港区議会 2021-06-09
令和3年第2回定例会−06月09日-06号
令和3年第2回定例会−06月09日-06号令和3年第2回定例会
令和三年 港区議会議事速記録 第六号(第二回定例会)
令和三年六月九日(水曜日)午後一時開会
一 出席議員(三十四名)
一 番 マック 赤 坂 君 二 番 玉 木 まこと 君
三 番 石 渡 ゆきこ 君 四 番 榎 本 あゆみ 君
五 番 なかね 大 君 六 番 黒崎 ゆういち 君
七 番 小 倉 りえこ 君 八 番 赤 坂 大 輔 君
九 番 琴 尾 みさと 君 十 番 山野井 つよし 君
十 一番 兵 藤 ゆうこ 君 十 二番 横 尾 俊 成 君
十 三番 丸山 たかのり 君 十 四番 やなざわ 亜紀 君
十 五番 鈴 木 たかや 君 十 六番 土 屋 準 君
十 七番 福 島 宏 子 君 十 八番 榎 本 茂 君
十 九番 清 家 あ い 君 二 十番 杉 浦 のりお 君
二十一番 なかまえ 由紀 君 二十二番 池 田 たけし 君
二十三番 ゆうき くみこ 君 二十四番 二 島 豊 司 君
二十五番 池 田 こうじ 君 二十六番 熊 田 ちづ子 君
二十七番 風 見 利 男 君 二十八番 阿 部 浩 子 君
二十九番 七 戸 じゅん 君 三 十番 近 藤 まさ子 君
三十一番 杉本 とよひろ 君 三十二番 清 原 和 幸 君
三十三番 うかい 雅 彦 君 三十四番 井 筒 宣 弘 君
一 説明員
港 区 長 武 井 雅 昭 君 同 副 区 長 小柳津 明 君
同 副 区 長 青 木 康 平 君 同 教 育 長 浦 田 幹 男 君
芝地区総合支所長 麻布地区総合支所長
同 野 澤 靖 弘 君 同 冨 田 慎 二 君
街づくり支援部長兼務
街づくり事業担当部長兼務
高輪地区総合支所長
赤坂地区総合支所長 産業・地域振興支援部長兼務
同 中 島 博 子 君 同 山 本 睦 美 君
子ども家庭支援部長兼務 高輪地区総合支所副総合支所長事務取扱
高輪地区総合支所管理課長事務取扱
芝浦港南地区総合支所長 保健福祉支援部長
同 長谷川 浩 義 君 同 有 賀 謙 二 君
環境リサイクル支援部長兼務 新型コロナウイルスワクチン接種担当部長兼務
同 みなと保健所長 松 本 加 代 君 同 児童相談所長 田 崎 みどり 君
同 企画経営部長 大 澤 鉄 也 君 同 用地・施設活用担当部長 坂 本 徹 君
同 防災危機管理室長 岩 崎 雄 一 君 同 総 務 部 長 新 宮 弘 章 君
会計管理者
同 森 信 二 君 同
教育委員会事務局教育推進部長 星 川 邦 昭 君
会計室長事務取扱
同
教育委員会事務局学校教育部長 湯 川 康 生 君 同 選挙管理委員会委員長 島 田 幸 雄 君
一 出席事務局職員
事 務 局 長 佐 藤 雅 志 君 事務局次長 鈴 木 康 司 君
議 事 係 長 山 口 裕 之 君
他五名
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令和三年第二回港区議会定例会議事日程
令和三年六月九日 午後一時
日程第 一 会議録署名議員の指名
日程第 二 会期の決定
日程第 三 諸般の報告
日程第 四 代表質問・一般質問
黒崎 ゆういち 議員(自民党議員団)
なかまえ 由紀 議員(みなと政策会議)
なかね 大 議員(公明党議員団)
熊 田 ちづ子 議員(共産党議員団)
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○議長(二島豊司君) ただいまより令和三年第二回港区議会定例会を開会いたします。
今回の応招議員はただいま三十四名であります。したがいまして、本定例会は成立いたしました。
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○議長(二島豊司君) これより本日の会議を開会いたします。
ただいまの出席議員は三十四名であります。
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○議長(二島豊司君) これより日程に入ります。
日程第一、会議録署名議員を御指名いたします。十三番丸山たかのり議員、十四番やなざわ亜紀議員にお願いいたします。
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○議長(二島豊司君) 日程第二、会期の決定を議題といたします。
お諮りいたします。今回の定例会の会期は、本日から六月十八日までの十日間といたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(二島豊司君) 御異議なきものと認め、さよう決定いたしました。
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○議長(二島豊司君) 日程第三、諸般の報告がありますので、御報告いたします。
まず、職員に定例会招集の報告をさせます。
〔鈴木事務局次長朗読〕
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三港総総第五百九十八号
令和三年年六月二日
港区議会議長 二 島 豊 司 様
港区長 武 井 雅 昭
令和三年第二回港区議会定例会の招集について(通知)
本日別紙告示写しのとおり、標記定例会を六月九日(水)に招集しましたので通知します。
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港区告示第百五十五号
令和三年第二回港区議会定例会を六月九日に招集します。
令和三年六月二日
港区長 武 井 雅 昭
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○議長(二島豊司君) 次に、説明員の異動について、区長及び教育長からそれぞれ通知がありました。この通知は、皆様にお配りしてあります。
なお、朗読は省略し、詳細については、これを速記録に登載することにいたしたいと思いますので、御了承願います。
(参 考)
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三港総総第百十一号
令和三年四月一日
港区議会議長 二 島 豊 司 様
港区長 武 井 雅 昭
説明員について(通知)
地方自治法第百二十一条の規定に基づく説明員について、別紙のとおり通知します。
(別 紙)
一 新規(令和三年四月一日付)
高輪地区総合支所長 兼務 産業・地域振興支援部長 山 本 睦 美
防災危機管理室長 岩 崎 雄 一
参事
みなと保健所保健予防課長事務取扱 太 田 留 奈
芝地区総合支所協働推進課長 小野口 敬 一
赤坂地区総合支所まちづくり課長 成 清 勝 博
産業・
地域振興支援部観光政策担当課長 佐 藤 真 理
子ども家庭支援部保育課長 木 下 典 子
児童相談所相談援助担当課長 菅 原 正 興
街づくり支援部住宅課長 富 沢 和 可
街づくり支援部再開発担当課長 池 端 隼 人
企画経営部新型コロナウイルス感染症対策担当課長 兼務 企画経営部政策広聴担当課長
多 田 伸 也
企画経営部用地・施設活用担当課長 平 野 順 一
二 異動(令和三年四月一日付)
麻布地区総合支所長 兼務 街づくり事業担当部長 冨 田 慎 二
芝浦港南地区総合支所長 兼務
環境リサイクル支援部長 長谷川 浩 義
保健福祉支援部長 兼務
新型コロナウイルスワクチン接種担当部長 有 賀 謙 二
児童相談所長 田 崎 みどり
二港監第千三十一号
令和三年三月十一日
港区議会議長 二 島 豊 司 様
港区監査委員 徳 重 寛 之
同 高 橋 元 彰
同 池 田 幸 司
令和三年二月例月出納検査の結果について
地方自治法第二百三十五条の二第一項の規定に基づき例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。
記
一 検査の範囲
(一) 検査対象 区一般会計、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療会計、介護保険会計、雑部金、基金
(二) 検査場所 港区監査事務局
(三) 検査期間 令和三年二月二十四日から二月二十六日まで
二 検査の結果
本検査においては、会計管理者から提出された令和三年二月(令和三年一月分)例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、指定金融機関提出の収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。
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○議長(二島豊司君) なお、三月及び四月の結果については、ただいまの報告と同様の内容でありますので、朗読は省略し、詳細については、これを速記録に登載することにいたしたいと思いますので、御了承願います。
また、報告書は議長の手元に保管しておりますので、随時御閲覧願います。
(参 考)
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三港監第百八号
令和三年四月九日
港区議会議長 二 島 豊 司 様
港区監査委員 徳 重 寛 之
同 高 橋 元 彰
同 池 田 幸 司
令和三年三月例月出納検査の結果について
地方自治法第二百三十五条の二第一項の規定に基づき例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。
記
一 検査の範囲
(一) 検査対象 区一般会計、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療会計、介護保険会計、雑部金、基金
(二) 検査場所 港区監査事務局
(三) 検査期間 令和三年三月二十四日から三月二十六日まで
二 検査の結果
本検査においては、会計管理者から提出された令和三年三月(令和三年二月分)例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、指定金融機関提出の収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。
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三港監第二百十号
令和三年五月十四日
港区議会議長 二 島 豊 司 様
港区監査委員 徳 重 寛 之
同 高 橋 元 彰
同 池 田 幸 司
令和三年四月例月出納検査の結果について
地方自治法第二百三十五条の二第一項の規定に基づき例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。
記
一 検査の範囲
(一) 検査対象 区一般会計、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療会計、介護保険会計、雑部金、基金
(二) 検査場所 港区監査事務局
(三) 検査期間 令和三年四月二十三日から四月二十七日まで
二 検査の結果
本検査においては、会計管理者から提出された令和三年四月(令和三年三月分)例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、指定金融機関提出の収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。
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○議長(二島豊司君) 次に、法人の経営状況に関する書類が区長から議長の手元に提出されております。朗読は省略し、通知については、これを速記録に登載することにいたしたいと思いますので、御了承願います。
なお、詳細については、書類を議長の手元に保管しておりますので、随時御閲覧願います。
(参 考)
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三港総総第五百二十六号
令和三年六月二日
港区議会議長 二 島 豊 司 様
港区長 武 井 雅 昭
法人の経営状況に関する書類の提出について
地方自治法第二百四十三条の三第二項の規定に基づき、下記法人についての経営状況に関する書類を提出します。
記
一 公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団
(一) 令和三年度公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団事業計画書
(二) 令和三年度公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団収支予算書
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○議長(二島豊司君) 以上にて報告を終わります。
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○議長(二島豊司君) 日程第四、区の一般事務について、質問の通告がありますので、順次発言をお許しいたします。最初に、六番黒崎ゆういち議員。
〔六番(黒崎ゆういち君)登壇、拍手〕
○六番(黒崎ゆういち君) 令和三年第二回港区議会定例会に当たり、自由民主党議員団を代表して、武井区長、浦田教育長に質問をさせていただきます。
質問に入る前に一言申し上げます。現在、三度目となる緊急事態宣言が発出されている中、医療や福祉関係者の皆様の取組と、飲食店を中心とした休業や時短要請で感染拡大防止に御協力をいただく皆様、そして、不要不急の外出の自粛やテレワークによる勤務等で接触機会の制限に御協力いただいている皆様による御尽力にもかかわらず、都内の感染者数は、残念ながら一日当たり三百人台と横ばい傾向が続いています。希望の光と言われるワクチンをいかに早く接種するかが、今後の感染拡大に対抗する唯一の手段として、国を挙げてワクチン接種が一気に進められています。
一方、国や東京都の感染拡大を防止するための施策は思うように結果が出ず、長期化され、残念ながら全面的に区民の納得や協力を得る状況にはありません。港区は何ができるのか、国や東京都の施策と併せて、新型コロナウイルス感染症の収束後に向かって、区民一人一人が力強く前に進んでいくことを願い、質問に入ります。
最初に、新型コロナウイルス感染症対策について質問します。
ワクチン接種について伺います。まず、ワクチン接種を加速する決意についてです。港区では、先月五月十七日から、区内七か所の集団接種会場において、新型コロナウイルスワクチン接種を開始しました。六十五歳以上の該当者のうち、接種の予約は約八一%を超え、当初、全国自治体が想定していた接種希望七割を上回るペースであることは、集団予防の観点からも喜ばしいことです。電話による申込みがなかなかつながらずにお叱りをいただいたこと以外は、順調にスタートすることができていることに、所管をはじめ、関係者の皆様に感謝を申し上げる次第です。
実際に接種をされた方々からは、当日の接種会場のオペレーションを含め、とてもスムーズでよかった。何より安心しましたというお声を頂いております。高齢者施設入所者、そして六十五歳以上の区民の接種は順次行われ、訪問看護利用者に向けた巡回接種も六月中旬からスタートしますが、区民が注目しているのは、いつ、どのくらいの時期に自分の番が来るのかという一点に尽きると思います。区長自ら全ての区民に向けて、速やかにワクチン接種を進める決意を表明していただきたいと思いますが、区長の見解をお聞きします。
次に、接種を加速する体制整備についてです。誰もが一日も早く安心したい、コロナ禍から脱出したいという願いの下で生活をしている現在、一度のワクチン接種でこれだけ多くの高齢者の方々が安心している姿を見ると、今、港区がすべきことは、とにかく一分一秒でも早く希望する区民全員に対して接種を終えることではないでしょうか。それこそが日常の経済活動を取り戻し、安心・安全に暮らせることに直結すると考えます。
六月七日以降は二回目の接種もあり、一日当たり千六百名以上の接種を行いたい意向と聞いています。また、港区独自の新たな接種会場の設置も検討中とのことですが、今年一年、予定している全ての行事を取りやめても、全力で早期のワクチン接種を進めることが最善の安心・安全への道ではないかと思いますが、接種を加速する体制整備と今後の進め方について、区長のお考えをお伺いいたします。
次に、大規模接種センター等での接種の推進についてです。これまで自治体のみが担ってきたワクチン接種ですが、認可製剤が増え、他国からの供給量も増えるようになり、短期間で集中接種が行えるよう、国や東京都においても大規模接種センターが設置されています。六十四歳以下の接種の開始に向け最終調整が行われていますが、一日も早く希望者へ接種が可能となるように関係各所との連携をスムーズに進めていただき、国や東京都、民間企業等が実施する職域接種等によって、今後、さらに加速する自治体以外における接種の推進方向とバランスが取れるような計画を強く望みます。大規模接種センター等での接種の推進について、区長はどう考えられているのか御見解を伺います。
次に、接種券の一括送付についてです。先ほどより述べているとおり、港区に求められていることは、一日でも早く接種券を全区民に送付し、いついかなるときにも自分の判断でワクチン接種ができるような環境を整備していくことです。キャンセルによって空いた分の余剰ワクチンの一般向け接種も自治体で柔軟な対応を求めると、先日、厚生労働省から通知があったかと思います。接種券を持っていなくても大丈夫ということですが、個人情報と接種の有無を確認できる一元的なシステムは、現在、国にはありません。後日、個人情報をひもづけるとありますが、今の激務の中で各自治体ができるとは到底思えません。接種をしたという証拠となるものは、接種券に貼られている接種済証のみであるのが現状です。
それであれば、接種券をすぐにでも送付し、今後、年齢を引き下げるかもしれない国の大規模接種や職域接種の可能性など、港区の管轄外の機会も促して接種率向上に貢献することができるのではないでしょうか。区民にとっても接種券が手元にあることは安心につながります。これまでの六十五歳以上高齢者の人口は約四万五千人、そして、これからの接種を待つ六十四歳以下の人口は約十八万四千人、単純計算で四倍を超える規模になります。一日でも早く接種券を送付し、これまで以上のスピード感を持った接種計画を公表していただきたいと考えますが、区長のお考えを伺います。
次に、積極的な情報発信についてです。港区はSNSを中心に様々な部門がワクチン接種に関する情報発信を行っています。これからは六十四歳以下の区民の順番となりますが、その中でもかかりつけ医を持つ区民、そして二十歳未満の若年層接種希望者に向けての情報発信をこれまで以上に積極的に行っていただくために、広報みなと、掲示板、ケーブルテレビ等、アナログ手法も含めて、ありとあらゆる媒体の活用をお願いしたいと思います。
現在、国内で認可されているファイザー・ビオンテック社のワクチンは満十二歳以上、モデルナ社製は十八歳以上が接種可能です。このワクチンは他の予防接種と異なり、厚生労働省は、十六歳以上二十歳未満は保護者の同意・同伴を不要としていることは、まだあまり多くの方に情報が届いていません。予防接種は保護者の意向に大きく左右される傾向があることから、特にこれからの接種順番を迎える未成年とその保護者に向けた情報発信の必要性は大きいです。
また、予診票の様式も変更されています。かかりつけ医の事前確認に関する項目が削除されることになりますが、不安を抱えている場合には、あらかじめかかりつけ医に相談することは、これからも変わりません。予約開始前の今の段階で相談し、御自身が判断する指針としてもらえるような呼びかけをしていただきたいと思います。高齢者向け接種を経験した今だからこそ、ワクチン接種に関し、正しい情報を積極的に発信し、多くの区民に接種を呼びかけていくためには、港区は広報をどのように活用し、周知を広げていくつもりなのか、区長の見解をお伺いいたします。
次に、区内事業者の現状について伺います。
まず、緊急事態宣言延長による影響と支援策についてです。東京都に出されている緊急事態宣言は、六月二十日まで再延長されました。六月一日からの再延長により、五月三十一日まで休業を要請してきたデパートや映画館などの措置を緩和する一方、酒類やカラオケ設備を提供する飲食店への休業要請は継続しています。港区では、今年に入って、現在までの五か月間のうち、ほぼ四か月近くは緊急事態宣言か、まん延防止等重点措置の期間に入っていることになります。特に、飲食店に対する時短や休業の要請は長期化していて、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置以外の期間に東京都が独自に行った要請を合わせると、昨年十一月末から半年以上、何らかの制限がある状況が続いています。
特に港区の場合、テレワークや不要不急の外出自粛などの人の流れを抑える対策による影響も計り知れず、繁華街を中心に、一階店舗の空き物件も日に日に増している印象を持っています。港区内の事業者がこれだけ続く緊急事態宣言延長によってもたらされる影響について、区長はどう分析し、その支援を行っていくおつもりなのか、見解を伺います。
次に、区に寄せられる声へ対応する体制についてです。このように国や東京都の支援では、港区という場所の特性上、家賃や人件費等の固定費を賄えず、残念ながら撤退や廃業を検討せざるを得ない区内事業者がいる状況下、緊急融資制度を利用して、希望の光と言われるワクチン接種が進むことで、日常を一日でも早く取り戻すために必死に耐えて頑張っている事業者の皆さんから、区にはどのような声が寄せられているのでしょうか。
「東京都による協力金の入金が遅い」、「要請を守っていない飲食店がある」、「酒類の提供を行っている飲食店がある」等、多数の声が寄せられています。東京都による制度や要請であるため、港区としては何もできないというスタンスでは、区民は納得できないと思います。正直者がばかを見ることを港区は黙認してはなりません。実務を担う自治体として、地域の声を東京都に責任を持って伝え、対応してもらう体制構築が必要だと思いますが、区長の見解をお伺いします。
次に、新たな経済対策について伺います。
まず、港区独自の新たな経済対策についてです。先ほどから述べているとおり、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置等によって港区内でコロナ禍の影響を受ける事業者は多岐にわたります。飲食・観光・宿泊の各業界を筆頭に、対人サービス業が中心に東京都から協力金が支払われるものの、申請や審査に時間がかかり、なかなか入金がされない状況により事業者の不安は増大しています。
さらに、四月二十五日からの三度目の緊急事態宣言では、飲食店の酒類提供を終日禁止する措置も加わり、酒類提供と感染拡大の関係性を示す明確な根拠が示されていないことも相まって、事業者の不満はピークに達しています。飲食店への支援は業態や規模によって多様化し、観光や宿泊業界は東京都からの要請により自主的に自粛、もしくは人の流れを抑える対策によって自粛せざるを得ない状況が続いていることから、ワクチン接種が完了し、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除される、その日に向けた港区独自の新たな経済対策についてどう考えられているのか、区長の見解を伺います。
次に、キャッシュレス決済を活用した還元事業についてです。先日の記者発表において、「VISIT MINATO応援キャンペーン」の後継施策であるキャッシュレス決済を活用した還元事業として、三〇%のポイント還元で約三億一千万円の事業費を計上することが発表されました。本施策は、どのような効果を狙っているものなのか。また、還元ポイントは税金が投入されるわけですので、港区内に還流する地域マネーとして、地域限定として還元される仕組みにすべきだと考えますが、区長のお考えを伺います。
そして、本キャンペーンは、八月に発行される総額十億円のプレミアム付き区内共通商品券とも連動させていくことで地域経済への効果が深まっていくと思いますが、お考えをお聞きいたします。
次に、昼間人口の動向と地域経済について伺います。
コロナ禍前、港区の昼間人口は約百万人と言われていました。大規模オフィスビルが建ち並び、大企業を中心に多くの在勤者が訪れていましたが、新型コロナウイルス感染症により、東京都はテレワークや時差出勤等の活用によって出勤者を最大でも三割に抑え、都県境を越える出張は控えて、オンライン会議の活用を、と呼びかけていることから、港区に出勤する在勤者や出張者は激減しています。
一方、港区は現在、様々なまちづくりが進んでいく中で、品川駅周辺や虎ノ門駅周辺を中心に大規模なオフィスビルが多数建設される予定です。先ほども述べたとおり、ワクチン接種が完了し、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置等が解除される、その日に向けた経済対策は、港区を訪れる来街者の動向が大きな要素になります。
大規模オフィスビル周辺や主要ターミナル駅周辺において、昼夜問わず街の明かりを消さないために、昼間人口の動向と地域経済について分析を進め、新型コロナウイルス感染症収束後の地域経済を生み出す施策につなげていくべきだと考えますが、区長の見解をお伺いいたします。
次に、これまでの各種対策の効果と検証について伺います。
港区では、昨年四月七日の政府による緊急事態宣言発出により、現在もそうですが、様々な対応を行ってきました。国からの要請による対応、東京都の対策による対応等は、港区新型コロナウイルス感染症対策本部において対応方針を決定し、感染拡大防止策や各種支援策等の政策を補正予算や予備費を活用し、速やかに実行してきました。新型コロナウイルス感染症対策の財源は様々で、国庫支出金や都支出金、港区内の企業や団体等からの寄附金と一般会計以外と多岐にわたります。現在もワクチン接種を一刻も早く完了するための危機管理フェーズだと思いますが、しかるべきタイミングで港区の決定や、それに伴う各種施策は区民にとって有益だったのか。また、感染拡大を防止する効果があったのか。国や東京都の領域を含め、その効果と検証を行わなくてはなりません。まずはワクチン接種を早急に行う一方、新型コロナウイルス感染症の収束後に向けて実効性ある施策を展開するために、これまでの各種対策の効果と検証を行う必要性について、区長の見解をお伺いいたします。
次に、避難所の感染防止対策について伺います。
まず、コロナ禍における避難所の準備状況と東京二〇二〇大会開催時の対応についてです。今年も梅雨の時期を迎え、台風シーズンに入っていきます。昨年もそうでしたが、新型コロナウイルス感染症による避難所での感染防止対策が重要になります。武田良太防災担当大臣は、閣議後の記者会見で、自治体に対し、避難所での感染予防のために多数の避難所の確保と感染予防に効果のある物資を備蓄することを求めました。
