとしており、その発展には目をみはるものがあります。一方、大田区の中心地である蒲田のまちは戦災復興によって形成され、今に続いておりますが、これまで大規模な開発とは縁がありませんでした。その理由の一つに、区の長年の悲願である新空港線整備の先行きが、これまでには見えていなかったことが挙げられております。  その新空港線ですが、平成28年の国の答申において高く評価され、区においても整備主体の設立に向けた予算が確保されるなど、その実現が着実に近づいていると感じております。新空港線の実現が目の前に迫る今、昭和の戦災復興によって形成された蒲田駅を中心とする駅周辺は、まち全体の老朽化も進んでおり、現在区が進めている蒲田駅東口駅前広場の初動期整備を契機に、東西のJRの駅ビルや東急プラザを含め、駅周辺のまち全体を大きく変える機能更新の時期を迎えております。このチャンスを逃すと、生まれ変わる品川駅や新たな高輪ゲートウェイ駅の開発など、周辺の活気あるまちと大きく差がついてしまい、蒲田が埋没する危険があるのではないかと危機感を感じるところであります。ターミナル駅である蒲田が大きく変わることができれば、東急多摩川線や池上線沿線にも波及するなどして、大田区全体が活気あるまちに変貌していくことでしょう。そのための足がかりとしてタイミングを逃すことなく、新空港線をぜひ実現すべきです。まちづくりは短期的な視点ではなく、10年、20年という長期にわたる事業であるため、新空港線の実現性が見え始めている今こそ、蒲田駅周辺を一体的に捉えた長期的な視点に基づく新しい蒲田のまちづくりをスタートさせる絶好の機会であると考えております。  先日、JR東日本が羽田空港アクセス線の東山手ルートの環境アセスの手続きを自社で着手するとの報道がありました。平成12年の交通政策審議会答申第18号にも記載されていない路線が、30年以上も検討を重ねている新空港線よりも先行して整備着手するということは、区のこれまでの発言と相反するものと受け取られる状況です。新空港線はJR羽田空港アクセス新線とは異なり、区内の東西移動の利便性を大きく向上させるとともに、沿線のまちづくりを進めることで、まちの魅力を一層高めることができるプロジェクトであります。結果として、多方面からの空港アクセスを格段に向上させることができると考えます。他の路線整備が着々と進もうとしている中、新空港線についても、遅くともJR羽田空港アクセス線よりも先行して整備に着手すべきと考えております。私は、今、大田のまちづくりとして、このプロジェクトを直ちに着手しなければならない、この関係自治体と広域交通アクセスをしっかりと整備しなければならない、これは現在の議員として、そして、区長としての責務だと考えております。  そこでお聞きします。次世代につなぐ新たな蒲田のまちづくりに向けた検討を進めるためにも、蒲田駅周辺開発と新空港線整備をどのように進めるか、区長のお考えをお聞かせください。  都内鉄道整備における費用の地方負担について、私は常々疑問に感じていることがあります。というのも、鉄道事業は本来、広域自治体である東京都が費用負担をすべきものであり、これまで都内の鉄道についてもそのように整備されてきました。今回の答申第198号の路線では、江東区の地下鉄8号線と練馬区の大江戸線の延伸は、公表資料では地下高速鉄道整備事業費補助のスキームで検討が進められているようですが、このスキームの場合は、これまでの実績では地方負担分は全額東京都が負担しており、区は一切負担していません。そうなると、8号線を進める江東区及び大江戸線を進める練馬区の区の負担はないということになります。一方、新空港線は都市鉄道等利便増進法を活用するため、地方負担分の中では区の費用負担が発生し、区はこれまで「東京都と費用負担割合について協議している」と答弁されております。  そこでお聞きします。なぜ大田区だけに区の負担が発生するのでしょうか。費用の地方負担分において、他路線との公平性について東京都はどのように考えているのでしょうか。  次に、木造住宅除却についてお聞きします。区では、倒れない・燃えないまちづくりを進めているところですが、昨年6月の大阪北部地震において、小学生児童が犠牲となった痛ましい事故を受けて、区は通学路沿いのブロック塀の緊急点検を行ったほか、ワンストップの相談窓口を設けるなど、ブロック塀の倒壊に対して速やかに対応してきました。また、昨年、防災の日の9月1日には新規事業として、ブロック塀等改修工事助成事業を開始しました。この事業は、我が会派が7月のまちづくり環境委員会でその必要性を指摘したもので、迅速な事業導入につなげてきた経過からも、災害対策に真剣に取り組む区の姿勢について改めて評価するものであります。引き続き、区民の命を守るため防災まちづくりに全力を挙げていただきたいと思います。  倒れないまちづくりの目標である区内の住宅の耐震化率は、大田区耐震改修促進計画によりますと、平成26年度末で85%ですが、年間1%程度の上昇傾向にあることから29年度末で88%程度と推測されます。一方、区の掲げる目標値は政府目標と同じ32年度末で95%であり、目標にはまだ乖離があります。先月の新聞報道によりますと、都内62区市町村を調査して、約6割の37自治体が政府目標を達成できそうにないと回答したとのことです。こうした高い目標である耐震化率の達成に向けて、旧耐震基準の建物一つ一つの改修、または建て替えを進めていくことが必要です。  昨年の第4回定例会において我が会派から、「旧耐震基準の住宅は既に築37年以上経過しているため、多くの木造住宅は更新時期を迎えており、このような住宅の所有者の多くは建て替えによる耐震化を望んでおります」と指摘し、資産形成につながる新築工事も含めた助成ではなく、老朽住宅の除去費だけを助成する制度を提案しました。区長からは、「建て替えの方も利用できるように、除却費を助成する制度の導入を検討する」という答弁をいただきました。このご答弁のとおり、来年度予算案の中には、木造住宅除却助成の必要な経費が盛り込まれております。我が会派の提案をしっかりと受け止めていただき、区の安全対策に役立てていただくことは大変すばらしいことだと思っております。木造住宅除却助成については、平成26年度末で耐震性が不足する木造住宅が区内にあと約3万2000戸あり、こうした住宅の所有者に幅広くご利用いただくことが重要な一方で、個人資産に対する助成であり、一定の個人負担も必要と考えます。  そこで伺います。この制度を多数の方にご利用いただくためにどのような工夫をするのか。また、公費と個人負担のバランスをとるためにどのような制度を考えているのか、区のお考えをお聞かせください。あわせて、対象となる住宅が多い中で新制度をどのようにPRし、利用につなげていくのか、区の取り組みについてもお示しください。  次に、羽田空港の機能強化について伺います。先月、安倍総理は施政方針演説において、観光立国に向け、訪日外国人旅行者数の来年の目標4000万人に向かって、海外と地方をつなぐ空の玄関口となる羽田空港、成田空港の発着枠を8万回増やすと述べております。平成30年の羽田空港の乗降客数は8700万人を超え過去最高となっており、国際線も前年比6.4%増の約1790万人と大幅に伸びています。このような背景のもと、発着枠増便に向けた羽田空港の機能強化は、現時点で提案段階として説明されていますが、国によれば、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催前の増便に向け準備を進めることとされており、残された時間は多くありません。  区長はこれまで2回にわたり、国土交通大臣宛てに要望書を提出しており、国に大田区の要望を踏まえつつ、機能強化に加えて現在の課題への対応についても要望しており、空港所在自治体の首長として、しかるべき対応をされてきたと理解しております。特に、平成12年に運用が開始され、長年の懸案となったA滑走路の北向き離陸左旋回が今年の夏ダイヤから廃止されることは大きな成果であります。  羽田空港の機能強化に関しては、平成26年の公表以来、国も時間をかけて周知、広報し、様々な手法を交えた説明を繰り返し行っており、従前に比べれば丁寧に進めているとの印象は持っていますが、これまで飛行していなかった地域を新たに航空機が飛ぶ以上、経路周辺の住民がいろいろな面で不安に思うのも、もっともなことです。また、事柄の性質上、航空に関しての専門的な情報も示さなければならない場合もあると考えます。このような中、区民に広く、かつ、正しく理解いただくためには、丁寧な上にも丁寧な説明をすることは当然であり、要望や意見に対する検討状況や結果について、繰り返し説明していくことが強く求められるのではないでしょうか。  さらに、機能強化が実現したとしてもそれで終わりではなく、国において何らかの仕組みを整えて、さらなる情報提供を続けていくべきではないかと考えます。区が羽田空港との共存共栄を目指してまちづくりを進めていくことは非常に重要なことでありますが、現状においても騒音影響を受けている本区としては、空港及び航空機の安全確保、騒音影響は大変重要な問題であり、引き続きの対応が強く求められるものであります。第5フェーズの説明会が2月11日、12日に開催されましたが、大田区はまさに羽田空港のお膝元であり、空港に関しては過去の歴史や様々な経緯もあります。  そこで伺います。今後の説明に関して、地域の実情を勘案した大田区ならではの説明のあり方を国に求めていくべきと思いますが、いかがでしょうか。区長にご見解をお伺いいたします。  次に、産業政策について伺います。  現在、世界中のIoT、ロボット、人工知能など、関連した新たなイノベーションが次々と生まれております。大田区においても、羽田空港跡地において先端産業分野の企業やベンチャーなどの集積を促し、区内をはじめとする多様な企業、人材などとの交流からイノベーションを促し、新たなビジネスの創出を目指して官民が連携して取り組みを進めています。こうした中で、高度な技術を強みとする区内中小企業が新たな産業分野に参入できる機会を確保することはとても重要であります。  一方、現在国では、政府の基幹統計調査の不正が相次いで発覚しており、地域経済の実態把握は急務であると考えます。本区には製造業のほかにも、卸・小売業、飲食サービス業、宿泊業、不動産業、生活関連サービス業、医療・福祉、運輸業など多種多様な産業が存在しております。これらの多くの産業が今後一層振興していくためにも、基本的な産業政策を立案することは大変重要だと考えております。  そこでお伺いします。区長は産業振興策として跡地事業をどのように捉え、どのように進めようとしているのでしょうか。あわせて、今後の本区の産業政策立案についてどのように考えているのでしょうか、お聞かせください。  次に、健康増進についてお伺いします。  生涯を健康で自分らしく過ごすということは誰もが願っていることと思います。医療の進歩などにより人生100年時代を迎えようとしている中、その願いを叶えるには区民一人ひとりの健康づくりがますます重要となっています。健康づくりは高齢者になってから取り組むよりも、若いときから取り組むほうが、より効果的であることは言うまでもありません。私も青少年から高齢者まで広く区民の健康づくりをお手伝いしてきた経験から、生涯を通じた健康づくりを推進することが極めて重要であると痛感しているところです。また、健康に関心を持ち、食事や運動など、望ましい生活環境を心がけている人が多く見られる一方で、健康づくりの必要性は感じていても、きっかけがないとか、日々の生活に忙しいなど、様々な理由により継続した健康づくりに取り組むことができない人も多くいるように感じます。こうした人々も含め、全世代を挙げて健康づくりに取り組めるようにするには、地域全体の健康づくり活動を活性化することや健康づくりの視点を取り入れたまちづくりを進めることが有効だと考えます。  そこでお伺いいたします。区は、本年3月に第三次おおた健康プランを策定すると伺っており、その内容にも注目しています。区民の生涯を通じた健康づくりの推進に向けてどのような施策を展開していくのか、区長の意気込みをお聞かせください。  次に、障がい者総合サポートセンター「さぽーとぴあ」に関連して質問いたします。大森赤十字病院の隣に既存棟と増築棟が一体化し、松原区長の思いが結実したすばらしい施設がいよいよ完成します。既存棟であるA棟は、平成27年3月に全国に先駆け、障害福祉施設としてオープンしたことを覚えておりますが、いよいよ増築棟であるB棟の完成をもって、3月24日にグランドオープンとなります。B棟で実施する事業には、区立の障害施設として23区で初となる取り組みも盛り込まれ、松原区政の大きな成果の一つと考えます。2階、3階では、医療的ケアが必要な方の受け入れのほか、重症心身障がい児者等、いわゆる重度障がいのある方が利用できる短期入所事業が、そして4階、5階では、福祉と教育、医療が連携した学齢期の発達障がい児支援事業が予定されております。1階の地域交流カフェは、民間企業が運営するちょっとおしゃれなカフェと聞いております。圧倒的にサービスが不足する医療的ケア児者へのこれらの支援と、現在相談や支援が急増している発達障害施策、そして地域との連携、いずれも区民が求める施策を一体に具体化した松原区長の取り組みを高く評価します。「さぽーとぴあ」が中心となり関係機関等とも連携して、かけ声だけではない真に機能するネットワークを構築し、障がいのある方の生活を支える取り組みとして、地域生活支援拠点等の整備があるものと考えております。区民に最も身近な行政である区には、ばらまきのごとく何でも支援し、また給付すればよいというものではなく、全体バランスを図りながら適切に施設を展開していくことが求められているのです。  そこでお伺いします。障がい者総合サポートセンターをどのように運営していくのか、今後の展望についてお聞かせください。  次に、地域生活支援拠点等の整備について質問します。障がい児者の重度化、高齢化、いわゆる親亡き後の課題を見据えて、相談や緊急時の受け入れ対策、体験の機会、専門的人材の確保、養成、体制づくりなどについて、地域の実情に応じた創意工夫のもと、障がい児者の生活を地域全体で支える地域生活支援拠点等の整備に取り組んでいくことが求められます。  現在、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個人を尊重し合いながら共生する社会、いわゆる地域共生社会の実現に向けた制度構築が進められております。そして、障害や疾病の特性などに応じて最大限活躍できる環境を整備し、就労を支援する取り組みとして、障害者雇用促進法の改正による法定雇用率の引き上げや精神障がいがある方の雇用率算定の義務化などがあります。一方で、障がいのある方の重度化、高齢化も進行しており、親が介護できない状況に利用できる短期入所など、整備・充実を求める声を障がい者団体との意見交換の中でお聞きしており、切実なニーズであると推察いたします。  そこでお伺いします。多様なニーズのある障がいのある方の地域における暮らしを支えるため、短期入所をはじめとする地域生活支援拠点等の整備を区はどのように進めていくのでしょうか。  次に、若年性認知症への支援について質問いたします。65歳未満で発症した認知症を若年性認知症と言い、働き盛り世代のうちに発症した場合は、仕事や家庭生活において重大な問題を生じることとなります。