港区議会 2023-09-11
令和5年第3回定例会−09月11日-12号
令和5年第3回定例会−09月11日-12号令和5年第3回定例会
令和五年 港区
議会議事速記録 第十二号(第三回定例会)
令和五年九月十一日 (月曜日)午後一時開会
一 出席議員(三十四名)
一 番 とよ島くにひろ 君 二 番 新 藤 加 菜 君
三 番 森 けいじろう 君 四 番 さいき 陽 平 君
五 番 琴 尾 みさと 君 六 番 野 本 たつや 君
七 番 三 田 あきら 君 八 番 ませ のりよし 君
九 番 白 石 さと美 君 十 番 山野井 つよし 君
十 一番 兵 藤 ゆうこ 君 十 二番 石 渡 ゆきこ 君
十 三番 なかね 大 君 十 四番 小 倉 りえこ 君
十 五番 やなざわ 亜紀 君 十 六番 鈴 木 たかや 君
十 七番 福 島 宏 子 君 十 八番 根 本 ゆ う 君
十 九番 清 家 あ い 君 二 十番 玉 木 まこと 君
二十一番 榎 本 あゆみ 君 二十二番 丸山 たかのり 君
二十三番 土 屋 準 君 二十四番 ゆうき くみこ 君
二十五番 二 島 豊 司 君 二十六番 風 見 利 男 君
二十七番 榎 本 茂 君 二十八番 阿 部 浩 子 君
二十九番 なかまえ 由紀 君 三 十番 七 戸 じゅん 君
三十一番 池 田 たけし 君 三十二番 池 田 こうじ 君
三十三番 清 原 和 幸 君 三十四番 うかい 雅 彦 君
一 欠席議員 な し
一 説明員
港 区 長 武 井 雅 昭 君 同 副 区 長 青 木 康 平 君
同 副 区 長 野 澤 靖 弘 君 同 教 育 長 浦 田 幹 男 君
芝地区総合支所長 麻布地区総合支所長
同 岩 崎 雄 一 君 同 冨 田 慎 二 君
街づくり事業担当部長兼務 街づくり支援部長兼務
赤坂地区総合支所長 高輪地区総合支所長
同 新 宮 弘 章 君 同 白 井 隆 司 君
環境リサイクル支援部長兼務 デジタル改革担当部長兼務
芝浦港南地区総合支所長 文化芸術事業連携担当部長
同 上 村 隆 君 同 荒 川 正 行 君
産業・
地域振興支援部長兼務 国際化・
文化芸術担当課長事務取扱
同
保健福祉支援部長 山 本 睦 美 君 同
みなと保健所長 笠 松 恒 司 君
同
子ども家庭支援部長 中 島 博 子 君 同
児童相談所長 田 崎 みどり 君
用地・
施設活用担当部長
同
企画経営部長 大 澤 鉄 也 君 同 大 森 隆 広 君
用地・
施設活用担当課長事務取扱
同
防災危機管理室長 太 田 貴 二 君 同 総 務 部 長 湯 川 康 生 君
会計管理者
同 西 川 克 介 君 同
教育委員会事務局教育推進部長 長谷川 浩 義 君
会計室長事務取扱
同
教育委員会事務局学校教育部長 吉 野 達 雄 君 同
選挙管理委員会委員長 佐 藤 伸 弘 君
一
出席事務局職員
事 務 局 長 加 茂 信 行 君 事務局次長 鈴 木 康 司 君
議 事 係 長 山 口 裕 之 君
他五名
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令和五年第三回港区
議会定例会議事日程
令和五年九月十一日 午後一時
日程第 一
会議録署名議員の指名
日程第 二 会期の決定
日程第 三 諸般の報告
日程第 四 代表質問・一般質問
うかい 雅 彦 議員(
自民党議員団)
石 渡 ゆきこ 議員(
みなと未来会議)
池 田 たけし 議員(
公明党議員団)
清 家 あ い 議員(
みなと政策会議)
根 本 ゆ う 議員(港区維新)
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○議長(鈴木たかや君) ただいまより令和五年第三回港区
議会定例会を開会いたします。 今回の応招議員はただいま三十四名であります。したがいまして、本定例会は成立いたしました。
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○議長(鈴木たかや君) これより本日の会議を開会いたします。
ただいまの出席議員は三十四名であります。
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○議長(鈴木たかや君) これより日程に入ります。
日程第一、
会議録署名議員を御指名いたします。十一番
兵藤ゆうこ議員、十二番
石渡ゆきこ議員にお願いいたします。
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○議長(鈴木たかや君) 日程第二、会期の決定を議題といたします。
お諮りいたします。今回の定例会の会期は、本日から十月六日までの二十六日間といたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(鈴木たかや君) 御異議なきものと認め、さよう決定いたしました。
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○議長(鈴木たかや君) 日程第三、諸般の報告がありますので、御報告いたします。
まず、職員に定例会招集の報告をさせます。
〔
鈴木事務局次長朗読〕
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五港総総第千七百十五号
令和五年九月一日
港区議会議長 鈴 木 たかや 様
港区長 武 井 雅 昭
令和五年第三回港区
議会定例会の招集について(通知)
本日
別紙告示写しのとおり、標記定例会を九月十一日(月)に招集しましたので通知します。
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港区告示第三百十六号
令和五年第三回港区
議会定例会を九月十一日に招集します。
令和五年九月一日
港区長 武 井 雅 昭
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○議長(鈴木たかや君) 次に、令和五年六月、七月及び八月の
例月出納検査の結果について、過誤のないことを確認した旨の報告書がそれぞれ監査委員から議長の手元に提出されております。
六月の
例月出納検査の結果について、その概要を職員に朗読させます。
〔
鈴木事務局次長朗読〕
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五港監第三百六十七号
令和五年七月三日
港区議会議長 鈴 木 たかや 様
港区監査委員 徳 重 寛 之
同 高 橋 元 彰
同 有 賀 謙 二
同 二 島 豊 司
令和五年六月
例月出納検査の結果について
地方自治法第二百三十五条の二第一項の規定に基づき
例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。
記
一 検査の範囲
(一) 検査対象 区一般会計、
国民健康保険事業会計、
後期高齢者医療会計、
介護保険会計、雑部金、基金
(二) 検査場所 港区
監査事務局
(三) 検査期間 令和五年六月二十三日から六月二十七日まで
二 検査の結果
本検査においては、
会計管理者から提出された令和五年六月(令和五年五月分)
例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、
指定金融機関提出の収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。
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○議長(鈴木たかや君) なお、七月及び八月の結果については、ただいまの報告と同様の内容でありますので、朗読は省略し、詳細については、これを速記録に登載することにいたしたいと思いますので、御了承願います。
また、報告書は議長の手元に保管しておりますので、随時御閲覧願います。
(参 考)
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五港監第四百五十五号
令和五年八月三日
港区議会議長 鈴 木 たかや 様
港区監査委員 徳 重 寛 之
同 高 橋 元 彰
同 有 賀 謙 二
同 二 島 豊 司
令和五年七月
例月出納検査の結果について
地方自治法第二百三十五条の二第一項の規定に基づき
例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。
記
一 検査の範囲
(一) 検査対象 区一般会計、
国民健康保険事業会計、
後期高齢者医療会計、
介護保険会計、雑部金、基金
(二) 検査場所 港区
監査事務局
(三) 検査期間 令和五年七月二十四日から七月二十六日まで
二 検査の結果
本検査においては、
会計管理者から提出された令和五年七月(令和五年六月分)
例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、
指定金融機関提出の収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。
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五港監第五百四十九号
令和五年八月三十一日
港区議会議長 鈴 木 たかや 様
港区監査委員 徳 重 寛 之
同 高 橋 元 彰
同 有 賀 謙 二
同 二 島 豊 司
令和五年八月
例月出納検査の結果について
地方自治法第二百三十五条の二第一項の規定に基づき
例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。
記
一 検査の範囲
(一) 検査対象 区一般会計、
国民健康保険事業会計、
後期高齢者医療会計、
介護保険会計、雑部金、基金
(二) 検査場所 港区
監査事務局
(三) 検査期間 令和五年八月二十四日から八月二十八日まで
二 検査の結果
本検査においては、
会計管理者から提出された令和五年八月(令和五年七月分)
例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、
指定金融機関提出の収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。
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○議長(鈴木たかや君) 次に、法人の経営状況を説明する書類が区長から議長の手元に提出されております。朗読は省略し、通知については、これを速記録に登載することにいたしたいと思いますので、御了承願います。
なお、詳細については、書類を議長の手元に保管しておりますので、随時御閲覧願います。
(参 考)
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五港総総第千六百七十一号
令和五年九月一日
港区議会議長 鈴 木 たかや 様
港区長 武 井 雅 昭
法人の経営状況を説明する書類の提出について
地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十三条の三第二項の規定に基づき、下記法人についての経営状況を説明する書類を提出します。
記
一
公益財団法人港区スポーツふれあい
文化健康財団
(一) 令和四年度
公益財団法人港区スポーツふれあい
文化健康財団事業報告書
(二) 令和四年度
公益財団法人港区スポーツふれあい
文化健康財団決算書
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○議長(鈴木たかや君) 次に、令和四年度港区
財政健全化判断比率の報告について、区長から議長の手元に提出されておりますので、その概要を職員に朗読させます。
〔
鈴木事務局次長朗読〕
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五港企財第三百四十九号
令和五年九月十一日
港区議会議長 鈴 木 たかや 様
港区長 武 井 雅 昭
令和四年度港区
財政健全化判断比率の報告について
地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成十九年法律第九十四号)第三条第一項の規定に基づき、令和四年度の
実質赤字比率、
連結実質赤字比率、
実質公債費比率及び将来負担比率(以下「
健全化判断比率」という。)について、監査委員の審査意見を付して報告します。
記
一 令和四年度港区
財政健全化判断比率
二 令和四年度港区
財政健全化判断比率の審査意見
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○議長(鈴木たかや君) なお、詳細については、既に写しをお配りしておりますので、御確認願います。
以上にて報告を終わります。
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○議長(鈴木たかや君) 日程第四、区の一般事務について、質問の通告がありますので、順次発言をお許しいたします。最初に、三十四番
うかい雅彦議員。
〔三十四番(うかい雅彦君)登壇、拍手〕
○三十四番(うかい雅彦君) 令和五年第三回港区
議会定例会に当たり、
自民党議員団を代表して、武井区長、浦田教育長、
佐藤選挙管理委員会委員長に質問させていただきます。
質問に入る前に、港区議会議員を九期三十六年にわたり務められ、港区議会議長、港区監査委員などの要職を歴任された
井筒宣弘先生が七月に急逝されました。前期の四年間も我が会派の団長を務められ、長きにわたり御指導をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。まだまだ御勇退されても御指導いただきたかったこと、誠に残念でなりません。
井筒宣弘先生の御冥福を心よりお祈り申し上げます。
さて、港区議会も今期が始まって四か月が過ぎたわけですが、私には
区議会議員選挙が何かもっと昔のような不思議な感覚になっています。ロシアの
ウクライナ侵攻から一年半が過ぎ、原油高、原材料高に我が日本も苦しい状況が続いております。長くデフレからの脱却を目指してきたわけですが、急激な原材料高による物価の高騰に企業も国民もついていけない状況になっています。特に価格転嫁できずに倒産に至るケースも聞こえ始め、この状況はしばらく続くことから、新たな対応が求められることになるのではないでしょうか。
また、区内を見ると、やはり飲食店の求人難を強く感じます。求人募集では時給も一時期より一・五倍のところもあり、大変な状況です。
今定例会では、令和四年度決算審議も行われますが、この代表質問が来年度予算に反映されるよう期待を持って質問に入らせていただきたいと思います。
まず、
ふるさと納税について伺います。
初めに、
ふるさと納税の影響と対応についてです。
ふるさと納税については、世田谷区が税収減に耐え切れずに返礼品を始めたわけですが、我が港区としても、このまま何も対策を取らずにいてよいものなのでしょうか。
ふるさと納税が港区の税収に与えている影響をどのように捉え、これに対してどのような対応をしていかれるのか、区長のお考えを伺います。
次に、さらなる進化した地域連携について伺います。
ふるさと納税で返礼品をもらっても、その地を訪れ、そこで消費を行うようにならなければ地方は潤いません。区は
自治体間連携を長く行い、多くの地方都市と連携しています。地方の物産を新橋駅SL広場や様々な場所で販売して好評を得ています。物産展だけでも地方にとっては大変ありがたいことになると思いますが、さらなる進化として、その地方を訪れるような施策を打つことはできないものでしょうか。区長のお考えを伺います。
続いて、基金について伺います。
新たな財政計画における基金の活用について伺います。区には、現在、
財政調整基金をはじめ、それぞれの目的に応じた十七の基金があります。令和四年度末の基金残高の総額は千九百七十七億円となっており、今年度の当初予算の規模を上回る規模となっています。
区は、昨年度策定した
財政運営方針の中で、いかなる変化にも即応できる財政運営を目指すとしていますが、私も直面する課題の解決に向けて、基金を積極的に活用すべきだと思います。今年は、現行の港区基本計画の後期三年の改定の時期に当たり、今後の財政の見通しを踏まえ、財政計画についても見直しを行っていくことと思います。新たな財政計画の策定に当たり、基金をどのように活用していくのか、区長のお考えを伺います。
次に、震災復興及び
新型インフルエンザ等感染拡大防止基金の活用について伺います。今年は関東大震災から百年の節目の年となります。区では、平成二十九年に当時の
震災対策基金を、震災後の区民生活の再建並びに産業及びまちの復旧・復興のための基金として再編しました。この基金は、発災直後からまちの復旧・復興に必要な当面の額として、一千億円の残高を確保する目標となっています。この基金は、令和二年一月から始まった
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止や、区民生活や産業の安定のためにも活用できるよう活用の対象が拡大されましたが、この
震災復興基金の残高は、令和四年度末には約八百八十七億円となり、目標額の約九割を確保しています。
東京都は昨年五月に
首都直下地震等における東京の被害想定を公表し、区においても現在、
地域防災計画の見直しが進められていますが、関東大震災から百年目となる節目の年に、最新の被害想定を基に発災直後からのまちの復旧・復興に必要な金額を見直し、基金の使い道を明らかにしていただきたいと思いますが、区長のお考えを伺います。
続いて、入札について、物価高や建築費、工事費等の高騰による入札の不調についての対応を伺います。
最近の工事費の入札で不調が続いていると聞いていますが、その対応について、区としてどのように考えておられるのか。物価高騰に工事費も高くなっている中で、より不調になる可能性が高くなることについてもしっかりと受け止めていただき、対応を図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、関東大震災から百年の節目の年としての区の対応について伺います。
まず、避難所運営の踏み込んだ対応について伺います。品川駅前の高輪南町会より区民避難所である
港区立高輪台小学校まで自町会の高齢者が避難するのは難しいとの御相談をいただき、JR東日本、京急電鉄、
西武リアリティソリューションズより、再開発の中で会議場での区民避難について協力をしてくれることとなりました。これからは民間企業の協力も得て、避難所運営について進めていただきたいと考えます。
また、その後については、公立学校の校庭に被災者住宅を建設するわけにはいかず、コロナ禍で療養施設としてホテルが使われたわけで、被災者住宅の代わりにホテルの活用も港区に合ったものと考えます。一時的にホテルに入っていただき、その先の住まいを探していただくことが望ましいと感じます。このような港区モデルをつくっていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
続いて、民間事業者や大学の連携について伺います。さきに述べさせていただきましたが、品川駅地区では三社の民間企業が協力してくれることとなりました。また、港区と
帰宅困難者の受入れに関する協定を結んでくれている高輪の
東海大学品川キャンパスでも区民避難所の設置を検討してくれています。先月二十二日は
住友不動産東京三田ガーデンタワーにおいて大規模な防災訓練が行われ、テレビや新聞等でも取り上げられました。私は、前半のテナントの避難訓練までしか見学できませんでしたが、後半は
帰宅困難者の受入れ訓練が行われ、区の防災課や
総合支所協働推進課、近隣町会の皆さんも参加して行われたことは評価すべきことと考えます。これだけ大規模の
帰宅困難者を受け入れる訓練は初めてとのことで、住友不動産では他地域でもこの訓練を行っていくそうです。
また、住友不動産は
東京三田ガーデンタワーや三田五丁目の再開発においても
帰宅困難者だけでなく、区民避難についても協力してくれる意向を示してくれています。
東日本大震災から十二年がたち、各地区の防災協議会も高齢化が進んでいる中、このような民間企業や大学等の力を借り、区内の防災力の向上を図ることが急務と考えますが、区の考えを伺います。
続いて、ペットの避難について伺います。災害時のペット避難については、多くの御意見が寄せられている中で、具体的な避難所対応は示されてこなかったのではないでしょうか。本年の九月一日に東京都獣医師会の上野会長と平井事務局長と防災課でお会いし、ペット避難について様々な留意点を教えていただきました。過去の
東日本大震災や熊本地震の被災地へ赴き、様々なアドバイスをされた経験からの御指摘は大変参考になることばかりでした。やはり一般の方々との同じ場所での避難は難しく、またペットとの避難については、その運営については飼い主が行うことも肝腎であるとのことでした。両先生は港区内で開業されており、ぜひとも区内のペット避難について御指導いただき、安全で安心なペット避難についてのマニュアル作成など具体的な方向性を示していただきたいと思いますが、区の考えを伺います。
次に、物価高騰に対する諸対策について伺います。
原材料の高騰、特にガソリンの高騰の影響は多大であり、それに対する中小零細企業の支援について伺わせていただきます。この間の物価高騰については、区民や区内事業者に大きな影響を与えています。区はこのような事態を踏まえて、区民にはプレミアム付き区内共通商品券の発行や、事業者へは緊急融資などの早急な対応をお願いしたいと思います。我が国は長いデフレーションからの脱却を目指してきたわけですが、逆に振れていく中で、区民の所得はついていっていない現状が続いています。いわゆるスタグフレーションの状況にあり、これはしばらく続くことと考えますが、長期的な対応も含めた区の考えを伺います。
次に、公立学校のプールについてですが、今年の猛暑で公立学校の屋外プールが中止になったと聞いております。今後の対応について伺わせていただきます。
私の母校の
港区立高輪台小学校は、今年十回も中止になったと聞いて残念に思っています。屋根をつけられれば簡単な話でありますが、建築基準法上ではそうはいかないようであり、来年の夏に向けて、教育委員会としての対応はいかがでしょうか。
次に、みなと芸術センターの準備状況についてですが、区民の皆さんに喜んでいただける新たな施設として開設に向けた準備状況について伺います。
東日本大震災がなければ、港区立スポーツセンターの隣に開設される予定であった文化芸術ホールが、みなと芸術センターとして浜松町駅前の再開発の中で整備されます。
東日本大震災の際に建設中止となったときの区民の皆さんの落胆は忘れられません。それから時を経て、いよいよ開設となったことは大変喜ばしいことであります。しかしながら、その運用については、我が会派内でも心配の声が上がっております。区民が観る、聴くだけではなく、歌う、舞う、演ずる側にも立てる、どの立場になっても感動できる施設としていただきたいと考えます。現在の準備状況について伺います。
次に、港区スポーツふれあい
文化健康財団について伺います。
武井区政において区役所・支所改革が行われ、区は大きく進化したわけでありますが、Kissポート財団についても、それに倣って体質を改善すべきと考えます。武井区政において区役所・支所改革における港区の変化は、区民にとって今や当たり前のこととなっています。地域の様々なところへ区職員が足を運び、汗を流している姿には多くの区民が感謝していることと思います。そのような中で、区の外郭団体であるKissポート財団が、区に係る案件について様々に関わっていく中で、その対応が昔の区役所のような体質に感じてしまうことがあり、誠に残念であります。田中理事長は、武井区政での区役所・支所改革を中心的に支えてきた存在であり、ぜひともKissポートでも武井区政での区役所・支所改革の精神を踏襲していただきたいと思います。期待を込めて、区の考えを伺います。
次に、新橋駅周辺のまちづくりについてですが、東口、西口ともに新たなまちづくりが始まっていますが、その接続については、北側、南側のガード下をきれいにした活用も検討すべきであると考えます。東口、西口ともに再開発の準備が進んでおりますが、地下での接続についてがなかなかクリアし難い課題となっております。JR東日本にも協力してもらい進めていく中で、既に地下街を擁している東口と、これから再開発の中で地下街を整備する西口では、抱える課題には大きな差があります。区には、そこをうまく調整していただきたいと願います。また、南北にあるガードについても手をつけることで、まちの雰囲気は一変いたします。特に長い時間を要してしまっている西口のことも考え、前に進めていただきたいわけですが、区の考えを伺います。
次に、新橋駅周辺の路上営業についてですが、コロナ禍を経てまちに活気が戻ってきておりますが、新橋駅付近では、公道上に席をつくり営業している飲食店が目立ちます。新橋駅前の飲食店街での公道での営業については、これまでも芝地区総合支所が指導を行ってくれていますが、いたちごっこのようになってしまっています。注意をすれば、一度は片づけてくれますが、いなくなれば、すぐにテーブルを広げる状況であり、地下や二階以上のお店は、その迷惑行為に大変困惑し、売上げにも響いている状況です。公道上の無許可での営業行為は許されるものではなく、違法看板も含め、早急な対応が必要と考えますが、区のお考えはいかがでしょうか。
また、飲食店は保健所から営業許可をもらっているわけでありますが、公道上での営業まで許可されているものではありません。室内での営業許可であることを保健所はしっかりと伝え、公道上で営業を行うのであれば、再度、公道上での営業許可申請を出すように指導すべきであると考えます。警察が公道上での営業についての道路使用許可を出すわけはなく、公道上での営業は許可なく行われていることとなります。保健所としては、毅然としてこのような営業行為を厳しく指導すべきと考えますが、区の考えを伺います。
