港区議会 2023-06-21
令和5年第2回定例会−06月21日-09号
令和5年第2回定例会−06月21日-09号令和5年第2回定例会
令和五年 港区
議会議事速記録 第九号(第二回定例会)
令和五年六月二十一日 (水曜日)午後一時開会
一 出席議員(三十四名)
一 番 とよ
島くにひろ 君 二 番 新 藤 加 菜 君
三 番 森
けいじろう 君 四 番 さいき 陽 平 君
五 番 琴 尾 みさと 君 六 番 野 本 たつや 君
七 番 三 田 あきら 君 八 番 ませ のりよし 君
九 番 白 石 さと美 君 十 番 山野井 つよし 君
十 一番 兵 藤 ゆうこ 君 十 二番 石 渡 ゆきこ 君
十 三番 なかね 大 君 十 四番 小 倉 りえこ 君
十 五番 やなざわ 亜紀 君 十 六番 鈴 木 たかや 君
十 七番 福 島 宏 子 君 十 八番 根 本 ゆ う 君
十 九番 清 家 あ い 君 二 十番 玉 木 まこと 君
二十一番 榎 本 あゆみ 君 二十二番 丸山 たかのり 君
二十三番 土 屋 準 君 二十四番 ゆうき くみこ 君
二十五番 二 島 豊 司 君 二十六番 風 見 利 男 君
二十七番 榎 本 茂 君 二十八番 阿 部 浩 子 君
二十九番 なかまえ 由紀 君 三 十番 七 戸 じゅん 君
三十一番 池 田 たけし 君 三十二番 池 田 こうじ 君
三十三番 清 原 和 幸 君 三十四番 うかい 雅 彦 君
一 欠席議員 な し
一 説明員
港 区 長 武 井 雅 昭 君 同 副 区 長 青 木 康 平 君
同 副 区 長 野 澤 靖 弘 君 同 教 育 長 浦 田 幹 男 君
芝地区総合支所長 麻布地区総合支所長
同 岩 崎 雄 一 君 同 冨 田 慎 二 君
街づくり事業担当部長兼務 街づくり支援部長兼務
赤坂地区総合支所長 高輪地区総合支所長
同 新 宮 弘 章 君 同 白 井 隆 司 君
環境リサイクル支援部長兼務 デジタル改革担当部長兼務
芝浦港南地区総合支所長 文化芸術事業連携担当部長
同 上 村 隆 君 同 荒 川 正 行 君
産業・
地域振興支援部長兼務 国際化・
文化芸術担当課長事務取扱
同
保健福祉支援部長 山 本 睦 美 君 同
みなと保健所長 笠 松 恒 司 君
同
子ども家庭支援部長 中 島 博 子 君 同
児童相談所長 田 崎 みどり 君
用地・
施設活用担当部長
同
企画経営部長 大 澤 鉄 也 君 同 大 森 隆 広 君
用地・
施設活用担当課長事務取扱
同
防災危機管理室長 太 田 貴 二 君 同 総 務 部 長 湯 川 康 生 君
会計管理者
同 西 川 克 介 君 同
教育委員会事務局教育推進部長 長谷川 浩 義 君
会計室長事務取扱
同
教育委員会事務局学校教育部長 吉 野 達 雄 君 同
選挙管理委員会委員長職務代理者佐 藤 伸 弘 君
一
出席事務局職員
事 務 局 長 加 茂 信 行 君
事務局次長 鈴 木 康 司 君
議 事 係 長 山 口 裕 之 君
他五名
───────────────────────────
令和五年第二回港区
議会定例会議事日程
令和五年六月二十一日 午後一時
日程第 一
会議録署名議員の指名
日程第 二 会期の決定
日程第 三 諸般の報告
日程第 四 代表質問・一般質問
小 倉 りえこ 議員(
自民党議員団)
榎 本 あゆみ 議員(
みなと未来会議)
丸山 たかのり 議員(
公明党議員団)
阿 部 浩 子 議員(
みなと政策会議)
榎 本 茂 議員(港区維新)
───────────────────────────
○議長(
鈴木たかや君) ただいまより令和五年第二回港区
議会定例会を開会いたします。
今回の応招議員はただいま三十四名であります。したがいまして、本定例会は成立いたしました。
───────────────────────────
○議長(
鈴木たかや君) これより本日の会議を開会いたします。
ただいまの出席議員は三十四名であります。
───────────────────────────
○議長(
鈴木たかや君) これより日程に入ります。
日程第一、
会議録署名議員を御指名いたします。五番琴尾みさと議員、六番野本たつや議員にお願いいたします。
───────────────────────────
○議長(
鈴木たかや君) 日程第二、会期の決定を議題といたします。
お諮りいたします。今回の定例会の会期は、本日から六月三十日までの十日間といたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(
鈴木たかや君) 御異議なきものと認め、さよう決定いたしました。
───────────────────────────
○議長(
鈴木たかや君) 日程第三、諸般の報告がありますので、御報告いたします。
まず、職員に
定例会招集の報告をさせます。
〔
鈴木事務局次長朗読〕
───────────────────────────
五港総総第九百八十五号
令和五年六月十四日
港区議会議長 鈴 木 たかや 様
港区長 武 井 雅 昭
令和五年第二回港区
議会定例会の招集について(通知)
本日
別紙告示写しのとおり、
標記定例会を六月二十一日(水)に招集しましたので通知します。
───────────────────────────
港区告示第二百四十四号
令和五年第二回港区
議会定例会を六月二十一日に招集します。
令和五年六月十四日
港区長 武 井 雅 昭
───────────────────────────
○議長(
鈴木たかや君) 次に、令和五年二月、三月、四月及び五月の
例月出納検査の結果について、過誤のないことを確認した旨の報告書がそれぞれ
監査委員から議長の手元に提出されております。
二月の
例月出納検査の結果について、その概要を職員に朗読させます。
〔
鈴木事務局次長朗読〕
───────────────────────────
四港監第千号
令和五年三月十三日
港区議会議長 ゆうき くみこ 様
港区
監査委員 徳 重 寛 之
同 高 橋 元 彰
同 池 田 幸 司
同 有 賀 謙 二
令和五年二月
例月出納検査の結果について
地方自治法第二百三十五条の二第一項の規定に基づき
例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。
記
一 検査の範囲
(一) 検査対象
区一般会計、
国民健康保険事業会計、
後期高齢者医療会計、
介護保険会計、雑部金、基金
(二) 検査場所 港区
監査事務局
(三) 検査期間 令和五年二月二十四日から二月二十八日まで
二 検査の結果
本検査においては、
会計管理者から提出された令和五年二月(令和五年一月分)
例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、
指定金融機関提出の
収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。
───────────────────────────
○議長(
鈴木たかや君) なお、三月、四月及び五月の結果については、ただいまの報告と同様の内容でありますので、朗読は省略し、詳細については、これを速記録に登載することにいたしたいと思いますので、御了承願います。
また、報告書は議長の手元に保管しておりますので、随時御閲覧願います。
(参 考)
───────────────────────────
五港監第百九号
令和五年四月十三日
港区議会議長 ゆうき くみこ 様
港区
監査委員 徳 重 寛 之
同 高 橋 元 彰
同 池 田 幸 司
同 有 賀 謙 二
令和五年三月
例月出納検査の結果について
地方自治法第二百三十五条の二第一項の規定に基づき
例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。
記
一 検査の範囲
(一) 検査対象
区一般会計、
国民健康保険事業会計、
後期高齢者医療会計、
介護保険会計、雑部金、基金
(二) 検査場所 港区
監査事務局
(三) 検査期間 令和五年三月二十四日から三月二十八日まで
二 検査の結果
本検査においては、
会計管理者から提出された令和五年三月(令和五年二月分)
例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、
指定金融機関提出の
収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。
───────────────────────────
五港監第二百一号
令和五年五月十二日
港区
議会事務局長 加 茂 信 行 様
港区
監査委員 徳 重 寛 之
同 高 橋 元 彰
同 有 賀 謙 二
港区
監査委員職務執行者 池 田 幸 司
令和五年四月
例月出納検査の結果について
地方自治法第二百三十五条の二第一項の規定に基づき
例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。
記
一 検査の範囲
(一) 検査対象
区一般会計、
国民健康保険事業会計、
後期高齢者医療会計、
介護保険会計、雑部金、基金
(二) 検査場所 港区
監査事務局
(三) 検査期間 令和五年四月二十四日から四月二十六日まで
二 検査の結果
本検査においては、
会計管理者から提出された令和五年四月(令和五年三月分)
例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、
指定金融機関提出の
収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。
───────────────────────────
五港監第二百八十九号
令和五年六月九日
港区議会議長 鈴 木 たかや 様
港区
監査委員 徳 重 寛 之
同 高 橋 元 彰
同 有 賀 謙 二
同 二 島 豊 司
令和五年五月
例月出納検査の結果について
地方自治法第二百三十五条の二第一項の規定に基づき
例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。
記
一 検査の範囲
(一) 検査対象
区一般会計、
国民健康保険事業会計、
後期高齢者医療会計、
介護保険会計、雑部金、基金
(二) 検査場所 港区
監査事務局
(三) 検査期間 令和五年五月二十四日から五月二十六日まで
二 検査の結果
本検査においては、
会計管理者から提出された令和五年五月(令和五年四月分)
例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、
指定金融機関提出の
収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。
───────────────────────────
○議長(
鈴木たかや君) 次に、法人の経営状況に関する書類が区長から議長の手元に提出されております。朗読は省略し、通知については、これを速記録に登載することにいたしたいと思いますので、御了承願います。
なお、詳細については、書類を議長の手元に保管しておりますので、随時御閲覧願います。
(参 考)
───────────────────────────
五港総総第八百六十三号
令和五年六月十四日
港区議会議長 鈴 木 たかや 様
港区長 武 井 雅 昭
法人の経営状況に関する書類の提出について
地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十三条の三第二項の規定に基づき、下記法人についての経営状況に関する書類を提出します。
記
一
公益財団法人港区スポーツふれあい
文化健康財団
(一) 令和五年度
公益財団法人港区スポーツふれあい
文化健康財団事業計画書
(二) 令和五年度
公益財団法人港区スポーツふれあい
文化健康財団収支予算書
───────────────────────────
○議長(
鈴木たかや君) 以上にて報告を終わります。
───────────────────────────
○議長(
鈴木たかや君) 日程第四、区の一般事務について、質問の通告がありますので、順次発言をお許しいたします。最初に、十四番
小倉りえこ議員。
〔十四番(
小倉りえこ君)登壇、拍手〕
○十四番(
小倉りえこ君) 令和五年第二回港区
議会定例会において、
自民党議員団を代表して、武井区長、
浦田教育長に質問をいたします。よろしくお願いいたします。
グローバル規模で拡大した
新型コロナウイルス感染症は、命と暮らしに必要な施策は何か、自治体がしなければならないこと、独自でできることは何かというのを根底から考えさせられました。当初、予想されていた
区民税収入は若干の減少を見せましたが、人口の回復とともに過去最高の税収となり、集合住宅の新たな建設や開発動向を踏まえ、人口も区税収入も毎年、過去最高となるであろう増加の一途が予測されております。
この三年間で
生活スタイルが一変し、
新型コロナウイルス感染症拡大前と何一つ変わらない生活を望む方々、これを機に進化した生活を望む方々も増えてきました。しかし、一方で、少子化に対する懸念、今後も急激に加速していく高齢化の懸念も変わらず、三十代から五十代を中心層とした港区人口構成が今後求めるニーズはますます多様化していきます。
我々区議会も例に漏れず、新たな価値観を持った議員が集う議会構成となりました。目の当たりにしている課題解決と並行に、十年後、二十年後の港区のあるべき施策の土台を今の我々が責任を持ち、イデオロギーによったスタンドプレーに走らず、共に協力してつくっていく時期にやってきたのかと思われます。その大切な時期の
区議会議員の一人として、そしてたくさんの区民の皆さんから負託を受け、第一党、第一会派となった
自民党議員団として、安心して暮らし続けられることができるこの場所、港区を、行政とともにつくっていくために最善の努力を尽くす所存です。
そのような安心・安全な港区をつくり上げていくものの基礎が港区基本計画です。基本計画は、区の最上位計画であり、その役割は、区政の目標や課題、施策の概要を体系的に明示し、個別分野の施策につながっています。現行の港区基本計画は、コロナ禍で我々の生活が大きく影響を受けた中で策定されたものであり、今年は
後期改定見直しを行うことから、先日発表された改定方針では大胆な見直しで区政に変革を起こし、様々な課題に取り組んでいくことを示されました。
社会情勢や
区民ニーズを的確に捉えるためには、コロナ禍における前期三年間の状況をしっかりと捉えなければなりません。何が足りなかったのか、新たに浮き彫りになった課題は何かを明らかにしていただきたいと思います。これまでコロナ禍に負けず、
区職員総出で港区のために努力をしてきました。その職員一人一人が経験してきたこと、感じてきた肌感覚は、これからの港区にとってはプラスしかありません。
そこで質問いたします。掲げてきた重点課題の選択は正しかったのか、計画事業の追加は必要ないかなど、区全体としての総括を行い、後期三年に盛り込むべき施策をどのように反映させていくのかを伺います。
続きまして、政策評価についてです。
現行計画策定時の評価指標は、
区民意識調査による満足度を用いるなど、
政策評価手法を抜本的に変更されました。事業によってはコロナ禍の影響による延期や中止の判断がされたものもあり、三年に一度の政策評価はこれから実施されますが、厳しくもありながら、港区のための正しい評価が行われることを願っております。
みなとタウンフォーラムなど
区民参画組織からの意見も区は丁寧に聞いておりますが、我々区議会からのこれまでの提言なども十分に加味した総合的な評価をしていただきたいということは、以前から申し述べております。求められていることに対してどれだけ対応できたか、新たな施策の実現に関与できたか、これも十分な評価指標と考えられますが、実績数と同様にクオリティーも評価していただく必要があるのではないかと感じていることに変わりはありません。
例えば、港区は以前より「生活に便利な施設の数を増やす」という区民のための目標を持ち、港区開発事業に係る
定住促進指導要綱に基づく日用品購入可能な店舗や医療施設、保育所や
高齢者向け住宅などを増やそうと努力をされてきました。この例一つ取っても、過去の政策評価においても、施設数全体でも、区による協力要請で数としては大幅な増加が見られましたが、なぜその数値を目標と定めたのかは明確ではなく、施設の種類に偏りがなかっただろうか、増やしたかったけれども増えなかった施設は何だろうか、そして、どうやったら増えるのだろうかという報告はございません。具体的な評価によって今後の政策に生かしていただきたいと思っております。あれも増やしてほしい、これも増やしてほしいと区民の意見を一方的に要望するのはとても簡単なのですが、何をどうしたら増えるのかを我々区議会も一緒になって考え、このような取組も一緒に行わない限り、区が新設するような数少ない建物に併設するしか方法がなくなってしまいます。
そこで質問いたします。区として、達成状況の確認をすることはとても重要なことでありますが、そこに重きを置く時代ではなくなったのではないでしょうか。今後の施策の方向性や課題を考えていく上では、特に実現に結びつけにくかったことや、具体的な課題解決のための策を講じていく必要があると思います。不十分だったことを可能にするためにどのように政策評価を行っていくのか、区長の見解を伺います。
続きまして、
総合支所制度における
総合支所と支援部についてです。我々区民生活の一番身近な区役所は、居住地区にある各
地区総合支所です。
総合支所は、単なる区役所の出張所ではなく、各地区の特色を最大限に生かそうと独自事業を持ち、それでありながら均一的な
区役所業務の質を保ち、様々な区民の困りごとに対応していただいていることに感謝申し上げます。
昨年、
福祉総合窓口が開設され、可能な限りの
ワンストップで課題解決につなげられる場所となりました。五支所の存在は年々心強くなっていますが、
総合支所によっては対応や考え方が異なったり、また、本庁との距離も温度差があることに変わりはなく、支援部を含めた本庁によるさらなる理解は継続してお願いしたいと思います。
また、年々感じるようになったことの一つに、
総合支所の独自性の強さが挙げられます。事によっては区民生活の大きなプラスになっているのですが、区民の多くは、これほど各地域に違いがあることを知ることはなく、まして同じ地域で暮らしている以上、他と比較をすることはそうありません。
地区版計画をかいま見るたびに、また各地区独自のイベントを目にするたびに、ここまで異なってもよいのだろうかと疑問を感じるようになりました。同じことを追随することはできないのだろうか、よい施策をほかの
総合支所に展開することはないのだろうか、それほど地域の方に求められているものは異なるのだろうか、そして、区は異なる五支所をこれからどのように扱っていくのだろうかと、港区全体の成長のために改善したほうがよいと思われます。
そこで質問いたします。区民が相談や手続を行う際、どの地区にお住まいの方でも同じ対応がなされるよう、各
地区総合支所で対応する基準などを統一する必要があります。また、各
地区総合支所で実施しているよい事業を全区展開するための取組を強化すべきだと思いますが、区長の考えを伺います。
また、現在、
総合支所長も支援部長兼務です。
総合支所制度のさらなる発展のためには、専任で
総合支所長を配置していただいて、各地域が抱える課題をより解決に導いていただきたいのですが、いかがでしょうか。
続きまして、子どもへの直接的支援拡充についてです。
本年四月、こども家庭庁が設立され、こども基本法の施行が始まったことで、国においても子ども・子育て世帯に向けた政策の強化を打ち出しました。多くの国民、もちろん区民にとっても大きな期待を背負っての政策であります。先日行われた区長記者発表で、港区においても、九月から来年三月までの間、計二十九校の区立小・中学校の給食費負担ゼロ、すなわち無償化の実施と、そして計百九の保育園等における給食費無償化が発表されました。我々
自民党議員団からも要望を上げていたものであり、このような方針を決定していただいたことに感謝を申し上げます。港区においても、今後も充実した支援策がさらに促進されることを期待するとともに、各御家庭においても、区が補填する費用分でお子さんの健やかな成長のために用いていただきたいと願っております。
これまでの港区の区立小・中学校給食費に関するスタンスは一貫して、公立学校給食費の無償化は国が実施すべきものとしておりました。先週十三日、次元の異なる少子化対策のための国のこども未来戦略方針が定まり、学校給食費の無償化の実現に向けた取組が加わり、国としても全国調査を行っていくことなど、課題の整理を進めていく計画が発表されました。国が実現に向けての一歩を踏み出したことによって港区も歩調を合わせられたことに、我々
自民党議員団としても心から安堵しているところでございます。これは港区にとっては大きなきっかけであって、今後も公立学校の魅力向上につながる施策が提供できるよう、子どもへの直接的な支援が拡充されていくことを期待いたします。
先日の区長記者発表では、国の状況や区の財政を見ながら来年度以降を判断するということでしたが、継続に向けた努力を惜しまないでいただきたいと願います。区が公立義務教育費の一部を追加で担うことは、区立学校に通う児童・生徒の御家庭の物価高騰負担軽減という理由ではなく、徴収を行わない代わりに御家庭においても健やかなる成長や教育支援に費やしてもらいたいということでもあります。その視点を持ち、かつ、半年間の対象期間に学校や保護者から広く意見を聞き、多角的な検討で効果を見定め、来年度予算への検討を前向きに進めていただきたいのですがいかがでしょうか、教育長の見解を伺います。
また、義務教育のうち公立中学校を選択する御家庭を増やしていくことも港区が掲げる教育目標の一つであります。各御家庭から徴収している学校関連費用を可能な限り抑えることも、公立学校ならではの魅力を高めることができるのではないかと考えております。購入せずともリユースできる標準服や学用品など、各学校や生徒会が関与した学校関連経費を抑えることを検討していくと昨年の定例会でお聞きいたしましたが、その後の進捗についても伺います。
続きまして、保育園等の給食費についてです。
これまでの港区における保育園給食費の負担軽減策は平成二十七年から始まります。子ども・子育て支援新制度の開始に合わせた、第二子以降の子どもの給食費を含む保育料の無償化が始まりました。その際は複数の子どもが保育園等に通う場合としての港区独自の施策としておりましたが、令和二年からは年齢にかかわらない第二子以降と変更されました。
保育園の給食費は、二十三区では多くの区で三歳児から五歳児の給食費無償化がこれまで実施されており、港区においても実施していただきたいという声が多く上がっていた中、認可保育園等における三歳児から五歳児の給食費の無償化を決断されたことは大いに歓迎いたします。しかも、ゼロ歳児から二歳児においては、所得階層に応じた給食費相当分を減額するため、第一子の保育料を改定するという独自施策も予定され、区内のたくさんの子育て家庭支援につながることになるでしょう。
そこで質問いたします。今回、三歳児から五歳児に加え、新たにゼロ歳児から二歳児についても給食費相当額を減額することは二十三区内でも初の試みであり、区の意気込みを感じます。改めて、保育園給食費の負担軽減に踏み込んだ区の思いを伺います。
続きまして、行政手続完全オンライン化についてです。
これまでも港区では、様々なDX改革として、キャッシュレス対応やオンライン手続が進められていますが、これまでも我々
自民党議員団が求めている基幹業務システムの統一・標準化を一日でも早く実現をし、区民のためだけではなく、
区役所業務全般の改善につなげていただきたいと切に願っております。そして、区民サービスの向上に既に貢献している既存の事業についても、事業ごとに異なる事業者に委託するより、港区でプラットフォーム化し、区の財産として積極的な活用をしていただきたいとも願っております。
今月六月九日に、デジタル社会の実現に向けた重点計画が閣議決定されました。この中の重点的な取組が十項目ある中で、「国や地方公共団体を通じてデジタル改革を推進する」という項目が含まれることにより、より一層、港区でもDX化される推進力となることを期待しております。
港区でも徐々に開始されている区民向けのデジタルサービス提供のほか、外部からデジタル化を受け入れる姿勢はまだ改善の余地があり、むしろ早急に対応すべきことでもあります。委託などの事業者を募集するプロポーザル提出資料においても、また、我々区議会が発行している年四回の区議会だよりでも表紙となる区内風景写真募集において、CD-Rなどの物理記憶メディアに保存にて直接手渡しや郵送を必須としているなど、半分アナログ指定があるためオンライン化が進んでいないことも課題の一つです。
