目黒区議会 2023-06-19
令和 5年第2回定例会(第1日 6月19日)
令和 5年第2回定例会(第1日 6月19日)
目黒区議会会議録 第3号
〇 第 1 日
1 日時 令和5年6月19日 午後1時
2 場所 目黒区議会議場
3 出席議員(36名)
1番 後 藤 さちこ 2番 細 貝 悠 3番 木 村 あきひろ
4番 高 島 なおこ 5番 増 茂 しのぶ 6番 こいで まあり
7番 たぞえ 麻 友 8番 上 田 みのり 9番 山 本 ひろこ
10番 金 井 ひろし 11番 岸 大 介 12番 小 林 かなこ
13番 白 川 愛 14番 青 木 英 太 15番 山 村 まい
16番 坂 元 悠 紀 17番 斉 藤 優 子 18番 芋 川 ゆうき
19番 西 村 ち ほ 20番 鈴 木 まさし 21番 は ま よう子
22番 かいでん 和 弘 23番 竹 村 ゆうい 24番 吉 野 正 人
25番 岩 崎 ふみひろ 26番 松 嶋 祐一郎 27番 河 野 陽 子
28番 おのせ 康 裕 29番 佐 藤 ゆたか 30番 川 原 のぶあき
31番 上 田 あ や 32番 松 田 哲 也 33番 佐 藤 昇
34番 田 島 けんじ 35番 武 藤 まさひろ 36番 関 けんいち
4 出席説明員
区 長 青 木 英 二 副区長 荒 牧 広 志
企画経営部長 髙 橋 和 人
情報政策推進部長 斎 藤 秀 一
総務部長 竹 内 聡 子
危機管理部長 橋 本 知 明
区民生活部長 上 田 広 美
産業経済部長 酒 井 圭 子
文化・
スポーツ部長 勝 島 壮 介
健康福祉部長 橋 本 隆 志
(
福祉事務所長)
健康推進部長 石 原 美千代
子育て支援部長 田 中 健 二
(保健所長)
都市整備部長 清 水 俊 哉
環境清掃部長 堀 内 雅 浩
(
街づくり推進部長)
会計管理者 大 野 容 一 教育長 関 根 義 孝
教育次長 樫 本 達 司
選挙管理委員会事務局長
落 合 勝
代表監査委員 秋 丸 俊 彦
監査事務局長 谷 合 祐 之
総務課長 千 葉 富美子
5
区議会事務局
局長 中 野 愉 界 次長 関 田 まいこ
議事・調査係長 藤 田 尚 子 議事・調査係長 中 野 陽 子
議事・調査係長 林 淳 子 議事・調査係長 小 川 友 理
議事・調査係長 明 石 智 紀 議事・調査係長 佐 藤 康 典
第2回目黒区
議会定例会議事日程 第1号
令和5年6月19日 午後1時開議
日程第1 会期の決定
日程第2 一般質問
〇午後1時開会
○おのせ康裕議長 ただいまから令和5年第2回目黒区議会定例会を開会いたします。
これより本日の会議を開きます。
◎
会議録署名議員の指名
○おのせ康裕議長 まず、
会議録署名議員を定めます。
本件は、会議規則第117条の規定に基づき、御指名申し上げます。
2番 細 貝 悠 議員
35番 武 藤
まさひろ議員
にお願いをいたします。
◎諸般の報告
○おのせ康裕議長 次に、諸般の報告を申し上げます。
区長から、目黒区債権の管理に関する条例第6条第1項の規定に基づき放棄した債権について報告がありました。
次に、令和4年度の目黒区
繰越明許費繰越計算書、目黒区事故繰越し
繰越計算書並びに目黒区
土地開発公社、
社会福祉法人目黒区
社会福祉事業団の令和5年度事業計画及び令和4年度決算に関する書類の提出がありました。
次に、監査委員から、令和5年4月分の
例月出納検査の結果について報告がありました。
以上の報告については、いずれも文書を配付いたしました。
以上で報告を終わります。
これより日程に入ります。
日程第1、会期の決定を議題といたします。
――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎会期の決定
○おのせ康裕議長 お諮りいたします。
今期定例会の会期は、6月19日から6月30日までの12日間といたしたいと思います。
これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○おのせ康裕議長 御異議なしと認めます。
よって、会期は12日間と決定いたしました。
次に、日程第2、一般質問を行います。
――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎一般質問
○おのせ康裕議長 区政一般について質問通告がありましたので、順次これを許します。
27番
河野陽子議員。
〔
河野陽子議員登壇〕
○27番(
河野陽子議員) 私は
自由民主党目黒区議団・区民の会の一員として、区政一般に関し質問通告に沿って、大きく2問の質問をさせていただきます。
1問目、加齢に伴う難聴対策について伺います。
近年、加齢に伴う難聴は認知症の危険因子として注目されています。つまり難聴に対し良好な聞こえを維持することができれば、認知症を積極的に予防していけることを意味しております。
独立行政法人国立長寿医療センターの調査によると、軽度難聴以上の難聴がある人の割合は、65歳以上で急増し、70歳代前半では男性の約5割、女性の約4割、70歳代後半では男女とも約7割、80歳代では男性の約8割、女性の約7割に軽度難聴以上の難聴が見られるとしています。
加齢による難聴は、治療法の少ない内耳から脳までのどこかの神経機構の感度が低下する感音難聴ですので、よく聞こえるようにするには、音声を大きくして耳に伝達する補聴器が一番とされています。
しかしながら、日本は欧米に比べて、補聴器の使用割合が少ないことが知られ、生活に支障の出始める中等度の難聴者で補聴器を使用している方は3割未満とも言われています。その原因は、補聴器に対して、補聴器をつけることは格好が悪い、年寄りくさいなどのネガティブなイメージが強いため、聞こえなくても我慢してしまう、あるいは補聴器自体が比較的高価なものが多く、負担に感じる方が多いからと言われています。
最近は
スマートフォンと連携して、通話音声や音楽を補聴器に直接飛ばす機能など、便利な機能を持った補聴器が増えてきています。補聴器が年寄りくさいものというより、より若々しく過ごすためのツールとなってきているようです。少なくとも中等度以上の難聴があれば、日常生活で補聴器が役立つ可能性が十分にあり、補聴器を使うことで周囲の方とのコミュニケーションを取りやすくなるなど、いわゆるQOLの維持向上の可能性があります。
補聴器の購入に対しては、一般的な健康保険、介護保険、医療保険の適用がなく、自己負担での購入となるため、既に現在23区内でも多くの自治体で補聴器購入の補助をしているところです。また、補聴器は高価なものであればいいというわけではなく、補聴器はその人に合わせることが何よりも大切とされています。補聴器をつければすぐよく聞こえるものではなく、もちろん音は大きく聞こえますが、不要な雑音も大きくなり、言葉だけがはっきり聞こえてくるわけではないので、補聴器に慣れるトレーニングが必要になり、これには専門家の指導と家族の援助が欠かせないとされています。
こういった視点から、我が会派より令和5年度の予算要望、そしてさきの代表質問において、加齢に伴う難聴対策として、補聴器の有効性について、区民の皆様への周知啓発や経済的支援など、高齢者の難聴対策について区として検討を進めるべきと質問し、区長より、先行する自治体の事例も踏まえ、本区における効果的な制度構築を検討するとの答弁がありました。その後の区の検討状況はどのようになっているのかを伺います。
2問目、保育所等における不適切な保育への対応等に関する実態調査について伺います。
女性の社会進出により、フルタイムでの共働き家庭が増加する中、2016年の「保育園落ちた、日本死ね」のブログにより、待機児童問題が大きくクローズアップされ、働きたいのに働けない状況の解決に向け、保育所整備を国・自治体が優先課題として取り組んできました。
急速な保育園整備が進む中で、保育士不足に加えて、子どもの安全・安心を守るための保育の質の確保について、この目黒区議会でも多くの議員が課題として捉え、議論をしてきたところです。
待機児童対策とともに保育の質の確保が叫ばれる中、罰を与える、脅迫的な言葉がけといった不適切な保育や、虐待による行政指導や処分を受けるケースが全国的に年々増加傾向となっています。その原因は様々指摘されているところですが、不適切な保育や虐待は、被害に遭った子どもを深く傷つけ、保護者に大きな不安を与える重大な問題として捉えていかなければならないと考えています。
厚生労働省は昨年、静岡県裾野市の認可保育園での
暴行容疑事件をはじめ、全国各地の保育現場で虐待などが相次いで発覚したことを受け、昨年12月27日、全国の自治体や保育園などを対象に不適切保育や虐待の件数把握、その対応状況や自治体の対応状況を確認する、国として初の実態調査を実施、本年5月12日、
こども家庭庁(厚労省より、
こども家庭庁に移行しています)がその結果を公表しました。
昨年4月から12月に市町村が不適切保育と認定したケースは、全国の保育所で914件、このうち虐待と確認されたケースは90件、複数回答が可能であった不適切保育の類型別調査では、子ども一人一人の人格を尊重しない関わりが全体の42%、物事を強要するような関わり・脅迫的な言葉がけが37%、罰を与える・乱暴な関わりが30%との結果となっています。
ここでこの国の実施した不適切保育の実態調査について3問伺います。
1、令和4年12月17日付事務連絡にて、厚生労働省より依頼があった「保育所等における虐待等の不適切な保育への対応に関する実態調査」の本区での結果を伺います。
2、子どもの人権、安全・安心の確保という視点から、今後、よりよい保育の質の確保のために今回の区の調査結果に対する見解を伺います。
3、不適切な保育とまでは言えない望ましくないと考えられる関わりであっても、繰り返されるうちに問題が深刻になり、不適切な保育や虐待につながると考えます。今後、区における不適切保育を未然に防ぐ方策について伺います。
以上、壇上からの質問とさせていただきます。(拍手)
〔
青木英二区長登壇〕
○
青木英二区長 河野議員の2点にわたる御質問に順次お答え申し上げます。
まず、第1点目、加齢に伴う難聴対策についてでございますが、第1回定例会における代表質問でも御答弁申し上げたとおり、加齢に伴う聴力の低下が、会話の減少や他者との交流を避けて家に閉じ籠もるなど、家族や社会から孤立してしまう要因となり、やがて心身の衰えや認知機能の低下につながる可能性もあるということは、本区としても認識をしているところでございます。
昨年度実施した高齢者の生活に関する調査におきましては、日常生活を送る上での悩みや心配事として、約2割の方が「会話が聞こえづらくなってきたこと」と回答していらっしゃいます。また、昨年には補聴器購入の
公的助成制度の実現を求める約900名の方の陳情署名の提出があり、所管の
生活福祉委員会におきまして陳情審査が行われたところでございます。
他区の状況を見ますと、昨年度の段階では16区で
補聴器購入費助成を実施しており、今年度からは新たに3区で実施し、または実施する予定ということでございます。既に実施している区では、助成の対象年齢を65歳以上とし、ほとんどの区で所得制限を設けております。東京都の補助金を活用して、区の一般財源の負担を抑制しているところもございました。
こうした状況を踏まえまして、本区におきましては、
加齢性難聴対策として、補聴器の購入に対する効果的な支援策を検討いたしてまいりました。区内にある
社会福祉法人聴力障害者情報文化センターからの聞き取りでは、補聴器を購入する際のポイントとして、専門の医療機関で相談・受診すること、
認定補聴器販売店でその人に合った補聴器を選ぶこと、購入後も定期的に点検をし、聞こえの状態に合わせて調整することが重要であることと聞いております。
補聴器購入費に対する経済的な支援を行うことに当たりましては、適切な補助単価や対象年齢、所得制限の設定も必要でございます。さらに、補聴器を購入した後も継続的に使用していただく仕組みを構築することも重要でございます。こうした課題を整理した上で、本区といたしましては、今年度中に
補聴器購入費の助成制度を開始するため、必要な経費を補正予算で計上させていただきたいと考えております。
制度の構築に当たりましては、加齢性難聴が及ぼす影響などについて、高齢者の方に正しく理解していただくため、
聴力障害者情報文化センターで毎月開催しております聞こえに関する相談や、医療機関での適切な治療についての周知啓発を行うとともに、補聴器購入の事前相談の受付体制など、目黒区医師会とも必要な協議を行いながら、医療機関との連携にも努めてまいりたいと存じます。
次に、第2点目、「保育所等における虐待等の不適切な保育への対応等に関する実態調査」についての第1問目及び第2問目につきましては、令和4年12月に実施されました「保育所等における虐待等の不適切な保育への対応等に関する実態調査」における本区の調査結果及びそれに対する区の見解ということで相互に関連している質問でございますので、併せてお答え申し上げます。
「保育所等における虐待等の不適切な保育への対応等に関する実態調査」につきましては、静岡県裾野市の保育所において、園児虐待等の不適切な保育が行われていたという事案が発生をし、その後も全国で同様の事案が相次いでいたことを受け、保育所、
地域型保育事業所、
認可外保育施設及び
認定こども園を対象とした調査が行われました。
これは各自治体等における不適切な保育への対応の実態を把握するとともに、不適切な保育が施設内外への相談等を通じて早い段階で改善が促され、虐待を未然に防止できるような
環境体制づくりにつなげていくことを目的として実施されたものでございます。本調査は、自治体等に対する調査と保育施設に対する調査があり、令和4年4月1日から令和4年12月31日を
調査対象期間として行われました。
自治体等に対する調査における調査項目は、自治体として把握した虐待等の不適切な保育が疑われた事案、虐待等の不適切な保育が疑われた事案の把握・対応の体制及び虐待等の不適切な保育の未然防止のための取組がございます。また、保育施設に対する調査における調査項目は、個別事案や園の体制等でございまして、各保育施設からの回答を集約し、自治体から報告を行ったものでございます。
こども家庭庁は、令和5年5月に本調査結果を公表しております。その内容ですが、区市町村が認可保育園において、不適切な保育であると確認した件数は914件、このうち区市町村が虐待と確認したのは90件です。一方で、認可保育所が不適切な保育として報告した件数は1万9,603件であったことから、不適切な保育として自治体が把握した件数と、認可保育所において不適切な保育として報告した件数に大きな乖離が見られました。
区においても、
認可外保育所を含む
区内保育施設において、不適切な保育と確認した件は7件、虐待はゼロ件と報告した一方で、
認可外保育施設を含む
区内保育施設が不適切な保育として報告した件数は203件であったことから、同様の傾向となっております。
また、不適切な保育の件数をゼロ件と報告した園数は、
認可外保育所を含む全体園の約74%を占めたところですが、1施設で100件単位の回答をするケースが見られるなど、保育施設間の回答においても大きなばらつきが生じる結果となっております。
こども家庭庁におきましては、自治体と保育施設の報告数並びに保育施設間の回答に大きな乖離やばらつきが生じた要因について、調査時点において、不適切な保育の判断基準が明確でなく、少しでも気になる行為等は不適切な保育であると捉え、多くの不適切な保育の事例を報告した保育施設もあれば、虐待と同義に厳密に捉えた保育施設があるなど、不適切な保育の考え方について、各保育施設、各自治体に差が生じたためとしております。
この調査結果を踏まえ、
こども家庭庁は「保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関する
ガイドライン」を令和5年5月に策定をし、虐待等や不適切な保育の考え方の明確化を行うとともに、保育所等における虐待等の未然防止及び発生時の対応に関して、保育所等や自治体がそれぞれに求められるべき事項、果たすべき役割等について、改めて整理をし、各自治体へ周知が行われたところであり、区内各保育施設に対しても漏れなく周知を行っております。
区といたしましては、本調査結果及び
ガイドラインを踏まえ、保育の実施主体として不適切な保育を未然に防止し、子どもの最善の利益を考慮し、適切な保育が実施できる環境を整えることが重要と考えております。
保育者や保護者が施設において行われる保育に対して違和感を感じた場合には、気軽に相談ができる対応窓口を整備、周知し、不適切な保育と疑われる事案が生じた場合には、保育施設と緊密に連携をし、迅速に対処するための
組織体制づくりに取り組んでまいります。
また、各保育施設における不適切な保育を未然に防止していくために、施設長、園長やリーダー層が職場環境も虐待等が発生し得る要因となり得ることについて、
合同公私立園長会や巡回指導等を通じて、十分に意識啓発を行うとともに、職員一人一人が子どもの人権・人格を尊重する意識をしっかりと共有し、各職員や施設単位で日々の保育実践について、常に子どもにとってどうなのかという視点から保育を振り返ること、考えていくことができるよう、子どもの人権に配慮した保育について、新たに集合研修を実施するなど、積極的に指導・支援してまいりたいと存じます。
次に、第3問、今後、区における不適切な保育を未然に防ぐための方策についてでございますが、不適切な保育が生じる背景としては、子どもの人権や人格尊重の観点に照らして、どのような子どもへの関わり方が適切なのかを十分に理解していないといった保育士一人一人の認識の問題と、施設における職員体制が十分でないなど、適切でない保育を誘発する状況や、保育士同士や施設単位で日々の保育の振り返りがなされていない体制があるなど、適切でない保育が改善されにくい状況にあるといった職場環境の問題が大きいとされています。
このため本区においては、各園において、国の
保育所保育指針に照らして、子どもの最善の利益を考慮した適切な保育が実践されるよう、不適切な保育が生じる背景を踏まえた未然防止に向けられた取組を行っているところでございます。
例えば、区が主催する研修を通して、保育士一人一人の人権擁護に対する意識の醸成を図るとともに、施設長や主任保育士など
組織マネジメントを担う職員に対しては、不適切な保育が生じにくい
職場環境づくりの重要性について理解促進に努めております。
また、定期的な巡回指導を通して、各園の保育内容を把握し、日々の保育実践の振り返りの中で生じた保育士の不安や悩みに寄り添いながら、子どもの視点に立った適切な保育の在り方について、指導助言を行い、保育の質の向上にも努めているところでございます。
さらに、各園の現場職員だけでなく、保育所の設置法人も対象とした集団指導を通して、園内研修の適切な実施や虐待等の
対処マニュアルの整備など、法令等に照らして、各園が遵守すべき事項について周知徹底を図るとともに、実地指導により、こうした取組が適切に実施されているかを確認し、必要に応じた改善指導を行うなど、適切な保育所運営の確保に取り組んでおります。
こうした取組を進める一方で、子どもの人権を尊重する考え方の社会的広がりや、不適切な保育に対する社会的関心の高まりなどを背景として、現場の保育士だけでなく、保護者からも保育園での保育の在り方についての相談が増加している状況にございます。相談等を通じて、早い段階から不適切な保育を未然に防止できるような組織体制の拡充を図るとともに、保育士が日々の保育の実践において過度に萎縮することがないよう、保育現場の支援を適切に行っていくことが重要になっていると認識しているところでございます。
区といたしましては、保育の実施主体として、子どもたちにとって適切な保育環境を確保するという決意の下、不適切な保育の未然防止に向けた様々な取組を迅速かつ適切に進めてまいります。
以上、お答えとさせていただきます。
○27番(
河野陽子議員) 御答弁ありがとうございました。
それでは、再質問をさせていただきたいと思います。
補聴器につきましては、購入費については補正で対応を御検討されてるということと、医師会等とも連携しながら進めて、区民の方には広めていくようにしていきたいということで、こちらはぜひ進めていただきたいと思っております。
私のほうから再質問としましては、不適切を未然に防ぐための方策というところで伺えればと思っております。
今回の調査結果においては、不適切な保育が7件、虐待がゼロとしているものの、施設等の、各施設からの回答とは乖離がかなりあったとのことでした。また、100件単位の報告があった施設もあったとのことだったと思いますけれども、報道等でもこの調査時の国の不適切な保育の定義が非常に曖昧だったということが原因として分析されているという報道等もございました。
とにかく結果のいかんにかかわらず、やはり未然防止が非常に私は重要になると考えております。昨年の静岡県の裾野市の件でありますとか、あるいはバスの置き去りなども同様ですけれども、報道等において、虐待を含む不適切な保育や子どもの事故を、あるいは今回のような全国的な調査を通して、こういったケースを知ることが増えること、社会が知る機会が増えることによって、現場の保育士さんであったり、保護者の方々も、保育園での保育の在り方について、非常により高い意識を持てるということは非常によいことだと考えています。
