◎区長(山本亨) 議長
○議長(
樋口敏郎) 山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの
新型コロナウイルス感染症における区の組織的な対応に関するご質問にお答えします。 まず、
新型コロナウイルス感染症政策調整担当についてです。
区民生活を守る施策や経済対策については、国や都が実施している様々な支援策を効果的に活用するとともに、区独自の施策を検討し、速やかに実行することが必要です。そのための組織として、先月14日付けで副参事2名、職員5名の計7名で構成する「
新型コロナウイルス感染症政策調整担当」を
企画経営室内に設置しました。 本組織は、感染症の拡大により、
医療提供体制の不足や地域経済の低迷及び
区民生活への多大な影響が長期化する中、
区民生活を守る施策の強化を図るため、その対策を区民に分かりやすく、
政策パッケージとしてまとめ、全庁横断的に推進するための
プロジェクト組織としての役割や権限を担っています。 なお、
政策パッケージの骨子案については、今
定例議会で報告させていただきます。 次に、様々な支援制度などについては、国や都と連携を密にし、情報把握に努め、本区の実情に応じたきめ細かな対応ができるよう、積極的な活用を図っていきます。 次に、停滞不可避な業務の体制と十分な
感染症対策の確保についてです。 感染予防と事業継続のための在宅勤務の実施については、ご指摘のように、生活困窮に係る相談・申請など、急増した来庁者への窓口対応や感染症に係る
法令事務等の対応により、実施が困難な職場もあり、今後の課題であると認識しています。 そこで、この間の検証を踏まえ、在宅勤務や
ローテーション勤務の体制充実に向けた職場環境の整備を検討していくほか、職員に感染が広がった場合の
事業継続計画についても、早急に見直しをしていきます。 また、これまでも国や都の新たな政策に伴って急増する業務等については、適した人材を応援に充てるなどの対応をしてきましたが、今後もこうした体制を強化するとともに、私自身が先頭に立ち、
スピード感を持って体制を整備し、全庁一丸となって取り組んでいきます。
◆27番(木内清) 議長
○議長(
樋口敏郎)
木内清議員 〔27番
木内清登壇〕
◆27番(木内清) 第3の質問に、
感染症対応の影響による財政推計の変容について伺います。 国は令和2年3月、
新型コロナウイルス感染症対策の
基本的方針を発出しました。 第1弾として、政府一丸となって、予備費も活用して、緊急度に応じて順次施策を講じていくこととしました。本年度の
補正予算としては、4月30日には、過去最大の117兆円規模の
補正予算を成立させました。一律10万円の
特別定額給付金や
持続化給付金、実質無利子・無担保の融資を受けられるなどの施策が打ち出されました。 また、第2次として、
家賃助成等を含む31兆9,114億円もの
補正予算が検討されています。 また、東京都でも
感染症拡大を阻止する対策、経済活動と都民生活を支えるセーフティネットの強化、社会構造の変革を促し、直面する危機を乗り越える取組の三つを柱とする緊急対策を取りまとめ、
補正予算を計上しています。 東京都という都市を何としても守るという危機意識を共有しながら、
リーマンショック時の約1,861億円や
東日本大震災時の約1,374億円の緊急対策を大幅に上回る過去最大となる1兆円を超える緊急対策となりました。 以上のことから、国や都の緊急対策を今後区としてどう捉え、対処していくのか伺います。 また、景気が大きく下振れすることも予想される中、区の基本的な財源となる区民税や
財政調整給付金など、歳入の見通しを現時点でどう考えているのか。その上で、厳しい状況が予想できるが、区としての
行財政運営をどのようにしていくのか、区長に伺います。 続いて、昨年度策定した財政白書について伺います。 今後は、
新保健施設の建設や
曳舟文化センター及びすみだトリフォニーホールの大規模改修など、大きな予算が生じます。事業の見直しを大胆に行いながら、不断の
行財政改革をこれまで以上に進め、
アフターコロナを見据えた社会情勢に適応させる必要があると考えますが、区長の見解を伺います。 また、扶助費等、
義務的経費の伸びについても、どのように対処されていくのか、区長にお尋ねいたします。
◎区長(山本亨) 議長
○議長(
樋口敏郎) 山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの
新型コロナウイルス感染症対応の影響による財政推計の変容に関するご質問にお答えします。 まず、国や都の緊急対策をどう捉え、対処していくのかについてです。 この間、国や都の施策に的確に対応しながら、区民の生活と安全を守るため、
緊急対応予算として今
定例議会も含め、計4回の
補正予算を計上させていただきました。今般、国においては、第2次
補正予算で追加の経済対策を打ち出しており、都の対応も含め、区として的確に把握し、迅速に対応していきます。 歳入の見通しについては、ご指摘のとおり、今後は景気の悪化も予想され、企業収益の落ち込みも考えられることから、
財政調整交付金の大幅な減少を想定しています。現時点で減収の規模は予測できませんが、
リーマンショック時を上回る事態を想定する必要があると考えています。 厳しい財政状況が予想される中で、
区民生活を守る事業を優先させ、事業の見直しを徹底しながら、一層の
行財政改革と効率的・効果的な
行財政運営を行っていきます。 次に、財政白書についてです。 昨年作成した財政白書における財政推計では、令和7年度までに120億円の歳出超過を予想しており、さらに今回の影響を踏まえると、財政状況は大変厳しくなると見込んでいます。今後は、これまで以上に行政として担うべき事業の選択と集中を図り、
行政サービスや組織の在り方、業務の見直しなど、抜本的な
行財政改革に取り組み、効率的・効果的な区政運営を行い、将来にわたって持続可能で安定した財政基盤を構築していく必要があります。 白書で明らかになった扶助費の伸びなど、区の財政構造における課題や
アフターコロナへの対策についても、改めて財政推計を見直し、基本計画の改定や
次期行財政改革実施計画の中で検討を進めていきます。
◆27番(木内清) 議長
○議長(
樋口敏郎)
木内清議員 〔27番
木内清登壇〕
◆27番(木内清) 質問の第4は、
経済支援対策等について伺います。 まず、
各種支援策の利用状況と活用支援についてです。 現在、国、都、団体等から給付金、補助金、助成金、融資等が
申請事業者に入金され始めています。 本区は、区民及び
区内事業者の支援策の活用状況をどのように把握されているか伺います。 今回、支援が必要な方の多くは、各種支援の
申請手続きに慣れておらず、自分の業種が申請対象に該当しているかも分からないといった状況も散見されます。今後も新たな支援策が打ち出されていくことが予想される中、制度の十分な周知と活用を勧奨することは事業の継続、地域活性、ひいては区民の生命・財産を守ることに直結します。区として、さらにどのように取り組もうとお考えか、区長に伺います。 次に、
アフターコロナを見据えた地域経済の活性化について伺います。 都内の祭礼やイベントが軒並み中止となりました。
地域イベントの主催者は、来年に向けた取組を検討するとともに、
ウェブ会議ツールなどを活用して疑似的なお祭りの開催検討や、小規模な代替イベントなどを模索していると仄聞しています。 来年以降の集客につなげるような取組は、経済を元の状況に戻していくこと、地域力の強化と人材育成にもつながります。こうした意欲のある人材や動きをサポートすべきと考えますが、区長の所見を伺います。 この質問の最後に、定額給付金などを活用した区内での消費拡大、経済効果を発揮していく方策を現時点でどのように考えているのか伺います。 例えば
リーマンショック後の定額給付金支給時のプレミアム商品券発行など、同様な対応はお考えにないのでしょうか。今後の経済対策も含めて伺います。
◎区長(山本亨) 議長
○議長(
樋口敏郎) 山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの
経済支援対策等に関するご質問にお答えします。 まず、区民及び
区内事業者の支援策の活用状況をどのように把握しているかについてです。 現在、区民の方への支援については、
特別定額給付金が6月10日現在で1万1,448件の給付、住居確保給付金が5月31日現在で301件の申請、社会福祉協議会で実施している緊急小口資金等の特例貸付が6月3日現在で2,203件の申請がありました。
区内事業者への支援については、
新型コロナウイルス感染症緊急対策資金のあっせん件数は6月8日現在で1,692件となっています。このうち主な業種としては、卸売・小売業・飲食店が634件、製造業が455件、サービス業が321件となっています。 次に、区としての
各種支援策に対する制度の十分な周知と活用勧奨についてです。 6月5日に、新たに電話相談窓口「コロナなんでも相談室」を開設し、区民一人ひとりの状況を丁寧に伺い、その方に適した支援策や窓口のご案内を行っているところです。 今後も、国や都の支援策を適切に把握し、区の施策も併せて区報やホームページなどを通じ、情報発信を強化するとともに、区民や事業者の皆様へ確実に支援が行き届くように努めていきます。 次に、地域経済の活性化についてです。
地域イベントの主催者へのサポートとして、イベント等が開催しやすくなるよう、公共空間における制限の在り方を見直していくことや、ケーブルテレビ等の情報発信媒体での広報を支援することで地域の活動を活性化していきます。 さらに今後は、墨田区観光協会が地域の中で個々の取組をつなげ、小さな活動の魅力を掘り起こし、発信していくことも重要になると考えます。そのためには、区として協会が地域に根差した意欲ある方々の取組を機動的に推進できるよう支援していきます。 次に、区内での消費拡大、経済効果を発揮していく方策を含めた今後の経済対策についてです。 様々な対策を進めている現下の状況において、まずは事業継続のための融資や各種相談の体制を十分に整え、事業者を支えていきます。 今後、区民の生活様式も移動の制限、人と人との距離の確保、アルコール消毒やマスクの着用が日常となるなど、変化していきます。そこで、こうした変化に対応した区内の消費拡大を含めた今後の経済対策については、リスクをチャンスとして捉えられる機運の醸成につながる産業振興施策の実施という視点を持って、ご指摘のあったプレミアム付商品券の発行を含め、検討していきます。
◆27番(木内清) 議長
○議長(
樋口敏郎)
木内清議員 〔27番
木内清登壇〕
◆27番(木内清) 質問の第5は、基本計画と今後の
感染症対策との関係について伺います。 今年度は、基本計画の中間改定年です。しかし、そもそもこの計画は東京2020大会の開催前と開催後を見据え策定されていることから、大幅な変更もやむを得ないと感じています。 現状を踏まえて改定作業のスケジュールを見直すべきではないでしょうか。現時点の考えを伺います。 また、後期基本計画においては、
新型コロナウイルス対策(
アフターコロナ)についても取り上げるべきではないかと考えますが、区長の所見を伺います。 併せて、人口推計についても、今後、生活様式や価値観が変わり、都心回帰の傾向に変化が出てくる可能性もあることから、それらをできるだけ反映できるようにすべきと考えますが、所見を伺います。
アフターコロナの社会は、私たちが経験したことのないような価値観の変容や産業の変動を促すと考えられます。区として、情勢やニーズを細かく分析しながら、
区民生活に寄り添い、具体的な施策を迅速に展開すべきと考えますが、区長の強い決意をお聞かせください。
◎区長(山本亨) 議長
○議長(
樋口敏郎) 山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの墨田区基本計画と今後の
感染症対策との関係に関するご質問にお答えします。 まず、基本計画の改定作業のスケジュールについてです。 平成28年6月に策定した墨田区基本計画については、本年度末で前期5年の期間が終了することから、中間改定を予定していました。しかしながら、
新型コロナウイルスの感染拡大という事態を受け、区財政における歳入環境が極めて不透明となり、財政推計等が困難となっていること、さらには感染の拡大防止や