そこで質問いたします。DX化においては、区民に提供するサービスだけではなく、区役所内部のDX化も足並みを合わせていただくことが重要ですが、どのように進めていくのかを伺います。
また、デジタル技術については急速に進展しており、新しい技術がどんどん出てきております。最近ではChatGPTなどの生成AIが話題になっており、いろいろな用途での活用が見込める一方、情報漏えいなどの課題も指摘されております。こうした中、東京都は、八月には職員が安全に利用できる環境を整備した上で、全ての局で利用を開始するそうです。区における生成AIの利用方針を伺います。
続きまして、助成制度、自転車用ヘルメット購入費助成の申請方法についてです。
今定例会の補正予算に、これまで十三歳以下のみを対象にしていた自転車用ヘルメット購入費助成の対象を広げ、全年齢を対象とすることが提出されました。本年四月から自転車乗車時のヘルメット着用は努力義務となりましたが、安全に備えた着用促進をするためのとてもよいきっかけとなる施策であります。今後、我々が推進していかなければならない全年齢向けの安全対策として、交通マナーはもとより、シェアサイクルや一部のレンタル電動キックボード利用時のヘルメット着用の努力義務、特に電動キックボードは来月七月に改正道路交通法によって、一定の基準を満たす車両に乗る場合には免許も不要となるなど、これまで以上に事故を防ぎ、安全を守り、区民にお知らせや啓発を継続する必要が出てきます。
その中でやはりおのれの身を守るための手段としてのヘルメット着用でありますが、新たな全年齢向けの助成制度の開始と並行で、申請方法も今の時代に合ったやり方を加えていただきたいと思います。さきのDXに関する質問にも関連いたしますが、オンライン申請は開始されてよいものと考えます。また、現在は、芝公園本庁に持参をするか、郵送となっておりますが、全年齢に拡大されることから、持参を選択する方向けには
総合支所での受付としてもよいのではないでしょうか。この助成を受けるためには自転車損害賠償保険の加入が条件となっていますが、もとより港区民向けの交通傷害保険加入は各
地区総合支所でも対応していることから、本庁よりは
総合支所が適しているケースも考えられます。
一人でも多くの方に関心を持っていただくこと、それに対して簡易な申請方法や選択肢を設けることで、よりたくさんの年齢層のヘルメット購入促進につながればと考えますが、申請方法の選択肢を増やすことについての考え方を伺います。
続きまして、喫煙場所の整備についてです。屋内喫煙所設置費等助成の基準を緩和したり、助成限度額を広げたり、様々な努力を重ねながら喫煙所整備に努めておられます。近年は、区が管理する公共喫煙所をコンテナなどの屋外密閉型喫煙所へ積極的に変換する計画が増えたり、区民の声に求める形で改善が進んでいることに感謝を申し上げます。
本年四月現在、港区内において屋外指定喫煙場所は四十か所、助成制度を活用した屋内指定喫煙場所は四十一か所、港区開発事業に係る
定住促進指導要綱に基づく設置は十八か所、つまり、全体の約六割は民間によって設置されております。今後も喫煙所整備は進めていく必要がありますが、区が喫煙所を設置できる場所は限られ、だからこそ定住促進要綱や助成制度で広く協力を呼びかけておりますが、喫煙場所を設置できる民間は非常に限られております。土地や敷地に十分広いスペースを持ち、かつ、喫煙所をつくってもよいとする方にしか設置をしてもらえません。
事業者にしろ、個人にしろ、民間による喫煙所設置は地域貢献であったり、ほぼ善意の慈善事業です。土地のオーナーにとってもほかに貸したら賃料という形で収入が得られるところを、助成金があっても喫煙所を設置するには賃料分の収入をゼロにした上で、維持管理や清掃費用などで助成費用があっても決して十分ではありません。しかも屋内喫煙所の維持管理費は設置から十年間、そして五年経過すると維持管理費が半額となることから、持ち出しをしないと管理ができなくなるという御意見をいただきました。
そこで質問いたします。区が行う喫煙所整備、そして民間の協力ありきの喫煙所整備は、双方そろってまちの美化とマナー啓発につながることから、今後の喫煙所整備についての方針は、実態に即した修正をしていただきたく思います。特に屋内喫煙所整備については、維持管理費の見直しは必要になるかと思われますがいかがでしょうか、区長の見解を伺います。
続きまして、相談から支援につなげる仕組みについてです。
港区で福祉相談窓口が開設されてから、間もなく一年が経過いたします。開設後は、組織や人事に関わることで継続運用の心配があったことから、利用される区民にとっての不便がないような体制に一日も早く立て直すべきと改善を繰り返し申し入れ、四月以降は人員が増え、改善された
福祉総合窓口の運用が開始いたしました。
職員の専門性の向上、そして窓口そのものの機能を強化し、継続可能な業務としていくための努力は、今後も継続をお願いいたします。
福祉総合窓口に限らず安定した業務とサービスを提供するには、組織に人が定着しなければなりません。港区の
福祉総合窓口の強みは、各
地区総合支所に設置されていることと認識しております。だからこそ広く多くの必要な方が利用できるよう、内容と質は均一性と公平性を保ち、
総合支所によって異なるやり方やサービスとならないよう、今後も注力していただく必要があります。
そこで質問いたします。役割分担または役割の分離を今後も検証していく必要がありますが、専門性を発揮できる人事配置を含め、これまでの指摘に対して総括がどのようなものだったのか。また、これから着手する新たな課題を伺います。
続きまして、健康づくり、AED設置拡大についてです。
二十四時間利用が可能なAEDの設置拡大を進めていく中で、みなと保健所と各
地区総合支所協働推進課が設置場所の候補を挙げ、可能な限り空白地帯のないような調整を進めていただいていることに感謝を申し上げます。AEDの普及拡大については、我々
自民党議員団が求めていることは一貫しており、このAED設置をきっかけに地域で関心を持っていただくこと、緊急時に扱うことのできる人数を増やしていくことであって、決して二十四時間営業の店舗に設置することだけが目的ではなく、本来のAEDの効果を十二分に発揮させるための手段であっていただきたいことに変わりはありません。
町会や自治会では、救命は防災と常にセットで訓練が行われています。しかし、昼間人口の多い港区では、企業推進による設置など、ありとあらゆる方策でAED空白地帯の解消を進めていかなければなりません。住民以外への意識啓発と活用支援が救命の可能性を上げていきます。
そこで質問いたします。昨年度、AED不足地域の把握とともに、町会・自治会から設置場所についての御意見をいただいて、地域の特性に応じたAED配置・設置のヒントを得られたと思われますが、意見集約後の進捗と今後の計画を伺います。
続きまして、がん検診についてです。国において、今年三月に第四期がん対策推進基本計画が閣議決定され、「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」を全体目標として、国全体としてがん対策に取り組む姿勢が改めて示されました。計画の大きな柱として、科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実がうたわれています。
自治体ががん検診を行う目的は、がんによる死亡率を下げることです。早期の段階でがんを発見し、効果的な治療により死亡率を下げるためのエビデンスがある検診は、胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がんの五つであり、国が実施方法等の指針を定めております。
今年度から港区では、がん検診の精度向上の一環として、新たに肺がん検診のダブルチェック強化のため、港区医師会の協力を得ながら、胸部エックス線でAI活用の読影システムを試行導入いたしました。これは二十三区でも初めての取組ということで、最新の知見を取り入れながら日々区民の健康チェックに尽力していただいていることに敬意を表します。
港区におけるがん検診の特徴は、受診率が他区と比較して高いものの、精密検査の受診率が低いことがこれまで分かっております。港区においてもそれを解消するため、未受診の区民に対して個別勧奨を行っておりますが、未受診を把握できたケースのみ対応が可能となり、その把握が非常に難しいことも分かっています。適切な治療につなげるため、精密検査未受診への勧奨や検査結果の把握ができるよう改善し、効果が見える形になるよう定期的に評価しなければなりませんが、検診実施医療機関の意識にも温度差があって、現状としてはとても難しいことは理解しています。
そこで質問いたします。検査精度をもっと向上させて、さらに質を上げる方向にシフトすることも考えていく必要があるのではないでしょうか。がん検診の質の向上に向け、どのように取り組まれるのかを伺います。
続きまして、感染症予防啓発についてです。感染症の予防は地域全体、そして個人の健康にとって極めて重要なものであります。正しく適切な知識を持ち、予防策を実践することで感染症の蔓延を防ぎ、一人でも多くの区民が健康でいられるよう願うばかりです。本年五月に都内ではしかが発生し、若い年代の未接種者の罹患が数例報告されております。世界規模で国境を越える人の移動と、特に都市部への集積によって感染症の広がりはコロナ禍を機に多くの方が理解するようになりました。
新型コロナウイルスワクチンにおいては、港区は集団接種会場を今も設け、札の辻スクエアに足を運んでくださる接種希望者は多くいらっしゃいます。予約なしで接種をしていた頃は利便性の高さから、会場に行けば接種ができるという港区ならではのシステムが出来上がり、全国でも評判は高かったことが記憶に新しいと思われます。だからこそ、その経験を、例えば接種機会がなかった方向けのHPVキャッチアップ接種などに特化してみたり、定期予防接種率向上や啓発に貢献できるのではないかと、この予約なしシステムが他の予防接種に適用できないかを考えることがあります。
公衆衛生における感染症を防ぐ予防接種を広く普及していくため、小児の定期予防接種率を上げていく努力を欠かさず、また近年、性感染症の増加が顕著に見られることから早期発見を推奨すべく、HIVや梅毒などの性感染症検査を即日検査とするなど、行政が対応可能な範囲で施策を進めております。しかし、感染症全般の予防啓発に関する情報周知がまだ不足しているのではとも感じております。性感染症の啓発は、図書館と連携してコーナーを設けたりしていただいておりますが、今増えている梅毒やHIVの情報を届けなければならない層は、そこにはおりません。
そこで質問いたします。例えばHPVワクチンや帯状疱疹ワクチンなど、特定の年齢層に向けての情報提供は改善すべきですし、学校や地域向けにキャンペーンや講習機会をつくるなど意識向上を促していく上でさらなる取組をしていただきたいと思います。届けるべき層に的確に情報を届けられるような啓発をすることが今必要です。改善をお願いしたいのですが、今後の方向性を伺います。
続きまして、産業振興施策、スタートアップ支援についてです。
スタートアップには独自の視点や発想、革新的なアイデアを新しいビジネスにすることで、閉塞感のある市場を活性化させるとともに、人々の生活を豊かにするサービスを提供し、社会課題の解決につなげることが期待されております。国や各自治体がスタートアップの立ち上げや成長を支援するための様々な施策も展開しております。
昨年、国はスタートアップ創出元年を宣言し、骨太の方針においてスタートアップへの投資を重点投資分野の一つと位置づけて、スタートアップの創出が促進される環境を整備していくことといたしました。東京都では、東京が再び活力ある都市として世界で輝いていくために、スタートアップ支援の拠点づくりやスタートアップを資金面で支える官民連携の促進、起業家人材の育成など異次元のスタートアップ戦略を展開する予定と聞いております。
港区においても、創業支援融資あっせんや新規開業賃料補助など、創業に当たって必要な資金調達の支援であったり、円滑な創業と創業後の順調な事業展開を見据えた創業計画の立案支援、創業後アフターフォロー相談など事業者に寄り添った支援を行ってきました。また、昨年に開設した産業振興センターでは、コワーキングスペースやビジネスサポートファクトリーの運営のほか、創業セミナーや創業者同士の交流を促進する事業を数多く実施するなど、より支援の幅を広げております。
行政だけではなく、民間においてもスタートアップ支援の動きが活発になってきています。金融機関はもとより、大企業や投資機関なども優れたアイデアを武器に事業を立ち上げるスタートアップに積極的に資金を提供したり、大学が教員や学生の研究開発の事業化を支援することで、大学発スタートアップの育成に取り組んだり、これまで以上の活発な動きが見られるようになりました。
国や東京都、企業や大学など、様々な機関が同様にスタートアップ支援に力を入れている中で、優良な企業が数多く存在するこの港区においては、連携することが重要です。地域経済の活性化やビジネスの手法による地域課題の解決に向けて、港区として、今後さらにスタートアップ支援を充実させていく必要があります。
そこで質問いたします。効果的に取組を進めていくためには、どのようなスタンスでスタートアップ支援を展開していくのか、区長の見解を伺います。
続きまして、港区のまちづくり、港区開発事業に係る
定住促進指導要綱についてです。
自由に行政用地を確保できないということが非常に大きな課題となっている港区において、民間事業者によって港区開発事業に係る
定住促進指導要綱を基に建物が建てられています。住宅及び生活利便施設を誘導するという目的で
定住促進指導要綱が存在いたします。これまでは自転車シェアリング、喫煙所、スーパーや保育園、高齢者施設など、港区が独自で設置するには土地がなくて難しいからこそ、民間の協力を得て設置するような努力を重ねてまいりました。しかし、増加するのは防災施設が多く、港区と港区民が切望している施設をどのように増やしていくのか、増やすことができるのか、今後も検討が必要と思われます。その中で年々人口層が変わり、新たな住民ニーズが増え、求められる施設にも変化が見られるようになりました。
そこで質問いたします。暮らしやすく、潤いとにぎわいのあるまちづくりを進めていくために、これまで
自民党議員団としては、ボール遊びができる場所、スポーツ施設、交通公園や小規模ドッグランなどを加えていただきたいことを要望しており、今の
区民ニーズに即した
定住促進指導要綱の見直しを求めております。検討していく旨の答弁をいただいておりますが、
定住促進指導要綱に加えるべき利便施設整備の考え方及び見直し検討の進捗をお伺いいたします。
続きまして、区立公園内トイレについてです。トイレの新設や建て替えの声は年々大きくなり、安心して使えることや清潔であることが求められています。公衆トイレについては、港区ではこの十年で大きく改修が推進されました。そこで本年四月に土木課が整備方針をつくり、利用されやすい工夫、犯罪抑止の工夫、災害時の工夫など、様々な視点に立った新しい公衆トイレの整備を計画していくものとされており、区内全てにおいて一日でも早い着手と実現に期待をしております。
しかし、公園内トイレの改修計画は現在のところ存在せず、役所の中で取扱いが異なるということが分かりました。我々区民にとって公衆トイレも、公園内のトイレもいわゆる区が管理するものであって、区別がついていないケースがほとんどです。現在だと公園内のトイレは全体の計画から整備方針までは土木課が関わりますが、実際の基本設計や改修などは各
地区総合支所まちづくり課が工事設計や維持管理をしていることから、整備の進め方や改修など
総合支所単位で本来推進されるべきものでありますが、進んでおらず、このままでは期待ができません。
そこで質問いたします。せっかく区内の公衆トイレを全面的に整備していく方針ができたことから、支援部が各地区公園トイレ整備や改修計画などにももっと関与するべきと考えますが、いかがでしょうか。区長の見解を伺います。
続きまして、防災、関東大震災百年継承プロジェクトについてです。
一九二三年、大正十二年に関東大震災が発生してから今年で百年。港区では百年目の節目となる本年九月に継承プロジェクトとして、区民一人一人の防災意識の向上を目指す行事を行うとのことです。防災に関する様々な取組を通じ、過去に甚大な被害のあった災害を学び直すことで、いざというときの行動心理や全体の減災につなげられることから、可能な限り多くの区内に暮らす人、区内で働く人に関心を持っていただきたいと考えております。
これまでに明らかになった区の取組として、全区民一人につき携帯トイレを二十個配布すること、旧耐震建築物等の耐震改修工事費助成を拡充すること、そして九月二日に防災に関する催しを開催することが発表されました。本年度予算でも災害に強いまちづくりを重点施策として掲げ、そして来年見直しの港区基本計画方針でも強靱なまちづくりを加速するとしています。
そこで質問いたします。港区の総合防災力を高めるための周年行事の準備が進められていると思われますが、多くの人々から関心を持ってもらい、我が事のように感じてもらうための努力を継続的に行う必要がありますが、九月二日の事業内容と準備の状況はどのようなものかを伺います。
続きまして、防災士の活用についてです。港区では地域防災の担い手として、防災士を養成する講座を平成二十三年から令和三年度まで開いておりました。資格取得に必要な費用は区が持ち、十一年間で千四名の防災士が誕生したはずなのですが、今その防災士の多くはどのように地域の担い手として活躍されているのかが気になるところです。
先日、とある地域防災協議会の方から御意見をいただきました。令和二年度末までに年間約二千万円ほどの予算をかけ集中的に防災士を養成してきたはずなのに、高齢化が進みつつある防災協議会に区が育成した防災士が加入してくれる機会がまだないと、切実なお声でした。
防災士資格取得は、消防団や町会・自治会、企業などのもともと何らかの組織に属されている方も多かったと思われます。しかし、港区が場所を提供しなければならなかったのは、資格取得後の活躍の場を模索している個人です。防災に意識が高い個人をみすみす取りこぼしていたのであれば、ここは早急に見直さなければなりません。過去にも我々
自民党議員団からもお願いさせていただいておりますが、その折の答弁から、防災士と地域防災協議会などとのマッチング機会を増やして、防災士の地域での活動を促進されているはずなのですが、効果がまだ出ておりません。
そこで質問いたします。これまでの取組を加速させる、もしくは新たな策が必要ですが、今後の計画を伺います。
最後に、文化芸術施策についてです。
(仮称)文化芸術ホール、今はみなと芸術センターと呼ばれる施設において、指定管理者制度を導入すること、非公募とすること、そして区が選んだ候補として、Kissポート財団評議員宛てに内定と言わんばかりの通知が設置条例の議決がされる前に発出され、混乱が起きました。非公募とする理由は、まだ十分ではありません。外郭団体であること、区の説明する団体の強みが理解されにくいこと、また、今年度予算でも区から約六億八千万円が団体運営助成や区職員も出向している団体が世界に誇るべき文化芸術振興をつかさどる中心となり、かつ、区民にとっての施設利用のマネジメントができるのだろうかといまだ疑問が残っております。
港区のため、区民のための文化芸術振興を発展させていくため、令和九年開館準備に向け始動しなければならないということで前回の議会の三月にみなと芸術センター条例を議決いたしました。この条例でみなと芸術センターを設置すること、指定管理者制度を導入すること、使用料などが定められました。しかし、そこから三か月経過し、十一月に開かれる第四回定例会に指定管理者を選定する議案が提出予定とされておりますが、この間、ほかの候補となり得る事業者を探したり、再び広く公募を模索するなど、非公募でKissポート財団の選考を予定どおりに進める以外の報告を聞きません。
非公募の指定管理候補者がどれだけ適しているかの説明を欲しているのではなく、民間事業者のノウハウの活用など、あらゆる手段と選択肢を検討していただくことを願っております。このみなと芸術センターに限定したことではありませんが、特定の外郭団体が指定管理者の選考をする場合、通常より慎重な検討が必要とされなければならないと考えます。
そこで質問いたします。公正な評価を出していただく必要があります。その上で適正なプロセスで選考を進めるべき重要な事例と考えますが、区長の見解を伺います。
質問は以上です。前向きな答弁を期待いたします。御清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの
自民党議員団を代表しての
小倉りえこ議員の御質問に順次お答えいたします。
最初に、安定した区政運営についてのお尋ねです。
まず、港区基本計画についてです。区は、令和三年一月に、コロナ禍という先行きが不透明な状況だからこそ、明るい未来を切り開くため、港区基本計画を強い意志を持って策定し、感染症対策に取り組みながら区政を力強く推進してまいりました。
基本計画の改定に向けて、区民の現状を把握するために実施した
区民意識調査では、二十六政策全てに対する区民満足度が向上した一方で、産業振興や子育て支援、先端技術の活用など、今後の課題が明らかになりました。こうした
区民ニーズを踏まえ、まちのにぎわいの創出や子ども施策の充実、DXの加速化を新たに重点課題として設定するなど、計画を大胆に見直し、アフターコロナの新時代に向けて、輝く未来への道筋を示す港区基本計画へと改定してまいります。
次に、政策評価についてのお尋ねです。区は、現行の港区基本計画において計画の目標を明示し、客観的な評価を行うため、政策と施策の効果を数値で示す成果指標を新たに設定いたしました。今回の政策評価を通じて、これらの成果指標の達成状況を基に、効果のあった施策のさらなる強化や十分な効果が上げられなかった施策の改善策の検討に取り組んでまいります。さらに、施策がどの程度政策の達成に寄与したかなど、政策と施策の相関関係を分析することで施策の統廃合や立案につなげ、内容を一層充実させることにより、これまで以上に実効性の高い港区基本計画へと改定してまいります。
次に、
総合支所間の連携についてのお尋ねです。各
地区総合支所は、身近な区民サービスの拠点としての役割と、地域における課題の解決の役割を担っております。五地区共通で提供する区民サービスについては、
総合支所を支援する支援部が業務マニュアルを整備の上、研修を実施するなど、統一した対応の支援を徹底しております。地域の課題解決に向けては、地域の皆さんとの参画と協働により、各
地区総合支所が地域の特色を生かした事業を積極的に展開するとともに、全ての
総合支所長が参加する
総合支所協議会等において取組を共有し、より効果的かつ全区的な事業展開につなげております。
次に、
総合支所長の兼務についてのお尋ねです。区は、
総合支所中心の区政運営を基本姿勢とし、支援部は
総合支所を支える役割を担っています。
総合支所長は日頃から地域の課題に向き合っており、地域の実情を政策形成に反映できるよう支援部長を兼務しております。
区民ニーズが多様化・複雑化する中、質の高い区民サービスを提供し続けるためには、地域の実態をより迅速かつ的確に施策に反映させることが極めて重要です。引き続き、地域に軸足を置き、責任を負っている
総合支所長が、地域の課題解決へ導けるよう体制を整えてまいります。
次に、保育園等の給食費についてのお尋ねです。
区は、これまでも独自に保護者の経済的負担の軽減に取り組んでまいりましたが、国においては、本年四月にこども家庭庁が発足し、政策の充実を進めています。区においても、港区らしいきめ細かな子育て支援策を積極的に展開し、「子育てするなら港区」の実現を強力に推進しております。ゼロから二歳児の第一子の保育料は無償化の対象となっておりませんが、ゼロから五歳児、全ての保育園等での給食費を負担軽減することにより、保護者が家庭における子育てにかかる費用として活用することが期待でき、区としても子どもの心身の発達に密接に関わる食の部分を支えてまいります。今後も安心して子育てができるよう、切れ目のない子育て支援策を講じてまいります。
次に、区役所内部の改善についてのお尋ねです。