まず、避難所の量的確保ですが、避難所一か所当たりの収容人数を抑えて三密を避けるということだと思います。避難者を誘導する際に、一家族やグループごとのスペースを安全な距離を取って配置すれば、収容人員数は減少するので、学校なら体育館がいっぱいになれば、教室に収容することも考えられます。さらに、そこも満員になれば、他の施設を案内するなど、適切な情報提供も必要です。そして、地域ごとに避難所で収容可能な人数を想定し、不足があれば、追加の施設をあらかじめ手配する必要があります。港区では、既に民間事業者との協働の中で、会議室等の提供を受けて、コロナ禍における新たな避難所を充実させていく必要性があると思いますが、区長の見解を伺います。
また、東京二〇二〇大会の大会開催中は、運営者をはじめ多くの来街者が見込まれますが、想定事項等があれば、併せてお聞かせ願います。
次に、災害時における物資輸送の協定締結についてです。おととしの台風十五号と十九号の発生による避難所開設の経験を踏まえ、港区は様々な取組をしてきました。さらに、昨年からは感染防止対策を最優先に、避難者のプライバシー確保と安心をどう実現していくかという課題にも取り組んでいただいていると思います。それらの課題に向けた物資の提供は各種連携協定によって締結され、避難者に寄り添う避難所が実現しつつあります。
一方、いざ避難所を開設すると、それらの物資の輸送が課題となったと聞きました。今後、新型コロナウイルス感染症により避難所が増えていくと聞いています。昨年、締結した物資輸送協定は、それらの課題を解決する、より踏み込んだ内容で、大変評価しております。今回の物資輸送や仕分の連携協定に至った経緯や目的、今後のさらなる展開について、区長のお考えをお伺いいたします。
次に、これからの区政運営について質問します。
まず、新型コロナウイルス感染症収束を見据えた財政運営について伺います。先ほどより述べているとおり、希望の光であるワクチンによって新型コロナウイルス感染症の脅威におびえることなく、再び日常を取り戻すことになっていくわけですが、我々はその収束を見越しながら、新型コロナウイルス感染症対策という危機管理フェーズから、次の展開に備えるフェーズに向けてかじ取りをしていかなければなりません。
これは三月の令和三年度予算特別委員会の総括質問でも質問しましたが、ワクチン接種が加速していくということは、本年度から六年間でスタートした港区基本計画においても、その転換タイミングが早くやってくるということになります。港区の今後は、新型コロナウイルス感染症の収束という急激にフェーズが変わる局面において、フレキシブルな対応をしていくと区長は答弁されていましたが、現在の重点課題となっているワクチン接種も踏まえ、新型コロナウイルス感染症収束後の港区の目指すべき姿をどう考えられているのか、改めて区長の見解を伺います。
そして、現段階における財政状況の推移と見通しをどのように考えておられるのか。さらに、当初予算を基に進めていく中で、ワクチン接種は国が全額負担するという前提で、大枠の予算で進めてきたと思いますが、港区におけるワクチン接種の最適な状況が変わっていく中で、その対応をどう進めていくつもりなのか。今回の補正予算では、施設整備など除き、年度当初から大規模な補正予算を組むのは過去にあまり例がないと思います。新型コロナウイルス感染症対応の補正予算の考え方についても併せてお聞きいたします。
次に、人口動向と人口推計について伺います。先ほど新型コロナウイルス感染症収束後の港区の姿を質問しました。全てが変化する新型コロナウイルス感染症収束後において、今後の港区の人口がどうなっていくのかを見極めるのは重要な要素です。夜間及び昼間人口がどうなるかにより、財政規模、事業規模等、港区のハード・ソフトの行政サービスが新たな時代に即した区政運営の基礎となっていきます。小学校三十五人学級の実現に向けても重要な要素です。現在の人口動向と今後の人口推計の分析について、区長の見解をお伺いいたします。
次に、来年度の予算編成について伺います。今後の人口動向は、港区の税収の根幹である特別区民税に直結する大きな要素です。一方、港区は現在、様々なまちづくりが進行中で、品川駅周辺や虎ノ門駅周辺を中心に、大規模なオフィスビルと併設される格好で外国人向けのサービスアパートメントも多数建設される計画になっていますが、新型コロナウイルス感染症収束後、事業者のもくろみどおりに住民が増えるかどうかは不透明です。このような先が見えない不透明な状況の中、この七月から、例年どおり、来年度の予算編成が行われます。新型コロナウイルス感染症収束を見据えたチャレンジングな予算編成になると思いますが、来年度の予算編成方針はどのようなものになるのか、区長の見解を伺います。
次に、総合力を発揮する体制について伺います。新型コロナウイルス感染症によって従来からの価値観は大きく変わりました。これは令和三年度予算特別委員会の総括質問でも質問しましたが、新型コロナウイルス感染症を機会として、港区はどう変わるのか。港区が変わるために何が必要か。区長が進めてきた区役所・支所改革による「参画と協働」で得た経験や知識、まちの声を含め、全庁横断的に関係する部署と連携して施策を推し進めていくことで、港区の持つすばらしい機能と人材をつなぎ、総合力を発揮しながら全庁横断的に施策を進めていくことができれば、港区の持つ可能性がさらに高まっていくと思います。
国際的な移動の制限、各種業態変更等、新型コロナウイルス感染症収束後の港区は、日本で一番の経済的な反動のあおりを受けることも想定されます。昼間人口百万人の反動をしっかりと制御していかなくては、港区民二十六万人の明るい未来を築き上げることはできません。そのために重要な要素は、港区を支える行政の総合力だと考えます。新型コロナウイルス感染症収束後に向けて、想定できない様々な課題や問題に対し、組織の壁を越えて、横串を通しながら関係部署を巻き込み、施策を立案し、実現するための総合力を発揮する体制構築が必要だと考えます。
特に、デジタル化やカーボンニュートラルの推進は、まさに着手したばかりの喫緊の課題です。また、まちづくりと地域経済施策や人口動向に対する公共公益施設整備への対応等、港区独自の課題に対しては受け身ではなく、民間事業者をリードするスピード感が必要です。改めて伺いますが、港区が総合力を発揮する体制構築について、区長の御見解をお伺いいたします。
次に、デジタル化の推進体制について伺います。第一回港区議会定例会における我が会派の代表質問で、港区のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に関する質問において、スマートフォンや自宅のパソコンから手続できるよう、オンライン化やキャッシュレス決済の整備を進めており、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化の考えを基本に、5G環境の普及促進や図書館の電子書籍サービスなど、デジタル化による区民の利便性向上やウェブ会議などの新しい生活様式の対応に取り組み、港区ならではのDXを推進すると区長は答弁されました。
港区議会でも、この六月からタブレット端末の議場及び委員会室への持込みが許可され、本日から本会議や委員会においてデータによる資料の閲覧が可能になりました。また、タブレット端末には、全議員と事務局の情報連絡ツールであるラインワークスや、資料閲覧アプリケーションのサイドブックスが導入され、行政からの情報を速やかに確実に提供する仕組みが整い、今後はICT推進委員会において、さらなる利便性の向上を図っていく体制も整備されました。今まで進まなかったデジタル化が一気に加速していくことは、区民にとっても歓迎される流れだと思います。
デジタル化と言っても様々な内容があり、港区では、本年三月に策定された「港区情報化推進計画」において、今後六年間の取組方針を定めています。国が主導する行政手続のオンライン化、キャッシュレス化については、後ほど質問させていただきますが、今回のデジタル化を契機に、区役所内の全ての事業や業務でデジタル化を検証し、仕事の在り方を棚卸ししてはいかがでしょうか。それらの事業や業務をデジタルというプラットフォームに引き上げて、全庁的に全体最適を果たしていくことは、業務改革や働き方改革と併せて、本来の意味でのデジタル化を推進していくスタートだと考えます。現在は、企画課、区役所改革担当、情報政策課、そして、事業や業務の所管課がそれぞれの経験や知識に基づいて個別にデジタル化を推進していると思いますが、全庁的に港区のデジタルスタンダードを一気に押し上げる推進体制の可能性について、区長の見解を伺います。
次に、子育て環境の整備方針について伺います。
まず、現在の保育環境における課題とその対応についてです。港区では、二〇一九年に待機児童ゼロを達成後、三年連続、四月時点での待機児童はゼロになりました。保育需要率が右肩上がりだった中で新型コロナウイルス感染症が発生し、〇歳児や就学前人口や入園希望者数が減少。本年四月は、定員に対して約千四百人の空きが発生しました。私立認可保育園の運営に支障を来しており、定員に対して空きがある場合、開園後五年間は特別助成という補助金で、現在、年間約五億五千万円を充当して運営を支援している状況です。このような子育て環境の急激な変化において、保育環境における課題とその対応をどう考えているのか。また、一般財源である特別助成を行わずに、港区の子育て環境を最大限検討した上で再整備を行うべきだと考えますが、区長の見解をお伺いします。
次に、今後の子育て支援の在り方についてです。港区は、児童相談所設置市となったことを受け、保育政策課保育指導係の人員も三名から倍の六名に体制を拡充し、私立認可保育園に対して、会計や労働環境の助言を行うとしています。今後は、私立認可保育園とともに港区の保育の質をより追求していくべきだと考えます。保育士の人材確保や園庭のない保育園における遊び場確保等、「子育てするなら港区」をより進化させるために、今後の子育て環境の整備について、区長の見解をお伺いいたします。
次に、精神障害者への支援策について伺います。現在、三回目となる緊急事態宣言が延長され、その影響が長期化しており、社会全体が生活に不安を抱えている状況となっている中、特に弱い立場に置かれた障害者は厳しい状況に置かれています。障害特性により長時間働くことが難しく、就労にもつながりにくい精神障害者についてもより厳しい状況に置かれていると思います。高齢者への優先ワクチン接種がスタートしましたが、区民全ての接種が完了し、効果を実感するにはもう少し時間を要すると思われますし、たとえ全ての区民に接種が完了しても、これまでの生活が元どおりになるということは考えにくく、生活の不安はなかなか解消されるものではないと思います。
港区では、これまで、障害のある方々に対して様々な支援を行ってきました。中でも精神障害者に対しては、地域の中で安心して生活ができるよう、住居や仕事の支援に力を入れていただいています。しかし、コロナ禍が長期化した今、精神障害者の生活の不安を解消するため、さらなる策が必要な時期ではないでしょうか。コロナ禍の影響が長期化する中で、就労など生活に不安があると思われる精神障害者の支援について、区長のお考えをお伺いします。
次に、新型コロナウイルス感染症収束後の職員の役割について伺います。コロナ禍で区民の日常が奪われる中、区長が掲げる「参画と協働」の機会も奪われてしまっています。これから一気に進んでいくワクチン接種によって、徐々にですが、地域の日常が取り戻されるタイミングが近づいてくる中、各地区総合支所の協働推進課の役割は重要です。現在、各地区総合支所の協働推進課長は、ワクチン接種担当として地域のワクチン接種の最前線に身を置いています。
一方、職員の皆さんは、コロナ禍で孤立したつながりを持てなくなってしまった区民と唯一つながる立場でもあります。現在、職員の皆さんも出勤抑制等により在宅勤務も新たな働き方となっていると思いますが、ワクチン接種後の職員の皆さんの役割は、港区の日常を取り戻すために絶対不可欠な要素だと強く思っています。新型コロナウイルス感染症収束後における職員の役割について、区長の見解をお伺いいたします。
次に、国や東京都と連携する政策について質問します。
まず、東京二〇二〇大会について伺います。本日現在、港区における東京二〇二〇大会に関連したイベントや施策は感染対策を万全にした上で、予定どおり開催されると聞いています。一方、東京都や組織委員会から、開催するに当たり、様々なシチュエーションを要求される可能性もあり、そのオペレーションにどう対応していくかが目先の課題だと思います。日々状況が変わる中、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されるお台場海浜公園や国立競技場周辺における交通規制や大会運営への影響はもちろん、聖火リレーを公道で予定どおり開催した場合の安全対策、さらにセレブレーションの実施方法はどうなるのか。そして、芝公園でのコミュニティライブサイトを安心・安全な対策を講じた上で、どう実施していくのか。それぞれどのようなシチュエーションを想定して準備を進めているのか、区長のお考えをお伺いいたします。
次に、カーボンニュートラルについて伺います。
菅義偉内閣総理大臣は、二〇二〇年十月の所信表明演説で、二〇五〇年にカーボンニュートラルを目指すことを表明しました。その後、四月の気候変動サミットにおいて、二〇三〇年までに二〇一三年比でマイナス四六%とする目標を発表しました。日本が目指すカーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを意味しています。背景として、地球温暖化への対応が喫緊の課題であることに加え、カーボンニュートラルへの挑戦が次の成長の原動力につながり、大胆な投資をする動きが相次ぐなど、気候変動問題への対応を成長の機会と捉える国際的な潮流が加速しています。世界中のビジネスや金融市場も、その潮流の中で大きく変化しています。カーボンニュートラルへの挑戦は、社会経済を大きく変革し、投資を促し、生産性を向上させ、産業構造の大転換と力強い成長を生み出すチャンスと報道されています。
このカーボンニュートラルの概念の中で、港区においては、本年二月に第三次一般廃棄物処理基本計画を策定しています。特に目に見える分野では、プラスチックの使用抑制と資源循環で、この三月にはペットボトルを排出しない取組を区有施設で実施しました。プラスチックの資源循環は、水平リサイクルとカスケードリサイクルに分かれ、ペットボトルは飲料メーカーを中心に水平リサイクル、すなわちボトルtoボトルを推進しています。既に兵庫県東播磨二市二町において、飲料メーカーと連携協定を締結し、当該地域で回収されたペットボトルが一〇〇%再生ペットボトルにリサイクルされる取組がこの二月から始まりました。東京でも稲城市が締結、府中市でも締結準備が進んでいます。
港区で回収したペットボトルが再びペットボトルになって港区に戻ってくる。このような取組をぜひ港区でも実現してもらいたいと考えますが、区長の見解をお伺いいたします。
次に、デジタル化への対応について伺います。
まず、デジタル化の現状と課題についてです。二〇一九年十二月に施行された国のデジタル手続法や、二〇二〇年十二月に国のデジタル・ガバメント実行計画と新型コロナウイルス感染症による非対面化によって、区民向け行政サービスは申請業務を中心に一気にデジタル化、キャッシュレス化が推進されています。
港区においても「五つのレス」、すなわち押印レス・キャッシュレス・ペーパーレス・対面レス・混雑レスが進んでいます。窓口でのキャッシュレス化や一部の申請業務も既にデジタル化に向けて進んでいます。今までのペーパーレスを通り越して、一気にシームレスな手続、すなわち画面上での申請はもとより、決済から発送手配まで完了し、翌日には郵便で書類が指定した場所に届くというのが最終形だと思いますが、そこに至るまでには、もう少し時間がかかりそうです。行政サービスのデジタル化の現状と課題、実現に向けた取組内容について、区長の見解をお伺いいたします。
次に、デジタルインフラの整備の推進についてです。日進月歩のデジタル技術をより効果的に、そして、より実践的に進めていくべきですが、やるなら全ての領域で港区はデジタル先進区になってほしいと願います。キャッシュレス端末の導入や区有施設のWi−Fi整備、Minato City Wi−Fiの整備等も利用頻度に応じた対応ではなく、港区においては、どこでも、誰でも、どんなときも全て同じデジタルインフラの整備を推進していくべきだと思いますが、区長のお考えをお聞かせください。
次に、羽田空港機能強化について伺います。
先日、交通・環境等対策特別委員会の主催で、羽田空港機能強化についての学習会が開催されました。学習会の中では、飛行経路変更に伴う騒音対策や落下物防止についての説明を国土交通省の担当者から受けました。新飛行経路については固定化しないようにと、港区議会として、港区と共に地方空港の活用を含め見直すよう求めてきた経緯がありますが、固定化を回避するために新たに国が設置した検討会では着陸方法の研究の議論ばかりで、地方空港を活用した分散化については全く触れられておりませんでした。港区、そして港区議会が強く要望してきたことが議論されていないことは誠に遺憾であります。
港区としては、これまで積み上げてきた機能強化についての国土交通省との議論を無駄にしないためにも、改めて地方空港への分散化を強く要請していただきたいと考えますが、区長のお考えを伺います。
また、港区議会としても、改めて国土交通大臣に対して、羽田空港機能強化に関わる安全対策の強化、新ルートの固定化回避を求める意見書を提出すべきだと考えますが、議長のお考えをお聞かせください。
次に、補聴器利用の支援策について伺います。
これまでも港区では、港区医師会や補聴器認定技能者へのヒアリングを重ね、高齢者が多く抱える加齢性難聴や積極的な気づきへの課題を把握し、必要な方へ補聴器使用の効果的な支援策について検討していただいていました。昨年度、厚生労働省が主催した補聴器利用に関する研究事業に港区も検討委員として参画いただき、自治体における高齢者の適切な補聴器利用と効果に関する報告がありました。
その中で注目すべき点は、ほとんどの自治体で難聴高齢者の把握の取組が十分になされていないということが判明したことです。例えば、港区が実施している健康診査には聴力検診が含まれておらず、高齢者向けの聴力検診は港区医師会の独自事業に大きく依存しています。区民の健康を守るという観点では、効果的な間隔やタイミングで総合的な健康診査を実施することを視野に入れていただくことが将来的に必要になると思います。
近年、国が推奨しておらず、毎年の実施は不要と考えられるようながん検診も一部にあり、限られた保健衛生の予算の中で過剰とも考えられる検診とのバランスを取るための見直しも早急に必要とされます。その中で、高齢者の聞こえの支援は、今後重要となる施策の一つと考えられますが、補聴器購入費の一部助成制度を設けている自治体は、現時点では決して多くありません。ましてや補聴器の購入後のモニタリングやフォローを実施している自治体はほとんどなく、この点をケアできると安全で継続した使用につながるとされています。
港区には、ぜひ難聴の早期発見から適切な補聴器相談医への流れ、そして適切な補聴器利用につなげるための情報提供と装用継続のフォローを一体となって行っていただくことで、国内でも最先端となるような適正使用推進に特化した支援制度となるよう願いますが、今後の取組について、区長の御見解をお伺いいたします。
次に、次世代の子どもの教育環境について質問します。
まず、三十五人学級について伺います。国は、二〇二一年度から五年かけて、小学校の一学級の定員を現在の四十人から三十五人以下に引き下げる方針を掲げ、港区においては、今年度より段階的に三十五人学級への対応を進めていくことになりました。現在四十人の学級を三十五人に引き下げるわけですが、児童数増加のトレンドも新型コロナウイルス感染症により見通せない中、国が定める経過措置による段階的かつ計画的な教室整備をどのように進めていくのか。特に、児童数が千三百人を超える港南小学校では、今後、仮設校舎の建設が検討されています。港区でも港南中学校の校庭と連続する広大な校庭に仮設校舎が建設されることによって、校庭のスペースが狭まるのは致し方ないものの残念でなりません。仮設校舎を建設する港南小学校以外では、芝、赤羽、麻布、東町、御田の合計五つの小学校を内部改修によって教室を整備するなど、現状三百二十教室を二〇二二年度に三百四十一教室、二〇二三年度に三百六十四教室まで順次拡大していく予定です。
新型コロナウイルス感染症収束後に、再び港区の人口が増加する局面になった際には、学区域の見直しや学校選択希望制度の見直し等も含めた検討をし、全体最適を果たしていくべきだと考えます。現時点では、改修等により二〇二三年四月に四年生が三十五人学級になっているのが目標だと思いますが、どのように三十五人学級を実現していくのか、教育長の見解を伺います。
次に、GIGAスクール構想への対応について伺います。
まず、デジタル教科書の活用についてです。港区では昨年度、全国に先駆けて区内小・中学校の児童・生徒に対しタブレット端末が配付され、この春入学した新入生への配付も含めて、実に一万二千八百三十台が教育現場で活用されています。新型コロナウイルス感染症をきっかけに、どんな状況においても学びの環境を提供する教育環境が整備され、この四月からは新たにデジタル教科書を、小学校では国語と算数、中学校では国語と数学で取り入れて授業を進めていただいています。
一方、教科書はリアルとデジタル、両方で授業を行っているとのことですが、今後、どのように併用を進めていくのか。さらに他の教科においてもデジタル教科書を取り入れていくのか、教育長の見解をお伺いします。
次に、GIGAスクール構想の今後の取組についてです。国が進めるGIGAスクール構想はICT環境の整備であり、成功の可否は、それぞれの自治体における活用方法によって大きく分かれると思います。タブレット端末を活用した先駆的な取組や好事例を教育委員会が各学校とともに創り上げていくことが今後重要になっていくと思いますが、教育長のお考えをお伺いいたします。
次に、小・中学校におけるSDGsの取組について伺います。SDGsは、持続可能な開発目標と訳され、二〇三〇年を期限とする開発目標です。誰一人取り残さない社会の実現を目指し、先進国も含めて国際社会全体で取り組むこととされており、政府組織のみならず、社会のあらゆる主体が積極的な役割を果たすことが期待されています。
日本では、小学校が昨年度から、中学校が本年度から、新学習指導要領の改訂において、「持続可能な社会の創り手の育成」が明記され、SDGsの担い手を育成する方針になりました。小学校の家庭科や道徳科、中学校の社会科や理科、技術・家庭科などにも「持続可能」という言葉が使われるなど、SDGsが様々な教科に盛り込まれることになりますが、港区において、小・中学校におけるSDGsへの取組はどのように進めていくつもりなのか、教育長の見解をお伺いします。
最後に、女性や障害者のスポーツ参画について伺います。この四月より関東ラグビーフットボール協会の理事に任命され、東日本の女子ラグビーを統括する女子委員会の委員長を拝命しました。まだ二か月程度ですが、女子ラグビー発展のために、女性の地位向上、ジェンダー平等を目指し、女性が活躍し、長くラグビーに関われる環境を整えるという事業計画の下、各種大会やチーム活動に参加しています。
スポーツを「する」「みる」「支える」という視点からスポーツに関わることの意義を考えたとき、女性アスリートはトレーニングや体組成管理の際に月経周期を考慮しなければならないこと、また、男性に比べて女性は結婚、出産、育児などライフイベントに左右されやすく、このようなライフイベントが選手としてのピーク時期と重なる傾向にあり、サポート体制が不十分な中でライフイベントとの両立に困難を抱え、スポーツを離れると同時に競技からも離れてしまう選手が多いとの印象を持ちました。また、障害者アスリートにおいても同様で、長く競技に携われる方はごく一部とのことでした。
港区では、本年三月に策定された「港区スポーツ推進計画」において、アスリートが長く競技に携われる環境整備に向けた取組は記載されておりませんが、東京二〇二〇大会のレガシーとして、全国に先駆けて推進していただきたいと思います。教育長のお考えをお聞かせください。
以上にて質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの自民党議員団を代表しての黒崎ゆういち議員の御質問に順次お答えいたします。
最初に、新型コロナウイルス感染症対策についてのお尋ねです。
まず、速やかにワクチン接種を進めることについてです。現在、十二歳から六十四歳までの区民を対象にした集団接種を早期に実施するため、規模の大きな会場の確保や一日当たりの接種人数を増やすことなどの検討を進めております。今月二十五日には、区が優先して接種することとしている六十歳から六十四歳までの方と障害者手帳をお持ちの方に接種券を発送し、それ以外の方には二十八日に発送いたします。
予約開始日は、優先接種の方は今月二十八日、優先接種の方以外で基礎疾患を持ちの方は七月四日、それ以外の方は七月七日といたします。接種開始日は、七月五日とし、優先接種の方から順次接種をしていただき、九月中旬までに希望する全ての区民の接種完了を目指し、取組を加速してまいります。
また、接種会場に来場することができない高齢者については、医師による訪問診療での接種を中心とした巡回接種を実施し、現在実施中の会場での接種と併せ、七月末までの完了を目指します。さらに、区民と密に接する機会の多い保育園や幼稚園、小・中学校等の職員を対象とした接種もワクチンの確保が確定し次第、実施をしてまいります。
私は、希望する区民が一日も早く接種を済ませ、安心な日常を取り戻すことができるよう、全力で早期の接種完了に取り組んでまいります。
次に、接種を加速する体制整備と今後の進め方についてのお尋ねです。接種を加速するためには会場の規模を拡大し、一日当たりの接種人数を増加させる必要があります。現在、六十五歳以上の高齢者の接種に使用している会場では、接種人数を増加するには限界があるため、区内の企業や法人、大学、医療関係者など多くの皆さんの協力をいただき、新たな会場や人材の確保など接種体制の強化に取り組んでいます。今後、さらに詳細な検討を進め、早期に接種が完了できる体制整備に積極的に取り組んでまいります。
次に、大規模接種センター等での接種の推進についてのお尋ねです。接種を希望する区民が一日も早く接種を完了するためには、区が実施する集団接種のほか、国や東京都が設置する大規模接種センター等における接種を推奨することは効果的と考えております。区は、最も適した接種方法を選択することができるよう大規模接種センターのほか、企業等が実施する職域接種など多様な接種方法について積極的に情報提供を行い、区民のワクチン接種を促進してまいります。
