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平成30年 3月  予算特別委員会−03月13日-01号

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  1. 大田区議会 2018-03-13
    平成30年 3月  予算特別委員会−03月13日-01号


    取得元: 大田区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-10-03
    平成30年 3月  予算特別委員会−03月13日-01号平成30年 3月  予算特別委員会 平成30年3月13日                午後1時00分開会 ○深川 委員長 ただいまから、予算特別委員会を開会いたします。  昨日に引き続き、第1号議案 平成30年度大田区一般会計予算歳出の款別審査を行います。  第3款福祉費の審査を続けます。  自民、質疑願います。 ◆伊佐治 委員 本日は、福祉費に関連をいたしまして、事項別明細書155ページ、皆様お開きください。高齢福祉施設費通所介護事業区立高齢者在宅サービスセンターについて質疑をさせていただきたいと思います。  高齢者在宅サービスセンターにつきましては、これまでも何度も取り上げてきたわけでありますが、老人福祉法第10条の4、第1項第2号に係る通所の措置及び介護保険法に規定する通所介護等のサービスを提供するための施設であります。  以前の質疑においては、民間のデイサービスと何が違うのですかということをお聞きしたところ、常時徘回があるような認知症の症状の方や経管栄養等医療的ケアのある方など、民間の事業所では受け入れがたい方を受け入れているとのことでありましたが、区としては、その必要性を認識されているということであります。  しかし今、民間には、様々なサービスを提供しているところもありまして、平成27年度に3施設を民営化したわけでありますが、さらにその見直しを進めていくことが私は必要であると考えております。  昨年10月、厚生労働省は2014年度介護事業経営実態調査の結果を公表いたしました。この中では、通所介護の収支差率は2017年度10.6%から、2017年度は4.9%、半分以下に低下をしている状況があります。民間がこれだけ厳しい経営状況を強いられている中で、大田区が9か所の区立の高齢者在宅サービスセンターを存続させている意義は何でしょうか。 ◎黄木 介護サービス推進担当課長 区立高齢者在宅サービスセンターは、ほぼ全ての施設が介護保険制度発足前から開設してございまして、大田区における通所介護事業の基盤をつくってまいりました。現在も多くの区民の方にご利用いただいてございます。また、やむを得ない事由による措置によりサービスを提供する事業所といたしまして、要介護高齢者の安全を確保するといった役割も果たしてございます。区立といたしまして、地域包括ケアシステムの深化に向け、認知症への対応、地域包括支援センターシニアクラブと共同した講座の開催等、地域の介護力の向上を目指した事業等を実施してございます。 ◆伊佐治 委員 歴史的な経緯については、私も理解をしているところであります。今のご答弁の中では、やむを得ない事由によって民間の介護サービスが受けられないときにそれを活用するということで、実際に役割は果たしているというご答弁をいただいたわけでありますが、ただ、老人福祉法に定める、まさにこのやむを得ないときに受けられるサービスというのは、民間においても受けられるものでありますから、なかなかその理由として、明確に今、ご答弁はいただいていないのかなというところであります。実際、以前の答弁だと、このやむを得ない事由によって、サービスを利用されている方は一人もいませんでした。現状はどうなっていますか。 ◎黄木 介護サービス推進担当課長 現在、高齢者在宅サービスセンターをやむを得ない事由で利用されている方はいらっしゃいません。 ◆伊佐治 委員 答弁をいただいたとおり、一義的な概念で考えれば、既にその存在意義はないというところでお話をいただいているわけであります。  そもそも、この老人福祉法、先ほどお話をしたとおり、民間のデイサービスでも便宜の供与の委託をできるわけでありますから、実際は区立のこうした高齢者在宅サービスセンターでなくても、民間のサービスを使えばそれにかわることができるということが明確に書かれているわけであります。今、いろいろなやじが飛んでいますが、基本的に介護保険は民間が提供しているものですから、民間にそれを委託していくというのは当然のことであると私は思っております。  続いて、条例上の役割について考えてまいりたいと思いますが。  大田区高齢者在宅サービスセンター条例第2条には、担うべき事業の内容として5項目が定められています。そのうち4項目に関しては、民間の事業者でも同様の事業を提供しております。ただ一つだけ違うところがあって、第5号には、前各号に定めるもののほか、区長が必要と認めたことと書かれています。区長が必要と認めたことというのは何を指すのかお答えください。
    ◎黄木 介護サービス推進担当課長 本条文は、介護保険を取り巻く情勢を踏まえ、高齢者・介護者が抱える個別的事情、そのほか、地域交流や地域貢献の活動の推進などの取り組みについて、幅広く適切かつ柔軟に対応できるよう、要介護高齢者の安定した生活に対して、区立施設が果たす役割の実現を目指したものでございます。 ◆伊佐治 委員 一般的に条例上の逃げ道として、区長が必要と認めたことという、想定外を想定した文言が入るのは一般的でありますから、なかなかこれを具体的に説明できないというのは当然のことかなと思っております。  大田区高齢者在宅サービスセンターのあり方については、28年の予算特別委員会、29年の予算特別委員会、ともに今回で3回目であります。結果的にどのような答弁をいただいたかというと、先行して民営化した施設の効果の検証と課題の整理を行い、民間の通所介護事業の現状を踏まえ、各施設の有効活用を含め検討していると、これまで2年間同じお答えをされているわけであります。先行して民営化した施設の効果の検証と課題の整理はできたのかどうかをお答えください。 ◎黄木 介護サービス推進担当課長 平成27年4月から、特別養護老人ホーム羽田、池上、大森の民営化を実施したと同時に、3施設に併設されている高齢者在宅サービスセンターも民営化いたしました。その後、平成28年度に民営化した施設の運営状況を把握し、相対的な評価を実施するため、外部委員を含む大田区民営化施設の運営に係る評価委員会を設置し、民営化の目的であるサービスの向上、地域還元等が適切に実施されているか評価するとともに、民営化による効果を検証いたしました。  その結果、人材確保から育成まで、職員の能力向上を図る組織的な取り組みや、子どもの貧困対策に関する地域貢献活動等に積極的に参画するなど、社会福祉法人の自由な発想が効果的に生かされていることが検証できました。一方で、安定的な人材の確保に向けて、魅力ある職場づくりや認知症施策の充実の一つとして、若年性認知症への支援など、今後取り組むべき課題や要望も挙げられております。 ◆伊佐治 委員 一般的に民営化の議論をすると、そんなことは許せないみたいなことを言う人が、この中にも何人かいらっしゃるのですけれど、実際に、介護保険のサービスは基本的に民間が担うものであって、民間が最初から担ってきたのですから、民営化をすればよい結果が出るのは当然のことなのですよ。今いただいた答弁のとおりだと思います。  また、措置も民間で受けられるので、やじにお答えをさせていただきます。昨年の予算特別委員会での答弁は、区立の高齢者在宅サービスセンターのあり方について、区内における通所介護の現状を踏まえ、十分に検討しているとしていますが、現在も民間の経営を圧迫する要因となっているのは事実であります。これだけ民間のデイサービスが増加をしている中で、一部のデイサービスだけが行政に守られているというのは、私はおかしな話であると思っています。  以前も提案をさせていただきましたが、例えば4地域庁舎ごとに1か所配置をするなど、やはり整理整頓をしていくというのは私は当然の視点だと思いますが、この早期の見直しについて、どのようにお考えか答弁をいただきたいと思います。 ◎黄木 介護サービス推進担当課長 高齢者在宅サービスセンターは、区立施設として一定の役割を果たしてきた一方、現在では民間事業者における通所介護が増加してきている状況もございます。また、地域包括システムの一層の推進や、地域共生社会の実現など、新たなニーズへの対応のため、区にはその基盤整備も求められてございます。そのため、各高齢者在宅サービスセンターの特性や立地条件等を十分考慮しながら、今後の区民ニーズに応じた一層の機能充実や、有効な施設活用等について引き続き検討してまいります。 ◆伊佐治 委員 本当にいろいろな施設の民営化というお話しになる中で、この高齢者在宅サービスセンターについて、民営化はだめだという人たち、私は明らかに間違っていると思います、その考え方は。やはり民間が担うべきサービスは民間にやっていただくというのは当然のことでありますから、利用者がいることなので、すぐに廃止・縮小などということはできないと思います。ただ、一定のこの予算を執行する中で、今後の方向性についてはしっかりと出していただきたいと思っておりますので、そのへんはぜひともご検討いただきたいと思います。  次に、予算特別委員会資料一般財政関係の53ページ、54ページを皆様お開きください。ここに書かれておりますのが、介護職員初任者研修受講費助成介護職員実務者研修受講費助成について書かれております。  私自身もこの制度については、ぜひ実現をしていただきたいということで、議会でも取り上げてきたものでありますが、残念ながら、介護職員の初任者研修の受講者の受講費の助成については、平成28年度の執行率は17.2%と、とてもとても低い状況がありました。補助金の適正化の観点から、次年度予算、平成30年度予算については、マイナス180万円となっていますが、予算を減らすこともこうした補助金の適正化からは大事なことでありますが、私自身もこうした制度を使っていただきたいというところから、生活支援サービスの養成講座の受講者に、積極的にこの介護職員初任者研修の受講を進めていただきたいと、そうした提案も進めてまいりました。  大田区としては、この制度を活用していただく上で、どのような努力をされてきたのでしょうか。 ◎黄木 介護サービス推進担当課長 介護職員初任者研修受講費助成につきましては、区と大田区介護保険サービス団体連絡会との連携会議におきまして議論し、状況把握に努めるとともに、効果的な活用を促してございます。  また、全事業者を対象といたしました、大田区介護保険事業者連絡会において、参加事業者へ説明するとともに、区ホームページや区と介護サービス事業所との連携のためのサイト、大田区ケア倶楽部への掲載を通じ、広く介護事業者に対し、周知してございます。 ◆伊佐治 委員 無難なお答えですが、大田区は大田区として努力をされてきたなというところを感じるわけであります。  こうした状況を踏まえて本題に入りたいと思います。  平成30年度予算には、新たに介護職員実務者研修受講費助成が240万円計上されております。実務者研修は、旧ホームヘルパー1級程度の資格であり、昨年度から介護福祉士の資格を取得する際にもこの実務者研修を受けることが決まったわけであります。キャリアパスという観点から考えていくと、一定の評価をできる助成制度であるわけですが、本来はやはり、介護職として無資格で働いている方々が資格を取っていただきたいという観点から、まさにキャリアアップの制度として、この初任者研修受講費助成制度をつくってきたわけでありますが、なぜ、この制度をもっと使おうという視点ではなく、こちらの予算を削減をしてまでも、その上位の資格である実務者研修の受講費の助成資格をつくったというのは違和感があります。これはどのような見解のもと、こうした制度をつくったのでしょうか。 ◎黄木 介護サービス推進担当課長 区は、区民に対して質の高い介護サービスを提供するためには、人材確保と人材育成・定着を一体的に進めていく必要があると考えてございます。  介護職員初任者研修受講費助成につきましては、従前から東京都では、介護人材確保対策事業の一つとして、介護職員初任者研修資格取得支援を実施してございます。区の事業では、東京都の事業の対象とならない、介護業務経験者も対象とするなど、補完的な意味も含めて当該助成事業を実施してまいりました。今年度からは、東京都の事業対象に介護業務経験者も加わるなど、その対象が拡大されている状況です。一方、介護職員実務者研修受講費助成は、介護職員の資質の向上を図るとともに、モチベーションを高め、離職を防止することにより人材の確保を図ることもできると考えてございます。さらに、区内の介護事業者からも、人材の定着やサービスの質の向上のために介護職員の資格取得が必要であり、そのためにも、区による研修受講費支援を望むという声も多く上げられてございます。  これらのことを踏まえ、本予算案を計上いたしました。 ◆伊佐治 委員 現場の声を踏まえ、こうした実務者研修の助成制度をつくったということについては、評価させていただきたいと思います。ただ、ここから、今二つの制度が新年度になれば併用されていくわけでありますが、そこからもう一歩、新たな制度についてもしっかりと考えていかなければいけないと思っています。  新年度から国としては、訪問介護の生活援助に特化した(仮称)生活援助従事者研修課程を創設する方針を示しています。報酬改定によってこうした制度が創設されることは、既に周知のことであると思っております。  生活援助従事者研修課程については、生活支援技術の部分の研修時間が大幅に削減をされ、研修全体としては、初任者研修の半分の時間で修了することができるようになります。まさに、仕事をしながら限られた時間の中でキャリアアップをする、そうした中での介護職員としての入門資格として、これから多くの方に活用されていくものになると思いますが、新年度予算における、今回、各種研修助成費、これについては、生活援助従事者研修課程には対応はしていますか。 ◎黄木 介護サービス推進担当課長 国は、訪問介護事業所におけるさらなる人材確保の必要性を踏まえ、訪問介護事業所が提供する身体介護と生活援助の機能を分化し、生活援助を中心に行う介護事業者を新たに養成することで、人材の裾野を広げ、担い手の確保を進めていくこととしてございます。同時にサービスの質の確保をするため、新たに生活援助中心のサービスに従事するものに必要な知識等に対応した、(仮称)生活援助従事者研修課程の創設を検討しております。  これらは、平成30年度の介護報酬改定の議論において新たに示されており、平成29年度末までに決定される見込みとなってございます。そのため、区の平成30年度予算案には計上してございません。 ◆伊佐治 委員 大田区としては、そう答えざるを得ないというのが当然のことだと思いますが、だからこそ私は、もっと広い方々が活用できる制度としての助成制度にかえていくべきだときだと思っております。  実務者研修受講を支援し、さらなるキャリアアップを目指すということ自体は否定しないものでありますが、既に多くの現場で介護職員が不足をしている中において、新たに介護の分野に興味を持っていただける方々を応援するのが、私は先だと思っておりますが、せっかく現場の声から生まれたこの制度を有効活用していくとともに、新たな制度にも応えていくことができるよう、ぜひともこの二つの研修制度につきましては統合をしていただいて、介護従事者研修費助成として生活援助従事者研修初任者研修実務者研修、相互で使うことができる制度にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◎黄木 介護サービス推進担当課長 生活援助を中心に行う介護事業者を養成いたします、(仮称)生活援助従事者研修課程の案について、現在、国はパブリックコメントを実施しており、平成30年度からの適用に向けて準備が進められているところです。  研修科目につきましては、介護職員初任者研修課程とほぼ同じですが、履修時間につきましては、現行の介護職員初任者研修の130時間に対し、(仮称)生活援助従事者研修は59時間となってございます。(仮称)生活援助従事者の確保は、要介護状態になっても住みなれた地域で自分らしく暮らし続けるための自立支援や重度化防止等のため、これからますます必要となると考えます。今後区は、国や東京都の制度の動向を注視するとともに、区民や事業者のニーズ等を踏まえ、必要性等について判断してまいります。  また、介護従事者初任者研修及び介護従事者実務者研修受講費助成事業の統合につきましては、各研修事業の実績や効果等を踏まえ、柔軟に対応してまいります。 ◆伊佐治 委員 今お答えをいただいたとおり、柔軟な制度の運用に努めていただきたいと思います。  最後に、平成30年度予算案概要54ページ、主任介護支援専門員を活用したケアマネジメント向上事業について、お聞きさせていただきたいと思います。  4月に施行される改正の介護保険法に伴いまして、居宅介護支援事業所の指定権限が大田区に移ってまいります。それに伴って、ケアプラン点検などについても、財政的にインセンティブをつける制度が今回新たにつくられました。ケアプラン点検については、介護給付費の適正化に向けて必須の事業でありますが、これまでも、この議会の中でケアプラン点検をもっとやりなさいという声を上げている方がいらっしゃったのですが、私は、ただ単純に数を増やせばいい話ではないと思っております。その辺は、福祉部の皆さんも十分ご理解をいただいているところだと思います。  次期おおた高齢者施策推進プランの案の中では、介護給付費適正化主要5事業の取り組みと目標の中で、さきに述べました主任介護支援専門員を活用したケアマネジメント向上事業を挙げていますが、この事業を実施する目標は、主任介護支援専門員ケアプランを区との共同により検証・確認し、自立支援に資するケアマネジメントの普遍化を図るとしています。しかし、平成25年9月の決算特別委員会の中で、私自身も主任ケアマネと共同したケアプラン点検については取り上げさせていただきました。平成25年度からは、包括の主任ケアマネと共同したケアプラン点検を既に行っているというご答弁をいただいているわけでありますが、こうした答弁から、今回の新規事業には矛盾を感じております。これまで、区としては実際どのようなケアプラン点検に取り組んできたのか、お答えをいただきたいと思います。 ◎丸山 介護保険課長 介護給付適正化事業の主要な事業でありますケアプラン点検の目的でございますが、介護支援専門員ケアマネジャーでございますけれども、ケアマネジャーが作成しました居宅介護サービス計画ケアプランなどの記載内容について、区職員等の第三者が点検及び支援を行うことにより、個々の受給者が真に必要とするサービスを確保するとともに、自立支援・重度化防止を促すサービス提供となるように改善することでございます。  区では、これまで、こうした観点からケアプラン点検を実施してまいりました。具体的な実施内容につきましては、例えば、新規に指定を受けてから間もない事業所や少人数の事業所において作成されたケアプランを選定しまして、区職員を中心とした個別の面談により、実施しております。 ◆伊佐治 委員 これまでのケアプランの点検の中身についてはわかりました。  平成20年でしたか、厚生労働省が公表しましたケアプラン点検支援マニュアルには、ケアプランの点検にあたっての基本姿勢として、介護支援専門員がどこに悩み、つまずいているのかを把握し、点検を通し気づきを促すことが大切と書かれており、まさにケアプランの質の向上やケアマネのスキルアップを行っていくための点検であると言えるわけであります。  実際ですね、ただ残念ながら、多くのケアマネの皆さんは、ケアプランの点検を受けると、何だ給付抑制ではないかと思っている方もたくさんいらっしゃっているのが今の現実であります。  それでは、どのような視点をもっていけば、本来の趣旨に合ったケアプラン点検をしていくかと言えば、やはり専門職の方々にしっかりとその力をかりていかなければならないと思っています。さきに触れました主任ケアマネに、その支援をお願いするのも当然のことでありますし、例えばリハビリ職の方々に以前も提案をさせていただきましたが、住宅改修であったり、福祉用具の関係についてはご意見をいただくなど、そうした視点を持ったケアプランの確認をしていくということが重要であるわけでありますが、ただやはり専門職を生かすと、またデメリットもあって、それぞれの専門職によって言っていることが違うということもあるわけであります。