区民生活の再建及び地域経済対策に優先的に取り組む必要があることから、改定を1年延期します。 次に、後期基本計画における
アフターコロナへの対策の反映についてです。 今年度、緊急的に取り組む施策やコロナ後の課題への対応により、すみだの未来につなげる施策を整理し、
アフターコロナを見据えた「
新型コロナウイルス感染症政策パッケージ」を策定しますので、この考え方について議会のご意見を踏まえ、後期基本計画にも反映させていきたいと考えています。 次に、人口推計についてです。 昨年11月議会でお示しした将来人口推計は、
新型コロナウイルス感染症の影響で分析結果についても変化が生じる可能性があると考えます。そこで、令和3年4月を目途に、改めて人口変動要因などのデータを分析した上で、再度、将来人口推計を行います。 次に、
新型コロナウイルス感染症対応への私の決意ですが、感染拡大により
区民生活や地域経済に多大な影響が生じています。今後、第2波が予想される中で、感染拡大を抑え込むことにより、区民の命を守ること、そして区民の生活や経済活動をしっかり支えるための新たな施策を早急にまとめ、様々な課題への大胆な挑戦により、新しい生活様式が定着したすみだの未来につなげていく覚悟を持って取り組みます。
◆27番(木内清) 議長
○議長(
樋口敏郎)
木内清議員 〔27番
木内清登壇〕
◆27番(木内清) 質問の第6に、
感染症拡大における要配慮者支援について伺います。 まず、高齢者支援について伺います。 外出自粛が叫ばれる中、新しい生活様式によって心身の活力が低下し、要介護度が進むことなどが懸念されています。ほかにも最悪のケースとして、人との接触が制限されたことによって、本区においても高齢者の孤独死が一層深刻化してはいないでしょうか。 以前から地域の町会・自治会、各種団体が、それぞれの立場で高齢者を支え、見守る活動が進められておりますが、今回の事態が加わって、さらに地域との関わりが孤立した状態で、直接感染はしなくとも心身の健康に影響を及ぼすような二次被害も増えてはいないでしょうか。見守りの弱体化を大変心配しています。 社会から孤立しがちな高齢者が何を望み、何が必要なのか、孤独感を解消するにはどうしたらよいか、生きがいを感じるものは一体何か、見守る側が動きづらいこの機会を捉えて、新たな生活様式の中での高齢者の見守りを強化するために、本区はどのように取り組まれるのか、伺います。 次に、妊婦の方への支援について伺います。 令和2年度の予算特別委員会でも、感染症の影響で大きな不安を抱かれている妊婦の方々へのケアや安心に結び付く施策を要望しました。 今回、「妊娠中の皆さんへ」という区の特設サイト開設は、大変分かりやすく、高く評価しております。引き続き、不安解消に向けた取組や産後ケアの受入れ先拡充など、区の対策を伺います。 この質問の最後に、避難所開設について伺います。 避難所開設マニュアルの整備等の具体的な内容についての質問は、我が会派の一般質問で触れますが、感染症の危険性を考えますと、従来の避難方法も考え直さなければならないと思います。各避難所へサーモグラフィーの導入や非接触式の検温器も配備する必要も出てくるのではないでしょうか。飛沫対策にテントを設置するのも方策の一つとして挙げられるのではないでしょうか。当然、自宅での安全確保が可能な方は、感染リスクを負ってまで避難所に行く必要はないと思います。この点についても、正しい理解と周知することが重要だと考えます。 しかしながら、万が一の災害に備えて、高齢者や妊婦、障害をお持ちの方々などの要配慮者の避難所として、区内のホテルや施設と協力協定を拡充していくなどの対策も必要ではないかと考えますが、区長の見解を伺います。
◎区長(山本亨) 議長
○議長(
樋口敏郎) 山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの
感染症拡大における要配慮者支援に関するご質問にお答えします。 まず、高齢者の支援についてです。 外出の自粛要請の中、高齢者も自宅で過ごす時間が長くなり、筋力低下や心身の活力低下が危惧されていますが、孤独死については、この間、顕著な増加は見られませんでした。 今回の
緊急事態宣言期間中も高齢者が孤立しないよう、高齢者みまもり相談室では、安否確認や健康状態の確認を訪問から電話等に変え、行ってきたところです。 社会から高齢者が孤立しないためには、新しい生活様式の中で、
感染症対策を講じながら、今までどおり地域の協力をいただき、見守り活動を継続していきます。また、身近な仲間同士による見守りも大切と考えますので、通いの場や地域活動を再開し、促進させる支援を行っていきます。 次に、妊婦の方の不安解消に向けた取組です。 現在、育児パッケージの配布の際に、妊婦の方に電話や面接を行い、現在の状態をお聞きするなど、必要な支援を行うとともに、区報やホームページの特設サイトなどを通して、不安解消に努めています。 産後ケアの受入れ先拡充については、現在の宿泊型の産後ケア施設4か所に加え、区内の産婦人科病院が新たに6月から開始していただけることになりました。今後も拡充に努めるほか、制度の周知を図り、産前産後の切れ目のない支援を行っていきます。 次に、避難所開設についてです。 避難所を開設する際に必要な
感染症対策に関する備品や避難所の運営方法等については、早期に方針を決定し、優先順位を決めて計画的に整備します。 また、災害時については、避難所への避難だけではなく、自宅で安全を確保できる場合には在宅避難を選択するなど、区民の皆さんにホームページ等を活用して避難方法の正しい理解と周知を徹底します。 最後に、ホテル等との協力協定については、既に区内の複数のホテルや施設と様々な形態で協定を締結していますが、今後も要配慮者の避難所も含め、どのような連携が可能か、各事業者等と協議していきます。 以上で、
自由民主党・令和、木内議員の私へのご質問に対する答弁を終わります。
◆27番(木内清) 議長
○議長(
樋口敏郎)
木内清議員 〔27番
木内清登壇〕
◆27番(木内清) 質問の第7に、児童・生徒の学習権の保障とオンライン授業等について伺います。 区立小・中学校の児童・生徒への
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、3月2日から5月31日まで臨時休業が続いていました。その結果、学校におけるクラスター感染をはじめとする感染拡大が防止され、子どもたちへの大きな被害が食い止められたことは評価するところであります。 さてこの間、児童・生徒は、学校から教材を受け取って自宅で学習したり、また学校からの指示を受けて様々な家庭学習を行ったりしていたと仄聞しております。 そうは申しましても、日々の授業が行われていない現状では、授業と同様の進捗で子どもたちの学力向上を図ることは難しかったのではないかと思われます。 当初は3月の1か月間だった臨時休業が、5月末までの3か月間の長期に及ぶことになりました。児童・生徒にとって生活リズムが崩れ、学習に向かえないことや、当初配った教材では十分足りていなかったなどの事態があったのではないでしょうか。また、家庭学習の内容については、新たな学習ではなく、既に学習した部分の復習に終始しているということはなかったでしょうか。 新年度の学習指導要領に基づく新単元の授業や学習は、家庭学習で児童・生徒全てに行われたのでしょうか。 今後このような事態を想定して、復習するだけでなく、予習も組み込んでいく必要があるのではないかと考えますが、教育長の見解を伺います。 次に、学校での授業が再開されたことについて伺います。 3か月間、授業が行えなかったことにより、この分の学習の遅れを取り戻していかなければなりません。 児童・生徒が1年間に学習する内容は、学習指導要領で定められていますが、今年度に入って既に2か月の日数が減っています。子どもたちの負担が大きくならないように工夫しながら、決められた単元の授業を行う必要性とともに、年度末までの授業日数のバランスに配慮した学習計画も健やかな子どもたちの学習環境を整える上で重要であります。 このことから教育委員会では、今年度の学習スケジュールをどのように組み立てていこうと考えているのでしょうか。 さらに、小学校低学年、特に1年生児童の対応や、児童・生徒の学力の格差が生じないよう、最大限に学びを保障するため、少人数編成や子どもの学習定着度に応じた対策等を可能とする教員加配、学習指導員、スクールサポーター等の人材確保も必要ではないかと考えますが、併せて見解を伺います。 また、昨年度末から今年度当初の臨時休業の影響で、いまだ実施できていない学校行事やイベントがあります。例えば夏休み前までに予定していた運動会、5月から順次始まるあわの自然学園での校外学習活動、中学校の修学旅行や、オーストラリアへの海外派遣事業の代替などが延期の取扱いになっています。これらの行事等は、いずれも子どもたちが大変楽しみにしているものばかりであり、できる限り実施していただけるよう、我が会派としても改めて強く要望いたします。 現時点での考え方をお示しください。 最後に、オンライン授業に向けた環境整備について伺います。 令和5年の計画を前倒しで、本区ではオンライン授業や家庭学習支援のため、小学校4年生の児童から中学校生徒に1人1台、9月頃を目標にタブレット端末を配布する予定となっています。臨時休業中の授業の試みとして、先日、「ガイアの夜明け」で取り上げられた桜堤中学校のモデル事業は大変興味深いものでした。引き続き、こうした取組をどのように他の区立学校でも展開されていくおつもりか伺います。 併せて、ロイロノートスクールという学習支援アプリの活用についても、全学校で行っていくのか伺います。 また、オンライン授業導入に向けて、教員の研修を徹底していただくよう要望いたします。 以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
◎教育長(加藤裕之) 議長
○議長(
樋口敏郎)
加藤教育長 〔教育長 加藤裕之登壇〕
◎教育長(加藤裕之) ただいまの
自由民主党・令和、木内議員のご質問に順次お答えします。 児童・生徒の学習権の保障とオンライン授業等についてです。 まず、臨時休業期間中の児童・生徒の生活リズムと、当初配布した教材についてです。 ご指摘のとおり、臨時休業が長期に及んだため、一部の児童・生徒には、生活や学習習慣のリズムが乱れ、家庭学習を進めにくいという実態がありました。 そこで学校では、3月の休業の当初から4月にかけて、担任教員等が週1回程度の定期連絡を行い、その後、5月に入り、定期連絡に加え、家庭学習の1週間ごとの計画表を配りました。また、登校可能日には、子どもの個別状況に応じた指導を行うなど、生活リズムや学習に向かう習慣が維持されるよう指導してきました。 また、教材の不足が見られた際には、随時教材を追加配布したほか、eラーニングや動画等の学習支援サイトを活用したり、学校ホームページで新たな課題を提示して、児童・生徒の学習状況に合わせて家庭学習を行えるよう指導しました。 次に、臨時休業中の家庭学習の内容についてです。 3月中は、学年の復習を中心とした教材を配布し、学習課題を提示しました。4月以降は、全ての児童・生徒に対し、前学年の復習とともに、新年度の教科書を活用した学習課題を提示して、新学年の単元学習を可能にしました。 次に、今後の事態を想定して、復習のほか予習も組み込む必要性についてです。 ご指摘の予習は大変重要なことと認識しており、「墨田区学力向上新三か年計画」第2次で策定しているところでもあり、児童・生徒が授業内容を予習する習慣を身につけることができるようにするとともに、新たな臨時休業の事態に備え、動画や学習支援サイト等の学習環境を整備して、予習を行っていけるよう、家庭学習の充実を図っていきます。 次に、今年度の学習スケジュールの組立てについてです。 臨時休業中に新学年の教科書を活用した家庭学習内容は、学校再開後に、その学習達成状況を確認し、必要に応じて個別に補充指導を行い、授業の一環として取り扱っていきます。 学校再開後の授業は、児童・生徒同士の関わり合いが必要な学習や、学校でしかできない実習などを中心に行い、家庭学習では、個別学習が可能な内容を学校での事前・事後の指導に基づいて授業の一環として取り扱っていきます。 このように学習の重点化を図り、学校と家庭での学習を合わせて指導計画に位置付け、ご指摘のように、子どもたちの負担が大きくならないよう工夫し、健やかな子どもたちの学習環境を整え、授業を進めていきます。 次に、最大限に学びを保障するための支援体制についてです。 今後も