次に、接種券の一括送付と接種計画の公表についてのお尋ねです。区が優先して接種を行うこととしている六十歳から六十四歳までの方、障害者手帳をお持ちの方には、ほかの世代の区民より早く、今月二十五日に接種券を発送します。十二歳から五十九歳までの方には、今月二十八日に一斉に発送する予定です。今後は、ワクチンの供給状況を見極めながら、接種対象人数に見合う適切な接種会場や一日当たりの接種人数や日程など、詳細について早期に決定し、接種券の発送と併せ、速やかに区民にお知らせをしてまいります。
次に、広報を活用した積極的な情報発信についてのお尋ねです。来月五日から順次接種をしていただく十二歳から六十四歳までの方々は年齢層が幅広く、接種に対する考え方や不安に感じることも様々です。区の調査によりますと、十代から四十代までの世代の方には接種への関心が低い方も多く見られ、若年層の接種率向上を図るためには、接種することの効果や副反応による身体への影響など、これまで以上に丁寧で分かりやすい周知が必要です。今後も広報みなとや区ホームページ、また、SNSなど様々な情報ツールを活用し、全ての世代に対し適切な周知が図られるよう、効果的な広報に努めてまいります。
次に、区内事業者の現状についてのお尋ねです。
まず、緊急事態宣言延長による影響と支援策についてです。区の経営相談窓口には、売上げが回復しないまま融資の返済開始日が迫っているなどの声が寄せられており、これまで以上に資金繰りに苦慮する状況であると認識しております。区は、こうした声を踏まえ、新型コロナウイルス感染症対策特別融資等の返済すべき期間を最大二十四か月延長可能とした資金繰り支援や、総額十億円分のプレミアム付き区内共通商品券の発行支援、テークアウト等導入補助、キャッシュレス決済を活用した三〇%還元事業など、売上げの回復と地域経済の再生に向け、全力で取り組んでまいります。
次に、区に寄せられる声へ対応する体制についてのお尋ねです。区は、区民に最も身近な行政として、東京都の取組であっても、営業時間の短縮要請に応じない飲食店の情報や各種支援策に関する意見など、区民から寄せられる様々な声に真摯に向き合い、適宜、東京都の担当部局に伝え、責任ある対応を求めております。また、区からの独自の働きかけに限らず、広域的な調整を要する場合は、特別区長会を通じて東京都への要望も行っております。今後もあらゆる機会を捉えて、区民や事業者等の声を東京都に適切に伝えるとともに、相互に連携調整を図りながら改善に結びつけてまいります。
次に、新たな経済対策についてのお尋ねです。
まず、港区独自の新たな経済対策についてです。区は、本年八月の総額十億円分のプレミアム付き区内共通商品券の発行支援を皮切りに、十月にはキャッシュレス決済を活用した三〇%の還元事業、年度後半には、今年度二度目となる商品券発行支援を実施することで、度重なる緊急事態宣言の影響等により苦境に立つ商店街や区内観光産業に対し切れ目ない支援を行ってまいります。さらに、ワクチン接種が進み、外出や移動の自粛が段階的に緩和される時期を見据え、区内経済の回復に向けた新たな施策についても検討してまいります。
次に、キャッシュレス決済を活用した還元事業についてのお尋ねです。本事業は、新型コロナウイルス感染症の状況に応じた近隣観光、地元観光の推進と、キャッシュレス決済を活用した還元事業を行うことで、区内観光関連産業の消費を喚起することを目指しております。還元されたポイントの区内利用を促進するため、一般社団法人港区観光協会や港区商店街連合会と連携し、区内の施設や店舗の魅力を効果的に発信するなど、繰り返し訪れてもらえるよう働きかけてまいります。また、プレミアム付き区内共通商品券と併せて消費活動を促すことで、区内事業者のさらなる支援を図り、地域経済の活性化につなげてまいります。
次に、昼間人口の動向と地域経済についてのお尋ねです。
コロナ禍の影響により、区内中小企業の景況が極端に悪化しているほか、区民の暮らしや働き方、企業の経営の在り方などが大きく変容しています。また、大規模なまちづくりにより期待される大きな人の流れや、にぎわい創出の見通しにも大きな影響が生じる可能性があります。
区は、現在、民間シンクタンクとの共同研究により、昼間人口の今後の見通しや、区内産業を取り巻く環境等の分析をしております。今後、研究結果を踏まえ、新ビジネスや創業の支援、資金調達の円滑化など、変化する多様なニーズを捉えた施策を展開し、地域経済の活性化と持続的発展を実現してまいります。
次に、これまでの各種施策の効果と検証についてのお尋ねです。
区は、エンジョイ・ディナー事業を見直したエンジョイ・セレクト事業や、特別融資あっせんの期間延長など、事業効果の検証による見直しや拡充に取り組んでまいりました。また、再起にかける中小企業経営者を後押しする創業再チャレンジ支援事業を本年七月から開始するなど、区内産業の早期回復や区民生活の支援に向けた、きめ細かな施策を着実に推進してまいります。今後も庁内一丸となり、より一層の効果検証を進め、新たな時代や事業に即した実効性ある施策を切れ目なく展開してまいります。
次に、避難所の感染防止対策についてのお尋ねです。
まず、コロナ禍における避難所の準備状況についてです。区は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、避難所の収容人員について見直しを行うとともに、新たな避難所の確保に向け、区内ホテル事業者一社と協定を締結いたしました。また、新たに寺社二施設との協定締結に向け、現在協議を進めております。さらに、区民避難所には体温計やテント、パーティションを配備するなど、感染症対策にも万全を期しております。今後も民間施設への働きかけを行うなど、避難所の拡充に取り組んでまいります。
次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催時における区民避難所の想定についてのお尋ねです。大会期間中は多くの来訪者が見込まれており、発災時には多大な滞留者の発生が想定されます。区は、東京都が災害時の安全な大会運営のために策定した対処要領を共有しており、災害時には、東京都災害対策本部とともに避難誘導の対応をいたします。また、区内の駅周辺滞留者対策協議会と密接な連携を図り、帰宅困難者の対策をいたします。大会期間中においても、発災時に避難を必要とする区民が区民避難所を不安なく利用できる環境を確保してまいります。
次に、災害時における物資輸送の協定締結についてのお尋ねです。災害時に区内の備蓄倉庫や地域の輸送拠点から各避難所に優先的に物資を輸送するため、区は、トラック協会等と災害時の物資輸送に関する協定を締結しております。また、令和元年の台風発生に伴ういわき市での被災地支援の際に、宅配業者が実施する物資の効果的な仕分業務を職員が現地で観察した経験も踏まえ、より迅速に必要な物資を地域の輸送拠点から避難所に仕分けて配送するために、令和二年度は新たに宅配業者と協定を締結しております。災害時における輸送体制のさらなる確立に向け、今後も輸送事業者との物資輸送に関する協定の締結を進めてまいります。
次に、これからの区政運営についてのお尋ねです。
まず、新型コロナウイルス感染症収束を見据えた財政運営についてです。区は、新型コロナウイルス感染症がもたらした危機を乗り越え、区民の暮らしや区内産業の活力とにぎわいを取り戻すとともに、この経験を基に感染症への備えを強化することで、これまで以上に安全で安心できるまちの実現を目指しております。こうしたまちの実現に向け、今回の補正予算は、ワクチン接種体制の強化など感染拡大防止と区民の命と生活を守ること、キャッシュレス決済を活用した還元事業など区民生活の支援と区内経済の回復を図ること。この二つを柱として編成いたしました。
次に、人口動向と人口推計についてのお尋ねです。区の人口は、令和二年五月に近年最多となりましたが、今般のコロナ禍においては、令和三年六月現在、ピーク時と比較して、総数の一・四%に当たる三千七百五十六人減少し、特に〇歳から四歳の減少が多く見られるなど減少傾向が続いております。今後の人口推計に当たっては、昨年度から導入している区の転入超過数及び実質GDP成長率、並びに将来の経済予測を基にした推計手法の精査はもとより、地方移住志向や出生数をはじめとしたコロナ禍における各種動向の反映を検討するなど、より柔軟かつ精緻な人口推計に向けて取り組んでまいります。
次に、来年度の予算編成方針についてのお尋ねです。区は、新たな港区基本計画において、新型コロナウイルス感染症の影響による複数年にわたる厳しい財政状況を見込んだ上で、基金の効果的な活用や特別区債の計上等により財源を確保し、今後、見込まれる行政需要に的確に対応できる財政計画を策定しております。
七月に策定する令和四年度予算編成方針では、港区基本計画における計画事業の着実な推進はもとより、感染症から区民の命と生活を守る取組、感染症の収束後、早期に区民生活と区内経済を回復する取組など、刻々と変わる状況を的確に捉え、区民生活の実態に即した必要な取組を重点的施策として定めてまいります。
次に、総合力を発揮する体制についてのお尋ねです。区は、喫緊の課題であるワクチン接種業務について、全ての部署の本来業務と位置づけるなど、予期しない事態や組織横断的な新たな課題が生じた場合は、全庁一丸となった体制を構築しております。加えて、区が一貫して推進してきた「参画と協働」の裾野が広がり、今般のコロナ禍において、多くの区民や企業から現金の寄附や物資の支援が寄せられ、ワクチン接種会場や人材の提供を受けるなど、区と地域が一体となって困難に立ち向かっております。今後も、あらゆる危機や多様化する行政課題に対して、区の総合力を発揮し、迅速かつ効果的な施策を積極的に展開してまいります。
次に、デジタル化の推進体制についてのお尋ねです。区は、今年度から六年間を計画期間とする港区情報化推進計画を策定し、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化の実現を目指し、ICTの活用に取り組んでおります。区は、計画に基づき、行政手続のオンライン化やキャッシュレス決済の拡充について、全庁的な取組を進めております。今後、AIを活用した情報発信や、転入時に複数の申請書を一括で作成する窓口での手続のICT化など、さらなるデジタル化の推進に向けて、専門家の意見も頂きながら全庁横断的に連携し、区民サービスの向上や業務の効率化に取り組んでまいります。
次に、現在の保育環境における課題とその対応についてのお尋ねです。区内の全私立認可保育園等運営事業者に対してヒアリングを行ったところ、定員に対する多くの空きが収支の悪化を招いており、このことは、区全体の保育の質の維持・向上の観点からも大きな課題と捉えております。一方で、待機児童ゼロを継続し、誰もが希望する時期に保育園に入園できるためには、常に定員に対して一定の空きが必要です。今後、港区保育室の定員を大きく見直すなど、私立認可保育園等の定員に対する空きを可能な限り解消するための対策を実施し、待機児童ゼロの継続と保育の質の維持・向上に努めてまいります。
次に、今後の区の子育て環境の整備についてのお尋ねです。区は、本年四月から児童相談所設置市となり、より主体的に子育て支援に取り組むことができるようになりました。これまで以上に公私立保育園の連携を深め、互いの力を生かすことで地域全体の保育の質の向上につなげてまいります。また、保育士のキャリアアップに対する補助など、これまでの支援策に加え、保育人材の確保や保育士定着に向けた効果的な支援策について検討してまいります。さらに、様々な手法を活用し、園児の外遊び場の確保に努めるなど、区ならではの子育て環境の整備に努めてまいります。
次に、精神障害者への支援策についてのお尋ねです。区は、これまで精神障害者のグループホームの設置をはじめとした住の支援、就労の場を確保する職の支援など、自立への支援を推進してまいりました。本年六月には、短期入所や就労支援事業所を備えた精神障害者支援センターを開設するなど、支援の充実に取り組んでおります。現在、精神障害者の就労状況は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響により、これまでになく厳しい状況にあります。こうした中、区は、精神障害者の皆さんが住み慣れた地域の中で安心して生活できるよう、新たな支援策について具体的に検討してまいります。
次に、新型コロナウイルス感染症収束後の職員の役割についてのお尋ねです。区は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、多くのイベントや対面での会議等を中止せざるを得ない状況でしたが、可能なものは工夫して対応してまいりました。感染症の収束後においては、これまでの区民の「参画と協働」の取組を推進していくことはもとより、感染症対策を講じた地域のキャンペーンやオンライン会議など、コロナ禍での工夫により得た手法等を積極的に活用し、これまで以上に区政へ参加しやすい環境を整備してまいります。そのために区民の立場に立ち、地域に寄り添った質の高い港区ならではの行政サービスを提供することが、職員の役割であると考えております。
次に、東京二〇二〇大会の準備状況についてのお尋ねです。
大会開催まで四十四日前を迎え、区では、組織委員会等による交通規制の情報や感染症対策の取組を区民等に広く周知するなど、開催の準備は最終段階に入っております。現在、国による基本的対処方針の内容や、東京都による緊急事態措置の動向、競技場の観客の有無などの基本情報に注視しながら、コミュニティライブサイトなど計画事業の準備を進めております。
一方、新型コロナウイルス感染症対策は、現下の区の最重点課題であり、大会関連事業については、実施内容や規模、方法等を感染症の状況も見極めながら検討し、適切に判断してまいります。
次に、ペットボトルの水平リサイクルについてのお尋ねです。
区は、二〇五〇年までに区内の温室効果ガスの排出実質ゼロとすることを目標に、脱炭素社会の実現に向けた取組を進めており、その一環として、さらなる廃棄物の減量と資源リサイクルの推進に取り組んでおります。区が回収したペットボトルは、ペットボトルのほか、食品用トレーや繊維等に再商品化されていますが、全てをペットボトルとして再商品化する水平リサイクルは資源の価値を長く補助し、原材料となる石油資源の消費を減らすことを可能とするものです。現在、ペットボトルの水平リサイクルについて、再生処理事業者や飲料メーカー等と意見交換をしており、引き続き調査検討を進めております。
次に、デジタル化への対応についてのお尋ねです。
まず、デジタル化の現状と課題についてです。区は、令和二年十月にICT等を活用した行政サービスの利便性向上に向けた取組指針を定め、令和三年六月現在、約百九十の手続をオンライン化しております。電子決済機能も備えた行政手続のオンライン化を進める上では、申請や申込みだけでなく手続全体の流れを把握し、システムを構築していくことが課題となっております。今後、システムの構築に向けた技術的な課題を解決しながら、行政手続のオンライン化の拡充に取り組んでまいります。
次に、デジタルインフラの整備の推進についてのお尋ねです。区では、区有施設の使用料や証明書手数料などのキャッシュレス決済を今月から開始いたしました。さらに、区有施設のインターネット環境を充実するため、区有施設二十八施設にモバイルルーターの配備を予定しております。今後も、利便性の高い区民サービスを提供していくため、Wi−Fiなどのインターネット環境を充実していくとともに、5Gのアンテナを設置することができる区有施設の情報を公開し、通信事業者のアンテナ設置を促すなど、区民の誰もがデジタル化の恩恵を享受することができるインフラ環境の構築に取り組んでまいります。
次に、地方空港への分散化を要請することについてのお尋ねです。
区は、これまでも区議会と協力し、騒音や落下物対策、新飛行経路の固定化回避に向けた検討等を国に要請し、羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策、検討会の設置や白金いきいきプラザでの短期騒音測定などの実現につなげてまいりました。今後も、新ルートに限らず、飛行経路の様々な運用の検討とともに、地方空港のさらなる活用による飛行ルートの分散化等について、国に対し、強く要請をしてまいります。
最後に、高齢者の補聴器利用の支援策についてのお尋ねです。
区では、昨年度、厚生労働省による高齢者の補聴器利用に関する研究事業に参画し、高齢者がいつまでも生き生きと生活していくためには、難聴を早期に発見し、補聴器の適正な使用を支援していくことが重要であると分かりました。今後、区は、早期発見のための言語聴覚士による聞こえの講座を開催するとともに、難聴高齢者の社会参加を積極的に支援するため、補聴器相談医、認定補聴器技能者と連携し、補聴器の購入前からアフターケアまでを継続的に支援する港区独自の補聴器購入費助成制度を整備し、高齢者の聞こえを積極的に支援してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(浦田幹男君)登壇〕
○教育長(浦田幹男君) ただいまの自民党議員団を代表しての黒崎ゆういち議員の御質問に順次お答えいたします。
次世代の子どもの教育環境についてのお尋ねです。
まず、三十五人学級についてです。教育委員会では、国の段階的な引下げの方針に沿って、今年度から五年かけて小学校全学年の三十五人学級を実現いたします。令和五年度までは、区の人口推計を基に、四年生までの三十五人学級を進めるために、学校の実情を踏まえ、転用や改修が可能な教室についての調整を重ね、必要な教室数を確保いたしました。令和六年度以降につきましては、コロナ禍の社会情勢の変化により、今後の就学人口の変動も予想されることから、最新の児童数の将来推計を注視しながら、特別教室等の普通教室化や増改築、仮設校舎の設置などの従来の手法にとどまらず、制度面も含めたあらゆる検討を進め、全学年の三十五人学級を予定どおり実現をしてまいります。
次に、デジタル教科書の活用についてのお尋ねです。現在、小・中学校では、従来の紙の教科書に加えて、小学校の国語、算数、中学校の国語、数学でデジタル教科書の活用を開始しております。デジタル教科書は文字の拡大や音声による読み上げなどの多様な機能や、学習内容に付随した教材などの様々な特徴があり、児童・生徒の新たな学びを促しております。
一方で、紙の教科書は音読の指導の際に情景を思い浮かべやすいなどのよさもあることから、教育委員会では、両方の教科書の活用を進めております。今後は、現在、導入している教科について、デジタル教科書の活用状況や効果を見極め、社会、理科、英語などの教科に拡大することを予定しております。
次に、GIGAスクール構想の今後の取組についてのお尋ねです。現在、各学校では、校内のICT担当教員やICT支援員等を講師としたタブレット端末の活用の校内研修を積極的に実施しております。また、教育委員会は、各学校の効果的な端末活用を促進するため、教員がオンライン上で情報共有を行うGIGA×TEACHERS港区推進チームを本年五月に立ち上げ、先駆的な好事例を共有し、教員一人一人が研さんを積むことで端末活用の質の向上を目指しております。
さらに、各学校に週一回配置をしているICT支援員に加え、教育委員会事務局に配置を予定しているGIGAスクールサポーターが各校の授業支援を積極的に行うことで、教育委員会と学校が一体となった取組を一層推進してまいります。
次に、小・中学校におけるSDGsへの取組についてのお尋ねです。各校では、持続可能な社会の担い手を育む教育活動を、今年度から教育課程に位置づけ、様々な教科と関連づけたSDGsに関する教育を実施しております。例えば青山小学校では、五年生は海洋プラスチック問題、特別支援学級では、身近な飲食店の店員から海の豊かさを守る取組や自社製品のリサイクル活動について学ぶなど、全校で発達段階に応じた学習に取り組んでおります。
また、港南中学校では、東京青年会議所の協力の下、港南地区の「よりよいまちづくり」をテーマに、持続可能な社会づくりに向け、自分たちが取り組むべきことについて協議し、周囲の大人に提案しております。今後も、持続可能な社会の担い手としての意識を児童・生徒一人一人が持てるようにするとともに、各校の地域の特色を生かした身近な環境の中で、具体的な課題解決の方策を協議、実践する取組を推進することでSDGsに関する教育を一層充実してまいります。
最後に、女性や障害者アスリートの支援についてのお尋ねです。
教育委員会では、令和元年度にプロ女子バスケットボールチームの試合やパラ卓球国際大会の会場としてスポーツセンターを提供し、併せて実施をしたプロ女子バスケットボール選手が直接指導する授業や、日本代表選手によるパラ卓球体験会が子どもたちに高い技術力や競技の魅力を伝える機会となりました。
また、現役を退いたプロ選手が指導するスポーツ教室なども毎年度実施をしており、専門的かつ自分自身に合った練習方法が分かったなど、参加者から好評を得ています。今後も、女性や障害者をはじめとするアスリートの知識や経験を生かして、長く競技に携わりながら活躍できる機会を提供してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○議長(二島豊司君) ただいまの自民党議員団を代表しての黒崎ゆういち議員の質問にお答えいたします。
区議会として国土交通大臣へ意見書を提出することについてのお尋ねです。
国土交通大臣に、改めて羽田空港機能強化に係る安全対策の強化、新ルートの固定化回避を求める意見書を提出することにつきましては、各会派の皆さんに御相談してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
次に、二十一番なかまえ由紀議員。
〔二十一番(なかまえ由紀君)登壇、拍手〕
○二十一番(なかまえ由紀君) 東京都は、現在三度目の緊急事態宣言下にあります。昨年の一回目は、四月、五月の一か月半でしたが、今年は二度の緊急事態宣言で六か月のうち、実に四か月以上も自粛を迫られることとなり、飲食店をはじめ関連業種の苦境、そして私たちの精神的疲弊は頂点に達しています。
政治や行政の取る政策や発するメッセージが救いにも混乱にもつながります。今ある目詰まりを解消し、社会を前進させるべく、みなと政策会議を代表して、区長、教育長に質問をいたします。前向きな御答弁を期待し、質問に入ります。
初めに、港区の人口動向についてです。今までは、まず、区財政について質問し、その後、人口動向を伺うという順番で私は質問してきました。しかし、現在、港区の人口は大きな転換点を迎えている可能性があり、まず、人口動向から聞かなくてはと思いました。
港区の人口を振り返ると、日本が高度経済成長を迎えた昭和三十年代後半から長期間、人口は減少傾向が続きました。昭和六十年代から平成八年までは、地価高騰などを背景に急速に人口が減少し、区の定住人口確保の取組や都心志向、景気回復とともに人口が増え出したのは平成八年以降のことです。以降二十年以上にわたり、港区の人口は右肩上がりだったので、今までは人口は増えるのが当たり前、増え幅がどの程度か、それに伴う行政需要にどう応えるか、増え幅に見合う区民税収入の伸びがないのは景気の影響だ、税制改正の影響だという議論でした。パンデミックやそれによる価値観の変容という人類史上大きな転換点での人口減は、まさに想定外のものでした。
富裕層が多く、税収が豊か、でも上位二割の納税者が区民税収入の七割を占めるとも、上位三割の納税者が区民税収入の八割を占めるとも言われる偏重構造があり、さらに人口規模が大きくないので、何かのタイミングで高額納税者がまとまって転出するようなことがあれば影響が大きい。人口に比して外国人の納税額が高い。お金はあるのに面積が狭く、地価も高くて、行政需要に十分応えるための土地が不足しているという特異な状況にあるのが港区です。区長の安定した区政運営のおかげで、何かあっても財政がすぐに危機になることはありませんが、今後の区政運営に与える影響が大きい人口動向について、まずお伺いします。
国の人口は、令和二年五月から減少傾向にあります。どういう属性の方が減っているのかなど、人口動向の特徴についてお伺いします。
次に、今年三月に出された最新の人口推計では、新しい生活様式の影響は加味せず、実質GDP成長率との連動で予測し、令和四年までは減少するが、その先は増えていく予測になっています。新しい生活様式により住宅価格や家賃の高い都心に住むメリットがなくなって空洞化が進んでも、それが住宅価格や家賃の低下につながり、中・長期的には人口増につながるかもしれないので現段階では分からない。なので、今回の推計では新しい生活様式による影響は加味しなかったということです。
確かに今後は不透明です。ですが、不透明ということで言えば、実質GDP成長率との相関も、今までは相関関係があっただけで、今後も相関関係が続くのではないでしょうか。また、実質GDP成長率の数値も不透明なのではないでしょうか。人口予測は、今後の様々な施策の基礎となるからこそ、毎年発表されるものとはいえ、先行き不透明な現在のようなときは、楽観パターンと悲観パターンの二パターンの想定が必要ではないでしょうか。区の見解をお伺いします。
次に、新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴う区政運営についてです。
区財政の見通しについてお伺いします。港区の税収を左右しているのは特別区民税です。特別区民税収入の額と歳入全体に占める割合が大きいことで区独自の手厚いサービスや将来安心の蓄えが実現できてきました。今年度はコロナ禍により、区民税が昨年度より七十四億円落ち込むものの、来年度以降は回復していくと区は試算しています。リーマンショック時には三年連続、特別区民税が減収しています。新型コロナウイルス感染症の影響は今年度のみで、来年度以降は回復していくと考えていいのでしょうか。
今後の特別区民税収入の試算は、主に実質GDP成長率と人口推計の二要素の反映で出されていますが、人口推計自体が主に実質GDP成長率を反映させて出していますので、今後の特別区民税収入の試算は、つまるところ実質GDP成長率を主に反映させたものと言えます。人口推計同様、楽観的な試算ではないでしょうか。下方にずれが生じた場合はどうするのか、基金を充当し区民サービスの質を下げず、計画事業も予定どおり行うと考えていいのか、今後の財政運営についてお伺いします。
次に、区の施策についてです。新型コロナウイルス感染症患者の家族の居場所づくり、自宅療養者へ食料品等の提供、港区店舗等賃料減額助成金交付事業、エンジョイ・ディナー事業、住民税非課税世帯への区内商品券の給付、特別融資あっせん、要支援・要介護、障害者がワクチン接種会場まで行くためのタクシーチケットの配布等々、コロナ禍で区民を支援するための様々な独自施策を区では行ってきました。他自治体と比べてもきめ細かい区民を応援するための港区の独自施策が展開されていると感じます。
