保健福祉課長 山 本 睦 美
子ども家庭課長 野 上 宏
保育課長 山 越 恒 慶
街づくり支援部長 野 澤 靖 弘
住宅課長 野 口 孝 彦
施設課長 大 森 隆 広
用地・
施設活用担当部長 中 島 博 子
防災危機管理室長 長谷川 浩 義
危機管理・
生活安全担当課長 滑 川 寛 之
総務部長 北 本 治
総務課長 湯 川 康 生
学務課長 山 本 隆 司
学校施設担当課長 伊 藤 太 一
〇会議に付した事件
1
審議事項
(1) 議 案 第126号
和解について
(元.11.28付託)
(2) 発 案元第10号
安全対策及び
エレベーター事故の調査について
(元.6.20付託)
午後 1時00分 開会
○
委員長(
横尾俊成君) ただいまから、
エレベーター等安全対策特別委員会を開会いたします。
本日の
署名委員は、
玉木委員、ゆうき
委員にお願いいたします。
この際、
傍聴者の方にお伝えいたします。
委員会の撮影・録音を希望される方は、あらかじめ申出書にご記入の上ご提出ください。なお、撮影・録音は申し出が許可された後にしていただきますようお願いいたします。
11月28日に開会された
委員長会の報告をいたします。
特別委員会の審査についてです。
議案第126号の
和解については、当
特別委員会に付託されました。そのため、本日の当
委員会にて
議案の審査を行いたいと思います。
次に、節電及び
省エネルギーの推進についてですが、既に行政では、11月1日から
暖房温度の目安を19度とするウォームビズに取り組んでいます。議会としても、夏季同様に、節電・
省エネルギー型のライフスタイルを実現する必要があることが確認されましたので、皆さんのご協力、ご
理解をよろしくお願いいたします。
以上が
委員長会の報告です。
────────────────────────────────────────
○
委員長(
横尾俊成君) それでは、
審議事項に入ります。初めに、
審議事項(1)「
議案第126号
和解について」を議題といたします。
理事者から
提案理由の
説明を求めます。
○
危機管理・
生活安全担当課長(
滑川寛之君) ただいま議題となりました
審議事項(1)「
議案第126号
和解について」、提案の
補足説明をいたします。
議案にあわせまして、本日付当
常任委員会資料№1、港区
特定公共賃貸住宅シティハイツ竹芝エレベーター事故に係る
損害賠償請求訴訟の
和解についてをごらんください。
項番1、
訴訟当事者です。
議案文の1枚目にも記載されておりますが、
訴訟を提起した
原告は港区となります。
被告については、
事故を起こした
エレベーターの
製造会社である
シンドラーエレベータ株式会社と、その親会社である
シンドラーホールディングアーゲーです。また、
事故発生前の
平成17年度に
エレベーターの
保守管理を行っていた
株式会社日本電力サービス、
事故当時に
保守管理を行っていた
エス・イー・シーエレベーター株式会社の4者となります。
項番2、
訴訟に至る経緯です。
議案文の2枚目以降にも記載されておりますが、
平成18年6月3日、
シティハイツ竹芝において、
エレベーターの扉が開いた状態で
エレベーターのかごが上昇する、いわゆる
戸開走行により、当時高校2年生であった
居住者が、かごの床面と
乗降口の上部に挟まれて亡くなるという
事故が発生いたしました。
ここで、別添の
資料№1-2をごらんください。
本件事故の概要と
関係者を取りまとめております。
資料の右側には
本件事故に関連した
訴訟を取りまとめております。右下の表に記載のとおり、
本件の
区原告訴訟のほか、ご
遺族と
エス・イー・シー社がそれぞれ提起した
民事訴訟、そして
刑事訴訟がございますが、いずれも現在は終結しております。
ここで、
資料の
本文にお戻りください。
項番2、(2)
事故の発生後、
被告らがご
遺族や
シティハイツ竹芝の
居住者に真摯に
対応しない中、区は、これら
居住者の安全の確保や不安の解消のため、
エレベーターの全
機交換等の
対応を行いました。その後、区は、
平成22年3月に
事故後の
対応に要した経費の
支払いを
被告らに求めましたが、
被告らがこれに応じなかったため、同年7月6日、これらの
損害13億8,000万円余の
賠償を求める
民事訴訟を提起いたしました。
ここで、追加でお配りした
資料№1-5をごらんください。こちらは
損害賠償請求額の
内訳です。1から5の
項目の
費用が、区が
事故後の
対応に要した
費用で、
損害として
賠償を求めている
金額になります。なお、表の下には
シンドラー社等に対する
請求合計額と、
日本電力サービス社等に対する
請求合計額が分けて記載されておりますけれども、これは別々に
訴訟を提起しているわけではなく、1つの
訴訟における
合計13億8,000万円余の
請求額のうち、11億円余については、
日本電力サービス社等に連帯し