例えば、前もお話をしましたが、リハビリ職を基礎資格とした方がチェックをすれば、どうしてもリハビリに目を向けやすくなってしまうわけでありますし、保健師が基礎資格としてある場合については、基本的に健診であったり、医療的な行為に目が向きやすいというそのような現実もあるわけであります。だからこそ私は、今後こうしたケアプラン点検を行っていく上で、一つのあり方として、多職種が連携したケアプラン点検を行っていくことを考えていきたいと思っております。  次期おおた高齢者施策推進プランの案の中では、介護給付費適正化システムを活用するということで書かれていますが、ぜひ介護給付費の適正化に向け、ケアプランの点検については、単純に給付の月数が多いとか、そういう話ではなく、ぜひとも個別の事例に寄り添ったケアプラン点検をお願いしたいと思います。  そのためにも、多職種が連携した個別ケアプラン点検や同行訪問など、新たな手法を取り入れていくべきと考えますが、見解を求めます。 ◎丸山 介護保険課長 昨年改正されました介護保険法では、保険者が、自立支援・重度化防止及び介護給付適正化に関する取り組みと目標について、介護保険事業計画に記載することが義務化されております。このため、第7期介護保険事業計画におきましては、主要な介護給付適正化事業でございますケアプラン点検の効果や効率性を高め、地域のケアマネジメント能力の一層の向上を図るため、主任介護支援専門員を活用したケアマネジメント向上事業の実施を予定しております。  この事業では、介護支援専門員を対象としました各種研修や相談支援、ケアプラン点検を予定しておりますけれども、ケアプラン点検の実施にあたりましては、点検件数の拡充と同時に、主任介護支援専門員と区が協働して、点検者として、基本となる事項を介護支援専門員とともに検証確認しながら、介護支援専門員の気づきを促すとともに、自立支援に資するケアマネジメントの普遍化を図ってまいります。  委員お話しの、多職種が連携した個別ケアプラン点検や同行訪問などの手法におきましては、まずは、主任介護支援専門員を活用したケアマネジメント向上事業を実施していく中で模索してまいりたいと考えております。 ◆伊佐治 委員 ぜひ、今ご答弁いただきましたケアマネジメント向上事業の中で、ぜひこれらの手法を取り入れていただくことができるように検討いただきたいと思います。  以上で質問を終わります。 ◆伊藤 委員 福祉費なので、私は保育園です。  福祉の予算の中で、児童福祉費が356億円とありました。一般会計が2,787億の中の356億円であります。この予算は、実に去年から80億円増えている。そのほとんどが保育園に関するものだと思われますが、このまま増え続けていくのは大丈夫でしょうか。大田区の財政は持ちますか。 ◎白根 保育サービス課長 平成30年度予算案におけます保育に係る予算でございますけれども、今年度定員拡充した約1,200名分の保育所運営費、それから来年度新たに整備する認可保育園24園の施設整備費などにより、増額の計上をしております。  認可保育園への利用の申込数は、増加率はやや下がったものの、年々増えております。また、申込者のうち、基準指数22点以上のいわゆる両親フルタイム就労世帯が全体の74%を占めておりまして、一次の利用調整段階では、773人の保留が出ております。このような状況から、引き続き保育所整備が必要だと考えております。  また、認可保育園にかかわる歳出予算の財源でございますけれども、おおむね国が2分の1、都と区がそれぞれ4分の1の負担となってございまして、今後も保育所整備を続けざるを得なければ、区財政の負担というものは大きな影響があるものと考えてございます。  なお、民間主体の取り組みでございますけれども、企業が主として従業員の仕事と子育ての両立支援として実施する事業所内保育事業は、本年4月には、区内で三つ目の施設が開所いたします。また、内閣府の子ども子育て本部が窓口となります企業主導型保育事業は、開設手続に区は関与いたしませんが、本年4月には区内で17施設になる予定でございます。  このように、限られた財源で待機児童を解消していくには、企業の協力が今後ますます重要となってまいります。今後は、区の取り組みとともに、事業所内保育事業や企業主導型保育事業につきましても、関係部局と連携しながら民間事業者による設置の動きをつかみ、効果的、効率的な保育所整備に全力を挙げて取り組んでまいります。 ◆伊藤 委員 保育園の待機児問題というものをマスコミはよく子育て施策と言うわけでありますけれども、本当にそうでしょうかと。子どものための予算と言えるのでしょうか。私は自分の子どもの場合は、子どもに教育を受けさせたい、預けたいと思えば、幼稚園に入れたいと思っています。実際に入れてきました。子どものために保育園に入れる。保育園に入れたいと思う人が果たしているのでしょうか。  生活のために、やむを得ず保育園に預けなければならない場合はあると思いますので、保育園は必要です。今までもそのために整備をされてきました。しかし、近年異常とも言える福祉予算の高騰、増え方の原因は子どものためというよりは、むしろ親のための施策になっているのではないでしょうかと感じています。マスコミで大声で訴える人たちの多くも親のキャリアを上げることや働き続けること、より多くの収入を上げること、女性の社会進出などを理由にしています。  だから、保育園を選ぶときの基準も、園庭がきちんとしているとか、そういう子どもにとっての大事な保育の中身よりも、駅に近いとか、通うのに便利だからという、親にとっての条件がそろっているところのほうが人気があるのではないですか。このまま行ったら、JRが駅に保育園をつくればすごく人気が出ますよ。  ただ、今日はそのことをいいとか、悪いとか言っているわけではないのです。生活に困っていて、保育園に預けざるを得ない家庭のための福祉施策というものは当然残さなければいけません。それは必要なことです。しかし、それ以外で働くことが目的であれば、これは福祉費ではなくて、産経費にすべきではないでしょうか。いかが思いますか。 ◎宮本 工業振興担当課長 産業経済部におきましては、企業の人材確保という観点で保育というものを捉えております。企業が人材を確保する上で、採用したいと考える人材に対し、ここで働きたいと思うような就労環境を整えることは重要な視点であると考えております。  区では、ものづくり工場立地助成を活用した改修により、区内企業が働きやすい環境の整備を進め、人材の確保を図るとともに、育児と仕事が両立する職場づくりにもつながるよう検討しているところでございます。  また、東京都では、産業労働局におきまして、企業主導型保育施設の設置を促進するため、国の助成対象とならない備品等の購入経費の助成を行う事業を公益財団法人東京仕事財団と連携して実施しております。  こうした状況を踏まえまして、保育事業を産業支援施策として考えるかということにつきましては、関係法令等にも照らしつつ、こども家庭部とともに研究させていただきたいと考えております。 ◆伊藤 委員 この子育て施策を子どもを預かるということが目的ではなくて、親が働くということを施策の目的にすれば、先ほど福祉部が答えてくれたようないろいろな企業から協力等も得られやすくなるのではないかと考えますが、ぜひ検討していただけますか。部長どうですか。 ◎川上 産業経済部長 ただいまの委員の提案につきましては、産経部としてもしっかりと対応しなさいというお話だと認識しているところでございます。ここで働き続けたいという就労環境を整えることは重要な視点であると考えておるところでございます。今、委員が言われました提案、これは大変に重いボールを投げられたと感じております。これをきちんとキャッチできるかどうかということを今後調査、研究してまいります。 ◆伊藤 委員 この施策も、施策の名前を子育て施策ではなくて、私が思うに、親が働くことを応援する施策と改めればもっとわかりやすいのではないかなということを提案させていただいて、終わりといたします。 ○深川 委員長 次に、公明の質疑に入りますが、小峰委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可し、タブレット型端末に配信いたしましたのでご了承願います。  公明、質疑願います。 ◆小峰 委員 大田区議会公明党の小峰由枝です。まず初めに、子育て支援制度の中の在宅子育て支援について質問いたします。  本区は、来年度の重点課題の一つ目に「次代を担う子どもたちの育ちを、切れ目なく応援する取り組み」を挙げられております。来年度の取り組みとして、保育園待機児童対策問題では、保育サービス定員1,000名の拡充、27施設の開設と大きく前進を図りました。  そして、子育て支援事業が現在改築中の区立羽田保育園と区立仲六郷保育園において新規事業として開設されます。この新規事業は、0歳児から3歳児までの子ども対象で、在宅子育て支援として親子で1日楽しく過ごせるだけでなく、専任の保育士による子育ての悩み相談にも対応し、保育園とも連携するという画期的な取り組みで、切れ目なく応援する本区の意気込みを感じます。  私は、平成28年度第1回定例会で、出産後から3か月の間に産後鬱が発症しやすいため、0歳児の虐待が多い。そのことから、このような状況をサポートするのには、産後ケアが大切だと重要性を訴えてまいりました。  平成30年10月から行う新規事業の産後ケアは、母乳、母体だけでなく、お母さんのメンタル面もサポートするものと伺っており、初めて赤ちゃんだけではなくお母さんに焦点を当てた産後ケア事業として、高く評価をいたします。今後、アウトリーチも含め、拡充していくことを要望いたします。  現在の在宅の子育てについては、一時保育、一時預かり支援が重要であると思います。本区の現状は、0歳児から3歳児までの数は約2万3,000人。この2万3,000人の中で、保育園に子どもを預けずにご家庭で子育てしている方は全体のおよそ半数程度とお聞きしています。  出産後、何から何まで1人で頑張るワンオペレーション育児で奮闘するお母さんから伺いました。「なれない育児で体力的にも精神的にもつらい」、「苦しい気持ちをわかってもらいたい。誰かに聞いてもらいたい」、「子どものことも心配だけれど、ぐっすり寝たい」、「たまには大人の人と話をしたい」、「ほんの少しでもリフレッシュすれば、また頑張れる」等のお声をたくさんいただいております。  また、本区でも、ここ数年の動向を見ても、高齢出産が増えております。自分の母親に支援してもらいたくても、その母親の介護に向き合わざるを得なくなるケースもあり、育児と介護のダブルケア、トリプルケアの上で産後更年期を迎えるなど、多くの負担が一度にのしかかってくる例もまれではありません。もう無理だと思っても、なかなか周囲に相談できないお母さん方もいらっしゃいます。  65歳以上の高齢者に目を向けると、介護保険でのヘルパー派遣、配食、デイサービス、機能訓練プログラム、レスパイト、移動支援など介護を支えるサービスがたくさんあります。  一方、「子ども子育て・産後ケア」は、生後4か月まで保健師が全戸訪問をする「すこやか赤ちゃん訪問」はありますが、乳幼児健診は生後4か月、6か月、9か月、1歳6か月、3歳と間が空いているのです。今欲しいのは、切れ目のない育児支援なのです。  母子支援と聞くと、第1子を産み育てているお母さんと子どものイメージが強いのですが、実は第2子、第3子が生まれたときのほうが大変だったという声も少なくありません。ここのサポートが少子化対策としてもとても重要な点であると考えます。  育児疲れをサポートしてほしいという保護者の声に対し、本区としてはどう取り組むか、本区の見解をお聞きいたします。 ◎浜口 子育て支援課長 子育てを取り巻く環境でございますが、核家族化の進行や、委員お話しのワンオペレーション育児などにより、育児疲れによる保護者の心理的・身体的負担を軽減するための支援の必要性が高まっております。子育て支援に係る区の様々な機関においても、育児に疲れた保護者からの悩みや相談を聞き取っております。  区は、こうしたニーズに応えるため、子ども家庭支援センター大森と六郷、保育室サン御園において、育児疲れやリフレッシュに対応する一時預かり事業を行っております。  これらに加え、新たに、平成30年10月から地域に根差した身近な施設である児童館で一時預かり事業を開始いたします。今回の一時預かり事業ですが、学童保育事業を小学校に移した萩中児童館において、専用スペースを整備し、保育士が生後5か月から学齢前の子どもを理由を問わずお預かりするものでございます。  また、児童館で実施している乳幼児タイムなどでは、保護者の悩みを受けとめると同時に、必要に応じ、一時預かりの利用をお勧めしたり、一時預かりをきっかけに育児の相談につなげるなど、児童館の子育て支援メニューを相互に利用できるようご案内することで、一人ひとりの保護者に合った子育て支援を的確に進めてまいります。 ◆小峰 委員 理由を問わない児童館の一時預かり事業は、お母さんたちに喜ばれると思います。  現在の支援として、赤ちゃんの養育に困難を抱えている方への支援員が訪問するゆりかご事業があります。そして、先ほど取り上げました産後ケアは、区がケアを必要と認めたお母さんへ申し込みに基づき利用券が送られ、自己負担1,000円で助産師の乳房ケアなどを1回受けられるというものですが、この制度もこのたび新規事業として加わりました。  しかし、ライフスタイルが多様化する現代の子育てを取り巻く課題、対策はまだまだ多いと感じます。なかなか連絡が取れないある家庭にようやく訪問すると、赤ちゃんの発育が著しく悪く、心配して様子を見ると、お母さんが鬱病を発症していて、赤ちゃんに冷たいミルクを飲ませ続けていたことがわかったと聞いたことがあります。  出産後1か月は、良好な愛着形成をする大切な時期ですが、お母さんはホルモンバランスの急激な変化から精神的にも不安定になるので、お母さんの十分な睡眠、育児のサポートが必要になる時期でもあることを以前にも紹介させていただきました。しかし、現在も不安を抱えながら育児をしているお母さんはたくさんいらっしゃると実感しております。  近年、スマートフォンを子守がわりとして子どもに渡し、自分の時間をつくる保護者が増加しています。子どもの近視率、いわゆる近眼になる率も過去最高となり、過度な利用は思考にも悪影響が出てくることを指摘されています。ですが、子どもがスマートフォンを見ることが習慣化する前は、多くのお母さんたちはスマートフォンを渡さざるを得ないほど育児で疲労しているのだと聞いたことがあります。ここでも一時預かりの重要性をさらに認識する次第です。お母さんたちの切実な声は、かわいい子どもを育てたい、頑張って育てたい。でも、まずは、育児の疲れや苦労を受けとめてほしい。その上でアドバイスが欲しいという心の発露だと受けとめています。  子ども家庭支援センターでの一時預かりは、平成28年度に定員拡充をしておりますが、大変高い利用率となっております。お母さんたちが元気を取り戻せる、まずはこの一時預かりのさらなる拡充を望みますが、区はどのようにお考えでしょうか。お聞かせください。 ◎浜口 子育て支援課長 萩中児童館での一時預かり事業でございますが、放課後ひろば事業の拡充に伴い、学童保育が移行したスペースを活用して実施するものでございます。  児童館では、子育て中の親子が気軽に集い、相互交流をするファミリールーム事業や、子育ての不安・悩みを相談できる子育て相談事業など、地域子育て支援事業に力を入れており、これらの事業と組み合わせることで、より効果的に育児負担の軽減を図ることが期待できます。  今後も、子育て中の親子のニーズを受けとめ、小学校における放課後ひろば事業の取り組みを進めることで、児童館を活用した一時預かり事業を拡充してまいります。 ◆小峰 委員 よろしくお願いいたします。児童館の一時預かりの拡充とともに、預けやすい利用料金が求められていると思います。このたびの一時預かりの利用料も1時間900円と伺っております。お母さんたちからは、「少し預けても2時間はかかる。金銭的な負担が大きい」、「高い金額だから預けるのを我慢するしかない」との意見をよくお聞きします。ぜひ、一時預かり事業を活用していただくためにも、利用しやすい料金設定を望みますが、いかがでしょうか。区の見解をお伺いいたします。 ◎浜口 子育て支援課長 現在、区が行っている一時預かりの利用料金でございますが、こども家庭支援センターが行っている区内3か所の一時預かり事業については、1時間当たり900円の利用料をいただいております。また、一時預かりや保育園へのお迎えなど、様々な育児のお手伝いをお願いするファミリーサポート事業では、謝礼金として平日は800円、休日は900円に設定をしてございます。これらの現状を鑑み、萩中児童館における一時利用においては、900円とさせていただく予定となってございます。  委員お話しの利用料金でございますが、来年度の取り組みを通じ、利用者の声をしっかりと受けとめ、利用時間の区分設定や単価などについて改めて検証し、より使いやすい制度に向けて研究を進めてまいります。 ◆小峰 委員 育児負担の軽減は、本当に切実です。せっかくの区民に開かれた事業も利用しやすい料金設定でなくてはその意味を成し得ないと思っております。しっかりと検討していただきますことを強く要望いたします。  今後、鬱病疾患の中、頑張って子育てを行う保護者の方は増えてくると察します。グループワーク、認知行動療法なども取り入れ、参加しやすい鬱病の早期対策ができるような体制を要望いたします。  また、一時保育で子どもを預かっているときと並行して、リラックスヨガや軽い運動など、リフレッシュできるプログラムを用意することで、一時預かりの意味合いがより深くなると考えます。三重県名張市で行っている「まちの保健室」のように、ご近所の高齢者と触れ合う機会を設けることも再度提案させていただきます。  今後、産後ショートステイ、産後デイケア、また訪問看護なども必要になる時代になってくるとも思います。お母さん自身が自信を持って子育てできることで、のびのびと子どもが育っていくと思います。保育園とも連携し、柔軟に活用するなどして、地域で安心・安全の子育てがさらに拡充することを期待し、次の質問に移ります。