次に、子育て支援についてですが、まず、社会が子育て家庭を積極的に支援する世の中をつくるのであるならば、駐輪場において、子どもを乗せた自転車についてもフォローできないものかと考えます。毎朝、妻を会社までを送っていく途中で、必死な顔つきで子どもを保育園まで送るお母さん、お父さんを見かけます。保育園に送り届けてからは駅まで猛スピードで向かっている。その姿を見ていて、社会全体で子育てを応援するというのなら、その手助けをできないものかと感じてしまいます。
区ではありませんが、国道や都道の歩道においても、国道二百四十六号や東麻布においても歩道上に子育て世帯だけ駐輪させてあげることはできないものでしょうか。また、区営の駐輪場においても、シルバー人材センターに増員をお願いして、機械に並ぶことなく自転車を預けて駅に向かうことができないものかと感じてしまいます。港区において、これからの子育て世代に対する自転車対応について、いま一度検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
続いて、子育てひろばあっぴぃの整備についてですが、区内で子育てひろばあっぴぃの整備が進んでおります。保育園の待機児童問題の際に、武井区長が商工会議所など様々な場面で保育施設整備について訴えてきて、新たな保育園誕生につながったわけであります。あっぴぃについても手を挙げてくれている企業があります。そのようなありがたい地域の協力をどう受け止めて新たな施設整備につなげていかれるのか、区長のお考えを伺います。
次に、子どもたちが夢を持ってスポーツに打ち込める環境の整備についてですが、今年は記録的な猛暑であり、線状降水帯の影響による局地的な豪雨など、日本を取り巻く環境は年を追うごとに厳しくなっています。そういった中で、区内スポーツ施設の将来的な運用について、例えばドーム球場にするなど、将来的な活用方針を策定すべき時期に来ていると思います。野球場で言えば、区営は麻布、青山、埠頭の三グラウンドになりますが、維持管理だけを考えていけば、これから数十年はこのままと考えます。
私は、地元の東海大学附属高輪台高校野球部の東東京大会の応援で、大田スタジアムや江戸川区球場へ何度も足を運んでいます。どちらもすばらしい球場であり、硬式の試合が行われています。区内三球場を硬式の試合ができるようにとまでは言いませんが、最先端都市である我が港区のグラウンドが五十年前と変わらず、恐らくこのままいくと、これから五十年先もフェンスの更新はあっても、今のままと考えます。どの球場もその地域の規制の中で大胆な変更はできないものかもしれません。しかしながら、教育委員会だけで議論せずに、新たなスタジアムを造っていくことにはどのような規制があり、どのような許可申請を行えば可能になるのかを街づくり部門を交えて議論する場をつくっていただきたいと考えます。
関連して、駐車場について申し上げさせていただきますと、これまで施設利用に関しては、原則、車での利用は認められていないことになっております。しかしながら、その実態は、子どもたちを乗せるだけではなく、野球であればボールやバット以外にもヘルメットやプロテクター、練習するのに使う道具は大変多い状況です。やはり車でないと運べないのが現実です。そして、少年野球の他地域との交流試合など、他チームは何台かの車で港区を訪れます。そういったときの民間駐車場が余りにも高く、相手チームはびっくりしてしまう状況であることも御理解いただきたいのです。やはりスポーツ施設も駐車場が整備されていることが望ましいと考えます。子どもたちが夢を持ってスポーツに打ち込める環境の整備に、ぜひとも教育委員会と区長部局が連携して取り組んでいただくことをお願いしたいと考えますが、いかがでしょうか。
野球で取上げさせていただきましたが、他のスポーツでも同様にお願いしたいと考えます。これは要望になりますが、例えば午前中を少年野球の決勝、午後から社会人野球の決勝を神宮球場で行ったり、サッカーの決勝は国立競技場とは言いませんが、駒沢競技場で行うなどの御検討もお願いしたいと思います。
次に、区立公園整備における消防団の訓練場所の確保についてです。
これまでの消防団の訓練場所については議会でも様々な質問が出ていますが、再開発事業の民間敷地の広場の中で整備することは難しいことが判明しました。ならば、今後再整備が予定されている高輪森の公園のように、再開発事業に伴い新たに整備される区立公園において、訓練場所を確保することができるのではないかと考えますが、区のお考えはいかがでしょうか。
次に、箱根ニコニコ高原学園の積極的活用について伺います。
子どもたちのスポーツ活動について、我が港区では練習場所の確保が大きな課題となっています。箱根ニコニコ高原学園の公立学校活用以外の時期に泊りがけでスポーツ活動ができるよう、グラウンドのフェンスを高くするなどの支援をお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
次に、街頭防犯カメラ補助事業の周知と促進についてです。
区内の刑法犯認知件数が昨年から増加傾向にあり、本年も昨年を上回る状況となっています。報道では、闇バイトによる強盗事案や連続強盗事案、ひったくり事案などが頻繁に報道されており、五月には、銀座での強盗事案の犯人が警察車両に追跡され、赤坂のマンション内に逃げ込み逮捕された事件が大きく報道されたことから、区民からも不安の声を聞きます。
区では、地域団体が設置する街頭防犯カメラに対する補助事業を全面的に見直し、地域団体の負担を軽減し、より使いやすい事業とするとのことですが、治安の悪化が懸念される中、時機を得た取組だと考えます。これまで、区民から補助事業のことをよく知らないという声を聞くこともありましたが、今回の見直しを契機として事業の周知を図り、街頭防犯カメラの設置促進により一層取り組んでいただきたいと考えます。
そこで、今回の街頭防犯カメラ補助事業の見直しを踏まえ、区内の治安をさらに向上させていくために、区としてはどのように事業の周知を行い、街頭防犯カメラの設置促進に取り組んでいかれるのか、区長の見解を伺います。
次に、がん検診についてです。
区のがん検診については、これまでもがん検診で胃がんが見つかったなどのお礼の声を区民から聞いています。がんによって進行が違いますが、早期発見、早期治療は何の病であっても当たり前であり、がん検診の項目を増やすことは医療費の抑制には必要と考えます。今後のがん検診について、区のお考えを伺います。
次に、難聴の方々の支援についてです。
難聴の方々の支援についてですが、音や声が聞こえづらい状況が続くと、生活情報の入手や周囲の方とのコミュニケーションが困難になり、日常生活の様々な面で支障が生じます。港区では、昨年度から高齢者補聴器助成制度が始まり、他区に類を見ない非常に高額な助成金ということもあり、昨年度の申請実績は約五百件と、多くの方に御利用いただいていると聞いております。もちろん、もともとの耳の疾患がある方には、専門的治療など別のアプローチが必要ですが、加齢性難聴の場合、補聴器があることによって生活の質が飛躍的に改善すると言われており、こうした取組を率先してやられた武井区長に敬意を表したいと思います。
ただ、一方で、耳の聞こえは、普通に生活している分には、自分ではなかなか気づかないことは確かです。耳の聞こえの悪さを気づかないうちに、徐々に社会との接点が少なくなり、認知症に移行してしまうという話もあります。私も以前質問させていただいたことがありますが、港区医師会では以前から、加齢性難聴の早期発見のための聴力健診事業を行っています。非常に意義深い事業だと思いますが、区の事業としてやっているわけではないので周知が行き届きにくく、受診者は限られている状況のようです。高齢者の割合が増加傾向にある今だからこそ、港区が率先して高齢者を対象に聴力検査を実施することで、聞こえに課題がある区民をすくい上げて、耳の治療なのか、補聴器の該当なのかを見極める体制を構築することが重要であると考えます。
そこで、区が聴力検査を実施することで、必要な方に補聴器助成制度を紹介し、聞こえ方の改善を図り、認知症予防へとつなげる支援が必要と考えますが、区長のお考えをお伺いいたします。
次に、羽田空港機能強化についてです。
コロナ禍が収まり、外国人旅行者も増加しています。また、為替の影響によりコロナ禍前の状況に近づいていくことが予想されます。コロナ禍で始まった新飛行経路の運用ですが、いよいよ本格的に港区上空を飛ぶわけであり、羽田新経路固定化回避に係る技術的方策検討会の結果が注目されます。区としては、説明会の要請も行っていますが、早く区民が安心できる結果を望むわけですが、区の対応をお伺いいたします。
次に、高齢者がいきいきと働ける場の提供についてです。
少子高齢化が進む中で、年金を支える数が支えられる数より不足していくことが問題とされていますが、当の高齢者の皆さんにとっても悲しい話であります。質問の冒頭に申し上げましたが、区内の飲食店などは極度の求人難に苦しんでおられます。高齢者の皆さんにも飲食業界の現状を御理解いただき、定年後も働く方々を増やしていただきたいと考えます。高齢者の働く場を増やしていくことが、支えられる人数を抑えることにもつながりますし、飲食業界にとっても急務と考えますが、いかがでしょうか。区長のお考えをお伺いいたします。
次に、品川駅周辺のまちづくりについてですが、高輪ゲートウェイ駅周辺の開発が進む中で、品川駅周辺のまちづくりも徐々に具体化している状況です。しかし、品川駅西口では工事に伴い、駅前ロータリーが縮小され、タクシーだけが使える状況になっています。今後、国道十五号線の工事がどのような手順で進み、どのように整備されるのか、駅前利用者の動線はどう変わるのか、車での送迎はできるのかなど、地元の方々は心配しています。今後の工事手順やスケジュール、最終的な国道の完成形態などを、国や東京都が地元の方々にしっかりと説明していく必要があると考えますが、区の考えを伺います。
次に、神宮外苑のまちづくりについてですが、建設常任委員会において委員からの要望があり、七月二十四日に建設常任委員会において神宮外苑のイチョウ並木を視察いたしました。行政側からの説明を受け、改めてイチョウが枯れることのないようにしっかりと整備していただきたいと考えますが、区のお考えはいかがでしょうか。
また、イチョウ並木に接する予定の新たなスタジアム建設については、イチョウの根がどこまで伸びているかも調査していただき、できる限り影響の出ないようにお願いしたいと考えます。日本の球場は左右対象が多いわけですが、大谷翔平選手の活躍で米大リーグの試合を見る機会が増えましたが、必ずしもライトとレフトが同じ形状とは限らない場合があり、今回のスタジアム建設にも取り入れていただきたいと考えます。区のお考えを伺います。
次に、公立学校の給食費の支援についてです。
区は、今月より本年度末まで公立学校の給食費を無償化することに踏み切りましたが、予想に反して国が無償化に動かないということが分かりました。一度始めた取組を本年度で止めてしまうのか、後で述べますが、中学生の海外修学旅行を考えると継続しなければ整合性が取れないと感じますが、教育長のお考えを伺います。
次に、供託金返金期間の遅延について伺います。
本年四月執行の港
区議会議員選挙において立候補者の供託金の返還が今月までずれ込んだわけであります。どのような理由でそうなったのか。異議申立てがあったのなら、どのような事柄であったのか。東京都までもつれ込んだと聞いておりますが、誰のどのような申立てであったのかは、立候補者にこれだけの迷惑をかけている以上、しっかりと開示すべきと考えますが、選挙管理委員会のお考えを伺います。
次に、白金・白金台地域の交通手段について伺います。
「ちぃばす」が運行されて以来、白金・白金台地域から運行を望む請願も出され、待っている方が多いわけであります。JR東日本のグリーンスローモビリティや乗合タクシー等、試験的なことは行われてきましたが、実現には至っておりません。地域の声に応えるため、区として、この区間に「ちぃばす」を走らせるのか、それとも他の方法を取るのか、区の考えをお伺いいたします。
次に、区立中学生の海外修学旅行についてです。
まず、来年度からの区立中学生の修学旅行については、テレビでも取り上げられ話題となっています。今定例会において補正予算として提出されておりますが、これまでどのような検討が行われてきたのか。また、五億円を超える債務負担行為補正となっていますが、単純に七百六十人で割ると一人当たり六十八万円となり、かなり高いと感じてしまいます。今後は、経費の削減も必要と考えますが、いかがでしょうか。
続いて、コロナ禍の四年間、修学旅行どころではなく、様々な行事が取りやめになっています。この間の在校生の気持ちを考えると、海外への修学旅行を行うに当たっては、何らかのフォローは考えられないものかと考えます。例えば高校生や大学生の海外へのホームステイや留学についても、区が応援をしてくれることで実現につながることと考えます。
また、港区には八十を超える大使館があり、多くの外国人が勤務されています。大使館職員のお子さんが区立小・中学校に通われている話も聞きます。この各国大使館職員のお宅にもホームステイをさせていただき、その国の文化や習慣、その国の言語を学ばせていただくことができれば、区の国際理解教育として多くの子どもたちが貴重な経験を得られるのではないでしょうか。青山にある一般社団法人港区国際交流協会は各国大使館ともつながりがありますので、会員の皆様のお力を借りて実現につなげていただきたいと思います。ぜひその点も御理解いただき、様々な観点から国際理解教育を進めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
以上にて質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの
自民党議員団を代表しての
うかい雅彦議員の御質問に順次お答えいたします。
最初に、
ふるさと納税についてのお尋ねです。
まず、
ふるさと納税の影響と対応についてです。
ふるさと納税制度が区の特別区民税収に与える影響は年々大きくなっており、今年度の
ふるさと納税による特別区民税の減収額は、全国でも十一番目の水準となる約六十九億九千万円となっております。
こうした状況の中、区は、これまでも特別区長会を通じて、国に制度本来の趣旨に立ち返った抜本的な見直しを求めてまいりました。今後もあらゆる機会を捉えて、
ふるさと納税制度の問題点の是正を求めるとともに、件数、金額ともに増加している区独自の取組である団体応援寄付金について、対象団体の拡大を検討するなど、返礼品によらない港区版
ふるさと納税制度の一層の充実に取り組んでまいります。
次に、さらなる進化した地域連携についてのお尋ねです。区は、区有施設や公園などの身近な場所で全国各地の魅力を感じられる物産展などを開催しているほか、親子を対象とした福島県いわき市での漁業体験など、区民等が直接地域を訪れる機会を創出しております。
また、今年度から区内事業者が連携自治体を訪れることにより、新たなビジネスマッチングの機会を創出することを目的としたワーケーションの促進事業を開始しております。引き続き、全国連携情報誌「港から」や区ホームページ等による魅力発信を強化するとともに、全国各地との交流事業を通じて、相互に人の流れとにぎわいを創出することで地域の活性化につなげてまいります。
次に、基金についてのお尋ねです。
まず、新たな財政計画における基金の活用についてです。区は、港区基本計画の後期三年の見直しに併せて、令和六年度から三年間の新たな財政計画の策定を進めております。この期間には、みなと芸術センターの整備や御田小学校の改築の財源として、公共施設等整備基金などの基金を積極的に活用するとともに、あらゆる災害に強いまちづくりを加速する取組などをより一層進めてまいります。アフターコロナに向けて明るい未来への道筋を示す港区基本計画を支える財政計画を策定し、基金については計画的に積み立てるとともに、事業の目的に応じて効果的に活用してまいります。
次に、震災復興及び
新型インフルエンザ等感染拡大防止基金の活用についてのお尋ねです。区では、本年三月の区における首都直下地震の被害想定を踏まえ、近年の都市の強靱化や情報技術の進展などの環境変化に応じた災害応急対策、区民生活の再建や産業の復旧・復興等に必要な支援内容の調査・分析を進めております。これらの対策・支援については、その取組を発災から三年後までの時期、九年後までの時期、十年以降の時期に分け、それぞれの要する財政負担の想定額を整理するとともに、基金の活用について、区ホームページや広報みなとなどにより区民へ広く周知してまいります。
次に、入札の不調への対応についてのお尋ねです。
入札の不調は、予定価格と市場の実勢価格との乖離、技術者不足、発注案件の集中といった要因により発生しております。区では、予定価格の正確な積算、同種の工事の一括発注による受注しやすい規模の確保、入札時期の平準化など、不調を回避する工夫を行っております。今後も、より多くの事業者が入札に参加できる条件の検討、事業者のヒアリング、建設業界の動向把握等を実施するとともに、特に予定価格につきましては、資材価格の高騰に伴う工事費の上昇を十分見極め、公共工事の担い手に適切な利潤が確保されるよう、市場実態等を的確に反映させてまいります。
次に、関東大震災から百年の節目の防災対策についてのお尋ねです。
まず、避難所から応急仮設住宅へ移るまでのホテルの利用についてです。区では、区民避難所への避難者が増加し、受入れが難しい場合の補完避難所として、事業者等へ協力を要請し、施設のロビー等を提供いただく協定を締結しております。区には多くのホテルが存在することから、被災者が区民避難所や補完避難所で生活された後、応急仮設住宅が整備されるまでの一時的な生活場所としてのホテルの提供についても事業者へ協力を求めてまいります。
次に、民間事業者や大学との連携についてのお尋ねです。区では、民間事業者や大学と
帰宅困難者が発生した際の一時滞在施設の提供に関わる協定を締結しております。また、区と駅周辺の民間事業者とは駅周辺滞留者対策推進協議会を設置し、
帰宅困難者の一時滞在施設への誘導等を行うための情報連携訓練等に取り組んでおります。今後、民間事業者や大学とは、
帰宅困難者対策での連携に加え、地域の防災協議会とも連携し、地域の防災力の向上に取り組んでまいります。
次に、ペットの避難についてのお尋ねです。区では、東京都獣医師会中央支部の協力を得て、平成三十年三月に避難所におけるペット対策マニュアルを策定しております。マニュアルでは、受入れ対象とするペットや飼育ルールなどの基準を定めておりますが、マニュアルに沿った運用をしていく上では、飼い主間の役割分担や避難所内でのペットの飼育方法などについて、さらに詳細に検討していく必要があると考えております。今後も引き続き、東京都獣医師会などの専門家の意見を伺いながら、円滑にペットの避難ができるよう検討してまいります。
次に、物価高騰に対する諸対策についてのお尋ねです。
区は、これまで、低利な融資あっせんによる資金繰り支援やプレミアム付き区内共通商品券の発行支援など、物価高騰等で苦しむ区内中小企業や商店街を下支えする施策を迅速に展開してまいりました。本年八月からは、中小企業の販路拡大や人材確保支援のため、広告宣伝活動や求人情報の掲載等に要する経費への補助制度を開始したほか、十二月には消費喚起のため、二次元コード決済を活用したみな得ポイント還元キャンペーンの実施も予定しております。中小企業や商店会加盟店舗が現在の苦境を乗り越えられるよう、今後も事業者の実情を的確に捉えた支援に取り組んでまいります。
次に、みなと芸術センターの準備状況についてのお尋ねです。
区は、施設の開館以降も引き続き区民の参画が進むよう、現在、気運醸成事業など様々な取組を進めております。昨年度は、みなと芸術センターの目指す姿を区民とともに広く考える機会として、有識者や臨床心理士によるシンポジウム等を開催し、多くの区民に御参加いただきました。今後は、さらに対話型や体験型のワークショップを行うことで、より多くの区民の理解を深めてまいります。また、開館後の運営に生かすことができるよう、これまで培った区内文化芸術団体とのネットワークを活用し、協働して事業を実施するなど着実に準備を進めてまいります。
次に、
公益財団法人港区スポーツふれあい
文化健康財団の改革についてのお尋ねです。
区は、財団の健全な運営や発展のため、必要な指導、助言を行ってまいりました。財団は、昨年度と今年度を改革期間と定め、区民の身近にあり、区民に親しまれ、区民に喜ばれる財団となるよう取組を進めています。職員が地域に出向き、町会との連携事業を行うなど、親しまれる財団を目指すとともに、利用者ニーズに的確に対応できる人材の育成や接遇研修など、組織としてのさらなるホスピタリティー向上にも取り組んでいます。引き続き、区では、財団が区民からの信頼に応え、良質なサービスが提供されるよう指導、助言を行ってまいります。
次に、新橋駅周辺のまちづくりについてのお尋ねです。
区は、新橋・虎ノ門地区まちづくりガイドラインにおいて、新橋駅の東西のアクセス性や回遊性を向上させるため、外堀通りや烏森通りを新橋駅の東西をつなぐ重要な歩行者ネットワークに位置づけております。
また、憩いとにぎわいのある駅前の景観に配慮した舗装や街路灯等を配置するとともに、駅前広場の案内機能を充実させるなど、来街者が楽しく回遊できる仕掛けを、今後のまちづくりにおいて誘導することとしております。今後も、区は新橋駅周辺で検討されている開発事業の事業者に対して、ガイドラインに示すまちづくりが早期に実現できるよう、適切に指導・誘導してまいります。
次に、新橋駅周辺の路上営業についてのお尋ねです。
まず、公道上での営業行為についてです。飲食店が路上にテーブルや椅子、看板等を置く行為は道路法により禁止されており、街の景観を損ねるだけでなく、緊急車両や歩行者等の通行に支障を来す行為です。これまでは区職員のみで指導を行ってまいりましたが、本年六月下旬から七月中旬にかけては、愛宕警察署の協力を得て合同パトロールを実施し、路上営業を行っている飲食店を一斉に指導いたしました。今後も、区有数の繁華街である新橋駅周辺がにぎわいのある清潔できれいなまちとなるよう、愛宕警察署と連携して、路上営業の指導に取り組んでまいります。
次に、保健所による指導についてのお尋ねです。保健所は食の安全を守るため、食品衛生法に基づき各種の規制基準について指導しております。飲食店の従業員が路上など、許可を受けた厨房以外の場所で調理する行為は禁止されており、保健所による行政指導の対象となります。愛宕警察署との合同パトロールでは、従業員による路上調理をはじめ、食品衛生法に違反する行為がないか確認し、指導するため、保健所の職員も同行いたしました。今後も庁内関係部署が一丸となって、路上営業の指導に取り組んでまいります。
次に、子育て支援についてのお尋ねです。
まず、子育て世帯に対する自転車利用への対応についてです。区は、今年度から、子どもを乗せた自転車が保育園などの子育て施設や駅前の自転車駐車場まで安全・安心に通行できるよう、子育て送迎ルート等の整備に着手いたします。
また、平面の自転車駐車場ではチャイルドシート付自転車の置き場所を自転車駐車場の出入口付近へレイアウト変更いたします。また、機械式自転車駐車場では、これまで利用することができなかったチャイルドシート付大型自転車を収容できるよう改修を進め、子育て世帯にとって自転車駐車場が利用しやすくなるよう利便性を向上してまいります。
次に、子育てひろばあっぴぃの整備についてのお尋ねです。区は、平成二十九年四月から、待機児童解消のため、土地や建物の所有者と保育運営事業者をつなぐマッチング事業を開始し、これまでに四つの保育施設を開設いたしました。今後、子ども・子育て支援を目的に、土地や建物の所有者から活用の提案があった場合には、子育て家庭や地域のニーズに即した子育てひろばあっぴぃの開設につながるよう進めてまいります。引き続き、地域の協力を得ながら、積極的に子育て支援策の充実を図ってまいります。
次に、区立公園整備における消防団の訓練場所の確保についてのお尋ねです。
区は、区立芝公園、港南緑水公園、みなとパーク芝浦に消防団の訓練場所を確保するとともに、開発業者に対しても協力を要請してまいりました。また、昨年十月の東京都知事との意見交換において、私からは都心の消防団が抱える厳しい実態を伝え、大規模開発を行う事業者への訓練場所整備の働きかけや都有地の確保などについて強く要望いたしました。今後、開発事業による区立公園の再整備に当たっては、地域の方々の意見を伺いながら、十分な広さや夜間・休日等の訓練が可能な訓練場所の確保に努めてまいります。
次に、街頭防犯カメラ補助事業の周知と促進についてのお尋ねです。
区は、街頭防犯カメラの設置を促進するため、地域団体への補助率の引上げ等の見直しを行いました。見直し後の本事業について、区ホームページや広報みなと、SNS等による情報発信に加え、港区生活安全協議会など様々な機会を捉えて、区民の方に積極的に周知いたします。
また、町会・自治会に対して、チラシの配付やデジタル回覧版を活用するだけでなく、区職員が個別に説明するなど、丁寧に案内をいたします。今後も区内警察署と連携し、区民の安全確保及び犯罪の未然防止に向け、街頭防犯カメラの設置を促進してまいります。
次に、がん検診についてのお尋ねです。
区では、港区が実施するがん検診のあり方検討会での議論を踏まえて、科学的根拠があり、死亡率減少効果が明らかであると国が指針で定めている、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮頸がん、乳がん検診について、精密検査につながる受診者への丁寧な結果説明や、受託医療機関向けに実施体制の調査等を港区医師会などの協力の下、進めております。国の指針に基づかないがん検診は、検診のメリット・デメリットや医療費抑制効果などの観点から、さらなる拡充は考えておりませんが、区では、今後も国の動向や最新の知見を踏まえて、質の高いがん検診の実施体制を構築し、がんの早期発見、早期治療につなげてまいります。
次に、難聴の方々の支援についてのお尋ねです。
区では、昨年度から高齢者補聴器購入費助成制度を開始し、最大十三万七千円の助成と聞こえの支援を行っております。加齢による聴力の低下は認知症の最も大きな危険因子であり、適切な時期に聴力検査を行い、必要な方に治療や補聴器の活用を促す観点から、区では、令和二年度から耳鼻科専門医等と定期的に勉強会を開催して、様々な課題を議論してまいりました。今年度からは、新たに認知症専門医や港区医師会が参画する検討会を設置し、早期の聴力検査の導入に向け、検査実施医療機関の確保や問診項目、高齢者補聴器購入費助成制度との連動等、具体的な検討を進めてまいります。
