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09月19日-09号

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  1. 新宿区議会 2013-09-19
    09月19日-09号


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    最終取得日: 2021-08-13
    平成25年  9月 定例会(第3回)        平成25年第3回定例会会議録(第1日)第9号平成25年9月19日(木曜日)出席議員(35名)   1番   中村しんいち     2番   井下田栄一   3番   北島敏昭       4番   桑原羊平   5番   鈴木ひろみ      6番   久保広介   7番   佐藤佳一       8番   川村のりあき   9番   豊島あつし     10番   野もとあきとし  11番   池田だいすけ    12番   吉住はるお  13番   ひやま真一     14番   佐原たけし  16番   なす雅之      17番   平間しのぶ  18番   志田雄一郎     19番   あざみ民栄  20番   阿部早苗      21番   鈴木ゆきえ  22番   赤羽つや子     23番   おぐら利彦  24番   下村治生      25番   深沢としさだ  26番   宮坂俊文      27番   のづたけし  28番   えのき秀隆     30番   根本二郎  31番   近藤なつ子     32番   沢田あゆみ  33番   有馬としろう    34番   小松政子  36番   かわの達男     37番   田中のりひで  38番   雨宮武彦---------------------------------------欠席議員(なし)---------------------------------------説明のため出席した者の職氏名  区長       中山弘子    副区長      野口則行  区長室長     橋口敏男    総合政策部長   針谷弘志  総務部長     寺田好孝    地域文化部長   加賀美秋彦                   子ども家庭  福祉部長     小栁俊彦             中澤良行                   部長                   みどり土木  健康部長     福内恵子             野﨑清次                   部長  環境清掃部長   伊藤憲夫    都市計画部長   新井建也  会計管理者    高橋麻子    企画政策課長   平井光雄  財政課長     木城正雄    総務課長     木全和人  教育委員会            教育委員会           酒井敏男             小池勇士  教育長              事務局次長  選挙管理  委員会      濵田幸二    常勤監査委員   猿橋敏雄  事務局長  監査事務局長   河原眞二---------------------------------------職務のため出席した議会事務局職員  局長       名取伸明    次長       北村仁英  議事係長     佐藤勇治    議事主査     濵野智子  議事主査     臼井友広    議事主査     佐藤公彦  議事主査     氏家あふゆ   書記       落合幸子  書記       浅野美智子---------------------------------------  速記士      土田有美---------------------------------------9月19日    議事日程 日程第1 代表質問--------------------------------------- △開会・開議 午前10時00分 ○議長(おぐら利彦) ただいまから、平成25年第3回新宿区議会定例会を開会します。 本日の会議を開きます。 会議録署名議員は、  16番 なす雅之議員  37番 田中のりひで議員を指名します。--------------------------------------- ○議長(おぐら利彦) 本日の会議時間は、議事進行の都合により、あらかじめ延長します。--------------------------------------- ○議長(おぐら利彦) 次に、事務局次長に諸般の報告をさせます。 ◎議会事務局次長(北村仁英) 区長から、 1、平成25年第3回新宿区議会定例会の招集について 2、第66号議案など22件の議案送付について 3、諮問第1号など2件の議案送付について 4、平成25年中における新宿区議会に説明のため出席させる者の変更について 5、法人の経営状況を説明する書類の提出について 6、平成24年度新宿区財政の健全化判断比率について(報告) 7、平成24年度新宿区各会計歳入歳出決算審査意見書及び新宿区基金運用状況審査意見書の提出について 8、平成24年度新宿区財政の健全化判断比率審査意見書の提出について 9、専決処分の報告について 監査委員から、 1、平成24年度新宿区歳入歳出例月出納検査の結果について(出納整理期間5月分) 2、平成25年度新宿区歳入歳出例月出納検査の結果について(5月分・6月分・7月分) 3、定期監査(前期)の結果について 4、平成25年度行政監査(外国人への情報提供について)の結果について---------------------------------------                           25新総総総第1353号                           平成25年9月9日新宿区議会議長  おぐら利彦様                           新宿区長  中山弘子        平成25年第3回新宿区議会定例会の招集について このことについて、本日別紙写しのとおり告示したので通知します。 (別紙)(写)新宿区告示第566号 平成25年第3回新宿区議会定例会を9月19日に招集する。  平成25年9月9日                           新宿区長  中山弘子---------------------------------------                           25新総総総第1354号                           平成25年9月10日新宿区議会議長  おぐら利彦様                           新宿区長  中山弘子               議案の送付について 平成25年第3回区議会定例会に提出のため、下記議案を送付いたします。                   記 1 第66号議案 平成25年度新宿区一般会計補正予算(第5号) 2 第67号議案 平成25年度新宿区国民健康保険特別会計補正予算(第2号) 3 第68号議案 平成25年度新宿区介護保険特別会計補正予算(第1号) 4 第69号議案 平成25年度新宿区後期高齢者医療特別会計補正予算(第1号) 5 認定第1号 平成24年度新宿区一般会計歳入歳出決算 6 認定第2号 平成24年度新宿区国民健康保険特別会計歳入歳出決算 7 認定第3号 平成24年度新宿区介護保険特別会計歳入歳出決算 8 認定第4号 平成24年度新宿区後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算 9 第70号議案 新宿区使用料その他収入金の督促及び滞納処分に関する条例の一部を改正する条例10 第71号議案 新宿区長等の退職手当に関する条例の一部を改正する条例11 第72号議案 新宿区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例12 第73号議案 新宿区特別区税条例の一部を改正する条例13 第74号議案 新宿区介護保険条例の一部を改正する条例14 第75号議案 新宿区保健センター設置に関する条例の一部を改正する条例15 第76号議案 新宿区立区民健康センター条例及び新宿区一般事務手数料条例の一部を改正する条例16 第77号議案 新宿区国民健康保険条例の一部を改正する条例17 第78号議案 新宿区後期高齢者医療に関する条例の一部を改正する条例18 第79号議案 新宿区理容師法施行条例及び新宿区美容師法施行条例の一部を改正する条例19 第80号議案 新宿区リサイクル及び一般廃棄物の処理に関する条例の一部を改正する条例20 第81号議案 新宿区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例21 第82号議案 新宿区立幼稚園条例の一部を改正する条例22 第83号議案 区民ふれあいの森(A・Bゾーン)整備工事請負契約の変更について---------------------------------------                           25新総総総第1472号                           平成25年9月18日新宿区議会議長  おぐら利彦様                           新宿区長  中山弘子               議案の送付について 平成25年第3回区議会定例会に提出のため、下記議案を送付いたします。                   記 1 諮問第1号 人権擁護委員候補者の推薦に関する意見の聴取について 2 諮問第2号 人権擁護委員候補者の推薦に関する意見の聴取について---------------------------------------                           25新総総総第1152号                           平成25年7月10日新宿区議会議長  おぐら利彦様                           新宿区長  中山弘子 平成25年中における新宿区議会に説明のため出席させる者の変更について(通知) このことについて、平成25年7月1日付け人事異動により、下記のとおり変更しましたので通知いたします。      〔巻末諸報告の部参照〕---------------------------------------                           25新総総総第1401号                           平成25年9月2日新宿区議会議長  おぐら利彦様                           新宿区長  中山弘子 平成25年中における新宿区議会に説明のため出席させる者の変更について(通知) このことについて、平成25年9月2日付け人事異動により、下記のとおり変更しましたので通知いたします。      〔巻末諸報告の部参照〕---------------------------------------                           25新総総総第1329号                           平成25年8月21日新宿区議会議長  おぐら利彦様                           新宿区長  中山弘子          法人の経営状況を説明する書類の提出について このことについて、地方自治法第243条の3第2項に基づき、下記のとおり関係書類を提出いたします。                   記 1 対象となる法人   新宿区土地開発公社         〔以下は省略〕---------------------------------------                           25新総総総第1444号                           平成25年9月9日新宿区議会議長  おぐら利彦様                           新宿区長  中山弘子     平成24年度新宿区財政の健全化判断比率について(報告) このことについて、地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条第1項の規定に基づき、別紙のとおり報告します。       〔巻末諸報告の部参照〕---------------------------------------                           25新総総総第1445号                           平成25年9月9日新宿区議会議長  おぐら利彦様                            新宿区長  中山弘子       平成24年度新宿区各会計歳入歳出決算審査意見書及び       新宿区基金運用状況審査意見書の提出について 地方自治法第233条第3項及び同法第241条第5項の規定に基づき、本区監査委員の「平成24年度新宿区各会計歳入歳出決算審査意見書及び新宿区基金運用状況審査意見書」を提出します。         〔別紙は省略〕---------------------------------------                           25新総総総第1446号                           平成25年9月9日新宿区議会議長  おぐら利彦様                           新宿区長  中山弘子    平成24年度新宿区財政の健全化判断比率審査意見書の提出について 地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条第1項の規定に基づき、本区監査委員の「平成24年度新宿区財政の健全化判断比率審査意見書」を提出します。         〔別紙は省略〕---------------------------------------                           25新総総総第1475号                           平成25年9月18日新宿区議会議長  おぐら利彦様                           新宿区長  中山弘子              専決処分の報告について このことについて、地方自治法(昭和22年法律第67号)第180条第2項の規定に基づき、別紙のとおり報告します。         〔別紙は省略〕---------------------------------------                             25新監査第127号                             平成25年6月25日新宿区議会議長  おぐら利彦様                         新宿区監査委員  山岸美佐子                            同     猿橋敏雄                            同     岩田一喜                            同     赤羽つや子 平成24年度新宿区歳入歳出例月出納検査の結果について(出納整理期間5月分) このことについて、地方自治法第235条の2第3項の規定に基づき、下記のとおり報告します。      〔巻末諸報告の部参照〕---------------------------------------                             25新監査第128号                             平成25年6月25日新宿区議会議長  おぐら利彦様                         新宿区監査委員  山岸美佐子                            同     猿橋敏雄                            同     岩田一喜                            同     赤羽つや子    平成25年度新宿区歳入歳出例月出納検査の結果について(5月分) このことについて、地方自治法第235条の2第3項の規定に基づき、下記のとおり報告します。      〔巻末諸報告の部参照〕---------------------------------------                             25新監査第161号                             平成25年7月25日新宿区議会議長  おぐら利彦様                         新宿区監査委員  山岸美佐子                            同     猿橋敏雄                            同     岩田一喜                            同     赤羽つや子    平成25年度新宿区歳入歳出例月出納検査の結果について(6月分) このことについて、地方自治法第235条の2第3項の規定に基づき、下記のとおり報告します。      〔巻末諸報告の部参照〕---------------------------------------                             25新監査第183号                             平成25年8月23日新宿区議会議長  おぐら利彦様                         新宿区監査委員  山岸美佐子                            同     猿橋敏雄                            同     岩田一喜                            同     赤羽つや子    平成25年度新宿区歳入歳出例月出納検査の結果について(7月分) このことについて、地方自治法第235条の2第3項の規定に基づき、下記のとおり報告します。      〔巻末諸報告の部参照〕---------------------------------------                             25新監査第203号                             平成25年9月13日新宿区議会議長  おぐら利彦様                         新宿区監査委員  山岸美佐子                            同     猿橋敏雄                            同     岩田一喜                            同     赤羽つや子            定期監査(前期)の結果について 地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第9項の規定により、平成25年度定期監査(前期)の結果に関する報告を決定したので、次のとおり提出する。         〔以下は省略〕---------------------------------------                             25新監査第211号                             平成25年9月13日新宿区議会議長  おぐら利彦様                         新宿区監査委員  山岸美佐子                            同     猿橋敏雄                            同     岩田一喜                            同     赤羽つや子    平成25年度行政監査(外国人への情報提供について)の結果について 地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第9項の規定により、平成25年度行政監査の結果に関する報告を決定したので、次のとおり提出する。         〔以下は省略〕--------------------------------------- ○議長(おぐら利彦) 会期についてお諮りします。 本定例会の会期は、本日から10月16日までの28日間にしたいと思います。これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(おぐら利彦) 異議なしと認めます。 会期は、本日から28日間と決定いたしました。--------------------------------------- ○議長(おぐら利彦) これから本日の日程に入ります。 日程第1、代表質問を行います。 質問の通告を受けましたので、順に質問を許します。 最初に、32番沢田あゆみ議員。     〔32番 沢田あゆみ議員登壇、拍手〕 ◆32番(沢田あゆみ) 日本共産党区議団の沢田あゆみです。2013年新宿区議会第3回定例会に当たり、会派を代表して区長並びに教育委員会に質問します。 ことしは例年に増して猛暑、酷暑の夏でした。暑い中、6月には東京都議会議員選挙が、7月には参議院議員選挙が行われ、日本共産党は大きく躍進をさせていただきました。それは、消費税増税、原発再稼働、憲法改定などに危機感や不安を感じる国民の皆さんが、安倍政権の暴走に正面から対決する日本共産党に評価をいただいたからだと思います。そうした皆さんの御期待にお応えすべく、全力で頑張る決意を申し上げ、最初に区長の政治姿勢について質問します。 参議院選挙の結果、自公両党で参議院の過半数を確保した安倍政権は、来年の通常国会を展望し、社会保障の連続改悪を狙った、いわゆる「プログラム法案」の閣議決定を初め、「暴走リスト」を推し進めようとしています。8月1日から生活保護基準の引き下げが強行されましたが、来年4月からの総額13.5兆円もの消費増税は既に意向を固め、10月1日に発表するとし、雇用問題では労働法制の大改悪、社会保障問題では医療費の窓口負担増、年金支給額の削減と支給開始年齢の引き上げ、介護の要支援者の切り捨てと利用料のアップなど、手当たり次第の切り捨てが強行されようとしています。 憲法の問題では、集団的自衛権の行使をできるように政府解釈の変更を行おうとし、TPP問題も秘密のうちに売国的交渉が進められ、米軍基地問題では沖縄県で米軍機の墜落事故が起こったにもかかわらず、オスプレイの配備、辺野古への新基地建設をゴリ押しする態度を変えず、今度は横田基地にもオスプレイの配備を検討しようとしています。 さらに原発の問題では、東京電力福島第一原発で放射能汚染水が海に漏れ出し、制御不能の危機的事態となっているにもかかわらず、原発の再稼働と輸出に意欲を燃やし、国際オリンピック委員会の総会で安倍首相が「状況はコントロールされている」などと言ったことに国の内外から疑問の声が上がっています。 一刻も早く東京電力福島第一原発の事故を収束させるために、あらゆる英知を結集し、最優先で取り組み、オリンピックが福島県や東北の被災地復興にも寄与し、世界に平和を広げる祭典として世界の人々を迎えられるようにしなければならないと思います。     〔「そうです」と呼ぶ者あり〕 そこで区長に伺います。 私が「暴走リスト」と言ったこれらの動きは区民生活にも大きく影響することばかりです。区民を守るべき区長のお立場から、これらのことに対してどのような見解をお持ちか、お聞かせください。 とりわけ原発の問題については、2020年東京オリンピックの招致活動を区長も行ってこられましたが、安倍首相はIOCで国際公約したことを実行せよと東京電力福島第一原発の汚染水問題については東京電力任せにするのではなく政府の責任で早急な対策を実行するよう国に要望すべきと考えますが、いかがでしょうか。 そして、区長が脱原発の立場に立たれるのであれば、原発の再稼働や輸出はすべきでないと国に対して意見を言うべきと思いますが、いかがでしょうか。 以上、答弁願います。 ◎区長(中山弘子) 沢田議員の御質問にお答えします。 区民生活に関連する安倍内閣の施策の動向についてのお尋ねです。 国は、長期的展望に立って少子高齢化や社会保障財源確保のための施策などに取り組んでいると認識をしており、引き続き国民の十分な理解を得られるよう積極的に議論を行い、社会・経済状況への柔軟で的確な対応を通して、国民生活の安定に取り組んでほしいと考えております。 私といたしましては、区政運営に当たり区民生活の不安を払拭し、誰もが夢と希望の持てる地域社会の実現に努めてまいります。 次に、東京電力福島第一原発の汚染水問題についてのお尋ねです。 安倍首相は、ブエノスアイレスでの国際オリンピック委員会総会で行った東京への招致演説の中で、「抜本解決に向けたプログラムを私が責任を持って決定し、既に着手しています。実行していくことをはっきりお約束申し上げたい。」と述べられています。 既に政府は、関係省庁を横断する「廃炉・汚染水対策チーム」を設け、経済産業大臣をチーム長として対策に取り組んでおり、今後の解決を期待しています。 また、脱原発についてのお尋ねですが、私は以前から電力を原子力に依存する体制から脱却する必要があると考えています。首相も五輪招致決定後の記者会見において「原子力比率を引き下げ、今後3年程度の間に再生可能エネルギーの普及と省エネルギー推進を最大限加速させる。」と表明しています。 そういったことですので、区でも地域特性に応じたエネルギーの確保と効率的利用を推進しながら、国の動向を見守っていきたいと考えております。 ◆32番(沢田あゆみ) 次に、平和施策について質問します。 初めに、核兵器廃絶とオスプレイ、PAC-3配備について伺います。 核不拡散条約(NPT)再検討会議が開かれる2015年は被爆70周年の節目の年に当たりますが、そこに向けて核兵器廃絶を求める新たな国際的行動が呼びかけられています。 ことし4月には、NPT再検討会議準備委員会で核兵器の非人道性を訴える共同声明に80カ国が賛同しました。ところが、日本政府は事もあろうに、この共同声明への署名を拒否したのです。多くの被爆者、国民から怒りの声が上がり、長崎市の田上市長は8月9日の平和式典で「人類のいかなる状況においても核兵器を使うべきでないという文言が受け入れられないとすれば、核兵器の使用を状況によっては認める姿勢を日本政府は示したことになります。これは2度と世界の誰にも被爆の経験をさせないという被爆国の原点に反します。」と日本政府の態度を厳しく批判しました。 日本政府のこの態度は、新宿区も参加する平和首長会議が進める運動の趣旨とは相入れません。新宿区長として、日本政府、安倍首相に強く抗議すべきと思いますが、いかがでしょうか。 