独自施策に関する補正予算の計上額は、令和二年度だけで約百四十億円でした。計上額が大きかったものから順に五つ挙げると、港区店舗等賃料減額助成金交付事業、新型コロナウイルス感染症対策特別融資あっせん、港区商品券特別給付事業、区内共通商品券発行支援、VISIT MINATO応援キャンペーンです。財源としては、財調基金が約百十億円、その他震災復興基金が活用されています。東京都をはじめ、多くの自治体が新型コロナウイルス感染症対策で基金が底をついたり、もともと財政状況が悪く十分な独自施策が打てていない自治体がある中で、港区は恵まれていると思います。
令和三年度末時点での財調基金の残高見通しは約四百五十七億円、使途を新型インフルエンザ等にも拡大した震災復興基金は、残高見通しが約七百五十六億円と見込まれています。財政的にまだまだ余裕がありますが、必要なところにめり張りをつけた手当てをしていくために、事務事業評価を通して、必要性が薄れたものや無駄は厳しく精査し、省いていく必要があります。区では、様々な観点から多岐にわたる事業が展開されていますが、それらを精査しつつ、時期に見合った独自施策をさらに打ち出し、困っている人の支援だけではなく、未来につながる積極投資をすべきと思います。区の見解をお伺いします。
次に、戦略的な広報と広聴についてです。
まず、有効なツールである区設掲示板の総合管理と戦略的な活用についてお伺いします。区は、区政情報を様々なツールで発信していますが、能動的に情報を見に行かなくても目に飛び込んでくる媒体は、新聞に折り込まれる広報みなとと区内約四百か所ある区設掲示板です。新聞購読世帯が減少しており、多くの人に情報を伝える媒体として、区設掲示板の果たす役割は大変大きいのではないでしょうか。コロナ禍での区の対応や新型コロナウイルスワクチンに関する情報が瓦版として掲示板に随時掲示されたのはよかったのですが、掲示板によって貼られていたり貼られていなかったりと、総合的な管理ができているように思えませんでした。遠く離れたエリアでのイベントチラシが突然貼られている掲示板があったり、チラシの貼り方が整然としている掲示板があれば、雑然としている掲示板もあります。現在はどちらかというと場当たり的に使われているように感じますが、チラシの種類により、全ての掲示板に貼るべきもの、特定のエリアに重点的に貼るもの、スペースに余裕があれば貼るものなど、貼るエリア、枚数、期間などを総合的に管理し、効果的な広報ツールとして活用すべきと思います。どのチラシをどこに貼るのかなどの選択・決定は、現在どのようにされているのでしょうか。重要なツールである区設掲示板に掲載する情報についてしっかりとした方針を定め、掲示板を戦略的に活用すべきと思いますが、いかがでしょうか。
次に、より多くの人の英知が集まる広聴の確立についてです。行政DXによって未来を切り開いていくことが期待される現在、オープンデータからさらに進んで、ギットハブを活用したオープンソースにも注目が集まっています。区ホームページは工夫をいろいろと凝らしていただいているのですが、見づらいなと思うことが多々あります。見づらいとは思っても、では、ここをこうしてという提案まで即座に出てこないのがつらいのですが、オープンソースにより大勢の人の知恵を募ることで、ホームページの改善が期待できます。デジタル社会が進展し、情報の公開、共有、協働による社会の進化が可能になりました。より多くの人の声を集め、良い提案を取り入れ、区政を進化させるため、広聴においてもより多くの意見が集まりやすい仕組みをつくっていただきたいです。
現在は、区ホームページに「お問い合わせ」「ご意見」という項目があり、コールセンターやお問い合わせホームにつながります。区政への意見や提案を募るというより質問に答えますというスタンスです。例えば、効果的な新型コロナウイルスワクチン接種を進めるには、どのようなやり方が有効と考えますかといったように、その時々でテーマを立ててアイデアを募れば、区政へ御意見をお寄せくださいと漫然と意見を募るよりも、いいアイデアが寄せられる可能性が高まると思います。区政をよくする様々なアイデアを一般からより多く募るという姿勢で広聴制度をつくっていく必要があると思います。今後どのような工夫が考えられるのか、区の見解をお伺いします。
次に、デジタル時代の情報格差の解消についてです。
まず、情報バリアフリー対策の推進についてです。住民税非課税の世帯に単身世帯に二万円分、二人以上の世帯に三万円分の区内共通商品券を給付する港区商品券特別給付事業の申請率は、昨日時点で約七割です。今年の一月十八日に始まった申請は、当初の締切りである三月十七日になっても、対象二万三千世帯の半分くらいからしか申請がなく、区は、申請期間を六月三十日まで延長し、様々な喚起策、未申請の方に複数回お知らせを郵送したり、民生委員さんを通じて広報などを行い、七割まで持ってきました。延長当初、担当の職員さんに「何で半分の人しか申請しないのでしょうか」と伺ったところ、「国の定額給付金と混同されているのかも」というお話でした。もっと低い結果に終わるのではと思っていたので、三か月の延長で二割上乗せした区の御努力に敬意を表します。
ちなみに国の定額給付金の給付率は、対象総世帯数の九九・四%でした。申請しなかった世帯は約三十四万世帯だそうですが、給付率の高さに驚きます。港区独自の給付事業では、全世帯への一律給付を行わず、困っている確率の高い非課税世帯にピンポイントで、さらに区内商店での消費喚起を期待し、現金ではなく区内商品券を支給しました。申請すればもらえるのに申請をしていない三割の世帯は、商品券が不要だから申請をしなかったのでしょうか。そうは思いません。十万円の現金なら欲しいけれども、二、三万円の区内商品券なら要らないとか、申請が面倒くさいと思った人がゼロではないとは思いますが、定額給付金との混同を含め、事業内容がしっかりと理解されていなかったように思います。該当者に送付された案内文は見ていませんが、区設掲示板に貼られていた周知チラシは小さい文字がぎっしりで、港区商品券特別給付事業という事業名も説明文も取っつきにくいものでした。
港区だけではありません。国、都道府県、そして、私のこの質問もそうでしょう。仲間うちではすぐに理解できるけれども、部外者には取っつきにくい文章ということが往々にしてあります。伝えたい相手が容易に分かる文章が大切と自戒の念を込めて思います。そして、申請の手間を省き、申請不要で該当者に送りつけるという対策が例えばいいかというと、一見いいようで、それは違うと思います。申請が進まない背景にある課題を考えることが、未申請者の抱える課題を解決することにつながると思います。
外国人への対応として使われる分かりやすい日本語は日本人にも必要な視点ですし、未申請者の背景にあると思われる、例えば認知機能の低下や生活上のトラブルなどに目を向け、どういう支援が必要なのかを考えることが、誰一人取り残さない社会の実現につながると思います。分かりやすい表現に加え、情報が届きにくく、なかなか反応してもらえない方たちへ一歩踏み込んだ支援が必要です。
六月五日から高齢者に向けてデジタル活用支援員が区内六か所のいきいきプラザに配置されていますが、ICTの操作支援にとどまらず、高齢者に限らず、各種相談、手続などの支援を身近な場所で行い、情報バリアフリーの推進をしていく必要があると思います。区の見解をお伺いします。
昨年末、区民センターの利用者から「コロナ禍になって以来、Zoomの使用が急に増えていますが、港区の施設、リーブラホールや麻布区民センター、高輪区民センターのホールはLANもWi−Fiもなく、Zoom配信ができません。これらの施設にLANやWi−Fi設備を導入してください」という御意見をいただきました。区にお伝えをしたところ、「基本的に区民センターはMinato City Wi−Fiがつながる場所も多いですが、リーブラホールなどのホール系は今まではむしろ携帯電話が鳴らないよう電波が入りにくくする対象と考えており、Wi−Fiが入るようにしようという方針はなかったが、今後オンラインのニーズが増えていくので、至急現状を確認し、ホールもWi−Fiがつながる方向で検討していく」と言われました。
今月から二十八施設の貸室利用者にモバイルルーターを無料で貸し出してくださるとのこと、ありがたく思いますが、区が導入するモバイルルーターは同時接続が十台から十五台とつなげられる人数に限りがあります。今後デジタル化がますます進展していく中で、公共施設でストレスなくネット環境につながるための公衆無線LANの整備を計画的に進めていっていただきたいと思います。特に災害時に人が集まるポイントなどにはWi−Fi環境の整備を優先的に進めていただきたいです。災害時に避難所となる学校には公衆無線LANが引かれていますが、集中したときにパンクしないよう、整備においては最大見込まれる需要も加味して敷設していただきたいです。今後の公衆無線LANの整備について、区の見解をお伺いします。
次に、町会・自治会への支援です。東京都や港区では、町会・自治会が申請し、イベントを行ったり、物品を購入した際に補助金が支給される制度が幾つもあります。毎回積極的に活用できている町会と、申請手続が面倒、できる人がいないなどの理由で活用できていない町会など、活用状況に格差があります。町会担当の職員さんによる申請支援機能の向上、手挙げ方式からアウトリーチ型への転換を期待しますが、いかがでしょうか。
次に、新型コロナウイルスワクチン接種についてです。どのように接種を進めるかが各自治体に委ねられており、自治体ごとの違いが鮮明になっています。日々状況が変わる中、区には、安全性を確保した上でスピーディーな意思決定と柔軟な対応を行い、ワクチンを希望する人がより早く接種できる環境を整えていただきたいです。
まず、スムーズな接種に向けた区のお考えをお伺いします。個別接種と集団接種を併用する自治体も多い中、港区は集団接種のみです。新宿区は、かかりつけ医での個別接種と集団接種を併用し、さらに集団接種に関しては、四十歳から五十九歳に先駆け、二十歳から三十九歳の方の予約を優先し受け付けます。集団接種を求める人は、かかりつけ医のいない若年層が多いだろうこと、さらに若年層は活動範囲が広いので、感染を減らすには若年層のワクチン接種を進めることが大切という考え方からだそうですが、斬新な発想だと思います。このように自治体それぞれの考えで工夫を凝らし、予約方法や接種方法・順番、余剰ワクチンの扱いなどを定めています。
ワクチン接種対象ではない十二歳未満の子どもと接する職種を優先接種にしてほしいとの要望があり、そのとおりだと思っていたところ、六月七日付で、障害者施設の職員、公私立保育園の職員、児童館及び子ども中高生プラザ職員、学校及び幼稚園教職員など、区民と密接に関わる機会の多い施設に勤務する職員等を優先接種対象にするという区の方針が示され、よかったと思っています。
関係職員の皆さんが日々変わる状況の中で決断し、区民のために頑張ってくれていることに感謝をしていますが、報道での港区の六十四歳以下の方への接種券の発送や接種の開始時期が他区と比べ遅いことに不安の声が届いています。企業との連携など、今後スピードアップに向けた取組が必要と思いますが、いかがでしょうか。
また、これは要望ですが、六月二十一日から職場接種が始まります。接種が進めば経済活動の正常化も早まることが期待できるので、企業は職場接種に前向きに取り組むと思います。受けたい人がより早く受けられることを歓迎する一方で、職場でまとめて受けることで、受けない人への偏見につながることがないように、区でも啓発などの対策をしていただきたいと思います。
次に、港区の考え方を分かりやすく広報してほしいということです。区ホームページのワクチン接種特設ページは文字が多過ぎて見づらいです。優先度の高い情報も低い情報も同列でひたすら列挙されています。対象者ごとの接種時期、接種方法、予約方法や優先順位など、接種を考えている人が知りたい情報が一目で分かるよう、そして優先順位など区の判断結果と判断に至った区の考え方など、一般にみんなが知りたい情報を分かりやすく示してほしいと思います。広報に関する区の見解をお伺いします。
次に、区職員の働く環境についてです。
仕事で能力を発揮するには、自分の希望がかなえられること、自分の得意なことを発揮できる環境、能力や実績を的確に評価してもらえるシステムが必要だと思います。区役所はそのような職場になっているでしょうか。
近年の港区は、住民に一番身近な自治体として非常にきめ細かな住民対応を行っており、そのこと自体はすばらしいのですが、職員の激務が気がかりでした。そこに新型コロナウイルス感染症が重なり、ますます業務が過重となっています。頑張っている区の職員に快適な就業環境を確保していただきたいと思いますし、公務員の就業環境は民間の手本となる良好なものであるべきです。また、社会の根幹を担う公務員が疲弊し倒れるようなことがあれば、社会の停滞につながります。社会福祉を根幹とする行政として、まずは足元の職員の働く環境の改善に全力で取り組んでいただきたいです。
まず、超過勤務についてです。令和二年度の区職員の超過勤務時間合計は、速報値で二十五万九千四百七十時間で、過去五年間で最長となっています。近年、ワーク・ライフ・バランスの推進で超過勤務時間は抑えられる傾向にありましたが、令和二年はテレワークが進んだにもかかわらず、新型コロナウイルス感染症対応が職員の超過勤務を大きく押し上げています。過労死ラインを超えるような過剰残業やサービス残業を生じさせないよう、どのように取り組んでいくのかお伺いします。
次に、職員の人数についてです。先進国で比較すると、日本は人口当たりの公務員数が少ないと言われています。港区の職員定数は千九百九十九人、期限付職員と暫定配置を合わせると二千二百三人です。児童相談所の開設で増えた部分を除くと、人口増や業務増に見合う職員増が行われていません。近年、経費削減や民間のノウハウによる質の向上ということで民間委託や指定管理、人材派遣が増え続けています。民間活力の導入も経費削減も賛成ですが、官製ワーキングプアを生まずに健全な経費削減が図られているのか、本当に住民サービスが上がっているのか、職員の知識や技能の蓄積が低下していないかといった疑問が払拭できません。業務量に対し、圧倒的に職員が足りていないと感じています。各部署からヒアリングをし、手厚い職員数を確保していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、IT人材の確保についてです。日本はIT人材の大半が民間企業に偏重しています。行政DXの推進、複雑で高価な行政システム発注の機会の増加に合わせ、ITに関する素養を有する職員の確保が求められていると思います。行政のデジタル化が進み、情報システムの受注機会がさらに拡大することを見込み、公正取引委員会が全国の自治体におけるシステム受注に関する実態調査を始めました。特定のIT企業が独自仕様のシステムを行政に提供することで、その後の保守や修理を独占したり、他社へ乗換えしづらくするなど競争原理が働かず、価格が高止まりすることを危惧してのものです。発注する自治体側に知識が欠けていると、使い勝手の悪いシステムを高値で導入させられることにもなり、住民にとって大きなマイナスです。
港区では、情報政策監として民間人材を登用し、行政システムに助言をいただいていますが、IT人材を早急に常勤職員として必要な部署にしっかりと配置し、ITリテラシーの高い区政運営を進めていただきたいですが、いかがでしょうか。
次に、人事の在り方についてです。コロナ禍で通常以上に業務が逼迫している今年度の人事異動は、最低限でよかったのではないかと感じています。毎年、年度当初は、この質問や相談は前任者に聞いたほうが早いなと思いつつ過ごしますが、昨年度、今年度は、私たち議員もコロナ禍で聞きたいことがいつもより多いけれども、職員負担を考えると不要不急の案件は控えないとという意識が働く中で、管理職や現場の職員が通常どおり異動する必要があったのだろうかと思います。引き続き在籍している係員が一人だけで、新しい課長がその方に聞きながら対応してくれて、課長さんたちの能力の高さに感心しつつ、申し訳ないなと思うこともありました。
また、人事においては、なるべく希望部署に配属できるようにする工夫も必要だと思います。区がカバーする業務のジャンルは多岐にわたり、異動する部署によっては、転職したのと同じくらい業務内容が変わります。希望しない部署に配属になった場合のストレスは大きいです。希望がかないやすいマッチングシステムがつくれないでしょうか。
また、防災や保健所など人の命に深く関わるような部署では、本人が希望すれば、異動なく生涯一つの職種に取り組むことを可能にしてはどうかという意見を地域の方からいただきました。町会・自治会の方からは、一緒に取り組んできた○○さんが急に新しい人に替わる寂しさや、一から関係性を築き、また最初から地域の課題を共有していかなければならないことへの不満についてよく聞きます。異動により様々な経験を積むメリット、一ところでスキルや経験、人間関係を築くメリット、どちらもあるので、職員の希望がかないやすい人事システムをつくっていただきたいと思います。また、査定の在り方を工夫し、適材適所の人事配置が可能となるようにしていただきたいです。人事の在り方に対する区の見解をお伺いします。
次に、ハラスメントの防止、メンタルケアの充実です。業務負担によるストレスもさることながら、直接的には職場の人間関係によるストレスが休職の原因であることが多いと思われます。現在、ハラスメントの訴えがあった場合、職員組合と人事課が対応に当たるそうですが、ハラスメントや人間関係に関する問題は、非常に対応が難しいと感じています。本人がハラスメントと感じたらハラスメントというのは、そのとおりだと思うのですが、明確に法律違反と判断できるような事例は少なく、加害者とされるほうに問題はあるけれども、双方に言い分があり、訴えた側が納得する処分や対処は難しいのが現状です。ですので、第三者機関が調整、対応、説明を担えれば、少しは改善につながるのではないかと思います。
令和三年三月策定の港区職員のワーク・ライフ・バランス推進プランを読みましたが、女性活躍や育休取得に主眼が置かれており、それらはもちろん重要なのですが、ハラスメント防止やメンタルケアの視点が欠けていると感じました。ワーク・ライフ・バランスには自己実現、キャリア形成のような上向き矢印を伸ばす視点とともに、煮詰まりや目詰まりになっている問題を解消するという下向き矢印を引き戻す視点も大切だと思います。ハラスメント防止やメンタルケアの充実に向けた今後の取組について、区の見解をお伺いします。
次に、職員にアンケートをしてほしいということについてです。職員の働く環境の向上に向けて、より的確な改善策が講じられるよう、無記名も可能なアンケート調査を全職員に実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
最後に、要望ですが、良好な環境を確保していただきたいのは、区を取り巻く民間業者に対しても同様です。区の土地を借りて運営している民間事業者に対しハラスメント等、そこで働く人の労働環境や区民へのサービスについて不満の声が上がっても、民間企業の運営に介入することに区は消極的で、積極的に指導はしてくれません。独立した民間企業であっても、区が誘致した以上、訴えがあった際、問題解決に区も責任を持って取り組んでほしいと思います。
次に、防災についてです。
まず、避難情報の周知についてです。五段階ある避難情報のうち、緊急度の高い三、四、五に関しては区が発令します。「土砂災害」、「津波災害」、「水害」、「高潮災害」に関しては、ハザードマップで危険箇所が想定されていますが、箇所が多いため、全ての箇所を防災ラジオや行政防災無線で列挙して呼びかけるのは現実的ではなく、私たちは該当箇所を防災メールや防災アプリ、区ホームページなど、様々な媒体で確認する必要があります。ICT機器に不慣れな高齢者や来街者を含め、当該エリアにいる方にどう周知を図るかが大切です。危険が迫ってから慌てることのないよう、ハザードマップ上で危険とされているエリアの方に、日頃からの備えとしてハザードマップやマイ・タイムラインの活用を促していくことが大切だと思います。区の見解をお伺いします。
次に、災害対策基本法の改正を受けてです。頻発する自然災害に対し、円滑で迅速な避難を行うとともに、災害対策の実施体制を強化するため、災害対策基本法が改正され、先月から施行されています。改正の主な内容は、避難勧告・避難指示の一本化、市町村の個別避難計画作成の努力義務化、災害発生のおそれ段階での国の災害対策本部の設置などです。努力義務となった要支援者の個別支援計画づくりについて、区では、従前から名簿作成に取り組んできましたが、まだまだ残された課題があります。令和二年度末の対象者三千四百六人に対し、個別支援計画が作成されている人は三割弱の九百十一人です。実効性のある制度となるよう、今後の取組が求められています。要支援者の安全を確保しつつ、民生委員など支援する側の不安を減らすために今後どう取り組んでいくのか、区のお考えをお伺いします。
次に、犯罪発生に関する情報発信についてです。みなと安全安心メールや区公式LINEなどから、痴漢などの犯罪発生に関するお知らせが度々送られてきます。しかし、発生場所や犯人の特徴、犯罪内容、どれもがざっくりしていて、情報を受け取っても、どう対処すればいいのか分かりません。その後どうなったのか、解決したのかも分からず、住民は不安を抱えたままになっています。スマートフォンにプッシュ通知で送られてくるので、港区はわいせつ事案ばかりあるねと言われることもあり、何とも言えない気分になります。情報発信の在り方を改善していただきたいです。区の見解をお伺いします。
次に、中小企業支援についてです。
東京商工リサーチの発表によると、五月の都内の倒産件数(負債額一千万円以上のもの)は、前年同月比二・六倍の百三件で、九か月ぶりに前年同月を上回ったそうですが、これは緊急事態宣言による裁判所の業務縮小で倒産手続が進まなかった前年の反動が大きく、五月の倒産件数としては、一九八九年以降三番目の少なさだそうです。新型コロナウイルス感染症により経済活動が壊滅的にもかかわらず倒産件数が少ないのは、自治体の緊急融資や雇用調整助成金などで何とかしのいでいるからで、一方、廃業は多かったと言われています。新型コロナウイルス感染症が落ち着き、支援策がなくなったら倒産が急増するというようなことのないよう、今から対策を考えなければならないと思います。
港区内の企業の倒産件数は、令和元年が百三十七件、令和二年が百四十四件、今年も例年よりむしろ少ない件数で推移しています。経済は壊滅的なのに、やはり倒産件数としては現れていません。港区内の企業の倒産などの状況を区はどのように受け止めているのか、見解をお伺いします。
区では、事業承継や経営相談など中小企業を支える制度が幾つもあり、必要としている企業が必要な制度につながるよう周知と充実に努めていただきたいと思っています。そして、今後、大切になってくるのは、離職者や失業者、転職希望者が新たなスキルを身につけるための支援ではないでしょうか。産業構造の変化に対応し、需要の多い職種に人材がうまく流動していけるようスキル取得の支援が大切です。
現在、区では、ハローワークとの連携や中小企業人材育成塾という制度において、区内中小企業の経営者や従業員にワード、エクセル、パワーポイントなどの研修を実施していますが、今後は、さらに多彩なメニューを期待したいです。苦境にある中小企業やそこで働く方に向けて、今後どのような施策を考えているのか、区の見解をお聞かせください。
テークアウト、デリバリー、通信販売を導入する店舗に費用の五分の四を補助する事業など、飲食店等が新型コロナウイルス感染症に負けず、新たな販路を切り開いていくための支援が商店街加盟店に限定されています。商店街加盟のメリットは認めますし、区が促進したい気持ちも分かりますが、加盟したくないという個別の事情がある店舗もあります。ですので、事業の趣旨が新型コロナウイルス感染症対策であるのであれば、商店会への加盟の有無に限らず支援が受けられるようにすべきではないかと思います。区の見解をお伺いします。
次に、健康推進についてです。
コロナ禍による特定健診やがん検診の受診者数の減少と改善策についてです。コロナ禍で健康診断の受診控えが懸念されていましたが、港区の速報値でも、令和二年度は特定健診や各種がん検診の受診者数が減少しています。令和元年度と比べ、いずれのがん検診でも受診者数が減っており、がん検診合計での受診者数は十一万六千八百四十八人から十万三千九十四人へと一万四千人近く減っています。減り幅は約一二%なので、人口減の影響をはるかに超えています。
生活習慣病やがんは早期発見、早期対応が非常に重要で、定期的な検診が大切です。新型コロナウイルスワクチンの普及とともに受診者数も回復していくものと思いますが、新型コロナウイルス感染症感染拡大が別の健康被害を生みかねない、このような事態に区ではどのように取組を行っていくのか、区の見解をお伺いします。
次に、メンタルヘルス対策の充実についてです。コロナ禍による家計の悪化、自粛、巣ごもりなど、生活スタイルの激変が私たちに大きなストレスとなっています。区では、早い時期からこころのサポートダイヤルを開設し、臨床心理士等の専門職が新型コロナウイルス感染症による心の不調に対応してくれていました。環境の変化による家族間のトラブルなど様々な声を聞きますが、すぐに解決するのは難しく、粘り強く寄り添っていくことが必要なケースも多いと思います。コロナ禍を経て、区の今後のメンタルヘルス対策はどのような取組を考えていらっしゃるのか、見解をお伺いします。
次に、ヤングケアラーの支援についてです。
通学しながら日常的に家族の世話や介護をしている子どもを指すヤングケアラーという言葉を耳にする機会が増えました。これまでは本人が声を上げないケースが多く、問題として認識されなかったり、家庭内の問題で片づけられてきましたが、やっと支援すべき層として、クローズアップされ始めました。ただし、存在に光が当たるようになっただけで、具体的な支援はこれからです。
三重県名張市は、ケアラーを地域社会全体で支えるため、ケアラー支援条例案を六月議会に提出する予定です。ケアラー支援条例は、昨年三月に埼玉県、今年三月に北海道栗山町が制定しました。名張市で制定されれば、全国三例目と条例化した自治体はまだまだ少ないですが、今後、全国の自治体に取組が広がっていくと思います。
特に十八歳未満のヤングケアラーについては、適切な教育や心身の健やかな成長をしっかりと保障しなければなりません。名張市の昨年八月の実態調査では、市内に二十八人、ヤングケアラーに該当する事例が確認されています。
小池都知事も実態把握の方針を打ち出していますが、東京都の指示を待たず、学校関係者にヒアリングをするなどして区で早急に実態把握をし、支援すべきです。あわせて、啓発や支援人材の育成にも取り組むべきです。区の見解をお伺いします。
次の二点は要望にいたしますが、述べさせていただきます。
