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09月15日-09号

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  1. 新宿区議会 2020-09-15
    09月15日-09号


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    最終取得日: 2021-08-13
    令和 2年  9月 定例会(第3回)        令和2年第3回定例会会議録(第1日)第9号令和2年9月15日(火曜日)出席議員(37名)   1番   木もとひろゆき    2番   時光じゅん子   3番   三沢ひで子      4番   井下田栄一   5番   田中ゆきえ      6番   小野裕次郎   7番   高月まな       8番   藤原たけき   9番   北島としあき    10番   豊島あつし  11番   渡辺清人      12番   大門さちえ  13番   永原たかやす    14番   渡辺みちたか  15番   よだかれん     16番   三雲崇正  17番   久保こうすけ    19番   川村のりあき  20番   近藤なつ子     21番   野もとあきとし  22番   中村しんいち    23番   佐原たけし  24番   吉住はるお     25番   池田だいすけ  26番   桑原ようへい    27番   松田みき  28番   伊藤陽平      29番   のづケン  30番   えのき秀隆     31番   鈴木ひろみ  32番   沢田あゆみ     33番   有馬としろう  34番   宮坂俊文      35番   下村治生  36番   おぐら利彦     37番   かわの達男  38番   雨宮武彦---------------------------------------欠席議員(1名)  18番   志田雄一郎---------------------------------------説明のため出席した者の職氏名  区長       吉住健一    副区長      寺田好孝  副区長      鈴木昭利    総合政策部長   平井光雄  総務部長     針谷弘志    地域振興部長   山田秀之  文化観光産業           菅野秀昭    福祉部長     関原陽子  部長  子ども家庭           橋本 隆    健康部長     髙橋郁美  部長  みどり土木           田中孝光    環境清掃部長   野田 勉  部長  都市計画部長   森 孝司    会計管理者    小沢健吾  企画政策課長   菊島茂雄    財政課長     遠山竜多                   教育委員会  総務課長     鯨井庸司             酒井敏男                   教育長  教育委員会            選挙管理           村上道明    委員会      山本誠一  事務局次長            事務局長  常勤監査委員   小池勇士    監査事務局長   下杉正樹---------------------------------------職務のため出席した議会事務局職員  局長       木城正雄    次長       新川金七  議事係長     黒木明子    議事主査     榎本直子  議会事務局            議会事務局           設楽拓也             大場裕介  主査               主査  議会事務局           土肥絵里    書記       長谷川雅章  主査---------------------------------------  速記士      増尾恵子---------------------------------------9月15日    議事日程 日程第1 代表質問--------------------------------------- △開会・開議 午前10時00分 ○議長(吉住はるお) ただいまから、令和2年第3回新宿区議会定例会を開会します。 本日の会議を開きます。 会議録署名議員は、  1番 木もとひろゆき議員  21番 野もとあきとし議員 を指名します。--------------------------------------- ○議長(吉住はるお) 本日の会議時間は、議事進行の都合により、あらかじめ延長します。--------------------------------------- ○議長(吉住はるお) 次に、事務局次長に諸般の報告をさせます。 ◎議会事務局次長(新川金七) 区長から、 1、令和2年第3回新宿区議会定例会の招集について 2、第64号議案など15件の議案の送付について 3、諮問第1号など4件の議案の送付について 4、法人の経営状況を説明する書類の提出について 5、令和元年度新宿区財政の健全化判断比率について(報告) 6、令和元年度新宿区各会計歳入歳出決算審査意見書及び新宿区基金運用状況審査意見書の提出について 7、令和元年度新宿区財政の健全化判断比率審査意見書の提出について 8、専決処分の報告について 監査委員から、 1、令和2年度定期監査の結果について---------------------------------------                            2新総総総第1867号                            令和2年9月4日 新宿区議会議長  吉住はるお様                            新宿区長  吉住健一         令和2年第3回新宿区議会定例会の招集について このことについて、本日裏面写しのとおり告示したので通知します。 (裏面)(写) 新宿区告示第579号 令和2年第3回新宿区議会定例会を9月15日に招集する。  令和2年9月4日                            新宿区長  吉住健一---------------------------------------                            2新総総総第1960号                            令和2年9月7日 新宿区議会議長  吉住はるお様                            新宿区長  吉住健一               議案の送付について 令和2年第3回区議会定例会に提出のため、下記議案を送付いたします。                   記 1 第64号議案 令和2年度新宿区一般会計補正予算(第7号) 2 第65号議案 令和2年度新宿区国民健康保険特別会計補正予算(第3号) 3 第66号議案 令和2年度新宿区介護保険特別会計補正予算(第1号) 4 第67号議案 令和2年度新宿区後期高齢者医療特別会計補正予算(第1号) 5 認定第1号 令和元年度新宿区一般会計歳入歳出決算 6 認定第2号 令和元年度新宿区国民健康保険特別会計歳入歳出決算 7 認定第3号 令和元年度新宿区介護保険特別会計歳入歳出決算 8 認定第4号 令和元年度新宿区後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算 9 第68号議案 新宿区立新宿生活実習所条例の一部を改正する条例 10 第69号議案 新宿区立保育所条例の一部を改正する条例 11 第70号議案 新宿区特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 12 第71号議案 新宿区保健センター条例の一部を改正する条例 13 第72号議案 新宿区自転車等の適正利用の推進及び自転車等駐輪場の整備に関する条例の一部を改正する条例 14 第73号議案 新宿区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例 15 第74号議案 新宿区立の小学校、中学校及び特別支援学校の非常勤の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例---------------------------------------                            2新総総総第1982号                            令和2年9月14日 新宿区議会議長  吉住はるお様                            新宿区長  吉住健一               議案の送付について 令和2年第3回区議会定例会に提出のため、下記議案を送付いたします。                   記 1 諮問第1号 人権擁護委員候補者の推薦に関する意見の聴取について 2 諮問第2号 人権擁護委員候補者の推薦に関する意見の聴取について 3 諮問第3号 人権擁護委員候補者の推薦に関する意見の聴取について 4 諮問第4号 人権擁護委員候補者の推薦に関する意見の聴取について---------------------------------------                            2新総総総第2051号                            令和2年9月3日 新宿区議会議長  吉住はるお様                            新宿区長  吉住健一         法人の経営状況を説明する書類の提出について このことについて、地方自治法第243条の3第2項の規定に基づき、下記のとおり関係書類を提出いたします。                   記 1 対象となる法人   新宿区土地開発公社     〔以下は省略〕---------------------------------------                            2新総総総第1821号                            令和2年9月3日 新宿区議会議長  吉住はるお様                            新宿区長  吉住健一      令和元年度新宿区財政の健全化判断比率について(報告) このことについて、地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条第1項の規定に基づき、別紙のとおり報告します。     〔巻末諸報告の部参照〕---------------------------------------                            2新総総総第1820号                            令和2年9月3日 新宿区議会議長  吉住はるお様                            新宿区長  吉住健一      令和元年度新宿区各会計歳入歳出決算審査意見書及び新宿区基金運用状況審査意見書の提出について 地方自治法第233条第3項及び同法第241条第5項の規定に基づき、本区監査委員の「令和元年度新宿区各会計歳入歳出決算審査意見書及び新宿区基金運用状況審査意見書」を提出します。     〔別紙は省略〕---------------------------------------                            2新総総総第1822号                            令和2年9月3日 新宿区議会議長  吉住はるお様                            新宿区長  吉住健一      令和元年度新宿区財政の健全化判断比率審査意見書の提出について 地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条第1項の規定に基づき、本区監査委員の「令和元年度新宿区財政の健全化判断比率審査意見書」を提出します。     〔別紙は省略〕---------------------------------------                            2新総総総第2112号                            令和2年9月10日 新宿区議会議長  吉住はるお様                            新宿区長  吉住健一              専決処分の報告について このことについて、地方自治法(昭和22年法律第67号)第180条第2項の規定に基づき、別紙のとおり報告します。     〔別紙は省略〕---------------------------------------                              2新監査第172号                              令和2年9月3日 新宿区議会議長  吉住はるお様                        新宿区監査委員  白井裕子                           同     小池勇士                           同     國井政利                           同     豊島あつし            令和2年度定期監査の結果について 地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第9項の規定に基づき、令和2年度定期監査の結果に関する報告を決定したので、次のとおり提出する。     〔以下は省略〕--------------------------------------- ○議長(吉住はるお) 会期についてお諮りします。 本定例会の会期は、本日から10月12日までの28日間にしたいと思います。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(吉住はるお) 異議なしと認めます。 会期は、本日から28日間と決定いたしました。--------------------------------------- ○議長(吉住はるお) これから本日の日程に入ります。 日程第1、代表質問を行います。 質問の通告を受けましたので、順に質問を許します。 最初に、26番桑原ようへい議員。     〔26番 桑原ようへい議員登壇、拍手〕 ◆26番(桑原ようへい) おはようございます。自由民主党新宿区議会議員団の桑原ようへいです。令和2年第3回新宿区議会定例会に当たり、会派を代表して、区長並びに教育委員会に質問いたします。 安倍晋三首相は、8月28日、持病の潰瘍性大腸炎再発により、職務継続は困難と判断したと、辞任を表明しました。戦後最長の7年8か月の歴代単独1位という長期政権の第二次安倍政権でありました。誠に残念であります。 このことにより、我が自由民主党では、新しい総裁に菅義偉氏を選挙で選び、明16日に開かれる予定の臨時国会で首班指名を受けることになっております。 安倍晋三首相の辞任表明を受けて、米・欧のメディアは、経済や外交、安全保障などにおける成果を振り返り、安倍首相が日本を変えてきたと評価し、英国のフィナンシャル・タイムズ紙の電子版は、8月30日の社説で「安倍首相のレガシーは無駄遣いされてはならない」と題し、安倍首相が日本に新たな発想やエネルギーをもたらしたと賞賛し、ドイツの国際放送ドイチェ・ウェレの電子版も28日、安倍首相の最大の功績は政治に安定をもたらしたことだとする識者の見方を紹介。国家安全保障会議の設置や武器輸出原則の緩和など、外交・安全保障分野の成果を列挙したとの報道を見るのであります。 また、アジアの各国、地域の首脳からは、安倍首相の功績を評価し、健康を気遣うメッセージがツイッターやフェイスブックなどで相次いで発表されており、シンガポールのリー首相はフェイスブックで、「安倍首相は、米国が抜けた後の環太平洋連携協定の締結に重要な役割を果たした」とコメントしたとの報道があるところであります。 そして、国内でも経団連の中西会長の「安倍総理は、憲政史上最長の在任期間の中でアベノミクスの実行、地球儀を俯瞰する外交の展開、安全保障政策の強化など、国政全般にわたり、多大なる実績を挙げてこられました。その結果、我が国の国際的なプレゼンスは著しく向上しています」とのコメントなどを見ますように、安倍政権の実績を評価する声が多数上がっているところであります。 さらには、安倍晋三首相の辞任表明を受けての在任中の実績について行われた世論調査結果は、朝日新聞では、「大いに」17%、「ある程度」54%、合わせて71%が「評価する」と答えたのであり、日本経済新聞では、「評価する」と「どちらからといえば評価する」と答えた人は合計74%に達し、読売新聞でも、「評価する」とした人は「大いに」と「多少は」を合わせて74%に上ったとしていて、三紙のいずれもが70%超えという極めて高い実績評価を下しているのであります。このような評価は、我が会派の思いに沿うものであります。 思い返せば、課題なしとは申しませんが、在任期間としては長いものではありましたが、日本の社会経済から見れば、短くもあった7年8か月にわたる期間、アベノミクスを掲げて、戦後最長とはならなかったものの、71か月にわたる景気回復を成し遂げた実績は、誠にすばらしいものでありました。 そのほかにも、平和安全法制関連法・働き方改革関連法の成立、全世代型社会保障制度への転換と充実、2回にわたる消費税率の改定、幼児教育の無償化の実現などの数多くの政策を実行し、実績を残されてきたところであります。 自由民主党党員の一人として誇り高く思いますとともに、健康に留意していただきたいと願う次第であります。 以上を申し上げて、本論に入ります。 新型コロナウイルス感染症対策の今後への備えについて伺います。 今、こうして我々がここにあることができますのは、我が身の危険をいとわない医療関係従事者の方々などの献身的な努力のたまものと、敬意と感謝を申し上げます。 現在の日本を取り巻く状況は、いまだ新型コロナウイルス感染症拡大にあって予断を許さない状況にあるところから、コロナ禍の影響の長期化を見据えて、区民の安全と安心を第一にしたコロナ禍への対応と施策づくりが迫られると思うものであります。 さきの6月の第2回定例会では、新型コロナウイルス感染症に関する対策について、医療・検査体制、財源確保、経済活動及び教育など、様々な角度から対応状況や今後の展望について伺いました。しかし、いまだにコロナは収束する状況にはなく、むしろニュースなどで聞く感染者数がまだまだ高止まりしている状況は、当初の頃には冬にかけて第2波が来るのではと恐れていたところですが、既に第2波にあるとも言われる現在、不安が募るばかりとも言えるような状況を呈している今日この頃であります。 そうした中にありましても、これまでの新宿区の対応や施策は、極めて適正になされてきたと評価するものであります。その幾つかは、次のようなものであります。 WHOが「感染者の割り出しや感染経路の調査などの継続が極めて重要」と繰り返し強調していますように、感染経路の調査という点では、このたびの「新宿区繁華街新型コロナ対策連絡会」の設置並びに新型コロナウイルスの集団感染(クラスター)を防ぐために、いわゆる夜の街、歌舞伎町対策に力を入れての取組は、面的な検査として、またピンポイントで対応するシステムとして、大変時宜に適った必要な取組であったと評価するものであります。このことがモデルケースとなり、他自治体でも同様の取組をするようにもなるリーディングケースとなったところであります。 さらには、コロナに感染した患者を収容する数多くの大病院とそこに勤務する医療従事者を抱えるとともに、繁華街を控えた新宿区の特性として、PCR検査の陽性区民に対する見舞金10万円の支給制度は、感染者の生活を支えるとともに、繁華街における感染防止対策の一つとして有効な支援策であるものと評価するところです。 このような地域の特性に応じた対応は、国や広域自治体としての東京都の対処を待つことなく、住民に最も身近な区市町村が自らの判断で、しかも未知の事柄に対応する場合にあっては、過去の事例から、幾つかの選択肢を積み上げるような従来の役所型の意思決定では間に合わないこともしばしば起こるところであり、まさに自治体の長の適切な判断とリーダーシップこそが求められるものと思っております。今後の不確実性の高まる時代にあっては、このようなことがしばしば起こる得るものであり、その点ではトップによる真の判断が常に求められることとなる時代だと思うのであります。 先ほど述べました区の取組などについて、区長としてどのような判断の下に決定し、行われたのか伺います。 このことと同様に、私たちは6月1日付の臨時号の区報の「6月はまだ油断できない!新宿区は『コロナ警戒期間』です」は、区長の意思を明確にした取組として評価しております。確かに、この取扱いについては、一部に経済への影響などからいろいろな議論があったところですが、今後においても、基礎自治体のトップといえども、このようなリスクコミュニケーションをも発信していくことが求められるものだと思うものでありますが、この臨時号はどのような作成意図を持ち、その後の施策との関係ではどのような位置づけをなすものであったのか伺います。 また、教育行政にあっても、区内小・中学校における陽性者の発生に際して、ほかの児童・生徒たちに感染していないことの判明が続いたことは、これまでの教育委員会の対応が適切であったことの証左であると考えるものであります。 このようなことの一つが、8月6日の夕方のNHKの首都圏ニュースに紹介されていた、児童・生徒の感染防止と休校を防ぐ取組がそれでありました。このことについて、文科省は5月、感染者が増えても一律休校とはせず、学校ごとに判断するよう求めており、かつ文科省の担当者は「校内に感染者が発生した場合を除き、なるべく学習を継続する方向で検討してほしい」としております。 新宿区教育委員会では、「子どもたちの感染ルートのほとんどが家庭内感染なので、ウイルスを校内に持ち込まないことが大切であるところから、学びを止めないためにも、休校にならないよう対策に力を入れたいとしている」と報じられたところです。 このような取組を評価するものですが、教育委員会ではどのような方針の下に取り組むとともに、保護者などの関係をどのように築いてこられているのか。また、これまでの取組をどのように評価されているのか伺います。あわせて、極めて個別の問題とはなりますが、家族に陽性者が出たことに伴い、学校を休むことになった当該児童・生徒に対しては、どのように在宅時のその時々に、そしてその後においても、学びを確保されてきていらっしゃるのでしょうか、伺います。 次に、コロナはいまだ感染拡大の予断を許さない状況下にあるところですが、ウィズコロナとして、これまでに手を尽くしてきたことにはどのようなことがあり、今後の流行への備えとしてどのようにしていこうとされているのかについてです。 東京都医師会などでは、秋以降のインフルエンザの流行期と重なる時期を最も心配していますが、このようなこともあっての、このたびの令和2年第1回区議会臨時会で議決を見た「感染症予防関係法令に基づくまん延防止対策及び健康診断等(新型インフルエンザ等対策の推進)」があるものと思うところですが、このあたりの考え方と区民への周知啓発などと、そのための医療体制の構築について、とりわけ今後の流行期に向けた区医師会や区内病院など、そして国や東京都との連携、役割分担の下に、どのように医療体制づくりを進めようと考えていらっしゃるのか伺います。 次に、PCR検査の対象者についてお尋ねします。 現在、新宿区はPCR検査の対象者を、新宿区医師会などの区内医療機関を受診し、医師より検査センターを案内され、診療情報提供書・予診票・健康保険証などを持参した新宿区内在住・在勤・在学の方としております。また、新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOAで陽性者との接触確認された方も対象になっていると思います。 この対象者を拡大してほしいという要望を区民からいただくことがあるのですが、私は現状が可能な限りの最善策であると考えています。その理由としては、端的に申し上げて、PCRの検査結果が100%でないからであり、全員を同時に行えなく、また、人の流れが流動的であるからであります。 確かに、一人でも多くの感染者を見つけ出すことがさらなる安全につながると考えることは妥当だとは思います。理論的には正しいと思いますが、現実的ではないと思います。すなわち、現実には、お金や人手のコストがかかり過ぎるということと同時に、しかも民間検査機関の活用ということを考えても、すぐに検査数を30万人を超える区民を対象としたものに増やせるものではないということであります。 このことでは、先日、会派で都立健康安全研究センターを視察してきましたが、ここでは、都内の保健所からの検体のPCR検査を行っていましたが、現在の1日の処理件数は約600件で、最大の処理能力は1,000件とのことでありました。現実はこのような状況にあります。確かに民間を活用すれば、もっと処理件数は上がるとは思いますが、現状は政府が目標とする20万件という数字を一日も早く実現することに尽きるように思います。 私は、これまでこのように考えてきておりまして、この考え方は、先日の都立健康安全研究センターの視察で確信に変わったところでありますが、区長はこのような議論についてどのようにお考えになるのかお尋ねします。 また、海外の論文に「無作為に無症状の人を検査しても感染抑止力が乏しい」との指摘がされていることから、無症状で感染確率が高い人をいかに見つけるかということこそが、最大の対策だとも言われています。 その点からすれば、政府が進めている新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOAの普及が待たれるものと思っています。すなわち、このアプリは人手に頼らず、感染者の接触を瞬時に追って、検査と隔離につなげられるものとなっております。確かに、現実はまだまだ登録者数が十分でない状況にはありますが、システムの不備などが改修され、使い勝手のよいシステムとなれば、このようなすばらしいシステムを国民・都民・区民、そして事業者の活用をしていくことこそが、コストパフォーマンスから見ても最高のコロナ対策であると考えます。 事業者の中には、株式会社明治のように従業員約4,000人が対象となる社用携帯電話に導入しておりますが、このようにまとまった数での導入が進めば、接触アプリの実効性がより高まると期待されますし、このようなシステムの活用を区民や事業者などにもっと周知啓発していくことも、行政の役割の一つと考えますが、いかがでしょうか。 ◎区長(吉住健一) 桑原議員の御質問にお答えします。 新型コロナウイルス感染症対策の今後への備えについてのお尋ねです。 初めに、繁華街における対策をどのように判断し、行ったかについてです。 5月下旬から繁華街における感染者が増加したことを受けて、事業者の皆様と話合いを重ね、信頼関係を築きながら、まちの現状についての共通認識を得て、感染拡大防止を官民一体となって協力して取り組むべきとの考えに至りました。 そこで、区と事業者で構成される「新宿区繁華街新型コロナ対策連絡会」を立ち上げ、情報共有を行うとともに、事業者や国・都などの関係行政機関と連携して店舗を戸別訪問し、連絡会で作成した実効性の高い感染予防チェックリスト等を配布するなど、地域一体となって感染拡大防止に取り組んできました。 また、店舗で感染者が発生した場合には、積極的なPCR検査を事業者の協力のもと実施するとともに、衛生管理等に関する適切な指導を行うことで、感染拡大防止に取り組んできました。 見舞金については、御指摘のとおり、新型コロナウイルスに感染した場合には、感染者本人だけでなく、その家族にも社会経済活動に制約が発生し、家計等にも影響を及ぼすことから、経済的な不安なく安心して療養いただける環境を整えるために支給したものです。 これら感染拡大防止の取組が、現在の繁華街における感染者数の減少へとつながっているものと認識しています。 次に、6月1日付広報臨時号の作成意図と政策における位置づけについてのお尋ねです。 5月の大型連休の後、国全体では新型コロナウイルス感染拡大の鈍化傾向が見られるとし、国の緊急事態宣言は5月25日に解除されました。しかし、区においては、依然として新たな感染者が確認されている状況がありました。 区には大きな繁華街が幾つもあり、大勢の来街者が訪れることから、国の緊急事態宣言が解除されても、区では安心できる状況ではないとの認識を持っていました。そこで「まだ油断できない」、「コロナ警戒期間」、「臆病なぐらいに警戒すべき」など端的で分かりやすいメッセージを発することで、区民に感染防止対策の継続を呼びかけたところです。 2月以降、感染防止のため、多くの区有施設を休館し、区主催の事業を休止してきました。区施設の利用者からは、早期の再開を望む声もありましたが、広報臨時号で訴えた「まだ油断できない」との認識のもと、新しい日常における施設種類ごとの具体的な感染防止対策や事業の在り方などを十分検討し、再開時期等について、他の自治体と比べても慎重に判断しているところです。 9月10日付で新型コロナ関連広報臨時号の第2弾を発行しました。