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令和元年12月5日エレベーター等安全対策特別委員会-12月05日

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    令和元年12月5日エレベーター等安全対策特別委員会-12月05日


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    令和元年12月5日エレベーター等安全対策特別委員会-12月05日令和元年12月5日エレベーター等安全対策特別委員会  エレベーター等安全対策特別委員会記録令和元年第4号) 日  時  令和元年12月5日(木) 午後1時00分開会 場  所  第3委員会室出席委員(8名)  委 員 長  横 尾 俊 成  副委員長  鈴 木 たかや  委  員  玉 木 まこと       石 渡 ゆきこ        小 倉 りえこ       丸山 たかのり        清 家 あ い       ゆうき くみこ 〇欠席委員   な し 〇出席説明員  高輪地区総合支所管理課長   佐 藤 博 史
     保健福祉課長         山 本 睦 美  子ども家庭課長        野 上  宏  保育課長           山 越 恒 慶  街づくり支援部長       野 澤 靖 弘  住宅課長           野 口 孝 彦  施設課長           大 森 隆 広  用地・施設活用担当部長    中 島 博 子  防災危機管理室長       長谷川 浩 義  危機管理生活安全担当課長  滑 川 寛 之  総務部長           北 本  治  総務課長           湯 川 康 生  学務課長           山 本 隆 司  学校施設担当課長  伊 藤 太 一 〇会議に付した事件  1 審議事項   (1) 議 案 第126号 和解について                                (元.11.28付託)   (2) 発 案元第10号 安全対策及びエレベーター事故の調査について                                (元.6.20付託)                 午後 1時00分 開会 ○委員長横尾俊成君) ただいまから、エレベーター等安全対策特別委員会を開会いたします。  本日の署名委員は、玉木委員、ゆうき委員にお願いいたします。  この際、傍聴者の方にお伝えいたします。委員会の撮影・録音を希望される方は、あらかじめ申出書にご記入の上ご提出ください。なお、撮影・録音は申し出が許可された後にしていただきますようお願いいたします。  11月28日に開会された委員長会の報告をいたします。  特別委員会の審査についてです。議案第126号の和解については、当特別委員会に付託されました。そのため、本日の当委員会にて議案の審査を行いたいと思います。  次に、節電及び省エネルギーの推進についてですが、既に行政では、11月1日から暖房温度の目安を19度とするウォームビズに取り組んでいます。議会としても、夏季同様に、節電・省エネルギー型のライフスタイルを実現する必要があることが確認されましたので、皆さんのご協力、ご理解をよろしくお願いいたします。  以上が委員長会の報告です。     ──────────────────────────────────────── ○委員長横尾俊成君) それでは、審議事項に入ります。初めに、審議事項(1)「議案第126号 和解について」を議題といたします。理事者から提案理由説明を求めます。 ○危機管理生活安全担当課長滑川寛之君) ただいま議題となりました審議事項(1)「議案第126号 和解について」、提案の補足説明をいたします。議案にあわせまして、本日付当常任委員会資料№1、港区特定公共賃貸住宅シティハイツ竹芝エレベーター事故に係る損害賠償請求訴訟和解についてをごらんください。  項番1、訴訟当事者です。議案文の1枚目にも記載されておりますが、訴訟を提起した原告は港区となります。被告については、事故を起こしたエレベーター製造会社であるシンドラーエレベータ株式会社と、その親会社であるシンドラーホールディングアーゲーです。また、事故発生前の平成17年度にエレベーター保守管理を行っていた株式会社日本電力サービス事故当時に保守管理を行っていたエス・イー・シーエレベーター株式会社の4者となります。  項番2、訴訟に至る経緯です。議案文の2枚目以降にも記載されておりますが、平成18年6月3日、シティハイツ竹芝において、エレベーターの扉が開いた状態でエレベーターのかごが上昇する、いわゆる戸開走行により、当時高校2年生であった居住者が、かごの床面と乗降口の上部に挟まれて亡くなるという事故が発生いたしました。  