     次に、高齢者の社会参加について質問します。経済産業省は、平成29年3月に「生涯現役世代社会に向けた環境整備に関する検討会」と題して、事務局説明資料を公表しました。  今後、日本人の平均寿命が80歳以上へ延伸する中、高齢者が不安を感じてからも、安心して社会参画し続けられる環境づくりが必要とあります。高齢者が仕事などの社会的役割を得られることで、認知症や要介護状態の改善効果が期待できます。経済産業省は、仕事や役割の効果的な提供方法などについて、事業モデル確立を目指していると認識します。  その経済産業省の仕事つき高齢者住宅のモデル事業の提唱を受け、横浜市の社会福祉法人伸こう福祉会、大阪市の東レ株式会社は、入居者対象に野菜の生産や販売に携わってもらえるよう準備を進めているようです。東レ株式会社のトレファームは、適度な高さで腰をかがめずに農作業ができ、車椅子の方も作業できるという工夫を凝らしています。  タブレット資料1枚目をご覧ください。写真は、伸こう福祉会の介護つき有料老人ホームのものです。従来の農作業と違い、腰痛や膝の痛みに考慮した畑で土に触れられ、収穫でき、そしてトレファームは出荷した野菜は近くの大手スーパーで販売し、労働への報酬も検討しているようです。  また、自宅やサービスつき高齢者住宅で暮らし、デイサービスを利用している要支援2までの高齢者に対しては、比較的自立をしていることから、生涯学習などの講師や施設での調理補助などを想定しているそうです。  高齢者にとって、仕事や社会的役割の意味合いは大きく、生きがいにもつながり、生涯現役社会の実現は理想的なことであると考えます。国の高齢者に対する動向が、受け身から自発性を促す方向へとさらに大きく転換していると受けとめます。  本区の高齢者の方々も認知症カフェやシニアステーションに元気に積極的に参加をされています。しかし、気になるのが、私が参加した介護予防講座を振り返ったときに、女性の参加に対して男性の参加が大変少ないと実感しているところです。  男性は、社会と家の往復で地域の密着度が薄いと言われている昨今ですが、退職後、社会参加のないままですと孤立傾向が否めず、体力や筋力だけでなく、刺激のない生活での思考力の低下も懸念されます。筋力の低下一つとってみても、閉じこもりにつながっていく傾向があると言われています。本区の男性参加の実態をお尋ねいたします。 ◎長岡 福祉部副参事〔元気高齢者対策担当〕 高齢者の虚弱を意味するフレイルの先送りが、健康寿命の延伸につながり、フレイルを予防するためには、運動・栄養・社会参加が大切であると言われています。  これを受けて、区が平成28年度に実施した大田区シニアの健康長寿に向けた実態調査では、男性のフレイル該当率は27.6%と、女性の19.7%よりも高い数値を示しました。また、大田区シニアステーション事業のモデル地区である嶺町・田園調布地区において、平成29年11月から12月にかけてアンケートを実施したところ、シニアステーションの利用者の性別の内訳は、未回答者を除くと、男性20.3%、女性67.0%でした。  これらの現状を踏まえ、区では男性の社会参加を促進するため、男性向けの介護予防講座などを始めています。シニアステーション田園調布では、「田園調布Men‘s Club」を開催し、体操や懇親会に取り組んでいます。平成29年度は4月から1月までに計20回、延べ参加人数は278人です。  シニアステーション東嶺町では、「ダンディ東嶺町」を開催し、交流を図りながらエクササイズに取り組んでいます。平成29年度は4月から1月までに計19回、延べ参加人数は183人です。 ◆小峰 委員 様々取り組んでいただいているというお話、そして虚弱を意味するフレイルが女性より男性のほうが高いという数値を伺いました。  高齢者の男性が社会参加するきっかけとなる「出かけたくなるまちづくり」は難しいようですが、大阪府豊中市のあぐり塾では、被災していらした福島県の農家の方に手ほどきを受けて、あぐりファームを開設いたしました。私も以前、豊中市のコミュニティソーシャルワーカーとしてご活躍されている勝部麗子さんから直接お話を伺ったこともあり、このあぐりファームは、報道で拝見しましたが携わる方が全員男性で、「こんなに畑が楽しいと思わなかった」、「畑に来るのが楽しみ、収穫が楽しみで」と仲間同士で笑顔満開に語っておられた姿が印象的でした。  健康面でも、血圧や血糖値が改善したり、足腰が強くなった、ストレスが減ったという声が上がっているそうです。基地みたいな場所があって、自分たちで創意工夫ができれば、能動的な男性が増えていく。そして、仲間づくりと健康づくり、そして社会との接点が自然に増えていくと勝部さんは発信されております。  本区としても、文化センターなどで「男の料理教室」を開催し、好評であると伺っております。今後、本区として、高齢者の特に男性が何らかの役割が持てるような、また、これから高齢となる男性が活躍できるような取り組みが必要と考えます。平成30年度の取り組みと意気込みをお聞かせください。 ◎長岡 福祉部副参事〔元気高齢者対策担当〕 高齢者のフレイル予防のための運動・栄養・社会参加の取り組みを推進する上で、とりわけ男性に対しては、住みなれた地域の活動に参加して役割を担う、社会参加の機会を創出することが重要であると認識しています。  平成30年度は、地域デビュー応援講座と題して、18地区の日常生活圏域に出向いて、健康維持には運動・栄養に加えて、社会参加が大切であるという講演会を行い、各地域のシニア向け求人募集やシニアクラブ、NPO団体などの活動、また元気シニア・プロジェクトや地域包括支援センターの取り組みなどを紹介してまいります。  区は、シニアステーションなどで展開する介護予防講座においても、男性向け講座のさらなる充実を図るとともに、自主グループ活動を支援するなど、地域の支え合いの担い手として活躍できる機会を創出してまいります。 ◆小峰 委員 18地区の日常生活圏域に出向いていっていただく。本当にすばらしいことだと思います。高齢者を取り巻く疾患は、認知症に限らず、がんや糖尿病をはじめとする生活習慣病対策も健康を保つために取り組むべき分野です。予防には、環境が重要です。本人・家族の健康はもとより、医療費や要介護者の負担軽減も視野に入れ、お一人、お一人の力が発揮できるよう、受け身ではなく、積極的に参画できる数々の取り組みを要望し、次の質問に参ります。  最後に、認知症の発見、若年性認知症について質問いたします。国の認知症施策推進総合戦略、新オレンジプランでは、2025年には団塊の世代の方が75歳以上になる数は、約700万人と言われており、65歳以上の高齢者に至っては、5人に1人が認知症、またその疑いがある状況になると推測しています。このような状況に直面したとき、今まで誰も遭遇していない大きな社会問題ということを本区としてどう向き合っていくのか、大切な準備期間を迎え、進んでいるところだと思います。  本区としても、認知症を疾患される方は年々増え、要介護者は平成29年12月現在、3万1,934人と伺いました。認知症は、脳の疾患で早期発見をすれば日常生活の維持ができ、改善することも確認されていますが、物忘れが多くなったとしても、自分自身がここに向き合うことが非常に難しい状況です。  私の義理の母も本人が拒否をして、病院で見ていただくまでに1年かかりました。家族も年相応の物忘れか認知症によるものなのか判断がつかず、先延ばしにしてしまいがちですが、そうなると認知症が進行し、脳の萎縮が進みます。一度萎縮した脳は戻らないので、早期発見が大切であると実感しています。当事者の本人も含め、家族も悶々と悩む日々を重ねたことは確かです。認知症の知識が少しでもあれば、早目につなげることができると考えます。  社会保障費の対策問題もさることながら、認知症施策において、まずは認知症の理解を深めるための普及啓発、認知症の容体に応じた医療と介護、そして連携が重要となります。  本区の取り組みとして、認知症サポーター講座については、年間100回を超える開催を行い、講座受講者は2万4,000人を超えるという区民の理解の輪を広げております。  また、認知症の状態に応じた医療・介護などの提供としては、平成27年に私が提案させていただいた三医師会と連携した認知症健診事業があり、また三医師会が開発した、認知症アプリ活用のタブレット導入、そして新規事業として、我が会派の勝亦委員提案の「認知症高齢者グループホーム家賃等助成事業」などの支援があり、先駆的な本区の取り組みを評価しております。  国の新オレンジプランにおいては、認知症カフェや認知症初期集中支援チームの設置や、若年性認知症施策も挙げられております。私も何度か認知症カフェに参加しましたが、それぞれのところで趣向を凝らしており、利用者同士が支え合うという場面もあり、一緒に楽しい時間を過ごさせていただきました。  本区での、認知症カフェと認知症初期集中支援チームの取り組みの状況をお聞かせください。 ◎堀 高齢福祉課長 認知症カフェは、認知症の方の社会参加や地域交流、介護者の負担軽減を目的として、当事者である本人や家族が、地域の人や専門家と相互に情報共有し、理解し合う場として開催しております。  今年度、21か所全ての地域包括支援センターに、認知症カフェを開設し、地域の医師の講話や相談等、各センターが特色あるカフェを月1回程度実施しております。  また、認知症初期集中支援チームは、認知症の早期相談・早期診断・早期対応を目的として、平成28年度から開始しました。チームの活動は、医師会や認知症疾患医療センターの荏原病院と連携し、認知症サポート医の医師が地域包括支援センターの専門職とチームを組み、認知症の方の家庭訪問などを行います。今年度の活動件数は、現在、175回です。  区は、これらの事業を総合的に取り組み、認知症の方に優しい地域づくりを行ってまいります。 ◆小峰 委員 認知症サポート医の医師と地域包括支援センターの専門職がチームを組み、地域で活動をしていることは、悶々と悩んでいらっしゃるご家族、ご本人への力強いアウトリーチとして大きな効果を生んでいる認識します。検討委員会の発足により、2025年問題に向け、より拡充していくことを期待し、要望いたします。  次に、認知症の中では最も層が薄いのですが、若年性認知症のことについて質問いたします。65歳未満に発症した認知症を若年性認知症といい、老年期の認知症と比べ、当事者と家族では医療、ケア、就労、メンタルヘルス、家族とのきずな、経済に至るまでの支援が必要とされています。本人と家族のことをトータルサポートにより一体的に支援していくことが求められておりますが、現状では手つかずであるとの声も少なくありません。  タブレットの資料をおめくりください。原因は脳血管性認知症が一番多く、アルツハイマー病、そして頭部外傷後遺症と続きます。東京都福祉保健局が実施した、東京都若年性認知症生活実態調査によると、家族が抱える不安は、介護生活がこれからどのくらい続くのか先が見えないというものが7割に該当し、介護者自身の精神的ストレスの不安が強くなったり、健康や体力が厳しくなってきたと感じる人が5割という結果を公表しています。  さらに、男性が若年性認知症を発症した場合、経済的な困難も招きやすく、また、職場などで「会議の約束をしたこと自体覚えていない」「同僚の名前がわからない」「取引先や目的の場所につけない」と本人の生活自体が焦燥感、やり場のない怒り、イライラ感などで心理的な苦痛が負の感情として蓄積されるという状態になるそうです。仕事を続けることが難しい状態になることも容易に考えられます。  子どもの影響も大きく、親の変化や様子を受け入れられず、精神的なダメージを受けたり、経済的な問題で進学を諦めなければならないケースもあるそうです。  治療の時期を逃してしまうと自殺などの結果を招いてしまうこともありますが、早期発見で就労期間を延ばし、周囲の理解があれば、職場での混乱を回避できる可能性もあると言われております。  昨日のNHKの番組で若性認知症の方自身が出演されていて、仲間と乗り越えて、そして認知症の施設にボランティアに行って、その認知症の方の声を代弁するという、生き生きした活躍の姿をテレビで放映されており、私自身、現場で介護職で、例えば夏の暑いときに認知症の方が厚着をする、重ね着をするのは、皮膚疾患があるからだと思って、勉強してそのように思っていたのですが、その若年性認知症の方が高齢者の認知症の横に座って寄り添うように、不安だから厚着したくなるのだよ、暖かくなると安心するのだよということをおっしゃっていたと記憶しております。  認知症になったことで終わりのイメージがあるけれども、認知症になったときが勝負という、番組で紹介されていたこの言葉に全てが凝縮されていると思いますけれども、現存する脳の機能を信じて、そこを発揮していくという、このお姿を拝見したときに、時間を重ねるたびに感動が湧いてきております。  若年性認知症の取り組みの強化を、平成28第1回定例会で、我が会派、岡元議員が質問をいたしました。その後の取り組みの状況については、どのように検討しているかお尋ねいたします。 ◎堀 高齢福祉課長 若年性認知症の方への支援を進めるためには、医療機関につなげることをはじめ、福祉サービス、就労支援、見守り等、症状に応じ、本人や家族が抱える複合的な課題に、適切に対応する必要があると認識しております。  取り組み状況としては、現在、次期おおた高齢者施策推進プラン案において、認知症施策の推進を重点項目に掲げ、若年性認知症への支援を新規事業に位置づけております。  お話のとおり、若年性認知症の方の状態や環境に応じて、ご家族の負担にも配慮し、今後の生活の相談、居場所づくりなど、様々な分野にわたる支援を総合的に対応できる仕組みを目指し、サービスの実施と相談体制の準備を進めていきます。 ◆小峰 委員 東京都も、若年性認知症総合支援センターの2か所目の開設をいたしました。本区として、若年性認知症の支援を新規事業に位置づけるとともに、認知症対応型通所介護、いわゆるデイサービス、デイケアや居場所づくりなどの、そのような検討をされると伺いました。この取り組みを高く評価しております。  大変わかりやすいガイドブックが青森県で発刊されています。「若年性認知症支援ガイドブック〜若年性認知症とその家族の支援のために〜」というものがPDFで印刷もできるようになっています。  本区でも、若年性認知症のチラシやパンフレットなどをつくり、症状と思われる具体的な内容、障がい福祉サービス、経済的支援、成年後見制度などを盛り込んだものにして配布できるよう、本人、家族が少しでも不安を感じることがないような支援体制を要望いたします。  認知症支援の先駆を切る本区の取り組みに大いに期待し、質問を終わります。 ○深川 委員長 次に、椿委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可し、タブレット型端末に配信いたしましたので、ご了承願います。 ◆椿 委員 大田区議会公明党の椿真一です。通告に従い、順次質問をさせていただきます。理事者におかれましては、明快な答弁をお願いいたします。  平成30年度大田区予算案概要58、59ページの、医療的ケア児・者とその家族に対する支援について質問します。  昨年は自民党の押見委員が、我が会派からは、今定例会の一般質問において玉川議員が、予算特別委員会において広川委員からも質問がありましたが、今後も増加する医療的ケア児やその家族を取り巻く環境の整備と充実、そして将来に向けた地域における支援体制の確立は、ますます重要と考えます。  様々な理由により、超未熟児や生まれながら疾病を持つ新生児など以前は出産直後に亡くなっていた命も、新生児医療の技術や医療機器の発展に伴い、救われる命が増えてきました。2015年度、19歳以下の医療的ケア児は全国で約1万7,000人、10年前と比べ、1.8倍、約2倍となっています。  身近なところでは、慶応大学病院において、体重265グラムで生まれた女の子の赤ちゃんが助かった例もあります。ベテランの看護師による24時間体制の手厚い看護のもと順調に育ち、約1年後には退院されたそうです。  しかし、問題はその後の支援であります。病院のNICUは限られているわけですから、症状が安定してくると次に生まれてくる新生児のため、ベッド数の不足などを理由に病院から退院を迫られます。退院したその瞬間から、家族による24時間の看護、とりわけ母親には大きく負担がかかっているのが現状です。残念なことですが、今までは地域における医療的ケア児やその家族に対する支援が追いついていなかったと言わざるを得ませんでした。  しかし、本区においては、平成30年度予算案の中で、新規の重点事業として医療的ケア児とその家族に対する支援が盛り込まれ、現在、増築工事中の障がい者総合サポートセンターさぽーとぴあ2期工事の整備後は、医療的ケアを必要とする重症心身障がい児・者の利用を中心とする短期入所事業をはじめとした、区立保育園2園における医療的ケア児の受け入れ、また、地域の特性にあった支援の充実のため、保健・医療・福祉等の関連分野の支援機関の横断的な協議の場としての(仮称)医療的ケア児・者支援関係機関会議の設置など、合計5項目にわたる事業の拡充に取り組んでいただく予定です。  医療的ケア児やそのご家族にとって、どれほど待ち望んだことでしょうか。ありがとうございます。誰もが安心して子育てができる環境整備の、大きな前進として高く評価したいと考えます。  タブレット資料をご覧ください。本年1月13日、土曜日、川崎市のラゾーナ川崎プラザソルで、一般財団法人「重い病気を持つ子どもと家族を支える財団」主催によります「医療的ケア児と家族の主張コンクール」が開催されました。会場では、周囲の理解が遅々として進まない状況や不十分な支援制度のもと、子どものケア生活に疲れ「逃げ出したい。この子の命が短命なら」と自分の子の死を望み、そんな自分を責める心の葛藤など、日々、我が子の医療的ケアに追われる心境を訴えられました。  コンクールでは、全国から応募された23作品のうち、事前審査で選ばれた10組のご本人やそのご家族が、必死に生きる日常生活や未来への希望を発表され、その中で見事グランプリを受賞したのが、本区在住の都立特別支援学校に通うKさんの「医療的ケアとぼくの想い」でした。  Kさんは約1,200グラムの低体重で生まれ、慢性疾患と難病が重複し、胃ろうや導尿、中心静脈栄養などが必要な中、ご家族の働きかけや学校の協力のもと、小中学校を区立の通常学級で過ごした経験に触れ、校外学習では友人が一緒にトイレに行ってくれ、移動の介助もしてくれたそうです。仲間とはいろんなことを相談した、ケンカもした。仲間を知らなければ、自宅や病院だけで毎日を過ごしていたと振り返られ、仲間に本当にありがとうと言いたいと、通常学級に行ったことがどれほどKさんにとって充実していたかがうかがえます。また、将来は理系大学に進学し、難病に苦しむ人を救うため、細胞の研究者になりたいそうです。  義務教育では、法律が居場所を守ってくれた。しかし、高校や大学への進学・就職はそうはいかない。将来の夢を話せることが僕たちにとってどんなにすばらしいことかを想像してほしい。医療的ケアがあることで希望が失われることは悲しい。僕には将来のモデルがいない。僕たちが将来を考え、夢を話せるよう選択肢が欲しいと切実に訴えられたのが印象的でした。  また、そのほかにも、医療的ケア児であるために保育所を断られ続け、精神的に追い詰められたお母さんの体験や、小学校入学に向けての不安な心境、入学の条件に保護者の付き添いを求められることが多いなど、医療的ケアができる看護師の配置支援など訴えられました。  Kさんの場合、小中学校も含めて、今通っている特別支援学校高等部においても、お母さんが付き添われているのが現状です。小中学校への看護師の配置に関して、看護師がいれば、原則は親の付き添いはいなくてもいいということになっていますが、ほとんどの場合は、親が付き添っているのが現実です。  親の付き添いが通常学級への入学の条件であれば、今回の厚労省が発表した看護師の報酬などを改善し、看護師の配置を推進しても、家族に対する支援としてはあまり改善になっていないのではないかとも考えます。親が付き添わなくても、友達と一緒に学べる環境を整えてあげるのも重要です。  質問します。医師会やさぽーとぴあとの連携により、区立小中学校へ看護師を必要に応じて配置し、学校内で親が付き添わなくていい環境を整えることは重要ではないでしょうか。本区の見解をお聞かせください。 ◎杉山 学務課長 医学の進歩により、多少の医療的ケアがあれば、通常の学級に就学することが可能な子どもたちが増えてきていると感じております。  平成30年度予算案においては、これらの子どもたちの受け入れを想定して、看護師を学校内に配置するための予算を計上させていただいております。  区立小中学校の学校生活において、医療機関並みの医療的ケアを実施することは困難ですが、ケアの必要なお子様の就学希望があった場合には、お子様の状況や抱えている不安等を丁寧に聞き取って、関係機関との連携や様々な社会資源の活用も視野に入れながら、可能な範囲で受け入れを図ってまいりたいと考えております。 ◆椿 委員 よろしくお願いします。  次に、区立保育園における医療的ケア児の受け入れについて伺います。  平成30年度はモデル事業として、たんの吸引、経管栄養、導尿の3ケアを区立直営の2園で行っていただくとのこと、重ねてお礼申し上げます。ありがとうございます。  しかし、それ以外にも人工呼吸器など医療的ケア児はおられます。今回の3ケア以外のご家族にとっては、置いてきぼりになったような誤解をされないように、将来の展望を示していくのも大切と考えます。  質問です。人工呼吸器など、その他の医療的ケア児に対する今後の見解をお聞かせください。 ◎白根 保育サービス課長 平成30年度につきましては、集団保育に支障がなく他の自治体でも行われている、たんの吸引など三つのケアにつきまして、看護師の実地研修により十分な知識と経験を蓄えるとともに、関係機関との連携等を行うことにより、本格実施に向けた確実な受入態勢を構築してまいります。  また、将来に向けましては、区内18の区立拠点園であれば、どこでも受け入れ可能な体制を目指しております。  なお、人工呼吸器などその他の医療的ケアにつきましては、まず、モデル実施となる3ケアでの実績を積んでいきたいと考えておりますが、委員のご要望も受けとめつつ、安全性と集団保育をどのように確保していくか、専門家のご意見も伺いながら、今後の検討課題としてまいります。 ◆椿 委員 よろしくお願いします。  昨年、医療的ケア児の専門保育所を運営している認定法人を視察させていただきました。やはり、そういった団体は、現場で培った多くのノウハウを持っておられます。先ほど紹介した2月5日付の厚労省発表は、こういった民間団体の施設運営が安定していくよう積極的に予算づけされたようにも見られますし、こういった民間団体の活躍も期待しているのではないでしょうか。  質問します。本区の医療的ケア児は、推定80人と伺っております。そのうち、幼児が何人いるかは定かではありません。今回、講じる医療的ケア児の受け入れ先の一つとして区立保育園2園におけるモデル事業は開始されますが、量的な不足はあると考えます。また、医療的ケア児に必要な支援の状況は、個々に異なります。区は今年度、次期3か年計画である、おおた障がい施策推進プランを策定中ですが、こうした主に幼児期の医療的ケア児の支援等について、今後の取り組みをお聞かせください ◎酒井 障害福祉課長 次期おおた障がい施策推進プランの作成にあたり、国から基本指針が示され、その一つに、医療的ケアを必要とする重症心身障がい児も利用できる児童発達支援事業所等の整備目標があります。  