多くの方が興味を持って御覧いただけるよう「コロナ対策は秋冬が正念場」と題して、治療の第一線で奮闘されている国立国際医療研究センターの大曲先生との対談形式で、新型コロナの現状や秋冬を見据えた対策などをお伝えしています。 今後も、適切で分かりやすい情報発信を行うとともに、引き続き感染拡大防止に努めてまいります。 次に、秋以降のインフルエンザ流行期と重なる時期への新型コロナウイルス感染症に対する備えについてのお尋ねです。 インフルエンザの症状は新型コロナウイルス感染症の症状とよく似ていることから、同時に流行すると医療現場の混乱を招くおそれがあります。また、インフルエンザの重症患者が増加すると、医療現場が逼迫するおそれがあります。こうした状況を回避するため、今季はインフルエンザの予防接種が特に重要と考えています。そのため、今年度は、子どもと高齢者のインフルエンザ予防接種対象者のうち、一部自己負担がある方の費用を免除いたします。 区は、10月1日の接種開始に合わせ、9月10日、15日、25日号の広報新宿、ホームページで掲載し周知するとともに、対象者へは個別に予診票を送付します。また、秋以降のインフルエンザの流行期に向けて、新型インフルエンザ等対策連絡会を開催し、区医師会や区内病院等と情報共有し、対応について協議するとともに、国や東京都とも緊密に連携し、医療体制づくりを進めてまいります。 次に、PCR検査数拡大に関する考え方についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、費用だけでなく、人的な面と設備面での十分な体制が不可欠であり、区では行政検査として必要な方に、効率的にPCR検査を実施していくことが重要であると考えています。 行政検査の対象者は、基本的に医師が総合的に判断した結果、新型コロナウイルス感染症が疑われる方、保健所が聞き取り等の調査を行い、濃厚接触者と判断された方になります。また、医療機関、高齢者・障害者施設など、重症化リスクが高い施設等において、患者が発生した際に速やかにスクリーニング検査を行い、感染拡大防止を図っています。それ以外の施設においても、クラスター化するおそれがある事例には、広く行政検査を行っています。 このように、施設の状況や特性に合わせ、効果的に検査を行っていくことが、感染拡大防止とハイリスク者への対応のために重要であると考えています。 次に、新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOAの周知啓発についてのお尋ねです。 接触確認アプリは、本人の同意を前提に、スマートフォンの近接通信機能を利用して、プライバシーを確保した上で、新型コロナウイルス感染症の陽性者と接触した可能性について、通知を受けることができます。 区では、通知を受けた方からの御相談を帰国者・接触者電話相談センターでお受けして、希望する方は全員を行政検査につなげています。この接触確認アプリは、御指摘のとおり多くの方に利用していただくことで、実効性がより高まるとされています。 区では、接触確認アプリについて、ホームページの新型コロナウイルス感染症対策ページで、区民・事業者向けに周知をしており、陽性者の方には入院勧告等の通知にチラシを同封して、周知を行っています。 今後も多くの方に利用していただけるよう、機会を捉えて周知をしてまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 初めに、学校における新型コロナウイルス感染症拡大防止への取組方針についてのお尋ねです。 教育委員会では、新学期の臨時休校が2か月に及んだことから、これ以上、子どもたちの学びを止めないために、6月からの学校再開後は感染防止に努めるとともに、学校内での感染拡大のリスクを最小限に抑えるため、文部科学省作成の「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」に基づく対応を徹底しています。具体的には、発熱等の風邪症状がある場合には、幼児・児童・生徒のほか、教職員についても、自宅での休養を要請しています。また、同居の家族に風邪症状が見られる場合やPCR検査を受ける場合も同様に、その時点で児童等に症状が見られなくても、登校を控えるよう要請しています。 次に、保護者などとの関係構築及び取組の評価についてのお尋ねです。 これらの対応方針については、学校を通じて各御家庭にお知らせをするとともに、PTA役員との意見交換の場でも丁寧に説明し、御理解をいただくよう努めています。学校再開後は、小学校3校、中学校1校で、児童・生徒の感染が確認されましたが、結果として、学校内でPCR検査を実施するに至らなかった小学校2校については、こうした対応を徹底したことによるものと受け止めており、効果のある取組であると捉えています。 次に、家族の感染によって学校を休むことになった児童・生徒の学びの確保についてのお尋ねです。 家族の感染によって学校を休むことになった児童・生徒に対しては、課題を配付するなど学習に遅れが生じないように個別に対応しています。課題については、プリントに加えてインターネットを利用したeラーニングや、配付したタブレット端末でのpalstep(パルステップ)などの学習支援ソフトを活用しています。自宅で学習に取り組む児童・生徒に対しては、担任が電話などで学習の状況を確認するようにしています。 登校を再開した後は、提出されたプリントやeラーニングなどから習熟の状況を確認し、その後の個別指導を確実に行うことで、児童・生徒の学びを支援しています。 ◆26番(桑原ようへい) 先ほどの1番目の「新型コロナウイルス感染症の今後への備えについて」で、対応状況を伺いましたので、ここでは保健所の体制を中心に、関連した幾つかについて伺ってまいります。 まず、感染症対策としての保健所の体制の現状と今後についてです。 1994年の地域保健法成立で、母子保健などの住民に身近なサービスは保健所から市町村に移管され、保健所は感染症対策や食品衛生、難病対策などの業務を担う仕組みに変わりました。その結果は、全国平均では、保健所1か所当たりの保健師は平均17人ほどと言われるような状況にありますが、このたびの応援に駆けつけてくれている東京都などからは、「新宿区はよく頑張っている」と驚かれたとも聞くところですが、現在の新宿区の配置状況と23区の平均の配置状況について伺います。 この配置の問題については、確かに新型コロナなどの感染症対策として考えるときには、国や東京都にも関わる問題でありますが、感染症を含む地域の保健衛生を担う自治体として、また、盛り場を抱える自治体の新宿区として、この間のコロナ対策を振り返るとき、そうした点での体制強化策を含めた今後の体制整備に当たっての方針などについて、現時点でどのように描かれていらっしゃるのか伺います。 しかしながら、その一方では、今回のいわゆる夜の街対策などに見られるように、新宿区の場合においては、区のみで対応するにはおのずと限界もあり、東京都を含む応援体制をいかに組み込んでおくかが鍵であると考えますが、いかがなのでしょうか。あわせて、体制づくりにあっては、平時の体制と緊急時の体制との大きく2つの場合に分けた組織づくり、人づくりの整備を日頃より考えていくことも大切と考えるところであり、区組織にあっても、緊急時の応援体制の仕組みづくりを平時に心がけることも大切であると思いますが、いかがでしょうか。このような一つの事例を選挙管理委員会事務局に見ることができるとも思っている次第であります。 次に、気になる健康部をはじめとしたコロナ禍の最前線で働かれている方々の勤務の状況についてです。 コロナ禍になってはや半年が過ぎていますが、様々な部署でイレギュラーな仕事が増えてきていると思います。特に健康部の方々は、最前線で日夜を問わない勤務も続くとのことであります。ここで気になるのが、きちんと休みが取れているのかであります。特に、管理職の方には、休める体制をきちんとできているのか心配です。このウイルスが落ち着くまではまだまだ時間がかかることが予想されます。長丁場のウイルスと戦う以上、休むことも仕事のうちであると思いますが、どのような勤務体制になっているのでしょうか。 次に、新宿のイメージアップについてです。 少なからずの区民は、今新宿区に住んでいることを口にすることがはばかられる思いをされているかと思いますが、区としてこのような状況をどのように払拭し尽くすのかについてです。 ここしばらく、マスコミなどで夜の街新宿という言葉を多用するところから、何だか歌舞伎町が、また新宿のまち全体が何となく危ないところというイメージを払拭し切れていない状況がいまだにあるようで、心配するものであります。 新宿では、全国で緊急事態宣言が解除された5月下旬以降、歌舞伎町を中心に感染者が急増。区は保健所を通じて、接待を伴う飲食店の従業員や客らに症状の有無にかかわらず検査を促し、クラスター対策の徹底などの感染の封じ込めを急いできたことから、PCR検査の陽性率も高く、7月3日には37.3%となったことから、ともするとこの「37.3%」、「夜の街」という数字や言葉が独り歩きして、コロナにおける諸悪の根源は「夜の街・歌舞伎町」というような、マイナスイメージが定着してしまった感があります。このことにより、せっかくこれまで新宿区民がイメージアップに心がけてきた「客引き防止条例」などの各種の対策や取組の成果が、水泡に帰すような状況にもなりかねないと多くの区民が心配するところで、少なくとも現時点では、新宿区民であることを自ら名のることははばかられる思いを持つ区民は少なくありませんが、区長にはこのような声が届いていませんでしょうか。 このような心配される区民の声への対応として、区民をはじめとして、広く都民や国民に、そしてマスコミなどにも、新宿区の現状や取組などをきちんと数字なども示して発信していくことが必要かと思いますが、このようなことに対する区のこれまでと今後の取組などについて伺います。 今はウィズコロナでありますが、いずれのときに保健所行政におけるこの間の仕事ぶりや取組を記録として残してほしく、それは今後の新宿区のためであり、多くの自治体のためともなるものであります。我が身の危険をいとわない、保健所に勤務する医療関係従事者をはじめとした職員の皆様のおかげで、何とかコロナ禍にあっても、新宿区の今があるものと感謝を申し上げるところであります。 ぜひ落ち着いたときには、今後のために、よくも悪くもこの間の取組状況を取りまとめるとともに、区民に身近な自治体からの報告と提言をつづっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◎区長(吉住健一) コロナ禍が問う危機管理体制の構築と今後についてのお尋ねです。 初めに、感染症対策としての保健所の体制の現状と今後についてです。 特別区の保健所における保健師配置状況は、平成30年度は平均18.5人です。新宿区保健所の保健師配置数は17人であり、結核や感染症に対応しているのは、保健予防課配属の10人ですが、併せて難病と精神保健対策の一部も担っています。 感染症の対応では、発生届に基づく保健師等による疫学調査は大変重要ですが、事務職による就業制限や入院勧告の通知、医療費助成、他自治体との連絡等の事務処理も重要です。そのため、新型コロナウイルス感染症の発生届数や、他自治体からの調査依頼等、業務量に応じて、庁内各部署からの応援や労働者派遣の活用をし、土日夜間も含めた体制を取ってきました。 引き続き、地域の感染拡大防止を担う保健所として、増大する感染症業務にも対応ができるよう、備えてまいります。 また、5月下旬より繁華街における感染事例が急増し、調査への協力が得られない事例もあったため、業界関係者との協議を重ね、信頼関係を構築することで、官民一体となって繁華街における感染拡大防止の取組を進めてきました。さらに、患者発生数が急増する中で、繁華街の対策を迅速に進めるため、6月より国や都からの応援も受け、対応してきたところです。 今後も発生状況に応じた柔軟な体制が取れるよう、国や都と連携しながら体制強化に努めてまいります。 次に、区組織での緊急時の応援体制の仕組みづくりを平時から心がけることについてです。 区では、今回の新型コロナウイルス感染症拡大防止に係る業務や各種給付金業務に対し、8月末現在、延べ約230名の兼務を発令し、業務に当たらせています。このほか、さらに人員を要する業務について、労働者派遣の活用による人員確保も行っています。 このたびのケースでは、専門性の高い調査業務をいかにして切り分け、分担し、組織全体としての対応力を増強するかという点で、苦心をいたしました。 今後は、今回の事態を踏まえ、職員が日頃から緊急時の体制への移行手順や、緊急時に担う役割などを意識するよう、様々な機会を捉えて徹底するとともに、事前に対応部署や応援人数を割り当てる仕組みづくりを検討するなど、緊急時において新たに発生する業務や継続的に実施する業務に速やかに緊急時の態勢が組めるよう、より機動的かつ確実に対応してまいります。 次に、健康部をはじめとしたコロナ禍の最前線で働いている職員の勤務状況についてのお尋ねです。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日々生ずる新たな課題に対応するため、健康部の職員、とりわけ管理職は休みを取りにくい状況となっていました。特に夜間における重症化した陽性者の入院調整や搬送手段の確保など、昼夜を問わず対応する状況が続いていました。このような状況を少しでも改善するため、健康部内管理職の保健予防課への兼務に加え、健康部以外の管理職に兼務を命じ役割を分担させることで、負担軽減を図ってまいりました。 8月に入り、国と東京都の保健所支援が軌道に乗ったこともあり、保健師より、久しぶりに明るい時間に退庁できたとの報告がありました。新型コロナウイルスへの対応は長期化することも想定されますので、さらに役割分担などを工夫し、今後も職員が休みを取れるよう取り組んでまいります。 次に、新宿のイメージアップについてのお尋ねです。 新宿区では、感染が再拡大し始めた6月後半から7月にかけ、繁華街のクラスター対策のために集中的な検査を行ったことを受けて、感染者数が急増し、連日、報道機関やソーシャルメディアで繰り返し取り上げられました。こうしたことから、新宿全体に対する恐怖心や差別意識が生まれ、区民や区内事業者の方から、風評被害について多くの不安の声が寄せられています。 一方、繁華街事業者と連携して実施してきた感染症対策の効果が現れ、8月には区内の新規感染者数がほぼ半減し、繁華街でのクラスターの発生も抑えられていますが、「感染のまち」というイメージは残念ながら払拭できていません。 こうした区内繁華街の感染症対策の取組や感染状況を区民等に正しくお伝えするため、引き続き区ホームページや広報新宿、SNS、マスコミへのプレスリリースにより、積極的な情報発信に努めていきます。 次に、新型コロナウイルス感染症対策の取組状況の取りまとめ、報告、提言についてのお尋ねです。 新型コロナウイルス感染症の流行が収束した後には、対策について取りまとめた上で分析、評価を行うとともに、今後の感染症対策に活かしていく必要があると考えています。そのため、区民に身近な自治体として、対策を通じて得られた課題等を、機会を捉えて伝えてまいります。 ◆26番(桑原ようへい) コロナ禍の動向を見極めながら、区民生活や地域経済などへの深刻な影響を注視していく必要があります。そして、必要であれば、今後も適時適正に補正予算を編成していく必要があるものと考えます。 このことでは、「需要の蒸発」などの言葉で、コロナ禍における事業者の経営状況の厳しさが表現されますが、その厳しさは、リーマンショックを超える経済の打撃とも言われるところであります。内閣府が9月7日に発表した7月の景気判断は、12か月連続の「悪化」を示したとのことであり、「悪化」の期間は、リーマン危機前後の11か月を上回り、過去最長を更新したとのことであります。 そのようなコロナ禍が新宿区の地域経済にも多大な影響を及ぼしており、これを受けた特別区民税の収納状況と今後の見通しなどについて、伺ってまいります。 最初に、令和元年度末に近づいた令和2年1月から世界を震撼させ、いまだに収束を見ない新型コロナウイルス感染症が、令和元年度の区財政に与えた影響についてです。 コロナによって、施設の休館や事業やイベントなどが中止や延期となるなど、区政運営や区民サービスに大きな影響が生じたところですが、その概要と、これらのことによる区財政への影響などはどのようなものであったのでしょうか。また、コロナの影響による休館などによる区民サービスなどは、令和2年度に入ってはどのようであって、現在ではどのような状況となっているものなのでしょうか。概要で結構ですので、お聞かせください。 次に、令和元年度と令和2年度の特別区民税の収納状況と今後の見通しなどについてです。 このことでは、財務省は2019年度の国の税収総額が2018年度比で約2兆円少ない58.4兆円になったと発表していて、内訳は法人税が1.5兆円減の約10.8兆円、所得税が7,000億円減の19.2兆円で、国の税収が60兆円を割り込むのは2年ぶりで、減収は3年ぶりとのことであります。 これらの影響としては、直接的には事業収入の減少によるところが大であるかと思いますが、このたび新設されたコロナ禍による特例の猶予措置によるものかと思われます。このことによる適用の実績について、国税庁は8月7日、4月30日の開始から約2か月で約9万6,000件、税額計約2,618億円に上ったと明らかにしておりますし、8月21日、総務省は、地方税の適用では、6月末までに都道府県と市町村の合計で、件数は8万1,925件の956億6,500万円になったとしています。 国税と地方税とでは、課税の在り方として、地方税である住民税は所得税と課税・納税のタイムラグが生じているということがよく問題視されており、今回のコロナでは、事業者の方々にとって、このタイムラグはこのようなコロナ禍の中では、影響をより大きくしているのではないかと心配するものでありますが、当区における適用の状況と、そのことをどのように捉えられておられるのか。そして、本年度並びに来年度予算などへの影響などについてはどのように見通されているのでしょうか、伺います。 次に、コロナ禍が経済に及ぼす影響が大きく、しかもその影響はリーマン越えとも言われる中では、雇用状況などにもその影響が大きく関わるものと思われるところから、地方税である特別区民税にあっては令和3年度に大きく響いてくるものと考えるところですが、現在のところ、特別区民税については、令和3年度当初予算ベースで、対前年度当初比どのぐらいの金額の落ち込みになると、予算編成を前に想定されているのでしょうか。 次に、一般的には少子高齢化社会にあっては、高齢人口の増大とその一方の少子化の中で、特別な要素がなければ歳入は減り、一方の歳出は不可避的に毎年増え続けるとされるところでありますが、人口増の続く新宿区にあっては、この間何年にもわたって、納税義務者増を主な要素として、特別区税は伸びてきていましたが、コロナ禍の「新たな日常」と言われる中にあって、状況は変化してくるようにも受け止めるものですが、いかがなのでしょうか、伺います。 次に、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金についてです。 最初に、事業実施計画の策定についてですが、新宿区は一次と二次で都合15億円余の交付金の支給となったところですが、支給の前提として、それに見合った事業実施計画が求められていますが、どのような計画となっているのでしょうか。また、交付金に見合ったという実施計画は、新宿区の需要に応じた計画として、必要十分なものになっているものなのかどうか。もし十分でないとすると、その差額はどのようなもので、今後いかなる形で補填されることがあるものなのかどうかについても伺います。 次に、都区財政調整についてです。 調整財源の多くが景気に左右される税源によるところから、都区財政調整交付金が激減してくるものと思われます。一説によれば、特別区への配分で1,000億円の影響額になるとも聞くところですが、このようなことが今後の区財政にとってどのようなことをもたらすとお考えなのか伺います。 今後に向けた財源対策についてです。 コロナ禍にあって、今後の財政運営は国も東京都も大変厳しい中、新宿区にあっても、ここまでに見てまいりましたように、特別区民税の税収などの大幅な減収が見込まれる中、その一方の歳出はコロナ対策経費の計上で大幅に伸び、財政運営はさらに厳しさを増すことが想定されるところです。 しかしながら、このようなコロナ禍にあるからこそ、区民生活を支え、地域経済への支援を強力化していくことが欠かせません。区としても、そのような現下の厳しい財政運営を想定され、「令和3年度予算の見積もりについて(依命通達)」が策定されたと受け止めているところであります。このことでは、依命通達に「すべての事務事業について、「新たな日常」に照らし合わせ、事業の在り方や手法などあらゆる角度から抜本的に検証し、その費用対効果をしっかりと見極め、事業の統合・再編・廃止を含め検討したうえで、予算に反映する」と、編成に当たっての覚悟が書き記されているものと理解するものであり、その方向でしっかりと通達に沿って見直しなどが進むことを期待するものであります。 また、区長は、これまでも本会議答弁で、「不断の行財政改革に徹底して取り組む」と述べられていますが、今日の事態を鑑みるとき、各組織からの積み上げによる取組とともに、組織横断的に行財政改革に取り組むことも必要であると考えますが、その取組についてのお考えを伺います。 次に、国においては、「骨太の方針」などにありますように、「コロナ禍で困窮する個人や企業への給付をめぐり、行政のデジタル化の遅れが浮き彫りになった」とし、行政手続のデジタル化を促すため、制度と組織を見直し、今後1年間を集中改革期間とし、内閣官房に司令塔機能を設け、省庁に徹底するとのことでありますが、本区におけるこの間のコロナ対応における給付事務処理などから、このようなデジタル行政という視点ではどのように受け取られていて、今後に向けてはどのように進めていこうとされているのか伺います。 また、今、時代は大きく変わろうとしています。依命通達にもありますように、「新たな日常」の視点が求められる中にあっては、情報化の計画などにおいても、従来の時間軸では回らない時代となっているものと考えますが、今後に向けて、区における行政手続のデジタル化についてはどのように進めていこうとされているのか伺います。 さらには、コロナ禍を境に、税収などは枠組みが大きく変化する時代を迎えて、「新しい酒は新しい革袋に盛れ」のことわざのごとく、区職員の働き方についても、その在り方の見直しも検討の俎上に上ってくるようにも思いますが、このたびのコロナの緊急事態宣言下などにおけるテレワーク実施の評価などを含め、今後に向けてはどのように進めていかれるのか伺います。 この項の最後は、令和3年度予算編成についてです。 初めに、来年度予算を編成されるに当たって、その財政収支見通しをどのように立てていらっしゃるのか、一般会計ベースのものを伺います。 次に、まだまだコロナ感染症への対応が続く中では、感染症対策の強化と区民生活・地域経済の支援を第一として、コロナ関連は、引き続き今後も状況に応じて、令和2年度の補正予算の編成を迫られることもあると考えますし、現在の状況では、令和3年度の予算編成においても、令和2年度の継続とはならないまでも、一定程度の事業については継続的にならざるを得ない事業もあると考えるところから、その点では令和2年度と3年度のコロナ関連での予算編成の並行作業が続くかと思いますが、このあたりの作業をどのように進めていかれるかについてですが、コロナ関連ということでは、年度をたがえるとはいえ、別枠で編成作業をすることもあり得るように考えますが、このあたりの進め方はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。 次に、このたびのコロナ禍への対応にあっても、適時適切にかつ大胆な対策のための補正予算が組むことができるのも、これまでの基金残高の確保の在り方の適正性を裏づけたものと考えますが、これまでの財政調整基金の在り方に関する所見と今後の進め方について伺います。 このことでは、今後の厳しい財政環境での予算編成にあっては、これまでとは異なり、特別区民税の減収を中心とした大幅な収入減が見込まれる折から、これまでの財政調整基金の積み立て方から、より積極的に積み立てるという考え方に立つことが必要のようにも考えますが、いかがお考えでしょうか。 ◎区長(吉住健一) コロナ禍が問う区財政についてのお尋ねです。 初めに、新型コロナウイルス感染拡大に伴う施設の休館や事業・イベントなどの中止や延期の概要についてです。 区は、国内における新型コロナウイルス感染症が広がりを見せ始めた2月下旬に、令和元年度末までに開催を予定していた区主催のイベント等について、感染拡大防止の観点から、原則中止または延期を決定し、併せて3月1日から屋内スポーツ施設や博物館等について利用中止の措置を講じることといたしました。 その後も、新型コロナウイルスの感染者が増加していたことから、3月下旬には区主催のイベント等の中止や屋内スポーツ施設等の利用中止期間を延長するとともに、屋外スポーツ施設や地域センター等の区施設についても、団体利用の自粛等を区民の皆様にお願いいたしました。さらに、4月7日に緊急事態宣言が発出されたため、団体利用の自粛等を要請していた施設も含め、ほぼ全ての区施設の利用を中止したものです。 5月の大型連休の後、国全体では新型コロナウイルス感染拡大の鈍化傾向が見られるとし、国の緊急事態宣言は5月25日に解除されました。しかし、区においては、依然として新たな感染者が確認されている状況があったため、区主催のイベント等の中止期間及び区施設の利用中止等の期間を、「新型コロナウイルス感染症が収束するまで」とし、6月の「コロナ警戒期間」においても、引き続きその対応を継続することといたしました。 次に、新型コロナウイルス感染症が令和元年度の区財政に与えた影響としては、感染症拡大防止対策として、消毒液やマスク、衛生用品の購入等に4,500万円、区有施設の休館等に伴う指定管理者等への事業者支援として6,100万円、小・中学校の休校中の就学援助準要保護世帯への学校給食費支給等として1,000万円、新型コロナウイルス感染症の電話相談体制への非常勤職員配置などに200万円など、合計で1億2,000万円を要したほか、イベント等の中止や延期による不用額が4,500万円ほど生じました。 次に、休館等による区民サービス等の令和2年度に入ってからの状況と現在の状況についてです。 令和2年度に入ってからも、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大していたことから、ほぼ全ての区施設に利用中止等の措置を取り、4月から6月にかけては、区民の皆様の施設を使ったスポーツ活動やコミュニティ活動等が行えない状況でした。7月以降における区施設の利用については、感染状況等を注視しながら、感染リスクや感染防止対策を十分検討した上で段階的に再開することとし、現在は、利用定員や区分の制限をはじめ、手指消毒液の設置や換気の徹底等、安全対策を期した施設運営を行っています。 一方、区主催のイベント等については、引き続き3密の回避などの感染防止策に取り組む必要があるため、事業の目的や効果、代替手段の有無、感染リスク等を総合的に検討し、その実施について事業ごとに慎重に判断していく必要があると考えています。そのため、令和2年度については、ふれあいフェスタや若者のつどい等、多くの来場者が見込まれるイベントについては、中止の判断をさせていただいているところです。 次に、令和元年度と令和2年度の特別区民税の収納状況と今後の見直しなどについてのお尋ねです。 初めに、徴収猶予の特例の適用状況とその捉え方についてです。 特例の適用対象は、新型コロナウイルス感染症等の影響により、イベントや外出の自粛等に伴い、収入に相当の減少があった場合となっており、8月末現在の許可件数は447件、猶予金額は特別区税分で約3,000万円です。しかしながら、実際には許可を受けた人数よりも納税が困難な状況にある方が相当多いのではないかと捉えています。そのため、納付困難な状況に応じてきめ細かく納付相談を行うなど、引き続き適切な対応を図っていく必要があると考えています。 また、徴収猶予の特例による本年度と来年度予算等への影響についてですが、猶予の全体金額は、特例の対象となる税が9月4日の地方税法施行令の改正により、令和3年2月1日までに納期限が到来するものに変更され、特別区民税の普通徴収第4期分が対象に加えられたことを踏まえて、8月末現在の猶予金額のおおよそ2倍となる約6,000万円と見込んでいます。 猶予された税額は、最長1年間の猶予期間内の収入の回復状況に応じて納付していただくことになりますが、このうち本年度中に納付されない金額は、本年度予算に対する収入未済となり、滞納繰越分として来年度に繰り越されます。最終的に、収入や資力の回復が見込めないときは不納欠損処理されることとなりますが、現時点でこれらの金額を具体的に見通すことは困難です。 次に、令和3年度特別区民税の当初予算の見込みについてです。 平成20年9月に始まったリーマンショック後の状況を振り返ると、平成22年度の特別区民税決算額は、前年度と比べて8.14%、約30億円の減となりました。