ここで、別添の資料№1-2をごらんください。本件事故の概要と関係者を取りまとめております。資料の右側には本件事故に関連した訴訟を取りまとめております。右下の表に記載のとおり、本件区原告訴訟のほか、ご遺族エス・イー・シー社がそれぞれ提起した民事訴訟、そして刑事訴訟がございますが、いずれも現在は終結しております。  ここで、資料本文にお戻りください。項番2、(2)事故の発生後、被告らがご遺族シティハイツ竹芝居住者に真摯に対応しない中、区は、これら居住者の安全の確保や不安の解消のため、エレベーターの全機交換等対応を行いました。その後、区は、平成22年3月に事故後の対応に要した経費の支払い被告らに求めましたが、被告らがこれに応じなかったため、同年7月6日、これらの損害13億8,000万円余の賠償を求める民事訴訟を提起いたしました。  ここで、追加でお配りした資料№1-5をごらんください。こちらは損害賠償請求額内訳です。1から5の項目費用が、区が事故後の対応に要した費用で、損害として賠償を求めている金額になります。なお、表の下にはシンドラー社等に対する請求合計額と、日本電力サービス社等に対する請求合計額が分けて記載されておりますけれども、これは別々に訴訟を提起しているわけではなく、1つの訴訟における合計13億8,000万円余の請求額のうち、11億円余については、日本電力サービス社等に連帯し支払いを求めていることで、内数になります。6番の弁護士費用の欄についても、日本電力サービス社等に対する請求合計額を求める便宜上2つに分けているもので、あくまで弁護士費用は本訴訟請求している損害合計額の10%ということで計上しております。また、表の中でシンドラーホールディングアーゲーについては、シンドラーホールディング(株)と記載しておりますが、これはドイツ語株式会社意味するアーゲーをこのように略式表記しております。  続いて、資料本文項番3、訴訟経過ですが、これについても別添資料説明いたします。資料№1-3をごらんください。本件事故に関連する各訴訟経過をまとめております。表の一番左が本訴訟経過となります。平成22年10月から口頭弁論が開始され、平成27年10月からは法廷外協議を進める弁論準備手続に移行し、各当事者による主張整理等が行われてきました。一方、表の一番右にある刑事訴訟では、平成27年9月に第1審判決があり、平成30年3月には、被告人全員無罪が確定しております。表の左から2番目のご遺族が提起していた民事訴訟については、平成29年11月に和解が成立しました。  こうした状況を受けまして、本訴訟についても平成30年10月から和解協議が開始されました。ここで、資料本文の2ページにお戻りください。(2)和解協議における区の主張です。和解協議において区は、まず、本訴訟和解となった場合でも、区が事故後の対応に要した費用については、被告らにおいて最大限の補填がなされる必要があること。また、その事故後の区の対応については、自治体として適切だったことを明らかにすること。そして、本訴訟判決でなく和解で終結させるのであれば、本件のような事故を二度と起こさない安全・安心な社会の実現に向け、判決では科すことのできない被告らに再発防止策を約束させること、以上の点を主張してまいりました。  (3)和解勧告です。こうした和解協議の結果、本年10月4日、東京地方裁判所から訴訟の各当事者に対し和解勧告がなされました。和解勧告内容につきましては、議案文の3枚目の最後の行、4、和解条項として一部記載されておりますが、別添資料№1-4に全文を用意しておりますので、ごらんください。和解勧告ポイントとなる部分について説明いたします。まず、和解勧告の1ページには、和解勧告の前文という形で裁判所による趣旨説明が記載されております。その中で18行目をごらんください。文の途中からになりますが、「要請に応えるべく上記諸施策を実施したことは行政を担う原告の行為として十分理解することができる」とあります。事故後の区の対応について、その適切性裁判所に評価されたものと受けとめております。  続きまして、2ページの記書きをごらんください。この記書き以降が和解条項の部分になります。この記書き項番1には、被告らを含めた各当事者再発防止を表明するとあります。この再発防止の具体的な内容については、和解勧告の4ページをごらんください。こちらに再発防止に向けた取り組みとして、被告らによるエレベーターの安全に向けた取り組みが責務として記載されております。  和解勧告の2ページの記書きにお戻りください。項番2以降には、被告らによる和解金支払いが記載されております。シンドラー社が3億9,600万円、シンドラーホールディングアーゲーはその支払いの履行を確約することとなっております。エス・イー・シー社が300万円、日本電力サービス社が100万円、これをそれぞれ支払うことが定められております。