まず、区役所内部業務の早急なDX化についてです。区は、各職場の業務改革をICTで後押しするため、機器選定のためのDX展示会を独自開催するとともに、オンライン校正ツールなど業務効率化に役立つクラウドサービスの導入を積極的に進めております。
さらに、今年度から担当部長を設置するなど、デジタル改革部門の体制を強化し、各課のDX推進リーダーの育成や、各課にDX化の改善提案を行うアウトリーチ支援など新たな取組を開始いたしました。今後も、行政手続のオンライン化など区民サービスの向上とともに、内部事務も含めた全ての業務でDXを推進してまいります。
次に、区における生成AIの利用方針についてのお尋ねです。区は、ChatGPT等の生成AIについて、デジタル改革部門で本年四月から検証を行い、情報収集や要約で効果が見込めたことから、今月から全庁での利用を推進しております。生成AIの利用に当たり、著作権侵害や個人情報等の漏えいを防止するため、テキスト生成AIの利用に限定し、個人情報等の入力を禁止することや、必ずしも正しい結果が得られない点を踏まえ、内容を必ず確認する等の注意事項を定めた方針を策定しております。今後、より安全な利用環境の整備とともに、研修等によるリテラシーの向上を図り、生成AIを効果的に活用してまいります。
次に、助成制度についてのお尋ねです。
まず、自転車用ヘルメット購入助成の申請についてです。区は、自転車を運転する全ての人が努力義務となった自転車乗車時のヘルメット着用をより一層促進するため、これまで十三歳未満の子どもを対象としていた購入費の助成を全年齢へと拡大することといたしました。
現在、対象者の年齢拡大に併せ、パソコンやスマートフォンを使ったオンライン申請による受付に向けて準備を進めております。また、これまで区役所本庁舎の担当窓口で受け付けていた申請につきましては、身近な各
地区総合支所においても受付が可能となるよう検討を進めてまいります。
次に、喫煙場所整備についてのお尋ねです。区は、喫煙場所の整備について、区による屋外密閉型喫煙場所の設置と併せ、屋内喫煙場所設置費等助成制度を活用した事業者による喫煙場所の設置に取り組んでおります。本助成制度を活用することにより設置が困難な民間ビル等に設置が可能となることや、事業者の持つ知見を生かし、短期間での開設が可能と考えております。また、喫煙場所を設置した店舗等の集客や売上げに効果があることなど、事業者にとってもメリットがあると考えております。引き続き、事業者による喫煙場所の設置と運営継続を促進するため、助成制度の必要な見直しを早急に検討してまいります。
次に、
福祉総合窓口の運用改善の総括と今後着手する課題についてのお尋ねです。
福祉総合窓口設置後に検証を行い、執行体制や保健師の配置の見直しなどの課題を総括したところ、執行体制等の見直しの経緯や考え方を全ての職員が共有できていないことが、主な要因であるとの結論に至りました。これを受け、管理職が率先して、日頃から職員間のコミュニケーションを密に図り、決定事項を全職員に速やかに共有するよう指示いたしました。今後は、複合化・複雑化した福祉の課題を解決するための相談者に寄り添った丁寧な支援を、より一層充実する必要があります。多機関・多職種の連携をさらに推進し、相談者が社会とつながり地域で支え合える包括的な支援体制の整備を進めてまいります。
次に、健康づくりについてのお尋ねです。
まず、AED設置拡大の進捗と今後の計画についてです。区は、町会・自治会からいただいたAED設置場所についての御意見を基に、現在、設置場所の提供に同意を得られた企業等との連携協定の締結に向けて準備を進めております。この取組により、AED不足地域はほぼ解消できる見込みとなっております。また、AED設置場所の飲食店等の従業員や近隣住民など、誰もがAEDを効果的に活用できるよう、区独自の研修用動画の作成を進めており、ユーチューブで配信してまいります。さらに、区ホームページやパンフレット等での周知、講習会等を通し、積極的な啓発と活用支援に取り組んでまいります。
次に、がん検診の質の向上についてのお尋ねです。区は、がん検診のあり方検討会において、検診の質の向上には医療機関の理解を深めることが重要との意見を踏まえ、今月二十三日に受託医療機関を対象として、科学的根拠に基づく質の高いがん検診を実施するための精度管理講演会を初めて実施いたします。
さらに今年度から、港区医師会の協力の下、受託医療機関を対象に事業評価のためのチェックリストに基づき、医療機関ごとの検査体制や精密検査受診勧奨の実施状況等の評価を行います。今後も、区民に質の高いがん検診を提供するために、港区医師会と連携して検査精度等の向上を図ってまいります。
次に、感染症予防啓発についてのお尋ねです。区は、感染症予防のためには定期予防接種率の向上や、感染症の流行を踏まえた感染予防策の周知徹底が重要と考えております。このため、定期予防接種については、予診票に併せて効果や副反応に関する冊子を送付し、本人や保護者等に情報を提供しております。
また、若い世代で患者が増えている梅毒については、区内大学の学園祭に区が性感染症に関するブースを毎年出展し、予防や検査の重要性の周知を強化しております。今後も、感染症発生動向を踏まえた啓発事業の拡充を検討しながら、対象者が日常的に利用している媒体を通じて情報発信するなど、予防啓発を工夫してまいります。
次に、スタートアップ支援についてのお尋ねです。
区には、世界的な先端技術を持つ企業や大学、投資機関、大使館等が数多く集積するなど、スタートアップの創出・成長に有利な環境が整っております。区はこうした強みを生かして、これらの多様な主体と積極的に連携し、自らの事業計画を投資家等に提案するピッチコンテストやビジネスマッチング会等を実施することにより、スタートアップの資金調達や販路の開拓・拡大等につなげる仕組みづくりを行っております。今後、産業振興センターを拠点に連携の輪を順次拡大し、幅広い効果的なスタートアップ支援策を展開してまいります。
次に、港区のまちづくりについてのお尋ねです。
まず、
定住促進指導要綱の見直しについてです。区は、区民が暮らしやすく、安心して住み続けられる住環境のさらなる充実を図るため、これまでも地域の課題やニーズに応じて誘導する生活利便施設等を見直してまいりました。これまでの民間事業者との協議を踏まえると、広い面積が必要な施設の誘導は困難と考えておりますが、今年度末に改定を予定している住宅基本計画の改定作業の中で、
定住促進指導要綱に基づく生活利便施設等の効果的な見直しについて、引き続き検討を進めてまいります。
次に、公園トイレの整備計画についてのお尋ねです。区は、「綺麗で快適。安全・安心で持続可能なまち」に向け、公衆トイレを誰もが安心して気持ちよく利用できる空間へと整備を進めることを目的に、本年四月に「進めよう!おもてなし公衆トイレ」整備方針を策定いたしました。今後、本整備方針に基づき、区内の公衆トイレ三十一か所を計画的に整備してまいります。
また、公園トイレについては、これまで各
地区総合支所が整備計画を立案し整備しておりましたが、今後は、各
地区総合支所が行う整備を街づくり支援部が支援し、本整備方針に基づき整備計画を策定し、連携して整備を促進してまいります。
次に、防災についてのお尋ねです。
まず、関東大震災百年継承プロジェクトについてです。本プロジェクトでは、区内の高校生と協働して、災害への備えを啓発する映像を作成・発信することにより、若い世代の防災意識を醸成いたします。加えて、本年九月二日にはみなとパーク芝浦において、地域の大学や医療機関、事業者等の協力を得て、親子でできる防災などの講演会や防災用品の販売などを実施いたします。事業が一過性のものとして終わることなく、年齢や国籍を問わず、幅広い世代の方々が災害への備えに対する意識を高め、訓練への参加や在宅避難に向けた備蓄の充実などにつなげ、地域防災力を強化してまいります。
次に、防災士の活用についてのお尋ねです。区の支援制度を利用して防災士の資格を取得された方には、防災住民組織等での活動や共助体制の構築など、地域防災力向上に向けた重要な役割を担っていただくことを目指しています。現在、防災士は、各地区総合防災訓練やみなと区民まつりなどのイベントで減災に向けた啓発活動をしていただくとともに、地域防災協議会の役員として活躍をしていただいております。区は、こうした事例をイベントやSNSなどでさらに発信することで、防災士が地域防災力向上のために活動できる機会の創出を進めてまいります。
最後に、みなと芸術センターについてのお尋ねです。
区は、みなと芸術センターの管理運営について、区内団体との連携や専門人材の育成、企画や経営などの研究等、長期的な視点に立って運営ができる港区スポーツふれあい
文化健康財団が区民にとってよりよい事業者であると判断いたしました。運営に当たっては、財団の強みだけではなく、民間事業者と協力し、それぞれが持つ高い専門性や経験を効果的に活用しながら質の高い事業に取り組みます。
非公募により財団を指定管理者候補者とすることについては、適格性を公正に判断するため、新たな仕組みとして、学識経験者を含む港区立みなと芸術センター指定管理者候補者審査委員会を設置し、専門的かつ公正公平な視点で審査をお願いいたします。今後も、区民の皆様に御理解いただけるよう丁寧な説明に努めてまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(浦田幹男君)登壇〕
○教育長(浦田幹男君) ただいまの
自民党議員団を代表しての
小倉りえこ議員の御質問に順次お答えいたします。
子どもへの直接的支援の拡充についてのお尋ねです。
まず、区立小・中学校給食費不徴収の効果検証と継続実施の検討についてです。区は、現下の物価高騰への対応が必要なこと、また、国が学校給食費無償化に向けて具体的方策を検討していくとした動向も踏まえ、本年九月から来年三月まで学校給食費を徴収せず、保護者負担ゼロとすることにいたしました。来年度の実施については、今後、学校を通じて保護者の負担軽減効果を確認するとともに、国の動きを注視し、区の財政状況等も踏まえ検討してまいります。
最後に、その他の学校関連経費負担軽減策の実施状況についてのお尋ねです。教育委員会では、区立中学校の保護者の経済的負担を軽減するため、PTAや生徒会とも連携しながら、標準服や学用品のリユースを進めております。現在、標準服は全ての中学校で行っております。標準服以外の通学かばんや上履きなどの学用品についても、学校により品目は異なりますが、今年度から新たに始める四校を加え、全ての中学校でリユースを実施するとともに、品目も増えております。また、学校からの積極的な周知の結果、リユースの利用者や数量も増えております。
加えて、今年度から英検の検定料などの公費負担の拡大により学校徴収金の抑制も行っております。引き続き、区立中学校における保護者負担の軽減に取り組んでまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○議長(
鈴木たかや君) 次に、二十一番榎本あゆみ議員。
〔二十一番(榎本あゆみ君)登壇、拍手〕
○二十一番(榎本あゆみ君) 令和五年第二回定例会、
みなと未来会議を代表して質問いたします。
四月の
区議会議員選挙を経て新たに、国民民主党、都民ファーストの会、こどもの党、無所属と、党派を超えた未来志向の議員で新たな会派、
みなと未来会議を結成しました。
昨年、日本で生まれた子どもの数が七十万人台に突入したことにより、今年の年頭には岸田首相から異次元の少子化対策という発言が飛び出しましたが、今月示されたこども未来戦略方針案を見ても、これまで山積してきた課題に単に対処しているだけで、異次元とまで言える内容ではありません。
私自身も昨年第二子を出産し、八十万人を割ったと言われている子どもを育てていますが、国のために産んだわけでも、そして子どもたちは国のために育っているわけでもありません。当事者が出産・子育てを幸せに感じられる支援、生まれてきてよかったと思える社会づくりを目指し、港区だからできる、港区にこそ必要な少子化対策・子育て支援が求められています。
日本の未来をリードする港区から、将来を担う子ども・若者への投資の拡充、旧来のイデオロギー政治からの転換、現役世代が使いやすい制度へのアップデートを目指し、
みなと未来会議を代表して質問いたします。
まずは将来投資に所得制限を設ける国に対し、港区独自の年少扶養控除、児童手当を設けることについて質問いたします。二〇二二年十月より、政府は児童手当の特例給付に所得制限を設け、共働きで夫婦どちらかの所得が子ども一人だと千百二十四万円以上、子ども二人だと千百六十二万円以上の場合は対象外となり、その結果、港区では約四五%、半数近くの子育て家庭は児童手当の給付から排除されました。
二〇一〇年まではゼロ歳から十五歳までの子どもがいる全ての家庭に対し、所得税から三十八万円、住民税から三十三万円が控除される年少扶養控除が適用されていました。しかし、子ども手当の財源として廃止され、さらに児童手当に変更後は、所得により給付金額が抑制されたことで、港区の多くの家庭では年少扶養控除で受けられた控除額よりも児童手当で受けられる額のほうが少なくなるという実質的な改悪となっていました。加えて、昨年の児童手当特例給付の条件変更により、少ない給付すらなくなり、全ての大人への扶養控除は変わらない一方で、一部の子どもには扶養控除なし、給付なしと税制の中で子どもは冷遇の対象となっています。
現在、さらに十六歳から十八歳についても扶養控除を外し、児童手当とする案も浮上していますが、既に年少扶養控除の廃止、児童手当の制限、特例給付の廃止で、従来の控除よりも給付の少ない港区の子育て家庭にとって、さらなる負担増になりかねません。本来であれば、港区独自で住民税を控除する港区版の年少扶養控除を導入したいところですが、特別区が単独で税制を変更することができないため、年少扶養控除相当の補填を、区として児童手当の特例給付から排除された家庭や児童手当全額の給付に制限を受ける家庭へ実施すべきです。多額の納税を頂いている方々へも大人を対象とした扶養控除の制限はない一方で、彼らの子どもへの控除や給付だけ制限をすることは、特に高額所得層に対して子どもを産まない・育てない方向へ誘導するメッセージとなりかねません。
また、全国一律の基準で、港区でも年収八百七十五万六千円を児童手当の対象外、千百二十四万円を特例給付の対象外とすることは、生活コストの高い港区の実態から乖離しており、区民の生活実態に即した支援が必要です。港区独自で港区版の児童手当として、子どもたち、子育て家庭への給付を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
続いて、高過ぎる生まれるまでのコストの負担軽減・無償化について質問いたします。まずは妊婦健診の助成について、金額・回数ともに実態に合わせた制度への改善についてです。港区内の医療機関で妊婦健診を受けると、現在の一回当たりの上限金額五千九十円を大幅に上回るケースが多く、毎回自己負担が生じることで妊婦健診から足を遠のかせたり、出産前すら経済負担があることを経験し、二人目、三人目をためらわせる要因にもなります。近所で自己負担の心配をせずとも妊婦健診が受けられる水準へ、一回当たりの助成金額を区内医療機関の健診費用の水準に見直す必要があります。
また、妊娠すると、二十三週・六か月までは月一回、三十五週・九か月までは二週間に一回、それ以降は週一回、四十週で出産となった場合をモデルケースとして、二〇〇九年以降、全国的に十四回までの補助制度となっていますが、日本産科婦人科学会の統計によると、約七%は十四回を超える四十一週となり、この場合は、どんな方でも数回分完全自己負担となり、特に高齢出産が多い港区では、モデルケースよりも細かい妊婦健診が医療機関側から求められ、途中で十四回を超えることも珍しくありません。健診回数が多くなる多胎妊娠への追加助成は二〇二一年から開始しましたが、いつ陣痛が始まり出産態勢に入るかは個人の努力でコントロールができないことから、受診控えにつながる数回分、全額自己負担の可能性を残す補助制度の見直しをすべきです。
また、出産時のさらなる負担軽減に関して、昨年度まで四十二万円だった国の支給する出産一時金は、全国で五十万円まで引き上げられましたが、港区ではかつての六十万円から二〇二一年には七十三万円に、また、今回の国による見直しに合わせ、四月から八十一万円と、区内の平均出産費用八十一万円を賄える水準まで引き上げてきたことは評価します。
他方、既にアメリカでは七割、フランスでは八割が無痛分娩を選択しており、欧米では無痛分娩が既に一般的な選択肢ですが、日本でも微増していると言っても、依然として一〇%以下であり、現実的な選択肢にならないのは、文字どおりおなかを痛めることを母親の理想とする旧時代の価値観や医療体制の違いといった要因だけでなく、自然分娩にさらに二十万円から三十万円の追加で予算がかかることも大きな要因ではないでしょうか。出産する人の身体的・精神的な負担を社会全体で少しでも分かち合う方法として、また、自然分娩の痛みを回避するために出産そのものを避けることも少子化の一因であることを鑑み、無痛分娩を選択した場合でも自己負担なく出産費用の無償化となるようにすべきです。区の見解を求めます。
さらに出産前、不妊治療の段階の支援として、不妊治療の啓発強化について質問いたします。既に妊活という言葉も一般的になり、二〇二二年より不妊治療の保険適用が開始され、実際に不妊治療を経験したカップルは五・五組に一組、二〇二〇年に体外受精で誕生した子どもは六万人、十四人に一人とのことで、晩婚化と少子化対策の推進の中で、さらに数・割合ともに増えることが予想されます。私自身も二人目で不妊治療を経験しましたが、当時は保険適用の直前で、東京都による補助制度がありながらも百万円を超える自己負担となり、結果が出たからこうして話題にできるものの、渦中の当事者にとっては身体的・精神的な負担に加え、経済的な負担、不安もあります。
不妊治療の保険適用が開始された一方、自由診療部分については、本来十割が自己負担となりますが、港区では自由診療部分についても特定不妊治療費助成を実施しており、二十三区で最も充実した助成制度を設けていることは高く評価します。しかしながら、保険適用の対象ということは、三割はあくまで自己負担となり、治療が長引けば、三割と言っても多額の負担となります。不妊治療が保険適用されて、まだ一年しかたっていないため、自己負担の大きさへの評価は先になるかもしれませんが、特に結婚、出産といったライフデザインが後ろ倒しになっている港区だからこそ、区民の生活実態を踏まえ、不妊治療へのさらなる自己負担の軽減が今後必要となってくるはずです。
そのためにも多世代に向けた意識啓発が必要です。WHOの調査によると、不妊の原因は男性で四八%、女性で六五%、不明は一一%と、必ずしも女性が原因でないことが分かっています。しかしながら、当事者の親世代への理解はいまだに低く、また、当事者である二十代から四十代すら女性さえ若ければ妊娠すると思い込んでいるケースが多く、男性が自分の生殖能力を過信して原因を特定できない結果、女性のみが通院、治療、ストレスといった多くの負担を抱えるケースはいまだに散見されます。不妊治療を出産世代の女性の問題として押し込めるのではなく、社会全体の課題として共有し、できるところから当事者をサポートする社会へ転換すべきです。広く区民への不妊治療の啓発を強化することについて、区の見解を求めます。
続いて、乳幼児育児へのサポートの拡充について質問いたします。徐々に電車やバスにベビーカーで乗れる環境整備が進むものの、昨年十一月には都営バスにおいてベビーカーの乗車拒否が表面化し、また、電車にも車椅子・ベビーカー用のスペースが増えてきたものの、実際にベビーカーで乗り込んでも、優先スペースであるにもかかわらず、かたくなに動かない乗客が多く、駅や移動用のエレベーターでも、どう見ても元気そうな利用者や、最近では巨大なトランクを引いた観光客が長蛇の列をなし、たとえ必要な方を優先してくださいと掲示してあろうとも譲られたためしはなく、実態的にベビーカーで利用しやすい環境になったとは到底言えません。
さらに今月初頭には恵比寿駅でいわゆるぶつかりおじさんがベビーカーを押す女性を選び、わざとぶつかってきたことも話題になりました。私自身も同じようにベビーカーを押していた際、高齢男性が真正面から衝突してきた経験があります。特に女性にとって小さな子どもと一緒に外出することは大変を超えて、残念ながら危険な事態にも遭遇するのが現状です。
本来は、「ちぃばす」で赤ちゃんと気軽に外出しやすくなればよいのですが、今年四月から大人二人が乗れる乗車券に制度を改正し、家族で出かけやすくなったという喜びの声が届く反面、ママと赤ちゃんだけで出かけた際にベビーカーを畳むように言われても、一人で赤ちゃんをだっこひもにつけ、さらにいざというときの子どもの荷物まで詰めた大きなマザーズバッグを背負い、ベビーカーを畳めるはずもなく肩身の狭い思いをした。乗車位置の関係でベビーカーをバスから降ろすのに時間がかかっていたら、ほかの客からどなられたなど、赤ちゃんとの外出を促進するための公共交通のはずが、特にママたちにとって使いづらい、敬遠される乗り物となり、「ちぃばす」でのアクセスのよいみなと保健所に行くときすら、ほかの乗客の迷惑になるのではないかと怖くて「ちぃばす」に乗れず、何十分も歩いたという話を頻繁に耳にします。
翻って区では、今年の七月から未就学児が複数人いる家庭に対して二万四千円のタクシー券を支給します。移動の選択肢を増やす姿勢を高く評価いたします。しかし、子どもの人数を問わず、特にベビーカーを利用する年齢の子どもを連れての外出のハードルが非常に高いこと、「ちぃばす」すら乗車がためらわれる現状を鑑みると、子どもが一人だとしてもタクシー券を支給すべきです。見解を求めます。
次に、赤ちゃんへのおむつの支給についてです。高齢者には約三十年前より支給されている紙おむつですが、なぜ高齢者には支給されて、乳幼児には支給の議論すらされないのでしょうか。港区高齢者紙おむつの給付等に関する要綱を見ると、第一条、目的には、高齢者の快適な生活を確保するとともに、高齢者を介護する家族等の介護負担の軽減を図ることを目的とすると明記され、その対象は、要支援一以上のおむつの利用が必要な六十五歳以上です。
布おむつと比較して不快感のない生活、ケアへの負担軽減という程度であれば、必ずしも高齢者に限定された話ではなく、乳幼児にも同様の負担とニーズがあります。高齢者向けの紙おむつ補助へ二億円超が予算化されていますが、仮に六月一日時点のゼロから一歳、合計四千六百九十人へ同規模の予算がつけられたとすれば、一人当たり月三千六百円の支援が可能となり、仮におむつが一枚二十五円とすると、一日四・八枚分とおむつ代のほとんどを賄うことが可能となります。
お隣の品川区では、新しい区長の公約で、今年度からゼロ歳児向けのおむつ支給事業を開始するとのことです。
また、重度障害者への紙おむつ支給についても、三歳以上六十五歳未満という条件がありますが、六十五歳以上は制度上高齢者向けに統一されているだけで中身は変わらない。一方、ゼロから二歳は同等の症状があっても障害者支援の枠組みからすら排除され、あくまで自己負担となっています。紙おむつを利用する頻度が最も高いのはゼロから一歳であるにもかかわらず、紙おむつの利用者から乳幼児だけを排除している、この不公平なおむつ給付制度を是正し、乳幼児のいる家庭に広くおむつの支給を検討されてもいいのではないでしょうか。区の見解を伺います。
次は、紙おむつについて視点を変え、廃棄についての質問です。今年一月に厚生労働省から保育園内でのおむつ処分を推奨する通知が出されましたが、港区では全国に先駆け、二〇一八年四月には、全ての認可・認証保育所でおむつの持ち帰りを見直し、園内での処分が実現していました。他方、子育てひろばをはじめとした子育て施設においては、併設している一時預かりでは保育園同様の処分も始まっている一方で、ひろば利用については、どこでもおむつ替えスペースに大きな文字で持ち帰るよう案内がされており、いまだに施設側では処分する体制となっていません。
確かに持ち込んだものは持ち帰るという大原則に基づけば、持ち帰りが自然と考えるかもしれませんが、男性用トイレにもサニタリーボックスの設置が進み、また、既に
総合支所や図書館の中にはおむつ用のごみ箱が設置されている公共施設があることを鑑みると、子どもが対象の子育てひろばで使用済みのおむつを持ち帰らせることは、衛生面だけでなく、サービスの観点からも後れを取っています。子育てひろばでも他の公共施設同様、おむつの廃棄ができる体制を求めます。区の見解を求めます。