御答弁の中にも、現場の保育士の方や保護者から、保育園で保育の在り方について相談が増加している状況というふうにありましたけれども、適切な保育環境を確保していくために、こういった声を通して早い段階から不適切な保育の芽を摘み取っていくということが非常に重要だと思います。
その一方で、
ガイドライン等からも不適切な保育ってどういったものなのかっていうことが具体的にイメージしにくいというところもありますので、保護者の皆様にはもとより、保育士同士で保育に違和感がありながらも、そういった相談をためらってしまうようなことがあるために、不適切な保育に発展するといったことも一方で心配があるところだと思います。
区としては、相談体制の充実、未然防止等についての取組を迅速に進めるというふうにお答えがありましたが、やはりもっとより具体的にどのような取組をお考えなのか、お聞かせいただければと思います。
以上です。
○
青木英二区長 それでは、不適切な保育の未然防止について具体的に少しお話し、御答弁申し上げたいと思います。
議員からもお話があったように不適切な保育を未然に防ぐということが極めて重要な課題だということは全くそのとおりであります。それに向けて、昨年の12月に調査も行われたところでございます。幾つか具体的に少しお話を申し上げますと、まずこういったことを通じて、私ども外部有識者による研修を今月上旬に行いました。内容は子どもの人権をしっかりと踏まえて保育をしていく、そういった内容について集団で研修をし、多くの園の皆さんに御参加をいただきました。
議員もお話しあったようにやはり早く情報をキャッチする、芽を早い段階に摘むということは極めて大事でございますので、そういう点では現在もいろんな相談についてはお受けする体制はありますけれども、まだ率直に申し上げて、園によって周知の濃淡がありますので、改めて園に掲示をしていくですとか、ホームページでしっかりとそれをお知らせをして、気軽というか、何かおかしいんじゃないのと感じたときに、すぐにいろいろな周りの目を気にすることなく相談ができる、まず仕組みを改めて明確にしていくということが大切だというふうに思っております。
それから、今度は次の段階で、相談はあったけれども、迅速な対応ができなければ、それは意味がありませんので、私ども今までも全く何もしてないということはありませんでしたけれども、今回改めて、この国の調査を受けて、国が
ガイドラインを設置をしてきてございますので、そういった
ガイドラインを踏まえて、体制を、そういった疑いがある親御さんからそういったお声があったときに迅速に組織体制として対応できるように今マニュアル化を進めております。そのマニュアルができた時点で、より迅速に様々なお声に区として組織的に対応をしていきたいというふうに思っております。
もう1つ、非常に大事な点なんですが、不適切な保育、連日、テレビでも裾野市について報道がされておりました。やはり現場の保育士さんにとっても何が不適切で何が問題があるのか、なかなか具体的にということが難しい状態に置かれてしまって、いい保育、今まで目黒区で行われていた良質な保育そのものも行うことにちゅうちょがあってはならないわけで、それは非常に重要な点ですので、保育士さんたち、今、渦中に入ってしまっていますから、客観的に私どもとして、いろんな状況、シチュエーションを踏まえて、不適切な保育のやはり事例をお示しをして、安心して、自信を持って、今まで区で行われてきた公私立、良質な保育がきちんと継続ができるように、私ども巡回指導ですとか、研修の場でしっかりと私ども保育の現場の皆さんにお伝えをしていくということが大事なことだというふうに思います。
こういった全体的なこと、今既に行っているもの、ing形で今進めているもの、こういったことをきちんと整理をしながら、本当に未然に私ども保育、未然に不適切な保育を防止し、次代を担う子どもたちにとって最善な利益がきちんと受けられる保育に全庁挙げてしっかりと今後も取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
以上でございます。
○27番(
河野陽子議員) 御答弁ありがとうございました。
未然防止について具体的にいろいろされているなということが分かって非常によかったと思います。
一方で、今回の調査結果、不適切保育7件、虐待ゼロというのが区の結果なんですけれども、数が多いから駄目とか、少ないからいいという問題ではなくて、先ほど御答弁の中にありましたけれども、子ども本人のことを考えれば、1件1件に対して現場と行政で非常に丁寧な検証が必要、今、先ほどそういった事例があったよということは広く知らせていくということだったんですけれども、丁寧な検証が非常に大事だと思っております。
そういった
組織体制づくりについて取り組むというような御答弁もありましたが、その点、やはりしっかり進めてほしいと思いますので、どのようにお考えか、お聞かせいただければと思います。
以上です。
○
青木英二区長 全くおっしゃるとおりでございまして、私ども今後、国の
ガイドラインを得て、マニュアル整備をしていきたいと思っています。今までもマニュアルはないわけではありませんで、手前みそですが、目黒区として非常にレベルの高い保育が行われてきたというふうに思っています。ただ、全国調査の中でもいろんな問題がありますので、要は個々に全体として、園として全体で考える問題もありますし、やはりお子さんもそれぞれいろいろな状況に置かれてるお子さんがいらっしゃいますから、やはり個々にしっかりとした対応をしていくという、きめ細かな対応をマニュアルの中でも落とし込んで、対応をしっかりしていきたいというふうに思っているところでございます。
以上でございます。
○おのせ康裕議長
河野陽子議員の一般質問を終わります。
次に、15番山村まい議員。
〔山村まい議員登壇〕
○15番(山村まい議員) 私、山村まいは、めぐろの未来をつくる会の一員として、子どもたちが安心して生き生きと暮らせる社会にしたいとの思いから、事前の質問通告に基づき、保育について2点、5問の質問をさせていただきます。
まず、1点目、不適切保育について伺います。
さきの議員からも話がありましたが、2022年12月、静岡県裾野市の認可保育園にて園児を虐待したとして、保育士3人が暴行容疑で逮捕されました。経緯としましては、1歳児クラスの担任たちが、園児の足をつかんで宙づりにする、頭をバインダーでたたく、容姿をばかにする発言をする、泣いている動画を撮影してネタにするなどの虐待をしていた。ほかの職員たちは口出しできる雰囲気ではなかった。同僚保育士が2022年6月、園長に内部通報。しかし園長は虐待の旨を市に報告しなかった。そこで、同僚保育士は2022年8月に市に報告、市から警察に連絡がなされ、暴行容疑での逮捕に至ったというものです。
このほか、富山市、仙台市、日野市においても虐待事件が発生したため、
こども家庭庁から全国の自治体に「保育所等における虐待等の不適切な保育への対応等に関する実態調査」が行われ、本区としても不適切保育についての報告をしているものと思います。
そこで、1問目、本区における不適切保育の報告内容について。
自治体への調査項目である個別事案、自治体等における体制等、虐待等の不適切な保育の未然防止について、本区としてどのような報告をしたのか伺います。
なお、相談件数何件のうち、不適切保育と判断したものが何件であったのか、また個別事案のおのおのの概要と対応状況につきましても併せて伺います。
次に、2問目、過去の相談事項について。
令和3年11月12日に受理された陳情3第38号、これまでに民営化した園を含む目黒区内保育園の実態調査を求める陳情におきまして、職員1名が1・2歳の園児の頭をわしづかみにして勢いよく押し、あごをつかんで左右に揺らした場面を保護者が目撃したという記述がございました。こちらに対して本区は、児童福祉法第33条の10、暴行、わいせつな行為、ネグレクト、心的な外傷を与える言動に相当する虐待事案ではないと結論したと回答されています。
私は、この回答結果を見て、目黒区は虐待と断定できなければ何もしない、不適切保育に対応する気はないと保護者や園関係者が思ってしまうのではないかと危機感を抱きました。こちらの件について、虐待事案ではないと結論した経緯を伺います。
最後に、3問目、具体事例について。
排せつしている姿をほかの人に見られたくないと訴える幼児に対して、扉ありトイレがあるにもかかわらず、大人が管理しやすいという理由だけで、扉なしトイレの利用を強制し、扉ありトイレを利用した場合には叱責するというケースにつきまして、本区は不適切保育と認識されますか、区の見解を伺います。
それでは、次に2点目、保育園における昼寝強制について伺います。
保育園では、年齢にかかわらず、午睡の時間が設定されています。保育園の先生方に伺うと、「保育園に通う子どもは寝るのが遅いから、休息として昼寝が必要なんです」との答えが返ってきます。
では、実際にはどうか。3歳児以上のお子さんを持つ保護者たちに伺ってみると、「昼寝があるから、夜なかなか寝られない」「夜寝るのが遅いから、朝は起きるのが難しく、無理やり起こすことになるので、不機嫌になりやすい。不機嫌になるから登園を渋りやすい」「眠くもないのに昼寝の時間で寝転がらないといけないこと自体を嫌がっている」という悩みを聞くことが多く、昼寝があることにより、生活リズムが乱れている、そして眠くもないのに2時間も寝転がっていないといけないことをストレスに感じているお子さんが多いように見受けられます。また、かつて保育園に通っていたという大人の方々からも昼寝の時間は苦痛だったという経験談を聞くことは多いです。
厚生労働省の
保育所保育指針解説に、「午睡は、子どもの年齢や発達過程、家庭での生活、保育時間といったことを考慮し、それぞれの子どもが必要に応じて取るようにすることが大切である。子どもの家庭での就寝時刻に配慮して、午睡の時間や時間帯を工夫し柔軟に対応する」と記載があるように、本来は一人一人の睡眠リズムに応じて、昼寝のありなしを判断されるべきではないでしょうか。
また、保育園児の昼寝について研究されている江戸川大学人間心理学科、福田一彦特任教授は「幼児の昼寝と生活習慣について」という論文において、3歳児以降の昼寝は、睡眠リズムを乱し、子どもの心身に悪影響を及ぼすことを示しています。
こういった背景を踏まえて、足立区では2011年4月から、区立保育園での年中・年長クラスでの昼寝を廃止しています。昼寝廃止に当たって、保育士の負担が増えるという点を考慮し、1日4時間の非常勤職員を新たに配置して対応されたそうです。
そこで、1問目、本区における対応について。
本区においても、年中・年長クラスでの昼寝時間が子どもに悪影響を及ぼすのではないか、改めて検討する必要があると思いますが、いかがでしょうか。区の見解を伺います。
次に、2問目、モデルケースの導入について。
昼寝なし保育の導入が難しいという理由が、保育園の人手不足にあるならば、昼寝なし保育のモデルケースとして手を挙げてもらった認可保育園に対して、非常勤職員の人件費を支給するなどの対応も考えられると思いますが、いかがでしょうか。区の見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。御答弁のほどよろしくお願いいたします。(拍手)
〔
青木英二区長登壇〕
○
青木英二区長 山村議員の2点にわたる御質問に順次お答え申し上げます。
まず、第1点目、不適切保育についての第1問、本区における不適切保育の報告内容についてでございますが、「保育所等における虐待等の不適切な保育への対応等に関する実態調査」については、保育施設における実態や、各自治体等における不適切な保育への対応の実態を把握し、不適切な保育が施設内外への相談等を通じて早い段階で改善が促され、虐待を未然に防止できるような
環境体制づくりにつなげていくことを目的として実施されたものでございます。
本調査は、自治体等に対する調査と各保育施設に対する調査があり、
調査対象期間は令和4年4月1日から令和4年12月31日まででございます。自治体等に対する調査における調査項目といたしましては、自治体として把握した虐待等の不適切な保育が疑われた事実の件数及びその対応、虐待等の不適切な保育が疑われた事案の把握、対応の体制、整備状況及び不適切な保育の未然防止のための取組等がございました。
本区において調査期間中に不適切な保育の疑いがある事案として、施設に立入検査や関係者からの聞き取り等を実施し、確認した件数は7件、そのうち不適切な保育と判断した件数は7件全てでございまして、虐待はゼロ件でございました。
不適切な保育として、区が判断をし、自治体等に対する調査の報告とした7件の個別事案の概要と対応状況についてでございますが、個別事案の概要として、施設の類型といたしましては、認可保育所が6件、
認可外保育施設が1件でございまして、事案行為類型としましては、子ども一人一人の人格を尊重しない関わりが7件でございます。また、事案の把握の経緯については、保育園からの報告が1件、当事者の保護者からの連絡が3件、当事者の保護者以外の通報が3件でございます。
対応状況といたしましては、保育所等に対しての何らかの対応を取った件数といたしましては、口頭指導や書面指導を含み指導を行った件数が7件、相談や助言等を行った件数が7件でございます。
不適切な保育が疑われる事案が発生、把握した場合には、区は保育の実施主体として迅速に事実の確認・調査を行い、事実が確認できた場合には、保育園・保育事業者本部と連携をし、原因の究明を行うとともに、保護者への説明、児童の心のケア等の具体的な改善策が適切に講じられるよう保育事業者に対して指導助言を行っております。また、不適切な保育の事案の重大性に応じて、東京都への情報共有・連携を図るとともに、指導検査の実施や巡回指導を通して、保育園における改善が着実に継続実施されるよう継続的に支援をしてまいります。
次に、第2問、過去の相談事案についてでございますが、職員1名が園児の頭をわしづかみにして勢いよく押し、顎をつかんで左右に揺らした場面を目撃した件については、不適切な保育の疑いがある事案として、迅速かつ慎重に該当保育園に事実の確認を行うべく、区において全職員面談等実施をした結果、そのような行為があったことが事実であることを確認をいたしました。
行為があった状況や背景について調査を行った結果、かみつき癖のある園児が他児のおもちゃを取ろうとした場面で、他児へのかみつきやけがを防ぐために、とっさの判断で行った対応であること、併せて当該職員が他児へのかみつきの件で保護者から苦情を受けており、子どものかみつきについて非常にナーバスな精神状況であったという背景も確認いたしました。また、園児の頭や顔を押さえる行為があったことは事実であるものの、そのときの園児に対しての声がけは柔らかな表現であり、表情も優しいものであったことが本人及び周りの職員からの証言により、判明しております。
このような状況や背景を踏まえまして、区は当該行為について、他児の安全確保を行うための緊急避難的な行動であったこと、声がけ、表情についても園児への配慮があり、適切であったことから、児童福祉法第33条の10各号に掲げる虐待の4類型、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待のいずれにも該当せず、虐待事案ではないと結論づけを行ったところでございます。
しかしながら、園児の頭や顔を押さえる行為については、保育士にとってやむを得ない、他児のけがを防止するための緊急避難的な行動であったとしても、もっと違った対応ができたのではないかといった子どもの視点に立った保育の振り返りを行い、改善につなげていくことが重要との認識の下で、当該職員に対しては、言葉がうまく伝えられない子どもの気持ちを酌み取り、よりよい保育を行うために、保護者と丁寧にコミュニケーションを取りながら保育を進めていくよう指導助言を行っております。その後の当該職員の状況については、巡回指導を継続的に行った結果、保育内容について改善されております。
区といたしましては、不適切な保育の未然防止に努めていくとともに、仮に事案が発生した場合には、その原因や背景をしっかりと確認した上で、保育園や事業者と連携をし、各保育園での日々の保育の振り返りや巡回指導等を通して、常に改善に努めていくことが重要な取組であると考えております。不適切な保育の未然防止に向けて、各保育園に寄り添いながら指導支援をしてまいります。
次に、第3問、具体事例における不適切保育か否かの区としての認識についてでございますが、「保育所等における虐待等の不適切な保育への対応等に関する実態調査」の結果を受け、
こども家庭庁は令和5年5月に「保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関する
ガイドライン」を策定し、この
ガイドラインにおいて、保育所における虐待等と不適切な保育の考え方が整理をされ、見直されることとなりました。
保育所における虐待とは、児童福祉法第33条の10各号に掲げる虐待の4類型、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待に該当する行為であり、またこの行為のほか、子どもの心身に有害な影響を与える行為である、その他当該児童の心身に有害な影響を与える行為を含めて虐待等と定義がされ、不適切な保育については、虐待等と疑われる事案として捉え直すこととされました。
議員からの例示にあります、排せつしている姿を他の人に見られたくないと訴える幼児に対して、扉があるトイレがあるにもかかわらず、大人が管理しやすい理由だけで、扉なしのトイレの利用を強制し、扉ありトイレの利用をした場合には叱責するというケースについて、不適切な保育と認識するかにつきましては、この具体事例のみで判断することとなれば、管理する大人の都合により、当該子どもの思いや意見を尊重せず、子どもの人権に配慮した保育がなされていないこと、また扉ありのトイレを利用した際には叱責するという行為についても、子どもの思いを酌み取らず、主体性を過度に強く制限する行為であることから、
ガイドラインに定義されている虐待に明らかに該当するとまでは言えないまでも、その他の当該児童の心身に有害な影響を与える行為、もしくは虐待等と疑われる事案、いわゆる不適切な保育に該当する可能性が非常に高いものであると考えております。
区といたしましては、このような具体事例のように、保育園における虐待等と疑われる個別の行為に係る判断については、明らかに虐待等と判断できるものばかりでなく、虐待等であるかどうか判断がしづらい場合もあることから、
ガイドラインに基づき、保育園や事業者と連携をし、迅速かつ慎重に事実を確認するとともに、保育所に通う子どもや保育園の職員の状況等を踏まえ、当該子どもの立場に立って総合的に判断をしてまいります。
次に、第2点目、保育園における昼寝強制についての第1問、年中・年長クラスでの昼寝時間が子どもに悪影響を及ぼすのではないか、改めて検討する必要があるのではないかについてでございますが、乳幼児期にある子どもの昼寝、いわゆる午睡につきましては、国の
保育所保育指針に示されておりますとおり、子どもの体力の回復、脳を休ませる休息として、子どもの発達過程や一日の活動において必要なものであり、乳幼児期における生活のリズムを構成する重要な要素でございます。
また、保育園における午睡の実施に当たっては、
保育所保育指針において、安心して眠ることのできる安全な睡眠環境を確保するとともに、在園時間が異なることや、睡眠時間は子どもの発達の状況や個人によって差があることから、一律とならないよう配慮することとされております。
こうしたことから公立保育園においては、11時から14時30分の間で2から3時間程度、午睡の時間を設定した上で、安全な環境の下、子どもの年齢や発達過程、家庭での生活、保育時間といったことを考慮し、子ども一人一人の生活のリズムに応じた午睡の実施に取り組んでいるところでございます。
例えば眠れない、寝られない子どもや午睡を嫌がる子どもに対しては、絵本の読み聞かせやブロック遊びをするなど、個別の保育を行うとともに、生活リズムを整える上で必要な場合には、保護者と相談しながら、早めに子どもを起こすなど柔軟な対応を取っております。
また、5歳児については、小学校への円滑な接続を見据え、子どもたちが就学前に規則正しい生活習慣を身につけることが大切であると考え、午睡時間を徐々に減らし、入学3か月前からは午睡時間を設定しない保育を実施しております。
一方、区内の私立保育園に対しては、午睡の意義とともに、眠れない、寝られない子どもや午睡を嫌がる子どもに午睡を強制することがないよう、
合同公私立園長会等を通しての周知徹底を図っております。また、巡回指導によって、各園の保育内容を把握しながら、必要に応じた指導助言を行うなど、国の