感染症対策の徹底と同時に、児童・生徒の学びを保障していく人材確保としては、勤務時間数の上限が増加された時間講師の活用や、学校支援指導員の勤務期間の延長、スクールサポートスタッフの追加配置を進めるとともに、非常勤教員や再任用教員の勤務日数の割振りを調整し、補習等の指導に従事させるなどし、小学校1年生を含めた低学年の対応や学力の格差が生じないよう、学びの充実を図ります。 次に、学校行事やイベントについての現時点の考え方についてです。 学校で実施する行事は、児童・生徒の様々な体験活動を通して心を育て、よりよい人間関係を形成する上で大切な活動です。今後の状況により、延期又は中止とする場合もありますが、現在のところ、規模の縮小や内容の変更も検討しながら、できる限り実施する方向で考えております。 次に、オンライン授業に向けた環境整備についてです。 これまで、小学校、中学校1校ずつをモデル校に指定し、ICTを活用した授業を先進的に行っています。ここで得られた人材・ノウハウを生かし、今後も1人1台体制に向けてモデル校を拡大していきます。 夏休みに向けて、まずは中学3年生をはじめに、桜堤中学校で使用している授業支援アプリ等を活用した家庭学習について、全中学校での展開を進め、モデル校で経験を積んだ教諭が他校の教諭に直接ノウハウを伝える仕組みをつくり、スムーズな導入を目指していきます。 最後に、オンライン授業に向けた教員の研修についてです。 導入目的を含め、意識啓発とともに効果的な活用を図るため、全ての教員に研修を計画的に実施していきます。 以上で、
自由民主党・令和、木内議員のご質問に対する私の答弁を終わります。
-----------------------------------
○議長(
樋口敏郎) 議事の都合により、暫時休憩いたします。 午後1時59分休憩
----------------------------------- 午後2時15分再開
○議長(
樋口敏郎) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 一般質問を続けます。 29番、加納進議員
◆29番(加納進) 議長
○議長(
樋口敏郎) 29番、加納進議員 〔29番 加納進登壇〕(拍手)
◆29番(加納進) 墨田区議会公明党の加納進でございます。 質問に入る前に、
新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご家族の皆様へお悔やみを申し上げます。また、現在治療中の方々に対し、一刻も早いご回復をお祈り申し上げます。さらに、
医療従事者をはじめ感染のリスクと戦いながら社会生活維持のために働かれている全ての方に感謝の意を表するものでございます。 それでは、質問に入らせていただきます。 今回は、
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響並びに対応と対策について、一括して山本区長、
加藤教育長に質問いたします。 初めに、各種計画策定の考え方についてお聞きいたします。 本年度は、基本計画の中間の見直しを含め20もの各種計画の改定を控えています。法令を根拠に策定が義務付けられた計画、努力義務の計画、任意計画に分類されますが、それぞれ策定には十分な時間を掛け、これまでの評価・検証並びに調査及び検討が求められます。 他方、
新型コロナウイルスの対応による事務量の増大や会議の開催の在り方などの課題が出ており、
緊急事態宣言が解除されたとはいえ、今後の感染拡大の状況によっては策定が困難になることも予想されます。 先ほど基本計画について区長は、1年間繰延べすると明言されました。会派としてその考えに同意するものですが、今後数年間は厳しい財政運営が予想されることから、既存事業の見直しを含め、前期5年間の総括が大変重要であります。したがって、総括・検証・評価に関しては、必要に応じ今年度から実施するべきと考えますが、スケジュール、議会への報告について区長の見解を求めます。 また、これに関連し、基本計画前期5年の最終年であり、“夢”実現プロジェクトの成果が目に見える形になることを前提に、去る2月5日に山本区長が述べた令和2年度の施政方針は、コロナ禍の中で大幅な景気の悪化が見込まれること、主要事業の先送りや見直しが余儀なくされることが想定される現在にあっては、その内容が根本から変わったと言ってよいと思います。
新型コロナウイルスと戦い区民の命と生活を守り、区内の中小・小規模事業者の経営の安定化のために何をなすべきかといった区長の所信を盛り込み、改めて令和2年度の施政方針を発表するべきと考えます。 その他の計画についてですが、事前のヒアリングでは、昨年度に基礎調査を行い、既に委託先と契約しているなど、計画策定に特段の問題がないものもあれば、基本計画との整合性が求められるものもあり、所管で調整するとのことでした。 それぞれ重要な計画であり、拙速にまとめることは許されません。既存計画の改定に当たり、今後のスケジュールについて整理・調整し、早期に所管の常任委員会で報告することを求めるものですが、区長の見解をお聞きいたします。 また、計画策定に限ったことではありませんが、
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、附属機関や計画策定のために設置される会議の開催方法に関し課題が出てきました。例えば4月30日に議決された墨田区国民健康保険条例の改正に当たっては、本来国保運営協議会の審議が必要ですが、職員が審議に代わるものとして書面により説明し承認されたと伺いました。しかし、墨田区国民健康保険運営協議会規則には、感染症や大災害などの非常時における書面による会議について規定されていません。 今回を機に、附属機関等の会議、外郭団体の理事会、評議員会の非常時・緊急時における会議の在り方について、書面等による会議が安易に行われないよう配慮した上で、規則、定款に盛り込むべきと考えますが、区長の所見を伺います。 次に、デジタル・ガバメントの推進について伺います。 今回、
新型コロナウイルス感染症対策として実施された
特別定額給付金のオンライン申請により、電子行政に関する多くの課題が浮き彫りとなりました。
緊急事態宣言後の3密回避が叫ばれる中、マイナンバーカードの申請や暗証番号の再設定等の手続により、区役所の窓口が大変混雑するという事態となりました。暗証番号の再設定については、全国で申請が殺到し、連日にわたりシステムダウンとなる障害が起きたため、本区では、申請に訪れた区民から必要な資料を一旦預かり、処理した後に郵送するという対策が取られました。 また、マイナポータルでのオンライン申請では、書類不備のまま申請が通ってしまうことや、1人が複数回申請できてしまう等、システム自体の問題が指摘されています。これら書類不備や重複等の状態のまま区に届いた情報は、区役所において確認作業や突合作業が行われ、大変な労力と時間を要することとなりました。これらの不備により、40余りの他の自治体ではオンライン申請の中止を決定しています。私どもにも区民の方々から、「オンライン申請が非常に分かりづらい」という多数の声が届いています。 当初、政府はオンライン申請を推奨し、世間ではオンライン申請は早く支給されるとのイメージが広がりました。しかし、実際は各自治体において手作業による確認や突合作業が必要となり、支給までの時間が郵送申請以上に掛かることもあると報道されています。 これらの問題を踏まえ、4点にわたり区長に質問いたします。 第1に、
特別定額給付金オンライン申請についての課題や問題点を区としてしっかり総括すべきということです。 国は昨年、デジタル手続法を公布・施行し、デジタル・ガバメント実行計画が閣議決定され、「利用者のニーズから出発する「すぐ使えて」、「簡単」で、「便利」な
行政サービス」を計画に掲げています。しかし、今回のオンライン申請は、利用する区民、そして行政にとっても煩雑で効率が悪いと不評です。 今回明らかとなったマイナポータルの欠陥等を現場で集約し、特別区長会等で取り上げ、国に対してシステムの早期改修を要請するべきです。区長の所見を求めます。 本区の電子自治体の取組では、行政内部の効率化、住民サービスの向上、情報インフラの構築・活用を目標とした墨田区行政情報化推進計画を定めており、来年度から新たな計画となります。 第2の質問は、この計画について、今回のオンライン申請での総括を踏まえた見直しを行い、区民が利用しやすい
行政サービスとは何かを真剣に考え、区としてこれからの電子自治体の具体的な目標を示すべきであります。区長の所見を伺います。 この質問の3点目は、本区における行政手続オンライン化の更なる拡充についてです。 平成30年第1回定例会において私は、マイナポータルの活用と広報、マイナンバーカードの普及促進について質問いたしました。 現在、本区では、妊娠届、児童手当申請や認可保育施設の証明書印刷等、主に子育ての分野でマイナポータルによる電子申請等が導入されており、そのことについては評価するものですが、利用実績は多くありません。 今回のことで、行政のオンラインサービスに対する区民の関心も高くなっています。今後、
新型コロナウイルスの感染対策と経済活動を並行して行う新しい生活様式の中で、行政のオンライン化が進み、少しでも感染リスクが軽減されることが期待されます。キャッシュレス化も含めた行政手続オンライン化の更なる拡充と利用向上に向け、改めて検討し、推進すべきではないでしょうか。区長の所見を伺います。 この質問の最後は、マイナンバーカードの普及促進についてです。 電子行政の推進に伴い、マイナンバーカードの普及が必要となります。しかし、本区のマイナンバーカード交付率は、4月30日現在で20.3%であり、普及促進に向けた新たな対策を講じるべきではないでしょうか。 兵庫県姫路市では、マイナンバーカードを活用した券面情報による申請書自動作成サービスにより、窓口の手続を簡素化し、市民の利便性向上と事務の効率化が実現しています。ほかにも健康ポータル、選挙の入場受付など、自治体独自の工夫でマイナンバーカードを活用し、様々な取組が行われています。 平成30年第1回定例会の私の質問に対し、区長は、「区民がマイナンバーカードを使用して制度の利便性を実感することは、カードの普及につながる重要な視点です」と答弁されました。 子育ての分野だけでなく他の分野においても、マイナンバーカードを活用した取組を拡充し、区民の利便性を向上させるべきと考えます。区長の所見をお伺いいたします。 次に、
新型コロナウイルス感染症予防対策について伺います。 予防に効果がある衛生的手洗いとして、手指消毒とともに石けんと流水による手洗いが推奨されていますが、意外と盲点になっているのがトイレ、洗面所の水栓の種類、形状です。 区役所1階など、自動水栓化されているところもありますが、公共施設はまだ回転型が多数を占めているのではないでしょうか。十分に手洗いした後に蛇口を触ってしまっては効果が失われてしまいます。 そこで、この機会に学校等の教育施設、保育園等の児童施設、障害者、高齢者施設も含め、公共施設の総点検を行い、優先順位をつけ、非接触型自動水栓への交換を進めていくべきであると考えます。レバー式も考えられますが、その場合は指先で触れないなどの指導を徹底する必要があります。 また、各家庭、事務所に対しても、手洗い後に蛇口に触れない、あるいは蛇口も併せて洗浄するよう啓発することを求め、この件に関し区長の見解をお聞きいたします。 また、これに関連し、私立の福祉施設も含め、社会生活維持のために欠かせない事業や対面式のサービス等を提供している民間事業者を対象として、感染予防、拡大防止のため、今申し上げた自動水栓や飛沫感染防止アクリル板、フェイスシールド、高機能の換気扇や空気清浄機、サーモカメラなど、新しい生活様式対応型投資に要する経費の一部を補助する制度の創設を求めます。 さらに、2月議会から私は指摘していますが、介護・障害者の通所施設の多くは収益が減少しています。この国の
持続化給付金の対象になれば一部補填されることになりますが、施設規模によっては十分ではありません。早急に調査の上、運営費補助の制度も設けるよう求めます。臨時交付金の活用や国・都の第2次
