平成30年 2月 定例会(第1回) 平成30年第1回
定例会会議録(第2日)第2号平成30年2月20日(火曜日)出席議員(34名) 1番 豊島あつし 2番
木もとひろゆき 3番 三沢ひで子 4番 井下田栄一 5番 小野裕次郎 6番 三雲崇正 7番 佐藤佳一 8番 川村のりあき 9番 北島としあき 10番 野もとあきとし 11番 池田だいすけ 13番 平間しのぶ 15番 渡辺清人 16番 鈴木ひろみ 17番 久保広介 18番 志田雄一郎 19番 あざみ民栄 20番 阿部早苗 21番 中村しんいち 22番 有馬としろう 23番 下村治生 24番 おぐら利彦 25番 佐原たけし 26番 ひやま真一 27番 吉住はるお 28番 えのき秀隆 29番 のづケン 30番 ふじ川たかし 32番 沢田あゆみ 34番 宮坂俊文 35番 伊藤陽平 36番 かわの達男 37番 田中のりひで 38番
雨宮武彦---------------------------------------欠席議員(3名) 12番 桑原羊平 31番 近藤なつ子 33番
赤羽つや子---------------------------------------説明のため出席した者の職氏名 区長 吉住健一 副区長 寺田好孝 副区長 鈴木昭利
総合政策部長 平井光雄 総務部長 針谷弘志
地域振興部長 加賀美秋彦
文化観光産業 村上道明 福祉部長 中澤良行 部長 子ども家庭 橋本 隆 健康部長 髙橋郁美 部長 みどり土木 田中孝光
環境清掃部長 野田 勉 部長
都市計画部長 新井建也 会計管理者 赤堀充男 企画政策課長 菅野秀昭 財政課長 大柳雄志 教育委員会 総務課長 高木信之 酒井敏男 教育長 教育委員会 選挙管理 山田秀之 委員会 木城正雄 事務局次長 事務局長
常勤監査委員 濵田幸二
監査事務局長 北村仁英---------------------------------------職務のため出席した
議会事務局職員 局長 小池勇士 次長 下杉正樹 議事係長 濵野智子 議事主査 佐藤公彦 議事主査 唐澤一彰 議事係主査 榎本直子 議事係主査 仙崎雄介 書記 岡田栄子 書記
笠原鉄平--------------------------------------- 速記士 橋口仁子---------------------------------------2月20日 議事日程 日程第1
代表質問---------------------------------------
△開議 午前9時59分
○議長(佐原たけし) ただいまから、本日の会議を開きます。
会議録署名議員は、 4番
井下田栄一議員 24番
おぐら利彦議員 を指名します。
---------------------------------------
○議長(佐原たけし) 次に、事務局次長に諸般の報告をさせます。
◎
議会事務局次長(下杉正樹) 区長から、 1、第42号議案など5件の議案の送付について 監査委員から、 1、定期監査の結果について 2、平成29年度行政監査(
プロポーザル方式による契約について)の結果について 3、平成29年度
財政援助団体等監査の結果について
--------------------------------------- 29新総総総第2950号 平成30年2月19日 新宿区議会議長 佐原たけし様 新宿区長 吉住健一 議案の送付について 平成30年第1回区議会定例会に提出のため、下記議案を送付いたします。 記 1 第42号議案 平成30年度新宿区
一般会計補正予算(第1号) 2 第43号議案 平成30年度新宿区
国民健康保険特別会計補正予算(第1号) 3 第44号議案 平成30年度新宿区
介護保険特別会計補正予算(第1号) 4 第45号議案 新宿区
介護保険条例の一部を改正する条例 5 第46号議案 新宿区
国民健康保険条例の一部を改正する
条例--------------------------------------- 29新監査第511号 平成30年2月19日 新宿区議会議長 佐原たけし様 新宿区監査委員 岩田一喜 同 濵田幸二 同 白井裕子 同 有馬としろう 定期監査の結果について 地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第9項の規定により、平成29年度定期監査の結果に関する報告を決定したので、次のとおり提出する。 〔以下は
省略〕--------------------------------------- 29新監査第509号 平成30年2月19日 新宿区議会議長 佐原たけし様 新宿区監査委員 岩田一喜 同 濵田幸二 同 白井裕子 同 有馬としろう 平成29年度行政監査(
プロポーザル方式による契約について)の結果について 地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第9項の規定により、平成29年度行政監査の結果に関する報告を決定したので、次のとおり提出する。 〔以下は
省略〕--------------------------------------- 29新監査第508号 平成30年2月19日 新宿区議会議長 佐原たけし様 新宿区監査委員 岩田一喜 同 濵田幸二 同 白井裕子 同 有馬としろう 平成29年度
財政援助団体等監査の結果について 地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第9項の規定により、平成29年度
財政援助団体等監査の結果に関する報告を決定したので、次のとおり提出する。 〔以下は
省略〕---------------------------------------
○議長(佐原たけし) これから本日の日程に入ります。 日程第1、代表質問を行います。 質問の通告を受けましたので、順に質問を許します。 最初に、10番野もとあきとし議員。 〔10番 野もとあきとし議員登壇、拍手〕
◆10番(野もとあきとし) 平成30年第1回定例会に当たり、新宿区議会公明党を代表して、区長並びに教育委員会に質問いたします。 現在、北朝鮮の核ミサイルが日本に大きな脅威を与え、国民の重大な関心事となっています。そうした中、昨年12月10日、非政府組織、NGO、
核兵器廃絶国際キャンペーン、ICANに
ノーベル平和賞が授与されました。その受賞の理由として、昨年7月の
核兵器禁止条約の採択への貢献が挙げられています。今回の受賞によって国内外で核軍縮・不拡散に向けた機運を高めたという貢献も大きく、この受賞の意味は極めて喜ばしいことであります。 また、核廃絶の実現には核保有国の理解が欠かせません。日本がその橋渡し役を担うことが重要であり、我が党がその先頭に立っていくと山口代表も表明しています。
核兵器禁止条約についての公明党のスタンスは、我が国は唯一の戦争被爆国であり、核軍縮、核兵器のない世界実現への責任と権利を有する。だからこそ積極的に核保有・非保有各国間の橋渡し役として主導的な役割を果たし、そして核軍縮の結果を出していくべきであると考えています。新宿区は、昭和61年3月15日に核兵器廃絶と恒久平和の実現に向け、新宿区
平和都市宣言を行い、ことしで32年がたちました。私たち区議会公明党は、核兵器は絶対悪との思想に基づき、断固たる決意で核兵器廃絶を推進していくことを改めて決意している次第です。 さて、話は変わりますが、新宿区においては、平成30年度から新しい総合計画がスタートします。吉住区政も4年目の大事な1年となり、継承から発展への取り組みの結果を出す重要な1年となります。我が会派は吉住区長とともに、一人ひとりが輝き、将来にわたって夢と希望が持ち続けられる新宿区を構築するため全力で働かせていただく決意を述べ、質問に入ります。 質問の第1は、持続可能な区政運営について伺います。 さきの第4回定例会での議決を経て、このたび平成30年度から始まる新たな新宿区総合計画が策定されました。また、新宿区総合計画で示された施策を具体の事業として計画的に実施していく3カ年の第一次実行計画も策定されました。 世界に類例を見ないスピードで進む日本の少子高齢化にあって、新宿区を取り巻く環境も大きく変化していくことが予想されています。まず、人口においては、当分の間、新宿区では増加が続きますが、2035年に35万2,000人でピークを迎え、2045年までは横ばい、そして2050年以降、減少に転じると予想していますが、子どもや現役世代の人口に占める割合は既に低下傾向が始まっています。また、単身世帯の割合や未婚率が高いことも新宿区の特徴で、今後はおひとり暮らしの高齢者の増加も見込まれています。さらには、いつ起こるともしれない首都直下地震への対策も加速しなければなりません。 一方で、この第一次実行計画の3カ年で言えば、2020年には
東京オリンピック・
パラリンピックが開催され、新宿区発展への大きな起爆剤となることが期待されています。こうしたさまざまな社会経済情勢の変化に対応するためには、何よりもまして持続可能な区政運営が必須であるとの思いから、以下、2点にわたり質問いたします。 1点目の質問は、行政評価のあり方についてです。 区では、行政評価について、職員による自己評価に基づいた内部評価と、その内部評価結果を踏まえた
外部評価委員会による外部評価、そしてそれぞれの評価結果から総合判断を行い、予算編成に反映させる流れになっています。また、一昨年の12月には、区長より行政評価の手法等の検証について
外部評価委員会に諮問があり、去る1月16日に答申がなされました。 そこで伺いますが、
外部評価委員会の答申を受け、区では、行政評価について、今後どのような制度にしていこうとお考えですか。 なお、東京都では、平成30年度の予算編成に当たって、終期を迎える事業に対する事後検証を徹底するなど、
PDCAサイクルを一層強化するとともに、エビデンス・ベースに基づく評価を新たに実施するなど、行政評価のさらなる進化を図り、約870億円の財源確保にもつながったとしています。東京都の場合は時限的な事業も多く、基礎自治体とは異なる部分も多くありますが、事業を見直し・拡充・継続等の判断をするために多角的な検討を行うため、東京都方式に基づいた会計情報の活用などは、行政における管理会計のあり方として参考にすべきところもあると考えますが、いかがでしょうか。次年度の
予算編成作業との連動を一層徹底する
PDCAサイクルの強化についてどのようにお考えか、御所見を伺います。 2点目の質問は、次期新宿区
情報化戦略計画についてです。 現在、区では、平成30年度から始まる新たな
情報化戦略計画を策定中です。策定に当たっては、全庁システムの計画的な更新によりICTコストの平準化、適正化を進めるとともに、
ICT投資効果の最大化を図ることで効果的・効率的な区政運営を推進していく視点が重要です。また、今は最先端と言われている技術を活用した
行政サービスも、
次期計画期間中には間違いなく当たり前のように実現されるであろうことを予測すると、その可能性を見越しているだけでは不十分で、具体的な活用を検討する段階に入っているのではないでしょうか。 そして、何より、システムは業務に直結しているがゆえに、システムを見直すことは業務そのものを見直すことにも通じるため、重複や迂回を排した業務の再構築を行うことも可能です。さらに、このことは、
区民サービスの向上だけでなく、職員の負担軽減にもつながるため、
情報化戦略計画は、持続可能な区政運営を考えると非常に重要な計画であると考えます。 そこで伺いますが、現在策定中の
次期情報化戦略計画の進捗状況についてお聞かせください。 また、計画では、先端技術の具体的な検討についてはどのようにお考えですか。ICTの技術革新は、業務フローの見直しに伴う業務改革、いわゆるBPRにもつながっていきます。この点については、どのように計画で位置づけているのか、お聞かせください。 なお、情報化に関する戦略立案については、内部の職員だけでなく外部から人材を招き入れることも検討すべきと考えます。外部を活用するのは、単に職員として採用するだけでなく、
コンサルティング会社を活用したり、場合によってはプロボノによるプロジェクトを組んで協力を仰ぐことも可能だと思います。いずれにせよ、急速な技術革新が予測される中で、区政の情報化が後手に回らないため、またコスト高にならないため、外部を活用した情報化に関する計画の策定や計画立案などについても御所見を伺います。答弁願います。
◎区長(吉住健一) 野もと議員の御質問にお答えします。 持続可能な区政運営についてのお尋ねです。 初めに、行政評価のあり方についてです。 平成30年度からの
総合計画期間においては、より大きな視点で区政を捉えるため、事業単位の評価に加え、施策単位の評価を取り入れていきます。 また、御指摘の東京都における評価手法も参考としながら、費用対効果の視点から新公会計システムを活用した
行政コスト計算書を評価シートへ反映して、事業の効率性や実効性をより的確に評価していきます。 さらに、サービスの性質別、分類別に多面的な検証が行えるように創意工夫するとともに、評価がどのように事業の改善につながったのかを明確に示し、より効果的な行政評価となるように取り組んでまいります。 今後も、事業の見直しや次
年度予算編成作業への連動など、
PDCAサイクルをより一層徹底し、効果的・効率的な行財政運営につなげてまいります。 次に、次期新宿区
情報化戦略計画についてのお尋ねです。 新宿区
情報化戦略計画は、本年3月の策定に向け、新宿区総合計画との整合性を確認するなど最終調整を行っているところです。先端技術については、IoT、AI、ビッグデータといった各自治体の先端技術の利活用事例を研究しながら技術の調査・分析を行い、
区民サービスにおける利活用の方向性について柔軟かつ慎重に検討していくよう盛り込んでおります。 また、BPRについては、「
世界最先端IT国家創造宣言・
官民データ活用推進基本計画」を踏まえ、従来の紙文化から脱却し、行政手続等における
オンライン化を原則とし、それに伴う
情報システム改革、業務の見直しを推進することを新宿区
情報化戦略計画の重点目標の一つとして位置づけています。さらに、ICTの分野においては技術進歩が著しいことから、情報化に関する戦略立案については、外部の専門的な機関からの助言等は有効であると考えています。 このため、今後は、外部機関の研修やセミナーの活用、
コンサルティング会社やプロボノなど、外部からの意見も視野に入れながら、ICTの企画立案等に活かしていきたいと考えています。
◆10番(野もとあきとし) 質問の第2は、賑わい都市・新宿の創造について伺います。 新宿区総合計画の基本政策に「賑わい都市・新宿の創造」があります。同計画には、新宿区が持続的に発展するために商業・業務・居住機能など多様性に富んだ新宿区の都市機能や都市環境を活かしたまちづくりが重要であるとしています。また、まちの回遊性や利便性を向上させる
都市基盤整備、文化・観光・スポーツの振興、魅力ある
商店街づくりなどに取り組むとしています。 我が会派は、これまでバリアフリーの推進や、
ユニバーサルデザインによる人にやさしいまちづくり、災害に強い
高度防災都市の構築、ICTや
デジタルサイネージ等を活用したまちづくりを推進してきました。世界中の人々が集う新宿の新たな都市創造に対し大きな期待を持つとともに、誰もが安心して生活していける都市・新宿を目指し、全力で取り組む決意を述べ、以下、3点にわたり伺います。 1点目の質問は、
国際交流都市・新宿の構築についてです。 2月9日に、新宿区と東京都は「新宿の拠点再整備方針(
案)~新宿グランドターミナルの一体的な再編~」を公表しました。新宿駅周辺地域において先行して再編を行う駅直近地区の整備に向けて、本年春を目途に再整備方針を策定することとしています。同再整備方針(案)では、新宿駅、駅前広場、駅ビル等を一体的に再編整備することや、東西のまちをつなぐ
線路上空デッキの新設、歩行者優先の駅前広場への再構築、
グランドターミナルの顔となる空間の配置、起業や新事業創出の支援、
国際交流拠点の形成などが示されています。 そこで3つ伺います。 1つ目は、再整備方針(案)の策定に当たり、商店会や町会など地域との連携はどのように行ったのでしょうか。 2つ目は、新宿駅東口や西口、歌舞伎町などさまざまなまちづくりを進めています。今後の整備推進について、どのようにお考えでしょうか。 3つ目は、拠点再整備方針は2040年に向けた取り組みとなっていますが、2020年
東西自由通路供用開始や
東京オリンピック・
パラリンピックの開催時の駅前広場についてどのようにお考えか、伺います。 2点目の質問は、
文化国際交流拠点の整備についてです。 区は、四谷駅前地区第一種市街地再開発事業における
文化国際交流拠点により、国際交流が図られ、さまざまな文化の薫りがあふれ、多くの人が集うにぎわい豊かなまちを実現することなどを示しています。この事業では、区が取得した独立棟の地上階に
文化国際交流拠点の機能を、地下にスポーツ環境の整備を予定しています。 運営事業者は、
独立行政法人国際交流基金及び
国際観光振興機構が決定しています。事業者の選定理由としては、一般図書の図書館、
観光情報提供スペースの設置、
住民参加型イベントの実施、
近隣小・中学校への出前講座、交流事業に資することなどを挙げています。 そこで3つ伺います。 1つ目は、新宿区の新たな
国際交流拠点について、区はどのようなビジョンを持っているのでしょうか。基本政策の「賑わい都市・新宿の創造」に資する取り組みをどのようにお考えでしょうか。 2つ目は、地域住民や学校関係者、商店会等の皆様との協議状況についてお聞きします。また、課題があればあわせて伺います。 3つ目は、地下のスポーツができる機能の運用手法等については、四谷駅前地区第一種市街地再開発協議会における再開発エリアの
管理運営方針の確定を待ち、平成30年度に決定するとしていますが、現在の進捗状況についてお聞かせください。 3点目の質問は、
国際観光都市・新宿の観光特使「ゴジラ」についてです。 平成27年4月17日に歌舞伎町にオープンした
新宿東宝ビル8階テラスに、高さ12メートルのゴジラヘッドが登場しました。区は、ゴジラに特別住民票を交付し、
新宿観光特使に任命しました。また、11月3日はゴジラの誕生日のイベントを開催し、そのほかラッピングバスの運行など、区は積極的に取り組まれています。 ゴジラは映画などにより世界中で有名ですが、日本においてもゆかりの地は複数あります。例えば伊豆大島の三原山がその一つであります。平成25年10月に大島町で台風26号による土砂災害が発生し、死者36名、行方不明者3名ほか負傷者や住宅等の建物被害がありました。大島町では、
被災者生活再建支援や地域基盤・インフラの復旧、産業・
観光復興支援、防災のまちづくりの強化などを柱とした復興計画に基づく取り組みが進められています。また、同計画では、活気と魅力ある島の再生を図り、東京2020
オリンピック・
パラリンピック開催に合わせ「元気な大島」を発信するということが示されています。 新宿区は、
観光特使ゴジラとのつながりのある大島町の産業・観光支援に資する取り組みを検討されてはいかがでしょうか。「賑わい都市・新宿の創造」を構築するために、
観光特使ゴジラの取り組みをもう一歩前に進めてはいかがでしょうか。この点、区長の御所見を伺います。御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 「賑わい都市・新宿の創造」についてのお尋ねです。 初めに、
国際交流都市・新宿の構築についてです。 区は、東京都とともに、新宿駅及びその周辺から成る駅直近地区について、駅及び駅前広場、駅ビル等を一体的に再編し、
新宿グランドターミナルとして整備するため、新宿の拠点再整備方針(案)を取りまとめました。整備方針(案)の作成に当たっては、学識経験者及び国・都・区、鉄道事業者で構成する「新宿の拠点再
整備検討委員会」を設置し、検討を進めてきました。また、
駅直近地区周辺の商店街や町会、
地元まちづくり団体の代表者と区で構成する「新宿駅
周辺地域まちづくり協議会」を設置し、意見を伺いながら連携を図ってまいりました。 現在、整備方針(案)について、区民を初めとする多くの皆様に御意見を伺っており、こうした意見を踏まえ、本年3月中の策定を目指しています。
整備方針策定後の取り組みについては、地区計画や
都市再生特別地区等の
都市計画手法を活用しながら、東京都や鉄道事業者を初めとする関係事業者との役割分担と連携により整備を進めてまいります。 また、東口や西口、
歌舞伎町地区などを含む新宿駅周辺地域では、地区計画の策定などさまざまなまちづくりが進められています。
整備方針策定後も、引き続き「新宿駅
周辺地域まちづくり協議会」を通じて駅直近地区と連携を図りながら、新宿駅周辺地域全体として質の高い
国際交流拠点の形成を目指してまいります。 次に、
東西自由通路供用開始や東京2020
オリンピック・
パラリンピックの開催時の駅前広場についてのお尋ねです。 新宿駅
東西自由通路の供用開始と時を同じくした東京2020
オリンピック・
パラリンピック開催を控え、国内外から多くの方が新宿駅周辺を訪れ、来街者の往来もふえています。新宿駅東口広場は、歩行者空間やたまり空間が狭く、車道で分断されていることから、これまで以上に混雑している状況が見受けられています。 このため、区では、東京2020
オリンピック・
パラリンピックの開催等に向けて、新宿駅東口広場が安全で快適な歩行者空間となるよう、道路管理者である東京都やJR等と整備形態や役割分担などの調整を行い、歩行者空間の拡充を進めていきます。 次に、
文化国際交流拠点の整備についてのお尋ねです。 初めに、
文化国際交流拠点のビジョンと「賑わい都市・新宿の創造」に資する取り組みについてです。 昨年12月に策定した都市マスタープランでは、四ツ谷駅周辺を「賑わい交流の心」として位置づけています。四谷駅前地区第一種市街地再開発事業で取得する独立棟も、その一翼を担う施設となるよう、新たな国際交流の創出や新宿の魅力を発信する場として、区民の皆さんを初め外国人旅行者など、多くの方が交流し、賑わう新たな拠点としたいと考えています。 このため、借受者となる
独立行政法人国際交流基金が実施する文化芸術交流を初めとした国際相互理解にかかわる事業のほか、独立行政法人
国際観光振興機構が実施する観光プロモーションやインバウンドに取り組む企業支援などの事業と連携しながら、「賑わい都市・新宿の創造」につなげてまいります。 次に、地域住民や学校関係者、商店会等の皆さんとの協議状況と、その課題についてです。 1階部分に配置する予定のライブラリーやオープンスペースの設計、そこで実施する事業については、現在、借受者で検討を進めているところです。今後、借受者側と調整を図りながら、地域の皆さんに御説明をさせていただきたいと考えております。 次に、スポーツができる機能の運用手法等にかかわる検討の進捗状況についてです。 区は、再開発事業における地権者として再開発全体の管理運営計画検討委員会に参画しています。検討委員会では、昨年10月に全体の管理会社を内定し、現在は管理規約の検討を進めているところです。こうした状況を踏まえつつ、スポーツができる機能の運用手法等を検討し、平成30年度に地域の皆さんにお示しして御意見をいただき、決定してまいります。 次に、
国際観光都市新宿の
観光特使ゴジラについてのお尋ねです。 初めに、大島町の産業・観光支援についてです。 大島町との連携については、水害からの復興支援のため、平成26年度から「ふれあいフェスタ」において特産品の販売や観光パンフレット等の配布によりPRを続けています。また、平成28年4月のシネシティ広場リニューアル祝賀イベントでは、
観光特使ゴジラをえにしとして、ステージ出演やブース出展を通じ、大島の魅力を発信してもらいました。 今後も連携を図りながら、大島町の産業・観光の支援につながる取り組みを行っていきます。 次に、
観光特使ゴジラの取り組みの推進についてです。 御指摘のとおり、ゴジラについては、その知名度を活かして新宿フリーWi-Fiのロゴマークや、新宿クリエイターズ・フェスタでの新宿住友ビルの壁面へのラッピングなど、さまざまな活用を進めてきました。これからも、ゴジラに関する著作権を持つ東宝株式会社と連携して、世界的に知名度の高いゴジラについて、東京2020
オリンピック・