平成21年3月に発表された厚生労働省調査結果によると、推定発症年齢の平均は51.3歳であり、男性が女性より少し多く発症しており、原因となる疾患は脳血管性認知症、アルツハイマー病、頭部外傷後遺症などが主なものとなっております。また、介護家族の実態については、家族介護者の約6割が抑うつ状態、約7割が収入減に見舞われており、経済的困窮への対応や若年性認知症に特化した福祉サービス、専門職の充実が必要となっております。  そこでお伺いいたします。こうした若年性認知症の課題を抱える世帯に対して、区として支援の必要性があると考えますが、区の見解をお尋ねいたします。  次に、公民連携についてお聞きします。区は先月、大田区公民連携基本指針を策定し、地域力のさらなる強化に向けて、今後、民間企業等との連携を一層強化していくという方向性を打ち出しました。現在、企業の経済的なパフォーマンスだけではなく、環境や社会的課題にも目を向け、この点においてすぐれた経営を行っている企業に積極的に投資するという動きが世界的に広がっています。いわゆるESG投資ですが、我が国においても近年急速に拡大しており、昨年では約232兆円もの規模になったそうです。世界では2016年の時点で既に2500兆円を超えており、今後、我が国においてもさらに拡大していくことが見込まれております。企業は利潤のみを追い求めるだけでは社会的に高い評価は得られにくい時代に入っており、いかに社会的課題の解決にも貢献しているかが求められております。大田区の指針は、こうした経済界の世界的潮流をしっかりと捉えたうえで、自治体経営の視点から公民連携強化の必要性を説明しております。  今後、大田区には多くの企業から様々な提案が寄せられるものと考えられますが、これまで行政だけでは実現できなかった取り組みや柔軟な発想などによって、区民の利便性向上や快適なまちづくりにつながる具体的な成果を上げていくことに期待しております。  そこでお伺いいたします。公民連携について、今後さらなる広がりに関する見通し、可能性について区の考えをお聞かせください。  最後に、定年にかかわる人事政策に関連してお伺いいたします。  年金の支給開始年齢の引き上げなどに伴い、大田区において再任用制度が適用されており、定年を迎えた職員が長年の豊かな経験を活かし、引き続き活躍できる環境が整っています。一方で、役職で見ると、多くは現役時と比較して、再任用においては降格する状況となっております。例えば、部長級だった人が再任用では課長級となり、現役の課長級の人がやがて部長級となれば職層の逆転現象が生じます。人事制度だと言ってしまえばそれまでですが、このような状況の中で、お互いに組織に在籍し続けるうえで本当に円滑な指揮命令系統、良好な関係が維持できるのか、いささか疑問を感じます。表向きには何もなくても、内心的には何らかの心理的負担などの影響があるのではないかと思います。  そこでお伺いいたします。現役、再任用を問わず、職員が真に働きやすい職場環境を整備して、適材適所の人事異動を行うことが組織力の向上につながり、区政が活性化して、ひいては区民サービスの向上につながると考えます。人事権を持つ区長のお考えをお聞かせください。  以上で代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○岸田 議長 理事者の答弁を求めます。 ◎松原 区長 高瀬議員の代表質問に順次お答えをしてまいりたいと思います。  まず、12年間の区政の成果、実績に対する感想と、引き続き区政のかじ取りを担う決意についてでございますが、私は平成19年4月に区長に就任して以降、議会にご決定いただいた「大田区基本構想」のもと、区の将来像である「地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市 おおた」の実現を目指し、区政のあらゆる分野において取り組みを推進してまいりました。就任後12年の間には、リーマンショックによる景気の後退、東日本大震災をはじめとする大規模自然災害の発生など、区政に大きな影響を与える事象も数多くありました。そのような状況下にありましても、私は区政の先頭に立ち、「地域力」と「国際都市」をキーワードに魅力と活力あふれる地域づくりに取り組んでまいりました。  地域の課題解決に向けて複合的機能を有する地域力推進センターや障がい者総合サポートセンターなどの拠点を整備し、区民の皆様とともに、防災・防犯、福祉、子育て、教育など、様々な分野で全力を尽くしてまいりました。多文化共生推進センターや大田区観光情報センターの開設、国際都市おおた協会の設立、全国初の国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業、いわゆる特区民泊など、羽田空港が所在する自治体の強みを活かした国際都市としての施策を進めるとともに、国際都市おおた宣言を行いました。来年夏には、いよいよ東京2020オリンピック・パラリンピック大会が開催されます。区は、大田区総合体育館の完成や大田スタジアム、森ケ崎公園の大規模改修など、臨海部のポテンシャルを活かした新スポーツ健康ゾーンの整備を計画的に進め、本年夏には青少年交流センターがリニューアルオープンとなり、ブラジル選手団の事前キャンプが行われる運びとなっております。また、長年にわたる懸案にも積極的に取り組み、羽田空港跡地の整備に着手したほか、新空港線の整備に向けた動きも具体化しつつあります。加えて、中央防波堤埋立地の帰属問題につきましても、司法の場で公平公正で合理的な解決を目指し取り組むなど、全精力を注ぎ、区長としての務めを果たしてまいりました。  間もなく平成が終わり、新たな元号となります。国の総人口は減少し、働き手も減少していくことで、社会保障等の先行きに対する危機感が生じております。このような中、将来を担う若者や子どもたちのためにも、持続可能な地域社会をつくる礎をしっかりと固めることが最優先の課題であると考えております。引き続き、初心を忘れずに、区民の皆様の負託に応え、区民本位の清新で活力ある区政を運営していく覚悟であります。  次に、戦略的な中長期の政策ビジョンに関するご質問でございますが、区の財政状況は、現段階では健全性を維持しておりますが、現在行われております国の不合理な税制改正による影響や消費税率の改定、海外の経済情勢等による国内景気の動向などに留意しながら、引き続き着実な行財政運営を推進していく必要があります。また、人口構成の変化による生産年齢人口比率の低下、超高齢社会における扶助費の増加、公共施設の機能更新など、さらなる課題にもしっかりと向き合いながら、多様化、複雑化する区民ニーズに応え、課題の解決を図り、基本構想に掲げる区の将来像実現に向けて着実に歩みを進めていかなければなりません。基本構想の前半10年を担った「おおた未来プラン10年」は、今年度末で計画期間を終えますが、未来プランを通じて得られた成果や新たに生じた課題などを的確に検証、分析し、次なる基本計画の中で今後の財政見通しも踏まえつつ、新たな中長期の政策を戦略的に構築し、持続可能な区政運営を進めていくことが重要であると考えております。  次に、平成31年度予算編成に関するご質問ですが、私はこれまで、持てる力の全てを大田区の発展のために注ぎ、福祉、教育、子育て、防災、まちづくりなど、区政の様々な分野で区民の皆様や関係者のご協力をいただきながら、着実に成果を上げてまいりました。現在の区政の置かれた状況を鑑みますと、区民の暮らしを守る防災・防犯対策や少子高齢社会への対応、公共施設の更新などの喫緊の重要課題に加え、羽田空港跡地のまちづくりのほか、新空港線の整備、中央防波堤埋立地の帰属問題はまさに正念場にございます。私たちの子や孫の世代のために、希望にあふれ、持続可能な地域社会をつくり上げていかなければなりません。こうした思いを込め、平成31年度予算案は、これまでの成果を着実なものとするとともに、将来への懸け橋となる予算と位置づけ、「大田区基本構想」で描いた将来像の実現に向けて推進してきた「おおた未来プラン10年」の成果を総点検するとともに、新たな一歩を踏み出す予算を編成いたしました。予算規模は一般会計で2818億9000万円余、前年度比約31億円、1.1%増の予算といたしました。本予算をもとに、「地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市 おおた」のさらなる実現を目指し、73万区民の皆様の期待に応えることができますように、着実な区政運営を推進してまいります。  次に、児童相談所の設置の進捗状況と今後の児童福祉政策についてのご質問でございますが、区は「(仮称)大田区子ども家庭総合支援センター」として整備する基本構想・基本計画を平成30年3月に策定し、大森西特別出張所の移転後の跡地に施設を建設することを予定しております。区では「子ども家庭総合支援センター」を、児童虐待をはじめとした、あらゆる子どもの問題に対処する本区の児童福祉の中心拠点と位置づけ、子ども家庭支援センターは、地域の子育て支援とともに、深刻な課題を抱える家庭を早期に発見して、総合支援センターにつなぐサテライト施設とする予定でございます。これらのセンターを中心に子育て支援と課題を抱える家庭への対応をさらに強化してまいります。  次に、大規模水害対策についてのご質問ですが、議員お話しの浸水想定につきましては、発生確率が0.1%と極めて低いものと言われております。室戸台風級の超大型台風と同時に、東京湾の高潮が発生するという最悪の条件が重なったものでございます。この浸水想定の場合、区が指定している91か所の避難所のうち66か所が浸水区域内に所在しております。しかしながら、浸水しない地域も区内に広くあることから、浸水区域外の避難所などを活用できるものと考えております。区といたしましては、西日本豪雨などの教訓を参考にして、区民が迅速かつ安全に避難できるよう検討を進めております。また、ご自分の住まいの地域の浸水被害を正しく理解していただくため、ハザードマップを改定するとともに、区の避難対策についても計画策定を進めております。進行型の災害に有効と言われております個人、家庭などの状況を踏まえた行動計画であります「マイ・タイムライン」の普及にも努めてまいります。  次に、蒲田のまちづくりと新空港線についてのご質問でございますが、蒲田は大田区の中心拠点であると同時に、東京都の「東京における土地利用に関する基本方針」において、このたび枢要な地域の拠点と位置づけられております。また、羽田空港と複数の路線をつなぐ交通結節点でもあり、首都圏全体においても重要な位置づけになっております。その機能更新を含めた中長期的なまちづくりは、区の最重要課題の一つであります。新たな蒲田のまちづくりを検討する際は、駅舎・駅ビルの再構築や東西自由通路の整備、新空港線の整備などを一体的に考えていく必要があります。整備に当たりましては、交通結節点機能を十分発揮させるとともに、より便利で魅力的なまちになるよう将来イメージをお示ししながら、地域の皆様方と話し合いを進め、まちづくりの方向性を定めてまいります。新空港線の早期実現に向け、整備主体となる第三セクターの設立に向けて、引き続き私が先頭に立って全力で取り組む決意であります。  次に、新空港線の整備に向けた東京都の考え方についてのご質問ですが、東京都が策定いたしました「都市づくりのグランドデザイン」では、羽田空港へのアクセスのさらなる充実及び鉄道の混雑解消に向け、新空港線の新設について検討の深度化を図っていくこととしております。平成30年度東京都予算では、国の答申において、「進めるべき」と示された新空港線をはじめとする6路線に係る事業などの財源を確保するため鉄道新線等整備準備基金を創設し、基金を積み立てていくこととしています。平成31年度東京都予算案においても6路線の事業化に向けて、調整、検討の深度化を図るための調査費を計上していることなどから、新空港線についても重要な路線であると認識していることが伺えます。新空港線については、既存の鉄道施設を有効活用し、整備することから、区としては都内で初となる「都市鉄道等利便増進法」の活用を想定しております。この事業スキームでは、整備主体、国、地方がそれぞれ3分の1ずつ負担することとなっているため、現在、地方分の負担について、都区間で協議を進めているところでございます。他路線と比較した場合、大田区だけ費用負担が発生しているとのお話について、区としては、区負担分を23区共通の財源である都市計画交付金と特別区財政調整交付金の対象とすることなどで、負担の公平性を含めた協議を東京都と行っております。  次に、木造住宅除却助成に関するご質問をいただきました。助成対象の建物は、区内全域の旧耐震基準の木造住宅とします。また、老朽化した住宅を除却し、駐車場などへの利用を検討している方も活用できるように、除却後の土地利用については制限を設けておりません。助成額につきましては、除却に必要な費用の2分の1を超えない範囲で50万円を上限とし、所有者にも一定のご負担を求めることとしております。ご自分の資産である建物はご自身の手で耐震化を進めていただく必要があることから、公費助成と個人負担のバランスを考慮した制度としました。制度のPRにつきましては、資産活用の選択肢が広がるなど、区民にとって有利な点を区報やホームページで積極的に発信してまいります。また、区と協力関係にある各建設団体等にも情報提供を行い、利用促進につなげてまいります。さらに、区内にある旧耐震基準の木造住宅の所有者に対し、新たな助成制度を個別にお知らせをするとともに、希望者には各戸訪問により具体的な相談を行います。今後は、より丁寧な相談業務を通じて所有者の皆様の不安を解消し、耐震化に踏み込んでいただけますよう、区民本位の啓発活動に鋭意取り組んでまいります。  次に、羽田空港の機能強化についてのご質問でございますが、本件については、提案当初から国に対し、丁寧な情報提供とともに、現行の騒音影響も含めた具体的な対応を求めてまいりました。区といたしましても、2度にわたり国土交通大臣宛てに文書をもって要望を伝えており、国により一定の対応がなされたところでございますが、この1月には、改めて「羽田空港の機能強化」、「現行課題への対応」、「空港周辺地域への対応」の三つの側面から課題を取りまとめ、国土交通大臣宛ての要望書を提出いたしました。機能強化提案では、騒音影響への対応や安全対策の強化等もさることながら、より多くの区民に正確な情報が届くことが重要と認識をしております。したがいまして、区内各地域の実情を念頭に置き、様々な説明手法や広報手段を活用しながら、区民の不安払拭につながり、理解も深まっていくような丁寧な情報提供を確実に実施するよう国に要望いたしました。騒音対策、落下物を含む安全対策にしっかり取り組むことはもちろん、適切、かつ、わかりやすい方法による情報提供についても、引き続き国に強く求めてまいります。  次に、産業振興策としての跡地事業と今後の産業政策立案に関する質問ですが、羽田空港跡地第1ゾーンは、世界と地域をつなぐ「新産業創造・発信拠点」の形成をコンセプトとして整備を進めております。国内外の先端産業分野の企業を誘致し、高いものづくり技術を有する区内企業との連携により、新産業の創出を行ってまいります。「新産業創造・発信拠点」は、国内外の来訪者を迎え入れる機能と魅力を持たせるとともに、地方との協創も図り、区内企業への波及効果を確実なものとし、地域経済のさらなる活性化、ひいては日本の経済成長につながるような事業として進めてまいります。