平成11年 第2回 定例会-06月10日-01号平成11年 第2回 定例会
平成11年第2回定例会 東京都大田区議会会議録 第7号
6月10日(木曜日)
出席議員(49名)
1 番 松原 隆君 2 番 永井 敬臣君 3 番 神林 茂君
4 番 張替てる雄君 5 番 近藤 忠夫君 6 番 田中 一吉君
8 番 佐藤 得美君 9 番 河津 章夫君 10 番 川上 智由君
11 番 水井 達興君 12 番 鈴木 晶雅君 13 番 佐藤 誠君
14 番 小原 直美君 15 番 海老澤信吉君 16 番 松原 秀典君
17 番 高瀬 三徳君 18 番 鈴木 章浩君 19 番 有川 靖夫君
20 番 田口 仁君 21 番 溝口 誠君 22 番 飯島修一郎君
23 番 荒川 善夫君 24 番 高橋 博君 25 番 飯田 茂君
26 番 冨田 俊一君 27 番 清波 貞子君 28 番 古山 昌子君
29 番 渡部登志雄君 30 番 松本 洋之君 31 番 犬伏 秀一君
32 番 国分 輝君 33 番 野呂 恵子君 34 番 岡崎 幸夫君
35 番 糸瀬 敬一君 36 番 関根 勉君 37 番 山崎 勝広君
38 番 荒木 秀樹君 39 番 内田 秀子君 40 番 石塚 初美君
41 番 和田 正子君 42 番 菅谷 郁恵君 43 番 黒沼 良光君
44 番 石井 賢二君 45 番 金子 悦子君 46 番 大竹 辰治君
47 番 小関 直彦君 48 番 中村 稔君 49 番 渋谷 要君
50 番 森 おさむ君
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欠席議員(1名)
7 番 今村貴好 君
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出席説明員
大田区長 西野善雄 大田区助役 山本仁衞
大田区助役 齋藤 實 大田区収入役 髙野六雄
企画部長 山口健太郎 総務部長 木内悠紀夫
区民部長 河田盛雄 地域振興部長 岡本芳輝
産業経済部長 吉村泰賢 保健福祉部長 河野桃弘
保健所長 鈴木和子 児童部長 岸 政明
土木部長 池田正一 都市整備部長 嶋 和臣
交通事業対策部長 佐藤智久 環境部長 千葉胤彦
建築部長 渡部景之
企画部企画調整課長事務取扱
総務部総務課長事務取扱 企画部参事 池藤紀芳
総務部参事 高橋幾夫
教育長 山﨑勝美 学校教育部長 細島德明
社会教育部長 大沼祐一
学校教育部庶務課長事務取扱
学校教育部参事 清水 繁
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出席事務局職員
局 長 木村敏洪 次 長 河合喜久雄
議事担当係長 望月 正 議事担当係長 松崎茂雄
議事担当係長 齋藤千嘉子 議事担当係長 大谷 隆
調査担当係長 齋藤佳代子
議事日程第1号
第1号
平成11年6月10日 午後1時開議
第1
第 35 号議案 大田区
長期基本計画審議会条例
第 36 号議案 職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第 42 号議案
臨海部広域斎場組合の設置に関する協議について
第 43 号議案 大田区田園調布三丁目付近枝線その5工事(下水道)請負契約について
第 44 号議案 大田区田園調布二丁目付近枝線その10工事(下水道)請負契約について
第 45 号議案
大田区立山王小学校校舎改築工事請負契約について
報告第 20 号 平成10年度東京都大田区
繰越明許費繰越計算書
報告第 21 号 大田区土地開発公社の経営状況に関する書類の提出について
報告第 22 号 財団法人大田区文化振興協会の経営状況に関する書類の提出について
報告第 23 号 財団法人大田区産業振興協会の経営状況に関する書類の提出について
報告第 24 号 財団法人大田区福祉公社の経営状況に関する書類の提出について
報告第 25 号 財団法人大田区公園緑地振興公社の経営状況に関する書類の提出について
報告第 26 号 財団法人東京都大田区体育協会の経営状況に関する書類の提出について
第2
第 37 号議案 東京都
大田区立区民センター条例の一部を改正する条例
第 38 号議案 東京都
大田区立大森東地域センター条例の一部を改正する条例
第 39 号議案 大田区賃貸工場条例の一部を改正する条例
第3
第 40 号議案 大田区介護認定審査会の委員の定数等を定める条例
第4
第 41 号議案
大田区立シルバーピア条例の一部を改正する条例
第5
人権擁護委員候補者の推薦について
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午後1時開会・開議
○議長(永井敬臣 君) ただいまより平成11年第2回東京都大田区議会定例会を開会いたします。
これより本日の会議を開きます。
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○議長(永井敬臣 君) まず、会議録署名議員を定めます。本件は、会議規則第131 条の規定に基づき、議長より指名いたします。6番田中一吉議員、47番小関直彦議員にお願いいたします。
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○議長(永井敬臣 君) この際、区長より発言の申し出がありますので、これを許します。
〔区長西野善雄君登壇〕(拍手)
◎区長(西野善雄 君) 本日、平成11年第2回大田区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位のご参集を賜り、厚く御礼申し上げます。
厳しい日差しをさえぎり、人々に憩いの場を提供してくれる木々の緑もいよいよ濃く、夏の訪れも間近となりつつあります。
経済企画庁の月例報告で、景気は各種の政策効果を下支えに下げどまり、おおむね横ばいで推移していると上方修正し、また、通産省の中小企業景況調査によりますと、業績が好転したとする企業の割合が前年同月に比べふえ、底入れ感が全体に広がったとの報告もされております。長期にわたって低迷を続けております日本経済は、公共事業の増加や公的融資制度の拡充など政府の経済政策により、一部に改善の動きは見られるようになりましたが、失業率は4.8 %と依然として厳しい状態が続いております。
昨年10月に制度化されました信用保証制度の拡充を内容とする
中小企業金融安定化特別保証制度の大田区における認定件数は、3月末現在で1万件を超え、東京信用保証協会の保証額は1746億円余となっております。また、本区の経営強化資金の平成10年度貸し付け実績は65億8300万円で、前年度に比べ2.9 倍の増となっており、中小企業の資金繰りの困難さがうかがえます。
このような状況を受け、大田区におきましては、平成11年4月から
中小企業あっせん融資制度を一部見直し、個人事業主が融資を受ける場合には、1000万円までの融資枠で、原則として連帯保証人を不要とし、より融資を受けやすいよう改善を図っております。区民生活安定のために、経済の円滑な循環と活性化は欠かせないものと考えます。今後とも景気動向を注視しつつ、適切な融資制度の運用に努めてまいります。
中央省庁が保有する文書などを国民が請求して原則公開にすることを定めた情報公開法が、5月7日、国会で可決成立いたしました。これにより、国政においても開かれた行政に向け一歩踏み出すことになります。
区政では、情報公開が区民との信頼関係を築く上で重要な制度と認識し、昭和60年1月、「大田区公文書開示条例」を制定、区民の皆さんに区が保有する情報を開示・提供してまいりました。その後、昭和61年4月には「大田区電子計算組織に係る
個人情報保護条例」を制定し、個人情報の記録や利用、提供の規制など、個人情報の保護に努めてまいりましたが、このたび、電子計算組織のみならず、すべての個人情報について、収集から廃棄に至る過程のすべてを対象とする総合的な制度として、「大田区
個人情報保護条例」を制定し、本年4月1日から施行いたしております。情報の提供に努めるとともに、個人情報の保護には万全を期し、区民に信頼される開かれた区政を目指してまいります。
現行の長期基本計画の目標年次であります2001年が近づき、新たな長期基本計画の策定が求められております。計画策定に際しましては、広く区民の皆様のご参加をいただき、意見を十分反映した計画としてまいるため、アンケートや懇談会など、さまざまな機会を通じ区民の意向を把握するよう努めるとともに、区民各層の代表者、また公募委員を含めた審議会を設置してまいります。本定例会に審議会の設置条例案を提出させていただいておりますので、適切なご決定をお願いいたします。
6月は環境月間でございます。この期間内には、日本じゅうで環境を守る活動やイベントが一斉に行われております。大田区では、平成9年3月、「清潔で美しい大田区をつくる条例」を制定し、美化活動に取り組んでおりますが、6月は
クリーン大田強化月間といたしまして、各種の美化活動を行いました。ことしも6月1日には区内5か所の駅頭で美化キャンペーンを実施いたしました。また、5、6の両日、区民ホールとその周辺において、“手をつなごう環境を守るため”をスローガンに、「おおた環境フェア」を区民、事業者の方々の参加を得て実施しております。来る13日には、恒例になりました
多摩川河川敷美化活動が一斉に行われます。
リサイクル推進モデル商店街では、マイバックキャンペーンを実施しております。環境月間における国のスローガンは、“きこえますか、地球の鼓動、みえますか、環境の世紀”です。大田区政にあっても、平成12年4月の清掃事業移管を目前にし、環境問題への取り組みを一層進めてまいりたいと思います。
去る3月8日、区民の長年の念願であります京浜急行線の連続立体交差事業の都市計画決定がなされました。今回の決定は、鉄道本体とともに、大田区が沿線まちづくりの一環として進めてまいりました駅前広場、道路施設等もあわせて都市計画決定がなされております。今後の予定といたしましては、本年度中に測量などを行い、平成12年度には事業認可をと考えております。測量に当たりましては、地元区民の方々のご理解とご協力を得るため、作業内容をお知らせする説明会などを開催する予定でございます。早い時期に事業着手ができますよう全力で取り組んでまいりたいと思いますので、今後ともご協力をお願い申し上げます。
国際交流については、去る4月17日から26日にかけ、
姉妹都市セーラム市から15名の市民の来日がありました。一行は、セーラム高校の教師と大田区の中学生がホームステイでお世話になったホストファミリーの方々です。郷土博物館を初め、区内の小中学校及び都立田園調布高校を訪問するなど、忙しい日程の中で相互の交流を深めました。なお、大田区からは本年8月に中学生が、11月初旬には区民親善訪問団がセーラム市を訪れる予定でございます。
一方、
日中青少年交歓キャラバン事業は、8月4日から11日にかけて実施いたします。本年は10年目を記念して、合同事業として取り組んできた目黒区、渋谷区、墨田区、中野区、北区及び大田区の6区が北京市から30人の青少年を招くことになります。滞在中、8月6日から3日間、友好都市であります朝陽区の青少年5人が大田区にホームステイし、中学校訪問や区内施設見学など、交流を深めてまいる予定にいたしております。
平成10年度の仮の決算でございますが、5月末日で出納閉鎖をいたしました。結果は、一般会計におきまして、歳入2057億3059万円余、収入率が99.96 %、歳出2006億1780万円余、執行率97.48 %と相なりました。全体としては適正な予算執行が図られたものと考えております。
今回の定例会に提出いたしました案件のうち、文化活動支援施設につきましては、昨年度、実施設計、同時に旧本庁舎の建物も地上部の解体を終了いたしました。今回は、お約束に従い、
文化活動支援施設新築工事の契約議案をお諮りいたしております。議会の議決をいただいた後、直ちに建設工事に取りかかりたいと考えておりますので、適切なご決定をお願いいたします。なお、竣工までには約2年3か月かかる見込みでございます。
また、
臨海部広域斎場建設につきましては、平成9年度に大田区、港区、品川区、目黒区、世田谷区の5区で
臨海部広域斎場研究会を設け、昨年8月に
臨海部広域斎場事業化協議会を発足させ、調査・研究を進めてまいりました。そして、本年5月11日、関係5区の区長で、臨海部広域斎場の建設・運営に当たる一部事務組合設立と、その内容について合意に達したわけでございます。本定例会には一部事務組合の設立申請に必要な規約を提出させていただきましたので、よろしくご審議のほどお願い申し上げます。今後、関係5区それぞれ議決をいただいた後、本年8月に都知事に対し設立許可の申請を行ってまいることといたしております。
このほか、大田区
長期基本計画審議会条例など条例案7件、契約議案3件、報告案件8件を提案させていただきました。いずれも後ほど上程の際、順次ご説明申し上げますので、適切なご審議を賜りますようお願い申し上げ、招集のごあいさつにいたします。(拍手)
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○議長(永井敬臣 君) 事務局長に諸般の報告をさせます。
〔木村事務局長朗読〕
1、東京都大田区議会定例会の招集について
2、議案の送付について
3、
人権擁護委員候補者の推薦について
4、執行機関の出席について(2件)
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総総発第162号
平成11年6月3日
東京都大田区議会議長
永 井 敬 臣 様
東京都大田区長 西 野 善 雄
東京都大田区議会定例会の招集について(通知)
平成11年6月3日付け大田区告示第222号により、平成11年第2回東京都大田区議会定例会を下記のとおり招集したので通知します。
記
1 期 日 平成11年6月10日
2 場 所 東京都大田区議会議場
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総総発第162号
平成11年6月3日
東京都大田区議会議長
大田区では、平成6年10月に事務事業等適正化計画を発表して以来、一貫して行財政の改革に取り組んできました。これは現在では地方分権推進とともに全国的に普及した地方行革の動きに先駆けたものであり、その先見性と決断に大きな敬意を払うところです。平成7年度からの第1次適正化計画では、民間委託などによる職員の削減を中心に成果を上げてきましたが、先月には新たに事務事業や執行体制の見直しを中心に据えた第2次適正化計画が発表されました。
行政改革を進めていく手法としては、第1に行政における内部経費である人件費を削減し、次いで対住民向けの経費である事業費のスクラップ・アンド・ビルドを行っていくべきだと言われています。大田区における事務事業等適正化は、まさにこの方式に沿ったものであり、区のこうした取り組みの姿勢は大いに評価できるものです。しかし、大田区の職員数は23区の中でも依然として高い水準にあり、人件費の削減がまだまだ不十分であると言うこともできるのではないでしょうか。お答えください。
先月、印鑑登録をしたいという人が日曜日に本庁舎を訪れたそうですが、印鑑登録はウイークデーに来てくださいと言われたとのことです。現在、休日・夜間の窓口では、住民票、印鑑証明の発行、戸籍の届出書の受領などの対応はなされています。これ以外の業務は、ホストコンピューターとの関係などで難しい問題でもあると聞いています。今回の事例の印鑑登録もその1つというのが実際の話のようですが、休日・夜間などの窓口を拡充させるとすれば、職員をふやさなければならないことは明らかです。それでは人件費の節約にはつながりません。しかし、発想を変え、仮に正規職員3人の業務量があるとして、正規職員を1人とし、あとの2人分の給料で最近まで同じような仕事をしていた退職者を何人か雇用すれば、人件費は抑えられ、サービスは確保できると思います。これはほんの一例ですが、各部署で検討できるのではないでしょうか。お伺いいたします。
その他、正規職員を削減するためには、区の施設の管理運営など、もっと民間委託や官民からの退職者の再雇用を進めていく分野があるはずです。区民センターや老人いこいの家の管理委託、児童館の運営委託、保育園の給食調理委託などは早期に実施可能だと考えますが、いかがでしょうか。
さらに、清掃事業の移管などに伴って、相当数の増員配置が見込まれます。この際、都区制度改革や介護保険制度などの新規要素を含めて、区全体の職員定数の配置基準を抜本的に見直すべきだと考えますが、どうでしょうか。その上で、こうした職員定数削減を中心にした第3次適正化計画を早急に策定すべきと思いますが、区長のお考えをお聞かせください。
区財政の健全化を進めるために、税外収入に道を開くことも必要と考えます。例えば未利用地などの資産は、その活用処分を積極的に検討すべきです。現在、区が土地開発公社を含め、長期間空き地で保有している土地や公共事業の施行に伴う代替地で、取得後、一定期間を経過したもの、例えば5年ぐらい計画が具体化せず、未利用で保有しているすべての土地について、今後、計画を継続するのか検討すべきではないでしょうか。
そこで、大田区では、これまでこのような調査を行ったことがありますか。また、未利用資産についての把握はなされているのでしょうか。お伺いいたします。もし把握されていなければ、早急にリストをつくり、区民生活に必要なものと資産として運用できるものと明確にし、区の次の予算からでも活用できると考えます。
例えば、那須の用地はどのようになっているのでしょうか。私の知るところでは、昭和49年ごろに研修施設を建設するために取得したが、その後、計画を中断し、現在、未利用のままになっていると聞いています。
また、もう1つの例ですが、富戸の用地についてはどうでしょうか。詳しい経過はわかりませんが、この用地も、当初の計画では養護学校用地として購入し、やはりその後、計画が変更され、苗木などを育てる圃場として利用されてきました。そして、昨年10月に用途廃止され、行政財産から普通財産に移されたと聞いています。
私は、こうした未利用地などは長い期間にわたって放置しておくことは、区民から厳しい目が向けられるだけではなく、目に見えない経費も相当費やされているのではないかと思っています。これらの用地を抱えているだけで財政負担が生ずるわけですから、有効活用を図るか、処分を急ぐべきか考えたらよろしいと思います。そこで、この2つの用地について、今後の計画はどうなっているのか、お尋ねいたします。
また、この土地を含めて、未利用資産については、今後、利用計画の見直しの立たないものは、処分または賃貸により経費節減と財源確保を図ることも考えているのか、お伺いいたします。