7月29日、アメリカ太平洋空軍のカーライル司令官がオスプレイの日本配備について、横田基地を有力候補地と表明しました。横田基地に配備しようとしているのは、オスプレイでも事故率の高いCV-22型の機体であり、横田基地周辺の5市1町でつくる対策連絡会が防衛省に配備検討撤回を要請しています。新宿区長としても、横田基地周辺自治体と連携し、オスプレイの配備反対を表明すべきと考えますが、いかがでしょうか。 防衛省は、自衛隊の市ヶ谷基地にPAC-3を展開するための関連施設を整備するため、来年度予算概算要求に計上することを区に伝えてきました。これまでも北朝鮮のミサイル打ち上げの情報があるたびに市ヶ谷基地や新宿御苑にまで配備を行い、私たちも抗議の声を上げてきましたが、今回の計画はPAC-3を長期的に常時展開するもので、とても許すことはできません。 平和都市宣言を行っている新宿区長として、区民の平和と安全を守る立場から今回のPAC-3配備計画を中止するよう国に要請すべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、新宿区平和都市宣言30周年に向けた取り組みについて伺います。 2016年3月15日に新宿区平和都市宣言30周年を迎えます。今からそこへ向けて区民と一緒になった取り組みを開始することが平和啓発のためにも必要です。 議会の取り組みを振り返ってみると、新宿区議会50周年記念誌には原水爆禁止を求める当時の活動が記録されています。1954年3月1日、ビキニ環礁でアメリカが行った水爆実験で静岡県焼津市のマグロ漁船第五福竜丸が被爆し、乗組員の久保山愛吉さんが死亡、日本は3度の原水爆被害を受けました。当時の新宿区長、区議会議長は、現在の国立国際医療研究センター病院に入院中の乗組員らを見舞うとともに、9月23日に久保山愛吉さんが亡くなったときは区議会として黙祷を捧げ、原水爆禁止に関する意見書を関係大臣に提出、4名の区議会議員が長崎市での第2回原水爆禁止世界大会に参加するなど、区長、区議会、区民の3者が一体となって原水爆禁止運動に取り組んだことが記されています。 1957年12月2日の区報は、「区の原水爆禁止署名終わる」と題して、9歳以上の署名可能人口の63%に当たる16万6,677名が署名したことなどを伝えています。 こうして積み重ねてきた取り組みの上に立ち、平和都市宣言30周年を展望して、以下質問します。 第1に、「(仮称)平和施策の推進に関する条例」の制定についてです。 都内で平和施策の推進に関して条例を持っているのは中野区、西東京市、三鷹市で、中野区は恒久平和を希求する憲法擁護をうたった憲法擁護非核都市の宣言を1982年に行い、1990年に平和行政を区の政策目標として位置づけるため、「中野区における平和行政の基本に関する条例」を制定し、平和の集い、平和企画展示、写真パネルの貸し出しを恒常的に行っています。 中山区長の平和に対する識見や施策は私どもも評価をしており、京都教育大学の村上登司文教授の調査でも、自治体における平和啓発事業予算の2010年度予算額では広島市、長崎市が1、2位、新宿区は6位と都内ではトップを走っており、まさに新宿区は先進自治体であることを改めて認識しました。それだけに、新宿区でも条例を制定することで、次の世代の区長に替わったときにも着実に平和事業が進められる保証になります。30周年に向けて、ぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 第2に、平和都市宣言30周年記念事業についてです。 20周年のとき、私自身が最も心に残ったのは、この議場で区民と一緒に聞いた、対馬丸の生き残りの方による平和記念講演です。区主催の「戦争体験を語る集い」や記念誌の発行などでも多くの被爆者・戦争体験者の記憶を語り継ぎ、形に残す取り組みが積極的に行われました。今、体験を語れる方々がますます高齢化し、直接話を聞ける機会が少なくなっています。体験者の貴重なお話を30周年に向けて、学校教育の中で子どもたちに直接聞いてもらう取り組みやDVDなどで記録に残し、それを学校教育でも活かす取り組みを行ってはいかがでしょうか。また、区民の皆さんから戦時中に使用したものなど募って展示をすることも後世に戦争をリアルに伝える意味で大事だと思いますので、30周年を機に取り組んではいかがでしょうか。 中野区は条例制定の際に平和のシンボルマークを公募し、日常的に使われていますが、新宿区でも30周年を記念してシンボルマークを公募してはいかがでしょうか。 第3に、平和派遣事業についてです。 親と子の平和派遣事業はことしで27回目を迎え、平和派遣報告会が行われています。この10年間の応募数は、平均24.1組、3.44倍となっています。多くの親子が関心と熱意を持って応募しているのですから、派遣数を現在の7組からせめて10組以上にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 第4に、平和ポスター展、平和展についてです。 1987年から始まった平和ポスター展は、ことしも区役所本庁舎で行われ、ことしの参加は24校1,276点、平和展は区内2カ所で行われました。多くの区民に関心を持っていただくために、平和ポスター展、平和展とも特別出張所、地域センターを活用し、平和ポスター展は、その地域の児童・生徒の作品を展示してはいかがでしょうか。 第5に、署名の推進についてです。 平和首長会議が進める「核兵器禁止条約の交渉開始等を求める」署名は、9月1日現在80万筆を超えています。平和首長会議加盟のうち、137自治体では自治体のイベント、戦争パネル展などで署名コーナーを設けて推進しています。新宿区でも、平和派遣報告会、平和コンサートなど平和事業で署名用紙を配布し、各特別出張所でも署名用紙を置いて促進してはいかがでしょうか。 以上、答弁願います。 ◎区長(中山弘子) 平和施策についてのお尋ねです。 まず、核兵器の非人道性を訴える共同声明への署名に対する日本政府の対応についてのお尋ねです。 昨年12月の国連総会において、99カ国の共同提案国を代表して日本政府の提出した核軍縮決議案「核兵器の全面的廃絶に向けた共同行動」が賛成多数で採択された一方、ことし4月のNPT再検討会議準備委員会において80カ国が賛同した「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に日本政府が賛同しなかったことは、大変残念なことだと考えています。 ことし8月5日に開催された平和首長会議国内加盟都市会議において、これらの内容を記載した「核兵器禁止条約」の早期実現に向けた取り組みを促す要請文の提出を決議し、内閣総理大臣宛て提出しました。 今後とも平和首長会議の一員として、他自治体と連携し、核兵器廃絶に向けた取り組みを進めます。 次に、オスプレイの横田基地への配備についてのお尋ねです。 オスプレイの国内配備については、日米両政府間で協議する事項であり、新宿区長としてオスプレイの横田基地配備に意見を表明する立場にはないと考えております。 次に、PAC-3の配備計画についてのお尋ねです。 市ヶ谷基地のPAC-3関連施設整備については国防上の問題であり、計画中止を国に要請する考えはありません。 なお、今回のPAC-3関連施設整備は、必要なときに安全・迅速にPAC-3を展開するためのものであり、常時、市ヶ谷基地にPAC-3を配備するためのものとは聞いておりません。 次に、「(仮称)平和施策の推進に関する条例」の制定についてのお尋ねです。 新宿区は、昭和61年に行った新宿区平和都市宣言の趣旨に基づき、平和展や平和コンサート、親と子の平和派遣などの平和に関する事業を積極的に実施しております。 平和都市宣言により、既に新宿区の平和に対する意思を表明しているため、さらに条例を制定する考えはありませんが、今後とも、より多くの区民、特に次代を担う若い人たちに戦争の悲惨さと平和の大切さを伝えるため、引き続き平和施策の充実に力を入れてまいります。 次に、平和都市宣言30周年記念事業での展示の取り組みや平和のシンボルマーク作成についてのお尋ねです。 戦時中の貴重な資料を展示し、平和都市宣言の趣旨を伝えていくことは大変重要なことだと考えております。 そこで、平和講演会で区民からお借りした資料を展示したほか、平和展においても区民から新宿歴史博物館に寄贈いただいた資料を展示しております。 平和のシンボルマークを作成する考えはありませんが、今後とも平和に関する事業の企画や資料の展示において、創意工夫を凝らしてまいります。 次に、平和派遣の参加者をふやすことについてのお尋ねです。 平和派遣に参加された方々の多くは、被爆地広島市や長崎市に行って原爆被害の実態だけでなく、戦争の悲惨さや平和の大切さを周りに伝えていくことの大切さを学んでいます。そして、自主的に学校などで戦争の悲惨さや平和の大切さを伝えるなど、平和啓発の活動の輪を拡げています。したがって、派遣者をふやすのではなく、自主的な発表の場の支援などにより、多くの人々に戦争の悲惨さや平和の大切さを伝えていきたいと考えております。 次に、平和のポスター展、平和展を特別出張所や地域センターで開催することについてのお尋ねです。 平和のポスター展については、今年度1,276点の応募があり、最優秀賞6点、優秀賞21点、優良賞37点、佳作を184点選定しました。 今年度の新たな試みとして、現在特別出張所において平和のポスター展で最優秀賞を受賞した6点の巡回展示を実施しています。 展示スペースが限られていることから、展示数をふやすことは難しい状況にありますが、御質問の趣旨を踏まえ、今後とも展示方法や対象者に工夫を凝らしながら、多くの人に関心を持っていただけるような取り組みを進めてまいります。 次に、平和首長会議が進める核兵器禁止条約の交渉開始を求める署名についてのお尋ねです。 現在、総務課の窓口に署名用紙を置いているほか、区ホームページでも署名の協力を呼びかけており、リンク先の平和首長会議のページからは、オンライン署名や署名用紙のダウンロードが可能となっています。また、平和事業参加者にも署名用紙を配付し、協力をお願いしています。 今後とも、多くの人に署名に協力していただけるよう努めてまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 学校において戦争体験者の話を聞いたり、DVDで記録を残し、活用したりする教育活動の取り組みについてのお尋ねです。 本区は、昭和61年3月15日、全ての国の核兵器廃絶と世界の恒久平和の実現を願い、「新宿区平和都市宣言」を行いました。これは、平和の実現を目指す新宿区民の強い決意をあらわしたものであり、子どもたちに他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことの重要性をうたうものです。 現在、各学校においては総合的な学習の時間などの中で地域のお年寄りを招き、戦争当時の様子や体験を聞くなど、工夫しながら平和教育に取り組んでいます。 また、落合地区在住の地域の方が作成した学童疎開などの記録DVD「ぼくたちの戦争」が各学校に寄贈され、それを鑑賞し、改めて平和について考える取り組みもなされています。 今後の平和都市宣言30周年に向けて、未来を担う子どもたちに平和の尊さを語り継いでいく取り組みについて、区長部局と連携して検討してまいります。 ◆32番(沢田あゆみ) 次に、2012年度決算と財政運営について質問します。 2012年度は東日本大震災後、初めて編成された予算であり、また、区の第二次実行計画初年度の予算でもありました。区長は、予算見積もりの基本方針を「将来を見据えた財政の持続性を目指すとともに、喫緊の課題に即応し、基本構想の実現に向けて第二次実行計画の堅実な道筋をつける予算」としましたが、区長は、決算結果はこの方針を実現できたとお考えでしょうか。 また、震災対策を初めとする喫緊の課題に的確に対応することも獲得目標でしたが、この点は達成されたと受けとめておられますか。区長の2012年度決算の基本的な評価をお聞かせください。 「将来を見据えた財政の持続性」と言ったときに、多様化する区民ニーズに的確に応えるための歳入を確保していくことも重要な視点だと思います。この点では、特別区民税の調定額がわずかですが昨年度より低下しており、職員の努力で収入率が上昇し、前年度比では微増ですが、努力には限界があります。「新宿区の概況」では、人口増により納税義務者は530人増加する一方、1人当たりの納税額が612円減少しています。厚生労働省の最近の勤労統計調査によれば、勤労者の所定内賃金も家族手当や残業代などを含む「きまって支給する給与」も14カ月連続減少しています。非正規雇用が全労働者の4割近くになり、年収200万円以下が1,000万人を超えました。区民も例外ではありません。これは日本社会全体にとって看過できない問題ですが、区財政の持続性からも放置できない問題です。 区長は、区民税の今後の推移をどのように予測しているのか、その理由も含めてお示しください。私は、区財政の将来に責任を持つ区長として、政府に賃上げと雇用の安定化を強く求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 2012年度決算で経常収支比率が88.9%で前年比0.8%上昇し、財政の弾力性が低下して硬直化してきたとはいえ、法令に基づき算定する「健全化判断比率」は、どの指標をとっても健全だというのが現時点での区財政の客観的評価だと思いますが、区長の認識はいかがでしょうか。 この年、年少者の扶養控除の廃止と特定扶養控除の縮小が実施されて、子育て世帯の税負担がふえましたが、これによりどの程度税収が増加したのでしょうか。区は、この年度から保育料等への影響を遮断する対応をとっていますが、今後も続けていただけるものと思いますが、いかがでしょうか。 国の制度改革は区財政の動向を大きく左右しますが、依命通達でも指摘しているように、当面は社会保障・税の一体改革が区財政に大きく影響してくることは間違いありません。まずは、消費増税の影響です。どの世論調査でも来年4月から消費税を8%に引き上げることには反対が7割を超えています。給料は上がらない、年金も生活保護費も削減、電気・ガス料金が値上げしているもとで消費税が上がったら家計はたまりません。景気が悪化して税収が減ることを考慮に入れなかったとしても地方消費税交付金は単純に60%増加するのか、区の調達に係る増税分はどの程度ふえるのか、増減を差し引いて、果たして区財政にどの程度プラスに作用するかなど消費増税の区財政への影響について現時点でどのような想定ができるかお答えください。 自民・公明・民主の3党合意に基づき消費増税が昨年8月国会で可決し、社会保障制度は「社会保障制度改革国民会議」で議論されてきました。その報告が8月5日に出されましたが、社会保障は自助が基本で、共助が支え、公助が補完する保険方式が基本で、公費負担は減らすというのですから、区民は消費税で負担がふえるだけでなく、保険料も利用料も負担増になります。年金も減らす方向が示されており、区民の命と暮らしを守る自治体の役割は増し、住民サービスのニーズが増大することは必至です。まだ詳細がわからない段階ではありますが、今般の国民会議報告が示す大筋の方向について、区民生活や区財政への影響を区長がどのように認識しておられるのか、お答えください。 来年度予算編成の依命通達では、予算見積もりに際し、外郭団体は外郭団体調書、指定管理者は指定管理料積算調書を活用し、精査・見直しすることを求めています。介護や障害者等の福祉施設では職員の離職、利用者サービスの低下が課題となっています。来年から指定管理料が下がるという説明がされたところもあると漏れ聞いていますが、精査・見直しはイコール削減という趣旨ではないはずです。現場にはどのように伝え、理解されているのでしょうか、お答えください。 人件費を初め、委託料・指定管理料は必要があれば増額すべきで、その旨職員に徹底すべきと思いますが、いかがでしょうか。 公共工事に従事する職人を確保できず、設計労務単価を引き上げたり、保育士不足が問題になるなど、公共サービスの担い手確保が行政の課題になっています。アウトソーシングしてもサービスの質をしっかり守れるよう賃金・労働条件を保障する立場を委託料や指定管理料の積算に当たっても明確にすべきではないでしょうか。 以上、答弁願います。 ◎区長(中山弘子) 平成24年度決算と財政運営についてのお尋ねです。 まず、決算の評価についてです。 平成24年度は、第二次実行計画の初年度に当たり、第二次実行計画を着実にスタートし、震災対策の強化や待機児童解消緊急対策など直近の区政課題に取り組むとともに、適宜予算の補正を行い、保育所等耐震化促進事業助成や予防接種など、区民の健康や安全・安心の確保のため、緊急性が高く、重要な課題に迅速に対応しました。その結果、第二次実行計画事業を初め、予定された諸事業の着実な推進を図ることができたものと考えております。 待機児童解消対策や減災社会を目指した安全なまちづくりの推進など、現在進行中の区政課題については、そのスピードを加速し、引き続き取り組んでまいります。 平成24年度決算は、実質単年度収支が4年連続の赤字となり、経常収支比率が88.9%に上昇しました。 これは、区税等の一般財源収入が改善しない中で生活保護費などの扶助費や特別会計への繰出金が伸びるなど、区を取り巻く財政環境が厳しくなったことによるものと考えています。 このような状況から、財政調整基金からの繰り入れを行うなど、今まで培ってきた財政対応力を活用しました。 平成24年度末基金残高は、区債残高を141億円上回る384億円となっており、区財政は将来需要への一定の対応力を確保していると考えていますが、財政構造の硬直化や基金残高が減少していることから、引き続き財政基盤の強化に徹底して取り組んでまいります。 次に、特別区民税の今後の推移についてのお尋ねです。 特別区民税の収入は、平成22年度リーマンショックの影響で大きく減少して以降、ほぼ横ばいで推移し、平成24年度決算の収入額も対前年度比0.51%の増でした。 平成25年度は、当初課税段階の納税義務者数が当初予算策定時と比較し、3,898人増となっており、総合課税分の総所得金額も同様に4.5%伸びています。 このようなことから、現段階においては平成25年度特別区民税は当初予算の332億円を上回るものと考えております。 平成25年の所得が課税ベースとなる平成26年度はほぼ横ばいで推移するものと見込んでいますが、平成27年度以降の見通しにつきましては、今後の経済状況に大きく左右されるところから楽観視できないと考えています。 次に、政府に賃上げと雇用の安定化を強く求めるべきとのお尋ねです。 平成25年7月分の毎月勤労統計調査結果速報によりますと、現金給与総額は前年同月比0.4%の増となっているものの、きまって支給する給与は減となり、実質賃金も0.4%の減となっていることから、賃金引き上げのための継続した取り組みが必要です。 東京都最低賃金は10月以降に19円引き上げられ、869円になる見込みです。また、国においては正規雇用を目指す人向けのハローワークを設けるなど、さまざまな取り組みが行われています。 区財政の継続性の面からも勤労者の賃金の引き上げや雇用の安定は必要と考えており、新宿区・東京労働局・新宿労働基準監督署・ハローワーク等で構成する新宿区地域雇用問題連絡会議を通じて認識を共有しているところです。 今後もこうした機会を捉え、賃金・雇用問題等労働環境を取り巻くさまざまな課題について、幅広く働きかけをしてまいります。 次に、健全化判断比率についてのお尋ねです。 新宿区の財政の健全化に関する4つの指標について、「実質赤字比率」及び「連結実質赤字比率」は、全会計の実質収支が黒字のため、また「将来負担比率」は地方債現在高等の将来負担額が基金残高等の充当可能額を下回るため、いずれも算出されません。また、「実質公債費比率」はマイナス0.8%で早期健全化基準の25%を大きく下回っております。 こうした健全化に関する4つの指標から、区の財政は健全であることが確認できます。しかし、基金残高が前年度と比較して35億円減少し384億円になるなど、区財政の状況は厳しさを増しているものと認識しております。 次に、年少者の扶養控除の廃止と特定扶養控除の縮小による税収の増についてのお尋ねです。 平成24年度から適用となった15歳までの年少扶養親族に対する扶養控除の廃止による影響額は約4億7,000万円、16歳から18歳までの特定扶養親族に対する扶養控除の上乗せ部分の廃止による影響額は約3,000万円で、合計約5億円の増収と分析しています。 次に、年少扶養控除等の廃止による保育料等への影響を遮断する対応についてのお尋ねです。 年少扶養控除等の廃止により、所得税・個人住民税の税額等と連動している保育料等の医療・福祉制度等に関する負担に影響が生じることとなりました。 そこで、控除廃止の影響を受ける保育料等については、子育て世帯等への税負担が急激に増加することのないよう、扶養控除の見直しによる影響をできるだけ遮断することとしており、今後もそうした対応を継続してまいります。 次に、消費税増税に伴う区の地方消費税交付金の影響についてのお尋ねです。 現行の地方消費税交付金は、人口と従業員数で案分され、区市町村に交付されることに変更はありませんが、消費税率の引き上げ分については社会保障財源化されたことを踏まえ、人口按分のみにより交付される予定です。 平成24年度の地方消費税交付金の決算額84億円を基礎とし、人口按分のみで試算しますと、消費税率が8%の場合、通年ベースで31億円程度、率にして37%の増と推計しています。 次に、区の物資の調達経費などの影響についてですが、消費税率が8%の場合、14億円程度の歳出増になるものと推計しています。 地方消費税の増収分については、社会保障財源化することとされており、新宿区においても法令の趣旨に即した地方消費税の活用が求められています。 今後、社会保障制度の地方財源が変動する可能性もあることから、現時点で区財政の影響を捉えることは難しい状況ですが、社会保障制度改革をめぐる動向を十分注視して、区の影響を的確に捕捉し、対応してまいります。 次に、社会保障制度改革国民会議報告書の示す方向性が区民生活や区財政に与える影響についてです。 国民会議では、持続可能な社会保障制度の実現を目指し、真摯な議論が尽くされたものと考えています。報告書では、少子化対策、国民健康保険を初めとする医療保険制度、介護保険制度等について一定の改革の方向性が示されました。高齢者世代を給付の対象とする社会保障から切れ目なく全世代を対象とする社会保障への転換を目指したもので、若い世代向けに少子化対策を盛り込む一方、高齢者や高額所得者には給付費の抑制や負担増などの協力を求めるなど、区民の生活はもとより、地方財政にも大きな影響を与える内容となっています。 今後、具体的な改革の姿や工程が明らかになってくることから、その動向の把握に鋭意努めるとともに、将来を見据えて的確に対応してまいります。 次に、平成26年度予算編成の依命通達についてです。 平成26年度予算編成では、財政構造の硬直化や基金残高の減少など、区財政の状況がより厳しさを増していることから、行政評価や決算実績に基づく事務事業の見直し、内部管理経費の精査など、徹底した経費の削減に取り組んでまいります。 指定管理料については、指定管理者の課税・免税事業者の確認、事業の課税・非課税の確認、基本協定時に想定された指定管理料との整合性など、指定管理料の妥当性を検証するものです。予算の削減ありきではなく、行政監査結果も踏まえながら、積算調書を活用して経費の精査や適切な見積もりに活かしていくことが目的で、その旨、職員にも徹底しています。 また、指定管理者には指定管理業務が適正な労働環境のもとで行われることを確保するため、公募段階から労働環境チェックシートによる確認を行わせるとともに、指定管理2年目には労働環境モニタリングを義務づけています。 また、新宿区が業務委託をする際にも適正な履行の確保及び労働環境の整備に配慮した調達の推進を図るため、区が定める金額以上の委託契約において労働環境の確認を行っているところです。 区では、多様化する区民ニーズに効果的・効率的に対応するため、引き続き指定管理者を含めた民間の能力を活用するとともに、より質の高い公共サービスを行うため、労働法令を遵守し、雇用や労働条件についても適切に実施されるよう、今後も対応してまいります。 ◆32番(沢田あゆみ) 次に、生活保護と就学援助について質問します。 新宿区の生活保護受給者は、リーマンショックの起こった2008年度末は6,823世帯、7,812人、保護率24.8パーミルだったのが、昨年度末は8,997世帯、1万387人、31.7パーミルに年々増加しています。就学援助の認定率も2008年度小学校20.29%、中学校29.7%が昨年度は小学校23.3%、中学校36.2%と増加し、特に生活保護を受けている要保護世帯がふえており、区民生活がますます苦しくなっていることを示しています。 違法な水際作戦を合法化するものだと問題視されていた生活保護法改悪案は参議院議員選挙前の国会で廃案となったものの、生活保護基準の引き下げはこの8月から強行され、単身の方で1,000円強、夫婦と3人の子どもがいる世帯では8,000円近い減額が行われました。保護費の減額は96%の被保護世帯に影響し、来年、再来年も実施される予定で最大1割の下げ幅、子育て世代ほど大幅に下がるというとんでもないものです。 生活保護基準の引き下げは、さまざまな制度に影響を及ぼすことから、国も「できる限り影響が及ばないように」と自治体に対する通知を出していましたが、それを受けて自治体ごとに対応しています。区民に一番身近な区政が区民生活の実態を把握し、区民に寄り添った対応をすることが求められています。 以下、質問です。 第1に、生活保護基準改定が区民生活に与える影響と区としての対応についてです。 私ども区議団が毎年行っている区政アンケートでは、「アベノミクスの影響で物価が上がった」との回答が多く、「税や社会保障の負担もこれ以上は耐えられない」という意見が多数寄せられました。ますます生活が厳しくなる中で今後も続く保護費の削減に対して、全国各地で行政不服審査請求の動きがあります。新宿区の福祉事務所にも「なぜ保護費が減ったのか」などの声が寄せられていると思いますが、新宿区では何世帯何人に総額幾らの減額、または停止となったでしょうか。減額された世帯のうち、最高額は幾らで、それはどのような世帯構成だったのでしょうか。福祉事務所への抗議や問い合わせは何件で、区としてどのような対応をしてきたのかお答えください。 また、生活保護基準改定の影響を受ける制度が新宿区では何事業あるのか。他事業に影響が出ないようにすべきですが、区として具体的にどう対応するのかお答えください。 