続いて、さらに使いやすい保育について二点伺います。まずは第一子の保育料の負担軽減、無償化の拡大についてです。今年度の東京都による子育て支援の目玉として、都内全域でゼロから二歳の第二子以降の保育料の無償化が十月より実施されますが、港区では、既に二〇二〇年より第二子以降に対する保育料の無償化を実施しており、また、国による幼児教育・保育の無償化により、三歳以上は一定額まで無償化が実施されています。
保育の無償化を実施することで特に恩恵を受けているのは保育料の高い層ですが、既に保育園を利用している人への支援としてだけでなく、高収入なパートナーがいるため、高い保育料を出すより在宅での育児に専念してきた人へも就労復帰がかないやすくなるメッセージとして働き、近年の同類婚の流れも加味すると、特にハイキャリア層で不妊治療や出産でキャリアを一時中断している人への仕事復帰の後押しに作用すると考えます。
三歳以上の無償化と第二子無償化により、残るは一人目のゼロから二歳の保育料ですが、従来は第二子から無料としてきた給食費について、今年九月から第一子を含め、全ての子どもを対象に無料としたことは評価しています。
翻ってこれまでは区が独自で第二子無償化へ充当していた費用については、十月からは東京都から相当分の予算措置がされることとなりますが、区として第二子無償化のために使う必要のなくなった分の予算を給食費に加え、第一子の保育料無償化、利用料負担軽減のために使えないでしょうか。第一子にかかる経済的負担が原因で第二子、第三子の出産・子育てをちゅうちょすることがないよう、第一子から保育料を無償化すべきです。区の見解を伺います。
続いて、保育の子育て支援の活用として、保育園入園の条件緩和を求めていきます。国は、親の就労時間を問わず、誰でも時間単位で保育所を利用することができるようにする、こども誰でも通園制度を二〇二六年から全国で実施すると発表しました。
港区では今年も四月一日時点で保育待機児童数はゼロとなり、二〇一九年から継続して五年連続で待機児童ゼロを達成しましたが、四月時点ではゼロとなる一方で、年度末である今年一月には入園希望者・待機者は約百人となり、待機児童ゼロと言っても、常に保育園に入れるわけではないのが実態です。
現時点では八月入園に向けた空き状況は、ゼロ歳から二歳で合計で四百三十五人、三歳から五歳も千一人と、まだ入園可能なリソースは十分に残っていますが、区内全体、全年齢では千四百人分以上の入園可能枠が残っていたとしても、地域によっては年度末に向けて入園が困難になることもあるため、引き続き通常保育のために確保すべき枠があります。入園可能なリソースが年間を通して余る場合であっても、例えば専業主婦世帯で二人目、三人目などを出産する際に、出産を要件に産前産後の計四か月の利用に限られている一方、育休取得者は産前産後に限らず、その後も継続して上の子の保育園を使い続けることができ、たとえ同じ年の兄弟姉妹がいて、同じ日に出産をしたとしても、条件によって保育園の利用可否が大きく異なります。既に定員に空きがある保育園が数多く存在するのであれば、それらを活用して、在宅での子育てや延長保育の短い幼稚園児向けの支援に活用できないでしょうか。特に港区独自で実施している港区保育室であれば、国や東京都の動向にかかわらず、利用条件の緩和や柔軟な運用が可能となります。より多くの人が保育園を利用できるようにすべきと考えますが、区の見解を求めます。
ここまで国・東京都に先駆けた港区独自の様々な子育て支援を紹介し、拡充も提案してきましたが、これだけでは子どもが増える影響は限定的です。確かに子どもを積極的に望み、それだけの収入がある層には不妊治療への支援が有効であり、また、子どもが望める雰囲気醸成や、実際に二人目、三人目をかなえるには子育て支援の拡充が有効ですが、そもそも子どもが生まれる前段にあるマッチングの支援や事実婚、パートナーシップ制度を利用するカップル、選択的シングルマザーも育てやすくするなど、あらゆる環境の見直し、さらには家計や教育といった将来不安の払拭、公営住宅をはじめとした住宅政策の優先順位の見直しまで、子育て支援の観点だけではなく、都市戦略として少子化、人口動態の変化を専門的に捉え直し、全庁横断的に指揮を執れる体制が必要です。少子化対策を担当するポストを区内に設置し、外部からの専門家を登用すべきと考えますが、区の見解を伺います。
次に、安定した財政運営のための都区財政調整の見直しについて質問いたします。
東京府と東京市の合併により誕生した東京の都区制度ですが、一九七〇年代の区長公選制や二〇〇〇年の清掃事業の移管、また、同年には基礎的な地方自治体として位置づけられ、二〇一九年からは児童相談所の設置も始まり、少しずつではあるものの権限が移譲されてきたとはいえ、いまだに権限が東京都に奪われたままです。特に固定資産税や法人住民税をはじめとした東京都と二十三区間の税の配分を東京都が執り行うことにより、港区は都区財政調整における普通交付金が二十年連続で不交付となり、通常の自治体であれば地元のために使えるはずの多くの税金が他区に流出しています。
また、児童相談所の移管を発端に、東京都は二〇〇七年以降五五%で継続してきた都区財政調整制度に基づく特別区交付金の財源配分の割合を、二〇二〇年度から時限的に五五・一%に引き上げることに同意しましたが、児童相談所運営に関する都区の連携・協力を一層円滑に進めていくための特例的な対応とし、三年後、つまり今年度に改めて協議するとしていました。三年たった現在、東京都は配分割合と、東京都と特別区の事務配分または役割分担に大幅な変更があった場合に限られるとの主張で〇・一%に当たる約二十億円を元に戻し、区側を五五%にするよう主張しています。
港区は普通交付金の対象ではないものの特別交付金の対象であり、特に渦中の児童相談所を設置している当事者です。東京都に対し、普通交付金の基準需要額の算定方法や普通交付金の割合の見直しに加え、現時点で都区財政調整の〇・五%に上る特別区の児童相談所運営費についても財源まで含めた権限移譲となるよう他区と連携し、強く働きかけるべきです。区の見解を伺います。
次に、港区版ふるさと納税の返礼品についてです。十年前にふるさと納税ポータルサイトが立ち上がり、そこから本格的に流出が拡大し始めたふるさと納税制度は、地方交付税も不交付である港区は、流出分が補填されることがないことから流出額自体は全国十一位でありますが、実質影響額は、同じく地方交付税不交付の川崎市、世田谷区に次いで全国三位となっています。川崎市の人口は百五十四万人、世田谷区は九十二万人に対し、港区が二十六万人であることを加味すると、全国に類を見ない規模で財源が流出していることがうかがえます。
港区ではいまだに返礼品を用意していませんが、この先、国が制度を改正しない限り、是正を叫んでいるうちにも、今後も区の貴重な財源は流出し続けます。港区に存在する各種観光スポット、数多く存在する高級レストラン、高級ホテルとの連携に加え、本社を置く飲料メーカー、食品メーカーの商品や、民放五局全てが本社を置く地の利を生かして、様々な限定キャラクターグッズを用意することなども可能なはずです。多額の税金が流出する前に、港区でも港区の特性を生かした魅力的な返礼品を用意すべきです。区の見解を伺います。
次に、区民のための区政運営として、区が実施するアンケート調査の活用法について伺います。
区では毎年、数多くの調査・アンケートを実施しています。例えば、毎年テーマを決め調査を実施している港区政策創造研究所や年に二回から四回実施している中小企業の景況調査、子育て支援を検討するための就学前児童に対するアンケート調査など、年間で数十もの調査を実施しています。調査結果をオープンデータとして公開していく方針が出されており、行政のデータが広く活用可能になる点は高く評価しています。
しかしながら、各種調査は、区民のニーズを把握し、政策に反映させることを目的としているものの、長く実施していることで見直すタイミングを失い、実施すること自体が目的になってはいないでしょうか。区がやるべきことは単なる調査ではなく、調査項目の設計や結果を分析した上で最終的に政策立案につなげていくことです。確かに過去と同じ質問で経年経過をたどることを求められるかもしれませんが、対象、サンプル数の妥当性、知りたいニーズを聞き出すための設問や回答項目など丁寧に検討し、分析を実施するには専門の知見が求められ、聞きたい項目の調査から分析して活用できる調査への見直しが必要です。変化の大きい時代において、従来の調査のための調査ではなく、調査を区政に生かすための取組について、区の見解を伺います。
次に、区の支援部と各
地区総合支所との連携についてです。港区では二〇〇六年から
総合支所制度を導入し、現在は本庁と五つの
総合支所により成り立っています。
総合支所は、より区民と近い距離で区民サービスを提供することができるメリットがありますが、デジタル化の推進により物理的な距離の近さは必要なくなり、その利点も薄れてきています。
翻って昨年八月より、
総合支所の機能強化として、各
地区総合支所に福祉に関することを一括して取り扱う
福祉総合窓口を開設しましたが、実態は、
総合支所の窓口で相談をしても、制度を理解していない職員ばかりで、何度も担当者が交代したという事例や、対応する職員によって回答が違うという事例が散見されます。本来は一時的な対応をさばき、それぞれの専門部署と連携して個別の対応に対処する能力が求められますが、現状では専門知識のない窓口職員が専門的な問題を解決しようとする体制になってはいないでしょうか。
また、検索し、AIに質問すれば、大方の情報に一般の区民でもアクセスできる時代において、一時対応すら必要なく、適切な部署を自分で見つけて連絡したい区民も増えており、窓口と窓口職員の存在価値が問われています。
総合支所の窓口で、区役所の制度を理解していないことで区民からの苦情へとつながるケースが非常に多くなっています。本庁の支援部と窓口対応の連携について、区の見解を伺います。
次に、町会・自治会と接点のない区民の声を把握することについてです。港区政策形成支援データ集によると、昨年四月一日現在の港区の人口は二十五・九万人に対し、町会・自治会の会員数は六・五万人弱、割合にして二四・九%と、仮に世帯単位で計算しても四三・八%と、既に町会・自治会に加入していない人がマジョリティーとなっています。また、数少ない加入者ですらマンション単位で加入していると、加入している意識も接点もない場合がほとんどです。
実際にこの十年で、港区では二十三区で最も多い十五の自治会が解散しており、年々弱体化しているにもかかわらず、区がソフト面を含めた計画を立てたり、区役所が地域の中で動く際には、町会・自治会を通して意見を聞くことでその地域の総意であるとしますが、加入率や解散状況を鑑みても、残念ながら既に少数派で正当性は失われており、町会・自治会だけの声をもって地域の声と言うことはできません。そもそも町会・自治会は地域で地域のために活動する任意団体であり、行政をトップに住民をピラミッド型で管理する団体ではありません。デジタル化が進む現在、町会・自治会という旧来の単位ではなく、インターネットを介して情報を全ての区民に周知させ、一部の区民だけではなく、全ての区民から意見を聞くことができる開かれた仕組みにすべきです。区の見解を伺います。
次に、質の高い教育についてです。
まずは学童クラブについて質問いたします。質問に先駆けて、今年の夏休みから長期休みにおいて、区内全ての学童保育で昼食の宅配弁当を開始することを評価いたします。保育園であれば、時期に関係なく毎日給食があるにもかかわらず、小学校に上がると、給食のない長期休み中に保護者に思わぬ負担が増えることで小一の壁として作用していましたが、仕事と子育てを両立する上での障壁が一つ取り払われました。
この学童保育については、時間の延長を求めます。保育園では最大で二十二時まで子どもを預かってもらえますが、小学生になると、区立の学童クラブでは最大で十九時までしか預かってもらえず、しかも十八時以降になる場合には保護者が迎えに行かなくてはなりません。子どもが小学生になるタイミングはフルタイムへ復帰するなど、六年間セーブしてきた仕事を本格的に再始動するタイミングでもあります。しかし、現在の保育時間では仕事との両立が保育園以上に難しく、遅くまで対応している民間の学童保育を使わざるを得なくなります。子どもを迎えに行かなくてはならない制度である以上、フルタイムで定時まで働いてもお迎えに行ける時間までは、早急に学童クラブの保育時間の延長をすべきです。区の見解を伺います。
次に、認定こども園の設置についてです。今年二〇二三年度に区立幼稚園に通う子どもたちは七百十人となり、昨年度の八百三十三人から百二十三人も減少しました。対象年齢となる子どもの人数の減少、共働き世帯の増加、さらに私立幼稚園が十四園もあること、幼保無償化など様々な要因が重なり、従来の区立幼稚園のニーズが減り、園児数が年々減少しています。
しかし、働くママたちからは、本当は幼稚園に通わせたいが、延長保育が十七時までしかないため保育園に通わざるを得ないという声が多く聞かれ、環境面を考えても、園庭や園舎も広い区立幼稚園が活用できれば、子どもたちが成長する環境はより豊かなものになります。港区では、二〇二〇年に各
地区総合支所単位の地域に一園ずつこども園の設置を決定しています。共働き世帯からの要望の高いこども園の早急な設置を求めますが、区の見解を伺います。
次に、いじめへの介入と対応についてです。
教育現場ではいじめや子ども同士のトラブルが発生しますが、原因が複雑化しており、当事者間では解決できない機会も増えています。学校では、あらゆる現場で校長が大きな権限を握っており、いじめやトラブルの解決についても重大事項の決定、出席停止を決定するための事実の見取りなど、あらゆる対応するためのリーダーシップが期待されます。しかしながら、いじめは児童・生徒同士の問題のみならず、保護者同士を巻き込んだ事案に発展するケースが多く存在します。いじめの解決に向けて学校単独に解決を任せると、学校運営上の都合や一般社会では通用しない独自の理論が働き、校長一人では適切なタイミングで正確に判断を下せるとは限りません。
そこで、会社経営と同様に、第三者によるガバナンスを利かせる仕組みが必要です。学校においていじめが発生した場合、学校単独に任せるのではなく、学校以外の機関の協力を得て解決すべきだと考えますが、教育長の考えを伺います。
次に、公私立の中・高校生の留学支援についてです。既に日本人が海外へ出稼ぎに行く時代に突入し、エリート層のみならず、日本語だけで生きていくことは難しくなっています。グローバル社会で生き抜く子どもたちを育てるため、語学力を高めることはもちろんのこと、早いうちから広い視野を持つことは非常に重要です。
港区が行った、港区の就学前児童に対する子育て支援検討に当たってのアンケート調査の結果では、子どもが留学したいと言ったら将来子どもに留学させてあげたいとの回答は九割以上に上りました。この留学させたいかの項目と世帯年収でのクロス集計を行った結果、世帯年収の高い低いにかかわらず、全ての世帯において留学させたいと留学を望んでいることが明らかとなりました。港区では、中学生六千六十七人のうち二千二十七人、六二・五%が私立・国立等の区立以外の中学校に在学していることを鑑み、区立・私立を問わず、全ての中・高校生が留学する際に十万円を支援することを提案いたします。教育長の見解を伺います。
次に、将来につながるプログラミング教育についてです。来年度、二〇二五年一月の大学入学共通テストから情報が教科の一つとして導入され、その中でプログラミングも出題されることが決定しました。小学校では二〇二〇年度、中学校では二〇二一年度からプログラミングが必修化され、港区でも小・中学生に対するプログラミング教育を実施していますが、学校や担当教員によって内容もレベルも様々であり、教員によるばらつきが大きくなる教科となっています。今後は大学入試にも直結するプログラミング教育について、教科書だけで学べない、質の担保されたカリキュラムを全ての小・中学生へレベルや授業内容のばらつきがないよう標準化し提供すべきです。教育長の見解を伺います。
次に、芝浦小・芝浜小の学区域の見直しについてです。昨年二〇二二年に最大一学年九クラスと区内有数の大規模であった芝浦小学校から分かれる形で新設された芝浜小学校ですが、今年度の新一年生は元になったはずの芝浦小学校よりも駅前でスペースに制約のある芝浜小学校のほうが児童数・クラスともに多くなり、芝浜小学校では各学年四クラスまでの予定が、既に二〇二三年度新入生では五クラスとなっています。学区域を決定する際には、現状の分析と同時に、区の人口推計などを基に検討していますが、大型開発などを早期に把握し、より長期的な計画を見越すことが重要です。港区では、今後も新たなマンションの建設が控えていますが、両校の規模が適正になるよう学区域の見直しをしていくべきです。教育長の見解を伺います。
次に、芝浜小学校における子どもたちの遊び場の見直しについてです。芝浜小学校は駅前の一角を利用した地上九階、地下一階のビル型の校舎であり、現在は、子どもたちが休み時間に体を動かすことができる場、いわゆる遊び場についてスペースが限られていることから、休み時間に学年ごとに使用できる場所が割り振られています。この四月時点の新一年生は、既に芝浦小学校の児童数を上回っており、今後さらに児童数の増加が予想されます。目の前には芝浦公園があり、隣にはスポーツセンターが存在している立地を積極的に活用し、どこで遊ぶのか自分たちで選び、また、ほかの学校と同様に遊び方が制限されることなく、いつでも伸び伸びと遊ぶことができるようにすべきです。芝浜小学校の子どもたちの遊び場を確保することについて、教育長の見解を伺います。
次に、快適で楽しめる街づくりについて、まずは子どもたちが楽しめる公園について質問いたします。二〇一〇年から休止されていた一の橋公園が、今年四月にやっと再開し、早くも子どもたちでにぎわっています。新しい公園は、子どもたちが遊びやすい工夫や安全性への配慮、新しい遊具や清潔なトイレなどの要因から人気が高くなります。港区は園庭のない保育園が多く、また、マンション住民が大半で、各家庭に外遊びができる環境もないからこそ、大型の公園だけではなく、近所で子どもたちが楽しめる、そして保護者も安心して遊ばせることのできる公園を整備すべきです。区の見解を伺います。
次に、密閉型にできない喫煙所の対策についてです。区では、駅前や公園の喫煙所を煙が外部に流出しない密閉型に転換しており、評価いたします。しかし、田町駅西口の二階、三田に続くペデストリアンデッキをはじめ、構造上、区内にある全ての喫煙所を密閉型に転換できるわけではありません。
そこで、密閉型へ転換できない喫煙所の対策について伺います。風向きによって副流煙が外へ、特に歩道側や人が集まる高さに流れ出ないようにできる限りの対策を講じるべきですが、今後の喫煙対策について、区の見解を伺います。
次に、運河を活用した運河クルーズなど乗船機会の拡大について伺います。港区では、みなとパーク芝浦フェスティバルや芝浦運河まつり、港南ふれあい桜祭りといったイベント時に、運河の近くに住む地元の区民を対象に運河クルーズを実施しています。年間で約千人が運河クルーズに乗船していますが、運河のある芝浦港南に住む区民だけでも五万人近くがいる中、運河クルーズに乗りたい区民全員が乗ることはできていません。
昨年、実施されたみなとパーク芝浦フェスティバルでは、二十五人定員の運河クルーズを四便運航し、百人が乗船できる機会となりましたが、子どもを乗せてあげたいと思う親たちが二時間以上も前から行列をつくり、運航開始の一時間前には満員となっていました。このことからも区民からのニーズの高さがうかがえます。区民が運河クルーズに乗船し、水辺に親しめる機会をつくるべきです。区の見解を伺います。
最後に、二点要望いたします。まずはペット税の検討についてです。ペットフード協会が発表しているペットの飼育頭数調査、二〇二二年全国犬猫飼育実態調査結果によると、最新のペット飼育頭数は犬で七百五万頭、猫で八百八十三万頭であることが分かりました。二〇二二年六月からマイクロチップの義務化がスタートしたこともあり、港区に登録されている犬の頭数は二〇二三年三月末時点で一万五千三百十九頭となり、一年前から三千頭以上も増えています。全国犬猫飼育実態調査結果によると、猫のほうが犬よりも多いことが分かっているため、一万五千匹以上の猫が港区内にいると推測されます。港区のゼロから六歳の未就学児の子ども数が二〇二三年六月時点で一万七千五百六十九人であることから、子どもたちの人数よりもペットの数のほうが上回っていることが想定されます。
世界各国を見渡すと、ドイツ、オーストリアをはじめとしたヨーロッパの幾つかの国で犬税が徴収されています。二〇一四年八月の産経新聞大阪版の記事によると、そもそも日本においても一九五五年から全国二千七百近くの自治体で犬税が導入されており、一九八二年に完全廃止となりました。しかし、近年においては、二〇一〇年前後に自民党の動物愛護管理推進議員連盟や旧民主党の税制改正プロジェクトチームにおいて議論がなされたり、また、大阪府泉佐野市で犬のふん害対策のために法定外目的税として犬税の導入が本格的に検討されていました。
ペットフレンドリーなまちづくりを進めて人を呼び込むことも選ばれるまちづくりとしては必要な観点ですが、一方でペットや愛好家向けの各種政策について、人間向けの政策ですら手が回っていない現在、税金をどこまでペットへかけるのか判断に困ります。しかし、現実にはドッグランやペット同室避難など、ペットも人と同様のサービスが求められています。このことからペット政策実現のためにペット税の検討を要望いたします。
最後の要望です。区内には多くの区立施設が存在しますが、土地が少ない港区においては、常に子どもたちの遊び場やドッグランが不足しています。今後、区立施設を設置する際には、子どもたちが遊べる室内遊び場や屋上にドッグランを設置するなど様々な工夫を検討していただくことを要望して、質問を終わります。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの
みなと未来会議を代表しての榎本あゆみ議員の御質問に順次お答えいたします。
最初に、未来へ向けた少子化対策と子育て支援についてのお尋ねです。
まず、港区独自の児童手当についてです。区は、児童手当を区独自の制度として恒常的に創設することは、財源や将来への負担を配慮することなど、様々な課題があることから予定しておりませんが、今後も、国の「こども未来戦略方針」で示されている児童手当の所得制限の撤廃や支給期間の高校生世代の延長などの国の動向を注視してまいります。
次に、妊婦健診・無痛分娩も含めた出産の無償化についてのお尋ねです。妊婦健診の受診票は、東京都地域保健事業連絡協議会が定めた検査項目や助成単価を基に発行しており、区では、そのうちの超音波検査について、本年七月から四回に拡充いたします。区の出産費用助成については、区内の病院で出産にかかる費用が増加傾向にあることから、無痛分娩費用や差額ベッド代などを含めた出産費用を基礎とし、本年四月に算出上限額を八十一万円に引き上げております。引き続き、区内における出産費用の実態を把握し、施策の充実に努めてまいります。
次に、不妊治療の啓発強化についてのお尋ねです。区は、不妊治療についての理解を深めるため、不妊に悩む方だけではなく、広く区民を対象に、みなと保健所や各
地区総合支所の窓口での啓発冊子の配布をはじめ、広報みなとや区ホームページ、SNS等において情報発信を行っております。さらに、本年五月から様々な世代の区民の目に触れるように、港区薬剤師会の協力を得て、不妊治療に関する啓発リーフレットを区内薬局の店頭で配布しております。区は引き続き、不妊治療の正確な知識の啓発に積極的に取り組み、不妊に悩む方々の心理的な負担の軽減に取り組んでまいります。
次に、子ども一人の家庭に対する移動支援についてのお尋ねです。子連れでの移動は、安心して快適に子育てできる環境づくりの観点から、子どもや子育て世帯の目線に立ち、社会全体で支えられるよう区が積極的に理解の促進に取り組むことが必要と考えております。今後とも、「ちぃばす」やお台場レインボーバスでベビーカーが乗降する際に運転手がスロープを出すなど乗車をサポートするとともに、公共交通機関等に対しポスターの掲示を働きかけることで子連れでの移動を社会で支えるという意識の醸成や相互理解が進むよう取り組んでまいります。
なお、子ども一人の家庭に対するタクシー利用券の給付については、今後の研究課題といたします。