補正予算の活用も含め、区長の見解を伺います。 次に、避難所における3密対策について伺います。 梅雨期に入り、台風の季節を控える中で、豪雨や地震などの災害が発生した場合の避難所における
新型コロナウイルス対策は、全ての自治体にとって喫緊の課題と言えます。 内閣府などは4月、避難所での
新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、自治体に対し、技術的助言を発出しました。その中で、避難所での密集を避けるため、避難者が分散できるよう、通常よりも多くの避難所を設置するとともに、避難所内の十分な換気や、発熱している人がいる場合の専用スペースの確保などを求めています。 昨年、台風15号、19号で甚大な被害が出た千葉県南房総市は4月、市の避難所運営マニュアルを一部改定し、学校における受入れ数を従来の2分の1から3分の1とした上で、親戚や知人宅への分散避難を呼びかけています。 墨田区においても、指定避難所の再点検を実施し、収容人数の見直しを図り、指定避難所以外の避難所の開設を検討するとともに、ホテルや旅館などの宿泊施設の活用も視野に入れ、区内の宿泊事業者と協議に入るべきと考えますが、区長の所見を伺います。 また、避難所の備品として、発熱などの症状の早期発見のためのサーモグラフィーカメラや仕切りとしてのアクリル板や段ボール、またウイルスがほこりとともに床に滞留した場合の感染予防対策としての段ボールベッド、さらにマスクや消毒液などの衛生用品に加え、陽性者が発生した際の防護服やフェイスシールドなど、避難所の備蓄品に関し早急な見直しが求められます。 既に検討を開始していると伺っていますが、東京都の第2次
補正予算の中で小・中学校におけるサーモグラフィーカメラやアクリル板の購入費補助が計上されていることから、こうした都の補助なども活用し、早期の調達が必要なものと、時間を掛け調達するものに分け、計画的に備蓄物資を整備するよう求めるものですが、区長の見解を求めます。 以上申し上げたことを踏まえると、区の避難所運営マニュアルの改定、もしくは
新型コロナウイルス感染症への対応をマニュアルに追加するべきだと考えます。その場合、地域防災拠点会議等を通じ、各町会への情報発信や共有、訓練の呼びかけを行うことともに、分散避難の考え方を広く区民に啓発する努力も求められます。避難所運営マニュアルの見直しについての区長の見解及び見直す場合のスケジュールについて伺います。 次に、学校再開後の教育活動についてお伺いいたします。 新型コロナ感染症の影響で、我が国における公教育の課題が浮き彫りになりました。 第1に、日本では公教育における学びの場は学校が主であり、休校はそのまま学びの停止につながるということ。 第2に、全世界同時コロナ禍の中、オンライン教育先進国の児童・生徒と日本の児童・生徒との間で教育機会の格差が広がっていること。さらにはオンライン授業の活用が進んでいる私立学校と公立学校との間でも、同じように教育機会の格差が広がっていること。 第3に、2018年のOECD調査では、日本がOECD加盟国の中で教育分野におけるICTの活用が最も遅れている国であるとともに、教員のICTを活用した授業スキルは最下位であること。その一方、子どもたちがICTを活用し、SNSやゲームをする時間では関係国でトップという結果から、青少年期におけるICTの活用は、「遊び」が主で「学び」はないという実態が明らかになりました。 こうした課題を目の当たりにする中で、改めてICTを活用したオンライン教育の必要性を強く感じます。そこで、教育長に質問いたします。 第1に、ICTを活用した教育ビジョンについてです。 現在、経済産業省と文部科学省等では、連携してグローバル社会に対応できる新たな人材育成の必要性から、新たな教育改革「未来の教室」を推進しています。「未来の教室」では、ICTを活用し、個々の習熟度や認知能力の違いに応じて、自立した自学自習及び個別に最適化された学習を目指す教育改革を推進しています。 確かにグローバル社会の中で活躍できる人材を育成するために、ICTを活用し、各教科横断的に連携した複合的な学びの場を提供することは、これからの教育においては極めて重要な視点だと認識します。しかし、基礎的学力の習得から応用を中心とした義務教育期間中に、ICTを活用し、教科横断的に個別的な学習を主とした教育改革を進めるというビジョンは、幾つか賛同できる点もありますが、自立的学習の実施など課題があると思っています。 「未来の教室」について、教育長の所見と墨田区の目指すICTを活用した教育ビジョンについて、所見を求めます。 第2に、ICT教育環境の整備について伺います。 国は、GIGAスクール構想の前倒しを決め、墨田区でも小学校4年生以上の児童・生徒に1人1台タブレット端末が配布される
補正予算が可決成立し、現在準備が進んでいます。 過日開催された地域子ども文教委員会では、配置されたタブレットやWi-Fiについて、中学校3年生、そして小学校6年生を中心に、また自宅にICT環境が整っていない児童・生徒を最優先して配置していくとの答弁がありましたが、配置された学年からタブレットを活用した授業や家庭学習をスタートできるでしょうか。配置ができない学年や世帯に対しては別の方法でサポートするなど、動き出しながら推進するべきと考えます。先行して実施することにより事前に必要な準備等を共有化することで、その後、順次配置される各学年でのスタート時に大いに役に立つと思います。教育長の所見を求めます。 次に、ICT教育を推進する教員のICT環境の整備とモチベーションについてです。 墨田区はICTを活用した授業については先進区と言えますが、今回のコロナ禍によりICTを活用した学習は、フェーズが大きく変化したと言えます。そこで、今後の展開を含め、改めて教員のICT環境を調査し、必要に応じソフト、ハードを含めた環境の強化を図るべきと考えます。 また、教員の皆様には、休校時であっても学びを止めずに教育を推進するにはどうすればよいのか、これからの時代、子どもたちにどのような力をつけてほしいのかといった問題意識を共有し、ポジティブ思考で取り組んでいただけるよう丁寧な推進を求めます。教育長の所見を伺います。 次に、教員の皆様をサポートするために、教育委員会の中にプロジェクトチームを設置するよう提案します。 各学校にはICTの得意な教員や興味を持っている教員もいらっしゃると思います。学校内ではなく教育委員会に設置することで、各学校で発生している課題も共有でき、課題解決に向けた様々な提案も可能です。さらには、オンライン教育ソフトの提供会社スタッフも交え、戦略的なプロジェクトチームを設置し、各学校の支援をサポートできる体制を整えることで、よりスピーディーにICTを活用した教育体制が推進できるのではないでしょうか。場合によっては、情報経営イノベーション専門職大学にも入っていただくことで、先進的な取組も可能になると考えますが、教育長の所見を伺います。 第3に、オンライン授業について伺います。 GIGAスクール構想では、学校現場におけるICTの活用が主で、家庭学習での活用やオンライン授業については踏み込んでいません。 過日の地域子ども文教委員会では、配置されたタブレット端末の活用方法について、まずは授業での活用、次に家庭学習での活用を図ると答弁がありましたが、オンライン授業までは言及がありませんでした。しかし、現下のコロナ禍の中で、第2波の到来も想定した場合、オンライン授業の実施について教育長の所見を伺います。 次に、オンライン教育を推進する上で課題となる子どもの非認知能力について伺います。 約2か月にわたる休校期間中、「ゲームやSNSばかりやって子どもの寝る時間が遅くなった」、「親が何度言っても勉強しない」など、保護者から子どもの生活習慣に関する相談も数多くありました。 家庭では学校と違って、遊んでいても寝ていても自由。時に親が厳しく叱って勉強させても持続には限界があります。したがって、子どもの自身をコントロールする力、非認知能力を高めていくことも大事な要件となってきます。 非認知能力に詳しい発達心理学が専門の森口佑介京都大学准教授は、非認知能力を高める上で、家庭環境とともに幼児教育の期間中に教育プログラムに入れることが大事であると指摘しています。 墨田区でも子ども・子育て支援部と連携し、幼児教育だけでなく、保護者向けの幼児教育セミナー等も開催し、幼少期における非認知能力の向上対策について強化を図るべきと考えます。教育長の所見を伺います。 次に、オンライン授業の実施方法です。 オンライン授業には、録画した授業動画を配信する録画型とライブで配信するライブ型があり、区が実施しているeラーニングや、先日テレビで紹介されたモデル校での取組は録画型にあたります。自分の好きな時間に学習でき、分からない部分を繰返し視聴できるのがメリットです。デメリットとして、誰の監視下にもないため子どもの集中力が散漫になってしまうことも指摘されています。 一方、ライブ型はリアルタイムでチャットを活用し、教員や友達と質疑応答や意見交換、資料の共有が図れることから、アクティブ・ラーニングの実践にも効果的です。さらに、お互いの顔が動画で確認できるので、子どもたちの様子が掌握できることも大きなメリットです。ただ、参加者全員の通信環境が安定していることが条件で、映像や音声が途切れてしまえば授業の妨げになることも想定できます。 それぞれ一長一短ありますが、私は基本的にはプリント学習も含め、教科ごと、教科課程ごとに録画型、ライブ型をうまく組み合わせて取り組むべきと考えます。 ただし、小学校については、今年度、新学習指導要領が改訂され、「主体的、対話的な学び」としてアクティブ・ラーニングが推進されることから、是非ともライブ型のオンライン授業について推進すべきと考えます。教育長の所見を求めます。 ICTに関する質問の4点目に、就学援助世帯における準要保護世帯に対する通信料支援について伺います。 厚生労働省では、生活保護世帯に対し、ICT教育を推進する上で通信費を全額補助すると決定しましたが、就学援助を受けている準要保護世帯は対象外となっています。こうした通信料についても、区が全額補助すべきと考えますが、教育長の所見を求めます。 最後に、受験生支援について伺います。 来年受験を控える児童・生徒にとって、プリント学習などがあったにせよ、200時間近い学びの停止は極めてアゲンストだと思います。都市部では休校期間中、オンライン学習で実施していた私立校の子どもも多く、受験はそうした子どもたちと競争となります。不足した教育課程を取り戻すことは当然として、受験対策として今一重の支援が必要ではないでしょうか。 国は、感染リスクの高い地域の小・中学校の受験生対策として、少人数指導ができる教員の加配について第2次
補正予算に計上していると伺っています。受験生については、分散登校期間中でも、希望すれば毎日登校でき、自習などの学習機会を確保するなどの支援ができないか、また、通常登校に戻っても、放課後を活用し受験に向けた学習支援ができないか、教育長の所見を伺います。 以上で私の質問を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
◎区長(山本亨) 議長
○議長(
樋口敏郎) 山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの公明党、加納議員の
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響等に関するご質問にお答えします。 まず、各種計画策定の考え方についてです。 墨田区基本計画の中間改定については、
新型コロナウイルスの感染拡大という事態を受け、区財政における歳入環境が極めて不透明であり、財政推計等が困難となっていること、また、感染の拡大防止や
区民生活の再建及び地域経済対策に優先的に取り組む必要があることから、議会からのご意見も踏まえ、本計画の中間改定を1年延期します。 それに際しては、これまで5年間の評価・検証をするとともに、
アフターコロナの対策も反映し、その考え方を時期を捉えて議会に報告します。 次に、
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた令和2年度の施政方針を改めて発表すべきかについてです。 感染拡大により