跡地事業をはじめとする産業振興を着実に推進するとともに、今後も区内産業を取り巻く環境変化に的確に対応しながら、区内の多様な産業の発展を支援していくためには、基本的な産業政策を立案することは区としても大変重要であると考えております。そのため、区では、産業振興政策の方向性を示す、「(仮称)大田区産業振興構想」を策定してまいります。  次に、区民の生涯を通じた健康づくりの推進についてのご質問ですが、議員お話しのとおり、生涯を健康に過ごすためには、子どもから高齢者まで一人ひとりの主体的な健康づくりを促すとともに、取り組みやすい社会環境をつくることが重要です。このため、健康への関心が低い方や健康づくりの必要性を認識していても始められない方も含め、楽しみながら健康づくりが行えるよう取り組みを強化します。具体的には、インセンティブを活用した「健康ポイント事業」や気軽に身体を動かしたくなる「健康まちづくり」など、ソフト、ハード両面から取り組みを推進します。また、働き盛り世代の健康づくりを推進するため、従業員の健康づくりに取り組む区内企業を認定する制度を検討しています。人生100年時代の到来を見据え、健康寿命のさらなる延伸を図るため、地域の様々な主体と連携しながら、区民の生涯を通じた健康づくりを推進してまいります。  次に、障がい者総合サポートセンターの今後の展望についてのご質問ですが、サポートセンターは、区長就任前からこうした施設がぜひとも必要であると考えていたものです。既存のA棟は平成27年3月にオープンしましたが、このたび増築したB棟が完成し、グランドオープンいたします。これからがサポートセンターを活用した大田区の障害福祉施策の新たなステージとなります。本人や家族の高齢化、重度化といった多様で新たな課題が多くあります。課題の解決のためには、医療、福祉、教育といったあらゆる行政機関の連携はもとより、民間事業所などを含む様々な地域資源が一体となって、地域力を総動員する必要があります。そのためには、こうした地域力の結集に向けての土台となる、いわばプラットフォームづくりが大変重要であり、サポートセンターはその中核的役割を果たしております。地域共生社会の実現に向け、サポートセンターは高齢や障害といった分野を超え、大田区らしい地域包括ケアシステムをさらに深化、推進するための一翼を担ってまいります。  次に、地域生活支援拠点の整備に関するご質問でございますが、区は障がいのある方が地域で自分らしく安心して暮らせるまちの実現に向け、「おおた障がい施策推進プラン」に基づく取り組みを進めております。議員お話しの緊急時の受け入れ体制の充実については重点課題として位置づけ、「障がい者総合サポートセンター」において、23区初の医療的ケアを必要とする方を含む重症心身障がい児者が利用できる短期入所事業を新規開設をいたします。また、知的障がいのある方のご利用が多い「つばさホーム前の浦」につきましては、昨年4月から緊急時に利用できる受け入れ人数を増やし、機能の強化を図っております。今後、障がいのある方の求めるニーズを踏まえ、つばさホーム前の浦の一層の機能拡充に向け検討を進めてまいります。区は、こうした様々な取り組みを着実に進め、障がいのある方の地域での暮らしを支えてまいります。  次に、若年性認知症の支援についてのご質問ですが、区は「おおた高齢者施策推進プラン」において、居場所づくりや生活相談を新規の計画事業として定めております。若年性認知症の方は将来への不安を抱える中、就労継続や経済的問題のほか、ご家族の精神的負担も大きく、社会的に孤立してしまうなど、様々な課題を抱えるおそれがあります。こうした課題を抱える方を対象に、まずは区立下丸子高齢者在宅サービスセンターにおいて、若年性認知症に特化したデイサービス事業を開始します。さらに、相談支援体制の構築を進め、お一人お一人の状態に応じ、総合的に支援する仕組みづくりを具体的に検討してまいります。
     次に、公民連携の今後の広がりに関する見通し、可能性に関するご質問ですが、区はこれまで民間企業を含む地域の多様な主体との連携・協働した取り組みにより、魅力的で活力あふれるまちづくりを進めてまいりました。民間企業との連携は、それぞれの企業の強みや資源を活用して区の施策の幅を広げ、また、効果を高めるものであり、区民の福祉の向上につながるものと考えております。現在も様々な業種の企業と対話を行い、その中で行政が行う地域課題の解決に協力したいという企業の皆様のパブリックマインドを強く感じております。公民連携は、地域力のさらなる強化と持続可能で快適かつ利便性の高いまちづくりに資する効果的な手法の一つであり、今後も様々な可能性にチャレンジし、区民サービスの一層の向上を目指してまいります。  次に、定年にかかわる人事政策に関するご質問ですが、再任用職員の役職については、豊かな経験を活かす観点から、貢献度や意欲等を精査したうえで、それまで担ってきた役職に任用することができることとしています。特に、極めて高度な知識、豊富な経験が求められる部長級に関しては、意欲、能力ともに期待できると認められる場合には、引き続き部長の立場で活躍してもらうことで、円滑な組織運営と区民満足度の高いスピード感のある課題解決が図られるものと考えます。一方、将来に向けて持続可能な区政運営を実現するためには世代交代が必要であり、現役世代の能力の向上と労働意欲の維持にも留意しなければなりません。部長級を経験した管理職員には、次世代育成・支援の役割を担うことも期待しております。「ベテラン職員の活用」と「現役職員の育成」の両面に気を配りながら、全職員が相互に連携・協力し、一丸となって目的達成に向けて邁進できるように体制づくりに努めてまいります。  私からは以上でございます。 ◎小黒 教育長 本区のいじめの実態と取り組み状況についてのご質問でございます。議員お話しのとおり、いじめは児童・生徒の心身の健全な成長並びに人格の形成に重大な影響を与えます。教育委員会では、未然防止、早期発見、早期対応並びに重大事態への対応についての考えとして、平成26年9月に「いじめ防止基本方針」を策定いたしました。学校では、本方針をもとに、「学校いじめ防止基本方針」を定め取り組んでいるところでございます。学校では、児童・生徒に対して、いじめを見て見ぬふりをしないなど、いじめをしない、させない、見過ごさない意識の醸成、望ましい人間関係の構築などによって、子どもたちがいじめについて行動しようとする態度を特別活動や道徳教育を中心とした学校教育全体を通して育成しております。このほか、小学校5年生及び中学校1年生を対象としたスクールカウンセラーによる全員面接や、「いじめ発見のためのアンケート」の実施、子ども一人ひとりの状況を把握する学校生活調査などを実施しております。また、教員に対しましては、子どもの変化やSOSに気づくよう、いじめを積極的に認知するように呼びかけております。その結果、区のいじめの認知件数は増加傾向にありますが、校内における「いじめに関する教員研修」の実施、今年度より採用した「学級集団調査」の分析などを行い、迅速な発見及び早期の解決に努めております。なお、いじめを発見した場合には、学校いじめ対策委員会を開き、組織的な対応による解決に努めております。また、重大事態に至った場合には、学校と教育委員会のほか、関係機関とも連携を図りながら早期解決を目指して対応しております。これまでも、子ども家庭支援センターや児童相談所、少年センターなどの協力を得て、カウンセリングや更生に向けたプログラムの実施など、専門的な見地を活用した連携を行ってまいりました。今後も、こうした取り組みの徹底を通して、児童・生徒がいじめのない安心した学校生活を過ごすことができるように取り組んでまいります。 ○岸田 議長 次に、17番松本洋之議員。                  〔17番松本洋之議員登壇〕(拍手) ◆17番(松本洋之 議員) 大田区議会公明党を代表して、質問通告に従い質問をいたします。区長をはじめ理事者の皆様には明快な答弁をよろしくお願いいたします。  松原区長のリーダーシップのもと策定された「おおた未来プラン10年」をもととし、区は多様な施策を展開し、いよいよ平成30年度をもって計画期間が満了します。思えば長年の重要課題であった羽田空港跡地のまちづくりでは、土地区画整理事業が目に見える形で進み、蒲蒲線・新空港線では、幾多のハードルを乗り越え、平成28年4月の国土交通省の交通政策審議会答申という形で、早期実現に向けて大きく前進しているところであります。また、間近に控える東京2020オリンピック・パラリンピックでは、ブラジル選手団の事前キャンプの実現や区民の健康志向の機運を醸成し、新スポーツ健康ゾーンの整備が進むなど、目に見える形で成果が上がっているところであります。  こうした中、松原区長は31年度予算を、これまでの成果を着実なものとするとともに、将来への懸け橋となる予算と位置づけ、大田区実施計画を踏まえ、行政の継続性を保ちつつ、新たな一歩を踏み出そうとしています。「地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市 おおた」のさらなる実現を目指して予算編成された一般会計は2818億9242万円、前年度比1.1%、31億円増の積極的予算となっており、当初予算としては過去最高額を確保しております。  松原区長は4月の区長選に出馬表明をされていますが、次の4年間への懸け橋として、平成と名のつく最後の予算である平成31年度予算では、どのような点を将来の懸け橋としたのか、また、31年度予算は、区長・区議会議員選挙の年ということで骨格予算を組むことが基本的な考え方だと思います。今回、過去最高額を計上されたことについての背景と大意をお聞かせください。  改正出入国管理法が昨年12月に成立をいたしました。この法案は、外国人に対する在留資格にさらに二つの資格を新設するもので、具体的には、特定技能1号という一定の知識、経験を要する業務に就く人材に対して、日本語試験と簡単な技能試験を施すことによって認める資格で、最長5年の在留が認められます。また、特定技能2号として、熟練した技能が必要な業務に就く人材に対しては在留期間更新を認め、家族の帯同も許可するというものであります。今年4月からの5年間で34万5150人を上限に、介護業をはじめ、14の業種の外国人労働者の受け入れ拡大を図るものであります。このことにより、国際都市おおたを掲げる本区においても外国人就労が増えると予測され、区としての対応が迫られると考えますが、いかがでしょうか。  少子高齢化に伴う人手不足が深刻化する中、受け入れの必要性自体は多くの人が理解するところであります。ですが、円滑に進めていくには、文化や言葉の違いを超え、同じ社会でともに生きていく覚悟と準備が求められます。実際に外国人を受け入れ、相談に乗り、問題が起きれば対処していくのは各自治体であります。行政機関の相談窓口で外国人の相談ニーズに対応できる多言語対応や医療機関への通訳の配置など、外国人受け入れに伴う実際の役割は多岐に及ぶと考えられます。本区としてどのような対応を考えておられるのか伺います。  特に対応が必要なのは学校であります。区立小中学校には現在、外国人の子どもが30年5月1日現在で、小学校で31か国473人、中学校で22か国234人、計707人おり、これからますますその対応が必要となってまいります。国際都市おおた協会では、子どもの学校のプリントを読めるようにするために日本語講座を行うなどの取り組みを行っておられますが、学校における教員の外国人指導の上達には年数が必要です。経験を積んだ教員を確保することが難しい状況だと考えられますが、見解をお示しください。  日本に住民登録があり、学校に通っているかどうか確認できない外国籍の子どもが1万6000人以上確認された問題で、調査対象とした100自治体のうち約4割が、就学不明の子どもの状況を全く調べていないことが明らかになりました。公立小中学校に在籍していない子どもについて調査していないと回答したのは約4割の38自治体に上り、いずれも住民基本台帳に基づき就学案内を送付しただけでありました。この中には本区も含まれております。  外国籍の場合、子どもを学校に通わせることは義務ではないので、調査していないということだと思いますが、SDGsの目標には、全ての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進するとあるように、日本人と同じように教育を受けてもらうことが地域に貢献する人材の育成につながると考えます。今後の対応について所見を伺います。  外国人でも在留期間が3か月を超えますと、職場の健康保険に入れない場合などは国民健康保険に加入しなければなりません。外国人の保険料収納率は日本人の被保険者より何割か低い傾向にあるのが現状と聞いております。それぞれの経済的な事情や出入国の率が高いなどのほか、制度を十分ご理解いただけていないことも要因かと考えております。未納が増え過ぎると、その穴埋めのための保険料値上げなど、他の被保険者に悪影響を及ぼすおそれもあります。基礎的な要素は国が担保すべきと思いますが、区としてどのように対処されるのか、所見を伺います。  消費税率引き上げに伴う諸課題について質問をいたします。  消費税率については、法律で定められたとおり、平成31年10月1日に現行の8%から10%に2%引き上げられる予定であります。今こそ少子高齢化という国難に正面から取り組まなければなりません。お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと大きく転換し、同時に財政健全化も着実に進めていかなくてはなりません。  消費税率10%への引き上げと軽減税率の実施に向けて、小売店などは10%と8%の複数の税率に対応したレジやシステムの整備が求められます。中小企業の負担を減らし、円滑に準備を進めてもらうため、政府は2016年4月から軽減税率対策補助金の事業を実施しています。具体的には、複数税率に対応したレジ導入の費用を原則3分の2補助、1月の申請分から補助率を4分の3に引き上げております。補助上限は1台当たり20万円、3万円未満のレジ1台のみの場合は補助率が5分の4と引き上げられています。受発注システムの改修費用についても補助率は3分の2で、補助上限は発注システムが1000万円、受注システムが150万円、発注、受注両方の場合はそれぞれ1000万円を上限に支援するとのことであります。  ただ、軽減税率制度について、準備に取りかかっていないなどと対応の遅れが指摘されており、混乱を避けるためにも万全な準備が急がれます。申請期限も今年の9月30日までに事業を完了することを前提に、今年の6月28日までに交付申請を行わなければならないものもあります。  一方、軽減税率の導入に伴い、標準税率10%と軽減税率8%に分けた納税事務が必要になります。事業者の事務負担に配慮し、経理方式を段階的に移行しますが、当初の4年間は現行方式をもとにした簡素な経理方式を採用、2023年10月からは事業者が商品ごとに消費税率を記載するインボイスが導入されます。  これらの課題に対する本区の相談体制やサポート体制はできているでしょうか。現状をお知らせください。中小企業が混乱なく10月1日を迎えられるよう、本区としても格別に努力していただきたいと考えますが、所見を伺います。  消費税率の引き上げに伴い、10月1日から認可・無認可あわせて幼児教育が無償化されます。これに伴い、対象者に対する周知はどのようになされるのか、また、申請手続きが必要なのかどうか、お知らせください。