なお、この支払いの名目について、エス・イー・シー社だけが協力金となっておりまして、ほかの2社の解決金と異なっていますが、これについてはエス・イー・シー社が将来の安全対策に向けた協力金としたいと主張したことによるものであり、和解金としての法的意味合いには特に差異はないということです。  最後に、和解勧告の7ページをごらんください。これはシンドラー社和解金になります。3億9,600万円の内訳です。こちらには、区が請求していた損害の費目が全て網羅された上で、それぞれ一定割合和解金となっていることが示されております。  資料本文の2ページにお戻りください。項番4、和解勧告の受託です。ただいまごらんいただきましたとおり、和解勧告内容は、和解金、区の対応への評価、被告らによる再発防止策の3点において区の主張が受け入れられたものとなっております。以上を踏まえまして、区は本件訴訟を終結させて将来的な安全対策に注力していくため、この和解勧告を受託することといたします。  最後に、項番5、今後のスケジュールです。本議案について議決をいただけましたら、12月11日の和解期日において和解が正式に成立する予定となっております。  説明は以上となります。よろしくご審議の上、ご決定くださいますよう、お願いいたします。 ○委員長横尾俊成君) 提案理由説明は終わりました。これより質疑を行います。ご質問等ございます方は、順次ご発言願います。 ○委員石渡ゆきこ君) まず、こちらのシンドラー社エレベーター事故は、社会的にも非常に注目を集めたものであり、さらには、民事刑事、複雑かつ非常に多岐にわたる訴訟ということと、あとはさらにこの十何年にもわたった期間、きょうはご遺族の方もこちらを傍聴されていると聞いておりますが、まずはご遺族の方々のこれまでのたゆまぬ再発防止に向けたもの、事実の解明に向けた真摯な取り組みについて、お礼を改めて申し上げます。大変お疲れさまでした。これまでの当事者として、一番の当事者でありながら本件訴訟では原告のご本人にはなっていらっしゃいません。そのような立場できょうも改めてお時間を割いて傍聴して見守っていただけるということは、私どもとしては大変ありがたいことだと思っております。  質問の内容を具体的に何点か、私も弁護士として特に損害賠償のこちらの主張に関しましては、製造物責任の問題や損害賠償、さらには刑事としての組織罰をいかに問うかということでは、我々法曹業界にとっても大変注目の集まる裁判でした。このように区が和解という形で決着にこぎ着けたことは、非常に大きな意味があるのではないかと思っております。  具体的に何点か確認いたします。まずは、平成に入りまして民事訴訟が余りにも長くなり過ぎるということでは、通常においてスピード化迅速化を求める流れの中において、このように10年を超える訴訟、しかも、弁論準備期日和解期日以外の口頭弁論による期日も数えると、非常に多数回を重ねたこの裁判の経緯を見るだけでも、複雑かつ争点、争いの激しかった訴訟ではないかと思われますが、まず、ここまで長大化した争点は具体的にはどこにあったのか、簡略で構いませんので教えてください。 ○危機管理生活安全担当課長滑川寛之君) ただいま石渡委員指摘のとおり、訴訟自体争点が多岐にわたっておりますけれども、やはり最大争点は、本件事故が起こった原因とされておりますブレーキシステムの不具合が、いつ、どうして発生したのか。そこが、この製品の瑕疵を問う上でも、また、保守会社過失を問う点でも最大ポイントだったのですけれども、まさにこの点が最大争点となっておりました。 ○委員石渡ゆきこ君) その点においては、先行する刑事の業務上過失の方では、最終的には1審では、一部の保守会社被告らに対しては有罪判決が出るものの、2審ではそれが逆転し無罪という判断が出ております。ただ、ここで誤解がないように指摘しておきたいのは、あくまでもこの訴訟刑事の中で争われた控訴事実に対しては無罪になったということであって、大きな意味でのエレベーター保守ということに対して、今回の被告らの道義的、社会的、さらには技術的な専門業者としての責任、故意、過失が免れるものではないと思いますけれども、まさにそうした刑事では争われなかった広い意味での被告らの責任を追及するという意味が、本件民事訴訟でもあったと理解してよろしいでしょうか。 ○危機管理生活安全担当課長滑川寛之君) まさしく今、石渡委員指摘のとおり、刑事訴訟争点となったところだけを問題としたわけではありません。やはりこの重大な結果を起こした事故原因をしっかりと究明して責任を追及していくというのが区の姿勢でありました。 ○委員石渡ゆきこ君) その中で少し具体的なことを教えていただきたいのですが、まず、請求額が13億円ということで、印紙代を拝見しますと379万円で、これは区の方から支出されている訴訟費用ということで、弁護士に対する着手金のほかにこの印紙代がかかっていると思いますけれども、実際の和解金額が4億円弱になっております。ある意味請求額とこの和解額の間に多少の乖離があると思うのですけれども、これは例えば、訴訟額などについての考え方、初めから獲得できるところを、例えば、4億円の訴訟ということで計算しますと印紙代は122万円になります。