次に、羽田空港機能強化についてのお尋ねです。
これまでも、区と区議会は国に対して海上ルートの活用、地方空港の活用等による飛行ルートの分散化、落下物対策の強化等を要請してまいりました。また、昨年七月、国に対し、私と議長との連名で、新飛行ルートの固定化回避の検討を加速するとともに住民説明会の開催等の要請をいたしましたが、実施の具体化には至っていないことから、再度、本年七月に要請いたしました。引き続き、区議会とともに、国に対し、住民説明会の実施や固定化回避の早期実現を強く求めてまいります。
次に、高齢者がいきいきと働ける場の提供についてのお尋ねです。
今後、さらなる高齢者人口の増加と就業人口の減少が見込まれることから、就業を希望する高齢者と担い手が不足している企業をつなぐための取組の強化が必要です。区は、ハローワークと連携し、飲食店をはじめ、様々な業種の求人情報を収集し、事業やボランティア活動などをまとめた港区高齢者地域活動情報サイトに掲載するなど、高齢者がより身近に情報を得られる環境整備に取り組んでまいります。また、就職を希望する高齢者を企業に紹介する効果的な方法を検討するなど、就労意欲のある高齢者と担い手を求める企業を支援してまいります。
次に、品川駅西口における国道十五号の整備についてのお尋ねです。
品川駅西口では、京浜急行本線連続立体交差事業や国道十五号品川駅西口基盤整備事業など、複数の事業が同時に進められています。本年六月、駅前広場の工事の際には、区は、東京都に説明会の開催を働きかけ、東京都は工事手順やスケジュールについて説明をしております。
今後、国道十五号では、駅前広場の拡張整備や道路上空のデッキ整備など、さらなる工事も予定されています。引き続き、国や東京都に対し、事業の進捗に併せ、適宜工事期間中の歩行者動線や整備後のイメージについて、区民や駅利用者へ丁寧な周知と説明会の開催などを行うよう働きかけてまいります。
次に、神宮外苑のまちづくりについてのお尋ねです。
事業者は、本年七月に開催した説明会において、四列のイチョウ並木を適切に保全することを改めて宣言いたしました。また、本年七月に開催された東京都環境影響評価審議会においては、本年一月に実施したイチョウの根の調査結果を説明するとともに、継続して実施する調査の結果や樹木医の見解を踏まえて、イチョウの生育に影響がある場合は、野球場をイチョウ並木から離すなど、施設計画の見直しにも取り組むことを表明いたしました。今後も、区はイチョウ並木が創り出す風格ある景観に配慮した施設計画をさらに検討するよう、事業者を指導してまいります。
最後に、白金・白金台地域の交通手段についてのお尋ねです。
白金・白金台地域は幅員が狭い道路が多く、「ちぃばす」の運行は困難です。このため区は、当地域の移動手段としてグリーンスローモビリティなどの実証運行を行ってまいりましたが、利便性や採算性に課題があり、本格実施には至っておりません。現在、高輪ゲートウェイ駅のまちびらきと併せ、白金・白金台地域と高輪地区を含めた地域における新たな交通手段の試験導入に向け、JR東日本と協議を進めております。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から、選挙管理委員会に関わる問題については、
選挙管理委員会委員長から答弁いたします。
〔教育長(浦田幹男君)登壇〕
○教育長(浦田幹男君) ただいまの
自民党議員団を代表しての
うかい雅彦議員の御質問に順次お答えいたします。
最初に、公立学校のプールについてのお尋ねです。
現在、各学校は、屋外プールでの熱中症対策としてテントの設営や指導時間の短縮、小まめな水分補給など、安全に配慮した指導を行っております。教育委員会では、今年度のように猛暑が続き、計画どおり水泳指導を行うことが難しい場合、各学校に対し、授業の水泳指導期間を延長して、子どもたちが十分に水泳に取り組むことができるよう指導をしております。引き続き、教育委員会は、プールの設置場所にかかわらず、どの学校においても児童・生徒の泳力の向上を担保できるように指導をしてまいります。
次に、子どもたちが夢を持ってスポーツに打ち込める環境の整備についてのお尋ねです。
教育委員会では、子どもも含め、区民が気軽にスポーツに親しむことができるよう、スポーツ施設の整備に努めております。既存のスポーツ施設の再整備や新たな施設の整備に際しては、十分な運動スペースの確保はもとより、様々な運動種目への対応、駐車スペースの確保など、利用者のニーズを踏まえ施設の機能を最大限確保していくほか、設備の更新等においても機能拡充や利便性向上の可能性を検討するなど、スポーツ施設の一層の充実に向け、区長部局との連携をより強化し取り組んでまいります。
次に、箱根ニコニコ高原学園の積極的活用についてのお尋ねです。
教育委員会は、子どもたちが伸び伸びと体を動かすことができ、スポーツ施設に取り組むことができる場所を確保するため、スポーツの学校施設開放の整備・拡充に取り組んでおります。
箱根ニコニコ高原学園では、令和七年度から施設の老朽化に伴う大規模改修工事を予定しており、現在、改修に向けて準備を進めております。グラウンドのフェンスを高くすることについては、今後、基本設計・実施設計を行う中で、近隣への配慮にも考慮し検討してまいります。
次に、公立学校の給食費の支援についてのお尋ねです。
区は、現下の物価高騰への対応が必要なこと、また、国が学校給食費無償化に向けて具体的方策を検討していくことの動向も踏まえ、本年九月から来年三月まで区立小・中学校給食費を徴収せず、保護者負担をゼロにすることにしました。あわせて、特別区教育長会や全国市長会等を通じ、国に対し、学校給食費無償化の実現を要望してまいりました。物価高騰が続く中、来年度以降の給食費不徴収の継続について検討してまいります。
次に、区立中学生の海外修学旅行についてのお尋ねです。
まず、海外修学旅行の検討経過と経費についてです。教育委員会は、国際社会で活躍する人材の育成を推進しております。区独自に取り組んできた小学校の国際科や中学校の英語科国際の授業、小・中学生のオーストラリアへの海外派遣事業などの取組は、英語による実践的コミュニケーション能力の育成や、日本や外国の文化について学ぶ機会となっております。海外派遣事業は応募者多数の中、限られた児童・生徒の派遣ということもあり、一昨年度より、より多くの生徒が海外での貴重な体験に参加する機会を検討する中で海外修学旅行の案が出てきました。
昨年度は、引き続き事務局内で目的の実現性、費用、治安面などの観点で複数の候補地から行き先等の検討をしてまいりました。本年五月に
新型コロナウイルス感染症が五類となり、海外での修学旅行の実施のめどが立ったことから、より具体的な検討を進め、中学校長からの意見も聞き、来年度からの実施方針をお示ししたものです。
私は、先月、オーストラリアで行われた中学生の海外派遣事業に同行いたしました。なかなか通じない英語にもどかしさを感じながらも、一生懸命ジェスチャーも交え、通じたときの喜び、失敗を恐れずチャレンジを続ける勇気、日本での当たり前が海外では違っていた驚き、様々な体験を通し、日々成長していく子どもたちを目の当たりにすることができました。未来を担う、そして私たちが未来を託す子どもたちが、海外でこれまで学んできた英語でのコミュニケーションを実践し、直接異文化に触れることを通して、自分の将来や生き方を考え、夢や希望を持ち、国際社会で活躍する人に育ってほしいと考えております。
経費について、様々な御意見をいただいております。今後、予定しているプロポーザルでの事業候補者選定の中で、充実したプログラム、安全・安心な行程を前提としつつ、学校ごとの研修プログラムの費用や交通費など、各項目を精査、そして縮減に努め、皆様の納得が得られるよう取り組んでまいります。
最後に、様々な観点からの国際理解教育の推進についてのお尋ねです。教育委員会では、全ての区立中学校でオンラインを活用した放課後英会話教室の実施や、近隣大使館の方を招いて各国の生活様式や伝統について学ぶなど、グローバル化のさらなる進展に伴い、国際社会で活躍できる人材を育成するため、国際理解教育を積極的に推進しております。コロナ禍の影響で中学生としての様々な体験の機会が失われてしまった生徒も含め、港区で暮らす子どもたちに国際人育成の視点からどのような支援ができるのか、御指摘も踏まえ積極的に検討してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
〔
選挙管理委員会委員長(佐藤伸弘君)登壇〕
○
選挙管理委員会委員長(佐藤伸弘君) ただいまの
自民党議員団を代表しての
うかい雅彦議員の御質問にお答えいたします。
供託金返還期間の遅延についてのお尋ねです。
供託物は、選挙の効力が確定した後に返還を請求することができると公職選挙法施行令で定められております。一方、公職選挙法は、選挙の効力に疑義があるときは、選挙を執行した選挙管理委員会に異議申出を行うこと、異議に対する決定に不服があるときは、都道府県選挙管理委員会に審査の申立てをすることができることを選挙人の権利として認めております。
四月に行った港
区議会議員選挙では、選挙の効力の無効を訴える異議が提出され、当委員会が審議決定するまで選挙の効力が確定しないことから、立候補者全員に経緯と返還保留を通知しました。当委員会は、審議の結果、異議を棄却する決定を行い、告示するとともに異議申出人に決定書を送付し、区ホームページに経過と決定書の閲覧ができることを掲載しました。その後、異議申出人は、東京都選挙管理委員会に審査を申し立てたため、改めて立候補者全員に経緯と返還保留を通知いたしました。
去る八月九日、東京都が当委員会の棄却決定を支持する裁決を行ったことから、当委員会は選挙の効力が確定したとみなし、返還手続を通知しました。
以上が経緯になります。
現在、委員会の傍聴を認めることにより情報公開に努めておりますが、選挙への関心をより深めていただけるよう、今後はさらなる情報公開の在り方を検討してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○議長(鈴木たかや君) 次に、十二番
石渡ゆきこ議員。
〔十二番(石渡ゆきこ君)登壇、拍手〕
○十二番(石渡ゆきこ君) この四月の統一地方選挙で二期目を務めさせていただくことになりました石渡ゆきこです。所属会派である
みなと未来会議を代表しまして、区長及び教育長に質問させていただきます。
まず一点目、こちらは港区の税収に対する考え方についてということで取り上げさせていただきます。
今、私は、昭和の紙の時代の人間なので、タブレットではなくて、自分の持ち原稿は紙の原稿でやっているんですが、もう一枚、ちょうど今、役所では令和六年度の予算を編成して、一生懸命考えていらっしゃるときだと思います。そちらのペーパーもあんちょこ用として持ってきております。非常に読み応えがある、一枚にまとめられていますけれども、いろいろ区のメッセージ、それから我々区議会が考えなければならないことがたくさん込められていると思います。例えば、こう書いてあります。まずのタイトルが「アフターコロナに向けて、にぎわいとやさしさに満ちた港区へ力強く踏み出す予算」、本当にこの問題は大事だと思い、私は、まず最初に、税収に関する考え方を取り上げさせていただきました。
武井区政の本質は、その成果として、子育て世代、高齢者世代、障害者に、小規模事業者などに相当程度還元されていると思います。そして、その集大成として、当初年度予算で策定した堅実な税収規模を大幅に上回る徴税が、令和五年度の本年も予想されています。今から数字を長々と述べますけれども、令和三年度の特別区民税収入の当初予算額は六百九十一億三千七百八十五万七千円、収入額が八百十六億五千五百六十二万二千円となりますから、この収入額から当初予算額を引くと百二十五億千七百七十六万五千円という計算になります。同じような計算を令和四年度でやってみますと、八百十五億四百四十三万四千円の当初予算額に対して、収入額は九百十七億四千三百九十万五千円。こちらも差し引きますと、百二億三千九百四十七万千円が余剰となる計算です。私はあえて余剰という、これはいろいろ考え方があると思いますが、ここでは余剰、余りという言葉を使わせていただきます。
令和五年度の当初予算額は八百六十四億五千六百四十九万四千円になりますが、こちらも安定的な財政の見通しということから、ほぼ確実に多額の余剰が出る見込みと考えられます。財政の見通しとしましては、給与所得が増加を続けているということと、譲渡所得税が港区は堅調でありますから、今後も手堅く推移するということが考えられるのですが、このように大幅な余剰が連続して何年も続くという可能性がある現状では、これは当初予算でも武井区政の理念を生かした行政サービスは実行可能と、行政自身が判断しての予算編成ですから、それを貫いていただいて、例えば余剰、取り過ぎということに関しては、それをそのまま再分配や基金に投入するというよりも、物価高に直面し、将来のリスクを抱えている、そういう問題に対峙しなければならない区民に返すべきではないかと思います。
そして、特別区民税減税、この話を地方レベルですると、実は私、この話を何人かにしたところ、「えっ区民税で減税できるんですか」という言葉を何人かおっしゃった方がいますが、できるんです。特別区民税の減税については、自治体レベルで利用可能な選択肢です。これは国も指摘しております。そして、かつて地方税減税の取組が活発化した時期がありました。愛知県半田市は、二〇一〇年度に限った措置ではありますけれども、個人市民税減税の市税条例改正を行っております。埼玉県北本市でも、平成二十三年度の課税のみですが、同じような引下げを行っております。
社会の前提が昭和や平成のそれとは異なった令和の港区においてでありますけれども、改めて自治体自ら、また議会自らが税率に関する問いかけを通して税金の在り方、そしてその使い方の意義を区民とともに問い直すべき時期に来たと考えて、この質問を最初に据えております。
武井区長、港区で特別区民税減税をやろうではありませんか。特別区民税減税という手法について、区長の見解を伺います。
実は、国政レベルで同じことを言っておりますのが、私は国民民主党という政党に所属しているのですが、「成長減税」という言葉を、最近、私どもの党の代表、玉木雄一郎が口にしております。この成長減税、なかなかなじみがないかもしれませんが、実は昭和四十年代には、結構積極的に使われていたオプションでもあります。所得税は基本的に累進構造を有しているため、高度経済成長期においては、国民の所得が上がっていったり、さらに物価が上昇していく場合に、それに応じて所得税の減税が行われることがありました。一方で、例えばドルショックが起きたり、石油危機、こういった背景をした不況対策、この場面でも実は所得税減税が行われたことがあります。
そういう意味では、我々は地方議会の議員として、条例でできると定められた我々にとっての権利を行使するという意味において、改めて、これは当然条例改正を伴うというのは大変なことでありますけれども、一つの選択肢を示す。そして、あらゆるいろいろな方策ということで我々も積極的に提案をさせていただきます。
また、同じ税収の話、サービスの受益が一定程度制限されている職種に対する区民税減税についても自治体の判断で減免ができるということで、次の質問に移ります。
海に面した港区では、海運産業の従事者もいますので、例えば長期外国航路勤務に従事する船員に対して、税の減免を行う、このことについてはいかがでしょうか。例えば、もう既に三重県鳥羽市や四日市市、静岡県焼津市などでは、個人住民税均等割の減免措置が実施されているといった実例があります。こちらについても区の御意見をお伺いいたします。
次に、私がくたくたになるまで読み込んでおります令和六年度の予算編成方針について、こちらの基本方針の中には「あらゆる手法での財源確保」という言葉があります。あらゆるです。そうすると、この中身は具体的に何を指しているのか。法律上取り得る手法を全て射程とすると捉えることもできます。そうなると、例えば自治体が本来有している課税自主権についてはどうなのでしょうか。港区でも、実は平成のある時期に目的税の導入について議論されたことがあるのは、区議会の議事録にも残っています。たばこ自動販売機設置税を一生懸命検討していた時期がありました。このような目的税、そして一般的な超過課税についての港区の考え方、方針を伺わせていただきます。
また、あらゆる財源としましては、もう既に収入は入ってきていますが、令和六年度から徴収がスタートする森林環境税及び森林環境譲与税の影響というものについても伺います。この新税については、もう既に一定額の分配が行われているものの、使いこなせていない自治体があるということが報道に上がっているわけですが、港区ではこの新税について、今後どのように活用していく方針なのでしょうか。
そして、さらに今回は、港区の事務手数料についても区の見解を伺います。今回、事務証明書の発行手数料についてちょっとくどいような形ですが、説明させていただきます。港区は、実はコロナ禍において、全国に先駆け、手数料条例の規定を活用して、コロナ禍での証明書発行料その他の費用の無料化を行いました。この手数料無料化は、従前の手数料の考え方からするならば、かなり異例と言われる措置にも考えられます。従前の考え方であるならば、個別事情に応じて、都度都度、個別に条例の規定に沿って減免の判断がされます。そしてこの場合、区長判断によって減免というのができますけれども、これも個別的になされていたはずでした。しかし、コロナ禍での証明書発行手数料の無料化は、区がコロナ禍で生活苦に見舞われる区民への負担を軽減するという、ある種統一的な政策の一手法として、個々の条例に規定された減免規定を横断的に活用したようにも思えます。
そこで港区は、今後も、今回のような手数料の減免規定の活用に取り組んでいく可能性があるのか。それともあくまでもこれは例外的な位置づけであるのか。つまり、原則論によるのか、さらに原則を飛び越えて、新たな創造的行政行為に踏み込むのかといったような形で、ここはぜひ区の見解を伺っておきたいと思います。
二点目は、債権管理事務の効率化について伺います。
監査委員の決算等審査意見書を引用させてください。「債権は、滞納期間が長くなるにつれ徴収が困難となり、徴収に係る事務処理に多大なコストを要する」。これは私も弁護士として債権回収、そういった現場に入ることもありますから、そのとおりだと思います。実は債権管理においては、回収期間が長くなればなるほど、コストはかかるものの徴収率は上がりません。これを行政において、回収不可能な債権を時効寸前まで抱え込んでいてはいけないと思います。そのため、港区でも港区債権管理条例ができて、はや八年、これまでいろいろな積み上げたノウハウがあると思います。これまで積み上げた債権管理のノウハウを今後の債権管理ではどのように活用していくのか、こちらが大事な点なので伺います。
続きまして、港区の人権政策一般について伺わせていただきます。
まず一点目、差別感情を拭い去るための不断の努力についてです。福田村事件という話題の映画を見てきました。関東大震災の後に千葉県福田村で起きた行商団九人の殺害事件を扱った映画になります。殺された九人には幼い子ども、さらに妊婦さんも含まれているので九人ではないよ、産まれる間近の子どもを入れたら十人だという映画の中のせりふが大変胸に詰まる映画ですが、殺したのは地元の自警団ということになります。被害者が全員、被差別部落出身だったという事実や、殺害された理由が朝鮮人に間違えられたという民族差別もさりながら、行商という職業に対する当時の職業差別、こういういろいろ複合差別の根が考えさせられる映画でありました。これら複合差別の根というのは、折に触れ、今の社会にも頑固に存在すると思います。
私は、折に触れてハンセン病問題について、港区でもしっかりと検証をということをお話ししてきました。このハンセン病は、現在当事者の方々が、高齢になりましたがいらっしゃるわけですから、学校の現場で実際に隔離された人の話を聞き、また差別が、私ども弁護士会もそれに加担したことは痛恨の至り、反省を何度口にしても足りるものではありませんが、こういった社会が、法曹業界が、あらゆるところが差別に加担していって、差別が社会構造化していった。そういう過程を話や資料で追体験することは、人は何かの拍子に差別主義的になることもある、または差別に鈍感になることもあるということを一人一人が自覚することに、重要なことにつながると思います。
港区でも、そういう意味では人権意識を高めて、自らの中の差別感情の根を抑える訓練、差別についてしっかりと学ぶ機会を提供していただきたい。港区では、どのように社会や子どもたちの人権意識を高めていくことに取り組んでいるのか、区の取組と学校現場での取組について、現状を伺います。
あわせて、犯罪被害者の支援、それから障害を抱える加害者の支援について二点伺います。犯罪被害者の支援については、例えば条例の整備などという必要性を何度も申し上げて、論をまたないことではありますが、それだけではない。福祉や行政サービスメニューを整えて、自治体が被害者の支援に取り組むことで、被害者、犯罪に遭われた方、それから家族が巻き込まれた苛烈な人権侵害に対して、少しずつ回復していくために行政も寄り添う、そのためにはとても重要です。港区は、どのように犯罪被害者支援に取り組んでいくのかを伺います。
また一方で、弁護士の立場からは、常習的な性犯罪や一部の累犯事案というような場合を含めて、犯罪を犯してしまったけれども、その後に罪を償い社会に出てきた加害者の方々の更生支援が、結局のところは被害減少にもつながると、実は再犯率の減少ということには、そういう可能性が、関係性が成立します。特に最近は、障害を抱えているという加害者が受刑者の中で増えておりますので、そこでこの質問をさせていただきます。彼らが罪を償い社会に復帰した後に、どのような行政サポートがあるのか、障害を抱える加害者支援を含めた問題について伺います。
なお、この質問を作るに当たり、長年犯罪被害者の支援を行っている団体の方にも御意見を伺いました。そうすると、直接具体的に支援してくださる支援先が分からない、つながり先が分からない、そういった切実な御意見があります。支援メニューがあるのだとして、そのつながり先が分からないということは、せっかくあるオプションを使えないという問題になりますから、こうしたことについても、これから折に触れて発言させていただきたいと思います。
続きまして、ちょっと問題が変わりますけれども、街路樹の機能についてお話をさせていただきたい。街路樹の再評価をというタイトルです。最近、どうしてもうちで仕事をする時間が多いので、ユーチューブをつけながら作業するという時間が増えていますが、そこの中で千葉大学名誉教授の藤井英二郎さん、この方が玉川上水緑道を歩きながらいろいろ、某区としておきます。ちょっと区の名前を出してしまうと差し障りがありますので、港区ではありません。違う区のところです。樹木管理の状態について、いろいろぶつぶつと指摘する。「藤井英二郎先生と歩く玉川上水緑道」というユーチューブがありまして、結構木の愛好家の中では話題になっております。
例えば、こんな苦言が続きます。「本来の植え方と違う」とか、「ドイツでは直径五センチ以上の枝は切りません」とか、「こんな暑い時期に移植したら枯れますよ」。ぼろぼろ言っていますけれども、管理者に対する苦言というよりは、これらの言葉を通じて私が気づかされたのは、樹木を守るという理念は、実は抽象的に言えばそれでよしというわけではありません。合理的な手法と適切な予算措置、それによって具体的に実現されるものです。
そこで、街路樹や高木の管理に関連した質問を二点させてください。
一つは、神宮外苑のイチョウ並木についてです。港区にとっては、聖徳記念絵画館前の景観は非常に重要な社会的資源です。区長には、したがってイチョウ並木の景観の維持について、事業者が提出する保全計画をしっかりと検討し、その内容が適正なものとなるように指示し、保全がより科学的・合理的に担保されるよう、先ほども似たような質問がありまして、守るというようなことに触れての抽象的な言葉は出たと思いますけれども、科学的に合理的に担保されるように、港区としても事業者の提案を精査すべきと考えますが、区長の見解を伺います。
次に、猛暑対策としての街路樹の緑陰確保について、樹冠被覆率を意識しませんかというお話です。さっきから私の言葉には漢字ばっかりで申し訳ありません。樹冠被覆率、聞いたことがあるでしょうか。樹冠は樹木の樹、それに冠と書いて「じゅかん」と読みます。地面の緑に対しての、対応する考え方としての樹冠、これは枝葉の茂っている部分を指します。こちらの面積割合を示します。欧米は一部の都市の緑化基準として樹冠被覆率を用いておりますけれども、日本では伝統的に緑化基準を示す指標は、緑被率という言葉を使います。この緑被率という概念だと、実は芝生や中低木が含まれ、一方で、樹冠被覆率という概念には芝生や中低木は含まれません。
樹冠が広がると、強い日差しを遮る範囲が広がって緑陰効果、緑の陰の効果が広がると言われます。街路樹が植わっている植樹帯の土壌は、雨水を吸収して都市洪水を防ぐ機能もありますし、またさらに吸収された水分が今度は気温が上昇する際に蒸発して、気化熱によって土の表面を冷やす、ある種、打ち水のような効果があるとも言われています。
そこで、港区として、街路樹の緑陰をこれからも確保し続けることは、暑さ対策の柱の一つにもなるのではないかと思いまして、ここは欧米基準に倣うというわけではありませんが、樹冠被覆率を意識したまちづくりについても進めていくべきではないかと思います。区は、街路樹の緑陰確保を意識した維持管理を進めていくことについて、どうお考えになるのか伺います。
次は五点目、不適正事務の防止のための体制強化について伺います。
港区は、実は二〇二二年、三田労働基準監督署から保育園の超過勤務の取扱いについて指導を受けております。この問題は、当局から指摘された二つの保育園以外にも複数、残業代の未払いが明らかとなり、これは前の区議会の十九期だと思いますけれども、総務常任委員会で報告が行われました。そして、億単位の支払いを区は行うことになりました。