パラリンピックに向け開催されるさまざまなイベント等を対象に、さらなる活用に向けた検討を進め、「賑わい都市・新宿の創造」に取り組んでいきます。
○議長(佐原たけし) ここで、議事進行の都合により休憩します。
△休憩 午前10時28分
---------------------------------------
△再開 午前10時28分
○議長(佐原たけし) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。
◆10番(野もとあきとし) 質問の第3は、中小企業の支援策について伺います。 中小企業庁の調査によると、2025年までに経営者が70歳を超える中小・小規模事業者は全国で245万社となり、その約半数の127万社で後継者が決まっていないとのこと。一方、新宿区産業振興プラン(素案)によると、「高度経済成長期に起業した団塊世代の経営者の多くが70歳を超えていく中、事業承継は全国的にも大きな課題となっており、平成28年度の実態調査では、代表者の年齢は60歳代が3割強で最も多く、70歳代以上も3割弱を占め、高齢化率が高くなっている。特に従業員4人以下の小規模企業では70歳以上が3割を超えており、さらに高齢化が進んでいる。事業承継が進まず廃業する企業がふえると、事業所数が減少するだけではなく、その企業の雇用やサプライチェーン等の経営資源を失うこととなり、地域経済力の低下につながる」と分析しています。 このような状況の中、公明党の推進により、中小企業の後継者不足による廃業増加に歯どめをかけるために、2018年度税制改正大綱では、今後10年間の集中支援として、事業を継いだ後継者に対する相続税の納税を全額猶予するなど、事業承継の抜本的な拡充が盛り込まれました。 一方、新宿区においても新たに事業承継支援として、後継者問題を抱える中小企業、小規模事業者の事業引き継ぎや事業促進を図るためにセミナーの実施を計画されています。 1点目の質問は、今後の中小・小規模事業者の事業承継について区長はどのような認識をお持ちか、お考えをお聞かせください。 2点目の質問は、中小企業新事業創出支援についてです。 新宿区は、平成30年度予算案において中小企業の革新性や技術力を活かした新事業の創出を支援するため、新宿ビジネスプランコンテストや新製品・新サービス開発支援助成という新規事業を計画されています。これらの事業の具体的な取り組みと、その効果をどのようにお考えなのか、お聞かせください。 3点目の質問は、ビジネスアシスト新宿についてです。 区では、これまで中小企業活性化支援として中小企業支援実績のある専門家を事業所に派遣し、経営全般に係る相談に対してアドバイスを行い、経営課題の解決を図り、企業の成長と発展をサポートするビジネスアシスト新宿に取り組まれてきました。この事業の一定の効果は見られていると思いますが、我が会派は、これまでも中小企業経営者の支援策の強化として、売り上げ、経営、販路拡大のほか、賃金、雇用、解雇、年金などさまざまな問題に対し相談体制の充実を図るため、社会保険労務士の活用をすべきではと提案してきました。昨年の決算特別委員会の質疑においては、「ビジネスアシスト新宿の事業の中で社会保険労務士の活用を進めていくことを考えている」との御答弁をいただきましたが、具体的にどのように進んでいるのでしょうか。新年度より活用すべきと考えますが、いかがでしょうか。 4点目の質問は、中小・小規模事業者への支援策の情報提供や制度周知についてです。 私も、日ごろより区内の中小・小規模事業者の方々のお声を聞く機会がありますが、事業を継続していく上で、さまざまな問題や課題と日々格闘しながら御苦労されています。中でも事業の経営全般に係ることや承継問題など、直面する課題に対して「どこに、どのように相談すればよいのかわからない」というお声をいただきます。国や東京都を初めとして中小企業に対するさまざまな支援策があるにもかかわらず、使われなければ意味がありません。これまで以上に制度利用を促進するため、中小・小規模事業者の方がどこに相談に行けば、どのような支援が得られるのかがわかるような取り組みが必要と考えます。 そこで、事業者にとって利用が見込まれる制度や支援機関の問い合わせ先などをまとめたパンフレットを作成し、区内の事業者へ活用していただいてはいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 中小企業の支援策についてのお尋ねです。 初めに、中小・小規模事業者の事業承継についてです。 中小・小規模事業者が8割以上を占める新宿区において、区内産業を持続的に発展させていくためには、創業などによる新たな事業者の参入と並んで、地域に根差した事業者の活力と息の長い事業展開が大切であると考えています。そのため、御指摘のように経営者の高齢化が進む中で、円滑な事業承継は早急に取り組むべき大きな課題と認識しています。 事業承継は、後継者の育成を初め、株式や店舗など事業にかかわる資産の引き継ぎ、顧客情報や技術などの知的資産の引き継ぎ等、その準備には一般的に5年から10年必要と言われています。このため、現在策定中の新宿区産業振興プランでは、基本目標の実現に向けた7つの産業振興施策の方向の一つとして「発展的な事業承継の促進」を掲げ、平成30年度から新たに事業承継支援事業として、事業承継に関する専門家によるセミナーを開催してまいります。 今後は、東京商工会議所の事業引継ぎ支援センター、独立行政法人中小企業基盤整備機構などの事業承継を支援する各機関との連携をさらに強め、区内中小企業の円滑な事業承継を支援してまいります。 次に、中小企業新事業創出支援についてです。 区内産業の活性化に向けて、ICTの進展や観光による来街者の増加など、時代の変化に応じた事業革新や創業を志す企業等をふやす環境づくりが必要であると考えています。そうした中で、平成30年度から中小企業の新事業創出を支援するための新たな事業を展開することとしました。 新宿ビジネスプランコンテストでは、区内在住・在学の若年層を対象として、新しい分野へ挑戦する起業予定者の事業計画を募集し、応募・審査の段階からセミナーや専門家による個別指導などの支援を行うとともに、受賞者には計画の事業化に向けたフォローアップ指導も行います。また、受賞者には最優秀賞50万円、優秀賞20万円、審査員特別賞10万円の賞金とともに、希望があれば高田馬場創業支援センターのシェアオフィスを最大で2年間無料で使用できるインセンティブを検討しています。 新製品・新サービス開発支援助成事業では、従前の製造業を対象に行っていた「ものづくり産業支援事業助成」を発展的に解消し、全ての業種を対象として新たな製品や新たなサービスの開発にかかわる経費の一部を助成し、区内中小企業の新事業創出を促してまいります。 こうした取り組みを通じて、区内中小企業が時代の変化に応じてビジネスチャンスを見出す積極的な事業活動を支援するとともに、創業を促すことで区内産業の活性化と持続的な発展を図ってまいります。 次に、ビジネスアシスト新宿における社会保険労務士の活用についてです。 ビジネスアシスト新宿は、区内中小企業者、個人事業主を対象として、中小企業診断士等の専門家を無料で事務所に派遣し、経営課題の相談に応じる制度です。近年、中小企業における人材確保が大きな課題となる中で、平成30年度から従業員の雇用環境整備の相談にも応じられるよう、現在、東京都社会保険労務士会新宿支部と協議し、準備を進めているところです。 次に、中小・小規模事業者への支援策の情報提供や制度周知についてです。 中小・小規模事業者が抱える課題は、資金調達や販路拡大、雇用や人材育成、知的財産、事業承継など多岐にわたり、その課題も個々の事業者により違いがあります。そうした事業者に向けて、区を初め国・東京都や、さまざまな支援機関が幅広く行う支援制度をわかりやすく情報提供することが重要であると認識しています。 現在、区では、新宿区産業振興課事業案内の作成、ビズタウンニュース、商店街情報誌や区ホームページなど、さまざまな手段により支援策や支援制度の情報提供を行っていますが、個々の事業者が抱える課題に的確に応じられるよう、支援機関の問い合わせ先などを取りまとめたパンフレットも含め、わかりやすい情報提供に向けて工夫してまいります。
◆10番(野もとあきとし) 質問の第4は、高齢者保健福祉計画・第7期介護保険事業計画について伺います。 団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据え、今後も住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最後まで続けることができるよう、住まい、医療、介護、介護予防、生活支援が連携して一体的に支援やサービスが提供される体制づくりを目指し、現在、高齢者保健福祉計画・第7期介護保険事業計画の策定が進んでおり、平成30年度からの総合計画、第一次実行計画の内容も示されました。 地域での支え合いは、地域の豊かさや価値を地域住民が主体的に考え、我が事として取り組んでいくことであり、介護保険制度の土台をなすものであるとの視点から、高齢者保健福祉計画・第7期介護保険事業計画の策定について、以下、4点にわたり質問いたします。 1点目の質問は、介護保険の基盤整備についてです。 今回の総合計画、第一次実行計画において、「住み慣れた地域で暮らし続けられる地域包括ケアシステムの推進」を個別施策に位置づけています。こうした施策を推進するためにも、介護保険の基盤整備はとても重要です。平成30年4月に大久保特別出張所跡地に開設される認知症高齢者グループホームには地域交流スペースも併設するということで、介護と地域をつなぐ重要な役割を担う施設になると区民の皆さんは非常に期待しています。 そこで伺いますが、平成30年度からはどのような方針で介護サービスの基盤整備を行うのか、お考えをお聞かせください。 加えて、富久町国有地では特別養護老人ホームの整備が進められていますが、現在、どのような進捗状況になるのか、お聞かせください。 また、第一次実行計画には、新たに払方町と市谷薬王寺町の2つの国有地の活用が位置づけられています。こうした大規模な基盤整備事業が計画として示された意味はとても大きいと思いますが、具体的な内容についてお聞かせください。 2点目の質問は、介護保険料基準額についてです。 昨年9月に出された第7期介護保険事業計画(素案)では、総給付費が723億円で、保険料基準額が7,200円と示されました。3年を1期とする介護保険事業計画では、策定のたびに要介護認定者数増加等の要因からサービス利用量がふえているため、介護保険制度の仕組みからすると当然保険料も上がっていきます。今後、さらに増加が見込まれる高齢者人口に対応していくためには、介護保険制度を持続可能な制度としていくことが何よりも重要です。 そこで伺いますが、素案発表後、パブリック・コメントや地域説明会では、こうした保険料の見込み額についてどのような反応がありましたか。2月6日に開催された高齢者保健福祉推進協議会では6,200円という保険料基準額が示されました。この保険料案に至る経緯と、第7期の給付費算定において特徴的な事柄があれば、お聞かせください。 3点目の質問は、地域包括ケアシステムと総合事業についてです。 昨年の第3回定例会において、我が会派は、それぞれの地域でどのように地域包括ケアシステムを根差すことができるのか、地域の住民を主体とした多様な担い手による地域の支え合いと専門性を活かした介護事業者によるサービスの役割分担と連携について質問いたしました。これに対して区長は、地域コミュニティにおける支え合いの仕組みづくりを進めることは非常に大切であり、平成28年度から開始した介護予防・日常生活支援総合事業において、高齢者を含めた幅広い世代の区民、NPO、ボランティア等のさまざまな担い手が高齢者の生活支援に取り組める体制整備を進めていること。一方で、排せつや食事介助等の支援が必要な方については、専門技術を持った介護事業者のヘルパー等が支援を行うような役割分担が必要になり、両者が円滑な連携を行うとともに、区民が納得してサービスを選択できるような環境を整備することが区の責務であること。また、これまで支援が必要な高齢者の生活を支えてきた介護事業者の役割も引き続き重要であり、介護事業者が専門性をさらに高め、スキルを持った介護事業者が区内で安定的に事業運営を行えるよう支援していく必要があること。との考えが示されました。このような専門性を持った介護事業者と地域の担い手が役割を分担し連携していくことは、これからの地域包括ケアシステムにおいて、共助である総合事業を我が事として互助の視点で捉え直したよい取り組みであると考えます。 そこで伺いますが、その後、具体的には総合事業においてどのような仕組みを検討されたのでしょうか。 また、訪問型サービスにおける住民を中心とした多様な担い手によるサービスの差別化や、通所型サービスにおいて介護事業者が効果的なサービスを提供することにインセンティブが働くような仕組みとはどのようなものでしょうか。御所見を伺います。 4点目の質問は、新宿区立薬王寺地域ささえあい館についてです。 少子高齢化がますます進行していく今日において、地域包括ケアシステムを万全なものとしていくためには、地域住民による支え合いがとても重要です。そして、地域住民による支え合いを実現するためには、地域を支える担い手の確保が何よりも不可欠になります。しかし、担い手の確保にはさまざまな課題があることも事実です。そのためにも、一人でも多くの地域住民が支え合いの気持ちを持ち、地域活動の担い手となって活躍できる仕組みづくり、体制づくりが必要となってきます。 このような背景のもと、去る2月6日に新宿区立薬王寺地域ささえあい館が開設しました。同日には開設記念式典及び見学会が行われ、館の愛称や、館で活動する団体による活動のお披露目等もなされ、多くの参加者が見守る中、新宿区における高齢者施策の新たな一歩が踏み出されたように感じました。新宿区立薬王寺地域ささえあい館は、地域住民が支え合い、地域活動の担い手となって活躍できる仕組みづくりを推進する上で、まさに拠点となる施設であると思います。 そこで伺いますが、開設に先立ち、高齢者の方々などを支援することを目的とした団体の登録や館の利用申請については、昨年11月から受け付けが始まっていますが、現時点で団体登録や館の利用申請はどのような状況で、それぞれの団体はどのような活動をしているのか、お聞かせください。 また、区が主催する講座も開催していますが、具体的にはどのような内容の講座になるのか。さらに、地域で活動するこれらの団体に関しては、区は今後どのようなビジョン、方法で支援を継続していこうと考えているのか、御所見を伺います。御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 高齢者保健福祉計画・第7期介護保険事業計画についてのお尋ねです。 初めに、介護保険の基盤整備についてです。 地域包括ケアシステムの構築に向けては、通い、訪問、宿泊を柔軟に組み合わせて、介護を要する高齢者の生活を支える小規模多機能型居宅介護や、認知症高齢者が家庭的な雰囲気の中で共同生活し、支援を受ける認知症高齢者グループホームといった地域密着型サービスの基盤整備を図っていきます。その上で、今後の要介護認定者数の増加も踏まえ、在宅生活が困難となった方のために特別養護老人ホームの整備も行っていきます。 富久町国有地の特別養護老人ホーム整備につきましては、埋蔵文化財の発掘作業を終え、現在建設工事に入ったところです。工期は平成31年3月までを予定しており、2019年7月の開設に向けて進めていきます。 新たな国有地活用は市谷薬王寺町と払方町の2所を予定しており、両地とも現存する印刷局の宿舎を解体した後に建設いたします。市谷薬王寺町には特別養護老人ホームとショートステイを民設民営により整備します。現段階では、平成30年度に事業者選定、2020年度に着工、2022年4月開設を予定しております。払方町には、認知症高齢者グループホーム、小規模多機能型居宅介護及び障害者グループホームを民設民営により整備いたします。平成31年度に事業者選定、2020年度に着工、市谷薬王寺と同じく2022年4月開設を予定しております。 今後とも、施設建設にふさわしい国有地等が活用可能となった場合には整備に取り組んでまいります。 次に、介護保険料基準額についてのお尋ねです。 パブリック・コメントや地域説明会では、保険料の上昇を懸念する声を多くいただいた一方、特別養護老人ホーム等の整備を要望する声も多くありました。そのような御意見を踏まえ、第7期のサービス給付と保険料負担の積算を行いました。 素案をお示しした後も、最新の数値をもとに改めて高齢者人口や要介護認定者数を推計し、直近の利用実績や介護報酬改定等を踏まえ、再度サービス利用見込み量を算定いたしました。その結果、見込み量としては素案時点よりふえましたが、一定以上所得者における3割負担の導入による影響も考慮し、最終的な総給付費を素案策定時と同じく約723億円と見込みました。ここに介護給付準備基金15億円を最大限活用することで、素案策定時の基準額の概算7,200円に対し、最終的な保険料基準額を6,200円と見込んでいます。第6期保険料基準額と比べ300円の増となります。高齢化の進展や介護サービスの充実のためには一定程度の費用負担は必要であると考えていますが、給付と負担のバランスを考慮しながら適切な保険料の設定を行い、介護保険制度の確実な運営を行ってまいります。 次に、地域包括ケアシステムと総合事業についてのお尋ねです。 区では、介護予防・生活支援サービス事業において、専門性を持った介護事業者のヘルパーが排せつや食事介助等のサービスを提供する訪問介護相当サービスに加えて、従来の基準を緩和したサービスとして、シルバー人材センターの会員等の生活援助員が買い物、掃除、洗濯等を支援する生活援助サービスを実施しています。 訪問介護相当サービスは、身体介護に要する時間に応じてサービス費の設定区分を3区分としていますが、身体介護に要する時間が最も短い区分を利用される方が一番多くなっています。その中には、排せつや食事介助等の身の回りの生活行為が自立しており、生活援助サービスの利用で必要な支援を受けることができるケースが多く見られます。 そこで、身体介護に要する時間が最も短い区分を廃止し、2区分とすることで、専門的見地からの訪問介護相当サービスと自立生活維持のための生活援助サービスとの差別化を図り、身体介護のサービスが必要な方は訪問介護相当サービスを御利用いただくなど、適切なサービスへの移行を促進してまいります。こうした取り組みは、専門性を持った介護事業者が、より重度の支援が必要な方へのサービス提供に専念できる環境づくりにつながるものと考えています。 さらに、介護事業者がより専門性を発揮し、効果的なサービス提供に取り組めるよう、通所介護相当サービスでは事業所評価加算の導入をいたしますので、事業者には丁寧な説明を行い、十分な理解をいただきながら進めてまいります。 次に、新宿区立薬王寺地域ささえあい館についてのお尋ねです。 初めに、館における団体登録や館の利用申請の状況、団体の活動内容についてです。 区は、世代にかかわらず地域住民が助け合い、支え合う「地域支え合い活動」を推進するため、その拠点として新宿区立薬王寺地域ささえあい館を開設しました。 開設に当たっては、館を利用する団体の区分として、高齢者等の支援を目的として活動する高齢者等支援団体を新たに設け、現時点で7団体が登録をしています。また、支援団体は、他の団体に優先して館の利用申請をすることが可能であり、4月の利用分まで既に多くの申請をいただいております。このように優先して利用申請ができることにより、支援団体は十分な準備期間を確保し、充実した支援活動を実現してまいります。 各支援団体では、例えば高齢者と地域の方々が料理を一緒につくり食べることにより、多世代交流を行いながら調理や栄養について学ぶことができる活動や、ボッチャ等、高齢者が気軽に参加できるスポーツを行うことにより高齢者の健康維持・増進につなげる活動等、地域での支え合いに資するさまざまな活動を実施していきます。一方、書道やカラオケなどの趣味活動でことぶき館を利用していた団体についても、活動登録団体として登録の上、引き続き館を御利用いただいております。 次に、館における区主催の講座及び活動団体への支援に関する区のビジョン・方法についてです。 館では、地域支え合い活動の推進に向けて、区主催のさまざまな講座を実施しています。例えば、地域でこれから活動を始めたいという方に向けた地域活動スタート講座や、既に活動をされている方に向けた、行列ができる講座とチラシの作り方講座など、地域の方が活動の担い手として活躍できるよう、講座を通じて支援を行っております。また、健康寿命の延伸に向けて、高齢者の健康に重点を置いた料理講座等も実施しています。 今後、区としては、これから地域のために何か活動をしたいという方々の声に耳を傾け、地域での自主的な活動につなげていくとともに、既に活動を行っている団体に対して団体同士のつながりを強化し、活動の輪をさらに広げていくことが重要であると考えます。そこで、館に配置している地域ささえあい館活動支援員を中心として、団体の立ち上げを目指している個人や、既に活動をしている団体へのサポートを充実させてまいります。また、団体が自由に使うことができる活動室を活用し、個人や団体相互の交流や連携が進むよう、団体同士のコーディネートを実施してまいります。これらを通じて、地域住民による支え合いの仕組みづくりを進め、地域支え合い活動が一層地域に根づいた活動となるよう取り組んでまいります。
◆10番(野もとあきとし) 質問の第5は、子どもの医療等について2点伺います。 1点目の質問は、平日夜間こども診療室についてです。 さきの第4回定例会で我が会派が要望した平日夜間こども診療室の土曜日拡充に対し、小児科医師の確保が困難な中、区長より、「事業の委託先である国立国際医療研究センター病院に積極的に働きかけ、小児医療のさらなる充実を図っていく」との御答弁がありました。まずは、区長の御理解と御努力に深く感謝申し上げます。 その上で、この事業は、小さなお子様がいらっしゃる御家庭にとって大変心強い事業であり、十分な周知が必要であることは、再三我が会派よりお願いしているところでもあります。 そこで伺いますが、区としては、本事業をこれまでどのように周知し、今後は、土曜日を拡充したことも含めどのように周知していくのか、お聞かせください。 また、現在、平日夜間こども診療室の実績と、今後拡充される土曜日ではどの程度の利用者を見込んでいるのか伺います。 2点目の質問は、子ども医療費助成のペナルティ廃止についてです。 平成30年度より、自治体が独自に行う子ども医療費の助成に対し政府が科してきたペナルティの一部が廃止されます。これは、公明党の山口那津男代表が2015年2月の参議院本会議でペナルティを見直すべきと訴えたほか、同年3月には、党内に子どもの医療等検討小委員会を設置し活発に議論。自治体や私たち地方議員の意見も踏まえ、見直しを政府に強く働きかけてきた結果でもあります。それが証拠に、厚生労働省は検討会を設置し制度の見直しに着手、2016年3月には減額調整措置を早急に見直すべきとの見解をまとめ、同年6月に閣議決定されたニッポン一億総活躍プランに、「見直しを含め検討し、年末までに結論を得る」と明記していました。 今回は、未就学児までを対象とする助成へのペナルティが廃止されますが、ペナルティ廃止で生じた財源は、子育てに無関係な事業ではなく、少子化対策の拡充に活用するよう、各自治体には求められています。 そこで伺いますが、未就学児分のペナルティ廃止に対して、区はどのような感想をお持ちですか。また、新たに発生した財源についてはどのような活用を検討していますか。御所見を伺います。御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 子どもの医療等についてのお尋ねです。 初めに、平日夜間こども診療室についてです。 「しんじゅく平日夜間こども診療室」は、平成28年7月に開設し、平日の午後7時から10時まで小児科の初期救急診療を実施してきました。土曜日の拡充については、事業委託先の国立国際医療研究センター病院に積極的に働きかけ、平成30年度より土曜日の午後6時から10時まで、平日より1時間拡充して実施する運びとなりました。 区では、より多くの区民に御利用いただけるよう、これまで区報やホームページでの案内、区内の幼稚園・保育園など子育て関連施設や診療所へのポスター掲示、乳幼児健診でのチラシ配布、スマートフォンを活用した子育て世代へのプッシュ通知などにより積極的に周知してきました。このたびの拡充に当たっては、名称を「しんじゅく平日・土曜日夜間こども診療室」に改称するとともに、これまでの取り組みに加え、子育てイベントでのチラシ配布やデジタルサイネージなども活用し、周知してまいります。 また、利用実績ですが、平成28年7月の事業開始から平成29年12月までの18カ月間で延べ1,566人、1日平均4.3人の利用がありました。土曜日の利用者については、平日より実施時間が長くなることもあり、1日当たり5人から6人、年間250人程度の利用を見込んでいます。 今後も、夜間におけるお子さんの急病の際に安心してこの事業を御利用いただけるよう、丁寧な周知に努めてまいります。 次に、子ども医療費助成のペナルティ廃止についてのお尋ねです。 子ども医療費助成に対する国民健康保険の国負担分の減額調整措置が平成30年度から一部廃止されることは、区が取り組んでいる少子化対策を後押しするものとして評価できると考えます。減額調整措置の一部廃止による区への影響は約2,000万円と見込んでいますが、これによって生じた財源については、安心して子育てができる環境の整備に向けて活用してまいります。