支払いを求めていることで、内数になります。6番の
弁護士費用の欄についても、
日本電力サービス社等に対する
請求合計額を求める便宜上2つに分けているもので、あくまで
弁護士費用は本
訴訟で
請求している
損害の
合計額の10%ということで計上しております。また、表の中で
シンドラーホールディングアーゲーについては、
シンドラーホールディング(株)と記載しておりますが、これは
ドイツ語の
株式会社を
意味するアーゲーをこのように略式表記しております。
続いて、
資料本文の
項番3、
訴訟の
経過ですが、これについても別
添資料で
説明いたします。
資料№1-3をごらんください。
本件事故に関連する各
訴訟の
経過をまとめております。表の一番左が本
訴訟の
経過となります。
平成22年10月から
口頭弁論が開始され、
平成27年10月からは
法廷外で
協議を進める
弁論準備手続に移行し、各
当事者による
主張の
整理等が行われてきました。一方、表の一番右にある
刑事訴訟では、
平成27年9月に第1
審判決があり、
平成30年3月には、
被告人全員の
無罪が確定しております。表の左から2番目のご
遺族が提起していた
民事訴訟については、
平成29年11月に
和解が成立しました。
こうした状況を受けまして、本
訴訟についても
平成30年10月から
和解協議が開始されました。ここで、
資料本文の2ページにお戻りください。(2)
和解協議における区の
主張です。
和解協議において区は、まず、本
訴訟が
和解となった場合でも、区が
事故後の
対応に要した
費用については、
被告らにおいて
最大限の補填がなされる必要があること。また、その
事故後の区の
対応については、自治体として適切だったことを明らかにすること。そして、本
訴訟を
判決でなく
和解で終結させるのであれば、
本件のような
事故を二度と起こさない安全・安心な社会の実現に向け、
判決では科すことのできない
被告らに
再発防止策を約束させること、以上の点を
主張してまいりました。
(3)
和解勧告です。こうした
和解協議の結果、本年10月4日、
東京地方裁判所から
訴訟の各
当事者に対し
和解勧告がなされました。
和解勧告の
内容につきましては、
議案文の3枚目の
最後の行、4、
和解条項として一部記載されておりますが、別
添資料№1-4に全文を用意しておりますので、ごらんください。
和解勧告の
ポイントとなる部分について
説明いたします。まず、
和解勧告の1ページには、
和解勧告の前文という形で
裁判所による
趣旨説明が記載されております。その中で18行目をごらんください。文の途中からになりますが、「要請に応えるべく上記諸施策を実施したことは行政を担う
原告の行為として十分
理解することができる」とあります。
事故後の区の
対応について、その
適切性が
裁判所に評価されたものと受けとめております。
続きまして、2ページの
記書きをごらんください。この
記書き以降が
和解条項の部分になります。この
記書きの
項番1には、
被告らを含めた各
当事者が
再発防止を表明するとあります。この
再発防止の具体的な
内容については、
和解勧告の4ページをごらんください。こちらに
再発防止に向けた
取り組みとして、
被告らによる
エレベーターの安全に向けた
取り組みが責務として記載されております。
和解勧告の2ページの
記書きにお戻りください。
項番2以降には、
被告らによる
和解金の
支払いが記載されております。
シンドラー社が3億9,600万円、
シンドラーホールディングアーゲーはその
支払いの履行を確約することとなっております。
エス・イー・シー社が300万円、
日本電力サービス社が100万円、これをそれぞれ支払うことが定められております。なお、この
支払いの名目について、
エス・イー・シー社だけが
協力金となっておりまして、ほかの2社の
解決金と異なっていますが、これについては
エス・イー・シー社が将来の
安全対策に向けた
協力金としたいと
主張したことによるものであり、
和解金としての
法的意味合いには特に差異はないということです。
最後に、
和解勧告の7ページをごらんください。これは
シンドラー社の
和解金になります。3億9,600万円の
内訳です。こちらには、区が
請求していた
損害の費目が全て網羅された上で、それぞれ
一定割合が
和解金となっていることが示されております。
資料本文の2ページにお戻りください。
項番4、
和解勧告の受託です。ただいまごらんいただきましたとおり、
和解勧告の
内容は、
和解金、区の
対応への評価、
被告らによる
再発防止策の3点において区の
主張が受け入れられたものとなっております。以上を踏まえまして、区は
本件訴訟を終結させて将来的な
安全対策に注力していくため、この
和解勧告を受託することといたします。
最後に、
項番5、今後のスケジュールです。本