実質GDP成長率で見ると、平成21年は年5.4%の減でしたが、特に1月から3月期は年率換算で17.8%の減でした。その時期と比べると、令和2年の4月から6月期は年率換算で28.1%の減となっており、より厳しい状況が予想されます。 このため、現時点で令和3年度の特別区民税収入は、リーマンショック時以上に落ち込むことが想定されますが、予算編成に当たっては、今後の経済状況を十分に踏まえ、適切に判断してまいります。 次に、「新たな日常」における状況変化についてです。 テレワークの普及による働き方の変化を受け、東京への人口集中が緩和されるなど、今後は、納税義務者の増加傾向が弱まるか、または減少に転じることが懸念されます。また、イベントや飲食など、密を避けた、「新たな日常」に即した営業形態への変換など、区民の所得に影響を与える状況変化も予想されます。 このような大きな変化を見据えて、特別区税収入を適切に見込んでいくことが必要と考えます。 次に、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金と都区財政調整についてのお尋ねです。 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、新型コロナウイルスの感染拡大の防止及び感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活の支援に資する事業が交付対象となる国の補助事業であり、区の交付限度額は約15億円となっています。そして、区の実施計画では、現段階で商工業緊急資金利子補給、店舗等家賃減額助成、ICTを活用した教育環境の充実など15事業、事業費で51億円、特定財源を除いた交付対象経費で49億円となっています。交付対象経費と交付限度額の乖離は34億円あり、区の実態と合っていないことから、特別区長会を通じ、必要な金額が措置されるよう、追加の財政支援について要望しています。 今後の補填については、国の動向を注視してまいります。 次に、都区財政調整についてです。 御指摘のとおり、調整財源である市町村民税法人分は、景気動向に左右される性質があります。今後、新型コロナウイルス感染症のさらなる感染拡大により経済の低迷が継続した場合には、大きな影響があるのではないかと危惧していますが、大幅な減収が見込まれる場合であっても、これまで培った財政対応力を発揮し、基金、起債を効果的に活用することで、持続可能な財政運営に努めてまいります。 次に、行財政改革についてのお尋ねです。 区は、これまでも区税等の歳入確保、行政評価による事務事業の見直しや経費削減など、不断の行財政改革に取り組んでまいりました。現在、効果的・効率的な業務の推進に向けて、全庁的にRPAなどICTを活用した業務手順や執行体制の見直しなどに取り組んでいます。 こうした中で、高齢者の健康づくりと介護事業の情報の一元化を検討するなど、組織横断的な行財政改革に取り組んでいるところです。 今後の事業実施に当たっては、従来の事業手法に加え、「新たな日常」に即した事業手法を選択するため、ICTの活用等による手法も併せて検討するとともに、事業の目的が達成できない場合には、事務事業の統合・廃止も含め、徹底して見直していきます。こうした組織横断的な行財政改革を進めることにより、持続可能な行財政運営に努めてまいります。 次に、行政のデジタル化についてです。 区では、これまで業務の効率化と区民サービスの向上のため、ICTを利活用したデジタル化を推進し、様々な行政手続についてオンライン化に取り組んできました。平成30年3月には、新宿区情報化戦略計画の改訂を行い、「ワンストップサービスの実現に向けた業務改革の推進」を重点目標の一つとして掲げ、行政手続の簡素化とオンライン化に取り組むことを具体策の一つとして位置づけています。 こうした中、新型コロナウイルス感染症対策として、「新たな日常」の構築に向けたデジタル行政の実現に早急に取り組んでいくことが重要であると考えており、区民が来庁せずに行政手続を完結できるよう、申請手続のオンライン化の強化を進めてまいります。 このような取組を第二次実行計画及び新宿区情報化戦略計画に新たに位置づけ、デジタル区役所の実現に向けて推進してまいります。 次に、このたびのコロナ緊急事態宣言下などにおけるテレワークの実施の評価と今後の取組についてのお尋ねです。 今回のコロナ禍においては、職場の「密集」と「密接」を避けることで感染症拡大の防止を図るため、紙文書による在宅勤務を実施しました。窓口業務など、在宅勤務になじまないものもありましたが、多くの部署で実施し、出勤者数を2割から3割程度減らすことができ、職員の感染防止に一定の効果があったものと考えています。 一方、今回の在宅勤務では、通常使用しているパソコンや個人情報を持ち出さないなど、一定の制限の中で実施したため、対象業務が限定されたことが主な課題であったと考えています。 今後の在宅勤務への対応としては、現在、ICTを活用したテレワークの実施について、特別区長会調査研究機構のテレワーク研究会に新宿区も参加し、個人情報保護や勤怠管理、在宅勤務に適する業務の選定など、制度面の課題について具体的な検討を進めているところです。また、テレワーク環境の整備については、区においてハード・ネットワーク面で、検証環境の整備を進めており、情報セキュリティ対策等の安全面の検証や在宅勤務を想定した事務処理について、順次検証を開始してまいります。 次に、令和3年度予算編成についてのお尋ねです。 初めに、財政収支見通しについてです。 令和3年度予算編成に当たっては、新型コロナウイルス感染症の影響について、情報収集に努めながら作業を進めているところです。 財政収支見通しについては、特に歳入面において最も大きな割合を占める特別区税や特別区交付金において、大変厳しい状況が予想されます。歳出面においては、扶助費などの義務的経費や物件費、投資的経費は増加傾向にあります。 これらの動向を踏まえ、現段階では予断を許しませんが、歳入歳出両面からの増減分析をしっかりと行った上で、編成作業を進めてまいります。 次に、新型コロナウイルス感染症関連の予算編成の進め方についてのお尋ねです。 新型コロナウイルス感染症関連事業については、区として緊急に対応すべき事業として、本定例会に上程している補正予算第7号を含め、6回にわたる補正予算を編成しており、既に一般会計で事業費総額433億円、一般財源として財政調整基金を49億円充当しています。 なお、今後とも年度内にあっても、必要に応じて補正予算の編成などにより機動的に対応してまいります。 新型コロナウイルス感染症は、収束まで長引く可能性があり、区は社会経済状況に対応しつつ、感染症の影響を前提とした「新たな日常」の構築による行財政運営に取り組まなければなりません。令和3年度当初予算については、「新たな日常」の構築への取組として、感染症拡大防止対策を最優先事項として位置づけ、編成作業をスタートしたところです。編成に当たっては、御指摘のとおり感染症拡大防止対策として別枠で査定し、その結果について、令和3年度の予算概要等で分かりやすくお示ししてまいりたいと考えています。 次に、財政調整基金についてのお尋ねです。 区は、これまで長期的に見た区政への課題を俯瞰しながら安定した財政運営を確保し、また、緊急の行政需要にも的確に対応するために、特別区税等の一般財源が好調なときにおいても、堅実な財政運営や各種基金への積立てを行い、財政対応力の涵養に努め、区財政の健全性を確保してまいりました。 財政調整基金については、リーマンショック発生後、平成21年度から6年間で198億円の取崩しを行う一方で、137億円の積立てを行っています。 平成26年度以降は順調に税収を得られた結果、取り崩すことなく積立てを行ったことにより、令和元年度末の残高は過去最大の326億円となりました。しかし、今年度においては、緊急対応として全力を注いでいる新型コロナウイルス感染症拡大防止対策を含めた補正予算で、本定例会に上程している金額も含めて、既に97億円の取崩し額を計上しています。 今後の財政運営において、これまで培った財政対応力として、引き続き財政調整基金の効果的活用を行いながら、積立てについても積極的に行ってまいりたいと考えています。 ◆26番(桑原ようへい) 東京商工リサーチによる、東京都における新型コロナウイルス関連での破綻(負債1,000万円以上)の状況は、8月4日の正午現在で累計100件に達したと報じています。これまでに3月に1件発生して以降、4月に24件と急増し、その後は5月16件、6月33件、7月19件と推移し、8月は4日間で既に7件が発生したとし、全国の4分の1を占めると報じるのであります。 そして、業種別では、来店客の減少、休業要請などが影響した飲食業が15件で最多で、次いで百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連業種が13件、建設業が6件、ホテル・旅館が4件と続くとしています。 また、ニュースによれば、“おばあちゃんの原宿”として高齢者の方々に人気の巣鴨の商店街では、コロナの影響による何軒もの店の閉店の貼り紙の様子を伝えていて、経営状況の厳しさがうかがえるところであります。 このようなことは、我が会派と各種団体との来年度の予算編成に向けた懇談の中でも、コロナの地域経済への影響の状況について、メインストリートの路面店などでもお客の入り具合は5割方であり、地域の飲食店では、昼間の入りはまあまあとしても、夜ともなるとお客の入りはまばらで、地域の商店街の中は新たなシャッターが下りているし、事務所にあっては、引き払う引っ越しの現場も目にすることもあると、地域経済の窮状を数多く伺ったところです。 そうした中での団体の方々の心配は、経営が大変な中で、地域は何とか頑張ってきているが、現在の国や都、そして新宿区の経済的な支援が終了してしまったときには地域経済はどうなっているのだろうかと心配される方々は、少なからずいらっしゃいました。このような声というのは、区長にも届いているのでしょうか。また、コロナ禍の区内事業者の方々の経営状況や地域経済の状況などをどのように捉えられていらっしゃるのか、併せて伺います。 このようなことでは、制度の申請期限と実施期限の大きく2つが検討の余地があるのではないかと考えます。すなわち、申請期限の問題は、コロナの長期化に伴って状況が常に変化していることがありますし、実施期限につきましても、コロナによる経済的影響が長期にわたるところから、それぞれの期限をいま一度、在り方を検討する必要があるように感じております。 一つ一つの事業について触れることは避けますが、一例を挙げますと、「新宿区店舗等家賃減額助成」であります。先ほど申したように、コロナの長期化によって経営への影響が変化するとともに、影響そのものが長期化している状況にありますところから、申請期限と実施期限の両方の延長を検討する必要があるようにも思うところでございます。このことでは、既に無利子・無保証の特別融資では、来年3月末までと期限延長とされているところでありますが、コロナの影響が長引く中にあって、いま一度、区独自施策としての中小企業支援制度全般のたたずまいを考えていただくことも必要であるように思いますが、区長のお考えを伺います。 次に、コロナ禍での路上喫煙についてです。 さきに、都内の倒産状況で示したとおり、業種別では来店客の減少、休業要請などが影響した飲食業が最多でありましたが、この傾向は、負債額が1,000万円以下の事業者においても、また新宿区においても同様の傾向であるものと考えますが、いずれにしても、コロナ禍は飲食事業者への影響が最も大きかったものと思います。 そして、その飲食事業者にとってもう一つの経営への打撃の大きかったのが、コロナ禍の4月から、屋内は原則禁煙になった改正健康増進法や、東京都受動喫煙防止条例の施行でありました。東京では、約84%の飲食店が規制の対象となったと言われますが、このことにより、路面店の飲食店の中には店の外に吸い殻入れを置く店も多くあり、夜には多くの客が飲食の途中で路上喫煙をしている様子が目に入ります。 また、3密を避けるコロナ禍で、喫煙所を閉めているオフィスビルも多く見受けられ、その影響は飲食店の場合の逆に、特に昼休み前後に大変多くの人が路上喫煙をしています。そのようなビルの近くに住んでいたり、営業している事業所からは、コロナ禍で在宅時間が増えたり換気が促されている現状にあって、たばこの煙の苦情も多くなっております。 これらのような状況は、せっかく区が長年にわたり路上喫煙の禁止に取り組んできた成果が、徐々にではありますが、崩れてきている状況となっております。このような状況に対応するためにも、今後、公衆喫煙所の増設や民間の喫煙所の設置を進めるなどの検討も必要になるかと思いますが、どのようにお考えでしょうか、伺います。 ◎区長(吉住健一) コロナ禍が問う区内地域経済の現況等についてのお尋ねです。 初めに、国や都、そして区の経済的支援終了後を心配した事業者の方々の声についてと、区内事業者の経営状況や地域経済の状況についてです。 新型コロナウイルス感染拡大の影響は、区の地域経済に大きな影響を及ぼしており、地域の方から様々なお声をいただいています。「収束する時期によっては資金の枯渇も考えられる」など、事態収束の予測が困難なことから来る声や、「自社のみでの対応は困難である」などの、国や都、そして区の経済的支援が終了した場合を心配する声も多く寄せられています。 区が実施した景況調査では、本年4月から6月期の業況DIは、全業種でマイナス71.7ポイントとなり、これは昨年同期のマイナス31.6ポイントと比べ、大幅に悪化しています。中でも飲食・宿泊業では、「新宿に人が来なくて集客ができない」等の声もあり、今期はマイナス97.0ポイントと、昨年同期のマイナス25.7ポイントと比べ非常に厳しい状況となっています。 引き続き、区内の地域経済は大きな影響を受けており、回復にはいましばらくの時間が必要なのではないかと考えています。 次に、区独自の中小企業支援策の申請期限と実施期限の延長を検討することについてのお尋ねです。 御指摘のとおり、「商工業緊急資金(特例)」融資については、新型コロナウイルス感染症による影響拡大を踏まえ、申請期限を令和3年3月31日までに延長し、引き続き区内事業者の支援を行っているところです。また、店舗等家賃減額助成事業については、令和2年10月分までの家賃を対象として、申請期限を11月末までとしています。しかし、新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たない中で、オーナーが店舗等の家賃を減額することを通じて、引き続き区内テナント事業者の事業継続を支援できるように、申請期限の延長や家賃対象月の拡大が必要であると考えています。 コロナ禍が長引き、区内地域経済に及ぼす影響が非常に大きい中で、区は新型コロナウイルス感染症の感染状況や社会情勢、区民ニーズ等を総合的に勘案し、今後も中小企業支援策を適時適切に推進してまいります。 次に、コロナ禍での路上喫煙についてのお尋ねです。 区にも、飲食店に面した道路やオフィスビルの周辺での路上喫煙について、区民からの御意見等が寄せられています。区では、こうした御意見等を受け、飲食店での路上を含めた屋外喫煙について苦情や通報があった場合には、店舗の管理者等に、「望まない受動喫煙」を生じさせることがないよう、健康増進法に基づき配慮を求めているところです。また、苦情を受けたオフィスビルの周辺等を路上喫煙禁止パトロール員が常に巡回するようシフトを変更し、重点的に路上喫煙禁止の周知啓発に努めているところです。 御指摘の公衆喫煙所の増設等は、たばこを吸う人も吸わない人も快適に過ごすためには必要なものであると考えています。そのため、区では、公衆喫煙所の増設のために、道路法などの法規制の緩和や、国有地、都有地の提供などを、国や東京都に要望しています。また、民間の喫煙所の設置を進めるため、昨年からその経費を助成する制度を設けたところです。こうした制度を活用して、施設利用者等のための喫煙専用室等が5か所、一般の方も利用できる公衆喫煙所が1か所設置されたところです。 今後も、こうした取組を一層進め、路上喫煙禁止の徹底を図っていきます。 ◆26番(桑原ようへい) 今、マンションに関わる最も大きな課題は、「2つの老い」であり、一つが「建物の老い」、もう一つが「居住者の高齢化」が挙げられるのであります。 その上に、都市部に特有のマンション問題として、高齢社会にあって地域共生社会が求められるとき、マンション自体のコミュニティづくりと同時に、当該マンションを含め、町会・自治会を中心とした地域コミュニティづくりが大きな課題としてクローズアップされており、今コミュニティづくりがマンション自体としても、また地域にとっても難しい問題となっております。 このような状況下にあって、国においては、本年6月には改正マンション管理適正化法・マンション建替円滑化法を可決・成立、公布したところであり、公布後2年以内の施行となっております。 こうした中、新宿区では、このたび「新宿区タワーマンション実態調査」が行われました。この目的としては、「タワーマンションでの居住環境を把握し、今後のマンションの維持管理やマンション内のコミュニティづくり、今後の地域コミュニティなどの施策に反映すること」とされているところですが、改めて、この時期にこのテーマで実態調査を行われた背景と、この実態調査結果をマンション全体との関係ではどのように捉えられていて、今後の区のマンション行政にどう反映させていこうとされているのか、まず総括的に伺いたいと思います。 このたびの調査の柱の一つでありました「マンション内のコミュニティづくり」については、この良好なコミュニティづくりがマンションの適正管理に不可欠なものであるところから、このたびの「タワーマンション実態調査」は極めて的確な調査であったと評価するものであります。ぜひ、このような面があることを、マンションに住む区民をはじめ、マンションに関わる事業者の方々にも周知していく必要があると考えます。 新型コロナウイルス感染症拡大の状況下、難しいところがあるところではありますが、このような視点での周知・啓発活動についてはどのように取り組まれてきているのでしょうか、伺います。 次に、調査結果からの「今後の取組の方向性」として、「マンションの維持管理」では、「タワーマンションの管理組合は適正に管理運営されていることが確認されたが、将来において懸念される課題については、ほかの分譲マンションと同様に、以下の取組を重点的に進める必要がある」とあります。このことは、ある面、タワーマンションにあっては調査からも明らかなように、まだ築年数も比較的新しいものが多いところから、まだまだ切実な問題は少なく、これから現実の課題となる場合も少なくないものと思うところですが、今回の調査で、タワーマンション特有の維持管理上の問題としてクローズアップされた課題などについては、どのようなものが顕著であったのか、また、それらへの対応としては今後どのように取り組んでいかれるのか、伺います。 さらには、このたびのタワーマンションを対象とした管理組合向けの調査では、区内の分譲タワーマンション30棟の全てから回答を得ましたが、平成28年度に実施した区内の分譲マンションを対象としたマンション実態調査では、改修できないマンションが少なからずあるのが実態であります。確かに、このたびの東京都の「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」の施行によって、昭和58年以前に建設のマンションについては、事務処理特例で新宿区に管理状況の届出が義務づけられるところでありますが、昭和59年以降の分については従前と変わるところがない状況にあり、今回の大きな調査テーマである「マンションの維持管理」から見るとき、今回のタワーマンションの場合は、比較的新しいので課題となることも少ないと思われますが、既に実施されたこれまでのマンション実態調査における未改修のマンションの中には、まだまだ築年数の古い、いわゆる「二つの老い」という典型的なマンションの課題を抱えるものが少なくないと考えられますが、その点では、引き続き適正管理に課題を抱えることが予測される昭和59年以降に建設された未改修マンションへのアプローチについては、区として今後どのようにされていくのか伺います。 今回、調査のもう一つのテーマの「コミュニティづくり」にあっては、タワーマンションという大規模なマンションであるがゆえに、地域への影響も大きいところから、今後の取組とされている4つの取組に大きな関心を持つものであります。 我が会派では、これまでにもマンションに係る「コミュニティづくり」では、金沢市の取組を紹介するなども含めて、幾つかの提案をしてきたところであります。そのようなところから、このたびの調査結果も踏まえ、令和3年度の予算編成時期も迎えてもおり、今後の取組なども含めてどのようなことを考えておられるかについてです。 その一つは、今回の調査はタワーマンションに限定されていますが、対象を絞られた理由と、タワーマンション以外には課題となるようなものが存在しないという認識に立たれているものなのかどうか伺います。 2つ目は、このたびの「タワーマンション実態調査」の結果を、タワーマンション以外のマンションとの関係性ではどのようであったと捉えていらっしゃるのでしょうか。そして、そのことから、今後のマンションにおけるコミュニティづくりや町会・自治会を中心とした地域コミュニティづくりをどのように進めていこうとされているのか、伺います。 次に、今や新宿区においては、共同住宅に住む区民は8割を超え、その多くの方々がマンションに住み、新宿区のみならず、今や全国的にもマンションの老朽化の問題は目を背けるわけにはいかない状況となっております。 そのような中、最初に述べました、このたびの適正管理と建て替えを促す改正二法は、この問題に正面から取り組んだ法律であり、自治体にとっても待ちに待った法整備であったことかと思います。このことでは、我が会派では、これまでの間もマンションの適正管理の推進の視点で代表質問をしてきたところでありますが、義務的な管理状況の報告だけにとどまらず、自主的な適正管理を誘引する仕組みができないものかとも考えてきたところであります。 そのような中、同様のことを検討している神戸市の検討会「神戸市マンション管理支援制度検討会」の存在を知り、昨年12月に会派の視察で、事務局を主管する建築住宅局住宅政策課を視察して、検討状況を調査しております。同検討会では、既に本年3月には、施策の方向性として、「1、市が管理する状況を把握する仕組み」、「2、適正に管理することが区分所有者のメリットとなるインセンティブ」、「3、管理状況が市場で評価される仕組み」を掲げ、制度の創設として、「届出制度」と「情報開示制度」を打ち出した取りまとめを行っております。 その一方で、国においては、神戸市の検討会と同様の趣旨も包含した、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」を本年2月28日に閣議決定し、6月16日に原案どおり可決・成立、同月24日付で公布しているところであります。 この改正適正化法では、自治体(市・区)では、「1、国によるマンションの管理の適正化の推進を図るための基本方針に基づき、マンションの管理の適正化の推進を図るためのマンション管理適正化推進計画を策定(任意)」、「2、管理の適正化のために、必要に応じて管理組合に対して指導・助言などを実施」、「3、マンション管理適正化推進計画を策定した場合に、管理組合が作成する個々のマンションにおいて、適切な管理計画を有するマンションを認定」することなどが規定されています。 このことでは、法の施行は公布後2年以内とされるところですが、公布された本改正法によって既に方向性は明確になっているところから、新宿区としては、法の施行を待つことなく、少なくとも改正法への対応の検討や体制整備などを図っていくことが必要と考えるものでありますが、法改正がなされた今後に向けてどのように進めていかれるのか伺います。 ◎区長(吉住健一) タワーマンションを含むマンションの適正管理とコミュニティづくりについてのお尋ねです。 初めに、「タワーマンション実態調査」についてです。 区内の各地域では、地権者や開発事業者により様々な手法でまちづくりが進められる中、これまで42棟のタワーマンションが建設され、今後もその供給が見込まれる状況にあります。 こうしたタワーマンションについては、近年建設されたものが多く、将来にわたって良質な住宅としてストックしていくためには、入居者の意識や建物管理の実態を明らかにし、適切に維持管理がなされていく必要があります。また、こうしたタワーマンションの建設により、まちの姿が大きくさま変わりし、町会・自治会の活動に大きな影響を与えている状況も見られます。 これらの状況を踏まえ、タワーマンション内のコミュニティづくりなど、今後の地域コミュニティ施策及びマンションの維持管理の施策へ反映することを目的として、このたび「タワーマンション実態調査」を実施しました。 次に、今回の調査結果をマンション全体との関係でどのように捉え、今後のマンション行政に反映していくかについてです。 今回の「タワーマンション実態調査」においては、公開空地の有効活用など、タワーマンション特有の課題もありましたが、一般のマンション同様、エレベーター停止時の避難方法や断水時のトイレの使用、役員の成り手不足や居住ルールの不徹底、マンション内の居住者や地域との交流が一部の住民に限られていることなどの実情が明らかになりました。また、コミュニティづくりへの関心や自治会組織の有無等、タワーマンションごとに大きく異なる状況も確認することができました。 これらの調査結果から導いた今後の取組の方向性については、住宅や防災、地域コミュニティ等関係部門で構成する「新宿区マンション施策情報連絡会」でその内容を共有し、コミュニティづくりやマンションの適正な維持管理につなげてまいります。 次に、調査結果の周知と啓発活動についてです。 今回の調査結果では、それぞれのタワーマンションの維持管理の状況やコミュニティづくりへの意識や意向について、マンション居住者、管理組合、町会・自治会で違いがある実態が明らかになりました。こうした調査結果については、3月に「新宿区タワーマンション実態調査報告書」として取りまとめ、調査に御協力をいただいた管理組合や町会・自治会等に御説明をさせていただく予定でした。しかし、コロナ禍の状況の下、8月現在、区ホームページに報告書を掲載するとともに、各管理組合へ報告書を郵送し、新宿区町会連合会へ調査結果の概要を報告するにとどまっています。 今後の新型コロナウイルス感染症の状況にもよりますが、12月をめどに、各管理組合や居住者、マンション管理会社を対象に報告会を行ってまいります。その際に、役員の成り手不足や、ルールを守らない居住者、修繕積立金の不足への懸念といった様々な問題がありますが、まずは良好なコミュニティづくりがマンションの適正な維持管理の上で不可欠であることを説明してまいります。また、タワーマンションの立地する地元町会・自治会に対しても、調査結果の概要の説明を順次行ってまいります。その上で、それぞれのタワーマンションが取り組んでいるコミュニティ促進策について、管理組合や居住者がお互いの情報を共有できる場をつくってまいります。 次に、タワーマンション特有の維持管理上の課題と今後の取組についてです。 維持管理の面でクローズアップされた課題は、公開空地の活用についてです。このため、周辺地域の方の避難場所や防災訓練の場としての活用といった事例を、タワーマンション向けの報告会等を通じて紹介していきたいと考えています。 また、タワーマンションの居住者へのインタビュー調査では、災害によるエレベーターの停止や地下設備への浸水などに不安を感じるということが明らかになりました。マンションの浸水対策につきましては、マンション向けに受電設備の復旧方法や止水板の設置などの事例を掲載した「浸水対策ガイドライン」を国が6月に策定したところです。区では、このガイドラインを、マンション管理セミナーなど様々な機会を通じて周知してまいります。 次に、昭和59年以降のマンションへの対応についてです。 区では、東京都の条例に基づき、昭和58年以前に建設された分譲マンションを対象に、マンション管理状況届出書の受付を本年4月より開始いたしました。現在の届出状況は、区内の届出対象マンション約900棟のうち160棟ほどであり、未届けマンションへは届出を呼びかけているところです。 一方で、平成28年に区が区内の分譲マンションの管理組合向けに実施したアンケート調査では、未回答であった分譲マンションは約1,900棟ありました。未回答のうち、御指摘の昭和59年以降に建築された分譲マンションは約1,100棟あります。これらの管理組合には平成30年度より年2回、区のマンション施策一覧をポスティングしており、引き続き周知を図ってまいります。 次に、マンション管理適正化法の改正がなされた後の区の進め方についてです。 御指摘の改正マンション管理適正化法では、自治体が管理適正化推進計画を策定することにより、建築年数に関係なく、全ての分譲マンションを対象に管理組合への指導助言が可能となります。さらに、同改正法では、適切な管理計画を有するマンションを認定する制度も創設可能となります。 新宿区では、マンションをはじめとする共同住宅が8割以上を占めることや、昭和59年以降のマンションも老朽化が日々進行していることを踏まえて、これらの制度が必要なものと認識しており、現在、国で策定している基本方針を踏まえて、管理適正化推進計画を策定していきたいと考えています。 次に、コミュニティづくりとの関係で、今回の調査をタワーマンションに絞ったことと、タワーマンション以外のマンションには課題がないのかについてです。 区内に42棟あるタワーマンションについては、100戸以上の規模のものも多くあり、タワーマンションならではの棟内の合意形成の難しさや、災害時におけるタワーマンション固有の課題を指摘されています。また、大規模な開発により、これまでのまちの姿が大きくさま変わりすることや地域の居住者数が短期間で増加することで、町会・自治会の活動をはじめ地域の活動に大きな影響を与えている状況が見られます。こうしたことを踏まえ、今回の調査は特にタワーマンションに絞って実施しています。 また、区内の全ての分譲マンション・賃貸マンションを対象にした平成28年度の「マンション実態調査」では、マンション内のコミュニティ形成や防災等の取組についても調査を行い、居住者同士のコミュニティ形成の難しさや災害への備えが十分でない等の課題が明らかになっています。 区民の8割を超える方がマンション等の共同住宅に住む中、規模の違いはありつつも、マンション居住者やマンション居住者を含む地域の方々が、互いの顔の見える関係を築き、協力して支え合いや安全・安心の取組等に取り組んでいただくことが重要であると認識しています。 次に、今回の調査結果について、タワーマンション以外のマンションとの関係性でどのように捉えているか、今後のマンション内のコミュニティづくり、町会・自治会とのコミュニティづくりをどのように進めていくのかについてです。 今回の調査結果から、タワーマンション内のコミュニティづくりの今後の取組の方向性として、居住者、管理組合の関心の度合いと自治会組織の有無の状況により、「管理組合への働きかけを通した居住者への意識啓発」や、「自治会組織の立上げ支援やニーズに合わせた活動支援」等、それぞれのタワーマンションの状況に合わせて、4つのアプローチについて整理しました。また、タワーマンション居住者と地域との交流に向けた関係づくりについて、その関心の度合いにより、「マンション内の自治組織づくりの促進と災害時の互いの役割の確認」、「お祭り・子育て・高齢者支援・災害対策等のニーズを捉えた交流の促進」等、具体的なアプローチ方法の考え方も併せて整理しました。 これらのコミュニティづくりに対する取組の方向性については、規模の違いはあるものの、タワーマンション以外のマンションにも共通するものと認識しています。そのため、今後、区の関連する部署が連携しつつ、マンション管理組合や地元町会に専門のコンサルタントを派遣するとともに、地域コミュニティ事業助成の活用等を促し、棟内のコミュニティづくりや地域との絆づくりを推進していきます。 また、タワーマンション以外の共同住宅、町会・自治会等でも活用できるコミュニティの活性化や防災対策に関する様々な好事例を紹介する映像等の周知ツールの作成及びSNSを活用したコロナ禍におけるコミュニケーション支援など、コミュニティの活性化に向けた取組を進めてまいります。