まず、ルールを守るまちづくりについてです。みなとタバコルールや放置自転車に関し指導する巡回員がいますが、なかなか指導力が発揮できていないと感じています。刑法上の犯罪ではなく、条例で規定された違反事項は、仮に過料があっても守られないことも多く、まして港区は罰則がありません。そのため、歩きタバコ、放置自転車、放置バイク、走行マナー、騒音など、日常の迷惑行為に対して、様々苦情の声を頂きますが、劇的な解決策が見出せていないのが現状です。青色パトロールカーのスピーカーを通して個別に注意をするなど、条例違反の迷惑行為に対し、効果的な指導を考えていただきたいです。また、巡回員の暑さ対策にもこれからしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、潤いのある街を目指してです。都心であっても水辺や緑、公園といった公共空間が人々の心身の健康に与える影響は大きいです。水辺環境、緑の保全、公園や町なかのベンチの整備など、ほっとできる空間づくりを総合的に進めていただきたいです。
古川や有栖川公園など、まとまった規模の昔から受け継がれている自然をしっかりと守り、質の向上を図っていただきたいです。古川に関しても上流は水流が少なく、首都高で塞がれていて日当たりが悪い。護岸整備で河原がないなど、親水には程遠いと思っていましたが、よく見るとカモや魚がいます。東京都の所管でもあり諦めていましたが、古川がきれいになれば、街が大きく輝くと思います。
港区では、古川の周辺公園を親水公園として水面に近づけるテラスを造ったり、護岸にアジサイを植えるなど、区の所管でできる親水空間づくりを行ってくれていますが、川自体が美しくならないと、本当の親水は実現できません。東京都は落合水再生センターからの再生水を流したり、港区は流路整正といって川底のヘドロをさらったりしていますが、東京都にも強く働きかけ、古川の浄化に粘り強く取り組んでいただきたいです。
最後に、小・中学校における課題についてお伺いします。
まず、教員の負担軽減についてです。コロナ禍で教職員の業務負担が増しています。文部科学省が前向きな発言を発信してもらおうと始めた「#教師のバトン」に教師から苛酷な労働実態を訴える声が続出し、話題になりました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大で、昨年三月の卒業式以来、私は地元の小・中学校に一度も訪問できずにいます。感染予防対策に細心の注意を払い、オンライン授業やデジタル教科書の導入で授業の準備にかかる時間が増え、十分な授業時間が確保できない、運動会など各種イベントがなくなるといった中でも、児童・生徒の学びを維持しようと苦心されている先生たちの姿を想像しつつも、直接お声を聞けずにいます。
二〇二〇年度の教員の採用倍率は過去最低の二・七倍でした。少子化で若い人たちが先生になりたくてもなれない時代を経て、最近は世代交代で若い先生方が増え、学校現場に活気が出てきたと感じていました。なりたい人が減るという悲しい流れを固定化させてはいけないと思います。区は、今後どのような取組で教員の負担軽減を図っていくのか、教育長にお伺いします。
最後に、視力低下対策についてです。文部科学省の調査によると、視力〇・一未満の小学生の割合は、一九七九年の一七・九%から二〇一九年度には三四・五%に倍増、中学生も三五・一%から五七・四%へと増えています。共に過去最悪の数値です。授業でもデジタル機器の使用が増えることから対策が急務です。
人間工学の専門家は、「紙でもデジタルでも目を近づけ過ぎると近視になるのは同じだが、デジタルは特に熱中しやすいので、授業で視線を外させる工夫や、家庭と連携し、生徒に健康リテラシーをつけてもらうことが重要」と言っています。港区の子どもの視力の状況、視力低下対策について、教育長にお伺いします。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまのみなと政策会議を代表してのなかまえ由紀議員の御質問に順次お答えいたします。
最初に、港区の人口動向についてのお尋ねです。
まず、人口動向の特徴についてです。区の人口は、令和二年五月のピーク時と本年六月を比較すると、三千七百五十六人の減少となり、うち外国人が二千二百九十七人となっております。年齢別人口では、昨年度と令和元年度の一年間の社会増減数の比較で、二十五歳から三十九歳までの転入者数が特に大きく減少しております。
次に、新しい生活様式を加味した人口推計についてのお尋ねです。区は、人口推計を実施する際、コロナ禍の影響を踏まえた経済予測を加えながら、複数の推計を行った上で多角的な検討を進めてまいりました。区政の推進に当たっては根拠となる人口予測を設定し、施策の方向性や事業規模を検討する必要があります。このことから複数の推計のうち、最も正確性が高いと見込まれる結果を区独自の人口推計に採用しております。今後も、新しい生活様式による社会変化や、新型コロナウイルス感染症に起因する経済動向への影響を注視するなど、人口動向を継続的に分析し、適切に推計してまいります。
次に、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う区政運営についてのお尋ねです。
まず、区財政の見通しについてです。区は、新たな港区基本計画において、新型コロナウイルス感染症の影響による複数年にわたる厳しい財政状況を見込んだ上で、基金の効果的な活用や特別区債の計上等により財源を確保し、今後、見込まれる行政需要に的確に対応できる財政計画を策定しております。長期化する今回の感染症の影響から、区の歳入の見通しはいまだ不透明な状況ではありますが、今後の特別区民税収入の動向も踏まえつつ、減収局面でも質の高い区民サービスを維持するため、これまで計画的に積み立ててきた基金を効果的に活用するなど、中・長期的視点に立って安定的で計画的な財政運営を行ってまいります。
次に、区の施策についてのお尋ねです。区は、これまで、区民に最も身近な行政として、地域の様々な課題に向き合い、保護者が感染し入院した場合の子どもの居場所づくり事業など、区独自の施策を、国や東京都に先駆けて迅速に実施してまいりました。引き続き、区民の生命と健康を守るための感染症対策を最優先に、生活の支援や地域経済の回復など、区民生活の隅々にまで目の行き届いた、区ならではのきめ細かな施策を推進してまいります。あわせて、区の将来ビジョンを示す港区基本計画に計上した計画事業など、中・長期的な視点から優先的・重点的に取り組むべき課題に限られた財源を配分し、未来につながる施策を積極的に展開してまいります。
次に、戦略的な広報と広聴についてのお尋ねです。
まず、区設掲示板の総合管理と戦略的な活用についてです。区設掲示板への掲示は、区の要領に基づき、広く区民に周知すべき情報など、公共性・公益性がある団体等の活動に関するものについて、各地区総合支所で許可しております。また、迅速に区民へお知らせする必要のある新型コロナウイルスワクチンに関する情報など、身近な場所で最新情報を受け取れるよう、各地区総合支所の職員が直接掲示し、その際には、見やすい掲示位置となるよう心がけております。引き続き、より多くの最新の情報をお伝えすることができるよう掲示位置や時期などを考慮し、きめ細かな工夫を重ねてまいります。
次に、より多くの意見を集めやすい広聴の仕組みについてのお尋ねです。区は、広聴体制の強化を図るため、本年四月に政策広聴担当課長を新たに設置いたしました。区民の声や地域の新たなニーズを的確に捉え、より迅速に区の施策の改善や創出につなげてまいります。
また、これまで行っていたスマートフォンのLINEを活用したプッシュ配信に加え、本年四月には、区民の方がLINEを利用して、簡単に区政に対する意見や提案を送れるよう、双方向性を高める仕組みを追加しました。今後も、より多くの区民の声を区の施策へ反映できるよう、ICTを活用した広聴の充実、強化に努めてまいります。
次に、デジタル時代の情報格差解消についてのお尋ねです。
まず、情報バリアフリー対策の推進についてです。区は、高齢者などICTの活用が苦手な方にきめ細かなサポートを行うため、日常的に使用するSNSなどの使い方の助言を行う高齢者デジタル活用支援員を区内六か所のいきいきプラザ等に配置し、六月五日からの支援を開始いたしました。また、六月中に、区民の情報通信機器の活用状況や区の情報の取得方法に関する港区民の区政情報取得に関する動向調査を実施する予定です。今後、調査結果を踏まえて、より効果的な情報バリアフリー対策について検討してまいります。
次に、今後の公衆無線LANの整備についてのお尋ねです。区は、区民センターなどの区内施設八十四か所において、アクセスポイントを一か所以上設置することを基本に、インターネットが利用できる環境を整備してまいりました。コロナ禍における貸室でのオンライン会議等の需要を受けた、さらなるインターネット環境の整備に際しては、設置工事の必要がなく、最小限の経費で導入できるモバイルルーターを区民センター等に配備し、六月下旬から順次貸出しを行います。今後も、モバイルルーターの利用状況等を踏まえ、モバイルルーターの追加配備やアクセスポイントの増設など、区有施設のインターネット環境の向上に取り組んでまいります。
次に、町会・自治会の各種補助金申請の支援についてのお尋ねです。区では、毎年度、区の補助金申請の手続をまとめた町会等補助金の手引を作成し、町会・自治会へ送付するとともに、総会などの様々な機会を捉えて、助成内容や手続など丁寧に御説明しております。また、各地区総合支所の窓口では、新型コロナウイルス感染症対策を十分に講じながら、町会等の相談に応じ、一緒に書類を作成するなどの支援もしております。今後も引き続き、各地区総合支所の職員が各団体の事情や特色を十分に把握し、団体の立場に立った丁寧な対応をするとともに、各団体が補助金などの各種助成制度を積極的に活用できるよう努めてまいります。
次に、ワクチン接種についてのお尋ねです。
まず、スムーズな接種に向けての区の考え方についてです。区では、十二歳から六十四歳までの区民に対して、今月二十五日と二十八日に接種券を発送するための準備を進めております。接種の対象人数は、高齢者の約四倍、十八万人を超える人数を想定しており、スムーズな接種の実施に向け、接種会場の変更や会場内の動線の見直し、接種枠を増やすことなど、多岐にわたり検討を行っております。また、民間施設を活用した接種会場の確保など、区内企業等との連携協議も進めており、一日も早く希望する全ての区民が接種できるよう、取組を加速してまいります。
次に、区の考え方を分かりやすく広報することについてのお尋ねです。区は、ワクチン接種に関する情報を正確かつ速やかに発信するため、区ホームページ特設ページを設けて毎日更新しております。特設ページでは、ページの上部に最新情報が一目で分かるお知らせ欄を配置し、また、接種方法や予約方法、区の方針等の重要な情報をすぐ閲覧できるページ内目次を掲載するなど、表示を工夫しております。現在の特設ページの情報量は、開設時から比較し、十倍以上となっております。今後のさらなる情報発信を見据え、特設ページの内容を整理し、図の掲載やページタイトルをボタン表示にするなど、区民の方に必要な情報を確実に届けるための改善を図ってまいります。
次に、区職員の働く環境についてのお尋ねです。
まず、超過勤務の縮減に向けた取組についてです。職員が超過勤務を行う際は、所属長が命令を行った上で、事前の申請と事後の確認を徹底し、サービス残業がないよう職員の労働時間を適切に管理しております。また、大規模災害等の特例業務を除き、上限時間を原則、月四十五時間、年三百六十時間とし、ICTの積極的な導入、時差勤務制度の拡充、全庁一斉消灯、ノー残業デーの設定等により超過勤務の縮減を推進しております。今後もさらなる超過勤務の縮減に取り組み、職員にとって働きやすい職場を実現してまいります。
次に、職員の人数についてのお尋ねです。区では、毎年度、所属長へのヒアリング等を行った上で、業務量に応じた人員を適正に配置しております。今年度は、児童相談所の開設に必要な職員を配置するとともに、新型コロナウイルス感染症対応を担う保健所の職員を増員いたしました。また、労働力人口が減少する中、きめ細かな行政サービスを提供し続けるためには、指定管理者等の民間活力や多様な人材を効果的に活用していくことも重要です。今後も簡素で効率的な執行体制を維持し、職員一人一人が高い能力、専門性を備える人材育成を推進するとともに、区が直接担うべき業務や重点課題に取り組むべき分野には、積極的に職員を配置してまいります。
次に、IT人材の確保についてのお尋ねです。区は、これまでも区におけるICT政策の推進を補佐する情報政策監を配置してきたほか、IT企業で培われた経験を持つ職員をシステム部門に配置してまいりました。今後は、デジタルトランスフォーメーションやオンライン化を推進することにより、区民一人一人のニーズに合った行政サービスを提供することが重要です。このため区は、アドバイザーとしての民間事業者の活用や、常勤・非常勤職員を問わずITに関する専門人材を確保するとともに、国や自治体、民間との人事交流を通じて職員の育成を図るなど、デジタル社会に対応できる職員体制を構築してまいります。
次に、人事異動の在り方についてのお尋ねです。区は、自己申告の面接を通じて、異動希望の有無や異動を希望する所属を把握するとともに、所属長の意向や組織の課題を十分聴取した上で人事異動を行っております。また、職員が活躍したいと思う部門に応募する公募制人事異動や、職員が培った専門的な能力や技術を組織的に生かすためのスペシャリスト認定制度により、異動年限にとらわれない柔軟な配置も行っております。今後も、限られた人員の中で、社会経済情勢の変化や増大する行政需要に対応できるよう、職員の意欲、能力を生かした適材適所の職員配置を推進してまいります。
次に、ハラスメントの防止とメンタルヘルスケアの充実についてのお尋ねです。区では、毎年ハラスメント防止週間を定め、啓発活動と研修の実施によりハラスメント全般の防止を図っております。また、女性職員を含む専門相談窓口を設置し、相談があったときには、迅速な事実確認と適切な措置を講じ、職場環境の改善を行っております。
メンタルヘルスケアについても専門的な立場からアドバイスや指導を行うため、これまでの保健師等による健康相談に加え、今年度から臨床心理士を配置し、職員からの様々な相談にきめ細かく対応しております。今後も職員が意欲を持って働き続けられるよう、ハラスメントの防止とメンタルヘルスケアの充実に取り組んでまいります。
次に、職員アンケートの実施についてのお尋ねです。超過勤務の縮減、年次有給休暇の取得推進、テレワークの実施、育児や介護等の両立などに関する無記名の職員アンケートを実施し、職員の声を参考に、さらなる改善を図ることで、誰もが生き生きと働き、その持てる力を十分に発揮できる、働きやすい職場づくりを一層推進してまいります。
次に、防災についてのお尋ねです。
まず、避難情報の周知についてです。区は、区民の生活エリアで想定される災害への備えを啓発するため、各地区総合支所等で各種ハザードマップや東京マイ・タイムラインの配布を行うとともに、職員による使い方などの案内も行っております。コロナ禍のため、いきいきプラザでの出前講座や防災出張講座などの啓発活動は縮小せざるを得ない状況ですが、工夫を凝らし、区民の皆さんが御自身の住んでいる地域の状況や対策を把握し、災害時に的確に行動できるよう、引き続き啓発を進めていきます。今後も、区ホームページやSNSでの案内、地域防災協議会の会合など様々な機会を捉え、周知啓発に取り組んでまいります。
次に、災害対策基本法改正を受けた避難行動要支援者に対する区の取組についてのお尋ねです。区は、平成二十七年度から避難行動要支援者登録事業を実施し、民生委員・児童委員等の支援、関係者の協力を得ながら、要支援者名簿や個別支援計画の作成を進めてまいりました。発災時には、支援関係者が不安なく要支援者に対する支援を円滑に実施できるようにする必要があります。そのため、区では、災害時を具体的に想定した名簿活用の手順書を策定し、支援関係者が実施する支援内容の説明や意見交換を重ねております。引き続き、支援関係者が災害時にも安全・安心に支援を行えるよう、きめ細かに支援体制を強化してまいります。
次に、犯罪発生に関する情報発信についてのお尋ねです。
区は、区内での犯罪等の発生情報や防犯・防火等に役立つ情報を、みんなと安全安心メールやLINEで配信しております。メール等には担当課の電話番号を記載し、夜間や土曜、休日でも事案の詳細や捜査状況等に関する問合せに対応しております。配信内容については、警察等の職務遂行や被害者等の不利益にならないよう配慮して配信しており、配信した事案が解決した場合には、その内容についてもお知らせしております。今後、メール等を配信する際には、犯罪等への対処方法についても追記するなど、分かりやすい配信に努めてまいります。
次に、中小企業支援についてのお尋ねです。
まず、区内企業の倒産状況をどのように受け止めているかについてです。区内企業の倒産件数は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の前後で大きな変動はありませんが、港区政策創造研究所が実施した調査の結果から、令和二年度の区内における飲食店の廃業件数が、コロナの感染拡大以前と比較して増加していることが分かっております。また、商店街関係者から寄せられる御意見や経営相談に訪れる事業者の相談内容からも、区内中小企業者は依然として厳しい経営状況にあるものと認識しております。
次に、中小企業やそこで働く人に向けた支援についてのお尋ねです。
区は、これまで、区内小規模企業を対象とした事業承継支援補助や中小企業向けセミナー、新入社員研修等を実施する中小企業人材育成塾を開催するなど、区内中小企業の後継者不足の解消や人材確保、人材育成の支援に取り組んでまいりました。今後は、セミナーのオンライン開催を進めるほか、ハローワーク等が実施する職業訓練に関する情報を、SNS等を活用して、区としても広く周知するなど、より多くの中小企業や働く人に支援が行き届くよう取り組んでまいります。
次に、コロナ対策に関し商店街加盟の有無を問わない支援についてのお尋ねです。昨年度から実施しているテークアウト・デリバリー・通信販売導入商店街店舗応援事業については、近隣に商店会がない場合、港区商店街連合会の賛助会員となることで利用できるよう制度を拡充しております。また、新型コロナウイルス感染症対策特別融資あっせんやテレワーク設備支援補助、本年十月開始予定のキャッシュレス決済による三〇%還元事業など、商店街加盟にかかわらず、区内中小企業者が現在の難局を乗り越えられるよう様々な支援を行っております。今後も、区内中小事業者が各制度を利用しやすい環境を整え、将来にわたり営業を継続できるよう支援をしてまいります。
次に、健康推進についてのお尋ねです。
まず、コロナ禍による特定健診やがん検診の受診者数の減少と改善策についてです。昨年度の特定健診やがん検診の受診者数は、令和元年度の一割から二割減となっております。昨年度は、コロナ禍の影響により、多くの検診の実施期間を一か月短縮いたしましたが、今年度は、例年どおり、七月から実施をする予定です。また、受診率向上への取組として、特定健診では未受診者への再勧奨通知の送付、がん検診では日本対がん協会等と協力して、区内で啓発キャンペーンの実施を調整中です。今後もコロナ禍の中、対象となる区民に健診を受けていただけるよう、効果的な受診率向上の取組を進めてまいります。
次に、メンタルヘルス対策の充実についてのお尋ねです。コロナ禍が長期化する中、区民の心の健康維持は重要な課題と承知しております。区では、この状況を受け、他区に先駆け、昨年の四月に新型コロナこころのサポートダイヤルを設置し、現在も継続して必要な支援につなげております。
また、区民が心の健康に関する情報や相談窓口に速やかにアクセスできるように、区ホームページの改善に取り組んでおります。今後も様々な悩みを抱えている方の気持ちに寄り添えるよう、きめ細かなメンタルヘルス対策の充実に取り組んでまいります。
最後に、ヤングケアラーへの支援についてのお尋ねです。
区は、これまでも港区要保護児童対策地域協議会の関係機関と情報を共有しながら、生育環境に課題のある家庭を直接訪問し、家族や兄弟の世話を任されている子どもを早期に発見し、適切な支援につなげております。保護者の傷病により家事をするため、学校に遅刻をしていた事例では、学校や各地区総合支所が連携し、家事支援を利用することで安定して通学できるようになりました。今後も、子どもの権利の擁護を最優先に、関係機関をはじめ、地域で子どもの様子にいち早く気づき、実態を把握し、支援する体制をさらに強化してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(浦田幹男君)登壇〕
○教育長(浦田幹男君) ただいまのみなと政策会議を代表してのなかまえ由紀議員の御質問に順次お答えいたします。
小・中学校における課題についてのお尋ねです。
まず、教員の負担軽減策についてです。これまで、校務支援システム等ICTの活用や区費教師、部活動指導員等の人的配置により、職員の負担軽減を図ってまいりました。これらの支援により、令和二年度は、月四十五時間以上残業する教員が、令和元年度と比較して、月の平均で約一割に当たる二十五名減っております。今年度、園長・校長の研究組織である教育経営協議会では、研究テーマを「教職員の働き方改革の推進」とし、各園・学校が教員の負担軽減について具体的な数値目標を定め、独自の取組を実践する予定です。この実践研究を通して好事例の共有を進め、教員の負担軽減を図るとともに、教職の魅力を発信してまいります。
最後に、視力低下対策についてのお尋ねです。
各小・中学校で実施をしている定期健康診断の結果の経年変化を見ると、港区においても児童・生徒の視力が低下傾向にあります。教育委員会では、学習の際には姿勢を正し、教科書やノートと目の距離を三十センチ以上離すことなどを指導しております。さらに、タブレット端末を配備したことに併せ、児童・生徒が健康に気をつけて利用することができるよう、三十分に一回は端末から目を離すことや、まばたきを意識的に行うことなど、学校や家庭におけるタブレット端末の適切な使い方を具体的に定めたMINATO×タブレットルールを作成し、本年五月に各学校及び保護者に周知しております。
また、学校や教育センターの教育相談窓口への児童・生徒の端末の長時間利用の実態に関する保護者からの相談等が増えているため、家庭で定めた時間以上に児童・生徒が端末を使用することがないよう、改めて注意喚起をしてまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○副議長(阿部浩子君) 議事の運営上、暫時休憩いたします。
午後三時二十二分休憩
午後三時五十分再開
○議長(二島豊司君) 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。
お諮りいたします。議事の運営上、あらかじめ時間を延長いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(二島豊司君) 御異議なきものと認め、時間は延長されました。
───────────────────────────
○議長(二島豊司君) 次に、五番なかね大議員。
〔五番(なかね 大君)登壇、拍手〕
○五番(なかね大君) 令和三年第二回港区議会定例会に当たり、公明党議員団を代表し、武井区長並びに浦田教育長、島田選挙管理委員会委員長に質問いたします。
新型コロナウイルス感染症との闘いは、既に一年半に及び、区民の生活に大きな影響を与えてきました。これまでに亡くなられた多くの方々に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、御家族の皆様にお見舞いを申し上げます。
また、今なお医療の現場で献身的に尽くしてくださっている医療従事者の皆様やエッセンシャルワーカーの皆様に心から感謝と敬意を表します。
そうした中、いよいよ国内でも新型コロナウイルスワクチン接種が始まり、事態は収束に向けた新たなステージに進んでいます。報道では、各自治体の取組が紹介され、港区の取組に対して様々な御意見を頂きますが、日々刻々と状況が変化する中、安全に事故なく、そして速やかに接種が完了できるよう、港区が取り組んでくださっていることは高く評価しています。
また、新型コロナウイルス感染症が広がり始めてから、区民の皆様から頂いた多くの御意見をまとめた要望書を、公明党議員団として、既に五回にわたり武井区長に提出してまいりました。そうした区民の声を真摯に受け止め、早期に必要と御判断いただいたものが数多く事業に反映されました。例えば、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種予約に際し、電話での予約ができず、インターネットも使えない高齢者への対応を要望したところ、各地区総合支所にワクチン接種高齢者予約サポート窓口が設置されました。こうした小さな声に対し、誠実に対応する区の姿勢を示すことが、不安を安心に変える一番の近道であると確信いたします。
我々公明党議員団は、これからも区民の皆様の声を真剣に受け止め、区と力を合わせ、その課題解決のために全力を尽くしていく決意を申し述べ、質問に入ります。
初めに、行政のデジタル化への取組と手続のサポート体制についてお伺いします。
国では、行政のデジタル化を進めるに当たって、国や地方における各省庁や地方自治体の縦割りを打破し、自治体の情報システムの統一化・標準化を行うとともに、その取組の基盤となるマイナンバーカードの一体化を進めるなど、国・地方を通じた行政のデジタル化の推進を肝煎りの政策の一つに掲げています。そのため、現在開会中の通常国会では、先月五月十二日にデジタル改革関連六法が成立し、今年九月一日に発足予定のデジタル庁を政策の司令塔として、国民生活の利便性向上につなげていくため、今後、日本社会はデジタル基盤の早期構築に向けて新しい局面を迎えることになります。
行政のデジタル化によって自治体が目指すものは、大きく二つあります。一つは、住民の利便性向上、つまり行政サービスの充実であり、もう一つは、自治体職員の働き方改革、すなわち行政運営の効率化にあります。
今回のデジタル改革関連六法の成立に伴い、マイナンバーと預金口座のひもづけが可能となったことから、災害時などの公的な現金給付については、これまで自治体が手作業で行っていた膨大な口座確認作業の大半がなくなり、各種給付金を迅速に届けられるようになります。
また、健康保険証とマイナンバーカードの一体化や、スマートフォンの電子証明機能を搭載すれば、銀行・証券口座の開設や確定申告、年末調整といった手続が短時間で済むようになります。これら行政手続の効率化・簡素化を可能にするため、今後の課題として、これまで自治体ごとに異なっていたシステムの仕様を国の仕様基準に合わせることが求められてまいります。
また、押印や書面が必要な行政手続の見直しや個人情報保護法の改正により、民間や行政機関、自治体の個人情報保護のルールを統一することも必要になってきます。こうしたデジタル化への取組と併せて、マイナンバーカードの普及をさらに進めていくことも重要です。
現在、港区では、マイナンバーカードを取得されている方は十万五千二百四十五人、率にして四〇・四%ですが、利便性の観点からも、今後、全ての区民に行き渡ることを目指していくべきと考えます。