区民生活や地域経済に多大な影響が生じているとともに、今後第2波も予想されることから、長期化が危惧されています。 こうした中、現下の状況に鑑み、当面の区政運営の考え方を定め、その方針を全庁に依命通達として発出したところです。 この中では、この間明らかになった様々な課題を克服し、区民の生活や経済活動をしっかり支え、社会構造の変化への取組により、すみだの未来につなげていくための基本方針を定めたところです。これに基づき、短期的・長期的な取組や、大胆な事業の見直しなど、当面の区政運営を進めていきます。 また、区民や事業者の皆様に対し、各種支援や、感染症に関する情報などを区報やホームページ等を通じて発信してきたところであり、私自らも定期的にメッセージを発信しています。 さらに、一人ひとりの個別状況に応じた相談に丁寧に対応するために、6月5日付けで電話相談窓口「コロナなんでも相談室」を開設し、区民に寄り添った支援策や、その窓口のご案内を行っているところです。 今後も引き続き、迅速かつ適切な情報発信に取り組んでいきます。 次に、各種計画改定スケジュールの常任委員会への報告についてです。 墨田区基本計画の中間改定の1年延期に伴い、各種計画についても影響が想定されますので、適宜ご報告させていただきます。 次に、各種計画改定の議会報告の方法についてです。 これまでも計画策定の際には、執行実績の評価・検証を行い、課題を検討した上で次期計画に反映し、その内容に合わせて進捗をご報告してきました。ご指摘も踏まえ、今後も適切に対応していきます。 次に、非常時・緊急時における会議の在り方についてです。
新型コロナウイルス感染症対策本部会議での決定等を踏まえ、
緊急事態宣言の期間中、
感染症予防の観点から会議を中止・延期したり書面開催とした附属機関もありました。 当該附属機関の運営に関する条例、規則等において、書面会議についての規定はありませんが、他の附属機関も含め、このような緊急事態における書面開催の規定については、今後整理していきます。 また、今回を機に、外郭団体等に対しても、区の考え方を示していきます。 次に、デジタル・ガバメントの推進についてです。 まず、
特別定額給付金のオンライン申請における課題や問題点の総括ですが、マイナポータルを活用したオンライン申請では、ご指摘のとおり、システム自体の不具合等により、区における確認事務が増加し、処理に時間が掛かり、区民の皆様にご心配をおかけしたことを重く受け止めています。 今回のオンライン申請における課題点を集約し、その内容を区長会等を通じて国へ要請していきます。 次に、墨田区行政情報化推進計画の見直しについてです。 今回の
新型コロナウイルス感染症対策を通じ、非接触・非対面方式による仕事の進め方や学びのスタイルが変化し、新しい生活様式の中で暮らしの在り方が大きく見直されています。 本区としても、今後各種行政手続の電子化に向けて、取得したデータを有効に活用し、常に利用者の視点に立ったサービスを提供することを電子自治体の目標とし、デジタル技術を活用した安全・安心で便利な暮らしの実現に向け、計画を見直していきます。 次に、本区における行政手続オンライン化の更なる拡充についてです。 マイナポータルによる電子申請については、介護や健康医療など、利用できるサービス分野の拡大を図るとともに、税や手数料などの納付についても、クレジットカード決済に加え、スマホ決済など、新たなキャッシュレス決済を導入し、行政手続の更なるオンライン化を推進していきます。 次に、マイナンバーカードの普及促進についてです。 国では9月から、マイナンバーカードを活用した消費活性化策として、マイナポイント事業を行います。区では、マイナンバーカードの一層の普及促進を目指すとともに、マイナポイントの予約に利用できる専用端末を庁舎及び出張所に設置し、区のお知らせやホームページ、町会へのチラシ配布など、様々な媒体を用いて事業の周知に努めます。 今後も、他自治体での事例等を参考に、
区民生活の利便性向上及び事務の効率化に寄与する活用策を検討し、マイナンバーカードの普及を促進していきます。 次に、
新型コロナウイルス感染症対策についてです。 まず、公共施設における非接触型自動水栓への交換についてです。 平成28年3月に策定した公共施設長期修繕計画では、計画的な予防保全による公共施設の長寿命化を図るために、ライフサイクルコストの縮減、修繕費や更新費の平準化による将来的な財政負担の軽減を図っており、重要度の高いものから優先して修繕を実施しています。 今後、公共施設の修繕にあたっては、ご提案の非接触型自動水栓への交換等を含め、その内容を改めて検討し、計画的に実施していきます。 なお、小・中学校における校舎のトイレの手洗い場については、改修時に自動水栓としており、ほとんどの学校で改修済みとなっています。 また、各家庭や事業所に対する啓発については、水道の蛇口やドアノブなど人がよく触れる場所について、頻繁に清掃・消毒するよう、ホームページやチラシなどで注意喚起していますが、引き続き分かりやすい周知に努めていきます。 次に、社会生活維持のために欠かせないサービスを提供している民間事業者を対象とした感染予防、拡大防止に対する補助制度の創設についてです。 現在、介護サービス事業者へのマスクの配布を行っていますが、感染の予防や拡大防止のための経費の助成については、事業者のニーズを踏まえながら検討していきます。 次に、介護・
障害者施設の減収に伴う状況調査と運営費補助制度の創設についてです。 現在、感染症の影響により減収している事業者への助成として
持続化給付金による支援のほか、国の
補正予算では、介護事業者へ衛生用品の支援などの
感染症対策の徹底支援、
新型コロナウイルス感染症に対応した施設・事業者に従事する職員への慰労金の支給などが示されています。 今後もこのような国や都の補助金や
補正予算の内容を注視しながら、事業者のニーズ把握に努め、適切な支援を実施していきます。 次に、避難所における3密対策についてです。 避難所の受入れ人数については、
感染症予防の観点からも見直しが必要ですが、現行の指定避難所だけで全ての避難者を受け入れることは困難です。そこで、避難所での密集を避けるため、区ホームページで在宅避難や親戚・知人宅への避難の検討と備えなどを呼びかけています。 また、区内の都立高校5校に対し、協定に基づく避難所開設への協力を改めてお願いしたほか、更なる避難所確保の観点から、協定を締結しているホテル等の民間事業者とも協議を進めていきます。 次に、避難所の備蓄品については、
感染症対策に必要となる物資を早急にリストアップし、優先順位をつけ、国や都の補助を活用しながら計画的に整備していきます。 最後は、避難所運営マニュアルの改定等についてです。 昨年の台風第19号の際における避難所運営についての様々な課題を受け、現在区では、
感染症対策も含めた水害時避難場所開設マニュアルを作成しています。今後、これを基に、8月末までに各拠点会議で検討していただき、拠点ごとのマニュアルとして完成させる予定です。 墨田区避難所運営マニュアルの改定については、水害時避難場所マニュアルの内容も踏まえ、避難所運営に係る様々な課題を検証した上で改定していきます。 これらを地域防災拠点会議を通じ情報提供するとともに、分散避難の考え方を区民へ周知していきます。 以上で、公明党、加納議員の私へのご質問に対する答弁を終わります。
◎教育長(加藤裕之) 議長
○議長(
樋口敏郎)
加藤教育長 〔教育長 加藤裕之登壇〕
◎教育長(加藤裕之) ただいまの公明党、加納議員のご質問に順次お答えします。 まず、第1の質問の「未来の教室」及びICTを活用した教育ビジョンの所見についてです。 「未来の教室」では、ICT環境の整備を通して推進することで、子どもたち一人ひとりの興味・関心に合わせた多様な学び方を身につけることが提言されております。取り組むにあたっては、一人ひとりの児童・生徒への細やかな対応や、併せて、ご指摘のとおり、児童・生徒の自立性の育成が重要であり、これからのICTを活用した新しい教育活動として、教員の指導方法等の改善も進めながら取り入れていく必要があると考えます。 ICTを活用した教育ビジョンについては、事業におけるICT機器の活用は、児童・生徒の学力の定着・向上に大変に有効な方法であると考えます。動画を活用することで児童・生徒の興味・関心を高め、物事を理解させたり、グループ学習での意見のまとめや、発表資料の効率的な作成などを活用し、プレゼン能力を育成することには効果があると考えます。 また、学校で学んだことを基にした家庭学習の充実を図るとともに、不登校児童・生徒や日本語指導を必要とする児童・生徒へのICT機器を活用した教育を推進することができ、有効であると考えます。 次に、第2の質問のICT教育環境の整備についてです。 まず、配置された学年からのタブレットを活用した授業や家庭学習を開始していきます。配置ができない学年に対しては、既存の機器をできる限り有効に活用していきます。 タブレットの1人1台体制は、今年度できるだけ早い整備を目指しています。準備段階では、ICTを活用した家庭学習の支援を充実し、教員一人ひとりのノウハウを蓄積していきます。また、モデル校の取組を他校に拡大し、各学年で順調にスタートできるような仕組みをつくっていきます。 次に、教員のICT環境の整備とモチベーションについてです。 教員には、1人1台タブレットを貸与し、工夫をして教材作成や、授業における動画の提示などに活用させています。 今年度は、児童・生徒へのタブレット環境の整備もあることから、学校に対しては、教員のICT環境の調査を国等の調査に合わせて行い、効果的な授業支援アプリや、機器の整備の検討につなげていきます。 今後とも教育委員会は、各学校と教育推進に向けた課題等を情報共有しながら、ソフト・ハードを含めた授業環境の向上に取り組み、ICTを活用した臨時休業期間中の取組や学校再開後の授業の工夫に教員が意欲的に取り組めるよう丁寧に推進していきます。 次に、プロジェクトチームの設置についてです。 ご指摘のとおり、機器類のハード整備のためには、各学校での課題の共有やその解決に向けた提案、教員へのサポートが不可欠です。 また、ICTを活用した授業や家庭学習の研究及び研修、最適なソフトの選択など、ハード・ソフト両面について、教育委員会と学校が密接に連携する必要があります。現在、教育委員会内にハード部門、ソフト部門、そして学校が連携するプロジェクトチームを設置しています。 ご提案の各学校での課題の共有を図り、専門家の意見を交えて解決する分科会を設置し、ICT活用を戦略的に推進していきます。また、情報経営イノベーション専門職大学につきましては、技術的支援を受けて連携を図っていきます。 次に、第3の質問のオンライン授業についてです。 まず、オンライン授業の実施についてです。 分散登校の長期化や第2波の到来に備えて、授業の中で学びのツールとして、動画やアプリにより理解を深めたり、グループ学習によるプレゼンテーションの学習に取り組んだりするなど、ICT機器を活用していきます。また、家庭学習支援用の動画の作成や配信など、家庭学習の充実を図っていきます。 まずは、児童・生徒にICT機器を活用した学び方をしっかり定着させることが大切であると考えます。 通常授業ができない場合には、タブレット端末を使用した同時双方型、又はオンデマンドのオンライン授業など、各家庭の通信環境やセキュリティなどの課題もあるところですが、実施に向けた準備を進めていきます。 次に、自分をコントロールする力、非認知能力の向上対策についてです。 ご指摘のとおり、幼児期に幼稚園・保育園等での教育と家庭での教育が連携して自分自身をコントロールする力、非認知能力を育成していくことは、今後展開されていくオンライン教育を実施していく上で重要です。 非認知能力の向上対策の強化のための保護者向けのセミナー等についてですが、子ども・子育て支援部と教育委員会が連携して、公立・私立の幼稚園・保育園等の保護者に対して、園だよりや保護者会等で周知・啓発していくなど、効果的な実施方法を検討していきます。 その際、教育委員会が作成した非認知能力を高めるための家庭での工夫を示した「小学校すたーとブック」の活用をさらに進め、保護者の意識向上を図っていきます。 次に、ライブ型のオンライン授業の推進についてです。 ライブ型のオンライン授業は、離れた場所から同時双方向のやり取りができるため、特に臨時休業などにおけるホームルームでの指導に効果的です。 そこで、学校再開後のライブ型のオンライン授業については、不登校の児童・生徒や日本語の指導が必要な児童・生徒など、遠隔指導が有効と考えられる場での活用を考えています。 今後、臨時休業などで家庭学習がより必要とされる場合には、学習指導の効果的な方法の一つであるため、引き続き、ライブ型のオンライン授業の実施に向けて検討していきます。 次に、第4の質問の就学援助世帯における通信料支援についてです。 文部科学省では、要保護児童・生徒に対するオンライン学習通信費を援助費補助金対象として追加予定であるほか、準要保護児童・生徒への同様の支援の有無について、現在関係省庁と調整中との話が出ていると都から聞いております。 そこで、文部科学省による準要保護世帯への支援の内容が明らかになり次第、必要な支援を検討していきます。 最後に、受験生支援についてです。 ご指摘のとおり、受験を控えた児童・生徒に継続した学習機会を確保することは大変重要なことと捉えております。 学校再開後の分散登校では、