保育所保育指針に照らした適切な午睡環境の確保に取り組んでおります。
区といたしましては、保育園における午睡は集団で長時間過ごす子どもたちに適切な休息を与え、情緒の安定に寄与するものであることから、保護者と情報連携・意見交換をしながら、子ども一人一人の生活リズムに合わせた適切な午睡が各保育園で実施されるよう、引き続き指導助言に努めてまいります。
第2問、昼寝なし保育の導入に向けたモデルケース園への人件費の補助についてでございますが、さきに御答弁申し上げたとおり、保育園における午睡は集団で長時間過ごすとともに適切な休息を与え、情緒の安定を図る上で必要なものであることから、午睡の時間を設けることを基本としつつ、個々の事情に応じて、保護者とも相談しながら、発達過程に合わせて個別・柔軟な対応を図っていくことが重要であると考えております。
このため区内各保育園に対しては、国の
保育所保育指針に照らして、適切な午睡が各保育園で実施されるよう様々な機会を通じて指導助言を行っているところでございます。多くの保育園では、午睡の時間帯の保育士は、乳幼児突然死症候群防止のため、うつ伏せ寝をしていないかなど、午睡中の子どもたちの様子を十分チェックしながら、交代で連絡帳やお便りの作成、簡単な職員会議などの事務作業とともに休息を取るなど有効に活用しております。
一部の区内保育園において、年長クラスから午睡の時間を設けていない園がございますが、保育士の事務作業や休息、休憩時間について、各保育園の創意工夫により、適切な労働環境が維持されており、人手不足にあるというような認識はございません。
いずれいたしましても、乳幼児期の午睡の重要性を踏まえつつ、個々の状況に応じて適切な保育が行えるよう、現場の意見を伺いながら、適切に対応、対処してまいりたいと存じます。
以上、お答えとさせていただきます。
○15番(山村まい議員) 御答弁ありがとうございました。
1点目の不適切保育の2問目、過去の相談事項につきまして、全職員面談を実施して、事実確認を行ったこと、虐待事案ではないと結論づけたものの、よりよい保育を行うための指導助言、巡回指導を行っていただいたとのことで、区として適切に対応を行っていただいたということで安心いたしました。
同じく、不適切保育の3問目、具体事例のトイレにつきまして、こちらについては区内の認可保育園にて該当する園がございますので、適宜調査の上、御対応をお願いしたいと思います。
2点目、昼寝強制につきまして、子どもによって個別に柔軟に対応していくというお話をぜひ公私立園長会を通じて周知徹底していただくということで、こちらについては引き続きよろしくお願いいたします。
ここまでについては、御答弁は不要です。
不適切保育の1問目につきまして、3点、再質問をさせていただきます。
まず、1点目、ほかの自治体での事例を鑑みますと、保育園職員や保護者から自治体に相談があり、相談を受けた自治体が警察に通報するという流れで、事件が発覚するケースが多く、不適切保育を許さないという自治体の姿勢が大変重要であると感じています。全ての相談案件に対応できる時間やマンパワーがない、判断するための証拠が手に入りにくい、指導しても保育園が動かないといった困難さはあると思いますが、目黒区には不適切保育を許さないという強い意志はあるのでしょうか、区の見解を伺います。
次に、2点目、保育園側に緊張感を持ってもらうと同時に、保護者の方々に目黒区の対応状況を知ってもらうという狙いで不適切保育の相談や報告があった場合には、相談者の同意を得た上で相談内容、目黒区、保育園側の対応結果を目黒区のホームページに公開してはいかがでしょうか、区の見解を伺います。
最後に、3点目、不適切保育があるため仕方なく転園を選択するというケースも多いと思います。転園申請書に転園理由を記載する欄を設けるなど、保護者からの声を拾い上げる工夫をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、区の見解を伺います。
以上、3点について、御答弁のほどよろしくお願いいたします。
○
青木英二区長 では、3点にわたってお答え申し上げたいと思います。
まず、不適切な保育を許さない、そういった思いをしっかりと持ちながら、日々私をはじめ現場の職員、保育士さんも当たっている、そうでなければいけないというふうに認識してございます。
そういった認識の下、私ども保育を行う主体でありますので、国の保育所の保育指針をまず大前提にして、今お話があったような不適切な保育は絶対許さない、そしてまた個々のお子さんたちのやはり最善の利益をしっかりと確保していく、配慮していく、そういった保育を一番根本に据えて、それが成し遂げられるように様々な指導であったり、支援を行っているというのは大原則になります。
もう少し具体的にお話し申し上げますと、それぞれの園と連携をしていき、今回で言えば、私ども子どもの人権にしっかりと寄り添いながら、集団的な研修なども行ってきているところでございます。そういった思いをしっかり持ちながら、議員御指摘のように絶対に不適切な保育は許さないという気持ちで、改めて今日も御質疑がありましたので、しっかりとそういったことを私も含めて胸に刻んで、日々の保育に当たっていきたいというふうに思っております。
それから、公表についてですけれども、基本的に私の考えは、基本的に何でもかんでも公表すればいいということではこれはありません。ですから、事案の重大性であったり、その性格、性質、そういったことをしっかりと踏まえながら、私は公表をしていくべきだというのが原理原則ではないかなというふうに思います。
今申し上げたのは非常に抽象的なので、現在国が定めた
ガイドラインがあります。それを受けて、今私ども疑いがあった場合、また親御さんから様々な要望、申入れ等があった場合、迅速に対応していくマニュアル化を進めていますので、その中で先ほど言った原理原則を踏まえながら、どういったときには公表していくのか、基準をつくっていく必要もありますので、そういった中で基準をつくっていくという、個別にそれを踏まえて公表すべきかどうかを判断をしていくということが大切だというふうに思っております。
それから最後に、親御さん等のいろんな声をしっかり、これは非常に大事なことです。例えばゼロ歳児のお子さんだと、なかなか自分の表現ができないので、お子さんに代わって、保護者、親御さんがいろいろな状況を訴えていくということが極めて大事なことだっていうのは全く御指摘のとおりです。
そういう点で、私ども今もそういった皆さんのお声を聞く仕組みは持っていますけれども、十分それが周知徹底されているかっていうことは、やっぱりここで振り返りをしてみる必要があろうかと思いますので、改めて園の中にそういった窓口への御案内の掲示ですとか、ホームページ等、しっかりと改めて整備をして、そういった皆さん方のお声が区にしっかりと届くようにしていきたいと思いますし、ただ届くだけでは駄目なわけですから、それを迅速に対応ができる、そういった仕組みも併せて対応していきたいというふうに思っているところでございます。
以上でございます。
○15番(山村まい議員) 御答弁ありがとうございました。
先ほどホームページに載せるというお話しさせていただきましたが、こちらどういった理由で申し上げたかといいますと、結構保護者の方から、民間のホームページとかで保育園の情報を載せるところですとか、そういったものあるんですけれども、そういうところに意見を載せても、何か悪い意見だと消されてしまうとかで、せっかくあった意見が消えてしまうとか、そもそも保育園を選んで入るまでにどうしても時間がかかってしまう、いざ入ってみないと、どんな園なのか分からないというところで、結構不安を抱えていらっしゃる保護者の方もすごく多いというところで、区として公平性を持ったホームページの公表ですとか、そういったところ、改めて方法があれば考えていただければなと思います。
ガイドライン、先ほど策定いただくというお話はありましたけれども、不適切保育に限らず、保育園の中身が分かって、保護者の方々が安心して保育園を選べるような、そういった仕組みづくりをさらに検討していただければと思いますが、いかがでしょうか。
○
青木英二区長 私が窓口と申し上げたのは、親御さんが実際に保育に問題があるのではないかといったときに、園にいらっしゃる親御さんが私どもにそういったことが申出がしやすいように、それからホームページも今あるんですが、もっと分かりやすくということで申し上げましたので、そういった不適切な保育については、その当該の方が受けられたものについては、きちんと私どもとして受け止めて今までもいましたけれども、今回の
ガイドラインを含めて、私どもしっかりとした対応をしていく。それが公表するかどうかは、先ほど申し上げた内容については基準として申し上げていきたいなというふうに思っております。それぞれの園の魅力はしっかりと公私立問わず、いろんな機会を設けて、特に公立について何か具体的にこうです、ああですって、なかなか難しいんですが、どういった形でそれぞれの園の魅力が発信できるか、よく研究してみたいと思います。
以上でございます。
○おのせ康裕議長 山村まい議員の一般質問を終わります。
議事の都合により、暫時休憩いたします。
〇午後2時16分休憩
〇午後2時25分開議
○おのせ康裕議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
次に、21番はまよう子議員。
〔はまよう子議員登壇〕
○21番(はまよう子議員) 私は公明党目黒区議団の一員として、大きく2点、5項目の質問をさせていただきます。
6月14日、認知症の人が尊厳を保持しながら希望を持って暮らせるよう、国と自治体が関連施策に取り組むことを規定した認知症基本法が参議院本会議において全会一致で可決、成立しました。基本法では、認知症の人を含む誰もが相互に支え合う共生社会の実現を掲げています。また、基本理念には、正しい理解の普及、適切な保健医療、福祉サービスの提供、家族らへの支援などが盛り込まれています。私たち一人一人が認知症を正しく理解し、介護される側、介護する側、それぞれの人間の尊厳が保持され、その人がその人らしく生きていけるよう取組をしていくことが大切になってきます。
目黒区の医療拠点の一つである独立行政法人国立病院機構東京医療センター総合内科医長である本田美和子先生は、フランス発祥の「ユマニチュード」という相手を大切に思っている気持ちを伝える介護の技法の普及啓発を日本ユマニチュード学会代表理事として積極的に行っています。
6月16日金曜日に私たち公明党目黒区議団は、本田先生にお越しいただき、直接ユマニチュードについて、その効果や必要性等をお聞きしました。このユマニチュードが最も優れている点は、苦労や諦め、義務感という雰囲気が漂うことが多い認知症ケアの現場が笑顔や喜びに包まれることです。認知症の人が本来持っていた最も善良なその人らしさを取り戻し、僅かな時間でも介護の大変さやつらさを忘れて、その場にいるみんなが温かい気持ちで介護ができる点です。
かつて東京医療センターに入院していたほんの少し前の記憶すら失ってしまうほど症状が進んでいた87歳の認知症の女性は、入浴させようとする2人の看護師に対し「やめて、いやっ」と絶叫し、介護がままならない状態でした。しかし、この同じ女性に対し別の日にユマニチュードを用いて接すると、「ごめんなさい、騒いでしまって。いつも怖くて怖くて、私、泣いていたの。本当にすみません」と切々と語り、さらには「今は気持ちいいですか」という看護師の問いに「はい、とても気持ちいいです。ありがとうございます」と答え、衝撃的な変化が生じました。また、2年間歩けなかった人が僅か20分ほどの介護で歩き出す事例もありました。
フランスにある70人の重度の要介護者が入居する老人ホームにユマニチュードを導入したところ、入居している高齢者が健康を害して医療機関に入院する日数が延べ457日から265日と前年の58%に激減、入院費はおよそ3,700万円削減。また看護師や介護士の欠勤が42%減少。さらに一部の向精神薬の使用が43%削減されるという結果も出ています。
国内研究でもその有効性は確認されており、過去、NHKの「クローズアップ現代」「あさイチ」「NHKスペシャル」、TBSの「報道特集」等で特集が組まれ放映されています。介護は、終わりが見えなくて、きれいごとでは済まない現実が毎日続きます。そこに精神論ではなくて、技術を通して解決できることがあるならば、多くの人が救われます。
2025年に65歳以上の5人に1人が認知症になると言われており、目黒区もその時代を迎えます。そのような状況において、家族の介護負担を軽減し、社会全体で担う介護の社会化においては、人間の絆という根本からの思考が求められ、人と人との間に生まれた絆を根幹にする哲学があるとされるユマニチュードの普及は、介護される側・する側双方の人間の尊厳が保たれ、さらには将来的に介護現場における人手不足解消の一助にもなり得ます。
また、目黒区基本計画、「基本目標3、健康で自分らしく暮らせるまち」の「施策1、包括的な相談支援体制の充実」の「主な取組、在宅医療と介護・福祉の連携」の中に、「医療と介護を必要とする状態の区民が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、より良い在宅療養に向けた啓発事業や地域資源の情報提供、相談窓口の充実に取り組みます。さらに、地域の在宅医療と介護の専門職の連携を円滑に行えるよう、多職種による研修等を実施します。」とあります。
ついては、目黒区においても早急にユマニチュードの普及啓発をしていく必要があると考え、3点お伺いします。
1点目に、ユマニチュードを学ぶことで、認知症の人に正しく接するすべを持ち、認知症を正確に理解し、きちんと働きかければ、症状が進んでいても、その人が持っている人間らしさを回復させることができる可能性が高まります。それは結果的に介護の現場の負担軽減に大きくつながることでもあることから、介護現場において、ユマニチュードの普及啓発、実践をすべきと考えますが、見解をお伺いします。
2点目に、労働力が減る中で、将来認知症全ての人を施設のみで受け入れることは難しく、家族が家庭で認知症の人を介護していく必要が今以上に増えていきます。ついては、一般家庭においてもユマニチュードの普及啓発を目黒区として積極的に実践すべきと考えますが、見解をお伺いします。
3点目に、現在、目黒エリアに認知症カフェ「Dカフェ」は15店ありますが、地域に根差し、つながっているDカフェにおいて、ユマニチュードを普及啓発していくことは有効な手段の一つと考えますが、見解をお伺いします。
次に、大きな質問の2点目です。放課後等デイサービスの支援についてお伺いします。
放課後等デイサービスで働く現場の方々から、日常的な人手不足、減らない待機児童の現状、借入れをして事業運営を強いられているとのお声をお伺いしました。しかし、現状の運営は、さきに述べたとおり非常に厳しく、都も、現状調査、聞き取り調査等を行い、報酬や制度の見直しを検討していますが、早急な改善策が講じられるまでは時間を要すると推測します。この10年で、障害のある、または、その可能性がある子どもは10%ほど増えています。
また、目黒区障害者計画には、令和元年9月から10月に目黒区で実施した幼児療育通所施設、区立小・中学校の特別支援学級及び都立特別支援学校を通じて児童等の保護者に行ったアンケート結果には、利用したいサービスで最も多かった回答が「放課後等デイサービス」となっていました。また、「放課後等デイサービスに待機児童があり、希望する人にサービスが行き届いていないと感じる」との意見もありました。
そのような結果からも、子どもの最善の利益の保障、共生社会の実現に向けた後方支援、保護者支援の3点を定義し、運営している放課後等デイサービスの需要はますます増え、その必要性は重要度を増していくと考えられます。
ついては、放課後等デイサービスに対する目黒区独自の支援が必要であると考えますが、以下、見解をお伺いします。
1点目は、人手不足解消についてです。
放課後等デイサービスでは、ほぼ全ての事業所において深刻な人手不足を抱えています。区では、ハローワークと連携して、人手不足解消のため、めぐろ福祉しごと相談会等を開催していますが、具体的にどの程度効果を上げているのでしょうか。また、恒常的な人手不足解消のため、区として今後どのような取組を考えているか、お伺いします。
2点目は、10人定員と20人定員の事業所の差分の支援についてです。
現在、目黒区の事業所は10人定員と20人定員では、報酬単位の基準が低く見積もられており、利益を出しづらい状況になっております。そこで、区で差分を支援することはできないでしょうか、見解をお伺いします。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔
青木英二区長登壇〕
○
青木英二区長 はま議員の2点にわたる御質問に順次お答え申し上げます。
まず、第1点目、認知症のケア手法、ユマニチュードの普及についての第1問、介護現場における普及についてでございますが、議員御紹介のユマニチュードとは、幾つかの認知症のケア技法の一つであり、見る、話す、触れる、立つを4つの柱とするケアコミュニケーションを基本とし、例えば同じ目線で正面から見る、優しく穏やかに話しかけケアの内容を伝える、広い面積で触れゆっくりと手を動かす、できる限り立つ時間を増やすなどを同時に複数組み合わせることで、認知症の方に安心感を与え、介護負担の軽減を期待できるものと承知しております。
認知症に関する施策につきましては、国においては、認知症の方の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指し、平成27年1月に認知症施策推進総合戦略、新オレンジプランを作成しております。
また、区におきましても、目黒区保健医療福祉計画において、認知症の方にやさしいまちづくりの推進を掲げ、認知症の方の視点を重視した施策や介護負担の軽減を図るための様々な施策を推進しているところでございます。認知症は誰もがなり得るもので、病気の進行に伴い、物忘れや判断力の低下等の脳機能の低下を示す症状と、妄想や徘回などの感情的な反応や行動上の反応が環境や周囲の人との関わりの中で症状として現れ、日常生活や社会生活において様々な支援やケアが必要となってまいります。こうしたことから、介護現場において適切な認知症ケアを受けることで、その人らしく尊厳を保ちながら、日常生活や社会生活を過ごす環境をつくることは重要であると認識しております。
お尋ねの介護現場におけるユマニチュードの普及啓発や実践におきましては、まずは介護サービスを提供している区内の事業者や介護従事者に対して、認知症ケア技法の一つとしてユマニチュードを紹介する機会を提供できるよう取り組んでまいりたいと存じます。
次に、第2問、家庭における普及啓発についてでございますが、認知症は誰もがなり得るものであり、家族や身近な人が認知症になることなどを含め、多くの人にとって身近なものとなっています。高齢化の進展に伴い、高齢者が増加をし、それに伴い認知症高齢者も増加することが見込まれております。
家族類型の多様化や核家族化により、高齢者のみの世帯も増加をし、高齢者が高齢者を介護する老老介護は、配偶者間のみならず、親子や兄弟間でも生じています。また、認知症高齢者の介護を同じく認知症である高齢者が行う認認介護もあり、老老介護で介護者自身が認知症になっていることに気づかない場合もございます。
区におきましては家族介護者を支援するため、介護者同士の交流を図り、介護に関する情報交換や家族介護者が気軽に集まれる場所としての介護者の会や、在宅で介護している家族や介護に関心のある方を対象として、区立特別養護老人ホームを中心に家族介護教室を開催しているところでございます。
介護の基本的な考え方や適切なケア技法を学ぶことで、攻撃的な言動や暴言が減少したり、態度が柔軟になるなど、認知症の方が安心してケアを受けられるようになり、家族介護者の負担軽減にもつながることと考えております。
一方で、在宅介護による介護疲れやストレスなどが要因となって、適切な介護ができず、虐待してしまう場合や、介護離職となるケースもございます。そのため介護保険サービスの利用や、保健、介護、福祉などの総合相談窓口である地域包括支援センターによる支援も重要になってまいります。
認知症の方とその家族の支援については、医療と介護の連携、地域の見守りや理解促進等、様々な施策の展開が必要となってまいります。認知症のケア技法であるユマニチュードの普及啓発もこうした構成要素の一つであると認識しているところでございます。
区民向けの適切なケア技法や介護者支援の施策を周知する機会を設けながら、住まい、医療、介護、予防、生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムを構築することで、今後とも認知症の方に優しい地域づくりを推進してまいりたいと存じます。
次に、第3問、Dカフェとの連携によるユマニチュードの普及啓発についてでございますが、認知症施策推進総合戦略、新オレンジプランでは、7つの柱に沿って、認知症高齢者等に優しい地域づくりを推進しております。7つの柱の一つに、認知症の人の介護者への支援を掲げ、認知症の方やその家族が地域の方々や専門家と相互に情報を共有し、お互いに理解し合う認知症カフェの設置を推進しているところです。