議案について
議決をいただけましたら、12月11日の
和解期日において
和解が正式に成立する予定となっております。
説明は以上となります。よろしくご
審議の上、ご決定くださいますよう、お願いいたします。
○
委員長(
横尾俊成君)
提案理由の
説明は終わりました。これより質疑を行います。ご
質問等ございます方は、順次ご発言願います。
○
委員(
石渡ゆきこ君) まず、こちらの
シンドラー社の
エレベーター事故は、社会的にも非常に注目を集めたものであり、さらには、
民事、
刑事、複雑かつ非常に多岐にわたる
訴訟ということと、あとはさらにこの十何年にもわたった期間、きょうはご
遺族の方もこちらを傍聴されていると聞いておりますが、まずはご
遺族の方々のこれまでのたゆまぬ
再発防止に向けたもの、事実の解明に向けた真摯な
取り組みについて、お礼を改めて申し上げます。大変お疲れさまでした。これまでの
当事者として、一番の
当事者でありながら
本件訴訟では
原告のご本人にはなっていらっしゃいません。そのような立場できょうも改めてお時間を割いて傍聴して見守っていただけるということは、私どもとしては大変ありがたいことだと思っております。
質問の
内容を具体的に何点か、私も
弁護士として特に
損害賠償のこちらの
主張に関しましては、
製造物責任の問題や
損害賠償、さらには
刑事としての
組織罰をいかに問うかということでは、我々
法曹業界にとっても
大変注目の集まる
裁判でした。このように区が
和解という形で決着にこぎ着けたことは、非常に大きな
意味があるのではないかと思っております。
具体的に何点か確認いたします。まずは、
平成に入りまして
民事訴訟が余りにも長くなり過ぎるということでは、通常において
スピード化、
迅速化を求める流れの中において、このように10年を超える
訴訟、しかも、
弁論準備期日、
和解期日以外の
口頭弁論による期日も数えると、非常に多数回を重ねたこの
裁判の経緯を見るだけでも、複雑かつ
争点、争いの激しかった
訴訟ではないかと思われますが、まず、ここまで長大化した
争点は具体的にはどこにあったのか、簡略で構いませんので教えてください。
○
危機管理・
生活安全担当課長(
滑川寛之君) ただいま
石渡委員ご
指摘のとおり、
訴訟自体は
争点が多岐にわたっておりますけれども、やはり
最大の
争点は、
本件の
事故が起こった
原因とされております
ブレーキシステムの不具合が、いつ、どうして発生したのか。そこが、この製品の瑕疵を問う上でも、また、
保守会社の
過失を問う点でも
最大の
ポイントだったのですけれども、まさにこの点が
最大の
争点となっておりました。
○
委員(
石渡ゆきこ君) その点においては、先行する
刑事の業務上
過失の方では、最終的には1審では、一部の
保守会社の
被告らに対しては
有罪判決が出るものの、2審ではそれが逆転し
無罪という
判断が出ております。ただ、ここで誤解がないように
指摘しておきたいのは、あくまでもこの
訴訟で
刑事の中で争われた控訴事実に対しては
無罪になったということであって、大きな
意味での
エレベーターの
保守ということに対して、今回の
被告らの道義的、社会的、さらには技術的な
専門業者としての
責任、故意、
過失が免れるものではないと思いますけれども、まさにそうした
刑事では争われなかった広い
意味での
被告らの
責任を追及するという
意味が、
本件の
民事訴訟でもあったと
理解してよろしいでしょうか。
○
危機管理・
生活安全担当課長(
滑川寛之君) まさしく今、
石渡委員ご
指摘のとおり、
刑事訴訟で
争点となったところだけを問題としたわけではありません。やはりこの重大な結果を起こした
事故の
原因をしっかりと究明して
責任を追及していくというのが区の姿勢でありました。
○
委員(
石渡ゆきこ君) その中で少し具体的なことを教えていただきたいのですが、まず、
請求額が13億円ということで、
印紙代を拝見しますと379万円で、これは区の方から支出されている
訴訟費用ということで、
弁護士に対する
着手金のほかにこの
印紙代がかかっていると思いますけれども、実際の
和解金額が4億円弱になっております。ある
意味、
請求額とこの
和解額の間に多少の乖離があると思うのですけれども、これは例えば、
訴訟額などについての
考え方、初めから獲得できるところを、例えば、4億円の
訴訟ということで計算しますと
印紙代は122万円になります。つまり、その分に
印紙代がかなり高くかけて、
請求額も13億円と積算されている、それに対しての区の見解を伺いたいのです。こういった
不法行為を問う
損害賠償の中には、
エレベーターの
本件事故の前にも、
エレベーターでの
負傷事故などが相次いだときに、例えば、
平成5年、6年に行われた
裁判においても、アメリカ法的な
考え方の懲罰的な
損害賠償のような
考え方、いわゆる
被告らに対しての