また、私立幼稚園に通う保護者に対して補助金が出されているケース、この場合の無償化に伴う扱いがどのように変わるのか、お知らせください。  次に、第1ゾーンのまちづくりについてでありますが、2020年のまち開きを控え、デンソー、Zeppホールネットワークや城南信用金庫などが事業展開を発表いたしました。このうち、新産業創造・発信拠点の形成に向けた先端産業事業の一環として、デンソーがテストコースを備えたモビリティーシステムの開発棟を開設する計画を発表しましたが、周辺には高度な技術、技能を持つものづくり企業が多数集結しており、今後は特区制度の活用や周辺のものづくり企業とも連携することでスピーディーに試作開発、実証を行い、自動運転技術の実現を加速させていく展開が期待をされておりますが、自動運転技術の実証実験の取り組みや、第一期事業地の民間企業の取り組みをいかに区内へ波及させていくかという点を、多くの区民や区内事業者は求めているところだと考えますが、どのように波及効果を出していくのかをお伺いをいたします。  産業交流施設はSPCが進める取り組みだけではなく、区が主体的に行うスペースも確保されております。この大田区施策活用スペース・研究開発ラボについては、ロボティクス分野などの研究機関や企業を誘致する計画があります。また、研究開発ラボ・ベンチャーオフィスと大田区施策活用スペースが一体となって産業交流を促進することとしておりますが、このスペースを有効活用することで、より一層区内への波及効果が高まると思いますが、このスペースに対する区長の思いをお伺いいたします。  第一期事業として、このほかにも先端医療研究センター、イベントホール、日本文化体験施設、飲食施設、研究・研修滞在施設、水素ステーション等を中心とした多彩な用途から成る複合施設が整備されると聞いております。それに関連し、事業者である鹿島建設のホームページにはコンセプトムービーなどが紹介されておりますが、こういった事業者の取り組みについて、区として今後どのような形で、また、どういったタイミングで区民の皆様にお知らせされるのでしょうか、お伺いをいたします。  新空港線についてお伺いをいたします。JR・東急蒲田駅と京急蒲田駅間の約800メートルをつなぐ新空港線は、整備延長は短い一方で、その整備によって複数路線との相互直通運転が可能になることから、沿線のまちに区内外から人が集まり、新たなにぎわいが創出される事業であります。さらに、新空港線の整備とあわせ、沿線のまちづくりと一体的に取り組むことで、単なる鉄道整備にとどまらず、区民の暮らしの利便性の向上、安心・安全の確保や区内の地域活性化に大きく貢献する事業になると考えています。また、東京の空の玄関口である羽田空港から最も近いJRの駅である蒲田駅は、新空港線の実現によって、その強みである交通結節点としての機能がさらに高まり、より便利で魅力的な中心市街地へと生まれ変わることを期待しております。  その新空港線ですが、平成28年4月に国の交通政策審議会答申第198号において高い評価を受けてから、もうすぐ3年が経とうとしています。この間、区は、答申の内容に基づき、地方の費用負担割合や都市計画事業への位置づけに向けて関係者との協議を鋭意進めていることは、これまでの答弁でも示されております。東京都におきましても、今年度から新空港線を含む国の答申で、事業化に向けて検討などを進めるべきとされた6路線を中心とした鉄道ネットワークの強化に向けた鉄道新線建設等準備基金が創設され、鉄道新線整備に対する都の積極的な取り組み姿勢が明確化されたことは、新空港線の実現に向けて大きな後押しとなると考えております。  沿線地域のさらなる活性化に向けた大きなきっかけとなる重要な事業として、一刻も早い新空港線の実現が望まれている中、今回の補正予算において新空港線整備資金積立金が10億円計上されています。今回、積立基金の積み増しを行うことで新空港線整備に向けてどのようなメリットがあるのか、新空港線事業の現状及び実現に向けた区長の決意とあわせてお聞かせください。  次に、児童相談所の開設に向けて現在全力で取り組んでいらっしゃることと思います。区民に最も身近な自治体である大田区が、児童相談所を設置し、児童相談行政の強化を図ることは重要と考えます。大田の子どもたちを守るという強い決意を持って、子どもたちの最善の利益を最優先にした児童相談所となるべきと考えます。昨年の予算特別委員会でも申し上げましたが、組織が弱体化して、児童虐待への対応を悪化させることがないように、財源と人材の確保策をしっかり講じるとともに、区民に対して丁寧に説明し、不安を払拭した上で開設をすべきであります。  子ども家庭支援センターでは、平成30年度においては、児童相談所での勤務経験を持つ虐待対策コーディネーターの増員や、非行少年対応等に実績のある警察OBを新たに児童虐待対応強化員として配置するなど、虐待対応力の強化を進めてこられました。また、今月の15日には、区内における児童虐待の未然防止と早期発見に向けた情報共有を目的として、区と区内警察5署との間で協定を締結する動きもありました。  児童相談所設置に向けては、その運営を担う人材の育成も大変重要であります。来年度においてはどのような計画がなされているのか、お知らせください。  世田谷、荒川、江戸川の先行3区による区立児童相談所の設置が来年の4月となりました。また、第2グループに位置するのは港、新宿、中野、豊島、板橋の5区。本区は大森西特別出張所の移転後の用地に児童相談所を整備する計画を公表しております。区での検討のみならず、児童相談所を区に移管した後の都との連携についても協議が必要であります。児童養護施設や一時保護所などの広域調整や、特に専門的な知識や高度な技術を要する相談対応といった東京都との連携に関する協議はどこまで進んでいるのか、お知らせください。  東京都は来年度から、児童虐待防止に向けた施策や都と区市町村の連携強化の方策などを検討する検討会を設置し、設置期間はおおむね3年から5年で、この検討会では先行3区が設置する区立児童相談所の運営状況の検証も行われるとのことであります。また、厚生労働省は、児童虐待への対応を強化するため、全国の児童相談所に弁護士の配置を義務づける調整に入り、今通常国会に提出する児童福祉法改正案に盛り込み、2022年4月から義務化する方針との報道を目にいたしました。これは児童虐待が相次ぐ中、児相が法的権限をためらわずに行使して子どもを守るには、日常的に弁護士がかかわる体制が必要と判断されたものとのことであります。  制度が移行していく中で、そのはざまに子どもが落ちてしまわないかと大変不安に思います。こういった流れがある中で、本区としては、本来児相が求められる責務を果たすためには、焦らず、じっくり慎重に構えて区立児童相談所の開設をすべきであります。区の見解をお聞かせください。  次に、地域包括ケアを推進するに当たっては、高齢者が健康状態や身体機能の状態などに応じて、その有する能力を発揮し、自立した日常生活を営むことを基本にしつつ、判断能力が十分でなくなっても住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、尊厳を保持することが重要となります。いずれの課題も地域ぐるみで地域力を活かして実施していくことが、持続可能な地域社会の実現につながると考えます。このような観点から、元気維持と成年後見制度利用促進について伺います。  大田区の65歳以上の高齢者人口は16万人を超えておりますが、そのうち8割以上の方は要支援・要介護認定を受けることなく、これまでの人生で培ってきた経験や知識を活かして元気に暮らしておられます。多くの高齢者が自治会・町会やシニアクラブ、ボランティア団体等に所属し、住み慣れた地域で主体的に地域ぐるみで元気を維持することは、高齢者本人にとって地域社会の活力を支える存在として、いきいきとしたセカンドライフを実現できるとともに、ひとり暮らし高齢者や認知症高齢者の見守りなど、支え合いの地域づくりにも寄与できる相乗効果が期待できるものと考えます。  人への信頼感が高い地域ほど健康状態がいいという研究結果もあり、これからの介護予防は、地域の中に生きがいや役割を持って生活できるような居場所と出番づくりとあわせて、人と人の絆や社会とのつながりを強めることを意識したコミュニティづくりを行うことが重要となります。  区は、平成28年度から今年度までの3年間、フレイル予防の研究に高い実績を持つ東京都健康長寿医療センターとの共同研究事業として、大田区元気シニア・プロジェクトに取り組んでまいりました。地区別に高齢者フレイルの各実態調査を実施するとともに、嶺町、田園調布、糀谷をモデル地区として、地域住民を主体とするコミュニティ会議を開催し、地区のフレイル率について要因分析を行い、そのプロセスにおいて、高齢者を支える様々な地域資源のネットワークが一層深まったと聞いております。  フレイル予防のためには、運動、栄養、社会参加の3要素を組み合わせることが効果的であるとの理論に基づき、スクワットに取り組むなどの筋力運動や、ポールウォークなどの歩行運動、商店街と連携して多様な栄養素の摂取の推奨を進めるなど、地域の特性を活かしたアイデアあふれる地域ぐるみの活動を展開してきました。このような地域ぐるみのフレイル予防は、地域全体で支える地域共生社会への道筋であると考えます。  大田区元気シニア・プロジェクトは当初の事業期間を終えますが、フレイル予防を今後区内でどのように展開していくのか、見解を伺います。  平成28年5月、成年後見制度の利用の促進に関する法律が施行され、翌年3月には成年後見制度利用促進基本計画が策定され、より利用しやすい制度への見直しを行うとともに、制度を利用したいときに適切に利用できるよう、人材確保・育成の一層の取り組みが必要となります。  最高裁判所が公表している「成年後見関係事件の概況」により成年後見制度の運用実態を見ますと、平成29年12月時点において、成年後見制度の利用者数は合計で21万290人であり、対前年比約3.3%の増となっているものの、潜在的なニーズを満たしている状況にはありません。今後、後見人の需要が一層高まっていくことも見込まれ、親族や専門職だけでその全てを賄うことが難しい状況であります。被後見人を中心とした支援の地域ネットワークを構築する人材として、市民後見人にスポットを当てるべきときにあると考えます。  身近な地域の社会資源をよく把握し、生活者の目線から本人をきめ細やかに支援することができる市民後見人を確保・育成することは、近隣の地域住民であることから時間を確保しやすく、特にきめ細やかな訪問活動も可能となり、移動コストの削減にもつながります。また、市民貢献活動の広がりが地域の住民への権利擁護活動への理解を進め、共生の地域づくりの推進に寄与することができると考えます。このためには、市民後見人が社会的に信用を得て、みずからの行動を律するためにも、しっかりとしたバックアップの仕組みが必要となります。  こうした状況を踏まえ、区は今後、市民後見人に期待する要素があるのか、また、その活動を支える仕組みを構築する考えはあるか、本区の見解を伺います。  次に、若者の自殺対策について伺います。  区の自殺対策協議会の資料によると、区全体における自殺率は近年減少傾向にありますが、19歳以下の自殺率は逆にやや上がっております。また、10代、20代、30代の死因の第1位は自殺とのことであります。みずから命を絶たなければならないほど生きづらい状況に追い込まれている若い人が増えていることは悲しいことであり、区としてこれまで以上に力を入れて取り組んでいただきたい重要な課題であります。  ところで、平成29年に座間市で起きた事件、自殺願望に関するツイッターを通じて被告と知り合った若者9人が殺害された痛ましい事件については皆さんも記憶にあることと思います。報道によると、被告は被害者について、「本気で死のうと思っている人は一人もいなかった」と供述しているそうです。被害者の方々は、本当は生きたいという気持ちで、誰かに自分の悩みを聞いてほしかったのではないかと思われます。適切な相談窓口につながらなかったことが悔やまれますが、現在の若者のコミュニケーション方法を考えると、悩みを受け止める相談窓口はあっても、電話や面接といった従来の手法だけではつながりにくいのが現状ではないでしょうか。せっかく問題を解決するための支援制度があっても、必要とする人に結びつかないと助けられる命も助けられません。  現在、国では、この事件を踏まえた様々な対策が講じられているところであります。その一つとして、悩みを抱える若者を適切な相談窓口につなげるため、ICTを活用した相談窓口への誘導や、SNSによる相談が始まっており、効果を上げていると聞いております。国全体で行うことも結構でありますが、区民の暮らしに寄り添う身近な相談窓口であり、区民が抱える様々な問題にきめ細かく対応できる基礎自治体である本区においてこそ、こうした取り組みを行うべきであると考えます。  区は今年3月にも自殺対策計画を策定すると伺っております。若者の自殺対策の推進に当たっては、ICTを活用した効果的な取り組みを行うべきと考えますが、区長の考えをお伺いいたします。  昨年の夏、日本各地で起こった災害では、避難所において猛暑により体調を崩す方が続出するなど、二次被害を防ぐ意味から避難所となる学校体育館への冷房対策の必要性が叫ばれました。本区においても、我が会派の代表質問や緊急要望を受け、子どもたちの健康や学習環境に配慮した学校体育館への暑さ対策を進めていただいていることに大変感謝をしております。  一方で、阪神・淡路大震災や東日本大震災など冬季に発災した災害においては、避難所の暖房不足は深刻でした。こうしたことから、区議会公明党としては、本来的には災害時には避難所となる区立小中学校体育館への空調の設置を求めるものであります。  今般、東京都の補助制度が創設されるなど、空調整備に向けた環境が整う中で、本区における学校体育館への空調設置の課題等を検証するべく、既に全校の空調設置が完了している中央区の泰明小学校の視察を行いました。中央区は都心であることから、騒音、粉じん等の問題から窓をあけられないため、早くから空調設備を導入していたことで、本区と状況は必ずしも同じではありませんが、当初は体育館を除く学校施設の空調化を行っていたことから、体育館への空調整備については四つの方式で行ったとのことでありました。それは、施設の建設時期、整備費用、ランニングコスト等懸案し、それぞれの方法で進めたとのことであります。整備には小中学校合わせて20校、併設している区立幼稚園10園と本区の3分の1しかないにもかかわらず、実質9年かかっているとのことです。  東京都の補助制度の期間が3年と認識をしておりますけれども、本区としても計画的に、かつ加速化して空調設置を進めていく必要があると考えますが、所見を伺います。  今回、区立小中学校体育館における暑さ対策を実施する予算を計上されたことに対して、高く評価をしております。大型冷風機を99台導入、小学校4校に冷房設備を設置、屋根などに遮熱塗装を試行的に実施する内容です。  大型冷風機につきましては、各学校に1台の認識でありますけれども、できれば一方向の冷風よりも二方向からの冷風を受けるほうが効果があると思いますので、各学校に2台の設置を検討していただけないでしょうか、所見を伺います。  同じく学校施設の環境整備として、全小中学校のトイレの洋式化を計画的に推進する予算が計上されました。これも我が会派の要望を受けていただき、高く評価するところであります。