そこで、人員体制の見直しをというタイトルで質問させていただきますが、この保育園の残業代未払い事件の背景に職員の人手不足はないでしょうか。この問題に対しては、実は港区の職員労働組合は二〇一八年からアンケートを行って、区に対してサービス残業の問題があることを指摘しております。二〇二〇年当時、私の下にも現役の職員の方から情報提供がありました。各所に確認をしましたが、残念ながら内部のこうした指摘に基づく抜本的改善はされずに、外部からの指摘を受けてこういうことになった。これはちょっと問題だと思いました。
そもそも港区の職員割り振りというものは、港区の職員定数条例というものがありますので、キャップがあるように感じます。ただ、行政需要がこれだけ増加し、業務量が拡大している中において、私は再度、適切な人員配置について、定数増を含めた検討をすべきで、そのための必要な条例改正にも取り組むべきだと思うのです。なぜなら現在の行政は、これまでの画一的なサービス提供から、より個々の事情に配慮した、つまり寄り添い型、伴走支援型のオーダーメードのサービスを目指しているように、つまり質の転換が行われているようにも感じます。そうすると、当たり前ですけれども、これまで私が例えば大学で勉強していたような簡素な行政というものから質が変わっているように思いますから、当然人の手、人員体制が必要です。この事務ミスの背景に、業務量の過多による慢性的な人員不足という問題が隠れていないか心配なので伺います。人員体制の見直しを検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
二点目には、会計年度任用職員についての質問です。現在の会計年度任用職員、五年雇用の方は令和六年度中に再募集を行うことになりますが、現在、会計年度任用職員を併せての区の職員体制ということになっておりますから、必要数を確保するにして、ほかの自治体に比べて、港区が適切な労働条件を提示しないと、必要人数が集まらないというような不測の事態も考えられるわけです。待遇改善、特に初任給の引上げ等の具体的な改善を行うべきではないか。令和七年度以降の人員体制に支障が出ないよう、非常勤職員の確保に区としても注力していくべきではないかと考えて、区の姿勢を伺います。
六点目は、行政サービスにおける質の担保についてです。
一点目、学童の問題について取り上げます。これまでも保育園やいろいろな問題について質の話というものは取り上げられておりますから、今日は学童について取り上げさせてください。
二〇二一年の朝日新聞の記事では、愛知県の放課後児童クラブでの支援員の暴言が記事となっております。人権上の配慮を欠く不適切な対応を、指導員が児童に威圧的な発言を繰り返すなどしていたということであって、市にも保護者からの苦情の電話が複数件あったということでした。不幸中の幸いで暴力行為はなかったようですけれども、怖いということで通所をやめた児童もいたということです。
この話を聞いて、議員の中には何か思い浮かぶ方がいらっしゃるかもしれません。港区の学童クラブでも指導員の暴言が問題となった事例がございます。ただし、このケースは所管課、芝浦港南地区総合支所管理課になるのでしょうか、頑張って再発防止策などを事業者から提出させ、改善に努めたと聞いております。ただ、そもそもが、学童というのは保育園や学校に比べて歴史が浅い。ということは、区の監督歴も浅いわけで、そうなってくると、例えば港区のAで起きた不適切指導が港区のほかの学童で行われていないという保証はないわけですから、本当は区内の全事業者への調査、もしくは親へのアンケート調査など、もっと横断的な調査を行うべき事案だったのではないかと私は考えております。
ある一例を紹介しますと、愛知県豊田市のとよた子どもの権利相談室「こことよ」というのがありますけれども、こちらが保護者から放課後児童クラブでの指導について相談を受けた。このことをきっかけに、「こことよ」は市内全クラブを対象とした調査を行いました。そうしたら既に通告がある。そちらだけではない。子どもに対する不適切指導等が複数明らかになった。これは大変だということで、市長に対して、クラブの指導員に対する研修機会の保障などの制度改善を要請したというケースがあったそうです。
港区としても、学童の質や安全をどう底上げしていって、不適切指導の防止や安全の確保にどう取り組んでいくのでしょうか、伺います。
次の二点目の質の確保は、特別養護老人ホーム等の高齢者施設での栄養失調の防止についての質問です。高齢者施設に入居中に、提供されている食事をある程度は食べていたのに、体重がどんどん減少する方がいらっしゃいます。これは、普通は老衰と言われていたのですが、本当にそうなのかということです。ある医師によると、慢性疾患を持つ高齢者は、健常な成人よりもエネルギー消費が多い場合がある。例えば呼吸不全や腎不全、悪性腫瘍、こういったことは多大なエネルギーを消耗するそうなので、例えばちゃんと施設が出したカロリーを食べているのに栄養が減ってしまうということも起こり得る。つまり、栄養失調です。このような低栄養素状態の高齢者だと寝たきりのリスクや死亡リスクが高くなるため、早期に栄養状態ということを改善するということは、実は入居されている方の生活の質にも関わりますし、介護者側の負担を軽減することにもつながります。
介護報酬の改定において、栄養マネジメントの強化加算が令和三年度から導入されました。経過措置の三年が過ぎた令和六年から減算されることになるため、区の指導監督力がより問われることになります。この栄養マネジメントに対して、最新の医学的知見に合わせた適切なものを、港区としても組織任せではなくて、しっかりと監督指導することが問われます。区内の特別養護老人ホームでの栄養マネジメントを含めた介護の質を高めていくことについて、区の今後の方針を伺います。
続いて、産業振興策について伺います。
港区の産業振興は、歴史的な物価上昇が続いている、大変厳しいと言わざるを得ない。お祭りや地域の行事に大変人が集まって、お店にも人があふれているように思いますが、一方では、コロナ禍での事業者支援であったゼロゼロ融資の返済が、今後、本格的に始まると言われています。果たして事業者のどの程度の方が返し切れるのか。現在、企業の倒産数は確実に増加傾向にあって、例えば二〇二三年上半期の倒産は前年度比三二%、三割以上上がっていると数値で言われています。今後、減る傾向はありません。
そこで、港区の産業振興策について二点お伺いします。
一点目、コロナ禍において、港区がいち早く手がけた無利子で信用保証料を区が全額補助する、この緊急的な特別融資あっせん、非常に画期的でした。多くの事業者に利用されました。これからコロナ禍の影響から脱却しなければならない中で、物価高に直面する事業者に対して、同じような分け隔てのない救済メニューを港区として準備すべきです。いかがでしょうか。
次に、産業振興センターの今後の展開についても併せて伺います。つい最近、田町駅前の開発のメニューが明らかになりまして、ここの中では開発事業者である三井不動産さんが創業スペース支援、創業者支援を行うという話も出てまいりました。さらには、品川の再開発地域の中でも産業支援センターができると、こちらはいずれも民間のものではありますけれども、区内各地で類似の事業が展開されていきます。そうなってくると、区の産業振興センターの意義が改めて問われます。差別化すること、そしてお互いの強みを生かして連携すること。区は、産業振興センターを今後、どのような施設として位置づけていく方針なのでしょうか。
次は、災害ケースマネジメントについて伺います。
震災のお話ということですが、この災害ケースマネジメントは震災後をにらんだ、今からできる対策です。人はいつでも、どこでも被災当事者になり得る。したがって、災害ケースマネジメントという言葉、被災者一人一人の被災状況や生活状況の課題等を個別の相談等に把握した上で、必要に応じて、専門家や関係者と連携しながら、その問題の解消に向けて継続的に支援していくこと、それによって被災者の自立・生活再建が進むようマネジメントする取組と言われておりますが、こうした災害ケースマネジメントを整えることによって、このマンションだらけの港区の中で災害ケースマネジメントを積極的に率先して充実させていく立場にあると、港区こそがあるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。区の御意見を伺います。
続いて、定住促進策拡充についてです。
単身高齢者世帯などの増加により、住宅の確保は難しいというお話が来ます。これは高齢者だけではありません。障害をお持ちの世帯もそうですし、さらにはお子さんがいっぱいいらっしゃる多子世帯においてもそうです。こういった方々を住宅確保要配慮者という言い方を行政的にはするのでしょうけれども、とにかく住み替え先が難しいと言われる方々の居住支援ニーズが高まっています。
例えば、港区では再開発や老朽建物の再整備が進む中で、高齢者が住居探しに苦労している。これは収入が多い方もです。収入が少ないから、今、港区は高くなっているから住み替えられないというのは何となく想像がつきますけれども、その相談の中には、普通の厚生年金受給者の方もいる。普通に働いてきて、それで住み替え先がないというのはかなり問題なのではないかと思いますが、中には再開発によって不動産を売却するという意味では、相当数の資金をお持ちの方もいらっしゃいますが、その方も同じような相談を私にしてきました。住み替え先がない。つまり、等しく高齢であるという事情が先に立って、民間賃貸住宅を借りることのハードルが急に高くなってしまうのです。
高齢者の居住対策としては、入居後に孤独死したり、または所有物を残したまま退去したり、つまり入院したり、こういうケースがいろいろ想定されるので、なかなか難しい部分があるため、オーナー側に住宅を提供する拒否感が強いということがあるのかもしれません。でもここを払拭しなければ、民間賃貸住宅の提供は進みません。同じような問題がいろいろほかの住宅確保をすべき要配慮者にはありますが、このような各論はまた別の機会にさせていただくこととして、今日は、区が住宅確保要配慮者の居住支援について、どのように取り組んでいくのか伺います。
続きまして、みなと芸術センターについてです。浜松町に新しく整備されるみなと芸術センターが区民に親しまれる工夫を行ってくださいという質問になります。
こちらは区民に親しまれる工夫について、例えば気運醸成プログラムの効果も含めて、港区がどのように今進めていかれるのかという質問をさせていただきます。
続きまして、子ども家庭支援センター等について伺います。
子ども家庭支援センターが児童相談所と同じ建物に設置され、極めて近しい関係で情報を共有することができることになったおかげで、ケース会議などもスムーズに行うことができて、いろいろなプラスのメリットができたと聞いております。児童相談所は、どうしても子どもを中心とした施設です。そのために児童相談所が関与した子どもの家族との関係性がこじれる場面というのも、それは当たり前ですが仕事柄あるわけです。一方で、子どもの対応は児童相談所がプロフェッショナルだとしても、今度、親との関係ということを考えますと、子どもが措置されたり、一時保護されている場面での家族のケア、家庭のサポートということについて、例えば児童相談所ではなく、子ども家庭支援センターのリソースを使うことは考えられないでしょうか。または児童相談所が親子の再統合に関与するといっても、自宅という家庭の密室にいきなり戻してしまっていいのかどうか、判断に悩む場面も非常にあると思います。
例えば母子生活支援施設、せっかく一体型なわけですから、こちらを活用するといったことも、港区のまさに一体型複合施設である児童相談所なら可能なわけです。港区として、子ども家庭支援センターや母子生活支援施設といった、せっかく児童相談所が同じ建物にあるというすごい環境を大きなメリットとして活用すべきだと思いますが、これまでに区が実感したメリットはどうであるのか。また、複合施設のメリットを生かした家庭復帰支援が必要だと考えますけれども、こちらについて区の見解を伺います。
続きまして、発達障害を抱える若者支援についての質問です。
先ほど何回も示しております令和六年度の予算編成方針の重点施策では、子どもや若者が将来に希望を持てるまちといったタイトルが並びます。そこの中で、今回、具体的に若者支援という言葉に着目して、発達障害を抱えた若者へのサポートについて聞かせてください。この若者支援ということについて、今後は行政も我々議会も、知恵もお財布も絞らなければならないと思っております。
野村総研さんのレポートにこんなレポートがありました。「デジタル社会における発達障害人材のさらなる活躍機会とその経済的インパクト」というタイトルですけれども、これによると発達障害を抱えた人材が活躍できていないことによる日本での社会的損失、これは野村総研の独自の試算になりますが、約二・三兆円規模に上るそうです。少子高齢化が進む日本の中では、例えば、今、成長産業であるIT業界などでは、二〇三〇年時点で既に大量の人材不足を起こすと言われていますけれども、こうした中で産業人材を確保するためには、現在あまり働けていない、さらにはその能力を十分に生かし切れていない、こういった方々の活躍機会を向上させることが重要だと野村総研のレポートでは指摘されています。
なお、発達障害を抱えた方の生産性に関しましては、サポート制度や周囲の理解がある職場環境で働く場合には向上する。しかも、かなり向上するということが、そちらのレポートの中でも具体的に指摘されておりました。個人個人の特質に合わせた合理的配慮をマネジメントスキルとして幅広く職場に持ち込むことは、発達障害を抱えた人の生産性を向上するだけではなく、女性、外国人、子どもを持った親、そういったいろいろな方々の働きやすい職場環境整備にもつながると考えます。港区の若者支援メニューとして、発達障害を抱える若者の就業支援策を取り入れることにつき、区長の御意見を伺います。
また、併せて発達障害を抱える子どもや若者の家族支援も必要と考えますが、それについても区の姿勢を聞かせてください。
最後に、当事者の意見の採用と書かせていただきました。この採用というのは、政策決定過程に当事者がきちんと入り込むという意味で使わせていただいております。区立学校の魅力向上策として、先日、公立中学校の修学旅行というものが示されましたが、私のところにもいろいろ意見がありますし、皆さん、私の前に座っている各議員のところにもいろいろな御意見が寄せられていると思います。今日も取材が入っているようですけれども。この問題、その中で私があっと思わされたものは、どうして保護者に意見を聞いてくれなかったのか。保護者にアンケートを取ってほしかった。その対象となる子どもたちはどう考えているのだろうか、そういう言葉でした。
港区では、様々な事業を計画しますが、その事業を計画するに当たって、利用者、つまり当事者である、例えば保護者であったり、子ども自身の言葉がその政策に取り入れられる、このことこそが重要ではないでしょうか。そうでないと、例えばどれだけすばらしい理論だとしても、行政の思いが押しつけられただけというふうに最終的にやゆされるような、そうした悲しい結末にならないように、やはりそれは手続も含めて、しっかりと当事者が政策決定の過程の中にいるべきだと考えます。今後、学校教育や区立学校の大きな方針を定める際に、今回のような修学旅行先の大転換もそうですが、小中一貫教育校への転換もしかり、しっかりと保護者や生徒自身の意見を吸い上げていって施策に反映させていただきたいと思います。
港区として、今後の具体策を展開していく際に、その政策決定過程に当事者である、例えば今回の例では保護者や生徒たちがいなければならないと考えるわけですけれども、こちらについては、私は、今日は学校の例を取り上げたので、教育長のお考えについて伺います。いかがでしょうか。
質問を一問一答ではなくて、読み上げるというと、聞いていらっしゃる方もなかなか大変ではないかと思いますけれども、読んでいる私も時々かんでしまって、特に長い熟語のところでは発音が変なところもあったのではないかと思います。後でしっかりと読み原稿のほうを皆さんに、区の議会事務局のほうが文字起こしをしてくださると思いますが、そうした一人一人の区の行政の職員の手によって私たちの議会活動も成り立っております。そういう意味においては、いま一度、やはり人材というものを、人の手によって仕事が回っている、そうしたことをせざるを得ない部署というものもあるということにおいて、改めて職員の人員体制はどうであるのか、さらには、税金はどうなのかといった青臭い議論ですが、基本に立ち戻って、改めて二期目の最初の議論として武井区長に伺わせてください。区のしっかりとした意見を聞かせていただきたいと思います。
質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの
みなと未来会議を代表しての
石渡ゆきこ議員の御質問に順次お答えいたします。
最初に、税収に関する考え方についてのお尋ねです。
まず、特別区民税の減税についてです。区は、現在、令和六年度からの三年間の新たな財政計画の策定を進めております。計画の策定に当たり、人口の増加に伴う扶助費等の行政需要の増加を見込んでおり、それらの財源として、特別区民税収入は歳入の根幹となる貴重な財源と捉えております。このため、特別区民税の減税は予定しておりませんが、港区ならではの質の高い行政サービスとして還元し、区民の期待に最大限応えられる財政計画を策定してまいります。
次に、長期外国航路勤務の船員に対する特別区民税の減免についてのお尋ねです。長期外国航路勤務の船員に対する特別区民税の減免については、租税の公平性の原則を考慮するとともに、他自治体との均衡が損なわれないよう、引き続き他自治体の検討状況を注視し、調査研究をしてまいります。
次に、目的税、超過課税についてのお尋ねです。自主、自律した区政運営のためには自主財源の確保は重要です。法定外目的税や超過課税は、法定の税率や税目によらず課税するものであるため、導入に当たっては、地域特有の課題における受益と負担の関係を明確にするなど、慎重に検討を進める必要があると考えております。現在、法定外目的税や超過課税の導入については予定しておりませんが、さらなる自主財源の確保に向けて、法定外目的税等を含めて調査研究をしてまいります。
次に、森林環境譲与税の活用についてのお尋ねです。区は、地球温暖化防止の役割を持つ森林の整備に貢献するため、木材利用の促進や普及啓発に森林環境譲与税を活用しております。具体的には、区との協定により再植林を約束した全国八十の自治体の協定木材の使用を促進するみなとモデル二酸化炭素固定認証制度や、親子で木に親しみ、木に触れ、森を知り、森林保全の大切さを考える機会を提供する木工ワークショップの開催など、区独自の取組を行っております。引き続き、協定自治体をPRする催しや区民参加型の事業など、区と協定自治体双方の発展に向けた取組や、国産木材の活用等について理解を促す事業に活用してまいります。
次に、事務手数料の減免についてのお尋ねです。区は、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大という非常時において速やかに着手でき、効果的に区民や事業者の経済負担を軽減する支援策の一つとして、令和二年四月から住民票の交付をはじめ、印鑑証明や営業許可申請など約百五十に及ぶ事務手数料を免除しております。現在の事務手数料の減免はコロナ禍での臨時的な措置として講じておりますが、今後も、区民生活や区内産業の支援のために必要と判断した場合には減免の実施を検討してまいります。
次に、債権管理に関するノウハウの活用についてのお尋ねです。
区では、債権管理委員会を設置し、庁内で債権管理の対応事例の共有を図り、情報を蓄積しております。また、自治体債権管理の経験が豊富な弁護士からアドバイスを受け、督促・分納交渉、回収、差押え、放棄といった滞納整理業務を、時機を失することなく、かつ、丁寧に取り組んでおります。さらに、今年度から職員の経験に応じたスキルアップを図るため、初心者、経験者、管理職に分けて債権管理研修を実施し、積極的に債権管理業務に取り組める人材の育成に努めております。今後も、全職員が区民の大切な財産である債権の意義を十分理解し、独自に培った知見を生かして債権管理に取り組んでまいります。
次に、人権政策についてのお尋ねです。
まず、地域社会における人権意識を高めるための取組についてです。区は、基本構想の理念に基本的人権が守られる地域社会をつくることを掲げ、誰もが自分らしく生きがいを持って心豊かに暮らせるよう、様々な人権施策を進めております。これまでも広報みなとや区ホームページ、啓発冊子の配布等の広報活動に加え、人権啓発につながる講演会や講座の開催、映画の上映を通じて、インターネットによる誹謗中傷や多様な性への差別など、身近にある人権課題を取り上げ、偏見や差別の解消に取り組んでまいりました。今後もこのような取組を継続的に実施し、地域社会における人権尊重の意識を高めてまいります。
次に、犯罪被害者支援についてのお尋ねです。区では、支援の必要な方や支援を求める方が受けた被害を回復、軽減し、再び平穏な生活を送ることができるよう、リーブラ相談室において相談に応じるとともに、広報みなとや人権講座の開催を通じて、犯罪被害者やその家族の人権に周囲の人たちが配慮することの大切さを区民等に伝えております。
また、令和二年三月に制定された東京都犯罪被害者等支援条例を踏まえ、犯罪の被害に遭われた方やその家族、遺族の支援に向け、東京都や被害者支援都民センター等と連携して取組を進めております。引き続き、被害者に寄り添った支援を行ってまいります。
次に、障害を抱える犯罪加害者の社会復帰後の支援についてのお尋ねです。区では、犯罪加害者の社会復帰に際して、地域社会の理解や関心を深め、地域の一員として受け入れるとともに、保護司会や東京都と連携しながら立ち直りを見守り、援助することにより、再び犯罪や非行に陥らないための環境づくりに努めております。
障害により福祉的な支援を必要とする犯罪加害者については、東京都地域生活定着支援センターと連携・協働しながら、更生施設の入所中から相談支援を実施するとともに、社会復帰後もグループホームや自立訓練などの福祉サービスの利用を調整し、継続的な援助を行うことにより地域生活への定着を支援しております。
次に、街路樹の機能の再評価についてのお尋ねです。
まず、神宮外苑のイチョウ並木の保全についてです。事業者は、本年七月に開催した説明会において、四列のイチョウ並木を適切に保全することを改めて宣言いたしました。また、イチョウ並木の保全の方針として、イチョウの活力度や根の調査結果を踏まえて、イチョウの生育に影響がある場合は、野球場の設計・施工計画を検討することを表明しました。事業者が提案するイチョウ並木の保全の方針については、東京都環境影響評価審議会での精査となるため、区は、イチョウ並木がつくり出す風格ある景観に配慮した施設計画を、さらに検討するよう事業者を指導してまいります。
次に、街路樹による緑陰の確保についてのお尋ねです。街路樹は区民にとって身近な緑であり、道路景観の形成や木陰による夏の暑さを和らげるなどの機能を持っております。区は、令和三年二月に策定した港区緑と水の総合計画に基づき、夏でも快適に歩ける屋外環境を創出するため、区内でも緑が少なく日中の気温が高いエリアを中心に、街路樹の育成、沿道の敷地所有者と協力した高木の育成による連続した木陰空間の形成に取り組んでおります。引き続き、暑さ対策として、街路樹の剪定時期の変更や樹木の形を意識した剪定などの工夫により、街路樹による木陰の確保に取り組んでまいります。
次に、適正な執行体制の確保についてのお尋ねです。
まず、職員の適正配置についてです。区では、毎年度、所属長へのヒアリング等を通して、翌年度の行政課題の抽出と業務量の把握を行っております。これまでも、区は、行政課題の性質・業務量に応じて、直接担うべき業務・分野には職員を配置し、時限的な対応には期限付定数で職員を柔軟に配置するほか、民間等の外部人材を効果的に活用するなど、迅速に質の高い行政サービスを提供してまいりました。今後も、簡素で効率的な執行体制を維持しつつ、適宜、業務量に応じた職員数を確保し、適正に配置することで、新たな行政需要に迅速かつ的確に対応してまいります。
次に、会計年度任用職員の安定的な確保についてのお尋ねです。会計年度任用職員の報酬及び勤務時間等の勤務条件については、常勤職員の給与や民間・他団体の同種の職の実態を踏まえ決定しております。昨年度は、欠員状況が続いていた専門性の極めて高い介護保険給付適正化指導員の報酬額や勤務時間を見直し、安定的な人材確保につなげたほか、保育園及び児童館等の職についても、初任給の経験加算の上限を引き上げるなど処遇改善を進めております。今後も様々な分野において、専門的な知識や豊富な経験で組織を支える会計年度任用職員の働きやすい職場環境を整備し、人材の安定的な確保に努めてまいります。
次に、行政サービスにおける質の担保についてのお尋ねです。まず、学童クラブにおける不適切指導の再発防止についてです。区は、学童クラブにおいて第三者評価を実施しているほか、指導員による不適切な対応を未然に防止するため、毎年、子どもの権利擁護等をテーマに研修を実施しております。また、より児童の安全を確保するため、活動中の事故防止マニュアルや児童への計画的な安全教育を定める安全計画を、全ての学童クラブで本年度中に策定いたします。引き続き、学童クラブを利用する児童が安全で安心して過ごせるよう、職員の指導力と質の向上に努めてまいります。
次に、特別養護老人ホームにおける介護サービスの質の向上についてのお尋ねです。特別養護老人ホームについては、指定権者である東京都が介護サービスの質の確保、利用者保護及び介護給付の適正化のための実地による指導を行い、地域密着型の特別養護老人ホームについては、区がそれぞれ定期的に実施をしております。
また、区では、それぞれの施設に利用者の声を聞き取る介護相談員の派遣や、利用者家族等から寄せられる日々の相談、苦情相談などを通じ、法令基準等に照らし、必要に応じて施設へのヒアリングや指導、助言を行っております。引き続き、入所者の状態に応じた栄養管理を含めた適切な施設運営に対する指導助言を徹底し、介護サービスの質の向上につなげてまいります。
次に、今後の産業振興策についてのお尋ねです。