つまり、その分に印紙代がかなり高くかけて、請求額も13億円と積算されている、それに対しての区の見解を伺いたいのです。こういった不法行為を問う損害賠償の中には、エレベーター本件事故の前にも、エレベーターでの負傷事故などが相次いだときに、例えば、平成5年、6年に行われた裁判においても、アメリカ法的な考え方の懲罰的な損害賠償のような考え方、いわゆる被告らに対しての責任を懲罰という意味で科すという意味での訴訟額を大きくしていく、そういった請求がされている裁判もあります。ただ、これは現行の裁判所のとる判断方法ではありませんし、学説も分かれていますから、こうした懲罰的な損害賠償請求に対してはいずれも棄却されているという現実があったのですけれども、本件の区における13億円の積算の根拠は、そうした懲罰的な損害賠償としての請求を含むのか、それとも、事実として区が現実に出捐したものを含むのか、まずその請求額考え方について教えてください。 ○危機管理生活安全担当課長滑川寛之君) 先ほど説明いたしました13億8,000万円余の請求額については、先ほど別紙1-5で説明したとおりの費用なのですけれども、これはまさに本件事故が起きなければ区が支出することがなかった費用と考えております。区が支出した背景には、先ほど本文説明でも若干触れましたけれども、事故原因者であると考えられる製造会社保守会社、こういったところが真摯な対応をしない中で、住民の安全を確保するために支出しなければならなかった費用と考えております。ですから、事故原因者と考えられる製造会社保守会社に対して、これは損害額として因果関係が考えられるということで、懲罰的意味合いではなく、あくまでも損害賠償請求範囲請求したものです。 ○委員石渡ゆきこ君) そうしますと、今回の和解勧試を受けるにあたり、請求額とのかけ離れということも、一部では区民の中にはどうしてそういうものを受け入れるのかと、例えば、しっかり判断を求めていくという意味においては、ある意味責任の所在を白黒はっきりさせるためにおいても、また、金額についても、判決を求めていくべきではないかというような理解考え方もあり得ると思います。ただ、区の側において、この和解勧試を受け入れる判断に踏み切った一番の原因があるとしたら、そちらについて説明いただきたいと思います。 ○危機管理生活安全担当課長滑川寛之君) まず、判決ではなく和解を受け入れた理由については、先ほどの説明とも重複しますけれども、判決では課すことのできない、将来的な安全対策を科すことができた点がまず1つあります。また、和解金額のこちら側の請求額との乖離という指摘がありましたけれども、この4億円が高い、安いという考え方とは少し違うのですけれども、まず、裁判所の方からこの訴訟は難事件である、非常に困難だということは既に示されておりました。実際それぞれの損害が全て認められて賠償対象と認められるということには、まだまだ長期間の厳格な立証が要するということで、まず、立証の困難性長期化裁判所で示される中で、では和解を模索するとなったときに、区としては最大限の区が支出した費用に対する補填はなされるべきということで、これは裁判所和解協議の中で申し入れてきました。最終的にこの金額については、そういった中で裁判所が法律的な因果関係の程度などを考慮して、また、被告側とも協議して、最終に出された金額に対して、そういった経過で出された金額ですので、先ほどの安全対策を科す、金額以外で得られるものと、そして、裁判所の方が区の要求に応えて、要望をある程度受け入れた形で示された金額ということで、最終的には総合的な判断で、判決よりも和解の方が得られることは多いだろうということで判断しております。 ○委員石渡ゆきこ君) はい、了解しました。その意味では、判決になってしまいますと、これはどうしても日本裁判問題点でもあるのですけれども、金銭的な請求がメインになりますので、お金の請求に対しての判断しか下されないという意味においては、本件訴訟の持つ意味は、1つは、まず、区民の財産が流出しているということですから、区の負った損害に対する賠償をきちんと取り戻すという区の責任もありますけれども、大きな社会的な安全、これは責任の一端が実は被告らだけではなく区の側にもあると私は認識しておりますが、まずは区が当事者となって被告らに対して社会的な安全を守るための、将来の安全を担保する、そういう社会的な責任を果たさせる、そのような金銭請求の中では解消し切れない目的も含み持つ訴訟だと、その上での和解でないと、今私が言った後段の方は満たされませんから、判決ではここは確実に上がってきませんので、今回和解という、訴訟テクニックとしては和解に応じるということがあったのではないかと思います。その中では、区が請求した先ほどの請求額との兼ね合いです。