近年、国は、余裕教室の活用を図るため、地域の実情に応じた社会福祉施設など学校以外の施設に転用することを認める方向を打ち出し、公立学校施設の財産処分手続の簡素化を図っています。具体的には、教室などを学校以外の施設に転用する場合には、これまで国の承認を受けなければならなかったものが報告に変更されたものでありますが、平成3年度から社会福祉施設、社会体育施設、文化施設、学童保育施設、児童館について、また、平成7年度には高齢者デイサービスセンター、防災備蓄倉庫について、さらに、平成9年度には保育所、身体障害者デイサービスセンターが適用施設として指定されました。加えて、新たに廃校の場合として、児童養護施設、特別養護老人ホーム、身体障害者療護施設、知的障害者厚生施設への転用などの手続も簡素化が図られたということです。
大田区では、既に余裕教室などを特別活動室や教育相談室、コンピューター室、生活科室、防災備蓄倉庫、地域集会室などに転用を図ってきましたが、しかし、近年、児童生徒の減少は著しく、余裕教室は年々ふえ続けているものと思われます。一方、今日のような厳しい財政状況のもと、新規施設については、新しい土地を購入し、そこに施設を建設するといった手法のみを進めていくことは大変困難になってきていると感じています。
加えて、平成12年4月からいよいよ介護保険制度がスタートします。大田区では、これまでも福祉関連施設の整備を着実に推進してきましたが、介護保険制度がスタートすることで、なお一層の福祉基盤整備が急がれているのではないでしょうか。多くの介護が必要な人が出ると考えますが、どのような場所と、どのようなサービスが想定されているのか、お伺いいたします。
そこで、私は、国の新たな仕組みを有効に活用し、区は余裕教室などを福祉基盤整備のために積極的な活用を図っていくべきだと思います。特に本年4月、大田区立小中学校適正規模適正配置審議会から教育委員会あて、大田区立小・中学校適正規模及び適正配置に関する答申が提出されました。この答申を受けて、教育委員会として、学校の統合のための具体的な方策を検討されるこの時期に、余裕教室全体の状況を調査するとともに、福祉施設への転用や併設を積極的に検討すべきと思いますが、区長並びに教育長の見解をお聞かせください。
また、教育長には、都区制度改革後の区の教育の権限範囲はどのように変わり、独自の内容がどの程度行えるのか、大田区の教育に対する思いをお聞かせください。私は、学力をつけることも大切ですが、規律を守り、人を大切にする心を取り戻す教育に期待をしています。
区みずからの行財政改革とともに、国、都との間の財源配分にかかわる問題は、区の今後の財政運営に大きな影響を与えます。特に、区民税とともに区の歳入の大きな柱となっている特別区財政調整交付金は大切です。
さて、平成12年4月の制度改革まで残すところあと10か月余りとなりました。長年の悲願がいよいよ実現し、大田区を初めとする特別区は、区民に最も身近な基礎的自治体として新たなスタートを切るわけでありますが、区民が区役所に寄せる期待はますます大きくなっていくことでしょうし、区もまたその期待に十分こたえていただきたいと考えます。
そこで、今回の制度改革により、清掃事業を初め38の事務事業が都から区に移管されることになりますが、区では当然それらを実施していくための経費や人員配置が必要になります。一例として清掃事業をとってみても、大田区内の清掃事務所などには現在600 人以上の職員が配置されていると聞いています。これらすべての移管事務事業に要する総事業費は、人件費も含めておよそどのぐらいになるのか、お尋ねいたします。
本年3月、特別区議会議長会では、都議会議長に対して、制度改革後の都区の財源配分に関する要請書を提出し、12年4月以降、区の事務事業執行に支障が生じないように、都区間の財源配分を改善していくことなどを強く求めました。当事者である都区の間でも、さぞかし白熱した討論が交わされているものと思いますが、両者の協議の現状はどうなっているのでしょうか。
また、本年3月30日には、都区の税財政検討組織である税財政検討会が10年度の検討結果をまとめたと聞きますが、その中に見られる都区間の対立点など問題点を詳しくお聞かせください。
この秋には、新たな財政制度に基づく平成12年度の都区財政調整協議会が始まると聞いています。果たして区が必要な財源を十分に確保し、基礎的自治体としての機能を余すことなく発揮していけるのか、その成否をかけての正念場に突入しているわけですが、調整税の都区間配分に当たっての今後の見通しと、区長会会長でもある西野区長のご決意をお聞かせください。
前段でもそれらしきことに触れましたが、区会計への貸借対照表、いわゆるバランスシートの導入についてお尋ねいたします。
今、民間企業の決算に用いられている貸借対照表、バランスシートを自治体財政に導入する動きが全国に広がり始めています。これは深刻な財政難の中、資産と負債の実態を明示し、事業の効率化や行政の透明性を確保するための有効な手だてとして関心が高まってきているためです。単年度現金主義で動いている官庁会計では、例えば区民施設の老朽化は、資産更新費用という隠れた将来需要であり、将来的な資産更新支出に対して、事前に把握を行うことはできません。また、外郭団体や土地開発公社など、普通会計の外に存在していた不良債や債務が肥大化して、区財政に大きな負担を強いることを未然に防ぐためには、1つの経営主体として連結して把握する必要がありますが、なかなかトータルで把握することが困難な仕組みとなっています。バランスシートには、こうした問題を解決するメリットと、将来の計画に参考になります。前からこの話は出ていますが、導入に当たっては多くの予算と人員がかかると聞いていますが、一部の行政分野からでも試験的にでも導入を検討すべきだと思います。見解をお聞かせください。
積み上げ方式の予算立てよりも、負債と資産が明確にわかることによって、長期にわたる計画にも勘案しながら予算立てができると考えます。いよいよ地方分権時代を迎え、大田区の自己決定権が拡大するとき、透明性の高い会計制度を確立することは、今後の開かれた区政にとって、とても大切なものとなるものです。
以上、区の行財政改革を前進させるべきとの立場から、大局にかかわらず、具体的問題について幾つかの質問をさせていただきました。
次に、私が立つと、大田区の交通についてお話しをさせていただかないと気持ちが落ちつきませんので、一言触れさせていただきます。京浜急行線の高架事業が進み始めましたので、前から時折取り上げてきました東西交通についてお尋ねいたします。
過日、日本経済新聞の記事で、都市圏鉄道、快適にという見出しで、運輸省は、ことしから2年計画で、大都市圏の鉄道ネットワークについて、JR、地下鉄、私鉄の相互乗り入れなど具体的なプロジェクトを取り上げ、採算性などを検討する都市鉄道調査を実施すると発表しました。既存路線を活用して利便性向上を図るのがねらいで、運輸省は、採算性などが確認される可能なプロジェクトから順次事業化していきたい考えだとありました。
都市鉄道調査の個別プロジェクト案の中に、首都圏では営団13号線と東急東横線、東急目蒲線と京急空港線の接続、数字として1300から1500億円以上とありました。まさにエイトライナー構想とも相まって、大田区の東西交通に光が見えたように思えましたが、区としては、この情報をどの程度把握しているのか、また、どのように対応していこうと考えているのか、お聞かせください。この構想が実れば、大田区の活性化に大いに貢献すると考えます。ぜひ推進をお願いいたします。
最後に、災害弱者に対する対応についてお伺いいたします。
災害は忘れたころにやってくると言われていますが、阪神・淡路の大震災から時がたつにつれて、あのときの危機感が薄れていきつつあるのは私だけではないのでしょうか。高齢化が進む中で、高齢者の多くの人たちは体に何らかの障害を持っています。一たん災害が起きると、高齢者、障害者、児童など、災害弱者と言われる人たちは自力では行動ができません。防災備蓄倉庫の内容もかなり充実した今、災害弱者に対する取り組みに力を入れることが必要と考えます。大田区の災害弱者への対応はどのようになっていますか。また、東京都において災害弱者防災行動マニュアルの提言が出されていますが、大田区の災害弱者自身のマニュアル作成についてどのような考えがあるか、お聞かせください。
その折に、高齢者、障害者及びその家族、保護者の人たちと話し合いの機会を計画していますか。机上の計画ではなく、要救助者がどのような不安を持ち、どのようなことを望んでいるのか、当然調査や話し合いも考えていることと思いますが、お伺いいたします。
避難援助に当たっては、区のみで対応することは困難と考えます。自治会・町会にある防災組織にも協力をお願いし、地域の中で助け合う方策が必要と考えますが、お聞かせください。
援助対象者の把握については、プライバシーの問題など難しいことが多いと思いますが、一たん災害が起きたときに、できる限りのリストを区が地域ごとに出せるように準備したらよいのではないでしょうかと考えますが、いかがでしょうか、お聞かせください。
これで私の全質問を終わらせていただきますが、区当局が私の発言や提案につきまして真剣に検討していただくことをお願い申し上げます。終わります。(拍手)
○議長(永井敬臣 君) 理事者の答弁を求めます。
◎区長(西野善雄 君) まず、今年度の予算を補正予算も含めて策定した後の感想はということでございますが、厳しい財政状況を踏まえたという点でございますが、ご指摘のとおりでございます。ただ単にことしの予算をつくればいいという考えではございません。ことしだけ予算ができれば、来年は縮まっちゃっても太くなってもというふうには考えておりませんで、やはりある程度バランスを持った予算執行、予算編成ができるように考えながら今回も組ませていただきました。したがって、今回の補正予算を含めて、11年度だけではなくて、ここ将来二、三年にわたって確実に各種の施策が展開し得るような、そういう条件というものを考えながら予算編成をさせていただきました。
そういう中では、今ご指摘いただきましたように、非常に厳しい環境になっている。これらについて、より多くの区民の皆さん、職員の皆さん、議員の皆さん方を含めて、ご理解いただけるような何らかの手段を講じていく必要があると、このように考えております。どうぞ今後ともよろしくご指導を賜りたいと思います。
次に、人件費問題でございますが、ご指摘いただきましたとおり、平成6年から、本問題については、他自治体に先駆けて、1354、2割近い職員を減らすということで打ち出しまして、現時点で793 マイナスという数字に相なっております。それですべてよしとしているわけではございませんで、まだ多少高い水準にあるのかな、今後とも努力はしなければいけない、このように認識をいたしております。
そのためには削減目標を高く掲げてというご意見でございますが、これからの取り組みにつきましては、今、第2次の適正化計画、第3次のを検討しろというようなご指摘もございました点を含めて、私どもも真剣に取り組むつもりでございます。
次に、サービスを片一方で拡充するときに、再雇用職員であるとか、非常勤職員であるとか、あるいは民間の有識者の方々を活用するとか、いわゆる正規職員以外の方途もあわせて考えるべきではないか、こういうことで各種の施設あるいはサービス等を取り上げてご意見をちょうだいいたしました。私どもも少ない経費で最大の効果が上がるような行政施策を提供していくべきである、この姿勢でこれからも取り組みたいと思います。今回の補正予算あるいは条例改正などに区民センターの一部改正なども入れさせていただいております。どうぞ適切なご論議とご指摘をちょうだいいたしたいと考えます。
区民センターについては、受付など夜間・土日などについてもサービスが提供できるように、それは委託の方法を拡充しながらということで考えております。
また、老人いこいの家でございますが、現在は12年度までの適正化計画の枠の中で取り組んでおりますから、これは13年度以降の宿題という認識で、私ども、頭の中にございます。
児童館、保育園につきましてでございますが、委託の方法の是非、あるいは委託先、委託内容、いろいろと議論しております。法の規制の問題もございまして、これから取り組みが可能になってくる、そのように考えております。
都区制度改革や介護保険制度が出発して、また職員定数がふえるんじゃないか、思い切って、そういう機会をとらえて全体的な再配置を見直してみなさいと。先ほど申しましたように、次の計画というものを考えていくタイミングであるのかな、このように見直しを考えようと思っております。
次に、資産などを有効に活用しなさいということで、未利用地があるんじゃないか、こういうことでございますが、ご指摘いただきました那須と富戸、これがまさに未利用地になっております。そのほか区内に散在する土地は、交換用地であるとか、取得してまだ活用していない部分、一部ございますけれども、そんな広大なものはございません。それから未利用地について適切に把握しているか。私どもとしては適切に把握をいたしております。
そこで、那須と富戸について、これから先どうするんだ、こういうご指摘でございますが、那須は、とうぶを完成させましたので、当面、区民の方々の休養というような形で施設建設をするという予定はございません。その場合には売却を考えるのか、あるいは別の再利用を考えるのか、こういうことでございますが、売却の場合には、取得価格を下回った値段で売却はなかなかしにくいなと。そういうことになりますと、地価がどういう傾向にあるか。それから再利用を考えるときには、その再利用がどの程度の活用を伴うか、こういうことも念頭に置きながら検討したい。一時は売却を考えましたけれども、そのときは残念ながら地価が折り合わなかった、こういう状況にございます。いずれにしても、そう時間を置かないで考えていくべきであろうと、このように思います。
それから富戸につきましては、ご指摘のありましたように圃場として活用しておりますが、圃場としてこれからも活用するのかという点で見直しを行い、近々、圃場としての活用は取りやめたい、そういう方向を打ち出しております。その後、あの土地をどうするか、こういう問題に行き着くわけでございますが、圃場活用は年度内に一定の方向性を出そうと、このように考えております。そういう点で、これからの論議をお待ちいただければ大変ありがたいと思います。
それから管理費でございますが、公共団体の場合は固定資産税などがございませんので、直接的な管理費というのはほとんどゼロに近い。ゼロに近いからいいというふうには思っておりませんで、より望ましい方向を研究をしてまいります。
次に、各部局で未利用資産を把握しているかというのは、先ほども申し上げたように、土地についてはきちんと把握をして、その利用方策、一部、使わないときには第三者に貸して賃貸料を取るというようなことも含めて、やらせていただいております。
また、土地ばかりでなくて、建物もあるわけでございますが、一番典型的なのは、本庁舎の移転に伴って利用しなくなった施設というのがかなりの数ありました。それも今、再利用のために改修計画を立て、再配置をするという方向で具体的に動かしておりますので、それらの施設も有効活用しているということでご理解賜りたいと考えております。
次に、介護保険制度がスタートしたときに、整えるべき福祉基盤整備は何があるのか、こういうご質問でございましたが、介護保険の場合には、施設サービスと在宅サービス、2つに分かれますが、施設サービスの施設の方は、特別養護老人ホームとか、医療系では老人保健施設、あるいは療養型の病床群、こういうものがございまして、一番最初の特養は区が直接的に福祉型ということで参加をしてつくっておりますが、あとの2つは医療系でお願いをさせていただいております。今後ともその需要に対して供給をどのように考えていくか、区としての計画は再検討の余地がある、このように思います。
次に、在宅サービス系でございますが、それは通所型と訪問型。通所型というのは、施設を区あるいは民間の方がつくっておいて、そこへお訪ねをいただいて、サービスを提供して、お帰りになる、こういうことですが、デイサービス、これは主として特別養護老人ホームなどに併設をさせていただいております。単独型もございます。それからショートステイ、これは特養に併設。それから通所リハビリ、その場所の提供、これは医療系と、それから上池台の福祉会館みたいなところでお願いをしている。そのほか短期入所療養介護のための施設としてのサービス提供、これも医療系のショートステイということで理解をいたしております。これらについては、区としても、現在、整備を大分進めてきておりますし、医療系の方でも同様に充実の方向で考えていただいております。
次に、訪問の方でございますが、ホームヘルプ、巡回入浴、訪問看護、訪問リハビリ、居宅療養管理指導、こういうようなことを行っております。いずれにしても、在宅にしろ、そういうサービス拠点をつくってということにしろ、施設をどのように拡充していくか、こういう問題があると思います。
そこで、空き教室を活用して、そういうものの一部に当てられないだろうかというのがご提案の趣旨だと思いますが、学校は教育の現場でございますから、その教育の現場と併存することによって弊害が生じないという大前提を置いて、そして並行的にサービスが提供できる、こういうことで条件整備を整えなければいけない、このように考えております。そういうときに、やはり居住型の施設はちょっとなじみにくいのかな。というのは、特別養護老人ホームみたいなものは、階層を3階以上は特別養護で、1、2階は学校でというように分ければ別でございますけれども、そうじゃない、1つの棟の中に共存するというのはちょっとどんなものかな、こんな思いがあります。在宅サービスセンターなどについては、その充実の方策の一環として空き教室を活用するか。その場合に、子供たちの教育現場との競合の問題をどう防いでサービス提供をしていったらいいのか、そういうことを十二分に、目的を損なわないように配慮した上で置き込んでいくべきであろう、このような理解で研究を進めてみたいと思います。
次に、清掃事務所などを引き受けたときに、大田区の場合には約600 人前後、そういう方々が人件費、事業費込みでどのくらいのお金になるのか。現時点で東京都の方から具体的に提示をされておりませんので、推計の域を出ませんけれども、大体百数十億円、三、四十億円ぐらいかなというような当たりで考えております。
これらの財源付与について、欠けることのないように積極的に取り組めと。私もそのような気持ちで取り組んでおります。また、取り組まなければならないという思いでございます。
そこで、財源配分の問題で都と区の合意に達していないのだろう。その辺のいきさつは何か。これはまさに東京都が従来市の立場で行ってきた大都市事務、それを特別区が行うのか、東京都の手で行うのか、その取り合いで財源の配分割合が決まってまいりますから、そういう点での大都市事務をどう考えるかというところでの意見のそごが生じております。現在の調整率44%を境にして、上下4%ぐらいの開きがある、このようにご理解いただければよろしいかと思います。