◆10番(野もとあきとし) 質問の第6は、新宿生活実習所について伺います。 区では、第一次実行計画において、障害の重度化・高齢化への対応や、特別支援学校の卒業生の進路先を確保するためにも、区内の生活介護事業の充実を図るため、「区立障害者福祉施設の機能の充実」を計画事業として定めています。その上で、新宿生活実習所については、施設の老朽化や構造上の課題もあるため、保護者からも要望が寄せられているところです。 そこで伺いますが、新宿生活実習所については、区はどのようにお考えですか。施設の改修はもちろん、実習所の通所バスについては、送迎中も含めた安全確保が必要です。 また、適切な職員配置についてはどのようにお考えですか。職員配置については、利用者の重度化に対応するため、理学療法士や作業療法士など、どのような専門職の配置も検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。 さらには、重度の知的障がいへの理解促進も必要です。区職員に対し、研修等を通じて障がいへの理解が深まるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。区の御所見を伺います。御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 新宿生活実習所についてのお尋ねです。 新宿生活実習所には、来年度、4名の方が特別支援学校を卒業し、入所する予定です。そこで、陶芸室の陶芸窯を移設することにより活動室として使えるスペースを拡充するなど、施設面での整備を進めています。また、通所バスについては、現在、マイクロバスとワゴン車で運行していますが、狭いところが苦手な行動障害のある利用者がふえてきたことから、より広い車内空間が望まれているところです。利用者が精神的に不安定となることを未然に防ぐため、広いスペースを確保できる大きさのバスを平成30年度から一部導入する予定です。 次に、適切な職員配置についてのお尋ねです。 利用者の重度化への対応のため、平成30年度から理学療法士、作業療法士等、専門職を新たに毎月配置する予定です。また、利用者数もふえることから、支援に当たる職員も利用者数に応じて配置していきます。 次に、区職員の重度知的障害への理解促進についてのお尋ねです。 重度知的障害を理解するには、障害者施設などの現場でじかに接する機会をふやしていくことが効果的であると考えています。そこで、平成28年度から福祉職の職員を対象に、新宿生活実習所などの施設での体験研修を行っています。体験研修後に研修報告会を実施するなど、多くの職員に障害理解が深まるような取り組みもしています。また、新任研修の中に障害理解の時間を設け、障害者擬似体験を取り入れた障害者差別解消の研修も年2回実施しています。 今後も、これらの研修を通じて職員へ障害理解を浸透させていきます。
◆10番(野もとあきとし) 質問の第7は、住まいの安定確保と住環境の整備についてです。 最初に、住宅相談等について伺います。 区は、高齢者や障がい者等の世帯を対象に、民間賃貸住宅への入居支援、または不動産の売買、賃貸等に関する相談を実施しています。平成29年10月からは、木曜日と金曜日の相談に拡大し、平成30年度予算案には、年間44回の相談を年間88回に拡充することも示されています。 住宅の相談については、特に高齢者、障がい者、子育て世代などへの支援が大事であり、福祉部や子ども家庭部、関係団体との連携が必要です。また、住宅に関するトラブルについては法律的なアドバイスや、御高齢でおひとり暮らしの方などには成年後見制度など、より専門的な相談窓口に御案内することも重要です。 今後、区は、住宅相談の拡充に当たり、どのような取り組みをお考えか、伺います。 また、高齢者の入居支援では保証会社のあっせんを行うとともに、一定の要件を満たす世帯には保証料の一部を助成する事業を拡大することとしています。区民へのきめ細かな情報提供が求められます。宅地建物取引業協会や全日本不動産協会などの区内不動産団体の協力も必要であると考えますが、区の御所見を伺います。 次に、特定住宅についてお伺いします。 新宿区は、特定住宅の入居促進策として、昨年4月から入居要件を一部緩和し、区外からの転入も対象とするとともに、子どもの年齢要件を義務教育終了以前からはたち未満まで引き上げました。また、区外転入者が特定住宅の申し込みをできるようにし、区外に向けてより効果的に特定住宅を周知するために、民間の賃貸住宅情報サイトに特定住宅の物件情報の掲載も始められました。このほかにも、不動産業団体の協力も得ながら入居促進策を推進されております。 昨年11月に行われた第4回定例会で、特定住宅の今後の入居促進策について、区民住宅から用途を変更した所有型を引き続きファミリー世帯に提供する際、入居促進策として所得制限の月額を引き上げている渋谷区を例に挙げ、新宿区としても所得制限を引き上げる検討を行うべきと提案をさせていただきました。 また、入居の際に必要な手続や費用に対する入居希望者の初期負担感の解消や、特定住宅の入居に際して連帯保証人や敷金などのあり方についても見直すことで、入居希望者の初期負担感を解消し、安定的な入居につなげることができるのではないかと代表質問でさまざまな提案をさせていただきました。 うれしいことに、本定例会の第37号議案に「新宿区立住宅管理条例の一部を改正する条例」が上程され、使用資格である所得金額の上限額を月額48万7,000円から省令基準の上限額の2倍の月額97万4,000円に引き上げ、また、入居時の負担感を軽減させるため、連帯保証人及び敷金の取り扱いについて、連帯保証人に保証会社のような法人も可能となりました。また、連帯保証人の選定か敷金の納付のどちらかを選ぶことが可能となりました。私ども会派は、こうした条例の改正を高く評価させていただきます。 そこで、以下、質問をさせていただきます。 この画期的な入居促進策を、ぜひ区民の皆様に周知を徹底していただき、入居の促進につなげていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、他自治体の取り組みを参考に、さらなる入居促進策を検討する必要もあると考えますが、御所見をお伺いします。 この質問の最後に、住環境の整備について伺います。 平成30年度予算案には、新たに集合住宅共用部LED設置補助が加わりました。この事業は、LEDの設置補助を行うとともに、区民一人ひとりに省エネに対する意識の向上を図ることが求められます。地球温暖化対策の推進と住環境の整備が一体となった事業であると考えますが、区民の省エネに対する意識向上をどのように取り組まれるお考えか、伺います。 また、平成25年の統計調査によれば、新宿区の住宅総数は約19万4,900戸で、そのうち約16万7,300戸が共同住宅で、住宅総数の85.8%を占めています。共同住宅の戸数からすると、LED設置補助が年間で10件となっていますが、多数の応募があった場合には補助件数をふやすなど、何らかの対応が必要であると考えますが、御所見を伺います。御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 住まいの安定確保と住環境の整備についてのお尋ねです。 初めに、住宅相談等についてです。 住宅相談では、高齢者や障害者等の民間賃貸住宅への入居支援を行う住みかえ相談と、不動産の売買や賃貸等に関する相談を実施しています。単身高齢者等で健康状態に適した住宅を要する場合などには、高齢者総合相談センター等との連携を図っているところです。 平成29年10月からは、国が指定した不動産流通機構の検索サイトや、多くの不動産会社が利用している不動産流通推進センターの検索サイトを活用しています。また、1回の相談時間を45分から60分に、一月の相談日を4日から6日に拡張しました。こうしたことで、紹介物件を拡充するとともに、よりきめ細やかな相談を実施してまいります。平成30年度からは、さらにより多くの相談を受けられるよう、一月の相談日を6日から8日に拡張します。 家賃等債務保証料助成については、民間賃貸住宅に入居しようとする高齢者世帯等に対して、区と協定を結んだ保証会社をあっせんし、保証料の一部を助成しています。平成30年度からは、協定を結んだ保証会社以外でも不動産業者が取り次ぐ保証委託契約を助成の対象に加えることで、多くの方が利用できるよう拡充してまいります。 こうした事業については、東京都宅地建物取引業協会新宿区支部及び全日本不動産協会東京都本部新宿支部と協定を交わし、住宅相談員を派遣していただくとともに、家賃等債務保証料助成の区民への情報提供に協力をいただいています。このため、両団体と定期的に実施している意見交換会等を活用して、さらなる情報共有を図りながら、事業の利用促進を進めてまいります。 次に、特定住宅の入居促進策についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、本定例会に新宿区立住宅管理条例の一部を改正する条例案を上程し、特定住宅の所得制限の緩和と連帯保証人の選定等による入居時負担の軽減を図ってまいりたいと考えています。所得制限については、月額48万7,000円を2倍の月額97万4,000円に引き上げます。これにより、共働き等で所得制限を理由に入居を諦めていた子育てファミリー世帯も新たに対象になります。また、入居時に必要な連帯保証人及び敷金については、連帯保証人または保証会社、敷金の3つのうちから1つを選択できるように変更します。これにより、入居時に必要な手続や費用等の負担軽減を図ってまいります。 こうした取り組みは、新宿に住みたいと考えている、より多くの方々に知っていただくことが大切です。これらの入居促進策の周知については、広報しんじゅくやホームページ、SNS等で情報発信してまいります。また、民間の賃貸住宅情報サイトも活用するとともに、区内不動産業団体と連携して広く周知し、特定住宅への入居を促進してまいります。 こうした入居促進策による効果を見きわめながら、さらなる入居促進策についても、他自治体の取り組みを参考にして研究してまいります。 次に、住環境の整備についてのお尋ねです。 区では、総合計画において、環境に配慮したまちづくりの方針を掲げ、第一次実行計画においても引き続き区民に対する省エネルギー機器の設置補助等を行い、区民の省エネルギー意識の啓発に取り組んでいきます。 御指摘のとおり、集合住宅共用部LED等の設置補助は、環境に配慮した住環境の整備を促進し、区民の環境に対する意識を高めることで地球温暖化対策の推進につながる事業であると考えています。今後も、イベント等を通じて、こうした省エネルギー機器の設置を支援する事業について広く周知するとともに、補助申請などの機会を捉えて家庭での積極的な省エネルギー行動に取り組む新宿エコ隊への加入を働きかけるなど、区民の省エネルギー意識の向上を図っていきます。 また、集合住宅共用部LED設置補助件数は、他区での実績等を踏まえ10件で開始しますが、多数の応募があった場合には省エネルギー機器の設置補助にかかわる事業予算の中で実績や要望等を見据えながら、可能な限りの対応をしてまいります。
◆10番(野もとあきとし) 質問の第8は、医療的ケアが必要な子どもの支援について伺います。 子育てや教育の現場では、人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たん吸引やチューブによる栄養補給などが日常的に欠かせない「医療的ケア児」がふえています。平成28年の児童福祉法の改正では、新たな障害のカテゴリーとして、医療的ケアを要する障害児が適切な支援が受けられるように、保健、医療、障害福祉、保育、教育、その他の各関連分野の支援を行う機関との連携促進を求めています。これを受けて、新宿区でも、区長部局を初め教育委員会や障害者団体、保護者などが参加して第1期障害児福祉計画を策定し、関連部署や関連機関との協議の場を設置して支援に取り組むと伺っています。 私たち公明党は、新宿区が計画の策定に一歩踏み込まれることを大いに評価します。その上で、保護者や現場関係者の意見を十分に聴取し、充実した支援が一刻も早く実現できるようにすべきと考えます。そのことを強く要望し、4点の課題について質問いたします。 1点目の質問は、障害児保育園の実施についてです。 新宿区では、医療的ケアが必要な未就学児について、子ども総合センターの「あいあい」において通所支援等を行っています。しかし、平日短時間の通所となっていることから、保護者は就労ができないという課題があります。 練馬区では、ことし4月から区立の心身障害者福祉センターの一部を利用して児童発達支援事務所を誘致して、医療的ケア児の早期の療育と就労を希望する保護者の支援を行うために長時間療育を開始します。新宿区においても、障害を持つ子どもの長時間保育を実現し、保護者が就労できる保育環境を整備していくべきと考えますが、区の御所見を伺います。 2点目の質問は、医療的ケアが必要な子どもの通学手段の確保についてです。 新宿養護学校には、現在、スクールバスで通学する医療的ケア児のほかに、スクールバスの乗車中に医療的ケアが必要であるため、保護者が送迎して通学する医療的ケア児が3人いらっしゃると伺っています。しかし、車や公共交通機関などにより毎日送迎することは、保護者の負担となっています。また、公共交通機関を利用する場合には、通勤ラッシュの時間帯に重なることや、インフルエンザなどの感染症に対する配慮から、どうしても時間をずらさざるを得なくなり、授業の開始に間に合わない場合が発生することも懸念されています。さらに、保護者の都合で学校への送迎ができない場合も、医療的ケア児は学校への通学が難しくなります。このように、保護者の送迎による通学では医療的ケア児が学校教育を受ける権利が損なわれています。この状況を新宿区は早急に改善する必要があります。 東京都はこれまで、乗車中に医療的ケアが必要な児童・生徒の都立特別支援学校へのスクールバスの通学は、安全の確保が難しいとの理由で乗車を認めていませんでした。しかし、平成29年第4回都議会定例会での公明党の代表質問を受け、東京都は、平成30年度予算に医療的ケア児が通学するための支援として6億円を計上し、専用スクールバスの運行を始めます。新宿養護学校を抱える新宿区においても、医療的ケア児の学ぶ権利を確保できるように通学手段を整備すべきと考えます。教育委員会の御所見を伺います。 3点目の質問は、新宿養護学校で付き添いを行う保護者の負担軽減についてです。 医療的ケア児の保護者は、新宿養護学校に入学当初、保護者が子どもを学校に登校させた後、別室で授業が終わるまで待機をしています。こうしたことが就労をする上で負担となる保護者もいらっしゃると伺っています。 新宿養護学校では、看護師を中心に認定特定行為業務従事者の研修を受けた教員等が、たんの吸引や経管栄養などの特定行為を行っています。また、医療機関との連携体制も整備されています。今後、新宿養護学校において保護者の付き添いを改善し、心理的・身体的負担の軽減策を図るべきと考えますが、教育委員会の御所見を伺います。 4点目の質問は、医療的ケア児の放課後の居場所についてです。 新宿養護学校では、月2回程度、不定期に放課後子どもひろばを実施しています。一方、保護者の就労や病気などのために放課後保護者がいない区立小学校に通う児童は、月曜日から土曜日まで学童クラブが利用できますし、放課後子どもひろばの利用も可能です。私は、障害の有無によって分け隔てられることなく、保護者の医療的ケア児のニーズを踏まえた子育て環境を整備すべきと考えます。 現在、新宿区が行っている新宿養護学校での放課後子どもひろばは、保護者や子どもたちにとって、学校とは別の地域にある民間の放課後等デイサービス事業所に移動しないで済むことや、看護スタッフが付き添ってくださることなど、大きなメリットがあります。ぜひ新宿養護学校の放課後の居場所を拡充し、月曜日から金曜日まで医療的ケア児を見守る子育て環境を整備すべきと考えます。区の御所見を伺います。御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 医療的ケアが必要な子どもの支援についてのお尋ねです。 初めに、障害児保育園の実施についてです。 区では、障害があっても集団保育が可能であれば保育園等で保育を行っているほか、医療的ケアが必要であって集団保育が困難な児童を、その居宅で保育する居宅訪問型保育を行っています。これら2つの保育サービスにより障害児保育のニーズに応えているところですが、医療的ケアの内容によっては居宅訪問型保育においても受け入れが難しい場合があるなど、課題があると認識しています。 医療的ケア児の対応については、第1期障害児福祉計画策定に当たって国が示した基本指針にのっとり、平成30年度には各分野の関係機関が連携を図るための協議の場を設けます。協議の場で、国が実施しているモデル事業の事例等も参考に研究してまいります。 次に、医療的ケア児の放課後の居場所についてのお尋ねです。 医療的ケア児を育てている保護者を含め、働き続けたいと願う区民が仕事を続けられる環境を整えることが大切であると考えています。新宿養護学校の放課後子どもひろばは、放課後の生活を豊かにすることを目的とした体験活動を行っており、保護者を中心に構成されているNPO法人ひまわりプロジェクトチームに委託しています。 新宿養護学校の放課後子どもひろばを拡充するためには、重度心身障害児のケアを適切に行える看護師を初め、それぞれの育ちをしっかり支えることができる経験豊かな人材が必要です。また、落ち着いて過ごせる専用スペースの確保や児童の体力に配慮した帰宅方法など、課題の洗い出しを行い、十分に検討してまいります。
◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 初めに、医療的ケアが必要な子どもの通学手段の確保についてのお尋ねです。 新宿養護学校においても、医療的ケアを必要とする児童・生徒は増加傾向にあり、現在10人の児童・生徒が在籍しています。これらの児童・生徒は、障害や病状が大きく異なることから、一人ひとりの状態に応じた適切な教育を受けられるよう支援することは重要な課題であると考えています。 新宿養護学校では、主治医からスクールバス乗車中に医療的ケアを必要としないとの所見を得られた医療的ケア児については、安全を最優先することを基本に、看護師、担任の同乗、判定会議等の段階を経て単独乗車に移行しています。現在、スクールバス乗車中に医療的ケアを必要とする3人の児童・生徒については、緊急時の対応などを考慮し、保護者に御理解いただいた上で送迎を行っていただいています。 御指摘のとおり、東京都では、平成30年度予算に医療的ケア児が通学するための支援として専用スクールバスの運行に要する経費を計上していますが、利用者の利用条件や具体的な運行方法等については、現在のところ明らかになっていません。 教育委員会としては、今後も児童・生徒の安全を第一に考え、東京都の取り組みの成果などについても参考にしながら、医療的ケア児の通学手段の確保のあり方について研究してまいります。 次に、新宿養護学校で付き添いを行う保護者の負担軽減についてのお尋ねです。 新宿養護学校では、主治医や指導医の意見を伺いながら、看護師や教員が医療的ケアを行っています。しかし、入学当初は、環境の変化や成長に伴う児童の状態の変化等について十分把握した上で医療的ケアを慎重に行う必要があることから、児童の状態を最も把握している保護者に付き添いをお願いしています。 新たに入学した児童に対して看護師や教員が適切かつ安全な医療ケアを行う体制が整うとともに、児童が新宿養護学校の生活に十分になれ、安定しているとの所見が指導医から得られた際には、校内委員会で協議の上、保護者による付き添いを終了しています。 平成30年度からは、児童の安全を最優先としつつ、新宿養護学校での生活に十分適応するための指導医による検診の機会をふやし、保護者の負担軽減につなげてまいります。
◆10番(野もとあきとし) 質問の第9は、教員の勤務環境の改善・働き方改革について伺います。 教育委員会では、10年後の子どもの育ち・学びを見据えた新たな教育ビジョンが策定されました。この教育ビジョンには、学習指導要領の改訂に対応した英語教育の充実や、全ての区立学校が地域協働学校となったことを踏まえた小・中連携による地域協働学校の推進、中学校における特別支援教育の充実等、時代の変化や子どもの状況を踏まえたさまざまな施策が盛り込まれています。また、さきの第4回定例会において我が会派が質問した教員の働き方改革についても、タイムレコーダーの導入や、学校の法律相談体制の整備等の具体的な取り組みとともに、勤務時間を意識した働き方に向けて定時退庁日や長期休業中の閉庁日の設定なども実効性の高い取り組みであると捉えています。 教育委員会事務局内に設置された教員の勤務環境の改善・働き方改革プロジェクトチームでは、現在も検討を進めているとお聞きしており、さらなる具体的な取り組みを期待して、以下、3点にわたり質問いたします。 1点目の質問は、教員の勤務環境の改善・働き方改革プロジェクトチームについてです。 教育委員会事務局内に設置されたプロジェクトチームにおけるこれまでの検討状況について、検討内容の取りまとめ時期など、今後の予定も含め進捗を伺います。 2点目の質問は、学校の法律相談体制の整備についてです。 教育ビジョンの中では、「学校を取り巻く課題が複雑化・困難化する中で、弁護士の専門性を活用することにより、緊急危機事案や学校に対する不当な要求への対応等、学校が法に基づく助言を必要とする問題について迅速かつ適切に対応することのできる環境を整備します」としていますが、学校で対応に苦慮する状況とはどのようなものがあるのか、お聞かせください。また、そのような状況に対して、どのような体制で取り組まれるおつもりなのか、現時点でのお考えをお聞かせください。 3点目は、個別事業にある「教員の働き方の意識改革等」についてです。 ここでは、「プロジェクトチームにおいて、教職員の勤務環境の改善と働き方の意識改革に関するさらなる取組を検討し実践することで、一層の改善につなげていきます」としていますが、例えば勤務時間外の留守番電話の導入や働き方改革に向けた数値目標の設定、さらには保護者や地域、学校関係者の方々への周知・啓発なども必要ではないかと考えます。教育委員会の御所見を伺います。御答弁願います。