私がここにこだわるのは、一部では、懲罰的なものではないとなってくると、膨らませて、初めから無理な請求をしたのではないかと、一部金額だけだと誤解されるというようなこともあるかもしれませんが、区の立場としては、それぞれの項目についてそれぞれの損害が認められている、つまり、相当因果関係においては、大項目のそれぞれが認められていることにおいては、不当な請求ではないと理解していると、こういう理解でよろしいですね。 ○危機管理生活安全担当課長滑川寛之君) 石渡委員のおっしゃるとおりになります。先ほども説明しましたが、まず、和解勧告の前文におきまして、区の事故後の対応について理解が示されているという点、そして、今回、和解金内訳として区が請求していた費目が全て網羅されている、こういった点で、裁判所にその点が理解されていると受けとめております。 ○委員石渡ゆきこ君) 次に、具体的に和解条項内容について伺いますが、実は少し気になったのが、秘密条項と言われるものが入っている、この資料№1-4和解勧告のところの3ページをごらんください。5項の中に原告及び被告らは、互いに、本和解内容について、正当な理由なく第三者に口外しないことを確約する。これは私どもの中では俗に和解秘密条項と言われるものであります。秘密条項を入れるか入れないかは、まさに和解の中でどういう条項を設けるかという当事者とのやりとりになるもので、必ずしもこの秘密条項を入れるのが一般的とは限りません。今回こちらの秘密条項が入っている理由と、これが裁判所からのサジェスチョンなのか、当事者双方からの要望なのかも含めて、つまりは正当な理由なくの範囲を狭く捉えると、これは今後区が例えば類似の地方自治体などに対して情報提供すること自体も、秘密条項がついているとなかなか難しくなる、そういう技術的な問題もありますので、ここについてはぜひ確認させてください。 ○危機管理生活安全担当課長滑川寛之君) まず、秘密条項が入ったいきさつについては、被告側が、今回、和解金支払いの割合が出てきていますけれども、こういったことの表に出ることの懸念があったと推測されるのですけれども、そういったことで被告側から基本的には口外しないという秘密条項を設けてくれという要望があったと聞いております。区の方は、この和解、まさに今この場なのですけれども、この和解勧告を受託するにあたっては、当然議会の議決を得なければならない、そうなると、基本的にこの和解の条件を示した上で議決を得なければならないということを裁判所説明いたしまして、その点が裁判所に最終的に考慮され、こういう形で正当な理由なくという、一応、除外事由的なものが設けられて、あとは口外しないようにという秘密条項になったと理解しております。 ○委員石渡ゆきこ君) 和解成立までにまだ間がありますので、裁判所からも正当な理由なくという除外事由を入れていただいたということですけれども、ぜひともこれは被告らに対する書面ないしはっきり申し入れを区がしたことがわかるような形で、こちらの「正当な理由なく」というものが、要するに利害関係などの狭い範囲に限定されることがなく、この今回の和解のまさに骨子と言いますか一番の肝は、こちらに書かれている、条項のところで出されている再発防止に向けた取り組みですね、こちらが、当事者だけでなく広くこういうようなレベルで行われなければいけないという、そういう意味では社会的に共有されること、それにもあると思っております。そういう意味では、例えば、今後、区はこの和解内容をプレスで広く発表していくにせよ、区ホームページで概略を公表するにせよ、そこのところについて、まさに社会に適切に再発防止に向けての情報発信をしていくという、こちらも正当な理由の中に含むことをあらかじめ被告らに申し入れて、そこのところ了解を得ておきませんと、この正当な理由なくというのは、狭く捉えるか広く捉えるかによって後々もめるところに必ずなってくると思いますので、そちらについては、ぜひ本和解の骨子に沿うような形で、広く解釈ができるような申し入れをきちんと区が行った、それを和解前にテーブルに載せていることがわかるような形での和解の段取りをお願いします。そちらについてお考えをお聞かせください。 ○危機管理生活安全担当課長滑川寛之君) 区としましても、議決を得られまして和解が成立しましたら、当然それの社会的意義という、区の安全対策の姿勢や、そういったところに関しては、当然、情報発信はしていく所存です。具体的にこの正当な理由の解釈とか、それを被告とどう確認していくかについては、代理人弁護士を通じて検討していきたいと思います。 ○委員石渡ゆきこ君) それは代理人弁護士の方がよくわかっていると思いますけれども、これはくれぐれも、ここについては明確に申し入れをしたのがきちんとわかるような形で申し入れをしていただくことを要望します。要するに、被告らの側からしますと、こういうような金額の割合もそうですし、あとは責任を負わされたということが今後流布されると、ある意味、商売上成り立たないという形では、それが公表されていることに対して秘密条項がついているではないかと。