    ◆26番(桑原ようへい) 次に、ながらスマホの防止についてお伺いします。 現在、区役所庁舎の玄関先には、「歩きスマホは危険です!」の標語に続けて、「歩きながらスマートフォンを利用する人の事故やトラブルが増えています。スマートフォンを利用される方は、周囲の人や状況に十分注意するよう心がけてください」と書かれたチラシが掲出されております。これらのチラシは、日本語のもののほかに、中国語、英語と韓国語で併記されたものとの2枚が並べて掲出されています。 思いますに、この貼り紙は、きっと転倒や階段からの転落事故によるけがなどを考えてのことかと考えるものでありますが、このような標語を掲げることとなった経緯と時期、そして庁舎内における具体的な事故やトラブルなどの状況はどのようであるのでしょうか。 今では、スマホの所有が当然となっております。従前に比べ、アプリが充実したこともあってか、多くの人が公共交通機関の電車やバスなどに乗り込むや否や、スマホなどに夢中になっている人たちを見かけます。こちらのほうは、乗っている間のことであれば問題はないかと思いますが、下車後も引き続き歩きながらスマホに夢中になる人が少なくありません。 このように、歩きながらスマホなどを操作、または画面を注視するあまり、車両や対向する人などへの注意力が散漫になるなどの接触事故などを招くおそれがあるものであります。 その上、最近では、「ながらスマホ」をしている人を標的にした恐喝など、「ながらスマホ」をしている人が被害者になるトラブルも多発し、報道されてもいます。 そのような中、今日では、「ながらスマホ」をする人たちが増えていて、事故やトラブルにつながる危険な行為となる状況が目に余る状況となっているのであります。中には、自転車に乗りながらの「ながらスマホ」の若者たちなども見かけますが、危険極まりない行為だと考えています。 このようなことでは、昨年12月に施行された改正道路交通法では、スマホなどの画面を注視する行為を行った場合の厳罰化が行われています。このことにも至る事例としては、警察庁によると、自動車などの運転時の「ながらスマホ(携帯電話使用等)」に起因する交通事故は、スマートフォンが出た2008年には1,299件だったものが、2018年には倍を上回る2,790件を記録しているとのデータを見るのでありますが、歩きながら、自転車に乗りながらのスマホについても、同様の傾向があるものと思うところです。 そして、最も心配する一つが、自転車に乗っての「ながらスマホ」であります。今や自転車事故による賠償額としては、約9,500万円もの高額の賠償金の支払いを命じられた判決もあるところであります。「ながらスマホ」に起因した自転車事故ともなれば、賠償責任を免れることはないものと思われますし、事はとても重大であります。 このような「ながらスマホ」の状況自体は、新宿区に限らず全国各地で見られることではありますが、都心区として道路や歩道が決して広くはない中でのこのような「ながらスマホ」であります。区では、これらの問題をどのように捉えられていて、これまでにこれらのことへの対策としてはどのように取り組まれてきているのでしょうか。 さらには、区民や来街者への啓発も大事であります。極めて当然のことでありますが、「歩道や道路上などでスマホなどを使うときは、必ず立ち止まって、通行や交通などの妨げにならないよう、周囲の安全をよく確認してから使用しましょう」などの啓発も大事であります。今後に向けてどのように取り組まれていくのでしょうか。 そして、今や、このスマホが登場した頃に比べて価格が格段に安くなったことなどもあり、子どもたちにも普及するところとなり、と同時に、子どもたちの間でも「ながらスマホ」が目立つ今日の状況でありますが、学校教育の現場では、交通安全教育というような視点からの取組としては、このようなことに対してはどのように取り扱われているのかお聞きします。 ◎区長(吉住健一) ながらスマホの防止についてのお尋ねです。 初めに、区役所庁舎の玄関先に「歩きスマホは危険です!」の標語を掲げることとなった経緯と時期についてです。 スマートフォンの普及とともに、「ながらスマホ」が原因による事故や歩きスマホの危険性が社会問題として大きく取り上げられるようになったことを受け、来庁者の安全確保と事故防止を呼びかけるため、平成28年8月に「歩きスマホは危険です!」の標語を区役所の各入り口に掲示しました。また、来庁者からの御意見により、平成30年7月に本庁舎各フロアの階段に同様の注意書きを掲示しました。 次に、庁舎内における具体的な事故やトラブルについてのお尋ねです。 庁舎内においては、これまでに、「ながらスマホ」が原因による事故やトラブルは発生しておりません。引き続き標語などの掲示により、「ながらスマホ」の防止を呼びかけていくとともに、来庁者の安全確保や事故及びトラブルの防止に努めてまいります。 次に、道路における「ながらスマホ」防止についてです。 警察庁の調査によると、自転車の携帯電話使用等に起因する交通事故は、平成25年の53件と比較して、平成30年には87件と、約1.6倍に増加しています。また、歩行者の「ながらスマホ」による交通事故も、平成30年には18件発生しています。 このような状況から、区といたしましては、「ながらスマホ」について、周囲に迷惑をかけるだけでなく、様々な事故にもつながる危険な行為であると認識しています。このため、区では「ながらスマホ」の危険性を周知するため、小・中学校で交通安全教室を開催するとともに、交通安全運動などの中で、スタントマンが「ながらスマホ」による自転車事故を再現し、その危険性を擬似体験するスケアードストレイトを実施しています。また、地域センター祭りなどのイベントでのチラシ配布、広報新宿への掲載、警察と連携した街頭活動なども行っています。 区は、今後も警察や地域団体との連携を密にし、地域イベントや街頭活動などを通じた啓発を強化するとともに、他自治体の先進事例などを調査研究し、より効果的な対策を検討してまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 学校教育における交通安全教育についてのお尋ねです。 小・中学校では、危険を予測し回避する能力と、他者や社会の安全に貢献できる資質や能力を育てるため、東京都教育委員会が作成の安全教育プログラムの資料を活用し、「ながらスマホ」の危険性やトラブルについて、特別活動等の時間に学習しているところです。また、中学校では、スタントマンによる事故再現型の交通安全教室の中で、自転車利用時や歩行中のながらスマホの危険性について実演があり、それを基に指導を行っています。 子どもにとって、スマートフォンは身近なものであることから、今後も各校において、児童・生徒がその使用に対する危険性やトラブルについて正しく理解し、行動できるよう、適切に指導してまいります。 ◆26番(桑原ようへい) 次に、コロナ禍における区立学校の学びの場の確保について伺います。 区立学校におけるウィズコロナの今は、「学習機会の確保」と「感染予防」をいかに両立させるかが一番の課題となっています。 しかし、そうした中にあって、現実には日本の教育が「履修主義」を旨としているところから、感染防止の徹底は当然のことではありますが、今年3月からの約3か月にも及ぶ休校による遅れが生じた授業をいかに回復するかが課題となっているのであり、学習進度になるべく影響が出ないように、児童・生徒の学びの場をどう確保するのかが問われております。 このことでは、ともすれば遅れが生じた授業に関心が集中しがちでありますが、本来は学校行事というものもとても大切なものだと思っております。そうしたところから、コロナ禍にあって学校行事が中止や延期されていくのは少々忍び難いものがありますが、「履修主義」の中では致し方ないとも思うところであります。 そうした思いを述べまして、当面する学校の運営面について伺いたいと思います。 約3か月にも及ぶ休校期間中の学習の遅れを取り戻すのは容易なことではないことかと思いますが、このことへの対応としては、多くの自治体の学校の場合、夏休みの大幅な短縮などで授業時間に充て、授業日数を確保するためにかなりの学習範囲を詰め込んで授業を行っているようにも聞くところですが、このような点では、区にあってはどのように対応されて、学習の遅れを取り戻すことにつなげてきていらっしゃるのでしょうか。その際には、課題などは生じていないものなのかどうか、さらには、今後の冬休みなどの扱いも含めて、1年を通したところをどのように見据えていらっしゃるのか伺います。 次に、当面する児童・生徒の学校生活面についてです。 児童・生徒の子どもたちにとっての学校は、学校に行けること、先生や友達に会っておしゃべりしたり遊んだりすること自体が楽しみなものであると思います。私自身がそうでありました。そして、同時に授業以外のいろいろな学校行事を楽しみに通ったものであり、また、教育的な意義がそれぞれにあるものでありますが、学習の遅れを取り戻すことが求められる中、そうしたことが難しいコロナ禍ではありますが、このような学校生活面については、この間どのように進めてこられ、今後に向けてはどのように進めていかれるのか伺います。 「学校は単なる勉強の場ではない」とよく言われます。とりわけ、義務教育や公立学校にあってはそうあるべきだと思います。まだまだ心の置場が不安定な子どもたちにとって、学校は大切な生活の場であります。勉強以外にも多方面にわたって好奇心が湧くような学校生活であってほしいと願うものであります。 このことは、公立学校であればなおさらのことであると思います。今多くの子どもたちは明るく振る舞っていて、表情からはなかなか読み取れませんが、内面には、コロナ禍にあって何がしかのストレスを抱えているものと思います。未来にはせた高揚した心持ちとはなりにくいのではないかと心配いたします。 学習の遅れを取り戻すことも当然なことではありますが、ぜひこのようなことも忘れない教育であってほしいと願うものでありますが、いかがなのでしょうか。 最後に、コロナ禍にあって、保健衛生部門の現場もそうでありますが、教育の現場も遅れた授業の挽回と併せて、コロナへの対応ということでは新たな神経を使うことが求められる中で、教員の残業問題がまた話題に上るような状況にもありますが、少なくとも遅れた学習の挽回ということでは、「学習指導サポーター」の採用などでしのぎながらも、新型コロナウイルスへの感染防止による新たな業務についてはどのようなものがあり、これまでの業務に付加されているものなのでしょうか。また、それに対してはどのような体制が取られているのでしょうか。 このコロナ対応ということでは、長期化するおそれもあるところから、今後に向けてはしっかりした体制づくりが欠かせないと考えますが、どのように対応されていくのでしょうか、お伺いします。 ◎教育長(酒井敏男) コロナ禍における区立学校の学びの場の確保についてのお尋ねです。 初めに、当面する学校の運営面についてです。 御指摘のとおり、長期間続いた臨時休校等の対応により、区立学校では授業日数が足りない状況にあり、新宿区においても、夏季休業日の短縮や土曜授業の増加などの対応を行っています。また、各教科などの学習内容を、「学校で学習する内容」と「個人で学習することができる内容」に整理し、令和2年度中の児童・生徒が必要な知識や技能を確実に身につけることができるように、指導計画の見直しも行ったところです。 「個人で学習することができる内容」は、反復練習や練習問題が中心であり、タブレット端末などの環境を整え、家庭学習の中で取り組んでいます。家庭学習は、児童・生徒によって取り組み方に差が生じるため、学校は取組状況を常に確認し、取組が十分でない児童・生徒には補習や個別指導を実施し、確実な習得につなげています。 こうした学校の取組により、「学校で学習する内容」については、冬季休業日の短縮などの対応を行わなくても、令和2年度中に終えることができる見込みです。 今後の新型コロナウイルス感染症の拡大の状況によっては、新たな対応が必要となる可能性もありますが、教育委員会では、引き続き学校の支援や教育環境の整備を進め、様々な状況に柔軟に対応できるよう努力してまいります。 次に、児童・生徒の学校生活面についてのお尋ねです。 今年度は、長期にわたる臨時休校等や新しい生活様式を踏まえた学校生活への不安により、ストレスを感じている児童・生徒が多数いると認識しています。 臨時休校中には、各学校で子どもたちの心のケアを行うことができるよう、一人ひとりの状況確認の際に、定期的な健康観察、個別面談、電話相談の実施や、スクールカウンセラーによる面談などの活用を図りました。さらに学校再開後は、チェックリストやアンケートなどにより、全児童・生徒のストレス度を把握し、小さな変化も見逃さないよう、教職員全体で情報共有を行っています。 また、家庭においても、児童・生徒の心の健康を維持するために必要なセルフケアの方法などを、学校のホームページやおたよりで周知することで、家庭とも連携して児童・生徒を見守ることができるようにしています。 今後も、コロナ禍が続く中で、児童・生徒が不安や悩みを抱えた際に適切な対応が図れるよう、心のケアに努めてまいります。 次に、学校行事についてですが、現在は新型コロナウイルス感染症予防の観点から、幾つかの学校行事を実施できない状況が続いており、児童・生徒が日々の学校生活に十分な楽しさや満足感を感じることができていない状況があると考えています。 こうした状況を踏まえて、学校の中には現在の状況下でもできる学校行事を、児童・生徒とともに考えて実施しているところもあります。例えば落合第三小学校では、全学年で行う運動会の代わりに、児童の意見を取り入れた学年ごとで行うミニ運動会を実施する予定です。この行事では、感染症対策を講じながら、児童とともに実施競技を考え、対抗戦形式で児童が楽しく取り組めるようにすることを考えています。 教育委員会においても、今後の新型コロナウイルス感染症の状況も見ながら、3学期以降は、感染症対策を講じた上で、できる限り学校行事を実施していきたいと考えています。 また、修学旅行などの宿泊行事の中止に伴い、思い出づくりのために代替行事の実施を検討しています。既に中学校第3学年については、代替行事の具体的な内容について検討を進めているところです。 今後は、小学校第6学年の代替行事も、感染対策などの安全面や学校のスケジュールなどを勘案しながら、小学校長と具体的に内容を検討してまいります。 学校は、子どもたちにとって学習の場であるだけでなく、共に遊び生活する場であることから、今後も学校と家庭が十分連携しながら、子どもたちの心に寄り添った対応を行ってまいります。 次に、新型コロナウイルスへの感染防止による新たな業務についてのお尋ねです。 各学校では、基本的な感染症対策を行うために、登校時には児童・生徒の検温結果や風邪の症状がないかなど、家庭からの健康観察票を基に健康状態を把握するなど、感染を防ぐ対応を行っています。また、登校時に発熱等の症状が見られる場合は、児童・生徒を保健室等に一時待機させ、家庭への連絡、保護者が来校するまでの預かりなど、養護教諭が様々な対応を行っています。そのほか、接触感染を避けるために、大勢がよく手を触れるドアノブや手すり、スイッチの消毒を行い、感染経路を断つ清掃活動などの新たな業務が生じています。 各学校では、新たな業務については、教職員を中心に、スクールスタッフや地域協働学校運営協議会等の地域人材の協力を得て、校内の清掃や消毒など教員の負担軽減を図り、対応しているところです。 コロナ対応については、長期化の懸念もあることから、今後も感染状況に応じて教育委員会、学校、保護者、地域などが連携・協力できる仕組みを構築して、子どもたちの教育活動が保障できる体制づくりを検討してまいります。 以上で答弁を終わります。 ◆26番(桑原ようへい) 区長並びに教育委員会から丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。 第2回定例会から引き続きコロナ関連を中心とした話題となっております。コロナに負けずに頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 以上をもちまして、自民党の代表質問を終わらせていただきたいと思います。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(吉住はるお) ここで、議事進行の都合により休憩します。 △休憩 午後0時05分--------------------------------------- △再開 午後1時20分 ○議長(吉住はるお) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。 次に、10番豊島あつし議員。     〔10番 豊島あつし議員登壇、拍手〕 ◆10番(豊島あつし) 新宿区議会公明党の豊島あつしです。令和2年第3回定例会に当たり、会派を代表して、区長並びに教育委員会に質問させていただきます。どうか誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。 初めに、このたびの台風10号の影響により被災に遭われた皆様に謹んでお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。 また、依然続く新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に心からお悔やみ申し上げますとともに、療養中の方々にお見舞いを申し上げ、以下、質問に入らせていただきます。 質問の第1は、「新たな日常」構築に向けた行政手続について伺います。 コロナ禍における区政運営においては、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぎながら社会経済活動を維持するため、これまでの日常とは違う「新たな日常」を定着させていくことが重要です。国も「新たな日常」を構築するため、今後1年間、行政のデジタル化を加速させるための集中改革期間とする旨を、今年の「骨太の方針」に明記しました。 感染拡大防止と社会経済活動を両立する「新たな日常」は、不便を強いられ窒息感に満ちたものではなく、新たな技術の活用によって、以前の生活と比べ、もっと豊かな幸福感を得ることのできる日常とすべきです。区政においても、今こそ区民の暮らしを豊かにする変革の好機と捉えていくことが重要であるとの視点から、「新たな日常」構築に向けた行政手続について、以下3点にわたり質問いたします。 1点目は、行政手続のオンライン化についてです。 新宿区では、特別定額給付金のオンライン申請において、マイナンバーシステムと住民基本台帳との照合を早急に構築した独自システムにより対応されたことは高く評価いたします。しかし、通常の申請においても、対面による窓口業務を減らしていくなど、さらなる非接触型業務への移行が必要です。 そこで伺いますが、「新たな日常」を構築するため、区民が実際に足を運ばなくても行政手続を完結できるような見直しを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。なお、そのためには手続の簡素化や申請書類の軽減等、業務フローの見直しも必要であると考えます。区の御所見を伺います。 2点目は、誰ひとり取り残されることのない行政手続についてです。 今回の感染症対応における給付金や協力金、貸付けを区民の皆様に案内する中、私も含め、会派の同僚議員が痛感したことがあります。それは、年齢に関わらず、デジタル環境が整っておらず、不得手とされている区民の方が想像以上に多かったことです。そのため、事業の告知も含め、インターネットでのみ完結するような手続については、その申請に困難を極め、場合によっては、申請そのものを断念してしまう方もいらっしゃいました。もちろん、手続の迅速化を図るためにデジタル化を避けて通ることはできません。一方では、紙や電話、郵送による手続も必ず用意しておかなければならないと考えます。 そこで伺いますが、「新たな日常」構築のため、事業の告知も含めた行政手続のデジタル化に当たり、環境が整っていない方、不得手な方に対してはどのような方針をお持ちでしょうか。事業の内容によっては、人と人とのつながりでデジタル化を補うやり方もあるかと思います。 また、今後は、区民のデジタル環境やリテラシー向上への支援も必要になってくるものと考えます。区の御所見を伺います。 3点目は、第二次実行計画への反映についてです。 これまで述べてきた「新たな日常」構築に向けた「行政手続のオンライン化」や、「誰ひとり取り残されることのない行政手続」は、短期間で実現できるものではありません。そのためには、中長期的な展望を掲げ、実行計画や単年度計画に落とし込む必要があります。 そこで伺いますが、「新たな日常」構築に向けた諸施策を、現在策定中の第二次実行計画や令和3年度予算に盛り込むべきと考えますが、いかがでしょうか。区の御所見を伺います。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 豊島議員の御質問にお答えします。 「新たな日常」構築に向けた行政手続についてのお尋ねです。 初めに、行政手続のオンライン化についてです。 区では、これまで業務の効率化と区民サービスの向上のため、ICTを利活用したデジタル化を推進し、様々な行政手続についてオンライン化に取り組んできました。平成30年3月には、新宿区情報化戦略計画の改訂を行い、「ワンストップサービスの実現に向けた業務改革の推進」を重点目標の一つとして掲げ、行政手続の簡素化とオンライン化に取り組むことを具体策の一つとして位置づけています。 こうした中、新型コロナウイルス感染症対策として、「新たな日常」の構築に向けたデジタル行政の実現に早急に取り組んでいくことが重要であると考えており、区民が来庁せずに行政手続を完結できるよう、申請手続のオンライン化の強化を進めてまいります。 行政手続のオンライン化に当たっては、業務フロー等の見直しも必要となることから、現在、区が進めている業務手順の見直しに併せて実施していきます。 次に、誰ひとり取り残されることのない行政手続についてです。 御指摘のとおり、デジタル環境が整っていない方や不得手な方に対する対応も大切であると考えており、行政手続のオンライン化の強化とともに、郵送等による行政手続についても進めてまいります。また、パソコンやインターネットを安全に利用するための講座をはじめ、区民のデジタル環境やリテラシー向上への支援について検討してまいります。 次に、第二次実行計画等への反映についてです。 行政手続のオンライン化等については、第二次実行計画及び新宿区情報化戦略計画に新たに位置づけ、計画的に推進してまいります。 ◆10番(豊島あつし) 質問の第2は、感染症対策の強化について伺います。 新型コロナウイルス感染症は、夏を過ぎた今でも収束が見通せないまま、依然として感染拡大が続いています。厚生労働省は、このウイルスの特徴として、罹患しても約8割の方は軽症で経過し、治癒する例も多いとしています。しかし一方で、高齢者や基礎疾患のある方は重症化するリスクが高いと報告しています。そこで、特に感染リスクの高い区民への感染防止の取組を強化しなくてはなりません。 まず1点目は、新型コロナウイルス感染症で重症化するおそれのある区民を守るための積極的な施策の推進についてです。 新型コロナウイルス感染症は、基礎疾患のある方や高齢になるほど重症化や致死率が高くなることから、都議会公明党は、7月27日に小池都知事に対して、高齢者施設等の職員や利用者へのPCR検査について、公費負担で早期実施を要請しました。さらに、8月26日には、公明党東京都本部が政府に対して、高齢者施設等でPCR検査ができるように十分な財政支援を申し入れました。 そうした中で、東京都は、都議会公明党の要請を受け、第3回都議会定例会において、高齢者施設等を対象に、重症化するリスクが高い利用者と職員へのPCR検査費用を都独自に全額補助する補正予算案を上程しました。 しかし、今回の東京都の対応は、高齢者施設等で働く職員が対象で、訪問介護を行う小規模事業所に勤務する介護ヘルパー等は、対象になっていません。介護職の方は、感染リスクの高い利用者にウイルスを移してはいけないと、神経を使いながら仕事されています。 先日、介護ヘルパーの方から、「感染者と接触する場面がありましたが、保健センターからは、『濃厚接触ではないので検査の必要はありません』と言われました。しかし、日々高齢者と接する訪問介護をしているので、利用者に感染させてはいけないと、不安で仕方ありませんでした」とお話を伺いました。 通常は、コロナ感染の疑いの症状もない人へのPCR検査は保険適用外となるため、自費で受ける場合は2万円から4万円かかります。個人で検査費用を負担したり、あるいは事業所が職員分を負担するのは容易ではありません。 新宿区は、感染が都内でも突出して増えている地域において、吉住区長がホストクラブの経営者の声を直接聴取して対策に活かされました。 こうした直接現場の声を聞く区長の政治姿勢を、私どもは高く評価いたしています。その上で、今後は、「高齢者等感染リスクの高い区民を感染から守り抜く」との強い決意で感染拡大防止に向けて打って出る、積極的な施策も期待しております。具体的には、東京都が高齢者施設等の職員や利用者を対象にPCR検査を実施するのに対して、新宿区はその対象にならない介護職等にもPCR検査を行い、重症化リスクの高い高齢者等を一人も漏れなく感染から守っていただきたいと思います。ぜひ希望する介護職等への公費負担によるPCR検査等を早期に実施すべきです。区長の御所見を伺います。 2点目は、区役所への来庁者を感染から守る対策についてです。 新宿区役所には、毎日平均で約3,000人の利用者が申請手続などに来られています。その中には、当然高齢者や糖尿病や腎臓病などの基礎疾患のある方や、御家族にそうした人がいる方も来庁されます。また、不特定多数の方が来庁される区役所で感染して、家庭内感染を引き起こしてしまう可能性もあります。感染拡大防止の先頭に立つ新宿区は、足元の区役所においても感染対策を強化する必要があります。区役所内での感染対策は、来庁者の健康を守ることはもちろん、職員への感染を防ぎ、区役所機能を維持していく上でも大切です。