◎教育長(酒井敏男) 教員の勤務環境の改善・働き方改革についてのお尋ねです。 初めに、教員の勤務環境の改善・働き方改革プロジェクトチームの検討状況についてです。 教育委員会では、昨年実施した教員の勤務実態調査の結果を踏まえ、教員が健康でやりがいを持ちながら質の高い教育活動を継続することで、子どもたちが生涯を切り開いていく力を一層伸ばしていくことを目的として、教員の勤務環境の改善と働き方の意識改革に関する取り組みを検討するプロジェクトチームを設置しました。 プロジェクトチームでは、現在までに5回の会議を重ねており、勤務環境の改善に向けた具体的な取り組み、教員の意識改革、取り組みの実効性を担保する仕組みづくりといった観点から、勤務時間を意識したタイムマネジメント研修や定時退庁日の設定など、教員の勤務環境の改善・働き方改革につながる具体的な対応について検討を進めています。 今後は、ことしの3月末を目途にプロジェクトチームにおいて検討した取り組みの全体像を取りまとめ、教育委員会へ報告を予定しています。また、教育委員会では、プロジェクトチームの報告を踏まえ、取り組みが可能なものから順次実施していきたいと考えています。 なお、プロジェクトチームでは、会議や調査等の実施状況や校務支援システムの活用状況など、学校現場の実情を踏まえた検討が必要な取り組みについては、学校に対するヒアリング調査を実施し、ことしの6月ごろに取りまとめる予定です。 次に、学校の法律相談体制の整備についてのお尋ねです。 学校で対応に苦慮する状況としては、例えば学校で何らかの問題が発生した際、保護者等からの過大な要求等への対応が求められるケースや、相手の弁護士を通して文書での回答を求められるなど、法的根拠に基づいた対応が必要なケースが挙げられます。 また、学校外で起きた子ども同士のけんかなどの事案に起因する保護者間のトラブルもあります。このような場合でも、学校は関係する保護者間の話し合いなどにかかわることがありますが、中には一方の保護者が弁護士を連れてくるケースもあり、保護者間の話し合いに学校が適切に対応することが困難な状況が発生しています。このような状況に対して、学校が法に基づいて迅速かつ適切に対応できるよう、法律相談体制を整備していく必要があります。 教育委員会事務局内に設置されたプロジェクトチームを活用し、学校における法律相談を先駆的に導入している自治体の取り組みを参考にしつつ、適切な相談体制のあり方を検討し、早期に導入してまいります。 次に、教員の働き方の意識改革に関するさらなる取り組みの検討についてのお尋ねです。 今回、御提案のありました留守番電話の導入や、働き方改革における数値目標の設定、保護者や地域等への周知・啓発につきましては、プロジェクトチームにおいても取り組みの実効性や導入に向けた課題などの検討を進めている事項です。 検討の中で留守番電話の導入は、勤務時間外において業務に専念する時間を確保する環境づくりにつながる有効な取り組みとの意見が出されています。また、数値目標の設定については、長時間労働による健康障害の防止のほか、ワーク・ライフ・バランスの観点から、実働勤務時間の削減に向けた取り組みの一つとして、学校の実態を踏まえ、目標設定のあり方を検討してまいります。 さらに、こうした教員の勤務環境の改善に向けた取り組みを進めていくには、保護者や地域、学校関係者などの理解と協力を得ることが取り組みの実効性を担保する仕組みづくりにつながるものと考えています。教育委員会としては、教員の勤務環境の改善などに向けて、プロジェクトチームにおいて検討が進められている教員の働き方の意識改革などとともに、新たな教育ビジョンに掲げている「部活動を支える環境の整備」や「学校の法律相談体制の整備」などの取り組みを着実に実施し、教員がやりがいを持っていきいきと働き続けられる環境を整えてまいりたいと考えています。 以上で答弁を終わります。
◆10番(野もとあきとし) ただいまは、公明党の代表質問に対し、区長並びに教育委員会より大変丁寧な御答弁をいただきありがとうございました。 今回の代表質問で質問いたしました項目を含め、予算特別委員会において同僚議員から改めて質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(佐原たけし) ここで、議事進行の都合により休憩します。
△休憩 午前11時46分
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△再開 午後1時14分
○議長(佐原たけし) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。 7番佐藤佳一議員。 〔7番 佐藤佳一議員登壇、拍手〕
◆7番(佐藤佳一) 日本共産党新宿区議団の佐藤佳一です。2018年第1回定例会に当たり、会派を代表して区長並びに教育委員会に質問します。 2月9日、第23回冬季
オリンピック大会が韓国の平昌で開幕しました。国際
オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長は「五輪精神とは、互いにうやまう心、話し合うこと、そして理解し合うこと」と語り、北朝鮮の参加について「平和的な対話の扉を開いた」と述べました。北朝鮮の核ミサイル開発などをめぐり緊迫の度合いを増している東アジアの情勢に緩和と対話の道が開かれることを期待して質問に入ります。 最初に、区長の政治姿勢について質問します。 第1は、安倍政権下での憲法9条改定についてです。 安倍首相は、ことしの年頭会見で「今こそ憲法のあるべき姿を提示する」と述べましたが、共同通信が1月13日、14日に行った世論調査では、9条に自衛隊を明記する安倍首相の提案に反対が52.7%、賛成が35.3%、安倍首相のもとでの改憲に反対が54.8%、賛成33%であり、多くの国民が憲法改定を望んでいないのは明らかです。 そもそも、憲法に縛られる立場の首相みずからが憲法改定に向けてあるべき姿を示すなどと言うこと自体が、立憲主義を全くわきまえない発言ではないでしょうか。区長は、このような安倍首相の姿勢をどのように思われますか。 第2は、
核兵器禁止条約と日本政府の態度についてです。 昨年7月に国連で核兵器を違法化する
核兵器禁止条約が採択され、条約締結に貢献した
核兵器廃絶国際キャンペーン、ICANが
ノーベル平和賞を受賞しました。昨年12月の
ノーベル平和賞の授賞式で、広島出身の被爆者、サーロー節子さんが「広島と長崎で死を遂げた全ての人々の存在を感じてほしい」「核兵器は必要悪でなく絶対悪」と訴え、全ての国の大統領と首相に、この条約に参加することを呼びかけました。ところが日本政府は、核抑止力の正当性が損なわれるとして、この条約への参加を拒否しています。 核抑止力論とは、核兵器を使用することをためらわないという脅しによって安全保障を図ろうとする立場であり、広島・長崎のような非人道的惨禍を引き起こしても許されるという考え方です。唯一の戦争被爆国として核兵器の非人道性を訴えてきた日本政府が、一方でこのような核抑止力論を言い続けるのは大きな矛盾ではないでしょうか。区長は、どのようにお考えでしょうか。 また、政府は、北朝鮮が核開発を進める情勢のもとで、この条約はそぐわないと主張しています。しかし、そうした危機があるからこそ
核兵器禁止条約が重要になっていると思います。なぜなら、条約によって核兵器を違法化し、悪の烙印を押すことによって、北朝鮮に対して核兵器開発の放棄を迫る国際的な力になるからです。そして、その条約に核保有国や、日本のようなアメリカの核の傘のもとにある国が参加すれば、「私たちも核を捨てる。だからあなたも捨てなさい」と、さらに強く北朝鮮に迫ることができるはずです。改めて政府に対し、この条約に署名し批准するように強く要望すべきと考えますが、区長の御所見をお聞かせください。
◎区長(吉住健一) 佐藤議員の御質問にお答えします。 区長の政治姿勢についてのお尋ねです。 初めに、安倍政権下での憲法9条改正についてです。 憲法9条の改正について、さまざまな意見や考えがあることは認識しています。安倍首相は、ことしの年頭記者会見で「新しい時代への希望を生み出すような憲法のあるべき姿を国民にしっかりと提示し、憲法改正に向けた国民的な議論を一層深めていく」と述べています。この発言のとおり、憲法の改正は国民全体で議論を十分に尽くした上で進められるべきであると考えています。 次に、
核兵器禁止条約と日本政府の態度についてです。 まず、戦争被爆国として核兵器の非人道性を訴えてきた日本政府が核抑止論を唱えることをどう考えるかとのお尋ねです。 国連における
核兵器禁止条約の採択に当たり、日本が安全保障上の理由で不参加となったことについては残念に思っています。世界の国々が核軍縮のために団結し、核兵器の廃絶に向けて取り組みを進め、核兵器のない世界をつくっていくことは大変重要であると考えます。 次に、政府に対し
核兵器禁止条約への署名と批准を要望すべきとのお尋ねです。 区が加盟する平和首長会議の一員として、条約への参加も含め、核兵器の廃絶を進める取り組みを政府に要請しています。新宿区
平和都市宣言に基づき、今後とも全ての国の核兵器の廃絶を全世界に訴えてまいります。
◆7番(佐藤佳一) 次に、区政の基本方針と2018年度予算について伺います。 第1は、暮らしを守る地方自治体の長としての区長の役割についてです。 安倍政権のもとで、国の予算案は9条改憲策動に合わせて、いよいよ本格的に歯どめなき大軍拡への一歩を踏み出す一方で、医療、介護などの社会保障予算は大幅削減となっています。とりわけ2013年度から3年連続で切り下げられた生活保護費のさらなる削減を打ち出したことは重大です。 安倍政権は、税制のあり方をもゆがめ、富裕層には優遇税制を続け、庶民には負担増を強いるだけでなく、都心の自治体からの税財源吸い上げを強行しています。格差と貧困の拡大が深刻化しているもとで、国の言いなりではなく、むしろ安倍政権の悪政と立ち向かい、その防波堤となって区民生活を守ることこそ地方自治体の役割であり、区長に求められていることではないでしょうか。区長の見解をお聞かせください。 基本方針説明の「はじめに」で、区長は、「区民税の増収を超える勢いで扶助費が増加傾向にある」としていますが、特別区税の伸び4.2%に対して扶助費の伸びは3.8%で、超える勢いとは言えません。内容的にも、扶助費の伸びの要因が保育所関連予算がふえていることにあるとのことで、他の自治体では子育て世代の流入をいかにふやすか、それによって住民税収入をどうふやすか、知恵を絞っている実態を見れば、これはむしろ歓迎すべき傾向だと思われますが、区長の評価をお聞かせください。 そして、「おわりに」で、扶助費の増加と高齢化に、悲観的でない、協働で乗り越えられると言い、「おのおのが無理のない範囲でみずからの役割を果たす」支え合い、助け合いこそが「新宿力」の象徴と述べられています。支え合いは、政府が最近よく使うキーワードで、共助と互助に依存して公助を後景に押しやる意図が明らかですが、区長が言う支え合いも国の意図と同じなのでしょうか。まず、区が区民を支える姿勢を明確に示した上で、区民が望む支え合いのシステムやスキームを構築し、必要な財源を確保することが区長の仕事であり、ただ期待していても展望は開けないと思いますが、区長の見解を伺います。 第2は、区民生活の実態についてです。 区政の基本方針で区長は、「景気回復局面は、戦後2番目の長さとなっており、デフレ脱却の展望も見えてきたと言われています」と国の発表をなぞるだけで、区民生活の実態に一言も触れませんでした。区長は、区民の暮らしや営業などがどのような実態にあるとお考えか、お答えください。 今、野菜は高騰しており、区民は、白菜は4分の1とか8分の1、キャベツもレタスも半分のものを買う人が多く、輸入に依存している食用油や小麦粉の値上げも家計を直撃しています。ことしの冬は例年になく寒い日が続き、暖房代も大変です。来年度予算案には、1日に必要な野菜の摂取量の認知度を上げ、健康な食生活をサポートする新規事業が計上されていますが、認知しても食べられなければストレスでしかありません。必要量を確保できるような区民生活の支援こそ必要だと思いますが、区長はいかがお考えでしょうか。 第3は、生活保護費の削減計画と、その影響についてです。 必要な野菜の量を摂取できていないのが生活保護世帯です。2013年から3年間で、生活扶助などが最大10%削減されました。これにより月3万円削減されたお子さん3人の御家庭では、「今でも緑黄色野菜は高くて買えず、もやしを買うことが多い。肉や魚は特売を狙って買うようにしている」そうです。「それがもっと減らされたら、どうやって子どもたちに食べさせたらいいのか」と言っていました。今でも健康で文化的な最低限度の生活にほど遠いのに、さらに引き下げることは許されないと考えますが、区長は、生活保護費の引き下げについてどのような見解をお持ちか、お答えください。 第4は、財源の確保についてです。 住民税の一部国税化の区の影響額は、来年度もマイナス19億円、ふるさと納税による減収は、来年度は15億5,000万円、それに地方消費税交付金が清算基準見直しにより来年度約16億円マイナスと、国の制度変更によって合計50億5,000万円も減収となるのに、基本方針説明ではこのことに何の言及もありません。昨年の基本方針説明では、法人住民税一部国税化の見直しを求め、地方分権の流れに逆行すると批判しましたが、ことしはそれもありません。区長は、もう諦めて、国のやり方に唯々諾々と従うということなのでしょうか。 都政新報では、新宿区の予算案について「税収堅調バブル期並みに」と書きましたが、多少国に財源を持っていかれても、ほかで賄えるなどと考えているとしたら大きな後退だと思いますが、いかがでしょうか。もし国のやり方が間違っているとお考えなら、それに対抗するために区民にもわかるような行動を起こすべきと考えますが、区長の対応策をお聞かせください。 次に、都区財政調整についてです。 23区は、児童相談所の区移管を機に都と区の配分割合の見直しを求めていますが、都は、児童相談所の開設について算定の対象にすらしていません。2018年度都区財政調整協議は終了し、児童相談所について都に押し切られた格好になっています。それで諦めてしまうのでしょうか。実態が的確に反映されるように強く要望し、財源の確保をすべきです。 以上、お答えください。
◎区長(吉住健一) 区政の基本方針と2018年度予算についてのお尋ねです。 初めに、区民生活を守るための地方自治体の役割についてです。 区は、区民に最も身近な基礎自治体として地域の実情に即した施策を展開していく必要があり、区民生活の現場で起きている現実を受けとめ、地域課題に的確に対応し、区民が心豊かに暮らすことができる地域社会の実現に向けて、柔軟かつ総合的な区政運営を推進しなければなりません。このため、国や都との連携を図るとともに、国や都の施策に対して意見を申し述べていきます。 次に、扶助費についてのお尋ねです。 平成30年度予算における扶助費は前年度と比べて18億円、3.8%の増、また歳出に占める割合は33.9%となり、人口増加による区民税の増収を超える勢いで増加傾向にあります。 扶助費は、性質別経費のうち義務的経費に当たり、その割合が高いと財政構造の弾力性が乏しくなるため、財政の健全化が脅かされることになります。したがって、扶助費の増加は歓迎すべき現象とは捉えておりません。 次に、支え合いについてのお尋ねです。 私は、区政の課題が山積しても、若者から高齢者までの幅広い世代の皆様との協働によって乗り越えられるものと考えており、おのおのが無理のない範囲でみずからの役割を果たす支え合いの社会の実現を目指しています。 私は、地域の皆様が自分たちのまちに誇りと愛着を持ち、自分たちのまちをよくしようと活動する意志を持っていただくことが大切であると考えています。 今後も、区民一人ひとりの活力を活かし、互いに支え合い助け合うことのできるまちづくりを進めてまいります。 次に、区民の生活実態についてです。 1月の政府月例経済報告では、「景気は、緩やかに回復している」とする一方で、「海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある」としています。また、東京都区部の消費者物価指数1月分(中旬速報値)では、特に生鮮野菜の上昇が大きく、前月比で10.9%、前年同月比では24.5%の上昇となっています。中小企業の景況調査においては、一部で上向いているものの、全般的な業況はマイナスで推移しています。 このように、区民の暮らしと景気は楽観視することはできず、慎重に見きわめていく必要があるものと認識しています。区としては、総合計画で掲げる「暮らしやすさ1番の新宿」の実現に向けて、区民の生活を支える施策に取り組んでまいります。 次に、生活保護費の引き下げについてのお尋ねです。 今回の生活扶助基準の見直しは、社会保障審議会生活保護基準部会の検証結果を踏まえ行われるものです。個々の世帯への影響については、生活扶助費が増額となる世帯と減額となる世帯が生じる見込みです。また、検証結果を機械的に当てはめることなく、見直しに伴う減額幅を最大5%以内に抑制するとともに、平成30年10月から3回に分けて段階的に施行するなどの激変緩和措置を行うとされています。したがって、今回の生活扶助基準等の見直しについては、考慮すべき点を十分踏まえた上で判断がなされたものと考えています。 次に、財源の確保についてです。 国は、地方創生という大義名分のもと、法人住民税の一部国税化や地方消費税の清算基準の見直し、ふるさと納税におけるワンストップ特例導入等の制度拡充など、不合理な税源偏在是正を行っており、区財政に多大な影響を与えています。 特別区長会は、こうした税制改正等に対し、2月16日に「税源偏在是正措置に対する特別区緊急共同声明」を発表しました。この中で、地域間の税収格差の是正は地方交付税で調整されるべきであり、地方自治体間に不要な対立を生むような制度は認められないこと、また、不合理な税源偏在是正措置に対しては断固反対することを強く主張しています。新宿区もこのことについて、ホームページを初め広報しんじゅく、「予算の概要」や「財政白書」などの冊子に掲載し、周知に努めてきたところです。 今後とも、さまざまな機会を捉え、より多くの区民に理解していただけるよう取り組んでまいります。 次に、都区財政調整制度における児童相談所設置に伴う財源についてです。 特別区は、平成30年度都区財政調整協議で、児童相談所に係る事務が政令の指定により特別区の事務となることから、当然に基準財政需要額に算定した上で配分割合の変更をすべきこと、また、準備経費については、児童相談所の設置時期によって各区の算定額に不公平が生じないようにするため、当分の間、特別交付金で全額算定すべきことを繰り返し主張しました。しかしながら、都は、この議論に応じることなく、協議は時間切れとなったところです。 特別区は引き続き一体となって、都区財政調整制度における基準財政需要額への算定及び都区間の配分割合の変更、準備経費の取り扱いについて都との協議に臨んでまいります。
◆7番(佐藤佳一) 次に、第一次実行計画について質問します。 今後10年間の総合計画を具体化するため、来年度から3カ年の第一次実行計画が策定されました。昨年、総合計画等と同時に素案に対するパブリック・コメントと地域説明会が行われました。素案からの変更点として、払方町の国有地を活用した認知症高齢者グループホーム、障害者グループホーム等複合施設や、市谷薬王寺町国有地を活用した特養老人ホーム等の設置、耐震化支援事業の充実など、区民の皆さんからの要望が強く、私たちも繰り返し求めてきた内容が盛り込まれたことは歓迎するものです。 しかし、素案に対するパブリック・コメントは52名、240件、地域説明会では115件、合計355件と、多くの区民の皆さんから御意見をいただいたにもかかわらず、計画に反映した意見は12件であり、そのうち10件は冊子内の記載の整合性に関することで、意見そのものを反映させたのは、「特養ホームの増設」と「耐震化支援事業の充実」の2件のみです。最も多かったのは、「放課後の居場所の充実」に関する40件で、その多くが学童クラブの増設や充実を求める意見でした。しかし、第一次実行計画に増設計画はなく、「児童館スペース活用等による学童クラブ専用室の拡大」というもので、これでは児童館の一般利用の子どもにしわ寄せが行くことになり、「放課後の居場所の充実」とは逆行しています。また、待機児童がいる学童クラブについては、「近隣小学校でひろばプラスを実施する」としており、法律に基づかないひろばプラスでまたお茶を濁そうとしています。パブリック・コメントと地域説明会での意見を区長はどのように受けとめられたのでしょうか。 また、ことし4月の学童クラブの待機児童は何名で、定員オーバーの学童クラブは幾つ発生すると見込んでいるのか、お答えください。墨田区では、待機児童対策として、来年度までに2つの小学校の学区域で学童クラブを新設することを明らかにしています。新宿区も区民の願いに応え、学童クラブを増設すべきではないでしょうか。お答えください。 パブリック・コメントでは障害者の施設に関連した意見も多くあり、特にグループホームの設置について、民間任せではなく区主導での促進を望む意見がありました。計画には、払方町の国有地にグループホームを設置する事業者選定・建設の計画が盛り込まれましたが、募集はこれからで、まだ障害の種別も決まっていないということです。現在、区内に身体障害者の方が入所しているグループホームは、あじさいホーム、ひまわりホームの2カ所だけであり、多くの関係者が望んでおられますし、知的や精神もまだまだニーズがあります。第一次実行計画期間内に、これで終わりにせず、さらに計画し、これまでのように民間事業者が手を挙げるのを待つのではなく、区が率先して公有地等を確保して募集する、または区立での設置も検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。 パブリック・コメントでは、生活実習所の改善、もしくは新たに同様施設をつくることを要望する御意見もありました。1月31日、生活実習所保護者会から区長に対し、新施設への移転、あるいは現施設の大幅な改修を求める要望書が提出されたことも伺っています。昨年の第3回定例会では、私たちも含め、複数の会派がこの問題を取り上げました。しかし、計画事業には反映されませんでした。事は利用者と職員の安全にかかわることなのです。もともと特殊な形状の建物であり、職員の努力によって、これまで大きな事故もなく過ごせていましたが、ことし4月には定員50名に対し53名を迎えることになり、安全の確保が大変厳しくなることは目に見えています。常々区長がおっしゃっている、区民が安全で安心に暮らすための環境づくりが区の仕事ならば、現在のままの生活実習所でよいはずがありません。関係者の皆さんが求めている増設や新施設建設による移転、もしくは大規模改修を早急に検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。 このように、学童クラブや生活実習所の課題に背を向けているのは、やはり公共施設等総合管理計画があるからではないかと考えざるを得ないのですが、区長の御所見をお聞かせください。 ここで、計画事業、「公共施設等総合管理計画に基づく区有施設のマネジメント」について伺います。 素案では目標と年度別計画が空白でしたが、決定稿では、2020年度末の目標は2017年度末の現況と同じ、「新宿区公共施設等総合管理計画に基づく区有施設のあり方の検討」であり、ただし書きで、「検討結果については、今後実行計画に位置づけていきます」となっています。これで計画事業と言えるのでしょうか。第一次実行計画に明確に示さず、区民に広く意見を募ることなく、ローリングで小出しにすることは、区民への説明責任を欠いていると考えますが、区長の見解をお聞かせください。 パブリック・コメント等では、「人口増と高齢化に対して複合施設化を提案する」「公共施設を数字だけで減らすのは地域包括ケアの考え方と逆行する」「計画展開と着手を行うべき」「町会等で便利に使っている施設を修繕しながら残してほしい。計画では具体的に書いていないのが不安である」など、さまざまな意見があり、関心の高さが伺えます。区有施設のあり方の検討は、どこでどのように検討され、どのようなスケジュールで区民に提示されるのか、お答えください。 私は、現時点で具体化できないということは、実際には人口増加と行政需要の高まりに対応するためには、施設をなくすどころかふやさなければならない事態であり、公共施設等総合管理計画に現実味がないことのあらわれではないかと考えますが、いかがでしょうか。この際、公共施設等総合管理計画は廃止にすべきと考えますが、区長の見解を伺います。 この項の最後に、LGBT等性的指向・性自認により困難を抱える区民への支援について伺います。 パブリック・コメントに、戸籍と異なる性で生活している方から、「性別欄があるために強制的にカミングアウトしなければならず、苦痛である。不必要な性別欄はなくしてほしい」という趣旨の意見がありました。LGBT等への支援は、素案から変わらず計画事業にはなく、区長のこの間の取り組みへの姿勢が問われます。 先日、私たちは、この分野で先進的な取り組みをされている渋谷区を視察しました。男女平等・ダイバーシティ推進担当課長に、そもそものところから最新の取り組みまで、じっくりとお話を伺いました。印象的だったのは、「この取り組みのエンジンはダイバーシティとインクルージョン」「多様性を尊重するだけでなく、多様な人や考えがまざり合って渋谷のエネルギーにしていくこと」という理念が基本構想に盛り込まれていることです。この理念を具体化する施策として、1つは同性パートナーシップ制度ですが、現在、25組に証明書を発行しています。昨年は実態調査を当事者と区内企業に行いました。制度に対しておおむね高評価であること、証明書は、生命保険の受取人指定や病院での提示等、具体的に活用されていること、課題は公正証書づくりへの支援等でした。全国で2区4市に広がっている同性パートナーシップ制度を新宿区としても検討すべきと考えますが、いかがですか。 渋谷区の特徴的な取り組みとして、LGBTアライの見える化です。LGBTも見えにくいのですが、それを支援する支援者、イコール「アライ」の存在も見えにくく、LGBTの人たちへ安心感を与えられるよう、渋谷区として6色のレインボーのシンボルマークをつくり、ステッカーやバッジなどのグッズを作成しています。また、今年度は区内の企業や店舗の窓口に置いていただけるような「しぶやレインボー宣言」POPを作成し、普及に取り組んでいます。こうした視点は大切であり、新宿区としても取り組んではいかがでしょうか。 第一次実行計画は、東京2020