感染症対策のため少人数クラスに分けるとともに、他学年に比べて時間数を多く設定して授業を行っています。通常登校となった後には、放課後や長期休業中に実施する補習を優先的に行えるよう準備を進めてまいります。 以上で、公明党、加納議員のご質問に対する私の答弁を終わります。
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○議長(
樋口敏郎) 議事の都合により、暫時休憩いたします。 午後3時3分休憩
----------------------------------- 午後3時20分再開
○議長(
樋口敏郎) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 一般質問を続けます。 22番、としま剛議員
◆22番(としま剛) 議長、22番
○議長(
樋口敏郎) 22番、としま剛議員 〔22番 としま剛登壇〕(拍手)
◆22番(としま剛) 私は、日本共産党墨田区議団を代表して、コロナ危機の下での墨田区政の在り方について、山本区長並びに
加藤教育長に質問をいたします。 質問の第1は、コロナ危機に臨む基本的な姿勢についてです。 今回のコロナ危機について、ペストやスペイン風邪などは過去のものだと思っていた、こんな発達した現代でまさかこのようなパンデミックが起きるとはという声が少なからずあります。しかし、感染症の研究者は、こんな発達した現代だからこそ起こったと指摘しています。 人類は、科学と医学を発達させ、20世紀半ば前には、ウイルスを電子顕微鏡で明瞭に捉え、20世紀後半から約2,000種類ものウイルスを発見し、ワクチンや治療薬を開発してきました。しかし、未知のウイルスがどれほどあるのかはつかみ切れていません。 一方で、国境や大陸をまたぐ交通手段や生産・物流が発達し、グローバルな世界となっています。それが地球環境を破壊し、生態系を大きく変化させ、自然界と人類との接点を新たに広げ、未知のウイルスに遭遇する一因になっていると言われています。 我が党は、
新型コロナウイルス対策に取り組む姿勢として、今回のコロナ危機が現代の人間社会への根本的な問題提起を含んでいるという視点が大切だと考えています。 このような姿勢で、中途半端な対応ではなく、本腰を入れて全力で取り組み収束を図ること。同時に、その取組を通じて将来も起こり得る新たなパンデミックへの備えを整えることが求められているのではないでしょうか。区長の見解をお伺いします。 今回の新型コロナは、戦後初めての本格的なパンデミックであり、急激で大規模な感染拡大に遭遇するのは初めての経験です。しかも、
新型コロナウイルスは、幾つかの特徴が次第に分かり始めているとはいえ、未知の部分も多く、発症前にも感染を広げていること、PCR検査で陰性後も再び陽性反応が出ることなども報告されています。その影響の広がりにも波があり、地域差もあります。ワクチンの開発には1年程度が必要だと言われ、治療薬についてもその研究が日々取り組まれている段階です。 それだけに新型コロナの収束に向けては、臨機応変な試行錯誤も含めた探求の努力が求められます。墨田区としても、このような認識で、やれることは何でもやるという構えで臨むことが必要です。区長は、コロナ危機をどのように受け止め、どう立ち向かっていくのか、基本的な考えをお伺いします。
◎区長(山本亨) 議長
○議長(
樋口敏郎) 山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの日本共産党、としま議員のコロナ危機に臨む基本的な姿勢に関するご質問にお答えします。 まず、今回の危機に対し、全力で取り組み、新たなパンデミックへ備えることについてです。 これまで区は、私を本部長とする対策本部を設置し、区民の生命と健康を守るため、感染拡大の防止や検査・医療体制の構築などに総力を挙げて取り組んできました。さらに、次なる流行に備えて、心の問題にも対応した相談体制の充実、保健所の
PCR検査装置の活用、
医療提供体制の強化、クラスターを早期に発見する接触確認アプリの導入など、監視体制の強化に取り組み、区民の命と健康を守っていきます。 次に、コロナ危機にどう立ち向かっていくのかについてです。 これまでも区は、独自の
PCR検査センターの開設、PCR検査の民間委託、軽症患者の宿泊療養に係る宿泊施設の確保への協力など、迅速に対応してきました。 感染症の拡大により、地域経済の低迷や
区民生活への多大な影響が長期化する中、今後も最新の知見に基づき、その早期収束に向けて効果的な対策を迅速かつ適切に講じていきます。その上で、
区民生活や経済活動をしっかり支え、新しい生活様式が定着したすみだの未来につなげていく所存です。
◆22番(としま剛) 議長
○議長(
樋口敏郎) としま剛議員 〔22番 としま剛登壇〕
◆22番(としま剛) 質問の第2は、PCRなど検査体制及び医療体制の抜本的な強化についてです。 外出自粛や休業など、必死の努力が続く中、
緊急事態宣言は解除されました。しかし、新たな感染の波が生じる危険性が高まっており、新型コロナへの備えを一層強めることが求められます。その大前提となるのが感染の全体状況を把握することです。 日本のPCR検査数が、外国に比べても桁違いに少ないことが国内外で批判されてきました。5月4日時点での人口1,000人当たりの検査数は、イタリア34.9人、ドイツ30.4人など、OECD諸国の平均で27.7人に対して、日本では僅か2.2人です。 我が党は、感染者を早期に発見して感染拡大や重症化を防ぐために、PCR検査を抜本的に拡充することを繰返し求めてきました。ところが、墨田区においても、検査場所を独自に設置する努力はありましたが、厚生労働省が示した37.5度以上が4日間続いているなどの目安にこだわり、風邪の症状がありコロナに感染しているのではと検査を希望したが受けさせてもらえないなどの苦情が寄せられました。 この問題では、国や都の姿勢も重要ですが、小池都知事は4月の都議会で、医師の判断に基づいて必要な検査が実施されていると答弁しています。このような認識では、検査が進むはずはありません。 区長は、この間のPCR検査の取組についてどのように総括されているのか、答弁を求めます。 我が党は、PCR検査の遅れを克服し、第2波、第3波に備えるために次のような取組が必要だと考えます。 第1に、医師が必要と判断した患者のPCR検査を保健所を通さずに行える仕組みを整備すること。第2に、医療、介護、福祉、教育等の現場で働く人たちが公費で定期的にPCR検査を受けられるようにすること。第3に、ドライブスルー、ウオークスルー方式の導入を推進すること。第4に、PCR検査と並行して抗原検査、抗体検査の活用を進めることです。 区長が積極的に取り組まれることを強く求めて、見解をお伺いします。 次に、医療機関と
医療従事者への支援についてです。 病床確保のためにも、コロナ対応による経営難、経営危機に直面している医療機関への財政支援を根本的に強めることが必要です。また、最前線で診療にあたっている
医療従事者の安全対策や支援は、政治の責任であり、院内感染や医療崩壊を防ぐためにも不可欠の課題です。 区として、区内医療機関や
医療従事者に対する財政支援などを行うこと。特に山田記念病院の事業継続に向けた支援を強めること。院内感染を防ぐための資機材を提供すること。インフルエンザの流行による医療崩壊を食い止めるため、予防接種を無料で受けられるようにすることなどを求めます。区長の見解を問うものです。 次に、保健所と都立病院の充実・強化についてです。 1994年には都内に71か所あった保健所は、現在31か所へと削減され、今回、何度も電話しても通じなかったという声が数多く寄せられました。
新型コロナウイルスの感染拡大は、経済効率最優先で公的医療が縮小され、保健所の統廃合など公衆衛生が後退させられたことによる、感染症に弱い社会の実態を浮き彫りにしました。 都立墨東病院では、院内感染による大規模なクラスターが発生しました。ところが、小池都知事は、コストの見直しをさらに進め、都の財政負担の軽減にもつながっていくとして、都立病院、公社病院の独立行政法人化を進めようとしています。 新型コロナのような未知の感染症への備えは、コスト削減、経営効率優先の病院ではできません。
公的医療機関だからこそ、その役割を果たせます。現に都立・公社病院は、都内の感染症病床の68%を担っています。 都立病院・公社病院の独立行政法人化は中止し、感染症医療も含めた都民の命を守る拠点として充実・強化を図るべきです。墨東病院の地元の区長として、独法化計画に反対を表明し、その中止を都に働きかけるよう求めて、区長の見解をお伺いします。 また、現在進めている保健センターの統廃合計画についても見直しを行い、向島保健センターは存続させ、
感染症対策を含めた公衆衛生の充実・強化を図るべきです。区長の見解を問うものです。
◎区長(山本亨) 議長
○議長(
樋口敏郎) 山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまのPCRなどの検査体制、医療体制の抜本的な強化に関するご質問にお答えします。 まず、墨田区のPCR検査の取組の総括ですが、6月6日までに区内で実施された検査数は3,576件で、陽性は446件、陽性率は12.5%でした。陽性率は全期間を通じて東京都内の平均より低く、クラスターの早期探知ができたものと考えています。 次に、PCR検査の遅れを克服し、第2波に備えることについてです。 区内では4月上旬に、2か所だった帰国者・
接触者外来を1か所増やし、さらにウオークスルー方式のPCRセンター「墨田区立新型コロナ外来」を開設し、医師会の協力によりPCR検査を確実に実施できる体制を構築しました。 第1、第3の質問ですが、今後もこの仕組みを維持できるよう、医師会等と十分協議をしていきます。 また、第2、第4の質問ですが、行政検査で対応していない無症状の人に対する定期的なPCR検査や抗原検査、抗体検査などについても、情報を収集していきます。 次に、医療機関と
医療従事者の支援についてですが、都の補助事業を必要に応じて案内することで、病床の確保や
医療従事者の待遇向上に取り組んでいます。 院内感染が発生した区内の病院に対しても、早期に診療を再開できるよう区が消毒を行い、防護服400セットなどの資機材も提供しています。 また、
医療従事者に対するインフルエンザ予防接種については、院内感染防止の観点から、各医療機関の判断で広く行われています。現時点において、区が
医療従事者の予防接種を無料にする必要性は低いと考えます。 次に、保健所と都立病院の充実・強化についてです。 都が策定した新たな病院運営改革ビジョンによると、地方独立行政法人化の目的は、医療の担い手不足など、医療課題が深刻化する中で行政的医療の安定的・継続的な提供により、地域における良質な医療サービスの確保を図ることとされています。ご指摘の感染症医療などについても、そのメリットを生かし、充実・強化していくこととしています。 今後とも経営形態にかかわらず、連携していきますので、独立行政法人化に反対する考えはありません。 次に、保健センターの統廃合計画の見直しについてです。 向島・本所の両保健センター及び