また、感染者を出さないことで、医療機関の負担を軽減することにもつながります。 区役所内での感染防止策として、現在、新宿区は区役所の入り口にアルコール消毒液をテーブルの上に置くなどの対策を講じられておられます。今後は、季節性インフルエンザの流行を見据えた対策も必要です。例えば、入り口に「37.5度以上の発熱など、新型コロナ感染の症状が認められる来庁者への入庁の自粛協力依頼の掲示」、「マスク未着用者へのマスクの配布」、「不特定多数の人が密閉された空間に集まらないようにエレベーター利用者の整理誘導」などの対策も必要と考えます。 これから季節性インフルエンザ新型コロナウイルスの同時流行による感染が懸念されています。不特定多数の人が来庁される区役所において、来庁者を感染症から守る対策を強化すべきと考えます。御所見を伺います。 3点目は、感染による自宅療養者へのサポートについてです。 政府は、医療供給体制の逼迫を避けるため、軽症者や無症状者は宿泊・自宅療養の対応を基本とし、医療資源を重症者に重点化していく対応を示しています。 先日、感染が確認された方の御家族から「PCR検査の結果、事情により2週間ほど自宅で待機することになりました。しかし、その間働かないと、収入が途絶えて生活できません。外にも買物にも行けません」と相談を受けました。宿泊施設や医療機関で療養される感染者は、一定のサポートがあります。自宅で療養する方に対しても支援が必要です。 自宅療養者に食料などを提供して支援することは、感染者の生活を守るとともに、地域の安全を守ることになります。ぜひ新宿区においても、感染して自宅療養する感染者に対し、食料などの支援物資を提供すべきです。区長の御所見を伺います。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 感染症対策の強化についてのお尋ねです。 初めに、新型コロナウイルス感染症で重症化するおそれのある区民を守るための積極的な施策の推進についてです。 区にも訪問介護等の事業者から、業務をする中での感染に対する不安の声が寄せられております。介護サービスは利用者やその家族の生活を維持するために欠かせないものであり、事業所は感染防止対策を講じた上で、利用者に対して必要なサービスを提供していくことが重要です。 現在、東京都は高齢者入所施設等の職員を対象とする検査費用助成の支援を予定していると聞いていますが、対象とならない通所、訪問介護事業所、地域密着型介護事業所など、希望する介護サービス事業所や障害福祉サービス事業所についても検査を受けやすい仕組みを検討し、できるだけ早い時期に対応してまいります。 次に、区役所において来庁者を感染症から守るための対策強化についてのお尋ねです。 現在、区役所では、開庁時間前に各フロアの窓口カウンター、記載台、階段手すり、エレベーターボタンなどの消毒作業を行い、開庁時間中には巡回清掃において適宜消毒作業を行っているほか、区役所各入り口への手指消毒液設置、窓口への飛沫防止スクリーン設置、待合用椅子の削減、新しい日常の新しいルールのポスターを掲出するなどの感染防止対策に取り組んでいます。また、発熱などによる体調不良時の来庁自粛、来庁する際のマスクの着用の徹底については、協力を依頼する案内を庁舎内に掲出しているほか、ホームページやSNSを活用し、広く発信しているところです。 こうした取組に加え、庁舎内でソーシャルディスタンスを確保してもらうため、間隔を空けることを呼びかけるサインを各フロアの待合スペースやエレベーター内に掲出する準備を進めています。 次に、感染症による自宅療養者へのサポートについてです。 御指摘のとおり、新型コロナウイルスに感染し、自宅で療養を行う場合、外出制限を受け、経済的に厳しい状況にある方もいらっしゃると認識しています。区は既に感染した方への見舞金支給事業を実施していますが、生活をサポートする家族などがいない場合、自宅療養期間の食料等の調達支援は重要であると考えています。 8月に出された国の通知においても、自宅療養者が外出せずに生活を継続するために、配食サービス導入が重要との見解が示されていることから、今後、速やかに自宅療養者への食料等支援について、実施に向けた検討を進めてまいります。 ◆10番(豊島あつし) 質問の第3は、withコロナ時代における事業者支援について伺います。 内閣府は、9月8日に4月から6月期のGDPを年率換算でマイナス28.5%、リーマンショック時を超えて戦後最大の落ち込みと発表しました。項目別では、GDPの半分以上を占める個人消費がマイナス7.9%と、外食や旅行などを中心としたサービス業が大きな打撃を受けました。 一方、海外の状況としては、イギリスがマイナス59.8%、ユーロ圏19か国がマイナス40.3%、アメリカがマイナス32.9%と、いずれも日本よりもさらに悪い状況となりました。 2019年9月、アパマンショップが行った飲食店の全国市区町村別ランキングでは、新宿区の飲食店の数は4,416件と、港区に次ぐ全国2位でした。この件数は山梨県の全飲食店数とほぼ同じであり、この数字から見ると、新宿区は飲食店の街と言っても過言ではありません。 そこで、1点目は、区内における地域経済の現況についてです。 新型コロナウイルスの感染は、7月に入り第2波の到来となりました。特に震源地は「夜の街関連や東京由来」と、報道各社から「新宿・歌舞伎町」が名指しされるようになり、昼夜に限らず区内の地域経済は大きな打撃を受け続けています。 新宿区は、区内全体の地域経済をどのように見ているのかお聞かせください。また、区内における接待を伴わない飲食店では、クラスターを含め感染発生状況はどうなのか。区内全事業者の倒産件数はどのくらいで、リーマンショック時と比べるとどのような規模となっているのか。さらには、対外的に、また区民に対し、正しい情報の提供等の発信を今後どのように進めていくのか、御見解をお聞かせください。 2点目は、倒産防止策についてです。 新宿区は、コロナ禍の影響を受け続ける事業者の支援として、補正予算を組みながら全力で対策を講じてこられています。具体的には、緊急融資等の問合せ電話が4月、1日平均で261件、5月は1日平均126件、また窓口相談では1日最大で約170件を受けてきました。それでも、3か月先の予約枠まで埋まったため、金融機関と交渉し、直接申込みができる制度を4月下旬から開始しました。この際に、金融機関と予約待ち1,500件の事業者双方への連絡と説明により、商工相談枠を1件ずつ開けていき、6月上旬には通常とほぼ変わらない日数での融資あっせんが行われるように取り組まれました。そして、7月末までには融資のあっせんを2,765件、セーフティネット保証等の認定証を6,399件の発行を行う支援を行ってこられました。 そこで、具体的な質問ですが、リーマンショック時の日本における失業率は5.5%まで悪化しました。そして、本年7月現在の全国の失業率は2.9%となり、東京も7年2か月ぶりに有効求人倍率が1倍割れとなりました。このようなことから、新たに実施されているセーフティネット保証付き有利子融資の無利子融資への借換えなどを徹底して周知していただきたいことと同時に、今後は、区の緊急融資だけでは足らない事業者に対して、国や都の制度を併せて活用できることの周知も徹底していただきたいと思います。 現在、どのような対応をされているのか。また事業者が現行制度をフル活用できるよう、業種や事業規模に沿った分かりやすいチェックシートを作成し、商工会議所や商店会連合会を中心に区内事業者に配布するのはいかがでしょうか。さらに、いつでも何でも相談できる「しんじゅくコール」と産業振興課の連携で、事業者からの問合せ対応が行えることも重要と考えます。区の見解をお聞かせください。 3点目は、withコロナ時代の事業者支援についてお聞きします。 厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症専門家会議からの提言を踏まえ、「新しい生活様式」の実践例を示しました。また、「新しい働き方」も進み、内閣官房の調査では、「東京圏在住者の約半数が地方圏での暮らしに関心あり」との結果が出ました。 withコロナ時代の事業者支援は、変化に次ぐ変化への対応が必要です。具体的には、人との触れ合い方の方法が変わるわけですから、公民ともに、デジタル化とそれに伴う高速通信網が急速に進むことが世界的に必須になります。日本においては、地方創生時代とスーパーシティー時代の幕開けを意味します。ですから、長期的には、日本において圧倒的に後れを取っていた生産性が必ず上がることは間違いありません。 経営者は、withコロナ時代に入ったのですから、今までどおりの経営をしていては、逆境を乗り越えることはできません。実際にキャンピングカーやバンなどを利用して旅や暮らしを楽しむプラットホームを構築する区内事業者が、外出自粛などの逆風に遭い、医療スタッフの休憩スペースに自社の車両を提供し、その試みに賛同した鉄道会社らがリネン類等を提供するという報道もありました。この時代を生き抜くには、今まで以上に人と人とのつながりが重要であり、「チーム新宿」としてピンチをチャンスに変えていかなければなりません。 そこで提案ですが、区内には多くの専門学校や大学、創業支援センターなど様々な資源があります。また、新宿区専門家活用支援事業では、コンサルティング経費も対象となっていますので、公民連携から一歩進んで民民連携までのビジネスマッチングや、各事業者の橋渡し、相談事の仕分対応が円滑に行えるよう推進すべきと考えますが、この点について区の見解をお聞かせください。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) withコロナ時代における事業者支援についてのお尋ねです。 初めに、区内の地域経済の状況をどのように見ているかについてです。 区が実施した景況調査では、本年4月から6月期の業況DIは、全業種でマイナス71.7ポイントとなり、これは昨年同期のマイナス31.6ポイントと比べ、大幅に悪化しています。中でも、飲食・宿泊業では、「新宿に人が来なくて集客できない」等の声もあり、今期はマイナス97.0ポイントと、昨年同期のマイナス25.7ポイントと比べ非常に厳しい状況となっています。 新宿区では、感染が再拡大し始めた6月後半から7月にかけ、繁華街のクラスター対策のために集中的な検査を行ったことを受けて、感染者数が急増し、連日、報道機関やソーシャルメディアで繰り返し取り上げられました。繁華街における多くの店舗においても感染対策が進み、クラスターの発生も抑えられていますが、「感染のまち」というイメージから客足が戻ってきていないと認識しています。 このように、区内の地域経済は大きな影響を受けており、回復にはいましばらくの時間が必要なのではないかと考えています。 次に、区内における接待を伴わない飲食店では、クラスターを含め、感染発生状況はどうなのかとのお尋ねです。 7月以降に区で把握した、感染者が出ている接待を伴わない飲食店は約70件です。そのうちクラスターとなった店舗は8件となっています。 次に、区内全事業者の倒産件数とリーマンショック時との比較についてのお尋ねです。 区内の倒産件数は、新型コロナウイルスの影響により、緊急事態宣言が出された本年4月から7月までの4か月間で40件でした。また、リーマンショック時との比較についてですが、平成20年10月からの4か月間の倒産件数は70件であり、比較すると、現状は約60%となっています。 次に、対外的、また区民に対する正しい情報の提供等を、今後どのように進めていくのかについてのお尋ねです。 区では、区内感染状況について、区民等に対し正しい情報をお伝えするため、月ごとに性別、年代別、職種別のPCR検査受診者数及び陽性者をホームページで公表しています。 今後も、広報新宿やSNS、マスコミへのプレスリリースにより、積極的な情報発信に努めていきます。また、繁華街エリアの飲食店と新宿観光振興協会並びに区が連携し、各店舗の感染症対策を分かりやすく紹介するエリアマップを、専門家の御指導等もいただきながら作成し、来街者の安心につながる情報として、広く周知・発信していきます。 こうした取組を通じて、地域経済への活性化を図ってまいります。 次に、セーフティ保証付き有利子融資の無利子融資への借換えや、区の緊急融資と国・都の制度との併用活用の周知の徹底及び現在の対応についてのお尋ねです。 区では、無利子融資への借換えについては、これまでホームページや広報新宿、「新宿商人(あきんど)」、ケーブルテレビ、メールマガジンなど様々な媒体を通じ、周知してまいりました。 今後も、事業者の皆様にとってメリットがある制度であることを積極的に周知してまいります。 区の緊急融資と国・都の制度の併用については、商工相談の際に個々の事業者それぞれの必要な資金額や状況に合わせて、様々な制度を御案内しているところです。また、金融機関での緊急融資の受付時には、都の制度融資の相談も併せて行っています。 今後も、現在実施されている様々な制度を事業者が有益に利用できるよう、周知に努めてまいります。 次に、業種や事業規模に沿った分かりやすいチェックシートの作成・配布と、「しんじゅくコール」との連携についてのお尋ねです。 新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者に対しては、区や国・都が様々な制度を通じて支援をしているところです。これらの制度の情報を分かりやすく事業者に届けることは、大変重要であると考えています。これまでも区では、区や国・都の施策を融資や補助金などの分野別一覧表としてホームページに載せるとともに、「新宿商人」では、より分かりやすく体系的な案内となるよう、「ケース別チャート」を掲載しました。 今後も、事業者が制度を漏れなく活用できるよう、東京商工会議所や新宿区商店会連合会との連携をさらに強化し、最新の情報をより分かりやすく案内してまいります。 また、「しんじゅくコール」は、日頃から区民の方からの区政に関する問合せにお答えをしています。今後も、各部門間の連携を強化し、支援制度の情報を共有しながら、適切に対応してまいります。 次に、公民連携から民民連携までのビジネスマッチングや各事業者の橋渡し、相談事の仕分対応についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、事業者支援においては、人と人とのつながりが重要であり、ひいては中小企業における企業同士の連携促進が大切であると認識しています。 区では、これまでも東京商工会議所新宿支部との共催で、企業同士の連携促進を目的としたビジネス交流会を実施しており、各回のテーマに合った共通の目的を持つ企業が交流することで、企業間連携の促進を図っています。交流会の実施後には経過状況調査を行っていますが、参加企業間での業務提携や共同での事業実施につながっていることを把握しています。 また、区内金融機関と連携し、区がバイヤーを招聘し、区内企業が自社の商品をアピールできる商談会も実施しています。例年、多くの企業にエントリーしていただいており、事後調査では、バイヤーとの商談が成立したという事例も数多く確認しています。各種相談事の仕分対応については、現在行っている商工相談等において、事業者のそれぞれの状況に合った相談先へつないでいるところです。 今後も、各専門機関への橋渡しが円滑に行えるよう、関係機関との連携を深めながら、事業者のニーズに合った相談を引き続き行ってまいります。 ◆10番(豊島あつし) 質問の第4は、コロナ禍における障害者支援についてお伺いします。 まず1点目は、感染防止対策の今後の支援についてです。 令和2年第2回区議会定例会の代表質問において、障害者施設等で働く従事者の皆様に対して、現場で不足するマスクや手袋、消毒液などの衛生物資や、障害福祉サービス利用者の在宅での支援の充実を提案させていただきました。 新宿区は、東京都と連携をするほか、区民の協力も得て、マスクや消毒液を障害者施設に優先的に配布したり、また在宅における支援の充実に取り組まれたことは、大変に評価をいたしております。 しかし、障害者の御家族は、コロナ禍の中、まだ不安を感じているとのことでした。例えば、障害者の介護を行う介護者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合、自宅で生活ができない障害者への生活支援が必要と考えます。 現在、区内には緊急時等、一時的に宿泊して支援を受けられるようになっていますが、平時でも利用者が多く、ましてや新宿区外の施設も同様の状況です。新宿区としても、コロナの感染時期に必要な宿泊施設や生活支援ができる支援体制を今から検討しておく必要があると考えますが、御所見を伺います。 2点目は、第2期新宿区障害児福祉計画と、第6期新宿区障害福祉計画についてお伺いします。 令和3年度から3か年の同計画の策定に当たり、区は昨年度、障害者生活実態調査を行い、本年4月に行われました福祉健康委員会で調査結果の報告がありました。この報告では、在宅の方も施設入所の方も、今後の生活の希望では、必要に応じてサービスを利用しながら、地域での在宅生活や、施設入所者は施設での生活を希望されていることが、調査結果で分かりました。 しかし、今後は障害の重度化、当事者の高齢化や親亡き後の対応、住み慣れた地域で暮らし続けられるまちづくり等の課題に加え、今回の新型コロナウイルス感染症による生活苦の問題も加わってくることに、障害者団体連絡協議会の皆様も懸念をされております。 現在、障害者施策推進協議会等で審議をされていると思いますが、こうした課題を十分に捉え、当事者のニーズが反映される計画の策定にすべきと考えますが、区の御所見をお聞かせください。 あわせて、障害者生活実態調査の中で、将来的にグループホームに入所を希望するというのが多くなっている状況があります。払方町や中落合に建設予定のグループホームの事業者選定については、適切な対応ができる事業者の選定と、選定後の事業者と障害者団体との意見交換の場を設けるなど、選定後も区としてしっかりと連携を取るべきと思いますが、いかがでしょうか。 以上御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) コロナ禍における障害者支援についてのお尋ねです。 初めに、感染防止対策の今後の支援についてです。 介護者が新型コロナウイルスに感染した場合、接触した障害者の短期入所受入れが困難なことが想定されることから、様々な障害福祉サービスを活用し、早急に生活支援を行う必要があると認識しています。 相談に当たっては、障害の程度、家族構成等の個々の状況を勘案し、在宅支援が可能な場合は、障害福祉サービスの居宅介護等の提供や支給量の増量により支援してまいります。また、自宅での支援が困難な場合は、障害特性に合った施設との調整を行うなど、柔軟な対応を行っています。 現在、東京都は受入体制を整備する市区町村を支援する、「在宅要介護者の受入体制整備事業」を予定していると聞いています。この事業を活用し、宿泊可能な施設における支援体制の整備を検討していきます。 今後も、個別のケースごとに、障害特性に配慮した最善の支援が提供できるよう努めていきます。 次に、第2期新宿区障害児福祉計画と第6期新宿区障害福祉計画についてのお尋ねです。 計画の策定に当たり、障害者生活実態調査や障害者団体との懇談を通じて、障害者施策の課題を把握しています。また、障害者施策推進協議会では、障害当事者や障害者団体の代表を務める委員から、新型コロナウイルス感染症による生活上の課題についての意見が多く提起され、コロナ禍における施策の方向性についても審議を重ねています。 こうして計画の素案を作成し、パブリックコメントを行って、さらに多くの意見をお聞きし、当事者のニーズが反映された計画を策定してまいります。 次に、グループホームの事業者選定についてのお尋ねです。 グループホームの事業者選定に当たっては、利用者本位の良質なサービスが提供可能であるかを、外部委員を含む審査会が、これまでの実績と提出された事業計画等を十分に審査し、適切な事業者を選定する予定です。また、事業者が決定した際は、障害者団体の意見を聞く場を設けるなど、選定後においても事業者と連携し、当事者のニーズに合った施設の運営を目指していきます。 ◆10番(豊島あつし) 質問の第5は、新型コロナウイルス感染流行期間における妊産婦支援および予防接種等について伺います。 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、自身や家族の感染に不安を抱いている妊婦は、ベネッセコーポレーションの調査によりますと、9割超に上がっています。区内に住む妊婦の声として、「今まで当たり前に思っていた出産のパートナーの立会いができなくなり、断念しました」とのお話や、「新宿区から地方の実家への里帰り出産を中止しました」というお話も伺いました。 今まで新宿区で展開してきた対面による取組を基本としながら、丁寧できめ細やかな母親学級・両親学級は、新型コロナウイルス感染拡大の防止を図るため、開催が中止となってから半年以上が経過しました。そのため、妊婦は出産への不安を抱えています。 そこで、新型コロナウイルス感染流行期間における妊産婦に寄り添う支援について、2点にわたり質問いたします。 1点目は、コロナウイルス感染症流行期間における母親学級・両親学級の育児を学ぶ機会の提供について伺います。 ある妊婦の方は、新型コロナウイルスの影響で、なるべく人混みを避けて、友人・知人に会う機会も控え、孤立感を抱きながら情報を収集したり、病院の産科から、「動画を学んでください」と言われたものの、「動画では知識として分かるけれども、実際に赤ちゃんを抱いたことがないし不安です」との声も伺っています。今後は、不安解消のために基本的な感染対策に取り組みながら、ソーシャルディスタンスを前提に、少人数で時間帯や回数を増やすなどの工夫をして、再び母親学級・両親学級の開催をしていくことが必要と考えます。 また、これからのインフルエンザ感染症流行期間とコロナ感染拡大防止対策のためには、オンラインでの母親学級・両親学級の開催も必要になると考えます。 国は、2020年度第2次補正予算の中で、妊産婦総合対策事業として、オンラインで保健指導を実施する市区町村に対し、必要となる設備や職員を補助することが盛り込まれています。この予算を活用すべきと考えます。 母親学級・両親学級の感染対策をしながらの少人数での開催とオンラインでの開催とで、きめ細やかな支援が可能になるのではないかと考えますが、区長の御所見を伺います。 2点目は、予防接種と乳幼児健診の取組について伺います。 新型コロナウイルスの影響で、感染のおそれから予防接種と乳幼児健診のための外出が控えられており、乳児のワクチン接種率が低下するおそれがあります。地域のある母親からは、「生後2か月から予防接種がありましたが、母子で外出するのが不慣れで、もしかしたらコロナウイルスに感染するのではないかと思うと、不安で外出もできず、今になってしまいましたが、これから予防接種をしてきます」。また、別の方からは、「乳幼児健診については、無理して外出しなくてもよいでしょうか」との話を伺ったりしています。 新宿区は、区のホームページで「子どもの予防接種は不要不急ではありません」と、各予防接種ワクチンの詳細などについて丁寧に紹介しています。また、厚生労働省からの「遅らせないで!子どもの予防接種と乳幼児健診」のリーフレットも紹介しています。 しかし、産後のお母さんが情報を目にする機会がないようですので、工夫をしてさらに周知をすることが大切と考えます。区長の御所見を伺います。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 新型コロナウイルス感染流行期間における妊産婦支援および予防接種等についてのお尋ねです。 初めに、母親学級・両親学級の育児を学ぶ機会の提供についてです。 これらの事業については、感染拡大防止の観点に加え、感染症発生状況がいまだ予断を許さないことから、健康部を挙げて感染症対策業務に注力する必要があり、やむを得ず中止を継続しているところです。 この間、育児を学ぶ機会が欲しいという意見が多く寄せられており、電話での個別相談や動画の紹介、NPO等によるオンライン講座の実施状況のお知らせなどを行ってまいりました。沐浴等の手技を体験したいという要望もあることから、事業委託により実施している両親学級事業について、10月から実施することとしました。 実施に当たっては、換気や消毒などの感染対策を十分に行うとともに、定員減やプログラムの運営方法の変更により密を避けるなど、実施方法の工夫を行います。 母親学級事業については、引き続き感染症発生状況を見ながら、再開に向けて検討していきます。 感染症流行期間のオンライン開催の有用性については認識しておりますので、体験型プログラムの要望やNPO等によるオンライン講座の実施状況などを踏まえて研究してまいります。 次に、予防接種と乳幼児健診の周知についてのお尋ねです。 区では、ホームページを活用し、予防接種及び乳幼児健診を遅らせず、予定どおり受けていただくよう呼びかけを行っているほか、月齢に応じて区から予診票等をお送りすることにより、適切な時期の接種や受診をお勧めしています。 今後は、御意見を踏まえ、これまでの取組に加えて、産後早期の方に向け「しんじゅく子育て応援ナビ」や「すくすく赤ちゃん訪問」等の様々な機会を捉え、適切な時期の接種や受診の重要性の周知を工夫してまいります。 ◆10番(豊島あつし) 質問の第6は、母子健康支援の推進について伺います。 最初に、子育て世代を包括的に支援する体制づくりについて伺います。 現在、区では、母子健康部門と子育て支援部門の連携体制の強化をするため、母子健康包括支援センターの設置に向け、準備を行っています。 厚生労働省の「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン」(子育て世代包括支援センターの法律上の名称は「母子健康包括支援センター」といいます。)、このガイドラインに同支援センターの役割、環境整備、基本的考え方と具体的内容が示されています。このことを踏まえて、3点伺います。 1点目は、母子健康包括支援センターの準備状況についてです。 令和2年第1回定例会の我が会派の質問において、同支援センターの設置準備に当たり、新宿区子ども家庭・若者サポートネットワークに新たな部会を立ち上げるとの答弁がありました。この新たな部会の役割をどのように位置づけているのか、また、同センターの設置スケジュールをどのように計画されているのか伺います。 2点目は、母子健康包括支援センターの職員についてです。 同ガイドラインには、職員の確保として、センターには保健師等を1名以上配置することが記載されており、保健師・助産師等のこれまでの母子保健活動の経験を活かすことで、センターの業務を効果的かつ効率的に展開することができるとしています。また、保健師や助産師、看護師といった医療職に加えて、精神保健福祉士、ソーシャルワーカー(社会福祉士等)、利用者支援専門員、地域子育て支援拠点事業所の専任職員といった福祉職を配置することが望ましいとしています。区は専門職の職員配置についてどのように考えているのか伺います。 3点目は、母子健康包括支援センターの設置に伴うICTの環境整備についてです。 同センターでは、全ての妊産婦、乳幼児等について、妊娠期、出産前後、子育て期の状況を継続的に把握し、体系的に管理するために、支援台帳を作成することとされています。個人情報の取扱いに十分注意しながら、情報を電子化し、関係機関と共有していくことを推進されると思いますが、区の取組状況を伺います。 また、コロナ禍において、オンラインでの相談体制の必要性が明らかになったこともあり、新たに設置される母子健康包括支援センターにおいて、情報通信機器や通信環境の整備を進めていくことが求められます。区のお考えを伺います。 次に、産後支援の充実について伺います。 新宿区は、退院直後の母子に対して、心身のケアや育児のサポートを行い、産後も安心して子育てができる支援体制づくりに取り組んできました。 産後の支援には、主に宿泊型やデイサービス型、アウトリーチ型があり、全国の自治体において、地域特性を活かした取組が行われています。このことを踏まえて2点伺います。 1点目は、宿泊型の産後ケアについてです。 先日、新宿に越してこられたばかりで、初産の女性から御相談を伺う機会がありました。その女性は、「新型コロナウイルス感染症の影響で里帰りができず、両親も上京できないので、病院を退院したら自宅で主人に助けてもらいながら赤ちゃんを見ることにしました。でも、主人以外に頼る人がいないので、とても不安です」と話されました。 こうした産後に誰の支援も受けずに育児をしなくてはならない家庭が増えています。産後ゆっくりと休養することが難しい産婦を支援するために、新宿区においても、宿泊型の産後ケアが必要と考えます。区の現状認識と今後の取組を伺います。 2点目は、産前産後の母親をサポートする取組についてです。 これまで、区は産前産後の育児支援家庭訪問事業を拡充し、推進してきました。この事業では、保育士や経験豊かなヘルパー等を派遣し、家事援助にとどまらず、育児支援や兄弟への対応も行っております。また、子ども総合センターと連携した個別の支援も行っています。 また、我が会派が繰り返し要望してきた産後ドゥーラは、産前産後支援の専門家であり、産後の女性に寄り添って安心して育児に取り組めるようにサポートを行います。