今後、それらのそごがある認識の中で、区側は大いに頑張って財源の確保に努めなさい、こういうご指摘でございますが、精力的に取り組んでまいる、そのことをお約束申し上げたいと思います。
次に、バランスシートをつくってということでございますが、貸借対照表、正直言って、公会計の中でも財団法人などやっていますが、私も余り読み方がよくわからないので、それがどの程度将来予測とか事業効果とかを判断できる材料なのか、つまびらかにはしておりません。しかし、いろいろな専門の方々の知恵をちょうだいしながら、より区民の皆さんにわかりやすい──ただ単に自分がなれているから、それでいいんだということではなくて、一般化している方向と連動した会計制度、そういうものを研究してまいりたいと、このように考えております。
次に、都市間交通を快適にということで、例の蒲蒲をつなぐ話が出ておりましたが、私どもも非常に興味と関心を持ってあの報道を眺め、早速その情報の出どころに、どういう内容か調査を命じ、資料を取り寄せました。あくまでも新聞に提供した材料程度しか入手できませんでしたけれども、今ご指摘いただきましたように、都市間交通をより利便性を重視しながら、しかも経費が安くというところに重点を置いた研究、こういう範囲でございます。
次に、防災の弱者対策でございますが、職員防災行動マニュアルとか、避難所の運営マニュアルとか、現在作成を進めております。そういう中では、災害時における災害弱者を受け入れやすい、支援をしやすい、そういう体制、また災害弱者自身の行動マニュアル、そういうものを含めて将来にわたって研究していく、こういう方向で考えております。
また、その中で、防災市民組織の皆さん方に直接お願いもする。こういうことで、現在8つの市民防災組織でそのようなモデル的な事業に取り組んでいただいております。今後とも力をこの方面に生かしてまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
◎教育長(山﨑勝美 君) ご提案いただきました学校施設の活用につきましてですが、これまでもお答えしておりますが、ただいま区長がお答えしましたとおり、学校教育に支障のない限り、教育委員会としても前向きに対応してまいりたいと、このように考えております。
次に、都区制度改革後の区の教育の権限範囲はどのように変わるかというご質問でございますが、都に関する特例を定めました地方教育行政の組織及び運営に関する法律第59条が廃止されることによりまして、区の教育委員会は法律的に市と同じ権限を有することになります。
具体的には、まず教科書の採択や教育課程の編成に関しましての権限を持つことによりまして、より地域に密着した個性豊かな教育行政が展開できるようになります。また、小中学校の教職員に対する服務監督権が強化されることによりまして、より効果的な人事行政が可能となってまいります。さらに、幼稚園教員については、現在、区が給与を負担し、都が人事権を行使しておりますが、今後はこの権限が区に移行しますので、区立幼稚園の運営について、区民の意思を適切に反映できるようになろうかと、このように思っております。この改革を契機に、大田区としての学校運営の独自性や創造性を発揮することによりまして、地域に根差した学校として地域住民の期待にこたえてまいりたいと、このように考えておりますので、今後ともよろしくご指導をお願い申し上げたいと思います。
私からは以上でございます。
○議長(永井敬臣 君) 次に、23番荒川善夫議員。
〔23番荒川善夫君登壇〕(拍手)
◆23番(荒川善夫 君) 大田区議会公明党を代表して質問をいたします。
3月に区民からの審判を受けて以来、初めての定例会をここに迎え、西野区長も私も4期目となりました。過去、何回かの世論調査でも、この大田区を愛し、この地に生活の本拠を置き、生涯を過ごしたいと願う区民が80%を超えていることからも、大田区が区民の願う都市であるためにも、その責任は極めて大きいと感じております。
梅雨入りと同時に中休み、うっとうしい梅雨も、自然界の動植物にとっては、その恵みを受け、はつらつと生命を躍動させ、アジサイは雨の中でしっとりとした美しさを誇らしげにして、人々を楽しませてくれる季節となりました。
先行き不透明の時代状況の中で、うっとうしい梅雨を恵みの雨と変え、日々の生活を通して人々に希望と力を与えられるものがあるとするならば、それは生活に密着した区民の心をとらえた自治体行政にほかならないと考えます。区民本位の区政を原点として、都市というのは、そこに住む人々のためにこそ構築されなければならないことは言うまでもないことですが、都市の定義は、そこに居住し、働き、憩い、交流する場でもあり、決して機能性や利便性の論理だけで構築してはならないし、住みやすさということでの安全性、働く機会が存在することでの安定性、憩い交流することが可能であることの安心性が求められ、トータルとしての快適性が担保されなければならないと思いつつ、幾つかの質問をいたします。
まず初めに、地方分権推進一括法案についてお尋ねいたします。
平成9年の第3回定例会で地方分権推進委員会の勧告について、全体的な感想、大田区としての受け皿の計画、機関委任事務の廃止、必置規制の見直し、地方税財源の充実確保と国庫補助負担金の整理合理化、都道府県と市町村の新しい関係、行政体制の整備・確立等、大田区に直接関係するであろう内容についてお尋ねをいたしました。西野区長は、当時、健康を害され、病との戦いをされていましたので、答弁は山本助役がされました。区長と助役は表裏一体と考えますので、助役答弁を現在も重く受けとめています。
ご承知のように、地方分権は、国に集中している権限や財源を地方公共団体、特に住民に身近な基礎的自治体の市町村に移し、住民が生活しているレベルで、具体的に、目に見える形で物事が決まる。すなわち、地域のことは地域で決めるという仕組みをつくることであります。
明治以来の中央集権体制は、近代化など一定の役割を果たしてきたことは言うまでもないと思いますが、内外の政治、経済、社会状況が大きく変化した現在は、一律的な扱いでは既に限界が生じ、分権型社会の実現が重要課題となってきました。
平成7年5月、地方分権推進法が5年間の時限立法として成立され、このことに基づく地方分権推進委員会の4次にわたる勧告を尊重し、平成10年5月、地方分権推進計画が策定されました。その後、自治省を中心に法案化の作業が進められ、ことしの3月に地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案として第145 回国会に提出されました。国会の審議方法をめぐり紆余曲折がありましたが、5月25日から衆議院行政改革特別委員会において本格的な審議が始まりましたことは、ご承知のとおりであります。
地方分権の推進は国と地方公共団体の関係を根本的に変えるものであり、地方自治の根幹にかかわるものであると同時に、時代の潮流に合致するものと考えます。地方分権の問題もいよいよのときを迎えておりますので、改めてこの機会に、国会に提出された法案に対し、具体的な内容についてお尋ねをいたします。
今回の地方分権法案は全く問題なしとは言えません。1つには、膨大な法律案であり、十分な審議を行うべきと考えます。2つには、国から地方への財源配分が明確になっていない点であります。3つには、自治事務についての現行法は是正の義務づけがなかったのに、法案では国が資料の提出要求、是正要求、勧告、指示などができ、地方自治体は是正・改善措置が義務づけられ、国の地方自治体への関与が強過ぎます。地方分権推進委員会では、当初、自治事務を全体の80%にするはずでしたが、55%に減り、法定受託事務がふえました。問題点や課題は今後整理をされ、法案成立をと望んでおりますが、区長の現在の率直な感想をお聞かせください。
地方分権推進一括法案は、これまでの国と地方自治体との関係を上下から対等・協力に変えていくことを主な目的としており、その柱は機関委任事務制度の廃止ではないかと考えております。この機関委任事務の廃止に伴い、区の事務は、都市計画の決定、飲食店営業の許可、理容師・美容師、クリーニング等の営業許可等、自治体が主体的に担う自治事務と、生活保護や国政選挙等、自治体が国から対等な立場で請け負う法定受託事務とに再編成され、国や東京都とは新たなルールに基づいた関係となります。したがって、区における機関委任事務の把握、整理、事務がどのように変化するのか、それに伴う執行体制がどうかなどを検証する必要があると思います。このような観点から、区の受け入れ体制を整えるべきと考えますが、いかがでしょうか、お答えください。
機関委任事務の廃止に伴って、地方自治法第227 条や第228 条の手数料に関する項が改正され、国の地方公共団体手数料令が廃止されます。自治事務であれ、法定受託事務であれ、事務自体は大田区の事務として位置づけられるため、現在の地方公共団体手数料令に基づく東京都大田区手数料規則を廃止し、新たに手数料条例を制定しなければならないようになります。となれば、区民の方々に対し周知徹底する期間が当然必要となります。新たな手数料条例を今後いつの議会に提案される予定なのか、お聞かせください。
戸籍関係手数料、道路運送車両法関係手数料は、国が標準的な手数料を法令で定めた上、大田区の条例で定めることになっておりますが、旅館業法、公衆浴場法、食品衛生法、理容師法、薬事法、建築基準法、都市計画法などの関係手数料は、地域の実態を勘案し、自主的な判断によって条例で定めることになっています。すなわち、大田区の独自の判断で見直しをすることが可能となります。区民生活に少なからず影響を与えることになりますので、条例改正の際には料金改定をする考えなのかをお聞かせください。
次に、必置規制の見直しにはどのように取り組まれるのかをお伺いいたします。
憲法第92条には、自治体の組織、運営について「地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」と地方自治体の自主組織権を保障しております。このことから、法案では、行政の総合化、効率化を進めるために、法律による規制は必要最小限にとどめ、通達によるものは廃止しています。平成9年の保健衛生部と福祉部の組織統合は、まさに先見の明があったのではないかと評価するものでありますが、このような大規模な組織改正はともかくとしても、事務事業の実態に照らし、見直しは大いに行うべきであると考えております。
必置規制とは、簡単に言えば、国の法律や通達で設置あるいは配置しなければならない審議会や職員であると理解をしております。そこで、次の点についてどのように考えているのか、お聞かせください。
第1に、現在、旧本庁舎跡に建設中の文化活動支援施設には図書館を置き込む計画になっていますが、図書館職員、とりわけ図書館司書の配置をどうするのか、お聞かせください。
第2に、福祉事務所のケースワーカーの配置基準が廃止されて、あくまでも目安になる標準に変わりますが、今後どのように取り扱われるのか、お聞かせください。
第3に、既に厚生省令で必置規制が廃止されている保育園の調理員については今後どのように取り扱われるのか、お聞かせください。
第4に、附属機関や審査会などのメンバーに必要と認められるものを除き、区議会議員を委員に選任すべきでないと以前から私は主張してきました。その理由として、区議会議員は、この議場や各委員会の場で議論の場を与えられているからであり、札幌市や隣の川崎市では既にそのようになりました。附属機関等には各層から幅広く民間から登用すべきであり、同一人を幾つも重複させメンバーに選任し、その会議に出席するだけで全く意見を見ないのであれば、附属機関等は形骸化していると指摘せざるを得ません。附属機関等に意見のない委員と、その理事ということで、大田区の優秀な幹部職員を長時間拘束していることは、資本の効率から考えてもいかがなものでしょうか。必置規制が緩和されようとしている現在、見直す考えはないのか、お尋ねいたします。
次に、地方税財源の確保についてお尋ねいたします。
権限移譲に伴う大田区の自治事務の例としては、区長委任条項により実施している商店振興組合等の設立許可、役員変更の届け出の受理、定款変更の認可、解散の届け出の受理等、また、犬の登録、鑑札の交付、注射済票の交付などがあり、法定受託事務の例としては、児童扶養手当の受給資格の認定等が挙げられます。しかし、これらの事務権限の移譲に伴う財源移譲については、法案において明確に示されておりません。国、都道府県、区市町村という三元制の中で生まれている無競争・無責任体制から脱却し、地方自治体が経営の責任を持つことが求められています。機関委任事務の自治事務化、地方自治体への権限移譲に伴い、国の機関の事務量は減少し、大田区の事務量は当然ふえるわけで、それを支える財源が不明では、結果的に区民サービスを低下させないか心配であります。財源確保については、国に強く要望すべきと考えますが、今後どのように対応されるのか、お尋ねいたします。
景気の低迷による財源確保は全国の地方自治体共通の悩みであり、大田区も例外ではないと考えております。法案では、平成18年度(2006年度)からではありますが、地方債を発行する際の自治省の許可制が廃止されます。いわゆる国の許可がなくても借金ができるわけでありますから、この問題についても、今後、私ども議会として注目をしていきたいと考えております。
もう一方で、課税自主権が拡大されています。法定外目的税が創設されるとともに、法定外普通税は現在の許可制度を廃止し、事前協議制に改められることになりました。このことから、法定外普通税については、既に茨城県では、原子力関連施設の安全対策費を確保するため、使用済み核燃料に課税する核燃料等取扱税をこの4月1日より条例施行しております。また、港区においても、区外業者が設置しているたばこの自動販売機の売上分に課税するため、本年度は該当する自販機の台数調査を開始しております。そこで、大田区でも新たな財源確保のため、大田区にふさわしい新たな法定外普通税の導入を真剣に考えるべきと思いますが、見解をお聞かせください。
次に、人口20万人以上の市への特別区への適用についてお伺いをします。
現行の地方自治制度では、人口規模等に応じて都道府県事務の一部を市が行うことができる仕組みとして、指定都市制度と中核市制度があり、また、地域保健法などの個別法によって個々の市に政令により指定し、権限の移譲も行っています。今回の法律案によれば、これに加えて、新たに人口20万人以上の市を対象として事務権限の移譲を行う特例市制度を設けることとしております。特別区における人口20万人以上の区は大田区を初め16区もあり、人口20万人未満の区でも昼間人口が20万人を大きく超える区がほとんどであります。
また、東京23区は、保健所設置市における事務や、東京都からの委任により政令指定都市の事務も執行しており、特別区の事務処理能力は高いと思います。したがって、人口20万人以上の市に移譲される事務についても特別区へ一括適用すべきと考えますが、法案では特別区への適用はされていません。区長の見解と今後の対応についてお尋ねいたします。
次に、東京都地方分権推進計画についてお伺いいたします。
平成11年4月5日、第1次東京都地方分権推進計画(素案)が公表されました。この素案は、本国会に上程されている法案を反映し、東京都が当面対応しなければならない事項に限定しており、今後、素案作成後の新たな事情に基づき修正を図り、法案成立後、計画を策定していくとしています。いわゆる法律に基づく事務についての対応でありますが、具体的に今後、第1次計画策定の発表はいつになる予定か、お聞かせください。
東京都では、第1次東京都地方分権推進計画策定後、都が独自で対応する事項について、第2次東京都地方分権推進計画を策定し、都の内なる分権を着実に進めるとしていますが、その検討状況をお伺いいたします。
また、移管事務の範囲や、その財源問題は、特別区に大きな影響があると思います。区として、都との間でどのような協議を行っていくのかもお伺いいたします。
この項の最後に、地方公共団体の首長の多選の見直しについてお聞きいたします。
地方分権推進委員会の第2次勧告及び地方分権推進計画に基づき、学識経験者によるワーキンググループを設けて、昭和29年の三選禁止法案、昭和42年の四選禁止法案、そして平成7年の四選禁止法案、いずれも審議未了で廃案になりましたが、外国の立法例などを調査し、論点を洗い出し、整理をしているところであります。
多選禁止積極論から見ると、長期間在任するとさまざまな弊害が生じるとして、政治の独裁化や人事の偏向化を招き、マンネリ化により職員の士気が沈滞する。議会との特殊な関係を生じ、議会とのチェック・アンド・バランスが保てなくなる。多選のために行政が選挙目当てに陥りやすく、財源の効率的使用が阻害される。日常の行政執行が選挙運動的効果を積み重ね、選挙民の自由公正な意思が反映しがたくなるとしています。
また、多選禁止消極的な立場からの意見は、多選の良否は選挙民が選挙を通じて判断すべきであり、立法をもって立候補を禁止することは適当でない。また、多選を禁止することは、憲法第14条(法の下の平等)、第15条(公務員の選定罷免権)、第22条(職業選択の自由)、第92条(地方自治の本旨)、第93条(住民による首長等の直接選挙)との関係において、合理的な理由に基づく制度として説明が可能かなどの意見が出たとのことであります。
今回の法案には多選禁止条項は盛り込まれなかったわけですが、このたび西野区長は四選を果たされました。この場をおかりし、おくれましたけれども、改めておめでとうございますと申し上げます。私ども大田区議会公明党は、この期の4年間は大田区政の歴史の中でも最重要課題山積の4年間ととらえ、地方分権や介護保険法、清掃事業の区移管などの取り組みは、大田区のみならず東京23区全体の問題として、西野区長の行政手腕に期待し、4期目への挑戦を懇請したのであります。かつて西野区長は、マスコミのアンケートに、区長の任期は何期がよいかの問いに、3期と回答されたように記憶していますが、その理由と、多選禁止に対する率直な考えをお示しください。
今回の法律案が成立することにより、地方分権が確実に前進することを望みつつ、この項の質問を終わります。
次に、西野区長の選挙公約についてお聞きいたします。
過去4回の選挙戦での公約は、福祉の充実、産業の振興、文化の向上と発展の3本柱は一貫しております。臨時議会での招集あいさつで施策の方針は概括的に理解できましたので、具体的に4年間の中で、この3本柱に沿って、これだけは取り組みたい、これだけは実現させるぞとの意気込みをご披瀝願います。
産業の活性化、振興があって初めて福祉の充実があると区長は常々言われていますが、区内製造業の集約化、転・廃業の増大により、事業所数、従業者数の減少、生産機能の低下する中で、景気対策としての融資制度の創設や工場アパート建設への取り組み、昨年は第2回中小企業都市サミットの開催をし、大変評価のできるところであります。