そこで質問ですが、デジタル改革関連六法の成立に伴い、区としても、マイナンバーカードの普及促進をはじめ、システムの統一化など、区が目指すべき行政のデジタル化の実現に向け、今後どのように取り組んでいくお考えなのか、区長の見解をお伺いします。
一方、行政のデジタル化が進み、様々な手続がパソコンやスマートフォンで行えるようになるときに、忘れてならないのは、デジタル機器に不慣れな高齢者や障がい者でもスムーズに利用でき、その恩恵を受けられるようにすることです。そのためにもサポート体制に力を入れていくことは極めて重要と考えます。
今回、本格化する新型コロナウイルスワクチン接種で明らかになったことは、スマートフォンを持ち合わせていない方や、持っていても予約サイトの利用法が分からず、難儀する高齢者が少なくなかったということです。こうした実態を受け、総務省は講習会などを開催して、令和三年度から七年度までに延べ一千万人の参加を目指す方針を示しています。
また、各自治体において独自に高齢者への支援を行う動きも活発になってまいりました。例えば、東京都は今年度から、都議会公明党の提案で、通信業者と連携し「スマホ教室」を開催し、参加者のうち、希望する人には一か月程度スマートフォンを貸し出すなどの取組が行われています。
港区でも六月五日から、区内六か所のいきいきプラザなどの区有施設で行政手続のオンライン申請や日常生活で利用するSNSなどの活用を支援する高齢者デジタル活用支援員を配置し、システムやアプリの操作をサポートすることとしていますが、このような様々なサービス提供の窓口となっている場所でスマートフォンの扱いに慣れる機会を増やすことも行政として大切な取組と考えます。
そこで質問は、行政のデジタル化を進める上で大事な視点は、誰一人取り残さない社会の実現であり、多様な住民・利用者の目線に立って、デジタル弱者に対してのサポート体制をどう構築していくのか、区長の見解をお伺いします。
次に、新型コロナウイルスワクチンの円滑な接種体制の構築についてお伺いします。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に歯止めがかからない中、東京都など九都道府県に発令されている緊急事態宣言や、埼玉県、神奈川県、千葉県など五県にわたってのまん延防止等重点措置が六月二十日まで延長されました。
今、国では、感染拡大を打開するため、新型コロナウイルス感染症収束の切り札となるワクチン接種を迅速かつ円滑に進めることを最重要課題として掲げ、全国で集中的な接種への取組が行われています。
港区においても、先月十七日から六十五歳以上の高齢者を対象に集団接種を優先して進められていますが、集団接種対象高齢者数は、六月七日時点で約四万二千人、うち一万三千三百四十一人が一回目の接種を終えており、予約状況は三万四千百十八人、率にして約八一・二%まで進んでいます。
五月二十五日に行われた厚生労働省による自治体向け説明会では、高齢者への接種が完了しなくても、予約の空き状況などに応じ、それ以外の人に順次接種を進めることを認めました。こうした動きの中、東京都では、ワクチン接種のスピードをさらに加速させるため、昨日の六月八日から三十日までの間、築地ワクチン接種センターを開設し、警察や消防関係者等を対象とした接種が開始されました。
また、東京都の令和三年度六月補正予算の中で、区市町村が主体となって進める一般向けのワクチン接種と併せて、東京都が主体となって集団接種を行う大規模接種会場を都内数か所に設けて実施する予算も盛り込まれました。いよいよ本格的に次の展開に向けて接種が進められてまいりますが、区としても、貴重なワクチンを一日でも早く多くの区民に届けられるよう、あらゆる知恵を絞って効果的に進めていくことが大切です。今後、七月末までに高齢者の接種を完了させ、早ければ今月中には、高齢者接種の見通しがついた自治体から順次、基礎疾患のある人や六十四歳以下の一般住民への接種が開始されるなど、各自治体では、その動きが活発化しています。
東京二十三区を見ても、墨田区や中野区、江東区では、今月中旬から段階的に六十四歳以下の対象者に接種券を発送し、予約を開始する体制が進められていますが、区としても、こうした先行自治体の事例を共有しながら、多くの人に実施できるよう柔軟な対応を検討することも必要と考えます。
そこで、これまでの高齢者の優先接種で予約から接種に至るまで浮き彫りになった課題を整理し、次のフェーズへの足がかりとして進めていくことが重要です。区では、接種対象となる十二歳から六十四歳の人が約十八万四千人を超える中、円滑な実施に向けて具体的な体制づくりに着手しているかと思いますが、かつてない規模の接種事業を成功させるには、あらゆる手段を駆使して進めていくとともに、より丁寧な説明と確実な対処を繰り返していくことが必要です。そして、さらにそこにスピード感を加えていくことが、新型コロナウイルス感染症の流行を抑えていく大きな鍵となるのではないでしょうか。
そこで質問は、これから本格的に多くの一般区民にワクチン接種が移行されていきますが、予約から接種に至るまで迅速かつ的確に接種が進むよう、どのように環境を整え、円滑な接種体制をどう構築していくのか、区長のお考えをお伺いします。
次に、変異株の対策について二点お伺いします。
国立感染症研究所によると、全国で九割以上が従来型の英国型N501Yなどに置き換わったとの報告がありました。N501Yは従来株の約一・三倍の感染力で、重症化リスクは約一・四倍と言われています。さらに、その英国株の約一・五倍の感染力があるというインド由来の変異株L452Rの感染割合も増えつつあります。
変異株は、拡大の速度が以前よりも速く、より重症化することで収束が長期化する傾向にあることが分かりました。この変異株の感染防止対策として、国立感染症研究所・脇田所長は、「基本的には従来どおり、マスク、手洗い、三密回避だが、感染力が強いことから、三密の一つでもリスクがあれば避けることが必要である」と述べています。区内でも保育園や学校において陽性者の確認が続いており、保護者のみならず、区民からの変異株の感染対策についての不安の声が上がっています。
そこで、一点目の質問は、港区として、改めて区民が心得るべき変異株への感染防止対策、そして、今、区はどのような感染防止対策を行い、また、陽性者が発生した場合、どのような対応を行っているのかを区民に周知する必要があると考えますが、区長の見解をお伺いします。
次に、陽性者が発生した場合の関係者への情報提供の在り方についてです。港区では、幼稚園、小・中学校、保育園、子育て関連施設、高齢者施設、障がい者施設で人権尊重・個人情報保護の観点から個人が特定できないよう、陽性者発生とその経過について、在園児・在校生保護者、施設利用者及び関係者に情報提供しています。その内容は、陽性者の施設の最終利用日、陽性確認日、積極的疫学調査の結果としての濃厚接触者の有無、消毒の実施、運営開始時期についてです。
しかし、子ども関連施設、小・中学校、障がい者施設の保護者からは、この情報提供では感染拡大の不安を払拭できないとのお声が複数届いており、その内容は、区は、当該施設の利用者や関係者等には個別に連絡しているため、連絡を受けていない区民等への影響はありませんとしているが、そもそも子どもや障がい者が三密を避け、マスクをきちんとするなどの感染対策を常に万全に行っているとは言い難い。そのため、連絡を受けていなくても、接触の不安から、なぜ範囲を広げてPCR検査を行わないのか納得できない。さらに、学校の出欠席は保護者の判断と言われるが、欠席すれば感染したと思われるので、不安がある中でも登校させているというものです。こうした不安は御家庭の中での大きなストレスになり、精神的にも苦しいものとなっています。
区では、濃厚接触者には二週間の自宅待機の協力を要請し、濃厚接触者でなくても、流行期における児童、職員の健康を守ることを目的としたPCR検査を実施するとして、陽性者と接触した可能性のある人々にはPCR検査を実施しています。しかし、接触した可能性のある人をどう特定し、対策を講じているのか、保護者や関係者は分からないままです。同じ建物内にいる人が陽性となった場合、自分はどの程度の接触があったのか不安になります。また、最初の陽性者から、その後に陽性者が続いて発生した場合、関連がない場合には、その旨をお知らせすることも必要と考えます。
そこで質問は、区立施設で陽性者が発生した場合に、その施設の関係者が必要以上に不安にならないよう、より丁寧な情報提供をすべきと考えますが、区長の御見解をお伺いします。
次に、浸水対策における防災アドバイザーの活用についてお伺いします。
排水できなくなった雨水が下水道や側溝からあふれ出す内水氾濫について、都市部などの市街地で深刻な被害が近年相次いでいます。特に、令和元年の台風十九号では、多摩川の水位が上昇し、内水氾濫や無堤部からの溢水が発生し、武蔵小杉のタワーマンションでは、地下の電気設備が浸水して停電と断水が発生。エレベーターやトイレが使えなくなり、住民の大半が一週間以上も生活できなくなったことが大きく報じられたことから、港区内のタワーマンション住民の方や管理組合から御相談を受けることが増えました。
東京都は、令和三年三月、隅田川及び新河岸川流域浸水予想区域図を見直し、それに合わせて区も浸水ハザードマップを今月改訂しました。前回のものよりも想定降雨量を、時間最大百十四ミリから百五十三ミリに引き上げたほか、シミュレーションのソフトウエアの精度を高めたことで、メッシュサイズが五十メートルから十メートルになりました。
また、地盤高もマンホールの高さで行っていましたが、航空レーザー測量図で行ったことで精度が上がり、浸水深表示範囲も広くなり、〇・二メートルから二・〇メートル以上であったところ、〇・一メートルから五・〇メートル以上になったとのことです。さらに、内水氾濫部分を明確にするための表示と説明が追加されたことも特徴ですが、これにより区内の広範囲に内水氾濫のおそれがあることが明確になりました。
他方で、前回と比較して、内水氾濫リスクが軽減、消滅した部分もあり、下水道整備が進んで雨水排水能力が高まったところもあることが理由とのことです。あわせて、港区は東京湾にも面しているため、台風や発達した低気圧が通過する際に、海水面が大きく上昇する高潮によって引き起こされる氾濫にも警戒しなければなりません。
区では、高潮による氾濫が海岸や河川から発生した場合に想定される浸水区域を示した、高潮浸水ハザードマップを令和二年六月に作成しました。臨海部を中心に、高潮浸水リスクのある地域の住民は、浸水ハザードマップと高潮浸水ハザードマップの両方を重ねて浸水対策を講じる必要がありますが、複雑過ぎて、どのような対策を取ってよいのか分からないといった声を管理組合から複数伺っています。昨今、区内の水害リスクが上昇し、マンション住民などの浸水への関心が一層高まっています。
そこで質問は、港区では、区内の共同住宅の居住者、管理組合及び管理事業者が防災計画や避難計画を策定する場合などに防災に関する専門家を派遣する共同住宅防災アドバイザー派遣事業を実施していますが、マンション浸水対策における防災アドバイザー派遣事業の活用可能性について、武井区長にお伺いします。
次に、地域防災力向上に防災士が果たす役割についてお伺いします。
港区では、平成二十七年度から令和二年度の港区基本計画で千名の防災士の養成を目指し取り組んでこられ、多くの防災士が誕生しました。千名の防災士の根拠には、自助・共助による地域の防災力の向上を目的に、地域で中心となって活躍している地域防災協議会や防災会、防災住民組織及び消防団組織など、合わせて二百五十一団体にそれぞれ三名から四名の防災士が誕生し、各地域で防災リーダーとして活躍していただくことを目指したものとしています。
実際誕生した防災士は、地域の活動にふだんから参加されている方が多く、特に地域防災の要である地域防災協議会で活躍されている方は、協議会の一番の役割である発災時の避難所の開設・運営に係る様々な課題に町内・自治会と連携を取りながら尽力されています。一方で、そうした組織に属さない方も多くいらっしゃいます。
平成三十年度決算特別委員会で、こうした方々が地域とのマッチングを図られるように、区として積極的に取り組むべきであると要望してまいりました。防災リーダーとして、その地域で活躍の場を広げることは、すなわち地域の防災力を向上させていくことにつながると確信をするからです。
また、港区にはマンションの防災力を向上させなくてはいけないという課題が横たわっています。総住戸数の約九割が共同住宅という特性から、町会・自治会に加入されていないマンションも多く、現在、区内分譲マンションが千五百九十一棟あるのに対し、共同住宅防災組織が九十九件であるのを見ても、マンション防災力の向上が喫緊の課題であると考えます。
今回、防災士の資格を持たれた方の中にはマンションにお住まいの方も多くいらっしゃいます。前回開催された防災士有資格者向け講座の際に、地域の方とのグループワークが行われましたが、その中でもマンション管理組合の理事をされ、防災についての課題を抱えている方がいらっしゃいました。そこでは、課題を共有することで課題解決へのヒントを得ることができ、大変有意義な時間を持てたとの意見が出ていました。
在宅避難の勧めや、いざというときの地域との連携、情報共有や支援体制など、マンション防災にはマンション住民が主体となって解決していかなくてはいけない課題が存在します。そうしたことからもマンションに住む防災士が管理組合に参画し、防災力向上に果たす役割は大きいのではないでしょうか。
これから防災士を養成する上で、様々な背景を持つ防災士のモチベーションを高め、スキルアップを図るとともに、その活躍の場をどう提供していけるかということを考えなくてはなりません。そのためにも防災士の背景や、防災士を目指したきっかけなどを有資格者向け講座のグループワークを活用しながら把握し、区が抱える課題解決に向けて積極的に協力を求めていく必要があるのではないでしょうか。
そこで質問は、区では、今後育成した防災士が地域防災力向上に果たす役割をどのように捉え、地域での活躍に向けてどのように取り組まれるのか、区長の見解をお伺いします。
次に、外濠等における水環境改善の対策についてお伺いします。
東京都の水辺の再生に向けて、皇居お濠や日本橋川など都市部の河川にかつて通水していた玉川上水を再び活用し、水の流れをつくり出すことによる根本的な水質の改善策が専門家から提言されています。
玉川上水は、江戸時代の一六五三年に開削された上水路で、多摩川の水を取水し、都市部へ導水。川上の現羽村市から現新宿区の四谷大木戸まで全長は約四十三キロに及び、江戸の町へと生活用水を供給する役割を果たしていました。しかし、近代の水道普及や都市化による浄水場の機能移転に伴い、下流部で導水を停止。流れがほぼなくなった現在のお濠ではアオコが発生し、景観悪化や悪臭が課題になっていました。
東京都は、都議会公明党の推進もあり、東京都が二〇四〇年代を見据えて二〇一九年十二月に策定した「未来の東京」戦略ビジョンで、玉川上水系の清流復活に向けた取組を盛り込みました。そして、外濠で実施している水質や水量の調査を踏まえ、適用可能な浄化策を検討し、二〇二〇年度には、実証実験として市ヶ谷濠でのアオコの回収や新見附濠での水質処理剤の散布が行われ、分析評価等が行われたとのことです。その結果に基づき、今年度は、水環境改善暫定対策として、市ヶ谷濠、新見附濠、牛込濠の外濠において、今月から本年九月にかけて、昨年度の実証実験から選定した水質改善資材を本格的に散布するとのことです。
当該水質改善資材であるルミライトについては、平成二十九年度決算特別委員会での我が会派の環境費の款別審議でも取り上げましたが、天然鉱物のケイ素からつくられたナノサイズのパウダーの凝集剤です。散布後、すぐにアオコなど懸濁物質の凝集により水質改善の悪臭除去効果が起こるのが特徴で、中国や韓国の河川での水環境改善の実績もあるそうです。
芝浦の運河から採取した水に対してもヘドロなどの凝集効果が認められており、港区内に位置する弁慶濠はもとより、古川や潮の満ち引きがある芝浦・港南地域の運河、お台場の海においても、水質改善にも期待ができるのではないかと考えます。区としても、東京都の外濠での水環境改善事業の結果に注目し、東京都と連携して、区内の外濠などの水環境改善に積極的に取り組むべきではないでしょうか。
質問は、区内の外濠等の水環境改善に、区としてどのように取り組むつもりか、武井区長のお考えをお伺いします。
次に、障がい者施設でのデジタルトランスフォーメーションの充実についてお伺いします。
区では、本年七月から介護ロボット等の導入を希望する介護事業所での実証実験を行うとしています。これは、介護職員の負担軽減と効率的な業務運営の実現を目指し、本年四月から六月までの介護事業所への実態調査や課題整理を行い、その結果を踏まえて実施すると伺っています。
実証内容例としては、装着型パワーアシストスーツの活用や見守りセンサー等の介護ロボットの活用、また、タブレット端末を利用した介護記録ソフト、情報共有システム等ICTの導入が挙げられています。介護人材の不足による介護職員の業務量の増加が社会的にも課題となっていますが、介護職員の負担軽減が入所者へのよりきめ細やかな支援の充実につながることを期待しているところです。
さて、同様に障がい者施設においても、職員の負担軽減と業務運営の効率化を目指していただきたいと考えます。区立障がい者施設において、日々の介護や支援の記録をデータ化し、職員間での情報共有を図ることで利用者の健康管理はもとより、支援の充実などが期待できると考えます。
また、コロナ禍において、高齢者や障がい者入所施設では社会との関わりが制限されています。終日外出もできず、外部の様々なボランティアグループとの文化的交流活動もできなくなり、さらに家族との面会や外泊も不可能となりました。意欲の低下から日常生活動作(ADL)の低下を懸念する声も多く聞かれます。
ちょうど一年前の令和二年第二回定例会代表質問において、我が会派は、オンラインやロボットを活用した新たな障がい者支援と事業所支援の在り方について質問し、区長からは次のように答弁いただきました。「事務所のオンライン化は通所を前提とせずに、非常事態にあっても安定して事業を継続できる可能性があります。また、在宅障がい者、区及び事業者がネットワークでつながることは、新たな生活様式の実現だけでなく、障がい者の活動の幅を広げ、事業者にとっても支援手段の多様化が期待できます。区は、オンライン化に向けて、障がい者や事業者のICT環境の実態調査を行うなど、環境整備の準備を進めてまいります」と。
新型コロナウイルス感染症が長期化している今、障がい者施設でのWi−Fi環境を整備し、通所できない在宅障がい者の日中活動の充実のためにも、また、入所障がい者にとってのオンライン上で社会と触れ合う機会の創出、障がい者施設同士のオンライン上の交流など、障がい者の生きる意欲を引き出す取組を行っていただきたいと考えます。
さらには、職員にとってもコロナ禍でリアルな研修が難しくなっている今、オンライン上の研修についても早急に検討し、実現していただきたいと考えます。
そこで質問は、障がい者の社会参加の機会の創出のため、そして、職員の業務負担軽減や資質向上を実現させるために、障がい者施設でのデジタルトランスフォーメーションの充実に取り組むべきと考えますが、区長の御見解をお伺いします。
次に、子どもの孤独孤立防止のための子ども食堂への支援についてお伺いします。
コロナ禍で子どもたちの居場所の確保や、それを通じた孤独孤立の防止が社会課題となっている中、今般、国は子どもの未来応援交付金つながりの場づくり緊急支援事業を実施しました。この事業は、子ども食堂や子ども食堂等が行う弁当・食材配布活動、いわゆるフードパントリー活動に対して、一か所当たり百二十五万円の委託費を交付するものであり、自治体負担は新型コロナウイルス感染症対策地方創生臨時交付金も併せ活用すれば、五%で済むものと聞いています。
港区では、子どもの孤食解消と保護者支援の取組の一つとして、民間団体等が行う子ども食堂に対して、子ども食堂推進事業補助金を設け、食材費、食材運搬費、保険料、会場賃料等に年間二十四万円を上限に補助しています。また、令和二年二月、子ども食堂の運営者や支援をしたいと考えている企業や個人による港区子ども食堂ネットワークの活動が開始され、区は、フードドライブ事業や寄附による食材等のマッチングを行ったり、情報交換や相互交流などの支援を行っています。現在、港区子ども食堂ネットワークには三十一団体と十六人の個人が加盟しているとのことです。
子ども食堂はボランティアによる活動であり、財政基盤が脆弱なことは否めず、NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえが本年二月一日から十日にかけて行ったこども食堂の現状&困りごとアンケートにおいても、最たる困りごとの二位に「資金の不足」が挙げられています。その点、港区は、いち早く子ども食堂への運営資金の補助を実施していることは高く評価しております。
しかし、コロナ禍の長期化で思うような食堂運営ができなかったり、活動自体を休止している団体もあると伺っています。子ども食堂には、人々が関わり合い、気遣い合う関係を築ける地域の居場所として、子どものみならず、単身高齢者も含めた孤独孤立防止に役割を果たし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の収束後には、一層役割を果たしていくことが期待されています。
都議会公明党が原案作成の段階から一貫してリードし、本年四月一日に施行された東京都こども基本条例でも、子どもの幸福追求のために、東京都が推進する施策として、子どもの安全・安心の確保や居場所づくりを規定しています。コロナ禍で人々の孤立が懸念される中、子どもや地域住民が孤立することなく、地域の人々とつながれる貴重な場として、子ども食堂のような公益的な市民による自主活動を、区としてもさらに積極的に応援すべきものと考えます。
質問は、子どもたちの居場所の確保や孤独孤立の防止のために、子ども食堂への支援に区としてどのように取り組むつもりか、武井区長の御見解をお伺いします。
次に、きょうだい児の認識についてお伺いします。
平仮名で書くきょうだいとは、障がいや病気を持った子どもの兄弟姉妹のことを言い、特に学齢期のきょうだいをきょうだい児と呼びます。障がいや疾患のある人やその親に対しては様々な支援について検討がなされていますが、今まできょうだい児への支援については、ほとんど認識がされていませんでした。きょうだい児は健常であることから、世間一般には支援の対象とみなされませんが、特有の悩みや課題を抱えていることが多く、課題解決のために活動される団体からは支援を要望する声が上がっています。
きょうだい児が抱える悩みには、きょうだいの障がいのことでからかわれたり、いじめに遭う。親から過度な期待をかけられ、その期待に応えようと無理をしてしまう。結婚する際の相手家族の理解について、親が亡くなった後のきょうだいとの関わりについてなど将来的な不安があるが、親には聞けず、相談する人がいないといったものがあります。こうした悩みから孤立感・孤独感を持ち、状況が続くと自己肯定感が十分に育たず、鬱的な傾向を持つ場合や、大人になって人生の様々な問題を乗り越える力に課題が生じることが多いと言われています。
現在、家庭において祖父母や両親、兄弟の介護の責任を負うヤングケアラーへの支援が進み始め、国では初めて全国で実態調査を行い、先月その調査結果が報告されました。具体的な支援の方向性はまだまだこれからですが、これまで社会から見過ごされ、不安を抱えていた子どもたちの心に光が当てられたことは大きな意味があると感じます。
また、港区で、本年、港区子ども家庭総合支援センターが開設し、明年には福祉総合窓口が開設され、課題を抱える家庭、特に子どもたちに寄り添う体制が強化されたことは大変心強く感じます。こうした誰一人置き去りにしない、共生社会の建設が加速し始めたときだからこそ、光が当たらず生きづらさを感じている子どもたちをより多く見つけ出し、その心に光を当てていく必要があるのではないでしょうか。
きょうだい児は求めずして家庭の中で障がいと向き合い、多様な存在と共生するために乗り越える課題を抱え、インクルーシブ社会を体現しています。この経験は、現代の社会が抱える課題を解決していくための大切な要素であり、こうした子どもたちが社会で果たしていく役割は非常に大きいと考えます。私たちは、その子どもたちが孤立することなく、課題を乗り越え、社会でその力を発揮できるよう見守っていく必要があるのではないでしょうか。
そこで質問は、区では、きょうだい児の存在をどのように認識しておられるのか、区長の見解をお伺いします。
次に、区内中小企業者へのキャッシュレス決済の普及についてお伺いします。
新型コロナウイルス感染症の影響で苦しむ中小企業者を支援しようと、スマートフォンのアプリを使ったキャッシュレス決済による、ポイントで還元するキャンペーンを実施する全国の自治体が増えています。地域での消費を喚起して事業者を支援するほか、現金の受渡しが不要なキャッシュレス決済を推進することで、新型コロナウイルス感染症の感染予防にもつなげられるメリットもあります。
港区でも昨年十月二十一日から、港区のLINE Payを活用したポイント還元によるVISIT MINATO応援キャンペーンを実施。七百四十八店舗が参加し、約九万四千二百件の利用があり、還元額の総額は約一億四千三百万円に上りました。本キャンペーンは、実施開始から新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、十一月二十八日から三月二十一日の利用停止や、決済事業者の撤退による早期終了に見舞われたにもかかわらず、キャッシュレス決済の普及や利用促進への一定の成果があったものと思われます。
経済産業省は、二〇一八年四月、キャッシュレス・ビジョンを発表し、その中で世界的に立ち遅れているキャッシュレス決済比率を二〇二五年までに四〇%程度引き上げることを目指すという支払い方改革宣言をしています。コロナ禍の自治体のポイント還元キャンペーンや、二〇一九年の消費増税に伴うポイント還元事業、その後に引き継がれたマイナポイント制度によって、キャッシュレス決済比率はかなり高まっているものと思われます。
ところが、コロナ禍の長期化により、むしろ中小飲食店などが最近、キャッシュレス決済利用を渋り始めていると報じられています。その理由として、新型コロナウイルス感染症で売上げが激減し、売上金回収に時間がかかるため、仕入先への支払いに支障が出ていることなどが挙げられています。
港区のVISIT MINATO応援キャンペーンでもMINATOフラッグ店も対象にはなっていましたが、キャンペーンに参加したフラッグ店は、全フラッグ店の約三〇%でした。さらに、QRコードを使ったスマートフォン決済の大手事業者の多くが、今年十月以降、加盟店の開拓を優先して無料にしてきた決済手数料を有料化すると報じられています。決済事業者はユーザー獲得などに費やした先行投資を回収する必要がありますが、「有料になるならやめる」との小規模な店舗からの声も聞かれます。