現在、母親の産後支援ニーズは多様化しています。母親が希望するサービスを利用できるように、産後ドゥーラを選択肢の一つとし、公費助成を行うべきであります。区の御所見を伺います。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 母子健康支援の推進についてのお尋ねです。 初めに、母子健康包括支援センターの準備状況についてです。 新宿区子ども家庭・若者サポートネットワークに新たに立ち上げる「子育て包括支援部会」は、子育て家庭に対し、母子健康部門と子育て支援部門が連携しながら、一体的な支援を実施するための関係機関との協議やネットワークの強化を役割として位置づけてまいります。 母子健康包括支援センターの設置に向けて、庁内連絡会を設け、令和3年度の設置を目指して調整を進めています。 次に、母子健康包括支援センターの職員配置についてのお尋ねです。 母子健康包括支援センターは、同一施設で母子保健と子育て支援の両方を実施する体制と、自治体の実情に応じて、複数の施設で役割を分担し、連携して実施する体制のいずれかとすることができます。そのため、区では、多様な相談窓口の提供と職員の高い専門性を活かすことを目的として、保健師等の医療職が配置されている母子保健部門に設置する母子健康包括支援センターと、ソーシャルワーカー等の福祉職が配置されている子育て支援部門で役割を分担し、子育て包括支援部会等を通じて連携し、実施する体制とします。 この体制を子育て世代包括支援センターとし、専門性を有する職員が一体的に子育て世代を支援することが可能になると考えております。 次に、母子健康包括支援センターの設置に伴うICTの環境整備についてのお尋ねです。 区は、現在、全ての妊産婦・乳幼児について、ゆりかご面接や乳幼児健診等の母子保健情報を電子化し、保健情報システムで管理しています。母子健康包括支援センター設置の際には、このシステムを支援台帳として活用し、関係機関と必要に応じ円滑に情報を共有していきます。 オンライン相談については、感染予防策としての利点と、対面でしか得られない情報があるなどの課題があります。区では、オンライン相談の環境整備に関する先行事例を収集するなど研究を進めるとともに、区民に最も身近な相談先として、引き続き子育て世代に寄り添った相談・支援に努めてまいります。 次に、産後支援の充実についてのお尋ねです。 区では、様々な母子保健事業を通じて、産後早期に家族の十分な協力が得られにくい母子が増えているという状況を把握しております。また、今年度「ゆりかごプラスギフト」を配布する際に行った妊産婦へのアンケートでは、産後早期に多くの方が授乳や育児に関する悩みを抱えており、新型コロナウイルスの影響で実家の協力を得られなくなった等の声も寄せられました。 今後の取組として、このような産後早期に、母体の回復や慣れない育児への不安に対する支援が必要な産婦に向け、助産師等の専門職が24時間体制で支援を行う、宿泊型の産後ケアの実現に向けた検討を進めてまいります。 次に、産前産後の母親をサポートする取組についてです。 区では、妊婦や1歳未満のお子さんを養育している方にヘルパーを派遣し、家事や育児の支援とともに、育児についての助言を行う育児支援家庭訪問事業を実施しています。 少子化や核家族化の進行により孤独な環境の下で育児を行う母親がいる中で、特に不安感を抱えやすい産後の女性への支援は、非常に重要と認識しています。そのため、産後の女性に寄り添って話を聞き、不安や悩みを受け止める産後ドゥーラは、子育て支援サービスの担い手として有効と考えており、今後の育児支援家庭訪問事業の選択肢の一つとして導入を検討してまいります。 ◆10番(豊島あつし) 質問の第7は、コロナ禍での避難所運営等について伺います。 大型で非常に強い台風10号が今月6日夜から7日明け方にかけて、九州の西岸沖を北上しました。この台風の影響で猛烈な風や大雨が降り、土砂災害や河川の増水、浸水が発生し、九州を中心に大きな被害をもたらしました。 代表質問の冒頭でも申し上げましたが、ここで改めて被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。 近年、こうした大規模地震や大規模水害など、想定を超える自然災害が頻発化、日常化しています。しかし、例年と違うことは、新型コロナウイルスの影響を踏まえて、感染防止対策にも万全を期さなくてはならない点です。特に、避難所を開設する場合には、「3密」を避けるために、避難所に受け入れる人数を制限しなくてはなりません。 今回の台風でも、各地の避難所が満員になっています。そのため、新宿区においても、発生した災害や被害者の状況等によっては、避難所の収容人数を考慮し、過密状態を防止するため、あらかじめ指定した指定避難所以外の避難所を開設するなど、通常の災害発生時よりも可能な限り、多くの避難所の開設を図る必要があります。 そこで、コロナ禍における避難所運営の在り方について具体的に質問させていただきます。 1点目は、コロナ禍における多くの避難所の開設についてです。 感染防止対策としてより多くの避難所が必要です。内閣府は、台風10号が接近する前に、3密を避けるためにできるだけ多くの避難所が開設できるように、各自治体に徹底しました。 今回の台風でも、住民は自治体が用意している避難所ではなく、ホテルに自主避難する人が多く、満室になったところが多くありました。ホテルや旅館等、民間施設の活用やその周知についてどのように考えておられるのでしょうか。また、民間宿泊施設等を使用する場合には、どのような避難者を受け入れることを考えておられるのか。例えば高齢者や基礎疾患のある方、障害者、妊産婦など優先的に避難させる人を事前に検討し、優先順位の考え方を事前に決めておく必要があります。御所見を伺います。 2点目は、分散避難の周知と意識啓発についてです。 避難指示が発令された場合、区民が一斉に避難所に移動することも想定しておく必要があります。コロナ禍では、特に区があらかじめ指定している避難所が、避難者ですぐに過密状態になってしまう可能性があります。そのため、災害時に避難生活が必要な方に対しては、可能な場合は、親戚や知人の家等への避難を検討するよう広報する必要があります。区民への分散避難の周知や意識啓発についてどのように考えておられるのか、御見解を伺います。 また、避難所が満員になった情報を、エリアメールや防災無線、区のホームページで知らせる必要がありますが、高齢者や障害者など情報弱者への伝達についてどうされるのか、併せて伺います。 3点目は、避難所内の感染症対策についてです。 避難所における感染症対策を強化し、避難者に対して手洗いやせきエチケット等の基本的な感染対策を徹底するとともに、備蓄物資の充実が必要です。感染症予防に必要となるマスクや消毒液、非接触型体温計、フェースシールド、また、避難所での感染症の蔓延を防ぐため、段ボールベッドや段ボール間仕切り、パーティションの確保が必要です。さらに、避難所内の十分な換気スペースの確保、避難所全体のレイアウト・動線等、感染対策に配慮した避難所運営の在り方についてもまとめておく必要があります。御見解をお伺いします。 4点目は、発熱、せき等の症状が出た避難者の病院移送が難しい場合に備えた対応についてです。 避難所における良好な生活環境を確保するためには、感染症を発生した可能性のある避難者と一般の避難者とのゾーン、動線を分け、個室などの専用のスペースを確保し、専用のトイレを用意することなどが必要です。こうした課題にどう取り組まれるのか、見解をお聞かせください。 5点目は、避難所における避難者の健康維持についてです。 避難者の深部静脈血栓症(DVT)、いわゆるエコノミークラス症候群について対策が求められています。内閣府の新型コロナウイルス感染症を踏まえた災害対応のポイントによれば、避難者は、濃厚接触者を含め、定期的な軽い運動を推奨しており、時間を決めて施設管理者と相談の上、敷地内のスペースを歩くことを勧めることや、軽い体操の方法のリーフレットを配布して、無理せず自分のペースで体を動かすことを勧めています。 避難者の健康維持のため、災害時におけるエコノミークラス症候群など、日頃から啓発していくことも大事です。区のお考えを伺います。 6点目は、コロナ禍における罹災証明書の申請・交付体制の整備についてです。 内閣府の災害対応のポイントには、罹災証明書の申請について方針が示されています。罹災証明書の申請については、電子申請システムやマイナポータルのぴったりサービスなどによる電子申請の活用や、郵送による申請等の対応を検討することとしています。また、罹災証明書の発行に際しては、郵送による対応を検討することとしています。 区として、コロナ禍における罹災証明書の発行について、課題をどのように認識され取り組まれるお考えか、伺います。 現在、罹災証明書の様式の統一化が全国的に進められています。災害時に住民が行政の支援を受けるために必要となる罹災証明書について、統一様式を公明党が訴えてきました。申請様式を統一することにより、災害時に被災自治体に応援に入る他自治体の職員による証明書発行業務の迅速化が図られ、被災者がより早期に支援を受けられるようになります。罹災証明書の様式統一化について、取組状況を伺います。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) コロナ禍での避難所運営等についてのお尋ねです。 初めに、コロナ禍におけるホテル等を活用した多くの避難所の開設についてです。 避難所内での3密による新型コロナウイルス感染症拡大を抑制するためには、学校などの避難所のほかに民間宿泊施設なども活用し、被災者の受入れ先の拡大を図ることが必要です。 国や都から、避難所として活用可能なホテルなど民間宿泊施設の情報提供を受け、現在、区内の宿泊施設等と避難者受入れに関する協定締結の準備を進めています。避難者の受入れ先の決定は、区災害対策本部が各地域本部から収集する避難所の収容状況等の情報を集約した上で、各宿泊施設の空室情報を基に、高齢者、障害者、妊産婦など、感染による重篤化リスクが高い避難者を優先して行います。 なお、施設の利用については、当該宿泊施設と区による調整が必要となりますので、協定を締結する宿泊施設の名称の事前公表につきましては控えさせていただきます。 次に、分散避難の周知と意識啓発についてのお尋ねです。 区では、防災週間を捉え、広報紙1面の全面を使った特集を組み、自宅が無事であれば避難所へは行かずに自宅で過ごす「在宅避難」、親戚や知人を頼る「縁故避難」など、コロナ禍における避難の分散化の重要性について周知を行ったところです。 今後も、様々な機会を通し、避難の在り方について啓発を行ってまいります。 また、情報弱者とされる方々への避難所情報の伝達などについては、水害時における防災スピーカーや防災ラジオ、区の広報車両を活用した早めの避難の呼びかけのほか、防災区民組織をはじめとする地域組織の協力も得て行います。加えて、ケーブルテレビ、エリアメール、Lアラートを利用したテレビ放送など、視覚や聴覚に障害のある方もいらっしゃることから、音声情報と文字情報の双方を活用した情報発信をしてまいります。 今後、技術革新による新たなツールの活用など、情報弱者にもより伝わりやすい仕組みについて検討を行ってまいります。 次に、避難所内の感染症対策と発熱等の症状がある避難者への対応についてのお尋ねです。 区では、既に51か所の全避難所に、新型コロナウイルス感染症対策として、マスクや手指の消毒液、非接触型検温計など、感染拡大予防対策用品の配備を行いました。また、区内10地域で避難所運営管理協議会の代表者にお集まりいただき、国が示したガイドライン等を参考に作成した、区の避難所における感染予防対策案について、活発な意見交換を行いました。そこでは、避難者受付の際に検温を実施すること、一般避難者と感染の疑いのある避難者を分離するため、専用のスペースや専用トイレを確保すること、一般避難者と感染の疑いがある避難者が交わらない動線を確保することなどについて確認したところです。 そうした感染症流行期における避難所の運営方法について、実際に避難所となる学校で検証を行い、課題の整理を行いました。これらの結果を踏まえ、新宿区版の避難所内における感染症対策の在り方として取りまとめました。 今後、この新宿区版の避難所内における感染症対策の在り方を基に、それぞれの避難所の実情に合わせ、避難所運営マニュアルを改定していきます。そのマニュアルを活用し、各避難所で訓練を重ねるなど、避難所の感染拡大防止を一層進めてまいります。 次に、避難所における避難者の健康維持についてのお尋ねです。 避難所では、通常とは異なる環境や生活リズムで過ごすことになるため、御指摘のエコノミークラス症候群に加え、慢性疾患の悪化や不眠、便秘など、様々な健康影響を引き起こす可能性があることが分かっています。 このため、避難所が開設された際には、各避難所での保健師等による健康相談や、リーフレットの配布やポスターの掲示等を通じて、健康影響を及ぼす様々な要因の予防や対応策について周知するとともに、予防策を実践できるよう支援していきます。 今後は、さらに様々な機会を通じて、災害時における健康影響や予防策等について周知してまいります。 次に、コロナ禍における罹災証明書の発行に係る課題と取組についてです。 区では、被災者の生活再建を迅速に支援するため、平成25年度に罹災証明書発行システムを導入するとともに、業務手順書を作成し、罹災証明書の交付体制を整備しています。現在、新型コロナウイルスへの感染が懸念される中、住家被害認定調査や罹災証明書発行業務においては、感染防止対策に万全を期す必要があります。 具体的な対策として、住家被害認定調査の際は、住家内に立ち入る調査員を最小限の人数とし、マスクの着用、手洗いの励行、機器の消毒などを行ってまいります。また、罹災証明書の申請・交付に当たっては、会場内でのソーシャルディスタンスの確保や、共用部分の消毒を適切に実施いたします。さらに、罹災証明書の郵送申請及び郵送交付についても検討を進めるとともに、電子申請についても、システムの構築や処理手順等について研究してまいります。 次に、罹災証明書の様式統一化についてです。 近年の大規模災害の被災自治体において、各自治体の罹災証明書の様式が大きく異なっていることから、応援職員が様式を理解することに時間を要し、被災自治体での罹災証明書の発行が遅滞するなどの報告がされています。区では、令和2年3月に罹災証明書の様式統一化についての国の通知を受け、国が示す様式に合わせるシステム改修や要綱整備等を行っており、本年10月から統一様式による運用を行ってまいります。 今後も、発生の切迫性が指摘されている首都直下地震や激甚化・頻発化する豪雨災害に備え、罹災証明書発行などの生活再建に関する業務を確実かつ迅速に進めてまいります。 ◆10番(豊島あつし) 質問の第8は、住宅施策について伺います。 新宿区においては、平成30年1月、「第4次新宿区住宅マスタープラン」を策定し、区立住宅ストックの有効活用とセーフティネット機能の向上を目的に、区立住宅の再編や区営住宅の建て替え等の施策を掲げています。 また、平成30年3月には、今後10年間を計画期間とする「新宿区公営住宅等長寿命化計画」を策定し、区立住宅の改善や修繕等の維持管理に取り組まれています。さらに、これまで高齢者世帯をはじめ、子育て世帯、障害者世帯など、多様なニーズに即した住宅施策を先駆的に実施されていることを高く評価いたします。 1点目は、住宅マスタープランをはじめ、長寿命化計画の基本目標の一つに、「公平かつ的確な区立住宅の供給に当たっては、少子高齢化の進行や高齢単身世帯の増加などを踏まえ、区民の需要に合った区立住宅ストックの在り方を検討するなど、区立住宅を適正に運営していきます」とあります。しかし、一方では近年、地震や風雨災害が多発する中にあって、緊急一時避難先としての区立住宅ストック活用の必要性も考えられることから、今後の計画を進める中で検討されてはいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。 2点目は、新型コロナウイルス感染拡大による支援策についてです。 新宿区は、新型コロナウイルス感染症の影響により、収入が著しく減少し、使用料等の支払いが困難になった区立住宅の入居者の方を対象に、当該月単位で減収後の収入額に応じた使用料に減額する支援策を本年4月より実施されています。 ただし、平成24年度以降に特定住宅に入居された方で、定期借家の場合は、一律月額3万円の減額を、年度内で最大6か月の支援策がこれまで取られており、コロナ禍にあって新たに周知チラシを全戸配布されたと聞いております。 また、これまで高齢者等を対象にした住宅相談においても、新たに新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少した方を対象とした、家賃に係る困り事や転居先探しの相談も開始されました。 これらの支援策についての実績や取組状況をお聞かせください。 区立住宅の使用料減額については、周知チラシを全戸配布されたとのことですが、いまだ支援策を知らない入居者の方もいらっしゃることから、時機を見て改めて周知徹底を図る必要があると考えますが、お考えをお聞かせください。 3点目は、高齢者等の民間住宅の入居支援についてです。 新宿区では、高齢者等の民間賃貸住宅への入居支援策として、今年度より、連帯保証人を見つけることが難しい高齢者等の支援として、家賃等債務保証助成の初回のみの助成から、助成期間を10年間に延長する制度拡充を図りました。 また、賃貸人の単身高齢者の入居受入れの際に抱える入居者死亡への不安を取り除くため、残存家財の整理費用等をカバーする保険料助成(入居者死亡保険助成)制度も開始しました。現時点における実績や取組状況をお聞かせください。 これらの助成制度については、不動産業団体や関係者より、「支援策としての取組は評価しているが、制度自体がまだあまり知られていない」との声をお聞きします。私も地域の不動産屋さんから話を伺うと、「助成制度について知らない、または知っていても理解が不十分である」と実感します。 これまでも区は不動産業団体への助成制度の周知は行われてきたと思いますが、改めて本助成事業の促進策が急務であると考えます。例えば、各不動産店において、単身高齢者の方が民間賃貸住宅への入居相談に応じた際、助成申請につながるようなフローを新たに作成し、不動産業団体と連携し、全ての関係不動産店へ配布するなど、検討されてはいかがでしょうか。また、入居支援に関する他の情報も併せて周知するとよいのではと思いますが、お考えをお聞かせください。 4点目は、新宿区居住支援協議会の運営についてです。 新宿区は、公民を通じた住宅福祉分野がこれまで以上に連携し、住宅確保要配慮者及び賃貸人の双方に対して支援を実施し、民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、本年2月に居住支援協議会を設立しました。協議会の運営に当たっては、住宅確保要配慮者の入居だけではなく、大家さん側の不安解消をはじめ、入居後の見守りやケアなどが必要との課題の共通認識を図ったと聞いています。 極めて、重要な認識と考えますが、その取組状況をお聞かせください。また、今後どのように検討されていくのか、さらに、コロナ禍にあってこの間、協議会の開催が行われておりませんが、再開に向けてどのように進めていかれるのか、お考えをお聞かせください。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 住宅施策についてのお尋ねです。 初めに、災害時における区立住宅ストックの活用についてです。 昨年の台風15号及び19号では、23区内で全壊、半壊の建物が約180棟に上るなど、自然災害等により住居を失ってしまった方への住居の確保は重要であると、区では認識しています。 一方で、区は一般世帯向けや高齢者、障害者、子育て世帯向けなどの住戸種別を有した総数約1,500戸の区立住宅をストックしています。これらの住宅は、今後、子育て世帯向けである特定住宅制度の終了や借上型住宅の契約期間満了を迎えることになっており、区は、区立住宅全体の再編を検討しているところです。 災害で住居を失った方に対する区立住宅ストックの活用については、再編を検討する中で、空き住戸の有効活用なども考えてまいります。 また、緊急一時避難先としての区立住宅ストックの活用については、浸水が懸念される区立住宅の低層階にお住まいの方に対して、同じ住宅の高層階の空き住戸を一時的に利用できるよう、現在検討を進めているところです。 次に、新型コロナウイルスの感染拡大による支援策についてのお尋ねです。 区立住宅では、新型コロナウイルス感染症の影響により、収入が著しく減少した方への支援策として、住宅使用料の減免を4月より実施しています。これまでに区営住宅で12世帯、子育て住宅で26世帯の使用料の減額を実施しました。 また、民間賃貸住宅にお住まいの方に対しては、感染拡大の影響により収入が減少した方であればどなたでも、家賃に関わる困り事をはじめ、住み替えに関する相談を6月11日より開始しました。これまでに家賃の困り事で1件、住み替えで3件の相談を受けたところです。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響が長期化する中、不動産業団体が全国の不動産業者約180社を対象に行った調査では、今年4月から6月までの3か月間に入居者からの家賃の滞納または解約の申入れや相談を受けた業者が、全体の6割を占めるとの結果が発表されました。こうした状況を踏まえ、区は新型コロナウイルスの影響により収入が減少した方への住宅相談を当面の間継続するとともに、区立住宅の入居者に対しても、再度使用料の減免制度についての周知を行ってまいります。 次に、高齢者等への入居支援に関するお尋ねです。 高齢者等の民間賃貸住宅への入居支援では、今年4月より家賃等債務保証料助成及び残存家財の整理費用等の保険料助成を、それぞれ年間50世帯を対象に開始しました。 実績については、家賃等債務保証料助成が7件、残存家財の整理費用等の保険料助成が申請中1件となっています。 区では、これらの助成制度について不動産業団体をはじめとする関係団体への周知を既に行ってはいますが、御指摘のとおり、さらなる利用促進が必要と認識しています。 現在、区では、不動産店で助成のチラシを配布しているところですが、今後は入居手続の際に利用の意向確認ができるような仕組みをつくり、助成の利用促進につなげてまいります。また、御指摘のとおり、入居支援に関する様々な情報も併せて周知することで、入居への支援を図っていきます。さらに、区内の民間賃貸住宅へ住み替えされた方が住所変更などの手続で区に来られる際にも、入居支援に関する制度の周知を図ってまいります。 次に、居住支援協議会についてのお尋ねです。 新宿区居住支援協議会は、高齢者等の住宅確保要配慮者の方が民間賃貸住宅へ円滑に入居できるよう、公民を通じた住宅と福祉分野の構成団体が必要な事項を協議するため、今年の2月に設立されました。 2月の第1回目の協議会では、各構成団体が入居支援に関わる事業を紹介するとともに、入居者が希望する住宅が見つからない現状や家主が入居を断る要因について、様々な意見や要望がありました。 協議会では、構成団体からの意見や要望を踏まえ、入居時に連帯保証人が見つからない方への家賃等債務保証料助成をはじめとした入居支援から、入居中の見守り支援、残存家財の整理費用等の保険料助成等の退去時に至るまでの支援の確立が、円滑な入居に必要との認識に達しました。 今後は、協議会に参加している構成団体が実施している事業や制度をマッチングし、包括的な入居支援の体制づくりを図っていきたいと考えています。また、次回の協議会では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により収入が減少したことで、家賃の滞納や解約等についてお困りの入居者の方への対応策についても、協議を行いたいと考えています。 協議会の再開については、新型コロナウイルスの感染拡大の状況にもよりますが、12月に再開したいと考えております。 ○議長(吉住はるお) ここで、議事進行の都合により休憩します。 △休憩 午後2時57分--------------------------------------- △再開 午後3時15分 ○議長(吉住はるお) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。 ◆10番(豊島あつし) 質問の第9は、学校における感染症対策について伺います。 1点目は、小・中学校におけるコロナの感染症対策についてです。 初めに、感染予防のための物品整備等衛生環境についてです。 依然として東京都の感染が続く中、新宿区内の小・中学校においても、児童・生徒がコロナに感染したとの報告がありました。誰もがコロナに感染する可能性があります。特に学校においては、クラスターを発生させないことが喫緊の課題であり、児童・生徒が安心して教育を受けられるよう、感染予防対策が重要です。そのため、我が会派は、本年の第2回定例会で、学校における感染予防対策として、マスクの供給や手洗いのための自動水栓、また体調管理のためのサーモグラフィーなどの配備の必要性について質問しました。現在の取組状況と今後の計画についてお聞かせください。 また、これからの季節はインフルエンザや風邪などが流行し、症状の上からはコロナとの見分けが難しいと指摘されています。そのため、体調不良の児童・生徒が利用する保健室の感染対策は大変に重要です。併せてお考えをお聞かせください。 2点目は、教室の換気についてです。 文部科学省は、3密対策として、授業中の教室は30分に一度の換気を実施するよう通達しています。しかし、校舎の近くに公園や木がある場合には、窓を開けた際に蚊や蜂などの昆虫が入ってくることで、授業の妨げになるのではという懸念があります。虫対策として網戸を設置してはいかがでしょうか、お考えをお聞かせください。 3点目は、コロナに伴う差別や誹謗中傷について伺います。 現在、コロナの感染者や医療従事者の家族など、コロナ差別や誹謗中傷が社会的な問題となっています。文部科学省は、子どもやその学校への偏見や差別を防ごうと、「誰もが感染する可能性がある、責めるのではなくさらなる感染を防ぐことが大切だ」と呼びかけています。 他区の中学校では、感染症に関する偏見や差別が深刻な社会問題であることを生徒に伝えるため、社説を基に、「新型コロナウイルスに感染した人への偏見と差別について考える」とのテーマで道徳授業を行い、生徒に様々な意見を出してもらいました。これをきっかけに、生徒に変化があったことや、教室の雰囲気が明らかに変わったそうです。 コロナ禍にあって、子どもたちは目に見えないストレスを抱えています。このような子どもたちの思いに耳を傾けながら、正しい情報を伝え、偏見や差別を丁寧に解きほぐしてあげることは、子どもたちの不安を解消する機会ともなります。さらに、授業を行うことで、家庭においても偏見や差別を考え、話し合うきっかけとなり、感染者を受け入れられる社会を築くことにもつながります。ぜひ新宿区の学校においても、偏見や差別について考える授業を行ってはいかがでしょうか。教育委員会のお考えをお聞かせください。 4点目は、コロナ禍における教員の負担増について伺います。 コロナ禍において、現場の教員から、「臨時休業による学習の遅れの挽回や消毒作業、子どもたちの体調管理のチェックなど、教員の負担が増加して大変だ」との声をお聞きします。その中でも特に心配していることは、学習の遅れです。これを受け、新宿区においては、8月25日よりマンパワー確保のため「学習指導サポーター」を配置し、児童・生徒の学びをより一層きめ細かく支援する体制整備を行うこととしました。このことは教員の負担軽減にもつながることから、高く評価いたします。 そこで、現状の配置状況と今後の課題についてお聞かせください。また、コロナの感染者が出た場合、休校を余儀なくされることから、さらに学習の遅れが懸念されます。その学習の遅れをサポートするためにも、現在貸出しをしているタブレット等を使って学習をサポートすることは有効であると考えます。教育委員会の御所見を伺います。 最後に、小学6年生と中学3年生の修学旅行について伺います。 新宿区においては、コロナの感染の安全確保が懸念される点から、今年度は中止となりました。しかし、全国では、修学旅行の代わりに日帰り旅行を計画している自治体もあります。ぜひ新宿区の小学6年生と中学3年生に対して思い出づくりのため、日帰り旅行等を実施してはいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。 以上、御答弁願います。 ◎教育長(酒井敏男) 学校における感染症対策についてのお尋ねです。 初めに、小・中学校における新型コロナウイルス感染症対策の現在の取組状況と今後の計画についてです。 児童・生徒の健康状態を把握するため、登校時に御家庭での検温結果や健康状態を教職員が確認することに加え、7月に全区立学校へサーモグラフィーを導入し、学校での検温も実施しています。来校者についてもサーモグラフィーによる検温を実施し、学校内に感染の疑いがある発熱者の立入りを防ぐことで、学校内での感染予防を進めています。 