特別区長会では国に対する予算要求の中で、「基準の見直しに当たっては、低所得世帯に影響が及ばないよう国が確実に財政措置を講じること」と、他制度への影響に対する財政措置を求めていることは承知していますが、それにとどまらず、区民の生活実態からしても生活保護基準の引き下げをしないよう、国に意見を上げるべきと考えますが、いかがでしょうか。 今回の改定で、「自分は年金があるから、もらっている保護費は少ない。これ以上保護費の基準が下がり、保護を切られてしまうと医療費が心配だ」という不安の声を聞きます。また、今は保護を受けていないけれども、蓄えがなくなったら受けざるを得ないという方も、「自分は受けられないのでは」という方もいます。 こうした不安に対しては、年金額だけでなく医療費も含めて保護の要否が判断されることなどを丁寧に説明し、不要な心配をしないよう、また必要な人が制度から漏れることのないようにすべきです。その点で、いのちのネットワークはどのように運用されているでしょうか。お答えください。 第2に、就労支援についてです。 今回の改定では、就労を奨励する考えのもと、基礎控除の最低区分額が8,000円から1万5,000円に引き上げられました。とりわけ働ける年齢の方からは、「可能な限り働きたいが、働き口がない」という声も多く、被保護世帯へ適切に仕事のあっせんを行うことも必要です。現在もハローワークと連携した就労支援が行われていますが、十分とは言えません。「担当のワーカーから仕事をふやすよう言われても、仕事を紹介してくれるわけではないので困った」という声も寄せられています。 区として雇用対策の一環として行っている事業もありますが、それが必ずしも区民の直接的な雇用にはなっていません。そうした区の事業なども活用して、具体的に仕事をあっせんできる仕組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。 第3に、クーラーの設置費用についてです。 毎年、これでもかというほど猛暑が続いています。2011年、日本共産党の田村智子参議院議員が国会で取り上げたことを契機に、高齢者など一定の条件のある生活保護受給世帯に対し、年金などの収入のある人には社会福祉協議会の生活福祉資金を貸し付け、その分は収入認定をしないことと、ほかに収入のない人には東京都が4万円の補助を行い、クーラーの設置が行われました。生活福祉資金の貸し付けについては、現在も同様の取り扱いがされており、その実績は2011年度、都の補助金が16世帯、貸し付けは4世帯、計20世帯、2012年度の貸し付けは2世帯、今年度8月末現在の貸し付けが3世帯となっています。 社会福祉協議会では、クーラーの設置費用が必要な生活保護受給者に緊急に対応しなければ命にかかわるとの判断から緊急扱いで貸し付けた事例が去年もことしも数件あったと聞いています。しかし、生活福祉資金を借りられるのは、保護費のほかに年金や就労などの収入がある世帯に限られ、保護費のみで生活している世帯は子どもの学費以外は貸し付けできない制度となっています。 しかし、猛暑はその人の収入にかかわらず、命を脅かすほどの酷暑となっている現状を考えたときに、区としても国の対応待ちではなく早急な対策が求められているのではないでしょうか。 2011年度の実績を見ても、貸付金より補助金のほうが多く活用されており、区としては国に対する制度改善だけでなく、東京都に対しても2011年度に行った補助制度を復活するよう求めるべきです。それが実現するまでは区が独自にでも実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。 第4に、就学援助の周知についてです。 区立小・中学校に通っている児童・生徒は、年度が変わるときに学校を通じて就学援助の希望の有無も含めて提出を求める申請書が各家庭に配布されます。しかし、区立以外の学校に通う子どもの家庭には、区の広報やホームページでしか周知はされていません。学校運営課は来年度から就学支援システムの再構築を行いますが、そうしたシステムを活用すれば、児童・生徒のいる全ての家庭に就学援助の制度を周知し、必要な人に申請を促すことができます。必要な人が制度から漏れることのないよう、今言ったような対策を含め、また年度途中での申請などについても、きめ細かく周知を行うべきではないでしょうか。 以上、答弁願います。 ◎区長(中山弘子) 生活保護と就学援助についてのお尋ねです。 生活保護基準の改定により生活扶助額が減額となった世帯は8,490世帯、9,835人で総額約1,100万円です。また、保護廃止は4世帯、停止は3世帯です。 減額となった世帯の最高額は1万1,160円で、世帯人員の多い母子世帯です。 福祉事務所へ寄せられた問い合わせは158件で、世帯の状況を把握している地区担当員や査察指導員が個別に説明をしております。 次に、生活保護基準改定の影響を受ける制度の事業数についてのお尋ねです。 5月に国から「生活保護法による保護の基準の一部改正について」の通知を受け、改正の概要及びそれに伴う影響について庁内周知を行いました。その結果、生活保護基準額を準用した事業で影響が出る「就学援助」については、改正の影響が及ばないよう対応を検討しているところです。 今回の生活保護基準改定のうち、生活扶助基準については社会保障審議会生活保護基準部会の検証結果を踏まえ、年齢・世帯人員・地域差の3要素による影響を調整するとともに、平成20年以降の物価下落を勘案して見直されています。また、激変緩和措置として改定幅の限度が10%となるよう調整され、3年間かけて段階的に実施されるものです。 今回の生活保護基準引き下げについては、一般の低所得世帯と均衡を図る適正な判断がなされたものと考えております。したがいまして、生活保護基準の引き下げをしないよう、国に要望することは考えておりません。 次に、生活保護が必要な人が制度から漏れることのないように、いのちのネットワークがどのように運用されているかについてです。 平成24年9月に「新宿区いのちのネットワーク」を構築しました。このネットワークの運用により、区民、地域団体、区内関係団体等と官公署及び区関係課が「気づきを支援につなげる」ことで、区は区民等からの連絡・通報を受け、経済的に困窮している方には生活保護制度を丁寧に説明し、漏れのない対応をしております。 次に、就労支援として、具体的に仕事をあっせんできる仕組みについてです。 区は、これまでも就労支援員を配置するなど、生活保護受給者それぞれの方に合った就労支援を行い、就労に結びつけています。 平成23年7月には被保護者に対する就労支援の充実の取り組みとして、都内で初めてハローワークと連携した「新宿就職サポートナビ」を庁舎内に開設し、迅速かつきめ細かな一体的就労支援を実施しております。開設から平成25年3月までに555人を支援し、391人が就労に結びついています。 平成24年7月からは、さらなる就労による自立を促進するため、来所面談に消極的だった方などを対象に、就労支援に経験や実績のあるNPOへ就労支援業務委託を始めました。家庭訪問等による日常の生活指導や就労体験など、柔軟で粘り強い就労支援を行うことにより、平成24年7月から平成25年3月までの9カ月間に116人を支援し、21人が就労に結びつきました。 区の事業に係る求人情報については、個別の就労指導の中で積極的に紹介することにより、生活保護受給者の就労機会の幅を広げ、就労につなげています。 それぞれの適性に応じた支援を実施することで、少しずつではありますが、着実に自立の助長が図られているものと認識しており、引き続き現在の取り組みを進めてまいりたいと考えております。 次に、クーラーの設置費用についてのお尋ねです。 平成23年度のクーラー設置補助については、外出が困難でかつ健康維持管理上クーラーが必要と考えられる高齢世帯のうち、希望される世帯に対し、クーラー設置を支援しました。 ここ数年猛暑が続き、熱中症になる方が少なくない状況もあるため、ケースワーク業務の中で熱中症の予防対策をお知らせするとともに、高齢者福祉施設等の利用を勧めております。 クーラー設置費用については、国に対し東京都を通じ、毎年要望しています。 区独自の対策については考えておりませんが、東京都に対して補助制度の復活を要望してまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 就学援助の周知について、区立以外の学校に通う家庭など必要な人が制度から漏れることのないよう、きめ細かく周知を行うべきとのお尋ねです。 区立以外の学校に通う子どもの家庭への周知については、これまで区ホームページと広報しんじゅくのほか、翌年度に区立以外の学校に進学される方も含めて配付されている学校案内の中でも就学援助制度をお知らせしてまいりました。 今後は学校案内を送る際に、就学援助制度について区立以外の学校に通う場合の申請手続の方法をよりわかりやすく周知するよう努めてまいります。 ◆32番(沢田あゆみ) 次に、高齢者福祉について質問します。 第1は、介護保険の要支援者への保険給付廃止についてです。 厚生労働省は、今月4日、社会保障審議会介護保険部会で「要支援」と認定された高齢者に対する保険給付を廃止し、市町村に任される「新しい地域支援事業」に丸投げする方針を明示しました。介護給付費の上昇を抑えるために軽度者を保険から外して、区市町村の事業にする法案を来年の通常国会に提出する計画です。同部会では、委員から「ボランティアではサービスは担えない」、「要支援者に対するアセスメントやケアプラン作成が十分にできるのか」、「予防給付の廃止はいささか乱暴だ」など異論が続出しました。 全国では約150万人が要支援と認定され、うち約100万人がデイサービス・ヘルパーなどを介護保険で利用しています。区内の要支援者は本年3月末現在3,915人で8割以上が75歳以上の高齢者です。うち介護予防給付を受けている人は2,667人です。 この方々が保険から外されればどうなるのでしょうか。要支援というくくりがなくなり、軽度者は皆、自立・非該当とみなされるのでしょうか。誰がプランを立て、サービスをコーディネートし、報酬管理をするのか。サービス費用は全額自己負担で自己負担限度額も適用されなくなるのか。ボランティアを集めるのはどこで、しかも充足するのか。そもそも専門知識もない方に介護予防を担わせるべきなのか。疑問が尽きません。 結局、ひきこもりになり、身体機能は低下し、認知症が進行して要介護状態になる時期を早め、介護保険財政を逼迫させるのが落ちではないでしょうか。 区長は、要支援者が保険から外されることによって、どんな事態が引き起こされると認識しておられるのか、お聞かせください。 もともと「社会保障改革」の目的とするところは公費負担削減であり、特に国庫負担の削減です。区の事業となる「新しい地域支援事業」に現状のサービスを維持するだけの国費が来るとは到底考えられません。そうなれば、区の負担が増大するか、大幅にレベルダウンするか、2つに1つです。もはや、「国の動向を注視する」などと言ってはおれません。 このたびの社会保障審議会介護保険部会の方針に区長はどのような姿勢で臨むのか、明確にお示しください。 要支援の方は、保険から外されると聞いて不安になっています。また、ヘルパー事業者からも「利用者の3分の1は要支援者で、保険給付外となったら経営が成り立たない。軽度であってもケアサービスを入れることで見守り・相談ができているのに」と、不安の声が出されています。サービス利用者・提供者を奈落の底に突き落とすような制度の見直しは行わないよう、区長として国に強く求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 第2に、おむつ費用助成についてです。 新宿区は現在、65歳以上の高齢者に対し月額8,000円を上限におむつ費用を助成しています。在宅の方は要介護度4・5、身体障害者手帳1・2級、愛の手帳1・2度の方を対象とし、入院中の方は常時おむつが必要と病院が認めれば対象となります。 昨年調査したときは、23区の中で要介護4・5に限っているのは新宿区、北区、葛飾区の3区のみでした。そのうち葛飾区は昨年8月から要介護2以上に拡大し、北区もことし4月から75歳以上の要介護3の方まで対象を拡大しました。葛飾区では介護認定の医師の意見書の中にある「失禁状態の有無」の項目を調査し、要介護2でもおむつ使用の方が一定割合いることを把握し、拡大したそうです。新宿区では、介護認定の意見書で失禁状態ありとなっている方は要介護度別でどれくらいいるのかお答えください。実態を踏まえた上で、新宿区もいよいよ対象の拡大を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。 第3に、高齢者の見守りや介護予防事業を行う団体への財政支援についてです。 区内では、高齢者を対象に見守り・相談・介護予防・ひきこもり防止などを目的とした事業がさまざまな団体によって行われています。区も地域支援事業として若返りパワーアップ体操教室などの介護予防サービスを行っていますが、利用期間は3カ月と決まっているため、その後は地域の団体が行う事業が頼りで、「地域安心カフェ」のような自主的に行われている事業が区の事業を補完する役割を担っています。しかし、団体の多くは財政基盤が脆弱で会費だけでは安定的な運営は困難です。 宮城県岩沼市は、地域で自主的な介護予防を展開する団体等に対して、「地域介護予防事業助成金」を交付しています。運動機能向上のための体操や学習などを行う「予防教室事業」は年間限度額48万円、コミュニティづくりを取り入れた「介護予防サロン事業」は限度額14万4,000円が交付されます。新宿区の制度では、高齢者対象の会食サービスを実施している14団体に約1,000万円助成を行っているほか、高齢者福祉活動基金を活用した補助金で、1団体上限30万円の助成を行っていますが、これは単年度ごとの助成で継続事業には使えません。区内団体の継続的な活動を支援するために、今ある制度の拡充や岩沼市のような制度をつくることも含めて、財政支援を強化してはいかがでしょうか。 以上、答弁願います。
    ◎区長(中山弘子) 高齢者福祉についてのお尋ねです。 最初に、介護保険の要支援者への保険給付廃止についてです。 8月の社会保障制度改革国民会議の報告を受け、社会保障審議会介護保険部会では、介護保険制度の見直しの検討が始まったところです。 その社会保障審議会介護保険部会の資料によれば、制度の見直しにより要支援者に対する介護予防給付は介護保険制度の対象外となるわけではなく、現行の地域支援事業に移行され、要支援の認定を受けた方はケアマネジメントに基づきサービスを利用することになっております。新しいサービスは全国一律のサービスによるものではなく、地域の実情に応じた柔軟な対応が可能となるものです。 今後は、民間事業者、社会福祉法人、NPO、ボランティア等の多様な地域資源を効果的に活用して、介護予防事業のメニューの目的や専門性に応じた適切なサービス提供主体による新しい地域支援事業の実施が可能となります。 制度改正については具体的な内容の検討に入ったところであり、区としては国の動向を注視していきますが、いずれにしても、介護予防の衰退や区民サービスの低下を招くことはあってはならないものと考えております。したがって、現時点で国に対して制度の見直しを行わない旨の要望を行うことは考えておりません。 次に、おむつ費用助成についてです。 要介護認定の際に医師が作成する意見書には尿失禁のチェック欄がありますが、個別のチェック項目ごとの統計はとっておりません。 今回の介護保険法改正では、要支援者を対象とした予防給付の地域支援事業への移行など大幅な制度改革が検討されており、区の実施するさまざまな介護保険外サービスにも影響があるものと捉えております。 おむつ費用助成については、今後高齢者人口が増加していく中でも持続可能な制度として安定的に運営していけるよう、法改正の内容を見定めながら、対象要件だけでなく助成金額も含め検討してまいります。 なお、検討を行う際には、利用者の実態を把握するために必要な調査を行ってまいります。 次に、高齢者の見守りや介護予防事業を行う団体への財政支援についてのお尋ねです。 区では、3カ月の介護予防教室の終了後も運動を継続していただくために、地域支援事業として、区民サポーターと協働で行う「新宿いきいき体操」の講習会の開催や自主的に介護予防を行っている地域グループに対して専門講師を派遣するなど、側面支援を行っています。 一方で、区内のシニア活動館等では自主グループやボランティアグループが、館を運営する指定管理者と共催で体操教室やカフェを開催するなど、地域の方々が主体的に介護予防や閉じこもり防止などに取り組む機運が高まっており、体操教室は平成25年8月現在12カ所で実施され、登録参加者が70人を超える教室も出ています。 財政的な援助については、引き続き「高齢者福祉活動基金助成」及び「高齢者食事サービス事業助成」による援助を継続していきますが、その他については、こうした地域支援事業や地域での自主活動のバックアップなどをあわせた総合的な支援で対応してまいります。 ◆32番(沢田あゆみ) 次に、特別支援教育について質問します。 新宿区は、2007年度から特別支援教育に取り組み、特別支援教育推進員の派遣、特別支援教育コーディネーターの全校配置、特別支援教育校内委員会の全校設置、今年度からの就学支援シートの活用と着実に進めてきました。東京都では、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画に基づき、2016年度の「特別支援教室」区立小学校への全校設置が計画されており、都内の4自治体のモデル事業も注目されています。一般的には、児童の約6%から9%が支援を必要としているとのことで、30人のクラスなら二、三人は支援が必要な児童がいる状況で、実際に情緒障害等通級指導学級が年度初めに定員いっぱいとなる事態です。 教育委員会の後援で新宿通級児親の会が主催した「心配なあの子はダイヤの原石」と題する山梨県立こころの発達支援センター所長の本田秀夫先生の講演には、定員100名のところ、約140名の方々が参加されたそうです。2016年度の「特別支援教室」区立小学校への全校設置に向け、保護者の悩みに寄り添い、児童を真ん中にした新宿区の特別支援教育をどう具体化していくのかについて、以下質問します。 第1に、特別支援教育推進員を初めとした教員の配置等についてです。 特別支援教育推進員は現在24名で、2015年度まで2名ずつふやす計画です。一方、「週2回では少ない」、「人数を増やせないか」との声が保護者・学校から出され、新宿通級学級児親の会からは、港区で特別支援教育推進員を増員して当該児童の症状改善に効果を発揮している事例を踏まえ、大幅増員の要望が出されています。特別支援教育推進員の週5日派遣と専任教員を全校に最低1名配置すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、特別支援教育に係る経費の多くが区の独自財源によるものです。東京都教育委員会に対しては、特別区教育長会として、人的・財政的措置を要望してきたことは承知していますが、東京都教育委員会の方針で特別支援教室を設置するのであれば、なおのこと強く求めるべきではないでしょうか。 都のモデル事業を実施している目黒区では、拠点校からの巡回指導となっていますが、2016年度に新宿区で本格実施する際には、各校に専門性のある人材を常駐させ、系統的な指導・援助を進められるよう検討すべきです。御所見を伺います。 第2に、情緒障害等通級指導学級の増設についてです。 通級学級は、現在、天神小学校、落合第一小学校、戸塚第二小学校に設置されています。特別支援教育課題検討会では、通級学級に遠方より通っている状況を分析し、東部にセンター機能が必要との検討がされたと承知しています。東部地域への設置を決断すべきと考えますが、いかがでしょうか。 第3に、学校・教員の専門性向上と各機関の連携についてです。 個別の児童に対する支援では、保護者の期待に対して学校、あるいは教員の専門性が追いついていないことも課題と感じますが、文部科学省の中央教育審議会のもとにある特別支援教育の在り方に関する特別委員会がまとめた報告でも、「全ての教員は、特別支援教育に関する一定の知識・技能を有していることが求められる」、「学校全体の専門性を確保していく上で、校長等の管理職のリーダーシップは欠かせない」として、「校長等の管理職や指導主事等を対象とした研修を実施していく必要がある」と指摘しています。 区教育委員会として、この点についてどのような取り組みがされてきたでしょうか。対応事例の交流を行うなど、専門性向上のため文部科学省の「発達障害に関する教職員の専門性向上事業」の財源なども活用し、強化する必要があると考えますが、いかがでしょうか。 また、一人ひとりの教育支援計画作成のため、各機関の連携はどのように図られているでしょうか。お答えください。 第4に、窓口となるスクールカウンセラーと学校内の連携の問題です。 都費と区費によるスクールカウンセラー配置は、特別支援教育において重要な役割を担っています。週5日の派遣については、かねてから要望のあるところですが、少なくとも保護者が時期を逸せず相談できるよう、直通電話の設置や特別支援教育校内委員会でもさらに役割を果たせるよう位置づけるべきと考えますが、いかがでしょうか。 第5に、保護者、就学前施設関係者の声を施策に活かすことです。 特別支援教育、わけても情緒障害等の対応については比較的新しい課題です。特別支援教育課題検討会には、就学前施設の代表や保護者は入っていません。特に、2016年度の特別支援教室全校設置に向けては、関係者の意見を十分に取り入れるため、今からでも検討会に就学前施設の代表や保護者の委員を加えるべきと考えますが、いかがでしょうか。東京都教育委員会に対しては、2016年度の特別支援教室全校設置に向け、人的・財政的措置を今から要望すべきと考えますが、御所見を伺います。 第6に、特別支援学級の介助員の処遇についてです。 特別支援教育の現場において重要な役割を担っている介助員の勤務形態は6カ月勤務し、1カ月休み、その間に次の期間の契約を行う臨時職員という扱いです。社会保険にも加入できず、低賃金、労働時間数の制限という枠内で就労しやすい環境とは決して言えず、処遇面で不安があり、転職等もあるとのことで、ことしも区立小学校PTA連合会から、子どもたちのためにも安心して働き続けられるよう処遇改善をとの要望が出されました。また、学校現場からは、募集・採用を教育委員会が一括で行ってほしいとの声もありました。検討会では、介助員の委託化も検討されていると聞いていますが、安定した雇用で介助員の資質向上を図るべきで、委託化によって偽装請負が指摘されるようなことがあってはならないのは当然です。研修や現場での指示もスムーズな非常勤職員での一括採用も含めて検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。 以上、教育委員会の答弁を求めます。 ◎教育長(酒井敏男) 特別支援教育についてのお尋ねです。 初めに、特別支援教育推進員を初め、教員の配置の方法についてです。 特別支援教育推進員は、知的なおくれのない発達障害のある児童・生徒を対象に学校が作成する個別指導計画に基づく支援を行っています。常に児童・生徒の傍らで補助を行うのではなく、学級担任をサポートして児童・生徒が自立して活動できるようにすることが目的です。 派遣日数については各学校一律ではなく、在籍する発達障害のある児童・生徒の実情に応じて、適切な日数を勘案して派遣しているものです。発達障害のある児童・生徒の増加傾向に対応し、平成27年度までに28名に増員してまいります。 発達障害のある児童・生徒が区内全校・全学級に在籍していることを前提とした体制整備は急務となっています。特別支援教室構想の実現に向け、特別支援教育推進員等の配置・活用方法も含め、特別支援教室を中心とした在籍校・在籍学級の支援体制整備のあり方について検討をしています。 専任教員の全校配置については、従来より特別区教育長会を通じて東京都教育委員会に要望しています。また、人的・財政的措置の要望も引き続き行ってまいります。 専門性のある人材の活用などについて、現在、都のモデル事業を実施している目黒区での検証結果を参考に、新宿区としての体制整備について考えてまいります。 次に、情緒障害等通級指導学級についてのお尋ねです。 教育委員会事務局に設置している特別支援教育課題検討会において、特別支援教室の設置に向けた検討を現在進めているところです。 特別支援教室構想における拠点校は、巡回指導を行う教員の拠点になるとともに、小集団指導を行う学習拠点となります。拠点校は、現在の通級指導学級の機能を維持しながら、より身近な地域で児童に対して適切な指導を行うことを目指しています。 そのため、拠点校の設置については、平成25年度末に示される東京都のモデル事業の中間報告を参考とし、教員の指導体制や勤務形態、教室の施設・設備、さらに児童・保護者にかかる移動の負担などに十分配慮しながら検討してまいります。 区の東部地域における通級指導学級の設置については現在も検討を重ねていますが、区全体の拠点校の配置とあわせて検討してまいります。 次に、学校・教員の専門性の向上及び関係機関との連携についてのお尋ねです。 特別な支援を必要とする児童・生徒は増加傾向にあり、特別支援教育を推進していく上で教員の特別支援教育に関する専門性の向上は不可欠です。 教育委員会では、研修を通して教員の専門性向上に努めており、夏季に行う全教職員を対象とした集中研修では、障害の種類と程度などに応じた指導方法や障害の特性に関する研修を実施しています。 さらに校内で特別支援教育の推進役を果たしている特別支援教育コーディネーターが継続的に専門性の向上を図れるよう、特別支援教育研修会を実施しています。 校内では、校長のリーダーシップのもと職員に対して研修を促すことや専門家による支援チームの巡回相談などにおいて、個別の事例に応じた具体的な支援の方法を学ぶなど、自己研さんにも励んでいます。 より専門性の高い研修についても、既に中野区や渋谷区と共催し、医療との連携を初めとするさまざまなテーマに対応した研修を実施しています。 次に、関係機関との連携についてです。 現在、個別の教育支援計画は必要とされる児童・生徒について本人や保護者の希望を踏まえて各学校が作成しています。校内委員会が中心となって一人ひとりのニーズを正確に把握し、子ども家庭支援センターや保健センターなど関係機関のさまざまな側面からの取り組みを含めた個別の教育支援計画を作成しています。 次に、特別支援教育におけるスクールカウンセラーと学校内の連携についてのお尋ねです。 