港区では、今年度中に、現在は紙のみで発行しているプレミアム付き区内共通商品券の電子化を実施するとしています。また、本年十月には、新たな観光応援のためのキャッシュレス決済を活用した還元事業も実施予定です。どちらの新規事業もキャッシュレス決済手数料有料化の後に開始となるため、区内中小企業者へのキャッシュレス決済離れの抑止と、さらなるキャッシュレス決済普及の効果が期待されます。
加えて、港区商店街連合会などの各種団体と協力し、団体加盟の区内中小企業者に対して、キャッシュレス決済導入のメリットを丁寧に説明したり、決済手数料の抑止となる方法を探りながら、キャッシュレス決済の普及をさらに推進すべきです。
質問は、区内中小企業者へのキャッシュレス決済の普及に、区としてどのように取り組むつもりか、武井区長にお伺いします。
次に、マンション管理組合間の交流の支援についてお伺いします。
コロナ禍の長期化により、マンション住民同士や管理組合間で情報共有したり、交流することの必要性や関心が増しています。令和二年三月三十日に、港区議会公明党として、区内のあるタワーマンションの管理組合に代理して、武井区長に「高層住宅における新型コロナ感染症対策に関する緊急要望」を提出いたしました。提出当時は、新型コロナウイルス感染症の情報がまだまだ不足し、管理組合としては、居住者に対して危機意識を共有し感染拡大防止を図りたいものの、共用部分など閉鎖が困難なものもあり、また、行政のガイドラインのようなものがないために対応に苦慮していました。そこで、マンション共用部分の感染防止策や利用に関する注意事項などの対策を区として示してほしいと要望したものでした。その後、区のホームページ上で、「マンションにお住まいの方々へ、新型コロナウイルス感染拡大予防について」とのタイトルで、共用部分の消毒方法や通常総会の在り方などを示していただいたことは、評価しております。
一方で、新型コロナウイルス感染症対策以外の情報共有の要望も多数伺っています。臨海部を中心にタワーマンションが同じ時期に建設されたため、最初の大規模修繕が一斉に開始され始めていますが、かかる費用がとても大きいため、適切な方法や価格について、情報が足りずに困っているというお声を伺っています。
また、区は、集団回収における新聞・雑誌・段ボールやその他再生可能紙などのリサイクル資源の報奨金を本年四月から引上げましたが、そうしたことを知らない管理組合もまだまだ多いです。実際、集団回収で得ている報奨金は、中小規模のマンション管理組合の修繕積立金などに充てられる貴重な財源ですが、同規模のマンション間でも集団回収の実施の有無により年間の収入差があります。
区では、昨年度、マンションの管理組合の運営、建物の維持管理などに関わる様々な問題について、共に情報を提供し、どのように対処、解決してきたかを共有することで、理事会役員の方々の負担を軽減し、解決策を見出す港区分譲マンション交流会を予定し、委員登録を呼びかけてきました。残念ながら、昨年度はコロナ禍で一度も開催できませんでしたが、管理組合間の情報共有の必要性は増していると思われますので、今年度はオンライン開催も含めて、交流会が中止されることなく開催されることを強く願うものです。また、当該交流会では、街づくり支援部に関連するもの以外のマンションに関わる区政情報の提供も積極的に実施すべきと思います。
質問は、マンション管理組合間の交流の支援に、区としてどのように取り組むつもりか、武井区長にお伺いします。
次に、コロナ禍での起立性調節障害についてお伺いします。
起立性調節障害とは、自律神経の乱れにより倦怠感や頭痛、立ちくらみなどの症状が引き起こされる病気のことです。午前中に症状が強く現れる傾向があり、朝起きられず日常生活に支障を来し、不登校や引きこもりの原因となります。日本小児心身医学会によると、小学校高学年や中高生を中心に発症し、軽症を含め中学生の約一割に発症しているとのことです。
近年の研究によって、重症化した場合には学校生活だけでなく、その後の社会復帰に大きな支障となることが明らかになっています。治療のためには、発症の早期から重症度に応じた適切な治療と、家庭生活や学校生活における環境調整を行い、適正な対応を行うことが不可欠です。
岡山県教育委員会では、平成三十一年四月、岡山大学等の協力を得て、起立性調節障害対応のガイドラインを作成しました。岡山県教育委員会は、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなど学校で行ってきた取組に加えて、ガイドラインを活用した医療的な視点を加えることで、支援の充実を図ることを目的としているとのことです。
基礎的な知識や、学校や家庭での支援の在り方がQ&A方式で分かりやすく解説されているのが特徴です。さらに起立性調節障害のチェックリストもついており、特徴的でよく見られる症状として、「立ちくらみや目まいを起こしやすい」、「立っていると気持ちが悪くなり、ひどいと倒れる」、「入浴のときや、嫌なことを見聞きすると気持ち悪くなる」などの項目が三つ以上当てはまれば、小児科での対応が必要としています。
起立性調節障害の子どもの中には、「朝起きられず授業を欠席すると、仮病扱いされていじめられる」、「成績が振るわず、進路の選択が狭められる」など苦しんでいる子もいます。また、新型コロナウイルス感染症の蔓延による外出自粛と運動不足によって、起立性調節障害の子どもが増えたり、悪化したりしているという現場の医師の声などが報じられています。
コロナ禍の長期化により、今後、区内の学校でも起立性調節障害の児童・生徒が増えるおそれがあります。学校現場の教職員などが正確な知識を持ち、一貫して対応することや、本人と保護者の了承を得た上で、他の児童・生徒にも説明して配慮を促すことなどが重要です。岡山県教育委員会作成のガイドラインなどを活用するなど、区教育委員会としても適切に起立性調節障害に対応できる環境の整備を急ぐべきと考えます。
港区立の小・中学校では、コロナ禍で欠席した児童・生徒に対して、一人一台配布のタブレットを活用してオンラインで学習の確認をするなど、子どもたちの学びを保障している点は高く評価しています。今後は、起立性調節障害を含め、引き続き子どもたちの体調の変化に目配りし、早期に対応できるように取り組んでいただきたいと思います。
質問は、現在コロナ禍であることから、一層のケアが必要であると思われる起立性調節障害への対応を、今後、区教育委員会としてどのように取り組むつもりか、浦田教育長にお伺いします。
最後に、公職の候補者等の「たすき」着用の政治活動についてお伺いします。
本年七月四日に予定されている都議会議員選挙に港区から出馬を予定している候補者が、自身の名前を大きく記したたすきを着用して街頭演説を繰り返しているのを目にする機会が増えました。こうした行為は、具体の事実に即して判断されるべきですが、選挙活動のために使用されるたすきであると認められる場合は、公職選挙法第百四十三条第十六項各号に掲げるもの以外は掲示することができないとされている規定に反すると思われます。
また、平成三十年十二月十四日に閣議決定された選挙運動・政治活動の態様に関する質問に対する答弁書では、公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者の政治活動のために使用される当該公職の候補者等の氏名又は氏名が類推されるような事項を表示する文書図画は、公職選挙法第百四十三条第十六項各号に掲げるもの以外は掲示することができないと確認されました。公選法第百四十三条十六項にはたすきは規定されていないため、候補者は、政治活動を理由として、本人の名前入りのたすきは着用できないこととされています。
ところが、たすきをした候補者に違反行為を指摘すると、「まちかど演説会であり、問題ない」などと開き直り、何度注意しても改善が見られない悪質な候補者や政党の運動員もいます。さらに、自身の名前入りのたすきを着用するなどして街頭で演説している写真をSNS等に堂々と投稿し、立候補予定を明言しているのには、怒りを通り越してあきれてしまいます。
都議選に当たって、東京都選挙管理委員会も昨年末、選挙期間中ではない平常時に、候補者の氏名を記載したたすきの着用などはできませんと明記した文書を各政党に送付していると伺っています。公正な選挙の実施のためにも、まずは分かりやすい周知をするべきであると思います。公示前に立候補予定者が選挙運動としてたすきを着用することは違反に当たることを周知するため、区のホームページやツイッターなどで分かりやすく示した上で、万一、違反行為を目撃した場合は、事実関係を確認した上で関係機関と連携し、適切に対処すべきであると思います。
質問は、公職の候補者または候補予定者のたすきを着用した政治活動に対して、区選挙管理委員会としてどのように取り組むつもりか、島田選挙管理委員会委員長の御見解をお伺いします。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの公明党議員団を代表してのなかね大議員の御質問に順次お答えいたします。
最初に、行政のデジタル化への取組と手続のサポート体制についてのお尋ねです。
まず、デジタル化への取組についてです。区は、ICTを取り巻く社会環境が変化する中、デジタル化をさらに推進していくため、本年三月に港区情報化推進計画を策定いたしました。本年五月の国のデジタル改革関連法の成立に伴い、区は、システム標準化に対応するための体制を構築するとともに、検討を進めていくための補正予算を計上いたしました。行政のデジタル化を推進し、区民サービスの向上や業務効率化を実現できるよう積極的に取り組んでまいります。
次に、手続のサポート体制についてのお尋ねです。区では、ICTの活用が苦手な方にきめ細かなサポートを行うため、六月五日から区内六か所のいきいきプラザ等に高齢者デジタル活用支援員を配置し、高齢者等がスマートフォンやタブレットによる新型コロナウイルス感染症のワクチン接種予約や行政手続を行う際の相談や、日常生活で使用するアプリの操作説明等の支援を開始しました。また、六月中に区民の情報通信機器の活用状況や、区の情報の取得方法に関する港区民の区政情報取得に関する動向調査を実施する予定です。今後、この調査結果を踏まえ、より効果的なサポート体制の構築について検討してまいります。
次に、ワクチンの円滑な接種体制の構築についてのお尋ねです。
区では、希望する全ての区民が予約から接種まで円滑に進めることができるよう、様々な対策の強化を検討しております。インターネットの予約システムの安定稼働に努めるとともに、コールセンターについては、現行の三十回線から可能な限り増設し、つながりにくい状況を改善いたします。また、各地区総合支所の予約サポート窓口に加えて、ほかの施設でも簡単な問合せが行えるよう、相談の充実を検討してまいります。さらに、広報みなと、区ホームページ、SNSなどあらゆる媒体を通じてワクチン接種の予約に関する周知を徹底し、的確に接種につなげてまいります。
次に、新型コロナウイルス変異株の対策についてのお尋ねです。
まず、区民への周知についてです。従来株と同様に変異株についても、これまでと同様の一般的な感染対策が重要です。それに加え、濃厚接触者等に対して、家庭での不織布マスクの着用、寝食の分離、タオルの共用回避等の指導を徹底しております。また、流行期における施設の児童や職員等の健康を守るため、接触者の範囲を拡大したPCR検査を実施するなど対策を強化しております。こうした取組に加え、区ホームページやリーフレット等を活用し、陽性になった場合の対応など、区民の不安を解消する情報を積極的に周知してまいります。
次に、陽性者発生時の施設関係者への情報提供についてのお尋ねです。区は、区有施設等において陽性者が発生した場合に個人が特定されないよう、人権及び個人情報の保護に最大限配慮した上で区民の不安を払拭するため、濃厚接触者の有無や施設の消毒など、正確で必要な情報を広く公表しております。
また、流行期においては、濃厚接触者以外にも対象を広げて、安全・安心確保のためのPCR検査を実施しております。今後は、利用者に対して検査の実施状況や結果を周知するとともに、確認できた感染ルートなどをお知らせしてまいります。引き続き、区民が安全に安心して施設を利用できるよう丁寧な情報提供に努めてまいります。
次に、浸水対策における防災アドバイザーの活用についてのお尋ねです。
区は、共同住宅における災害時の体制づくりの強化や防災知識の普及啓発のため、専門的な見地から助言する防災アドバイザーを派遣しております。防災アドバイザーは、防災対策に関する幅広い分野の専門家が登録しており、浸水対策への相談にも対応することができます。
本制度を活用することで個々の共同住宅の実情に応じ、浸水対策や資器材の選定といった具体的なアドバイスを受け、共同住宅の防災力もさらに向上させることが可能です。今後も、専門性の高いアドバイザー登録を幅広く進め、防災アドバイザー派遣事業がより活用されるよう周知をしてまいります。
次に、地域防災力向上に防災士が果たす役割についてのお尋ねです。
区の支援制度を利用して防災士資格を取得された方には、防災住民組織等での活動や共助体制の構築など、地域防災力向上に向けた重要な役割を担っていただくことを目指しております。区としては、防災士自らが地域の防災活動の取組を発信できるメーリングリストの運用を七月から開始し、防災士と地域のつながりを深める取組を推進してまいります。さらに、地域防災協議会への参加についての意向調査を実施し、地域防災協議会の訓練等への参加を促すなど、防災士が地域防災力向上のために活動できる機会の創出を進めてまいります。
次に、外濠等における水環境改善の対策についてのお尋ねです。
弁慶濠を含む外濠については、国や東京都、千代田区、新宿区と連携し、水質改善や維持管理等の課題解決に取り組んでおります。東京都は、昨年度に実施した実証実験により、効果の高い水質改善処理剤の選定やアオコの回収方法を確認し、今年度は、千代田区と新宿区にまたがる外濠で水質改善に取り組むこととしております。
今後、港区にある弁慶濠での水質改善の取組の実施について、東京都に働きかけてまいります。また、区内の運河やお台場の海における同様の取組の実施についても東京都と連携し、検討してまいります。
次に、障害者施設でのデジタルトランスフォーメーションの充実についてのお尋ねです。
デジタルトランスフォーメーションは、障害者への支援や職員の仕事の在り方に大きな変革をもたらすものと考えております。今年度、区が取り組む遠隔で操作するロボット技術を用いた就労支援は、障害者の社会参加に大きな可能性を秘めております。
区は、デジタルトランスフォーメーションを積極的に推進することにより、施設間でのオンラインによる連携や支援員がタブレットを携帯して支援内容をその場で入力するリアルタイムの情報共有など、職員の負担軽減だけでなく、スキルや支援の質の向上にも大きな力を発揮するものと考えております。
次に、子どもの孤独孤立を防止するための子ども食堂への支援についてのお尋ねです。
区は、令和二年二月に、子どもの孤食解消と保護者支援を図るため、港区子ども食堂ネットワークの活動を開始いたしました。昨年度はコロナ禍で食事提供が困難なことから、企業から提供された食材を配布するフードパントリーにより、子どもの食を支援してまいりました。
今後も、港区子ども食堂ネットワークの会員から課題や要望を伺いながら、食材や場所の提供、運営スタッフの協力などを受け、会員と企業等とのマッチングを図るとともに、国や東京都等の動向を速やかに情報提供するなど、区内の子ども食堂を運営する皆さんが活動しやすいよう支援をしてまいります。
次に、きょうだい児の認識についてのお尋ねです。
兄弟姉妹に障害や疾病のある児童、いわゆるきょうだい児は、家庭や地域における親や友人などとの様々な関わりの中で、特有の体験や葛藤、悩みなどを抱えている場合もあるものと考えております。
区は、現在、障害のある人やきょうだい児を含めたその家族に対して、児童発達支援センターや各地区総合支所において、心理士、保健師等の専門職による相談支援などに取り組んでおります。さらに、きょうだい児については、日中活動の場における相談しやすい環境づくりなど、個々の実情を踏まえた様々な支援に取り組んでまいります。
次に、区内中小事業者へのキャッシュレス決済の普及についてのお尋ねです。
キャッシュレス化については、消費者の利便性向上や新型コロナウイルス感染症対策として、消費者と従業員の接触機会を減らすというメリットがあります。区は、本年十月からキャッシュレス決済利用者への三〇%還元事業を実施し、キャッシュレス決済の普及を図る予定です。
また、港区商店街連合会では、現在、プレミアム付き区内共通商品券の電子化の準備を進めており、区は、プレミアム分に加え、電子化に要する費用を補助する予定です。引き続き、消費者及び事業者の双方が利益を享受できるよう、キャッシュレス決済の普及に取り組んでまいります。
最後に、マンション管理組合間の交流の支援についてのお尋ねです。
昨年度はマンション交流会を開催することはできませんでしたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から開催方法について検討を重ね、今年度は五月にオンラインで交流会の幹事会を開催し、七月の分譲マンションセミナー及び交流会の開催に向け、準備を進めております。
今後、区では、ホームページや交流会等の場を活用し、区からの情報提供を積極的に行うとともに、管理組合間の交流をさらに活性化するための方策を検討し、支援をしてまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から、選挙管理委員会に関わる問題については、選挙管理委員会委員長から答弁いたします。
〔教育長(浦田幹男君)登壇〕
○教育長(浦田幹男君) ただいまの公明党議員団を代表してのなかね大議員の御質問にお答えいたします。
コロナ禍での起立性調節障害についてのお尋ねです。
現在、学校では、事例としては少数ですが、起立性調節障害の児童・生徒の欠席や遅刻の理由を把握した際に、当該の児童・生徒や保護者に家庭での状況について聞き取りを行い、必要に応じて、専門医への通院等医療的観点からのアプローチを保護者に助言しております。
また、教育委員会では、教職員が起立性調節障害の児童・生徒はもとより、その疑いのある児童・生徒への理解をより深め、適切に対応できるよう、起立性調節障害に詳しい医師による講演会を実施する予定です。コロナ禍においても、各学校において児童・生徒の特性に応じた適切な支援が行われるよう取り組んでまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
〔選挙管理委員会委員長(島田幸雄君)登壇〕
○選挙管理委員会委員長(島田幸雄君) ただいまの公明党議員団を代表してのなかね大議員の御質問にお答えいたします。
公職の候補者等のたすき着用による政治活動についてのお尋ねです。
公職の候補者等は、公職選挙法の規定により、政治活動用事務所の立て札と看板、政治活動用ポスター、演説会場での演説中に使用するものを除いて、氏名等を表示するものは掲示することができません。
今後、区ホームページや立候補者予定説明会で分かりやすく周知するとともに、通報があった場合は、警察と連携し、事実関係を確認した上で公正な選挙が行われるよう取り組んでまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
○議長(二島豊司君) 次に、二十六番熊田ちづ子議員。
〔二十六番(熊田ちづ子君)登壇、拍手〕
○二十六番(熊田ちづ子君) 二〇二一年第二回港区議会定例会において、日本共産党を代表して質問を行います。
最初の質問は、新型コロナウイルス感染症から区民の命と生活、営業を守ることについてです。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大から一年五か月が過ぎようとしています。この間、パートの仕事が減って大変。テレワークで残業代がつかず減収に。テレワークで必要以上の出費が増えた。マスクや消毒液などふだんかからない費用が増えた等々、区民生活は大変です。
自粛を要請された飲食店も死活問題です。飲食店に納品していた酒屋さん、お米屋さんなど、あらゆる商店に深刻な影響が出ています。
区民生活をどう守るのか、政治が問われています。全ての人たちの支援になるのが消費税の減税です。欧米では大金持ちへの増税を検討する一方、消費税の減税を行っています。
区民生活、中小商店の営業を守るため、消費税率を五%に引き下げるよう、国に要請すること。答弁を求めます。
飲食店などは、国や東京都から営業時間や酒類の提供をやめるなど自粛を要請され続け、「もう限界」「やっていられない」等、深刻な事態です。売上げが大幅に減少していても、家賃などの固定費は容赦なくかかってきます。
テナントに対する家賃助成を行うこと。答弁を求めます。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐ鍵は、無症状の保菌者を把握し保護することです。そのためには、いつでも、どこでも、誰もが何回でもPCR検査を受けられるようにすることが必要です。
PCR検査を自由に受けられる体制を取ること。答弁を求めます。
都立病院・公社病院の独立行政法人化に反対することについてです。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収まらない中で、医療機関は厳しい状況が続いています。自・公政治の下で病院の削減、東京都は十六あった都立病院を八病院にまで減らしてきました。その結果、医療機関や保健所の職員の疲弊、逼迫が続いています。
今、全ての都立・公社病院は新型コロナウイルス感染症患者を受け入れています。東京都は新型コロナウイルス感染症病床を約五千六百床確保。そのうちの二千床は都立・公社病院で全体の四割を担っています。東京都は独法化後の医療を、「外国人受入体制の強化」「医療ツーリズムへの対応」を検討しています。都立病院を守ろうという都民の運動は広がっています。自民、公明、都民ファーストは、都立病院独法化に反対する請願を不採択にし、独法化を推進しています。
都民の命を守る感染症医療や災害医療、難病医療など行政的医療を切り捨てる一方で、海外の富裕層のための医療に力を入れるなど許されません。港区民が多く利用している都立広尾病院を都立のままで残すよう、区長として東京都に申し入れること。答弁を求めます。
育休代替任期付職員についてです。
職員が安心して育休が取れるようにするために、平成三年に成立した地方公務員の育児休業等に関する法律に基づいて、港区は、平成十七年十月から任期付職員として採用を開始しました。毎年二回の採用試験を実施、合格すると採用予定期間は一年間で、職員の育児休業の取得状況に応じて採用が決まります。「取得状況によっては採用されない場合があります」となっており、合格しても、いつ任用されるか、または一年待っても任用されない場合があるなど、不安定な状況に置かれています。
四月一日現在、育休代替職員は三十人が配置されています。保育園は任期付職員の採用が難しく、派遣保育士で対応しており、四月一日現在、十五園十九名が配置されています。
職員の育休に入るタイミングでの採用になるため、採用までは待機しなければならず、採用がいつになるか分からない不安定な状況です。これからは、男性の育休取得者も増えていくと思います。誰もが安心して育休が取得できるよう、代替職員の採用時期など雇用条件を見直すべきです。答弁を求めます。
他の自治体では正規職員を配置しているところがあります。港区としてもこうした進んだ自治体を参考に、育休代替職員は正規職員の過員配置で行うこと。答弁を求めます。
補聴器購入費助成など高齢者の聞こえの支援強化についてです。
自治体における難聴高齢者の社会参加等に向けた適切な補聴器利用とその効果に関する研究結果がまとまりました。この事業は、難聴高齢者の適切な補聴器利用に向けた取組の課題や対策を検討するための国の事業で、医師や大学教授に加えて、自治体代表として高齢者支援課長が検討委員になっています。
報告書では、高齢者の半数以上が聴力に何らかの不自由さを抱えていることや、難聴高齢者の方が補聴器を使うなどの具体的な対策を取っていないこと、認知症になるリスクとして、高血圧や鬱病などより、中年期以降の難聴が最もリスクが高い一方で、自治体の聴力検査や補聴器購入費助成などの支援が遅れていることが明記されています。
まとめでは、今後、自治体が取り組むこととして、難聴を早期発見する仕組みを構築すること、耳鼻咽喉科医との連携づくり、補聴器利用のための補聴器相談医や認定補聴器技能者の周知を図ること、補聴器装用後の難聴高齢者のフォローを行うこと、難聴高齢者への戦略的な支援スキームの検討が必要と、五項目を挙げています。
区長は、第一回の定例会の答弁で、研究結果も踏まえ、補聴器の購入費助成について検討すると答弁をしました。難聴高齢者への支援の遅れ、早期に補聴器を使用することにより高齢者の社会生活の維持、生活の質の低下を防ぐことができるということが報告書で明らかになりました。これまでの支援の遅れを取り戻すためにも、補聴器購入費助成と聞こえの支援を早期に実施すべきです。答弁を求めます。
新型コロナウイルスワクチン接種予約での区民に寄り添った支援についてです。
五月十日から始まった六十五歳以上のワクチン接種の予約について、「電話がかからない」「やっと電話が通じたら近くの会場はいっぱいで遠くの会場になった」「スマホは持っていない」「子どもに来てもらってネットで取ってもらった」「メールアドレスがない」等々、予約が取れるまで高齢者には大きなストレスになりました。六月八日現在、高齢者の予約状況は三万四千百十七人で、まだ予約できていない人がいます。区は、五月二十六日から各地区総合支所に予約サポート窓口を設置し、支援を始めました。
先日、ひとり暮らしの方で、まだ予約ができていない方がいるので手伝ってほしいと知人から連絡を受けて訪問しましたが、まず、接種券が見当たりません。本人も「そんなのが来ているのかな」と分からない様子です。総合支所に行ってもらおうと思いましたが、一人では行けそうにありません。問診票の記入も心配です。
接種会場への来場が困難な高齢者に六月中旬から巡回接種を始める計画ですが、支援を必要とする高齢者が一人も取り残されないよう、きめ細かい支援をすべきです。答弁を求めます。
ワクチンの入荷がはっきりしない、準備期間が少ない、政府からの説明が遅いなど、自治体にも大変な負担になりました。接種券にも会場ごとの接種曜日が記入されていないこともあり、日にちを決めるのに混乱した。ウェブサイトの予約で二回目の予約ができたこと。それの取消しなど、多くの混乱がありました。
今回のやり方をよく検証し、年齢別に接種券を配布するなど、六十四歳以下の予約の在り方については、混乱を招かないよう改善すること。ウェブ予約については、各地区総合支所、いきいきプラザなど区民に身近な施設で、職員や大学生などの協力を得て、予約のための支援を行うこと。情報提供の在り方について、分かりやすい情報提供を工夫すること。電話予約の場合、何回もかけないと通じないことが明らかになりました。通話料を着信側が負担するフリーダイヤルにすること。答弁を求めます。