まず、今後の中小企業支援についてです。区では、中小企業の経営の安定を支援するため、規模や業種にかかわらず利用できる低利の融資あっせん制度を設けております。また、景況調査や商工相談において、ニーズの高い求人情報掲載等の人材確保や販路拡大に向けた広告宣伝への補助事業に加え、今年度からは、人材紹介会社の活用に要する経費の補助を新たに開始するなど、事業者の意欲的な取組を後押ししております。今後も引き続き、地域経済を支える区内中小企業がコロナ禍から脱却し、事業活動を発展させていけるよう、的確な支援を迅速に実施してまいります。
次に、産業振興センターの今後の展開についてのお尋ねです。産業振興センターでは、区内の企業や大学、投資機関などとの連携により、スタートアップの資金調達や販路開拓・拡大等を支援する仕組みの構築を進めております。
また、東京都や札幌市、京都府などにある全国のスタートアップ支援拠点との情報交換により取組を充実させているほか、今後、新たな支援拠点とも積極的に連携し、スタートアップのビジネスの発展に有益な情報やマッチングの機会を提供していく予定です。産業振興センターが活力ある多くのスタートアップが集う魅力的な拠点となるよう、港区ならではの幅広い支援策を展開してまいります。
次に、災害ケースマネジメントについてのお尋ねです。
災害ケースマネジメントは、災害発生後、被災者が抱える生活の再建に向けた課題を解決するため、弁護士会、建築士会などの関係者が連携して支援する取組であり、近年、全国各地で取組が進められています。区は、多くの区民が共同住宅に居住しており、中高層の住宅も多数存在していることから、弁護士会、建築士会に加え、マンション管理士会などの団体とも連携・協力を進めていく必要があります。今後も関係機関との意見交換を進め、区の地域特性を踏まえた災害ケースマネジメントについて調査研究をしてまいります。
次に、住宅確保要配慮者の居住支援についてのお尋ねです。
区は、これまで高齢者や障害者など、住宅に困窮する区民が住み慣れた地域で安心して住み続けられる住宅を確保できるよう、居住の安定に努める住宅セーフティネットの構築に取り組んでまいりました。現在、今年度末に予定している港区住宅基本計画の改定に向け、学識経験者や民間事業者の意見も踏まえ、若者・子育て世帯への支援や高齢者の住み替え支援など、ライフステージごとに必要とされる居住継続のための施策についても検討を進めております。今後も多様な世帯が安心して暮らしていけるよう、定住促進に向けた住宅施策に取り組んでまいります。
次に、みなと芸術センターが区民に親しまれるための工夫についてのお尋ねです。
みなと芸術センターは、人々に愛され、区民が誇りを持てる施設を目指しております。区は、区民に親しみと愛着が生まれるよう施設に愛称をつけることを検討しているほか、昨年度から、みなと芸術センターへの関心や興味を持っていただくためにシンポジウムなどの気運醸成事業を実施しています。開館までは、体験型のワークショップや区内の文化芸術団体との協働事業等で多くの区民が関わる機会の充実を図るとともに、開館後の区民参画につなげてまいります。これらの取組を通して、みなと芸術センターへの理解を深め、区民に親しまれる施設となるよう取り組んでまいります。
次に、子ども家庭総合支援センターの複合施設としてのメリットと家庭復帰支援についてのお尋ねです。
この施設は、児童相談所、子ども家庭支援センター、母子生活支援施設が一体となった複合施設の強みを生かし、妊娠期から児童の自立までの相談を即時に共有し、子どもと家庭の状況に応じ、迅速に支援できることが最大のメリットです。これまでに、児童相談所による措置解除後の家庭復帰において、子ども家庭支援センターが親子を見守る中で養育に不安があるとの相談を受け、母子生活支援施設への入所につなげたケースもあります。今後も複合施設の強みを最大限に発揮し、家庭の状況変化を的確に捉え、迅速かつきめ細かな支援を行ってまいります。
次に、発達障害のある若者へのサポートについてのお尋ねです。
まず、就労支援についてです。就労経験が少ない発達障害のある若者に対し、区の障害者就労支援センターがハローワークなどと連携し、就労に必要な知識の提供や本人の適性に合った仕事を探す支援を行っております。就労後は職場を定期的に訪問し、上司にコミュニケーション方法を助言する就労定着の支援を行っております。
一方、障害者を受け入れる企業に対し、本年七月に発達障害の特性への理解、発達障害者の活躍事例などに関するセミナーを開催いたしました。今後とも、発達障害のある若者が自分らしく働き続けられるよう、関係機関と連携した就労支援に取り組んでまいります。
最後に、家族への支援についてのお尋ねです。区は、発達障害のある本人や家族に対し、発達障害者支援室において医師や心理職が相談に応じるとともに、関係機関や医療機関を紹介し、さらなる支援につなげております。また、周囲には理解されづらい家族の思いを共有できる場を設け、家族の関わり方やメンタルヘルスなどの勉強会、気楽に悩みを話し合える茶話会などを行っております。今後も発達障害のある若者や家族が安心して暮らせるよう、様々な手法で発達障害者支援に取り組んでまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(浦田幹男君)登壇〕
○教育長(浦田幹男君) ただいまの
みなと未来会議を代表しての
石渡ゆきこ議員の御質問に順次お答えいたします。
最初に、子どもたちの人権意識を高めていくための取組についてのお尋ねです。
教育委員会では、同和問題やハンセン病への理解など、あらゆる偏見や差別が起こらぬよう、教員に対して、年三回の人権教育研修を実施し、教員の指導力を高めております。各学校では、人権教育の指導計画を作成し、全ての学年において計画的に子どもたちの人権意識を醸成しております。具体的には、東京都人権プラザを訪問し、当事者の思いを知る学習を行うなど、人権課題への理解を深める取組を推進しております。引き続き、教育委員会では、様々な教員研修において人権尊重教育推進校の優れた実践を共有する機会を設定し、各学校の取組に生かすなど、教育活動の充実を図ることであらゆる偏見や差別が起こらぬよう、子どもたちの人権意識を高めてまいります。
最後に、当事者の意見の採用についてのお尋ねです。
昨年、教育委員会は、港区学校教育推進計画の改定に向け、区立学校に通う全ての小学校五年生と中学校二年生及び一部の保護者を対象にアンケート調査を行いました。児童・生徒への質問の一例を申し上げると、今後の学校生活で感染症が拡大する前と同じように行ってほしい授業は何かや、学校に対しての意見はなど、多岐にわたって学校教育の意見を求めております。
また、これまで教員と保護者を対象として行っていた学校評価に、今年度からは児童・生徒も参加するほか、一部の小・中学校で学校運営協議会に実際に児童・生徒の代表が参加して、考えを述べる機会を設けております。今後も保護者や児童・生徒の意見を学校教育に反映する機会の創出に努めてまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○副議長(七戸じゅん君) 議事の運営上、暫時休憩いたします。
午後三時五分休憩
午後三時三十分再開
○議長(鈴木たかや君) 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。
お諮りいたします。議事の運営上、あらかじめ時間を延長いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(鈴木たかや君) 御異議なきものと認め、時間は延長されました。
───────────────────────────
○議長(鈴木たかや君) 一般質問を続けます。次に、三十一番池田たけし議員。
〔三十一番(池田たけし君)登壇、拍手〕
○三十一番(池田たけし君) 令和五年第三回港区
議会定例会において、
公明党議員団を代表して、武井区長、浦田教育長に質問をいたします。
初めに、今月四日の芝浦小学校の濱尾敏恵校長先生の御逝去の報に接し、謹んでお悔やみを申し上げます。濱尾先生は、平成二十八年度から麻布小学校の副校長を二年間、平成三十年度から御田小学校の校長を四年間お務めになられた後、令和四年度から芝浦小学校の校長に赴任されておられました。子どもたちに対して、時に情熱的に、また包み込むように接せられているお姿が印象的でした。突然の悲報に接し、誠に残念な思いでいっぱいです。区教育委員会におかれましては、子どもたちへの心のケアと学校へのフォローを何とぞよろしくお願いをいたします。
さて、記録的な酷暑となった今夏、七十八回目となる広島平和記念式典を前に、五月に行われたG7広島サミットでは、参加国各国首脳がそろって広島平和記念資料館を訪問。芳名帳にそれぞれ平和への決意などを記し、原爆死没者慰霊碑に献花をいたしました。そして、核の不使用や不拡散など核軍縮に焦点を当てた、G7として初めての独立首脳文書「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」が発出され、核兵器のない世界の実現に向けたコミットメントがなされました。ウクライナに迫る核兵器の脅威やアジアに高まる緊張などが相まち、危機感が現実味を帯びて、そろっての原爆の実相の視察へとも至りました。今こそ武力や力による支配から脱却し、法の支配を堅持し、対話の力によって解決への道筋をつけ、平和の実現を目指すことが求められます。
私たち公明党は、人間主義を貫き、誰も置き去りにしない、全ての幸福追求を目的とした、開かれた国民政党として政策実現を目指すことを申し述べ、質問に入ります。
初めに、都区財政調整協議について伺います。
都区財政調整協議においては、児童相談所設置に伴う事務算定について、二〇二〇年度に特例的な対応として合意した区側の配分割合を、五五・一%から〇・一%引き下げて五五%に戻すことを東京都側が主張していたため、都区間の配分割合をめぐっての大きな隔たりが生じ、協議が中断しておりました。
しかし、本年八月の区長会臨時役員会・総会において、「二〇二〇年度に合意した特別区側の配分割合を当面の間五五・一%から下げない一方、児童相談所に関する都区連携と事務の財政上の位置づけの整理は切り分けて議論する」との東京都側の提案を区長会が了承し、児童相談所の事務の児童福祉法上での位置づけについて、都区でプロジェクトチームを設置して認識を共有し論点整理することで一致し、財政協議の再開に向けて動き出したとの流れになりました。
今後、都区のプロジェクトチームにおいて児童相談所の事務を整理し、財政調整の算定方法を見直し、確認していくことになりますが、意見・見解の相違が予想されるところであります。やっとスタート地点に戻ったとの感のあるこの変化は、八月に発表された二〇二三年度都区財政調整区別当初算定結果が協議不調の影響を受けて、二千億円余りの普通交付金の交付配布残が発生したことにより、東京都が配布の義務を果たせない状況に陥ることを避けたためと見られます。
港区は、基準財政収入額が基準財政需要額を上回り、財源不足額が生じないため、普通交付金は十八年連続で不交付区であります。しかし、特別区財政調整交付金のうち九五%が普通交付金で、五%は特別交付金として特別区に交付される仕組みとなっております。この特別交付金の影響もあるのではないかと心配をするところであります。
東京都は、当面の間、配分比率は下げないとの姿勢ですが、当区では、増加する児童虐待などの子どもの相談に迅速、丁寧に切れ目なく対応するため、児童福祉法の理念に基づき、区の全ての児童が、権利の主体として、適切に養育され、生活を保障され、愛され、保護され、心身の健やかな成長発達と自立が図られることを目指して、令和三年四月一日に児童相談所を設置し、既に二年半が経過して、日々子どもの命と権利の擁護のために業務を進めております。本来は児童相談所業務の区移管や、区の施設設置の時点などで調整が整っていることがあるべき姿ではないかと思います。
質問は、児童相談所の設置区として、この間の配分割合に関する協議についてどのように感じているのか。また、今後の都区財政調整協議においてどのような姿勢で臨むのか、区長のお考えをお伺いいたします。
次に、熱中症対策の推進について伺います。
気候変動の影響により、国内の熱中症死亡者数は増加傾向が続いており、近年では年間千人を超える年が頻発するなど、自然災害による死者数をはるかに上回っています。また、今後、地球温暖化が進行すれば、極端な高温の発生リスクも増加すると見込まれ、我が国において熱中症による被害がさらに拡大するおそれがあります。こうした状況を踏まえ、今後、起こり得る極端な高温も見据えて、熱中症の発生を予防するための取組を一層強化することが必要と考えます。
今年の夏は、地域のイベントもコロナ禍前の状況にほぼ戻って実施されており、他方で、イベント準備や本番中に熱中症と思われる症状で緊急搬送された事例も複数伺っています。熱中症は、適切な予防や対処が実施されれば、死亡や重症化を防ぐことができます。お祭りの準備中に体調不良を感じ、自らエアコンの効いた部屋に避難し、回復でき難を逃れたお話や、当日の天候でおみこしを担ぐことを中止し、車での巡幸に変更した事例、WBGT(暑さ指数)を参考にイベントを中止した事例も伺っています。
港区は、「熱中症に注意しましょう」と題した熱中症対応のリーフレットを作成したり、ホームページなどで情報発信に取り組まれていることは高く評価しております。熱中症は人の命に関わることであることから、その対策として、WBGTの認知度向上や行動変容につながる情報発信を、様々な契機を捉えて区民や地域団体に行き渡らせることが重要と考えます。
質問は、熱中症やその対策に関する情報発信に、今後どのように取り組まれるつもりか、武井区長にお伺いいたします。
また、高齢者の熱中症予防の取組も重要です。熱中症を予防するためには、体温の上昇と脱水を抑えることが基本です。しかし、熱中症で亡くなる方の多くを占めている熱中症弱者と呼ばれる高齢者は、暑さや喉の渇きに対して敏感ではなくなっているケースもあります。本人も周囲も気づかないまま脱水の一歩手前である「かくれ脱水」に陥りやすく、この段階で処置をしないと重症化すると言われています。
加えて、電気料金が高騰する中で、節約意識が高い高齢者は、エアコンの利用を控えたりする方も少なくありません。逆に、エアコンを利用していても、適切な温度に設定されていなかったり、フィルターが汚れていて部屋が冷えていないことに気づいていない事例を複数見かけており、命に及ぶ危険性があると感じています。
高齢者の熱中症を予防していくためには、高齢者自身に熱中症対策を意識づけるだけでは不十分で、介護や高齢者福祉の関係者が一体となって、そうした熱中症のリスクが高い高齢者を早期発見し、対処することが重要です。そのためには、直接高齢者宅を訪問する現場の従事者の方々に、熱中症やその見分け方、対処法などの対策を啓発する必要があると考えます。
質問は、高齢者の効果的な熱中症予防を進めるために、訪問系の介護や高齢者福祉の関係者との連携や対策に、今後どのように取り組まれるつもりか、武井区長のお考えをお伺いいたします。
次に、いきいきプラザの利用について伺います。
港区の本年九月一日付の六十歳以上の人口は五万九千五十九人で、区の総人口二十六万五千七百五十四人のうち約二二%を占めており、今後もこの高齢化社会の波は水かさを増していきます。年齢を重ねることで誰にも等しく老化は訪れますが、実年齢に比べての身体的な若さや、健康状態などといった「老化のスピード」は人により異なっており、老いの訪れの実態は人により様々であります。その差を示す指標として、株式会社JMDCによる「健康年齢」があります。「健康年齢」は自身の体と健康状態の関係を分かりやすく理解するための指標で、肥満度や血圧、血糖、コレステロールの値など、幾つかの健診データの結果から、「あなたの体は今、何歳相当に当たります」と統計的に判定いたします。
また、厚生労働省の健康情報サイトe-ヘルスネットには、令和元年における我が国の平均寿命は、男性八十一・四一歳、女性八十七・四五歳であり、一方、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間である健康寿命は、男性七十二・六八歳、女性七十五・三八歳となっているとのデータが発表されています。つまり、年齢を重ねて何らかの持病などはあれども、男性ならば七十三歳ほどまで、女性なら七十五歳ほどまでは、ほぼ健康的で自由度のある日常生活を送るが、そこから男性で約九年間、女性で約十二年間を介護や入院などといった日常生活に制限を受ける生活を送った後に平均寿命を迎えることとなります。この日常生活に制限を受ける期間をできるだけ短くし、健康寿命を延伸し、健康年齢を実年齢より引き下げることが、年齢を重ねても健やかで心豊かな生活ができ、活力ある社会を実現し、ひいては社会保障制度を持続可能なものとします。
加齢とともに訪れる老いのカテゴリーは三種に分けられます。高齢期に現れる骨格筋肉量の減少や、筋力もしくは身体機能の低下であるサルコペニア。このサルコペニアなどによって骨格筋、骨、関節などの運動器の機能低下や脊髄の病気などが進み、立つ、歩くなどの移動機能が低下した状態であるロコモティブシンドローム。そして身体的、社会的、精神的に虚弱な体質であるフレイルとなります。
現実のパターンでは筋肉や神経の衰えで、つま先が上がらずに小さな段差でつまずき、鈍った反射神経ではバランスを取ることができずに転倒して、骨のもろさも相まって手や肩、大腿骨の骨折となって日常生活や移動に困難が生じ、さらにフレイルが進んで寝たきりに陥り、最後に誤嚥性肺炎で亡くなるなどは多く見られるところです。
健康寿命を延ばすためには、個々人の取組や生活習慣が重要です。要支援、要介護者となってしまわないように定期的な運動などによって筋肉や関節、骨の運動機能をなるべく維持することが大切であり、幾つになったとしても行った運動は、機能の保持や回復といった何らかの効果につながります。散歩に出かけたり、外出先で意識的に階段を使うなどの運動を生活に習慣づけることや、踊りやダンスなど、音楽や他人に合わせての所作などが、日常生活の中で効果的に体を動かすことであり、また、読書や絵を描く、歌うなど、脳を積極的に活性化させることで、要介護となる要因の一位である認知症の予防ともなります。体と脳をしっかりと活性化させることが、健康寿命を延ばすための個人でできる取組となります。
さて、高齢者にとってこのような健康寿命を延ばし、健康保持と生きがいの活動の場が提供されているのが、区内十七か所に展開されているいきいきプラザであります。六十歳以上からの区民が利用できる体操やトレーニング、踊りやダンスなどの運動の講座、パソコンや料理、生け花などの教室、季節ごとのイベントやゲーム、バスハイクといったレクリエーションが行われ、個人や団体において、毎日様々なイベントが行われています。教室などで使用される教材費以外は、浴室の利用なども含め利用料もかからず、令和四年度の一年間では約七十四万六千人の方が利用する施設となっています。
健康意識の高い方の積極的な利用は、介護予防や健康づくりとのいきいきプラザの設置目的にかなうところですが、利用者の偏りや固定化されることにつながっているのではないかと危惧いたします。要支援一の状態に近く、フレイルに陥りそうな方や、ひきこもり傾向で自身も気がつかないままにストレスを抱える方など、これまで自ら足を向けることのなかった方や、今年の夏の酷暑で外に出ることがはばかられ、筋力や体力の低下が進み、他者との触れ合いの機会が減った方など、新たな方にも広く施設を利用していただくような施策を展開すべきと考えます。
例えば、現在の施設利用の方に御自身の友人をお誘いただくことで、軽いインセンティブを提供することや、ふれあい相談員、高齢者相談センターなど高齢者の関係先からのいきいきプラザの内容を紹介しての誘導。また、スマートフォンの各種SNSでの周知啓発に加え、活動内容や参加者の体験談などを分かりやすく紹介する動画の配信、「ちぃばす」のデジタルサイネージでの発信といった取組などもあるべきと思います。また、介護予防事業である「みんなと元気塾」の申込みでは、介護保険利用の契約手続が煩雑とならないようワンストップで終えるなど、きめ細かな対応を進めていただきたいです。時間帯によっては、固定の方に占有されて浴室が利用しづらいなど、お困りの声も聞かれることもあり、入浴日の設定なども利用者の意見を基に対応をお願いしたいと思います。
質問は、高齢者の区民の健康保持と介護予防、さらに日々心の支えともなる友人や仲間との触れ合いを深める潤いの施設であるいきいきプラザですが、これまで利用されていない方がフレイルに陥ることを避けるために、新しい方の利用機会を広く喚起する取組について、区のお考えをお伺いいたします。
次に、軟骨伝導集音器の導入についてお伺いいたします。
ジャパントラック二〇一八、日本補聴器工業会のデータによれば、国内に聞こえにくさを持つ人は、全人口の一一・三%、千四百万人以上おり、そのうち補聴器所有率は一四・四%、約二百万人。残りの千二百万人以上が聞こえにくい状況で過ごされていると推測されます。区役所・総合支所においても声が明瞭に届かず、大きな声で会話しなければならないケースが少なからずあるかと思います。
二〇二三年四月二十七日付の東京新聞で、城南信用金庫が窓口に軟骨伝導集音器を導入したことが報じられました。特徴として、骨伝導よりも音漏れが小さく耳を圧迫することもない、イヤホンに穴がないため汚れにくく清掃がしやすい、話し声に焦点を当てて増幅するため雑音が少ない、ハウリングしない、数十万もする補聴器と比べ、三万円未満の安価で購入できるといった点が挙げられます。
その後、城南信用金庫に続き、複数の信用金庫、病院、市役所、都内では大崎警察署、狛江市役所などでも導入が決定いたしました。狛江市役所の担当課長の方に導入後の所感を伺ったところ、窓口業務においては個人情報を扱う場面も多く、周囲に情報が聞こえてしまう心配があったが解消された。補聴器を使用されている方からもよく聞こえるとの喜びの感想をいただいた等の前向きな回答をいただきました。港区においても、区民の皆様の利便性向上のために、ぜひ導入を検討いただきたいと思いますが、区の見解をお伺いいたします。
次に、みなと母子手帳アプリの改良についてお伺いいたします。
区は、これまで区民生活の利便性の向上に向けたデジタル化を進める中で、令和二年六月にみなと母子手帳アプリを運用開始いたしました。お子様の誕生日などを登録することで、AIによる予防接種の自動スケジューリングや区の健診・子育て施設・保育コンシェルジュなどのオンライン予約、最新の子育て情報の参照など、多くの機能を一つのアプリで行うことができ、すばらしい取組だと思います。
一方で、利用する中で、アプリの使い方についてのチュートリアルが欲しい、外部リンクに飛ぶ項目が多いのでアプリ内で完結してほしい、ユーザーインターフェースを見やすくしてほしい、産前から時系列に使えるサービスが分かるようなチャートが欲しいなどの御意見も寄せられております。
令和二年六月よりサービスが開始され、利用者が増えていく中で、より皆様に喜んでいただけるように、利用者の声を反映しアップデートしていく必要があると考えますが、区の見解をお伺いいたします。
次に、お台場のバイク騒音問題対策についてお伺いいたします。
お台場地域は、お台場海浜公園に沿って建ち並んでいる商業施設や業務施設が、美しい砂浜やレインボーブリッジと調和のとれた街並みを形成しており、多くの人々が集まる東京の名所として定着しています。一方、お台場海浜公園前のお台場学園通り沿いには住宅地や学校が密集しており、令和五年八月時点で二千五百四十三世帯、五千五百十三名の方が暮らしている住宅地となっております。観光地と住宅地が共生するお台場地域において、レインボーブリッジやお台場海浜公園周辺などのツーリングスポットを目指すバイクによる騒音が問題となっております。特にお台場学園通りはロータリーがあるためバイクの通行ルートになることが多く、住宅地にもかかわらずバイクを吹かす等迷惑行為が後を絶ちません。
加えて、近隣のコンビニエンスストア前がたまり場となっており、治安を心配する声もございます。地域住民の安全・安心の暮らしを守るために、東京湾岸警察署や青色防犯パトロールと連携する等、対策が急務だと考えます。常駐は難しいかと思いますが、事象が多い時期や曜日、時間帯などを絞り、パトロールをする等、東京湾岸警察署と協議する中で対策を講じていただきたいと考えますが、区の見解をお伺いいたします。
次に、HPVワクチンについて伺います。
子宮頸がんは人の下腹部周辺に起こるがんの因子であるHPV(ヒトパピローマウイルス)に起因して発症する、子宮の出口に近い部分にできるがんです。日本では、毎年、約一万千人の女性が子宮頸がんにかかり、約二千九百人の方が亡くなっています。また、若い年齢層でも発症する割合が比較的高いがんであり、罹患者はAYA世代でもある二十歳代から増え始め、三十歳代までにがんの治療で子宮を失ってしまう人も年間に約千人います。日本では、二十五歳から四十歳の女性のがんによる死亡原因の第二位が子宮頸がんによるものであり、幼いお子さんを残して亡くなるケースもあり、マザーキラーとも呼ばれています。
国立がん研究センターは本年六月、子宮頸がんに関する現状や予防策をまとめた報告書を公表しました。報告書では、諸外国では子宮頸がんの死亡率が減少傾向であるのに対し、日本では横ばいが続いているとのデータを示し、先進国の中で、近い将来、子宮頸がんの撲滅も可能だと予想されている国もある一方で、日本では罹患率が増加傾向であり、近年は特にAYA世代を含む二十から四十代の若年層が増えているとあります。同センターは、子宮頸がんはワクチンと検診によって予防できる。積極的勧奨の中止で接種を逃してしまった世代への対応が急務だと呼びかけています。
また、国では、積極的勧奨の差し控えの期間に十分検討した結果、安全性についての特段の懸念が認められないことが確認され、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回るとして、令和三年十一月にHPVワクチンの積極的勧奨を再開しました。あわせて、積極的勧奨を差し控えたことで影響を受けた世代に対しても、令和四年度から接種の機会を回復する、公費でのキャッチアップ接種が開始されました。このキャッチアップ接種対象の世代では、ワクチン接種率が一%未満であったという学年もあり、将来の子宮頸がんの罹患を減らすためには、この機会に接種率の向上を推し進める必要があります。