区としては、医療的ケア児の支援にかかわる関係機関の連携を図るなどの協議の場の設置に加え、主に幼児期の医療的ケアを必要とする重症心身障がい児等に、日常生活における基本的な動作の習得や集団生活への適応力を高める支援をする、児童発達支援事業所並びに学齢期の放課後等に、生活能力の向上のための支援を行う放課後等デイサービス事業所を新たに1か所以上の整備を目標に設定しております。区としては、これらの取り組みを推進してまいります。 ◆椿 委員 次に、医療的ケア児の卒業後について伺います。  先日、Kさんが通う都立特別支援学校の校長と様々な角度から地元の支援として何が必要なのか、何ができるのか、お話させていただきました。その中の一つで、卒業後の居場所についての話題となり、本区においては、都立北療育医療センター城南分園と区立大田生活実習所で受け入れることとなっていますが、当然施設には定員があり、入れなかった方々は結局自宅での介護となるしかないのかという結論になりました。来年度の報酬改定では、医療的ケア児・者に対する支援の充実がなされていると聞いています。区としてこうした報酬改定等を活用し、学校卒業後の居場所づくりを支援することも重要と考えます。  質問です。卒業後の医療的ケア者やその家族に対する支援を、本区としてどのように考えておられるのでしょうか、お聞かせください。 ◎酒井 障害福祉課長 次期おおた障がい施策推進プランでは、「障がい者が地域で自分らしく安心して暮らせるまちをつくります」を基本理念として、各種の施策を進めてまいります。  施策を進めるにあたり、取り組みの横断的な視点を3点設定しております。その一つに、生涯を通じた切れ目のない支援を位置づけております。  生まれたときから入学、就労等の人生のそれぞれの節目における時期の切れ目のない支援に加え、障がい者と介護を担う家族等の複合的な課題を支援する、分野を超えた切れ目のない支援を進めることが重要と認識しております。  そのためには、委員のお話にある医療的ケア児が学校を卒業した後の、青年期等の支援拠点となる基盤の整備も重要であると考えております。  区としては、今回の障害福祉サービスの報酬改定の内容及び東京都との連携等を含め、様々な方策を検討してまいります。 ◆椿 委員 よろしくお願いします。今から始まる事業について、いろいろ質問をさせていただきましたが、やはり弱い立場の人々が暮らしやすいというのは、そのまち全体が暮らしやすいまちかどうかの指標となると思います。  本区が名実ともに「暮らしてよし、訪れてよし、地域力あふれる国際都市おおた」となることを願い、質問を終わらせていただきます。 ◆末安 委員 大田区議会公明党の末安広明です。認証保育所保護者負担軽減補助金制度について伺います。  今年度から、補助金制度については、都の補助金も活用することによりまして、大きく拡充されました。具体的には、世帯の所得に応じて四つの区分に分かれ、月額1万3,000円から4万円の補助が行われております。該当の保護者の皆様からは、多くの喜びの声をいただいております。  認可保育園の保育料は、応能負担の考えに基づき、世帯の所得により保育料に階層が設けられております。一方、認証保育所の保育料は、定額制で応益負担となっております。これらの均衡を図るため、所得に応じて補助が行われる認証保育所保護者負担軽減補助金が大変重要となります。そこでお尋ねします。  現在の補助金の支給方法を、改めてお知らせください。 ◎間 保育サービス推進担当課長 補助金の支給につきましては、区が、保護者からの申請を受け付け、支給の可否を審査いたします。  審査にあたりましては、保育料の支払い状況や在園状況を調査するとともに、補助金額の区分を決定するために、区民税課税情報の確認を行っております。  支給のタイミングでございますが、現在は年2回でありまして、4月から9月までの前期分を10月の末日までに、10月から翌年3月までの後期分を4月末日までに、対象の保護者の金融機関口座に直接入金をしております。 ◆末安 委員 ご説明いただいたとおり、現状では半年置きに6か月分が支給されております。月額4万円の方では、半年分で24万円になります。補助金の増額については、家計の負担を大きく軽減するものですが、低所得者の方であればあるほど、その金額を一定期間、立てかえなければならないことは、家計に対して大きな負担になっていると言えます。  保育園に入園して、初めて受け取ることができるのは10月末となります。また、特に卒園などが絡む年次においては、次の入学準備にかかる費用などの負担も発生し、4月末の入金というのでは、大変なご負担になると思われます。
     例えば、お隣の品川区や世田谷区では、年4回に分けて支給をされております。4月から6月の3か月分を8月中旬に、7月から9月分を11月中旬にといった具合です。こちらの方が、家計の負担をより緩和する仕組みであると言えます。  昨年度の予算特別委員会の款別質疑の折にも、我が会派の岡元委員からこの補助制度の支給方法について提案をさせていただきましたが、改めて要望したいと思います。  本区においても、認証保育所保護者負担軽減補助金について、支給回数を年2回から4回程度に増やしていくことを提案したいと思いますが、いかがでしょうか。 ◎間 保育サービス推進担当課長 認証保育所は、0歳児預かり、長時間保育、駅近くの立地、特色ある保育内容等、大都市の保育ニーズに応えることを目的としており、現在、約1,500名を超える利用がございます。  認証保育所の保育料は、利用者の所得の多寡にかかわらず定額であり、低所得の世帯ほど家計への負担が大きくなることから、区はこれまで、認証保育所を利用する保護者への補助金について、所得に応じた補助金額区分の設定、所得制限の導入、補助額の増額等の見直し・拡充を行ってまいりました。  今回、委員ご提案の、支給回数を増やすということにつきましても、対象となるご家庭の経済的負担の軽減につながるものと考えますので、実施に向けて具体的な事務手続等を検討してまいります。  今後も利用者に寄り添った補助制度の充実に努めてまいりたいと考えてございます。 ◆末安 委員 仕事と子育てを両立しながら、日々奮闘するお母さんにとって、本区が提供するサービスを、一歩ずつでも寄り添い型の支援に見直していくことは、何よりのエールにつながるのではないでしょうか。  一日も早く、実現していただくようお願いをし、質問を終わります。 ○深川 委員長 以上で、第3款福祉費の審査を終結いたします。  第4款衛生費の審査を行います。  理事者の説明を求めます。 ◎谷口 財政課長 それでは、事項別明細書170ページをご覧ください。  第4款衛生費のご説明でございます。本年度、衛生費は82億9,186万円で、5億1,128万5,000円の減です。第1項保健衛生費は、款と同額でございます。  第1目保健衛生総務費、本年度23億7,029万3,000円で、1億6,520万8,000円の減です。主なものは、右側171ページ、7番、大森赤十字病院改築支援で2億5,000万円の減です。  172ページでございます。第2目感染症予防費、本年度19億59万3,000円で、1億677万円の減です。主なものは、右側173ページ、1番、予防接種の(1)乳幼児等予防接種で、1億697万円の減です。  174ページでございます。第3目生活習慣病予防費、本年度19億5,230万1,000円で、1億3,593万8,000円の減です。主なものは、右側175ページ、2番、健康診査の(1)基本健康審査で7,675万7,000円の減です。  176ページでございます。第4目母子保健費、本年度9億3,829万5,000円で、9,530万7,000円の減です。主なものは、右側177ページ、1番、母子保健指導の(4)すこやか赤ちゃん訪問(新生児・産婦訪問指導)で、9,790万9,000円の減です。  178ページでございます。第5目公害健康被害補償費、本年度10億4,350万円で、1,549万1,000円の減です。  180ページでございます。第6目環境衛生費、本年度3,470万7,000円で、543万1,000円の増です。  第7目食品衛生費、本年度2,652万9,000円で、42万円の増です。  第8目動物愛護費、本年度2,564万2,000円で、157万8,000円の増です。  第4款衛生費の説明は以上でございます。 ○深川 委員長 この款には、自民、公明から、質疑の通知がありますので、順次、これを許します。  それでは、質疑に入ります。  自民、質疑願います。 ◆押見 委員 自民党の押見隆太でございます。自民党からは、衛生費に関する質疑は私1人ですが、区政をよりよくするための質疑を行いたいと思います。  衛生費というと、ちょうど民泊新法の受け付けが明後日から始まるということで、各マンションの管理組合は臨時総会とかを開いて、大変だったと思います。そういう意味で、この民泊の質問もいいかと思ったのですけれども、今回は保健衛生、感染症対策について質問をさせていただきます。  国や都の方針が大きくかかわっている事案が多いので、ちょっと微妙な答弁が多くなることは覚悟しておりますが、社会問題として重要ですので、質問をさせていただきます。  まずは、この議会でも多く議論されておりました、子宮頸がんワクチンについてお聞きをいたします。私は、先月2月4日で44歳になったのですが、この年になると周りにも大病を患う友人が結構出てきています。その中でも女性は子宮に関する病気というか子宮に関するがんが本当に多いです。男性ですが、議員として非常に考えさせられることが多いこの問題についてお聞きします。  大田区議会でも、かなり話題に上ることが多かったこの子宮頸がんワクチン、別名HPVワクチンですが、一時期約70%に上っていた子宮頸がんワクチンの接種率が、現在は約1%未満まで低下をしております。大田区でも、来年度予算では40人分の予算しか確保していないのが現状です。  子宮頸がんワクチンについては、2011年に公的補助が開始され、2013年4月には、小学校6年生から高校1年生までの女子を対象にした定期接種となりました。接種率70%のころです。  ところが、ワクチンを打った少女の親たちから、けいれんや記憶力低下など神経の異常を思わせる症状が出たとの訴えが相次ぎ、国はわずか2か月で積極的な接種の推奨を見合わせることとなりました。この薬害問題は、国や製薬会社を相手取った国家損害賠償請求訴訟にまで発展をしております。区議会でも、この問題を捉えた質問が出たのを記憶しております。  こういった厳しい流れの中ですが、一方で多くの専門家は、「ワクチン接種によって起きたとは考えにくいものも含まれている」との見解を持っていて、ワクチンがそれらの症状の原因だというエビデンスは確証されておりません。  厚生労働省も、今年1月になって子宮頸がんワクチンについてのパンフレットを一新し、その中には、接種後の疝痛、しびれなどの慢性的な症状について、「機能性身体症状であると考えられています」と述べられ、「接種後1か月以上経過してから発症している人は、接種との因果関係を疑う根拠に乏しい」と専門家によって評価されていますとして、HPVワクチン接種歴のない方においても、HPVワクチン接種後の報告されている症状と同様の多様な症状を有する方が、一定数存在したことが明らかとなっていますという否定的な表現が盛り込まれたパンフレットとなりました。  厚生労働省が、こういった子宮頸がんワクチンの安全性を示す内容が盛り込まれたパンフレットを出すきっかけとなったのは、昨年11月に有名な論文誌でもあるイギリスのネイチャー誌が主催する「ジョン・マドックス賞」を医師でジャーナリストの村中璃子さんが受賞され、子宮頸がんワクチンの安全性について発信してきた功績が認められたものです。  子宮頸がんワクチンの安全性については、薬害問題と一斉に騒ぎ立てたマスコミは、今回の受賞に関しての報道はしばらくたってからのことでした。  るる述べさせていただきましたが、この子宮頸がんワクチンが今ある様々ながんの中で、唯一がんの発症が防げるワクチンだということ。一説には子宮頸がんを80%防げると言われているワクチンで、ワクチン接種の有効性を証明するエビデンスは積み上がっていて、WHOからも接種を再開すべきだと提言をされています。  そして、子宮頸がんにかかる方が、年間3万人弱、そして約3,000人が毎年亡くなっています。子宮頸がんワクチン接種が、このような状況が続くことは、本来救えるはずだった命や子宮が救えないことでもあります。  村中璃子さんは受賞スピーチの中で、この子宮頸がんワクチンの安全性の感情的ともとれる報道の中で、国家賠償請求訴訟が終わるまでに、子宮頸がんによって10万個の子宮が失われるかもしれないと訴えております。  そこで質問します。年間3,000人の命を救え、10万個の子宮を救える子宮頸がんワクチンの接種の有効性を訴えていくことは重要だと考えますが、大田区としての所見を伺います。 ◎高橋 感染症対策課長 子宮頸がんの原因としてヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染が挙げられており、ワクチンによって、ウイルスの感染を防ぐことで子宮頸がんを予防できると考えられています。  平成25年6月からは国の通知を受けて、大田区でも区民へ個別に通知するなど、積極的な勧奨を差し控えており、現在も、差し控えの状況が続いております。  件数は多くはありませんが、個別にお問い合わせをいただくことはあり、ワクチンの有効性やリスクを説明した上で、接種を希望される方については予防接種を受けられる予診票を発行している状況です。大田区のホームページでも、接種を希望される方には個別対応している旨、周知しており、今後も国の動きに合わせて、対応してまいります。 ◆押見 委員 まずは、実際、症状に苦しんでいる少女たちが、まだいるのは事実でございますので、引き続きしっかりとフォローできる体制を整え、潮目が再度変わってきている子宮頸がんワクチンには、より一層の注視を行うとともに、行政としてどうすることが一番重要なのかをよく考えていただきたいと要望させていただきます。  次に、HIV検査についてお聞きをいたします。この10年間のHIV検査の区内での受診者数を見てみますと、実は、私、結構、事項別明細書で受診者数とかを見ていると、ずっと減少傾向が続いてきていたと思っていたのですが、実はここ数年、増加傾向に転じております。この傾向を区としては、どのように捉えているのか、教えてください。 ◎高橋 感染症対策課長 大田区では、月2回のHIV・性感染症検査を無料・匿名で実施しており、平成27年度の検査件数は253件でしたが、28年度は283件、29年度は2月末時点での集計で359件と受検者数は増加しています。また、平成27年度より年1回、結果が1時間程度で判明するHIV即日検査を開始しており、29年度は年2回実施し、こちらも受検者数の増加を認めております。  以前は、各地域庁舎で実施しておりましたが、平成27年度から蒲田地域庁舎にて実施しており、大田区での検査実施体制が広く知られるようになったものと考えております。また、大田区での毎月の検査では、HIVに加えて、梅毒、クラミジア、B型肝炎検査も受けられるため、受検者数の増加につながっていると考えております。 ◆押見 委員 以前は、やはり各地域庁舎でやっていたときは、1週間ぐらい前までに予約して、受診して、それで2週間後ぐらいにまた回答が来て、それを平日にやるものですから、なかなか随分受けづらい検査だと思っていたのですが、今は年に2回、即日でやって、予約も基本はしていただきたいのだけど、しなくても受けられるということで、非常にいい取り組みで、そういったのが数字の上昇につながっているのかなとは思います。  ただ、大田区は即日のHIV検査はやるけど、梅毒のほうは検査ができないということなので、他区では即日の梅毒検査をやっていたり、必ず毎月、第何何曜日のいついつですと、それを絶対ずらさないようにやって、受検者というのですね、受検者数がかなり高い数字でキープしているような区も見受けられます。  まだ、事例等、様々なことが私ども大田区でもできることがありますし、これからまた検査の受検者を増やす余地がある施策だと思っております。  質問します。他区では受検者数を高い数値でキープしている区も見受けられます。区としてもより多くの潜在的な受検者を掘り起こし、この高い伸び率を維持すべきだと考えますが、いかがでしょうか。 ◎高橋 感染症対策課長 受検者数の多い保健所には、受検者側のメリットとして、事前の予約なく検査が受けられること、その日のうちに結果がわかるHIV即日検査が受けられること、交通の便がよいことなどが挙げられると考えております。  大田区でも、HIV即日検査については、平成29年度より年2回の実施とし、ツイッターやホームページ、デジタルサイネージ等を使用して積極的に周知を行っております。また、12月1日の世界エイズデーに合わせて、蒲田駅でのチラシ配布や、成人のつどいにおいてもパンフレット配布を行っており、今後もHIV検査の普及啓発を継続してまいります。 ◆押見 委員 本当に、HIV検査は受検者数が増えて悪いことではないと思いますので、より一層頑張っていただきたいと要望をさせていただきます。  次に、ぜんそくについて質問をいたします。  まず、皆さん、大田区ではぜんそくの医療費が無料なのをご存じでしょうか。実は、大田区というか、東京都全体でぜんそくの医療費が無料でありまして、実は先月の健康福祉委員会でも報告をされて、委員会のメンバーの方は既にご存じかと思うのですけれども、何でぜんそくの医療費が無料かといいますと、ずっと東京都の大気汚染訴訟というのをやっておりまして、それが10年程度前、東京高裁の和解勧告を受けて、国とか都とか自動車メーカーがお金を出し合って基金をつくって、そのおかげで平成20年からぜんそくの医療費が無料でございました。審査を受けて合格した人、マル都の医療証という緑の医療証だったと思うのですけれども、それを持ってきた方が無料でございました。  これが、実はこの4月から有料化になりまして、月額6,000円までは自己負担、それを超えた分は補助を出していただけるということなのですけれども、基本的に今、ぜんそくの医療費というのは、よっぽど重篤ではない方の限り、月6,000円以下でおさまってしまうということで、ほとんど今までの無料化から全額自己負担みたいな状況になってしまいます。  これはちょっと、正直、すごい乱暴な部分もあるのかなとは思うのですけれども、都で実はこれも3年前、平成27年度に決まっておりまして、既に私ども自民党でもこの条例の改正に賛成していることなので、あんまり厳しくは言えない部分もあるのですけれども、やはりもうちょっと200億円の原資があって、ぜんそく医療費をどうこうするのであれば、いろいろなやり方がもう少しあったのかなと個人的には思います。  やはりお金に苦しい人たちは、今までの無料化から月々6,000円までの自己負担になってしまうというのは、大変厳しいことであると思います。私も本当は、平成26年第3回定例会の都議会に条例の改正(案)が出されていたみたいなのですけれども、もう少しこの時点で、物事を言っておけばよかったのですけれども、ぜんそくの人たちというのは、まだまだ大田区でも多いのが現状でして、このぜんそく無料化の医療券を持っていた方が約5,000人弱ぐらいいるということなので、しっかりとフォローを引き続きしていただきたいと思います。  ぜんそくについて1問、質問させていただきたいと思います。こういったような気管支ぜんそく等の疾患は、長期的に日常生活へ影響を及ぼすことが多いです。気管支ぜんそく等にり患した方が重症化の予防や症状の軽減を図り、生活の質の向上を図れるよう、区はどのような取り組みを行っていますでしょうか、お答えください。 ◎白川 健康医療政策課長 区は、気管支ぜんそく等にり患した方を対象に、発症の予防や健康の保持増進を図ることを目的とした水泳教室や講習会などを行っています。  講習会では、正しい知識やスキルを学び、適切な自己管理を継続できるよう、呼吸体操や音楽療法を実施するとともに、参加者の要望を取り入れ、食物アレルギーへの対応などもテーマとしてきました。  引き続き、こうした取り組みや保健師による個別相談を行うとともに、ぜんそく等のアレルギー疾患の発症や重症化を予防するための知識について広く普及してまいります。 ◆押見 委員 音楽療法と今、ご答弁がございました。多分、音楽を聞くのではなくて、歌を歌ったりして呼吸を整えていくのかなと、非常におもしろい施策だと思いますので、また細かく教えていただけたらと思っております。  平成27年12月には、アレルギー疾患対策基本法というのが施行されました。区でのこれからのぜんそく対策やアレルギー対策をしっかりやっていただくことを期待いたします。  