責任を懲罰という
意味で科すという
意味での
訴訟額を大きくしていく、そういった
請求がされている
裁判もあります。ただ、これは現行の
裁判所のとる
判断方法ではありませんし、学説も分かれていますから、こうした懲罰的な
損害賠償請求に対してはいずれも棄却されているという現実があったのですけれども、
本件の区における13億円の積算の根拠は、そうした懲罰的な
損害賠償としての
請求を含むのか、それとも、事実として区が現実に出捐したものを含むのか、まずその
請求額の
考え方について教えてください。
○
危機管理・
生活安全担当課長(
滑川寛之君) 先ほど
説明いたしました13億8,000万円余の
請求額については、先ほど別紙1-5で
説明したとおりの
費用なのですけれども、これはまさに
本件事故が起きなければ区が支出することがなかった
費用と考えております。区が支出した背景には、先ほど
本文の
説明でも若干触れましたけれども、
事故の
原因者であると考えられる
製造会社や
保守会社、こういったところが真摯な
対応をしない中で、住民の安全を確保するために支出しなければならなかった
費用と考えております。ですから、
事故の
原因者と考えられる
製造会社、
保守会社に対して、これは
損害額として
因果関係が考えられるということで、
懲罰的意味合いではなく、あくまでも
損害賠償請求の
範囲で
請求したものです。
○
委員(
石渡ゆきこ君) そうしますと、今回の
和解勧試を受けるにあたり、
請求額との
かけ離れということも、一部では区民の中にはどうしてそういうものを受け入れるのかと、例えば、しっかり
判断を求めていくという
意味においては、ある
意味、
責任の所在を白黒はっきりさせるためにおいても、また、
金額についても、
判決を求めていくべきではないかというような
理解、
考え方もあり得ると思います。ただ、区の側において、この
和解勧試を受け入れる
判断に踏み切った一番の
原因があるとしたら、そちらについて
説明いただきたいと思います。
○
危機管理・
生活安全担当課長(
滑川寛之君) まず、
判決ではなく
和解を受け入れた
理由については、先ほどの
説明とも重複しますけれども、
判決では課すことのできない、将来的な
安全対策を科すことができた点がまず1つあります。また、
和解金額のこちら側の
請求額との乖離という
指摘がありましたけれども、この4億円が高い、安いという
考え方とは少し違うのですけれども、まず、
裁判所の方からこの
訴訟は難事件である、非常に困難だということは既に示されておりました。実際それぞれの
損害が全て認められて
賠償対象と認められるということには、まだまだ長期間の厳格な立証が要するということで、まず、立証の
困難性と
長期化が
裁判所で示される中で、では
和解を模索するとなったときに、区としては
最大限の区が支出した
費用に対する補填はなされるべきということで、これは
裁判所の
和解協議の中で申し入れてきました。最終的にこの
金額については、そういった中で
裁判所が法律的な
因果関係の程度などを考慮して、また、
被告側とも
協議して、最終に出された
金額に対して、そういった
経過で出された
金額ですので、先ほどの
安全対策を科す、
金額以外で得られるものと、そして、
裁判所の方が区の要求に応えて、
要望をある程度受け入れた形で示された
金額ということで、最終的には総合的な
判断で、
判決よりも
和解の方が得られることは多いだろうということで
判断しております。
○
委員(
石渡ゆきこ君) はい、了解しました。その
意味では、
判決になってしまいますと、これはどうしても
日本の
裁判の
問題点でもあるのですけれども、金銭的な
請求がメインになりますので、お金の
請求に対しての
判断しか下されないという
意味においては、
本件訴訟の持つ
意味は、1つは、まず、区民の財産が流出しているということですから、区の負った
損害に対する
賠償をきちんと取り戻すという区の
責任もありますけれども、大きな社会的な安全、これは
責任の一端が実は
被告らだけではなく区の側にもあると私は認識しておりますが、まずは区が
当事者となって
被告らに対して社会的な安全を守るための、将来の安全を担保する、そういう社会的な
責任を果たさせる、そのような
金銭請求の中では解消し切れない目的も含み持つ
訴訟だと、その上での
和解でないと、今私が言った後段の方は満たされませんから、
判決ではここは確実に上がってきませんので、今回
和解という、
訴訟テクニックとしては
和解に応じるということがあったのではないかと思います。その中では、区が
請求した先ほどの
請求額との兼ね合いです。私がここにこだわるのは、一部では、懲罰的なものではないとなってくると、膨らませて、初めから無理な
請求をしたのではないかと、一部
金額だけだと誤解されるというようなこともあるかもしれませんが、区の立場としては、それぞれの