現在の洋式化率が47.2%、これを35年度末までに80%にするということであります。  現在、施設整備の仕様書の更新作業が行われているかと思いますが、この中にも洋式化を明記するとともに、地域の皆様の声も参考にしつつも、将来的には100%の目標を持って取り組んでいただきたいと考えますが、所見を伺います。  以上で全質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○岸田 議長 理事者の答弁を求めます。 ◎松原 区長 松本議員の代表質問に順次お答えをさせていただきたいと思います。  まず、平成31年度予算についてのご質問ですが、「大田区基本構想」の中間年に当たる平成31年度は、将来像の実現に向けて推進してきた「おおた未来プラン10年」の成果を総点検するとともに、平成29年に策定した「大田区実施計画」を踏まえ、行政の継続性を保ちつつ、新たな一歩を踏み出すための重要な年となります。予算編成に当たりましては、「次代を担う子どもたちの未来を拓く力を育み、切れ目なく応援する取り組み」など五つの重点課題を掲げ、特に優先的に取り組むことといたしました。現在、区では、これらの重要な課題に加え、新空港線や羽田空港跡地におけるまちづくりなど、中長期的な重点課題の解決に向けて重要な局面を迎えております。こうした状況を踏まえ、平成31年度予算は、区民生活や区内経済を守るための事業はもちろん、基本構想の着実な実現に向けて継続的に推進すべき施策・事業を盛り込むことで、将来への懸け橋となる予算を編成いたしました。  次に、外国人に対する相談窓口対応についてのご質問ですが、区内の外国人登録者は平成31年1月現在で2万4199人と、この10年間で約6000人増加をしております。議員お話しのとおり、国の積極的な外国人材活用施策やグローバル化の一層の進展によって、今後さらなる増加が見込まれます。区は、平成22年9月、多言語で外国人から相談を受ける多文化共生推進センターを先駆的に開設しました。業務を一般社団法人レガートおおたに委託し、住居や教育など一般的な生活相談はもちろんのこと、結婚・離婚、在留資格に関する問題など弁護士による専門相談も行い、これまで外国人のニーズに対応した相談のノウハウを積み上げてまいりました。相談件数は年々増加し、特に労働に関する問題などの相談内容も複雑で高度になってきていることから、専門機関との連携も含めた相談体制強化も進めております。今年度から、行政情報の多言語翻訳や区施設への通訳派遣、日本語教室の開催、交流事業など、多文化共生事業を国際都市おおた協会に引き継ぎ、区と協会が連携して進めております。民間のノウハウを活用し、より柔軟な体制を確立し、常に先を見据えながら、外国人区民が安心して暮らせるよう多文化共生施策に取り組んでまいります。  次に、外国人の保険料に関するご質問ですが、大田区の国民健康保険の被保険者のうち外国人の割合は、昨年末時点で全体の7.4%で、1万人を超えております。ここ5年間で約1000人増えております。今後もこの傾向が続くものと考えております。被保険者の皆様にご負担いただいております保険料は、国民健康保険事業にかかわる保険給付を滞りなく行っていくための貴重な財源でございます。保険料徴収の取り組みは、公平な負担を実現するためにも、保険者として進めていかなければならないものです。外国人の被保険者の方への納付案内の際には、加入時に配付しています外国語版の案内文書なども活用し、国民健康保険の制度をご理解いただけるよう丁寧に説明をして納付勧奨を行っております。また、国外転出の届出があった場合には、同時に保険料の精算を行い、保険料を納付していただいております。区はこれまでも納付勧奨や滞納整理に努めてまいりました。今後も、外国人の方を含めて、それぞれの生活状況をよくお聞きし、丁寧な対応に努め、健全な財政運営の維持、負担の公平性を確保してまいります。  なお、昨年12月に政府が取りまとめた「外国人の受入れ・共生のための総合的対応策」では、在留外国人による医療保険の適正利用策などが盛り込まれており、今後の国の動向に注視しつつ、区の役割を果たしてまいります。  次に、軽減税率導入に伴う区の相談・サポート体制の現状及び今後の取り組みについてのご質問ですが、国においては、軽減税率制度導入に伴い、消費税軽減税率電話相談センターを設置し、税務署でも法人会などとともに説明会を開催しているところです。区におきましては、産業振興課で相談を受け、適切なサポートを行っているほか、商店会に向けた補助金説明会において、軽減税率実施に向けた留意点を説明するとともに、複数税率に対応したレジ導入等を支援する軽減税率対策補助金の紹介を行っております。あわせて、大田区商店街連合会には、税務署と連携し、会員商店会に対し帳簿や請求書等の記載方法、税額の計算方法、適格請求書等保存方式の導入、補助金の紹介等についての説明会を実施していただいているところです。国では今後も積極的な周知活動を展開すると聞いており、区といたしましても、引き続き大田区産業振興協会及び大田区商店街連合会と緊密に連携し、商店会及び個店への周知並びに啓発活動を積極的に行ってまいります。  次に、幼児教育の無償化についての周知と申請に関するご質問ですが、詳細な制度内容はまだ示されていない段階でありますが、現時点の情報では、子ども・子育て支援制度下の私立幼稚園、認可保育園及び小規模保育所に在籍している園児につきましては、無償化に当たり新たに申請していただく必要はありません。一方、無認可園や従来制度の幼稚園などにつきましては、無償化の給付を受けるための申請が必要となります。また、私立幼稚園などにおいて、就労等により保育の必要性の認定を受ける場合にも新たに手続きが必要となります。詳細が判明次第、区ホームページ等で周知を図るほか、在籍園を通して個別に周知する予定でございます。  また、私立幼稚園の保護者に対する補助金の扱いがどう変わるかとのご質問ですが、無償化後は、これまで就園奨励費の対象外となっていた区民税所得割額が21万1200円を超える世帯の第1子などが新たに対象となります。しかし、国と東京都の補助金を合わせても大田区の平均保育料より低い金額となっており、これだけでは十分と言えない状況でございます。幼児教育の無償化に当たりましては、対象区分ごとの補助額について、現状より保護者負担が増えることのないよう、国、東京都の動向を注視しながら引き続き検討してまいります。  次に、自動運転技術の実証実験をどのように区内事業者に波及させるかの質問でございますが、空港周辺においては、現在、制限区域内で自動運転バスの実証実験、ターミナル内ではロボット実証実験に係る取り組みが進められており、2020年にも自動運転の実証実験が内閣府主導により予定されています。一方、第一期事業地では、議員お話しのとおり、先端産業分野の取り組みの一つの柱として、株式会社デンソーによる自動運転技術の実現に向けた取り組みが公表されたほか、区内企業とのマッチング等を促すソフト支援事業の展開が整備・運営事業者により提案され、現在準備を進めているとの報告を受けております。加えて、城南信用金庫をはじめとした全国の信用金庫が、中小企業の発展や地方創生の観点から、ビジネスマッチングや事業支援の仲介・解決を実現するネットワーク拠点を第一期事業地に設置するとの報告も受けております。また、第一期事業地においては、研究開発を進める企業からは、区内企業が有する技術に高い関心が寄せられているとも聞いております。区といたしましても、区内企業の成長支援を行いながら、こうした事業者の動きとも連携することで、最適な区内企業等を紹介するなど、区内への波及効果をしっかりと出してまいります。  次に、区施策活用スペースの有効活用による区内企業への波及効果に関するご質問ですが、羽田空港跡地第1ゾーンに整備する新産業創造・発信拠点を世界におけるものづくり産業のハブとして、地域経済の活性化、ひいては日本の経済成長につなげるためには、区施策活用スペースで大田区としての特色を出すことが重要です。区内に集積する高いものづくり技術を有する中小企業と、国内外から集まる多様な先端産業分野の企業との交流を促進するには、弾力性と迅速性のある民間活力を活用することが必要であります。現在、オープン後を見据え、海外ベンチャーと区内企業によるコラボレーションの実証実験や、産業クラスター形成事業などを進めています。まち開きまで残り1年あまりですが、こうした取り組みをさらに進めるとともに、対外的に発信する区施策活用スペースのコンセプトを今年度内に策定し、来年度には入居する様々な主体の募集を進めてまいります。  次に、跡地整備第一期事業の広報のタイミングについてのご質問ですが、現在、跡地整備第一期事業においては、議員お話しのとおり、整備・運営事業者である羽田みらい開発株式会社が動画の配信や地域向け情報紙の発行により事業を周知しており、今後は専用のホームページを開設し、より積極的に事業の周知を図っていくと聞いております。一方、区ではこの間、区報をはじめ第1ゾーン整備事業に係るパンフレットやリーフレットを作成し、区内各地域の会議やイベントにて関係機関や区民の皆様に向けて情報発信を行ってまいりました。今後は2020年のまち開きに向け、区民の皆様の本事業への期待をさらに高めていくために、整備・運営事業者と緊密な連携を図り、事業の具体的内容について、様々な媒体を活用しながら適時適切に情報発信し、事業の着実な推進につなげてまいります。  次に、新空港線についてのご質問をいただきましたが、私は区長就任以来、大田区の重点プロジェクトの一つである新空港線の早期実現のため、積極的に取り組んでまいりました。この間、関係者間での協議を重ねており、現在は都区間において地方負担分の費用負担割合や都市計画事業への位置づけに向けた話し合い等を行っております。これまで長きにわたって調査と協議を重ねた結果、新空港線の検討熟度は十分に高まっており、関係者合意がなされればすぐに動き出せる体制となっております。今回の補正予算に計上した10億円は、平成31年度分の基金を前倒しをして今年度に計上することで、区民の皆様、東京都及び鉄道事業者に対し、整備に向けた区の決意を示すとともに、確実に新空港線整備に係る資金を確保し、合意形成後、事業を滞りなく進めるためのものでございます。早期実現に向け、整備主体となる第三セクターの設立に向けて、引き続き私が先頭に立って全力で取り組んでまいります。  次に、児童相談所設置に向けた来年度の人材育成計画についてのご質問ですが、児童相談所の設置に当たりましては、対象家庭の課題を的確に把握し、対応できる力量を備えた人材の確保と育成が大変重要です。区では、平成21年度から品川児童相談所へ実務研修のための職員の派遣を開始し、平成30年度は東京都の児童相談所に3名、川崎市と横浜市に各1名、合計5名の職員を派遣いたしました。派遣した職員は直接相談支援業務に従事し、派遣先の児童相談所からは派遣延長の要望をいただくほど、その成長ぶりを評価していただいております。これまでは主として福祉職を派遣してまいりましたが、平成31年度からは新たに心理職の派遣を開始するとともに、派遣先に世田谷区等を加え、合計12名を派遣する予定です。特に、平成32年、2020年度開設を目指す世田谷区に派遣する職員は、開設業務を経験し、ノウハウを持ち帰ってくれることを期待しております。今後も、実務研修のための派遣を主軸に人材育成を図り、児童相談所の開設に万全を期してまいります。  次に、児童相談所の開設に向けた東京都との協議の状況についてのご質問ですが、特別区では、児童相談所の設置に関する共通課題について、平成29年度から関係部課長会で検討を進めてきました。平成30年5月からは、この検討結果に基づき、東京都と特別区の課長級を中心とした特別区児童相談所設置に向けた広域調整に係る検討会を設置し、東京都と協議を進めております。現在、検討会では、児童養護施設や乳児院などの広域にわたる入所調整や、一時保護所の相互利用などのルールづくりを行っているところです。また、東京都の児童相談所からのケースの引き継ぎや区の児童相談所設置後の連携体制については、平成32年、2020年度に開設を目指す世田谷区、荒川区、江戸川区の3区が個別に東京都との協議を行っており、協議結果は本区にも情報提供される予定でございます。  次に、制度改正が行われる中での児童相談所開設に向けた区の姿勢についてのご質問でございますが、区の児童相談所は、開設したその日から、東京都から引き継いだケースへの支援を途切れることなく継続するとともに、新たなケースへの迅速で適切な対応が求められます。区では、これに応えていくため、東京都や他市の児童相談所への職員派遣や、実務経験豊富な学識経験者から助言をいただくなどの取り組みを重ねることで、実践的な対応力を備えた人材育成と組織体制の整備を目指しています。議員のお話のとおり、弁護士配置の義務化や都区の連携強化に向けた検討など、児童相談所をめぐる状況には大きな変化が見られます。これらの状況変化をしっかりと見据えながら、これまでの実践的な対応力強化を目指す取り組みを着実に推進することで、開所したその日から児童相談所の重責を十分に果たせるよう、慎重に準備を進めてまいります。  次に、フレイル予防の今後の展開についてのご質問ですが、区は、高齢者の元気維持のためには、一人ひとりの自助の取り組みに加え、高齢者同士の支え合いや世代間交流による互助の取り組みが必要と考えております。元気シニア・プロジェクトのモデル地区では、コミュニティ会議などの取り組みにより、定期的に一定量歩く人や、多様な食品を摂取する人の割合が増加するなど、多くの項目で良好な成果が見られました。区は、フレイル予防のために、適度な運動や栄養摂取に加え、介護予防講座、地域活動などへの積極的な参加を啓発してまいりました。区内では、既に地域の方による自主的なサロンなど多面的な取り組みが進められております。これらの担い手となる方々を結びつけ、特色あるフレイル予防の取り組みを、今後、区内全域で実施できるよう支援してまいります。今後も、区は東京都健康長寿医療センターとの連携を深め、地域ぐるみのフレイル予防を通じて、高齢者の皆様が生きがいを持って暮らせる地域づくりを進めてまいります。  次に、市民後見人に関するご質問ですが、権利擁護支援へのニーズの高まりの中、市民後見人の育成は急務となっております。区は、権利擁護支援を必要とする方が安心して暮らし続けることができるよう、支援の担い手の確保・育成をはじめ、成年後見制度の正しい理解の普及や、本人の意思に寄り添った支援体制の構築などを具体化するため、「大田区成年後見制度利用促進基本計画」を今年度中に策定いたします。市民後見人には、住み慣れた地域をよく知る同じ地域住民という目線や立場を活かし、きめ細やかな見守りなど、日常生活の支援が期待されております。区は、大田区社会福祉協議会とともに市民後見人の育成に取り組み、市民後見人が適切かつ円滑に活動できるよう、活動支援の充実を図ってまいります。今後とも、地域住民、関係機関の皆様とともに、本人の意思を尊重する視点を共有し、権利擁護支援が必要な方を早期に発見して適切な支援に速やかにつなげる、支援と共生の地域づくりを進めてまいります。  次に、ICTを活用した若者の自殺対策についてのご質問ですが、区はこれまで、ホームページやツイッターを活用し、メンタルヘルスの啓発や相談窓口の周知などに取り組んできました。また、区全体の自殺率は減少しているものの、若者の自殺率がやや増えている現状を踏まえ、小中学校でのSOSの出し方に関する教育や、区内大学と連携した取り組みを行っています。