最後に、毎度恒例なのですけど、分娩施設の質問をさせていただきます。  大田区の分娩施設の危機的状況につきまして、私が常に訴えております、分娩施設の増加。特に荏原病院1か所しかない調布地区と、1か所も分娩する場所がなくなってしまった蒲田地区ですが、来年度予算において、産科医療施設整備費補助として3,524万円計上されております。詳細について教えてください。 ◎早田 健康政策部副参事〔保健医療担当〕 大田区周産期医療緊急対策事業は、区民が安心して子どもを産み育てられる環境の整備ために、新たに分娩施設を開設、または再開など、分娩機能の拡充を図る医療機関に対して補助金を交付するものでございます。  この事業は緊急対策として、平成22年から5年間の実施予定でございましたが、区民が安心して産み育てられる環境の整備の必要性から延長したところでございます。  このたび、医療機関の整備状況に応じた補助とすることができるように要綱を見直しまして、平成30年度より施行する予定でございます。  平成30年度、10年以上分娩を休止しておりました医療機関が、分娩を再開する予定であるため、予算案に3,524万円を計上いたしました。引き続き、区民が安心して産み育てられる環境を整える支援に努めてまいります。 ◆押見 委員 うれしいご報告でして、10年以上、休止したところが、また再開するということで、しっかりとやはり助成金を出せるところは出していっていただきたいと思いますし、蒲田地区にもどんどん分娩施設をつくっていただきたいと思います。要望します。  以上で終わります。 ○深川 委員長 会議が長時間にわたりましたので、しばらく休憩いたします。                午後2時42分休憩                午後3時05分再開 ○玉川 副委員長 ただいまから、予算特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、第4款衛生費の質疑を続けます。  公明の質疑に入りますが、椿委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可し、タブレット型端末に配信いたしましたので、ご了承願います。  公明、質疑願います。 ◆椿 委員 大田区議会公明党の椿真一です。通告に従い、順次質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  平成30年度事項別明細書、第4款衛生費の保健衛生費、ひきこもり支援について質問いたします。  昨年の第1回定例会の一般質問において、自民党の岸田議員も質問しておられましたが、来年度の内閣府の予算で新たな動きがありましたので再度質問をさせていただきます。ひきこもり問題は、両親の亡き後、社会的負担の増大や、改善後の産業人口増加につながることから、以前より地域社会全体で対応すべき課題と言われていました。  また、本人はもとより、家族まで地元地域との関係が乏しい場合も多く、その実態は十分に把握されていない状況です。悲しいことですが、高齢者の場合、誰にも相談できず、ひっそりと暮らし、地域の中に埋もれたまま孤独死を迎えるニュースも後を絶ちません。  従来、ひきこもり問題は不登校から至るような、主に思春期や青年の問題とされてきましたが、今では40代以上の方々も少なくありません。私も相談をいただいた、20代から50代までの方々へ訪問支援活動をさせていただいておりますが、高齢になるに従い、ご本人やご家族の悩みはますます深刻になっています。中には家庭内暴力や自殺未遂など、事件に発展するケースもあり、さらなる支援の充実・強化をお願いしたいと思います。  2015年、15歳から39歳までを対象とした内閣府が行った調査結果によりますと、全国のひきこもりの方は推計で約54万1,000人と発表されました。また、ひきこもりの期間については、前回の調査2010年においては7年以上が16.9%であったのに対し、2015年の調査では34.7%と倍以上に増え、ひきこもりの長期化が重い問題として表面化してきました。  ひきこもり状態になった方々は、周囲からのサポートを受けにくいだけでなく、本人や家族からも支援を求めることも少なく、どこからも何も支援を受けていないという方は全体の4割から5割おられるとのことです。  また、社会の主体者として、中心的な役割を担っていただく年代の方が、こうした状況に陥っています。さらに申しますと、40歳以上の方々まで含めた人数は掌握できておりません。KHJ全国ひきこもり家族会連合会の話では、全国で推定100万人以上いるとも伺いました。  大人のひきこもり、その実態がよくわからないという状況の中、平成25年9月に山形県が、平成26年3月に島根県が、独自で地域の実情に詳しい民生委員・児童委員に対しアンケートを行い、ひきこもり等に関する実態調査報告書を発表しました。タブレット資料をご覧ください。  ひきこもり全体に対する40歳以上の割合は、山形県では46.8%、ほぼ半分、島根県では39.3%、ほぼ4割の方々の存在が明確になっています。また、注目は、最も多い年齢層が内閣府の調査で見えなかった30代から50代でありました。こういった独自の調査結果を重く受けとめ、多くの自治体が調査を開始、または調査結果をホームページで公表し、医療支援や就労支援など、その人に合った具体的な支援につないでいます。  このような事例のきっかけとなったのが秋田県の藤里町です。その取り組みの特徴は、まず町内のひきこもりの方の全体像を明らかにしたということであります。具体的には、対象者の家庭を協議会の職員が地道に訪問し、3年間かけて、本人、家族と面談を行い、ひきこもりの方全ての状況を調査されました。  また、本人の希望に応じた多様な就労の支援メニューを用意され、高齢者の買い物支援や、畑仕事の手伝いといった有償ボランティア活動など、様々な角度から推進しておられます。  このような支援の継続により、事業開始から5年半で、支援対象者は113名から25名へと大幅に減ったそうです。また、ひきこもりの方が、自分が社会の役に立っているという有用感を持つことが自立につながり、大きな成果を上げていると聞いております。  どんどん変わっていくのですよね。自分で自分の可能性に気づいていなかったのだと思うし、どこかでリベンジしたい。どこかで活躍の場が欲しいと思いながらチャンスを待っていた人たち。そのチャンスは永遠に来ないだろうと9分9厘諦めながらもチャンスを待っていた人たちなのだと今は思っていますとコメントされた、藤里町社会福祉協議会事務局長の言葉に重みを感じます。  質問します。この藤里町の取り組みについて、本区はどのように評価されていますか、お聞かせください。 ◎佐々木 健康づくり課長 ひきこもり対策を進める上で、ひきこもりの実態を把握することは有効であると認識しております。  藤里町は、実態把握に関しては、小規模な自治体の特性を生かして、全戸を戸別訪問し、拒否にあいながらも本人・家族との面談を3年間かけて実施し、ひきこもりに至った経緯、悩み、本人が望む支援内容等を丁寧に聞き取っています。これにより、畑仕事の手伝いや地元食品の製造販売に係る中間的就労等の地域特性を反映した効果的な支援メニューを提供することが可能となり、支援対象者の大幅な減少という成果につながっています。  以上のように、藤里町がまちの地域事情を踏まえた手法でひきこもりの実態を把握し、施策構築につなげ、成果を挙げられたものと評価しております。 ◆椿 委員 本年1月、内閣府より、来年度予算で今まで調査していなかった40歳から59歳までの、ひきこもり追加調査を行うことが発表されました。中高年のひきこもりに、ようやく光があたったとうれしく思います。
     しかし、2010年も2015年もそうでしたが、来年度予定している内閣府が行う調査は、無作為に5,000人を抽出し、アンケートを行い、その比率を人口に掛け合わせた調査と伺っております。これでは、推定の人数は分析できますが、個々の実態は見えにくいと考えます。個々の状況がわからないと具体的な支援につながりません。  今、現場で見逃せないのは、支える側となってきた親の高齢化でもあります。共倒れのリスクを抱えながら、80代の親が50代のひきこもりの子の面倒を見る「8050問題」という言葉が生まれるほど、事態は深刻です。  今年1月、札幌市のアパートの一室で、82歳の母親とひきこもりの52歳の娘さんの親子が、飢えと寒さによって孤立死した姿で見つかりました。娘さんは長年ひきこもり状態で、死因は2人とも低栄養状態による低体温症で、それぞれ飢えと寒さによる衰弱で亡くなったと見られています。  母親と交流のあった女性が数年前から、生活保護を申請するようアドバイスを続けたものの、母親は、他人に頼りたくないからとかたくなに拒み、結果的にどこからも支援を受けることがなかったそうです。ちなみに、母親が昨年12月の頭に亡くなり、そして娘さんが12月末に亡くなったそうです。  そのとき、その部屋には、現金で9万円あったということがわかりました。9万円の現金があったら、何とかなったと思うのですが、その娘さんは、どんな思いで死んでいったか残念でなりません。なかなか長期高齢化が見えなかった背景には、親が引きこもる子どもの存在を隠してきたという歴史があります。  ひきこもりは恥ずかしいことと思い込み、世間に知られないように生活する。その典型的な最近のケースが、先日、荻野委員も話されました、大阪府の寝屋川市で起きた、親が30代の精神疾患の子を長年監禁し、死なせてしまった事件とも言えます。  札幌市では来年度、ひきこもり実態調査における対象者の年齢上限を39歳から64歳に引き上げるとのことです。遅きに失した感はあるものの、内閣府の追加調査をきっかけに、全国の自治体では、従来39歳までだったひきこもり支援対象者の年齢制限を、撤廃する流れがとまりません。  きめ細かく効果的な支援につなげる上で、ひきこもりの実態調査の意義は大きいと考えます。ご本人やご家族の実情に即した調査を丁寧かつ速やかに進め、支援体制の構築をすべきと考えます。  質問します。本区の地域の実情に詳しい民生委員・児童委員へのアンケート調査を行うことで、顔の見えるひきこもりの実態調査を行い、本区の実情を把握すべきと考えますが、本区の考えをお聞かせください。 ◎佐々木 健康づくり課長 現在、保健所では、専門医による精神保健福祉相談や保健師による所内相談、また、訪問相談等を実施する中で、ひきこもり状態にある方々の具体的な課題について実態を把握することで、個別支援に重点を置いて取り組んでおります。  昨年開催した、ひきこもりをテーマにした有識者による講演会では、参加者が本人・家族、支援者など100名を超え、ひきこもりの問題への関心の高さを実感しているところでございます。この講演会をきっかけに、その後の家族会や専門相談につながった例もございます。  今後、内閣府による40歳から59歳までを対象にした実態調査結果の動向等も踏まえ、どのような調査手法が都市型社会の実情に沿うのか、委員ご提案の手法も含めて今後の研究課題としてまいります。 ◆椿 委員 よろしくお願いします。  この内閣府の行う調査というのは、あくまでも否定しているわけではありません。例えば、昨年、松本市が行った民生委員に対する調査によりますと、非常に結果が低かった、少なかったという結果も出ております。それは掌握していなかった可能性もあるということです。  ですので、内閣府の調査は内閣府の調査で分母になるのではないかと思います。分母に対して、自分のところの実態調査でどれぐらいの数字が出てくるのか、少なかったら、もっと調査をしないといけない。ほとんど変わらなかったら、では次の手を個別にやっていく、そういったことが考えられるのではないのでしょうか。  ひきこもりの家族や支援者からもよくお聞きするのが、相談先であります。ご家族は、どこに相談していいのかわからない状況です。当事者も大変な状況でありますが、まずは家族が元気になることが重要です。  先ほど触れました島根県の実態調査では、ご家族が希望する支援の第1位は、相談会など支援情報や相談窓口の具体的標記であります。また、訪問しても会話ができないご本人に対するメッセージを、どうやって伝えるかも重要と考えます。  質問します。ひきこもり本人に対する支援情報を掲載したアプリを開発しては、いかがでしょうか。本人が相談窓口に来ることは、ほとんど期待できませんが、SNSは別です。ご本人は、朝から晩までSNSをやっている人もいます。本人に、いろいろなメッセージを直接送ることができるかもしれません。本区の意見をお聞かせください。 ◎佐々木 健康づくり課長 区の公式ホームページで、ひきこもりの本人・ご家族がご覧になって役に立つ相談窓口の紹介、民間支援団体の情報、関連イベントの案内等の情報提供をこれまでも行ってまいりました。  今後も引き続き、ホームページに限らず、チラシ等の配布物の内容の充実を図るとともに、JOBOTAや民間支援団体等の協力を得てひきこもり支援情報を発信してまいります。  あわせて、現在、区の公式ホームページに掲載されている健康政策部所管事業を中心に、事業の記載内容や階層等の見直し作業を4月からのリニューアルに向けて進めており、引き続き、これまで以上にわかりやすく、ひきこもり施策の情報を提供できるよう努めてまいります。  直接話すのが苦手なひきこもりの方の中には、メールを通してコミュニケーションを取ることが可能で、インターネットとの親和性が高い方も見られる点などを踏まえ、ひきこもりの本人やご家族、支援者等への情報提供につきましては、今後、リニューアル後のホームページの反響を確認するとともに、委員お話のアプリも含めて、効果的な手法を検討してまいります。 ◆椿 委員 よろしくお願いします。  ひきこもりに対する本区の支援の中心は、JOBOTAと思います。今まで何人もの方々と一緒にJOBOTAを訪れ、つないでまいりましたが、JOBOTAに一緒に行くまでの支援、これは重要と考えますし、本当に大変です。誰も置き去りにしない。引き続き、暮らしてよしの大田を目指して、私の質問を終わります。 ○玉川 副委員長 次に、田島委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可し、タブレット型端末に配信いたしましたので、ご了承願います。 ◆田島 委員 大田区議会公明党の田島和雄でございます。衛生費のうち、治療と仕事の両立についてお伺いいたします。  私は先日、区立小学校の公開授業の一環として行われた、がんに関する授業を参観いたしました。大学病院の医師を講師にお招きした授業では、まず、事前に児童たちにアンケートで答えてもらっていた、がんに対するイメージを示した上で、データに基づき、がんは治る病気であり、たばこをはじめとした日ごろの生活習慣に気をつけ、がんにかからないこと。  がんの予防も重要であることを教え、授業の最後では、がん患者の気持ちに寄り添いながら自分たちとして何ができるかを児童たちと一緒に考えるという、大変、感銘を受けた内容でした。  授業の最初で、幾つか挙げた児童たちのがんに対する主なイメージは、怖い、治らない、死ぬというものでした。このイメージは、果たして子どもだけが持っているイメージでしょうか。  会社で働く方が、がんなどにり患したことが判明した際、本人はもとより家族も含めて大きなショックを受けることが多く、上司などに相談しないで会社をやめてしまうケースや、経営者自身がり患した場合、廃業してしまうことが多いと言われております。  タブレット資料の1ページをご覧ください。厚生労働省の資料によれば、がんに限ると勤務者の34%が依願退職もしくは解雇され、自営業者の17%が廃業したとのデータもございます。その原因は、がんへの先入観や職場のコミュニケーション不足によって、患者本人が孤独に陥ってしまうことによるとのことです。  資料の2ページをご覧ください。政労使が参画した働き方改革実現会議が、平成29年3月28日に決定した働き方改革実行計画の項目の一つに、病気の治療と仕事の両立が掲げられました。  資料の3ページをご覧ください。厚生労働省が、がんなどの患者の就労意向を調べたところ、92.5%の方が就労を継続したい意向を示したとのことです。  女性、高齢者、外国人、障がい者など多様な人材を積極的に活用するダイバーシティが定着しつつある中で、若者も高齢者も、女性も男性も、障がいや病気のある方々も、一度失敗を経験した人も、みんなが包摂され活躍できる社会を一億総活躍社会と名づけるならば、今後、治療と仕事の両立も重要なテーマになると思われます。  そこでお伺いいたします。大田区の職員に対して、がんなどの病気が判明した際のサポート体制は、人事制度を含めてどうなっているのか、お示しください。 ◎須川 人事課長 大田区職員にがんなどの病気が判明した場合、病気の治療に専念していただくことが最優先と考えております。そのために、病気休暇や休職の制度を設けております。病気休暇を取得した情報を健康管理室が把握し、産業医と主治医、職場の上司と職員相互で緊密に連携をとり、職員の回復の状態に合わせて、職場復帰に向けた検討をします。  具体的には、抗がん剤治療などのための時間単位の病気休暇の取得、また、状況に応じて勤務による負荷を軽減するための時間外勤務の禁止や業務内容の変更といった就業制限をするなど、治療と仕事の両立のための配慮を行っております。 ◆田島 委員 資料の4ページをご覧ください。  一方、本区の職員から目を転じて、民間企業で働く区民はどうでしょうか。大田区には中小企業が多く存在し、50人未満の事業所は、全産業で97.1%、大田区の基幹産業である製造業でも、97.6%に上ります。  労働安全衛生法により、従業員50人以上の事業所には産業医の選任義務が定められておりますが、従業員50人未満の小規模事業所では、産業医を選任する義務がありません。産業医などの産業保健専門職の関与が弱く、独自に産業保健活動を実施することが困難な小規模事業所では、産業保健意識も弱くなってしまう傾向があります。  これでは、治療と仕事の両立についても、経営者、従業員ともに認識が薄くなり、病気発覚と同時にやめてしまう従業員や廃業してしまう経営者が出てしまうのではないかと思います。小規模企業向けには、本区において出張健康相談事業が行われていると伺いました。  伺います。同事業の取り組み状況について、お知らせください。 ◎佐々木 健康づくり課長 区では小規模企業に対して、健診後の健康教育、健康相談を区の保健師または栄養士が、企業にお伺いして無料で実施する出張健康相談を行っております。  過去3年間の実績はございませんが、今年度、現時点では、若い従業員を対象にした健診後の健康教育のご希望を受けて実施した1件の実績がございます。  なお、大森医師会館内に設置されている大田地域産業保健センターは、区内の小規模事業所に対し、従業員の健康相談等の労働保健サービスを提供しており、相応の実績を上げているものと推測しております。 ◆田島 委員 資料の5から6ページをご覧ください。  小規模事業所が独自に産業保健活動を実施することが困難であるならば、専門的な相談や指導を総合的に供給する体制を地域で設けていく必要があります。ただいまの答弁で述べておられました、独立行政法人労働者健康安全機構が、おおむね労働基準監督署管轄区域ごとに設置している地域産業保健センターや、東京労災病院が開設している治療と職業生活の両立支援に関する相談窓口では、小規模事業所も対象に患者や経営者、人事担当者の相談をワンストップで受け付けているとのことでございます。  ここで三つの提案をさせていただきます。  一つ目は、ただいまの地域産業保健センターや東京労災病院の相談窓口の存在を、本区の小規模事業所経営者や人事担当者、従業員に対して周知をしていくこと。  二つ目は、区内外の事業所で行われている治療と仕事の両立を図るすぐれた取り組みを、本区の事業所に紹介していくこと。  三つ目は、治療と仕事の両立に注力している事業所の中で、がん患者に対して取り組んでいる事業所については、東京都が行っている「がん患者の治療と仕事の両立への優良な取組を行う企業表彰」に推薦もしくは紹介すること。  以上、3点について、見解をお伺いいたします。 ◎佐々木 健康づくり課長 3点のご提案をいただきましたので、順次、区の見解をお答えいたします。  まず、地域産業保健センターや東京労災病院の専門相談窓口の存在の周知についてでございますが、国は主治医と産業医・産業保健スタッフ・人事労務担当者等の企業との連携の中核となり、患者に寄り添う両立支援コーディネーターを中心にしたトライアングル型サポート体制の構築による両立支援を目指しております。  委員お話の、地域産業保健センターや東京労災病院はこの両立支援コーディネーターの役割を担う機関であると認識しており、保健所としても産業経済部と連携し、周知を徹底してまいります。  