項目についてそれぞれの
損害が認められている、つまり、相当
因果関係においては、大
項目のそれぞれが認められていることにおいては、不当な
請求ではないと
理解していると、こういう
理解でよろしいですね。
○
危機管理・
生活安全担当課長(
滑川寛之君)
石渡委員のおっしゃるとおりになります。先ほども
説明しましたが、まず、
和解勧告の前文におきまして、区の
事故後の
対応について
理解が示されているという点、そして、今回、
和解金の
内訳として区が
請求していた費目が全て網羅されている、こういった点で、
裁判所にその点が
理解されていると受けとめております。
○
委員(
石渡ゆきこ君) 次に、具体的に
和解条項の
内容について伺いますが、実は少し気になったのが、
秘密条項と言われるものが入っている、この
資料№1-4
和解勧告のところの3ページをごらんください。5項の中に
原告及び
被告らは、互いに、本
和解の
内容について、正当な
理由なく第三者に口外しないことを確約する。これは私どもの中では俗に
和解秘密条項と言われるものであります。
秘密条項を入れるか入れないかは、まさに
和解の中でどういう
条項を設けるかという
当事者とのやりとりになるもので、必ずしもこの
秘密条項を入れるのが一般的とは限りません。今回こちらの
秘密条項が入っている
理由と、これが
裁判所からのサジェスチョンなのか、
当事者双方からの
要望なのかも含めて、つまりは正当な
理由なくの
範囲を狭く捉えると、これは今後区が例えば類似の地方自治体などに対して情報提供すること自体も、
秘密条項がついているとなかなか難しくなる、そういう技術的な問題もありますので、ここについてはぜひ確認させてください。
○
危機管理・
生活安全担当課長(
滑川寛之君) まず、
秘密条項が入ったいきさつについては、
被告側が、今回、
和解金の
支払いの割合が出てきていますけれども、こういったことの表に出ることの懸念があったと推測されるのですけれども、そういったことで
被告側から基本的には口外しないという
秘密条項を設けてくれという
要望があったと聞いております。区の方は、この
和解、まさに今この場なのですけれども、この
和解勧告を受託するにあたっては、当然議会の
議決を得なければならない、そうなると、基本的にこの
和解の条件を示した上で
議決を得なければならないということを
裁判所に
説明いたしまして、その点が
裁判所に最終的に考慮され、こういう形で正当な
理由なくという、一応、
除外事由的なものが設けられて、あとは口外しないようにという
秘密条項になったと
理解しております。
○
委員(
石渡ゆきこ君)
和解成立までにまだ間がありますので、
裁判所からも正当な
理由なくという
除外事由を入れていただいたということですけれども、ぜひともこれは
被告らに対する書面ないしはっきり申し入れを区がしたことがわかるような形で、こちらの「正当な
理由なく」というものが、要するに
利害関係などの狭い
範囲に限定されることがなく、この今回の
和解のまさに骨子と言いますか一番の肝は、こちらに書かれている、
条項のところで出されている
再発防止に向けた
取り組みですね、こちらが、
当事者だけでなく広くこういうようなレベルで行われなければいけないという、そういう
意味では社会的に共有されること、それにもあると思っております。そういう
意味では、例えば、今後、区はこの
和解の
内容をプレスで広く発表していくにせよ、
区ホームページで概略を公表するにせよ、そこのところについて、まさに社会に適切に
再発防止に向けての
情報発信をしていくという、こちらも正当な
理由の中に含むことをあらかじめ
被告らに申し入れて、そこのところ了解を得ておきませんと、この正当な
理由なくというのは、狭く捉えるか広く捉えるかによって後々もめるところに必ずなってくると思いますので、そちらについては、ぜひ本
和解の骨子に沿うような形で、広く解釈ができるような申し入れをきちんと区が行った、それを
和解前にテーブルに載せていることがわかるような形での
和解の段取りをお願いします。そちらについてお考えをお聞かせください。
○
危機管理・
生活安全担当課長(
滑川寛之君) 区としましても、
議決を得られまして
和解が成立しましたら、当然それの社会的意義という、区の
安全対策の姿勢や、そういったところに関しては、当然、
情報発信はしていく所存です。具体的にこの正当な
理由の解釈とか、それを
被告とどう確認していくかについては、代理人
弁護士を通じて検討していきたいと思います。
○
委員(
石渡ゆきこ君) それは代理人
弁護士の方がよくわかっていると思いますけれども、これはくれぐれも、ここについては明確に申し入れをしたのがきちんとわかるような形で申し入れをしていただくことを
要望します。要するに、
被告らの側からしますと、こういうような