特別な支援を要する児童・生徒に対しては、校内委員会が中心となって支援内容等を検討しています。校内委員会では、必要に応じてスクールカウンセラーが関与できる体制をとっており、スクールカウンセラーは特別な支援を要する児童・生徒やその保護者に対し、面談を通して気持ちに寄り添いながら、適切な助言を行うなどの役割を担っています。 また、保護者との面談日の設定については、特別支援教育コーディネーターが保護者の希望を十分に聞きながら調整しています。 次に、保護者、就学前施設などの声を施策に活かすことについてのお尋ねです。 特別支援教育課題検討会は、区の第二次実行計画期間である平成27年度までを検討期間として、特別支援教育をめぐる諸課題を整理・検討することを目的に教育委員会事務局に設置した内部組織です。 一方、教育委員会では、保護者や学校現場、就学前施設の声を活かしながら特別支援教育を推進するため、平成18年度に特別支援教育推進委員会を設置しました。この推進委員会は、保護者の代表、就学前施設の代表、学校関係者などで構成されています。この推進委員会において、特別支援教育課題検討会での検討経過を随時報告し、御意見を伺っています。 人的・財政的措置については、東京都教育委員会に対して機会を捉えて働きかけてまいります。 次に、特別支援学級の介助員についてのお尋ねです。 特別支援学級介助員は、児童・生徒に対する授業参加への促しや声かけ、移動支援などの補助的な業務を行うことから、臨時職員として担任教諭の授業をサポートしています。臨時職員の勤務可能な雇用期間や勤務時間などは区の定めがあり、勤務形態には制約があります。 今後は、より効果的な支援ができるよう、勤務体制や配置方法などについて検討してまいります。 ◆32番(沢田あゆみ) ただいま区長と教育委員会から答弁いただきました。 認識が一致する部分と必ずしもそうでない部分とありまして、突っ込んだ議論につきましては、今後設置される決算特別委員会のほうに託していきたいと思うんですが、1点だけ明確に御答弁のなかったところを再質問させていただきます。 生活保護基準の改定に関して、改定の影響を受ける制度が新宿区では何事業あるのかというふうにお聞きしたんですが、何事業というふうに明確なお答えがありませんでしたので、その1点について、再質問をさせていただきます。 ◎福祉部長(小栁俊彦) 影響については、生活保護基準額を準用した事業で影響が出る就学援助については、改正の影響が及ばないよう検討していくところで、それ以外については影響はないということで調査いたしました。 ◆32番(沢田あゆみ) 先ほどの答弁でも生活保護基準の改定が行われたということについて各所管に通知をしたというお話でしたが、それは制度が変わったという通知であって、そこで全部の所管から影響するところがどういう事業があるのかということでいただいているわけじゃないですよね。 例えば、御存じだと思いますが、世田谷区では、どういった事業に影響が出る可能性があるのかということで、生活保護基準を何らかの基準にしている制度について全部洗い出しているんです。それが六十数事業あるということですから、新宿区も何も就学援助だけではないんです。私立幼稚園の就園補助金とかいろいろなところに影響はあるんです。それをきちんと調査をしていないから何事業というふうにお答えできないのであれば、ぜひ決算特別委員会のときまでにぜひ調査をしておいていただきたいと思います。 以上で、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(おぐら利彦) 次に、17番平間しのぶ議員。     〔17番 平間しのぶ議員登壇、拍手〕 ◆17番(平間しのぶ) 民主・無所属クラブの平間しのぶです。会派を代表して質問いたします。誠意ある御答弁、よろしくお願いいたします。 まず、区財政と区を取り巻く現状についてお伺いします。 去る9月2日に副区長名で平成26年度予算の見積もりについての依命通達が出され、その冒頭で平成24年度決算の総括がされており、「実質単年度収支が20億円の赤字で経常収支比率は0.8ポイント上昇し、88.9%となるなど財政構造は硬直化の一途をたどっている。区の財政体質を転換し、財源不足を解消することが焦眉の課題である」と述べられています。 財源不足を補うため、財政調整基金等を取り崩し対応されたとのことです。経常収支比率だけで財政状況を判断することはできませんが、財政非常事態宣言が出されていた平成11年ころ97%まで上がった経常収支比率が改善され、平成18年度74.4%まで下がりましたが、その後年々上昇し、その数値を見る限り区財政は逼迫していると言えます。 新宿区では、平成24年度の予算編成の基本方針として、「将来を見据えた財政の持続性を目指すとともに、喫緊の課題に即応し、基本構想の実現に向けて第二次実行計画の課題達成の堅実な道筋をつける予算」と位置づけ、①震災対策等区政の緊急課題に的確に対応すること、②決算実績に基づく大幅な経費削減と徹底した事務事業の見直しを行うことをテーマに取り組まれてきました。その努力があったからこそ、決算も社会全体の財政環境が厳しい中でも、逆にこのような結果でおさまったとも言えます。 そこでお伺いします。 1点目に、今回の決算の状況をどのように受けとめていられるのか。また、4年連続で実質単年度収支が赤字になったこと及び経常収支比率が上がってしまったことの原因がどこにあったのかお尋ねします。 2点目に、8月に発表された内閣府の月例経済報告では「景気は着実に持ち直しており、自律的回復に向けた動きも見られる」と7月と同じ基調判断をしつつも、雇用情勢は改善している、デフレ状況ではなくなりつつあると修正しています。 また、9月5日の日本銀行の金融政策決定会合では、「景気は緩やかに回復している。一方で欧州債務問題、新興国・資源国経済の動向、米国経済の回復ペース等、リスク要因はあり、日本経済をめぐる不確実性は引き続き大きく、量的・質的金融緩和は継続していく」と発表されています。 さらに4月から6月のGDP改定値は速報値に比べ年率換算で3.8%となり、1.2ポイント上方修正されています。最近の円安、株高もいわゆるアベノミクスの効果、あるいは期待が込められていると思われますが、これからの財政見通しをどのように認識されているのか、お伺いします。 3点目に、平成24年度決算を踏まえ、平成26年度の予算編成の方針として「将来を見据えた堅実な財政運営に立脚し、時代の変化に機動的かつ的確に対応して区民生活を支えるとともに、新宿区の魅力を高めるため、第二次実行計画を確実に推進する予算」とされています。 予算編成の作業はこれからですが、具体的にどのような手法で臨まれるのか。また、平成24年、平成25年の予算編成と比べ、どのような特色を持たせていかれるのか、お聞かせください。 4点目に、日本経済が回復途上にある中で、来年4月には消費税率が現行の5%から8%に改定が予定されています。総理大臣は、景気の動向や有識者の意見を踏まえ、10月1日に最終判断するとのことです。税率の改定で一定の税収の増加が見込まれ、区財政にも社会保障財源にも効果があると思われますが、一方で内需拡大を阻害し、景気後退への懸念、消費者への負担増もあり、慎重論を表明している内閣参与もいます。もし、消費税率が予定どおり平成26年4月に8%、平成27年10月に10%となった場合の区民生活への影響について、現時点でどのような認識をされているのか、お聞かせください。 あわせて、国のほうでは消費税率改定とセットで何らかの対応を考えているようですが、国の動向等もわかれば、お聞かせください。 5点目に、仮に消費税率が改定されても、商店の個々のお店では、常連のお客様との関係もあり、なかなか税率増加分を価格に転嫁しにくいとの話も聞きます。一定の経済活動に応じ、税を転嫁していくという消費税の本来の意義が薄れ、結果的にお店の売り上げはふえず、ますます経営が苦しくなることも危惧されます。区では、何か対策等を検討しているのでしょうか、お伺いします。 以上、答弁願います。 ◎区長(中山弘子) 平間議員の御質問にお答えします。 区財政と区を取り巻く環境についてのお尋ねです。 まず、平成24年度決算の評価についてです。 平成24年度は、第二次実行計画の初年度に当たり、第二次実行計画を着実にスタートし、震災対策の強化や待機児童解消緊急対策など直近の区政課題に取り組むとともに、適宜予算の補正を行い、保育所等耐震化促進事業助成や予防接種など、区民の健康や安全・安心の確保のため、緊急性が高く重要な課題に迅速に対応しました。その結果、第二次実行計画事業を初め、予定された諸事業の着実な推進を図ることができたものと考えております。 御指摘のとおり、平成24年度決算は実質単年度収支が4年連続の赤字となり、経常収支比率が88.9%に上昇しました。 これは、区税等の一般財源収入が改善しない中で、生活保護費などの扶助費や特別会計への繰出金などが伸びるなど、区を取り巻く財政環境が厳しくなったことによるものと考えております。 このような状況から、財政調整基金からの繰り入れを行うなど、今まで培ってきた財政対応力を活用しました。平成24年度末基金残高は、区債残高を141億円上回る384億円となっており、区財政は将来需要への一定の対応力を確保していると考えておりますが、財政構造の硬直化や基金残高が減少していることから、引き続き財政基盤の強化に徹底して取り組んでまいります。 次に、今後の財政見通しについてのお尋ねです。 我が国の経済状況は、輸出の持ち直しや企業収益の改善などを背景として、景気回復へ向かうことが期待されています。その一方で、円安による燃料や原材料の輸入価格の上昇、海外経済の下振れリスクなども指摘されていることから、景気の先行きや今後の区財政への影響については、慎重に見きわめていく必要があると考えています。 本区を取り巻く社会経済状況の変化が著しいことから、現段階で今後の区財政を見通すことは難しいところですが、平成26年度予算編成の中で、直近の景気動向や社会保障・税一体改革、税財政制度の情報などを的確に捉え、実行計画期間中の財政収支見通しを明らかにしてまいります。 次に、平成26年度予算編成についてのお尋ねです。 平成26年度は、第二次実行計画の折り返し地点を過ぎ、3年目を迎えます。区財政を取り巻く環境は厳しい状況ですが、待機児童解消緊急対策や災害に強いまちづくりなどの区政課題に積極的に取り組むとともに、基本構想に掲げる「『新宿力』で創造するやすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けた取り組みを着実に推進しなければなりません。 このため、平成26年度予算の編成に当たっては、その基本方針を「将来を見据えた堅実な財政運営に立脚し、時代の変化に機動的かつ的確に対応して区民生活を支えるとともに、新宿区の魅力を高めるため、第二次実行計画を確実に推進する予算」として編成することとしました。 平成24年度、平成25年度と比較し、さらに区の財政構造の弾力性が低下していることを踏まえ、さらなる内部管理経費の圧縮と徹底した経費の削減に取り組むこととしています。 具体的には、一次経費のうち、2年連続して執行率が95%未満かつ不用額200万円以上の事業について、引き続き執行率に応じた減額を実施するとともに、今回は重点的に役務費と委託料を精査します。また、施設管理委託料のうち、30億円を超える指定管理料についても積算調書を活用して検証を行います。加えて、各部からのヒアリングを実施する経常事業評価の対象事業を前年度と比較して2倍に拡大して個別の算定を行うなど、行政評価と連動した取り組みも進めてまいります。 次に、消費税率引き上げに伴う影響についてのお尋ねです。 総務省の家計調査に基づく民間シンクタンクの試算によれば、年収650万円から700万円未満の夫婦と子ども2人の4人世帯では、税率8%で年間平均8万4,278円、また税率10%で年間平均13万7,909円の負担増になることが示されています。 少子高齢化の急速な進展や国・地方ともに厳しい財政状況のもとで、国民が安心し希望が持てる社会保障の実現が求められていることを踏まえると、安定財源の確保は避けられない課題ですが、消費税率の引き上げは区民生活に大きな影響を与えるものと認識しております。 消費税率の引き上げに当たっては、東日本大震災の影響や厳しい地域経済の状況に配慮するとともに、消費税の逆進性を踏まえた低所得者対策の必要性について、全国市長会を通じて要望しているところです。 消費税率の引き上げに伴う国の経済対策などについては、まだ引き上げ自体が確定していない現段階で、その全容を推しはかることは難しい状況です。国の動向を注視するとともに、現場を最もよく知る基礎自治体として、必要に応じて機動的に対応してまいります。 次に、消費税率改定に際しての区の対策等についてのお尋ねです。 消費税率が改定された場合、地域の商店街の個々の店舗にとって価格転嫁が難しく、売り上げ等に大きな影響を受け、大変厳しい経営環境に置かれるということは区でも危惧しております。 消費税転嫁対策特別措置法が成立し、国においても適正な転嫁方法の対応策を制定したところです。 区としても、現在、消費税転嫁に関する情報受付窓口等の設置を検討しており、国や都と連携を保ちながら、中小企業が不利益にならないよう、支援をできる限り講じていきたいと考えております。 また、経営上の相談については、商工相談員による相談窓口を活用し、経営悪化を招かないようにするための支援を行ってまいります。 さらに、区の制度融資の中には、前年より売り上げ等が減少した場合に利用できる経営応援資金や複数の既存債務を一本化し、追加融資も可能な債務一本化資金などもあります。制度融資利用者に信用保証料や利子を補助することにより、継続的な資金繰りの円滑化を支援してまいります。 いずれにしても、個々の店舗等、中小企業の実情に即した適切な支援をこれからも積極的に講じてまいります。 ◆17番(平間しのぶ) 次に、オリンピック・パラリンピックの東京開催と産業振興等について伺います。 去る9月8日未明に決選投票で東京はイスタンブールに60対36の大差で勝ち、IOCは2020年オリンピック・パラリンピックの開催地を東京に決定しました。経済的安定性、確実に大会を実施できる運営能力、政情不安のない安全・安心な国ということが高く評価されたと思われます。東京での開催は56年ぶりということで、国民が注目する中、国民を代表してIOCの会場に出向いたプレゼンテーターの招致に向けた情熱のこもった訴えや関係者のこれまでの多大なる努力が結実した結果であり、大変喜ばしい限りです。特に骨肉腫で19歳のとき右足を失い、義足となりながらも走り幅跳びの選手として再起し、パラリンピック北京大会で見事6位に入賞した佐藤真海さんの「私がここにいるのはスポーツに救われたからです」と始まったプレゼンテーションには心を打たれました。 新宿区でも区長を先頭とし、町会連合会、商店会連合会、体育協会を中心にした誘致に向けた署名活動や商店会街路灯のフラッグ、のぼり、啓発物品の配布等が行われたほか、東京商工会議所新宿支部でも誘致に向けて積極的に取り組まれる等、全区を挙げて誘致活動を行ってきました。本当にお疲れさまでした。開催地決定はゴールでなく出発点であり、これからが大変な時期になります。 オリンピックは2020年7月24日から8月9日、パラリンピックは8月25日から9月6日まで開催される予定です。このオリンピック・パラリンピックの東京開催に関連して何点かお聞きします。 1点目に、準備体制についてです。 オリンピックは文部科学省、パラリンピックは厚生労働省が所管しますが、国においては政府全体で取り組むべきであるとし、文部科学省内にスポーツ庁を設置する方針と聞いています。競技会場の集中する江東区では、選挙管理委員会組織を立ち上げたと報道されています。 7年後とはいえ、それに向け、さまざまな準備が必要になります。メーン会場である国立競技場は2019年に改築され、新国立競技場として生まれ変わり、開会式・閉会式・陸上競技の会場等になります。 大会の開催を盛り上げるためのさまざまなイベント、ボランティアの確保・動員、また世界各国のアスリートたちの練習会場の手配もあるかもしれず、片手間で対応はできないと思います。区はオリンピック・パラリンピック開催に向け、どのような体制で臨んでいかれるのか、お答えください。 2点目に、オリンピック・パラリンピックの開催による経済波及効果等についてです。 東京都は2013年から2020年までの経済波及効果は都内で約1兆6,500億円、全国で約3兆円と見込んでいます。これは、新国立競技場や晴海に建設が予定されている選手村等の建設費と大会運営費や観客の宿泊・飲食、テレビの購入等の消費支出から試算したもので、こうした需要が生産を促し、所得につながり、また雇用については全国で15万2,000人の誘発効果があると見ています。特にサービス業、建設業への効果が大きいと言われています。 ただ、この試算は五輪開催に伴い加速が期待される首都高速中央環状線等3つの環状道路やリニアモーターカーの一部運行の整備費用は含まれておらず、またGDPに占める割合が欧米やアジアの半分程度しかない観光産業の売り上げが今後倍増するなど、政府が掲げる「国土強靱化計画」によるインフラ整備による効果も見込めば、合わせて150兆円になるとの報道もあります。 五輪開催の経済効果が新宿区にどの程度影響を与えるかは未知数ですが、区内の宿泊施設や飲食店、物販店、娯楽施設を初め、商店会の売り上げ増加や地場産業の活性化等、区の産業振興を図る上で大きな契機となります。区では、このチャンスをどのように活かしていくのか、その方策等現時点で答えられる範囲でお聞かせください。 3点目に、オリンピック・パラリンピックの開催と観光行政についてです。 新宿区は、外国人観光客が最も多く訪れる自治体で満足度も高いとの調査結果が出ています。五輪開催で各国のアスリートや大会関係者はもとより、観光客も大幅に増加することが想定されます。五輪期間中の延べ来場者数は1,000万人と予想されています。開催が決定したことで観光客はこれからますます増加していくものと思われます。 海外からの観光客に多様性に富んだ新宿のまちの魅力を知ってもらい、新宿のまちのさらなる活性化を図っていければと期待しています。 区では都市間競争が高まる中で、新宿のまちが持つ歴史・文化・産業・人材等の資源を活かし、新宿のまちの魅力を総合的・戦略的に発信するための新組織づくりに向け検討されていると報告を受けています。 来月には設立準備委員会を発足させ、平成26年6月には設立総会を開催し、社団法人として事業展開していくとのことです。一部の団体だけでなく、各種団体が集まり、区全体で取り組んでいくことは実効性があり、大変すばらしいことだと思います。 そこで伺います。 一般的には、観光事業を企画・立案・発信し、コーディネートする観光協会があり、そのもとで運営される観光案内所が実際にお客様を御案内するという仕組みですが、新しい組織ではどのような仕組みとなるのでしょうか。また、現在の新宿区観光協会、新宿未来創造財団、新宿区の関係はどうなっていくのでしょうか。さらに、新組織の職員の体制はどのようにお考えになっているのでしょうか。 4点目に、オリンピック・パラリンピックの開催に関連しての教育委員会の取り組みについてです。 五輪が東京で開催されることが決定し、多くの小・中学生がそれを楽しみにしていることと思います。実際にトップアスリート同士の真剣な勝負、記録への挑戦は見ている子どもたちに感動と希望と勇気を与えてくれます。7年後の五輪開催に向け、日本代表として活躍したいと願っている子どもたちもいることでしょう。スポーツのもたらす効果はさまざまあります。体力の増強、強靱な精神力の鍛錬、またスポーツを通じての他者とのコミュニケーション、さらには広くコミュニティの醸成等々です。スポーツ基本法を受け策定した新宿区スポーツ環境整備方針では、勝敗を決する記録を争うだけがスポーツではなく、気軽に体を動かす軽い運動もスポーツだとしています。しかし、一方では世界のトップアスリートと競いたい、またそれだけの資質のある子どもたちも中には存在するはずです。JOCのエリートアカデミーでは、文部科学省の支援を受け、2008年から卓球、レスリング、フェンシングの3競技について専属コーチを配置し、有望な小・中学生を対象に五輪等の国際大会で通用する選手の育成に取り組んでいます。 そこで、教育委員会にお尋ねします。 今後、学校教育におけるスポーツの一層の指導充実を図っていかれるのでしょうか。また、オリンピックを目指す子どもたちの指導育成について教育委員会で行うことは難しいとは思いますが、何か支援はできるのでしょうか。さらに多くの小・中学生に校外学習としてオリンピック・パラリンピックの競技を実際に競技会場で見せることは可能なのでしょうか。 以上、御答弁願います。 ◎区長(中山弘子) オリンピック・パラリンピックの東京開催と産業振興等についてのお尋ねです。 初めに、オリンピック・パラリンピック開催に向けた区の体制についてです。 区は、これまでオリンピック・パラリンピック招致に向けたPR活動やメインスタジアムとなる国立競技場の建てかえに関する協議など、区長室特命プロジェクト推進課を窓口として、さまざまな業務を関係部署が連携を図りながら進めてきました。 2020年のオリンピック・パラリンピック開催時には、国内はもとより世界中から多くの方が新宿区を訪れます。皆様が気持ちよく世界最大のスポーツの祭典を楽しめるよう、今からさまざまな準備に取り組んでいく必要があると認識しています。 このため、オリンピック・パラリンピックに向けた体制については、今後も区長室が中心となり、区全体で開催準備や地域と一体となったおもてなしに取り組んでまいります。 次に、区ではこのチャンスをどのように活かしていくかとのお尋ねです。 区としても、オリンピック・パラリンピック開催のメーン会場を区内に有していることから、宿泊施設や飲食・サービス業、エンターテイメント産業など、いわゆるビジターズ産業を初め、物販店や商店会にとっても活性化する絶好のチャンスであると捉えています。 今後、区としてもこのチャンスを起爆剤に、ビジターズ産業はもちろん、地場産業である染色業も含めた企業、団体、商店街の力を結集し、新宿のすばらしさを発信して多くの方に訪れていただき、区内産業がより一層活性化するための取り組みを強力に進めてまいります。 次に、新宿の観光を担う新たな組織に関するお尋ねです。 新宿のまちは、多様性に富んだ懐の深いまちです。私は、この多様性を力とするためには、各地域の特色を活かしつつ、年間を通じて新宿のまちが持つ魅力を総合的・戦略的に発信、創造していくことが必要であると考えております。 こうしたことからも、新組織は新宿のまちが持つ歴史・文化・産業・人材など、多様な資源を活かし観光事業の振興を図るとともに、「ひと、まち、文化の交流によるふれあいのあるまち」を創造することにより、地域の活性化に寄与することを目的に設立をいたします。 新組織は観光事業の中核を担い、観光情報の収集及び発信を観光情報誌やホームページ等で行うほか、観光案内拠点やイベント開催者との連携による情報発信を積極的に行ってまいります。 また、商店街、地域団体、企業などの多様な活動をつなげ、新宿全体で多くの人を惹きつける取り組みを進めてまいります。 さらに、新宿の特性を活かした観光資源の創出を行い、新宿の魅力を高めてまいります。 次に、現在の新宿区観光協会、新宿未来創造財団、新宿区の関係はどうなっていくのかというお尋ねです。 これまでは、新宿区の観光事業は新宿区観光協会、公益財団法人新宿未来創造財団、新宿区が連携を図りながら進めてまいりました。新たな組織では、それぞれの組織が担っていた役割を統合し、一体となった組織運営を行い、新宿のまちのさらなる活性化を図ってまいります。 次に、新たな組織の職員体制についてのお尋ねです。 新たな組織は、民間を主体とした一般社団法人を目指していますが、運営が軌道に乗るまでは官民一体となってつくり上げていくことが必要です。そのため、新組織には区からも職員を派遣するとともに、民間からも人材を派遣していただき、お互いが強みを活かした運営を考えております。 いずれにしても、10月に立ち上げる設立準備委員会の中で十分な検討を行い、新宿の力を結集して取り組める組織をつくってまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 オリンピック・パラリンピック開催に関連しての教育委員会の取り組みについてのお尋ねです。 初めに、スポーツの一層の指導充実を図ることと子どもたちの指導育成などへの支援についてです。 現在、子どもたちは学校の体育の授業の中でオリンピックの意義や価値について学んだり、オリンピック競技につながる運動に取り組んだりしています。また、部活動を通して、より高い水準の技能や記録に挑戦して自己を高めています。 このたび、2020年オリンピックが東京で開催されることが決定し、今後スポーツに親しむ子どもや選手としてオリンピックに出場したいと願う子どもがふえていくことが考えられます。 子どもたちが学校教育の中で一層スポーツに親しみ、そのすばらしさに触れ、7年後の大会に向けて夢を持って取り組んでいけるよう、教員の指導力の向上を目指して行っている実技研修会の内容を充実させてまいります。 また、オリンピック候補者として選抜された子どもたちに対しては、練習などと学校生活が両立できるように支援を行ってまいります。 次に、競技を実際に見せることは可能かどうかについてです。 新宿区にある国立霞ヶ丘競技場はメーン会場として開会式や陸上競技が行われることが予定されています。オリンピックを身近に感じ、実際にその目で見て、スポーツの祭典がもたらす数多くの感動に触れた子どもたちは、未来に向けて夢や希望を見出していくと考えられます。新宿区の子どもたちがこの機会を享受できるよう教育委員会としても関係各所へ働きかけてまいります。 ○議長(おぐら利彦) 質問の途中ですが、ここで、議事進行の都合により休憩いたします。 △休憩 午前11時57分--------------------------------------- △再開 午後1時15分 ○議長(おぐら利彦) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。 ◆17番(平間しのぶ) 次に、新宿区の保育施策について伺います。 ことし4月1日現在の新宿区の待機児童数は176名でした。これには、区長を初め、職員の皆さんは愕然としたことでしょう。私も大変驚きました。 区長はこれまでも待機児童対策を区政の最重要課題と位置づけ、受け入れ枠の拡大、認可保育園の開設、認証保育所の開設、保育ルーム事業等、積極的に取り組んできています。