口外しないと言ったのに公表されていることによって損害が生じているというような、後日の紛争をまた再燃させる懸念もありますので、そこについては明確にしておくことを、ぜひとも強く要望いたします。 ○危機管理生活安全担当課長滑川寛之君) ただいまの石渡委員のご要望は、代理人弁護士を通じてきちんとしていきたいと思います。 ○委員(玉木まこと君) 事故があって、翌年に港区安全安心施設対策基金というのをつくったとお聞きしているのですけれども、現在のその基金の運用の状況と今後の状況、あと、今後、4億円程度区に支払われると思うのですけれども、その活用について何かあれば教えてください。 ○危機管理生活安全担当課長滑川寛之君) 港区安全安心施設対策基金、こちらは玉木委員指摘のとおり、事故の翌年から30億円を積み立てまして、区の安全対策に活用してきております。具体的には、今回の事故原因であった戸開走行を防止するための二重ブレーキのシステムを区有施設に全てつけるという方針のもと、エレベーターの後付けの設置工事ですとかエレベーターの更新、こういったことに使っているのが主な使い道です。そのほか区有施設の耐震工事ですとか、まず、区有施設の安全対策に今まで主に使用しております。この和解金4億円が区の歳入になったその後、来年になるかと思いますけれども、きちんと補正予算という形で議会にお伺いを立てることになると思います。その具体的な使い道は、やはり将来の安全対策に活用していくという基本的な方向性はありますけれども、具体的には今後検討していきたいと思います。 ○委員(玉木まこと君) また、資料№1-4の和解勧告ですけれども、4ページの別紙1のところで、再発防止に向けた取り組みがあって、シンドラー社はもう日本から撤退しているということで、製造メーカーという立場があると思うのですけれども、今日本にあるシンドラー社のものはオーチス・エレベータが管理しているということで、シンドラー社はあくまでも製品の情報提供であったり、そういう部分に終始したことが書かれています。そのオーチス・エレベータがシンドラー社製の日本に残っているものを保守管理していく、安全性もしくは再発防止に向けて取り組みをやっていくということの実効性は、今回の和解の中では当然オーチス・エレベータは関係ないわけなので、そこまでは、指導というか実効性を担保することは難しいという理解なのか、何かそういうことが話であれば教えてください。 ○危機管理生活安全担当課長滑川寛之君) シンドラー社自体は事実上日本から撤退しております。現在、国内にも幾つかシンドラー社製のエレベーターは残されておりますけれども、オーチス社が後継という形で管理している実態はご指摘のとおりです。この和解再発防止条項の中で、オーチス社に直接責務を課すのは訴訟の性質上厳しい状況だったので、その中で最大限何とか形として残していくということで、このシンドラー社による情報提供であったりということで、最終的にまとまった経緯があります。  また、再発防止に向けた取り組み項番1の部分は、各当事者ということで、当然これはシンドラー社シンドラーホールディングアーゲーも入るのですけれども、ここで基本的に今後の安全というものをきちんと表明して、例えば、自社のホームページにその旨を掲出することで、こういったことでも対外的にもきちんとやっていくのだという姿勢は示してもらうように、この条文の中に入れるように区が要請して盛り込んでもらったものです。 ○委員(玉木まこと君) わかりました。最後の質問ですけれども、エス・イー・シーエレベーター株式会社であったり、日本電力サービス社とは、現状で港区と取り引きがあるのかと、取り引きすることへの支障なりがあるのかどうか、教えてください。 ○危機管理生活安全担当課長滑川寛之君) まず、日本電力サービス社については、エレベーター事業から撤退しています。あと、区の保守管理の委託についてですけれども、事故当時はこのエス・イー・シー社がまさにそうなのですけれども、エレベーター製造会社、メーカーとは別に独立した保守会社が管理しているということで、そこでこのメーカー独自のいろいろな情報が伝わっていなかったのではないかが問題視されたこともありまして、現在区はエレベーターの製造メーカーに直結したメーカー系の保守会社と契約することで、きちんとエレベーターの情報などが行き渡った状態でのきちんとした保守管理ができるようにということでやっております。 ○委員(丸山たかのり君) この和解勧告再発防止取り組みが、さまざま被告らに対して課せられているわけですけれども、これの履行の確保というか、履行をきちんと果たしていただかないといけないわけですけれども、その履行の確保のために何かできることがあるというか、この履行をしなかった場合どういったことになるのでしょうか。 ○危機管理生活安全担当課長滑川寛之君) 和解条項内容で申しましても、金銭の支払いもあれば、意向を表明するとか、多岐にわたっておりますので、一概には言えないのですけれども、ここで和解として結んだ条項に関しては、例えば不履行があれば、債務不履行という話になってくると思いますので、個別の対応にはなってくるかと思います。先ほども少し説明しましたけれども、きちんと履行される担保の1つとして、それぞれの会社のホームページなどできちんと表明してもらいたい、対外的に形として出してもらいたい、そういうことを要望した次第です。 ○委員(丸山たかのり君) わかりました。区としても、これで和解で、勧告をもって終了ではあるわけですけれども、今後も引き続き当該被告らに対して、きちんと履行しているかどうかを見ていってほしいと思っております。その辺は今後も区としてきちんと監視していって、やっているかどうかを確認していくという、そういうことでよろしいでしょうか。 ○危機管理生活安全担当課長滑川寛之君) はい。どういう監視かというのはなかなかお答えづらいところはあるのですけれども、当然ここで表明していた意向に反するような行為はないように、それはきちんと見ていきたいと考えております。 ○委員(丸山たかのり君) はい、わかりました。あと、本件を契機にして港区としてもさまざま安全・安心のための取り組みなどを行っていると伺っております。多岐にわたっているので、特にエレベーターに関する安全の取り組みということで言うと、例えば昨年度ですと、夜間や休日を想定した戸開走行事故対応訓練なども実施されたと伺っておりますが、今年度何か新たに取り組まれたことや、継続でもいいのですけれども、ありましたら教えてください。 ○危機管理生活安全担当課長滑川寛之君) 安全に向けた区の取り組みとしましては、大もとは、昨年新たに制定しました「港区安全の日」の制定があります。この制定の目的自体がそもそも区の今後将来的な安全対策を徹底していくことを自分にも言い聞かせるとともに、対外的にも発信していく、それをご遺族、亡くなられた命日を中心に考えていこうということで、当然6月3日だけではなく、年間を通じて広く安全が広まっていくようにということで取り組んでいるところです。そのエレベーターの救助訓練もその1つなのですけれども、ほかにも例えば、区民に安全についていろいろ考えてもらう機会を設けるために、講師を招いてのセミナーを開催したり、あとは今回のこの事故を風化させないということで、また安全について考えてもらうということで、パネル展ということで、今年度新たにパネルで事故経過や区の安全の取り組みについて、区役所はじめほかの区の施設で年複数回開催する、今年度新たに始めたのはそういう取り組みがございます。 ○委員(丸山たかのり君) はい、わかりました。今回もこの件に関しての一切の民事及び刑事の全ての訴訟が終了しますので、今年度やられたパネルのような取り組みなどを通して、ぜひ今後しっかり啓発の方を、安全対策取り組みで区が行っていく姿勢をしっかりと示していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  最後要望ですけれども、先ほど玉木委員も言っていましたけれども、4億円、そこから弁護士費用を引いての残りの部分が基金に入ると思うのですけれども、せっかく4億円入るので、当然、既に発生した損害の部分に充てられることもあるかとは思うのですけれども、ぜひ区の安全対策取り組みの強化に充てていただきたいと思いますし、この訴訟の終結した契機を捉えて素早く手を打っていくのが、そういう姿勢を出すにはすごくいいかなと思っております。今回、一般質問でも、戸開走行保護装置の補助助成の拡充に関して何人かの方が質問されていて、区の方も前向きに検討されていると思いますけれども、ぜひ国の今年度の新しい助成の拡充にあわせた形で、港区の方も戸開走行保護装置の助成の拡充を図っていただきたいと思いますし、できれば次年度を待たずに今年度中に実行できるようであれば、ぜひそういった形で実行していただけるよう、強く要望して、質問を終わります。 ○副委員長(鈴木たかや君) 事故から十数年たって、今、石渡委員と丸山委員の質疑の中にもありましたけれども、大切なことは風化させないという、答弁の中にもありましたけれども、これから先のことだと思うのです。石渡委員の質疑の中で、港区が設置をした当事者であることも考えると、きょうもご遺族の方がいらしていますけれども、息子さんの無念を晴らすためにも何ができるのかがすごく大事なことなのだと思います。港区はこの十数年間、できることをすごくいろいろなことをしてきていただいているのも承知しておりますし、安全の日というのがそれをもとに制定された、すばらしいことだと思うのですが、私のうがった見方かもしれないですが、「区が」というところがすごく引っかかっていて、港区がよければそれでいいという話ではないと思うのです。これは恐らくですけれども、市川さんの無念を晴らすというのは、同じ事故を絶対に起こさないことなのだと思います。そうしたときに当事者である港区は何ができるのだということを、もう少し主体的に考えて動いていただけないかなと。