金額の割合もそうですし、あとは
責任を負わされたということが今後流布されると、ある
意味、商売上成り立たないという形では、それが公表されていることに対して
秘密条項がついているではないかと。口外しないと言ったのに公表されていることによって
損害が生じているというような、後日の紛争をまた再燃させる懸念もありますので、そこについては明確にしておくことを、ぜひとも強く
要望いたします。
○
危機管理・
生活安全担当課長(
滑川寛之君) ただいまの
石渡委員のご
要望は、代理人
弁護士を通じてきちんとしていきたいと思います。
○
委員(玉木まこと君)
事故があって、翌年に港区安全安心施設対策基金というのをつくったとお聞きしているのですけれども、現在のその基金の運用の状況と今後の状況、あと、今後、4億円程度区に支払われると思うのですけれども、その活用について何かあれば教えてください。
○
危機管理・
生活安全担当課長(
滑川寛之君) 港区安全安心施設対策基金、こちらは
玉木委員ご
指摘のとおり、
事故の翌年から30億円を積み立てまして、区の
安全対策に活用してきております。具体的には、今回の
事故の
原因であった
戸開走行を防止するための二重ブレーキのシステムを区有施設に全てつけるという方針のもと、
エレベーターの後付けの設置工事ですとか
エレベーターの更新、こういったことに使っているのが主な使い道です。そのほか区有施設の耐震工事ですとか、まず、区有施設の
安全対策に今まで主に使用しております。この
和解金4億円が区の歳入になったその後、来年になるかと思いますけれども、きちんと補正予算という形で議会にお伺いを立てることになると思います。その具体的な使い道は、やはり将来の
安全対策に活用していくという基本的な方向性はありますけれども、具体的には今後検討していきたいと思います。
○
委員(玉木まこと君) また、
資料№1-4の
和解勧告ですけれども、4ページの別紙1のところで、
再発防止に向けた
取り組みがあって、
シンドラー社はもう
日本から撤退しているということで、製造メーカーという立場があると思うのですけれども、今
日本にある
シンドラー社のものはオーチス・エレベータが管理しているということで、
シンドラー社はあくまでも製品の情報提供であったり、そういう部分に終始したことが書かれています。そのオーチス・エレベータが
シンドラー社製の
日本に残っているものを
保守管理していく、安全性もしくは
再発防止に向けて
取り組みをやっていくということの実効性は、今回の
和解の中では当然オーチス・エレベータは関係ないわけなので、そこまでは、指導というか実効性を担保することは難しいという
理解なのか、何かそういうことが話であれば教えてください。
○
危機管理・
生活安全担当課長(
滑川寛之君)
シンドラー社自体は事実上
日本から撤退しております。現在、国内にも幾つか
シンドラー社製の
エレベーターは残されておりますけれども、オーチス社が後継という形で管理している実態はご
指摘のとおりです。この
和解の
再発防止の
条項の中で、オーチス社に直接責務を課すのは
訴訟の性質上厳しい状況だったので、その中で
最大限何とか形として残していくということで、この
シンドラー社による情報提供であったりということで、最終的にまとまった経緯があります。
また、
再発防止に向けた
取り組みの
項番1の部分は、各
当事者ということで、当然これは
シンドラー社、
シンドラーホールディングアーゲーも入るのですけれども、ここで基本的に今後の安全というものをきちんと表明して、例えば、自社のホームページにその旨を掲出することで、こういったことでも対外的にもきちんとやっていくのだという姿勢は示してもらうように、この条文の中に入れるように区が要請して盛り込んでもらったものです。
○
委員(玉木まこと君) わかりました。
最後の質問ですけれども、
エス・イー・シーエレベーター株式会社であったり、
日本電力サービス社とは、現状で港区と取り引きがあるのかと、取り引きすることへの支障なりがあるのかどうか、教えてください。
○
危機管理・
生活安全担当課長(
滑川寛之君) まず、
日本電力サービス社については、
エレベーター事業から撤退しています。あと、区の
保守管理の委託についてですけれども、
事故当時はこの
エス・イー・シー社がまさにそうなのですけれども、
エレベーターの
製造会社、メーカーとは別に独立した
保守会社が管理しているということで、そこでこのメーカー独自のいろいろな情報が伝わっていなかったのではないかが問題視されたこともありまして、現在区は
エレベーターの製造メーカーに直結したメーカー系の
保守会社と契約することで、きちんと
エレベーターの情報などが行き渡った状態でのきちんとした
保守管理ができるようにということでやっております。
○
委員(丸山
たかのり君) この
和解勧告の
再発防止の