本区におきましても、認知症カフェを運営している特定非営利活動法人に対し補助金を交付しており、地域における認知症に対する理解の促進と、認知症の方やその家族の地域での生活を支援しているところでございます。
区内の認知症カフェであるDカフェは、特定非営利活動法人が運営しており、誰もが参加でき、共に考え、交流を深める場として、介護施設や医療機関を中心に様々な場所で開催しています。こうした活動を通じて、認知症の方の生活の質の改善につなげるとともに、家族などの介護者の身体的・精神的負担軽減を図り、生活と介護の両立を支援する取組を推進しております。
Dカフェは、認知症の方やその家族、介護関係者などが集まる自主的活動であることから、認知症のケア技法の一つであるユマニチュードにつきましては、Dカフェの運営法人や施設を提供している事業者の自主性を尊重しつつ、連携を図りながら、啓発や情報提供に努めてまいりたいと存じます。
認知症高齢者等に優しい地域づくりを推進するに当たりましては、認知症の方の尊厳を尊重しつつ、行政、民間、地域住民などの様々な主体がそれぞれの役割を果たしていくことが求められているところでございます。区といたしましては、認知症の方がよりよく生活していけるような環境づくりを図りながら、できる限り住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現に取り組んでまいります。
次に、第2点目、放課後等デイサービスの支援についての第1問、人手不足解消についてでございますが、放課後等デイサービスにつきましては、学校に就学している障害児に対して、授業の終了後、または休業日に学校や家庭とは異なる時間、空間、人、体験等を通じて、個々の子どもの状況に応じて発達支援を行うことにより、子どもの最善の利益の保障と健全な育成を図るものでございます。
現在、区におきましては、この放課後等デイサービスを提供する事業所は17ございます。人手不足の解消につきましては、この放課後等デイサービス事業所に限ったことでなく、介護・福祉分野全体において、人材の確保、定着、育成が課題となってございます。
この厳しい状況を踏まえまして、本区では人材確保の支援策として、介護職員の宿舎借上げ補助や研修受講費補助といった様々な事業を展開しており、その一つに平成28年度から実施しておりますめぐろ福祉しごと相談会がございます。ハローワーク渋谷や介護労働安定センター、東京都福祉人材センターとの共催で7月と12月の年2回開催しており、昨年度は障害福祉分野を含めて、介護・福祉分野全体における各事業所を幅広く参加を募り、合計で40事業所が参加してございます。
昨年度の実績としましては、来場者数は約100名あり、うち15名の方が区内事業所へ採用され、採用先事業所の中には障害福祉分野の事業所も含まれております。このような相談会では、来場者の1割でも採用に結びつければ成功と言われていますので、区といたしましても一定の成果を上げているものと考えております。
介護・福祉分野全体において、人材の確保・定着・育成が共通の課題となっていることから、区としても一体的に福祉職場の魅力や、やりがいの周知啓発を行い、定着と育成に向けた取組を事業者として連携して推進していく必要があると考えており、めぐろ福祉しごと相談会も含めまして、今後も効果的な取組を検討し、実施してまいりたいと存じます。
次に、第2問、事業所定員ごとの差分の支援についてでございますが、放課後等デイサービスを含む障害児支援や、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを提供した事業所が受け取る障害福祉サービス等報酬につきましては、サービスの種類や時間、量、人員体制、実績等に応じて、単位数が細かく定められております。医療で言えば診療報酬点数表、介護保険で言えば介護報酬単位数表に当たるものでございます。
お尋ねの放課後等デイサービスの基本報酬単位につきましては、一日の利用定員が10人以下、11人以上20人以下、21人以上と受入れ人数が増えるに従い、単位数が逓減していきますが、一方で、ケアニーズの高い障害児の受入れや、専門的支援を必要とする児童のための専門職の配置等については、加算として算定し、評価しているところでございます。
そこで、障害福祉サービス等報酬に関する区の支援でございますが、この報酬単位は国において定められていること、また区内で放課後等デイサービスを提供する17事業所のうち、定員を11人以上とする事業所は2事業所のみであることから、現時点において定員ごとの単位数の差分を支援する考えはございません。
なお、障害福祉サービス等報酬は、介護報酬と同じく3年に1回、大幅に改定されておりまして、令和6年度は、6年に一度の診療報酬、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬の同時改定となるため、現在は厚生労働省及び
こども家庭庁の中で報酬改定検討チームを立ち上げ、アドバイザーとして有識者の参画を求めて、公開の場で検討されております。今後、関係団体へのヒアリングや各サービスの報酬等の在り方についての検討などが進められ、令和5年度内には報酬改定案の取りまとめが行われる予定でございます。
障害福祉サービス等報酬につきましては、障害者等の生活を支えるサービス事業所の経営のため欠かせないものと認識してございますので、引き続き国の報酬改定の動向に注視してまいりたいと存じます。
以上、お答えとさせていただきます。
○21番(はまよう子議員) 御答弁ありがとうございました。区内の事業所や介護従事者、家庭におけるユマニチュードを紹介する機会を提供いただけるとのこと、誠にありがとうございます。
私のほうからは、さらに2点質問させていただきたいと思います。
現在、ユマニチュードのケア技法を取り入れることの効果について解明し、よりよい活用法を探ろうと世界中の大学等の研究機関や専門家による研究が進められています。また、福岡市では、人生100年時代を見据え、誰もが心身ともに健康で自分らしく生きていける個人の幸せと持続可能な社会を両立できる健寿社会のモデルをつくるプロジェクト「福岡100」を産学官民オール福岡で推進しています。
この福岡100の取組の一つとして、認知症の人やその家族が生き生きと暮らせる認知症に優しいまち、認知症フレンドリーシティを目指し、ユマニチュードの普及啓発に積極的に取り組んでいます。介護、医療、福祉分野もちろんのこと、救急隊向けユマニチュード研修や、義務教育の中で最低でも1回は子どもたちにユマニチュードの講座を受講するなどです。
目黒区においても多職種にわたる様々な場面での活用を期待できると思いますが、具体的な普及啓発として、どのような取組を考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
2点目は、放課後等デイサービスの差分の支援は考えていらっしゃらないとのことでしたが、放課後等デイサービスを含め、現場の声を聞き、各事業者とさらなる連携を図り、介護・福祉分野における人材の確保、定着、育成、質の向上に取り組んでいただきたいと思いますが、見解をお伺いいたします。
以上、2点について、御答弁をお願い申し上げます。
○
青木英二区長 それでは、まずユマニチュード技法についてですが、今現在考えられるという範囲で申し上げれば、例えば今、議員からもお話しありました介護と医療、そういった多職連携で研修会を行っておりますので、そういった場でこの技法を御紹介をするでありますとか、それから在宅で介護されてる皆さんに啓発事業、例えば研修会とか、講演会を行っております。そういった場でこういった技法の御紹介というのは可能ではないかなというふうに思っております。
2点目の介護現場、放課後デイサービス等も含めた介護現場での在り方についてですが、一番大きな課題としては人材確保に尽きると思います。あわせて、確保後は定着という、これが非常に重要な課題だというふうに思います。これを進めていく上で今いみじくも現場の声というお話がありましたけれども、現場の声が一番大事ですので、しっかり現場の声を聞きながら、私どもとして、自治体としてできる範囲、介護報酬等、これは私どもの範囲で上げていくということはできないわけでありますので、私どもの現場として、基礎自治体としてできることについては、これは放課後等デイサービスに限らず、福祉部門全体としてやっていくということかなというふうに思います。そういった中で私ども介護職員の宿舎借上げ補助等、自治体としてしっかりとやれることなど現在やっておりますし、今後も拡充等についてはしっかり検討してまいりたいというふうに思っております。
以上でございます。
○21番(はまよう子議員) さらに質問させていただきたいと思います。
認知症の方は、今後さらに増加する見込みです。私の家族がなるかもしれません。私自身が発症するかもしれません。とても大きくて身近な問題です。また、介護現場においては、担い手が不足し、家庭における介護の負担はますます大きくなっていきます。
ユマニチュードという効果的なケア技法の紹介や啓発を通じ、たとえ誰かの助けを借りるようになったとしても、最期の日まで尊厳を持って人間らしい存在であり続けられるように日常生活を過ごせる環境づくりについて、最後お伺いしたいと思います。
○
青木英二区長 非常に重く、また重要な問題で、認知症というのはどなたでもなる、お話しのとおりだと思います。そういった中で、やはり尊厳を持って、目黒でその人生を進めていくということはすごく大事なことだというふうに思います。そのため何が私どもとしてできるか。例えば医療と介護の連携を強化していく、それから私ども見守りネットなども行っておりますけれども、区のみならず、多くの皆さんに御協力いただいて見守りネット、地域で見守っていく、それからやっぱり大きいのは地域の皆さんの理解だというふうに思います。
こういった様々な施策を通じて、私ども地域の方、それから認知症の方も、それを支えている御家族ですね、御家族が本当にその地域の中で尊厳を持つ、一般的には親御さん、御家族をしっかりと支えながら生活ができる地域づくり、これはまた議会のいろいろ御理解をいただきながら、しっかりと区長としては進めていきたいというふうに思っているところでございます。
以上です。
○おのせ康裕議長 はまよう子議員の一般質問を終わります。
次に、17番斉藤優子議員。
〔斉藤優子議員登壇〕
○17番(斉藤優子議員) 私は日本共産党目黒区議団の一員として、区政一般について、大きく6点質問いたします。
大きな1問目、学校給食無償化についてです。
子育て世帯からは、子育てに対する負担が重過ぎるため軽減してほしいという要望がかつてないほど強くなっています。23区では、2022年度中に学校給食無償化を実施していた区はありませんでしたが、2022年9月、葛飾区の2023年度から学校給食無償化宣言を皮切りに、都内の各自治体では続々と補正予算が組まれ、2023年度の学校給食無償化は急速に広がりました。今年度から実施もしくは予定をしている自治体は14区、実施を表明している自治体は3区、その他、中野区は実施を検討しているとNHKのアンケートに回答、杉並区でも早急に検討を進め、結論を出すとしています。
今回の区議選でも、小学生からも学校給食無償化への期待の声が多く寄せられました。保護者からは、「給食費の引き落とし通知が届いた。隣の品川区や世田谷区では4月から無料になっている。目黒区でも給食費無償化をやってほしい」という声を聞きました。
目黒区の財政力は、23区中、第4位です。目黒区よりも財政力の低い他区で学校給食無償化に踏み出しています。年度途中であっても早急に学校給食無償化を実現すべきだと考えますが、伺います。
大きな2問目、学校給食の食材についてです。
子育て世帯からは、給食食材は有機農産物等をできるだけ取り入れ実施してほしいという要望も強くなっています。保護者としては、有機野菜等を購入、調理し、子どもに食べさせたいという思いはあるけれども、毎日忙しく、なかなか実践する余裕がないという方も多いと聞きました。
保護者が一番気にしているのは、2000年以降に登場し、主に殺虫剤として使われているネオニコチノイド系農薬です。農薬の中でも蜜蜂の大量死の原因物質として疑われており、使用を禁止されている国もあるネオニコチノイド系農薬は、神経系の毒性があり、臭いもしないため、人が吸い込んだり、食べたりしても気づきにくい農薬です。水溶性なので、容易に分解され、無害であるとメーカーから説明されてきましたが、人の尿からも頻繁に検出をされています。2000年以降、田畑に囲まれた公立学校では、ネオニコチノイド系農薬が散布された日は体調を崩す子どもが続出するというところもありました。
保護者からの不安の声があり、有機農産物を取り入れることをもっと広げていくべきではないかという観点から、2点質問いたします。
(1)有機農産物、無農薬・無化学肥料等の食材の納入を向上させることについて。
目黒区では、学校における食育指針に基づいて、都内の農産物を取り入れた献立や各地の郷土料理、国際理解を深めるための世界料理など特別食、健康に問題がある児童・生徒に対して改善を促す個別の相談指導なども行っています。
教育委員会は、給食食材については、1、なるべく区内事業者から調達すること、2、できる限り国産のものを使用、3、調理済みでないものを使用、4、できるだけ安全性の高い有機農産物を購入するよう各学校の栄養士に対して指導を行っています。各学校の栄養士は、安定した食材の仕入れ、献立、費用計算など、区立学校の栄養士は子どもたちのために日々奮闘しています。
教育委員会として、できるだけ安全性の高い有機農産物を購入するよう指導していますが、食育指針に有機農産物の食材の使用についての記載がありません。きちんと位置づけていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
(2)有機食材に対し食材納入業者の理解促進と手引の拡充についてです。
有機野菜を仕入れるには、食材納入業者の理解が不可欠です。食材納入業者に対し有機農産物や無農薬・無化学肥料の食材の理解を促進する機会を設け、教育委員会と食材納入業者で協力し合い、有機農産物等の割合を増やしていく必要があります。各学校任せにするのではなく、教育委員会として全体を把握し、教育委員会の責任で、食材納入業者との契約時に有機農産物等の割合を高めることを、給食食材の納入手引に加えていくべきではないか、伺います。
大きな3問目、就学援助制度の見直しについてです。
目黒区の就学援助制度の所得水準は、現在、生活保護基準の1.2倍です。目黒区では生活保護基準額を、第69次で大幅に引き下げられた16万9,810円ではなく、第68次の17万5,170円の基準で算定しています。しかし、低所得世帯やひとり親世帯では、終わりの見えない物価高騰や公的負担が収入の半分に達しているなど、一層厳しさが増しています。
2022年度は値上げラッシュが続き、2023年4月、5月で約6,000品目が値上がりし、6月には電気代が14%も値上がりしました。総務省が行った子どもの物価統計調査を基に算出しますと、10年前に比べて20%以上値上がり、値上げは10年以上続いています。
日本かばん協会ランドセル工業会が行ったアンケートによりますと、2019年4月に入学した児童のランドセル平均購入額は5万2,300円でしたが、2022年の4月に入学した児童のランドセル平均購入価格は5万6,425円でした。
生活保護基準額が大幅に引き下げられる前の基準を使っているとはいえ、異常な物価高には対応しているとは言えません。就学援助の所得基準を生活保護基準の1.2倍から1.5倍に引き上げるべきだと考えますが、伺います。
大きな4問目、新型コロナウイルス感染症について、小・中学校の保護者に対する情報提供についてです。
新型コロナウイルス感染症の第6波から第8波では、子育て世帯の多くは家庭内感染を経験しました。新型コロナウイルス感染症が2類から5類になり、感染者数も定点観測となり、感染の広がりが見えにくくなりました。感染した場合に、処方薬以外の検査費や入院費は自己負担に変わりました。保育園では、
こども家庭庁が作成した「保育所における感染症対策
ガイドライン」に従い、感染症が発生した場合には、嘱託医へ相談し、関係機関へ報告するとともに、保護者への情報提供を適切に行うことが重要であるという指針の下、1人でも感染症患者が発生した場合は保護者に情報提供しています。
文部科学省からは、2類から5類の移行に伴い、「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」が出されました。このマニュアルには、保護者に対する情報提供についての指針は書かれていませんが、各学校の学校医が感染者数や状況を判断し、保護者に連絡することになっています。
しかし、感染拡大初期の情報は保護者に提供されません。学校内で広がった感染が家庭内でも広がり、保護者が感染すると、検査や入院費用の自己負担となるため、区立の小・中学校では1人でも感染者が出た場合、保護者への情報提供を行うべきではないか、伺います。
大きな5問目、マイナンバーカード・マイナ保険証についてです。
来年秋には紙の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化するマイナ保険証について、国民の過半数が反対する中、法案が強行採決されました。マイナ保険証の個人情報が別人とひもづいていた、別人の個人情報がひもづいているため、年金支給額など見ることができてしまう、マイナンバーカードは1人1枚のはずが、2人以上の情報がひもづいていたなど相次ぐトラブルに、76%の国民から利用拡大について不安の声が広がりました。
特に問題なのは、マイナ保険証の医療情報が別人にひもづけられ、医師が他人のものだと見破らなければ、別人の医療情報に基づいて処方された場合に命に関わる問題となります。マイナンバーカード・マイナ保険証の問題は山積しています。
以上を踏まえて、3点質問します。
(1)現在の国民健康保険証は2年に一度、期限が来ると自動的に送られてきます。保険料の滞納があると、有効期限が1年、半年といった資格証が発行されます。マイナ保険証の有効期限は5年、マイナンバーカードを持っていても、健康保険証と一体化しない場合、国民健康保険料をきちんと払っていても、資格確認書が発行され、期限は1年となります。
マイナ保険証も期限が来れば申請しなければなりません。国民健康保険料を支払っていても、申請し忘れたことで、一時的に無保険状態になる区民が増える可能性があることに対し、区の所見を伺います。
(2)広島県呉市では、死亡した女性に関する手続で、職員が生存している配偶者の男性を住民台帳から喪失させるミスがあり、マイナンバーカードの再発行が必要になったという人為的ミスが発生しました。カードを作った後も、なお人為的ミスが起こりやすい事案に対する対応について、区の所見を伺います。
(3)マイナ保険証の医療情報が別人の医療情報とひもづけされている問題について、区はどう認識しているのか、伺います。
大きな6問目、区内の公園・児童公園について伺います。
(1)Park-PFIについて伺います。
PFI事業は本来、民間資金、技術などを使い、公共施設の整備を進めるものです。整備費、管理費を税財源以外の利用料金等により費用を回収するのが目的です。日本共産党は、PFI事業の狙いが、大企業、金融機関、ゼネコンのための新事業をつくり出すために、従来の公共分野の仕事を広く民間の事業に明け渡すものと指摘をしてきました。民間が担えば、利益を確保しなければならず、必然的に働き手を非正規に置き換えることになります。PFIは、構造的な問題があり、政府の言う構造的賃上げにも逆行します。
そもそも公園は区民のものです。規制緩和をして、民間事業者に公園の維持管理をしてもらう代わりに、収益事業の場を提供するPark-PFIは、従来の区立公園としての役割を一変させてしまう可能性があります。幅広い世代の人たちの憩いの場を提供できるのか、災害時はきちんと対応できるのか、緑をきちんと維持できるのか、地域コミュニティの場を提供できるのかなど、本来の公園が持っている役割が軽んじられてしまうのではないか、伺います。
(2)子育て支援のためにも、児童遊園などの公園整備について伺います。
平成30年の東京都都市公園等人口別面積・人口割比率表では、目黒区では1人当たりの公園面積が1人1.76平方メートルと23区で19位となっています。コロナ禍で子どもたちは公園遊具が一時的に使用できない状態となり、外で遊ぶ機会も減ってしまいました。子どもにとって公園は、五感や体力を育て、言葉や運動能力、ルールを守る、相手を思いやる心を育てるための遊び場です。