この都市サミットの中で「大田宣言」が出されました。また、この宣言の中に中小企業施策に関する政策提言があり、政府・関係機関に対しても相応の役割分担を求めていくとしていますが、具体的な行動をされましたでしょうか。また、今後どのようにされますでしょうか、計画をお聞かせください。
これまで我が党は、中小企業に受発注機会の拡大をとの視点で幾つかの提案をしてきました。石原都知事は、4月23日の就任記者会見の席上、大田区の製造業のその技術は世界的であり、インターネットを使った企業情報の必要性を力説されていました。大田区が出資している情報サービス会社のオーネットが全国的な規模で企業データベースの構築に取り組んでいることは、インターネットを介在した新しい時代の新しい動きであることから、都知事にも力をかり、大田区は積極的に政策展開すべきと思いますが、いかがでしょうか、お答えください。
かつて私は、学生時代、区内の町工場で幾つものアルバイトを経験いたしました。集団就職で上京した青年が機械に巻き込まれ、私の目の前で即死したことを今でも忘れることができません。不注意であったとしても、労働災害であります。今でこそ設備投資がされ、このような事故はなくなったと思いますが、小・零細企業にとって、経営者や従業員が事故を起こしたり、健康を損なえば、生産ラインは予定が狂い、その企業・町工場の経営は命取りになりかねません。幾らすばらしい技術を持っていても、毎月の資金繰り、仕事量確保のための奔走、納期との戦いの中で、ストレスが増大し、酒やたばこの量もふえ、生活が不摂生に陥り、運動不足になる。このような町工場の従業者が多いのであります。ある程度の企業規模であれば定期的な健康診断がされていますが、しかし、小・零細の町工場の従事者は、健康診断すらしていない方が多いのが実態ではないかと思います。
大田区では成人病健診、すなわち生活習慣病の健診を行っています。40歳以上の方に血圧測定、尿や血液検査などを1年1回無料で受けられます。その方法として、地域の小中学校での巡回健診、区内の医療機関での健診、20歳から39歳の在宅女性を対象に同様の健診も行っています。しかし、その健診結果は、総コレステロールがどうとか、中性脂肪が幾つかとか、HDL、GOT、GPT、γ-GTPの数値を見ても、医学知識の少ない区民にとっては、医者に聞かなければ一般的にわかりにくい。その血液検査は全身の健康状態を知る上で極めて重要で、かつ最も基本的な情報を提供してくれます。
そこで、血液検査の重要性と、数値的理解のできるような簡単なパンフレットなどを地域保健福祉センターに置き、周知するとともに、保健福祉部と産業経済部が協力し合って、小・零細の町工場の従事者の健診率を高めていただけないでしょうか、お尋ねいたします。
小・零細の町工場の従事者が健診を受けるときは、自分自身の健康状態が異常であることに気がつきとのパターンが多いようで、これは二次予防でもあります。長年の職場環境、身についた生活習慣を改善することは極めて難しいと思いますが、みずからの健康をコントロールし、改善できるようにするためのヘルスプロモーション、セルフケアを尊重する健康教育の一次予防こそ大切と考えます。二次予防を推進することも大切とは思いますが、大田区の限りある予算を考え、一次予防を啓発し、今以上に健康政策を展開していただけませんでしょうか、お尋ねいたします。
病んでいる社会・経済環境の中で、西野区長の選挙公約を確実に実現していただき、元気で健康な大田区と願いつつ、全質問を終わります。(拍手)
○議長(永井敬臣 君) 理事者の答弁を求めます。
◎区長(西野善雄 君) お答えいたします。
地方分権推進法でございますが、皆さんのところではなかなか本体が見れないと思うんですね。冊子にしてお配りしてございません。大田区役所にもCDで来ています。ですから、CDからプリントしてというのは、とてもじゃないけれども、こんなになっちゃって、やっておりません。項目だけバーッと出したようなリストで判断しております。必要な部局でコピーをして点検をしております。そういう状況でございまして、非常に膨大なものである。それをトータルで、底流として流れているのは、従来の上下関係から対等にしようじゃないか、中央集権から分権の方向に行こうじゃないか、そういう底流で流れているんですが、個々に見ていくと、多少問題がなしとしないという部分があるやに散見いたしております。そういう点は十二分に注意をしながら、本当に地方分権の方向に流れる、そういうことに持っていかなければいけない。その一番大きな理由は、仕事はやるけれども、銭はやらん。やらんとは言っていませんけれども、今のところついていないという状況、これはとんでもない話で、これからも強く言いたいと思います。いずれにしても、身近な自治体で身近な問題が解決できるようにしていこう、こういうことで私どもは理解し、また、大田区としても昨年の9月に制度改革がうまくいくように改革実施本部を設けて、この問題についても、点検、受け入れの準備、そういうことをやらせていただいております。
次に、手数料の問題でございますが、手数料それぞれに決められてきた、いろいろな経過を踏まえておりますから、今、区に移ったから直ちに料金を下げるとか上げるとか、そこまでの検討の時間的な余裕も非常に乏しいというのが現況だと思います。そういう中では、都区との協議も踏まえながら適切に対処していこう、このように思っております。
それから国が今出しているわけですけれども、東京都自体も内なる分権、後段の方でご質問がございましたけれども、この問題でやっぱり東京都としても考えて、区の方に移そうか、こういう議論がありますが、実は東京都自体は、今、国からの分権の方をどう受け入れるかという方で物すごく忙しくなって、自分のところのはちょっと後回しになっている、こういう状況にございまして、大体法案が通って7月ぐらいまでには整理をして、東京都としての受け入れを区の方に流してこよう、その後、東京都の区に対する分権の問題を段階的に取り扱っていこう、こういうスケジュールというふうに私は承知しております。
それから必置規制がなくなった。しかし、いろいろと、実はこうしたらいいんじゃないかとか、こうすべきじゃないかというような話がちょろちょろ出てくるんですね。モデルはこうですというような、そういうのは実はやめてもらいたいというのが私の気持ちでございますが、しかし、全国3300の市町村が直ちにすべて右へ倣えじゃない体質に変われるか、それは非常に難しいところがあるので、あくまでも物差しといいますか、自主的判断を助ける情報として中央省庁が出す、そういうことは残るんじゃないかな、そんな思いがいたしております。しかし、いずれにいたしましても、区民生活を最もベースにしながら、これから私どもとしては取り組んでいこうと、このように思っております。
そこで、図書館司書はどうするのか、こういうご指摘がございました。いずれにいたしましても、利用者の方も非常にハイレベルの知識を持つようになってきている。それに対して、ただ単に本の出し入れのサービスで図書館はいい、こういうようには思いませんから、専門的な知識と、その利用者とがうまくコミュニケートできる、そのためには必要なもの、社会的な要請、時代的な要請にこたえられる配置、これは片一方では考える。ですから、単労系といいますか、そういう業務と、レファレンスサービスを提供するような、そういうようなことは両々相まって進めなければいけないんだろう、このように思います。
次に、ケースワーカーの問題ですが、これも同様でございまして、従来、大田区の場合に、人員配置がなかったので、人員配置をしないのは違法であるよというような指摘を受けた。あるいはケースが多いのはいかんとか、そのために人員をボンとつけなくちゃいけないとか、あるいは削らなくちゃいけないというようなことがありました。そこまでやらなくても、それぞれの区なり、それぞれの自治体の地域特性に応じた取り組みの仕方、例えば法外援護も一緒にやっている場合には持ち件数が少なくなるし、ただ単に法定業務だけやっている場合にはその枠でおさまるだろうしというような問題がありますので、これからは自治体の事情を配慮した人員配置も可能になる。そういう意味で、私どもは一歩も二歩も前進だと思っております。
次に、必置規制の中での児童福祉関連の問題でございますが、この辺も外れてきたときに、より効率的な、より機能的な、よりよいサービスを提供するためにはという配慮から取り組める、こういうふうに受けとめております。
その中で、議員さんを審議会に入れるのはというのがございましたが、これは議会のご意見も十二分に聞いた上で決めさせていただきたいと思います。
職員の関係でございますが、そういう職員をそういう審議会に入れなくちゃいけないというような法律の枠がある。それが多少外れてくれば、その配当を減らすということは可能になると思います。ただ、いろいろな対策会議などの場合には、逆にその場を周知する、徹底するための場ととらえることもできる。こういうようなメリットもありますので、その内容を考えながら配置、あるいは委員として任命をしたいと考えております。
財源移譲については先ほどお答えしたことでございます。
次に、法定外普通税の導入問題でございますが、適切なものがあれば、大田区としての特異性があって、しかも、第三者から見ても、ああ、それはもっともだなというようなものがあれば、十二分に取り入れについては研究してまいりたいと思います。
次に、20万以上の都市を今度は地方分権推進計画の中では権限移譲の対象として入れているが、この問題について特別区はということですが、昨年の7月に区長会として、23区は一括してこの枠の中に入れるべきだという要望を出しましたが、法案の中では実現いたしておりません。
次に、東京都の分権の関係は先ほどお答えしたとおりでございます。基本姿勢としては、東京都についても同様に、区に移すべき内容のものは積極的に移すべきだ、こういう主張をいたしております。
次に、多選禁止の問題でございますが、賛否両論おっしゃっていただきました。私は、当人の問題としてとらえたときに、意欲があるかないか、それが問題ではないか、意欲がなくなったらやめるべきだ、そういうように考えております。
次に、選挙公約に絡んでのお話でございますが、地方分権の流れの中で、福祉、産業、文化、それのよき循環をつくり出していこう、こういうことを申し上げておりましたが、まさに今回は都区制度の改革、介護保険制度の導入、大きな節目を迎えております。そして、大田区が区民の皆さんにとって、21世紀の基盤を整えて、働き、憩える、いいまちになるように精いっぱいの努力をしていこう、これが私の気持ちでございます。
次に、中小企業都市サミットでいろいろ論議をしたけれども、それが何か成果を生んだのか、こういうことでございますが、私も、実は直接通産省政務次官に会って、これこれと要望を出しました。不況業種の指定の拡大の問題であるとか、あるいは業種の指定のあり方がどうだとか、そういうことをやりました。1か月もたたないうちにパッと拡大が出てきた。そういうような事例がございます。ああ、やるだけのことはあったなと、こういうように思っております。これは実は諏訪の市長から、不況業種の加工の部分で入れろというのがありまして、加工というのはだめだと。抽象的だから。どういう加工だ、そういう具体的な内容を出せば考えるというような話がありまして、そういうものを要望に行って入れさせていただいた。それから信用保証協会の特例保証対象になる不況業種の拡大、こういうものも実現をいたしているわけでございます。
次に、オーネットの情報のインターネットによる活用などについて、もうちょっと情報を流して、石原知事ももうちょっと認識をしてもらいなさいということですが、機会があったときにはぜひやりたいと、このように思います。今、オーネットでは、全国中小企業インター受発注ネットワークシステム(SMET)というのを構築中でございまして、6月1日から商用開始をしよう、そういうことで、今、企業データを集積をしておりました。ちょっと時間的に試行中でございまして、まだ開設はおくれておりますが、受発注機会の拡大などが可能になるであろうということを期待しているわけでございます。
次に、成人病などの予防のために、中小・零細企業の従業員さんが、検査の後、有効な情報を提供して、自己判断ができるようにならないのか。今ここに成人病巡回健診結果表というのを持ってきて、ここに血液検査などの欄があって、その数値を入れた、わきのところに検査項目とその説明、こういうことに気をつけなさい、こういうところで診察をしてもらいなさい、そういうことが一々書いてあります。GOTとかGPTとか、私もよくわかりませんが、そういうことについて多少説明を加えたようなものがあれば有効じゃないか、そういうご指摘でございますので、後ほど検討を命じたいと思います。
いずれにいたしましても、早期発見、早期治療という方向で今日まで進んでまいりました。それがめぐりめぐっては、より働いてくれて、区の経済にも有効になるんだよという健康という面からの取り扱い、私どもも十二分に意にとめながら取り組んでいきたい、このように思います。
私からは以上でございます。
○議長(永井敬臣 君) 会議が長時間にわたりましたので、しばらく休憩いたします。
午後2時47分休憩
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午後3時6分開議
○議長(永井敬臣 君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続けます。48番中村 稔議員。
〔48番中村 稔君登壇〕(拍手)
◆48番(中村稔 君) 日本共産党大田区議団を代表して質問します。
まず、区政のあり方についてです。
政治の第1の役割は国民生活の安定にあります。とりわけ住民の暮らしを守ることを本来の仕事とする地方自治体として、大田区が今日果たすべき最優先の役割は、深刻な不況の中にある区民の暮らしと営業を守ることです。男性の失業率はついに5%に達し、政府の6月の月例経済報告も、景気は横ばい、再び悪化する危険を残していると述べて、最悪の状況が続いていることを認めています。
区民の暮らしと営業の実態はますます深刻です。幾つかの事例でも、家族3人の有限会社の社長は住宅ローンを含めて45万円の生活費が必要なのに、給与は20万円すら確保できない状況が続いている。資本金1000万円のある企業では、売り上げが7年前の約60%、労働者の年間一時金は約130 万円から40万円に。資本金3億円の中堅企業でも、売り上げが10年前の75%に減少、昨年8月から残業がゼロになり、労働者の年収は数十万円の減少。ゲーム機メーカー、セガ・エンタープライゼスの仕事をしていた町工場では、昨年は不渡り手形を受け、ことしは仕事が全くなくなった。ある商工団体では、会員の約5%から債務整理など経営危機の相談が寄せられた。リストラによる解雇が契機となった家庭不和からの離婚など、不況の影響は家庭崩壊や子供への虐待など、区民生活のあらゆる分野に及んでいます。
これまで区長は、実態調査は工業景気動向調査を実施している、深刻な状況は認識している、不況対策本部はなくても庁議で十分だと述べてきました。しかし、23区の中にも、区の管理職みずからが区内や関東近県の事業所に区内企業との取引を要請して歩く、地域振興券の換金手続を短縮する措置をとるなど、何とかして不況に立ち向かおうという姿勢の自治体が見られます。一地方自治体で景気を回復するとかは到底できないが、実際に中小零細企業の方々がどうしようもなく苦しまれているのに、座して見ていることはできないという墨田区長の発言を紹介した都政新報6月8日付の記事は、同じ地域の仲間を助けようという熱意が自治体に求められていると結んでいます。
ところが、大田区では物品や工事の中小企業への発注率向上の問題一つとっても、契約は総務部の所管だということで、産業経済部では実態が把握されていません。ここには、大田区政の全分野で区民の実態について認識を一致させ、連携して取り組む必要性があらわれています。深刻な区民生活の実態は、工業の景気動向はもとより、区民相談、国民健康保険、年金、課税や納税、保険や福祉、産業経済、教育など、区政のあらゆる分野に反映されています。区民生活の実態を真剣につかもうとするなら、こうした区政の各分野でのあらわれをまとめて把握するだけでも相当な調査になるはずです。そうした実態に基づいて、区政の全分野を挙げて、不況から区民の生活を守るために何ができるのか、今こそ本格的に追求すべきときです。こうした立場に立つなら、名称はともかくとして、日本共産党が再三提案している区政の全分野を包括する不況対策本部の設置、そして緊急対策としての施設使用料を値上げ前に戻すことや敬老金の復活などの暮らしの支援策、物品や生活密着型公共事業の拡充と地元発注の拡大、中小商工業への支援策の拡充、消費税3%への引き下げや雇用の拡大を初めとする国への要請などに具体化されるはずです。このような立場に立つ意思があるのかどうかお尋ねをいたします。
区民の暮らしと営業を支援するための財源確保も重要な問題です。90年代の不況の中でも、大田区は当初の大型施設の建設計画をほとんど見直さず進めてきました。松平邸跡地の購入では、利子を含めて85億円、東部町開発71億円、蒲田東口共同事業179 億円、さらに全く計画にもなかった区役所移転で210 億円などです。合計で約545 億円、金利を3%と見れば年間16億円程度の税金を投入していることになります。不況とその対策のための減税なども相まって、大田区の借金、起債残高は約1400億円に上っています。今後の公債費、利子と元金返済の予定を年度別にお答えください。
今、政府・財界が進めている経済政策は、大企業の債務、設備、雇用の3つの過剰の処理という一層の大リストラで国民犠牲をさらに拡大するという不況の悪循環への道です。雇用の拡大は労働者の要求のみならず、消費税の引き下げや中小企業を守ることとあわせて、不況打開のための国民的な課題になっています。政府・財界の政策の転換を強く求めるとともに、大田区としても不要不急の事業を凍結、見直して、その財源を区民の暮らしの支援に回すことがいよいよ強く求められています。
これから総額90億円の支出が見込まれる平和島運河の埋め立て工事には、5年間としても年間約20億円がつぎ込まれていきます。私どもは平和島運河については、区の財政のあり方からも、自然保護の点でも、東京都が進めてきた護岸工事で十分であると考えます。今、区民が直面する困難の打開こそ区政の最優先の課題であるとの立場から、平和島運河の埋め立て工事の凍結、見直しを初め、引き続き考えられている蒲田保健所移転跡地の再開発など、緊急性のない公共事業は当分の間凍結を求めますが、いかがでしょうか、お答えください。