オリンピック・
パラリンピックに合わせて2020年までの3カ年計画にしています。そうであるならば、多様な区民が住み、働き、学び、行き交う新宿区に、東京2020
オリンピック・
パラリンピックでさらに多様な人たちが安心して集えるように、第一次実行計画のローリングの際にはLGBT等への支援を計画事業として盛り込み、多様性を認め、まざり合える新宿区をもっと世界にアピールしていただきたいと思いますが、区長のお考えをお聞かせください。 以上、お答えください。
◎区長(吉住健一) 第一次実行計画についてのお尋ねです。 初めに、放課後の居場所の充実についてです。 保護者の御意見については、学童クラブが保護者にかわって子どもを保護・育成する機能を持っていることを評価していただいたものと受けとめています。 区の平成30年度学童クラブ待機通知は、4年生以上の50名程度を見込んでいます。多くの自治体で障害児等を除いて4年生以上を対象としていなかったり、3年生以下の待機児童がいる中では、区では3年生以下は全て受け入れています。待機となった4年生以上の児童の保護者には、安心して新年度を迎えられるよう、個々の状況に応じたサービスを紹介してまいります。 定員を上回る学童クラブもありますが、定員を大きく上回る学童クラブについては、児童館スペースの活用による専用スペースを拡大するとともに、小学校を活用している学童クラブについても教育委員会との協議により新たなスペースを確保するなど、着実に対応してまいります。 また、学校施設を活用し、遊びと学びの支援を行う放課後子どもひろばの特徴を活かしながら、おやつや出欠管理、連絡帳など学童クラブで行っている保護機能を付加した事業である「ひろばプラス」とともに、多様化する家庭環境や子どもの成長段階に合わせて選択できるよう、放課後の居場所づくりを総合的に推進してまいります。 次に、グループホームの整備についてのお尋ねです。 在宅での生活が困難になった方や、入所施設等から地域移行を望む方の受け皿としてグループホームを整備するため、これまで都の整備費用補助に加え、区が独自に上乗せするなどの支援を講じてまいりました。 障害の重度化、障害者の高齢化の進行などによりグループホームの重要性は一層高まっていることから、区有地や国・都所有地を活用できるときはグループホーム設置を具体的に検討しながら、事業者には必要な情報を提供し、開設に向けた助言を行うことで設置を促進していきます。こうした取り組みを関係機関と連携し進めてまいりますので、区立設置は考えておりません。 次に、新宿生活実習所についてのお尋ねです。 新宿生活実習所には、来年度4名の方が特別支援学校を卒業し入所する予定です。そこで、陶芸室の陶芸窯を移設することにより活動室として使えるスペースを拡充するなど、施設面での整備を進めています。また、利用者の数に応じた職員を配置し、安全な施設運営ができるよう進めてまいります。 今後も利用者の動向を踏まえ、適切な対応をしてまいります。 次に、学童クラブや新宿生活実習所の課題と公共施設等総合管理計画との関係についてです。 学童クラブ事業については、「施設」ではないため、公共施設等総合管理計画とは切り離して進めていきます。 生活実習所を含む障害者福祉施設については、公共施設等総合管理計画において「障害の重度化や家族の高齢化に伴うニーズに適切に対応していくため、行政需要を踏まえ、施設を適切に維持管理していく」とし、また「対象者の重度化への対応や事業運営の効率化等の検討を行っていく」としており、今後も、この考え方に基づき運営してまいります。 次に、公共施設等総合管理計画に基づく区有施設のマネジメントについてのお尋ねです。 個別施設の検討は、公共施設等総合管理計画に基づき、施設からサービスへ発想を切りかえる、効果的・効率的な施設・インフラ等の管理を実現する、必要な施設・インフラ等を適切に維持するなどの基本方針に基づき、それぞれの施設の行政需要、地域需要、財政状況等を総合的に判断して進めていきます。 現在、総合政策部が中心となり、施設類型別基本方針に基づき、施設を所管する関係各部と検討を行っており、複合化、多機能化などの方向性が定まった施設については順次実行計画に位置づけるとともに、地域の方々や利用者の意見を踏まえ検討を行ってまいります。 少子高齢化の進展に伴い、社会保障関係費の増大が懸念されるとともに、
行政サービスに対する区民ニーズも多様化している中、公共施設に係るコストや将来必要とされるサービスに対応する施設量などを踏まえ、適切な区有施設マネジメントを行っていくためには、公共施設等総合管理計画が必要です。 次に、LGBT等性的指向・性自認により困難を抱える区民への支援についてのお尋ねです。 まず、同性パートナーシップ制度の検討についてです。 同性パートナーシップ制度については、その関係にある性的マイノリティの方が社会生活を送る上で抱えるさまざまな問題に対する取り組みと捉えていますが、結婚相当の関係と認める要件や、実際にどのような場面で使われて問題の解決につながるのかなど、総合的な検討が必要であると考えています。 いずれにしても、同性パートナーシップに対し、結婚と同等の保障を行うためには、結婚制度のあり方についての十分な議論を踏まえて、国において結論を出すことが必要と考えており、制度の導入については検討していません。 次に、LGBT等への支援にかかわる区の取り組みについてです。 区では、性的マイノリティの方が抱える悩みを受けとめ、各種申請書類からの性別欄の削除を初め、悩みごと相談室への専門家の配置、公共の建物におけるだれでもトイレの整備、職員や区民に向けた啓発講座の実施などに取り組んできました。 来年度からの第三次男女共同参画推進計画では、「多様な生き方をみとめあう社会づくり」を目標の一つとし、「多様な生き方への理解促進と支援」を取り組みの方向に加えました。これは、性には多様性があることを認め合い、性的マイノリティの方も生きやすい社会を目指していくことを示したものです。 具体的には、情報誌や講座を通じた意識啓発、当事者や家族の相談窓口の周知、NPO等との連携による支援などを実施することとし、意識啓発については第一次実行計画に位置づけて推進していくものです。 全ての人が自分らしく生きられる社会の実現には、誰もが年齢、性別、立場などにかかわらず、性の多様性を認識し、理解し、受容することが必要であることから、今後も着実に取り組みを進めていきます。
◆7番(佐藤佳一) 次に、ヘイトスピーチ対策について質問します。 2月7日、新宿朝日友好親善新春のつどいが開催され、私も含め、新宿区議会日朝友好議員連盟の議員が出席し、総務部長は区長代理として出席されました。つどいで、文化センター・アリラン副理事長、宋富子さんから、「ヘイトスピーチ解消法はヘイトスピーチをなくす第一歩であり、不十分な点はあるが、この法律を活かしていきたい。川崎市のガイドラインが施行されることによりヘイトスピーチをなくしたい」とお話がありました。また、在日本大韓民国民団新宿支部のニュースでは、ほぼ毎回ヘイトスピーチ問題について取り上げており、昨年12月15日号には「新宿区でも公園の使用を禁止して、ヘイトデモをなくしてほしいと思う」と書かれていました。 外国人排斥デモ、いわゆるヘイトスピーチデモは、2013年ごろから新大久保駅周辺、川崎市、大阪市等で始まり、大きな問題となりました。一時期回数が減り、規模も縮小傾向になりましたが、今またふえ始め、新宿区内のヘイトデモは2015年度6件、2016年度1件が、今年度は2月18日に行われたデモを含めて既に13件にもなります。 ヘイトスピーチは、不当な差別的言動により、その人格を否定し、人間としての尊厳、基本的人権を著しく侵害するものであり、国際的にも絶対に許されない行為です。国際サッカー連盟は憲章で、「人種、肌の色、民族、国籍等、いかなる種類の差別も厳しく禁じられ、資格停止または追放により罰せられる」としています。これにより、2014年にはJリーグの試合でサポーターが人種差別の垂れ幕を掲げたことに対し、その直後の当該チームの試合を無観客試合とする厳しい処分が下されたことになりました。もとより、
オリンピック憲章もあらゆる差別に反対しており、都知事は、この理念を条例化すると言っています。 2018年2月1日現在、新宿区の外国籍区民は4万2,589人で、人口の12.4%を占めています。韓国・朝鮮・中国籍の方を初め131カ国の方々が暮らしており、区は、多
文化共生推進課を設置して多文化共生に力を注いできました。2年6カ月後には東京2020
オリンピック・
パラリンピックが開催されます。開会式等のメーン会場となる国立競技場のある新宿区内で国際的に絶対に許されないヘイトスピーチデモが繰り返されれば、多くの外国の方たちに、新宿区はヘイトスピーチを許しているまちという印象を残してしまいかねません。直ちに対策を打たなければならない課題です。 区長のヘイトスピーチに対する基本的な認識と、デモがふえている現状についての認識、そして在日韓国・朝鮮の方たちの不安や要望をどのように受けとめておられるのか、お聞かせください。東京2020
オリンピック・
パラリンピックに向けた対策等もあわせてお答えください。 2016年6月、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律、いわゆる「ヘイトスピーチ解消法」が施行されました。内容は、不当な差別的言動は許されないことを宣言した理念法で、罰則はありません。一方で、地方公共団体に対しては、ヘイトスピーチ解消に向けた取り組みに関し、当該地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるものとするとしています。 区長は、地方公共団体の長として、この点をどのように受けとめられていますか。新宿区の実情に応じた具体的な取り組みが今こそ必要と思いますが、いかがですか。 私たちはこれまで、具体的な取り組みとして、川崎市と大阪市の事例を取り上げてきました。川崎市は昨年、公園など公共施設でのヘイトスピーチを事前に規制するガイドライン案を発表しました。パブリック・コメントでは922名から2,053件の意見が寄せられ、ガイドラインや趣旨に関することの意見1,153件中、同意する意見は833件で、約7割に上りました。意見の54件を案に加筆修正し、2017年11月10日に全国初のヘイトスピーチ解消法に基づく「公の施設」利用許可に関するガイドラインが策定されました。 昨年9月の決算特別委員会で川崎市のガイドラインについてお聞きしたところ、「我々も注目すべきところと考えている。パブリック・コメントの結果や施行後の状況も見て検討していきたい。人権擁護委員の意見を伺いながら進めたい」とのことでしたが、川崎市のガイドラインとパブリック・コメントの結果についての受けとめと、その後、区としてどのように検討され、人権擁護委員の皆さんにどのような意見をいただいたのか、お聞かせください。新宿区としても、川崎市のようなガイドラインを早急に策定すべきと思いますが、いかがでしょうか。 2016年7月、大阪市は全国初の「ヘイトスピーチへの対処に関する条例」を制定しました。前年の10月には、私も所属していた総務区民委員会が条例案について視察を行っています。先日、大阪市にお聞きしましたところ、制定後、市民からの申し出等34件あり、審議会で審議終了したのは9件、そのうち、ネット上にデモの動画を投稿する行為4件を条例に基づき公表したそうです。条例制定以後、デモが減っており、条例はそれなりの効果を上げているとのことでした。 昨年の決算特別委員会で大阪市の条例についても質問しましたが、「大阪市、川崎市、先進自治体周辺区も含め、情報を集めて検討する」と答弁しています。こちらの検討状況はどのようになっているのでしょうか。大阪市の条例も参考にして、新宿区の実情に合った条例を制定すべきと思いますが、いかがでしょうか。 以上、答弁を求めます。
◎区長(吉住健一) ヘイトスピーチについてのお尋ねです。 初めに、ヘイトスピーチに対する基本的認識と、デモがふえている現状への認識及び在日韓国・朝鮮の方々の不安や要望をどう受けとめているかについてです。 在日韓国・朝鮮の方々のみならず、特定の国籍や民族であることや、身体的・精神的な差異から相手を憎悪する表現を行うことは許されるべきではないと認識しています。 デモがふえている現状を分析すると、国家間の約束事が一方的に破棄されるのではないかという不信感に端を発していると感じていますが、そのことがヘイトスピーチをしてもよいという理由にはなりません。ヘイトスピーチが区内で行われることは残念なことであると同時に、同じ日本人として恥ずかしいと考えています。ヘイトスピーチのデモ行動に区民が参加しているかはわかりかねますが、ヘイトスピーチの被害に遭われている方々の不安や要望を受けとめ、人権意識の啓発活動を強化するなどの対策を引き続き実施してまいります。 東京2020
オリンピック・
パラリンピックに向けては、これまで行ってきた国や東京都との連携を引き続き強化しながら、新宿への来街者に対しても人権意識のさらなる普及啓発を行ってまいります。 次に、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」において「当該地域の実情に応じた施策を講ずるよう努める」とされた点の受けとめ方と、区の実情に応じた具体的取り組みが必要ではないかとのお尋ねです。 ヘイトスピーチを初めとしたデモ活動というものは、自治体の境界を超えて人が集まり、区域をまたいで実行されるものも多く、警察機関を持たない基礎的自治体としてヘイトスピーチ対策には工夫が必要と受けとめています。住居専用地域から商業、準工業地域まで地区ごとに多様な特徴を持ち、来街者も多い区の実情を鑑みて、区民や来街者への啓発活動や施設等の利用によって周囲に危険が及ぶことがないように注意喚起をしていかなくてはならないと考えています。 次に、川崎市のガイドライン及びパブリック・コメント結果の受けとめと、その後の区としての検討及び人権擁護委員の皆さんからの御意見、また、区としても川崎市のようなガイドラインを策定すべきとのお尋ねです。 議員御指摘のとおり、川崎市が実施したガイドライン(案)へのパブリック・コメントには、2,000件を超える多数の御意見が寄せられました。うち、ガイドラインの趣旨に対する御意見については7割弱が賛同の方向、3割強が不賛同の方向であったと理解しています。そのほか、定義や対象、利用制限、審査や判断に関することに対し賛否さまざまな御意見の内容が公表されているところです。 一方、ヘイトスピーチ対策に関する人権擁護委員の方々の御意見としては、区が行った公園使用許可証への文言追記及びヘイトスピーチ防止チラシの添付について御賛同いただくとともに、人権意識の普及啓発の推進や公共施設利用の考え方、多様な人々の交流促進についての御意見などがありました。 区としては、現在、ガイドライン策定についての具体的な検討はしておりませんが、川崎市では本年3月末をめどにガイドラインが施行される予定ですので、施行後の状況も把握し、人権擁護委員の方々の御意見とあわせて、今後の取り組みの参考にしていきたいと考えています。 次に、条例制定に関する検討状況と、大阪市の条例を参考に区の実情に合った条例を制定すべきとのお尋ねです。 区としては条例の制定は考えておりませんが、大阪市の条例施行後の状況と川崎市のガイドライン施行後の状況、他自治体の取り組みについて引き続き情報収集を行い、参考としてまいります。
◆7番(佐藤佳一) 次に、待機児童解消と子育て支援策の充実について質問します。 最初に、認可保育園の待機児童解消についてです。 ことし4月入園の申し込みに対する結果が2月19日に通知されました。希望する認可保育園のどこにも入れず、「保育園落ちた」人たちに対して送られた不承諾通知は、ことし何通だったのか、まずお答えください。 今後、繰り上がりがあるとはいえ、当初区が目指していた待機児童ゼロの目標は残念ながら達成できそうにありません。ところが、区長の基本方針説明では、ことし4月1日の待機児童ゼロという目標が達成できそうにないことには一言も触れられず、そもそも今年度当初、区の計画では、認可保育園9所、643名分を整備することになっていたにもかかわらず、6所、474名分にとどまったことに対する総括もありませんでした。 区長は、今年度の整備目標が達成できなかったこと、待機児童ゼロが達成できなかったことについて、その原因も含めどう総括しているのか。ことし4月1日の待機児童数を、国の基準による待機児童数と、認可保育園を希望しているのに入れない本来の待機児童数、それぞれ何名になると見込んでいるのかもあわせてお答えください。 保育園入園希望者によく見られている「東京保活」というサイトに、23区の認可保育園入園決定率ランキング2017年度版が掲載されていますが、1位は豊島区で90.8%、新宿区は8位、69%でした。東京新聞の報道によると、「豊島区は、昨年達成した待機児童ゼロ維持のため、私立認可保育所10園、定員600人をふやすなどの待機児童対策18事業に計23億272万円を投じる」そうです。新宿区もそれなりに頑張っているとは思います。しかし、消滅可能性都市と指摘された豊島区の必死さに比べたら、区長の所信でも危機感は乏しく、本気度が問われているのではないでしょうか。 来年の4月に向けては、ことし5月、上落合に開設予定の1所のほかに、7所、455名分を整備する予算が計上されていますが、そのうち6所が賃貸物件を活用した私立認可保育所とされています。しかし、今年度末に閉園し、同時に新規の認可保育園として整備する予定だった保育ルーム早稲田は、賃貸物件が見つからず、休園中の戸塚第一幼稚園舎の一部を改修して保育ルームのまま移転せざるを得ませんでした。このような経過から見ても、賃貸物件では保育園の整備は進まないということがはっきりしたのではないでしょうか。 他区の事例として、北区が学校跡地を活用した区立認可保育園を整備したことは以前も紹介しましたが、目黒区では昨年4月の待機児童数が前年より倍増したため、2021年までに3,581名の定員増を目標に待機児童対策を打ち出し、実現が見込める国公有地、区有施設については具体的な検討を始めるとしています。新宿区内にも、旧児童相談センター及び一時保護所の跡施設など、都有地や戸山一丁目国家公務員宿舎跡地などの国有地があります。改めて公有地、施設を洗い出し、あらゆる可能性について検討を行い、少なくとも来年4月1日で区のいう待機児童数をゼロにし、第一次実行計画期間内に、いわゆる隠れ待機児童を含む認可保育園の待機児童ゼロを実現すべきではないでしょうか。 また、保育ルーム早稲田は、区立公園等に仮設の保育園をつくって移転し、戸塚第一幼稚園舎を建てかえることが現実的だと思います。戸塚第一幼稚園舎を活用するには、建築基準法などの課題があることは承知していますが、あらゆる方策を具体的に検討すべきではないでしょうか。区長は、今後の保育園整備計画をどのようにして進めていかれるのか、お答えください。 次に、子育て支援策の充実についてです。 昨年、文教子ども家庭委員会が視察した兵庫県明石市では、弁護士でもある市長が直接説明をされたそうですが、市長のイニシアチブで子育て支援の充実が図られてきた結果、人口と税収のV字回復につながったとのことでした。視察の目的は、ひとり親家庭に対する支援など子どもの貧困対策についてでしたが、しかし、市長の話で強調されたのは、どの子も大事にするという考えから、あらゆる施策は基本的に所得制限を設けず、市民の中で対立を生まないようにしてきたことが子育て世代に評価され、人口もふえたのだと聞きました。 現在、国でも教育の無償化が議論されていますが、とりわけ小・中学校の教育における保護者負担の軽減は、区が責任を持って進めなければならないと思います。就学援助の前倒し支給については、23区の中でも新宿区は早い時期に決断をしていただき、その点では区教育委員会に敬意を表するものですが、個別の施策では先進的な事例を参考に、さらに前へ進める必要があると思います。 1月26日付都政新報で「給食無償化へ動きじわり/全国で導入例相次ぐ/『給食』を優先課題に」という見出しで、「都議会の多くの会派が来年度の予算要求や昨年の都議選の公約に給食無償化を盛り込んでおり、きっかけ次第では状況が一変する可能性も秘めている」と報道しました。学校給食無償化については私たちも要求してきましたが、昨年度学校給食費を無償化したのは63市町村、さらに今年度、20市町村で無償化が始まり、合わせて83市町村に広がっています。昨年、文部科学省は初めて学校給食無償化調査を実施しました。国も自治体が行う学校給食無償化等に対し一定の補助を検討するのではないかと期待されていますが、無償化を実施する自治体がふえればふえるほど国の背中を押すことになり、そうした点からも新宿区が一歩踏み出すことが重要です。 葛飾区では現在、学校給食等への経済的支援として、就学援助は新宿区と同様、生活保護基準の1.2倍を認定基準額としていますが、これに上乗せする形で生活保護基準の1.3倍を、費目認定といって、学校給食費や修学旅行費など費目を限定して補助を行っています。5年前に始まった生活保護基準の引き下げ分をカバーすることができるとして、1.3倍の費目認定の制度ができたとのことです。さらに、就学援助の対象とならない御家庭には多子世帯の学校給食補助制度があり、中学生以下のお子さんが3人以上いる世帯を対象に、3人目以降のお子さんの給食費を全額補助しています。また、食材費高騰の影響で給食費が値上げとならないよう、全ての食材等を対象に給食費の補助を2009年度から実施しており、それ以降、給食費は据え置かれています。こうした二重三重に網をかける制度で、葛飾区では学校給食費について約3分の1が公費負担、つまり無償化となっており、保護者から大変喜ばれているそうです。 また、品川区も、所得制限はあるものの、1980年から多子家庭給食費補助を実施しており、葛飾区同様、中学生以下のお子さんが3人以上いる世帯を対象に、3人目以降のお子さんの給食費を全額補助しています。 新宿区でも食材費高騰に対応して牛乳を現物支給する形で補助を行った時期がありましたが、2010年度に補助を取りやめ、給食費が値上げされました。しかし、今また食材費の高騰や生活保護基準のさらなる引き下げも予定されており、給食費に対する補助がますます必要とされています。また、国は、5年前から3年連続で実施した生活保護基準の切り下げをまた行おうとしていますが、就学援助の基準を、切り下げ前の生活保護基準を堅持するとともに、基準を1.2倍から1.3倍に拡大し、多子世帯への給食費の補助を行ってはいかがでしょうか。お答えください。