西部地区にある保育園の園長にお話を伺いました。公園が少ない西部地区では、ここ5年間で急速に園庭のない保育園ができたことで、ヒーローバスの行き先は同じ公園になり、多くの子どもたちが集まってしまうため、近所から苦情が来るようになりました。各園で調整ができず、中根公園に行っても、混んでいる場合は諦めて帰ってしまうこともよくあり、気温が高くなると、熱中症が心配で遊ばせることができません。世田谷区にある狭い公園も利用していますけれども、7園の保育園が集まると一定のスペースがなくなるため、乳児を遊ばせることができません。園長は子どもの運動能力に影響が出ないか心配だと言っていました。
公園が少ない地域では、ヒーローバスが運行されていても、公園は利用できず、子どもたちに影響が出ています。目黒区全域で、ここ10年ぐらい、園庭のない保育園が激増しました。公園を確保するのは、行政の責任であり、1、障害のある子どもも一緒に遊べる公園などを整備する、2、公園を使って保育をするという新たな条件も加わり、どのように保育園の子どもに安全な遊び場としての外遊びを提供していくのか、新たな条件を踏まえて、公園を充実させていくことを最優先に進めていくべきではないか、伺います。
以上、壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔
青木英二区長登壇〕
○
青木英二区長 斉藤議員の6点にわたる御質問に順次お答え申し上げます。
なお、第1点目から4点目につきましては、教育委員会所管事項でありますので、教育長からお答えをいたします。
まず、5点目、マイナンバーカード・マイナ保険証についての第1問、国民健康保険料を支払っていても、申請し忘れたことで、一時的に無保険状態になる区民が増える可能性があることに対する区の所見についてでございますが、本年6月2日に成立した改正マイナンバー法により、令和6年の秋に現行の健康保険証は廃止され、健康保険証はマイナンバーカードと一体化させることとなりました。この一体化したマイナンバーカードが、いわゆるマイナ保険証でございます。
また、マイナンバーカードを取得しない方には、必要な保険診療等を受けられるよう、本人からの申請により、公的医療保険を運営する健康保険組合などの保険者から資格確認書を発行することとなったところでございます。このマイナ保険証には、マイナンバーカードの電子証明書機能が用いられることから、マイナンバーカードの電子証明書の有効期間である5年ごとに更新手続を行っていただくことが必要になります。
一方、資格確認書の有効期間は1年を限度として、各保険者が設定するとされておりますので、資格確認書の有効期間ごとに更新手続が必要となるところでございます。
いずれも、申請をし忘れたことで、無保険状態、つまり保険資格がなくなるということではなく、有効なマイナ保険証や資格確認書を所有しない場合は、保険資格を証明するものがない状態になるということでございます。
このためマイナンバーカードの有効期限を迎える方には、有効期限の二、三か月前を目途として、マイナンバーカードの電子証明書の有効期限をお知らせする有効期限通知書を送付することとなっており、既に運用してございます。
さらに、現行の健康保険証の廃止に当たり、マイナ保険証のメリット等を周知することと併せて、国民皆保険の観点から、資格確認書の申請漏れが生じないよう、被保険者への周知を国から求められていることから、区といたしましても、今秋の国民健康保険の更新の際、チラシを同封するなど周知を予定しているところでございます。
次に、第2問、マイナンバーカードを作った後も、なお人為的ミスが起こりやすい事案に対する対応についての所見でございますが、広島県呉市の事案は、呉市の報道発表資料によりますと、窓口で受理した死亡届を戸籍担当者が戸籍システムに入力し、一方で、別の職員が住民異動届を作成し、住民記録システムへの入力を行いましたが、住民異動届を作成する職員が死亡者を錯誤し、死亡者本人を消除すべきところ、誤って死亡者の配偶者を消除させてしまったというものでございます。住民票が消除されますと、直ちにマイナンバーカードは失効となりますので、死亡者の配偶者が再発行の手続をすることが必要となってしまったところでございます。原因は、明らかに職員の確認不足によるものでございます。
区におきましては、呉市のような事案はございませんが、常日頃から職員には事務処理手順及び確認作業の徹底を図り、誤りのない処理をするよう指示しているところでございます。
一方、地方公共団体情報システム標準化の一環として、市町村長が戸籍に関する届出を受理等した場合に、その者の住所地の市町村長に出す通知、いわゆる住民票記載事項通知は、令和6年5月までに住民基本台帳ネットワークシステム上でオンライン化することとなっております。オンライン化がされますと、職員の手を介することなく、自動で通知を取り込むことが可能となるため、原則として、入力作業がなくなり、人為的ミスも格段に減るものと考えております。
次に、第3問、マイナ保険証に別人の医療情報がひもづけされる問題に対する区の認識についてでございますが、マイナンバーは社会保障、税、災害対策の分野のうち、法律または条例で定められた事務手続に使用されております。この一つとして、公的医療保険を運営する健康保険組合などの保険者は、加入者の情報とマイナンバーをひもづける作業が進められております。
本年5月にマイナ保険証を医療機関などで利用した際に、別人の薬剤情報や医療費等が閲覧されるという誤登録事案が約7,300件発覚したという報道がございました。このような医療に関わるセンシティブな個人情報が他者に閲覧可能な状態となってしまう事態は、区といたしましても非常に大きな問題であると認識しております。
こうした事案を受けて、国から全ての保険者に対し、医療保険者等向け中間サーバーに登録した加入者の資格情報等について、
入力誤りがないかなどの確認をするよう通知が発出されたところでございます。
こうした問題の多くは、被用者保険の健康保険などで発生した事例が多いと聞いておりますが、国民健康保険等においても起こり得る可能性が全くないということは言い切れないところでございます。区といたしましても、住民登録のない方などに発生する例外的な情報の手入力等の運用などを改めて精査していくとともに、このような問題が確認された場合には速やかに対応してまいりたいと存じます。
次に、第6点目、区内の公園・児童公園についての第1問、Park-PFIについてでございますが、平成29年6月の都市公園法の改正でPark-PFI制度が創設され、公園内に公園利用者の利便性を向上させるレストランや売店等の施設を設置し、その施設から生ずる収益を活用して、周辺の園路や広場等の整備、改修等を一体的に行う事業者を公募することが可能となりました。
区立公園におけるPark-PFIの事例としましては、令和2年7月に新宿中央公園にレストランやカフェが開設され、令和4年9月には渋谷区の恵比寿南一公園にプレーパークが整備されるなど、民間事業者との連携による公園整備が進んでおります。
議員お尋ねのPark-PFI制度を導入することで、本来公園の持っている役割が軽んじられてしまうのではないかについてですが、公園は幅広い年齢層の方々が利用し、地域のイベント等にも活用されていることは認識しております。現在、碑文谷公園のPark-PFI導入に当たりましても、公園の自然環境と周辺の良好な住環境に十分配慮するとともに、これまでの公園利用に支障がないように検討を進めているところでございます。
次に、第2問、子育て支援のためにも児童遊園などの公園を増やすことを最優先に進めていくべきではないかについてでございますが、区では令和5年4月に目黒区都市計画マスタープランを改定をし、みどりと水のまちづくりの方針として、多様な手法による公園整備、安全で誰もが安心して利用できる施設づくりを掲げております。
区内の住居系の用途地域が約80%を占めている状況の中、令和5年4月1日現在、区立公園等は122か所、緑道10路線、都立公園が2か所立地しており、面積は48.9ヘクタールとなっています。また、区民1人当たりの公園面積は、都立公園を含め1.75平方メートルで、目黒区みどりの基本計画の目標値2平方メートルに達していない状況です。特に南部地域につきましては、こうした公園整備状況の中で、区民1人当たりの公園面積が0.56平方メートルで、5地区の中でも特に少ない地域となっており、公園不足の解消を積極的に推進していかなければならないと認識しているところでございます。
現在、木造住宅密集地域の街づくり事業と連携する中で、公園などの整備を積極的に進めているところです。具体的には令和5年1月に木密地域内の公園用地として、洗足一丁目の約54平方メートルの土地と令和5年4月に目黒本町六丁目の約545平方メートルの土地を購入し、公園づくりの取組を進めているところでございます。
いずれにいたしましても、区内には住居系の土地が多く、まとまった土地の取得が困難な状況でございますが、今後も国・都などからの財源確保、街づくりから創出される公園整備も活用しながら、誰もが安全で安心して利用できる公園整備に取り組んでまいりたいと存じます。
以上、お答えとさせていただきます。
〔関根義孝教育長登壇〕
○関根義孝教育長 斉藤議員の第1点目から第4点目につきましては、教育委員会所管事項でございますので、私から順次お答え申し上げます。
まず、第1点目、学校給食無償化についてでございますが、いわゆる学校給食費の無償化に関しましては、物価高騰による社会経済状況等を背景として、特別区においても既に複数の区が実施しているほか、本年度補正予算を計上して、年度途中から実施する区があることも承知しております。
また、国においては、今月の13日に公表した「こども未来戦略方針」の中で、学校給食費の無償化の実現に向けて、全国ベースでの学校給食の実態を速やかに把握し、その上で課題の整理を丁寧に行い、具体的方策を検討する考えが示されました。
本区では、昨年度、物価高騰対策として、区立小・中学校の給食食材費の一部補填や新米の現物支給を実施するなど、その時々の状況に応じた給食費の支援を行ってまいりました。また、本年度も引き続き食材の価格上昇分を公費で補填し、保護者の経済的負担の軽減を図っているところでございます。
無償化に伴う課題といたしましては、これまでも申し上げてきたとおり、多大な財源の継続的な確保が求められるところにあり、無償化を実施した場合には、年間の食材費として、新たに約7億8,000万円の財源が必要となってまいります。この財源を区において毎年度確保し、安定的に学校給食を運営していくことは、ゆるがせにできず、その実現性の見極めについては慎重を期すべきものと考えております。
教育委員会といたしましては、給食費の支払いが困難な家庭に対する支援及びその時々の社会経済状況に応じた食材費に係る支援は、これまでも適時適切に行ってきており、現時点では学校給食費の無償化を直ちに実施すべき状況であるとは捉えてはおりませんが、引き続き国及び他の自治体の動向等を注視してまいりたいと存じます。
次に、第2点目、学校給食食材についての第1問、有機農産物、無農薬・無化学肥料等の食材の納入を向上させることについてでございますが、学校給食は成長期にある幼児、児童・生徒に栄養バランスの取れた豊かな食事を提供することにより、その心身の健全な発達を図り、併せて食育の推進に当たって、最も大きな役割を果たしているものでございます。
本区では、学校給食の食材には、新鮮で品質がよく、安全性の高い食品を使用するという観点から、できる限り有機JAS認証を受けた有機農産物を使用することとしており、各学校においては、栄養教諭及び栄養職員が工夫をしながら、食材の仕入れを行っているところでございます。その一方で、有機農産物については、流通量が少なく、価格や安定供給等の面で課題があり、現時点では一部の学校における限られた使用回数にとどまっている状況でございます。
各学校での有機農産物の使用割合を高めるために、有機農産物に関する記述を学校・園における食育指針に盛り込むべきではないかとのことではございますが、本指針につきましては、学校・園において、子どもたちが食生活に対する正しい知識と望ましい食習慣を身につけることができるよう指導する
ガイドラインという位置づけであり、日々の食材の調達に当たっての手引という性格は有していないこと、また有機農産物が学校給食で安定的に使用できる状況には至っていない中で、本指針に沿った食に関する指導上、有機農産物をどのように位置づけられるかについては、さらなる調査研究が必要であることから、教育委員会といたしましては、現時点において本指針に盛り込む考えはございません。
次に、第2問、有機農産物に対し食材納入業者の理解促進と手引の充実についてでございますが、現在の学校給食における有機農産物の活用の取組といたしましては、各校で有機農産物をできる限り使用することとし、学校ごとの有機農産物の使用状況を把握するとともに、教育委員会が主催する小・中学校、園の栄養教諭及び栄養職員を対象とした研修会を通じて、有機農産物や地場産物の活用に向けた調査研究を行っております。
これまでの調査研究では、地場産物の活用に当たって、生産者、流通業者、食材納入業者との間で地産地消の取組の進め方や課題を整理する機会を設け、実際に畑を見学して、情報交換を行うといった連携を深める取組なども行っております。
しかしながら、有機農産物の学校給食での使用に当たっては、価格や安定供給などの面で課題が残されております。例えば日本の耕地面積のうち有機農業に供されている面積は、令和2年度時点で約0.6%にとどまるなど、生産量には限度がございます。さらに、学校給食は、限られた時間内に調理をする必要があり、食材には、調理に適した大きさや形が求められるという側面もございます。よって、食材納入業者には、有機農産物の調達に当たっての一定の負担とともに調理現場との間での調整も必要となってまいります。
このような状況を踏まえますと、有機農産物のさらなる活用に当たっては、食材納入業者との一層の連携協力を進める必要があるものと認識しております。教育委員会といたしましては、学校給食の充実を図るための一つの方策としての有機農産物の活用に向けて、その使用割合を高める取組につきましては、各校の栄養教諭及び栄養職員とともに引き続き調査研究に努めてまいりたいと考えております。
次に、第3点目、就学援助制度の見直しについてでございますが、就学援助制度の準要保護者の認定に当たり、各区が用いている生活保護基準及びそれに乗じる倍率は様々でございます。本区の認定基準は、昭和63年度以降、生活保護基準の1.2倍を所得限度額としておりますが、その基礎となる生活保護基準につきましては、大幅な引下げが行われた平成25年8月の改正前の第68次生活保護基準を用いており、対象となる所得額が下がることのないよう対応しているところでございます。
なお、私どもが把握している最近の特別区の認定基準を見ましても、本区と同等の基準を適用している区が最も多く、特別区の中でも中位程度の基準により認定がなされているものと捉えております。また、制度の柔軟な運用にも心がけており、新型コロナウイルス感染症の影響による収入の減少など、家計が急変した保護者につきましても就学援助の認定対象とするといった形で、子育て世代への必要な支援を適時適切に行っているところでございます。
教育委員会といたしましては、本区の準要保護者の認定基準については適正なものであり、現時点において変更する考えはございませんが、今後とも国の動向や他自治体の状況を把握しながら、適切な制度運営を図ってまいります。
次に、第4点目、新型コロナウイルス感染症について、小・中学校保護者に対する情報提供についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行に伴い、区立学校における感染症対策は、現在、文部科学省の「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」に沿った対応を行っているところでございます。当該マニュアルでは、感染状況が落ち着いている平時においては、児童・生徒等の健康観察や換気の確保、手洗いなどの手指衛生の指導等といった日常的な対応を継続することを基本としております。その上で、感染流行時には、必要に応じて、活動場面に応じた感染症対策を一時的に講じることとしております。
児童・生徒等に感染者が発生した場合における保護者への情報提供につきましては、学校において感染の広がりのおそれが生じ、学級閉鎖等の対応を行うときには、当該校の全保護者に対して状況を伝えるとともに、適切な感染防止対策を講じた上で教育活動を行っております。この感染状況の判断に当たっては、感染者の人数のみに着目するのではなく、児童・生徒等の感染経路や他の児童・生徒等の健康状態、学校医の助言等を踏まえて、総合的に判断しており、この取扱いは5類感染症への移行前から変わるところはございません。
なお、各学校においては、日頃から学校内の感染拡大を防止するため、健康観察を通じて、児童・生徒等の健康状態の異変や、その兆候等の把握に努めるとともに、発熱など、ふだんとは異なる症状がある場合には登校しないよう周知、呼びかけを行っております。教育委員会といたしましては、引き続き感染拡大防止のため、必要な範囲で適切な情報提供に努めるよう各学校に指導、助言をしてまいります。
以上、お答えとさせていただきます。
○17番(斉藤優子議員) それでは、大きく3つ質問を、再質問をさせていただきます。
学校給食無償化は、ずっと教育長がおっしゃってるように予算、安定的な財源が必要だということで、直ちに実施するべきではないという前回のお答えと同じなんですけれども、日本共産党は国や東京都にも学校給食無償化を求め、予算要望や条例提案も行ってきています。23区でも学校給食無償化は当たり前の流れになってきています。
目黒よりも財政力が低い区でも、学校給食無償化に踏み出していますが、財政力があるにもかかわらず、その踏み出さない原因というのは、財源以外にほかに何かあるのかどうか、伺います。
あと、有機農産物、無農薬・無化学肥料の食材納入について再質問をさせていただきます。
今、教育長が有機農産物の生産自体は全体の0.6%ということでありましたけれども、これは有機JAS規格の生産自体が全体の0.6%ということだと思いますけれども、今、有機JAS規格の認定を受けていなくても、例えば畑での期間中は無農薬・無化学肥料で生産をしているというような、そういった農家さんもあります。
有機JAS規格だけにこだわってしまいますと、なかなかその生産量が少ないということで、取り入れるのが難しいというふうになりますけれども、農家さんとも直接いろいろ話しながら、例えば生産期間中は無農薬・無化学肥料の認定を受けてないけれども、そういった野菜を取り入れるような形をできないかということを伺いたいと思います。
あと、大きな5点目のマイナ保険証についての再質問です。
マイナ保険証の被害はまだまだ増えていくことが予想されます。神奈川県の平塚市では、市民の不安に配慮しまして、マイナンバーカードの公金受取口座について、当面利用停止を決めています。マイナンバーカードの公金受取口座について、マイナンバーカードは任意なのにもかかわらず、マイナ保険証が義務となりまして、来年秋には現在の保険証が廃止とされる予定になっていますが、マイナ保険証を持っていても、当該資格なしと表示をされまして、医療費を10分の10払わされたという事例も発生しています。さらに、自治体職員にも大きな負担を押しつけ、システムも今現在、脆弱な状態です。
ここで2つ再質問です。
医療の混乱を招く紙の国民健康保険証の廃止に対して、保険証の廃止と、マイナンバーカードのひもづけについては見直しするべきではないかと国に対して言うべきではないか、伺います。
あと、もう1問、住民の不安に応えるために、場合によっては公金受取口座の利用停止をする意思があるかどうか伺いたいと思います。
以上です。
○
青木英二区長 最初の大きな2点目、マイナンバー関係で2ついただいてます。
1つは、マイナンバーカードについて、これは例えば公金受取口座などは、これは例えばよく言われたような振り仮名などがない、これは制度エラーと言われています。例えばこれは一人一人の口座というふうに明記されてますけれども、例えば親御さんがお子さんの口座をつくって、これヒューマンエラーです。いずれにしても、システム的なエラー全てではなくて、ヒューマンエラーも含めてあろうかと思います。
今、5月30日に知事会のほうから、いずれもしても安全・安心な取扱いについての要望が出されています。私ども自治体として、現在のこの制度設計がきちんと国としてもいろいろ対応していくというふうに報道もされておりますので、そういったことを踏まえて、目黒区としてきちんとやるべき課題についてはしていきたいというふうに思っております。
それから、停止について、今のところ区長としては行うということは考えてございません。
○関根義孝教育長 私のほうは再質問を2ついただきました。
1つ目、学校給食費の無償化についてです。
財源以外の話をしてくださいということなんで、学校給食費の無償化、もう少し具体的な言い方をすれば、学校給食の食材費の無償化についてですけれども、教育委員会としてのスタンス、少し触れたいと思います。