次に、区政のあり方に重大な影響を及ぼす地方分権一括法案についてです。衆議院での審議が重大な段階にある地方分権一括法案は、475 件の法律、関連資料も合わせると広辞苑3冊分にも及ぶ、日本のすべての法律の約3分の1にわたる膨大な法案です。その規模の大きさからも、拙速な結論ではなく、慎重に審議すべきですが、同時に重大なことはその内容です。地方分権は、一般的には政治をより国民に身近なものにして、地方自治体やそこに住む住民の願いを反映できるものであり、日本共産党も1995年の地方分権推進法には、地方自治の拡充として実が結ばれるよう意見を述べて賛成しました。しかし、数次にわたる地方分権推進委員会の勧告で本来の趣旨が次々にゆがめられ、地方分権推進とは全く逆の法案になってしまいました。
地方自治体を国の行政機関とみなして国の仕事をさせ、国による自治体支配のかなめとなってきた機関委任事務が廃止されます。このこと自体は前進と言えますが、機関委任事務561 件のうち、地方自治体の本来の仕事、自治事務になるのは398 件で約6割にすぎず、約4割、275 件は新しく法定受託事務として、国による地方自治体への強制力を持つ職務執行命令や代執行が残されました。そればかりか、自治体本来の仕事である自治事務にも、代執行という地方自治体に対する国の強制的な関与が新たに拡大されています。国から地方自治体への是正の勧告も、首相だけに与えられていた権利を各大臣に広げるとともに、地方自治体がそれに従わざるを得ない義務を新たに設けています。米軍用地の確保でも、地方の意見を無視して国が決定できる仕組みがつくられました。ガイドライン法での新たな施設・区域の提供を強制する措置です。地方分権が進めば長の権限も大きくなり、それをチェックする議会、議員の役割もいよいよ重要になるのに、議員定数の削減も押しつけようとしています。
その一方で、財源措置については起債の許可制廃止など、ごくわずかな財政自主権の拡充にとどまっており、権限移譲に伴う財源移譲は全く触れられていません。リアルに見れば、地方分権の推進とは名ばかりで、地方統制法とも言える法案です。区長がしばしば答弁する国会審議を見守るだけでは重大な結果になりかねません。
日本共産党は8日、地方分権一括法案について、国の関与・統制の強化をやめ、自治体の自主性を最大限尊重すること、国の仕事を押しつける法定受託事務は最小限とする、地方への財源移譲を促進するなど、7つの柱の修正案を発表し、国会に提出いたしました。本来の地方分権の推進では、立場の違いを超えて一致できると思います。地方自治体の根本にかかわる問題です。問題点が国民的にも明確にされ、徹底した審議が行われるよう求めようではありませんか。いかがでしょうか、答弁を願います。
次に、米軍の羽田空港利用問題です。一昨日、8日、沖縄米軍の殴り込み部隊・海兵隊の155 ミリりゅう弾砲実弾砲撃演習に参加する先発隊15名が民間航空定期便を利用し、羽田空港に到着、東富士演習場に向かいました。5日付東京新聞は、成立したばかりの新ガイドライン法は、自治体、民間協力の項目に米軍による港湾、空港の利用を明記しており、周辺事態を想定して、早速、羽田空港が使われると見ることができると述べています。日本共産党は去る2日、区長に対し、区民の平和の願いと大田区平和都市宣言の立場から、事実の調査及び事実なら反対と抗議の意思を表明するよう要請しました。4日には羽田空港の空港長に、空港管理者として乗客と施設の安全確保の立場及び区長への要請と同様の趣旨で申し入れてきました。地元自治体の大田区長も、利用される施設の管理者である空港長も、ともにこの件について何も知らされておらず、東京新聞の指摘、なし崩しのうちに実現する羽田空港の米軍使用という事態は重大です。区長は米海兵隊の羽田空港利用と大田区通過について調査をされたのかどうか。調査をされたとすれば、その内容はどうだったのか、区長はどのような対応をされたのかお答えください。
日本共産党は創立以来、激しい弾圧にも抗して一貫して戦争に反対し、平和の主張をし続けてきた党として、新ガイドライン法・戦争法のあらゆる具体化を許さず、戦争法の廃止を目指して、平和を願う多くの区民とともに奮闘する決意を述べておきます。
次に、いよいよ来年4月実施と10か月後に迫っている介護保険について質問します。
政府は、これまでに介護が必要かどうかを決める要介護認定基準など、必要な政省令の9割を固めてきました。今定例会にも介護保険認定審査会の条例が提案され、認定審査がことし10月から始まります。介護保険の名で、現在より福祉が後退するといった事態を招くことは絶対にあってはなりません。
日本共産党は昨年4月に緊急提案を発表し、ことし3月、改めて介護保険実施に向けての5つの緊急要求を発表いたしました。その第1は、大幅におくれている介護基盤の整備に、国と自治体は全力で取り組むことです。ホームヘルパーは在宅介護の中心的な人的基盤です。大田区地域福祉計画による2000年までのヘルパー派遣目標は2019世帯に年間22万3572回となっていますが、これでは平均週2回として対象者の3分の1しか派遣できず、もし対象者全員に派遣するとすれば平均週1回にもなりません。3か年実施計画で見ても、派遣世帯1600世帯、28万1000時間で、1世帯当たり年間176 時間、昨年度実績の1回当たり2時間として見ると、4日に1回しか派遣できないことになってしまいます。
大田区地域保健福祉計画実態調査では、在宅介護の提供主体は公的サービスが72.5%で最も多くなっています。今日まで公務員ヘルパーが主要な役割を果たしており、これからも質の高い安定した介護サービスを維持し、提供するとともに、区内全体の介護水準の向上に果たす役割が大きく期待されます。ところが、大田区の公務員ヘルパーの定員は51人で、約20年もの間、全くふやさないばかりか、定年退職などを補充せず、現在47名であり、4名欠員のままです。また、特別養護老人ホームでは、ことし3月末現在で待機者847 人に対して、介護保険が始まる来年4月までの建設計画は、区立200 床、民間80床と合わせて280 床です。これでは待機者の半分も入所できません。ホームヘルパーの大幅増員、特別養護老人ホームの増設など、介護基盤の整備が緊急に求められていますが、今、策定作業が進められている地域保健福祉計画で、ホームヘルパー、特別養護老人ホームの目標の引き上げが必要です。また、その財源措置を国に求めるべきです。介護保険開始の時点でのホームヘルパーは、必要な人員をどのように見込んでいるのか、それをどのように確保するのか。また、老人保健施設、特別養護老人ホーム、ショートステイ、デイサービスなどの施設の需要をどう見込んでいるのか、不足分はどのように考えているのかお答えください。
第2に、低所得者を排除しないため、保険料、利用料の減免措置を国、自治体の責任で行うことです。介護保険では、40歳以上のすべての人が保険料を払うことになります。65歳以上の高齢者・第1号被保険者の保険料は自治体ごとに決まり、市区町村が集め、月1万5000円以上の年金受給者は年金から天引きされます。当初、厚生省が試算した保険料は、全国平均で月額2500円でした。しかし、介護サービスを利用する人が多いほど保険料が高くなる仕組みになっているため、市区町村によって保険料が異なってきます。月に8000円程度にもなるという高額の試算が出ているところもあります。大田区にある城南福祉医療協会が昨年10月行った老人実態調査では、月額2500円の介護保険料の支払いが困難だと回答した人は25.6%に上っています。さらに介護サービスを受けるには、利用者は介護費用の1割の利用料を払わなければなりません。厚生省が試算した平均利用料は、在宅の場合、1か月6000円から3万5000円となります。特別養護老人ホームの場合、食事と合わせて5万円にもなっています。さきの城南福祉医療協会による老人実態調査では、こうした利用料の支払いは困難だと44.4%が回答しています。
現在の介護制度では、昨年度1年間に大田区でホームヘルパーが派遣された1922世帯のうち1647世帯、利用者全体の85.7%が無料でした。また、4月1日現在、特別養護老人ホームに入所している約1280人のうち151 人、全体の11.8%が無料です。ことし3月発表された大田区地域保健福祉計画実態調査報告書によれば、特別養護老人ホームや養護老人ホームの施設入所の約8割が年金による収入で、収入額は100 万円未満が6割となっています。ところが、介護保険の導入で、今まで無料でサービスを受けていた人も利用料を払うことになり、これでは低所得者が利用料を支払えず、介護サービスから排除される可能性もあります。利用者の負担を軽くするため、利用料に上限を決めて、それを超える分は利用者の支払いを免除する高額介護サービス費制度がつくられますが、具体的には検討中で、ことしの9月ごろ決まる予定ですが、利用者の負担を十分軽くできる保証はありません。市区町村は、保険料、そして災害、倒産、失業などの場合の利用料を減免する制度の条例をつくることができます。保険料や利用料が払えなくてサービスから除外されることがないよう減免制度をつくるべきです。また、その財源措置を国や都に求めるべきです。見解をお尋ねします。
第3に、自治体の福祉施設への単独補助打ち切りや福祉事業からの撤退を中止することです。介護保険が実施されると、現在行われている高齢者福祉施策38事業のうち、介護保険に関連する事業は13事業で、その他25事業は介護保険から外されることも考えられます。そのほか25事業の中には、寝たきり高齢者への手当の支給や紙おむつ等の給付などがあり、高齢者福祉の向上に大きく寄与してきました。手当の支給で見れば、3か月以上寝たきりで月3万円、6か月以上寝たきりで月5万5000円または4万5000円で、昨年度は月平均、約3130人に総額20億円余が支給され、高齢者世帯への大きな援助になってきました。東京都の行革プランでは、民間法人の特別養護老人ホームへの補助金カットが計画されています。介護保険実施によって、これらの福祉サービスが後退しないようにすべきですが、決意をお聞きします。また、後退させないためにも、介護保険に組み込まれない事業について、現在策定中の地域保健福祉計画に盛り込むべきです。お聞きします。
第4に、特別養護老人ホームから入所者の追い出しは絶対にしないことです。介護が必要かどうかを認定するモデル事業の結果では、現在の特別養護老人ホーム入所者の6.1 %が資格なしと出ました。現在、1280人定員の大田区に当てはめると、その6.1 %、78人が資格なしになります。また、保健福祉計画実態報告書では、113 人が資格なしになると予測しています。マスコミも、多数の介護難民が出ると警告するほどです。政府は5年間の猶予期間をとり、その間は特養ホームに介護報酬を支払うと言っていますが、資格なしと認定された人の介護報酬がどれだけ保障されるのか。報酬次第では運営費が賄えず、5年どころか、すぐにでも退所を迫らざるを得ない事態になりかねません。特養ホームからの入所者の追い出しは絶対にしない。そのための費用は国が保証する必要があると思います。いかがでしょうか、お聞きします。
第5に、介護が必要かどうかの判断は高齢者の生活実態を反映したものにすることです。認定審査会の議案が出ていますので、議案質問にゆだねます。
介護保険料を新たに徴収するわけですから、介護保険制度で実施される介護サービスと区の独自事業を含めて、トータルとして現在の介護制度より後退させないことは区民の当然の願いであり、国や都、区の責任だと考えますが、いかがでしょうか、お答えください。
いずれにしても、このまま進めば保険料を徴収し、それにこたえる体制がとれないということになりかねません。その根本的な原因は、介護保険が導入されると、国と地方自治体が出していた公的負担が国の2000年度の予想でも4500億円も減らされる。こうした財政負担の軽減を優先させ、十分な準備もなしに、福祉制度から保険制度への移行を強行しようとしていることにあります。大田区としては、介護保険の準備状況と問題点について区当局だけで抱え込み、国の対応を待ってその結果を区民に押しつけるのではなく、議会や区民にもオープンにして、住民を含めた自治体の総力で介護基盤の目標の引き上げや低所得者への減免、保険料の全般的な引き下げ、認定の仕組みなど、最低限必要な措置や制度の改定を国に求めることが急務だと思いますが、いかがでしょうか、お答えください。
また、一定の介護サービスが提供できる基盤ができ、制度の問題点が改善できるまで保険料の徴収を延期する、その間の過渡的な措置を講じることを日本共産党は政府に緊急に提案する予定です。区長の見解はいかがでしょうか、お答えください。
以上で質問を終わります。(拍手)
○議長(永井敬臣 君) 理事者の答弁を求めます。
◎区長(西野善雄 君) お答えいたします。
不況対策本部を緊急にということですが、私どもは必要の都度、各部に対して施策の検討を指示しておりますし、また、総合的な勘案をすべき問題等については庁議その他で十分論議を尽くし、最終判断をいたしております。したがいまして、目標と手段と方法──ご指摘いただいたようなことでやればいい結果が出るというお気持ちかもしれませんが、私どもとしては、従来の経験とそれぞれの取り組みを総合的に行うということで、現状でまいりたいと思います。
次に公債費でございますが、11年度の補正後の元利償還予定額を申し上げます。11年度140 億7000万円、12年度が150 億9000万円、13年度157 億2000万円、14年度161 億1000万円、15年度155 億円でございます。
次に、平和島、あるいは総合体育館、その他の公共大規模施設、不要不急の事業などについて、しばらく凍結をしたらというご指摘でございましたが、私といたしましては、計画化をし、区民にお約束をし、議会にもご論議をちょうだいし、その方向で事業を着実に進めさせていただいております。創意工夫を重ねながら実現する、これが区民の方々のご期待にこたえることに通じる、私はそのように考えております。ただ、すべてが予定どおり実行できるかということになりますと、その時々の環境、状況などについても一定の配慮をしなければならないことはある、これは事実でございます。そういう際にはまたご意見をちょうだいしながら適切な対処をしていきたい、このように思っております。
次に地方分権一括法案でございますが、一括法案について種々問題があって是正をすべきではないかというご意見。例えば財源措置はどうなっているのか、国の関与というものはできるだけ地方に任せる方向がいいのではないか、そういう点について私も賛成でございます。ですから、そのような方向で、現在、国においても論議されておりますし、公聴会も行われる段階に来ているやに承知いたしております。そういう点で十分注目をしてまいりたいと思います。
次に、米国の海兵隊が羽田空港を利用してということで、事実関係についてどの程度承知しているか、申し入れをしたけれども、どう対応したか、その点でございますが、防衛庁に対して、直ちにその真偽のほどを確かめました。防衛庁からは、確かに私服で羽田空港の方に乗ってきますよと、こういうことがありました。何か問題がございましたでしょうかと、そのようなことでございます。6月8日、米国軍人20人が那覇空港から羽田空港まで民間定期便航空機を私服で利用したという事実はございます。私どもも確認いたしております。そういう意味では、今後、その利用などについて十二分に注目をしてまいりたいと思います。
次に、介護保険関連質問でございます。ホームヘルパーは必要な人員をどのように見込み、その確保策はあるのか、こういうことでございますが、私どもも民間事業者、また、民間事業者として参入を希望している方々とヒアリングを行っております。40事業者、5つのボランティア団体が、大田区内では事業展開を考えております。そのヘルパー確保総数は2400人です。現在、平成11年ホームヘルプの委託事業者は31事業者、ヘルパー数が1600でございますから、平成12年4月以降、かなりふえる、また、その確保にそれぞれ取り組んでいただいている、こういう状況にございます。その中で公務員51名がどういう意味を持つか、ご案内いただけると思います。東京都における事業者指定事務は8月から開始されることになっております。したがいまして、先ほどの40事業者、5つのボランティア団体が連携を密にして、大田区における必要とするホームヘルプサービスを提供していただける、このような方向に協力をお願いしてまいりたいと思います。(「1000人にすればいいじゃない」と呼ぶ者あり) 1000人にはとてもできません。
次に老人保健施設、特別養護老人ホーム、ショートステイ、デイサービスなどの施設の需要でございますが、高齢化の進展に伴って利用希望がふえるであろうということは予想いたしております。介護保険法の今回の趣旨は、どちらかというと在宅の方向に傾斜をしていると私は考えております。しかし、施設サービスとして、特別養護老人ホーム、あるいは老人保健施設、療養型病床群などについては、東京都で策定される介護保険事業支援計画において、施設ごとの必要入所定員総数を圏域ごとに定めることとされております。したがって、東京都と十分協議しながら対応していきたい、このように思います。ショートステイ、デイサービスについては施設整備に時間が必要なこともございますが、既存施設の有効活用を十二分に検討してまいりたい、このように思います。いずれにいたしましても、総合的に介護保険事業計画の策定で検討し、結論を得ていきたいと思っております。
次に、低所得者を排除するなということでございますが、十分に配慮して、全国一律の基準により実施するとともに、それに要する経費については必要十分な額を国庫で財政措置しなさいということは、既に区長会などを通じて国に要望してきたところでございます。
次に、新たな枠組みとして介護保険が入るわけでございますが、区で現在やっているものとのバランスから、独自事業をどうするのか。その独自事業を消すようなことをするな、こういうことでございますが、当然、検討いたしております。仕事をする以上は財源の問題といいますか、当該費用をどのように確保するかということも十二分に検討しなければなりません。区単独で行う、また、国や都の動向を見きわめて、それぞれの対応策に合わせて取り組む、いろいろな方策を考えてまいりたい、このように考えております。
次に、特養ホームからの入所者の追い出しでございますが、介護認定で非介護と認定された場合、5年以内に猶予期間を置きながら退去を求めるということになっております。これらの方々を受け入れるために、民間施設への支援なども含めて必要数を確保していきたい、このように考えておりますが、一部、これは言っていいのかどうかわかりませんが、住宅対策に似たような形で特養にお入りになっているという実態もあるわけでございますから、片一方で住宅確保策もあわせて考えていかないと、この問題は解決しない。ただ単に特養、特養ということで受け入れて、それで解決する話ではございません。そういう実態をご理解賜りたいと思います。
次に、入所中の自立要支援者の経過措置、それから介護保険の給付、施設の運営の支障、これらが出ることのないように、私ども区長会としても国に対して要望してまいりたいと思います。