次に、赤ちゃんへのおむつの支給についてのお尋ねです。赤ちゃんを育てる家庭では、おむつやお尻拭きなどに加え、様々な育児用品を購入する必要があり、経済的支援は重要です。そのため区は、みなとプレママ応援事業でおむつの購入にも利用できる一万円分の育児パッケージを配付してまいりました。さらに、本年三月に開始した港区出産・子育て応援事業では、出産前後の対象者におむつを含む複数の品目から自由に選択できる合計十万円分の電子カタログを支給しており、仮におむつだけを選択した場合、一日十枚使用するとしても一年分以上利用できることになります。このことから区は、引き続き本事業の積極的な周知を行い、活用を促してまいります。
次に、子育てひろばでのおむつの廃棄についてのお尋ねです。区は、全ての区立認可保育園等において使用済みおむつを施設で処分しており、さらに本年六月からは区立認可保育園、区立認定こども園等の全三十三園において、おむつのサブスクリプションサービスを開始しております。現在、区内十九か所の子育てひろばにおいても、子育て家庭の育児負担の軽減と利用者の利便性向上を図るため、使用済みおむつの保管スペースや衛生面の管理など施設や利用者の実態把握を進めており、今後、施設での処分を実施してまいります。
次に、第一子の保育料無償化についてのお尋ねです。ゼロ歳児から二歳児までの保育料につきましては、子ども・子育て支援法の規定に基づき、保育園運営に必要な経費の一部として、保護者の負担能力に応じた負担となるよう定めております。一方、世帯の収入にかかわらず、区独自に第二子以降の保育料の無償化や認証保育所、認可外保育施設の保育料の助成を行うなど、積極的に保護者の経済的負担の軽減に取り組んでおります。区は、様々な角度から子育て支援策の充実に取り組んでおり、引き続き子育て世帯の負担の在り方の中で、保育園保育料について総合的に検討してまいります。
次に、保育園入園の条件緩和についてのお尋ねです。区は、現在もパートタイムや短時間勤務等の家庭を対象に、定期利用のほか、スポットで利用できるみなと保育サポート事業を実施しております。また、保育定員に対する空きを活用した余裕活用型一時保育事業では、本年四月から小規模保育事業所に加え、私立認可保育園にも対象を拡大するなど、国に先駆けて、港区版こども誰でも通園制度に取り組んでおります。今後も、全ての子育て家庭が身近な場所でサポートを受けながら安心して子どもを育てられるよう、地域に根差す保育園の役割を発揮し、多様な働き方やライフスタイルに応じた子育て支援を実施してまいります。
次に、少子化対策の部門と外部の専門家の登用についてです。区は、本年四月のこども基本法の施行、こども家庭庁創設等の国の動きを踏まえ、子ども部門の組織を再編し、結婚、出産、子育て、少子化対策等の子ども政策を全庁横断的に、より一層推進する機能強化を図っております。
また、これまでも外部有識者や区民委員等で構成される子ども・子育て会議等の場において、区の子ども政策に関する専門的な意見を取り入れております。さらに本年五月には、保育の質の向上等に関する最先端の研究を行う国立大学法人東京大学大学院と連携協定を締結し、保育の質のさらなる向上に向けた政策を一層推進しております。引き続き、様々な機会を捉え、専門家の知見を生かすとともに、区の子育て支援推進会議などの全庁横断的な会議の場での各分野における多様な意見を反映させていくことで、港区ならではの子育て支援を強力に推進してまいります。
次に、安定した財政運営についてのお尋ねです。
まず、都区財政調整の見直しについてです。区民に身近な基礎自治体である特別区が児童相談行政を担い、子どもの命と権利を守る責務を果たし続けていくためには、特別区が担う役割に見合った財源が確実に保障される必要があります。児童相談所の特別区への移管は都区の役割分担の変更であることから、平成十二年の都区の合意に基づき配分割合の変更が必要です。基準財政需要額の算定につきましては、より特別区の実態を反映できるよう毎年度、都区財政調整協議において見直しを提案しております。引き続き、特別区長会として粘り強く主張してまいります。
次に、ふるさと納税の返礼品についてのお尋ねです。現在のふるさと納税制度は、制度を利用する人のみが返礼品などの見返りを受けられることや、一部の限られた自治体に寄附が集中する一方で、多くの自治体で返礼品の経費負担や減収に苦しんでいることなど、制度のゆがみが顕在化しています。納税者が自ら寄附先を選択し、地域を応援するというふるさと納税制度本来の趣旨を踏まえ、引き続き返礼品を設けることなく、地域に還元できる区や区内の公共団体への寄附を募るとともに、特別区長会を通じ、国に対し、ふるさと納税制度をめぐる様々な問題に対処するよう抜本的な見直しを求めてまいります。
次に、区民のための区政運営についてのお尋ねです。
まず、区が実施するアンケート調査の活用法についてです。区は、統計の専門的知見を有する港区政策創造研究所において、調査や政策形成のノウハウ等をまとめた手順書を作成するとともに、庁内で共有し、統一的で質の高い調査の実施やEBPMの推進に取り組んでまいりました。加えて、各種計画策定の実務担当者等に対し、より実践的な仮説検証やデータ解析などの研修を通じて、調査分析スキルの習得を支援しております。区は、こうした取組をさらに推進し、データに基づいた効率的な行政サービスを展開してまいります。
次に、支援部と各
地区総合支所との連携についてのお尋ねです。区は、
総合支所中心の区政運営を基本としており、各
地区総合支所が共通して提供する区民サービスについては、
総合支所を支援する支援部が業務マニュアルを整備の上、研修を実施するなど、統一した対応の支援を徹底しております。
また、昨年八月に開設した
福祉総合窓口については、保健福祉支援部内に専管組織を設置して支援機能を強化するなど、区民サービスの向上に向け、
総合支所と支援部が一体となって取り組んでおります。今後も、各
地区総合支所において、より質の高い区民サービスを提供できるよう、
総合支所と支援部の連携を強化してまいります。
次に、町会・自治会と接点のない区民の声を把握することについてのお尋ねです。区は、基本的な計画等の策定過程において、地域や窓口等でいただく区民や町会・自治会の声のほか、
区民意識調査等の各種アンケート調査やパブリックコメントの実施など、区民一人一人の声を幅広く把握するよう努めております。また、区民意見の募集等に当たっては、広報みなとや区ホームページに加え、LINEによるプッシュ配信等で積極的に周知するとともに、区ホームページから意見を提出できるようにするなど御意見を寄せやすい工夫を重ねております。今後も、より多くの皆さんに情報を発信し、御意見を区政に反映できるよう努めてまいります。
次に、質の高い教育についてのお尋ねです。
まず、学童クラブの実施時間の延長についてです。区は、平成二十七年四月に、子どもの発達や自宅での生活時間に配慮しつつ、学童クラブの実施時間を午後六時半から午後七時までに延長しております。学童クラブの実施時間をさらに延長することについては、児童への夕食の提供を含め、運営面における課題もあることから、引き続き調査・研究してまいります。
次に、認定こども園の設置についてのお尋ねです。区は、令和三年九月に策定した港区の待機児童ゼロ達成後の新たな課題への対応方針に基づき、認定こども園を各地区に一園ずつ整備することを目指しております。整備に当たっては、幼稚園の利用を想定している一号認定の子ども定員を新たに設定することになるため、近年の認可保育園や幼稚園等の定員に対する空きの増加など、子どもを取り巻く状況の変化や、今後の小学校就学前人口、幼児教育、保育需要の動向を見極めながら慎重に検討し進めてまいります。
次に、快適で楽しめる街づくりについてのお尋ねです。
まず、子どもたちが楽しめる公園についてです。区は、港にぎわい公園づくり推進計画に基づき、公園等の立地や特性を生かし、ロッククライミングと滑り台の複合遊具やブランコなど様々な遊具を整備しております。また、環境学習や健康づくりなど指定管理者と連携し、様々なサービスを提供することで公園などの魅力を高めてまいりました。今後も、障害の有無などにかかわらず、全ての子どもたちが楽しく一緒に遊べるインクルーシブな遊具など、親子が安全に安心して利用できる公園を整備してまいります。
次に、密閉型にできない喫煙所の対策についてのお尋ねです。パーティション型の喫煙場所は、利用者が多くなることで周辺の道路等への煙や臭いの影響が大きくなることもあることから、喫煙場所に利用定員を設けるとともに、利用者が多い時間帯には、喫煙場所に巡回指導員を配置し、利用者への利用ルール、マナーの遵守を呼びかけております。
また、屋外喫煙場所を煙の少ない加熱式たばこ専用喫煙場所に転換することや、喫煙場所周辺の事業者への屋内喫煙場所の設置促進にも取り組んでおります。引き続き、運用と施設整備の両面から喫煙環境の整備に取り組むとともに、様々な整備手法についても調査・研究してまいります。
最後に、運河クルーズの乗船機会の拡大についてのお尋ねです。芝浦港南
地区総合支所では、水辺から街を眺める運河クルーズを区や地域のイベントに合わせて実施しており、多くの区民から好評をいただいております。今後は、芝浦港南地域の運河も含めた東京都の舟運活性化の取組や、民間企業が行うクルーズなどの情報を一般社団法人港区観光協会などの関係機関と協働し、区民に広く発信していくなど、区民が船に乗って水辺に親しめる機会の拡大に努めてまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(浦田幹男君)登壇〕
○教育長(浦田幹男君) ただいまの
みなと未来会議を代表しての榎本あゆみ議員の御質問に順次お答えいたします。
質の高い教育についてのお尋ねです。
まず、いじめへの介入と対応についてです。現在、各学校は、いじめが発生した際、校内いじめ対策委員会を開催し、早期解決に向けた被害者の心理的ケアや、加害者や何もせず状況を見ていた傍観者への指導を実施しています。問題が解決しない場合、学校は、警察、学校弁護士等と連携し、再度いじめの事実確認と原因究明を図り、当事者への必要な指導を行っています。
教育委員会では、こうした学校主体の取組が十分でないと判断した場合、港区教育委員会いじめ問題調査委員会を設置し、再度実態把握や対応について検討します。その結果に基づき適切な対応策を講じることで、いじめ問題を解決してまいります。あわせて、被害者、保護者に対し、調査の目的や方法などを説明し、調査結果をお伝えいたします。一連の調査結果については、教育委員会の会議の議題に上げるとともに、区長に報告をいたします。今後も、学校が組織的に対応できるよう支援することはもとより、必要に応じて教育委員会主体の会議体を活用することで、児童・生徒の学校生活が安心したものとなるよう努めてまいります。
次に、公私立の中・高校生の留学支援についてのお尋ねです。国が官民協働プロジェクトとして、平成二十五年から実施している留学支援事業では、これまでに一万人を超える高校生、大学生が費用助成や活動プログラムなどの支援を受けて海外留学を経験しております。教育委員会はこの事業を区立中学校で紹介し、国際的な視野で物事を捉えて解決する力を養うという海外留学の意義を伝えてきました。今後は、こうした状況を私立中学校や高等学校とも共有してまいります。海外留学での活動や、そこから得られる経験や成果は、未来を担う若者にとって大変意義深いものであることから、中・高校生が世界への一歩を踏み出す際の支援の在り方について、今後の検討課題としてまいります。
次に、将来につながるプログラミング教育についてのお尋ねです。現在、教育委員会では、タブレット端末によるプログラミング教材の活用を通して、児童・生徒のプログラミング的思考を育成しております。今年度は新たに六本木中学校において、区内企業と連携し、技術科でプログラミング言語を用いたウェブページ作成に取り組みます。プログラミング言語を活用し、探求的・創造的な学習を行うことで問題を発見し、解決する力を育むことが期待できます。今後、この六本木中学校での実践を他校にも展開できるよう、区内の企業や外部人材を積極的に活用しながら、実社会で役に立つ児童・生徒の論理的思考力を育成してまいります。
次に、芝浦小・芝浜小通学区域の見直しについてのお尋ねです。芝浜小学校での通学区域は、開校前の令和元年度当時の芝浦地域の人口を基に、開校する令和四年度の児童数を推計した上で、芝浦小学校の通学区域を分割して設定しました。現在、芝浜小学校の児童数が増加している状況を踏まえて、改めて当該地域の将来的児童数を推計し、必要な教室数等を算定しております。今後、推計結果を踏まえ、芝浜小学校及び芝浦小学校の学校規模等を考慮した上で、通学区域の見直しを含め、学校運営に支障が生じることのないよう対応してまいります。
最後に、芝浜小学校の子どもたちの遊び場の見直しについてのお尋ねです。芝浜小学校では校舎の構造上、限られたスペースの中で屋上校庭や体育館に加え、室内プールに蓋をして運動場として確保するなど、各学年が順番にその場所に応じた遊びができるよう工夫をしております。今月からは、芝浜小学校に隣接している港区スポーツセンターのサブアリーナを原則として、毎週火曜日の午前中二時間、各学年が順に使用できるようになりました。引き続き、教育委員会は芝浜小学校の児童数の増加を見極めつつ、子どもたちが体を思いきり動かして遊ぶことができる時間、空間の確保に努めてまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○副議長(七戸じゅん君) 議事の運営上、暫時休憩いたします。
午後三時四分休憩
午後三時三十分再開
○議長(
鈴木たかや君) 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。
お諮りいたします。議事の運営上、あらかじめ時間を延長いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(
鈴木たかや君) 御異議なきものと認め、時間は延長されました。
───────────────────────────
○議長(
鈴木たかや君) 一般質問を続けます。次に、二十二番丸山たかのり議員。
〔二十二番(丸山たかのり君)登壇、拍手〕
○二十二番(丸山たかのり君) 令和五年第二回港区
議会定例会に当たり、
公明党議員団を代表して、武井区長、
浦田教育長及び島田選挙管理委員会委員長に質問いたします。
質問に入る前に一言申し述べさせていただきます。さきの統一地方選挙で、公明党は千五百四十三人の候補者が当選し、当選率は実に九九%を超えました。後半戦の一般市議会議員選挙では八百九十一人が当選し、政党別の当選者数では八回連続第一党の座を守りました。東京都特別
区議会議員選挙でも百四十四人が勝ち抜き、自民党に次いで第二党の座を死守できました。一方で、公明党として全員当選を目指して戦い抜いたものの、我が港区を含む十二人の候補者が惜敗し涙を飲みました。今回の選挙結果について、識者からは、公明党が訴え抜いた物価高対策や少子化対策などの個別の政策が評価された一方で、連立与党として政治課題に果敢に切り込む公明党の改革姿勢が十分に伝わらなかったのではないかとの御意見が寄せられました。
一九九九年、公明党が自民党との連立政権の参画に踏み切った理由には、政治の安定と改革のリーダーシップ発揮なくして、日本の難局は打開できないとの強い責任感がありました。以来、公明党は日本の政治と真正面から向き合い、政策実現政党としての存在感を高め、政治家個人への企業団体献金の禁止や、子育て支援を柱に加えた全世代型社会保障の構築など、国民目線からの改革を貫き、庶民の声を政治に反映させてまいりました。
今日、コロナ禍やロシアのウクライナ侵略の長期化、物価高騰、少子化の加速など時代は大激動し、我が国は政治のかじ取りが難しい未曽有の難局と戦っております。その中にあって公明党は連立政権の一翼として、さらに改革のエンジン役、推進力として、中道の理念、政治路線の原則を踏まえつつ、この難局に果敢に挑み、国民生活を守り抜くための政策実現をリードしてまいるとの決意を申し述べ、質問に入ります。
初めに、子ども・子育ての予算編成方針についてお伺いいたします。
二〇〇〇年代以降の出生数は、コロナ禍もあり、減少の速度が年々加速しております。そのため、公明党として、昨年十一月八日に、結婚、妊娠・出産から子どもが社会に巣立つまで切れ目のない支援策を掲げた子育て応援トータルプランを策定・公表しました。
さらに今年三月二十八日には、二〇三〇年までの期間が少子化傾向を反転させるラストチャンスであるという認識の下、この七年間を次世代育成を最優先させる七年として、二〇三〇年までに子ども・子育て予算の倍増を実現するとともに、今後三年間を集中期間として優先的に実施すべき事項を取りまとめ、岸田首相に提言いたしました。
こうした公明党の提言などを踏まえて、政府は今月十三日、こども未来戦略会議の第六回会合を首相官邸で開き、少子化対策や財源の考え方を示したこども未来戦略方針を決定いたしました。戦略方針では、二〇二四年度から三年間で集中的に取り組む加速化プランを提示。児童手当の拡充など、公明党の主張が随所に反映されています。子ども予算倍増の提言についても岸田首相は記者会見で、三十年代初頭までに、こども家庭庁の予算倍増を目指すと述べております。
港区は、令和五年度予算において、区民が安心して子どもを産み育て、子どもが健やかに過ごせるまちを実現する施策を掲げ、出産費用助成の上乗せや産後デイケア、私立認可保育園の空きを活用した余裕活用型一時保育など、誰もが安心して子どもを産み育てられる環境を整える取組を数々予算化されたことは、国の動きを先取りするもので高く評価しております。
令和六年度の予算編成方針においては、国のこども未来戦略方針を踏まえて、少子化の流れを断つべく、インパクトある子ども・子育て支援の方向性を打ち出すべきと考えます。
質問は、令和六年度の予算編成方針の策定に向けて、子ども・子育てに関してどのようにお考えなのか、武井区長にお伺いいたします。
次に、避難所における子どもへの配慮についてお伺いいたします。
災害や感染症等の緊急事態下において、いかに子どもの権利を保障できるかを検討することは重要です。遊びは、子どもの権利条約第三十一条に規定される子どもの権利です。大人が片づけをしているとき、幼い子どもたちと遊ぶことは小・中学生世代にできる、とても重要な役割であります。しかし、肝腎の遊び場が避難所にないことも多いです。
二〇二二年四月に改定された内閣府による避難所運営ガイドラインでは、チェックリスト十六「女性・子供への配慮」、項目番号一|九に「キッズスペース(子供の遊び場)や学習のためのスペースの設置を検討する」とあります。しかし、実際には、この緊急事態に遊びなんてと遊び場の設置は後回しにされがちです。
西日本豪雨で甚大な被害に遭った真備地区では、復旧期から子どもの遊び場が設けられました。この遊び場を担ったのは同じ倉敷市内の児童館職員で、移動児童館など災害前からの交流が生かされた好事例でもあります。実際に遊んだ保育園児・幼稚園児へのヒアリングでは、魚釣りをした、楽しかったという声が聞かれたとのことです。遊び場に子どもを預けて生活再建に専心できた保護者からは、「災害直後、児童館の先生は毎日来てくれた。あの場がなかったらお互いにしんどかった。子どももストレス、私もストレス。怒ってばかりしちゃいますよね、あの場がなかったら」と述べ、災害前から顔見知りの児童厚生員のいる遊び場が、親子双方にとって支えとなっていたことが分かります。
また、中高生世代に対しては、学習スペースがあれば十分だろうと思われがちですが、彼らにも遊んだり、好きなことができる、あるいは何もしなくていい居場所が必要です。子どもは遊びを通して回復していくこと、遊びは子どもの権利であることからも、災害時における避難所運営に関して、初動段階から避難所内にキッズスペースを設置することが重要と考えます。
港区地域防災計画では、こうしたキッズスペース設置などが規定されておらず、今後、計画の見直しなどの機会を捉えて、キッズスペース設置など子どもへの配慮にも取り組むべきです。
質問は、災害時の避難所におけるキッズスペース設置など、子どもへの配慮の必要性について、区としてどのようにお考えか、武井区長にお伺いいたします。
次に、防災DXの促進についてお伺いいたします。
近年、災害が多発する中、気候変動の影響により激甚化・頻発化・多発化する豪雨災害や、南海トラフ、首都直下等の大規模地震等から区民の生命と財産を守る防災・減災・国土強靱化は一層重要性を増しています。
現在、国では、災害時の避難所のデジタルトランスフォーメーション、DXに向けた取組を官民で進めております。例えばデジタル庁は避難者にスマートフォンで氏名や家族構成を入力してもらい、入退所などの情報集約するシステムの実証実験に乗り出しました。本年一月、デジタル庁は、神戸市で災害時に避難所運営をデジタル化する実証実験を実施し、避難所の個人情報などをスマホで集約するシステムの実用化を目指しています。地域住民は氏名や年齢、家族構成、アレルギーや障害の有無、ペットの飼育状況などの情報をあらかじめスマホに入力。避難後は入った施設名や必要な物資などを登録することで、よりスムーズな避難運営や個別の支援を受けやすくなり、利便性が向上するといったメリットがあります。
現在、多くの自治体では避難所の被災者情報を手書きのファクスなどで集約し、煩雑な作業が職員の負担になっています。また、避難所運営の際、個人情報の扱いや避難所での受付業務、出入りの掌握など管理運営が大変です。こうした課題解消のためにもデジタルの活用が不可欠と考えます。システムが構築できれば各防災訓練の際に活用し、シミュレーションも可能かと思います。デジタル改革担当と防災危機管理室と連携を図りながら、防災DXを進める必要があると考えます。
質問は、デジタルを活用した防災への取組について、区としてどのようにお考えか見解をお伺いいたします。
次に、区職員の子育て支援策についてお伺いいたします。
今月十三日に閣議決定されたこども未来戦略方針では、男性の育児休業取得率の政府目標を、令和七年までに公務員八五%、民間五〇%と大幅に引き上げました。その上で育休給付金について、出生後一定期間内に育休を取得した場合の給付率を引き上げ、手取り収入の実質十割まで支援します。さらに、男女で育児・家事を分担しつつ、育児期の男女がともに希望に応じてキャリア形成と両立できる仕組みを構築。短時間勤務やテレワーク、出社・退社時刻の調整など柔軟な働き方を職場に導入するための制度を検討します。あわせて、子どもが二歳になるまでの期間に時短勤務を選択した場合の給付を創設します。これらは本年三月二十八日に公明党が政府に対して提言した内容でもあり、少子化対策として大変重要と考えております。
また、厚生労働省の有識者研究会は今月十二日、仕事と育児、介護の両立支援策について報告書案を公表しました。子育て中の社員は、子どもが三歳になるまで在宅勤務を選べるよう企業に努力義務を課したり、小学校に入学するまで残業を免除できるようにしたりするなどを盛り込んでいます。育児休業の後も柔軟に働ける環境を整えるのが狙いで、厚生労働省は、令和六年にも育児・介護休業法など関連省令の改正を目指すとのことです。
港区は、令和三年三月に策定の「港区職員のワーク・ライフ・バランス推進プラン〜港区特定事業主行動計画〜」において、令和三年度から令和七年度期間中の男性職員の育児休業取得率の目標を五〇%に掲げて、男性職員の育休取得を推進しております。
また、職員の子育て支援プログラムとして、平成二十八年度から時差勤務、令和二年度からテレワークを本格実施し、時間・場所にとらわれない新しい働き方の確立に取り組んでいることは高く評価しております。今後は、政府の新たな施策の動向を見据えながら、男性職員の育児休業取得や子育て期間中のテレワークを強力に推進していただきたいです。推進に当たっては、管理職、係長級の職員の方々に制度に対する理解を進めるなど、組織風土の変革も必要と考えます。
質問は、区職員の子育て支援策として、男性職員の育児休業取得や子育て中の職員のテレワークの推進に、今後どのように取り組まれるつもりかお伺いいたします。
次に、セカンドライフ支援についてお伺いいたします。
我が国では、これからいよいよ本格的な高齢社会を迎えようとしています。令和七年には団塊の世代が七十五歳以上となり、高齢人口が大幅に増加し、令和二十四年にピークを迎えますが、その後は減少に転じると推計されております。こうした推計がされる中、高齢者が第二の人生、いわゆるセカンドライフと呼ばれる時間をよりよく生きがいを持って歩んでいけるような社会構築が求められております。現役を終えられた後に求められるライフスタイルは、再就労や新たな事業の創業、地域課題に取り組むボランティアに参加したり、趣味のための余暇活動をされたりと実に多様であります。