私、先ほどの答弁の中で、いわゆる学校給食費の無償化という言い方をしました。今、一くくりに無償化という言い方がされていますけれども、特別区の中で無償化を実施している区、それから表明をしている区を見ましても、その実施理由や対象範囲は実に様々です。また、実施期間についても、恒久的な無償化をうたっている区もあれば、本年度のみ、あるいは当面の間の措置としている区もあります。
ですから、一律の無償化という、そういう単純な話ではなくて、いろいろな形でのそれぞれの区独自の保護者支援策なんだということだと思います。それで、保護者支援策と言えば、改めて言うまでもなく、目黒区もいろいろやってきたわけです。例えばコロナ禍の中、令和2年度、一番大変な時期ですけれども、6月、7月の2か月分の給食費、全部公費負担をするといったこともやってまいりました。今ならきっと2か月分の無償化と言われるんでしょうけれども、この間いろいろなことをやってまいりました。この間の私どもの対応は貴会派からも一定の評価をいただいているところですので、この際、ぜひ無償化というワードを物差しにして、本区の保護者支援の取組が大きく立ち後れているかのような捉え方はぜひ御容赦いただきたいなと思います。
その上でやはり財源の話になってしまうんですけれども、私どもどういうふうに仕事してるかといいますと、常に仕事を進めながら、それから区民の皆さんの声を聞きながら課題設定をしています。それで、それに優先順位をつけて、それと財源と突き合わせて、さらに優先順位をつけ直して、それを予算案という形でまとめて、議会に提示をして、それをお認めいただければ、予算を執行して、行政を動かしていくということをしております。ですから、財源の課題ですね、正面から向き合わないというのは、行政をあずかる者として、無責任な対応だと思っております。
しかし、いずれにしても、何よりもこのお話、本来的には国が制度設計をして、財政負担をすべき課題であると考えています。そのあたりは貴会派の皆さんとも同じ考えだと思いますので、そういう基本的認識を持ちつつ、現状というものは常に見て、そのときそのときで最善の対応というものをしていきたいと考えているところでございます。
あと、つけ加えれば、前にも申しましたけれども、私どもも無償化ですね、決して意味がないとか、やる気が全くありませんとか、そういうことは今までも一度も言っておりませんので、状況というものをきちんと見ていきたいと思います。
2つ目の有機農産物のお話です。私どもが基準としている有機JAS認証、これを外して、もうちょっと緩くしてはいかがかという提案で、いつものやり取りとは何か立場を逆にしたような感じで、ちょっと戸惑っておるんですけれども、このことについてはちょっとかなり専門的な話ですので、こういうスタンスを若干変えることについて、これが適当なのかどうかということは、私、この場ではすぐに責任を持ったお答えというのはできませんので、こういうお話が議会でもありましたよということは、先ほど申しました栄養教諭、そして栄養職員で構成する研修会ですか、その場のほうで提示して、いろいろ意見を求めてみたいと思います。
私からは以上です。
○おのせ康裕議長 斉藤優子議員の一般質問を終わります。
議事の都合により、暫時休憩いたします。
〇午後3時55分休憩
〇午後4時10分開議
○おのせ康裕議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
本日の会議時間は、議事の都合により延長したいと思います。
これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○おのせ康裕議長 御異議なしと認めます。
よって、本日の会議時間は延長することに決定いたしました。
次に、9番山本ひろこ議員。
〔山本ひろこ議員登壇〕
○9番(山本ひろこ議員) それでは、私、目黒区議会立憲民主党、山本ひろこより一般質問をさせていただきます。
私は、長らく目黒区政から離れておりましたが、この3年間にコロナウイルスの蔓延によって、大きく社会が変化し、行政のデジタル化も一気に進みました。それまでは先進自治体のみで行われていた小・中学校の1人1台端末も、コロナで対面授業が難しくなったため、全国的に一気に導入されました。区報へのQRコード掲載も紙面の都合で難しいと言われていましたが、デザイン変更とともに一気に掲載されるようになりました。
さらには、LINEです。私が議場で質問した3年4か月前、LINEの月間アクティブユーザー数は8,200万人、日本の人口のおよそ65%に上り、今や生活インフラとも言えるとお伝えした上で、その利便性についての区長の認識を伺いました。当時区長はLINEを使っていないとおっしゃっていましたが、その翌年、2021年2月にはチャットボット「めぐぴー」の実証実験を兼ねて、目黒区公式LINEがリリースされました。そして、今や目黒区公式LINEの登録者数は18万人、目黒区の人口は約28万人、世帯数は16万世帯ですから、もちろん全ての登録者が目黒区民ではないにしろ、世帯数以上の登録者数という非常に高い普及率だということは明白です。
ちなみにお隣、世田谷区の公式LINEの登録者数は2万3,000人、別のお隣、渋谷区の公式LINEの登録者数は6万7,000人です。近隣区と比較しても、23区の中でも断トツトップの登録者数です。
幾ら便利なサービスを提供しても、使われなくては費用対効果に欠けますので、せっかくこれだけ高い普及率に至った公式LINEを活用し、利便性が高い区政サービスを提供していくのが区政のDX化において最も効果的かつ効率的かと考えます。
こうした背景を踏まえ、まずは大きく1点目として、AIの活用推進について伺います。
1点目、AI活用の推進について。
2022年11月、ChatGPTの登場により、爆発的にジェネレーティブAIが広がりました。ChatGPTはテキストですが、画像生成、動画生成、音声生成など、昨年から様々な生成型のAIが登場しています。このジェネレーティブAIは、日本語に直せば生成AIということで、自動でいろいろな文言を考えてくれたり、画像をつくってくれたりするものです。従来は特定のプログラムは特定のプログラミング言語で指示を出すものでしたが、ChatGPTは自然言語、要は普通の話し言葉かつ対話型で指示出しができるため、誰でも使いやすいという点が最たる特徴です。
革新的な技術である一方で、あまりの急激な進化に開発者のCEOもリスクに対する警鐘を鳴らしており、各国でも期待と警戒感が渦巻く中、日本では5月19日に総務省から、万全を期するためChatGPTの行政使用は当面禁止という旨の通知が発せられました。しかし、例外的に検証は可能とのことですし、いずれにしても、本格利用前には実証実験は必要です。
ここでAI関連で3つお伺いします。
第1問、ジェネレーティブAIの事務事業への利活用について。
これまで地方自治法の第2条第14項に基づき、最少の経費で最大の効果を挙げることを念頭に、目黒区でも様々な事務事業の効率化施策を行ってきました。数年前からはEBPM、エビデンスに基づく政策立案という言葉も定着しています。目黒区でも庁内データ分析基盤というものを整備し、データに基づく施策づくりを行いつつありますし、効果検証的な事業評価もされてはいます。が、どちらも膨大な手間と時間がかかります。
反面、AIはこうしたデータ分析は得意分野であり、一瞬で様々な政策案を出すこともでき、データに基づく結果検証報告も可能です。さらには、事務事業にAIが活用され、自動化が進めば、LINEからのオンライン申請ができるものが増えていくと思われます。さきにもお伝えしたとおり、目黒区公式LINEには18万人も登録者がおりますので、その利用率はかなり見込めると考えます。
一方で、役所の内部データを学習させるに当たっては、取扱い注意情報である個人情報や未公開情報などを読み込ませるのは危険ですので、このあたりの明確なルール決めが必要です。さらには、使ったことがある方は御存じと思いますが、ChatGPTは誤った回答をすることもありますし、聞き方によって回答も変わってきます。ただ、それがまるで事実かのような上手な文章で回答してくれるがために、前提の知識を持っていたり、元情報の確認ができなければ、誤った情報をうのみにしてしまうという危険性もあります。
横須賀市やつくば市、神戸市など、率先してChatGPTの実証実験をしている自治体においても、ChatGPTに学習させるデータを公開情報に限定したり、ChatGPTの回答をうのみにしないため、回答作成時に参照した根拠データを示す機能を付与して、元情報の確かさも確認することを職員に求めるよう注意喚起をされています。また、町田市では、民間企業と連携協定を結び、ジェネレーティブAIの利活用に向けて、年度内に
ガイドラインの策定を予定されています。
こうして急速に事務の在り方が変化することが予見される中で、目黒区ではジェネレーティブAIを事務事業に活用していくための実証実験につき、どのような見解を持ち、どのようなスケジュール感での対応を考えているのか、伺います。
第2問、ジェネレーティブAIのコールセンター活用について。
目黒区では、区民サービス向上と職員の電話対応による負担軽減のため、取次ぎのみの電話交換業務をワンストップサービスを目的としたコールセンター化へ移行するとして、昨年度実証実験を行い、今後本格稼働を予定しています。電話交換業務のコールセンター化については、私は平成30年の一般質問で長々と訴えておりまして、コールセンター化のメリットとしては、職員の負担軽減やワンストップサービスはもちろんのこと、いろいろな活用方法がありますが、当時の回答はほぼ全否定でした。ですので、既存の電話交換室を活用したスモールスタートとはいえ、代表電話のコールセンター化が始まったことは驚きですし、画期的な行政窓口業務の進化だと感じています。
コールセンターについての意見は山ほどありますが、今回はジェネレーティブAIに絞って伺います。
コールセンターでは、よくある質問FAQやホームページなどの公開情報をデータベース代わりとして、入電した内容に応じて迅速に調べて回答していきます。しかし、こうしたデータは別々に存在しており、さらには日々内容が更新されていきます。手作業での検索と回答は、データが増えるほど煩雑になり、時間はかかりますが、AIであれば、一瞬で全てのデータを検索して、それらしい回答を出してくれます。もちろん役所では、区民の気持ちに寄り添うことが基本ですから、AIオペレーターが自動回答すればいいとは考えてはいません。が、オペレーターが対応する上での判断材料としては非常に効果的だと考えます。
そもそもコールセンターで回答できる内容は公開情報です。公開情報であれば、AIに学習させても、セキュリティのリスクはほとんどなく、これまで手作業で調べて回答してきた熟練オペレーターによって、AI回答の正確性の確認もできますので、回答の精度を上げていくこともやりやすい環境にあるかと思います。精度が上がれば、現在の目黒区公式LINEに使われているマスコットキャラクター、チャットボットの「めぐぴー」への応用も考えられ、問合せという面での窓口業務のDX化が一気に向上します。
ジェネレーティブAIをコールセンターへ活用するための実証実験についての見解を伺います。
第3問、AI活用における産官学連携について。
政府は、日本の経済活性化を加速するためにも、科学技術・イノベーションをキーとした日本の大学・研究機関の人材、研究シーズのグローバル展開の加速が急務であるとして、2022年8月、内閣官房にGSUC(グローバル・スタートアップ・キャンパス)構想推進室を新設し、渋谷と目黒の区境の国有地にグローバル・スタートアップ・キャンパスを設立することを発表しました。現在は、実施に向けた調査のために文部科学省にて業者選定中のようです。
この大学は、ディープテック分野の研究機能とインキュベーション機能を兼ね備え、スタートアップ創出を目的としており、米国のリーディング大学であるMIT(マサチューセッツ工科大学)と密に連携していくとのことですので、まさにジェネレーティブAIのような先端テクノロジーを専門的に推し進めていき、スタートアップ文化を支援するような場所になると想定されます。
さらには、目黒区の反対側の区境には、日本のMITとも言われる東京工業大学もあります。2024年度には、東京医科歯科大学と統合し東京科学大学(仮称)になると予定されておりますが、こうした先端テクノロジーの専門大学を両端に抱えることになる目黒区としては、こうした環境を産官学連携に生かし、スタートアップと言えば目黒区、AI研究と言えば目黒区と言われるような、スタートアップ支援やAI研究の支援を積極的に行っていただきたいところです。
まだまだ構想段階であり、不明瞭な点が多いことは承知しておりますが、その反面、計画が出来上がってからでは要望を取り入れてもらうのが難しいということもあります。それゆえにグローバル・スタートアップ・キャンパスの構想段階の今だからこそ、目黒区との産官学連携の活動を全力で推し進めていくチャンスになるかと考えますし、グローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室からも、地元自治体との連携をしつつ、進めていくと聞いております。
こうした御縁というものはなかなかありません。私も最初にニュースでこの記事を見たときには、わくわく感があふれて、目がくぎづけになりました。これを機に目黒区に先端テクノロジーを活用したスタートアップ企業が集まり、この施設が目黒区にあることで、目黒の子どもたちがテクノロジーに興味を抱き、科学者を憧れの存在として夢見るようになればと考えまして、2点お伺いします。
ア、産官連携として、区内のスタートアップ企業が優先的にグローバル・スタートアップ・キャンパスのインキュベーション施設を利用できるよう、推進室との交渉を進めてもらえないでしょうか。
イ、地域との官学連携として、目黒区在住の学生への地域優先入学枠の創設や、地元の小・中学校にはなじめないけれども、テクノロジーに関心が強い、高い子が通えるような新しい学びの場の創設などを構想に盛り込んでもらうよう、推進室へ要望を出せないでしょうか、伺います。
続きまして、大きな2点目、木材を使用した常設プレーパークの設置についてです。
今年度、民間事業者が実施した子どもの習い事に関するアンケートでは、85%の子どもが何かしらの習い事をしているとのことです。最近の子どもたちは、幼い頃から多くの習い事や塾、大人の指導する遊びや何かに役立つ遊びに囲まれていて、暇な自由時間を持つ子どもが格段に減っています。さらには、世間では失敗しないための何とかという本や講座があふれており、失敗することは恥ずかしいことだ、失敗はしたくないという認識が、大人だけでなく、子どもたちにまで定着しています。
これではレジリエンスは育ちません。レジリエンスとは、困難をしなやかに乗り越え、回復する力、精神的回復力のことです。これからの将来予測が難しい社会を生き抜くには、レジリエンスが欠かせませんが、失敗が少なければ回復力も育ちません。
大分昔にはなりますが、我々の子ども時代はルールや周りの目も厳しくなかったので、都会であっても、公園や空き地、近所で思いっ切り自由に遊ぶことができました。怒られることも多かったですし、けがも多かったですが、そうした自由な遊びの中で、たくさんの挑戦と失敗を経験するチャンスがありました。自由な発想は、自由な遊びから生まれると昔から言われますが、この自由は、大人が決めたルールの中での自由ではなく、子どもが自分の責任で自分のやりたいことをする自由であります。
現代の目黒区には、昔のように自由に遊べる場所はほとんどないので、挑戦する機会も失敗する機会もほとんどありません。子どもたちの自由な遊びのためにも、プレーパークのような場所を用意する必要がより高まっていると考えます。目黒区でも子ども総合計画にのっとり、児童館、ランランひろば、子ども教室など様々な居場所づくりがなされていますが、一方で、安全・安心を重要視するために、どれも大人主体でつくられたルールの中での子どもの居場所であり、さきに述べたような自由な遊び場ではありません。
また、一方で、日本ではあまりなじみがないですが、自然不足症候群という言葉があります。自然不足症候群の症状は、落ち着きがない、我慢できない、集中できないと発達障害の子どもたちの症状と非常に似通っています。都心で土地の狭い目黒区では、自然遊び体験ができる場所づくりには、行政のサポートが欠かせません。
以前のプレーパークに関する答弁にも、プレーパークは手段であるという認識であるという旨の回答がありましたし、区内には自然遊びを定期的に提供している団体もありますが、プレーパークは、自分の責任で自由に遊ぶ場所、つくり続けていく場所、子どもたちが動かしていける場所であり、大人に提供してもらう遊び場ではないために、これをもって、常設のプレーパーク機能が代替されるわけではありません。
また、常設プレーパーク内、もしくは付近に設置される小屋は、雨の日の居場所であるだけでなく、いつでもいられて、何をしていても構わないという、従来型の第3の居場所とも違う、第4の居場所的な役割も果たしており、学校や学童、児童館などになじまない子どもの居場所となるケースも多くあります。
さらには、森林環境譲与税の活用方法としても、木材をふんだんに利用した常設プレーパークの設置は、区民にとって非常に有用な活用方法かと思われます。令和4年度版環境報告書「めぐろの環境」によると、令和3年度の森林環境譲与税額は2,363万円、その活用方法としては、区有施設の床の改修、生物多様性の保全事業、苗木の配布、木製家具や遊具の購入とあります。
物あふれの現代では、作られたものを買って使うだけに甘んじる傾向にあり、自分たちで足りないものや欲しいものを作るという機会が激減しており、子どもたちにもその発想自体がなくなってきつつあります。既製品の木製の遊具を購入するだけではなく、木材を使った遊具を自分たちが企画して作っていくほうがよっぽど楽しいですし、いい経験になるかと思います。ちょうど今進めております碑文谷公園のPark-PFIにおいて、利用者アンケートの2番目にプレーパークの設置要望が上がっており、業者提案にもプレーパークは上がっています。
以上の背景を踏まえ、木材を使用した常設プレーパークを造る、その前段階の試みとして、今年度から始まる碑文谷公園のPark-PFIのトライアルサウンディング実施において、まずは簡易的な常設のプレーパークを設置してみてはどうか、伺います。
続きまして、大きな3点目、スケートボードができる場所づくりのための意見交換会について。
東京2020オリンピックで一気にブームが巻き起こったスケートボードですが、練習場所をめぐっては従来からトラブルが絶えません。道路交通法でも路上の滑走を禁じられ、区内の公園でも滑走禁止とされており、練習場所として使える場所がない現状では、目黒区ではスケートボードは一切滑れないという状況です。
反面、オリンピックの金メダリスト、堀米選手の地元江東区で造られたような本格的なスノーボード専用パークを目黒区に造ることは、場所的にもなかなか無理があるのは承知しておりますし、以前の答弁においても、区の事業としてスケートボード場を提供するとなると、安全性等の問題もあり、なかなか難しいという事情も聞いております。ただ、実態としては、スケートボードに興味を持った子どもたちがちょっと練習するために、都度遠くのパークまで通うことはなかなか難しく、結局近所で練習している。それがゆえに、近所からの苦情が来るという悪循環が生じています。
小学生も中高年になると外遊びをしなくなり、家に籠ってゲームや動画ばかりの内遊びになる傾向があります。圧倒的に外遊びや体を動かす機会が少ない現代の子どもたちの環境において、スケートボードというスポーツで体を動かすのは健康面から見てもいいことだと考えます。音がうるさいから駄目、危ないから駄目と禁止の理由はたくさんありますが、区の責任で練習場所を提供するという視点から離れて、現状の公園や空き地の中でスケートボードを禁止しないエリアを設けるという視点もあるかと思います。
騒音問題に関する研究所の代表は、騒音問題に関する記事の中で以下のように述べています。
騒音問題の解決には、節度と寛容とコミュニケーションが必要というのが筆者の持論です。音を出す側の節度と聞かされる側の寛容、そしてそれをお互いが感じ取れるコミュニケーションが必要です。しかし、現実には、音を出す側は相手を不寛容だと非難し、聞かされる側は迷惑騒音だと節度のなさを罵り、相手の悪意を感じ取るだけのコミュニケーションしか存在しないという真逆の状況が蔓延しています。
こうした状況を踏まえまして、なるべく迷惑のかからない形でスケートボードが練習できる場所を確保し、まちと共存したスポーツの一つとして、地域の方々に認められていくために意見交換会を開いていくところから始められないでしょうか、お伺いします。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔
青木英二区長登壇〕
○
青木英二区長 山本議員の3点にわたる御質問に順次お答え申し上げます。
まず、第1点目、AI活用の推進についての第1問、ジェネレーティブAIの事務事業への利活用についてでございますが、ジェネレーティブAIは生成AIとも呼ばれ、AI、すなわち人工知能が大量のデータを学習し、文章や画像など、あたかも人間が行うかのようなレベルで突き出すことができるものでございます。