次に介護保険の準備状況でございますが、介護保険事業計画につきましては、現在、公募の委員さんを含めて福祉計画を検討していただいております。地域住民の参画のもとに策定作業を進めております。今後は説明会などもあわせて行いながら、区民の方々のご意見、ご要望も承り、制度の運営に生かしていきたいと思います。いずれにいたしましても、介護保険については大田区が保険者として責任を負うことになりますので、制度上の課題についてはそれぞれ解決をすべく、努力、要望をしてまいりたいと思います。基盤ができるまでは保険料の徴収延期をした方がいいのではないかということでございますが、制度の創設でございます。今時点からそのようなことを言うのはちょっといかがかと私は考えております。
以上でございます。
○議長(永井敬臣 君) 次に、36番関根 勉議員。
〔36番関根 勉君登壇〕(拍手)
◆36番(関根勉 君) 新政クラブを代表して質問させていただきます。
本年4月に行われました東京都知事選挙におきまして、石原知事は、都が抱える資産・負債・資本の状況を明らかにするためのバランスシートを作成することを公約いたしました。また、政府の経済戦略会議──これはアサヒビールの樋口会長のもとでやっているものですけれども、省庁及び自治体の会計制度を抜本的に見直すために、企業会計原則の基本的な要素を踏まえつつ、バランスシート等を導入する旨の最終報告を2月に小渕首相に提出いたしました。そして、先日5月21日の朝日新聞に、大蔵省が国の財政に貸借対照表などの複式簿記の会計方式を国の財政管理に導入するための検討に乗り出したとの記事が掲載されておりました。こうした公会計にバランスシートを導入する動きは、まさに時代の趨勢と言ってよいかもしれません。
しかし、今から約2年前の平成9年9月に行われました第3回定例会の本会議で、我が会派の糸瀬敬一議員と自民党大田区民連合の河津章夫議員がともに、公会計への複式簿記とバランスシートの導入についての質問をされておりますけれども、理事者側の答弁は、全く導入の意思がないということであっさりと一蹴されてしまいました。そのときのお答えは、複式簿記は商取引に適した会計方式として開発されたものであり、公会計は地方自治法などの法令に従って、単式簿記を基本とする会計方式が定められておりますということでしたが、このときのお気持ちは恐らく、地方自治法が改正されない限り、会計方式を変えることは不可能である。また、複式簿記のような企業会計はお金もうけをする団体には適しているが、官公庁のような利益を出さない組織にはなじまないというようなお考えをお持ちだったのではないかと思います。確かに行政組織は利益を生み出すために活動しているわけではありませんから、企業会計方式をそのまま模倣しただけでは、行政用のバランスシートとしては使い物にならないと思います。公会計にバランスシートを導入するには、あくまでも財政法と行政法の論理に基づいた行政会計方式の近代化という発想が不可欠になってまいります。
では、なぜ複式簿記を使ってバランスシートを作成しなくてはいけないのか。その最大の理由は、説明責任を果たすための道具として大変に適しているということであります。もともと説明責任というのは、英語で言うとアカウンタビリティーということですけれども、この語源はアカウンティング、すなわち会計とレスポンシビリティー(責任)を合わせたものであり、直訳すれば会計責任とも言えますように、住民が行政情報の説明を受けるためには会計情報が大変重要な情報となります。このアカウンタビリティーを重要視している国々では次々に複式簿記を採用しており、欧米先進国においては、そのほとんどの行政機関においてバランスシートの導入が完了、もしくは検討されております。ニュージーランドでは、バランスシートが行政改革の旗印となりましたし、アメリカ連邦政府では、今まで不完全な修正発生主義による会計制度を行っておりましたが、クリントン政権の強い支持により完全発生主義会計を採用し、今、まさに新たなステップへ踏み込もうとしております。しかし、アメリカにおいてはまだ試行錯誤の段階でありまして、1997年9月にアメリカ財務省が連邦政府全体の財政状態を国民に説明するために作成したバランスシートに対してのアメリカ会計検査院が行った監査の際には、何と意見差し控えということで、すなわち資産及び負債を正確に集計し、計算する能力に問題があるということで適正意見を出しておりません。アメリカにおいては、こうした試行錯誤の状況にあるわけですけれども、それでもあえてバランスシートを作成し、情報を公開しております。
なぜかといえば、バランスシートをつくる目的はあくまで説明責任を果たすためであって、利益の計算をするためではないからであります。まずは国民の前に説明できることはすべてさらけ出し、みんなのチェックのもとでよりよいものをつくり上げていこうという姿勢のあらわれなのであります。こうした公会計に複式簿記とバランスシートを導入する流れは世界的なものになっておりますが、決して確立した唯一の基準や法則が存在しているわけではなく、各国ばらばらに独自の方法で取り組んでおります。日本国内でも、三重県や藤沢市などが既にバランスシートの作成を試みておりますけれども、いずれも独自の方式で作成しております。なぜならば、先ほども申し上げましたけれども、バランスシートをつくる目的は、住民に国や自治体の財政状況をわかってもらうためでありまして、その上で住民の判断を仰ぐことが目的であります。重要なのは、バランスシートの作成にチャレンジする姿勢なのであります。
バランスシートとは、一言で言えは資産と負債の一覧表でありまして、財政状態を明らかにするものです。資産は住民の財産であり、そこから将来にわたってさまざまなサービスが生まれます。負債は住民の負担であり、将来にわたって、その償還に耐えなくてはなりません。そして、資産から負債を引いた差額が正味財産ということになります。バランスシートを正しく作成することができれば、財政負担の世代間公平を維持するという財政運営の基本理念を説明することができます。例えばバランスシートにおいて資産と負債がバランスしていれば、後世における住民の財産と負担は釣り合っているということになりまして、一定の財政節度を保ったことになります。資産が負債を超えていれば、後世に対して負担よりも大きな財産を残すことができたことになりまして、現世から後世へのプレゼントということになります。また他方では、負債が資産を超えてしまうような場合には、財産を超えた多大なツケを後世に残すことになります。財政運営に当たっては、基本的に負債が資産を超過して正味財産がマイナスになる、いわゆる債務超過の状態を回避するよう心がけるべきでありますけれども、時には後世に負担を残す結果になる政策判断を行わざるを得ない場合もあります。
わかりやすい例といたしましては、ことし政府が行いました地域振興券で見ることができます。政府は景気刺激策として、地域振興券を約7000億円発行いたしました。一方で財源確保のために約7000億円の国債を発行しております。これを会計上あらわしますと、今の会計方式で使っている歳入歳出決算書の場合にはプラス・マイナス・ゼロになります。統計上は国債発行残高などを見れば、ある程度の負債状況は認識できますけれども、現在使っている決算書では正味財産がマイナスになったかどうかはわかりません。これを複式簿記で行うと、バランスシートの資本の部に現金7000億円が計上されますけれども、負債の部にもどんと7000億円が残ります。そして7000億円の地域振興券の発行による財政支出を行いますと、現金は出ていって負債は残ったままになります。この時点では正味財産は7000億円のマイナスということになります。地域振興券による景気浮揚策が功を奏して何年か後に景気が浮揚した場合には租税収入がふえるので、今度は資産の部の現金がふえまして、したがって正味財産はプラスに転じ、地域振興券という経済政策は間違っていなかったということになります。逆の場合には単に負担の先送りを行い、後世の人に負担を強いるということが明らかになるわけです。
地方自治体の場合には、国の減税政策による減税補てん債以外にはほとんどが建設公債ですから、このような極端な資産と負債のアンバランスは生じないでしょうけれども、この正味財産の増減を見ることによって、将来に負担を残してしまったかどうかをチェックすることができるのであります。今の会計制度ではお金の出入りを記録しているだけなので、こうした政策が功を奏したかどうかを会計的にチェックすることができないところに大きな問題があります。そのような政策がよいか、悪いかの判断を住民が自己責任のもとで自己決定することができるように、バランスシートによって事実がありのままに開示されるということが必要です。バランスシートそのものは政策の当否を決めるものではありません。行政活動と財政の状況を鏡のようにありのままに明らかにするだけです。とかく我々政治家は票につながる予算獲得には熱心になりますけれども、一度予算が決まってしまうと、その後の使い道に関心を示さなくなってしまいがちであります。しかし、使ったお金が本当に住民全体のためになっているのかどうかを決算において判断することは、税金の適切な使い方をチェックする上では、予算獲得よりむしろ重要なことではないのでしょうか。このように予算編成段階での政策判断と同じく、決算段階での行政評価をすべきであると考えますが、いかがでしょうか。また、このような政策判断や行政評価のためには複式簿記によるバランスシートの作成が不可欠であると考えますが、いかがでしょうか、区長のご答弁をお願いいたします。
また、これらの目的を徹底して遂行するためには、行政評価をバランスシートを用いて専門的に分析したり、時系列による比較や類似団体との比較を行うなど、区民にわかりやすい分析を行うことが必要だと考えます。そのためには新たに外部監査制度を導入し、専門的な視点から監査を行うように検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか、区長のご答弁をお願いいたします。
発生主義に基づく複式会計を用いた場合のもう1つの大きなメリットとして、行政サービスに対するコスト計算が正確にできるということがあります。今まで申し上げてきましたバランスシートは、受益者負担の原則が守られているかどうかを毎年決算によって確認するための道具になりますが、バランスシートが示すのは会計年度末に残存するストック情報だけで見た受益と負担でありまして、これは後世の住民に帰属するものを示しているだけであります。現住民に帰属する受益と負担はフロー情報によって示されますが、これは損益計算書によってあらわすことができます。したがって、住民の受益と負担の全体はストックとフローの両面から見なければわかりません。ここで受益と負担の関係を正確に把握するためには、単に現金の出納だけにとらわれず、組織の活動状態や経済的事実を基準とする方法をとらなくてはなりません。これが発生主義による複式会計であります。
例えば膨大な資金を要する社会資本を建設する際には、建設時の住民が全額を租税で負担することは不可能ですし、また、財政負担の公平を欠きます。発生主義会計方式では減価償却の考え方をとり、その施設の耐用年数を定めて、現実の消耗に合わせて、その評価額を少しずつ減少していく手続を行います。こうして各年度の減価償却費を計算することにより、各年度が負担すべき本当の行政コストを把握することができます。ほかにも発生主義の例として、職員などの人件費は毎月の給料と年3回の期末手当と、プラス退職時に支払われる退職手当がいずれも費用として発生しております。現金主義の官庁会計においては、給料と期末手当はおおむねサービスの受益者と負担者が一致しておりますけれども、退職手当は一致しておりません。毎年同じくらいの人数が退職すれば何となく帳じりが合ってしまいますけれども、考え方としては、今受けている行政サービスの現在発生している費用を計算して、それをサービスを受けている人が負担するような仕組みをつくらなくてはいけないと思います。
発生主義会計では引当金という項目を用いて、退職金のような将来の負担も、発生している現時点でバランスシートに負債として計上してしまいます。つまり、将来発生する退職金であっても、現在提供している行政サービスのコストとして計算し、現在、そのサービスを享受している住民にそのコストを負担してもらうことになるわけです。このように、現在の住民が享受した行政サービスの費用と、現在の住民が負担した租税などといった収益とが損益計算書に計上されるわけであります。一方で、将来の住民の受益となる建物などの資産と、将来の住民の負担となる公債などの負債とがバランスシート上に計上されるのです。損益計算書とバランスシートというのは、歳入歳出を現在と将来に分割したものと見ることができます。このように発生主義の複式会計の手法をとりますと、フローとストックが有機的に結びついて資産と負債の関係がはっきりと示すことができ、行政サービスのコスト計算を正確に行うことが可能になるわけです。
来年の4月から導入されます介護保険制度におきましては、各自治体の介護サービスの内容によって保険料が変わってくると聞いておりますが、これはまさに行政サービスとコストの関係によって、その保険料が確定されるのだと思います。介護保険制度に対しては、住民からの多様なニーズに対する行政サービスが求められると思いますけれども、どのようなサービスを提供するかの決定をするに当たっては、必ずサービスに対するコストの明示を行って、もし住民の皆様が求めるサービスを実現するのならば、これぐらいのコストがかかりますから、保険料はこれらくいになりますよと、そういう説明を必ず行う。そして、こうした過程を経て、最終的に介護サービスの内容を決めるのは住民の意思によるべきであると考えますけれども、いかがでしょうか、区長のご所見をお伺いいたします。アカウンタビリティーとは、このように行政サービスに対するコストを説明した上で、受益と負担のあり方を最後に住民が意思決定していくということだと私は思います。
また、行政サービスの正確なコスト計算は、今後、導入が検討されるでありましょうPFIという手法を用いる場合に大変重要になってまいります。PFIとはプライベート・ファイナンス・イニシアチブの略でありまして、皆さん既にご案内と思いますけれども、簡単に言えば、民間の資金とノウハウを活用することによって社会基盤を整備するための手法であります。効率性の高い民間企業に公共事業を任せることで、税金による投資に対して得られる対価を高めることや、投資によるリスクも民間企業に移転することがねらいで、イギリスでは建物や交通インフラ、情報関連施設など幅広い分野で適用されております。しかし、このPFIの手法を用いるときには、効率性に対する費用の分析や便益性に対する費用の分析など、徹底したコスト計算を行わなくてはいけません。これらのコストを自治体がじかにやった場合と比較して、PFIを用いるかどうかの選択を行うわけでありますが、現在、官公庁が用いている単式簿記による公会計方式で同じような正確な計算は可能でしょうか、お尋ねいたします。
いずれにいたしましても、ナショナルミニマムが達成された今日、多様化する住民ニーズに対して行政がどのようなサービスを提供していくのかを決めるために、説明責任を十分に果たした上で住民の意思で行政サービスを決定していくことが重要であると考えます。そのためには発生主義に基づく複式会計、また、それに基づいたバランスシートの作成は時代の要請であると申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
次に、心の教育についてお尋ねいたします。
今から約2年前、神戸市で起きた中学生による小学6年男児殺害事件は、まさか中学生があんなような殺人事件を犯すとは信じられないという大変な衝撃をもたらしました。この事件以来、文部省を先頭に、各自治体でも心の教育についてさまざまな取り組みが検討され、予算も相当な金額がつぎ込まれるようになりました。それに先立って、1995年から文部省によりスクールカウンセラーの制度が始められておりましたけれども、この事件を境にと言ってもよいと思いますが、カウンセラーの数は増強されまして、大田区内でも7校にそれぞれ1名ずつカウンセラーが配置されるまでになりました。また、昨年の2学期からは、スクールカウンセラーの配置されていない大田区内の残りの中学校22校全部に、今度は心の教室相談員という、心の教育のために新しい人員を配置する予算がつけられました。これら心の教育に関する施策はいずれも文部省によるもので、心の教室相談員に関してはすべて国の予算で、1校当たり年間54万円の予算がつけられております。この予算の使い方は各学校の校長先生の裁量に任せられており、例えば単価の安い、極端な例を言いますと、大学生のような相談員を毎日のように来てもらうこともできますし、また、2人の相談員の方に交代で来てもらうことも可能です。そうでなくて比較的単価の高い、カウンセラーとしてかなり専門的な技術を持った方を週1回、半日だけ来てもらっている学校もあります。22校の内訳を見てみますと、元教員などが最も多く10名、そのうち5人は校長先生というかなり豪華な顔ぶれであります。そのほかは地域の青少年委員や主任児童委員が大半を占めていますけれども、中には専門にカウンセリングの仕事をなさっていらっしゃる方もいらっしゃいます。
一方、スクールカウンセラーの方はすべて専門家が採用されており、ほとんどが臨床心理士の資格を持っている方ですけれども、そうでない方でも産業カウンセラーなどのカウンセリングの専門の資格を持った方がつかれております。スクールカウンセラーは1週間に8時間のカウンセリングを行うことになっておりまして、週1日だけ8時間来る方もいらっしゃれば、週2日の2回に分けて4時間ずつ来られる方もあります。こちらも文部省の制度でありますけれども、お金の出どころは国と都と区の3系統ございまして、国が7校のうち2校で年額214 万円、都費が3校で年額162 万4000円、区費は1校だけですけれども、金額は都と同じ162 万4000円であります。臨床心理士の資格を持つ人というのは全国で約6000名しかおりませんで、全国の公立中学校は約1万5000校ありますから、絶対的に人数が足りない状態であります。カウンセリングというのは極めて専門性の高い仕事でありまして、やる気があれば、だれでもできるというものではありません。専門の勉強をした臨床心理士でなければ、十分なカウンセリングはできないと思われます。心の教室相談員の方は、そうした意味においては一部の人を除いてみんな素人であり、カウンセリングを行うことは極めて困難であると考えます。たとえ元校長先生といえども、専門的なカウンセリングとなると新たに勉強し直さなくてはならないと思います。