厚生労働省は平成二十五年、生涯現役社会の実現に向けた就労の在り方に関する検討会報告書において、人生百年時代を見据え、働く意欲のある高齢者が培った能力や経験を生かし、生涯現役で活躍し続けられる社会環境を整えていくことが必要である。また、高齢化に加え、少子化、核家族化が進む中で、これまで家族が担ってきた子育て、高齢者に対する生活支援、介護などを社会全体で支援していく必要性が高まってきている。そのような分野で経験豊富な高齢者が現役世代の補助的な役割を担い、社会の支え手として活躍してもらうことが望まれるとしています。
こうした課題から、厚生労働省では、地方自治体が中心となって構成される協議会等と連携し、地域ネットワークによる効果的な取組と自治体が主体的に行う取組との双方が協働して事業を行うことを支援する生涯現役促進地域連携事業を実施しています。
例えばさいたま市では、二〇一九年に当事業を活用し、定年退職後や子育てが一段落した中高年齢層、おおむね五十歳以上の市民に、ボランティア、就労、生涯学習等に関する相談・情報提供を一括で行う窓口として、セカンドライフ支援センターを設置しています。主な業務内容としては、退職後や子育てが一段落した後の人生セカンドライフについて、これからどのように過ごしたらよいか分からない、やりたいことはあるが相談先が分からないといった皆様の相談や、ボランティアを募集している団体や地域活動の仲間を募集している団体の情報などを提供し、地域参画を促進するなど、地域課題解決の担い手として活躍できる場を積極的に案内しているところが特徴的です。
これまで区では、高齢者が生き生きと健康で過ごしていけるよう施策に取り組んでくださっておりますが、今後は現役を引退しても社会の中で活躍できるよう、セカンドライフを見据えた施策を積極的に進める必要があると考えます。
そこで質問は、高齢者が生きがいを持ち、就労・創業支援、ボランティア活動や余暇活動などを通し社会参画できるよう、セカンドライフを支援する窓口の設置が必要と考えますが、区の見解をお伺いいたします。また、あわせてこうした課題を強力に推進する部署の設置も必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、里帰り出産時の保育料についてお伺いいたします。
国では、六月十三日にこども未来戦略方針を閣議決定し、異次元の少子化対策に向けて動き始めました。公明党が昨年十一月に発表した子育て応援トータルプランなど、これまで党として提言してきた内容が随所に盛り込まれていることを高く評価しています。特に児童手当の所得制限の撤廃や高校三年生まで対象が拡充されることについては、公明党が児童手当の創設を主導し、創設後も給付額の拡充や対象の拡大に先頭に立って取り組んできただけに大いに期待するところであります。
今回の拡充案の中で、第三子以降は月一万五千円から三万円に支給額を増額する案も盛り込まれております。これから希望される方には安心してたくさん子どもを産んでいただくためにも多子世帯の支援は欠かせないと考えます。港区でも子育てするなら港区のキャッチフレーズの下、子育て支援に力を入れ、多子世帯への支援も充実を図ってこられました。本年七月からは、未就学児が二人以上いる世帯に対し、タクシー券を支給する事業が始まります。これには多くの区民から喜びの声をいただいております。これから子どもを増やし、安定した社会を築くためにも多子世帯への支援が欠かせません。今後も必要な施策を積極的に取り入れていただくことを期待しております。
そうした中、子育て世代の方から保育園の保育料についての御相談をいただきました。その方は地方御出身で、現在二人目を妊娠されており、出産は御実家に戻り出産される、いわゆる里帰り出産を予定されております。上のお子さんは現在区立認可保育園に通っており、出産の際は保育園をその期間三か月休園されるそうです。御相談は、里帰りのためにやむなく保育園を休園する場合の保育料を免除していただくことはできないのでしょうかということでした。
港区では、御家庭の事情で保育園を休園する場合は、三から五歳児の給食費については、事前申請によって免除していただけます。しかし、保育料については、けがや病気の場合は免除されるものの、里帰り出産は対象となっておりません。
民間の企業が調査した結果では、里帰り出産をされる方は全体の約五〇%、期間としては、そのうち約五〇%が一から三か月と答えています。都心港区では、より里帰り出産をされる方が多いのではないかと推察されます。そうすると、休園している間の保育料は御家庭にとって負担になると想像がつきます。安心して出産していただくためにも、出産後にかかる子育て費用を考える上でも、この里帰り出産時の保育料の免除については、港区として取り組むべき施策ではないでしょうか。
質問は、里帰り出産時の保育料の免除について、区で実施していただきたいと考えますが、区長の見解をお伺いいたします。
次に、公衆浴場におけるトランスジェンダー女性の取扱いについてお伺いいたします。
今月十六日、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案」、いわゆるLGBT理解増進法案が参議院本会議で可決・成立しました。共生社会の実現に向けて、また、同性婚の実現に向けた議論においても、この法律が大きな一歩として生かされると考えております。
ところが、本法案をめぐっては、女性のトイレがなくなり、男女兼用トイレだけになるといった根拠のないデマが拡散しております。結論から言えば、この法律はトイレや浴場などのルールを決めるものではありません。しかしながら、本法案に対するこうしたデマや反対運動などによって、一般の方々の心配や懸念の声が高まっており、それらに応えられるような丁寧な説明や対応が必要と考えます。
具体的には、今回の法律によって、愉快犯である場合も含め、今の私の心は女性だなどと主張して、身体が男性の人物が女性用の公衆浴場等に侵入するような事例が増えてしまうのではないかという懸念の声があります。まず、本法にいう性自認や性同一性、ジェンダーアイデンティティという言葉は、いずれもその時々の本人の勝手な主張のことを指すものではありません。自身の性についてのある程度の一貫性を持った認識のことであり、私自身の性とはこういうものだというその人らしさ、アイデンティティのことを指すものであります。したがって、本当は男性なのに女湯をのぞくために、心は女性などと主張する男性は、本法の有無にかかわらず、ただの犯罪者です。
他方で、港区公衆浴場法施行条例には、身体的には男性であるトランスジェンダー女性が女性用の浴場に入ることに関する直接の規定は存在しません。しかし、同条例の第三条十四号には、七歳以上の男女を混浴させないこととあり、ここにいう男女とは、身体的な特徴の性をもって判断することとされているため、体は男性、心は女性という方は、現時点では女湯には入ることができないと解されております。
トランスジェンダー女性の自分の意思ではどうにもならない、性自認に従った取扱いをしてほしいという真摯な願いは守られるべき利益ではあるものの、一方で、衣服をつけない状態にある浴場、トイレ、更衣室などでは、ここを利用する他の女性の羞恥心や安心感もまた十分に保護される権利利益であると考えます。このような場面で両者のバランスをどのように考えるか、トランスジェンダー女性がどう扱われるべきかについては、我が国ではまだ社会的合意があるとは言い難いと考えます。
LGBT理解増進法は、まさにこのような理解を進めていくための法律であり、今後は性自認についての正確な理解を踏まえた上で、当事者の状況、施設・サービスなどの要素を十分に考慮しながら丁寧に議論を重ね、公衆浴場などにおけるトランスジェンダー女性の取扱いを模索していくべきです。
質問は、公衆浴場における、身体的には男性であるトランスジェンダー女性の取扱いについて、武井区長のお考えをお伺いいたします。
次に、インバウンドのための観光政策についてお伺いいたします。
二〇〇三年に政府が観光立国を宣言して二十年、これまでの国を挙げての観光施策の取組は、訪日外国人、インバウンドの増加をはじめ、大きな成果を上げてまいりました。
二〇一二年末に政権復帰した自公政権は、観光に力を入れる方針をより明確にし、二〇一三年にインバウンドは一千万人を達成。その後もインバウンドは増え続け、二〇一六年には二千万人、二〇一八年には三千万人を突破しました。しかし、二〇二〇年から始まったコロナ禍でインバウンドも激減し、国内だけでなく世界中で観光業は壊滅的な打撃を受けました。観光産業の雇用を維持するため、GoToキャンペーン、全国旅行支援など、政府は全体で約二兆七千億円の支援を投じ、昨年後半からは国内観光が立ち直り、インバウンドも回復してきております。
この機会を捉えて観光支援を推進することは、観光産業は裾野が広いことから経済全体の活性化にも大きく寄与するため、特にインバウンドの呼び込みは重要と考えます。ところが、東京モノレール浜松町駅の改札にあった港区観光インフォメーションセンターは、駅舎などの改修工事の進行に伴い、本年四月一日に一時退去となり、現在はパンフレットラックが一基置かれているのみとなっています。
新たに二〇二二年四月に開設した札の辻スクエア一階の観光インフォメーションセンターの週末の時間を拡充するなどで対応しておりますが、利用者はそれほど多くない現状です。同センターのさらなる周知はもちろんでありますが、インバウンドの利用が多い駅などへ、多言語対応できる新たな有人の観光情報発信のための窓口拡大を検討すべきと考えます。例えば二〇二五年三月に第一期のまちびらきが予定されている高輪ゲートウェイ駅なども検討し得るのではないかと考えております。また、区内にオフィスを持つ海外の航空会社やインバウンドを取り扱う旅行会社にも積極的に港区観光をPRするのも考えられるのではないかと考えます。
質問は、区内のインバウンドを呼び込むための観光政策に、区としてどのように取り組まれるつもりか、武井区長にお伺いいたします。
次に、高齢者住宅の入居拡充についてお伺いいたします。
区の特定公共賃貸住宅の高齢型住戸の申込み資格の中に、申込者が六十五歳以上で、子が区内に引き続き三年以上居住していることとの要件があります。この入居資格に沿って、区内に住む子が区外在住の高齢となった親世代を港区に呼び寄せるといった事例が増えてきております。背景には高齢社会の問題も関わっております。
内閣府発表の人口推計によると、人口減少過程にある日本は、令和十一年に人口が一億二千万人を下回った後も減少を続け、対して六十五歳以上が増加することで高齢化率は上昇を続け、令和十八年に三三・三%となり、国民の三人に一人が六十五歳以上となります。令和二十四年以降は六十五歳以上の人口が減少に転じても高齢化率は上昇を続け、令和四十七年には三八・四%に達して、国民の二・六人に一人が六十五歳以上になると推計されています。
また、平均寿命は令和二年現在、男性が八十一・五六歳、女性が八十七・七一歳と、前年に比べて男性は〇・一五歳、女性は〇・二六歳上回っています。今後、男女ともに平均寿命は延びて、令和四十七年には男性八十四・九五歳、女性は九十一・三五歳となり、女性は九十歳を超えると見込まれ、高齢化の波は今後もまだ高まりを見せております。
このような状況の中、一方では三年続いたコロナ禍により人間関係が希薄になったことで、人と人とのつながりや心の触れ合いといったものが改めて見直されてきており、心地よくない関係は遮断され、個人や家族間の人間関係により重きを置く傾向が進んでおります。
また、高齢となった親世代は、一般的に主な収入減は年金となり、家賃などの固定費が重く生活を圧迫しております。子ども世代は共働きの中で、子育てに手を借りたいとの思いもあります。アフターコロナにおいて親を呼び寄せ、互いにいつでも行き来のできる距離に居住することで、核家族化した親子関係が再び日常的な結びつきを持つことができます。親世代の老後への不安に備えることと、子育て親子で受け止める両立のため親を呼び寄せる等の流れは必然とも言えます。現在、港区内に居住する子が親を呼び寄せることのできる区の高齢者住宅はシティハイツ港南の高齢者住宅のみとなっております。
そこで質問は、今後の高齢型住戸の拡充について及び区外在住の親の入居申込みの周知について、区のお考えをお伺いいたします。
次に、米粉普及のための食育についてお伺いいたします。
我が国の農林水産業は、少子高齢化と人口減少による国内需要の縮小や気候変動に伴う生産減などの課題に直面しています。また、ウクライナ危機は、肥料や食材を輸入に依存するリスクを顕在化させました。
公明党は、食料の安定供給を目指し、食料安全保障の強化を主張しております。将来にわたり食料を安定的に供給できるよう、三八%と低水準にある自給率の向上をはじめとする取組の強化に向けた提言を、昨年十二月に農林水産大臣に提出するなどしています。
そうしたことを受けて、政府が今月六日閣議決定した、二〇二二年度版の「食育推進施策(食育白書)」では、食料安全保障を初めて主要なテーマとして取り上げております。その中で自給可能な米を摂取することも自給率向上につながるとして、御飯を中心とした日本型食生活を推進。そして、輸入に頼る小麦の代替として、米粉の利用拡大を打ち出しています。また、学校給食を生きた教材として活用するなど、食育の効果的な指導についても明示しております。
東京都は、令和五年度予算において、新たに米粉パン等の普及促進事業として、区市町村立学校に対し、米粉パンなどの国産食材を給食等に活用する食育の取組を支援するとしております。価格高騰が続く輸入小麦の代替として期待される米粉を普及させるための食育について、学校給食で米粉パンを活用するなど、区としても積極的に推進してもらいたいです。
質問は、米粉を普及させるための食育に、区としてどのように取り組まれるつもりか、
浦田教育長にお伺いいたします。
最後に、選挙違反事例の周知・啓発についてお伺いいたします。
本年四月二十三日投開票日の港
区議会議員選挙では、過去最大の五十七名の立候補がありました。一方で、その期間中に、候補者や運動員らが公職選挙法に違反する運動を行った事例も相当数見られました。街頭演説会場での違反事例では、政党ののぼり旗や看板類、政党のキャッチコピーを書いたたすきの着用、証紙を貼っていない政治活動用のビラ類の配布が行われていました。
公職選挙法上、
区議会議員選挙においては、選挙期日の告示の日から投票日当日までの選挙時においては、政党などの政治団体の政治活動であっても、選挙運動にわたる連呼行為、候補者名や候補者名を類推させるチラシの配布、看板類は禁止されております。しかし、政党ののぼり旗とともに投票を呼びかけている様子などの違反行為を堂々とSNSなどに掲載している候補者も目につきました。そうしたほとんどのケースでは、警察による注意すら行われず、やった者勝ちの状況が続いており、選挙の公正の観点から大変に問題だと思っております。
また、選挙運動用自動車、いわゆる選挙カーについても、普通乗用車と同様の道路交通法上の規制を受けるところ、横断歩道からの距離が不十分な場所で駐停車したり、駐車禁止の道路において、停車に相当する時間の範囲を超えて半日近く駐車している悪質な事例もありました。さらに、公職選挙法では選挙カーでの選挙活動は原則禁止で、例外的に停止した車の上で演説を行うこと、選挙運動のための連呼行為のみが認められております。しかし、実際には走行しながら大きな音量で演説を行っている違反事例も大変多かったです。
港区公明党は、本
区議会議員選挙では選挙カーを使用しなかったこともあり、区民の方々からは我々の取組への評価のお声とともに、選挙カーについての苦情や規制に関する要望も多く寄せられました。全国の自治体の中には、公式ホームページなどで選挙違反の事例をイラストやQ&A方式で丁寧、かつ、分かりやすく解説している市区町村も数多く見られております。今後の
区議会議員選挙などで選挙違反をなくしていくためにも、日頃から違反事例について、ホームページやSNSなどを通じて周知・啓発していくことが重要と考えます。
質問は、ホームページなどでの選挙違反事例の周知・啓発について、区としてどのように取り組まれるつもりか、港区選挙管理委員会委員長にお伺いいたします。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの
公明党議員団を代表しての丸山たかのり議員の御質問に順次お答えいたします。
最初に、令和六年度予算編成方針に向けた子ども・子育て支援についてのお尋ねです。
区はこれまでも、子育てするなら港区の実現に向けて、出産費用の助成や未就学児が二人以上いる世帯へのタクシー利用券の支給など、他の自治体に先駆けて独自の施策に取り組んでいます。令和六年度予算は、アフターコロナの新時代に向けて、子どもを望む人が安心して子どもを産み育てられるまちを目指し、子ども施策の推進を柱とするとともに、今月、国が決定したこども未来戦略方針を十分に踏まえ、相乗効果が得られるよう予算を編成してまいります。
次に、避難所における子どもへの配慮についてのお尋ねです。
区は、災害時の避難所の運営について、各避難所単位でマニュアルを作成し、その中で子どもへの配慮として遊び場を設置することとしております。避難所に遊び場を設置し、同世代で交流できるようにすることは、子どもの避難所生活でのストレスを軽減させ、安心して過ごせるようになります。今後、地域防災協議会と連携しながら、今年度改定する港区地域防災計画の中においても避難所における子どもへの配慮についてお示しをしてまいります。
次に、防災DXの促進についてのお尋ねです。
区では、現在、災害発生時に区民へ迅速かつ的確な情報発信を行うため、気象情報を自動で収集し、災害の発生状況や避難所の開設状況等を分かりやすく発信するシステムの構築を進めています。構築に併せ、災害対策本部に地図情報や被害状況などを一元管理して表示する大画面タッチパネルや電子黒板なども導入し、本部機能を強化します。
また、避難所となる区有施設にWi-Fi環境を整備し、避難者がスマートフォンから災害情報を収集できる環境整備にも取り組んでおります。今後も、デジタル技術を積極的に取り入れ、災害対応力を一層向上させてまいります。
次に、区職員の子育て支援策についてのお尋ねです。
区は、育児休業制度に関する研修や取得勧奨等を実施し、昨年度の男性職員の育児休業取得率は七〇%となっております。また、令和二年度にテレワークの実施上限を拡大した結果、昨年度は、子育ての中心世代である三十代から四十代が全体の六五%と最も多い割合となっております。今後も、国の動向を注視しながら、育児休業を取得しやすい職場環境に向けた職員の理解促進や、育児休業の代替職員の計画的かつ柔軟な配置に加え、育児の状況に応じたテレワーク時の柔軟な勤務時間の設定を検討するなど、子育てと仕事の両立支援を図る職場づくりに積極的に取り組んでまいります。
次に、高齢者のセカンドライフに係る支援窓口及び推進部署の設置についてのお尋ねです。
区では、チャレンジコミュニティ大学やいきいきプラザのほか、港区社会福祉協議会や港区シルバー人材センターにおいて高齢者の学びの機会や余暇活動、ボランティア、就労などの支援に幅広く取り組んでおります。今後、これらの情報を高齢者地域活動情報サイトで一元化して発信するなど支援窓口を強化し、高齢者の知識や技術等を地域の課題解決に積極的に活用してまいります。引き続き、高齢者施策の柱の一つとして保健福祉支援部が中心となり、関係機関や団体等に働きかけながら、高齢者のより充実したセカンドライフを支援してまいります。
次に、里帰り出産時の保育料の免除についてのお尋ねです。
二人目以降の子どもの出産に向けた一時的な帰省に伴い、在園中の子どもが休園する場合には、入園を希望する家庭があることや、休園中にも保育園運営に必要な費用が生じ続けていることから保育料を徴収しております。今後、里帰り出産に伴い休園する間の保育料については、第二子以降の子どもを安心して産み育てられるよう、子育て世帯の負担の在り方の中で総合的に検討してまいります。
次に、公衆浴場におけるトランスジェンダー女性の取扱いについてのお尋ねです。
区内の公衆浴場における現状について、港区浴場組合に確認したところ、男女の別は身体的な特徴で判断しており、特段トラブルの発生はないと聞いております。現状では、これまでと同様、身体的特徴で判断するという現在の取扱いが適切であると考えております。
次に、インバウンド呼び込みのための観光政策についてのお尋ねです。
国内外から多くの観光客に港区を訪れていただくため、今年度、新たに制作するワールドプロモーション映像等を活用し、区内にオフィスがある海外の航空会社や旅行会社に区内観光のPRを働きかけてまいります。今後も、港区ならではの多彩な魅力を積極的に発信するとともに、一般社団法人港区観光協会等の多様な主体と連携・協力を図りながら、インバウンドの誘致に積極的に取り組んでまいります。
なお、観光インフォメーションセンターにつきましては、高輪ゲートウェイ駅への設置に向けて協議するなど、引き続き設置場所の充実に努めてまいります。
最後に、高齢型住戸の入居拡充についてのお尋ねです。
区は、平成二十九年度から特定公共賃貸住宅シティハイツ港南において、高齢型に転用した住戸の募集を開始し、これまで三十三戸を提供しております。今後、高齢型住居への応募倍率の状況や各住宅の周辺の生活利便性などを踏まえ、高齢型住戸の拡充に向けた検討を進めてまいります。さらに、区外在住の親の入居申込みができる住宅としての認知度を高めるため、SNSの活用なども含めた情報発信にも取り組んでまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から、選挙管理委員会に関わる問題については、選挙管理委員会委員長から答弁いたします。
〔教育長(浦田幹男君)登壇〕
○教育長(浦田幹男君) ただいまの
公明党議員団を代表しての丸山たかのり議員の御質問にお答えいたします。
米粉普及のための食育についてのお尋ねです。
現在、区立小・中学校では、特別栽培米や連携自治体産の白米を使用した米飯給食を週に三回から四回程度実施しております。このたび東京都の補助事業である令和五年度米粉パンなどの国産食材を活用した食育支援事業を活用し、今年度は区立全小・中学校において、各校一回ずつ米粉パンの提供と米粉パンに合わせた国産食材によるおかずの提供を予定しております。給食における米粉や国産食材を用いた献立の提供は、米や農産物の国内自給率をはじめとする食材の生産・流通及び消費に対する理解を深める上で高い食育効果が見込まれます。今回の実施状況を踏まえ、米粉の活用を検討してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
〔選挙管理委員会委員長職務代理者(佐藤伸弘君)登壇〕
○選挙管理委員会委員長職務代理者(佐藤伸弘君) ただいまの
公明党議員団を代表しての丸山たかのり議員の御質問にお答えいたします。
選挙違反事例の周知啓発についてのお尋ねです。
現在、区ホームページでは禁止されている主な選挙運動を掲載しております。その内容は、多くの自治体のホームページで使用されているものと同じですが、文字が多く、見やすいとは言えない状況です。
一方、選挙違反の取締権は警察官等にあることが公職選挙法第七条で規定されており、掲載に当たっては、誤解を招く表現は避ける必要があります。今後、選挙違反事例を分かりやすく案内している自治体を参考に、区ホームページを更新するとともに、SNSを活用した啓発にも取り組んでまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○議長(
鈴木たかや君) 次に、二十八番阿部浩子議員。
〔二十八番(阿部浩子君)登壇、拍手〕
○二十八番(阿部浩子君) 二〇二三年第二回定例会に当たり、
みなと政策会議を代表して質問をさせていただきます。
四月二十三日に投開票された港
区議会議員選挙においては、
みなと政策会議の所属議員に多くの御支援をいただきました。区民等の皆様に選挙での公約実現に向け最大限努力することをこの場で申し上げるとともに、今後とも港区民の皆様の御要望を実現していきます。
私は、先日、全国市議会議長会から議員在年二十年の表彰をいただきました。二十年間
区議会議員として活動できるのも応援してくださる区民の皆様のおかげです。思えば、初めて当選させていただいた二〇〇三年当時の港区議会は、女性議員は現職が二人、新人が四人のたった六人しかいませんでした。しかし、現在の女性議員の数は十四人で、全体の四一・一%を占めています。
私は二期目の選挙の直前に出産し、子育てと議会活動の両立をしてきました。保育園にも入れない時期が続きました。当時はまだ議員の出産に理解がなかった時代であり、産休・育休もない時代でした。この二十年間で大きく社会も、また区議会も変化したと思います。今期も多様な議員が区民の代表として当選し、区議会としても大きく変わってくることだと思います。私はこれからも常に区民の皆様の悩みに寄り添い、共に考え、解決していきます。