本年5月に設置された国のAI戦略会議では、ジェネレーティブAIは、かつて自動車が人類に移動の自由をもたらしたような歴史の画期となる可能性を含んでいるとされております。一方、同会議では、機密情報や個人情報の漏えい、偽情報による社会の混乱など、ジェネレーティブAIに関するリスクへの適切な対処として、言わば「ガードレール」の設置が必要であるともされております。
こうした中、先般、総務省から全国自治体に対しジェネレーティブAIの業務利用に当たっては、情報セキュリティに万全を期すこと、適切なルールを検討することが示されました。区といたしましては、ジェネレーティブAIは、区民サービスの質を大きく向上させる可能性を有するものである一方、様々なリスクがあるものであり、これら両方、両者のバランスを適切に図っていくことが重要であると考えております。
こうした考えの下、現在区ではどういう業務に活用することが効果的であるか、どういうリスクがあり、何に注意して使わなければならないのかの両面に関する検証作業を開始したところでございます。具体的には当面全庁的にジェネレーティブAIを使った区の業務は禁止とすることを原則としつつ、一定の手続の下、ジェネレーティブAIで取り扱うことができる情報の機密レベルや使用する端末、作業する職員などを限定した上で、活用の効果とリスクの検証を行っております。
検証内容の一例を申し上げれば、機密情報や個人情報を含まないデータを読み込ませ、一定の条件を与えて、データを修正・変換する作業をさせてみて、精度や速度を調べることですとか、情報システムを新たに調達する際に区が作成する仕様書の案を自動生成してみるといった基礎的・試験的な取組をしているところでございます。またあわせて、リスク面で注意すべき事項に関する様々な情報収集を進めております。
ジェネレーティブAIについては、先月行われたG7広島サミットにおいて、責任ある活用を含めて議論していく旨が共同声明に盛り込まれるなど、グローバルな課題であるものと認識しております。
今後、国の動きをはじめ他自治体等の動向も注視しながら、区の業務への効果的な活用方法の検証、機密情報や個人情報を漏えいさせないルールづくり、職員がジェネレーティブAIの仕組みや特性を正しく理解し、活用していくための人材育成など、様々な観点から調査研究を進めてまいります。
次に、第2問、ジェネレーティブAIのコールセンター活用についてでございますが、区では区民サービス向上と業務の効率化を目指し、令和4年8月から開庁日の13時から17時15分までの間において、電話交換業務をコールセンター化する取組の試行を行ってまいりました。本年4月からは開庁日の8時30分から17時15分までに時間帯を延長して、試行を継続しております。
これまでの運用状況といたしましては、コールセンターにおける一次解決率、すなわち区民等から電話を受けた際に転送や折り返しをすることなく、一度の通話で回答が完了した割合が約25%となり、今後の本格導入に向けて準備を進めている状況でございます。
コールセンター業務へのジェネレーティブAIの活用につきましては、コールセンター業務において、オペレーターが使用する情報は基本的にオープンな情報、すなわち機密情報や個人情報を含むものではないことから、情報セキュリティに関する課題のレベルは高くなく、ジェネレーティブAIの活用について検討していくことは可能であると考えております。また、AIチャットボットの「めぐぴー」についても、同様に活用を検討していくことは可能であると考えております。
なお、現在のジェネレーティブAIの仕組みは、インターネット上に存在する一般的なデータを基にして回答をつくり上げているものでございます。将来的に区のコールセンター業務でジェネレーティブAIを有効に活用していくためには、こうして一般的なデータに加えて、目黒区独自のデータをジェネレーティブAⅠに学習させていく仕組みを考えていく必要がございます。
区独自のデータのうち、どの範囲までをジェネレーティブAIに学習させるのが効果的・効率的であるかといった点の検討や、学習させる区独自のデータの内容を誰がどのタイミングでどのように更新し、ジェネレーティブAIに学習させるのかといった検討に一定の時間が必要でございます。こうした作業に係る業務負担の程度や、必要となるコストについても研究していく必要がございます。
ジェネレーティブAIをめぐっては、既に多くの事業者が様々なサービスの提供を始めている状況であり、そうしたサービスの機能充足度、コスト、安全性などを見極めていく必要がございます。国や他の自治体等の状況を参考にするとともに、区のコールセンター業務の本格導入に向けた状況などを見極めながら調査研究してまいりたいと存じます。
次に、第3問、AI活用における産官学連携についてのア、国のグローバル・スタートアップ・キャンパス構想について、区内のスタートアップ企業が優先的に施設を活用できるようにグローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室との交渉を進めてほしいということについてでございます。
この構想については、国のプロジェクトでございまして、推進の経過を簡単に御説明いたしますと、令和4年6月7日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2022や新しい資本主義実行計画において、スタートアップへの投資を行うことや、スタートアップが集積するキャンパスづくりを推進する方向が示されました。それを具体化するため、グローバル・スタートアップ・キャンパス構想が進められ、これを推進する組織として、内閣官房にグローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室が設置されております。現在この構想を実現するため、目黒区と渋谷区にまたがる国有地を活用した拠点整備の検討が進められております。
一般的に自然科学分野の基礎研究については、社会的なインパクトのある成果に結びつくかどうかが不透明であり、結びついたとしても非常に時間がかかるものであります。また、必要な資金も多額となることから、投資の対象としては非常にリスクの高いものとなります。しかし、中には、国や世界全体で解決すべき課題である環境問題など、社会課題の解決に多大な役割を果たす技術、いわゆるディープテックも存在する可能性があるため、国としてはそうした分野への投資を行い、世界をリードしていく方向性を打ち出しています。
そうした構想実現のための具体策として、ディープテック分野の基礎研究を担う機能と技術を実用化して、機能を実用化して事業化し、成果を社会に還元できるようにする、いわゆるインキュベーション機能の両方の機能を持つ拠点を整備していくことを目指しており、この拠点が今回、目黒区と渋谷区に整備されることと理解をしております。
さきのG7広島サミットの中で行われました日米首脳会談においても岸田内閣総理大臣から、米国のリーディング大学の一つであるマサチューセッツ工科大学と連携をし、フィジビリティスタディを実施し、米国の協力も得つつ、構想の具体化を強力に進める旨の発言がなされております。
内閣官房とは情報共有を図っており、今年の4月末には地元の町会・自治会長の皆さんに対し、内閣官房から概要の説明を行っていただいております。また、5月31日の企画総務委員会においても、その時点での情報を情報提供させていただきました。
グローバル・スタートアップ・キャンパス構想の拠点となる施設が目黒区と渋谷区にまたがる国有地に整備されることにより、今後本区にも様々な影響があることが想定されます。トップレベルの研究施設であることから、目黒区の知名度の向上が期待できますし、世界中から多くの研究者の方々が来ることになりますので、地域経済にも波及効果が生まれることが想定されます。研究者の国籍も様々になることが予想され、一定期間居住される方もいるのではないかと思われますので、多文化共生のまちづくりがこれまで以上に求められることになるかと思います。
また、目黒区には東京大学、東京工業大学をはじめとした大学が複数ありますので、大学とグローバル・スタートアップ・キャンパスとの連携も進むことと思います。施設整備の視点では、整備される施設と周辺環境との調和等の各種整備などを行っていかなければなりませんので、こうした点については丁寧に進めていく必要があると思っております。
現時点での区の対応でございますが、部局間の情報提供と一体的な対応を目的として、企画経営部、区民生活部、文化・スポーツ部、産業経済部、都市整備部、教育委員会事務局の関係所管による連絡調整会を設けたところでございます。今後の対応でございますが、引き続き国から情報提供に努めてまいりますとともに、施設整備に当たって、地元要望の把握なども行ってまいりたいと考えております。
御質問いただきました区内のスタートアップ企業との連携についてでございますが、現在区といたしましては、スタートアップ企業に特化した取組はありませんが、より広く創業支援ということで、創業支援セミナー、創業相談、創業補助金、創業資金の融資あっせん及び利子補給など、多角的な取組を行っております。また、創業支援セミナーである実践めぐろ創業塾の修了者に対して、インキュベーションオフィス利用料の一部を補助する事業など、インキュベーションに向けた支援を行っております。今後ともプロジェクトの進捗を見ながら、区の創業支援の取組とグローバル・スタートアップ・キャンパス構想をどのようにつなげていけるか、様々な連携の可能性を模索してまいりたいと思います。
次に、目黒区在住学生への地域優先入学枠の創設や、テクノロジーに関心が高いお子さんが通えるような新しい学びの場の創設などについて要望を出せないかについてでございます。
一般的に大学や研究機関においては、それぞれの機関で行っている研究成果について、研究機関の一般公開や、一般の方々向けの講演会の開催を通じて広く知っていただく機会が設けられております。例えば研究機関が公開される際には、社会科見学の機会を設けたり、研究機関で実際に働く研究者が研究内容に関する講演を行うといったことが考えられるかと思います。国の構想の詳細を把握しながら、地域の学びの場としてどのような連携が図れるか、模索してまいりたいと考えております。
このたびの国の拠点整備は、目黒区の産業振興、良好な都市環境整備、教育の振興、多文化共生などの取組につなげることも期待できますので、目黒区の地域の発展にも資するよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、第2点目、今年度から始まる碑文谷公園のPark-PFIのトライアルサウンディング実施において、まずは簡易的な常設プレーパークを設置してみてはどうかについてでございますが、区では令和4年3月に策定した目黒区基本計画において、子どもの安全な遊び場・放課後の居場所づくりの推進を施策として掲げております。また、目黒区子ども条例では、大人は子どもの身近な場所に安全に安心して過ごすことができ、楽しく遊んだりする居場所を確保し、子どもの主体性や社会性を育むこととしております。
プレーパークは、屋外での自由な遊びを通じて得ることのできる体験と交流を通じて、子どもの自主性や主体性、社会性やコミュニケーション能力などを育み、子どもの成長を支援することを主な目的としています。「自分の責任で自由に遊ぶ」を基本理念に掲げ、可能な限り禁止事項をなくし、子どもたちの好奇心や創造性を最大限尊重することを基本的な考え方として運営される施設と認識しております。
現在、駒場野、東山、中央緑地、すずめのお宿緑地公園では、公園のボランティア団体がイベント的に日にちを決めて、地域の子どもの野外遊び場づくりの活動、具体的には炉やしちりんを使っての火おこし体験、食事作りや泥んこ遊び等を行っております。区では、子どもの身近な場所に安全に安心して過ごすことのできる楽しく遊ぶことのできる居場所づくりは必要であると考えておりますので、こうした公園の活動を引き続き支援していきたいと考えております。
今年度行う碑文谷公園でのPark-PFI導入に向けたトライアルサウンディング調査につきましては、公園の暫定利用を希望する事業者の提案を募集し、一定期間、実際に使用してもらうもので、立地条件や使い勝手、採算性、アイデアに対するニーズ等を確認できる社会実験的な取組でございます。区では、この調査で公園に対する市場性やニーズ、課題等を確認し、今後の公募指針等の検討に生かしていくものです。
お尋ねの碑文谷公園のPark-PFIのトライアルサウンディング調査において、簡易的な常設プレーパークを設置してみてはどうかにつきましては、調査の趣旨を踏まえ、公園の持つ豊かな自然と周辺の良好な住環境に十分配慮するとともに、これまでの公園利用に支障がない範囲で事業者からの様々な提案を実施していきたいと考えております。
次に、第3点目、スケートボードができる場所づくりのための意見交換会についてでございますが、スポーツ競技としてのスケートボードにつきましては、さきに開催された東京2020オリンピック競技大会において、都市型スポーツとして、新たな種目に取り入れられました。大会本番においては、日本人選手が4種目で金3個、銀1個、銅1個の合計5個のメダルを獲得するという活躍で大いに盛り上がりを見せました。特に12歳の女子選手が銀メダルを獲得し、夏・冬を通じて、五輪史上の日本最年少メダリストに輝き、日本中が興奮いたしました。
また、来年には2024年パリオリンピック・パラリンピック競技大会が開催されますが、2020年に開かれた国際オリンピック委員会の理事会において、スケートボードの種目が東京大会に続きパリオリンピックでも追加競技として行われることが決定しており、改めて日本人選手の皆さんのますますの御活躍が期待されるところです。
お尋ねのスケートボードの競技につきましては、複雑な起伏のあるくぼ地状のコースで空中技のレベルの高さや、競技のダイナミックさを競うものや、スピードに乗って、町なかにあるような階段や手すり、スロープなどを模した様々な障害物をクリアしていく競技です。
こうした競技に挑戦していくためには、やはり専用の施設でヘルメットやグローブ、プロテクターといった安全装備を身につけて練習することが必要です。本区には現在、残念ながらそのような施設はございません。また、区内にございます屋内外の各体育施設においても、スポーツ競技としてスケートボードを行うことを想定はしておりません。さらに、スケートボード競技の性質上、発生する音や振動への対策といった課題が生じることも考えられます。このため区内においてスケートボード練習場を設けるのは、現状では難しいものと認識しております。
近隣区における公共のスケートボード練習場は、いずれも住民に騒音や振動などの御迷惑をおかけすることのない立地や、面積の極めて広い公園内に設置されています。一方で、住宅地に隣接した比較的規模の小さい敷地面積の公園が多い本区においては、近隣区のように安全性を確保できる十分な広さを備えたスケートボード練習場を公園内に設けるのは困難です。
このように区として、公のスケートボードを行える場所を設けるのは難しい状況であり、またそのような練習場の設置に際し、候補となる具体的な場所なども定まっていない中で、議員お尋ねの場所づくりのための意見交換会を開催し、御意見をいただくことは現実的に難しいと考えております。
以上、お答えとさせていただきます。
○9番(山本ひろこ議員) 御答弁ありがとうございます。
1点目の第1問については、いずれにせよ、今後の調査研究ということですが、来年度に実証実験をするにしても、行政の予算化の工程からすると、この夏には予算取りが必要となり、その予算を見立てるに当たっては、データの範囲を決めるなど、早々にルール決め等が必要になってくるというような迅速な対応が求められると思いますが、そのあたりはいかがお考えでしょうか。
第2問のコールセンターについては、業務が定着してからの検討ということで承知しました。それであれば、逆に公式LINEの「めぐぴー」への活用を優先して、先に実証したらいかがでしょうか。AIチャットボットという割には、現状では質問すると選択肢が出てきて、その限られた選択肢の中から聞きたいことを選んでいくという状況です。それ以外はほぼ何を聞いても「質問に答えられませんでした」の回答が返ってきて、会話になりません。「めぐぴー」の精度が上がれば、逆にコールセンターのオペレーターが「めぐぴー」に聞いて回答するということも可能です。デジタルが苦手な方でも、電話で即解決ということで、デジタルディバイド対策にもなります。
改めて、「めぐぴー」でのAI実証実験の先行開始について伺います。
3問目、グローバル・スタートアップ・キャンパスについてですが、これから先の話とはいえども、前向きな回答ありがとうございます。ちなみにですが、このグローバル・スタートアップ・キャンパスの用地は、道路に接しているのが渋谷区側ですので、そちら側が正門になるのかと想定されます。一方で、目黒区側は、国家公務員住宅の横の公園の裏手になっていて、道路に接道していません。ゆえに、現状で目黒区側からこの土地に入ろうとすると、ぐるっと回って恵比寿側から回って入ることになり、中目黒地域とは完全に分断されてしまいます。
これから産業や教育、多文化共生などの面で連携していくに当たって、まずは目黒区側に入り口を整備することが大前提になるかと思われますので、ここについては確実に計画に入れ込んでもらえるように積極的な働きかけをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
続きまして、大きな2点目、プレーパークについてです。これは業者の提案によるということですけれども、当初のサウンディングで事業者提案はしたけれども、今回のトライアルには参加しないっていう場合でも、PFI事業の公募の際にはインセンティブがついた状態で応募できると考えてよろしいでしょうか、再度お伺いします。
大きな3点目のスケートボードについてです。場所を先に特定してしまっては、より実施が難しくなるかと思いまして、候補地となる場所も含めての意見交換会を求めて質問した次第ですが、逆に場所が決まっていない中での意見交換会は難しいということでした。多くの要望もいただいておりますので、まずはこちらで練習場が欲しいという方々の意見を集約してみたいと思います。その上で、改めて候補地となる公園等の一角の利用について相談したいと思いますが、いかがでしょうか。
まとめますと、大きな1点目、AI活用についての第1問、実証実験予算化に向けてのルール整備等のスケジュール感。第2問は、「めぐぴー」でのAI実証実験の選考開始。第3問は、グローバル・スタートアップ・キャンパスの目黒区側の入り口のための道路整備。大きな2点目は、Park-PFIのサウンディングとトライアル、それぞれの事業者へのインセンティブについて。大きな3点目は、スケートボード愛好家からの意見集約後の再検討について。
再度の御答弁をお願いします。
○
青木英二区長 それでは、5点にわたる御質問いただきました。
ジェネレーティブ・アーティフィシャル・インテリジェンスについてですけれども、これは先ほども申し上げましたように、やはりリスクどうあるのっていうのがまずあって、リスクを検証して、次にそれをルール化して、最終的に活用していこうっていう3つのステップがあろうかと思います。画期的なものですので、なかなか全体像、デメリットの部分が全て分かるわけではないので、やっぱり検証に一定の時間かかると思いますので、お尻を決めていつまでに予算化しなきゃいけないねという議論はちょっと厳しいかなっていうのは率直に感じているところでございます。
それから、チャットボット等の活用に含めてですが、今、私どもジェネレーティブAIがどこにどう使われていくか、使われるものなのかどうかというのは検証していますから、それは様々な場所に私どもとして使っていくことは全く否定されることではないというふうに認識はしております。
それから、グローバル・スタートアップ・キャンパスの構想で、道路づけの話ですけれども、これもお話のように、私どもも内閣府からお話をいただいたときのイの一番に道路づけがないということ、一番懸念をしています。私どもも当然その道路づけについては、国に強く言っております。
ただ、地形を御覧になったかと思いますが、2つ問題があって、1つは非常に高低差がある土地です。さらに問題は、私どもの道路と国の言ってる国有地の間に、幾つか土地がサンドされて間に入っていますので、多分国が分かりましたと言っても、間にサンドに入ってる土地の所有者が多分いらっしゃる、細かいことまで分かりませんが、少なくとも私どもと国がいいですね、オーケーですねって言ったら、道路づけができる地形ではないように認識しています。
ただ、いずれにしても、地元のまちづくりを進める団体からもぜひ道路づけの話も出てますし、これは私どももイの一番で中身、もちろん研究は大事ですけど、まず私どもとして、広く区民の皆さんが活用できるのは道路づけですので、道路づけについては強く言ってきてますし、これからも強くしっかり言っていきたいというふうに思います。