現在、キャッチアップ接種は、令和六年度末までの三年間の時限措置となっており、この期間内にインターバルを空けながら、定められた三回の接種を完了するためには、遅くとも令和六年九月末までには一回目の接種を開始する必要があります。しかし、全体的な接種率を見ると、対象者に情報が十分伝わっていないのではないかと危惧されます。キャッチアップ接種の完了に残された期間は一年に迫っております。これまで積極的勧奨を控えた影響により、子宮頸がんはワクチンで予防できることを知らずに定期接種の該当期間に接種の機会を逃した方が、さらに公費で接種できる機会の回復であるキャッチアップ接種があることを知らなかったと再び嘆くことがないように、来年九月までのこの一年間に積極的な周知、勧奨を行うべきであると考えます。
そこで、質問は、キャッチアップ接種の最終年度である令和六年度に接種期限を迎える高校一年生から二十七歳相当の対象者全員に対し、キャッチアップ接種の最終期限であることを個別に周知すること。また、接種での不安を払拭するための相談窓口や対応電話を設置し、その周知を行うなど、きめ細かく丁寧なキャッチアップ接種の対応をこの一年に集中して拡充すること。あわせて、今後も広く子宮頸がんの予防について、広報みなとや各SNSなどを通じて周知・啓発を行い、子宮頸がんやHPVワクチンへのさらなる理解促進を図ることについて、区のお考えを伺います。
また、HPVワクチンは子宮頸がんワクチンとも呼ばれることから、女性だけに特化したものと一般的に認識が醸成されてしまいがちですが、HPV(ヒトパピローマウイルス)は人の下腹部周辺などのがんの因子であり、男性の尖圭コンジローマや肛門がん、中咽頭がんの因子でもあります。性的な接触によってウイルスは相互感染し、男女にかかわらずがんを引き起こすため、男性に対するHPVワクチン接種での予防対策は、自らやパートナーのためだけでなく、集団免疫効果による予防にもつながり、広く社会の感染リスクを劇的に下げると思われます。
WHOの発表では、世界三十九か国において男性にも接種が行われており、先進国での接種率は男女とも八〇%に達しています。現在、一定期間の年齢の女性のみが定期接種の対象であり、男性が任意接種を行うと四万円から五万円ほどの費用が自己負担としてかかります。この負担の軽減とワクチン接種推進のため、一定期間の年齢の男性へのHPVワクチンの接種について公費での助成を行う自治体も増えてきています。港区ではホームページでの周知やがん教育などで接種の呼びかけや啓発を行っていますが、ワクチン接種の実効性をさらに高める施策を行うべきと考えます。
質問は、海外の事例に鑑みて、今後、日本でもHPVワクチンは男女ともの接種へと追従する可能性は高いと思われますが、区民の健康を守り、将来の子育て世帯への支援につながる男性へのHPVワクチン接種の費用助成について、港区は先進的に取り組むべきと思いますが、区のお考えを伺います。
次に、分譲マンションの適正な管理等への支援について伺います。
マンションの老朽化や管理水準の低下は、国民の住生活を揺るがす重大な問題であり、放っておけば地球環境の悪化など、自治体のまちづくりにも影響を及ぼします。マンションの適正管理の促進に向け、国は令和五年度、大規模修繕工事を適切に実施したマンションについて、固定資産税を減額するマンション長寿命化促進税制を創設しました。この税制が適用されるには、マンションが立地する自治体がマンション管理適正化推進計画を策定していること、さらに自治体から基準を満たすマンションとしての認定を受けていることなどが必要となります。こうした計画の策定や認定制度によって、管理水準の向上へ自治体が積極的に関与していけるようにしたのが、公明党の推進で令和四年に施行された「改正マンション管理適正化法」です。改正法により、管理が不適切なマンションに対しては、自治体が助言や指導、勧告なども行えるようになりました。
区でも、令和五年三月に「港区マンション管理適正化推進計画」を策定し、管理計画認定制度の運用を開始するとともに、管理組合による自主的な適正管理への支援を基本方針の一つに掲げ、管理不全のマンションなどに対し区から能動的に働きかけ、支援を行うとしています。
本年七月一日に開催された、港区の当該計画などに関する分譲マンションセミナーには大変多くの参加者がおり、質疑応答ではマンション長寿命化促進税制や大規模修繕についての質問が多くあり、関心の高さがうかがえました。区では、分譲マンションの適正な維持管理や老朽化対策などについてのマンション管理アドバイザーを、最大十回まで無料で派遣する事業を区独自に行っています。大変手厚く、よい制度と思う反面、利用実績が徐々に増えているものの、まだまだ少ない印象です。区が実態調査などで把握している管理不全マンションはもちろん、管理状況に課題があるマンションに対しても積極的にアドバイザー派遣などの利用を勧奨すべきと考えます。
また、区の実態調査でも回答がなく、維持管理状況が不明なマンションの管理組合に対しても、アドバイザー派遣制度などの情報提供することが望ましいと思います。
質問は、区のマンション管理アドバイザー派遣事業等の利用促進に、区としてどのように取り組まれるつもりかお伺いいたします。
次に、COCOLOプランを受けての不登校支援の推進について伺います。
全国で小・中・高等学校の不登校の児童・生徒が急増し、約三十万人となる中、文部科学省は、令和五年三月三十一日に、誰一人取り残されない学びの保障を社会全体で実現していこうとCOCOLOプランを発表しました。不登校の児童・生徒は一人一人の状況が大きく異なるため、丁寧な指導を行うために、多様な学びの場の確保や指導体制を整備することが必要です。また、不登校の子どもを支援していく上で、その保護者を支援していくことは大変重要です。
このような中、COCOLOプランでは、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが関係機関等と連携して、保護者を支援すると明記されました。港区では、今年度より全区立校にスクールソーシャルワーカーが配置されました。不登校児童・生徒はもちろん、その保護者の相談支援についても活用が期待されると思います。
質問は、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなど専門性の高い人材を活用した不登校児童・生徒の保護者への支援を、今後どのように充実させていくのでしょうか。浦田教育長にお伺いいたします。
COCOLOプラン発表に先立つ本年三月二十三日に、公明党では、教室に行きづらくなった児童・生徒が学校内で落ち着いて学習できる環境(スペシャルサポートルーム等)の設置を提言。さらに、不登校の児童・生徒が自宅にいても学習を進めることができるよう、一人一台端末を活用し、授業を自宅等に配信してのオンライン指導の充実等を要望しました。
今回のCOCOLOプランでは、校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム等)の設置促進とともに、学校での授業を自宅やスペシャルサポートルーム等に配信し、オンライン指導やテキスト等も受けられるようにすると明記されました。
港区では、COCOLOプランに示されている教室に行きづらくなった児童・生徒が学校内で落ち着いて学習できる環境として、校内別室を区立小・中学校の一部で設置しているほか、一人一台のタブレットを活用して不登校児童・生徒への支援を行っていると伺っています。
質問は、不登校児童・生徒の支援のために取り組んでいる校内別室の設置や、一人一台のタブレットを活用することについての教育委員会の取組状況や今後の展望について、浦田教育長にお伺いいたします。
最後に、区立中学校の海外修学旅行について、意見、要望させていただきます。
今月一日、武井区長が、令和六年度に全区立中学校でシンガポールへの修学旅行を実施するとのプレス発表後、区内外から賛否の声が渦巻いています。
ウクライナ侵攻に端を発した物価高が続いている最中ということもあり、特に事業費の妥当性について、やや感情的な意見が多い印象です。残念なことは、そうした大きな声にかき消されて、当事者である子どもたちの声があまり伺えないということです。
これまで、区教育委員会として、平成十九年度から区立小・中学校の児童・生徒八十名を対象に、夏休み期間中にオーストラリアでホームステイなど海外派遣を行ってきました。しかし、抽せんに漏れて行けない児童・生徒が増えており、大変残念に思っていましたので、区内の全中学生が海外を体験できる機会を提供することは、公平性の観点からよいことと思います。
また、公益財団法人全国修学旅行研究協会の二〇一九年度全国公私立高等学校海外(国内)修学旅行・海外研修実施状況調査報告によると、行き先が海外の修学旅行の旅費は、中学校では公立で十五から四十万円未満、私立で十五から五十万円未満が多いという結果です。区の海外修学旅行の事業費における子どものみにかかる費用は、一人当たり約五十万円で、純粋な旅費はさらに低くなるので、極端に費用が高いわけではなく、一応の妥当性は認められると考えます。
ところで、中学受験をするなら小学四年生頃から塾に通うのが一般的で、塾代は六年生の受験までに計二百万円から三百万円程度かかります。子どもが小さい時期からの家計における教育費負担の重さは、少子化の一因にもなっていると言われています。今回の区立中学校の海外修学旅行の報道に対し、中学受験にかける予定だった費用を子どものための別のことに回せるといった御意見もあり、子どもの教育資金の計画そのものを見直す契機にもなっているようで大変興味深いです。
経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、日本は、教育への公的資金の割合が最低レベルとの結果があります。区教育委員会として、修学旅行のコストの最適化を図ることは当然ですが、費用を削り過ぎて得られる効果が下がってしまうことがあってはならないと思います。ともかくこどもまんなかの社会を実現するためにも、子どもの視点に立って意見を聞き、子どもにとって一番の利益を考え、良質かつ適切な教育を提供することが重要です。他方で、区民の方々からも海外修学旅行への懸念の声も少なくないので、英語力や国際教育の質の向上を図る学校教育のパッケージメニューの一つとして必要であることを丁寧に区民に対して説明し、理解を求める努力と、参加する子どもたち自身にも何のためとの目的感をより明確にして臨む共有を要望し、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの
公明党議員団を代表しての池田たけし議員の御質問に順次お答えいたします。
最初に、都区財政調整協議についてのお尋ねです。
昨年度から継続している児童相談所の設置に伴う都区間の配分割合に関する協議は、都区双方の主張が平行線となっておりますが、児童相談所の特別区への移管は、明らかに都区の配分割合の変更理由になる役割分担の変更であると考えております。区は、令和三年四月に、特別区で四番目となる児童相談所を設置して以来、子どもの命と権利を守る責務を果たしており、基礎自治体だからこそできるきめ細かな対応を行っております。引き続き、児童相談所設置市としての役割を果たしている立場として、特別区が担う役割に見合った財源が確実に保障されるよう、配分割合の変更について粘り強く主張してまいります。
次に、熱中症対策の推進についてのお尋ねです。
まず、情報発信についてです。熱中症対策は、予防のポイントと症状や対処方法を正しく理解することが重要です。区は、これまでも広報みなとや防災情報メール等を活用し、熱中症予防の啓発に努めてまいりました。今後は、地域への一層の周知を図るため、各部門が活用できる共通の「熱中症対策アドバイス」を作成し、チラシ等へ掲載するなど、あらゆる機会を捉えて、積極的な情報発信に取り組むとともに、情報を受け取った皆さんの熱中症予防につながるよう、行動変容のきっかけづくりとなる「ナッジ理論」の活用など工夫してまいります。
次に、高齢者への取組についてのお尋ねです。区は、区が作成した熱中症対策のリーフレットを用いて、本年六月の港区高齢者地域支援連絡協議会において、介護、医療の専門家や警察、消防、民生委員・児童委員等の皆さんに熱中症予防のポイントなどを分かりやすく説明いたしました。戸別訪問の機会には注意喚起をしていただいております。今後はさらに、訪問介護ヘルパーや生活協同組合などの見守り協定事業者の従事者にも熱中症対策の情報を提供し、高齢者の自宅を訪問する機会を活用した効果的な声かけができる体制を拡充してまいります。引き続き、熱中症から高齢者を守る取組を推進してまいります。
次に、いきいきプラザの利用についてのお尋ねです。
いきいきプラザでは、バランストレーニングなどの介護予防事業や、演芸会などの多彩なイベントを行うことで施設の魅力向上に取り組んでおります。今後は、これまでいきいきプラザを利用していない方や就労している方の利用に配慮し、初めての方でも気軽に参加できるセミナーの開催や、イベント等を夜間や週末に開催するなど、さらなる改善を図ってまいります。さらに、いきいきプラザの職員やふれあい相談員が戸別訪問した際に、施設の魅力をお伝えするとともに、いただいた御意見等を反映しながら、気軽にいきいきプラザにお越しいただけるよう取り組んでまいります。
次に、軟骨伝導集音器の導入についてのお尋ねです。
各地区総合支所では、高齢者など会話を聞き取りづらい区民がストレスなく相談できるよう、対応する職員側の声を聞き取りやすくする対話支援スピーカーを平成二十九年度に配備し、窓口で活用しております。軟骨伝導集音器は、音声が耳の軟骨を通じて聞こえやすさの改善につながると期待されるもので、区民の聞こえの支援につながるものと考えております。今後、軟骨伝導集音器についても、聞こえづらさの解消の手法の一つとして、区の窓口で使用する場合の効果の検証や運用面での課題など、導入に向けた検討を進めてまいります。
次に、みなと母子手帳アプリの改良についてのお尋ねです。
みなと母子手帳アプリは、今月七日時点で一万四千九百五十四名の登録があり、妊娠期から子育て世代の多くの御家庭に浸透しております。本年四月から、妊娠八か月目の母親の支援を強化するため、アンケート機能を新たに搭載し、回答内容により個別相談につなげております。
また、本年五月から、こども家庭庁が関与する子育てDX委員会に参画し、委員会の議論を踏まえ、アプリでのオンライン申請やプッシュ通知の強化を図るため具体的な検討を進めております。今後も、利用者の声を丁寧に伺うとともに、新たな知見も取り入れながら、アプリの改良に取り組んでまいります。
次に、お台場のバイク騒音問題についてのお尋ねです。
区は、これまでも深夜に及ぶ悪質なバイクによる騒音や迷惑行為について、東京湾岸警察署や道路管理者である東京都港湾局に改善を申し入れてまいりました。また、地域の方々から通報があった際には、その都度、東京湾岸警察署へ取締り等を依頼しております。区においても、台場地域の安全・安心な生活環境を守るため、夜間における青色防犯パトロールの回数を増やし、対応しております。今後も引き続き、関係機関と連携し、より効果的なバイクの騒音対策となるよう、工夫を凝らした取組を強化してまいります。
次に、HPVワクチンについてのお尋ねです。
まず、キャッチアップ接種についてです。区は、対象者に予診票を送付しておりますが、来年度で接種が終了するため、未接種者に対する勧奨はがきを接種しやすい年末年始、夏休みに向けて、本年十一月と来年六月に送付いたします。また、区民等からの相談には、引き続き職員が丁寧に説明するほか、予診票に同封するチラシで国等の窓口を周知してまいります。現在、区立中学校等における性感染症の啓発事業や広報みなと等で、子宮頸がん予防に効果のあるHPVワクチンの周知を強化しております。今後も接種勧奨や周知の工夫により、接種率の向上に取り組んでまいります。
次に、HPVワクチンの男性への接種についてのお尋ねです。
昨年八月から国の厚生科学審議会において、男性へのHPVワクチンの定期予防接種化に向けた議論が始まりました。現在は、有効性の評価検証や最新の科学的知見を追加するための情報を収集している段階です。男性へのHPVワクチン接種の助成については、今後も、国における定期予防接種化に向けた動向等を注視してまいります。
最後に、分譲マンションの適正な管理等への支援についてのお尋ねです。
区は、本年三月に策定した港区マンション管理適正化推進計画に基づき、管理計画認定制度やマンション管理士を派遣するなどの管理組合への働きかけ支援制度について、今年度から新たに実施しております。これまで取り組んできたマンションに関する支援制度がより一層活用されるとともに、新たな取組が効果的に活用されるよう、区が分譲マンション実施調査などで把握している管理組合に対し、個別にお知らせを郵送するなどの周知に努めてまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(浦田幹男君)登壇〕
○教育長(浦田幹男君) ただいまの
公明党議員団を代表しての池田たけし議員の御質問に順次お答えいたします。
COCOLOプランを受けての不登校支援の推進についてのお尋ねです。
まず、不登校児童・生徒の保護者への支援についてです。教育委員会では、不登校児童・生徒の保護者支援を充実させるため、学校とスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの連携強化に努めております。一例を申し上げますと、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーのより緊密な情報共有による支援により、不登校傾向が改善した好事例のもと、連携の深め方について、保護者との窓口となっている副校園長や保健主任を対象とした研修を実施しております。今後は、COCOLOプランにも示されている保護者の心に寄り添った支援を一層充実させるため、各学校に配置する専門性の高い人材の配置時間や日数の拡充についても検討を進めてまいります。
最後に、不登校児童・生徒への支援についてのお尋ねです。今年度、区立小学校一校、中学校二校をモデル校として実施している校内別室では、不登校児童・生徒が自己存在感や充実感を高められるよう、一人一人の状況に合わせたプログラムに沿って支援を行っております。
また、各学校では、タブレット端末のビデオ通話機能を使用した面談やオンライン授業を実施するなど、不登校児童・生徒の心に寄り添った支援に取り組んでおります。校内別室については、今後、モデル校の成果を検証し、実施校を拡充するとともに、特別な教育課程を編成して教育を行う不登校特例校の新設についても検討してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○議長(鈴木たかや君) 次に、十九番清家あい議員。
〔十九番(清家あい君)登壇、拍手〕
○十九番(清家あい君) 令和五年第三回港区
議会定例会において、
みなと政策会議を代表して、武井区長並びに浦田教育長に質問させていただきます。
今年四月の港
区議会議員選挙では多くの区民の方々の御期待をお寄せいただき、新しい議会が始まりました。全体の約三割が新しい議員となり、女性議員が四割を超え、全国の地方議会と比較しても、非常に多様性にあふれた議会になっていると思います。多様な価値観が反映される区政の運営を強く望みます。
全国から情熱と人材が集まる港区で、区民の方々から託していただいている区政への期待は、失われた三十年を超える変革であり、新しい時代を築いていくことだろうと思っています。世界的なインフレや円安による物価高に加え、実質賃金は下がり続け、厚生労働省の調査で、国民の半数が「生活が苦しい」と訴える異常事態が続いています。特に、子どものいる世帯で生活苦の深刻さが顕著です。港区でも教育費負担の重さなどを訴える声が多数寄せられています。
止まらない円安は、相対的国力の低下を反映しているとも指摘されています。国際競争力は、六十四か国中三十四位と過去最低。男女格差指数は、百四十六か国中百十六位と世界最低レベル。出生数は、初の八十万人割れとなり、合計特殊出生率一・二六と過去最低を更新しています。国民の三人に一人が六十五歳以上になり、あらゆる産業の人材不足。全人口の十六人に一人が認知症になると予測される二〇二五年問題まであと二年です。
長年の日本政治の停滞。古い男女役割分業意識から抜け出せず、子育てや教育への公的投資を行ってきたツケにより日本全体が苦しんでいるように見えます。自分自身港区議会議員になったきっかけは、仕事と子育ての両立ができず、女性がキャリアを捨てなければならない日本の現実を、身をもって体験したこと、保育園にも幼稚園にも入れない、港区のひどい子育ての状況を変えたいと思ったことです。この十二年、議会の仲間たち、区民、職員の方々と一緒に奔走してきました。まだまだ課題はありますが、港区の子育て支援は、大分手厚いものになったと思います。国もやっと今年に入り、異次元の少子化対策を掲げ、「こども未来戦略方針」を打ち出しました。遅きに失している感は否めませんが、方向性としては正しいと思います。
この二十年以上、東京一極集中が続き、人もお金も都心に集中する中、港区は、その上に乗っていれば安泰ではありますが、国は衰退する一方です。区がやるべきことは、国を待つのではなく、国がやらないことを進めていくこと、ばらまきではなく、ソフト面で国のインフラになるような政策に投資していくこと、財政力が豊かだからできることをやっても、ほかの自治体に波及しない政策では意味がないと思います。日本全体のことを考えれば、東京一極集中は是正されるべきです。若い世代を呼び寄せる政策より、地方に人材を送り出し、積極的に支援できるような全国連携が必要だと思います。港区で子育てを希望する世帯には、たくさん子どもを育てたくなるような多子世帯の応援をし、出生率を上げていくことを考えるべきだと思います。
そして、日本一の財政力があり、大使館やインターナショナルスクールなどが集積する区がやるべきことは、世界に選ばれる都市・港区として国際都市競争力を上げていくことです。外国人家庭が暮らしやすい教育、医療、福祉、地域サービスを充実させていく。国際都市連携を進め、交流を図り、自治体の力で留学先も、中小企業の販路拡大も、文化交流も広げていく。ウクライナ紛争の長期化、西側諸国と中ロの対立、日本を取り巻く国際情勢は厳しさを増していますが、そうした自治体の力が、真の意味でインクルーシブな社会や世界平和の貢献につながっていくと思います。
また、港区で生まれ育ってきました。港区の豊かさを守っていきたいという思いが強くあります。まちの中核になる町会・自治会の高齢化が進み、負担が重過ぎて担い手が見つからず、一部は消滅の危機に瀕しています。まちの名前が消えていくのは悲しいです。今までのような自助努力に頼るような支援だけでは、数年後にはお祭りなどの地域交流、防災や福祉機能も維持できなくなる地域が出てくると思います。踏み込んだ支援が必要です。
そして、緑豊かで水のきれいな、飛行機の騒音のない港区であってほしいです。短視眼的な利益ではなく、長い目で都市の価値を考えれば、文化的価値の高い遺産を守っていくこと、樹木を守っていくこと、静かな住宅街を守っていくべきだと考えます。子どもたちの未来に何が残せるか、考えながら都市計画をつくっていくべきと心から思います。
質問に入ります。
まず、区長の政治姿勢についてです。二元代表制に対する考え方をお伺いします。
今定例会が開会される前の九月一日に、約五億千二百七十二万円という大変大きな額の予算を伴う、全区立中学のシンガポール三泊五日修学旅行という新規事業を区長が記者発表されました。この事業をめぐって、自治体間格差など大きな世論の対立が起きています。事前に、区長からこうした事業を行う方針などが示されたことはなく、議会できちんと議論をされたこともありません。議会で、直近で修学旅行について議論されているのは、今年三月の令和五年度予算特別委員会で私たちの会派の阿部議員から、お金がなくて修学旅行に行かせられない家庭があるので、生活保護世帯以外の就学援助受給世帯にも事前の修学旅行費の支払い免除を拡大できないかという質問があり、教育委員会は、見直しは困難と答弁されています。
記者発表を受けて、多くの方々から賛否両論の様々な意見や質問を受けますが、九月四日の区民文教常任委員会での質疑の中でも、この事業の内容や政策根拠が明確になっているとは思えませんでした。教育の国際化や国際人育成、留学支援、公教育改革、子どもの未来への投資など、これまで議会で訴えてきましたし、事業が目指している意義や目的はよく理解できます。ただ、この事業が本当に留学や国際人育成、公教育改革につながるものなのか、巨額の予算に見合った有効な事業で、政策の優先順位が高いものなのか、様々疑問があります。
学校の教員不足や発達障害児支援、不登校対策を早急に求める声も区立小学校などから上がっています。そんな中、この事業に係る補正予算案が正式に議会に提案される前の段階で、教育長から区立中学の保護者に対し、「港区では令和六年度以降、区立中学三年の全ての生徒を対象として、修学旅行に代わり、海外において異文化に直接触れることができる海外修学旅行を実施します。生徒にとって海外での貴重な経験を得るまたとない機会となりますので、区の新たな取組に対する御理解のほどよろしくお願いいたします」という内容の手紙が配布されました。予算に対する議会の承認もない中で、これは区長の五億円の専決処分なのだろうかと愕然としました。
地方自治は二元代表制で運営されています。二元代表制では、議会は条例や予算などを審議、決定する権限を持ち、その執行に対し行政の長が権限を持つとされています。今回の事案は、議会の存在を軽視するものであり、二元代表制の根幹に関わる話だと思います。本来、政策の必要性を深く認識し、確実な実現を求めるのであれば、区民の代表である議会に対し、事業内容と政策根拠をしっかり示し、議論を深めてから進めていくべきであり、区長にはそうした誠実な政治姿勢が求められていると思います。区長の二元代表制に対する考え方をお伺いします。
次に、
ふるさと納税についてお伺いします。
返礼品についてです。令和四年度の
ふるさと納税による二十三区合計の流出額は、過去最高の七百八億円に達し、一年間で百六十八億円増えました。港区では、令和四年中に