さて、国では本日が国会の会期末ですが、国民生活に関わる重要な法案が国民の声を聞くことなく、審議不十分で可決しています。入管法改正案、防衛財源法案、GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法、LGBT理解増進法案、そしてマイナンバー法改正、改正健康保険法です。特にマイナンバー法については、マイナンバーカードを取得するのは義務ではないとされていたにもかかわらず、従来の健康保険証はマイナンバーカードと一体化され、今までの紙の保険証は来秋には廃止されてしまいます。マイナンバーカードは個人情報漏れだけではなく、マイナ保険証のあってはならないトラブルが多数報告されています。
共同通信社がこの週末、十七、十八日に実施した全国電話世論調査では、現在の健康保険証を来年秋に廃止してマイナンバーカードに一本化することについて延期や撤回を求めるが七二・一%でした。国民の多くが一本化に対して納得していません。そして、改正健保法では七十五歳以上の高齢者の保険料が上がるというものです。私たちの暮らしに影響を受ける重要な法案が、国民により分かる十分な審議もせずに可決されたことは、とても残念に思います。
中でも防衛財源法案では、二〇二三年度から二〇二七年度、五年間にかけて約四十三兆円が必要とするものです。しかし、今、国として急ぐべきものは、少子化を解決していくことです。合計特殊出生率が一・二六で過去最悪になり、このままでは人口減少が加速していき、それを食い止めるための少子化財源は年三・五兆円、こちらにかける財源がないという状況で先送りです。少子化より、子どもたちより防衛費にお金をかける、この日本の政治の在り方について私は疑問を感じ、そして残念に思います。優先すべきものは少子化対策であり、国民の命と暮らしではないでしょうか。私はこれからもこの港区で区民の命と暮らしを最優先する政治を進めていきます。
それでは、質問に入ります。
四月の
区議会議員選挙を通じて、多くの区民の皆様の声をお聞きしてきました。その内容も踏まえて区長と教育長に質問します。
初めに、子ども政策について伺います。
この四月にこども基本法が施行され、こども家庭庁が設置されました。こども基本法は子どもの権利が尊重され、基本的人権が保障され、差別的な扱いを受けないようにすることです。全ての子どもが適切に育てられ、愛され保護されること、教育を受ける機会が等しく与えられることです。全ての子どもが意見を表明したり、社会活動に参加する機会があることです。全ての子どもの意見が尊重され、最善の利益が考慮されることです。今の日本は、児童虐待、子どもの貧困、ヤングケアラーなどの問題があります。
そして、五月に開催されたG7広島サミットでも子どもへの性暴力根絶に向けた対策は日本が遅れていると指摘されています。また、子どもの自殺や不登校は過去最悪です。子どもが子どもとして守られる社会を一日も早くつくっていかなければなりません。
港区は、ヤングケアラー調査や高校世代実態調査で子ども当事者の声を聞いてきました。今後はもっと当事者からの声を区の政策に取り入れていかなければならないと考えます。そこで、区としてどのような手法で子どもたちの声を施策に反映していくのかをお聞きします。
昨年の出産数は八十万人を切り、予測していたより十一年早くその日が来てしまいました。少子化を改善していくには、安心して子育てできる環境が必要です。二〇二一年六月の内閣府、令和二年度少子化社会に関する国際意識調査では、回答者の六割が「日本は子どもを産みにくい国」と感じていることが明らかになりました。理由の一つは女性のワンオペ育児です。日本の女性が家事・育児にかける一日の時間は二百二十四分、男性は四十一分です。女性は男性の五倍以上の時間を家事・育児に費やしていることになります。少子化が加速するのも女性だけにかかる負担が大きいことがあります。
また、子育てに費用がかかることも問題です。所得制限撤廃は児童手当の拡充だけではなく、高校無償化の問題もそうです。親の所得にかかわらず、全ての子どもたちを対象に無償化にすべきです。所得制限は児童手当だけではなく、子育て政策における様々なところで制限されています。奨学金も同様です。大学生の二人に一人が奨学金を借りて学校に行っていること自体、少子化を加速していることにつながっているのではないでしょうか。少子化を改善するためにも全ての子どもたちが安心して教育を受けられる環境整備が必要です。
三月に
日本財団が十歳から十八歳の一万人を対象に行った意識調査では、子どものために国や社会が取り組むべきことを複数回答で尋ねると、高校、大学までの教育を無料で受けられることが一位の四〇・三%でした。当事者の子どもたちも無償化を求めているのではないでしょうか。
そして、子育ては親だけが担うものではなく、社会全体で子育てをしていかなければ、少子化は進むばかりです。このまま少子化が加速すると、二〇四〇年には深刻な労働者不足になり、千百万人を超えるとしています。二〇四〇年には団塊ジュニア世代が高齢者になり、少子高齢化が急激に進んでしまうこと、この課題については一日も早く改善策を打ち出さなければなりません。それは一人でも多くの子どもが生まれ、幸せに育っていくことです。
今後、労働者の不足率を職業別で見ると、介護サービス、商品販売、ドライバーが挙げられています。また、少子化が進むと社会保障制度も成り立たなくなってしまいます。「子育てをするなら港区」から「子どもを産み育てたくなるまち港区」に変えていかなければ、人口推計上、港区の出生数は安定しているとしても、都心区の少子化は改善できないと考えます。
港区は今年二月に、就学前の子どもを取り巻く環境変化等を踏まえた三十の子育て支援策「みんなと子どもすくすくアクション」を策定しました。就学前の子育て支援においては、きめ細かく子育てサービスの充実に取り組んでいると思います。区は、出生率が向上するよう、結婚・出産・子育てと切れ目のない支援策を実施していくと、このすくすくアクションでも記されていますが、雇用や経済が不安定で将来が見通せない中で、区としてどのように結婚や出産につなげていくのでしょうか。これは港区だけの問題ではなく、子どもを産むことへのハードルが高いことについては国全体の問題です。
今年度の予算特別委員会の総括質問で、私は少子化の問題意識について区長にお聞きしました。区長は、今後も結婚、妊娠、出産、子育て期の切れ目のない支援を一層充実させ、港区で安心して希望する人数の子どもを産み育てられるよう全力で取り組んでまいりますと答弁されています。そのためには、まずは結婚し家庭を築き、港区で産み育てたいと思ってもらえるさらなる施策が必要です。区長のお考えをお聞きします。
次に、子ども施策の充実についてお聞きします。先ほども述べさせていただきましたが、子どもの自殺、不登校、ひきこもりが過去最悪になっています。これはコロナで一斉休校になってしまったことが理由の一つにもなります。不登校から自殺につながる、そして不登校生のまま引き籠もってしまうことにつながってしまいます。まずは不登校を食い止めなければ、その子たちの将来の先行きは見えません。
今年度から不登校の児童・生徒に対して、スクールソーシャルワーカーの相談を充実させることを教育委員会として始め、教育と福祉の両面から不登校の解決に導く支援体制を強化させました。現在、港区には百人を超える不登校の児童・生徒がいると聞いています。高校生の不登校も合わせると、その数はもっと増えることでしょう。東京都全体では都内の小・中学校で不登校だった児童・生徒は二万千五百三十六人で過去最多となっています。また、二〇二二年十月の文部科学省の調査によると、不登校の小・中学生は全国で二十四万四千九百四十人となり、前年度より二四・九%増加しています。
そこで、福島県教育委員会では不登校児童生徒支援センターを設置し、オンラインで支援する取組を始めました。オンラインでもつながっていることを子どもたちが理解できれば、学校に行く勇気も出てくるでしょう。全ての子どもに学びの機会の環境づくりが必要です。不登校から社会にも参加せず、自己否定から、追い詰めると自殺につながります。不登校の原因はいじめだけではありません。ちょっとしたことから不登校につながり、学校に行けなくなってしまいます。子ども自身も、その子どもを見守る親も傷ついています。そこをどうフォローしていくのか、どのようにして子どもたちに自己肯定感を持ってもらうのかが重要です。港区では、適応指導教室のつばさ教室に通っている児童・生徒がいます。しかし、ここにも通えない児童・生徒もいます。この児童・生徒に寄り添い、つばさ教室から学校に通えるよう支援することが重要であり、一人でも取り残さない支援が必要です。不登校からひきこもりにつながるケースも増えています。まずは子どもたちにとって社会と関わっていくことが大切です。
港区では、ひきこもりをなくすために外部機関の支援があります。しかし、区独自のひきこもりに対しての支援体制は整備されていません。内閣府の調査では、全国で十五歳から六十四歳でひきこもり状態にある人は推計百四十六万人いるとされています。江戸川区は、区がひきこもり独自支援として、区営の駄菓子屋「よりみち屋」をオープンさせ、ひきこもりに悩む区民の就労体験や居場所づくりを目的として設置しました。区として、不登校やひきこもりにつながる児童・生徒にどのように寄り添い、手を差し伸べて支援していくのかをお聞きします。
次に、学校給食についてです。今定例会の補正予算で保護者の負担軽減として学校給食の無償化が港区でも保育園等の給食の無償化とともにスタートします。今まで何度も何度も学校給食の無償化を質問してきました。他区が無償化になる一方で、港区は給食費の無償化は困難だろうかと考えていたときに補正予算が計上されました。本当にうれしいことです。
しかし、今年度のみの無償化であり、来年度以降については財源等の確保次第とのことですが、港区は学校給食の無償化は今年度のみではなく、来年度以降についても財源をしっかりと確保して恒久的に続けてほしいと思います。それが子育て支援につながっていくことだと確信しています。
学校給食費の保護者負担は年間で約五万円、それが無償化でほかの教育費に回すことができます。今年度から給食費は私費会計から公会計になりました。九月から保護者負担がなくなります。できれば遡及して今年度当初から保護者負担をゼロにしてほしいものです。それが不可能であれば、昨年度配布した子育て応援商品券を今年度も子育て世帯に配布してほしいと思います。
さて、学校給食ですが、港区は、区が負担し、有機栽培のお米や果物・野菜などを提供しています。子どもたちの健康と食育を考えれば、有機食材の提供は今後も充実してほしいと思います。特に給食費の保護者負担が軽減され、公会計になった今、区としても、子どもたちのために積極的に有機食材を提供し、安全・安心な学校給食をさらに食育の場にしていただき、日本の第一次産業の農業や漁業についても子どもたちが考える機会にしてほしいと思います。教育長のお考えをお聞きします。
また、学校給食ではアレルギーのある児童・生徒は、家庭から代替食などのお弁当を持ってきて対応等をしています。小麦粉アレルギーを持つ保護者からは、米粉パンだったらみんなと一緒に食べることができるので、米粉で作ったパンを給食に取り入れてほしいという声をいただきました。給食にはこういった工夫も必要です。安全で安心できる給食に米粉パンも加えてほしいと考えますが、区のお考えをお聞きします。
次に、公園のトイレについてです。港区は今年四月に「進めよう!おもてなし公衆トイレ」の整備方針を策定しました。港区ならではの清潔できれいな公衆便所の在り方です。今回は中でも区立公園等のトイレについてお聞きします。区立公園は保育園の園庭の代替施設になっているところも区内には数多くあります。四月に待ちに待った一の橋公園も一部オープンし、六月二十四日には全面オープンとなります。一の橋公園は連日多くの子どもたちでにぎわっています。
さて、港区では公衆トイレの臭い汚い暗いを改善しようとおもてなしトイレを計画しています。今年度は各公衆トイレを調査し、改築の順番を検討していくと聞いています。港区の公衆トイレは築五十年たっているものもあり、和式トイレだけというところもあります。港区の公衆トイレには荷物を置く場所や荷物を掛けるフックもありません。フックだけでも早急につけてほしいという要望は多いです。これについては早急な対応をお願いいたします。改築には長い時間がかかり、全ての公衆トイレの整備が終わるのはまだまだ先になるのではないでしょうか。
まずは保育園の代替施設になっている公園、そして子どもたちでにぎわっている公園を、いつになるか分からない改築の順番を待つのではなく、改修できれいにしていくことが必要です。今回の選挙の際にも多くの子育て世帯から公園のトイレをどうにかしてほしいとの声を聞いてきました。子どもが暗くて入りたがらない、安全性の確保等々、子どもたちが安心して使えるトイレにしてほしいとの声です。子どもの権利を守るとするなら、子どもたちが主人公の公園トイレをいち早く改修することが必要です。暗いと言われているトイレを、子どもたちが入りやすい色にする、トイレの中を明るくするなど、工夫をすれば早急にできることは多々あります。
以前、区有施設のトイレにベビーベッドとベビーチェアを設置しました。これは子育て王国基金を取り崩して一斉に整備したものです。先日、改善の要望がある公園トイレに町会の皆さんと調査に行ってきました。午前中だったため、トイレの利用はタクシーの運転さんをはじめ、男性の利用が多かったです。しかし、トイレがきれいに生まれ変われば、区のアンケート調査でも明らかになっているとおり、女性も利用したいと思います。毎日の清掃が入っているとしても、臭い暗いトイレはできれば入りたくありません。大人は我慢するとしても、子どもは我慢することができず、むしろ我慢があってはならないです。港区が進めようとしているおもてなし公衆トイレにしていくため、順次改築も必要です。しかし、今、早急に対応すべきことは、子育て王国基金などの財源を確保し、子どもたちが安心して利用できるトイレに、また、高齢者の方々をはじめ誰もが利用したいと思えるトイレに一日も早く一斉に改修すべきです。区長のお考えをお聞きします。
次に、公園の水遊び場について伺います。一の橋公園が一部オープンし、子どもたちが水遊びできる場所が十五年ぶりに戻ってきました。しかし、開設されてみると、一時間のうちたった十五分しか水遊びができません。それは古川からの湧水を使っているからです。水が出ない間も子どもたちは水遊びしたそうにしている姿を見てきました。港区には水遊びができる公園として本芝公園、芝浦中央公園、港南三丁目遊び場、そしてどんぐり公園があります。地域的にも偏っているように思います。そして一の橋公園においては、従来の公園のように夏の期間だけでも水遊びができる公園にしていただきたいと考えます。小さな子どもたちが安心して水遊びできる公園の整備をしていくべきと考えますが、区のお考えをお聞きします。
次に、高齢者への支援について伺います。
昨年度から後期高齢者の医療費窓口負担は一割から二割に引き上げられました。現役並み所得者は三割、そして、来年度から高齢者の保険料が引き上げられます。窓口負担増やコロナの影響で医療控えの方も増えています。病気は早期発見・早期治療が必要であり、窓口負担を避けるため、医療機関にかからないということは悪循環につながるのではないかと思っています。特に港区の高齢者の方々においては元気で長生きをしてほしいものです。
厚生労働省が五月に発表した二〇二〇年市区町村別生命表概況調査によれば、二〇二〇年時点で男女ともに平均寿命が一番長いのは川崎市麻生区で男性が八十四・〇歳、女性が八十九・二歳です。二十三区では女性が世田谷区で八十八・九歳です。港区は男性が八十二・八歳、女性は八十八・一歳、二十三区の中では男性が六位、女性が八位になります。
地域差があることについては、「健康格差社会」の著書である千葉大学予防医学センターの近藤克則教授は、労働環境や所得、受けられる医療水準といった社会経済環境の違いが前提で、周辺環境の影響も受けていること、また、電車やバスが充実している地域は、車に頼らず歩くことが多い。食料品が充実した環境では、野菜や果物の摂取頻度が増え、歩行量が多く、死亡率も低いこと。公園や緑の多い地域に暮らす人は鬱の割合も少ないとのことです。あわせて麻生区は坂道が多いそうです。環境は港区も平均寿命が一番長い麻生区と同様です。子育てするなら港区、そして高齢になっても住み続けられるのは港区とし、区民の皆さんが元気で健康で長生きできる支援の充実を進めていくべきです。
今年度の予算特別委員会では、ラジオ体操の支援についてお聞きしました。ラジオ体操に通っている高齢者の方々から、病気をしなくなったとの多くの声を聞いてきました。一方、コロナ禍では外出することを自粛し、一日中誰とも口を利かない高齢者も増加しました。
新型コロナウイルス感染症が五類になっても外出するのをためらっている高齢者がいます。ひとり暮らし高齢者、そして高齢者のみの世帯の方々が充実し、安心して暮らしていける日常を取り戻す必要があると考えます。
港区内には子ども食堂があります。高齢者の方々からは、自分たちも気軽に通える食堂が欲しいとの声がありました。いきいきプラザ等で開催されていた高齢者会食サービスも
新型コロナウイルス感染症で中止したままです。誰かと会話しながら食事をする楽しみさえコロナ禍でなくなってしまっています。高齢者だけではなく、世代間交流ができて食事ができる場所が必要なのではないかと実感しています。そこで、港区も高齢者の方々が長生きできる環境づくりが必要と考えますが、区のお考えをお聞きします。
次に、事実婚への支援についてです。
港区はLGBTQの方々への支援として、みなとマリアージュ制度を創設しました。この制度は性的マイノリティー当事者双方を夫婦としての婚姻関係を区が証明し、カードを発行するものです。国でも先日、LGBT理解増進法案が可決しました。しかし、この法案が可決されたことがLGBTQの理解が前進するのか、私は疑問に思っています。
さて、港区のマリアージュ制度を利用している区民は三十三組です。今まで同性婚は様々な障害があったにもかかわらず、区のマリアージュ制度を利用して異性間の夫婦同様に港区長が認めてくれるというのは当事者にとって何よりうれしいことだと思います。しかし、一方では、異性間で事実婚をしている方々にはこのサービスを受けることはできません。事実婚で住民票が一緒なら事実婚が婚姻関係として認められる場合もあると思います。しかし、仕事の都合や様々な事情から住所を別にしているカップルには事実婚は認められていません。将来、選択的夫婦別姓も制度化されることとは思いますが、それを待っているのではなく、マリアージュ制度やパートナーシップ制度のように地方自治体から制度を変えていく必要があるのではないでしょうか。
親からもらった名字を変えたくない。だったら通称名を使っていけばいいのではないかという声もあります。しかし、問題はそこではありません。別姓を貫くため未入籍で出産した場合、戸籍が入っていないからと男性はその子どもを認知しなければ戸籍上の父親とはなれない。この問題も解決していかなければ、少子化は加速するばかりです。国の合計特殊出生率が一・二六の今、希望する子どもの数を諦めている。また、一人っ子が増えている今だからこそ、親からもらった名字を変えることができない問題もあります。少子化が進んでいるからこそ、あらゆる施策で少子化対策を行っていく必要があるのではないでしょうか。選択的夫婦別姓を国の制度として一日も早く進めていかなければならないと思っています。しかし、それが実現するまでの間、事実婚で困っている方々についても区の制度で支援していくべきではないでしょうか。男女平等参画条例を改正し、区として事実婚の支援を求めますが、区長のお考えをお聞きします。
次に、港区版ふるさと納税制度についてです。
ふるさと納税制度については、港区から区民税が流出していることについて、これまで何度も何度も区長にお聞きしてきました。二〇〇八年度にこの制度が開始して十五年がたとうとしています。港区はふるさと納税制度によって区民が寄附控除を受けたことにより、本来入ってくるべき税収が昨年度で六十三・六億円、一昨年度は約四十一億円が流出してしまっています。国からの交付金で補填されない港区は、この制度が見直しされない限り、流出が今後もさらに大きくなることと思います。
港区は、ふるさと納税の影響が年々増加しており、区財政にとって深刻な状況だと区長も認識されています。そして昨年八月には特別区長会の副会長として総務省を訪問し、抜本的な見直しを直接要望されました。そして、区の広報やホームページでも情報発信されています。東京都全体で見ると、二千三百四十一億円が流出しています。行政サービスに必要な財源は地方税と地方交付税です。その原則に反しているのがふるさと納税制度です。港区も政策を支援する返礼品なしの港区版ふるさと納税制度がありますが、この寄附額は流出額の補填にもならない、ごく僅かです。
昨年度八十三億円の流出をしている世田谷区では、少しでも区民サービスの財源を取り戻したいという趣旨で、人気の焼き菓子や温泉旅館のクーポン券など、区内事業者からの返礼品を強化したそうです。当初六十程度の品目数が約百六十品目にも増えているとのことです。ふるさと納税で流出額が全国で一番多い川崎市も返礼品は三百二十二品目となっています。
港区では返礼品目的ではなく、区の政策を応援してもらうための港区版ふるさと納税制度としていますが、このままではさらに流出額が増えていってしまうのではないかと危惧しています。せめて国が控除額の上限額を設けることが必要です。今年三月に子育て世帯に配布した子育て応援商品券は一人五万円でした。総事業費は約二十四億円であり、昨年度の港区のふるさと納税の流出額は約六十三・六億円、この流出額がなければ、一人五万円を年二回以上、十八歳以下の全ての子どもたちに支給できるほどの金額になります。これだけふるさと納税の影響額が大きいと言えます。本来できる区民サービスにしわ寄せが来ています。
そこで、港区も政策の支援もそうですが、港区ならではの返礼品について検討を始める時期が来ているのではないでしょうか。区長のお考えをお聞きします。
次に、防災についてお聞きします。
今年は関東大震災から百年目の年になります。いつ大地震が起きてもおかしくないと言われ、今後三十年に七割の確率で大地震が起きるとされています。また、昨年、政府の地震調査委員会は十三日、国内で可能性のある地震の最新の発生確率(一月一日現在)を公表し、南海トラフで今後四十年以内にマグニチュード八から九級の地震が発生する確率を、前年の八〇〜九〇%から九〇%程度に引き上げました。地震も頻繁に発生しています。
先日は線状降水帯による集中豪雨でした。地球温暖化による異常気象が発生しています。ハザードマップから、今自分のいるところが安全かどうか分かるものの、何度も区からメール配信をされる古川の水位について、近隣住民は不安です。防災無線は防災ラジオを通じて聞くことができますが、港区一律の防災無線ではなく、住んでいる場所に合った防災無線の内容が必要です。古川の水位は、特に古川沿いに住んでいる、必要としている住民に情報をいち早く伝えていくべきではないでしょうか。異常気象で竜巻の発生もあります。区内一律の固定化された情報ではなく、より地域に合った情報の提供の仕組みづくりが必要と考えますが、区のお考えをお聞きします。
次に、ドッグランについてです。
四月に実施された狂犬病ワクチン接種会場を東京都動物愛護推進員という視点で見てきました。芝浦はドッグランが会場となっていました。今、港区でドッグランがあるのは芝浦中央公園と港南緑水公園の二か所です。麻布地域にドッグランの設置を求める請願が採択されましたが、いまだドッグランは開設されていません。ドッグランの設置については、区の考え方として、五百平米を超える場所が必要とされています。確かに大型犬を飼っていたら、伸び伸びと運動させる場所が必要です。しかし、ワクチン接種で会場に来る犬を見ていても、大型犬より小型犬のほうが圧倒的に多いです。飼い主の方々は、小型犬がリードを外して遊べる場所が欲しいとの声でした。五百平米を超えるドッグランが区内に二か所設置されているなら、小型犬を遊ばせるドッグランが必要です。小型犬を対象とするなら、それだけ広い敷地は必要ではありません。土地の価格が高騰している港区の公園ではなくても、区有施設の屋上など有効活用できる場所があるはずです。大型犬、中小型犬のすみ分けをし、小型犬や中型犬対象のドッグランを設置すべきです。