保健予防課を1か所に集約することにより、感染症が発生した際に各課の連携が迅速に図れるほか、危機管理対策本部の下で組織を柔軟に再編できることから、地域の公衆衛生を担う保健所としての役割を最大限発揮することが可能になると考えます。
◆22番(としま剛) 議長
○議長(
樋口敏郎) としま剛議員 〔22番 としま剛登壇〕
◆22番(としま剛) 質問の第3は、区民の暮らしと営業を守る対策についてです。 我が党は、外出自粛や休業要請により区民の暮らしと営業に深刻な影響が出ていること、感染拡大防止のための休業要請は補償と一体でこそ効果を上げることができると指摘して、その対策を提案してきました。 その中から、就学援助の休校中の給食費の支給、国保料や介護保険料の特例減免、
特別定額給付金の申請書郵送前の特別申請、情報発信や相談体制の拡充などが実現したことは評価できますが、最大の問題は、区独自の経済給付型施策、現金給付型施策について背を向けていることです。今議会に提案された
補正予算案を見ても、区施設の指定管理者に対する減収補填が中心であり、区民の暮らしを直接応援する事業が見られません。 この間、少なくない人たちが日銭で、あるいは週、月などの短いサイクルで収支、帳尻を合わせ、ぎりぎりの暮らしと営業にあることが白日の下に表れました。求められていたのは、本当に
スピード感のある緊急対策です。 ところが、国や東京都の対策は不十分な上、時間が掛かり過ぎて必要なときに間に合いません。このような状況の下では、その隙間を埋める基礎自治体の支援策が強く求められます。基礎自治体には、住民や中小業者の切実な実情をリアルにつかみながら、施策をきめ細かくスピーディーに実施できる条件があり、他の自治体では様々な現金給付型の支援策が取られています。 江東区は、都の協力金の対象とならない業者に対して、一律30万円の家賃助成を行います。 江戸川区は、区立小・中学校の給食費を1学期は無償にするとしています。 品川区は、全区民に1人3万円、中学生以下にはさらに2万円を加算して5万円を支給するとしています。 足立区は、児童育成手当の受給者に1人2万円の給付金を支給、区の育英資金を受けている学生に対し生活費として10万円を支給します。 目黒区でも、児童扶養手当を受けている人に対し、子ども1人につき5万円を支給するとしています。 日野市は、中小業者に対し、上限額20万円として家賃の2分の1を2か月補助する家賃助成を行うとしています。 練馬区は、保育園や幼稚園、介護施設などを運営する事業者に対し、常勤職員1人につき2万円を支給すると発表しました。 そのほかにも、感染防止のための店舗等の改修費の助成、
介護事業所や
障害者施設などの減収対策や従事者に対する手当の支給、生活困窮者に対する支援策の拡充なども求められています。 このような独自の現金給付型施策の必要性について、どのように考えているのか。なぜ実施しようとしないのか、区長の明確な説明を求めます。 また、高齢者や児童の安否確認も含めて、栄養のバランスが取れた弁当の配食サービスの実施を繰返し求めてきました。区内業者の中には、自主的に弁当の無料配布を行う人も出てきて大変喜ばれるとともに、大きな励ましとなっています。この業者には全国から食材が寄せられていると聞いています。なぜこのような心のこもった、区民を励ますような温かい施策ができないのか、残念で仕方ありません。 改めて現金給付型施策や配食サービスなどの実現を強く要求し、区長の見解を問うものです。 次に、熱中症対策についてです。 気象庁から、この夏は平年より気温が高くなるという予報が出されています。熱中症により、基礎体力が衰えると
新型コロナウイルス感染者の重症化のリスクが高まります。また、コロナ感染者に加え、熱中症で病院に搬送される人が増えると、医療崩壊を起こしかねません。 このような中で、熱中症予防のためのハード・ソフト両面からの対策が例年にも増して重要になっています。中でも外出自粛の中で自宅での予防策が重要です。区として啓発を強めるとともに、所得の低い世帯などに対して冷房設備の設置費や電気代への助成を行うべきと考えます。区長の見解をお伺いします。 次に、コロナ危機の下での災害対策についてです。 これから台風や豪雨など水害の季節を迎えます。また、震度4程度の地震が頻発しています。このような中で、コロナ危機の下での災害対策を早急に構築する必要があります。中でもクラスターを生まない避難体制の確立が急務となっています。 区の防災計画では、小・中学校などの避難所は1人当たり2平方メートル弱とされていますが、これでは3密を避けられません。定数の見直しや新たな避難場所の確保が必要です。 我が党は、2月議会の代表質問で、段ボールベッドと間仕切りとセットで整備するよう求めたのに対し、区長は、「備蓄倉庫の整備状況等も踏まえながら検討していく」との答弁にとどまりました。段ボールベッドと間仕切り、消毒剤やマスクなどの整備と避難場所の確保を早急に行うべきです。区長の見解をお伺いします。 次に、財源対策についてです。 福祉や教育などの毎年の経常的な費用は、その年の財源で賄う必要がありますが、感染症や災害などの期間が限定された費用については、国が緊急の財源措置を行うとともに、積立基金の取崩しなどで賄う必要があります。 実際には、区は財政調整基金をこの5年間で約71億円から約175億円へと急増させてきた理由の一つに、大規模災害の対策などを挙げてきました。ところが、この間の対策で財政調整基金の取崩しは8億円余り、この6月議会に提案された
補正予算案でも約14億円と、合計で約22億円余りにすぎません。これでは何のために基金を積み増してきたのかが厳しく問われます。 他の自治体を見ると、財政調整基金の半分以上、あるいは大部分を取り崩しているところもあります。まだまだ不十分ではありますが、2兆円追加される国の地方創生交付金も原資にして、もっと積極的に基金を活用して
区民生活を守る役割を果たすべきです。区長の見解をお伺いします。 また、今後の区財政の見通しについてはどう見ているのでしょうか。昨年策定された区の財政白書では、2021年度から2025年度までの5年間で、歳入を約6,152億円と見込んでいますが、これがどの程度落ち込むと考えられているのか、その対策をどうされるのか。観光の名による再開発事業の見直しや不要不急の事業は中止、又は延期することが不可欠ですが、区長はどのように対応されるのか、答弁を求めます。
◎区長(山本亨) 議長
○議長(
樋口敏郎) 山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの区民の暮らしと営業を守る対策に関するご質問にお答えします。 まず、区独自の現金給付型施策の必要性についてです。
新型コロナウイルス感染症拡大により
区民生活や地域経済に多大な影響が生じており、区民の暮らしは厳しい実態にあると認識しています。 独自の現金給付型施策については、一部自治体で実施していることを認識していますが、まず取り組むべきは、国や都の支援策を適切に把握し、区の施策と併せて区民や事業者の皆様へ確実に支援が行き届くようにすることであると考えます。引き続き、本区の実情に応じ、区民に寄り添ったきめ細かな対応を図っていきます。 配食サービスについては、65歳以上でひとり暮らし、又は65歳以上世帯で炊事が困難な方に食事を届けるとともに安否を確認する、高齢者配食みまもりサービスを今後とも着実に進めていきます。 また、児童・生徒への対応として、学校休業期間中の昼食費について、就学援助世帯への支援を実施します。 次に、熱中症対策については、75歳以上のひとり暮らし高齢者及び75歳以上の方のみの世帯に、チラシとカードを送付して周知を図っています。さらに、今月1日号の区のお知らせでも注意を呼びかけました。 こうした啓発を今後も行うことは重要であると考えておりますが、低所得世帯等を対象とした冷房設備の設置費や電気代の助成については、慎重に検討する必要があり、現時点で現金給付型の補助事業の実施は考えていません。 次に、コロナ危機の下での災害対策についてです。 先の本会議でも答弁したとおり、避難場所における段ボールベッド等の整備については、区内の段ボール製品製造業者との供給協定による確保を図っています。また、今後は
感染症対策に必要となる物資を早急にリストアップし、区の備蓄倉庫の整備状況等も踏まえながら、優先順位をつけ計画的に整備していきます。 次に、避難所の確保については、3密を避けるため、定数の見直しが必要ですが、現行の指定避難所だけでの受入れは困難です。このため区ホームページで在宅避難や親戚・知人宅への避難の検討と備えなどを呼びかけていくとともに、避難場所として都立高校や民間施設等の活用を引き続き検討していきます。 次に、財源対策についてです。 この間、緊急対策予算として、今
定例議会も含め計4回の
補正予算を計上し、その財源として財政調整基金約22億円を活用させていただく予定です。 今後の経済状況により区の歳入に不足が生じた場合の対応や、
新型コロナウイルス感染症への緊急対応、地域経済、
区民生活の支援に対し、国や都の各種補助金とともに、財政調整基金も活用し、区の役割を果たしていきます。 また、今後の区財政の見通しについては、企業収益の悪化により
財政調整交付金の大幅な減収を想定しています。現時点で減収の規模は予測できませんが、
リーマンショック時を上回る事態を想定し、財源対策を講じる必要があると考えています。 一方で、まちづくり事業については、地域行政経営を進めていく上で、また区民の暮らしを充実させる上でも大変重要であると考えており、今後も区民・
区内事業者と緊密に連携・協力し進めていきます。 また、
区民生活や地域経済に多大な影響が生じていることから、現下の経済状況を踏まえた当面の区政運営について、全庁に依命通達を発出したところです。 私としては、
区民生活を守る施策を最優先としつつ、不要不急の事業や優先度が低い事業の見直しを徹底して行い、一層の
行財政改革を推進していく考えです。
◆22番(としま剛) 議長
○議長(
樋口敏郎) としま剛議員 〔22番 としま剛登壇〕
◆22番(としま剛) 質問の第4は、学校再開にあたっての対応についてです。 長期の休校による子どもの学習の遅れと格差の拡大、不安とストレスは大変深刻です。そのような中で学校の再開にあたっては、子ども一人ひとりを大切にする手厚い教育が必要です。 子どもたちの心身のケアをしっかり行うことは、学びを進める上での前提になります。
東日本大震災で深刻な被害に遭った地域の学校では、子どもと教職員がつらい体験や思いを語り合うことで学校生活がスタートできたといいます。墨田区においても、新型コロナ危機という歴史的経験を語り考えることが、子どもたちの新たな出発点になると思います。教育長の見解をお伺いします。 次に、子どもの実態から出発する柔軟な教育の必要性についてです。 例年どおりの授業をしようと、土曜日授業、夏休みや学校行事の大幅削減、7時間授業などで詰め込むやり方では子どもたちに新たなストレスをもたらし、子どもの成長をゆがめ、学力格差をさらに広げることになりかねません。また、休校中に各家庭で取り組んだ学習を授業として取り扱うことにも疑問があります。 子どもたちをゆったりと受け止めながら、学びとともに人間関係の形成、遊びや休息をバランスよく保障する柔軟な教育が必要ではないでしょうか。 今、教員の中から学習内容の精選という提起がされています。学習内容の精選とは、その学年で核となる学習項目を見定めて深く考え、それ以外は教科を横断して学んだり、次年度以降に効率的に学ぶようにする方法です。そうしてこそ子どもに力がつくと言われています。 逆に、教科書全てを駆け足で消化するやり方では子どもは伸びないと、多くの教員が指摘しています。本区においても、このような柔軟な教育の視点が大切だと考えますが、教育長の見解をお伺いします。 この間の政府の通知の中に、学習指導要領において指導する学年が規定されている内容を含め、次学年又は次々学年に移して教育課程を編成する、学習活動の重点化などがあることは、一定評価できます。 しかし、学習の遅れと格差、不安とストレスという子どもの実態から出発した学校現場の創意工夫と自主性を保障するためには、学習指導要領の弾力化が求められます。墨田区教育委員会として文部科学省に要望すべきと考えますが、教育長の見解をお伺いします。 さらに、学校現場の大きな負担となっている学力テストについて、今年度は中止するのは当然ですが、学習の遅れや格差が広がっている下で差別や選別を助長するような統一学力テストは、来年度以降も実施すべきではないと考えます。教育長の見解を問うものです。 次に、学校での感染防止策についてです。 北九州市の小・中学校で集団感染が起きているように、学校で万全の