取り組みが、さまざま
被告らに対して課せられているわけですけれども、これの履行の確保というか、履行をきちんと果たしていただかないといけないわけですけれども、その履行の確保のために何かできることがあるというか、この履行をしなかった場合どういったことになるのでしょうか。
○
危機管理・
生活安全担当課長(
滑川寛之君)
和解条項の
内容で申しましても、金銭の
支払いもあれば、意向を表明するとか、多岐にわたっておりますので、一概には言えないのですけれども、ここで
和解として結んだ
条項に関しては、例えば不履行があれば、債務不履行という話になってくると思いますので、個別の
対応にはなってくるかと思います。先ほども少し
説明しましたけれども、きちんと履行される担保の1つとして、それぞれの会社のホームページなどできちんと表明してもらいたい、対外的に形として出してもらいたい、そういうことを
要望した次第です。
○
委員(丸山
たかのり君) わかりました。区としても、これで
和解で、勧告をもって終了ではあるわけですけれども、今後も引き続き当該
被告らに対して、きちんと履行しているかどうかを見ていってほしいと思っております。その辺は今後も区としてきちんと監視していって、やっているかどうかを確認していくという、そういうことでよろしいでしょうか。
○
危機管理・
生活安全担当課長(
滑川寛之君) はい。どういう監視かというのはなかなかお答えづらいところはあるのですけれども、当然ここで表明していた意向に反するような行為はないように、それはきちんと見ていきたいと考えております。
○
委員(丸山
たかのり君) はい、わかりました。あと、
本件を契機にして港区としてもさまざま安全・安心のための
取り組みなどを行っていると伺っております。多岐にわたっているので、特に
エレベーターに関する安全の
取り組みということで言うと、例えば昨年度ですと、夜間や休日を想定した
戸開走行の
事故対応訓練なども実施されたと伺っておりますが、今年度何か新たに取り組まれたことや、継続でもいいのですけれども、ありましたら教えてください。
○
危機管理・
生活安全担当課長(
滑川寛之君) 安全に向けた区の
取り組みとしましては、大もとは、昨年新たに制定しました「港区安全の日」の制定があります。この制定の目的自体がそもそも区の今後将来的な
安全対策を徹底していくことを自分にも言い聞かせるとともに、対外的にも発信していく、それをご
遺族、亡くなられた命日を中心に考えていこうということで、当然6月3日だけではなく、年間を通じて広く安全が広まっていくようにということで取り組んでいるところです。その
エレベーターの救助訓練もその1つなのですけれども、ほかにも例えば、区民に安全についていろいろ考えてもらう機会を設けるために、講師を招いてのセミナーを開催したり、あとは今回のこの
事故を風化させないということで、また安全について考えてもらうということで、パネル展ということで、今年度新たにパネルで
事故の
経過や区の安全の
取り組みについて、区役所はじめほかの区の施設で年複数回開催する、今年度新たに始めたのはそういう
取り組みがございます。
○
委員(丸山
たかのり君) はい、わかりました。今回もこの件に関しての一切の
民事及び
刑事の全ての
訴訟が終了しますので、今年度やられたパネルのような
取り組みなどを通して、ぜひ今後しっかり啓発の方を、
安全対策の
取り組みで区が行っていく姿勢をしっかりと示していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
最後に
要望ですけれども、先ほど
玉木委員も言っていましたけれども、4億円、そこから
弁護士費用を引いての残りの部分が基金に入ると思うのですけれども、せっかく4億円入るので、当然、既に発生した
損害の部分に充てられることもあるかとは思うのですけれども、ぜひ区の
安全対策の
取り組みの強化に充てていただきたいと思いますし、この
訴訟の終結した契機を捉えて素早く手を打っていくのが、そういう姿勢を出すにはすごくいいかなと思っております。今回、一般質問でも、
戸開走行保護装置の補助助成の拡充に関して何人かの方が質問されていて、区の方も前向きに検討されていると思いますけれども、ぜひ国の今年度の新しい助成の拡充にあわせた形で、港区の方も
戸開走行保護装置の助成の拡充を図っていただきたいと思いますし、できれば次年度を待たずに今年度中に実行できるようであれば、ぜひそういった形で実行していただけるよう、強く
要望して、質問を終わります。
○副
委員長(鈴木たかや君)
事故から十数年たって、今、
石渡委員と丸山
委員の質疑の中にもありましたけれども、大切なことは風化させないという、答弁の中にもありましたけれども、これから先のことだと思うのです。
石渡委員の質疑の中で、港区が設置をした
当事者であることも考えると、きょうもご