◎区長(吉住健一) 待機児童解消と子育て支援策の充実についてのお尋ねです。 初めに、認可保育園の待機児童解消についてです。 平成30年4月入園の第1次申し込みに対して、2月19日に発送した不承諾通知数は426通でした。これは、昨年度と比較し17通の増となっています。 次に、今年度の整備数が6所にとどまったことに対する総括と、その原因についてです。 区では、賃貸物件を活用した保育所の整備や認証保育所の認可化などにより、平成30年4月の待機児童ゼロを目指し、保育定員を昨年度4月1日から557名拡大しました。しかし、賃貸物件を活用した保育所の整備では、3所で物件が見つからず、予定数には満たない結果となりました。 整備が進まなかった原因の一つは、保育所として要件に適合する適切な空き物件が見つからなかったことです。もう一つは、提案された物件のオーナーが保育所以外の用途へ意向を変えられたため、整備につながらなかったことが原因です。 次に、4月1日の待機児童数の見込みについてです。 平成30年4月入園の1次申込者数は2,103名で、昨年の1次、2次を含めた申込者数2,065名を既に上回っています。一方、毎年一定数の辞退者がいることや、企業主導型事業所内保育所が区内に開設されることの影響などから、現状で待機児童数を推計することは困難だと考えています。 区では、国の定義に沿って待機児童数を把握しています。このため、認証保育所や企業主導型事業所内保育所に入所している児童の数の把握や、育児休業中の方に復職の意思があるかなどを確認する必要があることから、待機児童数が判明するのは4月下旬ごろになる見込みです。 次に、保育所整備の方策についてです。 区有施設の活用では、平成30年4月に薬王寺児童館等合築施設内に待機児童対策として(仮称)アスク薬王寺保育園を整備します。また、保育ルーム早稲田は、園児の通園なども考慮した適地に物件が見つからず、緊急措置として戸塚第一幼稚園舎に移転しますが、引き続き賃貸物件を活用した保育所の整備を進めていきます。 現在、東京都戸山庁舎として活用されている旧児童相談センターの建物や、戸山一丁目の国家公務員宿舎跡地については、都や国において別途活用が検討されていると確認しています。今後も保育所の整備が必要な地域にある公有地の情報収集に努めるとともに、適地であれば積極的に保育所としての活用について要請していきます。 平成30年度は、民間事業者による新小川町複合施設建設に伴う私立保育所に加え、賃貸物件を活用した私立保育所6所を整備します。また、就学前児童の転入が見込まれる大規模開発やファミリー向けマンションの建設事業者には保育施設の設置を求めるなど、あらゆる手法を活用し、増加する保育需要に応えてまいります。 区では、新宿区子ども・子育て支援事業計画に基づき、保育所の整備を行っています。この計画に定める量の見込みと保育定員の確保数については、毎年4月1日に保育認定を受けている方の数から算出した保育のニーズ率に基づき見直しています。今後も、保育ニーズを的確に捉えながら、待機児童対策に取り組んでまいります。
◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 子育て支援策の充実についてのお尋ねです。 初めに、就学援助の現行基準の堅持と基準の拡大についてです。 現在、教育委員会では、就学援助の認定について、引き下げが行われた平成25年以降の生活保護基準額の影響が及ばないよう配慮しています。 平成30年度以降の対応については、生活保護基準の改定内容、社会経済状況などを踏まえ、区長部局と連携し検討していく必要があると考えています。 就学援助の認定基準については、平成29年度現在で23区中、新宿区を含め15区が生活保護基準の1.2倍以下の所得としていることから妥当なものと考えており、倍率の引き上げは考えておりません。 次に、多子世帯への給食費の補助についてです。 学校給食は、食育の生きた教材として大きな役割を担っていますが、一方では食事の提供という側面もあります。このため、適正な受益者負担の観点から、学校給食法が規定する経費負担区分を踏まえ、新たな補助を行う考えはありません。 なお、経済的な理由により給食費を負担することが困難な保護者に対しては、就学援助で適切に対応してまいります。
◆7番(佐藤佳一) 次に、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、および介護保険について質問します。 第1に、国民健康保険料についてです。 2月16日に23区区長会が開かれ、新宿区は翌17日土曜日に国民健康保険運営協議会に諮り、昨日19日に
国民健康保険条例改正案が追加提出されました。2月9日付都政新報によれば、23区は統一保険料方式を維持し、国の激変緩和措置期間に合わせて法定外繰入の解消を目指すが、千代田区は統一方式から離脱して中低所得者層は値下げの方針で、一般財源からの繰り入れはほぼ横ばいと報じています。江戸川区は、それとは逆の意味で統一方式から離脱し、一般財源投入を前倒しでなくしていく方向と報じられました。中野区も統一方式離脱で値上げしない方針と聞いています。 区長は、この3区の動きについて、どのようにお考えでしょうか。また、都道府県化によって保険料が大幅に上がることをどのように受けとめ、区としてどのような対応が必要だとお考えなのか、お答えください。 区政の基本方針説明で区長は、
行政サービスの財源として、国保料と区民税の高い収納率確保に努めると述べました。しかし、国保は社会保障制度の一環であり、あれこれの
行政サービスと同列に置き、国保料を単に財源として捉えるべきではないと思います。むしろ、都道府県化することにより、区の一般財源からの繰り入れを大幅に減らし、そのために国保料が大幅値上げとなり、区民生活に大打撃を与えることに区長は言及すべきではないでしょうか。そうでなければ、単に区民生活に無関心というだけでなく、国保制度大改革が区政に及ぼす影響や今後の保険料の推移についての説明責任回避だと思いますが、区長の認識を伺います。 高い保険料を賦課し、払えなければ短期保険証や資格証明書を発行し、さらに差押・執行までして強制的に徴収するのに、被保険者が保険料決定に意見を述べる機会もないのは民主主義とは言えないと思いますが、この決定方法についても認識を伺います。 国民健康保険料の子どもの均等割についても伺います。 昨年の第1回定例会での我が会派の質問に対し、区長は「子どもの均等割減免は国が制度を創設すべきで、全国市長会にも提言しているが、区単独では実施しないし東京都にも提案しない。多子世帯の減免は限られた世帯への一般財源投入になり、公平性の観点から実施する考えはない」と答弁されました。東京都内では、昭島市と東大和市が既に多子世帯の負担軽減をしていますが、区長が国に期待して待っている間にも状況は変化し、新年度から清瀬市も実施するそうですし、埼玉県のふじみ野市、富士見市も4月から第3子の全額免除を実施するとのことです。兵庫県赤穂市など、西日本でも実施自治体がふえつつあります。区長も必要性は否定しないのなら、国の施策をリードする姿勢で実施に踏み切るべきではないでしょうか。 また、限られた世帯に一般財源を投入することは公平ではないとおっしゃいますが、区の事業の多くは対象者が限定されています。子どもの貧困対策の必要が叫ばれている中、多子世帯への支援に異を唱える区民はいないのではないでしょうか。協会けんぽは子どもに均等割はかかりません。国保もせめて多子世帯だけでも無料化するよう区長の決断を求めますが、いかがですか。 第2に、後期高齢者医療保険料についてです。 東京都後期高齢者医療広域連合議会は、1月31日、来年からの2年間の保険料について、余剰金180億円を活用して値上げ幅を圧縮したものの、平均1,635円、1.7%の値上げする案を可決しました。また、都連合独自の4項目の特別対策等は継続しますが、政府の低所得者対策見直しはそのまま実施することも決めました。その結果、加入者の約3割に当たる年金収入211万円を超える場合は保険料が下がりますが、7割近くを占めるそれ以下は値上げになります。財政安定化基金の一部活用で値上げは抑えられたのに、それをしないで低所得者の値上げを決めたことは問題であり、今後はこの基金活用を広域連合に求めるべきと考えますが、いかがですか。 第3に、介護保険についてです。 第7期の基準介護保険料は月額6,200円と提案されました。介護給付準備基金は、15億円の活用で600円下げてもなお300円の値上げです。6,200円は、第1期保険料3,248円の1.9倍です。この18年間、高齢者の年金はふえるどころか減る一方で、ふえ続ける介護保険料が家計を圧迫しています。介護給付に占める1号被保険者の負担割合は、第1期は17%でしたが、7期は23%です。今後、団塊の世代が75歳以上になり、給付額が増大し、その上負担割合が上がることを考えると、どこまで保険料が上がるのかと背筋が寒くなります。国は、軽度者は介護保険から外し、重度者にサービスをシフトして給付を抑制するとともに、利用者負担をふやすことで制度の維持をもくろんでいます。それで制度は維持できたとしても、高齢者の生活は維持できません。新宿区は、16段階に多段階化をして低所得者の保険料負担を抑える努力をしてきましたが、それも限界があります。公費を50%以上にふやすこと、特に国が25%の負担割合を引き上げ、最低でも5%の調整分は25%と別枠にするよう国に要望すべきと考えますが、いかがですか。 第一次実行計画で、国有地を活用して新たに市谷薬王寺町に特別養護老人ホーム、払方町に認知症高齢者グループホームを整備する計画が示されたことは歓迎します。今後、第7期では、6期で計画倒れに終わったグループホームや小規模多機能型居宅介護等が確実に整備されるような特別の対策が必要です。また、基本的に要介護3以上の方しか申し込めなくなった特別養護老人ホームの待機者は、昨年11月現在639名であり、第8期に向けて薬王寺以外にも特養をふやすよう、今からの対策を求めますが、いかがですか。 介護報酬が見直され、身体介護は少しプラスですが、生活介護はマイナスです。ある事業所が試算したら、トータルの収入はマイナスになってしまうそうで、あとは加算をとって乗り切るしかないと言っています。加算は否定しませんが、基本となる報酬がプラスにならなければ事業所の経営もヘルパーの雇用継続もできません。区長からも、そのことを国に意見を述べるべきです。 そして、区内事業者の経営を危機に陥れてきたのが、新宿区の安過ぎる総合事業の単価でした。新年度には見直すとの答弁でしたが、いつからどのように改善するのか、訪問介護の予防給付はどの程度まで回復する見込みなのか、事業者へ説明を行い理解が得られたのか、お答えください。
◎区長(吉住健一) 国民健康保険料、後期高齢者医療保険料及び介護保険についてのお尋ねです。 初めに、国民健康保険料についてです。 まず、統一保険料と異なる3区の動きについてです。 国民健康保険制度改革に伴う特別区の対応方針では、都内保険料水準の統一、医療費の適正化、収納率の向上、法定外繰入の解消または縮減という将来的な方向性に沿って段階的に移行すべく、23区統一で対応することとしました。ただし、この水準を参考に各区独自で対応することも可としました。保険料を独自に設定する3区については、この方針に沿って判断したものと考えます。 次に、都道府県化による保険料への影響についてです。 今回の制度改革は、都道府県単位の医療給付費等を区市町村保険者の支え合いにより公平に分担する仕組みへの改正であり、都道府県単位で見れば、保険料のあるべき水準そのものが上がることはないと考えます。 一方で、区市町村単位で見れば、納付金の仕組みへの変更に伴い、特に所得水準の高いところは相対的に保険料水準が上がることになりますが、これらに対しては制度改革に伴う激変緩和措置が講じられています。区としては、あるべき保険料水準を踏まえながら、急激な保険料の上昇を緩和することに留意し、必要な対応について特別区全体の中で議論していきます。 次に、一般財源からの繰入金を減らすことにより保険料が大幅に上がることに言及すべきとのお尋ねです。 国民健康保険制度は、医療給付に係る費用を制度的に定められた公費と被保険者の保険料によって賄うことが原則です。他の社会保険制度との公平性の観点から、あるべき保険料水準に近づけて法定外の繰入金を解消することの必要性を被保険者の方に御理解いただくことが重要であると考えます。 次に、制度改革の区政に及ぼす影響と今後の保険料の推移に対する説明責任についてです。 今回の制度改革は、国民健康保険財政を改善することで、国、都道府県及び区市町村が一丸となって国民健康保険制度を守り、区民の医療を保障していくことが目的です。今後もこの観点を踏まえながら、保険料の急激な上昇に配慮し、制度の円滑な運営に向けて説明責任を果たしていきます。 また、保険料の推移については、医療費に関する国の政策の動向や被保険者数の変化などに影響を受けることから、中長期的な見通しを示すことは困難であると考えます。毎年の保険料の検討に当たって、適切に判断し説明していきます。 次に、被保険者が保険料決定に意見を述べる機会がないとのお尋ねです。 保険料の決定に当たっては、国民健康保険運営協議会に諮問し、被保険者を初め保険医、被用者保険及び公益の代表として区議会議員等、さまざまな立場を代表する委員から意見を伺うことで適正な手続を経ているものと考えます。 次に、多子世帯だけでも保険料の均等割を無料化するべきとのお尋ねです。 多子世帯への支援については、特別区長会から国に対して、国の責任において財政措置を講ずるよう要望しているところです。したがって、多子世帯の国民健康保険料を区単独で無料化することは考えていません。 次に、後期高齢者医療保険料の算定における財政安定化基金の活用についてのお尋ねです。 後期高齢者医療制度の財源構成は、患者負担分を除き高齢者の保険料が約1割、現役世代からの支援が約4割、公費が約5割となっています。このように、費用の大部分が公費や現役世代からの支援金で賄われていることから、高齢者からも応分の負担を求めざるを得ないと認識しています。 平成30年度、平成31年度に繰り越せる剰余金180億円が活用できる見込みとなり、急激な医療費の上昇への対応が、本来の設置目的である財政安定化基金を活用せずとも適切な保険料率設定ができることとなりましたので、広域連合へ当該基金の活用を求めることは考えていません。 次に、介護保険についてのお尋ねです。 介護保険制度は、サービスの提供に係る費用を公費と保険料で50%ずつ負担し、社会全体で支え合う制度です。将来にわたって持続可能な制度運営を行うためには、現行制度における一定の負担は必要なことと考えています。 なお、国の負担割合については、介護給付費負担金25%を確実に交付し、調整交付金5%を別枠とすることを従来から全国市長会等を通じて要望しています。 次に、特別養護老人ホームの整備についてのお尋ねです。 区では、介護が必要になっても在宅生活が継続できるよう介護保険サービスの充実を図るとともに、在宅生活が困難になった高齢者を支えるため、特別養護老人ホームの整備を計画的に進めてきました。今後、市谷薬王寺町国有地を活用して、新たな特別養護老人ホームの建設に向けて整備を進めていきますが、今後の高齢社会の進展を踏まえ、状況に応じて整備を検討していきます。 次に、介護報酬についてのお尋ねです。 今回の報酬改定では、自立支援・重度化防止に資する訪問介護を推進・評価する観点から、身体介護に重点を置くものとなっており、身体介護はプラスとなっています。一方、生活援助は若干のマイナスとなっていますが、生活援助従事者のための短時間の研修制度を創設し、担い手の裾野を広げるとともに、新たな研修による従事者についても配置人員として認めるという基準の緩和も行っています。身体介護は介護福祉士等が担うこととし、生活援助は多様な担い手が従事することを目指した改正であり、訪問介護事業所にとっても人材確保に資する内容となっています。こうしたことから、報酬の見直しについて、国に意見を述べることは考えていません。 次に、総合事業の単価についてのお尋ねです。 区では、平成30年4月の介護報酬改定に合わせ、総合事業のサービス区分等の一部見直しを予定しています。訪問介護相当サービスについては、現在、身体介護に要する時間に応じてサービス費の設定区分を3区分としていますが、身体介護に要する時間が最も短い区分を廃止し、2区分とします。これにより、専門的見地からの訪問介護相当サービスと自立生活維持のための生活援助サービスとの差別化を図り、身体介護のサービスが必要な方は訪問介護相当サービスを御利用いただくなど、適切なサービスへの移行を促進してまいります。 こうした取り組みは、専門性を持った介護事業者が、より重度の支援が必要な方へのサービス提供に専念できる環境づくりにつながるものと考えています。事業者には、こうした見直しの考え方を含め、丁寧な説明を行い、理解を求めてまいります。
◆7番(佐藤佳一) 区長並びに教育委員会から御答弁をいただきありがとうございました。 質問に対して評価すべきところ、また、そうでないところ、多々ありましたが、特に財源を確保することについて、区長は不合理な税源偏在という言葉を使いました。こうした事態を、やはり区民に広く知らせることが大事だというふうに思います。 不十分な点については、今後設置される予算特別委員会で同僚議員から質疑をさせていただきます。 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(佐原たけし) ここで、議事進行の都合により休憩します。
△休憩 午前2時48分
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△再開 午後3時09分
○議長(佐原たけし) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。 5番小野裕次郎議員。 〔5番 小野裕次郎議員登壇、拍手〕
◆5番(小野裕次郎) 立憲民主党・無所属クラブの小野裕次郎です。 私たちの会派は、1月1日付で立憲民主党・無所属クラブに名称が変更となりました。分断と排除の政治が行われ、この国の立憲主義が危機にさらされています。誰もが自分らしく生きられる社会を目指し、日常の暮らしや現場のリアルな声に根差したボトムアップの政治を実現するため、私たちは全力で活動してまいります。 それでは、改めて決意を述べさせていただいた上で、立憲民主党・無所属クラブとして初めての質問に入らせていただきます。順次質問いたしますので、どうか誠意ある御答弁をお願いいたします。 まず、平成30年度予算(案)についてお伺いします。 吉住区長は、15日の基本方針説明の中で、現在の経済状況を、「景気回復局面は、高度経済成長期の『いざなぎ景気』を超え、戦後2番目の長さとなっており、デフレ脱却の展望も見えてきたと言われている」と述べられました。基本方針説明の冒頭での言葉でしたが、私には、国民一人ひとりが景気回復を実感している状況とはとても思えません。特に高齢者や若いお子さんをお持ちの世帯などは、厳しい生活をされている方がまだまだ多くいらっしゃるのが現状ではないでしょうか。区長は、新宿区民の生活状況をどのように捉えていらっしゃるのか、まずお聞きします。 平成30年度予算案は、「次の10年を展望する新総合計画の達成に向け、新たな一歩を踏み出す第一次実行計画を確実に推進する予算」として編成されました。そして、「積極的な施策の重点化」、「社会経済情勢の変化に機動的かつ的確に対応できる行財政運営の確保」、「行政評価や決算実績などに基づく
PDCAサイクルによる事務事業の見直し、内部管理経費の精査などによる徹底した経費削減」、「特別区税を初め、より一層の歳入確保」を基本方針としています。 そこでお聞きします。 まず、「次の10年を展望する新総合計画の達成に向け、新たな一歩を踏み出す第一次実行計画を確実に推進する予算」との位置づけですが、平成29年度予算と比べて何が違うのか、どのような点が10年後を見据えた新たな第一歩の予算なのか。区民に届くよう、わかりやすくお答えください。 続いて、基本方針について伺います。 「積極的な施策の重点化」は、現在の社会状況や区民ニーズに合わせて柔軟に対応して、スピード感を持って施策を展開していくという意味だと思いますが、区長は、新宿区の状況をどのように分析し、平成30年度予算案ではどのような施策に重点を置こうとお考えなのか、お答えください。 次に、「行政評価や決算実績などに基づく
PDCAサイクルによる事務事業の見直し、内部管理経費の精査などによる徹底した経費削減」についてお聞きします。 平成30年度予算案では、事務事業の見直しのため、原則として2年間連続して執行率が95%以下、不用額200万円以上の事業について、執行率に応じて削減率を設定し、経費の削減を行うことを基準としています。もちろん、このことは、限られた財政の中で区政運営を行うため、非常に重要なことですが、基準に照らし合わせ機械的に削減しているわけではないと思います。今回の事務事業の見直しでは、不用額等精査で4億1,500万円の経費の削減を行っていますが、どのような事業が対象となったのか、例を挙げて幾つかお聞かせください。 次に、「特別区税を初め、より一層の歳入確保」についてお聞きします。 新宿区の一般財源歳入の約30%を占めるのが特別区税です。予算案では、その額を平成30年度は前年比4.2%、19億円増の465億円と見込んでいますが、その要因を納税義務者数の増加に伴ってとしています。納税者人口の推移と収入率を予測しての判断だと思いますが、平成30年度は収入率の見込みを示す収入歩合についてはどのようにお考えか、お聞かせください。 また、徴収率向上のために何か取り組まれることがあれば、お聞かせください。 さらには、区長は、基本方針説明の中で、税外収入のさらなる確保を図るとしていますが、どのような方法で税外収入の確保を図っていくのか、具体的にお聞かせください。 次に、歳入に影響を与えるふるさと納税、地方消費税交付金、法人住民税の一部国税化について伺います。 ふるさと納税は、個人住民税の寄附金税制が拡充されたものであり、地方自治体に対する寄附金のうち2,000円を超える部分について、個人住民税所得割のおおむね2割を上限とする金額が所得税とあわせて控除される制度です。平成27年4月1日からは、ふるさと納税ワンストップ特例制度が始まり、ふるさと納税が容易になった反面、新宿区の歳入に大きな影響を与えています。平成30年度予算案では、ふるさと納税が当区にどの程度の影響が出るとお考えか、お聞かせください。 また、現時点でのふるさと納税に対する区長の御見解を伺います。 また、地方消費税交付金は前年度より16億円の減額となっています。特別区税の増額見込みの19億円とほぼ同額であり、大きく区財政を圧迫しています。清算基準の見直し等が原因ということですが、これまでの経緯と、新宿区としてどのようにお考えかをお答えください。 最後にお聞きします。 2月16日、特別区長会において、ふるさと納税、地方消費税交付金、法人住民税の一部国税化について共同声明を出したと聞いています。その内容と趣旨はどういうものなのか、さらには、今後国に対してどのように働きかけをしていくのか、区長のお考えをお聞かせください。
◎区長(吉住健一) 小野議員の御質問にお答えします。 平成30年度予算案についてのお尋ねです。 初めに、区民の生活状況についてです。 平成29年度の区民意識調査では、生活における心配事のうち「暮らしに十分な収入が確保できないこと」については、「今は心配ではないが、4年から5年以降は心配になると思う」と答えた人が37.8%と最も多く、「自分は心配ない」が28.8%、「今心配である」が17.5%と続いています。また、中小企業の景況調査においては、一部で上向いているものの、全般的な業況はマイナスで推移しています。このように、区民の生活状況は楽観視することはできず、慎重に見きわめていく必要があるものと認識しています。 次に、平成30年度予算案と平成29年度予算との相違点、また10年後を見据えた新たな第一歩について、さらに新宿区の現況分析と平成30年度予算案における施策の重点化についてのお尋ねです。 平成29年度予算は、新たな総合政策の実行性を担保するため、その足場を固める予算と位置づけ、第三次実行計画の達成と現総合計画の総仕上げ、また安定した財政基盤の確立に向けた取り組みを進めています。平成30年度から2027年度までの新
総合計画期間においては、2年後に迫った東京2020
オリンピック・