感染症対策を行うことは最重要の課題となっています。ところが、学校現場では、感染防止の三つの基本、「身体的距離の確保」、「マスクの着用」、「手洗い」のうち、「身体的距離の確保」ができません。本区においても、当面は学級を2グループに分けるなどの分散登校に取り組んでいますが、6月22日からは通常授業に戻るとされています。 「身体的距離の確保」を新しい生活様式の重要な一つとして社会全体で取り組んでいるときに、教室を例外とすることは重大な問題です。子どもへの手厚く柔軟な教育のためにも、
感染症対策のためにも、学校の教職員やスタッフを思い切って増やし、20人程度の授業などができるようにすべきです。日本教育学会は潜在的な人材のプールを踏まえ、平均1校あたり3人の教員を加配する、10万人の教員増を提案しています。 区教委としても、国や都に教員の加配を強く求めるとともに、教員のOBなどを学習支援員として緊急に採用すべきではないでしょうか。さらに、教室を確保するために、プレハブの建設や公共施設などの利用も検討すべきと考えます。教育長の見解をお伺いします。 次に、教科書採択の対応についてです。 今年は中学校教科書の採択の年ですが、その手続はコロナ危機の下で進められることになります。 教科書の展示会について、開催場所の拡充とその周知を図り、保護者や住民の声を反映させること。学校現場の教職員の意見を反映させることを重視し、調査委員の選出と調査委員会の運営を民主的に進めること。教育委員会の透明性・公開性を高めるため、安全に傍聴できる会場の手配やインターネット中継を行うなど、例年以上に民主的で開かれた手続が求められます。教育長はどのように取り組まれるのか、明確な答弁を求めます。
◎教育長(加藤裕之) 議長
○議長(
樋口敏郎)
加藤教育長 〔教育長 加藤裕之登壇〕
◎教育長(加藤裕之) ただいまの日本共産党、としま議員のご質問に順次お答えします。 学校再開にあたっての対応についてです。 まず、子ども一人ひとりを大切にする手厚い教育についてです。 長期にわたる臨時休業で、学習の遅れや健康面でストレスを感じている子どもの心のケアは大変重要な課題であると考えております。 学校再開後は、学級担任や養護教諭等を中心に、きめ細かい心身の健康観察を行い、個別相談やスクールカウンセラー等による支援で、子どもたちの心のケアに丁寧に取り組んでいきます。 また、
新型コロナウイルス感染症に関わる歴史的な経験を基に、子どもたちが新しい生活様式を意識して学校生活を送れるように指導していきます。 次に、子どもの実態から出発する柔軟な教育の必要性についてです。 まず、柔軟な教育の視点です。 今後の授業では、児童・生徒同士の関わり合いが必要な学習や学校でしかできない実習などを中心に行い、家庭学習では、個別学習が可能な内容を学校での事前・事後の指導に基づいて授業の一環として取り扱っていきます。 次に、学習指導要領の弾力化についてです。 弾力化については、既に文部科学省から特例的対応が示されておりますので、児童・生徒の不安やストレスがなく、健やかな成長や学びの保障を図っていきます。 次に、統一学力テストの中止についてです。 文部科学省は、全国の児童・生徒の学力や学習状況を把握・分析し、取組の成果と課題の検証を行い、各学校の指導の充実や学習状況の改善に役立てるため、毎年、全国的に「全国学力・学習状況調査」を実施しております。 東京都もまた、「児童・生徒の学力向上を図るための調査」を実施する中で、学習状況調査を行っているところです。 これらの調査結果を基に各学校では、子どもたちの一人ひとりの学習状況を把握し、児童・生徒の学力の更なる向上を図っていくことができることから、今後とも国及び東京都の方針に沿って、学習の遅れや格差が広がることのないよう、子どもたちの可能性を伸ばす視点から実施していきます。 次に、教員の加配と学習支援員の採用についてです。 学校再開後は、児童・生徒に対し、手厚く柔軟な教育を行うとともに、
感染症対策に係る教員の負担増を軽減するため、勤務時間数の上限が増加された時間講師の活用や、学校支援指導員の勤務期間の延長、スクールサポートスタッフの追加配置を進めるとともに、非常勤教員や再任用教員の勤務日数の割り振りを調整し、補習等の指導に従事させるなどし、柔軟な教育を行っていきます。 次に、教室の確保についてです。 当面の3密対策の一つとして、学校内の普通教室だけではなく、多目的室や図書室などの特別教室や体育館等を有効活用していきます。 また、プレハブの建設については、校庭が狭くなるきこと、また、他の公共施設の利用には移動時間が生じるなどの問題があることから、実施は困難であると考えていますが、文部科学省のマニュアルや東京都のガイドラインに沿って
感染症対策を行っていきます。 最後に、教科書採択の対応についてです。 従来、教育委員会として公開し、適正かつ公正に行ってきました。
新型コロナウイルス感染症の影響から、当初は教科書の展示場所を2か所の区立図書館で予定しておりましたが、
緊急事態宣言による休館のため、風通しがよい場所を選び、1か所での開催としました。 開催場所や期間については、ホームページでお知らせをしております。 保護者や住民からの声は、ご回答いただいたアンケートにより学校での調査・研究からの意見とともに参考とします。 また、調査委員会は専門的な調査・研究を行える専門性の高い人を調査委員に選出し、適切に運営していきます。 そして、教科書採択の審議においてインターネット中継は課題が多いため、傍聴人の方が安心・安全に多くご参加いただけるよう、広い会場で小まめに休憩を取るなどの議事運営を行うとともに、速やかな会議録の公開をしていきます。 以上で、日本共産党、としま議員の私へのご質問に対する答弁を終わります。
◆22番(としま剛) 議長
○議長(
樋口敏郎) としま剛議員 〔22番 としま剛登壇〕
◆22番(としま剛) 質問の第5は、コロナ収束後の社会の在り方についてです。 6月3日付けの東京新聞は、政府の経済対策で中小・零細企業の支援が弱い背景には、財政出動に消極的な専門家らの提言があると指摘しています。 その記事では、小泉内閣のときに経済財政担当大臣などを務めた竹中平蔵氏の「度重なる天災・自然災害ごとに中小企業へ支援するのは、ややもすれば過度な保護になり、新陳代謝を損ないかねない」との提言を紹介しています。そして、民間シンクタンクによる政策提言の中には、企業の廃業支援を求める内容もあるとして、コロナ禍に乗じて弱肉強食の新自由主義を進める意図があると見られても仕方がないとしています。 この間、自己責任の名の下で、福祉・医療・介護などの制度改悪と財政抑制、国民の負担増とサービスの切下げ、雇用破壊と非正規雇用の急増などにより、格差と貧困が広がりました。さらに、小さな政府の名の下で、官から民へと行き過ぎた規制緩和や行政改革、大企業優遇の政策が進められてきました。 しかし、コロナ危機で明らかになったのは、このような政治、行政、社会のゆがみと脆弱さです。今こそ新自由主義的な政策からの転換を図り、国民一人ひとりの暮らしや営業、雇用や住まい、命を何よりも大切にしていくこと、自己責任論から抜け出して、お互いに支え合う社会を築いていくことが必要です。 墨田区においても、このような視点から区政運営の基本姿勢を見直すことが必要ではないでしょうか。 第1に、国際観光都市を目指すとして、観光拠点づくりなど再開発事業を優先する財政運営と産業振興策の見直しです。特に、今回のコロナ危機は、外国人旅行者をはじめとした観光産業の不安定さ、脆弱さを浮き彫りにしました。中小企業振興基本条例に基づく内発型の産業振興へと再転換を図っていくことが求められますが、区長の見解を問うものです。 第2に、
行財政改革や公共施設マネジメントを抜本的に見直すことです。この間の
行財政改革では、保健所の重要な仕事である検査業務の民間委託などが進められてきました。さらに、中小企業センターや地域集会所などを廃止・統合するとともに、受益者負担の適正化の名で施設使用料などの値上げが押し付けられてきました。 しかし、政府と専門家会議が提起した新たな生活様式の下では、ゆとりある、気軽に利用できる公共施設の整備が必要になります。 また、福祉施設や教育施設の民営化など、財政の効率化を優先した管理運営では、いざというときに十分な役割が果たせません。特に、それらの施設に従事する職員の負担、処遇の深刻さも問題になっています。人件費の削減が最大の目的である民営化は取り止めるべきです。 さらに、区の職員数の削減を進めてきたために、いざというときに十分な体制が取れないことも浮き彫りになりました。保健所の職員をはじめとして、必要な正規職員を配置できるよう人員増を図るべきです。区長の明確な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
◎区長(山本亨) 議長
○議長(
樋口敏郎) 山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの
新型コロナウイルス感染症収束後の社会の在り方に関する質問についてお答えします。 まず、墨田区中小企業振興基本条例に基づく内発型産業振興への再転換についてです。 本区が掲げる「国際文化観光都市」には、お互いを受容し、尊重し合う多文化共生を柱とした考え方が盛り込まれており、この考え方は今後ますます重要になってくると考えています。 その上で、区の産業振興施策は、まずは区民の生命を守ることを最優先とし、同時に経済活動再開に向けた対応を図った上で、中長期的には区民の働き方の変化により生まれる新たな需要への対応や、環境、福祉といった地域の課題解決に取り組む事業者と、従来からものづくりの技術を培ってきた事業者との連携促進といった視点に立った施策を展開していきます。 次に、
行財政改革・公共施設マネジメントの抜本的な見直しについてです。 感染拡大による国内景気の悪化や、
感染症対策に伴う事業経費の増加など、本区の財政状況は今後非常に厳しくなることが予想されます。 そのため、これまで以上に行政として担うべき業務の選択と集中の視点に立ち、効率的な行政運営を図る必要があり、労務環境を確保するためのモニタリング等を行った上で、区民サービスの向上とコストの削減を図る民間委託や指定管理者制度の導入を進めていきます。 次に、職員配置については、これまでも業務量に応じた人員配置を行っており、今後も適正な定数管理の下、状況に応じて必要な人員を適切に配置していきます。 以上で、日本共産党、としま議員のご質問に対する私の答弁を終わります。
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◆6番(
坂井ユカコ) 議長、6番
○議長(
樋口敏郎) 6番、
坂井ユカコ議員
◆6番(
坂井ユカコ) この際、議事進行の動議を提出いたします。 本日の会議は、これをもって散会されることを望みます。 お諮り願います。
◆4番(
坂井ひであき) 議長、4番
○議長(
樋口敏郎) 4番、
坂井ひであき議員
◆4番(
坂井ひであき) ただいまの坂井議員の動議に賛成をいたします。
○議長(
樋口敏郎) ただいま6番・
坂井ユカコ議員から、本日の会議はこれをもって散会されたいとの動議が提出され、所定の賛成者がありますので、動議は成立いたしました。 よって、本動議を直ちに議題といたします。 お諮りいたします。 ただいまの動議のとおり、決定することにご異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(
樋口敏郎) ご異議ないものと認めます。 よって、本日はこれをもって散会することに決定いたしました。
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○議長(
樋口敏郎) 本会議は、来る15日午後1時から開会いたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後4時11分散会 議長
樋口敏郎 議員 渋田ちしゅう 議員 田中邦友...