しかし、現実は保育を必要とする保護者が想定をはるかに上回ったということです。 ことし4月の待機児童を受け、新宿区でも待機児童の解消に向けての緊急対策として、賃貸物件を活用した私立認可保育所を4所開設することを決定しました。来年度4月開所を目指し、既に3事業者が決まっています。迅速な対応に感謝します。しかし、今なお保育が必要にもかかわらず、保育を受けることができない保護者の皆さんは不安でたまらないことでしょう。区長には子育て世代の力強いサポーターとして、さらに積極的に保育施策に取り組んでいただきたいと思います。 待機児童対策は、国においても議論されてきました。平成24年8月10日には「子ども・子育て関連3法」が可決し、同年8月22日に公布されました。これに基づき、「子ども・子育て支援新制度」が2年後から本格的に実施される予定です。「子ども・子育て支援新制度」では、認定こども園の推進、地域ニーズに応じた多彩な子育て支援の充実、待機児童の解消等の子育てに関する課題の解決を目指しています。 これにより待機児童が減少し、より子育てしやすい環境が整備される等、一定の効果が期待されます。 国は、「子ども・子育て会議」を設置し検討していますが、先日8月29日には「子ども・子育て会議」の部会において小規模保育についての国の基準案がまとめられました。本格的な実施は平成27年からとのことですが、小規模保育については、早ければ本年度中から前倒しで実施されるようです。小規模保育については、東京都が国に先行して「スマート保育」を実施してきました。今後は、国からの財政支援を最大限に活用し、待機児童解消のための対策を着実に進めていただきたいと思います。 そこで質問いたします。 1点目に、「子ども・子育て支援新制度」について自治体向けの説明会等も行われているようですが、新制度について区長の総合的な見解をお聞かせください。 2点目に、小規模保育の認可基準についてです。 認可保育所が定員20名以上の施設とされている一方、小規模保育は6名から19名までの定員の施設です。多くの自治体が保育室、保育ルームとして独自に事業展開しています。新宿区においても、「えどがわ園」以外の保育ルームが当てはまると思われます。 認可基準で問題となっているのが保育士の資格の有無です。認可保育所では、有資格者の保育士が100%の割合でなくてはなりません。しかし、小規模保育では有資格者の割合が引き下げられると指摘されています。そもそも小規模保育は認可保育所の分園型、家庭的保育、それ以外の認可外保育所等の3つに分類されます。このうち、認可保育所の分園型は有資格者が100%、家庭的保育は自治体の研修等を受ける必要があり、それ以外に分類される小規模保育の有資格者は50%以上とされています。認証保育所の有資格者割合が60%以上とされていることと比較しても、引き下げられています。 その施設で働く方の資格の有無だけが子どもたちの安全性にかかわるわけではありません。しかし、子どもたちが日々接する要素の一つであるのは間違いありません。待機児童が増加している中、保護者が保育施設を選択することは困難です。だからこそ、保護者の信頼と安心のために保育の質を担保していただきたいと思います。区長の御見解を伺います。 3点目に、政府は「待機児童解消加速化プラン」を提示し、「保育ニーズのピークを迎える平成29年度末までの待機児童の解消を目指し、平成25年度からの2年間で約20万人分、平成29年度末までの5年間で合わせて約40万人分の保育の受け皿を確保するため、自治体が行う保育所の整備や保育士確保の取り組みなどを国としてできる限り支援する」としています。この「待機児童解消加速化プラン」に参加希望している自治体は、7月31日時点で351市区町村ありました。特別区については23区、全てが参加します。新宿区としても区政の重要課題である待機児童解消のために「待機児童解消緊急対策部会」で検討しているとは思いますが、今後の計画についてはどのように考えていらっしゃるのか、具体的にお聞かせください。 以上、答弁願います。 ◎区長(中山弘子) 保育施策についてのお尋ねです。 初めに、「子ども・子育て支援新制度」についてです。 「子ども・子育て支援新制度」は、子どもと子育て当事者を社会全体で支えるとともに、実施主体である区市町村を国と都が重層的に支える仕組みを構築するものです。 新制度では、広く子育て当事者などの意見を踏まえ、「子ども・子育て支援事業計画」を策定することとしているほか、学童クラブや一時預かり等の事業の充実や小規模保育等に対する財政支援が盛り込まれています。 このように具体的で効果的な子育て支援を内容とした新制度の円滑な導入に向けて、区としても準備を進めているところです。 次に、小規模保育の認可基準についてです。 新宿区の保育ルームは、現在の2園に加え、来月10月に2園、12月に1園開園の予定です。お尋ねの有資格者の割合は、新宿区保育ルーム事業実施要綱において認証保育所事業の基準を準用しており、事業者公募の段階で有資格者6割以上の配置を必須としています。公募の結果、選定した事業者は、いずれも要綱の基準を超える人数の保育士を配置し、2事業者については全員が有資格者となる予定です。 保育の量の確保は、常に質の確保を前提にすべきものと考えます。今後、区が新制度における小規模保育の認可基準を定めるに当たっては、こうした実績を踏まえつつ、保育の質が低下することのないよう、適正な基準を検討してまいります。 次に、待機児童解消加速化プランと今後の待機児童解消のための計画についてです。 加速化プランは、これまでの「待機児童解消先取りプロジェクト」に幾つかの支援メニューが新たに加わったものです。区は既に賃貸物件による保育所整備事業などに取り組んでいるところですが、保育の量の拡大を支える保育士確保事業などの新たなメニューにも手を挙げ、採択されています。保育士の処遇改善、資格取得支援事業については、本定例会で所要の補正予算を計上しているところです。 国は平成29年度末を待機児童解消の目標期限としていますが、区は来年度策定予定の新宿区子ども・子育て支援事業計画において、より早い時点での待機児童解消を目標にすべきと考えています。 現在実施中のニーズ調査の分析も踏まえつつ、今後も国の支援事業やスマート保育を初めとする東京都の事業などを積極的に活用しながら、一日も早い待機児童解消を目指します。 ◆17番(平間しのぶ) 次に、交通対策について伺います。 自転車は環境に優しい乗り物で、健康の増進にも寄与することから、子どもから御高齢者までの幅広い多くの区民が利用しています。しかし、自転車の利用には問題点があることも指摘されてきました。自転車の路上駐輪、走行中の危険な運転等です。これまで議会においても質問されてきましたし、それに対して区も駐輪場の整備拡充、放置自転車の撤去等に取り組んできています。にもかかわらず、放置自転車が減少しているという話は区民から聞こえてきません。むしろ、相変わらずの放置自転車の状況に困っている、自転車の走行中のマナーが悪いなどの意見が多く聞かれます。 以前にも質問させていただきましたが、私の家に面している文化通りの状況も以前と変わっていません。新大久保から文化通りに入ってすぐの付近は自転車が連なっており、路側帯が潰れてしまっています。車も通行し、人通りも多い通りですから、歩行者にとっては危険です。 文化通りを例に挙げましたが、同じような課題を抱える地域が数多くあると認識しています。また、走行中のマナーについても、その悪さが指摘されています。 実際に、まちの中でも歩道で徐行することなく走行したり、車道を逆走したり、信号無視、携帯電話やスマートフォンを操作しながら運転する等の「ながら運転」などなどです。 報道などでもよく見かけますが、自転車が関連する交通事故の割合は、全交通事故の約2割を占めると警視庁のホームページに記述されていました。 自転車が関連する事故の相手は自動車が約80%、自動二輪が約6%、歩行者が2%となっています。平成24年度に起こった自転車関連事故の件数が13万2,048件ですから、自転車と歩行者との事故が2%だとは言っても2,600件以上起こっています。そのうち亡くなってしまうという重大な事故に至ってしまったものが5件もあったそうです。 自転車は軽車両、つまり車なのだと改めて実感しました。私も息子と歩道を歩いていたときに、向かいから徐行することなく息子目がけて走行してきた自転車に接触しそうになったことがあります。ひやっとしましたが、手をつないでいたために息子には接触することはありませんでした。 区民の方々からも、マナーの悪い自転車によって歩道を歩いていても怖いという声をよく聞きます。子どもから御高齢者、障害をお持ちの方々にも安心して通行できる環境の整備に今後も取り組んでいただきたいと思います。 そこで質問いたします。 1点目に、さきにも例に挙げた文化通りの環境についてです。 第72号線が開通した際には、文化通りの交通量が第72号線に流れるため文化通りの交通環境が改善するとのことでしたが、第72号線の自動車、歩行者、自転車等の量はどのように変わったと分析されていますか。文化通りの環境についてはどのように認識されていますか、お聞かせください。 2点目に、自転車保険についてです。 自転車保険に入っていることで、事故の際、相手に被害を負わせてしまった場合に補償してもらえます。自転車は気軽に利用できる反面、事故の際は相手に大けがをさせてしまったり、死亡させてしまったりするケースもあります。 そこで、自転車保険の普及に対して区のお考えをお聞かせください。 また、区民に対して自転車保険の周知にどのように努めていかれるのかお聞かせください。 3点目に、自転車利用に関するマナーの啓発についてです。 自転車利用の際のマナーについては、個人のモラルの問題でもあります。特に、子どもの場合、モラルが未完成で、家庭を中心に学校や地域で育ててやらなければなりません。しかし、親が周りに迷惑をかけるような自転車利用をしていれば、子どものモラルは育ちません。特に、自転車は子どもが加害者になってしまうことも想定できます。学校においての自転車利用時のマナー教室をさらに拡充すべきです。 内容に関しては工夫され、中学校ではスタントマンを使った自転車教室も実施されているようです。せっかく有意義な教室ですので、多くの子どもたちがその機会に触れられるよう、土曜授業を活用するなど、さらに一歩進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 以上、答弁願います。 ◎区長(中山弘子) 交通対策についてのお尋ねです。 初めに、文化通りの環境についてです。 補助第72号線の開通に伴う自動車・歩行者・自転車等の交通量は、現在ピーク時1時間当たり歩行者844人、自転車46台となっており、整備前に比べ約1.5倍に増加しています。 また、大久保通りから高田馬場方面への自動車交通量は開通直後に比べ、約1.3倍に増加しています。 一方、文化通りの自動車交通量は補助第72号線の開通後、約2割減少していることから、文化通りから補助第72号線へ車の流れが変化していると推測しています。 次に、文化通りの環境をどのように認識しているかについてです。 文化通りでは、放置自転車や道路上への商品の陳列などが多く見受けられることから、放置自転車の撤去や違反看板等の是正指導に重点的に取り組んできましたが、解決に至っていないのが現状です。 今後も地元の方や警察と連携し、放置自転車や違反看板等の是正指導に粘り強く取り組んでまいります。 次に、自転車保険の普及についてです。 自転車には、車のような強制保険の制度がありませんが、近年、自転車による事故で多額の損害賠償金の支払いを命じられた判例も出ており、自転車保険は必要なものであると考えております。 このことから区では、なるべく多くの方々に自転車保険に加入していただくため、交通安全教室や警察が行う指導・取り締まりの際に自転車保険への加入を要請するほか、地域のイベントなどの機会にパンフレットを配布するなどして、自転車の保険制度の周知を行っているところです。 今後は、東京都の「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」で自転車保険への加入が努力義務化されたこともあり、自転車小売業者に自転車保険の紹介を依頼するなど、さまざまな方法で自転車保険の加入促進に努めてまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 学校における自転車利用に関するマナーの指導についてです。 学校では、みどり土木部との連携のもと、警察の協力を得て交通安全教室を行い、自転車の安全な乗り方やルールとマナーについて指導を行うとともに、毎月1回行われる安全指導日においても繰り返し注意を促しています。 子どもへの指導を効果的に進めるためには、保護者との連携が不可欠であることから、保護者への通知でヘルメットの着用や夜間におけるライトの点灯など、正しい自転車利用について啓発しています。 教育委員会としては、自転車教室に子ども・保護者の参加を一層促すため、土曜日や保護者会、授業参観開催日に合わせて実施するなど、子どもと保護者がともに学ぶ機会を提供できるよう学校に働きかけてまいります。 ◆17番(平間しのぶ) 区長並びに教育委員会のほうから丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。 この後決算特別委員会も開かれる予定ですので、同僚議員に託したいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(おぐら利彦) 次に、28番えのき秀隆議員。     〔28番 えのき秀隆議員登壇、拍手〕 ◆28番(えのき秀隆) 区民主権の会のえのき秀隆です。第3回定例会に当たり、代表質問を行います。御答弁のほど、よろしくお願い申し上げます。 まず、冒頭に関東地方をたびたび襲う竜巻や全国的に台風による被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 竜巻と言えば、アメリカの広大な大地で起こるものという印象がありましたが、気象統計をひもといてみると、どうやら日本でも存在していたようです。 しかし、最近の竜巻の頻度は多いようにも思いますし、昨今のゲリラ的な集中豪雨などを考えると、日本の気候そのものが構造的に変化をしているのではないかと思わせる状況が続いています。 時代は変わると言いますが、今申し上げた気象現象に限らず、私たちを取り巻くさまざまな環境は常に変化をしています。議会や行政は先頭に立って、諸変化に迅速に対応していかなければなりません。変化を恐れて過去にしがみつくのではなく、変化を前向きに受けとめ、新しい時代の可能性を見出していく姿勢こそ、今求められるのだと思います。 私たち区民主権の会は、新宿区の明るい未来をつくり出すために、さまざまな変化をチャンスと捉え行動していくことを述べまして質問に入ります。 初めに、成年後見制度についてお伺いします。 厚生労働省の資料によれば、「認知症高齢者の日常生活自立度」Ⅱ以上の人は、平成22年では208万人、15年後の平成37年では323万人と1.6倍に増加することが見込まれています。数字を見るまでもなく、成年後見制度の重要性、必要性が一層高まることが推測できます。 まず初めに、本区における今後の成年後見に関するニーズをどのように見込んでいるのか、お伺いいたします。 次に、後見人の監督について伺います。 後見人が依頼人の財産を横領したり使い込んだりする事件が問題となっています。最近では、依頼を受けた弁護士が後見人の財産4,000万円を着服したというニュースがありました。過去1年間で成年後見制度における着服被害は575件で45億円余にも上るという報道もあります。 成年後見人は、家庭裁判所に対し財産管理報告を定期的に報告する義務があります。しかし、現状ではこのような制度が不正防止に十分な効果を発揮しているとは言えない状況にあります。 成年後見人などによる不正行為が増加すれば、制度自体に対する信頼が揺らぎ、新たな利用に対し阻害の原因になりかねません。不正防止に向けて一層の対策の強化が必要と思いますが、区のお考えをお聞かせください。 最後に、普及・啓発について伺います。 成年後見制度は、平成12年に制度施行され、13年目を迎えました。この間、成年後見という言葉自体はかなり普及してきたものと思われます。改めて関係機関などの御努力に敬意を表します。 しかし、一方で昨今増加している消費者被害を見ると、成年後見制度の内容を正しく理解し、適切に利用することが今までにも増して大切であると考えます。また、手続の煩雑さや仕組みに対する理解が障害となり、制度利用が進まないといった事態は避けなければなりません。必要な方が必要なときにしっかりと利用できる制度として確立される必要があります。そのためには、区民を初めとして区内の介護施設職員、区職員が連携しつつ、普及・啓発を充実していかなければならないと考えます。 区もこれまで専門家による講座などを開催し啓発に努めてこられていますが、今後の啓発活動についての御見解をお聞かせください。 次に、図書館について伺います。 御案内のとおり、中央図書館は、ことしの夏に旧戸山中学校を仮施設として移転しました。文教子ども家庭委員会で早速視察に参りましたが、諸課題を積極果敢に乗り越え、無事に移転されたことに対し、館長を初め、職員の皆さんに対して改めて敬意を表します。 今後は、新中央図書館の整備に向けて、さまざまな検討がなされることと思います。恐らく整備進捗の中でも社会は刻一刻と変化していくことが予想されます。新中央図書館など基本計画にも記されているとおり、日本の社会構造の大きな変革期の中で、公立図書館も社会の変化とともに変わっていかなければなりません。サービス提供に際しては、利用者の要望や社会の変化に対し日々進化し、常に見直しを行っていく必要があります。 そこで、何点かお伺いいたします。 第1点目は、レファレンス事例活用の現状についてです。 新宿区区政情報課はSNSを活用されるようになりました。現在は企業や自治体においてもSNSを用いた情報発信が行われるようになりましたが、今のところは模様眺めをしながら、少しずつ導入されているのが現状です。 SNSのメリットは、大きく分けて3つあります。まずは、発信した情報に対して受け取り側が返信することが可能であり、また受け取り手同士が情報交換できるなど、双方向の交流が可能になることです。 2点目は、みずからが情報を取得するのではなく、自動的に情報を受け取ることができるということです。 そして、3点目は、受け手が共感した情報を別の人間に副次的に短時間に拡散させ伝達することができるということです。 今回は、図書館における提案となりますが、特に利用者の調査ニーズに専門的に対応するレファレンスサービス部門では、大きな活用ができそうです。現在のレファレンス事例の提供は職員が担当していると思われますが、インターネット上でSNSなどを活用して相応の事例を蓄積することも可能と思われます。簡単な問い合わせや過去にレファレンスの回答が行われているケースの重複などを考えれば、SNSを活用して情報を蓄積させ共有していくといった活用方法があるのではないでしょうか。 レファレンス事例活用の現状とSNSを活用したレファレンスサービスの課題、またレファレンス事例の情報発信についての見解を伺います。 第2点目は、次世代の新たな図書館情報システムの活用について伺います。 民間企業においては、次世代の図書館のために新たなシステムが開発されています。主にクラウドを活用し、ICタグなどで書籍を管理し、また電子書籍も含めた対応ができるというものです。図書館業務の効率化が図られ、自動貸し出しシステムや予約棚システムといった利用者サービスの向上に寄与する新しい仕組みも備えています。図書の検索については、利用者がキーワードや図書のタイトル名などを入力して、目的の図書が表示される機能が一般的でしたが、新しいシステムでは興味のある書籍を専用の端末に置くだけで、その本の情報や関連図書を表示するといった機能もあります。 例えば、「同じ年」に出版された本や「同じ分類」の本といった観点で表示され、今までの検索機能に加えて、思いがけない図書に出会うきっかけをつくり出すことができるということです。 このほか、館内での電子図書の閲覧や貸し出しなどにも対応でき、職員の業務効率化にも寄与できます。図書館は情報を扱う重要な存在であり、常に進化し続ける図書館であってほしいと思います。 新宿区の図書館において、このようなシステム導入に関しての研究を進めるべきと考えますが、お考えをお聞かせください。 次に、選挙について伺います。 平成25年7月執行の参議院議員選挙は、ネット利用が解禁されて初めての国政選挙でした。私は、ネット選挙がどのような影響をもたらすのか興味を持っていましたので、早速選挙後に新宿区選挙管理委員会より世代別投票率に関する投開票結果を提供していただきました。データによりますと、いずれの年代も投票率は以下しているのですが、20代と50代の投票率の低下が抑えられているものの、30代は大幅に低下しているという結果でした。若者のネット活用率が高いことはさまざまな調査で判明していることですので、20代、30代の投票率が上昇するかと考えていましたが、そのとおりにはならなかったということです。 ネット解禁が投票率の向上にどのような影響をもたらしたのかをこの資料だけから分析することはできませんが、ネット解禁の効果に疑問を持たざるを得ない結果となりました。 もともと東京都選挙管理委員会が選挙前に行ったネット選挙に対する都民の意識調査でも、選挙や政治に関する情報を入手するのにネットを利用するのかどうかについては、7割を超える人たちが「今までと変わらない」と回答し、ネット選挙の浸透が十分になされていない結果が出ていましたから、予想どおりの結末とも言えます。 そこでお伺いいたします。 今回の投票結果を受け、ネット選挙解禁に対する選挙管理委員会の評価と総括をお聞かせください。 また、新しい制度のもとで行われた選挙で、新たに判明した課題について、その対策も含め、どのような認識をお持ちか、お伺いいたします。 最後に、選挙に関する教育の取り組みについて伺います。 主に小学校6年、中学校3年の社会科の授業において、政治、経済、社会の仕組みや政治への参加などについて指導されておられることと思います。 以前、模擬選挙の体験を活用し、選挙の意義などを理解していくことについて質問させていただきました。日ごろから、政治、選挙を身近なものにするために、小学生や中学生のうちから仕組みなどをしっかり学ぶことが大切であると考えます。今回のネット解禁については、いかなる機会を得て児童・生徒に周知し、学習させていかれるつもりでしょうか。教育委員会のお考えをお聞かせください。 質問は以上です。 ◎区長(中山弘子) えのき議員の御質問にお答えします。 新宿区における今後の成年後見に関するニーズについてのお尋ねです。 平成19年度より新宿区社会福祉協議会に「新宿区成年後見センター」を設置し、新宿区では、成年後見制度の利用促進を図っているところです。 平成19年度は525件であった成年後見センターの相談支援件数は平成24年度には2,209件となり、年々増加しています。 また、全国の成年後見制度の利用状況については、最高裁判所の「成年後見関係事件の概況」では、平成22年から平成24年で申し立て件数が15.3%の増、利用者数は18.5%の増となっています。 全国的な制度利用の傾向と新宿区の認知症高齢者数の増加傾向から、成年後見に対するニーズはますます高まっていくと考えております。 区では、今後のニーズ把握を行い、的確に対応していくよう努めてまいります。 次に、成年後見人の不正防止に向けた監督の強化についてのお尋ねです。 成年後見人は、家庭裁判所に後見人としての仕事内容を報告し、必要な指示等を受けるなど、家庭裁判所の監督を受けます。 また、後見人が任務を怠ったり、不正行為を行わないように家庭裁判所が選任する成年後見監督人が選任される場合もあります。 さらに不正行為をするなど、後見人としてふさわしくない人については、家庭裁判所が解任の審判をします。 一方、日本弁護士連合会では、全ての弁護士に対して預かり金は専用の口座を別に設けて管理することや弁護士会の調査に対しては通帳や帳簿を示して回答する義務を新たに課す「預り金等の取扱いに関する規程」を定め、さらに不祥事により信頼を失わないよう再発防止に向けて、取り扱いの適正化に努めています。 区としては、後見人の不正行為により、被後見人の財産や権利が侵害されることを防ぐためには、後見人を選ぶ際に本人や親族だけで決めずに、成年後見センターなど公的な機関等に相談するよう、さまざまな機会を捉え周知に努めてまいります。 次に、成年後見制度の今後の普及啓発活動についてのお尋ねです。 平成24年度の新宿区区政モニターアンケートでは、成年後見制度について「名前を知っている」は74.7%となっており、平成21年度の65.1%から9.6ポイント上回り、認知度は年々高まっています。 区では、専門家による数多くの入門講座や任意後見講座などを行ってきました。平成24年度は専門家による講座を8回開催し、延べ284名の参加、また出前講座については5回開催し、延べ141名の参加をいただきました。 講座へ臨む動機も家族のことや自分自身のことなど、さまざまとなっています。 このため、講座終了後に相談会を設けるなど、個別ニーズにも対応できる方法もとっています。 今後は、さらに多くの方々に普及啓発を図るため、介護施設・高齢者総合相談センター・保健センターなどの関係機関職員と連絡会議や意見交換会などの場を活用して連携するとともに、町会や高齢者の食事グループ、障害者施設の保護者会などの集まりで出前講座を開催するなどの働きかけを強化してまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。 図書館についてのお尋ねです。 初めに、レファレンス事例活用の現状についてのお尋ねです。 過去のレファレンス事例のうち複雑なレファレンスについては、平成19年度から電子媒体で保存し、図書館職員がレファレンス相談を受けた際に活用し、迅速な回答ができるように努めています。また、このうち一部はホームページ上にも掲載し、一般の方の利用にも供しています。 次に、SNSを活用したレファレンスサービスの課題についてのお尋ねです。 SNSは、御指摘のように利便性にすぐれた面があることから、近年急速に普及しており、図書館サービスにおける活用は、研究課題と認識しています。 SNSを活用したレファレンスサービスでは、インターネット上で双方向の情報交換を行うことになります。このため、個人情報の保護、情報セキュリティ、費用対効果の面で多くの課題があり、現時点での導入は困難と考えております。 