パラリンピックの開催と、その後を見据え、少子高齢化の進展や、切迫性が高まる首都直下地震を初めとする災害への的確な対応、安全で安心なまちづくりの強化など、持続的に発展し続ける新しい新宿を創造していくことが必要であると考えています。 このため、平成30年度予算は、現総合計画の取り組みを引き継ぐとともに、現下の社会経済情勢や直面する区政課題などを踏まえ、「次の10年を展望する新総合計画の達成に向け、新たな一歩を踏み出す第一次実行計画を確実に推進する予算」と位置づけ、5つの基本政策に基づく施策により、基本構想に掲げる、めざすまちの姿「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」を実現してまいります。 次に、平成30年度予算案における事務事業の見直しについてのお尋ねです。 区財政を取り巻く環境は依然として不透明であり、予断を許さない状況にあります。安定した財政基盤を確立するためには、限られた財源の重点配分を行うとともに、事業の見直しを初め、決算実績に基づく経費の削減などが重要となっています。 平成30年度予算編成に当たっては、その編成手法の一つとして、平成27年度と平成28年度の決算実績から当初予算対比で執行率95%以下、かつ不用額200万円以上の事業を対象としました。主な事業としては、保育所の管理運営費、街路灯の電灯料、小・中学校の光熱水費など、約4億円の経費を削減しました。このほか、定員適正化計画に基づく人件費の削減や決算実績等の検証による指定管理料の見直しを行い、執行率の向上と経費削減に努めたところです。 次に、平成30年度特別区税予算の収入歩合についてです。 平成30年度予算における特別区民税収入額は、人口の増加傾向を踏まえ、納税義務者数を前年度に比べ2,501人の増、区民総所得金額を各種経済指標や過去の実績等を踏まえて2.3%の増と推計し、約413億円と見積もり、特別区税全体では前年に比べ4.2%増の約465億円と見積もっています。 この特別区税予算における収入歩合は、過去の徴収実績や経済状況等を勘案し、それぞれ設定しているものです。平成30年度予算における特別区民税の収入歩合では、年4回、直接区に納付していただく普通徴収分では94.5%、勤めている会社が給与から差し引き、区に納入する特別徴収分では99.8%とし、前年度以前からの滞納である滞納繰越分の収入歩合は34%としているところです。 次に、徴収率向上のための取り組みについてです。 徴収に関しては、納税催告センターを活用した滞納者への早期対応、高額滞納者や累積滞納者への整理強化を進めています。また、未納のまま転出する方も多いため、年10回程度、区外への訪問徴収を行うほか、平日納付相談に来られない方へは、年7回、休日納付相談を実施するなど、日々徴収努力を積み重ねています。 今後も、こうした徴収率向上の取り組みを継続し、一層の歳入確保に努めてまいります。 次に、税外収入の確保についてのお尋ねです。 区では、行政財産として使用しなくなった不動産の貸し付け、区公式ホームページや職員報への広告掲載、本庁舎1階のデジタルサイネージなどにより税外収入を得ているところです。 今後も、区のさまざまな広報媒体などへの広告掲載の拡大を検討するとともに、新宿中央公園の公園トイレにおけるネーミングライツの導入を初めとした税外収入のさらなる確保を図っていきます。 次に、平成30年度予算案におけるふるさと納税による減収見込みについてです。 平成29年度当初課税実績は、寄附者数が前年度比約8,000人増の約1万7,000人、また控除額が前年度比約5億円増の約11億7,000万円でした。このことから、平成30年度予算では、寄附者数の増加傾向を踏まえ、約15億1,000万円の減収を見込んでいます。 次に、ふるさと納税に対する見解についてです。 ふるさと納税は、各自治体間の返礼品競争が過熱するなど、本来の「ふるさと」を応援するという趣旨から逸脱しています。自治体間で財源を奪い合うのではなく、日本全体が持続的に発展できるように地方税財源の充実強化を図ることが必要だと考えています。 次に、地方消費税清算基準の見直しの経緯と新宿区の考えについてです。 地方消費税については、税の最終負担者である消費者が消費を行った地域と、税収の最終的な帰属地を一致させるために、各都道府県間において清算を行っています。現行の清算基準では、小売年間販売額などの合計額が75%、人口の割合が17.5%、従業者数の割合が7.5%となっていますが、税収をより適切に最終消費地へ帰属させる方策を検討すべきとの声が高まり、平成30年度税制改正で小売年間販売額などの合計額を50%、人口の割合を50%とする見直しが行われることとなりました。 しかし、こうした見直しは、税収を最終消費地に帰属させるという清算基準の本来の趣旨から逸脱するだけでなく、地方消費税の応益性をゆがめるなど、制度自体の信頼性や意義を損なうおそれがあります。また、地方消費税の清算基準の適正化については、「税源の偏在是正」や「地方消費税増税分の社会保障化」と切り離し、「税収の適正な帰属を確保する」という視点から議論すべきであると考えています。 次に、税源偏在是正措置に対する共同声明と国への働きかけについてです。 国の税源偏在是正による特別区全体の減収額は、現時点で1,300億円を超えており、消費税率10%段階においては2,000億円に迫る規模になると試算されています。特別区長会は、こうした不合理な税制改正等に対して、2月16日に「税源偏在是正措置に対する特別区緊急共同声明」を発表し、地域間の税収格差是正は地方交付税で調整すべきこと、また、地方自治体間に不要な対立を生むような制度は認めないこと、そして不合理な税源偏在是正措置に対しては断固反対することを強く主張したところです。 特別区は、首都直下地震への備え、超高齢化への対応、子育て支援策や社会インフラの老朽化対策など、大都市特有の膨大な行政需要を抱えています。また、東京2020
オリンピック・
パラリンピックに向けた取り組みなど喫緊の課題が山積しており、財源に余裕はありません。引き続き、特別区長会は、国に対して不合理な税源偏在是正を早期に見直すこと、また、地方財政に影響を与える税制改正を行う場合、国の責任において確実な代替財源を確保することなどを強く申し入れてまいります。
◆5番(小野裕次郎) 次に、区長の政治姿勢についてお伺いします。 ことしは吉住区政4年間の任期の最終年であり、秋には区長選挙が行われます。今後4年間の吉住区政に対する評価や今後の新宿区政のあり方に関する議論が活発になると予想されます。私どもの会派でも、今定例会中の予算特別委員会や第2回定例会以降の質疑等を通じ、さまざまなテーマに関して吉住区長の考えをお聞きしてまいりたいと思いますが、ここでは、この間の新宿区内で行われた選挙に対する吉住区長の姿勢について質問します。 吉住区長が新宿区長に就任されて以来、新宿区においては、1、平成27年4月の新宿区議会議員選挙、2、平成28年7月の参議院議員選挙、3、同月の東京都知事選挙及び東京都議会議員補欠選挙、4、平成29年7月の東京都議会議員選挙並びに、5、平成29年10月の衆議院議員選挙が行われてきました。これらの幾つかの選挙において、吉住区長は、特定の政党の候補につき応援を行っています。候補者を応援する集会において支援を呼びかけたり、選挙カーに同乗して投票を呼びかけるといったことも行われています。 区長は、特別職の地方公務員であり、政治的行為を制限される立場ではないので、公務と政治活動の区別がなされている限り、それ自体は合法、違法という問題ではなく、極端な事例を除き、適当、不適当という問題も生じるものではありません。ただし、新宿区長という役職が新宿区の行政を代表するものであることから、新宿区長という肩書とともに紹介され、または自己紹介する人が、特定の選挙において特定の候補者に対する投票を行い、または行わないよう呼びかける場合、その趣旨、特に新宿区政とのかかわりについて関心を持たれることは当然のことと思われます。 まず、新宿区議会議員選挙において特定の候補者を応援する行為は、区長が応援する候補者が当選することにより、ほかの候補者が当選する場合よりも、新宿区政が吉住区長の考える方向で前進するとの考えから行っているのでしょうか。あるいは、単に個人的な人間関係、または政治信条によるものでしょうか。その趣旨についてお聞かせください。 また、都政選挙及び国政選挙において特定の候補者を応援する行為は、区長が応援する候補者が当選することにより、ほかの候補者が当選する場合よりも東京都政ないし国政が吉住区政のもとでの新宿区にとってよい方向に進むとの考えから行っているのでしょうか。あるいは、単に個人的な人間関係または政治信条によるものでしょうか。その趣旨についてお聞かせください。 また、東京都政ないし国政が新宿区にとってよい方向に進むとの考えによるものである場合、具体的にどういった点でよくなるとの判断でしょうか。 次に、区長によるインターネット上での情報発信についてお尋ねします。 吉住区長は、新宿区のウエブサイトによる区長としての公式の情報発信のほかに、「新宿区長 吉住健一 公式ホームページ」というウエブサイトを持ち、さらにフェイスブック等のSNSのアカウントからも情報発信を行っています。このうちのフェイスブックアカウントについては、区長の個人ウエブサイト上では「新宿区長、ほぼ毎日更新中。」とのキャッチコピーとともにバナーリンクが設定されており、アカウントの自己紹介の欄には「新宿区役所勤務、元東京都議、元新宿区議」から始まる区長の経歴が記載されており、また、投稿内容の多くが区長としての活動報告や新宿区の施策やイベントの紹介となっています。 また、フェイスブックの投稿は、「友達」として登録した人のみ閲覧できるものと、それ以外の人でも閲覧できるものがあり、アカウント保有者は閲覧できる人の範囲を選択できますが、区長のアカウントでの投稿はフェイスブック利用者であれば誰でも閲覧できる設定となっています。この結果、多くの新宿区民にとって、区長の活動や区の施策やイベント等に関して情報を得ることができる大変有益なアカウントです。新宿区にとっても、行政の型にはまらない、わかりやすい情報発信の効果があるものと思われます。 その区長のフェイスブックアカウントにおいて、昨年の衆議院議員選挙期間中である10月16日、このような文章が投稿されました。現在ではこの投稿は削除されているようですが、掲載されていた文章をそのまま読み上げます。「さすが、某報道型バラエティ番組!自民党・公明党連立反対!希望の党潰し!立憲民主党推しを露骨に放映しています。今一度、思い出していただきたいのは、5年前までの最低な政権運営をしていた内閣を組織していたのは、枝野幸男、赤松広隆、海江田万里等です。党名を変えたり、政党を変えれば人の能力や人格が変わるわけではありません。自らの経験と判断力により、何処の党や候補者を選ぼうが自己責任ですが、そもそものことを思い起こして、信ずるべき候補者や政党を選びましょう」。 そこで、この投稿内容について幾つかお尋ねします。 まず、投稿の第一文である、あるテレビ番組の内容が特定の政党を応援し、ほかの政党を不利に取り扱う偏った内容であると批判されているようですが、具体的にどのような内容の番組であったのか。また、そのどの部分について批判されるような偏りがあると感じられたか、お聞かせください。 また、第二文では、枝野幸男氏、赤松広隆氏及び海江田万里氏により組織されていた内閣が最低の政権運営をしていたと述べられていますが、これは具体的にどの内閣のことを指し、その内閣の政権運営のどの部分を指して「最低」と評価されているのか、お聞かせください。 また、第三文では、先ほどの第二文を受け、党名を変えたり、政党を変えれば人の能力や人格が変わるわけではないとの意見が述べられていることから、枝野幸男氏、赤松広隆氏及び海江田万里氏の能力や人格についての意見であることが読み取れますが、どのような能力や人格であると評価されているのか、その趣旨をお聞かせください。 また、第四文では「そもそものことを思い起こして、信ずるべき候補者や政党を選びましょう」と締めくくっています。これは第三文を受けた文であることから、枝野幸男氏、赤松広隆氏及び海江田万里氏や、その所属政党に対する投票に関する意見であると読み取れます。これらの候補者や政党に対してどのような投票行動をとることが、「そもそものことを思い起こした」選択であるとお考えか、その趣旨をお聞かせください。 なお、さすがに地域で選挙運動に関与している地方議員を気遣ったのでしょうか、一度締めくくった後に注意書きとしてこのような文章も追加されています。「地方議員は国会議員が勝手に党を作ったり、合併したり、解党したりするので別ものです!ある意味被害者かなと感じています」。この一文の趣旨をお聞かせください。 また、区長の活動や、区の施策やイベント等について情報発信が行われているインターネット媒体において、選挙に関してこのような投稿を行って情報発信すること自体について、吉住区長はどのようにお考えか、お聞かせください。 私どもの会派は、区長の思想信条やものの見方に関し、その内容の是非を問いたいとは考えておりません。私どもの会派は数度の名称変更を経てまいりましたが、今日に至るまで、執行部の施策の内容そのものを検討の対象として、是々非々の姿勢で区議会での議論に臨んでまいりました。この姿勢は今後も変わるものではありません。しかし、同時に、ことし区長選挙が行われることから、区長の政治姿勢について確認をさせていただきたいと考え、以上8項目の質問をさせていただきました。区長も区議会も、区政全体の発展と区民全体の福祉向上のために仕事をしていることから、さまざまな区民の立場を考慮して行動し、発信することが大切です。特に区長の場合、特定の区民ではなく、区民全体を代表する行政の長としての職責の性格上、中立性という点で日ごろ大変注意を払ってこられたものと思います。 以上を踏まえ、最後にお尋ねします。 今後、新宿内で行われる区長選挙を除く選挙について、吉住区長はどのようにかかわり、どのような情報発信を行うおつもりか、お聞かせください。
◎区長(吉住健一) 区長の政治姿勢についてのお尋ねです。 初めに、選挙において特定の候補者を応援する行為についてです。 新宿区議会議員選挙で、私は、有権者の一人として、また地方議会出身者として、地道に地方自治の仕事に取り組んでいただけそうなこと、区民のため、ともに十分に議論を尽くして施策を進め、区政の発展にともに協力していただけそうなことなどを判断理由に候補者の応援をいたしました。 そして、基礎自治体である区は、区民生活を守るため、福祉や教育、防災、まちづくりなどのあらゆる場面で国や都との連携・協力が必要です。国や都と良好な関係を築き連携を進めることは、区民生活を支える施策を着実に推進する上で重要であると考えています。 こうした認識のもと、都政選挙及び国政選挙においては区市町村との連携に積極的に取り組んでいただけそうなことなども判断理由に候補者の応援をいたしました。 次に、区長によるインターネット上での情報発信についてのお尋ねです。 初めに、テレビ番組の内容と番組に対する感想についてです。 御質問のテレビ番組は、4カ月前に放映されていたものですので、詳細は定かでありませんが、特定の選挙区を特集した番組であったと認識しています。内容は、与党の候補者については、候補者本人にかかわらない事案でコメントし、希望の党については、いわゆる排除発言を背景に紹介し、立憲民主党の候補者については、コンビニエンスストアでおにぎりを買って食事をしている様子を流し、頑張っているというコメントを添えていたと記憶しています。同じ選挙区の候補者を並列に報道する場合に、こうした扱いでよいのかという素朴な感想を持ちました。 次に、内閣の政権運営と、それに対する評価についてです。 率直に申し上げるならば、鳩山由紀夫内閣と菅内閣の第1次内閣までの政権運営のあり方について疑問を持っています。当時は、地方自治体から国の省庁への要望活動も、政権政党の幹事長室経由でなければ受けられないということが報道されていました。私自身も、大阪府や大阪市の議員と組織していたホームレス議員連盟の一員として中央省庁への要請活動を行う際に、政権政党の幹事長室の許可を得ていなかったためか、面会や書類の受け取りを断られ、担当者が離席中の机の上に置いていくように示唆をされました。特別職でもない職員が議員からの要望書すら受け取ってはならないという指示を出した政権は、ほかに聞いたことがありません。 また、当時は政権与党内の内紛が続き、与野党の議論もかみ合わず、長い混乱期であったと記憶しています。 次に、枝野幸男氏、赤松広隆氏、海江田万里氏の能力や人格の評価についてです。 みずからを省みず、人様の能力や人格を評価することは差し控えさせていただきますが、政党名が変わったり党を移籍したりすることによって人間が変わるわけではないという趣旨の記載をしました。 次に、候補者や政党に対する投票行動についてです。 刹那的な情報でのみ判断するのではなく、過去の経緯も調べて自分の意思を決めることが大切であるということを記載しました。 次に、地方議員がある意味被害者との記載についてです。 国政政党に所属し、活動している地方議員は、党員を集め、党費を集金し、機関紙の配布をされている場合もあります。国政の都合で突然党名が変わったり消滅したりする場面を見ておりますので、現場の地方議員は大変であるということを記載しました。 次に、インターネット媒体で選挙に関して情報発信することについてです。 SNSサイトは、あくまでもみずからの私的な空間として利用をしています。公費を投入した行政の情報とは異なった情報を提供するツールとして利用しています。今後も、みずからの負う役職とのバランスを考えながら情報発信を続けてまいります。 なお、当該投稿については削除は行っておりません。 次に、今後の選挙に対するかかわりや情報発信についてのお尋ねです。 区政の主役である区民のため、議論を尽くして施策を推進し、区政の発展にともに協力していただけることを考え、公務がない時間に限り要請に基づいて御協力をしてまいりました。今後も公務に差し支えない範囲でお手伝いをさせていただきます。 情報発信については、私的な空間ではございますが、より多くの方が読みやすいように、より丁寧な記載を心がけてまいります。
◆5番(小野裕次郎) 次に、働き方改革についてお伺いします。 現在、国や都で声高に働き方改革が叫ばれています。労働力の主力となる生産年齢人口が総人口を上回るペースで減少していることから、このままでは国全体の生産力低下、国力の低下は避けられないとして、国は、本格的に働き方改革に乗り出しました。「働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます」と国はうたっていますが、現場との温度差が大きいと各種メディアでは報じられています。 労働力不足を解消するために、「働き手をふやす」、「出生率の上昇」、「労働生産性の向上」に取り組むというのが働き方改革の概要ですが、これらを実現するためには3つの課題があります。それは、長時間労働の解消、非正規と正社員の格差是正、高齢者の就労促進による労働人口不足解消が挙げられます。 まず、長時間労働について、2013年に国連から、「多くの労働者が長時間労働に従事している」、「過労死や精神的なハラスメントによる自殺が職場で発生し続けていることを懸念する」といった内容の是正勧告がされており、国際的に見ても日本の長時間労働は深刻で、働き盛りの30代から40代の長時間労働の割合が特に多い状態です。また、長時間労働の問題は出生率にも大きく影響していると考えられています。長時間労働を望まれる年齢と出産・育児年齢が重なることなどが大きな理由とされており、女性がキャリアの中断や育児との両立の不安から出産に踏み切れなかったり、男性も育児・家事への協力がしにくいという現象につながると有識者から指摘されています。 国は、法改正による「時間外労働の上限規制の導入」や、「勤務時間インターバル制度導入に向けた環境整備」、「健康で働きやすい職場環境の整備」など幾つかの改善策が示され、長時間労働の解消を図っていく方針です。 また、非正規で働く方は労働者全体の約4割を占めており、この層の待遇、働き方を改善するのに待ったなしの状況に来ており、非正規と正社員の格差是正が急務であることは国も認めています。賃金のみならず、福利厚生、教育なども含めた「同一労働・同一待遇」がなされ、将来的には非正規という枠組み自体をなくし、ライフステージに合わせた働き方を選べるようにすることが目標とのこと。 そして、高齢者の就労促進では、働きたいと考えている高齢者に就労環境を整えていき、65歳以降の継続雇用延長や65歳までの定年延長を行う企業等に対する支援が検討されており、企業における再就職受け入れ支援や高齢者の就労マッチング支援の強化なども含まれています。具体的には、全てのハローワークでエイジレスサポートを実施することや、専門窓口を増設することなどが予定されています。また、年齢にかかわりなく「職務に基づく公正な評価」により、働ける企業へのマッチング支援や、エイジレス企業へのキャリアチェンジ希望者に対する支援もエイジレス社会実現プログラムにより図られていくとのこと。 こうした働き方改革は、大企業だけでなく、全企業の大半を占める中小企業にも、その取り組みが求められることは言うまでもありません。今後は、そうした中小企業へのきめ細やかな対応が区に求められることも考えられます。 そこでお聞きしますが、ワーク・ライフ・バランスや働き方改革の実践などを区内事業者へ啓発していくに当たり、どのように進めていくおつもりなのか、区のお考えをお伺いします。 次に、昨年試行実施された「快適通勤ムーブメント」及び「ゆう活」についてお聞きします。 これは、東京都における、快適に交通機関を利用できる都市の実現に向けた「快適通勤ムーブメント」の取り組み、並びに国における働き方を含めた生活スタイル変革によるワーク・ライフ・バランスの実現に向けた「ゆう活」の新宿区版トライアルとして、希望する一部の職員が早出・早帰りを行いました。実施から半年以上がたち、検証も進んでいるものと思いますので、お伺いします。 都知事は、「通勤のストレスから解放される」と鼻息荒く申され、今後正式な実施を促していくと会見でおっしゃられていましたが、区では、試行実施して、いかような効果があったとお考えなのでしょうか。早くに出勤したものの、業務がなければ意味はなく、ただ早く来て早く帰る人になってしまいます。また、ただのストレスからの解放だけではなく、子育てや介護をしている職員が早く帰れることにより、保育施設への子どものお迎えや、その後のコミュニケーション時間の確保、デイサービスなどの介護施設から戻る親の引き取りなど、こうした制度を有効に活用してもらえるようであれば一石二鳥です。上から制度がおりてきたからとりあえずやっておくというようなことにならないよう、今のうちから検証し、実効性のある活用方法を検討することも必要なのではないでしょうか。試行実施を受け、取り入れる意義や効果、課題点と今後の展望について御所見を伺います。 次に、会計年度任用職員制度についてお伺いします。 昨年5月に地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律が可決成立し、自治体で働く臨時・非常勤等職員の大多数は、新たな一般職非常勤職員である「会計年度任用職員」に位置づけられることになります。 会計年度任用職員の給与または報酬の水準、手当支給、休暇制度については、常勤職員との均衡を図ることは基本であり、官製ワーキングプア解消に向け前向きに取り組む責任が区には生じるものと考えます。こうした職員の待遇改善は
行政サービスの質の向上につながることは間違いなく、それはまさしく区民益に直結することになります。区は、今後、雇用継続と正規職員との均衡を求める、これらの法改正の趣旨を踏まえた制度設計を進めることが必要となるわけです。臨時・非常勤職員の勤務実態などの現状把握や制度導入までのスケジュールはどのようになっているのでしょうか。お伺いします。 また、臨時・非常勤職員の雇用安定や労働条件の改善に向けて雇用年数の上限を設けているのであれば、雇用期間上限の制度を廃止すべきと考えますが、いかがでしょうか。さらには、臨時・非常勤職員の軽減や勤務実態を加味して、経験者採用枠の拡充をするなど、正規職員への転換を促進することも検討すべきと考えます。区のお考えをお聞かせください。