議員お話しのとおり、悩みを抱え、生きづらいと感じている若者を適切な相談窓口や支援につなげるためには、ICTを活用することが効果的であり、区もその具体的な手法を検討しているところです。他自治体の先進的な例では、自殺に関する用語を検索すると、「自殺を考えているあなたへ」といったサイトが表示され、メールやチャットで悩みを相談できる取り組みが行われています。相談者の年齢は、電話による相談と比較すると、若者の割合が格段に高いとのことです。区は、こうした取り組みを参考にしながら、若者が気軽に悩みを相談できるよう、相談の入り口としてICTの活用を検討するとともに、必要に応じて対面によるきめ細かな支援につなげるなど、誰もが自殺に追い込まれることのないまちづくりを推進してまいります。  次に、学校体育館の空調整備についてのご質問でございますが、昨年夏の命にもかかわるような記録的な猛暑を踏まえ、来年度は緊急的な暑さ対策を行うほか、災害時の避難所となる学校体育館の冷房設備の整備を進めてまいります。この冷房設備の整備に当たりましては、建物構造上の空調効果や、電気、ガス等の動力設備の状況のほか、工事期間中は体育館が3か月程度使用できなくなるため、学校行事との調整を図る必要があります。これらの条件を踏まえ、来年度は夏までに先行して小学校4校での整備を予定しております。  なお、教育環境の公平性の観点からも、初年度の取り組みを検証しながら、できる限り短期間で整備できるよう計画的に取り組んでまいりますが、区には館山さざなみ学校を含め88の区立小中学校があり、東京都の補助制度の設定期間である3か年での全ての学校の整備は難しい状況にあります。今後の区の整備状況を見ながら、東京都に対しても時期を見て補助期間の延長を要請してまいります。  次に、各学校に大型冷風機を2台設置してはどうかとのご質問ですが、来年度は緊急的な暑さ対策として、既に冷房設備が設置されている学校を除く小中学校の体育館及び武道場に1台ずつ、計99台の大型冷風機を配備する予定でございます。今回導入する冷風機は、室温よりもマイナス3℃から8℃の冷風を強力に吹き出す性能を有しており、既に各学校に2台配備している送風機と併用して運用することを考えております。しかし、猛暑の中、広い体育館全体を冷やすレベルのものではなく、体調を整えるクールダウンとしての効果を期待して配備するものでございます。議員ご提案のとおり、2台配備した場合は、例えば対角線上に配備して使用することが可能となるため、空気の循環を促し、より冷風効果が高まるものと考えられます。今回導入する冷風機は、工事が不要で、通常の電源でも使用できる仕様となっておりますが、2台配備する場合には、電気容量や一時保管場所等、各学校の状況も考慮する必要がございます。今後は、各学校の状況確認を行うほか、追加配備する場合の必要台数が確保できるかなど検討をしてまいります。  次に、学校トイレの洋式化についてのご質問でございますが、区立の小中学校のトイレの洋式化につきましては、平成30年4月1日現在、47.2%にとどまっています。児童・生徒のご家庭のほとんどが洋式便器であり、学校のトイレの状況とは大きくかけ離れています。また、学校は災害時の避難所となることや、日常的にも高齢者など地域の方々が学校を訪れる機会が増えていることから、トイレの洋式化は喫緊の課題であると考えております。この学校トイレの洋式化につきましては、議員お話しのとおり、改築標準設計仕様に明記しており、来年度からは改築校以外の学校においても、この標準設計仕様に基づいたトイレの洋式化を計画的に整備してまいります。  なお、トイレの洋式化では、単に便器を替えるだけではなく、給排水設備等の大がかりな工事を伴うため、現時点では5年間で約900器、洋便器率80%以上を目指し整備する予定でございます。それ以降も継続して取り組み、児童・生徒、地域の方々にも使いやすい学校の施設環境となるよう整備に努めてまいります。私からは以上でございます。 ◎小黒 教育長 外国籍児童・生徒の指導についてのご質問でございます。外国から来た児童・生徒が安心して学習に励み、充実した生活を送ることができるようにするためには、日常生活に必要な日本語を身につけること、受け入れた学校において生活習慣や文化の違いなどに対するきめ細かい配慮をすることが必要でございます。教育委員会では、こうした児童・生徒に日本語が身につくように、当該児童・生徒の母語と日本語の2か国語を話すことができる指導員を学校に派遣して、集中的な日本語初期指導を80時間を上限として実施しております。その後、必要に応じて蒲田小学校、蒲田中学校に設置している日本語学級で最長2年間、日本語指導の担当の教員により通級による指導を行っております。日本語学級では、外国籍の児童・生徒が在籍する学校の教員と情報を交換することで、個々の児童・生徒の実態に応じた指導を行っております。また、外国人児童・生徒の学校での受け入れに当たっては、教務主任会などで各学校の行っている対応事例に関する情報を共有しております。さらに、保護者との面談などで支援が必要な場合には、国際都市おおた協会から通訳を派遣してもらうなど対応をしているところでございます。今後とも、学校が組織的に日本語指導や必要な配慮を行い、外国籍の児童・生徒が充実した学校生活を送ることができるように支援してまいります。  次に、外国籍の児童・生徒の小中学校への就学についてお答えいたします。現在、外国籍の子どもが大田区へ転入した際には、特別出張所などの窓口で区立小中学校への就学案内を配付し、就学を促しております。毎年10月には、翌年4月から新小学校1年生になるお子さんがいる全ての外国籍世帯及び区立小学校6年生に在籍している外国籍世帯に対して就学の案内を送付しております。案内の中では、日本の教育制度や区立小中学校の概要のほか、教育に係る費用について、英語、中国語、韓国語などでわかりやすく解説しております。  なお、平成30年4月の状況ですが、外国籍の小学校入学対象者147名のうち、102名が区立小学校へ入学しております。他の児童は外国人学校や海外に転出していると考えております。中学校については、入学対象者74名のうち、66名が区立中学校に入学しております。入学しなかった生徒については、進学先などを把握しているところでございます。また、国籍にかかわらず、居住実態が把握できない児童・生徒に関しては、子ども家庭支援センターなどと連携して実態把握に努めているところでございます。今後は、関係部局との連携をさらに進めながら、より多くの外国籍の子どもたちが区立小中学校に就学できるよう、きめ細かく周知を図ってまいります。 ○岸田 議長 会議が長くなりましたので、おおむね30分程度休憩といたします。                      午後3時35分休憩                ――――――――――――――――――――                      午後4時1分開議 ○岸田 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、会議時間を延長しておきます。  質問を続けます。35番金子悦子議員。                  〔35番金子悦子議員登壇〕(拍手) ◆35番(金子悦子 議員) 日本共産党の金子悦子です。日本共産党区議団を代表して質問します。  初めに、消費税増税は中止し、平和を守る大田区政について質問します。  まず、消費税増税は絶対に中止すべきです。安倍内閣が予定している10月からの消費税10%増税についての国会論戦が行われていますが、総務省の家計調査をもとに、物価変動の影響を除いた実質家計消費支出は、2014年の消費税8%増税を契機に大きく落ち込み、増税前と比べて年額で25万円も減っています。GDPベースでも、家計消費は8%増税による打撃を回復するに至っていないという日本共産党の志位委員長の質問に、安倍首相は「水面には顔を出していない」と認めました。さらに、安倍首相が繰り返す「所得環境は着実に改善している」についても、厚生労働省の毎月勤労統計、連合の調査、総雇用者所得から見ても、2018年の実質賃金は調査対象を変えたため伸び率が過大になっており、共通の事業所で比較すれば前年比で実質賃金はマイナスになっていること、2012年から2018年の6年分の推移を見れば、政府の公表値でも実質賃金は増税前と比べて10万円以上落ち込んでいます。安倍首相は、「消費税が上がれば実質賃金が押し下げられるのは当然」と居直ったものの、実質賃金がマイナスになったことを認めました。増税の根拠はすっかり破綻しています。  区議団が行った2018年アンケートには、消費税8%5年目、暮らしと営業への影響を聞いたところ、「苦しくなった」51.0%、「変わらない」39.8%、「よくなった」1.4%、「10月からの消費増税はやめるべき」が60.4%となっており、商店街などで行う署名行動には、10%になったら営業を畳むという声が圧倒的です。個人商店の廃業は続き、しかも加速して、商店街はすっかり様相が変わっています。長年地元で頑張ってきた商店主が、後継者もないし、健康も自信がなくなったと廃業していく様子に、この人たちの労苦に報いる社会ではないと怒りを覚えます。  安倍首相は、日本共産党の志位委員長の質問に対し、家計消費が2014年8%増税による打撃から回復していないことを認めました。「景気は緩やかに回復している」と答弁してきた区長も認識を改め、消費税10%への増税中止を国に求めるべきです。お答えください。  次に、憲法9条を守り、戦争する国づくりストップの大田区政への転換を求めます。共産党区議団が毎回要求している、平和都市宣言を行った区として、もう一歩踏み込んで国内外にアピールすること、具体的な行動を起こすことです。平和憲法を擁護する区として、平和行事を行っていることに解消せず憲法改悪に反対すること、核兵器禁止条約に日本が参加するよう働きかけることです。
     憲法9条を守ることに関連して、自衛官募集についてお聞きします。自衛隊法施行令120条に基づく適齢者名簿の「資料の提出を求めることができる。」に関し、自民党大会で安倍首相が「6割以上の自治体が募集への協力を拒否している」と発言し、それを9条改憲理由に挙げています。自治体が応じる義務はなく、区長は名簿の提供を行うべきではありません。お答えください。  次に、日米地位協定の改定についてです。日米地位協定は、日本全国どこでもアメリカの要請に応えて、基地を含めた便宜をアメリカ軍のために日本の税金で提供するという屈辱的な中身であり、植民地かという状況から、独立日本への道筋には避けて通れない課題です。全国知事会の要望書は、日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることや、事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立ち入りの保障などを明記することなど4項目あります。羽田空港のある大田区として、どう対応するかが問われます。  横田基地周辺では2日連続、落下傘事故が起きました。その後も事故は起きています。防衛省は、オスプレイなどの訓練は必要と繰り返し、都民の安全を守る立場に立っていないことは重大な問題です。都内には七つの基地があり、まちづくりに大きな障害になると、東京都も政府に日米地位協定の見直しを含む10項目の要望をしています。区民の安全・安心を確保することは、区としては第一義的な課題です。  日米地位協定の改定を全国知事会が全会一致で要望しています。区長は全国知事会と同じ立場に立つべきです。お答えください。  次に、2019年度予算案について質問します。  2019年度、平成31年度大田区の当初予算案2818億9242万円余、区長選挙を控えた年度の骨格予算であるべきところ、前年度比1.1%、31億円増の過去最高の予算となっています。新年度予算の中に区民の要求、日本共産党区議団の予算要望が実ったものもあり、評価するところもあります。出産・子育て・教育では、私立認可保育所の整備、借地を活用した認可保育園等の設置支援、病児・病後児保育の充実、新生児聴覚検査費用の一部公費負担開始、産後ケアの充実、予防接種事業の拡大、区立小中学校体育館等の暑さ対策、小学生向けものづくり教育など、また健康・福祉の充実では、地域包括支援センターの南馬込新設、障がい者総合サポートセンターの充実、精神障がい者へのアウトリーチ訪問支援、精神障がい者の退院後の支援、自己負担なしで区内全域対象のアスベスト検診、呑川高濃度酸素水浄化施設設置工事及び施設運転、災害時の自動ラップ式トイレの新規導入、倒れない燃えないまちづくりの推進、ものづくり産業等実態調査などです。  しかし、2017年度、2018年度の国民健康保険料、保育料、施設使用料、臨海斎場使用料などの値上げをそのまま押しつける予算になっています。区民の暮らしは大変です。生活保護受給者1万3529世帯1万6480人(2018年10月現在)。就学援助、小学生5047人、17.3%、中学生2754人、25.2%、これは2018年6月現在。国保滞納世帯3万6204世帯、35.9%、短期証発行1957世帯、資格証発行668世帯、特養待機者1144人、2019年2月の保育園入所不承諾数は1000人を超すかとますます深刻です。区民の雇用を最も支えている中小企業、商店の倒産・廃業がとまりません。こういう状況に区としてどう本気で支援をするべきなのかが問われています。  予算編成に当たって出された平成31年度予算編成、組織・職員定数の基本方針についての副区長通知では、重点課題の「①次代を担う子どもたちの未来を拓く力を育み、切れ目なく応援する取り組み」、「②誰もが、健やかに安全で安心して暮らせるまちづくり」、「③多様な主体のつながりによる地域課題の解決を支える取り組み」、「④国際都市おおたの実現に向けてのこれまでの成果を、将来につなげる取り組み」、「⑤東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けた取り組み」となっており、大田区の中心をなす産業経済、中小企業・工業・商業対策などが重点課題にありません。このことは、農業を主とするまちの予算に農業予算がないのと同じです。  地方自治法では、第1条の2、「地方自治体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。」とあります。松原区長が2010年に大田区の中小企業を「日本経済の生命線である」と発言しましたが、もう必要も対策もないのは大問題です。日本共産党区議団は、大規模開発をやめ、1000億円を超える基金を取り崩して、区民の暮らし・営業を支える区政に思い切って転換することを求めます。  平成31年度大田区予算(案)概要において、「産業の予算は、産業支援施設関連経費、産業交流拠点の形成、受発注支援事業など、47億円を計上しました」と述べていますが、規模の大きい産業交流拠点に多額の予算が使われる一方、受発注支援事業は事業説明資料にさえ載っていません。そもそも、2018年7月に出された2019年度予算編成、組織・職員定数の基本方針にある予算編成の重点課題5項目には、ものづくりのまち大田区が最も重視しなければならない産業の課題が欠落しています。区内のものづくり産業を直接支援する施策の抜本的充実のため、産業経済費を倍増することを求めます。お答えください。  次に、新空港線についてです。2018年度第4次補正予算案で積立基金に10億円の基金積み立てをしようとしており、年度内に初めて20億円の積み立てになります。