次に、レファレンス事例の情報発信についてのお尋ねです。 情報発信は、登録を必要とするSNSのサービスよりも、誰もがアクセスできる通常のホームページ上での情報提供によることが現時点では、より利便性が高いと判断しています。 したがいまして、現在行っているインターネットホームページ上のレファレンス事例の紹介を、さらに充実してまいります。 次に、区立図書館における次世代の新たな図書館情報システムの活用についてのお尋ねです。 区立図書館では、平成元年以来、順次ICT化を進め、現在、インターネット上で図書館資料の検索や予約ができるほか、このシステムにリンクさせた検索サイトを通じて、同じ分野の関連資料の表示などができます。 情報通信技術の進展は日進月歩であり、図書館情報システムも御指摘のとおり、新たな開発が進んでおります。現在の図書館情報システムについては、費用対効果を踏まえて平成29年度末まで再リースにより稼働させますが、高度情報化社会の進展に的確に対応できるよう、将来を見据えた図書館情報システムなどのICT化の検討は重要と認識しています。したがいまして、最新のICTの開発動向、図書館サービス向上のための活用方法など、情報収集と研究に鋭意取り組んでまいります。 インターネット選挙運動の解禁を児童・生徒などにどのように教えるかについてのお尋ねです。 学校では、中学校3年生の社会科の中で、選挙は国民が政治に参加する重要な機会であることや選挙制度について学習し、主権者として政治に参加することの意義について学んでいます。 今回、国政選挙において若年層の投票率の上昇を狙いの一つとして、インターネット選挙運動が解禁されました。東京都では、生徒向けにインターネット選挙運動についても掲載した選挙制度理解のための資料を作成し、全中学校に配布する予定です。 今後、この資料を活用するなどし、選挙制度に対する理解を深め、次世代を担う子どもたちが将来主権者として積極的に選挙に参加するよう学習の充実を図ってまいります。 ◎選挙管理委員会事務局長(濵田幸二) 選挙管理委員会への御質問にお答えいたします。 まず、参議院議員選挙の投票結果を受け、インターネットを利用した選挙運動の解禁に対する評価と総括についてのお尋ねです。 今回作成した年代別投票行動に関する資料は、各選挙終了後に調査しているものと同様に、参議院議員選挙について平均投票率に近い投票率の投票区を抽出し作成したものであり、その結果は御指摘のような投票率低下の状況を示しております。 今回のインターネットを利用した選挙運動の解禁については、選挙運動期間に候補者や政党が発信できる情報が飛躍的にふえることや有権者にとっては、その政策や人柄について情報が得やすくなることから、特に20歳代、30歳代の若年層の投票率向上に寄与するものと期待されていたところです。 しかし、実際のところはツイッター、フェイスブックなどのSNSや候補者等のホームページを参考に投票行動を決める有権者は少なく、従来の情報ツールである新聞やテレビ報道、選挙公報などを参考にした有権者が多かったという結果が出ています。 その要因としては、公職選挙法の改正から選挙までの時間的余裕がなかったことから、候補者等の準備不足の感が否めなかったことやインターネットの特性である双方向の情報交換が十分になされていないことなどが考えられます。 今後は、候補者の政策や人柄をもっと知りたいという有権者のニーズには変わりがないため、選挙運動期間に限らず、日常的な政治活動におけるインターネットの利用がより一層活発になされることが期待されており、これからの地方選挙の場で、その成果が問われるところです。 次に、新しい制度のもとでの課題とその対策に関する認識についてのお尋ねです。 今回の参議院議員選挙は、公職選挙法改正後、間もない時期に執行されており、インターネット利用による選挙運動の解禁が投票率の向上に結びついておりません。 選挙管理委員会としては、この制度が有権者の投票行動につながり、投票率の向上に寄与していくことが課題であり、新聞やテレビ報道、選挙公報などと同様に、有権者が投票する際の判断材料としてインターネットを活用できるような環境を整備していくことがみずからの役割であると認識しております。 そのためには、この制度の狙いや仕組みを有権者ばかりでなく未成年者にも教育委員会事務局を初めとする関係部局の協力のもと、周知徹底を図っていくことは重要であると考えております。 あわせて投票率の向上のためには、有権者が社会に参加し、主権者としての意識を高めていくことが大切です。選挙管理委員会としては、政治や選挙に関心を持って一票の意義や重みを認識してもらい、投票行動につなげることを目標に、明るい選挙推進委員の方々との協力のもと、平常時の継続的な選挙啓発を行っていくことが特に重要であると考えております。 ◆28番(えのき秀隆) 区長並びに教育長、そして選挙管理委員会事務局長、かなり御丁寧に御答弁をいただきましたことに感謝を申し上げます。 それぞれ諸課題、課題自体もそのときそのときによって変容していくというような時代でございますので、さまざまな課題において効率的で効果的な対応というものをしっかりしていただけるようお願いを申し上げて、私の発言を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(おぐら利彦) 次に、24番下村治生議員。     〔24番 下村治生議員登壇、拍手〕     〔「頑張れ」と呼ぶ者あり〕 ◆24番(下村治生) 自由民主党の下村治生です。平成25年第3回定例会に当たり、自由民主党新宿区議会議員団を代表して、区長並びに教育委員会に質問いたします。どうぞ誠意ある御答弁をお願いいたします。 9月8日の早朝、まことに喜ばしいニュースがありました。2020年の東京オリンピック・パラリンピック招致が決定しました。誘致の経済効果は薄いとも言われていますが、そのような点からだけで捉えるのではなく、現在の日本や国民に、そしてとりわけ10代の若い人たちに希望を与える事業として、この時期に行われるところに大きな意義があると思います。 また、続いて開催されるパラリンピックでは、この間の大震災などで培われてきた若いボランティアの力を大胆に導入し、その姿を改めて世界にアピールすることで、新しい形のオリンピックを世界に提示し、印象づけることもできるのではないかと期待しております。 そして、海外からやってきた人たちに日本の素顔を見ていただくことは、日本と東京の魅力を世界にアピールするまたとない機会ともなります。 区長は、オリンピック招致の決定のインタビューに答えて、「メイン会場となる国立競技場の地元自治体として、世界中から観戦に訪れる人々が気持ちよく楽しめるよう、環境整備に取り組む」とコメントされていました。区民とともに、大いに盛り上げていきたいものであります。 さて、7月の参議院議員選挙の結果により、衆参のねじれが解消し、ようやく政策を決められる状況が整いました。     〔「頑張れ」と呼ぶ者あり〕 今こそ明るさを取り戻した日本経済を確かな安定軌道に乗せ、成長戦略を実行に移し、実感を伴う経済成長を長期的にも実現してほしいと願うものであります。 折しも、内閣府が9日発表した国内総生産(GDP)改定値は、前期比年換算で実質3.8%増と速報値を大きく上回り、エコノミストの中には「企業収益の増加に加え、企業心理も改善傾向にあり、設備投資は先行きも増加傾向が続く可能性が高い」と指摘する方もいます。確かに町中の様子も明るい感じになってきたように感じますが、地域を見てみますと、中小企業にとっては、いまだ景気回復の実感には乏しく、景況感の回復がおくれぎみという感じも一方ではしております。 そこで、新宿区としても国の動きに合わせ、スピード感を持って地域経済浮揚の施策を実行していただくようお願いいたします。 既に依命通達も出され、それに沿って平成26年度の予算編成の作業中でもあり、御配慮いただくとともに、場合によっては年度途中であっても対応していただくこともお願いしたいと思います。 今第3回定例会では、決算の審査が大きなテーマであります。 そこで、第1の質問として、最初に平成24年度の決算を終えて、この年度をどのような年であったかと振り返っていらっしゃるのか、伺いたいと思います。 平成24年度予算の特徴は何で、決算を行ってみて、それがどのように達成され、この1年間の区としての取り組み全体として、その進捗度、成果、課題などについて伺います。 次の質問に移ります。 平成24年度の実質単年度収支も20億円を超える赤字となり、これで4年連続となりました。財政調整基金の積み立て・取り崩しを全く行わないとして算出した実質単年度収支が4年続けて赤字というのは、土地の購入などの投資的経費が重なるなど、もろもろの要素があるとは思いますが、財政調整基金の取り崩しによる財政運営が4年間も続いている状態です。 質問の第2として、財政構造が基本的には赤字体質に転換したものと思うところでありますが、いかがなものでありましょうか、お伺いします。 次に、経常収支比率について伺います。 平成24年度決算での財政構造の硬直度を示す「ものさし」とされます経常収支比率は88.9%となりましたが、この数字を過去にさかのぼって調べてみますと、平成7年度の87.7%という数字が最も近いものでありました。 当時の状況を資料によって振り返ってみますと、新宿区は平成8年度の予算編成に当たり、この平成7年の10月には「財政非常事態宣言」を行っています。 そして、そのとき発表された「岐路に立つ区財政」によりますと、「長引く景気低迷の影響を受けて、区の歳入の大宗を占める区税収入の落ち込みが続いております。しかしながら、歳出規模はこうした厳しい財政状況にあっても、昭和62年に策定した基本構想の実現を目指して、区民サービスの維持・向上に努め、さまざまな分野で施策の充実を図った結果、大幅に拡大してきました。このような歳入と歳出のギャップを、区は税収の好調な時期に蓄えた貯金に相当する各種基金の取り崩しや借金である起債の発行などを最大限活用して補ってきましたが、今やそれらの対応能力も限界に近づき、区財政は深刻な事態となっています。」という書き出しで始まっています。 要は、「財政規律の確保」や「身の丈の区政運営」などが当時目指したものであったかと思います。 そして、その後には区民生活にとっても厳しい数々の行財政改革などが行われました。私は、そのような行財政改革が行われた当時と現在の財政状況とでは、幾つかの点で異なるところもあって、今後において、にわかに区財政が当時の状況に陥るとは思ってはおりません。しかし、過去に学ぶことも場合によっては必要でありますし、経常収支比率は似た数字であっても、以下に見るように社会保障関係費の比重は格段に高まっているのであります。 当時と現在とを比べると言いましても、時点や財政規模などが大きく異なりますので単純ではないことは十分承知しておりますが、質問の第3として、どのように見ていらっしゃるのか、お尋ねします。また、そのことはどのようなところによるとお考えなのでしょうか、お伺いします。 地方自治体の一般財源の収入は、景気の変動や地域社会の変化に応じて収入の伸縮を図る自己調整能力が乏しく、その一方で扶助費に見られるように、社会保障関係経費を中心に経常的経費の伸びは著しく、収入の変動に対して伸縮できる経費には乏しい状況があるところから、現在の地方自治体の多くは押しなべて、常にさらなる財政構造の弾力性の確保を迫られていると認識しております。 このことは、本区にあっても同様でありますが、現状はなかなか財政構造の弾力性の確保が難しくなっているようにも思えるところです。 そんな中にあって、新宿区には区が置かれている優位な特性を活かした経常収支比率の算定の対象外である財産収入、すなわち「土地建物貸付収入」や「土地信託配当金」などもあり、毎年コンスタントに10億円を超える金額が計上されているところであります。したがって、新宿区ならではの観点からの歳入増を図っていただくことも必要であります。 経常収支比率については、一般的に70%から80%が適正水準と言われていて、これを超えると、財政の弾力性を失いつつあると考えられるところから、この原因を究明し、経常的経費の抑制に留意する必要があるとされているところです。 第4の質問として、最近の経常収支比率悪化の原因とその抑制にどのように心がけていらっしゃるのか、伺います。 あわせて財政構造の弾力性の確保を今後、中期的にどう図ろうとされているのか伺います。 次に、財政のかじ取りについて伺います。 先ほども述べましたが、地方財政の特徴から収入はふえづらく支出はふえやすい特質を有しています。そして、少子高齢化社会にあって、収入増につながる若年者層は減り、その一方、扶助費の増嵩をもたらし、支出の増大をもたらす高齢者はふえ続けるという状況が今後ますます顕著になってまいります。 このような状況下にあっては、米ハーバード大学のアルベルト・アレシナ教授らの1970年から2007年に財政再建を軌道に乗せた先進国の特徴分析の「増税よりも歳出削減に重点を置いたほうが成功をおさめやすい」という見解は、まさに一面の真理を突いているのであります。 ジンギスカンの宰相であった耶律楚材の「一利を興すは一害を除くにしかず、一事を生かすは一事を減らすにしかず」の言葉が思い出されます。 そこで、第5の質問として区長の御所見を伺いますが、受益者負担の適正化や事業の見直しを進めていくとともに、将来負担を発生することとなる新規事業については、より慎重であり、その一方で健康推進事業などに見られるように、事業の枠組みを「対策から予防へ」と将来の負担の軽減につながるような事業構築に軸足を移していく必要があるものと思っていますが、いかがお考えでしょうか。 次に、区有施設の老朽化対策についてであります。 実行計画では、「資産(建物等)の長寿命化」として「中長期修繕計画に基づく施設の維持保全」が掲げられておりますように、対症療法的な事後保全から計画的な予防保全となっています。この長寿命化や維持保全に当たっては、それぞれの用途に見合った「質とコスト」の最適化をどのように図るかが最も大切であると考えます。 すなわち、今後の保全にあっては、大きくは橋梁などの場合がそうでありますが、劣化の状況に応じた「予防的な保全」、機能の向上などを伴う「改良的な保全」、そしてこのことが重要でありますが、施設の再配置や用途変更なども意識した「戦略的な保全」などに分類し、優先順位化を図る必要があると思います。 そこで、第6の質問として、現在のところの中長期修繕計画では、どのくらいまでの期間と費用を有するものとして、また先ほどの分類などの例では、どのような手法で策定されているのでしょうか、伺います。 あわせてNHKなどでも報じられているところですが、保全にかかわる人材育成や人材不足が多くの自治体での課題となっているようですが、新宿区ではいかがなのでありましょうか、伺います。 最後になりますが、日本では今後さらに少子高齢化が進んでまいります。そのことによる区財政への影響や備えなどについて伺ってまいります。 団塊の世代の全てが高齢者の仲間入りをする中で、高齢化率は一気に高まってまいります。既に総人口は2007年をピークに生産年齢人口は1995年をピークに減少に転じております。このような中で、過去20年間余、日本経済の成長率は徐々に低下してきております。 新宿区においても「国勢調査に基づく新宿区の将来人口推計」によりますと、生産年齢人口や年少人口は間もなくピークを迎えます。 このことは、現在でも区税収入の伸びに比べて、義務的経費や繰出金の伸びのほうが大きい状況が、さらに加速化することを意味するものと思います。 すなわち、生産年齢人口の減少は税収減をもたらし、その一方で高齢者の増加はこれから後期高齢者の伸びをもたらします。前期高齢者を上回ることにより、医療、介護費用のさらなる増大は一般会計からの繰出金の増となって区財政に大きな影響を与えてまいります。 このことを国民健康保険特別会計で見てみますと、平成23年度は3億円、平成24年度は4億5,000万円の増で、それぞれの伸び率は6%、8.6%と率は高くなってきています。介護保険特別会計では、平成23年度は1億円、5%、平成24年度は1億円、3.3%の増、後期高齢者医療特別会計では平成23年度は1億5,000万円、6.4%、平成24年度は7,900万円、3.1%の増であります。 一般会計からこれら3特別会計への繰出金の合計は毎年着実にふえてきており、平成23年度は5億5,000万円、平成24年度は6億2,900万円と毎年膨れ上がっています。この傾向は、制度の枠組みが大きく変わらない限りは続くものと考えられ、そのことは新宿区の財政構造を極めて厳しいものに追い込んでまいります。 したがって、少子高齢化が速度を上げて進む中にあって、持続性のある区民サービスの継続には、区財政が区民の方々の相応な負担に基づいて成り立っていることを考えるとき、さらなる財政規律の確保に努めることが欠かせないものと考えます。 そこで、第7の質問として、財政規律の確保と今後の中期的な財政見通しについての区長の御所見を伺います。 ◎区長(中山弘子) 下村議員の御質問にお答えします。 区財政の中期的展望についてのお尋ねです。 まず、平成24年度予算の特徴と決算における成果や課題などについてです。 第二次実行計画の初年度となる平成24年度予算は、「将来を見据えた財政の持続性を目指すとともに、喫緊の課題に即応し、基本構想の実現に向けて第二次実行計画達成の堅実な道筋をつける予算」と位置づけ、震災対策を初めとする区政の緊急課題に的確に対応するとともに、決算実績に基づく大幅な経費削減と徹底した事務事業の見直しに取り組むことをテーマとしました。 また、適宜予算の補正を行い、区民の健康や安全・安心の確保のため、保育所等耐震化促進事業助成や予防接種など、緊急性が高く重要な課題に迅速に対応してきました。 予算の執行に当たっては、特別区税等の歳入確保や支出における経費削減に努め、第二次実行計画事業を初め、予定された諸事業の着実な推進を図ることができたものと考えています。 しかし、平成24年度の決算では、実質単年度収支の赤字が20億円を超えています。これは区民サービスを維持するとともに、喫緊の区税課題に対応するため、財政調整基金を取り崩すなど、今まで培ってきた財政対応力を活用したことによるものですが、区を取り巻く財政環境がより一層厳しい状況になっていることから、引き続き財政基盤の強化に徹底して取り組んでまいります。 次に、財政構造が赤字体質に転換したのではないかとのお尋ねです。 平成24年度決算の一般財源は842億円でリーマンショック以前の平成19年度に比べ104億円減少し、扶助費は394億円で131億円増加しています。区は、景気の変動等を大きく受けやすい財政構造となっていることから、長期的な視点から財政の健全な運営を図ることを目的とした財政調整基金により、年度間の調整を行っているため、直ちに区財政が赤字体質に転換したものとは考えていません。 しかし、実質単年度収支の赤字が4年連続となったことは、単年度の歳入不足を補うために、財政調整基金の取り崩しが長期化していることを示していますので、御指摘のとおり、特別区民税や国民健康保険料などの収入未済額の改善を図るなど、これからも収入確保に努めていくことが重要と考えます。 次に、平成7年度の財政非常事態宣言当時と現在の経常収支比率などの比較についてです。 平成7年度の経常収支比率は87.7%で、その後年度ごとに93.9%、96.8%と上昇しました。また、平成7年度末の基金残高は380億円でその後年度ごとに316億円、294億円と減少するとともに、区債残高は414億円で、その後523億円、546億円と上昇しています。 バブル経済崩壊後の長引く景気低迷や赤字補填債の発行などを背景にして、平成7年度当時を境に基金残高と区債残高が逆転するなど、区財政は厳しい状況になりました。 こうした状況と比較して、平成24年度決算では、御指摘のとおり、経常収支比率が近い数値となっていますが、平成24年度末の基金残高は区債残高を141億円上回っていることから、基金残高と区債残高のバランスから見て、平成7年度当時と現在とでは、その状況が大きく異なるものと認識しています。 また、平成24年度の経常収支比率については、生活保護費などの扶助費の伸び率が0.7%で平成22年度18.5%のピーク時の伸び率と比べて大きく減少していることなどから、今後平成7年度以降のような経常収支比率の大幅な上昇はないものと考えています。 次に、経常収支比率の悪化の原因とその対応策についてです。 平成24年度決算では、経常収支比率が前年度と比較して0.8ポイント増の88.9%となりましたが、景気の低迷を受けて、区税等の一般財源収入が改善しない中、生活保護費などの扶助費や特別会計への繰出金が伸びたことなどによるものと考えています。 経常収支比率を改善するためには、定員適正化による人件費の縮減や生活保護受給者等に対する就労支援などの対策を講じて義務的経費の低減を図るとともに、内部管理経費のより一層の精査や区税等の増収対策による一般財源の収入確保など、歳入歳出両面からの積極的な取り組みが重要と考えております。 また、今後の経済変動などにも柔軟に対応するため、将来負担を見据えた区債の発行に努めるとともに、計画的な基金の積み立てと活用を図ることにより、財政の弾力性を確保してまいります。 次に、将来の負担軽減につながるような事業構築についてです。 少子高齢化の急速な進展の中で、社会保障関連費の増大は、制度の持続可能性や世代間の公平性という観点からも大きな課題であると認識しています。 医療や介護などで個々人がリスクを低減するため、自助努力が行える仕組みづくりや貧困の連鎖を解消するため、生活や労働環境を整備することは、これからの行政コストの肥大化を低減することにつながるものと考えます。 区では、生活保護受給者に対して自立した地域生活を過ごすための支援や障害者、高齢者、若年被就業者等に対する総合的な就労支援、加えて高齢者の方々がいつまでも元気で過ごしていただくための介護予防や高齢者の社会参加と生きがいづくりの拠点整備などを進めてきたところです。 これからも御指摘のとおり、将来負担を軽減するための効果的な事業構築を目指して取り組んでまいります。 次に、区有施設の老朽化対策についてのお尋ねです。 施設の長寿命化を図り、継続的な区民サービスを提供するためにも、施設の維持保全は大変重要です。 第二次実行計画の中長期修繕計画では、平成25年度までに21億9,000万円余、平成26年度、平成27年度では8億7,000万円余、合計30億7,000万円余の工事費等を見込んでいます。 御指摘のように、区有施設の維持保全は優先順位化を図ることが必要です。予防的な保全については、各施設の現況や劣化度等の調査結果をデータベース化し、対象施設を抽出した上で現地調査を踏まえ、効果的・効率的に工事を行い、経費の削減に努めています。 機能の向上などについては、大規模な改修などを捉え、エレベーター設置などのバリアフリー化や太陽光発電設置、照明のLED化など環境に配慮しています。 また、これまでも地域需要等を考慮した施設活用や保全に取り組んでおり、今後も人口減少の進展や少子高齢化社会に対応した施設の再配置や用途変更などを進めてまいります。 こうした分類に加え、区有施設の維持保全や改修については、区財政の状況などを考慮するとともに、緊急性やその施設が担う事業の重要性等、区政の優先順位を総合的に勘案して取り組んでいます。 人材育成や人材不足については、職員向けに作成した「維持管理の手引き」を活用した施設維持研修の実施、民間等での経験を有する職員の採用、また区有施設の特性を踏まえた現場における若手職員の指導育成により、技術力の継承に努めております。 次に、財政規律の確保と今後の財政見通しについてのお尋ねです。 御指摘のとおり、少子高齢化の急速な進展の中で、これからも医療や介護などの区民サービスを安定的に提供するためには、そのための財源を確保することが重要です。社会保障制度改革国民会議の報告書では、全世代を対象とする社会保障への転換を目指し、若い世代向けに少子化対策を盛り込む一方、高齢者や高額所得者には給付の抑制や負担増の協力を求めることなどが示されています。 将来にわたって持続可能なサービスを提供するためには、国や地方はもとより、皆で担うという観点から、区民の皆様にも所得等に応じた適切な負担をしていただくことが必要です。 区民への負担については、財源の使い道をわかりやすく示すなど、説明責任を果たすとともに、効果的・効率的な行財政運営を追求し、さらなる財政規律の確保に努めていくことが極めて重要と考えています。 また、今後の財政見通しについては、本区を取り巻く社会経済状況の変化が著しいことから、現段階で見通すことは難しいところですが、平成26年度予算編成の中で、こうした社会保障・税一体改革の状況を的確に捉え、直近の景気動向等の情報をもとに、実行計画期間中の財政収支見通しを明らかにしてまいります。 ◆24番(下村治生) 災害イマジネーションを高める震災訓練と高層マンションの防災対策について質問いたします。 昨年、日本防災士機構の講義で久しぶりに目黒公郎教授のお話を聞く機会を得ました。私にとって、平成15年に行われた新宿区役所での「阪神・淡路大震災の人的被害に関する講演」以来でしたが、当時、中山区長も「目からうろこが落ちる思い」と感想を述べられ、区議会でも「目からうろこ」という言葉が流行しました。 私もこの講演後、これまで自分の考えが発災直後の初期対応に偏っていたことに気づかされ、発災前の減災対策も大変重要であるとの認識に変わりました。 目黒教授のインタビューを載せたウェブ版週刊ダイヤモンドオンラインの昨年4月の記事の一部を要約すると、以下のようです。 目黒教授は、被害を軽減するための建物耐震化を進めつつ、同時に被災者を支援する行政の財政負担を軽くする制度をつくる方法として、公助としての「行政による新しいインセンティブ制度」、共助としての「耐震補強実施者を対象とした共済制度」、自助としての「新しい地震保険」の3つの制度を目黒の3点セットとして提案しています。 さらに現実感ある災害イマジネーション力を育むために、今すぐ実践できるイメージ能力の向上に効果的な訓練ツールとして、「目黒巻」を提案しています。 目黒巻は、災害発生時の季節や天気、曜日や時刻、自分のいる場所などの条件を踏まえ、時間経過の中で自分の周辺で起こっている事柄を自分を主人公とした物語を書くことによって具体的に考え、防災上の課題や疑問点の理解を促進する巻物のようなものです。 「目黒巻」はどのようにつくるのか、これによってどのように災害イマジネーションを養うのかを見てみましょう。 まず、巻物のような紙を用意し、紙の横軸には地震発生時刻と物語を書く目安としての経過時間を10秒後、1分後、10分後、1時間後、1日後と書き込んでいきます。 