三月の予算特別委員会でもドッグランの設置について質問させていただきました。その際には規模を縮小したドッグランの設置も含めて検討していくとのことでした。あらゆる手法で公園などに小型犬と中型犬に特化したドッグランの設置を早急に進めていくべきです。区のお考えをお聞きします。
次に、町会・自治会支援についてお聞きします。
港区は今年度、町会・自治会支援として、デジタルデバイドを解消するために、情報発信講座や会計事務講座及びホームページ作成講座を開催して、町会・自治会活動のデジタル化を支援するとしています。この制度は、令和三・四年度から町会・自治会応援個別プログラムの事業として開催しています。区のホームページには、令和五年度港区町会・自治会まるごとデジタル支援事業についてと、デジタル会計表やSNS周知フォーマットなど、町会・自治会が使いやすいように収支決算書用会計表などがアップされています。また、町会長に毎月送られてくる月例の発送物もリンクされています。
デジタル化を進めることによって情報もオープンになり、区民の方々がより町会活動への理解につながるものとなるのではないでしょうか。また、デジタル化によって町会の負担が少なくなることにつながってほしいと思います。区のホームページから町会・自治会の一覧が掲載されているのですが、ほとんどの町会・自治会にホームページがない状況です。今年度、ホームページ作成の講座を開設していますが、講座を受けてもホームページ開設までにはハードルが高いです。区として、町会・自治会のホームページの開設を支援し、その後の更新は各町会・自治会でしてもらうほうが有効なのではないかと思います。今後の支援を期待しています。
今、町会・自治会で課題になっているのは、次の世代が町会活動に関わってこない、人手不足の状況です。そして
新型コロナウイルス感染症で三年間、実質活動ができなかったため、より不安が増しています。東京都の調査によると、昨年は六年前に比べて、百四十四の自治会・町会などの地縁団体が減少しているそうです。二十三区では港区が最も減少しており、二〇二二年までの十年間で十五団体が減少し、七団体が新設しています。解散理由は、住宅地の再開発での人口流出のほか、会費の徴収の困難、役員の高齢化、役員数の恒常的な不足だそうです。
総務省の地域コミュニティーに関する研究会が二〇二二年四月に公表した報告書によると、全国六百市区町村を対象に行った調査で、自治会や町会などへの加入率は、二〇一〇年の七八・〇%から二〇二〇年に七一・七%に低下しています。人々のライフスタイルの変化で、担い手不足に陥っている町会や自治会が少なくないことがうかがえます。
総務省は二〇二一年に自治会・町内会の活動の持続可能性についてまとめています。やはり問題なのは、全国で同様に自治会・町内会は、現在も地域コミュニティーの中心的役割を果たしているが、加入率の低下、担い手不足などにより、活動の持続可能性が低下するとともに、変化する地域社会ニーズに対して十分に応えられていないこと、また、自治会・町内会の活動の持続可能性は、現役世代などの参加促進、役員などの負担軽減、透明性の確保、法人化などが挙げられています。
港区の町会・自治会でも活発に活動している町会・自治会もあれば、祭礼等のみになっている町会・自治会、解散をせざるを得ない場合もあります。その理由は担い手不足によるものです。あわせて民生・児童委員などの成り手も少なくなっています。地域の方々が町会・自治会に参加するようになるにはどうしたらいいのか、その解決策が必要です。区は、町会・自治会に補助金を支給して町会活動を支援しています。今後の町会活動において、デジタルディバイドの解消だけではなく、活動の担い手をどう育成していくのかが課題です。区のお考えをお聞きします。
次に、港区への寄贈品の有効活用についてお聞きします。
港区には様々な物品が個人や法人から寄贈されていると聞いています。例えば学校等は絵画が贈られています。先日、区民の方から、ヒューマンぷらざには、竹芝小学校時代に寄贈されたスタインウェイ&サンズのピアノがそのままになって置いてあるので活用できないかとのお問合せをいただきました。ヒューマンぷらざに行ってみると、確かにロビーにある竹芝小学校資料室の一角にカバーをかけたままひっそりと置かれていました。このピアノには修理が必要と聞いています。価値のあるものをそのまま放置するのではなく、修理が必要なら修理をして活用すべきです。区の考えをお聞きします。
昨年十二月に木梨憲武財団から原画を寄贈されました。寄贈された物品については、区の中でも情報を共有し、区民の方々にとって有益になるような活動をしていただきたいです。
最後に、生活保護制度の周知についてお聞きします。
コロナの影響と物価高で生活保護受給者が増えています。港区は人口の約〇・八%程度が生活保護を受給しています。生活保護は憲法で定められている必要不可欠なセーフティーネットです。区民の方から相談を受けて、生活保護という選択肢があることを伝えていますが、やはり多くの方々が生活保護を受給するのをためらっている状況です。生活困窮で命に関わる危険性があったとしても、もう少し自分で頑張りたいという結論に達します。それが手後れになる危険性があります。
京都府の京丹後市では約二万四百世帯の全戸に生活保護のチラシを二度に分けて配布したと報道されています。その結果、六世帯から問合せがあり、一世帯が生活保護受給となったとのことです。生活保護は最後のセーフティーネットでもあり、それは国民の権利でもあります。港区は、
総合支所や生活就労センターに「生活保護の申請は国民の権利です」という文字が入ったポスターを掲示しています。港区では収入の格差があり、全ての世帯に全戸配布する必要はないと思いますが、必要とする人が手に取れる。また、相談に結びつくようなチラシ作成と周知が必要です。区のお考えをお聞きします。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの
みなと政策会議を代表しての阿部浩子議員の御質問に順次お答えいたします。
最初に、子ども施策の実現についてのお尋ねです。
まず、子どもたちの声を施策に反映させることについてです。区はこれまでも、学校現場において、タブレット端末を活用し、子どもが意見を表明できる場を確保するとともに、各
地区総合支所が実施する区長と区政を語る会では、中学生や高校生、大学生世代との意見交換に取り組んでおります。今後は、各
地区総合支所の地域事業、環境や防災等の各分野で様々な方法を講じて、子どもが意見を表明しやすい環境づくりに取り組み、子どもの最善の利益が優先されるよう、各分野の施策において、積極的に反映してまいります。
次に、港区で子どもを産み育てたいと思える施策についてのお尋ねです。区は、「子育てするなら港区」をスローガンに掲げ、出産費用の助成や第二子以降の保育料無料化など、他の自治体に先駆けて取り組んでおります。引き続き、若い世代の子育てに関する経済的・心理的な負担を軽減し、安心して子育てができる環境を整備してまいります。若い世代が将来に展望を抱けるよう、結婚を支援するとともに、子育て家庭の不安や困難さを支える一時預かり事業の拡充など切れ目のない支援を進め、港区で安心して希望する人数の子どもを産み育てられるよう全力で取り組んでまいります。
次に、子ども用の公園トイレについてのお尋ねです。区は、「港にぎわい公園づくり推進計画」に基づき、これまで公園のトイレ内に、子ども用の小便器や洋式便器、高さの低い手洗い場などを整備してまいりました。今後も、子どもたちの利用を考慮した公園などのトイレの整備を進めるため、本年四月に策定した「進めよう!おもてなし公衆トイレ」整備方針に基づき、トイレの内外部の照明や出入口の防犯カメラ、緊急時押しボタンの設置等により、子どもたちが安心して利用でき、誰もが利用したいと思える、清潔できれいなトイレの整備に努めてまいります。
次に、公園の水遊び場についてのお尋ねです。区はこれまで、「港区にぎわい公園づくり推進計画」の基本方針に基づき、地域特性を生かした個性ある公園等を整備してまいりました。水遊び場など、水に触れ合う施設については、水辺空間に近い公園等で整備していますが、衛生面における水質の検査や管理、噴水機器の定期的な点検が必要となります。今後も、多様な年齢層の子どもたちがそれぞれ自由な遊びが楽しめる、「伸び伸び遊べる公園」を目指し、遊びの空間の充実を図ってまいります。
次に、高齢者が健康で長生きできる環境づくりについてのお尋ねです。
コロナ禍による高齢者の外出自粛の影響を受け、いきいきプラザの利用者数が減少していることから、高齢者の外出を促す取組や介護予防の取組のさらなる充実が必要です。このため、いきいきプラザなどにおける事業の魅力をより効果的に発信するとともに、今年度中にウオーキングの歩数などに応じて特典が得られる区独自の健康長寿アプリを開発するなど、高齢者の誰もが気軽に楽しみながら介護予防に取り組むことができる環境を充実してまいります。食事を通じた世代間交流の取組に関しましては、いきいきプラザなどの利用者の御意見を参考にしながら検討してまいります。
次に、事実婚への支援についてのお尋ねです。
事実婚については、事実婚と認められる要件の一つとして、民法第七百五十二条で、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と義務が付されております。当事者の二人が住所を別にしている場合に、港区男女平等参画条例に規定する「みなとマリアージュ制度」のように、自治体で新たな仕組みづくりで事実婚としての関係性を証明することについては、事実婚の根拠となる法令との整合を踏まえ、慎重に判断すべきであると考えております。引き続き、国の動向を注視してまいります。
次に、ふるさと納税制度についてのお尋ねです。
区は、返礼品によらない港区版ふるさと納税制度を通じて、区や区内の公益的活動団体への寄附を募っており、寄附額は年度ごとに増加しております。返礼品を目的としたふるさと納税については、一部の寄附者のために自治体の税収がその調達費用や事務経費として使用されるなど、様々な課題があると認識しております。ふるさと納税制度本来の趣旨を踏まえ、返礼品を設けることは予定しておりませんが、引き続き、国にふるさと納税制度の抜本的な見直しを求めるとともに、港区版ふるさと納税制度のより一層の周知と併せ、寄附の活用先の見直しや拡充に取り組んでまいります。
次に、防災ラジオによる古川の水位情報の発信についてのお尋ねです。
古川の水位情報は、護岸からの水位が二メートル及び一メートルに達した際など、一定の水位に達した際に古川付近の防災行政無線から放送しております。一方、現在の防災ラジオの機能では、区内の一部地域に限定して情報発信することができないため、水位の情報を古川周辺の方だけに届けることができませんでした。こうしたことから、防災ラジオのシステム改修により、年度内にエリアごとに情報を発信できるようにいたします。
次に、小型犬、中型犬のドッグラン設置についてのお尋ねです。
区は、ドッグランの設置に当たり、五百平方メートル程度の土地を基本とし、公園利用者や近隣住民の理解が必要であることを、設置基準として定めております。現在この基準に基づき、ドッグランの設置が可能な候補地を調査しております。一方で、規模を縮小したドッグランについても、他自治体の設置事例や運用状況等を調査しております。引き続き、地域の方々や動物愛護推進員等の意見を聞きながら、小型犬や中型犬のそれぞれが利用できるドッグラン設置に向け、情報収集に努めてまいります。
次に、町会・自治会支援についてのお尋ねです。
町会・自治会は地域コミュニティーの中核であり、担い手の育成は重要な課題であると認識しております。区では、各
地区総合支所の事業を通じて、コミュニティー活動の担い手の育成に取り組んでおり、一例として、麻布地区で実施している地域事業「ミナヨク」では、地域に愛着を持って活動する地域サポーターを発掘・育成しております。本事業では、昨年度の修了生が町会に加入し、祭りに出店するなど、町会・自治会を含めた地域活動を担う人材の輪が広がっています。今後も様々な取組を展開することで、町会・自治会の活動が継続できるよう支援をしてまいります。
次に、港区への寄贈品についてのお尋ねです。
区立障害保健福祉センター一階の竹芝小学校記念室には、寄贈されたピアノが二台あり、一台はロビーでのランチタイムコンサートで活用しておりますが、もう一台は現在故障しているため、常設の展示品として保管しております。今後、故障しているピアノの修理や調律の方法と、その費用なども改めて確認した上で、可能な限り、寄贈者の意向に沿った寄贈品の有効活用に努めてまいります。
最後に、生活保護制度の周知についてのお尋ねです。
区では、生活保護の申請は国民の権利であることを明記した上で具体的な事例を挙げるなど、記載内容を工夫したポスターを作成し、掲示場所についても高齢者相談センター等福祉分野の相談対応施設から、いきいきプラザや図書館に拡大してまいりました。各
地区総合支所では、本年四月以降の二か月で合計約二百三十件の相談を受けております。引き続き、生活保護を必要とする区民に効果的に伝わるよう、チラシの配布などを含め、周知方法の拡充に努めてまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(浦田幹男君)登壇〕
○教育長(浦田幹男君) ただいまの
みなと政策会議を代表しての阿部浩子議員の御質問に順次お答えいたします。
子ども施策の実現についてのお尋ねです。
まず、不登校の児童・生徒への支援についてです。教育委員会では、今年度から一人一人の状況に応じた支援を強化するため、各家庭に直接働きかけることができるスクールソーシャルワーカーを保護者の要請に応じて派遣することに加え、小・中学校に週一回、三時間配置することといたしました。このことでスクールソーシャルワーカーが児童・生徒の様子を直接観察することや、教員と支援の方向性を共有することが可能となり、支援の一層の充実が期待できます。
さらに、適応指導教室つばさでは、配備した学習用タブレット端末を活用し、適応指導教室への通室が難しい児童・生徒に対してもオンラインでの面談や学習支援を行っております。引き続き、児童・生徒それぞれの状況に応じた、きめ細かな取組を進めてまいります。
次に、食育についてのお尋ねです。教育委員会では、これまでも減農薬・減化学肥料で栽培されたリンゴやミカンなどの特別栽培農産物及び特別栽培米の購入を公費で支援し、学校給食で提供しております。また、区立小・中学校では、例えば、給食サンプルの展示スペースに野菜の生産者から届けられたメッセージを掲示するなど、食材の生産や収穫、加工といった生産過程などを給食提供の際に児童・生徒に伝え、農業や漁業など、食に関わる活動に対する関心を深められるよう取り組んでおります。引き続き、安全・安心な特別栽培農産物及び特別栽培米の提供を続け、食に対する理解と関心を高めてまいります。
最後に、米粉パンの活用についてのお尋ねです。現在、区立小・中学校では週に三回から四回、米飯給食を実施しておりますが、今年度は東京都の補助事業を活用し、各校で一回、米粉パンの提供と、米粉パンに合わせた国産食材によるおかずの提供を予定しております。一方で、学校給食で提供する米粉パンは大量かつ安定的に製造するため、小麦グルテンを含むミックス粉を用いており、アレルギー対応も必要となります。給食での提供を通して、米粉パンのおいしさや、米粉を使ってパンが作れること、生産過程などを児童・生徒に伝えることは興味と関心を高める食育の視点からも有益です。今回の実施状況を踏まえ、アレルギー対応を含めた今後の活用を検討してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○議長(
鈴木たかや君) 次に、二十七番榎本茂議員。
〔二十七番(榎本 茂君)登壇、拍手〕
○二十七番(榎本茂君) 令和五年第二回港区
議会定例会において、港区維新を代表して、武井区長に質問させていただきます。
さきの選挙において、再び区民の皆様から負託を受け、四期目の議員活動を行わせていただけることになりました。そして、第一回港区
議会定例会で区長にお約束したとおり、新たな仲間を率いて戻ってまいりました。これから同じ政治信条、同じ政治理念を持つ仲間と一緒に活動してまいります。新しい仲間は、いずれも専門分野を持つ優秀な人間であります。各自専門分野に特化した活動を行っていく予定です。よろしくお願いいたします。
今から十二年前、私は港区の海に下水処理場から流されている浄化槽を通さない未浄化の汚水放流を止めたいと訴えて、初当選させていただきました。下水をテーマに勝った議員などいないと、当時やゆされながらの選挙でしたが、区民は私の背中を押してくださいました。
港という名の区の海の環境問題です。私の議員活動の原点であります。何度も申し上げてきたことですが、いま一度改めて説明させてください。
港区の港南一丁目には、芝浦水再生センターという名前の下水処理場があります。この下水処理場には港区全域のトイレ、台所の汚水が流れてきます。港区だけではありません。隣の中央区の銀座のトイレの行き着く先もここです。千代田区の国会議事堂のトイレは二時間でここにたどり着きます。文京区の後楽園球場のトイレも、豊島区のサンシャインシティのトイレも、新宿区役所のトイレも、目黒区や世田谷区の一部、品川区の半分の地域のトイレ、台所の汚水、全てこの港南一丁目の下水処理場に流れ着くのです。
この処理場が造られたのは昭和六年、満州事変があった年です。大昔です。その時代は、まだ東京にはビルはほとんどなく、まだ日本は田舎にたくさん人が住んでいた時代です。当時の下水処理場、今と総面積は変わっていません。つまり、現代の都市化した東京の汚水を受け入れるキャパシティーを持っておらず、雨天時は浄化槽を通さないで、塩素だけを混ぜて殺菌して、運河にそのまま放流している。そういうことをやっているわけです。
東京二〇二〇大会のお台場で開催されたトライアスロン会場の大腸菌問題も、この汚水放流が主原因です。東京二〇二〇大会によって台場の水質問題は、世界が注目する日本の環境問題になりました。この下水処理場施設から放流される量は年間一億七千四百十四万立方メートル、東京ドーム、実に十四個分以上です。毎月東京ドーム十四割る十二で、一個分以上の汚水が港区の運河に放流されているということです。実に莫大な量です。
港区は、この汚水放流されている運河の水質検査を行っています。その水質検査の結果を見ると、令和三年の検査時の大腸菌群数の最大値は、御楯橋付近で百ミリリットル中、百ミリリットルというのはコップ一杯です。この中に十三万個となっています。平成三十年九月四日には七十九万個を記録しています。平成二十八年八月三十日には、何と二百二十万個、こういう数字が検出されています。
海水浴の中止基準が百ミリリットル、コップ一杯中千個未満ということになっているので、海水浴の中止基準の実に千二百倍です。塩素で殺菌しても、なおこの数値なのです。どれだけ汚いか。汚水の水質を測る基準として大腸菌というのが使われるわけですが、この汚水の問題は、検出される大腸菌そのものが問題なのではありません。大腸菌というのは人の体内に普通にあって、大腸菌そのものに害があるわけではありません。大腸菌というのは指標菌と呼ばれていて、人の体内から出て三日ぐらいしか生きられない弱い菌なので、大腸菌が生きているということは、もっと強いコレラ菌や赤痢菌、腸チフスなど、もっと危険度の高い病原菌が生きている可能性が高いということなのです。
また、病原菌だけでなく、下水には雑草を取り除く除草剤とか殺虫剤とか、掃除のときに使う漂白剤とか剥離剤とか、そういった劇物も混じっている可能性は十分あります。それらを区は調査していません。区は、お台場で海水浴を行って、小学校の行事でノリの養殖を行ったりしているわけですから、区民の健康被害を私は心配してきました。東京大学の調査データによると、私たちの海は世界で一番排水負荷の大きな海なのだそうです。一ヘクタール当たり三百人以上の生活排水が流れ込んでいる。これは世界一、人の負荷がかかっている海だということです。つまり、生活排水の浄化システムの改善こそが、港区の海の環境改善には必要不可欠なのです。
そして、この改善を促せるのは、トイレを使っている人ではありません。私たち排水口の住民、港区民だけです。私たちが訴えて変えていかなければ、この問題は絶対に変わりません。私は、十二年前に初当選した後、新人議員としては初となる建設常任委員会の委員長になることができました。そして、建設常任委員会の委員長としての初めての視察先がこの下水処理場の新ポンプ施設の建設現場でした。このときの視察時に下水道局の職員から受けた説明を今でも鮮明に覚えています。汚泥処理施設の跡地には深さ七十メートルの立て坑を掘り、巨大な穴です。毎月東京ドーム一杯以上も流している汚水を一時的にここにため込んで、運河の水質改善の切り札になる施設だという説明を受けました。これに私は感動しました。これが完成すれば、運河は泳げる水質になる可能性が高いと思ったのです。
あれから十二年、この新ポンプ場の建設がどのぐらい進んだか御存じでしょうか。私は隣にある都営住宅の上から工事現場の写真を撮りながら、ずっと十二年間、観察し続けてきました。下水道局に問い合わせるまでもなく、工事現場を見ても分かります。全く工事は進んでいません。十二年間全くです。下水道局に問い合わせたところ、昔あった汚泥処理施設の地中残存物の撤去に時間がかかっているということでした。
港区でも新たな開発を行う際には、かつての建築物の残骸や躯体の地中残存物の撤去に時間がかかるということはよくあることです。港区は多くの大規模な開発を行ってきましたが、私の記憶にある一番大きな地中残存物の撤去で多額の費用と長い時間を要した工事は、現在、芝浦港南
地区総合支所と愛育病院が建っている元東京ガスの跡地の整備です。汚染残土と地中から次々とコンクリートの躯体が現れて、度々委員会報告が行われて予算が変更になってきました。このときの工事でかかった経費は四億六千万円、消費税が当時八%だったので、総額は約五億円かかりました。かかった工期は四、五か月でした。半年はかかっていない。半年弱の工事と五億円の費用、実に多額だと当時思っておりました。この港区の困難だった開発と現在の下水処理場の新ポンプ施設の開発の面積はほとんど変わりません。
下水処理場の汚泥処理施設に地中建造物はありませんでした。地上の汚泥処理施設だけだった。だから東京ガスの跡地と規模的には大差ありません。じゃあ下水処理場の地中残存物撤去にはどれだけの時間とどれだけのお金がかかったのかということをお知らせします。平成二十五年の工事から十年間、工事はかかっています。十年です。そして、かかったお金は六十七億五千万円だということです。工事なんかやっていないのです。新ポンプ場の工事の地中の残存物撤去にかかっているということです。まだ前段階の地盤改良工事にすら至っていません。私の知る限り、土木関係者にいろいろ聞いて回ったのですが、何で六十八億円もかかるのか意味が分からないと言っています。
そこで、区長にお伺いします。港区最大とも言える難関工事であった東京ガス跡地の再開発の地中残存物撤去の実に十倍以上にもなる六十七億五千万円の経費をかけた十年の工事の経過を説明する住民説明会を東京都下水道局に求めてください。十二年前に私が見せてもらい、聞かせてもらったその工事計画からどのように変わったのか。下水道局は私たち区民に説明する義務があります。御答弁をお願いします。
この問題は都政の問題ではありますが、港区にとって重要な環境問題であり、東京都には説明する責任があります。議会でも特別委員会において海の環境問題は真剣に取り組んでいきたいと思っております。行政におかれましてもさらなる水質調査、汚水放流の動画のインターネット配信など積極的に行っていただきたいとお願いして、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの港区維新を代表しての榎本茂議員の御質問にお答えいたします。
芝浦水再生センター新ポンプ場建設の住民説明会についてのお尋ねです。
新ポンプ場の建設については、地盤改良工事中に地中障害物が確認され中断していました。昨年七月に再開されて以降は、見直した工事計画どおりに地中障害物の撤去工事が進み、本年十月頃から地盤改良工事を開始すると聞いております。東京都下水道局に対しまして、御質問にありました説明会開催の要望があったことを伝えてまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○議長(
鈴木たかや君) 以上にて、本日の日程は全部終了いたしました。
本日の会議は、これをもって散会いたします。
午後五時十一分散会...