もちろん今動いていると思うのですけれども、区の中で何をやっている、区ではこういうことをしているではなくて、例えば23区でどうなのだ、日本の中でどうなのだということまで、事故を起こしてしまった当事者としても、もっと働きかけをする必要があると思います。  港区議会の中も十数年たつとメンバーが変わっていて、その当時議員だった人は何人いるのだろうとか、行政の皆さんもそうです。危機管理生活安全担当課長だってそうですよね。担当していなかった、知らなかったという人もいるでしょうから、そうした人たちに対してこれから何をしていくのだろうということがすごく大事だと思うのです。それを忘れないための努力を、何ができるのかを、区側のお答えを聞かせてください。 ○危機管理生活安全担当課長滑川寛之君) まさにご遺族もそうですけれども、目指すところは、安全な社会であることを、当然区としても承知しております。具体的な今までの取り組みとなりますと、区内にとどまっていたというご指摘は否定できないところかと思います。今後ほかの自治体との連携、いかに対外的に発信していくかは前向きに検討して、当然、ご遺族とも今後も連携を密にして、広く安全な社会を目指すということで、何ができるかということで、具体的に検討していきたいと考えております。 ○委員(清家あい君) 先ほどからお話にもありますけれども、今回の損害賠償訴訟和解で一連の訴訟が終結に向かうことになると思います。先ほど石渡委員や鈴木副委員長からもありましたけれども、10年を超える長い期間、ご遺族の方は本当にお疲れさまでした。心より敬意を表します。議員の、議会の一員として責任の重さを痛感します。今後区が区民の安全のために、また、先ほどお話にもありましたけれども、ほかの自治体などにも安全を広げていくために一層努力する必要があると思っています。その1つの方策として、先ほど丸山委員からもありましたけれども、例えば、現在、区内のマンションに限定されているマンションエレベーター安全装置等設置助成事業の対象範囲や助成額を拡大していくことなども考えられると思います。その辺に対して、今後の見通しについてお答えがあればお願いしたいのですけれども。 ○危機管理生活安全担当課長滑川寛之君) この戸開走行保護装置の助成制度については、現在、建築課の方が所管となって進めているものです。今回まさにご指摘のとおり、今までマンションに限っていた対象を拡充していく方向で検討していると聞いております。こういった今回の委員のご要望等もきちんと所管の方に伝えて検討してまいりたいと思います。 ○委員長横尾俊成君) ほかにご質問等はございませんか。                 (「なし」と呼ぶ者あり) ○委員長横尾俊成君) このエレベーター等安全対策特別委員会ということで、一連の訴訟は終わるのですけれども、今、委員からさまざまなご意見があったと思うので、ぜひ今後の安全対策については、引き続き報告等々いただきながら、議会と区と一緒になって安全対策を進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  なければ、質疑はこれで終了いたします。  採決については簡易採決でよろしいですか。                 (「はい」と呼ぶ者あり) ○委員長横尾俊成君) それでは、審議事項(1)「議案第126号 和解について」採決いたします。  「議案第126号」は、原案のとおり可決することにご異議ございませんか。                (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○委員長横尾俊成君) ご異議なきものと認め、「議案第126号 和解について」は、満場一致をもって原案のとおり可決することに決定いたしました。     ──────────────────────────────────────── ○委員長横尾俊成君) 次に、審議事項(2)「発案元第10号 安全対策及びエレベーター事故の調査について」を議題といたします。  本発案について、何かございますでしょうか。                 (「なし」と呼ぶ者あり)
    委員長横尾俊成君) なければ、本発案については、本日継続といたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。                 (「はい」と呼ぶ者あり) ○委員長横尾俊成君) それでは、本日継続と決定いたしました。     ──────────────────────────────────────── ○委員長横尾俊成君) そのほかに、何かございますか。                 (「なし」と呼ぶ者あり) ○委員長横尾俊成君) なければ、本日の委員会を閉会いたします。                 午後 1時47分 閉会...