ふるさと納税を行った港区民の人数は五万千八百五十九人、寄附金額は百九十・八億円、令和五年度特別区民税の税額控除額は六十九・九億円となっており、影響額は昨年度に引き続き、二十三区中二番、全国でも十一番目、区民一人当たりでは全国で一番の高水準となっています。
平成二十年に始まった
ふるさと納税制度については、地方税が住民サービスの対価であるという税制本来の趣旨を逸脱するものであるとして、二十三区では、制度の抜本的な見直しを求めてきていますが、現状ではこの制度が廃止されることは考えにくい状況です。東京一極集中や税の偏在是正などは、日本全体として考えなければならない大きな問題であると思いますが、
ふるさと納税制度は地方自治体の財政に大きな影響を及ぼす上に見通しを立てづらく、不安定にさせる点で見直すべき制度だと思います。
この制度への反対を訴え、二十三区でも十六区が返礼品の提供を始め、世田谷区なども区民のためとして返礼品を始めることを表明しています。港区では、平成三十年から港区版
ふるさと納税制度を開始し、令和四年度は百三十九件、八千五百五十六万五千四百円の寄附を受けました。令和二年に始まった区内の認定NPO法人など公益団体に対する団体応援寄附金に対する寄附額が百十四件、計八千三百五十六万六千円と大きな部分を占めています。ただ、今後も
ふるさと納税による流出額は大きくなることが見込まれ、現在の港区の施策でそれを止められる効果があるとは思えません。
以前から提案させていただいておりますが、港区のシティプロモーションを兼ね、港区の魅力をPRできるような発信力のある返礼品をコンテストなどで募集し、
ふるさと納税の返礼品として提示していくことで流出額を抑え、港区の魅力を全国に発信していくべきではないかと思います。そして、この制度に反対している姿勢もそれによって同時にPRできればよいと思います。区長の見解をお伺いします。
次に、DX化と総合支所制度についてです。
港区では、より便利で、より身近に、より信頼される区役所を目指して、平成十八年四月に区役所・支所改革を実施し、総合支所中心の区政運営がスタートしました。各総合支所でエリアに密着した事業を展開したり、区政に協力してくれる団体を増やしたり、様々なよい効果があったと思います。それから十七年たち、世界は大きく変わりました。技術革新が進み、少子高齢化と人手不足が進む中で、業務を効率化させ、区民サービスを向上させるためのDX化が求められ、目指すべき姿は、来なくて済む便利な区役所となりました。
DX化が進めば、物理的な移動の必要性が少なくなり、効率的に仕事が進められるようになります。また、そのためにも意思決定がスムーズに進む組織体系が必要だと思います。縦割りになりがちな役所の業務の中では、スムーズな部署連携が非常に重要になってきますが、現在の総合支所制度では、そこにさらに横割りが入るような形になっていて、意思決定の上でも、情報伝達の上でも非常に複雑な組織になっていると思います。
例えば、保育園で問題があって、区民が総合支所の窓口に相談に行っても、保育事業を専門に見ているわけではない管理課長が責任者になっていますが、結局、情報の確認のために支援部の保育課長にジャッジしてもらうことになります。最初から区民が保育課にオンライン相談できる体制を整備するなど、各支援部の広報広聴体制を強化するほうに力を向け、意思決定先も一か所に集中したほうが、情報が集約できて、政策課題の解決にも、区民の利便性向上にもつながると思います。情報伝達の系統が複雑に増えているので、総合支所で聞いた話が違う、総合支所ごとに言っていることが違う、解決につながらないなど、窓口での情報伝達に関するトラブルが多くなり、そこに使わなくてよい労力が増えます。
さらに、各支援部の部長が総合支所の支所長を兼任することで移動のコストが増え、責任重大で忙しいはずの支援部の部長が、各地区総合支所の情報集約と責任まで負うことにメリットが感じられません。それぞれの業務に集中したほうがよい仕事ができると思います。
今後、少子高齢化、地域コミュニティーの弱体化が進み、福祉業務の増加など、区役所が担う仕事はますます増えていくと思われますが、日本全体で人手不足になっているので、DX化や組織の効率化がますます求められるようになります。また、区民も高齢化が進めば、物理的な移動が難しくなり、共働き家庭が増えることで、来庁しなくてもよい区役所がますます求められるようになってきます。そして、対面でフォローすることが必要な困難を抱えた方々に対しては、役所に来てもらうより、役所から出向いていくアウトリーチがより必要になっていくと思います。総合支所制度の見直しについて、区長の見解をお伺いします。
次に、防災についてです。地域防災協議会への支援についてです。
八日に起きたモロッコのマグニチュード六・八の地震で、死者二千人を超えるなどの大規模な被害が伝えられています。心から哀悼の意を表するとともに、一刻も早い被害者の救援を願います。
関東大震災から百年がたち、間近に迫っていると警告されている首都直下地震や、相次ぐ自然災害に対する警戒もあり、区民の防災意識は高まっています。首都直下地震の被害想定では、港区は約八百棟の建物が全壊、閉じ込めにつながり得るエレベーター台数が千三百五十七台、死者百二十七人、負傷者五千二百七十四人、うち重傷者五百九十二人、避難者数は最大五万八千四百八人、
帰宅困難者数は五十三万千三百七十二人と想定されています。昼間人口の多い港区で大きな課題となっている
帰宅困難者対策では、令和五年度から区独自の補助をスタートさせ、事業者負担なく備蓄品の整備を行えるようにし、民間事業者との協定により、一時滞在避難所は七十四施設を確保、計八十八施設となりました。
区内の駅に災害発生時の一時滞在施設の開設場所を示すQRコードを掲載したポスターを掲示したり、ヤフージャパンなどのサイトに区の
帰宅困難者対策に関する広告を掲載。駅周辺の滞留者対策としては、協議会の本部設置の手順をVR化し、協議会のメンバーが本部の設置場所や倉庫からの備品搬出ルートなどを立体画像としてアプリ内で見ることができるようにし、速やかに
帰宅困難者を一時滞在施設へ誘導できるように取組を進めています。
帰宅困難者対策が進むことで、地域の避難所に
帰宅困難者が殺到することが避けられますが、懸念することは、町会や自治会が中心となって構成している地域防災協議会の高齢化です。コロナ禍で活動を制限されてきて、四年ぶりの訓練などに参加すると大きな課題を感じます。地域コミュニティーの中心である町会・自治会の会員数は、令和元年度から減少に転じ、令和四年度で六万四千五百八人となっています。区の地域防災は、避難所の設営や防災倉庫の管理など地域防災協議会に大きく依存しています。
総合支所の協働推進課が地域防災協議会を支援する段階から区役所の職員に町に入ってもらって、中から支援してもらう必要がある段階に来ているように思います。現在、港区では、災害対策住宅が百六十五戸あり、目標整備戸数は百七十八戸となっています。また、区内に住む職員は全体の一五%程度で、約三百四十人です。災害対策住宅を増設したり、住宅補助を出すなどして、職員が区内に住み、町会や自治会に加入してもらう取組を進め、地域防災協議会の日々の活動を支援してもらうことが災害時には大きな力になると思いますし、区民としても大変心強いと思います。
区にとっても職員がまちの活動に参加することで、区民の声を聞き、まちの課題を把握する機会になりますし、町会・自治会の課題解決に直接的に役に立つことができると思います。大半の職員が区内に住んでいない状況で、災害時にどれだけ職員が現場に集まってこられるかというところが、港区の防災を考える上で大きな不安材料になっています。区長の見解をお伺いします。
少子化対策についてです。考え方についてお伺いします。
日本の出生数の急激な低下と人口減少のスピードが深刻な問題となっています。二〇二二年の合計特殊出生率は一・二六と過去最低を更新し、一九七〇年代前半に二百万人だった出生数が、二〇二二年には七十七万人まで減少しました。国の予測より十年以上速いスピードで少子化が進んでいます。東京一極集中が進む中で、多くの出産期の女性が都心に流入し、港区ではこの十数年、空前のベビーブームとなり、子育て支援の拡充に取り組んできました。しかし、出生数は平成二十八年の三千四十八人をピークに下がり始め、令和四年は二千三百三十二人、出生率も平成二十八年の一・四五をピークに、令和四年は一・二一まで下がっています。これは全国や東京都も同様の傾向です。
一方で、
新型コロナウイルス感染症で減少した人口は再び都心回帰となり、港区の人口予測も今後増え続ける予測となっています。二〇二三年一月一日現在二十六万千六百十五人ですが、二〇三四年には三十一万九千三百六十人と予測されていて、出生率のトレンドがどこまで加味されているのか分かりませんが、ゼロ歳児の人口も現在二千二百七十三人から三十四年には三千百二十三人まで増え続け、ゼロ歳から六歳児の人口は現在一万七千六百三十人から二万五百二十七人まで増え続けると予測されています。
東京一極集中により、地方の若い世代の人口が都心に流れ続ける傾向が続く場合、都心で出生率が上がらなければ、日本の少子化問題は悪化する一方です。
先日、東京都の子供政策連携室が、これまでの少子化対策を踏まえて現状や要因を分析し、来年度予算の政策検討に当たって課題を整理した、少子化対策の推進に向けた論点整理を出されました。そこでは未婚化の進行とともに、子どもの数がゼロ歳から一人の世帯が増加していると指摘し、少子化は複合的要因とした上で、子育て期の支援では教育費と住宅費の負担が大きいとしています。また、多くの専門家が少子化対策イコール子育て支援だけと考えるべきではないと指摘しています。少子化対策は、多くの部署にまたがる課題となっているため、港区では現在、子ども家庭支援部が少子化対策を担っていますが、部署横断的なチームをつくり、港区独自の分析を行い、明確な数値目標を立て、全庁一丸となって政策パッケージをつくり、PDCAサイクルをつくって、日本の差し迫った重大な課題に取り組んでいく必要があると考えます。区長の少子化対策に対する考え方をお伺いします。
次に、保育園についてです。
今後の保育園政策についてお伺いします。港区では、待機児童ゼロが五年続き、東京都全体でも保育園の定員拡大と未就学児の減少によって待機児童問題はほぼ解決してきました。それでも年度末に保育園に入園できない問題や、一時保育が取れない問題、きょうだいが別々の園になる多子世帯の問題などがあり、一方で、小規模保育園などでは稼働率が下がり、経営が深刻になり、上乗せ徴収の要望が上がるなどの状況も生まれ、需給のマッチングがうまく進んでいないと思います。
また、認可外保育園の補助金の制度が、月百六十時間以上利用という条件が現状に見合わないことで様々な問題が起き、制度の変更を求める声が殺到するなど、港区の保育園政策全体の見直しが求められていると思います。今後の保育園政策についてどのように考えているか、区長の見解をお伺いします。
次に、区立元麻布保育園についてです。昨年十二月に区立元麻布保育園の医療的ケア児など障害児クラスについて、送迎支援や療育支援を求める請願が議会で採択されてから半年以上がたちます。区では、アンケート調査を取り、結果の分析などを行っているところと伺っていますが、現場からは変わらず、親が同乗しなければならない送迎の問題による疲弊を訴える声や、保育園内で療育支援が受けられるようになることを待望する声が上がっています。今後、どのように対応していく考えか、区長の見解をお伺いします。
次に、幼稚園についてです。
区立幼稚園の弁当配達支援についてです。この夏休みから、長年強い要望が寄せられてきた学童クラブの弁当配達支援事業が始まり、多くの保護者から感謝の声が寄せられています。また、この秋から学校・保育園等の給食費無償化も始まります。そうした中で、区立幼稚園では、以前の学童クラブと同様、園ごとにPTAが仕出し弁当の事業者と契約する形が取られていますが、PTA連合会からは、学童クラブで導入したように区立幼稚園にも弁当配達支援事業の導入を早急に区に求める声が上がり、先日、教育長に対し、陳情書が提出されました。区立幼稚園に対しても、公平性の観点からも要望に応えるべきと考えますが、教育長の見解をお伺いします。
また、無償化についても、公平性の観点からどのように考えるかお伺いします。
これは要望ですが、私立幼稚園や不登校のお子さんが通う適応教室つばさ教室でも弁当となっていますが、同様に支援を検討してほしいと思います。
次に、障害児・者支援についてです。
障害児・者施設の増設計画についてお伺いします。日本の共働き世帯は、二〇〇一年から二〇二一年までで約一・五倍となり、夫婦世帯全体の約七割となっています。港区でも、昨年のアンケート調査によると、就学前児童の保護者の共働き率は七六・三%となっています。障害児の母親も当たり前のようにキャリアを持つなどして働く時代になっていますが、健常児と違い、子どもが小学校を卒業した後もずっと親の就労支援の制度が必要となりますが、未整備のままです。
人口が多い学童期の障害児の働く母親たちが、高校入学後の放課後等デイサービスや移動支援などの就労支援サービス、また、高校卒業後の生活介護事業所や日中一時居場所、グループホームが不足することで働けなくなること、それにより生活ができなくなること、また、そのために港区で生まれ育ち、地域で育まれてきた子どもを都外の施設などに預けなければならなくなることなどを強く危惧しています。短期入所施設の拡充に対しても強い要望が上がっています。各都立支援学校の保護者たちからも要望書が区のほうに寄せられていると思います。
障害児の人口増加、共働き率の上昇、既に余裕のない各施設の状況などを考えると、保育園の待機児童問題と同様で、潜在需要を喚起するため、正確な需要予測と整備計画を立てて、待機児童対策として保育園整備を進めてきたように、土地と事業者のマッチングや、補助金を整備することで民間の誘致を進めるなどの手法で増設を進めていくことが必要と考えます。
港区では、現在、知的障害者のグループホームが定員六十人分、精神障害者のグループホームが定員二十人分あり、施設により若干の空きがある状況と伺っています。また、整備計画上は、令和七年に知的二施設十一人分、精神一施設五人分の増設、令和十年度予定で南麻布三丁目保育施設跡地に、障害分類は未定ですが、二十人分の施設増設計画が立てられていますが、今後どれぐらいの需要を見込み、不足分についてどのように増設を計画される考えか、見解をお伺いします。
また、放課後等デイサービスや移動支援などの高校入学後の親の就労支援サービス、高校卒業後の生活介護事業所、日中一時居場所を含めた就労支援サービスの今後の需給状況、整備計画に対する考え方についても併せてお伺いします。
また、これは要望ですが、障害のあるお子さんが学童クラブの代わりに利用する放課後等デイサービスでも、夏休みなどの長期休暇中には保護者が毎日お弁当を作らなければならず、大変な思いをされています。こちらでも学童クラブで導入したものと同様の弁当配達支援をぜひお願いしたいという強い要望をいただいています。検討をお願いいたします。
また、全国的な人手不足や賃金の低さなどから、福祉施設をつくっても人材不足で運営が困難に陥る状況が今後ますます起きていくと思います。福祉現場で働く人たちの待遇改善にも取り組んでください。DX化についても働く人の人材マッチングや利用者の利用予約マッチングなど改善できる余地が多々あると思いますので、進めていってほしいと思います。
次に、教育についてです。シンガポール修学旅行の考え方についてお伺いします。
シンガポール修学旅行について、国際人育成の取組の集大成、区立中学の魅力向上などが事業理由として挙げられています。シンガポール三泊五日で、オーストラリア派遣事業のような語学研修や異文化体験の効果が望めるのか、家族旅行とどう違うのかなど、プログラム内容が重要だと思うのですが、その内容が未確定です。本来、子どもや保護者、学校の意向調査を行い、課題などを整理した上で政策立案、プログラム精査などを行い、提案されるべきものではないかと思います。
オーストラリア派遣事業のような人生の価値観が変わるような留学体験を、より多く子どもたちにチャンスを与えるために新たな留学先を開拓したり、留学を希望する高校生に多くのチャンスを与えてあげたい、そこを目指して子どもたちが頑張れる環境をつくってほしいと要望してきました。港区として、国際人育成をどのようなものとして考え、この事業がどのようにつながると考えているのかお伺いします。
また、区立中学の魅力向上については、中高一貫校の設置や国際プログラムの導入を検討すべきではないかと訴えてきました。現在、区立中学の進学率が四七%ですが、区立への進学率が低い理由をどのように考え、この事業がどのような効果があると考えているかお伺いします。
次に、学習支援員についてです。
昨年の文部科学省の調査によると、読み書きや計算などの学習面の困難さや、不注意や対人関係を築きにくいといった行動面の困難さがあるなど発達障害の可能性があり、特別な支援が必要な小・中学生は通常の学級に八・八%、十一人に一人程度在籍しているということが分かりました。一方で、こうした小・中学生のうち、学校の校内委員会で特別な支援が必要と判断されたのは二八・七%で、有識者会議では、支援の検討自体がされていない児童・生徒がいると考えられ、学校全体での取組や、それを支える仕組みが必要だとしています。
通常級の中で障害などによって授業についていけなかったり、集中が困難な児童・生徒への個別支援を行う学習支援員についてですが、令和二年度から五年度の四年間で、小学校、中学校ともに学習支援員を配置する対象人数が小学校で百五十人以上、中学校で五十人以上増えています。予算額は一千万円以上増えていますが、学習支援員の人数はほとんど変わっていません。保護者からは支援員の補充を訴える声や、支援員の研修制度の拡充を求める声が上がっています。今後、児童・生徒の特別な支援をどのように行っていくのかお伺いします。
次に、特別支援教室についてです。また、東京都教育委員会の制度である発達障害のある児童・生徒が在籍校で特別の指導を受けることができる特別支援教室の利用についても卒業まで継続的に使える制度にはなっていませんが、スペシャルニーズのある子どもに対する支援は継続的に行っていく必要があります。制度として不足する部分は、港区として独自に継続的な支援を進めていく必要があると考えますが、見解をお伺いします。
次に、不登校児童・生徒の支援についてです。
コロナ禍の四年間で学校は大きく様変わりしたと思います。全国的に不登校の児童・生徒の数が急増し、二〇二一年度は二十一万四千九百四十人、九年連続で増加し、前年度から約五万人増えています。また、去年一年間に自殺した小・中学校、高校の児童・生徒は五百十四人と過去最多になりました。港区でも令和二年度、小学校で七十五人、中学校で百十九人、令和三年度、小学校で七十九人、中学校で百十一人の不登校の児童・生徒の数ですが、令和四年度は急激に増えている状況だと伺っています。一方で、港区では港区適応指導教室つばさ学級がありますが、利用しているのは一割程度で、ほかに支援がありません。
福岡市教育委員会は、市内の不登校児童・生徒数が五年間で約二・五倍に急増した状況を受け、不登校児童・生徒にアンケート調査を実施したところ、六割以上が不登校特例校に通ってみたいという回答だったことから、先日、二〇二五年度に不登校特例校である「学びの多様化学校」を開設する方針を発表しました。福岡市では、既に市内の中学校全校に校内適応指導教室ステップルームを設置するなどの対応も取ってきています。
また、広島県教育委員会では、二〇一九年度から県内の指定校で不登校児のための校内フリースクール「スペシャルサポートルーム」を設置し、二〇二二年四月にも、港区でも天才教育で協力していただいている東大先端研やNPO法人カタリバの協力を得て、広島県教育支援センター「スクールエス」を開設し、個別学習サポート、メンター派遣、オンライン利用などを実施しています。
港区適応教室つばさ学級は学校に戻ることを前提にしている施設ですが、学校に行かなくても様々な居場所、教育支援を用意するなど、教育の個別最適化が求められていると思います。コロナ禍には実施されていたオンライン学習も現在実施されていません。オンライン学習の整備や居場所の支援など、不登校児に対する支援は急務だと思いますが、どのような対策を考えているか、教育長の見解をお伺いします。
次に、神宮外苑再開発についてです。
ヘリテージアラートの発出についてです。九月七日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際イコモスから神宮外苑地区再開発事業の撤回を求める緊急要請、ヘリテージアラートが発出されました。岸田首相をはじめ、国土交通省・文部科学省・環境省各大臣、小池都知事、港区など関係各区の区長や区議会議長、事業者などに要請書が発送されるということです。
イコモスは、世界百三十か国の国々が参加している国際的専門機関であり、ヘリテージアラートは、文化的資産が直面している危機に対して、イコモスが国際組織として学術的観点から問題を指摘し、保全と継承に向けた解決策を促進するために発信されるものです。採択されるためには、明確な資料とエビデンスを提示し、厳しい審査が必要とされています。今回のヘリテージアラートは、シドニーのイコモス世界大会で各国代表、全会一致の採択を得て発出され、ABCニュースやAP通信など、海外メディアでも大きく取り上げられました。
イコモスは、東京において十七世紀より継承されてきた庭園都市パークシステムのコアである神宮外苑地区再開発事業を阻止し、二〇二三年九月より開始される三千本以上の樹木の伐採・移植を阻止するため、ヘリテージアラートを発令するとしています。ヘリテージアラートは、神宮外苑は市民の献金と労働奉仕によりつくり出された世界の公園史でも類例のない文化的遺産であり、九月から開始される第一期工事だけでも三千本の樹木が伐採・移植され、百年にわたり育まれてきた森は完膚なきまでに破壊されると指摘しています。
その上で、事業者に対し、再開発事業から直ちに撤回することや、東京都に対し、都市計画決定を見直すこと、港区や新宿区、渋谷区に対しては、未来世代のために神宮外苑の名勝指定に向けて協力して取り組むこと。国に対しては、東京都のみの問題とせず、適切な施策の適用を様々なステークホルダーと協働のもと、推進することなどを求めています。神宮外苑再開発に対してヘリテージアラートが発出され、都市計画決定の見直しや再開発事業の撤回などが求められたことに対して、どのように受け止めているか、区長の見解をお伺いします。
説明会についてお伺いします。神宮外苑の近隣の子育て世帯を中心にした明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会から要望書が出され、港区から要請を出していた事業者による住民説明会がようやく七月十七日から三日間開催され、三百八十一人の参加がありました。しかし、参加対象は外苑から三百八十メートル圏内の住民に制限するもので、要望とは異なるものでした。議会の有志で対象を制限しない対話型の説明会の追加開催を要請するよう区長に対し要望書も提出させていただきました。今後の説明会開催について、どのように考えているか、区長の見解をお伺いします。
ここからは私の思いということで付け加えてお話をさせていただきますが、事業者のホームページで質問を受け付けて回答が掲載されるようになり、目を通していると、これまでの情報公開や説明が不足し、多くの住民が様々な疑問を感じていることがよく分かり、住民説明会の必要性を改めて認識しました。
サザンオールスターズが新曲で、神宮外苑再開発を懸念する「Relay〜杜の詩」をリリースし、ユニクロのCMソングに使われていることが話題になっていますが、「いつもいつも思っていた。知らないうちに決まっている」という部分が海外メディアでも報道されています。専門家にすら事業の全容が見えない間に、風致地区や都市計画公園として制御されてきた都市計画が次々に規制緩和され、都市計画公園が削除され、市街地再開発計画が行われるということ自体が、世界のどの大都市においても起き得ないことで、ヘリテージアラートが発出されたということで、事業の情報公開の不足が浮き彫りになったように思います。都市計画における情報公開、情報発信の重要性を痛感しています。
次に、名勝指定についてです。ヘリテージアラートの中でも、港区、新宿区、渋谷区が名勝指定に向けて協力して取り組むよう求められています。港区では、四列のイチョウ並木の名勝指定について、明治神宮など関係者との意向確認を行ってくださっています。四列のイチョウ並木は、昭和十二年頃の台風で軒並み倒れたということですが、全て元に戻し百年の時を刻んできたということです。現在、既にイチョウ並木が枯れ始めているということが指摘されています。早急に名勝指定を行い、法的な景観の保存に動くべきだと考えますが、見解をお伺いします。
質問は以上です。御清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの
みなと政策会議を代表しての清家あい議員の御質問に順次お答えいたします。
最初に、二元代表制に対する考え方についてのお尋ねです。
我が国の
地方公共団体は、日本国憲法及び地方自治法に基づき、長と議会の議員のいずれも住民が直接選挙する二元代表制となっております。私は、二元代表制の下では、区を代表して事務を管理・執行する区長と、条例や予算など区の重要な意思決定に関して議決を行う区議会とが車の両輪のような関係になり、区民福祉の増進という同じ目的に向け、区政を推進すべきものと考えております。今後も、区議会の皆さんとの意思疎通を図り、必要な情報提供や根拠の提示など誠意を持って対応し、丁寧な説明を尽くしてまいります。
次に、
ふるさと納税の返礼品についてのお尋ねです。
現在の
ふるさと納税制度は、返礼品により一部の自治体に寄附が集中する一方で、多くの自治体で返礼品の
経費負担や減収に苦しんでいることなど、制度のひずみが顕在化しており、様々な課題があります。区では、「税の使われ方や地域の在り方を考えるきっかけになる」、「生まれ故郷やお世話になった地域、応援したい地域への力になる」という
ふるさと納税制度本来の趣旨を踏まえ、引き続き、国に見直しを求めるとともに、返礼品によらずに区の取組を応援していただく「港区版