遺族の方がいらしていますけれども、息子さんの無念を晴らすためにも何ができるのかがすごく大事なことなのだと思います。港区はこの十数年間、できることをすごくいろいろなことをしてきていただいているのも承知しておりますし、安全の日というのがそれをもとに制定された、すばらしいことだと思うのですが、私のうがった見方かもしれないですが、「区が」というところがすごく引っかかっていて、港区がよければそれでいいという話ではないと思うのです。これは恐らくですけれども、市川さんの無念を晴らすというのは、同じ
事故を絶対に起こさないことなのだと思います。そうしたときに
当事者である港区は何ができるのだということを、もう少し主体的に考えて動いていただけないかなと。もちろん今動いていると思うのですけれども、区の中で何をやっている、区ではこういうことをしているではなくて、例えば23区でどうなのだ、
日本の中でどうなのだということまで、
事故を起こしてしまった
当事者としても、もっと働きかけをする必要があると思います。
港区議会の中も十数年たつとメンバーが変わっていて、その当時議員だった人は何人いるのだろうとか、行政の皆さんもそうです。
危機管理・
生活安全担当課長だってそうですよね。担当していなかった、知らなかったという人もいるでしょうから、そうした人たちに対してこれから何をしていくのだろうということがすごく大事だと思うのです。それを忘れないための努力を、何ができるのかを、区側のお答えを聞かせてください。
○
危機管理・
生活安全担当課長(
滑川寛之君) まさにご
遺族もそうですけれども、目指すところは、安全な社会であることを、当然区としても承知しております。具体的な今までの
取り組みとなりますと、区内にとどまっていたというご
指摘は否定できないところかと思います。今後ほかの自治体との連携、いかに対外的に発信していくかは前向きに検討して、当然、ご
遺族とも今後も連携を密にして、広く安全な社会を目指すということで、何ができるかということで、具体的に検討していきたいと考えております。
○
委員(清家あい君) 先ほどからお話にもありますけれども、今回の
損害賠償訴訟の
和解で一連の
訴訟が終結に向かうことになると思います。先ほど
石渡委員や鈴木副
委員長からもありましたけれども、10年を超える長い期間、ご
遺族の方は本当にお疲れさまでした。心より敬意を表します。議員の、議会の一員として
責任の重さを痛感します。今後区が区民の安全のために、また、先ほどお話にもありましたけれども、ほかの自治体などにも安全を広げていくために一層努力する必要があると思っています。その1つの方策として、先ほど丸山
委員からもありましたけれども、例えば、現在、区内のマンションに限定されているマンション
エレベーター安全装置等設置助成事業の対象
範囲や助成額を拡大していくことなども考えられると思います。その辺に対して、今後の見通しについてお答えがあればお願いしたいのですけれども。
○
危機管理・
生活安全担当課長(
滑川寛之君) この
戸開走行保護装置の助成制度については、現在、建築課の方が所管となって進めているものです。今回まさにご
指摘のとおり、今までマンションに限っていた対象を拡充していく方向で検討していると聞いております。こういった今回の
委員のご
要望等もきちんと所管の方に伝えて検討してまいりたいと思います。
○
委員長(
横尾俊成君) ほかにご
質問等はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
委員長(
横尾俊成君) この
エレベーター等安全対策特別委員会ということで、一連の
訴訟は終わるのですけれども、今、
委員からさまざまなご意見があったと思うので、ぜひ今後の
安全対策については、引き続き報告等々いただきながら、議会と区と一緒になって
安全対策を進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
なければ、質疑はこれで終了いたします。
採決については簡易採決でよろしいですか。
(「はい」と呼ぶ者あり)
○
委員長(
横尾俊成君) それでは、
審議事項(1)「
議案第126号
和解について」採決いたします。
「
議案第126号」は、原案のとおり可決することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○
委員長(
横尾俊成君) ご異議なきものと認め、「
議案第126号
和解について」は、満場一致をもって原案のとおり可決することに決定いたしました。
────────────────────────────────────────
○
委員長(
横尾俊成君) 次に、
審議事項(2)「発案元第10号
安全対策及び
エレベーター事故の調査について」を議題といたします。
本発案について、何かございますでしょうか。
(「なし」と呼ぶ者あり)