次に、区内外のすぐれた取り組みの本区事業所への紹介でございますが、がん患者が仕事を続けていくためには、適切な健康管理による職場環境の整備が重要であると認識しております。  厚生労働省や東京都が、治療と仕事の両立に関する好事例集を発行しております。区としては、こうした情報を産業経済部と連携して、企業の経営者や人事労務担当者に提供してまいります。  最後に、東京都が行っている「がん患者の治療と仕事の両立への優良な取組を行う企業表彰」への推薦につきましては、企業との接点を持つ中で、表彰事業を周知し、好事例を発掘するとともに、それぞれの企業の経営環境に適した両立支援制度づくりを働きかけてまいります。 ◆田島 委員 最近、健康経営という概念が徐々に広まってきております。それは、従業員の健康管理を経営の課題と明確に位置づけ、従業員の健康増進と維持の費用は、コストではなく未来投資であるという考え方です。  また、製造業の分野では、経営者や従業員がやめてしまえば、貴重な技術力を失ってしまうことに直結することも多いと言えます。産業における競争力と活力の維持といった観点でも、治療と仕事の両立は重要です。  ここは、健康政策部と産業経済部との連携が必要であると考えますが、それぞれの見解をお伺いいたします。 ◎佐々木 健康づくり課長 治療と仕事の両立支援について、事業所に効果的に周知、意識啓発を進めるためには、企業と日ごろから接点を持ち、経営支援等に取り組んでいる産業経済部と連携することが欠かせません。  保健所としては、治療と仕事の両立支援が意義深く、メリットがあることを広く区内企業にお伝えすることで、企業が我が事として両立支援に取り組むよう働きかけてまいりたいと考えております。  このため、産業経済部はもとより、関係機関と連携し、両立支援の具体的な指針として、厚生労働省が平成28年2月に公表した「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」の区内企業への普及啓発に向けて、保健師等の専門職の派遣や講師の紹介などに取り組んでまいります。 ◎宮本 工業振興担当課長 委員お話のとおり、従業員が健康に働ける環境を整えることは、重要な視点であると考えております。そのためにはまず、企業における従業員の健康を維持していくための取り組みが必要です。  区では、中小企業で働く勤労者と家族向けの勤労者共済制度として、福利厚生事業を実施しております。加入することにより、人間ドック等の受診補助などを受けることができます。また、区の工場アパートにおいては、指定管理者との連携により、東京労災病院による入居者向けの無料健康相談を実施し、企業における従業員の健康管理を支援しているところでございます。  もし従業員が大きな病気にかかるなど、体調を崩した場合でも、中小企業では経営者が従業員の状況を把握しやすく、柔軟な対応が可能です。区内企業の健康経営に対する意識をこれまで以上に醸成していくことで、経営力のさらなる向上にもつながります。  産業経済部としましては、健康政策部はもとより区内産業団体等とも連携し、区内企業向けの産業情報誌「テクノプラザ」などを通して、健康経営に係る情報提供に努めてまいります。 ◆田島 委員 そして、治療しながら働く、働きながら治療するということは、古くて新しいテーマであるため、広報やセミナーなどを通して、一般の区民に対しても広く周知する必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。 ◎佐々木 健康づくり課長 がん等の疾患の治療と仕事の両立を円滑に進めるためには、企業の経営者や人事労務担当者はもちろん、当事者や同僚となり得る全ての従業員、管理職に対して、治療と仕事の両立に関する研修等を通じた意識啓発を行い、企業全体でがん患者である従業員の受け入れ体制を整備することが重要です。  今後、がん検診やがんに関する講演会等の実施にあたり、企画段階から治療と仕事の両立支援の視点に留意し、広報媒体に両立支援に関する相談窓口等を明記するなど、区民への両立支援の周知に努めてまいります。 ◆田島 委員 平成30年度大田区予算案には、おおた健康プラン(第三次)の策定の予算も盛り込まれております。同プランに、ぜひこの治療と仕事の両立の取り組みも含めてほしいと要望いたしますが、見解をお伺いいたします。 ◎白川 健康医療政策課長 現在、第三次おおた健康プランの策定に向けて、これまでの取り組みによる成果や課題を分析するとともに「第3期がん対策推進基本計画」など、国や東京都の動向も踏まえた検討を行っております。  がん対策については、予防や早期発見に向けた取り組みの充実を図るとともに、がんになっても住みなれた地域で安心して暮らせるよう、治療と仕事の両立に向けた支援もプランに盛り込んでまいります。 ◆田島 委員 区民が万一、病気になっても希望を失わず安心してお暮らしいただけるよう、今後、相談支援体制の充実強化や関係する個人・団体との多面的なネットワークを構築することを要望して、質問を終わります。 ◆末安 委員 大田区議会公明党、末安広明です。お母さんに優しい子育て環境というテーマで、質問させていただきます。  私ごとになりますが、昨年1月、次女が生まれまして、現在1歳2か月となります。妻には特段のアドバイスは行わず、自然にどのように行政サービスに触れていくかを、実体験としてそのそばで見ていきたいと思っております。そこで気づいた点を、今後も継続的に提案をしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  初めに、昨年度からスタートした「出産・育児支援事業かるがも」について触れさせていただきます。妊娠期から出産、子育て期への切れ目のない支援として、妊娠期から助産師や保健師の専門職が継続して支援を行う事業であり、事業開始から2年が経過しようとしております。  まずは妊娠届のタイミングで、保健師がマンツーマンで面接をして、妊産婦からお話を伺い、妊娠・出産・子育てに関する相談が行われ、面接を受けられた方には、カタログギフトが後日送付されるようになっています。  行政とお母さんとをつなぐファーストコンタクトがこの面接であり、様々なご不安を抱えるお母さんにとって、専門職である保健師に相談を行える場は大変重要な機会となります。  初めに、妊婦面接で期待していることや、また面接におけるエピソードなどありましたらお知らせください。 ◎佐々木 健康づくり課長 妊婦面接では、妊婦の状況を丁寧に聞き取りし、把握することで、支援が必要な方へ早期に支援していくことを心がけております。妊婦面接を通して、妊娠中からいつでも電話や面接で気軽に相談できる、相談先を明らかにすることで、妊婦が孤立することなく、安心して出産に臨めるよう、庁内はもとより関係機関も含め、連携を密にして支援していく体制ができているというメッセージをお届けしたいと考えております。  妊婦の既往歴や支援者の状況については、アンケートで特になしと書かれていても、面接で「鬱病があった」「パニック障がいになっていた」「実家が介護をしていて頼れない」など、具体的に聞き取る中で語られることもございます。  本人に精神疾患の既往歴がある場合、状況により通院中の病院と連絡をとり、支援することもございます。 ◆末安 委員 ぜひとも、全ての方に面接を受けていただく環境づくりの整備が必要と考えます。そこで、現状の面接率についてお知らせください。 ◎佐々木 健康づくり課長 妊婦面接の初年度にあたる平成28年度に、妊娠届出をされた方6,460名のうち、面接を行うことでできた方は4,671名で、面接実施率としては、72.3%となります。 ◆末安 委員 妊娠届は、母子手帳を受け取るために必要なものであり、それ自体は確実に実施されていることと思います。本庁舎の健康づくり課、各地域庁舎の地域健康課に妊娠届を提出される方には、その場で保健師による面接が行える仕組みとなっております。しかしながら、面接率が低くなる要因の一つに、特別出張所及び夜間・土日における本庁舎での妊娠届提出時には、面接が受けられないことが挙げられると思います。  妊娠届提出をされた方のうち、特別出張所及び本庁舎の時間外に来られている方の比率をお知らせください。また、その場合の面接率をお答えください。 ◎佐々木 健康づくり課長 平成28年度の妊娠届出者数は6,460名です。そのうち特別出張所に妊娠の届け出をされた方は2,455名で全体の38%になり、面接につながった方は1,187名、面接率48.4%でした。  また、本庁舎では、夜間・土日を含む執務時間外に妊娠届出をうぐいすネット窓口で受け付けており、提出者は905名で全体の14%、面接につながった方は597名、面接率66.0%でした。 ◆末安 委員 とても課題があるように感じます。心身ともに、不安定なお母さんにとって、改めて、面接を受けるために本庁舎や地域庁舎に足を運ぶことは、大変なご負担になると思います。  他区では、妊娠届の提出を面接が受けられない特別出張所等では行えないようにしているところもあるそうです。課題もあるとは思いますが、それほど、行政とのファーストコンタクトである面接を重視していると言えます。  様々なご事情があってやむを得ずの方もいらっしゃるとは思いますが、重要なことは、面接の重要性とそれがどこで受けられるか、またカタログギフトを渡していることを知らない方がまだまだたくさんいらっしゃるという点であります。この点については、これまでも我が会派の岡元委員、小峰委員も議会の場で触れさせていただいておりますが、改めて提案させていただきたいと思います。  まず、ホームページについてお聞きします。「妊娠したら」というページには、母子健康手帳の交付という内容が表示されております。  この内容を見ると、交付窓口として、各地域健康課と保健所健康づくり課及び各特別出張所が同列に扱われております。しかし、特別出張所では、面接を受けることができません。よって、こういった点がわかりにくさを生む一つの要因になっていると考えます。  また、「出産・育児支援事業かるがも」の内容も同じページに記載されており、面接のこと、応援グッズをもらえることも説明がありますが、このあたりもわかりにくいのではないかと感じます。  見る側にしてみれば「出産・育児支援事業かるがも」という事業名称は、あまり関係のないことで、とにかく各地域庁舎の地域健康課、または保健所健康づくり課にて妊娠届の提出を行ってくださいというメッセージが伝わることが、何よりも大切ではないでしょうか。そして、そこで保健師による面接が受けられ、実施した方にはカタログギフトが送付されるという点だけが伝わればよいと思います。  そこで、ホームページの掲載内容を見直していただくよう提案しますが、いかがでしょうか。 ◎佐々木 健康づくり課長 現在、区の公式ホームページに掲載されている健康政策部所管事業を中心に、わかりにくさの改善を図るため、事業の記載内容や階層等の見直し作業を進め、4月からのリニューアルを目指しております。その中で、委員お話のご提案も含めてホームページの掲載内容がよりわかりやすくなるよう、工夫を重ねてまいります。 ◆末安 委員 次に、母子健康手帳の交付や妊娠期からの面接相談、出産後の乳児健診など、様々なサービスが地域庁舎の地域健康課で行われております。行政とお母さんとをつなぎ、切れ目のない支援を行う拠点であります。まさに、本区における子育ての中核拠点であると言えます。
     先日、地元にあります調布地域庁舎を訪れてみました。子育てのことが頭にありましたので、そうした視点から見ると、外観や玄関付近を見渡しても、一言で言えば殺風景であり、およそ子育ての中核拠点であると感じることはできません。よって、ここで母子手帳を受け取れるとは想像できないとも言えます。  そこで提案となりますが、建物の外側から、子育てを応援する施設ですよということがわかる装飾を行っていくことも必要ではないでしょうか。通行する方々に対して、のぼりやポスター・横断幕などを使って、誰もがここに来れば子育ての相談ができるというイメージを持ってもらえるよう、工夫いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◎佐々木 健康づくり課長 地域健康課には、早い方であれば妊娠届出や両親学級の受講で訪れますが、お子さんの4か月児健康診査時に来所することで、初めて地域庁舎を知る方も中にはおいでになります。  現在、本庁舎で行う妊婦面接では、妊婦に地域庁舎の所在地も含めご案内をしております。  今後、委員お話のご提案も含め、妊婦をはじめ地域の方々に妊娠届出をきっかけに地域健康課が切れ目のない子育て支援の相談先であるとご理解を深めていただけるよう、効果的な区民への周知を図ってまいります。 ◆末安 委員 また、「地域庁舎の地域健康課」という名称も、区民の方からすれば、提供されるサービスを想像しにくいのではないでしょうか。今後、子育て拠点としての愛称を検討してみることも効果的ではないでしょうか。ご見解をお聞かせください。 ◎佐々木 健康づくり課長 地域健康課の事業は母子保健事業のほか、成人保健や精神難病等区民の健康相談対応その他の支援を幅広く行っております。  他方、国は、母子保健サービスと子育て支援サービスを一体的に提供し、妊娠期から子育て期にわたり切れ目のない支援を行うことを目指す、子育て世代包括支援センターの平成32年度末までの全国展開を目指しております。  本区における子育て世代包括支援センターのあり方について検討する中で、委員お話の子育て拠点としての愛称の検討も含め、こども家庭部はじめ庁内関係部局と連携してわかりやすい窓口表示を検討してまいります。 ◆末安 委員 また、面接を受けることを推進するためのツールが、カタログギフトであると思います。応援グッズをより魅力的なものにしていくことも重要です。毎年、業者を公募し、サービスの内容を検討していると伺っております。品物だけに限らず、より効果的な子育て援助のサービスを含めてご検討いただくことも大切です。来年度の検討状況をお知らせください。 ◎佐々木 健康づくり課長 これまで妊婦面接を実施してきた中で浮かび上がってきた妊婦の状況は、パートナーの職場からの帰宅が毎晩遅く支援が受けられない、祖父母の介護に実父母があたっているため、実家の支援も期待できないなど、妊婦の孤立化が少なからず見られることです。こうしたことから、品物以上に家事援助等のサービスを求める妊婦のニーズがあると認識しております。  こうした状況を踏まえ、来年度のカタログギフト提供業務の委託契約仕様書について、カタログには品物に限らず、家事援助サービスもメニューの一つに盛り込むよう見直しをしたところでございます。 ◆末安 委員 自民党の渡司議員も先日、一般質問で触れられておりましたが、国の方針で示された子育て世代包括支援センターの整備が、今後、本区でも進められていくと思います。そうした中で、いかにお母さん方に寄り添った支援体制が構築できるかが問われております。  不安定な心身の状態を少しでも和らげてもらいたい。また、一度でも、行政機関に足を運んでもらうご負担を減らすことはできないかという細かな視点についても、大変重要となります。  今後も引き続き、様々な工夫を行っていただくことを要望しまして、次の質問に移らせていただきます。  次に、新生児聴覚スクリーニング検査についてお尋ねいたします。新生児聴覚検査とは、生まれたばかりの赤ちゃんに対して、早期に難聴の有無を発見するために行う聴覚検査です。先天的に聴覚障がいを持って生まれてくる新生児の割合は、1,000人に1人から2人と言われております。  先天性聴覚障がいは、耳からの情報に制約があるために言語発達が遅れ、コミュニケーション障がいのほか、情緒面や社会性の発達にも影響が生じるとされます。言語の発達は2歳に近づくと本格的に始まり、お母さんのおなかにいるときから1歳半ごろまでは、非常に大切な時期と言われています。  その程度が重度であれば、1歳前後で気づかれますが、中等度の場合には、言葉の遅れと思われ、2歳以降に発見され、支援開始が3歳あるいはそれ以降になることがあると言われております。  しかし、聴覚障がいは早期に発見し、適切な支援を行えば、赤ちゃんへの影響を最小限に抑えられ、コミュニケーションや言語の発達が促進されることがわかっています。  よって、聴力検査は早ければ早いほどよく、入院中に行うのが理想的です。現在は、機器の発達により、検査は簡単で寝ているときに行えるようになっております。  国は、全ての赤ちゃんを対象に聴力検査を実施するよう求めています。しかしながら、昨年度、日本産婦人科医会が、実施状況を調査した結果、全国での未受診率は、約15%であったと公表しております。  東京都における未受診率は、約20%とされています。この課題については、我が会派の松本議員が、今から16年前、平成14年の第1回定例会の段階で、既に問題提起をしております。  そこでお伺いをいたします。本区の受診状況について、区はどのように把握されておりますでしょうか。また、全ての新生児の検査を実施する体制は整っているのでしょうか、お答え願います。 ◎佐々木 健康づくり課長 現在、母子健康手帳に新生児聴覚検査の結果を記入する欄が設けられており、すこやか赤ちゃん訪問の際、または4か月児健康診査の際に、母子健康手帳で検診受診状況を把握しております。  特別区保健衛生主管部長会の専門部会として設置された母子保健検討委員会が、平成29年1月に実施した調査では、約8割の新生児が検査を受けていました。区の新生児の受診率は78.5%で、23区平均と同程度でございます。  また、23区内の分娩取扱施設128施設のうち100施設が検査を実施しており、23区では、大部分の新生児が検査ができる体制が整っていると判断しております。 ◆末安 委員 費用については、一般的には平均5,000円から7,000円程度かかる とされております。検査が行われない理由には様々あるかとは思いますが、仮に費用負担がネックになっているのであれば、これを防がなければいけないと考えます。  公明党は、これまでも全ての新生児が聴覚検査を受けられるよう、支援の必要性を訴えてきました。そして、現在行われております、都議会第1回定例会における公明党の代表質問に対して、都は、平成31年度から、全ての区市町村で検査費用の公費負担が実施できるよう、検討を進めていくとの方針を示しました。  そこでお伺いいたします。本区においても、新生児聴覚検査における費用助成を行っていくべきと考えますが、区のご見解をお示しください。 ◎佐々木 健康づくり課長 聴覚障がいの早期発見・早期対応が重要であることから、区としても、受診者の経済的負担の軽減を図り、新生児聴覚検査の受診率を高めるため、公費負担を導入する必要があると考えております。  区を含め、都内では居住地以外の医療機関での出産が少なくないことから、都内全域で対応可能な公費負担による聴覚検査の導入が望まれるため、現在、平成31年度から、全ての新生児が都内全域で出生後早期に公費負担により新生児聴覚検査を受けられるよう、東京都、特別区、東京都医師会、市、町村からなる協議の場で検討が進められております。区としては、その協議が調い次第、妊婦や医療機関への周知をはじめ、適切に対応できるよう準備してまいります。 ◆末安 委員 ぜひとも、全ての赤ちゃんが検査を受けられる環境の整備をお願いいたします。  次に、AEDの普及について質問をしたいと思います。来年度予算にAEDの屋外設置及び情報発信として、2,498万円が計上されております。  公共施設のAEDをさらに増設し、出張所や地域庁舎などに設置されているAEDについては、屋外に移設して24時間誰でも利用可能な状態にしていく方針も示され、その環境整備がさらに向上していくことが期待されています。  私自身、地域で主催される防災訓練に参加する機会も多く、そのほとんどでAEDの使い方の訓練が実施されているのを目にします。しかしながら、肝心のAEDがどこに設置されているのかという情報については、何となく学校や出張所にあるといった理解はなされているものの、正しく理解されている方は少ないように感じます。  AEDが必要となるのは緊急時であり、1分1秒が重要となります。いざ事が起きたときに、区のホームページの一覧から設置場所を探し出す時間はありません。その場所から、地域の中で一番近いAEDの設置場所は一体どこなのか。それは常日ごろから意識しておかなければ、いざというときに判断することは困難であります。よって、日ごろからの情報発信が重要と言えます。  そこでお伺いしますが、来年度予算にて、民間企業等のAEDについても設置状況を順次調査していくとありますが、どのような調査を実施していく方向性なのか、ご見解をお示しください。 ◎白川 健康医療政策課長 厚生労働省も利用を推奨している日本救急医療財団の全国AEDマップには、現在、大田区内のAEDが区施設も含め、1,500件近く掲載されております。  