計58億円で、年を追うごとに基金が増大しています。2019年度予算案では、整備主体設立のための費用1億8000万円が「関係者と協議を重ね、事業化に向け最終段階へと着実に進んでいる」と言いながら3年連続で計上されています。2017年度まで毎年開催されていた新空港線整備促進区民協議会も開催していません。  松原区長は、「蒲田駅と京急蒲田駅のわずか800メートルをつなぐ新空港線は、区内の東西移動利便性が大きく向上するとともに、羽田空港と渋谷、新宿、池袋などの副都心や埼玉方面とのアクセスが強化されるなど、東京圏全体の鉄道ネットワークの強化に寄与するものであります。また、災害時の代替ルートの役割も担うものであります」との見解を繰り返し述べています。東西移動の利便性向上が強調されてはいるものの、それが区民にとってどういった影響が及ぶのかについては具体的な見解が示されていません。  今月に入り、JR東日本が進める羽田空港アクセス線計画が進展を見せ、工事に向け近く環境影響評価(アセスメント)に着手することがマスコミ報道であり、JR東日本が3000億円で整備し、2029年開業を目指すとしています。新空港線の必要性は今後ますますなくなっていくのではないでしょうか。このような計画にそもそも無理がある新空港線計画に、多額の基金積み上げや整備主体設立のための予算計上はやめるべきです。  この積立金58億円があれば、小中学校給食費無償化18億円、後期高齢者医療窓口負担半減助成36億円、特別養護老人ホーム整備助成10か所5億5000万円など、区民のための施策を充実させることができます。新空港線・蒲蒲線計画はきっぱり中止し、新空港線整備資金積立基金は廃止し、区民のために活用すべきです。お答えください。  次に、予算編成の基本的な考え方では、重点課題の第1にある「次代を担う子どもたちの未来を拓く力を育み、切れ目なく応援する取り組み」についてです。今期4年間の子育て支援策を振り返ると、松原区長は、13年上げていないことを理由に、保育料を年収1000万円世帯で1人約2万円値上げし、23区で初めて0歳児の保育料を別計算で行い、7番目に高い保育料になるなど負担増を行いました。また、社会問題である喫緊の課題、待機児童解消は、今期4年間で今後の開設予定も含め、認可保育園59か所、3600人分の定員拡大を行いました。しかし、今年も保育園の入園通知が2月12日ごろに届き始めましたが、「保育園に入れませんでした。このままでは職場に戻ることができません。どうすればいいでしょうか」など困り果てての相談が相次いでいます。  どうして毎年保育園に入園できず苦労している保護者の思いを解決できないのか、それは党区議団が指摘しているように、認可保育園に入りたい子どもの数に合わせて認可保育園をつくっていないからです。いわゆる隠れ待機児童数に見合って認可保育園をつくらず、認証保育園や小規模保育園での対応をしてきたからです。認証保育園では、一部には保育を継続されるご家庭があるものの、保育料が高いなどを理由に翌年度には認可保育園に申し込まざるを得ない。また、1・2歳の保育を対象にした小規模保育所では、3歳児になると保育園を探さなければならない等の理由で、翌年度には5歳まで通える認可保育所に申請をし直すからです。ですから、党区議団は認可保育園の増設で待機児童解消をすべきと繰り返し要望してきました。  そのような中でも、新年度予算(案)概要説明書資料では、待機児童解消は認可保育所の整備16施設になっていますが、それでも足りません。さらに、洗心保育園0歳児18人受け入れが中止になり、待機児童数にその影響が出てくるのではないかと心配です。年度途中でも受け入れるよう求めておきます。  4月入所の認可保育所の2月の一次不承諾数をお答えください。また、新年度予算では、認可保育所の整備16か所、850名分を整備するとしていますが、これでは足りないのではないでしょうか。大田区実施計画では、待機児童数ゼロの時期に向けた施設整備計画を新年度中に実施するとしていますが、不承諾数に見合う認可保育所整備を進めるべきです。お答えください。  次に、公共住宅建設の課題です。昨年の区営住宅の申込者数は、募集25戸に対して1091件、43倍となりました。UR住宅や東京都の公社住宅などから、年金生活になって家賃の高さに耐えかねて都営住宅を希望する人もいますが、大多数は条件が悪く、家賃は高い民間住宅に住んでいる方々です。劣悪な住環境から人間らしい住まい方をしたいと願う人たちこそ、災害に遭遇すれば真っ先に困る人々です。区営住宅は今後建てないという方針を変えなければ、職員はこれだけの人が実際困っているということを知っていても、少ない区営住宅しか区民に示すことができません。防災対策上も耐震化率を上げるには堅牢な公共住宅の新規整備が貢献することになります。  区は区営住宅を整備しない理由として、区内の空き家が6万戸あるとしていましたが、新年度予算の空家等地域貢献活用事業では、区内の空き家を公益目的(地域交流、福祉、子育て支援、教育関連、防災、国際交流・観光、まちづくり等)で活用するとしており、住宅として活用する計画になっていません。空き家は住宅対策とはなりません。住宅マスタープランを見直し、区営住宅の建設を進めるべきです。お答えください。  次に、公民連携による地域課題解決についてです。予算案では、「民間企業との連携の強化による持続可能なまちづくりを目指します」1115万5000円、「交通事業者との公民連携で商店街のにぎわいを支援します」700万円の予算が計上されています。これは区が策定した大田区公民連携基本指針に基づくもので、自治体がすべき区民サービスの提供、地域課題の解決、地域の活性化、持続可能なまちづくりを民間企業との連携で行っていくための予算です。  区はこの間、高齢者見守りネットワーク事業として、金融機関、交通機関、新聞販売店、薬局等と連携をしてきましたが、公民連携としての予算計上はしていません。しかし、セブン&アイグループとの連携協定後、大田区野菜を食べようプロジェクトで初めて予算を組みました。野菜を食べるきっかけになったとしていますが、そのコンビニで購入したなら利益に還元されたことになります。三菱商事都市開発株式会社との連携で新たなにぎわいが生まれたとしていますが、近隣の地元商店街では個店の閉店が後を絶ちません。羽田みらい開発株式会社と連携協定を結んで新産業創造・発信拠点の形成に取り組んでいるとしていますが、区民の税金165億円で購入した土地を提供し、区内の中小企業支援への仕事おこしはいまだ未知数で、さらに鹿島建設ら9社は税制優遇を受けることになっています。  企業が社会的貢献、企業の価値を上げるために地域とともに育つといっても、利益を追求することが企業の最も重要なものです。利益追求する企業との連携は企業にとってのもうけを与えることになります。指針の公平性、透明性の確保の原則は、自治法を守る必要のない企業には通用しません。役割分担及び責任の明確化の原則においても、社会的・経済的リスクを想定した上で、その範囲と責任について合意することは到底困難ではないでしょうか。  国の骨太方針2018における地方行政改革は、歳出改革などの取り組みの加速・拡大として、多様・包括的な公民連携を推進しています。行政のコスト削減のために公的サービスを産業化しようとするものです。住民の生活権や公共性の観点が欠如していると言わざるを得ません。住民生活に自治体が責任を果たすことより、行政コスト削減や公的サービス産業化を優先する政策はやめるべきです。  国言いなりで策定した大田区公民連携基本指針は、区の責任を放棄し、民間の新たなもうけ口を提供するものです。指針を見直すことを求めます。お答えください。  次に、高過ぎる国民健康保険料の引き下げについてお聞きします。  消費税が8%に上がってから売り上げが減ってしまったのに住民税、国保料が大幅に上がり、やむなく滞納した業者の方にお話を聞きました。それまで無事故で堅実に仕事をしてきた運送業で、事務所の壁一面に表彰状がかけてありましたが、納税のために土地を売却して本税に充てたのに、延滞金もどうしても払うようにと、区の担当者は業者に仕事を発注している荷主さんのところに行って売り上げを差し押さえるという乱暴なことをしました。これでは生活できません。  国民健康保険料の差し押さえ件数は、26年度224件、27年度247件、28年度は300件でしたが、29年度は638件と前年の倍、今年度は11月末現在で473件となっています。その結果、東京都からの報奨金は区に26年、27年、28年は1000万円、29年度は2000万円が特別調整交付金として入っています。この交付金を得るために差し押さえ件数の目標を持って取り組んでいたのではないでしょうか。  東京都は、日本共産党都議団の追及に対し、滞納処分の取り組み推進のための体制整備として行っていた差し押さえ件数に応じた交付、つまり差し押さえ報奨金を廃止しました。大田区も生活を脅かす取り立てはやめるべきです。お答えください。  高過ぎる保険料は何とか払っているが、受診すると3割、2割の負担が生じることを心配して受診できなかった事例を紹介します。Aさん女性は業績悪化で廃業し、やむなく家を売り払い、工場で暮らしていたが、心不全になり、両下肢浮腫で動けなくなって緊急搬送され、容体が改善したのに急変して亡くなったということでした。健診も受けていなかったということです。医者嫌いでは済まされない、保険料を払っていても医療を受けられない悲惨な事例は今後も続くのではないでしょうか。  実際、給付実績のない被保険者は、国保資格を有する12万5486件のうち1万6258件、9746世帯であり、そのうち未納世帯が5217世帯、53.53%と、滞納世帯は医療機関にはかかりにくいことが明らかです。命こそ宝です。払うべきものを払わなかったと、まるで悪を正すような成敗ではなく、安心して暮らせること、医療を確保することを最優先課題とすべきです。  国保の最大の問題は、加入者の所得は低いのに公的医療保険の中で保険料が一番高いことです。さらに、国保の都道府県化は、市町村が行ってきた一般会計から国保会計への法定外繰り入れをやめさせ、その分を保険料に転嫁させることにあります。日本共産党は、国保の都道府県化による保険料引き上げに反対し、①国の制度として1兆円の公費負担増で協会けんぽ並みに引き下げる、②法定外繰り入れを中止・縮減せず、独自軽減を維持・拡充する、③差し押さえなどの強権的な滞納対策を正すことを提案しています。国民皆保険の基である国民健康保険制度ですが、保険料滞納世帯が35%を超え、差し押さえが2017年度は600件もあります。消費税8%の痛みが一層深化し、景気も落ち込んでおり、所得も減っているときに保険料を値上げしていいのでしょうか。  2月16日、大田区国民健康保険運営協議会で答申した金額は、1人当たり平均12万5174円、前年度より3186円の負担増です。均等割1200円増で5万2200円、介護分値上げ722円で、年平均3万3913円となります。これ以上の負担増にしないよう国、東京都に求めるとともに、国民健康保険料はさらなる一般財源から繰り入れをして大田区が保険料の引き下げを行うことです。払える保険料にすることは切望されています。お答えください。  次に、要支援1・2の方々への介護保障についてお聞きします。  12月に訪問したお宅で、要支援1・2のサービスが切られてしまったという方が何人もいらっしゃいました。「もう今日で終わり、来月から来ません」と通告された人もあります。要支援1・2でサービスが途絶したお宅で、いわゆるごみ屋敷のようになってしまったという人もいて、週に2回から3回の短いサービス時間でも日常生活を支えられていたという事例が見られます。「お困りのことはありませんか」と訪ねる人もいない中で、これは人為的に孤立を強制された状態と言えないでしょうか。災害弱者と認定された方を災害時に訪ねることがあっても、平常時に訪ねることはほとんどあり得ません。  介護保険が始まって以来、どうサービスを減らすかということが執拗に行われた結果、年金から保険料が天引きされているのに、法律によってサービスが削減されるということが当たり前のように行われているのは全く理不尽であり、許すことができません。健康福祉委員会では、繰り返し質問しても、「それは包括支援センターが窓口になってあらゆる相談に乗っていますから、どうぞご活用ください」とのことですが、包括支援センターの実態をつかんでいるのでしょうか。地域包括支援センターの役割を見直すことです。介護サービスを受けようとしたら、要介護認定を受けることから地域包括支援センターを通して始まります。地域包括支援センターのケアマネジャーは1人当たり1000人以上を担当することになります。これだけでも職務を全うするのは困難ではないでしょうか。  地域包括支援センターは、少なくとも中学校区に1か所、28か所以上を整備することを求めます。お答えください。また、今後、地域包括支援センター増設は区直営で行うことを求めます。お答えください。  新年度予算では、地域支え合い強化推進事業の拡充4607万9000円が計上されていますが、保険者としての区の責任を地域に押しつけるものです。一方では地域で支え合うと言いながら、老人いこいの家は次々廃止され、高齢者在宅サービスセンターも廃止が始まっていますが、廃止をやめ、このような施設こそ充実させるべきです。お答えください。  次に、障がい者の入所施設の建設計画についてお聞きします。  3月にグランドオープンするさぽーとぴあB棟は、各種団体から期待の声が寄せられています。区議団は毎年、障がい者団体の皆さんと予算要望懇談会を行っており、その中で切実な声の一つは緊急一時預かりです。親子ともに高齢化になり、老障介護で本当に心身ともに疲れる中で、親が病気で入院が必要になっても緊急一時預かりがないため入院できない状況があります。体調不良の中で介護せざるを得ず、このままでは共倒れになります。「私(親)が救急車で搬送され入院。福祉事務所の力を借りても子どもの短期入所先を見つけられなかったため、具合が悪い中、精神的にもつらい状況でした。いっそのこと親子で終わることができたら楽になれると恐ろしく切ない思いがよぎりました」と、このような意見は多く上がっています。  さぽーとぴあB棟では、区立としては23区初となる診療所機能を活用した医療的ケアを必要とする方を含む重症心身障がい児者を対象とした短期入所事業を行うとしていますが、障がい者団体の皆さんから一番求められている緊急一時預かりができません。さぽーとぴあで緊急一時預かりができるように検討すべきです。お答えください。  グループホームは整備が進み、69か所になりましたが、まず自立して生活したい障がい者の方にはグループホームは必要です。グループホームに空きが出たのでと1人の募集に20人が申し込みました。残りの19人は入れません。少ない施設に大勢が申し込むわけですから、グループホームも障がい者支援の資格を持つ職員で、待機者に見合った整備計画を持つことを要望しておきます。  最後に、障がい者の入所施設の建設計画を抜本的に見直すことを求めます。区内の施設から、この1年で4人の人が北海道の入所施設に入ったと聞きました。区内にはいずみえん、アミークス東糀谷の2か所しか入所施設がありません。2017年度実績として、500人の入所者のうち、区内64人、区外で都内は151人、都外は285人という報告書を見て大変驚きました。