こうした状況の中、実際にどのように心の教育が行われているのかを調べるために、私は各学校を取材してまいりました。その結果の感想は、みんなそれぞれ一生懸命頑張っているということでありました。元教員の方はご自分の経験を生かして、生活指導や進路指導も織りまぜながら生徒と接する機会を多く持ち、また、時には保護者の方や教員からの相談も受けたりして、担任ではフォローし切れない部分を見事にカバーしておられました。また、青少年委員や主任児童員の方たちは日ごろの地域での活動の経験を生かして、生徒とのよりフレンドリーな関係を構築するために努力されている姿が見受けられました。しかし、それらはいずれもカウンセリングという専門的な心の教育とは言いがたいものであります。はっきり申し上げて、文部省から予算措置がなされ、各校に相談員を設置できることになったものの、結局お願いして来ていただいた方の個人的な技量にその運営はゆだねられてしまって、心の教育の内容には各学校にかなりのばらつきが生じていると言えるのではないでしょうか。
そこで教育長に質問いたしますが、この心の教室相談員にはカウンセリングをしっかりやってもらうことを期待しているのか。それとも、保健室にいる養護教員の補助的機能とでも言うべき心の居場所を提供するだけなのか。どのような効果を期待してこの制度を運用なさっているのかお答えください。
私の考えを申しますと、もっとカウンセリング機能の強化を図っていくべきであろうと考えます。そのためには、現在7校に配置されている臨床心理士などの資格を持つスクールカウンセラーを絡めた有機的システムの構築をすることが不可欠であると考えます。臨床心理士ほどの専門的知識を各相談員が身につけることは極めて困難ですが、少なくとも臨床心理士に相談できる機会をつくったり、カウンセリングの専門的視点を学ぶための機会を設けるような研修会を実施したり、また、各相談員同士が情報交換を行えるような座談会を行うなど、各相談員にカウンセラーとしての視点を養わせるような制度的工夫が重要であると考えますが、いかがでしょうか、教育長のご答弁をお願いいたします。
また、一方で各学校の教員との連携のあり方が大変重要になってくると思われます。私が調査を行った学校の中で、相談員と教員との意見交換の場を設けている学校は1つもありませんでした。心の相談室に関する報告はすべて校長か教頭になされるだけであり、その情報は必要とあらば、校長、教頭を通じて教員に伝えられるというものでありました。教員から見た相談員はいわばお客さん的存在であり、とても一緒に生徒の問題に取り組んでいこうといった姿勢は感じられませんでした。もともと以前から教員の中に教育相談係が任命されており、心の教育に関しても、これらの教員が主導的役割を担う制度にはなっております。しかし、そうした教員は心の悩みを持たない生徒たちを指導することに大部分労力を費やし、なかなか心の悩みを持つ生徒たちにきめの細かい対応をすることが難しい状況にあるようです。だからこそ、心の教室相談員のような新しいパワーをうまく活用して、今まで行き届かなかったところも対応できるように制度をリニューアルすべきであると考えます。そのためには臨床心理士などのカウンセリングの専門家であるスクールカウンセラーを中心とした、教員、心の教室相談員、養護教員、そしてまた、池上の教育センターにある教育相談室や生活・進路相談、いじめ110番をも含めた大田区内のカウンセリングの機能を有機的に組織化して、心の教育に関してスムーズな連携を行えるような制度を検討すべきであると考えますが、いかがでしょうか、ご答弁をお願いいたします。
そして、これらの連携はパソコンを使ってインターネット網を利用すべきであると考えます。インターネットを使えば、各機関との情報交換はもちろん、不登校生徒との対話にも利用することが可能になります。三鷹市においては、不登校の生徒にパソコンを配り、交換日記のような感覚で相談員らがメールのやりとりを行っております。こうして社会とのかかわりになれてもらうことで、学校に呼び戻すことがねらいであります。また、悩み事については、必要に応じてスクールカウンセラーが対応しているということであります。こうしたシステムでは、数少ないスクールカウンセラーをより効率的に活用することが可能になりますし、また現在のように、カウンセラーや相談員が週に1度か2度しか学校に来ないで、しかも4時間くらいしか学校にいない状態では、本当に相談したいときに相談する相手に会えなかったり、また、相談室に足を運ぶ勇気のない生徒はだれにも相談できないで悩んでいたりもするわけですけれども、インターネットを通じれば、いつでも相談をメールという形で受け付けることができますし、顔も見えず、気軽に相談することができるというメリットも生じます。ぜひともこのようなインターネット網を活用した心の相談システムを構築すべきであると考えますが、いかがでしょうか、教育長のご答弁を求めます。
最後に申し上げておきますけれども、現在の青少年の行動を見ますと、ブランド品が欲しくて売春まがいの援助交際をしてみたり、むかついたからといって教師や友人を刺し殺してしまったり、やせるためといって覚せい剤を常用したり、数え上げれば切りがないですけれども、何が大事かという意識が全く欠落してしまっているような気がいたします。戦後の唯物主義的教育や地域社会の崩壊による社会が持つ教育機能の低下など、さまざまな要因が複雑に絡み合っているのだと思いますけれども、今、まさに何とかしなくてはいけないという危機的な状態であると思います。きょうはカウンセラーのことしか申し上げませんでしたけれども、教育の中で社会の規範をしっかりと教えていくために、学校だけでなく、我々一人ひとりが全員で規範づくりのことを考えていかなくてはいけないのではないでしょうか。
以上で質問を終わります。(拍手)
○議長(永井敬臣 君) 理事者の答弁を求めます。
◎区長(西野善雄 君) 現在の予算制度から、バランスシートを用いた公会計を導入すべきではないかと。私も40年以上、単式簿記の歳入歳出をバランスした予算しか扱っておりませんでしたので、そのバランスシートを見て、損益計算を見て、貸借対照表を見て、ああ、こうだなと直ちに読み取るだけの能力は正直言ってございませんし、現に各外郭団体の財団法人はバランスシートをつくってやるんですけれども、果たしてどういうように読み取ったらいいのか、私としては必ずしも的確に判断いたしかねる部分もございます。しかし、現在、説明責任という立場から、区民の皆さん、国民の皆さんによりわかりやすい会計制度を導入すべきではないかというような方向性については、公会計といえども、私もその方向に努力すべきであると、そういう基本的な姿勢を持たせていただいております。
現在の予算の編成作業というのはバケット方式といいますか、1つ1つの事業を単位にして、幾らのお金がかかる、そのお金の内訳はどうだというようなものを積み上げていって歳出が構成される。それに見合った歳入はどういう税であり、国の助成金であり、起債でありというバランスシートで、歳出にいかに合わせるかというようなのが予算という形になっております。したがいまして、それをバランスシートで、事業執行、貸し方、借り方、資産が残って云々というようなやり方で表現をするような方向にどうやったら持っていけるのか。いわゆる物を買ってきて、加工して、販売価格があって、そこに利潤が出てきてというような仕組みと結果が異なっている部分がかなりありますので、そういう部分で区分をまずどのように位置づけたらいいのか、財産の評価方法はどうしたらいいのか、そういうような点で解明されていかなければならない課題は数々ある、このように思います。そういう意味合いで、今後の研究者の精力的な提言というものを期待したいと思いますし、私どもも精いっぱいの努力をしたい、このように考えます。いずれにいたしましても、公会計が地方自治法で定めた、そういう立場の枠を今現在抜けられないで、新たな提案にどうチャレンジしていくか、こういう時期だと私自身も考えております。
そこで、それでは具体的に政策判断なり行政評価なりをどういうようにやっているのか、こういうことでございますが、予算の際にいろいろな議論を展開するのはもちろんでございますけれども、各区民の皆さん方のご意見、議会側の意向、要望、そういうものをそれぞれ判断の材料にさせていただきながら予算を組み上げている。また、その結果については、それぞれ決算という形でご評価に供している。そのときに財産として──財産としてというのは、区民の満足というような意味の財産も含めてですけれども、それをどのように評価するか。そういうことを含めて、今後、バランスシートのあり方を考えてみたいと思います。いずれにいたしましても、行政評価手法として活用できる、また、していきたい、このようなことで検討したいと考えております。
次に外部監査制度でございますが、これは既に政令指定都市、中核市までは導入が義務づけられております。そういう中で現在取り組んでおりますが、特別区はその枠の中に入っておりません。しかし、外部の方がごらんになって、どうも行政というのはわかりにくい、こういうご批判もございますので、わかりやすくなるためには、いろいろな帳票類から始まって直す必要があるけれども、どういうように直したらよりわかりやすいかというのは、外部監査委員の方々の評価、また、評価のための適切な資料提供、そういうことから出てくるんだと思います。そういう意味合いでは外部監査を入れてということによって、より透明性を高める、こういうことも可能だと思いますので、研究をしてみたいと考えております。それと同時に、今、私どもでも外部からお入りいただいたと言っては語弊があるかもしれませんけれども、公認会計士の方に監査委員さんをお願いしておりますが、あの方から、実は公会計の改善についてという私あての公認会計士会の意見書といいますか、そういうものもちょうだいいたしております。そういうものを参考にしながら、どのように取り組んだらいいか私なりにも考えておりますし、監査委員さん方の意見も聴取したい、このように思っております。
次に、行政サービスの受益と負担、コスト計算を明らかにして、最終的には住民の施策選択に任せるべきではないか。理想の形だと思いますが、それを逐一積み上げて、この行政施策に取り上げるということは、実態としてはなかなか困難だと思います。我々は現在、代議制の審議をちょうだいして、長が予算を責任し、議会において、その予算をお認めいただくという仕組みの中で進ませていただいております。そういう点では、理論としては、確かにこれだけサービスを出すとこれだけコストがかかるんだよ、おまえはこの負担をするか、それなら行政サービスとして提供してやるよと。逐一、そういう選択をしてもらってというのはあり得ることではありますけれども、60万を超える都市の中で、それが果たしてどこまで実行可能なものか。また、利害というものと直接かかわる方々は、どうしてもこれはやってほしい、こういうご要望になるでしょうが、その利害と別のところにいらっしゃる方は、それはやめた方がいい、おれはそんな負担するのは嫌だよ、こういう話になるのではないかと思います。したがって、その利害をいかに調整するかを含めて大乗的な論点から結論を導いていただくのは、現在は選挙制度があり、代議制がありという仕組みの中で、やはりこの場をおかりするのが最も適切な方途ではなかろうか。皆さん方も、そういう意味合いでは区民の皆さんのご意見を着実に代弁し、区政の充実に取り組んでいただける方々である、このように私は考えております。今後とも、その点のご指導をよろしくちょうだいし、私どもとしても、いかに政策化をしていくか、そういうことでお力添えを賜りたいと考えております。
次にPFIでございますが、民間の資金と能力をいかに活用して、公共事業と位置づけられたものをより有効な形で実現していくか。あくまでもこの場合には資金償還、あるいは資金還元を含めて、バランスシート上、将来の収支が償うという前提がなければ、民間の方だと、まず取り組まないと思いますが、そういう意味合いで公会計の中で借入金を行って、仮にその借入金が即赤字になるような体質であるとするならば、そういうところから脱却して、より健全な事業遂行ができる。こういう意味合いでは非常に意味があることではないか、このように考えております。しかし、片一方では、そういう20年、30年というようなロングレンジであるにしろ、収支が伴わない工事、事業、そういうものがどうなるんだろう。公共性のためには、そのような工事、公共事業というものもあり得るのではないだろうか、こういう気持ちがございます。したがって、PFIが万能であるとは思いませんが、より有効な手法として民間の力を取り入れるときに働く、この事実は十二分に活用すべきである、このように考えております。そこで公共として取り組むもの、PFIというような手法を活用すべきもの、それらの区分、選択というものが出てまいろうかと考えております。今後とも、そういう意味でより区民の皆さんにご満足いただけるような取り組みを進めてまいりたいし、その選択の基準として、財務諸表、損益計算はつくられてないと、やろうとしてもできないよというご意見については、私もまさにそのとおりではないかな、このように思います。
私からは以上でございます。
◎教育長(山﨑勝美 君) 私からは心の教室相談員等についてお答え申し上げます。
心の教室相談員は、ご指摘のとおり、臨床心理の専門家ばかりではございませんが、実はこの制度については文部省自身が必ずしも専門家を想定しておらず、選考対象として想定しておりますのは教職員経験者や青少年団体指導者など、地域の人材の中から特に子育てや心のケアに関して多くの経験を有する方と、このようにしておりますので、私どもはそういう方にお願いしておるものでございまして、生徒が心のゆとりを持てるような環境を提供しようというのが大きな目的でございます。このことによりまして、中学生が気楽に悩み事等を相談できまして学校生活の安定につながっていると、そのように、その成果の報告は受けております。私どもは、今後ともこの制度が定着することによりまして、より一層効果が上がるよう必要な支援は行ってまいりたいと、このように考えております。
次に、心の教室相談員のカウンセリングマインドといいましょうか、カウンセリングについて学ぶ機会を与えたり、あるいはカウンセラー、教員、相談員等がスムースに連携を行うような制度の検討ということでございますが、心の教室相談員を含めまして、カウンセラーなど教育相談担当者は日常的に緊密な情報交換を行うような方向で、その運用を図っているところでございます。今後とも連携を一層深め、生徒の悩みに十分こたえられる相談活動が展開できるように各学校あて支援をしてまいりたいと、このように思っております。
次に、インターネットを活用した心の相談システム、そういうものを構築すべきではないか、そういうご提案でございますが、教育分野におけるインターネットの利用は大きな可能性を持つものであり、ご指摘のような活用も考えられるのかなと、このように思っております。しかしながら、本区におきましては、今年度より小中4校に導入させていただきまして、インターネットの教育利用にかかわる研究等が実はまだ始まったばかりでございますので、具体的な活用方法等についてはこれからの課題になろうかと思いますし、1つのご提案ということで受けさせていただきたいと思っております。
私からは以上でございます。
〔36番関根 勉君登壇〕(拍手)
◆36番(関根勉 君) それでは、再質問させていただきます。
まず、区長のご答弁ありがとうございます。私自身もバランスシートの読み方はわかりません。ただし、わかる人が見たときに判断ができる状態にしておくことが重要であると思いますので、ぜひそういうような方向で進めていただきたいというように思います。
あと、教育長のご答弁の中で、確かに心の教室相談員の人選については物すごい適切な方が選ばれていると私は思うんです。特に地域から選ばれている方に関しては本当にやる気もあって前向きなんですけれども、なかなかやっぱり専門性というか、極端な方はどうやっていいかわからないというような方も中にはいらっしゃいましたので、そういったあり方というか、教育的視点でどういうようなものを求めているかというようなことをお示しいただいて、できればカウンセリングの資質を養っていただくというような制度としてしっかりと築いていただきたいという趣旨だったんですけれども。
以上で再質問を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(永井敬臣 君) 関根議員、要望でよろしいですか。
◆36番(関根勉 君) はい。
○議長(永井敬臣 君) この際、会議時間を延長しておきます。
次に、39番内田秀子議員。
〔39番内田秀子君登壇〕(拍手)
◆39番(内田秀子 君) ネット・無所属連合、それに多くの区民の皆様を代表いたしまして、私は質問させていただきます。
今、地球規模でさまざまな問題が起きていて、私たちの生き方が問われています。日本でも環境破壊の問題に加え、急速に進んでいる少子・高齢社会の中で、今後、私たちは社会の流れに合わせた価値観を持つことを余儀なくされています。今こそ社会のすべての仕組みを丁寧に見直して、新しい社会の流れをつくり出さなければならない時期なのです。特に少子化については、なぜ少子化が進んでいるのか、原因を根本的に究明して、その解決策をつくり出さない限り、少子化による現象のみを数字の上で問題解決していたのでは、今後の対応にボタンをかけ違えてしまうと大いに危惧します。20代、30代の人たちの多くは、子育てを含めて将来に大変不安を持っています。どうして少子化になってしまうのか、自治体としては何をしていったらいいのか、区長にお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
日本の子供の出生率は1.5 人を割っていると言われています。これは一人っ子がふえているわけではありません。私の小学生の子供のクラスを見ましても、38人中、一人っ子はたったの2人だけです。3人以上の兄弟、姉妹のいる家庭が半分以上います。これだけ見ても、出生率の低下、あるいは少子化の原因は、結婚しても子供をあえてつくらないか、結婚をしない男女がふえているということがわかります。なぜ子供を産み育てることを選択しないのか。それは高度成長期以降、核家族化が定着して30年余りたつ今でも社会の状況は大いに変化しているにもかかわらず、一向に子育ての社会環境整備がされていないことに、20代、30代の女性も男性も不安を感じているからです。実際に働く親にとって、働きながらの子育てはまだまだ大変な状況です。