このうち、情報更新時期が比較的新しいものについては、一般の方の使用が可能な時間帯や建物内の設置位置などが記載されておりますが、こうした記載のないものも1,000件以上ございます。このため、このマップに掲載された大田区内のAEDを対象に、使用可能な時間帯などを調査いたします。  また、区が情報発信することについて同意を得られたものについては、ホームページに掲載するとともに、定期的にその情報を更新する予定です。  突然心停止となった方に対してAEDが使われる機会を増やし、1人でも多くの命を救えるよう、民間のAED設置者のご協力も得ながら、精度の高い情報を提供してまいります。 ◆末安 委員 民間企業のAEDの設置場所を含め、見える化されることは大変意義のあることであり、これによって利用環境の整備が飛躍的に高まると言っても過言ではないと思います。今こそ、広く普及するための対策が必要であると考えます。現在は区のホームページでの発信が中心ですが、今後、それ以外の情報発信の手法についても、早急に検討すべきではないでしょうか。  我が会派の玉川委員も、平成23年と24年の決算特別委員会の款別質疑において触れておりますが、現在リニューアルが進められている区設掲示板を活用した情報発信について、要望いたします。区設掲示板の数は896基あり、日ごろから区民の目に触れるという点では、大変効果的な情報媒体と言えます。たとえ数か所でも、最寄りのAED設置場所がそこに紹介されていれば、大変効果的であると言えます。  たくさんの発信すべき情報がある中で、常時、大きなスペースをとって掲載することは難しいかもしれませんが、例えば、掲示板内には、地域が活用する地域のひろばというスペースが設けられておりますが、まだまだ生かし切れていないケースをよく目にします。地域に対し、すき間のスペースを活用して貼れるようなポップ形式のツールを、ぜひともご提案いただきたいと要望いたします。  また、イベントを楽しみながら、AEDに触れるといった手法も効果的ではないでしょうか。ある町会の事例ですが、防災訓練の際に、宝さがしゲームと称した企画や、またポールウォーキングの際に、地域にある大切な資源を回遊するといった活動を行っておられるところがあります。このようなアイデアも含めて、日ごろからAEDの設置場所に楽しく触れるようなイベント企画を、地域に提案していくことも効果的であると考えます。  これらの手法も含め、新たな情報発信の可能性についてご見解をお聞かせください。 ◎白川 健康医療政策課長 区施設等のAEDの設置場所については、利用可能な時間や建物内の設置位置も含め、一覧をホームページに掲載するとともに、「大田区わがまち防災ネット」にリンクして地図上でもわかるようにしているところです。  委員お話のとおり、いざというときに速やかにAEDを利用できるよう、区民一人ひとりの方に日ごろから近くにあるAEDを認識していただくことは有効です。  より多くの方にAEDの設置場所を知っていただけるよう、ご提案いただいた手法を含め、日常目にしやすい方法により周知をするとともに、楽しみながらAEDを探すイベントなどを地域へ働きかけてまいります。 ◆末安 委員 今後もAEDの台数拡充はもとより、真にその目的を果たせる体制づくりの検討を、様々な角度から行っていただきたいと思います。  以上で、質問を終わります。 ○玉川 副委員長 以上で、第4款衛生費の審査を終結いたします。  第5款産業経済費の審査を行います。  理事者の説明を求めます。 ◎谷口 財政課長 事項別明細書182ページをご覧ください。  第5款産業経済費でございます。  本年度42億2,585万3,000円で、4億9,220万3,000円の増でございます。第1項産業経済費は、款と同額です。  第1目産業経済総務費、本年度3億6,592万3,000円で、3,363万5,000円の増です。  第2目産業振興費、本年度25億9,942万9,000円で、1億2,210万4,000円の増です。主なものは、右側183ページ、3番、取引の拡大・海外市場の展開の(2)産業クラスター形成支援事業で9,000万円の増、また185ページの6番、羽田空港跡地における産業交流拠点の形成で6,730万8,000円の増です。  184ページの第3目産業施設費、本年度12億6,050万1,000円で、3億3,646万4,000円の増です。主なものは、187ページ、2番、産業プラザ維持管理費で3億681万7,000円の増です。  第5款産業経済費の説明は、以上でございます。 ○玉川 副委員長 この款には、自民、公明、共産、民進から質疑の通知がありますので、順次これを許します。  それでは、質疑に入ります。  自民、質疑願います。 ◆渡司 委員 自由民主党大田区民連合、渡司幸でございます。産業界におけるキャリア教育について、伺いたいと思います。  キャリア教育は、最近では生き方教育と呼ばれるほどに、その人の自己実現・社会貢献など、より長期的で深い学びとして位置づけられ始めました。  一方、オックスフォード大の研究や野村総研の研究では、2030年に人工知能などにより代替え可能となる職業の割合は、イギリスで35%、アメリカで47%、日本では49%と算出されました。とはいえ、全ての生産活動において人間が必要でなくなるということは考えにくく、人と人とのコミュニケーション自体に付加価値が生まれるようなサービスは存続していくし、むしろ第4次産業革命の進展により、人々は単純作業や過酷な肉体労働としてのレイバー、そして機械や情報システムを操作するワークなどから解放され、人と人とのコミュニケーションや技術の開発、文化・デザイン・芸術、サービス業におけるホスピタリティなど、人間にしかできない質の高い仕事であるプレイが新たに生まれ、そうした分野こそ雇用が引き続き存在し得るとされています。  今の子どもたちが社会に出るとき、産業構造は大きく変わっていると考えられます。そのときに、自分が働く意味や社会で必要とされる仕事について、今から学び考えることは学校教育の中だけでできることでは決してありません。若者の進路を支えるということについて、産業界の視点で幾つかお答えいただきたいと思います。  以前、視察をさせていただきましたブレーメンの学校では、ビジネス文書の書き方や、感じのよい話し方などは、保険会社の社員やリタイアをした会社役員の方が、学校に来て指導をしてくれているとのことでございました。  本区の教育委員会にお聞きしたところ、幾つかの学校では、現在ハローワークから職員の方に来てもらい、職場体験の事前学習として、ビジネスマナーなどについての授業を実施しているとのことでございました。  空港のある自治体としても、航空会社の方やホテルマンの方などによるビジネスマナー教室などはぜひ活用していただきたいところですが、本区は学校数も多く費用もかさみそうでございます。  そこで伺います。ビジネスマナーやビジネス文書の書き方、敬語の使い方など、社会に出ると必要になってくるスキルを学ぶプログラムなどについて、産業界では現在どのような取り組みが行われていますでしょうか、教えてください。 ◎宮本 工業振興担当課長 区は、次世代ものづくり人材育成事業において、子どもから次世代経営者まで、幅広く切れ目のない人材育成事業に努めております。  委員お話の、ビジネス・スキルを学ぶプログラムとしては、区内ものづくり企業に就職した新入社員を対象に、社会人として必要な心構えや電話対応、敬語の使い方などのビジネスマナーを3日間で学ぶ新規人材育成セミナーを開催しています。区内企業は、こうした人材育成プログラムを自社で実施することが難しく、毎回定員以上の参加者があり、好評をいただいております。  一方、中学生の職場体験や高校生のインターンシップでは、現場で社員から直接指導を受けるOJTにより、職場の空気を肌で感じながら、挨拶や言葉遣い、お礼の仕方など、生きたビジネス・スキルを学ぶことができます。  区としましては、中学生の職場体験を受け入れる企業に対する支援により、こうした学習機会の提供に努めているところです。今後も、中学生の職場体験や高校生のインターンシップなどにおいて、教育委員会と連携し、キャリア教育を推進してまいりたいと考えております。 ◆渡司 委員 私自身、議員になる前から保護司でもあり、若者の就職先や進学先を一緒に探したり、ハローワークに同行したりすることもある中で、いろいろと心配な面も多々あり、履歴書の書き方や面接の受け方、敬語の使い方など、一緒に練習をすることもあります。  ライフネット生命が行った、企業の新卒採用関係者の意識調査によりますと、手書きの履歴書とパソコン作成の履歴書でどちらが採用に有利かという問いに対して、どちらも差はないと答えた企業の割合は68.3%、一方、手書きの履歴書が有利とした企業の割合は28.7%、そしてパソコン作成の履歴書のほうが有利と答えた企業はわずか3%でありました。  就活サイトにおきましても、指定がない限り、履歴書は手書きを基本としているところがほとんどです。その理由としては、手書きは丁寧という昔からの日本文化もありますが、正式な、大切な書類をきちんとした字で書けているかどうかを見たい、相手にあわせて対応する能力があるのかを見たい、誤字・脱字が正しく修正されているのかを見たいなどを見きわめるためとされています。  自分の強みや弱みを知ることや自己PRの効果的なやり方、履歴書の書き方など、今後も教育現場で活用できるプログラムとしての開発という観点からも、ぜひ研究をしていただき、連携を進めていただけるようにお願いをいたします。  また、PTA会長であったときに、蒲田中学校と馬込東中学校で行われていた、ソニー生命の社会貢献活動である、ライフプランニング授業を見学させていただいたことがあります。自分の望む人生にはどれだけのお金がかかり、どのくらいの収入が必要なのかを学ぶ授業であり、経済産業省の第4回キャリア教育アワードにも選ばれたプログラムで、4から5名の生徒に対し1名のライフプランナーがつき、仮想の家族を想定して、収入や支出について算出するプログラムであり、今年度こども文教委員会で視察をさせていただきました、京都市生き方探求館のファイナンスパーク事業にも通じるものであり、難しい年ごろの子どもたちが大いに盛り上がって学ぶ姿を目の当たりにいたしました。  大人の社会でも、ライフプランニングや働き方に関する重要性が問われている昨今ですが、そういったことを社会貢献活動として、今後、子どもたちに対し出張授業などを行っていただく可能性はありますでしょうか。見解をお示しください。 ◎宮本 工業振興担当課長 区内の中小企業の経営者の方々は、自分の経営する会社で社員を雇用し、育児や介護など多様な社員のライフプランを重視するとともに、時間に制約のある社員の働き方も考慮しながら、生産性を向上させるべく、日々経営をされています。  日本工学院専門学校では、地域連携特別講座シリーズとして、大田区のものづくりに携わる企業経営者の方々から、経験やアドバイス等をもらうことを通じ、ものづくりへの知識・技術・心や大田区の魅力、可能性を感じてもらい、勉学へ生かしていく大田ものづくり学を開講しています。  登壇された経営者の皆さんの講演内容は、ものづくりを超えて、仕事・社員との向き合い方や生き方にまで及んでおり、聴講した学生一人ひとりの胸に響いた様子が、講演後の感想からうかがえます。  こうしたことからも、区内企業の経営者の方々には、子どもや若者に対する講演などのノウハウが蓄積しており、委員お話の子どもたちへの出張授業などの取り組みについては、可能性があるものと考えております。 ◆渡司 委員 貧困の連鎖を断ち切る上でも、様々な機会に、子どもたちには生きるためのスキルを学ばせてあげたいと日々感じております。私自身も、かなり前でございますが、30年以上前、新入社員研修でお客様へのお茶の出し方、おじぎの仕方、接客マナーなどの講義を受けたことは、今でもとてもよく覚えていますし、その後の人生でも大いに役立ちました。  中学校の職場体験の事業拡大に関しまして、私も少しだけかかわらせていただいたことがありますが、中学生を3日間から5日間の間お世話をできる人的・時間的な余裕がないという事業所に対して、関連事業所と1日ずつ分担をしていただき、3社で3日間のプログラムを組み立てていただいたことがあります。  大田区の町工場の特徴であります仲間まわしや、製造・仕入れ・販売までの行程を体験できるような体験プログラムがあれば、職場体験に関しても幅が広がると思いますが、何かよいヒントはございませんでしょうか、教えてください。 ◎宮本 工業振興担当課長 委員お話の仲間まわしを体験する事業としては、おおたオープンファクトリーで、仲間まわしラリープログラムを実施しています。工場をめぐりながら材料に加工を施し、一つの製品を完成させていくものです。仲間まわしラリーは、26年度から取り入れ、初回は4社をめぐりフライパンを完成させるもので、大好評でございました。  今年度は、クリスマスツリーとミニカー4種で、クリスマスツリーは3社を訪問しました。ツリー本体を板金加工技術の曲げ加工で、次にツリーの植木鉢をプラスチックの切削加工技術で製造し、最後に溶接で本体とツリーの先端パーツをくっつけるといったものです。ミニカーは、6社をめぐり好みのボディに仕上げるため、加工技術の違いがよくわかるものでした。  また、一般社団法人大田工業連合会に委託している、次世代ものづくり人材育成事業では、小学4年生から6年生の子どもたちと保護者を対象に、産業のまち発見隊事業を年間2回開催してございます。京浜島にある大きな工場や工場アパートを含む多様な形態の工場をめぐり、最後に東京都立城南職業能力開発センターや日本工学院専門学校でものづくり体験をしていただいています。本事業のアンケート結果では、「びっくりするような発見があった」「自分もものづくりをやってみたいと思った」「ものづくり体験がとてもおもしろかった」との意見が大半を占めております。  今後も、こうした取り組みを通じ、より地域の産業への理解が深まるプログラムについて、研究をしてまいります。 ◆渡司 委員 子どもたちが思わず体験したくなる、そしてまた、学校の先生が何としても取り入れたくなるような魅力的な体験プログラムの開発を、ぜひ進めていただけるようにお願いを申し上げます。  昨年10月、チューリッヒ市とミュンヘン市で区政施策調査をさせていただきましたが、大田区と同様に、ものづくりのまちである両都市においても、職業選択でのサービス業の人気が年々高まっているとのことでございました。大田区の小学校でも、商店街探検や中学校の職場体験など、商店街にお世話になっている子どもたちはたくさんおります。商店街のイベントや飾りつけなどを近隣の学校が協力することで、地元の商店街と子どもたちのきずなが生まれている例も幾つかあるようです。  子どもたちと商店街はお互いによい影響を与え合える存在であると思いますが、商店街支援事業の中で、商店街と地域の子どもたちとの連携について、区はどのような支援が可能だとお考えでしょうか。 ◎小澤 産業振興課長 商店街と地域の子どもとの連携につきましては、補助事業といたしまして、新・元気を出せ!商店街事業や、商店街活性化テーマ別選択事業をご活用いただいております。  今年度は、これらの補助事業により、地元の高校生とコラボしたイベントを実施したほか、小学生の絵の展覧会を商店街の中で行うなど様々な事業を実施いただき、地域の子どもたちと連携を深めていただいているところでございます。  また、新年度からは、自治会・町会等と共同で事業を実施する場合、新設いたします地域連携型商店街事業を活用できる予定でございます。こちらにつきましては、都5分の2、区5分の2、合わせまして5分の4の補助率でございます。イベント事業につきましては、補助限度額800万円まで対応できるため、子どもとの連携事業として、新たにご活用いただければと考えてございます。
    ◆渡司 委員 ぜひ、町会の子ども会や商店街との連携が進むことを期待しております。  ミュンヘン市では、こども施策の中で、子どもに優しい大人や、子どもに優しい店舗や場所などの表彰が行われており、子どもの側からの施策提案やまちづくりへの要望が積極的に議論をされ、子どもたちの社会参画が進んでいました。  チューリッヒとミュンヘンの両都市で、現地の若者の話を聞く機会がございましたが、日本でいう高校生から大学生の年代である彼らが、自分のことを語るときに、まず、必ず職業について語るということに大変驚きました。日本では、自分はどこの学校の何年生で部活では何をしている、ということがほとんどだと思いますけれども。チューリッヒやミュンヘンでは、「私は大工になるために親方について修業をして2年目になる○○です」、「自分はBMWの工場で訓練を受けている○○です」などのように、彼らのアイデンティティは在籍している学校名ではなく、研修をしている企業や目指している職業に起因をしておりました。  また、企業側は、子どもたちの教育に対して大きな責任があるということが、産業界の共通認識であるため、産業界からのオーダーが学校のプログラムや試験の問題などにも反映をされていきます。  今後、大田区の産業界を牽引していく子どもたちに、区として特に学んでほしい分野がありましたら、教えてください。 ◎宮本 工業振興担当課長 区は、区内の小中学生を対象としたものづくり人材育成事業を通じ、参加する子どもたちに、大田区が誇るものづくり産業の担い手として成長してほしいと願っているところです。  そのために必要なこととして、子どもたちが区内ものづくり企業の仕事の現場を、自分の目で見て体験する取り組みを進めております。区内企業が持つすぐれた技術や、どうやって製品が生まれるかを知ることで、ものづくりに対する興味を持っていただき、みずからの進路として区内企業への就職を考えてもらえればと期待しているところです。  子どもたちが区内企業で活躍する将来においては、生活環境が大きく変化し、ものづくり産業の状況も変革を遂げていると予想されます。産業機器については、AI化やロボット化が進むとともに、流通や情報通信など周辺環境も一層のIT化が進むと考えられます。  こうしたことを踏まえ、区では、学術団体等との連携により、全国規模のロボットコンテストを区内で開催しております。日本航空宇宙学会との共催により、ドローン等の飛行技術を競う飛行ロボットコンテストや、NHK学生ロボコンのアジア太平洋大会などを大田区総合体育館に誘致し、区内の子どもたちに先端技術を体感してもらうことで、勉強してみたいという意欲を持ってもらいたいと考えています。  今後も引き続き、こうした取り組みを通じ、区内の子どもたちが将来の区内ものづくり産業の担い手としてだけでなく、大田のものづくり産業の競争力を支える人材として成長していただけるよう、努めてまいります。 ◆渡司 委員 人工知能や仮想通貨などの出現で、産業経済の構造が大きく変化しようとする中、ヘラしぼりや1点物の加工などに代表される、大田区でも残していくべき技術の継承とともに、新しく構造変換に対応していく道筋も同時に探っていかなければならないと感じています。ぜひ、子どもたちへの継承や教育という観点からも、部局を越えた連携をお願いしたいと思います。  一つの理想像ではありますが、区として、大田の子どもたちにはぜひこの仕事について学んでもらいたい。だからこそ、こんな体験プログラムや事業所を用意しました、という産業界からの熱いラブコールに対して、教育側も、こんなことを体験させてあげたいのでぜひ相談に乗ってほしいというやりとりが、産業経済部と教育委員会の間で行われてほしいと願っております。  先日、大田区で、平成22年から活動を続けているキャリア教育推進協議会21(通称CP21)のセミナーに参加してまいりました。工連の舟久保会長も副代表をお務めになっていらっしゃり、大田区の産業界は子どもたちの未来に対しできる限りのことはしたいのだという、熱いメッセージを感じさせていただきました。  ぜひ、区としても、産業界が多くの子どもたちや若者に魅力的なプログラムの提供や提案ができるよう、力強く支援をしていただき、それが大田区の子どもたちの生き方教育にもつながり、産業の活性化にもつながることを期待して、質問を終わります。 ○玉川 副委員長 次に、岸田委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可し、タブレット型端末に配信いたしましたので、ご了承願います。 ◆岸田 委員 にぎわい・つながりの創出ということで、お伺いいたします。  昨年の10月9日に、池上線の90周年の記念イベントが行われました。池上線は、蒲田から五反田までの間15駅、全長が10.9キロで、大正11年(1922年)に蒲田と池上間で運行し、その後昭和3年(1928年)6月に、五反田まで延びて全線開通ということで、全線が営業を開始されたということです。当初は、池上本門寺と洗足池に来るお客さんを乗せるための電車だということを伺っております。  