エンディングへの支援についてです。ひとり暮らしの高齢者の多くで、自分にもしものことがあったらどうしようと不安に感じている方が増えています。しかし、何をどうすればいいか分からない方も多いです。人の死という触れにくい問題だけに、周辺の方も話しづらいというのが現状です。身内がいない方や死後の準備をしていない方が亡くなった場合、葬儀や家財の処分、年金等の行政手続など、実際は大変な状況になります。
今、こうした死後事務を社会福祉協議会が代行する自治体があります。生前に委託契約を結び、代わりに手続を代行する仕組みです。名古屋市の社会福祉協議会が実施しているなごやかエンディングサポート事業では、死後は葬儀、納骨、家財処分、行政手続、生前は月一回の電話などでの見守りや安全確認、希望者には入退院時の支援などを行っています。行政と社会福祉協議会が協力してやることで、誰もが安心して利用できるのではないでしょうか。何も準備しないまま亡くなってしまうと、御本人の希望しない形で最後を迎えることになってしまいます。亡くなった後も、その人らしい最後を迎えることができるためにも早急に検討すべきです。答弁を求めます。
生理用品を学校のトイレ等に設置することについてです。
生活の困窮や親のネグレクト等、様々な事情で生理用品を手に入れることができない、いわゆる生理の貧困が問題となっています。#みんなの生理共同代表の谷口歩実さんらが声を上げ、生理用品の無料配布は全国各地に広がりました。
港区は、三月二十九日から、子ども中高生プラザと芝浦アイランド児童高齢者交流プラザやリーブラなど十か所で四百六十二セットが配布されています。また、今年度のエンジョイ・セレクト事業にも盛り込まれることになっています。
四月二十一日には、教育長に学校のトイレに生理用品を無償設置するよう求める要請書が出され、これを受けて、区内公立学校小学五年生から中学三年生まで生理用品に関する調査が行われています。六月三日には、新日本婦人の会が区長と教育長に生理用品の設置を求める要請を行いました。品川区、多摩市、千葉県君津市や神奈川県大和市では、学校のトイレに生理用品が設置されています。東京都も都立学校への設置を決めました。
港区内小・中学校、区有施設等のトイレの個室に生理用品を設置すること。答弁を求めます。
保育園の入園要件の見直しについてです。
港区の保育園入園案内には、育児休業取得中は保育園の利用調整の対象にはなりませんとあり、復職が申込みの条件になっています。女性の社会進出や共働き世帯の増加などで、育児休業取得率が八〇%を超えました。これは労働者に与えられた権利であり、制度上二歳まで、企業によっては三年まで休業期間が延びています。育児休業取得期間が延びたことにより、休業中に第二子を妊娠するケースが生まれます。この場合、復職のめどが立っていなければ、第一子は保育園に入れたいと思っても申込みすらできないということになります。
育児休業の制度や働き方が大きく変わってきた今、保育園も待機児童が解消されている今だからこそ、様々なケースに柔軟に対応すべきです。育児休業中の保育園申込みの要件の見直しをすること。答弁を求めます。
出産予定月の二か月前から産後五十七日目の月末までの期間、出産の要件で保育園に入園することができます。出産時のトラブルや多胎児のケース、産後鬱など、子育て支援は欠かせません。特に多胎児の場合は深刻で、現代の核家族化の中で母親にかかる負担が大きく体調を壊した実態があります。親も子もストレスをためながらの子育ては双方にとって負担で、保育が困難な場合に匹敵します。虐待につながるおそれもあります。
出産のための入園期間を延長すること。多胎児の場合はさらに延長すること。答弁を求めます。
育児休業明け入所予約制度は、二〇〇六年十二名の枠から始まりました。安心して育児休暇が取れると好評ですが、今年度は入所予約枠が百五に対して申請者数が八十九と初めて下回りました。今年度から復職時期の変更や定数の枠が増え、利用しやすくなっている反面、区立保育園のみ実施で、私立園は対象外、一歳の誕生日の月に復帰が条件で、抽せんで外れた場合の対応など課題になっています。私立園は定員を空けておくことが運営面での困難につながるとの見解ですが、不公平を生み出すことがあってはなりません。
育児休業明け入所予約制度を実態に合った制度に見直すこと。答弁を求めます。
私立認可保育園を守ることについてです。
区内の小規模保育園は、「定員割れがひどくて運営が厳しい」「定員割れ分の特別補助等年度末に清算するが、それまで財政的にもたない」「保育士の一時金が出せない」と定員割れのために保育園の運営が存続できない事態が目の前に迫っています。「せめて年度末の清算が年に何度かにできないか」と切実です。
運営費などの清算の時期を年度末に限らず、安定した園運営を守るためにも何度かに分けて支給する仕組みをつくること。答弁を求めます。
私立認可保育園の五十八園中三十三園は、既に特別助成の期限である開設後五年以上経過しており、運営面や保育内容が心配です。五月一日現在、〇歳児が十名のところ九名空いている園がある実態です。今年度の年度途中に小規模保育園としては初めて、二つの園が丸五年を迎えます。労務管理も含め、今年から港区による監査が行われます。区として、園の実態をしっかりつかむ必要があります。
保育の質を守るためには人件費を削ることはできません。何としても私立認可保育園を守るため、私立認可保育園の定員割れに対する特別助成の開設から五年までの期間を削除すること。答弁を求めます。
五輪開催は中止。子どもの観戦をやめることについてです。
新型コロナウイルス感染症収束の対策に全力を集中するため、港区として、東京都及び大会組織委員会に対し、夏の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の中止を求めること。答弁を求めます。
感染リスクを無視して、東京都教育委員会が強行を狙う学校連携観戦。新型コロナウイルス感染症感染拡大前の計画にもかかわらず、いまだに児童・生徒、教職員ら八十一万人を事実上動員する計画を撤回していません。公共交通機関を利用する際の明確な感染症対策は何一つ示されていません。変異株のリスクもある中、ワクチンを接種していない何十万人もの子どもが危険にさらされるのは明白です。港区からは一万三千人の子どもと千人の大人が対象です。
教職員は子どもの命を守る義務があります。新型コロナウイルス感染症感染と熱中症の危険を伴う学校連携観戦はやめること。実施する場合でも希望者のみとすること。参加しない児童・生徒を欠席扱いとしないこと。答弁を求めます。
各地で粛々と開催されている聖火リレー。スポンサー企業の車列が百メートルも続き、ランナーがどこにいるかも分からない、一体誰のための聖火リレーでしょうか。
港区は、聖火リレーのためにオリンピック・パラリンピック合わせて千二百十七名のボランティアを集め、百三十一名の区職員が動員されます。ボランティアや運営スタッフの感染症対策は何一つ示されていないのが現状です。
港区内の聖火リレーについては、中止を申し入れること。実施する場合は、公道の通行はやめるよう申し入れること。オリンピック・パラリンピックの聖火リレー等の大会関連業務に従事する職員、ボランティアについては、港区の責任で数回のPCR検査を実施すること。答弁を求めます。
質問は以上です。答弁によっては再質問を行うことを申し述べて、終わります。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの共産党議員団を代表しての熊田ちづ子議員の御質問に順次お答えいたします。
最初に、新型コロナウイルス感染症から区民の命と生活、営業を守ることについてのお尋ねです。
まず、国に対し消費税率の引下げを要請することについてです。コロナ禍の長期化を踏まえ、国は生活に困窮する世帯等への給付金制度を新たに創設するなど、追加の支援策に取り組んでいます。区では、消費税率の引下げについて国に要請することは考えておりませんが、引き続き国の動向を注視してまいります。
次に、飲食店などのテナントに対する家賃助成についてのお尋ねです。区の経営相談窓口に訪れる中小事業者からは、資金繰りに関する相談などが多く寄せられております。区独自のテナント向け家賃助成の実施は予定しておりませんが、相談でのこうした声を踏まえ、返済据置期間の延長や特別融資あっせんのほか、国や東京都の融資、補助制度の案内など、各事業者の実情に応じたきめ細かな支援に引き続き取り組んでまいります。
次に、PCR検査を自由に受けることができる体制づくりについてのお尋ねです。現在、区内においては、民間検査機関や医療機関での検査機会が増えており、症状がない方でも検査を受けることが可能です。区では、無症状の希望者等を対象としたPCR検査の実施は予定しておりませんが、施設で陽性者が発生した場合には、濃厚接触者に限らず範囲を拡大し、PCR検査を実施しております。これにより感染源の特定に努めるとともに、施設での感染拡大の防止に取り組んでおります。引き続き、感染状況に応じた必要なPCR検査の実施により、区民の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいります。
次に、都立広尾病院の独立行政法人化をやめるように東京都に要請することについてのお尋ねです。
都立広尾病院は、区民に対する質の高い医療サービスの提供や災害医療の拠点としての役割を担うとともに、新型コロナウイルス感染症患者を積極的に受け入れていただいております。独立行政法人化をやめるよう東京都に求める予定はありませんけれども、感染症対策等における必要な医療体制については、区民へのサービスが低下することのないよう、特別区長会や東京都知事との意見交換会等を通じて、今後も要請してまいります。
次に、育児休業代替任期付職員についてのお尋ねです。
まず、雇用条件の見直しについてです。育児休業代替任期付職員は、法律の規定により常勤職員が育児休業を請求する期間のみ任用することができます。このような中、区では、育児休業に入る前の産前休暇の期間を臨時的任用職員として任用することや、年二回実施している任期付職員の採用選考の情報を提供することにより、希望する任期付職員の継続任用が可能となるよう配慮しております。育児休業代替任期付職員の雇用条件については、法律の趣旨を踏まえた上で職員団体と協議しながら、任期付職員が安心して勤務できる制度運用を検討してまいります。
次に、正規職員による過員配置についてのお尋ねです。現在、保育園においては、安定的に保育現場を運営できるよう、二名以上の職員が同時に一年以上の育児休業を請求したときは、そのうち一名について、年度当初から常勤職員の保育士を配置しております。また、事務系職場においても課題や業務の状況、育児休業の期間を踏まえて、年度当初から常勤職員を配置しております。今後も、育児休業を代替する職員については、任期付職員の配置を基本としながら、各所属の状況も踏まえた上で、育児休業を請求する職員も職場で働く職員も、お互い安心して働くことができる職員配置を行ってまいります。
次に、補聴器購入費助成など高齢者の聞こえの支援強化についてのお尋ねです。
区では、昨年度、厚生労働省による高齢者の補聴器利用に関する研究事業に参画し、高齢者がいつまでも生き生きと生活していくためには、難聴を早期に発見し、補聴器の適正な使用を支援していくことが重要であると分かりました。今後、区は、早期発見のための言語聴覚士による聞こえの講座を開催するとともに、難聴高齢者の社会参加を積極的に支援するため、補聴器相談医、認定補聴器技能者と連携し、補聴器の購入前からアフターケアまでを継続的に支援する港区独自の補聴器購入費助成制度を整備し、高齢者の聞こえを積極的に支援してまいります。
次に、新型コロナウイルスワクチン接種予約での区民に寄り添った支援についてのお尋ねです。
まず、高齢者に対する支援についてです。区は、接種会場に来場することが困難な高齢者に対して、訪問や巡回による接種を今月中旬から開始し、七月末までの完了を目指しています。具体的には、訪問診療を行っている医師により、誰にも相談できず接種ができない高齢者を把握し、接種を促します。さらに、介護事業所のケアマネジャーやヘルパー、民生委員・児童委員、ふれあい相談員の皆さんにも御協力をいただき、巡回接種により施設に入所していない要介護の高齢者にも接種していただけるよう丁寧に支援をしてまいります。
次に、予約の混乱を招かないように改善することについてのお尋ねです。五月十七日から開始した高齢者の接種では、コールセンターにつながりにくい、予約が取りにくいといった御意見が多数寄せられました。今月末の予約開始に向け、コールセンターを現行の三十回線から可能な限り増設し、つながりにくい状況の改善を図ります。区が優先して接種を行うこととしている六十歳から六十四歳までの方、基礎疾患のある方が安心して申込みができるよう、予約開始日をほかの世代の方よりも一週間程度早めに設定いたします。十二歳から五十九歳までの方の予約についてもスムーズに予約ができるよう、システムの安定稼働に努めてまいります。
次に、ウェブ予約のための支援についてのお尋ねです。区では、ワクチン接種の予約を支援するため、五月二十六日から各地区総合支所において予約サポート窓口を開設し、ウェブ予約やコールセンターによる予約等の支援体制を整え、この間、確実に予約につなげております。今後、十二歳から六十四歳までの区民の接種開始に向け、各地区総合支所に加え、他の施設でも簡単な問合せにお答えできるよう、相談の充実を検討してまいります。
次に、分かりやすい情報提供の工夫についてのお尋ねです。区は、ワクチン接種に関する情報を正確かつ速やかに発信するために、広報みなと、区ホームページ、デジタルサイネージ等で広く情報を発信しております。また、これまでワクチン接種の情報に特化したポスターを七回発行し、区設掲示板、区有施設等での掲示や町会・自治会等を通じて周知してまいりました。今後のワクチン接種に関する情報量の増加を見据え、区ホームページの特設ページの内容をより分かりやすく整理するとともに、引き続き、区民が自分に合った媒体から情報を取得できるよう、様々な媒体を活用した積極的かつ丁寧な情報提供に努めてまいります。
次に、電話予約にフリーダイヤルを導入することについてのお尋ねです。コールセンターでは迅速な予約対応に努めているものの、回線に限りがあるため、特に予約開始日の直後には多くの方にお待たせすることが予想され、その際にかかる通話料は申込者の負担となっております。安心して予約をしていただけるよう、フリーダイヤルの導入について現在検討しております。
次に、エンディングへの支援についてのお尋ねです。
区では、各地区の高齢者相談センターにおいて、港区社会福祉協議会と連携しながら、高齢者から寄せられる相続や葬儀などの相談に応じるとともに、いわゆる終活に関する講座を実施しております。講座では、弁護士や公証人が死後事務の委任契約制度を御案内するほか、御自身が望む葬儀の在り方なども紹介しています。今後も、港区社会福祉協議会や関係機関との連携を一層強化し、高齢者一人一人の状況や要望に応じた丁寧な相談や支援に努めてまいります。
次に、区有施設のトイレにおける生理用品設置についてのお尋ねです。
現在、区は、十か所の区有施設の窓口で新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により経済的に困窮し、生理用品の調達が困難な女性を対象に、本年六月末日までの予定で生理用品の緊急配布を実施しております。七月以降はエンジョイ・セレクト事業のメニューに生理用品を加えることにより、生活にお困りの世帯に対し支援をしてまいります。あわせて、区有施設での配布については需要を把握し、今後の課題として検討してまいります。
次に、保育園の入園についてのお尋ねです。
まず、育児休業中の保育園申込み要件の見直しについてです。保育園の利用については、子ども・子育て支援法で定める子どものための教育・保育給付の支給要件が必要です。育児休業中は支給要件に該当しないため、保育の必要性は認定されませんが、家庭や子育ての事情により保育を希望する場合は、保育園の一時保育や乳幼児一時預かり事業などにつなげております。今後とも、育児休業期間中も安心して子育てができるよう、個々の事情に対応した子育て支援サービスを提供してまいります。
次に、出産のための入園期間の延長についてのお尋ねです。出産を要件とする認定期間は、出産日から五十七日目の属する月末までと子ども・子育て支援法で定められております。出産前については、妊娠初期などの心身の状況から、医師の判断により保育の必要性を確認できる場合は延長することが可能です。多胎児の場合については、保護者の心身の負担がより大きいことへの配慮が必要と考えております。このようなことを踏まえ、今後、出産を要件とする認定期間の延長について研究してまいります。
次に、育児休業明け入所予約制度の見直しについてのお尋ねです。育児休業明け入所予約は、保護者が復職後の保育園入園を確保できる制度です。年度当初から予約したお子さんが入園するまでの期間、定員の空きを確保することは、私立保育園等において運営費の負担が生じることから、現在、入所予約は区立保育園と港区保育室で実施しております。今後、育児休業明け入所予約については、私立保育園の意向を確認してまいります。
次に、私立認可保育園を守ることについてのお尋ねです。
まず、私立認可保育園の運営に対する支援についてです。区は、私立認可保育園に対して、国が定める毎月支払う運営費のほか、保育士等キャリアアップ補助事業や保育従事職員宿舎借上げ支援事業など、補助金については、交付決定後、速やかに概算払いをするなどの対応を取っております。引き続き、私立認可保育園の安定的な運営を支援するため、各種補助金について速やかに支払ってまいります。
次に、定員割れに対する特別助成の見直しについてのお尋ねです。区は、私立認可保育園に対して、国が定める運営費に加えて、保育施設の建物賃借料補助や延長保育補助など様々な補助制度によりきめ細かく支援しております。特別助成の期間の五年間については適切なものと考えておりますが、引き続き私立認可保育園の定員の空き状況や収入状況を把握するなど、運営状況を注視してまいります。
次に、東京都及び組織委員会に対して東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の中止を求めることについてのお尋ねです。
組織委員会は安全・安心な大会を実現するため、選手や関係者等に対し、事前の計画書に記載した場所以外への移動制限や、毎日のスクリーニング検査の実施などの規定を定めたプレーブックを公表しております。この規定を遵守しなかった選手等は大会参加の権利が剥奪されるなど、組織委員会は確実な履行を促すとしています。こうした状況を踏まえ、区は、東京都や組織委員会に対して大会の中止を求めることは考えておりませんが、区民等の不安を払拭するために、感染症対策の徹底や適切な情報提供等について、引き続き求めてまいります。
次に、港区内の聖火リレーについてのお尋ねです。
まず、組織委員会や東京都に対して中止または公道の実施を取りやめるよう申し入れることについてです。東京都では、聖火リレーの実施に当たり、組織委員会によるガイドラインを遵守した運営計画を区とともに検討を重ねるなど徹底した感染防止対策を講じております。このため、組織委員会や東京都に対して、区内で実施される聖火リレーの中止や公道の実施を取りやめるよう求めることは考えておりませんが、ガイドラインに基づく三密の回避やマスク着用による拍手での応援の徹底など、東京都等と引き続き緊密に連携し、対応してまいります。
最後に、従事職員やボランティアへのPCR検査の実施についてのお尋ねです。職員やボランティアにおいては、マスク着用や手指消毒の徹底など基本的な感染防止対策が重要であることから、事前説明会でも感染症対策に関する十分な説明を行うとともに、実施前の検温や体調不良時には当日の参加を見合せていただくことを徹底することなど必要な対策を講じてまいります。このため、職員やボランティア等へのPCR検査の実施は予定しておりませんが、感染防止対策を徹底することで安全・安心な聖火リレーを実現してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(浦田幹男君)登壇〕
○教育長(浦田幹男君) ただいまの共産党議員団を代表しての熊田ちづ子議員の御質問に順次お答えいたします。
最初に、学校のトイレにおける生理用品設置についてのお尋ねです。
教育委員会では、困窮により家庭で生理用品が買えない、準備ができない児童・生徒の実態を把握するため、区立小・中学校に通う小学校五年生から中学校三年生までの全ての女子児童・生徒に対して、学校生活における生理用品に関する調査を本年五月から六月にかけて実施をしております。本調査の結果を踏まえ、児童・生徒が安心して学校生活を送ることができるよう、学校での生理用品の取扱いについて、早急に検討してまいります。
最後に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催における子どもの観戦についてのお尋ねです。
東京二〇二〇大会では、観戦体験を通して、平和を実感し、感動を得ることができる、またとない機会です。教育委員会では、学校連携観戦をオリンピック・パラリンピック教育で育成すべき資質・能力を育むための貴重な学びの場と捉え、観戦の実施について、幼稚園長会、小・中学校校長会と協議をいたしました。その上で、小学校については、授業日として教育課程に位置づけ、中学校については、夏季休業期間に生徒が進路選択に向けた学習や取組があることから授業日とはせず、可能な限り参加を促すことにしております。なお、小学生については、保護者が新型コロナウイルス感染症の不安から児童を参加させない場合は欠席とはいたしません。実施に当たりましては、感染症対策や暑さ対策を十分に講じ、幼児・児童・生徒の安全に配慮してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
〔二十六番(熊田ちづ子君)登壇〕
○二十六番(熊田ちづ子君) それでは、再質問を行います。
まずは聞こえの支援についてです。私たちは何回も議会で取り上げてきて、やっと区長から実施する方向性が示されました。今、二十三区では十五区が実施しておりまして、第一回定例会のときに紹介したときは十一区だったのですが、今年度になって四区増えています。
この質問を準備しているときに、控室に電話がありました。「聞こえが悪いので補聴器を調べたら、非常に高くて諦めた」と、「聞こえないと社会からも家族からも孤立してしまう。支援はないのでしょうか」という問合せでした。これまで、こうして多くの人たちが我慢をしてきたわけですので、一日も早く応えていくべきだと思います。
私は、先ほどの質問で早期の実施を求めましたので、改めて実施時期についてお答えいただきたいと思います。
それから、私立保育園の支援についてです。
港区の待機児童ゼロ達成後の新たな課題への対応方針というのが、先日の保健福祉常任委員会で報告されました。この中に、待機児童ゼロを継続させていくためには、定員に一定程度の空きが生じざるを得ない。空きを前提とした支援の在り方の検討が必要だと、これは大変重要な指摘だと思います。そのためには、今ある定員割れのための特別助成を継続する必要があると思います。
区長は、先ほど五年の縛り、五年と決めているのは、適切だと考えているという答弁でしたけれども、先ほども紹介したように、今年度、小規模園で二園が特別助成の対象から外れます。五月の空き状況を見ると、そのうちの一園は、十二人の定員に対して空きは九人です。もう一園は、十九人に対して空きが十二人です。いずれも深刻です。早急に特別助成の五年縛りをやめて、私立小規模保育園を支援することが必要だと思いますので、この点についても再度答弁をお願いいたします。
学校連携観戦についてです。
またとない機会で、平時であれば、本当に誰もが楽しめるオリンピック・パラリンピックだったのだろうと思います。ただ、今、感染が拡大している中で、オリンピック・パラリンピック開催について中止や延期を求める、子どもの観戦をやめるという、そういった世論は非常に大きくなっていると思います。
五月十五日の報道特集がこの問題を取り上げました。番組の中である校長先生が、「子どもの命と安全が第一だから、見せてやりたいが、心を鬼にして観戦辞退を考えている」と苦しい胸のうちを明かしていました。子どもを預かる現場の責任者として、今、多くの関係者の方たちがこのように悩んでいるのではないでしょうか。港区の教育現場の責任者として、子どもの安全を最優先に考えて観戦をやめるべきだと思いますので、再度答弁をお願いいたします。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの共産党議員団を代表しての熊田ちづ子議員の再質問にお答えいたします。
まず、高齢者の聞こえの支援の実施時期についてのお尋ねです。
区では、補聴器の購入前からアフターケアまで、継続的に支援する港区独自の補聴器購入費助成制度を整備することを考えております。そのためには、港区医師会等も通じまして、区内補聴器相談医の方などの御意見も頂きながら、適切な制度を構築してまいりたいと考えております。区としても、早く制度が運用できるよう努めてまいります。
最後に、定員割れに対する特別助成の見直しについてのお尋ねです。
御質問にありましたように、待機児童ゼロを継続していくためには、年度途中の保育需要に対応するために、年度当初では一定の空き定員、余裕を用意しておくことは必要であると考えております。私立認可保育園に対しては、区としても、国の規定などに加えて様々な独自の助成制度も行い、きめ細かく支援をしております。助成期間の五年間については適切なものと考えておりますけれども、引き続き、私立認可保育園の定員の空き状況、また収入状況を把握し、適宜、把握に努め運営状況を注視してまいります。
よろしく御理解のほどお願いいたします。
教育に関わる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(浦田幹男君)登壇〕
○教育長(浦田幹男君) ただいまの共産党議員団を代表しての熊田ちづ子議員の再質問にお答えいたします。
東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催における子どもの観戦についてのお尋ねです。
現在、東京都教育委員会は、組織委員会と子どもの観戦に当たって感染症対策や暑さ対策についての確認を行っております。また、区においても、教育委員会と幼稚園長会、小学校長会と、コロナ禍の状況を踏まえた中で、より安全な参加方法について検討を進めてございます。引き続き、児童・生徒が安全に東京二〇二〇大会を観戦することができるよう調整を進めてまいります。
御理解のほどよろしくお願いいたします。
○議長(二島豊司君) 以上にて、本日の日程は全部終了いたしました。
本日の会議は、これをもって散会いたします。
午後五時三十八分散会...