さらにその時間に沿って、震災後、刻一刻とどんな状況になっていくのか、自分は何をしているのか、またはどう対応するかなどを書き込んでいきます。 目黒巻を書き進めると、「停電になったらどうする」、「家族と携帯電話で連絡がつかないとき、安否確認をどうすべき」など、おのずとさまざまな疑問が生まれてきます。そうした疑問点を「疑問カード」にまとめておきます。 でき上がった「目黒巻」と「疑問カード」を一緒につくった家族や学校や職場や地域で仲間や同僚と見せ合うと、「新たな視点が発見でき、疑問点を共有するとともに、皆でこれらを解決していくことで防災意識と対策が推進される」と目黒教授は言います。 つまり、目黒巻をきっかけにして災害イマジネーションを養い、事前対策の重要性を認識して適切な準備を行うことで、直後や事後の対応力も向上させることができるわけです。 そこで、質問の第1として、次の2点についてお伺いします。 まず第1点目は、災害イマジネーション訓練についてです。 常々中山区長も「想像力の翼を広げて」と言われますが、災害対策として災害イマジネーションの訓練を行うことは目黒教授が強調するように災害時に大いに活かされると思います。 新宿区では、これまでも復興模擬訓練等で防災マップを各地域で作成したり、さまざまな区民参加の図上訓練も行ってきました。 私も先日DIG(災害イマジネーションゲーム)という訓練に参加しましたが、震災発災後の災害イマジネーションを養成する目黒巻とは異なりますが、これらの区民のための図上訓練について区長のお考えをお聞かせください。 第2点目は、訓練一般で言えば、実技の訓練が最も重要な点です。実践の基礎なくしては、区民防災組織の防災力の向上はあり得ません。 そこで、最近、区民防災組織に配備された防災行政無線戸別ラジオによる情報伝達訓練やスタンドパイプを活用した放水訓練、バケツリレー訓練などをいつもと同じ内容の訓練を防災の日にのみ行うばかりでなく、従来も行ってきましたが、発災型のシナリオのない訓練を緊張感を持って行うことが防災実践力を磨く上でとても大切であると思います。区長のお考えをお聞かせください。 質問の第2として、新宿区の高層マンションの防災マニュアルについてお伺いいたします。 平成23年9月、新宿区は中高層マンションの防災対策マニュアル「マンション防災はじめの一歩」を作成、配布しました。 内容は、ページをめくりながら進んでいくと、自然に自分の住むマンションのマニュアルができ上がるというすぐれもので危機管理課の熱意を感じました。東日本大震災の経験も取り入れたもので、区民からも好評で増刷されたとお聞きしています。 私は、平成22年第2回定例会で高層マンションの防災対策について質問いたしました。 その後、60メートルを超える超高層マンションに限っても西新宿を中心にさらに建設されています。平成18年超高層マンションは35棟でしたが、平成23年では41棟となっています。 現在までに自主防災組織を結成した高層マンションはどれくらいあるのでしょうか。マニュアルにも先進的な事例が紹介されていますが、各マンションの自主防災組織は震災訓練を行っているのでしょうか、区長にお伺いいたします。 質問の第3として、平成22年のときにも質問いたしましたが、高層マンションのエレベーター対策について改めてお伺いいたします。 マンションにとって「エレベーター」は単なる便利な輸送手段ではありません。大規模マンションは一戸建ての団地を縦に立ち上げたような構造と考えれば、エレベーターはまさに道路、公共空間として電気・水道・ガスといったライフラインの中核をなすものと同等です。階段はあるものの、それはあくまで非常用であって、日常には利用されないものです。 さらに高層マンションにおいては、たとえいわゆる「自助で」と言われる最初の3日間の対応も、特に高齢世帯ともなれば大変困難になってきます。 もし、このエレベーターに被害が出たり、中長期的に止まるようなことがあれば、被災マンションから現在の避難所運営計画では想定していない多数の避難者を出すことになります。 このような高層マンションのエレベーター対策について、民間、所有者に任せ切りでよいのか。まずはさきの質問でもお聞きしまたが、エレベーター管理会社の協力・連携は欠かせません。 第1点目は、エレベーター会社との協力・連携の強化です。大規模マンションでは自前で応急措置ができる責任者の養成が急務です。専門家の養成は困難にしても、マンション住民の中で専門的とまでは行かなくとも、災害時に対応できる知識と技術を持つ人材を養成することは大変重要なことです。 第2点目は、その後もふえ続けるエレベーターですが、都が提案した災害時「1ビル1台」の原則が守られるよう、エレベーター管理会社との合意が必要ですが、区内の状況はいかがでしょうか。区長にお伺いいたします。 第4の質問は、耐震化施策についてです。 新宿区は、木造・非木造住宅について耐震化助成事業を積極的に進めてきました。非木造、すなわちマンションの耐震化について、新宿区は、その第二次実行計画の中で昭和56年以前の耐震基準によって建築された建物の耐震化を進めるべく、木造も含め、平成27年度までに90%の目標を掲げ取り組んできました。 これまで一定の耐震化数を確保したものの、その後伸び悩んでいるように思いますが、これは簡易診断からさらに本格的耐震診断・工事に進む際に合意を得るのが難しいからであるのかとも思うのです。 大規模マンションは、その規模の大きさを活かしてさまざまな防災施設を整備することが可能です。一方、大規模マンションであればあるほど、その合意形成は難しくなります。 最近、国では合意形成について基準緩和の方向が検討されているようです。マンション住民による耐震化への合意形成について、区長のお考えをお伺いいたします。 ◎区長(中山弘子) 災害イマジネーションを高める訓練についての、まずお尋ねです。 区では、平成18年度から早稲田大学との連携による復興模擬訓練や平成19年度から工学院大学との連携による発災対応型訓練の中で、災害イマジネーションを高める図上訓練を実施しています。 御指摘のとおり、災害状況を具体的にイメージし、どうすれば自分や家族の命と財産を守れるかを考え、想像力を鍛えることはとても重要なことです。 目黒巻は、個々人の災害対応力を高めるものであり、講演会等で地域への啓発を図るとともに、そのような手法を参考にしながら、今後も災害対応力を高める訓練のあり方について検討してまいります。 次に、実践的な訓練についてのお尋ねです。 区では、阪神・淡路大震災や東日本大震災の教訓を踏まえ、平成23年度以降、地域住民主体による避難所運営管理訓練や自主防災訓練などを実施しています。地域によって差はありますが、シナリオのない、より実践的な訓練に取り組むところも少しずつふえてきています。 こうした実践的な訓練の取り組み事例を地域防災協議会を通じて各地域に紹介するとともに、より高度な訓練の実施を希望する地域に対し、直接情報提供を行うなど、充実した訓練の実施を支援してまいります。 一方で、実践的な訓練が余り行われていない地域に対しては、訓練実施に向けた働きかけを積極的に行い、地域防災力の向上に一層努めてまいります。 次に、高層マンションの防災マニュアルについてのお尋ねです。 区では、平成23年度からマンション防災に関する指導や助言、自主防災組織づくりなどの支援等を行うマンション防災アドバイザーを派遣しています。また、中高層マンションの防災対策マニュアル「マンション防災はじめの一歩」を配布し、中高層マンションにおける防災対策を支援しています。 現在、自主防災組織を結成した中高層マンションは23組織となっています。 また、平成24年度の各マンションが実施した自主防災訓練は11件で参加人数は1,335名に上ります。うち自主防災組織以外の訓練は6件で、自主防災組織を立ち上げる素地は十分にできていると考えています。 今後、マンション防災の先進的な事例を参考にしながら、管理組合等を中心とするマンションの自主防災組織づくりや周辺地域との連携強化に向けた取り組みなど、中高層マンションにおける防災対策を引き続き支援してまいります。 次に、高層マンションのエレベーター対策についてのお尋ねです。 震災時に停止したエレベーターの応急措置ができる責任者の養成と稼働復旧における「1ビル1台」の原則に関する管理会社との合意状況についてです。 大地震発生時には、エレベーターは緊急停止し、停止位置によってはエレベーター内への閉じ込め事故も発生します。閉じ込め事故の救出作業やエレベーターの稼働復旧には専門的な技術やノウハウを必要とします。 閉じ込め事故の救出作業を安全かつ確実に行うためには、一定の資格を持つマンション管理者等がエレベーター会社の行う「閉じ込め救出実機研修」を受ける必要があります。区では、閉じ込め事故の早期救出ができる管理者等をふやすため、毎年行うエレベーターの定期報告制度を活用し、研修の受講を周知・啓発してきました。今後は、定期報告制度の中で受講状況を把握し、未受講者に対しては受講の勧奨を行ってまいります。 また、停止したエレベーターの稼働復旧を行う保守要員の人数が限られていることから、稼働復旧を迅速かつ着実に実施していくためには、御指摘の「1ビル1台」復旧の原則を徹底することが大変重要であると認識しています。この原則については、区内も含め、東京都がエレベーター会社や管理会社が加盟する一般社団法人日本エレベーター協会関東支部と合意しており、さきの「東日本大震災」でもこの原則に基づきエレベーターの稼働復旧が行われました。 「1ビル1台」復旧の原則を徹底するため、定期報告制度やマンション管理セミナーなどさまざまな機会を捉え、マンション管理組合や住民に対し、周知・啓発を行ってまいります。 次に、耐震化施策についてのお尋ねです。 マンション住民による耐震化への合意形成についてです。 区では、非木造のマンションに対して、耐震診断や補強設計、耐震改修工事について助成制度を設けるなど、その耐震化に積極的に取り組んでいるところです。 耐震改修に合意が必要な分譲マンションでは、規模の大きさとともに居住者の高齢化や所有者みずからが居住していないことなど、関係者のさまざまな事情が合意形成を難しくしています。 本年11月25日に施行予定の「建築物の耐震改修の促進に関する法律」では、分譲マンションなど区分所有建築物で大規模な耐震改修を行う場合の決議要件が4分の3以上の賛成から2分の1以上の賛成に緩和されます。 耐震改修を円滑に進めていくためには、2分の1以上という決議要件にとどまることなく、より多くの方の賛成が重要となることから、現在区が行っている合意形成を支援するための「耐震アドバイザー派遣制度」の一層の周知を図り、非木造マンションの耐震改修を促進してまいります。 ○議長(おぐら利彦) 質問の途中ですけれども、ここで、議事進行の都合により休憩いたします。 △休憩 午後2時46分--------------------------------------- △再開 午後3時10分 ○議長(おぐら利彦) ただいまから、会議を再開します。 質問を続行します。 ◆24番(下村治生) 次に、ソーシャルビジネスの起業支援、育成について質問いたします。 質問を始める前に、「ソーシャル・ビジネス」の定義からお話しします。 一言で言えば、「社会問題の解決を目的として、収益事業に取り組む事業体のことである。こうした事業を創始した実業家などを社会起業家、もしくは企業家と呼ぶ」という定義がウィキペディアに紹介されています。 ソーシャルビジネスはさまざまな定義とさまざまなイメージを持っており、仕組みとして明確な定義を持っているものではありません。 いずれにしても今まで取り上げられてこなかった分野へ社会的意識を明確に持って、その活動に一定の理解を得られる場合、一般から少額投資を受け、資金調達をし、事業を展開していくビジネスモデルです。 近い将来、社会を大きく変えていく力になる仕組みであり、さまざまな分野に進出しています。 世界的な例で言えば、グラミン銀行、日本では病児保育のフローレンス、ホームレスの就労支援のビッグイシューなどがあります。 なぜ今ソーシャルビジネスが注目されるのでしょうか。先ほどのウィキペディアでその理由を見ると、第1に高齢者社会を迎え、膨大になる社会保障費の抑制・削減になると言われる点です。 社会保障費が大幅に削減されると、それまで公的な助成金・補助金に大きく依存して運営されてきたNPOは深刻な資金不足に陥ります。 第2の理由として、ボランティアや慈善事業と違い、ソーシャルビジネスは持続可能なビジネスモデルを持っているという点です。 第3の理由は、一般的な株式会社と違い、ソーシャルビジネスは利益ではなく「ミッションの達成度を最優先する」点です。 第4の理由として、従来型の福祉施策との違い、ソーシャルビジネスは細かい分野に進出できる点にあります。福祉政策は住民全体に対する公平性を確保するため、サービスの内容は最大公約数的なものとなりがちですが、細かいニーズへの対応がしづらいという弱点を持っています。 第5の理由として、社会変革の呼び水としてソーシャルビジネスはビジネスモデルとして普及していく可能性があります。 以上、ウィキペディアの引用ですが、将来を見据えて肥大化する社会保障関係を民間で担う必要が増すことを考えなければなりません。 国では、平成19年9月から経済産業省が地域経済の活性化のためにソーシャルビジネスの研究会を立ち上げ、当面の課題を検討してきました。平成21年2月には55の事業を取り上げ、広く紹介し、関心を高めました。 この55事業の内容を分野別に見ていくと、1、街づくり・観光分野で25事業、2、子育て支援・高齢者分野で18事業、3、環境・健康・就労支援分野で7事業、4、企業家育成、創業・経営の支援分野で5事業となっています。 形態別に見ると、NPOが多く、55組織中29、株式会社・有限会社が20、社会福祉法人が3、その他3となります。 平成22年からはソーシャルビジネス推進研究会で国や地域の活動を総括し、平成23年のソーシャルビジネス・ケースブックには新たな100事業が紹介され、そのすそ野の広がりを感じさせます。健康・医療分野、障害者雇用などの充実や担い手として上場企業などと連携するものなども紹介されています。 東日本大震災の発災を受け、震災復興に貢献するソーシャルビジネスを育てようと「ケースブック震災復興編」が平成24年1月に発表されました。被災地で活動する27事業を取り上げ紹介しています。 国は現在、東日本大震災にその具体的目的を移し、ソーシャルビジネスによる復興ビジネスのモデルをつくろうとしています。 これまで新宿区は、産業振興プランの中で若干触れられてはいますが、ソーシャルビジネスという言葉は余り使ってきませんでした。 しかし、同様の趣旨を主にNPOとの協働の取り組みという形でこれを進めてきたと思います。 第1に、平成25年4月のNPO協働推進センターの設置であり、第2に平成24年高田馬場創業支援センターの設置であり、第3に中央図書館でのビジネス支援、新宿区社会福祉協議会を通じてのさまざまな団体組織との連携です。 そこで、区長にお伺いいたします。 質問の第1は、ソーシャルビジネスの意義と将来性について、区長はどのような認識をお持ちでしょうか、お伺いします。 質問の第2は、現在始まったばかりの新宿区のNPO協働推進センターですが、そのNPO登録数と運営はソーシャルビジネスの可能性を広げるという観点で十分なものとなっているのでしょうか。 これまでのNPO支援を中心とする区の施策について、ソーシャルビジネスの起業支援・育成支援という観点から、どのような評価をされているのでしょうか、お伺いいたします。 平成24年10月に発行された「協働事業提案制度の見直しについて」の報告書で紹介されているアンケートの中で、「今後の人口減少、超高齢社会や財政的な課題を考えた場合、ソーシャルビジネス支援に移行したほうがいいのではないか。ビジネスモデル創出につなげ、地域経済の活性化、雇用の創出、地域社会の活性化をもたらすと考えられる」との意見もあります。 私もNPOに限定していては、最適な支援対象が見出せないのではないかと思います。NPOの範囲を拡大して、ソーシャルビジネスとしてもっと範囲を広げる方向を考えてみてはいかがでしょうか。 質問の第3は、ソーシャルビジネスについて、1、新たな創業を支援する、2、現在あるNPOや企業等の育成を行う、この2つの面から取り組む必要があると思われます。 その観点から、社会福祉協議会や区立高田馬場創業支援センター、中央図書館ばかりでなく、さらには東京商工会議所新宿支部などとも連携を図り、新宿区から「世界に発信するソーシャルビジネスを育成する」という目標を持って取り組んでいくことが重要であると思われます。 区長のお考えをお聞きします。 ◎区長(中山弘子) ソーシャルビジネスの起業支援と育成についてのお尋ねです。 初めに、ソーシャルビジネスの意義と将来性に関する認識についてのお尋ねです。 少子高齢・人口減少社会の到来や地球環境の保全等の社会的課題を背景として、地域課題や区民ニーズはますます複雑化・多様化してきています。こうした状況のもとでは、区民・NPO・企業等の多様な主体がそれぞれの得意分野を活かし、地域活動やNPO活動、企業活動等さまざまな形態や手段を持って課題の解決にともに取り組んでいくことが大切であると考えています。 御指摘のソーシャルビジネスは、高齢者福祉、子育て支援、環境保全等さまざまな分野で継続的にサービスを展開し、新たな雇用の創出につながる可能性を持つ取り組みであると認識しています。 また、ソーシャルビジネスを行う社会的企業がさまざまな分野に進出し、サービスを展開していくことは、地域の活性化にもつながるものであり、その将来性に期待しています。 次に、ソーシャルビジネスの起業・育成支援に向けた新宿NPO協働推進センターの運営を初めとする区の施策に対する評価と支援対象の範囲についてのお尋ねです。 ことし4月に開設した新宿NPO協働推進センターの登録団体数は8月末現在で84団体となっています。登録団体の中には、障害者の雇用促進や高齢者の居場所づくり事業など、御紹介いただいたソーシャルビジネスモデルに近い活動形態を持つNPOもあり、拠点として利用されています。また、同センターでは、区民、企業、NPO等の交流会も開催し、意見交換から新たな事業モデルが生み出されるよう、その下地づくりに取り組んできているほか、「コミュニティビジネス講座」と題し、社会的企業を志す方に向けた講座も10月より展開していく予定です。 NPO支援施策の中で、ソーシャルビジネスへの支援については取り組み始めたばかりですが、区内のNPO法人で組織する新宿NPOネットワーク協議会や企業CSRの協議会とも意見交換を重ねながら、ソーシャルビジネス支援の観点からのNPO等への情報提供・支援を引き続き実施していくべきと評価しています。 また、新宿NPO協働推進センターではCSR活動を行う企業も登録可能としています。今後は、NPOだけでなく、ソーシャルビジネスを行う社会的企業も参加するネットワークづくりの拠点を目指し、その取り組みを強化してまいります。 次に、支援の対象範囲についてですが、協働事業提案制度では、非営利活動団体であれば、NPO法人に限らず事業提案を可能としているところです。さらに株式会社等の営利企業の協力を得て実施する事業の提案も可能な仕組みとしています。 こうしたさまざまな取り組みを通して、ソーシャルビジネスがさらに促進され、地域課題の解決に向けた取り組みが推進されるよう支援してまいります。 次に、ソーシャルビジネスの創業支援と既存NPOや企業等に対する育成に関するお尋ねです。 ソーシャルビジネスに限らず、NPOや企業等の創業支援及び育成には、さまざまな分野での支援が必要であると考えています。そのためには、御指摘のように関係団体が連携し、その団体の持つ特性を活かした効果的支援を行っていくことが重要であると考えています。 区としても今後、区立施設を初め、東京商工会議所新宿支部や区内金融機関等、創業支援にかかわる関係団体との連携強化を図り、ソーシャルビジネスを初め、世界に発信するNPOや企業等の育成に努めてまいります。 ◆24番(下村治生) 次に、障害者のグループホーム整備促進と視覚障害者グループホームについてお伺いします。 これまで新宿区は、地域の中で障害者が健常者とともに暮らすことの重要性を深く認識し、さまざまな施策を行ってきました。 平成18年4月に障害者自立支援法が施行され、障害福祉計画の策定が地方自治体に義務づけられ、平成19年9月には第1期新宿区障害福祉計画が策定されました。その後、平成21年3月には、9年間の計画期間を持つ新宿区障害者計画と第2期新宿区障害福祉計画を策定しました。 グループホームの整備計画では、平成25年の「障害者福祉の手引き」と6年前の平成19年の「障害者福祉の手引き」を比べると、現在の進捗状況がよくわかります。 平成19年には、知的障害者グループホームは3カ所、合計16名定員でしたが、1カ所の閉鎖がありましたが、次々と整備され、本年6月の1カ所の整備により、計7カ所、定員も合計43名と2倍以上になりました。 精神障害は2カ所で合計11名でしたが、現在では福祉ホームを含め、計7カ所、合計52名と定員は4倍以上です。 重度心身障害者では、2カ所で合計20名は変わっていません。全体では、この6年間、着実にその施設を区内に広げ、定員をふやしてきました。 国の制度改革、区としての財政的制約の中で、障害者団体の粘り強い要望に話し合いを重ねながら、新宿区は地道に応えてきたと思います。この点を私は高く評価したいと思います。 グループホームの運営主体の数もふえ、区とともに多様な団体が障害者の地域生活を支える体制が整ってきています。 質問の第1として、新宿区のグループホーム全体の整備計画について伺います。 今後のグループホーム建設については、第二次実行計画にあるように、平成24年度から平成27年度までの4年間の間に知的障害者の4カ所の整備となっています。 現在の厳しい財政状況の中では、次の実行計画まで見直しは緊急性のあるものに限定されると思いますが、現在、どのような状況なのでしょうか、区長にお伺いいたします。 先日、全国盲老人福祉施設連絡協議会の盲老人ホームの紹介ビデオをユーチューブで見ました。さまざまな設備には「何のスイッチなのか」などの音声ガイダンスがつけられていました。特殊な設備への対応や介助には介助者が必要となる場合もあります。 主な老人ホームには、1、特別養護老人ホーム、介護1以上で生活支援と介護サービス、2、有料老人ホーム、住宅型、健康型、介護つきなど生活支援を選択、3、軽費老人ホーム、ケアハウス、収入に合わせた費用で生活支援が受けられる、この3つのタイプの老人ホームがあります。 特別養護老人ホーム、有料老人ホーム等の高齢者の施設では、高齢者の視覚障害者を受け入れる民間施設がないわけではありません。しかし、視覚障害者を受け入れるとする施設であっても、全盲の方が一般の晴眼者とともに生活するには条件的にさまざま厳しいものがあります。 視覚障害者の方にグループホームでの生活がどんなものになるかを語っていただきましたが、それによると、「例えば、1つの部屋に3人が同居して、そのような部屋が3部屋まとまれば、10人で生活することができる。ヘルパーの派遣により視覚障害者の生活上困難なところをお願いし、自力でできるところは皆で分担し合い生活することを基本にする」というものでした。さらに続けると、「自助・互助・援助の3原則のもと、基本は在宅介護を利用したい。介護保険では視覚障害者は介護認定で低くなることが多い。入居者同士が話し合い、互助の精神をうまく活用していきたい」と語ってくださいました。 質問の第2として、視覚障害者のグループホームの整備について、区長のお考えをお伺いいたします。 昨年の平成24年度から始まった障害者福祉計画は、その前に行われた障害者生活実態調査に基づいて策定され、パブリックコメントを経て策定されました。 この中で視覚障害者からの要望は、以下のようでした。 1、視覚障害者特有の二次的障害として、情報障害、行動障害で孤立生活をしている視覚障害者をサポートできる共同住宅創設をお願いいたします。例えば、区住宅内に視覚障害者グループホームの併用増設を考慮するようお願いいたします。 2、高齢の視力障害者の住宅問題が深刻になっています。既存の身体障害者福祉ホームで共存できる人はごく少数なので、視力障害者向けのグループホームやケアつき住宅について早急に検討すべきことを盛り込んでください。 これらに対する区の回答を見ますと、次のようです。 「御意見の趣旨に沿って取り組みます。現在、新宿区内の身体障害者福祉ホームは2カ所のみで、既に定員に達しています。身体障害者向けの住まいの場の充実については、今後必要な支援を検討していきます」となっています。ぜひ回答にあるように「取り組み」を始めていただきたいと思います。区長のお考えをお伺いいたします。 質問の第3として、視覚障害者の住まいの場の充実要望にどう応えていくかについてお伺いいたします。 住まいの充実に関しては、第1に家賃補助という考えもあると思いますが、私は現金給付に反対です。なぜなら、視覚障害者のニーズに合ったものが既存の一般民間住宅ではないからです。そこで、ニーズに合った住宅をどのように提供するかを考えなければなりません。 まず、初めに公設公営か、民設民営かということになります。公設でも民設でも、何よりもまず事業用地の確保が難しいのではないでしょうか。また、新規施設をつくることにも困難があると思います。 最近、東京都が子育て支援で新システムと称して取り組んでいるように、既存物件を考えてもよいのではないかと思います。考え方を広げて、既存の集合住宅の一部を借り上げて施設を確保することはどうなのでしょうか。 例えば、視覚障害者の方々が協力し合って生活する民間のシェアハウスの考え方を導入することも効果的と思いますが、いかがでしょうか。 バリアフリー改造工事に多額の費用がかかるのでは意味がないと思いますが、一方で小規模ではあるが、比較的に短時間で施設を実現できる可能性があります。区長のお考えをお伺いいたします。 ◎区長(中山弘子) 障害者のグループホーム整備促進についてのお尋ねです。 新宿区内の知的障害者のグループホーム等の整備計画については、第二次実行計画における目標の7所は整備することができました。そのほか、精神障害者を対象としたグループホーム等開設の支援や重度心身障害者を対象とした福祉ホームへの運営助成も行っています。 このように、障害者の方々が住みなれた地域の中で安心して生活し続けることができるよう支援するため、さまざまな制度を活用し、グループホーム等の住まいの充実に努めてまいりました。 今後も社会福祉法人のみならず、NPO法人等の多様な運営主体が障害者のグループホーム等の設置の提案をされた場合は、東京都の支援制度に合わせた支援について検討します。 