それから、碑文谷公園のトライアルサウンディング調査に、これは別に参加することが絶対条件ではありませんので、広くいろんな私ども構想をもらうことが大事ですから、これに参加しなければ駄目ですという、そういった仕切りはしていませんので、多くの方々に参加して、最もいい案を私どもとしてしっかりと取り入れていくということが大事な課題だというふうに思っております。
それから、最後の話ですけれども、意見交換会ですが、先走った結論を言って申し訳ないんですが、いずれにしても、目的は、皆さん方が目黒の中でスケートボードをやりたいっていうことが目的で、それに向けて意見交換をしていくことになるわけです。今の段階で言うと、私どもが持ってる土地ですね、公共的な用地の中で、なかなかいろんな理由、先ほど申し上げましたけれども、音と振動については、やっぱりいろいろな御意見がありますので、やはり今の段階で非常に難しいので、着地点が非常に難しいという立ち位置で出て私ども行く。それから、意見交換したいというパートナー、相手の方々もやはり最終的に施設整備が欲しいという、多分最初入り口はいろんな議論があるでしょうが、だんだんだんだん議論が成熟していくとやっぱりそこに行き着くのかなという感じを非常に今しています。
そうなってくると、なかなかテーブルに着くということは難しいかなという認識はしてございますが、いずれにしても、私ども相談することは、排除なんかする気持ちはありませんので、どういった形なら意見交換をしていくことができるのか。今、私どもとして最終的に難しいという立ち位置で、テーブルの向こう側に座る方が違う考えを持って、私どもと相対することができるのか。どういったものを持つのか、もうちょっとそこを詳しくっていうか、お考えを聞かせていただかないと、ここで駄目ですとか、いいですと言いませんが、今日現在では難しいとお答えをせざるを得ないというふうに御理解をいただければと思います。
○おのせ康裕議長 山本ひろこ議員の一般質問を終わります。
次に、31番上田あや議員。
〔上田あや議員登壇〕
○31番(上田あや議員) 私は日本維新の会目黒区議団の一員として、学童保育クラブを中心とした放課後の居場所づくりの課題解決について、6点伺います。
目黒区においては、少なくとも2019年以降、継続して学童保育クラブの待機が発生しております。2023年度においても、子育て支援課作成「令和5年度学童保育クラブ入所状況について」によれば、同年4月1日時点での待機児数は166名でありました。また、同じ目黒区でありながら、毎年待機が発生している学童保育クラブと、例年比較的余裕のある学童保育クラブとに分かれており、どの地域に住まうかにより、入所の難易度が異なっております。これは公平性の観点から問題があると言えます。
例えば上目黒小学校内学童や鷹番学童などは、定員が在籍児数を上回り、習い事をしている子どもでも利用できる可能性があります。一方、不動学童では、50名の定員の2倍を超える120名もの児童を受入れていても、なお待機が発生しております。待機が集中している地域においては、申込み自体を諦めざるを得ず、数値に現れない、いわゆる隠れ待機も発生しております。
また、学童保育クラブによっては、定員を超える児童を受け入れることにより、待機をなくそうと努力した結果、待機自体は解消したものの、詰め込み保育状態となり、子どもの安全確保への懸念や職員の負担増加が生じているケースもございます。
こうした状況の中、目黒区としては、学童保育クラブについて新規増設の方針ではないと伺っております。確かに今後数年で待機児数はピークを迎え、その後は少子化により、学童保育への需要は漸次減っていくものと思われます。しかし、今、待機になっている子どもの保護者にとっては、子どもの放課後の預け先がないことは、失職リスクに直結する死活問題です。また、現に待機になっている子どもについても、放課後の安定した居場所がないことは、安全面から重大な懸念がございます。
46クラブ中、待機が発生している19クラブについての待機解消と、待機は発生していないものの、定員を超える児童を受け入れている14クラブの詰め込み保育の解消が喫緊の課題であると言えます。こうしたことから、6点伺います。
1点目、住区センター施設の利活用について伺います。
住区センターの施設を一時的に学童保育クラブ育成室へと転用した事例が過去に数件あると伺っております。特に待機が集中している学童保育クラブについて、短期的に即効性のある対策として、同様の対策を取るべきだと考えますが、いかがでしょうか。
2点目、待機児減少のための優先利用について伺います。
「そらのした」「こどもの森」などの学区割をしていない学童クラブについて、待機が深刻な小学校区に優先利用させるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
特にこの2クラブは、施設面やサービス面から人気が高く、比較的定員に余裕のある学童保育クラブに通える児童からも入所希望がございます。しかし、区内に多数の待機児が発生している現在の状況において、学童保育クラブを複数から選び得る児童と、どこの学童にも通えない児童とに分かれることは、公平ではありません。そのため、伺います。
また、優先利用させる場合、近隣の各小学校から当該学童までの安全な通行ルートの策定以外に課題があるか併せて伺います。
3点目、プレハブによる整備について伺います。
待機が特に深刻な学童保育クラブにつき、短期的に即効性のある対策として、小学校敷地内へのプレハブ設置をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
4点目、利用希望調査による整備計画について伺います。
他の自治体では、お子様が生まれたときに自治体のほうから将来の学童保育クラブ利用希望の有無を保護者にヒアリングする取組がございます。それにより、地区ごとに、より精度の高い需要予測を作成し、6年間という中長期計画に反映させ、実際の利用開始までに学童保育クラブを整備しておくことが可能になります。こうした取組を目黒区でも取り入れるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
5点目、多様な居場所確保の拡充について伺います。
目黒区では、学童保育クラブだけでなく、ランランひろばも組み合わせた上で、子どもたちの放課後の多様な居場所を確保しているとのことでございます。しかし、ランランひろばは、冬季は16時半まで、夏季でも17時までであり、利用時間の短さから、学童保育クラブの代わりとしては機能し得ないものとなっております。また、夏休み以外の長期休暇は非対応であるため、利用期間という意味においても、学童保育クラブの代わりとなるものではありません。
一方、例えば隣の品川区では、日曜・祝日と年末年始以外は19時まで利用可能、夕方にはアレルギーに配慮した軽食を提供するなど、学童の代わりとなり得る制度を区内全小学校で実施しております。同じ都内でありながら、子どもの放課後の居場所について、環境に差があると言えます。
目黒区ランランひろばについて、19時までの時間延長及び日曜・祝日と年末年始以外を利用可能とする利用期間の拡充、この2点につき、需要が把握できるようなアンケートを実施したことがあるか伺います。
6点目、学童保育クラブ利用者の食事について伺います。
学校長期休業中の食事につき、業者による仕出し弁当、または給食を利用できる学童保育クラブは、2022年9月6日時点で8クラブございます。ただ、残りの学童保育クラブについては、現在のところ保護者による弁当持参が必要です。私が独自でネットアンケートを行ったところ、95%の目黒区の保護者が、長期休業中の学童弁当または給食を利用したいと回答したことから、目黒区全体としても需要は高いと推測されます。
学童保育クラブにつき、既存の受託業者に仕様の変更を求め、途中から弁当または給食の提供を求めることが難しいことは理解できます。この点、例えば板橋区では、新規に学童保育クラブ受託業者を選定する際、仕様の中に学童弁当の提供を盛り込んでおります。そのため、全ての新規学童保育クラブにおいて、仕出し弁当の提供が行われております。
目黒区においても、今後業者を新規に選定する際、学童弁当または給食の提供を仕様に盛り込むべきだと考えますが、いかがでしょうか。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔
青木英二区長登壇〕
○
青木英二区長 上田議員の学童保育クラブを中心とした放課後の居場所づくりの課題解決についての御質問に順次お答えを申し上げます。
まず、第1問、住区センターの利活用についてでございますが、本区はこれまで学童保育クラブの需要を踏まえて、主に児童館併設や分室の学童保育クラブの整備拡充を図ってまいりました。
その後、保育所待機児童問題を踏まえて、第二の待機児童をつくらないとともに、保育の有無を問わず、児童が通う小学校内で安全・安心な居場所を確保するという私の強い信念の下で、目黒区放課後子ども総合プラン推進計画を策定をし、教育委員会をはじめ各小学校及び地域の方々との協力を得ながら、計画的に小学校内学童保育クラブとランランひろば整備を進めております。
現在、15の小学校内で整備されておりまして、令和6年度には東山小学校内にも設置する予定となっております。今年度には地域の皆さんにとって待望の碑住区センター及び東根住区センター児童館学童保育も開設するなど、保育の有無に関わらない子どもの居場所づくりは着実に進んでいるところでございます。
一方で、議員御指摘のとおり、一部の地域においては、学童における待機児童が発生している状況がございます。このような状況が生じた場合には、地域の実情や活用可能な近隣施設の状況などを踏まえ、個別に対応するケースもございます。
例えば中根小学校においては、当時学童の待機児童が多く発生したことから、教育委員会、小学校と連携して、他の地域に先んじて、小学校内学童保育クラブを整備しました。また、中目黒児童館学童の拡充に際しては、関係所管、地域の方々の御理解をいただきながら、同じ中目黒スクエア内にある青少年プラザの会議室をタイムシェアにより活用したケースもございます。なお、中目黒学童については、6年度から同じ建物内にある東部地区サービス事務所特別会議室を活用し、引き続きタイムシェアで活動する予定でございます。
放課後の子どもの居場所の確保に関しては、住区センター会議室に限らず、これまでも様々な視点で検討し、関係所管と連携し、地域の方々の応援もいただきながら、積極的に御協力をいただいております。一方で、各施設にはそれぞれ個別の設置目的があり、その目的に沿って利用がなされていることから、個々の状況を踏まえて調整していくことが肝要でございます。
いずれにいたしましても、議員御提案の趣旨や区有施設の有効活用という視点も踏まえまして、子どもたちの安全・安心な居場所の確保に向けて取組を進めてまいりたいと存じます。
次に、第2問、待機児童減少のための優先利用についてでございますが、私立学童保育クラブは、区内全域の児童を対象に小学校区を指定せずに事業者を公募し、利用児童の決定も運営事業者により行っていることから、いわゆる学区割として、小学校区を学童保育クラブ区域と定めることを行っておりません。一方、私立以外の学童保育クラブは、学区割を実施しているところです。
私立学童保育クラブの公募は、区立小学校に通っていない児童も念頭に、広く区内全域の児童が利用できるよう、また保育内容の特色を評価し、多様な放課後の居場所を提供する観点から選定を行っております。そのため、学区割を行っている学童保育クラブとは区別をしているところでございます。
また、利用児童の決定に当たっては、利用基準指数に基づき、保育の必要性が高い児童から、学童保育クラブを利用できる仕組みとなっております。待機児童の発生を理由に、ある小学校区の児童の優先利用を行った場合、利用基準指数のより低い児童が利用決定される場合もあることから、公平性の観点からも、一部地域に対する優遇措置は難しいものと考えております。これらの状況から、待機児童の発生を理由とした私立学童保育クラブの優先利用を実施する予定はございません。
次に、第3問、プレハブによる整備についてでございますが、現在、放課後子ども総合プラン推進計画に基づく学童保育クラブ及びランランひろばの活動場所は、各小学校内のスペースを有効活用しながら、同一事業者により一体的に運営を行うことを基本としております。小学校内学童保育クラブ及びランランひろばについては、事前に教育委員会及び各小学校と基本となる活動場所の調整を行い、必要な改修工事を経て開設しております。また、開設後は子どもたちが安全な活動ができるとともに、教育課程に支障のないよう、事業者と学校側との間で日々綿密に連携を取り運営を行っているところでございます。
議員御提案のプレハブ建築に関しましては、各小学校に在籍している児童がふだん生活している校舎の中で安全・安心に活動することが、子どもたちの心の安定につながるものと考えており、可能な限り活動ができるよう小学校とも調整を図りながら運営しているところです。
加えて、プレハブとはいえ、新規施設整備に際しては、教育活動への影響、費用対効果など、クリアすべき多くの課題があることから、慎重に捉える必要があると認識しております。そのため直ちにプレハブ整備を行う考えはございませんが、今後も様々な観点から創意工夫を凝らし、放課後の子どもの安全・安心な居場所の確保に努めてまいります。
次に、第4問、利用希望調査による整備計画についてでございますが、議員御指摘のように精度の高い需要予想は区としても重要であると認識してございます。
お尋ねの利用希望調査でございますが、本区においては子ども総合計画策定に当たっての基礎調査の中で、児童の放課後の過ごし方、また学童保育クラブに関する希望調査などを行っております。調査結果を踏まえて、子ども総合計画の中で施策として反映しているところでございます。
需要予想を想定する上で、人口推計や各種エビデンスに基づく計画づくりも重要と考えております。目黒区におけるここ数年の就学前人口は、令和元年までは転入超過傾向にございまして、就学前人口も毎年400名程度増加しておりました。一方、新型コロナウイルス感染症の発生を契機として、転出超過に転じており、就学前人口も令和5年4月は令和2年4月に比べて200人以上の減少となっており、今後の人口動態に注視していくところです。区は現在、新たな人口推計を策定中でございますので、その結果を踏まえて、今後の需要予想を立てていく必要がございます。
加えて、区は今後の保育所整備のための需要推計に関する調査研究を進めており、令和7年度から始まる新たな目黒区子ども総合計画に反映させられるよう取組を進めております。放課後の子どもの居場所づくりに関しても連携して取り組むことで、適切な環境整備に努めてまいりたいと存じます。
次に、第5問、ランランひろばに関するアンケートの実施状況でございますが、毎年、各ランランひろばにおいて、サービスの向上を目的として、児童や保護者を対象としたアンケート調査を実施しております。
議員御指摘の利用日時の拡充に関わる調査の有無ですが、直接的な設問はないものの、自由意見欄の中では、実施日の拡大や時間延長を希望する旨の御意見を多くいただいておりまして、区としても、保育の有無にかかわらず、子どもの居場所を確保する観点から、ランランひろばの利用日時の拡充の必要性については十分認識しているところでございます。
区は、次期子ども総合計画の策定に向けて、今後基礎調査を行っていく予定で準備を進めております。子どもたちの多様な居場所の確保に向けて、基礎調査の中で放課後の子どもたちの活動状況や子育て世帯の生活実態の状況などを把握しながら、適切な対応に努めてまいりたいと存じます。
次に、第6問、学童保育クラブ利用者の食事についてでございますが、区では学校長期休業中等の学童保育クラブに通う児童の昼食について、仕出し弁当の提供の希望があった場合に、父母会が事業者との窓口となり、提供を行っているところです。区は、父母会加入の有無にかかわらず、児童を区別せず仕出し弁当を提供することなど、支援を行っているところです。
令和5年度当初の状況ですが、46か所の学童保育クラブのうち5か所で仕出し弁当の提供が行われ、8か所で実施に向けて準備中です。1日当たりの利用状況ですが、令和4年度の実績では、各学童保育クラブの在籍児童数の2割程度の利用にとどまっております。区が直接の窓口となり、仕出し弁当を提供するには、全ての児童へ公平に提供できる体制とする必要があります。そのためには、アレルギー対応は可能か、全ての注文に対応できる事業者が存在するのかといった課題がございます。
また、議員御提案の事業者選定の仕様に食事の提供を盛り込むことですが、他区の事例では、応募の際の独自提案の一例であり、必須の条件とはなっていないと認識しております。事業者選定に当たり、学童保育クラブ本来の保育内容には、通常含まれていない仕様を盛り込むことは、応募事業者に制限がかかり、かえって質の高い選定を妨げる要因となり得るとも考えております。
いずれにいたしましても、区といたしましては、父母会主体での仕出し弁当の提供に区が支援する形で行うことが現状では望ましいものと考えていることから、選定の仕様書に盛り込むことは考えておりません。今後とも、学童保育クラブを通じて、仕出し弁当の利用方法を周知するなど、父母会や学校、事業者との調整が円滑にできるよう、区として支援し、保護者の御希望に応えていくよう努めてまいります。
以上、お答えとさせていただきます。
○31番(上田あや議員) 御答弁ありがとうございます。
第5問、ランランひろばに関するアンケートの実施状況について再質問をいたします。
ランランひろばの利用日時及び利用期間の拡充につき、これまで直接的な設問はなかったと伺いました。また、次期子ども総合計画の策定に向け、区は今後基礎調査を行う予定と伺いました。
では、この基礎調査の中で直接的な設問を設け、区民に対してアンケートを取り、具体的な数でニーズを把握するべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○
青木英二区長 お話しのように現行の子ども総合計画は平成30年度に基礎調査を行いました。大きく3つに分けて、これから就学するお子さんをお持ちの親御さんに放課後どういうふうに御希望ですかねっていうことを聞いております。
それから、2つ目は、今いる、学校に通ってる皆さん方の放課後、どうですか。それから、私ども子ども条例で子どもの意見をしっかり表明する機会を持つということが大きな命題になっていますから、小学校、このときは5年生に放課後、どう過ごしますか、どんなことをしたいですかって聞いて、現在の計画ができているところです。今後どうするかっていうことについては、これから決定をしていくことになろうかと思います。
いずれにしても、今、明確に言えるのは、さっき申し上げた子ども条例、それから新たにこども基本法もできた。こども基本法の中でも、こどもの意見はしっかり聞くようにということも明記されていますから、お子さんの意見はしっかり聞いていかなきゃいけないなっていうのは大事な命題だと思います。
今ここで、私がまだ詰め終わっていませんので、こういうことです、ああですということは申し上げられませんが、次代を担う子どもたちが健やかに育つことができるための子ども総合計画ですから、そういったことを踏まえて、しっかりとした設問をしていきたいという、今日現在は、今のところはそこまでというのが私どもの立ち位置というふうに御理解をいただければというふうに思います。
○31番(上田あや議員) ありがとうございます。
第5問につき、再々質問をさせていただきます。
これまでのランランひろばの利用アンケートについては、私も保護者として毎年回答してまいりましたが、あくまでも放課後の遊び場としての満足度調査でした。利用日時や期間を拡充すれば、ランランひろばが学童保育クラブの代替となり得ると明示した上での需要把握集計を行ったことはないと認識しております。
これにつき明示した上で直接の設問を設け、区民ニーズを具体的な数で把握する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
以上です。
○
青木英二区長 今後どういった設問を次の子ども総合計画の中でつくっていくかということについて、今しっかり検討をしているところでございますので、いずれにしても、お子さんたちが、次代を担う子どもたちにとって資する、当たり前ですけど、資する調査をし、それを踏まえて、私どもとして総合計画をつくっていきたいというふうに思っているところでございます。
以上でございます。
○おのせ康裕議長 上田あや議員の一般質問を終わります。
本日は、これをもって一般質問を終わります。
残りの一般質問は、次の本会議で行うことといたします。
次の本会議は、明6月20日午後1時から開きます。
以上で本日の日程は終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
〇午後5時33分散会...