今回の1日無料乗車のイベント、沿線の大田区と、そして品川区で、各地でいろいろなイベントが行われたと思います。天気にも恵まれまして、大勢の方というか、すごい人がいっぱい来て、楽しんでいただいたと思います。  どのような取り組みが行われたのか、まずお伺いしたいと思います。 ◎小澤 産業振興課長 池上線の90周年記念イベントにおける取り組みにつきましては、東京急行電鉄株式会社を中心に、池上線が通る大田区、品川区の地元商店街や企業と連携をいたしました。池上線沿線ならではの地域資源でございます、人情感や下町情緒などの魅力が詰まった生活名所としてPRすることで、沿線の活性化をより一層推進することを目的としたものでございます。  10月9日には、約57万人が乗車いたしました池上線1日無料乗車デーや、大田・品川商店街でのスタンプラリーやフリーマーケットを行いました。 ◆岸田 委員 本当にすごい人で、洗足池の駅、冒頭の無料券も配布されたのですけれども、朝8時半からお配りするのに、朝7時ぐらいから並んでいたということで、本当に多くの方が見えていました。  この日の取り組みに対して、大田区はどのようにかかわったのか、教えていただきたいと思います。 ◎小澤 産業振興課長 東急電鉄池上線の1日無料乗車デーに合わせまして、沿線各駅の商店街では、統一フラッグを用意し商店街をPRするとともに、店舗独自のサービスをアピールするポスターを掲げ、その商店街で使用する商品券を配布するなど、集客力の向上、販売促進を図りました。また、社団法人洗足風致協会のご協力で、洗足池のボートを無料開放していただき、大変なにぎわいとなりました。さらに、商店街の魅力を紹介する冊子「くらしものがたり」の作成を行い、各駅で配布をいたしました。  11月中旬から年末までの期間におきましては、池上線のリバイバルカラー編成でございますレトロ車両の車内広告に、「大田のお土産100選」を掲載するなど、東急電鉄と連携した事業を実施したところでございます。 ◆岸田 委員 いろいろとかかわっていただいて、商店街が活性化すればいいなと思っていますので、ぜひ。そしてまた、今年の秋にも同じようなイベントが行われるというのを聞いております。どのような取り組みになるかわかりませんけれども、区としても、ぜひかかわっていただきたいなと思うのですけれども、どう考えておられるのか、お伺いいたします。 ◎小澤 産業振興課長 区内には、JR東日本、東京急行電鉄、京浜急行電鉄、東京モノレールが通ってございます。  池上線90周年事業におきましては、区内外から多くのお客様がお越しになり、各商店街は大変なにぎわいとなりました。鉄道会社が主導する様々なイベントを成功事例として、商店街が活性化するための好機と捉えてございます。  今後も、鉄道会社など交通事業者と連携を密にいたしまして、イベントの実施予定を情報収集し、沿線商店街への情報提供及び積極的な支援を行ってまいります。 ◆岸田 委員 よろしくお願いいたします。  こういう民間企業が相当な金額をかけてやるイベントで、結構いいチャンスですよね。大田区としてそんなにお金を出さないで、例えば商店街の活性化とか振興に役立てば、とてもいいことだと思いますので、ぜひこの機会を生かしていただきたいと思います。  その中で、当日の10月9日の日に本当に多くの方がお見えになった、電車も乗れなかったりということもありましたし。洗足池には本当に、先ほどお話ししたように、多くの方が見えたときに、たまたま私もぶらぶらしていたときに、タブレットのほうで、勝海舟のお墓の写真を載せさせていただきました。  それは、洗足駅に来たお客さんたちが、池も歩いていただいた。そのときに、勝海舟のお墓の今整備をやっております、周りのバリアフリー対応ということで。ところが、この工事が始まったのが9月5日から、事業期間が今度の3月15日まで、あと2、3日で終わるのですけれども。見たように、フェンスがありまして、わずかに網目でお墓が見れるようにはしていただいているのですけれども、大体20メートル先ぐらいなのであまりよく見えないという。このフェンスができたのが、1週間ぐらい前なのですね。イベントの話が大田区に入ってきたのは、結構前の話だろうと思います。そのときに、うまく調整すれば、工事の、その日だけ少しあけていただいて、せっかく来ていたお客さんが、勝海舟のお墓を目の前で見ていただき、拝むかどうかわかりませんけれども、そうしていただければよかったのかなという感じがいたしました。  本当に網に手をかけて中をのぞいているような、そういうシーンを見ると、せっかく来ていただいた方々に、残念なことをさせてしまったかなという感じがいたします。  こういう大きなイベント、区にとって大きなイベントかどうかはわかりませんけれども、地域にとってはすごい大きなイベントだったと思います。うまく区も、工事と、確かに産業とはほとんどかかわりはないと思いますけれども、例えば早目に連絡をしていれば、工事の仕方を少し配慮しながら、ひょっとして1日だけあけられなかったのかなという感じがしたのですけれども。こういう庁内の連絡体制が、もう少ししっかりしていただきたいなと思うのですけれども、なかなか難しいものなのかどうかをお伺いしたいと思いますけれども、どのような感じなのか、よろしいでしょうか。 ◎山田 企画課長 政策、企画立案の総合調整の立場からお答えさせていただきます。  地域の貴重な資源であります歴史や文化、さらには食や産業などを通じまして、地域の魅力を体感できるイベントに足を運んでいただく方々に、有意義な時間をお過ごしいただくことは大切なことでございます。そのためには、主催者を中心として、関係機関が緊密に連携することが何より重要と考えます。  今般、初めて開催されました池上線90周年イベントは、洗足池エリアをはじめ沿線各地域で大盛況であった旨、主催者である東急電鉄から受けております。  区内では、区主催、民間企業の主催、地域の主催など、年間を通して様々なエリアで魅力発信や地域活性化、にぎわいなどの催しが開催されてございます。  イベントにおける区の位置づけは、主催、共催、後援など様々でございますが、いずれの場合におきましても、庁内各部局が当該イベントの情報を共有しながら、それぞれの立場から盛り上げていくことが何より重要だと認識をしてございます。  今後とも、参加された方々の満足度の一層の向上に向けまして、庁内の連携に取り組んでまいります。 ◆岸田 委員 ぜひよろしくお願いいたします。  電鉄会社が調査したところによりますと、東横線の認知度が75.7%、そして田園都市線は74%で、池上線は54.3%の認知度しかないという調査結果が出ているそうです。地域の認知を、全国は、東京近郊に認知をさせたいという思いでやったイベントだと思います。大田区に住んでみたい、そして大田区に来てみたいという方々のためにも、やっていただけるイベントをぜひ活用していただきたいと思います。  今年の秋にも、どのようなイベントになるかわかりませんけれども、鉄道会社がやるということを言っておりますので、ぜひそのチャンスを生かしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○玉川 副委員長 次に、公明、質疑願います。 ◆田村 委員 大田区議会公明党の田村英樹でございます。よろしくお願いいたします。区内の製造業への支援と、大田の工匠100人について伺ってまいります。  昨年12月15日に発表された、12月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数は、大企業・製造業がプラス25と、前回9月調査のプラス22から、3ポイントの改善となりました。この改善は5四半期連続となり、世界的な景気拡大に伴う輸出の増加や、円安による収益環境の改善などが景況感を押し上げたと見られております。  こうした国の経済動向にも後押しを受けてか、先日発表された平成29年10月から12月期の大田区の景況は、製造業においては今期の業況はCとなっており、区内全体ではないにしても、景況感は数年前と比較しても、上向き傾向にあることが見受けられます。  また、製造業のコメントを読むにつけ、前向きな内容が多少なりとも含まれていることに期待感を持つことができます。金属製品・建設用金属・金属プレス業では、「10年前、20年前と客先は多少の変化こそあれさほど変わっていないが、仕事の要求内容に変化あり。それに対応して収益を確保」や、「自動車関連部品の受注が大幅に増加し、増益が続いている。採用活動が難航し、人材不足の状況が続いてしまっている」など、受注増加の景況感が読み取れます。  この業況に対し、大田区産業振興協会のものづくり連携コーディネーターは、古い工作機械のみ有する企業の売り上げは伸びていないが、新しい機械を導入している企業を中心に、難加工、難削材などの受注が増えているとの所見を述べ、今後の課題として機械の老朽化を挙げられています。  初めに、大田区は、区内製造業の状況をどのように捉えているか、見解をお伺いします。 ◎宮本 工業振興担当課長 区内製造業の景況につきましては、昨年10月から12月期の「大田区の景況」において、製造業の経営上の問題点を売上の停滞・減少とする割合が減っていることからも、委員お話のように、比較的良好な状況であることがうかがえます。  日本政策金融公庫の調査によりますと、製造業の中小企業では、機械・装置に対する設備投資額が増えております。また投資目的としましては、更新、維持・補修とする割合が最も高く、上昇傾向にございます。  区としましては、設備の老朽化を課題として新たに捉え、国や都との連携により、生産性の向上や高付加価値化につながる設備投資を支援し、促進してまいります。 ◆田村 委員 ものづくり連携コーディネーターの指摘にもある、機械の老朽化については、公明党の広川委員の総括質疑でも問題提起をさせていただいたところであります。  ただ、大型の工作機械の更新となれば、事業者にとって多額の経営負担となることから、なかなか進められないのが現実です。こうした状況を踏まえ、国はものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金などでその支援を進めておりますし、大田区では中小企業融資あっせん制度を設けて、事業者の負担軽減に資する支援策を講じているところであります。  そこで、本区が進める中小企業支援、特にこうした製造業の設備投資に係る支援事業について、これまでの経緯や現状についてお伺いします。 ◎宮本 工業振興担当課長 委員お話のとおり、区では、区内中小企業の運転資金や設備投資等に係る資金調達について、中小企業融資あっせん制度により、利子補給等による支援を行ってきたところでございます。  また、製造業においては、リーマンショック以降、区内企業の設備が老朽化傾向にあっても、厳しい経営環境や受注確保の見通しが立たない中では、高付加価値化などを目指した積極的な設備の更新や導入が困難な状況にあったため、区内企業の産業競争力を強化することを目的に、平成24年度から大田区設備投資助成を導入いたしました。  一方、国においても、平成24年度補正予算において、現在のものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金、いわゆる「もの補助」が開始され、平成26年度からは、東京都において革新的事業展開設備投資支援事業が開始されました。  このように追随する国や都の事業において、助成率や上限額が高く設定され、区内企業の利用が伸びたことから、区の設備投資助成は休止し、現在は、中小企業融資あっせん制度と、国・都の事業の連携による区内企業の設備投資に係る支援を進めております。 ◆田村 委員 大田区中小企業融資あっせん制度は、区が低利の融資を金融機関にあっせんし、融資実行後の支払利子の一部または全部を補給する事業で、制度一覧を見ると、そのメニューは、一般設備資金、開業資金、環境対策資金、チャレンジ企業応援資金など多岐にわたり、区内企業の様々なニーズに対応するべく、相談体制の充実を図っていると認識しております。  私も、数社ですが、工作機械の導入や削り出し加工用工具の購入経費などの相談のため、産業プラザの相談窓口へご案内した経緯もあり、そのときの対応も含めて、こういった支援策の充実に心強く感じております。  平成30年度予算では、産業経済費の経営基盤の強化支援として、8億9,888万5,000円が計上されており、前年度比590万6,000円の減額となっております。本来であれば増額計上をし、さらなる支援策の充実を進めていただきたいと考えるところでありますが、中小企業融資あっせん制度の利用状況・実績についてお伺いします。 ◎宮本 工業振興担当課長 中小企業融資あっせん制度を利用し、製造業を営む事業者が設備資金として融資を受けた件数は、5年前は100件ほどでしたが、平成26年度は148件、27年度は148件、28年度は133件となっており、高い水準を維持しております。  委員お話の30年度予算額につきましては、経営基盤の強化支援の総額では減額しておりますが、利子補給については400万円余の増額となっております。  平成26年度に創設いたしました経営革新に取り組む事業者を対象として全額利子補給を行うチャレンジ企業応援資金は、製造業の設備投資に対し、利用条件を緩和して使いやすくしており、国の補助金が執行されるまでのつなぎとしての利用もございます。  区としましては、今後も設備投資に積極的に取り組む事業者を応援してまいります。 ◆田村 委員 国は、これまで、ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金のほか、中小企業等経営強化法に基づき、中小企業が生産性向上のために導入した設備に係る固定資産税に対し、軽減措置として、3年間において税率を2分の1とする軽減や、経営力向上計画に基づく事業に必要な資金繰りの支援、認定事業者に対する補助金における優先採択などの支援を行ってまいりました。  そこで、このような国の支援事業に対する区内企業の活用実績について、お伺いします。 ◎宮本 工業振興担当課長 まず、国のものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金、いわゆる「もの補助」でございますが、平成24年度以降、名称を変えつつ継続されており、平成28年度補正予算事業での採択件数は、全国で6,157件となってございます。  大田区におきましては、平成24年度以降の採択件数の累積が446件で、都内では最多となってございます。また、中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画について、国から認定され税制や金融支援等の措置を受けることができる企業は、大田区内で241企業に上ります。  こうした国の支援への申請にあたっては、中小企業の相談窓口として、国から認定を受けた経営革新等支援機関が支援いたします。大田区内におきましては、大田区産業振興協会をはじめ、金融機関、公認会計士、税理士、中小企業診断士などが認定されており、区内中小企業を支援しているところでございます。 ◆田村 委員 中小企業等経営強化法に基づく支援措置は、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの適用期間となっておりますが、国は先月、国内の中小企業が抱える課題である老朽化が進む設備から、生産性の高い設備への更新を後押しする必要性から、制度の新たな特例措置として、償却資産に係る固定資産税の税率をゼロ以上2分の1以下で、市町村の条例に定める割合とすることを決定いたしました。これは、先日、自民党の塩野目委員も触れられておりました。  この法整備を受け、横浜市は、市内の中小企業を対象に、生産性向上につながる設備投資への固定資産税を3年間免除すると発表。2018年度から20年度に取得する設備が対象で、市は5月に開く市議会へ条例案を提出する予定との報道がありました。  東京23区は、東京都の決定によるところでありますが、ぜひ、区内の製造業の支援につながるよう、他区との連携を強め、制度の推進を図っていただきたいと要望をさせていただきます。  次に、大田区平成30年度予算の中で、レベルアップ事業として計上されている、大田の工匠技術・技能継承について伺います。  先日、ある町工場の社長からこのようなお話を伺いました。社長は、戦後の高度経済成長期における加工技術の発展は、全て人によるものだった。旋盤士やフライス工など、本当に高度な技術を有した職人があふれていた。ところが、なお生産性を上げるためには工作機械に技術を持たせることが必須となり、結果、人の開発・教育が遅れてしまっているというのが現代とのことでした。  先ほどの生産性向上のために、新規工作機械の導入を促す施策と相反するようでありますが、その工作機械を使いこなすためには、やはり職人として何万分の一の誤差も見逃さない感性を磨く必要があるともお話ししてくださいました。  大田区では、平成20年度から開始した「大田の工匠100人」から「大田の工匠Next Generation」、そして平成29年度からは「大田の工匠技術・技能継承」として新たな事業を立ち上げ、技術・技能継承、若手人材の確保という区内企業の課題解決とともに、大田区が持つものづくりブランド力のPR、活性化を推進しています。  一連の事業を振り返ると、大田の工匠100人では、計103名、大田の工匠Next Generationでは計56人、そして今回の大田の工匠技術・技能継承表彰では6組12名の受賞が決定し、総勢171名にも及ぶ大田区認定の技術職人が誕生したことになります。  この171名の方々に担っていただく役割や人材確保への取り組み、また今後の活躍について、区はどのように連携を図っていくのか、見解をお伺いします。 ◎宮本 工業振興担当課長 区では、後継者がいないことを理由に、技術力の高いものづくり企業が廃業せざるを得なくなる、いわゆる黒字廃業が増加しており、「大田の工匠100人」をはじめとする優秀技術者の皆様が持つ技術を、いかにして区内企業の中で引き継いでいくかが大きな課題となっています。  「大田の工匠100人」の受賞者の方々による、次世代への技術の継承の取り組みとして、人材育成をしようとする区内中小企業に対する「大田の工匠」の派遣制度を、大田区産業振興協会のビジネスサポートサービスの中で実施しております。  また、今年度から開始した大田の工匠技術・技能継承の受賞企業には、「大田の工匠100人」の受賞者を師匠とする取り組みもあり、今後、区内における技術・技能継承の取り組みが加速することを期待しているところでございます。  さらに、「大田の工匠」の受賞者の皆様には、東京都の「東京マイスター」の受賞者も多数おり、国の「現代の名工」など、より高いレベルの受賞を目指す機運を醸成し、大田区が誇るものづくりのすばらしさをPRしてまいりたいと考えております。 ◆田村 委員 ただいまご答弁をいただいたように、大田の工匠の役割、また期待には、非常に大きいものがあることがわかりました。その上で、私の一つの思いをお話しさせていただきたいなと思うのですけれども。  かつて私の住んでいる六郷の地域でありますけれども、お住まいで、半世紀にもわたる年月を金型製作に携わってこられた1人の壮年がいらっしゃいました。本当に、私が小さなころからお世話になっていた方なのですけれども。今から4、5年前に、川向こうの川崎市のほうに転居をされました。それからも何度かお電話をいただいたりしながら、窓をあけると河川敷を走る馬が見えるのだと。馬場があると思うのですけれども、その辺の地域にお住まいになったのですけれども。そういったいい環境で今住んでいるのだと言いながら、まだ町工場に通っていたのですが、実は、この方は、平成23年度大田区ものづくり優秀技能者表彰を受けられて、金型製作に真正面に向き合って、「大田の工匠100人」として、さらに技術向上に取り組まれていた方であります。  しかし、お元気であったにもかかわらず、昨年の暮れに体調を崩して、急変をして、故人となられてしまいました。今年の新年3日にとり行われた葬儀において、故人をしのぶ弔辞の中でも、大田区のものづくり分野で懸命に駆け抜けてきた歴史、またそれを大田の宝として、表彰していただいた誉を胸に日々を過ごしていたとのお話に、それを聞いた私自身、本当に胸が熱くならざるを得ませんでした。  これはつぶやきというか、要望にはなるのですけれども、どうか、大田区におかれましては、こういった区の発展に多々ご尽力くださる中、故人となられた方々に対しても、敬意を表するという意味で、今後、感謝状等の贈呈などをご検討いただけると幸いであります。  以上で、産業経済費についての質問を終わります。 ○玉川 副委員長 本日は、この程度をもって、予算特別委員会を閉会いたします。                午後4時48分閉会...