また、持続可能な運営に向けても、細やかに相談に応じ助言指導することにより、質の高いサービスが提供されるよう、ともに努めてまいります。 視覚障害者向けのグループホーム等の整備についても、設置の提案や運営の支援等、同様に行ってまいります。 御高齢になられた視覚障害者の方々の住まいについては、障害者施策と高齢者施策の制度の狭間にあり、御要望にあるような受けたい支援がなかなか受けられない現状は認識しています。 それぞれの施策を工夫し、少しでも御希望に沿った支援を考えてまいります。 次に、視覚障害者の住まいの場の充実要望にどう応えていくかについての御質問です。 視覚障害者の住まいについては、エレベーター設置等の肢体不自由者用のバリアフリーではなく、触ってわかるような工夫など、視覚障害者の障害特性に配慮した住宅の整備が必要と認識しています。 社会福祉法人等が一定のバリアフリー設備が整った一戸建てや集合住宅等の賃貸物件を借り上げて、視覚障害者へ配慮した住宅等を整備する場合、改修工事に対しても東京都の支援制度がありますので、区も合わせた支援を検討してまいります。 ◆24番(下村治生) 新宿区の自転車対策、今回改定された新宿区自転車総合計画とレンタル自転車事業について質問いたします。 自転車は、本当に便利な乗り物です。冒頭から私的な話で恐縮ですが、区議会議員になってから、私はすっかり自転車利用者となり、区内を自転車で走っています。時間にゆとりのあるときはよいのですが、急ぐときは決してマナーのよいときばかりではありません。これを機会に大いに反省をしなければと思っています。 さて、自転車は区民や事業者の交通手段として大きな役割を担っています。 鉄道、地下鉄、自動車、二輪車、自転車など、さまざまな交通手段の中で自転車の役割はますます大きくなっています。 最近、宅配便の「ほぼ人力」と横書きされたリヤカーつき自転車を見かけることが多くなりました。環境に優しいという点が重視された結果と考えますが、一方で、自動車の維持運営コストや最近の駐車違反対策の強化で全体コストを見た場合、自転車による宅配の経済性が自動車による宅配の経済性よりまさることをこの宅配業者の成長ぶりは示しているのではないでしょうか。 さらに、東日本大震災以降、通勤・通学に対する考え方が変わったと思います。自転車を利用して仕事に、勉学に通う人たちがふえています。これまでの環境への関心も去ることながら、いざというときの自宅への足として自転車を見直していると考えられます。 さて、新宿区では、平成20年度から平成29年度までの「自転車などの利用と駐輪対策に関する総合計画」を平成20年1月に策定しました。このたび中間年度として、5年ぶりにこれを改定し、本年6月に公表しました。表題にもあるように、自転車の適正利用の推進と駐輪対策、放置自転車の取り締まり、駐輪場の整備促進を柱にしています。 そこで、まず第1の質問として、新宿区の自転車等総合計画改定版について、次の5点について質問をさせていただきます。 第1点目は、本計画の平成29年度末に目標としている鉄道駅別駐輪場整備目標量について達成できる見込みでしょうか、区長にお伺いいたします。 第2点目は、今回の改定の中で最初に取り上げられている「ルールの徹底」はまさに重要であり、自転車を適正に利用することを小さいころから教育の場で指導することは大切です。 一方、新宿区の特性として学生や外国籍住民など数年で転居してしまう自転車を利用する率の高い若年層がいることを考慮した対策をとるべきと思いますが、いかがでしょうか。路上での指導が最も効果的と考えますが、現在どんな対策がとられているのでしょうか。 第3点目は、「一時利用を拡大する」との方針を打ち出されました。そこで、どのような自転車の利用があり、どのような公共空間で、どのようにそれを利用させるのか、区がこれを計画していかなければなりません。 これは、平成24年の区政モニターのアンケート調査にもあるように、買い物が主たる目的である区民にとって、まさに利用ニーズに合った駐輪場のあり方と言えます。 このようなニーズを捉え、柔軟に限られた駐輪施設を活用していくことは大変重要であると考えます。今後も常に区民ニーズを捉えながら、駐輪場を運営していただきたいと思いますが、区長のお考えをお聞かせください。 第4点目は、自転車等駐輪場の整備に民間事業者を活用することについてです。 今回の改定の中で、自転車等駐輪場の整備と運営について、一括して「民間事業者」に委託するとのことですが、これは大いに評価できると私は思います。場所の選定は区が主体的に行うとしても、設置から運営まで民間事業者に委託することは大いに歓迎すべきと思います。このことは、自動二輪車の場合も同様です。この試みの第1号が間もなく始まるとのことですが、区長は現在民間事業者活用について、どのような感想をお持ちでしょうか。 第5点目は、放置禁止区域外の放置自転車についてですが、放置禁止区域内の放置自転車の撤去は即日、そうでない場合は1週間から10日間程度とお聞きしていますが、町会単位や商店会単位で区から提供された白いシールを張っても、なかなか撤去されません。もっとスピード感を持って取り締まりをしてほしいという意見が寄せられています。この件については、今回の改定の骨子を答申した昨年開催された駐輪対策協議会の中でも、委員と区関係者の意見交換が行われています。 放置自転車を取り締まるには、さまざまな手法が考えられ、その組み合わせによって効果がある取り締まりができるものと思います。この点について、改善の余地はないのでしょうか、区長にお伺いいたします。 次に、第2の質問に移ります。 この7月、東京都「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」が施行されました。 条例の内容としては、東京都はもちろん、自転車利用者、事業者の役割、責務について適正利用の観点から法的整備を行ったもので、まさに新宿区の総合計画と密接に関係する条例です。 これに基づき、他区との調整などを行っていくわけですが、まずは今回の新宿区の総合計画改定版との整合性ですが、特に問題はないと考えますが、どのようにとられているのでしょうか。 また、お膝元の自治体として、どのように東京都と連携をとられているのでしょうか。できれば、具体的に一、二点例を挙げていただき御説明をいただきたいと思います。 最後に、この総合計画には触れられていませんが、レンタルサイクル、コミュニティサイクルについて質問いたします。 レンタルサイクルは、古くは1970年代から運用が行われているところもあるようですが、当初計画のパブリックコメントを見ると、「レンタルサイクル」の質問に対して「特に考えていない」という回答になっています。 私が調べた限り、民間事業者も含め、16区が何らかのレンタル事業が行われていますが、練馬区、世田谷区、台東区、文京区、江戸川区の5区では区が主導でそれなりの規模で行っています。 練馬区では、区が1980年にスタートをさせ、運営をしています。通勤のための定期利用が多いそうです。一方、管理費がかさむことが事業の発展をとどまらせているようです。 世田谷区は、1994年からレンタルサイクルを区の事業としてスタート、最も成功した例としてよく取り上げられています。成功の理由は、南北の交通手段が弱く、バスの運行も難しい地域がある等、南北の交通手段としてのニーズに合わせたこと、ポートを区内6カ所に設置し、利便性を高めたことにより、利用率が高いようです。 一方、メンテナンス、ポートの確保など、コストや運営上難しいことも練馬区と同様あるようです。 台東区では、観光目的で浅草や観光スポットを中心にレンタルサイクルを積極的に広報しております。 豊島区は、2000年に導入したものの、多様な利用者の絞り込みが難しく、残念ながら2008年に休止しました。 いずれの区でも黒字化してビジネスモデルとして成功しているわけではないと言えます。 そのような中、港区においては環境省が昨年10月から本年1月までJTBに委託して社会実験を行いました。登録会員は基本料金を払えば、30分までは無料、30分ごとに100円の料金で自転車を利用できるというもので、新しい取り組みとして注目すべき事業であると思います。 こうした他区の取り組みや社会実験を踏まえ、区はレンタルサイクルについてどのようにお考えでしょうか。区長にお伺いいたします。 ◎区長(中山弘子) 新宿区自転車総合計画とレンタル自転車事業についてのお尋ねです。 初めに、平成29年度末の鉄道駅別駐輪場整備目標量の達成見込みについてです。 「新宿区自転車等の利用と駐輪対策に関する総合計画」は、平成20年度から平成29年度までの10年間を計画期間として策定したものですが、達成状況や社会情勢の変化等を踏まえ、本年6月に改定いたしました。 自転車等利用者のルール・マナーの向上や一時利用駐輪施設の整備促進などの8項目を重点項目とし、今後積極的に取り組んでいくこととしました。 しかし、平成29年度までに自転車放置のある全駅に合計1万197台の自転車駐輪場等を整備するという整備目標量については、現在目標達成に向けて計画的に取り組んでいることから、変更しませんでした。 目標の達成見込みですが、本年4月現在、28駅で合計7,667台と着実に整備を進めてまいりました。今後も計画的に整備を行い、平成29年度までには目標の駐輪台数を確保してまいります。 次に、ルールの徹底についてです。 自転車を適正に利用するためにはルールの徹底は非常に重要であり、現在区では小学生を対象に視聴覚資料を使った自転車の交通ルール・マナーの学習や自分の自転車を使った模擬コース走行などの子ども交通安全教室を実施しています。また、中学生を対象とした交通安全教室では、スタントマンにより、ルール・マナーを守らないことによる交通事故を再現するスケアードストレートなども取り入れています。 一方、学生や外国籍住民など、数年で転居する若年層に対する普及啓発も重要です。そのため、区では警察の指導・取り締まりにあわせて啓発活動を行うとともに、駅周辺に配置した自転車整理指導員による声かけなど、日常的な指導、啓発を行ってきました。 今後は、区内の大学や専門学校などに対しても、交通ルール・マナーの周知・啓発を行ってまいります。 次に、自転車等駐輪場の一時利用の拡大についてです。 自転車利用の形態は多様であり、買い物などによる短時間の駐輪場利用のニーズに対応した一時利用駐輪施設の設置は重要であると考えております。 このため、区では、これまで区内33カ所に合計867台分の一時利用駐輪施設を整備してきました。今年度も高田馬場駅第一駐輪場の新設に合わせて約200台の一時利用駐輪施設をふやすことにしています。 今後も新たな駐輪場を整備する際には、可能な限り一時利用駐輪施設を設置するとともに、既存の駐輪場を改修する際にも、駐輪場ごとのニーズや利用状況に合わせて一時利用駐輪施設を拡充してまいります。 次に、自転車等駐輪場の整備に民間事業者を活用することについてです。 これまで、自転車等駐輪場は、区みずからが設置運営を行ってきましたが、駐輪場の整備費や維持管理費が年々増加していることが課題となっていました。 現在、導入を進めている民間事業者を活用した駐輪場は、整備から維持管理の一切を民間事業者が行うため、区は場所を提供するだけで経費を負担することなく自転車等駐輪場を整備することができます。また、民間事業者のノウハウを活用することにより、より柔軟な運用が可能となることから、区民サービスの向上にもつながり、大変有効な手段だと考えています。 現在、区では、この手法により、西新宿駅、若松河田駅、新宿三丁目地区で駐輪場の整備を進めており、10月初めに開設する予定です。 今後、これらの運営状況を検証の上、民間事業者を活用した自転車等駐輪場を整備してまいります。 次に、放置禁止区域外の放置自転車対策についてです。 「新宿区自転車等の適正利用の推進及び自転車等駐輪場の整備に関する条例」では、放置禁止区域内の放置自転車については、即時撤去できることとなっていますが、それ以外の放置自転車については、警告後相当期間継続して放置されている場合のみ撤去できることになっています。この相当期間は、条例施行規則により7日としています。 一方、住宅街等で自転車が長期間置かれていることによって、通行の妨げとなったり、まちの美観を損ねていることも事実です。今後、放置禁止区域外に放置された自転車の撤去期間の短縮について検討してまいります。 次に、「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」と新宿区の自転車総合計画との整合性に特に問題はないかについてです。 本年7月に施行された東京都の条例では、自転車利用者等が自転車損害賠償保険へ加入する努力義務などの新しい施策も盛り込まれていますが、全体としては、これまで新宿区を初め、各自治体の施策を包括したものとなっています。このようなことから、都の条例と区の自転車総合計画とは整合性がとれていると考えております。 次に、どのように東京都と連携をとっているかについてですが、東京都とはこれまでも駅前放置自転車クリーンキャンペーンの実施や総合計画策定のための協議会への参加、駐輪施設の用地の提供などで連携をしてまいりました。 このたびの都の条例制定を契機として、今後さらに東京都との協力関係を深め、自転車の適正利用の推進に努めてまいります。 次に、他区の取り組みや社会実験を踏まえた区のレンタルサイクルの考え方についてです。 練馬区や世田谷区などの5区が地域の交通手段や観光産業の活性化を主な目的として、レンタルサイクル事業を行っていることは認識しています。 5区を含む地方自治体が取り組んでいるレンタルサイクルは、これからの自転車利用方法の一つであると思いますが、一方で御指摘のとおり、自治体がみずから行うのは難しい事業であると考えています。 また、環境省がレンタルサイクルの社会実験を民間事業者に委託したことは、民間事業者のノウハウを活かせることになり、自転車利用者の利便性が向上することが期待されます。 新宿区は、他の自治体に比べ、鉄道やバス路線が整備されていることや駅周辺にサイクルポートの用地を確保することが難しいことから、区が主体になったレンタルサイクル事業の実施は現在考えていませんが、国などが民間事業者と連携し、レンタルサイクルに関する社会実験などを行う際には協力をしてまいります。 ◆24番(下村治生) 最近一般にもよく聞くことが多くなった言葉に「ビッグデータ」があります。総務省の平成24年度版情報通信白書における定義例では、「事業に役立つ知見を導出するためのデータ」としています。 先ごろ、JR東日本のICカード乗車券(スイカ)の利用データが外部に提供されていたことでいろいろと議論を呼んだところでもあります。 民間においてはデータは資産であり、企業活動の最大の武器として、その活用には日夜しのぎを削っており、さまざまな業務への活用を図っています。 ビッグデータがもたらす3つの価値として、「1、見えなかったものが見えてくる、2、新しい視点で価値を創造できる、3、今から未来を予測できる」があるとされています。 新宿区では、過日の6月6日、経済産業省主催の「オープンデータ時代の自治体IT戦略について」というセミナーに参加されています。 今、時代はハード、ソフトを問わず、新たなものをつくることも必要なのかもしれませんが、まずは既にある資産を十二分に活用することが求められているものと思います。行政においても、特にソフト面での行政データは蓄積していくだけではなく、よりよい資産として従来にはなかった視点で活用することにより、新たな価値を生み出し、区民生活をより豊かにすることもできるのではないかと思われます。 すなわち、このセミナーのテーマ「パラダイムシフト」であり、新しいパラダイムは「行政はセキュリティ等に配慮した上で、できる限り情報を再利用可能な形で提供し、市民や企業と協働して行政サービスの充実を図る。また、外部サービス創出に寄与する」であります。 区が蓄積している価値あるデータや資料を個人情報の点などに配慮しながら、外部へのオープン利用を進めることにより、区民サービスの向上が期待できます。既に区でも統計関係情報にあっては、二次利用や再利用できるようエクセルでの提供を始めておられます。 そこで、第1の質問として、外部提供しているデータについては、極力再利用可能な方法での外部提供に心がけられるとともに、現在提供していないデータにあっても、できるところから提供を検討していただければと思いますが、いかがでしょうか。 新宿区の現状をあらわす各種データを区民みずからが加工できるようにオープンデータ化することによって、区民みずからがいろいろと推計などして自分たちの住みよいまち新宿を考えることにもつながっていくものと考えます。 先ごろ、総務省は平成26年度から地方自治体が持つ観光名所や施設、災害時の避難場所などの情報を民間企業に開放するとしています。また、逆に自治体の中には自動車メーカーとの提携によるカーナビの走行履歴の情報に基づいて、道路整備や道路の安全対策を進めている例もあり、インフラ施設などの耐久性など、さまざまな分野にも活用が始まっています。 このような観点での事柄として、さきに報告書が出されました教育委員会の「学校給食等アレルギー対策指針について」と「地域スポーツ・文化事業事故対策会議報告書について」に関連して質問いたします。 この2件は、類似の事故も含め、教育委員会では幅広く捉えた対策をとられ、安心しました。今後に向けて、しっかりと対応していただくことをお願いいたします。 第2の質問として、ここでは関連で、全般的な事件・事故対策の進め方について教育委員会に伺います。 個別の対策は当然として、学校における事件・事故対策全般のマニュアルなどは策定されているのでありましょうか。また、その策定作業はどのように進められているのでありましょうか。そして、そのマニュアルとこのたびの対策はどのように統合などされるのでありましょうか。個別と全体の関係についてお答えください。 さきの「カーナビ走行履歴」の事例のように、関連の各種の情報を集めてビッグデータとして分析し、事故・事例にとどまるのではなく、事故防止のための予防対策の冊子がつくられていくというような作業が必要ではないかと思っております。いかがでしょうか。 それも区が保有するデータの範囲だけではなく外部データなども取り込んで、現在では多くの行政施策の現場で「対策から、予防へ」と重心を移していくことが求められています。 次に、ビッグデータとも言うべき国民健康保険の診療報酬明細書(レセプト)データの活用について伺います。 これまで新宿区では、レセプトデータを保険請求点数の算定誤りなどのチェックを主な目的として利用してきましたが、このことによる診療報酬の適正化の効果には多大なものがあります。このことなども含め、ここ数年の区の努力によって収入率は向上してはいるものの、それを上回る勢いの医療費支出の増大があり、支出を補う繰入金が毎年増大しているのが現状であります。 本年の予算特別委員会の総括質疑の中で、「ジェネリック医薬品の利用促進」についての我が会派の質問に対する御答弁は、「ジェネリック医薬品の希望カードを配布しているという状況で、取り組みも緒についたばかり」というような内容であったかと思います。 第3の質問として、現在のところでの、その効果と今後に向けた改善策等について伺います。 ジェネリック医薬品に係る「差額通知」事業を取り入れている呉市では、「ジェネリック医薬品使用促進通知サービス」の通知を受けた被保険者の約8割の方が、その後にジェネリックに切りかえていて、その効果は平成23年度の12カ月間見込みで1億2,397万8,000円としています。確かに、このようなシステムの導入にあっては、地域の医療関係機関等との調整か必要であることだとは思いますが、このあたりのことについて、既に「保険医療機関及び保険医療養担当規則第20条及び第21条」でジェネリック医薬品の使用促進に向けた努力義務を課す旨の規定改正も行われているところであります。導入が待たれるところではあります。いかがでしょうか、区長にお伺いいたします。 あわせて、これも呉市にその例を見るところでありますが、レセプトデータを活用して、医療と介護の専門家の協力のもとに、糖尿病などの生活習慣病患者のケースで、放っておけば人工透析に追い込まれる可能性もある人などにメンタル面も含めた生活改善の指導を行い、人工透析を急減させた成功例があるとも報じられております。 このことは、中長期的に医療費の大幅な削減につながるところから、今後はレセプトデータを予防医療面からも積極的な活用に取り組んでいただければと考えます。区長の御所見をお伺いします。 ◎区長(中山弘子) 行政データの利活用並びに外部提供についてのお尋ねです。 まず、二次利用できる形式でのデータ提供についてです。 御指摘のとおり、区でも各種統計情報の提供について一部外部提供を始めていますが、今後も引き続き個人情報保護等に配慮しながら、データの二次利用や再利用に留意した形式での情報提供に努めてまいります。 また、政府では「電子政府オープンデータ戦略」を平成24年7月に決定後、経済産業省を中心にデータの二次利用を促進するためのガイドラインの整備を進めています。 一部の自治体では、オープンデータの取り組みによる外部提供に着手しており、このデータを二次利用したホームページをNPO等が公開し、住民が納めた税金の使い道を自分で検索できるサービスを提供している事例もあります。 区においても、オープンデータ等に関する技術動向や利用範囲等の諸条件についての検証を進め、企業や区民と行政とが協働して情報に新しい価値を生み出し、豊かな区民生活の創造につなげるべく検討を続けてまいります。 次に、国民健康保険の診療報酬明細書、いわゆるレセプトデータの活用についてのお尋ねです。 まず、ジェネリック医薬品の利用促進への取り組みについてですが、御指摘のとおり、ジェネリック医薬品の利用促進については、医療費適正化の面から重要な課題であると認識しています。 区では、これまでにジェネリック医薬品希望カードを医療保険年金課や特別出張所の窓口で配布するなど、周知に努めてきました。 また、今年度から区ホームページでの周知や国民健康保険の全加入世帯へ配布している小冊子の「くらしと国保」にもジェネリック医薬品希望カードを追加するなど、さらなる利用促進に取り組んでいます。 このような取り組みによる効果についてですが、まだ具体的な数値ではかれるところまでは至っていないのが現状です。 そのような状況の中、御提案の「差額通知」については、ジェネリック医薬品の使用により、どのくらい負担が減るか、個別具体的にお知らせするもので、効果的な事業であると考えますので、今後導入に向けて積極的に検討を進めてまいります。 次に、レセプトデータの予防医療への活用についてのお尋ねです。 生活習慣病の中でも糖尿病は放置すると症状が進行して腎不全や失明などの重篤な合併症を引き起こす病気であり、人工透析など高額な医療費が必要となります。区は、糖尿病の早期発見・治療に加え、重症化予防対策についても重要と認識し、健康づくり行動計画に位置づけています。 これまで、主に糖尿病予備軍に対して生活習慣の改善を目的に特定保健指導を実施しており、特に今年度からは、民間委託により食事指導や運動指導を強化する取り組みなどを開始しています。 今後は、糖尿病治療中であっても血糖コントロールが不良の方を対象に、かかりつけ医と連携しつつ、実効性のある保健指導が提供できる仕組みが必要と考えます。国民健康保険レセプトデータの活用も視野に入れながら、医師会等関係者と検討を進めてまいります。 ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えいたします。 学校における事件・事故対策全般のマニュアルについてのお尋ねです。 教育委員会では、過去に策定した震災時の対応マニュアルと不審者対応マニュアルの改正を行うとともに、風水害、火災、施設事故への対応を加えた総合的なマニュアルとして、平成23年4月に「新宿区立学校危機管理マニュアル」を策定いたしました。 その年の9月には、発行直前に発生しました東日本大震災における対応への検証を踏まえた改訂を行っています。 策定に当たっては、学校長、副校長の代表のほか、生活指導担当教諭の代表を加えた検討委員会を設置し、学校現場の意見を踏まえながら検討を重ねました。 また、今年度発生した地域スポーツ・文化事業における事故に対しては、今後取り組むべき対策としてまとめた内容は、学校危機管理マニュアルを改訂して反映してまいります。 なお、アレルギー対策は、当該児童・生徒の保護者や給食調理業務委託業者との連携、周知が必要なため、個別のマニュアルとして定めております。 次に、事故防止のための予防対策についてのお尋ねです。 「対策から、予防へ」と重心を移していくことは、教育委員会としても重要な視点であることと捉えております。学校危機管理マニュアルでは、事故発生後の対策のみでなく、施設・設備の安全管理のためのチェックリストを定めるなど、事故の予防対策についても定めているところです。 予防対策は、常に見直しや改善が必要であると考えており、その際には区以外の資料における事例、データの取り扱い方や構成等についても参考にしてまいります。 ◆24番(下村治生) ただいまは区長並びに教育委員会から御丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。 質問の中で幾つかの項目で御提案をさせていただきましたけれども、引き続き積極的に御検討いただければというふうに思っております。 また、中山区長は、日ごろ健全な財政こそ区民への最高のサービスであるというふうにおっしゃっていらっしゃいますけれども、ぜひ区財政等についても今後とも引き続きそういった意味で注力をしていっていただければと思います。 この後設置されます決算特別委員会等でも、この区財政などについては、いろいろと質疑をさせていただくことになるかと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。 以上で質問を終了します。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(おぐら利彦) 本日の代表質問は終了しました。--------------------------------------- ○議長(おぐら利彦) 以上で本日の日程は終わりました。 次の会議は9月20日午前10時に開きます。ここに御出席の皆様には改めて通知しませんので、御了承願います。 本日はこれで散会します。 △散会 午後6時05分                  議長    おぐら利彦                  議員    なす雅之                  議員    田中のりひで...