ふるさと納税制度」の一層の拡充に取り組んでまいります。
次に、DX化と総合支所制度の見直しについてのお尋ねです。
区は、総合支所中心の区政運営を基本姿勢とし、昨年八月には各地区総合支所にあらゆる福祉相談をワンストップで受け付ける福祉総合窓口を開設するなど、総合支所制度の不断の見直しを進めております。現在、デジタル技術の進展を踏まえ、オンラインでの申請や相談などを導入し、区民が来庁しなくてもサービスを受けられる環境整備やAIなどを活用した業務支援システムの導入を進めております。今後もこうした取組を加速させるとともに、総合支所だからこそできる身近な窓口での区民に寄り添ったサービス提供や、地域に足を運ぶアウトリーチ活動の拠点としての役割を強化してまいります。
次に、職員による災害時の地域防災協議会への支援についてのお尋ねです。
区は、地震の規模等に応じて、区内や近隣区などに居住する職員が災害時に直ちに参集できるよう、それぞれ非常配備体制の職員として任命しております。夜間・休日等の発災時には、災害対策住宅居住職員が直ちに参集し、地域防災協議会と協力して、避難所の開設等を行う体制を確保しております。災害対策住宅居住職員には、地域住民として防災訓練等の地域活動に積極的に参加することを促しており、台場地区では、地域防災協議会の会議、訓練に必ず参加しております。今後も職員が積極的に地域防災協議会と関わり、地域の一員として災害時に行動できるよう努めてまいります。
次に、少子化対策についてのお尋ねです。
区が昨年実施した未就学児のいる全世帯調査では、出産時の経済的な負担や子育ての孤独感、不安感など、若い世代にとって、子どもを産み育てることへの経済的、心理的な負担も少子化に影響していると認識しております。区はこうした声を捉え、今年度も区独自の出産費用助成金の算出上限額の引き上げ、産後母子ケア事業の拡充など、子育て支援を充実しております。今後も再編した子ども部門が中心となり、全庁横断的に、若い世代が結婚や子育てに対し、夢や希望に満ちた展望を抱けるための支援策を講じ、少子化対策に全力で取り組んでまいります。
次に、保育園についてのお尋ねです。
まず、今後の保育園政策についてです。区は、昨年実施した未就学児のいる全世帯調査から、一時預かり事業の需要が拡大していることや、区民の保育ニーズが量の拡大から質の向上に変化していることなどを把握いたしました。このような状況を踏まえ、小規模保育事業所や私立認可保育園で余裕活用型一時預かり事業を実施するとともに、保育アドバイザーの派遣により保育士スキルの向上や、子どもの健やかな成長の促進など、保育の質のさらなる向上に努めることで、区民ニーズに即した取組を進めております。今後も保育ニーズを的確に捉え、区民の声を生かした保育サービスの充実に取り組んでまいります。
次に、元麻布保育園における医療的ケア児・障害児クラスへの対応についてのお尋ねです。区は、園長経験のある職員などが医療的ケア児・障害児クラスを含めて元麻布保育園を定期的に訪問し、園児の様子を丁寧に確認するとともに、良好な保育環境づくりについて助言しております。今月から、医療的ケア児・障害児クラスにおいては、作業療法士や言語聴覚士による巡回指導も開始し、子どもの発達に応じた関わり方など保育士が実践的な指導を受けております。送迎支援についても、保護者へのアンケート結果を基に、より支援が必要な多子世帯への保護者の送迎に係る負担を軽減できるよう検討を進めております。
次に、障害者の施設等の増設計画についてのお尋ねです。
区は、昨年度の「くらしと健康の調査」において、グループホームの高い需要や、就労する親が増加する中で就労時間の確保が難しい現状などを把握いたしました。こうした結果に加え、今後も障害者数の増加が見込まれることなどから、障害者の将来を見据えたグループホーム等の施設整備、家族が安心して就労するための障害者の居場所確保や移動支援の充実など、早急に解決すべき課題があります。今後も、施設の申込み状況など最新の需要を分析しつつ、民間事業者の参入を促す工夫も検討しながら、差し迫る障害福祉サービスの需要の増加に全力で対応してまいります。
次に、神宮外苑再開発についてのお尋ねです。
まず、ヘリテージアラート発出に対する見解についてです。国際イコモスは、今月七日付で神宮外苑の文化的資産の保全と継承に向けた解決策を促進するための声明としてヘリテージアラートを発令し、事業者に対する再開発事業の撤回などを求めております。神宮外苑のまちづくりにおいては、創建以来の歴史を継承するとともに、緑やスポーツに多くの人々が触れる機会をつくることで、開かれた外苑として次世代につなげていくことが重要です。今後も、区はヘリテージアラートに対する事業者の動向を注視してまいります。
最後に、今後の説明会の開催についてのお尋ねです。区は、本年二月に事業者へ説明会の開催を文書で要請いたしました。その結果、事業者が本年七月に説明会を開催するとともに、ホームページで説明動画を公開したことは一つの成果と認識しております。引き続き、事業者に対して神宮外苑地区のまちづくりの意義について、説明会を通して広く情報発信するとともに、区民等から出された意見や疑問に対して適切に対応し、多くの区民に共感を得られるまちづくりを行うよう求めてまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(浦田幹男君)登壇〕
○教育長(浦田幹男君) ただいまの
みなと政策会議を代表しての清家あい議員の御質問に順次お答えいたします。
最初に、幼稚園についてのお尋ねです。
まず、区立幼稚園のお弁当配達支援についてです。現在、PTAが主体となって、一部区立幼稚園で実施をしている配達弁当については、毎日のお弁当作りの負担軽減や栄養バランスの観点から、保護者の好評を得ていると報告を受けております。こうした状況も踏まえ、区が契約主体となることも含め、配達弁当実施園の拡大について検討してまいります。
次に、保育園等給食費の負担軽減との公平性についてのお尋ねです。教育委員会では、区立幼稚園の在り方検討会を設置し、様々な視点から区立幼稚園の魅力や利便性の向上策を検討しております。現在のところ、区立幼稚園において、一律に昼食に必要な費用に対する負担軽減を行うことは予定しておりませんが、引き続き、園児の保護者への支援の在り方について、今後の課題として検討してまいります。
次に、シンガポール修学旅行の考え方についてのお尋ねです。
教育委員会は、国際社会で活躍することができる人材を育成しています。国際社会においては、英語による語学力だけではなく、コミュニケーション能力や異文化に対する理解が必要となってきます。来年度実施を予定している海外修学旅行のプログラムでは、全ての生徒にこれまで学んできた英語力を試す場や異文化に直接触れることで事前事後の学習も行い、海外に視野を広げ、自国や他国の文化や伝統を重んじる真の国際人として、自己の将来や進路を見据える契機になるものと考えております。
昨年度、教育委員会が実施した学校教育推進計画改定に向けたアンケート調査では、進学する中学校を選択するに当たり、公私立を問わず、学力向上策、受験対策、国際理解教育などの充実が判断材料となるということが分かりました。来年度実施を予定している海外修学旅行を含めた国際理解教育の充実を図ることは、区立中学校の魅力を一層充実させるものと考えています。
次に、特別支援教育についてのお尋ねです。
まず、学習支援員についてです。現在、各学校では、通常の学級に在籍する発達に特性のある児童・生徒に対して、学習支援員が教員と連携し、個に応じた支援をしております。学習支援員による支援の必要な児童・生徒が年々増加している中、教育委員会では、支援時間を確保することはもとより、支援のための教員の資質向上にも力を入れております。一例として、特別支援教育担当者会において、教員と学習支援員が個別の支援計画を用いて共通の視点で支援に取り組んだ好事例を周知しております。教員と学習支援員の連携による個に応じた支援を行ってきたことで、対象の児童・生徒が自分で考えた内容をスムーズに書き表すことができるようになるなど、支援の効果が現れた事例が増加しております。引き続き、教育委員会では一人一人のニーズに応じた支援の充実に取り組んでまいります。
次に、特別支援教室の港区独自の取組についてのお尋ねです。特別支援教室では、東京都が定めたガイドラインに従い、原則として一年間の指導で、児童・生徒一人一人の障害に応じた目標を達成するようにしております。その上で区では、この指導期間で目標を達成することが難しい児童・生徒に対し、東京都の制度を踏まえつつ、個に応じた柔軟な対応をしております。具体的には、引き続き特別支援教室での指導が必要な児童・生徒には、原則の指導期間後も個の状況に応じた新たな目標を設定し、指導を受けられるようにしております。
また、児童・生徒の支援を充実させるため、区独自の区費講師を三名配置し、児童・生徒の特性に合わせた指導を行っております。今後も、特別支援教室を利用する児童・生徒が個の能力を最大限に伸ばしながら成長できるよう、各学校の指導の充実に向けた支援を強化してまいります。
次に、不登校児童・生徒の支援についてのお尋ねです。
現在、各学校では、学習者用タブレット端末のビデオ通話機能を使用した面談や学習指導を実施するなど、希望する児童・生徒にはオンラインを用いて心に寄り添った支援に取り組んでおります。また、適応指導教室つばさはもとより、フリースクール等に通っている児童・生徒に対し、登校や活動の状況を報告書などで確認し、可能な限り児童・生徒一人一人に応じた支援方針を協議し、対応を進めております。今後は、不登校児童・生徒の個々の状況を踏まえ、より適切な学習を進められるよう、不登校特例校の新設について検討してまいります。
最後に、神宮外苑再開発における名勝指定についてのお尋ねです。
教育委員会は、本年六月に、所有者である明治神宮を訪問し、これまで約百年にわたり、イチョウ並木を適切に維持管理してきたこと、今後、周辺で再開発が行われる中にあっても、着実に守り続けることを確認しております。名勝指定については、今後も協議を継続していくことの同意を得ていることから、周辺区とも意見交換をしながら、引き続き所有者と協議をしてまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○議長(鈴木たかや君) 次に、十八番根本ゆう議員。
〔十八番(根本ゆう君)登壇、拍手〕
○十八番(根本ゆう君) 令和五年第三回港区
議会定例会におきまして、港区維新を代表して、根本ゆうが武井区長に質問させていただきます。
今年は関東大震災から百年目を迎える年として、日本各地で改めて防災への意識づけ、備えを促すためのプロジェクトやプレスでも多くの防災に関する記事がリリースされております。港区におきましても、九月二日に港区関東大震災百年継承プロジェクトとして「防災を学ぶ日」をみなとパーク芝浦及び芝浦公園で開催され、大切な一歩が進み始めていることと感じます。しかし、現状に安住することなく、港区の防災対策に何が必要なのか、足りないものは何かを考え続け、遂行し続けることが港区防災対策基本条例にあるとおり区の使命です。
第二回定例会一般質問でも取り上げましたが、今回も引き続き、港区の防災に関する項目について御質問いたします。
まず最初は、私が選挙時から訴えてきた震災時のエレベーター閉じ込め対策についてです。震災時のエレベーター閉じ込めに対応できるよう、港区内のマンションごとにエレベーター閉じ込め対応訓練を実施する予算が組まれており、少しずつ取組が広がりつつあるのを感じる一方で、明日震災が起き、エレベーターの閉じ込めが起きたときに、区民の皆様がすぐに対応・対処できる状態がゴールとすれば、まだまだ山頂へ向かうには登山道入り口一歩目というところが現状かと思います。
直近の第二回定例会において、区長より、マンション住民の皆様の御意見を聞くことを前提に、震災時のエレベーター閉じ込めが起きた際には、エレベーターかごの位置の安全が確認できれば、マンション住民自らが閉じ込めに対応することを促していきたいお考えであったと理解しております。しかしながら、マンション住民によるエレベーター閉じ込め対応の仕組みづくりには、まだまだ大きな課題があることを御認識いただきたいのです。
令和五年度上半期での閉じ込め対応訓練の実施マンション数は二件、これからの下期の予定も現時点で一件にとどまっております。繰り返しになりますが、明日震災が起き、エレベーター閉じ込めが起きた時に、区民の皆様がすぐに対応・対処できる状態がゴールと思っており、数件のマンションにしか浸透していない状態は問題です。港区内全てのマンションでこの訓練を行うことが必要です。全てのマンションでの訓練実施を目指すには、マンションからの希望を募っていく現在の任意の形では達成できないです。全マンションが必然に訓練ができる状態をつくることが求められます。
毎年行われている総合防災訓練の在り方を見直し、年に一度、マンション住民は自分のマンションでエレベーター閉じ込め対応訓練を実施していくことに注力していくことが区民の方にとって必要な施策と考えます。なぜならば、区では、マンション住民に自宅にとどまる震災時在宅避難を求めているのに、小学校で実施する総合防災訓練に区民を集めることで、マンション住民には学校施設等が避難場所で、震災時は学校に避難するものなのだと、そういった間違った刷り込みが起きてしまっている現状を変え、実践的な災害に備えた訓練になると確信しているからです。
先日、私を含めました港区議会議員の皆様もエレベーター閉じ込め対応訓練をしていただきました。メーカーごとにエレベーターの扉を開ける鍵のような道具の形状や要領は違いますけれども、決して専門性の高い作業ではないはずで、慣れない作業だから定期的な訓練が必要だと訴えております。シャフトに落ちない対策も囲いなどの設置で対応できるものと思われます。
エレベーター閉じ込め対応訓練を港区内全てのマンションで実施していくには、エレベーターの取扱いをレクチャーいただくプロが必要になってまいります。現状、各エレベーターメンテナンス業者に対応訓練をお任せしておりますので、マンパワーが課題に上がってまいります。港区はメンテナンス業者に代わり、業者・メーカーを超えて閉じ込めに対応できる指導体制を構築していく必要があります。
仕組みづくりで課題になってきますのは、マンションごとにエレベーターメーカーが違い、閉じ込め対応へのスタンスもメーカーごとにばらばらであるということです。私の住むマンションのエレベーターメンテナンス業者は、床とかごの差が六十センチ以内であれば、メンテナンス業者の救出を待たずして、閉じ込めからの救出を許可しているメーカーです。ただ、六十センチよりも差がある場合は救出を停止し、再びエレベーター扉を閉めろと書いてありまして、開けて助かったと希望を持たせておいて、再び閉じ込めなさいと書いてあるマニュアルは何と血の通わない非道、無慈悲な対応なのだとあきれましたが、他メーカーにはとにかくメンテナンス業者の救出を待てという趣旨の内容ばかりが書いてあり、閉じ込めの救出について記載のない、ビルごと、マンションごとの個別のエレベーター救出対応スキルを求める国の方針に従っていないメーカーもあります。
エレベーターの地震対策の取組について、令和二年七月十四日付の国土交通省の報告書では、大阪北部地震を踏まえたエレベーターの地震対策として、保守事業者以外の研修等の充実を提唱しております。つまり、港区主催のエレベーター閉じ込め対応訓練の浸透に向けて解消していかなければいけない問題というのは、個々のエレベーターメーカーの対応や意識の壁を乗り越え、解決していかなければいけないということです。
基本的にエレベーターメンテナンス業者の「業者の救出を待て」というスタンスが強いことから、各社に保守整備の受持ち台数ですとか、保守点検要員の人数、曜日ごとの時間帯における人員体制を港区役所としてヒアリングいただきましたが、各社共通「非公表」、つまり質問に対してゼロ回答でした。エレベーターメンテナンス業者の救出を待てというのであれば、これくらいの体制だから安心してくださいと表明するのが道理だと思います。
社名を公表しないことを前提にヒアリングをさせてもらいました。メンテナンス業者の職員は、一人当たり七十台がもともと標準だったところ、現在では人件費削減で、一人当たり約三百台も担当させられているメーカーもあるそうです。また、千台近い担当支店の夜勤は一人というのが通常で、土日も同様だと伺いました。これでは公表できないはずです。土日に震災が発生して閉じ込められたら、八台に一台の割合で閉じ込めが発生すると言われる今、エレベーターメーカーの作業員一人で百台以上の閉じ込め対応をしていかなければいけない事態も想定しなければいけません。何日待たなければいけないか、皆様、想像してみてください。
そこで、区長に質問です。昨年度から始めたエレベーター閉じ込め対応訓練の実施マンションが数件である現状をどう捉えておられるでしょうか。
続いて、全てのマンションで実施していく段取りをどのようにお考えでしょうか。
次に、前回の第二回定例会では、住民による救出については、マンション住民の声を聞きながらと御答弁がありましたけれども、意見収集の段取りも含め、エレベーターメンテナンス業者の自ら救出に向かうので待てと言いながら、常時の人員体制も非公表を貫き、コンプライアンスの観点でも問題と思われるこの状況を踏まえ、エレベーターメンテナンス業者に対する姿勢と、今後のエレベーター閉じ込め対応訓練のあるべき姿について方針を伺います。
次に、要介護者を含めた高齢者や障害者などの要支援者に対する災害時の避難行動についての質問です。
港区の防災対策においては、先ほどのエレベーター閉じ込めにどう対応していくのかを含め、マンション防災対策の在り方をはじめ問題が山積みです。それに加え、災害発生時により配慮をしなければいけない要介護者を含む高齢者、障害者、妊婦の方などの要支援者の避難行動の在り方も問題です。寝たきりの状態で、毎日在宅酸素使用をされている要介護の高齢者、そしてその介護をされている御家族もおり、程度の差は御家庭により違えど、こういった御家族が少なからずいらっしゃることは言うまでもありません。
区の地域、並びに区民の生命、身体及び財産を災害から保護することを目的に港区
地域防災計画があり、その中に要支援者の避難計画をまとめていますが、非常に書き方が複雑で、結局何が言いたいのか分からないものになっています。簡単にまとめますと、まず、要支援者は、災害時避難行動要支援者登録名簿への登録のため、区から個人情報の提供を求められています。災害時には要支援者も原則在宅避難をし、そこで必要なサービスを受けることが求められていますが、在宅避難が難しい場合には、まず、区民避難所で数日待機、必要があれば、特別な配慮が必要な方向けの福祉避難所または医療機関へ移動するということになっています。要支援者は体力がないのに、こんなことをしている間に死んでしまうと思ってしまうのは私だけでしょうか。
今、御説明した区の要支援の避難行動プロセスにはたくさんの問題点があります。
一つ目、災害時避難行動要支援者登録名簿を作成することで、災害時、港区が何かしてくれるかのように期待が湧きますが、その情報を活用した避難計画は具体的に整備されておりません。基本計画には災害時協力協定を締結した警察署、消防署、民生委員・児童委員、高齢者相談センター及び介護事業者と日頃から連携するとともに個別支援計画の作成を進め、支援体制を確保しますとありますが、専門家として医療機関が入っていないことも問題です。結局、港区が何をするのかが不明瞭です。
二つ目、在宅避難ができたとしても、平時から継続的な医療行為が必要な場合、災害時には交通混乱で必要な物資の提供を受けることができず、生命が左右されることに対する対策が整備されておりません。
三つ目、在宅避難が困難な場合には、計画には明記されていませんが、区民避難所で数日待機が現状求められております。福祉避難所に搬送されても医療行為はなされませんので、生命を保護できるのか。この施設の意義も検討が必要だと思いますが、医療行為が必要な方が数日もの間、宙ぶらりんになり生命維持ができない可能性があるのは明らかです。容易に医療機関への搬送とありますけれども、災害時、交通混乱から容易に搬送が円滑に進まないのも想定しなければいけません。
四つ目、透析を必要とする患者は時間がないケースが十分考えられ、医業分業によって災害拠点病院など大病院には透析の機械がほとんどなく対応できません。また、電力と大量の水を必要とする透析は、停電や断水時には使用できず、災害時に病院で作動させられるとは限りません。
これらのように、災害時、港区の計画が不十分で要支援者の方が適切な対応を受けられなかったがために命を落とす可能性があることを自覚し、港区として要支援者に対し、どのような方針とするのか。改めて明示し、
地域防災計画の見直しが必要です。
災害時避難行動要支援者登録をされていないと想定される要支援者数の割り出し、既に登録されている方についてはどのようなレベルの支援が必要になるのか、そういったことを分析した上で、より綿密で具体的な対応を計画すべきです。
まずは、要支援者への災害時の対応において決めるべきことがあります。公助を主体としていくのか、自助、共助を主体とするのかという方向性になると思います。行政が要支援者の避難計画を策定するのか。分析の結果、行政支援は難しいため、要支援者やその家族には自助に任せるのか。現在策定されている港区
地域防災計画を読み解こうとしても、要支援者の方々に誰が何をする計画なのか理解できない内容となっていると思います。
防災対策の骨子となる港区防災対策基本条例にもある「区民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災体制を整備すること」が定められておりますので、実際のところ自助に任せるのではなくて、要支援者に向けた
地域防災計画の見直しは必至ではないでしょうか。今、行政には要支援者を守る覚悟が求められております。
令和四年時点で災害時避難行動要支援者登録名簿作成者数は約千六百件ほどですが、この情報を生かし、災害発生時に要支援者やその御家族がどのような行動を取ればいいかを分かりやすく具体的に策定する政策を主張いたします。新たな計画策定においては、警察署、消防署、民生委員・児童委員、高齢者相談センター及び介護事業者にも協力を仰ぐことは必至でありますが、医師を含め、専門家を交えて議論していただきたいです。
そこで、区長に質問です。一つ目、現状の港区
地域防災計画における避難行動要支援者に関しての自己評価はいかがなものでしょうか。
二つ目、認識のそごがないよう、避難行動要支援者やその御家族、ケアマネジャーなどの関係者に対して、港区
地域防災計画の内容について、しっかりと説明の場が必要かと思っておりますが、いかがでしょうか。
三つ目、最後に、避難行動要支援者に対する港区
地域防災計画を見直す場合、見直しのポイントと今後のスケジュールについてお考えを伺います。
質問は以上です。区民の生命、身体を守るという港区の意気込みを期待して質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの港区維新を代表しての根本ゆう議員の御質問に順次お答えいたします。
最初に、震災時のエレベーター閉じ込め対策についてのお尋ねです。
まず、エレベーター閉じ込め対応訓練の実施件数についてです。区では、本年一月から現在まで、区内の共同住宅において、訓練を延べ十一回実施しております。なお、保守事業者を講師に招いて実施する体験型の訓練のため、訓練実施日の調整や講師、参加者の確保に時間を要しており、実施件数については、課題があると認識しております。
次に、全てのマンションで訓練を実施していくことについてのお尋ねです。区内のマンションの棟数は非常に多く、また、エレベーターの製造事業者、保守事業者、機種、設置年数なども多岐にわたっております。今後、製造事業者、保守事業者ごとに訓練実施予定日をあらかじめ調整の上、確保するなど、事業者と意見交換し、より多くの訓練が実施できるよう工夫をしてまいります。
次に、訓練のあるべき姿についてのお尋ねです。訓練は、地震発生時、エレベーターに閉じ込められた場合を想定し、区民が安心して対処できるようにすることを目的として実施をしております。地震発生時は閉じ込められた状態から安全を確保した上で、早期に利用者を救出することが最も重要です。そのため、居住者自らが救出することも含め、区民が閉じ込め時に落ち着いて対応できるよう、製造事業者、保守事業者に働きかけ、訓練を実施する共同住宅を増やしてまいります。
次に、避難行動要支援者の避難行動についてのお尋ねです。
まず、港区
地域防災計画における避難行動要支援者対策の評価についてです。避難行動要支援者の生命、身体を守るためには、民生委員・児童委員、警察署、消防署などの支援関係者間で役割分担し、災害時に迅速に支援することが重要です。こうした観点を踏まえますと、現在の港区
地域防災計画には避難行動要支援者の個別避難計画の支援関係者間での共有や安否の確認、避難支援体制が具体的に機能するための仕組みづくりなどの点において、より具体化すべき箇所があると考えております。
次に、関係者への説明の必要性についてのお尋ねです。災害時に避難行動要支援者へ迅速に支援するためには、
地域防災計画に記載する内容を、平時から、民生委員・児童委員、警察署、消防署などの支援関係者に理解していただくことが重要です。そのため、港区民生委員・児童委員協議会などを通じ説明するほか、支援関係者へ丁寧に周知をしてまいります。
最後に、港区
地域防災計画修正のポイントと時期についてのお尋ねです。現在、修正を進めております港区
地域防災計画では、避難行動要支援者の生命、身体を守る観点から、災害時に避難行動要支援者が避難する際の仕組みが確実に機能するような支援の強化を検討しております。今後、避難行動要支援者が避難する際の支援に関わる港区民生委員・児童委員協議会、港区心身障害児・者団体連合会、港区医師会などの方々を委員とする港区防災会議で審議し、来年三月に港区
地域防災計画を修正する予定としております。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○議長(鈴木たかや君) 以上にて、本日の日程は全部終了いたしました。
本日の会議は、これをもって散会いたします。
午後五時二十六分散会...