それでは、女性が専業主婦の家庭の子育てには問題がないのでしょうか。育児のために専業主婦を選んだ人たちの子育てに対する意識調査によりますと、子供にたっぷり手をかける時間的余裕があることが子供にとって何よりだと、そう思っている反面、子育てに大きな悩みを持っているということがわかりました。例えば子供の生活に立ち入り過ぎて自主性を奪ってしまっている、自分のストレスが子供にぶつかってしまう、母親から離れられない子供をうっとうしく思い、そのことを言葉にして、つい子供に言ってしまう、1人になりたくてもなれないのでストレスがたまり、子供に当たってしまう、子供のやることが気になり過干渉になり、説教や愚痴が多くなる、生活者としての自立を妨げてしまった、子供中心になり、期待や要求が大きくなってしまう、親子で毎日いるとお互い煮詰まってしまうなど、夫が子育てを専業主婦の妻に任せっ切りにして母と子がいつも一緒にいる状態が続き、子供にとってのマイナス面が出てきてしまい、子育てに不安や迷いを持っているということがわかります。
親が職業を持つ家庭にはもちろん、そうでない家庭にも、子育てに社会の中での支援が必要とされているのです。高度成長期以降に生まれた3歳児神話は間違いだったということが証明されているにもかかわらず、社会の風潮はまだそれを求め、多くの女性を悩ませています。昭和30年代以前には、子供はもっと地域の中で育ち、小さくても自然と子供社会に入り込み、親がつきっきりでなく、年齢の異なった子供たちが遊びながら社会のルールを身につけてきました。社会環境も変わり、子供の生活環境を昔と同じに戻すことはできません。しかし、子供がたくさんの人の中で育つ社会整備はできるはずです。必要とされていることも明らかです。学校を卒業し、仕事を始め、出産によって家庭に入り、子育てを始めた母親は雑誌などの情報に頼りがちになり、公園デビューなどとファッショナブルな表現で表面的な親子関係に踊らされ、子育てを各家庭に押し込める社会に親子ともども息苦しくなっているのです。今の社会の中で20代、30代の男性や女性が持つ子育てへの不安感を取り除かなければ、少子化はさらに進んでいくでしょう。
自治体として、大田区が子育ての社会環境整備を進め、両親とも職業を持つ家庭にも、そうでない家庭にとっても、大田区の子供を育てる、さらに、その親をサポートするという立場に立ち、その場所を提供していくことで、子育てへの不安、迷いも少しは解消できると思います。そこで、1300人もいる保育のプロフェッショナルが区立の保育園にいます。その区立の保育園の役割を、保育に欠ける子の施設という発想から、子育てをサポートする施設へと転換させていくことを検討していくべきではないかと思いますが、その点についてのご意見を伺います。
どんな立場の家庭の子供でも、望めば保育園に入ることができる、そのようにすることと、一方では、保育体制も柔軟にしていくことも必要です。例えば親が働く、働かないにかかわらず、1日置きの保育や、地域の商店によっては、親の働き方が早朝型とか午後から夜までと変則的な場合もあります。そのような家庭には保育の時間帯を移すことができたり、短時間保育や年齢で分ける保育ばかりではなく、子供の社会性を育てるためにも異年齢児保育を充実させるなど、子育てを家庭と保育園が一体となってできるような仕組みづくりの実現も早急に考えていかなくてはならないと思いますが、この点についての見解もお尋ねいたします。
大田区には、現在、ゼロから5歳までの公立保育園、民間保育園、認可外小規模保育園、その他、ゼロ歳から3歳までの保育室、保育ママと、さまざまな立場の保育を選べるようになっています。特に認可外保育園は東京都の助成金がカットされようとしている中、大田区はバックアップをして、他区では類を見ない4園が、親と保育園が一体となって子育てを考え、運営している特徴ある家庭型保育園として、厳しい経営を迫られてはいますが、存続できているということは、大田区の保育に対する姿勢を大いに誇れるものです。少子化社会は、男性も女性も社会を支えていくために働く力を必要としています。そのような社会状況で子育てを社会資本の中で整備を進めることで、子育てを親子で完結させてしまわずに、小さなうちからたくさんの子供同士が触れ合うチャンスをつくることができ、さらに子供の生きる力をはぐくむことができるようになると思います。そのためにも、保育園をだれもが入れる子育てサポートの場にしていくことと、運営体制を柔軟にしていけるように早急に検討していくことをもう1度提案させていただきまして、次の質問に移ります。
大田区では、今、最も多くの人たちが注目している介護保険の事業計画、さらに地域保健福祉計画の策定が進められているところです。まず、ここで両計画がどの程度進んでいるのかお伺いしたかったのですが、先ほど中村議員もお聞きになりまして、区長もお答えがありましたが、私はもう少し詳しく伺いたいと思っています。公募の委員を含めて部会があり、策定委員会も公開されていますので、多くの人たちはどの程度進んでいるということを見ることができますが、中身をたくさんの人たちがしっかりと理解をしていくには、区報にも、それから、それ以外のところにも公表されていませんので、どの程度のところまで進んでいるのかという具体的なものを知りたいと思いますので、そのことについてご質問いたします。
そして介護保険に関しては、一体、どのくらいの人たちがどの程度のサービスを受けられるのか。だれもが予測のつかない状況であることは明らかですが、今後、高齢化がますます進んでいく中で、介護保険をだれもが使えるようにするのか。それとも、本当に重度の人たちだけが利用するのか。それによって、地域の福祉サービスも大きく違ってくるはずです。利用主体者である区民に対して、専門部会や策定委員会を傍聴できる今の進め方は公開性という点で大いに評価できますが、さらに傍聴だけではなく、意見交換の場をつくることも必要だと思います。先ほどの区長の答弁の中でも、説明会を開くということをおっしゃっていらっしゃいましたが、そのときにぜひ意見交換の場、つまり説明会という一方的な形ではなく、そこに出席している人と意見を交換できるような仕組みをつくっていただきたいと思います。少なくとも本庁舎を含めて4か所以上での意見を交換できる場を設けてほしいと思います。きめ細かな計画の策定をしていくには、たくさんの人たちの意見を取り入れ、そして、それを土台にして計画を練ることが必要だと思います。現在でも大田区の福祉予算は総予算の半分近くを占めている中で、今後、高齢化が進むことが予測されていても、これ以上、福祉に予算を割くことはできないということは明らかです。しかし、サービスの需要は増加していきます。サービスの質を低下させないことが前提とすれば、どのような対応を考えていくのか、区の見解をお聞かせください。
現在でも、福祉サービスが受けられる人はほんの少しの少しの人たちです。ほとんどの人たちは自分の力で暮らしています。しかし、高齢になって少し足や体が弱ったときに、介護保険は保険料を払いますから認定を受けるとはいえ、何かのサービスを受けられるようになるのではないかと多くの人たちが期待をしています。大田区の実態調査報告書の中にも、一般高齢者の6割もの人がホームヘルプサービスを受けたいと答えています。このことは、寝たきりになる前に自立して暮らし続けるためのほんの少しの手助けを必要としていることがわかります。高齢になると、きのうまで元気だった人が突然と思えるほどに急に体調を崩した後、身体的困難だけではなく、精神的に不安になり、自立できなくなってしまいます。動けなくなってから、あるいは自立できなくなってからのきめ細かな柔軟な対応の福祉サービスも必要ですが、そうならないための福祉サービスを広げていくことが必要です。これからは介護保険と地域福祉サービスをリンクさせて高齢者の福祉事業が進められていくわけですが、ますますふえていく高齢者が自立して暮らし続けるために、生活自立支援の地域市民事業を大きく膨らませていくよう事業の見直しを図る時期ではないでしょうか。先ほども関根議員がPFIということをおっしゃっていらっしゃいましたけれども、これは同じように企業という形ではなく、市民の事業として、その地位をつくっていくことが必要であると私は思っています。
ほんの少しの手助け、あるいは突然必要になる手助けなどは、シルバー産業のような民間企業や行政サービスではきめ細かく対応し切れていない現状の中、きめ細かな対応で地域市民事業グループが高齢者の自立支援などを現在でも実現させています。今後、学校を含めた区内の施設で、ミニデイケアなどは運営を身近な地域の人たちの市民事業グループなら委託も進めていけるのではないでしょうか。体が不自由になった人も、元気で自立している人も、だれもが自分に合ったサービスを利用できる仕組みこそ、今後の地域福祉に求められています。大田区は福祉事業の主体者として、地域の中で活動している市民事業をさらに育成、支援して、きめ細かな対応を実現させていくことを検討してはいかがでしょうか。この点についての見解をお伺いいたします。
財源に限りのある中で、行政改革として事務事業の適正化計画が大田区でも進められていますが、ここで一言注文をさせていただきます。数字の上でのスリム化、画一的な事業のスリム化ではなく、社会の流れをとらえて運営を柔軟にさせることでのスリム化を検討していってほしいと思います。
最後に、区長の委嘱を受けて発足した男女平等推進区民会議でことし3月、推進プランの提言書が出されました。これらの提言を今後どのように実現、実行していくのかをお尋ねいたしまして、質問を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(永井敬臣 君) 理事者の答弁を求めます。
◎区長(西野善雄 君) 少子化という非常に重い課題をご質問いただきました。どうしたらよいかというご質問でございますが、わかれば直ちに何か手が打てる。わからないと申し上げた方が正しいと思います。1週間ほど前にNHKの特集で「少子化を考える」をやっていましたが、意見をお聞きしていて、ちょっと違うんじゃないかなとか、うん、なるほどなとか、同感したり、反発したりして拝見しておりました。今の生活を失いたくないというようなご主張から子供ができてこない。そういう点、余りにも豊かになり過ぎちゃったのかなという反省もありました。昔は貧乏の子だくさんみたいな話がございまして、それがいいか、悪いかは別として、中から必ず成功してくれる子供がという思いもあったと思うんですね。今はそうじゃなくて、自分の生活、子供の生活が将来的に不安だからというようなことで、今の自分がという結論になってしまう、そういうところが私にはちょっとわかりませんでした。いずれにしても、結婚ということについての価値観とか、そういうものが変わってきた。また、晩婚化が進んでいる。いろいろな問題があると思いますが、一般的に特殊合計出生率が1.1 、それだけで女性が産まないからだというような言い方では問題解決にはならないと思いますし、今、お話にございましたように、子供を複数以上産んでいるご家庭は非常に多いんです。
私も先日、50軒ぐらいのマンションですけれども、ある会社の社員寮に行きましたら、半分ぐらいの家で、こんな紙製のちっちゃなこいのぼりが出ているんです。ここは随分子供がいるんだねと言ったら、そう、伝染病みたいねなんて、そんな話をしていました。その中の管理をしている方が、子供をここで育てるのって非常に楽なんですよと。なぜかというと、要らなくなった子供の洋服や何かがみんな出てくるんだと。そこの集会所で好きなものを持っていきなさいと。絵本なんかもみんなそこに集まっていて、そこから持っていきなさいと図書館ができている。お母さんたちが来て、そこで子供たちに対して読書会をやっている。そういうようなお話を聞いて、ああ、これは違ったところだな、いいなと。同じ会社の人だから、そううまくいくのかな。いろんな思いがありましたけれども、まさに昔の一般の社会、ご近隣の中にあったことがそこにはあったという思いで眺めておりました。私もそういうところで子供会で育ちまして、おじさん、おばさんの家へ黙って上がり込んじゃって、汚したり何かして怒られて育てられました。そのおじさん、おばさんというのは親切にいろんなことを教えてくれた。そんな思いを今新たにいたしております。
そんなことばっかり言っていても答弁になりませんので、自治体といたしましては、正直言って少子化そのものをとめる手段、それは非常に難しいけれども、子育ての環境づくりをどうしていくかということが求められているんだろうと、このように考えます。今後とも、そういう意味では区が持っている資源──区民の方から税金を預かっている問題も含めて、児童館だとか、保育園だとか、今おっしゃいましたそういう資源が、そこに入っていない人たちにとっても有効な資源になり得るような方策。この間、6時45分に見てくれましたか。大田区の児童館のファミリールームが特集で取り上げられておりました。要するに、ちっちゃいお子さんを持ったお母さんたちが本当に所狭しと集まってきてくれて、それで知恵の交換をして子育てのことを語り合ってくれている、そういうところが出ておりました。大田区としても、いろいろな取り組みをさせていただきながら、子育てに対して支援ができるように努力をしたいと思います。
そういう意味合いで、今、保育園が資源にならないかと。実は昨年から少しずつ始めてもらっているんです。残念ながら、すべての園がというわけではございません。園長さんの姿勢とか、保母さんの協力姿勢とか、そういう中から取り組もうという園が出てきてくれております。そういうものをもっともっと広げていきたい。そして、区の保育園も区民の資源なんだということでいきたい。しかし、片一方では、お預かりしたお子さんにけがをしちゃいけないという責任感もあります。そういうことも十分果たしながら、こちらの要望にもどうやったらこたえられるか。今、そういうことが大切なんだろうと思っています。
認可外の保育園のお話が出ましたけれども、そういう意味合いでは認可外の保育園だけが頑張っているという認識はちょっとやめていただいて、みんなで頑張ろうということでお力添えをお願いしたいと思います。
次に介護保険計画の方でございますが、現在は計画策定委員会を設置して、4つの専門部会でそれぞれ与えられた課題について検討を進めていただいております。各委員の皆さんには、まず現状認識、問題点、それらを活発にご議論をいただいて、現在は各専門部会ごとに、目標、課題の整理の検討に入っていただいております。中間のまとめを介護保険事業計画では8月、それから地域保健計画では10月までにまとめてくださいということでお願いしています。最終的には12年の1月にご報告をちょうだいして、3月には計画策定を進めたい。
そこで、策定委員会、専門部会はそれぞれ傍聴をしていただいております。本当に今までこの種の委員会には見ないような大勢の方がお見えになっています。非常に関心が高い、私どもはこういう理解をいたしております。中間のまとめができましたら、今度はそれを携えて区民説明会を秋に行おうと。回数とか、どういうところでというのはこれから検討してもらいますが、いずれにしても、直接区民の方から意見を伺う場を設定しよう、このように思います。
次に、サービスを受けられる人はほんの少しなんだと。だけれども、サービスの需要というのは、これから将来、どんどんふえていくよ。そういう中で限られた予算はあるだろうけど、サービスを低下させないでやるためにはどうしたらいいのと。非常に難しい質問ですね。総量がふえるのに、お金はないけど、質は減らすなと、非常に厳しいんですけれども、一番肝心なことは、やっぱり元気老人をどんどんつくるということではないでしょうか。私はそう思っています。ですから、4日から老人クラブ主催の民謡大会というのをやっているんですが、私はそこへ行って、大いに出歩いて活発に仲間づくりをして元気でやってください、ちょっと腰が痛いぐらいでへこへこしないでください、そういうごあいさつを私はさせていただいています。元気な人は困った人の手伝いに行ってください、支援をしてください、お互いにそういう支え合う社会をつくろうじゃありませんか、そういうことをお願いしておりました。そういう元気な高齢者になっていただく。それは、最終的にはお1人お1人の心がけの問題もあろうと思います。健康づくりというような意味で、これからも努力をしたい。そういう点で地域保健福祉計画の中でもお取り組みいただけたらと、こういうように考えております。いずれにしても、その計画の中に反映をしていかなければいけない、このように思います。
それから1つの提案として、ボランティアとか、NPOとか、そういう活動を積極的に支援したらどうかと。私は、逆に支援するなら余り失礼なことはしない方がいいと、そういう思いもございます。自主的なもので、ベーシックなものは差し上げるにしても、日常的な活動をご支援するというようなことまではどうなのか。むしろ皆さん方の積極的な意思というもの、それと利用者という関係。そして、区が何がしかのベーシックなものを提供する。こういうような3者の関係をうまくつくっていくことがよろしいのではないか、このように考えております。そのほかにも、基本的には介護保険で提供されるサービス、あるいは民間事業者が独自の形で提供するサービス、いろいろな選択肢が用意されている社会が望ましい、このように考えております。そういう意味合いではミニホームといいますか、そういうようなものも実は区内にあるんですね。(「グループホーム」と呼ぶ者あり)グループホーム。そういうものももっともっと皆さん方の力でできたらいいな、そういう思いを持っております。
次に、男女平等推進区民会議からの提案でございます。具体的に取り組んだものはということですが、早速、この地域保健福祉計画の中では公募委員さんを入れさせていただきましたし、今回ご提案しております長期基本計画の方でも公募委員さんの枠をつくろう、こういうことを考えております。いずれにしても、審議会等へ女性の方を含めて積極的に公募などという方法で拡充していく、そういうことを念頭に置かせていただいております。また、新おおた女性センターが工事に入りましたが、これらを拠点とした学習活動。これはむしろ名前のとおり、女性の皆さん方がより積極的にかかわっていただきたい、そういう意味合いで、各部局、各グループ・団体との連携を実現したい、こんなことで着実に進めさせていただいております。
以上、私からのお答えといたします。
◆17番(高瀬三徳 君) 議長、17番、議事進行の動議について。
○議長(永井敬臣 君) 17番高瀬三徳議員。
◆17番(高瀬三徳 君) 本日はこの程度をもって延会とし、明6月11日午前10時より会議を開き、質問を続行されることを望みます。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○議長(永井敬臣 君) ただいまの延会の動議につきましては所定の賛成者がありますので、動議は成立いたしました。
17番高瀬三徳議員の動議にご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(永井敬臣 君) ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
ただいまご着席の方々には改めて通知はいたしませんので、そのようにご了承願います。
本日はこれをもって延会といたします。
午後5時3分延会...