◎区長(吉住健一) 働き方改革についてのお尋ねです。 初めに、ワーク・ライフ・バランスや働き方改革の実践などに関する区内中小企業への啓発についてです。 労働力の主力となる生産年齢人口が減少し、あらゆる産業で人手不足が深刻さを増している中、特に中小企業は厳しい状況にあり、働きやすい職場環境づくりを通した人材確保に関する支援が必要と認識しています。区ではこれまで、ワーク・ライフ・バランス推進企業の認定、コンサルタントの派遣、セミナーの開催などを通じて区内企業へのワーク・ライフ・バランスの普及に努めてきました。来年度からの第三次男女共同参画推進計画において、「ワーク・ライフ・バランスと働き方改革の推進」を目標の一つに掲げ、平成30年度から中小企業のニーズに即したセミナーや勉強会を開催するとともに、ワーク・ライフ・バランスを経営戦略として積極的に推進している企業を先進的な事例として紹介する機会をふやしてまいります。 また、働き方改革の実践については、昨年度から「“働きたい職場づくり”応援事業」を実施し、区内中小企業等の個々の課題に応じたコンサルティングや企業合同セミナーにより従業員の処遇改善を図っているところです。平成30年度からは新たに「生産性向上推進事業」を実施し、区内中小企業等における業務改革や組織の活性化の取り組みを支援することで、総労働時間の短縮や賃金上昇を実現し、生産性の向上を図ってまいります。 こうした取り組みを通じて、ワーク・ライフ・バランスや働き方改革の実践などに関する区内中小企業への啓発を進め、区内中小企業の人材確保と働きやすい職場環境づくりの支援に努めてまいります。 次に、「快適通勤ムーブメント」及び「ゆう活」についてのお尋ねです。 区では、東京都が提唱する取り組みである「快適通勤ムーブメント」と、国が提唱する夏の生活スタイル変革の取り組みである「ゆう活」を融合し、新宿区版トライアルとして新宿区職員の「早出・早帰り」を平成29年7月に実施しました。この試行においては、区役所本庁舎と第一分庁舎の各官執型勤務職場を対象に、7月18日から28日までの間の平日9日間実施し、延べ378人の職員が参加し、参加率は14.2%、平均参加日数は2.4日でした。 試行後のアンケートを分析したところ、次のような効果があったと考えています。第1に「快適通勤」においては、1時間の早出により、ふだんより快適な通勤となったとの回答が最も多く得られています。第2に「ゆう活」においては、育児・家事や介護など、家族のコミュニケーション時間のために有効に活用したとする回答が多くあります。また、第3に、仕事の効率化においては、朝の1時間業務に集中でき効率的にできたと参加した職員の約半数が回答しています。ほかにも、「ワーク・ライフ・バランスを改めて考える機会となった」との所属長の意見も多く挙がっており、参加した職員の多くが来年も参加したいと回答しています。 また、課題としては、いわゆる直接処遇職場では実施が困難なことや、窓口職場や少人数職場での職員体制の確保などが挙げられます。 今回の試行結果からは、「快適通勤」及び「ゆう活」の観点から職員のワーク・ライフ・バランスや働き方を見直す契機として効果があった一方、業務効率には特段の支障は見られませんでした。平成30年度においても、アンケート結果から挙がった課題等を踏まえ、引き続き新宿区版トライアルを行う考えです。今後、対象職場の拡大などについても検討しながら、職員のワーク・ライフ・バランスと働き方改革を推進し、ひいては
行政サービスの維持向上につながる取り組みとしてまいります。 次に、会計年度任用職員制度についてのお尋ねです。 2020年4月1日に施行される改正地方自治法及び改正地方公務員法により、区の非常勤職員の多くは一般職である会計年度任用職員に切りかえることとなる見込みです。区では、この改正法の施行に向けた準備として、平成29年度末に臨時非常勤職員の任用等の実態調査を行い、この調査結果を踏まえ、平成30年度末をめどとして、今後の臨時的任用職員の任用のあり方や会計年度任用職員の職名や職務の内容、勤務条件などの検討を進める予定です。 また、会計年度任用職員は一般職に位置づけられることから、その勤務条件に関しては人事委員会と任命権者と、それぞれの権限行使のあり方や、23区統一基準と各区事項の整理が必要となります。このため、現在、特別区人事委員会における会計年度任用職員制度の任用基準や勤務条件設定等の統一的な制度運用の検討を行っており、また、特別区人事・研修担当課長会では、任用期間を更新する場合における上限の考え方を含め、多岐にわたる実務的な課題整理を行っているところです。 区では、今後、こうした特別区における臨時・非常勤職員制度の大枠の確定を踏まえながら、調査結果に基づく具体的な制度設計を進め、勤務条件等にかかわる職員団体との協議も行っていくことになります。 なお、常勤の一般職地方公務員の採用に当たっては、特別区人事委員会が実施する競争試験または人事委員会から任命権者に委任された選考により、成績順に採用者を決定することが必要です。このため、臨時・非常勤職員の経験や勤務実態をもって正規職員に切りかえることは、地方公務員法に定める「成績主義・平等取り扱いの原則」から困難です。しかし、これまでも臨時・非常勤職員の経験のある方が経験者採用試験などを経て区職員に採用される例もあることから、これからも適宜、職場を通じて、臨時・非常勤職員にも採用試験等の募集に関する情報を提供してまいります。
◆5番(小野裕次郎) 最後に、介護保険サービスについてお伺いします。 介護保険サービスの公定価格となる介護報酬について、本年4月からのサービスごとの具体的な内容と料金が1月26日に決定しました。今回の改定では、介護費の膨張抑制に加え、高齢者の自立支援を促す仕掛けが随所に盛り込まれ、多くの人の住みなれた自宅などで暮らし続けてもらえるようにする狙いもあるとのことです。大きな特徴は、リハビリを強化・充実し、利用者の自立支援や重度化防止につなげる取り組みに対して重点的に報酬を手厚くしたことと、成功報酬を新たに設けたことと言われています。 今回決まった具体的な内容では、デイサービスでは、一人で着がえられたら10点、手助けが必要なら5点などと点数化され、身体機能の回復を目指す訓練に取り組み、6カ月間で改善した利用者が悪化した利用者より多ければ報酬は加算されます。また、ホームヘルプは、掃除や洗濯などの生活援助の基本料は引き下げられますが、利用者とヘルパーが一緒にやる場合は自立支援につながるとして上がるのです。特別養護老人ホームなどでは、排せつで介助が必要な人のおむつ外しを支援する取り組みが評価されることになりました。 身体機能が改善したり、トイレなどの身の回りのことが自分でできるようになれば、利用者の生活の質の向上につながることは間違いありません。しかし、こうした自立支援を促す取り組みは、高齢者が望まないサービスの利用を無理強いされたり、機能改善が見込めなければサービスを受けられないなどのケースが発生することへの懸念があります。事業者が成功報酬目当てで、機能回復が不可能だったり、そもそも自立を望んでいなかったりする人にリハビリを強いることになりかねず、高齢者本人の思いが置き去りにされてしまうなど、現場や有識者からは心配の声が上がっています。また、自治体福祉政策に詳しい鏡諭淑徳大教授は、「そもそも介護保険は、身体機能が落ちても安心して暮らせるためにつくられたもので、自立の押し付けになれば理念に逆行する。このまま自立援助重視の介護を進めていくのか、議論していくことが必要だ」と指摘しています。 そこで、幾つかお聞きします。 今回の改定で、利用者が望まないサービスを事業者が強いたり、改善が見込めそうな軽度の人ばかりを選んだりするようなことがないように区はどのような指導をしているのか、お伺いします。 次に、調理や掃除といった生活援助サービスについて伺います。 生活援助サービスの利用回数が平均を大きく上回る場合は、自治体が設ける専門職らの会議で検証し、必要があれば改善を促すことになっていますが、こうしたサービスを多く利用される方は、ひとり暮らしや認知症の方々が多いとのデータがあります。また、在宅高齢者の掃除や調理など生活援助に携わるヘルパーさんたちなど、現場からは「訪問したら、空のやかんが火のついているコンロにかけてあったり、消費期限の過ぎた弁当をまさに食べようとしていたり、もしヘルパーがいなかったらと思うとぞっとする。ひとり暮らしは厳しいというより危ない」「処方された薬を飲み忘れても、ヘルパーがいれば気づく。生活援助は、ひとり暮らしの高齢者を守るのには欠かせない」「生活援助は生命援助だ」といった声も上がっています。 こうした状況の中、利用回数の制限などには個々の事情に配慮したきめ細やかな対応が求められるものと考えますが、いかがでしょうか。生活援助サービスのあり方について、区のお考えをお聞かせください。 最後に、介護人材不足解消についてお聞きします。 今回の介護報酬が全体としてプラス改定されるのは、待遇改善によって人手不足解消が喫緊の課題と考えられたからであります。介護人材の育成や確保は、どの自治体でも大きな課題とされています。区は、こうした現状を踏まえ、どのような対策をお考えであるか、御所見をお伺いします。
◎区長(吉住健一) 介護保険サービスについてのお尋ねです。 初めに、介護サービス事業者への指導についてのお尋ねです。 今回の改定では、自立支援・重度化防止の観点から、日常生活動作の維持改善や自立支援に資するサービスを高く評価するものとなっています。これらのサービス実施に当たっては、事業者は、今まで以上に利用者一人ひとりの状態像を把握し、サービスの意義を説明することが求められます。 区ではこれまでも、集団指導や実地指導において事業者に対し、必要なサービスを同意を得て提供すること、正当な理由なくサービス提供を拒まないことを指導してきました。これからもサービスの強要や利用者の選別につながらないよう、各事業者の適正な運営について指導していきます。 次に、訪問介護における生活援助サービスのあり方についてのお尋ねです。 社会保障審議会等では、生活援助のみ月100回以上利用しているケースの存在などが課題として提起され、今回の改定では基準回数を超えた生活援助を位置づけたケアプランを地域ケア会議等で検証することが盛り込まれました。区では、生活援助サービスを含めた介護保険サービス全般が日常生活を支える重要な役割を担うものと捉え、サービスの内容は個々の利用者における必要性により判断されるべきものと考えます。 ケアプランの検証方法の詳細については、今後、国から示されますが、一律にサービスを抑制するのではなく、利用者一人ひとりの状況や家族の状況を十分把握しながら検証を行っていきます。 次に、介護人材不足解消についてのお尋ねです。 介護職員の不足については、各事業者とも御努力されているものの、依然厳しい状況にあると認識しています。区では、人員確保の面で質の高い介護職員の定着が必要と考えており、区独自の介護福祉士資格取得助成を行い、研修費用や受験料の助成を行っています。また、管理者や人材採用担当者を対象に、職員採用や人材定着をテーマとしたセミナーや相談会を実施しています。さらに、ハローワーク新宿と連携し、介護事業所に対し就職希望者が職場を見学した後に面接に臨むツアー面接会の活用を図り、実際の就職に結びつけています。 今後も、介護人材の確保に向けて各種の取り組みを行い、引き続き支援してまいります。
◆5番(小野裕次郎) 御答弁ありがとうございました。 御答弁の中にもありましたが、区民の生活、なかなかやはり厳しい。アンケートの結果など、将来に不安があるというのが37.8%、今の時点でも不安だという方が17.5%。55%以上の方が将来に対して不安を抱えているというような状況ですので、そうした区民の生活、しっかりと慎重に見きわめていただいて、今後の行政運営をしていっていただきたいなと思います。 また細かい点につきましては、同様の議員から予算特別委員会などで質問をさせていただくと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○議長(佐原たけし) 次に、28番えのき秀隆議員。 〔28番 えのき秀隆議員登壇、拍手〕
◆28番(えのき秀隆) 平成30年第1回定例会に当たり、新宿区民の会を代表して質問いたします。 冒頭に、我々を取り巻く社会経済情勢について触れさせていただきます。 昨年は、冒頭のトランプ政権の誕生から始まり、英国EU離脱、中東での大量難民出現、テロの脅威、緊迫する北朝鮮核問題と、国際情勢は不安定のきわみとも言える状態が続きました。一方、経済においても、これまでの常識では対応できない事態が生じていると言えます。グローバル化によって、あらゆるものが国家という枠組みを超えてネットワークによってつながれ、AIによるビッグデータ分析等を活用して、世界の市場で新たなビジネスが生まれ続けています。 国内経済に目を向けてみますと、景気は依然として順調と言えます。昨年9月には景気拡張期間が戦後2番目となり、このままの好調が継続されれば、今年末には戦後最長となる73カ月連続に並ぶ可能性も大いにあり得るとの観測です。ただし、情報化社会が進展した現代において予断は禁物と言えます。 先日、交流のある大学生に進められ「お金2.0」という書籍を拝読いたしました。著者は、東証マザーズ上場企業の創業者で、新しい経済のルールと生き方に関するものでした。仮想通貨、VALU、POLCA、タイムバンクなどという言葉を正しく理解するのに時間がかかりましたが、最近でき上がったサービスです。今後、そのようなサービスが存続するのかどうかは未知数ですが、新たなテクノロジーが国家や社会に大きな影響をもたらす可能性は否定できないと感じた次第です。 実際に、スカイプ発祥の地であるエストニアは、IT化により世界最先端の電子国家を実現しました。テレビでもこのことは紹介されています。報道後、「既に技術後進国となっている自覚がない日本」との内容で2万件以上リツイートされたとのことが印象的でした。 今、我々に求められているのは、このように進化し続ける世の中の全体をしっかりと捉え、正しい分析を素早く行い、多くの住民と情報共有しつつ政策実現していくことであると思います。 以上を申し上げて質問に入ります。 まず初めに、平成30年度予算における基金の在り方や財政運営について伺います。 さて、新年度予算は、ことしの11月に区長選挙を控えておりますので、吉住区長にとっては任期中最後となる区切りの予算編成と言えます。また、新宿区にとっても新総合計画と第一次実行計画の初年度となる節目の予算とも言えます。10年先まで未来を予測し、新たなるスタートを切ることは、変化の激しい情報化社会において非常に難しい作業と言えます。総合計画の5つの基本を実現するためには、時々の場面における社会経済情勢をしっかりと読み解き、スピード感を持って正しい対応をすることが求められます。 区内における人口は、やや伸びを見せているものの、国内における少子高齢の波は確実に新宿区にも到達いたします。幾重にも寄せてくる変化に富んだ波を乗り越えていくためには、区の組織面においては強化を図り、区民への情報公開を進めつつ、区民との強靭な連携を構築することが大切と言えます。さらに、
PDCAサイクルと言われる計画、行動、検証、実行の作業は、短期、中期、長期の観点から永続的に展開され、行政のあり方や施策を時代に適合した形につくり上げていかなければなりません。新総合計画、実行計画の確実な達成に向け、一丸となって区民の期待に応えていただくことを期待いたします。 そこで、2点お伺いいたします。本会議後には予算特別委員会が設置され、同僚議員が出席予定ですので、大まかな質問をここではさせていただきます。 予算案の概要にも記されていますが、平成30年度予算は、「10年先を見据えた新たな総合計画と第一次実行計画の幕開け」となる極めて重要な年と位置づけされています。これらの計画を成就させるためには、依命通達にも示されているとおり、「社会経済情勢の変化にも機動的かつ的確に対応できる行財政運営を確保すること」、「内部管理経費の精査など徹底した経費削減に取り組むこと」が肝要で、我々新宿区民の会も同様の考えです。 区民生活を支えつつ、しっかりと施策を展開するためには、財政の健全性を常にチェックすることが大切です。しかしながら、平成30年度の予算においても財源不足が生じており、財政調整基金からの取り崩しを行おうとされています。財政調整基金は、一般家庭で言えば貯金です。突発的な災害なども含め、必要な
行政サービスを必要なときに行政が確実に提供していくという役割を果たすための資源です。また、地方自治体の本旨である住民福祉の向上に関して支障を生じさせることなく運営するための財政基盤とも言えます。前年度や、その前の年度も財源不足を補うために財政調整繰入金が拡大していますが、健全な財政の持続という点でやや心配です。 そこでお伺いいたします。 財政の調整機能を持っているとされる基金に関しては、確実にこれを積み立てていくことと、計画的に繰り入れを行うことが肝要です。平成30年度以降、基金残高の推移と見込みに関してどのような推測をされているのか、お聞かせください。 さらに、第一次実行計画の初年度となる節目に当たり、基金の活用や区債のあり方を含め、今後の財政運営のかじ取りをどのようにしていくおつもりか、お聞かせください。 次に、人工知能の活用について伺います。最近ではAIという表現のほうが一般的なので、以下、AIと表現させていただきます。 AIに関する質問は、平成28年第3回定例会以来となります。答弁では、ディープラーニング技術の進展により、将来的にAIが行政で活用される時期もさほど遠くないとの御認識でありました。また、コンピューターの性能向上に伴ってAIの知能水準が向上した場合、人間の知能を超えるという可能性にも触れられ、AI活用の際のリスクや課題を慎重に検討していくことが大切であるとの認識も示されております。 現在、前回質問以降、2年も経過をしておりませんけれども、AIの発展は急加速度的で目覚ましく、我々の生活の中でも商品を購入する際にAIとの接点を持つ場面に遭遇することが頻繁になってきました。 自治体においても、AIは既に活躍し始めています。千葉市や大阪市はAIの導入に積極的です。また、さいたま市では、AIが保育施設の割り振りを決める実験が行われ、30人の職員が50時間かけて行う作業を数秒で終了させ、人間が行ったのとほぼ同じ、同様の成果が得られたとのことでした。 このように、全国の自治体では作業効率向上のためのAI導入の検討が進められています。もちろんメリットばかりではなく、専門家からは、AIの正確性に対し疑いを持つ声や、職員の技術低下を懸念する声も聞かれます。しかし、さらなる区民の利便性向上や
行政サービスの効率化を目指すことは時代の要請と言えます。新宿区におけるAIの活用に関して、現状の認識と新たな取り組みに関してどのようにお考えか、御所見をお聞かせください。 次に、高齢者に優しい街づくりについて伺います。 この質問は、日ごろ、まちの中で接する複数の高齢者の声や、議会報告書のアンケートをもとにつくったものです。 新宿区の高齢者割合は、平成30年1月1日現在で19.7%となっており、全国平均よりは低いものの、今後も上昇傾向が続くと予想されています。高齢化率の上昇に加え、少子化や国際化の進行など社会の変化は著しく、これらの変化に配慮したまちづくりが必要となっています。行政は、まちが変わり続ける状況をしっかり掌握し、住民や来街者の立場に立ち、居住者、利用者の利便性を確保したまちづくりを進めていくことを心がけなければなりません。 私が区民の方からいただいている声は、足腰に自信のない高齢者の方の健康維持、病後回復期のリハビリ活動などのために散歩をされている方が、散歩中などに少し寄りかかれる場所や腰かけられる場所をふやしてもらえないかという内容です。我々のように、まだ動き回れる世代の人間の視点と、歩行中に休みが必要な人の視点は異なります。近ごろは休息スペースのあるイートインコンビニエンスストアも増加傾向にありますが、一般的には店の利用者のためのもので、商品購入以外の利用は歓迎されません。高齢者など足腰の弱っている方の目線で町中に一休みできる場所があればよいと考えます。 区におかれましては、新たな新宿区総合計画における新宿区基本計画の中でも触れられていますが、「『回遊性と利便性の向上による魅力的で歩いて楽しいまちづくり』区内の主要駅周辺において、交通ターミナルとしての交通結節機能と商業・娯楽・滞在施設など多様な都市機能を併せ持つ魅力を活かし、歩行者の回遊性、利便性向上を軸とした
都市基盤整備と、より魅力的で賑わいあふれるまちづくりを連携して進めることで、誰もが歩きたくなるまちをめざします」ということです。 道路については、歩行者の安全確保という点でベンチ設置には課題もあると思いますが、どのようなものを設置するのでしょうか。設置が可能な場合は、できるだけ御配慮いただき、歩道幅など法的な問題があるところは簡易なバー状の、または折り畳みのできるベンチなど、高齢者の目線で検討することは当然のことと思いますが、区の御見解をお聞かせください。 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございます。
◎区長(吉住健一) えのき議員の御質問にお答えします。 平成30年度予算における基金の在り方や財政運営についてのお尋ねです。 第一次実行計画の初年度となる平成30年度末の基金残高は、財政調整基金が230億円、減債基金が47億円、その他特定目的基金が135億円となり、合計で412億円と見込んでいます。 平成31年度以降、財政調整基金については、取崩額を平成31年度で約28億円、2020年度で約15億円と見込んでいます。その一方で、基金への積立金を平成30年度以降同額の13億円としていることから、年度末現在高は平成31年度は約216億円、2020年度は約214億円になると試算しています。 減債基金、その他特定目的基金の年度末現在高は、平成31年度が約176億円、2020年度が約169億円になると試算しています。今後の財政運営において、急激な経済変動や増大する行政需要を考慮すると、基金や区債を活用することが欠かせないと認識しております。引き続き世代間の公平性や後年度負担に十分配慮し、基金や区債を効果的に活用してまいります。 また、区政運営を支え、着実に必要な施策を展開するためにも、引き続き区税等の増収対策、内部管理経費の削減、公共サービスのあり方の見直しや定員適正化などの取り組みをさらに進め、区民視点で不断の行財政改革に取り組むことで持続可能な行財政運営の確保に努めてまいります。 次に、AIの活用についてのお尋ねです。 御指摘の千葉市におけるAIを活用した道路損傷の自動判断や、大阪市の戸籍関連業務でのAIによる職員支援、また、さいたま市でのAIによる保育施設の割り振り決定など、AIがさまざまな
行政サービスにおいて活用されていることについては認識しています。 今後は、さらにAIに関する研究、実験が進められ、さまざまな分野でAIを活用した迅速で利便性の高い
区民サービスの提供が期待されるところです。区としても、他自治体の動向や取り組みを注視し、AIの導入による職員のスキル低下の課題や費用対効果も検証しながら慎重に検討してまいります。 次に、高齢者に優しい街づくりについてのお尋ねです。 区では、高齢社会の進展を踏まえ、高齢者が気軽にまち歩きを楽しめる快適な道路空間づくりが重要であると考えています。第一次実行計画では、戸山地区、百人町地区の区道で休憩場所となる腰かけ防護柵等の設置に計画的に取り組むこととしています。区民生活に密着した区道では歩道幅員が狭い路線が多く、歩行者等の安全確保を図るためには防護柵と一体となった腰かけ防護柵タイプの設置が中心になると考えていますが、スペースに余裕がある交差点などにはベンチタイプも設置したいと考えています。 平成30年度に実施する設計業務では、高齢者の目線に立ち、これらの設置場所や歩行者空間に支障のないデザインの検討を行うなど、高齢者を初め、誰もが安心して快適に通行できる道路空間の整備に努めてまいります。
◆28番(えのき秀隆) 区長、大変丁寧な御答弁をいただきましてありがとうございました。 以上で発言を終わります。ありがとうございます。(拍手)
○議長(佐原たけし) 本日の代表質問は終了しました。
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○議長(佐原たけし) 以上で本日の日程は終わりました。 次の会議は2月21日午前10時に開きます。ここに御出席の皆様には改めて通知しませんので、御了承願います。 本日はこれで散会します。
△散会 午後4時32分 議長 佐原たけし 議員 井下田栄一 議員 おぐら利彦...