また、各区立学校では、マスク、消毒液などのコロナウイルス感染予防のための物品を随時購入するとともに、7月以降はレバー式水栓、パーティション等を整備するなど、感染予防対策を講じています。 今後は、学校の感染予防対策の取組状況などを踏まえ、必要なものを調達してまいります。 保健室の感染対策についてですが、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、通常の保健室を利用する児童・生徒と接触を避けるように別室を設けたり、保健室内をパーティションなどで仕切ることにより接触を回避できるよう、各学校が状況に応じて取り組んでいるところです。 次に、教室の換気についてのお尋ねです。 新型コロナウイルス感染症対策として、密閉を避けるために適宜教室の窓を開け、換気を行っております。網戸については、施設面から設置が難しく、基本的には設置しておりません。ただし、近隣に公園などがあり、蚊や蜂が教室内に入るおそれがある学校については、一部網戸を設置しています。 今後も、校舎の近くに公園や木々があり、虫対策として網戸の設置を必要とする学校については、施設の状況や安全性を十分検証の上、各校の相談に対応してまいります。 次に、新型コロナウイルス感染症に伴う偏見や差別について考える授業についてのお尋ねです。 偏見や差別を未然に防ぐことや、そのために児童・生徒に指導することは大切であると認識しています。 教育委員会では、東京都教育委員会が作成の「新型コロナウイルス感染症に関連する偏見や差別意識の解消を図る指導資料」を各校へ送付し、取組が進むよう働きかけを行っているところです。 区立学校では、学級活動や保健体育科の授業などを通じて、感染予防に対する正しい知識を児童・生徒が持ち、感染症に関する偏見や差別をなくすための適切な行動ができるよう、指導を行っています。また、文部科学大臣のメッセージを基に朝会で講話をしたり、医療従事者などへ感謝の気持ちをメッセージカードに書いて発信する活動を行ったりしながら、人権意識を高めているところです。 御紹介のあった新聞記事等を活用して、感染者やその家族、医療従事者などに対する差別があることを捉えたり、偏見や差別をなくすために自分たちでできることを話し合ったりする活動も、児童・生徒の理解を深めるのに有効であると考えています。 今後も、学校が様々な機会を捉えて、偏見や差別について考える授業や取組を行い、児童・生徒に指導を行っていくよう働きかけてまいります。 次に、「学習指導サポーター」についてのお尋ねです。 現在の配置状況ですが、9月11日現在で全区立学校40校のうち26校で配置されており、7校の従事希望者と折衝中です。未配置の学校についても、早期に配置できるよう努めてまいります。 今後の課題は、人材確保となります。未配置校への人材配置は当然ですが、各学校が必要なときに人材が配置されていることが必要です。また、人材を確保することが学校の負担とならないようにしていくことも必要と考えています。 教育委員会としては、大学関係者に教育委員会が直接交渉して人材の紹介を受けるなど、各学校の負担増とならないように配慮しながら、確実に人材が配置されるよう努めてまいります。 次に、現在貸出しをしているタブレットなどで休校時の学習をサポートすることについてです。 現在、各学校では、貸出しを行っているタブレット端末等を活用したデジタルドリルの利用を促進しており、週末にデジタルドリルを課題として課している学校からは、児童・生徒の学習の定着が見られ、教員からも、採点や個に応じた指導につながることを評価する声が上がっています。 一方、学校による取組の差が課題であることから、今後は、活用が進む学校の好事例を共有して、全校での取組を促進することで、休校を余儀なくされた場合の学習サポートにタブレット端末を有効に活用してまいります。 次に、小学校第6学年と中学校第3学年の思い出づくりのための日帰り旅行等についてのお尋ねです。 小学校第6学年の移動教室と中学校第3学年の修学旅行については、可能な限り実施できるよう、実施時期の延期等を検討してまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する状況を踏まえ、中止という苦渋の決断をしました。 運動会や学芸会、中学校の合唱コンクールなど、学校行事の多くが中止や縮小されたことから、特に卒業を控えた小学校第6学年と中学校第3学年は、卒業前の思い出づくりのための取組が必要であると認識しています。 卒業前の思い出づくりのための行事などの実施に関しては、中学校第3学年は日帰り旅行について、現在、中学校長の意見を聞きながら、行き先の候補や実施できる活動内容について検討しています。今後は、検討した行き先や活動内容を学校に示し、生徒や学校の希望に沿った形で実施できるよう準備を進めてまいります。 小学校第6学年についても、今後、感染対策などの安全面や学校のスケジュールなどを勘案しながら、小学校長と具体的に内容を検討してまいります。 以上で答弁を終わります。 ◆10番(豊島あつし) ただいまは区長並びに教育委員会より非常に丁寧な答弁をいただきまして、誠にありがとうございます。 以上をもちまして、我が会派の代表質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(吉住はるお) 次に、7番高月まな議員。     〔7番 高月まな議員登壇、拍手〕 ◆7番(高月まな) 日本共産党新宿区議会議員団の高月まなです。2020年第3回定例会に当たり、会派を代表して質問いたします。 まず冒頭に、このたびの台風9号、10号に被災された方々へのお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復興をお祈りいたします。 8月28日、安倍首相は辞任を表明しました。7年8か月にわたる安倍政権の間の安保法制、共謀罪、特定秘密保護法といった違憲立法、民意を踏みにじり強行した沖縄新基地建設、森友、加計、桜を見る会等をめぐる政治の私物化、二度にわたる消費税増税、新型コロナウイルス感染症対策の遅れにより国民の命、暮らし、営業が大変な苦難に置かれています。こうした中で、区民に一番身近な区政の役割が一層重要になっているのではないでしょうか。 最初の質問は、2019年度決算と財政運営についてです。 新宿区の2019年度の実質単年度収支は、7年連続の黒字となっています。リーマンショックのような危機に備えて積み立てるとしてきた基金を、今まさにコロナ対策のために活用すべきですが、これまでに活用した基金の額と今後の活用予定、また特定目的基金を条例改正し、財政調整基金として活用するお考えはないか伺います。 さらに、大規模開発への補助金や、コロナ禍で実施できない事業も含め、不要不急の予算は見直し、コロナ対策を最優先として財源を確保すべきです。 港区は実施できなかったオリンピック関連の予算を減額補正し、その財源をほかに振り向けましたが、新宿区もそうすべきではないでしょうか。 また、政策決定過程では、区民の声を聞き、区民と情報共有しながら、双方向で議論することが民主的な財政運営には不可欠と思いますが、コロナ禍の下で区民参画をどう担保し、コロナ危機から区民生活をどのように守っていこうとしているのか、区長の御所見を伺います。 ◎区長(吉住健一) 高月議員の御質問にお答えします。 2019年度決算と財政運営についてのお尋ねです。 初めに、基金活用についてです。 今年度においては、新型コロナウイルス感染症対策を含めた補正予算で、本定例会に上程している金額も含めて、既に97億円の財政調整基金の取崩し額を計上しています。 今後の基金活用については、感染症の影響を見極めながら、効果的に対応してまいります。 次に、特定目的基金については、それぞれの目的により設置されたものであり、財政調整基金への組替えは考えていません。 次に、東京2020オリンピック・パラリンピック大会関連経費については、大会実施の方向性を見極めた上で、補正予算で対応してまいります。 また、新型コロナウイルス感染症対策の予算措置については、今後も国や都の補助金、寄附金、財政調整基金を活用し、必要に応じて機動的に対応してまいります。 区は、これまでも区民の声を受け止め、予備費充用や補正予算による機動的な対策を講じてきました。今後も感染症対策とともに、区民生活の支援と地域経済の回復に向けた対策に取り組んでいきます。 ◆7番(高月まな) 次に、新型コロナウイルス対策と検査体制の充実についてです。 まず、新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方々に心より御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族にもお見舞い申し上げます。療養中の方々へも、一日も早い回復をお祈り申し上げます。また、感染症対策に尽力されている職員の皆様、御協力いただいている区民の皆様に深く感謝を申し上げます。 東京都が発表している新宿区内の新型コロナウイルス感染確認数は、5月117人、6月281人、7月1,188人、8月647人、直近の9月14日までの累計で2,655人、人口10万人当たりでは約768人と、全国でも突出した状況が続いています。 区のPCR検査の受診者数、陽性者数と陽性率は、5月受診者数2,294人のうち陽性者123人、陽性率5.4%、同じく6月1,829人のうち381人、20.8%、7月4,642人のうち1,202人、25.9%、8月2,179人のうち347人、15.9%と、確かに陽性者も陽性率も減っているようですが、この数値は依然として高い状況です。 新型コロナウイルスの感染拡大に加え、インフルエンザの流行する時期に入ろうとしている今、検査件数を増やし、徹底した対策を講じることが医療崩壊を防ぐためにも必要です。 質問の第1は、インフルエンザ対策についてです。 新宿区医師会の助言により、インフルエンザ予防接種の自己負担無料化が65歳以上の方と、60歳から64歳で基礎疾患のある方、13歳未満の子どもを対象に実施されることになりましたが、東京都の9月補正予算案では、65歳以上と60歳から64歳の基礎疾患のある方を対象に無料化するとしています。都が予算措置する分の財源を活用し、さらに対象を広げてはいかがでしょうか。少なくとも国が優先接種すべきとしている妊婦は対象に加えるべきと考えますが、いかがでしょうか。 第2は、区内の感染状況に対する認識と情報公開についてです。 先日の臨時会で、私ども区議団が、「新宿区がエピセンター化しているという認識は」と質問したのに対し、健康部長は「一部の専門家が新宿区のエピセンター化という見解を持っていることは承知している」と答えましたが、7月16日の参議院予算委員会で、東京大学の児玉名誉教授が新宿区のエピセンター化を指摘され、7月30日の東京都医師会尾﨑会長の記者会見でも同様の指摘があり、さらに9月3日の参議院予算委員会でも、国の新型コロナウイルス分科会の尾身会長も、「緊急事態宣言解除後の再度の感染拡大は、主に東京の接待を伴う飲食店を発端として全国に広がった」と指摘されました。 客観的科学的事実の認識なしに有効な対策はできないと思いますが、区長は新宿区はエピセンター化していないというお考えですか。尾身会長の指摘は、東京から全国に広がったと言われ、まさにその中心は新宿だと思いますが、区長はそのような認識がないのかお答えください。 区の行政検査における陽性率が30%を超えていたのが、今は15%で下火になったとはいえ、2桁で依然として高い水準であることは、国会でも東京都医師会の尾﨑会長が指摘され、加藤厚生労働大臣も、「新宿区は減っているわけではない。まだ、そこに課題がある」と言われました。 区長は、新宿区の陽性率についてどのように分析し、陽性率何%以下が望ましいと考えているのか。感染収束させるための目標を持ち、検査数も大幅に引き上げていくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。 区内の感染状況については、クラスターの発生件数も情報公開されてきませんでしたが、臨時会の委員会質疑で、区内で発生したクラスターが50件で、うち飲食店関係が37件、そのうちホストクラブは21件だったことが分かりました。 クラスター発生の状況などは、できるだけ詳細に公表することが啓発・感染防止につながります。区内のクラスターはどのような施設で、どのような状況の下で発生しているのかお答えください。また、現在療養中の無症状者、軽症者、中等者、重症者の各人数と、入院・ホテル療養・自宅療養の人数、また、陰性に転じた方の後遺症などの実態についてお答えください。 第3に、無症状陽性者に対する認識とPCR検査について伺います。 新型コロナウイルスは、無症状でもウイルスを保有し、無自覚のうちに感染を広げてしまうことが分かっています。臨時会の答弁では、無症状者へのPCR検査について「キャパに限りがあるので、無症状の方にも広く拡げるとなると、重症化の可能性の高い方たち、クラスター化しそうな施設などの検査が後回しになってはいけないので、効果的に適切に検査を進める」などと言って、無症状者への検査には消極的でした。 区長は、無症状の感染者も感染力を持っているという認識はおありでしょうか。無症状の方を検査する必要性はないとお考えですか。無症状の感染者を積極的に発見し、保護・隔離するお考えはないのか伺います。 日本の人口当たりのPCR検査数は、世界215か国中150位台のまま推移しています。日本では、PCR検査で擬陽性、偽陰性が出るなどといって精度を問題にする議論や、検査をすると医療崩壊を起こすなどの否定的な意見がありますが、世界ではこのような議論はありません。微量の遺伝子を増幅させてみるPCR検査は、他の検査にはない高い精度があり、PCR検査を広く行う目的は診断ではなく防疫で、そのときに感染させる可能性があるかどうか分かることが重要なのです。 区長は、PCR検査は精度に問題があるとお考えか否か、PCR検査数を増やす必要があるとお考えか伺います。 国は、8月7日の通知で、地域における感染状況を踏まえた幅広い検査として、現に感染が発生した店舗等に限らず、地域の関係者を幅広く検査することが可能であるため、積極的に検査を検討いただきたいとしています。 沖縄県では、繁華街を中心に感染者が急増した際、那覇市松山地区の飲食店の従業員と客に呼びかけ、広くPCR検査を実施したところ、検査規模800人程度の想定が2,086人となり、86人が陽性、その4割は無症状でした。新宿区でも、那覇市のような疫学調査を実施すべきではないでしょうか。 新宿区のPCR検査センターは、症状があり医師が必要と認めた方や、保健所から濃厚接触者と認められた場合に検査できますが、濃厚接触者であっても無症状者はなかなか検査してもらえないという苦情が幾つも寄せられています。 クラスター対策としての積極的疫学調査も、6月は9件、459人、7月は幅広く実施し、22件、715人でしたが、8月以降5件152人(15日まで)となり、ホストクラブに対する調査も基準を後退させ、無症状の方を含めた感染者を把握する体制が後退しています。 これまでの行政検査で無症状の陽性者は何人いたのでしょうか。陽性者に対する比率と併せてお答えください。 また、厚生労働省の接触確認アプリCOCOAで陽性者との接触通知を受けた際、厚生労働省は行政検査の対象と位置づけているのに、区の保健所に相談してもなかなか検査をしてもらえないとの声があります。それではCOCOAに登録した意味がないと、登録推進の足を引っ張ることにもなりかねません。 区の対応を改善し、ホームページでも、COCOAで接触の通知があった方は検査の対象であることを明示すべきと考えますが、いかがでしょうか。 医師会の先生方に伺うと、検査体制に対する要望で多く聞くのが、区の検査センターが予約制になったため、土日休日に当たると予約自体ができず、検査が遅れ、その上検査結果が出るのも、陽性なら二、三日、陰性の場合は1週間待たされることが、患者さんにも大きな負担となっているそうです。実際に検査を受けた区民からも苦情が出ています。土日休日も対応できる体制にし、少なくとも予約は土日でも受け付けられるよう、オンライン化するなどして改善すべき考えますが、いかがでしょうか。 第4に、無症状・軽症感染者の自宅療養等に関する支援についてです。 PCR検査を増やせば、当然、無症状や軽症の陽性者も多く発見されます。そのような方々はホテルでの療養を基本としながらも、自宅療養者の増加を想定した対策が必要です。 これまでも、区では多くの感染者が自宅療養となってきましたので、私ども区議団は、早くから自宅療養者への支援を求めてきました。厚生労働省の8月7日の通知でも、食事の配達の確保、体温計、パルスオキシメーター等を含む備品消耗品を補助対象とするとしています。区もこれを活用すべきですが、いつからどのように支援をしていくのでしょうか。 自宅療養により家族内感染が増えていることも問題となってきました。私たち区議団は、感染者のお子さんを保護する体制を要望してきましたが、東京都は9月補正予算案で、「家族や保護者が感染した場合の要介護者や児童の受入体制を整備する区市町村を支援するほか、医療機関における児童の一時保護委託を推進する」として、3億円を計上しています。新宿区もこれを活用し、早急に具体化すべきと考えますが、いかがでしょうか。 第5に、エッセンシャルワーカーへの定期的な検査の実施についてです。 東京都の9月補正予算案では、新たに高齢者・障害者支援施設等でスクリーニングを含むPCR検査等を実施した場合の経費を支援する予算30億円を計上しました。区長は、先日の記者会見で、都は入所施設を対象にするので、区としては通所施設の職員に実施する旨発言されました。職員とともに、通所者にも実施すべきですが、区としては、いつからどのような対象に実施するのでしょうか。 感染者が増えている保育や教育の現場で働く人、医療従事者や介護ヘルパーをはじめ、エッセンシャルワーカーと言われる方々にも、定期的なPCR検査を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。 ○議長(吉住はるお) 高月議員、区長の答弁中はマスクを外していただいて、呼吸を整えていただければと思いますので。 ◆7番(高月まな) ありがとうございます。 ◎区長(吉住健一) 新型コロナウイルス対策と検査体制の充実についてのお尋ねです。 初めに、インフルエンザ予防接種無料化の対象拡大についてです。 区では、これまでもインフルエンザが重症化しやすい65歳以上の高齢者と60歳から64歳で基礎疾患をお持ちの方に対する定期接種、また13歳未満の子どもを対象にした任意接種を実施してきました。 秋以降の新型コロナウイルス感染症対策として、医療現場の混乱や逼迫を回避するため、同様の考え方の下、特に重症化しやすい高齢者と子どもを対象に、今年度は接種費用を無料としますが、助成対象の拡大は考えていません。 次に、区内の感染状況に対する認識と情報公開についてのお尋ねです。 一部の専門家が新宿区のエピセンター化という見解を持っていることは承知しています。新宿区における発生届数は、7月中旬から8月上旬をピークに減少に転じていることから、改善の兆しが見えていると考えています。 一方、陽性率も減少傾向にありますが、陽性率については、検査対象の選び方や検査対応数によって大幅に変化するため、評価の目安になりにくく、目標値の設定にはなじまないものと考えています。 また、検査数については、ハイリスク事例やクラスター化するおそれがある事例は、対象者を広く設定するなど効果的に検査を行い、感染拡大防止につながっていることから、今後も必要な検査を適切に行ってまいります。 次に、区内のクラスター発生状況ですが、医療機関や高齢者施設、飲食店等において、換気状況や行動等の影響、空間を長時間共有することなどで、感染が広がっている事例がありました。 現在の療養者状況についてですが、9月1日から10日までの発生届出数は95件で、そのうち入院は16人、宿泊療養は14人、自宅療養は65人でした。この中に重症者、死亡者はいません。療養期間が終了後に味覚障害等が残る方もおり、少なくとも1か月間は体調に気をつけるよう注意を促しています。 次に、無症状陽性者に対する認識とPCR検査についてのお尋ねです。 無症状の感染者であっても、一定期間感染力があると認識しています。また、PCR検査の精度は70%程度で、擬陽性や偽陰性を生じさせることもあり、診断には医師の総合的な判断が必要ですが、現時点では最も有用な検査であると考えています。 PCR検査については、医療機関、高齢者・障害者施設などの重症化リスクが高い施設等において患者が発生した際や、これらの施設以外でクラスター化するおそれがある際には積極的に行っており、その中で無症状者に対しても検査を実施しています。検査の結果、感染者を発見した場合は、宿泊療養等につないでいます。したがって、那覇市のような疫学調査を実施することは考えていません。 次に、これまでの行政検査での無症状の陽性者数及び陽性者に対する比率です。 ハイリスク事例やクラスター対応のために、無症状者を広く対象に実施した検査は3,179件で、陽性は372件、陽性率は11.7%となっています。 次に、COCOAの接触確認アプリで接触通知を受けた際の検査についてですが、希望する方には全員検査を実施しており、その旨を区ホームページでも掲載しております。 次に、土日休日も対応できる検査体制やオンライン化など、土日休日の予約受付の改善についてのお尋ねです。 帰国者・接触者電話相談センターは、土日、休日、夜間も開設しており、緊急に対応が必要な場合は、適切に治療や検査が受けられる帰国者・接触者外来等につないでいます。 また、現在、予約受付のオンライン化は考えておりませんが、週明けに検査を希望される場合は、月曜日の午後2時までに医療機関から御連絡をいただければ、当日の検査予約が可能となっています。 今後も、できるだけ速やかに検査を受けていただけるよう工夫してまいります。 次に、無症状・軽症感染者の自宅療養等に対する支援についてです。 新型コロナウイルスに感染し、自宅療養を行う場合、外出制限を受け、経済的に厳しい状況にある方もいらっしゃると認識しており、自宅療養期間の食料等の調達支援は重要であると考えています。 御指摘の通知の中でも、自宅療養者が外出せずに生活を継続するために配食サービス導入が重要との見解が示されていることから、国の補助制度の活用を含め、実施に向けた検討を進めてまいります。 次に、家族や保護者が感染した場合の要介護者や児童の受入体制の整備についてのお尋ねです。 初めに、要介護者の受入れについては、個々の状況を勘案し、施設と調整するなど、柔軟な対応を行ってきたところです。 現在、東京都は、受入体制を整備する市区町村を支援する、「在宅要介護者の受入体制整備事業」を予定していると聞いています。この事業を活用し、宿泊可能な施設における支援体制の整備を検討していきます。 次に、児童の受入れについては、まずは身近な親族での対応をお願いし、預け先が見つからない場合には、都の児童相談センターに相談しています。都は、児童が濃厚接触者に特定された場合は、医療機関への一時保護委託で対応し、必要に応じて、区も入院先の医療機関を探す等の協力を行っています。また、濃厚接触者でない場合は、子どもショートステイや都の一時保護所を活用して児童を預かります。 今後も、このような受入体制を継続しながら、家庭を支援してまいります。 次に、エッセンシャルワーカーへの定期的な検査の実施についてのお尋ねです。 保育や教育、医療、介護の現場で働くエッセンシャルワーカーへのPCR検査については、感染すると重症化するリスクの高い高齢者や障害者を対象とする事業所の職員を優先的に実施することが必要であると考えています。このため、区としては、東京都の検査費用助成対象とならない通所、訪問介護事業所、地域密着型介護事業所など、希望する介護サービス事業所や障害福祉サービス事業所の職員が検査を受けやすい仕組みを検討し、できるだけ早い時期に検討してまいります。 ○議長(吉住はるお) 高月議員、区長の答弁の間だけ外していいですよということなので、すみません、私の説明が悪くて。 ◆7番(高月まな) 失礼しました。 次に、介護・障害福祉サービス事業者への支援についてです。 コロナ禍の下、介護保険事業者や障害福祉サービス事業所が大きな打撃を受けています。新宿区には400件弱の介護保険事業所と約200件の障害福祉事業所がありますが、緊急事態宣言下の4月、5月の頃から、利用控えによる減収、人材不足等により、多くの事業者は依然として苦境に立たされています。 区として現場の声を聞き、検査体制、物資の供給、財政支援などを充実し、介護事業者を一層支援する施策を求め、以下質問します。 第1の質問は、介護事業者とその関係者へのPCR検査についてです。 感染が拡大する中、介護従事者は誰が感染者か分からず、自分が感染しているかもしれないという不安の中、勤務しています。 感染者が発生したデイサービスに通っている利用者宅の訪問介護を行うある事業者は、濃厚接触者の訪問入浴に入る際に、マスク、フェースシールド等を使用し、会話をせずに介助するように保健所の指導を受けたとのことです。私も17年間訪問介護をしてきましたが、入浴介助で促しや言葉を発しないというのはほぼ不可能です。感染防止策を言うなら、このような介護従事者が検査を受けられるようにすることこそ必要ではないでしょうか。 先ほどの質問で、東京都は高齢者・障害者の入所施設の検査の支援をするので、区としては通所施設の職員の支援を検討することについて触れましたが、感染リスクの高い訪問介護事業所への優先的な支援をすべきではないでしょうか。 さらに、千代田区、世田谷区のように、全ての介護事業者職員への検査体制を確立すべきと考えますが、区長の御所見を伺います。 第2は、マスク、手指消毒液、防護服、手袋等の物資の供給についてです。 こうした物品は依然として不足しており、特に手袋の不足は深刻で、注文もできないと聞いています。6月16日の防災等安全対策特別委員会では、危機管理課長は「所管課を通して、どういう施設でどんなものが不足しているのか調査しながら提供していきたい」と答えていますが、現場からは、「区からは要望を聞かれたことはない」という声を聞いています。区は調査を行ったのでしょうか。台東区は、要望を聞くため、6月に介護事業者にアンケート調査を行ったそうですが、新宿区のほうから現場の要望を聞き、備蓄から供給をする、または物資購入の費用を助成してはいかがでしょうか。 第3は、介護事業所への財政支援についてです。 コロナ禍により、多くの事業者は、利用控えや感染が発生した際の休業等で減収となっています。区は、各事業所の減収、事業縮小、閉所、倒産や入所施設の受入状況など、実態をどう把握しているか伺います。 ある障害福祉サービス事業所では、利用者が外出を控えたり、学校の休校により移動支援サービスがほぼ利用されなくなり、売上げは8割減となりました。特に打撃を受けているのはデイサービスで、8月の減収は約40万円になった事業者や、感染者が発生し閉所となり、しばらく収入が途絶えてしまう事業者もあります。 また、訪問介護の場合は、減収とともに、人材不足が深刻です。管理者の人材がなく閉所となったり、感染を恐れてヘルパーが仕事を控えたり、デイサービスの閉所の影響で訪問介護のニーズが増えたものの、人材不足で対応し切れず、新規の受入れができないという事態にもなっています。 区内の感染拡大を恐れて、「新規ヘルパー募集をしても新宿区には来てくれない」といった声もありました。財政支援、危険手当について、国の2次補正予算では慰労金が実現しましたが、1回限りであり、恒常的に介護事業者を支えるための一層の支援が必要です。 ある事業所の管理者は、「新宿にも他の自治体のように独自の支援があればありがたい」と言っています。23区のうち12区では、支援金を給付するなど様々な手法で介護事業所を守る手だてを講じています。文京区は一事業所当たり一律50万円の支援金を、介護保険230事業所、障害福祉130事業所を対象に支給する事業を実施しています。同様に、台東区も介護保険120事業所、障害福祉35法人に50万円を支給しています。 新宿区としても、介護・障害福祉サービス事業者への財政支援、従事者への危険手当のために、支援金を給付する事業を実施してはいかがでしょうか。 以上、答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 介護・障害福祉サービス事業者への支援についてのお尋ねです。 初めに、介護事業者とその関係者へのPCR検査についてです。 感染すると重症化するリスクの高い高齢者や障害者を対象とする事業所の職員が、安心して介護・介助を行えるようにすることが必要です。そのため、保健所では、介護を行うに当たっては、必要な声かけを行いながら、マスクやフェースシールドを使用し、飛沫などによる感染の防止策を講じることを指導しています。 そこで、通所や訪問介護事業所など希望する介護サービス事業所や障害福祉サービス事業所の職員について、検査を受けやすい仕組みを検討し、できるだけ早い時期に対応してまいります。 次に、マスク、手指消毒液、防護服、手袋等の物資の供給についてのお尋ねです。 区では、マスク及び消毒液が不足していた令和2年3月に、サンプリングとして、各サービスの一部事業所に対して在庫状況等を調査した上で、全事業所に連絡をし、必要とする事業所へマスク、消毒液をお配りしました。また、5月初旬には一定量まとめて手指消毒液の調達を図り、聞き取り調査等により、緊急性の高い施設から順に配布しました。 