入所施設の申し込みをして入れない人を保育園や特養と同じ待機者としてカウントし、区の計画を見直すべきだと主張してきましたが、通所施設では毎年意向調査をしていて、どのくらいの希望者があるかは区に報告しているということです。施設建設ではなく在宅で地域の支援を受けるようにすると福祉プランにはありますが、その前に、他県の施設に500人中の285人と57%をお願いしているのは異常なことです。断然入所施設は足りないという認識に立つべきです。  障がい者団体保護者の皆さんが一番不安に思っていることは親亡き後の問題で、入所施設の整備を望んでいます。障がい者団体が会員に行ったアンケートでも、「この子を残して私が先に死ねない」、「親も高齢になり、80歳を超えて障がい者となり、それでも子どもの介護を続けています。もう限界です」との声も上がっています。  例えば、高齢の障がい者も生活を送る場の一つである特別養護老人ホームについて見ても、障がい者が通常の特養ホームに入所すると適切なサービスを受けられなかった事例もあり、特に聴覚・視覚障がい者は他の入所者とコミュニケーションがとれないため孤立することがあります。入所施設の建設計画とともに、専用のフロアを設けるなど障害に応じた特養ホームを整備すべきです。お答えください。  以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○岸田 議長 理事者の答弁を求めます。 ◎松原 区長 金子議員の代表質問に順次お答えをさせていただきたいと思います。  まず、消費税の引き上げに関するご質問ですが、この税率引き上げによります増収分は、幼児教育・保育の無償化や保育の受け皿拡大、保育士の処遇改善といった待機児童の解消に向けた施策のほか、介護人材の処遇改善や低所得高齢者の介護保険料の負担軽減、年金生活者支援給付金の支給など、全世代型の社会保障制度を構築するための財源となります。安定した社会保障制度は、少子高齢化の克服及び区民の皆様の安心した暮らしにつながるものであるとともに、持続可能な社会の実現に寄与するものであり、その仕組みの中で消費税は重要な財源であると考えております。  次に、自衛官募集に関するご質問でございますが、自衛官及び自衛官候補生の募集のために必要な募集対象者情報につきましては、大田区、当区におきましては、住民基本台帳法の規定に基づき、閲覧での対応としております。  次に、日米地位協定の改定についてのご質問でございますが、全国知事会においては、在日米軍基地に係る基地負担の状況について、都道府県の共通理解を深めることを目的として、平成28年11月から米軍基地負担に関する研究会を設置し、意見交換や有識者からのヒアリングなどを実施しておりました。そして、昨年7月の全国知事会議において、「米軍基地負担に関する提言」を決議しております。提言では、「日米地位協定は、締結以来一度も改定されておらず、補足協定等により運用改善が図られているものの、国内法の適用や自治体の基地立入権がないなど、我が国にとって、依然として十分とは言えない現況である」と課題を確認しております。その上で、「日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることや、事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立入の保障などを明記すること」と提言しております。こうした安全保障に関することにつきましては、基本的には国の専管事項であると考えております。区といたしましては、今後とも日米地位協定改定の動向を注視してまいります。  次に、産業経済費についてのご質問をいただきましたが、区はこれまでも、ものづくり産業集積の維持・発展のため、工場の更新や拡張を通して区内で操業を継続しようとする中小企業や、新たな技術開発や市場参入に挑戦する中小企業に対しまして様々な支援を行ってまいりました。また、事業承継や創業支援、区外企業の区内立地促進等の産業振興施策は引き続き力を注ぐべき事業でありまして、着実に取り組んでいるところであります。あわせて、羽田空港跡地整備事業についても区内産業の活性化のため整備を進めております。区では、区内ものづくり産業の支援策を立案するに当たりましては、これまでの調査や地域からの要望等を踏まえており、予算につきましても施策の実施に必要な額を確保しているところでございます。今年度も、ものづくり工場立地助成や次世代産業分野クラスター形成など、区内のものづくり産業活性化に資する取り組みを推進しているところでございます。なお、産業経済費につきましては、平成31年度予算案で計上させていただいております47億1600万円は、平成30年度当初予算額の約42億2500万円から約5億円の増となっております。今後も選択と集中などの方針に基づき必要な額の予算を措置させていただき、適切に執行をしてまいります。  次に、新空港線についてのご質問でございますが、新空港線は大田区が30年来取り組んできた区にとりましては重要な事業であります。新空港線が整備されることで区内の移動利便性が大きく向上するとともに、羽田空港と副都心や埼玉方面へのアクセスが拡充されるなど、東京圏の鉄道ネットワークが強化されます。また、沿線のまちづくりをあわせて進めることで地域の活性化にもつながります。現在、関係者間で費用負担割合の協議を鋭意進めているところであり、重要な局面を迎えております。新空港線整備資金積立基金は、協議が調い次第、速やかに第三セクターを設立するための資金及び事業を滞りなく進めるために活用するものであります。以上のことから、新空港線事業の中止及び積立基金の廃止は考えておりません。  次に、4月入所の認可保育所の不承諾数と認可保育所整備についてのご質問でございますが、平成31年4月入所の第一次申請分については、申請者数が5466人、不承諾者数が1571人となっており、不承諾者数は昨年同時期に比べて185人減少しております。平成31年度につきましては、申請状況や待機児童数などに加え、新規マンションの開発計画などを分析した上で、認可保育所の整備数を16施設、定員800人とし、開設当初の4歳・5歳児の受け入れの余裕を活用した定期利用保育による増を50人として、合計850人の定員増を図る整備計画といたしました。認可保育所の整備におきましては、いわゆる不承諾通知の問題などがあり、不承諾者数によって計画を策定した場合には欠員が多く発生するおそれがあります。これまでと同様に、不承諾通知後の保育サービス利用意向を適時適切に確認し、正確な利用希望者数の予測に努めるとともに、認可保育所を中心とした多様な保育サービスを提供することで待機児の解消を目指してまいります。  次に、区営住宅の建設に関するご質問をいただきましたが、平成25年の住宅・土地統計調査によりますと、区内の空き家が約6万2000戸で、そのうち賃貸用住宅の空き家が4万6000戸と推定されております。一方、賃貸住宅の流通・あっせん業務は不動産仲介業の役割となっており、高齢者等住宅確保支援事業に該当する場合以外、区は関与を行っておりません。同様に、空家等地域貢献活用事業では、グループホームなど福祉目的の場合ではマッチングを行っておりますが、居住のための空き家活用は対象外としております。また、現在の住宅マスタープランは平成32年、2020年度までの計画となっております。庁内検討会や有識者検討委員会を設置して、来年度から2か年かけて新たな10か年計画を策定する予定でございます。記載内容についても今後検討を行ってまいります。現時点では、区営住宅の建て替えは必要と考えておりますが、新たに区営住宅を建設する予定はございません。  次に、大田区公民連携基本指針に関するご質問でございますが、区におきましては、大田区基本構想において、民間企業も含めた地域の多様な主体による連携・協働により地域課題を解決し、魅力的なまちづくりを進めていくという方向性を定めております。これに基づき、区はこの間、様々な形で民間企業を含む地域の皆様との連携・協働を進めてまいりました。本指針は、このような背景を踏まえつつ、近年、民間企業が行政と連携しながら地域に対する社会貢献に取り組んでいくという気運が高まっていることを受け、民間企業との連携に関する区の基本的な考え方を取りまとめ、地域力のさらなる向上を目指すものでございます。区は、公民連携の手法も有効に活用しつつ、区民の皆様の暮らしを守り、より豊かにするという行政の責務を引き続きしっかりと果たしてまいります。  次に、国民健康保険料の徴収についてのご質問でございますが、30年度からの国民健康保険の制度改革と同じタイミングで、東京都の収納率向上にかかわる取り組み算定から滞納処分部門、差し押さえ件数等が削除されたことは承知をしております。また、財政運営が変わり、東京都への納付金を賄うための保険料となりましたが、保険料は国民健康保険事業にかかわる保険給付を滞りなく行っていくための貴重な財源であることに変わりはありません。公平に保険料をご負担いただくため、特別区の保険料につきましては、所得割と均等割の割合、賦課割合の検討をはじめ、均等割軽減の拡大など国の制度改正の動向を踏まえて対応しております。国民健康保険事業の貴重な財源である保険料の徴収が滞ることになれば、国保事業の維持運営にも支障が生じることにつながってまいります。保険料の納付相談の際には、生活状況、税や他の保険料、使用料などの支払い状況、収入の状況など詳しくお話を伺うとともに、ご相談の内容に応じて区の関係機関窓口などの案内も行い、それぞれの状況をよくお聞きして丁寧に対応しております。保険料の徴収の取り組みは、公平な負担を実現するためにも、保険者として進めていかなければならないものでございます。  次に、国民健康保険に関する質問について順次お答えをいたします。保険料引き下げについてのご質問ですが、国民健康保険は年々被保険者数が減少し、また、医療の高度化や前期高齢者の割合が増え、1人当たり医療費が増加するなど厳しい環境にあります。保険者の努力だけでは解決し得ない課題を抱えており、特別区としては、かねてから国や東京都に対し、さらなる財政支援を求めてきております。  なお、一般会計から国民健康保険特別会計に法定外の繰り入れを行うことについては、給付と負担の関係が不明確になるほか、国民健康保険以外の医療保険制度に加入している方へ二重に負担を強いるなどの課題を含んでおります。また、今年度の制度改革において、国が新たな公費拡充を行うことで、法定外の繰り入れについては計画的に削減、解消すべきものとなりました。したがいまして、国民健康保険の運営に多額の法定外の繰り入れを将来にわたり継続していくことは、他の医療保険の加入者との公平性の観点や新しい制度の趣旨からも困難であると考えております。  次に、地域包括支援センターの整備についてのご質問ですが、国の指針では、センターを整備する日常生活圏域の設定について、地理的条件、人口、交通事情、その他社会的条件を勘案するほか、自治会・町会などの既存コミュニティの活動に配慮することが重要とされております。区は従前から、特別出張所が管轄する18地域ごとに、自治会・町会、民生委員児童委員協議会、事業者、地域福祉活動団体等との連携・協働により様々な生活課題に取り組み、特色ある地域づくりを進めております。こうした大田区らしい地域力を活かすため、「おおた高齢者施策推進プラン」において、日常生活圏域を特別出張所ごとの18地域に定めております。センターは現在21か所を設置し、高齢者人口などの地域特性に鑑み、今後も増設を予定しております。整備に当たりましては、「大田区公共施設等総合管理計画」に基づき、特別出張所や区施設に可能な限り複合化を図るなど、区民の利便性にも配慮しております。区は、地域力を活かした地域包括ケアシステムの構築に向けて、センターを適切に整備するとともに、運営法人の専門性を発揮できるよう支援をしてまいります。  高齢者施設についてのご質問ですが、まず老人いこいの家につきましては、従来の交流・レクリエーション機能に加え、地域包括支援センターと連携した介護予防拠点としての機能を充実しております。シニアステーション事業では、元気高齢者から介護等の支援が必要になる方まで切れ目のない支援を提供し、介護予防や社会参加を促進する多彩な事業を取り組んでいます。シニアステーションは、既存の老人いこいの家も活用して新たに開設しているため、施設数そのものは変わらず、利用者数は増加傾向にあります。また、高齢者在宅サービスセンターについては、現在は民間事業者による通所介護が増加している状況がございます。そのため、地域包括ケアシステムの一層の推進や地域共生社会の実現等、新たな区民ニーズに応じて施設の機能充実や有効活用に向けて検討を進めております。区は、今後も施設の有効活用を含め、高齢者を皆で見守り支え合う体制づくりを進めてまいります。  次に、さぽーとぴあB棟短期入所事業に関するご質問ですが、この事業は、特に医療的ケアを含む重症心身障がい児者を対象としており、命をお預かりする大変重要な事業でございます。そのため、安全・安心なサービスを提供することが最優先となります。ご利用に当たっては、ご家族ともども見学やお試し利用をお願いし、利用者ご本人に新しい環境に慣れていただくとともに、お一人おひとりに適切なサービスが提供できるよう、受け入れ体制に万全を期してまいります。こうした手順を経て、利用登録をいただいた場合には、ご家族の急なご病気等の際にもお預かりすることが可能となります。  なお、さぽーとぴあは、日ごろから各障がい者団体や区内障害施設の保護者の皆様とも十分相談し、理解と協力の上で事業を進めております。今回の短期入所事業も、こうした皆様のお声にお応えする事業でございます。区民の皆様のご期待に沿い、何度でも利用したい事業となるよう着実に運営してまいります。  次に、特別養護老人ホームに関するご質問でございますが、特別養護老人ホームは、日常生活に常時介護が必要で、自宅では介護が困難な原則要介護3から5の方々にご利用いただいております。聴覚や視覚などに障がいのある高齢者も、既に区内の特別養護老人ホームへ入所され、施設での生活を継続されております。各施設では、例えば合理的配慮の提供に基づき、職員手づくりのコミュニケーションボードや手話を用いて入所者との信頼関係を築いております。さらに、カラオケなどの余暇活動に一緒に参加するなど、利用者同士のコミュニケーションにも配慮し、個々の障害の特性に応じたケアを実践することにより、安心して過ごすことができる環境づくりに努めております。引き続き、介護職員の専門性の向上を目的とした研修を行うなど、運営法人を支援し、障害の有無にかかわらず、利用者一人ひとりの状態に応じた適切な介護サービスが提供できるよう努めてまいります。以上でございます。               ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○岸田 議長 本日はこれをもって質問を打ち切り延会とし、明2月21日午前10時から会議を開き、質問を続行したいと思います。これにご異議ありませんか。                   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○岸田 議長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。  ただいまご着席の方々には改めて通知はいたしませんので、そのようにご了承願います。  本日はこれをもって延会といたします。                     午後4時59分延会...