このような対応をする中、5月下旬には、国が必要性の高い施設等が消毒液を優先的に調達できる仕組みについて、都道府県を介さず直接業者に注文できるよう変更したことを受け、区は速やかにこの仕組みを事業所に周知いたしました。 6月以降、優先度の高い施設から、区の備蓄の介護用ガウンや手袋のほか、区民等からの御寄附も活用し、障害者施設の需要を確認した上でお配りするとともに、7月には再度、一定量のマスクを都から提供を受け、区が送料を負担し、介護事業所、障害福祉サービス事業所に配布しました。 今般、都から介護用エプロン、手袋、ゴーグルの配布の連絡を受けており、介護事業所については区を通して、障害福祉サービス事業所については都から直接配布いたしますので、現在、配布の準備を進めているところです。 物資の購入費用の公的助成については、国の制度として、かかり増し費用の助成の受付が都において始まっていることを周知しています。 今後も、介護・障害者施設等で感染症対策への十分な備えができるよう、各施設の調達状況等を注視してまいります。 次に、介護事業所への財政支援についてのお尋ねです。 各事業所の減収については、給付費の支給状況により把握し、区が指定する事業所の事業縮小、閉所、倒産の状況については、届出により把握しています。また、入所施設の受入状況は、特別養護老人ホームや障害者入所支援施設の入所調整で把握しています。 通所介護の給付費の支給状況を見ると、4月・5月には前年同月比で支給額が減り、6月・7月は少し持ち直し、減少幅は小さくなりました。このことから、通所事業所が減収となっていますが、報酬の臨時的取扱いや利用回復などにより改善の方向であると認識しています。一方、入所施設の給付費の支給状況は、前年と同様の水準となっております。 また、障害福祉サービス事業所は、外出支援や通所に変え、居宅支援や電話での見守りを給付費の支給対象とされた結果、前年と同様の水準となっております。国は、介護報酬や障害福祉サービス等報酬における減収を補う様々な臨時的取扱い等、経済的支援策を継続し、東京都において、感染症対策に要する物品購入費用の助成と職員への慰労金支給の受付が始まっております。区でも対象事業所への周知を行ったところです。 区としては、これに上乗せする財政支援や危険手当の支給は、現在のところ考えておりません。 ◆7番(高月まな) 次に、区民の雇用とくらしを守る施策についてです。 厚生労働省は、9月1日、新型コロナウイルス感染症に関する解雇や雇い止めが、8月31日時点で、見込みも含めて5万326人になったと発表しました。1か月でおよそ1万人が職を失っていますが、これはあくまで労働局やハローワークが相談などで把握している数で、氷山の一角にすぎません。大量の失業者が生まれる雇用崩壊はむしろこれから本格化すると言われており、リーマンショックをはるかに超えるコロナ氷河期ともいうべき事態が既に生まれています。 第1の質問は、コロナ禍の下での区民の雇用とくらしに関する現状認識についてです。 区の相談窓口は相談者であふれ、生活保護申請件数は、前年同月比で4月が1.7倍、5月は1.4倍と大きく増えています。そのほかにも、住居確保給付金・緊急小口資金・総合支援資金、区民税・各種保険料の減免などがありますが、区長は区民からの相談件数や申請件数をどのように把握し、それらの実態から、区民の雇用やくらしをどう認識され、雇用とくらしを守る対策をどのように進めようとしているのか、お答えください。 第2は、コロナ関連支援策の改善についてです。 1つ目は、住居確保給付金についてです。 来所相談件数が3,705件、申請件数は2,351件で、相談件数のおよそ6割強にとどまっており、この件数の乖離の要因は、単身者の場合、家賃月額5万3,700円に生活費基準額を合わせ、収入基準月額が13万7,700円と低く、家賃の高い新宿区民の生活実態に合わないからです。区として、区民の生活実態に合った制度の改善を国や都に求めるとともに、基準に合わないため申請できずに苦しむ区民を救済するため、区独自に家賃や収入の基準額の引上げを行ってはいかがでしょうか。 2つ目は、総合支援資金についてです。 社会福祉協議会が行う個人向け資金の特例貸付けとして、まず緊急小口資金を借り、その次に総合支援資金として、当初3か月以内の貸付期間を借りる方が多く、現在、貸付期間を最大6か月以内まで延長していますが、その条件は、9月までに貸付期間の3か月目が到来することとされており、8月から10月の貸付期間で借りた方は延長できず、不公平が生じています。しかも、9月に緊急小口資金を借りた方は、10月以降、総合支援資金が借りられないという制度改悪が行われています。 生活保護の申請につがる方はまだしも、そうでない方はどうしろというのでしょうか。総合支援資金の延長ができなかった方や、そもそも総合支援資金か借りられない方に対して、区長はどのような支援を考えておられるのか伺います。 国や都に改善を求めるとともに、延長できない方、申請できない方には、区が救済する施策を独自に行うべきと考えますが、いかがでしょうか。 第3は、区の労働相談窓口の設置についてです。 区内のある労働組合では、毎月10件程度だった相談が、3月以降20件を超え、コロナ禍を原因とする相談も2月から8月まで25件と増えています。労働法やコロナ支援制度の理解が不十分なことからトラブルが生じがちで、労働者・フリーランス・使用者の立場を問わず、問題発生の早い段階で専門家に相談し、解決に向けた話合いを行うことが、紛争の深刻化を防ぐ上で重要で、ぜひ新宿区でも区民に身近な区の施設で労働相談をしてもらいたいとの声を聞きました。 世田谷区では、従前から社会保険・労働相談として、区内2か所の施設に窓口を設置してきましたが、コロナ禍を原因とする労働トラブルが多発したことから、社会保険労務士による、「新型コロナウイルス感染症に伴う世田谷区臨時労働電話相談」を設置しています。3月11日の開始以来、8月21日までに1,043件の相談があり、内訳は、労働者54%、使用者31%、フリーランスなど15%となっており、相談の中で労働基準監督署、東京都労働相談情報センター、弁護士、社会保険労務士、労働組合を紹介しています。 世田谷区の担当者の話では、相談者それぞれの状況に応じた専門家に早くつなげることが紛争解決には重要で、区の施設での相談はその入り口となっている。コロナ対策の支援制度をどこに相談すればよいか分からなかったという相談者も多く、コロナ関連相談のワンストップ窓口としても機能しているとのことでした。 NHKBSで放送された区内有名ホテルの事例では、5年から30年ホテルで働いていた人たちが、パーティーの開催などが激減して仕事がなくなったとして、休業補償はもちろん、何の補償もなく離職を求められましたが、労働組合を通じて交渉を行ったことが、4月から9月までの休業手当の支払い、日々雇用から無期雇用へ転換の手続を進めるなど、一定の問題解決につながったそうです。 適切な相談を広く行い、交渉が必要な場合には労働組合などを紹介するためにも、新宿区でも労働相談窓口を設置すべきではないでしょうか。 第4は、区の施設で働く方々への休業補償についてです。 コロナ禍で、区の施設も多くが休業・休館となりました。区や指定管理者が直接雇用している方には、休業・休館により在宅勤務になった場合も、通常どおりの給与が補償されています。しかし、指定管理者から委託されている事業者に雇われている方の中には、大幅にシフトが減り、事実上生活が成り立たないという方も出ており、同じ区の施設で働いているにもかかわらず、休業・休館中の処遇に大きな差が出ています。 昨年、区の事業での公正と働く人の労働環境の確保を大きな目的とする公契約条例が制定されました。その際、私たちは、区の直接受注者かその下請か、雇用主によって処遇に大きな差があれば、公正も絵に描いた餅にすぎないと指摘しましたが、今回、まさに懸念していた事態が生じているのではないでしょうか。 区は、このような再委託先の状況を把握し、適切に指導しているのでしょうか。もし指導できないならば、労働者の労働環境を確保するためにも、区が連帯して責任を負わなければ実効性が確保できないという課題を取り入れ、公契約条例を改正すべきと考えますが、いかがでしょうか。 以上、答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 区民の雇用とくらしを守る施策についてのお尋ねです。 初めに、現状認識についてです。 コロナ禍における区民生活に関する相談や生活支援等に関する申請の状況については、所管から随時報告を受けており、区民の暮らしが厳しい状況にあるものと認識しています。このため、区民生活の支援と地域経済の回復に向けた機動的な対策を、予備費の活用や補正予算により講じてきました。 雇用の面では、有効求人倍率の就業地別で減少傾向にあり、東京は7月に0.97倍と1倍割れとなったことから、現在においても厳しい状況にあると認識しています。このため、今後も区民生活の現場で起きている現実を真摯に受け止め、区民の暮らしと雇用を守る対策に迅速に取り組んでいきます。 次に、住居確保給付金についてのお尋ねです。 住居確保給付金の収入基準額や支給上限額等の支給要件については、生活保護の基準等に準じて国が定めています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大等の状況を踏まえ、令和2年4月に支給要件が緩和され、離職または廃業した方に加えて、個人の責めに帰すべき理由・都合によらない就業機会等の減少により経済的に困窮する方へも給付が可能となるなど、対象が拡大されました。その結果、申請件数は前年度実績を大きく上回り、適切な支援につながっているものと認識しています。 来所相談件数は、一度説明を聞いてから後日改めて申請に来られる方や、書類に不足があったため再度来所される方など、来所された全ての方の件数となっています。このため、申請件数との差は、必ずしも支給要件に該当しなかったとは限りません。支給要件に該当しない方には、生活状況を十分に伺った上で、家計改善支援や就労支援等の他の支援につなげています。 したがって、国や都に制度の改善を要望することや、区独自に家賃や収入額の基準額を引き上げることは、考えていません。 次に、総合支援資金についてのお尋ねです。 緊急小口資金と総合支援資金の貸付けは国の制度であり、新型コロナウイルス感染症の影響により減収等となった方の支援を目的とした特例貸付けの受付期間は、9月末までとなっている時限的なものです。そのため、10月以降は特例貸付けの申請をすることができなくなります。 一方で、この特例貸付けについては、国が12月末まで特例期間を延長する方針を固めたという報道があったことから、国の動向を注視している状況です。 特例貸付けを補う区独自の支援は考えておりませんが、特例貸付けの延長については、東京都を通じて国に要望しております。 次に、労働相談窓口の設置についてのお尋ねです。 新宿区内には、労働基準監督署が開設する新宿総合労働相談コーナーが百人町に、労働問題全般の相談を受ける東京都労働相談情報センターが飯田橋にあり、同じ区域内に専門の相談所が複数設けられています。 本年は、残念ながらコロナ禍により実施していませんが、例年は東京都労働相談情報センターと共催の上、街頭労働相談を年2回、新宿駅西口広場で実施しています。 このため、区が労働相談窓口を設置する予定はございませんが、労働相談があった場合には、必要に応じて東京都労働相談情報センターなどに的確に引き継ぐなど、今後も相談内容に応じて、きめ細かな対応を行ってまいります。 次に、区の施設で働く方々への休業補償についてです。 新宿区では、工事請負契約や委託契約及び指定管理協定を対象とした公契約条例を令和元年10月1日から施行しました。この条例では、対象となる契約や協定を締結する際に、労働環境の適正性を確認するため、労働環境確認報告書の提出を義務づけています。この報告書により、再委託先との契約金額や再委託先の労働報酬を含めた労働環境の確認を図っています。 また、労働者等は、報酬等が支払われない場合、または支払われた報酬額が適切でない場合などは、区または受注者等に申し出ることができますが、現在、区ではそのような申出は受けておりません。 区は、申出があったときや履行の確認が必要な場合は、受注者に対し、立入調査の実施や改善の指示、契約解除をすることができます。 こうしたことで労働者の適正な労働環境が確保できるため、公契約条例の改正は考えておりません。 ◆7番(高月まな) 次に、中小業者および文化芸術活動への支援について質問します。 7月下旬に実施された「新宿区中小企業の景況」では、業況DIが1月から3月までの前期、マイナス54.5%から、4月から6月の今期はマイナス71.7%と、大幅に悪化しました。経営上の問題点では、全体では1位が「売上げの停滞・減少」で78.3%であり、全ての業種で1位となっています。コメントにも、「収束する時期によっては資金の枯渇も考えられる。今は、特に新宿という場所柄、客足も激減している」など、深刻さが表れています。 以下質問いたします。 第1の質問は、コロナ禍の中小業者や商店街などの現状と今後の展望についてです。 区は、コロナ禍の下での中小業者や商店街などの現状と今後の展望についてはどのようにお考えでしょうか。区内業者の困難を解決するためにも、産業振興会議や商工アドバイザーなどの力も借り、個店への支援策も含め、区としての独自支援策を業種ごとにきめ細かく提案すべきと思いますが、いかがでしょうか。 第2に、専門家活用支援事業についてです。 私たちの提案も取り入れられ、新型コロナの影響を受ける区内中小業者の方が今後に向けた販促計画や事業計画の策定、また各種補助金・給付金等の申請に当たって、専門家の支援を受けた際の費用の補助を開始しました。事業実施以来、9月9日で予算措置された200件の予算枠に対し、15件の実績となっています。 事業の周知は、ホームページ、広報、メールマガジンで行っているとのことですが、ほかに検討していることはあるでしょうか。また、不正受給を厳しくチェックするために、六、七種類の書類が必要であり、助成金も後払いで、申請から支給まで現在2週間程度となっています。申請手続の簡素化、補助金交付の後払いを改めるなど、改善すべきと思いますが、いかがでしょうか。 この事業は、一事業者につき10万円を上限に、数回活用可能ですが、申請は1回限りで、それまで事業者が立替払いすることになります。事業者としては、少しでも早く助成金は欲しいものです。都の協力金のように1回ごとに申請できるようにし、2回目からは確定申告書や納税証明書などは省いて簡素化し、専門家に直接振り込むようにすれば、事業者も立て替える必要がなく喜ばれると思いますが、いかがでしょうか。 第3に、商工業緊急資金についてです。 8月末までの受付件数は2,826件に及んでいます。4月28日より一部の金融機関での直接申込みが可能となる一次受付を開始、さらに受付期限を当初の9月30日から来年3月31日までに延長するという改善が行われました。しかし、実際は返済できるかどうか大きな問題です。 区の返済据置期間は半年です。政策金融公庫の場合は5年となっており、先行きが見えない今、据置期間を2年に延長すべきではないでしょうか。さらに、倒産などをした場合は、協議の上で返済免除の制度を創設してはいかがでしょうか、お答えください。 第4に、事業の周知についてです。 おもてなし店舗支援事業は、商店街などでは掲示板に事業のチラシが貼られていますが、まだまだ周知不足です。「新宿商人」に掲載されるとのことですが、商店会の協力も得て一軒一軒ポスティングしてはどうでしょうか。 また、区内では外国人の方が経営するお店が少なくありません。持続化給付金や家賃支援金など受給できる条件がありながら未申請に終わることがないように、専門家の協力を得ながら多言語での相談体制を取るようにすべきと思いますが、いかがでしょうか。 第5に、文化センターなどの区有施設の利用料の減額免除についてです。 文化センターでは、入場者を制限している一方で、利用料が減免されないため、バレエやピアノの発表会はやむなく利用料が減免された銀座の民間施設で開いている例もあり、これでは文化活動だけではなく、鑑賞の機会も奪われます。 文化芸術活動の灯を消さないためにも、文化センター、区民ホールなど施設の利用料を減額・免除を直ちに行うべきではないでしょうか。 以上、御答弁願います。 ◎区長(吉住健一) 中小事業者および文化芸術活動への支援についてのお尋ねです。 初めに、コロナ禍での中小事業者や商店街などの現状と今後の展望についてです。 区が実施する景況調査では、本年4月から6月期の業況DIは全業種でマイナス71.7ポイントとなり、これは昨年同期のマイナス31.6ポイントと比べ、大幅に悪化しています。 今後の展望としては、引き続き区内の地域経済は大きな影響を受けており、「収束する時期が全く見えないので不安である」、「今後の営業活動の見直しが必要である」等の声も聞いており、回復にはいましばらくの時間が必要なのではないかと考えています。 次に、産業振興会議や商工アドバイザーなどの力も借り、個店への支援策も含め、区としての独自支援策を業種ごとにきめ細かく提案することについてのお尋ねです。 区は、コロナ禍の下、独自支援策として中小事業者や商店会に対して、感染拡大防止策や業態転換、販路拡大、専門家活用等への支援事業を行ってきたところです。 今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、産業振興会議は開催できていませんが、新規事業実施については、郵送で情報提供を行い、御意見をいただいているところです。また、事業実施に当たり、連携している新宿区商店会連合会や東京商工会議所新宿支部等の関係団体等とも日頃から意見交換をしています。 現在、独自支援策を業種ごとに実施することは考えていませんが、コロナ禍が長引き、区内地域経済に及ぼす影響が非常に大きい中で、区は新型コロナウイルス感染症の感染状況や社会情勢、区民ニーズ等を総合的に勘案し、今後も中小企業支援策を適時適切に推進してまいります。 次に、専門家活用支援事業の周知と、手続の簡素化や補助金の前払い、専門家への直接振込についてのお尋ねです。 専門家活用支援事業については、これまでホームページや広報新宿、産業振興課のメールマガジン、チラシなどにより案内を行うとともに、東京商工会議所新宿支部を通じて区内企業への周知を行ってきました。 今後は、これらに加えて商店街向け情報誌「新宿商人」9月号への掲載や、東京商工会議所新宿支部への再度の周知依頼、また、東京中小企業家同友会新宿支部などにも呼びかけていくことで、事業の認知度をさらに高めていきたいと考えています。 補助金の申請については、交付までの期間を短縮するため、事前申請制ではなく、申請書の提出時に領収書や報告書等を併せて出していただく事後申請制とすることで、事業者が書類を提出する回数を減らすことにより事務手続を簡素化するとともに、支払いも迅速に行っています。このため、今のところ、手続のさらなる簡素化や補助金の前払い、専門家への直接振込を行うことは考えていません。 次に、商工業緊急資金の据置期間の延長と倒産等の場合の返済免除制度の創設についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、区が実施する商工業緊急資金は、これまでに多くの事業者の方に御利用いただいています。区で実施している制度融資の据置期間や貸付期間などの融資条件は、資金使途や金額を勘案し、設定しています。 日本政策金融金庫や東京都の制度融資は、融資金額も高く、貸付期間は最大で20年となっており、区の商工業緊急資金の5年と比較すると、長期の返済期間となっています。 このように、返済期間を考慮し、据置期間を6か月に設定しているため、商工業緊急資金の据置期間については、現状のとおり継続したいと考えています。 また、事業者が倒産などをした場合の返済免除の創設についてですが、区制度融資は金融機関との取決めにより融資のあっせんを行っているものであり、区は利子と信用保証料の補助を行っています。実際の融資においては、金融機関や保証期間と事業者間での契約に基づき行われているものであるため、区として返済免除の制度の創設は考えていません。 次に、おもてなし店舗支援事業の周知と多言語での相談体制についてのお尋ねです。 おもてなし店舗支援事業では、店舗での感染症拡大防止対策や、新たに宅配・テイクアウト等を実施する業態転換に係る経費を5万円まで補助しています。 周知については、これまで区ホームページや広報新宿による周知に加え、104の商店会全てに対して周知を行ってきました。 今後、御指摘のとおり「新宿商人」9月号に本事業について掲載を予定していますが、本誌は区内商店会加入の約4,500の店舗へ個別に郵送しているため、1軒ずつポスティングを行うことは考えていません。 また、多言語での相談については、音声自動翻訳機の活用や、本庁に配置されている通訳者との連携により個別に対応しており、今後も引き続き関係部署・機関と連携を取りながら、丁寧に対応してまいります。 次に、施設の利用料の減額、免除についてのお尋ねです。 新宿文化センター等では、利用再開後、利用定員を制限していますが、空調、照明、点検、清掃等の運営上必要な経費は変わらず発生しており、消毒や誘導の強化等に関する経費の増加で、運営経費はむしろ上昇しています。そのため、施設の利用料の減額・免除については考えておりませんが、利用定員の制限については、国等の動向を注視しながら緩和を図っていきます。 現在、新宿区では、文化芸術施設による映像配信という新たな取組に対して助成を行うことにより、文化芸術に関係する施設や団体などを支援する文化芸術復興支援事業を実施しています。こうした取組を通して、文化芸術活動のともしびをしっかりと守っていきます。 ◆7番(高月まな) 次に、新宿文化センターにおけるPFI導入について伺います。 新宿文化センターは1979年4月にオープンし、2007年3月から約1年をかけて実施して以来、大規模修繕は行われておらず、建築基準法改正による特定天井の改修などが課題になっています。 「新宿区公共施設等総合管理計画」では、「新宿文化センターについては、財政負担の軽減及びサービス向上の視点から、建て替えの際には、より専門性の高い民間事業者によるPFI等の導入も検討する」としていますが、今回の検討では、建て替えの選択肢もあるのでしょうか。文化センターの立地は3種高度地区であり、近隣の高度利用を考えると、潜在的不動産的価値は高く、民間企業から見れば魅力的な土地です。公民連携の名の下に区民の財産を切り売りすることはあってはならないと考えますが、いかがでしょうか。 現在、区は第二次実行計画の策定に向け、事業の内部評価を終え、第二次実行計画素案を作成中ですが、「公共施設等総合管理計画に基づく区有施設のマネジメント」については、内部評価でどのように評価され、それがどのように第二次実行計画に反映する予定か、お聞かせください。 PFIは、内閣府の事例集にも失敗例が多く掲載されています。タラソ福岡は福岡市のスポーツ施設で、2002年に開業、建設会社を筆頭株主として設立した運営会社(SPC)が建設・運営をしていましたが、その建設会社の経営破綻で、開業から僅か2年で営業停止、債務超過に陥りました。 また、PFI病院第1号でオリックスが主導した高知医療センターは、30年契約のところ、僅か4年で経営破綻、PFIから撤退しています。PFI近江八幡市立総合医療センターは、2006年10月に開院したものの、実質赤字が8億5,000万円に達し、30年後に市に無償で譲渡する契約を解除、市は違約金20億円、建物購入費118億円を支払うこととなりました。 区長は、内閣府が公表しているこうしたPFIの失敗事例をどう評価されているのか伺います。 今年7月、区は、「新宿区立新宿文化センター改修方法等検討調査業務委託に係る事業者の選定」として、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社を選定しましたが、同社のホームページには、「PFI事業はなぜ儲からない」と題した論文を掲載し、今後のもうけ先として老朽インフラのPFIによる改修を挙げています。 PFI導入が前提ではないといいながら、導入ありきの事業者選定なのではありませんか、お答えください。 問題は、その適否を区が正しく判断できるかどうかです。国は、PPP/PFI手法導入を優先的に検討する仕組みを構築するため、各自治体に優先的検討過程の制定を求めています。その中で、事業費の総額が10億円以上の公共施設等の整備事業については、優先的検討の対象としていますが、それはあくまで国の技術的助言であって、義務ではありません。 例えば豊島区では、「豊島区PPP/PFI手法導入優先的検討ガイドライン」に基づき、区自身が検討した結果、池袋保健所仮移転事業については、PPP/PFIを採用しないとしています。 今回の事業規模については、仕様書にも記載がありませんが、どのように想定されているのでしょうか。PFI導入ありきではないというなら、区民・利用者の代表も参加する検討会で、公開の下での議論を行い、結論を導き出すべきと考えますが、いかがでしょうか。 PFIはそもそも、自治体が起債で借りる金利より民間資金の金利のほうが高いという問題があります。PFI近江八幡市立総合医療センターでは、PFIによる民間資金の金利が99億円でしたが、PFIをやめて市債に切り替えたところ、金利が半額以下に圧縮されたそうです。 区長は、金利コストをどう評価し、コスト計算根拠や最終リスク、区の財政負担のチェックについてどのようにしていくおつもりか。さらに、国税と地方税の負担も生じる中で、どのような基準でPFIを導入するのか、お聞かせください。 パークPFI導入時、PFIありきで、サウンディングと称して事業者の声を熱心に聞き取り、条例に定められた使用料の最低額まで破るようなことがありました。片や清風園廃止問題では全く区民の声を聞こうとしなかったこととは、対象的です。 PFI事業に参入する事業者の目的は営利です。コロナ禍の下、新宿文化センターはソーシャルディスタンスのため、従来の半分以下の入場者しか認められていないにもかかわらず、利用料の減免に応じないレガスの対応は問題ですが、さらに営利優先の民間企業が運営するとなれば「利用料金が高くなるのでは」と、利用者の皆さんが不安を持たれるのは当然です。やはり民間企業のもうけ口確保のため、区民サービスの低下や区民、区議会の関与の低下が懸念されるPFI導入は行うべきではないと考えますが、区長の御所見を伺います。 ◎区長(吉住健一) 新宿文化センターにおけるPFI導入についてのお尋ねです。 初めに、建て替えの選択肢についてです。 新宿文化センターについては、特定天井の改修や老朽化への対応を図るため、民間資金等の導入も視野に入れた改修方法等を調査しているところであり、現時点では建て替えの考えはありません。 次に、「公共施設等総合管理計画に基づく区有施設のマネジメント」についてです。 区有施設の半数以上が供用開始後30年以上を経過し、今後老朽化が進むにつれ、さらに施設の維持管理に係る経費の増加が見込まれることから、公共施設に関わるコストや将来必要とされるサービスなどを踏まえ、経営的な視点から区有施設マネジメントを行うことが適切であると考えています。 このため、今後も施設の長寿命化を図るとともに、行政需要や地域需要、財政状況等を踏まえた検討を行い、方向性が定まった施設については実行計画に位置づけてまいります。 次に、PFIの失敗事例に対する評価についてです。 PFIは、民間のノウハウや資金を導入し、公共施設等の整備・運営まで一体的に行う事業として、全国の自治体で多くの導入事例があります。 PFI導入の初期段階においては、官民のリスク分担のアンバランスやモニタリング不備などによる失敗例もありましたが、これらについては、新宿自治創造研究所の公民連携の研究において、その失敗事例を類型化し、回避策についても示しております。 次に、PFIの導入についてです。 現在、新宿文化センターの改修方法等の検討調査において、改修における事業手法や事業規模、財政負担や区民サービスへの影響等について、調査を行っています。 事業手法の検討に当たっては、公開での検討会を開催する予定はございませんが、調査結果を踏まえた今後の方向性について、議会へ報告させていただく予定です。 ◆7番(高月まな) 区長より大変丁寧な御答弁をいただきました。ありがとうございました。 PCR検査の在り方などについては、より一層議論が必要と思いますので、この後の決算特別委員会で引き続き質疑をやって深めていきたいと思います。 これで私の質問を終わりにします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(吉住はるお) 本日の代表質問は終了しました。--------------------------------------- ○議長(吉住はるお) 以上で本日の日程は終わりました。 次の会議は9月16日午前10時に開きます。ここに御出席の皆様には改めて通知しませんので、御了承願います。 本日はこれで散会します。 △散会 午後4時45分                  議長    吉住はるお                  議員    木もとひろゆき                  議員    野もとあきとし...